今年で25回目を迎える東京国際映画祭(以下、TIFF)の記者会見が、9月20日(木)、東京・六本木で行われ、上映作品の選定に携わった代表の矢田部吉彦やチェアマンの依田巽らTIFF関係者に加え、今年のアンバサダーに就任した女優・前田敦子、コンペティション部門に出品することとなった映画監督・松江哲明が出席した。毎年、ハリウッドスターや著名な監督たちが国内外から数多く参加し、大きな盛り上がりを見せるアジア最大級の映画の祭典である本映画祭。この日、前田さんは「AKB48」を卒業し、アイドルではなく女優として登壇。「25回目の開催、本当におめでとうございます。今回、TIFFアンバサダーに選んで頂いて、とっても嬉しいです。でもとっても緊張しています」と、映画祭の“顔”となった胸の内を明かした。「本当に映画が大好きで、映画館に1人で行ったり、DVDを借りて家で見たりしてます。映画館に行ったら、隣にいるかも(笑)」と“会いに行ける女優”であると明かし報道陣を沸かせた。さらに、今後どんな“女優”になりたいかとMCに問われると、「いま、素敵なスタートラインに立たせて頂いていると思います。(人々に)求められる女優になりたいです」と意気込みを語った。今年は世界中から、映画祭史上最多となる1,332本もの中から選ばれた作品がコンペティション部門で上映される。昨年、同映画祭の「日本映画・ある視点部門」作品賞を受賞した『トーキョードリフター』の松江哲明監督は、今回『フラッシュバックメモリーズ 3D』でコンペティション部門への出品となったが「昨年からの流れがあって、コンペに出させて頂けたので、非常に嬉しいです」と感激を隠せない様子。そのほかにも、『きみに読む物語』などで知られるニック・カサヴェテス監督の新作『イエロー』など、例年以上にバラエティーに富んだラインナップ。この日の会見では、今年のオープニング作品に決定した『シルク・ドゥ・ソレイユ 3D 彼方からの物語』で製作総指揮を務めたジェームズ・キャメロン監督からのメッセージも上映。「『タイタニック』が映画祭で上映されてから15年。東京国際映画祭とは、『タイタニック』、『アバター』と長年深いご縁があります。きっと今回の作品もみなさんに夢中になってもらえるはずです」と自信をうかがわせるコメント。また、クロージング作品となるクリント・イーストウッド主演作『人生の特等席』や、特別オープニング作品としてオスカー受賞監督のリドリー・スコットが製作総指揮を務め、東日本大震災から1年たった2012年3月11日の日常の投稿映像を繋いで製作された映画『JAPAN IN A DAY』の上映に加え、この日新たに、生誕50周年となる『007』シリーズの最新作『007スカイフォール』のフッテージ上映が行われることも発表された。さらに現在、国際情勢上での不和が取り沙汰されている中国や韓国などからも作品が出品されるとあって、報道陣からは政治的な事情が影響の質問が飛ぶなど国際映画祭ならではの会見となった。第25回東京国際映画祭期間:10月20日(土)~28日(日)まで場所:六本木ヒルズほか公式サイト:■関連作品:シルク・ドゥ・ソレイユ 3D 彼方からの物語 2012年11月9日よりTOHOシネマズ 有楽座ほか全国にて公開© 2011 Cirque du Soleil Burlesco LLC. All Rights Reserved.人生の特等席 2012年11月23日より丸の内ピカデリー3ほか全国にて公開© 2012 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.JAPAN IN A DAY 2012年11月3日よりTOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国にて公開© 2012 FUJI TELEVISION NETWORK, JAPAN IN A DAY FILMS LTD.
2012年09月20日8月にアイドルグループのAKB48を卒業した前田敦子が20日に都内で行われた第25回東京国際映画祭(10月20日~28日開催)のラインナップ発表会見に出席し、映画祭の“顔”ともいえるTIFFアンバサダーの就任を発表した。その他の画像卒業後は目標だった女優の道を歩み出し、先日も黒沢清監督の最新作『一九〇五』でトニー・レオンと共演することが明らかになったばかり。今回、TIFFアンバサダーとして一足早い国際舞台でのデビューを飾り「25回おめでとうございます。素敵なお役目をいただき、本当に嬉しいです。緊張もしていますが、私自身も映画が大好きなので、たくさんの人と交流できるのを楽しみにしている」と抱負のコメント。今後の女優業について「素敵なスタートラインに立たせていただいた。どんな役にも挑戦し、求められる女優さんになりたい。頑張ります!」と決意を新たにした。コンペティション部門には松江哲明監督の『フラッシュバックメモリーズ 3D』(日本)をはじめ、『イエロー』(ニック・カサヴェテス監督/アメリカ)、『もうひとりの息子』(ロレーヌ・レヴィ監督/フランス)、『シージャック』(トビアス・リンホルム監督/デンマーク)、『未熟な犯罪者』(カン・イグァン監督/韓国)、『黒い四角』(奥原浩志監督/日本)など15作品を予定している。今年のコンペティション部門の審査委員長は、“インディペンデント映画の神”として名高いプロデューサーのロジャー・コーマンが就任。昨年、映画界に多大な功績を残した半生を検証するドキュメンタリー『コーマン帝国』が特別招待作品として上映された鬼才が、1年ぶりに“凱旋”し新たな才能に光を当てる。また、オープニング作品は『シルク・ドゥ・ソレイユ3D 彼方からの物語』(アンドリュー・アダムソン監督)、クロージング作品にはクリント・イーストウッドが俳優復帰を果たした感動作『人生の特等席』(ロバート・ロレンツ監督)が上映される。また、特別オープニング作品として『JAPAN IN A DAY [ジャパン イン ア デイ]』の上映も決定。同作はリドリー・スコット監督による「3.11から1年後の“あの日”を、あなたはどう過ごしましたか?」という問いに対し、YOU TUBEを通して投稿された映像の数々を紡いだソーシャル・ネットワーク・ムービーだ。映画祭期間中は、昨年の“TIFF ARIGATO プロジェクト”に引き続き、募金などを通して震災復興への取り組みを継続することになっている。チェアマン就任5年目を迎えた依田巽氏は「今年のスローガンは“今こそ、映画の力”。今回、世界中からコンペティション部門に応募いただいたのは1332本。5年前の数字から倍増している」と国際的な注目の高まりをアピール。「多くの映画人による“国境”のない交流を通して、さらなるリンケージ(提携)が広がれば」と国際映画祭としてのさらなる飛躍を誓った。
2012年09月20日6日から開催されていたトロント映画祭が、現地時間16日に閉幕した。観客賞を受賞したのは、デビッド・O・ラッセル監督の『Silver Linings Playbook』。園子温監督の『希望の国』は、今年新設されたNETPAC賞を受賞した。その他の写真カンヌやヴェネチア映画祭と違い、トロント映画祭では、映画祭が選んだ審査員が話し合って賞を決めることはしない。観客もチケットを買って映画を観られるオープンな映画祭で、観客が投票する観客賞が最高賞となる。『アメリカン・ビューティ』『スラムドッグ$ミリオネア』『英国王のスピーチ』など、トロントで観客賞を取った映画がオスカーで作品賞を取ったケースは多く、近年、トロントの動向はますます注目されている。『Silver Lining Playbook』は、ブラッドリー・クーパー、ジェニファー・ローレンス、ロバート・デ・ニーロらが出演し、家族の関係を描く、笑いと感動にあふれる物語。次点はベン・アフレックが監督する『アルゴ』。1979年に起こったイランにおけるアメリカ人捕虜救出の裏側にあった本当の作戦を描く、スリル満点の娯楽作だ。また、ミッドナイト・マッドネス部門で上映された作品を対象にする観客賞は、マーティン・マクドナー監督の『Seven Psychopaths』に贈られた。園子温監督の『希望の国』が受賞したNETPAC賞は、Network for the Promotion for Asian Cinemaが選出するもので、今年新設されたもの。トロントでワールドプレミア、あるいは海外プレミアをしたアジア映画の中から選ばれる。『希望の国』は10月20日(土)、『アルゴ』は10月27日(土)日本公開。『Silver Lining Playbook』の日本公開は未定。『希望の国』10月20日(土) 新宿ピカデリーほか全国ロードショー『アルゴ』10月27日(土) 丸の内ピカデリーほか全国ロードショー取材・文:猿渡由紀
