子どもを保育園に預ける親御さんが増えるこの時期、耳にする機会が多くなる「3歳児神話」。実は根拠がないって本当!? 3児のママ小児科医で、高円寺こどもクリニック院長の保田典子先生に、「3歳児神話」について教えてもらいました。こんにちは。小児科医の保田典子です。今回は子どもを保育園へ預ける親御さんを悩ませる「3歳児神話」について解説したいと思います。 実は「3歳児神話」に根拠はありません!「子どもが3歳になるまでは母親によって育てられるべき」という考え方から生まれた「3歳児神話」。これはイギリス出身の精神科医ボウルビィの報告書がきっかけになっています。3歳児神話が生まれた背景を遡ってみると、実は、もともとの考え方とちょっと違う解釈が広まってできた言葉のようです。 第二次世界大戦後、戦争孤児や家族から離れた経験のある子どもの多くに、精神発達に遅れが見られるという報告がありました。しかし、保護者のいない子どもが暮らす施設の環境や療育状況の改善とともにそれらが減少したため、「3歳以前の母性的養育の欠如が、発達障害の要因である」と分析され「子どもが健やかに成長するためには、3歳までに少なくとも一人の養育者との愛着関係が必要」と唱えられました。 これが「愛着理論」として広まったそうです。日本では、この母性的養育という言葉が、母親による養育として広まってしまったようです。 また、厚生白書(平成10年版)でも「3歳児神話には,少なくとも合理的な根拠は認められない」とされています。 家庭で母親と過ごした子と、共働き家庭の子に違いはある?アメリカでは1990年代に1357家族を対象として、大規模で長期的な研究が行われました。その研究結果では、母子間の愛着の質は、保育時間や保育開始時期、保育所の質によって影響を受けることはない、ということでした。 愛着の質に影響を及ぼすのは、一緒にいる時間の長さではなく、母子間の関わり方そのものだったのです。子どもの発達は、母親が働くか育児に専念するかという形だけでは、議論できないのです。 保育園に通わせた方が、言語発達が良い傾向があるとも言われています。人より早く言語発達する必要はありませんが、言語発達があると、かんしゃくなども減りやすいので、保育園のメリットもあるのではないでしょうか。 子どもの愛着形成、発達に大切なのは、母子ずっと一緒にいることではなく、母子の信頼関係を強固なものに構築することだと言えます。 保育園でも、家庭保育でも子どもとの時間を幸せなものに子どもの健やかな発達のためには、人の目を見て、表情を感じてコミュニケーションを取っていくことがとても大切です。そして「親(母)が自分にとっての安全基地で、一番応援してくれる人」であることが、子どもが生き生きと過ごせる一番大切なことでしょう。 そのためにも親の心身が健康であることが大切です。働いていても、働いていなくても、ママたちはご自身を大切にして、自分を大切にした分で子どもに笑顔を向けてあげてください。 監修者・著者:医師 高円寺こどもクリニック院長 保田典子 先生
2024年04月30日赤ちゃんの寝返りはいつから?遅い場合いつまでに寝返りする?赤ちゃんがあおむけの状態から、自分の力で身体を回転させて姿勢を変えることを寝返りといいます。 寝返りは赤ちゃんの発達過程の一つですが、早い場合や遅い場合はいつからするのか、詳しい時期を紹介します。赤ちゃんが寝返りをするのは、首がすわり、腰を自らの意志で動かせるほどに運動発達が進んでからです。寝返りを行うタイミングは赤ちゃんによって異なりますが、生後3ヶ月頃から始まり、遅い場合でも生後6ヶ月~7ヶ月頃には約90%の赤ちゃんができるようになると言われています。ごく少数ですが、早い場合は生後2ヶ月頃から寝返りがみられることもあるようです。赤ちゃんの寝返りには前兆があり、寝ている状態から身体をひねったり横向きにしはじめ、そのあとに腰をひねれるようになるといよいよ寝返りが近い合図です。乳幼児健診などで寝返りができたかどうか判断するには、「左右どちらかだけでも仰向けの状態から腹ばいの状態に姿勢を変えることができる」とされています。まずは左右どちらからでも姿勢を変えられることが寝返りの基準となります。「右側からの寝返りしかしないけどいいのだろうか」と気がかりな方もいるかもしれませんが、基本的に寝返りが上達するとどちらの向きからも寝返りができるようになってきます。参考:Ⅱ 調査結果の概要|厚生労働省参考:寝返り|亀岡市寝返りの時期が早い子は要注意?寝返りし始めた頃に気をつけること寝返りは仰向けからうつぶせに姿勢を変える行動です。寝返りは早い場合は2ヶ月頃からし始めると紹介しましたが、寝返りをし始める時期に注意することを解説します。乳幼児突然死症候群(SIDS)とは、赤ちゃんに予兆や既往歴がないにもかかわらず突然原因不明の死に至る病気のことです。令和4年には日本で47名の乳幼児が亡くなったという報告もあり、国内における乳幼児の死亡原因の4位になっています。SIDSはうつぶせに寝かせたときに発生率が高くなるといわれており、基本的には1歳になるまでは赤ちゃんを寝かせるときには仰向けにすることが求められています。しかし、赤ちゃんが寝返りをうてるようになると、仰向けに寝かせていても途中でうつぶせに変わる可能性があります。赤ちゃんが自ら仰向けに戻ることができない時は、保護者が姿勢を変えるようにしましょう。また、睡眠中に窒息するリスクを減らすためにも、寝かせるときには口をふさぐ可能性がある柔らかい寝具などの使用は避け、子どもが寝ている周囲に枕やぬいぐるみ、首に巻きつくよだれかけなどを置かないようにすることが大切です。寝返りをするタイミングは2ヶ月頃~7ヶ月頃と個人差があります。寝返りが早い場合はその分うつぶせ寝についても早くから注意する必要があります。参考:乳幼児突然死症候群 / SIDS | e-ヘルスネット参考:11月は「乳幼児突然死症候群(SIDS)」の対策強化月間です|厚生労働省寝返りをし始める頃は子どもはさまざまなことに興味を持つようになるほか、身体の発達と共に移動範囲や手の届く距離も長くなってきます。そこで、事故が起きないように周りの大人が気をつけたいことを紹介します。事故につながるものとして、・ベッドでのうつぶせ寝・ベッドからの転落・階段からの転落・お金や電池などの誤飲・ストーブなどに触ってのやけどなどがあります。ベッドや階段の前には転倒防止の柵をつける、床の上は片づける、触って危ないものは置かない、カバーをかけるなどの対策を取って事故を未然に防ぐことが大切です。参考:1. 誤飲に対する母子健康手帳による保護者への啓発|厚生労働省参考:健康と安全|あいちはぐみんネットなかなか寝返りしない……寝返りが遅い時の練習やサポート方法は?寝返りをする時期は赤ちゃんによって個人差があるため、基本的に練習しなくても自然とできるようになります。しかし、なかなか寝返りをしないと心配な保護者もいらっしゃると思います。ここでは寝返りを促すサポート方法について紹介します。寝返りができるようになるためには、身体を伸ばす運動や回転させる運動が必要になってきます。寝返りを促す練習としては、あおむけの状態の赤ちゃんに身体の左右一方からガラガラなどのおもちゃを見せることで、身体を回転させる動作を誘導する方法があります。また、仰向けの状態で片方の足を反対の足の外側にかけ、そのまま回転するように腕を持ちながら寝返りをサポートする方法もあります。寝返りの姿勢で身体の下から手が抜けなくなっているときは、優しく抜くようにしましょう。ポイントとして、ふとんなど柔らかい場所では力がうまく伝わらないため、固めのマットの上などで行うことや、厚着をしていると動きに制限が加わるため動きやすい服装にするなどがあります。また、体重が重い赤ちゃんも寝返りがしづらいことがあるようです。寝返りの時期は個人差がありますので、過度に気にせずに遊びの中に取り入れるくらいの気持ちで臨むようにしましょう。参考:寝返りをしない [子育てQ&A]|京都府寝返りの練習はどのようにする? |浜松市子育て情報サイト ぴっぴ寝返りと発達障害や疾患との関係は?不安な時の受診の目安とタイミング寝返りは早い赤ちゃんだと2ヶ月頃からはじめて、7ヶ月頃には90%ができるようになると言われています。寝返りのタイミングが早い、または遅いことと発達障害や疾患の関係を解説します。まず、寝返りが早い、もしくは遅いというだけで発達障害と関連があるのかという根拠は現在のところありません。しかし、ASD(自閉スペクトラム症)などの発達障害のある赤ちゃんは動きのぎこちなさや手足の協調の困難、筋緊張低下などがみられることも多く、そのため寝返りの時期も目安より遅くなるということはあり得ます。発達障害のほかにも、筋肉の疾患、脳性まひ、脳や脊髄の疾患、先天性代謝異常症などがある赤ちゃんには運動発達の遅れがみられることがあり、寝返りの時期にも影響が出ることが考えられます。このように障害や疾患によって寝返りの時期に変化が現れることがあります。しかし、寝返りをするより前におすわりやつかまり立ちなどほかの動作ができるようになる赤ちゃんもいます。目安として生後8ヶ月以上になっても寝返りをせず、ほかにも気になる様子があればそのタイミングでかかりつけの小児科などに相談してみるといいでしょう。もちろん心配であれば、家庭だけで抱え込まずに、タイミングに関係なく自治体の子育て窓口など相談できる場所に相談することも大切です。参考:Ⅱ 調査結果の概要|厚生労働省参考:是枝喜代治著「ASD(Autistic Spectrum Disorder)児者の初期運動発達の偏りに関する研究 保護者へのアンケート調査を基に」『自閉症スペクトラム研究』12 巻 (2014) 3 号 p. 23-33参考:山田和孝著「精神遅滞児の運動発達面でのスクリーニング検査」『脳と発達』26 巻 (1994) 6号 p. 498-503参考:寝返りをする前におすわりをするのは問題?|浜松市子育て情報サイト ぴっぴまとめ赤ちゃんが仰向けの状態から身体をひねってうつぶせになる寝返り。運動発達の目安として、早い場合だと生後2ヶ月頃から寝返りをし、多くの場合は生後6ヶ月~7ヶ月頃までには寝返りをすると言われています。寝返りをなかなかしないと発達の遅れや疾患などを心配することもあると思いますが、赤ちゃんの発達は個人差が大きいことや、寝返りをするより前にほかの動作ができるようになる赤ちゃんもいるため、過度に気にする必要はありません。生後8ヶ月を過ぎても寝返りをしないことやそのほかに気になる様子がある場合は、かかりつけの小児科、自治体の子育て窓口、保健センターなど身近な窓口で相談してみるといいでしょう。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年04月27日かし家の3人の子どもたちを紹介しますはじめまして!かしりりあと申します。 ASD(自閉スペクトラム症)の長男りー、発達ゆっくり次男かー、同じく発達ゆっくり三男おーと夫、5人家族で仲良く過ごしています。 ブログ、SNSで子どもたちとの暮らしの中で気づいたことを発信しています。そんな私たちの家族を紹介していきます。中度知的障害(知的発達症)を伴うASDの長男りーUpload By かし りりあ中度知的障害(知的発達症)を伴うASD(自閉スペクトラム症)の長男りー(6歳)です。 2024年4月から特別支援学校に入学し、放課後等デイサービスに通っています。長男りーは、1歳を過ぎても指差しや模倣、言葉が出ず、1歳半健診で様子見になりました。 その時は、インターネットで検索して出てきた自分が安心できる言葉だけを信じて、「この子には何もないんだ。もう少しで身振りをしたり、言葉を話したりするんだ」、そう思っていました。その後絵本を読み聞かせしたり、よく話しかけたりと自分なりにいろいろとはたらきかけてきましたが、これといった良い変化を感じることができませんでした。知り合いの児童発達支援管理責任者の方へ相談したところ「ぜひ来てください」と言っていただき、幼稚園入園と同時に、児童発達支援事業所へ通い始めました。あわせて、言語療法や作業療法などにも2年間通ってきましたが、事業所の先生から療育園へ通うことを勧められ、幼稚園を退園し、療育園へ通うようになりました。Upload By かし りりありーは小さい頃から、気持ちが高まるとその場で飛び跳ねます。特に、電車や車などの走るものや、流れるように動くもの(マニアックなものだと、テレビ番組のスタッフロール)が大好きで、テレビや動画でこのような場面を見ると必ず飛び跳ねています。飛び跳ねる癖は、6歳になった今も続いているので、トランポリンでジャンプするように教えています。また、感覚過敏なところがあり、マスクや帽子などが苦手です。マスクをつけていてもすぐに外してしまうので、コロナ禍の真っ只中では、周囲の目が怖かった記憶があります。最近は、家でズボンやパンツを履くのを嫌がるようになりました。履かせてもすぐに脱いでしまうため、できるだけ脱ぎにくい丈が長い服を着せるようにしています。6歳ではありますが、まだまだ幼いところもあり、気まぐれにだっこやおんぶなどのスキンシップを求めてきます。父(夫)が大好きで、以前は出勤すると泣いて怒ることもありました。発達ゆっくりさんの次男かーUpload By かし りりあ次男かーです。幼稚園年少(3歳)です。児童発達支援事業所に週2回通っています。長男同様言葉が話せないということが気になったため、保健師さんや長男の通う児童発達支援の先生へ相談し、幼稚園に入るタイミングで、長男と同じ児童発達支援に通うことになりました。そんなかーですが、身振り手振りで自分のやりたいことを伝えてくれるので、兄よりも気持ちが分かりやすいです。そして母(私)が大好きです。スキンシップも多めで誰かと触れ合っていると安心するようです。お友達や先生との関わりでいろいろなことを吸収してきて、 幼稚園で習った手遊びやダンスを披露してくれます。見通しが立たなくなると不安を感じるのか、幼稚園や児童発達支援では泣くことがあります。Upload By かし りりあかーは今、声のボリュームについて勉強中です。家では楽しくなると「わー」「きゃー」などの奇声のような大きな声をあげます。「小さい声でお話しようね」と伝えるとその時は気をつけていますが、少し時間を置くとまた「きゃー」と騒ぎ出してしまいます。今のところ、幼稚園や児童発達支援では大声は出していないようで、家の中だけなのですが、これは繰り返し伝えていきたいと思っています。発達に遅れはないと思っていた三男おーUpload By かし りりあ三男おー(1歳)です。兄たちの姿を見て活発に育っていますが、言葉や身振りがまだ出ておらず、1歳半健診で引っ掛かり、様子見ということになりました……。欲しいものへの主張はすさまじく、自分で高いところへのぼって取りに行ったり、泣いて「欲しい」アピールをしてきます。兄たちが大好きで、常に追いかけています。たくさんの人に支えてもらいながら毎日ドタバタな生活をする中で、いろいろなトラブルやハプニングもありました……。そんなわが家の日々を描いていきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。執筆/かしりりあ(監修:鈴木先生より)言葉の遅れがある知的発達症のお子さんは焦らずゆっくりと階段を上っていけばいいのです。そこにASD(自閉スペクトラム症)の併存があればなおさら大変になります。言語療法以外に感覚統合を行う作業療法も必要になるからです。さらに、感覚過敏やこだわりなどもあるため、育てにくさを感じる場面に多く遭遇することとなります。今回は3人とも言葉の遅れがありますが、小児科医がまず初めに疑うのは難聴の有無です。ABR(聴性脳幹反応)という検査で難聴の有無を客観的に判定できます。難聴が見つかった場合は補聴器などで補正して言葉を増やすことができるので、健診で様子見ではなく、できるだけ早く小児科医と相談する必要があります。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年04月24日赤ちゃんの首がすわるのは何ヶ月?首すわりはどうやって分かる?首がすわる前にやってはいけないことなどについて解説首すわりとは、赤ちゃんを縦抱きした際に首がぐらつかない状態のことです。赤ちゃんの運動発達の一部と言われています。一般的には赤ちゃんの首がすわるのは生後3ヶ月頃からと言われていて、生後4ヶ月~5ヶ月で赤ちゃんの約90%は首がすわると言われています。ただ、赤ちゃんによって首がすわるのが3ヶ月よりも早い、5ヶ月よりも遅いということもあります。赤ちゃんの発達には個人差があり、早い子は生後2ヶ月程度で首がすわることもあります。実際に2ヶ月から3ヶ月の間で首がすわった赤ちゃんは11.7%いるという調査もあり、決して珍しくはありません。首がすわる直前には、赤ちゃんが自ら首を動かして保護者を目で追う、うつぶせのときに自ら首を持ち上げようとする、などの前兆が見られることがあります。参考:Ⅱ 調査結果の概要|厚生労働省赤ちゃんの首がすわっているか判断するには、以下の確認方法があります。・仰向けの状態から両腕を引いて起こした際に、身体が45度になっても首が遅れずについてくる・身体が90度になったときに軽くゆすっても首が安定している・うつぶせになったときに自ら頭を持ち上げられる確認方法はおおむね以上の通りですが、乳幼児健診などでは医師により細かい部分も見て判断されます。また、首がすわる前の赤ちゃんは首がとても不安定です。後頭部を支えない縦抱きやおんぶなど首がぐらぐらするような抱き方はしないようにしましょう。参考:乳幼児健康診査身体診査マニュアル|国立成育医療研究センター首すわりが遅い原因は?隠れた疾患はある?首すわりを促す方法など多くの自治体で実施している3、4ヶ月児健診の際に、首がすわっておらず、もしかして疾患があるのではと心配な方もいるかもしれません。子どもの発達は個人差が大きいため、首すわりが遅いからといって過度に心配する必要はありません。ただ、中には原因として背景に疾患がある場合もあります。以下にあげたような疾患がある場合、運動発達が遅れることがあるため、首すわりの遅さに影響している可能性があります。・染色体異常・脳性まひ(胎児期〜新生児期に受けた脳の損傷によるもの)・脳の疾患・脊髄の疾患・筋肉の疾患・先天性代謝異常症などただし、運動発達が遅れても、上記にあげたような疾患が診断されず、原因が明確とならないまま、後に運動発達が追いついてくることも多々あります。赤ちゃんの首すわりを促すには、首を支えた状態の縦抱きを増やしたり、前傾姿勢の抱っこを増やしたりして首すわりに必要な筋肉の発達を促すようにするといいでしょう。また、うつぶせのときに頭の上におもちゃを持っていくなど、赤ちゃんが顔を上げる練習を取り入れていく方法もあります。首すわりの練習をするときの注意点として、縦抱きをする際は赤ちゃんの頭の後ろに手を添えることや、うつぶせのときに赤ちゃんから目を離さないなどがあります。赤ちゃんの安全確保には充分気をつけるようにしましょう。参考:運動について|地方独立行政法人埼玉県立病院機構ホームページ参考:首のすわりが遅い [子育てQ&A]|京都府首すわりが遅いのは、知的障害(知的発達症)と関係がある?上記に挙げた赤ちゃんの運動発達が遅れる疾患のうち、染色体異常や、脳の疾患、先天性代謝異常症などでは、知的障害(知的発達症)を合併することもあります。知的障害(知的発達症)とは、知的機能と社会的な適応能力に遅れが見られる障害のことです。ですが、首すわりの時期だけで知的障害(知的発達症)と判断することはできません。言葉の遅れや非言語コミュニケーション(模倣や指差しなど)の遅れなど、気になる様子がある場合は、かかりつけの小児科などに相談してみるといいでしょう。参考:知的能力障害|MSDマニュアルまとめ一般的には生後3ヶ月から5ヶ月頃には赤ちゃんの首がすわると言われています。しかし、発達には個人差が大きく、早い子どもだと生後2ヶ月から首がすわるなど時期には違いがあります。生後6ヶ月を過ぎても首がすわらなかったり、ほかにも発達で気になることがあったりする場合はかかりつけの小児科や自治体の子育て相談窓口、保健センターなどに相談してみるようにしましょう。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
