「ゆくゆくは舞台も経験してみたいと思っていたんですが、まさか俳優を始めてまだ1年経っていないなか、こんなにすぐ出ることになるとは思ってもみませんでした」ちょっと照れたように語る宮沢氷魚さん。出演するのは、演劇界を超えて注目を集める藤田貴大さんが作・演出を手がける『BOAT』。ボートで漂着する人々と、新たな土地を目指し出航する人々の物語。「藤田さんの稽古場は、僕がイメージしていたような舞台とはまったく違っていました。台本がなく、その場で作っていくこともですけれど、稽古の冒頭にみんなでボードゲームをやりだしたのにも驚きました。でも、普段使わない脳を使ったり、普段は動かさないような体の部位を稼働させたり、自分でも知らなかった自分の一面を発見することがあって、いまは稽古に行くのが楽しいです」普段はかなりの心配性。初ドラマの『コウノドリ』では、台本が手放せず、何十回も読み直したほど。「でも、今回に関しては不思議と不安がなくて、藤田さんについていけば大丈夫って思えるんです。稽古中、『15分考える時間ちょうだい』って言われる時があるんですけれど、どんな作品にするかで悩んでいるんじゃなく、どういう道筋をたどるのが一番効果的かを探っているだけ。藤田さんの頭の中には、すでに何か明確なものがあるのがわかるから、安心できているんだと思います」希望して足を踏み入れた俳優の道。「やればできるだろうくらいに考えていたけれど、実際やってみると、台本から気持ちを作る作業がとてつもなく難しい。役のことが全然わからなくて、しんどい時期もありました。でも、嫌だと思ったことはなくて、その苦しさが逆に癖になる…楽しくなってきています(笑)」そんな宮沢さんの突破口になったのは、ドラマの撮影で考えすぎモードになっていた時、台本から離れようとなにげなく入った老舗の喫茶店。「お客さんは普段は接点が全然ないようなオジさんとか、夜のお仕事の女性たち。さりげなく見ていたら、話している内容や行動、顔の表情まで、全部が興味深くて。台本に向かっているだけじゃわからない、日常生活の中から得られる気づきって意外と多いんだなって思いました」いまは、稽古終わりに共演者と食事に行き、作品から離れて他愛のない話をする時間も大切にしている。「藤田さんの舞台って観る人によって捉え方も変わるし、感じ方も全然違ったりする。でも、それでいいと思うし、作品の芯にあるものはブレずに届くと信じているんですよね」7月16日(月)~26日(木)池袋・東京芸術劇場 プレイハウス作・演出/藤田貴大出演/宮沢氷魚、青柳いづみ、豊田エリー、中嶋朋子ほかS席5500円A席4500円(共に税込み)ほか東京芸術劇場ボックスオフィス TEL:0570・010・296 AD:名久井直子撮影:井上佐由紀みやざわ・ひお1994年、アメリカ生まれ、東京育ち。モデルとして活躍する傍ら、昨年より俳優の活動をスタート。近作にドラマ『トドメの接吻』『R134/湘南の約束』。※『anan』2018年7月18日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・森上マリコインタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2018年07月17日今、注目の女の子を紹介する『anan』で連載中の「イットガール」。今回は女優の木竜麻生さんです。映画初主演は“女力士”役。新体操経験が役に立ちました!デビューのきっかけは14歳の時のスカウト。でも、大学に入学して上京するまでは学業を優先させたそう。「大学では近代文学を学びました。本を読むのが好きなんです」。公開中の映画『菊とギロチン』では初主演を務める。「大正時代に実在した、女相撲興行の力士役。相撲は初体験でしたが、子供の頃新体操をやっていたからか、股割りはすんなりできました(笑)。映画を観るのは大好きなので、ひとつでも多くの作品に関わりたい。自分が携わった作品が誰かの心に残ったら、幸せだなって思います」ふとした時に読み返す谷川俊太郎さんの本。子供の頃から絵本で親しんでいました。ひとつひとつの言葉が響きます。外出する時はフィルムカメラは必携。風景や人を撮ります。おじいちゃんのお下がりなど、中古のカメラを愛用。甥っ子&実家の犬が私の元気の源。この子たちの写真を見ると癒されて、頑張ろうって活力が湧くんです!きりゅう・まい1994年生まれ。’14年に映画『まほろ駅前狂騒曲』でデビュー。自身初の写真集『Mai』が6月に発売されたばかり。11月公開の映画『鈴木家の嘘』にヒロインとして出演。※『anan』2018年7月18日号より。写真・土佐麻理子文・間宮寧子(by anan編集部)
2018年07月16日初めて『銀魂』ワールドに入り、新キャラを演じた三浦春馬さん。『銀魂2』から新たに登場した、真選組の伊東鴨太郎を演じる。大ヒットした映画のパート2から参加することに対して、プレッシャーはあったのだろうか。映画への思いを伺いました。「なかったです、全然(笑)。もちろん、福田組(福田雄一監督)は初めてですから緊張感はありましたけれど、でも長らく福田監督から“一緒に仕事がしたい”とお声がけをいただいていたので、やっと参加できるという喜びのほうが大きかったです。しかも、真ん中にいるのは小栗旬さん。僕は小栗さんと一緒だったらいつどんな作品でも参加したいと思っているので、そこも嬉しかった。そして、いただいた鴨太郎という役柄も、すごく魅力的でやりがいのあるキャラクターで。今まで、彼のようなヒールはあまりやったことがなかったので、いろんな意味で、モチベーション高く、現場に臨むことができました」福田組の現場の清々しさは、まるで部活のようだった?!そんな期待高まる状態で入った福田組は、予想を上回る楽しさだったそう。「なんか、部活に通ってるみたいな現場でした。清々しくて、毎日気持ちよく終わって、美味しくごはんが食べられる感じ。福田さんは、演出方法はもちろん、ちょっと気がついたことなども、すべてきちんと提示してくれる。全部が直球勝負なんですね。だからなにか悩んだとしても、それをちゃんと現場で解決できる。題材がコメディということもあるとは思いますが、コメディ要素が一切ない役を演じている僕でさえ、考え込んだり、悶々とすることがまったくなかった。本当に明るい現場で、楽しかったです」撮影時、印象に残っているエピソードを聞くと、「いっぱいあるんだけどなぁ…」と考え込みながら、共演者の話をしてくれた。「柳楽(優弥)くんと共演できたのは、感慨深かった。同じ子役出身で、僕が高校の後輩なんです。お互いにまったく違う個性を持つ役者だと思われながら、二人とも芸歴が20年近くになって、今の共演。殺陣練習の初日にお手合わせしたとき、僕らは驚くほど息が合って、間合いや距離感をすり合わせる時間がまったく必要なかった。本当に気持ちいい時間でした。同じ作品に出られたこと、心から感謝してます。あとは、(中村)勘九郎さんと一対一で演技ができたことも印象的でした。それこそ、息遣いが聞こえるような距離感で、きっと人間国宝になるであろう人の芝居をまじまじと観せてもらうって、最大のエンターテインメントですよね。普段めったに見られない、値段のつけられないような陶器を見ているような、そんなありがたみがありました。ネタバレになるから詳しくは言えないですが、クライマックスに向かってのシーンの撮影は、本当に最高で、忘れられない時間です」今回は、シリアスな役どころだった三浦さん。みんなが楽しくコメディを演じているのは、羨ましくなかった?「コメディは好きですが…。この映画は万事屋3トップをはじめ、芸達者な人ばっかりじゃないですか。そこで僕がどんなに笑いの要素を出したって敵わない(笑)。でも、コメディ自体は大好きなので、違う福田作品でお願いできると嬉しいです(苦笑)」みうら・はるま俳優。1990年生まれ。公開待機作に、『SUNNY 強い気持ち・強い愛』(8/31)、『アイネクライネナハトムジーク』『こんな夜更けにバナナかよ』が。シャツ¥30,000パンツ¥27,000(共にアクネ ストゥディオズ/アクネ ストゥディオズ アオヤマTEL:03・6418・9923)シューズ¥69,000(ジャンヴィト ロッシ/ジャンヴィト ロッシ ジャパンTEL:03・3403・5564)その他はスタイリスト私物『銀魂2 掟は破るためにこそある』 ’17年、邦画実写映画No.1の人気を誇った作品の第2弾。もちろん監督は1作目に引き続き福田雄一氏。原作マンガの、“真選組動乱篇”と“将軍接待篇”をミックスしたストーリー。8月17日より全国ロードショー。※『anan』2018年7月18日号より。写真・酒井貴生(aosora)スタイリスト・澤田石和寛(SEPT)ヘア&メイク・佐鳥麻子(by anan編集部)
2018年07月16日ゲラゲラ笑えるし、でもカッコよさもちゃんとあり、そしてクライマックスでは思わずホロリとさせられて…。前作の映画『銀魂』のヒットの秘密を福田雄一監督が語ります。――まず、1作目の大ヒットの感想をお聞かせください。福田:僕的には、いろんなことのバランスが整ったことがヒットの理由だと思っています。適度に笑え、適度にカッコよく。そのミックス具合が良かったのではないでしょうか。僕自身は、“かっこよくて面白い”という価値観が大好きなんです。ベタなんですが、刑事ドラマでいうなら『あぶない刑事』的な、“すげぇカッコいいんだけど、すげぇ笑える”っていうのが、本当に好きで。『銀魂』も、まさにそれなんですよね。カッコいい男が出てきて、カッコいいことだけをやるのは、『銀魂』ではない。その『銀魂』の世界観と、僕の好きな“カッコよさと笑い”というバランスが、本当に奇跡のようにピタッときた。僕自身で分析をするなら、そこだったのでは、と思います。――他の福田監督の作品に比べると、笑いの部分で、“絶妙のラインまで行って、戻ってくる”という押し引きが、非常に気持ち良かったです。福田:確かにそこは結構気をつけた部分かもしれません。割と僕は今まで、ギャグ色が濃い作品を手がけているんですが、『銀魂』に関しては、もっと広い層にお届けしたいという気持ちがあったので、自分の笑いというか、“福田テイスト”をガシガシと出しすぎないようにしたっていうのはありますね。自分の好きな笑いで押してみては、原作に戻る、みたいな押し引きを、無意識にやっていたような気がします。――ということは、福田節100%全開ではない、ということ?福田:はい、特に笑いに関してはそう。なので2作目をやるなら、今度はギャグ一辺倒でやろうと思っていたんです。――ちょっと笑い足りなかったかな?くらいの気分だったんですか?福田:というか、1作目を撮っているときに本当に楽しくて、その中で万事屋の3人と、次は僕の好きな笑い…僕はよくそれを“僕の悪いエキス”って言い方をするんですが(笑)、それがバンバン出ている感じの『銀魂』を撮りたいねって話をしてて、実はそのつもりでプロジェクトを進めてたんです。ところが、1作目を観たお客さんの反応を見ると、「バランスが良くて面白かった」という声と、それと「すごい笑えた」と言ってくれる人が多くて。僕ら的には、1作目はちょっと笑いのブレンドが少なかったんじゃないかと思っていたんですが、それで笑えたと言ってくれるのであれば、これ以上笑いを増やす必要はないのかも?と思い…。やっぱり『銀魂』は、笑いとカッコよさと、そしてちょっと感動、みたいな、エンタメの王道として作るべきなんじゃないかと考えを改めたんです。クランク・インの4か月くらい前に(笑)。そこからはいろいろと地獄でしたけれど、でも撮影自体はやっぱり本当に面白く。今回も素晴らしい作品になったと思います(笑)。1作目のとき、小栗くん率いる万事屋は、どちらかというとシリアスなシーンが多かったんですが、今回は“僕の悪いエキス”がほとばしっているようなシーンも多々あるので、そういう意味では、小栗くん、菅田くん、環奈ちゃんら3人の、“ギャグやりたい欲”も満たされたのでは、と思います(笑)。――映画にとって、特にマンガ原作モノに関しては、キャスティングというのも非常に大きなウェイトを占める要素です。福田監督は、キャスティングに関しては何を重視されましたか?福田:全員「この役はこの人しかいない!」というところでお願いをしています。マンガ原作映画においての一番の禁じ手は、「合わないかもしれないけれど、人気あるから呼んでおこう」ってヤツです。それをやるから、“じゃない感”が強くなっちゃう。キャスティングの段階で、「あ、これじゃないのに」っていうのが1つあるだけで、作品自体が大変なことになっちゃうわけで…。そういう意味では、基本は、僕が好きな役者さんのみをキャスティングしています。その“好き”というのは、なんだろうなぁ…、役者さんご本人の、“素の部分”に興味が持てる、そこが面白そうな人に惹かれるんですよね。僕は、演技が上手いとか、この役が良かったとかより、その演技の向こうにある“本人”を推察してしまうというか。例えば今回、河上万斉役で出てくれた窪田正孝くんの場合、ドラマ『僕たちがやりました』で、結構いろんなタイプの演技を披露しているのを見たのがきっかけなんです。そこで、“こんな声色出せるんだ”とか“こんな台詞の言い回しするんだ”など、そういう彼の断片が集まって、その結果、もしかしたら彼の素は、こんな人なんじゃないか、というのを想像し、その姿が、万斉とかぶるところがあったんですね。また(三浦)春馬くんに関しては、彼とはガッツリ仕事はしたことはなかったんですが、交友関係はあって。その中で、彼の持つナイーブさと、伊東鴨太郎の本質的な部分がつながった。この2人に関しては、もう最初から心の中で決めてましたね。ふくだ・ゆういち映画監督、脚本家、演出家。代表作にドラマ『勇者ヨシヒコ』シリーズ、映画『HK/変態仮面』シリーズ、『50回目のファーストキス』など。『銀魂2 掟は破るためにこそある』 ’17年、邦画実写映画No.1の人気を誇った作品の第2弾。もちろん監督は1作目に引き続き福田雄一氏。原作マンガの、“真選組動乱篇”と“将軍接待篇”をミックスしたストーリー。8月17日より全国ロードショー。※『anan』2018年7月18日号より。写真・内山めぐみ(by anan編集部)
