成長と共に“特性の現れ方”も少しずつ変化をしていて…?Upload By 丸山さとこASDとADHDの診断を受けているコウですが、成長に伴いそれぞれの特性の出方は変わっているなと感じます。小学校1年生まではASD的な「ルール遵守」が強く出ていました。“いかにもASDの子ども”らしい行動をしていたコウ未就園児の頃は「物を並べる・回転する物をずっと眺める・親を含め人間に対する興味が薄い・クレーン現象・オウム返し」など、全体的に“ASDの子ども”感のある行動をとっていたと思います。Upload By 丸山さとこ歳児検診で初めて言われた「発達障害かも」――不安や抵抗を感じる余裕もなく...7年経った今、息子について思うこと【障害受容 前編】検診結果「発達障害かも」を信じられなかった夫。練習していない会話ができない様子を見て納得しーー夫婦で違う?息子への関わりから学んだこと【障害受容 後編】その頃はルールを理解する力が弱く「自分が見出したルール」に固執することもあり、彼の“こだわり”に首をかしげながら付き合うことも多くありました。入園後は集団行動から外れることも多くありつつ、ルール遵守の傾向が強く出ていたことから“真面目だけどズレたところのあるマイペースな子”という感じでした。Upload By 丸山さとこ息子の入学準備!母自身のとまどいの思い出から生まれた「授業ごっこ」とは小学校に入ってからは「一斉指示についていけるだろうか?」と心配もありましたが、1年生ということもあって先生が小まめな声かけをしてくださったことで、大きなトラブルはなく1年間を終えました。セリフ集をもって学校へ!オウム返しだったASD息子との「言いたいことを伝える」ための会話練習とは?会話がオウム返しであること、彼のこだわっているルールに付き合いつつそれらを緩めていくこと、親という存在を認識してもらうこと、パニックを避けたり鎮めたりすることなどに対しては大変だなと思うこともありました。とはいえ、大変な一方で“1つ1つ対応していくことが可能”であることや“できることが少しずつ増えていくこと”から、凄く困ったことはあっても「どうしたら良いのだろう?」と深く悩むことはありませんでした。Upload By 丸山さとこ息子は親に興味ゼロ!幼児期から「親の存在価値」をあれこれプレゼンした結果…多動は基本的にはあまり目立つことはなかったとはいえ、幼児の頃は食品売り場のレジで財布を出そうとした隙に遠くの靴売り場まで行ってしまう子どもだったコウですが、それもハーネスリュックを使うことで事故は防ぐことができました。Upload By 丸山さとこそんな風に「工夫をすることや手をかけること」は必要ながらも、「まだ小さいからね」で周囲からも温かい目で見られることも多かった小学1年生でしたが、2年生頃から少しずつ対処しきれないことが増えてきました。また、それと同時に“今までとは違った特性の現れ方”が見られるようになってきたのです。小学2年生、出だしは順調に見えたものの…?コウが感じる困りごとに対しては、小学1年生まではある程度親がフォローすることが可能でした。学年通信に記載されている内容も細かく、小学生として生活するスキルがまだ未熟な「新一年生」への手厚いバックアップがあったことも大きかったと思います。Upload By 丸山さとこ2年生になると、先生からの指示が1年生程“小まめで具体的なもの”ではなくなります。分からない時は先生や周りの児童に尋ねられるとよいのですが、その頃のコウは自分からヘルプを出すことが難しく、「何て言えばいいの…?」とオロオロするばかりでした。そのため、先生との面談にて「起こりそうなこと」をあらかじめ伝えていたのですが、1学期がスタートしてしばらくたった頃には「全然大丈夫ですよ!他の子よりもしっかりしているくらいです」と先生から太鼓判を押されるくらい、学校生活は順調な様子でした。そうして「学校楽しい!」と毎日登校するコウの様子にホッと一安心したのも束の間、予想外の方向から問題はやってきました…!次回、“それまでは思ってもみなかった特性”がどう現れどう振り回されたのか、お話ししていきたいと思います。
2020年08月07日「ひゅーちゃんが自閉症と診断されて」第2話。Twitterで人気のさばまる(@funeido45)さんの育児マンガをご紹介! ひゅーちゃんが自閉症と診断されたときのお話です。ひゅーちゃんが自閉症と診断されて 第2話 ひゅーちゃんが自閉症と診断され、療育について調べ始めたさばまるさん。 すすめられて参加した保健センターの相談会でも望むような内容を受けられず、苦労が続きます……。 さばまるさんのマンガは、このほかにもTwitterで更新されています。ぜひチェックしてみてくださいね♪監修/助産師REIKO著者:イラストレーター さばまる2017年4月息子ひゅーちゃん出産/育児漫画と版権イラストごちゃまぜ/自閉症と診断され発語ゼロ。会話してみたい
2020年08月06日「恋愛とは何か」がわからない…… どこかぎこちない恋愛遍歴振り返ると、私が恋愛の場面で抱えていたトラブルの中には発達障害の特性が関わっているものが多かったように思います。ひとことでうまく言えないのですが、私は一般社会で当たり前のものとされる恋愛市場的な価値観とはどこか離れたところで生きているところがありました。私には、多くの人がスルッと適応していく「男と女の惚れたはれた、モテるモテない、ゲットするしない」みたいな価値観がどうも理解できなかった……けれど同時にASD的な鵜呑み傾向が、「正しい恋愛・生き方とはそういうものなのだ」という思い込みにもつながっていました。結果的に、自分の中での自然な実像と「こうあるべき像」の間にギャップが生じて、そのギャップに苦しんでいたような気がします。まずは、私はもともと何かに興味を持つとき、対象がモノであろうが人であろうがあまり関係ありませんでした。その人が男か女かも関係ありません。自分にとって興味をそそる対象であれば、対象に向かって突進していく。これはおそらく発達障害の文脈で言う「積極奇異傾向」だと思います。たとえば、私が突進していったものがたまたま人であり、かつ男性(以下Aくん)であった場合、周囲が「宇樹さんはAくんのことが(恋愛的に)好きに違いない」と解釈します。どうも、Aくん本人も「宇樹さんは僕のことが(恋愛的に)好きに違いない」と考えることが多いようでした。私には悪気がないばかりか、そもそもAくんに恋愛的な好意があるわけでもありません。というか、突き詰めて考えると、誰かへの恋愛的な好意と、誰かの持っている一要素への心酔のようなものがどう違うのか、私にはいまだにわからないところがあります。結果、周囲から「宇樹さんキモい」とか言われて排除されたり、自分で「これは私がAくんを好きということなのか、私はAくんと恋愛をしなければならないのだ」と思い込んで、どこか違和感を感じながら「恋愛」を演じてしまったりすることになりました。Aくん本人が私から恋されていると思ってなんだか調子に乗った言動をすることもありました。私は、いま思い返しても「これは恋愛だったな」と感じる関係性においてもどこかぎこちないところを抱えていました。それは、「距離感が極端になりがち」ということです。小学生のころなどは、相思相愛が確認できた相手と一日中喋っているという程度で済みました。しかし、性的な関係を経験するようになると、好きになった相手と一気に性的に密着した関係性に踏み込んでしまうか(≒つきあう)、多少気まずくなっただけで二度と会わない・口もきかない(≒別れる)、のどちらかが多くなりました。恋愛関係の前後に中距離の友達関係を作るということがうまくできない。若いころには、「よく考えたら性的に利用されていたなあ」と感じる関係性も経験しました。これは、私の二次障害である複雑性PTSDの傾向も関わっているとは思いますし、発達障害のない人にも惚れたはれたの関係性は難しいものでしょう。しかし、私のこの困難さには、「白黒はっきりしない事態に対処できない」という、ASDの白黒思考も関わっていたように思います。私は小学校は共学でしたが、中高は女子校。中学高校を経るうちにだんだんと二次障害が悪化して体調が悪くなったのもあって、大学に入るころにはひきこもり傾向になっていました。私が部活やサークル、趣味のコミュニティなどに参加する余裕をなくしていく一方で、世間にはインターネットが普及していきました。それで、人と出会うときのルートがほぼSNSを介してのものになっていきました。コミュニケーション障害の関係でもともと交友関係が狭くなりがちだった私が、SNSを介してほぼ一対一で相手に出会うことも多くなりました。私の20代のころの恋愛相手との出会いはほぼSNSをきっかけとしたものです。たまたまそれほど危険な相手には出会いませんでしたし、SNSならではの良い出会いもありました。しかし、親密な相手となる人との出会いの準備段階として「複数人の中距離の友達関係の中で相手のことをゆっくり知っていく」というステップを踏めないことは、根本的にはリスクの高いものだったのではと思っています。冒頭のほうにも書きましたが、私は、世間で言う恋愛市場的な価値観にうまくなじめませんでした。そんな私には、「性的な暗黙の了解」を理解できない、という困難もありました。ASDの人のコミュニケーション障害の典型的な傾向として、「暗黙の了解」「明示されないルール」を理解できないというのがあります。よく例として挙げられるのが、行間を読めないので皮肉や冗談が通じないとか、目上の人からの遠回しな指示が通じずにトラブルになるといったものです。ASDの人の多くは、おそらくこうした困難を「性的な暗黙の了解」の分野にも抱えているように思います。私の場合、「疲れたから休みたい」「ここは騒がしいから静かなところに行きたい」といった発言が、「ホテルに行こう」という誘い文句の婉曲表現だととられる場合があることを、20代半ばぐらいまで知りませんでした。私はなんの意図もなく、純粋に言葉どおりの意味で、男性の前でこのような発言をしていました…… 特性上、お茶したり食事したりしているとすぐに疲れてしまうんですよね。特に騒がしい場所にいると疲れてしまう。恋愛とか性的関係の分野にこうした暗黙の了解があることを知ったときには非常に驚きました。同時に、自分がそれまでに自分の発言をきっかけに性的被害に遭うようなことがなかったのは単に運が良かっただけだろう、とも思い、ショックを受けました。※上記のような発言をきっかけに性的被害を受けた人がいたとしても、発言した人のせいではありません。悪いのは絶対に、加害する側です。自衛のひとつの方法は後半で書きます。ともかく私は、世の中はうっかりしていると性的被害に遭ったりするところなのだと、けっこうなショックを受けたのでした。今となっては私は、夫との関係性に悩んだとき、その悩みが互いの関係性や自分の中のどの要素からくるのかが理解できます。それに、さまざまな支援者や支援機関、支援ツールともつながりがあります。このため、パートナー関係の悩みについて孤立無援の泥沼に陥ることはありません。しかし、以前はこうはいきませんでした。20代半ばには抑うつ状態で精神科に通院するようになっていましたが、当時の私は自分の発達障害にも気づいていなかったのです。自分の心身の不調が二次障害(複雑性PTSD)によるものだとも気づいていなかったので、自分の不調がどこからくるもので、どんな助けを必要としているかも知りませんでした。自分を助けてくれる支援者や支援機関があるということなど思いもしない。結果、共依存のような状態になって、デートDVを受けたり、ストーキングのようなことをしたりされたりといったこともありました。発達障害の女の子が安定した親密な関係性を築くために私は今となっては夫と安定した関係を築いていますが、5年以上の間、ずいぶんと紆余曲折を経験しましたし、30歳を過ぎて幸運にも彼と出会うまでには、人生上のさまざまな困難に囲まれてそうとうに思いつめていました。夫と出会うまでの困難や、夫との離婚危機と必死の挽回の経緯については拙著に詳しく書いています。以下、私のような発達障害の女の子がいたとして、以前の私のようには苦しまずに、誰かと安定した親密な関係性を築くとしたらどうしたらよいかを考えてみました。私が恋愛について長いこと苦しんでいたことの背景には、冒頭に書いたような「恋愛市場的な価値観」と自分の実像との間のギャップがあります。もしかすると、最初にここからほどいていくと悩みが楽になっていきやすいかもしれません。まずは、一般的な「惚れたはれた」とか、恋愛ノウハウの目線から考えるのをやめてみる。そこで意識的にもう一段掘って、「発達障害の特性を持つ者としてどういう原因からこうなるのか・こう感じるのか」などを考えるのがよいのではと思います。現在の日本では、女性は何かと年長者や男性から利用されたり被害を受けたりしがちです。本当は利用したり加害したりしようとするほうが100%悪いです。こちらが自衛しなければいけないのはおかしいのですが、残念ながら自衛する手段を知っておいたほうが安全に過ごせるのは事実です。年長の人には、暗黙のルールを知らない当事者をバカにせず、彼女らが被害に遭っても決して責めることをしないで、淡々と知識として、世の中がどうなっているのかを教えてあげてほしいと思います。若者や女性を利用しようとする人がしがちな言動について、思いつくかぎり教えてあげるのもよいかもしれません。たとえばSNSで「泊まらせてあげる」とか言う人は危険だとか。まさにこうしたテーマを扱った本もあります。一緒にこうした本を読んでみるのもいいと思います。いま振り返って思うのは、「人にとって、所属するコミュニティは多様であるほどいい」ということです。趣味ベース、勉強ベース、困りごとベース、地縁ベースなど、さまざまな切り口で、いろいろなコミュニティに属することを意識していくとよいのではないでしょうか。人にはいろいろな「顔」がありますが、属するコミュニティが多様であるほど、多様な自分の「顔」を見いだせると思います。コミュニティによっては、ほかでは絶対に出せないような「顔」を出していけて、それが自分の救いになることもあります。ちなみに、私の場合はこの救いとなったコミュニティが10年ほど前のTwitterです。私は当時のTwitterに人生の悩みを赤裸々に綴っていくうち、現在の夫も含めたさまざまなつながりに恵まれていきました。いまのTwitterはあまりに拡散力の強いメディアになってしまっていることもあり、危険な人に出会ったりTwitterに依存してしまったりするリスクも高いので、そこは注意が必要ですが。私が現在の夫との関係性を安定したものにしていく過程でも大事だったのが、「二人の間で起こるトラブルは二人の関係性の問題なのか、それとも自分の中の問題なのか」を切り分けることです。以前の私は、恋愛やパートナー関係において何かトラブルがあると、全てを二人の間の関係性の問題だと考えていました。つまり、「私はこんなに彼のことが好きだからこんなに苦しいんだ」と。けれど、自分の発達障害や二次障害の存在に気づくにつれ、親密な関係性の中で起こるトラブルの想像以上に多くが「自分の中から来るもの」だったことを知りました。たとえば、自分の心にあいた穴が、二人の関係性を必要以上に困難なものにしている。「トラブルは自分のせいと考えて自分を責めろ」という意味ではありません。「このトラブルは本当に相手を好きだからという理由のみで起こっているのか?」「自分の不安定性が関係性に映し出された結果、必要以上にトラブルが大きくなっているのではないか?」とできるだけ冷静に分析し、それぞれの場合によって別の対応をする必要があるということです。そして、そのトラブルがなに由来であるとわかったにしろ、わからないにしろ、定期的に専門科にかかって、状況を報告・相談することを欠かさないようにするのが大事だと思います。世間ではなんとなく「女性が男性の、男性が女性のパートナーを『勝ち取り』、ひいては法的な結婚をすること、できれば子どもを産むこと」を当たり前、または理想だとしているところがあります。このためか、私たちもなんとなくそうしなければいけないと思い込んでしまいがちです。私も以前はそうでした。けれど、本来人の性的アイデンティティも恋愛対象もさまざまですし、人というのはモノみたいに「勝ち取る」ものでもありませんよね。誰かが幸せと感じる生活が誰かとの性的関係を含んだ一対一のものであるとも限りません。愛は愛であって、恋愛市場での勝ち負けなどとは関係ありませんし、現在の法律婚は、身体の性と心の性が一致したヘテロセクシャルの男女カップルのみを優遇する、理想的とは言えない仕組みです。子どもを産み育てるには膨大な労力とお金がかかりますし、現在の日本は子どもを育てづらいシステムになっています。女性たちが、迷いもなく子どもを産もうという気にはなかなかなれないのが実情です。私自身、たまたま身体の性が女性で、恋愛対象が男性であり、男性と法律婚するという、いわゆる典型的な「女性の幸せ」に至りました(子どもは産んでいませんが)。しかし、実は私の性的アイデンティティは常に揺らいでいる状態です。自分が子どもを産める性であることにいまだに違和感があります。かといって男性になりたいわけでもありません……こういった意味もあって私は、「女性の幸せは男性と結婚して子どもを産むこと」などといった粗い主張をする気には到底なれません。さらに言えば、人が幸せになるにあたって、ある程度親密な人間関係が必要だろうことはわかりますが、それが特定のパートナーである必要さえないと思います。自分の信頼のおける複数の人たちと擬似家族のようなものを築いて暮らすのも素敵ですし、一人で暮らして人とはときどき交流する生き方が幸せという人だっているでしょう。私は、若い世代の発達障害女性には、世間が提示する「あたりまえ」や「理想」なんて気にせず、自分が最も楽でいられる生き方を選んでいってほしいと願っています。