2024年04月21日私が新米ママのころ、息子が初めて熱を出し小児科に連れて行くと、先生に細かく症状を聞かれました。熱でぐったりしている息子に動揺して、逆に先生へ質問してしまった私。すると、その質問に対して先生に怒られてしまいました……。その日から先生に対し、「怖い」という印象を持ってしまったのですが、何度か小児科へ通ううちに、その印象が変わっていったお話です。 生後7カ月、初めての発熱長男は、呼吸障害で生まれてすぐNICU(新生児集中治療室)に入院。3,572gとやや大きめで生まれていたので育児用ミルクも飲め、回復も早く、10日ほどで退院することができました。ただ、その後遺症は成長してみないとわからないということで、夫とともに経過を見守ることに。 予防接種は近くの小児科でよいということで、家の近くの小児科に通っていましたが、息子が生後7カ月で初めて発熱。仕事復帰のことを考え、病児保育のある小児科に行くことにしました。 淡々としていて怖い先生初めて訪れた小児科で私もどうしたらよいかわからず、熱で体温が高い息子を抱いて待っていると、診察室へ通されました。先生は笑顔もなく淡々と症状を聞かれ、私は動揺しながらも答えました。 体温が何時に何度と細かくメモはしていなかったので、覚えている範囲で答えていたのですが、焦ってしまって思わず「風邪ですか?」と逆に聞いてしまったのです。すると、「風邪かどうかは私が診断します! ちゃんと症状をメモしておいてください!」と怒られてしまいました。 実はやさしかった先生「次は〇日後に来てください」と、薬と発熱が時系列に記入できるメモ帳をもらい、帰ることに。数日後熱は下がり、体中に発疹が出てきたので、突発性発疹と診断されました。先生は、熱が出たら頭や脇の下を冷やすことや、水分を十分にとらせることなど教えてくれました。 そのとき、ふと先生の机の上を見ると、かわいいおもちゃが置かれていたのです。初診のときは、初めての発熱と病院で余裕がなく気づきませんでしたが、診察の回数を重ねると先生のやさしさを見ることができました。 今では子どもの病気のときに焦らず対応できるようになりましたが、初めてのときにあの先生に教えていただいたことで、発熱した時間や症状をきちんと伝えることが大事なのだとわかりました。体調がもう問題ないとわかったときに、「もう大丈夫ですよー」と、息子にキャラクターのついたペンを見せてくれる先生にほっこりしました。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 著者:松田みさと長男と次男が15歳差の2男2女の母。仕事をしながら子育てに奮闘中。現在はライターとして、自身の体験をもとに妊娠・出産・子育てに関する体験談を中心に執筆している。 監修者・著者:助産師 松田玲子医療短期大学専攻科(助産学専攻)卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務。 大学附属病院で助産師をしながら、私立大学大学院医療看護学研究科修士課程修了。その後、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。イラスト制作者:マンガ家・イラストレーター うちここ
2024年04月19日抜毛症(トリコチロマニア)とは抜毛症は、ストレスなどの理由から自らも毛髪を何度も引き抜くという精神疾患です。トリコチロマニアの名称で呼ばれることもあります。不安などの感情を和らげるためや、刺激を求めるためなどいくつか原因が考えられています。抜毛症の方は人口の約1~2%いるとされており、成人の場合は患者のうち約90%が女性だともいわれています。毛を抜く行為自体は珍しくありませんが、ほとんどは美容など目的がはっきりしていたり、一次的で治まることが多い傾向にあります。しかし、抜毛症は自らの意志でやめることは難しく、症状が生涯にわたって続く場合もあり、日常生活にも影響が出ているといわれてます。どこの毛を抜くかは人によって異なっていて、多いのは頭皮の毛、眉毛、まつげといわれています。ただ、最終的にはすべての体毛が対象になり得えます。また、時期によって抜く場所が変わっていく場合もあります。抜毛症は毛がなくなることや自らの行為に悩み、人前に出ることを嫌がるようになるなど、さまざまな面で影響が出る可能性があります。また、抜毛症の人は皮膚むしりや爪を噛むなど、自らの体に対して反復して刺激を与える行為を行う場合が多く、精神面では抑うつ症状が見られる方も少なくありません。抜毛症の治療には不安などを和らげる抗うつ薬などの薬物療法と、行為をコントロールするための認知行動療法が行われます。参考:抜毛症(抜毛癖)|MSDマニュアル家庭版抜毛症はストレスが原因?抜毛症の明確な原因ははっきりとは分かっていません。ただ、2つの可能性が考えられており、1つ目はストレスなどの感情から逃れるために毛を抜くのではないかという説です。抜毛症は醜形恐怖症などとは違い、自らの外見が気に入らないという理由で行為に及ぶのではなく、緊張感や不安などのネガティブな感情を和らげるために毛を抜いているということです。また、毛を抜くことである程度の満足感も得ているようです。2つ目は、毛を抜く行為自体の刺激を求めているのではないかという説です。何らかの原因で刺激が足りない状態になっている方が、手近な手段として毛を抜いて刺激を得ているという考え方です。刺激を求める方はなかなか抜毛行動をやめられず、重症化するリスクも高いといわれています。参考:抜毛症(トリコチロマニア)|MSDマニュアルプロフェッショナル版参考:後藤麻友、今井正司著「抜毛行動様式と抜毛症重症度との関連」日本健康心理学会大会発表論文集 31巻(2018) P.43抜毛症は治る?治療方法は?抜毛症は、自分ではなかなか抜毛行動をやめることができないといわれています。しかし、適切な治療を受けることで症状の改善が見込めることも知られています。ここでは、身近に抜毛症の方がいる際の声かけ方法から、病院の何科にいくといいか、実際の治療方法まで紹介します。まず大事なのは相手を責めないということです。相手も症状をコントロールできないで悩んでいるので、「何でそんなことしたの」「早くやめよう」など、善意からでも問い詰めたり急かしたりする言動をすると、相手にとって負担となってしまう可能性があります。なので、「自分を傷つけるほど、悩んでいるんだね」など相手のつらい気持ちに寄り添った声かけをするといいでしょう。そのうえで、無理に聞き出そうとはせずに「言いたくなったらいつでも話していいよ」と、話を聞く準備ができていることを伝えることが大切です。加えて、「自分は味方だよ」というメッセージを折に触れて口にしておくと、相手も安心して話してくれやすくなります。参考:自分を傷つける」というサイン|厚生労働省こころもメンテしよう抜毛症は精神疾患の一つに位置付けられるため、基本的には精神科や心療内科を受診するといいでしょう。子どもの場合は、かかりつけの小児科や小児発達外来などで相談することも可能です。また、皮膚がただれるなどの状態の場合は皮膚科にも行っておくといいでしょう。抜毛症の診断はいくつかの基準に基づいて医師が行います。基準としては以下のようなものがあります。・脱毛が生じるほど繰り返し毛を抜いている・何度も行為を減らそう、やめようと試みている・抜毛行動のために大きな苦痛が生じているか、日常生活に支障をきたしているまた、病院に行くべきか迷ったときはお近くの保健センター/精神保健福祉センターへの相談も検討してみてください。抜毛症の治療としては、主に薬物療法と認知行動療法があります。薬物療法では抜毛行為の原因となる不安や緊張を和らげるための、抗うつ薬などが用いられることがあります。認知行動療法では特に習慣逆転法という手法を使うことが多くあります。習慣逆転法の簡単な流れは以下のようになっています。・自らの行為を自覚する・行為の引き金を明確にする・毛を抜く行為を別の行為(こぶしを握りしめる、編み物をするなど)に置き換える抜毛行動は無意識に行われることもあるため、まずは行為を自覚するところから始めていきます。参考:抜毛症(抜毛癖)|MSDマニュアル家庭版参考:皮膚むしり症|MSDマニュアル家庭版抜毛症と発達障害の関係は?発達障害の特性の中に毛を抜く行為はありませんが、特性が影響した結果抜毛行為に至ることは考えられます。例えば発達障害の中のASD(自閉スペクトラム症)では、特性として「こだわりの強さ」「ストレスの感じやすさ」「自己刺激行動」があります。ストレスが一定以上の負荷になったために、毛を抜いてみたらすっきりした、毛を抜いてみたら刺激があったので繰り返すようになった、などの形で、抜毛症につながっていく可能性はあります。また、発達障害の中のADHD(注意欠如多動症)では、特性として多動性や衝動性があります。そのため、常に動いているうちに何となく毛を抜いてみた、何かストレスを感じたので衝動的に毛を抜いてみた、という形で抜毛症につながることも考えられます。ですが、抜毛症の症状があるからといって必ずしも発達障害がある訳ではありません。参考:ASD(自閉スペクトラム症)|e-ヘルスネット参考:ADHD(注意欠如・多動症)|e-ヘルスネット抜毛症と強迫性障害の関係は?強迫性障害(強迫症)とは、強迫観念(本人の意思に反して浮かんでくる思考や衝動など)により強い不安感や不快感をおぼえたり、それを打ち消すために強迫行為を繰り返す精神疾患のことです。例えば「菌がついていないか気になって、何十回も手を洗う」「家の鍵を閉めたか不安で、何回も家に戻って確かめる」などがよく見られます。抜毛症自体は強迫観念によって起こるわけではありません。つまり、抜毛症と強迫性障害には直接のつながりはないといえます。しかし、強迫性障害の方が強い不安を感じているときは強迫行動とは別に、感情を落ち着かせるために身体の一部を触ったり毛をいじったりすることがあるかもしれません。それがそのうち毛を抜くという行為につながっていくことも考えられます。参考:強迫症 / 強迫性障害|e-ヘルスネットまとめ抜毛症とは、ストレスなどの感情を和らげるためや刺激を求めるために、繰り返し自らの毛を引き抜く精神疾患の一つです。抜く場所は髪や眉などが多いといわれていますが、全身の毛が対象となることもあり、本人がやめようと思ってもなかなかコントロールできません。毛が抜けた容姿や自らの行為自体に悩んで外に出ることを避けるようになることもあり、多くの場合は抑うつ状態も経験しているといわれています。抜毛症は薬物療法と認知行動療法で軽減させることができるため、気になる症状があれば大人であれば精神科や心療内科、子どもの場合はかかりつけの小児科などに相談するようにしましょう。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年04月17日知的障害(知的発達症)とは?知的障害(知的発達症)とは、発達期(おおむね18歳まで)に知的機能の遅れと、適応能力の低さによって、日常生活や社会生活に困難が生じる障害のことです。知的障害(知的発達症)のある方は自己管理やコミュニケーション、学校での学習、仕事などで困りごとが起こりやすく、何らかの支援が必要になると言われています。知的障害(知的発達症)は程度によって種類が分かれており、それぞれ軽度、中度(または中等度)、重度、最重度と分類されています。知的障害(知的発達症)が生まれつき生じていたとしても程度によって気づかれる時期には違いがあり、重度の場合は発話の遅れなどにより乳幼児期に気づかれることがありますが、軽度の場合は小学校に入学して学習が本格化してから気づかれることもあります。知的障害(知的発達症)の診断は知能検査や保護者への問診、子どもの様子の観察のほか、原因となる疾患の検査などさまざまなことを通して行われます。参考:知的能力障害|MSDマニュアルプロフェッショナル版参考:知的障害(精神遅滞)|e-ヘルスネット知的障害(知的発達症)の種類は?知的障害(知的発達症)の基準は、行政や医療などによって違いがありますが、多くの場合、障害の程度によって軽度、中度(または中等度)、重度、最重度と4つの種類に分類されています。・厚生労働省の基準による知的障害(知的発達症)の程度区分厚生労働省の基準では知的障害(知的発達症)の程度を知能指数(IQ)と生活能力(適応能力)の両方を評価したうえで判定します。以下の表にあるように、知能指数(IQ)がⅠからⅣに、生活能力(適応能力)はaからdとどちらも4段階に分けられており、その兼ね合いによって程度が決まります。例えば知的指数(IQ)が軽度相当の51だとしても生活能力(適応能力)が最も困難を示すaの場合は「中度知的障害」と判定されることもあります。Upload By 発達障害のキホン引用:知的障害児(者)基礎調査:調査の結果|厚生労働省知的能力はIQ(知能指数)によって次の4つに分類されます。I :おおむね20以下II : おおむね21~35III :おおむね36~50IV :おおむね51~70適応能力は次のような判定表を用いて、a~dの4つに分類されます。・食事:一人でできる/介助があればできる/できない・用便(月経)の始末:一人でできる/介助があればできる/できない・衣服の着脱:一人でできる/介助があればできる/できない・簡単な買い物:一人でできる/介助があればできる/できない・家族との会話:通じる/少し通じる/通じないここに挙げたのは基準の一例です。療育手帳を取得する場合は各自治体で別途基準を設けていることもあります。・DSM-5-TRの基準による知的障害(知的発達症)の程度区分医学的な診断基準である『DSM-5-TR(精神疾患の診断・統計マニュアル第5版改訂版』では軽度・中等度・重度・最重度と4つに区分されていますが、知能指数(IQ)での目安は明示されていません。知的機能と適応能力について、概念的領域(記憶や言語、論理的思考など)、社会的領域(対人コミュニケーションなど)、実用的領域(生活における能力など)の3つの領域の状態から重症度を特定します。参考:対象者(愛の手帳Q&A)|東京都福祉局参考:日常生活能力判定表|宝塚市知的障害(知的発達症)は遺伝する?知的障害(知的発達症)が遺伝するのか気になる方もいると思います。知的障害(知的発達症)はさまざまな要因が重なった結果生じるもので、遺伝もその一つの要因と考えられています。しかし、知的障害(知的発達症)が遺伝による場合はまれだと言われています。知的障害(知的発達症)は遺伝のほかにも、妊娠中の母体の低栄養、感染症、薬の影響、脳の異常発達、出産後の子どもの低栄養、頭部の損傷、感染症などが要因として考えられています。ただ、多くの場合には原因は特定できないとも言われています。また、先天性の遺伝子疾患、染色体疾患などがあるために知的障害(知的発達症)の症状が表れる場合もあります。なお、上記のような疾患がある場合も、必ずしも知的障害(知的発達症)があるというわけではありません。参考:知的能力障害|MSDマニュアル家庭版参考:知的能力障害|MSDマニュアルプロフェッショナル版2歳頃の知的障害(知的発達症)の症状は?軽度知的障害も分かる?知能検査は受けられる?2歳の子どもは、「おはよう」「さようなら」などの日常の挨拶をするようになったり、積み木や簡単なブロックを組み合わせて遊んだり、スプーンを使ってごはんを食べるようになったりする頃です。ただ、知的障害(知的発達症)のある子どもの場合は、以下のような様子がみられる場合があります。・人見知り、場所見知りがない(またはひどい)・発語が遅れている(またはない)・言葉の理解が遅れている・コミュニケーション能力の発達の遅れから、衝動を抑えることが難しく、癇癪を起こしやすい・意思の発達の遅れから癇癪をほとんど起こさない・積木やブロックなどが積めない・クレヨンでぐるぐるとした曲線が描けない・簡単なごっこ遊びが難しい・スプーンを使えないなどの不器用さがある・運動面・知的面含め全体的に発達の遅れがみられる※上記は一例です知的障害(知的発達症)のある子どもには以上のような様子がみられることが多いと言われていますが、軽度知的障害(軽度知的発達症)の場合は学齢期までは目立った兆候が表れないことも珍しくありません。また、子どもの発達は個人差が大きく、上記のような様子がみられたからと言って必ず知的障害とは限りません。子どもの発達について不安がある方は、自己判断せず専門機関に相談するようにしましょう。参考: 0歳児から2歳児の発達過程|東京都教育委員会参考:知的能力障害|MSDマニュアルプロフェッショナル版知能指数(IQ)を測るための検査として知能検査があります。検査の種類ごとに受けることができる年齢が異なっていますが、その中で2歳から受けることができるものもあります。代表的なものの一つは田中ビネー知能検査で、2歳から受けることが可能です。もう一つはWPPSI(ウイプシイ)知能検査で、2歳6ヶ月から受けることができます。知能検査の結果は知的障害(知的発達症)の診断や療育手帳の取得のために使用されるほか、得意や苦手な領域が分かるため子どもへの関わり方や支援の参考としても活用されます。知能検査が受けられない場合には、新版K式発達検査を受けることもあります。知能検査・発達検査は発達外来を行なっている小児科、児童精神科などの医療機関、自治体の教育支援センター、民間の実施場所などで受けることができます。参考:知能指数 / IQ(ちのうしすう)|e-ヘルスネット参考:田中ビネー知能検査 V(ファイブ)|SACCESS・BELL参考:WPPSI™-III知能検査|日本文化科学社2歳頃に表れる知的障害(知的発達症)の症状チェックリストUpload By 発達障害のキホン※発達や成長に加え症状や特性には、この時期大きな個人差があります。当てはまる反応や行動の数が多いからといって、すぐに知的障害(知的発達症)と診断されるわけではありません。発達の遅れが気になる……どこに相談をすればいい?言葉をなかなか話さないなど、子どもの発達の遅れが気になる場合の相談先を紹介します。かかりつけ医子どもの発達や育児について気になる場合は、予防接種や診察で行っているかかりつけの小児科に相談してみましょう。普段から子どもの様子を見てくれているので相談もしやすいです。保健所/保健センター保健所や保健センターは自治体ごとに設置されており、保健衛生に関する業務を行っているほか、医師や保健師などの職員が子どもの発達を含めた健康相談なども行なっています。保健センターでは子どもの定期健診も行っているため、その際に相談してみてもいいでしょう。児童相談所児童相談所は18歳未満の子どもに関するさまざまな相談を受け付けている機関です。児童福祉司、児童心理司、医師、保健師などの専門的な職員がいて、子どもの発達の遅れについても相談が可能です。また、療育手帳取得のための判定も行っています。児童家庭支援センター児童家庭支援センターは家庭と子どもの問題に関する総合的な窓口として、地域に設置されている機関です。相談・支援を担当する職員と、心理的な援助を行う職員がいて、相談対応や児童相談所と連携しての対応を行っています。児童発達支援センター児童発達支援センターは未就学児に対して、日常生活や社会生活に適応するための児童発達支援を提供している機関です。そのほかにも子どもの発達に関する相談を受け付けています。発達の遅れを相談できる窓口は以上のようなものがあります。ほかにも自治体に地域の子育て相談窓口が設置されていることもあるので、身近な相談先を探してみるといいでしょう。まとめ2歳頃になると、子どもは簡単な挨拶や積み木遊びなどをし始めます。しかし、知的障害(知的発達症)の子どもの場合は、発話や言葉の理解、手を使った動作などに遅れがみられる場合があります。ただ、子どもの発達には個人差が大きいため、このような様子がみられたからといって知的障害(知的発達症)があるとは言えません。発達の遅れが気になる方は、かかりつけ医や保健センター、児童相談所などに相談してみるといいでしょう。知能検査や発達検査を受けたいと考える場合も、医師や保健センター、児童相談所などに相談をしてみましょう。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
