ダンス&ボーカルグループ・EXILEのメインボーカルTAKAHIROが11日、主演映画『僕に、会いたかった』(5月10日公開)の公開記念舞台挨拶に、松坂慶子、山口まゆ、柴田杏花、秋山真太郎、錦織良成監督と共に登場した。同作は、島で一二を争う凄腕の漁師の主人公・池田徹(TAKAHIRO)が、とある事故をきっかけに記憶を失い、島の人々の優しさに触れるうちに、新しい自分を見つけ出す家族の絆と再生を描く感動の物語。島根県隠岐の島を舞台にした作品を多く手がける錦織良成監督がメガホンを取り、劇団EXILE所属の秋山真太郎が、プロデューサー兼共同脚本を務める。TAKAHIROは、母親役の松坂に手を伸ばし、エスコートしてステージへ。「ジェントルマンなんで!」と胸を張った。松坂は「こんな素敵な息子の母ということで、どきどきしちゃうんですけど、隠岐島に入り、日に焼けて無精髭もはやして、精悍な漁師さんになられてて、びっくりしました」と撮影を振り返った。また「誰とこの作品を見たいか」と聞かれた山口に、「彼氏?」とジョークを飛ばすTAKAHIROだが、山口が「彼氏ですかね」と乗っかると、「お父さん、許さないぞ!」とご立腹。さらに柴田の衣装には「島にはここまで背中の空いてる子いないですね」とつっこみ、「風邪ひかないでね」と心配する。TAKAHIROは、島留学生役の2人に「心配なんですよ、布は。これから夏ですし、あんまり布が少なくなってくると、露出が増えるので、できるだけ布は使って欲しい」と渋い顔。「全体の舞台挨拶の時は背中に思いっきり穴が空いていたので、洋服買ってあげないとなと思って。親心がすごくあふれ出します」と愛を見せていた。さらに、イベントの翌日が「母の日」のため、TAKAHIROから松坂へサプライズでカーネーションの花束をプレゼント。「これからも息子でいさせて欲しいという一心で!」というTAKAHIROは、松坂と熱いハグを交わす。松坂は「すごい! ありがとうございます。感激です」と喜び、降壇時もTAKAHIROからのエスコートを受けていた。
2019年05月11日小学生や中学生のときに、誰もが経験したであろう合唱。しかしながら思春期には特に気恥ずかしさも手伝って、その魅力がわからずじまいだった人も意外と多いのでは。漫画『はしっこアンサンブル』2について、作者の木尾士目さんにお話を聞きました。工業高校×合唱、悩めるキミよ、歌でつながろう!「実を言うと、私もやりたくないです(笑)。声を出すのも恥ずかしいし、下手くそなのを聞かれるのを想像するだけで恥ずかしい。でもそういうコンプレックスを仲間となら越えていけるという構図が、合唱はとても作りやすいんですよね」主人公・藤吉晃は、作者の木尾さんと同様、低い声にコンプレックスを抱いている。工業高校に進学したのも、声を使わなくてもいい仕事に就けることを期待したから。声のせいで性格自体も引っ込み思案なのだが、その独特な声を熱烈に称賛したのが、合唱部を作ろうと意気込む同級生の木村仁だった。「工業高校を舞台にしたのは、単純に男声合唱をやりたいので、男が多い舞台が必要だったのと、もうひとつは理系的なアプローチがしたかったから。声を出す、歌う、ハモるといった行為を理屈で説明できれば、私のようなひねくれた人間でも納得できるのではないかと考えました」合唱が好きすぎて周囲から浮いている木村が、その理系的アプローチの役割を担っているのだが、合唱の魅力や声の出る仕組みを情熱的に説明する姿に、藤吉のみならず読み手も思わず引き込まれてしまう。またマイクを自作したり、ちぎれたコードをハンダづけしたりなど、工業高校ならではの小ネタも。2巻までは、部の前身となる同好会を作るため、メンバー集めに奔走する様子がメインに描かれるのだが、常にケンカ腰な金髪ヤンキーや、ピアノを挫折した不器用な女子など、前途多難な雰囲気たっぷりの個性的な面々。「行き当たりばったりなところもあるのですが、こういうライブ感でキャラが入り乱れるのが、木尾士目の一番おいしいところなんですよ、たぶん(笑)。キャラが出そろって、ようやく面白くなってきてくれたかな、と正直ホッとしています」名曲が数々登場し、歌声が聞こえてきそうな音楽シーンも見どころ。「今後は部に昇格するための実績作りとして、コンクールや演奏会に参加するようになっていきます」ついに本格的(?)に始動する同好会。その行く末を見届けよう。『はしっこアンサンブル』2リアルな工業高校の日常と、合唱に挑戦するはみだし者たち。不登校、虐待、親の過度な期待など、さまざまな問題を抱えた高校生が歌でつながる青春物語。講談社648円きお・しもく1994年「点の領域」でアフタヌーン四季賞を受賞してデビュー。主な作品に『四年生』『五年生』『げんしけん』など。『はしっこアンサンブル』3巻は夏に発売予定。※『anan』2019年5月15日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・兵藤育子(by anan編集部)
2019年05月09日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「薬物依存症」です。徹底した警鐘と、依存症者には支援。この両輪が必要。著名人が麻薬取締法違反容疑で逮捕、起訴されるニュースが流れました。最も急務なのは、どういう経路でコカインや大麻を入手したのかを解き明かすことでしょう。また、社会的責任を負う立場であるのに、やめられなかったのはなぜか?どんな気持ちで続けていたのか?そこに目を向けることが大事だと思います。主に南米で採取されているコカインの原料は、希少性が高いことから、世界的に高価で取引されており、セレブのドラッグと呼ばれています。アメリカでは、トランプ大統領が不法移民を入国させないために壁の建設に固執したり、すでに入国している不法移民の子供を本国に強制送還するなど、厳しい措置をとっていますが、アメリカを目指す移民のほとんどは中南米からです。麻薬カルテルが横行して自国の治安が悪化し、安定した職を得られない、安心して暮らせないので、やむを得ずアメリカに逃げようとしているのです。その麻薬を実際に買っているのは先進国の人たち。つまり、日本でコカインや大麻を使用することは、中南米の人たちの平和な生活を脅かす一因になっているかもしれないのです。売人は心の隙間を狙い、日常に簡単に入り込もうとします。パチンコ店の入り口で張り込み声をかけ、主婦が軽い気持ちで使ってしまい抜けられなくなるというケースも多くあります。誰にも相談できず、金もなく困っているところに、「客を連れてきたら分けてやる」と、芋づる式に団地ごと汚染させようとした売人も。依存性の高い薬物は、自分を傷つけるだけでなく、家族や友人、周囲にも影響を及ぼしますから、絶対に手を出してはいけません。違法薬物の怖さを徹底的に伝える一方で、依存症になってしまった人に対しては糾弾ではなく、立ち直りの支援が必要です。各都道府県には、「精神保健福祉センター」があり、ここでは警察に通報することなく、薬物依存症の人や家族の相談に乗ってくれます。また、NPO法人「東京ダルク」では、薬物依存に苦しむ人の回復支援を行っています。他人事ではありませんから、違法薬物に対する正しい知識を持つことも必要なのかもしれません。堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2019年5月15日号より。写真・中島慶子題字&イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2019年05月09日女優の松坂慶子(66)が5月7日公開の日清食品・袋麺シリーズ新CMに出演した。3月まで放送されていたNHK朝ドラ「まんぷく」で安藤サクラ(33)演じる立花福子の母・今井鈴役として出演し人気となった松坂は、CMでも天真爛漫な“おばあちゃん”役に。さらに孫役として同じく「まんぷく」に出演した深川麻衣(28)、二宮輝生(12)、三宅希空(10)が起用。“まんぷく尽くし”のCMは、早くもネットで話題を呼んでいる。日清の袋麺シリーズといえば「チキンラーメン」「出前一丁」「日清焼そば」でお馴染み。CMで松坂はそれぞれの袋麺を美味しそうに食べる孫たちに「おいしいのは、一口目だけよ」「ごまラー油が手に付くやない」「歯に青のりが付くからいや」といったイジワルな反応をしてみせる。しかし結局おなかが鳴ってしまい、“てへぺろ”を照れ隠しに披露。最後には空っぽになった皿やラーメン鉢を前に、みんなで「あ~、まんぷく!」と満足そうに声を揃える。各メディアによると松坂は、今回のCM出演について「こういう役どころも、板についてきたかなと実感しています」とコメントを寄せたという。Twitterでも《鈴さんそのものじゃないですか 好き~》《鈴さん再来!これは日清さん、やってくれましたね!最後に「まんぷく」という台詞を言うのもいい》《素敵なCMありがとうございます。なんかこの4人に会えたのが嬉しくて涙出ました》と喜ぶ声が上がった。松坂といえば79年のドラマ「水中花」(TBS系)に出演し、ドラマ主題歌「愛の水中花」も歌唱。セクシーな歌声で大ヒットを記録し、以降も色気を発揮する役柄が続いた。しかし近年はチャーミングで魅力的な大人の女性役を務め、評判を呼んでいる。10年の朝ドラ「ゲゲゲの女房」(NHK総合)で演じた貸本屋の店主・田中美智子は、その暖かな人柄が評判だった。「まんぷく」の鈴も魅力的で、「私は武士の娘です!」という台詞は視聴者に強い印象を残した。しかしがどこかお騒がせな役どころであり、ときに“うざ可愛い”と評されることも。そんな鈴を演じることに当初、松坂は苦戦したという。「松坂さんにとって鈴はコミカル過ぎたようで、『面白さはわかるけど、どう演じれば……』と悩んだそうです。しかし松坂さんは制作側から渡された関西弁の方言指導の音源を聞いて猛特訓することで、大阪の女性がどういった気質であるかを理解。そうすることで、次第にキャラが開花していったといいます。見事キャラは大ハマリとなり、放送後にはNHK大阪放送局の局長も『最後までドラマを引っ張っていただいた』と大絶賛するほどでした」(ドラマ制作関係者)「まんぷく」で新たなファンを獲得した松坂。“アラ70”となり、その魅力は増すばかりだ。
