(c)Amos Bar-Zeevおひとり旅に限りませんが、旅を楽しむためのコツがあるので、少しまとめてみますね。旅の最中はどうしても移動が多くなります。マイカー旅行ならいいけれど、電車やバス、特にLCCは持ち込める荷物に制限があるので、省エネならぬ“省荷物運動”は必須です。1.着るものを少なくなにしろ服が一番かさばるので、これを省エネする方法が大切!途中で洗濯すること前提で、3~4日分以上なら日数分の衣類は持って行きません。ホテルは乾燥していることが多いので、夕方手洗いしてタオルで水を吸い取って干しておくと、朝には乾いてるなんてことはままあります。湿度対策にもよいのでホテルでのお洗濯は一石二鳥。それから、海外では現地でのお買い物も楽しいので、やっぱり衣類は少なめにします。現地で民族衣装を買うこともあるし、その国で流行っているスタイルのものを買うことも。現地に馴染む格好をすると目立ちにくくなることもメリットです。2.ジャージ素材のドレス自分に似合うデザインのものを見つけたら、同じものの柄違いを何着か買っちゃいましょう。シワにならないし、そこそこドレッシーだし、かさばらないしで、旅にもってこいの服なんです。というわけで、以前は旅というとジーンズとかパンツスタイルが多かったんですが、最近はエレガントなスタイルも楽しめるようになりました。海外なら、カジノとかちょっとしたパーティにも行けるので、重宝します。もはやジャージドレスは旅の必需品です。3.ストールは万能衣料旅行には必ずストールを持って行きます。寒ければ体に撒いて防寒具に、外歩きをするときは頭からかぶってUV対策に。今回は冬の日本から真夏のオーストラリアへの旅行だったのですが、日本ではマフラーとして、こちらではストールとして使えるシルクのものを持ってきました。旅先ではとにかく汎用性の高い衣服が便利です。例えばセーターよりもトレーナーだし、かぶり物よりカーディガンです。4.小さなハンガー(洗濯ばさみ付き)洗濯したはいいものの、意外と困るのが干す場所です。長い旅行にはハンガーを持って行きます。100円ショップに洗濯ばさみが6~8コついている小さなハンガーが売ってます。これが本当に重宝するのですよね、吊すのと吊さないのでは乾き具合もぜんぜん違うし。3日程度の短い旅行でも、洗濯ばさみをいくつか持参します。5.手ぬぐい安宿にはタオルの提供がないところもあります。でもバスタオルを持って行くとかなりかさばるので、和久井は何はともあれ手ぬぐいを持って行きます。タオルよりもかさばらないし、なにより速乾性なので使い回しが利くんですよね。真冬のお風呂には向かないけど、ハンカチより大きいし、とにかく使い勝手がいいんです。首に巻けば防寒・UV対策にもなるし!以上が、和久井が旅に持っていくものです。胃薬とビオフェルミン以外は現地で!行きのカバンは、半分くらい空きがある状態にしておきます。もしくは向こうで捨ててもいい下着や古くなったシャツを持って行って、捨てて帰ってきちゃいます。旅には紙パンツを持って行くという強者もいましたよ(が、まだ和久井にその勇気はない)。とにかく持ち物を減らすことに命をかけていた時期があって、なんならコスメも持って行かないことがあったけど、さすがにそれは不便だったので最低限のものは持っていくようになりました。海外旅行には胃薬とビオフェルミンがあれば、あとは現地で調達。海外旅行にポケットティッシュは必需品と言われているけど、和久井はそれほど気にしません。ホテルでトイレットペーパーを畳んでいくつか持っていれば事足りるので、ポケットティッシュは、あれば持って行く程度です。どうせ本格的にトイレに行こうと思ったらポケットティッシュじゃ足りないし。荷物をコンパクトにすると移動が楽だし、現地に忘れ物もしにくくなります。というわけでみなさん、よいおひとり旅を!Text/和久井香菜子前回記事<おひとりさまが海外ホームステイで泊まるべき2つの条件>もチェック!おひとりさまの海外旅行にはホームステイがおすすめ。はずれないステイ先選びのコツとは?
2018年01月27日おひとりさま海外旅行なら、ホームステイがいい(c)Pixabay12月中旬から1カ月、オーストラリアで過ごしてます。何の目的があるわけでもなく、単に飛行機のチケットが安かったので買ってみたんです。そんな理由の旅なので、滞在中の半分はいわゆる民泊とホームステイにしました。おひとりさまで海外に行くなら、だんぜんホームステイがお勧めです。今は1日単位からAirbnbでステイ先を探せるので、グッと敷居が低くなりました。今回ステイ先を探していてわかったことですが、ホームステイのホストをしている家族がAirbnbに登録している場合も多いようです。つまり、無許可のホテルというイメージではなく、短期のホームステイ先が探せるようになった感覚です。ホステルのドミトリー(相部屋)と同じような値段で、個室がもらえるのも過ごしやすいです。やっぱり他人と一緒の部屋だと気が抜けないし。ホームステイをすると、現地の生活に溶け込むことができます。一般家庭がどんな生活をしているか、ローカル情報がよく分かります。語学を勉強している人なら、なおさら彼らとの会話は助けになるはず。いろんな国の人を受け入れているホストなら、言葉が多少不自由でも慣れているので面倒を見てくれますし、文化の違いがあることもよく知っているので寛容です。万が一体調が悪くなっても、人がいるので安心ですしね。今回ステイしたおうちでは、ホームパーティや誕生日パーティがあって、そこに参加させてもらいました。これはホステルなどに普通に泊まっていたら経験できないことですよね。それに無理に友達を作らなくても、いろんな人と交流できます。ただ、ホームステイは当たり外れが大きいのがちょっと問題です。なるべくはずれのないおうちを探したいですよね。「子ども+犬」の条件ははずれない!和久井の基準は「子どものいる家」です。過去に新婚夫婦とか、シングル女性の家に泊まったことがありますが、食事はシンプルだし、イベントは少ないし、すごくビジネスライクだし、とっても味気なかったです。「毎日髪の毛を洗うな!」とか言われたりもしたし(笑)。その点、子どもがいると夜ご飯はみんなで集合するし、なにより自分の語学力は子どもとマッチしてて話しやすい。政治の話はできなくても、恋バナなら簡単だし盛り上がるでしょ?今回も申し込みの際に「ライターをしています」と自己紹介をしたら、「娘がマスコミ志望なので、あなたが来るのをとても楽しみにしているのよ!」なんて言われて、こっちも行く前からワクワクしたり。ホテル宿泊で職業を言ってもワクワクされることはないですものね。それから和久井は必ず「犬のいる家」を条件にしてます。犬が大好きだけど飼っていないから、気軽に犬のいる生活を体験したいんですよね。日常を味わいながら非日常も体験できるっていうのがホームステイの醍醐味のひとつですから。それに、子どもとペットがいる家は裕福でハッピーな確率が高そうですよね。子ども+犬の条件で、はずれを引いたことがありません。というわけで今回は「息子と犬がいる家」で探しました。とはいえ、Airbnbはそんな項目で検索ができるシステムじゃないんで、まー探すのは大変でしたけど(「子どもがいる家」と言っときながら息子に限定したのは個人的な趣味です)。ひとつめのおうちではベトナムからの留学生男子がいて、アニメの話したり、教科書を見せてもらったり。ふたつめのおうちでは家族全員テニスが好きというので一緒にプレイしたり。いや~、オーストラリア生活を満喫しました。おひとり海外旅には、AirbnbやHome stay finderといったサイトでホームステイ先を探してみるといでしょう。Airbnbのほうが少し割高みたいだけど、登録しているおうちは格段に多いので、うまく利用したいですね。Text/和久井香菜子前回記事<札幌は11月でもどっぷり冬!でもそこには「冬のひまわり」が咲いていた…!?>もチェック!11月の札幌は、本州の常識とはまるで違います。まるで、冬にひまわりが咲くかのよう。
2018年01月12日しがらみや人付き合いにストレスを感じているなら和久井は今まで、ビジネスセミナーや心理学セミナー、自己啓発セミナーから魔女の講座まで、いろんな集会に顔を出してきました。そこでどの場所に行っても、同じようなことを言われることに気がつきました。みんな「ここで学ぶと、イヤな人とは自然と縁が切れるようになりますよ」って言うんです。選ぶ手法は違っても、望むことはひとつなんですね。誰でも、自分らしく伸び伸びと生きたいんです。いかに普段、人付き合いにストレスがあって、迷いがあって、人生の指針となるものを欲しているか。みんな自分に自信を持ちたいんですね。ネットで話題の『凪のお暇』を読みました。とっても心地のいい物語です。主人公凪の心の口癖は「空気、読んでこ」。会社の同僚になにか聞かれれば、どんな答えを求められているのかを先回りして、場の空気を乱さない返答をします。そしていつも笑顔。が、なんだか痛々しい。『凪のお暇』(コナリミサト/秋田書店)1巻それもそのはず。同僚からも、密かに付き合っていた営業部エースの慎二からも、実は影でこき下ろされていたという事実に、とうとう彼女の心の糸は切れてしまいます。そしてすべてを……会社も、携帯番号も、慎二も……捨てて、新しい生活を始めます。無職になってお金はないし、贅沢もできないけど、彼女は趣味である節約に邁進しつつ、清貧生活を堪能し始めるんです。すごく今風の漫画だなと思うのは、友達作りやコンプレックスにまみれた悩める女子が主人公なところ。ひと言で言えば、暗い。70年代の少女マンガの主人公なんて「あたしは男に負けないわ!」「見てよ、木だって登っちゃう!」みたいな元気一発少女ばかりなんですよ。『キャンディ・キャンディ』のキャンディとか、少しくらい気にしてもいいんじゃないかってくらい自分がブスなことなんかぜんぜんお構いなし、自己顕示欲のカタマリみたいな人間です。『生徒諸君!』のナッキーだって、暴力的とも言える正義を振りかざして周囲を圧倒していく少女です。もう少し他人の事情を鑑みてあげましょうよ。彼女たちは『謙虚ってなに?』って勢いで我が道を行きます。あまりに強すぎ、空気読まなすぎ。彼女たちは今の時代で共感を得られるんでしょうか。人の目を気にしていたら、上っ面なことしか見えないでもね、思うんですよ。空気なんか読まなくっていいんです。自分の言いたいことを言わなくちゃ、いつまで経っても心地のいい人付き合いはできないですよ。和久井は昔から「自分を理解できない人とは付き合わなくていい」と思っていたので、空気とか読んだことないです。もちろん、友達は少ないです。いないに等しい時期もありました。それで悩んだこともあります。今はもうちょっと器用になったので人とぶつからなくなったけど、そのときそのときで、最高に楽しくて尊敬できて、気持ちのいいお友達しか周りにいませんでした。文句をつけようがないお友達しかいないから、悪口なんか言ったことがないです。それによく思うんです。人に迷惑をかけていなければ、どう生きようが、どんな趣味だろうが、どうでもいいじゃないですか。アラフィフがフリフリブリッコな格好をしようが、めっちゃヲタクだろうが、「自分の考えとは違う」でいいはずです。それなのに、多くの人が「見て見て、あの人、あんなことして!」なんて悪口言ってるなって思うんです。人を責めれば責めるほど、自分も道を外せなくなって息苦しくなりますよ。自分がそうでした。自分の意志でものごとを決めず、自分の好きなことをしていないと、他人を責めたくなるんです。でも好きなように生きていたら、他人のことなんてどうでもよくなります。悪口や文句を言うだけ、自分が不幸になっちゃいますしね。『凪のお暇』は、そうしたしがらみを全部捨てて新しい人生を踏み出した凪の、トライアルの物語です。自分を変えようと、勇気を出してなりたい自分になっていきます。すると、今まで見えなかったことが見えてくる。近所で悪口を言われている未婚の初老の女性が実はめちゃくちゃ人生を楽しんでいたり、自分のコンプレックスである癖毛が、実は誰かの癒しになったり。人の目を気にしていたら、人のことも上っ面しか見えません。それはもったいないじゃないですか。もしかしたらそこに、めちゃくちゃステキな宝物が隠れているかもしれないのに。そんな気づきを与えてくれる作品です。Text/和久井香菜子前回記事<「家族は素晴らしいものだ」の呪縛から逃げたい人へ『酔うと化け物になる父がつらい』>もチェック!『酔うと化け物になる父がつらい』は、逃れられない「家族」との向き合い方をおしえてくれる作品です。
2017年12月29日冬にひまわりが咲くんですか?札幌に来ました。11月の北海道は、ちょっぴりシーズンオフな感じです。イベント施設は10月末で閉まっていたり、冬のオンシーズンを迎える前にちょっぴり休館していたり。ということは、必然的にグルメの旅になるわけですね。あったかい室内で、スープカレーやお寿司、ジンギスカンなど、口がいくつあっても足りなそう。しかし11月は、東京で言えばまだ冬を目前に控えた秋って感じですが、札幌はもはやどっぷり冬でした。だってもう雪まみれでしたよ?以前、雪の季節に北海道に行ったときは大変だったんです。キャリーバッグは雪で転がせないわ、転がらないキャスターの代わりに自分の靴は滑るわ。そして空気は痛いほど寒くて、外を歩く気力を吸い取られました。なので今回は、脱着式スパイクを買い、ダウンコートにセーターにヒートテック、160デニールのタイツと遠赤外線靴下と、おしゃれとか三の次くらい、とにかくモコモコ分厚い防寒重視のラフなスタイルで札幌に乗り込んだんですよ。ところで『ガラスの仮面』で有名な美内すずえ先生の短編に、「冬のひまわり」(『13月の悲劇 (白泉社文庫―美内すずえ傑作選)』より)という短編があります。主人公の女子がふとしたことで隔離された村にたどり着くと、そこでは人々は氷点下だというのに半袖で歩き回り、氷のベッドで眠り「体を温めると病気になっちゃう」などと言って、冷製にも程があるかき氷みたいなスープを美味しそうに飲んでいます。とにかく、体感温度がとんでもなく低い人種が住んでる村にひまわりが咲いていた、というお話です。札幌に来てびっくりですよ。10度にも満たない気温の中、ほとんどの人たちはジャケットだかセーターだかよくわからない、通気性のよさそうなアウターしか着てないし、ストッキングにパンプスなんて人もいましたよ! ここは冬にひまわりが咲くんですか?しかも、和久井がランニングシューズにスパイクつけてガッキャガッキャ音立てて歩いてるっていうのに、8cmヒールとか履いてる女子がゴロゴロいるんです。そのピンヒールの先にはスパイクがついてるんですか?北へ向かうなら季節の変わり目がおすすめ盛り上がった雪の上を歩くか、へこんだ氷の上を歩くか……和久井なんぞスパイクを着けてても、たまにズルッと滑るので、トボトボ足元を確認しながらじゃないと歩けません。あそこに路面が見えてるところがあるから、次はこっちに足を出して……あそこは凍ってそうだからこっち……と、もう考えることがいっぱいです。砂利が撒かれてドラゴンフルーツの果肉みたいになってる雪の積もった路面を、前よーし、横よーし、みたいに確認しつつ歩くんです。Googleマップの指示通りの時間にはとうてい目的地にたどり着けません。なのにみんな、颯爽と上を向いて和久井の3倍の速さで駆け抜けていくんですよ。よく「関東(とかの雪の少ない地域)の人は、雪上の歩き方がへたくそだ」なんて聞きます。雪国の人たちは、足を滑らせずに、真上からそっと置くようにして歩くとかいいますけど、そんなこたあもうすでにやってますよ!それでも足がズルッといくんです。 こうなると雪国の人たちは、足の裏に何か仕掛けがあるとしか思えません。もう、外を歩く緊張感たるや天皇陛下へ拝謁するかのごとくですよ。目的地にたどり着いたときの達成感は、チョモランマ登頂って感じです。ご飯を食べに行ったレストランのスタッフに「みんな歩き方が上手いですね」と言ったら「私は6年こちらに住んでますが、育ちが関東なので上手くないですよ」と言ってました。雪の上にも3年どころじゃないんですね。札幌市民の方に「このあたりは雪が降っても除雪しないんですか?」と聞いたら、「今はまだ雪の量が大したことないんで、やるのは12月以降です」と言われました。見渡す限り車道も歩道も雪まみれ、踏みしめられた雪でゴボゴボツルツルになってるというのに「大したことない」ですと?年に数回、積もるか積もらないかの雪しか降らない関東平野で生まれ育った和久井には、驚愕の常識違いです。北へ向かうなら、季節の変わり目がオススメです。異世界で冬のひまわり体験ができますよ。Text/和久井香菜子前回記事<スリル満点な田植え体験!見ず知らずの4人が「10年来の友人」に>もチェック!1泊2日の農業体験ツアーに行った和久井さん。結束した体験者の皆さんと、ちょっと不思議な出来事も…
