言語障害とは出典 : 言語障害とは、広義には、言葉によるコミュニケーションに何かしらの困難さがある障害を指し、精神医学上の狭義の定義では、特に言語の習得と使用に困難さのある障害を指す言葉です。言葉を使ったコミュニケーションに困難さが生じる障害・疾患にはさまざまな種類がありますが、「言語障害」という言葉がなにを指すかや、どんな疾患名が含まれるかは、その用語が使われるシーンによって少しずつ定義や使われ方が違ってきます。先に述べたように、精神医学における言語障害では、言語能力の発達の段階で、言葉を理解する能力と話す言葉を考える能力に困難さがあることを「言語障害」と定義しています。一方、一方、教育における言語障害は、より広い意味合いで捉えられています。すなわち、話す能力や聞く能力そのものというよりは、本人の発音や話し言葉によって、他人との一連のコミュニケーションに困難や不都合が生じている状態を「言語障害」と位置付けているのです。以下は、文部科学省における言語障害の定義です。言語障害とは、発音が不明瞭であったり、話し言葉のリズムがスムーズでなかったりするため、話し言葉によるコミュニケーションが円滑に進まない状況であること、また、そのため本人が引け目を感じるなど社会生活上不都合な状態であることをいいます。この他にも、介護の世界では、言語能力の発達には問題がないものの、脳卒中や認知症により後天的に話すことができなくなってしまったり、言葉を理解できなくなってしまったりする疾患を「言語障害」と呼ぶことが多いようです。このように、一口に言語障害と言ってもさまざまな定義が存在しますが、このコラムでは精神医学上の定義に則り、発達期の子どもが発症する言語障害について、人のコミュニケーションの仕組みを踏まえながら説明していきます。音声言語コミュニケーションの仕組み言語障害について詳しく解説する前に、まずは人がどのように言葉を操り、他者とコミュニケーションをとっているのか、その仕組みを確認しましょう。下の図は「スピーチチェーン」といい、人が音声言語コミュニケーションをとる仕組みについて説明するものです。Upload By 発達障害のキホンスピーチチェーンに則って考えると、人間が音声を受け取り、理解し、他者に言葉を発するまでのプロセスは、大きく三段階に分けることができます。■第一段階音響学的レベル誰かが発した音声が、空気を振動して耳へと伝わります。■第二段階言語学的レベル耳を通して伝わった音声を、脳で意味のある言葉として理解し、それについての受け答え(自分が話したい内容など)を考えます。そして、受け答えのための音声を出すために脳から発声器官(口や舌、肺など)の筋肉に信号を出します。■第三段階生理学的レベル脳の信号を頼りに声帯や舌、肺などを運動させ、音を発声します。また、口や舌の動きを使い、人が理解できる言葉にします。参考書籍:内須川 洸 /著『言語臨床入門』(風間書房,2000年/刊)スピーチチェーンの第三段階目で生成された音声に対して、相手側もまた、耳を通して聞き取り、脳で処理し、受け答えを考え、発生をする…このようなサイクルを通して、人は言葉を発し、他者とコミュニケーションをとっています。精神医学における言語障害出典 : アメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)における言語障害(言語症)は、言語の習得と使用に困難さのある疾患として定義されています。主に、上の図におけるスピーチチェーンの第二段階目にあたる、脳内の言語処理に困難さがある疾患です。その困難さにより具体的には次の3つのような症状があります。1. 少ない語彙その年齢の子どもが知っているであろうレベルより単語の知識より少なく、語彙に多様性が欠けている状態です。例えば、言葉の定義(理解)があやふやであったり、類義語や多義語が理解できなかったりなどが挙げられます。2. 限定された構文文を形成するために、文法規則に基づいて単語や語を配置することに困難さがあります。言語障害のある子どもが話す文章は、文法上の誤りを伴い、より短く単純であることが多く、特に過去時制が適切に使うことが難しい場合が多くなります。こうした言葉や文法理解の困難さから、新しい単語や文章を記憶することにも困難さが生じます。例えば電話番号を覚えたり、買い物リストを覚えたりすることです。3. 話法における障害一つの話題や一連の出来事を順序をたてて説明・表現したり、会話をしたりすることに困難さがあります。このような症状は、言語の理解と産出する能力に困難さがあるために起こります。専門用語では、言語の受容性の能力、表出性の能力と言います。言語の受容性の能力とは、言語によるコミュニケーション(主に音声による)の意味のあるものとして理解することを指し、言語の表出性の能力とは、声、身振り、言葉の合図などを生み出すことを指します。言語障害は、言語がある程度発達し、個人差が少なくなってくる4歳以降で診断されることが多いです。幼稚園、保育園、小学校などに入ることで、さまざまなコミュニケーションの機会に触れる中で、他の子どもと比べてその困難さが際立つようになり、言語障害が明らかになる場合が多いと言えます。 精神疾患の診断・統計マニュアル 第5版言語障害と似たような言葉として、「言語発達遅滞」という言葉を聞きますが、その違いはなんなのでしょうか。言語発達遅滞とは、言語障害があるかどうかによらず、言語の発達が年齢に想定されるよりも遅いという状況を指す言葉です。言語発達遅滞には2つのパターンがあります。一つ目は、乳児期の時点では言葉が遅れていても、育ちの過程において、遅れが目立たなくなるような場合です。この場合は、「ただ言葉の習得が遅いだけ」、「育ちのスピードの個人差の範囲」と言えます。もう一つは、発達や聴覚に障害のある可能性があり、その兆しとして言葉の遅れが生じる場合です。言葉の発達の遅れは、発達の早期である乳幼児期において生じやすく、その子どもの育ちは個人差が大きいです。また性格や環境など様々な要因が関わっています。そのため乳幼児期に語彙が少なかったり、文や文章の組み立てが苦手であったりといった、言語発達遅滞状態にあっても、その子どもがただちに言語障害であるとは限りません。言語障害とその他の言語に関わる疾患の違い出典 : これまで説明してきた通り、『DSM-5』における言語障害は、言葉の理解と産出に困難さがあるため、言葉をうまく話すことができない障害として定義されています。しかし、言語障害以外でも、同じく「言語がうまく話せない」という症状が生じる疾患・障害は存在します。ここでは、上記で説明したスピーチチェーンのどこに問題が生じているかに触れながら、言語障害と、それ以外の言語に関わる障害・疾患の違いについて説明していきます。音が聞こえない、または音が聞こえにくいため、音声言語を正しく認識できず言葉に困難さが生じます。スピーチチェーンでは、第一段階目の「音響的レベル」に当たる、耳で音を拾う過程に困難さがある障害です。聴覚障害があるため言葉に困難さがある場合は、聴覚障害という診断になることがほとんどです。知的障害のある子どもの多くは、運動機能や言語発達に遅れがある場合があります。知的発達の遅れがベースとなって、言葉が遅れていたり、コミュニケーションに困難さがあったりする場合は、言語障害ではなく知的障害という診断が下ります。構音障害とは、声が鼻にかかったり、鼻に抜けてしまうため、発音が不鮮明になったり、間違った発音になってしまう症状を特徴とする障害です。スピーチチェーンの三段階目である「生理学的レベル」での困難さがある障害と言えます。例えば、さかな”の発音が”たかな”になってしまうようにサ行やカ行がうまく発音できない場合です。これは、唇の断裂(口蓋裂)や、音を発声させる器官(構音器官)のまひなどによる機能的問題が原因となって言葉の困難さを引き起こしています。構音障害は、精神科だけでなく耳鼻咽喉科や小児科の領域の疾患でもあります。そのため必ずしも精神科で診断がくだされるわけではありません。小児科、リハビリテーション科、耳鼻咽喉科、脳神経外科、神経内科、形成外科、言語外来を設置している各科などでも診てもらうことができます。吃音とは吃音などの話し言葉におけるリズム流暢でないために、言葉に詰まってしまったり、同じ音を繰り返してしまうことです。上の図では、三段階目の生理学的レベルに困難さがあります。そのため、吃音は精神科だけでなく耳鼻咽喉科や小児科、児童神経科の領域の疾患でもあります。例えば、”きんぎょ”を”き、ききんぎょ”と言葉を繰り返してしまったり、”き...んぎょ”など言葉が詰まってしまうなどです。このような言語に関する困難さを吃音といい、言語障害とは区別されます。言語障害と発達障害の関連は?出典 : 言語障害は、学習障害、ADHD(注意欠如・多動性障害)、自閉症スペクトラム障害などの発達障害との併存も珍しくないと言われています。発達障害について、詳しくは以下の関連記事をご覧ください。言語障害が気になる場合の相談先出典 : 歳から未就学児までの子育てに関する、不安や悩みがある親子に対する相談、援助を実施しています。子育て支援センターでは、病院と違い診断や治療を受けることはできませんが、相談・診察の状態によっては、医療機関を紹介してもらうこともあるようです。乳幼児健診(1歳半健診や、3歳健診など)では、乳幼児の健康について診てもらうだけでなく、子育てに関する相談もすることができます。場合によっては臨床心理士さんなどに相談できるよい機会です。教育相談とは、就学児(小学校入学以後の児童)の発達と教育にかかわる問題についての心理的・教育的援助です。教育相談センター・教育センターで行われる教育相談では、来所、電話、メール、さまざまな形での相談を受け付けています。児童相談所でも、幼児~高校生までの教育に関する相談を行うことができます。子どもの言語障害や言葉の遅れに関する診察や治療は、小児科や、神経科、小児神経科が主な受診先となります。言語障害のある子どもへの支援・治療法出典 : 言語障害はその症状によってさまざまな治療法があります。言語障害にはこの方法が必ずいいというわけではなく、子どもの特性や困難さに合わせた、個別の支援、治療を考えていく必要があります。言語聴覚療法とは、言葉を話したり聞いたりする機能に障害がある人に対して、日常生活を円滑に送るために行う、発音・発声に関するリハビリテーションです。言語聴覚療法では、専門知識を持った言語聴覚士がリハビリテーションにあたります。一般的に、発音・発声の機能獲得と、言語をつかさどる脳機能の獲得の二つのトレーニングを受けることができます。子どもの場合も、聞く、読む、話す、書くことという言葉全般の働きについて、その子どもの症状や課題に応じたトレーニングが行われます。また、子ども本人だけでなく、家族や生活環境にも焦点を当てたリハビリテーションが行われる場合もあります。ことばの教室とは、言葉に関する困りごとのある児童を対象とした、小学校、中学校で行われている特別支援教育の場です。一般的に、通級指導教室と特別支援学級に設置されています。ことばの教室に通うことを希望している場合は、就学前に就学相談を行う必要があります。そこで、教育委員会や学校と相談をしながら、就学先としてことばの教室に通うかどうかを決定します。また、すでに通常学級へ通っている場合でも、学校との相談の結果、必要に応じて通級指導教室に通ったり、特別支援学級に転籍することができる場合があります。まとめ言葉に関する疾患は数多くあり、広義にはそのような言葉に関する困難さ全般を言語障害と呼ぶこともあります。この記事では、医学的な診断名として定義された、発達期における、言葉の習得と使用に困難さを感じる疾患としての「言語障害」に焦点を当てて開設しました。言語障害は、コミュニケーションの中でも、特に言葉の理解と産出がうまくいかないために起こる障害です。子どもの言語の発達に不安がある場合は、上記のような相談場所へ行ってみましょう。
2017年05月30日こんにちは、金融ライターの齋藤惠です。子どもが学校などに通うようになれば、気にかかるのが保護者会やPTAの存在です。未就学児の子どもを持つママは、「いったいどちらがどんな役割を持つのか?」「自分も強制参加させられるのか?」と不安になってしまうこともあるようです。そこで今回は、保護者会とPTAの違いについてと、それぞれの意義についてご紹介します。●保護者会とPTAの違いって?近年、保護者会とPTAの区別は非常に曖昧になっています。もともとは、それぞれ次のような活動を行う団体です。・保護者会……親が主体 で子どもの学校生活をよりよくするため、学校側と協議をしたりイベント運営をしたりといった活動をする団体。・PTA……学校と親が共同で運営する 組織で、子どもを取り巻く地域社会の改善と充実について協議や活動を行う団体。このように、親が自主的に活動するか学校と連携し合うかといった違いが昔はあったようですが、今ではその垣根はほとんど存在しない ようです。さらに、“保護者会=PTA”という考え方や、時代の流れを受けて保護者会やPTAをつくらない学校まであります。ここまでくると、そもそもこれらの団体は必要なのかと思ってしまいますよね。●どうして親が関わる団体が必要なの?子どもを危険から守るため、また教育や発達にふさわしい生活環境を整えてあげるためには、学校と親が協力し合わなければいけません。学校がいくら子どもの安全と発達に力を注いでいても、家庭での生活が不健全では子どもは順調に育っていかないものです。親の方だってわが子が「学校で楽しく生活できているか」「勉強しやすい環境か」「登下校などに危険はないか」など目の行き届かないところまで気にし出したらきりがありません。そんなときに学校からの報告やサポートがあればとても心強いですよね。このように子どもの健やかな成長のためには学校と家庭両方の力添えが大切なので、今の時代には保護者会やPTAという既存の概念に縛られることなく、子どもを社会全体で見守っていく姿勢が必要ではないかと思われます。●強制参加かどうか……不安もうすぐ学校に通う年頃の子どもがいるママには、ぜひとも近所にある学校のPTA行事などについて学校に問い合わせてみたり、先輩ママから情報を集めてみたりといったアクションを起こすことをおすすめします。子どもが通う予定の学校ではどんな行事や集会を行うのか、またそのとき親はどれほど深く関わらなければいけないのかは学校によって大きく違うので、事前に調べておく必要があります。親の負担が軽い場合もあれば重い場合もありますし、学校がPTAに対して良心的なところもあれば半ば強制的にいろんな仕事を押し付けるようなところもあるようです。PTAは任意団体なのですが……。子どもが学校に入学してから思い悩むより、あらかじめリサーチをして自分がどのようなスタンスで参加すべきか を決めておけば、今の不安も軽減するでしょう。本来、保護者会やPTAは子どものためになる有意義な団体ですから、自分の生活に支障のない程度に積極的に参加したいものですね。【参考リンク】・第4章学校・家庭・地域社会の連携 | 文部科学省()●ライター/齋藤惠(金融コンシェルジュ)●モデル/坂井由有紀(央将くん)、貴子(優くん、綾ちゃん)
2017年05月15日一時預かりとは?出典 : 一時預かりとは、保護者が子どもを見ることが一時的に困難になったご家庭のために、幼稚園、認定子ども園などが一時的に子どもを預かってくれるサービスです。別名「一時保育」ともいいます。保育所を利用せず家庭で子育てを行っている場合でも、出産、葬儀など日常生活での突然の事情によって、一時的に家庭で子どもを見ることが困難となる場合はあります。また、保護者のうちの一方が子育てを行うことができず子育てを1人で担っている場合や、ひとり親家庭の場合には、長い時間の育児によって心身ともに負担がかかって育児疲れを引き起こしてしまうことがあります。このような突発的な事情や育児疲れによって、子どもを見ることが困難となった家庭の状況に対応するために行われているのが、一時預かりです。保育所(保育園)や幼稚園、認定子ども園などでは、一定の時間お子さんを預かることで、親御さんが安心して子育てのできる環境をつくる取り組みを行っています。このような取り組みは、正式には「一時預かり事業」といいます。国が行う事業で自治体が主体となって行っています。この事業は次世代を担うすべての子どもの健全な育成のための法律、児童福祉法第6条の3第7項に定められています。一時預かり事業の目的は、安心して子育てができる環境を整備することによって、子どもたちの福祉を向上させることです。一時預かりを行う施設の定員数や、一人の職員あたりのケアをできる子どもの数などは、国が指定する「一時預かり実施要綱」の基準に従って行われているので、市区町村によって異なることはありません。この事業を実施する主体は、市区町村などの自治体です。各自治体がそれぞれに独自の方法を採用しているので、一時預かりの申し込みや見学の方法は、それぞれの市区町村で違いがあるかもしれません。平成27年より変更が加えられ、一時預かりを行う施設や児童の利用対象の幅が広がりました。この記事では、それらの変更点を交えながら「一時預かり事業」を中心にご紹介していきます。児童福祉法|e-Gov一時預かりには4つの種類がある!出典 : 各自治体が行う一時預かりの事業は以下の4つの方法で実施されています。それぞれで一時預かりの実施される施設や利用できる子どもの条件が異なります。子どもが保育所、幼稚園、認定こども園等に通っていない場合に利用することのできる一時預かりのスタイルです。保育所、幼稚園、認定子ども園、地域子育て支援拠点などが中心となって運営を行っています。また市区町村から委託を受けたNPO法人が運営を行っている「保育室」と呼ばれる施設で行われていることもあります。子どもの世話を行う職員の2分の1は保育士の資格を有しており、残りの資格を有していない場合にも適切なケアを行うための研修を受講しています。平成27年度に創設された新しい一時預かりのスタイルであり、主として、幼稚園等に在籍する満3歳以上の幼児が利用することができます。普段の幼稚園の教育時間の前後、または春休みや夏休みなどの長期間の休業日に幼稚園等において一時的に預かってもらうことが可能です。平成24年に設立された一時預かりのスタイルです。利用している子どもの数が定員に達していない保育施設で保育が行われ、預かる子どもの人数は、定員の範囲内で行うようにと取り決められています。このスタイルの一時預かりは、幼稚園や保育所、そのほか家庭的保育事業所や小規模保育事業所において行われています。施設によって子どもの人数は異なりますが、家庭的保育事業所は1~5名、小規模保育事業所においては6~19名とごく少数となります。また家庭的保育事業所は、保育者の居宅や、そのほかの施設において行われる小規模の異年齢保育です。地域によっては「保育ママ制度」などとも呼ばれます。保育者の居宅といっても、生活感のある家ではなく、子どもたちが安心して過ごせるように、安全設備などに十分に配慮された保育室のような環境です。2015年度よりスタートした「子ども・子育て新制度」という国による制度における事業のひとつを展開する場所として機能しています。法人家庭的保育全国連絡協議会子ども・子育て新制度ハンドブック施設・事業者向け|内閣府・文部科学省・厚生労働省地域子ども・子育て支援事業について|内閣府平成27年度に創設された新しいスタイルで、他の一時預かりとは少し異なるのがこの「居宅訪問型」です。子どもの自宅に直接職員が訪問をする形での一時預かりが利用できます。ほかのスタイルの一時預かりを実施するのが難しい場合に実施されます。「居宅訪問型」の一時預かりを利用するためには、以下の3つの要件のうちのどれかを満たしている必要があります。・子どもに障害、疾病等があり、集団保育が著しく困難であると認められる・ひとり親家庭などで、保護者が一時的に夜間、および深夜の就労を行っている・離島その他の地域において、保護者が一時的に就労を行っている一時預かりの対象となる年齢は?また、どんなときに一時預かりを利用できるの?出典 : 一時預かりを利用することができるのは、基本的に就学前の子どもです。自治体や各施設によって、預けることのできる月齢は異なっています。生後2ヶ月から預けることのできる施設もあれば、生後1年からの預かりのみを行っている施設もありますので、具体的な年齢制限について知りたい方は、お住まいの自治体のHPをご覧いただくのがよいでしょう。どのようなときに一時預かりを利用することができるのでしょうか。一時利用を行うことができるのは、以下の3つの場合です。(1)育児リフレッシュ保育保護者の育児にともなう心理的、肉体的な負担を軽減したいときに一時的に子どもを預けることができます。自治体によって異なりますが、この場合の利用可能な日数は、1ヶ月あたり7日まで、週に3日までなど、月や週ごとに利用できる日数が定められています。(2)非定型保育保護者の就労や、技能習得のための職業訓練校および学校への通学によって、ご家庭での保育が断続的に困難となる場合に預けることが可能です。自治体により異なるが利用可能日数は1の育児リフレッシュの保育と同じくらいと定めている自治体が多いです。(3)緊急保育病気・出産・看護・冠婚葬祭など家庭での育児が一時的に不可能になる場合に一時預かりを利用することが可能です。半月~1ヶ月など自治体により異なる。(1)(2)よりも利用できる期間が長いことが特徴となります。一時預かり保育では子どもはどんな環境で過ごすの?出典 : 一時預かりを利用したことがない場合には、お子さんがどのような環境で過ごすのか心配される方も少なくないかもしれません。この章では一時預かり保育において子どもがどのような環境で過ごすのかについてご紹介します。一時預かり保育のひとつの特徴は、周囲の子どもの顔ぶれがほぼ毎度異なるということです。この点が、定型的な通常の保育所・幼稚園との違いです。これまでは保護者や親族との見知った人の中で過ごしていたのに、一時預かりにおいて、いきなり見知らぬ集団に飛び込むということもあって、緊張してしまってのびのびと過ごすことのできない子どもも少なくはないようです。保育者はこの点を十分に理解しているので、配慮を行った保育を行います。普段の保育において立てる保育目標を立てることはできないものの、当日の子どもの顔ぶれや、一人一人の子どもの心身の状態や、保育場面への適応の状況を考慮して、それぞれに見合った保育やかかわりを行います。一時預かり保育のもうひとつの特徴としては、小さな縦割り保育であること、つまり子どもたちの年齢がばらばらなことがあげられます。施設や園によっては、通常の保育クラスの中に一時預かりの子どもに交じってもらうこともあるようですが、たいていは一時預かりの子どもだけのクラスがある場合が多いです。年齢によって、発達の課題や遊びの質や生活のリズムが異なっているために、子どものニーズに合わせた保育を行っています。また、一週間のうちに何度も一時預かり保育に通う子どもの場合には、少しずつ場慣れしてくるので、在園児のクラスと交流をもつこともあります。このあたりは、子どもの状況に合わせて柔軟な対応を行っているようです。このように年齢が違ったり、環境が異なっても、楽しく保育に参加できるような気配りや配慮、環境づくりを行いながら保育を行っています。利用時間や料金は?出典 : 一時預かりにかかる費用は自治体や実施施設によって異なります。料金が1時間単位で決められている場合もあれば、半日・1日単位で決められている場合もあります。だいたい、1日あたりに換算すると1,500円から5,000円くらいの幅の中で料金が定められていることが多いようです。また、生活保護世帯・住民税非課税世帯は全額免除、所得税非課税世帯は半額を減額される、などの世帯の状況によって支払う金額が変動する決まりを取り入れている自治体もありますので、お住まいの市町村のHPをご確認ください。利用時間も自治体や実施する施設により異なります。ほとんどの場合には、平日の午前8時前後から利用することができ、17時から19時ぐらいまでの間に預かりを終える施設が多いようです。一時預かりの申し込みの方法は?出典 : 一時預かりの申し込みを行いたいときには、直接各施設にお問い合わせの上で申し込みを行う場合と、まれに市役所の窓口で申し込みを行う場合の2つがあります。直接施設へ申し込むときには、一時預かりのための登録を行う必要があります。一時預かりのサービスの利用の際には利用登録と申請書の提出が求められます。市役所の窓口で申し込みを行うときには、窓口にて案内される申請書に必要事項を記入し、申し込みを行います。なお申し込みには期限が定められており、預けたい日程よりだいたい2日~1ヶ月前に利用の申請をする必要があります。しかし、病気や冠婚葬祭などの緊急の利用については、申し込みの期限に限らず、利用をすることか可能な場合もありますので、あらかじめ実施施設に空き状況を問い合わせてみることをおすすめします。定員オーバーで一時預かりをしてもらえない場合には?出典 : 子育てのリフレッシュをしたくても、施設側の受け入れ数が満員のために親御さんが一時預かりを利用することができないこともあります。一時預かり制度を利用することができなくても、以下のサービスでは子どもの一時預かりを行っています。幼稚園や保育所での一時預かりの予約がとれなかった場合には、ファミリー・サポート・センターの一時預かりを利用することができます。ファミリー・サポート事業とは、各市区町村が運営を行っている、地域で子育てを支え合う会員制のサービスです。サービスには、一時預かりのほか、幼稚園・保育所への送り迎えなどもあります。保育所・幼稚園等で行っている一時保育と異なる点は、子どもへサ―ビスを行うのは保育従事者ではないことです。このサービスは、育児を手伝ってもらいたい「依頼会員」と、育児を手伝いたい「提供会員」によって成り立っています。調査によると、提供会員の年齢は60歳代が1番多く、50歳代、40歳代の順に続いています。依頼会員は30歳代が半分以上を占めていて、30歳代と40歳代を合わせると9割を超えています。利用をするためには、会員登録が必要です。お住まいの各市町村にあるファミリー・サポート・センターに出向いて登録を行います。しかし、会員の登録が終了してすぐにサービスを利用できるというわけではありません。会員登録後、提供会員との顔合わせののち、事前打ち合わせを行います。依頼会員と提供会員が実際に会い、子どもの様子や注意事項、活動の際の時間や料金の支払い方法など、サポートを受けるうえで決めなくてはならないことや気になることを話し合います。その後、預かりをしてほしい日時をファミリーサポートセンターへ伝え、提供会員に一時預かりや送迎を行ってもらいます。料金は自治体ごとに規定されています。東京都内だと、利用料は平日1時間当たり約800~1000円ですが、自治体ごとに異なっておりますので、利用の際にはお住まいの市区町村へご確認ください。平成26年度全国ファミリー・サポート・センター活動実態調査結果|一般財団法人女性労働協会◆病児・緊急対応強化事業一部の市区町村では、病児・病後児の預かりや、早朝・夜間などの緊急の預かり(病児・緊急対応強化事業)を実施しています。実際に実施を行っているかどうかは、お住まいの市区町村のファミリー・サポート・センターにお問い合わせください。障害のある子どもは一時預かりを利用できるの?出典 : 制度上は障害のある子どもの場合も一時預かりを利用することが可能です。国の定める「一時預かり事業」の要綱には、障害のある子どもの一時預かりについて「居宅訪問型」を利用することができると明示されています。しかし、それ以外の「一般型」「幼稚園型」「余裕活用型」のスタイルにおいては障害のある子どもの場合における利用について特別な記載は見当たりません。利用料金や受け入れ時間などと同じく、一時預かりの基準は各自治体により異なりますので、利用を検討されている場合はお住まいの自治体にお問い合わせください。一時預かり事業の実施について|内閣府お子さんに障害がある場合で、「一時預かり事業」を利用することができなかったときにも、「日中一時支援事業」という制度を利用することで子どもを一時的に預けることができる場合もあります。日中一時支援事業とは、障害児・者がよりよく暮らすための法律である、「障害者総合支援法」で定められている事業です。一時預かり事業と同じように、社会的な理由や、突然のイベントなどで在宅における介護や子育てが困難となった場合に利用することができます。配属されているスタッフは障害に関する知識・技能を有しています。具体的には、児童発達管理責任者や支援員といわれる役割をもつスタッフが、生活の介助や、食事の提供や健康の管理など、日中の活動の場の提供を行います。日中一時支援事業と児童デイサービス|厚生労働省子どもの預かりのことなら「保育コンシェルジュ」に相談を!出典 : 保育コンシェルジュとは、子どもを預けたい親御さんに保育施設の案内や預け先の提案を行う専門の相談員です。親御さんの希望や家庭・お子さんの状況などをヒアリングによって聞き取りながら、個別のニーズにあったサービスの提案を行っています。保育コンシェルジュは、平成27年4月1日の時点で待機児童が50人以上いる自治体に配置されています。平成28年の厚生労働省からの通達により、各自治体では保育コンシェルジュの配置の強化が行われているので、現在保育コンシェルジュがいない自治体にも今後展開が行われる予定です。待機児童解消に向けて緊急的に対応する施策について|厚生労働省保育コンシェルジュの業務は・保育サービスの利用相談・入所未決定児のアフターフォロー・保育施設・保育業務の情報収集業務・そのほかの保育サービス(一時保育,特定保育,私立幼稚園預かり保育,ファミリーサポートセンター事業)の提供についてのこと◆相談の内容一時預かりの相談のほかには、お住まいの地域の近くにある保育施設の空き情報、保育施設の選び方のポイント、各施設の保育料金の詳細や利用可能時間など、子どもの預かりについてさまざまな疑問を解決してくれます。保育コンシェルジュは、行政の役所の窓口で案内を行っています。また、直接役所の窓口へ行く場合のほかにも、一部の自治体では、地域で行っている育児交流の場である子育てサロンへの出張相談や、電話での相談なども可能となっています。このように相談をしたいときにはいくつかの方法があるので、親御さんご自身の状況に合わせた相談方法を選ぶことができます。保育コンシェルジュは各市区町村で取り入れられたばかりの新しい役割ですので、残念ながら保育コンシェルジュが配置されていない自治体も多くあります。そのようなときには、地域の子育ての事情について詳しい知識をもっている役所の子育て課や、地域の子育て支援センターのスタッフなどに相談してみるとよいでしょう。まとめ出典 : 昨今では夫婦の共働きの家庭が増え、子どもを保育施設に預けたいというニーズが高まった結果、施設の不足が問題となっています。現在、保育施設の不足によって生まれた待機児童の問題について国は全力をあげて対応を行っています。ほんの一例ではありますが東京都の杉並区では平成25年~28年の間に約2579名の保育定員の確保を行いました。一時預かりについても同じく、定員の拡充が現在行われているところです。一時預かりをはじめとするさまざまな子育て支援の制度は、ともに社会のみんなで子どもの育ちや親御さんの子育てを支えようとするものです。子育てをしていく上で、家庭のみで子どもの面倒を見るということが困難となることがあるでしょう。そのようなときに、子どもと、子どもを育てる親御さんをすぐにサポートできる体制が整ってきているので、便利に活用できるといいですね。待機児童解消緊急対策|杉並区
