友人同士なのに、なかなか共演する機会のなかった賀来賢人さんと太賀さんがM&Oplaysプロデュース『流山ブルーバード』で共演する。ふたりの「一緒に芝居がしたい」との声を受け、白羽の矢を立てられたのは、昨年、大きな話題をさらった映画『葛城事件』の脚本家兼監督であり、舞台でも、社会の底辺に生きる人々のシビアで滑稽な姿を描き続けてきた赤堀雅秋さんだ。そこに佇んでいるだけのことが滑稽に映るような芝居に。賀来:プロデューサーさんから「赤堀さんとやりませんか?」と言われた時、まさか一緒にやれるなんて思っていなかったので嬉しかったです。赤堀:周りから「赤堀は怖いよ」って言われてきたんじゃない?(笑)賀来:(笑)。…ええ、まあ。赤堀:僕は、お芝居って小手先でできることじゃなくて、それなりに覚悟とか想いとかが必要なものじゃないかと信じていて、座組みのなかに周りとは違うモチベーションの人がひとり紛れるだけで、途端に芝居の空気が崩れる気がして、それが許せない。賀来君とは今回が初めてだけど、太賀とは以前もやったし、信頼するプロデューサーが推薦するなら間違いないだろうって思って。賀来:僕は以前から赤堀さんのお芝居のファンなんです。いつもお芝居を観ているというより、日常を覗き見している感じがするんですよね。赤堀:今回は、地方都市で起きる些末な日常とずさんな殺人事件が交錯していく群像劇なんだよね。僕の作品で殺人事件はたびたび扱ってきてはいるけど、いままではどこか近視眼的というか主観的だったのが、今回はちょっと俯瞰の客観的な視点になっています。これは単なる自分の興味の方向の変化なんだけど、人間そのものよりも、もう少し広く世の中を描きたくなっているんだと思う。賀来:今回の台本は、僕がこれまであまり見たことがない感じだったので、読んでいてワクワクしました。赤堀:僕は喜劇のつもりで書いているんですが、役者さんはコミカルな顔をすればいいわけでも、軽妙なテンポでやればいいわけでもない。ただそこに佇んでいるだけのことが、はたから見れば滑稽に映るという…。賀来君が携わったことのないような種類の喜劇になると思います。賀来:言葉のひとつひとつが素敵で、一見、覚えにくそうなのに、役と生理がぴったり合うと、セリフがすっと馴染んでくる。稽古初日から、セリフの言い回しなどの細かい部分まで丁寧にヒントをくださるのが新鮮でした。ただ、求められていることを表現するのが難しくて、まだ稽古場ではアワアワしてます(笑)。赤堀:最初に恥をかいておく方がいいんだよ。後々楽になるからさ。僕は、うまい芝居が観たいわけじゃないんです。もちろん技量も大切ですけれど、ちゃんと役として賀来君の血肉を介在させたうえで舞台に立っていてほしいと思っています。賀来:いままで見せたことのない新しい部分を出せたら嬉しいですね。M&Oplaysプロデュース『流山ブルーバード』千葉県流山市。東京まで出ていく気力もなく、この町でくすぶり続けるダメな4人の若者と、彼らを取り巻くろくでもない大人たち。鬱屈をかかえた人々のやるせない日々の物語。12月8日(金)~27日(水)下北沢・本多劇場作・演出・出演/赤堀雅秋出演/賀来賢人、太賀、柄本時生、若葉竜也、小野ゆり子、宮下今日子、駒木根隆介、平田敦子、皆川猿時全席指定7000円U-25チケット4500円(25歳以下対象、要証明書)*共に税込みM&OplaysTEL:03・6427・9486島根、大阪、広島、静岡、東京大田区公演あり。撮影:三浦憲治かく・けんと1989 年生まれ、東京都出身。近作にドラマ『わにとかげぎす』。現在公開中の映画『斉木楠雄のΨ難』『茅ヶ崎物語』に出演。映画『ちはやふる ‐結び‐』は来年公開に。あかほり・まさあき1971年生まれ、千葉県出身。劇団「THE SHAMPOO HAT」で作・演出を務め’13年には『一丁目ぞめき』で岸田國士戯曲賞を受賞。俳優、映画監督としても活躍中。※『anan』2017年12月13日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・SHUTARO(vitamins/賀来さん)取材、文・望月リサ(by anan編集部)
2017年12月09日ミュージカル「テニスの王子様」などの人気から今や注目ジャンルの一つになった2.5次元舞台。今回はそんな2.5次元でも人気の俳優・崎山つばささんにインタビューしました。これまで演じた印象深い役として、真っ先にミュージカル『刀剣乱舞』で神社に縁のある石切丸を挙げた崎山つばささん。「基本的に、2.5次元作品の時には1秒たりとも崎山つばさを出したくないと思っているんです。ただ石切丸の場合、参考になるものがゲームのボイスくらいしかない。それで、神道や神社について、日本刀や平安時代のこと、着物の所作といったものから固めていくやり方をしたんです。そこに辿り着くまでも大変でしたが、歌にダンスに殺陣と、他にもやるべきことが山積みで、たくさんのハードルを越えなければいけない現場でした。でも、そうやってできない理由を並べて逃げたりはしたくないと思っているんです」物腰が柔らかく落ち着いた穏やかな口調からは、ともすると控えめな印象を受けるけれど、内には揺るがぬ芯を持った人なのだ。「スポーツをやってきたからか、ハートは強い方なんです(笑)。昔から負けず嫌いで、どんなに否定されても『次こそは…』って、挑んでいくタイプでした。熱血ではないですが、内なるものは強い。青い火系だと思います」そう言って、小さくフフと笑う。「自分が苦手なことに敢えて挑んでいくようなところがあるんです。苦しいけれど、そこまで嫌じゃない…そういう性分なんですよね」先頃、夏に演じた舞台『煉獄に笑う』の劇中歌として歌った『月花夜』でCDデビューも果たした。「最初は僕も驚きましたが、機会があるなら可能性を探りたい。つねに挑戦していきたいんです」CHARACTER FILEミュージカル『刀剣乱舞』石切丸「もともと僕が神社が好きだったので、神社に奉納されたご神刀だった石切丸を演じられたことに特別な縁を感じています」さきやま・つばさ1989年11月3日生まれ、千葉県出身。読者モデルとして活躍後、’14年より俳優として舞台を中心に活動中。11月1日に崎山つばさ with 桜 menでCD『月花夜』をリリース。来年1月に開幕の舞台『クジラの子らは砂上に歌う』に出演。ニット¥36,000(ジョン メゾン スミス/HEMT PRTEL:03・6721・0882)パンツ¥14,000(オールド パーク/HEMT PR)その他はスタイリスト私物※『anan』2017年12月6日号より。写真・天日恵美子スタイリスト・壽村太一ヘア&メイク・shibuya(vitamins)
2017年12月05日今、注目の女の子を紹介する『anan』で連載中の「イットガール」。今回は女優、歌手の日南響子さんです。女優と歌手、2つの顔を持ち、多方面でマルチな才能を発揮中!小さい頃から女優と歌手に憧れていたという日南さん。「中学1年生で受けた雑誌モデルオーディションがデビューのきっかけ。女優のお仕事をしながら映画の主題歌も歌わせていただいて、夢が叶いました」。それから精力的に音楽活動をすることを決意。約3年前から「珠麟‐しゅりん‐」名義でライブや配信を行う。「ゼロからのスタートだったので、ライブ会場に音源を送って、あえて名前と顔を隠して路上ライブをするところから始めました。音楽活動は、自分の体が使えなくなるまで続けたい!」血が繋がってないのに2羽はいつも一緒。文鳥のやつめとちょぼ。懐くまで時間がかかったけど、こんなに親密に!愛らしい見た目と性格にメロメロなんです!こよみくんは、歌をうたったり、おもちゃで遊んだり、かなりやんちゃ!愛鳥家から人気の鳩笛を集めています。「ほ~」と音が出る鳩笛。作られた地域によって色や形が違うのも魅力的!ひなみ・きょおこ1994年生まれ。「日南響子」名義で女優、「珠麟」名義で歌手活動を行い、多彩な表現力で多くのファンを魅了。※『anan』2017年12月6日号より。写真・土佐麻理子文・松下侑衣花(by anan編集部)
2017年12月04日声優陣も大注目のアニメ『文豪ストレイドッグス』。キャラクターに命を吹き込むために、どんなことを意識しているのか?メインキャストを務めた小野賢章に役との向き合い方を伺いました。僕が考える一歩先に、芥川はいましたね声優だけでなく、歌手・俳優としても活躍する小野賢章さん。本作では主人公・中島敦のライバル、芥川龍之介を熱演。憧れの師に認めてもらうべく戦い続ける芥川は、小野さんにとっても演じがいのあるキャラクターだったという。「基本的に役作りをする時はキャラクターの第一印象を大切にしているのですが、芥川のように登場時から強い役というのはあまり演じたことがなくてすごく苦労しました。“あまり強そうに聞こえないな!”というダメ出しからのスタートで…。それに芥川はただ強いというわけでもなく、すごく気難しい人。心の奥深くに抱えている憎悪がにじみ出る時やそれを押し殺している時もあって」複雑な役と出合った時こそ、周りの意見を聞き、役の輪郭を掴むようにしているという小野さん。「芥川に“違和感”を付けたい、という若林音響監督からの指導は印象に残っていますね。ある戦闘中、芥川はすごく必死な表情を見せているのだけど、“声の演技は楽しそうに”と言われて。見たものをそのまま受け取るのが基本だと思うのですが、芥川はそうさせてくれなかった。僕が考える一歩先に、芥川はいましたね」演技中は何を一番意識する?「芥川自身の気持ち、ですね。例えば、敦に対するフラストレーションをぶつける時は、思いっきりぶつけてあげないと。やっぱり誰よりも芥川に愛情を持っていないと、とは思います」他の声優さんの演技で、特に印象に残っているのは?「諏訪部順一さんが演じた織田作之助ですかね。すごく切ない気持ちにさせられました。他のみなさんも個性的な方が多くて、声の感じでどういうキャラクターか一発でわかるじゃないですか。僕自身、声の重要性を再確認しましたね」『文豪ストレイドッグス』中島敦、太宰治、芥川龍之介など実在した文豪がキャラクター化され、彼らが著作にちなんだ異能力を用いて、架空の都市・ヨコハマという街を舞台にバトルを繰り広げる。荒事を解決する〈武装探偵社〉と、凶悪な集団〈ポートマフィア〉。対立する両組織の戦いと、次々と起こるミステリアスな事件。シリアスな雰囲気の中に洒脱なギャグが織り込まれた作品は、’16年にTV アニメが2 クールにわたって放送され、大ブレイクした。おの・けんしょう1989年10月5日生まれ。子役時代から、舞台・映画とジャンルを問わず幅広く活躍。来年放送のTVアニメ『覇穹 封神演義』『アイドリッシュセブン』『博多豚骨ラーメンズ』に出演予定。ニット¥39,000パンツ¥21,000(共にカズユキ クマガイ/アタッチメントTEL:03・3770・5090)その他はスタイリスト私物※『anan』2017年12 月6日号より。写真・岡本 俊スタイリスト・壽村太一ヘア&メイク・shibuya(vitamins)(by anan編集部)
2017年12月03日人気劇団、城山羊の会の1年ぶりの公演『相談者たち』。出演者の吹越満さんと、橋本淳さん、作・演出の山内ケンジさんの鼎談を行いました!普通に見えるのにどこかが変!?シュールでユーモラスなセリフ劇。男と女の理性という建前と本音の部分(主に下半身)とを、時にシュールに、時にバカバカしくユーモラスに描き出す城山羊の会。人気劇団の1年ぶりの公演は男と女の“別れ”がテーマ。橋本:山内さんの作品は、予想だにしない斜め上を行く展開だったり演出だったり、毎日この先どうなるかがわからない面白さがありますよね。吹越:うん。稽古していても、どこかに爆弾が埋まっているような感じがあるんですよね。今回も、なんかなさそうなのに…ある、じゃない?橋本:(笑)。ありますね。吹越:気づかないくらい微弱の不条理な電流が要所要所に流れていて、一見普通なのに、すごく変っていう。山内:今回はとくにミニマリズムを目指して、余計なドラマティックなことはなるべく削っております。普通なんだけど微妙に変っていう会話が、だらだら続くのを面白くすることに挑戦しているわけでございます。橋本:…まあ、いまは面白くなりそうな予感はあるんですが、互いの絶妙な空気感で笑いになっていくものなんで、ここから全員で微調整しながら作っていくことになるんだとは思うんですが…ねぇ、吹越さん。吹越:僕が以前に出演した2作に比べると、家庭によくあるささやかなエピソードなんですよね。これまでは明らかに変な人だったのが、今回そんな変じゃない。いまのところは。橋本:でも、途中で予想もしていない展開になることありますからね。吹越:ただ今回、お父さんが娘に言うセリフとかも普通でねぇ…。昨日、その普通な感じが難しいっていう話をしていたんだよね。橋本:はい。普通に娘のことを心配しているお父さんですもんね。山内:僕は毎回、そんなに書きたいことがあるわけじゃないんです。劇場を決めて、キャスティングして、タイトルを決めてからお話を考える。そのモチベーションになるのはいつも役者さんで、ある意味、どうしたらこの人の意外な面が出せるかっていうだけで書いていたりします。吹越:役者にとって怖いのは、山内さんのダメ出しだよね。同じことを言うにしても山内さんのタイミングとか言葉の選び方が面白いんだから。橋本:僕、前回の稽古の時に言われた「あっちゃんのそのセリフは、翻訳劇だと思うのは僕だけでしょうか」ってダメ出しは、効きましたねぇ。いまも時折思い出すくらいです。山内:フフフフ…(笑)。今回は初めてご一緒する方が多くて、物語の重要度が低くなり、ナチュラルにお芝居で見せていく作品になっておりまして、その派手ではない感じが、僕にはすごく新鮮…です。まあ、その前提にあるのは、キャストの皆さんの魅力なわけですけれど。吹越:ではその魅力を…最大限に出そうとしなくても、自然に漏れ出ちゃうようにできればと思います。橋本:騙されたと思って一度劇場に足を運んでくだされば、きっとその面白さをわかっていただけるはずなので、ぜひいらしてほしいですね。ふきこし・みつる1965年生まれ。城山羊の会へは今回が3作目の参加となるほか、山内さんの監督作、映画『友だちのパパが好き』にも出演。来年1月からは舞台『プルートゥPLUTO』への出演が控えている。はしもと・あつし1987年生まれ。城山羊の会へは、’14年の舞台『トロワグロ』で初参加。それを映画化した『At the terrace テラスにて』にも出演。現在放送中のドラマ『刑事ゆがみ』(フジテレビ系)に出演。11月30日(木)~12月10日(日)三鷹市芸術文化センター 星のホール作・演出/山内ケンジ出演/吹越満、安澤千草、橋本淳、村上穂乃佳、鄭亜美、折原アキラ前売り3800円当日4000円(全席自由・共に税込み)三鷹市芸術文化センターTEL:0422・47・5122※『anan』2017年12月6日号より。写真・内田紘倫(The VOICE)取材、文・望月リサ(by anan編集部)
