医療保険を含め、生命保険に加入するには、保険契約者、被保険者、保険金受取人といった三者を決定しなければなりません。この三者間の関係は、将来受け取る保険金と税金に直接大きな影響を与えることになるため、安易に決定するのは厳禁です。本記事では、保険契約者、被保険者、保険金受取人の三者間と税金の関係性のほか、医療保険の保険金受取人を決める上で押さえておきたいポイントについて紹介していきます。保険契約者・被保険者・保険金受取人とは上記図は損害保険の解説となりますが、医療保険の保険金は、そもそも病気やケガなどが原因で保険金が支払われるものであるため、いわゆる身体の傷害や疾病を原因として保険金を受け取ることに変わりありません。そのため、医療保険の保険金に対して原則として税金がかかることはなく、保険金受取人が税金の心配をする必要はないことになります。医療保険の契約において、保険金受取人が異なる場合たとえば、医療保険の契約において、保険契約者と被保険者が夫で保険金受取人が妻のように、保険金受取人だけが異なる場合、保険金を受け取った妻は税金がかかることになるのでしょうか?上記図の解説より、本来ならば、保険契約者と被保険者が同一人(今回は夫)で保険金受取人(今回は妻)のように、保険金受取人のみが異なる場合は、原則として贈与税や相続税の課税対象になります。ただし、ケガや病気などによるものは除かれると記載されていることから、医療保険の場合は税金がかかることはありません。医療保険と保険契約者、被保険者、保険金受取人の三者間と税金の関係性これまでの解説より、医療保険と保険契約者、被保険者、保険金受取人の三者間と税金の関係性をまとめます。基本的に医療保険の保険金は、病気やケガが原因で保険金が支払われる性質の生命保険であることから、受け取った保険金に対して税金がかかることはありません。ただし、受け取った医療保険の保険金であったとしても、例外的に税金がかかる対象となる場合があるため、次項からは参考情報として例外パターンについて解説を進めていきます。[adsense_middle]医療保険の保険金に対して相続税がかかる対象となる場合について医療保険の保険金は基本的に税金がかかることはありませんが、例外として、病気やケガで入院していた場合で療養中に死亡してしまった場合、医療保険の保険金が相続税の課税対象になってしまいます。なお、具体的な一例として、以下のような医療保険の契約をしていた場合になります。本来ならば、医療保険に加入している本人が退院した後に保険金を請求して保険金を受け取る流れになりますが、本人が死亡した場合、遺族が本人の保険金を請求する権利について承継(相続)することになります。実務的に考えると、極度に心配をする必要はない医療保険の保険金は、例外として療養中に死亡してしまった場合、医療保険の保険金が相続税の課税対象になってしまいますが、実務的に考えると極度に心配をする必要はありません。この理由は、入院や手術などによって生じた医療費で、本来ならば死亡した本人が支払わなければならない未払いの医療費も遺族が承継(相続)しなければならず、結果として、受け取った医療保険金と未払い医療費が相殺されるからです。将来、相続税が発生する可能性がある場合は、保険金受取人の確認や対策を相続税はすべての人に対して課税される税金ではなく、あくまでも死亡した人の財産を承継(相続)した場合において、一定の計算式などにあてはめて計算した結果に基づいて納税義務の有無が確定します。そのため、数千万円単位における財産がある場合などで相続税が発生する可能性や懸念がある場合は、医療保険や死亡保険といった各種保険契約も含めて、相続税の対策や確認を早い内から行っておくことが望ましいと言えます。医療保険の受取人に関するまとめ医療保険の保険金は、保険金受取人が本人や本人以外であったとしても基本的に税金がかかりません。例外として相続税の課税対象になる場合もあるものの、未払い医療費との相殺によって、この部分だけを切り取って考えますと、さほど大きな影響を与えることもありません。ただし、本記事は医療保険に特化した解説となるため、他の生命保険の場合、三者間と税金の関係を考慮するのが重要なのは言うまでもないでしょう。
2019年06月25日医療保険は、公的医療保険と民間医療保険の2種類があり、いずれの保険料を支払った場合も、所得税や住民税の負担額を軽減する所得控除の対象になります。ただし、実際に負担した公的医療保険料と民間医療保険料では、適用となる所得控除の種類が異なるほか、税額を軽減する効果も大きく異なります。そこで本記事では、2つの医療保険にかかる所得控除と知っておきたいポイントについて紹介していきます。医療保険と所得控除の基本ポイント保険会社を問わず、上記図のように適用制度が新制度なのか旧制度なのか記載されているため、そちらを見ることでどちらの制度なのか簡単に確認することができます。新制度と旧制度のいずれの契約もある場合は、シミュレーターの活用がおすすめ生命保険料控除について、新制度と旧制度のいずれの生命保険にも加入している場合は、適用の仕方によっては税負担を少なく抑えられる場合があることをお伝えしました。しかしながら、そのような専門的なことはよくわからないといった方も多いと思いますので、保険会社が無料で提供している生命保険料控除のシミュレーターを使ってみるのも良いでしょう。参考までに、以下、第一生命が無料提供している計算ツールとなります。医療保険と関係の深い医療費控除について医療保険に加入している状態で、病気やケガで入院した場合など、保険金の支払事由に該当する場合は、保険会社から保険金を受け取ることができます。この時、医療保険と関係の深い所得控除として、これまで解説した生命保険料控除のほかに、医療費控除が挙げられます。医療保険に関わる控除についてのまとめ医療保険に関係する控除には、生命保険料控除と医療費控除があります。保障内容や保険料といった目に見える部分だけではなく、いずれの控除も考慮しておくことがとても大切です。
2019年06月21日本記事では、投資信託の税金について解説します。税金と聞くと難しい印象をいだきます。ですが、ポイントを抑えればとても簡単です。また、税金がかからないようして、より有利に資産運用を行う方法についても紹介します。本記事では初心者の方にわかりやすいように、極力簡単な表現でお伝えしていきます。投資信託の収益にかかる税金はいくら?まずは、投資信託の税金の基本からです。税金は投資信託から生じる「利益」に対して20.315%かかります。別の言い方にしますと、損をしたときには税金がからない、ということです。税金は基本的に、投資信託で利益が出たときに20.315%かかる。税金がかかる投資信託の利益ってなに?2種類の利益【譲渡益(キャピタルゲイン)と分配金(インカムゲイン)】その投資信託から生じる利益は、大きく二種類に分けられます。投資信託を売って儲かった時投資信託を持っていて普通分配金が入ってきた時少し詳しく見てみましょう。①投資信託を売って儲かるとは?投資信託のキャピタルゲイン(売却差益)に税金がかかる例えば、ある投資信託を1万円で買って、1.5万円に値上がりした時に売ったとします(手数料無視)。このように「安く買って、高く売る」と売却差益が生じます。※図表は筆者作成この場合は、五千円が売却差益、つまり利益です。そのため、この五千円に20.315%の税金がかかります。この売却差益のことをキャピタルゲインや譲渡益とも呼ぶこともあります。先に触れましたが、損をしたときには税金は発生しません。つまり、「高く買って、安く売った」時には税金が発生しません。投資信託を買った時よりも高い値段で売ると、売却差益が生じる。これは利益なので税金が20.315%かかる。②持っていて分配金が入ってきた時とは?インカムゲイン(分配金)に税金がかかる投資信託によっては、分配金が出るものがあります。利益としての普通分配金に対しては、税金がやはり20.315%かかります。この普通分配金のように、持っている間に入ってくる利益をインカムゲインと呼ぶこともあります。投資信託の普通分配金は利益なので税金が20.315%かかる。投資信託から出るお金であっても税金がかからない特別分配金(元本払戻金)とは?ちなみに、投資信託の分配金には特別分配金(元本払戻金)というのもありますが、こちらには税金がかかりません。それは、特別分配金(元本払戻金)とは利益ではないからです。自分の出したお金が返ってくるだけです。そのため税金はかかりません。ただ、持っている間にかかるお金(信託報酬)が発生しているので、実質的にはお金が減っていることになり、運用上は困った存在だと考えられます。図はタコが自分の足を食べて、次第に体が小さくなるイメージです。正式な用語ではありませんが、特別分配金(元本払戻金)はタコ足配当などとも呼ばれます。しばしば「分配金が多い方がお得だろう・毎月または隔月などで分配金が出る方がお得な気がする」というのは、単純に誤解です。なぜそうなのか?につきましては、以下の記事に詳しく解説がしてあります。ご興味のある方はご覧いただければ幸いです。投資信託の特別分配金(元本払戻金)は利益ではないので税金はかからない投資信託にかかる税金の計算式は?どうやって出すの?おさらいです。税金は利益に対して20.315%かかります。ですから、税金を求める基本的な計算式は「利益×20.315%=税金」です。でも、これだけだとちょっと具体的な金額がイメージしにくいですね。一例を交えながら見てみましょう。利益×20.315%=税金投資信託にかかる税金の計算式一例売却差益の場合例えば、投資信託の売却差益が百万円だったとします。この場合の税金はいくらでしょうか?百万円の利益×20.315%=20万3150円つまり、投資信託で百万円の売却差益が出た場合は、20万3150円を税金として納めることになります。普通分配金の場合普通分配金が十万円出たとします。この場合の税金はいくらでしょうか?十万円の利益×20.315%=およそ2万315円となります。つまり、投資信託で十万円の普通分配金が出た場合は、およそ2万315円を税金として納めることになります。あれ?投資信託の収益にかかる税金っていつ引かれているの?とはいえ、投資信託で資産運用をされている方のほとんどは「税金を支払った感覚がない」のではないでしょうか。じつは、証券会社などに投資用の口座を開いた際に、「特定口座源泉徴収あり」を選択しておくと、納税・確定申告を証券会社側が自動的に行ってくれます。源泉徴収とは?:さっくり言うと、「税金を天引きします」ということです。そのため「税金を支払った感覚がない」かと思います。特定口座・一般口座、源泉徴収あり・なしとかって何のこと?証券会社などで口座を開く際に、選択肢は基本的に三つあります。特定口座(源泉徴収あり)特定口座(源泉徴収なし)一般口座一般的には1の特定口座(源泉徴収あり)を選択することが多いかと思います。1の特定口座(源泉徴収あり)を選択すると、基本的に投資家は何もしなくてもかまいません。上記3種類以外にも、iDeCo(イデコ)やつみたてニーサの口座があります。後述します。投資信託の収益にかかる税金、年間ではいくら?40年間やったらどうなる?一例を交えて考察それでは、より具体的に1年間や長期分散投資で40年間など投資をしたら、どのくらいの税金がかかるのか、見てみましょう。投資資金1千万円、平均リターン5%の投資信託の場合、1年間でいくら税金がかかるのか?仮に投資資金1千万円で投資信託を購入し、平均利益が5%だったとします。現実には価格が変動しますが、解説のため、簡略化しています。この場合の税金はいくらでしょうか?(手数料無視)1千万円×5%の利益=50万円の利益50万円の利益×20.315%の税率=10万1575円が税金中々大きな金額です。仮に40年間行ったら、投資信託での税金はいくらかかるのか?上記の条件で、仮に40年間続いた場合の税金は合計でいくらでしょうか?年間で10万1575円の税金×40年間=406万3000円の税金となり、非常に大きな額となります。投資信託に税金がかからないようにする方法できれば、上記のような高額の税金がかからない方が嬉しいのが心情です。現在では、特定口座・一般口座以外にも、税制上優遇されているiDeCo(イデコ)やつみたてニーサの口座などがあります。特に、iDeCo(イデコ)では、利益に対してかかる税金以外にも、所得税控除というものがあり、現状での口座の中では最も節税効果が高いと考えられます。iDeCo(イデコ)と節税に関してご興味のある方は、下記の関連記事をご覧いただければ幸いです。投資信託の利益から収めた税金はどこへ向かう?どうしても効率的な資産運用を考えた場合には、税金が少し邪魔な存在となりがちです。そのため本記事では、税金について、ネガティブな意見が主体となってしまいました。ただ、税金は富の再分配の仕組みとしては必要な存在です。投資で大きく利益を得た人は、より多くの税金を支払います。そしてそのお金は社会に還元されます。誰でも、橋や道路・トンネルを無料で利用できますし。警察や消防も無料で利用できます。学校や病院だって税金で建てられているものがあります。誰しも税金の恩恵を受けています。投資信託の利益にかかる税金の中身は?所得税と住民税と復興特別所得税税金とは、いわばこの社会の利用料金のようなものかもしれません。前述のように投資信託からの利益には20.315%がかかります。その内訳は次のようになっています。投資信託の利益での税金には、復興特別所得税も入っている2011年3月11日に発生した東日本大震災からの復興には膨大なお金がかかります。そのため、現在では、復興特別所得税というものが、投資信託の利益にもかかります。資産運用とは直接的には関係はありませんが、投資で利益を得て、税金を納めるという意義を考えると、投資というものがまた少し違う見方もできるかもしれません。投資信託と税金まとめ投資信託の利益に対する税金は基本的に20.315%がかかる効率の良い投資を考える場合は、税制上優遇されているiDeCo(イデコ)やつみたてニーサを優先的に使う方が良い税金は社会の役に立つものだし、投資家にとっては利益が出ている状態なので基本的に良い本記事では、投資信託にかかる税金について考察しました。長期での資産形成では、いかに税金を非課税にし、そのお金を再投資に回せるかということも重要なポイントです。本記事が皆様の資産運用の一助になれば幸いです。
2019年05月07日日本という国に住んでいる以上、税金から逃れることはできません。ただ、きちんとした手順を踏めば、ある程度減額したり、取り戻したりすることが可能です。そこで今回は、資産運用・トレーディングのプロである山田良政さんに“申告することで税金が戻ってくる制度”をご紹介いただきます。文・山田良政医療費控除で最高200万円まで控除できるもし、あなたが頻繁に病院を利用しているなら、“医療費控除”を見てみましょう。この医療費控除は、年間の医療費が10万円を超えた場合、納めた税金の一部が戻ってくるというものです。こちらは5年前まで遡って申請できるので、過去の支出をチェックするのもいいでしょう。ただし、あくまでも“1年間の医療費が10万円を超えた場合”のみで、過去5年間の医療費を合算することはできませんのでご注意を。セルフメディケーション税制の活用で8万8千円が控除される平成29年より“セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)”が開始されました。これは、ドラッグストアで購入できる“スイッチOTC医薬品”という医薬品を購入した際に、その購入費用を1年間の所得から控除し、所得税を減額できる制度です。こちらは、支出が1万2千円以上の場合適応され、最高8万8千円まで控除できます。ただし、上記の医療費控除とセルフメディケーション税制は、どちらか1つしか適応されないので注意してください。寄付金控除は確定申告のタイミングに気をつけて「病院もドラッグストアも行かないから、所得税は減らないかな……」思われた方。“ふるさと納税”はご存知でしょうか? 実はふるさと納税も、“寄付金控除”という、所得税を減額できる制度のひとつなのです。寄付金控除は、読んで字のごとく、国や地方自治体、“特定公益増進法人”と呼ばれる法人などに対して寄付を行った際、所得控除を受けることができる制度です。ふるさと納税の場合は、“地方自治体への寄付”という形になります。また、寄付金控除を受ける場合は、年末に会社で行われる年末調整とは別に、“2/16~3/15”の間に確定申告をする必要があります。この確定申告は、税務署に行かずにパソコンで申告することが可能です。ただし、申請したデータを5年間は保存しておく必要があります。特定支出控除は条件が厳しく難しい最後にご紹介するのは、“特定支出控除”という制度。これは、“特定支出”と呼ばれる、会社から支給されない通勤費や、転勤にともなう引っ越し費用、資格取得費などを、所得からの控除できる制度です。しかし、控除される金額の条件が非常に厳しく(年収300万円の場合は、年間54万円以上特定支出に使用したときのみ控除の対象になるなど)、給与の支払者の証明書なども必要なので、手続きが大変です。交通費や資格取得費が会社から支給されず、特定支出額が非常に多くなっている場合は、検討してみるといいかもしれません。以上、“申告することで税金が戻ってくる制度”をお送りしました。控除を受けるには煩雑な手続が必要ですが、お金が戻ってきたときの喜びはひとしおです。参考にしてみてくださいね。-山田良政-株式会社オフィサム代表取締役。FXによる資産運用を自動化させた第一人者。自身が開発したFX自動売買システムが、2013年度に「世界一の評価」を獲得。誰でも気軽に資産が増やせる「自動取引システムによる資産運用」を提案し、その分かりやすい切り口はマネーに関するプロ達だけでなく女性からの支持も多い。「億を稼ぐ」ために必要な思考が綴られたインタビュー本『億トレⅡ』『億トレⅢ』も大好評。『月間BIG tomorrow』でも執筆中。・株式会社オフィサム © Stock-Asso /shutterstock© Sushitsky Sergey /shutterstock© Watchara Ritjan /shutterstock© OPOLJA /shutterstock
2019年03月23日会社に勤めているとなかなか気にする機会がないかもしれませんが、働いていれば、税金は確実に払わなければならず、その金額は意外と大きいのです。何とかして税金対策することはできないものでしょうか。そこで今回は“ずぼらOLでもできる節税対策”を資産運用・トレーディングのプロである山田良政さんにご紹介いただきます。文・山田良政■1:親族を扶養に入れる扶養控除とは、扶養している人数に応じて課税所得から一定金額を控除できる制度です。同居していないと扶養には入れられないと思いきや、6親等内の血族と3親等内の姻族であれば一緒に暮らしていない人も扶養に入れることができます。つまり、あなたのいとこの子どもや、祖父母の兄弟すら扶養に入れることができるということですね。そのため、あえて親族を自分の扶養に入れて、多くの税金控除を受けている人もいるほど。あなたが本気で税金対策をしたいのであれば、親族と相談してみるのもアリかもしれません。■2:ふるさと納税による税金対策話題の“ふるさと納税”。これは、本人の所得税率によって節約できる金額が少し変わります。この金額はネットやアプリで調べてシュミレーションすることが可能です。次に、納税したい自治体を決めます。ちなみに、さとふる・楽天市場・ふるさとチョイス、などのサイトに各自治体の返礼品がまとめて掲載されています。納税完了後、各自治体より返礼品が届きます。このとき、ふるさと納税の証明書も送付されます。その証明書をもって税務署へ行き、確定申告することで、今納めている所得税や住民税が還付控除されるのです。多少面倒ですが、税金対策ついでに好きな返礼品を手に入れることができるお得な制度です。ぜひ一度試してみてはいかがでしょうか。■おまけ:不動産投資による節税本業のかたわら、不動産投資している方は、給与所得にかかる税金を減らすことができる可能性があります。不動産にかかる経費が家賃収入を上回って赤字になってしまった場合、この赤字部分を確定申告することで所得税を減らすことができるのです。はじめは面倒に感じる確定申告ですが、場合によっては数十万円以上も節税できる可能性もあります。いかがでしたか。少しハードルが高いと感じるものもあったかもしれませんが、あなたが一生懸命働いて稼いだお金を少しでも手元に残しておくためにも、チャレンジしてみてもいいかもしれません。© oliveromg / shutterstock© baranq / shutterstock© Maridav / shutterstock