2024年03月29日花粉症(アレルギー性鼻炎やアレルギー性結膜炎など)の原因とは?子どもの花粉症が増えている!?花粉症の原因は、スギやヒノキなどの植物の花粉(抗原)が体内に入ることで起きる抗原抗体反応です。花粉を体内に取り込むと、それを排除するために抗体(IgE抗体)がつくられます。その抗体が蓄積されると、花粉と反応することによって「ヒスタミン」などの化学伝達物質が産生され、アレルギー性鼻炎やアレルギー性結膜炎などを発症します。代表的な症状はくしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどですが、頭痛や肌荒れ、熱っぽさ、のどの痛みといった症状もみられます。近年、大人だけでなく子どもの花粉症も増えているといわれています。この原因として、花粉の飛散量の増加や食生活の変化、空気汚染の悪化などとの関連が指摘されていますが、明確にはなっていません。ハウスダストアレルギーなど、すでにほかのアレルギーがある子どもは、花粉症にもなりやすいということが分かっています。参考:「花粉症環境保健マニュアル2022」|環境省参考:アレルギーについて|国立成育医療研究センター子どもの花粉症(アレルギー性鼻炎やアレルギー性結膜炎など)、検査や治療にはどんな方法がある?花粉症の症状は、風邪の症状との区別が難しいこともあります。診断は、問診(症状が始まった時期や持続期間、症状、ほかのアレルギー疾患の有無や家族歴の有無など)、血液検査・鼻汁検査(お子さんの負担を考えて行わない場合もあります)などを行い、総合的に判断されます。花粉症の治療には、大きく分けて対症療法、根治療法があります。対症療法は、点眼薬や点鼻薬、内服薬のほか、抗IgE抗体治療薬の注射やレーザー治療(重症例のみ)などがあります。根治療法は、アレルゲン免疫療法(舌下免疫療法、皮下免疫療法)などがあります。どのような治療が受けられるのかは病院によっても異なりますので、耳鼻咽喉科や小児科などに問い合わせてみましょう。参考:大久保公裕(日本医科大学耳鼻咽喉科)監修『的確な花粉症の治療のために(第2版)』平成22年度厚生労働科学研究補助金 免疫アレルギー疾患予防・治療研究事業 公益財団法人日本アレルギー協会事業より|厚生労働省花粉症(アレルギー性鼻炎やアレルギー性結膜炎など)と発達障害の関係は?花粉症(アレルギー性鼻炎やアレルギー性結膜炎など)と発達障害には直接的な関係はありませんが、感覚過敏などの特性により症状が悪化したり、逆に花粉症の症状の影響から精神的に不安定になったりすることも考えられます。・感覚過敏でマスクがつけられない、どうしても薬が飲めないなど・花粉症の症状でイライラしやすいなど・不器用さから鼻がうまくかめないなど病院で治療を受けるだけではなく、花粉の飛散量が多い日にはできるだけ外出しない、帰宅前に衣服や髪についた花粉をよく払う、洗顔やうがいをする、掃除をこまめに行うなどの工夫で、花粉との接触を減らし、花粉症の症状を軽減できる可能性があります。花粉症の薬を飲まない、マスクを嫌がる、かゆみでイライラ、鼻がかめない……発達障害や発達に特性のある子どもへの対処法【医師QA】ここからは、小児科医の室伏佑香先生に、発達障害や発達に特性がある子どもの花粉症についての質問にお答えいただきます。(質問)子どもにASD(自閉スペクトラム症)と花粉症があります。薬を処方してもらおうかと思ったのですが飲みたくないの一点張りです。服薬以外の対応方法はありますか?(回答)内服薬以外のお薬には、鼻水や鼻づまりの症状を緩和してくれる点鼻薬(鼻に噴霧して使用します)や、眼のかゆみの症状を和らげてくれる点眼薬などがあります。ASD(自閉スペクトラム症)のお子さんは、感覚過敏があることも多く、薬物治療を嫌がる原因の一つともなりえます。花粉症の治療に関わる感覚として、口腔内感覚(内服薬の味や風味、食感など)、嗅覚(薬のにおい)、鼻腔内の感覚(鼻腔内噴霧の刺激)、眼表面の感覚(点眼による刺激)、触覚(薬の投与のために介助者が体を押さえることによる刺激)などがあげられます。人それぞれに苦手な感覚が違いますので、お子さんが許容できるお薬を選べるとよいですね。内服薬を選択する場合も、内服回数の工夫(1日1回の内服でよいものもあります)、剤型の工夫(粉薬や一般的な錠剤以外に、OD錠と言ってラムネのように口の中で速やかに溶けて服用できる錠剤などもあります)、味や食感の工夫(薬によって味や食感も違いますので数種類試してみるのもよいでしょう)などを、お子さんと相談しながら行い、できるだけ苦痛を減らしてあげたいですね。Upload By 発達障害のキホン(質問)子どもにASD(自閉スペクトラム症)があり、感覚過敏の特性からマスクを嫌がります。無理につけなくていいとは思いますが花粉の季節は顔全体がかゆそうでイライラしています。どのように対応したらよいでしょうか。(回答)お子さんがマスクを嫌がってしまうというご相談はよくいただきます。花粉症の症状のせいでイライラしているのに、その上にマスクによる苦痛な感覚にさらされ、余計にイライラしてしまいますよね。かゆみを含めた花粉症の症状については、内服薬や点鼻薬、点眼薬による治療で軽減することもできます。お子さんにとって許容できる感覚、許容し難い感覚は異なりますので、お子さんと相談しながらより許容できる方法を選んでいくことができたらよいですね。Upload By 発達障害のキホン(質問)子どもに不器用さがあり、小1になってもうまく鼻がかめません。鼻がうまくかめるようになるコツや声掛けなどあれば教えてほしいです。(回答)鼻をかむ動作、なかなかコツを掴めないということも少なくありません。大人が鼻をかむ動作を見せても、空気は目に見えないので分かりにくいですし、お子さんは鼻から空気を出すという動作自体を意識して行うことも難しいためです。まずは、鼻から空気を出す練習として、ティッシュなどの目に見えるものを鼻息で吹く練習をしてみましょう。その時には口をしっかり閉じて行うということがポイントです。これができるようになったら、ティッシュを鼻に詰めて鼻息で飛ばす練習をしてみましょう。片方の鼻の穴に、軽くこより状にしたティッシュを詰めます。この時、ティッシュをちぎって小さな丸い塊にするのではなく、一枚のティッシュの端をこより状にしていただくことで、鼻の中にティッシュが入ってしまって取れなくなってしまうことを防ぎます。次にティッシュを詰めていない方の鼻の穴を指でふさぎます。しっかり口から息を吸い込んで、勢いよく鼻から息を出してティッシュを吹き飛ばす練習をします。これらの練習は、お子さんと楽しくゲーム感覚で取り組める工夫ができるとよいですね。Upload By 発達障害のキホン(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年03月28日この年末に、娘と夫と一緒に、3人で帰省しました。帰省中、夫に娘を連れて小児科を受診してもらったのですが……。3週間後にびっくりするようなことが起こりました。おなかの調子が悪い娘を連れて、夫が小児科を受診。しかし…年末に、生後7カ月の娘を連れて、家族で私の実家へ帰省しました。到着後、娘のおなかの調子がどうもよくない様子。「寒くておなかが冷えたのかな?」と思い、近くの小児科を受診することにました。ただその日、私の予定があったため、娘を連れて行くのは夫にお願いし、受診してもらいました。 帰宅後、「便検査したの?」と夫にたずねると、「診てもらったよ。大丈夫だって」というので、私はひと安心。しかし、娘は、帰省中ずっと下痢が続いていました。 そして3週間の帰省を終え、自宅へ戻った翌日、皮膚の相談をしていたため、私は娘を連れてかかりつけの小児科を受診しました。その際に、帰省中にずっと下痢をしていたこと、便のことを話すと、念のため検査をしようということに。すると、検査結果でノロウイルスであることが判明したのです! 私はビックリ! ただ、帰省中の病院でも便の検査してもらったと言っていたはずなのに……と思い、夫に再度聞いてみると、「便は見てもらった。おしりが赤くなってたから、皮膚の検査はした」とのことで、便の検査はしていなかったのです。私はてっきり、便の検査をして異常なかったと思っていたのに……。夫に娘の受診をまかせたときに、「何のために病院に行くのか」を伝えたつもりでしたが、うまく伝わっていなかったようです。 そして、娘がノロウイルスと診断された翌日、なんと夫もノロウイルスに感染。私は自分も感染しないかと怯えながら、私ひとりで2人の世話をすることになりました。こういうとき、近くに頼れる家族がいないのはツラいです…! しかし、3週間も感染しなかったのに、診断が出てから夫が感染するとは……。やはり病は気からでしょうかね。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。※ノロウイルスに感染して発症するまでの期間平均で24~48時間で、通常1~3日程度で回復します。しかし、ウイルスは、感染後1週間、長いときは1カ月程度の期間、ふん便中に排出されるので、衛生管理には注意が必要です。 作画/加藤みちか著者:堀田 咲監修者・著者:助産師 松田玲子医療短期大学専攻科(助産学専攻)卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務。 大学附属病院で助産師をしながら、私立大学大学院医療看護学研究科修士課程修了。その後、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。
2024年03月23日知的障害(知的発達症)とは?知的障害(知的発達症)は論理的思考力や計画、判断など勉強に必要となる知的能力と、社会的なコミュニケーションなどの適応機能の遅れが発達期(おおむね18歳まで)に見られる障害です。知的発達症などと呼ばれることもあります。継続した支援がない場合、知的障害(知的発達症)のある人は、家庭や学校、職場などさまざまな状況において、コミュニケーション面や行動面、学習面などで困り事が多く表れると言われています。参考:知的障害(精神遅滞)|厚生労働省 e-ヘルスネット参考:知的能力障害|MSDマニュアルプロフェッショナル版知的障害の種類は?知的障害(知的発達症)の基準は、行政や医療などによって違いがありますが、多くの場合、障害の程度によって、軽度、中度(または中等度)、重度、最重度と4つの種類に分類されています。分類はIQで表される知能指数と、社会的な能力である生活能力(適応能力)の両方を考慮したうえで行われます。厚生労働省の基準では知的障害(知的発達症)の程度を知能指数(IQ)と生活能力(適応能力)の両方を評価したうえで判定します。以下の表にあるように、知能指数(IQ)がⅠからⅣに、生活能力(適応能力)はaからdとどちらも4段階に分けられており、その兼ね合いによって程度が決まります。例えば知的指数(IQ)が軽度相当の51だとしても生活能力(適応能力)が最も困難を示すaの場合は「中度知的障害」と判定されることもあります。Upload By 発達障害のキホン参考:知的障害児(者)基礎調査:調査の結果|厚生労働省厚生労働省での知的障害(知的発達症)の程度ごとの状態の目安は以下のようになっています。I :おおむね20以下II : おおむね21~35III :おおむね36~50IV :おおむね51~70適応能力は次のような判定表を用いて、aからdの4つに分類されます。・食事:一人でできる/介助要 /できる・用便(月経)の始末:一人でできる/介助要/できる・衣服の着脱:一人でできる/介助要/できる・簡単な買い物:一人でできる/介助要/できる・家族との会話:通じる/少し通じる/通じないここに挙げたのは基準の一例です。療育手帳を取得する場合は各自治体で別途基準を設けていることもあります。なお、医学的な診断基準である『DSM-5-TR(精神疾患の診断・統計マニュアル第5版改訂版』では軽度・中等度・重度・最重度と4つに区分されていますが、知能指数(IQ)での目安は明示されていません。知的機能と適応能力について、概念的領域(記憶や言語、論理的思考など)、社会的領域(対人コミュニケーションなど)、実用的領域(生活における能力など)の3つの領域の状態から重症度を特定します。参考:日常生活能力判定表|宝塚市知的障害(知的発達症)は遺伝する?知的障害(知的発達症)が親から子へ遺伝するのか気になる方もいると思います。知的障害(知的発達症)の原因は一つだけでなく、さまざまな要因が重なっている事が多い傾向があります。遺伝も要因の一つですが、まれだと言われており、ほかの原因により知的障害(知的発達症)が生じる場合もあります。知的障害(知的発達症)の原因としては、遺伝以外にも妊娠中の感染症、母体の低栄養、アルコールや薬物の影響なども考えられています。また、出産時や出産後の低酸素症や脳感染症、頭部への負傷なども原因となり得るとされています。遺伝子疾患、染色体疾患など、先天性の疾患が原因で知的障害の症状が表れる場合もあります。なお、上記のような疾患がある場合も、必ずしも知的障害があるというわけではありません。このように、知的障害(知的発達症)には遺伝的な要因もありますが、遺伝以外の要因によっても生じる可能性もあります。参考:知的能力障害|MSDマニュアル家庭版1歳ごろに知的障害の症状は表れる?発達の遅れ、違和感、1歳半健診などここでは、知的障害(知的発達症)のある1歳児に表れる症状について紹介します。1歳頃の赤ちゃんは簡単な言葉を発したり、一人でおもちゃ遊びをしたり、いないいないばあをして笑ったりといった様子が見られ、食事の面では離乳食から普通食へ変わり、スプーンも使えるようになってくる頃と言われています。知的障害(知的発達症)のある子どもは以下のような様子が見られることがあります。・おもちゃで遊ばない・あまり笑わない・あまり泣かない/いつも泣いている・つかまり立ちをしない・歩かない・喃語を話さない・保護者の言葉に反応しない・かむ力が弱く離乳食が進まない・全体的に発達の遅さが見られるただ、上記のような様子が見られるからといって、必ずしも知的障害(知的発達症)というわけではありません。赤ちゃんの発達は個人差があることや、ほかの病気や障害が背景にある可能性もあります。心配な様子がある場合は、後ほど紹介する相談窓口に問い合わせてみるといいでしょう。参考:知的能力障害|MSDマニュアル家庭版参考: 0歳児から2歳児の発達過程|東京都保健福祉局保健センターで行われる乳幼児健診に1歳半健診があります。1歳半健診では子どもの発達について詳細な質問項目が用意されていて、発達が年齢相応かどうかを測ることができるようになっています。1歳半健診における質問項目をいくつか抜粋して紹介します。・絵本を見て知っているものをさしますか。・周りの人の身振りや手振りをまねしますか。・自分の好きなおもちゃで遊びますか。・かんしゃくをよく起こしますか。・手をひかれて階段を上がることができますか。・手足の動きがぎこちなく突っ張った感じがありますか。・鉛筆を持ってなぐり書きをしますか。・スプーンを使って食事ができますか。・大人の言う簡単な言葉が分かりますか。(おいで・ねんね・ちょうだいなど)・何かに興味を持った時に、指さしで伝えようとしますか。などこういった項目にはい/いいえで回答していき、発話や人への興味、指さし、運動面などで発達の遅れが見られる場合は、医師からアドバイスなどがもらえることがあります。また、気になることがあれば保護者から医師や保健師などに相談することも可能です。参考:乳幼児健診における標準的な項目一覧|厚生労働省1歳ごろに表れる知的障害の症状をチェックUpload By 発達障害のキホン※発達や成長に加え症状や特性には、この時期大きな個人差があります。当てはまる反応や行動の数が多いからといって、すぐに知的障害(知的発達症)と診断されるわけではありません。発達の遅れが気になる……どこに相談をすればいい?普段の様子や周りの赤ちゃんと比較して、うちの子は発達が遅れているのではと心配な保護者もいると思います。また、1歳半健診では「様子見」と言われたが、やはり気になるという場合もあるでしょう。そういったときに相談できる窓口がありますので紹介します。かかりつけの小児科予防接種や健診で定期的にみてもらっているかかりつけの小児科にまずは相談しましょう。定期的にお子さんの発達をみてもらいながら、必要だと思われる福祉的な支援などについても相談してみても良いでしょう。保健所/保健センター保健所も保健センターも、地域における保健衛生を担当する専門機関です。子どもの発達に関しても相談でき、医師や保健師など専門的なスタッフが相談に対応しています。児童相談所18歳未満の子どもに関するさまざまな相談を受けつけている機関で、発達の遅れについても相談することが可能です。児童福祉司、児童心理司、医師、保健師などのスタッフが対応しています。児童家庭支援センター身近な地域で子どもに関する相談を受けつけている機関です。発達の遅れに関してもアドバイスがもらえるほか、児童相談所などと連携した対応も行っています。児童発達支援センター障害のある子どもが通いながら、日常生活や集団生活への適応を目指してさまざまなサポートを受けることができる場所です。児童指導員、保育士、医師など専門のスタッフもいて、発達の遅れなど気になることを相談することもできます。まとめ知的障害(知的発達症)は知的能力と適応能力に遅れがあり、支援を受けていないと身の回りのことや学習などで困り事が生じる場合があると言われています。知的障害(知的発達症)の子どもは、1歳頃から今回紹介したような様子が見られる場合があります。しかし、子どもの発達は個人差が大きいものです。子どもの発達が遅いなど気になることがある場合は、不安を抱え込まずに1歳半健診の際に相談したり、そのほか相談できる専門機関に問い合わせてみたりするといいでしょう。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
