『北北西に曇と往け』の舞台、アイスランドは、入江亜季さんがマンガ家になって初めてまとまった休みを取った際、旅した場所だった。イケメン×北欧アイスランド。見たことのない探偵活劇!「アイスランドの自然と、生活と、車が描きたくて始めた物語です。アイスランドでは、森林限界に近い厳しい環境で、わずかに許された生き物の領域を大切に、人間が生きています。人間にとって車は自身の一部のように大切な道具であり、厳しい環境から生命を守るシェルターでもあります。また運転免許を取ったばかりでもあったので、車は絶対に描きたいモチーフでした」17歳の御山慧(みやまけい)は両親を事故で失い、アイスランドで暮らす祖父の家に居候しながら、愛車ジムニーを駆って探偵の仕事で日銭を稼いでいる。「慧については、格好いいってなんだろうと考えました。他人や社会のために力を尽くすこと、もうひとつは自分の腕で生きていくことなのかなと。慎重で疑り深い一方で、人の善良さを愛しているところが、慧の魅力だと感じています」彼を慕ってやまない弟の三知嵩(みちたか)は日本に住んでいて、一見無邪気そうだけど謎に満ちた存在。ある日突然、音信不通になってしまうあたりからサスペンス色が強まっていく。「マンガは笑えたほうがいいと思っていたので、笑顔が減るリスクにドキドキしながらサスペンスに挑戦しています。アイスランドの人々の優しさを知る一方で、町の外の風吹き荒れる荒野や、簡単に凍死してしまう冷たさを思うと、この緊張感はふさわしいような気がしています」冒険要素も多分にあり、ちょっと特殊な能力を持っているという慧の設定にはSF的雰囲気も。ジャンル分けが難しいところはいかにも今っぽいが、読んで心が躍るというマンガの純粋な楽しみ方を思い出させてくれる力強さがこの作品にはある。「旅をすることは外界の知恵や価値観を得ること、それが個人の心の世界を広げることにつながると思っています。仮想の旅ができることは、マンガという“やさしい”読み物の役割のひとつでもあると信じています。登場人物同士がぶつかったとき、何が起こるかが肝。これからも変化の多い作品にしていくつもりです」『北北西に曇と往け』3クールな慧のイケメンっぷりは眼福!タイトルは彼の人生を思って名付けたそう。最新刊では、人捜しの依頼で訪れたセーフハウスで慧の記憶が蘇る…。KADOKAWA620円©入江亜季/KADOKAWAいりえ・あきマンガ家。2002年デビュー。’06年、個人誌の作品をまとめた『コダマの谷』を刊行。’08年より連載を開始した初の長編『乱と灰色の世界』は7年にわたり続いた。※『anan』2019年3月27日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・兵藤育子(by anan編集部)
2019年03月20日美しき庭に眠る不思議な力をめぐる“作庭師”たちの幻想譚。由紀円香さん『作庭師の一族』2とは?「もともと庭という空間になんとなく惹かれていて、物語性を感じていたんです。その直感はわりと当たっていて、本当に物語を考えて庭が構成されていたりとか、水の流れが近くにある大きな川の流れと同じになっていたりとか、小さな世界が庭のなかに造られていることを知り、マンガにしてみたいと思いました」本作で登場する作庭師とは、簡単に説明すると、不思議な力で庭の管理をする職業、というか存在のこと。「私は京都に住んでいるのですが、歴史のある庭は方位などを重視していて、陰陽五行の影響も受けているらしいのです。陰陽師って調べてみると、ひとりでやっていたとは思えないほどの仕事量で、実はそれが分業制で土地方面の専門家がいたとしたら…というのが作庭師なんです」物語は、朝日名家に代々伝わる庭を、夜鶴来(よつるぎ)おぼろという作庭師が修繕に来るところから幕を開ける。この家に暮らす女子高生のひなたは、おぼろと出会うことで、朝日名と夜鶴来というふたつの作庭師の一族の因縁に巻き込まれていく。「おぼろはいかにも作庭師然としていますが、自我が確立されないまま重いものを背負ってしまった人。ひなたは逆で、普通の明るい女子高生だったのに、作庭師の一族であることを知り大人になっていくんです」2巻では、おぼろの抱えている恐るべき因果が徐々に明かされ、ひなたのほうは選ばれし者である運命を受け入れ、覚醒していく。ふたつの一族の行く末は読んでのお楽しみだが、庭に一歩足を踏み込んだら広がる異世界という設定は、『不思議の国のアリス』的なファンタジーの王道ながら、日本的モチーフが魅力的で、一族の因縁と結びつける展開にもどんどん引き込まれてしまう。「あの角を曲がったら別世界につながっている、というような感覚に以前から憧れていて、日常のすぐそばにあるファンタジーを描いてみたかったんです。初めての連載でしたが、想像しているだけでは考えが及ばないようなこともたくさんあって、作者として物語に責任を持つことの大切さを教えてもらいました」新鋭作家によるアクション、ホラー、人間ドラマありの幻想譚。庭の見方が変わってしまうかも!『作庭師の一族』2「朝日名」と「夜鶴来」、ふたつの作庭師の一族に起こった悲劇とは。そしておぼろとひなた、それぞれの決断とは。めくるめく展開から目が離せない完結編。講談社640円ゆき・まどかマンガ家。京都出身。第1回THE GATE奨励賞を「はるのうた」で受賞してデビュー。本作が初連載。インスタグラムアカウントは@yuki_madoka※『anan』2019年3月20日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・兵藤育子(by anan編集部)
2019年03月18日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「原発輸出政策」です。輸出は実質ゼロに。今後は中露が、世界に広げる?イギリスで日立製作所が進めてきた原発建設計画が中断されることになり、日本の海外への原発輸出計画は実質、すべてストップすることになりました。原子力発電の輸出政策は民主党政権のころから推し進めていました。水道や鉄道(超高速鉄道)など、インフラ技術を売ることが輸出の重要な鍵になるといわれており、そのひとつが原発だったのです。当時の鳩山首相は、温室効果ガスを2020年までに25%削減すると国際的に公約。そのためのクリーンなエネルギーとして、原発を増やそうとしていました。新興国では、しばしば電力が足りなくなり工場で停電が起きます。アジアや南米などに原発を輸出しようとしていた矢先、2011年に福島で原発事故が起きました。それ以降、安全対策にコストがかかり、原発の建設費用が1基5000億円以下だったのが、1兆円以上に跳ね上がりました。また、原発は、稼働し続けて初めて利益が回収できるもの。トラブルや災害で止めなければならない状況になると、収益も見込めません。これまでにも1979年にアメリカ・スリーマイル島、1986年にチェルノブイリ、2011年に福島と10数年に一度、世界で大きな事故が起きていますし、小さなトラブルは無数にあります。輸出先で事故が起きると、その損害賠償はメーカーが負わなければいけません。これはとても大きなリスクです。さらにいまは風や熱、光、潮など再生可能なエネルギーが増えました。信用を落とした日本の原発に、投資家たちはなかなか投資をしてくれません。福島第一原発事故が起きたのは、日本の技術が劣っていたからではなく、耐用年数が40年だったにもかかわらず、1960年代の古い型の原子炉を使い続けていたからです。最新型の原発ではそんなことにはなりません。そんななか、いま、原発の開発に力を注いでいるのは、ロシアと中国。国が開発資金をつぎ込み、輸出後のトラブルも国が補償。アメリカやフランス、イギリスなどが原発に後ろ向きになっているのに対し、ロシアや中国など強権な国が、アジアやアフリカに輸出をし、核を扱うアライアンスを世界中に広げていくというのは脅威でもあるのです。堀潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2019年3月20日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2019年03月15日出会った女性がネタの源という横澤夏子さんが、街で見つけたいい女を実演。今回は、美容に意識の高い女性、「美容格言を持つ女」になりきり。自分の体験をもとにした美容情報には説得力あり!「甘酒は飲む点滴」。そういう美容にまつわるキャッチーでわかりやすい言い方を会話の中で次々に繰り出す、“格言メーカー”のような人っていますよね。ほかにも「笑顔は何よりのお化粧」とか、「お肌のシンデレラタイム」もそう。もちろん、美容において“これさえやっておけば必ず美しくなる”ということがないのはわかっています。それでも、格言力のすごさゆえに買ってみたくなるし、実際にやってみようかな、と思わせる。そういう女性は美容のことをちゃんと知っているだろうし、内臓までキレイな感じがするんです。でも、美容雑誌を読みまくる、うるさいタイプではありません。NHKの『ガッテン!』のような、幅広い世代が見ている番組から得た情報を発信。「小松菜はほうれん草の何倍もの鉄分が含まれている」「ビタミンCじゃなくてBが大事なのよ」などとアドバイスをくれます。番組を見ながら一人で「ガッテンガッテン!」と言っちゃうし、いいと言われた食材はすぐに買いに行く。司会をつとめる立川志の輔さんのことを「志の輔さんが~」と、まるで親戚のように話します。とりあえず、『ガッテン!』を見てみましょう。そして、紹介されていたことを実際に試し、やってみて本当によかったこと、自分が心から「ガッテン!」できた内容だけを人に教えるようにしてください。聞いただけじゃなく、ちゃんと実践している人は限られているから、“美容のことはこの子に聞くと間違いない”と思われる存在になるはずです。「水素を飲むと内側からきれいになる」とだけ話すより、「水素はこうだから体にいい」と解説できる人のほうが、説得力がありますよね~。そんな女性には将来、テレビショッピングをやってほしいです(笑)。よこさわ・なつこ芸人。『バイキング』(フジテレビ系)や『王様のブランチ』(TBS系)など、数多くのバラエティ番組にレギュラー出演している。著書『追い込み婚のすべて』(光文社)が発売中。※『anan』2019年3月20日号より。写真・中島慶子イラスト・別府麻衣文・重信 綾(by anan編集部)