2020年07月29日アメリカ・フロリダ州の森の中で、3歳の男の子が行方不明になりました。ある日の朝、マーシャル・バトラーくんは家族が気付かないうちにオムツ姿で家を出て、どこかへ行ってしまったのです。マーシャルくんは自閉症をもっていて、言葉でコミュニケーションをとることができないのだそう。パニックになった家族は近所を必死で探しましたが見つからず、郡の保安官事務所に捜索願を出しました。UPDATE: Child has been located. __________WCSO SEARCHING FOR MISSING THREE-YEAR-OLD BOY IN PONCE DE LEONWalton...Posted by Walton County Sheriff, Michael A. Adkinson, Jr. on Wednesday, June 3, 2020保安官事務所はFacebookでマーシャルくんの目撃情報を呼びかけます。すると人々から彼の無事を祈るコメントが次々と書き込まれ、「捜索に協力したい」という人たちも現れます。その1時間後、保安官事務所が新たな情報と写真を追加しました。犬が男の子と一緒にいるかもしれません。見かけた人は保安官事務所まで連絡をください。Walton County Sheriff, Michael A. Adkinson, Jr.ーより引用(和訳)Posted by Walton County Sheriff, Michael A. Adkinson, Jr. on Wednesday, June 3, 2020海外メディア『WJHG』によると、マーシャルくんの家ではバックウィートとナラという犬を飼っているのですが、2匹ともいなくなっていたのだそう。そして捜索を始めてから数時間後、マーシャルくんは自宅から約1.63離れた川の近くで発見されました。見つかった時、バックウィートとナラが彼を守るようにぴったりとそばに寄り添っていたということです。Posted by Walton County Sheriff, Michael A. Adkinson, Jr. on Wednesday, June 3, 2020マーシャルくんは泥だらけになっていましたが、ケガもしておらず元気だったそうです。彼らを発見した隣人は、「犬たちはマーシャルくんのガイドとなり、安全でいられるように守っていたのでしょう」と話しています。2匹の犬たちは1人で家を出ていくマーシャルくんを見て、心配になってついて行ったのではないかということです。犬の賢さと忠誠心には本当に驚かされます。マーシャルくんも犬たちも無事に見つかってよかったですね。[文・構成/grape編集部]
2020年06月29日小さい頃からなかなか眠ることができなかった娘いっちゃんは、赤ちゃんの頃から眠りが浅く、小さな音で驚いてすぐに目を覚ましてしまっていました。しかも、目を覚ますとなかなか寝付かず、両親とも眠れない日々が何ヶ月も続きました。一般的に夜泣きがおさまると言われる9〜10ヶ月頃になっても夜中に起きて泣くのは変わらず、寝付きの悪さがますます際立ってきました。眠いのに眠れず、顔を真っ赤にしてひたすら泣き続ける娘を車に乗せて、幾度となく深夜のドライブに出かけたものです。この頃、「子どもが寝ないので車に乗せている」と人に話すと、「お母さんが抱っこしてあげたら?」とか「おんぶして仕事をしていたらいつの間にか寝ているものよ」などとアドバイスをしていただいたのですが、どうもそういう問題ではないらしい...と薄々感じていました。Upload By 寺島ヒロ幼稚園に行くようになっても寝付きの悪さは変わらず、毎日のように遅刻を繰り返していました。しかしその中でも、月に数日は夜8頃に寝て、朝6〜7時に起きる日があるのです。今思えばその頃から既に睡眠時間が安定しない傾向は出ていたのだと思います。Upload By 寺島ヒロUpload By 寺島ヒロ小学校時代、「眠れない」と泣く娘をみるのがつらかった小学生になると、遅刻こそ少なくなりましたが、睡眠の問題はいよいよ顕著になってきました。娘も少し成長したので、眠れないことを自分でも気にするようになり、また小学生になると出席を加味して成績がつくようにもなるので、祖父祖母や先生たちも遅刻をしないようにと厳しく言うようになりました。夜中に虚な目で起きてきて「眠れないんだけど…どうやったら眠れるの…。」「遅刻したら怒られる…。」と泣く娘を見ていると、私まで泣きそうになりました。いっちゃんはASDということもあり、性格はとても真面目で、なんでもきちんとやりたい方なのですが、学校では「いつもサボる子」「甘やかされて我がままな子」という扱いをされがちで、そのギャップに傷つくこともしばしば。でも、心掛けや睡眠導入剤では早く眠ることはどうしてもできませんでした。しかも、ここからがもっと重大な問題なのですが、一度寝付くと、今度はどうやっても起きないのです。気を失うというほど瞬間的ではありませんが、「眠くなってきた…」と言って布団に入ると、次に見たときには寝ています。そして一気にすごく深く眠ってしまうのです。くすぐっても間違って踏んでも微動だにしません。本人に聞いたところ、ほとんど夢も見ていないと言います。Upload By 寺島ヒロ中学校では先生たちにも理解してもらい...中学校に入る頃には、発達障害と睡眠障害の診断が出ていましたので、入学前に学校の方に相談して、"少しずつ改善はしているものの、自分のタイミングで起床、就寝をするため登校が難しいときがある"ということを伝えました。学校からは、娘の事情を理解していただいた上で「できるだけ登校はしたほうがいい。起こして連れてきてもらえれば、学校にはスタッフもいるし、どうしても眠いときには保健室登校ということもできる。」「お家だったら甘えも出るけど、学校でお友達に囲まれていればそうそう寝ないだろうし、昼間起きていればいずれ夜寝るようになるのでは。」と言われました。Upload By 寺島ヒロUpload By 寺島ヒロ思惑通りにはいかない・・・。解決に向けて頑張るよりも、心身の健康を優先に残念ながら、今でもいっちゃんの睡眠障害はあまり改善されてはいません。しかし、周囲の人が「これは仕方ない」と納得してくれたことでずいぶんストレスが軽減されたようで、眠れなくて不安になるようなことはなくなりました。ちょっと言いにくいことではあるのですが、最近は新型コロナウイルス感染症の影響で、学校が休校になっているため、ずっと自分のタイミングで寝起きすることができており、大変ご機嫌です。体調が良いので宿題のプリントもサクサク進めており、趣味のMMDもモデルを自作できるまでになりました。本人は「人生のボーナスタイムだ」と言っています。私たちはつい、充分な時間眠っていれば、朝から夜までは起きていられるはずだと考えてしまいます。だから、充分な時間眠らせるために寝かしつけを頑張ってしまうのですが、たとえ薬などを使って夜寝ていたとしても、娘の場合は『自分のタイミング』が昼間にきたらやっぱり寝てしまうようなのです。この体内時計がずれたままになってしまうタイプの睡眠障害は、今のところまだ原因もメカニズムも分かっていないそうです。なので、あまり働きかけなどはせず、子どもの体調維持を最優先に考えて過ごした方が良いのかもしれません。発達障害と睡眠障害に関係があるのかどうかも、まだはっきりしていない部分が多いのだそうです。しかし私の印象ですが、発達障害のある人で睡眠の問題を抱えていらっしゃる人はかなり多いように思います。寝付きが悪いだけではなく、子どもの頃寝相がすごく悪かったという話も聞きます。Upload By 寺島ヒロUpload By 寺島ヒロ分からないことが多いのですから、どんなに良かれと思っての働きかけも、後でやってはいけないことだったと分かるかもしれないですよね。何かができていない!足りない!と感じるときはどうしても最短距離を探しがちです。だって遅れてるんですから。でも、そういうときこそ冷静になり、性急に解決法を求めない、という心構えも大事なのかもしれないと思う今日この頃です。
2020年05月25日「自分の中の日常」を保つ作業にエネルギーを割く「いつもと同じ」が安心する私は、「社会の日常」がうまくまわらなくなっている今、せめて「自分の中の日常」を保つように、よくよく注意を払っています。私たちが今経験しているのは、発達障害のない人だって未経験の、かなりのストレス状態です。生命の危険、経済的リスクがふりかかり、生活習慣の変更をせまられているのです。誰だって心身のバランスを崩して当然。発達障害者ならなおさらです。私の場合、体感では「エネルギーの60%ぐらいを、今の環境を乗り切るために使っている」感じです。発達障害者には自分の疲れや緊張を自覚できない人も多いので、自分の心身の健康を保つことに、意識して極力多くの手間やエネルギーを割いてみましょう。「ちょっと手間をかけすぎなのではないか」ぐらいに意識してみてちょうどではないかと思います。Twitterでやりとりさせていただいた方が「こんなときには『日常の断捨離』をするのがいい」というようなことをおっしゃっていて、とてもいい言葉だと思いました。この「日常の断捨離」を私なりに言い換えれば、「生活習慣の断捨離」です。1.今までなんとなく続けていた生活習慣を数え上げてみる2.数え上げた生活習慣が、自分の心身の健康のために不可欠だったのかを吟味する3.不可欠でない生活習慣、かえって負担になっているような生活習慣を思い切って手放してみるこれを、一般的に言われている「モノの断捨離」で言い換えてみるとこうです。1.今までなんとなく持っていたモノを数え上げてみる2.数え上げたモノが、自分の心身の健康のために不可欠だったのかを吟味する3.不可欠でないモノ、かえって負担になっているようなモノを思い切って手放してみるイメージできたでしょうか。生活習慣も、モノと同じで断捨離していくことができると思うのです。部屋と同じように生活習慣をすっきりと整理して、省スペースならぬ、省エネルギーで生活できるように調整していってみましょう。今回のような非常事態では、まずは「一日ずつをそこそこ健康に乗り切る」ことが大事です。今まで私たちは、ロングスパンで見た将来を念頭に、「よりよい自分のために、よりよい家族や社会のために」といろいろ努力してきたはずです。私たちの生活や社会が今後もおおよそ同じように回っていくことを前提に、人間関係や趣味を楽しんだり、ときにはそれらの活動について愚痴を言ったりもしてきました。しかし、今の私たちが意識すべきなのは、おそらくは「きょう一日」、長くてもせいぜい「きのう、きょう、あした」の三日間ぐらいの時間軸ではないでしょうか。逆にいえば、それ以上の時間軸のことはあまり考える必要がありません。なぜなら、事態はあまりに刻一刻と変わっていっており、一週間や一ヶ月あとに、何がどうなっているかもわからないからです。とはいっても、ここ一ヶ月の日用品の家庭での在庫のことについて考えたり、この半年にかかわる経済的支援についての情報収集をしておくことは必要かもしれませんよね。ここで私が強調したいのは、「社会のありかた自体が大きく変わったのだから、以前どおりの生活習慣を続けなければと気負う必要はまったくない」ということです。たとえば……「子どもの生きやすさを考えて、苦手なママ友づきあいを我慢して続けてきたけど、まあいいや。きょう一日、私たち家族が健康で乗り切れればいい」「一日一回、誰かを笑わせられたら万事OK」「よりよい仕事をするためにと資格の勉強をしてきたけれど、とりあえず諦めてしまおう。きょうもあしたも、私が家族のために元気な自分でいられればいい」「昨日よりもきょうはすっきり起きられたから100点」こんな感じで乗り切ってみてはどうでしょうか。質の良い睡眠をとるために全力を注ぐ常にできるだけ質の良い睡眠がとれるような工夫もしています。精神的なストレスがかかると睡眠の質が低下しがちです。ストレスによって質の悪い睡眠が続くと、今度は身体の調子が悪くなります。睡眠で疲れが回復できなくなると抵抗力も落ちるでしょうから、「良い睡眠のためには死んでもいい」ぐらいの気持ちで生活しています(笑)。常に主治医と連携し、ていねいに薬の調整をしています。私は今回、初めて睡眠導入剤を処方してもらいました。この睡眠導入剤がよく合っているのもあって、毎晩かなり熟睡できています。自分で睡眠導入剤の種類について調べ、依存のリスクが少なくて自然な眠気を促してくれる、新しいタイプの睡眠導入剤を選んだので、安心できています。日中は、漢方内科医から処方してもらった、不安によく効く漢方薬と、主治医から処方してもらった、てんかんや双極性障害の治療にも使われる薬を追加しています。よく眠るためには、夜になったらタイミングよく脳みそのスイッチがオフになってくれることが必要です。昼の間に心身の緊張を高めすぎないよう、リラックスする時間を多めにとるように心がけています。もともとほとんど家から出ない私でさえ、外出を自粛するようになってからは運動不足でイライラしたりするので、リラックス時間にはストレッチなどでできるだけ身体を動かすようにしています。緊張が出がちな人は歯を食いしばっていることも多いのではないでしょうか?私はアゴまわりを中心にほぐして、深い呼吸ができるようにします。スマホアプリを使ってマインドフルネス(瞑想のようなもの)も実践しています。天気のよい日には、感染リスクの低い屋外を散歩することもあります(マスクをし、人混みを避けています)。今の時期、あちこちが花ざかりで心が和みます。出典が思い出せないのですが、ずいぶん昔、「眠れない人は『生きることに実感を持てない人』だ」という話を目にして、なるほど! といたく納得したことがあります。