子どもが読書好きになることで、読解力や想像力、論理的思考や感受性が向上するなど、多くのメリットが期待できることは耳にしたことがあるかもしれません。それに加えて、近年では「数学の基礎知識」と「ITスキルの高さ」に影響を及ぼすこともわかってきています。国語以外の教科への理解度にもつながるからこそ、早いうちから読書習慣を身につけさせたいものです。子どもに読書を習慣づけるには、まずは家庭環境から。では、いったいどうやって読書を日常に取り入れていけばいいのでしょうか?ある調査から導き出された読書と成績の関係性いつも読書をしている友人に、「どうしてそんなに本が好きなの?」と聞いたことはありませんか?すると「小さいころからの習慣」「家にたくさん本があったから」「親が読書好き」といった返事が返ってくることが多かったはずです。それはあながち偶然ではなく、育った家庭での読書環境が成長してからの読書習慣につながることは、さまざまな調査から明らかになっています。さらに最近では、読書環境にまつわる “ある調査結果” が話題となりました。それは「16歳の時に家に何冊本があったか?」という調査から判明したのです。オーストラリア国立大学と米ネバダ大学の研究者たちによるこの調査は、かなり大規模なものでした。まず、2011~2015年に31カ国の国と地域で、25~65歳の16万人を対象に行われた「国際成人力調査」の参加者に「16歳の時に家に何冊本があったか?」と質問しました。その後、読み書き能力、数学、情報通信技術(ICT)のテストを受けてもらいました。その結果、本がほぼない家庭で育った人たちは、読み書きや数学の能力が平均よりも低いことがわかったのです。調査対象者の国や性別、年齢層は幅広く、現在の職業もバラバラであるにもかかわらず、本がある家庭 / ない家庭で育ったことによる影響が、この調査によって表面化されました。そして、自宅にあった本の数とテストの結果は比例する、と結論づけたのです。ちなみに、「16歳の時に家に何冊本があったか」の、国別のランキングと平均冊数は以下の通りです。1位エストニア218冊2位ノルウェー212冊3位チェコ204冊4位デンマーク192冊5位ロシア154冊6位ドイツ151冊7位オーストラリア148冊8位英国143冊9位カナダ125冊10位フランス117冊上位は北欧が占めていますね。日本は、というと「14位/102冊」という結果でした。世界全体の平均は「115冊」なので、平均よりも少し少ないといったところです。家に置いてある本を思わず数えてしまった人もいるのではないでしょうか。この調査は「16歳の時」というのもポイントのひとつです。親が所有している本、親が子どものために選んで買ってあげた本に加えて、「子ども自身が自分の目で選んだ本」も含まれるからです。幼い頃に培った読書経験や読書習慣は、確実に「16歳の本選び」にもつながります。読書量は算数の成績を左右する!?またこの調査結果からは、「言葉の読み書き」(文系の能力)と「数学」(理系の能力)、さらにITスキルの高さは決して別物ではない、ということがわかりました。その結果を裏付けるように、ベネッセが行なった調査でも「読書量が多いほど算数の偏差値が高い」傾向が見られたのです。2016~2017年にかけて、4万2696人の小学5年生を対象にベネッセが独自に行なった調査は、読書量と学力テスト(国語、算数、理科、社会)の結果を分析するというものでした。その結果、10冊以上読んだグループはいずれの教科でも偏差値が平均1.9ポイント上がりました。なかでも注目すべきは算数の結果です。どの教科よりも、「読書量が多い」グループと「まったく読書をしない」グループの偏差値に大きな差が開いたのです。(画像引用元:時事ドットコム|読書量多いほど算数向上=「問題正確に読み取る」ー民間調査)この結果を受けて、ベネッセ教育総合研究所は「(読書によって)与えられた問いや条件を正確に読み取る力を高めているのではないか」という見解を示しています。自分の子どもについて、「ちゃんと勉強しているのに、算数のテストでなかなか点数が上がらない」とお悩みではありませんか?もしかしたら、算数の問題集をたくさんこなすよりも、読書量を増やして読解力を高めることで、効果が出てくるかもしれませんよ。子どもを本好きに!おすすめは “親子読書タイム”学研ホールディングスが2015年に行なった「子どもの読書実態調査」によると、“親の読書量”と“子どもの読書量”には深い関係があることがわかりました。その調査結果では、親が本をまったく読まない子どもは1ヶ月の読書量が平均2.1冊であるのに対し、親が本を1ヶ月に6冊以上読む子どもは1ヶ月の読書量が平均6.9冊にものぼったのです。つまり、親自身が本を読む習慣がなければ、いくら子どもに「本を読みなさい」と言ったところで効果は期待できないでしょう。逆に、親が読書をする習慣があり、本を読む姿を子どもに見せてさえいれば、生活の中に本が存在していることが “当たり前” になるのです。教育評論家の親野智可等氏は、子どもを本好きにするためには「親子で毎日決まった時間に読書をする」ことをおすすめしています。子どもだけの読書タイムでもいいですが、圧倒的に大きな効果があるのは家族みんなが同じ時間に読書する「家族読書タイム」です。お父さんもお母さんも、おじいさんもおばあさんも、この時間は本を読みます。こういう状態なら、子どもも自然に読むようになりますし、気も散りません。この時間は読書をするのが当たり前、という雰囲気にすることが大事です。(引用元:東洋経済ONLINE|子どもが自動的に「本好き人間」になる仕掛け)家族みんなで、というのは慣れるまでは大変かもしれません。しかし親野氏は、「1日10分でも1ヶ月で300分。まったくのゼロの状態に比べれば大きな違いです」と述べます。たとえば夕飯の後、ただなんとなくテレビを観るのではなく、リラックスした気持ちで本を開いてみてはいかがでしょうか。家族みんなで読書を習慣づけることができれば、子どもにとってそれが「日常」となります。本を読むことを無理強いするのではなく、本を通じて家族のコミュニケーションタイムを作ることから始めませんか?***本を読むのはいいことだと頭ではわかっていても、忙しい日々に追われて心に余裕がなくなると、つい読書から遠ざかってしまいますよね。1日5分でも10分でも、親子で一緒に読書を楽しむ時間を作ることで、ストレスが解消されたり、子どもの話に耳を傾ける余裕が生まれたりするのではないでしょうか。(参考)Newsweek日本版|子どもの時に、自宅に紙の本が何冊あったかが一生を左右する:大規模調査時事ドットコム|読書量多いほど算数向上=「問題正確に読み取る」ー民間調査ダ・ヴィンチニュース|子どもの読書量と家庭のコミュニケーションには深い関係がある!?円満家庭の秘訣とは…東洋経済ONLINE|子どもが自動的に「本好き人間」になる仕掛け
2018年12月02日編集部:学研キッズネット編集部勉強も服の好みも価値観も、幼い頃から母の言いなりになってきた史織。中学受験に失敗し、友だちとの人間関係も壊れてしまった彼女が、父の実家であり転勤先でもある佐渡について行くことを決めるところから『君だけのシネマ』は始まります。「佐渡に行きたい!」でも母はどんな反応をするだろう、心が大きく揺れ動く史織の姿を想像しながら、わたしは白黒ハッキリさせることが極めて苦手だった自分の子ども時代を思い出しました。「アンケートの選択肢になぜ『どっちでもいい』という答えがないのかな」といつも思っていたわたしのような子どもが、圧倒的な自信で迫ってくる母親にあれこれ口を挟まれていたらどうなっていただろうと思うと、史織のことをとても他人事とは思えません。新潟から佐渡へ親子といえども人間どうし。相手が誰であろうと「嫌なことは嫌」と言いたいものですが、史織の母には、そう一筋縄ではいきません。母は、がんばって勉強していい中学に入り、レベルの高い教育を受けることが子どもの「将来」のためだと信じています。友だちと地元の公立中学に行きたいという史織の主張をねじふせたうえ、最後の小学校生活を楽しみたいとどんなに訴えても、受験直前には小学校を休むことを強要します。「六先生を送る会も来なかったの、史織だけだったよ」「いくら受験でも学校来ないのって、さみしくない?言えばいいじゃん。学校行きたいって」仲のいい級友からの一言に怒りを爆発させ、さらに9年間がんばったかいもなく中学受験に失敗して地元の中学に進学することになった史織は学校に通えなくなっていきます。そんな史織のようすを見て、はじめて子どもと向き合うことにした父は佐渡への転勤を決めてきます。「佐渡に行けば……絶対、学校に行く」ふりしぼる思いで母を納得させた史織は父についていくことにするのですが、そこで目にしたのは、周囲が何と言おうと夢に向かって邁進する大好きな祖母「さっこちゃん」の姿でした。さっこちゃんの夢は、映画館のない佐渡にミニシアターをつくること祖父の亡きあと、二間の和室を改造してミニシアターをつくりたいというさっこちゃんは、精力的で楽しそうです。門の色を塗り替えたり、庭を手入れして流木を置いたり、カフェコーナーで出すコーヒーのブランドにこだわったり、自由な態勢で映画が観られるように座席を工夫したり。映画館の立ち上げ、運営、お客さんの呼び込み。映画館を軌道に乗せるにはやるべきことがいっぱいです。そんなさっこちゃんの片腕となって活躍するのが、史織と、佐渡の中学に通う映画好きな史織の親戚・桐谷瑛太、モノを創るのがすばらしく上手な、しかしクラスでは「変わり者」として敬遠されている藤原一花でした。自分の世界をしっかり持っている瑛太や一花に比べて、史織はいつでも、何を決めるにも自分の感性を否定してくる母の心の声に縛られ苦しめられます。史織ほどではないにしても、自分の直感を信じきれない感覚はだれにでも思い当たる節があるのではないでしょうか。だからこそ、それを受け止めるさっこちゃんの言葉に少なからず勇気づけられるのかもしれません。「史織のセンスは、史織だけのものだよ。もし九十九人が、そのいすを選ばなくても、史織がステキって思ったら、たった一人でもそれでいいと思うな」「私は逃げることって……選ぶことだと思うんだ。……自分が心地好くいられる場所を選ぶことが逃げることなら、逃げるって悪くない。そう思わん?」自分の選択は、自分の心に聞いて判断する。だれかと本音で関わることで、相手にも自分の個性を発見してもらう。「自分が(・)やりたいこと」や「自分が(・)好きなもの」を「自分が(・)選ぶ」という経験は少しずつ史織に生きる希望をもたらし、彼女を明るい方へと押し出していきます。やがて迎える母親との対峙――。愛されたいから苦しんでしまう中学生の頃の自分がこの物語を読んだなら、間違いなく史織に肩入れし、「あなたのため」と言いながら子どもに依存する母親に憤慨していたと思います。けれども今のわたしは物語を読みながら、「自分も母親として子どもを縛っていないだろうか」「子どもにとって母親とは、かくも絶対的な存在なんだ」ということを痛感しました。史織は母親に認められたい。認められたいだけでなく、心から喜んでほしい。だからこそ限界までがんばってしまうのだし、母の良しとするものが自分にとっても良いのだと思い込もうとするのでしょう。そのうちに自分の本心がわからなくなり、自分がうまくいかないのは母親の言う通りにしなかったからだ、つらくても母親の言う通りにするべきなのだ、というように母親に支配されていく、その過程が本当に恐ろしいと思いました。親子関係に問題がなくても、何のために生きているのだろう、自分は将来どんなふうに生きていけばよいのだろうと考える中学生は多いでしょう。この作品は、そんな迷える中学生に生きるヒントを与えることと思います。同時に、大人が読むことで、わが身の2種類の親子関係を振り返るきっかけにもなるのではないでしょうか。この物語には、『人生フルーツ』と『ニュー・シネマ・パラダイス』という2つの実在する映画作品が登場します。特に『ニュー・シネマ・パラダイス』は物語の軸ともいえる存在です。この映画を観てから『君だけのシネマ』を手に取るのもおすすめです。DATA『君だけのシネマ』(高田由紀子・作PHP研究所)『君だけのシネマ』(高田由紀子・作PHP研究所)学研キッズネット編集部(がっけんきっずねっと)『学研キッズネット』は、1996年にオープンした小・中学生のためのWebメディアです。学研の子ども向け書籍や雑誌の編集ノウハウを活かし、子どもたちが安全に楽しめるサイトとして運営しています。子どもたちのしあわせのために、家族のしあわせのために、有益な情報やサービスをお届けできるよう、いつも精一杯がんばっています。すくすく伸びる子どもたちのために
2018年11月12日過ごしやすい季節になってきました。読書の秋です!ベビーと一緒に絵本を楽しんでみませんか。私が本好きなこともあり、我が家には布絵本、音の出る絵本、図鑑、日本の有名な絵本、英語の絵本、童話…などなど、2歳の息子のための絵本が30冊程あります。そんな絵本の中から月齢別、0歳におすすめ絵本を、絵本を読んだ時の息子の反応とともにご紹介します。0ヶ月~3ヶ月は、カラフルな布絵本をまだぼんやりとしか見えない新生児期。ぼんやりとしか見えなくてもわかりやすいように、カラフルなもの選ぶと反応がいいです!また、この時期は布絵本がおすすめです。布絵本とは、紙ではなく布でできた絵本。紙の本と違って文章を読んであげるのではなく、音が鳴る仕掛けがあったり、動物が描いてあったり、歯固めが付いていたりと低月齢からいろいろ遊べるようになっています。握るとカシャカシャと音がしたり、目で楽しむだけでなく、五感で楽しむ絵本です。我が家では、寝返りをうつかうたないかの頃、ページをめくるときに「つぎはー」と言いながらめくるとニコニコしていました。すごくお気に入りで、遠くにあっても手を伸ばして一生懸命に取ろうともがいていました。そして、1歳を過ぎても遊んでいて、自分で「つぎぃはぁ~」とつぶやきながらめくっています!4ヶ月~6ヶ月は、動物や擬音が出てくる絵本で大喜びまだ、視力より聴力がいいと言われているこの時期。擬音が豊富なもの、そして顔に反応するので動物などお顔が出てくる絵本がおすすめです。出産祝いにいただいた、動物がいないいないばあをする「いないいないばあ」は、ロングセラーの人気絵本。いないいないばあというフレーズが何度も繰り返し出てきます。パパがよく読んであげていました。楽しませるポイントは、声の抑揚をつけてギリギリまで次のページを隠しながら読むことだそうです。息子は、いないいない『ばあ!』で動物のお顔が出てくるページで大笑い。ライオンやひつじが来る床屋さんが髪を切る『チョキチョキチョキ』という音がある「バルバルさん」は我が家の息子の愛読書です。いつもおひざの上で読んであげていました。いまではライオンが出てきたら『ライ~』と言ってきたり、犬の挿し絵があると『ワンワン』と言うようになり絵本から多くの言葉を覚えています。英語の絵本では、ヒッコリーディッコリードックなどのマザーグースの歌やきらきら星が載っている「Nursery Rhymes」はCDが付いているので、CDをかけながらボコボコがあったり、糸が縫い付けられていたりと手触りで絵本を楽しめるようになっています。7ヶ月~9ヶ月は、歌が流れる絵本が大ヒットお座りできるになると、本を持ったりいじったりするようになるので押すと音が出るような絵本に興味を持ちます。我が家では、音が出るおもちゃと本が一体になった絵本を購入。歌詞が本になっていて、ボタンを押すと英語とカラオケで10曲以上の歌が流れるので、ベビーが好きな音楽を簡単に聞くことができます。自分で押すことで音が鳴るというのも面白いようで、抱え込んで遊びます。また、この頃はママの持ち物に興味が出てくる時期。ちょっと置き忘れたスマホを、勝手にいじっていたりしませんか?息子は私たちのスマホをすぐ取ってしまうようになったので、スマホのおもちゃを取り出せる絵本をあげました!これもお気に入りで、1年以上遊んでいます。親子で楽しめる絵本で秋を楽しみましょう音が出る、感触が違う、繰り返し同じ文章が出てくる、違う動物が同じ行動をするというように、子どもが好きな絵本には特徴があります。子どもの反応を見ながら成長に合わせて絵本を増やしてあげると、絵本に興味を持ち続けてくれます。初めは反応がなくても、どこかに行ってしまっても、読んであげていれば覚えていてくれます。読書の秋に親子で絵本を読んでみませんか?