2019年03月13日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「ザータリ難民キャンプ」です。内戦が終結しても難民キャンプの課題は山積みです。今年の初めに僕はヨルダンにあるザータリ難民キャンプに行ってきました。シリア国境に近い広大な敷地に、8万人近い人が暮らしています。2011年から始まったシリアの内戦。昨年、トランプ政権は、シリアからアメリカ軍を撤退させると決め、軍事的には現アサド政権の勝利で終わろうとしています。内戦後の復興の話も出てきており、中国の企業が名乗りを上げているとか、海外から投資を呼び込んでいるなどと報道されていますが、「戦争が終わってよかった」という単純な話ではありません。反政府軍の拠点である北西部のイドリブではまだ激しい戦いが続いていますし、ザータリ難民キャンプのシリア人難民はさまざまな理由で行き場を失っています。難民キャンプは難民の一時的な保護の場なので、内戦が収束に向かっているのであれば自国に帰るよう促すことが、難民条約には書かれています。しかし、シリアの内戦は、政府が反政府側の市民を弾圧して激化しました。難民として国外へ逃げた人の中には、国に戻れば不当に逮捕される恐れのある人もいます。また、現政権は徴兵制を敷いているため、男性は帰国すると兵にとられ、参加したくもない戦争に駆り出され、同胞に銃口を向けなければいけない状態になるかもしれません。アメリカからの国連への拠出金も引き下げられ、予算は縮減。キャンプ内の学校でも資金が打ち切りになり、シリア人の先生は解雇されていきました。子どもたちの教育の機会は縮小され、診療所も閉鎖。遊んでいて額から血を流した子どもが、救急箱目当てにNGO「国境なき子どもたち」に集まってきているのを目の当たりにしました。日本では中東のニュースはほとんど流れません。シリアも難民キャンプも遠い存在です。でも、現地で僕は「ヤバーニ(日本人)!」と大歓迎されました。アメリカと戦い、原爆を落とされた不幸な歴史を背負っているが、中東のために経済力を役立ててくれる尊敬する国、という意識でいるのです。日本政府や民間がこれまでODAで積み重ねてきた功績の結果です。絶え間ない支援活動が、日本の安全保障につながることを改めて感じました。ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2019年3月13日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2019年03月11日普段の生活の中で災害にあったら…。今話題の「自衛隊防災BOOK」からシチュエーション別のテクニックをご紹介します!教えてくれたのは現役自衛官の林田賢明さんです。地震発生時に役立つライフハック災害発生直後=発災時にどんな初動対応をとるかで、その後の被害の大きさが変わってきます。普段の生活でよくあるシチュエーション別に、テクニックを習得しましょう。【1】入浴中だったらお風呂場には着替えと携帯を持っていく習慣を身につけて。裸ということもあり、入浴中の地震は焦りが倍増。揺れを感じたら、閉じ込められないよう迅速にドアを開け、強い揺れがおさまってから服を着て、安全な場所への避難を。焦って転倒したり、鏡の破片などで負傷しないように、お風呂場でこそ冷静な行動を心がけて。自衛官の自宅ではお風呂の水を空にしない人が多いらしい浴槽にためた水は、断水時のトイレ用水や洗濯水、火災発生時の消火水にも利用可能。このため、入浴直後に栓を抜くのではなく、次にお風呂を掃除する直前までためた状態をキープして。また、浴槽がないタイプのお部屋に住んでいる人は、使用済みペットボトルに水道水を入れてストックしておくだけでも。【ひとことアドバイス】お風呂場にも、そのまま外出できる着替えを1セット用意しておくと、いざという時に安心です!【2】睡眠中だったら真っ先に足元をガードし、ドアを開けて出口の確保を。緊急地震速報が入ったり強い揺れを感じたら、真っ先にスリッパや靴を履き、窓ガラスの破片などから足元を守って。その後、素早く寝室のドアを開けて出口を確保しましょう。揺れで家が歪み、ドアが開かなくなる可能性があるので、迅速な対応が重要です。【ひとことアドバイス】もしもに備え、ベッド付近にはスリッパ、懐中電灯、笛の3点セットのご用意をおすすめします!【3】料理中だったらガスコンロの火を消すのは激しい揺れがおさまってから。火を消そうと、慌てて熱湯や揚げ油の入った鍋に近づくのは危険。最近のコンロは揺れを感知して自動消火する機能が付いたものもあるので、まずは自宅のコンロの確認を。また、出火時に安全に取りに行けるよう、火元から2~3歩離れた場所に消火器を常備して。【ひとことアドバイス】女性でも簡単に使用できる、スプレータイプの簡易消火具も売られているので、チェックを!【4】スーパー、コンビニにいたら陳列棚から離れ、店員さんの指示に従い非常口から避難を。倒れた陳列棚の下敷きとなって圧迫死する可能性もあるので、陳列棚からは素早く離れましょう。周りを見ずに慌てて外に飛び出すのは、殺到した客同士による将棋倒しの可能性があり逆に危険なので、店員さんの指示に従って非常口からの避難を。【ひとことアドバイス】天井から吊るされた標示板が落下する恐れもあるので、上への意識も忘れないようにしましょう!【5】街中を歩行中だったら落下物がないか頭上の危険を確認しながら安全な場所へ。街中での地震は、落下物から身を守ろうと、つい体をかがめて下を向いてしまいがち。でもそれでは、看板や窓ガラスの破片などの落下物からの危険を回避することができません。身を守るためにも、まずは上を確認しながら安全な場所へ移動しましょう。【ひとことアドバイス】荷物が多い日ほど、両手がふさがらないように、バッグはショルダーかリュックタイプに!【6】電車に乗っていたら飛ばされないように両足もしっかり踏ん張って。大地震が発生すると、電車は自動停車します。その際の急ブレーキで飛ばされないようにするために、立っている場合には両手それぞれでつり革につかまりましょう。両足もしっかりと踏ん張ることで、安定感がアップします。飛ばされてきた人との衝突にも注意が必要。座っている場合には、乗っている車両内で進行方向に近いポールに両手でつかまると、急ブレーキ時に飛ばされる心配も減る。視線は進行方向の逆に向け、飛んでくるものや人を避けましょう。さらに、バッグを膝上に置くとエアバッグの効果も。【ひとことアドバイス】自分が飛ばされないようにするのはもちろん、網棚からの落下物にも気をつけましょう!「自衛隊防災BOOK」マガジンハウス林田賢明さん陸上幕僚監部人事教育部募集・援護課3等陸佐。募集広報係長として採用や広報を担当。自衛官募集の一環でスタートした動画サイト「自衛隊ライフハックチャンネル」は、防災、日常生活、ダイエットなど、私たちの生活に欠かせない役立つ情報が満載!“平和を仕事にする”というスローガンにピンときた方は、自衛官を目指すという道もアリ。性別や運動神経は関係ないそう。※『anan』2019年3月13日号より。写真・中島慶子イラスト・柏原昇店取材、文・辻岡直美協力・自衛隊/防衛省博報堂ADBAKA濱田恵理(by anan編集部)
2019年03月10日地震、台風、豪雨…と大災害が続いた昨年。防災意識が薄れがちな今こそ、話題の本「自衛隊防災BOOK」の中でも特に反響の高かったテクを、一人暮らしの多いアンアン読者目線でピックアップ!教えてくれたのは、現役自衛官の林田賢明さんです。――『自衛隊防災BOOK』の発売経緯を教えてください!危機管理のプロとして、災害時や日常生活で役立つ知識を紹介したいという思いから「自衛隊ライフハックチャンネル」がスタートしました。この動画をYouTubeで見た編集さんから「自衛隊がこんなに身近な存在だとは知りませんでした。一般人に役立つ情報が満載なので、取材を加えて書籍化しましょう!」とご連絡をいただき、全国の陸海空自衛隊の協力のもと、書籍化が実現しました。――自衛隊直伝のテクニックというと難易度が高そうですが…?年齢や性別を問わずマネしていただきやすいテクニックを紹介してますので、ご安心ください!特に今回はアンアン読者の皆さんの立場になって考えました。――ズバリ、大切な人を守るために必要なことは何ですか?まず“自分を守る”ということです。一人暮らしの方はもちろん、ご家族や恋人とお住まいの方も、自分がケガをした状態で誰かを救助することは至難の業です。大切な人を守るためにも“自分を守る”ことを優先してください。――時間の経過とともに防災意識は薄れがちです。注意すべきは?一番重要なことは日頃の備えです。“もし今災害が起こったら?”とシミュレーションするクセをつけるだけで、防災のスキルは格段に上がります。その上で今回紹介するテクニックを習得すれば、もしもの時に皆さんや、皆さんの大切な人を守る力になるはずです!まずは備えの基本が重要「備え」といっても難しく考えずに、少し日常生活を見直すことから始めましょう。家具の配置を変更したり、初期消火について知ること、避難場所の確認をすることが防災の第一歩!【BASIC 1】自宅の家具配置を見直す!避難経路を確保するため、入り口を妨げないレイアウトに。震災時は転倒した家具の下敷きになったり、通路がふさがれて避難できないケースが多く発生します。そこで、本棚やキャビネットなど大きめの家具は、入り口から一番遠くへ配置しましょう。さらに、転倒防止のネジ留めなどで家具を固定しておくことが理想です。【ひとことアドバイス】大きな揺れの中では、化粧品のボトルや香水の瓶などが凶器になることも。高い場所に置くのは避けて。【BASIC 2】自宅の周りの避難場所を知っておく!スマホで調べるだけでなく、実際に歩いて確認してみて!発災後に慌ててスマホに頼るのではなく、事前に自宅周辺の避難場所を歩いて確認しておくことが大切です。歩いてみることで「この高架下は危険だな」など、避難経路の危険予測もできます。ハザードマップを見て安心するのではなく、実際に歩いて確認することが重要です。【ひとことアドバイス】案外知られていないのですが、避難場所は一人暮らしの方も利用できますのでご安心を!【BASIC 3】初期消火の基本を身につける!Q. 次の3つのうち、水をかけてはいけないものはどれでしょう?A. 正解は2と3です!落ち着いてコンセントを抜いて電流をストップさせましょう。タコ足配線で過剰な電流が流れたことによる出火など、電気タップ(延長コード)による火災は水をかけると感電する恐れがあります。まずはコンセントを抜いたり、ブレーカーを落として、電流を止めてからであれば、水での消火もOKです。流しに近いからと、油に水は逆効果! 消火器での対処を。揚げ物油や石油ストーブなど、油が原因の火災時に、慌てて水で消火しようとするのはNG。火柱が上がって燃え広がったり、水蒸気爆発を引き起こす可能性もあるので、必ず消火器での消火を心がけて。そのためにも消火器の常備を徹底しましょう。【ひとことアドバイス】電気タップ付近のホコリが引火の原因となる場合もあるので、こまめな掃除も大切です!「自衛隊防災BOOK」マガジンハウス林田賢明さん陸上幕僚監部人事教育部募集・援護課3等陸佐。募集広報係長として採用や広報を担当。自衛官募集の一環でスタートした動画サイト「自衛隊ライフハックチャンネル」は、防災、日常生活、ダイエットなど、私たちの生活に欠かせない役立つ情報が満載!“平和を仕事にする”というスローガンにピンときた方は、自衛官を目指すという道もアリ。性別や運動神経は関係ないそう。※『anan』2019年3月13日号より。写真・中島慶子イラスト・柏原昇店取材、文・辻岡直美協力・自衛隊/防衛省博報堂ADBAKA濱田恵理(by anan編集部)
