日経ナショナル ジオグラフィック社(代表:滝山晋、所在地:東京都港区虎ノ門)は、『話すことを選んだ女性たち 60人の社会・性・家・自立・暴力』を3月7日(月)に発行します。本書は、「女性の声を聞く」ために世界50カ国・地域で2000人にインタビューを敢行したプロジェクトをもとに、およそ60人の声を紹介することで現代女性の現在地をあぶりだす意欲作です。著者である映像ジャーナリストのアナスタシア・ミコバと世界的写真家・映像監督のヤン・アルテュス=ベルトランは、過去の作品において、カメラの前で堰を切ったように語りだす女性たちの切実な姿を見て、女性の声を聞く重要性に気づきました。大々的にチームを組み、「過去にない規模で女性たちに発言の機会を与えるプロジェクト」を始めたのです。カメラに向かって語ってもらうインタビューは2000人にも及びました。登場する女性は無名の個人から大統領まで、国・社会・地位もさまざまです。書籍ではテーマを大きく7つに分けています。「女性」であるとはどのような体験をもたらすのか、女性の体の生理機能や問題、性を探究すること、子供を持つこと・持たないこと、結婚制度にまつわること、暴力にあらがうこと、家族に依存せず経済的自立すること・起業すること・指導者となること。これは彼女たちのストーリーであり、勇気の記録です。心の奥深くにずっしりと重い痛みを抱えていた女性たちは、その痛みを解き放ち、もう誰かに話すことすらできないと思っていた痛みを打ち明けています。背景への理解を深めるのに役立つ統計データ、関係する論説等も収録。それぞれのインタビューとともに、力強い女性たちの素晴らしいポートレートも見応えがあります。男女問わず、社会の半数近くを占める性が語る現在のリアルな言葉にぜひ耳を傾けてください。『話すことを選んだ女性たち 60人の社会・性・家・自立・暴力』アナスタシア・ミコバ、ヤン・アルテュス=ベルトラン著/清水玲奈 訳/2022年3月7日発行/定価 3,080円(10%税込)/224ページ/228mm×176mm/ソフトカバー/日経ナショナル ジオグラフィック社 発行ナショジオストア Amazon 【目次】・女であること・自分の体を生きる・性を探求する・母になること・結婚について・暴力に対して声を上げる・自立すること■世界50の国・地域、2000人のインタビューで、過去にない規模で女性の声を記録した「ウーマン・プロジェクト」。■無名の個人から大統領まで、立場や境遇もさまざまな女性たちが語るむき出しの言葉が示す女性のリアル。■背景の理解や学習に役立つ、豊富な統計データや論説を各章に収録。 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年03月04日大人気マンガシリーズ、今回はゆの(@mangakakuyo)さんの投稿をご紹介!「小学校の頃にあったクラスのいじめの話」第10話です。いじめにより、精神が限界なみかんちゃん。先生に相談しようと、ゆのさんは提案しますが…?先生に言ったら…?出典:instagram後日…出典:instagramとんでもない一言が!?出典:instagramこのままでは危険!出典:instagramそこで、私が向かった先は…出典:instagram担任を呼び出し…?出典:instagramいじめっ子の口から、暴力という単語が…!ゆのさんは担任を呼び出し、どうするのでしょうか?毎日1日1話更新中♪次回の配信もお楽しみに!(lamire編集部)(イラスト/@mangakakuyo)本文中の画像は投稿主様より掲載許諾をいただいています。"
2022年01月11日私が元夫と離婚したのはDVが原因です。妊娠中にも繰り返される暴力、ひどいときは首を絞められて気を失ったこともありました。離婚を選択する度胸も生活力もなく、精神的にも元夫に依存していた状態だったので、「私は一生、この人と暴力と一緒に生きていくんだ」と思っていました。ですが、娘が生まれて心境が一変! ここでは、妊娠から離婚を決意するまでの私の体験をお話しします。DV彼氏との間に子どもを授かり、結婚当時19歳だった私は、同棲中の彼氏(元夫)との間に子どもを授かりました。子どもを授かる前から殴る蹴るなどの暴力や、包丁を持ち出しての脅し、携帯電話や眼鏡を壊されるということがあったので結婚に不安はありました。 しかし、陽性の妊娠検査薬を見てうれし泣きしている彼氏を見て、子どもを授かった喜びのほうが勝ってしまったのです。そして、その姿を見て「子どももできたし、結婚もするし、暴力も終わるだろう」そんな期待を持っていました。 結婚しても出産してもなくならない暴力ですが、やはり元夫は簡単には変わりませんでした。妊娠初期のころはまったくなくなっていた暴力も、徐々に手を上げられるようになったのです。でも「子どもにとって父親がいないのはかわいそう。子どもが生まれたら暴力も終わるだろう」⋯⋯そう考えて離婚は選択肢にも上がっていませんでした。 毎日元夫の顔色をうかがい、私はこの人がいなくなったらだめになる、元夫も私がいなくなったらだめになる、そう思い込んでいました。そして子どもが生まれましたが、やっぱり暴力はなくならなかったのです。 こんな父親、子どもにとって必要?私はだんだんと、「子どもが大きくなって、パパがママを殴っている姿を見るのは悪影響じゃないか」「子どもにまで手を上げるようになったらどうしよう」と考えるようになりました。そのうち、「暴力を振るう父親はいらないんじゃないか」という結論に至ったのです。 そのとき、子どもは生後2カ月。離婚するなら子どもの記憶に残る前がいいと思いました。離婚までの計画を練り、元夫をなんとか言葉巧みに説得し、2週間後には離婚届を出しました。 離婚後の心境とその後の生活離婚してすぐは「やっと解放された!」という気持ちより、この先、子どもをひとりでちゃんと育て上げられるのか、子どもが片親ということで寂しさを感じるかもしれない……という不安のほうが大きかったです。 ですが、元夫の顔色をうかがう必要がなくなり、私自身よく笑うようになりました。子どもも元気にすくすく育ち、現在は中学生です。私を気づかっての言葉かもしれませんが、「ママがいっつもいてくれるから別に寂しくない」と言ってくれたりもします。 子どもが生まれたことでやっと目が覚め、DV夫と離婚することができました。今は毎日娘と笑顔で過ごすことができていますが、離婚前や離婚したばかりのころはこんなに明るい未来は想像できませんでした。こうして、娘との穏やかな毎日を過ごすことができ、あのときの私の選択は間違っていなかったと胸を張って言うことができます。 監修/助産師 松田玲子著者:吉川 みきな12歳女の子と2歳男の子の年の差兄弟を育てている母。反抗期の娘とイヤイヤ期の息子の育児に日々奮闘中。上の子を出産後に大学に通い、看護師の資格を取得。現在は看護師としてパート勤務をしている。
2022年01月09日親の前でも暴言、暴力をふるう監督。役員をしているから自分の子を出してという親の子や、監督に贈り物を送る親たちの子を試合に出すえこひいきも酷い。もちろんそれを良く思っていない親もいるけど、通える範囲に移籍できるチームがなくて、みんな黙っている。わが子は小6だから最後まで所属するつもりだけど、何か親としてできることはない?というご相談をいただきました。今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、スポーツ現場における暴力暴言指導の取材経験も豊富な島沢優子さんが、お母さんの相談にお答えします。(文:島沢優子)(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<他の親にわが子を注意されてイラっとする。監督に相談すべきか問題<サッカーママからのご相談>こんにちは。息子はもう最終学年でスポ少活動も残り少ないので、このままチームに居続けると思いますが、どうにかこの監督の事を相談したくてご連絡しました。3年生からスポ少に入っていて、スポ少以外にサッカースクール2つに入って練習していますが、他で教わっているのが気に入らないのと親がサッカー経験者なのが気に入らないのか、監督に試合に出してもらえず、親の前でも酷い暴言、軽い体罰などが見られます。特に監督に直接個人的に贈り物などをしている家庭や、親がスポ少役員をしているから試合に出してくれと相談している保護者がいて、その子たちが優遇されています。えこひいきがひどいです。歴代の卒団者の子ども達、保護者に聞いたところ、昔からこうみたいです。当然良しとしない方もいますが、移籍先がないので我慢していたようです。辞めさせたくても、他に移籍できるスポ少はなく、今からクラブチームにも行けず、子どもたちが可哀想です。他の学年の子たちはこの環境が続くわけで、環境改善のために何かできることはあるでしょうか。息子もそうですが、暴言や叩かれるなどの体罰で委縮しているようでサッカーを本心から楽しめていないようです。そんな子どもたちへのフォローの言葉などもあれば知りたいです。<島沢さんのアドバイス>ご相談いただき、ありがとうございます。ジュニア期は、子どもにサッカーの楽しさを伝え、主体性を重んじて自分で考え行動できるよう育ててほしい。そんな願いをもって、少年サッカーの育成環境が進化するよう働きかけてきました。暴力や暴言、パワーハラスメント的な指導は少しずつ薄らいできましたが、まだまだ残存するのが現状です。今回のご相談は、そのことを思い知らされる内容で、思わずため息が出てしまいます。これまで保護者の皆さんからの相談をたくさん受けてきましたが、およそ7割は不適切な指導をするコーチへの対応でした。そのなかでも、今回ここに書かれている指導者のふるまいが事実だとしたら、看過できるものではありません。お母さんにとって厳しい言い方になるかもしれませんが、ご理解いただけるとうれしいです。■少年サッカーの現場で起きている暴力の例まず、体罰があるのは大きな問題です。ご相談文に「親の前でも酷い暴言、軽い体罰」とあります。「軽い体罰」とはどんなものでしょうか?スポーツや教育界が2013年に暴力根絶宣言を行って以来、少年サッカーの現場で私が見聞きした暴力は以下のようなものです。1)頭を平手でバシっとたたく。2)頭をげんこつでゴツンと殴る。3)頬をバシッとビンタする。4)お尻をボコッと蹴る。5)拳で胸をガツンと強く衝く。6)ボールを至近距離から頭や体にドスンとぶつける。7)ペットボトルをさかさまにして、キャップのへりの部分で頭をゴツンと小突く――。これらは皆、親御さんによっては「軽い体罰」と表現されていました。例えば、7番目に挙げたペットボトルでの殴打。暴力指導を知った私はすぐに保護者を取材しました。が、その親御さんは「大した暴力ではない。いいコーチなんです」と庇っていました。その保護者と話した時、「頭を平手でたたくこともあると、他クラブのコーチから聞きましたよ」と話したら、その方は最初「(手を)パーでペシッとやるくらいですよ。大したことありませんよ」とおっしゃいました。■叩くコーチを容認していた保護者が数か月後に......さまざま話すなかで、私が「感情的になったり、ひどく怒ったときはどうですか?」と聞いたら「まあ、そりゃ少し力が入りますよね。(頭を平手で)バシッとやる(たたく)こともあります」と言ったのです。「バシッとやるんですよね。暴力ですよ。ペシッとたたいていれば、感情が高ぶるとバシッになるし、さらに進めば拳で殴って、よけた子どもを失明させたりしますよ」(私はこの件を経験して以来「バシっとたたく」というように、「バシッと」「ゴツンと」といった擬音をなるべく入れるようにしています)保護者の方は一瞬黙って「は?そんなん、仮定の話でしょ?」と焦ったようにおっしゃいました。ところが、その方は数か月後、ご自分から私に電話をかけてきました。コーチの暴力によって、お子さんは鼓膜が破裂したそうです。鼓膜破裂は自然治癒しましたが、その子はその間中耳炎になり長くサッカーも運動もできなくなった。結局チームを辞めたということでした。■「大したことではない」親が暴力やパワハラを容認する理由親御さんたちは「少年サッカー(少年スポーツ)例外主義」になっていないでしょうか。暴力もパワハラも「サッカー(スポーツ)の現場では仕方がない」と考えているようです。それは親御さん自身が、部活やスポーツの指導で暴力やパワハラを受けていることも影響しています。特に、そのようなひどい環境を生き抜いた方は、暴力等を潜在的に「大したことではない」と受け入れがちです。自分も耐えられたから大丈夫、と軽く考えてしまう。これは「生存者バイアス」と呼ばれるものです。仮に、1から7のような暴力(体罰)が、もし通う小学校の担任によるものだったら、どう対応されるでしょうか。担任に贈り物をしている家庭や、親が学校の役員をしているからと、担任が通知表に良い点を付けたり、劇の主役にされるなど優遇されたら、どんな気持ちになるでしょうか。保護者の方によく言われるのが「学校の先生ではなく、何も勉強していないボランティアでコーチをしている方にそこまで求められません」というものです。一見すると「まあ、そのくらい勘弁してあげようよ」と寛容に見えますが、ボランティアで指導しているコーチの方々に失礼な気がします。■暴力暴言、えこひいきはやってはいけない。今すぐ親にできる対策は(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)お母さんは「子どもたちへのフォローの言葉などもあれば知りたい」と書かれています。でも、そんな言葉はありません。「コーチは暴力をふるうけど、あなたのことを思ってやっているのよ」などと絶対に言ってはいけません。暴言も、暴力も、えこひいきも、やってはいけないこと。本当にフォローしたい(支えたい)のならば、チームはすぐにやめさせましょう。中学生までもう少しです。サッカースクールがあるのなら、そこでの活動のみに絞り、楽しく真剣に続け中学校でまたチームに入ればよいのではないでしょうか。そして、コーチの暴言や暴力、理不尽な運営の仕方については、日本サッカー協会の相談窓口にきちんと報告しましょう。暴力等根絶相談窓口★窓口の取扱対象となる範囲は下記のとおりです。1)対象となる行為者本協会に登録する個人(指導者、チーム代表者、審判、選手、本協会又は加盟団体の役職員)2)対象となる行為登録されたチームにおけるサッカーの活動現場で生じた対象者による暴力行為(直接的暴力、暴言、脅迫及び威圧等)3)窓口を利用できる人原則として、対象行為によって被害を受けた者又はその家族、関係者、代理人若しくはこれに準ずる者島沢優子(しまざわ・ゆうこ)スポーツ・教育ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)ブラック部活の問題を提起した『部活があぶない』(講談社現代新書)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てるテニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。指導者や保護者向けの講演も多い。最新刊は『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)。