2017年11月29日スリル満点な手植え体験春に田植え体験してきました。若いオーナーが運営する古民家ゲストハウスが、1泊2日の農業体験ツアーをやってたんです。『百姓貴族』や『銀の匙』といった荒川弘先生の農業マンガをはあはあ言いながら読んでいる和久井は、農業にとっても興味があります。……自分で作った食材でピザとか焼いてみたい!同じ日に体験ツアーに参加したのは、和久井のほかに就農希望のご夫婦と、シングル男性の計4名でした。昼過ぎに現地に到着すると、他の方たちはすでに集合していて、まずは全員で自己紹介をして、田んぼへGOです。田植えをする田んぼには、数日前に水が入れられたばかり。泥水でヌッタヌッタです。長靴だと、足を取られて歩きにくいので裸足になってもいいんですって。それならとさっそく長靴と靴下を脱ぎました。腰痛でダウン見ず知らずの4名が集まって、いきなりの共同作業。誰が一番早く植えられるかなんとなく競争になったり、苗を渡し合って協力したり。作業が終わる頃にはすっかり仲良くなってました。その後は、みんなで夕食。オーナーのお父さんがやってきて火炎放射器を豪快にぶっ放して炭に火をつけ、BBQが始まりました。もうこの頃には「10年来の友人」感覚です。食後の酒が盛り上がったこと!しかしそのあと、とんでもない事件が……。1日一緒に体験すると人となりがわかる酒豪であるオーナーのお父さんはみんなと一緒に豪快に飲み散らかし、正体不明になってに担がれリタイア。シングル男性も続いて縁側でリタイア。みんなで彼を部屋に運び、適当に布団で寝かしつけ、残った夫婦と和久井の3人で軽くおしゃべりしてました。そろそろ寝ようかってことで、和久井は自分の部屋に戻ったんです。自分の部屋といっても二段ベッドが2つほど置いてある、2階のドミトリーでした。夫婦は個室で、リタイア男子は別のドミトリーを使用していたので、和久井の部屋は貸切状態です。どこに寝ようかな……。上にしようか下にしようか、やっぱり出入りしやすい下にしよう、なんて思って布団を敷いて二段ベッドの下段で休んでいました。すると……。スラッ……襖が開いて、リタイア男子が入ってくるではないですか……!!!ちょ、待てよ……!いやいや、モノマネしてる場合じゃないよ、何か用!?(何かってなんだ!?)お前は「来月結婚するんだ」とか言って愚痴ってたよな!?愚痴るのは構わないけど、結婚前にご乱行のつもりなの……!?とか思ってると、リタイア男子は和久井の寝ているベッドを覗き込んできます。「な、なに……!?」和久井が恐る恐る聞くと、彼は黙って和久井を見つめています。(どうしよう、ここは峰不二子的になんか気の利いたこと言わなきゃいけないのかな……)モンモン考えていると、彼はそのままプイッと後ろを振り返り、折りたたんであるお布団へ突進し、そのままグーグー寝始めました。……なんだったんだ……。結局、朝まで緊張してあまり寝られず、どうしたものかと思っていると、リタイア男子はムクリと起き上がってそのまま部屋を出て行きました。そうして階下のみんなと合流した彼が、こう言っているのが聞こえます。「朝、気づいたら姉さんの部屋で寝てた。たぶん知らないうちに連れ込まれたんだと思う」軽く殺意が湧きました……。お前のせいでほとんど寝られなかったんだぞ。結婚間際のヤツなんか連れ込むか!民宿や古民家風のゲストハウスは、個室に鍵がついていないことが多いですが、それは顧客同士の信頼感があってこそ。数々のゲストハウスに泊まっていますが、個室破りは初めてですよ。「面倒くせえ……」と思いながら、和久井も階下へ合流しました。ところが予想に反してみんな、和久井が連れ込んでないこと、なんもやらかしてないことも承知のようなんです。「やっぱりね」みたいな。さすが、1日一緒に農作業だのご飯の用意だの、仕事をすると、人となりがわかるものですね。よかったよかった。オーナーが、嬉しそうに言いました。「いやー、相手が和久井さんでよかった。他の女子だったら大問題ですよ」おい、ちょっと待て。和久井だって大問題だよ!こっちにやる気がない以上なんにも起こらないのが正義だけど、部屋まで来てなにも起こらないとか、未遂(?)の相手が和久井でよかった扱いっていったい女としてどうなんだ。なんだかいろいろ中途半端だなあ。というわけで、未知の体験あり、スリルありの農業体験でした。自分で植えたお米が食べられるのを楽しみにしていたんですが、先日、宿から連絡が来たので聞いてみたところ、「今頃は、いろんな方が美味しくお召し上がりになってると思います!」と元気よく返事が来ました。軽く殺意が湧きました……。稲刈りのときは連絡するって言ってたくせに!Text/和久井香菜子前回記事<HPも予約サイトにもない!疲れた人がたどり着く加計呂麻島のオアシス>もチェック!加計呂麻島の民宿は、元気をもらえる「ゆるいオアシス」でした。
2017年11月09日もう、このまま住んじゃいたい!毎月どこかへフラフラ旅をしている和久井ですが、今までちょっと苦手だったのが、民宿です。人の家を間借りするような形なので、ゴチャゴチャとものが溢れていたり、ホコリっぽかったり、食事の時にはオーナーから聞きたくない話を延々と聞かされそうな気がしたり。泊まった宿が土木労働者さんたちの常駐宿で、お風呂に入ったらお湯が泥水になってたなんてこともあったなあ……。だけどこのたび、とても素敵な民宿に出会いました。お友達が紹介してくれたところで、奄美諸島のひとつ、加計呂麻島にある宿です。「海辺からの美しい夕陽を、ぜひ見て欲しい!」とお勧めされていました。宿の女将さんはちょっと「見える」人らしく、何を見てくれるのかも楽しみでした。もうね、もう、あのまま住んじゃいたい! ってくらいよかった。「恋はデジャブ」って映画があるんですが、これ、とあるおっさんが毎朝目が覚めると同じ日の繰り返しだった……って話です。この宿でならデジャブってもいい!! もう帰りたくない……。まず、朝と晩(頼めば昼も)、黙っててもめっちゃ美味いご飯が出てくるんです。それがどんなに幸せなことか! おひとりさまにしかわからない贅沢ですよね。裏の畑で取れた新鮮な野菜と、地のモノの肉や魚。どでかい冬瓜をくり抜いてお皿にして、中身をサバ缶と冬瓜で煮た郷土料理とか、ゴマ味噌味のお鍋とか、新鮮でコリッコリしたお刺身とか、もう天国です。朝焼けと共に星が消えていきますお客さんもよかった。出会ったばかりの女子と、いきなり一緒にシュノーケリングをやって、お酒を飲んで語らって、ドライブに行きました。離れを借りている親子も「一家団欒」という感じで微笑ましかった。鹿児島出身だという旦那さんが西郷隆盛顔でした。加計呂麻島でロケが行われた映画『海辺の生と死』を観てから行ったので、最初は島内をあれこれ観光しようと思ってたんだけど、「やっぱいいや」ってなって、宿からほとんど出ませんでした。癒やしの宿でした。疲れた人たちがたどり着く、オアシスみたいな。いろんなパワーを注入された感じです。過ごしている最中に、あれはいくら、これはいくらだなんて一度も言われなかった。現実に引き戻される瞬間がないんです。この宿はホームページもなく、もちろん予約サイトにも登録されておらず、予約は電話のみ。基本的に人の紹介で運営しているようです。信頼できる人から紹介されていく、紡ぎの宿。だからお客さんも気のいい人たちばっかりなんですね。紹介してくれたお友達が和久井を選んでくれたってこと、とっても嬉しいです。女将さんは、宿を出るときに、見えたことをアドバイスしてくれました。和久井のことは、「宿に来た瞬間から、『なにを言ってくれるのかな、なにを言ってくれるのかな』と期待に満ち満ちた顔をしていた」そうです。犬並みです……。最後に「またおいで」って言われました。これまた嬉しかった。元気になりました。ビジネスライクな宿には、誰が泊まっても一定のサービスが提供される安心感があります。手作りの宿は、求められる人たちだけが来る安心感がありました。どちらにも魅力があります。揺るがない宿は「当たり」です。各地に定宿を作っている和久井ですが、この民宿は宝物レベル。ずっと大事にします。Text/和久井香菜子前回記事<現地で自由にカスタマイズすれば、おひとり旅はもっと充実する>もチェック!一人旅の醍醐味と言えば、気ままなカスタマイズですよね
2017年10月28日おひとり旅なら自分次第でいくらでも変えられるby Stokpicふらりとセブに行ってきました。池袋の東口にある西武じゃなくて、フィリピンのセブです。8日間ほどあったのだけど、初セブだったので宿は前半しか取らず、残りの3泊は現地の様子を見てから決めることにしました。日本から予約していったのは、シキホールという“黒魔術”の島。まあ、黒魔術と言ってもたぶん観光用の文句だと思います。ラブポーション(惚れ薬)を売っていたり、ヒーリングなんかをやってくれる場所がいくつかあります。その島のコテージを借りて、海を眺めつつ4日ほどだらだらしてました。さて、次にどこへ行こうか考えていたところでした。宿で一緒になった韓国人の男性が、これからドゥマゲッティという港町に行くというんです。「いいところですよ」と。彼にオススメのホテルを聞き、会う約束をして荷物をまとめ、ドゥマゲッティへ向かいました。今は、ネットさえあればどこからでも宿が予約できるところが本当に便利ですね。ホテルドットコムやagoda、Booking.comといった予約サイトを使って、好きな場所で、好きな条件の宿を探せます。サイトによって得意な地域や、登録されている宿が若干異なったりするので、気に入ったところが見つからない場合は、サイトを変えてみるとよいと思います。昔は、着いた場所の駅や空港から宿に電話をして予約したものです。求められる英語力と緊張感がとてつもなかったので、本当に便利になりました。というわけで、気軽に宿が取れるおかげで、旅行中でも行き先を自由に決められるようになりました。観光ってお天気によってやりたいことも異なってくるので、現地の情報次第で行き先を変えられると取れ高もいいですよね。その場で出会った素敵な人や物によって、旅の内容はいかように変えられます。これも、ひとり旅ならではの気軽さかもしれないですね。海外でバスは乗客を待ってくれないこうして和久井の初セブは、前半は離島でバケーション、後半は都市部の観光と決まりました。セブは比較的治安がいいと言われていること、夜の出歩きは韓国人の彼と一緒だったことで、危険な目に遭わずに過ごしました。……ただひとつのトラブルを除いて。ドゥマゲッティからバスでセブの中心部に戻ろうとしたときのことです。途中、バスごとフェリーに乗って小一時間ほど海を渡るところがありました。バスがフェリーに乗り込むと、乗客たちはバスから降りてフェリーの客室へ移動しました。ベンチに座っていると、「フェリー代を払え」ときっぷを持った男性がやって来ます。え、バス代の他にフェリー代も個人で払うの?だったらバスから降りなければフェリー代はなし?もうまったくシステムがわかりません。下船間近になり、お手洗いを済ませてからバスに乗ろうかな、と思ってトイレに入ったんです。で、出てきたら、バスがすでに発車してるじゃないですか!ちょっと待て! なぜ置いていく?慌ててバスの進路を遮り、乗り込みました。運転手やスタッフ、乗客たちが和久井に向かって何か茶化して笑っています。そんなん知るかー! ああびっくりした。出発の際に人数確認とかしないんですかね。もうまったくシステムがわかりません。どうやら和久井は、海外でバスに置いていかれるという運命みたいなんです。これは、トルコに行ったときのお話。バスで12時間という長時間の移動をしていたら、途中で体調を崩してしまったんです。深夜のパーキングエリアにバスが止まったので、急いで降りて、汚物の処理をしました。で、ヨロヨロとトイレから出たら、なんと勢いよく自分の乗っていたバスが走り始めているじゃないですか。トルコの、深夜の、山奥のパーキングエリアですよ。置いて行かれたら、どんな目に遭うかわかったもんじゃありません。吐いた直後に、バスを追いかけて全力疾走です。サザエさんの数倍辛い。しばらくすると運転手が気づいたようで、バスを止めてくれました。こっちはもう半べそです。そのバスには運転手の他にスタッフが1人いましたが、どうやら彼が人数確認を怠ったようで、運転手に叱られてました。恨み言を言おうにも、なんとそのバスには英語が通じる人が一人もいませんでした…。あの経験を思い出すと、たいていの旅のトラブルは平気な気がしてきます。海外では、バスは乗客を待ってくれません。これからはバスを降りる際に、「俺は降りるぜ、覚えてろよフーゥ!」みたいに主張することにします。Text/和久井香菜子前回記事<即ご利益あり?振られた彼から連絡がきた…高知県・鳴無神社の縁結び>もチェック!縁結びのパワースポット、高知県・鳴無神社へ。そのご利益のほどは……。!?