2018年07月15日ドラマ『アオイホノオ』で福田組(福田雄一監督)を経験、以降役者として幅が格段に広がったと評判の、柳楽優弥さんに『銀魂2』への思いを話していただきました。前作に続きメガホンをとった福田監督が作る笑いに関して聞いてみると…。「演出が、新しいなぁって思います。ハリウッド映画みたいな、オーバーリアクションな演技をしても違和感がないんだけれど、そこになんか落語のような、日本的なオチがある笑いの取り方をする側面もあって。そのハイブリッド感がとても新鮮です。今まで日本映画ではタブーとされていた演技のシチュエーションアプローチが、福田組だとアリになる。そこで演技ができるのは、とても光栄なことだと思っています。福田組に入る前は、コメディとはほぼ接点がない自分だったのが、今じゃ“面白いって何なんだろう”とか、考え始めるようになって、我ながらびっくり。とはいえ、コメディを演じている自分を見ると、まだまだ“もっとこうできたんじゃないのかなぁ”とか思うので、難しいですけどね」『銀魂2』の制作決定を聞いたときの感想を聞くと、満面の笑みで、「めっちゃ嬉しかったです」と柳楽さん。「しかも僕、今回、1作目に比べてまあまあ出番が増えているので、そこも嬉しかった。ただ土方と、土方なんだけどオタクキャラの“トッシー”という2つの役を演じているので、楽しみなんだけど、同じくらい緊張感がありまして。やったぁ~と浮足立たないで、ちゃんとやろうと気を引き締めました(笑)。僕は上手い演技をしてウケを取れるタイプの役者ではないから、面白いキャラクターを真面目にやるってことしかできない。なので特に、今回はそれに徹しています」ビジュアルがハマることが、実写化映画成功の大きなカギ。マンガ原作の実写映画の成功のカギの一つに、役者のビジュアルがハマるかどうかがある、と柳楽さんは言う。「演出とかももちろんあると思いますが、役者サイドからすると、原作ファンも多い場合、特にビジュアルがハマっていないと厳しいな、と思います。真選組は衣装もカッコいいから、ビシッと似合ってなくちゃいけない。僕も原作モノをいくつかやりましたが、衣装を着たとき、我ながら似合ってると興奮しますし、逆に“これ、ちょっとハマってねぇなぁ”というときは、寄せるなりなんなり、カバーしなきゃいけないなって思いますね。だから、吉沢亮くんとかムカつきますよねぇ、なんでこんなハマってんだよって(笑)。今回は、トッシーの衣装のほうが僕は好きかなぁ。真選組はカッコよすぎちゃって無理(笑)。でもぜひ観てくださる方には、2つのキャラを楽しんでほしいです。そういうの、“ギャップ萌え”っていうんですよね?なので、これは柳楽のギャップ萌え映画だと思って観ていただけると(笑)。あとは、とにかく全員カッコいいので、誰がカッコいいか、女子同士でそんな話をするのも楽しいと思います。僕自身が映画を観に行くとき、“俳優の誰々がカッコいいから観たい”って理由で、作品を選ぶことも多い。なので、そんなノリで気軽に観に来てください」【マイ・ヒット映画】『タイタイニック』超メジャーで出演俳優も物語の展開も信頼できる、ド直球のエンタメ作品が好きという柳楽さん。「世界的大成功映画の規模に圧倒されたいときに観ます(笑)。結構定期的に観てます。このときのディカプリオが最高にカッコよくて…。こういう規模の映画、めっちゃ出たい。誰か出してください(笑)」やぎら・ゆうや俳優。1990年生まれ。映画をメインに、ドラマや舞台で活躍中。9月に時代劇映画『散り椿』、来年は『夜明け』『ザ・ファブル』と、出演映画が目白押し。チェックブルゾン¥30,000シャツ¥29,000Tシャツ¥8,500パンツ¥28,000(以上MYne/SosuTEL:03・5775・7941)ブーツ¥24,000(Dr.martens/ドクターマーチン・エアウエア ジャパンTEL:03・5428・4981)『銀魂2 掟は破るためにこそある』 ’17年、邦画実写映画No.1の人気を誇った作品の第2弾。もちろん監督は1作目に引き続き福田雄一氏。原作マンガの、“真選組動乱篇”と“将軍接待篇”をミックスしたストーリー。8月17日より全国ロードショー。※『anan』2018年7月18日号より。写真・酒井貴生(aosora)スタイリスト・澤田石和寛(SEPT)ヘア&メイク・佐鳥麻子(by anan編集部)
2018年07月15日短編映画とも呼ばれる、上映時間の短いショートフィルム。日本ではあまり認知されていないジャンルながら、実は、欧米では映画祭が行われたり商業として確立されているほど人気なのです!ここでは、ショートフィルムに心奪われ、自身で映画祭を主宰する俳優の別所哲也さんに、その魅力や楽しみ方について聞きました。おすすめの3作品にも注目です!別所哲也さんがショートフィルムと出合ったのは、仕事でアメリカと日本を行き来していた1997年の秋だという。「俳優という仕事柄もあって、ショートフィルムを上映するパーティによく呼ばれていたんです。当時は短編作品にいいイメージがなかったのですが、ある日、友だちに誘われて行ってみたところ、そこで観た10本のショートフィルムの面白さに衝撃を受けました。短いだけじゃなく、これまで観たことのない映像の未来地図のような面白い表現に釘付けになったんです。しかも、当時はパソコンのウィンドウズ95が発売されたばかりの頃で、ハリウッドでは“動画配信の時代がくる”と話題になっていたタイミングでもありました。そんな、ネット上で映画や映像が見られる時代に主役となるのはショートフィルムだといわれるのを聞き、実際に映画祭などで熱い視線が注がれているのを見て、これは面白いと思ったんです。でも、当時の日本ではショートフィルムが話題になることはおろか、観られる機会もありませんでした。面白い世界なのにもったいないと思い、そこで、『ショートショートフィルムフェスティバル』を立ち上げることにしたんです」ショートフィルムの最大の特徴は、当然ながら上映時間が短いということ。でも、そこに良さやメリットが集中しているという。「ショートフィルムは、規定の長さというものがありません。そうした時間のしがらみから取り払われたところに、面白さがあると思うんです。というのは、長編作品の場合は、“興行にのせるためには最低70分ないといけない”というように、ビジネス上の理由で不必要に作品の時間を延ばしたり、いらない要素を盛り込む場合がある。でも、短編の場合にはその必要がなく、だからこそ、映画の本質や監督の表現スタイル、こだわりがしっかりと伝わってきます」そうして、監督が高い自由度で作れるということが、バリエーション豊かな作品を生むことにもつながっている。「観る人の好みに、シャープに近づく作品がたくさん存在します。それに、時間が短い分だけ予算も少なくて済むことから若手作家にも開かれていて、新しい感覚を持った作品を見つけやすい。また、アルゼンチンやポルトガルなど、普段はなかなか目にすることのない、世界中の作品と出合いやすいことも魅力のひとつです」今の時代はショートフィルムを観るのに便利だと別所さん。「インターネットで検索するだけでもさまざまな作品が観られるので、自宅などで手軽に楽しんでほしいですね。映画を観るために2時間を割くことは大変かもしれないけれど、ショートフィルムは短いですから。10分という時間でも、作品を味わい、何かを感じ取ることができますよ。おそらく、ショートフィルムの世界はこれからさらに、進化を遂げていくと思います。実際、カット割りが必要のないVRの作品が登場したことで、作品を手がけるクリエイターの種類も変わってきています。そういった、実験的で新しい手法が次から次へと入ってくることも、ショートフィルムの面白さの一つだと思います。今後の展開は、僕も楽しみにしています」『スーパーマン、スパイダーマン、バットマン』甘えん坊のアーロンが、父親と一緒にバスに乗ってとある目的地へと向かうというハートウォーミングな物語。タイトルにヒーローたちの名前が連なっている意味を考えつつ観賞を。監督は、トランシルバニア国際映画祭の設立者であるTudor Giurgiu。上映時間15分。「ブリリア ショートショートシアターオンライン」で視聴可。『ミッドナイト・オブ・マイ・ライフ』若くして亡くなった、実在するイギリスのアーティスト、スティーブ・マリオットを描いた作品。映画『ホビット』やドラマ『シャーロック』に出演している一流俳優のマーティン・フリーマンが主演を務めたことでも話題となった。音楽好きはチェック。「ブリリア ショートショートシアターオンライン」で視聴可。『シェイクスピア・イン・トーキョー』兄の仕事に同行して初来日したダウン症のベン。自分のことをかまってくれない兄から逃れるように東京探検に出かけるが、シェイクスピアの知識や持ち前のユーモアで人の心を掴んでいく。監督はオーストラリア人のジュネヴィエーヴ・クレイ・スミス。「ショートショートフィルムフェスティバル&アジア」のHPで視聴可能。べっしょ・てつや俳優。「ショートショートフィルムフェスティバル&アジア」代表。『J-WAVE TOKYO MORNING RADIO』のナビゲーターを担当。※『anan』2018年7月18日号より。取材、文・重信 綾(by anan編集部)
2018年07月15日『銀魂2』で1作目に引き続き、主人公の坂田銀時を演じた小栗旬さん。作品への愛を語っていただきました。福田雄一監督との仕事で、新しい自分の可能性を知った。小栗さんにとって、『銀魂』という映画は、ターニングポイントになった作品なのだろうか。「どうでしょうか…。もう少し未来になってみないとわからないですけれど、ここまでしっかり築いてきたキャリアを1回ぶち壊すことになった映画だとは思いますよ(笑)。俺ねぇ、結構真面目にやってきた俳優なんですけれど、福田雄一という人に出会っちゃって、こんなところに落とし穴があったとは…。『銀魂』やるまでは、ほとんど仕事したことなかったですし、福田さん、俺のこと苦手って言ってたらしいのに、一昨年から一番多く一緒に仕事をしている監督になっちゃって。ホント、不思議なめぐり合わせだと思います。同じ世界にいても、別の線路を走ってる感じだったんですけどね。とはいえ、もともと僕はコメディは好きなので、福田さんとの仕事で、笑いに関する振り切りとか、自分の新たな可能性を見せてもらえたのは、嬉しかったですね。ただそれが、真面目に作っている作品に活かせるかどうかはよくわからないですけれども(笑)」万事屋の菅田将暉さんと橋本環奈さんとのチームワークは、今作ももちろんぴったり。撮影中はもちろん、取材などで顔を合わせた場合でも、おしゃべりがまったく止まらないとの噂。「菅田くんはとても敏感な男で、様々なことに突っ込まずにいられないタイプなんですよね。環奈ちゃんは、世代が違うせいかもしれないけれど、不思議なエンジンを載せてる感じがする(笑)。二人とも、“僕たちは小栗家の長男長女だ”って言ってくれるくらい、僕になついてくれていて。さすがに子供じゃなくて、弟と妹だろって思いますが、すごくいい距離感です。他の真選組の男の子たちとかは、20代後半が多かったりするんですけれど、彼らが悩んでいることなんかを聞くと、自分がかつて悩んでいたのと同じことを考えていたりするんですよ。そこを越えると、また一つ違ったところにいけるんだよ、とか、ちょっとお兄さんのように思ってみたり…。そういう気持ちは、ちょっと新鮮ではありましたね」1年半ぶりに演じた坂田銀時。久しぶりに再会し、改めて好きだな、と思ったところはあったかと聞くと…。「いい加減なところは好きです。あと、ぐうたらなところも…というか、そこは自分に似てますね。あの、銀ちゃんって、高田純次さんみたいじゃないですか。実は僕の一番の憧れって、高田さんなんですよ。抜群じゃないですか、あのいい加減さと、それなのに人の目を奪う感じ。銀ちゃんもそれに近いところがある。僕も30年後の理想はそこですね。あのくらいの年になったら、いい加減なことばっかり言ってたいです(笑)。今回の『銀魂2』では、1作目以上に万事屋は笑いに寄った部分が多くて、カッコいい真選組の男たちに茶々を入れてるだけ、みたいな感じなんですが(笑)、でもそれでいてお話的にはグッときちゃうところもあると思うので、たくさん出てくる男前を堪能しに、ぜひ劇場に足を運んでくださると嬉しいです」おぐり・しゅん俳優。1982年生まれ、東京都出身。大河ドラマ『西郷どん』(NHK)に坂本龍馬役で出演中。9月14日に出演映画『響-HIBIKI-』が公開。衣装はすべてスタイリスト私物『銀魂2 掟は破るためにこそある』 ’17年、邦画実写映画No.1の人気を誇った作品の第2弾。もちろん監督は1作目に引き続き福田雄一氏。原作マンガの、“真選組動乱篇”と“将軍接待篇”をミックスしたストーリー。8月17日より全国ロードショー。※『anan』2018年7月18日号より。写真・酒井貴生(aosora)スタイリスト・臼井 崇(THYMON Inc.)ヘア&メイク・SHIGE(by anan編集部)