2018年11月07日秋は涼しくなり様々なことを行いやすい季節。「スポーツの秋」「食欲の秋」などと言いますがさらに「読書の秋」とも言いますね。美味しい食べ物や美しい風物詩、そして運動会やハロウィンなど行事もたくさんあり、秋をテーマにした絵本も多く出ています。読書や読み聞かせの効果を知ると共に、読書にぴったりの季節に秋を感じられる絵本をご紹介します。1. 読書週間と本を読む効能読書の秋には「読書週間」が定められています。昭和22年に制定され、長い歴史があります。期間は10月27日~11月9日(文化の日を中心にした2週間)となっていて、開始日の10月27日は「文字・活字文化の日」に制定されました。小さい頃から本に親しむことは、将来多くの効果が期待されます。 (1) 学力向上本を読むことで読解力が身につきます。読解力は国語だけでなく全ての教科に関わります。理科でも算数でも、教科書を読むことから始まるため、読解力不足で教科書を読むのが苦になると、内容が入ってきません。読解力があることでストレスなく教科書を読めるので、理解がしやすくなるのです。読解力だけではなく、語彙力も増えます。また、知らない語彙があった時「どういう意味だろう?」と考えることは思考力につながります。絵本であっても、カラフルなイラストや初めて耳にする言葉に触れることで、さまざまなことを覚え脳の刺激になります。そして、読書をしてその世界に没頭すると集中力が身につきます。楽しいと思える本に出会うためにも、たくさんの本を読みたいですね。 (2) 心おだやかで感性豊かになる本の中ではさまざまな世界が展開されます。触れたことのない世界や現実ではありえない世界であっても自分が経験したような感覚を味わうことができるので感性を豊かにしてくれます。また、イギリスのサセックス大学の研究では、読書・音楽視聴・コーヒータイム・散歩・テレビゲームを行う際のストレス効果を調べたところ、読書に一番効果があることがわかっています。テレビゲームは読書の3分の1以下のストレス解消効果しかありません。読書に親しみ世界に没頭できると、感性を高めつつストレス解消効果により、精神的に安定したおだやかな人間になるとも言われています。 (3) コミュニケーション能力読み聞かせは親子の絆を深めることができます。子どもにとって、くっついて本を見ながら大好きな人の声を聞くことが精神面での安心や満足感、幸福感をもたらすと言われています。膝の上に子どもを乗せたり親子でほっぺをくっつけて読んだりするなど、スキンシップをとれるのもいいですね。子が本を自分で読む年齢になっても一緒に本を選ぶ、感想を聞くなどにより親子でコミュニケーションを取るきっかけとなります。登場人物の気持ちを読み取ることで、人の気持ちを感じとったり共感したりできるようになります。また、読書を通じて感じた気持ちを、言葉にして伝えることができるようになります。「人の気持ちが分かる」「人に何かを伝える」といったコミュニケーション力UPが期待できるのです。2. 秋におすすめの絵本5選 (1) 14ひきのあきまつり出典:絵本ナビ名作「14ひきシリーズ」の秋バージョンです。表紙から中身まであたたかみのある秋色で、ほんわかする家族愛を感じられます。可愛らしい絵であるのに緻密で、バッタ、カエル、トカゲ、カメなどの登場人物や景色は植物図鑑・昆虫図鑑として楽しめるほど。生き物好きな子にオススメですが、そうでない子もこれを機に興味を持ってくれることもあるかもしれないですね。 (2) あきやさいの あきわっしょい!出典:絵本ナビ秋祭りを通じて、おイモやキノコのおみこしなど、秋の味覚を絵や言葉で知ることができる絵本です。「わっしょいも!」「ヤッサイ!」などダジャレが効いていて、意味が分からなくても音を楽しめます。パワフルな野菜たちの躍動感も楽しめます。 (3) どんぐりむらのぼうしやさん出典:絵本ナビどんぐり村の帽子やさんが、村では売れないので町へ出かけていくというストーリー。個性豊かなどんぐりの仲間は見ているだけでも楽しめ、どんぐりトリオのひらめきや発見にワクワクすることができます。ごっこ遊びが好きな子ども達が真似をしたくなるかも。お仕事について知るきっかけにもなり、一工夫で遊びも仕事も楽しく出来る内容は大人にも参考になるかもしれません。 (4) おちばきょうそう出典:絵本ナビ「たっくんとたぬきシリーズ」の秋verです。庭の落ち葉を掃除している内に、遊びが始まり余計散らかってしまいます。たっくんとたぬきの、ほのぼのしたストーリーです。紅葉した葉っぱから秋を感じることが出来ます。落ち葉の海にジャンプ!という子どもが憧れるシチュエーションを楽しめること間違いなしです。 (5) お月さまってどんなあじ?出典:絵本ナビお月見、お月さまをテーマにしたお話です。お月さまってどんなあじなんだろう?と思っている動物たちが高い山に登ってお月さまかじってみようと協力し合います。ラストではお月さまの味の真相が明かされます。絵の質感と繰り返しのリズムが楽しい絵本です。秋を感じることのできる絵本はたくさんあります。秋色というと赤や黄色などの暖色が想像され、そんな色でいっぱいの絵本は視覚的にも暖かい気持ちにしてくれそうですね。過ごしやすく穏やかなこの季節。読書週間をきっかけに、親子で本に親しんではいかがでしょうか。
2018年10月31日うだるような暑さも過ぎ、すっかり秋になりました。「読書の秋」とも言われているように、集中して本を読みやすい時期ですね。教養を身に付けるための読書もいいですが、たまにはストレス解消としての読書もいかがでしょうか?涙活ってなに?涙活とは、心のデトックスを図るために、涙を流す活動のことです。・日々の生活に疲れを感じている・近ごろ人間関係がうまくいっていない・職場や学校でイヤなことがあったこのようなお悩みを抱えている人も多いのではないでしょうか。ストレスや悩みがあると、気持ちが沈みがちですよね。そんなときは、涙をたくさん流すことで、心のなかに溜め込んだストレスやモヤモヤを外に出してしまいましょう。なんだか、気持ちがスッキリして、“明日から、また頑張ろう!”と前向きな気持ちになってきますよ。読書で涙活するには?涙活で1番大切なことは、自然な涙を流すことです!なお、タマネギを切っているときに流れる涙や、ドライアイ対策の涙では、心のデトックスは図れませんよ。心が動かされる作品にふれ、涙活に励みましょう!辻村深月著「ツナグ」や伊藤左千夫著「野菊の墓」などは、泣ける本として人気の高い作品です。あまり時間がとれないときは、キム・フォップス、オーカソン作「おじいちゃんがおばけになったわけ」、スーザン・バーレイ作「わすれられないおくりもの」、新美南吉作「ごんぎつね」などの絵本を読んでみてはいかがでしょうか?「読書の秋=活字を読む」というイメージを持っている人もたくさんいますが、心がグッと動かされる作品であれば、絵本やマンガでも構いません。今年の秋の夜長は、読書で心のデトックスを図ってみませんか?
2018年10月03日夏休み中は多くの宿題が出るところが多いと思いますが、中でも子どもだけではなく親をも悩まされるのが読書感想文だと思います。計算や漢字の宿題なら教えることもできますが、答えのない感想文は書かせるのが難しいところ。どんなところに気を付けて書いたらいいのか、感想文を書くコツを見てみましょう。1. 親の手伝いはどこまで?まず当たり前のことですが、感想文を書くためには本を読まなくてはいけません。平仮名が全く読めないという子は少ないと思いますが、まだ1年生だと長文などになると読むこと自体が苦手だという子は結構いるのではないかと思います。「絶対に親が手伝って読んではいけない」ということはありません。まずは本に親しむという意味からも、本人が読むことを拒否する場合は無理せず一緒に読んであげて下さい。2年生になったら、基本は子どもに読ませる方が良いと思いますが、これもその子の状況に応じて臨機応変に対応していきましょう。書き方に困っている場合も、「手伝ってしまうと自主性が育たない!」などと頑なにせず、声かけや質問などで誘導してあげると良いでしょう。2. 書くポイントは4つ基本的には本人に自由に書かせて良いのですが、書くポイントとしては1.その本を選んだ理由2.本のあらすじ3.特に気になった場面とその理由4.本を読んでこれからの生活にどう活かしていくかなどを挙げていくとある程度のまとまった文章になると思います。1・2番は特になくても良いですが、3・4番で量が足りないかなという時などは付け足してみて下さい。言葉かけの例としては「どの場面が一番面白かった?」「主人公は好き?嫌い?なんでそう思うの?」「この本ではこうなったけど、〇〇(子どもの名前)はこれからどんなことに気を付ける?」などと聞いてあげることでうまく感想が引き出せるでしょう。3. 読書感想文の鉄則4つ読書感想文を書く際におさえておきたいポイントを4つ挙げます。これをおさえておけば、難しく考えずに書くことができるはずです。 (1) 本選びまずは本選びです。本を読んだ際に、自分以外の人に「これ、面白いよ!」と伝えたいような本であれば楽しんで感想文を書くことが出来ます。友達や家族に伝えたいと思うようなストーリーの本を選びましょう。 (2) 読書メモを作る本の分量にもよりますが、読みながら感じたことなどは読み終わった時に意外と忘れているものです。大体のあらすじくらいは覚えているかもしれませんが、本を読みながら、感動した部分や表現が出てきたら、しるしをつけたりメモに書いたりしておくなどの習慣をつけておきましょう。自分でメモをするのが難しい子は、親が事前に声かけをしておいてそういった場面に遭遇した時に言ってもらうようにしましょう。また、先ほどの言葉かけの質問をメモしてあげるのもいいですね。 (3) 構成を考えて書くこれはある程度高学年になってから意識する部分ですが、感想文を書くことに慣れてきたら構成を考えてみましょう。構成と言っても難しく考える必要はありません。あらすじを書くのではなく、最も印象に残った場面を書いていきます。「はじめ・なか・おわり」の3つで組み立てるとまとまりがうまれます。・「はじめ」最も印象に残った場面を、簡潔に書く・「なか」なぜ、どのように印象に残ったかを書く。「もし自分だったら~」など、自分と照らし合わせて詳しく書く。・「おわり」本を通して考えたことや学んだことを書く自分と照らし合わせることで他の子と違う内容になり、さらに3部構成にすることで読みやすくまとまりのある文章になります。あれもこれも、と書くのではなく、最も印象に残ったところを重点に書くのもポイントです。 (4) 必ず読み直す書き上げて安心してしまいますが、終わったら必ず読み直して誤字がないか、おかしいところはないかをチェックしましょう。小さい子は親が一緒に読んであげるといいですね。高学年でも、おうちの人が読んであげることで「内容が他人に伝わるか」をチェックできます。自分で読み直すだけではなく、必ず他の人も読んでチェックしましょう。この時期は書店に行くと、読書感想文におすすめの本が年代別に並んでいるところが多いですね。年代に関わらず、子どもが興味を持っていたらまずは読ませてみるといいでしょう。感動したところなどを尋ねると、子どもは思いもよらない場面やその理由を述べることがあります。どんなところで感動したのかを知るいい機会ですね。また、それを言葉にして表現するということは、自分の考えを述べることができる子どもに育つ為にはとても重要なことです。是非夏休みという長い休みの機会に、親子で本について語り合う時間を作って下さい。それを字に起こせば、意外と読書感想文も難しくないはずですよ!