2017年10月23日米映画『僕のワンダフル・ライフ』の公開記念舞台挨拶が9月30日(土)、都内で行われ、日本語版の声優を務めた高木渉、梅原裕一郎、花澤香菜、寺崎裕香、大塚明夫が登壇した。『HACHI 約束の犬』『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』など、数々の感動“犬映画”を手掛けるラッセ・ハルストレム監督の最新作。ゴールデンレトリーバーのベイリーが、愛する飼い主イーサンに再会するために、50年の間に3度も生まれ変わる“時空を超えた旅路”を描く。原作は小説家のW・ブルース・キャメロン氏が、愛犬を亡くした恋人のために書いたベストセラー小説だ。ベイリーの声を演じた高木さんは「(初日を迎えた)昨日、劇場で見た。自分の声が、それぞれの犬の気持ちにマッチしているか心配で…。やっぱり、犬との別れや健気さには、泣いちゃいますね」と感無量の面持ち。幼い頃に、犬と触れ合った経験をふり返り「やっぱり、犬は癒される存在」と話していた。寺崎さん、梅原さん、大塚さんはそれぞれ少年期、ティーン、大人時代の飼い主イーサンを演じており、この日初めて“三世代”が勢ぞろい。「子どもの頃に飼っていたハスキー犬の温かみを思い出しながら、演じました」(寺崎さん)、「持ち前の明るさはそのままに、ある事件をきっかけに殻に閉じこもってしまうイーサンの二面性を意識した」(梅原さん)、「青春期に負った心の傷が原因で、社会生活がうまく送れない姿を声だけで表現したかった」(大塚さん)と役作りを語った。花澤さんはイーサンの初恋相手ハンナ(10代)を演じ、「天真爛漫だけど、イーサンとの関係など将来のことも見つめていて、しっかりしている」と役どころを説明。それだけに、「イーサンがあんないい子を振るなんて、おかしな話ですよね!」とプンプン。イーサン役の梅原さんは「まあ、あのときは仕方がなかったと思ってください」と役に代わって、釈明していた。舞台挨拶にはAmazonプライムビデオのCMで話題となり、本作の宣伝“ワン”バサダーを務めるゴールデンレトリーバーのゼウスが駆けつけた。『僕のワンダフル・ライフ』は公開中。(text:cinemacafe.net)
2017年09月30日矛盾を抱えていても放棄できない「家族」世の中には、自己啓発や心理、癒しなど、いろんな講座やサービスがありますね。和久井はいろいろ顔を出していて、モロ自己啓発のセミナーに行ったこともあるし、占い系の講座やビジネスセミナーにも顔を出したことがあります。これらはまったく方向性の異なるセミナーですが、意外なことに言っていることはすべて同じでした。それは「自分の心の声を聴き素直に生きること。そうすれば自然に自分と合わない人は距離ができて疎遠になる」です。ビジネスでもプライベートでも、どれほど世間体や周りの意見に流されてしまう人が多いのでしょうか。そしてそれで多くの人が悩んでいるようです。無理して誰かとつき合う必要も、自分を押し殺す必要もないんだということを、あらゆる手段で教えられないと、実行できないようなのです。自分に合わなかったり、不快な思いをさせられる人とは、距離を置けばいい。他人ならやりやすいですね。でもそれが家族だったら……? ハードルはもっとグッと高くなります。私たちは子どもの頃から「親に感謝しなさい」「親を尊敬しなさい」と教えられてきます。高校受験の模擬面接で「尊敬する人は両親」と答えるのが模範的回答でした。今はそれほど強制されないとは思いますが、それでも「家族という見返りのいらない相互労働関係」に社会はずいぶんと依存しています。子育ても介護も、家族内で完結していれば、社会保障はいりません。私たちは「家族は素晴らしいものだ」と教えられ、家族がどんなに矛盾を抱えていても、そこを放棄することは許されないプレッシャーを植え付けられています。『酔うと化け物になる父がつらい』は、毎晩のように泥酔する父親と、宗教にはまっている母親に育てられた女性のノンフィクションです。ストーリーは、幼少期、クソ男とつき合っていた青年期と、父の介護という大まかに3つのパートに分かれています。(c)︎菊池真理子(秋田書店)2017私にも将来、親を介護する時が来るかもしれません。事実、自分の子どもには自分と同じように結婚をして子どもを産んで、企業に勤めるべきだという親の期待は、今度は「自分を介護して欲しい」に変わったようです。それにはハッキリ「あなたたちの世話はしたくない」と告げました。親の飲酒に悩むわけでも、経済的に負担がかかっているわけでもありません。冷たいでしょうか。でも私はこれ以上、親の都合に振り回されたくないのです。それでも、いざというときになってすべてを否定できるかはわかりません。親を拒否しても心は晴れません。だからといって、したくない約束をする気にもなれません。どういう選択をしても、恐らく気持ちが晴れることはないのでしょう。この面倒くささこそが「家族」だと思うのです。その、家族から与えられた孤独感を埋めてくれる誰かを、私はずっと探しているんです。以前、親しかった女性から聞いた言葉を思い出します。「人間は、どうしようもなく孤独なんです。それがわからないうちは、幸せにはなれませんよ」家庭環境に関わらず、多くの人が孤独を感じているのかもしれません。過干渉でも、不干渉でも、どちらも人は満たされません。そのどうしようもないさみしさを、お酒で埋めようとする人もいれば、セックスで埋めようとする人もいる。宗教や占いに頼る人もいれば、何かのセミナーに夢中になる人もいる。「酔うと化け物になる父がつらい」に登場する人たち……父親、母親、DVの彼氏、主人公、妹と、誰もが孤独や自己肯定感と戦っています。家族がいても、ひとりでいても、孤独なのは同じかもしれません。家族に対するモヤモヤとした気持ちは親から子へ受け継がれて、輪廻のようにグルグルとめぐっているのでしょう。だから『酔うと化け物になる父がつらい』のテーマである「親の飲酒」が自分に当てはまらなくても、描かれている多くのことが胸に刺さり、共感を呼ぶのだと思います。とても、辛い作品です。家族を許しても、許さなくてもいいのだと思います。自分ができるようにしかできないのだから。Text/和久井香菜子前回記事<連載40年、既刊62巻。少女マンガの名作『王家の紋章』で自宅にいながら大冒険へ>もチェック!時間がたくさんある大型連休だからこそ、超長編の少女マンガをゆったり楽しむチャンス!
2017年09月29日チャンスは「ご縁」が繋いでくれるby Stokpicとってもかわいがってもらっている女社長さんに、こんなことを教えてもらいました。「チャンスはすべて人からやってくる」ああ、その通りだなあと思います。たいていのチャンスは知っている人からもたらされます。お互い見ず知らずの赤の他人から、とんでもないチャンスが来たらそりゃ詐欺だよね。100万円当たりましたとか、人妻が会いたがってますとか。助けたカメや蜘蛛からチャンスをもらうのは、まあ作り話です。善行をしたとして、それに対する報酬をくれるのは、現実社会ではやっぱり人でしょう。と思うと、ご縁って大事だなと思うんです。「良縁」って、恋愛のことだけじゃなくてすべてのご縁っていうけど、この「良縁」は人生の宝になるはずだから、いくらでもほしい。良縁に御利益のあるパワースポットと聞くと、ついついいそいそと出かけてしまうわけです。冒頭からたいへん言い訳っぽいお話ですが。やってきたのは、高知県にある鳴無神社。1251年創建という古い歴史を持つ神社で、土佐国一宮の土佐神社はここの別宮だったという話。え、それってもしかして下克上なの?高知市内から車で1時間ほどのところにあります。海に向かって鳥居が立つ、静かな場所でした。平日だったこともあり、人気はなし。あまりに静かすぎて、平日はお守りも水に溶かすおみくじ(読み終えたら海に流して下さいと書いてある!)も売っていないという静かさっぷりでした。悔しいので社務所に書いてあった電話番号にかけてみたら、毎月1日、15日と土日以外は宮司さんは神社に行かないのだとか。Googleマップに従うと、海を隔てた遙拝所に連れて行かれるので要注意。あまり人が多い神社は、神様が忙しいので振り向いてくれないと聞いたことがあります。なのでこういう静かなところはよりいっそうパワーがもらえそうな気がします。しかし人気がないのはいいんだけど(実際地元の人もほとんど知らない神社でした。地方あるあるですね)、あまりに人気のない日に行くと、こういう空振りもあるわけですな。まあともかくその時は、つき合っていた男性から「お前みたいな変わった人生を俺は送りたくない」「将来結婚とか絶対ない」などとけっこうな否定をされて振られたところでした。ああそうですか、「じゃああんたは、どこに保障があるわけでもない「普通」のためにいろんなものを捨てて生きればいいよ!」とハンカチを噛んで泣いていて、悔しいわ悲しいわで、とにかく良縁を求めていたんです(ってやっぱり恋愛がらみじゃねえかって話ですが)。恋人もどり、仕事きたるしかしその時、ひとつ大きな問題がありました。今回の観光では1日レンタカーを借りて、その車に地元の男性を乗っけていたんですよ、ガイドしてもらおうと思って。ところが、鳴無神社の紹介ページには「好きな人と一緒に行きましょう」とか書いてあるのです。その地元の男性は、とてもいい人だけど既婚者。結ばれちゃ困ります。「カップルだと思われたらダメだ! 車から降りたら口利かないから! 赤の他人、赤の他人でお願いします!」などとお願いして、ホントに車を降りたら目も合わせないようにしてお参りしました(笑)。「神様のことだから、口くらい利いたってどんな関係かわかるんじゃないのか」と彼からは疑問が投げかけられましたが、スルーです。念には念を入れます。静かな海に足を入れて深呼吸し、ここまで来られたことを感謝してお祈りしました。こういう静謐な気持ちになれる時間って大事ですよね。同乗者と口を利かない時点で、邪心でいっぱいという気もしますが。その御利益なのか、新しいお仕事のチャンスは来たし、その日の晩に振られた彼からも連絡がありました。あとはほれ、紙に名前書いて役所に出す緑の字のヤツ、お願いします!そして今、セブ行きの飛行機に乗っているわけですが、目的は“黒魔術の島”と言われるシキホール島です。そこに「ラブポーション」という媚薬があるそうです。教えてくれた女子曰く「めっちゃ効きますよ! 私はこれでほんとに彼ができました!」と言うので行ってきます。ただし彼女は2週間でその彼と別れたそうなので、それホントに彼氏というのか……てか、効き目短くね?あ、これは、道の駅にあるカツオソフトクリーム。何でもかんでもカツオを入れればいいと思うなよ!Text/和久井香菜子前回記事<「ドラクエⅪ」にハマった今年の夏。美しい海に惹かれてセブ島に行くことにした>もチェック!和久井さんがハマった「ドラクエⅪ」。その魅力と楽しみ方とは…!?
2017年09月25日この夏、昼夜忘れてハマったことPixabay今年の夏は、いろんなところへ行きました。ホムラの里で温泉、グロッタの町でカジノ、美しい「白の入江」で景色に見ほれ、南の離島にも北の離島にも行きました。そして、とうとうずっと好きだった人と……。なんの話かというと、7月29日に発売された「ドラクエXI」です、すみません。ドラクエは中毒性があって、ハマる人は昼夜を忘れていそしみ、プレイ中は生活がかなり圧迫されるようですね。意外と和久井の周りでドラクエをしない人も多かったので、ちょっぴりその魅力を解説したいと思います。ドラクエシリーズの基本は「魔王のせいで魔物たちがウロウロしている世界。勇者が現れ、この魔王を倒して平和をもたらすまで」のお話です。自分が操作する主人公は、もちろん勇者。そう、ドラクエって物語なんです。大きな世界地図の中に街やお城が点在しています。勇者は滞在している街で「北に行くと城があるよ」などと情報を得て、その場所に向かいます。新しい街に着いたら、まずは情報収集。いろんな人に話しかけると、「お兄さん、強そうだね。ちょっと頼みたいんだけど……」などと相談事が持ちかけられたり、「怪しい奴め、ちょっと来い!」とか言ってトラブルに巻き込まれたりします。それを解決して次の街に行くと新事実が発覚したり、新たな問題が発覚して、またそれに首を突っ込んだり。こうして旅を続けて各地に残る伝説を聞き集めていくうちに、魔王とは何なのか、なぜ魔王が力をつけるようになったのかなど、その真相が解明されていきます。「あ、前の街で聞いた話の真相はこれなのか!」とか「あの謎の生き物は、ここから来たのか!」なんてわかってきて、思わず画面に向かって叫んじゃいます。「このトラブルを解決したら寝よう」と思っていても、解決すると次の街に行けるようになるので「次の街に行ったらやめよう」となり、街に行ったら新たな謎を持ちかけられるので「このトラブルを解決したら寝よう」となり……プレイ中はずっと寝不足です。ドラクエのドラクエたる所以和久井がドラクエにはまる理由のひとつは「毎回必ず泣いちゃう話がある」ことです。人と人がすれ違って誤解を生み、それが憎悪に発展したり。ひたすら純粋に誰かを想い続けて、長い長い時を過ごしたり。心揺さぶられるミニストーリーがてんこ盛りで、プレイ中にボロボロ泣けます。人の成長を描いた話が多いのも特徴です。弱くてズルイ人間が、勇者たちと触れ合うことで開眼して、立派に成長していきます。悪者かと思っていたら実は大きな事実が隠されていたりとか。ぶっちゃけこの前観た映画よりも、ドラクエのほうが奥が深くて切ない話がいっぱい詰まってたと思います。泣けるだけじゃなくてクスッともします。特に、登場人物がめちゃくちゃキュートです。「ドラクエXI」で同行する「ロウ」というちょっと太めのおじいさんはめちゃくちゃ女好きで、「行くぞ!」などと片手を振り上げた拍子に、バサッとエロ本を落としたりします。街の人たちのセリフもいちいち気が利いてて面白いです。街にはたまにバニーガールの格好をした女子がいて「パフパフしていく?」なんて聞いてきます。「はい」を選ぶと、暗闇に連れて行かれて……というのがシリーズ通しての定番です。大人なら「む?」と思っちゃうようなプチエロいネタが詰まっているところも楽しい。勇者は勝手に人んちに入って壺や樽を割り、本棚をあさりタンスを開けます。そうして何かを発見して「小さなメダルを手に入れた!」とか言うんです。勇者のパーティはすごい窃盗集団なんですが、だれも責めません。この辺は『勇者ヨシヒコ』で揶揄されてましたね。セカオワの「RPG」の歌詞の一部もドラクエそのものでウルウルします。色んな楽しみ方がある…そして旅に出たくなるゲームっぽい要素としては、魔物と戦って勝つと経験値やお金、たまにアイテムがもらえること。そして経験値を積むとレベルがアップします(テレレレッテッテッテーという効果音が鳴ります)。お金で武器や防具を買って、より強い魔物と戦えるように勇者やその仲間たちを強化していき、魔王との対決に備えます。もしあなたの周りの人がドラクエをプレイ中に、「あっ」とか「ひっ」とか叫んで辛そうにしていたら、「メタスラ逃したの?」*と聞いてあげてください。これはホントに悔しい。アイテムを収集してコンプリートを目指す人もいるし、レベル99までレベル上げする人、カジノで遊んでコインを貯め、他では手に入らないアイテムと交換する人ももいて、楽しみ方は本当に人それぞれ。。和久井は物語以外の部分はほぼスルーなのですが、それでも物語のラストにたどり着くまで80時間ほどプレイしました。3DSで遊んでたんですが、「白の入江」の景色がめちゃくちゃ美しく、お話も綺麗だったので、もう今、海に行きたくて仕方がありません。というわけで来月はセブ島に行ってきます。ドラクエほどのトラブルはいらないけど、いろんな人に出会って、新しい発見があるといいなあ。※メタスラ=メタルスライム。倒すと莫大な経験値がもらえるんだけど、憶病でよくダダダダっと音出して逃げられちゃいます。レベル上げするのにメタスラ狩りをするのはドラクエの定番です。Text/和久井香菜子前回記事<ジャニーズの完コピは「よさこい」に活かせるのか?高知よさこい祭りに挑戦>もチェック!ジャニーズソングを完コピできるという和久井さん。高知よさこい祭りに参加した体験を熱く語っていただきました!