2019年05月07日幻想的でありながら、リアルな手触りを感じる世界を描き出し、デビュー時から高い評価を得ていた金子薫さん。『壺中に天あり獣あり』の主人公は〈言葉によって造られる迷宮のなか〉を彷徨っている光。光が幽閉されているのは、廊下の延長も無限なら部屋の数も無限だという、極めて広大なホテルのような場所だ。迷宮から脱出する希望を持ってはいけないと自らを戒めつつ、同時に希望を抱いて行動してしまう。そんな矛盾のスパイラルが永遠に続くかと思われた矢先、光は10階建ての有限のホテルが建っているホールに足を踏み入れる。「観念的、抽象的に書いてしまう部分もあるけれど、物や場所、手作業をするときの体の動かし方などは、『そこにある』と自分で信じられるくらい具体的に細かく描写します。実在していなくても、言葉を積み重ねてそこに一つの世界を作ってみようというのは、僕の思考の型みたいなもの。ホテルの中にホテルがあるということを思いついたときに、やっと、これで最後まで書けるかなと」無機質で均質な空間が、無限を連想させると感じた、と金子さん。「頭の隅には、数学者のヒルベルトが考えた無限ホテルのパラドックス(無限ホテルに“満室”の札があっても、1号室の客を2号室に、2号室の客を4号室に、n号室の客を2n号室に、という具合に移動させれば、無限に奇数号の部屋が空き、新たに無限の客を泊められることになる)がありました。思えばカフカの『失踪者』でも、主人公はアメリカを放浪し、ホテルに職を得ています」光は、無限の迷宮の存在を忘れるためにこのホテルを切り盛りし、全知の世界を構築しようと考えるが…。「光のそういう感覚は、僕もよくわかります。何でも作っているとき、計画しているときがいちばん楽しくて、実現してしまえば、そこにとどまることはできない。また次の夢を見てしまうものじゃないでしょうか。僕にとっては小説の執筆もそう」独特の作風は、誰からの影響なのか。好きな作家を尋ねると、「高校時代に中島らもとか好きでした。最近『裸のランチ』を再読したらすごく面白くて。あの頃、バロウズやケルアックに入れ込んでたのを思い出しました。僕の作品とはあまり結びつきませんね(笑)」かねこ・かおる1990年、神奈川県生まれ。2014年に『アルタッドに捧ぐ』で文藝賞を受賞し、デビュー。’18年に『わたくし、つまりnobody賞』、および『双子は驢馬に跨がって』で野間文芸新人賞を受賞。『壺中に天あり獣あり』美酒佳肴にあふれた、現世の別世界を意味する「壺中の天地」。その言葉と連接する美しい世界が、著者の緻密な描写によって眼前にそびえ立つ。講談社1600円※『anan』2019年5月1日-8日合併号より。写真・土佐麻理子(金子さん)中島慶子(本)インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2019年05月04日令和へと持ち越された、眞子さまと小室圭さんのご結婚延期問題。タレントでエッセイストの小島慶子さんは、お二人の結婚に「賛成」だという。その理由とは?■報道を見る限り、もしかしたら小室さんは、多くの国民が諸手を挙げてお祝いできるお相手ではないのかもしれません。だけど、望ましい結婚の形でないとしても、本人が幸せであれば、それでいいと思うのです。もとよりひとりの人間として、眞子さまには「結婚に失敗する自由と権利」もあるのではないでしょうか。私は、眞子さまが、ご自分とお相手の方の意志のみでご結婚なさるということには賛成です。当人同士が思い合っているのであれば、その合意のみで結婚する権利があります。家族であっても止めることはできません。たとえ「結婚後に苦労しそうだな」と周りが思ったとしても……。象徴天皇制のもとでは、天皇の基本的人権が制限を受けるという考え方がありますが、眞子さまは結婚されれば皇籍を離れるお立場ですし、お相手も一般の方。人権の制限は最小限に留まると考えてよいのではないでしょうか。日本の国民にはどこか「象徴天皇制のもと、税金で生活しているのだから、皇族は国民が納得する生活をしなければならない。ご結婚相手もふさわしい人を選ばなければならない」という考えがあるように思われます。しかし、「象徴」とはそもそも何なのでしょうか?社会の皇室へのまなざしが変わり、皇族自身が生き方を模索されるようになっているにもかかわらず、国民が象徴としての今の皇室に何を求めるべきか、ほとんど議論されてこなかったのではないでしょうか。皇室をめぐる報道において、メディアは「家族の問題」として報道し、論じてきました。たとえば雅子さまについて言えば、外交の第一線でキャリアを積んできた女性が、結婚を機に皇太子妃となり、深刻な不調から適応障害に……。それは国民から見て「現代女性の葛藤の象徴」でもありました。新しい時代の皇室は、これまでよりも「個人」を尊重されていいと私は思います。秋篠宮さまが悠仁さまの学校としてお茶の水女子大学の附属校を選ばれたのは興味深いことです。皇族教育の伝統がある学習院を離れ、しがらみなく民主的な学風のお茶の水で学ばれる悠仁さま。成長されるにつれ、将来の天皇であるご自身には職業選択の自由もなく、制約だらけの人生であることに強い疑問を抱かれることもあるでしょう。時代が変わりゆく中で皇室を存続させるために、秋篠宮さまがあえてその選択をされたということでしょうか。「眞子さまは皇族として世の中の期待に応えるべき」なのか。それとも「ご自身の意志で自由な選択をすべき」なのか。象徴としての皇室に「現代の家族の形」をみるのであれば、親が苦渋の中で我が子に失敗する自由を与えるという、自立した親子の関係を選んでもよいのではないかと思うのです。
2019年05月04日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「コンビニの時短営業」です。コンビニの問題から自身の働き方もぜひ振り返ってみて。セブン‐イレブンの東大阪南上小阪店が、スタッフを確保できず夜中の営業を中断したところ、本部から契約解除と違約金1700万円を請求されました。メディアで問題視され、請求はすぐに取り下げられましたが、コンビニエンスストアの時短営業について、各所で議論されるようになりました。現在、コンビニスタッフの人手不足は深刻な問題になっています。結果、オーナー家族に負荷がかかり、心身を壊すという事態が起きているのです。いまやコンビニは、モノを売るだけの場所ではありません。ATMがあり、公共料金の支払いや宅配便の窓口でもあり、各種チケットの発券、コピーやプリンターなど行えることは多岐にわたります。地方では、夜間の町の防犯の意味でも大事な存在になっています。とても便利で私たちの生活は助けられていますが、本当に24時間営業が必要なのかどうか。ヨーロッパなどで、ほとんどの店が日が暮れたら閉まる光景を目にすると、日本の経済活動の過剰さを痛感します。24時間店を開けるということは、商品や電力、資源もそのぶん消費しているということです。ローソンの統計によると、2017年度の売れ残り食品は1店舗あたり1日9.2kgでした。食品廃棄物のうち40%以上はリサイクルをしているそうですが、それでも少なくはない数字です。コンビニ大手も人手不足対策を相次いで打ち出しています。セブン-イレブンとローソンでは、「セルフレジ」を年内に全店で導入することにしました。時短営業もセブンの一部の店舗で実験的に行われています。ただ、「24時間営業」が前提の経営スタイルなので、簡単には時短営業店舗が広がっていくという流れにはならない模様です。4月5日には経済産業省がコンビニ8社に対し、オーナーの不満を解消する行動計画を出すよう指示。今回の件は、オーナーによる訴えに対してメディアが反応し、企業側も反応し、社会が問題を注視するようになった、示唆に富む出来事でした。無理を強いられているのはコンビニに限りません。働き方改革は様々な形があります。自分の働き方を見直し、権利を守ることに意識が向けばいいなと思います。堀潤ジャーナリスト。ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2019年5月1日‐8日合併号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2019年05月02日新興文芸の胎動が聞こえてきた大正末期。東京で新雑誌『文藝春秋』が産声を上げたのと同じ年、大阪では小山内薫が率いるプラトン社が『苦楽』の創刊に着手。永美太郎さんの『エコール・ド・プラトーン』は、そのプラトン社に集う文士たちの群像劇だ。だが、最初に浮かんだアイデアは、少し違っていたそう。「女性マンガが好きなんです。時代を遡って掘っていくうちに、大正時代の少女雑誌の挿絵や挿絵画家たちに興味が湧いて、そんなマンガを描いてみたいと思ったものの、さすがにテーマがニッチすぎる(笑)。その世界の隣に近代文学があり、こちらの切り口からいこうと思いました」1巻で活躍するのは、川口松太郎と直木三十五。さらに、芥川龍之介や谷崎潤一郎、菊池寛など、のちに文豪と呼ばれる作家たち。岡本かの子や夫の一平、少年時代の太郎なども登場する。「文芸史や大正の文壇については好きでなんとなく読んでいたんですが、連載が決まってから改めて調べ直しました。ネームを組み立てていくうちに『こういうエピソードがあったらいいのに』とアンテナを立てておくと、新しい発見があったりする。ただ『たくさん調べました』というだけの表現はマンガとして面白くないので、史実に忠実でありつつも、肉付けやさじ加減には腐心しています」永美さんが仰ぎ見ている作家のひとりが、故・杉浦日向子。「師匠でもある山田参助さんともよく話していたんですが、杉浦さんって作中のセリフを生み出す達人なんですよね。彼女のマンガのように、作品のムードにハマる印象的な言葉を見つけられるかも勝負です」舞台がレトロな分、作画も苦労が尽きない。たとえば当時の生活描写や着物の描き方。「着物姿とか、実は正確に描けたからといって絵として決まらないんですね。