2018年07月15日日本だけでなく世界からも注目度の高い実力派映画監督を、映画ライターのよしひろまさみちさんがレクチャー。個性あふれる作風はもちろん、おすすめの作品もあわせてチェックして。たくさんの日本人映画監督が活躍するなか、今回、よしひろまさみちさんがピックアップした方々に共通しているのは、「0から1を生み出すことができる」監督であるということ。「是枝裕和監督もそうですが、原作や脚本を自身で手がけている、作家としての力がある監督を挙げました。動画がこれだけ身近になった今、1を100にできる人はいくらでもいるし、今の日本映画は原作ものばかりというのもその証拠。でも、0から物語を生み出すことができる人は少なく、今後、間違いなく活躍していくと思います。また、もうひとつ共通しているのが、高い演出力を持っていること。“自分がどんな絵を撮りたいか”ということがちゃんと見えていて、俳優に演技をまかせずちゃんと導き、ときには俳優の殻を破らせることができる。そういう、きちんとした映画作りができる方ばかりです」(映画ライター・よしひろまさみちさん)ここでは、監督たちのプロフィールや、今までの作品の特徴、よしひろさんが推薦する観るべき作品を紹介。今のうちに勉強を!入江 悠娯楽エンタメ作品が得意。若手の育成にも尽力中。「日本大学藝術学部の映画学科出身という、ザ・映画畑の人。新人監督の登竜門といわれていた『ゆうばり国際ファンタスティック映画祭』に出品をしていた頃から作風は変わらず、ずっと、“ど・エンターテインメント”を撮っています。世間に認められたのは『SR サイタマノラッパー』という作品でしたが、面白いだけじゃなく、話を展開させていく手法が本当にうまい。人物に語らせることが多く、作品を観ていると“脚本が好きなのね”ということが伝わってきます。『22年目の告白-私が殺人犯です-』は、そんな監督のスキルが結実した娯楽エンターテインメント作品であると同時に、“商業映画もリメイクも撮れる”ということを知らしめました。映画以外にもWOWOWの『連続ドラマW』を撮るなどフレキシブルに活動しているし、ワークショップを開催して若手の育成も行っているよう。38歳という若さにして、この幅広い活躍は素晴らしいです!」『SR サイタマノラッパー』(’09)ニートラッパーのIKKUやブロッコリーラッパーのMIGHTYなど、サイタマ県の片田舎で不器用にラッパーを目指す青年たちの、どこか哀しく、可笑しな日々を描く。呉 美保偏見などの鋭いテーマを高い演出力で表現。「大阪芸術大学を卒業していて、山下敦弘監督や寺内康太郎監督など、新時代の映画畑の人たちが同期にいます。彼女にとって初めての商業映画監督作品となった『酒井家のしあわせ』では、原作と脚本も手がけており、その力量も評価される理由のひとつ。また、巨匠・大林宣彦監督のもとで働いていたという経歴の持ち主でもあるんです。実験的要素のある作品を撮ったりと新しいことに取り組みながらも、メッセージ性の強い商業的な作品を作り上げる大林監督のもとで学んだことが、演出面などさまざまな部分で生きているのを感じます。『そこのみにて光輝く』や『きみはいい子』のように、虐待やネグレクト、いじめなどの社会問題に光を当て、差別や偏見に対する鋭いテーマをぶっこんでいることが特徴のひとつ。ちなみに、近年では『マイナビ』をはじめ、さまざまなCMを撮っているので、知らないうちに作品を目にしている人も多いかもしれません」『きみはいい子』(’15)学級崩壊させてしまう教師や、親から虐待を受け、自身も子どもを虐待してしまう母親、家族を失い孤独に暮らしている老人。彼らが葛藤しながらも生きる姿を映す。白石和彌今、脂が乗ってます!鬼畜な作品に魅了される。「いちばん脂が乗っている監督の一人だと思います。今、ほとんど絶滅しかけている日本の映画畑で育った人であり、昔の日本映画を観ているような気持ちになれる作品が多い。監督ご本人はとても優しい方ですが、『凶悪』をはじめ、作るものはどれも鬼畜!(笑)今年に公開されて話題となっている『孤狼の血』も、いきなり養豚場でのリンチシーンから始まるなど、とにかく怖い。バイオレンス全開で広島が舞台の極道ものであることから、“『仁義なき戦い』の現代版”と称されるほどです。また、『彼女がその名を知らない鳥たち』では、蒼井優さんや阿部サダヲさん、松坂桃李さんなど、出演する俳優陣が殻を破っていたのを感じました。それは、白石さんの監督としての力が発揮された証拠だと思います。ちなみに、彼は若松孝二監督のプロダクションにいた人で、次回作は若松さん亡きあと初めてとなる若松組の新作『止められるか、俺たちを』。そちらも楽しみです」『彼女がその名を知らない鳥たち』(’17)15歳年上の佐野と生活を共にする十和子は、彼を嫌いながらも稼ぎに依存している。ある日、思いを引きずっている元彼に似た妻子持ちの男と出会い、情事に溺れていく。よしひろまさみちさんオネエ系映画ライター、編集者。小誌などの雑誌で記事を執筆する傍ら、『スッキリ』(日本テレビ系)などのTV番組に出演したりと幅広く活動中。※『anan』2018年7月18日号より。取材、文・重信 綾写真・Getty Images、Shutterstock/アフロ(by anan編集部)
2018年07月14日圧倒的な存在感、演技力、そして迫力を持つ男、香川照之さん。しかしここ数年、俳優としてではなく、なぜか“おもしろ昆虫おじさん”としての側面が妙にクローズアップされており…。今回のインタビューも、虫の話で盛り上がりました。――すっかり昆虫マニアのイメージが定着しましたが、ご本人としてはそのあたり、どう思ってらっしゃるんですか?香川:嬉しいですよ(笑)。昆虫に関しては、本当に好きだし、なんの苦もなく話もできるので、キャラを作る必要もありません。そもそも、堂々と虫捕りできるってこと自体がありがたいじゃないですか。だって、いい大人が一人で公園で網振り回していたら、怪しさしかないですから。なので、番組で久しぶりに網振りをやらせてもらったときには、「うわぁ、やっぱり虫捕りって楽しいな!」って盛り上がっちゃいました。――大人世代は、ドラマや映画、舞台で活躍する香川さんを存じていますけれども、昆虫のテレビ番組でしか見ていない子どもにとっては、“カマキリ先生”でしかなかったりもしますよね?香川:そうみたいですね(笑)。友達が、ドラマに出ている僕のことを、「ほら、カマキリ先生だよ」って子どもに教えたらしいんだけど、泣いて否定したらしいんです。「違う、この人はカマキリ先生じゃない!!」って(笑)。結局、別人ってことで片付けたみたいですけどね。――もう本当に何度も聞かれていることと思うのですが、そもそもなぜ昆虫、しかもカマキリに、そこまで夢中になられたのですか?きっかけなどを教えていただけると…。香川:子どものときは、他の子よりちょっと虫が好き、という程度だったと思うんですよ。でも僕の世代だと、みんな普通に虫捕りとかしてましたから、特別にどうってこともなかったと思うんですけれど。でも言われてみれば、確かに夏休みとか、虫捕りしかしてなかったかもな…。――昆虫を捕るのが好きだったんですか?それとも飼うのが好きだったのでしょうか?香川:まず、捕まえるのが好きでした。今まで自由に飛んでたり、歩いていたりする昆虫を、瞬時に捕まえるあの快感を味わうのが好きです。網の中に虫が入ったときのあの羽音とか、たまらないんですよ。で、そのあと、そのボディをちゃんと手に取って、じっと眺めるのも好きでした。その感じって、僕が好きなカマキリの生態にも通じるところがあって。――とは?香川:カマキリって、昆虫の世界では、圧倒的なパワーがあるんです。さっきまでカマキリの前にいたはずのバッタとかを、ガッツリ手で掴んでバクバク食べていく。その、勝者と敗者の違いを見るのが好きだったんですよね。顔がなくなって、脚がなくなって、体がなくなって。最後は触覚と羽と、脚の先っぽくらいしか残らない。しかもバリバリとかバキッとか、獰猛な音もする。それを見て、“これが生命をひとつつなぐために生命をひとつ殺すことなんだな”って感慨深くなったりしたものです。――捕まえたカマキリを水槽などに入れて、観察されていたってことですか?香川:正確に言うと、飼うことには興味はないんです。生態は見たいんですけど、本能的に暮らしている生態が見たいので、カゴとかに閉じ込めるってことは、昆虫側には“逃げられない”というストレスがかかってしまう。それって昆虫の精神状態を戦時下に置くのと同じになってしまい、普通の行動はとれなくなるんです。でもこっちは、ごく普通の一日を見たいわけだから、飼うのはちょっと違う。だから小さい頃は、庭に5か所くらいポイントを作って、カマキリを放し飼いにして、毎日餌をやりながら、動向を見てました。“お前は見られてないと思っているかもしれないけど、僕は見てるぞ…”みたいな、遠くからのぞき見する感じですね。でも、人だってそうでしょ?誰かに見られてるって思うと若干視線を意識した行動をとるけれど、完全に一人だと、変な癖が出たりするじゃないですか?!それを遠くから望遠鏡で見る、みたいな感じですよ。それが、おもしろいんです。――対象物から距離をおいて、観察することが好きなんですね。香川:昔から“本当が知りたい”ってすごく思うんですよ。自分の眼力と心の力で見つけ出す“本当はこうなんだ”っていうのを掘り下げていくのが好きですね。それは昆虫だけではなく、あらゆることに対して、そうかもしれません。――ちなみに、先ほどのカマキリの観察は、おいくつくらいまでやってたんですか?香川:二十歳過ぎまで、普通にやってましたよ?かがわ・てるゆき1965年生まれ、東京都出身。’89年、NHK大河ドラマ『春日局』の小早川秀秋役で俳優デビュー。その後ドラマ、’90年代後半から映画でも活躍し、実力派俳優として高い評価を得る中、’13年にドラマ『半沢直樹』の大和田常務役を好演。昆虫に造詣が深く、『香川照之の昆虫すごいぜ!』(NHK Eテレ)も人気。7月13日~10月8日、国立科学博物館で開催される特別展「昆虫」のオフィシャルサポーターを香川さんが務める。世界で1点しかない貴重な標本から、この展覧会のために発見された新種の昆虫など、なかなか見られない標本や映像を展示。なかには、宝石のように美しい色みや、想像を絶する驚きの形の昆虫もいて、思わずうっとりすること間違いなし。ジャケット¥59,000(CIRCORO 1901)シャツ¥23,000(Giannetto)ベスト¥28,000(L.B.M. 1911)以上トヨダトレーディング プレスルーム TEL:03・5350・5567その他はスタイリスト私物※『anan』2018年7月18日号より。写真・内田紘倫(The VOICE)スタイリスト・藤井享子(by anan編集部)
2018年07月11日世界中の猫を愛する人々が集結するお祭りに、大の猫好き・知英さんが潜入。ベルギーのイーペルで1938年から続く「猫祭り」。魔女狩りが行われた14世紀、疑いをかけられた街の人たちが嫌疑を晴らすため、魔女の使いと信じられていた猫を投げて殺してしまったという。暗い過去を忘れず、猫を悼むために始まった行事が、今ではパレードが行われるなど楽しいイベントに。そんな猫好きを熱狂させるお祭りに、知英さんが行ってきた!「子どもからおじいちゃんまで、参加者のアツい猫愛を感じました。猫の仮装をした人たちとコミュニケーションをとるのが楽しく、気がつくと、流れている音楽に合わせて踊っていました(笑)。猫への愛を開放できるお祭りなので、猫好きな人に行ってほしい!街で猫探しをするのも面白いですよ」猫愛を開放できるアツ~いお祭りです!・お祭りのクライマックスには、赤と白の服を着た道化師が繊維会館の鐘楼から黒猫のぬいぐるみを落とす儀式が行われる。・約10分のあいだに30個のかわいい猫のぬいぐるみが宙を舞う…!・お祭りの前日から街には猫の仮装をした人たちが溢れている。「子どもたちが本当にかわいい」ジヨン1994年1月18日生まれ。女優。『とにかくネコが好き!!~知英がベルギーネコ祭りに行ってみた~』が7/15の22:00~、AbemaTVで放送される。主演映画『私の人生なのに』が、7/14から公開。※『anan』2018年7月4日号より。文・重信 綾(by anan編集部)