2019年03月09日『テルマエ・ロマエ』の大ヒットで、一躍人気マンガ家となったヤマザキマリさん。名が知られるにつれ、ヤマザキさんの破天荒な半生も話題になった。美術の勉強のため、17歳にして単身イタリアに渡ったことや、イタリア人の詩人と恋に落ち、シングルマザーとなったこと…。まるで“朝ドラ”規格外で心優しき母リョウコの生き方とは。ヤマザキさんのボーダーレスな生き方は、「この母にしてこの娘あり」を地で行く世界。そんなヤマザキさんの目を通して綴られた、母リョウコさんの一代記的な読み物『ヴィオラ母さん』が滅法面白い。「インタビューや講演などで自分の話が出てくると、『なぜそんな若さで、単身イタリアに行ったのですか』と尋ねられるんですね。きっかけは、母に行ってこいと提案され、14歳のときにヨーロッパを1か月くらい一人旅したことだと説明すると、今度は必ず『ヤマザキさんのお母さんてどういう人なんですか』と驚かれるんです。私の自伝的なマンガやエッセイなどにも登場するリョウコという女性のことを、一度まとめてみてもいいのかなと思いました」実際、リョウコさんは仰天のエピソードに事欠かない。やっと戦争の痛手から立ち上がりかけた昭和20~30年代に、女性が音楽の道で食べていこうというのも無謀なら、知り合いがひとりもいない札幌へ乗り込んで、交響楽団の演奏家になろうというのも無謀。子育てしながら、北海道各地へバンを運転して、子どもにバイオリンを教えに行くというのも向こう見ずすぎる。大自然が好きで、泳げないのに川に入っていって流され、ペット禁止の団地住まいなのに、拾ってきた犬を堂々と許可を求めて飼い始める。「母は、祖父母の影響もあって、小さな世界のルールなんて何ほどのものかという人。友達のお母さんとあまりに違うので、友達の家で“お母さんらしいお母さん”を観察するのが楽しみでした。リョウコさんには、母親とは、子育てとは、『こうあらねば』がなかった…というか、忙しくて考える暇もなかったのかもしれません(笑)」本書では少し触れられているだけだが、リョウコさんは、サウジアラビアに海外赴任していた再婚相手の母親と同居し、その夫と離婚後も義母と一緒に暮らす道を選ぶ。並外れて情に厚いのだ。「バイオリンを習いたいという子がいれば、バンを飛ばし、ほぼ無償で北海道中に教えに行っていました。その代わりに、季節の野菜だの海産物だのがしょっちゅう送られてくるので、『物々交換だ』なんて悦に入ってる。母はお金が必要だという概念が薄かったんですよね。生きている、それだけでうれしくてしかたがないという人なんです」そんな〈規格外〉の母の背中を見て育ったヤマザキさん。「私はたぶん母よりひどいですよ。『ここから先は行くな』と学校で注意をされたら、必ず行く。規則やルールがあるのは知っていても、その先にもっと面白いものがあるかもと思うと、自分を抑えられない」自らの生き方はもちろん、成人した息子さんの子育てについても、どこか母譲りな部分があったようだ。「海外へ引っ越した直後、息子は言葉もわからないと悩んでいたけれど、私は一緒に深刻にはならない。『それが楽しいんだって』と笑い飛ばしていました。生きていればみな絶対につらいことに直面するけれど、どんなときも笑っている母親は慰めになると思う。7歳にして花輪和一さんのマンガ『刑務所の中』を愛読していた息子ですから、好きなように生きてほしい、それだけですね」ヤマザキマリ1984年に渡伊。フィレンツェの美術学校で油絵と美術史を学ぶ。’97年にマンガ家デビュー、2010年に『テルマエ・ロマエ』でマンガ大賞など多数の賞に輝く。現在は日伊を行き来。『ヴィオラ母さん』御年86歳というリョウコさんの生い立ちや、夫と死別したのち、女手一つで2人の娘を育てていたころを、エッセイとコミックで振り返る。文藝春秋1300円※『anan』2019年3月13日号より。写真・土佐麻理子(ヤマザキさん)中島慶子(本)インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2019年03月08日出会った女性がネタの源。そんな横澤夏子さんが、街で見つけたいい女を実演。今回は、料理に合わせて器を使い分ける「色々な種類の器を持つ女」になりきり。食器の選び方ひとつにも、人のセンスが表れます!インスタグラムにアップされている料理写真を見ることが好きなのですが、料理だけでなく、料理が載っている食器もチェックしています。なかでも、いいなと目が留まるのは、いろいろな種類の食器を持っている人。たとえば和食を作った人が、ちゃんとそれに合う和の食器を使っているのを見ると、“この料理のために揃えたんじゃないか”と思えるし、そこにワンランク上の生活を感じるんです。特に、食器だけでなく蒸し器とか手巻き寿司のときに活躍する木桶のような調理道具を持っている人を見るとすごいなと思います。また、浅いとか深い以前に、丸や四角形などいろいろなデザインや色のものを揃えていて、“中華にはこれ、イタリアンにはこれ”と用途によって使い分けることができる。服やインテリアと同じように、料理に合わせたお皿をコーディネートするセンスがあるというのは憧れますよね。私は、頑なに食器を白で揃えたのですが、あまりおしゃれになりませんでした。食器に気を使ってる人だったら、なかなか出番のない突飛なデザインのものではなく、使いやすそうなものが揃っていると素敵だと感じるし、お気に入りの作家さんの作品なども持っているはず。きっと、そういう人のおうちには、あつらえたような食器棚があるだろうし、その中にお皿たちがきれいに並んでいるに違いありません。“お皿にも命があるはず…”と考え、自身も陶芸を習うし、親戚の引っ越し祝いなどに作品を贈っているのではないでしょうか…!いきなり高い食器を揃えるのではなく、陶器市や東京の合羽橋のようなリーズナブルに買える場所に行くのがよさそうです。100均にも、かわいいものが揃っていました。まずはチャレンジしやすいところから始めましょう!よこさわ・なつこ芸人。『バイキング』(フジテレビ系)や『王様のブランチ』(TBS系)など、数多くのバラエティ番組にレギュラー出演している。著書『追い込み婚のすべて』(光文社)が発売中。※『anan』2019年3月13日号より。写真・中島慶子イラスト・別府麻衣文・重信 綾(by anan編集部)
2019年03月06日今じわじわと人気を高めてる作家、高山羽根子さん。芥川賞候補にもなった『居た場所』について、お話を伺いました。移ろいゆく、かつての場所へ。旅と記憶が組み重なる芥川賞候補作。『居た場所』は、記憶を辿る旅に出た、ある夫婦の話だ。「自分が通過してきた場所に戻る旅、というイメージがありました。はじめて一人暮らしをした場所、自分が“個”となった場所に行ってみるという体験は私もしたと思う。ただ今回は、通過した本人ではなく、その人の片割れとなった人が、自分の記憶にはない場所を行く旅です」〈私〉が生まれ育った町に来た介護の実技実習留学生・小翠(シャオツイ)は小さな島の出身。〈私〉と結婚後、彼女は以前一人で住んでいた海沿いの街へ行きたがり、二人は旅に出る。そこはアジアのどこかを彷彿させる街。「自分がこれまでに旅してきた場所をコラージュしたような街ですね。一見、身近な場所のようだけど、看板の文字は見慣れないし、言葉が違って意思疎通ができない。そんな雰囲気が出せたらと思いました」小翠が住んでいた地区はネットの地図ではボカシが入っており、彼女はやがて、地図を作ろうとするが…。「私自身、美術の勉強をしてきたのに地図が描けないんです(笑)。目の前のものはデッサンできるのに、知っている場所でも地図を描こうとすると曖昧になってしまう」古い地図と今の地図、昔の記憶と現在…幾層にも重なったそれらが厚みを作る。その様子は著者の中で立体的に再現されているようで、「不自由なレイヤーの中を進むと、建物の吹き抜けのようにスコーンと抜けた場所がある。スカッと見通せる瞬間があって、今見えたのはなんだったんだろうと思いながら元に戻って書く感じですね」微生物、外来生物、謎の壺と液体の思い出、ミイラ…。説明の多すぎない文章世界に触れて、読み手の中でさまざまな空想が生まれるはず。「行間を読ませようとしているつもりはないんです。いろんな要素を拾ってレゴのように組み立てられるようにしたかった。出来上がったものが人によって違っていいし、同じ人でも読む度に違うものができてもいい。自由度を保っていたいんです」それでも意識しているのは、「その時代の社会性、共時性はつねに入れているつもりです。今の時代の人たちが対面しているものを書いておきたいんです」『居た場所』家業を継ぐ〈私〉は、異国出身の小翠と出会い結婚。彼女が以前住んでいた街を再訪したいと言うのでネットで調べると、その場所はぼやけていて…。他2編収録。河出書房新社1400円たかやま・はねこ作家。1975年生まれ。2009年「うどん キツネつきの」で創元SF短編賞佳作を受賞。‘14年、同タイトルの短編集を刊行。‘16年「太陽の側の島」で林芙美子文学賞受賞。※『anan』2019年3月6日号より。写真・土佐麻理子(高山さん)中島慶子(本)インタビュー、文・瀧井朝世(by anan編集部)
2019年03月05日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「バラマキ戦略」です。企画の裏にある意図を想像して、参加を決めよう。年末年始は、PayPayの「100億円あげちゃうキャンペーン」やZOZOTOWNの前澤友作社長の「1億円お年玉企画」が話題を呼びました。PayPayのキャンペーンは、電子マネーのPayPayを使って支払えば、支払額の最大20%がポイントにて還元され、40回に1回の確率で全額還元(上限10万円相当)という内容。1人月額5万円相当までと高額だったため、10日で100億円に達して終了し、現在第2弾が開催されています。前澤社長のお年玉企画は、前澤さんのTwitterをフォローし、企画をリツイートすればエントリーできるというもので、これによりフォロワー数を550万人増やすことができました。どちらもバラマキ型のPR戦略。現金やポイント還元という、人々の欲望を直接的に刺激する手法で、過剰にPRに力を入れるということは、裏を返せば、それだけ企業側も背に腹は代えられない状況なのだろうと思います。Twitterでは、その後似たようなキャンペーンが出現し、フォローをしてみたら、マルチ商法に誘い込むツイートだったなど、トラブルも発生しました。いずれにせよ、理念や信念もよくわからない人を不用意にフォローしたり、リツイートするのは、危ないのでやめておきましょう。お祭りなんだから、深く考えず参加すればいいじゃないかという意見もありますが、僕自身は、貨幣本来の適正な価値を逸脱しているような気がして、こういう戦略には抵抗があります。ちょうど「平成の大合併」を思い出します。2005年3月末までに合併した市町村には優遇措置を与えると、熟考する間もなく、せき立てられるように合併した自治体には、のちに様々な弊害も生じました。