2017年12月02日『とと姉ちゃん』をはじめ数々の作品で強い印象を残す女優、杉咲花さん。彼女が心から共感できた3曲をお届け。杉咲花さんが“自分の感情に素直になりたい”ときに聴く3つのうた。日々過ごしている中で、自分が上手にできないことや、まだまだ自分が足りないことに直面してしまうことがあります。それで悩むんですが、でもそれってある意味、何でも自分のものにしたい、というとても欲張りな考え方でもあるんだって、そのことに気づくとまた、なんて私は強欲なんだ、と考えてしまいます。そんなときに、奇妙礼太郎さんの「白鳥のおもちゃ」を聴くと、ああ、そういう他者に憧れる気持ちは誰でも持っているものなんだ、自分だけじゃないと気づかされ、ほっとします。奇妙礼太郎さんの自由でのびやかな歌声は、励ましてくれるとか応援してくれるとかそういう類の感情ではなく、否定も肯定もせず、そっとそばにいてくれるすごく平らな優しさがあって、ずっと好きなシンガーです。RADWIMPSの野田(洋次郎)さんとは『トイレのピエタ』(2015年)で共演もさせていただいています。私はけっこう激しいロックが好きなので「五月の蝿」のようなインパクトのあるナンバーも好きですが、今回のテーマからいくと「お風呂あがりの」をあげたいです。ちょうど『無限の住人』の撮影をしていた頃、よく聴いていて。どんな苦しいこと、辛い現実があっても生きようとする気持ちが大切なんだって、曲のメッセージと役柄がすごくリンクしているようで、繰り返し聴いていました。軽やかなバンジョーの音色も好きです。ライブでも聴くことができて、とてもうれしかった。andymoriは、解散してから好きになったバンドです。小山田さんの歌詞はとてもロマンティックなんです。すごく共感できる言葉がたくさんある。この「ジーニー」という曲のイメージは夕暮れです。私は、日が暮れる時間帯のオレンジの光やゆっくりと空気が流れる感覚がすごく好き。そんな時間に、ふと頭の中に流れるのがこの曲。大事な人のことを想って歌っている歌で、自分も同じだと思えた。好きなアーティストのアルバムは全部聴きたいって思う方ですが、自分の感情と重なる歌と出合えるのは、なかなかないこと。だからこの3曲は、とても大事にしている曲です。奇跡的な出合いだなって思っています。『白鳥のおもちゃ』奇妙礼太郎(ワーナーミュージック)待望のメジャー1stソロアルバム『YOU ARE SEXY』に収録。「のびのびと自由な生きた歌声に痺れる!」『お風呂あがりの』RADWIMPS(ユニバーサル ミュージック)10周年を迎えた2日後にリリースしたマキシシングル『記号として/‘I’ Novel』に収録。「バンジョーとマンドリンの軽やかな音色が心地いい。」『ジーニー』andymori(Youth Records/FAITH MUSIC ENTERTAINMENT)友人への強い想いを歌うメッセージソング。アルバム『光』に収録。「共感できるロマンティックな歌詞に入り込んでしまう!」すぎさき・はな1997年、東京都生まれ。映画『パーフェクトワールド』が2018年公開。’19年NHK大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』に出演予定。※『anan』2017年12月6日号より。文・梅原加奈(by anan編集部)
2017年11月30日今注目の女の子を紹介する『anan』で連載中の「イットガール」。今回登場してくれたのは、女優の山田杏奈さんです。モデル、女優と才能を開花。今後は歌にも興味あり!デビューのきっかけは、小学5年生のときに受けた漫画雑誌モデルのオーディション。「芸能界に興味があったというより、グランプリの副賞だったニンテンドーDSが目当てで応募しました(笑)」。それからモデル、女優の経験を積み、天職だと確信したそう。「今は仕事と学業の両立が良い刺激に。好きな教科は英語。いつか海外の仕事で、英語で話せたらと思っています」。今後は、「真面目な役が多いので、道を踏み外すワルな役も演じてみたい!あと、大好きな歌を歌う機会があれば嬉しいですね」。インスタグラム、最近始めました!フィルムカメラで撮ったり、アプリで加工したり、一枚一枚こだわってます。家を平和にしてくれる愛犬のノア君中学1年生のときからずっと一緒。休日は散歩に連れていくのが楽しみ♪梅のお菓子は、新作も必ずチェックします!さっぱりした味が気分転換に最高。特に、「男梅」シリーズが好きです。やまだ・あんな2001年生まれ。『先に生まれただけの僕』(日本テレビ系)や『セトウツミ』(テレビ東京系)第7話(11月24日放送)に出演。Instagram(@anna_yamada_)も必見!※『anan』2017年11月29日号より。写真・土佐麻理子文・松下侑衣花(by anan編集部)
2017年11月28日気づけばそこにいて、ドラマのいいスパイスとして味わいを深めてくれる。三浦貴大さんはそんな俳優だ。「高嶋政宏さんには、かわいい女性として見てもらえるよう頑張ります」「映像作品に出演する時の自分のテーマとして、作品の中に紛れるというのがあるんです。それは単に僕がそういうお芝居の方が、見る側としても好きだというだけなんですが」そう言ってから「地味な役をより地味にする方なので…」と苦笑い。しかしそれだけ演技が自然だということ。いまやそんな三浦さんに注目が集まっている。今回出演の舞台『クラウドナイン』もまた、主催者側の熱烈なオファーで実現した。「期待されているなら応えたいと思っていますが、なぜ僕にベティ役が来たのかはいまだ謎なんですよね」ベティ?と思った方に説明すると、2幕構成の今作は、一幕はイギリスの植民地だった時代のアフリカ、二幕はその100年後のロンドンが舞台となっていて、ベティとは一幕の封建的イギリス人・クライヴの妻役。なんと戯曲で、この役を男性がやるようにと指定されているのだ。「この時代、男とはこうで女とはこうだという、あるべき姿みたいなものがあって、どこかそれを皆が演じているような感じなんです。だから自分でも成り立つのかな、と思っています。僕は役を相手役との関係性で作っていく方なので、できればクライヴ役の高嶋(政宏)さんには、かわいい女性として見てもらえるようにと、いま頑張っています(笑)」二幕はゲイの青年・ジェリー役に。「時代も役も違いますが、お芝居の仕方自体が前半とは全然違って、二幕は気持ちの後に役がついてくる感じがあるんです。しかもジェリーはいままでやってこなかったものが詰まっている役。これまでの演じ方では対応できなくて難しいです」現在絶賛苦悩中。それでも「舞台稽古っていいなと思う」とも。「悩んで何度もやり直せる時間があるってことがありがたいし、その時間がいまはすごく楽しいです」みうら・たかひろ1985年生まれ。東京都出身。’10年のデビュー当初から、その演技力が高い評価を受ける。来年の公開待機作に映画『四月の永い夢』『ばぁちゃんロード』『栞』などがある。モチロンプロデュース『クラウドナイン』一幕と二幕で、100年の時が流れているが、なぜか登場人物たちは25歳しか年を取っていない設定。性の逆転などの斬新な演出を入れつつ、破天荒でバカバカしく奥深い物語が展開。12月1日(金)~17日(日)池袋・東京芸術劇場 シアターイースト作/キャリル・チャーチル翻訳/松岡和子演出/木野花出演/高嶋政宏、伊勢志摩、三浦貴大、正名僕蔵、平岩紙、宍戸美和公、石橋けい、入江雅人全席指定6800円ヤング券3800円(22歳以下)大人計画TEL:03・3327・4312(月~金曜11:00~19:00)大阪公演あり。※『anan』2017年11月29日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・KEN(Rim)インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2017年11月23日映画・舞台・ドラマと活躍中の若手俳優、村上虹郎さん。締め切りが間近! ちょっと落ち着こうってときの3曲とは?村上虹郎さんが“焦る気持ちをクールダウンする”ときに聴く3つのうたアンケートやコメントなど、期日までに提出してねとマネージャーに宿題を出されることがあります。試験勉強じゃないけれど、そういうものって気分が乗らないとできない。やらなきゃいけないのに、全然、そういうモードになれないとき、いちど自分を落ち着かせるために聴きたい曲を選んでみました。響心SoundsorChestrAは、ボーカルの総理とここ1年ほどの付き合いなのですが、急速に意気投合して一緒に旅行もしたくらいの仲(笑)。僕は、音楽ってイントロ5秒を聴けば好きな曲か苦手な曲かわかると思っていて。響心の「そうじゃないと言える生活」はまさに、出だしの5秒がガツンと響いた。王道のロックであり、バンドサウンド。歌詞もすごくいい。総理は、ミュージシャンというより思想家なんです。とても博識で、僕は“知の巨人”と呼んでいます。だから、彼の言葉にもすごく刺激を受ける。音楽は表現のための手段と言い切るだけあって、これからも激変していくバンドだと思う。同世代だし、ずっと注目していきたいし、一緒に成長していきたいと思わせてくれる表現者です。とても温かで穏やかな空気感のハンバート ハンバートの音楽も大好きです。2人の歌声が童謡のように優しいのですが、歌詞をよく聴くとすごく言葉にエッジが利いていて、キツイこととか、生きること、死ぬことみたいな人間の芯に迫ることもさらっと歌ってくれている。「ぼくのお日さま」も、言葉がうまく出せない心苦しさみたいなものを歌っている曲。2人のハモりがちょっとズレていたり、なんだか不器用な感じがかわいらしくも切なく聞こえるのがいい。野田さんの音楽は、中学生時代にRADWIMPSを父親に教えてもらって。それ以来、ずっと聴いています。illionはもうセンスの塊というか、レベル違いのかっこよさ。音の一つ一つが踊っているようなダンスミュージックで、ずっとリピートして聴いていられます。ヘッドフォンで一人、音楽を聴くことって結局、自分との対話だと思うんです。音楽を通して自分の考えや願望が溢れてくる。そのきっかけを作ってくれる音楽に、もっともっと出合いたいです。『そうじゃないと言える生活』響心SoundsorChestrAオルタナティブ新世代バンド。音源はiTunesほかで配信中。「ボーカルの総理は盟友。彼の思想は半端じゃない!」『ぼくのお日さま』ハンバート ハンバート(SPACE SHOWER MUSIC)来年、結成20周年の男女デュオ。アルバム『むかしぼくはみじめだった』に収録。「エッジの利いた言葉遣いにハッとする名曲。」『Water Lily』illion(ワーナーミュージック)RADWIMPS 野田洋次郎のソロプロジェクト。アルバム『P.Y.L[Deluxe Edition]』に収録。「音自体が踊りだすような格別な高揚感に震える!」むらかみ・にじろう1997年、東京都生まれ。2014年、主演映画『2つ目の窓』でデビュー。2018年2月2日から石原さとみ主演舞台『密やかな結晶』に出演。※『anan』2017年11月22日号より。文・梅原加奈(by anan編集部)
2017年11月18日相変わらずの美貌が眩しい女優・長谷川京子さん。最新作の見どころや役作りから、これまでの女優人生について伺いました。女優を続けられたのは、やめなかったから。三浦しをんさんの小説の中でも異彩を放つ『光』が、大森立嗣監督によって実写映画化された。「まほろ駅前」シリーズでおなじみの三浦×大森タッグは、人間に潜んだ闇を絶妙に描き出すことで知られているが、今作はさらに深く切り込み、えぐり出し、容赦のないバイオレンスを繰り広げている。物語の鍵となるのは、とある小さな島で生まれ育った幼なじみの信之と美花。ある日、信之は美花を守るために殺人を犯してしまう。しかし、直後に突如島を襲った津波によってその罪は消し去られていた。それから25年後。南海子<みなこ>と結婚して1児の父となった信之のもとへ現れたのは、同じ島で育ち、弟分のような存在の輔<たすく>だった。輔は、消し去られたはずの殺人事件をネタに、信之と、女優として成功していた美花に金をたかってきたのだが…。信之役に井浦新さん、輔役に瑛太さん、大人になった美花役に長谷川京子さん(幼少期の美花役は紅甘<ぐあま>さん)、南海子役に橋本マナミさんという実力派キャストが顔を揃え、際立った演技力で人間の生き様にリアリティを与え、見応えある作品に仕上がっている。――大人になって生まれ育った島を出た美花は、女優の篠浦未喜となり、そこから長谷川さんが演じているわけですが、そもそも、女優さんが女優役というのも、なかなかめずらしいですね。確かに(笑)。ただ、女優の未喜を演じるというより、美花そのものを演じることが課題でした。――美花について長谷川さんは、模索し続けても最後までわからなかったというコメントを残していましたが、撮影から1年以上経った今は、いかがですか?脚本を読んで演じて、完成作品を観た時に、美花ってこんな感じの人なのかな、って何となく思ったぐらいで、今も、ぼんやりしています。独特な雰囲気を持った島で育ち、島の呪縛みたいなものを背負って生きてきた子ですからね…。撮影に入る前に、温度感や空気を知るために、14歳のころの美花や信之の島でのシーンを見させていただきましたが、子供時代の美花を演じた紅甘さんは、想像よりもずっと湿度の高い女優さんでした。つい周りが手を差し伸べたくなるんだけど、でも絶対にこの子は壊れないよな、という強さもあって、不思議な魅力を感じたんです。そんな彼女の演技も含めて、大人になった美花は島の宿命や自分の性、人生を受け入れて生きるしかないという覚悟を決めているんだろうな、と思いました。――かなり難しい役だった、ということが窺えますが、人物像として大事にしたところはどこですか。ともすればただの悪女に見えてしまうかもしれなくて、それはイヤでした。彼女の背景が感じられるようにしたかったし、プライドを持っていたかったんです。――確かに、ブラックな色気を放ちながらも、でもなぜか憎めない女性でした。この映画を通して、どんなことを伝えたいですか?伝えたいことかぁ…難しいですね。完成作品を観たら、自分が脚本を読んで解釈し、現場で演じていた時の感覚よりも難しい作品に仕上がっていましたから。観ている側の思考回路をかき乱すような(ジェフ・ミルズさんの)音楽も相まって、心揺さぶられながら観続けていたので、想像以上に衝撃が強くて。そう考えると、普段自分が映画を観る時には、あまりメッセージ的なものは求めていないし、メッセージというよりも感覚的な部分で感じてもらいたいです。ただ、黒か白かというわかりやすいものではない。かといって、グレーなんていうまろやかな色でもなくて。人間の内面や本質をえぐりつつも、日常に潜む暴力があらわになっていて、心がザワついたまま終わってしまうという新しいタイプの作品だと思うんですが、こういうジャンルも、映画を選ぶ時の選択肢の一つに加えてもらえたらいいな、と思います。私はただ、別の道を歩まず同じ道を歩き続けただけ。――「強い衝撃が残った」というこの作品、長谷川さんにとっての一つの節目になりそうですか?いわゆるわかりやすい大きな転機みたいなものってこれまでもあまりなかったんです。例えば、あとから考えてあの監督に出会えてよかったと思うことはあるんだけど、根本的に、今日に至るまでのすべてが自分の人生だったと思っているから、これとこれだけが転機だった、とは言えなくて。――なるほど。では、22歳の時に、モデルから女優へとシフトしたのも、ご自身としては転機というわけではなかったわけですね。そうかもしれない。モデルから女優になった理由は、ひとことで言えば、モデルとしてやれることがなくなっちゃったから。そもそも、身長が高い方ではないし、脚がめちゃくちゃ長いわけでもない。高校生で芸能事務所に入った時は、オーディションの毎日で、しかも落ちまくってたし。それでも、たまに呼ばれる撮影現場は学校よりも刺激的で、仕事がすごく楽しかったんです。そのうち、『CanCam』のオーディションで専属モデルに選ばれて少しずつ仕事が入り始めると、ほかのモデルさんと一緒に現場に出られるようになったり、自分のページが1/4から1ページの裁ち落としになったりしながら、ついに表紙をやらせてもらえるようになりました。