2019年02月16日株を売って利益がでたり、配当金をもらったりした場合は、「税金」がかかります。そして、確定申告をして税金を支払う必要があります。確定申告と聞くと「大変そう」「やり方がわからない」という方も多いと思います。しかし、制度をうまく使えば確定申告が不要になり、余分な税金を払わないで済むようになります。この記事では、株式の税金について詳しく解説していきます。まずは、税金の種類から見ていきましょう。株式投資の税金は「譲渡益課税」「配当課税」の2種類金融庁5年間の非課税期間が終了した場合は、翌年の非課税投資枠に移す(ロールオーバー)課税口座(特定口座、一般口座)に移す売却するという3通りの手段を選択できます。NISA(ニーサ)具体例を見てみましょうNISA口座で120万円分の株式を購入して、値上がりにより150万円になった時点で売却した場合。NISA(ニーサ)口座の場合売却益:150万円―120万円=30万円税金がかからず、売却益の30万円が全額もらえます。NISA(ニーサ)以外(特定口座・一般口座)税金:(150万円―120万円)×20.315%=60,945円売却益:30万円―税金60945円=239,055円差額は税金分の60,945円となります。利益の額が多くなればなるほど、差額は大きくなります。NISA(ニーサ)の注意点口座開設NISAは1人1口座なので、複数の証券会社でNISA口座を開設することはできません。ただし、変更は可能です。その場合は、変更しようとする年の9月までに、金融機関で変更の手続きをする必要があります。配当金の非課税枠配当金は「株式数比例配分方式」を選択している場合のみ、非課税になります。損益通算できないNISA口座で保有している株式が値下がりして売却して損失がでても、他の口座(特定口座や一般口座)との損益通算はできません。株式投資の税金に関するまとめ株式投資の利益には「譲渡益課税」と「配当課税」の2種類があり、確定申告の必要があります。ただ、「特定口座・源泉徴収あり」を使えば確定申告の必要がなくなりますし、「NISA口座」を使えば、年間120万円までの投資額の利益に対して税金がかかりません。お得な制度や税金について基本的な知識を身につけて、賢く節税するようにしましょう。
2019年01月20日生命保険で受け取る保険金にも税金がかかる場合があることをご存じですか?生命保険の保険金にかかる税金は、誰が契約をして誰が受け取るのかでその種類が変わってきます。残された家族に税金の心配をさせないためにも、契約時にしっかり準備しておく必要がありますね。さっそく、生命保険と税金の話をみていきましょう。まずは、生命保険で受け取る保険金と税金の対象を確認しよう!生命保険に加入していると病気やケガや死亡の際に保険金が支払われ、ご自身と家族の生活を守ってくれます。万一の時に安心できますが、保険金を受け取る際には税金がかかる場合があります。これから生命保険で受け取る保険金と税金の対象となる保険金をご紹介します。生命保険で保険金を受け取るパターンは5つ生命保険で保険金を受け取る場合は大きく分けて5パターンあります。病気やケガで治療した死亡した余命6ヵ月と診断された満期保険金のを受け取った個人年金保険の年金を受け取った1. 病気やケガで治療した病気やケガで治療した時に受け取る保険金には、入院/手術/通院給付金、身体障害/介護状態になった時の給付金、特定損傷/特定疾病、先進医療給付金などがあります。こちらは医療保険や介護保険、傷害保険、その他の特約を付加している際に支払われる保険金です。2. 死亡した死亡した際に受け取る保険金には、死亡保険金、災害死亡保険金があります。死亡保険金は家族に万が一のことがあった場合に支払われます。3. 余命6ヵ月と診断された余命6ヵ月と診断された時に受け取る保険金は、リビング・ニーズ特約による生前給付金です。リビング・ニーズ特約とは、「余命6ヵ月以内と診断された場合に、死亡保険金の一部または全部を生前に受け取れる」生命保険に追加できる特約です。4. 5. 満期保険金と個人年金保険の年金満期保険金と個人年金保険の年金も生命保険で受け取る保険金です。これらは病気やケガや死亡で受け取る保険金にくらべて保障としての意味合いが弱く、貯蓄性の高い商品です。前項の5つのパターンの内、税金の対象となる保険金は3つ生命保険で税金がかかる場合は、前項の「2. 死亡に関する保険金」と「4. 満期保険金」と「5. 個人年金保険の年金」です。「1. 病気やケガで治療した」には税金がかかりません。個人が生命保険から受け取るこれらの保険金は非課税です(所得税法施行令第30条第1号)。以下は、具体的に非課税となる生命保険保険金(給付金)の種類です。出典:生命保険文化センターまた、「3. 余命6ヵ月と診断された」リビング・ニーズ特約に基づく生前給付金も非課税所得にあたるので税金はかかりません。リビング・ニーズ特約による生前給付金は、死亡保険金の前払的な性格を有していますが、被保険者の余命が6か月以内と判断されたことを支払事由としており、死亡を支払事由とするものではないことからすれば、重度の疾病に基因して支払われる保険金に該当するものと認められます。疾病により重度障害の状態になったことなどに基因して支払われる保険金は、所得税法施行令第30条第1号《非課税とされる保険金、損害賠償金等》に掲げる「身体の傷害に基因して支払われる」保険金に該当するものと取り扱っており(所得税基本通達9-21)、その保険金は非課税所得となります。出典:国税庁HPリビング・ニーズ特約に基づく生前給付金生命保険で税金がかかる場合は「死亡に関する保険金」と「満期保険金」と「個人年金保険の年金」ですが、今回はその中で「死亡保険金」に焦点をあてて話を進めていきます。生命保険の死亡保険金の受け取りで発生する税金の種類は?生命保険の死亡保険金の受け取りで発生する税金は3つあります。所得税:個人の所得に対して課税される税金贈与税:個人から財産をもらった時に課税される税金相続税:亡くなった人から各相続人などが相続や遺贈などにより取得した財産の価額の合計額が基礎控除額を超える場合に課税これらの中で最も高い税率は贈与税です。贈与税の税率は贈与額が3,000万円を超えると55%の税率です。所得税は所得によって決まりますが、年収600万円の方で20%の税率です。相続税は法定相続分5,000万円以下で20%の税率です。ですから、生命保険の保険金が贈与税にあたる契約は高額な税金を支払う場合があるので注意した方がいいと考えられます。契約者、被保険者、受取人によって変わる税金生命保険の死亡保険金を受け取る際には、所得税/贈与税/相続税のいずれかが課税されますが、誰が保険の契約者なのか?誰が受け取るのか?によって課税される税金が異なります。これから生命保険にかかる税金がどのように決まるかご紹介します。生命保険契約の基礎生命保険には、契約者、被保険者、受取人がいます。契約者は生命保険を契約している人で保険料を支払っています。被保険者は生命保険の対象者で、万一のことがあった時に保障が用意されている人です。受取人は生命保険の保険金を実際に受け取る人です。ここでは契約者、被保険者、受取人にあたる人物を「夫」「妻」「子」で表します。今回ご紹介する死亡保険金の税金は、これらが誰なのかによって決定されます。死亡保険金の税金の種類以下が死亡保険金の契約者/被保険者/受取人と税金の種類です。契約者被保険者受取人税金の種類1夫妻夫所得税(一時所得として総合課税)2夫夫妻または子相続税3夫妻子贈与税前項でお伝えした通り、死亡保険金にかかる税金は所得税・相続税・贈与税の3種類です。死亡保険金に所得税が課税される場合は、上記表1です。妻が被保険者の保険金を夫が受け取るので所得とみなされます。死亡保険金に相続税が課税される場合は、上記表2です。夫の保険金を妻または子が相続するので相続とみなされます。死亡保険金に贈与税が課税される場合は、上記表3です。契約者と被保険者と受取人がすべて異なる場合は、贈与にあたります。契約者と被保険者と受取人はどう決めればいいの?生命保険では、誰にお金を残したいのかが重要です。まずはその部分をおさえ、その後に税金のことを考えます。死亡保険金には、死亡保険金の非課税金額(500万円×法定相続人の数)や、相続税の配偶者控除(1億6千万円までは非課税)などがあり、死亡保険金に関する税金はほとんど心配しなくていいです。ですから、まずは誰のためにお金を残したいのかを一番に考え、生命保険の契約を検討する際には「受取人」から決め、保険金受取時に高額な税率の贈与税になるのを避け、受け取る保険金が相続税にあたるように契約者と被保険者を同一にするといいのではないでしょうか。まとめこれまで「生命保険で受け取る保険金と税金」「契約者、被保険者、受取人によって変わる税金」をみてきました。万一の時の保険金にはほとんど税金の心配はありませんでした。そして、誰にいくら残すのか決める「受取人」が重要でした。残された家族に必要な保険金をできるだけ多く残せるようにしっかり考えて生命保険を契約してくださいね。
2019年01月08日この時期になると、毎年のように「年末調整」や「翌年分の扶養親族等の申告書」が当たり前に出てくるようになります。ここでは、同じように出てくる疑問として「扶養に関する4つの壁」があります。「扶養に関する4つの壁」とは、扶養配偶者や扶養親族として、世帯主の扶養(生計を維持してもらっている状態のこと)に入ることが出来る上限となる所得金額のことで、各種法令(後程解説します)で定められています。今回は、この「扶養に関する所得の壁」がどのようなものであるかを解説したうえで、どのような場合であれば、扶養から外れたほうが有利になるかについて説明します。扶養の所得の壁とは?扶養の所得の壁は、大きく分けると、所得税法によって規定されている「税法の所得の壁」と健康保険法などで規定されている「社会保険の所得の壁」に分かれます。それぞれの壁はそれぞれの趣旨をもって設定されている壁です。それぞれの壁の趣旨を理解したうえで、もっとも最適な働き方について考えていく必要があるといえます。「収入」と「所得」は全く別物扶養の壁を考えていくうえでは「収入」ではなく「所得」の金額が判断材料とされます。収入は「総支給額」を表しており、年収とは「1年間における収入の合計」となります。これに対して、所得とは「各種税金や社会保険料を差し引いた後の金額」を表します。そのため、収入と所得は全く別物であり、各種制度を受けられるかどうかの判断基準が所得金額を基準に行われているということです。このことを踏まえたうえで、実際に扶養制度における4つの壁とは何かを説明します。扶養制度における、具体的な4つの壁とは1. 103万円の壁この金額を超えてしまうと、配偶者控除(課税対象額から38万円を控除することが出来る所得控除のこと)の適用を受けることが出来なくなります。扶養親族である場合は、扶養控除(扶養親族1人当たり38万円から63万円までの範囲内で控除できる所得控除のこと)の適用が受けられなくなります。配偶者控除とは、配偶者に対する所得控除のことで「38万円」が控除されます。他の扶養親族に対する所得控除とは区別して、配偶者の扶養控除として所得控除の金額を計上しているものです。2. 106万円の壁(正式には105.6万円の壁)平成28年10月より、この金額(月額8.8万円)を超えると、厚生年金保険・健康保険などの社会保険に強制加入しなければなりません。3. 130万円の壁この金額を超えてしまうと、社会保険における扶養親族とはみなされなくなります。(つまり、自分で社会保険の保険料を納めなければならなくなるということです)4. 141万円の壁この金額を超えてしまうと、配偶者特別控除(配偶者の年間所得金額が「38万円超76万円以下」であるときに受けることが出来る所得控除のこと)も受けることが出来なくなり、配偶者に関する所得控除がなくなります。配偶者特別控除とは、配偶者の年間合計所得が38万円超76万円以下である場合、その配偶者の所得金額に応じて控除額が決められている所得控除です。具体的な控除額は配偶者の所得金額に応じて「38万円」から「2万円」と変化します。所得税法の規定の壁世間的にも最もなじみが深い「103万円の壁」は、所得税法上、所得税が課税されない上限額のことで、「給与所得控除額(最低65万円)」と「基礎控除額(38万円)」の合計金額が103万円となるから「103万円の壁」と呼ばれています。給与所得控除額とは、給料等の収入に係る所得税の計算をするうえで、所得金額を調整するために定められた控除額です。給与所得の収入金額の合計によって控除額が変化しますが、最低限度額が65万円とされています。基礎控除とは、所得税の計算上、課税対象とされた金額から控除することが出来る金額(これを「所得控除」といいます)の一つで、「38万円」が所得税の課税対象金額から必ず控除されます。なお、住民税にも基礎控除がありますが、こちらは「33万円」となります。また、もう一つの役割として「配偶者控除の適用を受けることが出来る所得の上限」というものがあります。これは、夫(妻)の所得税の計算上、「配偶者控除」として38万円の所得控除が受けるためには、配偶者である「妻(夫)」が所得税の計算対象となる金額が0円(非課税者)であること(つまり、「扶養」されている状態であること)が必要になるため、非課税になる所得の上限額としての基準としての役割も併せ持っています。しかし、年間所得額が1円でもある場合(年間所得合計が38万円を超える場合)は、配偶者控除の適用は受けられませんが、その代わりに「配偶者特別控除」という所得控除の適用を受けることになります。社会保険は106万円と130万円の2つの壁が存在社会保険における不要の壁は「106万円の壁」と「130万円の壁」の2つが存在します。この2つの壁は、平成30年度より所得税法が一部改正される関係で非常に大きな意味を持つようになりました。また、社会保険における壁は、「収入金額」が基準となるため、税法の扶養の壁とは考え方が異なります。「106万円の壁」は社会保険に加入する義務の基準106万円の壁とは、「厚生年金保険に加入する必要があるかどうかの基準」となる収入金額です。厚生年金保険は、平成28年10月より加入対象者が拡大され、その加入要件の一つに、「月額賃金が8.8万円以上」というものがあり、年額に換算すると「105.6万円」となりますが、実質的には、年収が「106万円」を超えてしまうと、社会保険に加入することが義務付けられてしまうということになります。「130万円の壁」は健康保険の扶養親族等の範囲の基準130面円の壁とは、「健康保険における扶養親族として認められるかどうか」の目安となる収入金額です。健康保険の扶養親族等に該当するための要件の一つに「年間収入が130万円未満であること」が規定されています。そのため、健康保険の被扶養者となるために、年間収入が130万円未満でなる必要があり、それを超えてしまうと、自分で国民健康保険等の医療保険に加入手続きをしなければならなくなります。「扶養範囲内」と「社会保険加入」どちらがお得?ここまで扶養の壁の種類について説明しましたが、具体的に「年収がいくらを超えると社会保険に加入する方が有利」又は「年収がいくらまでであれば、扶養の範囲内で働く方が有利」となるかを検証していきます。年収が130万円(月平均:約10.8万円)の場合標準報酬月額:110,000円(厚生年金保険料額表より)健康保険料:110,000 × 10% × 1/2=5,500円/月厚生年金保険料:(厚生年金保険料額表より)10,065円/月年間の手取り額:(108,000-5,500-10,065)× 12ヶ月=1,109,220円/年年収が150万円(月平均:約12.5万円)の場合標準報酬月額:126,000円(厚生年金保険料額表より)健康保険料:126,000 × 10% × 1/2=6,300円/月厚生年金保険料:(厚生年金保険料額表より)11,529円/月年間の手取り額:(125,000-6,300-11,529)×12ヶ月=1,286,052円/年年収が170万円(月平均:約14.1万円)の場合標準報酬月額:142,000円(厚生年金保険料額表より)健康保険料:142,000 × 10% × 1/2=7,100円/月厚生年金保険料:(厚生年金保険料額表より)12,993円/月年間の手取り額:(141,000-7,100-12,993)×12ヶ月=1,450,884円/年これらの金額から、所得税・住民税などの税金などが控除されるため、実際の手取り総額は上記金額よりも少なくなります。まとめ扶養の範囲内で収入を抑える形で働く方法がよいか、会社の社会保険に加入して収入をより上げる方がよいかは、その人が現在置かれている状況によって異なります。働きたくても働くことが出来ない状態(産前産後の女性や育児休業中の女性など)であれば、必然的に扶養されることになりますが、働くことが出来るようになってきてからについて、この問題が生じてくるところだと考えられます。現在も労働環境が大きく変化しており、また、扶養制度に関する改正が行われてきています。その中で、どのような働き方をしていきたいのか?ということをしっかりと考えたうえで、今後のライフスタイルを考えていくことが必要とされます。