どうしても思考停止になってしまうんですね。自分の身の丈に合わないスピードで、過剰な利益を追求するあまり、森林を破壊したり、河川を汚染したり、人権を侵害したりという結果をもたらす構造と同じなのではないかと思います。目の前のお金に飛びつくのではなく、それらの企業の理念に共感するのか、応援したいと思うのか、先の未来を見据えて参加を考えてみてはいかがでしょうか。堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2019年3月6日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2019年03月02日Hey! Say! JUMPの中島裕翔が、舞台『WILD(ワイルド)』に主演することが2日、明らかになった。同作は2016年にイギリス・ロンドンで上演された英国気鋭の劇作家マイク・バートレットによる社会派戯曲の日本初演。主人公アンドリューが、モスクワのホテルの一室に身を潜めていると、見知らぬ男と女が訪ねてくる。1人目の訪問者の女は自らを「ミス・プリズム」と名乗り、アンドリューのガールフレンドのこと、両親のこと、すべての情報を握っている。そして2人目に訪ねて来た「男」は、その「女」のことは一切知らないという。次第に、アンドリューはこの世界のすべてが不確かであることに気がついていく。中島は同作が舞台初主演、出演者3人の初ストレートプレイに挑戦となる。近年は、ドラマや映画など映像作品に多く出演し、存在感と演技力で若手実力派俳優として注目を集めている中島だが、舞台は2012年から13年にかけて上演された『JOHNNYS’ World』以来約6年ぶりに。物語は、2013年にアメリカ合衆国政府の個人情報収集の手口を内部告発しロシアに亡命した、アメリカ国家安全保障局(NSA)の元局員エドワード・スノーデンの事件に着想を得て書かれた。象徴する現代世界がさらされている倫理的・社会的脅威、テクノロジーがプライバシーの概念を侵食する社会に対して、バートレットは軽妙さの中で鋭い警鐘を鳴らしている。ロンドンでの上演時には、「挑戦的で、ほかに類を見ないほど演劇的である」(THE GUARDIANS)、「今年一番のセンセーショナルなどんでん返し!」(THE TELEGRAPH)、「息を飲む……かなり文字通り”型破り“な作品”」(THE FINANCIAL TIMES)、「まるでマイク・バートレットの仕掛けたワイルドなジェットコースターに乗っているようだ!」(THE TIMES)など、各紙で劇評が掲載され、高い評価を得た。演出は、アメリカ・アクターズスタジオ大学院の演出学科を日本人で初めて卒業したという経歴を持ち、2018年より新国立劇場の新芸術監督に最年少で就任した小川絵梨子が務める。2010年に日本で本格的な活動をスタートし、“リアルで緻密”と評される演出で、2013年には紀伊國屋演劇賞・個人賞、千田是也賞、読売演劇大賞優秀演出家賞と数多くの賞を受賞し、翻訳劇を中心に活躍。本作で東京グローブ座に初登場となる。中島の共演には、舞台・ドラマ・映画でコメディからシリアスまで幅広い作品に出演し、存在感を発揮している太田緑ロランスと、舞台を中心に活躍し、演出を手掛ける小川絵梨子作品にも多数出演し信頼も厚い斉藤直樹と実力派が顔を揃える。○中島裕翔 コメント舞台の経験はありますが、ストレートプレイはほぼ初めてです。普段、コンサートで向き合っているお客さんとの距離よりもずっと近くて、変な言い方をすれば誤魔化しようがなく自分を見透かされそうで、今から緊張します。ただ、これは自分にとって大変チャレンジングな経験になるので、しっかりと自分の役と向き合って、見て頂く皆さんに現代社会への警鐘を鳴らせたらなと思っています。今回演出をして下さる小川さんと先日、お会いしました。物腰柔らかく、凛とした方という印象を受けました。その際に、「じっくりゆっくりと作っていきましょう」とお言葉をかけて頂き、ふっと、安心できる空気感を作って下さいました。どんな演出や仕掛けが待っているのか、僕もワクワクします。
2019年03月02日出会った女性がネタの源。そんな横澤夏子さんが、街で見つけたいい女を実演。今回は、TPOに合った食べ物を用意できる「マイ手みやげ大賞がある女」になりきり。素敵な手みやげは、話を盛り上げるきっかけにも。雑誌などで「手みやげ大賞」という企画があると思うのですが、自分の中にオリジナルの手みやげ大賞を持っている人って素敵だと思うんです。“このメンバーなら、このくらいの金額でこのくらいの量のものがいいな”“新宿で会うなら、あのお店に寄っていこう”などと、持っていく集まりやTPOに合わせた、ちょうどいい手みやげを瞬時に「これだ!」と判断し、用意することができる。言葉のボキャブラリーが豊富な人のように、手みやげのバリエーションに富んだ人はカッコいいし、集まりがあるときに、すごくラクですよね。それに、自分が食べたことのあるものの場合は、「これ、すごく美味しかったんだけど…!」と、相手におすすめすることができるし、話のネタとして盛り上がりますよね。逆に、何も考えず、相手の家の最寄り駅や近所にあるお店といった近すぎる場所で買ったものをあげるのは、ちょっと失礼な気がします。手を抜いている感じがするし、渡した商品の値段がバレてしまう可能性もあります。いつも誰かにあげることを考えながらアンテナを張って過ごすことが必要なんだと思いました。まずは、もらって嬉しかったものをメモしたりと、ちゃんと覚えておくように心がけるのがよさそう。一回食べて美味しかったら、自分でもう一回買って食べてみると忘れないですよね。私は、雑誌の取材現場などでも食事やお菓子などを用意していただくのですが、それをきちんと網羅できれば手みやげ大賞ができあがるんです。実際、お世話になっているネイリストさんに自分がもらって嬉しかったマシュマロのお菓子を持っていったら、すごく喜んでくれました。自分で雑誌の手みやげ大賞ページを作るような気持ちで、日々、行動しましょう!よこさわ・なつこ芸人。『バイキング』(フジテレビ系)や『王様のブランチ』(TBS系)など、数多くのバラエティ番組にレギュラー出演している。著書『追い込み婚のすべて』(光文社)が発売中。※『anan』2019年3月6日号より。写真・中島慶子イラスト・別府麻衣文・重信 綾(by anan編集部)
2019年02月28日いわゆる異文化交流モノは過去にもいろいろあったけれども、『サトコとナダ』はありそうでなかった設定の面白さが光る作品だ。ひとつは、日本に暮らす多くの人にとってあまり身近とはいえないイスラムを扱っていること。女同士の友情を描いていること。そして舞台となる“移民大国”アメリカは、ふたりの主人公にとって異国であること。国籍や文化が違っても女子は女子。異文化交流マンガ、注目の完結!『サトコとナダ』はユペチカさんの留学体験に基づいているものの、あくまでもフィクション。しかしサトコが当初抱くムスリム女性への先入観は、ユペチカさんの気持ちを代弁もしている。「ニカブ(目以外を覆うベール)を着ていると、それだけで違う世界の人だと思ってしまうじゃないですか。だけど実際に仲良くなってみると、私たち日本人よりも自己主張が強かったり、あけすけなところがあったりして衝撃を受けたんです」サトコとルームシェアをするのは、サウジアラビア人のナダ。ホームパーティでセクシーな格好をしたり、アプリを駆使して礼拝を行ったりなど、序盤はイスラム文化とその意外な一面を紹介する内容がメイン。2巻目以降はナダにお見合い話が浮上し、より物語性を帯びてくる。「お見合い結婚をさせられると聞くと、私たちはマイナスイメージを持ってしまいがちですけど、そうやって幸せに暮らしている方にもたくさんお会いしたので、プラスの面も伝えたかったんです。最終的には“イスラムだから”とか“サウジアラビア人だから”というのではなく、サトコとナダ、それぞれの生き方を見せたいと思っていました」生まれた国や文化、宗教などまるっきり違うふたりが、たまたま一緒に住むことになり、お互いの違いを認め合いながら友情を育んでいく姿は尊く、何より楽しそうなのがいい。「ほんの少しでも世界が優しくなるといいなと考えながら、いつもこの作品を描いていました。マンガでイスラムを扱うことはチャレンジングではありましたが、私自身も本当にいい夢を見させてもらいました」イスラム文化への純粋な興味から読み始めるのもよし、友情物語として読むのもよし。世界の広さ、価値観の多様さを感じながら、最後は清々しい気持ちに包まれるだろう。『サトコとナダ』4監修・西森マリーアメリカで留学生活を送る日本人のサトコと、ムスリム女子・ナダのルームシェアの日々を描いた4コママンガ。留学生活が終わりに近づく、感動の最終巻。星海社640円ユペチカマンガ家。Twitterに趣味で投稿していた本作が注目され、WEBマンガサービス「ツイ4」で連載をスタート。「このマンガがすごい!2018」オンナ編第3位に選ばれる。※『anan』2019年3月6日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・兵藤育子(by anan編集部)
2019年02月27日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「中枢中核都市」です。地方の都市に集中させる目論見だが、理想通りには…。昨年12月18日に内閣府は82の市を“中枢中核都市”に選びました。人口が東京、神奈川、千葉、埼玉の東京圏に集中するのを抑えるためになされた地方創生政策のひとつです。2018年に東京圏に転入したのは約14万人。2020年時点で、東京圏と地方の転入・転出が均衡を保てるようになることを目標にしています。選ばれたのは、北海道ならば、札幌、函館、旭川。福島県では福島、郡山、いわきの3市。1県に1市のみのところも数多くあります。東京圏以外の、政令指定都市や県庁所在地、中核市。つまり、ある程度大きな街です。自治体の財政が厳しいいま、地方全体を活性化させるのは難しい。そこで、“地方創生推進交付金”の上限を引き上げ、企業誘致や住宅団地の再生などを支援し、地方のなかで、潜在的な成長が見込める都市に、人も仕事も集めて活性化させようという計画なのです。しかし、日本には792の市、東京都の特別区が23、743の町、183の村の合計1741の自治体があります。そのうち東京圏を除いた約1500からたった82市に絞り込んだわけですから、将来的には、数多くの田舎町が切り捨てられることになるでしょう。しかし、この政策を成功させるのは難しいのではないかと僕は思います。同じ県内でも、習慣や言葉、文化が異なります。いくら交付金を出し、「さあ、ここに集まってください」とお膳立てしても、あくまで東京目線。地方創生は、地方発信で進めないかぎり、壁にぶち当たるのではないでしょうか。平成の中頃までは地方分権の機運があり、地方は自分たちで支え、国と県とは対等の立場で緊張関係を持とうとしていました。そんななか、大阪府では橋下徹知事が出てきました。