夏休み中は多くの宿題が出るところが多いと思いますが、中でも子どもだけではなく親をも悩まされるのが読書感想文だと思います。計算や漢字の宿題なら教えることもできますが、答えのない感想文は書かせるのが難しいところ。どんなところに気を付けて書いたらいいのか、感想文を書くコツを見てみましょう。1. 親の手伝いはどこまで?まず当たり前のことですが、感想文を書くためには本を読まなくてはいけません。平仮名が全く読めないという子は少ないと思いますが、まだ1年生だと長文などになると読むこと自体が苦手だという子は結構いるのではないかと思います。「絶対に親が手伝って読んではいけない」ということはありません。まずは本に親しむという意味からも、本人が読むことを拒否する場合は無理せず一緒に読んであげて下さい。2年生になったら、基本は子どもに読ませる方が良いと思いますが、これもその子の状況に応じて臨機応変に対応していきましょう。書き方に困っている場合も、「手伝ってしまうと自主性が育たない!」などと頑なにせず、声かけや質問などで誘導してあげると良いでしょう。2. 書くポイントは4つ基本的には本人に自由に書かせて良いのですが、書くポイントとしては1.その本を選んだ理由2.本のあらすじ3.特に気になった場面とその理由4.本を読んでこれからの生活にどう活かしていくかなどを挙げていくとある程度のまとまった文章になると思います。1・2番は特になくても良いですが、3・4番で量が足りないかなという時などは付け足してみて下さい。言葉かけの例としては「どの場面が一番面白かった?」「主人公は好き?嫌い?なんでそう思うの?」「この本ではこうなったけど、〇〇(子どもの名前)はこれからどんなことに気を付ける?」などと聞いてあげることでうまく感想が引き出せるでしょう。3. 読書感想文の鉄則4つ読書感想文を書く際におさえておきたいポイントを4つ挙げます。これをおさえておけば、難しく考えずに書くことができるはずです。 (1) 本選びまずは本選びです。本を読んだ際に、自分以外の人に「これ、面白いよ!」と伝えたいような本であれば楽しんで感想文を書くことが出来ます。友達や家族に伝えたいと思うようなストーリーの本を選びましょう。 (2) 読書メモを作る本の分量にもよりますが、読みながら感じたことなどは読み終わった時に意外と忘れているものです。大体のあらすじくらいは覚えているかもしれませんが、本を読みながら、感動した部分や表現が出てきたら、しるしをつけたりメモに書いたりしておくなどの習慣をつけておきましょう。自分でメモをするのが難しい子は、親が事前に声かけをしておいてそういった場面に遭遇した時に言ってもらうようにしましょう。また、先ほどの言葉かけの質問をメモしてあげるのもいいですね。 (3) 構成を考えて書くこれはある程度高学年になってから意識する部分ですが、感想文を書くことに慣れてきたら構成を考えてみましょう。構成と言っても難しく考える必要はありません。あらすじを書くのではなく、最も印象に残った場面を書いていきます。「はじめ・なか・おわり」の3つで組み立てるとまとまりがうまれます。・「はじめ」最も印象に残った場面を、簡潔に書く・「なか」なぜ、どのように印象に残ったかを書く。「もし自分だったら~」など、自分と照らし合わせて詳しく書く。・「おわり」本を通して考えたことや学んだことを書く自分と照らし合わせることで他の子と違う内容になり、さらに3部構成にすることで読みやすくまとまりのある文章になります。あれもこれも、と書くのではなく、最も印象に残ったところを重点に書くのもポイントです。 (4) 必ず読み直す書き上げて安心してしまいますが、終わったら必ず読み直して誤字がないか、おかしいところはないかをチェックしましょう。小さい子は親が一緒に読んであげるといいですね。高学年でも、おうちの人が読んであげることで「内容が他人に伝わるか」をチェックできます。自分で読み直すだけではなく、必ず他の人も読んでチェックしましょう。この時期は書店に行くと、読書感想文におすすめの本が年代別に並んでいるところが多いですね。年代に関わらず、子どもが興味を持っていたらまずは読ませてみるといいでしょう。感動したところなどを尋ねると、子どもは思いもよらない場面やその理由を述べることがあります。どんなところで感動したのかを知るいい機会ですね。また、それを言葉にして表現するということは、自分の考えを述べることができる子どもに育つ為にはとても重要なことです。是非夏休みという長い休みの機会に、親子で本について語り合う時間を作って下さい。それを字に起こせば、意外と読書感想文も難しくないはずですよ!
2018年08月31日書く力を育てるために大切なのは、子ども自身に「自分が肯定されている」という感覚を味あわせてあげること。そう教えてくれたのは、花まる学習会の竹谷和(たけたにかず)さん。子どもの心に寄り添いながら「書く力」を育ててきました。今回は、ついつい親がやってしまう「書く力」を育てるために「やってはいけないこと」、反対に、親が「書く力」を育てるために「やってあげたいこと」についてお話しを伺います。【花まる式:子どもの“書く力”の育て方】 Vol.1 読書感想文、親はどう関わればいい? 「言葉の力」を「生きる力」にする Vol.2 「書くこと」が苦手な子をサポートするには、親の意識改革が必要 ■やってはいけないこと その1.言葉を先に引き取る「これは、いわば、『わが子が言葉を発するのを待ってあげられない』ということです」(竹谷さん)。「はい。それは私です!」と、思わず取材中に挙手してしまいました(笑) たとえば、こんな日常会話をしていませんか?子:「えっと、もってくの忘れちゃった」母:「カバンにすぐにしまわないからから連絡帳を忘れちゃったんでしょう?」子どもの言葉には、「何を」「どうして」が抜けているのに、それを指摘せず、補足しきった質問で「確認」だけをしてしまっている…。「こういう会話が日常的になると、子どもから『自分で最後まで意思を伝えきる』という機会を奪うことになってしまいます」(竹谷さん) 普段の会話を、親が「引き取り(補足)」続けている子にとって、「作文を、『自分で終わらせる』こと」は、とても難しい事柄に感じるそう。そういう子は、ダラダラ何十行も一文を書いてしまったり、普段の会話を完結させられないこともあるそうです。「作文を終わらせるためには、言葉を探さなければなりません。子どもが区切りのつけ方を経験できるようにしてあげてください。『いつも必ず』は難しいかもしれませんが、できるだけ最後まで子どもに会話を締めくくらせましょう」(竹谷さん)■やってはいけないこと その2.ほめ「過ぎる」「作文で危ないのは、『評価』です。これが、じつは一番の落とし穴だとすら思います。評価されすぎると、『人のために書く』作文になってしまいがちなのです」(竹谷さん)書きたいことを、手を抜かずに、書く。これが大事で、同時に難しいところでもあります。本当は、ただ楽しくてクレヨンを動かして描いた絵と同じように、自分が書きたくて書くこと。書く動機は「外の誰か」ではなく「内なる自分」にある、という感覚。「褒められること=成功体験」が本当に大事であるということには、疑う余地がありません。けれども、過剰にほめすぎて、評価という軸がないと書けないというような、見返りをもとめて書くような子にはしたくないですね。そのために親ができることは、何なのでしょうか? 「お子さんが書いたものについて、『すごいね』『上手だね』だけでなく、『この言葉選びがいいね』「ここからここまでが読んでいて、一番ひきこまれたよ」など、具体的に、ご自身がいいと感じたことを言葉にして伝えてあげてください」(竹谷さん)日常生活の中で、何気なくやっていることが、じつは「やってはいけないこと」だった…。指摘を受けて、「ハッ!」としましたが、「そこを、気をつけよう!」と思うキッカケになりました。今度は、「やってあげたいこと」を教えていただきます。 ■やってあげたいこと その1.「親子インタビュー」の時間を作る「子どもに『書く力』をつけてあげたいなと思ったら、インタビューをしてあげるのが、おすすめです」(竹谷さん)自分から何でも話す子はそのままでいいのですが、学校や外でのことをあまり話さない子も多いと思います。聞いても「忘れた!」とすぐに言うタイプです。いろいろなことを経験して感じているはずなのですが、それをわざわざ思い出して伝えることには価値を感じていません。そういう子には、1分でもいいので、できるだけその日にあったこと=子どもが思い出しやすいことをテーマに聞いてみてください。本人が話したくなるような好きなことを切り口にしてみましょう。また、「お母さんとお子さん。一緒に日記を書いても良いですね」(竹谷さん)。低学年の子どもたちは、ママと過ごす時間が多いはずなのに、親子で日記の内容は面白いほど違うそうです。「お母さんが、『子どもと私、これだけ違うものを、見ているんだ!』ということを感じるだけでも、とても意味があります。一日1行でもいいですよ」(竹谷さん)。■やってあげたいこと その2.「思わず観察してしまう時間」を確保する「作文(文章)を書くときには、まずは丁寧に観察できているかどうかが、すごく大事です」(竹谷さん)。この「ものを見る目」というのは、感性とも言い換えられそうです。同じ場所から同じものを見ても、感じること、思うこと、気づくことというのは、人によって千差万別です。では、観察が上手になるには、どうすればいいのでしょうか? 「もっとも必要なのは、『思わず、観察してしまう』というような時間や環境を、確保してあげることです」(竹谷さん)。これは言い換えると、子どもが、ぼーっとしたり道草をしたりといった、ルールのない時間です。それは大人からすれば一見意味のない時間のように思えるかもしれません。けれども、今、大人が意識して作ってあげないと、「予定のない時間」を持つことができない子も多いのです。「書くことを支えているのは、じつは五感を伴う体験と、それに付随する知的な思索です。大きくなったときに、『あの時の、あれって、めちゃくちゃ楽しかったよね』といった心動く経験があるかどうかが大切です。長いお休みのときは、意識して子どもたちにそういう時間をぜひとも作ってあげて欲しいと思います」(竹谷さん)いかがでしたか? 「子どもの『書く力』を伸ばさなきゃ!」と思うと、ついつい肩に力が入ってしまいます。けれども、竹谷さんのお話しを伺っているうちに、「ゆったりした気分で、子どもの言葉を大切にしていけばいいのかも」という気持ちになりました。そんな解脱の境地(!?)、ママと子どもたちが過ごせることを願っています!■今回のお話を伺った竹谷和さんのご著書『子どもの「書く力」は家庭で伸ばせる』花まる学習会 高濱正伸 竹谷和著/実務教育出版 ¥1,400円(税別)●高濱 正伸さん花まる学習会代表・NPO法人子育て応援隊むぎぐみ理事長・算数オリンピック委員会理事。1959年熊本県生まれ。東京大学農学部卒、同大学院農学系研究科修士課程修了。1993年、「この国は自立できない大人を量産している」という問題意識から、「メシが食える大人に育てる」という理念のもと、「作文」「読書」「思考力」「野外体験」を主軸にすえた学習塾「花まる学習会」を設立。ロングセラー『伸び続ける子が育つお母さんの習慣』ほか、『小3までに育てたい算数脳』『わが子を「メシが食える大人」に育てる』『算数脳パズルなぞぺー』など、著書多数。花まる学習会公式サイト: ●竹谷 和さん千葉県生まれ。一橋大学卒業。花まる学習会教材開発部。現場を持ちつつ、年中から中学3年までの幅広い学年に対しての教材開発・各種出版に携わる。社会に出て生きていくために、読み書きをベースとした言葉の力が欠かせないという問題意識のもと、講演会、出版、読書感想文講座等を通じて、言語表現に関する親と子の橋渡しをしている。
2018年08月09日前回、「幼児期(4歳~10歳)の子供にとっては、お母さんが考えている以上に『書くこと』のハードルは高いものなんです」と、教えてくださったのは、花まる学習会の竹谷 和(たけたに かず)さん。花まる学習会の現場で語彙(ごい)や言葉のセンスを磨くコースを担当してきた「書く力」を育てるプロフェッショナルです。引き続きお話しを聞きました。【花まる式:子どもの“書く力”の育て方】 Vol.1 読書感想文、親はどう関わればいい? 「言葉の力」を「生きる力」にする ■ポイント1.間違いを指摘する方法作文の大前提として、「正確な日本語で書けているのか?」ということがあります。けれども、幼児期の子どもの作文は、ママから見れば、きっと「間違いだらけ」「指摘したい点だらけ」でしょう。子どもに間違いを指摘するときのコツを教えていただきました。「この場合、伝える順序が大切です。いきなり間違いを指摘されるばかりだと、子どもは否定された気持ちになり、指摘を受け入れられません。まずは、ママ自身が、その作文を読んで、どう心が動いたか、肯定的な側面から伝えてあげてください」(竹谷さん)たとえば、友人に手紙の返信を書くようなつもりで、「ここが、おもしろかったんだよ」といったママの気持ちを伝えます。これは「良い・悪い」という「評価」ではありませんし、「最初の一言」があるのとないのとでは、大違いです。「『最初の一言』を添えることで、子どもは『話を聞く』という受け入れ態勢ができます。人は、否定ばかりしてくる人の言葉を聞こうなんて思いませんからね(笑)」(竹谷さん)。 【声かけ例】・○○ちゃんは、こんなふうに、感じたんだね・ママは、こんなふうに感じたよ■ポイント2.その年齢ならではの十全さ「子どもの作文を読むときに意識していただきたいのは、子どもは、大人とはまったく違う時間を生きているということです」(竹谷さん)。たとえば、夏休みだから! と張りきっていろいろなところに連れて行ったのに、子どもが書いた作文は、「動物園のゾウがおしっこをしていてそれが見ていた人にかかった」みたいなことだったりする。思わず、「そこかい!」っと、ツッコミたくなりますよね…。「子どもの作文を読むとき、『われわれが彼らの価値観に寄り添えるか』は、とても大事なポイントです。もし、子どもがゾウのおしっこのことを熱心に書いていたのであれば、その子の視点と興味は、そこにある。それを大人が『そんなこと書いちゃダメ』というのでは、文章を書く意味がないんです」(竹谷さん)その子が持っている、視点、つまり感性を大人が認める。たとえ、大人が「それ!?」と言いたくなってしまうテーマだとしても(笑)、その子が本当に興味を持って書いたものなのであれば、それが、その子にとって一番大切なテーマである…。そんなふうに大人側が、心から思えること。「たとえば、ある1年生の男の子が『ぼくは、きのう学校のかえりに、ぎん色のビービーだんを見つけてひろいました。どうしてかというとめったに見つけられないからです。』こんな風に書いてきたときに、『え? だから何?』と言ってしまうのか、『え! すごいラッキーじゃん!』と返せるか。これは、ある種の意識改革に近いのかもしれませんね。作文に登場するのは、その子の体験したことのなかでも、印象に残っている場面です。その子の興味関心というフィルターを通過したものなわけで、大人の価値観とは当然異なります。そういう作品は、言い換えれば、十全に幼児期を過ごし、子ども同士の社会を生きていることの証です」(竹谷さん) この記事を書いている筆者自身、「これは、すごく難しいかも!」と、感じました。なぜなら、私は「こうあるべき」といった「枠に当てはめられる教育」を受けてきたからです。まずは、「自分が受けてきた教育というのは、どうだったのだろう?」「子どもを枠に当てはめることばかりに躍起となっている私って、どうなんだろう?」「どうしたら、この意識を、変えていけるのだろう?」といったあたりから、自問自答を始める必要がありそうです。そして、子どもの作文のなかに、その年齢ならではの十全さを見つけることができてきたら、その部分にスポットを当てられるような声かけができるようになりたいと思います。