2018年12月25日サラリーマンは年末調整書類の「給与所得者の保険料控除申請書」を毎年記入し、保険会社から送られてくる「生命保険料控除証明書」を添付して提出している方が多くいらっしゃいますが、その書類を提出するとどういう効果があっていくら得するのか正確にご存じの方は少ないのではないかと思います。これから、「生命保険料控除」がどういう制度で、どのような効果があるのかをご紹介します。長期間積み重ねると数十万単位で税金の負担が軽減される生命保険料控除のことをよく知り、税制上の優遇制度をしっかり利用しましょう。生命保険料控除ってどういうもの?生命保険料控除とは、払い込んだ保険料に対して一定の金額が生命保険契約者の所得から差し引かれる制度です。所得が低くなることで、所得税、住民税の負担が軽減されます。生命保険料控除は国税庁が定める所得控除の一つです。他には、医療費控除、社会保険料控除、配偶者控除など全部で20項目があります。新制度と旧制度生命保険料控除には新制度と旧制度があり、対象となる保険契約が違っています。生命保険料控除の新制度は「平成24年1月1日以後に契約した生命保険等」が対象になり、旧制度は平成23年12月31日以前の契約が対象です。以下は対象となる保険の区分です。生命保険料控除の対象区分は、新制度には一般生命保険料控除、個人年金保険料控除、介護医療保険料控除、旧制度には一般生命保険料控除、個人年金保険料控除があります。新制度では介護医療保険料控除が新たに加わっています。社会的に介護のニーズが高まり、社会保障に頼らず介護に備えて保険料を負担する方に対して税制上の優遇が受けられるようになりました。その他にも控除額が変更になっているので、次項で新制度と旧制度の控除額をご紹介します。新制度と旧制度の所得税控除額生命保険料控除の控除額は、その年の1月1日から12月31日までに払い込んだ年間払込保険料で決まります。新制度の所得税控除額は以下の式で計算します。新制度(平成24年1月1日以降)の契約で、毎月1万円の保険料を支払っている場合は、年間の支払保険料が12万円です。年間の支払保険料は8万円を超えているので、所得から4万円控除されます。その4万円に所得に応じた税率(5~45%)をかけた金額分の税金が軽減されます。旧制度の所得税控除額は以下の式で計算します。旧契約(平成23年12月31日以前の契約)で、毎月1万円の保険料を支払っている場合は、年間の保険料が12万です。年間の保険料は10万円を超えているので、所得から5万円控除されます。その5万円に所得に応じた税率(5~45%)をかけた金額分の税金が軽減されます。新契約と旧契約の双方について生命保険料控除を適用する場合は、新契約と旧契約の控除額を合計(最高4万円)した金額が控除額です。また、新制度には3つの控除(一般生命保険料控除、個人年金保険料控除、介護医療保険料控除)、旧制度には2つの控除(一般生命保険料控除、個人年金保険料控除)がありますが、それぞれで控除が受けられます。一般生命保険だけでなく、個人年金や介護保険に加入している方は税金の負担がより軽減されます。新制度で3つの控除を受けた場合の所得税の限度額は12万円、2つの控除を受けた場合の所得税の限度額は8万円、1つの控除を受けた場合の所得税の限度額は4万円です。旧制度で2つの控除を受けた場合の所得税の限度額は10万円、1つの控除を受けた場合の所得税の限度額は5万円です。毎年戻ってくるお金は微々たるものかもしれませんが、生命保険は10年以上の長期契約がほとんどです。生命保険に加入されているのであれば、年末調整時や確定申告時に生命保険料控除を申請することで、長期的に考えて数十万のお金が戻って来る場合があります。面倒でも生命保険料控除の申告は行ってください。新制度と旧制度の住民税控除額生命保険料控除は住民税でも利用できます。下表は新制度での住民税の控除額です。下表は旧制度での住民税の控除額です。これらの税率に住民税の税率10%(一律)をかけた金額が実際に負担が軽減される税金の金額です。例えば、新制度で年間10万円の保険料を支払っている方は控除額が2.8万円です。この金額に住民税の税率10%をかけた金額である2,800円の税金の負担が軽減されます。新制度で3つの控除を受けた場合の住民税の限度額は7万円、2つの控除を受けた場合の限度額は5.6万円、1つの控除を受けた場合の限度額は2.8万円です。旧制度で2つの控除を受けた場合の住民税の限度額は7万円、1つの控除を受けた場合の所得税の限度額は3.5万円です。生命保険料控除手続きここからは、生命保険料控除の手続きをご紹介します。生命保険料控除の手続きはサラリーマンと自営業で異なっています。サラリーマンサラリーマンの生命保険料控除は、年末調整の時に「給与所得者の保険料控除申告書」に毎年10月~11月に保険会社から送られてくる「生命保険料控除証明書」を付けて提出することで手続きが完了します。年末調整で生命保険料控除手続きができなかった場合は、確定申告で手続きができます。5年間さかのぼって還付の申告ができるので5年以内の手続きが済んでいない方はまだ間に合いますので申告されてください。自営業自営業の生命保険料控除は確定申告(毎年2月16日~3月15日)で手続きできます。サラリーマン同様、毎年10月~11月に保険会社から送られてくる「生命保険料控除証明書」を添付して確定申告します。平成28年から確定申告にはマイナンバーが必要ですので、確定申告を行う際にはマイナンバーをご用意ください。生命保険料控除でどれくらい負担が軽減されるの?ここでは生命保険料控除で実際どれくらい税金の負担が軽減されるのかをご紹介します。実際軽減される所得税所得税の税率は5~45%と所得により異なっています。生命保険料控除額に下表の税率をかけた金額が生命保険料控除で軽減される所得税です。例えば、新制度で年間10万円の保険料を支払っている方は控除額が4万円です(前項「新制度と旧制度の控除額」表参照)。この4万円に対してご自身の所得が「330万円を超え695万円以下」の場合は税率20%をかけた金額である「8,000円」が生命保険料控除で軽減される所得税です。サラリーマンは年末調整後にこの金額が還付されます。ご注意いただきたいのは、年末調整では還付されるだけでなく、扶養家族が減った場合や賞与が高額になった場合に「不足金額の徴収」が行われる点です。実際軽減される住民税住民税の税率は一律10%です。前項「新制度と旧制度の住民税控除額」で紹介した住民税の控除額に10%をかけた金額が実際に負担が軽減される税金の金額です。例えば、新制度で年間10万円の保険料を支払っている方は控除額が2.8万円です。この金額に住民税の税率10%をかけた金額である2,800円の税金の負担が軽減されます。生命保険料控除で軽減される実際の金額年収が330万円~695万円以下の方が新制度で年間10万円の保険料を支払っている場合は、所得税で8,000円、住民税で2,800円、一年間で合計10,800円の税金負担が軽減されます。これが30年続くと32.4万円です。生命保険は長期間契約が続きます。生命保険料控除は面倒でも毎年申請し、税制上の優遇を受けてください。まとめこれまで「生命保険料控除ってどういうもの?」「生命保険料控除手続き」「生命保険料控除でどれくらい負担が軽減されるの?」をみてきました。一年間の節税効果は少ない金額であっても、長期間生命保険に加入することで小さな金額が積み重なり、数十万円になることがわかりました。生命保険料控除の手続きは難しくないので、サラリーマンの方は年末調整で、自営業の方は確定申告で忘れずに生命保険料控除を申請してください。
2018年12月22日ふるさと納税は、都道府県や市区町村に対して寄附を行った場合に、納めるべき所得税や住民税を減らすことができる制度にあたり、所得税法上では、寄附金控除として所得控除の対象になります。実際のところ、総務省が公開しているふるさと納税のポータルサイトを見ていきますと、一見、税額控除のように感じている方も多いと思いますが、こちらにつきましては、国税庁のWEBサイトや実際に確定申告書をe-taxで作成するとその理由が明白です。そこで本記事では、国税庁が公開している様々な情報を下に、源泉徴収票から実際に確定申告書を作成して、ふるさと納税が、所得税法上、所得控除である理由を検証した結果を紹介していきます。ふるさと納税をした寄附金が、所得税法上、所得控除である理由ふるさと納税をした寄附金が、所得税法上、所得控除である理由は、以下、国税庁が公開しているWEBサイトの寄附金控除について、解説を見ることで確認ができます。国や地方公共団体、特定の公共法人などに寄附をした場合は、確定申告を行うことで、所得税及び復興特別所得税が還付される場合があります。個人が特定寄附金を支出したときは、寄附金控除として所得金額から差し引かれます。個人が支出した政治活動に関する寄附金のうち政党若しくは政治資金団体に対する寄附金又は個人が支出した認定NPO法人等若しくは公益社団法人等に対する寄附金については、1寄附金控除(所得控除)の適用を受けるか、2寄附金特別控除(税額控除)の適用を受けるか、どちらか有利な方を選ぶことができます。出典:国税庁 寄附金を支出したとき 個人が支出した寄附金の控除上記の解説をまとめますと、寄附をした先が、政党・政治資金団体・認定NPO法人等・公益社団法人等であれば、所得控除と税額控除の内、納税負担が軽くなる方を選択しても良いとしています。ふるさと納税の場合は、寄附をした先が、都道府県や市区町村といった地方自治体にあたり、政党・政治資金団体・認定NPO法人等・公益社団法人等にあてはまらないため、税額控除は適用できず、所得控除されることになるというわけです。ふるさと納税が、税額控除として見られる理由も実はあるふるさと納税をした寄附金は、所得税法上、所得控除になることをお伝えしましたが、国税庁のWEBサイトでは、参考情報として、住民税の税額控除についても触れています。個人住民税における寄附金税額控除について都道府県・市区町村や住所地の都道府県共同募金会・日本赤十字社支部に対する寄附金、住所地の都道府県・市区町村が条例で指定した寄附金を支出した場合は、住民税(翌年度)において寄附金税額控除を受けることができます。この寄附金税額控除を受けるには、原則として所得税及び復興特別所得税の確定申告又は住所地の市区町村に簡易な申告書による申告を行っていただく必要があります。出典:国税庁 寄附金を支出したとき 特定寄附金とはふるさと納税は、都道府県や市区町村に対する寄附であることは、すでにお伝えした通りですが、上記の参考情報を見ますと、都道府県・市区町村に対して寄附をした場合で、確定申告など必要な手続きを行った場合、翌年度に納める住民税から直接減額される寄附金税額控除が受けられるとしています。このような理由から、ふるさと納税は、実のところ所得控除と税額控除が入り混じっており、少々複雑でわかりづらい仕組みになっていると考えることができます。ここまでの解説のポイントを以下へまとめます。ふるさと納税を行った寄附金は、所得税法上、所得控除の対象ふるさと納税を行った寄附金は、個人住民税の寄附金税制において税額控除の対象つまり、所得税や住民税といった税金の種類によって、ふるさと納税の寄附金は、取り扱いのされ方が変わることを意味します。源泉徴収票から実際に確定申告書を作成して検証ここからは、実際に国税庁がサンプルとして公開している源泉徴収票を下に、ふるさと納税をしたものと仮定し、e-taxを利用して確定申告を行ったものとしてポイントを紹介していきます。国税庁 平成30年 給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引上記の源泉徴収票を下に、国税太郎さんが、平成30年中にふるさと納税を7万円寄附したものとし、確定申告書をe-taxを利用して作成していくものとします。源泉徴収票の支払金額と確定申告書の収入金額等の給与の金額が合致しています。また、源泉徴収票の給与所得控除後の金額と確定申告書の所得金額も合致していることが確認できます。源泉徴収票の所得控除の額の合計額と確定申告書の(16)が合致しています。また、ふるさと納税を70,000円行ったことによって、所得控除として68,000円の寄附金控除の適用がされていることが確認できます。ふるさと納税を行って寄附金控除の適用を受けた結果、国税太郎さんが納めるべき所得税は、161,600円であることが確認できます。ただし、住宅ローン控除が140,000円あるため、直接差し引いた21,600円が納めるべき所得税となり、これに2.1%を乗じた金額453円を加えた22,053円が納めなければならない税金ということになります。国税太郎さんは、すでに所得税と復興特別所得税を合わせて28,900円納めているのですが、ふるさと納税を行ったことによって、本来納めるべき税金は、22,053円で済むことになりました。つまり、28,900円から22,053円を差し引いた6,847円が本来納めるべき税金よりも多く納めていることになるため、この金額が還付(戻ってくる)お金となります。手引きが公開されているため、確定申告書をe-taxで作成するのは簡単ふるさと納税の寄附金控除を確定申告で適用することに対して、抵抗がある方は、とても多いと思いますが、実のところ、会社員や公務員のように普段、確定申告と馴染みが無い方であったとしても、手順通りに行うことで、誰でも簡単に確定申告書が作成できる手引き(マニュアル)が公開されています。こちらにつきましては、同サイト内で公開している別の記事で紹介しておりますので、併せて読み進めてみることをおすすめします。確定申告が無理そうな方は、ワンストップ特例制度の活用を検討しましょうふるさと納税の節税効果を受けるには、すでに紹介した確定申告を行うほかにも、ワンストップ特例制度を活用するといった方法もあります。ワンストップ特例制度とは、基本的に確定申告が不要となっている会社員や公務員などのように、給与の支給を受けている方が制度の対象で、この制度を活用しますと、確定申告を行わなくとも、先に紹介した個人住民税における寄附金税額控除を受けることができます。ただし、ワンストップ特例を活用するには、ふるさと納税をする地方自治体に対して特例の適用に関する申請書を提出する必要があるほか、その年の1月1日から12月31日までの1年間を通じて、5つ以下の都道府県や市区町村に対して行った場合に活用できるなどの条件があります。なお、ふるさと納税の節税効果は、確定申告を行ったとしても、ワンストップ特例制度を活用したとしても、節税効果は同じになるため、特に、会社員や公務員の皆さまは、どちらの方法も確認した上で、活用しやすい方を選ぶのが望ましいでしょう。まとめふるさと納税を行った寄附金は、所得税法上では所得控除となり、個人住民税の寄附金税制においては税額控除となることがわかりました。所得控除・税額控除のいずれにしましても、ふるさと納税の節税について、確定申告をした場合もワンストップ特例制度を活用した場合も効果が同じところが大きなポイントになります。ただし、所得税の還付金や住民税の税額控除される金額は、確定申告を行った場合とワンストップ特例制度を活用した場合では、金額が異なるため、どのように異なるのか、比較したものを確認しておくことも大切です。この辺の比較シミュレーションも公開しておりますので、本記事と併せて、以下、記事を読んでみることを強くおすすめします。
2018年12月05日住まいを購入する際には、住宅ローンを組む人が大半です。そして、住宅ローンには控除があります。住宅ローン控除とは、年末の住宅ローン残高または住宅の取得対価のうちの少ない方の金額の1%が10年間に渡り所得税の額から控除されるというものです。控除は入居した年分の所得税から適用されます。申請には要件がありますので、すべての条件を満たしていないと控除が受けられません。売買契約が終わってから、要件から外れている物件だと分かり、慌てる人もいます。どんな場合だと控除が受けられないのか、チェックポイント3つをご紹介いたします。■ 1. 床面積は何平米か?住宅ローンは控除が適用されるのは、延床面積、または専有面積が50平米以上、240平米以下までです。IYO / PIXTA(ピクスタ)少しでもここから外れてしまうと控除は受けられません。物件を購入するときは、あらかじめ何平米あるのかをチェックしましょう。面積は登記事項証明書に記載されている広さで判断します。吉野秀宏 / PIXTA(ピクスタ)店舗や事務所と併用の住居の場合は、床面積の1/2以上は居住用であることも要件に加わってきますので、図面等で確認をしましょう。マンションの場合は、要注意です。購入するときにもらう、物件資料に記載されている面積と、登記事項証明書に記載されている面積が異なるケースが多いからです。面積の違いは、面積の測り方の違いにより起こります。freeangle / PIXTA(ピクスタ)床面積の表示方法は「内のり面積」と「壁芯面積」によるものがあります。「内のり面積は」は、壁の内側から水平方向の壁の内側までを測り、「壁芯面積」は、壁の中心から水平方向の壁の中心までを測ります。登記事項証明書に記載されている面積は、内のり面積です。■ 2. 築何年の物件か?耐用年数を超えている物件は、住宅ローン控除にならないので気を付けましょう。木造は20年、それ以外の鉄筋コンクリートは25年となっています。ABC / PIXTA(ピクスタ)自分が購入しようとする物件がどちらに当てはまるかわからない人は、建物の登記事項証明書の「構造」欄に記載されていますので確認を。中古マンションを購入して、リノベーションを考えている人は要注意です。ABC / PIXTA(ピクスタ)安いからといって、あまりに古い物件を購入すると住宅ローンが使えないばかりか、固定資産税評価額が下がるため、あまり融資してもらえなくなります。■ 3. 「居住開始期間」と「税制優遇措置」を確認!居住開始時期と居住期間も控除を受けるための要件になっています。住宅取得の日から6か月以内に居住し、適用を受ける各年の12月31日まで居住し続けていることが必要となります。xiangtao / PIXTA(ピクスタ)また、ほかの税制優遇措置を受けていると控除が受けられない場合があります。この特別控除を受ける年分の合計所得金額が3,000万円(給与収入で3,230万円)を超える、買い換えの人は、居住年の前後2年間の計5年、以前住んでいた自宅の売却について「3,000万円特別控除」や「居住用財産の買換え特例」の適用を受けていると控除が受けられません。■ まとめこの他にも、「取得する不動産は自己の居住用である」「ローン返済方法は10年以上である」「連帯保証人は住宅ローンを受けられない」「親族から個人的な借入れをしてない」など、基本的な条件も確認しましょう。Naoaki / PIXTA(ピクスタ)中古住宅の場合は、親族などから購入したり、贈与で取得したりすると要件から外れます。チェックポイントが多すぎて分からない人は、銀行や不動産会社だけでなく、ファイナンシャルプランナー、税理士などの専門家に相談してみるものよいでしょう。多面的に住宅購入を検討することをオススメします。【参考】※国税庁マイホームの取得や増改築などしたとき
2018年10月28日マイホームを買うとき、売るとき、それぞれの場面で忘れてはならないのが「税金」です。なんとなく知っている税金から、「そんな税金もあるの?」というものまで、住まいに関わる税金には色々な種類があります。今回は、マイホームを購入する際にかかってくるおもな4つの税金の種類と注意点について解説します。■ 1.消費税は課税される対象かどうか確認をbee / PIXTA(ピクスタ)さまざまなモノやサービスにかかる消費税ですが、その中でも一番高額となるのは間違いなく「建物」に対して課税される消費税です。まず、不動産を売買する場合、消費税は土地に対してには課税されず、建物に対してのみ課税されます。土地建物の総額が5,000万円の場合で、その内訳が土地3,000万円、建物2,000万円だとすると、消費税額は160万円(2000万円×8%)となります。パンフレットや広告に記載されている物件価格は税込の場合がほとんどですが、もし税別表記の場合は建物価格をしっかり確認してください。また、不動産の消費税は売主がその不動産売却を「業」として行う場合(売主が不動産業者などの場合)に課税され、それ以外(例えば売主が自分の自宅を売却する場合など)には課税されません。実際の取引にあたっては、その売買(建物)が課税される対象かどうか事前に確認しましょう。■ 2.登録免許税は、軽減措置について要チェックbee / PIXTA(ピクスタ)不動産の登記名義を変更する「所有権移転登記」建物を新築したときの「所有権保存登記」不動産を担保にしてお金を借りるときの「抵当権設定登記」など、法務局に備え付けられている登記簿(不動産の表示・所有権・所有権以外の事項が記録されたもの)の内容を変更(登記)する場合には登録免許税を納めなければなりません。一般的には、この登録免許税と、実際に登記手続きを依頼する司法書士の手数料をあわせて「登記費用」といいます。この登録免許税ですが、居住用不動産を購入する場合にはさまざまな軽減措置を受けられます。覚えておきたいのは、物件の内容によって軽減措置を受けられるものと受けられないものがあるということです。この軽減措置を受けるためには自分が居住するための家屋であること家屋の床面積(登記面積)が50平方メートル以上であること家屋の新築後(取得後)1年以内の登記であること家屋が、その取得の日以前20年以内(マンション等の耐火建築物については25年以内)に建築されたものであること地震に対する安全性に係る一定の基準に適合するものであることなど、一定の条件を満たすものであることが必要となります。この軽減措置が受けられるかどうかによって、登記費用が大きく変わりますので事前に確認しましょう。■ 3.印紙税を忘れると3倍の過怠税を取られる!もとくん / PIXTA(ピクスタ)マイホームを購入、新築する場合に作成される売買契約書や建築工事請負契約書には、その価格に応じた収入印紙を貼り、それを消印(割り印)することで「印紙税」を納めなければなりません。この印紙税を納めないと(収入印紙を貼って消印しないと)、過怠税を徴収されることになります。過怠税は、当初納付する印紙税額の3倍となりますのでご注意ください。契約書は作成時に収入印紙を貼り消印することをお忘れなく!■ 4.不動産取得税は控除・軽減を受けるための条件の確認をNOBU / PIXTA(ピクスタ)不動産を購入する場合は不動産取得税が課税されますが、マイホームの購入については不動産取得税が控除・軽減されます。ただし、控除・軽減を受けるためには、建物の床面積が50平米以上240平米以下などの面積要件や、耐震要件などがあります(詳細は所轄の都道府県税事務所にお問い合わせください)。万一この控除・軽減が受けられない場合は、マイホーム購入の数か月後に、予定外の「不動取得税の納付通知が届いた」なんていうこともありますのでご注意ください!xiangtao / PIXTA(ピクスタ)いかがでしたか。マイホームを購入する際はさまざまな税金が関わってきますので、その種類と注意点を確認して「計算外の出費」や「うっかりして過怠税」などにならないようにしましょう!【参考】※国税庁