だけど、憧れていた表紙に出られるようになると、次の目標が見えなくなってしまって、将来的にモデルを続けている自分も全く想像できなくなっちゃって。活躍の場を広げるには、もっとたくさんの人に私を知ってもらうためにはどうしたらいいのかな…そう考えた結果、女優の道を選びました。――モデルから転身し、今では、長谷川さんが出演されるのは話題となる作品ばかりですが、ここまで女優を続けてこられた理由は、どんなことだと思いますか?本当に、ありがたいことですよね。でも女優を続けてこられた理由は1つあるんですよ、明確に。それは“やめなかったこと”(笑)。女優の道を歩き始めた時に、一緒に歩んでいた人たちが、気がついたら別の道を歩んでいる、というのを何度も見てきました。でも、私はただ別の道を選ばずに同じ道を歩み続けていただけ。子どものころから負けず嫌いで納得するまでやり続ける性格で、気づいたらここまできていた、という感じです。そうそう、心理学的には私って“不安”が頑張れるバネになるんですって。――それって、ちょっと大変じゃないですか?そうなんですよ、本当はイヤなの。不安なんて一切感じずに、何事も楽しんでいたいのに、いつになったら私は、神様のように達観できるの?っていつも思っています(笑)。一方で、でも達観してしまったら女優の面白さがなくなるのかもしれないし、もしかしたら自分で不安材料を用意してバネにしているのかも、とも思ってて。――表裏一体と言いますか…。女優の魅力ってどんなところにあるのでしょうか?やればやるほど面白くなってきちゃうんですよね、これが!飽きればいいのにって思うんだけど、それまで、悔しさから無我夢中に食らいついてきたところから、あれ?だんだんやり方がわかってきたな、って思い始めたりして。多分、この仕事は、一つのことがわかるまでの時間がすごく長いんだと思います。あとは、女優の魅力の一つに、自分とは全然違うタイプの役で、イヤなセリフを言ったりすると、結構すっきりするというのがあって。もしかしたら、本当はそういうイヤな部分も自分の中に持っていて、普段は社会人としてフタをしているだけなのかもしれないですね。映画『光』は、11月25日~全国ロードショー。監督と脚本を務めた大森立嗣さんが、劇中の音楽にテクノ界のカリスマ、ジェフ・ミルズさんを起用したことでも話題。全編にちりばめられた狂気的な感覚が、彼の音楽によってよりミステリアスに迫る。出演は、井浦新、瑛太、長谷川京子、橋本マナミ、南果歩、平田満ほか。はせがわ・きょうこ1978年7月22日生まれ。高校3年の時にファッション誌『CanCam』の専属モデルとなり、その後、女優に転身。2006年のドラマ『おいしいプロポーズ』(TBS系)でドラマ初主演。その後、ドラマ『SCANDAL』(TBS系)、『続・最後から二番目の恋』(フジテレビ系)や『ペテロの葬列』(TBS系)、映画『後妻業の女』などの話題作に出演する人気女優に。※『anan』2017年11月22日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・長澤実香(TOKYOEDGE.)ヘア&メイク・佐々木貞江インタビュー、文・若山あや(by anan編集部)
2017年11月15日完成されたルックスと佇まいで、ドラマ界に彗星の如く現れたこの人。スポーツでの挫折。韓国でのキャリア。“大谷亮平ができるまで”を伺います。23歳の時に韓国で出演した『ダンキンドーナツ』のCMが反響を呼び、以降11年間、韓国でモデルや俳優として活躍。’16年からは日本でも活動を始め、ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』や『奪い愛、冬』など、話題作に立て続けに出演。30代後半を迎えた今、生まれ育った日本の芸能界でも“逆輸入型俳優”として脚光を浴びている。偶然にも取材当日は、大谷さんの37回目の誕生日だった。――お誕生日おめでとうございます!今日で37歳ですね。大谷:ありがとうございます。でも、小さい頃に思い描いてた37歳と今の自分があまりにも違いすぎて。いざなってみたら、37歳ってこんなに子供なんだなってびっくりしています。――昔思い描いてた“大人の男”はどんなイメージでした?大谷:完璧な男。何事にも動じず、何を聞いても的確な答えをくれるイメージ。どんなアトラクションにも乗れ、おばけ屋敷も怖くない、みたいな(笑)。でも、全然そんなことないっていうのが、今ならよくわかります。――大谷さんは自分を大人の男だと思いますか?大谷:いや、まったく。――でも、すごく落ち着いた雰囲気で、“大人の男”という表現がぴったりですけど。大谷:そのギャップがすごく歯がゆいんです。顔も濃いし、大学生の頃から老け顔なので、周りからは落ち着いて見られるんですけど、本当は全然そんなことなくて。まだまだ子供です。――なぜそう思うんですか?大谷:周りの同年代の友達は、父親になってるやつも多いんですよ。家族がいるから好き勝手できるような状況ではなくて、自分本位な生き方をちゃんと改めている。そういうやつを見ると、本当に立派だなと思います。覚悟を決めて生きている感じがするし。でも僕はまだ、やりたいことや夢を諦めきれない。それが許されない年齢になってることはわかってるんですけど。――放送中の『WOWOW 連続ドラマW東野圭吾「片想い」』では、感情に左右されない冷静な大人の男、早田幸弘を演じられていますが、大谷さんとのシンクロ率はどれくらいですか?大谷:僕自身もあまり感情を表には出さないタイプです。心の中では結構ふつふつとしてることもあるんですけど。周囲には、僕のそんな態度を寂しいと感じる人も多いみたいで。興味ある女性にも、全然その気がないフリをしてしまう(笑)。シャイなんでしょうね。――それは昔から?大谷:いや、むしろ昔は表に出すほうでした。喜怒哀楽も激しくて。人から見たら短気って思われるようなやつだったと思います。気に食わないことがあったら、すぐにふてくされたり。よく親にも言われてました。「お前は感情を表に出しすぎだ!」って。とにかく調子にのっていたので、僕が寝ている時に姉が腕をへし折ろうとしたことがあるらしくて(笑)。「この子は口で言っても言うこと聞かんから」って。――そんな(笑)!?その後、何か変わるきっかけがあったんですか?大谷:小学生の頃からやっていたバレーボールを通して変わったと思います。バレーに関しては、何でも思い通りにいく時期があったんですよ。それで天狗になってたんですよね。でもそれがだんだん、上に行けば行くほど通用しなくなってきて。その挫折を経て、性格が変わったような気がします。自分よりも実力が上の人がいっぱいいる環境になって初めて、弱い立場の人の気持ちを知った。いま振り返ってみると、なんでそんなことがわかんなかったのかなって思うんですけど。最近聴いた小田和正さんの「風の坂道」という曲の中にも、“弱いから立ち向かえる哀しいからやさしくなれる”といった歌詞が出てきて。本当にその通りだなって。――スポーツの世界はもちろん、異国の地での芸能活動も厳しい環境だったと思うのですが…。大谷:海外に11年いると、みなさんそういう印象を持たれるみたいですけど、そんなに苦労した感覚がないんですよね。たしかに、日本と韓国は似ているようで些細な違いがたくさんあります。どうしてもわかり合えない部分もある。それで何度もきついなと思ったり、日本が恋しくなることもあったんですけど、その度に韓国の人たちの打算のない情け深さだったり、優しさに救われて。プラスの部分のほうが多かったから、あまり苦労したと思わないのかもしれません。――今の大谷さんが思う大人の男は、どんなイメージですか?大谷:無条件に明るくて、周りの人を楽しませるのが上手な人。自分にはそういうところがまったくないので、憧れますね。あとは、それこそこれまでアンアンの大人の男特集に出ているような、振る舞いひとつをとってもかっこいい人っているじゃないですか。僕もそんな“ダンデー”な男になりたいです。――ダンデー(笑)。具体的に大人の男と聞いて、思いつく方はいらっしゃいますか?大谷:福山雅治さんはダンデーでしたね。ドラマ『ラヴソング』で共演させていただいたんですけど、第5話から合流した僕に気を使っていろいろ話しかけてくださって。プライベートでも一度呑ませていただいたことがあるんですけど、振る舞いがとてもダンデーでした。「大谷くんは立たなくていいから」と言って、福山さん自らお酒を持ってきてくださったり、こちらが硬くならないように気を使って、くだけた話もしてくださったり。さすがですよね。――次の節目は40歳かと思いますが、それまでにはこうなっていたい!というような夢や目標は何かありますか?大谷:今よりはもっと、落ち着いていたいですよね。あとは、英語を習得したい。いま出演しているドラマ『片想い』の監督や台湾の芸能界で活躍している日本人の親友は、韓国語と中国語の2か国語が堪能。僕はもう中国語は挫折したので(笑)、せめて英語を。今後も韓国はもちろん、機会さえあれば他の国でも活動したいですし。とはいえ、40歳なんてまだまだ先のことのように思えて、あまり具体的にイメージができないんですけど(笑)。おおたに・りょうへい1980年10月1日生まれ、大阪府出身。俳優。’16年の『ラヴソング』で日本のドラマに初出演。現在は『WOWOW 連続ドラマW東野圭吾「片想い」』(毎週土曜22:00~)に出演中。ニット¥20,000(トゥモローランド)パンツ¥22,000(ノット メン)シューズ¥140,000(ヴァーシュ)以上トゥモローランド TEL:0120・983・522その他はスタイリスト私物※『anan』2017年11月15日号より。写真・森滝 進(まきうらオフィス)スタイリスト・伊藤省吾ヘア&メイク・MIZUHO(vitamins)インタビュー、文・菅野綾子(by anan編集部)
2017年11月14日テレビで見ない日はない、超売れっ子の俳優・桐谷健太さん。老若男女問わず誰からも愛されるそのワケをご本人に聞いてみました。ただ、一緒にいたいからいる――。ストレートな気持ちが大物の心を動かす。映画『ビジランテ』で3兄弟を演じた大森南朋さんや鈴木浩介さんとは、飲み会をする仲。「3人一緒にダラダラ、よう笑いながら飲んでますね。浩介くんを僕がイジって、浩介くんが『先輩だぞ!』って返すのを、南朋さんが笑って見てるという構図です。浩介くんは先輩なのに、いい意味で気を遣わずおられるんですよ」先輩たちから愛されるのは、“名もない若手時代”から。「初映画で共演した西田敏行さんに、ご飯に連れていってもらってすごく嬉しかったなあ。人生の先輩からいろんな話を聞くのが大好き。今、世の中がキッチリしすぎてる分、ちょっとくらいハメ外してもいいんだよって、言葉ではなく存在や生き方でもって教えられると、カッコいいなあと思いますね」これだけ大物に愛されていてもその自覚はなし。「単純に、好きだから一緒にいたい。その一心ですね。僕も、一緒にいて気持ちのいい人になりたいですし、人からどう見られるかよりも、いかに気持ちよく生きられるかを考えるようになりました」打算なき愛され力と確かな演技力で、どの現場でも高評価を受け、好感度が肝なCMでも大人気。多忙な日々が続いても、大事にしているのが、自然と対峙する旅。「ジャングルや秘境に行くと、死を意識するような極限状態に丸裸で放り込まれるんです。そこでは、お金を持っているとか、ええ車に乗ってるとか、何の役にも立たない。生きられるように祈るしかない時に、冷静さを失わず、ちゃんと感じて、動けて、周りの人を思いやれるのが、ほんとうに頼りになる大人じゃないかな」きりたに・けんた1980年、大阪府生まれ。ドラマ『ROOKIES』で知名度を高め、’11年にはエランドール賞を受賞。’15年、’16年度のCM好感度ランキング男性部門で1位を獲得。現在、『WOWOW 連続ドラマW東野圭吾「片想い」』に出演中。ニット¥43,000パンツ¥46,000(共にロバート ゲラー/ヴィア バス ストップ ミュージアム TEL:03・5459・1567)シャツ¥36,000(08サーカス/08ブック TEL:03・5329・0801)※『anan』2017年11月15日号より。写真・網中健太スタイリスト・岡井雄介ヘア&メイク・池上 豪取材、文・小泉咲子(by anan編集部)
2017年11月12日男女問わず激モテ中!引っ張りダコな“人タラシ男”の魅力について本人に直撃!話を聞いたのは、いまや演劇界のみならず映像の世界にもすっかり浸透。若手俳優たちからも慕われている演劇モンスター古田新太さん。くっだらない舞台をやって一生を終えられたら満足です。今回のページ趣旨を説明すると、古田新太さんは「そりゃあ来たお仕事、断らないからね」と事もなげに言って、「仕事に変なこだわりはないから」と付け加えた。「映像に興味がなかった若い頃には、呼ばれても“やりゃぁいいんだろ”くらいに思ってやっていたんです。でも徐々にそこに命かけてる人たちがいるんだってわかってきて、どんな仕事もナメちゃいけないなって思うようになりました。だからいまはめちゃくちゃ聞き分けいいよ(笑)。監督や演出家に言われたら素直にやるからね。いらない芝居を入れて、“それ、やめてください”って言われたら、別のいらない芝居をして納得してもらえるだけの手管は持っているつもりだし」古田さんの魅力は自由にも見えるその軽やかさだけれど、それもあらゆる要求に応えられる確かな技と芸に裏打ちされたものなのだ。「ただ、作品に対して面白い面白くないって批判性は、ちゃんと持っておかなきゃとは思っています。面白くないならどうするか、それを考えるのが大人だろ、と」あくまで「自分は舞台俳優だと思っている」と話す。「人気者になりたいとか、お金持ちになりたいって気持ちはないのよ。金は、飲みに行ったら後輩より少し多めにあればいい。んで、くっだらない舞台に出てふざけ倒して、ゲラゲラ笑って一生を終えられたら満足で」出演中の『ロッキー・ホラー・ショー』は、その古田さんが子供の頃から大好きなミュージカル。「いい大人がふざけまくるパーリィ的な舞台を目指しています。お客さんが“楽しかった”って言ってくれたらそれでいいんで」ふるた・あらた1965年、兵庫県生まれ。劇団☆新感線の看板俳優として活躍する傍ら、数々の舞台やドラマ、映画に出演。出演舞台『ロッキー・ホラー・ショー』は現在東京で上演中。北九州、仙台、松本、大阪でも公演あり。シャツ¥18,144(マカナレイ/マカナレイTEL:03・3793・9553)パンツ¥2,400(M’sMonkeyBanana)靴¥7,020(VANS/VANS JAPAN TEL:03・3476・5624)その他はスタイリスト私物※『anan』2017年11月15日号より。写真・網中健太スタイリスト・渡邉圭祐ヘア&メイク・大谷亮治取材、文・望月リサ(by anan編集部)