日本髪や着物が美しく見える角度も、当時の美的感覚とともに絵に織り込めたらいいなと思っているので、ネットで見つけた資料や郷土資料などを頼りにしています。ちなみに、本作を描くようになってから、自分でも着物を着るようになりました。また、著名な文豪たちの顔は、教科書などでよく知られている分、リアリティとデフォルメの加減が難しい。さっぱりした線が好きなのですが、軽すぎる絵柄になると史実の重みが薄れてしまうので、説得力を持たせるタッチはどういうものだろうと。試行錯誤は続いています」岩田専太郎ら挿絵画家たちの物語が始まる2巻の刊行が待ち遠しい。『エコール・ド・プラトーン 1』新雑誌の創刊に関わる文士たち。編集者として活躍した後、第1回直木賞受賞者となる川口松太郎を軸に、熱き交流が描かれる。リイド社720円©永美太郎/リイド社ながみ・たろう1984年生まれ、兵庫県出身。京都造形芸術大学卒。書店員、山田参助氏のアシスタントを経て本作が初連載。大正~昭和初期の群像劇を描くことは10年来の悲願だったとか。※『anan』2019年5月1日-8日合併号より。写真・中島慶子インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2019年05月02日出会った女性がネタの源という横澤夏子さんが、街で見つけたいい女を実演。今回は、眠るまでの時間を穏やかに過ごす女性、「寝る前にホットミルクを飲む女」になりきり。温かい牛乳は私たちを癒すアロマのようなもの!“寝る前にホットミルクを飲んでいる”という人って、ものすごくゆとりを感じませんか?ミルクを温めるところから、眠りの準備に入ってるんです。その、導入部分が素敵ですよね。私は何も飲んでいないし、なんなら寝酒をしちゃうことも…。絶対に体によくないですよね~。そうして赤ちゃんの頃からの習わしをずっと続け、ちゃんと体を落ち着かせてから眠りに入るなんて、まるでおとぎ話のようです。きっと、カフェのように小鍋で煮て、立ち上る湯気でも眠くなっちゃう。「ホットミルクを飲まないと眠れないんだよね」というセリフもカワイイし、飲むとスッと眠れる習慣が身についていることも羨ましい。こうして寝る準備がしっかりできる人は、翌朝の準備もきちんとしているだろうし、規則正しい生活を送っているはず。それに、冷蔵庫に牛乳が入っていること自体、ちゃんとしている感じがします。カルシウムが摂れるから骨折もしません。私はダイエットをしていた時に、牛乳でお腹を満たそうとしてよく飲んでいたのですが、満腹感はもちろん、満ち足りた幸せな気持ちになれるんです。そうしてイライラもしないから、ストレスによるいびきや歯ぎしりもしないだろうし、翌日の目覚めもいいはずです。普段、牛乳をあまり飲まない人も多いと思うので、まずはホットミルクを一度、寝る前に飲んでみるのがいいと思います。温めたミルクをフーフーしたり、その香りをかぐだけでも、まるでアロマセラピーのように心が落ち着くはず。そして、“最近、牛乳でヒゲを作っていますか?そんなことで笑っていた自分を忘れていませんか?”と、自分に尋ねてみると、何か、忙しい日々で忘れていたものに気づくことができるかもしれません…!よこさわ・なつこ芸人。『バイキング』(フジテレビ系)や『王様のブランチ』(TBS系)など、数多くのバラエティ番組にレギュラー出演している。著書『追い込み婚のすべて』(光文社)が発売中。※『anan』2019年5月1日-8日合併号より。写真・中島慶子イラスト・別府麻衣文・重信 綾(by anan編集部)
2019年04月26日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「頻発するデモ活動」です。世界各地で不満が爆発。格差を是正することが必須。いま、世界各地で政権への不満を訴えるデモが起きています。ベネズエラでは、マドゥロ政権が経済政策に失敗し、国内のインフレ率が229万%に。物価が上がりすぎて、国民の生活がままならなくなりました。マドゥロ大統領に反対するデモが続き、野党指導者のグアイド国会議長が自ら暫定大統領に就任すると宣言。大統領が2人という異常事態が続いています。欧米諸国はグアイド氏を支持していますが、中国やロシアはマドゥロ大統領を支持。シリアのように、国を分断する状態に陥らないか、不安が高まっています。スーダンでは、昨年12月に政府がパンの価格を3倍に引き上げ。スーダン貨幣は大きく下落し、現金が底を尽き、給料が振り込まれても引き出せなくなりました。闇マーケットでは現金貨幣が倍以上の価格で取引され、混乱を来しています。人々は30年間圧政を続けるバシル大統領の辞任を求め、反政府デモが行われました。大統領は非常事態宣言を発令し、緊迫した状態が続いています。アルジェリアでは、長期政権による腐敗政治への不満から、5期目を目指した82歳のブーテフリカ大統領の退陣を求めて大規模デモが頻発。大統領周辺の企業や政府要人に富が偏り、若者たちの失業率は29.1%に。多くの国民が貧困に喘いでいました。そして先日、ついに大統領は辞任しました。これらのデモの頻発は、2010年暮れから中東~北アフリカ諸国に広がった民主化運動「アラブの春」の延長にあるともいわれています。長期独裁政権により富が偏り、苦しむ国民が事態を打開する唯一の術がデモだったのです。長期政権ではありませんが、デモは先進国のフランスでも起きています。昨年11月から続く、マクロン大統領への抗議デモ、「黄色いベスト運動」が最近再び活発になりました。市民デモに便乗した過激派グループが暴力行為を起こし、観光名所が一時閉鎖される事態にも。すべての根源は経済格差です。それは日本にも広がりつつある深刻な問題。シリアのような悲劇を二度と起こさないためにも、いま世界各地で起きているデモの背景を、正しく知ってほしいと思います。ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2019年4月24日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2019年04月23日最近、女性ファンが増えつつある日本酒だが、著者・はるこさんのような人もいまだ少なくないだろう。「もともと私は洋酒派で、日本酒に興味を持ち始めてはいたものの、難しいというイメージがありました」しかし原案協力の「酔っぱライター」こと、江口まゆみさんのアドバイスもあり、いまや主人公の日本酒好きOL・藤井松子並みにその魅力にハマっているご様子。アラサーOLの恋を“つまみ”に日本酒の魅力に酔いしれる。松子は彼氏ナシの32歳。結婚や出産で同世代の飲み友が減るなかで、若干焦りつつも、カップ酒を家飲みする気ままな暮らしを楽しんでいる。カップ酒なんていきなりハードルが高いし、オッサンくさい……。そんな思いが少しでもよぎった人こそ、読み進めてほしい。飲み切るのにちょうどよいサイズだし、レンジでお燗をするのに適した形状で、しかも飲み比べもしやすいので初心者にぴったりなのだ。こんなふうに日本酒の楽しみ方や、シーンに合わせたおすすめの銘柄がたくさん登場するのだが、単なるうんちくで終わらないのが本作の面白いところ。会社で隣の席のクールで思わせぶりな年下男子に翻弄されたり、日本酒の趣味が合う年上男子とお店で意気投合したりして、お酒ほどには素直に酔えない松子の恋の行方も気になってしかたがない。「恋愛模様の描き方は、リアル感とマンガらしさのバランスにこだわっています。喜怒哀楽それぞれをつまみに酔うのもあり、というノリで。好きな人やものがあるって楽しいし、どんな日も楽しむことを忘れない松子を描ければと思っています」恋愛したいのに、尻込みしてしまうアラサーの本音に共感しながら、日本酒が飲みたくなることも必至。「日本酒は日常から旅先まで多彩な姿で楽しめて、大人の読者様には話のネタに、日々のスパイスにしていただけるのではと思います。江口さんからいただくお酒選びなどの情報を私自身も毎回楽しみにしていて、知らなかったご当地情報を学べたり、日本の魅力再発見につながるお酒なんだなあと感じています。まだ出ていない地域のお酒もこれからどんどん登場しますし、松子も現地に飲みに出かけたりする予定です!」『酒と恋には酔って然るべき』ひとりは楽しいけれど恋もしたい、日本酒好きな悩める松子の恋模様をコミカルに描く。気になる銘柄が続々出てきて、入門者も日本酒好きも楽しめます!秋田書店680円©はるこ(秋田書店)2019はるこマンガ家。最新刊に『お高い彼の誘惑キス』(ぶんか社)。美波はるこ名義でも活動しており、『背徳のセブンセクシー』シリーズ(ZITTO)など連載作を多数執筆している。※『anan』2019年4月24日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・兵藤育子(by anan編集部)
2019年04月23日出会った女性がネタの源という横澤夏子さんが、街で見つけたいい女を実演。今回は、記憶力がよく、人を惹き付ける力がある「思い出話が上手な女」になりきり。“この人の話を聞きたい!”と思わせることが大切です。私たちの会話の多くが、「こういうことがあって…」というような思い出話だと思うんです。バラエティ番組や芸人さんのトークライブでも、自分の身に起こったことを披露することが多いもの。私はというと、オチがない話をダラダラとして、「結局、何が言いたかったの?」と言われることが多いんです。あと、話の途中で笑っちゃう人もいますよね。それでは聞いているほうは何のことだかわからないし、面白さのハードルは上がる一方。話の途中で、“これ、笑えるやつかな”“私に何て言ってほしいんだろう…”と、先走って考えてしまうこともあります。だからこそ、思い出話を上手に語れる人ってすごいと思うんです。きっと、客観的に物事を見ていて、記憶力がいい。観た映画のことを、鮮明に絵が浮かぶように話すこともできるはず。キャラクター設定をきちんと教えてくれるから登場人物も状況もよくわかり、たとえ周囲の人と共有していない思い出話だとしても、ちゃんと伝わって誰も置いてきぼりにしません。私はこのあいだ、旦那のお母さんと1時間くらいずーっと膝について話していたことがあったんですけど、旦那は置いてきぼりになっていたようで、ちゃんと興味がわくように話さないといけないなと思いました。わかりやすく説明することが第一段階、そこにいる人に聞きたいと思わせるように話すことがさらに大事。私はそれができる人を見つけると、落語家になればいいのにと思うし、「あの話、しゃべって!」とお願いしちゃうことがあります。落語を聴いてみると、人の心を掴む話し方や、聞く姿勢にさせる枕詞がわかるはず。思い出話はみんなにあるもの。ものの見方や話し方を意識して、話し上手になりましょう~!よこさわ・なつこ芸人。『バイキング』(フジテレビ系)や『王様のブランチ』(TBS系)など、数多くのバラエティ番組にレギュラー出演している。著書『追い込み婚のすべて』(光文社)が発売中。※『anan』2019年4月24日号より。写真・中島慶子イラスト・別府麻衣文・重信 綾(by anan編集部)