2018年08月17日消費税・所得税・住民税などの重い税金は、庶民を苦しめています。少しでも金額を減らしてほしいものですが、国は否応なく納税を要求してくるのが現状。国民の三大義務の1つとはいえ、その高さに納得できない人も多いはずです。もちろん、だからといって支払わない場合は、犯罪となります。そんななか、非課税で活動しているといわれているのが寺院。税金を一切支払わず活動していると聞きます。少々納得行かない気もしますが、それは本当なのでしょうか?虎ノ門法律経済事務所池袋支店の齋藤健博弁護士にお聞きしました。 Q.寺院は非課税って本当? A.本当ですが、営利事業を行った場合は課税の対象になります 「実は、これは憲法上の『政教分離』という議論にもかかわるトピックです。というのは、政教分離とは、政治と宗教がかかわってはいけません、との狙いを持つ制度です(専門的には、人権そのものではなく、制度的保障といいます)。宗教法人が非課税とされる根拠については、議論の対象とされてきました。そもそも宗教法人の位置づけは、営利法人ではなくて、公益法人です。ということは、宗教法人は利益を出し、それを株主などに分配する仕組みが採用されておらず、もっぱら社会福祉法人や学校法人と同じような位置づけになります。こう考えていくと、お金儲けそのものを目的として寺院が存在しているわけではない以上、課税上の優遇も正当なものに見えますね。檀家・信者などのいわゆる御布施と称されるものが、適切に用いられる仕組みが採用されている限り、これらにも正当性を見出せます。当然、寺院であっても営利事業を行った場合は、課税されます。実はこの、宗教法人では、本来の活動以外からの収入が少ない場合においては、消費税、源泉徴収税、法人税なども課税されません。 しかし、一切の課税がないかといわれると、そうではないのです。営業事業をすれば一般会社員と同様に、課税されるようになっていますから。」(齋藤弁護士)政教分離の原則などの理由から寺院は非課税となっていますが、営利事業をした場合は、課税の対象となるとのことです。寺院だからといって、すべてが非課税というわけではないのですね。 *取材協力弁護士: 虎ノ門法律経済事務所池袋支店齋藤健博弁護士(弁護士登録以降、某大手弁護士検索サイトで1位を獲得。LINEでも連絡がとれる、超迅速弁護士としてさまざまな相談に対応。特に離婚・男女問題には解決に定評。今日も多くの依頼者の相談に多く乗っている。弁護士業務とは別の顔として、慶應義塾大学において助教も勤める。)*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)*画像はイメージです(pixta)寺院が税金を納めなくてもいい理由を弁護士に聞いてみた!はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。寺院が税金を納めなくてもいい理由を弁護士に聞いてみた!はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。
2018年05月22日サラリーマンは「年末調整」をしているから「確定申告」は関係ないと考える人も多くいますが、実はサラリーマンでも「確定申告」をすることで税金が戻ってくることがあります。そこで、この記事ではサラリーマンが忘れがちな「確定申告」について解説をします。【1】 医療費控除1年間(1月1日〜12月31日までの1年間)のうち、病気や怪我、手術などで病院へ支払った治療費が一定金額以上を超えた場合に、所得から差し引くことによってその分税金が戻ってくる制度が医療費控除です。この医療費控除は自身だけでなく、生計を共にしている家族が支払った医療費もまとめて対象となるため、医療費の明細書や領収書などは取っておくようにしましょう。所得から差し引かれる医療費の目安は「1年間の医療費が10万円を超えている」か「医療費が10万円以下だが、医療費の金額が所得の5%を超えている」かのどちらかとなります。目安としては1年間の医療費が10万円程度支払った人であれば医療費控除の対象となる可能性がありますので、自分が対象になるのか、いくら返ってくるのかが気になる人は確定申告の時期(2月中旬〜3月中旬)に税務署へ相談すると良いでしょう。【2】 セルフメディケーション税制また、医療費控除の特例として平成29年から新しい制度である「セルフメディケーション税制」が導入されました。この制度は今まで医療費控除の対象とならなかったドラッグストアなどで販売されている「市販薬」の年間購入額が1万2,000円を超えている人が利用できる制度となっています。この市販薬の定義には決まりがありますので、該当する「市販薬」かどうかは確認する必要がありますが、「市販薬」を年間1万2,000円以上購入している人であれば、この制度の対象となる可能性があるため、確認をしましょう。また、セルフメディケーション税制においては、従来の医療費控除制度と同時に利用することはできませんので、注意が必要です。【3】 初回の住宅ローン控除サラリーマンが住宅ローン控除を行う場合、2年目以降は年末調整で住宅ローン控除を行う事ができますが、初回の住宅ローン控除の手続きだけは確定申告を行わなければなりません。必要な書類としては「住宅ローンの年末残高証明書」と「住民票の写し」「土地や建物の契約書のコピー」「土地や建物の登記事項全部証明書」となっています。このうち、「住民票の写し」以外は銀行や不動産会社などから貰う書類となっています。基本的には住宅の購入時に営業マンなどから案内があるはずですが、案内などがない場合には自分で必要書類を確認して、確定申告の時期に税務署へ相談をするようにしましょう。また、上記の他にも購入した住宅によって、証明書などが必要になるケースがありますので、その場合には不動産会社に確認をするようにしましょう。【4】 投資での損失その他にサラリーマンが忘れがちな確定申告の項目としては「株式」や「投資信託」などで損失が発生した場合、その損失を翌年以降に繰り越して「株式等譲渡所得」から控除することが出来る制度です。これは、「株式」や「投資信託」などで損失を出してしまったときに確定申告をしっかりとしていれば、翌年に「株式」や「投資信託」などで利益が出た場合、その損失の分を控除することができる制度となっています。投資をする場合に利益が出た場合には、確定申告をしなければいけないと考えている人は多くいますが、損失を出したときに確定申告をする人はそこまで多くはありませんので、忘れがちな項目といえます。また、注意点としては、3年間損失を繰り越すことが出来るのですが、その間に取引が行われていない年があったとしても、その年も確定申告を行うことが必要ということです。【5】 年末調整をしていない人また、年末調整を忘れていた人や転職などの事情があり年末調整が出来なかった人も確定申告をすることによって、税金が戻ってきますので確定申告をしましょう。通常、年末調整で手続きを行っている「生命保険料控除」や「地震保険料控除」「住宅ローン控除」などは全て確定申告でも申告できますので、年末調整を忘れてしまった人は確定申告をするようにしましょう。特に年末調整が終わった後に「保険料の控除証明書が後日出てきた」というケースなどの場合でも年末調整では間に合わなくても確定申告で控除できるため、そのような場合には確定申告をしましょう。また、サラリーマンが忘れがちなのが「無職やアルバイト期間中などで国民健康保険や国民年金などを自分で支払った場合」は控除が漏れるケースが非常に多くなっています。特に確定申告の前年に転職をした人は、よく確認をしましょう。【6】 自然災害や盗難などの被害に遭った人地震や集中豪雨、台風などの自然災害に遭った場合や空き巣などの盗難被害に遭った場合も、その損失額を確定申告によって申告をすることによって所得が控除され、税金が返ってくることがあります。また、火災や盗難などでも控除されますので、そのような被害にあったのであれば確定申告をして少しでも税金を安くして被害を和らげるようにしましょう。最後にこの記事では、サラリーマンが忘れがちな確定申告の項目について取りあげました。「サラリーマンだから確定申告は関係ない」と考えるのではなく、サラリーマンでも確定申告に興味をもって、確定申告の時期には自分自身が確定申告によって、税金が戻ってくるかどうかを確認するようにしましょう。
2018年02月22日租税公課ってなに?租税公課は「租税」と「公課」を合わせた簿記上の勘定科目のことで、必要経費として処理できる公のお金のことをいいます。経費で落とせる税金や公的な負担金のことを指す租税公課は、「公租公課」なんていい方もします。「租税」と「公課」では、取り扱うお金が異なります。それぞれみてみましょう。租税一部の国税や地方税などの税金のこと(法律に則り所得や取引、商品などの行為や財産から徴収する税金)公課地方公共団体などの団体から課せられる会費、組合費、賦課金や罰金などのこと「租税」「公課」の具体的な税金って?租税・国税登録免許税、印紙税、収入印紙など・地方税固定資産税、不動産所得税、償却資産税、自動車税、軽自動車税、自動車取得税、自動車重量税、事業税など公課・各種手数料印鑑証明書や住民票の発行手数料、公共サービスに対する手数料など・団体に対する会費、交付金商工会や商工会議所・協同組合・同業者組合や商店会などの会費、組合費、賦課金など租税公課に含まれるもの租税公課に含まれるものを上述しましたが、ここでは逆に含まれないものをご紹介します。税金や公の負担金に該当しないのは、以下4つの税金です。・所得税、外国人税法人税から控除するので、租税公課には含めません。・法人税、都道府県民税、市町村民税法人税などは所得から引かれることとなっているので、租税公課の負担はありません(原則として、所得からの租税公課はかかりません)。・各種加算税・加算金、延滞税・延滞金、過怠税これらは法律に違反した場合に課される税金です。そのためこれらの税減は考慮されません。・罰金、科料、過怠税これも上記3と同じように、社会的違反に伴う措置として税金が課されるので租税公課に値しません。また個人事業主の場合ですと、個人に係る税金(例、相続税など)も租税公課に含めることができません。個人として租税公課に含めることができないのであれば、経費としては含むことができるのでしょうか。そうです。できるものもあるのです。経費にできる税金って?経費にできる租税公課は、以下の通りです。印紙税固定資産税不動産取得税登録免許税都市計画税地価税利子税事業税、事業所税利子税事業用の自動車税、自動車取得税、自動車重量税納付済みの消費税(税込処理方式で経理処理をしている場合)あくまでも事業の経費としてのみ、租税公課の対象とすることができます。個人事業主だからといって、先述したようにも自宅にかかる固定資産税などは、この対象とはなっていません。しかし自宅兼事務所として扱っている方もいることでしょう。その方はラッキーです。この場合は租税公課の対象とすることができます。さて、続いては経費の対象にできない租税公課についてみていきます。経費にできない税金って?経費にできない税金は以下の通りです。各種税金所得税住民税相続税贈与税加算税、延滞税上述したものが多いですね。個人事業主でも、経費としてならば租税公課対象になるものがあるとわかりました。しかし上記の例のようにないものもあり、また以下のことにも気を付けると良いでしょう。消費税に関する取扱い税込で経理処理している場合⇒租税公課として計上する税抜で経理処理している場合⇒租税公課に計上しない※仮受消費税と仮払い消費税との差額が出た場合に支払うこととなっていますまとめ「租税公課」についてみてきましたが、意外と経費として処理できるものも多いことが分かりましたね。上記基礎事項をもとに、ぜひ節税にお役立てください。
2018年02月11日消費税率は2019年10月に8%から10%に引き上げられる予定になっています。住宅購入者にとって、2%の差はかなり大きなものになりますね。そのため、消費税率の引き上げによって住宅取得者が被る負担を緩和するための「すまい給付金」という制度があり、税率8%でも対象になっていますが、10%に引き上ると対象となる年収の上限が775万円まで引き上るなど条件が変わります。詳しくみていきましょう。すまい給付金の概要すまい給付金とは、消費税が引き上げされることで住宅取得者の負担が出てくるため、その負担をかなりの程度緩和するという目的のためにつくられた制度です。住宅を取得すると、多くの人は住宅ローン減税の制度によって所得税などから一定の金額が控除されることになりますが、収入が低い場合に、その所得税控除の金額は少なくなります。このように住宅ローン減税の効果があまり期待できない収入層に対して、消費税率の引き上げによって増えた負担を住まい給付金で緩和するという仕組みになっています。給付額は8%では最大30万円、10%では最大50万円とかなり高額な給付金です。期間は2021年12月まで実施されることになっており、住宅ローン減税と併用して受けることができる制度のため、要件に該当する場合は必ず申請しておきたいですね。すまい給付金の要件とはすまい給付金を受けるためには、次のようないくつかの要件があります。詳しくみていきましょう。●すまい給付金の主な要件・住宅の所有者(不動産登記上の持分保有者)・住宅の居住者(住民票登録)・収入が一定以下(消費税8%時は上限510万円、10%時は上限775万円)・住宅ローンを利用しない場合のみ年齢50歳以上(上記は夫婦と中学生以下の子供2人のモデル世帯を想定した目安)・引き上げ後の消費税率が適用されている・床面積が50平米以上である・第三者機関の検査を受けた住宅である(住宅瑕疵担保保険、フラット35Sなど)一般的な住宅を取得する場合なら、要件に該当する場合は多いのではないでしょうか。また、年齢制限はありますが、現金購入の場合でも対象とされることもポイントです。給付額と収入の目安はすまい給付金が対象となる要件はそれほどハードルの高いものではありませんが、収入によって給付基礎額が決まります。●給付額と収入の目安【消費税率8%の場合】・収入額の目安:425万円以下……30万円・収入額の目安:425万円超475万円以下……20万円・収入額の目安:475万円超510万円以下……10万円【消費税10%の場合】・収入額の目安:450万円以下・・・50万円・収入額の目安:450万円超525万円以下……40万円・収入額の目安:525万円超600万円以下……30万円・収入額の目安:600万円超675万円以下……20万円・収入額の目安:675万円超775万円以下……10万円(上記の収入目安は扶養者が1人の場合をモデルにしています。)消費税率が10%になると、収入額の上限が775万円まで引き上げられるため、かなり対象者が増えるのではないでしょうか。また、給付額も増額されています。収入の確認方法としては、市町村が発行する課税証明書に記載される都道府県民税の所得割額で確認することとされていますので、収入と都道府県民税も関係してきます。都道府県民税は扶養者の人数や年齢などでも変わってきますのでしっかりと書面で確認しましょう。給付額の計算方法は、次のようになっています。給付額=給付基礎額×持分割合持分割合は不動産の登記上のものが適用されることになります。例えば、住宅を持分1/2で共有されている場合には、給付基礎額×1/2ということになります。すまい給付金の申請後は書類の審査や不備の修正などで、給付金の振込まで約1.5~2ケ月程度の期間が必要になります。住宅ローンとも併用でき、また、対象の要件はそれほど難しいものではありませんので、是非利用しておきたい制度ですね。
2018年02月09日最近、よく耳にするタワーマンション(以下、タワマン)税についてご存知でしょうか?タワマンでは、上層階ほど価格が高くなるのが一般的です。しかし、今まで固定資産税や相続税は、上下階による違いがないためタワマンの高層階が税金面で優遇されていました。ところが、平成29年度税制改正により固定資産税にメスが入れられることになったのです。そもそも不動産購入は税金面でお得まず、現金を不動産に換えるだけでも節税効果があります。なぜなら、不動産の評価方法は、固定資産税評価額や路線価を使用するからです。固定資産税評価額は、目安として実勢価格の6~7割であり、路線価は7~8割と現金よりも割安になります。一般的に、固定資産税の場合は土地も建物も固定資産税評価額がそのまま使われるのですが、相続税の場合は土地について路線価が使われます。固定資産税相続税土地の評価額固定資産税評価額路線価建物の評価額固定資産税評価額固定資産税評価額たとえば、相続の場合など、現金を相続するよりも不動産を相続するほうが税額は下がります。不動産の場合、特例が適用されると支払う税額が更に下がるので、節税のために不動産を購入するケースが少なくありません。タワマン購入は税金面で更にお得タワマンの場合、土地の評価額が更に下がります。評価額の計算方法は、敷地全体の評価額に各戸の床面積の持分を乗じて計算します。つまり、タワマンのように戸数が多いと各戸の持分が少なくなるため戸別の土地の評価額は下がるのです。建物については、高層階ほどお得といえます。タワマンの場合、高層階は価格が高くなるのはご存知でしょう。しかし、評価額としては、上下階に差がないのです。つまり、高層階の場合、購入価格が高いにもかかわらず税金の評価額は低層階と変わりません。固定資産税も相続税も評価額に一定の税率を乗じて計算するため、タワマンの高層階の住民は税金面でかなり優遇されることになります。タワマンの高層階が手に入るのは、富裕層と言えるため、「金持ち優遇制度」と苦情があがることもありました。今回の税制改正は、金持ち優遇制度の解決策のひとつになると期待されています。タワマン税の仕組みとは?平成29年度税制改正により変更されたタワマン税が、平成30年度から新たに課税されることとなるタワーマンションに適用される予定です。今まで富裕層のみが受けてきた節税効果が薄れることになるのです。具体的には、目安として高さ60m(20階程度)以上のマンションであれば、高層階の固定資産税と相続税が引き上げられることになります。そして、低層階は引き下げられることになるのです。計算方法は中層階の評価額を基準にします。簡単に説明しますと、中層階から1階上るごとに約0.25%評価額が高くなり、1階下がるごとに約0.25%低くなるという仕組みです。そこで、おおよその計算をしてみましょう。なお、相続税については、今のところ固定資産税のような見直しがされていないため影響を受けることはありません。しかし、今後の動向には注意が必要でしょう。たとえば、30階建てのマンションであれば、中層階が15階程度になるので、目安として最上階で3.75%の値上がりになり、1階で3.75%の値下がりになります。この率が固定資産税や相続税に反映するのです。30階建ての場合の計算階数計算式最上階0.25%×15階=3.75% Up1階0.25%×15階=3.75% Down税制改正後のタワマンは?今までのような節税対策としての効果は見込めなくなります。節税の効果が弱まると言うことは、実益的な判断をするしかありません。つまり、高層階と低層階とで、どちらが住みやすいかということになるでしょう。たとえば、防災面から見ると火災が起こった場合、エレベーターが止まったとすると高層階からの脱出は、なかなか手間がかかりそうです。消防のはしご車がとどく高さも10階程度。昨今の防災意識の向上を考えると10階までの低層階が無難なところでしょう。災害大国と言われる日本では、防災意識の高い人が増えてきています。安全面を考慮すると、タワマンの人気は、だんだんと低層階へ流れていくのかもしれません。しかし、相変わらずタワマンのステータスを求める人も少なくないはずです。高層階から見下ろす夜景に自らの成功を実感するのでしょう。今後、タワマンの高層階は税金なんて気にしない本当の富裕層のニーズに支えられるのではないでしょうか?