【声かけのポイント】たとえば、「ぎんいろのビービーだんなんて、いいなあ!」と言われたら、この子は「そうでしょー!」と鼻高々ですね。その子が、何をおもしろいと思って書いたのかを想像し、伝えると、「書いてよかったなあ」と思えます。 ■ポイント3.ごまかさない言葉選び少し長くなってしまいますが、下記の作文を読んでみてください。ラムネとおじいちゃんのたたかい(2年男子)すこし前、おじいちゃんちでおるすばんをしていました。おじいちゃんちに行くときに、ついでにサイダーのラムネをもっていきました。おじいちゃんちについたとき、ぼくは、「じぶんじゃあけられないから、おじいちゃんがあけて」と言って、おじいちゃんは、ニコニコしながらラムネのびんを手にとり、力をこめたけど、あきませんでした。(中略)おじいちゃんが、どこからもってきたのかわからないようなどうぐをつかってたけど、まだあきませんでした。ここから、おじいちゃんとラムネの本気のたたかいがはじまりました。出典: 『作文・読書感想文 子どもの「書く力」は家庭で伸ばせる』 ラムネのふたを開けられない話が、「おじいちゃんとラムネの本気のたたかい」と命名された瞬間、がぜんおもしろくなります。ほかにも、「どこからもってきたのかわからないどうぐ」といった、読者にイメージを喚起させる言葉選びができています。この、的確な言葉選びの背景にあるものは、何なのでしょうか? 「まず、『ありのままをとらえている』ことに着目したいですね」(竹谷さん)たしかに、「なんだ、あの道具? どこにあったんだろう?」と、おじいちゃんを見て感じた自分をとらえることができています。「どこからもってきたのかわからないような」と、そのまま言葉にするだけで、単なる「どうぐ」から一気に魅力が増します。「二つ目のポイントは、感じたことに当てはまる言葉を、子ども自身が持てていることです」(竹谷さん)。おそらく、この子には、まわりからの言葉のシャワーがよく降り注いでいるのでしょう。「三つ目としては、『より正確に伝えたい』という気持ちがあることです。うまく伝わった! という成功体験がこれまでにあったのだと思います」(竹谷さん)。これらの話は、「語彙が豊かである」とか「難しい言葉を知っている」ということではありません。「言葉を知っている・知らない」という話ではなく、「自分の実感そのままに、ぴったりの言葉が選べているか?」ということなのだと思うのです。「子どもに的確な言葉選びの習慣をつけたいと思ったら、子どもが言葉を探したり、選んだりすることを、まず大切にしてあげて欲しいと思います。子どもが自分の気持ちをしっかりと見つめられる力、ごまかさない力は、大人のそういう姿勢から生まれます」(竹谷さん)【声かけ例】「(指しながら)この言葉は、(指さしながら)ここを表現するのにぴったりだね!■ポイント4.「筆が進む感覚」を味わせてあげるところで。「大人が持っている“見えない尺度”に、子どもはとても敏感です」と、竹谷さんは言います。たとえば、長い作文を大人がほめ続けると、「あれくらい長く書かなきゃ、ダメなんだ」と、思う子がいます。はたまた、「その話ではなく、あの話を書きなさい」といった声かけは、「このテーマで書いたら、ダメなんだ」と、子どもの意欲を失わせている可能性もあります。こちらの望む望まないにかかわらず、私たちの反応から、子どもは知らず知らずのうちにメッセージを読み取っています。とりわけ幼児期の男の子は、「書く」ということ自体に興味を持たず面倒くさがる傾向が強いので、注意が必要です。「幼児期の子どもにとって、書くことは、基本的に、しんどいことです。面倒くささがあるのも当然です。でも、書き出してからのどこかに必ず『その子の筆が進む箇所』は、あります。その『筆が進む感覚』こそを、子どもに味わせてあげて欲しいのです。『書きたい!』と思いながら書くということは、こういう感じ! という実感です」(竹谷さん)そうはいっても、幼児期の子は、「作文を書くときのサポーター」が必要な時期でもあります。「よく思い出して書きなさい」などアドバイスしても、「覚えてない!」という子もたくさんいるそうです。竹谷さんは、そんなとき、みずから「書きとり役」に徹します。たとえば、「この間のサッカーの試合、どこのポジションだったの?」から始まって、「そのポジションって、何をする役割なの?」と、ただ、子どもに質問をして、その答えを書きとっていく。ただし、いきなり「そのとき、どんな気持ちだった?」は、NG。まずはその子が、絶対に答えられることを(つまり「経験したこと」を)質問していってください。そんなやりとりをしているうちに、「じゃあ、オレ、自分で書くわ」というふうになる子もいるし、最後まで竹谷さんが書くこともあるそうです。竹谷さんが聞き取って書いた作文を子どもに見せると、「そんなに、(書くことが)あったんだ!」と、本人は、とても驚くそうです。「子どもの話を、ただ聞いて書きとってあげることは、ひと手間かもしれません。でも、「なるほどねー! ふんふん」と肯定される感覚、感じたことをそのまま書いて良いんだという感覚を、2、3回、きちんと子どもに味わわせてあげれば充分だと思っています」(竹谷さん)竹谷さんに「書く力」を育てるポイントを教えていただくと、今まで自分が「作文を上手に書く指導だと思っていたこと」が、かなり的外れだったことにがく然としました。子どもに「書く力」をつけたいと思ったら、子ども自身の心に寄り添おうという気持ちが大切なのですね。次回は、作文好きな子を育てるために「やってはいけないこと」「やってあげたいこと」を整理します。■今回のお話を伺った竹谷 和さんのご著書『子どもの「書く力」は家庭で伸ばせる』花まる学習会 高濱正伸 竹谷和著/実務教育出版 ¥1,400円(税別)●高濱 正伸さん花まる学習会代表・NPO法人子育て応援隊むぎぐみ理事長・算数オリンピック委員会理事。1959年熊本県生まれ。東京大学農学部卒、同大学院農学系研究科修士課程修了。1993年、「この国は自立できない大人を量産している」という問題意識から、「メシが食える大人に育てる」という理念のもと、「作文」「読書」「思考力」「野外体験」を主軸にすえた学習塾「花まる学習会」を設立。ロングセラー『伸び続ける子が育つお母さんの習慣』ほか、『小3までに育てたい算数脳』『わが子を「メシが食える大人」に育てる』『算数脳パズルなぞぺー』など、著書多数。花まる学習会公式サイト: ●竹谷 和さん千葉県生まれ。一橋大学卒業。花まる学習会教材開発部。現場を持ちつつ、年中から中学3年までの幅広い学年に対しての教材開発・各種出版に携わる。社会に出て生きていくために、読み書きをベースとした言葉の力が欠かせないという問題意識のもと、講演会、出版、読書感想文講座等を通じて、言語表現に関する親と子の橋渡しをしている。
2018年08月08日「読書感想文、どうしよう?」。子どもに相談されたことがあるママも多いのではないでしょうか? 「○年生なのに、こんな作文でいいの?」「書くことを、面倒くさがる」。わが子の作文問題、気が重いですよね…。そこで、花まる学習会の現場で子どもたちを見つめ、「書く力」を育ててきた竹谷 和(たけたに かず)さんにお話しを伺ってきました。●今回のお話を伺った竹谷 和さんのご著書『子どもの「書く力」は家庭で伸ばせる』「花まる学習会」とは数理的思考力・読書と作文を中心とした国語力に加え、野外体験を三本柱として、将来「メシが食える大人」そして「魅力的な人」を育てる学習塾。代表は、数多くのメディアでも紹介された高濱正伸さん。竹谷 和さん花まる学習会で、語彙や言葉のセンスを磨く「特国」コースを担当。多彩な指導経験と言葉の力を活かして、講演会も行っている。■「言葉の力」は「生きる力」になる竹谷さんは言います。「私は、子どもたちを、『言葉の力を備えた状態』で社会に送り出してあげたいと思っています」。言葉の力とは、つまり、「生きる力」そのものです。卑近な例を引くと、中学受験、高校受験、大学受験、就職試験。社会で活躍できる人を採りたい場面では、言葉の力は、有利に働くことでしょう。「文章という表現手段を自分のものにできている人は、行動に加えて言葉で人を説得し、人を動かすことができます」(竹谷さん)子どもが言葉の力を備えるための、「根っこ」は、何なのでしょうか? それは、「書くことはおもしろい」と、子ども自身が思えていることです。本連載では、「子どもが書くことをおもしろいと感じるようになるために、親はどうすればいいのか?」を、考えてみます。■子どもと大人。文章指導の方法はまったく別!竹谷さんは、花まる学習会の現場で4歳児から中学3年生までの子どもたちを見てきました。その経験から、あることに気がついたそうです。「『ある時期』までの子どもへの文章指導は、大人と同じ方法である『べきではない』んです。端的に言えば、『ある時期』までの子どもの書くものに対して、親が持つ欲求や希望をそのままぶつけてもあまり効果がありません」(竹谷さん)■「赤いハコ」と「青いハコ」という考え方では、どうしたら良いのでしょうか? 「ある時期」を語る前に、その大前提として、花まる学習会の考え方である「赤いハコ」と「青いハコ」というものさしをご紹介しましょう。「赤いハコ」というのは、大体4歳~9歳ごろのいわゆる「幼児期」。そして、「青いハコ」というのは10歳ごろから18歳ぐらいまでの「思春期」を含む時期です。■「話す」より、「書く」ことの方が難しい「赤いハコ」の子をイメージしながら、下の表を見てみて下さい。表にしてみると、同じ「発する」という行為でも、「話すこと」と「書くこと」では、「話し言葉」と「書き言葉」という違いがあるのがわかります。●「書く」の位置づけを整理結論からお伝えすると、「赤いハコ」の子にとっては、まだまだ「書く」ことは、「話す」ことより、随分とハードルの高いことなんです。この「ハードルの高さ」を、親がしっかりと認識しておくこと。ここが、「書く力」を育てるスタート地点です。■言葉のキャッチボールをできるようにするにはその次に必要なことは、何なのでしょう? 「それは、子どもに“受け手”としての実体験をたくさん積ませてあげることです」(竹谷さん)受け手としての実体験とは、どういうことでしょうか? 竹谷さんは、キャッチボールを例にお話しをしてくれました。「普段の生活や仕事で、“相手を言い負かす”ことが必要な人ってほとんどいませんよね。相手の意図を汲み取って反応したり、自分の言いたいことを相手に伝わるように発する。そんな風に、相手ありきで言葉をつかう、コミュニケーションができることの方が大事なのではないでしょうか。野球に例えると、相手に打たれない剛速球ではなく、相手がしっかり受け取れる球を投げられることの方が大事なのではないかと思います」(竹谷さん)。「キャッチボールが上手にできるためには、この速さだったら受け取れるかな、とか、この軌道はどうかな、こう投げたら面白がってくれるだろうな、といったように、相手への想像力が必要です。その想像力のベースとなるのは、自分がこれまで“ボールの受け取り手”としてどれだけ経験を積んできたかということです。言葉もキャッチボールと同じで、じつは“受け手側”としての経験が多い人ほど、「この言い方なら、相手に伝わるかな」「このテーマってみんなわかるのかな?」といった想像を働かせることのできる範囲の広さを持てているのです」■子どもの文章を修正するより大事なこと「子どもが書いた文章について、あれこれツッコミを入れ赤入れすることは簡単です。すぐに指摘だけで真っ赤になるでしょう。ただ、それでは、どうすればいいのかは子どもに伝わりません。それよりも、『赤いハコ』の時代を生きている子どもたちにとっては、受け手として実体験をどれほど積ませてあげられるか? そちらの方を、大切にしたいと思っています」(竹谷さん)。「赤いハコ」の時代に、“豊かな受け手”としての実体験を重ねることは、いい発し手になるための大事な土台なのだそう。「“発し手”として、『書き言葉』を操れるようになるまで、いかに、『書く』ということに対して、子どものやる気を失わせずにいられるか? そこの橋渡しを上手にしてあげたいと考えています」(竹谷さん)。どう子どもに接すれば、この「橋渡し」を上手くできるのでしょうか? 次回は、子どもの「書く」という意欲を育てる具体的なヒントについてお話しを伺います。■今回のお話を伺った竹谷和さんのご著書『子どもの「書く力」は家庭で伸ばせる』花まる学習会 高濱正伸 竹谷和著/実務教育出版 ¥1,400円(税別)●高濱 正伸さん花まる学習会代表・NPO法人子育て応援隊むぎぐみ理事長・算数オリンピック委員会理事。1959年熊本県生まれ。東京大学農学部卒、同大学院農学系研究科修士課程修了。1993年、「この国は自立できない大人を量産している」という問題意識から、「メシが食える大人に育てる」という理念のもと、「作文」「読書」「思考力」「野外体験」を主軸にすえた学習塾「花まる学習会」を設立。ロングセラー『伸び続ける子が育つお母さんの習慣』ほか、『小3までに育てたい算数脳』『わが子を「メシが食える大人」に育てる』『算数脳パズルなぞぺー』など、著書多数。花まる学習会公式サイト: ●竹谷 和さん千葉県生まれ。一橋大学卒業。花まる学習会教材開発部。現場を持ちつつ、年中から中学3年までの幅広い学年に対しての教材開発・各種出版に携わる。社会に出て生きていくために、読み書きをベースとした言葉の力が欠かせないという問題意識のもと、講演会、出版、読書感想文講座等を通じて、言語表現に関する親と子の橋渡しをしている。
2018年08月07日静かな空間で1人読書したいときもあれば、周囲の喧騒をBGMに本が読みたいときもあります。どんなシチュエーションであっても譲れないのは、自分の好きな飲み物がかたわらにあること。 BEER & CAFE BERGコーヒーとビールが気軽に楽しめる先駆け的存在。新宿駅構内にあり、1日に1500人もの人が訪れる多くの人に愛されている繁盛店。職人手作りのソーセージや天然酵母のパンなど、安くて美味しい食事とビール(&コーヒー)を毎日朝7時から楽しめて、多くの人でにぎわっています。 パフスリーブシャツ¥35,000、プリーツスカート¥98,000/ともにTOUJOURS(トゥジュー代官山ストア)、ブレスレット¥29,000/DAN TOMIMATSU(ベルジェ) コーヒーが飲みたくなる本コーヒーを好んだ作家や芳しい香りの描写、どこかにコーヒーと接点があ理、読むと思わずコーヒーが飲みたくなる、そんな5冊を紹介します。 写真右から「茨木のり子の家」茨木のり子著平凡社¥1,800女流詩人・茨木のり子の詩と自宅の写真を納めた作品集。日曜日の朝、食卓に漂うコーヒーの香りから、当たり前にある豊かさを再認識した作品。 「ぼくは散歩と雑学が好き」植草甚一著ちくま文庫¥1,200映画や音楽の評論家として活躍した植草甚一が、アメリカのカルチャーについて綴ったエッセイ集。喫茶店でその日購入した本を並べてコーヒーを飲んでいた、本とコーヒーの相性の良さを体現した人。 「戀愛譚」 東郷青児文筆選集東郷青児著野崎泉選創元社¥2,400美人がで知られる画家・東郷青児が書いた恋愛にまつわる文筆集。青年時代を過ごしたモンマルトルのカフェへの憧れ、男女の淡い恋の駆け引きを詩的で幻想的なタッチで表現しています。カフェ文化に近いところにいた作家。 「路上のジャズ」中上健次著中公文庫¥900学生運動が盛んだった頃、コーヒー=不良の飲み物、そんなコーヒーはジャズと一緒に飲まれていました。 「これで駄目なら若い君たちへー卒業式講演集」カート・ヴォネガット著円城塔訳飛鳥新社¥1,600アメリカの著名なSF作家カート・ヴォネガットが高校や大学の卒業式でしたスピーチをまとめた講演集。直接コーヒーが登場するわけではないのですが、コーヒーと一緒に楽しみたい一冊。 (選書してくださったのは、荻窪にある街の本屋「Title」店主辻山良雄さん) ビールが飲みたくなる本美味しそうな描写につられて、ビールが飲みたくなる日があってもいい。ビールと本好きで知られる本屋の店主オススメの5冊です。 