2012年09月19日したまちコメディ映画祭に新しく創設された「ソフト・スルー・コメディ大賞」が、東京都美術館で17日に開催され、投票で選ばれた大賞作品の発表と、ソフト・スルー新作『Mr. ズーキーパーの婚活動物園』が上映された。その他の写真“ソフト・スルー”とは、外国映画などを日本で劇場公開をしないまま、DVDやブルーレイなどでソフト化することを言い、特にコメディ作品に多い傾向にある。本賞は、ソフト・スルー作品の活性化を目的として、したまちコメディ映画祭と雑誌&WEB媒体「DVD&ブルーレイでーた」とのコラボレーションにより実現。2011年8月~2012年7月にDVD、ブルーレイでリリースされた外国映画のソフト・スルー作品の中から、「DVD&ブルーレイでーた」特設WEBページでの投票により“最も笑える映画”を選出、表彰した。会場では、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントの杉本光成氏、映画祭ディレクターの大場しょう太氏らが登壇。大場氏はコメディ作品のソフト・スルーについて、「『ハングオーバー…』や『キック・アス』などの成功例もあり、ニーズが出てきているのではないか?」と分析。杉本氏は「言葉の違いもあるので、コメディは文化色、ローカル食が強くなるが、コメディ=国の文化だと思っている。(今日来場している)お客さんはそこがわかっている方だと思う。どんどん広まっていけば」とアピールした。また、「DVD&ブルーレイでーた」の新井京子氏は、「劇場公開されずにDVD化される作品が増えてきている。読者に作品を観て欲しい、来年もやります!」と意気込みを見せ、大場氏は、「ミニシアターが減っているのがこの現象の原因なのかなと思う。シネコンでちょっとでもこういう作品が上映できるように、映画祭で頑張っていきたいと思う」と語った。大賞は、『聖トリニアンズ女学院 史上最強!?不良女子校生の華麗なる強奪作戦』(発売・販売元/アットエンタテインメント)が受賞。本作は『英国王のスピーチ』でアカデミー賞を受賞したコリン・ファースや、ルパート・エベレットらが出演するイギリスの青春コメディで、シリーズ2作目もDVDでリリースされている。
2012年09月18日ブラッドリー・クーパー主演作『Silver Linings Playbook』(原題)が第37回トロント国際映画祭で最高賞を受賞した。『ザ・ファイター』のデヴィッド・O・ラッセルがメガホンをとり、ブラッドリーとジェニファー・ローレンスが共演する同作は、最高賞にあたる「ピープルズ・チョイスアワード」を獲得した。過去には『スラムドッグ$ミリオネア』や『英国王のスピーチ』などが同賞に輝いている。マシュー・クイック原作の同名小説の映画化となる本作は、ブラッドリー扮するパットがノイローゼから回復して幸せを探そうと決意し、ジェニファー扮する女性・ティファニーに出会ったことで将来に希望を見出せるようになるというストーリーだ。ブラッドリーとジェニファーのほかに、ロバート・デ・ニーロやクリス・タッカーが出演している。『Silver Linings Playbook』は11月21日(現地時間)に全米公開予定だ。
2012年09月18日第69回ヴェネツィア国際映画祭が8日(現地時間)に閉幕し、コンペティション部門作品賞にあたる金獅子賞は韓国のキム・ギドク監督『Pieta』(原題)が受賞した。韓国映画の金獅子賞受賞は史上初。ギドク監督は受賞スピーチの代わりに「アリラン」を熱唱した。銀獅子賞(監督賞)を受賞したのは『The Master』(原題)のポール・トーマス・アンダーソン監督。サイエントロジーの創始者であるロン・L・ハバードをモデルに、とある新興宗教団体のリーダーと第二次世界大戦から復員後に信者となった男の物語。リーダーを演じたフィリップ・シーモア・ホフマンと、やがて主人公の右腕となる男を演じたホアキン・フェニックスは共に優秀男優賞を受賞した。アンダーソン監督とフェニックスは既にトロント国際映画祭に向かった後だったが、ホフマンは単身ヴェネツィアに戻り、空港から直接会場入りして賞を受け取った。実はその後、コンペティション部門の審査委員長マイケル・マン監督が賞を渡し間違えるハプニングが発生。場内アナウンスがイタリア語だったために混乱したようで、審査員特別賞を授賞すべきところで、マン監督が発表したのは銀獅子賞受賞者、『The Master』のポール・トーマス・アンダーソン監督の名前。だが、アンダーソン監督に代わって再登壇したフィリップ・シーモア・ホフマンは何の疑いも持たずに審査員特別賞の楯を受け取った。この時点で一部の審査員や会場の観客は異変に気づいたが、マン監督は次の賞の授与をする際、銀のライオン像が用意されているのを見て、ようやく間違いに気づいたという。そこでホフマンは三度壇上へと呼ばれ、審査員特別賞の受賞者、『Paradise:Faith』(英題)のオーストリアのウルリヒ・ザイドル監督と、楯と銀獅子像を交換した。優秀女優賞はイスラエルの『Fill the Void』(英題)のハダス・ヤロン、マルチェロ・マストロヤンニ賞(最優秀新人賞)はマルコ・ベロッキオ監督の『Dormant Beauty』(英題)と『E Stato Il Figlio』(原題)の2作に出演したファブリッツォ・ファルコが受賞。優秀脚本賞は、現在『カルロス』が日本でも公開中のオリヴィエ・アサイヤス監督の新作『Apres mai』(原題)が受賞した。オリゾンティ部門の最優秀作品賞、オリゾンティ賞は中国のワン・ビン監督の『Three Sisters』(英題)が受賞。日本からの出品したコンペティション部門の『アウトレイジ ビヨンド』(北野武監督)、オリゾンティ部門の『千年の愉楽』(若松孝二監督)は惜しくも受賞は逃した。(text:Yuki Tominaga)© ロイター/AFLO■関連作品:The Master (原題) 2013年春、全国にて公開アウトレイジビヨンド 2012年10月6日より新宿バルト9、新宿ピカデリーほか全国にて公開© 2012 「アウトレイジ ビヨンド」製作委員会千年の愉楽 2012年秋、全国にて公開
2012年09月10日トロント映画祭が、現地時間6日に開幕した。今年の開幕作品は、『LOOPER/ルーパー』。ジョセフ・ゴードン=レヴィット、ブルース・ウィリス、ライアン・ジョンソン監督が、会見で映画への思いを語った。その他の情報本作の舞台となる近未来では、30年後の世界から送り込まれる人間を殺す通称“ルーパー”たちがいた。だが、ある時、すご腕“ルーパー”のジョーが直面した男は、30年後から送られてきた自分だった―。“今”のジョーを演じるのはゴードン=レヴィット。彼の30年後を演じるのはウィリス。ジョンソン監督は、『BRICK〈ブリック〉』に出演したゴードン=レヴィットに早くからこの構想を話しており、彼をイメージしてジョーというキャラクターを書いたと会見で明らかにした。「当時、僕は、フィリップ・K・ディックにはまっていて、彼の作品を連続して読んでいたんだ。短編として書き始めたけど、次第にアイデアが広がっていったのさ」。未来のジョー役をオファーされたウィリスは、「脚本があまりに賢くて、読み終えた直後に、僕はこれに出ると宣言していたよ」とコメント。もし、実際に過去の自分に直面することができたらどんなアドバイスをするかと聞かれると、人生というものはほんの先のことすらわからないものだと指摘した上で、「何事も真剣に取りすぎるなと言うね」と語った。トロント映画祭は現地時間16日まで。『LOOPER/ルーパー』は1月12日(土)日本公開予定。『LOOPER/ルーパー』2013年1月12日(土)日本公開予定取材・文・写真:猿渡由紀