しかし、安倍政権になり霞ヶ関の中央官庁出身の配下を地方の知事に据えたため、地方と国のパイプが強くなり、中央主導が基本の関係になってしまいました。各州が独立して独自の法を持ち、その土地の文化を守っているアメリカのように、北海道や九州が独立して、“日本合衆国”になるくらいドラスティックに変わらないと、本当の意味での地方創生は実現しないのかもしれません。堀潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2019年2月27日号より。写真・中島慶子題字&イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2019年02月26日Sexy Zoneの中島健人(24)がフジテレビ開局60周年ドラマ「砂の器」で、東山紀之(52)と共演すると2月24日に発表された。東山は刑事・今西栄太郎、中島は今西と心理戦を繰り広げる天才作曲家・和賀英良を演じるという。「砂の器」の原作は松本清張さん(享年82)による同名小説。これまでもたびたび映像化されてきた。各メディアによると今回は舞台を現代に、18年のハロウィンに東京・渋谷で撲殺死体が発見されるストーリー。中島はジャニーズ事務所の先輩である東山を「僕が一番憧れている……いや崇拝している先輩」と表現し、意気込みをみせているという。Twitterでは感激する声が上がっている。《中島健人くんおめでとう!!!憧れの先輩東山さんと共演で、すっごく楽しみ!!!!!!》《健人があれだけ崇拝してる東山さんと共演とかやばえ?やば》《東山紀之、中島健人共演って奇跡だ 生涯生きてきた中で芸能人にハマった人はこの2人だけ。死ぬほど嬉しすぎる 絶対何回も見る》中島が東山に憧れる気持ちは、相当なもののようだ。「中島さんは憧れの先輩を訊ねられると、真っ先に東山さんの名前をあげるほど慕っています。また中居正広さん(46)が以前演じていた影響で、同作のピアニスト役を『いつか演じてみたい!』と公言していました。ファンもその思いを知っていたため、喜びもひとしおのようです」(テレビ局関係者)夢の共演によって、中島の熱演にもますます力が入りそうだ。
2019年02月24日生きづらい世の中とはいわれるけれども、それは世の中のせいだけだろうか…。資生堂の「ウェブ花椿」で連載されて話題を呼んだはるな檸檬さんの『ダルちゃん』は、軽い気持ちで読み始めると、不意打ちを食らってしまう“ハード”な物語だ。「20代の頃なんかは特に周りの評価を気にしがちですけど、気にしまくった果てに幸せってないよなあとずっと思っていて。そんなふうにもがいている子たちに嘘のない形で、押し付けがましくなく何が言えるだろうっていう気持ちがありました」ダルちゃんこと丸山成美は、24歳の派遣社員。会社ではダルダル星人という真の姿を隠し、普通の女性に“擬態”してそつなく仕事をこなしている。読者の方々も恐らく経験あるだろう。「本当の自分はこうじゃないのに…」と思うような瞬間が。「田房永子さんがA面、B面という表現をしていて共感したのですが、大人になるにつれA面という社会で必要とされる概念的思考に引っ張られて、B面の感覚的な部分をひた隠しに頑張るじゃないですか。それを“ダルダル”で表したかったんです」周りから浮かないよう普通に生きることに日々必死なダルちゃんに、初めて友人と恋人ができ、そしてあることをきっかけに詩という創作の世界へのめり込んでいく。自分というものを持っていなかったダルちゃんが、初めて立ち上がった赤ん坊のように恐る恐る、でもしっかりと内面を見つめようとする姿は、胸が締め付けられるほどリアルだ。「ダルちゃんには結果的に私自身も投影されていて、自分で自分を騙していた頃のあまり見たくない一面を掘り起こしてもいます。選択肢が無限にあるように思えるなかでどれを選んでいいかわからないのは、若いうちはしかたのないこと。だけど最終的に幸せを選び取れるのは、自分自身でしかないと思うんです」何を幸せに思うかは、人それぞれ。だけどダルちゃんの生き方は、幸せの選び取り方を教えてくれる。はるな檸檬『ダルちゃん』1、2 普通の人になりたいと願う女性が、友人、恋人、創作と出会うことで地に足をつけて生きる決意をする、勇気と希望の物語。第9回新井賞を受賞した注目作。小学館各850円はるな・れもんマンガ家。2010年『ZUCC×ZUCA』でデビュー。読書遍歴を描いた『れもん、よむもん!』、出産体験を描いた『れもん、うむもん!-そして、ママになる-』が。※『anan』2019年2月27日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・兵藤育子(by anan編集部)
2019年02月23日原田ひ香さんの『DRY』。タイトルのこの一語に、物語のいくつもの鍵が込められている。この生き方しか知らないという女の言葉が重い。渾身の犯罪小説。執筆のきっかけは、ネットニュースで見た実在の事件だという。「加害者の娘は50代後半とかで、被害者の母親は70代。頭に血が上って衝動的に老親を刺してしまったというのは10代20代の子が起こすような未熟さを感じました。一方で、50にもなって親から些細なことでガミガミ言われたらきついだろうなぁと同情する部分もあったんです。それで妙に印象に残っていました」プロットをつめていく中で、加害者には娘がいて3世代の関係性を書くことや、家が袋小路のような閉鎖的な環境にあることなど、ディテールが決まっていった。不倫が原因で離婚した北沢藍は、事件を起こして収監されている母の孝子から、保釈を頼まれ、しぶしぶ力を貸してやる。金銭的な事情もあり、3世代同居を始めた藍だが、男にだらしない母やお金にうるさい祖母との生活は、想像以上に鬱憤がたまった。淀んだ空気が藍を蝕む。「そんな境遇もあって、藍は幼なじみの隣人・美代子と親しくなります。2代続きで介護をさせられていた美代子は、就職も結婚もできないまま40代になってしまった。美代子のようなヤングケアラーという存在に、私自身も関心がありました」やがて、藍は、美代子の家のおぞましい秘密を知ってしまう。「藍は美代子を同じ介護の問題を抱える友達と思えばこそ、踏み込みすぎないでいようという遠慮もします。そういう中で、藍が美代子の秘密に巻き込まれていくようにするにはどうしたらいいのか、自然な流れを作り出すのが難しかったですね」女性の貧困や介護など社会問題がモチーフになっているが、原田さんがつぶさに描くのは女性の心理だ。「本作は、先行の『ランチ酒』や『三千円の使いかた』のような作品と一見かけ離れているようですが、お金や家族の話という意味では地続きだと思っているんですね。藍や美代子が互いに関わる中で変わっていく、ギリギリを生きる女性たちのリアルにどこまで迫れるだろうと、『もっともっと』と編集さんに煽られるままに自分を鼓舞して(笑)ここまで書けた。できていなかったことができたような充足感はあります」『DRY』原田さんの小説らしく、つましい生活の中でもおいしい料理を工夫する藍や美代子。〈メンチカツの卵とじ〉などリメイク料理の描写も楽しい。光文社1600円はらだ・ひか1970年、神奈川県生まれ。シナリオライターとして活動後、2007年に「はじまらないティータイム」ですばる文学賞を受賞。『母親ウエスタン』『彼女の家計簿』など著書多数。※『anan』2019年2月27日号より。写真・土佐麻理子(原田さん)中島慶子(本)インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2019年02月21日男も女も人間。とはいえ、性別が違えば当然、体のつくりも異なる。誰にも聞けないけどひそかに気になる“?”を解明します。医学博士の吉田たかよし先生による解説とともに、“筋肉で日本を笑顔にする”がモットーの筋肉アイドル・マッチョ29のレストレポさんと菅原辰馬さん、そしてマッチョ29プロデューサー兼日本お姫様抱っこ協会会長の鈴木秀尚さんによるざっくばらんなボーイズトークにも注目!Q. 頭髪と体毛の濃さは比例しないの?A. 太く丈夫な毛を生やす働きのある男性ホルモンのテストステロンは、ヒトの頭髪と体毛に対してほぼ正反対の影響を与えることが分かっています。具体的には体内でテストステロンの分泌が増えると、体毛がよく発達する一方、頭髪は衰退する傾向があるのです。同じ理屈で、過労などのストレスで女性ホルモンのエストロゲンの分泌量が減少すると、体毛やうぶ毛が濃くなる一方で、頭髪は抜けやすくなります。これは毛男性だけでなく女性にとっても他人事ではありません。(吉田先生)Q. 鼻毛が濃い人が多いのはなんで?A. 狩猟中心の原始時代に遡ると、男性の方が劣悪な環境にも適応する力が必要だったので、鼻毛も女性より発達していると考えられます。鼻毛の役割は、外界の異物が呼吸を通して体内に入るのを防ぐこと。異物の中でも特に危険なのが砂塵です。小粒ながら鋭利なので、気管支や肺の粘膜を傷つける可能性があり、そこから感染症を起こせば死に至るケースも。太く丈夫な鼻毛というフィルターが、外界の異物を徹底的にガードしています。(吉田先生)男子の「鼻毛」TALK:「週に一回は鼻毛カッターで処理しています。たまにファンの子と写真を撮る機会があるんだけど、ニコッて笑った時に鼻毛が出ていたら嫌われちゃうもん!」(レストレポさん)。「自分は喫煙者だからか伸びるのが異様に早い。でも僕はタレントじゃないし、気が付いたら処理する程度です」(鈴木さん)Q. 若白髪になる確率に男女差ってあるの?A. 若白髪が生える時期に関しては、男女差はありません。若白髪が生えるのは、黒い色素のメラニンを細胞から髪の毛にうまく供給できなくなるから。主な原因として加齢が挙げられますが、遺伝や食事の栄養バランスの乱れ、睡眠不足なども若白髪の原因に。(吉田先生)男子の「若白髪」TALK:「実は最近、髪の毛をざっとかき分けた時、たまに白髪を見つけるんです。自分の祖父はいまだに髪はふさふさだけど、色は真っ白。僕も年を重ねるごとにそうなっていくのかな?ちょっと不安です。でももし若白髪に気づいたら、女性には遠慮せず指摘してほしい。『染めた方が素敵だよ』という意味に捉えるから、傷つかないですし」(菅原さん)。「髪が薄くなったとか、自分の力で対処が不可能な場合は積極的に見て見ぬふりをしてほしいけど、若白髪なら染めればOK」(レストレポさん)Q. 肩・乳首・お尻の毛の存在意義って?A. 皮膚を防御する“甲冑”としての役割を毛が担うのは男女問わず同じ。ただし、男性の方がテストステロンが多く、逆に女性はエストロゲンの影響によって体毛が生えにくいために、男性の方が体毛の濃さやボリュームが目立つんです。肩の毛の役割は、頭髪と同様に直射日光を遮ること。乳首の毛の役割は、他の部分に比べて薄い皮膚を保護すること。尻の毛の役割は、座った時に皮膚が圧迫されたり擦れたりするリスクから保護するためです。(吉田先生)男子の「体毛」TALK:「そういやプロレスしてた頃、相手に叩かれやすい部分だけめちゃくちゃ毛が生えてた!僕を守ろうとしてくれていたんだね、毛が。