2017年05月11日不登校とは出典 : 一般的に不登校とは、子どもが病気やケガ、経済的事情ではない理由で、長期間学校を休み続ける状態のことを呼びます。クラスメートや家族などの身近な人や自身が経験者である場合も含め、おそらく現代の日本ではほとんどの人が不登校の存在を知っているのではないでしょうか?不登校について、文部科学省は以下のように定義しています。連続又は断続して年間30日以上欠席し、「何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、児童生徒が登校しないあるいはしたくともできない状況である(ただし、病気や経済的な理由によるものを除く)このような不登校状態が継続し、十分な支援が受けられない期間が続くことは、学力の停滞、自己肯定感の低下や健康状態の悪化など、本人の学習や社会的自立を妨げる、様々な問題に繋がります。一方で、子どもが不登校になる要因には、社会環境や学校環境、家庭環境の様々な要因が影響しており、無理やりに子どもを再登校させようとするとかえって問題が悪化するおそれもあります。また、不登校問題の「解決」といっても、元々通っていた学校に再登校すること、別の学校に転校をしてリスタートすること、フリースクールや通信制高校といったその子に合った学びの場を見つけることなど、様々な選択肢が考えられます。今日、子どもの不登校問題は日本が抱える社会問題の一つとなっており、その要因を踏まえた適切な対策を行うことが求められています。Upload By 発達障害のキホン図表出典:「平成28年版子供・若者白書」このグラフは、1991年以降の不登校生徒数の推移を表したものです。不登校の子どもの数は2000年ごろまで上昇を続け、その後も高水準で推移していることがわかります。平成27年度現在、不登校の子どもの数とその割合は、小学生:2万7581 人(0.42%、228人に1人)中学校:9万8428 人(2.83%、35人に1人)高校生:4万9591 人(1.49%、67人に1人)となっています。中でも割合の高い中学生に関しては、40人のクラスに約1人以上の不登校児がいる計算となっています。出典:平成 27 年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」「平成 27 年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」(速報値)について」不登校の実態を知る上で重要な背景としては、まず一つに近年の子どもたちの社会性等に関する課題が挙げられます。例えば、自己の将来に対する夢や希望を持てずにいることや、自尊感情が低いこと、コミュニケーション上の困難さがあったり、ストレスへの対応が難しかったりするなどの傾向が指摘されています。二つ目に、社会的背景の影響を受けた保護者側の課題にも注目する必要があります。近年、少子化・核家族化・地域内での人間関係の希薄化により家庭が孤立するケースが多くなっています。そして、そのような家庭においては、保護者の不安感も大きくなり、育児をする上での自信を喪失したり、意図せずして過保護・過干渉になることが多いとも言われています。また、長期的不況の影響により生活の余裕がなくなり、保護者が精神的なゆとりを失ってしまい、結果、子どもにもネガティブな影響が生じてしまう、といった傾向も指摘されています。このような社会的背景を受けて、保護者が抱える課題も不登校問題と関連があるのではないかと考えられています。その他、学校に通わせるのが絶対ではないという保護者の間での価値観の変化なども、不登校の増加に影響しているのではないかという見方もあります。出典:「不登校児童生徒への支援に関する中間報告」参考:「不登校児童生徒への支援に関する最終報告 」不登校になりやすい子どもの特徴・傾向はあるの?出典 : 平成4年、文部科学省による報告において不登校は子どもに特有の問題があることによって起こることではなく「誰にでも起こりうる」という認識が示されました。参考:不登校への対応について(文部科学省HP)しかしその一方で、不登校になりやすい子どもにはいくつかの共通した傾向が見られるとも言われています。具体的には以下のような特徴・傾向が指摘されています。・わがまま、自己中心的、非協調的・非社交的・内向的・自発性、自主性、決断力がない・忍耐力のなさ・友人関係がほとんどない・手がかからないですが、上記で不登校は「誰にでも起こりうる」と述べた通り、子どもたちがこのような特徴や傾向を備えるに至った背景や経緯(生育環境や人間関係)についても注意が必要です。また、手のかからない子どもが不登校になるというのは意外に思われるかもしれませんが、まじめで成績も優秀な子どもがある日、なにかをきっかけに不登校になるケースも少なくないようです。子ども自身が持つこれらの特徴・傾向は、次章で説明する不登校発生メカニズムにおける「様々な要因」のひとつとなります。参考:伊藤美奈子「思春期の心さがしと学びの現場―スクールカウンセラーの実践を通して」2000年、北樹出版不登校と発達障害の関連は?出典 : 発達障害がある子どもであるからといって必ずしも不登校や引きこもりになるわけではありません。しかし、周囲の理解のなさや不適切な対応により人間関係がうまく構築できない、学習についていけないといった状況が進み、結果として不登校に至ってしまう可能性が指摘されています。不登校の解決を目指すうえで、その背景に発達上の特性や精神疾患による困りごとが存在していないかどうかを見極めることは非常に重要です。なぜなら、不登校が発達障害や精神疾患による困りごとに起因している場合、そうした困難性への対処を行わない限り根本的な解決は望めないと言われているからです。例えば、発達障害のひとつである学習障害の影響によって文字をうまく読むことができないため授業についていけず、試験で悪い点を取ってしまったことをきっかけに不登校になっている生徒のケースを考えてみましょう。この場合、様々に努力して再登校まで漕ぎつけたとしても、根本となっている学習障害へ対処がないまま授業を受けるとしたら、また同じ困難を抱えて、不登校になってしまう可能性があります。こうしたケースでは、保護者は学校側の協力を得て、文字を読みやすいよう工夫したり、文字以外の方法(レコーダーなど)で学びを支援したりといった手段を取ることで根本的な原因に対処することが求められます。子どもに発達障害があることがわかっている場合であれば、事前に担任の先生などに子どもの特性を伝えることで、子どもがどのような状況下においてどのような困りごとを感じるのかを知ってもらえるよう努力しましょう。そのようなコミュニケーションを取ることで、学校側も適切な配慮をしやすくなります。また、子どもの特性に合わせた具体的な対処法に関しては、医療機関を含めた専門機関による助言や指導に従うとよいでしょう。参考:「不登校児童生徒への支援に関する中間報告」参考:海野和夫「Q&A不登校問題の理解と解決」日本評論社2016年参考:「発達障害が疑われる不登校児童生徒の実態」中野明德不登校が発生するメカニズム出典 : By 発達障害のキホン多くの場合、不登校は様々な要因が合わさり蓄積され下地となった状態に、なんらかのきっかけが加わることで引き起こされると考えられています。要因の種類としては社会・家庭の要因、個人の要因のほか、(本人にとっての)学校環境の魅力の乏しさ、教師の対応能力の乏しさ、他の生徒との関係性構築の難しさといった学校生活上の要因などが挙げられます。参考:伊藤美奈子「思春期の心さがしと学びの現場―スクールカウンセラーの実践を通して」2000年、北樹出版例えば、親子関係上の問題という家庭の要因、学歴偏重社会という社会の要因が絡み合い下地となった状態で、友人関係のトラブルなどの出来事がきっかけとして加わることで不登校になってしまうなどという可能性が考えられます。きっかけとなるのは学校関連の事柄であることが多く、・授業での不適応・成績低下・友人関係のトラブル・いじめ・部活動での不適応・転校などが報告されています。また、適切な対処がなされないまま不登校状態が継続すると、学習の遅れや生活リズムの乱れという新たな要因が生じ、解決の難度が高くなる傾向があります。さらに、家庭内暴力やアルコール中毒など他の問題へと結びつくリスクも上昇します。そのため、解決を目指す上では学校やその他関係機関の協力を得ながら早期対処を行っていくことが求められます。参考:「不登校児童生徒への支援に関する中間報告」不登校の経過出典 : 不登校の経過は、小・中学校、高校共通に1. 前駆期2. 開始・進行期3. 混乱・引きこもり期4. 回復期と辿るのが一般的と言われています。しかし、上記の順番ですべての時期を通過しなくても、周囲が各時期において適切なかかわり合い・支援を行うことで次の時期に進むことなく再登校は実現されます。ただし、以上はあくまで一般論であり必ずしもこうした経過を辿るわけではなく、また発達障害などが絡む場合、求められる対応が異なることに注意してください。前駆期は「学校に行こうか、どうしようか」と葛藤する時期です。学校に行きたくない素振りを見せたり、頭痛や腹痛、吐き気などといった体調不良を訴えたりします。朝起きられない、パジャマを脱がない、制服を着ない、トイレに何回も入り独占する、何回もカバンの中を確認する、前日学校の準備をゆっくりする、といった行為が見られることもあります。この時期の適切な対応は、気分の良い学校生活を送れるよう配慮し、真剣に本人の話に耳を傾けることです。開始・進行期には「学校に行けない」「行かない」という意思を明らかにする「不登校宣言」が行われます。家庭での身体状態は前駆期とほとんど同じですが、子どもによっては症状が変化することもあります。朝目を覚まさない、目を開けても起きない、布団から出ない、教科書や制服などに見向きもしなくなるといった姿勢・行為が特徴で、適切な対応がなされなければ本格的に学校を休み始めます。この時期には、本人が感じている罪悪感や自責の念などに考慮しながら精神の安定を図り、目標設定から具体的な行動化を目指す方策を考案・実行していくことが適切な対処法と言われています。目標設定の仕方と意義については次章で解説します。混乱・引きこもり期は怒りを根源とした荒い言動、沈黙、引きこもり、無気力化が顕著になる時期です。粗暴な言動をする子どものほか、自室に引きこもって食事を運ばせたり、入浴や下着の交換をせずに過ごす子どももいます。また、長期間に渡り欠席を続けたことで久々に登校することへの様々な不安を抱え、再登校の意欲が低下してしまうことも多いです。適切なかかわりがないと、自己制御ができなくなり粗暴な言動を示し、それが落ち着くと引きこもるという流れが多いようです。また、中学2年生以上、特に高校生レベルで暴力が目立つ不登校の事例では、精神疾患があることを疑う必要があり、そうした場合は医療優先の対応が必須となります。この時期には登校意欲を上げるような働きかけや、目標と目標実現のための具体的な行動計画を設定する対応が求められ、放置したり、誤った対応を取ったりすると長期化へとつながる可能性があります。回復期は、子どもが少しずつ自信を取り戻した結果、登校に対して前向きな感情を持つようになる時期です。髪を切ったり、参考書を買いたい、学校の友達に会いたいと言い出したりした場合、それは回復期に入ったサインであることが多いと言われています。本人の自己決定を尊重して書店に連れて行ったり、望まれたら本代を与えるといった配慮をするとよいでしょう。このとき、子どもが動き始めたのを喜び、親はしばしば先回りして世話を焼きがちになります。しかし、そうした家族の過度な世話焼きによって状況が後退してしまう可能性もあるため、注意が必要です。家族のために何かをする、例えば洗濯や料理、掃除などの手伝いなども状況が回復へと向かっていることのサインです。親がこうしたささやかな行動や心遣いに気づいて、「ありがとう。うれしい。」と本人に伝えることで家族間での肯定的な感情交流が生まれ、子どもの自己肯定感にもつながっていきます。参考:海野和夫「Q&A不登校問題の理解と解決」日本評論社2016年不登校から問題解決へ向けて 合意形成と目標達成へのステップ出典 : ある子どもが不登校となった場合、その問題の「解決」とはどのような状態を指すのでしょう。元々通っていた学校に再登校すること、別の学校に転校をしてリスタートすること、フリースクールや通信制高校といったその子に合った学びの場を見つけること、様々な選択肢が考えられます。何より大事なのは、子どもの自尊感情を高め、「学校へ行く」「フリースクールに行く」といったその子の選択のサポートをしていくことです。なぜなら、多くの場合不登校の問題の所在は「自分はだめな人間」という心情にあるからです。具体的には、自信のなさ、集団に参加できない社会化不全、他者への過剰な遠慮や不必要な羞恥心などの否定的な感情です。そのため、解決を目指すうえでは子どもが自分のよさに気づき、それまでより自分に自信を持てる機会を積み重ねていくことが必要です。保護者の姿勢としては、そうした子どものよさを引き出すことに努め、そのために肯定的に関わっていくことが大切です。より具体的には、家族相互の感情交流を増やすことと家族の問題を解決するための目標の設定と実現方法を考案することが求められます。また、親子の関係を見直し、子どもとのより良いかかわり方を探す手段として「ペアレントトレーニング」に参加してみるのもよいでしょう。不登校の解決を目指すうえで目標設定を行うことには大きく2つの意義があります。一つは具体的かつ達成可能な目標を設定することで、問題解決の進展に対する評価と、その評価に基づいたフィードバックを行えるようになるということです。設定された目標に対してどのように向き合い、その結果どうなったのかを判断できるようになるため、現在の対応策を見直したり新たな対応策へのヒントを得たりすることができます。もう一つの意義は、達成に合わせて小さな目標を設定し続けることで、少しずつ本人の自信を育みながらステップアップしていけるということです。本章の冒頭で述べた通り、不登校解決に向けて取り組むうえで重要なのは、子どもの「自分はダメだ」という感情を取り除き、自尊心や自己肯定感を高めることです。何かに向けてがんばった結果、目標を達成することができたという成功体験は子どもの自信を育み、次のステップへとつながっていきます。目標設定の例としては、・学校に間に合う時刻に起床する・制服に着替える・家庭学習に取り組む・家事の手伝いをする・学校の友達と会ってみる・休日に登校する・誰もいない教室に入ってみる・職員室に行くなどがあります。どのような目標を立てるのかを決める上で重要なのは、子どもの意思を尊重することです。本人の考えに耳を貸さず、親の思いを一方的に押し付けてしまうと、子どもの自尊心を傷つけてしまう恐れがあります。また、子どもが目標を達成できたときには、素直に努力をほめてあげましょう。できて当たり前と思えることでも、様々な感情を抱え葛藤している子どもにとっては大きな1歩です。一つ一つの成功体験を自信とつなげていけるよう、家族全員でサポートしていきましょう。教育機会確保法と不登校出典 : 教育機会確保法は、不登校の子どもたちの教育支援を目的として2017年に施行された新しい法律です。不登校生徒数が一向に減らない現状を背景に提出された本法では、学校に通えていない子どもの教育を受ける機会を確保するための施策を国や自治体の責務として、必要な財政上の措置を講じることを求めています。様々な議論の対象となっている教育機会確保法ですが、本章では中でも第十三条に注目して、この法律における2つの重要ポイントについて解説します。第十三条国及び地方公共団体は、不登校児童生徒が学校以外の場において行う多様で適切な学習活動の重要性に鑑み、個々の不登校児童生徒の休養の必要性を踏まえ、当該不登校児童生徒の状況に応じた学習活動が行われることとなるよう、当該不登校児童生徒及びその保護者(学校教育法第十六条に規定する保護者をいう。)に対する必要な情報の提供、助言その他の支援を行うために必要な措置を講ずるものとする。(太字筆者)まず、1つ目のポイントは「休んでもよい」ということです。無理な通学はかえって状況を悪化させる懸念があるという事実を踏まえ、「休養の必要性」が正式に認められました。2つ目のポイントは「学校以外の場における学習活動の重要性」を認めたことです。学校以外の学習の居場所となっているフリースクールなどの役割がこれまで以上に重要視されるようになりました。どのような支援が行われるのかなど、具体的な内容が決まるのはこれからですが、上記の2点が国によって正式に認められたことは、不登校の子どもやその家族にとって大きな意義を持つのではないでしょうか。不登校でも卒業できるの?学校以外の学びの場は?出典 : 子ども不登校が続くと、「勉強の遅れは取り戻せるのか」「ちゃんと進級・卒業できるのか」といった不安を感じることもあるのではないのでしょうか。本章では不登校の子どもの学びの場として大きな役割を果たしているフリースクールと、学習支援を行う通信制高校について解説します。不登校の支援機関の一つであるフリースクールは、しばしば「不登校の子どもたちの居場所・学びの場」と形容されます。フリースクールでは自分の好きなこと・得意なことを中心に学んだり、他の子どもやスタッフとの交流を通してソーシャルスキルを身につけたり、他者と協力することの楽しさを知ることができます。フリースクールは、文部科学省が定めるところの学校機関ではないため設置基準がありません。そのため、規模や運営方式、在籍生徒の学年、などは施設ごとに異なります。自由で独創的な教育を実践しているところも多く、既存の学校になかなか馴染めない子どもにとって新たな選択肢となっています。フリースクールに通う子どもたちは、義務教育期間中はもともと通っていた学校に籍を置いたままフリースクールを利用することになります。また、在籍校の校長による許可が出ればフリースクールへの登校も義務教育上の出席日数として承認される場合もあり、卒業に必要な単位が出席日数単位を満たすことにより、義務教育上の小中学校の卒業資格を得ることができます。平均的なフリースクールの費用や子どもに合ったフリースクールの見つけ方に関しては、以下の関連記事をご覧になってください。参考:小・中学校に通っていない義務教育段階の子供が通う民間の団体・施設に関する調査通信制高校は、テレビなどの通信手段を使った自宅での学習が中心の高校のことです。以下で挙げる条件を満たしたうえで必要な単位を修了することで高校卒業資格を取得することができます。3年間の間に必要な単位を取得していれば卒業できる「単位制」と、毎年進級に必要な単位を取得しなければ次の学年に上がることができない「進級制」の通信制高校が存在しますが、現在ではほとんどが前者となっています。通信制高校を卒業するためにはスクーリング、レポート、試験の3つが必要です。スクーリングとは、登校して先生の指導を受けることで、科目によって単位をとるために必要な日数が異なります。また入学式や卒業式などの行事に参加することもスクーリングとしてカウントされます。スクーリングの出席日数に加え、定期的なレポートと期末試験によって、単位の認定がされます。通学型の通信制高校では、レポート指導の時間が設けられていることが多いため、無理なく取り組むことができるようです。通信制高校には他にも「私立・公立」「必要な出席日数」といった方法でも分類することができます。詳しくは以下の関連記事をご参照ください。子どもの不登校に関する相談先は?出典 : 文部科学省は、子どもが不登校になった場合にはまず第一に在籍校と十分に連絡を取ることを推奨しています。教育委員会では「教育センター」や「教育相談所」で子どもの教育に関する相談を行うための窓口を設けているほか、「教育支援センター(適応指導教室)」では不登校に関する相談活動や不登校の子どもに対する通所指導(カウンセリング・教科指導・体験活動)を行っています。また、東京都教育委員会が運営する東京都教育相談センターでは、子どもの教育に関する相談電話を平日であれば午前9時から午後9時まで、土日祝日は午前9時から午後5時まで受け付けています(ただし閉庁日・年末年始をのぞく)。東京都教育相談センター厚生労働省が運営する「児童相談所」「保健所」「保健福祉センター」などでも教育相談をすることができます。ただし、地域によって名称が異なるので、詳しくはお住まいの都道府県・市区町村に問い合わせるとよいでしょう。まとめ出典 : 不登校に限らず、思春期の子どもとの接し方に悩む親御さんは数多くいるのではないでしょうか。また、なかには子育てと同時に自分自身の両親の世話や介護も行っており、大きな負担を抱えている方もいると言われています。思春期に起きる子どもの変化は、時として親子関係にも変化をもたらします。そうしたタイミングで子どもが不登校になったとき、親としての責任を感じて自分を責めたり、子育てに自信を失ってしまったりすることもあると思います。子どもの不登校をきっかけにお子さんとの関わり方や親子関係を見直すことは決して悪い事ではありません。しかし、不登校を解決する上で重要なのは状況に応じて具体的なアクションを起こすことです。また、多くの場合、不登校の原因は一つではなく、様々な要因が複雑に絡み合っています。言い換えれば、子どもが不登校になるのは、必ずしもすべて親の責任というわけではないということです。さらに、本記事でもふれた通り、「不登校は誰にでも起きる」「休息は必要」という考えは文部科学省によって支持されており、今後も社会に広がっていくはずです。フリースクールなど、学校に通っていなくても学び成長できる場の役割も大きくなりつつあります。子どもとの対話を通して、前向きに、少しずつでも前に進んでいけることを願います。
2017年04月30日通級指導教室とは?出典 : 通級指導教室とは、小・中学校に通う比較的障害の程度が軽い子どもが、通常の学級に在籍しながらその子の障害特性に合った「通級による指導」という個別の指導を受けるための教室です。通級による指導とは、小学校又は中学校の通常の学級に在籍している軽度の障害のある児童生徒に対して、主として各教科等の指導を通常の学級で行いながら、障害に応じた特別の指導を特別の指導の場で行う指導形態です(学校教育法施行規則第140条及び同施行規則第141条)。参考:平成五年文部省告示第七号|文部科学省通級による指導を受ける子どもは、主に各教科の学習や給食などの時間はみんなと一緒に通常学級で過ごし、週に何時間かある通級による指導の時間だけ通級指導教室に移動して、それぞれの困りごとや課題に合わせた支援・指導を受けることになります。個別に必要な支援や指導の内容が変わるので、障害の種類によって教室の種類もいくつかに分かれています。そのため、在籍する学校にその子のニーズに合った通級が設置されていない場合もあり、地域で定められた他校の通級指導教室に通うこともあります。通級による指導は平成5年より全国で制度化されました。平成18年の改正により、情緒障害から自閉症者が独立して規定され、さらに学習障害(LD)、ADHDが新しく対象に含まれるようになり、指導時間数についても弾力化されました。通常級で学ぶ障害のある子どもが増え、そのニーズの高まりとともに小・中学校での通級指導教室による支援体制の整備が進んでいます。ここ20年間、通級による指導を受けている児童・生徒数は増加傾向にあります。平成27年度の文部科学省の調査によると、全国の公立の小学校3693校・中学校645校に通級指導教室が設置され、義務教育段階の児童生徒全体の0.8%にあたる8万3750人の児童・生徒が通級による指導を受けています。出典:文部科学省特別支援教育資料(平成27年度)【第1部集計編】通級による指導の対象は?出典 : 学校教育法施行規則第140条の各号のいずれかに該当する、小学校・中学校に通い特別支援学級に在籍していない児童・生徒で、障害に応じた特別の指導を行う必要がある場合、通級による指導の対象となります。・視覚障害・聴覚障害・肢体不自由・言語障害・自閉症・情緒障害・学習障害・ADHD(注意欠陥・多動性障害)・病弱および身体虚弱「情緒障害」とは情緒の現れ方が偏っていたり、その現れ方が激しかったりする状態を自分の意志ではコントロールできないことが継続し、学校生活や社会生活に支障となる状態を指します。具体的には心理的な要因による選択性かん黙(場面緘黙症)などが含まれます。上記の障害種別ごとにクラスが設置されますが、市区町村によってはすべての障害種別のクラスが設置されていない場合もあります。参考: 学校教育法施行規則 (昭和二十二年五月二十三日文部省令第十一号)通級の支援対象となる障害の基準は明確にはありませんが、通常の学級での学習におおむね参加でき、一部特別な指導を必要とする程度とされています。学習面や生活面など、学校生活で子どもが困難を抱えていないか、さまざまな面から判断されます。後述する通り、就学相談などで親の希望や本人の障害の状況や困りごとなどを合わせて検討されます。明確な基準がないために「特別な指導を必要とする程度」の判断は、地域や学校によって異なる場合があります。通級指導教室ではどんな指導をしてくれるの?出典 : 通級指導教室では、障害に応じた特別の指導として、障害の状態の改善又は克服を目的とする指導をうけることができます。一人ひとりの障害の状況に応じた具体的な目標や計画を立て、特別の教育課程を編成して指導が行われます。特別支援学校小学部・中学部学習指導要領を参考にした自立活動では障害による学習上・生活上の困難を改善するための指導が行われます。特に必要があるときは、これに加えて児童・生徒の障害の状態に応じて各教科の内容を補充するための指導を行うこともできます。この「教科の補充」は、単に授業の遅れを補習するということではありません。ですが、その子にあった方法で教科を学び、学習上の苦手を克服する必要がある場合に行われます。例えば言語障害のある子どもが音読が苦手で国語の授業ができない場合に読む練習をしたり、算数障害のある子どもが筆算しやすいようにマス目のあるプリントでかけ算を学んだりする場合があります。出典:文部科学省特別支援教育資料(平成27年度)【第1部集計編】通級による指導の時間数は、自立活動と教科指導の補充を併せて、年間35単位時間(週1単位時間)から年間280単位時間(週8単位時間)までが標準として示されています。また、学習障害及びADHDの児童生徒の指導時間数については、月1単位時間程度で指導上の効果が期待できる場合もあることから、年間10単位時間(月1単位時間)から年間280単位時間までが標準として示されています。小・中学校では定められた授業内容や授業時間数を学習要領に基づき行うことが義務付けられています。ですが特例として、児童・生徒本人の障害に応じた特別の指導を通級により受けた場合、受けた指導は小学校または中学校の教育課程に加え、またはその一部に替えることができます。つまり他校に設置された通級指導教室で受けた授業でも、自校で行った授業と見なすことができます。出典:学校教育法施行規則 (昭和二十二年五月二十三日文部省令第十一号)第百四十一条子ども一人ひとりのニーズに合わせるため、以下のような計画のもと、具体的な支援が行われます。・個別の教育支援計画…保護者や関係機関と連携を図って個別の教育支援計画が立てられます。それに基づいて通級による指導の教育課程が在籍校の校内委員会で編成されます。・個別指導計画…小・中学校では障害のある子どもの個別指導計画を作成することが学習指導要綱で定められています。特に通級による指導を受ける子どもの場合、通常学級と通級指導学級のそれぞれで支援計画が作成され、お互いの教員が連携し十分な協議を行って支援を進める必要があります。通級指導教室の通い方出典 : 通級指導教室に通う子どもは、通常学級に在籍し、各教科の授業や給食などの学校生活の大部分を通常学級で過ごします。担任も通常学級の教員がつとめます。週・月に何時間かある通級による指導の時間のみ、通級指導教室に通います。通級指導教室は障害別に分かれているため、必ずしも在籍校に該当する通級指導教室があるとは限りません。他校の通級指導教室に通う場合、保護者による送迎が必要なこともあります。これらの形態は地域や学区によって違いますので、お住まいの地域の制度や通級の設置校がどこにあるか、問い合わせてみましょう。参考:通級について|高知県教育センター通級指導教室と特別支援学級・特別支援学校との違いは?出典 : 特に義務教育が始まる小学校入学の前に、お子さんをどの教育環境で育てるか迷う保護者の方は多いと思います。障害のある子どもの教育環境として、通常学級・通級指導教室・特別支援学級・特別支援学校の4つの選択肢があります。それぞれの対象となる障害の程度に明確な基準はありませんが、一般的に通級指導教室は比較的障害が軽度な場合に選ぶ保護者が多いようです。出典 : 通級指導教室に通う子どもは、通常学級の学校に籍があり、通級指導の時間のみ通級指導教室に通います。通級指導教室が通常学級の学校にない場合は、通級指導教室がある他の学校に通級指導の時間のみ通います。また、担任は通常学級の先生が受け持ちます。出典 : 特別支援学級に通う場合は、特別支援学級が設置されている学校に籍を置きます。学区内に設置されていない場合、学区外の学校に通うことになります。基本的に特別支援学級で授業を受けますが、体育や図画工作、給食の時間は通常学級の子どもたちと過ごすこともあります。担任は特別支援学級の先生が受け持ちます。出典 : 特別支援学校に通う場合は、通学する特別支援学校に籍をおきます。また、通級・特別支援学級は通常の教員免許のみでも受け持つことができますが、特別支援学校の教員は通常の教員免許に加え、特別支援学校の教員免許を取得していることが通常です。通級を選ぶべき?それぞれのメリット・デメリットは?通級を選ぶべきかどうか、子どものことを考えて迷うのは当然です。教育システムや制度の違いから、通級・特別支援学級・特別支援学校それぞれにメリット・デメリットがあります。お子さんの学校選びの参考にしてみてください。■通級・通常学級に在籍し、いろいろな子どもとのコミュニケーションなどの経験が積める・通常学級で授業が受けられる・本人の障害に合わせた必要な支援やフォローを通級指導教室で受けられる■特別支援学級・発達・障害の程度に準じたカリキュラムで指導を受けられる・給食の時間や昼休みなどには通常学級での子どもとのコミュニケーションなどの経験ができる■特別支援学校・個々人の障害の程度に合わせたカリキュラムで、専門性を持った先生からきめ細かい指導が受けられる・高等部では職業教育が受けられる■通級・特別支援学級・基準があいまいである・すべての学校に通級指導教室や特別支援学級があるわけではなく、場合によっては遠くの学区に通学しなければならない・高校では通級制度はまだ整えられておらず、特別支援学級も設置されていないのが現状(ただし、2018年度から高校でも通級指導を始めるよう文部科学省が準備を進めている)・学級数や受け入れ可能人数などに地域差が大きい・通常学級との行き来がお子さんのストレスになることもある・制度や対象となるかの基準に地域差が大きい■特別支援学校・通常学級の子ども、同世代の子どもと触れあう機会が少ない・転学・転校は可能だが手続きが必要・障害の程度によっては入学できない可能性がある・特別支援学校高等部を卒業しても、通常の高卒資格は得られない(ただし大学入学資格を得ることはできる)・地域差、学校差がある通級指導教室に入るには?出典 : 初等教育(小学校)へあがる前年度に、障害のある子どもや発達が気になる子どものいる家庭が、通常級、通級(通級指導教室)、特別支援学級、特別支援学校などの選択肢の中からどこへ進学するかを選択する機会が就学相談です。小学校入学後に通級による指導を受けたい場合、一般的には以下のような就学相談のプロセスを経ることになります。しかし、就学相談は、地域によって内容や呼び方、その過程が異なります。お住まいの地域の就学相談についてはご自身で行政や学校に問い合わせてみてください。■年中期~6月ごろ:情報収集お住まいの市区町村の教育委員会に問い合わせたり、ホームページを参照して、地域にある特別支援学校や、小学校の特別支援学級の有無などについて情報を集めましょう。また4月から6月ごろにかけて、教育委員会が幼稚園や保育園、発達支援センターや療育センターに「個人調査票」「就学に関する調査票」の作成を依頼します。通常の学級・学校に就学することに不安があると思われるお子さんについて、園やセンターは保護者の了承を得て調査票を作成します。そして該当のお子さんをもつ保護者向けに、教育委員会が就学についての説明会を行います。説明会では小学校全体および通常学級、特別支援学級、特別支援学校ではどのような支援が行われているのか、就学指導・就学相談の流れ、手続きの方法などがアナウンスされます。ただし、私立や認可を受けていない保育園や幼稚園は教育委員会の管轄外なのでこういった情報が回ってこない可能性があります。その場合はご自身で市区町村の教育委員会に問い合わせをして、就学相談を受けることをおすすめします。■7~9月ごろ:就学相談園やセンターの調査票がなくても、市区町村の教育委員会へ連絡すれば就学相談を受けることができます。就学相談では、専門の就学相談員と保護者との面談(複数回のこともあります)を通して子どもにとって最適な就学先を決めます。子どもの状態を把握するための検査が行われたり、相談員がお子さんの在籍園・在籍校に赴いてお子さんの様子を確認することがあります。障害の状態、障害に基づく教育的ニーズ、保護者・専門家の意見、学校や地域の状況などを考慮して、就学指導委員会がお子さんにとって良いと思われる就学先を決定します。この決定に保護者の方が同意をすれば就学先が決定します。もし同意できない場合はその旨を教育委員会に申し立て、再度就学相談を受けることもできます。最終的には保護者の方の意向が尊重されます。就学相談では、子どもの状態を正確にしっかりと伝えることが大切です。医療機関で受けた診断書や療育手帳などがあれば持参することをおすすめします。小学校入学時は通常学級に在籍していた子どもが、その後通級による指導が必要となることもあります。その場合、小・中学校の校内委員会が関係しています。校内委員会とは、子どもの状態に早期に気付き、適切な支援を行うために小・中学校に設置されたものです。その役割は以下の通りです。・学習面や行動面で特別な教育的支援が必要な子どもに早期に気付く。・特別な支援が必要な子どもの実態を把握し、担任の指導への支援方策を具体化する。・保護者や関係機関と連携して、個別の教育支援計画・個別の指導計画を作成する。・特別な支援が必要な子どもへの指導とその保護者との連携について、全教職員の共通理解を図る。また、そのための校内研修を推進する。・専門家チームに判断を求めるかどうかを検討する。※LD、ADHD、自閉症スペクトラムの判断は教員が行うものではない・保護者相談の窓口となるとともに、理解推進の中心となる。こういった支援体制が小・中学校内にあるため、最初に通常学級に入学したお子さんでも、通級による指導や特別支援学級の支援を受けることができます。通級による指導が変わる?ニーズの増加と新しい取り組み出典 : 通常学級に在籍する子どもの中に発達障害があったり何らかの支援を必要とする子どものニーズは増えていますが、今までは通級による指導の教員は、加配措置の対象となっていました。そのため通級指導を希望しても先生の数によって、通級を利用できる子どもの数が決まる仕組みになっていました。そのために利用したくてもできない「通級待機児童」が発生してしまうこともありました。そこで2017年3月に、「義務標準法の改正法案」が国会に提出・可決されました。通級による指導及び外国人児童・生徒等への日本語指導に係る教職員定数の基礎定数化に向けた法律の改正が行われたのです。これにより10年間で通級による指導を行う教員を段階的に増やすことが決まりました。初年度となる2017年度については、通級による指導及び外国人児童・生徒等への日本語指導合わせての数ですが、計868人の教職員定数を増やすことになりました。またこの法改正により、通級指導の教員1人当たりの子どもの数は2016年度の16.5人から13人になり、よりきめ細やかな指導ができるようになるのではないかとの期待もあります。参考:国立国会図書館 教職員定数と義務標準法の改正通常学級に在籍する学習障害(LD)、ADHD、自閉症スペクトラムなどの発達障害のある子どもはどの学校にもいるといわれており、さらに適切な支援を受けられるようにすべきとの声も高まってきました。これを受け、文部科学省はインクルーシブ教育の一環として「特別支援教室(仮称)」として、さらに弾力的な支援ができる制度を進めようとしています。◇東京都の特別支援教室東京都では全国に先駆けて2016年度から小学校の情緒障害等通級指導教室が特別支援教室という制度に変わりました。それまで自校に通級指導教室が設置されていない場合、他校に通わなければいけなかったのですが、特別支援教室の制度では、東京都の全ての公立学校に特別支援教室がおかれ、拠点校から教員が巡回して指導を行います。これにより、在籍校で指導が受けられるため、・多くの子どもが支援を受けられる・子どもや保護者の移動・送迎の負担が少なくなる・在籍学級の担任と巡回指導教員の連携が密になるなどの効果が期待されています。東京都では新しく特別支援教室専門員を非常勤で配置したり、臨床発達心理士を巡回させるなど、支援を進めています。一方で、巡回による指導を行い、支援を受ける子どもが増える特別支援教室の制度は、教員の負担が大きくなります。そのため教員の数を増やしたり、制度の導入によって指導の質が下がらないようにする必要があるという指摘もされています。出典 : まとめ出典 : その子のタイプや学校の体制によっても、どのような支援体制が子どもに合っているかは変わりますが、大切なのは子どもにとって何が最善か、どんな支援があれば子どもが困り感を感じずに学校生活を送れるか。通級による指導もその選択肢の一つとしてみる価値は十分にあるでしょう。文部科学省によると通常学級に在籍する6.5%の子どもに特別な配慮や支援が必要だという調査結果があります。そのような子どもたちには、弾力的かつ必要な支援が受けられる通級指導教室の存在は重要になってくるのではないでしょうか。特に、発達障害の子どもの中には、得意なことと苦手なことがある場合があり、通常学級での学習におおむね困難がなくても、苦手なところや特性にあった指導が必要になる場面が出てくることも少なくありません。通級のメリット・デメリットを含め内容をよく知り、またほかの学びの場とも検討した上で、子どもに合うのはどのような環境か考えてみてはいかがでしょうか?まずは学校に問い合わせたり、子どもと一緒に見学に行くのもよいでしょう。