2012年09月07日現在開幕中の第69回ベネチア国際映画祭で日本から唯一のコンペティション部門正式出品を果たした『アウトレイジ ビヨンド』を引っさげ、北野武監督が単身現地入り!9月3日(現地時間)の記者会見、さらに夕方に行われたレッドカーペット・イベントに出席し、海外ファンたちからの歓声に応えた。前作『アウトレイジ』で描かれた、関東最大の暴力団組織・山王会の抗争から5年後。一度は決着がついたはずだったが、ヤクザ壊滅を図る警察が動き始め、“死んだはずの男”大友(ビートたけし)は利用される羽目に。騙し合いと裏切りの火種がまたもやくすぶり始め、関東勢VS関西勢(花菱会)の巨大な抗争へと発展していく――。世界各国の報道陣が集まった記者会見では、やはり震災後に撮られた作品とあってその影響についての質問が飛び交ったが、「震災でたしかに映画の撮影は一年延びた。震災後の一年間は、逆に自分は怒りを感じている部分があった。世の中、絆とか愛とか表面的なものばかりでイライラした。こういうときこそヤクザ映画を撮ってやろうとやる気が起きた」と相変わらずの毒の効いたコメントで返した北野監督。さらに、本作は“観客”のために作ったものだとも明かし、「暴力描写を褒めてくれるマニアックな人々がいるのは嬉しいことだけれども、今回の映画はエンターテインメントだと割りきって自分なりのエンターテインメント性を追求した。そうすると、自分にとっては、家庭、女、女房、子供とかは排除する結果になり、馬鹿な男の話になった。その方が楽しんでもらえるかなと思った。けれども、いつでもお客さんの入らない映画を作る準備もしているよ(笑)」と冗談を交えるなど、衰えぬ“世界のキタノ”のインパクトを与える会見となった。さらに、夕方から行われたレッドカーペットでは、会場に「北野武映画の神様」と漢字で書いた横断幕をもつ熱狂的なファンの姿(写真上)も見られ、会見とは打って変わって北野監督は和やかな様子でファンから求められる握手やサインに応じていた。また、その後には本作の上映も行われ、「ブラボー!」という称賛の声と共に満席の会場では総立ちの観客から拍手喝采が贈られた。『アウトレイジビヨンド』は10月6日(土)より新宿バルト9、新宿ピカデリーほか全国にて公開。第69回ヴェネチア国際映画祭は9月8日(現地時間)までイタリア・ベネチアにて開催。授賞式は同日最終日に行われる。(photo:KAZUKO WAKAYAMA)■関連作品:アウトレイジビヨンド 2012年10月6日より新宿バルト9、新宿ピカデリーほか全国にて公開© 2012 「アウトレイジ ビヨンド」製作委員会
2012年09月04日8月25日(土)の公開以来、82万人を超える動員数を記録している、高倉健6年ぶりの主演作『あなたへ』が現在開催中の第36回モントリオール世界映画祭のワールドコンペティション部門に正式出品され、高倉さんが18年ぶりに海外での映画祭で現地に赴いた。1994年の『四十七人の刺客』でヴェネチア映画祭に参加して以来の海外の映画祭への参加となる高倉さん。モントリオール映画祭では、盟友・降旗康男監督とタッグを組んだ傑作『鉄道員』で日本人俳優としては初の最優秀賞男優賞を受賞したが、実際に映画祭に参加するのは今回が初めてとなった。31日(現地時間)に現地入りした高倉さんは、「良い街ですね。一番良い季節に来ることができたので、とてもきれいで気持ちが良いですね。モントリオールに部屋を借りようという話もしていました」とリラックスした様子で、街を散策するなど、初めてのモントリオールを満喫してしていた。翌々日の2日に行われた公式会見には海外メディアなど約100人もの人々が集まり、「こんなに大勢の方がいらっしゃるとは思いませんでした。大変嬉しいです」と驚きを隠せない様子の高倉さん。前作『単騎、千里を走る』からなぜ6年も俳優業を休んでいたのか?という質問があがると、「Very difficult question.(難しい質問です)。いまはまだ分かりません。6年前に中国映画に出てから、自分の仕事の仕方を考え直していました。まだ結論は出ていません」と明かすや、今回の映画祭への出席の理由を「13年前に『鉄道員』で最優秀男優賞をいただいたので、どこかで御礼がしたかったことと、降旗監督が来れなくなったのでしぶしぶ来ました」と冗談を飛ばし、会場を沸かせた。また、同日に行われた公式上映では、エンドロール開始直後から拍手が沸き起こり、スタンディングオベーションが続いた。この光景を目にして涙を浮かべた高倉さんは、手を上げて観客に応え、自らも観客に声をかける姿に、さらに観客から盛大な拍手が送られた。会場を後にした高倉さんは、「泣いちゃったね。ふっと出てしまったよ。映画祭は良いものだね。何十年も役者をやってきても、こんな経験をするんですね。心に衝撃を受けました。映画にはそういう力があります」と感激しきりといった様子だった。海外プレスや一般観客からは「日本的な内面の感情表現がとても美しい」、「高倉健が81歳だなんて信じられません。これからも何本も作品に出てほしい」など作品や高倉さんの演技に対して高い評価を集めていた本作。受賞にも期待がかかる。『あなたへ』は全国東宝系にて公開中。■関連作品:あなたへ 2012年8月25日より全国東宝系にて公開© 2012「あなたへ」製作委員会
2012年09月04日先日、大盛況のうちに幕を閉じた野外映画祭「星空の映画祭」。シネマカフェでは、今年初めてオフィシャル・メディアパートナーとして同映画祭を応援するため、映画祭史上初となる1泊2日のオフィシャルツアーを開催した。まだ知らないあなたのために、映画祭の見どころを映画祭を初体験した参加者の声を交えてご紹介!8月18日(土)・19日(日)の1泊2日にわたり敢行されたこちらのバスツアー。長野県諏訪湖周辺にある伊勢神宮と並ぶ名パワースポット・諏訪大社に参拝し、夕方に会場の原村に到着。素敵なご夫婦が夏限定で運営するペンションで、長野県産の野菜をふんだんに使った夕食で腹ごしらえをし、一同は映画祭へ!だが、野外で映画の上映が行われるこの日は午前中からまさかの豪雨…。すると諏訪大社のご利益か、夜になると夕方まで降り続いた雨がうそのように晴れあがり、会場へと向かう人々が夜空を見上げて歓喜する姿があちらこちらで見られた。この日上映されたのは、小栗旬と岡田将生主演で大ヒットを記録した『宇宙兄弟』。ばっちりと晴れあがった夜空の下で観る壮大な“宇宙”の物語とあって、この体験で感じた「ロマンチック度」を聞いてみると参加者の8割以上の人が、100点満点中「100点」以上をつけていた。今回このツアーに参加したメンバーは全員、同映画祭に参加するのはこれが初めて。特に恋人や夫婦での参加が目立っていたが、「大切な人とロマンチックな時間は過ごせましたか?」という質問には、参加者全員が「はい」と回答。さらに、「とにかく良かった!星空が一面に広がっていて感動しました」(20代・女性)、「(上映作品の)画面が暗くなったときや、空のシーンになったとき、森や空との一体感を味わえ、そのときの星がとてもキレイ!大自然の中で笑ったり泣いたり、感情を共有できるところがいい」(20代・女性)と、満点の星空の下で観る映画に大感激だった様子がうかがえる。そのほかにも「映画も星空も、東京でもいつでも見れるものですが、同じものでも美しさや自然の中で感じるそれらは、いつもよりもすごくすごく素敵でした!」(20代・女性)、「本当に最高のシチュエーションです!!自分を見直すきっかけにもなりました」(20代・男性)と、“非日常”の体験に興奮する声も。さらに、「(山の上は)ちょっと肌寒いので、つい隣の人とくっつきたくなる(笑)」と同行者との急接近も期待できる効果も(?)。標高1,300メートルの山上での開催とあって、真夏にも関わらず参加者同士が熱々のコーヒーを手に身を寄せ合う微笑ましい姿も見られた。例年に比べて動員数が大幅に増加し、当初予定していた人数を大きく上回り4,000人超が参加する大盛況となった今年の「星空の映画祭」。この隠れた名スポットに、来年こそはあなたもぜひ参加してみては?特集「シネカフェくんのふらっと映画祭」「星空の映画祭」公式サイト■関連作品:宇宙兄弟 2012年5月5日より全国東宝系にて公開© 2012「宇宙兄弟」製作委員会