写真右から「わたしは英国王に給仕した」ボフミル・フラバル著阿部賢一訳河出書房新社¥2,200ビール醸造所の息子として生まれたチェコ人の小説家・フラバルの作品には必ずビールが登場する。ホテルの給仕見習いになった主人公が出世していく様子が、ホラ話のようなエピソードをふんだんに交えて語られていて、その語り口が酔っ払いのよう。酒場の様子もにぎやかに描写されていておもしろい。 「風の歌を聴け」村上春樹著講談社文庫¥390青春の一片を描いた村上春樹のデビュー作。主人公の僕と鼠がひたすらビールを飲む話で、一見、時間の無駄だが、人生には無駄なことも必要でそれが人の深みになるという象徴的なエピソード。 「吾輩は猫である」夏目漱石著新潮文庫¥630書き出しの一文はあまりに有名ですが、物語の結末は覚えてますか?ラストで猫の運命をわけてしまったのが、ビールでした。 「アンソロジービール」赤塚不二夫、阿川佐和子ほか著パルコ出版¥1,600お弁当、おやつなど食べ物にまつわるエッセイ集。アンソロジーシリーズのビール編。作家と酒の本はあれど、ビールに的を絞っている本。 「ベルギービール大全<新>」三輪一記+石黒謙吾著アスペクト¥2,200ベルギーは九州ほどの大きさの小さな国なのに、ビールの銘柄は約800種類もあって、ものすごく多様性があります。デザイン性の高いラベルや専用グラスを眺めるだけでも、奥深さを感じます。 (選書してくださったのは、世田谷にある「ビールが飲める本屋」B&B店主嶋浩一郎さん) 本とコーヒー、本とビールの関係が深いお店 SNOW SHOVELING散歩がてらに立ち寄りたい本屋マンションの2階のドアを開けると、非日常な空間が広がり、本をはじめ手にとって眺めたくなる素敵なものが並んでいます。店内でじっくり過ごすもよし、気に入った本とビールをテイクアウトして、近くの駒沢公園で読書するのもよし。 SHOP DATA東京都世田谷区奥沢4-35-7深沢ビル2F-Ctel: 03-6432-3468open: 13:00 - 19:00(火・水曜休) コクテイル書房築100年の長屋で古本に囲まれる古本とお酒、そして本の中に出てくる料理を再現したメニューを楽しめるのが魅力のお店。大正時代に建てられた趣のある店内は、囲炉裏のある小上がりの席とカウンター席があり、女性ひとりでいらっしゃるお客さんも多いそう。 SHOP DATA東京都杉並区高円寺北3-8-13tel: 03-3310-8130open: 昼の部11:30 - 15:00(月曜・火曜休み), 夜の部17:00 - 23:00 Cat’s Meow Booksネコ本が並ぶネコのいる街の本屋「本とネコとビール(とコーヒー)に囲まれた場所が作りたかった。」というオーナーの安村さんの思いを形にした本屋さん。 SHOP DATA東京都世田谷区若林1-6-15tel: 03-6326-3633open: 14:00 - 22:00火曜休 fuzkue静けさが約束された「本が読める店」気兼ねなく読書したいときに足を運びたい「フヅクエ」。私語厳禁。お互いを気にせず思い思いのひとり時間を楽しめるお店。 SHOP DATA東京都渋谷区初台1-38-10二名ビル2Fopen: 12:00 - 24:00不定休(web, SNS等でご確認ください LAB TOKYO早起きして読書したい、そんなときに渋谷の真ん中・道玄坂にのびのびとコーヒー(もちろんビールも)が楽しめるお店。広い店内は席数も多く、コーヒースタンドも併設。朝7時開店なので、美味しいコーヒーを飲みながらゆったり読書に集中するもよし。 SHOP DATA東京都渋谷区道玄坂2-10-7新大宗ビル1 号館2Ftel: 050-1744-9496open: 7:00 - 19:00(L.O. 18:30)無休(年末年始をのぞく) BUNDAN COFFEE & BEER文豪由来のコーヒーを味わって本好きな人なら、作品の中に登場する美味しそうな料理の味をきっと想像したことがあるはず。文豪にちなんだホットコーヒーや本の中のメニューを実際に味わえるお店。 SHOP DATA東京都目黒区駒場4-3-55日本近代文学館内tel: 03-6407-0554open: 9:30 - 16:20(L.O. 15:50)日・月・第4木曜休)(文学館に準ずる) onkul vol.9より
2018年06月25日まるでジブリの世界のような「ゲストハウス・読書の森」小諸駅は、新幹線のとまる佐久平駅から小海線に乗って終着地点。そこからさらに車で15分ほどの「読書の森」はいくつもの田んぼや畑に囲まれ、遠くには浅間山を見ることができます。駅からバスでも行けるそうですが、なにせ本数が少ないので、事前にお願いすれば宿の方に送 迎していただけるのが嬉しい。 読書の森はご家族で運営されていて、メインの建物の2階が住居スペースとなっています。1階には、ブックカフェにもなっているリビングルームがあり、そこで他のゲストと交流したり、 晩ご飯をみんなでいただいたりします。木を基調としたリビングには、年季の入った愛された本がたくさん! そこら中に散らばるアートや木造の家具に迎えられ、まるでずっと前から知っ ていた場所に帰ってきたかのようなあたたかさ。わたしが泊まらせていただいたのは、そのすぐ隣のギャラリースペースにもなっているお部屋。写真の展示が行われていました。 建物内にも、敷地内にも、とにかくいたるところに手作りのものたちとアートと自然があふれていて、そこで育まれている豊かな生活を想像すると胸がいっぱいになりました。広い敷地内 にはオーナー自作の小屋が点在し、他のゲストたちはそこに宿泊しているようでした。野原にはタンポポがたくさん咲き、大きな畑では、訪れる時期によっては畑仕事を体験できるそう。 収穫したお野菜はその日の晩ごはんでいただけるようです。もちろんすべて奥さんの手料理。 晩ごはんは、希望するゲストたちがオーナーご家族とテーブルいっぱいのお料理を囲みながら、 わいわい交流を深められる場所。たまたま一緒になったドイツ人カップルは、今回の日本旅行でいちばんたのしい夜だ、と大満足でした。 車で10分ほどで温泉とツリーハウスの展示自然がいっぱいの読書の森周辺には、ハイキングができる場所もたくさんあります。特に外国の方が、ハイキングや、自然に触れ合う時間を求めてくるのが多いようです。読書の森から車を 10分ほど走らせたところにある安藤百福センターは、ハイキングコースをいくつか紹介しています。この安藤百福センターが企画した「小諸ツリーハウスプロジェクト」では、施設横の林 の中でかくれんぼするかのように、複数のアーティストによって制作されたおもしろいツリー ハウスが展示されています。自然の豊かさを生かした楽しい企画で、若葉に覆われたツリーハウスたちを探しながら歩く野道には、冬の間に積もった分厚い落ち葉のクッションからたく さん草花が顔を出して、五感が鋭くなるのを感じます。 道路を挟んで、この施設の向かい側には温泉「あぐりの湯」があります。ハイキングの後に、 露天風呂もあるこの場所で身体を休められるなんて、なんてすてきな休日でしょう。【お問い合わせ先】茶房 読書の森(ゲストハウス・読書の森)長野県小諸市御牧ヶ原5179-10267 25 6393 10時くらい〜18時くらい(ほとんど無休)
2018年05月20日4月23日は「子ども読書の日」だということを知っていますか?子どもの読書活動への理解と関心を深め、子どもが積極的に読書活動を行う意欲を高めることを目的に制定された「子ども読書の日」。シェイクスピアとセルバンテスの命日であり、ユネスコが「世界・本と著作権の日」と宣言していることにちなんで、この日になったそう。そこで今回は、とあるアンケート調査を参考に、「子どもと読書」について調べてみました。平日は短い時間で!とある調査というのは、文部科学省が昨年7月に発表した「子供の読書活動の推進等に関する調査研究」というもの。同調査を見ると、小学生・中学生・高校生それぞれがどの程度読書をしているのかがわかります。今回は、対象を「小学生(4、5年生)」だけに絞り、読書の傾向を見ていきましょう。まずは、子どもが読書にあてる時間から。Q.1日にどのくらい本を読みますか?(平日)【小学4年生】・まったくしない…13.8%・15分より少ない…29.3%・15~29分…32.9%・30~59分…15.8%・1時間以上…8.2%【小学5年生】・まったくしない…15.3%・15分より少ない…30.9%・15~29分…30.4%・30~59分…15.8%・1時間以上…7.6%4年生も5年生も、各項目ともそこまで大きな差は見られず、「まったくしない」と回答したのはわずか15%前後。「1時間以上」など、まとまった時間を読書に費やす子どもはどちらも10%以下と決して多くありませんが、8割以上の子どもは、学校がある平日でも読書が習慣になっているようです。休日は読書の時間が長い!?では、休日はどうでしょうか?Q.1日にどのくらい本を読みますか?(休日)【小学4年生】・まったくしない…24.6%・15分より少ない…20.3%・15~29分…19.4%・30~59分…18.5%・1時間以上…17.2%【小学5年生】・まったくしない…24.6%・15分より少ない…21.5%・15~29分…20.0%・30~59分…17.2%・1時間以上…16.6%どちらも、平日に比べ「まったくしない」との回答が10ポイントほどアップしていますが、その一方で「30~59分」「1時間以上」読書するという子どもの割合は増えています。休日は学校がない分、自分の時間を自由に使うことができ、まとまった時間を取りやすいということかもしれませんね。ちなみに、同調査では「1カ月間で何冊の本を読むか」についても結果が出ていて、その平均値は4年生が8.78冊、5年生が7.77冊。単純に1カ月を4週間とすると、「週に2冊くらいは本を読んでいる」ということになります。もちろん、どの本を読むかによってもペースは変わりますが、それにしても結構なハイペースですよね。語彙力や文章構成力、想像力などが身につくことが期待される読書。なかには、教育の一環として取り入れているママもいるのではないでしょうか。繰り返しになりますが、4月23日は「子ども読書の日」。子どもと一緒に図書館や本屋さんに行ってみるのも、よさそうです。(文・三軒茶屋すみ子/考務店)
2018年04月23日「小学校の読書感想文でパディントンのことを書いた記憶があって。印象は“かわいいクマだなぁ”って(笑)」 そう語るのは、俳優の瀬戸康史(29)。世界中で愛されているモフモフのクマ・パディントン。今春、生誕60周年を記念して、「くまのパディントン(TM)展」が4月28日〜6月25日まで東京・渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムで開催。その音声ガイドを瀬戸が務めることに。 「でも、音声ガイドをやるにあたって改めて読んだら、愛とか平和とか大人向けのメッセージも込められていると気付きました」(瀬戸・以下同) 「くまのパディントン(TM)展」には、原画や作家マイケル・ボンド氏の仕事道具などが展示される。 「深くパディントンという作品を知ってもらえる機会だと思います。僕の声もぜひ聴いてください!」 この取材の日は月9ドラマ『海月姫』(フジテレビ系)クランクアップから数日後。女装男子役で話題を呼んだが、どうやら体にちょっとした変化が……。 「脚がめっちゃかゆいんです。毛が伸びてきているんですが、それがチクチクして(笑)。『海月姫』で演じた蔵子のような役はなかなか巡り合えないですし、充実した楽しい現場だったこともあって、終わった今は寂しいですね」 “かわいい”と評されることが多い瀬戸も、5月には30歳の誕生日が。 「20代は、いい作品、共演者、スタッフさんに巡り合え、自分なりに駆け抜けた10年でした。30代は、お父さん役もやれるような役者になりたいですね。仕事は本当に充実しているので、プライベートを充実させることも目標かな」
2018年04月02日2016年にTV アニメが2 クールにわたって放送され、大ブレイクした『文豪ストレイドッグス』。今後さらに盛り上がること間違いなし、の『文スト』。未見の人も楽しめる、魅力をたっぷりとご紹介!実在した文豪の逸話が、元ネタになっている。登場人物のほとんどは文豪の名前を持ち、文豪の作品にまつわる“異能力”を持つ。例えば国木田独歩は、手帳に書いた言葉を実現化するという異能力を持っているのだが、これは国木田が「事実を美化せず、そのままに表す」という自然主義文学の先駆者だったことにヒントを得ている。また第13話で太宰が旧友の織田作之助、坂口安吾とバー『ルパン』で酒を飲み交わすシーンがあり、これも実話のオマージュ。文学的側面からも楽しめる作品だ。リアルな横浜で魅せるアクション。物語の舞台は〈ヨコハマ〉。これはもちろん、神奈川県の県庁所在地・横浜がモデルだ。敦たちが所属する〈武装探偵社〉と、芥川らの〈ポートマフィア〉、そして第2シーズンでは、北米の異能力集団である組合(ギルド)も加わり、3社がヨコハマの地で戦火を交えた。美しい作画で描かれる現代の横浜の街並みを模した空間は、とてもリアル。そこで繰り広げられる激しいアクションシーンから、目が離せない!ロケ地巡りをするファンも多数。原作者である朝霧カフカ、春河35全面協力による、完全新作ストーリーとして、劇場アニメが来年3月3日(土)より公開!メインキャストはもちろん、監督・五十嵐卓哉、脚本・榎戸洋司、音響監督・若林和弘ら、TVアニメのスタッフが再集合。今度はいったい、どんな戦いやミステリーが綴られる?(C)2016 朝霧カフカ・春河35/KADOKAWA/文豪ストレイドッグス製作委員会(C)2018 朝霧カフカ・春河35/KADOKAWA/文豪ストレイドッグスDA製作委員会※『anan』2017年12月6日号より。取材、文・河野友紀(by anan編集部)
2017年12月03日発達ナビ編集長・鈴木悠平のオススメ本発達ナビでは秋の読書週間に合わせて様々な方におすすめの本を紹介いただきました。しめくくりに、発達ナビ編集長の鈴木悠平が、発達ナビのユーザーの皆さんにご紹介したい本をピックアップしました。『イラスト図解 発達障害の子どもの心と行動がわかる本』北海道の「こころとそだちのクリニックむすびめ」院長である、児童精神科医の田中康雄先生の著書。表紙にある”「困らせる子ども」は、「困っている子ども」です。”のメッセージの通り、発達障害のある子どもたちの側に寄り添い、さまざまな特性を持つ子どもたちが、身の回りの出来事をどのように感じて、どうして困ってしまうのかを、イラスト付きでやさしく解説しています。学術的な難しい専門用語はほとんど使われておらず、発達障害についての前提知識がなくても簡単に読み進めることができます。発達障害について知りたい、子どもの行動の理由を知りたいといったときの「はじめの一冊」としてピッタリな本です!『ぼく、アスペルガーかもしれない。』著者の中田大地さんは、2001年北海道生まれ、本書執筆時はなんと8歳!小さいころから音や光に対しての過敏性が強く、集団行動にも難しさがあったことから、小学校進学時は特別支援学級で学ぶことを選択。自分の目や耳はどんな風に感じているのか、自分はどんなことが得意で、どんなことが辛いのか…日常の一つひとつの体験を、中田さんが自分自身の言葉で語っています。”しっかり働ける大人になるために僕はもっと、自分のことを知らなくてはいけない。”ーー主治医の先生やお母さんたちとの対話を通しながら、自分自身のことを知り、学校の中でみんなと一緒に学び過ごしていくためには何が必要か学んでいく中田さん。子ども自身の目線から発達凸凹の大きいお子さんの感じる世界が描かれた貴重な本です。続編の『僕たちは発達しているよ』(2010年, 花風社)、『僕は、社会(みんな)の中で生きる。―お家で、学校で、アスペルガーの僕が毎日お勉強していること』(2011年, 花風社)もぜひあわせてどうぞ。『わが子の発達障害告知を受けた、父親への「引継書」。』首都圏在住、資源・エネルギー関連の会社に勤める著者の白山宮市さん。次女が自閉症スペクトラムの診断を受けてからのご自身の経験をもとにした、父親による、父親のための父親業務「引継書」です。企業で長く働いてきたビジネスパーソンならではの喩えとして、企業が自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合に、損害を最小限に食い止め、いちはやく事業の継続・復旧を図るために策定されるBCP(事業継続計画)になぞらえた、FCP(家庭生活継続計画)の策定を白山さんは提唱します。わが子の発達障害診断・告知を受けた瞬間の心の動揺や落ち込み、そこからの立ち直り、夫婦間の対話や家庭内での役割分担の決定、職場への説明や立場・働き方のギアチェンジ、療育等の社会資源の利用や学級・学校選択などなど…発達障害のある子どもを育てる上でどうしても避けられない保護者への負担・困難を受け止めつつも、家族とともにいかに歩んでいくかを、冷静な筆致で叙述しています。体験談をベースにしつつも、発達障害のある子どものいる家庭がたどる道筋や利用できる社会資源などが俯瞰してまとめられており、どちらかというと構造的で体系的な理解を好む人が多いと言われる父親(男性保護者)読者にとって非常に参考になる書籍だと思います。鈴木悠平プロフィールUpload By 発達ナビ編集部1987年生まれ。東日本大震災後の宮城県石巻市におけるコミュニティ事業の立ち上げ、コロンビア大学大学院での地域保健政策の研究を経験した後、株式会社LITALICO入社。発達支援教室「LITALICOジュニア」での指導員、「LITALICO研究所」の立ち上げ・運営業務等を経験したのち、発達障害に関するポータルサイト「LITALICO発達ナビ」( ) の編集長に就任。NPO法人「soar」( )理事も務める。