しかし尻の毛に気づいてるとは…女性ってよく見てるんだね~。普段隠れてるし気づきにくいはずだけど」(鈴木さん)。「スクワットする時に担ぐバーが当たる部分(背中上部)は、やたら毛が生えるな!」(菅原さん)。「僕は体毛が全身すごく濃いんです。高校生の頃から5枚刃で剃ってるんですが、乳首まわりの毛って未だに剃るのが難しいんですよ。もちろんツルツルにしますけど(笑)。日本人で胸毛とか背中の濃い人ってあんまりいないじゃないですか?だから見られると恥ずかしいんです」(レストレポさん)Q. ヒゲの形、濃さが十人十色な理由は?A. ヒゲがどの部分にどれだけの量が生えるかは、実は遺伝により、胎児の時に完全に決まっています。ヒゲとはテストステロンの多さを象徴するもの。同性である男性に対しては、ヒゲが濃いのはテストステロンが多い=腕力が強くて頭の回転が速い証として相手に見せつけて威圧する。女性に対しては男らしさをアピール、という効果が。日本の現代社会ではエチケットとしてヒゲを処理する男性が多いですが、江戸時代に封建社会が定着するまでは、ヒゲはそんな役割を果たしたといわれます。(吉田先生)男子の「ヒゲ」TALK:「僕は頬にも太いヒゲがびっしり生えるし、朝にヒゲを抜くか剃るかしないと夕方にはものすごく濃くなって、熊みたいな顔になる」(レストレポさん)。「そんなに濃くないので、頬まわりに生えるけど気にならないですね。4~5日放置するなんてザラです」(鈴木さん)吉田たかよし先生本郷赤門前クリニック院長。医学博士(東京大学大学院・医学博士課程修了)。『医者が教える最強の恋愛サイエンス』など著書多数。マッチョ2912人のマッチョから構成されるエンターテインメントグループ。右から、レストレポさん・1993年10月生まれ。日本×コロンビアのダブル。菅原辰馬さん・1988年1月生まれ。俳優としても活躍。鈴木秀尚さん・1991年10月生まれ。元プロレスラーでマッチョ29のプロデューサー。日本お姫様抱っこ協会会長。※『anan』2019年2月20日号より。写真・中島慶子取材、文・門上奈央(by anan編集部)
2019年02月19日出会った女性がネタの源という横澤夏子さんが、街で見つけたいい女を実演。今回は、自然の力を味方にして場の空気を良くする「冬でも風を喜ぶ女」になりきり。風を気持ちよく思えるのは包容力がある証拠。このあいだ、めちゃくちゃ寒い日に、テレビ番組のロケがありました。凍えながら、とにかく暖房の温度を上げて温まっていたのですが、あるスタッフさんが「窓を開けて、空気を入れ替えます」と言って、寒い中、本当に窓を開けたんです。正直、“なんで?嘘でしょ!?”と思ったのですが、部屋にこもっていた嫌な空気がなくなり、結果、すごくスッキリしました。しかも、撮影の合間の少し待たされているタイミングで、“これは一体、何の時間なんだろう…”とぼんやりしていた頭の中までスッキリして、心のスイッチがいい方向に切り替わったのを感じたんです。冬の風は、私からすると針のように刺してくる刺激的なものだけど、窓を開けたスタッフさんのような人は、「気持ちいい」と言えるに違いありません。どんなことでも受け止められる包容力がありそうだし、困難も乗り越えていけそうですよね。しかも、風を敵対視せずに仲間だと思えるのは、プラスの方向に考えられる証拠。自然の力を味方につけることもすごいし、ワンランク上の人だなって思うんです。きっと、“人間関係はあまり密になりすぎず、ちょっとすきま風が吹くくらいのほうがちょうどいい”“風は人生に必要なもの”ということを知っているし、もはや、自分そのものが風となり、人間関係の風通しを良くしていそうですよね!一度、地平線が見える広い場所で、中島みゆきさんのミュージックビデオのように思いっきり風を感じてみると、その良さや、ありがたみがわかりそう。例えば空港だと、飛行機が生み出す風も味わえるし、映画のワンシーンのようにドラマティックに吹かれることができそうで、いいですよね。風の存在をポジティブにとらえられる女性を目指しましょう~!よこさわ・なつこ芸人。『バイキング』(フジテレビ系)や『王様のブランチ』(TBS系)など、数多くのバラエティ番組にレギュラー出演している。初の著書『追い込み婚のすべて』(光文社)が発売中。※『anan』2019年2月20日号より。写真・中島慶子イラスト・別府麻衣文・重信 綾(by anan編集部)
2019年02月18日女性にとって男の体は謎だらけ。普段は特に意識していなくても、ふとした瞬間に、体や体温、においなどが自分とはまったく違うと気づかされる。読者を招いて男の体の素朴な疑問をテーマに座談会を開催したら、内に秘められた“?”が噴出!「頭の毛は薄めでも手足は剛毛な人、いない?」「彼はぽっちゃり体型。でも女性とハグした時の感触と違う!」「手をつなぐと、真冬でも温かいのがフシギ」「男性特有のにおいってあるよね?」と「謎あるある」で大盛り上がりに。その謎を解明するために、医学博士の吉田たかよし先生から医学的見地に基づく解説をしていただきました。さらに“筋肉で日本を笑顔にする”がモットーの筋肉アイドル、マッチョ29のレストレポさん、菅原辰馬さんとマッチョ29プロデューサー兼日本お姫様抱っこ協会会長の鈴木秀尚さんによるざっくばらんなボーイズトークも!Q. 年齢ごとに体臭が違う気がする…。A. 体臭は加齢とともに変化します。10~20代は主に腋のにおい。腋毛に存在する常在菌が汗をエサににおいをつくり、異性に対して性的アピールとして働きます。35~55歳になると後頭部付近から放たれるのがミドル脂臭。乳酸の代謝不全などが原因で、古い油のようなにおいがします。50代になると、胸や背中にノネナールという物質が発生。脂肪酸が雑菌に分解される過程で放出されて、においの原因になります。(吉田先生)男子の「体臭」TALK:「心なしか汗のにおいが10代より強くなった気がする。ただ結局、自分で自分のにおいは分からないもんな」(菅原さん)。「僕は汗かきだし、筋トレもするのでデオドラントスプレーでケアしてます」(レストレポさん)Q. 体臭が強めなのは気のせい?A. においの強さというより、単純に量の問題。においの原料となる皮脂の量は男性の方が多いので、においの量も増える。また女性は男性より嗅覚が優れている傾向があります。それは女性が本能的に胎児や我が子を守るために、口にしていい食べ物かどうかを見分ける上で嗅覚を発達させたから。だから、加齢臭は男女ともに発しますが、男性は女性ほどにおいに敏感ではないとも考えられます。(吉田先生)男子の「体臭」TALK:「異性か同性かで感じるにおいって違う。男も女性の香りには敏感です」(菅原さん)。「女性を抱きしめた時『なんて良い香りなんだ~』って感動します」(鈴木さん)。「好きになる女性の香りってある気がする。香水じゃなくてその人自身が発している香り。それがいわゆるフェロモンなのかな?」(レストレポさん)Q. 寒さや暑さの感度が違うのはなぜ?A. 男性の方が鈍い傾向があります。それは女性よりも筋肉量が多く、寒い時は筋肉による発熱でまかなえ、暑いと大量の汗で冷やせるようになっているからです。過酷な気候条件でも狩猟ができるという点で、この仕組みは理にかなっています。逆に女性は、胎児や子どもを守るという本能があり、温度変化に鋭敏になるよう発達してきたので、女性の方がわずかな気温差にも敏感に気づけるんです。(吉田先生)男子の「体感」TALK:「僕やレポは、真冬以外は長袖を着ません。マッチョは常に体温高めですから!」(菅原さん)。「男性はフィジカル的には寒さに強いと思います。でも寒い日って気持ち的にしょんぼりしちゃう気が。男の方が、気圧や気温の変化に影響を受けやすい気がするんですよね。って、俺だけ?」(鈴木さん)Q. 血管が浮き出た腕=男ならでは。なぜ?A. もちろん血管は性別に関係なく同じように通ってますが、男性特有の体の構造に浮き出る理由が。男性の方が圧倒的に血管が太いために、女性よりも血管が目立つ。なぜ太いかというと、体が大きい分だけ全身に循環する血液の量も多いためです。また血管の外側の脂皮下脂肪が女性ほど発達していないことも、女性と違って血管が浮き出やすい一因です。(吉田先生)男子の「血管」TALK:「血管が浮き出た腕=男らしいの!?アピールしよ(笑)」(レストレポさん)Q. ぽっこりお腹の人が多いのはなんで?A. 肥満によるぽっこりお腹は内臓脂肪が原因。脂肪と一口に言っても複数の種類がありますが、女性につきやすいのは皮下に全体的に広がる皮下脂肪。一方、皮下脂肪が増えにくい男性は腹の奥にある内臓に内臓脂肪が溜まりやすい傾向があります。消化管周辺にあたる下腹部は内臓が骨に囲まれておらず、その結果ぽっこりお腹になるんです。脂肪は量だけでなく、どこに溜まっているかが健康を左右するといわれていますが、その意味では、皮下脂肪よりもはるかに内臓脂肪の方が危険です。(吉田先生)男子の「ぽっこりお腹」TALK:「マッチョはぽっこりお腹とは無縁です。たくさん食べたら物理的に膨れるけど、1人前くらいの量なら変わらない」(菅原さん)。「お寿司を80貫ほど食べた時、お腹がとび出ていてびっくりした。まあその後、トレーニングして寝たらぺったんこに戻ったけどね」(レストレポさん)。「大なり小なり筋トレの経験がある男は、腹が膨らまないのかも。ドローインっていう、お腹まわりの筋肉を意識して腹を引っ込めたまま呼吸する体幹トレーニングを常に無意識でやっているんだよね。歩いてる時とかスマホを見ている時なんかも、実はトレーニングしてる!ま、僕はしてないけど(笑)」(鈴木さん)吉田たかよし先生本郷赤門前クリニック院長。医学博士(東京大学大学院・医学博士課程修了)。『医者が教える最強の恋愛サイエンス』など著書多数。マッチョ2912人のマッチョから構成されるエンターテインメントグループ。右から、レストレポさん・1993年10月生まれ。日本×コロンビアのダブル。菅原辰馬さん・1988年1月生まれ。俳優としても活躍。鈴木秀尚さん・1991年10月生まれ。元プロレスラーでマッチョ29のプロデューサー。日本お姫様抱っこ協会会長。※『anan』2019年2月20日号より。写真・中島慶子取材、文・門上奈央(by anan編集部)