2017年11月12日2000年にモデルとしてデビューし、2003年にドラマ『威風堂々な彼女』で俳優に転身して以降、韓国映画界にはなくてはならない存在となったカン・ドンウォンさん。映画『MASTER/マスター』では初めて刑事役を演じ、激しいアクションシーンにも挑戦しています。そんな彼が「俳優生命が終わった」と思わず悲観したほどのケガを負った場面とは?撮影現場で体験したこと、ご本人の結婚観についても語っていただきました。写真・水野昭子 文・尹 秀姫初めての役柄での苦労は?--今回カン・ドンウォンさんが演じたのはキム・ジェミョンという刑事の役ですが、今まで演じた役のなかで一番難しかったそうですね。この映画は腐敗した政治や社会に挑むという内容ですが、悪に対抗するジェミョン自身には何か具体的な動機があるわけではないんですよ。彼自身が何か不利益をこうむったりとか、個人的に復讐したい理由があるわけではなく、ただ社会正義を実践したいという想いがあるだけで。もちろんそれも十分な動機かもしれませんが、映画のキャラクターとして考えると少し弱い気がして、感情をとらえるのに苦労しました。僕が今まで演じてきたなかで一番男性的だったということもあります。僕はあまりマッチョ的な人間ではないので、そういう点も難しかったですね。それと、僕は普段ゆっくり静かにしゃべるタイプなんですが、ジェミョンはすごく早口なんです。これは僕がそういうふうに役作りしたからなんですけど。映画のランニングタイムが気になってしまって(笑)。--初めての刑事役を演じるうえで準備したことは?監督からの要望で、体を大きくするために運動して鍛えました。アクション・チームからはボクシングをやってほしいとも言われましたね。個人的にはリズムよく早いテンポで台詞が言えるように準備しました。--先輩であるイ・ビョンホンさんと後輩のキム・ウビンさんとの共演はいかがでしたか?僕は2人のほぼ真ん中くらいの年齢ですが、特に架け橋的なことはしてないです(笑)。ビョンホン先輩とはあまり撮影が重ならなかったので、僕は主にウビンと遊んでました。ウビンとは毎日顔を合わせて、一緒にご飯を食べたり運動したりして、すごく仲良くなりました。ビョンホン先輩は時々現場に現れて、お酒をおごってくれました(笑)。2人とも演技はうまいし、それに口が大きいんですよ。声も発音もよくて、声量もある。特にビョンホン先輩は演技に入った時の集中力がずば抜けていて素晴らしいと思いました。たくさん刺激をもらいました。--撮影していて大変だったことは?マニラで1か月撮影をしたんですが、暑くて大変でした。朝から気温が30度を越えるんですよ。撮影したのがマニラのスラム街だったので、想像していた以上に人々の生活が厳しいものだと感じました。最初はそういうのを見るだけでも胸が痛かったですね。この映画は腐敗した社会や政治を描いた作品なので、貧富の差の激しさを感じるにつけ、胸に響くものがありました。--激しいアクション・シーンが多かったですが、苦労した点は?撮影中に危険な事故がありました。僕が車に乗っていて、向かい側の車に襲撃されて窓ガラスが割れるというシーンだったんですけど、僕としては1テイクでうまくいったと思ったんです。ところが監督から、顔がよく見えなかったからもう一度撮ろうと言われて。今度は顔がよく見えるように外に顔を向けていたら、突然パーンッ!という破裂音が聞こえて、僕のほうにガラスの塊が飛んできたんですよ。とっさに避けたんですけど、頭にぶつかって、破片が顔に刺さりました。車のサイドミラーで顔を見たら、頭から血がドクドク流れて、顔が真っ赤に染まってて。首にもガラスが刺さっていたので「ああ、ぼくの俳優生命はこれで終わりだ」って、引退を覚悟しました(笑)。すぐに病院に行って、傷の内側は3針、外は4針縫いました。--では、ぜひ観てほしいアクションシーンは?どのシーンで僕の顔にガラスが刺さったのかを確認していただきたいですね(笑)。顔が映っている場面はすべて僕自身がアクションをやっています。カー・チェイスのシーンはすごく楽しかったですよ。大きな車をガンガンぶつける感じで。そしておそらくDVDを購入していただくと観られると思いますが、映画本編ではカットされた場面もぜひ観ていただきたいです。そこが一番苦労して撮ったシーンなので(笑)。そのシーンについて僕はシナリオの段階で監督に「このくだりは必要ないんじゃない?」って言ってたんですよ。でも監督は絶対に必要だ!と言うので撮ったんですけど。監督が編集室で作業している時にこのシーンは必要ないなって気づいたそうで、後から飲みに誘われて、正式に謝罪されました(笑)。結婚観に関する意外な過去とは?--キム刑事は正義感が強く仕事に生きるタイプですが、キム刑事の部屋に行ったウビンさん演じるジャングンがすぐに「結婚はしていないな」と見抜く場面がありました。カン・ドンウォンさん自身の仕事観・結婚観は?僕もそれなりに正義感が強いタイプだと思います。キム刑事について、ある人に「ただ正義のためだけに戦うのではあまり魅力がないのでは?」と言われた時も、「正義のために戦う男は、十分魅力的だと思いますよ」と答えました。僕とジェミョンは似ている部分も多々ありますが、仕事が違いますよね。僕は俳優としてできることを探している感じです。僕の結婚観、ですか…。性格的に、結婚できるのかなって(笑)。僕は子どもの頃から両親に「僕は結婚しないよ」って言ってたんですよ。そのたびに「先のことはどうなるかわからないよ」と言われていたけど、この先どうなるか、自分でもわかりませんね。--韓国映画は世界的にも強いパワーを持っていると感じますが、そういったことを実感することはありますか? 韓国映画のパワーの源は何だと思いますか?海外の映画祭に行くと、僕たちが思っている以上に韓国映画を高く評価していただいていると思います。実際、そういう記事はよく見ていたんですが、僕が直接聞いたわけではないので、書かれていることをすべて鵜呑みにはできないですし。それに興行成績が飛び抜けて高いわけではないので、僕としては疑問だったんですよ。「韓国映画が評価されているというのなら、なんでこんなに観に行く人が少ないんだろう?」って(笑)。でも、実際に海外の映画製作者に会うと韓国映画が好きだと言われるので、そういう時はきちんと仕事を評価していただいているんだなと思います。韓国映画のパワーのひとつは、映画1本を撮る時に全員が使命感とプライドを持って臨むことだと思います。韓国映画はハリウッド映画のように産業的でブロックバスター的な作品もあって、それは観客が望むからというのもありますが、それなりの画を撮るにはやはり犠牲がつきものなんですよ。そういう犠牲を楽しんでいるところがありますね。少しでもいい映画を撮るためには何かしらの犠牲が必要だという基本的な考えがあって、それが韓国映画にとって一番の力なんじゃないかと思います。--カン・ドンウォンさんがこれまで観てきた中で好きな映画は?最近『ベイビー・ドライバー』を観たんですけど、あまりにおもしろすぎて、観ていて腹が立ちました(笑)。カー・チェイスのシーンが見事でしたね。一番好きな映画は『エターナル・サンシャイン』です。中学生の頃は『ブレイブ・ハート』が好きでした。日本映画では『嫌われ松子の一生』や、是枝監督の作品が好きですね。『南極料理人』も好きですし、僕も韓国版の映画に出演した『ゴールデン・スランバー』も楽しく拝見しました。韓国映画では『殺人の追憶』と『グエムル』が好きです。--いつか一緒に仕事してみたい監督は?日本の映画に出てみたいですね。機会があるかどうかはわかりませんが、是枝裕和監督と中島哲也監督の作品に出てみたいです。僕の心はいつでも開いていますが、日本語での演技ができるかどうか、ですよね。7年前よりは日本語がうまくなったけど、まだ無理かな(日本語で)。Informationカン・ドンウォン1981年1月18日、釜山生まれ。186cm、B型。2000年にモデルとしてデビュー、2003年にドラマ『威風堂々な彼女』で俳優に転身。翌年には『彼女を信じないでください』や『オオカミの誘惑』の主演で映画界に進出し、現在までに多数の映画作品に出演。来年は伊坂幸太郎原作の『ゴールデン・スランバー』と『人狼 JIN-ROH』の公開を控えている。映画『MASTER/マスター』ストーリー巧みな話術とカリスマ的な人気で多額の投資を引き出すワン・ネットワークのチン会長は、実際にはありもしない事業を語って金を巻き上げる天才詐欺師だった。知能犯罪捜査班のキム・ジェミョン刑事は彼を逮捕するため、ワン・ネットワークの天才ハッカー・ジャングンをスパイに仕立てるのだが……。“絶対悪” イ・ビョンホンに挑むカン・ドンウォン+キム・ウビンのヒリヒリした緊張感がたまらないクライム・アクション巨編。
2017年11月12日映像へ出始めた当初はエキセントリックな役柄が多かった阿部サダヲさん。いまやその演技力は誰もが知るところとなり、幅広い役柄をこなす個性派に。取材日はあいにくの雨。しかも、撮影が始まった途端、雨脚が強くなる。しかし、そんな状況に躊躇も戸惑う様子もなく、傘を手に軽快な足取りで歩き出した阿部サダヲさん。道すがら、一風変わったファサードの家を興味深く眺めたり、後ろから来た車のためにぴょこんと跳んで道の端によけてみたり。大人の男特集にもかかわらず、その仕草、何だか可愛すぎやしませんか?――最新映画『彼女がその名を知らない鳥たち』を拝見しました。阿部さん演じる陣治は、罵倒され足蹴にされながらもなお、十和子(蒼井優)に執着し、彼女の世話を続ける男です。観ていて痛々しい役でしたが…。阿部:最初に台本を読んだ時は、こんな人たち実際にはいないだろうって思っていたんです。でも、沼田まほかるさんの原作を読んだら、陣治と十和子の関係性がすごくリアルに描写されていて、なんというか…信じられたんですよね。――まさに、映画の中で阿部さんと蒼井さんの存在感にはリアルな生っぽさを感じました。阿部:現場の雰囲気も良かったんだと思います。実際にある団地の空き家を何部屋かお借りして撮影したんです。その街の空気感もそうですし、ベランダでタバコを吸っている時に見える景色とか、部屋のソファの小ささとか、妙にリアリティがあったんです。しかも陣治は格好も汚いから、撮影の合間に近所を散歩していても妙に馴染んでいたみたいで。全然誰からも声をかけられなかったです。――陣治は、お金もなく不潔で不作法な男ですが、演じるのに抵抗はなかったですか?阿部:逆に面白かったです。地べたに座ったり、汚く食べたり、人が不快に感じることをあえてやるということは、まずない経験なので、撮影中、どんなに汚い食べ方をしても「いいですね」と言われるのが妙に楽しかったです。――松尾スズキさん率いる大人計画に入ったのはどういったいきさつで?阿部:たまたま大人計画の舞台を観に行って、その後オーディションを受けました。全く知らない世界に足を踏み入れたかったのもあるかもしれません。一回失敗してみたい、というか。あの時に大人計画のオーディションを受けていなかったら、今頃何をしてたんでしょうね。選んでくれた松尾さんに感謝です。――入団当初から、お芝居は楽しかったんですか?阿部:僕が入った頃、若手がどんどん自主公演を打ってもいいよっていう時期だったので、入団間もない僕もいろんな役を頂きました。舞台経験を積んでいくうちに、全く知らないお客さんの前で芝居するっていうことに、徐々に気持ちよさを感じられるようになっていったんです。あれがもし研修期間とかがあるような劇団だったら、すぐに辞めてたかもしれませんね。あべ・さだを1970年4月23日生まれ。’92年より大人計画に参加。主演映画『彼女がその名を知らない鳥たち』は、現在公開中。’19年には、NHK大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』の主演を務めることが決定している。※『anan』2017年11月15日号より。写真・内田紘倫スタイリスト・チヨ(コラソン)ヘア&メイク・中山知美(R.I.S E)インタビュー、文・望月リサ衣装協力・zinze(by anan編集部)
2017年11月12日俊英から陰のある男まで、幅広い役で存在感を放つ俳優・平山浩行さん。その素顔は己のスタイルを貫く男気と、心配りのあふれる、極めつきのナイスガイでした。『anan』での大人の男特集は3年ぶりの登場となる平山浩行さん。前回は芸能界に入る前にバーで腕を振るった経験を生かし、華麗なるバーテンダー姿を披露してくれた。その話を向けると「あれからそんなに経ちますか」と微笑む。その後、映画やドラマでの存在感は強まるばかりだが、気さくな人柄は当時のままだ。――渋みを増し、さらに“大人の男”ぶりに磨きがかかりましたが、実はこの10月に40歳になられたばかりとか。平山:そうなんです。40歳になったからといって自分に変化はないですが、俳優としては若手ではなく中堅。周りから求められるハードルが上がっているのは日々実感します。難しい役も「できて当然」で、監督から叱咤されることも減ります。でも遠慮される存在になっては、課題に気づくチャンスも失ってしまう。だからできるだけスタッフとは垣根なく、何でも言い合える関係でいたい。もちろん現場では集中力も大切なので、共演者のじゃまにならないように。――その紳士的な振る舞いは、やはり「空気を読むプロ」であるバーテンダーの経験で身についたものなのですか?平山:確かにバーで磨いた洞察力は今も生きています。例えば目の前のお客様が一人で思いに耽りたい方なのか、会話を楽しみたい方なのかを察する…とかね。でも役者は空気を読みすぎても面白くない。いい作品を作るためには、時には現場でぶつかり合うことも必要です。納得いく芝居のためなら、ためらわず意見交換すべき。コミュニケーションって、単に仲良くすることだけじゃないですから。――その作品への情熱が、存在感ある演技の源なのですね。平山:そういう意味では、どの現場にも学びがあって俳優業は飽きません。でも、もともと僕はそういう刺激的な環境は苦手だったし、実は人前に立つことも得意ではなくて。ただ映像作品が好きで「あの世界に行きたい」と思って俳優を目指したんです。今でも「好き」という気持ちが、演じる原動力になっていますね。――最近は一筋縄ではいかない個性的な役が続いています。今年公開された映画『昼顔』でもヒロインを追い詰める役柄が印象的でした。平山:確かに『昼顔』で、屈折ある役柄を演じられたことは、新鮮な経験でした。監督から仕草や視線にまで繊細な演技指導を受けることで、今までにない自分を画面を通して見られたような…。以前はエリート役が多かったのですが、最近はクセのある役ほど燃えるというか、面白い。犯人役も経験しましたが、これほどやりがいのある役はないですね。やりたい放題、決まり事がない(笑)。「狂気とは何か」と考えながら、役に入り込んでいく瞬間を、ぞくぞくしながら楽しんでいます。――そういった、ある種の“悪役”としての演技も魅力的で、驚くほどリアルです。さわやかな平山さんの中にも、そんな秘めたる闇があるのかと勘ぐってしまいますが…?平山:それは、あるんだと思いますよ(あっさり)。自分の中にネガティブなものがなければ、闇を抱えた役の気持ちはわかりませんから。例えば別れのシーンでも、別離の辛さを知っていればこそ、演技に深みが生まれる。そういう意味では常に人生経験が芝居の引き出しになっています。普段は喜怒哀楽のバランスを保って平常心でいて、芝居では自分の中の悲しみや弱さなど、負のエネルギーを爆発させる。そのメリハリが大事です。ひらやま・ひろゆき1977年10月17日生まれ、岐阜県出身。俳優の他、モデルとしても活躍。現在はドラマ『ブラックリベンジ』(読売テレビ・日本テレビ系)、『先に生まれただけの僕』(日本テレビ系)に出演中。ポロコート¥198,000(ボリオリ/ボリオリ 東京店 TEL:03・6256・0297)タートルネックケーブルニット¥39,000(タリアトーレ/トレメッツォTEL:03・5464・1158)パンツ¥14,000(アンルート/アンルート 二子玉川TEL:03・5797・3184)時計は本人私物※『anan』2017年11月15日号より。写真・網中健太スタイリスト・久保コウヘイヘア&メイク・服部さおりインタビュー、文・大澤千穂(by anan編集部)