2017年08月31日こんにちは、普段は少女マンガの解説をしている、うっすらジャニーズファンの和久井香菜子です。知る人ぞ知るですが、和久井は何曲かジャニーズソングを完コピできます。数年前のことですが、某編集部の飲み会に浴衣を着ていったんですよ。そしたら「何この人、浴衣なんか着て取っつきにくい」と思われてたらしいです。しかし二次会で浴衣姿のままシブがき隊を歌い踊ったら「なんだいい人なんじゃん」と評価が覆ったんだとか。あはーんだとしたら和久井は飛んだ間違いを犯していたわけです。完コピスキルを活かせず、メダル1個の凡人で終わってしまっては、テレビの中の師匠たちにあまりに申し訳が立たない。チームの最高受賞者はメダル3つでした。……来年はきっと、複数のメダルをもらいます、リベンジです!!まとめ悔しさと課題はあったものの、よさこい自体がめちゃくちゃ楽しかったです。当日はぶっちゃけジャニーズを忘れました。衣装は長袖で蒸れるし暑い。休憩中はガブガブ水分補給をして、演舞前には水をかぶってました。生死をかけた戦いっぽいですが、観客の方たちもまたその戦いに力を添えてくれるんです。多くの方が見学をしながら一生懸命踊り子たちを団扇であおいでくれました。「まじやってらんねーよ」とか言いそうな金髪ヤンキーっぽい青年まで、団扇を振っています。よさこいは、見る者すべてを更生させてしまう力があるようです。各チーム80人以上の大人数のところばかりで、それぞれがめいっぱいおしゃれを楽しんでます。和久井が見たところ、衣装の傾向は、和装派、巫女・晴明派、『花のあすか組』『ホットロード』派、ドラクエ派(海賊・イスラム系)に大別できます。そんなお洒落さんたちが、他のチームの演舞開始時には、一斉に鳴子を鳴らして「いってらっしゃい」するんですよ。もうそのスポーツマン精神に胸が震えました。ちなみに、キレッキレで踊ると、通常時の3倍ほどの体力と神経を使います。2日目最終演舞で和久井は体力的にも精神的にも燃料切れを起こしました。来年はお色気よさこいで体力温存しつつ、メダル3つを目指します。Text/和久井香菜子前回記事<値切りの一番のコツは楽しむこと!海外の市場で通用した交渉スキル>もチェック!海外での買い物の楽しみ方のひとつに値切りがあります。和久井さんとっておきの秘策とは…?
2017年08月25日一番のコツは「値段交渉を楽しむこと」先日、野菜を買いに八百屋さんに行ったら「スイカ買ってかない?」と勧められました。小玉スイカの半玉で399円のところ、「250円でいいよ」とのこと。スイカ……たいして好きじゃないけど、値段によっては買ってもいい。「200円ならいいよ」と言ったら「それじゃ大赤字だよ!」とごねられたので、「ひとり暮らしでスイカは食べきれないんだもん」と言ったら、向こうが根負けして200円にしてくれました。なかなかいい買い物だった気がします。何より、「いい買い物だった」と思えること自体がもう楽しいです。商店街ってこういう値切りのお作法があるのがいいですよね。スーパーとかだとそういうのないから。さて、和久井はけっこうお買い物上手です。これはトルコの市場で培った技術。トルコの、特にイスタンブルなどの観光地で平たい顔して歩いていると、ほうぼうから金づる扱いされます。特に市場は観光地化しているので、通常の値段の数倍ふっかけられることもあります。なので、買い物するなら市場ではなく、ちょっと繁華街から外れた商店にするか、事前に値段感をチェックしておくのがお勧めです。もしも市場でしか買う時間がないのなら、一番のコツは「値段交渉を楽しむこと」だそうです。欲しいなぁ~、でも高いなぁ~、う~ん、これも買ったら安くしてくれる? なんて、ちょっとかわいらしく迷っていると、向こうもノリノリで値下げしてきます。逆にいきなり「高い!」とか言って怒ってみせると、店員も「あっそ」って感じで相手にしてくれません。市場での買い物をエンジョイしよう和久井が一番いい買い物したなと思ったのは、グランドバザールでチャイグラスを買ったとき。一緒に行った友達が、チャイグラスを2脚買おうとしてました。値段は60トルコリラ(TL)。そこに和久井が便乗して「和久井も2脚買うから、4脚で80リラにして?」と言ってみました。すると店主は「そりゃ安すぎる! 4脚なら100リラだ」と言うんです。えーっと渋る私たち。そうしたら店主が「6脚買ってくれ」と言いだしました。どうやらチャイグラスって、6脚でワンセットらしいんです。4脚買われて余っても、残りをさばきにくかったんでしょう。和久井の目が光りました。弱みを見せられたらこっちのもんです。「6脚で100リラでどうだ?」「いらないもんつけられても安くないよ」「日本にいる親友にお土産にすればいい」「親友はここにいる彼女だから。(大嘘だけど)日本に友達なんかいないもん」「6脚で100リラでいいから」「(値段変わってないじゃねえか)6脚で80リラなら買ってもいい」こう言った手前、「じゃあ4脚で80リラでいいよ」と言われてしまったら損した気になりそうだな、と思いましたが、向こうが根負けしました。6脚で80リラ。大勝利です。で、100リラ紙幣を渡して「釣りくれ」って言ったら「金あるじゃねえか」と苦笑いされました。もうこの達成感たらなかったです!1脚30リラだったところが13リラになったんですから、半額以下です。状況を読み取って交渉できたところも嬉しかった。これが相場より高かろうが安かろうが、割とどうでもいいです。市場での買い物って、こういうやり取りを楽しむんですって。不当にふっかけるのも、ふっかけられるのもいただけませんが、日本人感覚で言えばたいていのものは安いはずなので、目くじら立てずに買い物をエンジョイしたいですね。「ありがとう」「美味しい」「ビールちょうだい」は現地語でちなみにイスタンブルでは、日本語で話しかけてくるトルコ人はカーペット屋さんかランプ屋さんで、提示してくるお値段は少々高額なことが多かったです。くだんの交渉は英語だったので、安くも高くもなかったのだろうと踏んでいます。なぜなら、こんな体験をしているから。カッパドキアの広場でオレンジジュースを買おうとしたときのこと。「いくら?」ってトルコ語で聞いたら「お、トルコ語喋れるの? 2リラだよ」と言われました。その後「How much?」と英語で聞いてきた外国人には「4リラ」って答えてました。現地語を解するかどうかで、向こうの対応がまったく違うんですね。トルコでは語学学校に通い、観光もそこそこにトルコ語を1ヶ月間習いましたが、ただ単に旅行するよりもよっぽどいい思いをした気がします。旅行に行ったら現地の言葉で「ありがとう」「美味しい」「ビールちょうだい」くらいは覚えていくことにしている和久井です。Text/和久井香菜子前回記事<1ヶ月3万円で京都プチ移住してみた!短期だからこそ何でもトライできる>もチェック!ひとりで京都。しかも、プチ移住。短期滞在の強みとは?
2017年08月17日1ヶ月3万円。京都で短期移住してみた。(c)kentaro Ohno今年の1月、1ヶ月間だけ京都に住んでいました。新規のシェアハウスが格安の家賃で住人を募集していたので、「えいや!」と行ってみたんです。月額30,000円でした。シェアハウスのいいところは、家具がすべて揃っているので、すぐに生活ができることですね。格安だったとはいえ、東京の部屋は借りたまま。京都の部屋とダブルで借りた状態だったので、赤字にならないか心配でした。だけどかなり慎ましく生活をしていたので、むしろ普段よりもお金がかからなかったかも。なにしろ近所に友達がいないから、飲み会とかがないんですよ。ずっと自炊してたのでエンゲル係数低い上に、和食ばっかり作っていたので痩せました。予想外の効用です。新規のシェアハウスなどはオープニング価格で破格の値段で住めることが多いので、気軽にチャレンジできますよ。1度、京都には長期で滞在したいなと思っていたんです。普段の旅行だと、時間がないので観光地らしいところばかりに足を運んでしまいます。だけど1カ月もあると、気分的に余裕が生まれるので、普段しないことをいっぱいしてました。そのひとつが「大学の授業に参加する」です。京都造形芸術大学の本間正人先生に「先生の授業に参加したいなー」などと言って、大学生たちの授業風景を覗かせてもらいました。ディスカッションをたくさんやる授業だったんですが、その決まりが「人の意見を否定しない」なんです。それがどんなに大切なことか。たいていの人は、親や周囲からダメダメ言われて育つんです。若いうちはとにかく生きづらい。自分もこんな先生に教えてもらいたかったなあ、なんてウルウルしてしまった。幼稚園や小学校、大学など、同世代が集合するところに行くと、たいてい1人、キラリと光る子がいるんですよね、目の付け所が違ったり、努力の幅が周囲に比べて圧倒的に大きかったり。「これは将来楽しみだ!」っていうか。大学なんて東京にいっぱいあるから、わざわざ地方に行ってすることでもないような気もしてたけど、とても刺激になる数日間でした。新しいことのチャレンジや自分の生活を見直す機会に長期滞在だったので、移動にも時間がかけられました。青春18きっぷを買って、東京から京都まで9時間かけて移動してみたりもしました。いつ着くのかわからないほど遠かったけど、やってみると意外に発見がたくさんありました。新幹線ができる前は、みんなどうやって移動していたのかしら? なんて疑問に思って周りの大人に聞いてみたり。ミニマムな荷物しか持たずに移住してみたのだけど、意外と不便さも感じませんでした。暮らしているうちに荷物ってどんどん増えてしまうけれど、実は必要なモノってほとんどないんですよね。断捨離の準備にいいですよ。いるものといらないものが明確にわかります。下着類もほとんど持っていかなかったので、こまめに洗濯をしてローテーションをしていく規則正しい生活も楽しかったです。そうそう、家計簿もつけてみました。普段はすぐにやらなくなっちゃうんだけど、1カ月限定ならやり通せます。どんなことに自分がお金を使うのかがよくわかりました。「食費を2万円に抑えよう」なんて自炊をがんばったりして、すごく健康的な生活をしていたかも。それもこれも、短期間だからやる気になるわけで!基本的に窓から緑の見える風通しのいい部屋が好きなので、住む部屋は田舎が多いです。そのため都心部に住んだことはあまりないのですが、京都の部は市役所そばの、中心部でした。な、何でも買える……! なんて、今さらながら利便性の高い場所っていいななんて思ったり。田舎好きとか言ってるけど、実は超高級マンションなら都心に住んでもいいのかも……スノッブすぎか?なにも考えずにトライした短期移住だったけど、普段やらないことにチャレンジする機会にもなったし、自分の生活を見直す機会にもなりました。なのでこれ、めちゃくちゃオススメです。別に遠くの町に引っ越す必要はないと思うんです。住んでみたかった場所や、引っ越し予定の街、自宅よりちょっと田舎、会社のそば……1カ月なら何でもトライできちゃいます。やってみたら意外と平気だったとか、予想外に辛かった、なんてこともあるかも。知らない街で一人過ごしていたら、なんだかすごく淋しくなっちゃって出会い系アプリをはじめてしまいました。普段は知らない人に会う元気ってあまりないんだけど、何人かとやり取りして実際に会うことになりました。そのうちの何人かとは、未だにやり取りしています。彼らと知り合うきっかけを溯ると、京都への短期移住なんですよ。わらしべ長者みたいですね。おひとりさまだからこそできる短期移住。何か行き詰まってるとか、恋人と別れて淋しいなんて人には特に心機一転、自分を見つめ直すのにぴったりです。Text by 和久井香菜子前回記事<おひとり旅で体調不良に!?そんな私を助けてくれた壱岐島の人たち>もチェック!お一人旅中に、体調不良になってしまった和久井さん。突然のトラブルに島の人々は優しく対応してくれたそう。
2017年08月02日旅先での体調不良で人の優しさにふれる旅好きだけど身体の弱い、和久井です。ブラブラするのはいいんだけど、あんまり身体が強くないので、けっこうな確率で旅先で具合が悪くなります。先日、長崎県の壱岐島に行ってきたんです。対馬と九州本土の間にある、小さな島です。神道が生まれた場所と言われていて、島のあちこちに神社があります。そこでパワースポット回ったれ! と思っていろんな神社をウロウロしていたら、突然血の気が引いたようになり、気持ちが悪くなりました。スピ的に言うと「神社の空気が合わなかった」とかになるんだと思いますが、原因は、食事と一緒にがぶ飲みした緑茶(鉄分の吸収を阻害する働きがあるので)か、数カ所蚊に刺されたせいか、どれかでしょう。そのまま旅館に戻って寝込んでいましたが、翌日は家に帰る日。ここから1時間かけて船で博多港へ行き、福岡空港から羽田へ飛ぶ予定です。無理無理無理無理!って感じでした。朝食を済ませたあと、旅館の受付の方に「すみません、具合が悪いので、船の時間まで寝かせてもらうことはできますでしょうか」と聞いてみました。「清掃担当に聞いておきますが、たぶん大丈夫ですよ」と言われ、お礼を言って部屋に戻りました。大手のホテルなら、チェックアウト時間から1時間ごとに延長料金がかかるところですが、動けないことには仕方がない。ところがその後、大変なことが起きました。適当に飲んだ解熱剤が効いたのか、気分がよくなってきたので、12時くらいに、そろそろ出ようと思いチェックアウトに行ったんです。すると「大丈夫ですか?」とみなさんに声をかけられ、受付の方には「今から港に行くの? 送っていきますよ」と言ってマイカーを出しくださいました。大手のホテルなら送迎代がかかるところですよ!港のそばにあるイオンで降ろしてもらい、最後のお土産を漁っていました。ここで先日、定食屋さんに教えてもらった「はったい粉」(と呼ばれる、オオムギやハダカムギを炒ってから挽いた粉)を買おうと思ったんです。昔の人には馴染みのある食材なんだとか。宿泊した旅館のそばのスーパーで見かけたのですが、買わずじまい。帰りに買いに行こうと思っていたのですが、送迎してもらった手前、具合悪いはずなのに「ちょっと買い物……」とは言いにくく、まあイオンにあるかな、と思っていました。ところが、なかったんですよ。食品売り場にもなし、店頭の地場の野菜を売ってるお土産屋さんに聞いてみても「今日は入荷していないわね」とのことでした。うちひしがれました。モノって、買えないとなると猛烈に欲しくなりませんか。なんなら、はったい粉を買いに壱岐まで来たんだ! みたいな気分です。そのしょんぼり具合が尋常じゃなかったのかもしれません。お店の女性が「1時に仕事が終わるから、車でスーパーに連れて行ってあげますよ」というじゃないですか。えっ? 今なんて??もうめちゃくちゃ嬉しくて、「ここでいっぱい買います!」と言ったら「雇われだからいいわよ」とおっしゃいます。いい人にもほどがないですか?玄界灘はいい人を育むミネラルがある?図々しくも30分ほど時間をつぶして女性が上がってくるのを待ち、はったい粉を売っているスーパーまで連れて行ってもらいました。「お礼に」と言って買ったはったい粉を渡そうとしたら「今、家にあるから大丈夫!」と言って断られた上、「ああいうお店をやっていると、いろいろもらうのよ」と言って、コーヒーとトマトを差し出してくれました。「コーヒーは飲めないんで」とか言って、いらないものは断り欲しいものだけもらうという図々しい態度でトマトをいただき、イオンまで戻ってもらってお別れしました。お名前も存じ上げない方です。わかるのは娘さんが市川市に住んでるってことくらい。離島に済む方々の人の良さにはほんとうにいつも感銘を受けます。悪いことしても逃げる場所がないからか、通常前払いのレンタカーも後払いだし。そういえば、マイカーを赤の他人の和久井に貸してくれたのは対馬の方でした。玄界灘はいい人を育むミネラルとか入ってるんですかね。引き潮になると道ができて渡れるようになるという小島神社。「壱岐のモンサンミッシェル」とか言われてるらしいけど、現地の方は知らない人が多かったです。島なのに牛が名物なのだとか。海のミネラルをたっぷり含んだ牧草を食べて育った壱岐牛は、松坂牛や神戸牛の“素牛”として知られる歴史のある和牛ブランド。柔らかくてクセがなくてジューシーでめちゃくちゃ美味しかったです。後日談:はったい粉を買いに壱岐島まで行った和久井ですが、特別地域の食べ物ってことでもなくてフツーに全国区の食材らしいです。Text/和久井香菜子前回記事<沖縄をもっと知りたい…おひとり旅だからできる大人の課外授業>もチェック!楽しむだけが、旅行じゃない。おひとり様だからこそできる、学びのある旅。