2021年11月10日加害者からは「恋愛」だと言われ、親にも誰にも話すことができず、心が凍りついていく。フォトグラファーの石田郁子さん(43)が、信頼する教師から「性暴力」を受け始めたのは、札幌市の中学に通っていた15歳のとき。ずっと「恋愛」だと思い込まされてきて、それが「犯罪」であったと気付いたときは37歳になっていた。児童・生徒への教師による性暴力が後を絶たない現状がある。文部科学省によると、19年度に性暴力やセクハラで処分された公立小中高などの教職員は273人で、過去最多だった前年度とほぼ変わらぬ多い数だった。このうち121人が、性暴力によって懲戒免職となっている。そんななか、21年5月に、教師らによる児童・生徒へのわいせつ行為や性暴力を防止する、いわゆる「教員性暴力対策法」が成立。この新法により、懲戒免職となった教職員が処分歴を隠して再び教壇に立つことなどが極めて困難となった。石田さんが、彼女の尊厳をかけて「実名・顔出し」で取り組んだ教師らを訴えた裁判は、この新法成立に大きく寄与したとされる。自らのPTSD(心的外傷後ストレス障害)や時効の壁との闘いを経て、現在は性暴力に関する講演や執筆も精力的に行っている。「15歳までは、どこの学校にもいる、絵の好きな普通の女の子でした」■中学三年生のころ、教員から無理やりキスをされた美術科のある高校を目指し、美術教員だった教師Aから絵の指導を受けていた石田さん、中3の卒業式の前日に、その教師Aから突然、『チケットがあるんだ』と、美術館に誘われた。「お世話になった先生の誘いを断れずに美術館へ行き、そこで私は急におなかが痛くなるんです」その教師Aは、体を休ませるためと言って石田さんを一人暮らしの自宅に車で連れ帰った。やがて体調が戻った彼女が画集などを見ていると、「実は好きだったんだ」いったんは拒絶したものの、無理やりキスをされた。「私は頭が真っ白になり、過呼吸のような状態になって、泣きだしてしまいました」母に相談するも叱り飛ばされ、その後誰にも相談する勇気を持てなかった石田さん。戸惑いと恐怖のなかで、関係は大学2年時まで続いた。「教師と生徒。その絶対的な支配関係があって、一緒にいる間は、私は人形のようになっていたと思います。DVの構造に似ているのかもしれません。別れは突然で、大学2年の夏でした。教員に新しい恋人ができたようで、私とは会わなくなりました。彼の相手は、新任でやってきた女性教師だったようです」■施設に通う少女に性暴力を働いた職員の裁判を偶然傍聴して気持ちが固まった教師Aと別れた石田さんは、大学3年生の1年間を休学し、京都でバイトなどをして過ごした。そして大学に戻り、4年生で行った教育実習でのこと。「高校の教壇に立ち、ハッと思うんです。私が22歳で生徒は18歳くらいで年齢差もそれ程なかったんですが、それでも、この子たちを恋愛対象にするのはおかしいと。そもそも教師にとって、子供というのは恋愛対象ではなくケアすべき対象なんだと確信しました」そこへ教師Aから、大学を卒業したタイミングで再び手紙が届き始める。「『交際中の女性と別れるかもしれない』『私は女性を尊敬しているのに、なぜ愛されないのか』などとあり、最初は無視しましたが、2回目の手紙が届くに至って、札幌市の教育委員会に、中学以来の教員との出来事を記して『厳重に処罰してほしい』と要望書を送りました。その後、教育委員会を訪ね、私は先生と生徒が恋愛すること自体がおかしいと主張しました。しかし、元は小学校校長だったという児童相談員の高齢女性は『卒業してからの恋愛は自由だから』といった対応で、『相手の教師にも告げます』とのことでしたが、結局、あとで告げられていなかったこともわかるんです。すべてをうやむやにされたような印象で、人間不信にも陥ってしまいました」その後、もっと美術の勉強をしたいと思った石田さんは、金沢美術工芸大学に入学。卒業後、29歳のときにフォトグラファーを名乗り、結婚式場の写真撮影などで生計を立てるようになる。さらに1年弱のフィンランド留学を経て、帰国後に上京。35歳になる直前の沖縄旅行で、転機となる出会いがあった。「ある高齢の男性と友人になりましたが、彼が過去に服役経験もある波瀾の人生を送ったと知るんです。えっ、服役って、傷害罪ってどんなことだろうと、そんな単純な疑問が、帰京して裁判傍聴をするきっかけでした」東京地方裁判所に傍聴に出かけたのは、37歳の5月だった。「本当に偶然に、その日、傍聴できたのが児童福祉法違反の裁判でした。被告は20代後半の男性で、被害者は16歳の少女。加害者男性は養護施設の職員で、施設に通う少女に性暴力を働いた罪を問われるんですが、その職員が供述するんです。『恋愛だった。同意があった』。そのとき初めて知るんです。私に起こったのは、裁判になるようなことだったんだ、と」裁判所からの帰り道、涙がポロポロとこぼれ落ちてきた。過去をふり返り、何度も自問自答するなかで気持ちが固まっていく。裁判傍聴から7カ月後、石田さんは札幌に戻り、教師Aを呼び出す。教育委員会への申し立てに先立ち、証拠となる音声データを集めるためだった。■いまもあの教員が学校で生徒に接している。その情景を想像して黙っていられなくなった「先生、覚えてます?」「玄関でキスした。忘れるわけがありません」年末の居酒屋にやってきた教師Aは、石田さんの緊張を笑い飛ばすように饒舌だったという。「いつかあなたが、『私の人生を狂わせた』と言ってくるんじゃないかと思ってました。教育委員会にバレたら、俺は免職、クビだから。『僕はこの人を幸せにするから、この仕事を続けさせてください』と言うつもりだった」石田さんが、その場面を振り返る。「教員は、自分に都合のいいというか、こちらをなめたようなことばかりベラベラと話しました。私は、裁判について調べ始めてすぐに、刑事事件では7年という時効があって難しいけれど、地方公務員の教員の懲戒処分に関しては時効がないことを知り、かつてあった事実を証明するために、教員との会話を録りました」このときの録音記録を持参し、16年2月、石田さんは札幌市の教育委員会へ、教師Aの適切な処分を求めて申し立てを行う。「過去には無視されたりした教育委員会に出向くこと自体、私にはとても勇気のいることでした」ところが市教委の聞き取りで、教師A側は石田さんの訴えをことごとく否定。「市教委側も、『事実認定ができないから』と、加害者である教員をかばうばかりなんだと、大きな絶望感にも襲われました」この市教委訪問のころから、石田さんに、ふとしたときにイヤなことをされた記憶がよみがえるフラッシュバックなどPTSDの症状が出始める。「私の場合、当時着ていたダッフルコートの襟の感覚など、なぜか触覚的なものが多かった。なんて私はばかだったんだと深く落ち込んだりして、38歳の1年間は、人生でいちばんしんどかった」しかし、その後も鬱々とした日々を過ごしながらも、いつも頭のどこかに、諦めてはいけないという気持ちがあった。「うまく言えませんが、私自身、このまま黙って生き続けることはできないという思いです。教師が嘘をつけば懲戒処分を免れるという、加害者に有利な状況はおかしい。今もあの教師が中学校で普通に生徒と接していて、教育委員会も黙認している。その教室の情景を想像して、黙っていられなくなったのが、私が提訴に至ったいちばんの理由です」19年2月、教師Aと札幌市を相手取り、約3千万円の損害賠償を求めて提訴。こうした裁判では珍しく、自身のプライバシーをさらけ出す覚悟も決めていた。「これまで友人や、いわゆる知識人と呼ばれる人にも相談しましたが、9割が『なんでいまさら昔のことを』という対応でした。私自身は、自分は絶対に悪くないという確固とした思いがありましたから、実名・顔出しなら本気で聞いてもらえるのではないかと、迷いはなかったです」8月の一審の東京地裁では、音声データなども提出したが、不法行為から20年が経過して、民法上の損害賠償請求権が認められる期間が過ぎているとの判断で、訴えを退けられる。「一審では、こんなに長い時間が経過してからPTSDになることが本当にあるのかと。また、大学生だった私には性行為の意味を理解できていたはずなど加害者の言い分ばかりを聞き、“石田はおかしい人”と見ているかなり偏った判決で、非常に傷つきました」このまま、また被害者である自分の言い分はまともに聞いてもらえないのかと、半ば諦めとともに迎えた20年12月の東京高裁での二審。控訴は棄却となったが、ついに判決のなかでかつての教師Aによる性暴力行為が認められた。これを受け、21年1月28日、札幌市教育委員会が、教師Aを懲戒免職とする処分を発表。同時に市教委の担当部長が、「寄り添った対応ができなかったことに対して、被害に遭われた女性に心からお詫び申し上げる」と謝罪。石田さんは、「教員が懲戒免職となることを知らせる市教委からのメールを最初に見たときは、長く続いた大嵐が突然やんで、雲の隙間から光が差し込んできたような心境でした。喜びより、安心したというのが素直な気持ちです」15歳の少女が、43歳の女性になっていた。人間不信やPTSDに悩み苦しみ続けた28年もの歳月を経て、彼女は自らの意志で次のステップへと踏み出した。この4カ月後、教師等の性暴力から児童・生徒を守る新法が成立し、記者会見で石田さんは語った。「これまで置き去りにされてきた学校での性暴力の問題について、急に動きだした感じ。自分が訴えてきたことが、生かされたことはうれしいです」現在も発信を続ける彼女は言う。「『加害者にならないための教育』が大事だと思うんです。泥棒や殺人がやってはいけないことと同じように、教師の性暴力も犯罪なのだと社会全体で認識すること。また親御さんに対しては、もしお子さんが被害を受けていても、子供を責めることはしないでほしい。被害の当事者はけっして悪くないと伝えたいです」
2021年09月13日「性犯罪では、被害に遭った人は『一生苦しむ』と言われたり、ときには『魂の殺人』という表現で語られたりします。それは一部事実だけど、本当ではありません。人には、戻る力もあります。私も一時は“先生”や“札幌”という言葉を聞くのもひどく苦痛でしたが、変われました。周囲の支えや法律に守られることによって立ち直れる事実を、私の体験を通じて知ってもらいたいのです」フォトグラファーの石田郁子さん(43)が、信頼する教師から「性暴力」を受け始めたのは、札幌市の中学に通っていた15歳のとき。ずっと「恋愛」だと思い込まされてきて、それが「犯罪」であったと気付いたときは37歳になっていた。児童・生徒への教師による性暴力が後を絶たない現状がある。文部科学省によると、’19年度に性暴力やセクハラで処分された公立小中高などの教職員は273人で、過去最多だった前年度とほぼ変わらぬ多い数だった。このうち121人が、性暴力によって懲戒免職となっている。そんななか、21年5月に、教師らによる児童・生徒へのわいせつ行為や性暴力を防止する、いわゆる「教員性暴力対策法」が成立。この新法により、懲戒免職となった教職員が処分歴を隠して再び教壇に立つことなどが極めて困難となった。石田さんが、彼女の尊厳をかけて「実名・顔出し」で取り組んだ教師らを訴えた裁判は、この新法成立に大きく寄与したとされる。自らのPTSD(心的外傷後ストレス障害)や時効の壁との闘いを経て、現在は性暴力に関する講演や執筆も精力的に行っている。「15歳までは、どこの学校にもいる、絵の好きな普通の女の子でした」魂の回復までの、四半世紀に及ぶ長い道のりを語り始めた。■「実は好きだったんだ」教師に無理やりキスをされ、頭が真っ白になって……「77年、札幌市の生まれです。両親はいわゆる団塊の世代で、父は公務員、母は専業主婦でした。加害者の教員は、私が中3のときに、通っていた公立中学に赴任してきました。担当は美術で、当時28歳で独身でした。中3の卒業式の前日に、その教員から突然、『チケットがあるんだ』と、美術館に誘われました。私は美術科のある高校を目指していて、絵の指導を受けていました。お世話になった先生の誘いを断れずに美術館へ行き、そこで私は急におなかが痛くなるんです」その教師Aは、体を休ませるためと言って石田さんを一人暮らしの自宅に車で連れ帰った。やがて体調が戻った彼女が画集などを見ていると、「実は好きだったんだ」いったんは拒絶したものの、無理やりキスをされた。「私は頭が真っ白になり、過呼吸のような状態になって、泣きだしてしまいました。その後、春休み中に、言われるがまま3回ほど会いました。同じころ、私の異変を察した母に、『先生にキスされた』と初めて打ち明けました」すると母親(73)は、「15歳なのに早すぎる。そういうことは、好きな人とするもの」娘の気持ちや事情を聞くことはなく、叱りつけてきた。「もともと世間体を何より気にする母でした。その叱責を聞いて、私は子供なのにいやらしいことをしてしまったんだと思うと同時に、親に知られると頭ごなしに怒られるんだと思って、その後、教員とのことは言わなくなるんです。当時の私にとって、性的な犯罪というのは、夜道で怖い人が襲うというイメージでした。でも教員は、『好きだ』と言いながら性的なことをしてくる。彼は私の絵を褒めてくれる人であって、イコール恋愛ではけっしてない。ただ、自分が生徒として好感を持つ先生が好きと言うのなら、私も喜ばなきゃいけないかな、というのが正直な気持ちでした」その特異な関係性に気付くのは、もっとあとになってからだった。「教師と生徒。その絶対的な支配関係があって、一緒にいる間は、私は人形のようになっていたと思います」高校は、進学校として知られる地元の公立校へ。「その後も、海に車で連れていかれて車内で上半身裸にされることがあったりして、私は罪悪感を持って家に帰るんです。誰にも話せず、自分の中に不安がたまっていくだけ。その分、必死で勉強しましたね。性的な被害を受けて精神が揺らいでいたので、確実に結果の出る勉強という安心にすがっていたのだと思います」卒業後には地元の一流大学へ合格でき、美術史を専攻することとなった。しかしそのころ、教師Aとの関係性に一つの大きな変化が。「私が大学生になると、教員から直接の性行為を求められるようになるんです。私自身はずっと感情をなくしている状態ですから、怖くもないし、楽しくもない。ただ、性交がうまくいかないんです。私が受け入れる状態になれない。不感症というものじゃないかと疑ったこともありました。ただ痛いばかりで、『痛い、無理です』となっていました。のちに取材などで、『彼が痛くなくなるような工夫は?』と問われて、初めて気付くんです。向こうには、相手に対する気遣いなど一切なかったということに。その後、別の男性とは互いに思いやる感情も持てましたし、普通にそうした行為もできましたから」別れもまた、一方的だった。「大学2年の夏でした。教員に新しい恋人ができたようで、私とは会わなくなりました。彼の相手は、新任でやってきた女性教師だったようです。私が出した手紙も、開封されずに送り返されてきたりして。これで縁が切れた、と思いました。と同時に、ひどく憂鬱な気分にもなってしまうんです。支配する、されるという異常な環境があまりに長く続いたから、それが激変するのはまた怖いという……。DVの構造に似ているのかもしれません」その後月日がたち、ほかの性被害の事例を知り、裁判傍聴などにいくにつれ、石田さんは「自分のされたことは裁判になるようなことなのだ」と自覚した。そのとき、涙が止まらなかったという。それがきっかけとなり、石田さんは札幌に戻り、教師Aを呼び出す。教育委員会への申し立てに先立ち、証拠となる音声データを集めるためだった。「うまく言えませんが、私自身、このまま黙って生き続けることはできないという思いです。今もあの教師が中学校で普通に生徒と接していて、教育委員会も黙認している。その教室の情景を想像して、黙っていられなくなったのが、私が提訴に至ったいちばんの理由です」長い長い戦いの始まりだった。そして石田さんの勇気は、冒頭に述べた通り教師Aを懲戒免職へと追いやり、多くの被害者を救う教師等の性暴力から児童・生徒を守る新法設立への大きな後押しへとなったのだ。■実名で顔もさらして戦った石田さんは、被害者の立場で発信を続けている「狭いうえに散らかっていて、ごめんなさい。これでも必死に片づけたんですが(笑)。4年前から、ずっとこの6畳一間で、ご飯も仕事の写真処理も行ってます。さあ、まずは冷たい麦茶でも」都内にある石田さんの自宅兼仕事場を訪れたのは8月の猛暑の日だった。カメラ機材や性暴力に関する書籍などがぎっしり置かれているなかから、記事で使用するアルバムや写真などを探し出してくれる。「中学の卒業アルバムは、ずっと見られなかった。ようやく最近です、見ても平気になったのは。ああ、この人が、その教員です。おかしいと思いませんか、私の写真はいろんなところに出ているのに、加害者であるAの顔は誰にも知られていないというのは」それまでにこやかに対応してくれていた石田さんの表情が一瞬、翳る。教師Aは懲戒免職となった直後、「処分は不当」としてその取り消しを求めている。彼女は言う。「『加害者にならないための教育』が大事だと思うんです。泥棒や殺人がやってはいけないことと同じように、教師の性暴力も犯罪なのだと社会全体で認識すること。また親御さんに対しては、もしお子さんが被害を受けていても、子供を責めることはしないでほしい。被害の当事者はけっして悪くないと伝えたいです」同様に、加害者へのケアが必要と語るのは、石田さんの裁判を担当した小竹広子弁護士。「私は加害者の弁護もしますが、過去に自身も性被害を受けていた男性が意外に多い。暴力の連鎖ですね。また時効の問題も、それを理由に罪に問われないとしたら、加害者が自分の罪に向き合う機会を奪うことになり、社会全体の不幸につながると思います」フォトグラファーとして、最近は中高生のスポーツ大会の撮影の仕事が増えたという石田さん。「サッカーとバスケを撮りました。ふと気付くと、自分が被害に遭ったときと同じ年代の子たちなんですよね。でも写真を撮っていて、純粋に若い子たちのひたむきな姿と出合えてうれしかったんです。今後は、信頼できる友人や、もちろん恋人も欲しい。あと、いずれ絵にも戻りたい。あんなことがあって、遠ざけてしまったから」美術科担当でありながら、絵が好きな少女の夢まで奪ったことを教師Aは自覚しているだろうか。石田さんが、再び絵筆を手にする日が近く訪れることを切に願う。
2021年09月13日■前回のあらすじ「警察に行こう」と提案すると動揺して帰ろうとする叔母さん。しかし、きららちゃんを守るため、さらに抑止力のある言葉を投げかけます!■動揺した! しかし手をあげたことを認めない叔母さん■叔母さんは卑怯な手段に…ひ、卑怯者…!そんなの本人に言えるわけないのに…!鬼のような形相をした叔母さんに詰め寄られたきららちゃん…、一体どうなる!?次回に続く(全19話)「娘の友達に困った時の話」は毎日17時更新!