2018年07月03日今、注目の女の子を紹介する『anan』で連載中の「イットガール」。今回は女優の新音さんです。モデルの母からの英才教育で、13歳ながらプロ意識を発揮!5歳のときに観た洋画で女優に憧れ、夢が実現。2019年公開の映画『まく子』の撮影を終えたそう。「大物俳優さんたちとの共演は緊張したけどすごく楽しかった!温泉地で肌がつるつるになりました(笑)」と、堂々としながら無邪気な一面も。負けず嫌いな性格だそうで、「オーディションでかわいい子がいるとやる気が出ます。一番になりたい!」。今後挑戦したいのは、「泣く演技です。移動中のバスの中でも練習をしてるんです。アクションや悪役、本来の自分に近い強気な役も演じてみたいな」。ヴィンテージTシャツのコレクション。インスタやネットでもTシャツを頻繁にチェックしています!ネットフリックスで海外ドラマを観賞。『ストレンジャー・シングス』にハマり中。友達との間でも話題に。バドミントン部で練習頑張ってます!体を動かすのが大好き!部活の先輩とも仲良しで本当に楽しいです!にのん2004年生まれ。RADWIMPS『狭心症』のMVに出演し、デビュー。2019年、映画出演2作目となる『まく子』が公開予定。※『anan』2018年7月4日号より。写真・土佐麻理子文・松下侑衣花(by anan編集部)
2018年07月03日大原櫻子さんの最新アルバム『Enjoy』は、まさに夏に聴きたいアルバム。「久しぶりにはっちゃけたアルバムを作りたくて」という彼女の言葉通り、ポップで踊れて盛り上がれるサマーチューンがキラキラと流れてくる。「私は歌よりも先にダンスをはじめ、長く親しんできたので、ライブでみんなと一緒に踊れる曲を作りたいなーと思っていました。完成したものを聴き、タイトルの『Enjoy』通りの世界が作れたと思います。それとラストの曲『Joy & Joy』は、今までの私の作品にはない洋楽風の曲。私のイメージとはだいぶ違う曲だったので、チャレンジでもあり、大事な作品になりました」去年の作品は21歳になった彼女の心境を反映して、しっとりしたミディアムバラードが多かった。しかし本作で聴かせてくれるアクティブなパフォーマンスには、大原さんの新たなトライアルを感じるはず。「アルバムが発売される翌日から全国ツアーがはじまるので、ライブで皆さんをどんなふうにのせようか、いま考えています。前回までのライブは、歌詞を伝えることを大事にしてきたけど、今年は激しくいきますよ。汗をかいて体で楽しんで、さあエンジョイしようぜ、って(笑)」シングル『さよなら』で大原さん初の失恋ソングを提供した、いきものがかりの水野良樹の新曲や、彼女自身が歌詞を手がけた「いとしのギーモ」など新しい名曲も生まれた。「いろんな表情を見せられる色とりどりの一枚。新しい私の一面を感じてもらえたらうれしいな」レコーディング前は、舞台公演と映画撮影が数か月続き、すべて終わってからアルバム制作に入った。映画は太平洋戦争中の物語、舞台はレズビアンの役、とかなりシビアな役柄でもあった。「役者のときは音楽には全くノータッチです。役者の仕事はある種、闇に入るというか孤独な作業なので、音楽とは気持ちが全然違うんですよね。終わったらリセットする時間を持たないと、音楽に入れない感じなんです。でも芝居でセリフを大事にするように、歌の言葉も伝えることを常に考えていますし、ひとりで集中して聴かせる生のライブで培った度胸は、演技にもすごく生きています。その両方が揃ってこその私、だと思っています」おおはら・さくらこ映画『カノジョは嘘を愛しすぎてる』のヒロインに選ばれ、女優&シンガーとして2013年にデビュー。7月20日まで全国ツアー中。9月15日から舞台『メタルマクベス』の再演に出演予定。3rd Album『Enjoy』【初回限定盤A CD+DVD】¥4,500「ツキアカリ」など14曲収録。特典DVDにはMVほか、貴重なフォトセッション映像などを収録。【初回限定盤B CD+BOOKLET】¥4,000【通常盤CD】¥3,000(Victor Entertainment)※『anan』2018年7月4日号より。写真・小笠原真紀文・北條尚子(by anan編集部)
2018年07月02日最新映画を様々な角度からディープに切り取り、発信する情報バラエティ番組『ムビふぁぼ』。MCを務めるのは、人気声優の内田真礼さんと、注目の若手俳優、健太郎さん。仕事帰りにふとテレビをつけた時、気楽に見られる楽しい番組にしたい。――二人のMCは笑いが多くて楽しそうです。初対面だったんですか?内田:そうなんです。お会いするまでは硬派な方だと思って緊張していたんですが、話し始めたらこんなにイケメンなのにノリがよくて。私のコメントにもちゃんと突っ込んでくれるので、これはいける!と最初から攻めていきました(笑)。健太郎:実は僕、人見知りなんですが、内田さんが初対面の時にものすごい笑顔で登場されたので、すっと心が開けたんです。――MC経験は豊富ですか?内田:MCの経験は少ないですね、普段は声優同士の仕事が多いので、俳優さんと話す機会も少ないんです。今回、新しいチャレンジに飛び込んでみました。健太郎:僕は物心ついた時から、しょっちゅう映画が流れている環境にいて映画好きになったので、オファーをもらった時はうれしかったですね。アニメも大好きだから、声優さんとご一緒できるのも楽しみで。内田さんは声が本当にキレイ。タイトルコールの「ムビふぁぼ」も内田さんの声なんですよ。内田:声優としてお芝居をしている時は気持ちをぶつけて戦っていくような感覚なんですが、この番組のMCはラフにできてすごく心地いい。映画の新情報まで知れるし、私自身どんどん映画が好きになってます。前回の収録のあと、23時ぐらいからレイトショー観に行っちゃいました。健太郎:そうそう、僕たちがワイプに映っている時にも、実は音声を拾って流しているのを後で知りまして。内田:そう、オンエア見て、声入ってる!って。それで2回目からはワイプ中でしゃべりだしてね(笑)。健太郎:そんなラフな感じもまた気持ちがいいんです。視聴者のみなさんにとっても、仕事から帰ってきてふとテレビをつけた時にラクな気持ちで見られる番組になるといいです。内田:あともう1つ、健太郎さんが出演する映画も取り上げるので、健太郎さんの役者の顔とMCの素の顔、Wの魅力を堪能できると思います!健太郎:これ、見出しにしてください!(笑)うちだ・まあや1989年12月27日生まれ、声優、女優、歌手。2012年に放送された『中二病でも恋がしたい!』の小鳥遊六花役でブレイク。以降、人気声優として活躍する。現在「Magic Number」ツアー2018の真っ最中。けんたろう1997年6月30日生まれ、俳優。ドラマ『昼顔~平日午後3時の恋人たち~』で役者デビュー。9月公開予定の映画『コーヒーが冷めないうちに』に出演。8月1~8日に「GALLERY BY PARCO」にて写真集『G 健太郎』写真展が開催決定。最新映画の魅力を、内田真礼さん、健太郎さんの明るく軽快なトークで掘り下げる『ムビふぁぼ』は、毎月1回TBSにて放送中。次回は7月16日(月)24:58~25:28。民放公式テレビポータルアプリTVerでも配信。※『anan』2018年6月27日号より。写真・内山めぐみスタイリスト・陶山沙織(内田さん)Yoppy(Juice/健太郎さん)ヘア&メイク・井原結衣(フリンジ/内田さん)島 徹郎(Juice/健太郎さん)取材、文・若山あや(by anan編集部)
2018年06月23日昨年上演され、読売演劇大賞の優秀作品賞や最優秀演出家賞などを受賞した二兎社の舞台『ザ・空気』。報道の現場を舞台に、世の中に蔓延する“自粛”や“忖度”といった奇妙な空気の正体に迫ったこの作品。その第2弾となる『ザ・空気ver.2』の舞台は官邸記者クラブだ。世をザワつかせた傑作の第2弾。官邸記者クラブを覆う“空気”を描く。「前作を観た時、世に流れるニュースの信憑性について考えさせられましたし、あらためて恐ろしさを感じてゾワゾワしました。今回は、記者ならば本来、重視しなければいけない“ある問題”が発覚するけれど、タイミング的に記者クラブでようやく総理のインタビューが実現しそうという状況で、さてどうするかという物語。現場を知らない僕らの視点では、当たり前に思えることが記者クラブの慣例ではそうではなかったり、いろんな問題提起を含んでいて、観終わった後に持ち帰って考えられる作品になっていると思います」眞島秀和さんの役柄は、リベラル系の新聞社の政治部キャップ。「周りとのバランスをとろうと“空気を読む”キャラクターです。記者クラブには保守系の記者もいて、それぞれの社風や立場の違いから右往左往する。その人間の様が、引いた目線で見ると滑稽に感じられたりもする。松尾(貴史)さん演じるベテランが、柳下(大)さん演じる若手に、自らの信念を滔々と語る場面があるんですが、話の内容はシリアスなのに、聞いていると、おかしくて仕方なかったりするんですよ」眞島さんは、「現場がスムーズに進むにはどうしたらいいかを考える」典型的な空気を読むタイプとか。「自分の芝居をこうしたいとか、作品をこんなふうにしていきたいなんて、自分にはおこがましいというか。…本当に薄っぺらい人間なんですよ(笑)。あまり趣味もありませんし。ただ、やっぱり仕事が生きがいになっているところがあって、監督や演出家のアイデアを形にする一助を担いたいという思いはある。今回も、永井さんの考える世界観をきちんと体現していきたいと思っています」二兎社公演42『ザ・空気ver.2誰も書いてはならぬ』報道各社の政治部が入居する国会記者会館。大手新聞社のエリート記者たちが出入りする官邸記者クラブで、ある出来事が発覚。その公表を巡り、抜き差しならない状況に陥り…。6月23日(土)~7月16日(月)池袋・東京芸術劇場 シアターイースト作・演出/永井愛出演/安田成美、眞島秀和、馬渕英里何、柳下大、松尾貴史一般6000円25歳以下割引3000円(要証明書)*すべて税込み二兎社TEL:03・3991・8872(月~金曜10:00~18:00)地方公演も。ましま・ひでかず1976年11月13日生まれ。山形県出身。惜しまれつつ最終回を迎えたドラマ『おっさんずラブ』で演じた武川主任役が話題に。現在、ドラマ『ダブル・ファンタジー』(WOWOW)が放送中。※『anan』2018年6月27日号より。写真・小笠原真紀インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2018年06月22日舞台『フリー・コミティッド』は、NYにある四つ星の超人気レストランを舞台にした一人芝居。主人公のサムは売れない俳優で、その店の予約係。彼の働く地下の事務所に、金持ちの夫人や日本人観光客などからの予約の電話と、支配人やカリスマシェフ、ドミニカ人コックらからの内線が引っ切りなしにかかってくる。なんとサムに加え、電話の相手37役もひとりで演じることになるが、「問題なのは38役じゃないんです」と成河さん。ひとりで38役を演じ分ける!?都会の生きづらさを描いた喜劇。「いろんな人種のいろんな立場の人が登場するんですが、それぞれの人の訛やしゃべり方を特徴的に描いていて、それを見て笑うっていう構造の芝居なんですよね。ただ、それを日本でやってわかるのか、面白いのかという問題があります。たとえやれたとしても、芸人さんの“あるある”のモノマネ芸になってしまうのは本意じゃない。でも、戯曲を何度か読み込んでいくうちに、その根底にあるテーマに気づいて、それで引き受けさせていただきました」そのテーマとは、“多くの情報が交錯する大都会で、自分で選ぶことがいかに大変か”ということ。「都会って、人の要求に振り回されすぎて、自分が一体何を望んで何を選択したらいいか、見えなくなってしまうことが往々にしてある。作者のベッキーさんはテレビ出身の脚本家ですから、都会に生きる人のジレンマをけっして難しくなく、すごく上手に描いていると思います」演出は、これまで俳優同士としても共演経験の多い千葉哲也さん。「千葉さんがすごいのは、役者の時と演出をやる時の動機が変わらないこと。よく『コミュニケーションに興味があるんだ』とおっしゃるんですが、だからこそ役者同士だと、ものすごく面倒くさい(笑)。でも演出家としては、役者が気になること全部を丁寧にすくいとってくれるんです。この間の稽古では、僕がサムを、千葉さんが他の37人を演じてくれました。お互いの脳味噌と技術を持ち寄って、一緒にこの作品を作り上げている感じが面白いです」今回上演する劇場は、客席数が約200。観たいと思った時に誰もが気軽に立ち寄れる、そんな小劇場空間も大切にしたい、と話す。「学生時代はパンクバンドをやっていたんですが、高校の文化祭でお芝居をやることになって、それが初めての演劇体験でした。その時に味わった、観客が舞台に集中した時の一瞬の静寂…それにシビれてしまった。僕は、いまもその瞬間を求めて、演劇を続けているようなものです」『フリー・コミティッド』超人気レストランの地下の事務所では、俳優のサムが予約係を務めている。