なんでも、眠りは「小さな死」であり、安心して眠る(小さな死を迎える)ためには「私はきょう、十分に生きた。この生に満足している」という実感が必要なのだそうです。このため私は「よい睡眠をとるためには、単に一日リラックスして過ごすことだけでなく、なんらかの達成感や充実感を得られるような活動もしたほうがよいのだろうな」と思っています。「充実した時間」では、自分の興味分野のことに没頭したり、こだわり行動をあえて爆発させたりしています。お菓子やパンを焼いたり、情報を集めて整理したり、ほのぼの系の漫画を読んだり、映画・音楽鑑賞したり。仕事仲間と「そのうちこんなことやりたいね」などと夢のある話をすることが、想像以上にエネルギー源になってくれたりもします。私の場合、見通しが立っていると安心するので、新型コロナウイルスについての情報収集はある程度しておいたほうが落ち着きます。しかし、科学技術振興機構による以下の発表を念頭に、「新型コロナウイルス関連情報に触れるのは1日最大4時間まで」を目安にしています。共同発表:東日本大震災の救援者の心的外傷後ストレス障害に関する調査災害後のPTSD予防に向けて - 科学技術振興機構普段、活動量計という装置をつけて生活し、自分の睡眠の質や自律神経の状態を客観視できるようにしています。発達障害者には自分の心身の状態を自覚しづらい人も多いですが、こうした活動量計などの機器に頼ることで、自分の状態を把握しやすくなるのではないかと思います。自分の状態の監視が習慣づくと、自分のどんな生活習慣が心身によくて、どんな生活習慣がよくないのかの検証もしやすくなっていきます。いろいろ工夫しても対処しきれないときは、誰にだってあります。私は、自分で自分の睡眠の質や自律神経の状態をどうにもできなくなったときの非常手段を複数用意しておくようにしています。以下のような感じです。・信頼できる人に相談する・オンラインカウンセリングを受ける・鍼灸治療を受けるいずれにしろ主治医にあらかじめ「自分でこういった対処をとろうと思うが、おかしくなったら引き戻してください」と伝えてあります。「自分の中の日常」を保てなくなっても自分を責めない私は今のところ幸い元気に過ごせていますが、ここまで書いたことをやってみても「日常を保つ」ことができない、あるいは「日常を保つ努力」自体ができなくなった場合は、それはすでに病的な状態ではないかと思います。病気の場合、感じることの多く、できないことの多くは病気のせい。本人のせいではありません。本人の心がけではどうにもならないし、こうした状況下では誰が病気になっても無理はありません。そもそも、努力ができるかどうか、その努力が実を結ぶかも、本人が与えられた環境も含めた運みたいなところがあるので、本人のせいではありません。ともかく自分を責めないことです。「気分の落ち込みが晴れない状態が二週間以上続いたらうつ病」という指針(※)があるので、二週間以上どうにもならないときには速やかに病院に行きましょう。※)1 うつ病とは:ご存知ですか?うつ病|こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト - 厚生労働省いつかみんなで再び日常を味わう日のために今はいつ何がどうなるのか見通しが立ちませんが、いつか、少しずつ私たちに日常が、それももしかしたら今までとはまた少し違った日常がやってくるときがくるかもしれません。その日まで、そうっと、一日ずつ乗り切っていきましょう。果樹が実をつけるはるか前に、人知れず地面の下で健康な根を張っていくかのように。
2020年04月18日何をしたらいいのか分からない?Upload By 丸山さとこ家の中でお子さんと過ごすことも多いこの頃、時間も体力も持て余した子どものエネルギーをどう消費させるかに頭を悩ませる保護者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。ASD(自閉スペクトラム症)の子の中には、余暇を過ごすのが苦手な子がいるそうですが、コウもよく「何か楽しいことしたい」と言いつつ何をすれば“楽しいこと”になるのか分からず、気分が不安定になることがあります。「つまんなーい」とグダグダし始める内はまだよいのですが、次第に不安になったりイライラソワソワしだしたりします。一緒にいると私も何だか落ち着きません。お母さん(の気力体力)は、限りある資源!Upload By 丸山さとこ家で「何したらいいか分からない」になった時など、退屈や落ち着かなさを埋めるための「ねーお母さんお母さん」が止まらなくなることは多く、休日は私がグッタリしてしまうこともしばしばです。常にコウのペースと付き合っていては心身がもたないので、ゲームや動画鑑賞・読書・工作・図鑑の模写などの“1人でできる遊び”や簡単なお手伝いなどを提案しつつ、“お母さんの関わり度”が高い遊びは私が好きなことをするようにしています。体を使った遊び…のフリをした筋トレ達Upload By 丸山さとこ発達障害のある子どもは体幹が弱かったり協調運動が苦手だったりする子が多いといいますが、コウもやはりその辺りに弱さがあります。更に、親の私も成人の発達障害者として体幹や協調運動にまつわることが苦手だったりします。そんな私は筋トレをすることで姿勢を保ちやすくなります。コウも、姿勢を保つのに必要な筋肉が勝手についてはいかないようなので、一緒に筋トレをするようにしています。Upload By 丸山さとこヨガの立ち木のポーズや英雄のポーズ、プランク、アームレッグクロスレイズなど、“体幹やバランス感覚が弱いと保持するのが難しいポーズ”を一緒に行います。より長く立っていられた方が勝ち!…としても良いのですが、コウは勝負となるとムキになりやすいところがあります。一度勝ち負けにこだわり始めると筋トレを楽しめなくなってしまう時があるので、様子を見ながら勝負にしたり、「30秒キープしたらクリア」などの目標を設定したりして行うようにしています。Upload By 丸山さとこコウは足裏のアーチが自然にはできませんでした。全然歩かない子というわけでもないのですが、足裏を地面にドンドンとつく“幼児のような歩き方”をしがちなため、正しく足を使えないことからアーチが形成されないのだろうと思います。根本的には正しい歩き方を身につけることが必要ですが、必要な筋肉がないことで「正しい歩き方は難しいし快適ではない」と感じていると、中々正しい歩き方も身につき難いのではないか?と考え、遊びがてらトレーニングをしてもらっています。脱力もトレーニングのひとつ?Upload By 丸山さとこ筋トレをした後は、軽くストレッチをしてから「しかばねのポーズ」をとり、しばらく静かに脱力します。体幹はグニャグニャでも、首肩や手足は過剰に緊張していたりするコウです。そんな彼にとっては意外と難しい脱力ですが、筋トレ後は疲労のおかげで自然と脱力することができます。脱力した時の「リラックスした感覚」を体感していけたらいいなと思っています。親子でする筋トレは一石二鳥?Upload By 丸山さとこトレーニングを始めた頃は、姿勢によっては手を離した瞬間にコロンと転がったりしていたコウでしたが、コツコツと続けることで少しずつ長い時間キープできるようになってきました。足指でのジャンケンも、最初はチョキなのかパーなのか分からない動きしかできなかったところから「明らかにチョキ」「パーをしようとしていることは分かる」ところまで動かせるようになりました。グーも、以前より指の根元から握り込めるようになってきています。そして、私自身もコウの筋トレに付き合うことでサボり癖を防ぐことができています。親子で筋トレをすることで、「親と子それぞれの筋力キープ」と「一緒に何かをする楽しさ」の両方が得られて、一石二鳥で中々いい感じです!Upload By 丸山さとこ筋トレは体に良いものですし、体を動かす遊びは充実感があって楽しいものです。とはいえ、「今日はずっとノンビリ静かに過ごしたいな…」「ゴロゴロしながら相手をしてお茶を濁したいな~!」という時もありますね。私はしょっちゅうです。ということで、次回は「体を使わず、のんびりしながらできる室内遊び」について書いていきます。
2020年03月20日通常学級でも大丈夫…?むっくんはADHDと自閉スペクトラム症の診断を3歳半の時に受けていて、就学相談の受付が始まる前から、小学校入学後の進路について考え始めていました。そのとき、まず最初にしたのは現在のむっくんの情報をできるだけ客観的に考えて整理すること。Upload By ウチノコ診断を受けた当時の手が付けられなかった頃と違い、6歳になった今は一見、困難さを抱えているようには見えません。自宅ではほとんど手はかからず、会話能力も十分あり、最近では気持ちを言葉で表現できることも増えてました。読み書きも数字や計算も好きな様子。5歳8か月で受けたWISC-Ⅳという知能検査や、言語発達遅滞検査でも大きく数値に現れるような偏りや遅れはありませんでした。コミュニケーション能力においては、多少の偏りはあるか?という評価を受けましたが、主治医や知り合いの特別支援学級の先生、療育教室の先生などからは、データから考えると問題なく通常学級に通えるだろうと判断されていました。そうだな、落ち着いていれば大丈夫だ。私もそう思います。そう、「落ち着いてさえ、い・れ・ば…」です。むっくんの見えない困難さとは?落ち着いていれば理性的なむっくんですが、「集団の中」に入ると様子が変わります。むっくんは自分の気持ちを我慢して、周囲の行動、大人や先生の要求に応じることがものすごく苦手です。また、感覚の過敏さから集団の中で生じる音や臭いなどをつらく感じることもあり、これも大きくコンディションを崩す原因になります。Upload By ウチノコそしてコンディションが崩れてきた時に、「強い衝動性からくる、やりたい!気持ちを無理に押さえつけられる」「一方的な叱責や行動制限を受ける」「不愉快な刺激から逃げられない」などの事象にさらされるとむっくんは別人のようになってしまいます。感情のコントロールがきかなくなり、大きな声で泣き、叫び、暴言、暴力、逃走など激しい行動に出ることがあります。普段の理性的なむっくんは消え、幼く退行してしまいます。この衝動について理性的なむっくんと話すこともありますが、今は「自分でもどうしたら良いかわからない」と話してくれました。就学相談開始前、私の思い小学校は集団で過ごすことになるので、基本的にむっくんのコンディションは「悪い」と捉える方が自然だと私は考えました。悪い=本人が辛いのだから、まずはできるだけコンディションを保ちやすい環境で過ごせることを大切にしたいと思いました。当時は、まだ特別支援学級がどういう場所であるのか、主治医が通常学級で大丈夫と言っているのに、通えるのかどうかも理解できていませんでした。それでも、少なくとも通常学級はむっくんにとって辛い可能性が高いと考え、仮に通常学級に通うとしても何らかの支援があると安心だと感じたことから、小学校と相談の場を持つために就学相談を申し込むことに決めたのです…。Upload By ウチノコわが家の就学相談スケジュール私の住んでいる市町村区では就学相談は年長になった4月より受付開始というシステムでした。早々に受けるつもりでいたので、年中の冬には主治医に希望を伝え、就学相談に備えて2月、3月に発達検査を受けました。(過去の発達検査は本人の検査拒否で参考値しかなかったので)4月早々に就学相談を申し込んで、その後の流れはこのような説明を受けました。Upload By ウチノコ就学相談担当者との面談を通して最初に就学相談担当者から様々な聞き取りをしてもらいました。むっくんも面談し、簡単な特性を見るテストのようなものを受けました。主治医に通常学級で良いと言われていたことから、特別支援学級を希望できるかわからなかったのですが、むっくんは希望すれば自閉症・情緒特別支援学級を選べるということで、選択肢が広がりホッとしました。その後も更に2、3回面談を行い、小学校の通常学級や特別支援学級のシステム(先生の人数、1クラスの人数、授業、活動内容)について説明を受け、質問にもわかる範囲で答えていただきました。担当者との相談を通して、私自身が不安に感じていることも見えるようになりました。小学校に通うのは子どもですが、何か起こった時は小学校と親の連携が大切になってきます。頑張るのは子どもだけではありませんので「子どもにとって」だけではなく、「私にとって」を考えることもまた、大切だと感じました。Upload By ウチノコ私なりに考えたむっくんに用意したい環境面談のおかげで「むっくんと私にとって理想的な環境」をイメージすることができました。・通常学級よりも人数の少ない自閉症・情緒特別支援学級の方がむっくんに合っていると思う・私自身も先生としっかりと連携してむっくんの小学校生活を支えたいと考えている(積極的に相談していきたい)・むっくんのコンディションが悪い時の避難先(クールダウンスペース)を用意しておきたい・通常学級には同じ園のお友達も多くいることからそちらとも繋がりは絶ちたくない・交流学級というシステムは素敵だが、集団生活が苦手なむっくんは必ずしも決まり通り行けるかわからない。その都度本人のコンディションを見て対応してほしい・むっくんは自分で決めたことはしっかりと頑張る人なので、しっかり対話した上で日々のことを決めて欲しいということでした。細かい支援方法は小学校によって異なる為、願ったからと言って叶えられるものではありません。だけど小学校訪問前にある程度自分の気持ちをまとめたことは、今思えば訪問時に何を確認し何を質問するかを明確にでき、当日を有意義に過ごすことに繋がりました。面談後、担当者の方は保育園を訪問し集団でのむっくんの様子の確認や担任の先生への聞き取り、小学校からも園にむっくんを見に来てもらったりと準備を進めていただきその年の11月、私たちは小学校訪問に臨みました。Upload By ウチノコ
2020年03月10日お気に入りの水槽の前で2時間動かない息子Upload By taekoUpload By taeko今6歳の長男ミミ。3歳10か月頃に自治体の療育センターで精神科医の先生と面談をした際に、口頭で「アスペルガーですね」と言われました。そんなミミが2歳の頃、休みといえば朝から水族館に行っていました。お気に入りの水槽の前から2時間も動かないミミを見ながら、こんなものかな~と漠然と思っていたこの頃、保育園から療育を勧められました。初めて聞いた「療育」…!すぐにパパに話してみると、「個性だから心配ない、考えすぎだ」と一言。相談するのを諦めて、私なりにネットで調べたり本を読みましたが混乱するばかり。混乱しながらも、息子との生活を楽しもうとする毎日Upload By taekoUpload By taekoUpload By taekoひとまず保育園の先生を信じて療育に通わせることにしたものの、「これはどんな意味があるんだろう」「こんなことも出来ないのか...」とモヤモヤしていた私。ミミは、療育で集中力が切れてくると「やらない」「やりたくない」と言いながらも、先生が課題のハードルを下げて少しでも出来たら褒めてくれることもあり、頑張って取り組んでいました。そんなミミを見ながら私も気持ちを切り替えて、家で楽しみながらミミのために出来る事をしたいと思い、ダンボールを切り抜いて魚を作ったり、好きな魚の絵をTシャツに描いたりしました。すると、ミミは大喜び。毎日保育園に着て行くほどTシャツを気に入ってくれたので、結局12着描きました。園でも先生やお友達に自慢していたようで、コミュニケーションの形成に役立ったかもしれません。4月から小学生、通級もスタートUpload By taeko4月からミミも小学生。通常学級に在籍しながら、週に2時間、通級で特性に合った指導を受けることになりました。私も初めてのことばかり。一緒に成長していきたいと思います!