2021年06月05日「文春オンライン」で元恋人への暴力などが報じられた俳優・小澤廉の所属事務所は14日、公式サイトに文書を掲載。報道を認めた上で、小澤との契約を解除したことを報告した。サイトでは、「本日、一部報道を受け、本人に事実確認を致しましたところ、記事にありました通りとの確認が取れたため、事態の重さを鑑みて、本日を以て契約を解除する事と致しました」と報告し、「お相手の女性の方には、心より深くお詫び申し上げます」と謝罪。「関係者の皆様並びに応援してくださっているファンの皆様にも多大なるご迷惑、ご心配をお掛け致しましたことを深くお詫び申し上げます」と続け、「弊社と致しましては、ご迷惑をお掛けした皆様には誠心誠意対応させていただき、改めて社員、アーティストへの指導を徹底し、再発防止に努めて参ります」としている。
2020年12月14日過去に受けた親御さんからの暴力やネグレクトが心の傷となり、今現在も子育てに支障が出ているママ。どうやって過去のトラウマから脱出しようとしているのかをご紹介しています。 現在、2人の姉妹を育てている母親です。実は私自身が毒親の元で育ち、ネグレクトや暴力などを受けて育った経験がありました。そんな私が「どうしたら幼少期のつらかった経験を乗り越えられるか?」と日々もがいている様子をお伝えします。 自分の過去がフラッシュバック現在3歳の長女がちょうど1歳を過ぎたあたりから、「なんで言うことを聞いてくれないの?」と苛立つ機会が多くなりました。その際にいつも思い出すのは、私が物心ついたおそらく3歳ごろからはすでに始まっていた、実母の私に対する暴力行為です。 どうしてもフラッシュバックしてしまって、長女を叩いてしまいそうになる衝動を抑えることに必死な毎日でした。 子どもを叩きたくなったらどうするべきかつらい経験をしたからこそ、子どもたちに対して暴力行為によるしつけをおこないたくはありません。しかし、度々過去の出来事がフラッシュバックする自分を責めてしまう日々。こんなことはママ友などにも話せませんでした。「じゃあどうするか?」と次に考えたことは、行政や心療内科といったプロの方々に助けを求めることでした。 見守られていると実感すれば行動は変わる私自身の経験ですが、暴力行為は閉鎖的な空間だと起こりやすいと感じます。つまり「ママと子どもだけの孤独な関係や、地域など社会的なつながりなどから閉ざされた環境」だと、より自分自身の価値観が狭まってしまう気がします。だから私は「たくさんの人とつらかった自分の過去や気持ちを共有し、見守ってもらう」ことを選択しました。ただ、ママ友とは滅多に共有できることではないと考え、プロや行政に助けを求めることに。具体的には市の産後ヘルパーを活用したり、保健師の定期的な訪問をお願いしたり、臨床心理士によるカウンセリングを受けたりしました。 心の解毒法とは臨床心理士によるカウンセリングでは、徹底して私の話を聞き取ってくれました。ママ友や自身の親などには話せないことをプロの方に聞いていただき、「心の闇を誰かに直接話すことで少しラクになれる」ことを体感できました。傾聴してもらうことで、気持ちの整理がつき、問題解決の方向性などを自身で見つけ出せるようになりました。もちろん、メンタルの調子には波があり、良い日もあれば「怒鳴りすぎたな……」と反省する日もあります。しかし「どんな自分でも受け入れ認める」という業を達成すれば、少しずつ自身のトラウマも乗り越えられるのではないかと感じています。 私は現在「自身の心の解毒法」の一環として、心療内科や保健センターなどに見守っていただきながら日々を過ごしています。「すべては子どもたちの健やかな成長のために」と強く思いながら、あらゆる人々に助けを借りて「いろいろな人が私を心配してくれているんだ」と思うと、自然と抑制心が出て心にブレーキをかけることができています。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 イラスト/塩り監修/助産師REIKO 著者:山本加奈子2児の母。自身の体験をもとに、妊娠・出産・子育てに関する体験談を中心に執筆している。
2020年11月29日私の父親は、気に入らないことがあるとすぐに怒鳴り散らしたり暴力をふるったりする人でした。特に子どもに求める学力のレベルが高く、勉強が原因で叩かれることが当たり前の家庭で育ちました。自分が親になってみて、反面教師にしようと思うことがたくさんあります。 年齢以上のレベルを求める父父自身は家庭の事情でレベルの高い学校に通うことができなかったため、子どもである私と弟に過剰な期待をかけていたようです。 5歳になってひらがなが読めるようになると、新聞を毎日読み上げさせるようになりました。大人が読む物ですから、もちろん漢字にふりがなはふっていません。漢字の読み方がわからないと1度は教えてくれますが、2度目に同じ漢字が読めないと頬を平手打ちです。小学校4年生くらいまで続いたと思います。つらくて泣きながら読みました。 弟への罪悪感私は女の子だったので、まだ手加減していたようです。男の子には容赦がなく、2歳下の弟は私よりも高い学力レベルを要求され、さらにひどい暴力をふるわれていました。恐ろしいのはそれが当たり前になってしまっていたことです。 私は進学し、弟よりも先に家を出ました。私がいなくなった家では、父のターゲットは弟ひとり。どんなにかつらい目にあったことだろうと思います。しかし、当時の私は進学できた安心感と家を出られるうれしさで、弟のことなど考えていませんでした。その罪悪感は、今でも持ち続けています。 母親との喧嘩がつらい一方、母は子どもに声を荒げたことがなく、とてもやさしい人でした。父と母の立場は対等だったようで、父は子どもには日常的に手を上げましたが、母を叩いているところは見たことがありません。母はよく父と大きな声で口喧嘩をしていましたが、それでも子どもへの暴力を止めることはできませんでした。慣れてしまっていたのだと思います。 子どもの私は、両親の喧嘩が嫌でたまりませんでした。2人は「親の責任」を果たすために、ののしり合いながらも一緒に生活し、弟が成人したあとに離婚しました。子どものせいにしないで、自分たちの責任でさっさと別れたらよかったのにと思います。 親ですから尊敬できる部分もあります。しかし、しつけと称して暴力をふるったこと、子どもへの過剰な期待、毎日のように起こる夫婦喧嘩という点に関しては、確実に毒親だったと思います。私は子育てに関して、何があっても絶対に暴力をふるわないこと、子どもの前で夫婦喧嘩をしないことの2つだけは、絶対に守ろうと思っています。 監修/助産師REIKOイラストレーター/まっふ著者:武田沙季子自身の体験をもとに、妊娠・出産・子育てに関する体験談を中心に執筆している。
2020年11月08日スポーツの現場での暴言、暴力、ハラスメントは世界中で大きな問題とされています。7月20日、調査機関ヒューマン・ライツ・ウオッチが、来年開催される予定のオリンピック、パラリンピックに向け「日本のスポーツにおける子どもの虐待」というレポートを発表しました。これは子どものころにスポーツをしていた50人以上へのインタビュー、400人以上へのオンラインアンケート、スポーツ団体へのデータ提供などで調査を行ったもので、日本の子どもたちがいまだにスポーツの場で暴力・暴言などの被害を受けていることがわかりました。また、この問題に対する対処と予防の遅れの原因となっている制度上の不十分な点も明らかに。サカイクではこの調査結果を受け、サッカー界での現状・対策方法などについて、日本サッカー協会(以下JFA)リスペクト・フェアプレー委員会、委員長の山岸佐知子さんにお話しを聞きました。2008年度にリスペクト宣言をし、暴力根絶に向けてとりくんできたJFAの現状とは。(取材・文:前田陽子)親は「我慢が足りない」などと言ってはいけません■サッカー界は他競技に先駆けて2013年に相談窓口を設置ヒューマン・ライツ・ウオッチのリサーチを受けて、山岸さんは「正直そうだと思います」と話します。ただ、日本も少しずつ改善されているとも。JFAでは、暴力行為の早期発見と是正および再発防止をするために2013年に暴力等根絶相談窓口を設置しています。2018年に寄せられた相談総数は120件、2019年は243件と増えています。増えた要因はさまざまなスポーツでの暴力暴言が報道されたことも一因。世間が関心をよせ、暴力や暴言に敏感になったことで相談数も増えているようです。「件数が増えることは決して悪いことではありません。悩みを抱えている人が、内にこもることなく相談というアクションを起こすことができているのは、いいことだと思います。」相談内容は暴力、暴言、そのほかのハラスメントと大きく分けていて、2019年は暴力が43件、暴言が127件と暴言の相談が増えています。「手を上げることはいけない、よろしくないという認識が大分浸透してきていますが、それまでは暴力をしていた指導が暴言にシフトしている可能性もあるのではないかと考えています。受ける側からすると暴力も暴言も同じこと。特に年齢が低いお子さんにはダメージが大きいです。暴言は暴力と同等、もしくはそれ以上の凶器になってしまうと考えています」■選手の安全や安全を確保する『ウェルフェアオフィサー』JFAでは2013年からウェルフェアオフィサーの設置に取り組んでいます。ウェルフェアオフィサーの主な役割は、サッカーを楽しむために選手の安心や安全を確保すること、リスペクトやフェアプレーを推進することにあります。全試合とはいきませんが、一部の主要な試合でマッチ・ウェルフェアオフィサーを置き、試合でのチームのマナー、声かけの仕方などをアドバイスしています。ウェルフェアオフィサーは規律委員ではないので、罰則を下すことで排除するのではなく、気づきを与え自ら改善するように促すことが役目です。「仲間同士で気づいて、お互いに指摘しあってほしいです。仲間内で改善されていくことが一番いいと思っています。暴力や暴言を続けていくと、監督さんやコーチもいずれはその立場を失うことになるかもしれない。そういうことを互いに話せる環境になっていくと暴力、暴言指導なども自然となくなっていくのではないかと思います」さらに、JFAではクラブで問題が起きた時にクラブ内で解決できるようにする仕組みづくりの一環として、クラブ・ウェルフェアオフィサーの設置を推進しています。■親は子どもの話をよく聞いて、解決ができなければ相談窓口へ子どもが暴力・暴言を受けていると思っても、監督やコーチに直接話をするのは難しいところ。子どもに「あなたがいけないんじゃない?」、「我慢がたりないのよ」などの声かけは絶対にNGです。そんな風に言われたら、子どもの言葉は続かなくなってしまいます。まずは子どもの話をきちんと聞くこと。そして、問題だと感じたらJFAの暴力等根絶相談窓口へ連絡することです。相談は匿名でも受け付けて、必要であれば調査をします。相談は昨年までは電話、FAXの手段でしたが、今年からはJFAのホームページ内にある暴力等根絶相談窓口通報受付フォームから通報が出来るようになりました。「これまでにライセンスの一次的な停止などの処置をしたケースもありました。ですが、起こしてしまったことをしっかりと反省をして、心を入れ替えて再度サッカーに携わるという道もないといけないと思っています。大切なのは過ちを理解して、繰り返さないこと。そのための教育的なプログラムは必要になってくると思います」と山岸さん。■サッカーをプレーしているところに笑顔があふれるようにJFAでは、自分たちの環境を自分たちで守るウェルフェアオフィサーのような役割の人を増やしていく予定です。サッカーに暴力も暴言も必要ありません。プレーしている選手たちが笑顔でサッカーを楽しめることが重要で、そういう環境を守るのは、サッカーに携わる私たち大人です。また、指導者には暴力暴言を使って指導をしていてもいいことはないということを、しっかりと認知してもらくことが大事です。「ただし、古い体質は長い歴史の上にあるもので改善までには長い時間がかかるのではないかと思っています。コツコツと努力を続け、グラスルーツのチームまで浸透させていくことが我々の役割だと思います」■子どもたちは大人の背中を見ています山岸さんは、以前はレフェリーとして多くの試合を担当していました。そんな山岸さんから貴重なお話をうかがいましたので、ご紹介します。「サッカーはコンタクトスポーツです。当然、フェアにチャレンジしていてもコンタクトすれば倒れる場面もあります。その際にすぐに立ち上がってプレーを続けることを促すチームと、倒れたことをアピールするチームでは、特に下の年代ですが、冷静なチームの方が強いです。コーチがレフェリーに対して倒れたことをアピールすることで、選手も煽られてしまい、プレーに集中することを忘れてしまうのです。それが当たり前だと、自分たちがミスをしたりうまくいかないと人のせいにしてしまうようになります。練習の中でレフェリーにアピールするようにという指導はしていないと思いますが、子どもたちは大人の背中を見ている。せっかくいいプレーをする力も持っているのに残念です。倒れてもすぐに起き上がってプレーする習慣があるチームは、仮にその時に優勝する力がなくても、そういう習慣が身に付いている選手は年齢が上がるに連れてたくましくなり、優勝争いができるようになります。自分のやるべきことがちゃんとわかるようになるので。子どもたちは大人の様子を見て、真似ます。大人はそれを自覚して接してほしいですね。」大人になると中々自分を変えることは難しいものです。ですが、選手たちが安心、安全な環境の中でサッカーを楽しむために、JFAへの啓蒙を続けていきます。後編では指導者養成の面でどのような活動をしているのかをお送りします。日本サッカー協会暴力等根絶相談窓口対象となる行為の詳細、通報フォームはこちら>>