2017年11月12日物語の味わいを深め、質を高めるバイプレイヤーたち。ヒット作の陰には、そんな大人の男の存在が欠かせません。日本のドラマや映画を支える実力派の役者をピックアップ。本誌を代表するテレビっ子のライター3人が、それぞれに気になるあの人への愛と魅力を語ります!B子:ドラマや映画って、一般的には主役や脚本に惹かれて観ることが多いと思うけど、ここ数年、主役の横で輝くバイプレイヤーに、すごく目を奪われるんだよね。C子:わかります。味のあるいい男の宝庫なんですよね、その枠。B子:ということで、まずはそんなバイプレイヤー枠から、気になる“大人の男”を選出しようと思うんですが…、A子さん、たくさん挙げてきたね。A子:へへへ。C子:さすがA子先輩。ダテに演劇にどっぷりつかってないです!A子:いやいや…(笑)。今、気になるバイプレイヤーの人って、演劇出身の人がけっこう多いんだよね。だからまあ、舞台をよく観ていると、結果的に詳しくなるというか…。B子:そんなA子さんが、今一番気になってるのは誰?A子:気になる人が多すぎるんだけど、まずは、古舘寛治さん。C子:好き~!B子:いきなりそのテンションですか(笑)。A子:この人は、声が素敵なんだよね。渋くていいの。C子:CMで、タクシー運転手かなんかやってましたよね。私もそれを見て以来、なんか気になってます。印象的なヒゲと渋い声。A子:私も初めて舞台で見たとき、「なんだ、このヒゲ&渋い声の素敵な男は?!」って思った(笑)。B子:映画『淵に立つ』の、追い詰められていく夫役が良かったな。A子:同じ渋い声シリーズでいくと、小市慢太郎さんもいいよね。B子:小市慢太郎さんって、この“大人の男”の特集でおなじみの、イケメン一覧ページの常連じゃない?編集部での人気、高いよね。C子:この人も、ちょっと枯れてるところが素敵です~。男の白髪っていいですよね。ダンディ度が上がると思う。B子:白髪…。女子の白髪は…?C子:ヒィィ!やめて!!A子:そういうの、いいから(笑)。で、小市さんは、基本の顔が笑ってる系だから、優しい役をやってもハマるし、怖い役をやると逆にますます怖くなるところがいい。B子:おんなじような、優しい人は優しく、怖い場合はもっと怖く見えるバイプレイヤーといえば、野間口徹さんも気になる。C子:名刺のCMの人!!B子:そうそう!松重豊さんと満島真之介くんと一緒に出てるやつね。あれ、印象的。A子:野間口さんは悪役を演じることもけっこう多いんだけど、この穏やかなお顔で悪人を演じられると、なんかゾクゾクしちゃう。C子:あ~、ゾクゾクしちゃう系の人、私、います。津田寛治さん。B子:津田さん、私も好き~。たけしさんに直訴して、映画に出してもらったエピソードも好き。今公開中の『アウトレイジ 最終章』でも、怖いお兄さんをいい感じに演じてらして、グッときた。A子:ちょ、津田さん、もう52歳だってさ…。見えない…。C子:マジですか?!全然見えない…。なんかこの間『メレンゲの気持ち』に出てて、「近所のカラオケに、歌の練習に行く」って話をしてて、硬派なイメージとのギャップに、心を撃ち抜かれました。A子:この秋から始まった『水戸黄門』にも出てるんだよね。C子:え、何役?!うっかり八兵衛とかですか?!A子:風車の弥七(笑)。C子:よかった…。A子原稿執筆時以外は、ほとんど舞台を観に行っているというライター。中学時代に仲代達矢の舞台を観て、演劇&大人の男に目覚める。B子悪そうなおじさんが大好物!目覚めは中学時代、角川映画の『探偵物語』の松田優作。以降すっかり年上好みの道を驀進中。C子声の低いダンディ系のおじいさんが大好き!某アイドルの舞台の客席で、“ブラボー”と叫んだ北大路欣也さんに胸キュンしたらしい。古舘寛治さん(49歳)ふるたち・かんじ1968年生まれ、大阪府出身。NYで演劇を学び、劇団「青年団」に入団。以降、ドラマや映画を中心に活躍。’19年NHK大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』に出演決定。小市慢太郎さん(48歳)こいち・まんたろう1969年生まれ、大阪府出身。大学時代に劇団に参加し、俳優の道へ。’11年、NHK朝ドラ『てっぱん』で高い評価を。11/25よりドラマ『精霊の守り人 最終章』(NHK総合)に出演。野間口 徹さん(44歳)のまぐち・とおる1973年生まれ、福岡県出身。信州大学時代に演劇活動を開始。以降、舞台、ドラマ、映画など幅広く活躍中。コントユニット「親族代表」としても、不定期に公演を行っている。津田寛治さん(52歳)つだ・かんじ1965年生まれ、福井県出身。北野武監督に直接売り込み、『ソナチネ』で映画デビュー。現在、ドラマ『水戸黄門』(BS‐TBS)に出演中。※『anan』2017年11月15日号より。(by anan編集部)
2017年11月11日いま大ブームを巻き起こしている2.5次元舞台。そのなかで、原作に忠実なキャラクター造形で、第一人者と言われているのが鈴木拡樹さん。なんと次回作は初出演となる劇団☆新感線です。ものすごくゆっくりのペースでしか成長していけないタイプなんです。漫画やアニメ、ゲームの世界を舞台上に忠実に立ち上がらせ、いま大ブームを巻き起こしている“2.5次元舞台”。メイクやウィッグ、衣裳による完璧なビジュアル作りもさることながら、声や表情、仕草、動きに至るまでの役の造形が的確で緻密だと評価を受けているのが鈴木拡樹さん。しかし、鈴木さんがその世界の代表者のように語られるのには別の理由がある。どんなキャラクターを演じていても、普通なら介在するはずの役者の自我や肉体というものの存在を消し去り、すべてを役に明け渡しているように見えるのだ。それはまるで、丸かったり尖っていたり、いろいろなキャラクターの器に合わせて形を変えていく水のような。だからこそ今回、鈴木拡樹という人そのものの形を確かめたくて、さまざまな表情での撮影とインタビューをお願いした。――これまで2.5次元作品への出演が多かったのですが、今回は、劇団☆新感線『髑髏城の七人』Season月に出演されます。鈴木:出演のお話が来ていると知った時には、やっぱりびっくりしました。初めて新感線さんの作品を観たのが『鋼鉄番長』(‘10年)で、好きな世界観の舞台だと思いましたけれど、自分が出るのはピンとこないというか…僕のことを知ってもらえる機会はないだろうと思っていましたから。――そんなはずはないですが、確かに、今回のキャスティングが発表になった時、「ついに見つかってしまったか」とは思いました。鈴木:…はははは(笑)。――初めて触れる新感線の稽古場はいかがですか?鈴木:覚えなければいけないキッカケ数が多いです。体の向きを変えるタイミングのような細かいところまで決まっている。ただ、それに合わせて効果音が入ってきて、それが気持ちいいんですよ。新感線さんの舞台って、いつもとってもテンポがいいですけれど、お客さんを盛り上げられるテンポ作りには、あの細かい演出が必要なのかもしれないなと思っています。――チラシのビジュアル撮影で、役の扮装をした鈴木さんの役づくりがあまりに完璧で、現場が騒然となったと聞いたのですが…。鈴木:…台本はいただいていなかったけれど、以前に観たことがある作品でしたから、一応、ざっくりとした自分なりのイメージでアプローチさせていただいたんですよね。でも、カメラマンさんが、「冷たく指示を出しているように」とか、いろいろお題をくださったので、セリフのないお芝居をしている感覚で、僕も楽しかったです。ただ、他のキャストがいなかったので、完全に“ひとり髑髏城”でしたが。――わりとすぐに役に没入できてしまうほうなんですか。鈴木:どうでしょう…なんとなく、こういう場面でこういう反応をする人なのかな、とか、ある程度ベースを考えておくとやりやすいし、すぐに入れると思います。だから、撮影前に資料を集めて、こういう性格のタイプで、こういう癖があって…ということは、ある程度考えておいたりはします。ただ、稽古が始まってみて、全く変わってくることもありますからね。――実際に稽古が始まって、どんな『髑髏城~』になりそうですか。鈴木:今回、全体的にキャストが若いということもあって、若さゆえの青さみたいなものを、これまでより強く描くと言われています。僕が演じる天魔王は、天下を狙う男ですが、未熟さゆえの思い込みの激しさだったり、人間的な部分が出てくるのかなと思っています。――先日、鈴木さんがMCを務めている『2.5次元男子推しTV』を見直したんですが、ゲストの皆さんが鈴木さんの印象として、一様に「神様」だとか「宇宙人」のような、人間じゃないものに例えていたのが面白かったです。鈴木:普段、あんまり怒ったり声を荒げたりしたくない人なんで、そのせいなんだと思います。――もともとの性格ですか?鈴木:そういう部分もありますし、心がけてもいます。自分の身の丈に合った形で、できるだけ人に優しく接しようとは思っています。――10代や20歳前後には…?鈴木:一般的にトガってると言われる時代ってやつですね(笑)。――まさに、その若気の至りみたいな過去もあるんですか?鈴木:逆パターンですが…もう少しトガっておけばよかったなと思います。学生時代…いわゆる思春期と呼ばれる時期に、親に反抗したりすることがなかったんですよね。今回の役もそうですし、不良役を演じる時も、何か参考にできたかもしれないなって。――不良文化に憧れる、みたいなことはありました?鈴木:たぶん感覚が違うんですよね。反抗している同級生を見て、「ダメだよ」って思っていました。だから、僕自身はそんなつもりはないけれど、同級生からは大人に見られることが多かったですね。――逆に、ハメを外せない自分に対して悩むことはありました?鈴木:そういう瞬間がラフにできる人間だったらよかったなとは思うんですけれど、そんな自分と何年も付き合ってきているんで(笑)。無理するのも違うし、自然にこういう自分をわかって受け入れてくれる人と付き合ってきましたし。――天魔王もですが、ものすごく悪い役や気性の激しい役を演じている時はどんな気持ちですか?鈴木:解放感はありますよ。でも、自分はほぼ持っていない部分なので、想像のなかで作っていくしかないぶん、極端な振り方になってしまうのかもしれません。――今回、同時期に上弦の月と下弦の月の2チームが交互に演じることになりますが、上弦チームへのライバル意識はありますか?鈴木:なくはないですが、同じ天魔王役の(早乙女)太一さんが、稽古中もいろんなことを教えてくださいますので、いまは吸収させていただいて、それを下弦チームに生かすことを考えています。周りを見て動くというのは、自分の得意分野なので、いいと思ったところは積極的に盗んでいきたいな、と。すずき・ひろき1985年6月4日生まれ。大阪府出身。‘07年、ドラマ『風魔の小次郎』でデビュー。翌年の舞台『最遊記歌劇伝 -Go to the West-』で初主演を果たし、以降、舞台を中心に様々な作品に出演。おもな出演作に舞台『刀剣乱舞』『弱虫ペダル』などがある。MCを務めるトーク番組『2.5次元男子推しTV シーズン2』(WOWOW)が11月23日より放送開始。劇団☆新感線『髑髏城の七人』Season月は、11月23日(木・祝)~2018年2月21日(水)に豊洲・IHIステージアラウンド東京 にて上演。上弦の月と下弦の月のW チームでおこなわれ、鈴木さんは下弦の月に出演。共演に宮野真守、廣瀬智紀、木村了、松岡広大、羽野晶紀、千葉哲也ほか。ステージアラウンド専用ダイヤルTEL:0570・084・617(10:00~20:00)※『anan』2017年11月15日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・中村美保ヘア&メイク・AKIインタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2017年11月10日ある時は激動の時代に生きた歴史上の人物、ある時は不屈の企業戦士、そしてまたある時はキャラの濃い弁護士…。作品ごとにまるで違う顔を見せる堺雅人さん。そして、どの役も不思議な魅力を放っている。目が離せない、彼の魅力を大解剖!昨年の大河ドラマ『真田丸』を筆頭に、いまやドラマのヒットメーカーと言っても過言じゃない。しかし堺雅人さんご本人は、そんな世間の評価も期待もどこ吹く風。飄々とマイペースを貫いている。「良くも悪くも、自分が出演した過去の作品への評価って気にしていないし、特別な意味づけもしないんです。確かに反響って大事なものではあるけれど、現場で役者がやることって意外と多いんですよ。例えば、セリフを覚えることだったり、相手役のアクションに反応することだったり。僕はそっちに集中していたいんです」堺さんにとっては全ての役がそれぞれに「面白い」んだとか。「基本的に、どんな役でもやりたいんです。いったん台本を読むと、いいかどうかわからないものまで全部やりたくなっちゃう(笑)」いつも考えているのは、「人物をより生き生きと見せること」。「生き生きと、っていうのは、ドラマがよりドラマティックになるように、ということ。葛藤はより深く。対立ならより激しく。それを考えるのが自分の仕事かなと」最新映画『DESTINY 鎌倉ものがたり』では、人間と人ならざる者たちが共存する鎌倉の街に暮らす作家を演じている。「生きている実感を持てずにいた男が、生き生きとした妻と結婚したことで“生”を取り戻していく物語です。ファンタジーですが、描かれているのは夫婦の結びつき。だから、妻役の高畑(充希)さんとの関係をちゃんと楽しむことだけに集中して演じました」作中、こだわりの強い趣味人を演じているが、当の本人は「趣味と呼べるのは仕事くらいだし、こだわるのも仕事だけ」と笑う。「言ってしまえば、いまも僕にとってはずっと高校の演劇部の延長みたいなもの。メンタリティとしてはそんなに変わっていないんです。こだわるのは、やるからにはちゃんと楽しみたいということ。ちゃんと時間をかけたいし、いいものを作りたいと思います」口調や表情から、演じることが楽しくて仕方ない様子が溢れる。「セリフ覚えは、けっしていいほうではないんです。長ゼリフなんかは、何回も繰り返さないと覚えられないから時間がかかりますし。でも、それを1週間ずっとやっていても苦じゃないんですよね」そんな堺さんがかつて抱いていた大人のイメージとは、「やりたいことをやるんじゃなく、やらなきゃいけないことをやる人」。「エゴ丸出しに見えるかもしれない俳優っていう職業も、自己表現の喜びがある一方で、自分じゃない誰かになる滅私奉公の一面もあるんですよ。仕事っていうのは種類はなんであれ、その両面があるものなのかもしれませんね」さかい・まさと1973年10月14日生まれ。大学在学中から舞台を中心に活躍。’00年のNHK朝ドラ『オードリー』で注目され、以降、映像作品に数々出演。主演映画『DESTINY鎌倉ものがたり』は12月9日公開に。トップス¥23,000(WJKW/ワディ ショールーム TEL:03・6451・0924)パンツ¥28,000(SOLIDO/タトラス ジャパン TEL:03・5708・5188)シューズ¥58,000(Royal Gorge Bridge/HIGH BRIDGE INTERNATIONAL TEL:03・3486・8847)※『anan』2017年11月15日号より。写真・酒井貴生(aosora)スタイリスト・高橋 毅(Decoration)ヘア&メイク・保田かずみ(SHIMA)文・望月リサ(by anan編集部)