2019年04月23日「書いている間、本当に楽しかったんです。どうしたのかと思うくらい、夢中になってしまいました(笑)」その楽しさが読者にも存分に伝わってくるのが大島真寿美さんの新作『渦 妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん) 魂結(たまむす)び』。江戸時代に実在し、名作「妹背山婦女庭訓」を残した浄瑠璃作者・近松半二の生涯を軽快に描く作品だ。あの名作の作者が歩んだ人生とは?華やかな浄瑠璃の創作をめぐる物語。「もともと歌舞伎が好きで、編集者に歌舞伎の話を書けって言われていたんです。無理だと言ったんですが、ふと『妹背山婦女庭訓』なら書けるなって。これはもともと文楽の演目なので、まず文楽の勉強から始めてみたらこういう話になりました」江戸時代の道頓堀。幼い頃から父に連れられ芝居小屋に通った穂積成章は、浄瑠璃の虜に。親の勧めで浄瑠璃の作者を目指し名前も「近松半二」と決めるものの、芽が出ない。「半二自身の資料はあまりなくて。分からない部分を自由に考えるのも楽しかった。たとえば、半二が遅咲きだったのは本当の話。でも、当時道頓堀で活躍した歌舞伎作者の並木正三(しょうざ)と半二が幼馴染みだったというのは私のフィクション。同世代で道頓堀にいて、知り合いじゃないわけがないと思ったんです」少しずつ成長していく半二の姿に人間味をおぼえる一方、人々の娯楽だった歌舞伎と文楽のライバル関係や道頓堀の様子も興味深く読める。やがて物語は創作をめぐる話として深みを増す。創作者が突き当たる「真っ黒な深淵」や、「渦」といった表現がとても印象深い。「虚構を作る人はみんな、ちょっとした怖さを味わいながら作っていると感じながら書きました。“渦”というのも自然と出てきたんですが、編集者に重要な言葉だと指摘され、これがタイトルになりました」終盤には意外な語り手が登場するなど物語はスケールを増していく。書き終えても、なかなか気持ちが切り替えられなかったという大島さん。「あまりにも切り替わらないから、仕事とは関係なく『妹背山~』の現代語訳を始めました(笑)」そんななか、嬉しいサプライズが。「偶然なんですが、5月に国立劇場で『妹背山~』が久々に通し狂言として上演されるんですよ。奇跡のコラボだと思って興奮してます(笑)」本作を読んで観劇すれば、より深い体験ができるはず!おおしま・ますみ1962年生まれ。’92年「春の手品師」で文學界新人賞を受賞しデビュー。著作に本屋大賞3位の『ピエタ』、直木賞候補にもなった『あなたの本当の人生は』など。『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』江戸時代の大坂・道頓堀。父に連れられ幼少の頃から浄瑠璃に親しんだ少年が、名作「妹背山婦女庭訓」を生み出すまでの紆余曲折とは。文藝春秋1850円※『anan』2019年4月24日号より。写真・中島慶子 インタビュー、文・瀧井朝世(by anan編集部)
2019年04月22日肌と髪が喜ぶインナービューティの新常識。知って得して納得してください!日本人なら積極的に取り入れたい、お米の新機能。糖質制限ブームが一段落した今、改めて米のメリットに注目する流れが。神経細胞・ニューロンを活性化する働き、第三の食物繊維“レジスタントスターチ”の存在など、様々な研究報告から米の付加価値が再認識。そもそも、長年慣れ親しんできた米は、日本人の体内で吸収しやすく、栄養に変えやすい食材。新たな魅力を伴った、粉末タイプの米プロテイン、米油などをぜひ取り入れて!米油って?米特有の栄養成分・γ‐オリザノールは脂質の代謝に関わり自律神経を整えるなどの作用もあり、医薬品として用いられることも。また、女性ホルモン様作用があるといわれる植物ステロールはオリーブオイルの約16倍も含有。【0.6ライスブランオイル】玄米に負担をかけないナチュラルプレス製法で圧搾した、酸化度合いの低いフレッシュな米油。様々な品種、産地のお米を扱い、各銘柄によって異なる特徴も分析。500ml¥3,980*税込み(神明)米のプロテインって?タンパク質は細胞を作る基本の材料。米のタンパク質(プロテイン)には、ホルモンバランスを整える作用や、血糖値調節に対して有益に作用する可能性など、気になる機能が続々発見。研究は現在進行形なので、続報に期待!【ライスプロテイン】純米から抽出した粉末タイプのプロテイン。抗ストレス作用が期待される話題の成分GABAも配合。どんな料理&飲み物にも合わせやすい味。日々の食事にプラスして。200g¥2,200(食健)※『anan』2019年4月24日号より。写真・中島慶子イラスト・伊藤ハムスター文・板倉ミキコ(by anan編集部)
2019年04月19日美しい髪を作るには、内側のケアも必須なのは当然のこと。そこで、最新の研究結果やクチコミを徹底チェック。髪にはワカメ、ではなく藻がいい!スピルリナの新パワー発見。スーパーフードのスピルリナには、髪の毛を作るもととなるタンパク質、育毛を促進する亜鉛、成長ホルモン分泌作用のあるアルギニン、細胞を活性化するビタミン群など、毛髪や頭皮環境に良いとされる成分がたっぷり。健康な黒髪を生えやすくするメラニンを生成する様々な成分も含まれている。白髪や抜け毛に悩んでいるなら、昔から髪にいいといわれるワカメより、スピルリナが大正解!?【タベルモ(生スピルリナ)】35億年前に誕生した藻類、スピルリナ。世界初、安全な生スピルリナの栽培と製品化に成功したメーカーの一品。濃厚な緑色で栄養も濃いが、無味無臭なのが嬉しい。50g×15パック¥4,200(タベルモ)オーガニック食材のコールドプレスジュースなどが人気の店で、スピルリナの色素を使ったマフィンが。ブルーマジックマフィン¥350(スカイハイ青山店)パンケーキやトロピカルなドリンクなど、ハワイスタイルのカフェ。特製濃厚ハニー生バナナ スピルリナ¥680(モケスハワイ中目黒店)※『anan』2019年4月24日号より。写真・中島慶子イラスト・伊藤ハムスター文・板倉ミキコ(by anan編集部)
2019年04月17日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「震災への備え」です。熊本地震から3年。震災への備えはできていますか?4月14日で熊本地震から丸3年になります。政府の地震調査委員会によると、今後30年以内のM7~7.5規模の地震の発生率は、青森県東方沖・岩手県沖北部で90%以上、宮城県沖が90%、茨城県沖は80%。M7の地震が発生する確率が50%以上の海域には、房総半島沖や相模湾も含まれます。また、南海トラフではM8~9の地震が起きる確率が70~80%といわれています。日本全国北から南まで、大地震が起こる可能性が高いのですが、みなさん備えはできていますか?東京都は、直下型地震が起きた際は、会社にとどまるようにという「帰宅困難者対策条例」を出しています。交通インフラが止まり、多くの人が移動すると混乱が起き、二次災害が起きたり、緊急車両が通れなくなるのを防ぐためです。しかし、東京商工会議所が会員企業を対象に調査したところ、1127社から回答があり、この条例を認知している企業は62.9%、従業員数10~29人の会社では43.9%でした。会社にとどまるからには、全従業員分の3日以上の備蓄が必要になりますが、それを備えている企業は半分にも満たないことがわかりました。東日本大震災時の数から推定すると、約380万~490万人の帰宅困難者が発生するといわれています。現状では、帰宅はできず、会社にとどまっても備蓄がないケースがほとんどになるでしょう。自分の身は自分で守るしかありません。水や非常食、充電器などは通勤時にも常備しておいたほうが安心です。リサーチ会社によると、災害の備えについて、20代の女性の3割は何もしておらず、逆に60代女性では準備をしていないのは1割のみでした。とにかく、自宅には1週間分の食料と飲料水、電気(電池や電源)、トイレの確保が必須です。また、家族や大切な人との連絡手段、落ちあう場所を決めておきましょう。携帯はしばらく繋がらなくなると思っておいたほうがいいです。直接落ちあえる場所を必ず確認しておきましょう。また、自宅からだけではなく、職場からの避難場所も確認しましょう。普段使っている道が使えなくなる可能性もあるので、3つくらいのプランを考えておくことも大事です。堀 潤ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2019年4月17日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2019年04月16日出会った女性がネタの源という横澤夏子さんが、街で見つけたいい女を実演。今回は、一緒に真剣に怒ってくれる女性、「当事者以上に怒ってくれる女」になりきり。怒りに共感することが相手の心をラクにする。私の性格かもしれませんが、何か腹の立つことがあったとき、自分より怒っている人を見ると怒りが収まるんです。自分より酔っぱらっている人を見ると酔えなくなるように、“人のふり見て我がふり直せ”じゃないですけど、“そこまで怒らなくても…”と冷静になり、気持ちが静まる。