2018年08月31日静かな空間で1人読書したいときもあれば、周囲の喧騒をBGMに本が読みたいときもあります。どんなシチュエーションであっても譲れないのは、自分の好きな飲み物がかたわらにあること。 BEER & CAFE BERGコーヒーとビールが気軽に楽しめる先駆け的存在。新宿駅構内にあり、1日に1500人もの人が訪れる多くの人に愛されている繁盛店。職人手作りのソーセージや天然酵母のパンなど、安くて美味しい食事とビール(&コーヒー)を毎日朝7時から楽しめて、多くの人でにぎわっています。 パフスリーブシャツ¥35,000、プリーツスカート¥98,000/ともにTOUJOURS(トゥジュー代官山ストア)、ブレスレット¥29,000/DAN TOMIMATSU(ベルジェ) コーヒーが飲みたくなる本コーヒーを好んだ作家や芳しい香りの描写、どこかにコーヒーと接点があ理、読むと思わずコーヒーが飲みたくなる、そんな5冊を紹介します。 写真右から「茨木のり子の家」茨木のり子著平凡社¥1,800女流詩人・茨木のり子の詩と自宅の写真を納めた作品集。日曜日の朝、食卓に漂うコーヒーの香りから、当たり前にある豊かさを再認識した作品。 「ぼくは散歩と雑学が好き」植草甚一著ちくま文庫¥1,200映画や音楽の評論家として活躍した植草甚一が、アメリカのカルチャーについて綴ったエッセイ集。喫茶店でその日購入した本を並べてコーヒーを飲んでいた、本とコーヒーの相性の良さを体現した人。 「戀愛譚」 東郷青児文筆選集東郷青児著野崎泉選創元社¥2,400美人がで知られる画家・東郷青児が書いた恋愛にまつわる文筆集。青年時代を過ごしたモンマルトルのカフェへの憧れ、男女の淡い恋の駆け引きを詩的で幻想的なタッチで表現しています。カフェ文化に近いところにいた作家。 「路上のジャズ」中上健次著中公文庫¥900学生運動が盛んだった頃、コーヒー=不良の飲み物、そんなコーヒーはジャズと一緒に飲まれていました。 「これで駄目なら若い君たちへー卒業式講演集」カート・ヴォネガット著円城塔訳飛鳥新社¥1,600アメリカの著名なSF作家カート・ヴォネガットが高校や大学の卒業式でしたスピーチをまとめた講演集。直接コーヒーが登場するわけではないのですが、コーヒーと一緒に楽しみたい一冊。 (選書してくださったのは、荻窪にある街の本屋「Title」店主辻山良雄さん) ビールが飲みたくなる本美味しそうな描写につられて、ビールが飲みたくなる日があってもいい。ビールと本好きで知られる本屋の店主オススメの5冊です。 写真右から「わたしは英国王に給仕した」ボフミル・フラバル著阿部賢一訳河出書房新社¥2,200ビール醸造所の息子として生まれたチェコ人の小説家・フラバルの作品には必ずビールが登場する。ホテルの給仕見習いになった主人公が出世していく様子が、ホラ話のようなエピソードをふんだんに交えて語られていて、その語り口が酔っ払いのよう。酒場の様子もにぎやかに描写されていておもしろい。 「風の歌を聴け」村上春樹著講談社文庫¥390青春の一片を描いた村上春樹のデビュー作。主人公の僕と鼠がひたすらビールを飲む話で、一見、時間の無駄だが、人生には無駄なことも必要でそれが人の深みになるという象徴的なエピソード。 「吾輩は猫である」夏目漱石著新潮文庫¥630書き出しの一文はあまりに有名ですが、物語の結末は覚えてますか?ラストで猫の運命をわけてしまったのが、ビールでした。 「アンソロジービール」赤塚不二夫、阿川佐和子ほか著パルコ出版¥1,600お弁当、おやつなど食べ物にまつわるエッセイ集。アンソロジーシリーズのビール編。作家と酒の本はあれど、ビールに的を絞っている本。 「ベルギービール大全<新>」三輪一記+石黒謙吾著アスペクト¥2,200ベルギーは九州ほどの大きさの小さな国なのに、ビールの銘柄は約800種類もあって、ものすごく多様性があります。デザイン性の高いラベルや専用グラスを眺めるだけでも、奥深さを感じます。 (選書してくださったのは、世田谷にある「ビールが飲める本屋」B&B店主嶋浩一郎さん) 本とコーヒー、本とビールの関係が深いお店 SNOW SHOVELING散歩がてらに立ち寄りたい本屋マンションの2階のドアを開けると、非日常な空間が広がり、本をはじめ手にとって眺めたくなる素敵なものが並んでいます。店内でじっくり過ごすもよし、気に入った本とビールをテイクアウトして、近くの駒沢公園で読書するのもよし。 SHOP DATA東京都世田谷区奥沢4-35-7深沢ビル2F-Ctel: 03-6432-3468open: 13:00 - 19:00(火・水曜休) コクテイル書房築100年の長屋で古本に囲まれる古本とお酒、そして本の中に出てくる料理を再現したメニューを楽しめるのが魅力のお店。大正時代に建てられた趣のある店内は、囲炉裏のある小上がりの席とカウンター席があり、女性ひとりでいらっしゃるお客さんも多いそう。 SHOP DATA東京都杉並区高円寺北3-8-13tel: 03-3310-8130open: 昼の部11:30 - 15:00(月曜・火曜休み), 夜の部17:00 - 23:00 Cat’s Meow Booksネコ本が並ぶネコのいる街の本屋「本とネコとビール(とコーヒー)に囲まれた場所が作りたかった。」というオーナーの安村さんの思いを形にした本屋さん。 SHOP DATA東京都世田谷区若林1-6-15tel: 03-6326-3633open: 14:00 - 22:00火曜休 fuzkue静けさが約束された「本が読める店」気兼ねなく読書したいときに足を運びたい「フヅクエ」。私語厳禁。お互いを気にせず思い思いのひとり時間を楽しめるお店。 SHOP DATA東京都渋谷区初台1-38-10二名ビル2Fopen: 12:00 - 24:00不定休(web, SNS等でご確認ください LAB TOKYO早起きして読書したい、そんなときに渋谷の真ん中・道玄坂にのびのびとコーヒー(もちろんビールも)が楽しめるお店。広い店内は席数も多く、コーヒースタンドも併設。朝7時開店なので、美味しいコーヒーを飲みながらゆったり読書に集中するもよし。 SHOP DATA東京都渋谷区道玄坂2-10-7新大宗ビル1 号館2Ftel: 050-1744-9496open: 7:00 - 19:00(L.O. 18:30)無休(年末年始をのぞく) BUNDAN COFFEE & BEER文豪由来のコーヒーを味わって本好きな人なら、作品の中に登場する美味しそうな料理の味をきっと想像したことがあるはず。文豪にちなんだホットコーヒーや本の中のメニューを実際に味わえるお店。 SHOP DATA東京都目黒区駒場4-3-55日本近代文学館内tel: 03-6407-0554open: 9:30 - 16:20(L.O. 15:50)日・月・第4木曜休)(文学館に準ずる) onkul vol.9より
2018年06月25日まるでジブリの世界のような「ゲストハウス・読書の森」小諸駅は、新幹線のとまる佐久平駅から小海線に乗って終着地点。そこからさらに車で15分ほどの「読書の森」はいくつもの田んぼや畑に囲まれ、遠くには浅間山を見ることができます。駅からバスでも行けるそうですが、なにせ本数が少ないので、事前にお願いすれば宿の方に送 迎していただけるのが嬉しい。 読書の森はご家族で運営されていて、メインの建物の2階が住居スペースとなっています。1階には、ブックカフェにもなっているリビングルームがあり、そこで他のゲストと交流したり、 晩ご飯をみんなでいただいたりします。木を基調としたリビングには、年季の入った愛された本がたくさん! そこら中に散らばるアートや木造の家具に迎えられ、まるでずっと前から知っ ていた場所に帰ってきたかのようなあたたかさ。わたしが泊まらせていただいたのは、そのすぐ隣のギャラリースペースにもなっているお部屋。写真の展示が行われていました。 建物内にも、敷地内にも、とにかくいたるところに手作りのものたちとアートと自然があふれていて、そこで育まれている豊かな生活を想像すると胸がいっぱいになりました。広い敷地内 にはオーナー自作の小屋が点在し、他のゲストたちはそこに宿泊しているようでした。野原にはタンポポがたくさん咲き、大きな畑では、訪れる時期によっては畑仕事を体験できるそう。 収穫したお野菜はその日の晩ごはんでいただけるようです。もちろんすべて奥さんの手料理。 晩ごはんは、希望するゲストたちがオーナーご家族とテーブルいっぱいのお料理を囲みながら、 わいわい交流を深められる場所。たまたま一緒になったドイツ人カップルは、今回の日本旅行でいちばんたのしい夜だ、と大満足でした。 車で10分ほどで温泉とツリーハウスの展示自然がいっぱいの読書の森周辺には、ハイキングができる場所もたくさんあります。特に外国の方が、ハイキングや、自然に触れ合う時間を求めてくるのが多いようです。読書の森から車を 10分ほど走らせたところにある安藤百福センターは、ハイキングコースをいくつか紹介しています。この安藤百福センターが企画した「小諸ツリーハウスプロジェクト」では、施設横の林 の中でかくれんぼするかのように、複数のアーティストによって制作されたおもしろいツリー ハウスが展示されています。自然の豊かさを生かした楽しい企画で、若葉に覆われたツリーハウスたちを探しながら歩く野道には、冬の間に積もった分厚い落ち葉のクッションからたく さん草花が顔を出して、五感が鋭くなるのを感じます。 道路を挟んで、この施設の向かい側には温泉「あぐりの湯」があります。ハイキングの後に、 露天風呂もあるこの場所で身体を休められるなんて、なんてすてきな休日でしょう。【お問い合わせ先】茶房 読書の森(ゲストハウス・読書の森)長野県小諸市御牧ヶ原5179-10267 25 6393 10時くらい〜18時くらい(ほとんど無休)
2018年05月20日読書は想像力や読解力などが身につくことから、小さなころから読む習慣をつけると良いとされています。実際に小学校などでは、子どもたちにたくさん本を読ませる取り組みをしている学校も多いようです。そこで、子どもが月にどれくらいの本を読んでいるか聞いてみました。Q.子どもの読書、月に何冊?1.読まない 28.4%2.〜2冊 34.7%3.〜5冊 17.9%4.〜8冊 5.0%5.9冊以上 14.1%一番多かったのは、子どもの読書は月に1〜2冊という結果となりました。次に多かったのは、読まないの28.4%。3冊以上読んでいるという人は37%ということで、意外とたくさん読んでいるお子さんもいるようです。大人の方が読んでいないかもしれませんね。■読み聞かせで読書習慣を身につけよう親がとくに言わなくても、本を読む習慣ができていたり、本を読むことが大好きな子もたくさんいるようです。小学校1年生くらいまでは、親の読み聞かせがベースとなります。この時期から読書の習慣がつくといいですね。「保育園に通う4歳です。家に帰ってからゆっくり遊ぶ時間はあまりないので、せめて寝る前の絵本は毎日。図書館で新しい絵本を借りて楽しんでいます」(大阪府 40代女性)「1年生。まだ自分ではなかなか読めませんが、寝る時に読んであげています」(埼玉県 40代女性)「学校で『家読』と題して、家で読書をする習慣がありますが、今まで買った本すべてが戦国武将の本です。歴史に関しては、すごい知識の持ち主になりつつあります。暇な時には読んでいるので、読む力はなかなかのものです」(栃木県 40代男性)「西村京太郎の鉄道トリックを、時刻表と路線図を照らし合わせながら読んでいます」(三重県 40代女性)「勉強はできないが、本は好きらしく、しょっちゅう図書館に行っていると担任の先生に聞いて驚いた。とくに生き物と偉人の伝記が好きらしく、たまにびっくりするような豆知識を教えてくれます」(神奈川県 40代女性)「小4の娘が本が大好きで、学校からも借りまくって読んでいて、いったい月に何冊読んでいるのかもわかりませんが、かなり読んでいます」(北海道 40代女性)■ほっといたら0冊という子どもも一方で、何も言わなければまったく読まないという子どもも。その理由として多いのが、やはりゲーム。小学校高学年ごろから、本よりもゲームやマンガにスライドしていく子どもが多いようです。ゲームもマンガもダメではないけど、読書も続けてほしいのが親心。「読まないな〜。宿題の音読程度。あとは夏休みの宿題くらい」(神奈川県 40代女性)「息子は小4ですが、1〜2年のときはよく本を読んでいたんですが、今は本よりゲームばかりやっています」(千葉県 50代女性)「小さいころは『本買って!』とねだっていた息子ですが、今は高校1年。読む本と言ったらジャンプだけです。昔買った本は本棚で眠っています。いつか孫に読んであげたいと思います」(神奈川県 40代女性)「本当に残念なことに、まったく誰一人として本を読みません。マンガすら興味ありません。困ります」(北海道 40代女性)「学校で借りてくる図書の本のみ。私も活字を読むのが苦手なので、もっと読みなさい! とは言えない」(千葉県 40代女性)■本が好きな親の子は本好きになる!?親が雑誌やマンガばかり読んでいるとすれば、子どもだけに本を読めというのは難しいかも。まずは、本を読むことが楽しいことなのだというイメージや体験が必要ではないでしょうか。新学期のスタートも兼ねて、お休みの日などは親子で読書タイムをもうけるのもいいかもしれませんね。「親が雑誌しか読まない姿を見ている子は、それ以外の文庫本などを読む習慣はつきませんよね」(茨城県 40代男性)「読ませなきゃとは思っているのですが、なかなか読ませてないです。子どもが自主的に読むようになるには、親が本を読んで楽しいと思わせないとダメですよね。親子で読書始めます」(三重県 30代女性)「両親ともに読書好きなので、子どもたちも本が大好きです」(神奈川県 40代女性)Q.子どもの読書、月に何冊?アンケート回答数:4672件 ウーマンエキサイト×まちcomi調べ
2018年05月02日4月23日は「子ども読書の日」だということを知っていますか?子どもの読書活動への理解と関心を深め、子どもが積極的に読書活動を行う意欲を高めることを目的に制定された「子ども読書の日」。シェイクスピアとセルバンテスの命日であり、ユネスコが「世界・本と著作権の日」と宣言していることにちなんで、この日になったそう。そこで今回は、とあるアンケート調査を参考に、「子どもと読書」について調べてみました。平日は短い時間で!とある調査というのは、文部科学省が昨年7月に発表した「子供の読書活動の推進等に関する調査研究」というもの。同調査を見ると、小学生・中学生・高校生それぞれがどの程度読書をしているのかがわかります。今回は、対象を「小学生(4、5年生)」だけに絞り、読書の傾向を見ていきましょう。まずは、子どもが読書にあてる時間から。Q.1日にどのくらい本を読みますか?(平日)【小学4年生】・まったくしない…13.8%・15分より少ない…29.3%・15~29分…32.9%・30~59分…15.8%・1時間以上…8.2%【小学5年生】・まったくしない…15.3%・15分より少ない…30.9%・15~29分…30.4%・30~59分…15.8%・1時間以上…7.6%4年生も5年生も、各項目ともそこまで大きな差は見られず、「まったくしない」と回答したのはわずか15%前後。「1時間以上」など、まとまった時間を読書に費やす子どもはどちらも10%以下と決して多くありませんが、8割以上の子どもは、学校がある平日でも読書が習慣になっているようです。休日は読書の時間が長い!?では、休日はどうでしょうか?Q.1日にどのくらい本を読みますか?(休日)【小学4年生】・まったくしない…24.6%・15分より少ない…20.3%・15~29分…19.4%・30~59分…18.5%・1時間以上…17.2%【小学5年生】・まったくしない…24.6%・15分より少ない…21.5%・15~29分…20.0%・30~59分…17.2%・1時間以上…16.6%どちらも、平日に比べ「まったくしない」との回答が10ポイントほどアップしていますが、その一方で「30~59分」「1時間以上」読書するという子どもの割合は増えています。休日は学校がない分、自分の時間を自由に使うことができ、まとまった時間を取りやすいということかもしれませんね。ちなみに、同調査では「1カ月間で何冊の本を読むか」についても結果が出ていて、その平均値は4年生が8.78冊、5年生が7.77冊。単純に1カ月を4週間とすると、「週に2冊くらいは本を読んでいる」ということになります。もちろん、どの本を読むかによってもペースは変わりますが、それにしても結構なハイペースですよね。語彙力や文章構成力、想像力などが身につくことが期待される読書。なかには、教育の一環として取り入れているママもいるのではないでしょうか。繰り返しになりますが、4月23日は「子ども読書の日」。子どもと一緒に図書館や本屋さんに行ってみるのも、よさそうです。(文・三軒茶屋すみ子/考務店)