2017年04月29日精神疾患とは?精神障害とは何が違うの?出典 : 精神疾患とは、広義に解釈するとなんらかの脳の働きの変化により心理的な問題が生じ、感情や行動などに著しいかたよりがみられる状態のことです。この意味合いで、一般に「心の病」や「精神病」、「精神障害」などと呼ばれるものを、より医学的に言いあらわすときに使われることが多い用語です。ですが、精神医学の領域においても「精神疾患」という言葉は、普遍的かつ確立された定義がありません。使われる場面や診断基準、医師によっても定義や概念にばらつきがあり、いまもなお見解の違いで議論が行われることもあります。精神疾患がどのような概念を指すのか、つかわれる場面ごとの定義を見ていきましょう。精神疾患という言葉は、mental diseaseの直訳として使われます。精神医学の診断に使われるDSMなどではmental disorderの訳として「精神疾患」が使われることもあります。mental disorderは一般に精神障害とも訳されることがあるため、しばしば混乱を招きます。これらの用語にはどのような違いがあるのでしょうか?◇精神疾患(mental disease) は精神の病を指す医学用語医学における疾患(disease)とは、特定の原因、病態、症状、経過予後などが明確に結びついている場合を指します。しかし、多くの精神の病は原因を特定するのが難しいため、原因が不明な場合でも、病態・症状・経過・予後が特有なものであれば、疾患単位として精神疾患(mental disease)と呼ばれます。例えば統合失調症は、原因は不明ながらも代表的な精神疾患と位置づけられています。ところが、精神的な健康を保てない状態の中には、病態が不明確で疾患とは言い切れないものもあります。そのような場合、より広義な概念である精神障害という言葉が使われることがあります。例えば「適応障害」などです。◇精神障害(mental disorder)は症状や機能的な乱れがある状態像を指す障害(disorder) は、ある特定の生体機能の乱れや個人的苦痛があるが,疾患 (disease)と呼ぶには、その病態がはっきりと特定されていないものをいいます。そもそもdisorderとは、「調子の乱れ」といった意味であり,これに「障害」(差し障りや害がある)という重い訳語が当てられたことが混乱を招いているとも言えますが、ここではそのことを踏まえつつも、行政用語でもある精神障害という言葉を使います。◇『DSM』の日本語版ではmental diseaseを精神疾患と訳している精神医学の診断に使われることの多い診断基準『DSM』では、その第4版であるDSM-Ⅳからこのmental disorderの訳語として「精神疾患」があてられました。しかしDSMでdisorderとして紹介されているものには、狭義の精神疾患だけでなく発達障害や知的障害など疾患とはいえないものや病態が不明瞭なものも含まれています。そのため、時に精神疾患・精神障害の概念についてのあいまいさや誤解のもととなることもあり、この訳語については専門家の間でも議論が分かれています。このように、精神医学の領域においても「精神疾患」という言葉は統一された定義がなく、使い分けについても厳密ではない場合があります。翻訳の場合は元の用語が何だったかによっても微妙にニュアンスが変わってきます。そのため、その用語がどのような意図を持っていて、どのような概念を指しているかは、その都度注意深く判断する必要があります。参考:精神看護学2精神障害をもつ人の看護/岩﨑弥生、 渡邉博幸編集/メヂカルフレンド社行政における「精神疾患」の定義も明確なものはありません。医療・福祉に関連する法律や行政は、我が国も加盟するWHOが作成したICD-10(『国際疾病分類』第10版)に準拠することが多く、『ICD-10(国際疾病分類第10版)』の第5章「精神と行動の障害」に該当するものを精神疾患としています。参考:第2回精神保健福祉法に関する専門委員会議事録|厚生労働省HP参考:みんなのメンタルヘルスしかし厚生労働省・文部科学省など担当省庁ごとや、法律などの文脈により定義や概念が異なる場合もあります。精神疾患に含まれる具体的な疾患・障害もそれぞれで異なる場合があり、『ICD-10』の第5章と完全に一致しているわけではありません。また「精神疾患」と「精神障害」の明確な区別もされていない状況です。例えば、精神障害者保健福祉手帳は、第5章には該当しないてんかんとアルツハイマーが交付対象である一方、第5章に該当する薬物依存や知的障害は交付対象ではありません。厚生労働省の患者調査などの統計結果でも、「ここでの精神疾患には、ICD-10で「精神及び行動の障害」に分類されるもののほか、てんかん・アルツハイマー病を含みます。」とされています。「疾患」とは、狭義には原因や経過などが明らかになっている場合を指します。しかし、精神疾患の場合、多くは未だ原因などが解明されてないため、診察などでは精神の病一般という意味で、「精神疾患」「精神障害」のどちらも用いられることが多いようです。このような状況においては、なにが精神疾患でなにがそうでないかということの線引きを正確にすることはできません。この記事では、心や脳のはたらき、または発達の過程における問題により引き起こされる、思考、行動、感情のコントロールにおける医療の介入が必要な状態全般について、「精神疾患」という言葉を用いて説明していきます。精神疾患の種類(分類)出典 : 精神疾患にはどのような種類があるのでしょうか?精神疾患の分類する方法には、大きくわけて2つあります。こころの病を原因から分類する病因論に基づく伝統的診断と、症状から分類する操作的診断です。それぞれの診断方法ごとに分類・名称が異なります。参考:操作的診断基準(精神疾患の)両者にはそれぞれ長所もあれば短所もあるので、現在日本では多くの医師が伝統的診断と操作的診断を併用しています。以下において、それぞれの診断方法における精神疾患の分類と種類を紹介いたします。■伝統的診断における分類19世紀後半、ドイツの医学者クレぺリンは他の身体疾患と同様に、精神疾患を原因別に外因性精神疾患、心因性精神疾患、内因性精神疾患の3つに分類しました。とはいえ、心因性と内因性の区別は極めて曖昧で、明確な区別は難しいとされています。◇外因性精神疾患脳器質的な病変、ないし身体の病変によって生じるもの例:脳腫瘍、脳外傷、パーキンソン病、アルツハイマー病、感染症(神経梅毒など)、内分泌疾患など◇心因性精神疾患心理的な内面の葛藤あるいはその人をとりまく環境からくるもの例:解離性障害、強迫性障害、ストレス関連障害など◇内因性精神疾患脳の機能異常に基づくが、明白な原因が同定されていない、何らかの遺伝的な素因が関与していることが想定される疾患例:統合失調症、双極性障害などちなみに、クレぺリンは統合失調症と躁うつ病(双極性障害)を二大精神病としました。参考書籍:『精神病』/笠原嘉著/岩波書店/1998年伝統的診断のメリットとして、精神症状に苦しむ本人やそのご家族に病気について説明する際、原因から説明すると理解してもらいやすい点が挙げられます。一方、デメリットとしては、診断する医師により診断名が異なりやすいことがあります。また、診断名が異なるということは、その病気の研究が進まないなどの問題もあります。■比較的新しい操作的診断基準に基づく分類現在普及しているアメリカ精神医学会のDSM-5などは、原因的な面は考慮せず、症状だけから分類した診断基準(操作的診断基準)です。この操作的診断基準を用いた診断のメリットは、基準が細かく明確であることから医師間で診断名の食い違いが少ないことや、福祉職、法律家などの多職種における共有言語となることなどが挙げられます。同じ基準で協力者を集めることにより、疾患の研究が進むことも期待されます。一方、デメリットとしては、症状のみによる診断名であり、疾患の本質が考慮されていないこと、医師から患者や家族への説明がわかりにくくなる、診断基準の改訂により診断名が変わることもある、などの問題点があるとされています。また、もともと操作的診断基準は患者ではなく医療機関側の都合からつくられたこともあり、個々の患者のための診断、治療に有用ではないという批判もあります。なお、現在ある診断基準はどれも暫定的で不完全なものなので、脳科学の進歩などにより確定的な診断基準が完成されることが期待されています。◇DSM-5の分類ここでは、DSM-5における精神疾患の分類(種類)を紹介いたします。・神経発達症群/神経発達障害群・統合失調症スペクトラム障害および他の精神病性障害群・双極性障害および関連障害群・抑うつ障害群・不安症群/不安障害群・強迫症および関連症群/強迫性障害および関連障害群・心的外傷およびストレス因関連障害群・解離症群/解離性障害群・身体症状症および関連症群・食行動障害および摂食障害群・排泄症群・睡眠-覚醒障害群・性機能不全群・性別違和・秩序破壊的・衝動制御・素行症群・物質関連障害および嗜癖性障害群・神経認知障害群・パーソナリティ障害群・パラフィリア障害群・その他の精神疾患群・医薬品誘発性運動症群およびその他の医薬品有害作用・臨床的関与の対象となることのある他の状態DSM-5に関しては、以下のリンクをご参照ください。精神疾患の症状は?出典 : 精神疾患の症状には様々な種類がありますが、そのほとんどは精神疾患でない一般の人でも経験するよくあるものです。ちょっとした気分の落ち込みや漠然とした不安感を経験したことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか?疾患であるかどうか医師の診断によって決まるのは、症状の組み合わせと症状の程度、そして症状が続いている期間です。また疾患名ごとにそれぞれの度合いや組み合わせは異なります。以下において、精神疾患の代表的な症状の一部を紹介します。症状それ自体は健康な人にも生じうるものであって、これがあるから精神疾患だ、ということではありません。あくまでも参考程度にとどめていただき、もし少しでも不安になった場合は専門機関に相談するようにしましょう。・抑うつ気分:つらい・悲しい・憂鬱・むなしいなどの気持ちになり、気力がでない状態。・幻覚:実際には刺激や対象が無いのに、それについて生じている知覚のこと。幻聴が代表的だが、幻視、体感幻覚などもあり、幻聴にもさまざまな種類がある。・妄想:根拠が無い非合理で訂正不能な思いこみ。本人は妄想とは認識しにくい。・離人:自分が自分であるという実感がしない、あるいは外界と自分との間に奇妙な隔たりを感じてしまう状態。・強迫:止めたい気持ちがありながらも、一方でそれをやらなければ気が済まないようにも感じ、同じ思考や行為を繰り返してしまうこと。精神疾患をチェックする方法はあるの?出典 : 全ての精神疾患をご自身でチェックする方法はありませんが、うつ病などの個々の病気を評価する尺度はあるので、以下にいくつか紹介いたします。以下に紹介するチェックリストは、何点以上なら病気であると判断するものではないので注意が必要です。あくまでも、その傾向があるということを示すだけなので、チェック結果の意味づけは医師と話し合う必要があります。チェックをして不安に思った場合は、自分で即断せず、チェック結果を持って医療機関に相談しましょう。■CES-D うつ病(抑うつ状態)自己評価尺度CES-Dは一般人がご自身でのうつ病を発見する目的で米国国立精神保健研究所により開発された自己評価尺度です。質問項目は20問で所要時間は10-15分、対象年齢は15歳からとなっています。(以下のリンクをご参照ください)によるうつ病症状の簡易チェック|せせらぎメンタルクリニックHP■ストレスセルフチェック以下のリンクでは厚生労働省がストレスチェックを実施する際に推奨する「職業性ストレス簡易調査票フィードバックプログラム」に基いて制作されたテストが簡単に行えます。職場でのストレスレベルを約5分程度で測定することができます。(以下の厚生労働省「職業性ストレス簡易調査票フィードバックプログラム」に基づいて、制作された「5分でできる職場のストレスチェック」をご参照ください)「5分でできる職場のストレスセルフチェック」|こころの耳HP精神疾患の原因は?遺伝との関係はあるの?出典 : 病因論にかわって出てきた精神疾患が生ずる様々なメカニズムのうち、ほとんどの精神疾患にあてはまるといわれているのが、ストレス脆弱(ぜいじゃく)性モデルです。すなわち「その人の病気へのなりやすさ(脆弱性)と、病気の発症を促す要因(ストレス)の組み合わせにより、精神疾患は発症する」という仮説です。ここでいう脆弱性とは、遺伝などの先天的な要素と、どのような環境でどのように対応してきたかという後天的な要素により決まるといわれています。一方、ストレスには家庭や職場、学校における人間関係だけでなく、戦争、災害、親族の死などがありますが、個人により何にどの程度ストレスを感じるかは異なります。思春期という、身体が急激に変化する時期は思春期であること自体がストレス因にもなりえます。同じストレスを受けた場合でも、精神疾患を発症する人としない人がいるのは、その人がもつストレスへの脆弱性が低いか高いかによると考えられます。参考書籍:『新・精神保健福祉士養成講座〈1〉精神医学』/日本精神保健福祉士養成校協会 編/中央法規/2009年◇遺伝のしくみ遺伝には、親から病気の遺伝子を受け継ぐ場合と、親から正常な遺伝子を受け継ぎながら子どもの代で遺伝子に変異が起こる場合(突然変異)があります。また、ひとことに「遺伝」といっても、突然変異によるもの、メンデルの遺伝法則に従って遺伝する単一の遺伝子の異常と、複数の遺伝子が作用した上に環境要因も加わり発症する多因子遺伝に分けられます。精神疾患のなかでも遺伝が関与するものは、多因子遺伝によるものと考えられています。◇遺伝だけが発症を左右するわけではない脆弱性(病気のなりやすさ)には遺伝も関係しますが、環境も大きな要因の一つです。精神疾患のなかでも遺伝の影響が強い統合失調症でさえ、遺伝だけが発症の原因というわけではありません。実際、双生児を対象にして、「一方が統合失調症を発症した場合にもう一方が発症する確率」を調べた研究では、遺伝子が完全に一致する一卵性双生児でも48%、遺伝子が通常の兄弟と同じ程度に異なる二卵性双生児の場合は17%という結果が出ています。参考:『分裂病の起源』ゴッテスマン/著内沼幸雄・南光進一郎/監訳この結果は、遺伝の影響だけが発症原因ではないことを意味すると同時に、その人を取り囲む環境が発症に関係する場合もあることを示しています。自分の病気の原因を探し求めても、解決につながるとは限りません。仮に、遺伝や、親の育て方などの環境が関与していることがわかったとしても、それが今更変えられないものであるなら、そこにとらわれていても解決にはつながらないのです。過去ではなく未来に向かい、今何ができるのかを考えることが必要なのかもしれません。まとめ出典 : ◇ご自身がこころの不調に悩んでいらっしゃる方へ精神疾患の経過は人によって様々です。もし仮に一般的に重い病気とされているものに罹っていたとしても、必ずしも自分も同じ道を辿るわけではありません。今はネットなどで色々な情報を調べることは出来ますが、悲観的になりすぎないことが必要です。ご自身が精神的な不調に長らく苦しまれているのなら、少し勇気をだして一度医療機関を受診することをおすすめします。自分だけでは分からなかった解決策が見えてくるかもしれません。◇ご家族がこころの不調に悩んでいらっしゃる方へ家族がこころの不調で悩んでいると、周りの人、とりわけご家族は責任感を感じてしまうこともあるのではないでしょうか。しかし、精神疾患の原因は複合的なもので、決して一つではありません。たとえ家庭内に少し問題があったとしても、それだけが唯一の原因ではないのです。ご自身を責め過ぎず、疲れを感じた場合は休むことも必要です。一人で抱え込まないためにも、医療機関や福祉サービス、家族会などに救いの手を求めましょう。
2017年04月25日DSM-5とは?出典 : とは、米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルです。正式には「精神疾患の診断・統計マニュアル(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)」といいます。本来はアメリカの精神科医が使うことを想定したものですが、事実上、国際的な診断マニュアルとして使われています。DSMの初版(DSM-I)は1952年に出版され、以降数回にわたって改訂版が発行されてきました。DSM-5は、2013年に公開された第5版です。なお、第4版(DSM-IV, DSM-IV-TR)まではローマ数字が、第5版(DSM-5)からはアラビア数字が、それぞれ正式な表記です。第二次世界大戦中、兵士の適性検査や帰還兵の治療において精神科医が重要な役割を果たしました。平たく言えば、このときに使われた診断マニュアルが、現在のDSMのもとになっています。第3版(DSM-III)以降、DSMは、精神医学に「共通言語」を与えるという目標を明確に掲げてきました。これは、精神科医の「カン」に頼るのではなく、統一された基準を作り、それにしたがって根拠に基づいた医療行為がなされる環境を整えようということです。この方針が、現在に至るまでDSMのあり方を支えています。これについては、米国精神医学会の説明が簡潔でわかりやすいので引用します。「『精神障害の診断と統計マニュアル(DSM)』は、アメリカや世界の多くの国々で、ヘルスケア専門職(health care proessionals)が精神障害の診断に対する権威ある指針として使っているハンドブックです。DSMに書かれているのは、精神障害を診断するための記述、症状、その他いろいろな基準です。DSMは、臨床医に共通言語を与えています。臨床医はこれを使って、患者について情報交換し、精神障害の研究に使えるような一貫した信頼できる診断を与えています。また、DSMは研究者にも共通言語を与えています。研究者はこれを使って、将来[診断基準を]どのように改訂できるか研究し、投薬治療やその他の医学的介入の発展を促しています。」(DSM-5: Frequently Asked Questions | American Psychiatric Association.より上記は発達ナビ編集部による抄訳) Frequently Asked Questions | American Psychiatric Association.また、作られた診断基準が適切かどうかを見直し、場合によっては修正することも、DSMが「共通言語」として機能し続けるためには重要でした。そのために、DSMは大規模・小規模な改訂を繰り返してきました。有名な例では、かつて精神障害としてリストアップされていた「同性愛」が、1974年に削除されたという事例があります。DSM-5の内容は?出典 : では、まず、精神障害が大きく22カテゴリーに分類されます。その下に、一つひとつの診断名が挙げられています。たとえば、ADHD(注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害)は、DSMでは「神経発達症群/神経発達障害群」という大分類の下にあります。「神経発達症群/神経発達障害群」には、ADHDのほかに、・知的能力障害群(知的障害)・コミュニケーション障害群(吃音など)・自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害・限局性学習症/限局性学習障害(ディスレクシアなど、いわゆる「学習障害」)・運動症群/運動障害群(発達性協調運動障害、チックなど)が含まれます。どうしてこれらの障害が同じグループに含まれるのか、疑問を持たれる方もいるでしょう。「神経発達障害群」というグループ名が示すように、このまとめ方の背後には、これらの障害はみな神経の発達のしかたという共通の原因に関連しているのではないかという仮説があります。もちろん、これは現在の仮説ですから、DSMの改訂によって今後分類方法が変わることもあるでしょう。DSM-5ではどのような改訂があったの?出典 : 年のDSM-5発表は、1994年にDSM-IVが発表されてから実に19年ぶりの全面改訂でした(ただし、小規模な改訂は繰り返されてきました。とくに、2000年には、DSM-IVの文言のみを大幅に書き換えたDSM-IV-TRが発表されました)。そのため、近年の精神医学の進歩や認識の変化によって、大きく書き変えられたところがいくつかあります。また、英語で書かれたDSM原著だけでなく、日本語訳においても、大きな変化がありました。ここでは、それをいくつか紹介します。最もよく知られているのは、「自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(autism spectrum disorder)」という概念が導入されたことでしょう。「自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害」は、DSM-IV-TRで「自閉性障害」「アスペルガー障害」「広汎性発達障害」などと呼ばれていたいくつかの障害をすべて含むものです。つまり、DSM-5では、これらの障害は別々のものではなく、連続した障害なのだ、という見方を新たに採用したのです。「スペクトラム」(連続体)という見方は、DSM-5でとくに重視されている見方です。これは、診断項目に「当てはまるか、当てはまらないか」を判断するよりも、それらに「どの程度当てはまるか」を判断するほうがが適切だろうという考え方です。こうした考え方は、診断名としてはもちろん、診断方法としてもDSM-5を特徴付けている点のひとつです。ところで、「自閉症スペクトラム障害」と「自閉スペクトラム症」と併記されていますが、DSM-5においては、どちらも正しい表記です。DSM-5の日本語訳では、英語の disorder をどう訳すかがはっきりと決まっておらず、「障害」と「症」が併記されています。翻訳の段階では、「障害」をすべて「症」に変えることが提案されました。これは、「障害」という言葉が持つネガティブなイメージを避けることを意図した提案です。しかし、ネガティブなイメージを避けすぎると、今度はかえって過剰診断という別の問題を引き起こすのではないか、という懸念がありました。そうした議論を踏まえて、結局「障害」と「症」が併記されることになりました。日本精神神経学会精神科病名検討連絡会「DSM-5 病名・用語翻訳ガイドライン(初版)」『精神神経学雑誌』116巻、第6号(2014年)429–57ページ高橋三郎・大野裕監訳『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』医学書院、2014年DSM-5はどこで使われているの?いつ必要になるの?出典 : が使われるのは、主に、精神医学を研究したりそれを応用したりする場面です。こうした事情は、日本でも世界の他の国々でもそれほど変わりません。医師がDSMに基づいて診断をしていると、患者にとってはどのようなよいことがあるのでしょうか。最も大きいのは、DSMが「共通言語」として機能することによって、精神科医一人ひとりが独自に診断をするということがなくなり、どの病院・医院でもそれなりに統一された医療行為を受けることができるという点にあるのではないでしょうか。しかし、行政や司法の場で主に使われるのは、DSMではなくICD(国際疾病分類)です。詳しくは下で説明しますが、ICDは、国連の専門機関であるWHOが発表している疾病分類マニュアルです。たとえば、発達障害者支援法は「発達障害」をICDに基づいて定義しています。[…]法の対象となる障害は、脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するもののうち、ICD-10(疾病及び関連保健問題の国際統計分類)における「心理的発達の障害(F80–F89)」及び「小児〈児童〉期及び青年期に通常発症する行動及び情緒の障害(F90–F98)」に含まれる障害である[…]発達障害者支援法の施行について|文部科学省読者のみなさんにとって、「支援やサービスを受けるためにDSMの診断が必要だ」というケースは、あまりないかもしれません。障害年金や障害者手帳のような福祉制度の場合にも、民間の保険会社の場合にも、多くの場合、求められるのはICDの診断コードです。どうやってDSM-5の原文を見るの?診断名の調べ方は?出典 : 残念ながら、DSMの英語原文も日本語訳も、ウェブ上で見ることはできません。DSMは米国精神医学会の著作物であり、一般の書籍と同じように著作権の対象となっています。日本では日本精神神経学会によって日本語版用語監修が行われ、書籍が出版されています。『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』(DSM-5の日本語訳) and Statistical Manual of Mental Disorders, fifth edition (DSM-5の英語原文)DSMとICD(国際疾病分類)の違いって?出典 : のほかにも、国際的に使用されている疾病分類があります。有名なものに、世界保健機関(WHO)が作成するICD(国際疾病分類)があります。ICDの最新版として、1990年に発表された第10版(ICD-10)が使用されています。また、2018年には第11版(ICD-11)の発表が予定されています。国際統計分類第 11 版(ICD-11)改訂にむけて|WHO健康開発総合研究センターDSMとICDは、しばしば列挙して参照され、またどちらも国際的に使用されています。両者の違いを挙げるとすれば、以下のようなものがあります。1. 作成機関: DSMは米国精神医学会が作成しています。これに対して、ICDを作成しているのは、国連の専門機関であるWHOです。ただし、DSMがアメリカ国内でしか通用しないわけではなく、事実上どちらも国際的に広く使われています。2. 分類範囲: DSMは精神障害のみを対象とした分類です。これに対して、ICDは身体的疾患を含むすべての疾患を対象としています。3. 使用場面: 日本の行政機関では、ICDが採用されています。たとえば、福祉制度に関する書類には、DSMの診断名ではなくICDの診断コードを書くことになります。とはいえ、実際には、ICDとDSMのどちらを主に使うかは医師・医療機関ごとに異なっています。大まかに言って、ICDのうち精神障害や発達障害に関連するコード(F00–F99)にDSMが対応しています。個々の障害(疾患)の分類方法や診断基準について、DSMとICDの間にはそれほど大きな違いはないと考えてよいでしょう。ただし、「自閉症スペクトラム障害」のような新しい概念については、DSMとICDが必ずしも対応しているとは限りませんので、注意が必要です。おわりに出典 : は、精神科医の診断マニュアルとして作成されたものです。その中には、精神医学に関する最新の知見や、まだ議論の決着がついていない事柄が多く含まれています。これらは、精神医学に関する膨大な知識と訓練がなければ、理解することも使うことも難しい内容ばかりです。読者のみなさんにとっては、DSMに基づく診断がしっくりくる場合もあれば、納得いかない場合もあるでしょう。また、「自閉症スペクトラム障害」のように、改訂によって診断名が大きく変わることに疑問を抱く方もいるでしょう。しかし、これらは精神医学そのものが発展途上にあることの証拠でもあります。精神医学の世界では、以前より格段に多くのことが明らかになったとはいえ、それでもわからないことが多くあります。私たちが普段目にするのはICDですが、DSMには、そうした医学研究の苦労が現在進行形で現れているのではないでしょうか。
