介護をするうえでトイレの問題は最も優先すべきことでしょう。高齢になるとトイレの回数も増えてきますので、介護が楽になるか嫌になるかを左右するほど影響力の大きい問題です。そこで今回は、介護が楽になるトイレづくりのポイントをご紹介します。■ 認知症高齢者が夜中にひとりでトイレに行く危険性夜中に起きてトイレに行くと、眠気や動作の問題でふらつきや転倒の可能性が高くなります。IYO / PIXTA(ピクスタ)認知症高齢者の場合、足腰が弱くなり、視力も落ちているうえ、どこにトイレがあるのかわからないという、トリプルパンチの状態です。トイレの位置がわからないといのは、家の中における各空間の位置関係がわからなくなるという認知症の症状の表れです。いわゆる見当識障害というもので、季節、曜日、住んでいる場所、年齢など、自分を取り巻いている現状が理解できないのです。■ トイレまでの通路は明るく歩きやすい環境に!トイレ問題は寝室からトイレまでの通路と、トイレそのものに配慮する必要があります。深夜に目覚めた高齢者は、トイレに行こうと廊下に出ますが、廊下の照明スイッチが遠いと暗い中を歩くことになります。stockcamerawork / PIXTA(ピクスタ)センサー付きの照明にするか、せめてフットライトは設置したいところです。たむらあ / PIXTA(ピクスタ)人は明るい所から暗い所へ移動したとき、一瞬、視力が奪われ見えなくなります。若い人は10~30秒ほどで見えるようになりますが、高齢者は1~2分もかかります。また、高齢者は光源の輝度が高すぎるとまぶしく感じますので、明るくしすぎないように注意しましょう。寝室では顔の真上に照明を設置しないようにしてください。■ トイレとわかるように張り紙や看板などを設置認知症高齢者はトイレがどこかわからなくなり、あちこち捜し歩くことがあります。できればトイレと書いた用紙をドアに張ったり、看板を取り付けたりして、トイレだとわかるようにしましょう。ThefotosoloNo1 / PIXTA(ピクスタ)トイレのドアは外開きだと、出るときに人とぶつかる可能性があり危険です。できれば横にスライドする3枚引戸タイプがオススメです。Graphs / PIXTA(ピクスタ)ドアは使用中であることがわかるように、部分的にガラスがはめ込まれ、中の明かりが外から見えるタイプにすると良いでしょう。トイレのドアを開けたとき、自動で照明が点くようすると、スイッチを探す必要がなくなります。■ トイレ内は車椅子と介護者が入れる広さにトイレの中は車椅子と介護者(介護をする人)が入れて、さらに中で車椅子が回転できる広さがベスト。hap / PIXTA(ピクスタ)トイレの中には手洗いのできる小さな洗面と、オムツなどが置ける収納棚があると便利です。下着や衣服などの汚れはスロップシンクという専用の洗面台を利用するととても助かります。くまちゃん / PIXTA(ピクスタ)掃除用具や靴、マットなどの汚れ物も手洗いすることができます。■ 将来の介護のために新築時できること将来、親の居室を介護しやすくすることを考え、あらかじめトイレ・洗面準備配管を施しておくこともできます。hap / PIXTA(ピクスタ)必要なときに最小限の工事でトイレ・洗面付きの居室に改修でき、特に車椅子などを使うような頃に重宝すると思われます。ポータブルトイレという方法もありますが、抵抗があるという人もいるでしょう。ちゃんとしたトイレが居室にあれば遠慮なく用が足せ、気持ちよく過ごせます。介護生活が長引くと介護者のストレスが溜まり、心身ともに疲れてしまいます。トイレの問題は早めに対策をすることで、要介護者と介護者がともに辛さから解放され、在宅介護が楽になる大きな一歩となるでしょう。
2018年10月07日どんな子も受け入れられる施設を。保護者のニーズにこたえ、2015年にオープン障害がある子どもの中でも医療的ケアが必要だったり、知的・身体の重複障害がある場合、通える施設が少なく、生活の場が家と園や学校に限られがちです。子どもたちがさまざまな経験をする機会を得られにくいことに加え、保護者も常に子どものケアのために働くことができなかったり、家事や買い物などの日常生活にも困難を感じていることが少なくありません。施設代表の松田さんは、そうした重度障害のある子どもの家族の状況を知り、2015年に重症心身障害児を受け入れるチャイルドケアハース、2016年に知的障害がある子どもを主に受け入れるラーニング、2017年10月にチャイルドケアハース2号店となるアカデミーをオープンさせました。(チャイルドケアハース、アカデミーは医療的ケア児対応施設です)医療的ケア児にマンツーマンの支援を――「チャイルドケアハースアカデミー」での1日Upload By 発達ナビ施設インタビューチャイルドケアハースアカデミーの建物に一歩足を踏み入れると、パステルカラーの壁や建具、壁面に描かれた空の絵が目に飛び込んできました。福祉施設だけれど、おしゃれなかわいいカフェのよう。子どもたちが過ごす空間が、より豊かなものとなるように――支援へのこだわりが、随所にちりばめられています。ここでは、医療的ケアが必要な子ども、重度重複障害がある子どもたちが、指導員とマンツーマンでゆったりと過ごしていました。気管切開をしている子には看護師がつき、体勢を変えたり、吸引をしたりと細やかにケア。定員は5名ですが、登録は35名。天白区にはほかに重症心身障害児や医療的ケア児を受け入れる施設があまりないことから、近隣の区からの利用者もいて、常に定員いっぱいだそうです。Upload By 発達ナビ施設インタビュー訪れた日は夏の終わりの蒸し暑い日。1人ずつ水着になり、自宅ではなかなか難しいプール遊びも。指導員と1対1で、水の感触をゆっくりと楽しみます。それぞれの子どものペースに合わせて過ごせるよう、無理のないプログラムが組まれています。休日はお昼ごはんをみんなで食べます。子どもに合わせて、ペーストにしたり、哺乳瓶を使ったりと、オーダーメイドの対応。また、入浴施設もあるので、通所中にお風呂にも入れます。体力的な負担も大きい入浴介助を施設で行えることで、家族も子どもも生活の質を上げることができます。当事者家族の「こうだったらいいな」に寄り添う姿勢が、そこここで感じられます。重度障害のある子どもたちが過ごす「チャイルドケアハース」、元気いっぱいの子どもたちのもうひとつの家「ラーニング」Upload By 発達ナビ施設インタビュー重度心身障害がある子どもたちを多く受け入れているのが「チャイルドケアハース」です。この日は、大きなテーブルを囲み、小学生から高校生までがトランプに興じていました。高校生のお姉さんは、やさしく小学生をフォロー。児童発達支援と放課後等デイサービスが一緒になった多機能型だからこその、年齢を超えたやりとりが生まれます。フロアで横になり、スタッフからケアを受ける女の子も。ほかの子どもたちのにぎやかな声を聴きながら、リラックスして過ごしています。車いすを利用している男の子2人は、Wiiで対戦。仲良く車いすを並べ、ゲームに夢中です!1日利用の日は、1時間以内と決めてゲームを楽しむこともできるのだそう。「どんなゲームなの?」と声をかけると、ゲームの種類やどんな対戦をしているかなど嬉しそうに話してくれました。Upload By 発達ナビ施設インタビュー同じビルの2Fには、主に身体障害がない子どもたちが過ごす「ラーニング」が。こちらも、幼児から高校生までがアットホームな部屋で一緒に過ごしています。この日は、「お部屋で虫とり大会」が催されていました!段ボール製のかわいい虫を、虫とり網でつかまえて、点数を競います。とれた虫の数をスコアボードに記入するときは、「5匹と6匹だね、合わせて何匹?」とさりげなく計算を促す指導員。高校生の男の子が、ゆっくりしっかり計算します。「11匹だね!」「ぼくが先にやりたい!」と主張する小学生の男の子に、高校生がやさしく諭す場面も。年下の子と関わることで、年長の子どもたちの自己肯定感も自然と育まれるよう。「それがうちの施設の大きな特徴です」と代表の松田さん。代表の松田さんに聞く、設立の背景と、これからの展望Upload By 発達ナビ施設インタビュー施設の代表を務める松田さんは「うちの会社は、必要とされること、つくってほしい・やってほしい・困っている、と言われることだけをやっていきたい」と言います。松田さんは、7年前から、高齢者向けのデイサービスを運営しています。その利用者の家族の「子どもにも重度障害があり、おばあちゃんと子どものW介護で働くこともできない。子ども向けの施設もつくってほしい」という願いが、チャイルドケアハース設立のきっかけ。そのころ、重度心身障害のある子どもが通える施設は、この地区にはなかったからです。現在は、待機が多い「ラーニング」の2店舗目を準備中だそう。重度知的障害や多動性が強い子どもたちもストレスなく過ごせる、広々した施設を年度内にオープンさせる予定です。はたらく人にも寄り添うから、ニーズに合わせた増設も可能にUpload By 発達ナビ施設インタビュー施設の「人を思う気持ち」は、従業員にも向けられています。子どものいるスタッフも無理なく働けるように、「アカデミー」のある建物には、企業主導型保育サービスも併設されています。10人の子どもたちが、9時から17時まで過ごしています。保育士や看護師、児童指導員、PT・OT・STなどの専門性を持っている優秀なスタッフも、子育てとの両立がしやすいから無理なく働ける。だから、質の高いスタッフがそろいやすく、ニーズに合わせた施設の増設もできるのです。「ここだけの常識の中で働いてほしくない」。外資系アパレル出身で、異業種から転身してきた松田さんは「社外研修には積極的に参加してほしい。そのあと押しはできる限りしたい」と、社員のスキルアップにも貪欲。スキルの高い、知見のあるスタッフが子どもたちの支援を担うことで、子どもたちにも保護者にもより満足してもらいたいと願うからです。広い視野を持ち、常に「困っている人」の想いや願いに寄り添い、必要とされる支援をすぐに形にしていく。社会の中でも取り残され、孤独に頑張らざるを得なかった重度障害のある子どもと家族の、強い味方。「チャイルドケアハース」を訪れて、これからの福祉に新しい風を吹き込む、強くて優しいまなざしを感じることができました。撮影/角野 杏早比(FINDFLaG)
2018年10月01日建築家の納谷学さん、納谷新さんの実家について、子ども時代の思い出から、今だから話せるエピソード、実家を巣立つときの心境などをざっくばらんにお話を伺いました。納谷学さん、納谷新さん兄弟は、1993年から共同で建築設計事務所を設立。さまざまな設計するなか、2004年に2人で実家を設計・建築した。そんな彼らにとっての実家とはどのようなものなのでしょうか?納谷ブラザーズの2人にとって実家とは?A. 15分だけでも、やはり帰る場所(学さん)家族それぞれが持つ精神的な存在(新さん)建築業界でも、兄弟でユニットを組む「納谷ブラザース」は稀有な存在です。斬新な作品を発表し続ける2人は、13年前、故郷で両親が住む「実家」を設計しました。以下の写真は、『住まいの設計』2007年3月号でも掲載した納谷兄弟が設計した秋田県能代市の実家。『住まいの設計』2007年3月号「日本海側の冬は寒くて暗いので、とにかく防寒と採光に配慮した」(学さん)という実家は、完全バリアフリーで高齢者向けの工夫が凝らされています。また2階は、窓が四周を帯状に巡り、冬でも 十分に光が入るようにも。両親は「年寄りのための家だ」と満足してくれているとか。そんな新しい実家と少年時代まで兄弟が暮らした実家についての思いを2人に聞きました。(新さん)「実家は本家だったので、人が多かったですね。嫁入り前の叔母2人、祖父母、それに一時は父の兄の家族も一緒に暮らしていたりで、人が多いぶん、思い出もたくさんあります」(学さん)「子どもの頃2階がにぎやかなので上がってみると叔母が角隠しの姿だったのを覚えてます。昔は、家からお嫁に行きましたから」家の前で待つ母親が、実家のイメージ納谷さんの実家は、雪国・秋田の能代市。田舎だからか、よく遊んだのは家の中ではなく、もっぱら外だったという。(新さん)「海や港、線路で遊んだり、虫捕りもよくしました」(学さん)「海は遠かったけど、近所の小学生のお兄ちゃんが行くというので、保育園児の僕は三輪車でついていったら、置いてけぼりに……。たどり着いた海には知り合いが誰もおらず、仕方なく引き返すと、どんどん日が落ちて、べそをかきながら必死にペダルを漕いだなぁ。心配した母が家の前で待っているのを見て、大泣きしましたよ(苦笑)。この原体験で、実家は帰ってくる場所というイメージが植え付けられました(笑)」濃密な思い出が多い実家だが、納谷さん兄弟は実家をどう捉えているのでしょう(学さん)「今は、ちゃんと実家に帰るのは年1回くらい。なるべく秋田の仕事をつくって、15分だけ実家に顔を出して、東京にとんぼ返りということも(苦笑)。それでも、やっぱり実家は帰る場所なんですよ」(新さん)「昨年、就職してひとり暮らしを始めた娘から“年末に帰る”と言われて、僕の家も“実家”なんだと気づきました(笑)。実家って、家族それぞれが持つ精神的な存在なんでしょうね」pfofile納谷 学(写真左)/ 1961年、秋田県生まれ。’85年、芝浦工業大学卒業。黒川雅之建築設計事務所、野沢正光建築工房を経て、’93年、弟の新さんと共同で納谷建築設計事務所を設立する。納谷 新/1966年、秋田県生まれ。’91年、芝浦工業大学卒業。山本顕設計工場を経て、’93年、納谷建築設計事務所を設立。昭和女子大学、東海大学非常勤講師photo koji yamada
2018年09月23日「高齢者が、できるだけ長く要介護状態になることなく、健康で暮らせるようにと開発したのが、『いきいき百歳体操』です。はじめて1年は参加者も少なく苦労しましたが、いまでは10万人以上がこの体操をしています。しかもこれは、廃用症候群という、お年を取って体が弱り長期間筋肉を使わないでいる人も効果が認められたものなんです」そう語るのは堀川俊一高知市保健所所長。堀川さんが中心となり理学療法士、医師が’02年につくりあげた体操は、現在、全国42の都道府県、1万カ所以上の施設で教室が開かれている。「いきいき百歳体操」に続くように、1,000人規模や11万人を超える団体も登場している。そこで本誌は、参加人数の多い体操サークルの内容とおもな開催場所をまとめた。【いきいき百歳体操】高知県<内容>高知市の保健所が介護予防に取り組むなかで、’02年に開発した「高齢者向け筋トレ」の運動プログラム。イスに座り、手首と足首におもりをつけて運動を行い、筋力とバランス能力を高める。96歳の女性の5メートルの歩行速度が9.2秒から3.3秒と3倍の速さになり、筋力も2倍になったという。その成果が認められて、’14年から「地域づくりによる介護予防推進支援事業」となり全国へ広まった。<開催場所>高知市からスタートし現在では、北海道から沖縄県まで全国42都道府県の約450市町村で、1万カ所以上。住民の主導により週に1~2度開催されている。【ゴエン予防体操】神奈川県<内容>介護予防トレーナー久野秀隆さんが主宰する健康体操。誤嚥予防のために、のどの筋肉を鍛える。運動だけではなく、認知症予防をはじめ口腔、栄養、精神面の健康の話を取り入れている。笑いながら高齢者の身体の仕組みを学び、痛いところや調子の悪いところにどのように対処していくのかを身につけていくのがモットー。参加者同士が、名前を覚えたり、出身地の話をしたりと交流しながら体操することを心掛けている。<開催場所>神奈川県の都市部を中心に開いており、7年間で開いた教室件数は5,719件(’18年8月)。定期的サークルは月に1~2回開催。参加人数平均20~25人。のべ11万4,000人。参加者は60~90代で、女性は約9割。【はじめての健康ダンス】大阪府<内容>シニアの身体機能を向上させるリズムダンス。日本ストリートダンススタジオ協会(大阪府)と奈良県立医科大学老年看護学講座、そして名古屋学院大学との共同研究で開発された。認知症予防やメタボ・ロコモ予防にも。ヒップホップや「ダンシングクイーン」などのディスコ曲や、昔のヒット曲にのり楽しく体を動かす。さらに、ダンスサークル(ダンスヨリアイ)を自分でおこなうための「ダンスリーダー養成講座」もあり、これまで100人以上がリーダーに。<開催場所>’16年に大阪府泉大津市でスタートし大阪市、吹田市、和歌山県で展開。企業との連動プランとして、「イオン和泉府中店」ではじめての「健康ダンス教室」が開かれている。週に1度、1時間、8週間連続。1回に30~50名が参加。【美らがんじゅう体操】沖縄県<内容>’07年、沖縄県宜野湾市の健康増進計画「健康ぎのわん21」から発足した運動部会が、肥満などの生活習慣病を予防する取り組みとして考案したオリジナル健康体操。「基本編」と「らくらく編」があり、どちらも簡単な筋トレで、高齢者も気軽に体を動かせるのが魅力。1曲あたり約25キロカロリーを消費できる。同市出身のミュージシャン・ジョニー宜野湾さんが考案した、親しみのある三線の音に合わせた楽しい曲調が特長。<開催場所>各自治会公民館で実施されている高齢者ミニデイサービスや、老人福祉センターにて定期的に実施。ウォーキング大会など、大勢が集まる市内イベントのウォーミングアップにも活用されている。’17年は各地で260回開催。のべ6,650人が参加。【よかトレ】福岡県<内容>「足元気体操」「かんたん体操」「祝いめでた体操」など6つの健康づくり・介護予防体操の総称が「よかトレ」。体操時間は各3~15分。座ったままできる体操などもあり、体力に合わせて取り組める。「祝いめでた体操」は、博多祗園山笠などで歌われる「祝いめでた」のリズムに合わせて踊る。福岡市内にある「よかトレ実践ステーション」では、無料で運動専門職スタッフから体力測定や運動実技の指導を受けられる(年1回)。<開催場所>200近くの「よかトレ実践ステーション」が福岡市内で登録されている。月2回程度、グループによって5~100人が集まり、参加者の年齢は60~90代。高齢の親には、いくつになってもじょうぶな体でいてほしいもの。あなたの町でも、楽しく参加できるプログラムを用意しているサークルが見つかるかも!