2012年08月31日10月5日(金)~7日(日)の3日間、東日本大震災で被災した宮城県三陸で、第1回「三陸映画祭in気仙沼」を開催。約40作品が無料で上映される。その他の写真会場は、気仙沼から南気仙沼にいたる中心部や、米軍によるトモダチ作戦の拠点となった大島の大小12の建物。震災後、避難所にもなっていた気仙沼市民会館をメイン会場に、気仙沼市最古のお茶屋さん・齋藤茶舗や、もともと鼎座というシアターでもあったリアスシャークミュージアムなど、大小さまざまな既存の建物が映画館として利用される。上映作品は、気仙沼市民を対象に実施されたアンケートなどからも作品が選考され、親子でも楽しめるように、アニメなどの子ども向けの映画の上映も計画されている。さらに、映画祭開催期間中は堤監督をはじめとする映画関係者によるトークショーなどのイベントや、地元の漁師や商工会議所などの協力で、カツオやマグロなどの名産物を楽しめる屋台も展開される予定。なお、映画祭の実行委員会はソーシャルファンディング・WESYM(ウィシム)で映画祭運営資金の支援を求めており、支援参加者にはTシャツやトークショー招待などのプレゼントが用意されているという。被災地で大規模な映画祭が実施されるのは、今回が初の試み。いまだ前例がない本イベントに、ぜひ足を運んでみてはいかがだろうか。三陸映画祭in気仙沼10月5日(金)~7日(日)
2012年08月31日「アジアフォーカス・福岡国際映画祭2012」が9月14日(金)から23日(日)までTジョイ・博多ほかで開催される。同映画祭は、アジアの玄関口・福岡で、アジアとの交流の輪をさらに深めるために開催される「アジアマンス」の主要事業のひとつとして1991年にスタート。上映作品は、映画祭ディレクターが事務局スタッフとともに実際にアジア各地に足を運び、現地調査を実施し選定。本映画祭ではアジア各地から参加するゲストや、地元の留学生が鑑賞できるように、日本語のみならず英語字幕も付けられる(一部作品を除く)。このため、本映画祭で上映した作品が話題となり、世界各地にフィルムが貸し出されて高い評価を得るなど、情報発信の役割も果たしてきた。また、監督や主演俳優等をゲストとして招待し、会場での舞台挨拶や上映後のQ&A、シンポジウムなども行なうなど市民との交流も図っている。今回も、Tジョイ・博多をメイン会場にトルコ、インド、スリランカ、パキスタン、バングラデシュ、タイ、中国、韓国など、様々なアジアの国の映画を上映。国内ではなかなか観ることのできない貴重な作品が揃う。また今年は、映画祭初の試みとして、9月14日(金)17時から福岡市役所前広場でオープニングセレモニー&野外上映も開催(無料・要応募)。オープニングの上映作品は、昨年のメガヒット・韓国コメディ『ダンシング・クイーン』。映画祭のゲストが多数登場するレッドカーペットも行なわれる予定だ。オープニングセレモニー参加の応募は、アジアフォーカス・福岡映画祭公式HP()まで。(9月2日(日)締切)。映画祭のチケットは現在発売中。(※一般上映は9月15日(土)より)。
2012年08月30日ニコール・キッドマンが、今秋開催される第50回ニューヨーク映画祭で表彰されることが決まった。女優として30年近いキャリアを誇るニコールは、10月3日(現地時間)に開催予定の同映画祭で表彰を受ける。映画祭のディレクターを務めるリチャード・ピーナ氏は「ニコール・キッドマンは現代映画界で最も優れた女優のひとりです。『誘う女』での驚くべき演技に始まり、ラース・フォン・トリアー監督の『ドッグヴィル』、スタンリー・キューブリック監督の遺作『アイズ ワイド シャット』、ヴァージニア・ウルフに扮してアカデミー主演女優賞を受賞した『めぐりあう時間たち』などなど、ニコールは多くの作品の中で複雑で大胆な難役ばかりをこなしてきました。我々としてもニューヨーク映画祭でニコールを表彰できるなんて本当に興奮しています」と賛辞を捧げた。さらに同映画祭では、ザック・エフロンやマシュー・マコノヒーらと共演したニコールの最新作『The Paperboy』(原題)が特別上映される予定。今年で45歳となるニコールは先述の作品以外にも『ムーラン・ルージュ』など数多くのヒット作に出演しており、アカデミー賞だけでなくゴールデン・グローブ賞でも3度の受賞に輝いている。■関連作品:The Paperboy (原題)
2012年08月24日株式会社ドリームキッドは8月24日、都内で会見を行い、ビバリーヒルズ映画祭(BHFF)と提携し、来年3月に日本で「ビバリーヒルズ映画祭ジャパン(BHFF Japan)」を開催すると発表した。その他の写真世界市場を視野に、今後の映画界を支える人材の発掘とサポートを目的とし、今年で12回を数えるビバリーヒルズ映画祭。ショーケースとしても近年、注目度が高まる同映画祭の新たな日本部門として、「ビバリーヒルズ映画祭ジャパン(BHFF Japan)」の開催が決定した。会見にはBHFF JapanのCEOを務める大和田廣樹氏(株式会社ドリームキッドプロデューサー/代表取締役社長)、米BHFFの創設者でフェスティバル・ディレクターのニノ・シモーネ氏、ハリウッドで活躍するプロデューサーのフレデリコ・ラペンダ氏が出席した。大和田氏は国内外で映画プロデュースを行った実績から「映画祭の特徴は、日本とビバリーヒルズの2拠点で展開し、(日本映画を)アメリカに送り込むことを主眼にしている点」と説明。ハリウッドへの作品配給を継続的に行いたいと抱負を語った。また、シモーネ氏は「BHFF Japanがハリウッドと東京の橋渡しになれば」と期待を寄せた。BHFF Japanでは長編、アニメ長編、短編(アニメ含む)、ドキュメンタリーの4部門で作品を募集し、各部門5作品、計20作品をノミネート作品として選出し来年3月上旬に行う映画祭で上映。また、各部門でグランプリに輝いた4作品は、来年4月の“本家” BHFFでも上映され、そのうち1本をファイナルグランプリ作品として、BHFFの外国映画部門に出品することになっている。ラペンダ氏は過去に『Bad Guys』(原題/2008)というプロデュース作でBHFFの作品賞を受賞しており「土地柄、BHFFに出品されることで、作品が近隣にある多くのメジャースタジオの目に触れる機会を得ます。映画祭がある種のプラットホームとして、若い映画人の人生を大きく変えるのであれば幸い」と日本のクリエーターにエールをおくった。応募期間、条件など作品エントリーの詳細はBHFF Japan公式サイト(近日オープン)で発表される。
2012年08月24日新しい映画のショーケースの場、グローバルに活躍する映画製作・配給会社のVIPたちとクリエイターとを結ぶ場として、毎年2万人以上の人々が集う国際映画祭「ビバリーヒルズ映画祭(以下BHFF)」。2013年に13回目を迎える同映画祭に新たに日本部門が開設されることが決定!さらに来年4月に開催されるBHFFに先駆けて、2013年3月、日本にて「ビバリーヒルズ映画祭ジャパン(以下BHFFジャパン)」が開催される運びとなり、8月24日(金)、都内でBHFFジャパンの代表を務める大和田廣樹を始め、BHFFジャパン・チェアマンのフレデリコ・ラペンダ、米BHFFファウンダー兼フェスティバル・ディレクターであるニノ・シモーヌが登壇し、記者会見を行った。新しい才能を発掘すべく、回を重ねるごとに参加者が増えているBHFF。ここに日本部門が開設されるということは、日本の新たな才能が世界へと羽ばたく機会がさらに増えるということ。このことについて、「日本ではいままでも素晴らしいフィルムメイカーを輩出してきました。若いフィルムメイカーたちの夢を叶えられるように全力を尽くしたいと思います」(ラペンダ氏)、「アートには様々な形があるが、そういうものを全て混ぜ合わせて素敵なマジックを作っていきたい」(シモーヌ氏)、「アメリカに新人俳優、監督をどんどん輩出していきたい」と各々の口から、さらなる才能の発掘への意欲が語られた。日本で開催されるBHFFジャパンは長編、アニメ長編、短編(アニメ含む)、ドキュメンタリーの4部門で構成される。ノミネーション作品として選出された各部門5作品、計20作品が同映画祭にて特集上映され、その中から選ばれたファイナルグランプリ1作品が本家のコンペティション部門に正式出品されることとなる。インディペンデントで活動するフィルムメイカーにとって、世界に自分の表現を披露するまたとないチャンスとなる。ハリウッドで活躍するプロデューサーであり、自身も『Bad Guys』(原題)で同映画祭のベストピクチャー賞を受賞した経験のあるラペンダ氏は、受賞後に得た資金で製作したパメラ・アンダーソン主演の映画『Blonde&Blonder』(原題)が都内の街でDVDとなって販売されていたのを目にしたそうで、「BHFFのようなフェスティバルが日本の若いフィルムメイカーの人生、未来を変えられるのでは」と自身の経験の喜びと共に本映画祭に希望を託した。イベントの最後には、ミス・ユニバース・ジャパンとファイナリストたちで結成された演劇ユニット「スポンタニアス」の宮崎京、渡邉小百合、塚本茉莉子、モデルのMiyuとMIZUKIも応援に駆けつけ、和やかなムードの中、記者会見は幕を閉じた。「BHFF」公式サイト(英語):「BHFFJapan」公式サイト(日本語):