2018年04月23日シンプルで質のいいものと向き合い続けてきた〔無印良品〕。そのブックセレクト〔MUJIBOOKS〕から、新たに文庫本シリーズが発売されました。〔無印良品〕らしく、インテリアにも馴染むシンプルなデザインの文庫本たちは、いったいどのようなコンセプトや特徴を持っているのでしょう?「ずっといい言葉と。」『茨木のり子』(著者:茨木のり子発行元:株式会社良品計画価格:税抜500円)〔無印良品〕が展開する〔MUJIBOOKS〕は、「ずっといい言葉と」をコンセプトに掲げた本のセレクトショップ。創業以来、モノ本来のすがたを、「素」となる少しの言葉で伝えてきた〔無印良品〕。今回誕生した〔MUJIBOOKS〕の文庫本たちには、そんな〔無印良品〕が古今東西の書物から集めた「素の言葉」「ずっといい言葉」が詰まっています。「人と物」をつなぐ本たち左から順に、●『柳 宗悦』(著者:柳 宗悦発行元:株式会社良品計画価格:税抜500円)●『花森安治』(著者:花森安治発行元:株式会社良品計画価格:税抜500円)●『小津安二郎』(著者:小津安二郎発行元:株式会社良品計画価格:税抜500円)〔MUJIBOOKS〕の文庫本では、職業のジャンルを問わず「くらしを見つめた文筆家」を取り上げ、複数の短編や写真などを集めて1人1冊の仕立てに編集しています。2018年2月現在、発行されている文庫本は全6冊(『人と物1〜6』)。「人と物」第一弾では「くらしを考える仕事、三者三様」をコンセプトに、『柳宗悦』『花森安治』『小津安二郎』の3タイトルが登場。いずれも、美術評論家、雑誌編集長、映画監督と、それぞれの立場から「くらし」を見つめた人物です。左から順に、●『佐野洋子』(著者:佐野洋子発行元:株式会社良品計画価格:税抜500円)●『茨木のり子』(著者:茨木のり子発行元:株式会社良品計画価格:税抜500円)●『米原万里』(著者:米原万里発行元:株式会社良品計画価格:税抜500円)第二弾は「くらしを味わう言葉、三者三様」がコンセプト。絵とことば、詩やエッセイ、翻訳された言葉など、さまざまな形で言葉と向き合った『佐野洋子』『茨木のり子』『米原万里』の3タイトルとなっています。シンプルなデザイン中には文章だけでなく、本人の写真や系譜、原稿の写真なども数多く掲載されています。〔MUJIBOOKS〕の文庫本は、〔無印良品〕らしいシンプルでおしゃれなデザインが特徴。クリーム色の表紙と、クラフト紙のような素材の帯がやさしい印象です。読み終わったら、インテリアとして飾ることもできます。本棚の中はもちろん、机の上、飾り棚の上など、いろんな場所になじんでくれそうです。〔MUJI BOOKS〕で、本のある毎日を。コンセプトやデザインなど、さまざまな箇所に〔無印良品〕らしさが散りばめられた〔MUJIBOOKS〕の文庫本。読書好きの方も、普段あまり本を読まないという方も、ぜひ一冊手に取ってみてはいかがでしょうか?あなたの暮らしを豊かにしてくれるような、「ずっといい言葉」と出会えるかもしれません。女子にとにかく優しい! 無印良品のアトレ恵比寿西館を徹底リサーチ
2018年03月05日都会の喧騒、忙しい日常を一瞬でも良いから忘れる時間って大事ですよね。特に、現代人は気づかぬうちにノイズ、つまり耳から余計な音を受け取ってしまっています。そんな聴覚的プレッシャーからも解放されること間違い無しの、“お喋り厳禁”のカフェが都内にありました。いざ、異世界への扉を開けて「お喋り厳禁で、雰囲気の良いカフェがある」と聞いて、今回取材にやってきたのは、独自のカルチャータウンとして名高い東京・高円寺。一人静かに本を読んだり、日常を忘れてボーっと一息つくのに最高のカフェが待っているのでは?そんな期待に胸を膨らませ、高円寺駅南口からパル商店街を下ること3分。脇の路地に入ったところに、ありました。異世界への入り口が。〔アール座読書館〕は2階にあります。静寂に浸れる好きな席を見つけよう♪アンティークな家具類にも注目。ランタンの灯りと窓からの採光のみの薄暗い店内は、木の温もりを感じさせるテーブル&チェアーに加えて観葉植物が生い茂っていたりと、何だか秘密結社のアジトに潜入したようなドキドキ感を覚えます。確かに一般的なカフェに比べて静かですが、全くの無音というわけではありません。アンビエントなBGMが微量でかかっていたり、水草水槽から水音が聴こえてきて、とても落ち着きます。全部で一人用の席が5席、二人用の席が6席あります。アクアリウムを鑑賞できるソファー席や窓から外の景色を楽しめる席、アート関係の書籍やアイテムが飾られた席など、それぞれ違った雰囲気を味わえます。空いている時は、途中で空いている席への移動も可。どの席にも、その席を気に入っている常連さんがいるとのことです。一番人気の席は……ステンドグラスのランプがすてき。ちなみに、一番人気があるという席がこちら。窓際の真ん中に位置しながらも柱に囲まれているせいか、おこもり感があって凄くリラックスできます。ライティングデスクになっているので書斎っぽさがあり、物書きや勉強が好きな人にはたまらないでしょう。コーヒーはネルドリップメニューは、ドリンク28〜30種類とお茶請け2〜3種類があります。コーヒー類(税込600〜650円)は、こだわりのネルドリップ。中には、ブラジルブルボンなど個性的な豆も扱っています。ところで、こちらに写っているのが、マスターの渡邊さんです。元々、主に飲食関係で働いていたそうですが、自分のお店を出すことが夢で、この喫茶店を10年前に開業。静かに読書ができる空間は、自身が忙しく働いていた頃に欲していたとのこと。そんなマスターに、蔵書の中からオススメの一冊をセレクトしていただきました!大橋鎭子 編著『すてきなあなたに』シリーズ(暮しの手帖社)店内奥の壁際には、巨大な本棚がスタンバイ。もちろん、利用者は自由に本を手にとって席で読むことができます。その中から、マスターに特別に選んでいただいたオススメの一冊が……こちら。大橋鎭子 編著『すてきなあなたに 2』(1988年)1948年(昭和23年)に「婦人家庭雑誌」として創刊された『暮しの手帖』に連載されていた、創刊者の一人である大橋鎭子のエッセイをまとめたシリーズの一冊です。「品があって、オシャレで、感性豊かなエッセイの数々は、今時のコラムとちょっと違う。でも、今時の女性にこそ響くようなものだと思います」と、マスター。アール座読書館を訪れた際には、ぜひとも一度手にとってみてはいかがでしょうか。3階の喫茶店は“お喋り可”実はマスター、同じ建物の1つ上の階に、〔エセルの中庭〕という喫茶店も経営しています。こちらは私語OK。とはいえ、アール座読書館と同様に、幻想的な雰囲気に包まれた店内です。なんでも、コンセプトは「物語り喫茶室」。かつて一人の悩める少女が心の中に作り上げた記憶と幻影の世界にリンクしている、という世界観。そして、ときおり店内に童話の朗読が流れます。ちなみに、こちらの一番人気の席にも水槽がスタンバイしていました。友人とお喋りしたい時は、迷わず3階へGOです。唯一無二のサイレンスな世界観を味わえるのはここだけ!据え付けられたモニターで絵画のスライドショーを見ることも可能な席。すっかり、サイレンスな異世界へトリップしてしまいましたね。この唯一無二の世界観を本格的に味わいたい人は、ぜひとも一度〔アール座読書館〕を訪れてみてはいかがでしょうか。【店舗情報】●店舗名アール座読書館●住所東京都杉並区高円寺南3-57-62F●営業時間平日13:30-22:30/土日祝12:00-22:30●定休日月曜日(月祝日週は翌火曜休)●TEL03-3312-7941※エセルの中庭の営業時間等は、アール座読書館と異なります。詳しくは公式ブログをチェック!〔アール座読書館〕公式ブログ〔エセルの中庭〕公式ブログ
2018年02月07日発達ナビ編集長・鈴木悠平のオススメ本発達ナビでは秋の読書週間に合わせて様々な方におすすめの本を紹介いただきました。しめくくりに、発達ナビ編集長の鈴木悠平が、発達ナビのユーザーの皆さんにご紹介したい本をピックアップしました。『イラスト図解 発達障害の子どもの心と行動がわかる本』北海道の「こころとそだちのクリニックむすびめ」院長である、児童精神科医の田中康雄先生の著書。表紙にある”「困らせる子ども」は、「困っている子ども」です。”のメッセージの通り、発達障害のある子どもたちの側に寄り添い、さまざまな特性を持つ子どもたちが、身の回りの出来事をどのように感じて、どうして困ってしまうのかを、イラスト付きでやさしく解説しています。学術的な難しい専門用語はほとんど使われておらず、発達障害についての前提知識がなくても簡単に読み進めることができます。発達障害について知りたい、子どもの行動の理由を知りたいといったときの「はじめの一冊」としてピッタリな本です!『ぼく、アスペルガーかもしれない。』著者の中田大地さんは、2001年北海道生まれ、本書執筆時はなんと8歳!小さいころから音や光に対しての過敏性が強く、集団行動にも難しさがあったことから、小学校進学時は特別支援学級で学ぶことを選択。自分の目や耳はどんな風に感じているのか、自分はどんなことが得意で、どんなことが辛いのか…日常の一つひとつの体験を、中田さんが自分自身の言葉で語っています。”しっかり働ける大人になるために僕はもっと、自分のことを知らなくてはいけない。”ーー主治医の先生やお母さんたちとの対話を通しながら、自分自身のことを知り、学校の中でみんなと一緒に学び過ごしていくためには何が必要か学んでいく中田さん。子ども自身の目線から発達凸凹の大きいお子さんの感じる世界が描かれた貴重な本です。続編の『僕たちは発達しているよ』(2010年, 花風社)、『僕は、社会(みんな)の中で生きる。―お家で、学校で、アスペルガーの僕が毎日お勉強していること』(2011年, 花風社)もぜひあわせてどうぞ。『わが子の発達障害告知を受けた、父親への「引継書」。』首都圏在住、資源・エネルギー関連の会社に勤める著者の白山宮市さん。次女が自閉症スペクトラムの診断を受けてからのご自身の経験をもとにした、父親による、父親のための父親業務「引継書」です。企業で長く働いてきたビジネスパーソンならではの喩えとして、企業が自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合に、損害を最小限に食い止め、いちはやく事業の継続・復旧を図るために策定されるBCP(事業継続計画)になぞらえた、FCP(家庭生活継続計画)の策定を白山さんは提唱します。わが子の発達障害診断・告知を受けた瞬間の心の動揺や落ち込み、そこからの立ち直り、夫婦間の対話や家庭内での役割分担の決定、職場への説明や立場・働き方のギアチェンジ、療育等の社会資源の利用や学級・学校選択などなど…発達障害のある子どもを育てる上でどうしても避けられない保護者への負担・困難を受け止めつつも、家族とともにいかに歩んでいくかを、冷静な筆致で叙述しています。体験談をベースにしつつも、発達障害のある子どものいる家庭がたどる道筋や利用できる社会資源などが俯瞰してまとめられており、どちらかというと構造的で体系的な理解を好む人が多いと言われる父親(男性保護者)読者にとって非常に参考になる書籍だと思います。鈴木悠平プロフィールUpload By 発達ナビ編集部1987年生まれ。東日本大震災後の宮城県石巻市におけるコミュニティ事業の立ち上げ、コロンビア大学大学院での地域保健政策の研究を経験した後、株式会社LITALICO入社。発達支援教室「LITALICOジュニア」での指導員、「LITALICO研究所」の立ち上げ・運営業務等を経験したのち、発達障害に関するポータルサイト「LITALICO発達ナビ」( ) の編集長に就任。NPO法人「soar」( )理事も務める。
2017年11月10日ライター・鈴木希望さんのおすすめ本フリーライターの鈴木希望さん。ご自身と息子さんがともにASD(自閉症スペクトラム)の診断を受けており、発達ナビでも体験を綴ったコラムを連載中です。そんな鈴木希望さんに発達ナビユーザーにおすすめの本を4冊教えていただきました。子育てや家事に疲れた時、親子で本を読む時間をつくってみてはいかがでしょうか?『妖怪ウォッチ』「言わずと知れた人気漫画。主人公のケータ君が様々な妖怪と出会い、友達になるというストーリーなんですが、人々を困らせる妖怪と話してみると、実は「誰かを困らせたいわけではなく、妖怪自身が自分の性質や能力の取り扱いに困っている」というパターンが多いんですね。『あ、これ、発達障害当事者の状況に似ているな』と。妖怪たちの吐露を聞いたケータ君が、『でもそれってこんなふうにいいところもあるよ』とリフレーミングしたり、『それをこういうふうに活かしたらどう?』とアドバイスするんですね。なので、『ああ、これは多様性受容の話なのだな』と私は理解しています。基本はギャグ漫画ですけれど、そのように観点を変えて読んでみると面白いかもしれません。」(鈴木希望さん)「発達障害について理解が深まる本を教えてください」と聞いたところ、鈴木さんが教えてくれたのは意外にも妖怪をテーマにした漫画『妖怪ウォッチ』。『コロコロコミック』で連載中の、大人気ニンテンドー3DSゲームを原作とした漫画です。小学5年生のケータが森の中で「妖怪執事」のウィスパーと出会い、妖怪ウォッチを手に入れたことから物語は始まります。妖怪ウォッチをつけると、見えないはずの妖怪が見えるようになります。悩んだり、イタズラで人を困らせたり、そんな妖怪たちとケータは友達になり、問題を一緒に解決していき…。かわいいキャラクターとわかりやすいストーリーで、子どもに大人気のコミック。2017年11月28日に最新刊14巻が発売予定です。『このあとどうしちゃおう』「おじいちゃんの楽しげなエンディングノートを見つけた男の子が、それを読みながら、どんな気持ちで記したのかと想像を巡らす、楽しくて、ちょっぴり切ないお話です。死に関して語ることって、何となく重いというか、タブーのような雰囲気がありますが、生きることと地続きで、誰しも経験するものですよね。だから、生きることの大切さを語ることと同様に、死についてももっと気軽に語る機会があってもいいよね、とこれを読んで私は感じました。この絵本をきっかけに、8歳の息子とはもちろん、老親とも『このあとどうしちゃおう』『いきているあいだはどうしちゃおう』と話し合う機会が増えました。」(鈴木希望さん)『りんごかもしれない』『ぼくのニセモノをつくるには』に続く、ヨシタケシンスケさんの大人気絵本シリーズ「発想えほん」の第3弾。今回のテーマは「死」。重いテーマですが明るい絵柄でからっと読めるので、子どもから大人まで、家族みんなで考えるきっかけにもなる本です。『子育ては、泣き・笑い・八起き 妊娠・出産・はじめての育児編』「新潟を拠点に活動されている子育てエッセイストさんのご著書。出産1年未満でシングルマザーになり、不安だらけの時期にこの本の元になった『どーいんソレ…!』に出会い、とても救われました。自分に高いハードルを設定しがちで、キャパシティー以上のことをしがちな私は、新米お母さん時代のちゃいさんの姿に自分を感じて、タイトル通りに泣き笑い。ついつい『自分ってダメな親だなぁ…』と思ってしまいがちなお母さん、お父さんには是非、『あなたはとっても頑張っているんだよ!』というちゃいさんのメッセージを感じていただきたいです。」(鈴木希望さん)地元・新潟のフリーペーパーで子育て漫画エッセイを連載しているちゃい文々さん。小学生の女の子、中学生の男の子を育てるシングルマザーとしての奮闘の日々を明るく綴ります。はじめての妊娠から出産、子育てまで、かわいい子どものために頑張ろうとするけれど、なかなかうまくいかずイライラ…。そんな体験をするパパ・ママは少なくないのではないでしょうか?そんなとき、この本は重すぎる子育ての負担を“キャパ・リュック”としておろす方法を提案してくれます。百点満点の育児じゃなくても大丈夫、そんな気持ちになれる一冊です。『逃避めし』「仕事に行き詰まったときや、締め切りが迫っているときの現実逃避として、作った料理を綴った、吉田戦車さんの食エッセイです。計量もせず、ありものでデタラメな料理をするのが私の趣味。そのワクワク感が詰まったこの本が大好きで、繰り返し読んでいます。料理にまつわる思い出や日常の記録も味わい深く、プロが作らないような名もない一品や毎日の暮らしが愛おしくなってきます。」(鈴木希望さん)『伝染るんです。』などで知られる漫画家吉田戦車さん初の料理エッセイ。締め切りを目前になぜか作ってしまう料理「逃避めし」を描き下ろしのイラストたっぷりに語っています。鈴木希望さんプロフィールUpload By 発達ナビ編集部1975年新潟県生まれのシングルマザー/フリーライター。側頭葉てんかんとは生来の付き合い。2009年生まれの息子が発達障害の可能性があると指摘を受け、調べたところ、後日親子揃って自閉症スペクトラム(旧アスペルガー症候群)と診断されました。発達ナビでコラムを連載中。