2018年09月14日福祉避難所とは福祉避難所とは、一般の避難所での生活が困難であったり、配慮が必要な高齢者や障害のある方のための避難所です。平成28年時点で全国に2万185施設が設置されています。災害時、自宅が倒壊したり危険な状態にあるときに、一定の期間、避難所での生活を余儀なくされる場合があります。ただでさえ災害に見舞われた恐怖や慌ただしさの中で避難所では不安な状況にありますが、障害がある方、持病をお持ちの方やお年寄り、妊娠されている方などはより一層困難な状況におかれます。福祉避難所では、そのような配慮を必要とする方々が避難し、円滑な施設の利用や、助言や支援を受ける体制を整え、適切な生活環境の確保を目指しています。内閣府令で定める基準は、次の通り(災害対策基本法施行規則第1条の9)。・ 高齢者、障害者、乳幼児その他の特に配慮を要する者(以下この条 において「要配慮者」という。)の円滑な利用を確保するための措置が講じられていること。・ 災害が発生した場合において要配慮者が相談し、又は助言その他の支援を受けることができる体制が整備されること。・ 災害が発生した場合において主として要配慮者を滞在させるために必要な居室が可能な限り確保されること。出典:平成28年度避難所における被災者支援に関する事例等報告書|内閣府福祉避難所の対象の人は?福祉避難所の利用対象者は「要配慮者」とされています。実際にどのような人が当てはまるのか詳しくみていきましょう。以下が内閣府による要配慮者の定義です。「災害時において、高齢者、障害者、乳幼児その他の特に配慮を要する者」(災害対策基本法第8条第2項第15号)「その他の特に配慮を要する者」は、一般的な避難所での生活では支障をきたしてしまい、何らかの配慮が必要となる方を指します。つまり、福祉避難所を利用することができることになるのは以下のような方です。・障害のある方(身体障害者、知的障害者、精神障害者)・高齢者・妊産婦・乳幼児・難病患者・傷病者また、内閣府の示すガイドラインによると、要配慮者の家族も同行することが可能であるとしています。ただし、避難所の運営は民間企業やNPO、ボランティア団体などが指定管理者となり、自治体主体で行われています。そのことから、それぞれの地域で異なる決まりがなされている場合もあります。お住まいの地区がどのような対応をしているのか事前に確認しておくことが重要です。どんな場所が福祉避難所になるのか?出典 : 困りごとのある方々を受け入れる福祉避難所の候補となる場所は、「バリアフリー」であり「支援者をより確保しやすい」ところです。この2つのポイントに重きを置いてみると、以下のような施設が想定されます。・一般の避難所となっている施設(小・中学校、公民館等)・老人福祉施設 (デイサービスセンター、小規模多機能施設、老人福祉センター等)・障害者支援施設等の施設(公共・民間)・児童福祉施設(保育所等)、保健センター、特別支援学校・宿泊施設(公共・民間)市区町村などの自治体はこれらの施設の設備や、そこで支援を行うことのできる人材などの状況をあらかじめ情報収集し、福祉避難所として活用できるように準備しています。要支援者の災害時の避難所での困難とは?出典 : 避難生活は、多くの方にとってストレスフルと言えますが、要支援者の方々はさらに困難を感じがちです。特に一見障害があるとわかりにくい方は、困りごとが理解されにくく窮屈な思いをしたり、過度なストレスを感じてしまうこともあります。さらに、一般の避難所での生活が困難であることから自宅避難や車中泊に切り替える方もいます。そのため、支援物資などが行き渡らないなどの問題や、狭い場所での寝泊まりでエコノミークラス症候群などのリスクも高まります。福祉避難所では支援を必要とする人、困りごとのある人が適切な施設の利用や配慮を受けられるように開設されます。福祉避難所の課題福祉避難所に関しては、住民に周知されていない、支援者側の人手不足、施設入所者以外の困りごとの把握が困難であること、などの問題も指摘されています。熊本地震では想定よりも少ない開設数と利用者数になってしまいました。住民への福祉避難所についての周知に関しては、26.5%の自治体が行っていない現状があります。周知することが困難である理由として、内閣府の調査によると・二次避難所としての位置づけだが、受け入れる体制が整う前に直接避難してきてしまう可能性がある(支援者側も被災することや、福祉施設などでは通常運営と並行して行われることなどによる人員不足)・要支援者が対象だが、一般の人が直接避難してきてしまう恐れがあるの2つが大きな課題としてあげられていました。出典:平成28年熊本地震における福祉避難所での要配慮者の受入状況出典:指定避難所等における良好な生活環境を確保するための推進策検討調査報告書|内閣府(防災担当)そのため、事前に要支援者の大まかな人数の把握や事前通知、避難所でスクリーニングを行い要支援者を把握して二次避難所として福祉避難所を提供するなどの対応が検討されています。ただし先述のとおり、避難所の開設の流れは国で統一せず市区町村など自治体により異なるため、自分の住む地域の周知が不十分であったり、他の地域とは異なっていたりする可能性もあります。事前に自分はどこの避難所に行き、どのように福祉避難所にたどり着けばよいのかを確認することが必要です。避難までのステップ福祉避難所の利用の仕方を調べる場合、お住まいの地域の市区町村のホームページを検索し、防災・災害時に関するページから情報を得たり、「地域名避難」などで検索してみてください。もしも情報の記載がなかったり、不十分であった場合は市区町村の福祉課や防災課に問い合わせを行うなどして、いざというときの行動をイメージできるようにしましょう。ここでは、発達障害のある方が避難する場合の一般的な流れを紹介します。ただし、命を守る緊急の避難を終えた後に、避難所での生活を余儀なくされた場合についてです。それぞれの災害における緊急の避難は、命を最優先に避難勧告や指示に従いましょう。状況によって判断できるようにあらかじめ準備をしてみてください。命の安全が確保された後自宅での生活が困難な場合、まず最初は市区町村などから指定された避難所に移動しましょう。次に指定された避難所では多くの人が集まるため、その場で生活することが困難になってしまう場合に、その避難所内(もしくは近く)に設置される福祉避難室への移動を相談しましょう。ここでは専門性の高いサービスなどは必要ではないが、配慮を必要としている要支援者の方が生活できます。しかし、福祉避難室での生活が困難な人もいます。二次避難所である福祉避難所の利用が必要な人たちは、受け入れ側の体制が整い次第、福祉避難所へ移動することが可能となります。細かな指示や流れは自治体ごとに異なるため、必ず事前に確認をしておきましょう。Upload By 発達ナビ編集部準備しておくべきこと・もの出典 : 避難のイメージをつけると同時に、防災用品の準備も大切です。ここでは発達障害のあるお子さんのいるご家庭向けに一般の防災グッズに合わせて、特に準備したいものについてまとめました!・常備薬とその説明書・ヘルプマーク、ヘルプカード、サポートブックなど・偏食があっても食べられる飲食物・耳栓、アイマスク、簡易トイレなど、苦手なもの対策・いつも使っていて安心できるもの(毛布、ぬいぐるみ、ゲームなど)・家族での防災マニュアルなどリタリコではお子さんにどのような困りごとがあり、どのように接してほしいかを書くことのできる「サポートブック」を配布しています。また、目に見えない困難がある人のためのヘルプマークについての記事も載せているので参照してみてください。サポートブックテンプレート|LITALICOジュニアさらに、発達障害のあるお子さんが、いつもと違う場所や行動をすることでパニックになってしまわないためにも、平常時に避難の予行演習などに積極的に参加したり、予習として実際に足を運んでみることもよりスムーズな避難のために大切なことです。まとめ出典 : 災害などのもしもの時に、困りごとがあり配慮が必要であるなど、災害時の避難所での生活を不安に思われている方は特に、お住まいの地域の福祉避難所の利用をご検討ください。また、避難の流れや防災用品の準備に加えて、もしもの時にどのように行動するのか、防災の日をよい機会に、ご家族で話し合ってみてはいかがでしょうか。
2018年08月31日世界一の長寿社会である日本。政府はそんな人生100年時代に向けて、子育て支援、幼児教育・高等教育の無償化や、教育の整備、そして高齢者雇用の促進などの構想を掲げています。ところで100歳まで生きることについて、みなさんはどのように捉えているのでしょうか?今回は“長生きすること”(人生100年時代)についてのお話です。■ 若い世代ほど“長生き”にポジティブ?あなたは、老後の生活が楽しみですか?アクサ生命保険株式会社が20代〜60代の男女1,000人を対象に実施した、「人生100年時代に関する意識調査」によると、老後の生活を「楽観的に見ている」が38.9%。「悲観的に見ている」が61.1%。半数以上が老後の生活について何かしら不安を抱いているという実態が明らかになりました。elise / PIXTA(ピクスタ)しかし、年代別でみると他世代はすべて30%台にとどまっているのに対し、「20代」においては老後の生活を楽観的にみている割合が47%。老後を想像しにくい年代なのか、それとも目まぐるしい時代の変化の中で育った世代だからでしょうか?若い世代ほど時代に適応していく姿勢が垣間見える結果となりました。■ 長生き=リスク!?「100歳まで生きたい」人は少数派若い世代ほど老後の生活をポジティブに捉える傾向があることが分かった今回の調査。では、”長生きしたい”と考えている人はどれくらいいるのでしょうか?「あなたは100歳まで生きたいと思いますか?」78.8%が「100歳まで生きたいと思わない」と答えています(「あまりそう思わない」41.9%、「まったくそう思わない」36.9%の合計)。100歳まで生きたいと答えた人は、21.2%と少数派。hhasuda / PIXTA(ピクスタ)「できれば長生きしたいけれど、100歳までは生きていたいと思わない」と筆者もそう思います。長生きすればするほどお金もかかる、医療費も増える、車が運転できなくなり生活が不便になるかも……。不安を挙げだしたらきりがありません。実際に、調査対象の男女の約80%が、長生き=リスクであると答えており、以下が長生きの3大リスクとして挙げられています。身体能力の低下収入の減少(賃金不安)年金制度先の調査で老後の生活をポジティブに捉えていた若い世代も、長生きすることに対し漠然とした不安を抱いていることがこの調査で見て取れます。■ 老後をポジティブに捉えるカギは「備え」にあり老後の不安やリスクを軽くするためには、当たり前ですが「老後に備えること」が必要です。多くの人が「資産(お金)の備え」を思い浮かべると思いますが、病気にならない身体づくり、食生活の改善、あるいは将来孤独にならないためにも近隣住民といい関係を築いていくことも備えの一つかもしれません。プラナ / PIXTA(ピクスタ)このように老後の不安が漠然としている分、備えることも漠然としています。しかし、この「老後の備え」。備えることで、「生きていく意欲」が増えるという面白い結果が出ています。何と自身の老後を「備えられている」と答えた人のうち、実に42.7%が「100歳まで生きたい」と回答。一方で、「備えられていない」と回答した人のうち83.1%が「100歳まで生きたいとは思わない」と回答しているんです。ミック / PIXTA(ピクスタ)そもそもは老後の不安を軽減するためであろう老後の「備え」が、”100歳まで生きたい”という意欲に発展するとは大変興味深い結果であると思いませんか?定年になってから、100歳までは約30~40年……。老後のための「備え」があれば生きる意欲は2.5倍になります。そして「老後の備え」は人それぞれです。今、できる「備え」から始めてみられてはいかがでしょうか?【参考】※【人生100年時代に関する意識調査】「100歳まで生きたい」意欲:「備えている人」は2.5倍※人生100年時代構想-首相官邸
2018年08月27日厚生労働省が発表した、平成29年度の日本人の平均寿命は男性81.09歳、女性87.26歳。このデータを今からおよそ30年前の平成2年と比較すると、男女ともに5歳以上も平均寿命が延びているんです。長生きできる社会ほど素晴らしいものはありませんが、そのぶん気になるのが老後の生活資金のこと。皆さんどのように考えているのでしょうか?■ 世代別調査で分かる!60歳代・70歳代の生活資金の想定は?株式会社インテージリサーチが全国の16~79歳の男女1万1217人を対象に「老後の生活資金に関する意識調査」を実施。自身が60歳~70歳になったときの生活資金は”自分が稼いだ収入”、”貯金”、あるいは“公的年金”などどのような資金であると思うかについてアンケートをとりました(60歳以上の人は生活資金源は何だったか)。60歳代の生活資金の想定60歳代の想定を見てみると、「働いて稼いでいる収入」を生活資金源とする回答が47.5%。また、47.0%の人が「公的年金」と回答しています。Fast&Slow / PIXTA(ピクスタ)60歳代といえば定年退職を迎える世代ですが、この年齢ではまだまだ働いている(働かなければならない)と想定する人が多く、70歳代以降に定年をイメージされている方が多いのでしょうか。70歳代の生活資金の想定一方で70歳代の生活資金の想定を見てみると、「公的年金」が最も高く、67.7%。akiyoko / PIXTA(ピクスタ)さらに、60歳代のアンケートと比較すると「個人年金」の割合も増加しており、老後の資金源の想定は労働収入から年金へとシフトしていることが分かります。しかし、70歳代のアンケートでも39歳以下の若い世代は生活資金の想定を「公的年金」とする回答は4~5割台にとどまっています。一方で、「貯金」を資金と想定する割合は約半数超え。花火 / PIXTA(ピクスタ)少子高齢化社会を生きる若い世代は「年金だけをあてにしない」傾向が強いことがグラフから見て取れます。■ どれくらいを希望?定年退職後の「賃金」全世代で半数以上が”自分で稼いだ収入”を老後(60歳代)の生活資金と想定していることが明るみになった今回の調査。そこで気になるのは再雇用後の収入額。厚生労働省の「高年齢者の雇用・就業の現状と課題」によると、1000人以上の雇用者規模の企業において、定年後、継続雇用の際の給与水準が50%以上減少した、との回答が3割以上にのぼったというデータもあります。では、定年退職後の就労に関してみなさんどのくらいの時給を希望しているのでしょうか?定年退職後就労時の希望時給額回答者が60歳以上の場合、希望する時給額が低下する傾向があり、60~70歳代の半数が「1,000円未満、または1,300円未満の時給でも働き続けたい」と回答しています。SoutaBank / PIXTA(ピクスタ)確かに、定年後の給与は企業によってバラつきがあり、多くは正社員ではなく自社の正社員以外(嘱託社員・契約社員・パート)で雇用されることがほとんど。他社へ再就職も厳しいとなると、自分の希望の時給より低い場合でも働き続けたいと思う人が多いことが窺えます。■ 生涯現役社会の実現現在70歳以上まで働ける企業の状況は、全国の常時雇用する労働者が31人以上の企業156,113社中、35,276社、割合にして22.6%にも上ります。平均寿命が延びるに伴い、定年退職後の人生も延長。それにより公的年金のみで退職後の生活費を賄うことは、少子化も背景にあることから不安は拭えません。freeangle / PIXTA(ピクスタ)一方で定年後に働き続けることに対しポジティブな姿勢がうかがえ、昔と比べると多趣味で若々しいイメージの高齢者たち。kotoru / PIXTA(ピクスタ)今後は高齢者の能力や経験に見合った労働環境の整備、賃金形態の構築を推進していくことが急務であると考えられます。【参考】※老後の生活資金、「年金」より「労働」や「貯金」で!?10~20歳代は特に「公的年金だけをあてにしない」傾向全国1万人の意識調査※平成29年度簡易生命表の概況-厚生労働省※高年齢者の雇用・就業の現状と課題2 – 厚生労働省※平成29年「高年齢者の雇用状況」集計結果-厚生労働省