2020年02月12日「ASD知覚体験ワークショップ」を通して、それぞれの場で実践できることを考えるLITALICOが東京大学の研究者らとともに取り組む「CREST認知ミラーリングプロジェクト」では、研究内容をより多くの人へ周知し、当事者の生きやすい環境づくりに役立てたいと、「ASD知覚体験ワークショップ」を実施しています。自閉スペクトラム症(ASD)者の非定型な知覚を疑似体験し、当事者への理解を深めるこのワークショップでは、東京大学ニューロインテリジェンス国際研究機構特任教授・長井志江先生による講義やVRを用いてASDのある人の非定型な視覚を疑似体験します。ASDのある人の非定型な知覚を知識として理解するだけでなく体感し、さらに日常の支援を振り返りながら職員同士でディスカッションをし、実際の支援の場でどう生かすかまでを考えます。宮川医療少年院での開催の背景三重県にある宮川医療少年院には、現在、中学生から21歳までの男子、約50名が入院しています。少年たちには、中度から軽度の知的障害や、発達障害、情緒面での課題があります。少年院は、家庭裁判所から保護処分として送致された少年に対し、その健全な育成を図ることを目的として矯正教育や社会復帰支援等を行う施設です。各少年院には、矯正教育の重点的な内容と標準的な教育期間を定めた矯正教育課程が設けられています。その上で、入院してくる少年一人ひとりの特性及び教育上の必要性に応じて、個人別矯正教育計画を作成し、きめ細かい教育を実施しています。国内には、現在、本院・分院あわせて49庁の少年院がありますが、「医療少年院」と名が付くのは、「京都医療少年院」と「宮川医療少年院」の2庁のみです。また、医療を専門に行う少年院と、障害に配慮した矯正教育を行う少年院の両者の機能を有する少年院としては、「東日本少年矯正医療・教育センター」があります。宮川医療少年院は、現在、医療を専門に行う少年院ではありませんが、障害に配慮した矯正教育を担っています。宮川医療少年院では、日中、教科学習から職業指導、施設を出た後の就労などにも役立てるような資格取得に向けた取り組みを行っており、特別支援学校のような教育が行われています。授業外でも、共同生活のなかでさまざまな生活指導がされています。今回のワークショップでは、1日目にはまず日々の教育指導・寮生活の中でのさまざまな生活指導に取り組む職員の皆さんが、ワークショップを通してより少年たちの特性理解をすすめ、支援をより深化させる機会として実施することとなりました。Upload By 発達ナビ編集部職員向けのワークショップには、約50名の職員ほぼすべてが参加しました。2日目は少年たちに向けて、発達障害や特有の感覚についての授業を行い、14歳~21歳までの少年たち41名が参加しました。職員対象ワークショップで、VRを通して特有の知覚を知るUpload By 発達ナビ編集部ワークショップではまず、ASDがある人に多い視覚の特性や、感覚過敏についての講義と、講義で紹介した特有の知覚について、VRを使って疑似体験をしました。今回紹介したのは、ASDがある人の中でも多くの人に共通する3つの視覚の特徴です。視覚過敏がある人は瞳孔の調整に時間がかかったり、調整がうまくできなかったりすることがあり、明るいところでの「まぶしく、真っ白になって見える」状況が、長く強く続く。人間の瞳は周辺視野に相当する網膜では色を知覚していないが、中心視野で知覚した情報を脳の中で統合することで、視野全体に色がついているように認識している。視覚過敏がある人は、速い動きのものを見たときなどにこの処理が難しくなると考えられ、今までカラーで見えていた世界が急にモノクロに変わったりすることがある。うるさくたくさんの人がいるなど動きが多くある場所だと、視覚に砂嵐のようなノイズが重なって見えることがある。そのため、周りの人の顔などもよく見えない、落ち着かないといった状況になりがちである。参考:「自閉スペクトラム症の人が見ている世界」の疑似体験で、行動の意味や困難さを理解する取り組みとは?こうした感覚について、科学的な根拠を頭で理解し、またVRで体感するという両面からのアプローチを行いました。Upload By 発達ナビ編集部講義を受け、疑似体験をした職員は、それぞれ実際の指導の場面や少年たちの感覚の過敏さなどについて具体的な事例に絡め、考えを深めていきました。グループに分かれてのディスカッションでは、支援の中でどのような配慮ができるのかなど、一人ひとりの特性を思い浮かべながら話し合いが行われていました。Upload By 発達ナビ編集部Upload By 発達ナビ編集部その中で、職員の皆さんから長井先生へ、さまざまな質問が寄せられました。その一部を次に紹介します。Q.(自分は大きな声を出すのに)他の人の声は嫌と言う場合がある。なぜでしょうか?A.自分の声は予測できますが、他人の声は予測できません。ASDがある人にとって、予測ができないものは不安を感じやすいので、周りの声や物音が我慢できないとき、自分が大声で叫ぶことで相対的にまわりの音を小さく、予測しやすい自分の声だけが聞こえるようにしているのかもしれません。Q.過敏さは本人の心構えではどうにもならないのでしょうか?A.何度も経験をして慣れることで、周囲の環境が予測できるようになり、自分なりの対処法が分かってくることもありますが、外的な刺激は基本的に予測することは難しいので、心構えだけでは対応できないこともあるでしょう。ノイズキャンセリングのヘッドフォンやサングラス、蛍光灯ではなくLED照明にするなど環境を整えてあげることも大切です。Q.感情のたかぶりは、知覚の過敏さに影響するのですか?A.科学的データとしては取っていませんが、当事者へのヒアリング等から、疲れたときなどは過敏さが増すと考えられます。また、脳が興奮しているとき、脳の活動がたかまっているときには過敏症状も起こりやすいのではないかと考えています。Q.自閉傾向が強かったり、知的障害が重いほど感覚過敏も強いのでしょうか?A.自閉傾向と感覚過敏の大きさの相関関係は見つけられていません。視覚過敏・聴覚過敏は個人差が大きく、自閉傾向がない人であっても過敏性がある場合もあります。見え方とIQの相関関係は現在のところ分かっていません。Q.自閉症(ASD)がある人は瞳孔の開閉スピードが遅いということだったが、時間をかければ最終的に瞳孔の開き具合は通常の範囲になるのですか。A.調整に時間がかかるだけでなく、通常10-5の範囲での絞りが可能だとした場合、10-8までしか調整ができないという人もいます。調整能力が弱い人の場合、いつまでも眩しく感じることはありえます。Q.少年たちの中には「ものが歪んで見える」という者もいます。先生の実験の中に、歪んで見えるという例はありませんでしたか?A.私たちの実験ではありませんでしたが、統合失調症に関する他の研究で、実際に存在しないものが見えるという発表もあります。脳は、環境から入ってくる信号を単純に受け入れるだけでなく予測して見ていますが、この予測がものすごく強くなってしまうと幻覚のようなものが生じます。エッジがとても強調されて見えるという場合があることを考え合わせると、歪んだ見え方がおこる可能性もあるのではないかと考えています。3時間以上に及ぶワークショップを終え、職員の皆さんが支援にどう生かしていけると考えたのか、インタビューをしました。Upload By 発達ナビ編集部編集部(以下、――)どのような職務で、どのような支援をしていますか?永井:少年の日常生活指導、改善・更生の指導をしています。寮舎担任として、15人くらいの少年をみています。――今回のワークショップに参加して、どのような支援につながると感じましたか?生活面では、少年同士でのトラブルも多々起こりますが、中でも生活音にまつわるトラブルがよくあると感じています。音がうるさくてつらい、でも知的障害なども影響し、その原因と対処法をまわりに伝えることができないので「イライラする」という言葉でしか表現できない少年もいます。今回のワークショップを受けて、少年たちの言葉をそのままに受け取るのではなく、その裏にある「イライラする」の原因を想像しないといけないと改めて感じました。――見え方についても課題や、どのような支援が可能だと思ったか、教えてください。音であれば周りの人も理解しやすい面もあるけれど、光や見え方でのつらさはまわりも理解しづらい面もあります。見え方の違いも個人差があると思うので、どういう風に見えているのかといったことも丁寧に確認をしないといけないと思いました。ただ、少年同士となると、(物音を立てると相手がつらいということはある程度理解できるかもしれないが)「見え方にもそれぞれ違いがある、こういう環境がつらいとおもう人もいる」ということを理解させるのは難しそうだなという思いもあります。Upload By 発達ナビ編集部――どのような職務で、どのような支援をしていますか?退院後の居場所の確保や帰住先の確保などを行っています。少年たちと個別面談を行う機会も多くあります。――今回のワークショップに参加して、どのような支援につながると感じましたか?面談などをすることが多いのですが、大切な話をしていても、物音などの刺激で集中できない様子が見られることが多くあります。聴覚の過敏さや、聞き取りにくさから集中できていないのかもしれないと分かったので、面談する部屋の環境調整等、できる限り配慮したいです。見え方、聞こえ方は、どうしても「このくらい聞こえるだろう、見えるだろう」という風に自分基準になりがちですが、少年たちの特性を踏まえて対応していきたいと思いました。VR体験では、感覚の過敏さがあると、外出するのも、対人関係の形成も、しんどそうだということを体感しました。Upload By 発達ナビ編集部――どのような職務で、どのような支援をしていますか?入院してすぐの環境面の支援、退院後の帰住先の確保、保護者との調整等を行っています。――今回のワークショップに参加して、どのような支援につながると感じましたか?指導の中で、「なぜダメなのか、なぜそれをしてはいけないのか」を常に伝えていますが、こちらから伝えてもなかなか本人の意識を変えることが難しいと感じています。ワークを受けて、少年たちにこうしたことを伝える際に、本人たちがその言葉を受け止められるような伝え方も大事なのだと思いました。例えば、自分は大声で叱っているつもりはなくても、少年たちは叱られていると感じてしまうかもしれず、そうすると心を閉ざして言うことを聞きたくなくなるかもしれない――今後は、照明や声量などにも気をつけて、怖そうに見えていないか少年たちの気持ちをより想像しながら支援していきたいなと思いました。少年たちへの授業では「自己理解」をすすめてUpload By 発達ナビ編集部2日目のワークショップでは、約1時間かけて少年たち向けの授業を行いました。一部の生徒には、VRも体験してもらいました。授業では、・発達障害と感覚過敏についての基礎的な講義・ASDがある人の視覚や当事者による日常生活での困難と対処法に関する映像の視聴・自分自身の感覚や対処法に関するワークなどを行いました。少年たちも積極的に発言を行い、自分自身の感覚を改めて考え、なぜ辛さがあるのかなどの原因を考える機会となりました。Upload By 発達ナビ編集部授業のあと、少年たちは学んだことをそれぞれ言葉にして整理をしました。そこで書かれた内容の一部を紹介します。自分の感覚が理解されにくい、特異であることに気づき、困難さを抱えていた生徒たちは、感覚の過敏さの原因や、どのように対処している人がいるのかについて具体的に知ることで、気持ちが軽くなったり、自分なりの対処方法を見出したいと感じたようです。「いつも自分だけの考えだけだったので、いろいろな人がいるのだということを知りました。こういうことを教えてくれる人は今まであまりあったことがないので、すごくうれしかった反面、すごく悔しかったり悲しかったりしました。自分もそうなのですが、周りの音がうるさくてわずらわしいと思ったりしていましたが、自分だけがこんなことになってしまっているわけではないと知って正直うれしかったです。(中略)自分よりももっとひどい状況の中でしっかり対処をさがしてそれを実行している姿を見て、自分もがんばって色々なことをしなければいけないということを教えてもらったと思います」「ASDを僕も持っているのですが、聴覚が少し鋭くて、他の人が気づかない音が気になったり、そのせいで人の話に集中できないことで悩んでいたけど、僕よりも困っている方がいるんだと知れて、少し気持ちが楽になった。将来、VRのように視覚に信号を入れるのではなく、脳に直接信号を入れたり、脳に入ってくる信号を経験したりする機械というかアイテムみたいなものができればいいなと思ったし、そのようなものを作る仕事をしてみたいと思いました」感覚の過敏さがない生徒たちは、共同生活する仲間をはじめ、社会の中にはさまざまな感じ方をする人がいるのだということを認識し、どのように配慮すればいいのかを考えるきっかけになったようです。「自分の感覚とちがうのでいろいろ見て聴いてびっくりしました。(中略)自分でも考えられないような行動をする人たちがどのような気持ちで生活をしているかちょっとは学べたので、そういう人がいたら手助けできるようがんばります」「ああいう人からしたら、暴走族とか、もっとうるさく聞こえたりすると考えると、少しためらってしまいます」人はそれぞれ違うということを改めて理解し、自分自身も、周りの人も、それぞれ尊重すべき存在であることに気づく姿もありました。「(略)一人ひとり一緒ではない。自分にしかない世界を守りたい。大切にしたい。VRをしてみてパニックになることは悪いことじゃないと思いました。これからもっと理解される世の中になってほしいです」少年たちそれぞれが抱える生きにくさを改めて整理し、考えるきっかけともなったワークショップでした。CREST認知ミラーリングプロジェクトを通して、社会の理解を深めていく今回は、医療少年院という施設で、日々少年たちと向き合う職員の皆さんが、特性への理解を深め、より少年たちに寄り添う指導・支援のきっかけとなるワークショップを行いました。職員の皆さんからは、「どのような感覚のつらさがあるのかを体感できた」「声のかけ方や部屋の環境調整などに配慮したい」「ASDの有無にかかわらず、一人ひとりの個性にもっとフォーカスし、理解し、寄り添うようにする」といった声がたくさん上げられました。また、少年たちに向けては、発達障害や感覚の過敏さについての基礎的な知識と、自分自身をみつめるワークを行うことで、少年たちがそれぞれの特性を改めてみつめ、自分なりの対処方法をみつける時間となりました。知的障害や発達障害などのために、どうしてそのように感じるのか、どうしてこうした行動をとるのかを説明することが難しい少年も多くいます。生活のさまざまな場面、面談や授業の教室の環境――少しの配慮、環境調整によって生きづらさが軽減し、より支援が生きていきます。また、少年たち自身も自分なりの対処方法を身につけることで、社会の中でより生きやすくなるでしょう。CREST認知ミラーリングプロジェクトでは、今後も、学校や施設、企業などでワークショップを行っていきます。その様子を今後も報告していきますので、楽しみにしていてくださいね。
2019年12月27日知的な遅れのあるASDのある人を支援したい人へ――WEB講座をひらきます私が院長をつとめるよこはま発達クリニックでは、2020年にいくつかの講座を行います。どれも、自閉症がある人の支援の質をよりよくしていくために生かしていただきたいという思いでひらきます。今日はその内容について、ご紹介したいと思います。自閉症スペクトラムは、40年ほど前に、ローナ・ウイングとジュディス・グールドがイギリスのある地域の子どもたちを調査研究した結果から提唱された概念です。最近では、自閉症スペクトラムの概念が社会の中に広がり、正常知能域(高機能)や成人、女性の自閉症スペクトラムに注目が集まっています。年齢や性別、知的な水準によってさまざまな現れ方をする自閉症スペクトラムの支援目標や支援の実際は、多岐に渡ります。そのような中で、知的な遅れの明らかな自閉症の人たちが感じている世界を知り、彼らの困難を理解することは、わたしたちが、自閉症スペクトラムを理解し支援を考えるための基本となると考えています。そこで、知的な遅れのある自閉症スペクトラムの人たちを理解するための基本および支援の原則について、わたしたちが日頃大切にしている考えを連続講座としてまとめました。これから受講が可能な講座は、次の3つです。◇知っておきたい福祉制度や親亡き後のこと/佐々木康栄(2020年1月17日~24日開講)◇問題行動に対する対応の原則/内山登紀夫(2020年2月14日~21日開講)◇知っておくべき医学的問題~てんかん、カタトニア、薬物療法~/蜂矢百合子(2020年3月6日~13日開講)自閉症スペクトラムの人々を理解するためのエッセンシャルー本質と基本を考えるための講座です。2020年春のセミナー「自閉症スペクトラムの理解と支援」を開催私たちは、毎年夏に一般の方に向けたASDに関するセミナーを行っています。1997年に当時としては珍しい発達障害を専門にする「仲町台発達障害診療所」を立ち上げ、2000年に現在のよこはま発達クリニックに改称し、以来20年以上にわたってASD(自閉症スペクトラム)を中心に発達障害の医療と支援を行ってきました。クリニックを受診される方々を支援するときに常に大事にしてきたのは「ASD(自閉症スペクトラム)でok」、「親子で穏やかな生活を目指す」、「家族と協力して子どもを支援する」、「一人ひとりの特性や興味・関心に合わせた無理のない設定をする」、「環境を整える」ということ。そのためには、より多くの人たちの理解が必要となります。ですから、診療所開設からこれまでの間、私たちは毎年「夏のセミナー」を続けてきました。2020年は、夏にオリンピック・パラリンピックが開催される関係で時期を少しずらし、春に「自閉症スペクトラムの理解と支援」セミナーを開催する運びとなりました。私、内山をはじめ、よこはま発達クリニックに所属する6人の医師や専門家がお話をします。春のセミナーのテーマは次の3つです。◇基本特性の理解と評価/蜂矢百合子・北沢香織◇支援の原則と実際構造化/佐々木康栄・飯塚直美◇問題行動とそれへの対応/宇野洋太・内山登紀夫この3つに焦点をあて、具体的な支援の方法についてもご紹介する予定です。ぜひお越しください。日時:2020年3月20日(金)~22日(日)場所:大正大学(東京都豊島区)費用:各日11,000円(税込)定員:150名(先着順)よこはま発達クリニック