2017年11月10日ライター・鈴木希望さんのおすすめ本フリーライターの鈴木希望さん。ご自身と息子さんがともにASD(自閉症スペクトラム)の診断を受けており、発達ナビでも体験を綴ったコラムを連載中です。そんな鈴木希望さんに発達ナビユーザーにおすすめの本を4冊教えていただきました。子育てや家事に疲れた時、親子で本を読む時間をつくってみてはいかがでしょうか?『妖怪ウォッチ』「言わずと知れた人気漫画。主人公のケータ君が様々な妖怪と出会い、友達になるというストーリーなんですが、人々を困らせる妖怪と話してみると、実は「誰かを困らせたいわけではなく、妖怪自身が自分の性質や能力の取り扱いに困っている」というパターンが多いんですね。『あ、これ、発達障害当事者の状況に似ているな』と。妖怪たちの吐露を聞いたケータ君が、『でもそれってこんなふうにいいところもあるよ』とリフレーミングしたり、『それをこういうふうに活かしたらどう?』とアドバイスするんですね。なので、『ああ、これは多様性受容の話なのだな』と私は理解しています。基本はギャグ漫画ですけれど、そのように観点を変えて読んでみると面白いかもしれません。」(鈴木希望さん)「発達障害について理解が深まる本を教えてください」と聞いたところ、鈴木さんが教えてくれたのは意外にも妖怪をテーマにした漫画『妖怪ウォッチ』。『コロコロコミック』で連載中の、大人気ニンテンドー3DSゲームを原作とした漫画です。小学5年生のケータが森の中で「妖怪執事」のウィスパーと出会い、妖怪ウォッチを手に入れたことから物語は始まります。妖怪ウォッチをつけると、見えないはずの妖怪が見えるようになります。悩んだり、イタズラで人を困らせたり、そんな妖怪たちとケータは友達になり、問題を一緒に解決していき…。かわいいキャラクターとわかりやすいストーリーで、子どもに大人気のコミック。2017年11月28日に最新刊14巻が発売予定です。『このあとどうしちゃおう』「おじいちゃんの楽しげなエンディングノートを見つけた男の子が、それを読みながら、どんな気持ちで記したのかと想像を巡らす、楽しくて、ちょっぴり切ないお話です。死に関して語ることって、何となく重いというか、タブーのような雰囲気がありますが、生きることと地続きで、誰しも経験するものですよね。だから、生きることの大切さを語ることと同様に、死についてももっと気軽に語る機会があってもいいよね、とこれを読んで私は感じました。この絵本をきっかけに、8歳の息子とはもちろん、老親とも『このあとどうしちゃおう』『いきているあいだはどうしちゃおう』と話し合う機会が増えました。」(鈴木希望さん)『りんごかもしれない』『ぼくのニセモノをつくるには』に続く、ヨシタケシンスケさんの大人気絵本シリーズ「発想えほん」の第3弾。今回のテーマは「死」。重いテーマですが明るい絵柄でからっと読めるので、子どもから大人まで、家族みんなで考えるきっかけにもなる本です。『子育ては、泣き・笑い・八起き 妊娠・出産・はじめての育児編』「新潟を拠点に活動されている子育てエッセイストさんのご著書。出産1年未満でシングルマザーになり、不安だらけの時期にこの本の元になった『どーいんソレ…!』に出会い、とても救われました。自分に高いハードルを設定しがちで、キャパシティー以上のことをしがちな私は、新米お母さん時代のちゃいさんの姿に自分を感じて、タイトル通りに泣き笑い。ついつい『自分ってダメな親だなぁ…』と思ってしまいがちなお母さん、お父さんには是非、『あなたはとっても頑張っているんだよ!』というちゃいさんのメッセージを感じていただきたいです。」(鈴木希望さん)地元・新潟のフリーペーパーで子育て漫画エッセイを連載しているちゃい文々さん。小学生の女の子、中学生の男の子を育てるシングルマザーとしての奮闘の日々を明るく綴ります。はじめての妊娠から出産、子育てまで、かわいい子どものために頑張ろうとするけれど、なかなかうまくいかずイライラ…。そんな体験をするパパ・ママは少なくないのではないでしょうか?そんなとき、この本は重すぎる子育ての負担を“キャパ・リュック”としておろす方法を提案してくれます。百点満点の育児じゃなくても大丈夫、そんな気持ちになれる一冊です。『逃避めし』「仕事に行き詰まったときや、締め切りが迫っているときの現実逃避として、作った料理を綴った、吉田戦車さんの食エッセイです。計量もせず、ありものでデタラメな料理をするのが私の趣味。そのワクワク感が詰まったこの本が大好きで、繰り返し読んでいます。料理にまつわる思い出や日常の記録も味わい深く、プロが作らないような名もない一品や毎日の暮らしが愛おしくなってきます。」(鈴木希望さん)『伝染るんです。』などで知られる漫画家吉田戦車さん初の料理エッセイ。締め切りを目前になぜか作ってしまう料理「逃避めし」を描き下ろしのイラストたっぷりに語っています。鈴木希望さんプロフィールUpload By 発達ナビ編集部1975年新潟県生まれのシングルマザー/フリーライター。側頭葉てんかんとは生来の付き合い。2009年生まれの息子が発達障害の可能性があると指摘を受け、調べたところ、後日親子揃って自閉症スペクトラム(旧アスペルガー症候群)と診断されました。発達ナビでコラムを連載中。
2017年11月09日アナログゲーム療育アドバイザー・松本太一さんに発達ナビユーザーへのおすすめ本を聞きました!松本太一さんは、アナログゲーム療育アドバイザー。ボードゲームやカードゲームなどを使って発達障害のある人のコミュニケーション能力を楽しく高めるという「アナログゲーム療育」の開発者です。全国で研修や講演を行う傍ら、発達ナビでもコラムを発表しています。今回は、松本さんに子育てをしている発達ナビユーザーに読んでほしい本を教えてもらいました!『子どもへのまなざし』「子育てのバイブルとして多くの親御さんに読まれています。「子どもの発達」と親の役割について、これほど平易に書かれた本は他にありません。」(松本太一さん)著者は児童精神科の医師として40年以上活躍された故・佐々木正美さん。自閉症のある方への支援プログラム「TEACCH(ティーチ)」を日本に紹介、普及に尽力されたことでも知られています。乳幼児期は子どもの人間としての基礎となると考える佐々木さんが、あたたかな視点で語る育児書です。佐々木さんには多くの著書がありますが、語りかけるようなわかりやすい言葉で書かれたこの本は特にパパママに長く愛されています。「これでいいのかな?」「がんばっているのにうまくいかない」と子育てに悩んだときに開いてみてはいかがでしょうか?『赤ずきんとオオカミのトラウマ・ケア: 自分を愛する力を取り戻す〔心理教育〕の本』「トラウマやフラッシュバックに悩まれている思春期以降のお子さんとその親御さんに読んでほしい。思い出したくない記憶とどう向き合うか、わかりやすく具体的に解説されています。」(松本太一さん)みんなが知っている『赤ずきんちゃん』に登場するオオカミと赤ずきんちゃんの物語仕立てでトラウマについてわかりやすく説明しています。トラウマに苦しむ人や家族が理解しやすいように工夫されていますが、その内容は、トラウマの仕組みからフラッシュバックへの具体的な対処法、家族や支援者の具体的な支援法まで、具体的かつ網羅的に紹介されています。『勇気づけて躾ける―子どもを自立させる子育ての原理と方法』「別名「対人関係の心理学」とも言われるアドラー心理学に基づいた子育てを、豊富な事例とともに解説。子どもの自主性を尊重した親の関わり方や、兄妹の間に働く心理の解説は、子育てに新しい視点を与えてくれるはず。」(松本太一さん)子育てに悩むパパ・ママにおすすめの本として挙げてくれたのがこの本。アドラー心理学はオーストリアの精神科医アルフレッド・アドラーが築いた心理学です。アドラー心理学では「人間は、分割できない個人という全体として、目的に向かって行動する」と考えます。「子どもが言うことを聞いてくれない」「自主性を身につけてほしい」と悩むパパ・ママも多いのではないでしょうか?この本ではアドラー心理学をもとに、子どもへの理解や自由をどう教えるかなどを紹介しています。『教育心理学講義』「「心理学のモーツァルト」と呼ばれた天才ヴィゴツキーの30歳の著作。「教師が100で生徒が0」という前提の一方的な知識教授に偏った教育は時代遅れであり、教師は子どもが自ら学ぶ環境を整える調整者であるべきだという彼の主張は、この本の出版から90年後を経て今なお先進的。」(松本太一さん)松本さんが愛読する座右の書として教えてくれたのが旧ソ連の天才心理学者ヴィゴツキーの名著。ヴィゴツキーは唯物弁証法の立場から現代心理学を方法論から問い直し、批判しました。この『教育心理学講義』は師範学校で行われた教育心理学の講座をまとめたもので、1926年に刊行されました。37歳という若さで亡くなったヴィゴツキーですが、今もなお世界中の心理学者に影響を与えています。松本太一さんプロフィールUpload By 発達ナビ編集部松本太一(まつもとたいち)フリーランスの療育アドバイザー。カードゲームやボードゲームを用いて、発達障害のある子のコミュニケーション力を伸ばす「アナログゲーム療育」を開発。各地の療育機関や支援団体で、実践・研修を行っている。東京学芸大学大学院障害児教育専攻卒業。教育学修士。NPO法人グッド・トイ委員会認定おもちゃインストラクター
2017年11月06日井上いつか先生に聞いた、発達ナビユーザーにおすすめしたい本!井上いつか先生は、医療・福祉機関などで、言語聴覚士として多くの子ども達と接してきました。発達ナビでもコラムの監修をご担当いただいています。先生がおススメしてくださったのは、保護者や子どもにも読みやすく、様々なヒントがもらえる本ばかりです。『発達障害のある子とお母さん・先生のための思いっきり支援ツール―ポジティブにいこう! 』「子どもたちを支援するための具体的なやり方を紹介する本です。様々な支援ツールのねらいや作り方、活用例、成功のポイントなどが、イラストを使って解説されています。わたしは、お子さまご本人にとってわかりやすい支援ツールづくりのヒントとして、また、お子さまの長所を見つけるワークを入り口にサポートブック作成を進めるために、ご家族と一緒に読み進めることが多いです。パラパラと見ていただいて、少しでも楽に過ごすことができるようなヒントが見つかると良いなと思います。」(井上いつか先生)発達障害があると、目に見えないものやことを推測したり、実行するのが苦手なことがあります。そうした、「見えないもの・こと」を理解しやすくするためのツールやヒントが紹介されています。日常生活のなかの様々な場面で、”自分で理解し、考え、実行できる”ことが増えると、子どもたちは自信をつけ、自立にもつながっていきます。「支援といっても、具体的になにをしたらいいの?」と悩む保護者にとって、そのやり方を分かりやすく教えてくれる本です。『キラキラ どもる子どものものがたり』「吃音(どもり)のあるお子さまが、周囲の大人の支えとともに、“クラスのみんなに吃音を理解してもらうための作戦を考えていく”物語です。吃音を抱える本人や支える人が、吃音をどう捉えると良いのか、どう関わると良いのか、何ができるのかを考えるキッカケを与えてくれる一冊です。平易な文章で書かれており、漢字には読み仮名がふってあります。小学校低学年のお子さまが理解できる内容になっているので、お子さま自身が読むのも良いですし、ご家族や先生など身近な大人と一緒に読むというのもおススメです。」(井上いつか先生)本の著者は、病院の小児言語科などに勤務してきた言語聴覚士。子どもにも読みやすい物語の形をとって、クラスメートや保護者・教師などの、吃音のある子どものまわりにいる人達が、どう関わればよいのか、なにができるのかについて、具体的に紹介されています。『はじめの一歩だよ子どもと始めよう編 』『はじめの一歩だよ子どもと始めよう編 』 アスペ・エルデの会「発達障害のお子さまの特性やメカニズムがわかりやすく解説されていて、上手に支援を受けるコツや、今からできる子育てのコツも紹介されています。ご家族に向けて作成された1冊300円の冊子なのですが、支援者をはじめお子さまに関わる方へもよくおススメしています。」(井上いつか先生)アスペ・エルデの会からは、保護者向けの本だけでなく、本人やきょうだい、支援者向けの冊子も発行されていて、そちらもおすすめだそう。支援者向けの「はじめの一歩だよみんなでサポート編」も発行されています。井上いつか先生のプロフィールUpload By 発達ナビ編集部言語聴覚士。医療・福祉機関で勤務後、現在フリーランス。発達に凸凹のあるお子さんへの療育や自立支援、ご家族や指導者のサポート、記事の監修等を行っている。医療・福祉・教育・心理、社会的養護、社会的マイノリティ、ソーシャルワークにも関心がある。