共感してくれることで怒りが分散されるし、“私のことを考えて怒ってくれている”“気持ちをわかろうとしてくれている”と感じることが、すごく嬉しいんでしょうね。そうやって、悪者になるというか怒る役をできる人は大人だなと思います。ただでさえイライラしているときに、「でもさ~」などと意見されるとすごく腹が立つもの。“なんでわかってくれないんだろう…”という新たな怒りも生まれるし、共感してくれる人を見つけるまで、ずっと怒りっぱなしになってしまうはずです!そんな性格だとわかっているからか、私のマネージャーさんは歴代、私以上に怒ってくれます。引き継ぎの連絡に、“食い気味で怒りましょう”と書いてあるんじゃないかと思うくらい(笑)。友だちも同じく食い気味で「わかる!」と言ってくれて、何がわかるんだと思うけど、すごく嬉しいし、気持ちがラクになる。また、怒りの話を盛り上げて笑い話にしてくれる人もいて、嫌な気持ちを浄化してくれるスキルは、本当に尊敬します…!怒っている人の話を聞くときには、相手の立場を考えて、一緒に怒る。そのためには、いろんな経験をすることが大事だと思います。すると、「でも、あの人はこう考えていたんだろうね」と、怒っている人にアドバイスができると思うんです。一度一緒になって怒ってくれた味方の意見は、素直に聞けるもの。怒った後の道筋を見せられる人も、大人だと思います!よこさわ・なつこ芸人。『バイキング』(フジテレビ系)や『王様のブランチ』(TBS系)など、数多くのバラエティ番組にレギュラー出演している。著書『追い込み婚のすべて』(光文社)が発売中。※『anan』2019年4月17日号より。写真・中島慶子イラスト・別府麻衣文・重信 綾(by anan編集部)
2019年04月15日世界が失われて初めて直面する、仕事、家族、そして生きること。久野田ショウさんによるコミック『一日三食絶対食べたい』。もしも今ある社会システムが崩壊して、世の中がもっとシンプルになったら、人は何を拠り所に生きるのだろう。主人公の青年・ユキが最も重きを置いているのは、タイトルになっている「一日三食絶対食べる」こと。しかも大切な人と一緒に、だ。「『南極料理人』という映画が好きなんです。ものすごく過酷な環境だけど、おじさんたちが楽しそうに仕事をしていて、そういう世界をマンガにしてみたいと思いました」舞台は環境問題の悪化により、氷河期を迎えた世界。生き残った少数の人類は高層ビルを居住空間(ビオトープ)に、自給自足の集団生活を送っている。ユキもその一員で、リッカという少女と家族を失った者同士、助け合いながら同居している。悲壮感がそれほどないのは、先の映画が構想のきっかけであることに加えて、ユキのヘタレっぷりによるところも大きいようだ。物語はユキの就職活動の場面から始まるのだが、病弱なリッカにおいしいものを食べさせたい思いから、文句タラタラ働くことに。「私も会社勤めの経験があります。大変だったけど先輩と仲良く愚痴を言いながら仕事ができたので、今では楽しかった思い出になっていて、それがユキとスギタのコントみたいなやりとりに繋がっています」ユキはマイナス45°Cの雪原で、氷のなかから植物や生活用品など前時代の“遺品”を切り出す、少々危険な仕事をすることに。会社員時代の作者の経験が生かされているだけあって、上司とのやり取りやチーム間の軋轢など、仕事を通して描かれる感情はとてもリアルだ。「今はお金を稼ぐだけでは、精神的に満足できないような人も多いと思うのですが、仕事の目的が自己実現ではなかったり、やりたい仕事がないような状況で、それでもなぜ働くかっていうと、大事な人と一緒にごはんを食べるためなのかなって」オムライスやホットケーキなど、貴重な食材で丁寧に作る、質素だけどおいしそうなふたりの食事も見どころのひとつ。過酷な環境ゆえに、温かさや優しさがより染みてくる。「これからもユキの成長をメインに、いろんな家族のかたちや、ビオトープを継続させるために働く人たちなどの姿を描いていきたいです」現代人の複雑な感情を持ち合わせたまま、ふりだしに戻ってしまった世界で生きる人々を通して、本当に大事なものについて考えさせられる。『一日三食絶対食べたい 1』滅亡寸前の世界で、少女のためにダメ人間が立ち上がる。読み切り作品が反響を呼び、連載化が実現。働くことの意味や家族のあり方を、軽やかなタッチで描く。講談社630円くのだ・しょうマンガ家。『三途の川でワルツを』で「アフタヌーン四季賞2015年秋のコンテスト」萩尾望都特別賞を受賞。『宇宙のライカ』で、同賞2017年春の四季大賞受賞。※『anan』2019年4月17日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・兵藤育子(by anan編集部)
2019年04月11日自身の両親と、父と長く男女の関係にあった作家の瀬戸内寂聴さんがモデル。井上荒野さんの『あちらにいる鬼』は、愛というものの底知れなさを感じずにはいられない長編だ。一見スキャンダラスな三角関係。そこには不思議な絆が見え隠れ。「この小説を書く私のモチベーションの一つは、寂聴さんの父への思いにグッときたこと。もう一つは母は本当に幸せだったのかなという謎ですよね。想像するしかないけれど、母はどこかの時点で『この男をずっと捨てずにいよう』と決めたんだと思います。我慢していたのではなく、自分が決めた意志に従う。そういう強さがある人でした」最初は娘である自分の視点で書こうとしたが、それでは以前書いたエッセイ『ひどい感じ父・井上光晴』の続編にしかならない気がした。「ふと、妻と愛人、ふたりの視点でやってみたらどうかと思いついたんです。そんなことができるだろうかと自分でもひるんだほどですが、それくらいの挑戦がなければ書く意味がない。腹をくくりました」母がモデルである白木笙子と、寂聴さんがモデルである長内みはる。ふたりが交互に語るスタイルは、一種の心理小説のようでスリリングだ。「笙子のパートは、母からはもう話を聞けないので、自分の育った家の情景や母と一緒にいたときの記憶を思い出し、どういう気持ちだったかを想像しながら書きました。ふだんに近い書き方ですよね。一方、みはるのパートは、より想像するのが難しかったです。寂聴さんからお話はたくさんうかがったんですが、私にも語れなかったというか、ご本人もいまでもわからないような部分があるのではないかと思ったからです。父にはたくさん女性がいましたけれど、寂聴さんとの関係がいちばん長かったし深かった。それはやはり彼女が小説を書くからで、出家しなければ断ち切れない関係というのは本当だったろうと思います」作中では、笙子が夫・篤郎のいくつかの作品を代筆していたことも明かされる。書く女ふたりにはさまれた篤郎の心中はどんなものだったろうと、そんなことにも想像が膨らむ。「物語は、母の気持ちで締めようとは決めていました。『二度とこんな男の妻にはなりたくない』と思うかなあとかいろいろ迷ったんですが、やっぱりこれだろうなと」余韻の残る、圧巻の一文だ。いのうえ・あれの作家。2008年、『切羽へ』で直木賞受賞。’18年、織田作之助賞受賞作『その話は今日はやめておきましょう』など、著書、受賞歴多数。今年でデビュー30周年となる。『あちらにいる鬼』徳島での講演会が縁で、作家の白木篤郎と作家の長内みはるは深い仲に。それを知る篤郎の妻・笙子。複雑な愛はどこへ向かうのか。朝日新聞出版1600円※『anan』2019年4月10日号より。写真・水野昭子(井上さん)中島慶子(本)インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2019年04月07日出会った女性がネタの源という横澤夏子さんが、街で見つけたいい女を実演。今回は、無駄を気にしない余裕のある「行ったり来たりを惜しまない女」になりきり。寄り道や回り道ができる人は、豊かです!私は、できるだけ要領よく生きたいと思っているタイプです。どこかへ行くときも、目的地にたどり着くまでに、道を行ったり来たりするのが嫌。スーパーでも、“あそこであれを買ってからレジに行こう”と、店内の動線を一度も戻ることなくレジにたどり着けるルートで買おうとします。それをゲーム感覚で楽しめる人はいいのですが、私の場合は少しでも無駄に動くと「はぁ…」と落ち込んでしまうからよくないんです。だから、「今日はこっちの道から行ってみよう!」と回り道をする人は、路地裏にあるいいお店を知っていたりして、それが豊かな感じがあっていいなって思うんです。私は、道の途中で通り過ぎたお店が気になっても、戻るのが悔しくて立ち止まりません。でも、そこで戻れる人のほうが人生を楽しめそう。そもそも、人は、朝起きてから寝るまでに“どのチャンネルを見ようか”“何を食べようかな”と約9000回の選択をしているらしいんです。そう考えると、迷ったり行ったり来たりしてこそ人間だと思ったし、それを許せる余裕がある人のほうが素敵だなと感じました。物理的なことはもちろん、人の心も、行ったり来たりがあるほうがよかったりしますよね。私は、恋愛でもすぐに答えを出したいと思うせっかちなタイプですが、それがいいとは限らないなって思いました。ドラマでも、なかなか進展しない恋のほうが、面白くて目が離せませんよね!まずは、無駄な動きをしてもオッケーな、行ったり来たりする日を作ってみましょう。知らない場所に行くときに、迷ったときのことを考えて早く家を出る感覚で出かけてみる。時間に余裕さえあればできるはずです!私も戻ることを悔しいと思わないように、やってみたいと思います。よこさわ・なつこ芸人。『バイキング』(フジテレビ系)や『王様のブランチ』(TBS系)など、数多くのバラエティ番組にレギュラー出演している。著書『追い込み婚のすべて』(光文社)が発売中。※『anan』2019年4月10日号より。写真・中島慶子イラスト・別府麻衣文・重信 綾(by anan編集部)