2018年08月24日8月も半ば。例年なら朝夕は秋めいてもいい時期ですが、今年はまだ記録的な猛暑が続いています。そのため熱中症にかかる人も多く、高齢者を中心に死亡する事態もたくさん起きています。高齢者と小さいお子様にとって、夏に危険なのが、台風のさなかに田んぼの様子を見に行って用水路にはまること(田舎の場合ですが……)と、熱中症です。介護職員ならではの目を通しての、熱中症対策についてご紹介いたします。■ 猛暑の夏はエアコンを使わないとダメ!その理由とは?熱中症は、体内の水分不足が主な原因で体温調節機能に失調をきたし、頭痛やめまい、最悪は死に至るという、なかなか侮れない症状です。特にお年寄りは、高齢になると水をあまり飲まなくなるんです。暑さ寒さの感覚も鈍くなって、真夏にカーディガンを羽織ったりしてしまいます。すると、体温が上昇して体内の水分が不足してしまい、加えて、じめじめと湿度が高い室内では発汗できずに、熱中症にかかってしまうのです。さらに「電気代を節約しなくちゃ」とか言っちゃって、エアコンを消してしまいます。ちなみにエアコンの室外機です介護施設では、職員が温度管理や水分補給に神経をとがらせていますから、そうそう熱中症になることはないのですが、独りで家に住んでいるおじいちゃん、おばあちゃんは、危険と隣り合わせ。遠方に高齢の両親がいる方は、まめに電話などして、エアコンを使うように促してくださいね。y_seki / PIXTA(ピクスタ)もちろん大人も、暑くて湿気の多い室内にいると、熱中症にかかるリスクが高まりますよ。頭が痛くなったら、熱を測ってみることをオススメします。tomcat / PIXTA(ピクスタ)体温が上がっていたら、熱中症の初期症状かもしれません。■ 脱水症状になる前に、水よりも経口補水液を飲もう!深刻な脱水症状になる前に、経口補水液(経口補水塩)を飲みましょう!経口補水塩経口補水液は、点滴に使われる成分の、短時間での吸収率が極めて高い水です。下痢や発熱、嘔吐などで、身体の上から下から、いろいろなものが出てしまった方にも効果があります。では、経口補水液の作り方を紹介します。水1リットルに、砂糖40g(スプーン大さじ4.5杯)と塩3g(小さじ1/2)を入れます。塩よりも砂糖がたくさん入っていますたった、これだけ!スプーンを使わない、もっと簡単な方法もありますよ。ペットボトルのキャップを使って、水2リットルに、砂糖14.5杯と、塩0.8杯を入れます。あとはキャップを閉め、ペットボトルを両手で持って、ぶるぶるぶると激しくシェイクするだけ!簡単ですね。あまりに激しく振りますと、まれにペットボトルが手からすっぽ抜け、天井や床にあたって中身が飛び散ることがあります。蛍光灯に命中すると、割れたガラス片が雨のように降ってきます。くれぐれもご注意ください。なお、経口補水液は一気に飲まず、ちょっとずつでお願いします。■ 大学研究者が推進!コップ一杯の牛乳を飲むと熱中症予防に熱中症の予防として、信州大学学術院医学系教授・能勢博さんが提案するのが、コップ1杯(約200ml)の牛乳を飲むことだそうです。ぱぱ〜ん / PIXTA(ピクスタ)経口補水液は、緊急時に手っ取り早く水分補給するのに役立ちますが、健康な人が飲むには、糖質も塩分も高すぎます。牛乳を飲むことによって、たんぱく質のアルブミンが血中に増え、浸透圧の影響で血管の中に水分が増えるということですよ。牛乳は高血圧の人や、ダイエットしてる人にも優しいですね。他には、夏にスイカを食べるというもの。そういえば、今年の夏にスイカを食べました?スイカの9割は水分で、しかもミネラルが豊富に含まれています。近頃、スイカは値段が高くて、スーパーで買うのをためらってしまいますけど、田舎では郊外の路上や産直ショップで安く手に入ります。なにげなく昔から続けている習慣には、ちゃんと意味や理由があるのですね。jyugem / PIXTA(ピクスタ)まだまだ暑い日が続きます。ぜひこれを参考にして、熱中症対策を心掛けてくださいね。【参考】※医療プレミア(毎日新聞)(written by とんちんさん)
2018年08月15日現在、認知症高齢者数は500万人とも600万人ともいわれています。また、認知症の年齢層は50~40歳代にも下がってきており、若いからといって決して安心はできません。介護をテーマに、誰にでも起こりうるさまざまな問題についてご紹介していきます。■ 65歳以上の高齢者の約7人に1人が認知症!内閣府によると、平成24(2012)年の認知症高齢者数は462万人で、65歳以上の高齢者の約7人に1人が認知症といわれています。しげぱぱ / PIXTA(ピクスタ)2025年には約5人に1人になるとも予測しています。参考までに平成25年にガンと診断された人は約86万人でした。この数字が示すのは、認知症は誰でもなりうる病気だということです。そしてそれと同じ数だけ介護する人(介護者)もいるということです。amadank / PIXTA(ピクスタ)■ 若年性の発症年齢は平均51歳!認知症は老人だけじゃない最近は64歳以下の「若年性認知症」の人も増えているようです。平成21年(2009)の若年性認知症者の方は約3万8000人もいるのです女性よりも男性がなりやすく、若年性の発症年齢は平均51歳といわれています。50代で認知症やアルツハイマーと診断されたらショックは大きいでしょう。しかし、それを引き延ばすと、取り返しのつかないことになります。若いために進行するスピードも速く、重病化する可能性が高まります。家族のことを思うなら、早めに病院で診察して、少なくとも進行を食い止める手立てを打つべきです。mits / PIXTA(ピクスタ)高齢者に比べて若年性認知症は本人に理解力があり、治療法を選択できるという判断力があります。■ 認知症の初期症状を単なる物忘れだと思い、放置してしまう人がほとんど!認知症の初期症状を単なる物忘れだと思い、放置してしまう人が大半です。そうして数年が経過し、ある日突然、家に帰ることができなくなったり、会社に行けなくなるなどの症状に見舞われることがあります。それまでも認知症の信号を多く出していたにもかかわらず、知識がないために見落としてしまうことが多いようです。それ以前に様子がおかしいと気づいたら、診察を受けることが重要です。Ideya / PIXTA(ピクスタ)ガンと同じように早期発見で改善したケースは多々あります。初期の軽度な認知症は自立した生活も可能ですので、その段階で進行を止めることができれば、仕事も家事も続けられる可能性はあるのです。■ 若年性認知症は多くの人を巻き込む可能性が大!一般の病気は病院に行くなど自分ひとりでも対応できます。しかし認知症の場合、親、配偶者、兄弟、子ども、さらには親戚をも巻き込んでしまうことがよくあります。80代の親を介護するのと、50代の夫や妻を介護するのとでは大きく異なります。70~80代に発症することが多い認知症ですので、それに応じた介護サービスが整っています。例えば日中はデイサービス(通所型の介護施設)、それ以外は自宅で過ごすことで介護者の負担は軽減できます。amadank / PIXTA(ピクスタ)ところが、40~50代で発症すると、仕事や育児に影響が出てしまいます。ふじよ / PIXTA(ピクスタ)子育てをしながら、夫の介護をするという難しい問題に直面することもあります。■ 認知症かもしれないと思ったら、すぐに病院に!いざ介護が必要になり、すべて自分ひとりで親や夫の面倒を看ようと頑張る方がいます。ひとりで24時間つきっきりの介護は共倒れになりやすく、最悪の場合、自殺や介護放棄といった事態になることもあります。現在は介護制度が整っており、さまざまなサービスを利用して介護の負担を軽くする方法が増えています。できれば、まず病院で診察して、その際に介護保険や介護サービスについて相談すると良いでしょう。CORA / PIXTA(ピクスタ)気軽に相談できるのは地域包括支援センターです。市区町村が運営しており、役所で聞いてみるのが手っ取り早いでしょう。ISO8000 / PIXTA(ピクスタ)介護のことならどんな些細な相談にものってくれますので、一度訪ねてみてください。問題なのは、知識がまったくないまま認知症や介護に直面することです。介護は誰にでも起こる問題と考え、今から少しずつ知識を吸収しておくことが大切です。【参考】※内閣府統計高齢化の状況認知症高齢者数の推計※厚生労働省若年性認知症の実態等に関する調査結果の概要及び厚生労働省の若年性認知症対策について※認知症介護情報ネットワーク若年性認知症について※国立がん研究センターがん情報サービス最新がん統計
2018年08月11日延びていくご長寿人生を謳歌するためには“強い足腰”が欠かせない。骨がもろくなる「骨粗しょう症」の予防は、女性ホルモンの分泌量が減少し始める閉経前後から!「骨粗しょう症の患者の約80%が女性です。若いころの過度のダイエットなど生活スタイルの影響もあると思いますが、私の病院に相談に来られる方も増えていて、今日も58歳の方を診察したところ、骨年齢は80歳という結果でした」(矢吹先生)こう語るのは「ゆりクリニック」(東京都港区)の矢吹有里先生(48)。骨は古い細胞を壊す「骨吸収」と新たに骨を作る「骨形成」をバランスよく繰り返すことによって、骨密度を維持している。しかし……。「閉経を機に、骨吸収を抑制している女性ホルモンのエストロゲンが低下すると、10年ほどの期間で急激に骨密度が下がります。骨密度は20歳ごろにピークを迎えて、その後ゆっくりと下がっていくのですが、80%以上が正常で、それが70%未満になると、骨粗しょう症と診断されます」(矢吹先生)矢吹先生は、50歳になったら、すべての女性が骨の状態を調べてほしいと提案する。では、骨密度が低下した場合は、どのような治療を受けるのだろうか。「症状の進行を止める薬物治療がメインとなります。たとえば、骨吸収を抑制するビスホスホネート製剤には、毎日服用するもの、月イチでよいもの、年に1度約15分の点滴で効果があるものなど、いくつか種類があります」(矢吹先生)とはいえ、つえやシルバーカー(高齢者用の押し車)が必要になる生活は少しでも遅らせたいもの。「50歳からでも間に合います。毎日の食事や運動など、これまでの生活スタイルを改善して、骨粗しょう症を予防しましょう」(矢吹先生)そこで、矢吹先生と管理栄養士のコーゲヨーコさんに、具体的な4つの対策を教えてもらった。【対策1】運動「刺激を加えると骨形成が促進されます。手軽なところではウォーキングが効果的。背筋をまっすぐにして、おなかに力を入れてテンポよく歩きましょう」(矢吹先生)“1日8,000歩”など明確な目標を立てたほうが続けられる。「ストレッチにジョギング、ダンス。これらはジムでレッスンを受けてもいいでしょう。ただ水泳は、心肺機能や筋力を高めるにはよいのですが、浮力により骨への刺激が軽減されるため、骨粗しょう症対策には向いていません」(矢吹先生)【対策2】食事「骨といえばカルシウム。牛乳やヨーグルト、プロセスチーズなどの乳製品、ちりめんじゃこや干しエビなどの小魚の乾物が代表的食材です」(コーゲさん)そのほか、納豆や豆腐などの大豆製品、小松菜や、今の時季ならツルムラサキやモロヘイヤなど葉野菜、干しワカメやヒジキといった海藻類にも、多く含まれる。「ところがカルシウムは性質としてなかなか体内に吸収されにくい。乳製品では50%、葉野菜では20%しか取り込めません。そこでカルシウムの吸収を促すビタミンDや、ビタミンKを一緒に摂取することが重要になります」(コーゲさん)ビタミンDは、サンマやサケ、ブリなど魚介類を中心に、干ししいたけにも含まれる。「普通のしいたけでも、食べる前に30分〜1時間、天日干しするとビタミンDの濃度が高まります」(コーゲさん)ビタミンKは、緑黄色野菜や緑茶、納豆、海苔などに多い。「脂溶性ビタミンなので、油を使って調理するとさらに効果的です。複雑に考えるより、1日1食、和食にすることでも、これらの食材を使う機会が増えると思います」(コーゲさん)サプリや健康食品はどうしても足りない栄養素を補うイメージで。【対策3】嗜好品「たばこは骨を作るもとになるビタミンCを破壊します。過度の飲酒もカルシウムを体外に出してしまうので注意してください。またスナック菓子やインスタント食品、清涼飲料水にも含まれる食品添加物の『リン』を多く摂取すると、体内のカルシウムと一緒に体外に排出されてしまうので食べすぎないように」(コーゲさん)【対策4】日光浴「紫外線はシミやシワの原因にもなりますが、体内ではカルシウムの吸収を促すビタミンDを生成します。適度な日光浴は骨を丈夫にするといえるでしょう。猛暑日は避けるとしても、夏場は木陰で10分、冬場は30分〜1時間を目安に」(矢吹先生)50歳の人であれば人生これからが本番。30年、40年と折れない心で折れない骨を育てよう!