2019年02月17日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「水道民営化」です。水道管の再整備が必要な時期。不透明なところも。昨年12月に「改正水道法」が成立しました。これにより、上下水道事業が民営化されやすくなります。改正の動きは数年前からありました。地方の自治体の財政基盤が弱っており、全国隅々まで水道インフラを維持するには、効率よく経営できる民間に任せたほうがいいという判断からです。日本の水道インフラは、主に高度成長期に整備を進めていきました。水道管の耐用年数は約40年のため、いままさに再点検が必要な時期なのです。昨年6月に起きた大阪北部地震では、老朽化した水道管が破裂し、高槻市や箕輪市で約9万戸が一時期断水に追い込まれました。今後こういう被害は増えていくだろうといわれています。実は水道料金は全国一律ではありません。破損した水道管を修理するにも、住民の数により負担額は変わります。平成28年4月の水道料金を見ると、全国平均は月額3227円。最も安いのは兵庫県赤穂市の853円で、最も高いのは北海道夕張市の6841円と、約8倍の格差があります。水道法の改正により、「コンセッション方式」といい、水道施設の所有権は自治体にあり、運営権のみを民間に売却できる仕組みを取り入れることになりました。民営化した場合の問題は、水道料金が高くなること。フランスは1980年代にコンセッション方式で水道民営化を実施しましたが、3か月後には水道料金が値上がりし、25年間で倍以上に高騰したため、2010年に公営化に戻りました。民営化でもうひとつ懸念されるのは、インフラの維持・管理。災害などが発生した場合に復旧されるのか?日本には、水メジャー(上下水道事業を担う巨大な国際企業)はありませんから、フランスのヴェオリア社やスエズ社、アメリカのGE社などが参入することになるでしょう。それらの海外企業が、災害で水道管が破損した際の費用負担をするのか。そもそも老朽化した水道管をまず整備しないことには、商売も始まらないのでは?という疑問も。ヨーロッパでは公営化に戻す動きが主流ななか、日本のこの、水道民営化に移行しようとする流れは、実は不透明なところもあるのです。ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2019年2月20日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2019年02月15日文芸評論や編集者として知られる仲俣暁生さん。意外にも学生の頃は、マンガ評論家になりたかったのだとか。新刊『失われた娯楽を求めて』では、そんな著者が数々の名作マンガを論ずる。といっても堅苦しくなく、分かりやすく魅力を伝えてくれるガイド的な一冊だ。「10年ほど前に書いたマンガ論と、最近書いたものをまとめました。編集者に薦められて読んだ作品もあるので、僕の好みに偏っているわけではなく、結果的に間口の広い一冊になったと思います」岡崎京子、楳図かずお、安野モヨコ、島本和彦、藤田和日郎、衿沢世衣子、渡辺ペコ…。各論の中で別の作家にも言及され、結果的に登場する作家・作品数は多数。女性作家が多いのが印象的だが、「僕は学生の頃『別冊マーガレット』を買っていましたが、『少年ジャンプ』を買う女の子もいた。へだたりなく男子も女子も同じマンガを楽しめた時期って、戦後民主主義の中で小春日和のいい時期だった気がします。この本のタイトルには、そういう意味も込められていますね」まえがきでは1964年生まれの仲俣さんのマンガ遍歴が語られ、「ニューウェーブ」の登場など、日本のマンガ史の一端として読める。「本にまとめるにあたってひとつ背骨を作ろうと思って、ちょっと長いまえがきを書いたら、個人史になっちゃって(笑)。でもそこも面白がってくれる人が意外と多いんです」巻末には、カバー絵を描き下ろした今日マチ子さんとの対談も。『COCOON』など戦争三部作についての思いなどを丁寧に聞いている。「戦争マンガや戦争映画って、最初は娯楽として作られ、次第にテーマが深くなっていった気がします。いま戦争を描く今日さんは、娯楽の構造を踏まえつつリアルなストーリーを生み出している。今日さんのお話には発見がいっぱいありました」時を経て読み継がれる名作から、現代の注目作まで、きっとあなたの気になる作品に出合える本書。「最近はマンガに詳しい人でも、全体像を把握している人は少なくて、それぞれ好きなジャンルの中で楽しんでいる印象。だから垣根を越えて紹介したい気持ちもありました。マンガって正面から向き合って読むと、やはりどれも面白いですから」『失われた娯楽を求めて極西マンガ論』過去の雑誌連載や近年発表したマンガ論を収録、新たに今日マチ子さんとも対談した著者初のマンガ評論集。紹介作家は他に西原理恵子、松本大洋、西島大介ら。駒草出版1000円なかまた・あきお1964年、東京都生まれ。文筆家、編集者。オンラインメディア「マガジン航」編集発行人。著書に『ポスト・ムラカミの日本文学』『極西文学論』『再起動せよと雑誌はいう』など。※『anan』2019年2月20日号より。写真・土佐麻理子(仲俣さん)中島慶子(本)インタビュー、文・瀧井朝世(by anan編集部)
2019年02月14日見た目は赤ちゃん、中身は有能なおっさん。部下たちのサポートを受けながらの武田本部長の日常を描いた、竹内佐千子さんの『赤ちゃん本部長』は、読まなきゃ損する傑作だ。ほんわかとした笑いに包みながらも、ジェンダーやセクシュアリティ、ハラスメントといった現代社会の問題に、切っ先鋭くモノ申している。社内での育児が前提なので、会社の仕様もそれに合わせて変化。「会社員生活をしたことがないため、社内の環境や上司部下の関係性などはほぼ想像です。でも私がイメージしていた“会社組織”は相当にホワイトだったみたいですね。『こんな会社で働きたい』とか『うちの上司に読ませたい』という読者の声に、私の方がびっくりでした。最初は社会的なメッセージを込めるつもりもなく、『大人が子どもになったら』という不思議な設定で描いたら面白そうだと思っただけなんですが」しかし、この設定の妙が功を奏す。無力で無垢な赤ちゃんの視点がフィルターとなり、凝り固まった社会通念や幅を利かせていた不寛容に気づかされるだけでなく、そうした空気が少しずつ変わっていくのが痛快だ。たとえば2巻では、結婚観や幸福観、ゲームなどのコンテンツについて前時代的な価値観を引きずっている営業二課の橘部長が登場。周囲の影響で、葛藤しながらも態度を軟化させていくさまが印象深い。一方、巻が進み、本部長の仰天のプライベートが明かされ始め、〈ザギンのチャンネーに会いたい〉と言うなどおっさん要素もましましに。「現実にも、おじさんって、赤ちゃんと似てませんか。妻や誰かにお世話してもらえないと生活できないような生態だったり、カツカレーのような脂っこいものが食べたいのに医者から止められていたり。食べられない理由は、『糖尿病だから』と『体が赤ちゃんだから』とで大きく違いますけど(笑)」赤ちゃん本部長のこれからが、気になってしかたがない!『赤ちゃん本部長』2朝起きたら赤ん坊になっていた47歳の武田本部長。愛妻家の坂井部長、ゲーマーとしての顔も持つ天野課長、実生活でもイクメンの平社員・西浦に世話され…。講談社700円たけうち・さちこマンガ家。東京都生まれ。2005年にデビュー。他の著作に『2DK』(既刊4巻)、『生きるために必要だから、イケメンに会いに行った。』などが。※『anan』2019年2月20日号より。写真・中島慶子取材、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2019年02月13日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「移民キャラバン」です。先進国の搾取が生んだ問題。人道的な解決策を。ホンジュラスやグアテマラなど中米諸国から、数千kmを歩きアメリカをめざす移民たちの集団「キャラバン」が、昨年11月以降、メキシコの国境の町・ティフアナにおしよせ、その数は1万人を超えました。彼らが着の身着のままで母国から逃げ、アメリカを目指す大きな理由は麻薬にあります。麻薬組織の活動がギャング化し、治安をひどく悪くしているのです。そのため安定した仕事がなく、貧困が深刻化、国内にとどまるならギャングになるしか道がない。警察も麻薬組織と結びついて機能しない。犯罪や暴力、飢えと貧困から逃れるためアメリカをめざす人々の呼びかけが、SNSにより広がり、みるみる膨れ上がったのでした。しかし、トランプ政権は移民の受け入れを拒み、メキシコ国境に兵士を7000人超配備。違法入国を試みて拘束された人は2600人。難民申請を待つ人は2500人を超えましたが、ほとんどが却下されています。移民の受け入れに強く反対している人たちの中には、すでに移民としてアメリカに入国している人たちも。自分たちの仕事が奪われることを恐れているんです。これまで中米は安い労働力、農作物の生産などでアメリカ経済を支え、自国の成長を阻害されてきました。自らの手で豊かさを手に入れるための教育や技術を持つことができず、麻薬に手をそめるしか道がなかった人々も少なくありません。この状況を打破するには、キャラバンの人たちが自国で安定した暮らしができるよう、国際社会が動かないといけません。国連ではSDGsといって、持続可能な開発目標を掲げ、各地域の貧困や紛争、人権を踏みにじる行為に、世界中が協調して取り組みましょうと、先進国側に呼びかけています。NPO法人「アクセプト・インターナショナル」がアフリカで行ってきた活動も、参考になるかもしれません。ギャングの若者に道徳的観念を伝え、社会復帰を促す支援を草の根的に行っています。かつて中東諸国に行ったように、苦しむ中米に対して人道支援をするのが日本の役割なのではないかと思います。そうして日本のシンパを増やすことが、安全保障にもつながるのではないでしょうか。堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2019年2月13日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2019年02月07日数少ない病院勤務の薬剤師に焦点を当てた作品『アンサングシンデレラ 病院薬剤師 葵みどり』について、作者・荒井ママレさんにお話を聞きました。縁の下の力持ちの誇りと葛藤。病院で働く薬剤師の日常とは?医者にかかると薬剤師には大抵お世話になるものだが、「薬を出してくれる人」というイメージしかない人も多いだろう。本作は日本の薬剤師のなかでも2割弱という、病院勤務の薬剤師に焦点を当てている。「薬剤師は『医師の出した処方箋に唯一疑義をかけられる存在』であり、治療に欠かせない薬の専門家であることに物語としての可能性を感じました。患者側は『病院にかかって薬を飲めば治る』と考えがちですが、薬が正しく服用されて初めて効果が出るので、薬剤師も直接ではなくても治療に大きく関わっているのだと思います。そしてそういう面が知られていない、あくまでも縁の下の力持ちである薬剤師の視点でしか描けない物語があるとも思っています」しかしながらこの「疑義照会」はなかなか厄介らしく、主人公のような新米薬剤師がベテラン医師の判断に物申すことは歓迎されにくいという本音と建前があるようだ。ほかにも医師や、ときには患者からも下に見られたり、膨大な調剤を正確かつスピーディに行う必要があるため、患者とのコミュニケーションに多くの時間を割けなかったりなど、薬剤師の葛藤が立体的に描かれていく。「医療に関する専門知識が自分にはまったくないので、不安は常についてまわるのですが、葵みどりは作者が勝手にかけてしまうブレーキを無視して、突っ走ってくれるようなキャラに育ってほしいですね」医療原案を担当する富野浩充さんは、現役の病院薬剤師。さらには取材に基づいた数々のエピソードも、リアルな描写の一翼を担っている。「薬剤師さんに取材をすると『自分たちの仕事は地味だから、マンガにならないのでは?』とよく言われるのですが、話を聞くとやはり面白く、みなさんプロフェッショナルで、医療を支えている誇りが感じられます。医療現場のさまざまなドラマもそうですが、お金のことや病院という職場の日常など、いろんなエピソードを描いていきたいですね」荒井ママレ『アンサングシンデレラ 病院薬剤師 葵みどり』 1 医療原案/富野浩充総合病院の新米薬剤師・葵みどり(26歳)が奮闘する様を描いた、異色の医療ドラマ。タイトルは「縁の下の力持ち」を意味する「アンサングヒーロー」から。徳間書店580円。©荒井ママレ/NSP 2018あらい・ままれマンガ家。小学館新人コミック大賞に入選してデビュー。著作に『おもいでだま』『461個の弁当は、親父と息子の男の約束。』。本作の第2巻は、4月20日に発売予定。※『anan』2019年2月6日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・兵藤育子(by anan編集部)