2017年04月25日こんにちは。メンタルケア関係を中心に執筆しているメンタルケア心理士の桜井涼です。新入学・進級などにより、子どもたちが今までとは違った環境に身を置くことになる日々へ突入する時期になりました。初めてのことばかりで、子どもにとっては不安を感じやすくなってしまう時期でもあります。新しい環境というのは未知の世界ですから、当然ですよね。子どもたちが不安を感じやすいこの時期、親は子どものちょっとしたサインを見逃さないようにしたいものです。●SOSサインにはこんなものがある!ちょっとした不安を感じた場合でも、子どもはサインを出します。しかし、子どもからしてみると無意識のうちにやっている(出ている)ことが多いです。しかも、繰り返すことがある ため、注意して見てあげましょう。【SOSサイン】・急に寝起きが悪くなる(それに伴って学校へ行くのをしぶる)・めまいやふらつき・表情が暗い(表情が乏しく、あまり笑わないなど)・食欲がない・やる気が起きない(ゲームをしなくなる・ぼーっとしているなど)・親のそばを離れたがらない(1人になるのを怖がる)・体の痛みやかゆみを訴える(腹痛・頭痛・皮膚をかきむしるなど)・小さい物音でも驚くようになるこういったサインは、ストレスが関係して起こってしまっていることがあります。ただし、体に症状が出ている場合は一度小児科を受診して、病気が隠れていないかを診てもらうことが必要です(自己判断は危険です)。●子どもは親に不安を打ち明けたくない!?子どもは親を愛しています。「親が大好きだから心配をかけたくない 」という気持ちがどうしても働きます。親は子どもの表情が暗いと、「どうしたの?」と聞きますよね。素直に話してくれる子どももいますが、「心配をかけたくない」という気持ちが強い場合、「別に」とか「何でもない」などのような短めの言葉でその場を離れてしまう子どもが少なくありません。年齢が上がれば上がるほど、その傾向が強くなっていきます。これで放っておいてしまうと、子どもの不安は強くなったり、学校に行くことが怖くなったりとSOSサインが強く出てしまうこともあります。決して見放さず、不安を少しだけでも和らげてあげることができるようにしてみましょう。●不安を感じている子どもへの対処法かまい過ぎて“過干渉”になるのはよくありません。無理に聞きだそうとするのも、逆に口を閉ざしてしまう原因になってしまいます。SOSサインが何度も見られたら、次のような対処法を試してみましょう。●(1)話を聞く不安を感じている子どもと2人きりの時間を過ごせるファミレスやカフェ、公園などに出かけます。いつもと違う環境で大好きな親と2人でジュースなどを飲みながら話せることが望ましいです。最初は世間話から始めて、そのうちに気になっているサインについて話してみましょう。子どもが話したがらないときはその話はやめ 、「お母さんは味方だからね」と優しく包み込むようにし、無理に聞かないようにします。子どもが話し出したら最後まで口を挟まず、相づちを打ちながら聞きましょう 。子どもはまず自分の思いや不安を聞いてもらうことで安心を得たいはずです。とにかく聞き役に徹します。ここで、つらかったと言っていた部分を“おうむ返し”(相手が言ったことを同じように言って返すこと)すると、子どもは「話を聞いてもらえた」「わかってもらえた」という気持ちを強く感じられます。子どもが親に意見を求めてから、「お母さんだったらね、」と話しましょう。●(2)愛情を求めてきたらしっかり返す特に年齢が低い子どもに多いのですが、親に抱っこを求めたり、手を握ったり愛情を確認するような行動を起こす場合があります。このときは、その場でしっかり対応してあげましょう。家事をしている最中でも家で仕事をしている最中でも、不安を感じた子どもは時と場合を考えずに愛情を求めてきます。このときに、「忙しいから後でね」と言ったとしても、「今じゃなきゃいや~」となる子もいれば、「じゃあいい」と素直に引き下がる子もいます。心配なのは、素直に引き下がってしまう子です。聞き分けがいいのではありません。我慢している のです。大好きなお母さんが困らないために、これ以上自分が嫌われないために。ですから、愛情を欲してきた場合は、その場ですぐに対処してあげましょう 。わかってもらえたという気持ちが、安心感になり、心の支えとなるのです。●おわりに親が自分のためだけに時間を作ってくれたという気持ちは、子どもにとって最高の安心感となるのです。特に不安がある子にとっては、なおさらです。「お母さんは僕(私)を見てくれている!」と感じます。新生活での不安は、放っておくと五月病になったり、中1ギャップに変化していったりすることが懸念されます。放置より、今しっかり対処してあげることを大事にしてあげてほしいと思います。【参考リンク】・「子供の心のケアのために」(保護者用) | 文部科学省(PDF)()●ライター/桜井涼(メンタルケア心理士)●モデル/REIKO(SORAくん、UTAくん)
2017年04月19日子どもに満足な環境を与えるには、学費や教育費などの費用がかかります。子どもの進路によっては多額の資金が必要になることもあるので、「どうやって資金をねん出しよう…」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか?そこで活用したいのが「学資保険」と呼ばれるものです。今回はこの学資保険の概要に加えて、メリットやデメリットなどを詳しくご紹介していきましょう。■学資保険ってどんな保険?学資保険は生命保険の一種であり、主に子どもの教育費を目的としてお金を積み立てられる保険です。学資保険に加入すると「満期」が設定されて、その満期を迎えるとまとまったお金を受け取ることができます。この際に受け取れるお金は、「給付金」や「成長祝金」などと呼ばれます。満期の時期は人によって異なりますが、例えば高校入学時の15歳や大学進学時など、初年度納入金が必要になる時期に満期を設定するケースが多く見られます。この学資保険を利用する際には、特に「返戻率(へんれいりつ)」に注意しなければなりません。返戻率によって学資保険のお得度は大きく変わってくるので、以下では返戻率について詳しく解説していきましょう。【返戻率とは?】学資保険では満期になると給付金を受け取れますが、支払った保険料に対する給付金の割合のことを返戻率と言います。学資保険は商品によってこの返戻率が異なるので、どの保険を選ぶのかによってお得度が変わってくるのです。学資保険の返戻率は、以下の式によって算出できます。返戻率=(給付金の金額)÷(支払った保険料)×100給付金や成長祝金に関しては、これまでに支払った保険料以上の金額を受け取れるケースが一般的です。では、具体的な数値を当てはめながら返戻率がどのように計算されているのか見てみましょう。例えば、2歳の子どものために学資保険に加入したと仮定します。「大学に進学する18歳」を満期に設定し、満期時に1,600,000受け取れる保険に対して月々8,000円の保険料を支払うと、返戻率は以下の通り算出できます。■支払う保険料…8,000円×12ヶ月×16年間=1,536,000円■返戻率…1,600,000円÷1,536,000円×100=104.1%つまり、上記の保険の返戻率は104.1%であり、満期を迎えると4.1%分の得をすることが分かります。■学資保険では保障内容もチェック学資保険で比較するべき部分は、上記でご紹介した返戻率だけではありません。各保険にさまざまな保障が備わっており、どのような保証が備わっているのかによって将来受けられるサポートが変わってきます。保障内容の例としては、子どものけがや病気に対するサポートや入院費の軽減などが挙げられます。また、万が一満期前に子どもが亡くなってしまった場合に、支払った保険料を返金してもらえる学資保険も見られます。これらの保障が充実していれば、安心して保険に加入することができるでしょう。■学資保険の4つのメリットをチェック次からは、学資保険の具体的なメリットについて解説していきます。メリットを理解した上で加入する保険を選べば、各シーンにぴったりな保険を選べるはずです。【メリットその1】加入時期の自由度が高い学資保険の中には、子どもが生まれる前から加入できる商品も見られます。加入できる時期は商品によって異なりますが、小学校入学後に加入できる学資保険も見られるので、加入時期をじっくりと検討できるでしょう。ただし、「妊娠6ヶ月(出産140日前)」「未就学児(6歳)までが保険加入対象」などの加入条件には注意をする必要があります。また、加入時期によって返戻率が変わってくることもあるので、加入時期は慎重に選ぶようにしましょう。【メリットその2】ケースによっては支払いの負担を軽減できる学資保険に加入したものの、状況次第では支払いが困難になる可能性もあります。例えば、契約者である両親が亡くなった場合、家族が重度の障がいになった場合などは、継続して保険料を支払うことが難しくなるでしょう。そのような場合に活用したいのが、「払込免除特約」と呼ばれるオプションです。これは、上記のように家族などが原因で支払いが困難になった場合に、保険料の支払いを免除できる特約です。学資保険のサポートの中でも、払込免除特約は支払いの負担を軽減できる魅力的なオプションと言えるでしょう。ただし、適用される条件や具体的なサポート内容などについては、事前にしっかりと確認しておくことが大切です。【メリットその3】ケースによっては税金がかからない学資保険では満期時に利益が生じますが、この際に受け取った給付金は「一時所得」として扱われます。一時所得は500,000円以上の収入が生じなければ税金がかからないので、給付金が500,000円を超えなければ課税されることはありません。加入する学資保険を選ぶ際には、満期時に受け取れる具体的な金額を算出して、税金がかからないように調整することも検討してみましょう。【メリットその4】税額控除の対象となる学資保険は生命保険の一種なので、支払った保険料は税額控除の対象に含まれます。つまり、学資保険では満期時に利益が生じるにも関わらず、節税効果も期待することができるのです。具体的には所得税で最大40,000円、住民税で最大28,000円が控除されます。目安として、世帯収入5,000,000円の家庭では年間1万円以上の節税になることもあるので、税金対策のひとつとしても検討してみましょう。■学資保険の3つのデメリットをチェック学資保険にはメリットがある反面で、デメリットもいくつか存在しています。そのようなデメリットをきちんと理解した上で、「本当に加入するべきか」について慎重に判断する必要があるでしょう。では、以下で具体的なデメリットについて見ていきましょう。【デメリットその1】好きなタイミングで換金ができない学資保険に加入した場合、基本的には満期を迎えるまで給付金を受け取ることができません。中途解約をすることも可能ですが、中途解約をすると返戻率が低下してしまうケースが一般的なので金銭的に損をしてしまいます。もちろん、加入してからすぐに解約をすると元本割れを引き起こす恐れもあります。そのため、学資保険は将来の計画を細かく考えた上で、各家庭にぴったりな商品を選ぶことが大切です。【デメリットその2】オプションによっては返戻率が低下する学資保険には払込免除特約の他にも、「医療保険特約」「災害特約」などの保障が存在しています。保障が備わっていると安心ですが、これらのオプションを多く付けすぎると返戻率が大きく下がってしまう恐れがあるので注意が必要です。特に必要以上の保障を付けることには注意しなければなりません。元本割れを引き起こす可能性もあるので、優先度が低いオプションについては利用しないことも検討してみましょう。【デメリットその3】好景気の影響を受けない一般的な学資保険では長期間の契約を結びますが、ほとんどの契約では加入時に「予定利率」が定められます。この予定利率によって返戻金が決められるので、学資保険で得られる利益は好景気の影響を受けません。つまり、学資保険は長期間の資金運用としては適していない可能性もあるのです。したがって資金運用の手段として学資保険を検討している方は、将来的に受け取れる具体的な給付金を計算した上で加入するべきかを慎重に検討しましょう。■学資保険と積立定期預金はどちらがお得?学資保険は貯蓄性が高い保険と言えますが、銀行の積立定期預金と比較するとどちらがお得と言えるのでしょうか?以下では、学資保険と積立定期預金を徹底的に比較してみましょう。【比較ポイント1】利回り一般的な学資保険では返戻率が110%近くあるため、無事に満期を迎えれば約300,000円の利益が発生することもあります。それに対して、金利0.3%で18年間貯蓄することを想定した場合、積立定期預金の返戻率は102%程度しかありません。つまり、利回りを考えると学資保険のほうがお得と言えるのです。特に主な資金用途が教育費の場合は、学資保険加入のほうが断然お得と言えるでしょう。【比較ポイント2】中途解約時のペナルティ前述でご紹介した通り、学資保険では中途解約をすると返戻率低下のペナルティがあります。それに対して積立定期預金では、中途解約をしても契約時の利率で再開できる商品がいくつか見られます。また、積立定期貯金は元本割れを引き起こすリスクが低いので、中途解約をする可能性がある場合や安全に資金運用したい場合は、積立定期貯金のほうが適しているかもしれません。【比較ポイント3】倒産のリスク学資保険では生命保険会社が倒産した場合、「生命保険契約者保護機構」により9割まで給付金を保護する義務があります。ただし、保険会社は残りの1割を保証する必要がないので、積立金が多いときに保険会社が倒産すると元本割れを引き起こす恐れがあります。それに対して、積立定期預金では仮に銀行が破綻しても、10,000,000円まで金額保証をしてもらえます。そのため、積立定期預金のほうが倒産のリスクには強いと言えるでしょう。【比較ポイント4】利用できるオプション一般的な積立定期預金では学資保険のように、病気やけがなど万が一の際にサポートしてもらえるオプションがありません。さまざまなシーンに備えておきたい方にとっては、学資保険のほうが安心しやすい資金運用法と言えます。ただし、学資保険も商品によって保障内容は大きく異なってくるので、加入前にオプションをきちんと比較するようにしましょう。■将来的に必要な学費・教育費を把握しよう加入する学資保険を選ぶ際には、事前に必要な学費・教育費を算出しておくことが大切です。必要な金額によって選ぶべき商品は異なるので、将来的に必要な学費・教育費はきちんと把握しておきましょう。以下では、文部科学省の「平成24年度子どもの学習費調査」を参考にしながら、必要な学費・教育費の目安をご紹介していきます。【幼稚園】公立約700,000円、私立約1,500,000円幼稚園は公立と私立で必要な金額が大きく異なります。公立では約700,000円、私立では約1,500,000円と2倍以上の差が生じることもあるので注意しておきましょう。公立(3年間)■授業料220,000円前後■制服・教科書・遠足費等170,000円前後■給食費50,000円前後■学習塾・習い事月謝等240,000円前後合計約680,000円私立(3年間)■授業料700,000円前後■制服・教科書・遠足費等310,000円前後■給食費80,000円前後■学習塾・習い事月謝等360,000円前後合計約1,450,000円【小学校】公立約1,850,000円、私立約8,500,000円小学校に関しても、私立では公立の約5倍の学費がかかります。また、学習塾や習い事によっても必要資金は変わってくるので、中学受験を目指すのかどうかなども計画しておきたいところです。公立(6年間)■授業料0円■制服・教科書等310,000円前後■給食費250,000円前後■学習塾・習い事月謝等1,250,000円前後合計約1,810,000円私立(6年間)■授業料2,700,000円前後■制服・教科書等2,230,000円前後■給食費240,000円前後■学習塾・習い事月謝等3,350,000円前後合計約8,520,000円【中学校】公立約1,350,000円、私立約3,900,000円中学校でかかる費用は、公立と私立で約3倍の差があります。私立の学校では授業料以外にも、校外学習費や施設費、交通費などの教育資金がかかるでしょう。公立(3年間)■授業料0円■制服・教科書等390,000円前後■給食費100,000円前後■学習塾・習い事月謝等840,000円前後合計約1,330,000円私立(3年間)■授業料1,320,000円前後■制服・教科書等1,670,000円前後■給食費10,000円前後■学習塾・習い事月謝等880,000円前後合計約3,880,000円【高校】公立約1,200,000円、私立約3,000,000円高校では「部活に入るかどうか?」「学食にするか、お弁当を持参するか?」など、生徒一人一人の生活スタイルが大きく異なってきます。また、自分の生活費をアルバイトで稼ぐ高校生も出てきます。学校によってはアルバイトを禁止しているため、子どもの意思を尊重した上で教育費を算出しましょう。公立(3年間)■授業料0円■制服・教科書等690,000円前後■学習塾・習い事月謝等460,000円前後合計約1,150,000円私立(3年間)■授業料710,000円前後■制服・教科書等1,450,000円前後■学習塾・習い事月謝等730,000円前後合計約2,890,000円【大学】国公立約5,200,000円、私立文系約7,000,000円、私立理系約8,200,000円幼稚園から高校までの学費では、文部科学省の「平成24年度子どもの学習費調査」をみてきました。ここからは日本政策金融公庫の「平成25年度教育費負担の実態調査」を参考にして、大学の学費を見ていきましょう。国公立(4年間)■入学費用790,000円前後■在学費用4,380,000円前後合計約5,170,000円私立文系(4年間)■入学費用940,000円前後■在学費用5,960,000円前後合計約6,900,000円私立理系(4年間)■入学費用1,030,000円前後■在学費用7,090,000円前後合計約8,120,000円入学費用や在学費用は、前期と後期に分けて支払われます。一度にまとめて支払う必要はありませんが、やはり教育費を多めに備えたほうが良いでしょう。大学では学部によって、施設費や実習費などもかかります。また、「一人暮らしなのか、実家暮らしなのか?」「サークルに所属するのか?アルバイトを始めるのか?」など、大学生の生活スタイルによっても必要な教育資金が変わってきます。ちなみに短大ならば2年制のため、私立大学(4年制)の半分程度の学費で済みます。【6年制大学】医歯薬系の大学は6年制のため、初年度だけで約4,500,000円かかります。実習も多く、大学を卒業するだけで20,000,000円以上の教育費が求められます。【専門学校】専門学校の学費は、学ぶ内容によって異なります。1~2年で卒業できる学校ならば、それほどお金はかからないでしょう。しかし、国家試験を取得する専門学校の場合、卒業までに3~4年かかり、私立大学と同額の教育費が求められます。■まとめ学資保険に加入すれば、無理なく教育資金を貯められます。大切なのは、満期までに継続して保険料を支払うこと。銀行の定期預金よりも利益が発生しやすく、子どものために更なる教育費に充てられます。また、学資保険ならば税金の心配もありません。保障サポートもしっかりしているため、賢く堅実に教育資金を貯めたい方向けの保険といえるでしょう。
2017年04月03日ディズニー/ピクサー最新作となる映画『リメンバー・ミー』が2018年3月16日(金)に公開。「死者の国」が舞台のミステリーアドベンチャー物語の舞台は、まるでテーマパークのような「死者の国」。1年に1度だけ亡くなった家族たちと会えるという“死者の日”の祝祭を題材にしており、笑いと感動のミステリーアドベンチャーに仕上がっている。『リメンバー・ミー』ストーリー主人公は少年ミゲル&スケルトンのヘクター『リメンバー・ミー』の主人公は音楽を禁じられた少年ミゲルと、彼が「死者の国」で出会うスケルトンのヘクター。ミゲルに抜擢されたのは12歳の新人であるアンソニー・ゴンザレス、そして彼の旅の仲間・ヘクターを担当するのはガエル・ガルシア・ベルナルだ。音楽禁止の掟をくだされた、ギターの天才少年ミゲルの行方とは?“死者たちの世界”を描く『リメンバー・ミー』は、ピクサー史上最もチャレンジングな作品。主人公・ミゲルは、音楽が大好きなギターの天才少年。しかし、過去の悲しい出来事がきっかけで、「音楽に呪われている」とファミリー内では「音楽禁止」の掟が出されていた。ミゲルはギターはもちろんのこと、家で音楽を聞くことすらできない。大好きな家族か、ミュージシャンになる夢か?それに悩み続けるミゲル…。彼は、名曲「リメンバー・ミー」を遺した有名なミュージシャンで、憧れでもあるデラクルスの霊廟に飾られたギターを入手し、真似るように家族に見つからないようこっそりギターを弾く。そんなある日、ミゲルはギターを手に、先祖が家族に会いにくるという“死者の日”に開催される音楽コンテストに出る決意をするのだが…。そんな中、偶然、まるでテーマパークのような死者の国へ迷い込んでしまう。ユーモラスなガイコツ達が暮らす国で混乱するミゲル。そんな彼が出会ったのは、ガイコツになった先祖たちだった。そして、そこで出会ったスケルトンのへクターと一緒に、自分の家族の歴史にまつわる秘密を知っていく。生者であるミゲルは早く元の世界に戻らないと大変なことにも…。果たして彼は無事に元の世界に戻れるのか?誰も見たことのない、そして誰もが行ってみたくなる「死者の国」で繰り広げられるピクサー史上最もエモーショナルで奇想天外なファンタジーが日本に上陸する。お調子もののヘクターヘクターは陽気でお調子者。ヘクターにも家族に会いたい…という想いがあり、ミゲルに“ある願い”を託したいと考えていた。カラフルな“死者の国”で迷い込んだミゲルと一緒に冒険する。ミゲルのひいひいおばあちゃんイメルダミゲルの先祖(ひいひいおばあちゃん)でガイコツのイメルダは、音楽を選び家族を捨ててしまったミュージシャンの夫との過去から、家族に音楽を禁じる。“死者の国”に迷い込んだミゲルが音楽好きだと知り、音楽をやらなければ生きている世界に戻すと伝える…。ミゲルのパパミゲルのパパは、ミゲルの夢に理解を示しながらも、“靴職人”として代々続く家族の伝統を受け継いでもらいたいと願っている。キュートな相棒犬ダンテは、ディズニー/ピクサー史上初“毛のない犬”!?主人公ミゲルと並んで注目キャラクターとなるのが、相棒のダンテだ。“死者の国”に迷い込んだミゲルを助けるキュートな相棒犬は、ミゲルの忠実な友達として『リメンバー・ミー』のストーリーを盛り上げる。『わんわん物語』『ボルト』など、これまで数々のディズニー/ピクサー作品で登場してきた犬のキャラクターからインスピレーションを受けながらも、これまでとは違い毛のない犬として描かれているダンテ。モデルになったのは、メキシコ原産のメキシカン・ヘアレスドッグ(ショロ犬)で、メキシコでは「家を邪悪な魂から守り、亡くなった人をあの世に導く」と愛されている、頭のよい犬種だ。公開に先駆け&戌年にちなみダンテにフォーカスを当てた動画が公開。骨を追いかけて街中を駆け巡る、ダンテの姿にメロメロになること間違いない。情熱的な芸術家 フリーダ・カーロカラフルな衣装が印象的なフリーダ・カーロは、ミゲルが死者の国で出会う芸術家。やがて、ミゲルの協力者ともなる重要人物だ。彼女は、メキシコに実在した著名アーティストでもあり、当時から愛と自由に生きた革新的な女性だった。『リメンバー・ミー』では、創作に没頭すると周りの事が見えなくなってしまう、本人さながらの"情熱的な芸術家"として描かれる。日本語吹き替え版に、藤木直人や渡辺直美ら豪華声優陣日本語吹き替え版には、主人公ミゲルに石橋陽彩が抜擢。ミゲルの歌う「リメンバー・ミー」の美しい歌声に注目だ。また、ガイコツのヘクター役に俳優の藤木直人、家族に音楽を禁じるミゲルのひいひいおばあちゃんイメルダ役に女優の松雪泰子、パパ役に“うたのお兄さん”として親しまれる横山だいすけが起用されている。さらに、ディズニー/ピクサー作品のファンだという、渡辺直美は、キャラクター同様にカラフルな衣装をまとい、フリーダ・カーロのパワフルなキャラクターを作り上げていく。ピクサー史上初!「音楽」がキーワードに物語の重要なキーワードは音楽。タイトルにもなっているデラクルスの美しいバラード曲“リメンバー・ミー“が物語の重要なカギを握る。「音楽の力を信じる」というミゲルの言葉や、作品タイトルになっている「リメンバー・ミー」という曲など、ピクサー史上初めて音楽に重要な意味を持たせた作品となっている。監督は『トイ・ストーリー3』のリー・アンクリッチ『リメンバー・ミー』はアカデミー賞を受賞した名作『トイ・ストーリー3』のリー・アンクリッチ監督が手掛ける。日本でも動員740万人、興収108億の大ヒットを記録した今なお人々に愛され続ける名作を生み出した監督だけに期待が集まる。アカデミー賞など多くのアニメ賞を受賞アニメーション界のアカデミー賞と言われるアニー賞では最多13部門にノミネートされ、11部門を受賞。第75回ゴールデングローブ賞では、アニメーション映画賞と主題歌賞の2部門にノミネートされ、アニメーション映画賞を受賞。アカデミー賞では、長編アニメーション賞と主題歌賞を受賞した。その他でも、ニューヨーク映画批評家協会賞、ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞、ハリウッド映画賞など、アカデミー賞の前哨戦と呼ばれる数々の賞のアニメ部門で受賞。その数は約60賞にまで伸びた。日本では公開を前にして、ディズニー/ピクサーとしては2010年『トイ・ストーリー3』以来の快挙となる、文部科学省特別選定を獲得。ピクサー作品の中でも傑作という評価を受けつつある。ピクサーからのコメントもピクサー・アニメーション・スタジオのチーフ・クリエイティブオフィサーであるジョン・ラセターは、『リメンバー・ミー』について以下のようにコメントした。非常に特別な映画です。家族を称え、そして同時に祖先を称える作品でもあります。日本でもとても重要なことですよね。物語の舞台こそメキシコに設定されていますが、そのテーマ性は普遍的であり、どの国でも変わらないものです。そこで思い出されるのは、みんなが集まり、祖先のことを思い出す日本の「お盆」という風習のことです。私たちは、思い出を風化させないこと、家族の次の世代、またその次の世代へと思い出を生かし続けていくことが何より大切と考えます。本作ではまさにそのことがテーマとなっています。『リメンバー・ミー』はあなたの家族を称え祖先を称賛する、とてもエモーショナルで、日本の皆さんにとってもとても特別な作品になると思います。“アナ雪”最新作『アナと雪の女王/家族の思い出』が同時公開『リメンバー・ミー』と同時上映となる作品は、『アナと雪の女王』の22分の新作『アナと雪の女王/家族の思い出』。ピクサー・アニメーション・スタジオと、ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオの映画が同時上映されるのは初のこと。両作品の製作総指揮であるジョン・ラセターは 「“家族”というテーマをもつこの2作を通じて、“家族の絆”と“家族の大切さ”を感じていただきたいです。」と話す。『アナと雪の女王』は、日本での国内動員2000万人超え、洋画アニメーション史上歴代No.1を記録した、ディズニー・アニメーションの金字塔とも言える作品。『アナと雪の女王/家族の思い出』は、あれから4年の時を経て、日本中が待ちわびた最新作だ。ポスタービジュアルには、新コスチュームを着ているエルサとアナの姿も描かれている。さらには雪だるまのオラフ、トナカイのスヴェンなど人気キャラクターたちも再結集。前作で“真実の愛”を見つけた姉妹たちが、今度はどんな物語をみせてくれるのだろうか。新曲「あなたといるだけで」アナとエルサが“家族の絆”を一緒に歌う新曲「あなたといるだけで(When We’re Together)」では、2人が同じ歌詞とメロディーを一緒に歌っている。お互いが家族を思いやる気持ちを歌った、心温まる楽曲に仕上がっている。なお日本版声優は前作に引き続き、アナ役を神田沙也加、エルサ役を松たか子、オラフ役をピエール瀧が演じる。サウンドトラックが発売映画の公開より少し早い2018年3月14日(水)に、日本版サウンドトラックの発売が決定。CDには英語歌11曲と、シシド・カフカと東京スカパラダイスオーケストラによる日本版エンドソング含む日本語歌11曲の収録が予定されている。この映画の重要な鍵となる楽曲「リメンバー・ミー」をはじめ、劇中歌が多数収録された一枚。映画を見る前の予習がてら、最新のピクサー作品の世界観を味わってみてはいかがだろうか。作品詳細『リメンバー・ミー』公開日:2018年3月16日(金)監督:リー・アンクリッチ製作:ダーラ・K アンダーソン原題:COCO日本語吹き替え版:藤木直人、松雪泰子、横山だいすけ、渡辺直美全米公開日:2017年11月22日(水)©2017 Disney/Pixar. All Rights Reserved.『リメンバー・ミー』日本版サウンドトラック発売日:2018年3月14日(水)価格:2,700円+税『アナと雪の女王/家族の思い出』監督:ケヴィン・ディーターズ&スティーヴ・ワーマーズ=スケルトン製作:ロイ・コンリ 製作総指揮:ジョン・ラセター原題:OLAF’S FROZEN ADVENTURE日本語吹き替え版:神田沙也加、松たか子、ピエール瀧 ほか配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン©2017 Disney. All Rights Reserved.
2017年04月01日ディズニー・アニメーションから奇跡をもらった家族を追い、本年度アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞にノミネートされた、愛と希望のハートフル・ドキュメンタリー『ぼくと魔法の言葉たち』。文部科学省の特別選定作品にも認定された本作の公開を記念して、カフェ「Sunday Brunch 銀座マロニエゲート店」にてスペシャルオリジナルケーキの販売が決定した。サスカインド家の次男オーウェンは、3歳を前に言葉を失い、7歳になるころまで、誰ともコミュニケーションを取れなくなっていた。彼は自閉症スペクトラムと診断され、家族は失意に暮れる。ある日、父のロンはオーウェンが発する意味をなさないモゴモゴとした言葉が、オーウェンが毎日擦り切れるほど観ていたディズニー・アニメ『リトル・マーメイド』に登場するセリフだと気づく。意を決した父は、彼が大好きなディズニー・キャラクターであるオウムのイアーゴになりきって、身を隠して語りかける。「どんな気分?」。すると、まるで魔法のように、オーウェンが言葉を返した…。月日は流れ、大学に進学したオーウェンは大好きなディズニーアニメを鑑賞する「ディズニー・クラブ」を発足し、ガールフレンドもできる。そして卒業、両親のもとを離れ、サポートつきケアハウスでの念願のひとり暮らしをはじめることに。オーウェンは周囲のサポートを受けながら、少しずつ社会との関わりを広げていく――。『リトル・マーメイド』『ピーター・パン』『ライオン・キング』『アラジン』『ヘラクレス』など、ディズニー・アニメーションを繰り返し観ては、すべての台詞を覚え、主役から脇役までキャラクターたちの感情に寄り添ってきたオーウェン。お馴染みのキャラクターたちが橋渡しとなり、少年と家族は再び、絆を取り戻していく。本作では、オーウェンの兄ウォルトの誕生日を祝ってみんなで生クリームたっぷりのケーキを食べたり、オーウェンとガールフレンドのエミリーが一緒にチョコレートチップクッキーを作ったり(ちょっぴりやけどした2人のやりとりがとても初々しい)と、おいしそうなスイーツが登場する。そんな本作と「Sunday Brunch」のコラボが実現し、スペシャルケーキセット、その名も“魔法の言葉ケーキ”が登場。自閉症啓発運動のテーマカラーでもある爽やかなブルーのクリームで覆われた中身は、チョコレートのレイヤーケーキ。パステルカラーをベースに仕上げた可愛らしいデザインで、原題である『Life,Animated』の文字の周りには、愛と希望にあふれた言葉のプレートが乗っている。なお、スペシャルコラボケーキは4月1日(土)~4月16日(日)まで限定販売される。~ケーキに書かれた言葉たち~★Children have got to be free to lead their own lives.「子どもには自由な生き方を選ばせなくては」★The future I’m searching for it.「ぼくはいまも将来を探し続けているんだ」★We decide what the meaning of life is.「人生で大切なことは自分たちで決める」人生を明るく照らしてくれそうな、愛情の詰まった素敵なケーキ。映画とともに、味わってみては。『ぼくと魔法の言葉たち』は4月8日(土)よりシネスイッチ銀座ほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ぼくと魔法の言葉たち 2017年4月8日よりシネスイッチ銀座ほか全国にて順次公開(C) 2016 A&E Television Networks, LLC. All Rights Reserved.