2017年11月09日アナログゲーム療育アドバイザー・松本太一さんに発達ナビユーザーへのおすすめ本を聞きました!松本太一さんは、アナログゲーム療育アドバイザー。ボードゲームやカードゲームなどを使って発達障害のある人のコミュニケーション能力を楽しく高めるという「アナログゲーム療育」の開発者です。全国で研修や講演を行う傍ら、発達ナビでもコラムを発表しています。今回は、松本さんに子育てをしている発達ナビユーザーに読んでほしい本を教えてもらいました!『子どもへのまなざし』「子育てのバイブルとして多くの親御さんに読まれています。「子どもの発達」と親の役割について、これほど平易に書かれた本は他にありません。」(松本太一さん)著者は児童精神科の医師として40年以上活躍された故・佐々木正美さん。自閉症のある方への支援プログラム「TEACCH(ティーチ)」を日本に紹介、普及に尽力されたことでも知られています。乳幼児期は子どもの人間としての基礎となると考える佐々木さんが、あたたかな視点で語る育児書です。佐々木さんには多くの著書がありますが、語りかけるようなわかりやすい言葉で書かれたこの本は特にパパママに長く愛されています。「これでいいのかな?」「がんばっているのにうまくいかない」と子育てに悩んだときに開いてみてはいかがでしょうか?『赤ずきんとオオカミのトラウマ・ケア: 自分を愛する力を取り戻す〔心理教育〕の本』「トラウマやフラッシュバックに悩まれている思春期以降のお子さんとその親御さんに読んでほしい。思い出したくない記憶とどう向き合うか、わかりやすく具体的に解説されています。」(松本太一さん)みんなが知っている『赤ずきんちゃん』に登場するオオカミと赤ずきんちゃんの物語仕立てでトラウマについてわかりやすく説明しています。トラウマに苦しむ人や家族が理解しやすいように工夫されていますが、その内容は、トラウマの仕組みからフラッシュバックへの具体的な対処法、家族や支援者の具体的な支援法まで、具体的かつ網羅的に紹介されています。『勇気づけて躾ける―子どもを自立させる子育ての原理と方法』「別名「対人関係の心理学」とも言われるアドラー心理学に基づいた子育てを、豊富な事例とともに解説。子どもの自主性を尊重した親の関わり方や、兄妹の間に働く心理の解説は、子育てに新しい視点を与えてくれるはず。」(松本太一さん)子育てに悩むパパ・ママにおすすめの本として挙げてくれたのがこの本。アドラー心理学はオーストリアの精神科医アルフレッド・アドラーが築いた心理学です。アドラー心理学では「人間は、分割できない個人という全体として、目的に向かって行動する」と考えます。「子どもが言うことを聞いてくれない」「自主性を身につけてほしい」と悩むパパ・ママも多いのではないでしょうか?この本ではアドラー心理学をもとに、子どもへの理解や自由をどう教えるかなどを紹介しています。『教育心理学講義』「「心理学のモーツァルト」と呼ばれた天才ヴィゴツキーの30歳の著作。「教師が100で生徒が0」という前提の一方的な知識教授に偏った教育は時代遅れであり、教師は子どもが自ら学ぶ環境を整える調整者であるべきだという彼の主張は、この本の出版から90年後を経て今なお先進的。」(松本太一さん)松本さんが愛読する座右の書として教えてくれたのが旧ソ連の天才心理学者ヴィゴツキーの名著。ヴィゴツキーは唯物弁証法の立場から現代心理学を方法論から問い直し、批判しました。この『教育心理学講義』は師範学校で行われた教育心理学の講座をまとめたもので、1926年に刊行されました。37歳という若さで亡くなったヴィゴツキーですが、今もなお世界中の心理学者に影響を与えています。松本太一さんプロフィールUpload By 発達ナビ編集部松本太一(まつもとたいち)フリーランスの療育アドバイザー。カードゲームやボードゲームを用いて、発達障害のある子のコミュニケーション力を伸ばす「アナログゲーム療育」を開発。各地の療育機関や支援団体で、実践・研修を行っている。東京学芸大学大学院障害児教育専攻卒業。教育学修士。NPO法人グッド・トイ委員会認定おもちゃインストラクター
2017年11月06日井上いつか先生に聞いた、発達ナビユーザーにおすすめしたい本!井上いつか先生は、医療・福祉機関などで、言語聴覚士として多くの子ども達と接してきました。発達ナビでもコラムの監修をご担当いただいています。先生がおススメしてくださったのは、保護者や子どもにも読みやすく、様々なヒントがもらえる本ばかりです。『発達障害のある子とお母さん・先生のための思いっきり支援ツール―ポジティブにいこう! 』「子どもたちを支援するための具体的なやり方を紹介する本です。様々な支援ツールのねらいや作り方、活用例、成功のポイントなどが、イラストを使って解説されています。わたしは、お子さまご本人にとってわかりやすい支援ツールづくりのヒントとして、また、お子さまの長所を見つけるワークを入り口にサポートブック作成を進めるために、ご家族と一緒に読み進めることが多いです。パラパラと見ていただいて、少しでも楽に過ごすことができるようなヒントが見つかると良いなと思います。」(井上いつか先生)発達障害があると、目に見えないものやことを推測したり、実行するのが苦手なことがあります。そうした、「見えないもの・こと」を理解しやすくするためのツールやヒントが紹介されています。日常生活のなかの様々な場面で、”自分で理解し、考え、実行できる”ことが増えると、子どもたちは自信をつけ、自立にもつながっていきます。「支援といっても、具体的になにをしたらいいの?」と悩む保護者にとって、そのやり方を分かりやすく教えてくれる本です。『キラキラ どもる子どものものがたり』「吃音(どもり)のあるお子さまが、周囲の大人の支えとともに、“クラスのみんなに吃音を理解してもらうための作戦を考えていく”物語です。吃音を抱える本人や支える人が、吃音をどう捉えると良いのか、どう関わると良いのか、何ができるのかを考えるキッカケを与えてくれる一冊です。平易な文章で書かれており、漢字には読み仮名がふってあります。小学校低学年のお子さまが理解できる内容になっているので、お子さま自身が読むのも良いですし、ご家族や先生など身近な大人と一緒に読むというのもおススメです。」(井上いつか先生)本の著者は、病院の小児言語科などに勤務してきた言語聴覚士。子どもにも読みやすい物語の形をとって、クラスメートや保護者・教師などの、吃音のある子どものまわりにいる人達が、どう関わればよいのか、なにができるのかについて、具体的に紹介されています。『はじめの一歩だよ子どもと始めよう編 』『はじめの一歩だよ子どもと始めよう編 』 アスペ・エルデの会「発達障害のお子さまの特性やメカニズムがわかりやすく解説されていて、上手に支援を受けるコツや、今からできる子育てのコツも紹介されています。ご家族に向けて作成された1冊300円の冊子なのですが、支援者をはじめお子さまに関わる方へもよくおススメしています。」(井上いつか先生)アスペ・エルデの会からは、保護者向けの本だけでなく、本人やきょうだい、支援者向けの冊子も発行されていて、そちらもおすすめだそう。支援者向けの「はじめの一歩だよみんなでサポート編」も発行されています。井上いつか先生のプロフィールUpload By 発達ナビ編集部言語聴覚士。医療・福祉機関で勤務後、現在フリーランス。発達に凸凹のあるお子さんへの療育や自立支援、ご家族や指導者のサポート、記事の監修等を行っている。医療・福祉・教育・心理、社会的養護、社会的マイノリティ、ソーシャルワークにも関心がある。
2017年11月03日木村ナオヒロさんに聞いた、発達ナビユーザーにおすすめしたい本!木村ナオヒロさんは、ひきこもり当事者・関係者にとっての情報発信の場、『ひきこもり新聞』の編集長として活動しています。『ひきこもり新聞』は、「ひきこもり当事者による、当事者のためのメディア」として、社会に届きにくいひきこもり当事者の声を発信し、「全てのひきこもり系」が安心していられる世界の実現を目指しています。ひきこもり新聞web版木村さん自身、ひきこもりだった経験があり、ひきこもりに対する理解と適切な支援情報を提供するために、現在さまざまな活動をされています。10月に行われた、木村さんの当時の主治医である、精神科医・斎藤環先生との対談イベントも大盛況のうちに終わりました。そんな木村さんに、「読んでよかった!」とおすすめできる本を教えていただきました。『「社会的うつ病」の治し方―人間関係をどう見直すか 』「ひきこもり対策がうつ病にも効果的だったという内容です。孤独でうつ傾向な人に読んでいただければと思います。」(木村ナオヒロさん)木村さんの主治医であり、ひきこもり支援を専門とされる斎藤環先生が、新しいうつ病治療・対策に関して書かれた本書。「軽症なのに、動けない…」「怠けるつもりはないのに、動けない…」そんなうつ病当事者に向けて、今まで治療方法として多く導入されてきた休養や服薬ではなく、「人間関係」に注目した新しい支援を紹介しています。『星の王子さま』「いつまでも心に残る物語です。子供の時に読みたかった本です。」(木村ナオヒロさん)木村さんが、子どもに読んでほしい本としておすすめする本が、不朽の名作『星の王子さま』。「大切なものは、目に見えないんだよ」など心にしんみりと届く言葉、優しくて可愛らしい挿絵に癒され、魅了された方も多いと思います。『星の王子さま』は、様々な出版社から刊行されています。手に入りやすい文庫本のほか、子ども向けの児童書や絵本などもあります。まだ幼くて長い活字を読むのが難しい、たくさんの文を読むことが苦手なお子さんには、そのお子さんの年齢や特性に合わせて、『星の王子さま』に触れてみるのもよいですね。『NHK「100分de名著」ブックス サン=テグジュペリ 星の王子さま』「星の王子様を読んだことがある人でも、もう一度この解説本と一緒に読むと新しい感動があると思います。」(木村ナオヒロさん)続いて、子育てに疲れた時・悩んだ時に読んでほしい本として木村さんが挙げてくれたのは、先ほどご紹介した『星の王子さま』の解説本。NHKで放送されている、「100分de名著」という番組から生まれた解説本です。「『星の王子さま』読んでみたいけど1冊読む時間がなかなかとれない…」「子どものころ読んでそれっきりだったけど、大人になった今、改めて星の王子さまの世界を理解しながら読み直したい!」そんな方にはぴったりの1冊です。この機会に、星の王子さまの新たな発見や奥深さを感じてみてはいかがでしょうか。『ライフ・レッスン』「死を受け入れた人々のメッセージが心を揺さぶります。名も無き人々の言葉に真実が宿っていました。一番好きな本です。」(木村ナオヒロさん)最後に、木村さんの座右の書として教えてもらった本書。精神科医で、終末期医療の先駆者であるエリザベス・キューブラー・ロスさんによって、「人生の最後で捉えた生と死の事実」「生と死から見た、人生における15のレッスン」が紹介されています。木村ナオヒロさんプロフィールUpload By 発達ナビ編集部木村ナオヒロ(きむらなおひろ)『ひきこもり新聞』編集長。元ひきこもり。暴力的支援団体を好意的に取り上げたマスコミに疑問を持ち『ひきこもり新聞』を創刊。ひきこもりに対する理解と適切な支援情報を提供するために活動している。主治医は斎藤環教授。ひきこもり新聞web版
2017年11月02日特性を生かして活躍する岩本さんに聞いた、発達ナビユーザーにおすすめしたい本!岩本友規さんは、成人してから発達障害(ADHD、アスペルガー症候群)と診断されました。新卒で就職した会社では、法人営業の部署に所属しましたが、電話番すら思うようにできず挫折。現在はご自身の特性を生かして、外資系企業のデータアナリストとして活躍し、著書「発達障害の自分の育て方」(主婦の友社)も執筆されています。今回は、生きていくうえで大切にしたいことを教えてくれたり、読むと頓服薬的に元気になれる本、子どもたちに読んでほしい本などを教えてくださいました!『小説十八史略』「人生の中で一番読み返した本で、子どもに読んで欲しい本でもあります。 特に小学校高学年~中学校時代に全6巻を何十回もまわしました。受けた恩を返すため、親友や主君の身代わりになる話。 人間の強さと弱さの話。 私はこの本に、いまの活動につながる「義」の心を意識・無意識の中に刷り込まれました。人間はやはり最終的には、利他の行いをすることで幸せになっていきます。 そうした発想を自然に育むために、私の知る限り最適な本です。」(岩本さん)紀元前の中国の英雄たちの生きざまや人間模様が生き生きと描かれています。子どもにもよみやすい文章なので、親だけでなくお子さんも一緒に楽しめそうです。『ポケットのないカンガルー』「ないものを嘆くだけではなくて、どう補うかを探しにまわりの動物たちのあり方を学ぶお母さんとこどもカンガルー。前向きに行動を続ける大切さと、多様なあり方について感じることができる絵本です。「おさるのジョージ」と同じ方の挿絵なので、なじみやすいと思います。」(岩本さん)ぜひお子さんと一緒に読んでほしい1冊。ポケットがない母カンガルーが、こどものフレディを運ぶ方法をいろいろと考えます。ないものねだりをするのではなく、どう前向きに生きるのかを、やさしいタッチの絵と文章を通して教えてくれます。『22世紀的「人生の攻略本」 起こることは全部マル! 3時間で新しい自分になれるワークブック』「理屈抜きで、徹底して現状の自分や状況を肯定してくれる本。ブログでも紹介していますが、私もつらくて眠りたくない夜、なんとか気持ちを楽にしたいときはこの本に頼っていました。頓服薬的に効いてくれる、とてもお世話になった本です。」(岩本さん)過去を悔んだり、将来に不安を抱くのではなく、起こることは全部”マル”と決めてしまおう。難しいことは考えず、本に書いてあるワークの質問に答えていくだけでOK。自分のエネルギーを「いま、ここ」に向ければいいのだということを教えてくれる、人生の攻略本です。『発達障害の原因と発症メカニズム』「かなり専門的な本。発症原因の項目は少し距離をおいて読む必要があるかもしれませんが、それ以外の基礎知識はどの立場の人にとっても大変有用だと感じました。一般的な発達障害本では納得しきれない方におすすめです。」(岩本さん)成人当事者として、自分の特性とはどんなものなのか、原因はなんなのか、しっかりと理解したいと考えて読んだ1冊だそう。環境要因による発達障害への影響から療育についてまでと、幅広い内容となっています。岩本友規さんのプロフィールUpload By 発達ナビ編集部成人してから、発達障害があることを診断。その特性を生かして、現在は外資系企業でデータアナリストとして活躍するほか、著書やブログの執筆、講演活動などを行う。11/17(金)、18(土)に長野県佐久市にて「今日から実践!発達障害の自分の育て方講座」が開催されます。