2012年08月24日ベン・アフレックが監督と主演を務める『アルゴ』が、現地時間9月6日(木)からカナダで開催されるトロント映画祭でワールドプレミア上映されることが決定した。その他の写真『アルゴ』は、1979年にイランのアメリカ大使館で起きた人質事件に対して、CIAが仕掛けた“前代未聞の救出作戦”の一部始終を実話を基に描いた作品。アフレックのほか、アラン・アーキン、ブライアン・クランストン、ジョン・グッドマンらが出演し、ジョージ・クルーニーがプロデューサーを務めている。映画祭での上映は、現地時間9月7日(金)を予定しており、アフレック監督、アーキン、グッドマンらキャストと製作陣がレッドカーペットに登壇する予定。さらに本作でアフレックが演じたCIAエージェントのモデルになったトニー・メンデス氏の登場も予定されている。トロント映画祭にはコンペティション部門がないが、過去に『アメリカン・ビューティー』や『スラムドッグ$ミリオネア』『英国王のスピーチ』が観客賞を受賞し、その後にアカデミー作品賞・監督賞を受賞しており、近年、監督としての評価が高まっているアフレックと、彼の最新作『アルゴ』がトロントでどのような評価を集めるのか気になるところだ。『アルゴ』10月26日(金)丸の内ピカデリーほか全国公開
2012年08月22日9月6日(現地時間)から開催となる第37回トロント国際映画祭からさらなる吉報!日本映画界を牽引する奇才、内田けんじ監督最新作『鍵泥棒のメソッド』がこのほど同映画祭の「コンテンポラリー・ワールド・シネマ」部門に正式出品されることが決定した。劇場デビュー作『運命じゃない人』が第58回カンヌ映画祭で喝采を浴び、世界にその名を知らしめた内田監督。騙し騙される仕掛けたっぷりのオリジナル・ストーリーと軽妙な人情劇を生み出す、類まれなる才能は国内はもとより世界各国で知られるところ。今回出品されるのは「世界的な視野と注目すべきストーリー性を持つ作品」を選出する部門であり、本年度のアカデミー賞外国語映画賞を受賞した『別離』が出品された部門でもある。昨日発表されたタナダユキ監督の最新作『ふがいない僕は空を見た』と同部門での出品となる。既に上海映画祭で最優秀脚本賞を受賞している本作は、トロント国際映画祭以外にもマレーシア日本映画祭のオープニング上映を始め、香港国際映画祭、バンクーバー国際映画祭、ハワイ国際映画祭、シドニー・メルボルン日本映画祭、フランス・パリのKINOTAYO映画祭など12を超える世界中の映画祭からオファーが殺到している注目作。「考え抜かれ、完璧に練られた構成の素晴らしい脚本」というジョバンナ・フルヴィ氏(トロント映画祭プログラマー)の太鼓判に加えて、映画評論家であり、数々の映画祭のプログラマーを務め、三池崇史や北野武など日本の監督を広く世界へ紹介したことで知られるトニー・レインズ氏からも「自分が作り出した登場人物たちをここまで愛せる監督は内田けんじ以外にいないし、それはとても素晴らしいこと。彼は複雑なプロットと鋭さの中に、登場人物たちをユーモアたっぷりに融合させ、エンターテインメント性の高い映画を作り出す。内田さんは、現代で最も先端を行く監督のうちの1人。いま一番、注目しています」と監督冥利に尽きる最大の賛辞が寄せられている。『鍵泥棒のメソッド』は9月15日(土)よりシネクイントほか全国にて公開。■関連作品:第37回トロント国際映画祭 [映画祭] 2012年9月6日から2012年9月16日までカナダ・トロントにて開催鍵泥棒のメソッド 2012年9月15日よりシネクイントほか全国にて公開© 2012「鍵泥棒のメソッド」製作委員会
2012年08月15日今年で20回目を迎える子供たちのための映画祭「キンダー・フィルム・フェスティバル」が8月15日(水)に東京・調布のグリーンホールで開幕。映画祭チェアパーソンを務める女優の戸田恵子を始め、広報宣伝大使の中山秀征と内田恭子、さらに応援ゲストのルー大柴らが来場。洋画を上映し声優陣がその場で吹き替えを行なう“ライヴ吹替え”を披露し会場を盛り上げた。ベルリン国際映画祭の児童映画部門「キンダー・フィルムフェスト・ベルリン」の協力を得て1992年に始まった本映画祭。映画の上映のみならず、イベントの司会進行や審査員も含め多くの子どもたちが参加して行われており、この日も会場には小さな子供たちが大勢訪れた。戸田さんは「今年もベルリンに行って、たくさんの映画を観て、こども映画に関わる方々や監督とお話しして来ました。世界には素晴らしい作品がいっぱいありますが、それを紹介できる唯一のフェスティバルです」と胸を張る。さらに保護者に対しても「お子さんだけでは会場に来れません。たくさんのお子さんを誘ってぜひ来年と言わず明日もお越しいただければ」と呼びかけた。中山さんと内田さんは作品の選定にも携わった。中山さんは「20~30作品の中から選ばせていただきましたが、観れば観るほど選ぶのが難しくなる。中でもかわいらしい作品、言葉が分からなくても楽しんでもらえる作品を選びました」と語る。一方の内田さんは「愛おしく切ないけど希望を忘れない作品、大人でもウルッと来る作品を選ばせてもらいました」と明かした。続いて登場したルーさんは、会場を埋め尽くす観客にビックリしたようで「すごいお客様ですね!毎年、だんだん盛り上がってグレードアップして嬉しい。何本かをウォッチしましたがティアー(涙)が出てきました」と得意の(?)英語まじりに興奮を語っていた。この日はオーストラリアのマシュー・ムーア監督による13分の短編作品『ジュリアン』のライヴ吹替えに戸田さん、中山さん、内田さん、ルーさんが挑戦。ベルリンでクリスタルベア賞を受賞した佳作の内容はもちろん、めったに体験できない生の吹き替えに客席からは大きな拍手が送られ、客席には子供たちの笑い声が響いた。上映後には、この日のために来日したムーア監督とタイトルロールのジュリアンを演じたエドくんも登場。ライブ吹替えを鑑賞したエドくんは「オリジナルの声とまた全然違ってビックリしたけど面白かったです」と笑顔を見せていた。映画祭は5日間にわたって開催。子供の年齢にあわせた様々な作品の上映に加え、期間中はバルーンアートや大道芸人によるショー、海外アーティストによる限定ワークショップなども開催される。「子どもたちの世界映画祭 20thAnniversary キンダー・フィルム・フェステバル」期間:8月19日(日)まで開催会場:調布グリーンホール(東京・調布)公式サイト:特集「シネカフェくんのふらっと映画祭」■関連作品:小さなバイキングビッケ ビッケと神々の秘宝© 2011-Constantin Films
2012年08月15日堺雅人が主演する内田けんじ監督の新作『鍵泥棒のメソッド』が、現地時間の9月6日(木)から開催されるトロント映画祭のコンテンポラリー・ワールドシネマ部門で上映されることが決定した。その他の写真『鍵泥棒のメソッド』は、貧乏役者・桜井(堺)が、転倒して記憶を失った伝説の殺し屋・コンドウ(香川照之)になりすましたことで、ある事件に巻き込まれていく姿を描いた作品。内田監督ならではの先の読めない展開と絶妙な笑いを盛り込んだ本作は、“世界的な視野と注目すべきストーリー性を持つ作品”をセレクションする本部門に選ばれた。トロント映画祭のプログラマー、ジョバンナ・フルヴィ氏は、「独特のキャラクタ-設定と、予想不可能な話が交差する展開は、現在の日本映画の素晴らしさを象徴しているようだ。俳優たちも素晴らしく、面白いだけでなく同時に感情に訴える演技をみせてくれる」と絶賛。また、映画評論家であり、数々の映画祭のプログラマーを務め、三池崇史や北野武など日本の監督を広く世界へ紹介したことで知られるトニー・レインズ氏も、「内田監督は複雑なプロットと鋭さの中に、登場人物たちをユーモアたっぷりに融合させ、エンターテインメント性の高い映画を作り出す。彼は、現代で最も先端を行く監督のうちのひとり。今一番、注目している」とコメントを寄せている。今年の上海映画祭では最優秀脚本賞を受賞した本作。既に、香港国際映画祭、バンクーバー国際映画祭など12を超える映画祭からオファーがきている。『鍵泥棒のメソッド』9月15日(土)よりシネクイント他 全国ロードショー