2024年03月23日知的障害(知的発達症)とは?知的障害(知的発達症)とは、おおむね18歳までに思考力や計算力などの知的能力と、社会生活を営むための適応能力に遅れがみられる障害のことです。症状としては、言葉や文字の習得の遅れ、意思疎通の困難、ルールの把握の困難、食事や着替えなどの身の回りのことの困難、学校での学習の遅れなどがあります。行政や医療などによって知的障害(知的発達症)の基準には違いがあります。多くの場合、障害の程度によって、軽度、中度(または中等度)、重度、最重度と4つの種類に分類されています。分類はIQで表される知能指数と、社会的な能力である生活能力(適応能力)の両方を考慮したうえで行われます。医学的な診断基準である『DSM-5-TR(精神疾患の診断・統計マニュアル第5版改訂版』では軽度・中等度・重度・最重度と4つに区分されていますが、知能指数(IQ)での目安は明示されていません。知的機能と適応能力について、概念的領域(記憶や言語、論理的思考など)、社会的領域(対人コミュニケーションなど)、実用的領域(生活における能力など)の3つの領域の状態から重症度を特定します。参考:知的障害(精神遅滞)|厚生労働省 e-ヘルスネット参考:知的能力障害|MSDマニュアルプロフェッショナル版参考:知的障害児(者)基礎調査:調査の結果|厚生労働省知的障害(知的発達症)は遺伝する?知的障害(知的発達症)が生じる要因の一つに遺伝があります。しかし、知的障害(知的発達症)が遺伝による場合はまれだと言われています。遺伝以外にも出生前の感染症や染色体異常、出生後の頭部損傷や感染症などさまざまなことが要因となり得ます。参考:知的能力障害|MSDマニュアル家庭版参考:知的能力障害|MSDマニュアルプロフェッショナル版0歳頃に表れる知的障害(知的発達症)の症状、発達の遅れ、違和感0歳の赤ちゃんには身体面、神経面で知的障害(知的発達症)の特徴が表れることがあります。身体面では頭の大きさや手や足の形などに異常がみられる場合があります。また、運動機能の発達が遅れることで、寝返り、座る、立つなどといった動作が0歳の間にみられないといった場合もあります。ほかにも、けいれんや嘔吐、尿の匂いの異常、哺乳不良などが兆候として表れることがあります。これらは、背景に遺伝的な疾患や感染症などがあるために生じる兆候だと言われています。なお、この上記のような症状がみられる場合も、必ずしも知的障害(知的発達症)があるというわけではありません。知的障害(知的発達症)がある場合、運動発達面での発達の遅れなどがみられることが多いとされています。例えば、下記のような症状があげられます。・あまり泣かない、またはいつも泣いている・首が座るのが遅い・寝返りをするのが遅い・座位をするのが遅い・ずりばいをしない・ミルクの飲みが悪い・低緊張がある・全体的に発達の遅れがみられるただ、ほとんどの子どもには幼稚園に入る3歳頃までは、周りが気づくような症状はみられないとも言われています。また、0歳の赤ちゃんの発達は個人差が大きいため、上記のような様子がみられて心配な場合は、専門機関に相談するようにしましょう。参考:知的能力障害|MSDマニュアルプロフェッショナル版参考:山田 和孝著「精神遅滞児の運動発達面でのスクリーニング検査」『 脳と発達』26巻(1994)6号 p. 498-5030歳頃に表れる知的障害(知的発達症)の症状をチェックUpload By 発達障害のキホン※発達や成長に加え症状や特性には、この時期大きな個人差があります。当てはまる反応や行動の数が多いからといって、すぐに知的障害(知的発達症)と診断されるわけではありません。発達の遅れが気になる……どこに相談をすればいい?0歳の赤ちゃんに前の章で紹介した様子がみられたり、発達の遅れが気になる場合に相談できる窓口が複数あります。心配な気持ちは家庭だけで抱えるのではなく、専門機関に相談するといいでしょう。かかりつけの小児科予防接種や健診で定期的にみてもらっているかかりつけの小児科にまずは相談しましょう。定期的にお子さんの発達をみてもらいながら、必要な福祉的な支援などについても相談してみてもいいでしょう。保健所・保健センター保健所や保健センターは地域の保健サービスを担っている機関で、子どもの発達に関しての相談をすることもできます。また、保健センターでは0歳児だと1ヶ月健診、3~4ヶ月健診など複数回乳幼児健診の機会があるので、気になることがあればその際の相談してみるといいでしょう。児童相談所児童相談所は18歳未満の子どもに関するさまざまな相談に対応している機関で、発達に関する相談も受けつけています。また、知的障害(知的発達症)の判定も行っています。児童家庭支援センター18歳未満の子どもに関する悩みについて、身近な地域で相談ができる場所です。発達に関する相談もでき、状況に応じて児童相談所などとも連携を取りながら支援を行っています。児童発達支援センター障害のある子どもが通いながら、日常生活や集団生活に適応するためのさまざまなプログラムに取り組んでいく場所です。発達に関する相談も受けつけています。まとめ知的障害(知的発達症)は知的能力と適応能力が低いことで、生活や学習などに困難が生じる障害のことです。0歳児から表れる兆候としては、ほとんど泣かない、またはよく泣く、ミルクの飲みが悪い、寝返りが遅い、首が座るのが遅い、ずりばいをしないなどがあげられます。ただ、知的障害(知的発達症)は多くの場合、3歳頃までは周りの人が気づくような目立った症状はみられないとも言われており、上記の症状がみられたからといって必ずしも知的障害(知的発達症)があるというわけではありません。気になる様子があって心配という方は、まずは乳幼児の発達について相談できる窓口に相談してみるといいでしょう。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
2024年03月20日下の子どもが2歳になったばかりのころ、遊んでいるうちに耳を触り始めました。中耳炎か何かだろうか……と、ひとまず近くの小児科を受診しました。すると、思いもよらぬ大ごとが判明したのです――。 耳を触る子ども私が家事をしていて子どもがひとりでおもちゃで遊んでいたとき、少し離れた場所から見守っていた私は、途中から子どもが片方の耳をやたらさわっていることに気が付きました。まだ子どもはうまく話すことはできなかったので、中耳炎か何か、耳に何か異常があるのかしらと思い、近くの小児科へ連れて行くことにしました。 判明した衝撃の原因小児科を受診した結果、なんと小さなビーズが耳の奥にあるせいだと判明。中耳炎ではなく、バラバラになっていたビーズの1つを、耳の中に入れてしまっていたのです。小児科から耳鼻科を紹介されましたが、そこでも「これは取れない、医療センターに行ってください」と言われてしまい、あたふたする私。 痛みはなく、すぐに害が出るわけではないが、早く取ったほうがいいようでした。この時点で上の子の幼稚園のお迎え時間が来てしまったため、上の子を連れて3人で医療センターまで向かいました。 まさかの…!医療センターの外来でも「取れない、耳が小さすぎる」とのこと。そこでなんと、急きょ麻酔をして手術することに……! 待合室で、下の子は長い待ち時間と、ここまでの疲れで大泣き! リスクのある麻酔は不安でしたが、手術は無事成功。年齢が低いので入院措置になり、そのまま着替えもないままひと晩泊まりました。取れたビーズは本当に小さいものでした。 何でも口に入れる時期は過ぎていたので、小さなおもちゃに油断してしまっていました。まさか耳に入るとは思わなかったので、ショックを受けた出来事でした。麻酔から覚めた子どもは何事もなかったようにニコニコしていてホッとしましたが、申し訳なかったと今もきちんと見ていなかったことをとても後悔しています。今後は子どもから目を離さないようにするのはもちろん、危険なおもちゃを与えないようにしようと誓った出来事でした。 ◇◇◇ 子どもの耳におもちゃが入っていたらとても驚いてしまいますよね。日本小児科学会によると、子どもは好奇心旺盛なので、子ども自身が小さなものを自ら耳や鼻に入れてしまうことがあるそうです。さらに、偶然入ってしまうこともあるのだとか。小さな物を近くに置かない、近くで大人が見守るなど、日ごろから注意が必要ですね。 なお、もしも入ってしまった場合、入った物が何であっても奥へ押し込んでしまう可能性があるため、ピンセットなどで取り出そうとしてはいけないとのこと。BB弾・ビーズなどの小さなおもちゃや豆類が耳に入った場合は、耳たぶを後ろ上方に引っ張って下向きにし、反対側の頭の横を軽く叩くと出てくることがあるそうです。取れない場合や子どもが耳を触っているなど、いつもと違う仕草が見られるときは早めに病院で診てもらうと安心ですね。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 イラスト/海乃けだま著者:橘つばき監修者・著者:助産師 松田玲子医療短期大学専攻科(助産学専攻)卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務。 大学附属病院で助産師をしながら、私立大学大学院医療看護学研究科修士課程修了。その後、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。
2024年03月19日現在3歳のこっちゃんは、この3年間とにかく泣いてばかり。夜泣き、着替え、歯磨き、入浴、お出かけなど、日常のあらゆる場面で大泣きするため、ママは毎日泣きセンサーに怯える日々でした。育児を楽しいと思えず、同年齢の子どもと比較してしまう自分にも嫌気がさし、自信を喪失してしまいます。それでも、日々こっちゃんと向き合い、育児に奮闘し、その先にあったのは?後日、かかりつけの小児科でこっちゃんの夜泣きについて相談してみることに。 すると、先生はこっちゃんの肌荒れを指摘し、保湿剤と自律神経を落ちつかせる漢方を処方すると言い診察は終わりました。 苦い漢方を子供が飲むの? と疑問に思ったママは、薬局で服薬専用ゼリーに混ぜると飲みやすくなるとアドバイスをもらいます。自宅へ戻りさっそく試してみるもやはり苦くて飲めずに終了。 続けて、小児科で処方された肌荒れの薬を塗っても起きてしまいます。 結局、何を試してもこっちゃんの夜泣きは無くならないのでした。ある嬉しい出来事が 小児科で処方された漢方と塗り薬を試しても状況は変わらず、夜泣きは続きます。 しかし、良かったことが1つだけありました。それは、処方された塗り薬でこっちゃんの肌荒れが改善しスベスベになったのです。 肌が綺麗になりパパも感激! しかし、肝心の夜泣きとかんしゃくは続きママはゲッソリしてしまいます。 疲れ果てたママは「こっちゃんを生かす!!」それだけで十分なのでは? と思うようになるのでした。 ◇◇◇ 子ども生かすことは本当に大変なことです。ママは十分頑張っています。限界を感じる前に家族や自治体の育児相談窓口に相談して、少しでも肩の荷をおろしママ自身を大切にしてください。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 著者:マンガ家・イラストレーター はちこ
2024年03月15日現在3歳のこっちゃんは、この3年間とにかく泣いてばかり。夜泣き、着替え、歯磨き、入浴、お出かけなど、日常のあらゆる場面で大泣きするため、ママは毎日泣きセンサーに怯える日々でした。育児を楽しいと思えず、同年齢の子どもと比較してしまう自分にも嫌気がさし、自信を喪失してしまいます。それでも、日々こっちゃんと向き合い、育児に奮闘し、その先にあったのは?3歳児健診で引っかかった数日後、心理相談へ向かいます。 そこで、夜泣きの原因が昼寝だと言われ、ポカンとするママ。すでにお昼寝対策をしていると伝えても、夜泣きの原因は「お昼寝時間」の一点張りで会話が噛み合わず。 続けて、かんしゃくについて相談すると「ママはどういう対応してる?」と質問され、ママは普段の様子を伝えます。 その話を聞いた心理士さんは「それでいいと思うよ!」と言い、相談終了。こっちゃんの困りごとに対して解決の糸口が見つからないまま、相談終了となるのでした。 小児科で夜泣きの相談をすることに 後日、かかりつけの小児科でこっちゃんの夜泣きについて相談してみることに。 すると、先生はこっちゃんの肌荒れを指摘し、かゆみも原因の1つかもしれないと言います。先生は保湿剤と自律神経を落ちつかせる漢方を処方すると言い、診察は終わりました。 子どもがあの苦い漢方を飲むの?と疑問に思ったママは、薬局で漢方の飲ませ方を聞くことに。すると、服薬専用ゼリーに混ぜると飲みやすくなるとアドバイスをもらいます。 自宅へ戻りさっそく試してみましたが、やはり苦くて飲めずに終了。続けて、小児科で処方された肌荒れの薬を塗っても起きてしまいます。 結局、何を試してもこっちゃんの夜泣きはなくならないのでした。 ◇◇◇ 子どもが小さいうちは夜泣きをするのも仕方のないことですが、こっちゃんのように何年も続くとママも疲れてしまいますよね。夜泣きの経験がある方は何か対策はしていましたか? 早く朝までぐっすり寝てくれることを願います。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 ※夜泣きについて一般的に夜泣きは、早い赤ちゃんだと生後6カ月ごろから始まり、遅い子だと2歳になっても夜泣きをするケースもあります。考えられる主な原因としては、不安や興奮、日中の刺激やストレス、睡眠サイクルの乱れといったことが考えられています。昼寝は3〜5歳ころまで続き、以降は昼寝をしなくなります。年齢を重ねても睡眠リズムが不安なときは小児科へ受診をしてみてください。発達障害がある場合、小児の精神科や小児神経の先生に相談するのも良いでしょう。また、かんしゃくが強いときの対処方法も相談すると良いでしょう。気分転換にお茶など飲んでみるなど、ちょっとした工夫で本人も家族もラクになることがあります。監修者:医師 神奈川県立こども医療センター 産婦人科 松井 潔 先生 著者:マンガ家・イラストレーター はちこ
2024年03月12日3歳を過ぎたころ、急に娘の身に起こった「熱性けいれん」。私は娘の症状を初めて目の当たりにし、顔が青ざめ言葉が出ませんでした。娘が熱性けいれんを発症し感じたことやすべきこと、やってはいけなかったこと……実際に身をもって経験したことをお伝えしたいと思います。 いつもの風邪の症状と思っていると突然に出かけた日の夕方に、鼻水と咳が出始めた3歳の娘。週末ということもあり、病院は休診。熱もなく軽い風邪症状だろうと思い、翌日に病院へ行く予定でした。 夜になると37.4度の微熱も出ましたが機嫌は悪くなく、子どもは夜に熱を出しやすいと把握していたので、気にせずそのまま就寝しました。ところが……。 1時間ほど経ったあと、私はふと目覚め、娘の様子を見て驚愕しました。娘は手足をビクビクとけいれんさせ、唇は紫色になり泡を吹いて失神していたのです。 指示を仰ぐため小児科救急へ電話娘の身に何が起きているの? 目の前にある光景は現実? 起きてすぐの私には娘の状態がまったく理解できず、頭が真っ白になってしまいました。そして我に返り、失神している娘の意識をまずはしっかりさせなくてはと思い、私は震える手で娘の体を軽く揺すったり声を掛けたりしました。 私の声に目を覚ました夫は娘を見て驚き、焦っていたと思います。夫が目を覚ましたことで少し冷静さを取り戻した私は、携帯を手に取り小児科救急相談窓口に電話を掛けました。 救急病院へ。何が必要なのかわからない小児科救急相談窓口で娘に起きている症状を看護師さんに伝えると、むやみに動かしてはいけないと指示され、そのまま救急に繋いでくれました。救急車が到着するのを待って、けいれん時の症状と時間を伝え、病院へ向かうことになりました。付き添いが必要なので、私は慌てて保険証や医療証、財布を準備し救急車を待ちました。 そこで、焦っていると忘れがちな持ち物があるとわかったのでご紹介したいと思います。 必要なものは貴重品以外にもあった!救急隊の方が寝室から娘を運び、私は娘の付き添いのため慌てて準備した貴重品等を持って救急車に乗り込もうとしました。そこで救急隊の人に呼び止められ「持ち物は貴重品以外にも必要な物がありますよ。言いますので準備してください」と言われたのです。 子どもの靴に靴下、院内での診察待ちや会計時、帰宅時に羽織る私と娘の防寒具などでした。軽装で過ごしていた自宅から救急車で病院に、しかも娘は抱えられて車に乗り込んだので靴や靴下を履いていないということにも頭が回っていなかったと気がつきました。 お医者様いわく、発症時は子どもを横に向け呼吸しやすくし、けいれんの時間を計り、どのような状態だったのかメモしておくことが大切なのだそうです。いざけいれんしているわが子を目の前にするとパニックになってしまいますが、しっかりしなくては……と感じた体験でした。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 原案/佐藤ひより作画/やましたともこ監修/助産師 松田玲子