2017年11月10日今や大人気の“大人の男”たち。今年30代後半に突入し、大人の男に仲間入りした豪華な顔ぶれのなかには、2017年上半期ブレイク俳優ランキングにランクインした高橋一生さんや大谷亮平さんも。イラストエッセイスト・犬山紙子さんと、日経BP総研マーケティング戦略研究所上席研究員・品田英雄さんが解説します。大人の男にも、次世代の波が押し寄せています。今年は、大人の男に仲間入りしたばかりの36~37歳の層が厚い!「嵐のメンバーや妻夫木聡さんのように、若い頃から活躍している人たちが大人ゾーンに入り始めました。“昔はこうだったあの人が”と話題にできる、一緒に育ってきた感があることが特徴です。また、大人の男に認定されるには、ビジュアルだけでなく、経験値が不可欠。そんな中身が充実した人が、この年代は豊富」(品田さん)「30代後半は気だるさや哀愁が出てくる年齢。通常はオヤジくささが増すはずなのに、逆にぐんぐん魅力的になる人が。それは、気だるさを、大人の男特有の色気に変えられたから。豊富な経験や独自の美学を持つからこそ、できることですよね」(犬山さん)【30代後半に名を連ねる豪華な顔ぶれ】斎藤 工(36歳)、星野 源(36歳)、妻夫木 聡(36歳)、高橋一生(36歳)、大野 智(36歳)、岡田准一(36歳)、大谷亮平(37歳)、ディーン・フジオカ(37歳)、又吉直樹(37歳)、玉山鉄二(37歳)、桐谷健太(37歳)※年齢は2017年11月8日現在。ブレイク俳優にも堂々ランクイン。ブレイク俳優ランキングを見ると、ここにも大人の俳優が!子役時代からの長い芸歴を持つ高橋一生さんと、海外で活躍した後に日本で脚光を浴びた大谷亮平さん。「役者としての実力があることはもちろん、人生のバックグラウンドがあることで、演技の深みや味わいが増している。また、さまざまな経験や苦労を乗り越えてきたであろう精神的なタフさや生命力が、画面を通しても伝わってくることで、惹かれる人も多いのでは。そしてテレビやCMなどに起用をする側の意図として、色のついていないタレントに出演してもらうことで新鮮さを演出したいという狙いがあることも。その点でも、この2人が注目されているのではないでしょうか」(品田さん)【2017年上半期ブレイク俳優ランキング】1位…高橋一生(36歳)、2位…坂口健太郎、3位…山崎賢人、4位…竹内涼真、5位…大谷亮平(37歳)※2017年6月23日ORICON NEWS発表オリコン調べ(oricon.co.jp)※年齢は2017年11月8日現在。犬山紙子さんイラストエッセイスト。『ごごラジ!』(NHKラジオ第1)にレギュラー出演中。本誌の連載でもおなじみ。近著に『私、子ども欲しいかもしれない。』(平凡社)がある。品田英雄さん日経BP総研マーケティング戦略研究所上席研究員。『日経エンタテインメント!』創刊編集長。エンタメを専門にTVや講演で活躍。著書に『ヒットを読む』(日本経済新聞社)。※『anan』2017年11月15日号より。イラスト・粟津泰成文・重信 綾(by anan編集部)
2017年11月09日『ゆとりですがなにか』に続き、映画『ポンチョに夜明けの風はらませて』が2本目の主演作となった太賀さん。作品のみどころを伺いました。「『ほかのシーンのことは考えずに目の前のことだけに集中して演ってくれればいい。それがいちばん又八(またはち)っぽい』という監督の言葉が指針になりましたね。監督もまだこれが何本目かだし、僕もそこまで主演作があるわけではないから、楽しんでやれればいいなと思いました」『ゆとりですがなにか』の“ゆとりモンスター”で強烈な印象を残した太賀さん。2本目の主演映画『ポンチョに夜明けの風はらませて』は、卒業を目前に控えた4人の高校生を描く早見和真の同名小説が原作。又八、ジン(中村蒼)、ジャンボ(矢本悠馬)の3人は、免許取りたての又八の運転であてのない旅に出てしまい、1人残された中田(染谷将太)は計画していた卒業ライブのために黙々とギターの練習を続ける。海外でも注目される廣原暁監督のもとに、気になる顔ぶれが集まってユニークな青春映画が誕生した。「又八はすごく直感的で、面白そうだと思ったことに貪欲。細かいことを気にせずにのびのびやることが彼らしさなのかなと。矢本くんも蒼くんもすごく柔軟で、どんなことにも対応してくれるし、僕もふたりから生まれてくるものに応えるようにして。3人の空気感はすごく居心地がよくて、波長が合いましたね」そう、この3人の男子感はとってもリアル。中田役の染谷さんは、太賀さんと高校の同級生だった仲。「一緒のシーンがなかったので残念でした(笑)。自分の場合、学生の頃から仕事してたので、高校生のときも半分社会人みたいだったし、撮影中に何かあったら周りの人たちに迷惑がかかると思っていろんなことにブレーキをかけてた。でも、又八たちは社会に出る前の今にしかできないことをやってる。そんな彼らに憧れを抱いたし、やりたいことにガンガンアクセル踏んでいくのは羨ましい。この映画で青春時代にやりたかったようなことを追体験できたのは嬉しかったですね」グラビアアイドルに遭遇したり、不良グループに絡まれたりしながらはじまった旅は、なぜ、タイトルに「ポンチョ」という言葉が入っているのかも次第に明かされていく。とんでもない笑撃シーンもあれば、脱力系の笑いもあるなかで、ラスト、ロックバンド「忘れらんねえよ」が書き下ろした主題歌「明日とかどうでもいい」によって、映画としての面白さの種類がガラリと変わるのがめちゃくちゃかっこいい!「緻密ですよね。男ってアホだなあとクスクス笑って楽しんでもらいながら、自分の青春時代を照らしあわせてもらえたらいいかな」たいが1993年2月7日生まれ。2006年に俳優デビュー。ドラマ『ゆとりですがなにか』で強烈な印象を残す。映画『南瓜とマヨネーズ』、舞台『流山ブルーバード』が控えている。パンツ¥29,000(soe/M.I.U. TEL:03・5457・2166)ベルト¥18,500(foot the coacher/GALLERY OF AUTHENTIC TEL:03・5412・6908)その他はスタイリスト私物将来に希望を見出せないままただなんとなく日々を過ごしていた4人の高校生。仲間の父親の愛車でふらりと旅に出た3人と、取り残された1人。それぞれの青春が動きだす。10月28日、新宿武蔵野館ほか順次ロードショー。(C)2017「ポンチョに夜明けの風はらませて」製作委員会※『anan』2017年11月1日号より。写真・内山めぐみスタイリスト・山田陵太ヘア&メイク・高橋将氣文・杉谷伸子(by anan編集部)
2017年10月29日『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』にて、3年ぶりに舞台出演を果たす菅田将暉さん。大河ドラマや映画に出演するなど幅広く活躍中の菅田さんだが、この作品は「お芝居の原点に立ち返っているような感覚」なのだと述べる。世界的に有名なシェイクスピアの『ハムレット』。そこに名前が登場しながらも、舞台にほとんど登場することなく死んでゆく、哀しき運命を背負う脇役ふたり。そんな彼らを主人公に描いたのが『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』。「イギリスの作品ですが、向こうでは『ハムレット』って日本での『水戸黄門』くらい誰もが知ってる作品なんですよね。僕らの身近な感覚で言えば、助さんと格さんが出てきて、ふたりでグダグダと『今日、印籠出すの遅くね?』とか喋っているようなもの。そう考えると、初演でウケたというのもわかります」50年前に書かれた当時、演劇界に革新を起こす不条理劇といわれた戯曲を、清々しいまでに明瞭に説明してくれた菅田将暉さん。この作品で3年ぶりに舞台出演を果たす。「自分たちのどっちがローゼンクランツで、どっちがギルデンスターンなんだかもわからないふたりが、ただ、自分たちの存在価値を必死に探しながら暇潰ししているっていうだけの話なんです。それでも彼らは、自分たちにも何らかの使命があるはずだと信じてそこにいる。それってどこか人生とリンクしてもいて、切なさがありますよね」演出を手掛けるのは、小川絵梨子さん。戯曲を丁寧に読み解き、感情を緻密に積み上げていく演出で、いまや引っ張りだこの人気演出家だ。「小川さんは、誰よりもまっとうというか、普段当たり前にやっていることをきちんと体感として形にできる方。例えば、『へぇ~っ』って相槌を打つとします。その裏に『よくわかんないので詳しく説明してください』だったり、シチュエーションによっていろんな意味がある。会話って、本来そうじゃないですか。でも、小川さんに説明された時、僕、いままで芝居でちゃんとやれていたのかなって考えちゃいましたよね」一見淡々とした会話劇から笑いを生み、ドラマを紡ぐのは、菅田さんと生田斗真さんというふたり。この豪華な顔合わせはすでに大きな話題。「生田さんは、お芝居がすごく好きで、場数もたくさん踏んできて、何をしても返してくれるんです。稽古しながらも、普通に生田さんの芝居に笑っちゃうんです。それ以上に信頼をおけることってないですよね」稽古場を反芻するかのように少し間を置いて、「今回、自分にとってはチャレンジのような気持ちでいたんですけれど、稽古に入ってみると原点回帰に近いんです」と続けた。「お芝居をする感覚として忘れそうになっていた…何か基礎のようなものにいま立ち返っている気分です」すだ・まさき1993年生まれ、大阪府出身。現在、大河ドラマ『おんな城主 直虎』に出演中。公開中の『あゝ、荒野』のほか、11月23日には『火花』、来年には『となりの怪物くん』と、主演映画の公開が相次ぐ。シャツ¥55,000ロングTシャツ¥19,000パンツ¥37,000(以上アワー レガシー/エドストローム オフィス TEL:03・6427・5901)シューズ¥7,800(ヴィンテージ/ラボラトリー/ベルベルジン(R) TEL:03・5414・3190)その他はスタイリスト私物デンマーク王子のハムレットが、自国で何やら問題を起こしたらしい。彼の真意を探るため呼び寄せられた学友のローゼンクランツ(生田)とギルデンスターン(菅田)のふたりだが…。10月30日(月)~11月26日(日)三軒茶屋・世田谷パブリックシアター作/トム・ストッパード翻訳・演出/小川絵梨子出演/生田斗真、菅田将暉、林遣都、立石涼子、小野武彦ほかS席1万円A席8000円B席6000円*すべて税込み、当日券ありシス・カンパニー TEL:03・5423・5906(月~金曜11:00~19:00)※『anan』2017年11月1日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・伊藤省吾(sitor)ヘア&メイク・AZUMA(M‐rep)インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2017年10月28日友だちがいない大学生の小森功は、目が覚めると美しい女子高生・吉崎麻理になっていた…。そんな新感覚“男女入れ替わり”ドラマ『ぼくは麻理のなか』が現在放送中。主人公の麻理を演じるのは、最近、映画やドラマ、CMに引っ張りだこの池田エライザさん。「もともと、映画を観たり読書をするといった疑似体験が好きで。小説を読みながらキャスティングをしたり、絵を想像してコマ割りをするなど頭の中で映画を作ることを楽しんでいました。演技は、そういうアウトプットをしたいという欲求を満たせる場所。変な言い方ですけど、向いていると思っています」以前から、原作の同名漫画を手がけている押見修造さんの作品が大好きだというエライザさん。「きっと、私が押見先生を好きなことが、制作チームにバレていたんだと思います(笑)。“エライザしかいない”と言われた時は感銘を受けました。でも、漫画を読む時は美しくて人気者の麻理という存在を崇めていたので、自分が演じるということは恐れ多かったし、いろいろと考えましたね。女性が魅力的に見えるために不可欠だと思う、気品や思慮深さ、ふとした瞬間の儚さを意識しています」小森が入った麻理と、麻理本人とでは、演じ方は全く違ったという。「シーンによって、麻理のパーセンテージが変わります。どちらかが100%の時もあれば、小森だけど表情の筋肉などに少しだけ麻理が出てくることもあります。ただ、麻理と小森に体を貸しているという感覚だったので、演じ分けが大変だとは感じませんでした。その日の撮影を終えて自分の中から2人がいなくなった瞬間、私自身も消えるような感覚を覚えたし、まさに麻理漬けの日々でした。でも、こういう自分のパーソナルな部分を削りながら演じる役は好きですね。それぞれにこじれている登場人物に思いを重ねながら見ていただくのもいいけど、何も構えず、ある事件の目撃者になった気持ちでゾクゾクしながら楽しんでほしいです。中毒性があるので、リアルタイムではもちろん、録画して何度も見ていただけたら嬉しいです!」いけだ・えらいざ1996年4月16日生まれ、福岡県出身。モデル、女優として、映画やドラマなどで活躍。公開予定の作品に『一礼して、キス』『伊藤くんA to E』など。12月3日、2018年カレンダー発売イベントが福家書店新宿サブナード店で開催。ワンピース¥37,000(SHIROMA/GUSUCUMA TEL:03・6411・4779)大学生・小森功(吉沢亮)は、ある朝、行きつけのコンビニで遭遇する吉崎麻理になっていた。麻理として過ごそうとするが、クラスメイトの柿口依(中村ゆりか)に見破られる。毎週月曜24:25~、フジテレビ系で放送中。※『anan』2017年11月1日号より。写真・内山めぐみスタイリスト・福田春美ヘア&メイク・豊田千恵インタビュー、文・重信 綾(by anan編集部)
2017年10月28日今、注目の女の子を紹介する『anan』で連載中の「イットガール」。今回は女優の萩原みのりさんです。新体操で培った負けず嫌いな性格で険しい女優の道を突き進む!地元、名古屋でのスカウトが人生の転機に。「長年続けてきた新体操をやめたときだったんです。上京しても不安より楽しい気持ちが大きくて、レッスンに没頭しました」。幼い頃から培った負けず嫌いな性格が、仕事にも活きている。「監督から厳しい指導を受けることもありますが、そのほうがむしろ頑張れるんです」。7月公開の主演映画『ハローグッバイ』ほか映画出演も続き、忙しい毎日。癒しは?「実家です。時間を見つけては帰省していて。超ファザコンで、母とは父の取り合いです!(笑)」頑張ったあとは必ずドクターマーチン!自分へのご褒美に購入。色物や柄物を着ないので、足元で少し遊びます!お母さんに嫉妬するほど、お父さんLOVE!大好きなパパ。お父さんと結婚したお母さんが羨ましい~!運動も兼ねて、できるだけ徒歩移動。歩きながら音楽を聴くのが好き。極力、バスや電車には乗りたくない!はぎわら・みのり1997年生まれ。2013年、テレビドラマ『放課後グルーヴ』で女優デビューを果たす。11/4より『ゆらり』、11/11より『一礼して、キス』の映画が共に全国順次公開。※『anan』2017年11月1日号より。写真・土佐麻理子文・松下侑衣花(by anan編集部)