2019年04月07日これはヤバい……と思いながら、読み進めずにはいられない。意志強ナツ子さんの『アマゾネス・キス』は、占いでも、アイドルでも、何かしらに心酔しているような人ほど、刺さるところがあるはずだ。人間力を高めて成功をつかむ禁断の世界へようこそ……。「私もメンターといえるようなカリスマ性のある人にハマりがちなのですが、オカルトビジネスや怪しい宗教の構造とそんなに遠くない気がして。そういったものを取り巻く人間関係の縮図を描きたかったのです」大手菓子メーカーに勤めながら、副業で占い師をしている岡本はづきは、自社のヒット商品「ボタニカチョコ」を手がけた憧れの天野純子と、ついに会うチャンスに恵まれる。しかし天野は会社を辞めて、超感覚知覚力を磨く会員制のトレーニングジムを始めるのだという。天野に認められたいはづきは、勧誘してほしくてたまらないのだが、凡庸に見える同僚に先を越されてしまう……。「はづきは私の精神的な部分の自画像なんです。自分の居場所はこんなところではないと思って、周りを見下していた結果、しっぺ返しがくるようなところとか。私自身、そういう経験を人一倍しているので、ほかのマンガ家よりもイタい人とか恥ずかしい人を描ける自信があります」はづきの必死さは滑稽だが、無邪気に笑えないようなザラリとした感覚が残る。はづきだけでなく、彼女の占いに依存する気弱そうな青年や、アイドル志望だけどトレーナーとして働き始める女子など、登場人物の選択がいちいち危うく、行く末が気になってしかたないのだ。「私としては、どの登場人物にとっても正しい道だと信じて描いています。間違ってると思われるだろうなっていうことぐらいはわかっているんですよ。けど、よく考えたらあながち間違いじゃないし、一理あるでしょ?っていう気持ちで」一見、無茶苦茶な設定や展開だが、おのずと引き込まれてしまうのは、緻密に練られているからこそ。「日頃の行いが悪いのに、なぜかうまくいっちゃうような人っていますけど、人の運や成功は因果応報などではなく、もっと別の次元で成り立っていると思うんです。その理不尽さを、極端な人生や極端なマンガで描いていきたいですね」超感覚知覚力を高めたい人々の欲望が渦巻く、オカルトあり、エロあり、サスペンスありの異次元ドラマ。トーチwebにて好評連載中。リイド社719円いしつよ・なつこマンガ家、魔術師。チェコ国立芸術アカデミー(AVU)インターメディア学科修了。’14年「女神」(トーチweb)でデビュー。著書に短編集『魔術師A』など。※『anan』2019年4月10日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・兵藤育子(by anan編集部)
2019年04月03日男女の恋愛の深淵、奥ゆかしくも逞しい女性の美しさ、インモラルな官能の世界…。時代を超えて読み継がれる文学の名作には、今学ぶべき“色気”のエッセンスが詰まっている。文学作品の色気は、知性の中にこそ漂う。「色気の形はさまざまあると思いますが、文学に描かれる色気に漂っているものは“知性”。決してストレートな描写ではなく、美しい文体で綴られた表現のひとつひとつに、真の色気や美しさが宿るものなのです」(宇都宮大学教育学部教授・鈴木啓子さん)文学に慣れ親しんでいない人でも手を出しやすい作品から、一見難解な文章で描かれた名著まで。それぞれの作家が描きたかった色気の正体を、象徴的な一文から感じ取って。「現代に通じる感覚もあれば、その時代だからこそ感じられる色気もあり、違いを肌で感じてみるのも面白いはず。また、作品が描かれた時代背景や、作家自身の人生に思いを馳せて読んでみると、さらに味わい深く楽しめます」(書評家、ブックライター・石井千湖さん)お二人に色気があふれる本を選んでもらいました。画家の目を通して描かれる“色気論”。(鈴木さん選書)『草枕』夏目漱石「美しい見た目ながら、薄幸というアンバランスな魅力を持つ女性・那美は、戦争に行く従兄弟を見送る場面で、野武士のように落ちぶれた元夫に再会します。その顔に浮かんだ“憐れ”の表情こそが、彼女の美を完成させる要素だったと、その様子をそばで見ていた画家は思うのです。つまり、色気とは“憐れ”。弱者へ共感を抱いた時にこそ発揮されるものだという、漱石独自の色気論ではないでしょうか」(鈴木さん)住みにくい人の世を芸術の力で打破できぬかと思案する青年画家。温泉場の出戻り娘・那美に惹かれ、絵に描きたいと思うが何か物足りなさを感じていて…。新潮文庫430円決して触れ合えない、淡く切ない恋心。(石井さん選書)『たけくらべ』樋口一葉「ある雨の日に、家の前で鼻緒が切れて困っている信如を美登利が見かける、という場面。今ではあまり考えられないことですが、物語の背景は男女が簡単に触れ合えない明治時代。二人が戸惑う姿は微笑ましく、また“触れたくても触れられない”ギリギリのところで、美登利が格子の隙間から端切れを“投げ入れる”という情景も味わい深い。初々しさの中にこの時代ならではの色っぽさを感じる一文です」(石井さん)吉原の遊郭に住み、遊女を姉に持つ14歳の美登利と、ゆくゆくは僧侶になる定めの信如との思春期の淡く密かな恋を描く短編。『にごりえ・たけくらべ』新潮文庫370円“清潔”という言葉で色気を表現する奥深さ。(鈴木さん選書)『雪国』川端康成「蛭の輪のようになめらかに伸び縮みする美しい唇を持つ芸者、駒子。その若々しい美しさを、この小説ではたびたび“清潔”という言葉で表現します。清潔と色気は一見、相反するものにも思えますが、それはまさに、穢れのない、生命体としての美しさに他なりません。“色気=奔放なもの”と捉えられがちな中で、“真面目で、心根の純な清らかさこそが真の色気である”と教えてくれる作品です」(鈴木さん)無為徒食の男・島村は、芸者の駒子に会うため雪国の温泉場を再訪する。駒子から一途な情熱を注がれる一方、島村は汽車で出会った女・葉子にも興味を抱いていて…。角川文庫362円鈴木啓子さん宇都宮大学教育学部教授。泉鏡花を中心に、日本近現代の小説を研究。一般学生に向けた「近代文学史」も開講している。監修した書籍『マンガで楽しむ名作 日本の文学』(ナツメ社)が好評。石井千湖さん書評家、ブックライター。書店員を経て、現在は書評とインタビューを中心に幅広く活動。著書に『文豪たちの友情』(立東舎)がある。また『週刊文春』にて、「名著のツボ」を連載中。※『anan』2019年4月3日号より。写真・中島慶子取材、文・瀬尾麻美(by anan編集部)
2019年04月01日大好きなロリータファッションへの憧れを秘密にしている女子大生のマミ。同じアルバイト先に、周囲の目など気にせず毎日好きなおしゃれに身を包んでいる小澤が現れて…。“なりたい自分になれる”勇気が湧いてくるマンガ好きな服があるけれど、周囲から浮くのは怖い。そんな悩みを描いて共感を呼んでいる『着たい服がある』。その著者が、常喜寝太郎さん。「高校生くらいから服が好きでした。自分は着たい服を着てるだけなのに、周囲に受け入れてもらえなかったり、好きな女の子に振り向いてもらえなかったり。だから、マミの悲しさは、自分もよくわかるんです」2巻に入り、マミが育った環境などバックボーンが見えてくる。「マミがずっと会っていなかった父親に会う回があります。実は僕にも同じ経験があって。そのときの実感を、マミの気持ちに重ねました」そう、親子の葛藤あり、生き方をめぐる煩悶あり。ただのおしゃれピープルのためのマンガではない。「最初は『好きな服を着たい人の背中を押します』的な内容だったのですが、連載するに当たって、読者の心にもっと突き刺さるテーマを入れたいと担当さんとも徹底的に話し合いました。それで、マミが『自分らしさとは何か』を考え始める展開にしました。簡単には答えが出ない悩みだけれど、自分も友達のちょっとしたひとことで救われたりしたことがあるので、そういうメッセージを伝えていきたいです」ファッションにこだわりがある作品だけに、マミや小澤が着ている服の描き込みが超絶に繊細!「マミが着ているロリータ服は、実際に『BABY,THE STARS SHINE BRIGHT』の商品。家でトルソーに着せて、ディテールまでじっくり観察しながら描いています。時間はかかりますが、むしろ作画のモチベーションが上がるポイントです。一方、小澤の服は、自分でデザインしながら描いているフルオリジナルです」そのくらい服を愛している常喜さん。ご本人もとてもおしゃれだ。「ただ友人からは、『見た目は小澤っぽいけど、中身はマミだよね』と言われていますね(笑)」つねき・ねたろう滋賀県出身。2013年、ちばてつや賞第68回ヤング部門で準優秀新人賞を受賞し、デビュー。「日刊月チャン」で「不良がネコに助けられてく話」も同時連載中。『着たい服がある』2ロリータ服を着る勇気が持てたマミだが、母に理解されず再び意気消沈。だが、ゴスロリを着たカヤとの出会いがマミを変えていく。「Dモーニング」で連載中。講談社610円※『anan』2019年4月3日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2019年03月30日映画『ボヘミアン・ラプソディ』のヒットで、再びその存在と音楽が輝いているバンド、QUEEN。時代を超える彼らの魅力を、anan的に読み解きます。1970’s1枚のドラマー募集カードが、QUEENの歴史の始まりだった。‘68年、ギタリストのブライアンが大学に貼ったドラマー募集告知をきっかけに、ロジャーが参加、ブライアンの友人・ティムと3人でSMILEを結成。翌年ティムが美大の友人であるフレディをリハーサルに連れてきたことで、3人が知り合う。‘70年ティムが脱退。SMILEのファンだったフレディが「僕に歌わせて!」と懇願しバンドに参加、同年フレディがQUEENと命名。なかなかベースが定着しない中、‘71年2月にベースのジョンが正式参加。’73年アルバム『戦慄の王女』で英国デビューするもさほどブレイクはせず。‘74年シングル『キラー・クイーン』が全英2位になり、注目度が上昇。米国ツアーの後‘75年4月に初来日。日本武道館などで公演し大喝采を浴びる。同年‘11月、「ボヘミアン・ラプソディ」収録のアルバム『オペラ座の夜』で初の全英1位。‘79年にはシングル『愛という名の欲望』で念願の全米1位を獲得。名実ともに世界のバンドに。1980’s世界の頂点を極め、迷走の後、見事にカムバック。‘80年6月にアルバム『ザ・ゲーム』を発売、全英・米で1位。‘81年には南米ツアーを敢行。