2024年03月11日多くのママが「育児が大変! つらい!」と思うことについて、3児の母である小児科医がラクになる方法をアドバイス! ママ目線で「ここまでならラクしてOK」というポイントをお伝えします。今回は、離乳食についてです。献立を考えたり、量や硬さに気をつけたり、何かと手間のかかる離乳食。毎日の育児を笑顔で楽しく続けられるように、ほんの少し肩の力を抜いて、ラクをしてみませんか? 多くのママたちが大変と感じているお世話の中で、「ここまでならラクをしてOK」というポイントを、小児科医であり、3児の母でもあるさくらんぼこどもクリニックの三日市薫先生がご紹介します。 ここが大変① 朝は忙しくて離乳食を準備できない 調理いらずの食材を活用手間をかけなくても、パンやチーズ、果物といったそのまま食べられるメニューで十分です。大人の分から取り分けられる味噌汁やスープも便利です。また、ベビーフードを活用するのもおすすめ。硬さや味つけの目安の参考にもなります。 1〜2回食の時期ならば、朝は母乳や育児用ミルクにして、昼や夕方を離乳食にすると時間にゆとりができますね。 極端な偏食ではない限り、毎食ごとの栄養バランスはこまかく気にしなくても大丈夫です。離乳食の栄養素は2~3日単位で考えます。他の食事で補いながら、バランスをとるように心がけましょう。 ここが大変② 食べこぼしが多く、後片づけが疲れる エプロン&敷物で負担を軽減服や床を汚したり、皿をひっくり返したり……赤ちゃんの食事の片づけはひと苦労ですね。とはいえ、汚れるのが嫌だからといって、すべてお母さんが食べさせるのは避けましょう。赤ちゃんがスプーンなど道具を使う経験も必要です。 ポケット付きや大きめのお食事エプロンをしたり、床に新聞紙や敷物を敷くなどの対策をすると、着替えや後片づけの負担が軽くなります。 手づかみ食べは1品だけでもOK生後9カ月ごろになると見られる手づかみ食べも、触感を養ったり、自分で食べるための練習になるなど成長に必要なことです。食べる意欲が出てきた証拠と思い、パンやバナナなど汚されにくい1品だけでもさせてあげましょう。 ここが大変③ 好き嫌いが激しく苦手な食材を食べてくれない 赤ちゃんの好き嫌いは気にしなくてもOK好き嫌いのない子に育ってほしいという思いから、心配になる気持ちもわかります。しかし、赤ちゃんの味覚は未発達で、将来的な好き嫌いにはつながりません。味覚が形成されるのは3歳ごろになります。 嫌いな物はおかゆに混ぜたり、食感を変えてみたりと工夫をしながら、気長に様子を見ていきましょう。無理に食べさせなくても、ある日突然食べるようになったりもします。 離乳食の目安量はあくまで参考程度に考えて食べる量も月齢や離乳食の進み方の目安がありますが、大人もひとりひとりで食べる量が違うように、赤ちゃんもそれぞれ違います。基本は食べたいだけ食べさせて構いません。目安量に達しなくても、体重が順調に増えているならば、その子にとっての適量と思って見守りましょう。 まとめ離乳食で疲れないために大切なのは、「離乳食は手抜きで作る」ということです。ママが一生懸命作れば作るほど、食べてもらえなかったときの不満は、つい赤ちゃんに向かいがち。お母さんが怖い顔をしてスプーンを口に持ってきたら、赤ちゃんは食事が楽しくなくなってしまいます。笑顔で食事の時間を過ごせるように、肩の力を抜いて取り組んでいきましょう。 監修者:医師 さくらんぼこどもクリニック院長 三日市 薫 先生 著者:ライター 大浦綾子
2024年03月09日お小遣いは1年に1回ASD(自閉スペクトラム症)の太郎には、小学6年生の正月からお小遣いを渡しています。お小遣いを渡すタイミングは年に1度、お正月のタイミングのみです。その時に1年分のお小遣いをまとめて渡しています。今は中学2年生なので、今年の正月で3回目のお小遣いを渡しました。お小遣いを渡そうと思ったきっかけUpload By まゆん小学6年生の夏に太郎は初めて友達と外へ遊びにでかけました。遊びから帰宅した太郎が初めに口にした言葉が「お母さん!町で猫がカゴに入っていて、募金箱に千円を入れてきた!」でした。数千円しか渡していなかったうちの千円を太郎は募金に使ったのです。私はその行動に「なんて優しい子なんだろう」とは思わず、逆に不安感と危機感をおぼえました。それを募っていたのがどのような団体なのか分からないこと、小学6年生の太郎が千円という私からしたら大きな金額を募金に使ったこと。募金をする金額などの価値観は人それぞれではあるとは思いますが、私は募金に使用した金額を聞いて太郎の金銭感覚を養わなければと思いました。私は太郎にこう言いました。「今度から、募金をするときはお母さんがいる時にしよう」「千円という金額は、お母さんは大きすぎる気がする。太郎が自分で稼ぐようになったら、いくらでもしていいから、それまではお母さんと相談してから募金しよう」真剣な顔で私が言うと、太郎も少し固くなりながら「うん!分かった!もうしない!」と、どこまで真意を理解しているかどうかは分かりませんが、そう返事がありました。そして、金銭感覚を養うために、お小遣いを渡すことを決めました。1年に1回と決めた理由では次になぜ一年に一回のお小遣い制になったのか。主に3つの理由があります。Upload By まゆん理由その1:元同僚がお子さんにそうしていたと聞いて良いと思ったから元同僚のお小遣い事情について聞いた時に「年に1回まとまった現金を渡しているだけ」と答えがきて衝撃を受けました。私の中のお小遣いは毎月渡すものという考えがあったからです。そもそも年に1回にまとまったお金を渡して一気に使ってしまうのではないか?そういう考えもありました(私なら使いそう)。衝撃でしたが、よく考えてみると1年先までの使い道を考える力もつくのでは?というか太郎に使い方を教えるいい方法なのでは?と思った記憶があります。理由その2:お金の見える化が視覚優位な太郎にはピッタリだと考えたから太郎は視覚からの情報を得ることを得意としています。逆に目に見えないものの理解を不得意としています。そこを理解した上で現金が目の前にあった方が太郎も1年間の計画を立てやすいだろうと考えました。理由その3:お年玉のありがたさを感じ、使い道を考える機会になると考えたからまとまった現金の準備はお年玉のタイミングを利用しています。太郎は親戚が多く、ありがたいことにそれなりの金額になります(ここはあえて金額の詳細は伏せておきます)。そこに少し足した金額が太郎の1年間のお小遣いとなっています。環境に感謝です。お年玉が1年間のお小遣いと認識づけることで「お年玉」がどれだけありがたいものなのかを理解できるいい機会になるなとも思っています。太郎のお金の使い方についてさて、これで本人が管理できるのかというと完全にはできません。祖母と私と太郎で定期的に残金を数えています(お金を使うタイミングがある時もその都度)。そしてお金の使い方ですが、好きな物に惜しみなく利用しています。とはいえど、やはり残金が見えているため計算をしている太郎をよく見かけます。「えーと、1750円足す1750円はああ」という風に。Upload By まゆん好きな物が出てきたり物欲が出てきたりしたのがここ1年ほどの間だったので、お小遣い制度導入のタイミングはちょうど良かったと感じています。今のところ、お小遣いがなくなってきつくなることはなく、逆に余りが出て翌年に繰り越しできている状況です。次はキャッシュレス?現代社会はキャッシュレスの時代。現金でのお金の使い方を覚えたらキャッシュレスも試してみようかと考えています。視覚優位であるため恐らくキャッシュレスでの金銭管理は困難なのでは?と思う面もあるのですが、やってみないと分からないのでとにかくチャレンジです。急に本人にキャッシュレスでの管理を任せるのもリスクがあると思うので、ゆっくりとお試し期間を設けながら進めていきたいです。時代に合わせつつも、太郎の個性を活かしながら社会に適応していけたらと思っています。執筆/まゆん(監修:森先生より)お子さんの特性を理解されて、将来を見据えてしっかりとしたお考えで教育されていますね。実際、発達障害の傾向がある方では、お金の管理が苦手な方は少なくありません。欲しいものがあると衝動的に買ってしまったり、計画的に使うことが難しくて生活費が足りなくなってしまったり、ゲームやギャンブルにのめり込んでお金を使い切ってしまったり……ということがあります。自立する時までには、長期的なお金の管理を自分でできるようになることが必要です。一ヶ月ごと、一年ごとなど期間を決めて一定額のお小遣いを渡して、「計画的に使わないとあとで自分が困る」という経験をつむことに意味があります。また、視覚優位なタイプですと、「現金」や「残高」は管理できるけれどクレジットカードを打ち出の小槌のような感覚で使ってしまうというパターンもありますので、子どものうちにキャッシュレスも経験しておくのは重要ですね。今のうちにいろいろな経験をして自分の傾向を理解しておけば、自立してから「クレジットカードは使いすぎてしまいそうだから限度額を低くしておこう」といった工夫もできます。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年02月28日思いがけない難所にぶち当たるいよいよ3歳半健診を迎えた長男あー。関門は健診当日を迎える前にすでに用意されていた……それは視力検査と聴力検査!わが自治体では、時間短縮のためか当日の緊張による検査拒否回避のためか、「視力検査と聴力検査は自宅で済ませてきてください」というルールがあります。聴力検査は、一定の距離からささやき声で話しかける声が聞こえているか。視力検査は、あらかじめ配布されていた紙を見てこれまた一定の距離を空けて質問に答えられるか……というもの。まず聴力検査。多分聴こえてる……んだろうけど答えてくれない!どっか行っちゃう!待って!行かないで……(涙)!そんで視力検査、これまたどっか行っちゃう!ようやく引きつけても……聞かれている意味が分からない?のか答えてくれない……(白目)。というわけで戦う前からボロボロとなり、白紙で提出したのでした……(でもどうにかなった)。Upload By よいこ3歳半健診会場で、同年齢の子どもたちの落ち着きっぷりに衝撃3歳半健診の会場に行って驚いたのは、なんと言ってもほかの子どもたちの落ち着きです。幼稚園でも同年齢の子どもを見ているけれど、幼稚園は彼らにとっていわばホーム。思い思いのびのび過ごしているので、わんぱくだったり時に大人の言うことを聞かなかったり、そんなことはよくある光景……。 ということもあって、当時の幼稚園で、あーはそこまで目立っていなかったんですね。それがいつもと異なる空間に放り出されたら……。ほかの子どもはいつもと違うことに少し緊張しているし、社会性が芽生え始めている頃なのでかしこまりがちなんです。おとなしく、親御さんの隣で座って待っている。絵本なんか読んだりしてね。一方のあーは……いつもと違うところ、というのはあーにとってはパニックのトリガー。テンションマックスになりその辺を走り回る……。絵本やお絵かきでごまかそうとしても全然収まってくれない!やっと座ってくれたと思ったら、だらーんと椅子から崩れ落ち(体幹が弱い)、だらしなく見える……。もう……お母さん穴があったらダイブしたい……(号泣)Upload By よいこ健診はスムーズに進み、いよいよ小児科の先生の診察へ……そんなあーですが、意外と健診自体はこなせるタイプです。要は待つ、とかそういう「何もない時間」が耐えきれないわけで、3歳半健診で聞かれる「この色は何色ですか」みたいな問診には落ち着いて答えられるんですよね。内科系の診察も全部パスしていました……(注射など痛いことがなければ大丈夫なのです)。Upload By よいこ複雑な思いと全身疲労を抱え、最後に迎えた小児科の先生の診察。私は思い切って先生に言いました。「発達に不安があるんです」すると先生は、「なるほど。電車の名前とかいっぱい言ったりする?」とたずねてきました。電車……の名前は言わない……言わないぞ!言わない!これは……この子は違うのでは!?私の中にほんの一瞬、ほそーい光が差した次の瞬間のことでした。あーが壁に貼ってある大好きなアニメキャラクターのカレンダーに張り付いて、そこにいるキャラクターの名前をはじから全部言い出したのです(キャラクター多すぎアニメで、ぎっしりキャラクターが描かれているデザインだった……)!そんなあーを見て、先生はニコッと笑って「発達相談に回すね」とおっしゃったのでした。……そうですよね、知ってた!!!もろくも崩れ去った母の小さな希望はさておき……いよいよ、3歳児健診で絶対すると決めていた、発達相談に臨むことになったのでした。Upload By よいこ執筆/よいこ(監修:鈴木先生より)どの親御さんにとっても、ご自身のお子さんの障がい受容は難しいものです。「障がい者」というレッテルを貼られたくない気持ちがあります。私はASDを障がいではなく「特性」だと日頃から保護者の方にはお伝えしています。将来的に、その特性を生かした仕事ができればいいので今日から一緒に向き合っていきましょう、とお話しします。不安を持った親御さんにも、そしてお子さんにも寄り添って診察していくことが重要なのです。困っていることを一つひとつ解決へ導き、ストレスのない生活が親子で送れることを願っています。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年02月28日みんさんは夫と息子ミーくんの3人家族。ミーくんは消化管アレルギーがあり、小麦や大豆、卵黄が食べられません。ある日、ミーくんがパン粥と豆腐を食べて嘔吐! 小児科を受診するものの、アレルギーの確証はなく、一旦様子見することに。前向きに離乳食づくりをするみんさんでしたが、ミーくんはパン粥を食べて再び嘔吐してしまいました。小児科の医師からは「消化管アレルギー」の可能性があると指摘され、後日総合病院を受診するよう言われます。落ち込んでばかりいられないと、離乳食を進めたいみんさんですが……? 私がしっかりしないといけないのに…ミーくんのアレルギー症状が恐怖だった私は、だんだんとアレルギーの出やすい食材や新しい食材を避けるように。今まで問題のなかったメニューばかり食べさせるようになっていたのです……。 豆腐をつかった離乳食を食べたあとに嘔吐してしまったミーくん。以前は大丈夫だっただけにみんさんは動揺しました。 その後小児科で、みんさんが離乳食を進めるのに慎重になっていることを感じた医師は、あまり怖がりすぎないようアドバイスします。 そして、総合病院の紹介状を貰ったみんさんは、ミーくんを連れて受診することに。病院では、人見知りと場所見知りでミーくんが大泣きすることも多く、待ち時間もなかなか落ち着かないみんさんなのでした。 アレルギー症状に苦しむわが子を見るのはつらいですよね。医師から離乳食の進め方をアドバイスをされても、なかなかみんさんの心は晴れませんでした。管理栄養士さんによると、アレルギー症状が出た場合、完全食物除去(アレルギーの原因となる食物を完全に取り除くこと)と診断をされる場合もあるそうなのですが、栄養不足や偏りが出てきてしまうケースもあり、アレルギー専門の医師に相談することが大切なのだそう。 通っている小児科から紹介してもらった総合病院のアレルギー専門の医師と詳しく話すことによって、みんさんの気持ちが少しでも上向きになり、みんくんの食事も一歩進めたらいいですよね。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 >>次の話 監修者・著者:管理栄養士 久野多恵 著者:マンガ家・イラストレーター みん
2024年02月27日発達障害の診断の流れとは?発達障害の診断は以下のような流れで行われます。1.診察、問診子どもの場合は、保護者に子どもの普段の様子、症状、困り事や、生育歴についての問診を行います。また、遊びの空間などで子どもを遊ばせるなどの行動観察も行われます。2.検査等必要に応じて知能検査、発達検査などの検査を行います。質問紙を用いた評価を行うこともあります。発達障害と似たような症状を引き起こす身体疾患が疑われる場合には、血液検査、聴力検査、脳波検査、頭部画像検査を行うこともあります。3.診断診察、問診、検査の結果を踏まえ、診断基準に沿って総合的に判断されます。発達障害の検査方法にはさまざまなものがあります。知能検査知能の水準あるいは発達の程度を測定した検査です。主な知能検査法として以下のようなものがあります。・田中ビネー知能検査V・WPPSI-III知能検査・WISC-V知能診断検査・WAIS-IV知能検査・KABC-II参考:知能指数 / IQ(ちのうしすう)|e-ヘルスネット発達検査発達検査とは、子どもの認知面・言語面・運動面などの発達の度合いを調べる検査です。主な発達検査法として以下のようなものがあります。・新版K式発達検査・遠城寺式乳幼児精神発達検査・津守・稲毛式乳幼児精神発達診断法・日本版Bayley-III乳幼児発達検査・ASQ-3・KIDS乳幼児発達スケール・ブラゼルトン新生児行動評価法・日本版デンバー式発達スクリーニング検査質問紙等また、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)の評価には以下のような質問紙が用いられる場合もあります。・SDQ・CBCL・MSPA・Vineland-IIASD(自閉スペクトラム症)の評価には以下のような質問紙が用いられる場合もあります。・M-CHAT・PARS-TR・自閉症スペクトラム指数(AQ)ADHD(注意欠如多動症)の評価には以下のような質問紙が用いられる場合もあります。・ADHD-RS・QCD子どもの知能検査・発達検査には主に「WISC-V」 、「田中ビネー知能検査V」、「新版K式発達検査」がよく使われます。このコラムでは、・発達障害の診断を受けるメリット、デメリットは?・療育や合理的配慮は診断がないと受けられない?・発達障害は何歳くらいから診断される?など、発達障害の診断についてのギモンを専門家の先生のアドバイスを交えてご紹介します。【医師回答】発達障害の診断を受けるメリットは?デメリットはあるの?合理的配慮や療育、診断される年齢などここからはさくらキッズくりにっく院長・小児科専門医の藤井明子先生に、発達障害の診断についての質問にお答えいただきます。Q:年中の子どもがいます。3歳児健診のときに「要観察」と言われましたが、抵抗感がありお医者さんにはかかっていません。最近幼稚園でトラブルなども増えてきて、受診を悩んでいますが発達障害があるか診断を受けるには何科にかかったらいいのでしょうか?診断を受けることのメリットやデメリットなども知りたいです。A:年中の4、5歳頃になると、集団生活での様子で気になることがでてきます。まずは、かかりつけの小児科の先生に相談してみましょう。発達障害かどうかは、一般の小児科で診てもらえる場合もありますが、難しい場合には発達外来をおこなっている小児科、療育センターなどで相談するとよいでしょう。診断を受けることで、お子さんの気になる行動の背景が分かり、対応の仕方を親御さんと園の先生の間で共有しやすくなります。また、学年が変わったり、転園したりと環境が変わったときにも、相談がしやすくなります。