2020年09月08日フランソワ・オゾン監督が、フランスでは誰もが知る児童への性暴力事件「プレナ神父事件」を映画化した最新作『グレース・オブ・ゴッド告発の時』。この度、性被害者のひとり、フランソワ役のドゥニ・メノーシェとエマニュエル役のスワン・アルローの貴重なインタビュー映像が公開された。ひとりの勇気ある告発者から端を発した児童への性的虐待事件は、結果的に80人以上もの被害者が名乗りをあげ、プレナ神父が教区を変えながら長年にわたって信者家庭の少年たちに性暴力を働いていたという事実が白日の下にさらされた。この度解禁されたインタビュー特別映像では、本作で描かれた3人の被害者のうちの2人、フランソワ役のドゥニ・メノーシェとエマニュエル役のスワン・アルローが本作への思いを語っている。メノーシェ演じるフランソワは、教会側に宣戦布告するなど闘志あふれる被害者。オゾン監督はキャスティング理由として「彼のエネルギー、目に見える力強さがフランソワにぴったり」と語る。本作で描かれた性的虐待と信仰について、「聖職者による事件が明るみになった時、別の地域や国でも同じ事例が判明した。真実が語られることを願っている。宗教を重んじる人にとって信仰はとても重要だ。信仰とは世界をよくするもの。問題があるなら議論すべきだ」とあくまで本作の意義は断罪ではなく、問題について議論していくことだという。また、『危険なプロット』に続いてのオゾン監督作への出演に「見事な脚本だった」と賛辞を惜しまない。本作の、声を上げた被害者から次の被害者へとバトンを渡していくような構成には「人から人へ物語が手渡されていく。彼らが何をやりたいのかがよく分かる。事態が変わるかはわからないが、議論の場には上がるだろう」と希望を込めて語っている。続いてオゾン監督が、『ブラッディ・ミルク』を観て「感性の豊かさと脆さがぴったりだと思った」と配役理由を語るスワン・アルローは、肉体的にも精神的にも虐待のダメージを深く負ったエマニュエルを演じている。役柄について「自分が演じる(実在の)人物には会わなかった。会えば真似をしたくなる。“脚本を元に演じてほしい”と、監督は強く願っていた」と、事実の綿密なリサーチの上に執筆した脚本を信じ、劇映画としてイマジネーションの広がりを俳優に託したオゾン監督の思惑を明かした。本作については「(事件について)テレビやラジオで聞くことは単なる情報にすぎない。当事者の人生をよく知ることで、本当の苦しみが見えてくる。その役割を本作が果たすことを願う」と、自身の願いを語った。フランスでは連日テレビやラジオで報道され、誰もが知る「プレナ神父事件」を基にした本作は、公開されるやいなや91万人を動員する大ヒットを記録した。事件のあらましだけではなく、その内部に観客を導き、心揺さぶるヒューマンドラマとして魂を吹き込んだ2人の熱演を劇場で確かめてほしい。『グレース・オブ・ゴッド告発の時』は7月17日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2020年07月03日平成18年度と平成29年度の11年間で、小学校1年生のクラス内での暴力は約19.2倍になっています。その原因が感情のコントロールが苦手なお子さんが増えているから。あんふぁんWebで「子どもが家族に対して暴力をふるったり、暴言を吐くことはありますか?」と質問したところ、47.5%の人が「ある」と回答しています。実際にお子さんの暴力・問題行動にお悩みの読者をお呼びして、リアルな声を聞きながら、今の子どもたちを取り巻く状況について、読者と増田先生でざっくばらんに話しをする場を設けてみました。夏休みを迎えた今、今一度親子関係を見つめなおしてみませんか?平成29年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」文部科学省発表小学生のお子さんの暴力・問題行動に悩むママたちYさん2児のママ。埼玉県在住。長男(小2)の問題行動に悩んでいる。パパに対する態度とママに対する態度があからさまに違うことにお悩み。Iさん4児のママ。東京都在住。長男(小4)の問題行動に悩んでいる。子だくさんゆえに、目が行き届いていないこともお悩み。【Yさんの場合】小2長男の口答えと暴言に悩んでいますYさん : 私は長男(小2)が口答えすることに悩んでいます。反抗期なのか、言い争いになることが多いです。とくに字の汚さを注意すると言い返してくることが多くて…。もう少しきれいに書けば、できるのは知っているので、「もう少し、きれいに書けないの」と言うと、そこから言い争いになり、「字が汚いのはお母さんのせいだ」「どうせバカだと思っているんだろ」「オレなんかいないほうがいいと思っているんだろう」と言い始めて。この言葉はショックでした。子どもにそう思わせてしまったのだろうか、とかなりへこみましたね。増田先生 : そのような発言は、お父さんに対してはないですか?Yさん : ないですね。父親に対しては、そのような態度に出ることはなく母親のみです。2人のときだけなので、父親は信じがたいと思います。私が報告をして、父親が翌日に話をすると、素直に非を認める感じがあります。増田先生 : 文字を書くのは早い方でしたか?Yさん : そうですね。字は年中くらいから、父親が教えて書けるようになっていたと思います。増田先生 : そうですか。最近は保育園でも字を教えているところが増えましたね。私も字の書き方というか、鉛筆の持ち方を教えています。Yさんのご家庭では、鉛筆はどのように持つといいと指導していますか? ただ、「上手に文字を書きなさい」というのは子どもには難しいんです。持ち方をきちんと教えてから、書き方を教えることが大切です。大人はよく「きれいに書きなさい」と言うけれど、そうではなく、まず大事なことは鉛筆の持ち方を教えることなんです。Yさん : 言葉遣いが悪いことも気になっています。どのように注意すればいいか。どこまで許すかが難しくて…。私に対して「てめぇ」と言ったりすることもあって。増田先生 : 言葉自体はそれほど気にしなくていいと思いますよ。考えるべきなのは、何でも「お母さんが悪いんだ」という責任を転嫁してくる傾向の方ですね。今、学校では、いろんな問題が低学年で起きています。その中で思うのは、「他責タイプの子が多くなっている」ということ。大学生になっても、単位が取れないのは先生が悪い、先生の教え方が悪い…というんですね。何か不都合があったときに、まず自分が悪いと思わない、責任転嫁する傾向を感じます。こういう傾向は、小学校から始まっていて、Yさんの息子さんだけの話ではないんですね。こういう子どもがなぜ増えたか?を考えると、世の中が、なんでもきちんとできる子を求めているからだと思います。きっと、Yさんのご主人は子どものころからできる人だったのではないでしょうか。「お父さんはしっかり生きてきた」という無言の圧力があって、「お父さんはできる人だ」というリスペクトが息子さんにある。同時に「でも僕はできない」という焦りや、「自分はそうはなれない」という思いが息子さんの中にあるように感じます。実はそれが大きなストレスとなっている可能性もありますね。【Iさんの場合】子どものウソにほとほと疲れてしまいました…Iさん : 私は長男(小4)のウソに悩んでいます。小2くらいから多くなったのですが、当時、クラスが荒れていて、担任の先生が3回変わる事態がありました。母親と父親に言っていることが違ったり、明らかにウソだとわかるのに、ウソをつきとおそうとします。増田先生 : 僕は子どもは、自分の都合がいいようにウソをつくものだ思っています。「ウソはいけない」というのではなく、もっと「うまいウソをつきなさい」くらいの感覚がいいんじゃないかな。「もっと笑えるようなウソを考えてごらん」って言ってみる。うまくユーモアにすり替えるという感じですね。いずれ、子どもはウソをついていけない場面はわかってきますよ。息子さんがウソをついているなと思うときは、聞き方を変えてみるのも大切ですね。話を聞きながら、「うんうん、それで? うん、それで?」「ふーん」「どこが通じてないと思う?」という感じで聞いていく。子どもの話を聞いているようで、実は「話し手モード」で対峙しているお母さんが多いんです。子どもに促すのは「反省」ではなく「内省」です。自分の非を認めるのは難しいけれど、自分自身で考えさせることが大切。Iさんの息子さんの話を聞いていると、語彙をもう少し増やせるといいと思いますね。息子さんが小さい頃「読み聞かせ」はしていましたか?Iさん : いえ、ほとんどしていないですね。増田先生 : 今、4年生ということですが、今から「読み聞かせ」をしてみてください。2年生くらいが読む絵本から始めてみるといいと思いますよ。言葉の数を増やすには、読み聞かせが大切。今からでも遅くないので、ぜひやってみてください。そのとき、その絵本の世界を一緒に楽しむことが大切ですよ。音読が大切なのは、言っている言葉が耳には跳ね返っているからなんです。それによって、理解度が高まる効果もあります。ぜひ声に出して読んであげてください。ほかには「対面読み」。同じ本を2人で読み合わせるのもいいですね。同じ本を2冊用意して2人で読んでみる。僕は子どもたちに、絵本を見せないで読んでみる → その場面、世界を想像させる → 絵を見せる、ということもしていました。文字能力だけでなく、絵を一緒に見せて読解力を深めるんですね。現代は子どもたちにとって「受難の時代」今回のお悩み相談を受けて、増田先生から読者に向けてメッセージをいただきました。Iさんの相談の中に、小2のとき担任が3回変わったという話がありました。僕が小学校教諭だったときに、担任が7回変わった事例がありました。子どもたちが悪さをする → 親が文句を言う → 先生が病んで辞める → 子どもが「自分たちを見捨てた」と思う → 僕たちはどうでもいい存在だという感覚 → 投げやりな気持ちになる、という悪循環でした。担任が通年を見ることがいかに大切かということです。それから、最近の子どもたちの関係性においては、クラスの同調圧力が強い、それに抵抗することが難しいということを親が理解してあげてほしいなと思います。以前はクラスのリーダーも決まりやすかったです。なんとなく中心になる人物がクラスをまとめ、先生をサポートしてくれてもいた。でも、今はリーダー自体が、全体の空気を読まないといけない。だからリーダーをやりたくないと思うようになる。現代は子どもたちにとって「受難の時代」だということも親として頭に入れていただきたいです。増田修治先生白梅学園大学子ども学部子ども学科教授。1980年、埼玉大学教育学部を卒業後、埼玉県の小学校教諭として28年間勤務。若手の小学校教諭を集めた「教育実践研究会」の実施や、小学校教諭を対象とした研修の講師なども務めている。「笑う子育て実例集」(カンゼン)、「『ホンネ』が響き合う教室」(ミネルヴァ書房)など、著書多数。
2019年07月26日2016~’17年に、立て続けにエリート大学生らによる性暴力事件が報道されたのを覚えているだろうか。姫野カオルコさんの『彼女は頭が悪いから』は、そんな暴行事件のひとつ、東大生による集団わいせつ事件に着想を得て書かれた。読者自身の倫理観や価値観を映し出す、恐るべきミラー小説。「最初にラジオのニュースで聞いたときから、直感的にこれまで見聞きしてきた事件とはどこか違うと違和感を覚えました」姫野さんは、自分なりに報道等で事件を調べるとともに、裁判の傍聴にも出向いた。同じくこの事件について取材を重ねていたフリーライターの高橋ユキさんから話を聞いたりもしたという。結局、取材開始から出版まで、2年近くを要した。「事件そのものは、すでに法廷で裁かれており、細かい事情まで知らない私があれこれ言うことではありません。性衝動では説明できないような事件が起きたという結果の報道から、こうであったかもしれないという、自分にも多くの人の中にもある醜さを考えたいと思いました」のちに被害者となる神立美咲は、横浜の平凡な家庭で育ち、普通の女子大に進学した。加害者となる竹内つばさは、東京の一等地の公務員宿舎に住まいがあるような家庭で何不自由なく成長し、東大生となった。「私なりの調査から推測した女性像、男性像です。美咲は『ま、いっか』とその場の空気に流されてしまう女性で、つばさは東大ブランドを万能だと勘違いしているような男性」物語のほとんどは、美咲やつばさがどうやって育ってきたかに割かれており、それがわいせつ事件の背後に潜む、現代社会や市井の人々の歪んだ倫理観や価値観を際立たせる。「この作品に出てくるのは、加害者もその家族もSNSユーザーもイヤな人たちばかり。その中の誰に、どんな物言いに嫌悪感を覚えるかで、自分がどういう人間かが見えてきます。見たくないのに、できてしまったおできは鏡で見ずにはいられないですよね。そんなミラー小説と呼べるような作品になりました」問題作にふさわしいエンディングは、最初から決めていたのだろうか。「展開も含め、作者の意図が介在する余地がなかったですね。登場人物たちがみな自分で語りだし、行動し……、私はそれをただ書き留めていただけのような気がします」姫野カオルコ『彼女は頭が悪いから』カバー絵に、身分格差のある悲劇的な恋愛を描いたといわれるジョン・エヴァレット・ミレイの「木こりの娘」が使われているのも印象的。文藝春秋1750円ひめの・かおるこ1958年、滋賀県生まれ。2014年、『昭和の犬』で直木賞受賞。エッセイにも卓抜した才能を発揮。著作に『近所の犬』『純喫茶』ほか。※『anan』2018年10月3日号より。写真・大嶋千尋インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2018年09月27日在宅介護では暴言や暴力が絶えないともいわれています。このいわゆる虐待は大きな問題でもあります。認知症の人に接するうえで最も大切なことは何か。このような悲劇を招かないために、一度立ち止まって考えてみる必要がありそうです。■ 最も暴力に発展しやすいのは子が親を介護するケース!?平成27年度、家族や親族による虐待数は15,976件でした。これは前年と比べて237件増えています。sakai / PIXTA(ピクスタ)介護者と要介護者の関係を大きく分けると、子が親を介護、妻が夫を介護、夫が妻を介護、妻が姑を介護、という4つのケースがあります。この中で最も感情を乱しやすいのは、子が親を介護するケースです。また認知症の人は感情のコントロールがうまくできないため、何かと怒ったり頑固になったりします。しかも言うことを聞かないうえ、暴言や暴力までふるうこともあります。その結果、介護者がストレスを抱え、今度は介護者による虐待が始まることも少なくありません。■ 虐待で最も多い!息子が親に対して行う暴力平成27年度の虐待事例15,976件のうち、息子が全体の40.3パーセント(7,099件)を占めています。Ushico / PIXTA(ピクスタ)以下、夫の21.0パーセント(3,703件)、娘の16.5パーセント(2,906件)の順に続いています。では、なぜ息子の暴力が多いのか。それは、もともと力の差があるうえ、身内という遠慮のない関係が災いし、暴力をふるいやすいのではないかと思われます。■ 在宅介護で虐待が起こる最大理由はストレス!息子や娘は、自分を育ててくれた親をいつまでも気丈で尊大な人と思いたいものです。しかし、幼児のようにわがままや身勝手な振る舞いをする親に、我慢できなくなり、つい手を挙げてしまうのではないでしょうか。厚生労働省の調査によると、在宅介護で虐待が起こる最大の理由は「介護疲れ・介護ストレス」とのこと。shimi / PIXTA(ピクスタ)徘徊や異常行動を起こす親に振り回されると、疲れ、ストレスが溜まり、やがて冷静に対処することができず、大声で怒鳴ったり、手が出たりします。■ 病に対する理解不足は悲劇を生む根源同じ質問を一日に何十回もされると、多くの人は冷静さを失うでしょう。でも、それが認知症なのです。言ったこと、聞いたことをすぐに忘れる病が認知症なのに、性格が悪いとか頭がおかしいとか、本気で思ってしまう人もいます。shimi / PIXTA(ピクスタ)認知症で最も悲しいことは、こうした誤解による関係性の崩壊です。では、どうすればいいのでしょうか?最大の防止策は、認知症を理解することです。多くの介護者が認知症を理解しないまま介護をしていると考えられます。介護方法は知っていても、病気についての理解がないため基本的な接し方ができない人が多いのです。これは悲劇の根源でもあります。認知症の人は病人である前に人なのです。汚い言葉には汚い言葉で返します。優しい言葉には優しい言葉で返します。■ 認知症を理解し受け入れる寛容さが大切認知症は治らない病気、認知症になったら家庭は崩壊する、などの言葉が独り歩きし、誤解を信じ込んでいる人はたくさんいます。認知症を理解することは相手を理解することであり、それによって憎まない・怒らないにつながります。しげぱぱ / PIXTA(ピクスタ)病を憎んで人を憎まず。難しいことかもしれませんが、病気を理解し真正面から受け入れる寛容さが私たちには必要なのだと思います。【参考】※イリーゼ高齢者虐待を防止するには?介護現場の実態と今後の解決策※厚生労働省医療経済研究機構「家庭内における高齢者虐待に関する調査」概要※厚生労働省平成27年度 高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律に基づく対応状況等に関する調査結果