2019年12月21日「お手伝い」は家事の全体像が見えづらい?わが家流の教え方は...子どもはお手伝いから家事の基本を学び、自らの生活に役立てていく...と、かつて聞いたことがありました。そこで私も、自分の子どもたちにはぜひお手伝いする子になってほしいと思っていました。ええ...思っていました...。しかし、我が家のでこぼこ兄妹は、調子のいいときは切れ目なく自分の楽しい活動に熱中しており、不調のときはお手伝いどころではないので、なかなかそのタイミングをつかむのが難しかったのです。Upload By 寺島ヒロUpload By 寺島ヒロUpload By 寺島ヒロUpload By 寺島ヒロお手伝いをしてもらいつつ教えることができれば、作業もはかどるし効率的ではあるのですが、作業の一部を分担しても、自分が何をやっているのか、最終的にどうなったのかが分かりにくいようなのです。そのため、手が足りていない部分を”お手伝い”としてやってもらうというのは諦め、「やりたい!」とやってきたときには一つの仕事を最初から最後まで通してやってもらうことにしました。最終的には家事をできるようになってほしいのであって、お手伝いのうまい子になってほしいわけではないからです。効率はとても悪いですが、なんとか2人とも中学生になるころには、簡単な料理と後片付け、そしてお使いぐらいは出来るようになりました。「今やるべき家事」に気づけない凸凹きょうだいには...家事を「見える化」!現在、お兄ちゃんのタケルは19歳、妹いっちゃんは12歳です。2人とも作業自体は難なくこなすようになり、言えばやってくれるのですが、気づいて、先をみて行動することは難しく、家事ができるというレベルには至りません。ゴミ箱にゴミがいっぱいになっても捨てようとは思わないし、今から出かけるがお昼には帰るからご飯を炊いておこう...みたいなそういう見通しを持った自発的な行動が難しいのです。そこで...Upload By 寺島ヒロUpload By 寺島ヒロUpload By 寺島ヒロよくホームセンターなどで売っている壁掛けポケットに、今やってほしいちょっとした作業のメモ書きとお金を一緒に入れておくことにしました。そうしたら、2人とも家事をちょいちょいやってくれるようになりました!家事をする気はなくもないけど、今どんな仕事が発生しているか分からなかったのが、こうしてクエストにすることで「見える化」でき、とりかかれるようになったようです。中に入れているお金は本当に小銭(10~100円ぐらい)なのですが、「そんなに入ってなくてもいいねん。ログインボーナスみたいなものだから!」と喜んでくれます。お金が目的ではないが何もないと寂しい...ということみたいです。先日、「カバンの手入れをする」というクエストをこなした後、いっちゃんが「今まで何度も土の上にカバン置いちゃダメって言われてもピンとこなかったけど、何でダメなのか分かった!汚れるからだね!」と言っていました。そのうちクエストごっこにも飽きてしまうのかもしれませんが、やめても何かいいものが残りそうな気がします。
2019年12月17日自閉症に特徴的な3つの症状自閉症とは、現在は自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD)と呼ばれることが多い、先天的な発達障害の一つで、社会性と対人関係の障害、コミュニケーションや言葉の発達の遅れ、行動や興味の偏りの3つの症状が発達段階で現れるといわれています。今回のコラムでは、この3つの症状について具体的にみていきましょう。出典 : 社会性・対人関係の障害自閉症のある人は、対人関係を築くことが苦手な場合が多いです。社会性・対人関係の障害として具体的な特徴は、・視線を合わせることができない・周囲に関心がないように見える・相手の気持ちが分からない・その場の空気が読めないなどが挙げられます。自閉症のある人は、会話をしているとき等でも目を合わせることが苦手な場合が多くあります。無理に視線を合わせようとすると落ち着きがなくなったり、パニックになってしまうこともあります。このような症状から、対人関係が苦手だと受け止められてしまいます。コミュニケーションや言葉の発達の遅れ自閉症があると、コミュニケーションや言葉の発達が遅れる傾向があります。具体的な特徴としては、・言葉を話すのが他の子どもと比べて遅い・人の話したことをオウム返しする・抽象的な言葉・比喩や皮肉の意味を理解できない・呼んでも反応しない・自分の話したいことだけ一方的に話すなどが挙げられます。自閉症がある人は、言葉を話し始めるのが遅く、言葉の意味を理解するのが困難な場合もあります。言葉を話し始めても、意味のある言葉で会話をするのではなく、誰かの言葉をオウム返しし続ける場合も少なくありません。相手に自分の気持ちがうまく伝わらず、暴れてしまうこともありますが、適切に対応をしていれば成長と共に落ち着いてきます。行動と興味の偏り自閉症のある人は、ある一定の行動をとる傾向があります。行動と興味の偏りについての具体的な特徴としては、・落ち着きがなく、手を動かしたり、部屋の中を行ったり来たりする・毎日決まった行動をし、予定外の行動は取れない・1つのものに執着する・自分の興味があるものに対して、とても執着する・予定外のできごと・初めての人/場所/活動などに抵抗を示すなどが挙げられます。自閉症のある人は、自分の興味のあることに対してとことん熱中する傾向があります。そのため、自分の興味のある物事をとことん調べ、誰も教えていないのに専門家顔負けの知識を持っている人も珍しくありません。自閉症をもっと詳しく知るリンク集「もしかして自閉症?」お子さんの発達等について、気になる症状があるときには、次のコラムが参考になります。自閉症の症状は、お子さんの年齢・発達によって目立つ症状が変わってきます。年齢別の症状について詳しくは次のコラムでご紹介しています。その他にも、自閉症に関連するコラムを出しています。ぜひ参考にしてみてください。
2019年10月28日年齢別に見た自閉症の症状の現れ方とは?出典 : 自閉症(自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD))は、先天的な発達障害の一つです。社会性と対人関係の障害、コミュニケーションや言葉の発達の遅れ、行動や興味の偏りの3つの特徴が発達段階で現れると言われていますが、その症状は成長とともに変化していきます。自閉症の症状は人によって個人差が大きいのですが、大まかな年代別の症状を紹介します。なお、これらの症状は、すべてがあてはまるわけではなく、現れ方は人によって異なります。幼児期(0歳~小学校就学前)自閉症は発達障害の一つですが、発達障害は、言語・認知・学習といった発達領域が未発達の乳児の場合、症状が分かりにくいことがあります。ですから、生後すぐに自閉症の診断がでることはありません。しかし、幼児期全体を通してみると、特徴的な行動をとっていたことが多いと言われています。以下にそれらの症状を紹介します。自閉症がある場合、視線を合わせようとしないことが多くあります。また他の子どもに興味をもたなかったり、名前を呼んでも振り返らないといった場面も目立ちます。定型発達の子が興味をあるものを指でさして示すのに対し、自閉症の子は指さしをせず興味を伝えない傾向があります。知的障害を伴う自閉症のある幼児は、言葉の遅れや、オウム返しなどの特徴がみられます。会話においては、一方的に言いたいことだけを言ってしまったり、質問に対してうまく答えられないなどの特徴があります。定型発達の子どもが友達とのごっこ遊びを好むのに対し、自閉症の子は集団での遊びにあまり興味を示さないことも多くあります。興味をもつことに対して、同じ質問を何度もする子どもも多くいます。また、日常生活においてさまざまなこだわりをもっていることが多く、ものごとの手順が変わると混乱してしまうこともあります。児童期(小学校就学~卒業)年齢相応の友人関係がもてない場合があります。周囲の状況にかかわらず、自分が好きなことを好きなようにしてしまう傾向があります。人と関わるときは何かしてほしいことがあるときなだけのことが多く、基本的に1人遊びを好みます。人の気持ちや意図を汲み取ることを苦手とする子どもも多くいます。きちんと決められたルールを好み、場面に応じて臨機応変に対応することが苦手な傾向にあります。言葉をうまく扱うことが難しく、単語を覚えても意味を理解できない場合があります。また、自分の気持ちや他人の気持ちを言葉にしたり、想像したりすることも苦手です。そのため説明がうまくできないことがあります。思春期~成人期(小学校卒業~)出典 : 抑揚がない、不自然な話し方が目立つ場合があります。コミュニケーション能力が乏しく、人が何を考えているのかなどを想像するのも苦手な傾向にあると言われています。目的のない会話をするのを難しく感じる人が多いです。自閉症の人は物事に強いこだわりをもっています。そのため、興味のあることにとことん没頭することが多いですし、その分野で大きな成果をあげられることもあります。自閉症についてもっと詳しく知るリンク集「もしかして自閉症?」お子さんの発達等について、気になる症状があるときには、次のコラムが参考になります。自閉症がある人には、「社会性と対人関係の障害」「コミュニケーションや言葉の発達の遅れ」「行動や興味の偏り」の3つの症状が発達段階で現れます。具体的にどんな言動として現れるのかについては、次のコラムが参考になります。その他にも、自閉症に関連するコラムを出しています。ぜひ参考にしてみてください。
2019年10月28日小学校の先生に自閉スペクトラム症の疑似体験ができるワークショップを実施!Upload By LITALICO研究所「CREST認知ミラーリングプロジェクト」では、VRを用いて自閉スペクトラム症(ASD)のある人の非定型な視覚を疑似体験するワークショップを実施してきました。その中で、発達障害の子どもをもつ保護者の方から、「ぜひ学校の先生に体験してほしい」という声を多くいただきました。学校では、多様な子どもたちへの教育的ニーズにどのように対応していくかが重要な課題の一つとなっています。2012年の文部科学省の調査で、小・中学校の通常の学級に在籍する生徒のうち、発達障害の可能性があり特別な教育的支援を必要とする児童生徒が6.5%いるとされました。40人のクラスに2~3人いる計算になります。多様な子どもたちが同じ場所で学ぶ小学校において、どのように子どもたちの教育的・生活的ニーズを理解し、応えていくことが可能なのでしょうか。そこで、視覚、聴覚、嗅覚などの感覚過敏・鈍麻への理解を手掛かりにして、小学校の先生たちと一緒に考えました。通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児 童生徒に関する調査結果について | 文部科学省講義やVR体験、そして活発なディスカッションが埼玉県戸田市は、県南部に位置する人口14万人の市で、荒川を境にして東京都に隣接しています。今回ワークショップを行った喜沢小学校は、戸田市の東部に位置する、児童数約370名、全14学級の小学校です。Upload By LITALICO研究所ワークショップでは1.ASDのある人の非定型な知覚についての講義2.VRを用いたASDのある人の視覚世界の疑似体験3.当事者が語る映像の視聴4.感想やアプローチを議論するワークを行いました。講義では、ASDのある人がどのように世界を見ているのか、なぜASDのある人には知覚の過敏や鈍麻が起こりやすいのかといったASDの非定型な知覚の背景にあるメカニズムについて学びました。VR体験では、まぶしい場所やにぎやかな場所でどのように見えているのか、実際に学校の教室がどのように見えるのかを疑似体験しました。ワークでは、実際に小学校に在籍している児童の事例をもとに議論を行いました。子どもたちの行動を表層的に捉えるのではなく、目に見えている行動の背景にどのような要因があるか、そしてそれらの要因に対してどのようなアプローチが可能かを、先生たちと、発達が気になるお子さまの支援を行っているLITALICOジュニアのスタッフで一緒に考えていきました。例えば、「ノートのマス目に合わせて文字を書くことに困難さがある」児童の背景にはどのような特性的要因や、物的・人的環境要因があるかを思いつくかぎりたくさん挙げていきます。Upload By LITALICO研究所先生方は、講義やVR体験を通して感じたこと、思ったことをもとにたくさんの背景要因を挙げ、活発な議論をしていました。さらに、VRで体験した視覚だけでなく、聴覚や固有受容覚などその他の知覚的要因も含めて考えていました。印象的だったのは、形を整えて文字を書くことが苦手な児童の事例に関して、ある先生が「もはや鉛筆とノートで授業を受けるという前提を問い直さなければいけないのではないか」と言っていたことです。学校では、皆が同じものを使って、同じ教科を同じペースで学びます。このような学校の「当たり前」に疑問を持ち、本来多様である子どもたちが、学びやすく過ごしやすい環境についてさまざまなアイディアを出し合っている先生たちは、とても楽しそうで生き生きとしていました。多様な子どもたちに対してどのような手だてを行っていけばいいかということは、それぞれの教室によって、子どもによって異なるため、一律の答えやハウツーを出すことはできません。しかし、子どもたちの行動や発言の背景要因を探り、手立て・アプローチの「引き出し」を増やしていくことで、子どもたちが学びやすく過ごしやすい学校環境につながります。参加した先生方に感想を伺いましたワークショップに参加された先生2名に感想を伺いました。1人目は福田先生です。Upload By LITALICO研究所―― ワークショップに参加されていかがでしたか?福田先生:以前クラスにASDのある生徒がいたのですが、今日の内容をもっと早く勉強していたらその子への対応が変わっていたと思い、すごく反省しています…。保護者の方から「感覚過敏がある」と聞いていて、知識としては理解していたのですが、VR体験をするまで、ピンときていなかったなと思いました。やはり、経験してみないと分からないですね。先にVR体験をしていたら、座席配置を工夫するなど、もっと別のアプローチが可能だったと思います。今日の研修で、できることの引き出しが広がりました。ありがとうございました。2人目は横地先生です。Upload By LITALICO研究所―― ワークショップに参加されていかがでしたか?横地先生:クラスに、聴覚過敏があり、小さな音でもすぐにびっくりする子が在籍していたことがあります。その子が音に驚くと、他の子どもたちも反応して、クラス全体が騒がしくなってしまいます。今日の研修で、聴覚過敏のある子には、同じ音でも、他の人よりも大きく聞こえているかもしれないということが分かりました。これまでは(驚いて騒いでしまう子や、それに反応して騒がしくなるクラス全体に対しても)静かにさせる方向で指導していましたが、なぜその子が驚くのか理解できたので、少し待ってみる、そもそも音が出にくいように教室の環境を工夫するなど、今後は別のアプローチも試してみようと思いました。他の先生方からも、「同じものを同じ場で同じように提供したとしても、人によって見え方、感じ方が異なってくることを頭に入れながら、今後の授業に生かしていきたいと思います」「子どもの困難さの要因は、考え方次第ではたくさんあり、自分の考え方が少し広がったように感じます」などの感想をいただきました。