発達障害の症状は、環境によって変わってくることもあります。デメリットというほどではないかもしれませんが、あるときには診断がついたが、あるときにはそこまで強くないと言われたなど、発達障害があるのか否かを困惑される場合があります。発達障害の診断の有無だけでなく、今現在お子さんが落ち着いて過ごせているかどうかを同時にみてあげていくことがとても大切です。Upload By 発達障害のキホンQ:年長の子どもがいます。小学校での合理的配慮をお願いしたいのですが、診断がないと配慮してもらえないのでしょうか?A:診断がなくても合理的配慮はお願いできます。令和3年に障害者差別解消法が改正され、合理的配慮の提供が義務化されました。小学校での合理的配慮の提供にあたっては、お子さん、親御さん、小学校との間の「建設的対話」を通じて相互理解を深め、共に対応案を検討していくことが重要になります。たとえば、音楽の授業の音が気になるので、イヤーマフの装着を可能とするなどです。対応の仕方などは、お子さん一人ひとりによって違ってくるため、学校の先生との連携がとても大切になっていきます。参考:障害を理由とする差別の解消の推進|内閣府Upload By 発達障害のキホンQ:2歳の子どもがいます。発達に遅れがあり療育に通いたいのですが診断がないと通えないのでしょうか。A:診断がなくても、発達の遅れに対して療育が必要という医師からの意見書があれば、児童発達支援施設に通うために必要な通所受給者証を取得でき、療育に通うことは可能です。発達の遅れについて、まずはかかりつけ医に相談してみましょう。Upload By 発達障害のキホンQ:年少の子どもがいます。ADHD(注意欠如多動症)ではないかと思っているのですが、何歳くらいから診断されるのでしょうか?A:ADHD(注意欠如多動症)は、幼少期より寝つきがわるい、落ち着きがなく目が離せないなどの症状がありますが、診断されるのは年中以降であることが一般的です。多動、衝動性がなく、不注意のみの場合には、小学校での忘れ物・なくし物が目立つことで気づかれ、小学校入学以降に診断を受けます。ASD(自閉スペクトラム症)は、早いお子さんでは1歳半健診で言葉の遅れを指摘されることがあります。さらに、アイコンタクトがない、あやし笑いに反応しないなどコミュニケーションの遅れを認めた場合、1歳から診断されます。言葉の遅れは顕著ではないが、集団生活の苦手さ、興味の偏りが顕著といった症状から気づかれる場合には、園などの集団生活をおくる3歳から4歳以降より診断されます。SLD(限局性学習症)は、小学校入学後、一定の学習機会があるにもかかわらず、学習の定着が顕著に遅い場合に、検査などで診断されます。早い場合で小学1年の夏以降くらいで診断がされます。あくまで診断される年齢は一般的な目安ですので、お子さんの発達・知的能力によっても個人差があります。ご心配なことがあれば、この年齢に達してなくても、かかりつけ医に相談することをお勧めいたします。Upload By 発達障害のキホン(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2024年02月26日みんさんは夫と息子ミーくんの3人家族。ミーくんは消化管アレルギーがあり、小麦や大豆、卵黄が食べられません。ミーくんが離乳食を始めたのは生後5カ月ごろのこと。離乳食初期のころは大泣きして食べないことも多く、そこにみんさんの復職やミーくんの胃腸炎などが続き、みんさんは精神的に参っていました。少しずつ食べられる物も増えてきた生後7カ月ごろのこと、ミーくんが、何度か食べたことのあるメニューを食べたあとに嘔吐。小児科を受診すると、現段階ではアレルギー症状かどうか断定できないので、嘔吐したメニューを少量ずつ食べさせるようにとアドバイスされました。 ミーくんが食物アレルギーかもしれない…?せっかく離乳食に慣れてきたので、まだ食べさせたことのなかった白身魚にトライしてみることに……。 ※再度アレルギーの原因となる食物を食べさせる場合は、医師に指示に従って量を判断してください。 豆腐を少量食べさせたところ、ミーくんに体調に変化は見られませんでした。別の日、みんさんが緊張しながらパン粥を食べさせてみると、ミーくんは再び嘔吐……! 翌日小児科を受診したところ、医師から「消化管アレルギー」の可能性を指摘されます。食物アレルギーには血液検査の際に反応があるのですが、ミーくんの場合は「消化管アレルギー」の可能性があり、血液検査では「陰性」が出るのではないかとのこと。現段階で受診した小児科でできる検査がないため、小麦粉を控え、近くの総合病院を受診するよう言われます。 ミーくんが小麦アレルギーかもしれないことに落ち込むみんさん。医師はその様子に気づき、3歳くらいまでにはアレルギーを克服する子が多いと励ましてくれました。しかし、みんさんは離乳食を進めたいという焦りと、アレルギーへの恐怖に板挟みになってしまうのでした。 小麦が含まれている食品も多く、今後の食事のことを考えるとみんさんがショックを受けるのは無理もありませんよね。そして、食べさせたあとに嘔吐するかもしれない不安を抱えながら離乳食を進めるのは、相当な恐怖でしょう。ただ、助産師さんによるとみんさんが診察を受けた医師が言っていたように、消化管アレルギーは幼児期のうちに治ることが多いと報告されているそうです。焦る気持ちもあると思いますが、みんさんがあまり根詰めないように進めてほしいですね。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 >>次の話 監修者・著者:管理栄養士 久野多恵 著者:マンガ家・イラストレーター みん
2024年02月26日みんさんは夫と息子ミーくんの3人家族。ミーくんは消化管アレルギーがあり、小麦や大豆、卵黄が食べられません。 えっ? まさかアレルギーなの…?ミーくんにアレルギー症状が初めて出たのは、生後7カ月ころでした……。 生後5カ月目に離乳食デビューしたミーくん。滑り出しは順調かと思われましたが、野菜を食べさせようとすると反り返って嫌がるように。一旦離乳食をお休みして、生後6カ月ごろに再開しましたが、ひと口だけ食べたりギャン泣きしたりと安定しない日が続きます。そこへ追い打ちをかけるように、みんさんの仕事復帰やペットとのお別れ、ミーくんの嘔吐などが重なり、みんさんは精神的に追い詰められていきました……。生後7カ月目に入るころには、少しずつ食べられる物が増えてきましたが、そんな矢先にミーくんが嘔吐! 胃腸炎の再発なのかアレルギーなのか、心配を抱えながら小児科を受診したところ、嘔吐する直前に食べたメニューだと嘔吐でのアレルギー反応は考えにくいと言われます。 医師は、もう一度同じメニューを少量から試すように助言。ミーくんが離乳食に慣れてきたところでまた振り出しに戻ったような気持ちになるみんさんですが、気を取り直して次は白身魚に初挑戦してみようと前向きに考えたのでした。 何度か試したことのある食材を食べた後に嘔吐したミーくん。小児科でも嘔吐の原因がはっきりせず、みんさんは不安な気持ちになったことでしょう。助産師さんによると、アレルギーは少量の摂取でも症状が出る場合や今まで食べることができていたものでもある日突然起こることがあるので、そこまで珍しいことではないのだそう。 ただアレルギーには、一般的に知られている典型的な即時型症状を引き起こす食物アレルギーや、遅延型症状を引き起こす消化管アレルギーなど、あまり周知されていない種類のアレルギーもあります。原因となる食物を摂取してから2時間以内に症状が出る食物アレルギーとは違い、消化管アレルギーは数時間から数日たってから、嘔吐や血便、ひどい下痢などの症状が出現する場合があるとのこと。そのため、医師は「ミーくんが食べてから2時間後に嘔吐した」という2時間という時間が気になっていたのかもしれませんね。不安な状況は続きますが、みんさんは「できることを進めていこう!」と気持ちを前向きに切り替えました。急がず医師と一緒にミーくんのこれからについて考えていけたらいいですよね。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 >>次の話 監修者・著者:管理栄養士 久野多恵 著者:マンガ家・イラストレーター みん
2024年02月25日ADHD(注意欠如多動症)とは?ADHDは注意欠如多動症とも呼ばれていて、「不注意」「多動性」「衝動性」といった特性によって日常生活や園での活動などに困難が生じる発達障害の一つです。不注意では「人の話を最後まで聞けない」「一つの作業に集中し続けることが難しい」、多動性では「落ち着きがなく常に動いている」「席にじっと座っていることが難しい」、衝動性では「おしゃべりが止まらない」「思いついたことをすぐ実行する」などの特性があります。特性の表れ方は人によって異なっており、不注意が表れやすいタイプ、多動性と衝動性が表れやすいタイプ、不注意と多動性、衝動性が混在しているタイプと主に3つに分けられています。ADHD(注意欠如多動症)の診断は上記のような特性が6ヶ月以上、家庭と園など複数の場所でみられ、実際に困り事が発生していることなどが条件となっています。また、特性が12歳未満で表れていることも診断の条件となっています。しかし、4歳、5歳頃の子どもにとって、集中が途切れたり、思いつきで行動したりするなどはよくあることで、この頃に診断することは難しく、小学生以降に診断を受けることが多いと言われています。ADHD(注意欠如多動症)の原因はまだ明確になっていませんが、遺伝は要因の一つだと考えられています。また、脳内の神経伝達物質の異常、低出生体重、頭部の怪我、脳の感染症なども要因としてあげられています。それらの要因が複雑に関係し、相互に影響し合うことで、ADHD(注意欠如多動症)の発症リスクが高まると言われています。ADHD(注意欠如多動症)は脳機能の偏りによるもので、治るというものではありません。そのため、ADHD(注意欠如多動症)の特性と周りの環境をうまく合わせていく環境調整を行って、園などで困り事が軽減するような対策をしていくことになります。また、服薬によって特性の表れ方を和らげる方法もあります。低年齢の子どもの場合、主なADHD薬のなかで処方できるものはありません。今後の服薬については主治医と相談して対応を決めていきましょう。参考:注意欠如・多動症(ADD,ADHD)|MSDマニュアルプロフェッショナル版4歳、5歳児頃から表れるADHDの特徴とは?多動?落ち着きがないだけ?気になるサイン4歳、5歳の子どもは、保育園や幼稚園の年中や年長にあたり、友達との会話を楽しんだり、ルールを決めた中で遊んだりとできることも増えてくる時期です。そのため、ADHD(注意欠如多動症)の子どもは園での活動や友達との関係で困り事が生じる傾向がみられるようです。ここでは特性ごとによくみられる特徴を紹介します。不注意・保育士が話していることを最後まで聞けない・遊んでいる最中にほかのことに気を取られることが多い・保育士から指示された課題を最後まで続けることができない・よく物をなくしたり、忘れたりする・集中力が必要なことを嫌がる多動・衝動性・落ち着きなくそわそわ動いたり、身をよじったりしている・席に座る場面でじっと座っていることができない・話を聞く場面で走り回ったり、おしゃべりをしたりする・保育士の話をさえぎってしゃべりだす・ほかの子どもが何かしようとするのを遮る・ほかの子どもが使っているおもちゃを横から取ってしまう・順番を待つことができずに割り込む・保育士の指示は聞いていても自分のしたいことを優先するただし、4歳、5歳頃にはこのような行動が多くみられるため、ADHD(注意欠如多動症)かどうかを判断するのは難しく、診断自体は7歳頃に受けることが多いと言われています。参考:第2章(子どもの発達)に盛り込むことが考えられる事項(たたき台案)|厚生労働省参考:注意欠如・多動症(ADHD)|MSDマニュアル家庭版参考:注意欠如・多動症(ADD,ADHD)|MSDマニュアルプロフェッショナル版もし子どもが友達との関係や課題への取り組みなどで園でトラブルを起こした際は、どのように対応するといいか紹介します。対応方法としては、環境調整、声かけの工夫、生活の安定などがあります。環境調整子どもの特性を考慮して困り事が生じないように周りの環境を調整していく方法のことです。例えば、気になるものがあると課題に集中できない子どもには、席を一番前にしたり、パーテーションをつけたりして、視界に入る情報を減らすといった方法があります。ほかにも、じっと座っていることが苦手な子どもには、動いていい時間と静かに座っている時間を明確に分けることでメリハリをつけて実行しやすくする方法もあります。また、子どもの安全を考えて急に走り出しても危険がないように、ぶつかると危ないものをあらかじめ撤去しておくことも環境調整の一つです。声かけの工夫できたことをほめて好ましい行動を増やしていく方法のことです。順番を待つことができたら「待ててえらいね」「最後までよくがんばったね」などと、具体的にできたことをほめていくことで、子どもが次からもその行動をする動機をつくっていきます。また、「ちゃんとしなさい」という漠然とした表現でなく、「背中を椅子につけて座る」といった具体的に分かりやすい表現で伝えることも大切です。生活の安定ADHD(注意欠如多動症)の子どもは生活習慣が乱れやすいため、1日のスケジュールを決めて行動するようにすると生活が安定し、そのことが心身の安定にもつながると言われています。スケジュールを決める際には子どもの意見も考慮することや、イラストなど視覚的に分かりやすい方法で伝えていくと取り組みやすくなります。また、園と家庭の情報共有も重要です。家庭で実行して、子どもが落ち着いたり集中できたりしたことを園に伝えることで、園でも同様の対応をしていくことができます。その逆に園で効果があったことを家庭に共有していくことも可能で、情報共有することで子どもに対する効果的な対応を増やしていくことができます。そのほかの対応として、ペアレント・トレーニングの一つである「親子相互交流療法(PCIT)」などもあります。PCITは1970年代にアメリカで考案されたプログラムで、子どもと保護者の絆を強め、より良い行動につなげていくというものです。一部の医療機関などで実施しているので、気になる方はご確認ください。参考:PCITJAPANADHD(注意欠如多動症)の子どもの行動に焦点をあて、その特徴を理解し、それに対して効果的な対処法を親が学ぶペアレントトレーニングは、ADHD(注意欠如多動症)の治療法として認識されています。肯定的な注目などのスキルを親が手にし、親の行動のあり方を変えることにより、ADHD(注意欠如多動症)を持つ子どもとの関係性が改善し、良い親子関係へと転換していきます。服薬ADHD(注意欠如多動症)は服薬によって特性を和らげる方法もあります。よく使用される薬としてはコンサータやストラテラ、インチュニブ、ビバンセなどがありますが、これらは6歳以上に処方される薬のため、4歳、5歳の子どもには用いられません。詳しいことは主治医とご相談ください。4歳、5歳児に表れることの多いADHDの特性をチェックUpload By 発達障害のキホン※発達や成長に加え症状や特性には、この時期大きな個人差があります。当てはまる反応や行動の数が多いからといって、すぐにADHD(注意欠如多動症)と診断されるわけではありません。子どもの発達が気になったらどこに相談すればいい?子どもにADHD(注意欠如多動症)の傾向がみられたり、園でトラブルがあったりして悩んでいる場合は、専門の機関に相談する方法もあります。相談することで心が楽になったり、対応方法が分かったり、状況を踏まえてほかの支援機関を紹介してもらえたりとさまざまな利点があります。子どもに関して相談できる場所として以下のような機関があげられます。保健所・市区町村保健センター保健所や保健センターは地域の保健衛生に関する専門機関です。子どもの障害についても相談することが可能で、保健師などの専門家による相談対応や医療機関、支援機関の紹介などを行っています。かかりつけの小児科小児科医は診察などをするだけでなく、子どもの発達に関して相談することもできます。これまでの子どもの様子も知っているため、状況に応じてほかの医療機関の紹介などをしてもらえます。児童発達支援センター障害のある子どもへ、日常生活や集団生活に必要なスキルなどを習得するための支援を行っている専門機関です。児童発達支援センターでは支援のほかにも子どもの発達に関する相談も受けつけています。発達障害者支援センターADHD(注意欠如多動症)などの発達障害のある方本人や家族を対象に、幅広い支援を行っている専門機関です。状況に合わせたアドバイスをもらえるほか、医療機関や支援機関の紹介も行っています。また、診断を受けていなくても相談可能です。就学相談今後就学に不安がある方は、「就学相談」を受けることもできます。就学相談とは障害や発達が気になる子どもにどのような進学先が合っているかを、専門家と保護者で相談しながら決めていくことです。就学相談を受けるにはお住まいの地区の教育委員会に申し込む必要があります。気になる方は一度問い合わせてみるといいでしょう。参考:困ったときの相談先|厚生労働省まとめADHD(注意欠如多動症)は不注意、多動性、衝動性という特性のある発達障害のことで、4歳、5歳頃だと「席に座っていられない」「落ち着きがなく常に動いている」「ほかの子のおもちゃを取ってしまう」などが困り事としてよくみられます。ただ、上記のような行動はこの年頃の子どもにはよくみられるので、判断がつかずに悩んでいる保護者の方もいると思います。気になる様子があったら、園と連携して環境を調整していくことや、子どもとの関わりを工夫していくことが大事です。また抱え込んでしまうのではなく、身近な専門機関に相談することも検討してみてください。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年02月24日発達の遅れ……集団で受けたくない3歳児健診わが家の長男けんとは1歳半健診の時に、言葉が出ていませんでした。落ち着きがなく、気になるものを見つけては歩き回り、保健師さんとのやりとりも全くしない息子。私は周りの子たちとの違いに落ち込み、発達相談を受けることにしました。発達相談をきっかけに、市の保健センターで行われている親子教室へ通い始め、支援が繋がっていきました。年少からは地域の幼稚園ではなく、市が運営する発達支援施設への入園を決意。同じ頃に発達外来を受診し、ASD(自閉スペクトラム症)と診断を受けました。Upload By ゆきみけんとの特性を理解したい気持ちは大きいけれどなかなか難しく、頭を悩ませていた日々。そんな頃に3歳児健診がありました。正直、行きたくありません。なぜなら、2歳6ヶ月頃に行われた集団歯科健診で、けんとと周りの子たちとの違いに落ち込んだ記憶もまだ鮮明に残っていたからです。