責任者のボブの出社がトラブルで遅れ、次々とかかってくる電話にひとりで応対することになるが…。6月28日(木)~7月22日(日)渋谷・DDD 青山クロスシアター作/ベッキー・モード翻訳/常田景子演出/千葉哲也出演/成河全席指定6900円(税込み)チケットスペースTEL:03・3234・9999ソンハ1981年生まれ。東京都出身。舞台を中心に活動し、’11年に読売演劇大賞優秀男優賞を受賞。近年はドラマ『マッサン』など映像にも出演。映画『チワワちゃん』は来年公開。※『anan』2018年6月27日号より。写真・内山めぐみインタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2018年06月21日今、注目の女の子を紹介する『anan』で連載中の「イットガール」。今回は女優の吉田美月喜さんです。カラダを動かすこと、表現することが大好き!凛とした瞳が印象的な15歳。昨年夏にスカウトされ、早くもCMやPVで活躍中。「オーディションも少しは慣れたけど、まだ緊張を隠すのに必死です(笑)。広瀬すずさんや永野芽郁さんなど、かわいさと芯の強さを兼ね備えた方に憧れます。いつかは私も、唯一無二の存在だと思われる女優になりたい」。運動が好きで、一時はバスケとテニス、バレエを同時にやっていたこともあるとか。「仕事を始めてやめてしまったけど、根性は身についたかな。今も学校の休み時間は、校庭で遊びます」食べたいものは我慢せず食べちゃう!食べることが本当に大好きで…特にお肉に目がありません。漫画を読むのが至福の時間!母から譲り受けたものもあります。いつか実写版作品に出てみたい!小さな頃からサンリオが好き。身の回りのものはサンリオだらけ!ピューロランドにもよく行きます。よしだ・みづき2003年生まれ。花王「リセッシュ」のCMやYahoo!映像トピックスオリジナル番組・お部屋コメディー『女子高生と武将』、坂本真綾のPVなどに出演。※『anan』2018年6月13日号より。写真・土佐麻理子文・間宮寧子(by anan編集部)
2018年06月12日ここ数年、最もテレビでブレイクした落語家と言っても過言ではない、立川志らくさん。’16年に『ひるおび!』のコメンテーターに抜擢されて以来、様々な番組から引っ張りだこ。――2年前、ワイドショーのコメンテーターになられたとき、「落語家の方が?!」と正直驚きました。どんなきっかけで、テレビに出ることになったのですか?志らく:実は、事務所を自ら移籍したんです。テレビ出演の機会を探して。――ということは、テレビにお出になりたかったんでしょうか?志らく:ううん、ずっとテレビには出たくなかった。20代の頃は出てたんですよ、深夜番組も持ってましたし。自分で言うのもなんですが、すごく人気もあったんです。でもその結果、来る仕事はレポーターとかばっかりで、落語の会をやれば客席は10代の女の子だらけ。アンケートを見れば「落語の筋はわからなかったけど、着物の柄は素敵でした」みたいなことが書いてある。なんか、途中で不愉快になっちゃったんですよ。自分は落語をやるためにこの世界に入ったのに、なんだよこれはって。それでもうテレビには魂を売らないと決めて、テレビは辞める宣言をしたんです。もし『笑点』のオファーが来たって、断ってましたね。――それがなぜ、こんなにテレビに出るように?志らく:’11年に亡くなった、師匠・立川談志の、「なんで志らくはもっと売れないんだ」という言葉があったから、ですかね。もっと自分が世間的に売れている人間だったら、談志は喜んだだろうし、もっと私に売れてほしかったんだということに、師匠が死んでから気がついた。そういうのって、だいたい死んでからわかるんですよ。思い出してみると確かに、昔私がテレビに出ていたとき、師匠は嬉しそうだった。それで、自分ももう50代半ば、テレビに出られるチャンスもここ5年から10年くらいしかないだろうから、ラストチャンスのつもりで事務所を移籍して。――師匠である、故立川談志さんは、落語に詳しくない人でもその名を知っている、偉大な落語家です。なぜ談志さんに弟子入りを?志らく:私は大学時代に落語家になろうと決めたんですが、当時の談志はまだ40代で、私はもっと年上の、名人と呼ばれる人たちの落語のほうが好きでした。でも生で談志の芸を見たときに衝撃を受けて。落語が面白く、また造詣が深く、そして何より愛がとても深い。私が追い求めていた“名人”が年を重ねて亡くなっていく中で、談志からは“名人になる匂い”が出ていた。それで、もう一人の私の師匠である放送作家の高田文夫先生にご紹介いただいて、弟子にしてもらうことになったんです。――今でも、心のどこかに、師匠に喜んでほしい、という気持ちはあるんでしょうか?志らく:ありますよ。ネットなんかに、「志らくはテレビばっかり出てないで、もっと落語の稽古しろ。天国で談志が泣いてるぞ」とか書かれたりしますが、今師匠が生きていたら、「志らくはテレビで遊んでるんだよ。このくらいのことやるに決まってるだろう」って、ニコニコ笑いながら言ってくれるに違いない。談志が泣くわけないだろって思ってます(笑)。――師匠と弟子って、恋愛とも友情とも違う、特別の間柄だと思うんです。あえて言葉にするとしたら、何なんでしょうか?志らく:恋愛感情に近いのですよ、やっぱり。でも、異性への気持ちだと、そこに見た目とか他の要素が入ってくるじゃないですか。「顔がかわいいから好き」とかね。でも師匠に対して、「二の腕がたまらないから憧れる」とか、絶対ないじゃないですか(笑)。なんでしょうね、もっと純な部分で惚れるというか。そして、好きな人のそばにいたいから、弟子入りするわけ。もちろん長く一緒にいると、恋人や夫婦と同じように、師匠と弟子の間柄も“情”になり、「師匠のところに顔を出すのは三月(みつき)にいっぺんでいいや」となっちゃうもんなんですけれど、私はそうならなかった。死ぬまでずっと思いが冷めなかった。だからこそ、いろんなことを教えてくれたと思うし、最後までかわいがってくれたんだと思ってます。もし自分にもこういう弟子がいたら、すぐ二つ目にしてあげるのにねぇ(笑)。――志らくさんが、最後まで談志さんに恋愛感情を持てた、つまりは気持ちが“情”に変わらなかったのは、なぜでしょうか?志らく:それは、うちの師匠がずっと進化し続けていたから。普通は50代半ばくらいから“守りの芸”になるもんなんです。そこからは老いていくだけ。長く見続けている客はそれを、「味がある」とか「いぶし銀の芸だ」とか言って、ノスタルジーを含めて評価するけれど、落語を知らない若い客からしたら、それはおじいさんの独り言にしか聞こえないんですよ。でも談志は、死ぬまで進化し続けていた。写実主義だったのが印象派になって、私が入門した頃はゴッホ、その後はピカソになった。死ぬ前は一筆書きみたいになっちゃったけれど、常に“今やる落語が最も面白い”人だった。だから私はずっと恋い焦がれていたんだと思います。――ご自身も、落語家としては変化し続けていきたいですか?志らく:もちろん。だから今テレビに出て受けている刺激は、とても貴重だと思ってます。落語家にとっては、経験値こそが大事ですから。ただ、ピカソみたいになろうとは思いません。苦悩しすぎるのはイヤですからね(笑)。たてかわ・しらく1963年生まれ、東京都出身。’85年、立川談志に入門。’88年に二つ目、’95年に真打ちに昇進。舞台演出家、脚本家、映画解説者としても活躍。テレビ『ひるおび!』(TBS系)の午前の部に、レギュラー出演中。主宰する劇団・下町ダニーローズの最新公演『人形島同窓会』(下北沢 小劇場B1)は6月7日(木)~17日(日)。5月25日(金)公開の山田洋次監督の最新作『妻よ薔薇のように家族はつらいよIII』に、刑事の役で出演中。今回のテーマは“主婦への讃歌”。嫌みばかり言う夫の言葉に、妻の怒りが爆発し家出!!そんな家族の大騒動を描く。出演は橋爪功、吉行和子、西村まさ彦、夏川結衣、中嶋朋子、林家正蔵、妻夫木聡、蒼井優ら。※『anan』2018年5月30日号より。写真・内田紘倫(The VOICE)インタビュー、文・河野友紀(by anan編集部)
2018年05月29日スポーツマン一家で育ち、本人も学生時代、プロテニス選手を目指していた工藤阿須加さん。好青年のイメージが強いですが、放送中の『未解決の女』で刑事を演じるなど、役者としての幅を広げつつあります。注目俳優・工藤阿須加さんとカメラマン・熊谷直子さんの出会いが生んだときめきの瞬間。熊谷:工藤さんには爽やかな印象がある。だからこそ、“じゃない”工藤さんを見たかった。それで、クラシカルな喫茶店の黄色い明かりの中で、しっとり撮影したかったんです。工藤:今回、熊谷さんから「たそがれて」と指示があり、ひとりでこうした空間にいた時の感情や匂いを記憶の引き出しから出してみました。熊谷:撮影が始まったらすぐスイッチが入り、元気で明るい工藤さんから色気が出てきて。工藤:色気がないと自覚してるので意外!色気は僕の課題ですが、無理に出そうとして出るものではないので、年を重ねるごとに、自然と深みや色気が滲み出てくる男になりたいですね。熊谷:もう、これまでの経験が色気という魅力として表れてますよ。それと、目がすごくきれい。吸い込まれそうでした。まなざしが汚れてないのは、心が美しいから。工藤:それは、目の色素が薄いだけです(笑)。熊谷:こちらの懐にすっと入ってきてくれて、どの現場でも愛されるだろうなとも思いました。工藤:僕、人が好きなんです。中古の一眼レフで写真を撮っているのですが、その対象も人ばかり。僕が撮られる時に「キメ顔で」と言われると、ないのですごく困る。だから、撮る時は、何気ない一瞬を収めたくて、隠し撮りっぽくすることも。写真には、話しただけじゃわからない、その人自身が強く出るので、すごく面白いですね。熊谷:写真には、撮影する人自身の内面も投影されるといわれています。いつか工藤さんが撮影した写真を見てみたいなあ。工藤:いつかお見せできるといいですね。くどう・あすか1991年8月1日生まれ。埼玉県出身。2012年、俳優デビュー。出演作に『家売るオンナ』『海月姫』など。現在、ドラマ『未解決の女』に出演中。ガウン¥37,000シャツ¥27,000パンツ¥23,000(以上ステュディオス×08サーカス/ステュディオス 原宿本店TEL:03・6712・5980)その他はスタイリスト私物くまがい・なおこパリで写真や芸術を学ぶ。ポートレートを中心に活動し、『月刊 二階堂ふみ』、杉咲花の『ユートピア』などの撮影を担当。自身の写真集に『赤い河』がある。※『anan』2018年5月30日号より。スタイリスト・壽村太一ヘア&メイク・勇見勝彦(THYMON Inc.)取材、文・小泉咲子(by anan編集部)
2018年05月26日大人気アイドルグループ・超特急のメンバーとして活躍しながら、俳優としてもメキメキ頭角を現している小笠原海さん。ドラマ『アンナチュラル』での自然体の演技は、記憶に新しいところです。注目俳優・小笠原海さんとカメラマン・佐野方美さんの出会いが生んだときめきの瞬間。小笠原:屋上での撮影、すっごく気持ちよかったです!佐野:最初から屋上で撮りたかったんですよ。男の子が高い場所にいると、青春ぽさとかやんちゃ感が出るので、小笠原さんに合うんじゃないかと思って。小笠原:高いところ、大好き!天気もすごく良かったし、ついついはしゃいじゃいました。後ろに足がちょこんと出ているカットなんて、ただの子供みたいですもんね(笑)。佐野:これ、すごくいい瞬間!もともとクールな顔立ちなのに、ノリノリで登ってる。そのギャップに、女子はキュンときます。小笠原:ただ楽しくて遊んでただけなんですけどね(笑)。本名の“小笠原海”で撮られる時は、どちらかというとほんとうの自分に近いんです。とくに今日は、僕そのものって感じで、素がまんま出ちゃいました。佐野:小笠原さんは、初対面の人にもオープンマインドですよね。何も説明しないまま始めたのに、すっと雰囲気に馴染んでくれて。小笠原:そういえば「登って」くらいしか指示がなかったですね(笑)。初めての方と作品を作るのも好きなんですよ。知らない自分が引き出されて、世界が広がるんです。とくに煽った角度のカットに、新鮮な僕がいました。佐野:顔の輪郭が美しいから、煽りがいがありました(笑)。横顔もきれい。日本人には難しい角度なのに、あまりに素敵だからたくさん撮っちゃいました。次は、きっちりメイクした“カイ”さんを撮ってみたい。小笠原:ぜひ、お願いします!実は、佐野さんが超特急を撮ったらどうだろうって思ってたんです。バッキバキのメイクで再会しましょう(笑)。おがさわら・かい1994年9月27日生まれ。神奈川県出身。メインダンサー&バックボーカルグループ・超特急のメンバー。出演作は映画『東京喰種 トーキョーグール』など。衣装はスタイリスト私物さの・まさみKiKi所属。水原希子、玉城ティナなどのフォトブックのほか、ファッションブランドカタログ、MVを多数手がける。昨年、自身の初写真集『SLASH』を発表。※『anan』2018年5月30日号より。スタイリスト・小林 新(UM)ヘア&メイク・堤 紗也香取材、文・小泉咲子(by anan編集部)