2018年02月03日確定申告とは確定申告とは税金を納める事は国民の義務なので、所得があった人は、所得に応じて所得税を払う必要があります。所得税を払うために「いくら所得がありました。その結果、所得税をいくら払います」と自分で税務署に申告します。この税務署に対していくら所得があって、所得税がいくらになるかを申告する行為が「確定申告」です。 その年の1月~12月分の収入分の税金額を計算し、翌年の2月15~3月15日に申告します。新築、中古の家を購入したら確定申告するの?新築、中古を問わず、家を購入したら確定申告をしなければいけません。「住宅ローン控除」を受けるための手続きは、勤め先を通じた簡易な手続きである「年末調整」ではできないため、1年目だけは自分で税務署に手続き(確定申告)をする必要があます。会社への提出を忘れてしまう「年末調整のための住宅借入金等控除証明書」確定申告後に税務署から「年末調整のための住宅借入金等控除証明書」がこれから先の数年分がまとめて送られてきます。会社勤めの方は、年末調整に必要な書類として「年末調整のための住宅借入金等控除証明書」を1枚づつ提出する必要がありますので、無くさないように大切に保管しておきましょう。住宅ローン控除「住宅ローン控除」とは、マイホームを一定の条件のローンを組んで購入したり、省エネやバリアフリーなど特定の改修工事をしたりすると、年末のローン残高に応じて税金が戻ってくる制度のことです。この制度を受けるには、所得が3,000万円以下であることや返済期間が10年以上の住宅ローンであることなど、色々と条件があり後程説明します。以下の要件に当てはまる方について、ざっくり言うと、10年間ローン残高の1%に当たる税金が戻ってきます(2018年に家を買った場合)。住宅ローンと確定申告の関係住宅ローン控除の条件・新築の場合(1)新築又は取得の日から6か月以内に住んでいること(2)借り入れした人の所得金額が3,000万円以下であること(3)登記簿に登録されている床面積が50㎡以上であること(4)床面積の2分の1以上が自分の居住用であること(5)ローンの返済期間が10年以上であること・中古の場合(1)マンションなどの耐火構造物は、取得の時点で築25年未満であること(2)耐火構造物でなければ取得の時点で築20年未満であること。または一定の耐火基準をクリアしていること(3)生計を一にする親族からの購入ではないこと(4)贈与された家ではないこと主に上記の条件を満たしているマイホームを購入した時に、住宅ローンの残高(最大4,000万円まで)のうち、1%の所得税控除を10年間受けることが可能になります。控除を最大限利用すれば、年間40万円まで所得税からの控除(所得税が40万円以上の場合)を、10年間受け続けることが可能です。※ここで覚えておきたい控除という表現ですが、支払った所得税または住民税分から還付・相殺されますので税金を支払った以上の還付はないようです。確定申告に必要書申請類はどこで手に入る?【主な手続き方法】(1)税務署から確定申告書を入手し、記載して税務署に持参か郵送(2)税務署に行き、税務署の確定申告書作成コーナーでe-taxを使用して確定申告書を作成・申請(3)国税庁のサイトから確定申告書を入手し、記載して税務署に郵送(4)国税庁のサイト上で確定申告書を作成し、インターネット(e-tax)で申請お住まいの地域の税務署で確定申告の書類が手に入ります。また、わざわざ税務署に行かなくても、郵送やインターネットでも手続きが可能です。インターネットで書類作成をする大きなメリットは、まず手間が少ないことです。さらに、必要な部分に金額などを入力していくだけで計算が自動的に行われて書類が作成されるので便利ですね。ミスが起こりにくいメリットもあります。また、国税庁のサイトではQ&Aなどの情報も充実しています。何かわからないことがあっても調べやすく、自分の都合のいい時間に作業ができるのも良い点ですね。ネットの場合は国税庁のサイトに確定申告書作成コーナーがありますので、チェックしてみて下さい。最近の確定申告はこんなに便利になりました2017年の確定申告(平成28年度分の確定申告)には、マイナンバーと、本人確認書類が必要になりました。(1)マイナンバーカード(個人番号カード)をお持ちの方はマイナンバーカードだけで本人確認が可能です。・表面のコピー・裏面のコピーマイナンバーカードは、顔写真入りで、ICチップが埋め込まれたカードです。マイナンバーカードをお持ちでない方は番号確認と身元確認ができる書類が必要です。(2)マイナンバーが確認できる書類+身分証明書通知カード・住民票の写し・住民票記載事項証明書(マイナンバー記載のあるものに限ります)上記のどれかと、身分を証明できるものが必要です。・運転免許証・パスポート・在留カード・健康保険証・身体障害者手帳そして、申告書には、「マイナンバー」を記載する欄がありますので、そちらに「マイナンバー」を記載します。扶養家族がいる場合は、家族全員分のマイナンバーも記載します。確定申告でマイナンバー通知が始まり、手間に感じられる方が多いかもしれませんが、そのおかげで住宅ローン控除の確定申告で必要な住民票添付が不要になりました。マイナポータルの運用が始まると同時に、地方公共団体などとの情報連携も始まります。そのため、住宅ローン減税の手続きで必要だった住民票の写しを準備しなくてもよくなるのです。サラリーマンの場合、住宅ローン減税の手続きに決まりがあり、初年度の手続きには住民票の写しを添付する必要があります。役所に住民票の写しを取りに行くのは少々面倒ですよね。しかし、マイナンバー通知により住民票の添付が不要になり確定申告もかなり便利になりました。
2018年01月22日「将来がなんとなく不安」と漠然と悩む人は少なくありません。そんな人には、もっとお金の知識が必要なのかもしれません。そこでオススメなのが「ファイナンシャルプランナー3級」の勉強をしてみること。お金に関する最低限必要な知識が身について、家計管理にも役立ちますよ。ファイナンシャルプランナーとは?ファイナンシャルプランナー(以下「FP」)とは、顧客のライフプランに即した資金計画の提案やアドバイスを行うお金の専門家のこと。れっきとした国家資格です。こんなふうにいってしまうと「そんな難しそうな資格、自分には無理!」と思うかもしれません。でも3級はFPの入門編。資格を取ったからといって就職や転職に役立つようなものではありませんが、社会人として必要なお金の基礎知識が幅広く学べるのです。それだけ取りやすい資格だということもできます。では、FP3級の内容をざっと挙げてみましょう。社会保険、公的年金公的なセーフティネットとして知られているのは、年金(国民年金・厚生年金)、病院で使う健康保険、生活保護、失業保険くらいでしょうか。でも実際には、医療費が一定額を超えた場合に戻ってくる高額療養費制度、出産育児一時金、労災時の休業補償など、さまざまな補償が用意されています。公的な補助のほとんどは、自分が申請しないともらえないもの。「もらえるものはもらう」ためには、自分が知識を身につけるしかないのです。生命保険、損害保険こちらは、いわゆる民間の保険会社が販売している保険の話。「保険って本当に必要なの?」「保険会社の人の話は信用していいの?」など、こんな疑問が沸いてくるのは、保険の基礎知識がないからですよね。自分に最低限の知識があるだけで、保険の話は怖いものではなくなります。また、FP3級を勉強することで公的な支援についての知識も得られるので、追加で必要な民間の保険を検討しやすくなります。税金サラリーマン家庭の場合、普段の生活で税金を意識することは少ないかもしれません。でも「勝手に引かれるのだから税金の知識はいらないかな」と考えるのは早計です。例えば家を建てるとき、親から大金を受け取ってしまうと贈与税がかかることがあります。また、預貯金がなくても家や土地に相続税が発生することがありますし、空き家になった実家を維持するためには固定資産税がかかります。意外と他人事ではない税金の話。早めに知っておくことが大切です。資産運用元本保証されない資産運用には慎重さが必要ですが、いまは老後の年金を当てにできない時代。「ローリスクローリターンの投資ならしてみてもいいかも」と思っているなら、「株とは?」「投資信託とは?」といった基礎知識を学んでみるのもいいですね。不動産一般人が不動産を自分で鑑定したり、売買したりするケースはあまりないので、この部分の知識はそれほど役には立たないかもしれません。でも「田舎の実家を最終的にどうするかが悩み」というような場合は、基礎知識があったほうがいいかもしれません。社会人の必須知識!ファイナンシャルプランナーFP3級は「高校の必須科目にすればいいのに!」と思ってしまうほど、社会人として生きていくうえで必要な知識を学べる資格です。お金に強くなる第一歩として、身につけてみてはいかがですか?●ライター一番ヶ瀬絵梨子
2018年01月16日ふるさと納税の仕組みを徹底的に調査。調べていくうえで「なるほど」と思った情報をまとめてみました。すぐに利用できるおすすめポータルサイトも併せてご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。節約やお得情報を紹介するメディアで多く取り上げられ、ふるさと納税はママたちの間でも話題となっています。「こんな豪華な返礼品がもらえた~!」という話を聞くと、ちょっとやってみようかな…と気になりますよね。倹約家の賢いママがやっているイメージで、わたしもそうなりたい、いつか利用してみたいと常々思っていました。でも、メリットばかりがクローズアップされて肝心な仕組みがイマイチわからず、これまでなかなか踏み切れずにいたのです。ふるさと納税とは?そもそもふるさと納税とは、生まれ故郷はもちろん全国の応援したい自治体に寄付金を送ることができる制度です。ふるさと納税を受けた自治体は、その寄付金を地域の取り組みに活用。その感謝の気持ちとして、寄付してくれた人に地元の名産品やサービスなどが「お礼品」として送られる仕組みになっています。ふるさと納税の仕組みと計算法ふるさと納税で支払ったお金は法律上「寄付金」として取り扱われるため、その寄付額に応じて所得税や住民税といった税金が控除されるというのが実は最大のメリットです。寄付額は、以下のような内訳となります。「寄付額=控除額+2,000円」例えばある自治体に10,000円寄付し、その自治体が扱っているお礼品から「黒毛和牛ロースステーキ200g×2枚」を選ぶとしましょう。一見、「ステーキ2枚で10,000円ってこと?」と思ってしまいますが、実質の自己負担額は2,000円で、残りの8,000円はその年の所得税の還付と、翌年度の個人住民税から控除を受けられます。つまり、たった2,000円の負担で寄付した自治体からお礼の品が届き、本来支払うべき税金も安くなるというわけです。ただし、所得税控除の対象となるふるさと納税額は、総所得金額の40%が上限。住民税控除の場合は30%が上限と定められています。具体的な限度額を知りたい場合は、総務省のふるさと納税サイトにある、「全額控除されるふるさと納税額(年間上限)の目安」という項目でチェックすることができます。ちなみに、ご自身の控除上限限度額以内であれば、寄付先の数や金額に上限はありません。ふるさと納税の申し込みはいつまで?1月1日から12月31日まで、年間を通していつでも申込みが可能です。1年の所得に対して税の軽減を受けられるため、毎年1~12月を一区切りに申し込むことができます。基本的にその年の寄付金として処理できるのは、受領証明書に記載されている入金受領日が同年の12月31日までのものとなります。1月1日からは、また翌年の寄付金扱いになります。手続きはとってもカンタンふるさと納税の手順としては、まず寄付する自治体を選びます。選ぶ際はのちほどご紹介するサイトを利用すると便利です。お礼品や応援したい地域などから寄付先を決め、申し込み手続きへ。すると後日自治体から「お礼品」と「寄付金受領証明書」が届くといった流れです。そして忘れてはならないのが、税金の控除申請。控除を受けるためには「確定申告」または「ワンストップ特例」のいずれかの手続きを行なう必要があります。確定申告の際は「寄付金受領証明書」の提出が求められるため、大切に保管しておきましょう。ふるさと納税サイトを比較!では、実際にふるさと納税の寄付先はどうやって選べばよいのでしょうか?ここでは、選ぶ際にぜひ利用したいおすすめポータルサイトをピックアップしてみました。■ ふるり(PR) 地域密着型サイト。お礼品がメインではなく、自治体の特色や取り組みの発信に力を入れています。子育て政策や自然保護などさまざまなジャンルのプロジェクトを検索でき、共感したものに寄付できるといった仕組みです。税金を納める意味を考えさせられ、ふるさと納税の本質に沿った寄付ができるメリットがあります。定番の高級肉はもちろん、群馬県富岡市の「シルク化粧品セット」や滋賀県高島市の郷土食「鮒寿司」など、地域限定アイテムを多く取り扱っています。 ふるりの詳細はこちら(PR) ■ 楽天ふるさと納税 楽天ポイントを寄付額に充当できるだけでなく、通常のショッピングと同様に楽天ポイントが貯まる仕組み。楽天市場のシステムをベースにしているため、手厚い配送サービスで快適にやりとりできます。取り扱いジャンルが豊富で、買い物感覚で選べる点も魅力です。人気の品は、宮崎県の黒毛和牛や豚肉セット、北海道のいくら詰め合わせなど。10,000円~20,000円の価格帯がランキング上位を占めています。 楽天ふるさと納税の詳細はこちら ■ さとふる 取り扱いジャンルが豊富で、お礼品の発送が早い点が特徴。品ごとにレビュー一覧があり、リアルな評価を参考にして選べるのも大きな魅力です。ジャンルごとに特集が組まれていたり、豪華賞品が当たるキャンペーンが開催されていたりと楽しい要素がたっぷり詰まったサイトです。評判が高いのが、体験型タイプ。地域の特色を活かした工芸品制作プランや、地元グルメを満喫できる旅行プランなど、さまざまな体験ができるお礼品が揃っています。中には十二単着付け体験、ダイビングライセンス取得プランなど珍しいものも! さとふるの詳細はこちら ■ ふるさとチョイス 自治体網羅率100%で、他サイトを圧倒する情報量の多さを誇ります。お礼品の数も群を抜いており、データの充実度としてはNo.1といえるでしょう。随時「災害支援プロジェクト」を行なっており、被災自治体をリストで紹介しているため、寄付先を選びやすいといったメリットもあります。人気の品は、佐賀県の黒毛和牛や滋賀県の近江牛といった肉類。中には東京都墨田区の「東京スカイツリーの展望デッキでランチ」などユニークなお礼品もあります。 ふるさとチョイスの詳細はこちら メリットばかりではない?魅力的な名産品がもらえたり、税金が控除されたりとメリットの多いふるさと納税。自治体によっては、寄付金の使い道を寄付した人が指定できるところもあります。教育・福祉・文化財の保護などから役に立ちたいジャンルを選べるため、社会貢献への大きな実感につながるでしょう。ただし、最適な寄付額の計算が少々複雑な点が残念なところ。年間所得が確定する前の寄付になるため、予想で寄付額を決める必要があるのです。上限を超えて寄付してしまうと、超えた分はすべて自己負担額となり損をしてしまいます。また、税金控除手続きも面倒に感じる人が多く、「ちょっとややこしい」要素がいくつかある点に注意です。とはいえ、実はそう難しく考える必要はありません。年間収入の目安や家族構成をもとに最適な寄付額を算出できれば、あとはお得な要素ばかり。むしろ、得られる恩恵を考慮すると「ふるさと納税を利用していない家庭は損」といっても過言ではないでしょう。地域やふるさとをサポートすることの大切さふるさと納税にはメリットがたくさんあり、節約にひと役買ってくれるお得な制度です。しかも、経済的なメリットだけではありません。生まれ故郷へ寄付することで、地域の活性化に貢献できることはもちろん、子どもに自分の「ふるさと」を教えるきっかけにもなります。また、地域をサポートすることの大切さを見直すことができるでしょう。我が家もついにふるさと納税デビュー! 今回は悩みに悩んで定番の「お米」をチョイスしましたが、次回は「野菜セット」にする予定です。採れたての特産野菜に触れたり食べたりしながら、子どもたちとプラスαの話ができたらいいなと思っています。ぜひふるさと納税を通じて、家族で地域やふるさとの魅力を語り合ってみてはいかがでしょうか。 ふるさと納税しないと損? 仕組みとお得なポイントまとめふるさと納税まとめ記事はこちら>>
2017年12月26日「公立病院は、昔から赤字が多いと言われていましたが、税金が投入されるため、実際の経営状態は“見えづらかった”といえます。『純医業収支ランキング』は、病院収入から一般会計負担金等(税金など)を差し引いた純医業収支を独自に算出しています。純医業収支は弊社の造語ですが、純粋に医療だけの収入で、どれだけ病院が“自立”できているかを可視化できます」 こう語るのは、平成27年度の総務省「地方公営企業年鑑」を基に算出した、全国自治体病院の純医業収支額、同収支率をWEBサイト「病院情報局」に掲載している、ケアレビュー代表の加藤良平さんだ。調査対象は全国の公立病院(独立行政法人を除く)793施設。このうち、純医業収支で黒字を計上したのは、わずか27施設しかなかったのだ。97%が赤字という驚くべき数字になる。 「赤字のほとんどに、税金が投入されています。総額で年間5,000億円にもなります。じつは2年前に同様の調査をしたときより増えている。病院数や病床数が減っているのに、税金投入額が上がっていることに、疑問を感じざるをえません」(加藤さん) もちろん、過疎や僻地などで、不採算部門である救急や小児科、周産期医療を担っていくのは、公立病院の使命であり、ある意味“必要な赤字”とも言える。だが、医療ガバナンス研究理事長で、内科医の上昌広さんは厳しい。 「人口の多い都市に目立ちますが、経営努力を怠り、何ら対策を打たないまま“不必要な赤字”を累積させる病院も非常に多いのです」(上さん) 公立病院がなぜこれほどの赤字体質に陥ったのか。「まずはマネジメント能力の欠如です」と指摘するのは、NPO法人「公的病院を良くする会」理事で、医業経営コンサルタントの阪本俊行さんだ。 「公立病院の場合、事務方は役所からの出向組。非常に優秀でも、病院経営の専門家ではありませんし、2〜3年で配置換えがあります。しかも病院が赤字経営でも、他会計からの繰入金(税金など)という名の“仕送り”があるので、自分の給料が減る心配はなく、むしろ年功序列で上がり続けます。結果、民間病院よりも人件費率が高くなる傾向があるのです」(阪本さん) こうした“お役所体質”は、コスト意識にも反映されている。 「医薬品や医療機材に関して、価格のリサーチが甘いんです。入札制度で割高の見積もりを出されても、相場がわからないから“言い値”で契約することになります」(阪本さん) とくに公立病院と民間病院では、建設に関して、その価格差が顕著に表れる。 「1床あたりの建設費用は、民間なら700万円、国立病院で1,600万円、公立病院なら2,000万円といわれています。1床あたり約3倍もの違いがあるのです」(阪本さん) にもかかわらず、「無駄に豪華にしたがる」と語るのは、元公立病院の産婦人科医だ。 「以前、病院建て替えをしたときのことです。患者さんがわざわざ診察室を移動せず、陣痛が起きてから分娩、回復に至るまでを過ごせる『LDR』という医療施設を数千万円使って作ったのですが、ほとんど稼働せず、今では臨時部屋だそうです。医師からは当初より『必要ない』という意見が出ていましたが、聞き入れられませんでした。ほかにも、ワンフロアに医師用、看護師用と、二十数個の会議室を作ろうとしたり。理解できないことが多かった」(元公立病院の産婦人科医) このように公立病院は明確なビジョンや理念がないため、魅力的な病院が作りづらいのが現状だ。前出の上さんが言う。 「公立病院の場合、何となくすべての診療科を扱いますが、どれも中途半端で二流止まりの診療になってしまう傾向が強い。専門性においては、公立病院は民間病院に、もはや太刀打ちできません。その地域にどんな医療が求められているのか、代替の利かない魅力のある病院作りをしなければ……」(上さん・以下同) 何の対策も講じなければ、今後は消えていく公立病院が増加の一途をたどるだろう。 「地域に病院がなくなれば、救急車のたらい回しが頻発し、孤独死も増えます。そんな社会を、誰が望むでしょうか」 地域の公的病院をどのように存続させるのかーー。市民が正しい判断をするため、経営状況のブラックボックス化は避け、可視化されていかなくてはならない。