2017年11月03日木村ナオヒロさんに聞いた、発達ナビユーザーにおすすめしたい本!木村ナオヒロさんは、ひきこもり当事者・関係者にとっての情報発信の場、『ひきこもり新聞』の編集長として活動しています。『ひきこもり新聞』は、「ひきこもり当事者による、当事者のためのメディア」として、社会に届きにくいひきこもり当事者の声を発信し、「全てのひきこもり系」が安心していられる世界の実現を目指しています。ひきこもり新聞web版木村さん自身、ひきこもりだった経験があり、ひきこもりに対する理解と適切な支援情報を提供するために、現在さまざまな活動をされています。10月に行われた、木村さんの当時の主治医である、精神科医・斎藤環先生との対談イベントも大盛況のうちに終わりました。そんな木村さんに、「読んでよかった!」とおすすめできる本を教えていただきました。『「社会的うつ病」の治し方―人間関係をどう見直すか 』「ひきこもり対策がうつ病にも効果的だったという内容です。孤独でうつ傾向な人に読んでいただければと思います。」(木村ナオヒロさん)木村さんの主治医であり、ひきこもり支援を専門とされる斎藤環先生が、新しいうつ病治療・対策に関して書かれた本書。「軽症なのに、動けない…」「怠けるつもりはないのに、動けない…」そんなうつ病当事者に向けて、今まで治療方法として多く導入されてきた休養や服薬ではなく、「人間関係」に注目した新しい支援を紹介しています。『星の王子さま』「いつまでも心に残る物語です。子供の時に読みたかった本です。」(木村ナオヒロさん)木村さんが、子どもに読んでほしい本としておすすめする本が、不朽の名作『星の王子さま』。「大切なものは、目に見えないんだよ」など心にしんみりと届く言葉、優しくて可愛らしい挿絵に癒され、魅了された方も多いと思います。『星の王子さま』は、様々な出版社から刊行されています。手に入りやすい文庫本のほか、子ども向けの児童書や絵本などもあります。まだ幼くて長い活字を読むのが難しい、たくさんの文を読むことが苦手なお子さんには、そのお子さんの年齢や特性に合わせて、『星の王子さま』に触れてみるのもよいですね。『NHK「100分de名著」ブックス サン=テグジュペリ 星の王子さま』「星の王子様を読んだことがある人でも、もう一度この解説本と一緒に読むと新しい感動があると思います。」(木村ナオヒロさん)続いて、子育てに疲れた時・悩んだ時に読んでほしい本として木村さんが挙げてくれたのは、先ほどご紹介した『星の王子さま』の解説本。NHKで放送されている、「100分de名著」という番組から生まれた解説本です。「『星の王子さま』読んでみたいけど1冊読む時間がなかなかとれない…」「子どものころ読んでそれっきりだったけど、大人になった今、改めて星の王子さまの世界を理解しながら読み直したい!」そんな方にはぴったりの1冊です。この機会に、星の王子さまの新たな発見や奥深さを感じてみてはいかがでしょうか。『ライフ・レッスン』「死を受け入れた人々のメッセージが心を揺さぶります。名も無き人々の言葉に真実が宿っていました。一番好きな本です。」(木村ナオヒロさん)最後に、木村さんの座右の書として教えてもらった本書。精神科医で、終末期医療の先駆者であるエリザベス・キューブラー・ロスさんによって、「人生の最後で捉えた生と死の事実」「生と死から見た、人生における15のレッスン」が紹介されています。木村ナオヒロさんプロフィールUpload By 発達ナビ編集部木村ナオヒロ(きむらなおひろ)『ひきこもり新聞』編集長。元ひきこもり。暴力的支援団体を好意的に取り上げたマスコミに疑問を持ち『ひきこもり新聞』を創刊。ひきこもりに対する理解と適切な支援情報を提供するために活動している。主治医は斎藤環教授。ひきこもり新聞web版
2017年11月02日特性を生かして活躍する岩本さんに聞いた、発達ナビユーザーにおすすめしたい本!岩本友規さんは、成人してから発達障害(ADHD、アスペルガー症候群)と診断されました。新卒で就職した会社では、法人営業の部署に所属しましたが、電話番すら思うようにできず挫折。現在はご自身の特性を生かして、外資系企業のデータアナリストとして活躍し、著書「発達障害の自分の育て方」(主婦の友社)も執筆されています。今回は、生きていくうえで大切にしたいことを教えてくれたり、読むと頓服薬的に元気になれる本、子どもたちに読んでほしい本などを教えてくださいました!『小説十八史略』「人生の中で一番読み返した本で、子どもに読んで欲しい本でもあります。 特に小学校高学年~中学校時代に全6巻を何十回もまわしました。受けた恩を返すため、親友や主君の身代わりになる話。 人間の強さと弱さの話。 私はこの本に、いまの活動につながる「義」の心を意識・無意識の中に刷り込まれました。人間はやはり最終的には、利他の行いをすることで幸せになっていきます。 そうした発想を自然に育むために、私の知る限り最適な本です。」(岩本さん)紀元前の中国の英雄たちの生きざまや人間模様が生き生きと描かれています。子どもにもよみやすい文章なので、親だけでなくお子さんも一緒に楽しめそうです。『ポケットのないカンガルー』「ないものを嘆くだけではなくて、どう補うかを探しにまわりの動物たちのあり方を学ぶお母さんとこどもカンガルー。前向きに行動を続ける大切さと、多様なあり方について感じることができる絵本です。「おさるのジョージ」と同じ方の挿絵なので、なじみやすいと思います。」(岩本さん)ぜひお子さんと一緒に読んでほしい1冊。ポケットがない母カンガルーが、こどものフレディを運ぶ方法をいろいろと考えます。ないものねだりをするのではなく、どう前向きに生きるのかを、やさしいタッチの絵と文章を通して教えてくれます。『22世紀的「人生の攻略本」 起こることは全部マル! 3時間で新しい自分になれるワークブック』「理屈抜きで、徹底して現状の自分や状況を肯定してくれる本。ブログでも紹介していますが、私もつらくて眠りたくない夜、なんとか気持ちを楽にしたいときはこの本に頼っていました。頓服薬的に効いてくれる、とてもお世話になった本です。」(岩本さん)過去を悔んだり、将来に不安を抱くのではなく、起こることは全部”マル”と決めてしまおう。難しいことは考えず、本に書いてあるワークの質問に答えていくだけでOK。自分のエネルギーを「いま、ここ」に向ければいいのだということを教えてくれる、人生の攻略本です。『発達障害の原因と発症メカニズム』「かなり専門的な本。発症原因の項目は少し距離をおいて読む必要があるかもしれませんが、それ以外の基礎知識はどの立場の人にとっても大変有用だと感じました。一般的な発達障害本では納得しきれない方におすすめです。」(岩本さん)成人当事者として、自分の特性とはどんなものなのか、原因はなんなのか、しっかりと理解したいと考えて読んだ1冊だそう。環境要因による発達障害への影響から療育についてまでと、幅広い内容となっています。岩本友規さんのプロフィールUpload By 発達ナビ編集部成人してから、発達障害があることを診断。その特性を生かして、現在は外資系企業でデータアナリストとして活躍するほか、著書やブログの執筆、講演活動などを行う。11/17(金)、18(土)に長野県佐久市にて「今日から実践!発達障害の自分の育て方講座」が開催されます。
2017年10月31日ライター・林真紀さんに聞いた、発達ナビユーザーにおすすめしたい本!林真紀さんは、発達ナビでコラムを連載するママライターさん。発達障害のあるお子さんを育てる中での発見を、林さんならではの目線で分析したコラムが人気です。介助犬や音楽療法など、新しい話題をいち早く紹介してくれる、情報収集のアンテナの高さにも定評があります。そんな林さんに、ご自身が読んで子育てに役立ったり、励まされた本を教えていただきました!『自閉症児のための明るい療育相談室』「『生活編』『遊び編』『お友達編』『ことば編』『行動編』『学校編』に分けて、自閉症の子どもの特有の行動について応用行動分析(ABA)の観点からアドバイスが書かれています。ある行動に対して、奥田先生と小林先生の二人がそれぞれ分析を加え、異なるアドバイスを提示。それぞれのやり方のどちらが自分の子どもに適しているか、あるいは別の方法があるのではないかと考えながら読み進めることができます。また、行動の背後にある原因を分析することで、社会生活上の問題を解決していこうという応用行動分析の方法論は、発達障害ではない子どもの子育てにも役立ちます。取り上げられている子どもの行動が、乳幼児期のものから学童期まで幅広いため、何年もの間繰り返し手にとって読んでいます。」(林真紀さん)林さんが発達障害をテーマにした本として、まず挙げてくださった本書。著者は、発達障害のある子どもと家族を支援する心理臨床家・奥田健次さんと筑波大学名誉教授の小林重雄さん。お二人とも行動療法が専門の専門行動療法士、臨床心理士です。この本では、行動療法の立場から、自閉症の子どもを育てる上での悩みや困りごとと対処法が54も紹介されています。わかりやすいQ&A形式で解決のヒントを探ることのできる本です。『発達障害の子の立ち直り力 「レジリエンス」を育てる本』「発達障害の子どもを育てるときに、何を目標にして育てれば良いのか分からなくなるときがあります。例えば、特性を克服することが大切なのか、あるいは特性を踏まえたうえで支援することが大切なのか…。そんな悩みに押しつぶされそうだったときに出会ったのがこの本。「レジリエンス」という言葉は聞きなれない言葉ですが、簡単に言えば「心のしなやかさ」、つまりつらいことがあれば落ち込むが、それを引きずらずに立ち直って元気になれる力のことを言います。頑丈に見えて、無理をして負担が蓄積してボキッと折れてしまう心ではなく、ときには折れたり曲がったりするけれど、また立ち直る心のことを「レジリエンスのある心」と定義づけています。この本では、発達障害の子どもが「強い心」ではなく「しなやかな心」を持つことができるように育てるにはどうしたら良いのか、そのための親の関わり方について書かれています。発達障害の子育てについて新しい視点を与えられた本でした。」(林真紀さん)林さんのコメントの通り、レジリエンスとは「復元力・回復力」と訳される心理学の用語で、自分が困難や逆境にあるときに、対応し克服する力のことです。近年、発達障害をはじめ、さまざまな分野で注目されている考え方です。本書では、発達障害のある子どもがレジリエンスを身につけるためのステップをわかりやすく、身近な具体例で紹介しています。パパママにもわかりやすいイラスト図解が豊富で、読みやすいのも特徴です。『ふしぎだね!?ADHD(注意欠陥多動性障害)のおともだち 』「ADHDの子どもの行動の特性や困り感について、いくつかのパターンに分けて漫画で紹介しています。さらに、そんな子どもたちに対してどのような手助けや声かけをしたら良いのかについても、イラストで分かりやすく説明してくれています。子どもにも十分分かる構成になっているので、当事者の子どもはもちろん、その兄弟姉妹、それからクラスメイトの子どもにもおすすめです。」(林真紀さん)親子に読んでほしい本として林さんが教えてくれたこの本は、様々な学校でのトラブルの場面を、カラフルなイラストやマンガで子どもにもわかりやすく取り上げています。「自分勝手」「らんぼう」などと誤解されてしまうこともあるADHDの子どもがどうしてその行動をしたのか、その背景とともに対処法を紹介しています。『毎日かあさん』(コミック)「西原理恵子さんの漫画を読んだとき『あ、子育てってもっと適当にやっちゃっていいんだ』と肩の力が一気に抜けました。そして、小さい頃から割と手のかかる子だった西原さんの息子さんの姿に、我が息子の姿を重ねながらいつも読んでいました。その息子さんも、高校生になって一念発起して猛勉強し、海外留学。成田空港でアメリカへ旅立つ息子さんを見送りながら、『たった16年しか育ててないのに』『男の子は 急に 走る』という西原さんの言葉に号泣でした。我が家の手のかかる息子も、10年たったらこんな風に逞しく飛び立っていくのかもしれない、と励まされる思いでした。」(林真紀さん)子育てに疲れた時・悩んだ時に林さんがおすすめするのが、2017年6月に完結するまで毎日新聞で16年にわたり連載された西原理恵子さんの漫画。第8回文化庁メディア芸術祭賞、第9回手塚治虫文化賞、第40回日本漫画家協会賞などを受賞。アニメ化や映画化もされているので、ご存知の人も多いかもしれません。漫画は西原家を舞台に、息子・娘との日常をかあさんこと西原さんの目線で描いています。子育て中のパパママなら共感間違いなしの笑えるストーリーはもちろん、泣けるエピソードに愛読者も多い大人気漫画です。林真紀さんプロフィールUpload By 発達ナビ編集部林真紀(はやし まき)翻訳者/ライター。3歳のときに自閉症スペクトラム障害、ADHDと診断された小学校一年生の息子を育てる現役ママライター。発達ナビの連載コラムで活躍中。林真紀さんのページ|発達ナビ
2017年10月30日斎藤環先生に聞いた、発達ナビユーザーにおすすめしたい本!ひきこもりを長年支援してこられた精神科医の斎藤環先生。先日発達ナビが行った『ひきこもり新聞』木村ナオヒロさんとのトークショーも盛況でした。そんな斎藤先生は批評本も書かれているほど、まんがやアニメにも造詣が深いのです。今回は専門書から話題のマンガまで、バリエーションもゆたかな本を教えてくれました!『発達障害当事者研究―ゆっくりていねいにつながりたい』「自分が自分の先生なのだ。」(斎藤環先生)アスペルガー症候群当事者の綾屋紗月氏と小児科医・熊谷晋一郎氏による当事者研究。発達障害のない人からは「感覚過敏」「こだわり」などの言葉でくくられてしまう特性。発達障害のある人がどのように感じているのか、その世界が綾屋さんの目を通して丁寧に語られます。保護者や支援者など、発達障害のない人が、発達障害のある人の世界を想像し、理解しようとすることが、彼らとつながるために重要だと気づかせてくれる本です。『夜廻り猫』「猫は、寄り添って人を癒やす。」(斎藤環先生)育児に疲れた時にパパ・ママに読んでほしい本は?とうかがったところ、斎藤先生が教えてくれたのは、ツイッターで話題となった8コママンガ。第21回手塚治文化賞短編賞受賞作の『夜廻り猫』です。「泣く子はいねが~」と夜更けの街を見まわるのは、なんと猫の遠藤平蔵!涙のにおいをたどって悩んでいる人を見つけ、話を聞きます。ただ寄り添うだけで解決はしないその距離感はまさに猫。ちょっと疲れた時や悲しい時にちょうどいいあたたかさで読めるマンガです。『ジェーン・エア』「子どもたちよ、これが”物語”だ。」(斎藤環先生)「子どもに読んでほしい本」として斎藤先生が挙げてくれたのが、イギリス文学の名作『ジェーン・エア』。幼くして孤児となった家庭教師のジェーンと裕福な主人ロチェスターは次第に惹かれあいます。身分の差やロチェスターの過去など、様々な困難が二人の前に立ちはだかり、一度は彼のもとを去ったジェーンでしたが…。全てを失っても、大きな障害も、愛の前には障害ではなくなるという、ジェーンの想いに心打たれる恋愛物語です。『治療文化論―精神医学的再構築の試み』「わたしの、たった一人の“師”。」(斎藤環先生)斎藤環先生の座右の書が、本書。日本の精神病理学を代表する医学者・中井久夫氏の代表作です。統合失調症やPTSDの研究者として知られる中井氏ですが、歴史にも精通し、詩の翻訳やエッセイの名手としても活躍していました。『治療文化論』では精神医学と文化の両面から「病気とは何か」「何をもって治療と言うのか」を探ります。斎藤環先生プロフィールUpload By 発達ナビ編集部斎藤環(さいとうたまき)1961年、岩手県生まれ。1990年、筑波大学医学専門学群環境生態学卒業。医学博士。爽風会佐々木病院精神科診療部長(1987年より勤務)を経て、2013年より筑波大学医学医療系社会精神保健学教授。また,青少年健康センターで「実践的ひきこもり講座」ならびに「ひきこもり家族会」を主宰。専門は思春期・青年期の精神病理、および病跡学。著書に 『文脈病(青土社)』『社会的ひきこもり(PHP研究所)』『ひきこもり救出マニュアル(PHP研究所)』『ひきこもり文化論(紀伊國屋書店)」『生き延びるためのラカン(バジリコ)」『ひきこもりはなぜ『治る』のか?(中央法規出版)』, 『ひきこもりのライフプラン』(共著: 畠中雅子, 岩波書店), 『オープンダイアローグとは何か』(医学書院)