2017年10月28日今年の夏のドラマ界を席巻した「ひよっこ」と「過保護のカホコ」。人気を牽引したのが竹内涼真さん。人懐っこいキャラクターと、気取らないストレートなトークが魅力的です。この仕事をやるからには、もちろん人気者になりたいです。現在出演中のドラマ『陸王』のロケを終えてから、スタジオに来てくれた竹内涼真さん。作中で演じているのは陸上選手。この日、走る場面ばかりを繰り返し何度も撮っていたそうで、少々お疲れの様子。それでも現場では、笑顔を絶やさず軽快なトークで場を和ませるなどサービス精神旺盛。加えて、いま自分がいる状況を客観的に捉える冷静さも。映画にドラマにと引っ張りだこの理由が、わかったような気がします。――ドラマ『ひよっこ』の島谷さんと『過保護のカホコ』の麦野君、真逆のキャラクターでしたが、どちらもすごい人気でした。ちょうど放送時期が重なっていたので、一時期ドラマ関連の話題が竹内さんに席巻されていた印象です。竹内:嬉しいです。そういう声がモチベーションになって頑張れたところもあったんです。――急激に周囲が騒がしくなって、戸惑いはなかったですか?竹内:だって僕、有名になって注目されたかったですから(笑)。――そんなあっさりと。でも、昔からモテていたでしょうし、そんなに珍しい経験でもないかと。竹内:いや、満足したら、そこで止まってしまうと思うんです。――では俳優になろうと思ったのも、キャーッて言われたいから?竹内:俳優になりたいって思った時に、やるからには有名になりたいし、人気者になりたいとは思っていました。まさかこのタイミングでこんなふうに注目していただけるとは思っていなかったですけれど。でも、いつか必ずそうなりたいと思い続けていました。――清々しいほどに正直(笑)。竹内:僕、自分で言葉にして言った方がやりたいことは叶うと信じているタイプなんです。――でも、大きな目標って口に出して目標が達成できなかったら…と思ったりはしませんか?竹内:そこをあまり考えないんですよ。「もしダメだったら」っていうネガティブ思考って、成功するためには必要ないと僕は思うんです。――もともとそういう考え方?竹内:いや、サッカーで挫折したことで変わったんです。元々はネガティブなんですよ。だからサッカー選手になれなかったんだと思います。プロになれるのって、選手になることしか考えない、すごくポジティブな人だけなんで。――それはどういう…?竹内:僕がサッカーをやめたのって、原因はケガですけれど、それが理由ではないんです。ケガをして休んでいた時、どんどん周りに追い越されていってしまい、さらにネガティブな思考に拍車がかかって…。上に行ける人っていうのは、同じシチュエーションに陥った時に、負けるもんかって思える人なんですよ。僕は、当時そうじゃなかったからサッカー選手にはなれなかった。だからこそ、俳優になってからは、意識的に物事をポジティブな方に変換して考えるようになりました。ネガティブさゆえに目標達成できなかったから、次は違う考え方をすればうまくいくんじゃないかって。そこからは迷いなく進んでこられたと思います。――サッカー選手を諦めた後、俳優を目指そうと思ったのは?竹内:もともとドラマとか映画が好きだったんです。影響されやすいんですよね。20歳の時に、僕は自分の好きなことじゃないと仕事にできないなと思ったので、サッカーが無理なら俳優になって、今度は影響を及ぼす側になりたいと思いました。――とくに影響された作品は?竹内:マーベル作品みたいな、ヒーローものですね。ちょっと現実から離れたような夢がある世界を描いたハッピーエンドが好き。もし「いまやりたい役は?」って聞かれたら、真っ先にそれを答えます。もちろん、いただける役はなんでもやってみたいですけれど。――いまは恋愛ものも多いですよね。女の子たちの理想の男の子を演じるのはどんな気持ちですか?竹内:ありがたいです。ただ、漫画の実写化の場合、原作に負けたくないという気持ちはあります。人間が演るわけだから、漫画のキャラじゃなく、自分が可能な範囲で何かをやれたらとは思っていて…。――この場面で、見た人をキュンとさせたい、と考えて演じたりすることもあるんですか?竹内:そういう時もあります。これをやったら喜ばれるかなって思って、あえてやることもあるし。でも予想を超えた反応が返ってくることも多いんですよ。ネットを見ていたりすると、自然に出た仕草がいいって言われることが多かったりします。――ネットで反響をチェックしたりするんですか?竹内:特にドラマの放送後とか、作品の感想は必ず見てます。――ネガティブな声も入ってきますが、落ち込んだりしませんか?竹内:ただ、反響を見るだけで、僕はそこにさほど影響されたりはしません。ネガティブな言葉って、入れないような癖をつけると入ってこなくなるんです。――どうしたら、入れないようにできるものなんでしょうか?竹内:癖づけることだと思ってます。僕は元がネガティブなんで、どんな小さなことでもポジティブに変換するようにしていたんです。続けているうちに癖になって、勝手にそういう思考になりました。――ちなみに、これまでさまざまなキュンシーンを演じていると思いますが、ご自身がキュンキュンする恋愛パターンはありますか。竹内:うーん、幼馴染み同士の恋愛とかどうですか。運命の出会いより、本当に家族みたいなところから急に意識し始めるっていうのは素敵だなって思ってて。あと、初めて会った時には大嫌いだったのに、いつの間にか気になっていて…とか。――一目惚れはしない?竹内:絶対しないとは言えないけれど、現実はなかなかないんじゃないでしょうか?――“イケメン俳優”と言われることには抵抗ありますか?竹内:特に抵抗はないですね(笑)。むしろ普通は言ってもらえることがない言葉だけに、ありがたいと思っています。――自分は容姿で勝負しているつもりはないのにって、傷つく人もいるようですが。竹内:僕はイケメンって、褒め言葉だと思うんで、そこはあまりわからないですね…。しかも、それをきっかけに作品を見てもらえるなら、すごく嬉しいです。たけうち・りょうま1993年4月26日生まれ、東京都出身。2013年、女性誌の男性専属モデルオーディションにてグランプリを受賞。翌‘14年にドラマ『仮面ライダードライブ』で主演。近作に、ドラマ『ひよっこ』『過保護のカホコ』、映画『青空エール』『帝一の國』などがある。2nd写真集『1mm』も好評。現在、出演ドラマ『陸王』が放送中。池井戸潤の同名小説を連続ドラマ化した『陸王』は、毎週日曜夜9時~TBS系にて放送中。竹内さんが演じるのは、大学時代に箱根駅伝に出場し注目されたが、膝を故障し、必死にフォームの改良に取り組むランナー・茂木。ランニングシューズの開発に乗り出した老舗足袋メーカーの社長・宮沢(役所広司)と彼を取り巻く人々の奮闘を描く。シャツ¥62,000パンツ¥62,000シューズ¥97,000(以上エンポリオ アルマーニ/ジョルジオ アルマーニ ジャパンTEL:03・6274・7070)※『anan』2017年11月1日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・添田和宏ヘア&メイク・佐藤友勝インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2017年10月26日新垣結衣さんに、ただいま公開中の映画『ミックス。』のこと、ご自身のスポーツ体験などについてうかがいました。Interview!スラリと高い身長、しなやかに伸びる長い手足。やわらかな女性らしさとヘルシーな魅力を併せ持つ女優、新垣結衣さん。旬のスポーツカジュアルに身を包んだ撮影中には、小気味よくステップを踏むようにカラダを動かす場面も。その軽やかなフットワークからは、身体能力の高さが想像できる。「スポーツの経験ですか?実は子供の頃から、何か一つの運動に打ち込んだという経験はないんです。カラダを動かすのは好きなのですが、あまり得意ではなくて…」と、本人からは意外な答えが。それなら、応援する側では?「一応、中学時代は女子バスケットボール部のマネージャーでした。ひたすら選手の話を聞いたり、試合中に声を出したり、付き添い程度のことしかできませんでしたけど…(笑)。今は特定のスポーツを応援しているわけではありませんが、ニュースで日本人選手の活躍を聞くとやっぱり嬉しくなりますね。みんなの期待を背負って戦うアスリートのみなさんの姿は心から尊敬しています」競技としての卓球は、全部が難しかったです。公開中の映画『ミックス。』では、“元天才卓球少女のアラサーOL”というユニークな役柄を好演。作品全編にわたって、本格的な卓球シーンにも挑戦している。「競技としての卓球を経験したのは初めてだったので、全部が難しかったですね。他のスポーツに比べて動く範囲は少ないのですが、そのぶん一瞬で決まる勝負なので、息を吸う暇がないくらいの集中力が必要で。特に私が演じた多満子(たまこ)は、幼少期から卓球の英才教育を受けているという設定だったので、フォームもきちんとできていないといけません。“私は上手いんだ!”と、ある意味自分を騙しながら撮影に挑んでいました」卓球選手という役を通じて、アスリートたちの精神力の強さを改めて感じたという新垣さん。「実際に試合のシーンを撮影した時に、卓を挟んで相手と向き合うプレッシャーやオーディエンスの視線など、いろんなものを肌で感じました。例えばドラマや映画など、映像のお仕事なら何度でも撮り直しができるけれど、勝負の世界は取り返しがつかないもの。その瞬間に向けて費やしている時間にも、きっと私たちの想像を絶するものがあるはずです」3年後には、待ちに待った東京オリンピックが開催予定。新垣さんのスポーツ熱も高まりそう?「そうですね。ちょうどこの作品を撮り終えた後に、卓球の世界選手権でミックスペアが優勝したこともあり、ご縁を感じています。やっぱり何か一つのことに向かって一生懸命頑張っている人は、見ていて心がぎゅっとするなと改めて思いました。卓球に限らず、これからも応援していきたいです」あらがき・ゆい1988年6月11日生まれ、沖縄県出身。卓球のミックス(ダブルス)を題材にした映画『ミックス。』が公開中。瑛太さんとW主演を務めることでも話題に。※『anan』2017年11月1日号より。写真・伊藤彰紀(aosora)スタイリスト・宮澤敬子(WHITNEY)ヘア&メイク・野中真紀子(eclat)インタビュー、文・瀬尾麻美(by anan編集部)
2017年10月25日今注目の女の子を紹介する『anan』で連載中の「イットガール」。今回登場してくれたのは、女優の白石 聖さんです。コンプレックスの塊だけど、演じると忘れられるんです。CMやドラマでの活躍が目覚ましい白石さん。今夏には「午後の紅茶」のCMで、友人に恋のライバル宣言をする女の子を演じて注目を集めた。「TVに映る自分にまだ慣れなくて。私、コンプレックスの塊なんです。演じる時は『今は別人!』って自分に言い聞かせる(笑)。でも、最近は気持ちに余裕が出てきて、仕事をしている時が幸せって思います」。今してみたいことは、髪を派手な色にすること。「そういう役をやってみたいんです。真面目な役を演じることが多いので、ぶっ飛んだ役に興味アリ!」友達のSNSアイコン用似顔絵を描きました♪友人の子供の頃の写真をイラストにしました。絵を描くの、好きなんです。暇な時はもっぱらスマホでゲーム。「うたの☆プリンスさまっ♪」というリズムゲームにハマっています。小学生の頃から飼っている愛猫モウちゃん。育児放棄されているのを発見し、家族になりました。実物は更にカワイイ。しらいし・せい1998年生まれ。高校2年生の時に原宿でスカウトされ、芸能界入り。今月スタートのドラマ『先に生まれただけの僕』(日本テレビ系)や来年公開の映画『栞』に出演。※『anan』2017年10月18日号より。写真・土佐麻理子文・間宮寧子(by anan編集部)
2017年10月14日フランスの小説『危険な関係』をもとにした舞台で、青年騎士を演じる千葉雄大さん。作品の魅力について話をうかがいました。退廃貴族たちのスリリングな恋愛ゲームの行く先は――。自尊心を満たすために仕掛けた恋愛ゲームに自ら搦め捕られていく貴族たちを描いたフランスの小説『危険な関係』。これまで何度も映画化されてきたスキャンダラスで退廃的なこの舞台に出演する千葉雄大さん。演じるのは、美しき未亡人メルトゥイユ(鈴木京香)と稀代のプレイボーイ、ヴァルモン(玉木宏)の策略に巻き込まれていく青年騎士だ。「登場人物は、ミステリアスで捉えどころのない、共感とは程遠い人ばかり。そんななかで僕の演じるダンスニーは、周囲の妖艶なテイストとは少し色が違う若く純朴な役。若さゆえの青くささみたいなものが出たらいいのかなと思っています」演出は、イギリスの気鋭、リチャード・トワイマンさん。日本での演出は今作が初だけど、千葉さんは、先日、そのリチャードさんのワークショップに参加している。「ご自身なりにきっちりと戯曲の解釈を持っていながら、そこに固執せずに、俳優がそれとは別の方向に行っちゃっても受け入れてくれる受け皿の広い演出家さんという印象です。同時に、ストイックな一面も感じますし、稽古場で生まれるものが多い気がして、すごく楽しみです」舞台出演は6年前の『タンブリングvol.2』以来。しかも今回は念願だった初の本格ストレートプレイだ。でも、「重厚な作品だからやりたかったわけじゃないですよ」とも。「いろんなジャンルのものに挑戦してみたいと思っているんですけれど、こういうタイプの作品に出合う機会がなかなかなかった、というのが大きな理由。僕としては、映像だからとか舞台だからとか、漫画原作だからとか文芸作品だからとか、垣根を作りたくないんです。コミカルな作品から深く考えさせられることもありますしね。それぞれに魅力があって、両方を経験することで還元し合えるものもあると思っています」ただ、この戯曲に関しては、「考える余地がありすぎて、読めば読むほどわからなくなる」と苦笑い。「ミステリアスな登場人物たちによる恋愛の駆け引きは、とてもスリリングです。ただ、翻弄されていくダンスニーを見ていると滑稽にも感じられる。読む角度によっていろんな切り取り方ができて、いかようにも解釈できる戯曲なんですよね。でも、その捉えどころのなさゆえに、観る方々が、あれはどういうことだったんだろうって自分なりに考えることができる。時には、自分が考えもしなかった解釈に出合えたりも。そういう余地があるのが、この作品の魅力なんじゃないかと思うんです」そう語った後、一拍置いて…。「口ではわかったように話していますけれど、じつは自分のなかに怖さもあるんですよね。でもこれを乗り越えたら、自信を持ってこれからを過ごせるんじゃないかな(笑)」ちば・ゆうだい1989 年生まれ。宮城県出身。映画『亜人』が公開中のほか、NHK連続テレビ小説『わろてんか』、10月16日スタートのドラマ『民衆の敵~世の中、おかしくないですか!?~』(フジテレビ系)にも出演。ニット¥62,000パンツ¥85,000(共に3.1 Phillip Lim/3.1 Phillip Lim JapanTEL:03・5411・2870)その他はスタイリスト私物社交界に君臨するメルトゥイユ侯爵夫人(鈴木)は、かつての愛人が若き伯爵令嬢と婚約したことへの恨みから、ヴァルモン子爵(玉木)に令嬢を誘惑するよう持ちかける。10月8日(日)~31日(火)渋谷・Bunkamura シアターコクーン作/クリストファー・ハンプトン演出/リチャード・トワイマン出演/玉木宏、鈴木京香、野々すみ花、千葉雄大、青山美郷、佐藤永典、土井ケイト、新橋耐子、高橋惠子ほかS席1万500円A席8500円コクーンシート5500円*すべて税込みBunkamuraTEL:03・3477・3244(10:00~19:00)大阪公演あり。※『anan』2017年10月11日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・本田博仁ヘア&メイク・平山直樹インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2017年10月10日いつの日からか、日本を代表する俳優のひとりとして圧倒的な存在感を放ち、私たちの心を惹きつけてやまない瑛太さん。