2017年12月07日太陽光発電は家庭用の場合でも経済産業省への設備認定が義務付けられています。では、電力会社との間で発生する太陽光発電による電力の買取や設備にはどんな税金がかかるのでしょうか?太陽光発電に関わる税金の種類や計算例の具体例、確定申告の有無についてご紹介します。太陽光発電にはどんな税金が課されるの?【所得税の対象となる「売却益」】太陽光発電を設置して稼働するためには、電力会社との間で「電力需給契約」を結ばなければなりません。これは、余剰の電力を買い取ってもらい、不足の場合は電力会社から電力を買う契約です。この電力会社に売った電力は「売却益」として所得税の対象になります。太陽光発電で得た売却益は「雑所得」として計上しますが、年間の金額が200,000円未満なら非課税となっています。一般家庭用として一般的な4kW程度のシステムであれば、所得税がかかる心配はほとんどないようです。【発電設備はソーラーパネルのタイプによって固定資産税の対象に】太陽光発電の設備に関しては、設置された物によって固定資産税がかかる場合があります。課税されるのは、屋根と一体になったタイプのソーラーパネルです。パネル自体が屋根の一部として考えられるために課税の対象となります。課税額は調査によって決まりますが、太陽光パネル1㎡あたり約150~200円です。4kWの太陽光発電設備なら、およそ25㎡ですから、3,750~5,000円くらいの固定資産税がかかる計算になります。一方、家庭用の架台などで屋根に乗せる据え置きタイプのソーラーパネルには固定資産税はかかりません。ただし、産業用サイズの10kW以上だと、据え置きタイプでも固定資産税が加算されます。太陽光発電で確定申告に必要なのはどんな書類?【太陽光発電で得た売却益の確定申告の必要書類】売却益が年間200,000円を越えた場合には、雑所得として確定申告を行いますが、その際に必要なのが以下の5つの書類です。1:電力会社から届く「購入電力量のお知らせ」、または、売電収入の入金が確認できる預金通帳2:太陽光発電設備を取得した際の売買契約書と設置業者などからの請求書3:太陽光発電設備の設置に借入金を利用した場合は、それにかかった金銭消費貸借契約書4:電力会社との連系工事負担金が発生した場合は、追加変更故契約を結んだ契約書や、それにかかる請求書など5:ソーラーパネルの直流電力を家庭用の交流電力に変換するための「パワーコンディショナー」の電気代にかかる納付書他にも、修理やメンテナンスを行った場合には必要経費として計上する場合には、金額が確認できる請求書や領収書が必要になります。太陽光発電の費用を無料で比較太陽光発電の売電収入・減価償却の計算方法【売電収入の計算方法】確定申告では「売却益」から「必要経費」を引いた金額を所得として申請します。例えば、発電量のひと月あたりの平均が1,000kWで、700kWを売却したとします。これを2016年の2月から固定買取制度による買取価格の「1kWあたり33~35円」で買い取ってもらった場合の売電収入を計算してみましょう。・700kWh×33~35円/kW×11ヶ月=254,100~269,500円【減価償却の出し方】太陽光発電設備の減価償却は、売電収入を得るために行った設備投資の金額を必要経費として、利益から差し引くものです。長年にわたって使う設備の場合は、設備の経費を複数年の利益に分配します。上記の太陽光発電の設備費用として2,000,000円かかり、2016年の2月1日から太陽光発電を開始したという想定で、減価償却を計算してみましょう。2,000,000円の設備費用のうち、必要経費として計上できるのは、余剰電力の売却に必要な分のみです。1,000kW中700kWを売却しているため、売電の比率を70%として計算します。・2,000,000円×0.7=1,400,000円(設備投資の必要経費)太陽光発電の場合、税務上の耐用年数は17年と定められているため、毎年の償却率は0.059になります。これを設備投資の必要経費に掛けると申告可能な経費となり、月数を掛けることで減価償却費の値を求めることができます。・1÷17=0.059(減価償却率)・1,400,000×0.059=82,600円(申告可能な経費)・82,600×11ヶ月/12ヶ付き=75,717円(減価償却の金額)まとめ太陽光発電を設置した場合の電力の売買収益にかかる所得税や、設備にかかる固定資産税についてご紹介しました。ソーラーパネルの形状や売買収益の年間額など、税金のかかり方にはさまざまなケースがあります。住宅の形状によっても設置状況は異なるため、税金も考慮に入れて太陽光発電システムを選びましょう。太陽光発電の費用を無料で比較
2017年11月20日マンションの売却を検討している人にとって、意外な盲点になっているのが「税金」です。税法上、売却によって得たお金は課税対象とみなされます。このことを忘れていると、思わぬ損失を出しかねませんので、注意しておかなければなりません。ここではマンションの売却益への課税率や、控除を受けられる例、また確定申告の方法をご紹介していきます。売却益に課される税率は?マンションの売却益は「譲渡所得」とみなされ、ここに「所得税」と「住民税」の2種類の税金が課せられます。譲渡所得は、マンションの売却益から、購入時に支払った費用(取得費)と、売却にかかった経費(売却費用)を合計した額を引いて算出します。取得費からは、あらかじめ減価償却費を引いておかなければなりません。また、譲渡取得は売却までの間に、所有者がマンションを所有していた期間に応じて細かく分類され、その区分に応じて所得税や住民税の税額が変動します。売却時点でマンションを5年より長く保有していた場合は「長期譲渡所得」、5年以下なら「短期譲渡所得」として扱われることになります。「長期譲渡所得」の場合、所得税は15.315%、住民税は5%という税率が設定されています。一方で「短期譲渡所得」の税率は、所得税が30.63%、住民税は9%です。したがって、マンションを5年より長く保有していれば、5年以下の場合より税率を低く抑えることができます。ただし、この所有期間の計算には、特殊な算出方法が用いられますので気をつけなければなりません。一般的な感覚からすれば、購入した日から「実際の売却日まで」を所有期間とみなすと思いがちですが、ここでは、購入した日から「売却した年の1月1日まで」を所有期間と考えるのです。計算を間違えて、不要な損失を出さないようにしましょう。マンションの価格を無料査定してみる売却益で税額が控除できる例一定の要件を満たすことで、居住用マンションの売却益にかかる所得税と住民税への特別控除を受けることができます。特別控除には、2つのパターンがあります。1つ目は、長期譲渡所得、短期譲渡所得の両方が受けることができる、最大30,000,000円までの特別控除です。マンションの売り手と買い手が親族関係にはないこと、また、過去2年以内に、ほかの特別控除や譲渡損失の特例を受けていないことなどが、控除の条件となっています。2つ目は、10年以上所有していたマンションを売却する場合にのみ受けられる特別控除です。通常、長期譲渡所得へ課される税率よりも低い軽減税率が適用されます。軽減税率の額は長期譲渡所得の大きさにより変動します。まず、長期譲渡所得が60.000.000円以下の場合には、「長期譲渡所得の金額×10%」分の税が課されることになります。また、60,000.000円を超える場合の税額は、「(長期譲渡所得の金額-60,000.000円)×15%+6.000.000円」という計算式に従って算出されます。なお、この2つの特別控除は併用して受けることが可能です。そのため、特に長期譲渡所得の場合、条件さえ満たすことができれば、大きく節税することができます。確定申告の方法当然ですが、譲渡所得も区分上は「所得」として扱われますので、確定申告の対象となります。マンションの売却主が給与所得者の場合、確定申告には馴染みが薄いかもしれませんが、手順をしっかりと確認し、忘れずおこなってください。まずは税務署に出向いて、以下の書類を受け取りましょう。・譲渡所得の内訳書・確定申告書B様式・分離課税用の確定申告書くわえて、税務署で入手できる書類以外にも、次の書類は自分で用意しておかなければなりません。・マンション購入時/売却時の売買契約書・不動産会社に支払った手数料の領収書売買契約書と領収書は、いずれも原本を用意する必要はありません。コピーなどの控えがあれば十分です。これらの書類をそろえ、申告書に必要事項を記入し、期日までに税務署へまとめて提出すれば、確定申告は完了です。ただし、多忙のため、書類を受け取りに税務署に行く時間すら作れない、という人も中にはいるかと思います。その場合は、国税庁の公式サイトにアクセスすることで必要書類をダウンロードすることができますので、お勧めです。さらに公式サイトには、申告書の記入方法を丁寧に解説した「確定申告の手引き」などのページも用意されています。これらを参考にすることで、混乱することなく、スムーズに確定申告を済ませることができます。また税務署のオンラインサービス「e-Tax」を活用すれば、確定申告の手続き自体をネット上で済ませることが可能です。「e-Tax」の特徴は、何と言っても、税務署で書類提出をおこなうより、素早く申請ができるという点にあります。税務署と異なり24時間申請を受け付けていますので、忙しい方にとっては、とても便利なサービスだといえます。あらかじめ専用ソフトをインストールしておく必要があるほか、マイナンバーカードを読み取るためのカードリーダーを自前で用意しなければならないなど、事前準備の手間はかかるものの、反面、メリットも期待できます。関心がある方は、利用を検討してみてはいかがでしょうか。まとめ譲渡所得に課される税率、そして控除額は、マンションの所有期間によって変動します。不必要な損失を防ぐためにも、事前に必ず確認しておきましょう。なお、ここで紹介した税率などの数値は、将来的に変動する可能性があります。売却前には、必ず、国税庁のホームページを確認し、最新情報を入手してください。まずはマンションの価格を無料査定してみる
2017年11月16日マンションを購入したときは、さまざまな手続きの手数料や税金などがかかったはずです。それと同様に、マンションの売却を行うときにも税金や諸費用がかかります。そのときかかる諸費用については不動産会社の人が詳しく教えてくれますが、後でかかる税金のことまで教えてくれるケースは多くないかもしれません。そこで今回は、マンションを売却した後に必要となる確定申告のため、税金や控除についてご説明します。マンションの売却に伴って、必ずかかる税金があるここでは、マンションを売却すると必ずかかる税金についてご紹介します。【1.登記費用】マンション購入時に住宅ローンを利用していればマンションはローンの抵当に入っていたことになりますから、マンション売却に伴って抵当権を外さなければなりません。この場合、住宅ローンの抵当権を抹消するための手続きを行うことになりますが、不動産の抵当権抹消登記にかかる登録免許税は原則として1物件につきそれぞれ1,000円です。マンションの登記簿は専有部分と敷地権の持ち分からできていますが、今ではほとんどのマンションが敷地利用権と専有部分が一体化されていると考えられます。もしマンションの登記簿に「部屋部分」と「土地の持ち分」が記載されていれば、敷地利用権と専有部分が一体化されているとみなすことができます。この場合の登録免許税の計算方法は以下の通りです。・部屋部分(建物)と土地部分の合計×1,000円この場合、専有部分が1つで土地持ち分が2筆だと合計3,000円です。部屋部分は1つなのに土地部分は2筆以上ということもよくあるので、その分だけ登録免許税がかかることになります。もし古いマンションで、敷地利用権と専有部分が一体化していない場合は、土地の持ち分の登記簿(自分の持ち分に係る一部事項証明書)を別途取得し、抵当に取られている不動産を確認しましょう。この場合の登録免許税の計算方法は敷地利用権と専有部分が一体化されている場合と同じです。また、居住していたマンションを売却すれば当然住所も変わるので、登記簿上も新住所への変更手続きをします。このとき住所変更登記の登録免許税として1,000円がかかります。【2.印紙税】不動産を売買する際は、売買契約書に印紙を貼ることによって、税を納めます。税額は売却価格によって決まっています。平成26年4月1日~平成30年3月31日の間は、軽減税率が適用されます。契約金額によって印紙税額は変動しますが、詳しくは以下の通りとなります。・契約金額10~50万円の場合:本則税率で400円、軽減税率で200円・契約金額50~100万円の場合:本則税率で1,000円、軽減税率で500円・契約金額100~500万円の場合:本則税率で2,000円、軽減税率で1,000円・契約金額500~1,000万円の場合:本則税率で1万円、軽減税率で5,000円・契約金額1,000~5,000万円の場合:本則税率で2万円、軽減税率で1万円・契約金額5,000万円~1億円の場合:本則税率で6万円、軽減税率で3万円・契約金額1億円~5億円の場合:本則税率で10万円、軽減税率で6万円・契約金額5億円~10億円の場合:本則税率で20万円、軽減税率で16万円・契約金額10億円~50億円の場合:本則税率で40万円、軽減税率で32万円・契約金額50億円~の場合:本則税率で60万円、軽減税率で48万円マンションの価格を無料査定してみる利益が出たときにかかる税金もあるここでは、マンション売却によって所得が発生した場合にかかる税金についてご紹介します。【1.譲渡所得税】マンションを売却して発生した所得を「譲渡所得」といいます。譲渡所得がマイナスとなった場合は、課税の対象とはなりません。譲渡所得の求め方は、以下の計算方法となります。譲渡所得=譲渡価額-取得費-譲渡費用他の所得とは別で考えられており、この所得には所得税と住民税が課税されます。税率はマンションを譲渡した年の1月1日現在で所有期間が5年に満たない場合と、5年を超えている場合では大きく異なります。・所有期間が5年を超える土地・建物等(長期譲渡所得)…20.315%(うち所得税が15.315%、住民税が5%)・所有期間が5年以下の土地・建物等(短期譲渡所得)…39.63%(うち所得税が30.63%、住民税が9%)これに加え、平成49年12月31日までは復興特別所得税2.1%が上乗せされています。マンションの売却で、税金が控除できます居住用マンションの譲渡所得にかかる税金には、3種類の控除があります。【1.最大3,000万円の特別控除】マンション売却の場合、譲渡所得は3,000万円まで特別控除によって非課税とされます。譲渡所得が3,000万円を超える場合には課税対象となりますが、あてはまるケースは稀でしょう。ほとんどの場合は控除の対象になると考えられます。なお、おおまかな適用要件については以下の通りです。・自分が居住している家屋やその敷地、借地権を売却すること。・売却した年の前年、前々年に同じ特例の適用を受けていないこと。・居住している住宅の買い換えや交換の特例もしくは、その住宅の譲渡損失についての損益通算及び繰り越し控除の特例について、その適用を受けていないこと。・売った建物や土地について、他の特例の適用を受けていないこと。・災害で住むことができなくなった家屋の場合は、その敷地に居住しなくなった日から3年目の年の12月31日までに売却を行うこと。・親子や夫婦などが売り手・買い手でないこと。この特例の適用を受けるための詳しい要件は、国税庁のホームページに記載されていますのでご確認ください。【2.軽減税率の特例】売却したマンションを10年以上にわたって所有していた場合には、軽減税率の特例を受けることができます。こちらの適用要件は以下となり、詳しくは国税庁のホームページに記載されています。・日本国内にある自分が住んでいる家屋、その敷地を売ること。・売却した年の前年、前々年に同じ特例を受けていないこと。・ほかの特例を受けていないこと。・親子や夫婦などの関係がある相手に売却したものでないこと。【3.買い換え特例】マンションを売却して代わりの住まいに買い換えたときは、譲渡所得にかかる課税を将来に延長することができます。これにも適用要件があり、おおまかには以下となります。・自分が住んでいる家屋、その敷地、借地権を売ること。・売却した建物や土地の所有期間がともに10年を超えていること。・新しく購入した敷地の面積が500㎡以下であること・新しく購入した住宅の床面積が50㎡であること・親子や夫婦など特別の関係がある人が、買い手でないこと。ただし、この特例は譲渡所得の金額が3,000万円を超えた場合にのみ検討されるので、ケースとしては稀かもしれません。また、3,000万円の特別控除と買い換え特例は併用することができません。ともに適用対象となる方は2つの要件を比較して、お得になる方を選択しましょう。まとめ今回は、マンション売却に伴ってかかる税金や控除について詳しくご紹介しました。いざマンションを売却しようとなれば、多くの手続きが発生するものです。専門家にお任せすることも多くなるかと思いますが、少しでも税金の知識があれば手続きをスムーズに行うことができるでしょう。もし控除が受けられれば納める税金を減らせますから、ご自分のケースが控除対象かどうかも確認しておきましょう。まずはマンションの価格を無料査定してみる
2017年11月11日こんにちは、金融ライターの齋藤惠です。資産があっても、そこから引かれる税金って結構高いものです。自分の財産を少しでも多く家族に残すには、どうすれば良いのでしょうか?今回は、相続しても課税対象にならない“非課税財産”のご紹介です。国税庁のホームページに記載されている非課税財産の一覧を、わかりやすい言葉でお伝えしようと思います。●非課税財産1……墓地・墓石、仏壇・仏具など日本人であれば大半の人が所有しているであろう神仏に関する財産は、相続しても税金が課せられません。ただし、骨董品や投機的価値があるものについては、家族ではなく第三者に渡る可能性もある ということで課税対象です。一般的な墓石や仏具であれば問題ないでしょう。●非課税財産2……心身障害者制度の給付金地方公共団体が実施する心身障害者制度に基づく給付金は、脱退一時金を除いて非課税財産といえます。また障害のある本人が受け取った場合だけではなく、扶養者や相続人にも非課税が適用されます。●非課税財産3……公益目的に使われる財産宗教、慈善、学術など、相続人が個人の利益のためではなく公共の利益のために使うことが確実な財産 は非課税財産といえます。●非課税財産4……生命保険金の一部具体的には、相続によって受け取った生命保険金のうち“500万円×法定相続人の数”で計算して出た部分が非課税になります。資産を持つ人が税金対策にと保険に加入する のは、このためです。●非課税財産5……死亡退職手当金の一部遺族が受け取った退職手当金や功労金のうち、生命保険の場合と同じく“500万円×法定相続人の数”で計算して出た部分が非課税になります。●非課税財産6……個人経営の幼稚園のための財産個人経営の幼稚園が相続人に引き継がれたとき、事業に使われていた財産のうち一定の要件を満たすものは非課税になります。該当する人は少ないでしょうが、覚えておいて損はない知識です。●非課税財産7……国や地方公共団体、法人に寄付をした財産相続税の申告期限までに特定の団体に寄付をした分が非課税財産として見なされます。3番目の財産と混同されがちですが、3番は公益のために相続人が財産を使用するのに対し、こちらは寄附という形でのみ非課税が認められます 。----------いかがでしたか?7つ全てを実践するのは難しいですが、自分や家族の税金対策として取り入れられそうな項目がひとつでもあれば検討してみてください。特に、保険の加入や生前にお墓を購入しておくという税金対策は、まだまだ先を見据えるには早い人でも、いつかは役に立つ知識かもしれません。忘れずに覚えておいてくださいね!【参考リンク】・相続税がかからない財産 | 国税庁()●ライター/齋藤惠(金融コンシェルジュ)●モデル/香南