2018年05月26日まもなく公開の映画『OVER DRIVE』では自動車競技・ラリーのドライバー役を演じている北村匠海さん。劇中でも印象的なのは、ヘルメットのシールドから覗く、吸い込まれそうなほどに大きな瞳。注目俳優・北村匠海さんとカメラマン・草野庸子さんの出会いが生んだときめきの瞬間。草野:写真を撮っている時も、本当に瞳がきれいだなって。北村:本当ですか?昔はコンプレックスに感じる時もあって…。写真を撮られてる時は演技はしません。やりたいようにやるというか、あくまで自然体です。そのカメラの機種だったら、こんなふうに写るかなって想像してみたり。草野:北村さんも写真を撮ってるんですよね。だからだと思うんですけど、“今いいな”と思うポイントでちゃんとカメラを見てくれるので、すごくやりやすくて。北村:写真を始めてから、撮られる側に立った時、“今こういうの求めてるのかな”ってことがわかるようになりました(笑)。草野:木陰で撮った写真なんか、まさにそう。北村:あれは、あそこだけに木漏れ日がパーンと差していて、すごくきれいでしたよね。草野:何も言わなくてもこちらの意図を汲んで、自ら座ってくれて。北村:しゃがんだら葉っぱがいい感じに顔にかかるかなと。僕がカメラマンだったら、その画を撮りたいかもって思ったんです。草野:私は被写体の視線の動きについていって無言で撮るタイプなので、「どうしましょう?」ってなる方もいるんですが、北村さんは喋らずとも疎通がスムーズ!北村:僕も撮る側の時は、被写体に「やりたいようにやってください」って言うことが多いんです。草野:撮る側と撮られる側、そのタイミングがカチッてハマると、やっぱり写真って面白い!ってなりませんか?(笑)北村:わかります(笑)。しかも今日、草野さんが使っていたフィルムカメラ、僕も持っていて。草野:これ、いいですよね。北村:僕もフィルムのほうが好きなので仕上がりが余計楽しみです。きたむら・たくみ1997年11月3日生まれ。東京都出身。俳優、音楽ユニット「DISH//」リーダー。出演映画『OVER DRIVE』は6月1日、『春待つ僕ら』は今冬公開予定。ジャケット¥42,000パンツ¥29,000(共にコノロジカ/HEMT PRTEL:03・6721・0882)その他はスタイリスト私物くさの・ようこ1993年生まれ。桑沢デザイン研究所卒。「第37回写真新世紀」で佐内正史氏選出による優秀賞を受賞。写真集『EVERYTHING IS TEMPORARY』が発売中。※『anan』2018年5月30日号より。スタイリスト・鴇田晋哉ヘア&メイク・佐鳥麻子取材、文・菅野綾子(by anan編集部)
2018年05月25日連続テレビ小説『ひよっこ』の三男(みつお)役など、その高い演技力で注目を集める泉澤祐希さん。この日は、下北沢・本多劇場での公演後、カメラマンの前康輔さんと合流。注目俳優・泉澤祐希さんとカメラマン・前康輔さんの出会いが生んだときめきの瞬間。泉澤:あまり街の中で撮られる経験がなかったので楽しかったです。前:最初にご挨拶した時に、写真が苦手でポーズが取れないっておっしゃっていたじゃないですか。泉澤:そうなんです。自由にやってって言われると、どうしていいのかわからなくて…。前:役柄があったほうがいいだろうと思って、衣装の雰囲気から直感的にチンピラっぽい感じでやっていただくことにしました。泉澤:普段演じるのは、真面目な役が多いので新鮮でしたね。前:だって… 24 歳という若さで、真面目一辺倒なわけがない(笑)。ただ、だからといって、いきなりラフな素の一面を出せと言われても、できないとは思うんですが。泉澤:ばれてますか(笑)。確かに、そこまで真面目ではないし、たまに変なことをしたくなるし。前:写真って正直なんで、撮っていると、何となくだけど、どういう人なのかわかるんです。(撮った写真を見返しながら)撮り始めは、まだ俺に気を許していない感じがありますよね。こっちはわかってて、あえてそれを撮ろうとしていたんですけれど。泉澤:最初は緊張しましたが、前さんが遊んでいるような雰囲気を作ってくださるので助かりました。前:俺、適当な感じですからね。泉澤:僕もわりと適当なんで、ちょうどよかったです(笑)。前:こちらが言うと、サッとその通りの気持ちになってくれて、こんなにカメラの前で素直に演じてくれるんだって思いました。撮っていて思ったのは、泉澤さんって、繊細でシャイで正直な人なんだろうなと。俺の勝手な見解ですけど。泉澤:本当はすごい恥ずかしがり屋で人見知りなんです。前:そのシャイで繊細で正直なところが、女性には魅力的に映るんだろうと思います。いずみさわ・ゆうき1993年6月11日生まれ。千葉県出身。俳優。出演作に映画『サバイバルファミリー』などが。現在、ドラマ『記憶』がフジテレビNEXTほかで放送中。シャツ¥32,000パンツ¥53,000(共にTAAKK/Sian PRTEL:03・6662・5525)シューズ¥59,000(SOLOVIERE/TOMORROWLANDTEL:0120・983・522)その他はスタイリスト私物まえ・こうすけ1979年生まれ。広島県出身。高校時代から写真を撮り始め、現在、雑誌や広告などでポートレート、旅の写真を中心に活躍。個展も定期的におこなっている。※『anan』2018年5月30日号より。スタイリスト・山本隆司ヘア&メイク・後藤 泰(olta)取材、文・望月リサ(by anan編集部)
2018年05月24日33歳にして、春田創一(田中圭)にようやく訪れたモテ期。しかし、その相手というのが、オトメな男性上司・黒澤(吉田鋼太郎)とドSな後輩男子・牧(林遣都)で…。そんなナナメ上の設定から繰り出される予想外の展開に爆笑しつつ、黒澤と牧の春田へのピュアな恋心に、共感したり胸キュンしたり。いま、放送中のドラマ『おっさんずラブ』にハマる女子、増えてます!林遣都:田中圭さんを吉田鋼太郎さんと取り合うドラマだと聞いて、とても興味が湧いたんです。一昨年に単発でやった時のものも拝見したんですけれど、すごく面白くて。田中圭:意外だったのは、コメディ寄りの作品のつもりでいたのに、演じながら笑いの要素を忘れて、俺自身が切なくなっちゃってること。「なんなんだこのドラマは…」って思いながらやってます。それは、遣都と鋼太郎さんのふたりが、すごく丁寧な芝居で、春田に対して向かってきてくれるからなんですけど…。林:とにかく、春田さんが好きだという気持ちに嘘がないように、とは思って演ってます。恋愛ドラマの経験はあまりないんですが、俳優同士のコミュニケーションや空気感がちょっとした表情に出る気がするんです。僕の春田さんへの思いも、圭くん本人の人柄が素敵だからこそ自然に引き出してもらえるもので…。田中:どんどん言っちゃって(笑)。林:この現場の雰囲気も、すごくいいんです。オリジナルドラマだからこその、スタッフの方々が俳優の芝居を、作品として生かしていこうとしてくれるムードがあって。でもそれも、間違いなく圭くんという存在がいてくれるからで…。田中:僕は普段からあまり役作りをしない方だけど、今回はとくに作らずに自然でいるようにしてるんだよね。春田は牧に対して恋愛感情はないけれど、人として好きっていう気持ちはあって、それは僕が遣都を好きな気持ちと同じで、嘘はないんです。題材が題材だけに、今回僕がスタッフさんに言ったのは、設定ありきで進んでいかないようにしようってこと。先々を計算した芝居なんて、いらないって思っているんです。だからこそ、遣都と鋼太郎さんが、“春田を好きな男たち”じゃなく、ちゃんと牧と黒澤っていう役を生きてくれているのがありがたいなって。林:クランクイン前に圭くんにご飯に誘ってもらった時に、誰よりも僕らが真剣に、おっさん同士の恋愛に向かっていこうって話を一緒にしたんです。いまは、最後まで見続けてくれた方が、「気づいたら感情移入しちゃってた」っていうドラマになってたらいいなって思ってます。田中:いや~、するでしょ~。だって、芝居を受けてるこっちが、こんなに切ない気持ちになっちゃうんだから。ただ、この先…6話くらいに、見ている人は大号泣するんじゃないかっていう特別なシーンが待っているんですよ。そこはめっちゃ不安なんだよね。俺にできるかなって。林:僕は、ここまでいっぱい濃厚なシーンを圭くんとやってきて、お互いの芝居を感じ合ってやっていけば大丈夫だ、と思えたので、もうあまり不安はないです。田中:見なきゃソンだと思いますので、ぜひチェックしていただければ。たなか・けい1984年7月10日生まれ。東京都出身。近作に舞台『江戸は燃えているか』など。9月には舞台『サメと泳ぐ』に出演予定。映画『美人が婚活してみたら』が2019年公開予定。はやし・けんと1990年12月6日生まれ。滋賀県出身。近作にドラマ『FINAL CUT』、映画『チェリーボーイズ』など。映画『コーヒーが冷めないうちに』『ギャングース』が秋公開予定。不動産会社に勤める春田創一(田中圭)は、上司の黒澤武蔵(吉田鋼太郎)と後輩の牧凌太(林遣都)に告白される。戸惑う彼の前に、黒澤の妻や牧の元カレが現れ…。毎週土曜23時15分~テレビ朝日系で放送中。※『anan』2018年5月23日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・佐久間美緒ヘア&メイク・花村枝美取材、文・望月リサ(by anan編集部)
2018年05月19日今、注目の女の子を紹介する『anan』で連載中の「イットガール」。今回は女優の加藤小夏さんです。透明感溢れるルックスとオープンな性格が武器!中学生の時にスカウトされデビュー。圧巻のダンスが話題となった「ポカリスエット」のCMにも出演している、注目の存在。「元々ダンスの道に進みたくて、長年習っていたんです。経験を活かせるお仕事はやっぱり嬉しい。とはいえポカリの撮影後は酷い筋肉痛でしたが(笑)」。大人な雰囲気だけど、この春高校を卒業したばかり。「社会人になり、改めて女優として頑張ろう、という気持ち。演技はまだまだ納得できないですが、人見知りをしない性格なので、とにかく現場を楽しんでいます!」食べている時が幸せ。特にお肉が最高!これはマネージャーさんが誕生日に用意してくれた“肉ケーキ”(笑)。実家で飼っている愛猫のくーちゃん。元々野良猫で、家に住み着いたんです。いつも癒されています!趣味は写真を撮ること。フィルムの質感が好き。最近買ったのがこの「ごん色カメラ」。リメイク感がかわいいんです。かとう・こなつ1999年生まれ。『痛快TVスカッとジャパン』(CX系)の“胸キュンスカッと”に出演し話題に。加藤さんが撮った写真はインスタグラム(@__cnp_)をチェック!※『anan』2018年5月16日号より。写真・土佐麻理子文・間宮寧子(by anan編集部)
2018年05月15日今年のアカデミー賞で大きな話題をさらった映画『スリー・ビルボード』。滑稽で残酷な物語を、ヒリヒリするほどの生々しさとユーモアで描き出したこの作品で監督・脚本を手がけたのは、劇作家として世界的な評価を受けるマーティン・マクドナー。その最新作『ハングマン』が、長塚圭史さん演出で日本初上陸。「マクドナーの戯曲を読むと、すべての登場人物の造形が本当に素晴らしく、おかしみを感じさせると同時に、辛辣な皮肉が込められているんですよね。しかも、その人間模様が織りなす様を面白がりながらも、結末まで辿り着くと僕らの心にアイロニカルなものを残していくんです」日本でマクドナーの名前が広く知られたのは、’03年の舞台『ウィー・トーマス』。自身も過激で凄惨な場面を喜劇的に描いてきた長塚さんの演出は、その戯曲と親和性が高く大評判に。以降’07年までの間に3作の演出を手がけたが、なんと今回、約10年ぶりの邂逅。「マクドナーが5年ぶりに書いた新作戯曲で再会させてもらえたのはありがたい」と話す。「僕自身、しばらく別の方向性の作品に夢中になっていたので、こういうタイプの芝居を作るのが久しぶり。稽古が始まって、いま、非常に鮮度高くやれています(笑)」舞台は、イングランドで死刑制度廃止が施行された1965年前後。絞首刑執行人(ハングマン)のハリーを巡り、物語が展開されていく。「初演されたイギリスでは、死刑制度はすでに博物館的な遺物なんですよ。ただ、歴史的には死刑を進んでおこなってきた国なわけです。倫理的にどっちにつくのか…僕には、マクドナーが、芝居を観て笑っている観客のことも皮肉っているように思えるんです。さらにブラックなのは、この作品が、死刑制度が存続する日本で上演されることですけど(笑)」毒々しさと笑いとをブレンドし、巧妙に構築された「非常に頭のいい戯曲」ではあるけれど、「あまり理知的に作りたくない」と話す。「戯曲を正確にやると、英国的なスマートな芝居になりすぎちゃう気がしているんですよね。僕はもっと大真面目に馬鹿やってる作品にしたいんですよ。もっと過剰にいろんなものを盛り込んで、グチャグチャになればいいなと思うんです」ながつか・けいし1975年生まれ。劇作家、演出家。旗揚げ以来、ユニットとして活動してきた阿佐ヶ谷スパイダースを昨年、劇団化。新作公演『MAKOTO』は8月9~20日に上演。