2018年09月18日昨年4月13日に、『City of Lies』(原題)の撮影中スタッフに暴力を振るったとして損害賠償を求められているジョニー・デップが、訴えを真っ向から否定した。「The Wrap」などが報じた。原告で当時ロケーションマネージャーを務めていたグレッグ・ブルックスは、撮影現場でジョニデの過度な要求にも応えようと努力していた。しかし、グレッグはアルコールの臭いをさせたジョニデに身体を2回強く殴られ、「10万ドルやるから俺の顔を殴ってみろよ」と挑発までされたという。また、この事件について「訴えない」という放棄証書にサインをさせられそうになった。サインを拒否したところ、事件から3日で不当解雇に…。ジョニデの弁護士は「原告が訴えている事柄は、原告自身の感情的で悪意に満ちた行動によって起きたものです。被告のデップ氏は身の危険を感じ、(同作品の)ブラッド・ファーマン監督にも危険が及ぶと感じ、自分と周りの人たちを守っただけです」という旨の反論書を裁判所に提出した。また、「メディアで報じられていることは事実でなく、ジョニー・デップは訴えを起こしたあの人に触れたことすらないのです。十何人もの目撃者がいますし、彼らは証言もできますよ」と強気な姿勢も見せた。「すべての要求を退け、いんちきな訴えに全面的に闘うつもりです」とのことだ。(Hiromi Kaku)
2018年08月21日6月より上演されている松坂桃李の主演舞台『マクガワン・トリロジー』。同作の稽古場に潜入した。【チケット情報はこちら】今日の稽古は1部「狂気のダンス」。地下の酒場を訪れたIRA(アイルランド共和軍)の内務保安部長ヴィクター(松坂)は同胞アハーン(小柳心)に情報漏洩の疑いを持ち、司令官ペンダー(谷田歩)とバーテンダー(浜中文一)を巻き込みながら尋問する…。イギリスのポップスが流れて、ヴィクターが馬鹿にした様子で踊る。振付のアドバイザー・本間憲一が「ノリでいいんじゃない?」と言うが、演出の小川絵梨子が「ちょっとした振りが欲しい」と要望。そこで本間が、縄跳びみたいな連続ジャンプや、細かいステップを提案した。意外なことに、そのステップに松坂が苦戦。「あー、苦手だったんだ!」「意外!」と稽古場は笑いに包まれ、本人も苦笑い。本間が「じゃあボックスステップにしよう」とシンプルにすると良い塩梅に。稽古場後方で趣里が一緒に踊っているのが可愛い。他にも銃を取りに行く動作ひとつにスライドを入れるなど、音楽と台詞、動き、感情がシンクロする様は、このシーンの肝と言えそう。革ジャンを着た松坂は汗だくになって取り組んだ。ひととおり振りが決まると、休憩を挟んで、各シーンの返し稽古に。休憩の間も浜中はカウンターから離れず、ボトルやスナックを並べていた。その自然な様子は長いことここで働いているかのよう。ヴィクターがおどおどするバーテンダーにいちゃもんをつけるシーンでは、松坂は歌い、叫び、時には嘲笑するように恫喝。小川は松坂に「本当は(テーブル席に座っている)アハーンに向かいたいのに、なぜお前とやりとりしなきゃいけない?と苛立っている」、小柳に「ヴィクターが何かやりそうだと気になっている」と、役の心情を説明した。小川の演出は、常に誰に対してどのように意識が向かっているのかが明快だ。ヴィクターがドラム缶を叩きエキサイトする様子に、小川は「アハーンはヴィクターの話に乗らない。あまり聞いていなくていい。空気を感じて」と、指示した。ペンダーが来て、3人の激しいやりとりが始まる。小川は「ペンダーとアハーンはハグしてから出て来てください。今日こそふたりでヴィクターに勝ちましょう!」と喝を入れた。丁々発止のやりとりが迫力を増し、見る者は手に汗握ってしまう。が、小川は台詞ひとつひとつを考査し、各自の沸点がどこで上がるのかを組み立ててゆく。迫力に流されない、その緻密さが芝居を膨らませる。演劇の醍醐味が詰まった今作、必見だ。舞台『マクガワン・トリロジー』は7月8日(日)まで、兵庫・兵庫県立芸術文化センター阪急中ホール、13日(金) から29日(日)まで、東京・世田谷パブリックシアターにて上演。取材・文:三浦真紀
2018年07月05日6月から北米ツアーをスタートしたハリー・スタイルズが、テキサス州ダラスの公演で政治的な主張をアピールした。「End Gun Violence」(銃暴力に終止符を)と書かれたステッカーをギターに2枚貼り、ライブを行ったのだ。さらに、ハリーはこのギターを弾いている写真をSNSに投稿し、再度主張を強調した。テキサス州では先月18日、サンタフェ高校で在校生による銃乱射事件が発生。生徒、教師10人が命を奪われ、多くの人が負傷した。この事件を受けて、ハリーは声を上げたのだとみられる。銃に関してハリーが行動を起こしたのは今回が初めてではない。今年3月24日に世界各地で開催された、銃規制を求めるデモ「March Our Lives」(命のための行進)の趣旨に賛同したハリーは、SNSでファンにこのデモをサポートする署名を求めた。このデモは、2月に起きたフロリダ州の高校での銃乱射事件をきっかけに行われたものである。ハリーは銃規制問題のみならず、人権問題に対してもアクティブだ。ライブではLGBTQの人たちの象徴「レインボーフラッグ」を振ったり、「Treat People With Kindness」(思いやりを持って人に接しましょう)というロゴ入りTシャツを販売し、LGBTQの若者を支援する団体に収益を寄付している。LGBTQは、レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー・ジェンダークィア(自分が一つの性にカテゴライズされることに違和感を覚える人)の総称。(Hiromi Kaku)
2018年06月08日“私の兄は、障害者”。見て見ぬ振りして、直視できない現実を避けるように生きてきた、妹目線の連載です。 暴力的だった兄は、次第に家から出ない状態に変化していきました。文・心音(ここね)【兄は障害者】vol. 5高校退学後、兄は急に内向的になった大声をあげながら夜中に帰ってきたり、学校では “ヤンキー系” でヤンチャをしたりしていた兄。しかし、高校を退学させられた後は、だんだん世の中のギャップに気づきだしたのか、家から出ない日々が続きました。もちろん、中卒扱いで働く場所もない。外に出れば、好奇の的。だからといって、新しい予備校に行くという意欲もない……。母は「中学生までは、自慢の子供だった」と言います。運動神経が良く、足も速くていつもリレーの選手。ルックスもよくてオシャレが好きだった兄は、ファンクラブができるほど人気だったからです。それだけに、急に高校からいなくなった “人気者で目立つ兄” の噂は、瞬く間に広がっていきました。そして、自分の悪事に対して後から反省し始めたのか、兄は知り合いに合うたびに引け目に感じるようになっていきました。2階にある兄の部屋は、孤立していた両親は、兄の将来を考えて進路を応援する取り組みをしていましたが、兄は乗り気ではありませんでした。それどころか、部屋から出なくなっていったのです。基本的に部屋のドアを開けるのは、トイレのみ。歯磨きもしない、顔も洗わない、お風呂も入らない。ご飯を用意しても、リビングには来ない。同じ服を何日も着て、布団から出ないんです。「ねえ、お兄ちゃん、お風呂入ってスッキリしたらどう?」と母は、怒ることなく自分の部屋に何日も引きこもる兄に声をかけていました。「ご飯ができたから、リビングにおいで」と呼んでも出てこなければ、母は兄の部屋の前に、お味噌汁やご飯、焼き魚をトレーに乗せて「ドアの前に置いとくから、食べてね」とひと言。数時間経って、そーっと2階の階段を上ってトレーのご飯が減っていれば、片付ける。その繰り返しの日々が続きました。両親は無理に部屋から連れ出そうとはしませんでした。自分が撒いた “種” は、荒れ果てていた正直、兄に関して父より母のほうが献身的だった気がします。自分がお腹を痛めて “産んだ子” だからなのか、母はいつも兄の味方でした。見ていて苦しくなるくらい……。父は仕事から帰ってくると、たまに「疲れて帰って来ても、家の中では休まらんわ」と愚痴をこぼすこともチラホラありました。「知り合いに会いたくない」と兄がいっても、「お前が撒いた “種” だろ?」と冷たく言い返すこともありました。まさに、私は父が言った通りだと思います。“撒かない種に、芽は出ない” とよくいいますが、自分が撒いた後の畑には、必ず何かしらの “芽” が出ます。兄の畑は、荒れ果てていました。まるで、水のない乾燥した状態を耕さずにそのまま放置し、雑草が生えてぐちゃぐちゃになった畑。それは、兄が撒いた “種” の結果だったのです。そんな状況をなんとか打破するべく動いたのは、やはり母でした。パートをやめ、次のステップに踏み出しますーー。(C)RyanKing999/Gettyimages(C)yigitdenizozdemir/Gettyimages(C)Xander_D/Gettyimages
2018年03月11日この10年間で、小学校1年生のクラス内での暴力は約14倍になったという調査結果が出ました。原因は感情のコントロールが苦手な子どもが増えていることではないかと言われています。では、小さいうちから感情のコントロールを教えていくにはどんな関わり方をしていけばいいのでしょうか?小学校教諭として28年間勤務した経験のある、増田修治さんに聞きました。◆お話を聞いたのは…増田修治さん(あんふぁんサポーター)白梅学園大学子ども学部子ども学科教授。28年間小学校教諭として勤務した後、現職。子どもの荒れやいじめについて、新聞や雑誌などでアドバイスを多数行っている。あんふぁんWeb「小学生ママ」コーナーの「困ったら増田先生に聞いてみよう 放課後職員室」でも活躍中。●10年間で小学生の暴力は急速に増えている!急増の理由としては、昔は「じゃれ合い」とされていた乱暴な行為も「暴力」とみなされるようになったことが挙げられるものの、特に低学年の伸びが非常に高いことが分かります。※平成28年度「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸問題に関する調査速報値」(文部科学省)■子どもの暴力の特徴(1)…「なんとなくムカつく」だけで手が出てしまう私が過去に担任を受け持った児童の中には、「どうして叩くの?」と聞くと「なんとなくムカつくから」と答えた子がいました。何をされたわけではないけれど、「相手が気に入らない」ことが暴力の理由になるのです。■子どもの暴力の特徴(2)…自分の感情をうまく言葉にできない自分の心の中の苛立ちやモヤモヤをうまく言語化できず、感情がいきなり行為になって表れてしまいます。「ムカつく」「ばかやろう」「死ね」などの暴言を吐くのも、自分の感情に整理がつけられないためです。■子どもの暴力の特徴(3)…手や体の一部が触れることを嫌がる友達の手や体が触れることが我慢できず、払いのけたり叩いたり。家庭内でのスキンシップが不足している子に多いパターンです。また、「誰が触ったか分からないよ」という言葉も、過剰に潔癖な子をつくってしまいがちです。■子どもの暴力の特徴(4)…自分を棚に上げて人のことを責める小学校の荒れているクラスの子どもには、「みんなルールを守らないんだから自分も守らなくていいだろう」と考える「他責タイプ」が多く見られます。親が「○○くんって悪い子ね」とすぐ人のせいにすると、子どももまねしてしまいます。●先生に質問Q:暴力とけんかの違いって?A:お互いに言い分があるのが「けんか」。一方的な攻撃が「暴力」。友達やきょうだいを叩いてしまったり、蹴ってしまったり。わが子の乱暴な行動にヒヤッとした経験を持つママは少なくないことでしょう。ただし、手や足が出たからといって一概に「暴力」とは言えません。言い争ううちにエスカレートして、手や足が出てしまう。これは「けんか」です。けんかにはお互いに原因があり、言い分があります。一方「暴力」の場合、手や足が出ることに理由はありません。「なんとなくムカつく」という自分の感情で、一方的に相手を攻撃してしまうのです。Q:親の育て方に問題があるの?A:親に「〜しなさい」と命令されてばかりだと暴力的になる傾向に。「なんとなくムカつく」「ウザい」。こうした感情には、自分とは違う価値観を持つ相手のことを受け入れられないという問題が隠れています。「ムカつく」「ウザい」を連発する子どもたちには、親から「○○しなさい」と命令されて育った傾向があります。価値観を受け入れてもらった経験がないから、自分も誰かの価値観を受け入れることができないのです。Q:感情のコントロールを子どもにどう教える?A:どこが悪いのかどうすればいいのかを大人が丁寧に伝えて。「暴力を振るう子どもの親」は、「子どもだから許されるでしょ」と考える傾向にあるようです。例えば、わが子が公共の場で走り回っても知らんぷり、よその人に乱暴な口を利いても注意しないなどですね。もちろん子どもですから、未熟さゆえに間違えてしまうことはあります。