2018年08月09日自分の好みや体型に合ったファッションを、思い切り楽しみたい――。こんなありふれた願いを、「身体に障がいがある」という理由で諦めなくてはいけない人たちがいます。「障がい者用のダサい服は、もう着たくない」そんな声を聞いて立ち上がったのが、ファッションデザイナーで「a.ladonna.(アラドナ)」の代表、加藤千晶(かとう・ちあき)さん。ファッションブランド「a.ladonna.」の代表を務める加藤千晶さん。「障がいのある人のために服を作ろうとすると、どうしても“介護者に寄り添った服”になってしまう。それは機能的なだけで、デザインとしてはダサいことが多いんです」加藤さんはこう話します。その現実を目の当たりにしたとき、培ってきた自身のデザインが役に立てるかもしれないと一念発起。“障がいのある方と共に着られる服”をテーマに、新しいライン「a.ladonna.+(アラドナプラス)」を立ち上げました。ここでは、そんな加藤さんの怒りを抱えながら疾走したアパレル時代、人から必要とされる喜びに目覚めた今、そして一歩先に描いたビジョン……など、彼女のヒストリーに迫ります。■“怒り”が仕事への原動力だった——加藤さんが幼い頃から描いていたというデザイン画を拝見したのですが、「本当に子どもが描いたの?」とつっこみたくなる完成度の高さでした。ちゃんと描き始めたのは小学校4年生くらいの頃です。“お絵描き”という感覚ではなく、ちゃんと“デザイン”というものを意識していたのを憶えています。デザインの背景にあるストーリーまで鮮明に思い描いていましたね。加藤さんが小学生時代に描いていた、洋服のデザイン画。「このデザイン画が、私の今の仕事の原点になっています」と話しながら見せていただいた。「こんな髪型のこんな人が、こんなポージングで着ているんじゃないか」というような(笑)。——視点がもはやプロ並みですね。デザイナーさんはやはり、そういう感覚でお仕事をされている方が多いのでしょうか。「こんな人が、こんな風に身にまとってくれたら素敵なんじゃないか」というところからデザインするのが理想の姿だと私は思っています。でもファッション業界も大きく変わってきていて……。ファストファッションが大量に入ってきてからは、やはりブランドからそんな余裕がなくなってしまったように見えます。去年売れたデザインをアレンジするとか、他社で売れているデザインをコピーするとか、そんな方法が一般的になったのかな。——そうしたファッション業界の変化を、加藤さんはどのように捉えていたのでしょうか?職人の技術によってつくられるファッションに憧れを持って飛び込んだからこそ、20代は本当に苦悩の日々でした。業界に対しても、自分の会社に対しても、世の中に対しても、とにかく不満だらけ。怒りを原動力にしてデザインを描いていました。特に疑問に感じていたのは、「技術はないけれど価格が安い」という理由で縫製がどんどん海外へ発注され、日本の職人さんたちがことごとく食べていけなくなったこと。今日履いているこのブーツ、何度も修理し直しているんですが、20代の頃お世話になった職人さんに作ってもらった当時のブランドのサンプルなんです。加藤さんが職人さんに作ってもらったブーツ。20代の頃からメンテナンスをしながら履き続けている。——素敵ですね。とても味があるというか。当時、私が任されていたブランドの靴を作っていた方の作品です。小さなブランドでしたけど、親身になってどんなお願いにも答えてくれて、アドバイスもしてくれて……。でもある日その方から電話がかかってきて。「加藤さん、来年の展示会の分、作れなくなった。もう、(店が)回らんわ」と言われました。業界のコスト削減の煽りをモロに受けてしまったんですよね。その後その工場は倒産して、連絡が取れなくなってしまった。そのとき、私の中で糸が切れちゃったんです。こんな正直者がバカを見る世界、嫌だなって。それでポーンと会社を辞めてしまいました。■たどり着いたのは“身体障がい者の方と共に着られる服”——ご自身のブランドである「アラドナ」を立ち上げられたのは、どんなことがきっかけだったんですか?他業界に転職しようと思ったんですけど、やっぱり経験がないからことごとく面接で落とされてしまって。貯金が千円もなくなって「あ、死ぬな」って思ったときに、もう一度自分にじっくり向き合ってみたんです。そこで気づいたのは、私は決して洋服が嫌いになったわけじゃないということ。自分の置かれた環境が許せなかったけど、小さい頃からあんなに大好きだった服を、結局は嫌いになれないということでした。だけど会社に戻る気にはなれない。それならつくってしまおう、と。——貯金千円以下のところから会社を立ち上げるのは大変だったのでは?まずは商社と契約をして、フリーデザイナーとしてデザインを売ることから始めました。2年間で資金を貯めて、以前お世話になっていた工場や職人さんに連絡をして。「ひとりで会社をつくろうと思うんですけど、予算もないし、手広くもできないんです」ということを正直に伝えたところ、何人かの方が力を貸してくれて、なんとか立ち上げることができました。今から10年前、29歳のときです。——その10年の間に加藤さんがたどり着いたのが、“身体障がい者の方と共に着られる服”だったのですね。そうなんです。ブランドを立ち上げて、細く長くデザインをつくり続けていくうちにたどり着いたのが、流行にとらわれず使い捨てでもない、男女問わず自由気ままに着られる服でした。どんな体型の方も着こなせるようにファスナーの代わりにゴムのデザインバリエーションを増やしたり、肌触りの良い素材を使用していたのですが、その発想がバリアフリーとしての機能と合致して。たまたま私がつくっている服を見た福祉関係の知人が、「これって障がいのある人でも着られそう。そういうラインつくれないの?」と声をかけてくれて、3年前に“身体障がい者の方と共に着られる服”「アラドナプラス」として発足。そこからは、生地屋さん、縫製屋さん、モニターの皆さんと何度も意見を交わしパターンを引き直しながら、ようやく最近、最初のサンプルが完成したんです。■介護者のためだけに作られた服に、一石を投じたい——これまで普通のアパレルしか経験のない中で、難しい挑戦だという感覚はありませんでしたか?むしろ「自分こそ役に立てるかもしれない」と思いました。ユニバーサルデザインではなく通常のアパレルで経験を積んでいて、ハイファッションまで網羅する技術もある。着やすくてスタイリッシュな服なら、私に任せて欲しい!と思ったんです。着る人ではなく、介護する人のためだけに考えられたデザインって例えば、(脱がしやすくするために)洋服に巨大なファスナーリングがついていたりする。私だったら絶対にそのようなデザインにはしませんから。——巨大なファスナーリング、たしかにデザイン的にはいけてないですね……。やはり障がいのある方の中には、服に対して不満を抱えているケースが多いですか?多いですね。特に女性でユニバーサルデザインの服を好んで着ている方って、本当に少ないんですよ。理由はひとつ。とにかく「ダサい」から。こんな服を着るくらいなら、着にくいけれど一般の市販服を我慢して着たほうがいいという方が多いんです。特別扱いして欲しくない、健常者と同じ服が着たい、と。——おしゃれを楽しみたい人にとって、選べる服が少ないのは悲しいですよね。今回ブランドのモデルを務めてもらった女性は、右半身麻痺の障がいがある方なんです。「アラドナプラス」では、クラウドファンディングにて資金を募っている。ブランドのモデルを務めている女性も当事者のひとり。もともとおしゃれが大好きだったのに、「車椅子に座ってしまったら、どうせデザインなんて見えない」「普通の服を買ってもひとりでは着られない」といった理由で買い物にも行かなくなって、どんどん閉鎖的な性格になってしまったそうなんです。そうやって諦めなくてはいけないことが増えていくのって、すごく悲しいなと思って。気に入ったものを身につけている時って、本当に気分がいいじゃないですか。そういう、ささやかだけどすごく大切な喜びを取り戻してもらうための架け橋になりたいな、と。■“自立服”の確立を目指して——怒りが原動力だった20代の頃と比べると、ずいぶん仕事へのスタンスが変化したのでは。そうですね。ずっと「打倒・ファストファッション!」みたいな反骨精神でやってきたんですけど、最近やっと“競争”じゃなくて“共存”なのかな、と思えるようになりました。マジョリティが必要とするところじゃなくて、そこからこぼれたところで求めてくれている人たちがいるなら、そこを埋めていくのが私の役割なんだと今は思います。あとはやっぱり、助けてくれた職人さんたちへ恩返しがしたいという気持ちが強いですね。——「アラドナプラス」への挑戦が、自分のビジョンを明確にしてくれたんですね。そうですね。今クラウドファンディングで出資を募ってるのですが、なかなか一筋縄にはいかないと感じることもあります。でもすべて自分で決めてやっているし、我慢だとは思っていません。長期戦になるとは思うけれど、待てるようになりました。実は、挑戦してみたいことがもうひとつあって。「アラドナプラス」には“自立服”という側面もあるんですけど、高齢者の方にもどんどん着ていただきたいと思っているんです。障がいのある方と同じように、“自分で選んで自分で着られる”という体験が、高齢者の方が自分らしくおしゃれを楽しむことができるきっかけにも繋がるはず。高齢者数がピークを迎える2025年までに、この自立服というジャンルを確立させることが今の目標なんです。こうやって新しいビジョンを描いては、逆算しながら生きている。それが私らしい生き方なのかな、と今は思います。クラウドファンディングは7月31日まで実施中です。支援はこちらから!取材・Text/波多野友子Photo/小林航平加藤千晶プロフィールファッションデザイナー・衣裳作家/a.ladonna.合同会社代表/一児の母ブランド名:CHIAKI-a.ladonna.JAPAN/ a.ladonna.+“ひとりからみんなへ 日本から世界へ” 環境や労働問題などを解決するため、ALL-WINの価値観でファッション業界から新たな基準を創り、未来の子供たちに美しい地球と心身を残していくことをミッションとしている。同じ価値観の企業とも契約を交わし、イノベーションやプロジェクトを生み出し中。 webサイト:
2018年07月27日子どもからお年寄りまで、地域の人が集う「ごちゃまぜの場所」。その真ん中にいるのは…?Upload By 発達ナビ施設インタビュー石川県白山市に、お年寄りも子どもも、障害のある人もない人も、町のみんなが集うごちゃまぜの場所があります。そして、その場所の真ん中にいるのは、障害のある人たちやお年寄りです。「社会の中で弱者と言われる障害者や高齢者。でも、彼らを弱者にしているのは周囲の環境の方なのでは?」という考えから、彼らを真ん中に、だれもが行きかうごちゃまぜの拠点としてつくられたのが、佛子園が運営する「B’s」です。もともとここには、旧学校の校舎を改造してつくられた、障害がある子どもの入所施設がありました。地域との交流もほとんどなかったその場所を、地域の人たちが訪れる賑やかな町の拠点に変えたのです。B’sは、放課後等デイサービスをはじめ、就労継続支援や生活介護の事業所、介護サービスの事業所、ショートステイ、グループホーム、保育園、クリニックなど複数の施設から成り立っています。高齢者通向けデイサービスも同じ敷地内にある、共生型の福祉施設です。誰でも利用できる温泉や飲食店なども併設しています。洒落た雰囲気の敷地に足を踏み入れると、大きな木の遊具が目に飛び込んできます。天気のいい日には、放課後等デイサービス・B’sこどもLaboに通う子やB’s保育園の園児、そして近所の子ども達が、木の遊具のある庭で混ざって遊ぶ姿が見られるといいます。Upload By 発達ナビ施設インタビュー庭を囲むようにして、放課後等デイサービス、料理教室やカフェ、フラワーショップ、リハビリ機能も併せ持つ整形外科、保育園が並びます。建物に入ると、天然温泉、手打ちそばやここで醸造するビールを楽しめるレストラン、カラオケ、全身マッサージを受けられるリラクゼーションまで。2Fには、最新の機器がそろうスポーツ施設や住民自治室、就労継続支援・生活介護の事業所、ショートステイができる場所もあります。庭の遊具のひとつに、大きな滑り台があります。「滑り台は下から登っちゃいけないって叱られがちでしょ。ここは規則でがんじがらめにして叱ったりしたくない。だから、叱らなくてもいいように、滑っても登ってもいいような幅の広い滑り台をつくった」という、B’sを運営する佛子園代表の速水さん。「地域の子ども達にも来てもらいたいから、お母さんたち向けに”日陰”も意識してつくったんですよ。子ども達を遊ばせながら、お母さんたちが日陰でおしゃべりができるでしょう」。そういう時間・空間が必要だと言う、速水さん。子ども達のそばにいる保護者のニーズもくみとり、しっかりと設計に反映する。地域の人たちが来たいと思える仕掛けを随所にちりばめています。中核となるこの施設の周りには、障害のある人が暮らすグループホーム・B’s Homesも点在しています。Upload By 発達ナビ施設インタビュー「高齢者向けデイサービスの施設は、通常、安全管理のために死角がないようにつくるでしょう。でも、それじゃあお年寄りは端っこに座ります。人は、死角がないと落ち着かないもんです」。B’sでは、その死角に椅子を配置し、人と人との会話が生まれるようにしています。ごちゃまぜの、遊び場のような、たまり場のような、生活の場がつくりたいからーー。温泉は、町民は無料。毎月2,300人ほどが入りにきます。地域の高齢者は、温泉に入るときに自分の名前の書いてある札をうらがえします。わざわざ家まで見守りにかずとも、温泉に入りに来てもらうことで、地域の高齢者の安否確認ができる仕組みです。もちろん、放課後等デイサービスに通う子ども達も自由に温泉に入れます。B’sの中は、さまざまな人たちが行きかい、だれが事業所スタッフなのか、誰が放課後等デイサービスに通う子なのか、ふらりと訪れた地域の人なのかわからない、「ごちゃまぜ」の場所です。’s | 佛子園「ぼくはね、ここで働いているんだ」就労支援で働く若者が、誇らしげに話しかけてきたUpload By 発達ナビ施設インタビュー「ぼくはね、作業所で働いてるんだ。こどもLabo(放課後等デイサービス)の卒業生だよ」住民自治室を見学していると、一人の若者が話しかけてきました。学生時代から通いなれた放課後等デイサービスのある施設で、今は仕事をしている。仕事が終わったら、ふらりとデイサービスに顔を出して、高校生の利用者たちとおしゃべりを。「ここはぼくの居場所なんだ」という誇りが、充実した表情から感じられます。B’sを支えるのは、障害のある人たちが働いたり訓練をしたりする、就労継続支援の事業所や生活介護の事業所です。就労継続支援の作業スペースでの業務のみでなく、蕎麦屋の厨房やハンバーガーカフェの店員、保育補助、フラワーショップ、スポーツ施設のインストラクターや受付、パソコンでの事務作業や絵本・パンフ作成など、担う業務はさまざま。他にも、地域清掃やホテルのベッドメイク、近隣の高齢者宅への配食など施設の外に出ての作業もあります。配食では、障害のあるスタッフも高齢者のもとに食事を届けます。自分のペースを崩さず時間に追われない、障害のあるスタッフとの会話を心待ちにしている高齢者も多いそう。おかずを分け合って食べたり、おしゃべりすることを楽しみにしているといいます。皆いきいきと活躍しています。一日の終わりには、ビールを飲みながら仲間と語らう姿も。ここで働くスタッフは、自宅から通うほか、近隣にある12カ所のグループホームから通う人も多くいます。皆、施設に入所するのではなく、地域で暮らしています。B’sでは、「人は、人の役に立っていると思うとき、幸せになれる」と考えています。だから、その人が望めば、やりたい役割を果たせるようにしています。自分が根づいている場所、必要とされている場所がしっかりとある。だから、ここで働く障害のある若者たちは、こんなにも誇らしげなのでしょう。施設の中を自由に行き来する、放課後等デイの子ども達。この地域に、あたり前に暮らし続けられるようにUpload By 発達ナビ施設インタビュー午後3時を過ぎると、放課後等デイサービス・B’s こどもLaboの部屋には、次々に子どもたちが。毎日約30人の子どもたちがやってきます。月間のべ1,000人ほどが利用しているそうです。小学生は、元気に走りまわっています。そこに、就労支援での作業を終えたOBの面々が加わり、おしゃべりに花が咲く。青春しているなぁ!人生楽しんでるなぁ!と、見ているこちら側まで、晴れやかな気持ちでいっぱいになります。Upload By 発達ナビ施設インタビュー子ども達はこどもLaboの部屋で遊んでもいいし、庭や施設内で自由に遊んでもいい。温泉に入ったり、リラクゼーションでマッサージを受けるのもOK。B’sでは、マッサージショップからテナント出店料を取らない分、福祉利用者が来店した場合には、無料でサービスを受けられるようにしているのです。最新の機器がそろうスポーツ施設の利用も、子どもであってももちろん可能です。スヌーズレンルームもあり、光を楽しみながらゆったりと寝転んでいたい子どもは、ここで過ごすこともできます。Upload By 発達ナビ施設インタビュー同じ施設の中に、就労継続や生活介護の事業所があることで、将来の見通しもつきやすいといいます。作業場での仕事、厨房の仕事、スポーツ施設のインストラクター、フラワーショップ、配食、保育園のスタッフ、清掃…放課後等デイサービスに通う子どもたちは、自然とさまざまな役割を知り、自分のやりたいことを見つけてくことができます。そしてまた、地域の子どもや大人と日々交わり、声を掛け合うことで「ここは自分の暮らす場所」であることを、しっかりと自分の中に根づかせることができるのです。障害のある「ある一人の人生」に寄り添おうと思ったら、支援を区切ることなんてできないUpload By 発達ナビ施設インタビューB’sを運営する社会福祉法人佛子園では、石川県内各地に、障害者施設・高齢者施設の機能を合わせもった施設を運営しています。そもそも、どうして社会的弱者と言われる人たちの施設をまるごと担おうと考えるようになったのでしょう?そして、縦割りともいわれる法制度のもと、どうしたらそんなことができたのでしょう?そう問うと、代表の速水さんは、少しきょとんとした表情を見せました。「障害のある”ある一人の人生”に寄り添おうと思ったら、子ども用、成人用、高齢者用、と支援を区切ることなんてできないでしょう?」例えば、以前は、障害のある人の福祉をある年齢になったら高齢者用の福祉に切り替えなくてはいけなかった。障害者向け施設は高齢者向け施設として運営することはできなかったので、住み慣れた施設を離れて高齢者向け施設に移らなければいけない。でもそれは負担が大きい。だから、障害者も高齢者も支えられる施設をつくったーー。こうして佛子園は、法律で障害者も高齢者も支援が可能となる「共生型の施設」が認められるより前から、さまざまな年齢の社会的弱者と言われる人たちのための施設を運営してきました。「福祉の制度は、使いやすいようにある程度ゆるみをもっている。それを現場が保守的に解釈して、あれもこれもできないって思いこんでることが多い。例えば、以前は障害者福祉と高齢者福祉の職員室は仕切られていなきゃいけなかった。でも何で仕切るべきかは書いていない。だからうちは”ふすま”で仕切っていた」今は、共生型が法律でも認められるようになり、施設のどの職員も、どの施設の利用者でも見守れるようになりました。スタッフは皆インカムをつけ、全員で見守りをしていると言います。平成30年度障害福祉サービス等報酬改定 における主な改定内容 | 厚生労働省Upload By 発達ナビ施設インタビュー自分が住む町の中に、だれもが安心でき、仲間と語り合うことができる場所があること。社会的に弱者と言われる人たちを弱者のままにしておかず、それぞれが役割を持ち、必要とされていると感じられること。言葉にするととてもシンプルだけれど、人が自分らしく幸せに生きていくために何より必要で大切なことなのではないか。「B’s」の中をいきいきと行きかう人たちの姿を目の当たりにして、そう思わずにはいられませんでした。撮影/吉田直哉(GARAN ASSOCIATES)、編集部