2012年08月15日高倉健の主演する映画『あなたへ』が、現地時間8月23日(木)よりカナダで開催される第36回モントリオール世界映画祭のワールドコンペティション部門に正式出品されることが決定した。その他の写真『あなたへ』は、亡き妻の遺した絵手紙をきっかけにその真意を知るため、妻の故郷・九州へと旅に出る夫(高倉)の姿を描いたロードムービーで、高倉のほか、ビートたけし、佐藤浩市、草なぎ剛、綾瀬はるか、田中裕子、浅野忠信らが出演。日本映画界を代表する降旗康男監督と高倉の記念すべき20本目の共作となる。高倉は過去に、降旗監督と組んだ『鉄道員〈ぽっぽや〉』で、モントリオール世界映画祭の主演男優賞を獲得しており、同賞では日本人唯一の受賞となっている。正式出品の決定を受けて高倉は「日本映画が、モントリオール世界映画祭に呼ばれることは感謝の念を感じながらも、主演させて頂いた作品が選ばれたことに気が引き締まる思いです。この作品にかけたスタッフ、キャストの情熱がモントリオールに届いたのだと思います。日本映画の良さを世界に伝えられる一助になればと思っています」と喜びを語っている。降旗監督は「『鉄道員〈ぽっぽや〉』から13年の時を経て、再びモントリオール映画祭に参加できることを大変嬉しく思っております」とコメントを寄せており、映画祭に出席することが発表されている。映画『あなたへ』は8月25日(土)から全国公開される。『あなたへ』8月25日(土)全国ロードショー
2012年07月31日世界随一の規模を誇るジャンル映画の祭典、第16回プチョン国際ファンタスティック映画祭が、ソウル近郊・富川(プチョン)市で7月19日から29日(現地時間)まで開催され、韓国のみならず、台湾、中国などのアジアン・ビューティたちがレッドカーペットを飾った。特に目を引いたのが、過去1年で最も活躍した女優に贈られるプロデューサーズ・チョイス賞に選ばれた、ハ・ジウォン。日本でも公開された『第7鉱区』やドラマ「シークレット・ガーデン」で、いまや韓国のトップ女優となった彼女は、肌の露出は少ないものの、その抜群のスタイルを全面に押し出したシルエットのドレスで、周囲を圧倒。韓国のデザイナー、キム・ヨンジュのブランド「Kayesu」のドレスには本人も相当ご満悦だったようで、当日のツイッターに「最高の気分!もっと着ていたい」と書き込んだほど。同賞の男優賞を受賞したハ・ジョンウとの2ショットもお似合いで、ぜひ共演を望みたいところ。『サニー 永遠の仲間たち』で謎めいた美少女・スジを演じてブレイクしたミン・ヒョリンは、プチョン市民が最も会いたいスターを選ぶファンタジア賞を受賞。米国ブランド「マルケッサ」の胸元の大きく開いた真っ赤なドレスで、「期待に添えるよう頑張ります」と緊張気味に挨拶していた。男優部門には、『高地戦』のイ・ジェフンが選ばれた。また、台湾俳優ジミー・リンと共演したラブコメディ『FLYING WITH YOU』(原題)が映画祭で上映されたチャン・ナラは、劇中の結婚式を思わせる白いシフォンドレスで、清純派をアピール。新作ホラー『未確認動画』のヒロイン、パク・ボヨン(『過速スキャンダル』)も、やはり白いシフォン・ドレス。こちらは足もしっかり見せ、22歳らしい若さを強調していた。映画祭大使である「PiFanレディ」を務めたパク・ハソン(「トンイ」)はエキゾチックな黒のドレス。正面からは地味に見えるが、実は背中がざっくり開いており、ドキッとさせるスタイルだった。映画祭は日本の『宇宙兄弟』がグランプリと観客賞の2冠に輝き、喝采の中、幕を閉じた。クロージング作品として『愛と誠』が上映され、斎藤工が舞台挨拶。英国紳士を思わせる黒い帽子&テールコート姿で、黄色い歓声を浴びていた。(text/photo:Ishizu Ayako)© Yonhap/AFLO■関連作品:サニー 永遠の仲間たち 2012年5月19日よりBunkamuraル・シネマ 、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて公開© 2011 CJ E&M Corporation. All Rights Reserved第7鉱区 2011年11月12日より新宿バルト9ほか全国にて公開© 2011 CJ Entertainment Inc. All Rights Reserved高地戦 2012年10月27日よりシネマート新宿、シネマート六本木ほか全国にて公開© 2011 SHOWBOX/MEDIAPLEX AND TPS COMPANY ALL RIGHTS RESERVED.宇宙兄弟 2012年5月5日より全国東宝系にて公開© 2012「宇宙兄弟」製作委員会
2012年07月30日島根県・隠岐諸島で誕生した、家族の絆を賭けた一世一代の勝負の物語『渾身 KON-SHIN』が、8月23日(現地時間)より開幕する第36回モントリオール世界映画祭のフォーカス・オン・ワールドシネマ長編部門に出品されることが決定!この吉報を受け、主演の伊藤歩と青柳翔(劇団EXILE)より喜びのコメントが到着した。美しい自然の景観が広がる隠岐諸島を舞台とする本作。主人公の多美子は夫・英明の病死した前妻の子・琴世と共に幸せに暮らすが、幼い琴世は多美子のことを「お母さん」とは呼ばない。そんなとき、20年に一度の伝統行事、古典大相撲が開かれることになり、最高位の正三役大関に選ばれた英明は、家族が見守る中、大一番の勝負に臨むことに…。本作でメガホンを握るのは、『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』や『わさお』など日本の美しき景色を切り取ってきた錦織良成監督。トロント映画祭と並ぶ北米最大の映画祭であるモントリオールでの上映決定を聞き、「日本人として日本を誇りに思えるような映画を、との強い思いで制作しました。一足早く海外のみなさんに観ていただける機会を得てとても喜んでいます。日本の心が伝わると嬉しいですね」と強い意気込みを語る。主人公・多美子を演じる伊藤さんもこの吉報を受け「『日本はもちろん、これをきっかけに海外のより多くの方々にこの映画を観ていただける!日本の美しき文化が海外に響き渡ったら嬉しい!』と思いました」と大喜び。「島根県にある隠岐諸島は、古き良き日本の文化や風習、人々の関わりが色濃く残っている本当に美しい島です。 みなさんにこの映画を観て、大きな深呼吸をして貰えたら嬉しいです」と本作の見どころを力説する。多美子の夫・英明役で、今回、大相撲の演技にも挑戦した青柳さんは劇団EXILEに所属し、映画・舞台・TVドラマで活躍する注目の若手俳優。今回の快挙に「感謝の気持ちでいっぱいです!自然が綺麗な隠岐諸島。スタッフ・キャスト、そして島のみんなが愛した作品を世界中の人たちに観てもらえて嬉しいです!」と声を大にして喜びを伝えている。昨年は『アントキノイノチ』(イノベーション・アワード)と『わが母の記』(審査員特別大賞)がそれぞれ快挙を成すなど、日本映画とも縁深いモントリオール世界映画祭。本作で映し出される日本ならではの美しき景色は、海外の観客の目にどう映るのか?『渾身 KON-SHIN』は2013年1月5日(土)より島根・山陰地区先行公開、1月12日(土)より全国にて公開。■関連作品:第36回モントリオール世界映画祭 [映画祭] 2012年8月23日から9月3日までカナダ・モントリオールにて開催渾身 KON-SHIN 2013年1月5日より島根・山陰地区先行公開、1月12日より全国にて公開