今回のワークショップでは、同じ学校の先生同士で、実際に明日から学校でできる手立てを議論することができました。とても有意義な時間になったように思います。目指す学校像とは?校長先生に聞きました喜沢小学校校長の手塚浩先生に、ワークショップを実施しようと思った動機や感想、目指す学校の在り方などを伺いました。Upload By LITALICO研究所―― どうして研修を実施しようと思われたのですか?校長先生:学校には障害のある子だけでなく、外国籍児童など本当に多様な子どもがいます。一人ひとり価値観も育った背景も違う、多様な子どもたちがいるなかで、学校教育がその子たち一人ひとりにあった十分な支援や指導ができているのかというと正直難しいというのが現状です。さらに通常学級は30人、40人いますから、どうしても個人を集団に適応させようとしてしまいがちです。そこで、研修を通して先生たちに、障害が個と周囲の環境との間にあるということを学び、子どもたちに対するさまざまなアプローチを知ってほしいと考え、研修をお願いしました。―― 研修はいかがでしたか?校長先生:先生たちは、人によって見え方に違いがあることをVRで体験して、新鮮な驚きがあったと思います。そして、当事者の方はこれだけの生きづらさや苦労があることを知り、ではどうやって支援していけばいいのだろうかということに関して新しい気づきがあったのではないでしょうか。―― 今後もこのような研修を続けるご予定でしょうか?校長先生:今後も続けて研修を行っていきたいです。特別に支援を要する子たちへの支援は一人ひとりそれぞれ違うので終わりがありません。そしてその分できることも無限にあり、今後もさまざまな研修をして多様な子どもたちに少しでも対応できるような教育をしていかなければいけないと思っています。―― 手塚先生が目指す学校とは、どのような学校でしょうか?校長先生:本校では、障害のあるなしや国籍は関係なく、どの子も実社会につながる学びを進めています。学校のなかには通常学級や特別支援学級といった多様な学びの場がありますが、将来的には全ての子が社会の中で生きていかなければなりません。そこにつながる学びを学校教育として行っていく必要があると思っています。そのためにはまず、全ての子が楽しいと思える居場所と必要な学びへのアクセスを保障していかなければいけません。やらなければならないことはまだまだたくさんあると思っています。戸田市全体で行っていることですが、STEAM教育、PBL(プロジェクト型学習)、協働的な学びなど、これからの時代を生きる子どもたちに必要な新しい学びも取り入れていきます。今後も全ての子どもを伸ばす、全ての子どもの良さを伸ばす学校を目指していきたいと思います。「CREST 認知ミラーリングプロジェクト」のこれから今回は、学術研究の知見を小学校という教育現場で共有するとともに、先生たちが子どもたちの行動の背景要因を理解し、対応するための選択肢の幅を広げる取り組みとして、戸田市立喜沢小学校の先生方に向けて行った、ASDのある人の知覚を学ぶワークショップについてレポートしました。ASDのある人の「非定型な知覚」を理解すると聞くと、障害が個人にのみ起因しているように感じるかもしれません。しかし、周囲の環境が変わることで、当事者が感じる困難さを軽減することができます。例えば、脳に入ってくる情報の取捨選択が難しいことで、見え方にノイズが起き、授業に集中できなくなってしまう場合。教室の掲示物を減らしたり、仕切りを使用したり、イヤーマフの使用を許可したりすることで、これまでよりも学びやすくなったり、生活しやすくなったりするかもしれません。「CREST 認知ミラーリングプロジェクト」では、今年度、学校、少年院、企業などでASD知覚体験ワークショップを行っています。その様子を今後も報告していきますので、楽しみにしていてください。撮影:鈴木 江実子
2019年10月08日「何が食べたい?」「ラーメン!」長男の希望通り車で向かったのですが日曜日の朝、我が家はだいたい長男の「ラーメン!ラーメン!」のリクエストで始まります。ラーメンが好きなのです。「今日はラーメンないよ」というと不満そうな顔をします。「今日は夜、ラーメン食べに行くよ」と言うとニコニコご機嫌。Upload By シュウママその日は朝から約束していたので、出かける際長男は嬉しそうに車に乗りました。お気に入りのラーメン屋さんへと家族で向かいます。ここじゃない!店内へ入る前に長男大パニック!車を走らせていると次男が「今日は、ラーメンだけじゃなくて、から揚げも食べたい!」と言い始めました。すると夫が「じゃあ、みんなが好きなものを食べられるように中華食べに行こうか」と言いました。車は某中華料理店へと方向転換します。その時点で長男は向かう方向がラーメン屋さんではなくなったことに気づいたのか、「あれ〜?あれ〜?」と不安そうな声を出し始めました。でも長男はその中華料理店も大好きです。なので、まあ、かまわないだろうと思い車はそのままお店に到着しました。すると...長男は駐車場で泣き叫んだのです。「ラーメンない!ラーメンない!」すさまじい荒れ方です。とてもお店に入れる状況ではありませんでした。Upload By シュウママ「ここにもラーメンあるよ」と伝えても、納得しません。ここで食事は無理だな...そう思ったので、結局その日は長男の希望していたラーメン屋さんへと向かいました。いつものラーメン屋さんに向かい始めると長男は落ち着きはじめ、到着後はさっき泣いていたのが嘘のように、嬉しそうにラーメンを食べたのです。何が長男の機嫌を損ねたのか...忘れていた特性帰ってきてから、夫と次男とで話し合いました。いったい何が長男の気に障ったのだろう。「シュウはあそこの中華料理店、好きだよね~」と次男は不思議そうに言いました。「やっぱり、ラーメンと約束したら、ラーメン屋じゃなきゃダメなんじゃない?」これは夫の意見。そして落ち着いた結論は、シュウの場合「ラーメンを食べに行く」=「お決まりのラーメン屋さんに行く」ことであって、「ラーメンを食べられればどこのお店でも良い」という訳ではないということ。私たちは某中華料理店でもラーメンは食べられるからいいのではと思いましたが、それではシュウの見通しやこだわりに添わなくなってしまうのでしょう。もしいつものラーメン屋さんでない場所に行くのであれば、「今日は、ラーメンを食べに行くけれど、お肉とかお魚とか、他のものもいろいろ食べたいから、○○(中華料理店の名前)に行くよ」と、理由をつけた事前の説明が不可欠なのでは?ということになりました。Upload By シュウママこの日以降、前もって理由もつけて予定を伝えておけば、長男が想定と違うことでパニックに陥ることはなくなりました。主治医に相談。長男との関わり方についてこういった本人のこだわりにどこまで付き合っていいのか、主治医の先生に質問したことがあります。すると先生は、「本人の想定と違ってパニックになりそうなときには、無理に状況を変えて、周りに合わせるよう促すよりも、周りが自閉症の特徴を理解してシュウくんの意思に添ってあげてください」という回答でした。「何よりも、お母さんが楽でしょ?」Upload By シュウママ確かに、出先でのパニックは本人も辛いし、家族も対応に困ってしまいます。「ときには周囲の状況に合わせなさい、空気を読みなさい」という一般的な子育ての必要はないという先生の言葉に肩の荷がおり、ほっとしました。先生とのお話以降、今わが家で実践しているのは、基本的にその日の予定、特に本人にとってイレギュラーなことは事前に説明し本人に納得してもらうこと、そしてそれでも出てくる想定しきれていなかったこだわりは、その場では無理に矯正せず本人が安心できるやり方に合わせることです。Upload By シュウママ障害のある子どもの育て方に一般論は当てはまらないことが多くあります。それぞれのご家庭で合ったやり方で安心できる環境をつくっていくとよいのかなと思いました。
2019年09月23日ジンベイザメを金魚と言っただけで『発達障害に生まれて』(松永正訓著/中央公論新社)ノンフィクションのモデルとなった立石美津子です。自閉症の息子は、特別支援学校高等部に通っていた頃、学校で制作したこのTシャツを持ち帰ってきました。Upload By 立石美津子私は赤い魚が描いてあったので、「可愛い金魚だね」と言いました。すると…「違う!ジンベイザメだ!違う!違う!」とスイッチが入りパニック!朝食にいつもは食パンなのに、ロールパンを出した。私が「お薬飲んで」を「お薬食べて」と言い間違えた。そんな些細なきっかけで、パニックや自傷は始まります。息子は家の床を蹴り、トイレのドアを思い切り「バーーーーン!」と閉めました。私は「そんなことすると家が壊れて、引っ越しすることになるよ!」と傷口に塩を塗るような言葉をぶつけてしまいました。その朝、息子は折れて黙って登校していきました。家で禁止された息子、外で自傷をその夜、腕に酷い噛み痕があることに気づきました。「この怪我どうしたの?」と聞いたら「登校中、噛んで自傷した」と答えました。その日の朝、私から「家が壊れるよ」「引っ越しすることになるよ」と脅されたので、おそらくものすごく自分の感情をコントロールして、それ以上パニックを起こさないよう、つとめていたのだと思います。でも、結局外で自傷していました。私だって悔しくて泣いているとき「泣くな!」と言われたら、気持ちの持っていき場がなくなり、かえって苦しくなります。泣くことで、少し気持ちも落ち着きます。自閉症のある子にとって、パニックはそれと同じように、自分の気持ちを落ち着かせるためにしているものなのかもしれません。でも、この日の朝、私に強く言われたことで息子は”気持ちの持っていき場”を奪われてしまい…私が見ていないところで自傷をしました。言葉でうまく気持ちを伝えられないとき赤ちゃんは、「お腹すいた」「オムツが汚れて気持ち悪い」「暑い」「寝たいのに寝られない」など、不快な状態を泣いて訴えます。そんなとき、「泣くんじゃない!」と叱ることなく、親はその泣き方から「なぜ泣いているんだろう?」と原因を探り、「おお、よしよし。今、おっぱいをあげるからね」「オムツを替えてやるからね」と不快を取り除いてやります。この体験を通して子どもは「この人は僕を保護してくれる人だ」と母親を認識し、「この世は安全な場所なんだ」とわかってきます。私は保育園や幼稚園で長年仕事をしてきましたので、こうしたことを理解していたつもりですが、息子にはなかなか対応できないでいました。自傷を禁じることしかしていなかった息子は5歳になるまで言葉を話しませんでした。自分の思いがなかなか親に伝わらないとき、こだわりが通らないとき、床に頭を打ちつけ自傷することで伝えるしかなかったのでしょう…。でも、自傷する息子をみることはつらいものです。またそのことで近隣トラブルにつながってしまうこともあり、そのころの私は「やめなさい!」と叱ってばかりいました。息子の行為の背景にある思いまですべてを理解してやれず、叱ってばかりいたことで、「これがいやなんだ!」という気持ちが伝わらず、さらに叱られてしまうことでよりひどく自傷するという悪循環に陥っていたのです。どうすれば良かったのか息子がパニックを起こしたときは、赤ちゃんが泣いたときと同じように、「息子のパニックの原因はどこにあるんだろうか」と探り、「お前の負荷になる原因をなくしてあげるからね」と安全地帯を作ってやらなくてはならなかったのです。でも、大パニックを起こしている息子を目の前にした私に、そんな心の余裕なんかありませんでした。さらに、息子の場合は一度パニックを起こしてしまうと、嫌な原因(例えば「音を消す」)を取り去っても、もう収まりませんでした。パニックを起こしたきっかけを忘れてしまったかのように、今度は息子自身の泣き声に反応して大騒ぎをするのです。そんなときは、そっとしておくしかありませんでした。そして、15分くらいしてから、お風呂の湯船につからせました。すると息子は気分が変わるのか急速に自傷行為は収まってきました。今、私が心がけていることは、「頭ごなしに叱らない」ということです。指摘しなくてはいけないことがあるときも、叱るのではなく共感。そして、説得です。共感も説得もなく、ただ叱っても、息子の気持ちがおさまるどころか大きなパニックにつながってしまうからです。大怪我をするほど自傷していない…!?何度も起こすパニックと自傷に途方に暮れていた私でしたが、息子は、「これ以上やるとひどい怪我になる」のギリギリのところで踏みとどまっていることに気づきました。例えば、外出時パニックを起こして、道路上でスライディングすることもありましたが、大怪我をしない凸凹が少ない道路を選んでいるようにみえました。また、身体を触って抱きしめ「よしよし」となだめる行為自体が、感覚過敏の息子には不快なことで、パニックが増幅されていくことにも気がつきました。さらに1時間も続くように感じましたが、パニックを起こしている時間を測ってみると、一番長くても20分程度でした。修行中Upload By 立石美津子自傷やパニックを起こすのは精神のバランスを保つためにやっている行為。だから、嵐が過ぎ去るのを待ち、余計な手出し口出しをしない方がよいのかもしれません。時間が本人をクールダウンさせてくれます。親が巻き込まれるのは“火に油状態”となります。何もしないことが一番の解決のような気がします。太陽光の角度によっては赤く見えるジンベイザメもいるようです。まだまだ修行中の私です。
2019年08月13日個別面談で知らされた事実Upload By アマミモヨリ小学校の個別面談で、宿題について先生から聞かれました。Upload By アマミモヨリうちでは宿題が終わったら、ゲームをしても良いことになっています。なので早く遊びたいヒルマは、学校から帰るとすぐ宿題にとりかかるのです。毎日、積極的に取り組んでいることを先生に伝えると、Upload By アマミモヨリ提出していない宿題が山ほどあって驚きました。でもね、わたしは主張したい。連絡帳に書いてある宿題は、わたしがチェックしているので、見落としはないはず!と。それなのに未提出リストには、わたしの知らない課題がいくつも載っていたのです。息子が連絡帳を書かない理由Upload By アマミモヨリじつはヒルマ、5年生になってから、連絡帳に記入してくるのが週2~3回になっていました。高学年になると連絡事項が少ないのかと思っていたら、全然ちがいました。4年生までは連絡帳を書く時間があったけれど、今は各自で時間を見つけて書くのだそうです。それはもう絶望的にヒルマが苦手とする分野です。「時間のある時にあげてください」と先生から言われた植物の水やりは、時間のある時がいつか分からず、3年間鉢植えの土を枯らしてきました。今後は先生が声をかけてくれることになったので、とりあえずひと安心です。夏休みまであと4日さて、たまった宿題の提出期限まであとわずか。計画を立ててクリアしていけば、何とか間に合いそうです。Upload By アマミモヨリ帰宅後、すぐに連絡帳を確認しました。今日はちゃんと書いてある!とホッとしたのも束の間、Upload By アマミモヨリ宿題を学校に忘れてくるという痛恨のミス。さすが「自称忘れ物のプロ」であるわたしの子です。こうして宿題がたまっていくのですね。Upload By アマミモヨリその後の数日を息子の宿題(当日の宿題もあるので大量)に費やして、Upload By アマミモヨリギリギリで提出期限に間に合いました!わたしたち、がんばりました!なのにその余韻もさめないうちに、Upload By アマミモヨリ夏休みの宿題をどっさり持ち帰りました。もう、イヤだよぉ…。子どもの宿題なのに子どもの宿題に、なぜ親のわたしがこんなにプレッシャーを感じるのでしょう。のん気に出かけて行くヒルマの背中を見送りながら、小学生の頃毎日のように平気で忘れ物をし続けたわたしのようだと思いました。Upload By アマミモヨリあの頃よく叱責されたものだけど、母もこんな気持ちだったのでしょう。親がいくら怒っても子どもは簡単には変わらないってこと、身をもって気づけたのだから、わたしの忘れ物癖もムダではなかったと思うのです。