2017年07月19日おひとり旅がもたらすこと「百聞は一見にしかず」なんて言葉があります。旅に行くと、ほんとうにそうだなあといつも思います。ニュースになっていることって、その場に行って現地の意見を聞かずには、なにも判断できないと思うんです。テレビや新聞などで報道されている時点で、誰かの視点が入り込んでいるわけですし、文字数や時間の制限のために取材の10分の1しか公開されない、なんてことはざらですし。1997年に名護で市民投票がありました(もう20年も前なのか……)。米軍のヘリポート建設の是非を問うものでした。まだ美ら海水族館ができるだいぶ前のことで、名護は経済の基軸をどこに置くか揺れ動いていた時期なのだと思います。そこに全くのノンポリ和久井が出向いていって、「ヘリポート、はんたーい!」とか言って反対派のみなさんと街を練り歩きました。反対派事務所にみなさんと一緒に詰めて、開票を見守ったりして。なぜそんなことになったかというと、沖縄の知りあいが活動家のひとりだったんですね。その方に連れられていったのですが、大変貴重な体験でした。その方が、ひどく寂れた廃墟のような街に連れて行ってくれました。ドル円が360円固定だった頃、外貨で稼いでいた街だそうです。今では開店している店も少なく、人通りもなくて、忘れられた映画のセットのようなところでした。そこがどこだったのか、いろいろ調べたのですが発見できず、今どうなっているのかわからないのですが、忘れられない光景です。基地だけに頼る経済がどれほどもろいのかを教えられました。それまでももちろん、沖縄に基地問題があることは知っていました。でも現地に行ってそれを目の当たりにするまで、なにが問題なのかピンと来ていなかったと思います。その後、久米島に行ってクラブで飲む機会があったのですが、そこで知り合った人たちが、みんなでその市民投票の話をしていました。投票について、恐らく東京でこんなに盛り上がることはなかったでしょう。しかもみなさん米軍基地に対する思い出と意見を個々にお持ちなんです。細かいことは忘れちゃいましたが、現地だからこそ聞けた意見だったと思います。おひとり旅の現地取材は大人の課外授業数年前に、また1人で沖縄に行きました。名護に連れて行ってくれた方が亡くなっていたことを知り、ご実家にご挨拶に行ったんです。その帰りに、居酒屋に飲みに行きました。カウンターで飲んでいたら、お店の方に声をかけられ、常連さんをご紹介いただいておしゃべりしてたんです。ちょうどそのとき、尖閣諸島や竹島の問題が話題になっているときでした。私の周りには「あんな端っこの島、欲しいならあげればいいのに」と言っている人が何人もいました。その意見を聞いたとき、「領土ってのは国家の大前提でしょ。気軽に譲っていいものじゃない」とブリブリ怒っていたんです。だけど現地の人の話を聞いたら、そんな問題じゃないことがわかりました。彼らにとっては、尖閣諸島も竹島も、遠い離島の話じゃないんです。すぐ目の前の、隣の島の話なんです。なんなら、親戚が住んでたとか、知りあいが工場やってたとかいうレベルの話なんです。そこに外国の軍艦がぞろぞろやって来たら、そりゃ恐いですよ。本島に住んでいる私たちとは、臨場感が違うんです。「ああ、よそ者が軽々しく現地の人たちを批判する意見を言っちゃいけないな」と思いました。沖縄は一大観光地なので、南ののんびりした空気やダイビング、ショッピングを堪能して帰ることもできます。でも夜にちょっと足を伸ばして、現地の人と話をしてみると、これまで、わかっていた気になっていたことがぜんぜんわかってなかったなって感じるかもしれません。おひとりさまだと、普段は人見知りの和久井でも、気軽に知らない人と話すことができます。現地での話を聞いた後だと、新聞やニュースがとりわけ身近に感じられて、目を通すようになります。沖縄は特に歴史の陰の部分を多く持った場所なので、現地の方々のお話は衝撃的なことが多いです。おひとり旅の現地取材は、大人の課外授業って感じですね。Text/和久井香菜子前回記事<おひとり旅の夜はやることがない…では地方特有のアレを見に行こう>もチェック!旅先での夜の楽しみ方を和久井さんが伝授します。
2017年07月05日NHK Eテレで毎週月~木曜に好評放送中の「Rの法則」。6月7日(水)の放送は『君の名は。』などで知られる声優の花澤香菜をゲストに迎え、いま、10代女子の間で憧れの職業となっている“声優”について特集する。同番組は10代が“気になる話題”をピックアップして高校生の視点でリサーチ&ランキング。10代にとってすぐに、そして将来に役立つ話題を伝える情報番組。「TOKIO」山口達也とNHKアナウンサーの秋鹿真人がMCを務め、「R’sメンバー」として10代に人気のアイドルやモデルが出演。これまで「AKB48」「乃木坂46」などのメンバーも数多く出演している。今夜の放送では子役から声優に活動の幅を広げ、昨年公開され大ヒットした新海誠監督『君の名は。』のユキちゃん先生役や、アニメ版「orange」シリーズの高宮菜穂役、「PSYCHO-PASS」シリーズの常守朱役などTVや映画はもちろん、「ファイナルファンタジー」シリーズ、「アイドルマスター シンデレラガールズ」をはじめとしたゲーム作品でも活躍。その透明感のある声が高く評価される花澤さんをゲストに招いて、“声優”についてフィーチャー。今夜から放送開始となる花澤さんがヒロインの声を演じる海外ドラマ「ゲームシェイカーズ」の収録現場を訪ねて、声優の“凄ワザ”を学ぶほか、新海監督からのサプライズメッセージも。スタジオでは、「おかずクラブ」のゆいPとオカリナがアフレコに挑戦、さらに「R’sメンバー」はハリウッド映画のオーディションに挑む。果たして役を勝ち取るのは誰か。声優という仕事の魅力が詰まった30分をお届けする。海外ドラマ「ゲームシェイカーズ」は「iCarly」「サム&キャット」の名物プロデューサー、ダン・シュナイダーによる最新シリーズ。花澤さんのほか釘宮理恵、下野紘など人気の声優が吹き替えを担当する。ニューヨークのブルックリンに住む中学生のベイブとケンジーは学校の宿題で「スカイホエール」というゲームアプリを制作。発売してみたらいきなり人気ナンバー1となり、その収入からクラスメートのハドソンを誘って「ゲームシェイカーズ」というゲーム会社を立ち上げる。ところが人気ラッパー、ダブルGの楽曲を無断使用していたのが本人にバレて大ピンチに。結局ダブルGをビジネスパートナーに迎え、その息子のトリプルGも巻き込んで5人で「ゲームシェイカーズ」を盛り上げていくことになるが…という物語。「ゲームシェイカーズ」は6月7日(水)よりNHK Eテレで毎週水曜19時25分~放送開始。「Rの法則」は毎週月~木曜の18時55分~NHK Eテレで放送中。(笠緒)
2017年06月07日旅先で持て余してしまう夜の楽しい過ごし方(c)Pixabayおひとり旅の場合、旅先で意外と時間をもてあますのが、夜だったりします。特に京都なんか、お寺だの神社だのはだいたい5時とか5時半に閉まっちゃいますよね。そこから夜が長いこと長いこと!和久井はぜんぜんグルメじゃないので、おひとりで美味しいもの食べたいという意欲がありません。ビールさえあればよし。適当な定食屋さんに入って、定食とビールでおなかいっぱいにして、1時間もいたら出てきちゃいます。1日中歩き回ってるから、9時ごろ寝ちゃってもいいんですけどね。お泊まりする日もそうですが、帰る日の夜も手持ちぶさただったりします。深夜バスや復路ツアーの新幹線の時刻まで時間がある…でも、乗り遅れたら大変なのでベロンベロンにはなれない…なんてことがよくあります。だがしかし、見つけたのですよ、ちょっと楽しい夜の過ごし方。それは「映画館に映画を見に行く」です。「えーっ、映画なんて地元でも見られるじゃない!」と思いますでしょうか、思いますよね。思ってました。ところが、これがけっこう楽しかったです。最近はシネコンがあちこちにあるので、上映スケジュールをチェックしてみます。すると、自分の地元では終わってしまった映画とか、なんかすごーく古い映画のリバイバルとか、意外と「ナヌッ?」っていうのをやってたりします。もちろん、王道を観に行ってもよし。普段は映画を見に行く時間が取れなくても、旅先なら余裕がある…なんてこともありますよね。和久井は、京都で『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』を、大阪で『沈黙-サイレンス-』を観ました。おひとり旅には文化活動がいい地方で観る映画のなにが面白いって、上映前のCMです。元気よく地元のボーリング場とか焼き肉店のCMをやってます。ぜんぜんわかりません。でも、地元の人ならみんな知ってるんだろうな~というノリの良さ。覚えておいて、翌日のネタにしてもよさそうです。『沈黙-サイレンス-』を観たあとは、そのストーリーの重厚さに脳みそがグルグルになってしまい、即座に電子書籍で原作を買って、バスの中で読みながら帰りました。そうそう、電子書籍って旅先でホント便利なんですよね。昔は、旅行に行ったら漫画は諦めてましたが、今は時と場所を選ばず、好きなだけ読めるんですよね。京都といえば、『GEAR』というショーがめちゃくちゃ面白かったです。三条のミニシアターでやっている舞台です。セリフのないノンバーバルのショー。<<人に忘れ去られた古いおもちゃ工場では、ロボット「ロボロイド」たちが働き続けています。ある日、かつてここで作られていたおもちゃの人形「ドール」が魂を持ち生きて現れます。ロボロイドたちはドールと触れ合ううちに、彼女の不思議な力によって少しずつ人間に近づいていく…>>というお話です。ロボロイドはパントマイム、ブレイクダンス、マジック、ジャグリングの達人たち。ストーリーの合間に惜しみなくその技を披露してくれます。それがめちゃくちゃレベル高いんです。ブレイクダンスなんて、クルクル回りながら天へ昇って行ってしまうかと思いました。キャラクターのしぐさはコミカルでたびたび小さな会場で笑いの渦が起こります。ごちゃごちゃした舞台美術もかわいらしくて、大興奮でした。あまりに面白かったので、友人と一緒にもう一度見に行きました。日によってキャストが少し変わるので、見られる技が違って面白いです。しかも舞台を見終えた友人がポツリと「キャストのひとりが、もしかして昔好きだった人かもしれない」とか言いだすんですよ。高校生の頃好きだった先輩がキャストの名前と同じで、おなじパフォーマンスの道に入ったのだとか。もう興奮しまくってあれこれ検索かけまくりました。まあ、別人だったんですけどね。というわけで、少し話がズレましたが、おひとり旅は文化的活動がとっても合うのです。おひとりの夜は、ぜひとも何かの鑑賞を。Text/和久井香菜子前回記事<ねらい目は今!新緑と残雪が見られる青森には「おひとりさま」の楽しみ処が満載>もチェック!今の季節は青森に行くといいことあるかも。
2017年06月07日青森行くなら、今がチャンス!和久井は京都のガイド的コラムを書いています。そのため京都によく行きますが、その次に行くのが青森です。青森はとにかく食べ物が美味しくて安い。自然が豊かで、どこかのんびりしています。桜とねぶたの季節以外はたいてい空いているので、おひとり旅先にオススメです。青森の有名な観光地はすでに現地の友達に連れて行ってもらっちゃいました。ねぶたも参加したし、恐山も五所川原も、名所には車で連れて行ってもらいました。こうして今、青森に行ってやることと言えば……。心と身体のデトックスです!ねらい目は桜のあと。今ですよ、今! そこらじゅうに花が咲き乱れて、新緑と残雪という、よそにはない風景が見られます。なのにツアーは投げ売り状態。土日からめて4日間の東京―青森航空券付きツアーが30,000円でした。ホテル代はどこへ行った? という値段ですね。まず足を運ぶのは、青森県立美術館です。ここはとにかく壮大で、真っ白くて、氷の彫刻の中にいるみたいです。天井が高いのも特徴だそうで、天までそびえんばかりのアートが拝めます。2017年7月2日まで開催している「ラブラブショー2」は、展示物と一緒に写真が撮れるので、周りの人に写真を撮ってもらって、展示と一体になった自分アートを楽しみましょうか。それから、エステに行っちゃうのもいいですね。お値段も都心部に比べたら半額くらいです。今回も、ハワイアンのアロママッサージ2時間12,000円で受けてきました。途中でガースカ寝ちゃって、「あれ、ヘッドマッサージしましたっけ?」なんて確認してしまった。現地情報は美容院で!そして今回試したのは、美容院です。これが思いの外よかった。パーマやカットは技術とセンスがものをいうので、一見のお店でするのは勇気がいりますが、ヘッドスパとかシャンプーブローなんかは失敗がないですよね。ストレートパーマも、まあ大した違いはなさそうなので、今回はそれで。実は先日、仕事でご一緒したことがあるヘアメイクの大御所の方がやってる美容室に行って施術してもらったのですが「セットが面倒くさいのでストレートパーマをかけてください」とお願いしたのに、「大丈夫、大丈夫」とか言いくるめられてかけてもらえなかったんです……。なんか、やるのが面倒だったみたい。さすが大御所さま。なので、青森では事情を説明して、ストレートパーマだけかけてもらいました。大変満足の仕上がりです。美容室での一番の収穫は、世間話です!夜、時間があるときはスナックに行ったりするのですが、店を選ぶのがちょっと怖いこともあります。でも美容室なら、気兼ねなく現地情報が得られることがわかりました。ストレートパーマに要する時間は3時間。その間、具のギッシリ入った「たまごどうふ」なるお豆腐があることや、「クドーパンのイギリストースト」という、焼いてないのにトーストと名のついたマーガリンと砂糖がべったり塗ってある食パンなど、青森の人たちの気取らない胃袋事情をたくさん教えてもらいました。そのほか、お稲荷さんがピンクだとか、お赤飯が甘いとか聞いたので、早速スーパーに寄ってあれこれ買ってきました。青森独特の風習またお盆には、仏壇になにやら糸で派手な飾りを吊すそうです。どういうものなのかまったく想像がつきません。仏壇と言えば、お葬式も少々しきたりが違うようです。和久井は関東出身ですが、こちらは、誰かが亡くなったら、お通夜→葬儀→告別式→火葬→お骨を自宅に持って帰って初七日、四十九日過ぎたらお墓に納骨です。和久井の母方の祖母が亡くなったときのこと。「葬儀の日にお墓まで入れちゃえ」とか言って済ませようとしたら、見る見る分厚い雲が流れてきて、街中が水浸しになってお墓までたどり着けないほどの大雨が降りました。ラジオで「所沢市山口で大雨」とか名指しで放送されるほど。お坊さんも「今日はやめましょうよ」なんて嫌がっちゃって、結局「やっぱりお墓に入れるのは四十九日過ぎてからにしよう」ってことになったんです。そしたら見る見る雲が晴れて、太陽が出てきました。「四十九日過ぎるまで魂はこの世にいるとかいうし、やっぱりまだお墓に入りたくなかったんだね」と反省してました。ところがですよ、青森のお葬式は、お通夜の前にいきなり火葬しちゃうというではないですか。そしてお通夜→葬儀→納骨だそうです。いきなりお墓に入れちゃうんだとか。えっ、亡くなった方は怒らないの? 逆に「告別式ってなんですか」って聞かれて、答えられませんでした。地方の風習はまだまだ統一されていない部分も多いのですね、これからしばらく、青森情報を聞いて集めようと思います。というわけで、美術館で目と心を癒し、エステで身体のデトックスをして、美容室で好奇心を満たす。最高に贅沢なおひとり旅ですね。ちなみに、青森の「まちなか温泉」は、背中の流しあいっこをする風習があるのでしょうか。いろんなところで背中をゴシゴシやっていたので、「声をかけられたらどうしよう」と思ってたんですが、無事でした。知りあいにしかやらないみたいです。となるとお風呂場全体が知りあいで充ち満ちてるってことになるので、それはそれで圧巻ですが。Text/和久井香菜子前回記事<大型連休こそおすすめ!宿の心配がない「お友達んちステイのプチひとり旅」のすすめ>もチェック!夜がさびしい方は、「友人を訪ねる旅」がおすすめ!