2018年07月25日鍼灸マッサージ等の治療院をFCで全国展開を行う、株式会社からだ元気治療院は、血行改善によるむくみ解消が期待できるソックス「メディカルレッグス」を2018年6月1日より販売開始した。「メディカルレッグス」は歩くたびに血行改善が期待できるソックス。人体の血流を整え、人間本来の自然治癒力を高める“スパイラル効果”が期待できる構造となっている。高齢者向けに血行改善グッズとして開発されたソックス「メディカルレッグス」が販売された背景には、からだ元気治療院の高齢者のお客様より「治療日以外でもむくみが簡単に取れるといいな」、「無理しないで足が細くならないかな」などの声が多く寄せられたことがある。そこで、日頃の施術だけでは足りない要素を補い、無理せず自然に生活の質を上げていただくために開発されたのが本商品だ。梅雨のむくみ対策にも梅雨の時期は湿度が高くなることで汗をかきにくくなり、体温調節が上手くいかずに身体の水分代謝も滞りやすくなる。また天気が不安定になることで、気圧の変動により自律神経が乱れ、血流が悪化。これらはリンパの流れの悪さに直結しているため、身体に余分な水分が溜まりやすくなることに繋がってしまう。こうした梅雨のむくみ対策としても「メディカルレッグス」は有効なアイテムだ。からだ元気治療院では商品の開発にあたり、高額なものや難しい操作が必要なもの、そして日頃使わない労力を必要するものでは面倒で使用意欲が湧かないと考えたという。「メディカルレッグス」であれば履くだけでよいソックスタイプであるため、高齢者の方でも簡単にケアが可能だ。むくみが気になる方はもちろん、ご家族に足の血行不良でお悩みの方がいらっしゃる方は、贈り物としても手に取ってみてはいかがだろうか。【参考】※からだ元気治療院
2018年07月04日女性を中心に人気を集めている「大人の塗り絵」。たくさんの原画(下絵)の本が販売されていますが、現在では無料でダウンロードして使えるものもたくさんあることをご存知ですか?ダウンロードできる無料原画は、自宅やコンビニで印刷して使えるため、気軽に始められるのが魅力。まずは始めてみようという初心者のかたにもおすすめです。今回は、無料でダウンロードできる「大人の塗り絵」サイトをご紹介します。 お洒落な塗り絵なら完成後の見栄えがおしゃれな塗り絵は、Instagramに投稿するなど楽しみもたくさんあります。そんなおしゃれな塗り絵の線画がダウンロードできるサイトがこちら。> Just Color海外の塗り絵サイト。アート作品をモチーフにした線画も多く、日本でも人気のアルフォンス・ミュシャの線画もあります。アーティスティックな塗り絵に挑戦したい人におすすめです。 花の塗り絵なら花は大人の塗り絵の中でも人気のモチーフです。自由に着色できますし、プレゼントにもしやすいですね。花の塗り絵サイトでおすすめなのがこちら。> もくもくん花の線画を中心に、多くの塗り絵線画がダウンロードできるサイトです。かなり緻密なものもあり、塗りごたえがある塗り絵が揃っています。 動物の塗り絵のなら動物の塗り絵は、画材を駆使して毛並みや質感を表現するといった他にはない楽しみがあります。以下のサイトは動物モチーフがたくさん揃っていますよ。> Super Coloring海外の塗り絵サイトです。身近な動物のほか、昆虫や鳥、魚、恐竜といった様々な生き物からも線画を選べます。 大人(高齢者)向け塗り絵なら大人の塗り絵は高齢者にもおすすめ。目や手を使うことで、脳の活性化にもつながるそうです。> 喜翔のぬりえ日本人形風の女の子の線画が多く公開されています。レトロな雰囲気がお好みのかたにおすすめです。> 竹久夢二の絵画の塗り絵大正ロマンを感じる画家・竹久夢二の絵画を塗り絵にした線画が公開されています。昔懐かしい画風の塗り絵が手に入りますよ。 国内・海外を含め大人の塗り絵の線画を無料公開しているサイトはたくさんあります。最初から塗り絵本を買って……となると本を選ぶのに手間や時間がかかったり、費用がかさんでしまうことも。無料でもこれだけの線画があれば気軽に大人の塗り絵を始められるのではないでしょうか。塗り絵サイトを利用する際は、各サイトの規約を確認してからお使いくださいね。また、個人利用のみOKのサイトがほとんどなのでご注意ください。
2018年05月30日大人の趣味として話題の「塗り絵」。子どもの塗り絵と比べると非常に細かく繊細なデザインのものが多いため、時間を忘れて熱中してしまうかたも多いのではないでしょうか。好きな色を好きな場所に塗りながら完成させることができるので、リラックス効果もあるといわれています。実は最近、塗り絵の人気とともに塗り絵サイトが増えているのをご存知ですか? 塗り絵サイトとは?塗り絵をダウンロードできるサイトのことです。好きなデザインの塗り絵を選んで、ダウンロードし、印刷をするだけでOK。ただし、塗り絵は個人的な使用だけに留めてくださいね。またサイトごとに利用規約があるので、しっかりと確認してください。ダウンロードから印刷までの手順は非常に簡単ですが、塗り絵サイトはたくさんあるので、そこから好みのものを選ぶのが大変です。そこで今回は、ジャンルごとに無料でダウンロードできる塗り絵サイトをご紹介します。塗り絵サイト選びの参考にしていただけたら幸いです。 おしゃれな塗り絵ならせっかく塗り絵をするなら人に自慢したり、Instagramで投稿できるようなおしゃれな塗り絵に挑戦してみたいですよね。そうした塗り絵ができるサイトはこちら。> 大人の塗り絵世界の街道から世界遺産や世界各地のきれいな町並みを塗り絵にしたものが揃うサイト。おしゃれな風景や水彩画調の作品を作りたいなら一番おすすめです。> brother 大人の塗り絵プリンターの会社である「brother」の塗り絵サイト。10つの都道府県の観光名所と、カレンダーが塗り絵になっています。非常に細かいので塗りごたえがありますし、カレンダーは実用性もありますね。> ColoriageLife大人の塗り絵であるコロリア―ジュのコツや塗りかたを教えてくれる、コロリア―ジュハウツーサイト。無料で図柄もダウンロードできるので、サイトを見ながら練習できます。植物柄や季節の柄など、非常に精密でアート性が高いのでインスタ映えしそうです。 風景や花の塗り絵なら風景や花は、つい無難な色を塗りがちですが、色をあえて変えることによってオリジナリティのある作品に仕上げることができます。無料なので臆することなくさまざまな塗りかたに挑戦できるのが良いですね。> クレヨンぬりえ集風景、世界遺産、富士山の料塗り日本から外国まで、幅広い国の風景や建物の塗り絵があるサイト。浮世絵の風景や世界遺産もあるので、塗り絵をしながらさまざまな時代の世界旅行を楽しんだ気分になれそう。> ぬりえプリント花のぬりえ春・夏・秋・冬ごとの季節の花や、バラの花の塗り絵があります。主線の色が黒かグレーか選べたり、彩色見本があるなど初心者にも優しいサイトです。 動物の塗り絵なら塗っているだけで癒される動物の塗り絵ですが、毛並みや色を表現するのが難しいですよね。色使いや塗りかたを練習するには、無料塗り絵サイトがぴったり!> 大人の塗り絵としおり動物の塗り絵・その他の塗り絵猫や犬や鳥など、定番の動物がいっぱいいる塗り絵サイト。塗り絵のもととなった動物たちのサイトを紹介してくれているので、そこから色のヒントを得ることもできますよ。> ちびむすドリル動物のぬりえ干支の動物のぬりえ動物の塗り絵は子ども向けですが非常に種類が豊富なので、珍しい動物や塗りたい動物があるかも。干支の動物の塗り絵は、人気イラストレーターのがみさん作であり、それぞれの季節ごとのイベントや特徴のデザインと一緒に動物を塗るようになっています。動物だけじゃないので飽きなさそうですね。 マンダラ塗り絵なら仏教のシンボルである曼荼羅(マンダラ)の塗り絵は、大人の塗り絵の中でも特にリラックス効果・ストレス解消効果があるといわれています。決められた色もないので、心の赴くままに塗り絵を楽しむことができますよ。> カジラボ・ペーパーマンダラ塗り絵シンプルなデザインのマンダラ模様が多いので、初めてのかたも気軽にチャレンジできます。A5サイズで1つずつ印刷するか、A4サイズでを2パターンずつ一括で印刷するかが選べるので、一気に塗り絵をしたいかたは手間がかからず便利。> 大人ガール的スピリチュアル「大人ガール的スピリチュアル」というブログを運営している、ぴゅあ恋ちあきさん作のマンダラ塗り絵。花や鳥やハートなどをモチーフにしているので可愛らしくてテンションが上がりますし、非常に細かいので塗りごたえも抜群です。 ディズニーの塗り絵ならディズニーなどのキャラクターはなじみが深い分、塗るのも楽しそうです。お子さんがいるかたは、完成したものを見せると喜ぶかもしれません。> ディズニーキッズYahoo!JAPANきっずが協力しているディズニーのサイト。さまざまなディズニーキャラクターの塗り絵が用意されています。サイト内でキャラクターを検索することができるので、色がわからないときも安心です。 大人(高齢者)向けの塗り絵なら脳の活性化にも良いといわれている塗り絵。ダウンロード・印刷して、両親に塗ってもらうのもよいかもしれません。高齢者レクリエーションや手を動かすリハビリなどにもぴったりなサイトをご紹介します。> MY介護の広場明治安田生命グループが運営しているサイト。毎月新しい塗り絵が更新されており、季節やテーマごとの塗り絵も充実しています。イラストも懐かしい雰囲気のものが多いので、高齢者のかたも塗りやすそうです。> 介護レク広場無料会員登録が必要ですが、高齢者のレクリエーションが充実しているサイト。塗り絵は初心者から上級向けまで難易度が選べ、季節の物や花札・昔遊びなど高齢者向けのデザインが多数用意されています。 塗り絵を始めようと思っても、いざ塗り絵の本を買って中身を見ると好みのデザインではなかったり、さまざまなジャンルの塗り絵がしたいのに本は同じテイストばかりが集められているなんてことも。まずはこうしたサイトを利用して、気軽に始めてみてくださいね!
2018年05月27日高齢化社会が進むにつれ、社会が抱える問題が他人事ではなくなって来つつある人も多いと思います。特に自分の両親が頻繁に顔を合わせられる距離にいない場合、いろいろと心配事を抱えることにも。そんな不安を少しでも解消できるよう、離れた家族の安否を確認できる見守りサービスについてまとめます。見守りサービスは大きく分けて3タイプまずは、「見守り対象と会話をして見守ってくれるタイプ」。定期的に訪問や電話で、依頼者が決めたチェック項目について聞き出し、その内容を報告してくれるというもの。代表的な郵便局の見守りサービスでは、自動音声の電話で、体調などを聞いてくれるものが月額980円から、実際に人が訪問するもので月額2500円からとなっています。2つめは、「見守り対象の家に専用ボタンを設置するタイプ」。専用ボタンやペンダント型のボタンを用意して、普段から身につけてもらい、緊急時には対象者自身がボタンを押すことで、警備会社のスタッフが駆けつけてくれるというもの。警備会社大手のセコムやALSOKなどがサービスを行っており、セコムは防犯、防災サービス込みで月額4700円+初期費用4万7000円、ALSOKはペンダント型のボタンが押された際に、スタッフが駆けつけるのみで月額1700円となっています。上記2種類のタイプは、見守り対象者自身が不調や緊急時を自覚できているときには有効ですが、突然家で倒れてしまった場合などには効果が薄いです。そこで、家の中をセンサーなどで監視し、異常時にすぐ家族へ連絡してくれるサービスもあります。動きと室温のセンサーから異常を検知すると通報してくれるサービス「ミマモリオ」は月額3900円。ほかにも専用の電気ポットを設置し、ポットの使用状況を家族に連絡する象印マホービンの「みまもりほっとライン」は、初期費用5000円と月額3000円。NTTドコモのらくらくホンには、毎日の歩数を自動で連絡してくれる機能が無料で使えます。サービス内容や価格など、いろいろな種類が登場している見守りサービス。でも大事なのは料金などよりも、見守られる側が毎日の電話などを負担に思ったり、センサーで監視されることを嫌がったりしないかどうか。一方的に不安だからとサービスを押しつけるのではなく、どのようなサービスが合っているのか、事前に親と相談した上で合ったものを利用したいですね。(文・姉崎マリオ)
2018年05月26日最近、“現役バリバリ”で活躍している80歳以上の女性が目立ちます。「人生100年時代」ともいわれる今、年を重ねるほどに輝く秘訣は何なのか。素敵な大先輩の言葉に、大きなヒントがありました。“生涯現役”を実現するための50代の過ごし方ーー。 「OK、グーグル、今の気温は何度かな?」、「24度です!」。自宅のリビングに置かれた「AI(人工知能)スピーカー」と会話を楽しむのは、若宮正子さん(83)。 「ITは技術の進化が著しい世界。40歳を過ぎると自分の能力に限界を感じる人が多いのか『勇気をもらいました』と声をかけてもらうようになりました」(若宮さん・以下同) 昨年2月、iPhoneのゲームアプリ『hinadan』を開発。ひな人形を正しい位置に送るパズルを配信し、「世界最高齢の女性開発者」と時の人に。さらに6月、年に1度のアップル社のイベント「世界開発者会議」に、ティム・クック最高経営責任者(CEO)から、「どうしても会いたい」と招待された。 「もともと好奇心が旺盛で、何かを新しく始めるときも、『失敗したらどうしよう』とは考えないタイプ。興味を抱いたものはとりあえずやってみよう、失敗しても得られるものはあるはず。結果よりプロセスが大切なんです」 このhinadanアプリも、高齢者向けのスマホアプリがなかったことから、「ないなら自分が作ろう」と、近所の書店でプログラミングの本を買い、独学で始めた。 「教えてくれた先生は宮城におられて、無料通信アプリのスカイプなどを使って添削をしてもらいました。遠距離でのやり取りでもパソコンを使えば苦になりませんよ」 年齢を言い訳にして、あきらめることはしない。今年2月、アメリカ・NYの国連本部のイベントで「高齢者にはデジタルスキルが重要」と、英語で演説できたのは40代に少しかじった英会話のおかげ。 「英会話を始めていなかったら、国連でのスピーチも断っていたかもしれません。何が起こるかわからない。とりあえずチャレンジして、だめならやめればいいんです」 若宮さんは高校を卒業してから大手銀行で定年まで働いた。定年後は、介護が必要な90代の母と向き合う時間が増えた。 「家にいても、外の世界とつながっていたい」と考えたことが、パソコンを勉強したきっかけ。退職金で当時40万円ほどかけてシステムを一式そろえるも、最初は大苦戦。パソコン通信ができるようになるまで3カ月かかった。ネット上でおしゃべりする場のシニアサロン「メロウ倶楽部」に創立から関わり、世界が広がったという。 それからは、表計算ソフトのエクセルを使った「エクセルアート」で手提げ袋を作るなど、活動の幅は広がり、「シニアこそもっとITを使いこなすべきだ」と思い、全国を講演で飛び回る日々。多くの出会いやチャンスを呼び込んでくれた。 母の在宅介護は10年ほど続き、70歳のときに看取った。介護がなければパソコンに目覚めることもなかったと思うと、「何事も無駄なことはなかった」と振り返る。 読者世代の50代は、子育てや仕事などが一段落し、学び直しの時間が持てる絶好のチャンス。「自分から可能性を否定しないで」と、若宮さんはエールを送る。 「『難しいから』と敬遠しないで、ITのスキルを得ると、新たな世界が広がります。今後、AIの時代になるとプログラミング自体、AIがしてくれるようになるでしょう。そうなると技術力よりも、人間力、人生経験が豊かな人のほうが面白いものを作れると思うのね。これからの時代は、経験を重ねた人のほうが楽しめるんじゃないかしら」 定年後のことを“第二の人生”というが、人生はつながっていて、人はいくつになっても現役という。 「自分の人生も俯瞰できるようになったからか、楽しい思い出だけではなく、うまくいかない、つらいことも含めて、今までの経験は無駄ではないと実感しています」