2019年08月06日幼稚園から毎日遅刻...原因は睡眠障害…!?わが家のASD兄妹は、2人とも幼い頃から睡眠に問題がありました。Upload By 寺島ヒロUpload By 寺島ヒロUpload By 寺島ヒロUpload By 寺島ヒロ現場の先生方のご協力と家族の送迎で、何とか休みながらも登校していた兄タケルでしたが、8歳のとき「アスペルガー症候群」の診断がつき、小学3年生から気持ちを安定させる薬を飲み始めました。夕方の気分の落ち込みを防いで20時〜21時には眠ってもらい、十分な睡眠をとることができるようにするのが目的でした。直接的な影響がどのくらいあったのかは不明ですが、結果的にタケルは21時台には眠るようになり、朝早く起きてくるようになりました。服薬は1年程でやめたのですが、タケルに限って言えばこれ以降もそのリズムを崩すことなく過ごせるようになり、日常生活への支障が少なくなりました。その結果、季節による不調などはありつつも中学・高校も何とか通い切ることができました。現在中学1年生の妹いっちゃん。睡眠の問題を抱えながら、学校生活は体調優先でUpload By 寺島ヒロ「キタキタキターー!!」って思いました。なぜなら私もこのタイプだから。概日リズム睡眠障害といって、寝る時刻と起きる時刻が毎日少しずつ遅れていく症状があります。私自身もこの症状があるため、私の生活時間につられて子どもたちが生活リズムを壊すことを恐れ、実は私は子どもたちが幼い頃は睡眠薬を飲んで生活リズムを無理やり朝型にしていました。でも、ちょっとした風邪でも寝込むほど体調を崩してしまってとてもきつかった上に、朝型の生活リズムが習慣化することもなく、睡眠薬を飲まなければ翌日からまた1時間ずつ体内時間がずれていく…。私にはこの方法はあっていないことに気づき、妹いっちゃんの睡眠傾向がはっきりしてきたあたりで、私自身も朝型の生活にこだわることはやめました。参考:概日リズム睡眠障害 |厚生労働省 e-ヘルスネットUpload By 寺島ヒロ中学1年生になったいっちゃんですが、今でも起きられた時に登校するスタイルは変わっていません。毎朝決まった時間に起きようと試みて体調を崩した自分自身の経験からも、1時間目から登校することにこだわるあまりに健康を損ねては本末転倒…。中学校の先生にもご理解いただいています。ただ、月の3分の2は学校に行けておらず、不登校状態になっているいっちゃん。授業を受けられなかった分の全ての勉強を家庭や支援教室でカバーできるわけではないので、今後の進学などのことも考えると睡眠をはじめとした生活リズムについてはフォローしていかなければならないですよね。その辺りが今後の課題だと思っています。
2019年07月12日はじめてのプール開放に混乱する親子Upload By アマミモヨリたしかに夏休みのプールは、体育の授業とは異なります。入口には受付があって、プール当番の保護者が座っています。受付の前で、ヒルマは即座に特性を発揮しました。「こわい…。いつもとちがう」とくり返します。でもまあ、受付さえ終われば、あとはいつも通りだから大丈夫と思っていました。だから、意味がわからなかったのです。Upload By アマミモヨリヒルマが更衣室から逃げ出してくる意味が…。誰も居ない男子更衣室にしぶしぶ一緒に入ると、普段からわたしが心がけているように、ゆっくり、はっきり、わかりやすく伝えました。「いつもと同じように、着替えればいいんだよ」するとお友だちがーーUpload By アマミモヨリいつもは教室で着替えていることを教えてくれました。更衣室を使うのが、はじめてとは予想外でした。ヒルマの特性が発動するのも当然です。夏休み前に先生に相談していたら、実際に更衣室で着替える機会を作ってもらえたかもしれません。気づかなかったことが悔やまれました。見積もりが甘すぎた結果さて、ヒルマが無事に着替え終わるのを見届け、さあ、家に帰ろうと思ったときです。Upload By アマミモヨリ見積もりが甘すぎました。そもそも家を出たときは、近所の待ち合わせ場所まで送るだけのつもりだったのです。そんなわけでーーUpload By アマミモヨリ炎天下のプールサイドに1時間、すっぴんで佇むはめになりました。これを教訓に、息子対策は抜かりなく行おうと、あらためて誓ったのでした。その後のプール開放は…Upload By アマミモヨリ1年生では2回プール開放に参加したのですが、結局どちらも終始わたしの付き添いが必要でした。その後、2~3年生の夏休みには水嫌いが悪化し、ヒルマは一度もプールに行きませんでした。一方、わたしはーーUpload By アマミモヨリどうせ付き添いで来るのだから、プール当番を引き受けちゃおうと思ったのです。まさか2年連続で、息子のいないプールを見守る結果になるとは思いませんでした。そして4年生になると…Upload By アマミモヨリこんなことってあるんですね。エアコンの効いた涼しい部屋で、すがすがしい気持ちでヒルマを見送りました。(連続でプール当番をしたので、この年は当番は免除)4年生でやっと「だるま浮き」や「けのび」(ヒルマの学校では1~2年生の到達目標)のコツがわかってきて、プールが楽しくなったようです。そして5年生になった現在はーーUpload By アマミモヨリ自己申告では、1メートルくらい泳げたそうです。楽しい夏休みを迎えられそうでなにより。今年はまたプール当番に立候補して、ヒルマの勇姿でも見に行こうかなと思っています。
2019年07月04日無事、仕事が決まったものの...乗り越えなくてはならないハードルがたくさんありました昨年春から仕事をしている私ですが、仕事を始めるにあたり一番心配だったのはやはり子どもたちのことでした。けれど定型発達の次男は幼さが抜けてしっかりしてきているし、自閉症の長男は平日、放課後等デイサービスに通っているので帰宅時間はだいたい18時。間に合うよう働けば問題ありません。ありがたいことに、かつてお世話になっていた会社で事務のパートが決まりました。平日の10時から16時までの勤務なので、長男の帰宅時間にも間に合う。ほっとしました。けれど、気がつきました。しまった!夏休みをどうしようかと。Upload By シュウママダメもとで聞いてみよう・・放課後等デイサービスに聞いてみました長男が通っている放課後等デイサービスは、学校のある日は学校に直接お迎えに行ってくれ、18時に自宅まで車で送ってくれます。けれど、春休みや夏休みといった長期休暇の期間は、10時から15時30分までになります。Upload By シュウママ私の勤務時間は10時から16時。これでは夏休み中は、放課後等デイサービスを利用したとしても私の出勤時間にも長男の帰宅時間にも間に合いません。一度は仕事を諦めようかと思ったのですが、藁にもすがる思いで、通っている放課後等デイサービスに相談してみることにしました。放課後等デイサービスから、意外な返事が!放課後等デイサービスの責任者の先生に仕事のことと夏休みのことをお話しすると、先生はしばらく考えて「それなら、長期休みの期間だけ預かり時間を延長しますよ」と言ってくださいました。「息子さんの他にも、実は同じように働いているお母さんから、時間を延長できないか相談を受けてます。大丈夫ですよ」そう笑顔を見せてくださったのです。Upload By シュウママそんな先生の言葉は、働く私の背中を押してくれるようで、とてもあたたかかったです。働くことを諦めないで。相談してみることで克服できることがあるかもしれませんもちろん、放課後等デイサービスによっては時間の延長に対応できないところもあるかと思います。けれど、もし私と同じように長期休みの問題で働くことを躊躇している方がいるのなら、すぐに諦めるのではなくて、一度放課後等デイサービスに相談してみて欲しいなと思います。もしかしたら解決することもあるかもしれません。仕事を始めてちょうど1年たちますが、こうした支援があるおかげでなんとか続けてこられています。もともと出不精なこともあって家庭内でストレスを溜めがちだった私ですが、仕事を始めてからは外に出て働くことで気分をリフレッシュすることができるようになりました。そして夏休みを放課後等デイサービスで過ごすことは、長男の成長にもプラスになりました。通っている放課後等デイサービスでは、夏休みはプラネタリウムに行ったり、広い公園を走り回ったりして、家庭で過ごす以上に日々さまざまな活動に取り組むことができます。そのおかげで夜もぐっすり眠り、ご飯もたくさん食べ、元気に過ごしていました。放課後等デイサービスが働く私の背中を押し、長男の成長もサポートしてくれたのです。周囲の人に支えられ、さまざまな問題を乗り越えることができたことを痛感した1年でした。Upload By シュウママ
2019年06月27日サンちゃん、食べ方を工夫する4歳ごろ、麺をすすることが出来るようになったサンちゃん。ちゅるちゅるっと麺が口に吸い込まれていく様が見ていて爽快で、母はとても好きでした。しかし、しばらくしてサンちゃんは麺をすすらなくなりました。どうもその原因は、麺ではなく麺とともについてくるアレだったようです。さて、サンちゃんはアレを回避すべく新しい食べ方を考えたようですが…Upload By たなか れもんUpload By たなか れもんUpload By たなか れもんちなみに、汚れた手はすぐにふきたがってテーブルにこすりつけたりするので、目下お手ふきでふく練習中です!2019年6月28日発売、たなかれもん初の著書『つま先立ちのサンちゃん』。サンちゃんと弟のワッくん、ママ・パパの4人の毎日が描かれています。描きおろしの漫画に加え、療育園の仕組みなども紹介されています。監修は小児科医で医学博士の平岩幹男先生。
2019年06月21日「はじめて履いた靴」へのこだわり『発達障害に生まれて』(松永正訓著/中央公論新社)ノンフィクションのモデルとなった立石美津子です。どんなにかわいいわが子であっても、子育てには苦労はつきもの。自閉症など障害のある子の子育ては、その特性からさらに大変なことが多くあります。その一つがこだわりに付き合うことではないでしょうか。Upload By 立石美津子「僕が歩き始めたとき、人生で最初にお母さんが買ってくれた僕の靴。それは10㎝のベージュ色の可愛い靴でした」何だか歌の歌詞のようですが、そんな淡く美しいものではありませんでした。「これが靴という物だ」と本人は思ったのでしょう。それを履くことが心地よくなります。そこまではOKでした。ところが、毎日これを履いていることで次第にパターン化し、「このデザイン以外の物は僕は受けつけません!」となってしまい、こだわりが誕生しました。息子が、1歳のときのことです。まさか、はじめて買ってやった靴にここまでこだわることになるとは…買った当時は想像もしていませんでした。10.5㎝に。足が少し大きくなったけれど…Upload By 立石美津子しばらくの間、10㎝の靴を履かせていましたが、成長と共にきつくなってきました。そこで全く同じ色、デザインの10.5㎝の靴を買ってやりました。ここで私が違うデザインのものを与えていたら、結果は違っていたのかもしれませんが…たまたま私が同じ靴を続けて買ってしまったことで完全にパターン化し、「この靴でなければならない」となってしまいました。11㎝の靴を求めて子どもの足はドンドン大きくなります。10.5㎝の靴も次第にきつくなりました。そこで、同じ店に買いにいったところ、同じデザインのものはありましたが、11㎝の青色の靴しかありませんでした。それを買い、家に帰って履かせようとしたところ断固拒否、火のついたように泣き叫びました。翌日のお出かけのとき、ベージュの靴を見せて「これはもうきつくなったから、今日からははかないの。青いこっちの靴よ」と言い聞かせましたが通じず、暴れて履いてくれません。仕方なくきついベージュの靴を履かせたら機嫌が直り、きつい靴を履いて出かけました。私はメーカーに問い合わせし、他の靴屋に行き、サイズ違いの11㎝、11.5㎝、12㎝の同じデザインのベージュの色を買い置きしました。生産終了!さあ、どうするところが、息子の足がさらに大きくなり、12㎝ではきつくなりました。メーカーに問い合わせると、すでに生産は終了したとのこと。仕方なく、少しでもデザインが似ている色もベージュの物を買いました。ところが、前と同じく断固拒否!でも、私が頑張ってもないものはなく、その靴を用意することはできません。息子がどんなに暴れても、自傷しても、どうしてやることもできません…。お気に入りの靴はきつくなってしまっているので、息子はかかと部分を潰し、サンダルのような履き方をするしかなくなってしまいました。ゴミ箱に捨てた!?でも、これではやはり歩きづらかったのでしょう。ある日、ふと台所の生ゴミ用のゴミ箱を開けてみたら…そこに“ベージュの12㎝のこだわりの靴”が捨ててありました。私が捨てたのでもなく、本人に「捨てなさい」と命じたわけでもありません。自分で納得して、捨てたのです。「ああ、自分で自分をやっと納得させたんだな」と思いました。捨てた場所は「生ゴミ」のゴミ箱でしたが、それをとがめることはせず、「履けなくなったから、辛いけど自分で捨てたんだね」と褒めました。どんなデザインの靴でも受け入れられるようにこのことがあってからは、靴に関しては足が大きくなって違うデザインになっても、受け入れてくれるようになりました。今、振り返ってみると、洋服については衣替えのときは苦労したものの、それ以外は「ボタンが付いているものはダメ」というくらいで「この服でなければ着ない」というこだわりはなく、与えたものをすんなり着ていました。私は、息子の靴へのこだわりにばかりスポットを当ててしまい、必要以上に悩んでいたのかもしれません。あれだけこだわっていた息子自身、成長する中で折り合いをつけ、どんな靴でも履けるようになりました。子どもが幼いころには周りが“本人のこだわり”に応じてやり「お母さんは僕の嫌がることはしない」「自分に心地よいことを周りが認めてくれる」「大人は自分を守ってくれる人間である」このように安全基地を脅かさないことで、幼いころ、安心できる日が続くと大きくなったとき、我慢もできるようになるのだと、今は思っています。Upload By 立石美津子27.5㎝の靴を見てUpload By 立石美津子どんな靴でも履けるようになった今…「僕が歩き始めたとき、人生で最初にお母さんが買ってくれた僕の靴。それは10㎝のベージュ色の可愛い靴でした」ようやく、はじめての靴は懐かしい思い出となりました。現在、18歳の息子の足のサイズは27.5㎝。大人の男の、少しすっぱい臭いがする靴が玄関に並んでいます。
2019年06月18日育児日記で気づいた…わが子は梅雨に不調になる!?梅雨の足音がバシャバシャと聞こえてまいりました!季節の変わり目は体調を崩しやすいとは言いますが、発達障害があるとそれがより顕著な気がします。うちの息子と娘はどちらも、特に梅雨のこの時期に不調に見舞われることが多くあります。Upload By 寺島ヒロUpload By 寺島ヒロUpload By 寺島ヒロUpload By 寺島ヒロ眠れない、起きられない、体が言うことをきかない…!妹いっちゃんはあまり「病気」という状態までになることはないので説明しにくいのですが、やはり「不調」としか言いようのない時期が梅雨のころにやってきます。特に悩ましいのが、睡眠がうまくとれなくなることです。まず、夜眠れなくなります。眠ろうと布団に入るのですが、頭がさえて眠れないというのです。そして当然の帰結ですが、朝起きられなくなります。起きられないといっても通常の寝坊と違い、呼びかけにも応じない完全な"寝落ち"状態。意識があるときでも、起こそうとするとそっくり返って抵抗され、無理に体を立たせたりすると泣きわめいて布団に戻ります。(そしてまた寝てしまう...)起きたとしても大変機嫌が悪く、食欲もありません。そんな状況で起きているときは、たとえ学校に行っても、家でテレビを見ていても、後で聞くと内容をほとんど何も覚えていません。本人もある程度自覚があるらしく、「起きなければ」「学校に行かなければ」と思っているのに、体が言うことをきかないとのこと。ゴソゴソと工作をしたり、ピアノを弾いたりと好きな活動をしていることもあるのですが、それは「いつもの自分」を取り戻すための必死の行動で、決して遊びではないのです。得意なはずのことも思ったようにできないようで「ギーーー!!」と怒声が…。Upload By 寺島ヒロ年を重ねるうちに不調の波は小さくなって…兄のタケルも、幼いころは梅雨の時期に1~2週間寝込んでいました。しかし、12歳ぐらいからだんだんと寝込むことが減ってきました。18歳の今でも梅雨に入るころの2~3日は頭痛と吐き気に悩まされてはいますが、頭痛薬を飲みながら登校しています。妹のいっちゃんも、去年と比べると今年は5月下旬に学校に行けている日数が多くなっています。2人とも成長するにつれて少しずつ不調の波が小さくなっているように感じるので、ある程度は身体の発達を待つという姿勢も必要なのかな…と思っています。朝起きられない!不登校!という事態を目の当たりにすると親も慌ててしまいがちですよね。私もこの時期は寝ている娘を横に、始業時間を指そうとする時計の針をじっと見ています。心中は穏やかではないです(笑)。それでも、育児の記録をつけていたことで「そろそろ来るな」という心づもりができ、だんだん落ち着いて対処できるようになってきたと思います。
2019年06月11日空まで飛んで行きたいな小さい子向けの箱ブランコが窮屈になってきたサンちゃん。大きい子向けのブランコに乗ってみるも、なかなか姿勢を保って乗り続けることが難しい様子で、すぐずり落ちてしまうから、お腹をのせてユラユラしていたり。やっぱり、ビュンビュン勢いよく揺らせる、いつものブランコが楽しいよね…。そんなサンちゃんをそっと見守る大きい子向けのブランコくんがいました。果たしてサンちゃんとブランコくんは仲良しになれるのでしょうか…?Upload By たなか れもんUpload By たなか れもんUpload By たなか れもんサンちゃんはこれくらいのことではへこたれないよ!これからもよろしくね、ブランコくん。