2017年07月24日「ふるさと納税」と呼ばれる制度をご存じでしょうか?この制度は税制を通じてふるさとに貢献するための制度であり、この制度をより利用しやすくするために平成27年には「ワンストップ特例制度」が新設されました。今回は、ふるさと納税に関する概要とワンストップ特例制度について解説していきます。■ふるさと納税の仕組みは?ワンストップ特例制度って何だろう?ふるさと納税は自治体への寄付に関する制度です。自治体に寄付をした場合に、この制度が適用されると税金の一部(所得税と住民税)が控除されます。対象となる金額は、自己負担額である2,000円を除いた寄付金額の全額です。例えば、あなたが自治体に対して50,000円の寄付をしたとしましょう。自己負担額は一律2,000円なので、ふるさと納税の対象は「50,000円-2,000円=48,000円」となります。この48,000円分の税金が、所得税と住民税から控除される仕組みです。では、ふるさと納税はどのような目的で整えられた制度なのでしょうか?ふるさと納税ができた背景には、日本の現代社会が大きく関係しています。現代の日本では、若年層が地方から都会へと移り住むケースが少なくありません。そうなると、地方出身の方は育った自治体に対して恩返しをすることが難しいため、その問題を解決するためにふるさと納税は制度として整えられました。ふるさと納税では、自分が生まれた街以外への寄付も対象とされています。そのため、学生時代に数年暮らした自治体や配偶者の故郷など、様々な自治体を積極的に応援しやすくなりました。ふるさと納税を通して寄付をした資金は、自治体ごとに少し異なります。各自治体が寄付金の使い道や考え方などをホームページで公表しているので、興味を持った方は一度確認してみてはいかがでしょうか?そのような情報を調べることで、応援したくなる自治体が見つかるかもしれません。【税制改革でふるさと納税はどう変わった?】平成27年の税制改革によって、ふるさと納税は以下の2点が変更されました。・ふるさと納税枠が拡大された・ワンストップ特例制度が新設されたふるさと納税枠は従来の2倍ほどに拡大され、控除対象となる金額が拡大されました。これにより、以前に比べて選んだ自治体をさらに応援しやすくなったと言えます。ワンストップ特例制度についても、ふるさと納税を利用しやすくなるために新設された制度と言えます。控除を受けるためには確定申告が必要になるケースが多いですが、この制度の新設により一定の条件を満たすことで確定申告は不要となりました。つまり、控除を受けるために余計な手間を発生させないための制度です。では、具体的にどのような条件を満たせば、確定申告が不要になるのでしょうか?主な条件としては以下の3つが挙げられます。・寄付をする自治体が5つ以下・サラリーマンなど、確定申告をする必要がない方・申告特例申請書を寄付をした自治体に提出した方上記の中で間違えやすいポイントとしては、寄付をする自治体の数です。ワンストップ特例制度は1年間の寄付が対象となりますが、同じ自治体に何回か寄付をした場合でも、寄付をした自治体は1つとして数えられます。■従来は確定申告が必要だった?ワンストップ特例制度が導入される前は、ふるさと納税には確定申告が必要でした。サラリーマンのように確定申告が必要ない方であっても、ふるさと納税で控除を受けるには確定申告で所定の手続きをする必要がありました具体的には、以下のような手順で控除申請が行われていました。【STEP1】証明書類を用意するふるさと納税を行うと、寄付したことを証明する書類が発行されます。自治体ごとに具体的な必要書類は異なりますが、多くの自治体では確定申告時にこの証明書類が必要です。【STEP2】確定申告書を作成する確定申告については、寄付をした翌年の3月15日までに行う必要がありました。それまでに確定申告書を作成し、税務署や役所などに提出をすることで控除の申請となります。本来確定申告をする必要がない方にとって、上記の手続きは面倒なものです。中には、この手続きによって「ふるさと納税を諦めた…」という方もいることでしょう。元々確定申告の必要がある方にとっては大きな手間ではありませんが、必要がないサラリーマンなどにとっては大きな手間と負担です。そこで導入されたのが、前述でもご紹介したワンストップ特例制度です。この制度の導入により手続きが簡略化され、上記の手続きをしなくても控除を受けられるようになりました。「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」を提出する必要はありますが、控除に必要なほかの書類や情報に関しては、この制度を利用することで自治体側がそろえてくれます。確定申告書を作成する場合と比べると、手間や負担を大きく抑えられる方法と言えるでしょう。では、このワンストップ特例制度が導入されたことで、ふるさと納税の実績はどのように変化したのでしょうか?平成27年度の実績を見ると、この制度が導入されたことで状況が変わったことが確認できます。・受入額は約1,653億円であり、前年の約4.3倍・受入件数は約726万件であり、前年の約3.8倍(総務省:ふるさと納税に関する現況調査結果)上記の結果を見ると、ふるさと納税の利用は今後ますます増加する可能性があると言えるでしょう。ワンストップ特例制度を活用することで、余計な手間を減らしつつ好きな自治体に貢献することができ、控除というメリットも得られます。興味を持った方は、一度好きな自治体への寄付を検討してみてはいかがでしょうか?■こんな場合には要注意!ワンストップ特例制度が適用されないケースがある?ワンストップ特例制度には条件が備わっているので、ふるさと納税をしたからと言って必ずしも利用できるわけではありません。では、実際にどのようなケースに該当すると、ワンストップ特例制度が適用されないのでしょうか?以下で詳しく見ていきましょう。【その1】確定申告が元々必要な方ふるさと納税をしなかったとしても、元々確定申告が必要な方は多く見られます。そのような方については、基本的にワンストップ特例制度が適用されることはありません。確定申告が元々必要な方としては、以下のケースなどが挙げられます。・年収が2,000万円を超えているサラリーマン・給与所得が一ヶ所ではなく、複数の企業などから給与が支払われている方・事業所得がある方・不動産所得がある方・副業や投資をしている方確定申告が必要な方は確定申告時に寄付の証明書類を用意しておき、ふるさと納税の控除申請をきちんと行うようにしましょう。【その2】寄付をした自治体の数が多い場合前述でご紹介しましたが、ワンストップ特例制度を利用するには寄付をする自治体を5つまでに抑えなくてはなりません。寄付をした自治体が6つを超えると、確定申告をしなければ寄付した金額は控除がされないので注意が必要です。【その3】その他の還付申告を伴う方ふるさと納税以外にも、還付申告が必要になる制度はいくつか見受けられます。そのような制度を利用する方は、確定申告をしなければふるさと納税の控除を受けることができません。還付申告が必要なほかの制度としては、医療費控除や住宅ローン控除などが挙げられるでしょう。なお、住宅ローン控除については2年目から確定申告が必要ないケースもあります。住宅ローン控除は複数年に及ぶケースが一般的ですが、2年目以降は年末調整で処理がされるので、サラリーマンの方などは確定申告をする必要がありません。ただし、1年目については確定申告が必ず必要になるので、ワンストップ特例制度は適用されないことを覚えておきましょう。■「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」提出後の注意点申告特例申請書を提出した場合であっても、以下のケースに該当する場合は確定申告が必要になる可能性があります。以下でご紹介するケースを確認し、自分が該当していないかをきちんと確かめた上で行動をするようにしましょう。【ケースその1】その年の年収が2,000万円を超えた場合ひとつの勤務先に勤めているサラリーマンであっても、年収が2,000万円を超えると年末調整の対象ではなくなります。つまり、翌年の3月に確定申告をする必要性が生じてくるので、ワンストップ特例制度が利用できません。昇給などにより年収が変化しそうな方は、2,000万円を超えないかどうか事前に確認しておくことが望ましいでしょう。【ケースその2】その年の途中から収入源が増えた場合その年の途中から収入源が増えた場合も、確定申告が必要になるので注意が必要です。雇用形態が変更になった方や、不労収入がある方などは特に意識しておきましょう。【ケースその3】急な病気やけがで多くの医療費がかかった場合急な病気やけがで医療費がかかると、医療費控除の対象に含まれることがあります。ふるさと納税の控除に加えてこの医療費控除も受けたい場合には、確定申告できちんと控除申請をしなければなりません。このようなケースで確定申告を怠ると、「ワンストップ特例制度は利用できるものの医療費控除は適用されなかった」といった状況に陥る可能性があるので注意してください。■ワンストップ特例制度の申し込みは?提出期限はある?ここまでワンストップ特例制度の概要についてご紹介してきましたが、そもそもこの制度を利用するためにはどのような手順で申し込むのでしょうか?以下では、ワンストップ特例制度の申し込み方をステップに分けて解説していきます。【STEP1】申告特例申請書を郵送してもらう前述でもご紹介しましたが、ワンストップ特例制度の申し込みには申告特例申請書が必要になります。しかし、この申告特例申請書は必ずしも郵送されるものではありません。ふるさと納税を希望する場合は、各自治体の払込取扱票に記載をした上で寄付を行います。この払込取扱票に申告特例申請書の欄があるので、必ず「申請書送付を希望する」の欄にチェックを入れるようにしましょう。この欄にチェックを入れることで、自治体から申告特例申請書が郵送されてきます。もしチェックを入れ忘れた場合、待っていても自宅に申請書が届かなかった場合などは、各自治体のホームページから申請書をダウンロードすることが可能です。【STEP2】申告特例申請書を提出する申告特例申請書を手に入れたら、案内などに従いながら必要事項を記入していきます。必要事項をすべて記入し終わったら、ふるさと納税で寄付をした自治体に返送をしましょう。【STEP3】受領されれば完了返送した申告特例申請書が自治体に受領されれば、申し込みは完了となります。申請にはある程度の時間がかかり、記入漏れがあるとさらに手間が発生してしまうので、ワンストップ特例制度の申し込みは早めに行うことが大切です。【2016年以降はマイナンバーも必要!】2016年以降からは申請時にマイナンバーの記載が必要になりました。申請書にマイナンバーの記入欄があるので、自分のマイナンバーを確認した上できちんと記入するようにしましょう。また、マイナンバーに加えて本人確認書類が必要になる点も忘れてはいけません。本人確認書類については、以下のものを用意しておきましょう。・個人番号カードを持っている場合個人番号カードの表面と裏面をそれぞれコピーしたものが必要です。・通知カードしか持っていない場合通知カードのコピーに加えて、顔写真が貼られている本人確認書類のコピーが必要です。具体的なものとしては、運転免許証やパスポートなどが挙げられます。・通知カードを無くしてしまった場合マイナンバーが記載されている住民票の写しに加えて、運転免許証やパスポートなどのコピーが必要です。ワンストップ特例制度の申請は1年中受け付けていますが、提出の期限があります。税金の計算は毎年1月~12月までの期間に基づき行われるので、申請書類の提出はふるさと納税をした翌年の1月10日までであり、この期日までに自治体に到着することが必要となります。この期限を過ぎてしまうと、ふるさと納税ワンストップ特例制度の適用を受けることができなくなるため注意してください。■まとめ今回は、ふるさと納税とワンストップ特例制度についてご紹介してきました。ワンストップ特例制度の開始により、サラリーマンでも利用しやすくなったふるさと納税。この機会に地方創生への想いも込めて、ふるさとへの恩返しやお世話になった地域への貢献の方法として、ふるさと納税を利用してみてはいかがでしょうか?
2017年04月18日・一発でガツンと大きくトクする! 家計を元気にする税金のイロハ ・贈与税の裏事情でトクをする!? 親もママも税金対策できる “住宅購入” のコツ ・住宅ローン控除を利用できる人、利用できない人 ・聞きづらい財産の話はどう話す? 30代で知らないと損をする「親の相続」問題点 ・教育資金はおトクに贈与してもらう! パパ・ママが「親のお金」をうまく生かす方法 の続きです税金の制度が大きく変化している中、ぜひガツンと大きな節約をしてもらいたいと考えた、本連載も最終回を迎える。最後は、税金の制度の中で、ママにとってはもっとも身近な税金、「ふるさと納税」と「医療費控除」の新制度について説明したい。これらは「家計を元気にする」おトクな節税の第一歩。この税金のおトクを知ることについて、税理士の湊 義和(みなと よしかず)さんは、「税金に親しむキッカケにしてみては?」と話す。■使わなかったら損! 「ふるさと納税」「ふるさと納税」とは、応援したい地方自治体へ寄付することによって、所得税が還付(戻ってくること)されたり、また住民税が軽減されたりする制度のこと。2015年度から、控除(本来支払う税金から差し引いて計算すること)の限度額が2倍になり、2015年4月1日以後の寄付から、確定申告が必要ない使い勝手の良い制度になった。Q. 年収500万円の夫が、K市に3万円のふるさと納税をしました。夫の税金はどうなりますか?A. 税金が2万8千円安くなります。(所得税率は20.42%、住民税は10%で試算)多くの人にとって興味があるのは「税金がいくら安くなるか?」であって、「税金が安くなるメカニズム」ではないだろう。ゆえに、 税金が安くなるメカニズム は、本記事の最後を参照してほしい。■「ふるさと納税ワンストップ制度」が使える人ふるさと納税で覚えておきたいのは、「ふるさと納税ワンストップ特例制度」だ。これは、2015年4月1日以後の「ふるさと納税」について、次の条件を満たした場合、確定申告不要になるという制度だ。ふるさと納税ワンストップ制度を利用した場合、自分が住んでいる市区町村の住民税が減額される。この場合は、所得税は、年末調整で計算が終わっているので、本来、確定申告をして所得税からも控除される分も含めて、住民税から減額となる。●ふるさと納税ワンストップ制度が使える人1)確定申告が不要である給与所得者であること(年末調整だけで済む人のこと)ちなみに、「医療費控除」で確定申告を行う場合には、「ワンストップ制度」は利用できない。すでに申請していても無効となるので、忘れずに確定申告で「寄付金控除」の対応を! 2)「ふるさと納税」をした県や市などへ確定申告不要制度を活用したい旨の申請を行うこと。3)その年の12月31日までに「ふるさと納税」をおこなった自治体の数が5か所以内であること。出典:『 家計を元気にする 税金活用術 「節税」から「活用」へ 』(湊 義和著/中央経済社刊) ■「医療費控除」の新しい制度がスタート!さて。本連載も、いよいよ最後の項目。今回は、税金のおトクとしてもっとも有名な医療費控除の新ニュースをお伝えしよう。2017年1月1日から、市販薬の購入についての新しい制度がスタートした。その名は、「セルフメディケーション税制」。セルフメディケーション税制とは、適切な健康への取り組みをしている人が、「対象の市販薬」を年間1万2000円以上購入した場合に、税金が安くなる制度だ。この制度を利用するには、定期健康診断を受けるなど、適切な自分管理が必要となる。また、対象とされる薬は、「バファリン®」など、誰もが購入する機会があるごく一般的な市販薬だ。「セルフメディケーション税制は、『自分の健康は、自分で守るという意識』の起爆剤になるかもしれませんよね」(湊さん)いままでは、医療費控除は、「最低額は10万円もしくは所得の5%を超えた場合」が対象。それが、たとえば、年間の医療費が10万円未満で医療費控除がダメでも、「対象の市販薬を年間1万2000円超で買った場合」には、セルフメディケーション税制が使える。この制度は、従来の医療費控除と選択制で、次の2つを満たしている時に利用できる。●セルフメディケーション税制を使うポイント1)特定健康診断、予防接種、定期健康診断、健康審査、がん検診を行っていること参考サイト:厚生労働省「 セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)について 」2)厚生労働省が定める市販薬を購入する参考サイト:厚生労働省「 セルフメディケーション税制対象医薬品 品目一覧(全体版) 」(PDF)■税金優遇の「要件」は、主婦が知っておくべき必須情報全6本に渡りお送りした「知っている人だけトクする税金術 2017」もこれで終わりだ。この連載を書きながら、「法律は、生き物のようだなぁ」と思った。たとえば、植物が自然と光の方向を向くように、法律も、日本が行くべき方向に向かって、どんどん変化していく。文中に何度も書いたけれども、税金の優遇を受けるためには、国が示す「要件」を満たしていないとならない。つまり、税金で家計を元気にするためには、主婦が、この「要件」を知っておく必要があるということだ。税金の知識は、家計を元気にするのに、「一発でガツンと効く」のだから、難しいと敬遠して知らないのはもったいない!「税法を毎年チェックしていくことで、私たち達が歩む道が見えてくるのではないか?」 そんな気持ちから本連載には、「2017」と付け加えることにした。今後も、定期的に「家計を元気にする」税法をチェックしていきたい。この記事は2017年1月の取材に基づいて書いています。■今回取材にご協力いただいた湊 義和さんの著書『 家計を元気にする 税金活用術 「節税」から「活用」へ 』湊 義和 / 中央経済社 ¥1,600(税別)湊 義和さんプロフィール中小企業を応援する政府系金融機関のサラリーマンから一念発起して税理士になった経歴の持主。とかく難解な税金の世界の水先案内人として、一般の方の税金相談から独立開業、二代目の事業承継などさまざまな相談に乗るのが生きがい。趣味は最近少し人気が回復してきたスキー。【プチ知識】ふるさと納税で税金が安くなるメカニズム年収500万円(※)の人が、30,000円のふるさと納税をした場合、28,000円の税金が安くなる。(※所得税率は20.42%、住民税は10%で試算)税金が安くなるメカニズムは、図にすると下記の如くになる。それぞれをみていこう。1)所得税所得税では、K市へのふるさと納税は、K市への寄付金として取り扱う。この場合、K市へ寄付した金額のうち2000円(A)を超える金額が所得から控除されるため、所得税としては、次の金額が軽減される。(30,000円 − 2,000円) × 20.42% = 5,718円(B)2)住民税住民税では、以下の2段階で、税金が軽減される。▼第1段階K市への寄付金のうち2,000円を超えた金額の10%が控除される。(30,000円 − 2,000円) × 10% = 2,800円(C)▼第2段階K市への寄付金のうち2,000円を超えた金額に以下の割合を掛けた金額が控除される。(30,000円 − 2,000円) × (1 − 所得税率 − 住民税率)ただし、夫の住民税所得割額の2割が上限だ。(30,000円 − 2,000円) × (1 − 20,42% − 10%) = 19,482円(D)