当時私たちが住んでいた地域の3歳児健診では、内科の健診項目は、保健センターにて集団で受けるか、市が指定する小児科で受けるかを自分で決められました(※お住まいの自治体によって制度は違います)。「集団では受けたくないな」と思い、わが家は小児科で受けることに。けんとのかかりつけ医が、健診を受けられる指定病院の中に入っていたので、けんとが慣れているかかりつけ医にて3歳児健診の予約を入れました。母子手帳の3歳児健診の項目を読んでみるとUpload By ゆきみ3歳児健診へ行く前に、母子手帳に書いてある3歳児健診前にするチェック項目を読んでビックリ!私が想像していたよりも、当時のけんとはチェックに〇がつけられないことに気がつきました。・自分の名前が言えますか・ままごと遊びができますか・手を使わずにひとりで階段をのぼれますか・衣服の着脱をひとりでしたがりますか……などと書いてありましたが、ほかの項目も含め、けんとはできないことが多かったのです。けんとはその頃、単語で話す程度。さらに構音障害があり、「あ・い・う・え・お」の母音のみでの発音だったので聞き取りづらく、母親の私には何を言っているか理解できていましたが、周りの人には理解できない状態でした。また、ひとり遊びが多く、身体を動かすのも苦手。3歳児健診でも、1歳半健診の時のようにできないことが多いのかなと想像し、憂鬱になってしまいました。3歳児健診のお知らせを読んでいくと、身体測定のほかに、聴覚検査や視力検査、検尿もあるとのこと。「できる気がしない……」と不安だらけでしたが、お知らせの中に、「C」の形がどっちを向いているかを指差しで答えるという視力検査の練習用紙が入っていたので、数日前から少し練習してから3歳児健診へと向かいました。予想通り、3歳児健診で引っかかったのはけんとは気になるものを見つけると、入ってはいけない場所へでも入ってしまい、触ってはいけないものでも触ってしまうので、気が抜けず、当時は一緒に外出するのがとにかく大変でした。けんとの3歳児健診の時、弟は1歳。けんと1人だけでも病院に連れていくのが大変だったのに、「弟もいたら無理だ……」と思い保育所の一時預かりを利用し、弟を預けました。Upload By ゆきみ3歳児健診を受ける場所は、いつも行き慣れているかかりつけ医を選んだため、けんとは警戒することなく、病院へ入ることができました。しかし、私が受付で提出物を出している間に、気になるものを見つけたけんとは、一直線に走り出し、制御不能状態に。提出物をすぐ出せるように準備してからのぞんだ受付でしたが、そういうわずかな数秒だけも気が抜けませんでした。名前を呼ばれ、身長などの計測が始まりました。しかし、どこかへ行こうとしたりして、まっすぐ立たないけんと。じっとしているのがイヤだったようで、とうとうグズりだしてしまいました。でも、看護師さんも一緒に頑張ってくださり、無事に身長体重を計ることができました。「C」の向きを指差しする視力検査は、家で練習した成果なのか、無事にできてホッとひと安心。結果的に、3歳児健診で指摘を受けたのは「身長(低身長で、成長曲線から下にはみ出していた)」、「言語面」、「運動面」など……。私の予想通りでした。1歳半健診と3歳児健診、両方指摘を受けたが当時、すでに低身長については総合病院を受診済みで、発達外来では自閉スペクトラム症と診断を受けていました。さらに市の発達支援施設に通っていることを医師に伝えていたので、3歳児健診を終えたあと、特に新たに何かをするということはありませんでした。3歳児健診はやはり大変でしたが、慣れているかかりつけ医で受けられたのは、けんとにとっては良かったなと感じました(※お住まいの地域によって異なります)。1歳半健診を終えたあとは、相談できる人が周りにおらず、どうしたらいいのか不安でいっぱいになりました。しかし3歳児健診を受けた時は、発達外来で医師、発達支援施設で保育士さん、言語療法士さん、作業療法士さんなど、専門職の方たちにも相談できる環境にいました。そして、私もけんとの特性を受け入れ始め、向き合っているところでした。1歳半健診、3歳児健診、どちらも発達の遅れがあり指摘を受けたけんとですが、私が感じた違いは「相談できる人」の存在。不安はもちろんたくさんありましたし、けんとが小学2年生となった現在もたくさんあります。でも、発達に関する相談ができる人が周りにいることは、昔も今も……私の心の支えになっています。Upload By ゆきみ執筆/ゆきみ(監修:室伏先生より)3歳児健診でのけんとくんのご様子や、ゆきみさんのお気持ちを共有くださりありがとうございました。ゆきみさんに相談できる人という心の支えがあること、私もうれしく思います。療育の意義というのは、ご本人へのアプローチももちろん大事なのですが、ご家族さんが困っていることを相談でき、ご家族さん・お子さん双方にとってよりよい関わり方を知ることができたり、孤独感や不安を抱きやすいご家族の心の拠り所としての側面も大きいと感じています。発達外来もそうですね。発達に関して不安に思っていることはあるけれど、個人差の範囲かもしれないし……、診断や検査結果を聞くのも怖いし……などなど、相談をためらわれることもあるかもしれません。そのようなお気持ちをご家族の方がお話ししてくださることも少なくありません。ご家族の方のお気持ちやご希望なども含めて、発達外来や発達支援センターなどに一度ご相談してみてくださいね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年02月23日市から届いた3歳児健診のお知らせ。それを見て驚いた理由とは……Upload By 鳥野とり子私が住んでいる市では3歳過ぎの時に健診があります。わが家にも息子が3歳を過ぎた頃に健診のお知らせが届いたのですが、そのお知らせを読んで衝撃が走りました。・検尿の提出・家で視力検査を実施・発達チェック項目検査に行く前からハードルが高い……。検尿も視力検査もできる気がしなかったので市に電話をして相談したところ、「無理せずできる範囲で良い」と言っていただいてひと安心。できるところまで頑張ってみようと思い、息子ができそうな方法を調べることにしました。3歳児健診の最大のハードル!?【尿検査】。採尿パックのおかげで無事に採尿完了!Upload By 鳥野とり子3歳の時点で息子はトイレトレーニング(トイトレ)が完了していませんでした。だいぶトイレでできるようになっていましたが、まだおむつを履いていて時々おむつにおしっこをしている状態だったのです。何度か朝イチに採尿できないかチャレンジしてみましたが失敗の連続で、おしっこを紙コップに採取するのは難しい状況でした。どうすれば採尿ができるかインターネット検索した結果、採尿パックという素晴らしいアイテムを見つけたのです!意外と知られていないアイテムかもしれませんが、本当に便利でした。イラストのようにペタっと貼って、あとはおしっこが出るまで放置しておくだけ。おしっこをしたら袋の中に溜まるようになっているので、これを吸い上げて採尿完了!トイレでおしっこが出るのを待ち構えなくて良いのでめちゃくちゃ楽ちんでした。自宅の近くで売っているお店を見つけることができなかったので、私はインターネットショップで購入しました。有料で分けてくれる小児科もあるそうなので、かかりつけの小児科に聞いてみるのも良いかもしれません。子どもの採尿に困ったら採尿パック、おすすめです。自宅で視力検査なんてできる気がしなかったけれど……Upload By 鳥野とり子次に困ったのは視力検査。3歳児でも答えられる鳥や魚のイラストが描いてある表が同封されていました。この表を壁に貼って、子どもに2メートル程離れた所に立って表を見てもらい、親が差したものを答える方式でした。簡単にできるように思えたのですが……。イラストに興味がない息子は片目を検査しただけで飽きてしまい、その後は何度チャレンジしても検査できず。興味のないことに取り組むのが難しい息子は、この頃はたった数分でも集中することができませんでした。結局、自宅での視力検査はあきらめて当日健診会場で検査してもらうことにしました。できない項目が多くて凹んだ発達チェックUpload By 鳥野とり子健診時に提出する問診票の記入は別に難しいものではありませんが、発達に特性がある子どもの保護者にとっては少し酷だなあと思いました。発達に関する項目にチェックをつける作業は【わが子の発達の遅れと向き合う】ことなのでちょっと凹みました。別に完璧にできることを求められている訳ではないのですが、項目には平均的な3歳児ができることが書かれているので、現実を突きつけられた気分になってしまうのです。息子は運動発達がかなり遅れていたので、運動発達の項目はチェックができる項目が少なくて、私はしょんぼりしてしまいました。いざ3歳児健診会場へ!そこで驚きの光景が‼Upload By 鳥野とり子3歳児健診当日、会場入り口で受け付けを済ませてまず身体測定するために更衣室に通されました。そこで驚きの光景が!なんと、そこにいる10名以上の子がみんなパンツを履いていたのです。オムツを履いているのは息子だけ。「あぁ、もうみんな日中パンツで過ごしているのね……」と、私はショックを受けました。会場の職員さんいわく「いつもはオムツを履いている子もけっこういるんだけど、今日はたまたまパンツの子ばっかりみたい」と言っていましたが、私にとってこの光景はなかなか衝撃的なものでした。各検査は無事にできたけど、視力検査は……Upload By 鳥野とり子どうなることかと緊張していましたが、身体測定、運動能力チェック、聴力測定、歯科健診はスムーズに終わりました。しかしここで息子の集中力が限界を迎えてしまい、視力検査は途中からグダグダで最後までできず……。職員さんがかなり工夫して頑張ってくれましたが測定できないまま終了して、後日眼科に行くことになりました。「全部この健診会場で済ませてしまえたら楽だったのにな」と思いましたが、なんと後日眼科に行ったおかげで、息子は少し弱視だということが判明しました。集中力がないおかげで弱視が判明するという、まさに怪我の功名のような結果になりました。できないことは多いけれど、成長を感じた3歳児健診Upload By 鳥野とり子ほかの子にはできて息子ができない数々のことを目の当たりにして少し凹んだりもしましたが、1歳半健診の時とは比べ物にならないくらいに心身ともに成長していました。少し落ち着きがなかったり待ち合いで動き回ったりはしたけれど、ちゃんと順番を待てたし、泣いたりせずに検査を受けられてすごいなと感動することのほうが多かったです。そして、やや弱視ということも分かったので、3歳児健診に行って本当に良かったと思いました。発達が遅いとこういう集団の健診は気が引ける方もいらっしゃるかもしれませんが、専門家に悩みを相談して意見を聞けたり、サポートを受けられる窓口を紹介していただけたりするので、発達についてまだどこにも相談できずに抱え込んでいる方は健診で相談してみてもいいかもしれませんね。執筆/鳥野とり子(監修:森先生より)お子さん自身の成長に目を向けることができていて素晴らしいです。健診はテストではありません、「できるか、できないか」で点数をつける場ではないのです。「ほかの子との比較」をついついしてしまうかもしれませんが、お子さんの成長は本当に人それぞれなので、比較して気にする必要はありません。重要なことは、「お子さんにとってどんなサポートができるか」ということ。そのための健診です。気になることがあったら気軽に専門家に相談してみましょう。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年02月22日息子の吐き戻しが気になり、小児科に訪れたときのエピソードをご紹介します。 なにかおかしい…息子が生まれ、退院後自宅で過ごしていると、生後2週間ほどで息子が育児用ミルクを少量吐き戻しするようになりました。数日続いたので近所の小児科で診てもらうことに。医師からは「よくある新生児の吐き戻しですね」と診断を受け、そのまま帰宅し様子を見ていました。 ですが、次の日から育児用ミルクを飲んでいる最中に大量に戻すようになり、夜中も噴水のように吐き戻していました。やはりおかしいと思い、出産した産婦人科で診てもらうと、「ここでは診れません」と言われました。元々黄疸の数値が高く、それもおかしいと思っていたのですが、黄疸の数値が高い・吐き戻しが酷いという点が引っかかったようで、すぐに大学病院へ緊急搬送されました。 大学病院での診断は「肥厚性幽門狭窄症(ひこうせいゆうもんきょうさくしょう:生後2~3週ころから吐きもどしがみられ、徐々に「噴水状」になることが特徴。薬剤による治療法と手術による治療法があるが、病院によって方針が異なることがある)」でした。翌日すぐに手術し、無事回復に向かいました。黄疸の数値が高かったのも肥厚生幽門狭窄症で育児用ミルクが腸に届いていなかった、消化し切れていなかったことが原因とのことでした。 初めての子育てで、周りに前例もなくとても不安でしたが、病院の先生から「ママの勘が1番当たる」と言われました。「毎日一緒にいるママが少しでも異変を感じたらそれは病院に行くべき」と教えてもらい、そこからはすぐ病院に行くようにしています。 作画/大福監修/助産師 松田玲子 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。著者:田中愛 1歳の息子を持つママ。医療事務にてパート勤務。趣味はライブ参戦
2024年02月21日3児のママ小児科医で、高円寺こどもクリニック院長の保田典子先生に、子どもの自己肯定感を上げる方法について、教えてもらいました。こんにちは。小児科医の保田典子です。ちょっとした親の言動で子どもの脳が傷つけられるというデータが出てきています。子どもには前向きに、自分の能力や才能をいかんなく発揮してくれる子になってほしいですよね。 子どもたちを褒めることで、自己肯定感を育むことができます。今回はその方法についてお話したいと思います。 そもそも「叱る」と「怒る」は違う「叱る」というのは、冷静に話して言い聞かせることを言います。「怒鳴る」というのは、「自分は怒っている」という感情を子どもにぶつけている状態のことを指します。 その場の感情をぶつけてしまうと、子どもは怒られた内容(何が悪かったのか)よりも、「怒られた! ママが怖かった!」という気持ちが先にたってしまい、結局言い聞かせたいことがかえって伝わらなかったりします。 感情的になって子どもに怒鳴り続けると、子どもは次第に「何をやってもママは怒る」「自分は何もできない」と覚えてしまいます。何をしても過激に怒鳴られると、常に大人の顔色を見て動くようになり、子どもの自由さ、豊かな発想は潰されてしまいます。 すると自己肯定感は低くなり、子どもにとって悪影響を及ぼすのです。頻繁に怒鳴られると、子どもの脳が傷つくという研究結果もあります。 ポジティブな声掛けや褒めることで、自己肯定感を育てようここ何十年かの研究で、「怒られるから〇〇をする」という、嫌なことを回避するための行動より、「うれしいから、やりたいから〇〇をする」という行動の方が長続きして効果的である、とわかってきています。前向きに良い行動ができるようになるためのには、ポジティブな声かけがおすすめです。 ポジティブ声掛けのコツ1:スモールステップで褒めるまずは、褒める回数を増やして、たくさん褒めましょう!親御さんたちは、ついつい「全部できたこと」を褒めがちなのですが、やってほしいことを細分化して、こまめに褒めるのがコツです。片づけが全部終わった後に「お片付けできてえらいね」ではなく、片付けをするそれまでの過程一つ一つを褒めてみてください。 例えば、お片づけをしてほしい場合、お片づけをしようと動き出したときに1回褒める、実際に片づけの行動をしはじめた時にまた褒める、片づけの方法を自分で試行錯誤してやっていたらまた褒める……などです。1回のタスクで5~10回褒めるのを最終目標にしましょう。 ポジティブ声掛けのコツ2:笑顔で大げさに褒めるマスク時代になってしまって、人前で顔を見せることが少なくなりましたが、子どもにとって大人の表情を見て会話をすることは、発達の上でとても大事です。親が自分の行動で喜んでいるかどうかを表情で敏感に感じます。ぜひ、良いことをしたら笑顔で、大げさに褒めてあげてください。 たくさん褒めてあげましょう!子育ては、「叱らない」「指導しない」ことが大切なわけではありません。良くない言動は適切に叱って、良い行動はしっかり褒める。これを繰り返していれば、きっとお子さんの良い行動が引き出されるはずです。なかなか地道な作業ですが、コツコツ積み重ねていければいいなと思います。 監修者・著者:医師 高円寺こどもクリニック院長 保田典子 先生