2017年03月31日特別支援教室とは?出典 : 特別支援教室は、発達障害のある子どもたちをはじめとした個別のニーズに対応し、より適切で効果的な教育を行うために、小・中学校への導入が予定されている設備・制度です。文部科学省は、特別支援教室構想を掲げ、それに伴い全国各地でモデル事業が行なわれてきました。とりわけ、2016年4月からは、東京都内の小学校で本格的な導入が始まりました。具体的な導入計画については、後に詳しく説明します。2005年以降、文部科学省は「インクルーシブ教育」の推進に力を入れてきました。インクルーシブ教育(または単にインクルージョン)とは、障害の有無にかかわりなく子どもたちに教育をするという理念・制度・実践をいいます。インクルーシブ教育では、障害のある子どもたちが、単に障害のない子どもたちと同じ学校に通うだけでなく、本当の意味で他の子どもたちと同じ教育を受けるということが目指されています。こうした教育を実現するためには、障害のある子どもだけが「特別なニーズ」を持っているという考えを見直し、「すべての子どもに等しく教育をし、その中でニーズのある子どもには適切に対応する」ことが重要です。たとえ障害のある子どもたちが通常校に通っているとしても、障害のない子どもたちから区別され、普段から別の教室で勉強しているなら、それは同じ教育を受けているとは言えない、これがインクルーシブ教育の基本的な考え方です。文部科学省の特別支援教室構想も、その一環として位置づけられています。文部科学省は、発達障害の診断を受けていない子どもたちの中にも、実際には「特別なニーズ」とされてきた個別のニーズを持つ子どもたちが少なくないのではないかと考えています。そして、そうしたニーズに気づき適切な教育をするために、また、その他の子どもたちが発達障害をよりよく理解できる環境を作るために、特別支援教室の導入を進めています。参考: 中央教育審議会「特別支援教育を推進するための制度の在り方について(答申)」(2005年12月)特別支援教室という制度では、「障害のある子ども」と「障害のない子ども」を分けて支援するのではなく、必要に応じて誰にでも支援やサポートを提供します。これは、「障害のある子どもが障害に応じて支援を受ける」という、特別支援学級や「通級による指導」のスタンスとは大きく違うものです。参考:Frank Bowe, Making Inclusion Work (Upper Saddle River, NJ: Pearson, 2005).参考:Gary Thomas and Andrew Loxley, Deconstructing Special Education and Constructing Inclusion, 2nd ed. (Open University Press, 2007).参考:高橋純一、松﨑博文「障害児教育におけるインクルーシブ教育への変遷と課題」『人間発達文化学類論集』19号(2014年)13–26ページ特別支援教室って、どんな制度?出典 : 全国に先駆けて東京都の小学校で特別支援教室が2016年4月から順次導入されています。ここでは東京都の小学校におけるモデル事業をもとに、特別支援教室が実際にはどのような制度なのかを説明します。特別支援教室とは、情緒障害や発達障害のある子どもたちを中心に、教育の場でサポートを必要とする子どもたちにサポートを提供しようとする制度です。基本的には、現在の「情緒障害等通級指導学級」(以下「通級」とする)を置き換えるものだとされています。ただし、「通級」には、情緒障害や発達障害以外の障害(吃音や難聴など)に関連したサポートを行うものもあります。ここで紹介する特別支援教室は、主に情緒障害や発達障害に関連した制度ですので、それ以外の「通級」までまとめて特別支援教室に置き換わるわけではないことに注意が必要です。特別支援教室の最大の特徴は、子どもたちが普段通っている学校でそのまま支援を受けられるということです。これまでは、障害のある子どもたちが特別な支援・サポートを受ける際に、普段通っている学校とは別の学校の「通級」に通ったり、特別支援学級や特別支援学校に籍を置く必要がある場合も少なくありませんでした。しかし、特別支援教室は各小学校にそれぞれ導入されます。2つの学校に通う必要がなくなることで、特別支援教育を受ける子どもたちの負担が軽くなることが期待されています。また、特別支援学級や特別支援学校でのサポートまでは必要としない通常学級に在籍する子どもが、個別のニーズに合わせて弾力的な支援が受けやすくなると考えられます。特別支援教室で教える内容は、基本的には情緒障害等通級指導学級(通級)と同じです。つまり、子どもの障害に応じて、障害の状態に応じて「自立活動」や「教科の補充指導」などが、それぞれに合った方法で指導されます。特別支援教室で指導を受けられるのは、情緒障害や発達障害のあるお子さんです。東京都は、対象として通常学級での学習におおむね参加できる「高機能自閉症・アスペルガー症候群」「ADHD(注意欠陥・多動性障害)」「学習障害(LD)」を挙げています。例えば高機能自閉症・アスペルガー症候群の子どもがコミュニケーションを取るのが苦手な場合、ロールプレイなどで適切な会話を学んだり、相手の気持ちを考えるなどの指導が行われます。また、学習障害がある場合、自分に合った学習方法を習得するための指導なども行われます。現在のところ、それ以外の障害(吃音や難聴など)に関連して「通級」に通っているお子さんについては、特別支援教室での指導は想定されていません。出典 : 特別支援教室に携わる人として、「巡回指導教員」「特別支援教室専門員」「臨床発達心理士等」という役割が新たに定められました。「通級」の担当教員は、役割の名前が「巡回指導教員」に変わります。巡回指導教員は、「通級」と同じように特別支援教室で子どもに指導をするほか、在籍する通常教室の担任と密に連携し、特別支援教育を受ける子どもだけでなく子どもが在籍するクラスでも連携して支援を行い、担任に助言をします。「特別支援教室専門員」は、特別支援教室の導入によって新しく配置されます。非常勤の職員で、特別支援教育で必要になる教材を作ったり、対象となる子どもの行動を記録したりします。新たに「臨床発達心理士等」も巡回することになります。「臨床発達心理士」「特別支援教育士」「学校心理士」の資格を持っている人が子どもの行動観察を行い、障害の状態を把握し、巡回指導教員や担任教員に専門的な指導を行います。東京都教育委員会「東京都公立学校特別支援教室専門員について」特別支援教室のメリットとデメリットは?「通級」と比べると?出典 : 保護者にとって最も気になるのが、既存の「通級」から何が変わるのか、また何が変わらないのかということではないでしょうか。ここでは、メリット・デメリットとともに説明します。「通級」が地域の拠点校にのみ設置されたのに対し、特別支援教室は各学校にそれぞれ設置されることが予定されています。つまり、これまでであれば、通級による指導を受けるために定期的に別の学校に出向く必要があったのに対し、これからは普段通っている学校で同じような指導を受けることができるようになります。Upload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホン2つの制度の違いは、基本的にはこの点に尽きます。たったこれだけの違いですが、「通級」から特別支援教室に変わることのメリットやデメリットは、必ずしも小さなものではありません。以下ではそれをいくつか紹介します。特別支援教室は、そもそもインクルーシブ教育を推進するための構想です。そのため、特別支援教室のメリットは、何といっても日本の教育をインクルーシブなものに変えるという点にあります。つまり、障害のある子どもたちと障害のない子どもたちが、それぞれに必要なサポートを受けつつ、基本的に分け隔てなく教育を受けることができる、そのような社会の実現に向けた第一歩が、この特別支援教室なのです。しかし、障害のある子どもたちや、その親御さんにも、直接的なメリットがあります。それは、これまでの「通級」とは違い、普段通っている学校でそのままサポートを受けられるということです。子どもにとっては別の学校に通う負担が減り、また障害に関連したサポートをする先生と、クラスの担任の先生との連携が、「通級」の場合よりも一層密になることが期待されます。しかし、特別支援教室にはデメリットや課題も指摘されています。まず、これまでの「通級指導学級」と同じ水準のサポートが特別支援教室で提供されるのかどうか、必ずしも明らかではありません。というのも、各学校に特別支援教室を導入するためには、これまでよりも明らかに多くのスタッフが必要です。加えて、特別支援教室では、将来的には「障害」の有無にかかわらず子どもたちの支援・サポートを行うことを目標としています。裏を返せば、これまでと同様に限られた資源の中で、これまでよりも多くの子どもたちにサポートをしようとしています。つまり、もしスタッフが十分に増えないまま特別支援教室を導入すれば、少ないスタッフでより多くの子どもを支援することになり、サポートの質が低下するおそれがあります。このことから「障害のある子ども」としてこれまで特別に支援を受けてきた子どもたちに対して、従来の特別支援教育が提供してきたサポートの質が保たれなくなるのではないか、と懸念する声もあります。もう一つ、重要な点があります。特に変化が苦手な自閉傾向がある子どもたちにとって、サポート環境が変わるということそのものが重大な出来事となりえます。この観点から見ると、特別支援教室という制度の良し悪しとは別に、制度の移行にスムーズに適応できるような仕組みについて考えていくことが求められます。特別支援教室とその他の制度との違いは?出典 : 障害のある子どもの学びの場は、今までご紹介してきた特別支援教室や「通級」だけではありません。日本の制度では、代表的なものに「特別支援学校」や「特別支援学級」があります。これらの制度は、それぞれどのように違うのでしょうか?特別支援学校とは、かつて「盲学校」「聾学校」「養護学校」と呼ばれていた学校で、現在でも学校名にこうした言葉がついている場合があります。一部の例外を除いて、基本的には障害のある子どもたちだけが学ぶ学校です(一部に、障害のない子どもたちが学ぶ学級を併置した「併置校」も存在します)。また、学校数自体が少ないので、寄宿舎がある特別支援学校もあります。特別支援学校では、特別支援学校学習指導要領に従い、その他の学校で教えられる教科に加えて、それとは異なる特有の教科が教えられます。こうした教科の多くは、学校を卒業した後に就く職業に関連した、職業訓練的な性格の強いものです。また、教える先生の資格という面から見ても、特別支援学校で教える先生は「特別支援学校教諭」という、一般の学校の先生とは異なる免許を持っています。特別支援教室と特別支援学校の最大の違いは、そもそも通う学校が違うという点です。これは比較的わかりやすい違いでしょう。ところで、自閉症・発達障害・学習障害などがある子どもたちを対象とする特別支援学校はあるのでしょうか。基本的には、現在のところありません。ただし、お子さんに別の障害がある場合には、その障害に応じて特別支援学校に通うことができるでしょう。たとえば、視覚障害と発達障害があるお子さんや、知的障害が合併した発達障害のあるお子さんのような場合です。特別支援学級は、かつては「特殊学級」と呼ばれていました。現在でも、関連条文から「81条学級」と呼ばれることがあります。(以下では「特別支援学級」に統一します。)特別支援学級は、一般の小中学校に置かれます(制度上は高校にも設置できますが、実例は多くありません)。多くの場合、障害の種類ごとに分かれ、学校ごとに「あすなろ学級」「なかよし学級」など様々な名前がついています。お子さんが特別支援学級で教育を受ける場合、その学校の通常学級ではなく特別支援学級に在籍することになります。そして、特別活動などを除き、通常学級の子どもたちとは違う教室で授業を受けることになります。制度上は、特別支援学級での教育は一般の小中学校と同じ学習指導要領に則った教育ですが、子どもの実態に応じて特別支援学校を参考にしたカリキュラムが組まれることもあります。先生の資格という面から見ると、特別支援学級で教える先生に求められる資格は、「特別支援学校教諭」ではなく「小学校教諭」や「中学校教諭」です。特別支援教室と特別支援学級の最大の違いは、お子さんがどの教室に所属するかです。特別支援教室の場合は、お子さんは通常学級に在籍し普段は他の子どもたちと同じ授業を受けつつ、必要に応じて別の教室で別の教育を受けることになります。これに対して特別支援学級の場合は、お子さんは特別支援学級に在籍し、別の教室で別の授業を受けることが基本となります。出典 : 最も違いがわかりにくいのが、特別支援教室と「情緒障害等通級指導教室」の違いではないでしょうか。情緒障害等通級指導教室は、「通級指導教室(情緒障害等)」「通級教室」「通級学級」などと書かれる場合が見られますが、どれも制度上は同じものです。以下ではまとめて「通級」と呼ぶことにします。先に説明したように、「通級」には、吃音や難聴のある子どもたちへのサポートを行うものもあります。通級と特別支援教室は、どちらの制度も、お子さんが障害のない子どもたちと同じ学校の同じ教室で学びつつ、必要に応じて別の教育を受けるという点で共通しています。どちらの制度も、特別支援学校(障害のない子どもたちとは別の学校に通う)とも、特別支援学級(障害のない子どもたちと同じ学校に通うけれども、普段から別教室で学ぶ)とも、大きく違う制度です。その上で、「通級」と特別支援教室の最大の違いは、その「別の教育を受ける」教室がどこにあるかです。「通級」の場合には、お子さんは別の教育を受けるために普段とは違う学校に出向く必要がありました。これに対し、特別支援教室は各学校に設置されますので、「通級」とは異なり別の学校に行く必要がありません。現在、特別支援教室は導入に向けたモデル事業が行われている段階で、その形態や指導内容についてはまだ研究や検討が行われています。そのため、自治体や学校によって、今回ご紹介した東京都の特別支援教室とは違う方法で導入されていたり、今後導入される可能性もあります。また、横浜市は、2004年に「横浜市障害児教育プラン」を定め、独自に先駆的な特別支援教育を進めてきました。その中で「特別支援教室」という言葉を使っています。しかし、この「特別支援教室」は、名称は同じでも文部科学省が推進する「特別支援教室」(この記事で説明しているもの)と必ずしも同じではありません。具体的な説明は省きますが、横浜市の「特別支援教室」は文部科学省の「特別支援教室」よりも少し狭い概念だと考えていただければよいでしょう。どのように特別支援教室が導入されているか、また今後導入されるかはそれぞれお住まいの地域によって異なるので注意が必要です。横浜市特別支援教育推進会議「「特別支援教室」の展開方策などについて 」(2006年8月)特別支援教室を利用するために必要なことは?出典 : 一例として、東京都中央区の事例を紹介します。ただし、実際に必要な手続きは自治体ごとに異なりますので、詳しくは学校や各自治体の担当者にお問い合わせください。まず、すでに「通級」を利用されていて新年度も継続して指導を受けたい場合です。この場合は、原則そのまま移行しますので、特別な手続きは必要ありません。新年度も継続して指導を受けたいという旨を、在籍校の担任教員や通級指導教員にご相談ください。次に、まだ「通級」を利用されていない場合についてです。新年度に新たに入学する子どもについては、就学相談でご相談ください。それ以外の子ども(すでに学校に通っており、新たに特別支援教育を受けようと考えの場合)については、在籍校の担任教員にご相談ください。このように、特別支援教室で指導を受けるためにまずすべきことは、新入生の場合は就学相談、それ以外の場合は担任教員への相談だといえます。繰り返しになりますが、具体的な手続きにつきましては学校や各自治体にお問い合わせください。特別支援教室|東京都中央区特別支援教室の今後は?出典 : 最後に、特別支援教室構想の展望について簡単にご紹介します。東京都の小学校では、モデル事業として特別支援教室の導入が既に始まっています。都の計画では、平成28年度以降、準備の整った市区町村から順次導入され、平成30年度までには全ての市区町村に特別支援教室が設置されることとなっています。これに対して、中学校への特別支援教室の導入は、まだ始まっていません。都の計画では、平成30年度以降、準備の整った市区町村から順次導入され、平成33年度までには全ての市区町村に特別支援教室が設置されることとなっています。東京都以外に目を向けると、いくつかの自治体では特別支援教室の導入に向けた動きが見られます。しかし、それらの動きは、基本的にはまだ本格化していません。東京都のモデル事業にならった特別支援教室が全国的な制度となるかどうかは、まだ未知数だといえます。東京都教育委員会「東京都特別支援教育推進計画(第二期)・第一次実施計画――共生社会の実現に向けた特別支援教育の推進」(2017年2月)まとめ出典 : 特別支援教室は、インクルーシブ教育を実現するための制度として、長年の構想を経てようやく実現に向かいつつある制度です。今後の展望にはまだ不確定な面が多くありますが、これから少しずつ、障害のある子どもたちが少ない負担で適切な教育を受けられる制度として確立していくことでしょう。既に「通級」で指導を受けられている場合はもちろん、そうでない場合でも、また「障害」という診断の有無にかかわらず、少しでもお子さんにとってメリットがあるとお考えであれば、一度担任の先生や各自治体に相談されることをおすすめします。
2017年03月30日こんにちは。エッセイストで経済思想史家の鈴木かつよしです。この春から中学生になるお子さんをお持ちのパパとママも多いかと思いますが、中学校生活を楽しく充実したものにできるかどうかを左右する大きな要素の一つに“部活”があることは論を待ちません。実は筆者はこの部活に関して苦い経験があります。筆者が通った中学校は大学までつながっている私立の一貫校だったのですが、部活動のバリエーションがありすぎて人一倍好奇心が旺盛な筆者のような者は“どれもこれも中途半端”になってしまったのです。ラグビー部、ホッケー部といった“希少系”運動部に所属しながら同時に音楽部フォークソング班や花を育てる会のような変わり種の文化系クラブにも参加し、いずれも達成感を得るところまでは至らずに終わってしまいました。それに比べると、地元の普通の公立中学校は部活動の選択肢は多くありませんが、かえって目移りせずに充実した部活ライフを送れる可能性があります。今回はオススメの部活について、新中学生をお持ちのパパ・ママのみなさんと一緒に考えてみたいと思います。●美術部は、基本的な“絵ごころ”を養うのに最適な部活おそらくわが国にある中学校であれば99%の確率で存在するはずの部活が“美術部”です。部員が9人集まらないから野球部がないという中学校はかなりありますが、美術部がない中学校はそうめったにはありません。それくらい人間にとって絵を描いたり造形を作ったりする作業は本能的な“悦び”であると言えるでしょう。この美術部という部活ですが、絵の上手下手に関係なく絵を描くことが“好き”でさえあればけっこう長続きします。何といっても一週間に3日も4日も集中して絵を描く時間を持てるわけですから、おのずと基本的な“絵ごころ”が養われます ので、将来何かしらクリエイティブな道に進みたいという希望を持っているお子さんにとっては最適な部活ということができるでしょう。●卓球・テニス・バドミントンは部員が2人いればできる次に運動系の部活ですが、私立の中高一貫校のようにカーリング部とかラクロス部とか弓道部とかいったちょっと気をひかれるシャレた部活はなくても、卓球部・テニス部・バドミントン部であれば地元の公立中学校に大抵は存在します。この3つの運動競技に共通する長所は“人が2人だけ集まれば試合ができる”という点です。スポーツの魅力はいろいろありますが、試合というゲームを楽しみながら勝つことの喜びと負けることの口惜しさを体験できる という点は大きな魅力の一つと言えます。どこの公立中学校にもあるこれらの運動部に入って、お子さんたちにはぜひスポーツ競技を通して心身ともに成長していっていただきたいと思います。●演劇部はストレスフルな日常からの気分転換に有効なにかと悩み事の尽きない中学生時代、お子さんたちも時にはストレスフルな日常から自由になりたいと思うことがあるでしょう。そんなとき、今の現実とは違う自分を演じる楽しさが体験できて非日常の世界に没入することができる演劇部はおススメです。思春期真っ只中のお子さんたちの心のリフレッシュにとても有効な部活 であり、これもまた大抵の公立中学校に用意されています。また演劇はいろいろな役目を受け持つ人たちが協力し合うことによってはじめて成立する共同作業でもあります。中学生時代に演劇部で活動することはお子さんたちがこれから大人へと成長して行くうえで素晴らしい経験となることは間違いありません。----------いかがでしょうか。この他にも大抵の公立中学校に用意されている部活動はいろいろありますし、地域によってはその土地ならではの部活が存在するケースもあります。たとえば近隣に大きな一級河川があるような地域ですと、ボート部を持つ公立中学校があることもあります。いずれにしても3年間という短い中学生時代を高校受験のための準備一色で塗りつぶしてしまうのは勿体ないです。この春から中学生になるお子さんには、ぜひ何か興味の持てる部活動に参加していただけたらと思います。【参考リンク】・我が国の文教施策[第1部 第3章 第2節 3] | 文部科学省()●ライター/鈴木かつよし(エッセイスト)●モデル/REIKO(SORAくん、UTAくん)
2017年03月28日発達障害におけるグレーゾーンとは出典 : 発達障害におけるグレーゾーンとは、明確な定義は存在しませんが、定型発達と発達障害の間の境界領域を指す俗称を指します。医学的な診断基準を全て満たすわけではないものの発達障害のいくつかの特性を持ち、日常生活を送る上でも困難を抱えている状態であるとき、グレーゾーンと言われることが多いようです。グレーゾーンはあくまで俗称のため、様々に形容されますが、以下のような説明がイメージしやすいのではないでしょうか。保育や教育の場で不適応行動が見られるものの、診断がつかないあるいは未受診引用:鍛冶谷 静『DSM‐5 の改訂とグレーゾーンの子ども達の支援』四條畷学園短期大学紀要2015年定型発達との境界が曖昧で、複数の行動特性を併せ持つ引用:黒住早紀子『特別支援教育に関する教育心理学的な研究動向と展望』日本教育心理学会年報第52集2013年また、グレーゾーンと同じような状態を指す言葉として「パステルゾーン」「カラフル」「スペクトラム」などの表現をすることがあります。グレーゾーンという言葉は暗くてネガティブな印象を与えるため、明るくポジティブなイメージの「パステルゾーン」「カラフル」などの呼び名を使うべきという意見もありますが、一般的にはグレーゾーンという呼称が用いられることが多いようです。幼少期にグレーゾーンと言われた場合、年齢を重ね再度診断を受けた場合、特性に関する情報が増えたり困りごとが顕在化するなどして改めて発達障害の診断名がつくこともあれば、そのまま発達障害の診断はつかないというケースもあります。はっきりと診断の出る発達障害と比べれば症状が軽く、したがって親の困りごとも少ないと思われがちですが、グレーゾーンならではの悩みや問題事が存在するのは確かです。精神障害者保健福祉手帳や療育手帳がなくても受けることのできる公的支援を利用したり、学校や職場で合理的配慮をお願いしたりすることで困難の解消を目指していくことが大切です。発達障害グレーゾーンの症状・特徴出典 : グレーゾーンの症状は「どの発達障害の傾向を持つグレーゾーンなのか」によって異なるため、グレーゾーンに特定の症状というものが存在するわけではありません。またグレーゾーンには、その人の持つ症状や特性の程度やその現れ方が、体調や環境・場面によって左右されるという特徴があります。例えば、学校にいるときは症状が強く出るが、家では比較的症状が弱くなるといったことが起こりえます。グレーゾーンの場合、発達上の問題や困りごとが気づかれにくかったり、気づいていながら放置してしまう親御さんなどもいます。そうして適切な対処が行われない期間が続くと、元々の症状や特性がさらに強くなり、発達障害として診断名のつく「診断域」に入ってしまう可能性があります。さらに、同じような状況が原因で生じてしまう問題として「二次障害」の発現があります。発達障害グレーゾーンにある人が注意したい二次障害出典 : 発達障害の特性があることに気づかなかったり、気づいていても適切なサポートを受けられなかったりすると、周囲に理解されず怒られたり非難を受けたり、失敗体験を積み重ねてしまいます。その結果、本人の自尊心ややる気が失われ、新たな障害が生じることがあります。こうして副次的に生まれる問題を「二次障害」といいます。二次障害の例としては、以下のようなものが挙げられます。・いじめ・うつ病などの精神疾患・不登校・ひきこもり・家庭内暴力・アルコールなどの依存症これらの二次障害は、発現に気づかなかったり、気づいても適切な対処をしなかったり、あるいは放置したりすることで状況が悪化・長期化する傾向にあります。発達障害の診断基準を満たす場合と比べ一次的な症状が軽いことが多いグレーゾーンでは、この二次障害を防止・改善することが一つのポイントとなります。二次障害を防ぐためには、まず子どもの持つ発達上の特性を家族など周囲が認識し理解している必要があります。子どもの行動や困りごとが発達上の問題によるものだとわかっていれば、学校や専門機関などの協力を得ながら適切な対応策を打てるからです。二次障害は、一度生じてしまったとしても早期に発見・対処することで、症状の悪化あるいは長期化を防ぐ可能性を大幅に高めることができると言われています。発達に問題があることが気づかれにくいグレーゾーンは、対応が遅れがちになってしまうことも多いです。子どもは一人ひとり成長の速さや仕方が違うので、あまり神経質になりすぎるのも問題ですが、子どもの言動に関して気になることが多い場合は以下で紹介する専門機関に相談してみることをおすすめします。・保健センター・子育て支援センター・児童発達支援事業所など自宅の近くに相談センターがない場合には、電話での相談にものってくれることもあります。まず身近な相談センターに行って、より専門的な相談や受診の必要があればそこから専門医を紹介してもらいましょう。発達障害グレーゾーンと言われたら?出典 : 自分の子どもが「グレーゾーン」や「発達障害の疑いがある」などと言われたら、とても複雑な気持ちになる親御さんも少なくないと思います。一方、「発達障害の診断基準は満たさない」として診断を受けられなかったことで、十分な支援や治療が受けられるのか不安になる親御さんもいるかもしれません。そんなときに知っていただきたいのは、グレーゾーンの場合、家族や学校をはじめとする周囲が本人の持つ特性を理解し適切なサポートを行うことで社会にうまく適応できる可能性は高いということです。また、この事実はあまり知られていませんが、医学的な診断基準を満たしておらず診断名がついていなくても(障害認定されていなくても)受けられる支援もたくさんあります。グレーゾーンは、適切な支援によって困難が解消される確率が高いこともその特徴の一つです。障害認定されないからといって諦めず、子どもの困難を少しでも解消するための支援を受けられるよう行動していくことが重要になります。以下の2つの章では、具体的な支援の例として「療育」と「合理的配慮」の受け方について紹介していきます。療育とは?グレーゾーンの子どもが療育を実際に受けるためには?出典 : 療育は「治療」と「保育・教育」を合わせた言葉です。障害のある子どもが社会的に自立できるように専門的な教育支援プログラムを通して行われるトレーニングのことを指します。グレーゾーンの場合、療育を通して困難が解消される可能性が高いと言われており、小学校就学以前の障害児が通うことのできる「児童発達支援」や、障害のある就学児(小・中学生、高校生)が学校の授業後や長期休暇期間に利用できる「放課後等デイサービス」などの施設を利用することもできます。これらの施設における支援は、診断がなくても受給者証の発行を受けることで、少ない自己負担額で利用できるようになります。詳しくは以下の関連記事からご確認ください。また、療育センターについての詳細や、療育について定めている児童福祉法や療育を受ける上で必要な手続きについては、以下の記事をご参照ください。子どもに療育を受けさせる上でひとつ忘れてはならないのは、本人の意思を尊重することです。子ども自身が療育センターなどでトレーニングを受けることを拒んだり、前向きではなかったりする場合は、無理強いせずに、まずは家庭内でできる環境調整や工夫をしてみることをオススメします。家庭におけるトレーニングを通して成功体験を積み重ねたり自己肯定感を育んだりすることで、次のステップへとつなげることができます。また、保護者向けのペアレントトレーニングを受けるなどして家庭での接し方を学ぶのもよいでしょう。参考:親子のヒント|発達ナビグレーゾーンの子どもが学びの場で受けられる配慮・支援出典 : 発達に特徴がある子どもが困りごとを抱えずに生活をおくるためには周囲のサポートが必要になる機会も生まれます。グレーゾーンの子どもであれば、通常学級に通うケースも多いため、担任の先生の発達障害への理解が十分でないこともあります。そうした場合、保護者のほうから学校側への働きかけによって子どもが適切な支援や配慮を受けられるよう協力をお願いしてみるとよいでしょう。こうした働きかけを行う上で大切な考え方に「合意的配慮」という概念があります。合理的配慮とは、グレーゾーンを含む障害のある方々の人権が障害のない方々と同じように保障されるとともに、教育や就業、その他社会生活において平等に参加できるよう、それぞれの障害特性や困りごとに合わせておこなわれる配慮のことです。2016年4月に施行された「障害者差別解消法 (正式名称:障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律)」により、この合理的配慮を可能な限り提供することが、行政・学校・企業などの事業者に求められるようになりました。文部科学省のホームページでは、小中学校教育における合理的配慮の提供内容として以下のように記されています。(ア)教員、支援員等の確保(イ)施設・設備の整備(ウ)個別の教育支援計画や個別の指導計画に対応した柔軟な教育課程の編成や教材等の配慮引用:文部科学省HPあらかじめ子どもの得意・不得意を学校側に伝えておくことで、子どもの特性に合わせた支援や配慮を得ることができます。学校で子どもの特性に合わせて行われる合理的配慮の例としては、・読み書きに困難がある子の場合、拡大教科書やタブレット、音声読み上げソフトを利用して勉強できるようにする。・周りの刺激に敏感で集中し続けることができない子の場合、仕切りのある机を用意したり、別室でテストを受けられるようにしたりする。・指示の理解に困難がある子の場合、指示を1つずつ出すようにしたり、見通しが立つようにその日の予定をカードや表にしたりする。などが挙げられます。学校での「合理的配慮」 ハンドブック(LITALICOジュニア)学校側に合理的配慮を求める相談を行う前に、子どもの得意・不得意を把握しておくことが重要です。どのような状況下でどのようなことをするのが苦手なのかを伝えることで、学校側も子どもの特性に対する配慮を行いやすくなります。また、子どもの特性に関する客観的な指標も役に立ちます。学校側にアセスメントの結果などを提出することで、納得して支援を行ってもらいやすくなります。グレーゾーンの子どもを通常学級と特別支援学級のどちらに通わせるべきか、または通級指導教室を併用するかなど、悩む方もいるのではないでしょうか。診断がないために先生や他の保護者から理解されず親のしつけが悪いと非難されてしまったり、「通常学級の授業にはついていけないが特別支援学級の授業だと物足りない」など、授業の内容・レベルが本人の学力とマッチしなかったりといった、グレーゾーンならではの悩みも多くあるのではないかと思います。しかしやはり、最終的に子どもの学びの場としてどちらを選択するのかは、親の判断に委ねられています。子どもの特性、学習の進み具合、学校・先生との関係などについて考慮しながら、子どもの成長に合うと思う環境を選びましょう。このとき忘れてはならないのが、本人の意思を尊重することです。多人数は苦手なので特別支援学級に行きたい、特別扱いをされるような気がするから通級や特別支援学級は嫌だ、など本人はどんな環境を好むのか、きちんと話し合うことで親子にとってよりよい選択ができるのではないかと思います。以下では通常学級か特別支援学級か、悩んだときに役立ちそうな記事をまとめました。ぜひ参考にしてみてださい。まとめ出典 : 発達障害グレーゾーンの子どもは、その症状が軽度であることも多いために、親の悩みも「大したことない」と思われがちであったり、診断がないために「親のしつけが悪い」「甘やかすな」と親戚や学校から非難されたりと、なかなか周囲に理解されず孤独を感じてしまうこともあるかもしれません。しかし未だ不十分であるとはいえ、発達障害のグレーゾーンに対する社会の認知度や、受けられる支援・配慮の度合いは以前と比べれば高まりつつあるのではないかと思います。また、グレーゾーンの子どもに対する支援に関する国の姿勢は、法律の文面を通して読み取ることができます。発達障害者支援法の第5条 第3項では、発達障害児に対する支援に関して、以下のように記されています。市町村は、児童に発達障害の疑いがある場合には、適切に支援を行うため、当該児童の保護者に対し、継続的な相談、情報の提供及び助言を行うよう努めるとともに、必要に応じ、当該児童が早期に医学的又は心理学的判定を受けることができるよう、当該児童の保護者に対し、第十四条第一項の発達障害者支援センター、第十九条の規定により都道府県が確保した医療機関その他の機関(次条第一項において「センター等」という。)を紹介し、又は助言を行うものとする。この記述において重要な点は、支援の対象者を説明する上で「疑いがある場合」という言葉が用いられていることです。このことは、発達上の特性により困難を抱えている子どもは診断のあるなしに関わらず支援されるべきだ、していこう、という国としての考え・方針の表れであり、本記事で触れたような支援も実際に拡充されつつあります。これらの支援の利用や、合理的配慮を要請することで、子どもが自分の特性による困難を乗り越え、特性による長所を活かして自分らしく育っていけるよう、子どもを信じて支えていきましょう。