2017年04月15日・一発でガツンと大きくトクする! 家計を元気にする税金のイロハ ・贈与税の裏事情でトクをする!? 親もママも税金対策できる “住宅購入” のコツ ・住宅ローン控除を利用できる人、利用できない人 の続きですこれまで関係ないと思っていた人に、突然ふりかかってくるのが税金の制度である。それの最たるものが「相続税」だ。2015年4月に課税ラインが下がった相続税について、税理士の湊 義和(みなと よしかず)さんにお話を伺った。30代から親と話しあうことで、大きな「税金のおトク」を逃さないようにしよう。■首都圏の人は要注意! 相続税は誰もが払う時代に!?2015年4月、相続税の基礎控除額(税金が免除になる境界ライン)が、これまでからほぼ6割に切り下げられた。これにより国税庁の報道発表によると、相続税を支払う人の数(課税対象者数)は、例年の2倍となった(※)。家計が元気でいるためには、安全で確実な相続税対策を事前に検討しておく必要がある。これからは、本当は相続税がかかるのに、当事者が知らないということが、わりと起こりがちとなる。とりわけ首都圏に土地付きの実家がある人は、要注意を! ※国税庁「 平成27年分の相続税の申告状況について 」より■親には聞きづらい「財産」の話、どう切り出す?「相続税の対策をしておきましょう!」。そう言われても、親子といえども、財産についての話は、なかなか聞きづらいもの。どうやって、親と財産について話し合いを始めたら良いのだろうか? そんな、率直な疑問を湊さんに聞いてみた。「親御さんには、『いままで、どんな人生を送ってきたの?』という形で話を切りだしてみてはいかがでしょうか?」(湊さん)たとえば親の結婚記念日や、誕生日など、親兄弟と集まったときにでも、そんな話を切りだしてみてはどうかと、湊さんはアドバイスする。財産についての話しあいが進み始めたら、税理士という「税金の専門家」に中に入ってもらうことも、とても有効だ。「私たちはお客様に、『時間を、お金で買ってください』と、お伝えしています」(湊さん)。現実問題として、相続税対策について普通の人が一から勉強するのは時間がかかる。さらに、調べたことが「間違っていない」という保証もない。そこに多くの時間を割くのであれば、「税理士さんにサクッとポイント整理してもらうこと」にお金を払うのもアリなのではないか? ■相続税対策は、大きくわけて2つ本格的な相続税対策は、この記事の中だけで十分説明するのは難しい。けれども、方向性だけでも、ここに示しておこう。相続税対策は、大きくわけて2つある。対策1:相続税がかかる 財産の評価を落とす対策2:生前贈与対策 を検討する「相続税対策というのは、何なのか?」を考え始めたときには、上記の2本柱を頭にいれておく必要がある。このうち、対策1で使える「小規模宅地の評価減の特例」は、名前だけで敬遠したくなるが、ものすごく威力がある特例だ。 ■財産の評価を落とす「小規模宅地の評価減の特例」とは「小規模宅地の評価減の特例」とは、自宅を相続する場合には、330m²(約100坪)まで自宅の土地は、評価額を80%少なくするというもの。この特例がかなり使える。これまでは文字通りの「自宅(親が住んでいた家)」のみが対象だったが、最近の改正で、二世帯住宅も同居をしているという意味で自宅扱いになった。小規模宅地の評価減の特例を受ける(税金の優遇を受ける)ためには、国が提示する「要件」を満たしていなければならない。この要件は、法律の文章だけではわかりづらい。Q. 実家を二世帯住宅に建て替えをして住んでいます。土地の相続税評価額は5、000万円。父が亡くなって、小規模宅地の評価減の特例を使うと税金がいくら安くなりますか?A. 1,200万円安くなります(相続税率は30%とする)具体的な事例については、こちらの記事を参照してほしい。■税金の計算はこうなる「二世帯住宅。父が亡くなり、相続が発生した場合」母と本人(パパママ)はいずれも同居しているとみなされるので、どちらが自宅を相続しても小規模宅地の評価額の減額の特例を適用でき、80%の評価減ができる。A. 自宅の評価が下がる金額: 5、000万円 × 80% = 4,000万円B. 相続税の減少額: 4,000万円(A)× 30%(相続税率) = 1,200万円 ■相続税の本当の大きな問題は、“1回目” ではないここで特筆したいのは、父のあとに母の相続が起きたとき(母が亡くなったとき)のことだ。これを、「二次相続」という。基本、「相続税は『代』が変わるときにかける」という考え方がある。父が亡くなったときは、母が生きていれば「配偶者控除」が使える。「配偶者控除」は、ものすごく大きな税制優遇なのだ。しかし二次相続のとき(母が亡くなり、パパママの「代」になるとき)こそが、本当は大きな問題となるのだ。上記の例をとると、母が亡くなって、子ども(パパママ)が同居していなかった場合には、「小規模宅地の評価減の特例」が使えず、100%の相続税がかかってしまう場合があるからだ(実際には、子どもが家を購入していなければ特例が使える場合もある)。つまり、片方の親が亡くなったときは、もう片方の相続も視野にいれての相続税対策が必要だということ。もっといえば、親の生前から二次相続の対策を考え始めておくに越したことはない。次回は、「教育資金はおトクに贈与してもらう! パパ・ママが「親のお金」をうまく生かす方法」です。この記事は2017年1月の取材に基づいて書いています。■今回取材にご協力いただいた湊 義和さんの著書『 家計を元気にする 税金活用術 「節税」から「活用」へ 』湊 義和 / 中央経済社 ¥1,600(税別)湊 義和さんプロフィール中小企業を応援する政府系金融機関のサラリーマンから一念発起して税理士になった経歴の持主。とかく難解な税金の世界の水先案内人として、一般の方の税金相談から独立開業、二代目の事業承継などさまざまな相談に乗るのが生きがい。趣味は最近少し人気が回復してきたスキー。
2017年04月13日「ふるさと納税」という言葉を耳にしたことはありませんか?このふるさと納税は、上手に利用すればサラリーマンでも節税対策をすることができる魅力的な制度と言えます。ただし、より効果的にふるさと納税を利用するためには、「ワンストップ特例制度」についても理解を深めておく必要があるでしょう。そこで今回は、ふるさと納税とワンストップ特例制度について解説していきます。■ふるさと納税はどんな制度?「ふるさと納税」と聞くと故郷に税金を納めるように聞こえますが、正しくは「ふるさと納税=自治体への寄付金」のことです。では、そんなふるさと納税はどのような目的があって整えられた制度なのでしょうか?現代では地方で生まれ育った子どもが、進学や就職を機に都会へ引っ越すケースが多く見られます。そのまま都会での生活に慣れて、都会で結婚をして長期間住み続けることも珍しくはありません。そうなると、その人は都会に対して地方税などを納めることになります。サービスに関しても都会のものを利用することになるでしょう。そのような方でも子どもの頃は、生まれ育った故郷のサービスを受けていたはずです。しかし、大人になってから都会へ移り住むことになると、故郷に対して税金を納めたりサービスの対価を支払ったりすることができません。これは自治体にとってはマイナス要因であり、本人にとっても「地元に貢献できない」といったデメリットが発生します。そこで整えられた制度がふるさと納税です。ふるさと納税では自分が選んだ地方自治体へ寄付をすることで、寄付をした金額の一部が税金控除の対象となります。所得税と住民税が安くなるので、この制度が整えられたことで積極的に寄付をしやすくなりました。寄付の対象となる自治体は自由に選べるので、生まれ育った自治体以外にも学生時代に過ごした街、自分の子どもが住んでいる街などに寄付をしても控除を受けることは可能です。ふるさと納税はこのような制度なので、「地方創生」という大きな役割も担っています。控除の対象となるのは自己負担額(2,000円)を除く寄付金の全額なので、人によっては節税対策としても活用できるでしょう。その上、自治体によってはふるさと納税をすることで、趣向を凝らした返礼品を受け取ることもできます。【寄付先は情報収集をしてから選んでみよう!】日本全国の自治体は、ふるさと納税に関する目的や寄付金の使い道などをホームページ上で公表しています。そのため、「寄付金が何に使われるか分からないから…」と悩む必要はありません。また、中にはふるさと納税を行う本人が、寄付金の使い道を選択できる自治体も見られます。そのような自治体を選べば、納得できる形で寄付をすることができるでしょう。ふるさと納税の寄付先は、情報収集をしてから選んでも遅くはありません。きちんと情報収集をしてから自治体を選べば、不本意な形で寄付をしてしまうことは防げるでしょう。■寄付金額の上限は?全額控除になるふるさと納税額の目安上記ではふるさと納税の概要をご紹介しましたが、必ずしも全額控除を受けられるわけではありません。例えば年間で50,000円の税金を納めている場合、それ以上の控除を受けることは難しいでしょう。納めた税額以上の控除を受けることは基本的にできないので、その点には注意が必要です。では、全額控除になる寄付金額は具体的にどれぐらいなのでしょうか?納税者の年収や家族構成により目安は異なりますが、以下ではいくつかのモデルケースをご紹介いたします。【その1】ふるさと納税を行うサラリーマンの給与収入が300万円の場合・独身または共働き夫婦では28,000円・共働きで高校生の子供が1人では19,000円・共働きで大学生の子供が1人では15,000円・共働きで大学生と高校生の子供2人では7,000円・配偶者に収入がなく高校生の子供が1人では19,000円・配偶者に収入がなく大学生の子供が1人では11,000円【その2】ふるさと納税を行うサラリーマンの給与収入が500万円の場合・独身または共働き夫婦では61,000円・共働きで高校生の子供が1人では49,000円・共働きで大学生の子供が1人では44,000円・共働きで大学生と高校生の子供2人では36,000円・配偶者に収入がなく高校生の子供が1人では49,000円・配偶者に収入がなく大学生の子供が1人では40,000円・配偶者に収入がなく大学生と高校生の子供2人では28,000円【その3】ふるさと納税を行うサラリーマンの給与収入が700万円の場合・独身または共働き夫婦では108,000円・共働きで高校生の子供が1人では86,000円・共働きで大学生の子供が1人では83,000円・共働きで大学生と高校生の子供2人では75,000円・配偶者に収入がなく高校生の子供が1人では86,000円・配偶者に収入がなく大学生の子供が1人では78,000円・配偶者に収入がなく大学生と高校生の子供2人では66,000円【その4】ふるさと納税を行うサラリーマンの給与収入が1,000万円の場合・独身または共働き夫婦では176,000円・共働きで高校生の子供が1人では166,000円・共働きで大学生の子供が1人では163,000円・共働きで大学生と高校生の子供2人では153,000円・配偶者に収入がなく高校生の子供が1人では166,000円・配偶者に収入がなく大学生の子供が1人では157,000円・配偶者に収入がなく大学生と高校生の子供2人では144,000円上記で紹介したモデルケースは、住宅ローン控除などほかの控除を受けていないサラリーマンの例です。年金収入だけの人や事業所得者、その他の控除を受けているサラリーマンの人などは上限額が異なる場合があるため注意してください。あくまでも目安としての年間上限額のため、実際の金額はお住まいの自治体に問い合わせることが大切です。■ふるさと納税の寄付金控除を受けるための手続きふるさと納税の寄付金控除は、原則として確定申告をしなければ受けられません。では、具体的にどのような手順で確定申告をすれば良いのでしょうか?以下で詳しく解説していきます。【STEP1】寄附金受領証明書を受け取るふるさと納税で寄付をすると、寄付先の自治体から「寄附金受領証明書」と呼ばれる書類が届きます。この書類は確定申告時に必要になるので、必ず無くさないように保管しておきましょう。自治体によっては、専用振込用紙の払込控が受領証になる場合もあります。【STEP2】受領証明書を添付して確定申告をする受領証明書を受け取ったら、確定申告書の指定された箇所にその証明書を貼り付けましょう。その後、確定申告書に必要事項を記入して提出をすれば手続きは完了です。この手続きにおいて注意するべきポイントは、確定申告の「期日」です。控除を受けたい場合には、寄付をした翌年の3月15日までに確定申告を行う必要があるので必ず忘れないようにしましょう。上記の手続きが完了すると、所得税と住民税が以下のように控除されます。・所得税…寄付をした年の所得税から還付される・住民税…寄付をした翌年6月以降分の税額が減額されるなお、国税庁が提供している「確定申告書等作成コーナー」を利用すれば、画面の案内に従って各項目を入力していくだけで簡単に確定申告書を作成できます。「確定申告書の作り方が分からない…」と悩んでいる方は、このようなサービスを積極的に活用してみましょう。確定申告書の提出については、お住まいの地域を管轄する税務署に郵送または持参するか、e-Tax(電子申告)を利用して申告する方法があります。ただし、e-Taxでの申告には事前の手続きが必要になるので注意してください。■ワンストップ特例制度によりサラリーマンは確定申告が不要になる場合も!上記ではふるさと納税による控除を受けるために、確定申告が必要になるとご紹介しました。しかし、実は一定の条件を満たすことで確定申告が不要になるケースがあります。それが「ワンストップ特例制度」と呼ばれる制度です。この制度が平成27年に新設されたことにより、多くの方がふるさと納税を利用しやすくなりました。平成27年から納税枠が約2倍に拡大されて、控除の範囲が広がった点も私たちにとっては嬉しいポイントです。例えば、元々確定申告をする必要がない方にとっては、確定申告の手間が増えることは負担です。「控除が少額なら行っても仕方ない…」と感じていた方も、中にはいるかもしれません。しかし、以下の条件を満たすサラリーマンの方であれば、ふるさと納税により寄付をしても確定申告なしで控除を受けられるようになりました。・ふるさと納税をした自治体が1年間に5つ以内の方・年収が2,000万円未満、副収入を得ていないなど、元々確定申告をする必要がない方上記の条件を満たしている方は、所定の手続きを済ませることでワンストップ特例制度が適用され、確定申告をしなくても控除対象になります。では、この制度の適用を受けるにはどのような手続きが必要になるのでしょうか?【ワンストップ特例制度で必要な手続き】ワンストップ特例制度の手続きでは、以下の書類が必要になります。・ワンストップ特例申請書(寄附金税額控除に係る申告特例申請書)・本人確認書類のコピーなど寄付をした自治体に対して、上記2つの書類を郵送することで手続きができます。なお、2017年3月現在ではマイナンバーの記載も必要になったので、マイナンバーが分かる書類もきちんと用意しておきましょう。この手続きを済ませると、自治体同士で納税者の情報が共有されて自動的に税金が減額されることになります。確定申告の手間を一気に省けるので、ふるさと納税を検討している方はワンストップ特例制度の利用も考えてみましょう。ただし、上記の申請を行った後に住所などが変更になった場合は、さらに手続きが必要になるので注意しておきましょう。このようなケースでは、寄付をした翌年の1月10日までに「申告特例申請事項変更届出書」を寄付先の自治体に提出をする必要があります。■ワンストップ特例制度の申し込み期限ふるさと納税のワンストップ特例制度は、1月~12月までいつでも申し込むことが可能です。ただし、所得税などの控除は1年単位で適用されるので、年をまたぐと前年分の申請ができなくなる可能性があります。寄付をする場合には、早めにワンストップ特例制度も申請しておきましょう。なお、年末に申請をする場合には特に注意が必要となります。申請から受領まではある程度の日数がかかりますし、自治体によっては12月の早い段階で受付を締め切ることもあります。各自治体で締め切りは異なるので、必ず寄付先の自治体に関する情報は事前に調べておきましょう。また、ふるさと納税の期限に関しても注意が必要です。受領証明書に記載されている受領日が12月31日を過ぎると、その年の控除申請ができなくなる恐れがあります。その場合は翌年分として扱われますが、節税対策としてふるさと納税の利用を検討している方は注意するべきポイントでしょう。なお、受領日の扱いは以下のように送金方法によって異なります。・クレジットカードの場合…決済が完了した日・銀行振り込みや払込取扱票による支払い…指定口座に支払いした日・現金書留…自治体が受領した日上記の送金方法による違いも意識しながら、ふるさと納税やワンストップ特例制度を上手に使いこなすようにしましょう。これらの制度を上手に活用すれば、節税対策をしながら社会貢献もできるはずです。■まとめ今回は確定申告不要でサラリーマンでも簡単に利用できる、ふるさと納税のワンストップ特例制度についてご紹介してきました。いかがでしたでしょうか?ふるさと納税のワンストップ特例制度を上手に利用すれば、サラリーマンでも節税対策をすることができます。また、ふるさと納税を通して故郷やお世話になった地域に貢献することもできます。今回ご紹介した内容を参考にして、みなさんもふるさと納税を利用してみてはいかがでしょうか?
2017年04月13日・一発でガツンと大きくトクする! 家計を元気にする税金のイロハ ・贈与税の裏事情でトクをする!? 親もママも税金対策できる “住宅購入” のコツ の続きです。税金の制度が、すごい勢いで変化している、いま。30代にとってもそれを知っているのと、知らないのでは大きな差が出てくる。今回は、30代にとって一番身近で大きな「税金のおトク」分野である「住宅ローン控除」(住宅借入金等特別控除)について、税理士の湊 義和(みなと よしかず)さんにお話を伺った。■「住宅ローン控除制度」を使えなかった30代は、マイホーム購入の適齢期といわれている。住宅ローンを組むときに知っておいて欲しいのが、住宅ローン控除の知識である。じつは、筆者である私自身は、「住宅ローン控除」を使えていない。だから、自戒の念も込めて、「住宅ローン控除の知識は必須だよ!」ということをお伝えしたい(まったく説得力に欠けると思うが…笑)。■なぜ「住宅ローン控除」を使えなかったか?私は、恋に落ちたように家を購入した。一目ぼれをし、内覧させてもらった15分で購入を決定した。私ひとりで決めたので、夫が物件を見たのは、売買契約と住宅ローンの実行が終わってからだ。賛同してくれた夫の太っ腹ぶりにいまでも感謝している。住宅ローン控除を受けるには、国が提示する「要件」を満たしていなければならない。私が恋に落ちた家は、「購入する物件の要件」を満たしていなかった。つまりマイホームを購入しようと思ったら、住宅ローン控除の概要と、控除を受けるための要件は知っておくべきなのだ。■住宅ローン控除制度の概要住宅ローン控除とは、購入した年から10年間、毎年末の住宅ローン残高の1%が、所得税や住民税から控除される制度である。住宅の種類に応じて借入限度額が異なっている。税金控除額 = 住宅ローンの年末残高 × 1%(控除率)●住宅ローン控除一覧表出典:『 家計を元気にする 税金活用術 』(湊 義和 著/中央経済社刊)※認定住宅とは、認定長期有料住宅及び認定低炭素住宅をいうQ. 「住宅ローン控除」は、どれくらい家計を元気にしますか?A. たとえば年収600万円の人が3,000万円の住宅ローンを組んだ場合。所得税と住民税を合わせて、28万円を軽減できます。同様の効果を10年間受けることができます。所得税と住民税を合わせて、年間28万円(月額換算すれば、2万円強)もの税金が軽減できる。どれほど大きなおトクか、イメージが沸いただろうか?■「住宅ローン控除」を利用するための要件とは?前述したとおり、このおトクを使うためには国が提示した「要件」を満たしていなければいけない。押さえておきたい「要件」は、次の2つだ。【その1】住宅ローン控除を利用できる人次のとおりとなる。1. その年の合計所得金額が3,000万円以下の人2. 居住年及び居住年の前後2年以内に、ほかの居住用財産に関する課税の特例を受けていない人(これは自宅を買い換える場合に注意すべき要件となる)【その2】購入する物件次のとおりとなる。1. 床面積が50m²以上(登記簿面積)であり、床面積の2分の1以上の部分をもっぱら自宅として使用していること2. 中古住宅の場合には、取得の日前20年(マンションなどの耐火建築物の場合には25年)以内に建築されたもの3. 及び 2. 以外で、地震に対する安全性に係る基準に適合するものであること(平成17年4月1日以後に取得をした場合に限る)4. 取得の時に生計を一にしており、その取得後も引き続き生計を一にする親族や特別な関係のあるものなどからの取得でないこと<参考サイト>国税庁「 住宅を新築又は新築住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除) 」ちなみにわが家は、購入時点で築20年超だったので、要件2.(中古住宅の場合には、取得の日前20年)を満たしていなかった。家を購入したあとに「住宅ローン控除が使えない物件である」と判明したときは、やっぱり悔しかった(もちろんそれがわかったところで購入したことには変わりないのだが…)。次回は、「聞きづらい財産の話はどう話す? 30代で知らないと損をする「親の相続」問題点」 です。この記事は2017年1月の取材に基づいて書いています。■今回取材にご協力いただいた湊 義和さんの著書『 家計を元気にする 税金活用術 「節税」から「活用」へ 』湊 義和 / 中央経済社 ¥1,600(税別)湊 義和さんプロフィール中小企業を応援する政府系金融機関のサラリーマンから一念発起して税理士になった経歴の持主。とかく難解な税金の世界の水先案内人として、一般の方の税金相談から独立開業、二代目の事業承継などさまざまな相談に乗るのが生きがい。趣味は最近少し人気が回復してきたスキー。
2017年04月12日2015年は相続税、介護保険など、家計に影響するさまざまな分野で負担増・給付縮小を含む改正が行われます。大きな動きのある時代に、私たちはどう備えていけばいいのでしょうか。今回は「相続編」です。相続する側、相続される側ともに事前に知っておき…