2017年10月31日ライター・林真紀さんに聞いた、発達ナビユーザーにおすすめしたい本!林真紀さんは、発達ナビでコラムを連載するママライターさん。発達障害のあるお子さんを育てる中での発見を、林さんならではの目線で分析したコラムが人気です。介助犬や音楽療法など、新しい話題をいち早く紹介してくれる、情報収集のアンテナの高さにも定評があります。そんな林さんに、ご自身が読んで子育てに役立ったり、励まされた本を教えていただきました!『自閉症児のための明るい療育相談室』「『生活編』『遊び編』『お友達編』『ことば編』『行動編』『学校編』に分けて、自閉症の子どもの特有の行動について応用行動分析(ABA)の観点からアドバイスが書かれています。ある行動に対して、奥田先生と小林先生の二人がそれぞれ分析を加え、異なるアドバイスを提示。それぞれのやり方のどちらが自分の子どもに適しているか、あるいは別の方法があるのではないかと考えながら読み進めることができます。また、行動の背後にある原因を分析することで、社会生活上の問題を解決していこうという応用行動分析の方法論は、発達障害ではない子どもの子育てにも役立ちます。取り上げられている子どもの行動が、乳幼児期のものから学童期まで幅広いため、何年もの間繰り返し手にとって読んでいます。」(林真紀さん)林さんが発達障害をテーマにした本として、まず挙げてくださった本書。著者は、発達障害のある子どもと家族を支援する心理臨床家・奥田健次さんと筑波大学名誉教授の小林重雄さん。お二人とも行動療法が専門の専門行動療法士、臨床心理士です。この本では、行動療法の立場から、自閉症の子どもを育てる上での悩みや困りごとと対処法が54も紹介されています。わかりやすいQ&A形式で解決のヒントを探ることのできる本です。『発達障害の子の立ち直り力 「レジリエンス」を育てる本』「発達障害の子どもを育てるときに、何を目標にして育てれば良いのか分からなくなるときがあります。例えば、特性を克服することが大切なのか、あるいは特性を踏まえたうえで支援することが大切なのか…。そんな悩みに押しつぶされそうだったときに出会ったのがこの本。「レジリエンス」という言葉は聞きなれない言葉ですが、簡単に言えば「心のしなやかさ」、つまりつらいことがあれば落ち込むが、それを引きずらずに立ち直って元気になれる力のことを言います。頑丈に見えて、無理をして負担が蓄積してボキッと折れてしまう心ではなく、ときには折れたり曲がったりするけれど、また立ち直る心のことを「レジリエンスのある心」と定義づけています。この本では、発達障害の子どもが「強い心」ではなく「しなやかな心」を持つことができるように育てるにはどうしたら良いのか、そのための親の関わり方について書かれています。発達障害の子育てについて新しい視点を与えられた本でした。」(林真紀さん)林さんのコメントの通り、レジリエンスとは「復元力・回復力」と訳される心理学の用語で、自分が困難や逆境にあるときに、対応し克服する力のことです。近年、発達障害をはじめ、さまざまな分野で注目されている考え方です。本書では、発達障害のある子どもがレジリエンスを身につけるためのステップをわかりやすく、身近な具体例で紹介しています。パパママにもわかりやすいイラスト図解が豊富で、読みやすいのも特徴です。『ふしぎだね!?ADHD(注意欠陥多動性障害)のおともだち 』「ADHDの子どもの行動の特性や困り感について、いくつかのパターンに分けて漫画で紹介しています。さらに、そんな子どもたちに対してどのような手助けや声かけをしたら良いのかについても、イラストで分かりやすく説明してくれています。子どもにも十分分かる構成になっているので、当事者の子どもはもちろん、その兄弟姉妹、それからクラスメイトの子どもにもおすすめです。」(林真紀さん)親子に読んでほしい本として林さんが教えてくれたこの本は、様々な学校でのトラブルの場面を、カラフルなイラストやマンガで子どもにもわかりやすく取り上げています。「自分勝手」「らんぼう」などと誤解されてしまうこともあるADHDの子どもがどうしてその行動をしたのか、その背景とともに対処法を紹介しています。『毎日かあさん』(コミック)「西原理恵子さんの漫画を読んだとき『あ、子育てってもっと適当にやっちゃっていいんだ』と肩の力が一気に抜けました。そして、小さい頃から割と手のかかる子だった西原さんの息子さんの姿に、我が息子の姿を重ねながらいつも読んでいました。その息子さんも、高校生になって一念発起して猛勉強し、海外留学。成田空港でアメリカへ旅立つ息子さんを見送りながら、『たった16年しか育ててないのに』『男の子は 急に 走る』という西原さんの言葉に号泣でした。我が家の手のかかる息子も、10年たったらこんな風に逞しく飛び立っていくのかもしれない、と励まされる思いでした。」(林真紀さん)子育てに疲れた時・悩んだ時に林さんがおすすめするのが、2017年6月に完結するまで毎日新聞で16年にわたり連載された西原理恵子さんの漫画。第8回文化庁メディア芸術祭賞、第9回手塚治虫文化賞、第40回日本漫画家協会賞などを受賞。アニメ化や映画化もされているので、ご存知の人も多いかもしれません。漫画は西原家を舞台に、息子・娘との日常をかあさんこと西原さんの目線で描いています。子育て中のパパママなら共感間違いなしの笑えるストーリーはもちろん、泣けるエピソードに愛読者も多い大人気漫画です。林真紀さんプロフィールUpload By 発達ナビ編集部林真紀(はやし まき)翻訳者/ライター。3歳のときに自閉症スペクトラム障害、ADHDと診断された小学校一年生の息子を育てる現役ママライター。発達ナビの連載コラムで活躍中。林真紀さんのページ|発達ナビ
2017年10月30日斎藤環先生に聞いた、発達ナビユーザーにおすすめしたい本!ひきこもりを長年支援してこられた精神科医の斎藤環先生。先日発達ナビが行った『ひきこもり新聞』木村ナオヒロさんとのトークショーも盛況でした。そんな斎藤先生は批評本も書かれているほど、まんがやアニメにも造詣が深いのです。今回は専門書から話題のマンガまで、バリエーションもゆたかな本を教えてくれました!『発達障害当事者研究―ゆっくりていねいにつながりたい』「自分が自分の先生なのだ。」(斎藤環先生)アスペルガー症候群当事者の綾屋紗月氏と小児科医・熊谷晋一郎氏による当事者研究。発達障害のない人からは「感覚過敏」「こだわり」などの言葉でくくられてしまう特性。発達障害のある人がどのように感じているのか、その世界が綾屋さんの目を通して丁寧に語られます。保護者や支援者など、発達障害のない人が、発達障害のある人の世界を想像し、理解しようとすることが、彼らとつながるために重要だと気づかせてくれる本です。『夜廻り猫』「猫は、寄り添って人を癒やす。」(斎藤環先生)育児に疲れた時にパパ・ママに読んでほしい本は?とうかがったところ、斎藤先生が教えてくれたのは、ツイッターで話題となった8コママンガ。第21回手塚治文化賞短編賞受賞作の『夜廻り猫』です。「泣く子はいねが~」と夜更けの街を見まわるのは、なんと猫の遠藤平蔵!涙のにおいをたどって悩んでいる人を見つけ、話を聞きます。ただ寄り添うだけで解決はしないその距離感はまさに猫。ちょっと疲れた時や悲しい時にちょうどいいあたたかさで読めるマンガです。『ジェーン・エア』「子どもたちよ、これが”物語”だ。」(斎藤環先生)「子どもに読んでほしい本」として斎藤先生が挙げてくれたのが、イギリス文学の名作『ジェーン・エア』。幼くして孤児となった家庭教師のジェーンと裕福な主人ロチェスターは次第に惹かれあいます。身分の差やロチェスターの過去など、様々な困難が二人の前に立ちはだかり、一度は彼のもとを去ったジェーンでしたが…。全てを失っても、大きな障害も、愛の前には障害ではなくなるという、ジェーンの想いに心打たれる恋愛物語です。『治療文化論―精神医学的再構築の試み』「わたしの、たった一人の“師”。」(斎藤環先生)斎藤環先生の座右の書が、本書。日本の精神病理学を代表する医学者・中井久夫氏の代表作です。統合失調症やPTSDの研究者として知られる中井氏ですが、歴史にも精通し、詩の翻訳やエッセイの名手としても活躍していました。『治療文化論』では精神医学と文化の両面から「病気とは何か」「何をもって治療と言うのか」を探ります。斎藤環先生プロフィールUpload By 発達ナビ編集部斎藤環(さいとうたまき)1961年、岩手県生まれ。1990年、筑波大学医学専門学群環境生態学卒業。医学博士。爽風会佐々木病院精神科診療部長(1987年より勤務)を経て、2013年より筑波大学医学医療系社会精神保健学教授。また,青少年健康センターで「実践的ひきこもり講座」ならびに「ひきこもり家族会」を主宰。専門は思春期・青年期の精神病理、および病跡学。著書に 『文脈病(青土社)』『社会的ひきこもり(PHP研究所)』『ひきこもり救出マニュアル(PHP研究所)』『ひきこもり文化論(紀伊國屋書店)」『生き延びるためのラカン(バジリコ)」『ひきこもりはなぜ『治る』のか?(中央法規出版)』, 『ひきこもりのライフプラン』(共著: 畠中雅子, 岩波書店), 『オープンダイアローグとは何か』(医学書院)
2017年10月28日井上雅彦先生に聞いた、発達障害のある子を育てるパパママにおすすめしたい本!鳥取大学の井上雅彦教授は「応用行動分析学(ABA)」の専門家。発達ナビでは「親子のヒント」や「発達障害のキホン」コラムの監修などを担当しています。発達障害のある子どもや保護者への支援経験も豊富な井上先生に、子どもへの接し方や障害への理解が深まる本を紹介していただきました!『つながろ!―にがてをかえる?まほうのくふう』「自分の苦手なことに工夫をしたり、得意に変えていくことが絵本で学べる本です。発達障害があるないに限らず、多くの親子にぜひ読んでほしい本。」(井上雅彦先生)友達のまいちゃんには発達障害がある。どんなふうにしたらまいちゃんや、先生やクラスのみんながわかりやすくなるのか、どうしたら苦手なことがなくなるのか、「まほうのくふう」を考えよう…子どもへの説明にも使えるわかりやすい絵本です。発達障害とはどんなもの?苦手なことはどんなこと?という障害への理解はもちろん、当事者だけでなく、先生やまわりの友達も一緒に困りごとを解決するヒントがつまったインクルーシブ絵本です。『家庭で無理なく対応できる 困った行動Q&A: 自閉症の子どものためのABA基本プログラム4』「親御さんが一番気になり、またストレスを感じるのが困った行動ではないでしょうか?自傷やこだわりなどがある時、おうちで無理なく解決できるヒントをわかりやすく紹介しています。」(井上雅彦先生)「応用行動分析学(ABA)」とは発達障害児療育のベースになっている理論のひとつです。行動の背後にある原因を分析することで、その子の困りごとを解決していこうとする考え方です。本書は家庭でもできるABAについて、具体的に書かれたシリーズの4冊目。保護者が特に困る癇癪や感覚過敏、自傷などへの対処法がわかりやすく紹介されています。『発達障害の子とハッピーに暮らすヒント―4人のわが子が教えてくれたこと』「堀内さんは、発達障害のあるお子さん4人を育てたお母さん。子育てのコツや工夫が満載です。堀内さんが子育ての中で経験則から発見し、得られた知見は研究や教育原理で得られる示唆とも一致すると思います。」(井上雅彦先生)アスペルガー症候群、ADHD、LDという発達障害の診断を受けている4人のお子さんを育てる堀内さん。本書では、それぞれ特性やタイプの違うお子さんとの毎日の奮闘から編み出した「こんなふうにしたらいいんだ」という工夫を紹介しています。こだわり、パニック、不登校…小学校入学以来、堀内家はさまざまな“問題”に直面しますが、タイトル通り、ハッピーに暮らそうと前向きな堀内さん。勇気と子育てへのヒントがもらえる本です。井上雅彦先生プロフィールUpload By 発達ナビ編集部井上雅彦(いのうえまさひこ)鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授応用行動分析学自閉症支援士エキスパート井上研究室ホームページ井上先生が監修したコラムはコチラ!|発達ナビ
2017年10月27日こんにちは。子育て支援を専門にする臨床心理士の今井千鶴子です。秋といえば、“読書の秋”ですね。「お子さんと読書を楽しみたい!」と考えているママもいるのではないでしょうか。今回は、読書を楽しむうえで図書館を上手に活用するアイデアをご紹介します!●図書館に行った回数皆さんは普段どのくらい図書館に行っていますか?私は子どもたちと月に2回ほど図書館を利用しています。日本経済研究所(2005)では、1ヶ月の間に地域の図書館に行った回数を調査しています。それによると、小学生の約半数は、1ヶ月の間に1度も図書館に行っていないことがわかりました(小学校2年生:47.2%、小学校5年生:58.3%)。また、日本経済研究所の調査では、1ヶ月の間に本を読まなかった人を対象にその理由を尋ねています。その結果、小学2年生の本を読まなかった理由のトップは、「読みたい本がないから(46.2%)」であることがわかりました。私は、本を読まないのはてっきり“本が嫌いだから”だと思っていたので、“読みたい本がないから”という理由に驚きました。この調査からわかることは、子どもは読みたい本があれば本を読む ということです。ぜひ、お子さんが読みたいと思える一冊を一緒に探してみましょう!●なんといっても蔵書の数が魅力読みたい本を探すために本屋さんに行くのももちろんオススメなのですが、図書館の魅力は何といってもその蔵書の数 です。例えば、一口に動物に関する本といっても、赤ちゃんが対象のイラストのみが描かれた本から専門家が読む本まで、さまざまな種類の本が置かれています。ですから、お子さんの好みにあったお気に入りの一冊が見つかる可能性が高いです。普段なかなか本を読まないお子さんなら、まずはたくさんの蔵書の中から、お子さんがどの本を選ぶかを(口を挟まずに)じっくり観察してください。5冊くらい選んでもらえば、お子さんの好みはだいたいわかると思います。ちなみにわが子の場合は、恐竜や動物、昆虫がテーマの本ばかりを選びます。また、なぜか自宅にある図鑑の旧版(中身はほとんど同じ)も借りようとします。私からみると「同じでしょ?」と思うのですが、旧版と新版の違いを見比べたり、旧版に自分の知っていることが紹介されたりしているのが楽しいようです(笑)。そして、お子さんの好みの本がわかったら、同じ系統の本を定期的に自宅の本棚へ加えておくとよいでしょう。そうすれば、本を読み機会が増えていきます。くれぐれも注意したいのは、本を読んでほしいからと言って、「本を読みなさい!」と強制してしまうことによって“本嫌い”にしてしまう ことです。多くのお子さんは強制されればされるほど本を読むのを嫌がるようになるのは、教科書に載っている小説などに興味を持てない子が多いことからもわかります。●シリーズの本に注目する本によっては、シリーズ化されているものもあります。シリーズ本のよさは、1冊気に入ると、全シリーズ読んでみたくなることです。シリーズ化されている本の裏表紙にはたいてい別のシリーズの本が紹介されていますので、一緒に眺めてみましょう。わが子の場合は、「次はこれを読みたい!!」と必ず言うので、次に行く時はそれを優先的に借りるようにしています。次に図書館に行って借りるのを楽しみに待っています。また、お気に入りの作家さんがいるなら、全作読んでみるのも楽しいです。たとえば、ある絵本に登場したキャラクターが、同じ作家さんの別の絵本に脇役で登場することがあります。また、人気の絵本だと、脇役たちのスピンオフのお話もあったりするなど、より楽しめるようになっているものもあります。子どもは自分の知っていることを“発見”するのが大好き です。少しでも知っていることがあると親近感がわき、もっともっと好きになっていくことが多いです。このようなワクワクや喜びの経験を重ねることによって、子どもはどんどん本が好きになっていきます。●他の子が本に親しむ様子を見ることができる図書館には地域でも指よりの本好き親子が集まってきます。お子さんだけで食い入るように本を読んでいる光景も珍しくありません。実はこのモデルになる親子を“みる”体験が大切なのです。言葉であれこれ伝えなくても、本が大好きな親子の行動を見るだけで、“本を読むのは楽しいことだ”ということが伝わりやすくなるからです。ただ、そうはいっても、本が嫌いなお子さんの場合は図書館に誘っても行きたがらないことがあるかもしれません。そのような場合は、無理やり連れて行っても逆効果です。お子さんが行きたがらない時は、「(ママが)図書館で借りたい本があるからついてきてもらえる?」などと軽く誘ってみましょう。そして、子どもの本が置いてあるコーナーにさりげなく立ち寄ってみてください。お子さんの反応を見て、もし興味がありそうなら本を借りてみましょう。また、図書館の帰りに、お子さんが喜ぶご褒美を用意 してみるのもオススメです。初めのうちは「図書館に行くと嬉しいことがある」というように、図書館の経験にプラスのご褒美をそえてみるのもよいと思っています(永遠にご褒美が必要なわけではありません。本が好きになってくれば、特別なご褒美を用意しなくても、図書館で本を借りること自体がご褒美になっていきます)。我が家の場合は、家族で休日に図書館に行った帰りは、子どもたちが大好きな“うどん屋さん”に行くことが定番になっています(笑)。本が苦手なお子さんには、まずは“きっかけ”を作って行くことが大切だと思います。----------いかがでしたか?今回は、読書を楽しむうえで図書館を上手に活用するアイデアをご紹介しました。お互いに読書の秋を楽しみましょう!参考リンク財団法人日本経済研究所(2005)親と子の読書活動等に関する調査平成16年度文部科学省委託事業 図書館の情報拠点化に関する調査研究●ライター/今井千鶴子●モデル/倉本麻貴(和くん)