その度に、その行動のどこがいけないのか、どうすればいいのかを教えていくのが大人の役目。その姿を見て、自分の感情や行動をセーブできる子どもが育っていくのです。●感情のコントロールができる子に!お子さんの「暴力の悩み」にお答えしますきょうだいやパパ・ママを叩いたり、電車の中で大声を上げたり…といったお悩みを、約半数の人が抱えているようです。でも、子どもがムカついているときこそ、感情をコントロールする術を教えるチャンス。増田さんにアドバイスを聞きました。Q:お子さんは家族に対して暴力を振るったり暴言を吐くことはありますか?2017年11月8日~12月5日、有効回答数1134■お悩み1位:きょうだいを叩く……25.7%兄弟げんかをすると必ず叩き合いに。「お互いさまだからお互いに謝ろうね」と言って仲直りさせますが、いいのでしょうか?(北海道・年長ママ)A. 「はい仲直り」はNG! 価値観を伝えるチャンスです「どちらか一方に肩入れしてはいけない」と思うあまり、言い分を聞かずに解決させていませんか?トラブルになった時こそ、何が正しくて何が正しくないかという価値観を子どもに伝えるチャンスです。「今回は、ママはお兄ちゃんが正しいと思う」「でも、お兄ちゃんもここは悪かったから謝ろうね」という伝え方をしていきましょう。■お悩み2位:思い通りにならないと大声を上げる……22.9%ファミレスで大人同士が話をしていると、気に入らないのか大声を上げます。周りの人に迷惑が掛かるので、ついスマホを与えてしまいます。(東京都・年中ママ)A. スマホでは感情をコントロールできるようになりませんスマホを渡せば静かにはなるでしょうが、大声を上げると迷惑になることは伝わりません。親が一緒に外に出て、「みんなが静かに食べられないよね」となぜダメなのか理由を話し、「落ち着くまで中には入れないんだよ」と毅然とした態度を取ってください。ルールを守れないと損をするという経験も、感情のコントロールにとって大切です。■お悩み3位:パパ・ママを叩く……20.6%悪いことをして怒られたとき、私を叩いたり蹴ったり。優しく言い聞かせていますが、つい怒鳴りたくなってしまいます。(神奈川県・年長ママ)A. 親だってたまには本気で怒っていいんです親だって人間ですから、叩かれたら腹が立つのは当然。どうしても我慢できないときは、「大事なあなたに叩かれたり蹴られたりして、ママの心がいちばん痛いのよ!」と正直に伝えて良いのです。しかしあまりに頻繁に親を叩くのは、愛情を欲していたり、親のことを下に見ている場合があります。普段の関わりを見直してみましょう。■お悩み4位:物を壊す、物に当たる……11.1%思い通りにいかないことがあると、すぐおもちゃを投げつけます。「落ち着きなさい!」と言いますが効き目がありません。(神奈川県・年少ママ)A. 感情を落ち着かせる「隠れ家」を作ってみましょう段ボールなどで子どもがちょうど入れるくらいのスペースを作り、気持ちが落ち着くまでそこにいる、自分の意思で出てきたところで話を聞く…という方法です。これは多くの幼稚園や保育園も導入している方法ですが、子どもたちは「隠れ家」がお気に入り。体が壁に密着することで「守られている」という気持ちになり、心が落ち着くようです。■お悩み5位:暴言を吐く……5.7%「うるせぇ! 」「ばかやろう」などの乱暴な言葉を使うようになりました。園の友達の影響かなと思うのですが…。(千葉県・年中ママ)A. 友達を責めずに「その言葉は嫌いだな」と伝えましょう友達のまねをするのは社会が広がった証拠でもあり、ある意味仕方のないこと。「そういう言葉はママは嫌いだな」と伝えていくことで、成長と共に直っていきます。くれぐれも「そんな乱暴な言葉を教えるなんて○○くんはひどい子ね」と友達を責めるのはやめてくださいね。良くないことがあったとき、他人を責めるクセがついてしまいます。●ムカつきやイライラの翻訳者になることが大人の役目です「ムカつく」と言ったり、叩いたり蹴ったりするといった暴力には、「自分の感情をうまく言葉にできない」という問題が隠れています。いったん言葉を通して説明することで、イライラやムカつきは整理されていくものですから、そこを手伝ってあげるのが大人の役目。「どういう意味でムカつくって言ってるの?」「こういう理由で叩いちゃったのね」と、大人が良き翻訳者になることで、自分の感情をコントロールできる子が育っていきます。巻頭特集監修/西東桂子さん(あんふぁんサポーター)illustrationYAMAMOTO Mamoru
2018年02月07日12月12日放送の「大竹まことゴールデンラジオ」(文化放送)に、ジャーナリストの伊藤詩織さん(28)が出演。自身のレイプ被害と性暴力問題を語る詩織さんに、アシスタントのはるな愛(45)が涙を流す場面があった。 元TBSワシントン支局長の山口敬之氏(51)から性的暴行を受けたとして、民事訴訟に踏み切った詩織さん。10月に刊行された手記『Black Box』(文藝春秋)のタイトルについては「捜査が始まった時から、検察に書類送検された後も、繰り返し聞かされた言葉」だといい、事件が密室で行われるというだけではなく捜査や検察審査会の決定も「ブラックボックスだった」と語った。 また詩織さんは日本における性暴力被害について「声を上げない被害者の問題ではなく、声を上げることを許していない、声を上げづらくしている社会の問題」と語り、性犯罪被害者を守る法律や、社会システム改善の必要性を訴えた。 はるなは終盤まで発言していなかったが、大竹に「どうした?」と聞かれると大号泣。「こうやって淡々と、ときには笑顔を作ってお話ししている姿を見ていると、こういうことを理解してくれない法律って何だろうと思うので……」と声を震わせながら語った。 Twitter上では《はるな愛さんの涙に胸が締め付けられる思いでした》《自分もちょっともらい泣きしてしまった》と反響の声が。《私も涙を流された、はるな愛さんと同じ心持ちです》というツイートもあった。 詩織さんの訴えにはるなと同様、多数のリスナーが共感したようだ。
2017年12月14日「glee/グリー」のサンタナ・ロペス役で知られるナヤ・リヴェラが、夫ライアン・ドーシーに対する家庭内暴力で逮捕された。「CNN」など複数メディアが報じた。ナヤは「glee/グリー」に出演していた20代前半の頃からライアンと交際していたが数年で破局。2013年にラッパーのビッグ・ショーンと婚約したが、婚約を解消し、再びライアンと付き合うように。そして2014年にライアンと結婚したが、2016年に離婚を申請。しかしその後すぐに復縁し、息子のジョジーくんを一緒に育てていた。オン・オフを繰り返している2人ではあるが、“暴力沙汰”になったのはこれが初めて。11月25日土曜日夜(現地時間)、サンクスギビングデーを祝うためにライアンの実家のあるウェストバージニア州に帰省していたナヤ一家。2人でジョジーくんを連れて通りを散歩している最中に、子どもに関することで言い争いになり、ナヤがライアンの頭と顔を殴ったのだとか。ライアンは警察に通報。暴行を受けている間に撮影していた動画が“決め手”となってナヤは逮捕された。地元警察によれば、ライアンは「治療が必要ではない」程度のケガで済んだとのこと。ナヤは保釈金約11万円を支払い、すでに保釈されている。(Hiromi Kaku)
2017年11月27日こんにちは、トイアンナです。私は20代前半のころから性暴力防止団体を運営しています。性暴力とは、セクハラから痴漢やレイプまで「性的な暴力」すべてを指す言葉です。「性暴力」という言葉から、知らない人にいきなり襲われる犯罪を想像するかもしれません。しかし、「恋人から無理やりセックスさせられた経験がある」「コンドームを頼んでもつけてくれない」などといった「デートDV」も含まれます。そして性暴力を語る上で避けられない話題に「避妊」があります。今回は、「妊娠したかもしれない」というタイミングで、女性側ができることをお伝えします。あなたのため、そして友達から助けを求められたときにも役立つ知識として、ストックしていただければ幸いです。○女友達からの早朝のSOSある日の午前5:00、友達から電話がかかってきたことがあります。こんな時間に何事かと思って取ると、泣きながら「どうしよう、知らない人と生でしちゃった。お酒を飲んでたから記憶がない……」と慌てふためく声が。なんと隣にその男性がいる真横からヒソヒソ声で助けを求めてきたのです。普段はお酒を飲んでも記憶を失うことなんてない彼女。事件の可能性も考えて「彼の身元がわかるもの、ある? 」と確認しました。不幸中の幸いとでも言うべきか、事前に彼の名刺をもらっていたので男性側の身分は明らかでした。であれば、"まずは病院へ行ってモーニングアフターピルをもらおう"と、私はタクシーで彼女の泊まっていたホテルまで迎えに行きました。そのときは私もパニック状態で、「婦人科が開く時間まで一緒にカフェで待とう」と数時間を潰してしまいました。しかし今思えば、事件になる可能性もあったことですし、緊急医を探せば良かったと後悔しています。○まずは病院へ行きましょうですので、「妊娠したかもしれない」と思い当たることがあったら、まずは婦人科へ連絡してみましょう。セックスのあと72時間以内(3日以内)であれば、前述したモーニングアフターピルという薬を処方してもらうことで妊娠を防げる可能性があります。ただし、数%は妊娠を防げない場合もあるといわれていて、副作用の心配もありますので、緊急時以外に頼るべき避妊法ではないでしょう。日頃からの避妊法としては、100%に近い確率で避妊ができる「低用量ピル」があります。婦人科でも特に、「モーニングアフターピルを処方する」とwebサイトに書いてある病院なら確実に相談できて安心です。もし不安なら、事前に電話で問い合わせてから来院するようにしてください。ただし、体の状態や既往歴によっては処方してもらえない場合もあります。○もし「性暴力」だと感じたら「コンドームが破れてしまった」といった事故の場合は、婦人科に行って相談することで、安心が得られるかもしれません。しかし「彼氏から無理やりだった」など性暴力を受けた場合は、病院以外にも相談先はいくつかあります。・カウンセリングを利用する受けた被害について傷ついたと感じている場合は、カウンセリングを受けるか、同じ気持ちを経験したグループ(自助グループ)を探すこともできます。カウンセラーは病院併設のところから気軽に相談できるカウンセリングルーム、さらに家で受けられる電話カウンセリングまでありますから、モヤモヤした気持ちを話してみましょう。・支援団体へ相談する全国に性暴力被害者の方を支援しているボランティア団体があります。「警察へ訴えたい」という相談から「まずは話を聞いてほしい」といった内容まで、幅広く対応してもらえますので、最寄りのワンストップセンターを探してみましょう(本稿末尾の関連リンク参照)。ここまで、望まない状況で「妊娠したかもしれない」ときにできることを並べました。繰り返しますが、まずは婦人科へ行きましょう。同様の相談を受けてきたプロの先生方がいますので、あなたの心と体を守るためにできることを教えてもらえる可能性が高いはずです。そして何より、一人で悩んでいる時間が一番つらいです。安心できる人へ事情を話して楽になり、落ち着いてから対策を考えられますよう応援しています。※本コラムは個人の体験や取材に基づくものであり、医療的な効果などを示唆・保証するものではありません※画像は本文と関係ありません○著者プロフィール: トイアンナ外資系企業で約4年勤務。キャリアの一環としての消費者インタビューや、独自取材から500名以上のヒアリングを重ねる。アラサー男女の生き方を考えるブログ「トイアンナのぐだぐだ」は月間50万ページビューを記録。現在もWebを中心に複数媒体でコラムを連載中。
2017年04月05日家庭内暴力とは出典 : 家庭内暴力は、家庭内で起きる暴力のことで、一般的に子どもが親に対して暴力をふるうことを指します。また、同様に家庭内で起きる暴力であっても、親が子どもに暴力をふるう場合を“児童虐待”、夫が妻に暴力をふるうものを“DV”(ドメスティックバイオレンス)と呼ぶことが通例となっています。この記事ではこうした用法にならって、子どもが親に対して暴力をふるう「家庭内暴力」について解説します。警視庁は家庭内暴力について以下のように定義しています。少年が、同居している家族等に対して継続的に暴力を振るう事案をいい、家庭内暴力を止めようとした第三者に対して暴力を振るう事案や他人の所有物を損壊する事案については含まない「平成27年中における少年の補導及び保護の概況」(警察庁生活安全局少年課)より引用ここでの少年とは20歳未満の者を指しています。つまり、家庭内暴力とは20歳未満の子どもが家族に対して行う暴力行為を意味します。ここでいう暴力には、身体的な暴力や、暴言、家具や家財の破壊なども含まれます。家庭内暴力の特徴としては・暴力が家庭内でのみ行われる・暴力の対象が人である場合、暴力をふるう本人より弱い者が対象となりやすいことが挙げられます。事実、暴力の対象のうち約6割が母親であることが警視庁によって報告されています。参考:「平成27年中における少年の補導及び保護の概況」警察庁生活安全局少年課家庭内暴力は、1960年代から顕著に現れるようになりました。警察庁生活安全局少年課による報告書「少年の補導及び保護の概況」によれば、平成27年度現在、家庭内暴力の認知件数は2,531件にのぼります。また、この数字は平成18年の1294件と比べて約2倍となっており、近年も増加傾向が続いています。実際に家庭内暴力をおこなうのは中学生がもっとも多く、次に高校生、小学生の順となっています。さらに、性別でみると男子が圧倒的に多く、女子と比べて2~3倍多く報告されています。同報告書によると、家庭内暴力の動機は1番多いのが「しつけ等親の態度に反発して」(1,636件、全体の65%)、2番目が「理由もなく」(261件、全体の10%)、3番目が「物品の購入要求が受け入れられず」(225件、全体の9%)となっており、以降「不明」「勉強をうるさく言われて」「非行をとがめられて」といった動機が続いています。非行をとがめられた際に反発して起こる家庭内暴力が実は意外と少なく、親の態度への反発から生まれる家庭内暴力が圧倒的に多い結果となっています。実際、おとなしい性格で、学校での成績もよい子どもがある日を境に家庭内暴力を行うようになるケースも多く報告されています。こうした、家庭内暴力を行いやすい子どもの特徴・傾向は次章で解説します。出典:「平成27年中における少年の補導及び保護の概況」警察庁生活安全局少年課家庭内暴力を引き起こしやすい子ども・家庭の特徴出典 : 家庭内暴力をする子どもには、本人の性格や家庭環境に一定の共通点が存在するといわれており、具体的には以下のようなものが挙げられます。