2012年07月30日松たか子と阿部サダヲが初めて夫婦役で共演していることで話題の『夢売るふたり』が、このほど第37回トロント国際映画祭に正式出品されることが決定!前2作に続いて3度目の世界への挑戦となる西川美和監督から喜びのコメントが到着した。営んでいた小料理屋を火災で失った夫婦が、再出発の手段として選んだ稼ぎ口は、結婚詐欺。真っ当ではないと知りつつも、金のためにうそを重ねるが、やがて夫婦、騙した女たちとの間にひずみが生まれる…。『蛇イチゴ』や『ゆれる』、『ディア・ドクター』など、女性ならではの鋭い視点と繊細な描写が高い支持を集める、西川監督の待望の最新作。カンヌ国際映画祭、ベルリン国際映画祭に次ぐ規模とアカデミー賞を占う重要な映画祭として、毎年数多くの映画ファンが参加するトロント国際映画祭。昨年は日本から『ヒミズ』や『CUT』などが出品され喝采を浴びた。今回、『夢売るふたり』が出品されるのは「スペシャル・プレゼンテーション」という本映画祭の目玉となる部門。近年では2010年に公開された『ノルウェイの森』が同部門にて上映されたが、日本映画が出品されるのは極めて稀とのこと。映画祭プログラミング・ディレクターも「とにかくこの映画が好きなので、ワールドプレミアとして招待することができて嬉しい!」と喜びの声を上げている。この吉報に西川監督は「トロントは師匠の是枝(裕和)監督も常連で、とてもいい映画祭だと聞いていましたから、ずっとこの機を待っていました。たくさんの外国映画に憧れて育ったので、こういう機会をいただけることは自分も作品で世界にお返しができるような気がして何より嬉しいです」と、是枝チルドレンらしい映画愛にあふれたコメントを寄せている。さらに、「東京に生きる夫婦と女たちの話を、海外の人がどのように受け止めるのか、理解されるのか、されないのか、とても知りたい。苦労を重ねてくれたスタッフの仕事、キャストの仕事を世界に紹介できることも嬉しい」と喜びと期待に胸膨らませる。尚、西川美和監督も映画祭に参加する予定。西川監督にとって、第59回カンヌ国際映画祭での『ゆれる』、第33回モントリオール世界映画祭での『ディア・ドクター』に続いて3度目となる世界への挑戦。3度目の正直で初の受賞に期待したい。『夢売るふたり』は9月8日(土)より新宿ピカデリーほか全国にて公開。■関連作品:第37回トロント国際映画祭[映画祭] 2012年9月6日から2012年9月16日までカナダ・トロントにて開催夢売るふたり 2012年9月8日より新宿ピカデリーほか全国にて公開© 2012「夢売るふたり」製作委員会
2012年07月25日ロングランヒットを飛ばしている映画『テルマエ・ロマエ』が、9月6日(木)から開催されるトロント映画祭のオープニングウィークエンドでのガラプレミアで上映されることが決定。主演の阿部寛とヒロインを演じた上戸彩がレッドカーペットに参加することが発表された。その他の写真トロント映画祭は、アメリカ大陸で最大規模を誇る映画祭。ピープルズ・チョイス・アウォード(観客賞)が最高賞となり、アカデミー賞の賞レースを占う映画祭のひとつとして注目を集めている。過去にピープルズ・チョイス・アウォードを受賞した日本映画は、北野武監督の『座頭市』のみだが、外国映画では『スラムドッグ$ミリオネア』、『プレシャス』、『英国王のスピーチ』など、いずれもその年のアカデミー賞でオスカーを受賞した作品が多い。これまで本映画祭のガラプレミア枠に招待された日本映画は『崖の上のポニョ』だけで、実写としては初の快挙となる。阿部は、「トロント映画祭のオープニング作品に選ばれたと知り、誇らしく思うと共に夢のような気持ちです。この映画はどこまで育っていくのか日々驚いています」とコメントを寄せている。既にイタリア、フランスなど、9か国での上映が決定している『テルマエ・ロマエ』。海外から熱い注目を集める本作の躍進に期待したい。『テルマエ・ロマエ』公開中
2012年07月25日デジタルシネマの祭典として国内外の新進監督が集結した「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2012」が22日にフィナーレを迎えた。最終日は各コンペティションの受賞作が決定。メインの長編部門の最高賞となる最優秀作品賞には、オーストリアを拠点に活動するウムト・ダー監督の『二番目の妻』が輝いた。その他の写真見事に栄冠を手にした『二番目の妻』は、ウィーンのトルコ人家庭に嫁入りした若き女性の物語。意味深な題名が示すようにトルコ人の風習を切り口にした衝撃的なドラマが展開する。「(クルド人移民としてウィーンで育った)自身の生い立ちやトルコの伝統を反映して出来上がった作品」とまず明かしたダー監督は「当事者でないと理解しづらいところが多々あるはず。それがここ日本で認められたことは大きな自信になる」と語り、「まさかの受賞。心から感謝したい」と喜びをかみしめた。世界的巨匠、ミヒャエル・ハネケに師事した経歴を持つダー監督の今後の活躍に目が離せない。一方、監督賞は、日本の中野量太監督が手中にした。受賞作『チチを撮りに』について中野監督は「幼くして父を亡くし、母子家庭で育った影響か“家族”に興味がある」と語り、「これからも笑いと涙が同居する僕にしかできない家族ドラマを作っていきたい」と将来を見据えた。なお同作はSKIPシティアワードとW受賞。さらに国内上映が確約されるSKIPシティDシネマプロジェクト作品にも選出された。ニュージーランドのプロデューサー、マーテン・ランバーツ審査委員が「独創的な作家性がある」と評したように、彼はユニークな感性の持ち主。日本映画の未来を担う存在に成長することを期待したい。現在、日本には数々の映画祭が存在するが、実は世界の最新作が上映されている映画祭は少ない。その意味で世界の新作を集めた本映画祭は貴重な場であり、存在意義の高まりを感じる。本映画祭が注目した世界の才能が今後どう飛躍するのか注目したい。SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2012●長編部門(国際コンペティション)最優秀作品賞『二番目の妻』監督:ウムト・ダー監督賞『チチを撮りに』監督:中野量太脚本賞『旅の始まり』監督:マルヒン・ロハール審査員特別賞『ノノ』監督:ロメル・トレンティーノSKIPシティアワード「チチを撮りに」監督:中野良太●短編部門(国内コンペティション)最優秀作品賞『ユメのおと』監督:角川裕明奨励賞『小さなユリと第一章・夕方の三十分』監督:和島香太郎『トゥルボウ』監督:多田昌平取材・文・写真:水上賢治
2012年07月23日我妻三輪子、染谷将太らが出演し、ベルリン映画祭で上映され、第36回香港映画祭では審査員特別賞を受賞した映画『恋に至る病』が10月13日(土)から日本公開されることが決定した。その他の写真『恋に至る病』は、生徒の顔もまともに見られず私語や居眠りも注意できない生物教師マドカ(斉藤陽一郎)、彼を大好きで先生と“溶けて混ざってひとつになったらいい”と妄想する生徒ツヅラ(我妻)を主軸に、少し風変わりな四角関係を描きながら、恋とセックスにまつわる根源的な問いに迫る異色の恋愛劇。海外の映画祭では上映後に観客らが“男女の性”について意見交換を交わす場面が見られるなど、単なる青春映画におさまりきらない反響を集めたという。また、主題歌と劇中音楽をテクノポップユニット“アーバンギャルド”が担当することもすでに発表され、話題を呼んでいる。日本では10月13日(土)から東京・渋谷のユーロスペースで先行上映を開始し、その後に全国で順次公開される予定。『恋に至る病』10月13日(土)よりユーロスペースにて先行上映
2012年07月09日映画版の夏フェスとして親しまれ、今年で27回目を迎える『星空の映画祭』が、8月5日(日)より長野県諏訪郡原村の八ヶ岳自然文化園で開催される。その他の写真『星空の映画祭』は、夏休みに野外で楽しむイベントとして1984年にスタート。夏の間だけ行なわれる、大自然に囲まれた野外映画館として24年間続いたが、DVDの普及や複合映画施設の台頭により、2006年に幕を閉じることに。その後、「映画には人間を、地域を元気にさせる力がある!」という想いから、ボランティアスタッフの運営によって2010年の夏に再開。原村に所縁のある有志、ボランティア・チームの運営によって今年も開催される。上映作品は、『ニュー・シネマ・パラダイス』、『ヒューゴの不思議な発明』、『キツツキと雨』、『ももへの手紙』、『宇宙兄弟』、『ラスト・ワルツ』、『サウダーヂ』の全6作品。野外映画館としては、日本で一番標高の高い(1300m)場所にあり、会場には11m×5mのスクリーンと、35mmフィルムの映写機が設置される。この夏、星空の下で、名作や話題作をデジタルとは一味違うフィルムの質感で味わってみてはどうだろうか。『星空の映画祭』期間:8月5日(日)~8月26日(日)上映時間:19時開場/20時開映※雨天決行、ただし雷雨・濃霧時は中止。雨よけテントあり。各自、雨具を要持参。入場料金:おとな1000円こども(中学生まで)500円会場:長野県・原村八ヶ岳自然文化園野外ステージ※駐車場あり上映作品:『ニュー・シネマ・パラダイス』、『ヒューゴの不思議な発明』、『キツツキと雨』、『ももへの手紙』、『宇宙兄弟』、『ラスト・ワルツ』、『サウダーヂ』