2017年10月28日井上雅彦先生に聞いた、発達障害のある子を育てるパパママにおすすめしたい本!鳥取大学の井上雅彦教授は「応用行動分析学(ABA)」の専門家。発達ナビでは「親子のヒント」や「発達障害のキホン」コラムの監修などを担当しています。発達障害のある子どもや保護者への支援経験も豊富な井上先生に、子どもへの接し方や障害への理解が深まる本を紹介していただきました!『つながろ!―にがてをかえる?まほうのくふう』「自分の苦手なことに工夫をしたり、得意に変えていくことが絵本で学べる本です。発達障害があるないに限らず、多くの親子にぜひ読んでほしい本。」(井上雅彦先生)友達のまいちゃんには発達障害がある。どんなふうにしたらまいちゃんや、先生やクラスのみんながわかりやすくなるのか、どうしたら苦手なことがなくなるのか、「まほうのくふう」を考えよう…子どもへの説明にも使えるわかりやすい絵本です。発達障害とはどんなもの?苦手なことはどんなこと?という障害への理解はもちろん、当事者だけでなく、先生やまわりの友達も一緒に困りごとを解決するヒントがつまったインクルーシブ絵本です。『家庭で無理なく対応できる 困った行動Q&A: 自閉症の子どものためのABA基本プログラム4』「親御さんが一番気になり、またストレスを感じるのが困った行動ではないでしょうか?自傷やこだわりなどがある時、おうちで無理なく解決できるヒントをわかりやすく紹介しています。」(井上雅彦先生)「応用行動分析学(ABA)」とは発達障害児療育のベースになっている理論のひとつです。行動の背後にある原因を分析することで、その子の困りごとを解決していこうとする考え方です。本書は家庭でもできるABAについて、具体的に書かれたシリーズの4冊目。保護者が特に困る癇癪や感覚過敏、自傷などへの対処法がわかりやすく紹介されています。『発達障害の子とハッピーに暮らすヒント―4人のわが子が教えてくれたこと』「堀内さんは、発達障害のあるお子さん4人を育てたお母さん。子育てのコツや工夫が満載です。堀内さんが子育ての中で経験則から発見し、得られた知見は研究や教育原理で得られる示唆とも一致すると思います。」(井上雅彦先生)アスペルガー症候群、ADHD、LDという発達障害の診断を受けている4人のお子さんを育てる堀内さん。本書では、それぞれ特性やタイプの違うお子さんとの毎日の奮闘から編み出した「こんなふうにしたらいいんだ」という工夫を紹介しています。こだわり、パニック、不登校…小学校入学以来、堀内家はさまざまな“問題”に直面しますが、タイトル通り、ハッピーに暮らそうと前向きな堀内さん。勇気と子育てへのヒントがもらえる本です。井上雅彦先生プロフィールUpload By 発達ナビ編集部井上雅彦(いのうえまさひこ)鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授応用行動分析学自閉症支援士エキスパート井上研究室ホームページ井上先生が監修したコラムはコチラ!|発達ナビ
2017年10月27日こんにちは。子育て支援を専門にする臨床心理士の今井千鶴子です。秋といえば、“読書の秋”ですね。「お子さんと読書を楽しみたい!」と考えているママもいるのではないでしょうか。今回は、読書を楽しむうえで図書館を上手に活用するアイデアをご紹介します!●図書館に行った回数皆さんは普段どのくらい図書館に行っていますか?私は子どもたちと月に2回ほど図書館を利用しています。日本経済研究所(2005)では、1ヶ月の間に地域の図書館に行った回数を調査しています。それによると、小学生の約半数は、1ヶ月の間に1度も図書館に行っていないことがわかりました(小学校2年生:47.2%、小学校5年生:58.3%)。また、日本経済研究所の調査では、1ヶ月の間に本を読まなかった人を対象にその理由を尋ねています。その結果、小学2年生の本を読まなかった理由のトップは、「読みたい本がないから(46.2%)」であることがわかりました。私は、本を読まないのはてっきり“本が嫌いだから”だと思っていたので、“読みたい本がないから”という理由に驚きました。この調査からわかることは、子どもは読みたい本があれば本を読む ということです。ぜひ、お子さんが読みたいと思える一冊を一緒に探してみましょう!●なんといっても蔵書の数が魅力読みたい本を探すために本屋さんに行くのももちろんオススメなのですが、図書館の魅力は何といってもその蔵書の数 です。例えば、一口に動物に関する本といっても、赤ちゃんが対象のイラストのみが描かれた本から専門家が読む本まで、さまざまな種類の本が置かれています。ですから、お子さんの好みにあったお気に入りの一冊が見つかる可能性が高いです。普段なかなか本を読まないお子さんなら、まずはたくさんの蔵書の中から、お子さんがどの本を選ぶかを(口を挟まずに)じっくり観察してください。5冊くらい選んでもらえば、お子さんの好みはだいたいわかると思います。ちなみにわが子の場合は、恐竜や動物、昆虫がテーマの本ばかりを選びます。また、なぜか自宅にある図鑑の旧版(中身はほとんど同じ)も借りようとします。私からみると「同じでしょ?」と思うのですが、旧版と新版の違いを見比べたり、旧版に自分の知っていることが紹介されたりしているのが楽しいようです(笑)。そして、お子さんの好みの本がわかったら、同じ系統の本を定期的に自宅の本棚へ加えておくとよいでしょう。そうすれば、本を読み機会が増えていきます。くれぐれも注意したいのは、本を読んでほしいからと言って、「本を読みなさい!」と強制してしまうことによって“本嫌い”にしてしまう ことです。多くのお子さんは強制されればされるほど本を読むのを嫌がるようになるのは、教科書に載っている小説などに興味を持てない子が多いことからもわかります。●シリーズの本に注目する本によっては、シリーズ化されているものもあります。シリーズ本のよさは、1冊気に入ると、全シリーズ読んでみたくなることです。シリーズ化されている本の裏表紙にはたいてい別のシリーズの本が紹介されていますので、一緒に眺めてみましょう。わが子の場合は、「次はこれを読みたい!!」と必ず言うので、次に行く時はそれを優先的に借りるようにしています。次に図書館に行って借りるのを楽しみに待っています。また、お気に入りの作家さんがいるなら、全作読んでみるのも楽しいです。たとえば、ある絵本に登場したキャラクターが、同じ作家さんの別の絵本に脇役で登場することがあります。また、人気の絵本だと、脇役たちのスピンオフのお話もあったりするなど、より楽しめるようになっているものもあります。子どもは自分の知っていることを“発見”するのが大好き です。少しでも知っていることがあると親近感がわき、もっともっと好きになっていくことが多いです。このようなワクワクや喜びの経験を重ねることによって、子どもはどんどん本が好きになっていきます。●他の子が本に親しむ様子を見ることができる図書館には地域でも指よりの本好き親子が集まってきます。お子さんだけで食い入るように本を読んでいる光景も珍しくありません。実はこのモデルになる親子を“みる”体験が大切なのです。言葉であれこれ伝えなくても、本が大好きな親子の行動を見るだけで、“本を読むのは楽しいことだ”ということが伝わりやすくなるからです。ただ、そうはいっても、本が嫌いなお子さんの場合は図書館に誘っても行きたがらないことがあるかもしれません。そのような場合は、無理やり連れて行っても逆効果です。お子さんが行きたがらない時は、「(ママが)図書館で借りたい本があるからついてきてもらえる?」などと軽く誘ってみましょう。そして、子どもの本が置いてあるコーナーにさりげなく立ち寄ってみてください。お子さんの反応を見て、もし興味がありそうなら本を借りてみましょう。また、図書館の帰りに、お子さんが喜ぶご褒美を用意 してみるのもオススメです。初めのうちは「図書館に行くと嬉しいことがある」というように、図書館の経験にプラスのご褒美をそえてみるのもよいと思っています(永遠にご褒美が必要なわけではありません。本が好きになってくれば、特別なご褒美を用意しなくても、図書館で本を借りること自体がご褒美になっていきます)。我が家の場合は、家族で休日に図書館に行った帰りは、子どもたちが大好きな“うどん屋さん”に行くことが定番になっています(笑)。本が苦手なお子さんには、まずは“きっかけ”を作って行くことが大切だと思います。----------いかがでしたか?今回は、読書を楽しむうえで図書館を上手に活用するアイデアをご紹介しました。お互いに読書の秋を楽しみましょう!参考リンク財団法人日本経済研究所(2005)親と子の読書活動等に関する調査平成16年度文部科学省委託事業 図書館の情報拠点化に関する調査研究●ライター/今井千鶴子●モデル/倉本麻貴(和くん)
2017年10月25日秋の定番キーワードと言えば、読書。買ったばかりの書籍の最初のページをめくる時は、いつも新しい世界が開けていく予感でワクワクします。でも購入した本との相性が、いつも良いとは限りませんよね。時には「おもしろくない……」と、ページを閉じてしまうこともあるでしょう。できればそんなミスマッチは避けたいもの。ミスマッチを回避しつつ、運命の記事に出会う確率が上がる読書法があるんです。その名も、「つまみ読み」。一体、どんな読み方なんでしょう?古くて新しい『つまみ読み』とはつまみ読みとは、気になった記事やテーマだけをちょっとずつ読むスタイルのこと。聞きなれない言葉ですが、実は多くの方が経験したことがある読み方なんです。トレンド総研が行った「雑誌の楽しみ方」に関する意識・実態調査では、20~40代の男女500名のうち約7割がつまみ読み経験者でした。つまみ読みの方法としては、美容室でいろいろな雑誌を読む人や、試し読みができるブックカフェを利用する人が、いずれも5割以上という結果になりました。みなさんも美容室の待ち時間に、ネットサーフィンならぬ、雑誌のつまみ読みサーフィンをしたことがある人がほとんどではないでしょうか?あの山積みにされた雑誌を片っ端から読めるのは、美容室の楽しみの一つですよね。一方、つまみ読みの方法として「雑誌のデジタル購読サービスを使う」と答えた人も約3人に1人という高い結果になりました。この10年ほどで、読書を取り巻く環境は劇的に変わりました。紙の媒体からデジタルへと、その流れは雑誌にまで広がっています。デジタルの雑誌読み放題サービスは、月額数百円程度で100誌前後の雑誌が読み放題というコスパの高さが魅力。気になる雑誌を気軽に読めて、スマホやタブレットさえあればどこにでも持ち運べるのが便利ですよね。さらにデジタルのつまみ読みには、コストだけじゃないデジタルならではのメリットがあったんです。デジタルつまみ読みはココがスゴイ!同調査では、デジタルでのつまみ読みを実践している人に、具体的な楽しみ方についても聞いています。その結果、次のような回答が寄せられました。「キーワード検索ができる」「ブックマークやスクリーンショットでの記事の保存ができる」「おすすめ表示の記事を読める」どれもデジタルならではの特長と言えるでしょう。わたしも情報取集にデジタルの雑誌読み放題サービスを利用しています。雑誌の情報はネットよりもはるかに信頼性が高いので、さわりだけでも読んでおく価値がある上に、普段は書店では手に取らないような雑誌もあり、こうした雑誌をつまみ読みすることで、新しい発見があることもメリットだと感じます。それに、そもそもわたし達女性は、つまむのが好きなんですよね。女はつまみ〇〇がお好き女性が好きな、つまみ〇〇の代表と言えば、つまみ食いでしょう。何種類かの料理を、少しずつつまみながら味わうのが楽しいんです。多くの女性がとても慎重な一方で、時に男性以上に大胆な行動に出ることがありますが、つまみ食いにも同じような性質があると感じます。つまみ食いは、失敗したくないという不安を最小限に抑えつつ、初めての味に挑戦するという冒険心を満たせる一石二鳥の行為だからです。食わず嫌いだった料理をつまんでみたら、意外とハマってしまったなんてこともあるかもしれませんね。つまみ読みも雑誌のおいしいとこ取りができるというだけでなく、新しい世界に踏み出すきっかけをくれる点でおすすめの読書法なんです。運命の記事に出会うために紙かデジタルかということ以上に、選択肢が増えてより多くの記事に触れる機会ができたことは、読者側にはとっては大きなメリットだと感じます。それは、人生に影響を与えるような記事に出会う可能性を広げることにもつながっているからです。たった一つの記事が人生を変えることもあります。つまみ読みが、そんな運命の記事との出会いに導いてくれるかもしれませんよ。参考:トレンド総研
2017年10月06日~読書から何を学ぶのか?読書の意義〜読書の秋です。読書は異空間に瞬間移動する想像力を養うとともに、読む本によっては表現力や美しい日本語を学ぶことができます。例えば、泉鏡花や三島由紀夫さんの作品からは美しい日本語を学ぶことができ、竹久夢二、寺山修二、中原中也、石川啄木、ヴェルレーヌ、ランボー、コクトーらの詩人からは面白く、楽しく、美しい空想の世界と言葉使いを習得できます。詩や美しい言葉や表現法になれたら次は小説です。樋口一葉、夏目漱石、芥川龍之介など“文豪”と呼ばれる作家の作品からも日本語の上手な表現方法を学ぶことができます。表現力を数多く学んでいくうちに、実は想像力も養われていく。そして読書から学んだ美しい日本語や語彙、表現方法を日常生活の中で活用すれば、自分自身の人生が楽しいだけでなく、周囲をもユーモアで包み込み、一目置かれ敬愛されるようになります。皆様も読書を通じ多くのことを習得して、日常生活を楽しくしましょう。
2017年10月02日夏休み終盤。宿題計画的にやれる子、やれない子様々だと思います。我が家の子どもたちもそれぞれですが、末っ子は紛れもなく後者です(笑)特に憂鬱になるのが読書感想文。感じたこと、思ったことはあるはずなのに、それをあらためて文章にするのって慣れないと難しいんですよね。放っておくとあらすじばっかりになるし。「読書感想文が書ける本」なんてのも借りたこともありましたが、なんせそれを読むこと事態面倒がる…なんとか読んでも結局書いてある内容、工程が面倒、憂鬱となってしまう。どうしたもんか…一昨年3年生の時のエピソードです。このようにインタビュー方式というか、ママに教えて~って普段のおしゃべりの延長だと、面白い以外の感想がどんどん出てくるんです。つまり、感想文を書くと思うとハードルが高くても、親しい人に自分の思いを伝えるというスタンスならハードルはぐっと低くなるようです。あとはそれを文章化するだけ…なのですがここでポイントがそうです。スマホで録音すること!この方法にしてから読書感想文に取り組めるようになったんです。 「でもこれって付箋付けて文章にまとめるのと同じじゃないの?」と思われるかもしれません。しかしそれだと付箋部分に対してどう思ったか改めて考えなおしたりメモしたりするという工程が増えます。どんなやり方がいいかは人によると思いますが、我が家の末っ子の場合は録音、これが、自分がどう思っていたかすぐ引き出せ書く工程も最小限で済むので良いようです。何とっても時代の便利ツール、子どもに良い活用方法教える意味でも使ってみてもいいのかもしれません。 ということで読書感想文は攻略できたものの、結局夏休み最後まで宿題を先延ばしにし、ヒーヒー言いながらやるスタイルだけは変わらないのでした(笑)