ただし、様々な組み合わせがあり、また例に挙げた要因に当てはまらない場合もあります。・真面目、内気、おとなしい・家庭外では他人に対して従順で、自己主張が乏しい・神経質である・比較的友人が少なく孤立的である・非行に走ってはいないが、生活習慣の乱れなどがある家庭の外において反社会的な言動をおこなう非行少年・少女とは対照的に、家庭内暴力を行うのは比較的おとなしく、学校でもあまり多くの友達を持たない子どもが多いようです。・母親が過干渉で父親が無関心である(もしくはその逆)・親子分離が少なく、子どもの親への強い依存心、甘えがある家庭内暴力が起きている家庭は、経済的に豊かで、親も教育熱心ということが少なくないようです。そんな家庭で家庭内暴力が起きてしまうのには、中学生や高校生で挫折して、学力が低下したり、親が期待しすぎたり、干渉しすぎるなどの理由で不登校になり、親への反抗から暴力をふるうようになってしまうというパターンが多いといわれています。また、ときには世代間の考え方の違いが意見の違いをもたらし、その表面化が子どもの親不信の引き金となることもあるようです。参考:「研究紀要第42号 教育相談における心理検査の活用」福島県教育センター家庭内暴力の原因出典 : 家庭内暴力は、様々な要素が複雑に絡み合って起きるため原因の特定は困難であるといえます。親の育て方が悪かったという見方をされがちですが、そうとは言い切れないこともあります。なぜなら、家庭内暴力の原因には社会的な要因、心的外傷、精神疾患などといった、親にはどうしようもないさまざまな要素が複雑に関連している可能性があるからです。親への反発が暴力を誘発しているケースが存在するのは事実ですが、だからといって親がそもそもの原因であるとする考え方は解決を図る上で有効ではありません。本章では、以上に挙げた社会的影響・心的外傷・精神疾患といった家庭内暴力の原因となりうる3つの要素を解説します。・都市化社会における対人関係の疎遠・両親の離婚・共働き・転勤などによる家族間の感情的交流の希薄化・インターネット・スマートフォンの普及による過剰刺激・暴力シーンへのアクセスの簡易化・受験競争や立身出世志向など、社会的な影響が要因となり家庭内暴力へと結びつくことがあります。・親に虐待された・学校でいじめられた・事故に遭った・進学に失敗したというような経験を通して得た親への反抗・復讐心、恐怖心、挫折感などの感情が家庭内暴力へとつながってしまうことがあります。家庭内暴力は統合失調症、強迫性障害、精神遅滞、広汎性発達障害、多動性障害などさまざまな精神疾患が背景にあることが少なくありません。次章ではそれらの中でも主な例を紹介します。家庭内暴力と二次障害ー精神疾患や発達障害との関連は?出典 : 行為障害・素行障害(Conduct Disorder)とは別名「素行症」と呼ばれる精神疾患であり、社会で決められたルールを守らず反抗的な行動を起こし続けてしまうという特徴があります。具体的な症状には人や物への暴力的な攻撃、窃盗や長期・複数回の家出などが挙げられます。詳しくは以下の関連記事をご参照ください。国際連盟の専門機関の一つであるWHO(世界保健機関)が作成する疾患の分類である『ICD-10』により定められた行為障害の中でも「家庭限局性行為障害」の症状は家庭内暴力に対応しています。家庭限局性行為障害とは家族が精神的に追い込まれ疲弊してしまうほどの激しい家庭内暴力をおこしてしまう疾患です。この暴力的な行動は家庭内だけでみられ、学校生活や友人間では問題なくうまくやっていくことができることも特徴です。家庭限局性行為障害がある場合、精神科医への相談をおすすめします。家庭内暴力は発達障害の二次障害として発症する場合もあります。発達障害が背景にあり、失敗経験を重ねて子どもが自信を失ったり落ち込んでしまったりした結果現れる二次的な情緒・行動の問題を二次障害といいます。二次障害は周囲への反抗や家庭内暴力、非行など問題行動が外に出るタイプと、うつや対人恐怖、引きこもりなど内面に向かうタイプがあります。二次障害の中でも、反抗挑戦性障害(ODD)は、別名「反抗挑戦症」とも呼ばれ、親や教師など目上の人に対して拒絶的・反抗的な態度をとり、口論をしかける、暴言を吐くなどの挑戦的な行動をおこしてしまう疾患です。反抗挑戦性障害とADHDは強い関わりがあるといわれており、年齢を重ねるとともに合併する可能性が高くなると言わています。そのような場合、元々ADHDがある人が“人間不信的行動”という二次障害として反抗挑戦性障害を発症する場合が多いです。人間不信的行動とは、自尊心・自己肯定感が低下して自分はダメな人間かも知れないと思い、そんな自分のことを誰も理解してくれないという気持ちから、周囲の人を信じれなくなったときに起こしてしまう行動のことを指します。この反抗挑戦性障害を発症している場合も、精神科・心療内科の専門医への相談をおすすめします。反抗挑戦性障害の子どもへの対応方法・接し方などに関しては、以下の関連記事を参考にしてください。家庭内暴力を行う子どもの心理出典 : 思春期の子どもが家庭内暴力をふるう理由のひとつとして、感情の抑制が効かなくなってしまうことが考えられます。イライラや不安、悲しみ、憎しみなどといったネガティブな感情が湧き出てきて、それを抑えることができなくなったとき、感情の鬱積(うっせき)が暴力となって現れるのです。家庭内暴力をふるう子どもの心理としては、だめな自分のやりきれなさを暴れることによって発散しようという気持ちと、そのような自分をつくった親に対する反抗という、二つの側面があります。ほとんどの場合、外でおとなしくて家族にだけ暴力をふるう子どもは、「暴力が悪いことだ」とは自分でも理解しています。なので、「本当は暴力をふるいたくない。でもやってしまう」という罪悪感に苦しんでしまうことも珍しくありません。暴力行為をどんなに繰り返してもモヤモヤした感じが残ってスッキリしないのは、罪悪感から自己嫌悪に陥ってしまうからなのです。暴力をふるうことで自らも傷つき、暴力をふるう自分が許しがたく、しかしそのような「許せない自分」を育てたのはやはり両親なのだ、という自責と他責の悪循環に苦しんでいる場合があるのです。参考:「研究紀要第42号 教育相談における心理検査の活用」福島県教育センター家庭内暴力の解決を目指すうえで親が持つべき心構え出典 : 家庭内暴力は様々な偶然などにより、どんな家族にも起こりえます。だからこそ、暴力が起こってしまったときや、起こりそうになったときの対応策が重要となります。本章では、家庭内暴力の根本的な解決を目指すうえで重要となるであろう、5つの「心構え」を紹介します。『暴力は親に向かう』では問題解決に向かううえでの5つの心構えとして以下のようなポイントが挙げられています。1. 現実逃避をしない2. 過去の話はしない3. いたずらに悲観しない4. 「特効薬」を求めない5. 「リスクのない解決策はない」ことを知るこれらのポイントをそれぞれ詳しく見ていきましょう。1. 現実逃避をしない子どもが家庭内暴力をふるう前段階として、ひきこもりがちになるケースがあります。そうやって子どもがつまずいてひきこもり始めたときや暴力をふるい始めたときに、根拠のない楽観論にすがって、子どものひきこもりを放置したり子どもの暴力を受容してしまうのは、解決を目指すうえでは得策でないといえます。状況を受け入れてしまうのではなく、問題の根源と向き合う努力が必要となるでしょう。2. 過去の話はしない子どもが暴力をふるう原因を過去に探ろうとして、自分を責めてしまう傾向にある親御さんも少なくありませんが、「過去の話をしない」というのも重要な心構えです。なぜなら、過去に起きてしまったことは、誰にもコントロールできないことだからです。「親も子も不完全なんだ」と受け入れ、未来のために今できることに目を向けることが重要といえます。3. いたずらに悲観しない暴力は、子どもにとっての「正当防衛」ということができるかもしれません。なぜなら、暴力は子どもが求めているものを伝えるための、自己主張の一つの手段といえるからです。意外かもしれませんが、実は、暴力もふるわずおとなしく何年もひきこもってしまうほうが解決は困難ともいわれています。子どもが自己表現の一部として暴力をふるっていることを良い機会と捉え、暴力の裏にある主張に向き合っていくことは、問題の解決に結びつく姿勢であるといえます。4. 「特効薬」を求めない家庭内暴力が瞬時におさまり、問題を根本から解決できる「特効薬」は残念ながら存在しません。子どもの隔離などの方法による、表面的・一時的な解決であれば短期間でも可能ですが、それはまだ根本的な解決とはいえません。子どもの不安や親子関係自体を解決するのには時間がかかるという覚悟を持つことは、解決を目指すうえで重要な心構えとなるでしょう。5. 「リスクのない解決策はない」ことを知るどのような解決策にもリスクというのは存在します。外に連れ出してみる、外部の機関に相談してみるなど、リスクを恐れて実行を躊躇するばかりでは、現状を打開する機会を失ってしまうことになりかねません。なにより親にとって最大のリスクは、家庭内暴力が長期化してしまうことのはずです。リスクのない解決策はないのだと知ることは、勇気を持って解決策を打つための助けとなるはずです。参考:二神能基『暴力は親に向かう』2007年、東洋経済新報社家庭内暴力に悩んだ時の相談先は?家庭内暴力は、複雑かつ対応を誤るとエスカレートしやすい傾向にあるため、家庭内で抱えこんで暴力の現場を密室化させてしまうのではなく、外に助けを求めることも重要です。家庭内暴力にお困りの場合、以下のような機関・施設が相談先となります。「子どもの養育に関する相談」、「障害に関する相談」、「性格や行動の問題に関する相談」などの育児に関する相談ができる機関となっています。各県、政令市にはほぼ一か所ずつ設置されている窓口であり、精神保健福祉に関する相談をすることができます。相談については、予約制、健康保険の適応があるところがあります。詳細は、それぞれのセンターにお問い合わせください。全国の精神保健福祉センター一覧心の症状、心の病気を扱う科です。心の症状とは具体的に不安、抑うつ、不眠、イライラ、幻覚、幻聴、妄想などのことです。心療内科は心と体の不調だけではなく、ほてり、動悸などの身体的症状とその人の社会的背景、家庭環境なども考慮して治療を行います。エスカレートする暴力行為を前に、身の危険を感じた場合は警察に相談することをおすすめします。警察に通報することで子どもの復讐心を煽ってしまう可能性がないとはいえませんが、自分の身を守るためには毅然とした態度で通報する勇気も必要となるでしょう。まとめ出典 : 家庭内暴力とは子が親に向けて行う暴力的行為(暴言や物の破壊も含む)を指し、暴力は家庭内限定で行われます。比較的おとなしい子どもが、ある時点を境に始めるケースが多く報告されており、突然の息子・娘の変化に驚き、苦悩する親御さんは多くいます。家庭内暴力の原因はとても複雑で、必ずしも親の教育やしつけが原因というわけではありません。社会的な影響や過去のトラウマ、精神疾患が原因であることも多いのです。そうした事実を踏まえ、ときに家庭外の第三者の協力も得ながら、対話による意思疎通をベースに解決を目指していくという方法を参考にしてみてはいかがでしょうか。
2017年02月15日周囲でよく耳にしていた「家で暴れる発達障害児」。その実態とは出典 : 発達障害児を育てている親たちからよく聞く困りごとの1つに「子どもが家で暴れて困る」というものがあります。更に、その暴力暴言の標的は母親であることが多いです。私も何度か子どもの暴力で悩む母親と話をしたことがあります。そのお母さんの手には、引っかき傷やあざが沢山ありました。全部、発達障害の子どもからの暴力による傷だと言います。ところがその、「家で暴れる子ども」に外出先で会うと、(変な表現ですが)とてもそんな風には見えない「普通の子」であることが多いのです。お母さんや兄弟姉妹とも、外ではとても穏やかに接していることが多く、公共の場で見る態度はとても模範的です。「こんないい子がどうして…」という場合がほとんどです。だからこそ、悩む母親が多いようです。体中に傷をつけられている状態なのに、周囲からは「こんなにいい子なのに」「普通じゃない?」「信じられない」という言葉をかけられることが多いからです。一体なぜ、子どもたちは家の中と外とで態度がこんなに違うのでしょうか?息子にも現れ始めた、暴力・暴言。やはり周囲にはなかなか理解してもらえず…出典 : 歳になってから落ち着きが出てきた我が家の息子。発達障害と診断された頃は、家で癇癪を起こしては何時間も泣きわめき、それはそれは大変でした。しかし最近は癇癪のコントロールも上手になり、感情を爆発させることが少なくなってきました。何よりも社会性が伸び、幼稚園でもしっかりと人間関係を構築し始めました。しかし、息子のこの「社会性の伸び」と相反するように、私に対する暴力・暴言が始まったのです。毎日毎日、「このバカヤロー!」「うっせぇ」「くそボケ!」と、びっくりするような言葉が息子の口から飛び出します。少しでも気に食わないことがあると、拳を振り上げ私にかかってきます。6歳であっても、このような暴力・暴言は身に応えます。出典 : ところが息子は、園や習い事など公共の場では、実に手のかからない「模範的な子」なのです。このため私の悩みは、どこにも理解してもらえませんでした。以前幼稚園の遠足で、息子が私のことを拳で叩きまくっているところを、たまたま先生が見かけたことがあります。先生はびっくりして、「○○くん、お母さん痛いでしょう。どうしたの!?」と止めに入りました。「いつもこんな感じです…」と私が言うと、先生は「信じられない…普段は本当にみんなに優しいんですよ…」と目を丸くしていたのを覚えています。どうして母親にだけ暴言・暴力が現れるのだろう出典 : 発達障害児の母親に対する暴力・暴言はなぜ現れるのでしょうか。外で頑張っているから家で爆発している、という意見もよく聞きます。だから母親は受け止めてあげるべきだとも言われます。けれども、徐々に身体が大きくなっていく子どもの暴力・暴言を全て受け止めきれるほど、母親は強いものではありません。限界があります。発達障害児は人間に対してもこだわりを持つことがあります。息子は小さい頃、物にこだわりがありましたが、それが思い通りに動かなかったり壊れたりすると、よく癇癪を起こしていました。そのこだわりが、人間にも向き始めているのでは…?つまり、母親に対する暴力・暴言は「母親こだわり」なのかもしれません。そして、思い通りに動かない母親に対して、癇癪を起こしている気がします。それが、暴力・暴言という形で出ているのだと私は思っています。けれども、母親は発達障害児の「お気に入りの物」ではありません。暴力・暴言を受け続ければ、母親といえども壊れます。極端な態度を少しでも緩和させるには出典 : 息子の様子を日々見ていて感じるのは、「発達障害児の暴力・暴言を、声かけ1つで変えていくのはとても難しい」ということです。このため、母親への内向きのこだわりをなくそうと努力するのではなく、外向きのベクトルを増やしていく必要があると思います。家庭の外でも、自分の気持ちが言えたり、自分を受け入れてくれる場所をたくさん持っておくこと。そうすることで、母親を思い通りにしたいというこだわり行動は、少しずつ薄れていくのではないかと私は信じています。外で常に模範的な態度をとることは、決して理想的ではないと思うのです。それがストレスとなり、内向きのこだわりをますます強めてしまっている可能性があります。外では模範的、内では暴力・暴言という極端な態度が、その子の基本行動になってしまわぬよう、外でも自分を崩すことのできる相手を増やしていくことが必要かもしれない、そう思うのです。