2017年05月24日人気声優の梶裕貴と花澤香菜が、TOKYO FMにて5月14日(日)に放送されるラジオ番組「Aimer ベストアルバムリリース記念スペシャルラジオドラマ~君の歌が聴こえる~」で、ラジオドラマに出演することが分かった。一度聞いたら忘れられない、深みのあるハスキーボイスが話題の女性シンガーAimer。今回の番組は、5月3日(水)に発売された初のベストアルバム「BEST SELECTION “blanc”」と「BEST SELECTION “noir”」の同時リリースを記念し、ベストアルバム「blanc」に収録された新曲「歌鳥風月」の世界観を踏襲した、男女の恋愛ストーリーが繰り広げられる。出演は、現在Season2が放送中の「進撃の巨人」でエレン・イェーガー役を好演するほか、「四月は君の嘘」「七つの大罪」「ポケットモンスター XY」など人気作でメインキャストを務める梶さんと、「<物語>シリーズ」の千石撫子役ほか、「デュラララ!!」「妖狐×僕SS」「PSYCHO-PASS サイコパス」などに出演する花澤さん。2人は「青の祓魔師」「デュラララ!!」や「東京喰種トーキョーグール」など共演作も多数。また、Aimerさんのスペシャルインタビューもオンエア。夢を追いながら、時には挫折しながらも、そして、いまの輝きを得るAimerさんの足跡とリンクするようなラジオドラマの世界を、Aimerさんの曲と共に放送する。TOKYO FMサンデースペシャル「Aimer ベストアルバムリリース記念スペシャルラジオドラマ~君の歌が聴こえる~」は5月14日(日)19時~TOKYO FMにてオンエア。(cinemacafe.net)
2017年05月12日ひとりだけど、ひとりじゃないを叶える場所誰にも責任を追わない、気ままなおひとりさま。だけどちょっと怖いのは、体調を崩したときや、とてつもなくさみしさが襲ってきたときです。普段は自由を満喫ししたいけど、何かの時には、誰かにいて欲しい……。そんなワガママを叶える場所があります。数十人~100人規模の住人がいる大型のシェアハウスです。やはりシェアハウスというと、まだまだ「20代の若者が住むところ」というイメージがありますね。ちょっと豪華な賃貸を何人かで分け合って住んで、家賃を安く済ませるというような。だけど大型シェアハウスの家賃は、それほど安くはありません。光熱費込みですが、月に5万~10万円くらいします。企業の独身寮や学生寮をリノベーションして作られることが多く、共用部分がゴージャスなのも特徴です。大型テレビやソファーの置いてあるラウンジ、シアタールームやジムの設備があったり。個人ではとうてい買えない家電や備品があるところも魅力のひとつです。こうした大型シェアハウスは、個室がきちんと確保されています。部屋に入れば、誰にも邪魔されずに自分だけの空間でくつろぐことができます。これは普通のひとり暮らしと同じですね。キッチンやお風呂、トイレといった水回りは共同のことが多いようです。大型シェアハウスのいいところは、干渉されることもなく、ハウスの仲間と仲良く騒いだりもできること。つまり、自分のライフスタイルに合わせて生活できるんです。ハウス自体は住人同士の交流を勧めていて、毎月ホームパーティはあるし、誰かが退所するときには有志でラウンジに集まりパーティを開いています。住人同士でレンタカーして遊びに行く人もいるようだし、ハウス内恋愛も活発なようです。ここでおひとりさまから脱出してシェアハウスを卒業する人もいそうです。和久井は大型シェアハウスに住んで1年になりますが、ハウスには特に親しくしている人はいないので、公のホームパーティ以外は呼ばれません。一番おしゃべりするのはお掃除に来る女性です。その代わり、面倒な人間関係もありません。共用部分で誰かに会ったら挨拶はしますが、深入りしないし、されません。払拭されつつあるイメージとライフスタイルに合わせた多様化1年住む間に、だんだんと住人の年齢層が幅広くなってきたな、と感じます。40代、もしかしたら50代の方も見かけるようになりました。大型シェアハウスの認知度が高まり、「若者の住む家賃の安い部屋」というイメージが払拭されてきたのでしょう。今、都市部では次々とシェアハウスが作られています。古い独身寮や空室率の高い賃貸がシェアハウスへとリノベーションされています。こうしてある程度飽和状態になったら、次は差別化が始まるでしょう。女性のみの物件はいくつもありますし、最近では、ペット可のシェアハウスができたと聞きます。近い将来、ユニバーサルデザインが施された物件やシングルマザー専門、LGBTなど、さまざまな特色を持つシェアハウスできていくでしょう。老人ホームとの境目がないような物件もできてくるかもしれません。ひとりだけど、ひとりじゃない。ひとりの不便さを払拭して、美味しいとこだけをいただける。苦しいとき、辛いときにはラウンジに行けば誰かがいる。シェアハウスは「若者の仮住まい」から「終の棲家」まで、さまざまな形に多様化していくことでしょう。こうした環境を利用して、より楽しいおひとりさまライフを過ごせたら、と思います。Text/和久井香菜子特集「おひとりさまのあたらしい住処」もあわせてご覧ください!・なぜ“誰かがいる空間” で暮らしたいのか?/東京大学・松村秀一教授・「ひとり」と「ふたり」と「みんなで」を、行ったり来たりする人生が理想
2017年05月11日自宅で旅気分とラブラブ気分を味わえるゴールデンウィークですね。長いお休みを活かしてここはひとつ、長編漫画を読んでみませんか?少女マンガで長編というと、やっぱり今お勧めなのは『王家の紋章』! これです。連載40年、既刊62巻、古代エジプトを舞台にした大スペクタクル垂涎ドラマです。『王家の紋章』(細川智栄子/秋田書店)第1巻物語の舞台はエジプトを中心とした地中海沿岸の国々。自宅に居ながらにして大冒険気分が味わえます。しかも現代エジプトだけでなく古代エジプトまで、時代を変えて旅するんですよ。ゴージャスゴージャス。先日、ミュージカル『王家の紋章』を観に行ったので漫画を読み返しているんですが、なんだかめちゃくちゃキュンキュンしますね。なにしろ古式ゆかしいマンガなので、激しいエロはなし。奪われるのはキスのみ。萌えシーンではひたすらハグのみ。スキンシップは豊富なので、1人で読んでいても誰かと触れ合っているような気がしてきます。ざっくりあらすじを紹介すると、現代のアメリカ娘キャロルは、王家の呪いにかかって古代エジプトに送られてしまいます。そこで若き王メンフィスと出会うのですが、キャロルがエジプトでは珍しい金髪娘だったこと、21世紀の知恵を次々披露して奇跡を起こしたことから熱愛され、激しく慕われます。ところでキャロルの口癖は「21世紀の人間なら誰でも知っていることよ」と言いながら、泥水を真水に変えたり鉄を精製したりするんだけど、未だに和久井はそのどちらのやり方も知りません。誰でも知ってることを知らない自分はバカなんだなと思います。そして初めは嫌がっていたキャロルだけど、そのうちすっかりほだされてメンフィスとラブラブに。しかし彼女の絶大なる影響力は各国に知れ渡り、アッシリアだのヒッタイトだのいろんな国々から次々と彼女を付け狙う権力者たちがやってきます。そしてさらわれちゃー戻り、またさらわれちゃー戻りを繰り返して60数巻。横恋慕されたい欲を刺激する王子和久井の脳内はけっこう王家に毒されていて、夢や憧れはすべて王家から教わりました。和久井の歴史好きは、たぶん王家のせいです。エジプトは憧れの旅行先です。そして和久井の理想の男性像は、キャロルの筆頭“ストーカー”・イズミル王子です。メンフィス王とキャロルの恋がエジプトをさらに熱く燃え上がらせているにもかかわらず、横恋慕して「その身も心も……この私になびかせてみせるぞ」とか強気なこと言ってます。こいつのせいで和久井は、横恋慕されるのにものすごい憧れがあります。奪われるほどに愛されたい。その上、ストーカーもされてみたい。最寄り駅で待ち伏せされて「おお、会いたかった……」とか言われたい。いつでも冷静沈着で理性的な王子だけど、キャロルのことにだけは大興奮でいつでも顔を赤らめてるところもかわいらしい。しかもイズミル王子はものすごいドSです。キャロルを柱にくくりつけて鞭で打ち、その後気絶したキャロルの服を脱がせて、自分で傷の手当てとかしてます。こうなるともう手当てと称して脱がせたいから鞭で打ったんじゃないか、という疑惑が浮かんできますね。イズミル王子、よくよく無理矢理が好きみたいで、大けがを負ったキャロルに「傷が見たい」とか言って、これまた服を剥がしてきます。でも決して余計なところを触ったり揉んだりしないんですよね。それ以上する気もなさそう。なんのために服を剥いだのか意味不明なほどです。彼の中の決まり事はけっこう明確で、キスは無理矢理してもいい、寝てるときにキスしたり服を脱がせても構わない、だけど結婚式を挙げるまではエッチはしない……何かのラインが彼の中に出来上がってるんですね。少女漫画は気持ちのいいスキンシップだけ一方で和久井はベラベラ大声でしゃべる男子はちょっと苦手です。王家で言えばメンフィスですね。メンフィスは、イズミル王子が送り込んだスパイ・ルカをまんまと王宮に引き入れて疑いもしないし、ヒッタイトの王宮に忍び込んだはいいけど大した策もなかったみたいで、見つかりそうになってキャロルに犠牲になってもらってるし、ちょっと短絡的で頭が弱そうです。メンフィスはキャロルとがっつりくっついていただき、あまったイズミル王子は和久井に払い下げていただきたい。しかもこの作品のいいところは、メンフィスやイズミル王子といったイケメンにはキャロルはいくらでも襲われて抱きしめられてキスされてるのに、その他のアルゴン王といったブサメンからは襲われないんです。物語に登場するのは、気持ちのいいスキンシップだけ。本当に、少女漫画って都合がいいですね。62巻も出てるけど、ストーリー自体は単純なので、割とサクサク読めちゃいます。GW、リア充たちの華やかなSNSを眺めつつ、旅行気分とラブラブ気分に没頭するのはいかがでしょうか。Text/和久井香菜子前回記事<「このメールは返信すべき?」男女の恋愛スタンスの違いが分かる『僕と君の大切な話』>もチェック!カップルで感想を言い合うのも面白いけれど、おひとりさまで読むのも面白い。
2017年04月26日気楽に楽しめるパッケージツアー、その一方で…格安旅行会社の突然の倒産に、10万人近く被害に遭われた方がいるという報道があります。この旅行会社、なんどか使ったことがあるので他人事ではありません。だけど、旅好きな和久井が今回被害に遭わなかったのは、単純に最近の旅が「おひとり旅」ばっかりだからです。パッケージツアーの場合、ひとり参加は割高の場合が多いのです。過去にその旅行会社を利用したのは、友人との旅行でした。最近は、Booking.comやAgodaといったホテル予約サイトが充実していて、簡単に最安値で部屋を確保することができます。移動はLCCや旅客鉄道各社が発行している、企画きっぷなど。でもこうした手順を迷いなくできるのって、多少旅に慣れているからかもしれません。だからこそ、その面倒なやり取りを企業にお任せできるツアーは、とても楽ちんです。今年、久しぶりに友人とツアー旅行に出かけましたが、行き先から集合場所、時間まですべて管理してくれるので「なんて楽なんだろう!」と感動しました。それゆえに、そういう気楽さを求めてツアーを申し込んだ人たちが、今回の倒産によって海外に放り出されてしまったこの状況を思うと、本当に胸が痛みます。夜がさびしいなら「パートタイムおひとり旅」をおひとり旅の敷居があがってしまう理由のひとつに、宿にひとりで泊まることがありそうです。知らない街の知らないホテルを予約するのって、けっこう勇気がいるかもしれません。となると、おひとり旅初心者の方にオススメなのが「友人を訪ねる旅」です。和久井は失恋をすると旅に出る習性があります。家にいるとシオシオしてろくなことがないからです。そんなセンチメンタル・ジャーニーはおひとり旅のきっかけにオススメです。あとは貧乏旅行にもいいですね。何しろ宿代ってけっこうかかるので、そこを友人の家に泊まらせてもらって済ましちゃうこともけっこうあります。大学サークルの後輩が金沢に転勤になったと聞いて、早速遊びに行ったことがあります。「うちに泊まっていいですよ」と言われたので、遠慮なくお邪魔しました。今考えるとなんか下心でもあったのかしらと思わないでもないけど、何事もなく3日ほど過ごして帰ってきました。大変楽しかったです。どうせ行くなら長めに行きたいと思い、平日絡めて4~5日の旅行にしました。平日、彼は仕事があるので、車を貸してもらって金沢市内をドライブ。夜に合流して、オススメのお店に連れて行ってもらってました。ホテルを取っている日は別々に、泊めてもらうときは一緒に部屋へ。こういう「パートタイムおひとり旅」はぜんぜん淋しくない上に、地元情報がたくさんもらえるのでお買い得ですよね。週末は能登半島を一緒にドライブしました。お土産に買った輪島塗のお箸(1膳9000円也!!)は未だにとっておきの一品です。永平寺にも足を伸ばしたらカップル扱いされて「神聖な場所ですから騒がないように!」とか注意されてしまった。なんか、めっちゃくちゃ楽しかったです。真性カップルじゃないんで別れた後も淋しくないし、最高に元気になって自宅に戻ってきました。大学サークルの仲間って、気心知れてる友達とか兄弟みたいな感じなんですよね。宿が取れないなら、お友達ネットワークを頼ろう去年も出張ついでに延泊して、大坂に赴任している後輩男性と飲もうって話になったのですが、週末の大坂って、ぜんぜん宿が取れないの。仕方がないので大荷物抱えて待ち合わせ場所に行き、そのまま泊めてもらいました。ダメって言われたらサウナに泊まろうと思って。そう言ったら、最初びっくりしてましたが、OKしてくれました。夜ご飯を食べに行って、大酒飲んで、部屋に戻って、記憶を失って寝てましたが、何事もなく翌朝帰ってきました。宿代も浮いたし、大変楽しかったです。甲府に先輩が赴任していたときは、よくテニスをしに行ってました。昼間は工場のテニスコート(無料)でプレイして、適当に飲みに行って、夜はおうちに泊めてもらって。どうも和久井は大学サークルで遊びすぎたのか、この手の警戒心がぜんぜんないんだけど、ないならないなりに別に危険なことも起きないんですよね。「なんか起こるかも!」とか思ってると、その気持ちが伝播してコトが起こるんじゃないかとか勝手に思ってます。まあ、起きたら起きたで、おひとりさま卒業かもしれないんで、それはそれでいいのかもしれませんけど。男性んちに泊まるだけじゃなく、女友達のところにもよく遊びに行ってました。新潟で短期赴任してる子のうちに行って、昼間はひとりで遊んで、夜は一緒。おひとり旅は、夜が一番淋しいので、これはホントにお買い得です。ゴールデンウィークなどの大型連休中は宿が取りにくいですよね。だけど交通機関のチケットならなんとかなるかもしれないし、そんな時こそ「お友達んちステイのプチおひとり旅」ですよ!おうちに泊まるのではなくても、現地の安宿情報とか持ってるかもしれないし。SNSとかで旅行友達を探してみてはいかがでしょう。ただし先日、知りあいの男子の赴任先に「遊びに行くわー」って言ったら、けっこう警戒されたっぽいので、誘う相手は選んだ方がいい、かもしれません。Text/和久井香菜子前回記事<LCCでポンと買ってひとり旅を!港町の人々との感動したやり取り>もチェック!行き先を考える前に、まずは安いチケットを!