2017年08月29日こんにちは。子育て支援を専門にする臨床心理士の今井千鶴子です。多くの学校では夏休みの宿題に“読書感想文”があると思います。特に低学年のお子さんの場合は、一人で完成させることは難しく、ママのサポートが必要な場合も多いのではないでしょうか。そこで今回は、ママが読書感想文をサポートするときのコツについてお伝えします。●21世紀型教育の中核は読書感想文が土台になる?夏休みの読書感想文といえば、「めんどうくさい」「嫌い」「やりたくない」という3拍子のコメントを耳にします。バンダイ(2013)の調査でも、読書感想文に対する苦手意識の高さがうかがえます。しかし、これから学校受験や就職試験をする子どもたちはそうはいっていられません。すでに名門大学では論作文に重点をおく試験に移行することを明言していますし、教員採用試験でも論作文や集団討論などの“自分の意見を伝える技術”が合否を左右するようになっています。検索サイトの進歩によって、多くの知識を覚えるような“記憶偏重型学習”から、情報をうまくまとめながら“自分の考えを作り出して伝える”という能力 を求める動きにシフトしています。読書感想文は、このような“自分の意見を伝える技術”の基本的な練習になりますし、何よりもお子さんの“生き抜く力”を育てるきっかけになります。●作文を書くことによるさまざまな効果冒頭の書きっぷりから想像もつきませんが……かくいう私も子どものころは読書感想文を嫌々やっていました。しかし今、子どもの教育に携わってわかることは、作文を書く力は子どもにとって必要な力だということです。そして、子どもたちにはもっと読書感想文を楽しんでほしいと思っています。作文を書くことによる効果のひとつは、自分の意見を論理的に説明する力 が身につくことです。また、“自分の考え方のクセ”に気づき、自己理解が深まることも期待できます。さらに、作文を書くうえでは「登場人物は何を思っているのだろう?」と推測したり、登場人物の思いに寄り添ったりするため、共感の心を育てることにつながります。このことは、人間性の成長にも大きく関わってくると思います。このように作文が多くの効果をもたらす背景には、書くことが“メタ認知(自分の認知機能を理解したり、モニタリングしたり、コントロールしたりする一連の過程)”を鍛える作業に関連しているためだと心理学的にはいうことができます。●作文をサポートするときのママの姿勢私のように子ども時代は読書感想文が嫌いだったママも、お子さんのサポートをするときには、「めんどうくさい」という気持ちは一旦捨て、「楽しいと思わせてやるぞ!」といった気持ち で向き合っていきましょう。特に低学年のお子さんの場合は、ママが「嫌い」と言っているものは、お子さんも「嫌い」と感じやすくなるので気をつけたいですね。サポートの基本姿勢は“明るく楽しく”です。●音読段階のサポート低学年のお子さんにとっては、文章を読みながら頭の中だけで物語を整理したり、考えをまとめたりすることは難しい作業です。このように同時にいろんな考えを処理できるようになるのは、10歳前後に発達する脳機能ですから、これらの作業は分割して取り組む とよいでしょう。たとえば、低学年のお子さんの場合は、最初はママが何度か音読してあげるとよいかもしれません。そのときには、「楽しい!」と子どもが思えるように、声の抑揚などを工夫することがポイントになります。そして、お子さんが物語の内容を理解できるようになってきたら、今度はお子さんが音読をしていきます。●情報整理段階のサポートすぐに理解ができる子はいいのですが、多くの低学年の子は話の印象的なところと終盤のみを記憶しています(ピーク・エンド効果といいます)。私が感想文をサポートする場合には、“ワークシート”を活用し、子どもたちと話し合いながら全体像についてまとめる作業をしています。ワークシートには、まず相関図を作って、登場人物の特徴とセリフを記録していきます。不思議と、ワークシートを使うと子どもたちは自由な発想で面白いことを次々と発言していきます(例:桃太郎の仲間の動物は疲れないのか?鬼は桃太郎が来ると思っていたのか?)。そのワークシートをもとに、物語に対してお子さんが感じたことや考えたことを記録していくとよいでしょう。このようにワークシートに書き出すことで、情報が整理され、物語を客観的に理解することができます 。また、自分の考えを深く理解することにもつながっていくでしょう。これらはまさに、メタ認知を鍛える作業です。●書く段階のサポート読書感想文をサポートしていると、「真面目に書かなきゃ」といったプレッシャーを感じ、たくさんの口出しをしてしまうママもいるかもしれません。でも、個人的には、子どもの自由な発想を大切にしてあげてほしいと思います。たとえば、主人公ではなく“脇役の目線”が気になったり、大人が気づかない部分に着目したりするお子さんもいます。あるお子さんは、「桃太郎の仲間の動物たちは鬼ケ島に行くまで喧嘩はしなかったのか?」ということが気になっていました(よく考えれば犬猿の仲という言葉もありますよね)。そんなときには、大人の価値基準で書き直させるよりも、「よく気づいたね。面白い視点だね!」などとお子さんの目線を大事にして 自由な発想をどんどん育ててあげてほしいと思います。本来、自分の思いを書くことは楽しいものです。それを苦痛に感じてしまう子が多いのは、他者の視点(評価)ばかりが気になり、自分の意見に自信がもてないことも関係しているのではないでしょうか。また、ママから「字をきれいに書きなさい」と叱られることによって、読書感想文に苦手意識をもってしまうお子さんもいます。もちろん字はきれいに越したことはありませんが、字の練習は別の時間に行いましょう。内容以外の部分で叱られることによって、せっかくのやる気の芽が奪われてしまうのはもったいないことです。●本を選ぶときのポイント最後に、本を選ぶときのポイントです。お子さんから「この本がいい」といったリクエストがあるなら、それに挑戦してみてもよいと思います。ただ、もしお子さんからのリクエストがない場合は、お子さんの発達に合わせた本をママが一緒に選びましょう。たとえば、低学年の子の場合は、文章だけで理解するのはまだまだ難しい時期ですので、“挿絵”がある方がイメージを膨らませやすいと思います(低学年のお子さんだけでなく、読書が苦手なお子さんも挿絵がある方が取り組みやすいと思います)。また、作文を書く前には、何度も読んでストーリーを理解することも必要になりますので、お子さんが繰り返し読んでも苦痛がない長さの本 を選ぶとよいでしょう。本を読んでいる途中に「まだ続くの?」という態度が頻繁にみられるようなら、別の本を考えてみてもよいかもしれません。お子さんが、楽しく取り組める一冊を選んでいきましょう!----------いかがでしたか?今回は、ママが読書感想文をサポートするときのコツについてお伝えしました。読書感想文に笑顔で向き合うお子さんとママが増えたらうれしいです!【参考リンク】・バンダイこどもアンケートレポートVol.21「夏休みの宿題に関する意識調査」結果 | 株式会社バンダイ(PDF)()●ライター/今井千鶴子(臨床心理士)●モデル/赤松侑里(さゆりちゃん)
2017年08月23日夏休みの宿題の中で特に気が重くなりがちなのが、読書感想文。「何でもいいからさっさと書きなさい! 」と、休みの終わりごろに子どもに無理矢理書かせるパターンを、今年こそ脱したいと思いませんか? 情報化社会で生き抜くための独特な情報編集術を、ネット上で教えているイシス編集学校。固定観念にとらわれず、自由な発想を引き出す術を教えてくれると評判の高いこの学校が、子ども向けのワークショップ『大好きな本の伝えかた 読書感想文の編集術!』を開催していました。筆者も親子で早速参加して、ヒントを学んできました!オリジナリティあふれる読書感想文を書くポイントは、「出す」「選ぶ」「分ける」「つなげる」の4つの工程だといいます。詳しくご紹介しましょう。■まずは本を好きになるヒント!「誰かに似た本」を探してみる!?以前こちらの講座を受けたことのあった筆者は、小6の長女を連れて参加。古典的な名作は一切読まず、今どきの軽めの本ばかり読む長女がイシス編集学校でどんなことを学ぶかと楽しみでした。ウォーミングアップは、「誰かに似た本を部屋いっぱいの蔵書から3分で探す」というもの。 「本が誰かに似るってどういうこと?」と頭がかたくなりかけてとまどう長女の横では、自由な発想で楽しそうに本を探す子どもたち。本は中に書かれている文字や内容だけではなく、表紙の色や文字、触った感じなどいろいろな情報を伝えているものであることを感じる試みのようでした。「花が好きな母親に似ている」と草の絵の表紙の詩集を選んだり、「青い空の表紙写真が親友のイメージにぴったり」とおのおのの感性で選んでいました。本嫌いな子どもも、このように本の違う面に注目したり、もっと自由に本を楽しんだりしていいと思ったら本が好きになるのかな、と感じました。■コツ-1:「出す」―発想を広げるキーワードとホットワードを出す続けてキーワードを聞いてどんなことが思い浮かぶか発想を広げる練習。「りんご」のキーワードからは「甘い」「赤い」などの形容詞から、「アダムとイブ」「白雪姫」「ピコ太郎」までありとあらゆる思い浮かぶ言葉をどんどん書き出してみます。キーワードから思い浮かぶそれらの言葉を「ホットワード」と講座では呼んでいました。 読書感想文を書くにあたっても、その方法を使います。読んだ本の中の好きな登場人物や好きな場面などをキーワードとして選び、そのキーワードから思い浮かぶ「ホットワード」をどんどん書き出してみるのです。「この子のここがかっこよくて好き」「この場面が好きな理由」「この場面を読んでこんな気持ちになった」など、ホットワードはなんでもいいのです。■コツ-2:「選ぶ」―「誰に伝えたい? 」出したホットワードから選別次に大切なのは「誰に伝えたいか」テーマを決めること。たくさん出たホットワードの中からテーマに合ったものを選びます。例えばりんごの説明であれば、「りんごを見たことのない人」と「りんごが大嫌いな人」に伝える時では、選ぶ言葉が変わるでしょう。りんごを食べたことのない人には「赤い」「甘い」など特徴の説明が必要ですし、嫌いな人には「火を通すと食感が変わる」など説明したくなるかもしれません。読書感想文でも同じ。「誰に伝えたいか」を決めると、「何を伝えたいか」が思い浮かびます。「この場面のことを先生に一番伝えたい」「読んでワクワクした気持ちを友達に伝えたい」などとテーマを決め、書き出したホットワードの中から合うものを選んでいきます。■コツ-3:「分ける」―伝えるためには順番が大事なポイント作文のカギとするホットワードを選んだら、次に決めるのは「人に伝えるための順番」。講座では4コマのイラストを並べ変えてストーリーを作るという作業を通して、並べ方次第でストーリーも印象もまったく変わるということを体験してみました。ついつい同じような書き出しにしがちな読書感想文も、順番を考えて言葉を並べ変えるだけで、内容も印象もグンと変わりそうです。 ■コツ-4:「つなげる」― つなげる言葉を紡ぎ、感想文を仕上げる順番を決めたら、あとはそれぞれをうまくつなげて感想文を仕上げます。講座では、各自が持参した大好きな本を人におすすめするためのキャッチフレーズを考え、それを記したオリジナルの帯を子どもたちが一人一人作りました。選んだホットワードからズバッと伝わる言葉を紡ぎ出すのです。限られた文字数の中で、「あっ! この本読みたいな」と読み手に思わせるキャッチフレーズを考えられたら、印象に残る読書感想文も書けそうです。本が好きな親子が集まっているだけあって、本をテーマにした2時間半の講座もみんな夢中で作業しているうちにあっという間。「出す」「選ぶ」「分ける」「つなげる」の4つを使って自分の大好きな本のキャッチフレーズを考え、帯を作ったところで終了しました。大人では思いつかない心に響く言葉を考え出す子どももいて、ライターをしている筆者も思わず感心してしまいました。帰宅した長女は早速、3歳下の妹にポストイットを使ってキーワードとホットワードを書き出させて、作文を書かせていました(まず自分でやらず妹にやらせてみていることに驚きましたが、とても有効な方法を学んだ、と思ったようです)。そう、このやり方は読書感想文だけでなく、作文や大人の仕事でも使えそうです。白紙の原稿用紙の前でうんうんうなった挙句、「とにかく書きなさい! 」とやみくもに書かせてしまう前に、まずはポストイットを用意して楽しく取り組んでみましょう。どんどん言葉を出していくところから始めて、今年の読書感想文を仕上げてみませんか? 取材協力:イシス編集学校 編集術を身につけるネット上の学校。ユニークな手法で生活から仕事まで幅広く生かせる情報の編集スキルを伝授。学生から社会人まで多くの生徒を持つ。ネットで無料体験できる「編集力チェック」も実施中。共催:(公財)せたがや文化財団 生活工房後援:世田谷区、世田谷区教育委員会
2017年08月10日夏休みの小学校の宿題で、もっとも頭を悩ませるのは「読書感想文」、という家庭も多いかもしれません。とくに普段から読書が苦手な子だと、ママもどうやって本を読ませればいいのか困ってしまうのでは。子どもが読書を楽しめるように、上手にサポートしてあげたいですよね。■あえて「課題図書」を選ばない夏休み前になると毎年、各学年に合わせた「課題図書」が発表になりますよね。これは、読書感想文の全国コンクールにおける課題図書の対象となる本として毎年選定されるもので、優れた作品も多いです。ただ、子どもによっては「課題図書」と聞いただけで、「読まなければいけない」と読書を強制されているような気持ちになってしまうことも。夏休みの宿題の読書感想文は、必ずしも課題図書を読まなければいけないわけではありません。子どもがあまり興味を示さない場合は、課題図書にはこだわらず、自由に好きな本を選びましょう。■子どもの興味ある分野の本を探すスポーツや音楽、歴史、動物など、どの子にもきっと興味のあることや好きな分野があるはず。本を選ぶ際には、子ども本人が好きなジャンルのものをチョイスするのもよい方法です。感想文を書くからといって無理に小説や物語を選ぶ必要はなく、絵や写真が多めのものでも問題ナシ。自分が熱中する分野に関する本なら、子どもも楽しく読み進めることができるのではないでしょうか。■映画やコミックのノベライズもOKママたちからよく聞かれるのが「うちの子、マンガは読むのに本は全然読まない」という声。普段あまり本を読まない子にとっては、長い物語はハードルが高いものです。そんなときは、映画やコミックのノベライズ作品をすすめてみてはいかがでしょうか。見たことのある映画や好きなマンガのノベライズなら、登場人物やストーリー展開もスッと頭に入るはず。元作品の「外伝」としてのノベライズもあり、読書に親しむ第一歩としておすすめです。■ママも同じ本を読む「本を読みなさい」「感想文を書きなさい」と言うだけでは、子どももなかなかやる気が出ません。夏休みは、親子で一緒に読書を楽しむチャンス。子どもが読む本をママも読んで、親子で感想を話し合ってみては。でも「読んでどう思ったかママに教えて」と聞くだけでは、子どもは“正解”を探そうとして戸惑ってしまうことが。「ママはあそこがよかったと思うけどどうだった?」「あのストーリーにはビックリしたよね」など、友達と映画の感想を語り合うような感じで話すと、子どもものってきてくれますよ。■感想文をスムーズに書くコツとは?本を読み終わって感想文を書こうとしても、いざ原稿用紙を目の前にすると一文字も書けない…という子も多いです。それは最初からきちんとした“文章”を書こうとしてしまうから。白い原稿用紙をどうやって埋めたらいいか分からず、何もできないまま固まってしまうのです。読書感想文の書き方の本などには、「基本の型を決めるとよい」と書かれています。たとえば「読もうと思ったきっかけ→あらすじ→心に残ったこと→まとめ」というパターン。パターンを決めることでポイントが分かり、子どもにとっても書くハードルが下がりそうです。筆者のおすすめは“感想メモ方式”。本を読みながら、そのとき思ったことを、メモや付箋にどんどん書いていきます。たとえば「面白かった」なら、どこが面白かったかもメモ。そしてそのメモを内容ごとにまとめたり、並べ替えたりすれば、何となく感想文の形が見えてくるはず。あとは文章がつながらない部分を補足して、原稿用紙に清書すればOKです。長い夏休みは、本に親しむよい機会でもあります。読書感想文の宿題をきっかけに、子どもが「本って楽しい」と思えるようになるといいですよね。
2017年08月08日東京・渋谷区にある、恵比寿ガーデンプレイス内の時計広場にてカフェ、アルコールなどのドリンクを飲みながら、読書や短編映画、アニメなどの映像作品が自由に鑑賞できる期間限定のテラス「The Book & Film Bar」がオープンする。「The Book & Film Bar」は、都心で夏を快適に過ごすことを目指し、野外のテントやソファで、自然を感じながらゆったりとした時間を過ごすことができるテラス。こちらでは麦芽100%使用のプレミアムビールであるヱビスビール(税込700円)をはじめ、シャンパーニュ界の伯爵とも讃えられているテタンジェ(税込1,200円)、夏カクテルの王様、モヒート(税込700円)などを販売。また期間中毎日19時から、テラスに設置したスクリーンにて、恵比寿の映像制作会社「ROBOT」がセレクションした、日本をはじめ世界各国のアニメーションや新進気鋭の監督による短編映画、第一線で活躍する映像作家の作品などを上映。さらに、今年の3月までに同施設にあったパブリックスペース「COMMON EBISU」の「感想文庫=(読み終わった本を集めて作られた未来型図書館)」に利用者から寄贈された約1,000冊の本を自由に楽しめる図書館をテラス内に併設。夏の夜のひとときに、のんびり読書や映像を楽しんで、贅沢な寛ぎの時間を過ごしたい。また同期間中に開催されている、野外映画上映、ヨガの体験イベント、ハワイフェスティバルなどが楽しめるイベント「恵比寿ガーデンピクニック」も併せてチェックして。「The Book & Film Bar」は恵比寿ガーデンプレイス時計広場にて、8月4日(金)~9月3日(日)まで開催。※ショートムービーの上映スケジュールは恵比寿ガーデンプレイスの公式サイトをチェック。(text:cinemacafe.net)