2017年03月26日こんにちは。婚活コンサルタントの菊乃です。私のところには「親に言われて結婚相談所に入ったけれどうまくいかない」と相談に来る方がいらっしゃいます。聞くと「この年で独身は親に悪いな」「親を喜ばせたい」と、婚活を始める理由が“親”なのです。別に理由のひとつであってもいいとは思うのですが、すべてが“親”ありき。相手を選ぶときも決める判断材料がスペックです。なぜスペックが大事なのかと聞いていくと、「親に紹介できるスペックかどうか」「友達にうらやましいって思われるため」など、親や周りの目線を気にして選んでいる のです。「じゃ、あなたはどんなことができるパートナーがいいの?」と聞くと何も出てこない。自分のやりたいこと、自分の未来の理想が描けなくて、お母さんの自己実現ツールとしてずっと生きてきているように思えるのです。そんな子どもを育ててしまう子育てについて、メンタルアップマネージャーで一般社団法人日本メンタルアップ支援機構代表理事の大野萌子さんにインタビューしました。●主体性がある・ないってどう違う?こういう方は困ったときに真っ先に思いつくのが親 です。もしも、コップを倒して水をこぼしてしまったら雑巾を持ってきて水を拭くよりも「お母さん!」と母親を呼んでしまう。そして親が水を拭いてしまうのです。これでは自分でそういうときにどうしたらいいか自分で考えて対処できないまま大人になってしまいます。●主体性を育てるには?子どものボタンが取れてしまったときに、子どもが大きくなっても付けてあげる親がいます。針を持つのが難しい小さい子ならば、ボタン付けのような作業は危ないので大人がやるべきでしょう。しかし、ある年齢に達したら“ボタンの付け方”を教えて子どもにやらせる必要があります。●主体性のない子を育てるNG発言子どもが何か失敗したときに「ほら、お母さんの言った通りでしょ」といつも言ってしまうと、子どもはなんでも親の承諾を得るようになってしまいがち。それでは主体性が育ちません。また、過干渉な親がよく言いがちな言葉は「あなたのために」「あなたにはムリよ」です。失敗も経験です。その経験する機会を奪う子育てでは主体性は身に付きにくいでしょう。【取材協力/大野萌子】法政大学卒。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構(メンタルアップマネージャ資格認定機関)代表理事、産業カウンセラー、2級キャリアコンサルティング技能士。企業内健康管理室カウンセラーとしての長年の現場経験を生かした、人間関係改善に必須のコミュニケーション、ストレスマネジメントなどの分野を得意とする。現在は防衛省、文部科学省などの官公庁をはじめ、大手企業、大学、医療機関などで年間120件以上の講演・研修を行う。2016年から個人も参加できるどんな場面でも有効な“生きやすい人間関係を創る”コミュニケーションスキルを1日で学べる『メンタルアップマネジメント講座』をスタート。すでに90名を超える受講者がいる。著書『「かまってちゃん」社員の上手なかまい方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。・一般社団法人 日本メンタルアップ支援機構●ライター/菊乃(婚活・恋愛コンサルタント)●モデル/貴子(優くん、綾ちゃん)
2017年03月09日無償譲渡されるのは、愛媛県今治市新都市第二地区(いこいの丘)の土地、16.8ヘクタールで36億7500万円。森友学園とはケタ違いの金額だ。 今治市選出の福田剛愛媛県議が疑問を呈する。 「いこいの丘に新設される岡山理科大学の獣医学部は6年制の獣医学科(各学年の定員160人)と4年制の獣医保健看護学科(同60人)。総勢1200人の大学に土地を無償提供し、建設費の一部も今治市が負担するわけです。 費用対効果に疑問があるし、大学は固定資産税も非課税。市にはほとんどお金が入ってきません。今治はタオルと造船の町で、その関係の大学なら納得がいくのですが……」 岡山理科大を運営するのは学校法人「加計学園」(本拠地・岡山県)。岡山理科大など3つの大学をはじめ、専門学校、高校、中学、保育園を経営。さらに系列を含めて「一大教育グループ」を築く。 同学園の加計孝太郎理事長(65)は、安倍晋三総理(62)が20代のころ、一緒にアメリカ留学して以来の親友だ。昨年だけでも3度の会食と2度のゴルフ、昨年12月24日には、昭恵夫人も交え4時間弱、会食している。 「孝太郎さんの学校経営手腕は高く評価されています。熱帯魚がブームになれば『アクアリウムコース』を作るなど、時流に乗る手法で生徒を集めてきました。趣味は武道全般。とくにボクシングが好きなようです」(加計氏を知る政界関係者) 今治市民からは、巨額の負担を心配する声が上がっている。 「森友学園と同じようにいわれますが、今治市は’83年から、新都市開発整備事業をスタートして大学の誘致を進めてきたのです。解除条件つきの契約で、大学が撤退する場合は土地を返してもらえます」(市役所企画課) 土地の無償譲渡だけではない。憤りを隠さないのは、日本獣医師会の境政人専務理事だ。 「私たちは半世紀以上、獣医学部の新設に反対してきました。獣医師は毎年1000人ほどが国家資格を取得し、獣医師の総数は不足していません。文部科学省も『獣医師の供給不足は起きていない』と申請を却下してきました。しかし昨年11月、安倍総理が出席する国家戦略特区諮問会議で官邸主導により短期間で決定されたのです」 決定から1カ月間、文部科学省がパブリックコメントを募集すると、反対意見が83%。それでも新設方針に変更はなかったという。 さらに、昭恵夫人は、加計学園が運営する「御影インターナショナルこども園」(神戸市東灘区)という認可外保育施設の「名誉園長」を務めている。加計学園に事実関係を問い合わせると、こんな答えが返ってきた。 「うちの理事長と総理は家族ぐるみのつき合いで、昭恵夫人に、『御影の名誉園長になってほしい』とお願いし、快諾いただいた。今治市の土地取得は、私学の場合、無償譲渡か貸与でだいたい決まるんです。今回、応募したのはうちだけですが、条件をこちらから提示したことはありません」(学園事務局) 土地の無償譲渡を盛り込んだ’16年度補正予算案は、今治市議会で3日に可決。来年4月に開校する予定だ。(週刊FLASH 2017年3月21日号)
2017年03月09日来年度から始まる給付型奨学金が話題だが、貸与型では、その返済に苦しむ人がまだ多いのが現状。そこで今回、新たに始まる予定の救済策を経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれた。 【1】’17年度生向け所得連動型 これまでも、奨学金を借りた本人の年収が300万円以下の場合、申請すると返済額をゼロに猶予してもらえる仕組み自体はあった。だが、返済方法は毎月決められた一定額を返す『定額返済』しかなかった。 「無利子奨学金を来年度から受ける学生を対象に『所得連動型』と呼ばれる返済制度が始まります。本人の年収から各種控除を除いた所得の9%を返済額とするものです」 たとえば、月5万4,000円の無利子奨学金を4年間借りるAさんのケースで見てみると、返済総額は259万2,000円となり、従来の定額返済では15年間、月々1万4,400円を返済することになる。 「Aさんが所得連動型を選んだとします。年収が200万円だと各種控除後の所得は約62万円です。1年間の返済額は所得の9%ですから、約5万5,800円。月に換算すると約4,650円と、定額返済よりかなり楽な返済額です。Aさんが年収300万円に昇給すると、月々の返済額は約8,900円に増えます。さらに、年収が500万円になると月々の返済額は約1万8,500円になり、定額返済の月1万4,400円を超えます。そのまま所得連動型を続けることも、途中で定額返済に変更することも可能です。逆に、Aさんの年収が100万円に下がって、各種控除後の所得がゼロになっても、月2,000円は返済しなければなりません。もちろん、申請すれば、年収300万円以下の猶予制度は利用できます」 【2】既卒者向け減額制度 すでに卒業している人は「所得連動型」が選べないため、文部科学省は来年度から、従来の返済額減額制度を拡充する予定だ。 「現在の減額制度は、最長10年間、返済額を2分の1に引き下げるものでした。来年度からは、最長15年間、返済額を3分の1か、2分の1に引き下げることができます。減額制度は、年収325万円以下なら、有利子奨学金でも無利子奨学金でも利用できます。有利子の場合、期間が延びると利子がかさみ返済総額は増えるものですが、増えた分の利子は国が負担し、本人の返済総額は変わりません」 しかし、これらの制度は返済の免除ではない。本人が亡くなるか、障害などで返済ができないと認められるまで、返済は続く。荻原さんは奨学金について、こう語る。 「奨学金とはいえ、貸与型は“教育ローン”と認識しましょう。借金と考えると、日本学生支援機構の利率は、昨年3月の卒業生で0.16%(基本月額にかかる利率固定方式)。『国の教育ローン』の1.81%と比べても相当低いです」
2017年03月06日古くからの日本の大衆魚、いわし。いわしは現代女性に不足していると言われているカルシウムの宝庫ですが、調理が面倒だったり、煮物以外の調理法が思い浮かばなかったり……。案外、食卓に上ることは少ないのではないでしょうか。今回はそんないわしを簡単に美味しく食べられる、栄養満点のハンバーグをご紹介します。食感のアクセントになるれんこんを入れるのもポイント。女性にぴったりのヘルシーで美味しいいわし料理、さっそく見てみましょう!レシピ【れんこんといわしのハンバーグ】無理なダイエット、偏った食事、運動不足……。日本人は慢性的なカルシウム不足の傾向にあり、さらに女性は骨自体が細く、骨粗しょう症に悩む人が少なくありません。いわしには、カルシウムに加え、カルシウムの吸収をサポートするビタミンDも豊富に含まれています。カルシウムは骨を丈夫にするだけでなく、イライラをやわらげる効果もあるので疲れたときに摂るのもおすすめ。また、いわしに豊富に含まれるDHAやEPAは、生活習慣病にも良い効果があるといわれています。さらに、ビタミンB2は皮膚と粘膜の機能を正常に保ち、肌荒れを防止する効果も。まさに現代女性にぴったりの食材なのです。今回ご紹介するのは、そんないわしを使った栄養満点のハンバーグです。和食のイメージが強いいわしですが、粉チーズを混ぜることで洋風の味に。さらに、シャキシャキのれんこんが食感のアクセントになっています。メイン料理にも、お弁当にも、つくりおきにも最適なハンバーグ、さっそく作ってみましょう。【材料】(2人分)いわしのすり身・・・200gれんこん・・・100g大葉・・・4枚サラダ油・・・大さじ1Aパン粉・・・大さじ3A粉チーズ・・・大さじ3A卵・・・1/2個(約25g)A塩・・・小さじ1/4Aこしょう・・・少々Bケチャップ・・・大さじ2B中濃ソース・・・大さじ2【作り方】1.れんこんと大葉は、粗みじん切りにします。2.ボウルにいわしのすり身とれんこんと大葉とAを入れ、粘りが出るまで手で混ぜ、2等分にして小判型にまとめます。3.フライパンにサラダ油を強火で熱し、2を入れます。焼き色がついたら、ひっくり返して蓋をし、弱火で5分ほど蒸し焼きにします。4.火を止めて3を皿に移し、空いたフライパンにBを入れてソースを作ります。ソースをいわしハンバーグにかけたら完成。いわしは市販のすり身を使うと便利ですが、もちろんご自身でいわしをおろしてもOK。その場合は、頭・腹わた・中骨・皮を除き、包丁で小骨ごと細かく叩いてください。また、ソースの代わりに大根おろしとポン酢でもさっぱりと美味しく召し上がっていただけますよ。いかがでしたか?いつもとちょっと違ったいわし料理で、美しく健康なカラダを目指しましょう!【参考】『あたらしい栄養事典』田中明・蒲池桂子監修(日本文芸社)、食品成分データベース(文部科学省)(レシピ制作・トップ画像/伊藤 まゆみ)
2017年03月03日生田斗真、桐谷健太、荻上直子監督が組み、“本気”の熱情を見せた意欲作『彼らが本気で編むときは、』。現在開催中の第67回ベルリン国際映画祭においてパノラマ部門、ジェネレーション部門の2部門に選ばれる快挙を成し遂げ、プレミア上映も盛り上がりを見せた本作が、同映画祭で上映されたLGBTをテーマにした全37作品のうち最も優れた作品に与えられる「テディ審査員特別賞」(TEDDY Special Jury Award)を日本映画として初めて受賞したことが分かった。本作は、2013年にアメリカ留学から帰国したのち、セクシュアル・マイノリティの人たちへの対応が社会的に遅れている日本に違和感を抱いた荻上監督が、「トランスジェンダーの息子に、“ニセ乳” を編んで与えたお母さん」の新聞記事を目にしたことから着想を得て、自身でオリジナル脚本を作り上げた意欲作。優しさに満ちたトランスジェンダーの女性リンコ(生田斗真)と、彼女の心の美しさに惹かれ、全てを受け入れる恋人のマキオ(桐谷健太)の前に現れた、愛を知らない孤独な少女トモ(柿原りんか)。桜の季節に出会った3人が絆を紡ぎながら、それぞれの幸せを見つけるまでの心温まる日々を描いた物語は、トランスジェンダーをテーマの1つにしながら、5組の「母と子」の多様な関係性をも描きだしている。「テディ賞」とは、1987年に創設されたLGBT映画を表彰する賞。92年からベルリン国際映画祭の正式な賞と認められ、同映画祭の審査員とは独立した審査員によって選ばれる。ヴェネツィアのクィア獅子賞(2007年~)、カンヌのクィア・パルム(2010年~)よりはるかに長い31年の歴史を持ち、最高峰のLGBT賞とされている。日本映画として、その“初受賞”という快挙となった本作。ここ数年で、日本でもセクシュアル・マイノリティの人たちの人権、差別撤廃が叫ばれるようになってきたが、メジャー級の邦画で、生田さんと桐谷さんという人気絶頂の俳優がセクシュアル・マイノリティのカップルを演じるというのは、数年前までは考えられなかったこと。荻上監督が「人生においても映画監督としても、荻上直子、第二章」と宣言してスタートし、生田さんも「20年の俳優人生の中で、最も苦労した役であり、最も厳しい監督でした!」と語り、桐谷さんも「自分の俳優人生において、ターニングポイントどころか、ゴーイングポイント(※)になる作品!」と明言するほど、監督もキャストも熱い意気込みで臨んでいた(※ 「ターンする必要はなく、真っ直ぐ突き進む時だ」ということ。桐谷さん独自の表現)。日本国内のLGBT人権活動はまだ黎明期といえるが、人権先進国ドイツの地で開催されているベルリン国際映画祭「テディ審査員特別賞」を本作が受賞したことは、社会的にも、文化的にも、大変意義のある大きな第一歩となった。2月15日(現地時間)に行われたレッドカーペットやプレミア上映には、生田さん、桐谷さん、子役の柿原りんかも参加していたが、今回、受賞式には荻上監督のみが出席。荻上監督は「ベルリン国際映画祭の全作品の中で、LGBTを題材にした映画に贈られる特別な賞なので、この『テディ審査員特別賞』は、非常に嬉しいです。でも私は、正直、トランスジェンダーの人がトランスジェンダーのことで悩んでいるだけの映画は作るつもりは最初からなくて、“女性として普通に”恋愛をし、仕事をし、生活を営んでいる“普通の女性”を描きたかったんです。差別されたり、理解されなかったり、陰口をたたかれたり、傷つけられたり、大きな悩みを抱えながらも、前向きに生きる“ひとりの女性”を、です」とその思いをコメント。「トランスジェンダーの人でも心は女性なのだから母親になれるかもしれないという夢を見れることや、血の繋がりがなくても親子になれる希望が持てることや、子どもを産まなくても母性を持てることや、さらに“その恋人”や“その家族”、“母親と子ども”の関係性を一番描きたかったんです。この映画が“さまざまな家族のカタチ”を受け入れたり、考えたりすることのきっかけになって欲しいんです。いままで持っていた“普通”の概念を見直すきっかけになれれば嬉しいです。この映画をみて、LGBTに対する理解を深めてほしいと心から願っています。ベルリン、Danke schon!(ありがとう!)」と感謝を述べた。また、日本人としてただ1人の審査員である、今井祥子氏は「審査員全員一致での決定でした。審査員の中でも一番絶賛されたのが、『彼らが本気で編むときは、』が子どもの目を通して、セクシュアル・マイノリティの家族を描いた点です。そして、観ているだけでお腹が空きそうな料理の数々や、日本に訪れたくなる美しい桜並木など、荻上監督の独特のディテールは、外国人審査員の心をさらに掴んでいました。日本作品でありながら、世界に十分アピールできる『家族の物語』になっていましたし、その証拠に、一般の観客の評判がもっとも良い作品だったことも、私たちが納得して『テディ審査員特別賞』を授けるのにもっとも相応しい作品だと思ったのです」と、受賞理由を語っている。プレゼンターもつとめたパキスタン人審査員Saadat Munir氏は、「小学5年生の少女の目を通じて、この“レインボーファミリー”に惚れ込んでしまった!子役と、主演の役作りは実に説得力があり、心から楽しめました」と壇上でコメント。さらに、パノラマ部門のディレクターであるWieland Speck氏は「荻上直子の大ファンなんだ。彼女のことは昔からよく知っています。なぜって彼女は今回でもうベルリン国際映画祭、4作品目だからね。(主人公の3人は)普通の家族ですが、周りには普通と見られていない。『彼らが本気で編むときは、』を観る人に、普通とは何かということが問いかけられているのが、この映画の面白さのひとつでもあるんですよ」と、本作への惚れ込みようを明かしている。日本では文部科学省選定作品として少年向き、青年向き、成人向きの部門に選出、国内で初めてパートナーシップ証明書を導入したLGBT先進自治体である渋谷区および渋谷区教育委員会が、本作を初の「推奨作品」としている。今回の受賞により、さらなる支持を集めることになりそうだ。『彼らが本気で編むときは、』は2月25日(土)より新宿ピカデリー、丸の内ピカデリーほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:彼らが本気で編むときは、 2017年2月25日より新宿ピカデリー・丸の内ピカデリーほか(C) 2017「彼らが本気で編むときは、」製作委員会
2017年02月18日幸福の科学への出家騒動で波紋を呼んでいる清水富美加(22)。実は、本誌は「清水さんが幸福の科学に“出家”するそうです。さらには団体での活動に専念するため、芸能界も完全引退するそうです」という話を受け、取材を進めてきていた。そこで幸福の科学に確認したところ、2月11日に「当教団の信者であり、出家することになりました」事実を認める回答が。その直後から本人がTwitterを開設し、取材陣が騒ぎ始めたのだった――。 清水といえば、今もっとも勢いのある女優の一人。08年に芸能界入りし、11年に本格的女優デビュー。15年にはNHK朝ドラ『まれ』でヒロイン・土屋太鳳(22)の同級生役を演じ大ブレークしている。そんな彼女が言う“出家”とは、幸福の科学の職員になって働くこと。幸福の科学に詳しいジャーナリストがこう語る。 「これまで所属事務所にも伏せていたそうですが、清水さんが幸福の科学の信者であることは幹部の間でも知られていました。ご両親ともに幸福の科学の信者で、幼いころから教えを固く信じていたそうです。そして彼女は今回、『女優よりもやりたいことが見つかった。これからは、幸福の科学のためだけに働いていきたい』と漏らしているそうです」 最近では仕事現場をドタキャンするなど、“異変”が起きていたという。 「事務所が本人の意向を無視して仕事をさせていたならまだしも、清水さんは最近も自身のTwitterで主演映画『笑う招き猫』の告知を行うなど熱心に仕事していました。彼女がどれだけ突発的に芸能界引退を申し出たのかがうかがえます。彼女のマネージャーは清水さんがブレークする前から二人三脚でやってきていました。『今まで一緒にやってきたのに、なんでこれからという時期に』と途方に暮れていることでしょうね」(テレビ局関係者) そこで本誌が幸福の科学に確認を申し込んだところ、冒頭のように出家の事実を認めるコメントが。またその経緯についてもこう補足した。 「清水富美加さんは子供のころから熱心な当会信者でした。折々に祈願や支部に参列し、仏法真理的価値観を子供のころから学ばれてきました。しかし、次第に主役級の仕事が振られる中で、必ずしも彼女の思想信条にかなっているとは言えない仕事が増えてきました」 そんな彼女は、1月に収録された『女優清水富美加の可能性守護霊インタビュー』(幸福の科学出版)をきっかけに今回の出家を決意したのだという。 「この経典をきっかけに富美加さんは、自らの天命が一人でも多くの人に光を伝え、真理を伝えて、人類救済にあたることにあると確信し、この度、出家される運びとなりました。従って、今月で事務所との契約は解除し、体調が回復しましたら、宗教家としての活動に移ってまいります」 また清水の所属事務所にも確認したところ、担当者は「仕事を休んだことは事実ですが、それ以上はお答えできません」と答えていた。15年4月の本誌インタビューで、清水は女優業についてこう語っている。 《高校時代はすごい反抗期で。母が飴で父がムチ、って感じで、もうケンカばっか。勉強したくない!高校行きたくない!って。でも、高校を卒業して、結局、いちばん困ったときに助けてくれたのはお父さんだったな、ってハッとして。この仕事は、“夢”というより、そのころ迷惑をかけちゃった人たちに、恩返しのためにやっているような感じかなぁ》
2017年02月14日子どものお稽古ごと、といえば何を思い浮かべますか?水泳、習字、ピアノ……とおなじみのお稽古ごとが並ぶなか、近ごろ脚光を浴びているのが“プログラミング ”です。 『ケイコとマナブ.net』が2016年に行なった「子どもに習わせたいお稽古ごと」調査でも、小学校高学年部門で5位にランクインするほどの人気急上昇ぶり。これは、2020年をめどに、小学校でプログラミングの授業を必修化するという文部科学省の方針を受けての流れなのかもしれません。ただ、まだ小さい子どもを長時間パソコンの前に座らせることに抵抗を感じる大人たちだって少なくないのも事実です。「他の教科学習が疎かになるのでは」「自然に触れるほうが大切では」という声もまだ聞かれます。気になるプログラミングのお稽古、果たしてどんなメリットがあるのでしょうか。今回は、お子さんをプログラミング教室に通わせている方々のコメントを紹介しましょう。●(1)プログラミング教室のメリット『そもそもプログラミングとは、コンピュータに動きを指示することを指します。そしてコンピュータというのは、とっても“物わかりが悪い”物体なんです。きちんと論理だてられ、矛盾や曖昧さのない指示しか理解することができない、頭の固い厄介者なんですよ。プログラミングを学ぶということは、そんな融通の聞かないヤツに、どうすれば自分の思いを伝えられるかを学んでいくこと なんです。つまり、相手をよく理解し、相手に合わせた論理的な文章を組み立てる力を磨くということ。問題解決のための論理的思考力がつくというのはこのことなんですね。わが子もプログラミングを学ぶようになってから、話をする前に一旦考え、理路整然と会話するような姿勢 が見られるようになりましたよ』(40代男性/小学5年男児の父)『プログラミングって、ブロック遊びに近いと思います。幼いころは適当にあるものをつなぎ合わせ、でき上がったものを見て「これ、でんしゃ」「これはビル」といいますよね。でも成長して、ブロック遊びの真髄がわかってくると、まず頭のなかで大体の設計図をつくってから取り組むようになります。例えば「今日はスイッチのあるロケットを作りたい。必要な部品はコレとコレで、まずはコックピットから作ろう」という塩梅です。プログラミングも、最初は手当たり次第メチャクチャにやるので無駄が多い。まさにトライ&エラーの連続です。でも、慣れてくると頭のなかで設計図をくみたててから、言語を操ることができるようになってくるんですよ。この能力は、物事の見通しをたてる という力につながっていると感じます。日常生活でも重要ですよ。例えば目的地があって、定刻にたどり着くにはどうしたらいいか。そんなことがきちんと考えられるようになります』(40代女性/小学3年男児の母)このように、思考力や論理力、見通し力などをつけることができたという声が最も多く挙げられたメリットでした。より身近な局面として、こんなコメントをくれたママさんもいました。『あんまり難しいことは私にも分からないんですけど……単純に、キーボード操作などから教えてもらえるのがよかった かな。家にパソコンがあっても、タッチタイプのしかたなんて子どもに教える機会ないですからね。それと、うちの子の通ってるスクールはプログラミングに入る前に、ネットリテラシーの授業があったのがよかったですね。インターネットとのうまい付き合い方や、情報の取捨選択を子どもなりに考えてくれるようになりました。いま、学校裏サイトとかワンクリック詐欺とか怖いですから……』(30代女性/小学6年女児の母)たしかに、両親ともにタッチタイプができても、わざわざ家庭で時間をとってまでお子さんにそれを教えたりはしませんよね。そういった点から教えてもらえるのも、メリットといえそうです。●(2)プログラミング教室の注意点デメリットとというほどではないものの、注意した方がいい点もあるようです。『スクールで習ってくることが高度すぎて、自宅で子どもに質問されても全く答えられませ ん 。プログラム系のことだけではなく、自然科学についても深く考えるようになってしまったので、正直いって会話が難しくなってきましたね。最近はもっぱら“元理系男子”のパパが話し相手になってくれてます。話は盛り上がっているようですが、私はなんとなく疎外感(苦笑)』(40代女性/中学1年男児の母)パパが理系ならまだいいものの、文系パパだとちょっぴり困ってしまうかもしれませんね。お子さんの質問に家族全員でタジタジ……とならないために、パパやママの知力アップも必要になってくるのかもしれません。もうすこし専門的な意見としては、次のようなものもありました。『どんなプログラミング教材を使っているのかは、入会する前によく調べておいたほうがいいかもしれません。子ども向け教材の中には、実生活への転用性がなく、いくらそれを極めても職業にはならないもの があります。また、できることの限界が浅く、能力が高い子ほど「つまらない」と感じる傾向もあるようです。ご両親に知識がなく、違いがわからないということなら、同僚や知り合いのエンジニアに相談してもいいでしょう』(50代男性/高校1年男児、中学2年男児の父)----------参考になったでしょうか?今の子どもたちは、生まれたときからパソコンやインターネットに囲まれている“デジタルネイティブ世代”。ITの恩恵をただ消費するだけでなく、その仕組みを理解することが生き残りのキーポイントになるともいえます。お子さんの将来が気になるママさん、パパさん。まずは一度体験教室の門を叩いてみてはいかがでしょうか。新たな世界が広がるかもしれませんよ。【参考リンク】・ケイコとマナブ.net | RECRUIT()●文/パピマミ編集部●モデル/REIKO(SORAくん、UTAくん)
2017年02月13日宗教団体「幸福の科学」は12日、「女優・清水富美加氏の幸福の科学への出家について」と題したコメントを公式サイトで発表した。はじめに「このたび、テレビ、映画等で活躍し、日本を代表する若手女優の一人である女優・タレントの清水富美加氏(22歳)が、当教団に出家することになりました」と報告。清水は熱心な信者で、子供のころから「幸福の科学」の宗教行事には参加してきたそうで、宗教的価値観のもと「見て下さる方に元気や励ましを届けたい」という利他愛他の思いで芸能活動に打ち込んできたという。しかし、「人道的映画に出たいという強い希望を持っていたにも関わらず、最近は、人肉を食べる人種の役柄など、良心や思想信条にかなわない仕事が増え、断ると所属事務所から干されてしまう恐怖心との葛藤のなかに置かれていました」とし、「仕事を選択する自由も無い、一種の"苦役"(憲法で禁じられています)ともいえる就労環境のなかで、ついには心身の不調をきたすまでになりました。この2月には、医師による診断の結果、ドクターストップがかかり、現在は芸能活動を中断しています」と説明。さらに、「こうした動きと相前後して、同氏の「守護霊霊言」が収録公開され、『女優 清水富美加の可能性 守護霊インタビュー』として刊行されました。この収録・発刊をきっかけに清水氏は、自らの天命が『暗黒の海を照らす灯台の光となり、一人でも多くの人を救済していく』ことにあると確信し、『魂の救済のために24時間を捧げる』宗教者となるべく、出家を決意されるに到り、当教団としても宗教上の緊急救済の観点から受け入れを決めた次第です」と清水の決意を伝え、「体調が回復しだい、宗教活動に参画してまいります。どうか温かい目で見守っていただければ幸いです」と記している。