2017年04月12日男と女ってほんと違う生き物男と女ってほんと違う生き物かよってくらい、考え方が違いますよね。 たいていの「少女マンガに登場する男子はかなり繊細で女っぽいので、ファンタジーの生き物ですが、最近は割と「男子の生態」みたいな作品も増えてきましたね。その中でもダントツ面白いのが『僕と君の大切な話』です。『僕と君の大切な話』(ろびこ/講談社)1巻2年4組の東司朗くんと2組の相沢のぞみちゃんが、駅のホームでいろいろ語らうってだけの物語(2巻になると舞台は学校へ移動しますが)。で、1巻中ずーっと男女の考え方の違いについて述べ合ってます。その内容は、異性と付き合ったことのある人なら、誰もが「うんうん」とふかーくうなずくことでしょう。話はいきなり野菜になりますが、山芋を見るたびに、男の人のスネっぽいなあと思います。毛穴っぽいとこからもじゃもじゃしたむだ毛が生えてるし、肌色で無骨な感じがするし。あのガサガサした障り心地といい……。相沢さんは、靴下とズボンの間、5cmほどの隙間から見えた東くんのスネ毛に驚いて、しばらく口がきけなくなります。「東くんの男らしい下半身を見て私、ちょっとびっくりしたっていうか、なんか どん引きしたっていうか……」だそうです。ものすごいいかがわしい言い方だけど、わかる、わかります!!シュッと下あごのラインとか、腕の筋とか、骨張った手の甲とか、背中の筋肉とかは、男性の「かっこいいパーツ」ですよね。女にはない逞しさに加えて、繊細さを感じてキュンってします。ところがこのスネ毛ですよ。スネ毛って、めちゃくちゃ男っぽくないですか。繊細さも感じないし、あの毛深い感じが動物的だし。さすがに大人なんでどん引きはしないけど「わっ男の人だ!」って思います。かといって、無毛のつるんぴかんとしたスネも、ちょっと違うんですよね。あってもイヤだ、なくてもイヤだのたいへん微妙なパーツと言えそうです。どこかでスネ男子コンテストとかやってくれないかな。そうしたら理想のスネが見つかるかもしれないのに。さて話はスネ毛から離れますが、そうこうしているうちに、2人は東くんの友人、カフェインくん(コーヒ―屋の息子)の恋の相談を受けることになります。この返答が、男女できっちり別れていて面白い。男女でハッキリ異なる、恋愛のスタンス手作りの差し入れを持ってきてくれた彼女がカワイイというカフェインくんに、東「だいたい手作りなんて自己主張の激しい女のやりそうなことだ!」相沢「いいえ! 純粋な好意からだと思うわ!」友達の誰々とどこ行ったとか何して遊んだとか、あれ返信しなかったのがマズかったのかな…と不安になるカフェインくんに、相沢「それはカフェインくんが悪いわね。『よかったね』とか『どうだった?』とか答えてあげなきゃ」東「そんな会話に一体なんの意味があるんだ」相沢「あなたの愛を確かめているのです。愛があれば即答出来て当然です」東「無理難題すぎるだろ 男はエスパーか何かか!?」さて、みなさんはどちらの意見に共感しますでしょうか。『深夜のダメ恋図鑑』は、クソ男を容赦なくぶちのめして笑いたおす名作だけど、『僕と君の大切な話』は、特に悪者がいないので、どちらに肩入れすることなく楽しめます。テンポもよくて笑えますよ。これ、カップルで読んであれこれ意見を言い合うのも楽しそうだけど、おひとりさまで読むのもオススメです。過去の失敗の振り返りや、これから訪れるかもしれない新しい経験の際に役に立つかも。それよりも、マンガって最高の娯楽ですよね。深くうなずいて、ゲラゲラ笑って。おひとりタイムを元気よく過ごしましょう。ちなみに、作者のろびこさん、絵がめちゃくちゃかわいいです。東くんはサラ髪にメガネで、いつも本を読んでる読書家です。めっっちゃタイプです。サラ髪メガネ男子って少女漫画的人気キャラですよね。その上、個人的に本をいっぱい読む男性が大好きなので、もう東くん最高です。こうなると、彼の多少不器用なところも許せるっていうか……。いやー、ほんとに良質な少女マンガってホントストレス解消かつ癒やしです。Text/和久井香菜子前回記事<「自分に自信のある人はいない」『昭和元禄落語心中』 が心に響く名作である理由>もチェック!登場人物はみな、辛い。けど、一人ひとりが丁寧に描かれている名作です。
2017年03月29日ふらりと訪れた先での爆発的にステキな経験混雑した観光地でおひとり客が重宝されないなら、静かな街がいいですね。おひとり旅のオススメ先は、「オフシーズン」「非観光地」です。要は客(ライバル)のいないところに行きましょうということ。おひとり旅の場合、ツアーに参加すると追加料金が発生するなどして割高なので、基本的に個人で手配します。行き先を決めるのに便利なのはLCC。LCCは、成田を参考にすると、札幌や沖縄といった一大観光地のほか、四国や九州の各都市にも飛んでいます。こういうところへ行き先は選ばずに、安いチケットをポンっと買ってしまうんです。それから、どこへ行くかを考えます。そんなこんなで福岡に飛び、ふらりと立ち寄った対馬で、爆発的にステキな経験をしました。3日ほど宿坊に滞在する予定で、対馬の港町にいました。夜、なんとなく外装の気に入った店に入って、食事をしようとしたんです。せっかく離島に来たのだから、なにか島っぽいものが食べたいじゃないですか。だけどその店のメニューは、おでんやらカレーやらで大陸感満載でした。……これは、あんまり心惹かれない……かといって今さら出ていくのも申し訳ない。「あの……、なにか島っぽいものが食べたいです」ない、と言われたら出ていこうと思いました。そしたら、いろいろ提案してくれたんです。「こんなのはどうですか?」「うーん、それは島っぽいんですか?」「島っぽくはないですね……じゃあ、アコヤ貝は?」アコヤ貝って食べられるんですね! うっかり中に真珠が入ってないかしら。そんなこんなで、たいへんホスピタリティの高い特別メニューをいただいていたら、お店のお客さんに声をかけられました。おひとり旅では、現地の方とのこうした出会いも魅力です。どこから来たの、なにしに来たのという自己紹介的な質問に答えているうちに、「明日はなにをする予定なの?」と聞かれました。実はレンタカーを予約するつもりだったんですが、うかうかしているうちに最安値の車がなくなっちゃったので、「なら借りないもん!」と思い、島内はバスで観光するつもりだったんです。そうしたら、「バスだと本数少ないから大したところに行けないよ」と言われました。たしかに、行こうと思っていた、海の中に鳥居がある「和多都美神社」へは、バスだとたいそう時間がかかりそうでした。まー仕方ないよね~、レンタカー借りるには予算オーバーなんですよ~と言ったら、とんでもない提案がありました。おひとり旅が結んだ有難い縁「うちに使ってない車があるから、それに乗るといいよ」……はい?今、なんて……?あなたと私は、今さっきこの店で会ったばかりで、名前も教えたかどうだか覚えてないような仲ですよ。店に来てメニューにないものを頼むようなワガママな客ですよ。まして、和久井の運転スキルがどうなのか、ぜんぜん未知数ですよね……!いいんですかそんなこと言って!!「駐車場に置いてあるから。キーはバンパーの裏に隠してあるから、それで開けて」いちおう日本人らしく一度は辞退してみました、が、たいへんたいへん有難いお申し出だったので、素直にお受けしました。和久井はマイカーマニュアルの、たいそうな運転好きなので技術は心配ありません。翌日、指定の駐車場に行き、教わったナンバーの車を発見。バンパーの裏からキーを取り出し、車に乗り込みました。気分はもう車泥棒です。これで間違った車に乗ってたら、間違いなく捕まります。念のため、キーと車を写メして「お借りします」とメールしました。おかげで、和多都美神社だけでなく、絶滅の危機にある対州馬のいる「あそうベイパーク」や、日露戦争時代の遺産である要塞、温泉など、バスではとうてい行けなかった場所をいくつも楽しめました。とはいえ、保険がどうなってるかわからないので、運転はけっこう用心しましたが。おひとり旅の最中には、こんなドラマみたいなラッキーに出会うこともあります。車を貸して下さった方は、こう言っていました。「対馬でいい思いをして帰って欲しい」この一言で、車をお借りしようと心が決まりました。もうなるようになれ、存分に対馬を満喫して、この体験を口伝するんだ。どこかにこの体験を書こうと思ってたんですが、ようやく公開できてよかった。実際に現地に行くまで、対馬が鉄砲伝来の島だと思っていたことは、少々ヒミツです。Text/和久井香菜子
2017年03月15日アニメーション映画『夜は短し歩けよ乙女』の完成披露試写会が3月9日(木)に開催され、声優を務めた星野源、花澤香菜、神谷浩史、秋山竜次(ロバート)が揃って舞台挨拶に登壇した。森見登美彦の130万部突破のベストセラー小説をアニメ化。京都を舞台に先輩、彼がひそかに想いを寄せる黒髪の乙女ら個性的な人物たちの青春&恋模様が展開する。星野さんらが現れると会場は大歓声に包まれる。この日、星野さんはメガネを着用していたが「何となくそうした方がいいかな、と。“先輩”の気持ちで来ました」とニッコリ。映画を観終えたばかりの客席を見やり「『大丈夫かな…?』と思ってたけど、みなさん、素晴らしい笑顔で嬉しいです」と笑顔を見せた。星野さんは本作への出演に際し、湯浅政明監督から、熱烈な直筆の手紙でオファーを受けたという。「昨年の10月ごろに、突然、直筆の手紙と台本が届きました。僕は湯浅監督の『マインド・ゲーム』を見て以来、監督の作品を追いかけていたんですが、『星野さんが出てくれれば面白くなる』とあって、断れないなと思いました」と明かす。湯浅監督は「正直な気持ちを書きました。現場で星野さんの名前が出て、すごく盛り上がったんで『面白くなるけど、どうするんですか?』くらいの感じで書きました」と語り、星野さんも「確かに、脅迫文的なところがありました(笑)」とふり返った。花澤さんは、大学時代に原作を読んでいたそうで「先輩みたいな人、身近にいるなと思ってました!みなさん、それぞれに理想の乙女像をお持ちだと思うので責任重大だなと思って臨みました」と語る。神谷さんは以前、同じく湯浅監督×森見さん原作の『四畳半神話大系』のオーディションに参加したが、残念ながら落ちていたという驚きの因縁を告白!「恨んでますから…(笑)」と冗談めかして語り「いつか機会があればご一緒したいと思ってました」と雪辱を果たし、感慨深げだった。秋山さんは願掛けのためにパンツを履き替えずにいる“パンツ総番長”を演じているが「最初はパンツ総番長?何だこれ?と思いましたが、パンツは好きなので、喜びはありました。もともと、パンツなしでは生きていけないので」と語り、自らも映画のヒットを祈願し「4日くらいパンツを履き替えてない」と告白。さらにパンツ総番長を超えるべく「歯も磨かずに来ました!」と胸を張り、会場は爆笑に包まれた。またアフレコでも“役作り”のために「ひげも剃らずに臨みました!」と語り、星野さんは「ホント、うそばっかりつくんですね…」とあきれ顔…。その星野さんも、印象的なシーンとして、先輩が股間に挟んでいたソフトクリームが地面に落ちて、クリームが流れ出すシーンから、乙女がラムネを飲んでいるシーンに切り替わる演出について「この絵コンテを描いた人は、相当なスケベ!何も言わないのにセクシャリティを感じさせる。グッときました!」と絶賛(?)。隣の花澤さんはビミョーな表情で「視点がマニアックすぎます」と苦笑を浮かべていた。星野さんは改めて本作について「人間の想像力ってすごいと思える作品。見ているだけで、脳みそが気持ちいい」と独特の表現でアピール。会場は温かい拍手に包まれた。『夜は短し歩けよ乙女』は4月7日(金)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2017年03月10日自分に自信のある人なんていない「自分に自信のある人なんていませんよ」と、お世話になっていたお姉さんに言われたことがあります。和久井が20代の頃だったかな。当時はそれが信じられなくて、「だってあの人はあんなに偉そうにしているじゃない」「この人はこんなにいい大学を出ていい企業に勤めているじゃない」なのに自信がないわけないでしょう? って。でも、今ならわかります。和久井は、端から見るととってもポジティブで自信満々に見えるみたいです。短大を卒業した後、銀座でバイトしてお金貯めて23歳で夜間の専門学校に行って、28歳で大学に入り直して、32歳でスペインにテニス留学して。なんだかすごく人生前向きに生きてる感じがするみたいです。だけど、あれこれやらざるを得なかった理由は、単純にコンプレックスです。自分に自信がなかったからです。自分を好きになれなかったから、なんとか好きになろうとしていたんです。知りあいの若い女子にそんな話をしたら「和久井さんでも迷ったり辛かったことがあるんですね」と言われました。今まで、よっぽどキラキラして見えてたらしいです。でもさ、人はそうそう自分の心の奥底で思っていることなんか、他人には言わないものですよ。気持ちがカタチで表現できないことも多いし。きっと、誰もがなにかを抱えていているのでしょう。恨み辛みを口に出して生きる人もいれば、つまらないことは口にしないという人もいる。口にしないからといって、その人に「いいこと」だけしか起きていないってわけじゃないんです。京都のお寺(どこだか忘れちゃったけど)で、門前の掲示板に「みな辛い、ただ言わぬだけ」って書いてあって、ガビーンとしました。そうか、みな辛いのか。『昭和元禄落語心中』は、すごい物語です。出だしが、刑務所から出所したばかりの若者が落語家に弟子入りを希望して押しかける、という派手な始まりなので、喜怒哀楽の激しい、わかりやすい事件やハプニングがたくさん起こるのかな、と思ってましたが、物語はひたすら淡々と語られていきます。そして、登場人物が「みな辛い」。『昭和元禄落語心中』(雲田はるこ/講談社)1巻元ヤクザでムショ帰りの与太郎、与太郎が弟子入りした昭和最後の大名人・八雲、八雲と同期だった助六、助六の娘で八雲に養女として育てられた小夏。