2017年10月25日秋の定番キーワードと言えば、読書。買ったばかりの書籍の最初のページをめくる時は、いつも新しい世界が開けていく予感でワクワクします。でも購入した本との相性が、いつも良いとは限りませんよね。時には「おもしろくない……」と、ページを閉じてしまうこともあるでしょう。できればそんなミスマッチは避けたいもの。ミスマッチを回避しつつ、運命の記事に出会う確率が上がる読書法があるんです。その名も、「つまみ読み」。一体、どんな読み方なんでしょう?古くて新しい『つまみ読み』とはつまみ読みとは、気になった記事やテーマだけをちょっとずつ読むスタイルのこと。聞きなれない言葉ですが、実は多くの方が経験したことがある読み方なんです。トレンド総研が行った「雑誌の楽しみ方」に関する意識・実態調査では、20~40代の男女500名のうち約7割がつまみ読み経験者でした。つまみ読みの方法としては、美容室でいろいろな雑誌を読む人や、試し読みができるブックカフェを利用する人が、いずれも5割以上という結果になりました。みなさんも美容室の待ち時間に、ネットサーフィンならぬ、雑誌のつまみ読みサーフィンをしたことがある人がほとんどではないでしょうか?あの山積みにされた雑誌を片っ端から読めるのは、美容室の楽しみの一つですよね。一方、つまみ読みの方法として「雑誌のデジタル購読サービスを使う」と答えた人も約3人に1人という高い結果になりました。この10年ほどで、読書を取り巻く環境は劇的に変わりました。紙の媒体からデジタルへと、その流れは雑誌にまで広がっています。デジタルの雑誌読み放題サービスは、月額数百円程度で100誌前後の雑誌が読み放題というコスパの高さが魅力。気になる雑誌を気軽に読めて、スマホやタブレットさえあればどこにでも持ち運べるのが便利ですよね。さらにデジタルのつまみ読みには、コストだけじゃないデジタルならではのメリットがあったんです。デジタルつまみ読みはココがスゴイ!同調査では、デジタルでのつまみ読みを実践している人に、具体的な楽しみ方についても聞いています。その結果、次のような回答が寄せられました。「キーワード検索ができる」「ブックマークやスクリーンショットでの記事の保存ができる」「おすすめ表示の記事を読める」どれもデジタルならではの特長と言えるでしょう。わたしも情報取集にデジタルの雑誌読み放題サービスを利用しています。雑誌の情報はネットよりもはるかに信頼性が高いので、さわりだけでも読んでおく価値がある上に、普段は書店では手に取らないような雑誌もあり、こうした雑誌をつまみ読みすることで、新しい発見があることもメリットだと感じます。それに、そもそもわたし達女性は、つまむのが好きなんですよね。女はつまみ〇〇がお好き女性が好きな、つまみ〇〇の代表と言えば、つまみ食いでしょう。何種類かの料理を、少しずつつまみながら味わうのが楽しいんです。多くの女性がとても慎重な一方で、時に男性以上に大胆な行動に出ることがありますが、つまみ食いにも同じような性質があると感じます。つまみ食いは、失敗したくないという不安を最小限に抑えつつ、初めての味に挑戦するという冒険心を満たせる一石二鳥の行為だからです。食わず嫌いだった料理をつまんでみたら、意外とハマってしまったなんてこともあるかもしれませんね。つまみ読みも雑誌のおいしいとこ取りができるというだけでなく、新しい世界に踏み出すきっかけをくれる点でおすすめの読書法なんです。運命の記事に出会うために紙かデジタルかということ以上に、選択肢が増えてより多くの記事に触れる機会ができたことは、読者側にはとっては大きなメリットだと感じます。それは、人生に影響を与えるような記事に出会う可能性を広げることにもつながっているからです。たった一つの記事が人生を変えることもあります。つまみ読みが、そんな運命の記事との出会いに導いてくれるかもしれませんよ。参考:トレンド総研
2017年10月06日~読書から何を学ぶのか?読書の意義〜読書の秋です。読書は異空間に瞬間移動する想像力を養うとともに、読む本によっては表現力や美しい日本語を学ぶことができます。例えば、泉鏡花や三島由紀夫さんの作品からは美しい日本語を学ぶことができ、竹久夢二、寺山修二、中原中也、石川啄木、ヴェルレーヌ、ランボー、コクトーらの詩人からは面白く、楽しく、美しい空想の世界と言葉使いを習得できます。詩や美しい言葉や表現法になれたら次は小説です。樋口一葉、夏目漱石、芥川龍之介など“文豪”と呼ばれる作家の作品からも日本語の上手な表現方法を学ぶことができます。表現力を数多く学んでいくうちに、実は想像力も養われていく。そして読書から学んだ美しい日本語や語彙、表現方法を日常生活の中で活用すれば、自分自身の人生が楽しいだけでなく、周囲をもユーモアで包み込み、一目置かれ敬愛されるようになります。皆様も読書を通じ多くのことを習得して、日常生活を楽しくしましょう。
2017年10月02日超難関中学への合格で世間を驚かせた芦田愛菜ちゃん。その読書量は相当なもので、愛菜ちゃんのお母さんはいつも、図書館からたくさんの本を借りては返してで、とても忙しかったそうです。子どもの語彙力や想像力を豊かにすると言われている読書。子どもにもっと本を読んでもらいたい! というママは多いはず。特に男の子ママからは「うちの子、本があまり好きじゃなくて…」という声をよく耳にします。読書の楽しさを知り、本を好きになってもらうためにはどうすれば? 筆者をはじめ、先輩ママが実践した子どもを読書好きにするひと工夫をご紹介しましょう。■ミッション1 甘えん坊な男子には、「読書の時間」=「幸せな時間」に筆者の経験上、「テレビばっかりみないで本読みなさい!」「ゲームするくらいなら本を読んだら?」と、子どもに読書を強制しても逆効果。まずは、本を読むことへのハードルを下げ、読書への抵抗をなくすことが肝心です。甘えん坊な男子には「一緒に本読もう~」と誘ってひざに乗せたり、一緒にゴロンとしたり、好きなおやつを食べながら…など、読書と楽しいこと・うれしいことをいつもセットにすると、子どもの苦手意識が薄まるでしょう。「本を読む=幸せな時間」というイメージが子どもの中で定着すれば、読書への誘いにもどんどん乗ってくるようになります。■ミッション2 親が読んでほしい本ではなく、子どもが読んでみたい本を読書の途中で飽きる、つまらなさそうにしている…という場合は、その本が、そもそも子どもの興味に合っていないのかもしれません。まだ、子ども自身で本が選べないようなら、昆虫や乗り物など男の子が好きそうなテーマや物語を選んでみましょう。大ヒットしている「うんこドリル」のように、「うんこ」「おしり」「おなら」などが登場する本は、ママは敬遠しがちかもしれません。でも、これは男子ウケの鉄板ネタ。なぜだか男子は好きで、何度でも繰り返し読みたがる“永遠のテーマ”ですから、そこは目をつむってあえて選ぶのも効果的です。 ■ミッション3 読書を習慣づける部屋づくりだんだん子どもが本に興味を持ち始めたら、週に1回以上、図書館や本屋さんへ連れて行くようにしてみましょう。習慣的に本に触れることで、自然と関心も広がり、本のある生活が当たり前になっていきます。もし、子どもが図書館や本屋さんに行くのをおっくうがるようなら、子どもが興味を持ちそうな本、ママ自身が子どもの頃好きだった本などを図書館から借り、リビングに集めて「家庭内図書館」を常設するのもオススメ。そのとき、子どもに「読みなさい」とノルマを課すようなことは言わず、ただ置いておくだけでOKです。興味がわく本なら、言われなくても手がのびるもの。どんな本を手にとるか、そっと見守ってみましょう。■ミッション4 インプットのあとはアウトプット! 読後の感想で会話が生きる!読みおわったら、「どんなお話だった?」「○○くんだったらどうする?」「この後、主人公はどうなったんだろうね?」など、ママから質問を投げかけてみるのもいいですね。感想を引き出すことで子どもは読書を振り返ることができ、ママ自身の感想を伝えてみると、さらに会話の幅が広がります。人間は、インプットしたあとアウトプットすることで、知識が定着するといわれています。大人からの質問に答えるうちに、自分なりの視点や想像をふくらますいい訓練になります。ゆくゆくは、読書感想文を書く力を養うことにもつながるでしょう。■ミッション5 カエルの子はカエル、まずは親が率先!…と、ここまでいろいろ書きましたが、普段皆さんは読書する姿を子どもに見せていますか?そもそも、ママやパパが本を読んでいないのに、子どもには「本を読みなさい!」と言っても説得力がありません。まずは、親が生活に読書を取り入れることも重要です。本は、知識や世界が大きく広がるすてきなもの。「読書は特別なことではない、生活の一部」ということを、親が率先して示してあげたいですね。そのうえで、上手に環境づくりや習慣化をサポートできれば、本嫌いの男の子でも興味を持ってくれるはず。読書の秋、ぜひ親子で読書を楽しんでくださいね!
2017年09月30日木で統一されたレトロでぬくもり溢れる店内京都市の上京区にある「かもがわカフェ」。鴨のイラストの入った看板を掲げたレトロな外観から、店内へと一歩足を踏み入れると、広がるのは木のぬくもりに包まれた懐かしくも落ち着く空間。壁際に置かれた複数の本棚にはたくさんの本が並び、木の格子にはめ込まれたガラス窓からは心地よい日差しが入ります。訪れる人々が思わずほっとするような温かい雰囲気のカフェです。ライブなどのイベントも開催する変幻自在のお店かもがわ、と店名にあるこのお店、その名の通り、鴨川からほど近い閑静な住宅街の一角にあります。木造家屋を改築したなんともレトロな雰囲気が溢れ、自家焙煎のコーヒーの香ばしい香りが漂う店内。ライブなどのイベントも開催されていて、美味しいコーヒーや料理以外にも楽しめる要素がたくさんあり、カフェ好きにはたまらない空間になっています。栄養バランスのとれた美味しい「日替わりお昼ごはん」「かもがわカフェ」では日替わりで楽しめる「日替わりのお昼ごはん」を提供しています。毎日見た目もおしゃれで栄養バランスもとれており、お昼時に訪れた人にはぜひ食べていただきたい人気のメニューです。その他にも週替わりの「今日のカレーライス」、野菜がたっぷりの「たっぷりスープとパン」など、丁寧で家庭的な店主のこだわりが感じられるメニューが用意されています。自分だけの時間が過ごせるアットホームな空間カフェに置いてある本というと、おしゃれなハードカバーや写真集などといったイメージがありますが、この店に置いてある本は雑誌や小説、漫画から児童書までジャンルが幅広いのが特徴です。お客様にくつろいでもらうためには日常的に読むような本のほうがいいという店主のこだわりが、ボーダーレスなジャンルの本棚が生まれた理由。そんなこだわりから家にいるような落ち着きと癒しが再現されたお店です。ジャンルにこだわらない本選びが店主のこだわり思い思いの時間が過ごせるようにと考えられた店内は、木のぬくもりを感じる家具が揃えられ、ゆったりとくつろげる雰囲気でお客さんを迎えます。たくさんの本や雑誌が並んでいる本棚の中から気になる本を手に取り、のんびり読書をしながらのティータイムをたのしむなど、特に読書好きにとって理想のカフェです。木を感じるアットホームな内装なので、ゆっくり腰を落ち着けて自分だけの時間を過ごせるでしょう。「かもがわカフェ」は京阪電鉄鴨東線「神宮丸田町」下車、北へ10分ほど歩いた住宅街にある、緑の鴨の看板が目印のお店です。是非「かもがわカフェ」の丁寧に淹れられたコーヒーと、隠れ家的な雰囲気を味わってみてください。スポット情報スポット名:かもがわカフェ住所:京都府京都市上京区西三本木通荒神口下ル上生洲町229-1電話番号:075-211-4757
2017年09月08日こんにちは。子育て支援を専門にする臨床心理士の今井千鶴子です。多くの学校では夏休みの宿題に“読書感想文”があると思います。特に低学年のお子さんの場合は、一人で完成させることは難しく、ママのサポートが必要な場合も多いのではないでしょうか。そこで今回は、ママが読書感想文をサポートするときのコツについてお伝えします。●21世紀型教育の中核は読書感想文が土台になる?夏休みの読書感想文といえば、「めんどうくさい」「嫌い」「やりたくない」という3拍子のコメントを耳にします。バンダイ(2013)の調査でも、読書感想文に対する苦手意識の高さがうかがえます。しかし、これから学校受験や就職試験をする子どもたちはそうはいっていられません。すでに名門大学では論作文に重点をおく試験に移行することを明言していますし、教員採用試験でも論作文や集団討論などの“自分の意見を伝える技術”が合否を左右するようになっています。検索サイトの進歩によって、多くの知識を覚えるような“記憶偏重型学習”から、情報をうまくまとめながら“自分の考えを作り出して伝える”という能力 を求める動きにシフトしています。読書感想文は、このような“自分の意見を伝える技術”の基本的な練習になりますし、何よりもお子さんの“生き抜く力”を育てるきっかけになります。●作文を書くことによるさまざまな効果冒頭の書きっぷりから想像もつきませんが……かくいう私も子どものころは読書感想文を嫌々やっていました。しかし今、子どもの教育に携わってわかることは、作文を書く力は子どもにとって必要な力だということです。そして、子どもたちにはもっと読書感想文を楽しんでほしいと思っています。作文を書くことによる効果のひとつは、自分の意見を論理的に説明する力 が身につくことです。また、“自分の考え方のクセ”に気づき、自己理解が深まることも期待できます。さらに、作文を書くうえでは「登場人物は何を思っているのだろう?」と推測したり、登場人物の思いに寄り添ったりするため、共感の心を育てることにつながります。このことは、人間性の成長にも大きく関わってくると思います。このように作文が多くの効果をもたらす背景には、書くことが“メタ認知(自分の認知機能を理解したり、モニタリングしたり、コントロールしたりする一連の過程)”を鍛える作業に関連しているためだと心理学的にはいうことができます。●作文をサポートするときのママの姿勢私のように子ども時代は読書感想文が嫌いだったママも、お子さんのサポートをするときには、「めんどうくさい」という気持ちは一旦捨て、「楽しいと思わせてやるぞ!」といった気持ち で向き合っていきましょう。特に低学年のお子さんの場合は、ママが「嫌い」と言っているものは、お子さんも「嫌い」と感じやすくなるので気をつけたいですね。サポートの基本姿勢は“明るく楽しく”です。●音読段階のサポート低学年のお子さんにとっては、文章を読みながら頭の中だけで物語を整理したり、考えをまとめたりすることは難しい作業です。このように同時にいろんな考えを処理できるようになるのは、10歳前後に発達する脳機能ですから、これらの作業は分割して取り組む とよいでしょう。たとえば、低学年のお子さんの場合は、最初はママが何度か音読してあげるとよいかもしれません。そのときには、「楽しい!」と子どもが思えるように、声の抑揚などを工夫することがポイントになります。