2017年02月13日ダイエット中でも食べたくなるのが、揚げ物料理。でも糖質やカロリーが気になってしまいますよね。そこで、パン粉の代わりにスライスアーモンドを使った、低糖質のアーモンドフライをご紹介します。ボリューム満点だから、満腹感も◎!パン粉の代わりにスライスアーモンドで糖質オフ!「糖質=甘いもの」と思われがちですが、穀類にも意外と多くの糖質が含まれています。パン粉を使った揚げ物は、つまり糖質も脂質もたっぷりということ。そこで、低糖質で油も吸収しにくいスライスアーモンドを衣にすることで、低糖質・低カロリーに。また、低糖質・低脂肪・高タンパクなヘルシー食材の白身魚をチョイス。さらに、ヨーグルトを使ってタルタルソースを作り、カロリーオフしているのもポイントです。 レシピ【白身魚のアーモンドフライ】さっぱりとした白身魚に、香ばしいアーモンドがよく合う一品です。タルタルソースの代わりに、オリーブオイルと岩塩でさっぱりと召し上がっていただくのもおすすめです。お好みの味で召し上がってくださいね。1ピースを小さくカットすれば、ホームパーティーの一品やお弁当のおかずにもなりますよ。【材料】(4人分)白身魚(写真は真たら。さわら、さけ、きすなどでもOK)・・・4切れ(1切れあたり60~70g)卵・・・1個スライスアーモンド・・・100g菜種油(もしくはサラダ油)・・・適量ゆで卵・・・1個たまねぎ・・・1/8個パセリ・・・適量A酒・・・大さじ1A塩・・・少々Aこしょう・・・少々B無糖ヨーグルト・・・大さじ2Bマヨネーズ・・・大さじ2B塩・・・少々Bこしょう・・・少々【作り方】1.白身魚にAをそれぞれふり、手で軽く馴染ませて下味をつけておきます。2.ゆで卵、たまねぎ、パセリをみじん切りにしてボウルに入れます。その後、Bを加えて混ぜ、タルタルソースを作っておきます。3.白身魚の水気をキッチンペーパーで拭き取り、溶いておいた卵、衣として使うスライスアーモンドの順につけます。170度に熱した菜種油に衣をつけた白身魚を入れ、きつね色になるまで揚げます。アーモンドが剥がれやすいので、網じゃくしなどにのせてそっと油に入れるのがコツです。4.器に3を盛り付け、2のタルタルソースを添えます。小さく作りたい場合は、1で白身魚を一口大にカットしてから下味を付けてください。ピックを挿して盛り付ければ、パーティー用にぴったりですよ。 いかがでしたか?これなら糖質制限中でもストレスなく食べられますね。ぜひお試しください!※参考:文部科学省食品成分データベース(トップ画像・レシピ制作/伊藤 まゆみ)
2017年02月03日発達障害の専門的医療機関が不足している!?出典 : 年1月20日、総務省は、文部科学省と厚生労働省に対し、発達障害者支援に関する行政評価と監視の結果に基づく勧告を行いました。この調査は、保育所・学校現場を含む、都道府県・市町村における発達障害者支援の実態を初めて調査したものとなります。これまでの記事では、①早期発見について、②発達障害発見後の支援と引継ぎについて、それぞれ総務省による調査の結果と勧告内容についてお伝えしてきました。今回の記事では、発達障害の専門的医療機関の確保に関する調査・勧告内容についてご紹介します。調査対象の18.5%で発達障害の専門的医療機関が確保出来ておらず出典 : 各都道府県において、専門的に発達障害の診断及び発達支援を行うことができると認める病院又は診療所を確保しなければいけないことは、発達障害者支援法に定められています。「都道府県は、専門的に発達障害の診断及び発達支援を行うことができると認める病院又は診療所を確保しなければならない。 」発達障害者支援法第19条(専門的な医療機関の確保等)では実態はどうでしょうか。今回総務省が19都道府県及び8指定都市の計27団体に関して調査したところ、専門的医療機関を確保していたものは22団体(81.5%)で、残る5団体(18.5%)は確保できていなかったことが明らかになりました。また、専門的医療機関を確保済みの22団体の管内に所在する専門的医療機関から、27機関を抽出し、発達障害に係る初診待機者数及び初診待機日数も調査しました。その結果、約4割の医療機関で初診待機者数が50人以上となっており、その中には最大316人が待機している例も存在しました。加えてその初診待機日数は、半数以上の医療機関で3か月以上となっており、その中には最長で約10か月の例もみられるなど、専門的医療機関の更なる確保が必要な状況がみられたとのことです。なぜ発達障害を診ることができる医者は少ないのか?出典 : 総務省の調査した医療機関の中からは、以下のような意見があがったとのことです。①小児科医が発達障害を診断する場合、風邪等の診察と違って、幼児期の状況や成育歴などを聴き取る必要があり、手間と時間を要するため、診療報酬上のメリットを与えてほしい。②発達障害児に対する精神科医による診察は、その特性上、1 人に対し1 時間から 2 時間費やすことが多く、30 分を大幅に超えるため、現行の「通院・在宅精神療法」の時間区分(30 分未満の場合は 3,300円、30分以上の場合は 4,000 円の 2区分のみ)のうち30分以上を細分化し、その時間区分に見合った診療報酬にしてほしい。③発達障害児に対する小児科医の診察による診療報酬では、「小児特定疾患カウンセリング料」(月の1回目は5,000円、月の2回目は 4,000円)が算定可能であるが、発達障害という特性上、長期にわたり通院が必要であるにもかかわらず、2年を限度にしか算定できないことから、2年という期限を設けないようにしてほしい。太字は引用者注発達障害の専門医となるのは難しい上に、診療の旨味も少ないため、医師にとっても魅力を感じにくい領域なのかもしれません。市町村によっては不安解消のため独自の取り組みを行っています出典 : この度総務省が調査した都道府県及び指定都市の中には、初診待機者の不安解消を図るための取り組みを実施しているところもあったとのことです。ひとつは市町村が医療機関と連携して小児科の診察優先枠を毎月1日設定し、保護者の了解のもと県職員も医療機関の診察に同席、医師、保護者及び県の三者で情報の共有を図っている事例です。そしてもうひとつは、医療機関の受診前や療育前に、市町村の主催で臨床心理士等による親子小集団活動、保護者同士のグループワーク等を「にこにこ教室」として実施している事例です。医療機関の受診などを待っている保護者の不安感の解消が図られていることがメリットとして挙げられています。総務省は専門的医療機関の確保を勧告こういった現状に対し、総務省は厚生労働省に対し、発達障害が疑われる児童生徒が専門的医療機関を早期に受診できるよう、専門的医療機関の確保のための一層の取組を行うことを勧告しました。また専門的医療機関の受診までの間、保護者の不安解消を図る取り組みを都道府県等に示し推進するようにも勧告しています。以上、いかがだったでしょうか。発達障害者支援者法は施行されてからまだ10年と少し。発達ナビではこれからも国の取り組みと状況についてお伝えしていく予定です。
2017年02月02日通信制高校とは?出典 : 通信制高校とは、テレビやインターネットなどの通信手段によって教育を行う高校のことです。学校教育法第4条において、通信制課程は「通信による教育を行う課程」とされています。さらに、通信制課程における教育の方法等については、「高等学校通信教育規定」に定められています。通信制高校と一口に言っても、通学日数や通学時間によってさまざまな学習スタイルがあり、自分のペースで勉強に取り組むことができます。さらに全日制高校と同じように高校卒業資格がもらえる、比較的入学が簡単であるといった点から、高校進学の選択肢の一つとして注目されているのです。もともと通信制高校は、家庭や職場の事情などで毎日学校に通うことができない子どもに対して、高等学校の教育を受ける機会を与えるという目的でつくられました。しかし現在は、対人関係に問題を抱えて不登校になってしまった、勉強中心の生活になじめなかった、発達障害があるなどといった、さまざまなお子さんが通信制高校に通っています。参考:定時制・通信制課程について|文部科学省通信制高校の分類出典 : 通信制高校は公立と私立があり、さらに単位の取り方や通学頻度によって分類できます。◇公立通信制と私立通信制全日制の高校と同じように、通信制高校にも公立と私立があります。公立の通信制高校のメリットは、私立の通信制高校よりも学費が安いことです。それに対して私立の場合は、公立よりも学費はかかりますが、卒業するためのサポートが手厚いなど、独自の取り組みを行っていることが多いです。◇単位制と学年制通信制高校の単位の取り方は、単位制と学年制の2種類があります。単位制であれば、最終的に必要な単位を3年間で取得していれば卒業することができます。それに対して学年制の場合は、進級に必要な単位を取得しなければ次の学年に上がることができません。現在の通信制高校は単位制が多く、ほとんどが3年間で卒業できるようになっています。前後期制を採用している単位制の通信制高校では、10月に入学し9月に卒業するといったこともできるようです。◇通学頻度による分類通信制高校では、定期的に登校して先生から直接指導を受ける日があり、これをスクーリングと言います。スクーリングのほかに、登校して授業を受けることができる通信制高校もあります。・集中スクーリング型自宅学習が基本で、年に数回、3日~1週間程度、スクーリングを受けます。泊まりがけで登校日があるというケースもあるようです。・週1日型週に1回、土曜日または日曜日に通学します。毎日通学するのには不安がある、あるいは平日に仕事をしているといった生徒が多く通っているようです。・週3日型毎日ではありませんが、1週間のうち決まった曜日に定期的に登校します。自分の時間を取りやすい、週5日型に比べ生活リズムを保ちやすいといったメリットがあります。・週5日型全日制高校と同じように平日に通学する通信制高校であり、最近増えている通学スタイルです。授業内容は緩やかであり、午後からは好きなことを学べる学校もあります。一般的な高校の勉強のほかに資格取得を目的とした授業や、実習・体験授業などが多いのも特徴です。・その他の通学型登校日は不定期で、一定のスクーリングを消化すれば単位を取得することができます。受講の仕方次第でスケジュールが変わってきます。通学日数が多いからと言って、単位修得につながる授業が多くあるとは限りません。学校を好きになるような特別活動を増やしている場合も多いようです。どんな活動をするか、どんなスタイルで勉強をするかは、学校ごとに異なるので、資料請求をするなど前もって調べておくと良いでしょう。通信制高校の学習スタイル出典 : 通信制高校を卒業するためにはスクーリング、レポート、試験の3つが必要です。スクーリングとは、登校して先生の指導を受けることです。科目によって出席する日数が異なります。また入学式や卒業式などの行事に参加することもスクーリングとしてカウントされます。スクーリングの出席日数に加え、定期的なレポートと期末試験によって、単位の認定がされます。通学型の通信制高校では、レポート指導の時間が設けられていることが多いため、無理なく取り組むことができるようです。ご家庭において、お子さん一人でレポートに取り組むことが難しい場合は、サポート校と組み合わせると良いでしょう。サポート校は、通信制高校におけるレポート提出や期末試験に合格するための指導をしてくれる学校であり、学習塾のようなところです。レポートや試験対策以外に、学校の楽しさを学べる、自分の興味に合った授業を受けられるという魅力もあります。サポート校にも通うかは、お子さんの学習ペースや通学日数、学校が勉強のフォローをどのくらいしてくれるかなどによって決めましょう。通信制高校と他の進学先との違いは?出典 : 中学校卒業後の進学先は、通信制高校以外にもいくつかあります。この章では、通信制高校とその他の進学先のメリット・デメリット、さらに通信制高校と合わせて通える学校をご紹介します。◇通信制高校先ほどご説明したように、テレビやインターネットなどの通信手段を中心に使って教育を行う高校のことを言い、高校卒業資格を取得することができます。<メリット>・自宅で学習できる・対人関係のトラブルが少ない・卒業までの期限がないので、自分のペースで卒業できる・入学しやすい<デメリット>・通学日数によっては、学校生活を通した交友関係ができにくい・自宅学習が中心のため、自分で学習のペースを管理しないといけない◇全日制高校平日の昼間に授業を受ける高校のことを言い、高校卒業資格を取得することができます。<メリット>・普通高校、工業高校、商業高校、農業高校などがあり、選択の幅が広い・進学、就職など卒業後の進路の幅が広い・友人ができ交友関係が広がる・部活動などを通して社会性が身につく<デメリット>・授業の進みが早い・個別支援が受けにくい・人間関係のトラブルが起きやすい◇定時制高校全日制とは開講している時間帯が違う高校であり、高校卒業資格を取得できます。夜間のみの定時制高校の他に、昼間定時制と呼ばれる全日制に準じたスタイルの学校も増えてきています。<メリット>・午前、午後、夜間など開講以外の時間が好きな時間に使える・授業以外の時間を自由に使うことができる・さまざまな年代の人と交流することができる<デメリット>・卒業まで4年かかる(3年で卒業の場合もある)・生徒の年代が違うことによるトラブルが起きやすい・自由な時間が多いので、自分でしっかり時間の管理をしないといけない◇高等専門学校高等専門学校は中学校卒業後、技術者になるための必要な教養や専門的な知識を身につけることを目的とした高校です。5年間勉強するのが特徴です。<メリット>・得意分野を伸ばすことができる・卒業後、大学に編入することができる<デメリット>・入学してからは基本的に学科を変えられない◇高等専修学校専門学校・専修学校の高校版であり、専門学校高等課程と呼ぶこともあります。職業に関する専門的な知識・技術・技能や社会生活に役立つ教養を身につけるのが目的です。<メリット>・得意分野を伸ばすことができる・私服で通えるなど自由な校風の学校が多い<デメリット>・高校卒業資格を取得できないため、資格を得るためには技能連携制度などの制度を利用しなければならない◇高卒認定予備校高卒認定試験に向けて、勉強をサポートしてくれる予備校のことを言います。<メリット>・大学受験資格を取得できれば、将来的な進路を広げることができる<デメリット>・あくまで大学受験資格のための認定試験の対策をする学校であり、高校卒業資格を取得することはできない◇技能連携校定時制・通信制高校の教科のうち、専門科目の一部を分担して教えてくれる施設です。通信制高校に平行して通うことになります。不登校や高校を中退したお子さんなども積極的に受け入れているようです。◇サポート校通信制高校におけるレポート提出や期末試験に合格するための指導をしてくれる学校です。通学日数がさまざまであり、柔軟な通い方ができます。通信制高校のほかにもさまざまな進路の選択肢があり、さらに学校ごとに雰囲気が異なります。それぞれについて理解し、お子さんの特性と適性を考えて、進学先を選ぶと良いでしょう。またどんな環境で学ぶか、どんな先生や仲間と学ぶか、などを確認するために、お子さんと一緒に実際に学校を見学してみることをおすすめします。通信制高校にかかる費用と奨学金出典 : 通信制高校の学費は私立か公立か、サポート校にも通うか、通学日数などによって差があります。全体としては、卒業までのサポートの手厚さによって学費が変わるようです。私立の通信制高校の場合でも、私立の全日制高校に比べれば学費は安いです。公立の通信制高校であればより学費はかかりませんが、卒業までのサポートは私立の通信制高校よりも少ないです。サポート校に通う場合はさらに学費がかかるので、全体としてかかる費用は変わってきます。さらに私立か公立かどうかに関わらず、通学日数が多いとそれだけ学費は高くなります。通学日数が多いのがその理由で、卒業までしっかりと面倒を見てもらうことができます。奨学金を利用することで、学費の負担を軽減できる場合があります。さまざまな方法がありますが、奨学金を検討する場合は志望校の先生に相談してみると良いでしょう。・高校奨学金世帯所得が各自治体が定める基準以下であり、修学が困難な方に支給される奨学金制度です。現在は各都道府県の教育委員会などの管轄になっています。高校奨学金を利用する場合は、各自治体に問い合わせてみてください。・学校の奨学金制度通信制高校の中には、独自の奨学金制度で学費の援助をしてくれる学校もあります。学校と連携する企業で働く生徒に対して、学校または企業がその授業料を負担するなどの制度がよく見られます。・その他の奨学金制度高校奨学金とは別に各都道府県や市区町村でも奨学金制度を設けている場合があります。また民間企業による奨学金制度を利用する方法もあります。通信制高校に入学するには?出典 : 通信制高校の入学手続きの方法は、基本的には全日制高校と変わりません。入学するためには試験に合格する必要があります。全日制高校との違いは、入学試験のハードルが比較的低く、入学時期が柔軟であることが多い点です。入学試験の内容は学校によってさまざまですが、一般的には面接や作文、書類選考で選考が進められます。入試で学科試験を課すところは非常に少なく、その結果で不合格になるケースはさらに少ないです。「この高校へ入学し、きちんと勉強したい」という気持ちを、言葉や文章でしっかりと伝えることが大切です。入学時期は学校や入学のルートによって異なります。入学ルートには新入学の場合、他の高校からの転入する場合、高校を中退するなど除籍になったあとに編入する場合の3つがあります。新入学と編入は4月または10月入学、転入は随時入学となります。事前に学校に問い合わせて、確認しておくことが大切です。またどんな学校に行けば良いのか迷っている場合でも、通信制高校で指導している先生に直接話を聞きに行くなどして、悩みを相談してみましょう。全日制高校から通信制高校への転校はできるの?出典 : 全日制高校からでも通信制高校へ転校することができます。「前の学校が合わなかった」「最初に入学した学校を中退してしまった」などの理由も、通信制高校の入学には影響しません。しかし安易に通信制高校に行くことを決めるのではなく、本人の状態や悩みを把握したうえで、慎重に進路を決めることが大切です。お子さんが今通っている学校へ行くことを嫌がっている場合は、無理に学校に行くことをすすめるなどせず、まずは話を聞いてあげ、不安や悩みを取り除いてあげましょう。通信制高校に転入する場合は、その時に在籍している学校から書類を送付してもらう必要があります。転入する学校が決まったら、早めに担任の先生に相談しましょう。通信制高校の卒業後の進路出典 : 通信制高校を卒業すると、高校卒業資格を取得することができます。そのため卒業後の進路は、大学進学や就職といった広がりがあります。文部科学省の「平成26年度学校基本調査」によると、通信制高校卒業後の進路は、大学進学が約16%、専門学校進学が約23%、就職が約17%、その他が約44%となっています。出典:学校基本調査-平成26年度(確定値)結果の概要-(初等中等教育機関、専修学校・各種学校)以前は通信制高校卒業後は就職というイメージが強く、実際に通信制高校から大学へ進学するケースはあまり多くありませんでした。しかし最近では学習カリキュラムの充実や大学進学予備校を母体とする学校、サポート校の増加により、大学進学を目標とする学校が増えてきています。また特別授業や補習などのサポートも行われているようです。参考:高等学校教育の現状|文部科学省障害がある子どもの進路選択と通信制高校出典 : 障害がある子どもの場合も、その障害・特性や困りごと、子ども本人の希望や状況に応じて様々な進路が考えられます。上で紹介した高校・専門学校以外にも、進路の一つとして特別支援学校というものがあります。特別支援学校では、個々人の障害や特性に合わせたプログラム・学習ペースで勉強することができます。個別の支援を受けやすいという点もメリットです。文部科学省の「平成26年度学校基本調査」によると、特別支援学校卒業後の進路は、大学等進学者が2.1%、専修学校が0.3%であり、さらに就職者の全卒業者数に占める割合は28.4%となっています。出典:学校基本調査-平成26年度(確定値)結果の概要-(初等中等教育機関、専修学校・各種学校)そうした障害のある子どもの場合でも、通信制高校のようなカリキュラムや利用方法が本人に適している場合は、通信制高校も有力な選択肢の一つとなるでしょう。文部科学省の「高等学校における特別支援教育の現状と課題について」によると、平成21年3月時点では、発達障害等の困難のある生徒の、各高等学校進学者全体に対する割合は、全日制高校が1.8%、定時制高校が14.1%、通信制高校が15.7%となっています。出典:高等学校における特別支援教育の現状と課題について|文部科学省進路を選ぶ際には、さまざまな進学先について理解をし、子どもの特性や本人の意思も尊重して考えていきましょう。また中学校の先生との進路面談に積極的に参加する、支援担当の先生に相談する、実際に候補先の高校の先生に支援体制などについて聞くといったことも大切です。さまざまな進路のうち、通信制高校への進学を検討している場合は、発達障害はじめ、その子の困難・障害に対して理解がある学校を選ぶと良いでしょう。発達障害の知識を持つカウンセラーが配置されている、ソーシャルスキルトレーニング(SST)を受けられるといった学校もあります。また進路選びについて悩んでいる場合は、以下の公的機関に相談することもできます。・小児神経科や児童神経科などの医療機関・児童相談所・発達障害者支援センター・精神保険福祉センターお子さんと一緒に相談に行く時は、相談先がどんなところか、何をするところかをしっかり説明して、お子さんの不安を取り除いてあげましょう。参考:定時制課程・通信制課程高等学校の現状|文部科学省まとめ出典 : 通信制高校と一口に言っても、最近では通学日数や学習スタイル、通っている生徒など学校ごとに違いがあります。さらに通信制高校以外にも、中学校卒業後の進学の選択肢がいくつかあります。どの高校に進学するかは、将来の選択肢にも関わってきます。それぞれの進路先について理解し、お子さんの特性や適性を把握して、慎重に決めることが大切です。またお子さんとしっかり話し合い、進路の選択に悩んだ時は高校の先生や相談機関に相談して、進学先を探していきましょう。最終的にはお子さんの意志を尊重し、悩みや不安を取り除きながら進学先を考えることで、お子さんが「この学校で勉強したい」と心から思える高校に進学することができるでしょう。高島俊文/著「通信制で見つけよう!―全国通信制高校案内〈2013~2014年版〉」2012年学研教育出版/刊高橋良臣、織田孝裕/著「悩みすっきり不登校・高校中退からの進路選択」2008年北樹出版/刊鈴木慶太/著「親子で理解する発達障害進学・就労の進め方」2016年河出書房新社/刊
2017年01月31日大きな可能性を秘めた分類法、ICF(国際生活機能分類)出典 : 誰もが助け合いながらともに生きていける社会。そんな社会を実現するために、近年は「障害者差別解消法」の施行や「インクルーシブ教育」の普及など、多くの取り組みが行われています。これらの取り組みの基本的な考え方には、「社会での<生きづらさ>を抱えた人がより良い生活を送るためには、その人自身の変化だけではなく、社会全体のサポート体制を構築していくことが欠かせない」というものがあります。今回ご紹介する「ICF(国際生活機能分類)」は、生活機能や障害の状況の分類分けを提供すると同時に、「障害」のある状態を、本人を含めた社会全体でよりよくするための重要な要素をたくさん盛り込んでいます。お医者さんや学校の先生、介護など様々な分野で働いている人たちが、より充実したサポートを提供していくのに重要となるICF(国際機能分類)について、詳しく見ていきましょう。ICF(国際生活機能分類)とは出典 : はInternational Classification of Functioning, disability and Healthの略で、日本語では国際生活機能分類と呼ばれています。2001年に世界保健機関(WHO)によって採択されました。ICFはその名にもある通り、人間の「生活機能」と「障害」を判断するための「分類」の仕方を示したものです。ここでいう「生活機能」とは簡単に言うと、「人が生きていくこと」を指しています。ご飯を食べたり運動をしたり、社会に参加したり、それらをする能力はすべて「生活機能」ということができます。これに対し、ICFでは「生活機能」が何らかの理由で制限されている状況を「障害」としています。心身機能に障害がある場合に加え、たとえば「コミュニケーションをとることが困難」な状況や、「仕事をすることができない」といった状況も、活動や参加に「障害」がある状況としてとらえられます。そんな「生活機能」と「障害」の状況を細かく分類分けして、示しているのがICFです。加えてICFでは、生活機能や障害の状況に影響を与える要素として「環境因子」と「個人因子」(※注1) を挙げ、「環境因子」も同じように分類分けをしています。つまり「生活機能」を作り上げている要因も分類分けすることで、「人が生きること」を広い視点から総合的に理解することを目指しているのです。(※注1) 現段階では「個人因子」は分類分けされていません。ICIDHからの歴史的変遷出典 : の考え方はどのようにして生まれてきたのでしょうか。ここではICFを理解するのに欠かせない「ICIDH(国際障害分類)」という考え方について触れながらご説明します。ICIDHとは International Classification of Impairments, Disabilities and Handicapsの略で日本名を国際障害分類と言います。ICFと同じくWHOによって定められ、ICFが採択される約20年前の1980年に作られました。「生活機能」を分類しているICFに対してICIDHは、その名の通り「障害」を分類する分類法です。障害を「心身レベルの障害」、「能力レベルの障害」、そして「社会レベルの障害」という3つのレベルに分類をしたことが画期的でした。しかしICIDHの考え方には問題点が多く挙げられ、その中の一つとして「障害が直接的に社会的不利につながるという認識がなされてしまう」という問題点がありました。本当であれば障害のある人が「買い物の困難さ」に直面する原因には、その人の抱える障害だけではなく、お店にエレベーターがないことや、途中で手を貸してくれる人がいないことなど、いろいろな要因が存在します。ところがICIDHでは、障害があることが「買い物の困難さ」という社会的不利を生み出す唯一の原因としてとらえられてしまう危険性があったのです。そこで考え出されたのがICF(生活機能分類)です。その人の生活機能を、障害だけではなく環境を含めた広い視点からポジティブな視点も含めてとらえることを目指して作られました。医学と社会の「統合モデル」としてのICF出典 : これまでは人間の障害や生活機能を考える際に、「医学モデル」と「社会モデル」という考え方が主流でした。「医学モデル」では、病気やけがなどが直接障害を引き起こすものとして理解されるため、障害への対応には医療が必要不可欠なものとされています。一方で「社会モデル」では、障害が周囲の環境によって作り上げられるものとされているため、社会の環境を変えることが障害をなくすことにつながるとの考え方がされています。ICFの考え方は、これまでの「医学モデル」と「社会モデル」を統合するものということができます。つまり、障害を個人と周囲の環境双方からとらえ、人間の状況を全体的に理解することを目指しているのがこのICFなのです。ICFを構成する要素出典 : では人の生活機能を「心身機能・身体構造」、「活動と参加」という2つの要素から構成しています。そして、その生活機能に相互に影響を与えあう背景因子として「環境因子」と「個人因子」の2つを挙げています。ここではそれぞれの要素がICFにおいてどのように説明されているか、そしてどのような項目のもとで分類分けされているかをご紹介します。初めに、生活機能を構成している「心身機能・身体構造」と「活動と参加」の2つの要素についてです。生活機能は初めにも触れたように、「人が生きていくこと」を指しています。反対に生活機能が制限されているとき、人の生活にはなんらかの「障害」が伴っているということができます。ICFでは生活機能を構成している「心身機能・身体構造」と「活動と参加」に関する項目が合わせて1,000個以上存在します。「心身機能・身体構造」は「.0:機能障害なし」から「.4:完全な機能障害」までの5段階で評価され、「活動と参加」の部分は「.0:困難なし」から「.4:完全な困難」までの5段階で評価されます。それぞれの項目では機能や活動状況などが詳細に記載されていますが、具体的にはどのようなものがあるのでしょうか。◇心身機能・身体構造心身機能とは身体の生理的、心理的機能のことを指しています。見ることや聞くこと、呼吸をすることや音声を発することなどの能力がはかられるのがこの項目です。身体構造とは、身体のそれぞれの器官や、肢体とその構成部分などのことを指します。つまり、脳や呼吸器、骨や皮膚など、身体の各部分の位置や大きさなどが分類されています。◇活動と参加活動とは、生活上の目的を持った具体的な行いのことを指しています。読むことや書くことに加え、コミュニケーションをとることや家庭生活を行うことなどがここに含まれます。参加とは、家庭や社会などへの関わりのことを指しています。働くことやスポーツをすること、地域の中で何か役割を果たすことなどが、参加の中に含まれています。ICFでは、活動と参加は「実行状況」と「能力」の2つにおいて評価することが大切だとしています。「実行状況」とは現在「している」活動であり、「能力」とはすることが「できる」活動です。たとえば「調理」という活動に関して、それを現在の状況で実行しているかと、実行できる能力があるかは異なる場合があるでしょう。両者をそれぞれで評価し、その程度の差をはかることは、その後の活動へのヒントにもなることがあるのです。人がどのような状態で生きているか、どのような障害を感じながら生きているか、を判断するためには、どうしてそのような状況になっているのかを的確に判断する必要があります。ICFでは状況を作り出している要因を「環境因子」と「個人因子」に分けています。ICFでは背景因子の中で「環境因子」のみを分類分けしていますが、評価の際にはプラスの状況とマイナスの状況どちらも評価できるようになっています。つまり、環境が生活機能に良い影響を与えている場合は「+0:促進因子なし」から「+4:完全な促進因子」の5段階で程度を評価することができ、逆に環境が生活機能にマイナスの影響を与えている場合は「.0:阻害因子なし」から「.4:完全な阻害因子」の5段階でレベルを評価することができます。◇環境因子環境因子は、人の生活機能に影響を与える外的な要因です。たとえば、建物の設備、交通機関のバリアフリー状況などの物的な環境が例として挙げられます。