2019年05月20日進級準備で息子が選んだ筆箱はUpload By アマミモヨリお母さんになって10年になりますが、わたしは息子(ヒルマ)のことがよくわかりません。それはきっとヒルマが赤ちゃんの頃から、何かと予想通りに行かず、途方に暮れてきた実績があるからだと思います。だから息子が選んだ真っ黒なだけの筆箱の、カッコよさがわからなかったときも、特に気にしなかったのです。その筆箱がカッコいい意外な理由「カッコいい理由」がわかったのは、筆箱についている帯を外して、名前を書こうとしたときでした。あわててヒルマが言ったのです。Upload By アマミモヨリおどろきました。ヒルマは筆箱についていた、紙製の帯が気に入っていたのです。「いや、これね、フツーは外して使うやつだから~」そう言って笑い飛ばせたらどんなに楽でしょう。発達凸凹さんのヒルマにとって、こんな風に思っていたのと違うってことが、ひどく受け入れ難いことのようなのです。思っていたのとちがう!そのとき母は…こんなとき、わたしの頭はフル回転します。ヒルマの地雷を踏まないように、動揺を悟られないように、慎重に考えます。Upload By アマミモヨリヒルマがシールと思っている帯は、実際には紙を巻き付けてあるだけなので、すぐに外れてしまいます。透明なフィルムで、筆箱ごと包んでしまおうかとも考えました。でも…。と、そのときふいに思ったのです。それってやっぱり違うかも。とにかく説明してみよう冷静に思い直したわたしは、とにかく説明してみることにしました。Upload By アマミモヨリ筆箱の帯は、お店で目立つために付いていること。このまま使ってもいいけれど、すぐにやぶれてしまうこと。そしてこれからは買う前に、「この部分は外して使うよ」って教えるねと約束しました。すると──思いがけない息子の反応Upload By アマミモヨリ説明を聞いたヒルマは、「はずしていいよ」とすんなり納得。「はずしてもカッコいいから」と笑顔です。その反応にわたしはビックリ!だって筆箱を買い替える覚悟でしたから。その夜、さっそく夫に報告しました。Upload By アマミモヨリゆずれない困りごとが減っていく。出来なかったことが、出来るようになる。小さな一歩がこんなにもたくさんあるから、これってラッキーだなあって、今ではおだやかにそう思えます。進級準備もあと少しさて、進級準備も残すは赤白帽に名前を書くだけというときのことです。帽子から値札を取ろうとすると、すかさずヒルマが言いました。Upload By アマミモヨリえ!値札も!?いやいやいや、赤白帽に値札つけたままかぶっている子、見たことないから!Upload By アマミモヨリ「¥700」と印字されただけのシールのどこが、息子を魅了するのでしょう。筆箱のときと同じ説明をくりかえしながら、わたしはやっぱり息子のことが、さっぱりわからないと思うのです。生後から小学校入学までの葛藤の日々と、実体験を通して学んだ、親子が笑顔でいられる習慣や暮らしの工夫を伝えるエッセイ。発達障害、グレーのお子さまを持つママはもちろん、すべてのママにすぐに役立つヒントが満載。
2019年05月14日いつから?何がいい?わが家の兄妹、それぞれの習い事選び春が近づくと、テレビやネットのポップアップでいろいろな習い事の広告が目に入ってきます。子どもに生きる力をつけさせたい!余暇時間に好きなことで有意義に過ごしてほしい!と考えていた私は、子どもにはぜひ習い事をさせたいと思っていました。でも、いつから始めるか?何をやらせたらいいか?についてはこれといった考えがなく、「まあ、同じ年齢の子どもよりのんびり育っているわけだし、小学校に入ってからでいいや。」と、ぼんやりしていたのでした。ところが…Upload By 寺島ヒロ娘がトリコになったのは、リンゴのキャラクターでおなじみの某有名音楽教室のCM。やはり音楽に感度の高い人には何か響くようなつくりになっているのでしょうか。あのソファミッソファミレッ♪というフレーズを繰り返し歌うようになりました。Upload By 寺島ヒロこの子は音楽に親和性が高いのかもしれない…と思い、本人の言うがまま、3歳3か月から音楽教室に入会しました。Upload By 寺島ヒロ現在、娘は中学一年生。ピアノの練習は面倒な時もあるけど、音楽や楽器がない生活は考えられないという感じです。小学校の6年生の頃は睡眠障害(概日リズム障害※)で朝どうしても起きられない日があり、学校も休みがちだったのですが、週一のレッスンには何とか皆勤できましたし、ピアノのクラスで一緒の友達とはいつもどおり接することができました。当初はもちろんそんなつもりはなかったのですが、大好きな音楽を介してつながれる人や場所が持てたことは、娘の心の安定にも寄与しました。学校以外に同じ年ごろの友達のいる居場所があるのは、逃げ場にもなるので良かったなと思います。※概日リズム障害…昼夜のリズムと体内時計がうまく合わず、調節できなくなって睡眠リズムがくずれてしまい、社会生活に支障をきたす状態のことです。子どもの場合、朝起きられないと園や学校にも遅刻してしまい、不登校につながりやすい傾向も指摘されています。Upload By 寺島ヒロ対して、お兄ちゃんのタケルは、あまりピアノなどの楽器には興味を示しませんでした。幼稚園の頃、同じ年ごろの子どもたちには当時Jリーガーが人気で、特に男の子たちはサッカーに夢中!でしたが、タケルは動物や虫の図鑑を見ているのが好きな子だったので、そういう子どもたちの輪にも入れなかったようです。音楽もスポーツも特に何もせず、小学生になってから、かかりつけのお医者さんの提案を受け水泳を習ってみることにしました。結局、この時入ったスイミングスクールに6年生まで通うことになりました。Upload By 寺島ヒロしかし、そんなに運動神経がいいわけではない息子…。一緒に入学した同級生たちは、3年生になるころには全員「上級コース」に進級してしまい、「基礎コース」にはタケル一人だけになってしまいました。「上級コース」に行った子どもたちは、どんどん泳ぐのが速くなり、全国的な大会に出るためバスで泊りがけで出かけたりするのですが、タケルはずっと「基礎コース」で小さな子どもたちや、新入会してきた大人たちと泳いでいます。タイムも大して伸びませんでした。体力づくりが目的とは言え、面白くはなかったのではないかと思い、「どうして辞めずに続けられたのか」と、聞いてみたことがあります。すると「いざというときの生存率を上げるためだよ!」と、決まってるじゃないかという顔で返されてしまいました。生物学者になってフィールドワークをする際、ジャングルや海で遭難しても生きて帰ってこれるようにだそうです。速くは泳げないけど、長く浮いているのはみっちりやったので自信があるとのこと。Upload By 寺島ヒロ子どもたちとスクールが教えてくれたこと目的のために黙って何年も頑張れるのはASD(自閉症スペクトラム)の特性的なところとも言えますが、スイミングスクールで、タイムを縮めることだけを良いこと、遅いのはダメなこととせず、速いことと、長く泳げること、どちらも良いと指導してくれたおかげで頑張れたのかもしれません。こういう視点を私自身忘れずにいたいものだと思います。
2019年05月04日自閉症の長男が10歳になった年に、小さな妹が誕生しました。年が近い上の妹と双子のように育ってきた長男にとって、小さな妹は初めて「自分が守ってあげたい」と思う存在でした。 今回は、下の子の誕生によって長男に初めての感情が生まれたこと、その感情が大きな成長につながり、兄妹の絆が深まったエピソードを紹介します。 年の近い妹に依存していた自閉症の長男わが家の長男に障害があることを知ったのは、長女が生まれてすぐの2歳のころ。年齢相応のことが難しく、幼いころから兄妹は双子のように育ってきました。しかし、成長とともに長女が長男を追い越すことが増え、気が付けば兄妹の関係はすっかり逆転! 「しっかり者の妹に甘える兄」。それが当たり前になり、ますます自立から遠のいていく長男の将来を親として不安に感じていました。そんななか、わが家に新しい家族が誕生したのです。 「お兄ちゃんが守ってあげるよ」家族全員立ち会いのもと生まれたのは、とても元気な女の子。8歳の長女は、待望の妹だったため大喜びでした。しかし、10歳の長男は、どうしていいのかわからず戸惑っている様子。 うれしいけれどうまく言葉にできない長男に、「あなたの妹よ」と声をかけると、少し考えて生まれたての妹にこう話しかけました。「はじめまして、赤ちゃん。これからお兄ちゃんが守ってあげるよ」。長男が初めて自分から誰かを守りたいと思った瞬間だと感じました。 次女の誕生で深まった兄妹の絆次女が生まれてから、長男は立派なお兄ちゃんになろうと一生懸命でした。そんな兄の姿を見た長女は、自然と長男を兄として頼ることが増えてきたのです。もちろんうまくいかないこともたくさんありましたが、小さな妹にとって、自慢のお兄ちゃんになりたかったのだと思います。「これは俺にまかせて!」そう言って、何度失敗してもめげずに、2人の妹を引っ張っていこうとする姿を見せてくれるようになりました。 長男の障害のことがあり、長い間、3人目の子ども産む勇気が持てませんでした。しかし、小さな妹の誕生が兄妹みんなにいい変化をもたらしてくれたことで、改めて「勇気を出して産んでよかった!」と思えました。これからも兄妹3人がなかよく育ってくれることを願っています。著者:戸塚麻心発達障害のある長男、長女、年の離れた次女の三児の母。保育園・アパレルなど幅広い業種を経験し、結婚・出産。子育て中に2級FP技能士を取得し、コンサル会社に勤務。現在は不定期でアシスタント業務をしながら記事を執筆中。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
2019年05月04日ASD(自閉症スペクトラム)のある人の理解と支援を広げるために毎夏、よこはま発達クリニックとよこはま発達相談室は、一般の方向けに、ASD(自閉症スペクトラム)に関するセミナーを行っています。どうして、セミナーを始めこれまで続けてきたのでしょうか?私たちは1997年に当時としては珍しい発達障害を専門にする「仲町台発達障害診療所」を立ち上げ、2000年に現在のよこはま発達クリニックに改称し、以来20年以上にわたってASD(自閉症スペクトラム)を中心に発達障害の医療と支援を行なってきました。初代の院長は故佐々木正美先生にお願いしました。私たちはTEACCHプログラムの創始者であるエリック・ショプラー先生、アスペルガー症候群と自閉症スペクトラムの概念を提唱したローナ・ウイング先生を始めとして多くの先生から自閉症について学んできました。参考:『本当のTEACCH―自分が自分であるために』私たちがクリニックを受診される方々を支援するときに常に大事にしてきたのは「自閉症でok」、「親子で穏やかな生活を目指す」、「家族と協力して子どもを支援する」、「一人ひとりの特性や興味・関心に合わせた無理のない設定をする」、「環境を整える」ということです。そのためには、より多くの人たちの理解が必要となります。仲町台発達障害診療所を開設以来、私たちは毎年「夏のセミナー」を行ってきました。そしてセミナーでは、ASD(自閉症スペクトラム)についての基本的な知識や支援の方法を紹介してきたのです。ASD(自閉症スペクトラム)がある人の生活を支援するには出典 : 「構造化」という言葉をお聞きになられたことのある方は多いのではないでしょうか?私たちは、無理に“普通”に近づけようとしたり、周囲にあわせるのではない。環境を整えて、本来持っている能力を発揮しやすくすることを目指してきました。そのためには、自閉症スペクトラムの特性を理解することが大切だと考えました。そして、支援を考える際には「構造化」を大切にしてきました。クリニックを立ち上げた頃には「構造化」の考えを取り入れる学校や福祉機関は少なかったのですが、徐々に日本でも浸透してきました。しかしながら、ASD(自閉症スペクトラム)の方の支援を考える際には大切で、有益な考え方ですが、誤解や誤用も多いのが現状だと思います。「構造化」する背景には自閉症の特性が深く関係しています。その理解をせずに、とりあえず「やってみる」ではうまくいかないことも多いのです。「なぜやるのか」を支援者一人ひとりが考えることが大切です。そこで、「構造化」についての正しい理解と、その理解に裏打ちされた「支援」の実現の一助となるよう、毎年セミナーを開催しているのです。2019年夏のセミナーでは、具体的なアイディアを紹介しつつも、「なぜやるのか」「どうして必要なのか」に焦点をあてながら、支援のエッセンスについて共有していこうと思っています。ASDについて、基本的な知識や支援の方法を紹介するセミナーを開催出典 : 「令和」最初の『夏のセミナー自閉症スペクトラムの理解と支援』は、東京駅前で開催することになりました。セミナーの内容について、簡単に紹介したいと思います。セミナー1日目となる8月2日には、児童精神科医の蜂矢と公認心理師の北沢が自閉症スペクトラムの基本特性について解説します。自閉症特性は年齢や認知水準によってさまざまな表れ方をします。発達特性に基づいた正しい評価とは、子ども一人ひとりの発達特性や認知特性、興味や関心のあり方を把握することから始まります。心理検査データのパターンだけで支援方法が決まるわけではありません。発達特性の理解に基づいた適切な評価を通じて、一人ひとりの支援プランと具体的な対応を考えましょう。2日目は公認心理師の佐々木と言語聴覚士の飯塚が担当します。自閉症スペクトラムの方々への支援は、一律の方法があるわけではなく、それぞれの方に合わせた支援・関わり方が大切だと考えています。今回はそのためのアイディアの一つとして、「構造化」と「コミュニケーション支援」についてお話をさせていただきます。午前中は、なぜ構造化をするのか、構造化の意味を共有させていただいた上で、さまざまな知的レベルや年齢の方への具体的な方法を紹介いたします。午後は、穏やかに、そして充足感をもって暮らすためのコミュニケーション支援について、さまざまな発達段階の幼児〜大人の事例のビデオをお見せしながら解説いたします。3日目は児童精神科医の宇野と内山が問題行動について背景や対策を考えます。ASDの問題行動は、かんしゃく・自傷・他害行為、多動や不注意などの衝動的行動、ひきこもりや昼夜逆転などに加え、いわゆる触法行為、さらには自殺企図やうつ・不安などの精神科的問題など多岐にわたります。その多くが、自閉症特性への配慮不足から生じていると考えられます。この講座では、ASDにみられやすい問題行動を解説し、その対応の方法を、海外での研究動向なども含めて紹介します。3日間のセミナーで、さまざまなことをお伝えしたいと思っています。ぜひ日々の支援に生かしてもらえたらと願っています。日時:2019年8月2日(金)~4日(日)場所:AP東京 八重洲通り(東京都中央区京橋1-10-7 KPP八重洲ビル8/2(金)7階 / 8/3(土)8/4(日)13階)プログラム:◇8月2日10:00~16:45 『改めて基本特性から考える:理解と評価』◇8月3日10:00~16:45『支援の原則と実際:構造化とコミュニケーション支援』◇8月4日10:00~16:45 『問題行動とそれへの対応』講師:蜂矢百合子(児童精神科医、よこはま発達クリニック/相談室)北沢香織(公認心理師・臨床心理士、よこはま発達クリニック/相談室)佐々木康栄(公認心理師・臨床心理士・精神保健福祉士、よこはま発達相談室/クリニック)飯塚直美(言語聴覚士、よこはま発達相談室/クリニック)宇野洋太(児童精神科医、国立精神・神経医療研究センター)内山登紀夫(児童精神科医、よこはま発達クリニック院長/よこはま発達相談室代表、大正大学 教授)対象:保護者、実際に療育・支援に携わっている方、学生など(中学生以下の参加はできません)料金:各日10,000円(税込)定員:120名(先着順)事務局:よこはま発達相談室(www.ydc-r.com)seminar@ypdc.netよこはま発達相談室よこはま発達クリニック
2019年04月25日こだわりが強いのぼる…。ADHDとASDがある長男の「好きなもの」の幅を広げたい長男・のぼるにはADHD(注意欠陥・多動性障害)と軽度のASD(自閉症スペクトラム)があります。4歳の頃は、いまよりこだわりも強く、特に踏切が大好きでした。でも、踏切のまわりで遊ぶのは危険が多すぎる…。私は、のぼるの「好き」の幅を広げられないかと、いろいろなところに出かけてみることにしました。Upload By ちちゃこUpload By ちちゃこUpload By ちちゃこ砂浜に行ってみようかな?ふと思い立ち、週末に家族で海に出かけてみたのですが…Upload By ちちゃこ海は、のぼるだけでなく、ひとしも楽しく遊べる場所でした。それ以来、海遊びは、わが家の定番になりました。Upload By ちちゃこ最後に、わが家の「海に遊びに行く時の必需品」をご紹介します。海水浴シーズン以外の静かな海での砂遊び、磯遊びもおすすめですよ。Upload By ちちゃこ
2019年04月19日