そして、お子さんが物語の内容を理解できるようになってきたら、今度はお子さんが音読をしていきます。●情報整理段階のサポートすぐに理解ができる子はいいのですが、多くの低学年の子は話の印象的なところと終盤のみを記憶しています(ピーク・エンド効果といいます)。私が感想文をサポートする場合には、“ワークシート”を活用し、子どもたちと話し合いながら全体像についてまとめる作業をしています。ワークシートには、まず相関図を作って、登場人物の特徴とセリフを記録していきます。不思議と、ワークシートを使うと子どもたちは自由な発想で面白いことを次々と発言していきます(例:桃太郎の仲間の動物は疲れないのか?鬼は桃太郎が来ると思っていたのか?)。そのワークシートをもとに、物語に対してお子さんが感じたことや考えたことを記録していくとよいでしょう。このようにワークシートに書き出すことで、情報が整理され、物語を客観的に理解することができます 。また、自分の考えを深く理解することにもつながっていくでしょう。これらはまさに、メタ認知を鍛える作業です。●書く段階のサポート読書感想文をサポートしていると、「真面目に書かなきゃ」といったプレッシャーを感じ、たくさんの口出しをしてしまうママもいるかもしれません。でも、個人的には、子どもの自由な発想を大切にしてあげてほしいと思います。たとえば、主人公ではなく“脇役の目線”が気になったり、大人が気づかない部分に着目したりするお子さんもいます。あるお子さんは、「桃太郎の仲間の動物たちは鬼ケ島に行くまで喧嘩はしなかったのか?」ということが気になっていました(よく考えれば犬猿の仲という言葉もありますよね)。そんなときには、大人の価値基準で書き直させるよりも、「よく気づいたね。面白い視点だね!」などとお子さんの目線を大事にして 自由な発想をどんどん育ててあげてほしいと思います。本来、自分の思いを書くことは楽しいものです。それを苦痛に感じてしまう子が多いのは、他者の視点(評価)ばかりが気になり、自分の意見に自信がもてないことも関係しているのではないでしょうか。また、ママから「字をきれいに書きなさい」と叱られることによって、読書感想文に苦手意識をもってしまうお子さんもいます。もちろん字はきれいに越したことはありませんが、字の練習は別の時間に行いましょう。内容以外の部分で叱られることによって、せっかくのやる気の芽が奪われてしまうのはもったいないことです。●本を選ぶときのポイント最後に、本を選ぶときのポイントです。お子さんから「この本がいい」といったリクエストがあるなら、それに挑戦してみてもよいと思います。ただ、もしお子さんからのリクエストがない場合は、お子さんの発達に合わせた本をママが一緒に選びましょう。たとえば、低学年の子の場合は、文章だけで理解するのはまだまだ難しい時期ですので、“挿絵”がある方がイメージを膨らませやすいと思います(低学年のお子さんだけでなく、読書が苦手なお子さんも挿絵がある方が取り組みやすいと思います)。また、作文を書く前には、何度も読んでストーリーを理解することも必要になりますので、お子さんが繰り返し読んでも苦痛がない長さの本 を選ぶとよいでしょう。本を読んでいる途中に「まだ続くの?」という態度が頻繁にみられるようなら、別の本を考えてみてもよいかもしれません。お子さんが、楽しく取り組める一冊を選んでいきましょう!----------いかがでしたか?今回は、ママが読書感想文をサポートするときのコツについてお伝えしました。読書感想文に笑顔で向き合うお子さんとママが増えたらうれしいです!【参考リンク】・バンダイこどもアンケートレポートVol.21「夏休みの宿題に関する意識調査」結果 | 株式会社バンダイ(PDF)()●ライター/今井千鶴子(臨床心理士)●モデル/赤松侑里(さゆりちゃん)
2017年08月23日夏休みの宿題の中で特に気が重くなりがちなのが、読書感想文。「何でもいいからさっさと書きなさい! 」と、休みの終わりごろに子どもに無理矢理書かせるパターンを、今年こそ脱したいと思いませんか? 情報化社会で生き抜くための独特な情報編集術を、ネット上で教えているイシス編集学校。固定観念にとらわれず、自由な発想を引き出す術を教えてくれると評判の高いこの学校が、子ども向けのワークショップ『大好きな本の伝えかた 読書感想文の編集術!』を開催していました。筆者も親子で早速参加して、ヒントを学んできました!オリジナリティあふれる読書感想文を書くポイントは、「出す」「選ぶ」「分ける」「つなげる」の4つの工程だといいます。詳しくご紹介しましょう。■まずは本を好きになるヒント!「誰かに似た本」を探してみる!?以前こちらの講座を受けたことのあった筆者は、小6の長女を連れて参加。古典的な名作は一切読まず、今どきの軽めの本ばかり読む長女がイシス編集学校でどんなことを学ぶかと楽しみでした。ウォーミングアップは、「誰かに似た本を部屋いっぱいの蔵書から3分で探す」というもの。 「本が誰かに似るってどういうこと?」と頭がかたくなりかけてとまどう長女の横では、自由な発想で楽しそうに本を探す子どもたち。本は中に書かれている文字や内容だけではなく、表紙の色や文字、触った感じなどいろいろな情報を伝えているものであることを感じる試みのようでした。「花が好きな母親に似ている」と草の絵の表紙の詩集を選んだり、「青い空の表紙写真が親友のイメージにぴったり」とおのおのの感性で選んでいました。本嫌いな子どもも、このように本の違う面に注目したり、もっと自由に本を楽しんだりしていいと思ったら本が好きになるのかな、と感じました。■コツ-1:「出す」―発想を広げるキーワードとホットワードを出す続けてキーワードを聞いてどんなことが思い浮かぶか発想を広げる練習。「りんご」のキーワードからは「甘い」「赤い」などの形容詞から、「アダムとイブ」「白雪姫」「ピコ太郎」までありとあらゆる思い浮かぶ言葉をどんどん書き出してみます。キーワードから思い浮かぶそれらの言葉を「ホットワード」と講座では呼んでいました。 読書感想文を書くにあたっても、その方法を使います。読んだ本の中の好きな登場人物や好きな場面などをキーワードとして選び、そのキーワードから思い浮かぶ「ホットワード」をどんどん書き出してみるのです。「この子のここがかっこよくて好き」「この場面が好きな理由」「この場面を読んでこんな気持ちになった」など、ホットワードはなんでもいいのです。■コツ-2:「選ぶ」―「誰に伝えたい? 」出したホットワードから選別次に大切なのは「誰に伝えたいか」テーマを決めること。たくさん出たホットワードの中からテーマに合ったものを選びます。例えばりんごの説明であれば、「りんごを見たことのない人」と「りんごが大嫌いな人」に伝える時では、選ぶ言葉が変わるでしょう。りんごを食べたことのない人には「赤い」「甘い」など特徴の説明が必要ですし、嫌いな人には「火を通すと食感が変わる」など説明したくなるかもしれません。読書感想文でも同じ。「誰に伝えたいか」を決めると、「何を伝えたいか」が思い浮かびます。「この場面のことを先生に一番伝えたい」「読んでワクワクした気持ちを友達に伝えたい」などとテーマを決め、書き出したホットワードの中から合うものを選んでいきます。■コツ-3:「分ける」―伝えるためには順番が大事なポイント作文のカギとするホットワードを選んだら、次に決めるのは「人に伝えるための順番」。講座では4コマのイラストを並べ変えてストーリーを作るという作業を通して、並べ方次第でストーリーも印象もまったく変わるということを体験してみました。ついつい同じような書き出しにしがちな読書感想文も、順番を考えて言葉を並べ変えるだけで、内容も印象もグンと変わりそうです。 ■コツ-4:「つなげる」― つなげる言葉を紡ぎ、感想文を仕上げる順番を決めたら、あとはそれぞれをうまくつなげて感想文を仕上げます。講座では、各自が持参した大好きな本を人におすすめするためのキャッチフレーズを考え、それを記したオリジナルの帯を子どもたちが一人一人作りました。選んだホットワードからズバッと伝わる言葉を紡ぎ出すのです。限られた文字数の中で、「あっ! この本読みたいな」と読み手に思わせるキャッチフレーズを考えられたら、印象に残る読書感想文も書けそうです。本が好きな親子が集まっているだけあって、本をテーマにした2時間半の講座もみんな夢中で作業しているうちにあっという間。「出す」「選ぶ」「分ける」「つなげる」の4つを使って自分の大好きな本のキャッチフレーズを考え、帯を作ったところで終了しました。大人では思いつかない心に響く言葉を考え出す子どももいて、ライターをしている筆者も思わず感心してしまいました。帰宅した長女は早速、3歳下の妹にポストイットを使ってキーワードとホットワードを書き出させて、作文を書かせていました(まず自分でやらず妹にやらせてみていることに驚きましたが、とても有効な方法を学んだ、と思ったようです)。そう、このやり方は読書感想文だけでなく、作文や大人の仕事でも使えそうです。白紙の原稿用紙の前でうんうんうなった挙句、「とにかく書きなさい! 」とやみくもに書かせてしまう前に、まずはポストイットを用意して楽しく取り組んでみましょう。どんどん言葉を出していくところから始めて、今年の読書感想文を仕上げてみませんか? 取材協力:イシス編集学校 編集術を身につけるネット上の学校。ユニークな手法で生活から仕事まで幅広く生かせる情報の編集スキルを伝授。学生から社会人まで多くの生徒を持つ。ネットで無料体験できる「編集力チェック」も実施中。共催:(公財)せたがや文化財団 生活工房後援:世田谷区、世田谷区教育委員会
2017年08月10日白を基調とした落ち着いた空間がお出迎え!大阪市北区梅田にある「café & books bibliothèque(カフェ&ブックス ビブリオテーク)梅田店」は落ち着いた雰囲気のブックカフェです。高い天井に、白を基調とした空間が広がっています。茶色のソファーがアクセントになっており、くつろぎのスペースを演出。壁にはいろいろなジャンルの本が飾られており、まるで一種のアート展のようです。ライブミュージックも開催されているので、音楽を聞きながら読書をすることもできます。たくさんの人が集まるコミュニティー空間の役割を担っているお店です。都会の街角を演出、人が集まる空間づくりを目指すお店都会の街角を演出し、たくさんの人が集まる空間づくりをコンセプトにしている「カフェ&ブックス ビブリオテーク」。本屋とカフェをベースに、本をはじめ、アートの情報を発信したり、ライブやイベントを開催したり、さらにはワークショップも楽しめるお店です。お客さんのライフスタイルに合わせて、いろいろなことを提案していくお店を目指しています。期間限定の商品! 「コットンキャンディボンボンスムージー」「カフェ&ブック ビブリオテーク」では、2017年6月1日(木)~8月31日(木)までの期間限定で、コットンキャンディボンボンスムージーを3種類提供しています。スムージーは自家製のオーガニックジュースやヨーグルト味を使用。「ストロベリーボンボン」(税込み1,836円)は、大粒の甘酸っぱいイチゴをたっぷり使用し、コットンキャンディーの甘さと相まって絶妙なバランスとなっています。バナナやマスカットのスムージーも楽しめる「キャラメルバナナボンボン」(税込み1,620円)は、キャラメルをトッピング。バナナとキャラメルの甘さの中に、さっぱり味のヨーグルトスムージーが相性抜群です。「マスカットボンボン」(税込み1,836円)は、フレッシュなマスカットをふんだんに使用し、自家製スムージーとしてオーガニックジュースをチョイス。マスカットの甘酸っぱさと、オーガニックジュースのさっぱりした味わいがおいしいスムージーです。スイーツをはじめ、本やライブが楽しめるお店フレッシュなフルーツとあっさりとしたスムージーの味わいの中に、生クリームやバニラアイスの甘みが絶妙にマッチするのが「カフェ&ブックス ビブリオテーク」のスムージー。スイーツを味わえるだけでなく、本を読んだり、ライブミュージックを楽しんだりできる魅力的なお店です。様々な人との繋がりの場になれるようなお店作りを目指し、今日もいろいろな情報を発信しています。大阪市営地下鉄谷町線の東梅田駅で下車し、徒歩5分のところにあります。駅からも近いため、学校や会社帰りにフラッと立ち寄れるのも嬉しいポイント。旬のフルーツを使い、自家製のスムージーと一緒に楽しめる「カフェ&ブックス ビブリオテーク」に足を運んでみませんか。スポット情報スポット名:café & books bibliotheque住所:大阪府大阪市北区梅田1-12-6 イーマB1F電話番号:06-4795-7553
2017年08月10日夏休みの小学校の宿題で、もっとも頭を悩ませるのは「読書感想文」、という家庭も多いかもしれません。とくに普段から読書が苦手な子だと、ママもどうやって本を読ませればいいのか困ってしまうのでは。子どもが読書を楽しめるように、上手にサポートしてあげたいですよね。■あえて「課題図書」を選ばない夏休み前になると毎年、各学年に合わせた「課題図書」が発表になりますよね。これは、読書感想文の全国コンクールにおける課題図書の対象となる本として毎年選定されるもので、優れた作品も多いです。ただ、子どもによっては「課題図書」と聞いただけで、「読まなければいけない」と読書を強制されているような気持ちになってしまうことも。夏休みの宿題の読書感想文は、必ずしも課題図書を読まなければいけないわけではありません。子どもがあまり興味を示さない場合は、課題図書にはこだわらず、自由に好きな本を選びましょう。■子どもの興味ある分野の本を探すスポーツや音楽、歴史、動物など、どの子にもきっと興味のあることや好きな分野があるはず。本を選ぶ際には、子ども本人が好きなジャンルのものをチョイスするのもよい方法です。感想文を書くからといって無理に小説や物語を選ぶ必要はなく、絵や写真が多めのものでも問題ナシ。自分が熱中する分野に関する本なら、子どもも楽しく読み進めることができるのではないでしょうか。■映画やコミックのノベライズもOKママたちからよく聞かれるのが「うちの子、マンガは読むのに本は全然読まない」という声。普段あまり本を読まない子にとっては、長い物語はハードルが高いものです。そんなときは、映画やコミックのノベライズ作品をすすめてみてはいかがでしょうか。見たことのある映画や好きなマンガのノベライズなら、登場人物やストーリー展開もスッと頭に入るはず。元作品の「外伝」としてのノベライズもあり、読書に親しむ第一歩としておすすめです。■ママも同じ本を読む「本を読みなさい」「感想文を書きなさい」と言うだけでは、子どももなかなかやる気が出ません。夏休みは、親子で一緒に読書を楽しむチャンス。子どもが読む本をママも読んで、親子で感想を話し合ってみては。でも「読んでどう思ったかママに教えて」と聞くだけでは、子どもは“正解”を探そうとして戸惑ってしまうことが。「ママはあそこがよかったと思うけどどうだった?」「あのストーリーにはビックリしたよね」など、友達と映画の感想を語り合うような感じで話すと、子どもものってきてくれますよ。■感想文をスムーズに書くコツとは?本を読み終わって感想文を書こうとしても、いざ原稿用紙を目の前にすると一文字も書けない…という子も多いです。それは最初からきちんとした“文章”を書こうとしてしまうから。白い原稿用紙をどうやって埋めたらいいか分からず、何もできないまま固まってしまうのです。読書感想文の書き方の本などには、「基本の型を決めるとよい」と書かれています。たとえば「読もうと思ったきっかけ→あらすじ→心に残ったこと→まとめ」というパターン。パターンを決めることでポイントが分かり、子どもにとっても書くハードルが下がりそうです。筆者のおすすめは“感想メモ方式”。本を読みながら、そのとき思ったことを、メモや付箋にどんどん書いていきます。たとえば「面白かった」なら、どこが面白かったかもメモ。そしてそのメモを内容ごとにまとめたり、並べ替えたりすれば、何となく感想文の形が見えてくるはず。あとは文章がつながらない部分を補足して、原稿用紙に清書すればOKです。長い夏休みは、本に親しむよい機会でもあります。読書感想文の宿題をきっかけに、子どもが「本って楽しい」と思えるようになるといいですよね。
2017年08月08日