ブラジルで2日間で25万人を動員し世界の頂点に君臨した。‘82年のアルバム『ホット・スペース』は、これまでとは異なる音楽性だったため商業的に失敗。その年に半年間のバンド休止を宣言。この頃ジョン以外のメンバーはソロ活動を開始。‘84年にアルバム『ザ・ワークス』で全英2位になるが、解散説が出始める。‘85年最後の日本公演の後7月にライブ・エイドに出演、人気が再燃。以降アルバムは出されるものの、‘89年にフレディがライブ休止宣言をしたため、HIV疑惑が囁かれ始める。’90年を最後にフレディが公式の場から姿を消し、翌年‘91年11月に自宅で息を引き取る。‘92年にフレディ追悼コンサートを開催。‘97年以降ジョンは事実上の引退だが、ブライアンとロジャーはアダム・ランバートなど新たなボーカルとともに音楽活動を続けている。『ミュージック・ライフ』元編集長・東郷かおる子さんに聞くQUEENの素顔、そしてその魅力。最初にライブを観たのは‘73年のニューヨークです。フレディがひらひらの衣装で出てきて、手にはマニキュア、顔にはメイク!びっくりしましたが、すごくキレイでしたね。演奏もとても良かったので、これは日本の女の子たちにウケるだろうと思いました。初めて4人揃って会ったのは‘75年4月の初来日時。最初の印象は、かわいい男の子たちだな、と。しかも脚が長くてまあハンサム。ありていな言葉ですが、4人全員とても品が良い。喋る英語は内容も発音もとてもノーブルだし、身のこなしや人と接するときの態度がとてもジェントル。4人とも高学歴で非常に知的な人たちでした。当時のロックミュージシャンは汗臭く男くさい人たちばかりでしたから、それはそれは異色でしたね。羽田空港で、1000人以上の女の子たちに出迎えられてもみくちゃにされたのは有名な話ですが、コンサートも、女の子がバッタバッタと失神するほど大熱狂。後日ブライアンとロジャーに聞いたところ、この日本公演は「とても学んだことが多かった」そうで、「それまでは観客を楽しませるために、ただ一生懸命演奏をしていたけれど、日本の公演で、観客と自分たちが有機的になることで雰囲気が生まれる、ということを初めて実感した」と言ってました。そのときは大人気ゆえにホテルに缶詰め状態だったのですが、ブライアンとロジャーはホテルを抜け出し、隣にある東京タワーに行って「わーい」とかやってたらしいんです。でも修学旅行生に見つかっちゃって大騒ぎ!ボディガードの人にものすごく怒られたそうで、「もうしません」って一生懸命謝ったそうです(笑)。とうごう・かおるこ音楽誌『ミュージック・ライフ』元編集長、音楽ジャーナリスト。著書『クイーンと過ごした輝ける日々』(シンコーミュージック)が、新章を追加し発売中。参考文献:『クイーン 果てしなき伝説』ジャッキー・ガン&ジム・ジェンキンズ著/東郷かおる子訳(扶桑社)、『ミュージック・ライフ1977年8月号臨時増刊号 華麗なるクイーン』(シンコーミュージック)、『フレディ・マーキュリー 孤独な道化』レスリー・アン・ジョーンズ著/岩木貴子訳(ヤマハミュージックメディア)、『クイーンの真実』ピーター・ヒンス著/迫田はつみ訳(シンコーミュージック)、『フレディ・マーキュリーと私』ジム・ハットン著/島田陽子訳(ロッキング・オン)※『anan』2019年4月3日号より。写真・中島慶子(書籍)(by anan編集部)
2019年03月29日朝井リョウさん、伊坂幸太郎さんら8組9人の作家による競作企画「螺旋プロジェクト」。古代から未来にわたるまで、各時代を各作家が受け持ち、“対立”をテーマに長編を執筆。朝井さんが受け持ったのは平成のパートだ。もともとは伊坂さんが編集者と雑談したなかで生まれた企画とのことで、「依頼をいただいた時、私からすると文壇高校の伊坂先輩に呼んでいただいたという感覚で、それはもう応えないわけにはいきませんでした」植物状態で入院する青年、智也と彼を見舞う雄介。二人は幼馴染みだ。しかし幼少の頃から周囲は違和感を抱いていた。自己顕示欲が強く“やりがい”を見つけては実行する雄介と、彼を冷静な目で見つめる控えめな智也。正反対の二人がなぜ友人同士なのか―。「最初、平成を舞台に対立を描くとなっても、何も浮かばなかったんです。連載開始の前に何度か全員で集まって話し合ったんですけれど、僕だけ何も意見が言えなくて。自分を無価値で、無意味に感じました」もともと日常生活でも、原稿が書けない日は美味しいものを食べることができない、などと自分を責めがちな朝井さん。と同時に、頭をよぎることもあった。「僕にとって印象に残る平成の事件というと、秋葉原通り魔事件や、『黒子のバスケ』脅迫事件。犯人の供述書や関連書を読んで感じたのは、どちらも“社会にとって自分は無価値である”という思いから起こした事件だということだったんです」犯人らも自分も、どうして自分を無価値と考えてしまうのか。「平成って、個人間の対立や争いごとをなくしていこうという試みが強かったと思うんです。学校でテストの順位を張り出さず、運動会で順位を決めず、ナンバーワンではなく自分らしいオンリーワンを目指そうという。でも自分らしさを探そうとすると、どうしても私は自分と人を比べることがやめられなかった。自分の価値を測るために“この部分はあいつより下だ”などと自分で自分をジャッジするしかなかった。そうすると小さい自己否定がちょっとずつ積もっていく。それは内側から腐っていく感覚だなと思ったんです」その痛みを、二人の青年を軸に少しずつ描き出したのが本作だ。「条件だけ抽出すれば、二人は立派な大学を出ているし貧困層でもなく友人もいる。何に悩んでいるのか分からない人も多いと思う。それは今の社会全体にも言えること。内側から腐る痛みを書くことによって、逆説的に平成で対立を書くことができるのではないかと思いました」自分は雄介タイプ、と朝井さん。「対立軸が奪われ、自分らしさを探して“自分地獄”に陥り、自滅していく。私のこれまでの小説でもそういうことが書かれたものがありますが、今回はその集大成みたいなもの」後半は何度も書き直したという。「大変でしたが、でも連載中、伊坂さんが毎回すごく褒めてくださったのが嬉しかったです(笑)」各作家の作品に共通するモチーフや共通するシーンも盛り込まれているという。本作はもちろん、今後刊行予定の他の作家の作品も楽しみ。あさい・りょう1989年生まれ。2009年『桐島、部活やめるってよ』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。’13年『何者』で直木賞受賞。著作に『世にも奇妙な君物語』など。『死にがいを求めて生きているの』伊坂幸太郎、天野純希、薬丸岳、乾ルカ、澤田瞳子、大森兄弟、吉田篤弘による「螺旋プロジェクト」の単行本第1弾。平成の暗部を浮き彫りにする。中央公論新社1600円※『anan』2019年4月3日号より。写真・土佐麻理子(朝井さん)中島慶子(本)インタビュー、文・瀧井朝世(by anan編集部)
2019年03月29日阿川せんりさんの『厭世マニュアル』は、殻に閉じこもっていたヒロインが周囲の人と関わることで“ありのままの自分”を肯定できるようになる物語だ。安易な成長を描かない作風でデビュー時から注目を集めたが、最新刊『ウチらは悪くないのです。』もまた、何者かにならなきゃいけない、恋愛くらいしなくちゃいけない、とがんじがらめになっている人にエールを贈るような一冊だ。熱血じゃない青春だって楽しいんだ。元気になれるアンチ青春ストーリー。「小説やマンガでは、自分には何もないと悩む主人公が夢中になれる何かに出合って成長する物語が王道。でも、私の中には『もし何にも出合えなかったらどうするんだい?』という素朴な疑問があります」主人公は、これといった趣味や特技がない〈あさくら〉。美人なのにおしゃれや恋愛には興味なし。彼女の楽しみといえば、昔からの友人である〈うえぴ〉と、スタバでおしゃべりすることくらい。大学2年の選択必修科目のクラスで〈あさくら〉に話しかけてきた〈さわみー〉のお節介で、一度会っただけの〈にさか君〉とつきあうことになるのだが…。一見そつがなく思える〈さわみー〉や〈にさか君〉も、実は不器用な人。〈あさくら〉や〈うえぴ〉との意外な接点も見つかり、彼女たちのこじれた青春が笑いと涙を誘う。「大人になってから『学生時代に、もっと青春しておけばよかった』と言う人がいるけれど、そんなふうに記憶を上書きする必要はあるのかなと。友人と一緒だった他愛ない時間とかが『それなりに楽しかった』なら思い出上等。そんな青春があってもいいじゃないかと思うんです」ちなみに、小説家志望で文芸サークル所属、コツコツ作品を書き続けている〈うえぴ〉は、阿川さんの青春と大いに重なる存在だとか。「〈コシミズ〉のように批判してくる人もいたけれど、私の作品を『好きだ』と言ってくれる人もいました。あのころ、その言葉をもっと素直に信じればよかったなと。なので、〈うえぴ〉には、信じてがんばってもらおうと思いました」阿川さんの描く人物はみな、少しやっかいな人たちに見えるが、「個人的には、すごく変わった人たちだとは思っていません。このぐらいのめんどうくささを抱えているのが普通だし、よくいる人たちの物語を素直に書いたらこうなった、という感じですね(笑)」あがわ・せんり1988年、北海道生まれ。作家。’15年、野性時代フロンティア文学賞を受賞した『厭世マニュアル』でデビュー。『森見登美彦リクエスト! 美女と竹林のアンソロジー』(光文社)にも寄稿。『ウチらは悪くないのです。』小説家志望の親友〈うえぴ〉とスタバで話すのが楽しみな〈あさくら〉。ある日、〈さわみー〉からボランティアサークルに勧誘され…。新潮社1450円※『anan』2019年3月27日号より。写真・土佐麻理子(阿川さん)中島慶子(本)インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2019年03月26日出会った女性がネタの源という横澤夏子さんが、街で見つけたいい女を実演。今回は、自分の感情をコントロールできる「ぐっとこらえる女」になりきり。気持ちのままに動くのは赤ちゃんと同じです!