2012年07月09日『シルビアのいる街で』(2007)で日本でも熱狂的なファンを獲得したスペインの映画監督ホセ・ルイス・ゲリンの長編作品を一望する映画祭が、27日(金)まで渋谷シアターイメージフォーラムで開催されている。その他の写真上映されているのは、処女長編『ベルタのモチーフ』(1983)から『メカス×ゲリン往復書簡』(2011)までの8本。「映画とは、そこにはないものを見るということ」。そう話すゲリン監督の映画は、無人の風景や人物の後姿からも私たちのイマジネーションが喚起されることをあからさまにする。そして、サイレンスのなかのざわめきや孤独がはらむ豊かさも捉え、差し出す。「『ベルタのモチーフ』では、映画の撮影隊が忘れられた村に入っていきますが、同じようなことが別な作品でも起こります。ビクトル・エリセ(『ミツバチのささやき』『エル・スール』の名匠)に『まるで幽霊がよみがえってきたような映画だ』と言われたことがあります。映画を通して死者がよみがえる、感情がよみがえる、というわけです。私の映画は、常に現在と過去…。伝説なり神話なりとの間の緊張感によってかたちづくられています」。彼のフィルムは“亡霊の映画”と呼んでもいいかもしれない。そのとき私たちは、過去にひたる郷愁ではなく、何かをよみがえらせる生々しい想像力を手にすることになる。ジョン・フォード監督の『静かなる男』のロケ場所を探索する『イニスフリー』(1990)にしても、1930年に無名の映画監督によって記録された家族の肖像から創作の羽をひろげてゆく『影の列車』(1997)にしても、ドキュメンタリーがいつの間にか類稀なるフィクションの世界に私たちを招き入れるのだ。「時間が私にとっていちばんのミステリーです。考えると、めまいを起こしそうになります。私が映画を撮るのは、時の不思議さを何とか伝えたいと思うからです」。そこには、観客の視点を固定せず、自由に解釈できる宇宙が拡がっている。「いつも、被写体に対して、どのような関係を持つかを考えながら撮ります。そして、撮られた被写体が、観客とどのような関係を持つのかということを考えます」。ホセ・ルイス・ゲリン映画祭期間:6月30日(土)~7月27日(金)場所:渋谷 シアターイメージフォーラム取材・文:相田冬二
2012年07月03日日本の夏と言えば、祭りの季節。北は青森のねぶた祭りから南は沖縄のエイサー祭りまで、全国各地が名物の祭りで夏を盛り上げるが、今年の夏は映画祭も熱い!アジア圏から選りすぐられた未公開映画がいち早く楽しめる映画祭から、人権問題をテーマにした映画祭まで、個性豊かな映画祭の数々が各地で開催される。その中から7月に開催される注目の映画祭を、運営する人々から届いたコメントと共に一挙ご紹介!先の東日本大震災を受け、昨年は東北復興の支援をテーマに掲げる映画祭が多く見られたが、今年もテーマやコンセプトは様々なれど、どの映画祭も思いは同じ。“映画を通して人々に希望を伝えたい”という思いから独自のプログラムやイベントが企画されている。まず1つ目にご紹介するのは、世界84の国と地域から集められた、デジタルで製作された作品が多数上映される「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭」(埼玉県・川口市)。今年は家族や親子をモチーフとした人間ドラマを始めとした良作が揃うほか、川口市在住の子供たちによる吹き替えが行われるアニメの上映や子供たちが作ったCMを楽しめる「カメラクレヨン」など子供主体の企画が目玉となっている。運営スタッフは「コンペティションで次代を担う若手監督の作品上映のほか、『カメラクレヨン』など輝かしい未来を持つ子供たちによる映像制作企画など、多方面に向かって“夢”と“元気”を発信していきたい」とコメントを寄せる。さらに、手塚治虫原作の『ジャングル大帝 劇場版』が野外上映されるなど、大人から子供まで楽しめるイベントが満載である。続いては、東北から強い個性を放つ「青森インターナショナルLGBTフィルムフェスティバル」。“LGBT”とは、レズビアン(L)、ゲイ(G)、バイセクシャル(B)、トランスジェンダー(T)の頭文字を取ったもので、ここでは映画を通して、まだ日本では理解が浸透していないセクシャルマイノリティ(性的少数者)の人権問題について考える機会を提供している。セクシャルマイノリティに対する偏見や結婚を始めとする法的制度が整っていないなど、欧米諸国に比べてまだ議論する場が少ないこの環境に一石を投じる本映画祭。「日本でも、特に地方に住むセクシャルマイノリティの人々は生きづらい環境にあります。ここ青森もそれは同じ。こんな地方でこういったテーマの映画祭をやっているということを多くの人々に知ってもらうことで、彼らに少しでも希望を持ってもらえたら」という強いメッセージが込められている。最後にご紹介するのは、お祭りモード全開の映画祭。福岡で行われる老舗映画祭「福岡アジア映画祭」である。アジア圏から集まった未公開作品が上映される国際色豊かな映画祭として毎年大きな盛り上がりを見せているが、これと時期を同じくして、福岡名物の一つでもある日本最大級の夏祭り「博多山笠」も開催されるのが魅力。この時期に福岡まで足を伸ばせば、一石二鳥で贅沢なお祭りが2つも楽しめてしまうのだ。実行委員からは「映画祭はもちろんですが、熱気に包まれた福岡の街をまずは楽しんでほしい!元気をチャージして、それをまた周りの人たちに分けてあげてほしいんです」という熱いコメントが寄せられている。あなたもこの夏、映画祭へ足をのばしてみる?ぜひ日本各地の色とりどりの映画祭をチェックしてみて。福岡アジア映画祭2012開催期間:7月6日(金)~15(日)会場:九州日仏学館(福岡・福岡市)公式サイト:第7回青森インターナショナルLGBTフィルムフェスティバル開催期間:7月8日(日)会場:ファッションビル「アウガ」(青森・青森市)公式サイト:シティ国際Dシネマ映画祭2012開催期間:7月14日(土)~22(日)会場:SKIPシティ(埼玉・川口市)公式サイト:特集「シネカフェくんのふらっと映画祭」
2012年07月02日6月24日(日)で閉幕した第15回上海国際映画祭にて、コンペティション部門に出品していた内田けんじ監督×堺雅人主演の最新作『鍵泥棒のメソッド』が、脚本賞を受賞!日本映画が脚本賞を受賞するのは、同映画祭史上初となる。ある日、銭湯で転倒し記憶を失った伝説の殺し屋と、一人の売れない貧乏役者、2人の男の人生が入れ替わるところから始まる予想不可能なストーリー。転倒した男の持っていた大金に目がくらみ、彼に成りすます貧乏役者・桜井に堺雅人、記憶を失い自分が桜井だと思い込んでいるコンドウに香川照之が扮するほか、役者として努力するようになるコンドウに恋をする婚活中の女性編集長・香苗に広末涼子が扮し、絶妙な笑いを生み出す。106の国と1,643の地域から集まった応募作品から選出された17作品で争われた同コンペティション部門に、日本から唯一選出された本作。オープニング・レッドカーペットでは、ジャッキー・チェンやトニー・レオンなど錚々たるアジアのトップスターが歩く中で、現地入りした堺さん、広末さん、内田監督は大歓声でもって迎えられ、舞台挨拶では200人以上のファンが駆けつけるなど、作品に対する期待の高さをうかがわせていた。今回の快挙を受け、脚本・監督を務めた内田監督は「映画の脚本は、映画が完成したときに完成するものだと思っています。この映画に参加してくれたスタッフ、キャスト全ての人に感謝しています。ありがとうございました」と感謝。緻密な計画のもと、二転三転していくストーリーが観る者を常に騙し、虜にしていく監督の作品だが、既にその脚本力はアジアで高く評価されており、前作『アフタースクール』のリメイク権に中国の映画会社2社からオファーがあり、そのうちの1社が権利を獲得、製作開発中であるほか、デビュー作『運命じゃない人』は韓国でリメイクされ『COUPLES』と言うタイトルで昨年公開されている。今回の受賞により、本作にもさらなる注目が集まることが大いに予想される。『鍵泥棒のメソッド』は9月15日(土)よりシネクイントほか全国にて公開。■関連作品:鍵泥棒のメソッド 2012年9月15日よりシネクイントほか全国にて公開© 2012「鍵泥棒のメソッド」製作委員会
2012年06月25日右手に指輪をする夫
兄の連れてきた婚約者は…
いきすぎた自然派ママがこわい