2024年02月17日なぜ指しゃぶりをするの?いつから始まる?子どもの発達について解説指しゃぶりは実は胎児の頃から始まっています。その後も乳幼児期にかけて多くの子どもに見られますが、成長と共に次第に減っていき、小学校に入る前にはほぼ見られなくなるといわれています。指しゃぶりをする理由や頻度は年齢によって異なります。胎児期:胎児の指しゃぶりは生まれたあとに母乳を飲むための練習としての役割を持っているといわれています。乳児期:生後2~4ヶ月は口の近くに来た指を無意識に吸っています。生後5ヶ月頃になると物の形状や味、感触などを口に入れることで学習していると考えられています。幼児期前半(1~2歳):手指の発達が進み、積み木やぬいぐるみなどで遊ぶことが増えると昼間の指しゃぶりは減り、退屈なときや眠いときなどに見られるようになります。幼児期後半(3歳~就学前まで):子どもの世界が広がり、外で友達と遊ぶようになるとますます指しゃぶりは減っていきます。学童期:基本的に指しゃぶりはなくなります。参考:小児科と小児歯科の保健検討委員会著「指しゃぶりについての考え方」小児保健研究 第65巻(2006)第3号P.513~515指しゃぶりをやめないのはストレスや愛情不足?いつまでにやめる?悪影響はある?具体な対応方法を解説指しゃぶりは子どもの生理的な行動で、成長と共に自然と減少していくものです。しかし、年齢に対して頻繁に指しゃぶりが見られると、心配な保護者の方もいらっしゃるかと思います。「愛情不足だと指しゃぶりが増える」と聞いたことがあるかもしれません。指しゃぶりは、子どもが心細いときや不安を感じているときなどに、気持ちを落ち着けるために行うことがあると考えられています。しかし、子どもが不安などを感じるのは自然なことなので、それだけで愛情不足といえるわけではありません。指しゃぶりが気になる場合、大人が無理にやめさせようとすると、子どもの不安な気持ちを高めてしまうこともあり得ます。そのため、子どもと一緒におもちゃを使って遊ぶなど、指しゃぶりをしなくてもいい状況をつくる工夫をしていきましょう。ほかにも、外でたくさん遊んでエネルギーを発散させるなど、生活環境の変化で改善する場合もあります。一時的に指しゃぶりが減っていても、子どもの不安が高まったタイミングで再開することも考えられます。そういった場合、例えば寝るときには手を握りながら声をかける、寝つくまで寄り添う、お気に入りのぬいぐるみと一緒に寝るなど、指しゃぶりをしなくても安心できる工夫をしていきましょう。また、「指しゃぶりをすると歯並びが悪くなる」と聞いたことがあるかもしれません。指に吸いだこができてしまうほどの強い指しゃぶりや、長期間の指しゃぶりが続いていると、前歯が突出したり隙間が空いたりなど歯並びへの悪影響が懸念されます。歯並びが悪くなると、さらにさまざまな影響が出る可能性があります。前歯が出ていることで口が閉じづらくなると、口呼吸が多くなりがちになります。その結果、口腔内が乾燥しやすくなり、虫歯や口臭の原因にもなります。また、言葉の発音がうまくできなくなる可能性も指摘されています。目安として4歳を過ぎても指しゃぶりが続いている場合は、かかりつけの小児科医や歯科医、臨床心理士などに相談してみましょう。参考:小児科と小児歯科の保健検討委員会著「指しゃぶりについての考え方」小児保健研究 第65巻(2006)第3号p.513~515指しゃぶりは発達障害や発達の特性と関係がある?指しゃぶり自体は多くの子どもに見られる行動ですが、発達障害や発達に特性がある子どもの場合は、自己刺激行動の一つとして行うことがあると考えられています。自己刺激行動とは、自分自身に刺激を与える行動のことで、自分の身体や物をたたく、ひもなどをぐるぐる回す、同じ場所を走り回るなどがあり、指しゃぶりもその一つである可能性があります。自己刺激行動が起きる原因として、覚醒状態の維持や急な感情への対応、手持ちぶさたの解消などが考えられています。また、五感から受ける刺激を過剰に感じる「感覚過敏」、反対に刺激を感じづらい「感覚鈍麻(どんま)」といった特性が背景にある場合もあるといわれています。指しゃぶりがあるだけでは、発達に特性があると判断はできませんが、ほかにも心配なことがある場合は、子どもの発達に関する機関に相談してみるといいでしょう。参考になるアドバイスや支援を得られるかもしれません。身近な相談先として、かかりつけの小児科発達障害者支援センター児童相談所児童発達支援センターなどがあります。相談しやすい場所に問い合わせてみるといいでしょう。参考:青木康彦、野呂文行著「ASD児における自己刺激行動と同様の感覚を産出する玩具の好みと強化価に関する検討」『行動分析学研究』35巻 (2020) 1 号p.11-20指しゃぶりの原因や年齢の目安を知り、家庭での関わり方を工夫…それでもやめられないときは専門家へ相談を指しゃぶりは胎児の頃から始まる生理的な行動で、成長と共に減っていき小学校に入る前にはなくなることが多いといわれています。4歳以降も指しゃぶりが持続する場合には、子どもが不安になりがちだったり、遊ぶ時間が少なく退屈しがちだったりと、子どもの精神状態や生活環境が影響している可能性も考えられます。指しゃぶりが気になるときは無理にやめさせるのではなく、手を使った遊びを一緒にしたり、寝るときに手を握ったりと工夫していくといいでしょう。また、発達障害や発達に特性があると、自己刺激行動として指しゃぶりをしている可能性があります。指しゃぶりの強さや期間などによっては、歯並びに悪影響が出ることも懸念されます。家庭で工夫してもなかなかやめられない場合には、専門機関に相談してみるといいでしょう。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年02月16日幼稚園入園と同時に表れてきた息子の困り年少の4月から幼稚園に入園した息子。まず先立って心配だったのがトイレのこと。トイレトレーニングがなかなかうまくいかず、難航していた息子。なんとか入園式の5日前にトイレで排尿ができるようになり、入園式には布パンツで行けました。しかし心配事はほかにも……。まず息子は幼稚園のエントランスにある掲示物が気になって、登園してもなかなか上履きに履き替えられませんでした。息子の幼稚園にはさまざまなポスターや、かわいらしい壁面飾り、ときには天井にぶら下がるような飾りも掲示してあります。息子は朝登園するたびにそれらに釘付けになり、なかなか上履きに履き替えられませんでした。Upload By ネコ山息子の幼稚園は通園バスで登園するのではなく、毎朝幼稚園のエントランスまで保護者が送っていきます。年少の靴箱の前で私は何度も外靴を脱ぐように促すのですが、息子の耳には入っていないようす。息子に触れながら話しかけたり、大きめの声で声かけしたりしましたが掲示物に見入っている息子は「今それどころじゃないんですけど?」のような表情で掲示物に見入り、取り合ってはくれません。最終的には先生と一緒に靴の履き替えを促したり、そばにいたお友達と一緒に行こうと声かけするなどをして、毎朝なんとか年少の部屋まで送り出していました。Upload By ネコ山壁面飾りや掲示物に夢中で……というと、3歳児のあるあるエピソードのように感じますが、毎朝毎朝幼稚園に行くたびに上履きに履き替えるというただそれだけのことに、親としてこんなにも労力がいるとは思ってもいませんでした。幸い息子は入園当時、行きしぶったり母親である私と離れることを不安がったりするタイプではありませんでした。行きしぶりや母子分離不安ならまだ理解がしやすいのですが、ただ上履きを履き替えるだけのことでこんなにも手こずるとは思ってもみませんでした。結局、年少の1年間は毎朝、上履きに履き替えることに時間がかかっていました。また「今日は幼稚園で何したの?」と聞いても、私が聞きたいような「お砂場した」や「ねんどした」などの活動内容を答えてはくれず、いつも「おにくたべた」とお昼ごはんのメニューを答える息子。息子は幼稚園でやっていけているのだろうか……不安がつのっていきました。幼稚園、最初の個人面談では入園して3ヶ月後に、担任の先生と初めての個人面談がありました。息子は幼稚園でやっていけているのか……不安な気持ちの中、思い切って息子の幼稚園での様子を聞いてみました。すると、お友達の名前をすぐに覚える、お友達の名前を呼んでコミュニケーションをとっている、絵が上手で同級生はまだ顔だけか頭足人を描くことが多いけど息子は胴体がある絵を描くことができている、など予想以上に担任の先生は息子のことを褒めてくれました。Upload By ネコ山担任の先生が息子のいいところを見つけてくれていることに、ひと安心しました。しかし、毎朝上履きの履き替えがスムーズにいかないこと、また、1歳の頃から多動でその印象が強いことから集団生活でやっていけているのか、私は不安が拭えていませんでした。思い切って「発達的にはどうですか?」とうかがうと「朝の登園の様子なども、3歳児という幼さからなのか、発達によるものなのかまだ分からない」とのこと。続けて「気になるようだったら発達センターを紹介しますが、まずは3歳児健診を受けてみてもいいかもしれません」と、『受診目安は3歳半過ぎてから』と(私の住む自治体では)なっている、まだ受けていなかった3歳児健診を奨められました。何も指摘されなかった3歳児健診。しかし幼稚園では……幼稚園の個人面談から2ヶ月後、3歳児健診を受けました。1歳半健診では「様子見」と言われた息子。今日こそ、息子の発達について指摘される……。問診票には、発達障害のスクーニングと思われるような内容もあり、息子は多くの項目に当てはまっていました。医師の診察・問診では、イスに1人で座って問診を受け答えする息子。問診票を提出しましたが、息子は発達について何も指摘されずに3歳児健診が終わりました。確かにイスに一人で座って、先生とも受け答えできていたので、問題ないとの判断だったのでしょうか……。担任の先生のその旨を伝えると、少し驚いた表情をしたような気がしますが、それ以上は何も言われせんでした。私は絶対に発達について指摘されると思っていたので、医師にそれを全く触れられないことに意表を突かれ、むしろ自分が『息子は発達障害』だと思い込んでいただけなのでは……? ホッとすると同時にうれしささえ感じていました。しかし、夏休みが終わり2学期に入ると、息子は日に日に幼稚園での癇癪が激しくなっていきました。「やっぱり発達障害があるのかな……」と、私は再び不安になっていくのでした。執筆/ネコ山(監修:新美先生より)掲示物に目を奪われて没頭してしまうというのは、自閉スペクトラム症の特性のあるお子さんでしばしばみられることですね。ですが、今回のエピソードをうかがうと、朝の登園の時にそれが顕著に目立ったということからは、おそらく視覚刺激に没頭しやすいという特性がある上に、入園して慣れない集団生活の場にこれから入っていくという朝の園のエントランスで、掲示物に没頭することで、ある種の現実逃避というか、尻込みする気持ちの表れともいえるのかもしれないと思いました。「行きしぶり」というような分かりやすく「行きたくない」と伝えるのではなくても、家を出るときにこだわりが発揮されて時間がかかる、登園の道のりで何かに没頭してしまう、今回のように保護者との別れ際でフリーズしてしまうというようなエピソードの多くは、本人なりの集団生活への不安や抵抗感が反映されていることも多いです。とはいえ、健診の場ではそうした些細な本人の特性ある行動は気付いてもらえないことも多く、保護者としては振り回されたりやきもきすることも多いですね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年02月16日ASD(自閉スペクトラム症)とは?ASD(自閉スペクトラム症)は、・対人関係や社会的コミュニケーションの困難さ・特定のものや行動における反復性やこだわり、感覚の過敏さまたは鈍麻さなどの特性がある発達障害の一つです。知的障害(知的発達症)を伴うこともあります。ASD(自閉スペクトラム症)は多くの遺伝的な要因が複雑に関与して起こる生まれつきの脳機能障害だと考えられています。しかし、はっきりとした原因はまだ分かっていません。5歳児時点でASD有病率は約3.22%ともいわれています。参考:斉藤まなぶ、廣田智也、坂本由唯、足立匡基、高橋芳雄、大里絢子、Young Shin Kim, Bennett Leventhal, Amy Shui,、加藤澄、中村和彦著「5歳児の全母集団サンプルにおける自閉症スペクトラム障害の有病率と累積発生率、および併発する神経発達障害のパターン」『分子的自閉症 11』 (2020)4歳頃は言葉の発達や社会面・精神面での発達が著しく伸びる時期であるため、その遅れに気づきやすい時期ともいえます。3歳児健診などで「様子見」と言われたり、園生活などで集団行動ができずに先生から指摘され詳しい検査を勧められ、受診して気づくこともあります。4歳頃の子どもに多くみられるASD(自閉スペクトラム症)の特性としては、・集団生活が苦手、友達と遊ぶことが苦手・強いこだわり・感覚の過敏さ・癇癪を起こしやすいなどがあげられます。詳しくは次章以降で紹介します。参考:自閉症Q&A|厚生労働省4歳児の発達の目安って?4歳頃になると、言葉や心の発達はもちろん、全身のバランスを取る能力も発達し、体の動きが巧みになっていきます。・自然など身近な環境に積極的に関わり、さまざまな物の特性を知り、それらとの関わり方や遊び方を体得していく・想像力が豊かになり、目的を持って行動し、つくったり、描いたり、試したりするようになる・自分の行動やその結果を予測して不安になるなどの葛藤も経験する・仲間とのつながりが強くなる中で、けんかも増えるが、一方で決まりごとの大切さに気づき、守ろうとするようになるこうした成長の中で、感情が豊かになり、身近な人の気持ちを察し、少しずつ自分の気持ちを抑えられたり、我慢ができるようになったりしていく時期です。参考:児童発達支援ガイドライン|厚生労働省もしかしてASD(自閉スペクトラム症)?幼稚園、保育園で気づいた違和感、こだわり。4歳児の検査、診断4歳児は、幼稚園でいうと年中の年にあたります。幼稚園や保育園などの集団生活の中で、発達の遅れや問題行動が気になってくる時期でもあります。ASD(自閉スペクトラム症)の特性や行動としては、第1章でも触れた発達の遅れ、集団生活(友達と遊ぶことなど)が苦手、こだわり、常同行動、感覚の過敏さ、癇癪などがあります。成長には個人差があるため一概にはいえませんが、園などの集団生活の中で起こりやすいトラブルや困りごととしては、・集団行動や友達と一緒に遊ぶことなどが苦手、指示が通りづらい・大きい音が苦手・粘土、砂場、裸足などが苦手・絵を描くことが苦手、運動が苦手など、不器用さが出てくる・偏食が強く、給食が食べられない・(言葉の遅れがある場合)友達や先生との意思疎通が難しくなるなどがあげられます。園へ行きしぶる・朝送って行ったときに(保護者と離れるとき)泣く、あるいは行事やみんなの前での発表を嫌がる(参加しにくい)など、癇癪を伴う激しい拒否反応が出るケースもあります。3歳児健診で「様子見」と言われた、あるいは4歳になって園の先生に発達の遅れなどを指摘され、検査を受けるかどうか考える保護者の方も多いでしょう。検査は、医師や(発達)心理士が行います。4歳頃に受ける検査は以下のようなものがあります。・問診保護者から、成育歴や「いつぐらいから」「どのような困りごとや症状があるか」などを対話形式で聞き取ります。明確に伝えるためにも、普段の様子をメモしておくといいかもしれません。・行動観察数十分程度、子どもとの対話や遊ぶ中で、どのような言動を取るのかを観察します。・発達(心理)、知能検査「田中ビネー知能検査V」や「新版K式発達検査」、「AQテスト」などが行われます。そのほかにも、ASD(自閉スペクトラム症)の診断で行われる検査は多くあります。専門外来のある小児科、脳神経小児科、児童精神科などで行われることが多いですが、診療できる医療機関は限られています。かかりつけ医や保健センターなどに相談してみるといいでしょう。参考:自閉症|文部科学省参考:ASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)について|e-ヘルスネット4歳児に表れることの多いASD(自閉スぺクトラム症)の特性をチェックUpload By 発達障害のキホン※発達や成長に加え症状や特性には、この時期大きな個人差があります。当てはまる反応や行動の数が多いからといって、すぐにASD(自閉スペクトラム症)と診断されるわけではありません。先生などに指摘されたら?受診の目安、療育への手続きについてASD(自閉スペクトラム症)の悩みについての相談先はたくさんあります。しかし、4歳頃になってくると、家庭生活、園生活、友達関係など悩みや困りごとが複雑化し、「どこに相談したらいいか分からない」「何をどう相談したらいいか分からない」というケースも多くあるようです。しかし、何か一つだけでも相談してみれば、そこから少しずつ糸口が見つかっていくかもしれません。・園の先生何人ものお子さんを見てきている先生であれば、「ここに相談してみては」などのアドバイスを受けられることもあります。また、先生とお子さんの状況を共有することで、日常生活の中での改善策を見つけやすくなることもあります。・子育て支援センター小さいお子さんを持つ保護者が交流を深める場ですが、育児不安などについての相談指導もおこなっており、電話相談も可能です。必要に応じて適切な機関の紹介を行います。・保健師・保健センター就学前のお子さんや高校生、成人に対する発達障害の相談も受けつけています。必要に応じて医療機関への紹介なども行います。・療育センター障害のある子どもの症状や特性に合った治療や支援を行う施設です。どのような支援を行っているのか、どのような機能を持った施設かは、施設によって異なります。上記のほかに、発達障害者支援センターなどもあります。4歳はまだまだ発達の個人差が大きい時期なので、お子さん一人ひとりにあった子育てのアドバイスをもらうようにしましょう。4歳でASD(自閉スペクトラム症)と診断された、あるいは様子見と言われているけれど、少しでも困りごとを減らしてあげたいと療育を考え始めている保護者も多いと思います。療育とは、「障害のある子どもに対してそれぞれの特性に応じた身体的・精神的機能の発達を促し、日常生活や社会生活を円滑に営めるように行うもの」です。4歳の場合は、「児童発達支援」で行う日常生活の自立のための療育や学習支援、運動プログラムなどが主になります。学習・訓練といったものではなく、その子の特性に合ったプログラムを、楽しみながら、子どもが興味のあるものを取り入れながらおこないます。自治体管轄などの公的機関、あるいは民間でも公費で提供しているところで「障害児通所支援」を利用して療育を受けるためには、まず「通所受給者証」(通称:受給者証)の取得が必要です。受給者証があれば、利用料金の助成を受けることができます(子どもが満3歳になって初めての4月1日から3年間の間は無償です。それ以前や学齢期以降は1割負担になります。家庭によって上限額が異なります)。療育の内容は施設によって異なります。短期間で身につくものではなく、じっくりスモールステップで、あるいは何度も同じようなシチュエーションを繰り返すことで、少しずつ社会性が身についたり、困りごとが少なくなっていきます。中長期にわたって通うことになるので、子どもの特性に合った療育が受けられるか、通うのに遠すぎないか、空きがあるかなどの情報リサーチも大切になってきます。参考:ともに歩む親たちのための家族支援ガイドブック|厚生労働省参考:小林 勝年, 儀間 裕貴, 北原 佶著「エビデンスに基づく療育・支援とは何か」『子どものこころと脳の発達』2020 年 11 巻 1 号 p. 3-10発達で少しでも気になることがあったら、一人で抱え込まず、まずは周りに相談をしましょう。少しずつでも子どもの日常生活の困りごとを減らしてあげることで、将来の見通しも立ちやすくなります。4歳児は他者との関わりが増え、身辺自立に向けての基礎がしっかりつくられていく時期です。早期介入・早期支援が大きなカギとなってきます。また、どの環境においてもできるだけ同じ支援をすることも重要です。園の先生をはじめ子どもと関わる人に子どもの状況や特性を伝え、共有することも大切です。(新美先生コメント)集団生活に入ると、家庭での様子とは異なるお子さんの姿が見えることもあり、保護者の方が気になってしまうことが増えるかもしれません。集団生活の中でストレスを受けやすいお子さんの場合、園での生活の仕方を調整していったほうが健やかに育めると思います。園での集団活動で困難さがある場合や、園では周囲に合わせているけれど過度にストレスが溜まって、行きしぶりや家での癇癪・こだわりが強まる場合なども、必要に応じて専門機関につながることで、お子さんの強みと困難さ、適した関わり方が見えてくることもあります。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年02月11日ムスメちゃんとオコメちゃん
うちの家族、個性の塊です
夫婦・子育ていまむかし