正統派の二枚目からクセのある役までをモノにしてしまう才能はもちろん確かですが、ここ最近は、男くささ、人間味、狂気、エロティシズム、闇、のような一歩踏み込んだキーワードが並ぶ作品への出演も目立ちます。――ご自身では、多忙な俳優生活をどのように見ていますか?瑛太:まずは、仕事があることがありがたいですね。デビューしてしばらくは、自分が売れるのか、仕事がちゃんとくる俳優になるのかわからなくて、虚勢をはったりしながらもがいていましたから。――ここまでやってこられた理由は、何だと思いますか。瑛太:自分がストイックに努力してきたからここまで俳優を続けられてきた、とは思っていません。昔から人との縁を大事にしようと思っていたのと、その結果、プロデューサー、監督、共演者、スタッフなどリスペクトできる人たちと出会えたからでもあります。運がいいなとも思っているし。あとは、若いころに持っていた野心みたいなものが、違う方向に向いたのもよかったのかもしれない。――野心とは、具体的には?瑛太:デビュー同期世代でいえば、(松田)龍平や、新井(浩文)、(森山)未來、小栗旬、ムロツヨシがいて、みんなライバルで。その中でも、俺が抜きんでてやる、ってずっと思っていました。彼らも同じように思ってたんじゃないかな。よく芝居について口論してましたから、現場でも、プライベートで会ってても。作品に向き合うってことは、死ぬ気でやらなければいけないと誰もが思っていたと思う。みんな、一俳優として冷めてはいませんでした。それが正解ではないとしても、少なくともこの5人は全員、成功者ですしね。――これまで、挫折を感じたり、辛かった時期はありましたか?瑛太:僕にしかできないことができているかどうかという葛藤は常にありました。そんな中、大河ドラマの『篤姫』をやっていた時期、『ラスト・フレンズ』、映画『ディア・ドクター』『余命1ヶ月の花嫁』『ガマの油』を掛け持って、スケジュールを縫って撮っていた時期があったんです。時間が足りないあまり、仕事に対してガサツになっているんじゃないか、という疑問を感じながらも、毎日撮影は続くし、でももっと遊びたいし…って全部やろうとしていたら、肉体と精神がどんどんすり減っていきました。終わってみると、その作品たちがすごく評価されて、賞をいただいたりした。そして、自分でも突っ走ったという実感があったので、一度、ペースダウンしながら考え直してみたら、自分がやりたい作品を自分で選択して、責任を持って演じていきたい、という結論にたどりついたんです。そうしたら色々見えてくるものがあって。別に人気者になりたいわけじゃない、自分なりのペースでやっていけばいいんだとわかった。そこが、いうなればターニングポイントかな。そこから少しずつうまくいって、今に至るんですけど。――この10月、11月で『リングサイド・ストーリー』『ミックス。』『光』と、主演2本を含めた3本の映画が公開されますが、それぞれ、全く違う雰囲気の作品ですね。瑛太:3本とも、僕にしかできなかった役だと思っています。最初に撮った『リングサイド・ストーリー』は、武(正晴)監督の『百円の恋』という映画を観て、こういうのやりたいなってずっと思っていたんです。スポ根で、ある意味シンプルなんだけど深いことを感じさせてもらえて、なおかつ観やすくて俳優が際立つような。だから武さんとはいつか一緒にお仕事したいなって思っていたら、割と早めに、しかも俳優の僕が、俳優である村上ヒデオを演じるというおいしい役で叶った(笑)。――ヒデオは売れない俳優なのに自信満々でバイトもせず、彼女のカナコ(佐藤江梨子)のヒモで…結構なクソですよね(笑)。瑛太:あははは、ひどいなぁ(笑)。でも、女性はそう思うかもしれないけど、男性はまた違う意見を持つと思います。というのもこの映画は、男目線と女目線で、見方が変わる作品だから。カンヌに行くことを目標としているヒデオは、常に突拍子もないことをしてやろうと思っている男。情けないのに自分ではそう思わず、いつも前を向いて振り返らないし、おいしい仕事も断っちゃう。そんな根性や勇気、野心を僕は見習いたいです。――なるほど。その次に撮影された『光』は、25年前の消滅したはずの罪が掘り起こされたことで、人間の闇の部分が狂気となって描き出されるという、三浦しをんさんの人気小説の映画化作品です。瑛太:大森(立嗣)監督とは『まほろ駅前多田便利軒』から付き合いが長く、信頼関係ができあがっていることもあって、台本に収まる芝居で済ませちゃいけないな、という覚悟がありました。でも共演の井浦新さんが、裏切り行為を色々してくれて(笑)。――どういうことですか?瑛太:僕がこうやろうと思っていたところに、全然違うことを仕掛けてくるんです。お互いに、そんなアドリブに近い衝動みたいなものを仕掛け合ったことで、台本通りに演じていては決して叶えられなかったものが生み出せたし、新さんとだから実現したんだと思う。撮影中は役作りに集中していて一言も喋らなかったけど、昔から新さんのことが大好きで尊敬する方だったので、夢のような時間でした。――人間の生々しい感情や弱さなどがものすごくリアルに描かれていて、役者さんたちの演技がすばらしく、心に残る作品でした。瑛太:こういう映画が日本でも撮れるんだよ、と伝えたいですね。ジェフ・ミルズの音楽の力も強くて素晴らしいんですが、映画の世界観として、ただ悲しみを悲しく、怒りを怒りとして描いているだけじゃない。観ている側の心に、お前はどう思う?これ観て何を感じる?っていう強い投げかけがある。既成概念をどれだけぶっ壊せるか、このかっこよさは日本の映画にはあまりないんじゃないかな。――そして今年1月に撮影されたのが『ミックス。』。田舎の卓球クラブが、男女混合のダブルス1本で大会に臨む、という話ですね。瑛太:これはシンプルに、ガッキー(新垣結衣)とミックスできるから「やりまーす!」って感じで引き受けましたけどね。――あははは。新垣さんとは初共演だそうですが、印象は?瑛太:ガッキーは、いつでも、スッとした佇まいで受け身でいながら、一見すると近寄りがたくもあって、でもたまに話しかけてくれたりして。こっちが入り込めば入り込んだ気にもなるけど…実は入り込めてはいないんじゃないかとか、そんな雰囲気もある。今、何を感じてどこを見ているんだろう、って、ガッキーをずっと観察していたんだけど、わからないんですよね。だから一緒にいて楽しかったし、無意識に追いかけちゃって。それで初日に、何か突拍子もない質問をしたら「打ち上げの二次会で聞くようなこと聞いてきますね」って言われちゃいました(笑)。すごいかわいいのに、自分のかわいさわかってんのかな、って心配になるぐらいかわい子ぶらない人です。そんなガッキーと挑んだこの作品は、期待以上に面白いと思う。そもそも、ミックスペアってお互い信用し合っていないとできないと思うんだけど、その感覚は、クライマックスの大会のシーンまでには作れたんじゃないかなと、僕は思っています。予告編はコメディタッチでしたが、完成作を観て、改めて、すごくしっかり作られていると思いました。登場人物一人ひとりの思いが素通りせずに、観ている人の心に付着しながら最終局面を迎えられる映画です。えいた1982年12月13日生まれ。映画『青い春』で俳優デビュー。2007年、映画『アヒルと鴨のコインロッカー』で高崎映画祭最優秀主演男優賞を受賞すると、その後もエランドール新人賞やブルーリボン賞助演男優賞など名だたる賞を受賞。2018年放送予定の大河ドラマ『西郷どん』では、大久保利通役で出演。シャツ¥20,000(オールド パーク/HEMT PR TEL:03・6721・0882)パンツ¥25,000(ブフト/HEMT PR)その他はスタイリスト私物主人公の村上ヒデオ役で主演の映画『リングサイド・ストーリー』(マンシーズエンターテインメント×彩プロ)は10月14日~、主人公の萩原久役で主演の『ミックス。』(東宝)は10月21日~、輔役の『光』(ファントム・フィルム)は11月25日~公開予定。※『anan』2017年10月11日号より。写真・森滝 進(まきうらオフィス)スタイリスト・壽村太一ヘア&メイク・KENICHI(エイトピース)インタビュー、文・若山あや(by anan編集部)
2017年10月07日“ずっと楽しみだった”という30歳の節目を、目前に控えた高良健吾さん。10代、20代の経験を冷静に振り返る視線のなかに、仕事にかける熱い信念が見え隠れします。インタビュー中、意志の強さを感じさせる目を、けっしてそらさない。最新出演作について、演じる仕事について、丁寧にひと言ずつ選んでいく高良健吾さん。その言葉の数々は、冷静だけどどこか熱を帯びていて…。自分の思いを正しく伝えたい気持ちがビンビン伝わってきました。一転、交流の深い同年代俳優の話題になると、頬を緩ませてリラックスモードに。――最新出演作の映画『月と雷』では、人との出会いや再会によって、結婚を控えた泰子の人生が変わっていきます。高良さんが演じた智は、無邪気に泰子の人生をかき回す側ですね。高良:この映画では誰もが寂しそうで、傷ついています。智は、台本を読んで掴み切れない部分もありました。なので、自分が引っかかった智の言動に対する疑問や違和感を大切に演じました。――智は母親と共に、小さい頃から転々と根無し草のように生きてきたわけですけど、どんなところに引っかかりましたか?高良:素直な性格がゆえに、やってしまう言動は、なんでなのかなと。きっと、智は何かに飢えているんでしょうね。――…愛?高良:確かにそうなんですけど、僕はその言葉を使うのは、智に悪い気がします。智のような人生を歩んできた人に対して「愛に飢えている」と言うのはたやすいし、言葉にするとしたら、それで合ってはいるんですけど…。智は、一般常識や女性からしたら、身勝手に感じる言動もあるけど、育った環境からしたら、素直ないい子だと思う。道を踏み外す可能性もあったのに、そうならなかったのは、母親の直子の漂うような生き方がいい方向に影響したんでしょうね。受け入れられそうになったら消えてしまう。その感覚は、僕にもわかります。大きな幸せを掴みそうな時、僕も怖いと思うんです。ちゃんと、その幸せを受け止めるだけの器はあるのか。自分に問いかけた経験が、具体的には伏せますが、大小問わず何度もありました。――智には父親がおらず、智や直子と幼少期に一緒に暮らしていた泰子は、母親が家出。家族の在り方を否応なしに考えさせられる映画でした。高良:家族のことを考える人もいるでしょうし、今まで生きてきた環境を振り返る人もいるでしょうし、いろんな考え方ができる映画だと思います。ただ、僕はこの映画のテーマが“家族の形”だとは思っていません。家族という形をとって、もっといろんなことを伝えていると思います。――この映画に参加してよかったと感じる点は?高良:この映画の時間の切り取り方と人の描き方が、僕は好きです。微妙な時間の進め方や、描くところと描かないところがはっきりしているところに、映画らしいどっしりとした重さがちゃんとあったと思います。普段からなるべく多くの映画を観るようにしていますが、時々、登場人物の行動をまるで理解できないまま、置いていかれることがあるんです。『月と雷』では、置き去りにされなかったし、置いていかせない作品。それが嬉しくもあり、参加できてありがたかったです。――泰子役の初音映莉子さんや直子役の草刈民代さんとの共演はいかがでしたか?高良:初音さんは、主演としての覚悟や熱を感じました。草刈さんは、バレエという身体表現に人生をかけてやってきた方。「身体で表現」というと、ものすごく簡単になってしまうんですが…。ただ立っているだけでも、身体を使っていないように見えて確実に使っているし、僕たちが考えるのとは違うレベルで表現しているのだと思います。そうした方と親子役として近くにいられたことは、とてもいい経験でした。撮影中は、いろいろな話をしました。「普段は何をしているか」だとか「何が好きか」とか、なんてことのない会話を溢れるようにできたんです。具体的には、ネイチャーの話題ばかりでした。ふたりとも自然が好きなので、「自然は大切にしないと」みたいな(笑)。芝居からも会話からも刺激をたくさんもらえたので、今日の取材でまた会えるかと楽しみにして来たのですが、いらっしゃらなくて残念です。――智と同じように、もちろん理由は違いますが、高良さんも小さい頃、引っ越しを繰り返していたんですよね。高良:そうです。転勤族で九州各地を転々と。なので、地元というと大きく九州だと思っています。その中でも、熊本は特別です。――転校するのは嫌でした?高良:小さい頃で選択の余地はなかったから、しなきゃいけないことという感覚でした。新しい土地で学校に行って、馴染んだらまた引っ越しではあったのですが、そのことに不幸を感じることはなかったです。地元に対する思いは、人よりある方だとは思います。地元のいろんな人によって、僕は作られてきましたし、僕の根っこは確実に地元にあります。でも、「それで?」って感じというか…。――地元愛を特別なことだとは思わないと。高良:当時は地元だけが、自分の知る世界でしたからね。でも、地元は上京してからもずっと大好きです。――『月と雷』の撮影は、‘16年の5月から始まったそうですね。熊本地震の1か月後です。地元を襲った大地震は、作品に参加する上で何かしらの影響は?高良:ないです。自分が今、何を思ってどういう生活をしているのか、私生活が役に影響しているとしたら、すごく嫌ですね。僕が震災に対してどう思ったとかは、役にはまったく関係ないですから。プライベートで、自分が何についてどう考えているかが、どうしても出てしまうんです。それが嫌だから隠そうとするんだけど、出る、絶対に。出るものだってわかっていますし、仕方がないとも思うのですが、僕は自分のことがダダ漏れするのは嫌なんです。10代や20代の自分は、出すぎてました。出演作を観ても、漏れすぎ。恥ずかしいです…。でも、許せます。若いから。ただ、30代からはもう通用しない。30~40代になってからもダダ漏れしている僕がいるとしたら、ほんとうに嫌ですね。――以前から、30代に対する強い意識を話してらっしゃいましたね。高良:10代後半から20代を通じてずっと「このままじゃいけない」「こんな芝居で申し訳ない」と思ってきました。30代に入れば、演じる役も変わるだろうから、若さや勢いだけでは通用しなくなる…。その時に備えて、どういうふうに変わったらいいのか、変わるために何をすべきか、考えてきました。なので、30代に対する意識がデカいんでしょうね。――あと1か月で、30代突入です。高良:急には変わらないかもしれないけど、いろんな変化が起きた時に、楽しめる人間でいたいです。今は息苦しくて…。もう少し呼吸しやすくなったらいいですね。そうなると信じてやってきたから、今は30代を迎えるのが楽しみです。こうら・けんご1987年生まれ、熊本県出身。‘06年、『ハリヨの夏』で映画デビュー。『軽蔑』で日本アカデミー賞新人俳優賞、『横道世之介』でブルーリボン賞主演男優賞を受賞。‘17年には『彼女の人生は間違いじゃない』『うつくしいひと サバ?』が公開。‘18年、主演するWOWOW連続ドラマW『バイバイ、ブラックバード』放送予定。ジャケット ¥78,000シャツ¥31,000パンツ¥44,000(以上BED j.w. FORD/バースリーTEL:03・6432・9313)その他はスタイリスト私物※『anan』2017年10月4日号より。写真・網中健太スタイリスト・服部昌孝ヘア&メイク・森田康平(TETRO)インタビュー、文・小泉咲子(by anan編集部)
2017年10月01日