2018年05月21日老後の生活と聞くと、まずイメージするのが「定年」、そして「年金」。現在の定年は65歳とされていますが、65歳を超えても現役で働いていらっしゃる方は珍しくありません。一方で引退後の暮らしを支える「年金制度」は、予測できない将来のリスクを社会全体で整え、生活を保障していくものであるとされています。しかし、その仕組みの複雑さから自分がいつから、いくら貰えるのか、分からない人も多いというのが現実。皆さんはこの引退年齢と年金についてどう捉えているのでしょうか?働く主婦にそれらの意識について聞いてみました。freeangle / PIXTA(ピクスタ)■ 理想の引退年齢は30%が65歳以上!まさに生涯現役社会の到来!?働く主婦層を対象にした「引退年齢と年金」のアンケートによると、自身の理想の引退年齢は、65歳以上が30.1%とトップ。cba / PIXTA(ピクスタ)次いで、70歳以上が27.7%。全回答者の平均は68.4歳という結果となりました。驚くことに80歳以上を理想の引退年齢と回答された方は10%に上り、高齢になっても働きたいとするポジティブな考え方が印象的です。■ 70歳以降の「年金受給開始年齢の選択可能案」に40%が反対!自身の理想の引退年齢について、全体的に“長く働きたい”という傾向がみられました。しかし、政府が検討している「年金受給開始年齢を70歳以降でも選択可能」という案について賛成か、反対かについての回答を見てみると……。反対派が40%にのぼり、賛成、分からないと回答した人はは3割という結果に。Rina / PIXTA(ピクスタ)反対派の理由としては定年年齢と支給受給年齢が同時でないと意味がない何歳まで生きられるか分からないなどが挙げられます。nonpii / PIXTA(ピクスタ)逆に賛成派・分からないと回答人たちは、昔の70歳より今の人は若いそうしないと年金制度が維持できない受給開始年齢が選択性であれば問題ない元気でいれば賛成、病気になれば反対生活の状況によって決めるべきという回答が挙がりました。自身の引退年齢の理想はポジティブな姿勢が感じられる反面、受給開始年齢については回答の内容から年金ついての不安が感じられる。ここに、大きなギャップが生じていることが分かります。■ 老後の蓄えを知るには、年金の見込額を確かめることが大事!ahirun / PIXTA(ピクスタ)なるべく長く働きたいが、高齢者が働く環境は整っているかが分からない。将来自分がどれくらい長生きできるのか分からないため、受給開始の年齢はいつがベストなのか今現在は不明。しかし、少子化が進む現在、年金制度を支える人口はこれからも減少していくのは事実です。ahirun / PIXTA(ピクスタ)老後の備えについての考え方は人それぞれですが、まずは生活基盤となる年金をいくら受け取ることができるか、見込額を知ることから始めてみてはいかがでしょうか。例えば、『日本年金機構』の「ねんきんネット」であれば現在の仕事状況や、今後の働き方なとの試算条件に回答すると、見込み額の把握が可能となります。ねんきんネット以外にも見込み額のシミュレーションなどはインターネットで可能です。見込額を把握することは、将来の幸せを考えるきっかけの1つになると言えるのではないでしょうか。いかがでしたか?筆者も高齢になっても、働き口があるのであれば少しでも働いていたい派です。高齢になっても働きたいと考える人が多い現代、この状況をプラスに捉え、近い将来高齢者が働くことができる場所や環境が整うことを期待したいですね。【しゅふJOB総研調べ】【参考】※<年金もらうなら65歳?68歳?70歳?>働く主婦に『引退年齢と年金』に関するアンケート/理想の引退年齢:平均値68.4歳※公的年金制度の概要-厚生労働省※年金見込額試算-日本年金機構
2018年05月16日高齢化社会によって、年配の方の生活を助けるアイテムがとても増えた今日この頃。ついに大人気のイケアからサポート機能を意識した新シリーズ、「OMTÄNKSAM/オムテンクサム」が登場しました。ブランドイメージ通り、シンプルでスタイリッシュなデザインはそのままに高齢者への配慮が温かいアイテム達は必見です!今回はその新シリーズ「OMTÄNKSAM/オムテンクサム」をご紹介。■ あらゆる人が快適に使用できる思いやりが溢れるアイテム揃い!このシリーズの「OMTÄNKSAM/オムテンクサム」という名前は、スウェーデン語で「思いやりがある」という意味。あらゆる人が快適に使用できるように考えられた、使う人に優しいシリーズです。高齢化社会が急速に進むなか、確かに高齢者に優しいアイテムが増えてはきたものの、まだまだ種類が少ない・高額・デザイン性が低くなりがち……などの懸念材料は多いものでした。今回の新シリーズでイケアが目指したのは、デザイン性と機能性を兼ね備えたアイテムばかり。開発に人間工学の専門家や作業療法士・介護業界の研究者たちが関わっており、ケアする側とされる側両方の視点で作られているので加齢を気にせず自立した生活を支えてくれます。■ カトラリーからクッションまで。デザイン性と機能性を兼ね備えたアイテムばかり!では、アイテムを具体的にご紹介していきます。●キャップオープナー¥149(税込)12㎝シリコンゴム製まずその値段に驚きます! シンプルで使いやすそうなデザインがグッド!高齢者に限らず、1人暮らしの女性などにも嬉しいアイテムですよね。●腰当てクッション¥1,999(税込)幅18㎝×長さ45㎝×高さ7㎝カバー洗濯可能マジックテープで家の椅子に簡単に付けられ、腰痛持ちの筆者にとってもすごく魅力的です!●プレート 滑り止め付き¥399(税込)20㎝強化ガラス製底にシリコンゴムが付いていて安定感があります。また、縁が高めに作られているのでスプーンなどの使用が完璧でない方も取りやすい仕様になっています。この他にも滑りにくいランチョンマットなどがあり、高齢者はもちろん小さなお子さんのいるお家にもとってもオススメ!いかがでしたか?たとえ些細に思えても、サポートの必要な方達からするとやはり嬉しい工夫が光る「OMTÄNKSAM/オムテンクサム」シリーズ。ご紹介したアイテムは一部なので、カラー・サイズ違いから他のアイテムまで気になる方はぜひHPもチェックしてみてくださいね!【参考】※サポート機能に優れた思いやりシリーズ 「OMTÄNKSAM/オムテンクサム」を発表※IKEA公式HP
2018年05月15日以前に比べて、夫婦間での家事分担が進んでいる今日この頃。そして、夫婦の家事分担が進むとともに、なかなか表に出ず認識されにくい「名もなき家事」が注目されるようになりました。名もなき家事といっても内容はさまざまですが、今回のテーマはただ手を動かすだけの家事ではなく、頭を使って行う「考える家事」。考える家事の実態と、考える家事の負担を夫婦で共有するコツをご紹介します。 1. 「考える家事」とは?考える家事というとまず「毎日の献立決め」が思い浮かびますが、ほかにも考える家事はたくさんあります。毎日の家事はそのときの状況に大きく左右されるので、その都度柔軟に対応しなければなりません。洗濯の場合洗濯なら、洗濯機を回す・洗濯物を干す・取り込む・畳む・片付けるという一連の作業にかかる時間を前もって予測する必要があります。そして、家族の予定や他の家事に支障が出ないようスケジュールを組んで行動しなければなりません。洗濯のスケジュールは、そのときの天気・気候や洗濯物の量・種類に大きく左右されます。天気が悪い日などは部屋干ししなければなりませんし、洗濯物の量が多ければ洗濯機を回す回数も増えるでしょう。掃除の場合掃除にも、考えるべき要素はたくさんあります。たとえ家の間取りが同じでも、生活スタイルや家族の価値観によって掃除のやりかたは変わります。毎日使う場所・汚れやすい場所はこまめに掃除する必要がありますし、普段あまり使わない部屋は掃除の頻度を減らしてもよいでしょう。掃除を始める前に、まず掃除する順番を考えなければなりません。たとえば台所のコンロを掃除した後にコンロの上の換気扇を掃除してしまうと、せっかく掃除したコンロに換気扇の汚れが落ちてしまう恐れがあります。掃除する場所や汚れの種類に合わせて、道具・洗剤を使い分けることも大切です。また、家計のやりくりも考える家事のひとつです。家族の収入やライフプランに応じて、毎月の支出(食費・光熱費・おこづかいなど)や貯金額の配分を考えなければなりません。 2. 考える家事に対する夫婦間のズレ共働き夫婦の増加によって、妻だけでなく夫も積極的に家事をする家庭が増えてきました。また家電・家事代行サービスの発展によって、手を動かす家事(あまり頭を使わずにできる家事)の負担は以前より少なくなっています。しかし、フルタイム共働き世帯をターゲットとした調査では7割近くが「家事負担は妻メイン」と回答。そして、考える家事の負担も妻に偏っているのが現状です。考える家事にかかる時間既婚男女をターゲットとした別の調査では、妻の平均家事労働時間は1日あたり約150分という結果が出ています。また、1日の家事時間の43%を考える家事が占めています。つまり、1日あたり約1時間を考える家事に費やしている計算になります。考える家事に関する夫婦間の認識妻の44%は、「夫は考える家事の存在を認識していない」と感じています。一方、夫の83%は「妻は考える家事をしている」と回答しています。考える家事について、夫婦間の認識に大きなズレが生じているんです。 3. 考える家事の具体的な負担内容と、夫婦で共有するコツここでは、考える家事の中で最もウエイトが大きい「毎日の献立決め」にスポットを当ててみましょう。食事は毎日しなければならないものであり、家族の健康にも直結します。そのため、献立決めは考える家事の中でも特に手を抜けないものです。なぜ献立決めが苦手な人が多いのか?責任重大な毎日の献立決めですが、夕飯の献立決めが苦手な人は男性で40.6%、女性では61.6%にものぼります。その理由は単なるレパートリーの少なさだけでなく、さまざまな要素が複雑に絡み合っています。食材の旬・値段や賞味期限多くの生鮮食品には旬があり、そのときの気候や作物の出来具合などによって価格も変動します。ムダな食費を減らすためには、なるべく安い食材を使って献立を決めることが重要。すでに家に食材があるなら、古くなって食べられなくなる前に使い切りたいものです。家族構成・家族の好みに合うかどうか家族に子ども・高齢者・食物アレルギー持ちの人などがいると、その人に合わせた献立を作らなければなりません。家族の好みがバラバラな場合、不公平にならないようおかずの種類を増やすかローテーションを組んで献立を決める必要があります。栄養バランス家族が好きだから・作りやすいからといって似たような献立が続くと、栄養バランスが偏ってしまいます。しっかり栄養を摂るためには、さまざまな食材をまんべんなく使う必要があります。そのとき料理に割ける時間仕事が忙しい人や小さい子どもがいる人にとって、手の込んだ料理を作るのは難しいでしょう。そのような場合は、いかに短時間で作れるかも重要です。時間が経っても美味しく食べられるかどうか帰りが遅い家族がいるなら、時間が経っても美味しく食べられる献立が便利。お弁当を作る場合は、前日のおかずの残りを活用すればお弁当作りの手間を省くことができます。 4. 考える家事をひとりで抱え込まないために家事をメインで行ったことがない人にとって、考える家事の負担は実感しにくいもの。また、パートナーの家事の負担を理解できている「つもり」の人もたくさんいます。考える家事の大変さをパートナーと共有するためには、まず考えるべきことは何か・何がどのように大変かなどをはっきりさせ、相手に伝わるように説明しましょう。口だけで説明しにくければ、箇条書きやイラストにするのも有効です。自身が置かれた現状を見つめ直し整理することで、無意識に感じていたストレスや不満にも気づきやすくなるでしょう。パートナーに意見を聞くときは、尋ねかたを工夫する献立決めにおいてありがちな不満に「パートナーに何を食べたいか聞いても『何でもいい』としか言われず、料理にやりがいを感じられない」があります。しかし、聞かれたほうの立場になって考えてみると、いきなり「今日は何食べたい?」とだけ言われてもなかなかアイデアが浮かばないと思いませんか?「今日は○○か××にしようと思うけど、どっちがいい?」と選択肢を提示したり、「買っておいた魚を早めに食べてしまいたいから、今日は魚料理にしたい」というように献立決めの理由を付け加えたりすると、パートナーも意見を出しやすくなるでしょう。考える家事自体の負担を減らす工夫定番の献立を組み合わせる家族の好みに合わせて定番の献立をいくつか決めておき、大まかにローテーションを組んでおきます。同じような食材でも、調理法や味付けを変えるだけでずいぶん印象が変わるでしょう。食材宅配を使う食材宅配サービスの中には、あらかじめ決まった献立に合わせて食材を届けてくれるものがあります。毎日利用しても飽きないよう工夫されており、その日使う分だけの食材が届くので食材ロスの心配も減らせます。 家事をメインでやった経験がない人にとって、「考える家事」の負担は想像しにくいものです。考える家事を夫婦間で共有するためには、家事を進めるために考えることは何か・考える家事がなぜ大変なのかをわかりやすく整理してパートナーに伝えましょう。現状を整理することは、あなた自身のためにも大いに有効。考える家事がなぜ大変なのかわかれば、負担を減らす工夫もしやすくなるはずですよ。参考:【家事シェアの新課題】家事時間1日平均150分のうち、43%もの時間を占めるのは、パートナーに理解されづらい「考える家事」夫と妻の料理に関する意識調査手抜き”許せない家事1位「料理」も、7割が「レシピ検索すら面倒」「夕飯何食べたい?」が持つ理不尽さと、ベストな返答の考察「考える家事」と「行動する家事」がヒント! 「夕飯づくり」で考えるモヤモヤしない家事分担法共働き夫婦の家事分担調査(2017年)。夫の家事分担率は平均30%
2018年04月09日「こども保険」って知っていますか?「保険」という言葉がついているため、つい学資保険などの、子どもに関する保険商品の一種だと考えてしまいがちですが、実は違うんです。「こども保険」というのは、小泉進次郎衆議院議員など若手議員で構成されている「2020年以降の経済財政構想小委員会」が提言した、社会全体で子育て世帯を支援するという社会保障の案のこと。あなたはこの「こども保険」についてどう考えますか? 1. 「こども保険」とは「こども保険」というのは、未就学児1人当たり月額5000円を支給して、将来的に保育・幼児教育を実質無償化するなど、子育て世帯の負担を軽減することを目的とした社会保障の案です。気になる財源ですが、年金保険料(厚生年金や国民年金など)の保険料率を上乗せすることで、資金を集めるのだそうです。今まで集めた資金は、高齢者向けの社会保障に使われていましたが、今度からは子育て世帯も社会全体で応援していくということですね。ただし、この「子育て世帯」というのは、小学校入学前の子どもがいる世帯です。未就学児に月額5,000円支給、保育・幼児教育を実質無償化などは、小学校に入学した子どもたちには関係のないこと。未就学児のいる世帯・これから子どもを産もうと考えている世帯にとっては得になる社会保障制度ですが、そのほかの世帯は負担が増えてしまいます。ただ、少子化対策として将来的に良い影響を与える可能性もあるため、社会全体で取り組むことが重要であると考えられます。 2. 「こども保険」知ってますか?それではどのくらいの人が「こども保険」を知っているのでしょうか。しゅふJOB総研が働く主婦層を対象に「こども保険についてご存知ですか」と質問したところ、以下の結果となったそうです。知っている(16.4%)少しは知っている(31.8%)知らない(51.8%)詳しく知っている人は少なく、全く知らない人が過半数という結果に。案の段階とはいえ、まだまだ認知度は低いようです。こちらは子どもがいる・いないに関わらず、「働く主婦」に聞いたものなので、独身のかたに聞くともっと認知度は低くなると考えられます。ただ、年々少子化や待機児童が問題になる中で、「こども保険」のような、子育て世帯を対象とした社会保障が提言されていることを知らないままだと、「いつの間にか決まっていた」ということになりかねません。まだこちらは案の段階です。どのくらいの保険料が上乗せされるのか、どのような保障内容なのかを詳しく知ることで、不満点や疑問点が出てくると思います。「そんな保障内容では納得できない」「もっとこうしてくれたらいいのに」など、国民全体で声が上がれば、より子育て世帯に寄り添った保障内容となってくれるのかもしれません。また、将来の日本を支えてくれる子どもを支援するということは、今の私たちの老後にも関わってきます。子どもがいる・いないに関係なく、「こども保険」という社会保障のことを考え、議論していくことが大切なんだと思います。 3. 「こども保険」に否定的な人も元大阪府知事である橋下徹氏は、プレジデントオンラインの橋下徹通信にて、「こども保険」に大反対だと述べています。その意見を同サイトより引用します。保育所や幼稚園の仕事は地方自治体、特に市町村の仕事と位置付けて、就学前の子供は希望すれば保育所でも幼稚園でも全員無料で入れるようにする。これを法律で定めればいいだけなんだ。小中学校と同じように、域内の子供たち全員のために市町村は保育所・幼稚園を確保しなければならないと法律上義務化すればいいだけ。就学前児童の問題は市町村の仕事。高校は都道府県の仕事。もし国会議員が教育支援のためにお金を用意するというなら、それは大学の領域なんだよ。つまり、就学前の児童のことは国ではなく市町村で取り組むことを義務化するようにすれば、保育園・幼稚園無償化や待機児童問題も解決するのかもしれないということですね。やはり国の予算は限られていますし、待機児童以外にも問題は山積みです。地域の子どもたちと密着している市町村なら、より地域と子どもたちにあった対策ができるのかもしれません。保険料を上乗せすることでの国民からの反発を防げる可能性もありますね。 子育て世帯を支える社会保障である「こども保険」。自分なりのメリットとデメリット、どういうふうになればより子育て世帯の負担が軽減するのか、恩恵のない世帯が少しでも良い影響を感じられるにはどうすれば良いのかなどいろいろ考えてみてくださいね。夫婦で議論してみたり、ちょっとママ友と話してみたりなどして、社会保障に興味を持ってみると良いかもしれません。「子どものこと」は将来にもつながること。身近な問題として議論を深めることで、より過ごしやすい社会へと変化していくのではないでしょうか。 参考:幼児教育無償化、待機児童解消、少子化対策・・・働く主婦にメッセージは伝わっているか? こども保険「知らない」51.8%橋下徹“僕は「こども保険」に大反対!”