それだけではなく、環境因子には家族や友達、世間の人の目などの人的な環境や、医療や保健などのサービスも制度的な環境として含まれています。◇個人因子個人因子とは、その人に固有の特徴のことを指しています。この個人因子に関しては、現在のICFでは分類分けされていませんが、年齢や性別、民族などの基本的な特徴に加えて、社会的状況や人生体験なども、この個人因子として生活機能の分類に含めることができます。ここで注意しておきたいのは、環境や個人的な要因が、生活機能にマイナスの影響を与えるものとしてのみとらえられるべきではなく、プラスの影響も与えるものとして理解される必要があるということです。ICFの生活機能モデル出典 : 以上で説明したように、ICFは人の生活機能を的確にとらえるための分類を提供しています。しかし、ICFの考え方を最大限に活用するためには「心身機能」や「環境」の状況をバラバラに評価するだけでは十分ではありません。それぞれの項目を独立したものとして評価するだけではなく、各項目がどのように関わりあっているのか、どこを改善すれば生活機能がよりよい状況になるのか、を考えていくことがICFの考え方では重要です。そこで、ICFの要素の関係性を分かりやすく示したのが次のICFモデルです。Upload By 発達障害のキホン出典:障害者福祉研究会『ICF国際生活機能分類ー国際障害分類改訂版ー』2002年中央法規出版/刊このモデルにおいて注目すべきなのは、それぞれの要素をつなぐ矢印が、すべて双方向に向いていることです。たとえば「エレベーターがない」という環境要因が「地域の活動に参加できない」という参加の制限につながる可能性がある一方で、「地域の活動に毎週参加している」という参加が「エレベーターの設置」という環境の変化につながる場合もあります。双方向の矢印はこのようなお互いが影響しあう可能性を示しているのです。また、この関係性は必ずしも2つの要素間での関わりのみではありません。1つの要素がもう1つの要素に影響を与え、さらに他の要素にまで影響を与えるという場合もあります。たとえば、「点字ブロックの設置」という環境の変化が「駅まで一人で行くことができるようになる」といった活動の変化につながり、やがて「隣の駅で行われている講演会に一人で参加する」といった参加を促進することもあるかもしれません。さらに参加という体験がその人自身の自身につながれば、個人因子の変化が見られるようになるということも考えられます。このように、すべての因子がすべての因子に影響を与える可能性があるというのもICFの考え方の特徴です。しかし忘れてはならない点は、これらの要素は相互に影響しあう前にそれぞれが独立したものであるという点です。たとえば身体に疾患があった場合、その疾患がその人の能力や健康状態にどのような影響を与えるかは必ずしも予測できるものではありません。ICFを利用する際は、1つの要素を評価したことで他の要素を決めてしまうのではなく、はじめにすべての要素をバラバラに検討してから、それぞれの関係性を見ていくことが大切なのです。ICFの活用方法出典 : このように、ICFを活用すると生活機能や障害の分類だけではなく、「現段階でどのような状況があるのか」、「その状況を作り出している要因にはどのようなものがあるのか」を総合的に判断することができます。さらに、状況やその状況を作り出している要因を理解することによって、「障害」による「生きづらさ」の改善を図ることもできるのです。ここでは、実際に通常学級に通う小学生の女の子を例に挙げてICFの活用方法を紹介します。小4女子の主な基礎情報・障害名未熟児網膜症(視力右0.05左0.02)・教育歴幼稚園卒業後○○小学校の通常学級に入学。学年相応の学習。(※中学校を卒業したら盲学校入学を希望)・教科書や板書、普通文字のプリントが読みにくい。・視知覚の障害(図形と素地、形の恒常性、空間における位置)がある。漢字の読み書きが苦手。理科の実験・観察や体育での球技種目に参加することが難しい。・慣れた道を通れば、単独通学が可能。歩行時、段差箇所等でつまずくことがある。・混雑する場所や不慣れな場所は、周りの様子がよく見え不安な気持ちになることがある。・親しい友達がいる。しかし、見えにくさがあるため消極的になり、友達と一緒に遊ぶことが少ないが、性格は素直で明るい。・身辺の事柄の処理は確立している。・音楽が得意。3歳より母親の送迎でピアノ教室に通っている。・下駄箱の位置を昇降口入り口近くに設置してほしい(保護者)。・学力を身につけたい(本人)。上記のような状況を、分類に従って評価したのち、構造的にあらわしたのが下の図です。なお「心身機能・身体構造」、「活動」の項目において振られている数字は障害の程度を表しています。Upload By 発達障害のキホン出典:西村修一/著『合理的配慮とICFの活用-インクルーシブ教育実現への射程-2014年クリエイツかもがわ/刊このように、ICFでは実際の状況を洗い出した後に、全体を構造的に把握して、さらなる改善への行動につなげることができます。これは、担任の先生にとって役に立つだけではなく、他の教科を指導する先生や保護者、他の関係者のコミュニケーションをスムーズに行う際にも重要なコミュニケーションツールとしても考えることができます。まとめ出典 : 今回見てきたように、ICFは「人が生きること」を広い視点から眺め、評価するための分類法です。人が生きていく上で障壁を感じるとき、それは必ずしもその人に存在する障害の有無のみでは理解することはできません。ICFでは人が生きていく上での障壁を個人に存在する障害としてのみとらえるのではなく、その人に存在する個性と周りの環境の関わりとを考えた上で、よりよいサポートを可能にしていく考え方なのです。「国際生活機能分類-国際障害分類改訂版-」(日本語版) の厚生労働省ホームページ掲載について|厚生労働省について|文部科学省ICF(国際生活機能分類) -「生きることの全体像」についての「共通言語」-|厚生労働省参考文献:障害者福祉研究会『ICF 国際生活機能分類―国際障害分類改定版』2002年中央法規出版/刊参考文献:西村 修一/著『合理的配慮とICFの活用―インクルーシブ教育実現への射程』2014年クリエイツかもがわ/刊参考文献:佐藤久夫・小澤温/著『障害者福祉の世界 第5版』2016年有斐閣/刊
2017年01月31日いま、教育現場が大きく変わろうとしています。2020年を目標に、小学校でプログラミングの授業を必修化させようという動きがあるのです。IT関連ビジネスが拡大していくなか、WebエンジニアなどのIT人材の不足が問題になっています。その対策として先日、文部科学省が打ち出した方針です。日本の義務教育にとって大きなターニングポイントになりそうなこの改革。実は、子育て世代のママ・パパたちの耳にはあまり届いていないようです。情報セキュリティメーカーのデジタルアーツ株式会社は、0歳から6歳までの子どもの保護者672名を対象にアンケートをとりました。それによると、この方針について「知らない」と回答した保護者が54.5%にものぼることが明らかになりました。未就学児童の保護者の半数以上が知らない改革が、小学校で行われようとしているのです。●これまでの経緯この方針は、もちろん急に決定したことではありません。まずは、これまでの経緯を簡単におさらいしておきましょう。2012年、中学校の技術家庭科で『プログラムによる計測・制御』が必修になりました。アルゴリズムやフローチャートの書き方を学び、実際にプログラムを組んでロボットを操作するなどの授業が各校で行われています。続く2013年6月には、政府の成長戦略の中に“義務教育段階からのプログラミング教育等のIT教育を推進する ”という内容が盛り込まれました。それを受けた文部科学省が有識者を集めて会議などを行い、2016年4月、小学校でのプログラミング教育必修化を検討する旨が発表されたのです。●賛成or反対? 保護者たちの声子育て中のママ・パパたちはこの改革についてどのように感じているのでしょうか。ここからは賛否の声を紹介していきましょう。●賛成派の声『子育てが一段落ついて、さて改めてオフィスワークを探そうと思っても、パソコンスキルを求められて挫折……そんなことばかりでした。時代によって、仕事に必要なスキルというのは変わってくるはず。将来食いっぱぐれないためにも、先を見越した教育は必要 です』(50代女性/飲食店パート/大学生、高校生のママ)『海外に比べて日本は、IT教育がとても遅れていると感じます。うかうかしていると海外からの移民に、日本人の仕事が奪われてしまうのでは。そうならないためにも、幼いうちから学ばせていくべきでしょう』(30代男性/会社員/中学生のパパ)『反対してる人は“食わず嫌い”なのでは?わが家ではいち早くデジタル教育を取り入れました。プログラミング教室に通わせていますが、とても楽しそうに学んでいますよ。家の端末で復習している姿を見ると、教室で習ってきたことだけでなく、自分なりの手を加えて違うものを作っています。それをオンラインでお友だちと見せあい、評価しあってより面白い作品にしようとしている。とても創造的な学問 なんですよ』(30代女性/自営業/小学生、幼稚園児のママ)●反対派の声『上の子が、中学でプログラミングの授業を受けていますが……先生に知識がなさすぎて、全く意味をなしてません。教育者の質が保証されていない中で必修化するのには反対 ですね』(40代女性/主婦/中学生、小学生のママ)『小学生でしょ。冷淡な機械を前にするよりも、自然に触れてほしいです。論理的思考をつけるばかりが教育じゃないですよね。子どものうちはもっと、空や風、雲、土、草木に対する素朴な興味と畏怖の念を大切にしてほしい』(30代女性/幼稚園児、1歳児のママ)『小学校での教育時間には上限が定められています。つまり、プログラミング学習を導入する分だけ、ほかの学習の時間が削られるということ。これは問題ですよ。僕は特に国語学習が削られるのが不安です。長文を読み書きする力や語彙力などの低下は、ここ数年激しいです。国語はすべての学問の基礎でもあります。プログラミング学習は必修ではなく、課外や部活など教科とは別の形で行うべきでしょう』(50代男性/教員/高校生、中学生、小学生のパパ)----------賛成派、反対派の声を紹介してきました。さて、あなたはどのように考えますか?プログラミングに触れたことがないなら、まず一度お子さんと一緒に経験してみてはいかがでしょう。文部科学省からは子供向けのプログラム作成サイト『プログラミン』がリリースされています。かわいい絵柄で操作もカンタン。文字が拾い読みできる年長児くらいでも、ゲーム感覚でプログラミングを学ぶことができます。もしかしたら、大人顔負けに端末を操作するお子さんの姿を目の当たりにして、これまでと違った感想を持つかもしれませんよ。【参考リンク】・教育の情報化の推進 | 文部科学省()・21世紀型教育に関する0歳から6歳のお子さまを持つ保護者を対象とした認識調査 | デジタルアーツ()・プログラミン | 文部科学省()●文/パピマミ編集部●モデル/前田彩(桃花ちゃん)
2017年01月30日フリースクールとは?出典 : フリースクールは法や制度などによって定められた学校でないため、その定義はさまざまですが、文部科学省は以下のように定義しています。「フリースクール(フリースペースを含む)」とは、不登校の子供を受け入れることを主な目的とする団体・施設を指す。つまりフリースクールは社会において「不登校の子どもたちの居場所」という役割を果たしています。それぞれの施設の運営は個人や民間の企業、NPO法人によって担われおり、様々な規模や形態のフリースクールが存在します。フリースクールは学校教育法上の公的な学校とは認められていないため、義務教育課程の子どもであれば、もともと通っていた小中学校に籍をおいたままフリースクールに通うことが通常です。フリースクールの最大の特徴としては・入学資格を設けていないこと・異なる年齢・年代の子どもが集まっていること・決まったプログラムやカリキュラムを持っていないことが挙げられます。授業内容は学校教科の学習ばかりではなく、他者との交流を行いながら自分の好きなことを自由に学ぶことができる場所であることが多いです。「もちつき大会」のような季節に合わせた行事を自分たちで企画したり、ハイキング、潮干狩りなどのレジャー活動、運動会、劇や合唱の発表会、料理、旅行などを行ったり、その活動内容は実に様々です。また、自由や個性を重んじながら、施設のスタッフやほかの子どもと接することのできるフリースクールは、不登校の子どもたちにとって社会との接点をもつ場所であり、ソーシャルスキルのトレーニングの場ともなっています。参考:フリースクールが担う不登校支援の可能性についてフリースクールは、1975年頃から増加していく不登校を背景に80年代半ばから徐々に市民の手で広がっていきました。1992年には国も「不登校は誰にでも起こりうること」という認識を示し、フリースクールに通う日数も学校の出席日数として認められる事例も増えていきました。今日、フリースクールは、2015年に行われた文部科学省の調査によって把握されているだけでも、北海道から沖縄まで全国474ヶ所が確認されています。出典:「小・中学校に通っていない義務教育段階の子供が通う民間の団体・施設に関する調査」その数を見てもわかるように、フリースクールは今や子どもが学び育つ場として必要不可欠な場となっています。また、不登校の子どもを預かるフリースクールは、子どもたち本人のみならず、彼らと24時間ともに過ごす保護者や家族の精神的疲労を軽減する役割も果たしています。2015年度現在、不登校児童生徒数は、小学校27,581 人、中学校98,428 人、小・ 中の合計では126,009 人にものぼります。その数は前年度と比べ3,112人も増加しており、 フリースクールのニーズは今後も増えていくと考えられます。出典:平成 27 年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」以上のように社会的なニーズはあるものの、社会におけるフリースクールへの理解や支援は未だ不十分といえます。以下で説明する出席認知と通学定期以外の公的支援はほとんどないため、運営の財源探しに苦心するフリースクールが多いようです。国も、フリースクールで学ぶ子どもや保護者への支援を検討しはじめています。フリースクールにはどんな子が通えるの?主として、何かしらの理由で学校に行っていない子どもが通います。理由は様々で、いじめに遭って学校に行くのが怖くなってしまった子や、学校生活にうまく馴染めない子、学校の授業についていくことが難しい子、受験競争のストレスで疲弊してしまった子などがいます。それぞれ、自分の目的に合った形態のフリースクールに通っています。また、上記のような例の中には広汎性発達障害(PDD)やADHDなど、発達障害のある子どももいます。広汎性発達障害やADHDの子どもは共同生活におけるコミュニケーションを苦手と感じることも少なくなく、発達障害のない子どもよりも不登校になる可能性が比較的高いと言われています。同じように学校に籍をおきながら通える形態として「サポート校」の存在があります。フリースクールが主に精神面のサポートを行い、広く不登校の子供たちを対象としているのに対して、サポート校は主に学習支援に軸足を置いており、学習塾という色合いが強いです。そのためサポート校の対象は高等学校通信教育を受けている者(高等学校における「通信制の課程」に在籍している者、または、中等教育学校の後期課程における「通信制の課程」に在籍している者)や高等学校卒業程度認定試験合格を目指す人に限られる傾向にあります。フリースクールへの出席は学校への出席日数として認定されるの?出典 : フリースクールに通う子どもの出席認定は、小・中学生については1992年から、高校生についても2009年から実施されています。フリースクールに通うことを在籍校の出席扱いとするかどうかは在籍校の校長先生の判断に委ねられ、校長先生がそのフリースクールが「不適切」だと判断しない限り出席扱いになります。児童の不登校の問題に関して、文部科学省は以下のような姿勢を示しています。不登校児童生徒の中には、教育支援センター(適応指導教室)やいわゆるフリースクールなど、学校外の施設において相談・指導を受けている者もおり、このような児童生徒の努力を学校として適切に評価し、学校復帰などの社会的自立を支援するため、小・中・高等学校の不登校児童生徒が学校外の機関で指導等を受ける場合について、一定要件を満たすとき校長は指導要録上「出席扱い」にできることとしている。日本国憲法では義務教育について以下のように示されています。憲法第26条第2項で「すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。」と規定されており、また、教育基本法第5条第1項に「国民は、その保護する子に、別に法律で定めるところにより、普通教育を受けさせる義務を負う。」一般的に義務教育といわれているものは、保護者が負っている「教育を受けさせる義務」(教育義務)によって子どもが受ける教育のことをさします。保護者は、児童を小中学校などに通学するように取り計らう「就学義務」という義務を負っています。一方、子どもには、基本的人権の一つである教育を受ける権利があります。しかし義務教育は「子どもが学校に行かなくてはいけない」という義務があるということは意味していません。フリースクールの費用はどのくらい?出典 : フリースクールは学校教育法上で公的に認められた学校ではないため、費用は自己負担となります。また、費用は施設によって金額差があります。平成27年3月に行われた文部科学省による調査では、1~3万円・3~5万円とする団体・施設がそれぞれ4割弱、平均額は約3万3千円でした。無料から5万円以上まで施設ごとに大きく異なり、入会金で10万円以上必要な場合もあります。1~3万円とする団体・施設が約3割で、平均額は約5万3千円です。出典:「小・中学校に通っていない義務教育段階の子供が通う民間の団体・施設に関する調査」現行の制度では、政府によるフリースクールへの助成はおこなわれていません。そのため、不登校の子どもが高校生である場合、保護者は在籍している高校とフリースクールの両方に学費を納めなければならず、経済的負担は少なくありません。今後、公的支援の導入によってフリースクールの費用が下がる可能性はありますが、現時点でははフリースクールを検討する上で家庭の経済状況の考慮も必要となります。フリースクール卒業後の進路は?学歴はどうなるの?出典 : フリースクールに通う子どもたちは、義務教育期間中はもともと通っていた学校に籍をおいたままフリースクールを利用することになります。在籍校の校長による許可が出ればフリースクールへの登校も義務教育上の出席日数として承認される場合もあり、卒業に必要な単位が出席日数単位を満たすことができれば、義務教育上の小中学校の卒業資格を得ることができます。籍をおいている高校の卒業資格については、高校卒業程度認定試験(高認)を取る、フリースクールと定時制高校や通信制高校を併用するなど、様々な方法で取得することができます。フリースクールを検討する際のポイントは?出典 : 不登校の子どもを支援する施設やサービスは数多く存在します。その中で、親子にとって最善の居場所はどこか?と悩みながら情報収集されているご家庭も多いかもしれません。ここでは、そんな不登校の子どもの居場所のひとつとしてフリースクールを検討する上で、どのようなことができるかを紹介します。フリースクールとひとことで言っても、授業内容や雰囲気はさまざまです。さまざまな施設の情報を集めるとよいでしょう。インターネット検索や資料請求によって各フリースクールの具体的な費用や概要について知ることができます。参考:発達ナビ > 地域情報 > フリースクール参考:NPO法人フリースクール全国ネットワーク実際に子どもをフリースクールに通わせていたり、通わせた経験がある保護者、あるいはフリースクールで働くスタッフの話をきくことで実情を知ることができます。参考:「登校拒否・不登校を考える全国ネットワーク」多くのフリースクールが、入学前の見学を歓迎しています。実際にフリースクールを訪れ、そこに通う子どもたちの様子を見たり、指導員の話を直接聞くことで雰囲気を知ることができます。また、お子さんにポジティヴな刺激を与えられる可能性もあります。まとめ出典 : フリースクールは主として不登校の子どものための居場所です。全国に約474ヶ所あり、規模や形式、提供する授業内容、費用などはそれぞれ異なります。公的な学校ではありませんが、在籍校の校長による許可が出ればフリースクールへの登校も義務教育上の出席日数として承認される場合もあります。社会からの理解は未だ不十分ではあるものの、フリースクールを必要とする人が多いことは確かで、今後公的支援の拡充がおこなわれる可能性も大いにあります。本人に合っているというのが大前提ですが、不登校の子どものためのさまざまな選択肢のひとつとして、フリースクールを検討してみてはいかがでしょうか。
2017年01月30日総務省による、発達障害者の支援に関する実態調査。その結果は?出典 : 年1月20日、総務省は、文部科学省と厚生労働省に対し、発達障害者支援に関する行政評価と監視の結果に基づく勧告を行いました。この調査は、保育所・学校現場を含む、都道府県・市町村における発達障害者支援の実態を初めて調査したものとなります。前回の記事では、早期発見に関する実態の調査報告と総務省の勧告内容についてお伝えしました。今回の記事では、発達障害がある子どもへの支援状況と情報の引継ぎに関する調査・勧告内容についてご紹介します。発達障害児に対する支援「個別の教育支援計画」「個別の指導計画」とは出典 : 発達障害を含む障害のある児童生徒の指導について、学校等では、児童生徒それぞれに「個別の教育支援計画」(以下「支援計画」)と「個別の指導計画」(以下「指導計画」)を「必要に応じ」作成し、指導と支援を行っていくこととされています。(4) 関係機関との連携を図った「個別の教育支援計画」の策定と活用特別支援学校においては、長期的な視点に立ち、乳幼児期から学校卒業後まで一貫した教育的支援を行うため、医療、福祉、労働等の様々な側面からの取組を含めた「個別の教育支援計画」を活用した効果的な支援を進めること。また、小・中学校等においても、必要に応じて、「個別の教育支援計画」を策定するなど、関係機関と連携を図った効果的な支援を進めること。(5) 「個別の指導計画」の作成特別支援学校においては、幼児児童生徒の障害の重度・重複化、多様化等に対応した教育を一層進めるため、「個別の指導計画」を活用した一層の指導の充実を進めること。また、小・中学校等においても、必要に応じて、「個別の指導計画」を作成するなど、一人一人に応じた教育を進めること。特別支援教育の推進について(通知)なお、2016年の改正発達障害者支援法においても、発達障害児が年齢及び能力に応じ、かつその特性を踏まえた十分な教育を受けられるようにするために必要な措置として、これらの支援計画及び指導計画の作成を推進することが具体的に明示されています。法律第六十四号(平二八・六・三) ◎発達障害者支援法の一部を改正する法律支援計画や指導計画、実際にどれくらい作成されているの?その効果は?出典 : しかし支援計画に関していうと、必ずしも発達障害のある児童全員に作成されていないのが現状のようです。この度の総務省の調査で調査対象となった111の保育園および幼小中高校において、発達障害児(発達障害が疑われる児童生徒を含む)は計2,431人でした。そのうち支援計画作成が「必要」と判断された児童生徒は829人であり、さらにそのうち支援計画を作成済みの児童生徒は690人でした。支援計画作成が「必要」と判断されたものの、未作成の生徒が139人いることが明らかになりました。未作成の理由としては、教員の業務が多忙で作成する時間の確保が困難であるため、保護者の同意が得られないため、などとされています。また、支援計画作成が「必要」と判断する範囲に関して、111の調査対象のうち19の保育園および幼小中高校では、医師の診断がある児童生徒のみなど、計画の作成対象をかなり限定した範囲にとどめている例がみられました。そしてこうした計画作成対象が限定されていたことの結果として、支援計画や指導計画が作成されていなかった生徒の中には、不登校等の二次障害が生じている例がみられたとのことです。問題行動の度合いが高くない生徒には支援計画及び指導計画を作成することとしていないため、発達障害の診断を受けているにもかかわらず、両計画とも作成されず、結果として、学習障害等で授業についていけずに、平成22年度から26年度までの間に、不登校4人、休学1人、退学1人が発生した。一方、調査した保育所及び学校において、支援計画又は指導計画を作成したことにより、特別支援学校など関係機関による助言や保護者との連携等が図られ状態が改善するなど効果的な支援が行われている例が30事例みられました。総務省は文部科学省と厚生労働省に対し、保育所及び学校において、一律の基準によって支援計画及び指導計画の作成対象を限定するのではなく、個々の児童生徒の特性や状態を踏まえ、支援が必要な児童生徒に対して着実に作成されるよう、作成対象とすべき児童生徒についての考え方を示すことを勧告しました。継続的な支援のために欠かせない、進学先等への情報の引き継ぎ。しかし現状は…出典 : 支援計画や指導計画の作成だけでなく、支援の前提となる子どもに関する情報の引き継ぎ共有も重要です。こうした情報共有の実態についても調査がなされました。具体的には、・乳幼児健診の結果として発達障害の疑いがあるとする情報を保育所へ渡す取り組み・保育所や幼稚園で作成された支援計画等に適宜資料の追加等を行った上で、障害のある児童生徒等に関する情報を一元化し、支援計画や相談支援ファイル等として小・中学校等に引き継ぐ取り組みなど、関係機関同士の情報の引き継ぎ・共有が十分ではないという勧告がなされています。しかし、情報共有が十分に進まない背景には、個人情報保護の観点からの障壁もあるようです。そのことが明らかになったのは、調査対象となった31市町村が実施した乳幼児健診結果の引き継ぎ状況の調査からです。平成26年度に実施した乳幼児健診の結果の、進学先(保育所、幼稚園等)への引き継ぎ状況をみると、30市町村で「引継ぎを行うこと」という方針を立てているものの、個人情報保護の観点から、保護者の同意が得られた場合であって、保育所等から情報提供の依頼があった児童のみ引き継ぐとしている自治体が14市町村にのぼりました。つまり、半数近くの市町村では、保育所等からの働きかけがなければ引継ぎが行われない状況であるということです。調査した市町村の中には、乳幼児健診の結果の進学先への引継ぎ時における保護者の同意取得については、次のような取組を行っている例がみられたとのことです。乳幼児健診の問診票の中に、健診結果等について、保育所等の関係機関と連絡を取り合う場合がある旨をあらかじめ記載し、これに同意するか同意しないかを選択させることとしている。児童が幼稚園に入園する前に、心配事のある保護者に「保護者との連携シート」の記載を依頼しており、同シートにより、幼稚園が保健師等の関係機関等から情報を入手する旨の同意を得ている。また、乳幼児健診の結果が引き継がれなかったことにより、対応が困難になった例もみられたとのことです。市外からの転入により入所した児童について、転出元の市町村での乳幼児健診結果(発達障害の疑いあり)を把握できなかったため、支援計画の作成、個別の配慮、小学校への引継ぎ等を行わなかったところ、小学校で集団行動になじめない状況となり、急遽支援が必要となった歳児健診及び3歳児健診で紹介された親子教室において、軽度な知的障害を伴う発達障害の疑いを指摘されたが、それらの結果が、入園先の幼稚園に伝わらず、児童の知的障害の把握が遅れた。その結果、児童は、特別支援学級へ入級したが、知的学級ではなく、自閉・情緒学級へ入級することとなり、児童に対する教育的配慮や課題設定を行うのに数箇月要した同様に、進学の際や転校の際における引き継ぎの不備も指摘されており、総務省は厚生労働省に対して、市町村に乳幼児健診の結果等の進学先への引継ぎの重要性を周知し、積極的な引継ぎを促進することを勧告しました。他にも総務省は、厚生労働省と文部科学省に対して、保育所・幼稚園から大学・就労先までの各段階において、発達障害児に対する必要な支援内容等が文書により適切に引き継がれるような呼びかけを行なっています。都道府県、市町村、都道府県教育委員会及び市町村教育委員会に対しては、・具体例を挙げて支援内容の引き継ぎを周知すること・支援計画及び指導計画については、引継ぎまでの適切な保存・管理を求めるとともに、具体的な引継方法を提示し、確実に引き継がれるよう徹底を図ることを勧告しました。「切れ目のない支援」を実現するための課題は出典 : 情報の引き継ぎは、切れ目のない支援を推進する上で不可欠だと言われています。そして文部科学省でも障害のある子どもに対して小学校から高校まで一貫した支援ができるよう、進学先の学校へも引き継げる「個別カルテ(仮称)」の作成を学校に義務付ける方針を固め、推進しています。また逆に保育所から専門機関に相談するようすすめられる場合もあるようです。現在、4歳の男の子を持っていますが、引越しして、2ヶ月前ほどから、転園した先の、保育園の先生から、落ち着きがなく、みんなと一緒のことができない、話す単語が少ない、との指摘を受けて、療育センターに問い合わせをするように、言われました。保育園で発達障害を疑われました。3歳1ヶ月の男児です。保育センターの心理相談の結果、問題はなさそうでした。しかしモヤモヤと心配が晴れず、何か息子のためにできることはないかなと焦っています。親や支援者が発達障害をどう理解するか、そして個人情報保護や当事者、家族の不安に配慮する仕組みの構築が、実際に切れ目のない支援を実現するためには必要なのではないでしょうか。
2017年01月30日女性に多い鉄分不足。とくに生理中は多くの女性が鉄分不足になりがちですよね。そんなときにぴったりのひじきを使ったデリ風レシピをご紹介します。Point栄養についてひじきには鉄分が豊富に含まれています。そんなひじきの鉄分吸収をさらによくするため、ビタミンCが豊富なブロッコリーとたんぱく質を含むアンチョビを入れるのもポイントです。【ひじきとアンチョビのデリ風サラダ】レシピ和食のイメージが強いひじきも、アンチョビとレモン汁で洋風デリに早変わり。マヨネーズは使わずにオリーブオイルでさっぱりと。シャキシャキのれんこんが食感のアクセントになっています。作りすぎたら、パンに挟んで朝食にしたり、パスタにあえるのもおすすめですよ!【材料】(4人分)乾燥ひじき・・・5gブロッコリー・・・150gれんこん・・・100gAアンチョビ・・・10gAオリーブオイル・・・大さじ1Aレモン汁・・・小さじ2A砂糖・・・小さじ2A塩・・・少々Aこしょう・・・少々【作り方】1.ひじきはさっと洗い、たっぷりの水で戻し、水気をよく切ります。2.ブロッコリーは小房に分け、れんこんはスライスし、1~2分茹でて水気をよく切ります。ブロッコリーとれんこんは茹ですぎないように。食感も楽しんでくださいね。3.アンチョビは包丁で細かく切り刻みます。4.ボウルにAを入れて混ぜ、ひじき、ブロッコリー、れんこんを加えて和えます。また、アンチョビは商品によって塩加減が違うので、お好みで調節してください。いかがでしたか?ひじきを美味しく食べて、鉄分チャージしてくださいね。※参考:文部科学省食品成分データベース(トップ画像・レシピ制作/伊藤 まゆみ)
2017年01月27日