絞首刑執行人のハリー(田中哲司)は、冤罪を訴える容疑者の刑を執行した。2年後、死刑制度は廃止されたが、かつての事件の真犯人らしき男がハリーの前に現れて…。5月16日(水)~27日(日)三軒茶屋・世田谷パブリックシアター作/マーティン・マクドナー翻訳/小川絵梨子演出・出演/長塚圭史出演/田中哲司、秋山菜津子、大東駿介ほか全席指定8500円(税込み)ほかパルコステージTEL:03・3477・58585月12日~13日に埼玉公演が、6月には豊橋、京都、北九州公演あり。※『anan』2018年5月16日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2018年05月14日これまでに30か国以上を訪れた田辺誠一さんが手がける、初の旅エッセイ集『欧州旅日記』が発売された。でも、旅行をしたときの記録は、ほとんど残していないのだそう。読んだ後に“旅をしたい”と思ってもらえたら嬉しいです。「全部、頭の中で思い返しながら書きました。どうやら記憶力がいいようで、幼稚園くらいからのほとんどのことを覚えています。芝居のロケ地を通ったときには“あの役者さんとこんな話をした”とか、そのときの気持ちが蘇ってくるんです。写真もあまり撮らないのが理想。それよりも記憶に残したり、状況を堪能することに集中したいですね。でも、エッセイにも書いている、デンマークの『ノーマ』とスペインの『カン・ロカ』という2つのガストロノミーを訪れる旅では、料理を記録に収めるために、いいカメラを持っていきました。人のブログを見たり、“このアングルで、光は横か後ろから入れるようにして…”などと、撮り方の研究もしましたね」そんなふうに、最近では、食が旅のきっかけになることが多いそう。「昔は観光地に行きたいとか、ショッピングを楽しみたいという気持ちが強かったんですが、スペインにある『ムガリッツ』というガストロノミーで食事をしてから変わりました。マリモみたいな見た目のものや、自分でゴマをすって食べるもの、液体をかけると泡になるような料理をいただき、これはアートだと思いました。素晴らしい空間のなかで、信じられないようなアイデアと美しさとシンプルさがある料理をいただく。ほかの芸術は観るというアプローチが多いなかで、体の中に入れて体感することができる。そんな芸術として素晴らしいジャンルがあったことを気づかされ、いろいろなところに行ってみたいという気持ちが芽生えました。今、気になっているのは、ベストレストラン50の上位が集まっているといわれるペルー。日本食とペルーの郷土料理をマッチングさせた『MAIDO』というお店の料理が食べたいです」デンマークにある『ノーマ』へ行くことを決めたのは、出発の10日前だったという田辺さん。「ホームページを見ていて、10日後に空きが出たことを知り決意しました。フットワークは子供の頃から軽いです。軽さしかないです(笑)。小学生のとき、杉並区にある学校の窓から新宿のビルが見えて、行きたくなって。行ってみたら『藤子スタジオ』と書いてあったので、トントンと扉を叩いて『藤子先生はいますか?何か描いてください!』と。すべてがそういう感じです。やってダメでも地球がひっくり返るわけじゃないし、後悔するほうが嫌なんです。それに、自分が知らない場所に行ったり、新しいことをする経験って楽しいじゃないですか。旅も予定どおりにいかないことが多いですけど、そこが醍醐味のひとつだと思っています。そう、最近、伊丹十三さんの『ヨーロッパ退屈日記』という本を読んで、何十年も前の作品なんですが、すごく面白いと感じました。欲を言えば、僕のこの本も、何十年も後に読んだ人にも楽しんでもらえるとありがたいですよね。そして、“旅がしたいな”“新しい体験をしてみたいな”と思っていただけたら、そんな嬉しいことはないです」『欧州旅日記』一流レストランを目指してヨーロッパを訪れたときの記録や旅先でのハプニング、荷物や文化にまつわる役立つ小技などが綴られたエッセイ集。田辺さんが描いた、かわいいイラストも満載です。産業編集センター1300円たなべ・せいいち1969年4月3日生まれ。俳優、映画監督として活躍する一方、「かっこいい犬」のイラストで画伯としても人気。『にっぽん!歴史鑑定』(BS-TBS)ではMCを担当中。※『anan』2018年5月16日号より。写真・小笠原真紀インタビュー、文・重信 綾(by anan編集部)
2018年05月13日ちょっとうさんくささ漂う(!?)この方の名は前野健太、シンガーソングライター。4年半ぶりのオリジナルアルバム『サクラ』は、大人の男の色香エキスたっぷりのロマンティックなアルバムだ。この夏、女子をメロメロにしそうな名曲が並ぶ。心にたまったものを書かないと具合が悪くなるんです。「前作を出してから、かなり自堕落な生活をしていたところ、映画に出ることになったり、舞台をやらせていただいたり、音楽以外の活動が続いたんです。そしてふと、あれ、オレは歌の人だよね、そろそろ作らないとね、ってメラメラと歌作りに燃えてきました。やるからには誰も聴いたことのない“ニュー歌謡曲”を作ろうと思っていました」アルバムは出していなくても、肌身離さず持っているノートには、心に浮かんだ言葉や、フレーズを書きためている。ノートをのぞかせてもらうと〈ふたりは臆病だったのかもしれない……〉など、グッとくる言葉がびっしりと。「書き留めた言葉が歌詞になったり、小説になったり。心の中にたまったものを書かないと具合が悪くなるんです(笑)。歌詞とメロディができたら、今回は新しい試みというか、最新の音楽をやっているクリエイターの方に、プロデュースをお願いし、僕の声がどうサウンドに響いていくかを大事にしながら作っていきました」1曲目の「山に囲まれても」はceroの荒内佑さんがプロデュース。センチメンタルで切ない心情を、前野さんに歌わせている。「できあがってみて驚いたのは、プロデューサー陣が、歌詞の生まれた景色を見事にサウンドで表現していること。山でカエルを見たのはオレなのに、なんでオレよりこの風景を知ってんの!って、僕より深く歌詞を読み取るすごさに驚きました」13の収録曲は昔から馴染んだ曲にも思えるし、初めて聴く音楽にも聞こえてくる。それに何といっても前野さんの声がいい。良すぎる!「まぁ相変わらず酒を飲んでは失敗し、気づいたら昔の家の前で寝てた、なんてことをしでかしてますが、その後ろめたさとかだらしなさも、歌に味を出すんですよ(笑)。割と重要ですね、そう信じています」まえの・けんた2007年、自己のレ-ベルより『ロマンスカー』でデビュー。一昨年みうらじゅん原作、安斎肇監督の『変態だ』に主演し、俳優としても注目の存在に。5/20のShibuya WWW Xを皮切りに5都市をツアー。6th Album『サクラ』¥2,500アルバムのキャッチコピーは“平成よ、ありがとう。愛があって、歌があった”。「嵐~星での暮らし~」など、平成最後の年を飾る新しい歌謡曲が13曲。(felicity)※『anan』2018年5月16日号より。写真・内田紘倫(The VOIVE)文・北條尚子(by anan編集部)
2018年05月13日見る者を射抜く強い眼差しに、圧倒的な存在感。無二の個性を放つ安藤サクラが、ビタースイートなフリルに身を包む。花柄の甘さを中和する、ルーズな着こなし。スリーブと裾にあしらわれたゆるめのフリルが、落ち着いた女性らしさを演出。広く開いたデコルテラインから、ちらりと覗く黒レースのキャミソールが着こなしのスパイスに。薄く柔らかい素材感で、肌に触れたときの心地よさも魅力。ワンピース¥58,000(ナンバーシックス/トゥモローランド TEL:0120・983・511)シューズ¥73,000(マルティニアーノ/ギャルリー・ヴィー 丸の内店 TEL:03・5224・8677)その他は本人私物レディライクなラバーベルトの斬新な魅せ技。ストライプフリルが可愛らしいベルトを、あえて首まわりに配したことで、モードな雰囲気が加速。ビビッドピンクとのカラーコントラストも美しく、ミニマルなスタイルでも華やかさが際立つ。キュッとコンパクトにまとめたアップヘアが、バランスよく見せる鍵。ロンパース¥28,000(デ・プレ/デ・プレ丸の内店 TEL:0120・983・533)ベルト¥18,000(ミュベール/ギャラリー・ミュベール TEL:03・6427・2162)ボリューミーなアイテムの引き締め役に。ゆったりとしたTシャツに、ドットが目を引くイージーなはき心地のアラジンパンツをセット。ウエストまわりを飾るチュール素材のフリルベルトが、ユニークな個性を発揮する。ベルトは取り外し可能だから、さまざまなコーディネートのアクセントとして重宝しそう。Tシャツ¥14,000(エンフォルド TEL:03・6730・9191)パンツ(ベルト付き)¥54,000(G.V.G.V./k3 OFFICE TEL:03・3464・5357)相反するデザインがアバンギャルドな趣。オーバーサイズのパジャマシャツに合わせたのは、ドレッシーな印象のフルレングススカート。力の抜けたシルエットで、今年らしいスタイルに導く。シャツ¥29,000(スタンドアローン/ジャーナル スタンダード 表参道 TEL:03・6418・7958)スカート¥69,000(ビューティフルピープル/ビューティフルピープル 青山店 TEL:03・6447・1869)シューズ¥35,000(ファビオ ルスコーニ/ファビオ ルスコーニ 六本木店 TEL:03・3408・8682)あんどう・さくら1986年2月18日生まれ。東京都出身。女優。本年度カンヌ国際映画祭コンペティション部門正式出品作品、是枝裕和監督の最新作『万引き家族』(6月8日全国公開)では、血縁のない少女を引き取る母親を演じている。また、10月1日から放送のNHK連続テレビ小説『まんぷく』のヒロインに決定。※『anan』2018年5月16日号より。写真・藤田一浩スタイリスト・伊藤信子ヘア&メイク・星野加奈子(by anan編集部)
2018年05月09日1年ぶりに、連ドラの現場に戻ってきた吉高由里子さん。「朝は早いし、もう大変ですよ~」と口先では愚痴りながらも、そう語る表情は、なんだかとても楽しそう。「今回のドラマ、スタッフさんが『東京タラレバ娘』と同じなんです。同じ人たちと再会して、また一緒にものづくりができることの尊さを、日々噛み締めています。今回は4か月撮影があるんですが、その一瞬一瞬、全てが貴重な瞬間です」今回のドラマ『正義のセ』で演じるのは、横浜地検に勤める2年目の検事、凜々子。29歳で独身という、まさに吉高さんと等身大の役。「最初に検事の役だと聞いたときには、“難しい法律用語があるようなセリフ、マジで無理だから!!”と焦ったんですが、プロデューサーさんが“吉高さんにはそんな役、お願いするわけありません”って一笑に付されまして(笑)。阿川佐和子さんが書かれた原作の小説を読んだら、事件ドラマというよりも、仕事を通して凜々子が成長していく物語だったので、これならできるかも、と思って、やらせていただくことに」仕事に恋に、家族とのあれこれに頑張る凜々子。とても人間味のあるキャラクターのようですが…。「放送1回目の冒頭のシーンで凜々子はひったくりにあうんですが、なんかその“おっちょこちょい設定”が、素の私を参考にして書かれているような気が…(苦笑)。あと、ちょっと転んだくらいじゃめげないけれど、忘れた頃に痛みを感じて、“あれ、なんか怪我したっけ?”って立ち止まる感じも、よく似てる。脚本の松田裕子さん、私をしっかり観察してらっしゃるな、と思ってます」凜々子同様、吉高さんも現在29歳。仕事にやりがいが出てきて、同時に私生活も頑張りたいお年頃…?「どっちも頑張ろう、という姿勢ではありますよ。でも、なんか頑張りすぎて空回り、みたいな感じになるんですよね、私。29歳とか30歳って、もっと大人だと思ってたんですけれど、自分がなってみたら全然違った。全くちゃんとしてない、私。マネージャーさんは年下なんですけれど、私より遥かにしっかりしてるんです。で、“ヘラヘラしないでください!”ってよく怒られてます(笑)。でもそうはいっても、いろんなことが分かるようにはなって、連ドラの主役をやらせてもらえることの重要さも、今はすごく噛み締めています。同時に、昔に比べると数字やらなにやら、吹いてくる風も強いんです。思わずフレームアウトしそうになるくらい強い(笑)。でもだからこそ責任感もやりがいも実感できるものなので、風圧に負けず、頑張ろうと思ってます。きっと凜々子は、アンアンの読者さんと同世代だと思うんです。このドラマを見てもらうときっと、仕事が好きになるというか頑張ってみるかって感じてもらえると思う。週の真ん中水曜日…って、え、古い?うるさいなぁ(笑)、いいの!とにかく、これを見てポジティブな気持ちになってほしいです」よしたか・ゆりこ女優。1988年生まれ、東京都出身。代表作にドラマ『ガリレオ』『花子とアン』『東京タラレバ娘』など。8月公開予定の映画『検察側の罪人』にも出演。ツイッターは@ystk_yrk新米検事の凜々子は、仕事はもちろん、恋や家庭でも問題山積み。事件や騒動を解決する中で、人として成長する凜々子の物語。共演に安田顕、三浦翔平、生瀬勝久ら。毎週水曜22:00~日本テレビ系にて放送中。※『anan』2018年5月2・9日号より。写真・内田紘倫(The VOICE)スタイリスト・三好マリコヘア&メイク・末武美穂インタビュー、文・河野友紀(by anan編集部)