2018年04月05日女性の社会進出が促進され、結婚をする時期が遅れ、必然的に出産のタイミングも遅れてしまうことがあります。こういった理由などで、現在高齢出産は増加傾向にあるともいわれているので、特に珍しいことではなくなっているでしょう。とはいえ、実際に高齢出産をしようとなると不安は山積み。事前の情報収集が大切です。その1●経験者が語る…高齢出産・妊娠のメリットは?高齢出産には、難産や流産など、様々なリスクがあるともいわれており、悪い面ばかりが先行しがち。でも、高齢出産経験者によると、メリットもあるといいます。具体的にどんなメリットがあるかというと…。▼続きはこちら▼その2●見落としがちかも…高齢出産・妊娠の悩みとは?高齢出産をする際の悩みといえば、「子どもが無事健康に生まれてきてくれるか」、「母体も健康でいられるか」などで目がいきがち。でも、実際に出産して子育てが始めると、予想していなかった苦労にぶつかることもあります。▼続きはこちら▼その3●高齢ママが妊娠・出産をしたいと思ったら…20代で出産をすれば、第二子が欲しくなったとしても、まだまだ年齢的に余裕があります。でも、高齢で第一子を出産すると、第二子、第三子はさらなる高齢出産に。もしも、高齢ママが「子どもをもっと持ちたい」と願うようになったのなら、どうすればよいのでしょうか?▼続きはこちら▼その4●デマも多し?高齢妊娠・出産にまつわる正しい知識インターネットで「高齢出産」に関して検索してみると、様々な「メリット」「デメリット」を謳う情報が散見されます。「高齢出産をすると子宮体がんの発生率が低下する 」「高齢出産で生まれた子どもはIQが高い 」「高齢出産を体験した女性の方が長寿 」など、様々な発表がありますが本当に事実?▼続きはこちら▼その5●高齢出産や妊娠は母体にもリスクを及ぼす?高齢出産や妊娠は、胎児に様々な影響を与えるというのは有名な話ですが、母体にも様々な影響があるそうです。東邦大学医学部産科婦人科学講座の片桐由起子医師に、母体へのリスクをお聞きしました。▼続きはこちら▼その6●高齢出産・妊娠の時 産院はどうやって選ぶべき?高齢出産や妊娠の場合、産院選びにも慎重になりますが、どうやって選ぶべきなのでしょうか?東邦大学医学部産科婦人科学講座の片桐由起子医師は、高齢出産によって自身に健康リスクがあるかどうかがひとつのポイントと話します。▼続きはこちら▼
2018年02月28日これから高齢出産を検討している人や、今まさに高齢妊娠をしてこれから出産を控える人にとっては、どこの病院で出産するのかは、すごく気になるポイント。高齢出産の場合、どういった観点で産院を選べばよいのでしょうか? 東邦大学医学部産科婦人科学講座の片桐由起子医師にポイントをお聞きしました。高齢出産 自分に合った産院選びは自分の体を知ることから片桐医師は、まず「高齢出産に向けて自身に健康リスクがあるかどうかがひとつのポイントです」と話します。「高齢妊娠・出産の場合、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病などといった母体への健康リスクの発症が高い傾向にあります。それまでは健康だったのに、妊娠を機にこうした症状が現れることも多く、高齢妊娠の場合その確率も高いのです」(片桐医師、以下同)また、自身の両親の疾病歴とその時の発症年齢を把握しておくことも重要だと片桐医師。病気のなかには遺伝傾向の高いものも多く、自分の両親と同じ年齢になったときに同じような症状があらわれるということもあるのです。「高齢妊娠だからという理由だけで、高次医療機関を選択する必要はありませんが、今の自分の健康状態や合併症などを きちんと把握して 医療機関を選ぶようにしましょう」ハイリスクケース 増加で分娩施設が集約化 産院は減少傾向にところで、最近では「産院が減少している」という話も聞きます。出産を控える人にとって、産院の選択肢が減ることは何とも不安ですが、いったいどうして?「背景には、高齢出産が増えたことなどによって、合併症を有する ハイリスクな出産症例が増えていることが上げられます。リスクを伴う分娩には、相応の施設や設備が必要となりますので、最近では分娩取扱施設の集約化が起きていることは事実です」ちなみに、最近では産科、産婦人科という言い方ではなく、レディースクリニックという病院もあります。これらの違いについては?「産科や産婦人科など、”産”という名前が入っている病院は、妊婦を扱っている医療機関 となり、妊婦健診 や分娩を取り扱っています。 産婦人科は、産科の領域だけでなく、婦人科の領域の診療もしている医療機関です。厳密なルールはありませんが、レディースクリニックの場合は、婦人科診療に加え、美容やエイジングケアなどにかかわる診療や、 女性医療全般を 対象とした診療を行っている医療機関が多いです 。なかには、妊娠ごく初期 の診察については対応している病院もあると思います」晩婚化や高齢出産の増加。こうした社会構造の変化は、施設数の増減に大きくかかわっているものの、最近では、産院の減少も下げ止まり傾向にあると片桐医師は続けます。自分の求める医療やサービスと、医療機関の特性のバランスをよく考えて、 自分にピッタリな産院を見つけましょう。(文・団子坂ゆみ/考務店)
2018年02月27日高齢出産は卵子の老化によって、胎児に様々な影響を与える可能性が高いというのは、すでにご存じの方も少なくないでしょう。では、母体へのリスクについては? 東邦大学医学部産科婦人科学講座の片桐由起子医師に、高齢出産によって発生する母体への健康上のリスクについて、話をお聞きしました。妊娠をきっかけに高血圧や糖尿病を発症するリスクも高齢出産における母体への健康リスクとして、よく挙げられるのが「妊娠高血圧症候群」。妊娠20週から分娩後12週までの期間で、高血圧または高血圧にたんぱく尿を伴うもので、かつこれらの症状が単なる妊娠の偶発合併症によるものではないものをいいます。以前は「妊娠中毒症」などとも呼ばれていました(2005年に名称変更された) 。片桐医師は、妊娠高血圧症行群も、やはり加齢によって発生するリスクは高まるといいます。人間の血管には弾力性があり、心臓から押し出される血液の圧力に応じで緩やかに拡張や収縮を繰り返しているのですが、その弾力性も加齢によって低下。すると、血管が拡がらず、血管内を流れる血の勢いは増すとともに、血圧が高まるというわけです。「その他、妊娠していない時には現れていない健康被害が妊娠によって引き起こされることがあります。妊娠糖尿病などもその一例です」(片桐医師、以下同)元々、血糖値が高くなりやすい 傾向にあり、高年齢になったら発生するかもしれない 人が、妊娠をきっかけに糖代謝異常を発症するということもあるそう で、これは20代・30代の妊婦でも起こりうることですが、年齢が高くなるほど発症リスクも高まると片桐医師は話します。高齢出産の母体リスクを減らすためには家族の既往も先々の出産を考えているなら、しかも、それが高齢出産となりそうならば、やはり、日ごろから健康的な生活を送ることを心掛けておくことが大切となりそう。しかし、健康的な生活といっても、栄養バランスの取れた食事や十分な睡眠時間などは想像ができますが、その他に何かできることはあるものでしょうか?「自分の両親の疾病歴を調べておくということも、重要なことです。病気には遺伝性の強いものも多く、自分の両親が病気を発症した年齢に近くなれば、自分もその病気を発症する可能性も高くなると言えます。今の自分の健康状態だけでなく、隠れた健康状態を知っておきましょう。あとは、やはり肥満は様々な生活習慣病を引き起こす要因となるとともに、妊娠合併症の原因にもつながるので注意が必要です。また『やせ』にも注意が必要です」会社の定期健康診断などで自分の血圧や血糖値を定期的に計測していれば、自身の体の変化にも気づきやすいかもしれませんが、健康である限り、自分の健康には興味が薄くなるもの。高齢出産を検討するなら、まずは、自分の今と未来の健康状態を詳しく知ることから始めましょう。(文・団子坂ゆみ/考務店)
2018年02月24日「子どもや家族に迷惑をかけたくないから、将来は高齢者施設に――。そう考えている人は多いです。しかし、そのほとんどの人たちが、実際にどのくらいの総額費用がかかるのかイメージできず、不安をかかえていらっしゃいます」 そう語るのは、『介護施設&老人ホームのさがし方・選び方』の著書もある、齋藤直路さん。そこで今回、齋藤さんにサービス付き高齢者向け住宅の月額使用料や、介護度ごとの月額介護サービス費用(介護保険自己負担額が1割の場合)を算出し、生涯の総支払額をシミュレーションしてもらった。 「介護費用は各自治体によって若干変化します。今回の設定では、首都圏のベッドタウンを想定していますが、都心部の場合はさらに1割ほど高くなることが考えられます。また、介護施設の利用料金、要介護度の変化、入居期間は、複数の施設を調査して、一般的なケースを想定しました。死亡年齢は現在の女性の平均寿命87歳よりも4~5年延びることが予想されますので、92歳(93歳の誕生日の前日)に死亡すると仮定しています」(齋藤さん) 例:82歳のCさんは、要支援2になったことをきっかけに、サービス付き高齢者向け住宅に入居。介護付き有料老人ホームなどは、月々の介護費用が定額になっているが、サービス付き高齢者向け住宅は住宅という枠組みなので、外部の介護サービスを個別に利用するしくみ。Cさんがケアマネジャーと相談しながら、リハビリなどの通所サービスを組み合わせ、3年間、要支援2を維持。その後、要介護度が上がり、89歳時点で要介護5に。寝たきりの状態が4年続き、92歳で亡くなった。 【サービス付き高齢者向け住宅での介護費用シミュレーション】 (1)要支援2の場合(82歳~84歳)介護費用の目安:約6,000円月額利用料:約16万9,000円合計:約17万5,000円 (2)要介護1の場合(85歳~86歳)介護費用の目安:約1万6,500円月額利用料:約16万9,000円合計:約18万5,500円 (3)要介護2の場合(87歳~88歳)介護費用の目安:約1万9,500円月額利用料:約16万9,000円合計:約18万8,500円 (4)要介護5の場合(89歳~92歳)介護費用の目安:約3万6,000円月額利用料:約16万9,000円合計:約20万5,000円 82歳から92歳までの11年間で合計:2,511万6,000円(内訳:17万5,000円×36カ月+18万5,500円×24カ月+18万8,500円×24カ月+20万5,000円×48カ月。※敷金は入っていません) サービス付き高齢者向け住宅は介護の基本サービスに、安否確認と、日中の見守りがある、バリアフリーの賃貸物件。“サ高住”と略される。 「入居者の30%弱が、要支援2以下。要支援や要介護認定を受けていない、自立できている人も入居可能です。外出は自由ですし、今までの生活のペースを落とさずに過ごせるので、介護付き有料老人ホームに入居するよりも、心理的なハードルは低いといえます」(齋藤さん・以下同) サ高住は国からの補助金を受けられるようになり、一気に整備が進んだという。平成28年には21万戸と、過去3年で3倍に増えているほどだ。 「安価で利用しやすい施設がある一方、医療依存度が高い利用者専用の施設も登場しています。特別養護老人ホームの入居待機のため、一時的に利用する介護度の高い人も多いです。さまざまなニーズに応えるため、サ高住はそれぞれ得意分野を持っています。その“個性”を見極めてください」 形態は賃貸物件のため、介護サービスは、外部の訪問介護事業所や通所介護事業所を利用することになる。 「徒歩1~2分圏内だったり、サ高住物件に併設している事業所を利用する人が多いです」 物件オーナーが、併設している事業所を運営しているケースが多いため、時にはトラブルも発生する。 「家賃を安く抑え、その分、併設している介護サービスで収益をカバーするというビジネスモデルが確立しています。そのためサ高住の入居者は、利用限度額の8割、9割を超えた介護サービスを契約しているケースもあります」 もちろん、必要な介護は受けなければならないが、ごく少数、すべてのサービスを自社で囲い込み、最大限利用させる事業所がある。 「サービス内容が過剰でないか、しっかりとチェックする必要がありますし、もし納得がいかなければ、ケアマネジャーに相談し、別の事業所を利用しましょう。併設の事業所を利用しなければならない決まりはないのです」
2018年01月31日「高齢ドライバーによる事故が後を絶ちません。今月9日にも、前橋市で85歳男性の運転する車に、女子高生2人がはねられ重体になるという痛ましい事故がありました。実は、交通事故による死者数自体は減っています。昨年は3,694人と、統計データのある’48年以降で、最少記録を更新しました。しかし、昨年1月から11月までに死亡事故を起こしたドライバーを年齢別にみると、65歳以上が約3割を占めます。しかも、高齢ドライバーの割合は、年々増加傾向にあるのです(警察庁)」 こう語るのは、経済ジャーナリストの荻原博子さん。「うちの親は大丈夫かしら」と心配な人も多いのでは?家族が免許を自主返納するよう勧めても、それに応じない高齢者も多く、悩みの種だという声もよく聞く。そんな免許返納に抵抗のある人も、これなら受け入れやすいかも。荻原さんが高齢者の運転を見守る保険を解説してくれた。 「三井住友海上の『GK見守るクルマの保険』は、通信機能を持つ車載器と、スマホの専用アプリを用いて保険会社とデータをやりとりし、ドライバーの運転状況を見守るというものです。たとえば、急なハンドル操作や車のふらつき、また高速道路での逆走などがあれば、『逆走していませんか』などと警告します。事故の衝撃を感知したときは、保険会社からドライバーに電話が入り、安否確認と事故の初期対応などをサポートします。アラート情報や、運転を100点満点で評価した毎月のレポートは、本人だけでなく見守る側にも送られます。特に、親と離れて暮らす子ども世代には、親のふだんの運転状況がわかるので、安心できるのではないでしょうか。自動車保険の特約として付帯しますので、特約料は月300円。年払いだと、3,480円が保険料に上乗せされます」(荻原さん・以下同) ほかにも、同様の見守り自動車保険がある。 「損保ジャパン日本興亜の『DRIVING!』は、専用のドライブレコーダーを用います。ドライブレコーダーが運転データを記録し、車間距離が短くなるなど危険を察知すると、アラート音で警告します。事故の際は、自動的に保険会社に通報し、警備会社が駆け付けます。ドライブレコーダーには画像が記録されているので、証拠としても活用できます。特約料は、月850円。年払いだと9,720円です」 政府も、高齢ドライバーの交通事故削減に向けた取り組みを始めている。すでに昨年3月から、運転免許を更新する75歳以上の人への認知症テストを強化した。さらに「80歳以上のドライバーによる交通事故の死亡者数を、’20年には200人以下にする」という目標を立て、5年ごとに見直される「高齢社会対策大綱」のなかに盛り込む方針を固めた。’16年の死亡者数は266人。約25%の削減を目指す。 「交通事故は、被害者はもちろんですが、加害者とその家族の人生も変えてしまいます。心配だと思いますが、いきなり免許返納を勧めるより、今回紹介した保険への加入や、運転レポートなどをもとに、冷静に話し合うほうが賢明かもしれません」