このあいだ、「いやでも、いや、だから、それは、……ごめんなさい」と言っている女性を見かけて、“今、この人、ぐっとこらえたな”“大人だな”と思いました。生きていると、日々、我慢するシーンはたくさんあるけれど、“ぐっとこらえる”レベルの出来事ってあんまりないですよね。きっと、そうして耐えた経験って、一生忘れないと思うんです。もちろん、自分の気持ちを我慢しすぎるのはよくないし、言いたいことを言うのは正しいとは思います。でも、“言わないほうがよかったな…”と後悔することって、大人になるとよくあるじゃないですか。実際、私は怒ったら怒りっぱなし、悲しかったら泣きっぱなしというタイプですが、それって赤ちゃんと同じだと思うし、反省することも多い。だからこそ、ぐっとこらえる姿勢は大人として必要なことだと思うし、自分の感情をコントロールできている人を見ると、一歩先を行っている感じがして憧れます。それに、のど元まで出かけた言葉をこらえることで、周りにも“我慢したな”ということが伝わり、“大人だな”と思ってもらえるメリットもありますよね。まずは、『下町ロケット』をはじめとする池井戸潤さんが原作のドラマ作品を見て、ぐっとこらえる方法を研究するとよさそうです。特に、『半沢直樹』で香川照之さんの握り拳がズームアップされているシーンは参考になるのではないでしょうか。そして、実践をするなら初めは家族を相手に練習をするのがいいかもしれません。普段、何でも言い合っている相手だからこそ、ぐっとこらえると“今日は、言い返してこないわね”と、すぐに変化に気づいてもらえるはず。無理はせず、“ぐっとこらえるゲーム”をやっているくらいの気持ちで、挑戦してみましょう!よこさわ・なつこ芸人。『バイキング』(フジテレビ系)や『王様のブランチ』(TBS系)など、数多くのバラエティ番組にレギュラー出演している。著書『追い込み婚のすべて』(光文社)が発売中。※『anan』2019年3月27日号より。写真・中島慶子イラスト・別府麻衣文・重信 綾(by anan編集部)
2019年03月26日アイドルグループ・Sexy Zoneの中島健人が26日、都内で行われたディズニー公式エンターテイメントサービス「Disney DELUXE(ディズニーデラックス)」初オリジナル番組『Disney イッツ・ア・クイズワールド』の配信開始記念イベントに登場。「ミッキーっぽくないですか?」と水玉衣装でディズニー愛を表現した。本日26日よりサービス提供開始となった「Disney DELUXE」は、ディズニー、ピクサー、スター・ウォーズ、マーベルの映画・動画が見放題のディズニー公式エンターテイメントサービス。同サービス初のオリジナル番組となる『Disney イッツ・ア・クイズワールド』で、中島が単独での初MCに挑戦する。中島は「ミッキー、ミニー、ケンティです!」と笑顔であいさつし、「小さい頃からディズニーをずっと好きだったので、そのディズニーの番組のMCと聞いたときは、光栄でしたし、ぜひ挑戦させていただきたいという気持ちであふれました」とにっこり。「お父さんに報告したら割りばしを渡されて、『きょうからずっと口に入れて口角を上げる練習をしろ』と言われました。パパティから!」と父親からのアドバイスを明かした。初回の収録を終え、「とても緊張しました。MCの立ち位置に立ってみると、自分って人の話を聞くのすごい好きだなと思って、意外と自分っておしゃべりなのかもしれないって思うこともあって、新発見がありました」とのこと。「グループの中ではいつも爽やかに風を浴びているキャラなので、今回はそれが追い風となって、逆に風を吹かせてみなさまにいい風が与えられるように頑張っています」とさわやかに語った。さらに、「赤ちゃんの頃からディズニーのおもちゃと触れ合っている。特に好きだったのが『トイ・ストーリー』のウッディ。僕も本当に動くんじゃないかと思っていて、夜におもちゃの前で寝たふりしました」と微笑ましい子供の頃の思い出を明かし、「想像力をかきたててくれたディズニーの仲間たちには感謝しています。本当に好きでしたね」とディズニー愛を炸裂。さらに、「今日の衣装もミッキーっぽくないですか? ミッキーを意識しているような…あんまり水玉って着ないんですよ」とアピールした。『Disney イッツ・ア・クイズワールド』は、世界のディズニーリゾートのアトラクションやショー、フードの知られざるストーリーを紹介する番組。中島は、20年くらい前に家族でアメリカ・カリフォルニア州アナハイムにあるディズニーランド・リゾートに遊びに行ったことがあるそう。だが、「ミッキーに興奮してめっちゃ高熱出て、半日ホテルで寝ることになって」と打ち明け、「リベンジで行けないかと。『Disney イッツ・ア・クイズワールド』でアナハイムのディズニーリゾートに行けないかなと思っています」と期待した。
2019年03月26日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「新聞読者減少」です。進むウェブ移行。海外への発信を期待したい。毎年10月に日本新聞協会は新聞の発行部数を発表しています。2018年は約3990万部で、前年よりも約223万部減り、14年連続の減少となりました。電子版の契約者数を公表している大手新聞社は2社のみで、全体でどのくらいウェブに移行したのかは不明ですが、日経新聞電子版の有料会員数は昨年60万人を超えました。紙の新聞はコンパクトにまとまっていて、情報を端的に得るのには便利です。ただ、紙面が限られているため情報量は少なく、深く知りたい場合は電子版のほうが適しています。読者が減ることで新聞が衰退すると、ジャーナリズムの力が弱まるのではと懸念する声も。なぜなら紙と電子版では広告料金に大きな差があり、それが取材者の原稿料にも反映し、ウェブは紙の1/3~1/4とか。その結果、深く掘り下げた取材ができず、情報の質や多様性に影響を与えるのではというのです。そんななか、ニューヨーク・タイムズでは、数年前に購読料収入が広告収入を上回ったことがあります。デジタルプロパーを経営陣に入れ、大規模な経営改革をしたからです。電子版なら世界で読まれます。英語ということもありますが、ニューヨーク・タイムズもウォール・ストリート・ジャーナルもワシントン・ポストもローカルメディアにもかかわらず、世界中で読まれています。これは、記者が世界中の読者に向けて記事を書いているからです。日本の新聞をそのまま英訳しても、日本国内の読者を対象に取材・執筆しているため、海外の人は関心を示しません。新聞に限らず放送も含めて、日本のメディアはグローバル化が必要だと思います。ジャーナリズムとして生き残り、自分たちの言論で世界を変えたいのなら、海外と日本をシームレスにつなぐ、そんな目線をもった取材者の育成が急務なのではないでしょうか。多言語化対応も必須です。ロイター、AP、AFPなどの通信社やCNN、BBCなどの放送局は既に日本語でも発信しています。それらのニュースが日本に関係ないかというと、そんなことはありません。世界の政治や経済、最新科学の情報も、将来の私たちの生活に関わってくる大事な事柄なんです。ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2019年3月27日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2019年03月25日『北北西に曇と往け』の舞台、アイスランドは、入江亜季さんがマンガ家になって初めてまとまった休みを取った際、旅した場所だった。イケメン×北欧アイスランド。見たことのない探偵活劇!「アイスランドの自然と、生活と、車が描きたくて始めた物語です。アイスランドでは、森林限界に近い厳しい環境で、わずかに許された生き物の領域を大切に、人間が生きています。人間にとって車は自身の一部のように大切な道具であり、厳しい環境から生命を守るシェルターでもあります。また運転免許を取ったばかりでもあったので、車は絶対に描きたいモチーフでした」17歳の御山慧(みやまけい)は両親を事故で失い、アイスランドで暮らす祖父の家に居候しながら、愛車ジムニーを駆って探偵の仕事で日銭を稼いでいる。「慧については、格好いいってなんだろうと考えました。他人や社会のために力を尽くすこと、もうひとつは自分の腕で生きていくことなのかなと。慎重で疑り深い一方で、人の善良さを愛しているところが、慧の魅力だと感じています」彼を慕ってやまない弟の三知嵩(みちたか)は日本に住んでいて、一見無邪気そうだけど謎に満ちた存在。ある日突然、音信不通になってしまうあたりからサスペンス色が強まっていく。「マンガは笑えたほうがいいと思っていたので、笑顔が減るリスクにドキドキしながらサスペンスに挑戦しています。アイスランドの人々の優しさを知る一方で、町の外の風吹き荒れる荒野や、簡単に凍死してしまう冷たさを思うと、この緊張感はふさわしいような気がしています」冒険要素も多分にあり、ちょっと特殊な能力を持っているという慧の設定にはSF的雰囲気も。ジャンル分けが難しいところはいかにも今っぽいが、読んで心が躍るというマンガの純粋な楽しみ方を思い出させてくれる力強さがこの作品にはある。「旅をすることは外界の知恵や価値観を得ること、それが個人の心の世界を広げることにつながると思っています。仮想の旅ができることは、マンガという“やさしい”読み物の役割のひとつでもあると信じています。登場人物同士がぶつかったとき、何が起こるかが肝。これからも変化の多い作品にしていくつもりです」『北北西に曇と往け』3クールな慧のイケメンっぷりは眼福!タイトルは彼の人生を思って名付けたそう。最新刊では、人捜しの依頼で訪れたセーフハウスで慧の記憶が蘇る…。KADOKAWA620円©入江亜季/KADOKAWAいりえ・あきマンガ家。2002年デビュー。’06年、個人誌の作品をまとめた『コダマの谷』を刊行。’08年より連載を開始した初の長編『乱と灰色の世界』は7年にわたり続いた。※『anan』2019年3月27日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・兵藤育子(by anan編集部)
2019年03月20日