2017年08月03日恵比寿ガーデンプレイスに、野外のテント&ソファで、カフェ・アルコールなどのドリンクを飲みながら、読書や短編映画、アニメなどの映像作品を自由に鑑賞できる期間限定のテラス「The Book & Film Bar」が登場。オープン期間は、2017年8月4日(金)から9月3日(日)まで。会場となるのは、恵比寿ガーデンプレイスの時計広場。設置されたスクリーンで、『つみきのいえ』 や『BIRD』、『文楽映像展 曾根崎心中』など、日本をはじめ世界各国のアニメーションや新進気鋭の監督による短編映画などの作品を野外上映する。また、2017年3月までオープンしていた、恵比寿ガーデンプレイスの施設・パブリックスペース「COMMON EBISU」にら寄贈された約1,000冊を自由に手に取れる図書館も会場へ。来場者は、ヱビスビールやテタンジェ、モヒートなどのドリンクを片手に、映画や読書を思い思いに楽しむことができる。【イベント詳細】「The Book & Film Bar」期間:2017年8月4日(金)~9月3日(日)会場:恵比寿ガーデンプレイス時計広場住所:東京都渋谷区恵比寿4丁目20番■BAR営業時間:平日 15:00~21:00、 土日祝 12:00~21:00 ※8月14日、15日は祝日扱い。<メニュー例>・ヱビスビール 700円(税込)・テタンジェ(シャンパン) 1,200円(税込)・モヒート 700円(税込)■ショートムービー 上映時間:19:00~21:00■図書館開館時間:12:00~21:00
2017年07月28日説明が苦手、自分の意見が言えない、感想文が書けない…。わが子のそんな様子から、「うちの子は何も考えていない」「表現力や文章力がない」と嘆いているママ! 実は、お子さんは、表現の仕方を知らないだけかもしれません。子どもの表現力を引き出し、読書感想文もラクラク書ける秘訣を、キッズ作文トレーナー講座立ち上げリーダー・志田千帆さんに聞きました。読書感想文は、大人の「問いかけ」でグングン書ける!子ども本人だけでなく、多くの親をも悩ます読書感想文。実は志田さん自身も、以前は読書感想文がお子さんとの衝突の原因となり、「早く書きなさい!」「何か思ったことないの!?」と声を荒げていました。それが、ちょっとしたコツをつかんでから、お子さんは書くことが好きになり、志田さん自身もストレスを感じることがなくなりました。そのコツとは、「問いかけ」の工夫。大人が問いかけながら表現を整理していくことで、読書感想文が短時間で楽しく書けるようになるそうです。「子どもは何も感じていないわけではなく、表現の仕方を知らないだけ。大人がうまく問いかけることで、子どもの表現を引き出すことができます」。子どもから表現を引き出す「問いかけ」のコツとは!?読書感想文を含む作文のはじめの一歩は、大人からの問いかけがポイント。心がけておくとよいのは、一点にフォーカスして問いかけること、なるべく具体的な質問をすること。「読書感想文であれば、本全体の感想を聞くのではなく、一場面にフォーカスして問いかけてください」と志田さん。まずは、「どこの場面を紹介したい?」「『ここ聞いて!』というページはどこ?」と問いかけ、その場面について、「誰がどこでどうした場面なの?」「その人ってどんな人なの?」「どうしてそうしたのかな?」「読んでどう感じた?」など、なるべく具体的に問いかけます。大事なのは、その子の伝えたいことに大人が興味を持つこと。少しオーバーなぐらい相づちを打ちながら、「それ、詳しく聞きたい!」「ええ~!?そんなことがあったの?」「それでそれで?」「うんうん、すごくよくわかるよ~」といった反応と見せると、子どもは自ら表現したいという意欲が出てくるそうです。子どもの感情や表現を否定しないこと!「問いかけ」を行う際のポイントは、子どもの答えをそのまま受け入れること。志田さんは、「子どもは自分の感情や発言が受け入れられるかに、とても敏感です。自信がない子は、大人の反応を気にして萎縮してしまいます。大人は、まずは子ども達に『自由に表現していいのだ』という安心感を与えてあげることが大切です。子どもの言葉や感情に正否はありませんから、表現できたことを褒めて、『なるほど』と受け止めてあげてください。『いや、違うよ』『そうじゃないよ』といった否定は禁物です」と言います。本を読まない子でも書ける裏技!でも、もし子どもがどうしても本を読んでくれなかったら? 途中で投げ出してしまったら、そもそも読書感想文が書けませんよね?志田さんは、「それでもなんとかなります」。たとえば、気になる挿絵を選ばせて、どんな感じを受けか聞いたり、数ページでイヤになった場合は、おもしろくない理由を聞き出したりすると良いそうです。「読書感想文というと、親は賞をもらえるような模範的なものを期待しますが、目的は賞を取ることではなく、思ったことをのびのびと伝えられる表現力を身に着けることですよね? 大人が思うような読書感想文としては成り立たなくても、表現することをトレーニングする機会だととらえ、楽しく自由に取り組んでください」。志田さんのお話は、「読書感想文とはこうあるべき」という概念をくつがえすものでした。「問いかけ」を利用すると、表現できる子になるのはもちろん、最終的に本も好きになってくれるかもしれませんね。読書感想文をきっかけに、自分の想いを自由に言葉や文章にする力をつけてあげると、人生が豊かに楽しくなりそうです!志田千穂さんHP<文:フリーランス記者鯰美紀>
2017年04月14日3月末に、兵庫県弁護士会所属の弁護士が民事訴訟の判決文を発覚していたことが明らかとなりました。この弁護士は、着手金を受け取りながらも提訴せずに事件を放置していたため、それがばれないように依頼者に偽造した判決文を送付していたとのことです。これらの弁護士の行為には、法律上どのような問題があるのか、以下で解説していきます。*画像はイメージです:■文書偽造や詐欺に該当、除名処分の可能性判決文は、裁判官という公務員が作成する有印の公文書です。したがって、この弁護士の行為は有印公文書偽造罪に該当します。さらに、着手金を受け取って偽造判決文を交付して返還を求められないようにしたのですから、詐欺罪が成立します。有印公文書偽造罪については1年以上10年以下の懲役刑が定められています。また、詐欺罪については10年以下の懲役刑が定められています。どれだけの着手金を受け取っていたのか、提訴を怠ったことによって依頼者がどれだけの被害を被ったのか、弁償はしたのかなどの事情にもよりますが、訴追されれば実刑判決を受ける可能性も十分にあると推測されます。訴追されたものの執行猶予判決になった場合や、刑事処分が下されなかった場合でも、懲戒審査にかけられるのはまず間違いないでしょう。弁護士の身分を失う除名処分を受ける可能性もあるといわざるを得ないのではないでしょうか。 ■同じ弁護士としてこの弁護士がどのような事情で提訴をせず、判決文を偽造するまでに至ってしまったのか詳細な事情はわかりません。しかし、どんな事情があれ、犯罪に該当するような行為で事態を打開しようとすることが誤りであることはいうまでもありません。ただ、これは弁護士に限ったことではありませんが、誰しも追い込まれると視野がどんどん狭くなり、普通の状態であれば、やってはいけないとわかるはずのことに手を出してしまうことも人間としてはありえます。判決文を偽造した弁護士も、よほど追い込まれた状況にあったのかもしれないと考えます。冷静になるきっかけをつかむことがどこかでできていれば、このようなことにはなっていなかったのではないでしょうか。受任した事件によっては、その行く末次第で、依頼者やその家族の人生に大きな影響が生じてしまうことも少なくありません。私たち弁護士には常にそのような意識が必要であることは言うまでもないでしょう。しかし、それと同時に、事件の処理で追い込まれる局面にぶつかったときには、一人で抱え込まず、先輩や友人の弁護士に相談することが必要です。相談することを恥と思う気持ちが、依頼者の利益を損ない自分を追いつめる第一歩だと考えるべきでしょう。 *著者:弁護士 寺林智栄(ともえ法律事務所。法テラス、琥珀法律事務所を経て、2014年10月22日、ともえ法律事務所を開業。安心できる日常生活を守るお手伝いをすべく、頑張ります。)【画像】イメージです*kou / PIXTA(ピクスタ)
2017年04月05日(Photo by Jodi Darby)図書館は、無料で本を借りられる読書好きにとってはありがたい施設。ただ「図書カード」を作るには、住所の証明が必要だ。つまり、住所がないホームレスは図書館で本が借りられないのだ。「でも、ホームレスは、そんな読書になんか興味ないでしょ?」いやいや、そんなことはない。ホームレスの元まで自転車で本を運ぶ、ポートランドの移動式図書館「ストリートブックス」を待つ人たちを見て欲しい。ホームレスには、敷居の高い図書館ポートランドは、本好きが多い街。アメリカン・ライブラリー・アソシエーションサイトによると、ポートランドのマルトノマ群立図書館の貸し出し数は、ニューヨーク公共図書館に次いで全国2位。住民数を考えれば、全国で最も図書館好きが多い地区と言っても、過言ではないのかもしれない。そんなポートランドには、「アウトサイダーのため」の移動式図書館「ストリートブックス」が存在する。これは、住所不定のホームレスのために、本を自転車で運び、貸し出すというサービスだ。ホームレスだって、図書館に行けば、無料で本を借りられると思うかもしれない。ところが、図書館を利用するためには、身分証明書と住所を登録する必要がある。ホームレスの多くは、住所がなかったり、IDを盗まれ紛失していたりして、登録すらできないのだ。また、館内で本を読むにしても、やはり人の目が気になり、足遠くなってしまうという。そんな通常の図書館よりも、ぐっと身近に本と触れ合えるのが「ストリート・ブックス」なのだ。自転車で図書を運ぶ「ストリート・ブックス」(Photo by Jodi Darby)ローラ・モールトン(Laura Moulton)さんが、非営利団体「ストリート・ブックス」を創立したのは、2011年の6月。当初は、3ヶ月だけのサマー・アート・プロジェクトとして開始したが、反響の大きさに励まされ、今年で7年目を迎える。毎年6月から10月頃までは、週に5日、50冊ほどの本を積み込んだ2台の自転車で、ホームレスコミュニティや食事を提供する施設を日替わりで巡回する。昔ながらの図書カードにサインすれば、誰でも無料でこの移動式図書館を利用できる。今期からは、夏以外の時期にも外での活動を開始。月に一度、橋のたもとや広場で、本を無料配布している。今回、ポートランドのダウンタウン地区にあるホーソン橋のたもとで行われたイベントを訪ねた。みんな、本を読みたい 今冬のポートランドは、例年になく悪天候で道路が閉鎖される日々が続き、なかなか決行できなかったストリート・ブックスのイベント。ようやく実行できた2月12日は、久しぶりに青空が広がる、気持ちの良い1日となった。11:40分。会場のホーソン橋のたもとには、すでにHome PDXというボランティア団体が提供する日曜日のランチを求めて、3、40人のホームレスたちが集まっている。ストリートブックスのメンバーが到着し、テーブルのセッティングを始めると、待ちかねたように大勢の人々が集まってきた。 利用者の中には、図書員の顔見知りもいて、「こんにちは、ジャック。調子はどう?今日は何を探しているの?」と名指しで声がかかる。また、「『世にも不幸なできごと』の5巻と6巻を読みたいんだけど、ない?」とか、「ノンフィクションだと、何がある?」といった問い合わせも聞こえてくる。人気の本は?と図書員に尋ねると、小説、伝記、SF小説、哲学書、言語など、それぞれの好みは幅広い、という答え。それでも、やっぱりベストセラーは人気で、「結局、通常の図書館や書店と同じかもね」と言う。利用者の中には、もちろん、ストリート・ブックスの存在を初めて知った人達もいて、ストリート・ブックスへの質問や、好きな本についての会話も始まっている。 気に入った本を選んだホームレスたちの多くが、すぐ側に腰を下ろし、お昼のブリトーを食べながら、本を読み始める。暖かな日差しもあり、穏やかなひと時に思える。 ホームレスから理事会メンバーに 現在、ストリート・ブックスの理事会メンバーを務め、目録担当でもあるベン・ハジソン(Ben Hodgson)さんは、実は3年半、ホームレスだったことがあるという。彼は、ローラさんが担当する移動図書館ルートの常連だったそうだ。子供の頃から、読書が好きで、図書館を利用していたというベンさん。「ローラに毎週、課題図書を出しているんだ」と笑うほど、多くの本を読んでいる。「ワグナーの『ニーベルングの指輪』のもとにもなった『北欧神話』の中に、呪われた黄金の話があるんだけどね。実は、初めて私がこの本を手に入れたのは、万引きだったんだよ。それで、多分、本の内容みたいに呪いが始まったんだ…。これまでに6冊、買ったりもらったりして、同じ本を手に入れたんだけど、その度に全て、なくなってしまったんだ」なんてエピソードも、本好きなことがうかがえる。彼は、毎日生きるだけでも必死で、全く余裕のないホームレスにとって、ストリート・ブックスは、自分のところにまで本が来てくれる貴重な存在だという。また、図書館と違い、静かにする必要がないので、好きな本について話し合う時間も提供しているという。 本が、過酷な毎日を少しだけ生きやすくしてくれるローラさんは、ストリート・ブックスが、本の貸し出す図書館の形式をとることで、「じゃあ、来週また来るから、持ってきてね」という絆を作れることを大切にしている。とはいえ、様々な事情で翌週返せなくても、また、返却された本が雨に濡れたりして、傷んでしまっていても、責めることはない。むしろ大変な生活の中、本を返そうという努力をしてくれることに感謝している。彼女にとって、ストリート・ブックスを始めてから一番辛かったことは、「ホームレスになってしまった人の日常を知ること。毎日どんな目に遭っているのか現実を知ったこと」だと話してくれた。そして、最も嬉しいことは、「ストリート・ブックスは、本当に小さなジェスチャーでしかないけれど、賛同してくれる人がたくさんいて、一緒に働くチームができたこと」だと言う。 ストリート・ブックスの図書員に加え、この日も理事長のダイアナ・レンペ(Diana Rempe)さんが、近所の人が本を売ってそのお金を寄付してくれたのと話していた。 本では、確かにお腹も膨れないし、寒さも凌げない。でも、ポートランドには、本の力を知る人がたくさんいて、その本を読む権利は誰にでもある。ストリート・ブックスが、ホームレスをストリートから解放してくれるわけじゃない。だけど、ストリートでの毎日を少しだけ、生きやすいものにしてくれたんだ。ベンさんが自分の経験をもとに言うこの言葉が、ストリート・ブックスの真髄ではないだろうか。—————All photos by Rika Higashi unless otherwise stated.Text by Rika Higashi ーBe inspired!
2017年02月20日