2018年01月26日二世帯住宅の定義二世帯住宅と聞くと、おそらく「親世代と子世代が同居することのできる住宅」と想像されると思います。しかし正しくいえば、「長屋」と称されます(建築基準法)。長屋とは、1つの建物に独立した住戸が連なり、これらが「敷地の外に出られるような構造」を指します。一般的な長屋では、1階建てのものが多く、それぞれの住戸が直接道路に面するよう造られています。しかし二世帯住宅のような2階建てのものに至っては、専用の階段を設けて、外に出られるような構造をとります。これを「重層長屋」といいます。昔ながらのイメージがある長屋ですが、実は最近話題の「テラスハウス」なんかも、この長屋にあたります。二世帯住宅は、法律的な定義でいえば「重層長屋」と称しますが、建物の運用上、これを「二世帯住宅」と称しています。そんな二世帯住宅は、2種類に大別することができます。二世帯住宅の種類同居型完全同居型完全同居型は、キッチンやお風呂などの設備を共有する形のことをいいます。また設備のみにとどまらず、家計簿も一括管理するのが特徴的といえます。これにおけるメリットとしては、キッチンやお風呂などの設備を2つ用意する必要がないので、住宅取得費を安く抑えられることが挙げられます。しかし同時に、そこにプライバシーがないといったデメリットも存在します。部分同居型部分同居型は、キッチンやお風呂などを部分的に共有する形のことをいいます。完全同居型と比べ、まだ多少なりとも自由の効く点が特徴といえます。たとえば表札や郵便ポスト、玄関を別共有として、リビングなどそれ以外の部屋・設備は共有とする、などがこれにあたります。別居型完全分離型ともいえるでしょうか。それぞれの住空間を別に切り分ける形をいいます。そのため、プライバシーを保つことができます。居住自体は隣り合わせなので、いつでも顔を合わせることができます。近年、このスタイルの需要が高いです。また完全分離とまではいわずともリビングのみ共有するなど、別居型でも一部の居室をシェアするスタイルも、最近では需要が高いです。親世代(子世代)と応相談したうえで、建築士や担当営業マンと打ち合わせするようにしましょう。二世帯住宅のメリット・デメリットメリット・デメリット双方において、生活面や精神面においては上記でも挙げたように想像は容易です。ここでは、少し専門的なメリット・デメリットについてご紹介したいと思います。メリット税金を軽減できる【不動産取得税の場合】たとえば中古住宅を購入し、二世帯住宅にリフォームしたいとします。通常、物件を取得する場合には「不動産取得税」というものがかかります。もしこの物件が、床面積50㎡以上240㎡以下で居宅要件を満たす場合には、1,200万円が控除されます。しかし今回のような二世体住宅にリフォームする場合は、1,200万円ではなく、なんと『2,400万円』が控除されます。かなりおトクですね!【相続税の場合】二世帯住宅の場合、相続税の課税価格の計算の特例である「小規模宅地等の特例」の適用対象となります。これにより、被相続人が自己の名義の土地を同居している子が遺産分割を整えたうえで相続し、かつ相続税の申告期限までに居住と所有を継続するとこの特例が適用され、評価額を最大80%減額することができます。デメリット売却しにくい二世帯住宅は一般の住宅よりも特殊なため、どうしても売却が難しくなります。理由としては、「間取りが特殊な中古物件」であることが挙げられます。中古物件を求めている買手が、二世帯住宅を求めているとは限りませんし、一般の住宅と比べて間取りも特殊なので、通常より買手が見つかりにくいといえます。「二世帯住宅から一世帯住宅にリフォームする」といった考え方もありますが、もとよりリフォームによって設置した機能等を撤去することはこのうえなく、生産性がないといえるでしょう。これを行うには、膨大な費用がかかるためです。まとめ二世帯住宅におけるメリットは多くありますが、それに伴ったデメリットを無視することもできません。親世代・子世代ともにストレスのかからない生活を送るには、共有部分と専有部分とをしっかりと区別するなど、話し合いを重ねて居住スタイルを決めるのが良いでしょう。
2017年12月13日サービス付き高齢者向け住宅『そんぽの家・姪浜』(福岡市)の集会場。毎週水曜日は「脳を若返らせる『みつおか式脳若トレーニング』」の日。入居者は午前10時半から1時間、参加費300円で利用できる。 11月1日の参加者は11人。脳若コミュニケーター(講師)の指導の下、それぞれ手にしたiPadで「反射年齢」トレーニングに興じていた。画面中央に表示されたイラストの手で、落ちてくる棒をつかむゲームだが、落とさずキャッチする反応の速さで、反射年齢が出る。 会場内は和気あいあい。みんな楽しそうだ。その様子をトレーニングの開発者で、株式会社サムライト社長の光岡眞里さん(52)が、ほほ笑みながら見守っていた。身長153センチ、ショートカットがよく似合う。通る声で、滑舌よく、ハキハキと話す。 「男性の参加者が多いでしょう?iPadを巧みに操れることは、男性の自尊心をくすぐるみたいですね。男性やご夫婦での参加が多いのが、脳若の特徴のひとつです」(光岡さん・以下同) 光岡さんが独自に開発したみつおか式脳若トレーニング(以下・脳若)のプログラムは800種類以上。その日、どんなメニューで行うかは、参加者の顔ぶれを見て、講師が現場で、興味を引きそうなものを判断し、提供していく。 姪浜では、「反射年齢」のほか、講座開始時に覚えたキーワードを、終了時にみんなで復唱する「遅延記憶」、6分割画面に写真表示された卵やメガネなど、6つの物を記憶して、iPad上の黒板に指で文字を書いて答える「短期記憶」、体と脳を鍛える「BB体操」など、6種類のトレーニングが行われていた。 専用のアプリと教材がインストールされた端末を個人で購入することもできるが、光岡さんは、開発当初から、姪浜のような高齢者住宅や介護施設、自治体などが主催する認知症予防講座での導入に力を入れてきた。 「なぜなら、脳若は単なる脳トレゲームではないからです。大切なのは、ゲームではなく、iPadを通じたコミュニケーションなんですね。一人の部屋から、集会場に出てきて、みんなで会話したり、助け合いながらトレーニングをする。それが脳を若く保ついちばんの秘訣なんです」 日本の高齢化率は年々、上昇を続け、「2025年問題」が深刻に取り沙汰されるようになっている。団塊の世代が全員75歳以上になる’25年。厚労省の推計では、’15年に500万人だった認知症患者数が、’25年には最大730万人になるという。政府は、’25年に向けて、高齢者が住み慣れた地域で、最後まで暮らせる「地域包括ケア」の構築を目指している。それは、まさに光岡さんが脳若を通して、目指してきたものでもあった。 「脳若を通じて出会った高齢者たちの手で、地域のコミュニケーション作りが進んでいます。お互いに助け合い、元気を維持する輪が広がっているんです。高齢者が自主的に、しなやかに生きる。そのためのお手伝いをするのが脳若です」 光岡さんは元専業主婦。パソコンを覚えたのは、子育てが一段落して派遣会社に登録をした’01年からだ。 「当時は、起業なんて、まったく考えてもいませんでした。大学卒業後、田舎の堅実な会社に就職し、単純な経理の仕事だけして、2年弱で寿退社。それからずっと専業主婦。その経歴で、起業なんてありえないと思うのが普通でしょ」 派遣の仕事で、パソコンの使い方を覚えた光岡さんは、近くの公民館でパソコン教室を始めた。’03年のことである。そのとき集まった7人が、全員シニアだったため、最初からシニア向けの教室として定着。現在の脳若トレーニングの原点になっている。 「生徒さんたちと話すうちに、パソコンの操作技術はもちろんだけど、講師や仲間とまた会いたくなるような、楽しい教室を目指そうと考えるようになりました。『覚えたことを忘れてもいいんです。みんなでワイワイやりましょう』と、話していました」 テキストは、当時から、オリジナルの手作りだった。シニア生徒の反応を見ながら、わかりやすく、楽しめることを重視したテキスト作りの経験は、後の脳若の独自プログラムの基礎となっている。 ’05年ごろから、光岡さんは、ただパソコンを使うだけではなく、元気な高齢者を増やす「介護予防」にならないかと考えるようになる。きっかけは、教室で、70代の男性がいきなり立ち上がり、ズボンを下ろすという事件が起きたことだった。 「認知症の始まりでした。このことから、高齢者の尊厳を守りながら、認知症を予防できないか。そのためのツールを開発できないかと、真剣に考えるようになったんです」 ’06年、光岡さんは、女性起業家塾で経営を一から学び、’09年12月、資本金300万円で株式会社サムライトを立ち上げた。iPadの日本販売開始はその翌年の5月。 「これだ!と思いました。高齢者にはマウスの操作って、難しいんです。でも、iPadなら指で簡単に操作できる。高齢者も使いやすいと、飛びつきました(笑)」 こうしてiPadを使った認知症予防ツール「脳若」が誕生する。脳若の特徴は、なんといっても、受講者が楽しみながらできること。姪浜の講座でも、「ああ、できん!」と、頭を抱える受講者がいると、講師がすかさず声をかけていた。 「間違ってもいいんですよ。『あっ、間違えた』と思った瞬間、脳は活性化するといわれていますから」 失敗してもいい。できなくてもいい。ワイワイガヤガヤ、みんなで楽しく笑い合うことで、脳は若返る。短期記憶のトレーニングなどでも、答えが出てこない受講者がいたら、両隣の人が、ヒントを出して助け合うのが脳若だ。講師もヒントを出すことを積極的に勧めていた。 「どうやってヒントを出そうかと頭をひねるのも、すごい脳への刺激になるんですよ」
2017年11月19日「男性の参加者が多いでしょう?iPadを巧みに操れることは、男性の自尊心をくすぐるみたいですね。男性やご夫婦での参加が多いのが、脳若の特徴のひとつです」 そう語るのは、「脳を若返らせる『みつおか式脳若トレーニング』」の開発者で、株式会社サムライト社長の光岡眞里さん(52)。サービス付き高齢者向け住宅『そんぽの家・姪浜』(福岡市)の集会場。毎週水曜日は「脳を若返らせる『みつおか式脳若トレーニング』」の日。入居者は午前10時半から1時間、参加費300円で利用できる。 11月1日の参加者は11人。脳若コミュニケーター(講師)の指導の下、それぞれ手にしたiPadで「反射年齢」トレーニングに興じていた。画面中央に表示されたイラストの手で、落ちてくる棒をつかむゲームだが、落とさずキャッチする反応の速さで、反射年齢が出る。 会場内は和気あいあい。みんな楽しそうだ。光岡さんが独自に開発したみつおか式脳若トレーニング(以下・脳若)のプログラムは800種類以上。その日、どんなメニューで行うかは、参加者の顔ぶれを見て、講師が現場で、興味を引きそうなものを判断し、提供していく。 姪浜では、「反射年齢」のほか、講座開始時に覚えたキーワードを、終了時にみんなで復唱する「遅延記憶」、6分割画面に写真表示された卵やメガネなど、6つの物を記憶して、iPad上の黒板に指で文字を書いて答える「短期記憶」、体と脳を鍛える「BB体操」など、6種類のトレーニングが行われていた。 専用のアプリと教材がインストールされた端末を個人で購入することもできるが、光岡さんは、開発当初から、姪浜のような高齢者住宅や介護施設、自治体などが主催する認知症予防講座での導入に力を入れてきた。 「なぜなら、脳若は単なる脳トレゲームではないからです。大切なのは、ゲームではなく、iPadを通じたコミュニケーションなんですね。一人の部屋から、集会場に出てきて、みんなで会話したり、助け合いながらトレーニングをする。それが脳を若く保ついちばんの秘訣なんです」(光岡さん・以下同) 光岡さんは元専業主婦。パソコンを覚えたのは、子育てが一段落して派遣会社に登録をした’01年からだ。 「当時は、起業なんて、まったく考えてもいませんでした。大学卒業後、田舎の堅実な会社に就職し、単純な経理の仕事だけして、2年弱で寿退社。それからずっと専業主婦。その経歴で、起業なんてありえないと思うのが普通でしょ」 派遣の仕事で、パソコンの使い方を覚えた光岡さんは、近くの公民館でパソコン教室を始めた。’03年のことである。そのとき集まった7人が、全員シニアだったため、最初からシニア向けの教室として定着。現在の脳若トレーニングの原点になっている。 「生徒さんたちと話すうちに、パソコンの操作技術はもちろんだけど、講師や仲間とまた会いたくなるような、楽しい教室を目指そうと考えるようになりました。『覚えたことを忘れてもいいんです。みんなでワイワイやりましょう』と、話していました」 テキストは、当時から、オリジナルの手作りだった。シニア生徒の反応を見ながら、わかりやすく、楽しめることを重視したテキスト作りの経験は、後の脳若の独自プログラムの基礎となっている。 ’05年ごろから、光岡さんは、ただパソコンを使うだけではなく、元気な高齢者を増やす「介護予防」にならないかと考えるようになる。’06年、光岡さんは、女性起業家塾で経営を一から学び、’09年12月、資本金300万円で株式会社サムライトを立ち上げた。iPadの日本販売開始はその翌年の5月。 「これだ!と思いました。高齢者にはマウスの操作って、難しいんです。でも、iPadなら指で簡単に操作できる。高齢者も使いやすいと、飛びつきました(笑)」 こうしてiPadを使った認知症予防ツール「脳若」が誕生する。最近では、パソコン教室や介護事業者、地域コミュニティなどでも脳若講座を開くところが増え、受講者は、延べ2万人を超える勢いだ。なぜ、光岡さんはここまで頑張れるのだろう? 「なんとなくですが、77歳までは社会のなかで働いていたいという思いがあります。母は74歳まで、現役で保険の外交をしていましたから」 50代で運転免許を取り、外を回って、人と会い、家にいたことなどなかった母は、常に光岡さんの人生のお手本だった。 「母は90代になるまで元気で、新しいことにチャレンジするバイタリティのある人でした。’14年に、倒れたのですが、その前日までメールをしていましたからね」 脳梗塞だった。約1年半の闘病の末、昨年2月17日、92歳で亡くなった。入院して、まだ、意識があったときに、母が書いたメモ《大変だとおもいます。ありがとう》の写真を、光岡さんは携帯に大切に保存している。倒れた直後から、話すことも難しくなっていた母の直筆は、乱れてはいたが、最後まで、娘にメッセージを伝えようとする強い意志のこもった文字だった。 「まだ、元気なころ、母は『命をいただいて長生きするのは、それなりの使命があるから。あなたも、使命感を持って、世の中の役に立って、生きなさい。頑張りなさい』と、言っていましたね……」 光岡さんは、母から受け継いだ使命感に支えられ、今日も全国を駆け回る。 「脳若を通じて出会った高齢者たちの手で、地域のコミュニケーション作りが進んでいます。お互いに助け合い、元気を維持する輪が広がっているんです。高齢者が自主的に、しなやかに生きる。そのためのお手伝いをするのが脳若です」
2017年11月19日「最近、病院や介護事業所など、医療・福祉事業の倒産が増加しています。今年1〜9月には186件が倒産。昨年の同時期から20%増えています。これは介護保険法が施行された’00年以降、最多のペースです」 そう話すのは、経済ジャーナリストの荻原博子さん。また、昨年の介護事業の倒産は、一昨年より約42%増の108件と、過去最多を記録していた。今年も高止まりが続いており、2年連続100件超えの可能性も(東京商工リサーチ調べ)。その原因には3つが考えられるという。荻原さんが解説してくれた。 【1】「デイサービス」の事業所が乱立していたこと 「『デイサービス(通所介護)』は、利用者が事業所に通って介護を受けるものです。利用者宅で介護を行う『訪問介護』や、利用者が短期的に宿泊する『ショートステイ』と並んで、在宅介護を支える中心的サービスの1つです。事業として考えると、訪問介護はヘルパーの確保や管理がむずかしく、ショートステイは施設などに大きな初期投資が必要です。デイサービスは、比較的参入しやすいため、’15年には全国で約4万3,000カ所ありました。競合が多いため、経営基盤の弱い事業所の倒産が、まだしばらく続くでしょう」(荻原さん・以下同) 【2】需要の少ない地域に介護施設を建設していたこと 「’14年、地方自治体などが運営する『特別養護老人ホーム(以下・特養)』は入所待ちが約52万4,000人と発表され、大きな反響を呼びました(厚生労働省調べ)。その結果、民間施設の『有料老人ホーム』が増加。また、要介護度の軽い高齢者向けの『サービス付き高齢者住宅』は、’11年の制度開始から6年余りで約22万戸と急増しました(高齢者住宅推進機構調べ)。ところが今年3月、特養の入居待ちは約36万6,000人と減少(厚生労働省調べ)。’15年から入所の条件を要介護3以上に引き上げたことに加え、需要の少ない地域にも特養を作っていたことが要因です。そうした地域の有料老人ホームなどの経営も、やはり厳しく、倒産が増加しています」 【3】介護報酬の引き下げ 「介護事業者の受け取る報酬は法律で決まっていて、3年ごとに改定されます。前回’15年の改定で、介護サービスの単価が4.48%引き下げられました。収入の減少が、倒産の一因といえるでしょう」 ’15年に、有識者でつくる「日本創成会議」が、首都圏では’25年に介護施設が約13万人分不足すると推計。荻原さんは将来の介護に備えるため、こう提案する。 「地方移住なども含めて、どんな介護を受けるのかは、元気なうちに、自分で決めておきたいものです。これから親を介護するという方は、ご本人の意見をよく聞いておきましょう。情報集めのためには、たとえば、高齢者の話し相手や特技を生かした『介護ボランティア』などを行い、実際にさまざまな施設に行ってみるといいと思います。そこで働く介護福祉士さんから、パンフレットや見学会だけではわからない生の情報が得られます」
2017年10月27日