2019年02月03日『ゲイだけど質問ある?』の著者・鈴掛真さんにお話を伺いました。歌人の著者が明るく丁寧に回答、LGBTがぐっと身近になる一冊。「なんで男なのに男を好きになるの?」「ゲイの友情と恋愛の境目はどこ?」「ゲイの息子を持つ親として大切なことは?」……ぶしつけな質問の数々に、明るく分かりやすく回答する話題の書、『ゲイだけど質問ある?』。著者は歌人としても活動する鈴掛真さん。「いつもは硬めの文章を書くんですけれど、普段本を読まない人にも手にとってもらいたくて、あえて軽い文体で書きました」もともとは2年半ほど前からWEBの2つの媒体で連載していたもの。「それまで短歌の中で同性愛をさりげなく表現することはありましたが、そろそろしっかり書いてもいいという社会の風潮を感じたんです。同性愛者と話してみたいけれど身近にいない人に向けて書きましたが、自分がゲイであることに悩んでいる子にも、こんなふうにオープンにできる人間もいるんだよと伝えたかった。本来、アンタッチャブルなものではなく明るく話せるものなんだ、ということを表現できた気がします」“絶対に手の届かないあの星にあなたと同じ名前を付けた”などぐっとくる短歌も多数掲載、昔の片思いを振り返ったりSexy Zoneについて熱く語ったり、胸襟を開いていて親しみがもてる。「同性愛者でもいろんな考えの人がいるので、僕がゲイを代表して書いているわけでないです。これは“僕みたいなゲイもいるんですよ”という本だと思ってもらえたら」時には、知人から「何のためにそんなこと書いているの」と冷たく言われたこともあるという。「やはり、これまで差別に対して頑張ってきた人がいて今があるのだから、自分も何か未来を作るきっかけを生み出せたら、と思いました」また、連載中に気づいたことも。「“ゲイは女の気持ちが分かる”と言われるなど、男性を好きになる男性はフェミニンだという固定観念ってありますよね。僕自身も自分は中性的だと思っていたんです。でも連載中に女性編集者に『鈴掛さんってすごく“男”ですよね』と言われて、はっとしました。同性愛のことに限らず、周りの影響で自分自身にも暗示をかけていることっていろいろあるんでしょうね」先入観を解かすこの一冊から、あなたの中で始まることがきっとある。鈴掛真『ゲイだけど質問ある?』同性愛者であることをオープンにしている歌人の著者が、さまざまな素朴な質問に丁寧に回答する入門書。恋心の滲む短歌の数々も魅力的。講談社1500円すずかけ・しん歌人。1986年生まれ。大学時代から短歌を始め、広告会社でコピーライターとして3年勤務ののち、本格的に作家活動を開始。著書に『好きと言えたらよかったのに。』ほか。※『anan』2019年2月6日号より。写真・土佐麻理子(鈴掛さん)中島慶子(本)インタビュー、文・瀧井朝世(by anan編集部)
2019年02月02日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「黄色いベスト運動」です。格差社会の膿が噴出するフランス。将来、日本でも?フランスでは、昨年11月から9週連続で、毎週土曜日にマクロン政権に反対するデモが開かれ、参加者は8万4000人にのぼりました。発端は、燃料税の値上げ。アメリカはトランプ政権になり、パリ協定を離脱するなど、環境問題に後ろ向きの姿勢を示しています。先進国として、フランスは率先してCO2の排出量を減らす対策を立てようと、燃料税を上げ、国民に電気自動車への乗り換えを促そうとしたのです。ところが、多くの国民にとって電気自動車は高額なため買えません。そこで、黄色いベストを着て、政策に反対の声を上げました。参加した人たちは、月収25万円前後の労働者や年金生活者。毎月ギリギリの生活を送っている、パリ近郊に住む人たちでした。彼らが政権を非難した理由はもう一つ。フランス政府が高額資産者に対して課していた富裕税を取り払ったからです。しかし、政府からすれば、富裕層がタックスヘイブンに逃げ、多額の税収を取り損ねないためには、ある程度の優遇もやむを得ないんですね。黄色いベストの人たちにイデオロギーの対立はなく、左派も右派もお金がないという点で団結しています。11月末にはシャンゼリゼ通りでデモ隊が暴徒化する場面がニュースになり、世界を震撼させました。壊し屋専門の部隊が出動しており、一部の極端なグループが黄色いベスト運動に便乗して起こしたともいわれています。12月に政府は燃料税の引き上げの延期を発表しましたが、その後もデモは続いています。フランス国民は、市民革命によって独裁王政を倒し、民主主義を勝ち取りました。幼少期から、「生きやすい社会とは自ら手に入れるもの」という教育を受け、デモは国民の当然の権利として認められています。しかし、これほどデモが続くということは、庶民の生活はかなり追い込まれているということでしょう。暴徒化するパリの映像を見たとき、僕は、これは5年後、10年後の日本の姿なのではないかと思いました。所得の格差はますます開き、今後は外国から賃金の安い労働者も入ってきます。仕事の奪い合いになり、国民の不満が溜まっていったら…。日本も決して他人事とはいえないのです。堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2019年2月6日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2019年01月31日出会った女性がネタの源という横澤夏子さんが、街で見つけたいい女を実演。今回は、食べ物を大事にする気取らない女性、「テーブルに落ちたものを食べられる女」になりきり。“もったいない精神”がある女性には、親近感がわく!テレビ番組の収録やプライベートなどでごはんを食べているときに、一緒にいる女性がテーブルに食べ物を落とすと、“この人は、どうするのかな?”と、つい見てしまうんです。いいなと思うのは、「あっ、もったいない!」と、気にせずにパクッと食べちゃう人。もちろん、メニューにもよるのですが、たとえばカクテルグラスに入っているエビなど、その料理のメインになっている食材が落ちたときに諦めずに食べる人を見ると、“そうだよね…!”と親近感がわきます。さらに、コーンひと粒まで食べていると、“この人とは気兼ねなくしゃべれそう”と好感度が上がるし、特に、相手が女優さんなどの場合は、“テレビに出ててそれができるなんて飾らない人だな”と嬉しくなってしまいます。テーブルマナーも大事ですが、それはフォーマルな場所で守ればいいこと。普段の席では、気取らずに食べてほしいし、“食材を大事に考えている人なんだな”と感じます。サラダとかを取り分けているときに落ちた具材をパッと食べるのも、お母さんぽい感じがしていいですよね~!まずは、テーブルに落ちたものは気にせず食べてみるのはどうでしょうか。もちろん、衛生上、ヤバそうなところは避けてください(笑)。そういえば、このあいだ、テレビ番組のロケでフルーツパフェをいただいたときに、共演者のひとりが奥のほうにある部分を食べようとして、テーブルの上にボロボロとフルーツをこぼしていたんです。それを見た私は、「落ちてるよ~」と掃除機のように次々とこぼれたものをひたすら食べたのですが、その姿は自分でもどうかなと思ったし、ほどほどにすることが大事だと学びました(笑)。TPOや程度を守りながら、気取らない女性を目指しましょう!よこさわ・なつこ芸人。『バイキング』(フジテレビ系)や『王様のブランチ』(TBS系)など、数多くのバラエティ番組にレギュラー出演している。初の著書『追い込み婚のすべて』(光文社)が発売中。※『anan』2019年1月30日号より。写真・中島慶子イラスト・別府麻衣文・重信 綾(by anan編集部)
2019年01月29日NHK総合「SONGS」の1月26日(土)オンエア回は中島みゆきをフィーチャー。デビューから40年あまりにわたり多くの人々に愛され続ける中島さんの歌の魅力を今回TV初公開となる秘蔵ライブ映像と、中島さんを愛する3人の“表現者”の声から探っていく。1975年にデビュー、「わかれうた」「悪女」「空と君のあいだに」「地上の星」といった楽曲で1970年代、80年代、90年代、00年代の4つの年代でシングルチャート1位を獲得した唯一の女性アーティストである中島さん。自身だけでなく、ほかのアーティストに提供した「黄砂に吹かれて」などの楽曲も70~00年代の4年代に2010年代を加えた5つの年代でシングル1位を獲得。さらに平成が終わろうとしている現在も名だたるアーティストたちにカバーされた1992年発表の「糸」が100万ダウンロードを達成したほか、平成の幕開けと共に始まった舞台「夜会」も30周年を迎えるなどいまだ熱い支持を受け続けている。今回番組ではテレビ初公開となる「ホームにて」「蕎麦屋」「EAST ASIA」の貴重なライブ映像を紹介。「宙船(そらふね)」の歌詞を座右の銘としているという女優の土屋太鳳、中島さんが提供した「泣いてもいいんだよ」で初のシングル1位を獲得した「ももいろクローバーZ」のリーダー・百田夏菜子、昨年中島さんの「糸」をカバーし話題となった「いきものがかり」吉岡聖恵という3人の女性表現者も登場。古くからの中島さんファンよりもずっと若い世代の彼女たちに中島さんの歌はどう響いたのか?3人がそれぞれの“中島みゆき愛”を語る。中島さんの圧倒的な表現力を見せつけられる秘蔵ライブ映像に加え、2月1日(金)からは『七つの会議』の公開も控える土屋さん、4月20日(土)、21日(日)には「ももクロ春の一大事2019 in 黒部市」が開催される「ももいろクローバーZ」の百田さん、1月1日には「WE DO」を配信したばかりの「いきものがかり」吉岡さんらの言葉で、多面的に中島さんの楽曲の魅力に迫る今夜の「SONGS」は1月26日(土)23時~NHK総合でオンエア。(笠緒)
2019年01月26日