しかし小夏は、自分の父親は八雲に殺されたと言っています。だけど花びらの舞う中泣き叫んだり、ショックを受けてカミナリが落ちたりという大仰な表現はありません。登場人物は、みんなものすごく人間くさいです。迷って、葛藤して、なんとなく目の前に現れた道を進んでいく。決して「名落語家に、おれはなる!」とか言って、まっすぐがんばって結果を出す人はいません。わかりやすく問題が解決して友情が深まることもありません。誰もがどこか足りないし、完璧じゃない自分にコンプレックスを抱いています。落ち度がなくても認めてもらえない物語は、ひとり一人の人生を丁寧に描いていきます。初めは、単に未熟な人に見えていた人物たちが、その葛藤や考えを知るうちに、どんどんと魅力的な存在に思えてきます。和久井は、八雲にもっとも感情移入してしまいます。てか好みです。細身で繊細で、同期の助六に猛烈な憧れとコンプレックスを抱いている。死ぬために生きているような後ろ向きなところがとても放っておけない感じです。ひとつ、とても印象的な設定があります。八雲は、子どもの頃に落語家の先生に弟子入りをして、順調に出世をしましたが、生まれは芸者の家でした。そこは女でなければ居場所のない世界です。しかも、足を故障したせいで踊りもできなくなり、家を出なければならなくなりました。決して前向きな理由で落語を目指したのではなかったのです。しかし落語は逆に、女の居場所がない世界です。小夏は、子どもの頃から落語に慣れ親しんでいながら、落語家になることはできません。八雲も小夏も、生まれた場所の違いから、自分の性別を肯定することができないのです。自分に落ち度がなくても、自分を認めてもらえないことがある。逆に、自分ですべてを壊してしまう人もいる。どうして人生ってこううまく行かないんだろう、などと思ってしまいます。そして、作中に産まれた赤ん坊、実はとある人の子どもかもしれない……という予測が語られます。その展開を読んだとき、ドドン! と心臓が鳴りました。こんな奇跡のような子どもがいるのかと。漫画を読み終えたとき、胸がずしんと重たくなり、頭はのろのろと動きが悪くなって、物語の中に自分が入り込んでしまうことがあります。それは間違いなく自分の人生を変えるような名作です。『昭和元禄落語心中』は、そんな物語でした。Text/和久井香菜子
2017年03月01日横柄な店員の態度で気づいたことby Unsplashおひとり旅のいいところは、誰に気兼ねすることなく、自分の好きな場所、好きな時間に行けることです。突然のスケジュール変更だって、自分さえOKならへっちゃら。だけど、おひとり旅であんまりお勧めしない、というか、和久井は「もうゼッタイ! 行かない」と思ってるところがあります。それは「インスタント観光地」です。普段は静かな町なんだけど「とあるお祭りの日だけ」とか「紅葉シーズンだけ」とか「桜の季節だけ」、評判を聞きつけた観光客がワンワン集まる場所です。日常的に観光地を担っているところならいいんです。だから、京都にはよく行きます。だけど「インスタント観光地」にはリピーター獲得という概念があんまりないようです。「とにかくこの時期に稼げるだけ稼いどけ!」って感じ。そのため、おひとり客は彼らの目に入りません。去年の秋に、紅葉を見に行ったんです。ここ10年くらいで突然人が増えた、という場所でした。川沿いの道路には土産物屋飲食店が並び、対岸には真っ赤に燃え上がる木々。それを眺めながらそぞろ歩く観光客。で、まあそこの飲食店がひどかった、という話です。店に入ったら「どうぞ」というので、店内に進んでいったら、店で偉そうにしている中年男性に「ちょっと待て!」と言われ、「あんたはこっち」と、入り口近くの席を指差されました。どうやら、対岸の紅葉がよく見える絶景をウリにしていた店だったようで、別に「いい席案内しろ」とは思いませんが、「ちょっと待て」はないんじゃないですか。どうぞと言われたから店内に進んだだけで。「さっきの言い方はないんじゃないですか」と言ったら、大声で、「この人、窓際の席じゃないのが気に入らないんだってよ!」と周りのお客さんに言いふらされました。こういう場合、こちらには仲間が誰もいないので、圧倒的に不利です。今、書きながら思い出し怒りがワンワン湧いています。誰もが行きたい場所は、誰かと一緒にたいへん誠意のないこちらの店は、食事もいわゆる「観光地値段」で、味は中の下。量も少なめ。「えっこれで1000円?」みたいな。なんだかもういろいろ納得いかなかったので、ちょっと仕返ししちゃいました。飲食店の対応に頭グラグラ沸騰させながら、今度は女性スタッフのいる、感じのよさそうな店に入りました。笑顔で店に入り、挨拶をします。そこでほがらかに世間話などしつつ和久井は、「ああ、このお店に来てよかった!」とため息をつきました。何があったのか、という顔をするスタッフの方。「さっき心底イヤな目に遭ったので、こんなところ、来なければよかったと思っていたんです」「こんなところ、来なければよかった」と言われたら、ただ事じゃないですよね。ほがらかに会話を楽しんでいたお客さんが言うのならなおさら。スタッフの方は驚いたように「どこの店ですか?」「何があったんですか?」と聞いてくれました。しめしめ。で、なるべく感情的にならないようにしながら「こういうことがあり、自分はとても不愉快になった」「店は××というところでした」と報告しました。そうしたら「観光協会にクレームを入れといた方がいいですよ」と教えてもらったので、電話をしました。客に対して横柄な店は、普段の態度も同じようで、店名を告げると、「ああ……、××さんね……」と誰もが深くうなずいていました。「なんだ、みんなに嫌われているから、ますます横柄なんだな、可愛そうに」と考えて(まあそのくらいじゃ怒りは収まりませんが)、その地を去りました。誰もが行きたい場所は、誰かと一緒に行けるチャンスが必ずあります。インスタント観光地はやたらカップルも多いし、はずれ店も多い。失敗した時にダメージの大きい場所は、仲間のいないおひとり旅にふさわしくない場所なのです。おひとり旅には、おひとり旅にふさわしい場所があるんですね。次回は、そんな話を。Text/和久井香菜子
2017年02月15日祭りに命をかける八尾の人々『月影ベイベ』(小玉 ユキ/小学館)1巻和久井は風の盆どころか富山県にも(たぶん)行ったことがないのですが、動画を見る限り、「越中おわら節」の哀愁に満ちた音楽に乗せて、静かな水面を打つようにピシリピシリと振りを合わせて踊る、たいへん静謐な雰囲気の踊りでした。踊り手は笠をかぶっており顔が見えません。それがとても神秘的です。Wikipediaを読むと、「おわら」の起源は江戸時代。町外に持ち出されていた「町建御墨付文書」というなにやら大事な文書を町民が取り戻したことを大喜びして、やんややんや三日三晩踊り明かしたことから始まったそうです。なんともやんちゃな話で、今の風流なお祭り風景とはだいぶ事情が違うようですな。八尾地域の子どもたちは子どもの頃から「おわら」を習い、鍛錬を続けているのだとか。和久井は子どもの頃、運動会で「ソーラン節」やら「御神楽」やら踊らされましたが、ああいう「やらされダンス」ではなく、子どもたちが自ら大人たちの踊る「おわら」をかっこいいと思って習い始めるのだそうです。『月影ベイベ』は、その独特の雰囲気と、懐かしいような、せつないようなアンニュイなムードがたまらない作品です。蛍子は東京からの転入生。彼女は、母の繭子がなくなったことをきっかけに、その出身地である八尾にやってきました。転入した高校では「おわら」の練習まっ盛り。蛍子はなぜか現地の子に引けをとらないくらい「おわら」がとてもうまいのです。なぜ、彼女は「おわら」がうまいのか。なぜ、彼女は八尾にやって来たのか。序盤はいろいろと謎が多いです。聖地巡礼したくなる名作ところで世のおじさんには、「汚いおじさん」と「きれいなおじさん」の2種類しかいません。この作品に登場する円くんは、とても「きれいなおじさん」です。この円くんがストーリーのキモを握っているわけですが、彼は素朴で、ひたむきです。女子高生が性の象徴のようになって久しいですが、性的描写がないということも含めて、いろんな意味でこの作品にはいやらしさがまったくありません。ぶっちゃけ、作者・小玉ユキさんの前作である『坂道のアポロン』がたいへん好きだったので、「文化祭でダンス踊る話? フーン」とか思ってたわけですが(いろいろ理解してなかったみたいです)、ここにきてドはまりしました。若いというのは、いろんなことに不器用だということです。あまりに経験値が足りなくて、見えるものも偏っているし、柔らかい対応もできない。それが「赤っ恥体験」で済めば笑い話だけど、取り返しのつかないことになったら…。ちょうど去年、掲載誌の『フラワーズ』に40年ぶりの『ポーの一族』が掲載されました。アラフィフ狂喜乱舞の一大旋風が巻き起こりましたが、その同じ号で『月影ベイベ』もたいへんな展開になっており、いっそう世間を騒がせていました。ドキドキキュンキュンするだけが少女マンガじゃないし、青春ってわけでもない。小玉ユキさんの絵は目にキラキラ星がなく、線も割と太めで固いタッチです。それが妙に懐かしさを感じさせるのですよね。『月影ベイベ』を読んで「おわら」を知り、富山に行ってみようと思った人も多いでしょう。まさに和久井自身がそうです。作中、八尾の方言がたくさん出てくるので、行く前に語学の予習をしていきたいです。何気ない街の風景も実在の場所とのこと。聖地巡礼も楽しめます。なにかの出会いをくれる作品って、やっぱり名作なのだと思うのです。Text/和久井香菜子
2017年02月01日森見登美彦の累計売上120万部を超える同名ベストセラーを映画化する『夜は短し歩けよ乙女』。この度、本作の新たなキャストとして、花澤香菜、神谷浩史、中井和哉ら豪華声優陣、さらにお笑い芸人「ロバート」の秋山竜次も出演することが分かった。クラブの後輩である“黒髪の乙女”に思いを寄せる“先輩”は、今日も「なるべく彼女の目にとまる」ようナカメ作戦 を実行する。春の先斗町で、夏の古本市で、秋の学園祭で、乙女に近づこうとやっきになるも空回りの連続。 京都の街で個性豊かな仲間達が次々に巻き起こす珍事件に巻き込まれながら、不思議な夜がどんどん更けてゆく。外堀を埋めることしかできない“先輩”の思いはどこへ向かうのか――!?第20回山本周五郎賞受賞や、2007年本屋大賞2位に選ばれ、また大学生が選ぶ本第1位にも選ばれ続けるなど、森見登美彦作品の中でも最もファンの多い作品の一つ「夜は短し歩けよ乙女」。京都を舞台に描かれる、どこかファンタジックな青春恋愛物語であるこの物語を、今回満を持してアニメーション映画化。主人公の“先輩”を歌手で俳優の星野源が務めることでも大きな話題となっているが、今回新たに豪華キャストが発表!先輩が思いを寄せるヒロイン、“黒髪の乙女”には、『言の葉の庭』や「orange」、現在放送中の「3月のライオン」にも出演する花澤さん、先輩の学友である“学園祭事務局長”に「進撃の巨人」(リヴァイ役)や「夏目友人帳」(夏目貴志役)、「おそ松さん」(チョロ松役ほか)など数々の人気作でメインキャラを演じる神谷さん、先輩の学友で、ある“願いごと”が叶うまでパンツを穿き替えないというユニークなキャラクター“パンツ総番長”には秋山さんが決定。本好きでも知られる花澤さんは、「大学生のとき、森見先生の文章がとても好きで、原作のあの語り口に笑いながら、あっという間に読み終えてしまいました」と原作について話し、「“乙女”というキャラクターは、面白いことに夢中になって色んなこと体験して吸収するタイプ。そんな彼女が“恋愛”をしたら、どうなるんだろうというところを、ぜひ見守っていただけたら」とキャラクターについて説明。美形で女装癖があり、幾多の男性を無謀な恋路へと翻弄してきた先輩の数少ない友人役を演じる神谷さんは、「事務局長は原作のエッセンスを膨らませていただき、相当に愛すべき人物になっていると思います!その部分に苦労 させられましたが…」とふり返り、秋山さんは「役作りは大変でしたが、意外にも僕が演じ た“パンツ総番長”はとても一途で、 ロマンチストで、愛嬌のあるキャラだったので、演じていて、凄くやりがいはありました」とコメントしている。さらに、「四畳半神話大系」にも登場する、常に浴衣を着込んで悠然と構え、「天狗」を自称する神出鬼没の男“樋口師匠”に、「ONE PIECE」のロロノア・ゾロ役でお馴染みの中井さん、同じく「四畳半神話大系」にも登場する羽貫さんは引き続き甲斐田裕子、古本市の神様には声優だけでなくナレーターや歌手としても活躍する吉野裕行が担当。台本を読み、難しい役柄だと感じたと話す中井さんは、「世俗から解き放たれているようで、割合しっ かり現実を生きてる。不思議な天狗を演じているようで、ただ の学生のような気もしてきました」とキャラクターについて語り、「四畳半神話大系」では現在休養中の藤原啓治が務めていたこともあり、「藤原啓治さんの樋口なんか見なきゃよかった。あれ最高ですから。でも、悪戦苦闘はしましたが、監督が辛抱強く導いて下さった私なりの樋口なので、 完成を楽しみにしたいと思います」と話している。そのほかにも、諏訪部順一(ニセ城ケ崎役)、悠木碧(プリンセスダルマ役)、檜山修之(ジョニー役)、 山路和弘(東堂さん役)、麦人(李白さん役)と人気声優たちが大集結。また大河ドラマ「真田丸」の出演が記憶に新しい新妻聖子(紀子さん役)も参加する。なお、本作の劇場前売券が、2月3日(金)に発売されることが決定。前売り特典には、数量限定で4月始まりのオリジナルカレンダーがついてくる。さらに、本作に続き湯浅政明監督の最新作『夜明け告げるルーのうた』が、5月19日(金)に公開されることも決定している。『夜は短し歩けよ乙女』は4月7日(金)より全国にて公開。(cinemacafe.net)
2017年01月26日