2018年05月03日今年に入って、すでに4本の出演映画が封切られ、続く待機作は年内だけで3本。今最も多忙と言っても過言ではない俳優・吉沢亮さん。最新主演作『ママレード・ボーイ』では、頭脳明晰でスポーツ万能、まるで女子の理想を絵に描いたようなイケメン高校生・松浦遊を演じる。「若手俳優の中で遊を演じられるのは、あれだけの顔面力を持つ吉沢亮しかいない」とプロデューサーに言わしめたほど完璧な顔立ち。でもその性格は意外にも、自称“根暗”で、トークの切れ味も抜群。そんなギャップもまた、俳優として男性として、人々を魅了する理由なのかもしれません。――『ママレード・ボーイ』といえば、アラサー女性の青春のバイブル的名作です。キャスティングされた時のお気持ちは?吉沢:素直に嬉しかったです。今まで少女漫画原作の映画は何度かやらせていただきましたけど、全部噛ませ犬的な役ばっかりで、正統派の役って初めてなので。――噛ませ犬(笑)。周りの反応もすごかったんじゃないですか?吉沢:かなり言われました。どの現場に行っても、「『ママレード・ボーイ』やるんでしょ?」って。あと、「銀太(佐藤大樹さん演じる遊の恋のライバル的存在)、誰?」も、めっちゃ聞かれました(笑)。――吉沢さんは、原作を読んだことはあったんですか?吉沢:読んだことはなかったですけど、名前だけは知ってました。でも、そんな読んだこともない20年以上も前の少女漫画を、男の僕が知ってるっていう時点でやばいじゃないですか。全然見たことはないのに、名前だけは知ってる『あぶない刑事』みたいなもので。正直、出演が決まった時や撮ってる最中は全然プレッシャーを感じてなかったんですけど、今になってめっちゃ感じてますね(笑)。――遊はタイトルどおり、本当は苦いところもあるのに、甘さに隠れて苦味が目立たないママレードのような男の子です。ズバリ、吉沢さん自身とのシンクロ率は?吉沢:それ、むずいなー(笑)。でも60%くらいかな。うわべだけで人と接しているというか、それこそ甘い部分と言ったらあれですけど、誰に対しても当たり障りなく接することができる…。できるというか、そういうことばっかりしてしまうのは、結構似ています。僕も自分の本心をあまり人に見せない人間なので。――40%の違いは?吉沢:いきなりキスはできないですね、寝てる相手に対して(笑)。――その保健室シーンをはじめ(笑)、劇中には胸キュンシーンが満載ですが、吉沢さんは女子の“胸キュン”、理解できますか?吉沢:まぁ、わからないですよね。理解ができないっていうより、男と女では胸キュンポイントが違うと思うんですよ。僕としては遊と光希(桜井日奈子さん演じるヒロイン)のシーンより、茗子(優希美青さん演じる光希の親友)と名村先生(竹財輝之助さん演じる遊たちが通う学校の先生)のキスシーンのほうがキュンキュンしますし。――それは、なぜ?吉沢:えー、めっちゃキュンキュンですよ。あの茗子、超かわいいですもん。普段大人っぽい茗子が、女の子になる瞬間というか。――吉沢さん自身は、素直で一途な光希より、大人っぽい雰囲気の茗子タイプに惹かれますか?吉沢:うーん、でもそこは意外とわかりやすいほうがよかったりしますけどね。なんか、気持ちを全部出してくれたほうが接しやすいし。疲れそうっちゃ疲れそうですけど(笑)。茗子みたいなタイプは、何を考えているかわからなくて不安になっちゃいそうな気がする。――もし彼女にするなら、これだけは譲れない条件みたいなものは何かありますか?吉沢:ちゃんと自分を可愛く見せようと努力してる人がいいです。慣れてきて、そういう部分が適当になっちゃうとイヤかなぁ。――吉沢さん、これだけカッコよかったら、学生時代もかなりモテたんじゃないですか?吉沢:小学校の頃は全然モテなかったですけど、中学校で開花しましたね、僕の人生は(笑)。体育祭で応援団長をやったり、行事ごとは頑張るタイプだったので、そういうアグレッシブさがよかったんだと思います。でも高校に入った瞬間、それが一気になくなって。仲よかった友達が一人もいない学校に行っちゃったんで、人見知りというか、暗い部分が出ちゃったんですよね。モテエピソードはゼロです。――暗い?吉沢:基本、根暗です。一人でいるのが好きなんで。あまり人と一緒にいるのが好きじゃないんです。変な気を使っちゃうから疲れるし、マイペースな性格なので他人に合わせるみたいなことも苦手だし。でも、一人で飲んでたりすると、たまに寂しいなって思う瞬間もあるんですけど。――一人で飲んだりするんですね。吉沢:全然しますよ。家で、ですけど。ビール、焼酎、わりとなんでもいけます。そんなに弱くはないので。――お休みの日も一人で過ごすことが多いんですか?吉沢:そうですね。布団でゴロゴロして、漫画読んだり、携帯ゲームしたり、本当に家の中でできることしかしてないです。仕事以外、人と話す機会がないっていうのも、僕の暗さを作ってる原因のような気がするんですけど(笑)。よしざわ・りょう1994年2月1日生まれ、東京都出身。2009年、「アミューズ全国オーディション2009 THE PUSH!マン」で、応募者3万1514名の中から特別賞を受賞しデビュー。出演映画『猫は抱くもの』は6月23日、『BLEACH』は7月20日、『あのコの、トリコ。』は年内公開予定。カットソー¥19,000(エンハーモニック タヴァーン/ワンダリズム TEL:03・6805・3086)カーディガン¥30,000(VICTIM/VTM TEL:03・3499・8668)パンツ¥36,000(ato/ato青山 TEL:03・5474・1748)その他はスタイリスト私物シリーズ累計1000万部突破の大ヒットコミック『ママレード・ボーイ』がついに実写映画化。吉沢さんは、ある日突然、両親が旅先で出会った夫婦とパートナーチェンジし、自分の両親、再婚相手の夫婦とその子供である小石川光希も含め、ひとつ屋根の下、6人でのシェアハウス生活を送ることになった松浦遊役を熱演している。絶賛公開中。※『anan』2018年5月2・9日号より。写真・山本あゆみスタイリスト・九(Yolken)ヘア&メイク・小林正憲(SHIMA)インタビュー、文・菅野綾子(by anan編集部)
2018年04月29日日々アップデートを続ける、榮倉奈々さんが、眩しい。「29歳の一年というのは、環境の変化も大きかったので、あまり年齢を意識していなかったです。きっと年齢は関係ないと思えるところにいるんですね、今は(笑)」と話す彼女に、女性として輝き続ける秘訣をたっぷり伺いました。進化し続ける人、榮倉奈々さんの生きるヒント。男女問わず多くの人を魅了する愛くるしい笑顔と、その奥にある芯の強いまなざしが印象的な、榮倉奈々さん。デビューは中学3年生の時に、渋谷でスカウトされたのがきっかけ。女優として数々のドラマや映画に出演し、今や日本を代表する女優の一人となった。プライベートでは20代で結婚と出産を経験し、今年2月に30歳になったところだ。年齢とともに少しずつステージを変えながら、常に自分自身をアップデートする榮倉さんに、女性として輝き続ける秘訣を聞いた。「今は『何か新しいことを始めよう』という余裕がないほど、毎日が目まぐるしく過ぎていきます。環境の変化が大きすぎて、自分自身では『私、何も変わっていない』と思うほど。でも一つ挙げるとすれば、身近に素敵で自分が憧れる年上の先輩方がいてくれることがとても心強いですね。仲良くしていただいている20歳年上の先輩がいるのですが、その方が私と近いタイミングで誕生日を迎えた時に、『あなたが50歳になるのが楽しみになるような、50代を送れるように頑張るね』と言ってくれて。そんな言葉を聞くと、年齢を重ねるのも楽しみになりますね。ライフスタイルも環境も全然違う方なのですが、その方と話をしているととても楽しいですし、常に綺麗にしていて、何事にも冷静で、家族思いなところも尊敬できる、憧れの存在なんです」女優としては、約3年ぶりに主演を務める映画『家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。』が公開になる。安田顕さんと結婚3年目の夫婦を演じ、タイトル通り、“夫が帰宅すると必ず死んだふりをして迎える妻”という、少々破天荒な役回りに挑戦している。「まずタイトルを知った時に、インパクトがあるなと思って興味を持ちました。もちろん全部死んだ“ふり”なんですけど、ある時は頭を矢で射抜かれていたり、ある時は名誉の戦死を遂げていたり、ある時はワニに食べられていたり…(苦笑)。夫に伝えたいことがあるのに、それを言葉で表せない妻のちえさんを、私も最初は『不器用な人だな』と思いましたが、よく考えてみると、言葉にすることって案外難しくて…。同じ出来事でも人によって違う言葉を使ったり、別の意図で捉えられたりもする今の時代、メールや電話一本で済んでしまうことを、遠回りですが、自分なりの方法で表現するちえさんは、ある意味正しいのかな、と思います。『言葉なんて本当はつたないものなのかもしれない』と、私自身が演じているうちに思うようになりました」さまざまな人間模様が交錯するストーリーは、榮倉さんが夫婦や家族の在り方についても考えるきっかけになったという。「結婚するのは二人なのに、結婚は二人だけのものじゃない。ある時は相手のお父さんの立場になって考えてみたり、いろんな側面で物事を捉えることができたのは、私にとっても新鮮な体験でした。今まで他人同士だった二人がいきなり家族になるのはとても不思議なことですが、人と関わっていくことこそが人生。そう思うと、この作品に出てくるいろんな夫婦がせつなく思えたり、あたたかく思えたりもしました」映画の冒頭のシーンで、じゅんとちえの夫婦は「結婚生活が3年経ったら、継続するかをお互いが決める」とある。そこで、榮倉さん自身が普段の生活の中で“定期的に見直していること”を尋ねてみると…?「具体的な期間は決めていないですが、自分が『窮屈だな』と思った時に、胸に手を当てて考えてみることはあります。結局、自分で勝手に“自分ルール”を作ってそこに自分をはめようとしているから、苦しくなっているだけなんですよね。なので、そういう時は自分と全然違うことをしている人に会うことが多いかもしれません。実は、いちばん仲のいい友人が私と正反対の性格で。その人に会うと、『別にこうじゃなくてもいいのかな』とか『そういう考え方も正解かも』と思えることがよくあります。最近にいたっては、直接会わなくても、『たぶんあの人だったらこう言うだろうな…』という想像がついてしまうので、その通りにやってみたり。友人を通した、究極の俯瞰ですね(笑)」常に冷静な視点を持って、自分自身を軌道修正しながら高めている榮倉さん。日々の生活に話が及ぶと、「新しいことに挑戦するというよりも、生活環境をきちんと整えていきたい。それが何よりも優先です」と語っていたのも印象的だった。では女優としては、これからどんなバージョンアップをしたいですか?「バージョンアップという表現が正しいかわからないですが、仕事へのスタンスは家庭を持ったことで確実に変わりましたね。今までは自分の体調や都合や気分、それだけを基準に考えていればよかったんだな、と思います。『仕事が忙しい』とはいっても、結局100%自分の時間だったので、贅沢だったなと…。でも逆に、今は物理的にたくさんのお仕事をすることができないぶん、一つ一つが新鮮に感じられるようになりました」竹を割ったような性格の榮倉さんだけど、迷わずスパッと決められる時もあれば、もちろんそれができない時もあるという。「何事も体験してみないと、本当のことはわからないと思います。実際に挑戦してみて『必要だったな』とか『必要じゃなかったな』というふうにしか気づけなかったものを、先に自分で判断するのが私にはとても難しくて。選択権があるって自由で幸せなことですが、今までの経験をあまり過信せず、できるだけその精度を高めていければいいなと思っています。まだまだ、“アップデート最中”という感じです」えいくら・なな1988年2月12 日生まれ、鹿児島県出身。主演を務める映画『家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。』が6月8日(金)に公開。コート¥105,000Tシャツ¥13,500パンツ¥106,000(以上プールby クラス/ウィリーTEL:03・5458・7200)シューズ¥82,000(ニコラス カークウッド/シジェーム ギンザTEL:03・6263・9866)※『anan』2018年4月25日号より。写真・土屋文護(TRON)スタイリスト・上杉美雪(3rd)ヘア・KENICHI for sense of humour(eight peace)メイク・Sada Ito for NARS cosmetics(DONNA)取材、文・瀬尾麻美(by anan編集部)
2018年04月19日