2016年12月15日DVの相談件数も年々増えてきており、内閣府男女共同参画局が平成28年9月16日に公開した、「配偶者暴力相談支援センター」への相談件数は年間で10万件を超えています。DVと言えば、男性から女性に対して振るわれる暴力を思い浮かべる人が多いかと思いますが、女性から男性に対して行われる暴力も決して少なくありません。この、女性から男性に対して行われるDVを逆DVとでも呼ぶのでしょうか。今回は、その逆DVの被害にあった際にするべきことについてご紹介したいと思います。*画像はイメージです:■夫のDV被害特有の問題点夫がDV被害者の場合、妻のDV被害に比べて、被害が明らかになりにくいという問題があります。もちろん、妻が被害を受けている場合も、他人に相談できずひとりで問題を抱え込むケースは少なくありません。しかし、近年は女性に関しては公的な支援が浸透してきたこともあり、そのような機関や周囲の人たちに相談をする女性も増えてきたようです。これに対して夫の側は、おそらく、そもそも女性である妻から暴力を受けているという事態を、男性として恥ととらえる傾向が強いといえるでしょう。また、「家庭も満足に仕切れない男がろくに仕事などできるわけがない」などと見られる可能性もあり、勤務先での立場が悪くなると考える傾向も強いようです。そのため、周囲に相談できず、被害に耐え忍ぶケースが非常に多いといえます。写真や録音などの証拠が残っているケースも極めて少ないため、夫のDV被害は明らかになりにくいといえます。また、これらの問題をクリアして調停や訴訟で離婚の手続をとることが可能な場合でも、夫と妻の間の経済格差から慰謝料を妻からとることが難しいといった問題があります。養育費や財産分与をするとなると、被害者は夫であるにもかかわらず、離婚によって妻の側が経済的に得をするケースも少なくありません。離婚に至っても、夫の側には不公平感が残る結果になってしまうのです。 ■DVを受けたらすべき対策やはり、一般的には、夫の場合、「女である妻から一方的に暴力を受けている」という主張について、疑いを持たれやすいことは否定できません。ですから、暴力を受けて怪我をした場合には、必ずその状況を写真にとっておく、キレ始めた妻の状況などを明らかにするために、途中からでもいいので可能な限り録音する、暴力を受けたら、そのことを日記やメモにしてリアルタイムで残しておく、病院にいて診断書をとっておく、など、マメに客観的な証拠を残しておくことが重要ではないかと思います。そして、離婚の手続については弁護士に、身辺の安全を確保するためには警察や公的な相談機関などに相談することが必要です。慰謝料をもらえなくても、実質的に慰謝料相当分を考慮した条件で離婚する(例えば財産分与を調整する)ことも、状況次第で可能になることもあります。 ■恥ずかしがらずに相談することが第一歩男性のDV被害を幅広く救済するためには、被害を受けている男性ひとりひとりがその被害を申告・相談することが第一歩となります。被害男性の声がもっと広がれば、男性のDV被害は恥ずかしいことではなく、被害を受けたことを前提とした条件で離婚することも徐々に可能になっていくのではないかと思います。 *この記事は2015年9月に公開されたものを再編集したものです。*著者:弁護士 寺林智栄(ともえ法律事務所。法テラス、琥珀法律事務所を経て、2014年10月22日、ともえ法律事務所を開業。安心できる日常生活を守るお手伝いをすべく、頑張ります。)【画像】*けいぞう / PIXTA(ピクスタ)【参考】内閣府男女共同参画局-配偶者からの暴力に関するデータ
2016年11月24日誰だって、平和な毎日を送りたいもの。そのため、「自分の子どもにはいじめや校内暴力のない学校に通わせたい」と思うのが親心ですよね。そこで気になるのが、校内暴力の発生件数。毎年秋ごろに、文部科学省が前年度の校内暴力の発生件数を都道府県別に発表しているのをご存知でしょうか?実はこの数字には、知られざる裏事情があるのです。今回はそれも含めて、校内環境の実態について言及していきたいと思います。■校内暴力が本当に多いのは大阪・高知・京都まず、文部科学省の発表を見ると、平成26年度の校内暴力の発生件数は以下の通り。1位:大阪府(10,116件)2位:神奈川県(6,716件)3位:千葉県(3,665件)しかし、1,000人当たりの発生件数に換算すると2位と3位が変わります。1位:大阪府(10.6件)2位:高知県(8.2件)3位:京都府(7.9件)神奈川県や千葉県の発生件数が多いのは、単純に人口が多いからだと判断できます。では、大阪府や高知県、京都府はいじめや校内暴力の多い地域だといえるのでしょうか?■統計には含まれない集団暴行を受けた過去が私は、大学を卒業して1年目に公立の中学校に赴任しました。あるとき、生徒間のいじめを止めに入った結果、激昂した問題児たちに羽交い締めにされ、集団暴行を受けました。事件は警察沙汰になりましたが、校内で揉み消されたため、教育委員会に報告されることはありませんでした。文部科学省の統計は全国の教育委員会からの報告によるものなので、私が被害にあった事件は、その年の統計には換算されていないことになります。詳しくは、当時の事件を漫画化していますので、私のホームページをご覧ください。無料で読めます。■統計の数字では校内暴力の真実はわからない2011年の大津市中2男子いじめ自殺事件を受けて、いじめ防止対策法が成立し、学校の隠蔽体質は少し改善されたようです。しかし現役教員の話を聞いている限りでは、まだまだなくなってはいないようです。では、それらを踏まえた上で、この統計を見るとどうでしょうか?そうです、校内暴力の発生件数が多い地域は、報告義務を果たしているといえそうなのです。逆に、発生件数の少ない地域はどうでしょうか?でも、もしかすると、発生件数の多い地域は、隠蔽した上でこの数字なのかもしれませんし、発生件数の少ない地域も、報告義務を果たした上でこの数字かもしれません。つまり結局のところ、これらの統計を見たところで、地域や学校の環境などは一切わからないのです。■学校が校内暴力事件を揉み消そうとする理由では、なぜ学校はそこまでして事件を揉み消そうとするのでしょうか?答えは簡単です。責任を問われるからです。そんなの当たり前だと思われるでしょうか?いじめが発生した場合、それは学校の責任でしょうか?教師の責任でしょうか?担任の責任でしょうか?私はそうは思いません。私の子どもが学校でいじめにあっていたとして、担任からその報告を受けたとします。私であれば「事件が大きくなる前に、よく報告してくれた」と感謝します。しっかりした担任だと信頼します。いじめの報告があれば、保護者間で連携をとり、地域で監視する体制を整えることが可能になるかもしれません。報告がない状態では、なんの対策も打てません。しかしながら世の中の保護者は、どうもそうは思わない人が多数派のようです。校内で起こる事件はすべて学校の責任であり、いじめが起こるのは、担任の指導不足であると捉えられるのです。だから、学校はいじめの報告に対して消極的になります。本当に学校が悪いのでしょうか?■事件後に「今後どうしていくか」を考えようたとえば、ある地域で殺人事件が起こったとします。殺人事件が起こったのは、その地域の管轄の警察の責任でしょうか? 違いますよね。学校も同じです。たしかに事件を未然に防ぐことは重要ですが、100%完全に防ぐことはできません。重要なのは、起こったあとに、責任が誰にあるのかを問うことではなく、これからどう対処していくかであるはずです。いじめの報告があったとき、いじめが起こったことを嘆くのか、大事になる前にわかったことに感謝するのか、どちらがいじめの発生件数を抑えることにつながるしょうか?学校はもっと、保護者に助けを求めてもいいし、保護者はもっと学校に対して協力的でいい。そうやって、開かれた環境で、地域全体が子どもを育てる。そうなれば素敵だと思いませんか?責任のなすり付け合いに、建設的な未来などあり得ません。(文/元教師・教育問題漫画家・眞蔵修平) 【参考】※眞蔵修平ホームページ※眞蔵修平Twitter※眞蔵修平Facebook
2016年08月13日歌手のクリス・ブラウン(27)が、マネージャーに暴力を振ったとして訴えられている。マイク・G氏が、先月にクリスから顔と首を繰り返し殴られ、病院へ搬送されることになったと主張している。マイク・Gの弁護人パティ・グレイザー氏はTMZに対し「クリス・ブラウンに傷をつけないために、公の場ではないところで解決するようできることは全てしました。残念ながら、我々の訴状の筋を立てていく中で、クリス・ブラウンは自分自身が最大の敵だということを証明してしまったのです」と話す。クリスは2009年のリアーナへの暴行に対する罪状を認めた後、イメージ回復を図る目的でナイトヴィジョン・マネジメントのオーナーであるマイク・Gを2012年に雇用したといわれていた。マイクの連絡先はまだクリスのウェブサイトに記載されている状態だ。そんなクリスは、1カ月ほど前にもある男性の頭を踏みつけたとされていた。カンヌ国際映画祭が開催されていた先月18日に、ナイトクラブでステージに立った際、クリスが大勢の観客から逃れようとした後にマレク・モクラーニさんの頭を踏みつけるような場面をとらえた映像が公になっていた。マレクさんが喧嘩を始めたかどうかは明らかになっていないが、マレクさんは頭と首の痛みに対する治療を受け、顔にはひどいアザが残り、首に頚椎装具をつけた姿も目撃されていた。(C)BANG Media International
2016年06月25日女優のアンバー・ハードが、夫で俳優のジョニー・デップから過去に何度も暴力を振るわれていたことを、アンバーの友人でありTVプレゼンターのアイオ・ティレット・ライトが明かしている。アンバーがiPhoneをジョニーから投げつけられたとされる喧嘩に陥った際、当時2人と電話中であったアイオが警察に通報していたのだが、ジョニーがこのような行動に出たのはそれが初めてではないとウェブサイトRefinery 29に投稿したのだ。「アンバーは自分でやらなかっただろうから私が警察に通報したの」「私は2人と電話中だったんだけど、電話を落とした音が聞こえて、ジョニーが『もし俺が君の髪の毛を引っ張ったら?』と言っているのが聞こえたの。そしてアンバーは叫びながら私に助けを求めていたわ。今まで何度もセレブたちの沈黙を破ってこういうシチュエーションに警察を呼ぼうと思ったことか」ジョニーはこういうことが起きるたびに「2度とこういうことはやらない」と誓ったというが、昨年12月にもジョニーが自制心を失う出来事があったとアイオは続ける。「毎回そういうことが起きるたびに、アンバーはジョニーを守ることを第1に考えていたわ。私は彼らの家に行っていたから知っているのよ。アンバーの唇が切れてしまっているのも見たし、床に髪の毛の塊が落ちているのも見たわ」過去にはジョニーと兄弟のように仲が良かったというアイオだが、「彼は私の友人だったし、大好きな人だった。兄弟と慕ったほどよ。優しくて、紳士的で、時に怒りっぽいダークな部分はあるけど、素敵な心を持った人だったの。だから悲惨な状況を見るまで、信じたくなかったわ」と語った。(C)BANG Media International
2016年06月10日ロサンゼルス市警察がアンバー・ハードへの家庭内暴力に対してジョニー・デップの調査に乗り出したようだ。先週ジョニーがアンバーに対してiPhoneを投げつけたとされている出来事について、もともとアンバーは警察に陳述していなかったのだが、ジョニーとその弁護団がその時の様子を話すようアンバーに強く求めたことで、このほど警察が調査を始めたとアンバーの弁護団は主張している。ロサンゼルス市警察の広報担当者はこのような申し立てがあった際には常に調査を行うようにしているとバラエティ誌にコメントした。先週、ジョニーとの離婚を申請したアンバーはジョニーから暴行を受けたことを訴え、一時的な接近禁止命令を獲得しており、アンバーの弁護団はアンバーはジョニーから数年間にわたって暴力を振るわれていたと話している。同弁護団は、アンバーが家庭内暴力について語らなかったのは自身のプライバシー、そしてジョニーのキャリアを守るためだったという。サマンサ・F・スペクター弁護士とジョセフ・P・ケーニッヒ弁護士は「ロサンゼルス市県警に陳述しないとしたアンバーの最初の決断は、結果的にジョニーの弁護団に利用される形となってしまいました。アンバーは自身のプライバシーとジョニーのキャリアを守るためにロサンゼルス市県警へは話さなかったのです」「ジョニーの弁護団は事実に沿った記録を作り、メディアによって報じられているような悪意のある間違いや濡れ衣をアンバーがこれ以上話し続けることができないように、アンバーにロサンゼルス市県警へと陳述するよう強要したのです。アンバーは数年間にわたってジョニーからの身体的、精神的な暴力を受けていました」と語った。さらにアンバーの弁護団は、この訴えはお金のためにやっているわけではないと続け「私たちは解決に向けて王道を行こうとしました。しかしジョニーの弁護団はすぐにメディアに向けて発表を行い、アンバーを攻撃し始めたのです。アンバーは家庭内暴力の被害者であり、お金のために訴えているわけではありません」「アンバーは勇敢な女性であり、金銭的にも独立しています。彼女はジョニーの残酷な弁護団や代理人に対して正しいと思ったことをやっているだけです。家庭裁判所は正体不明の人物たちの発言によるソーシャルメディア上の誤報に影響を受けることはありません。アンバーは被害者であり、ヒーローなのです」と話している。(C)BANG Media International
2016年06月02日