最近は少なくなってきたとはいえ、少年サッカーの現場で怒鳴る指導スタイルは存在します。周囲のチームにも影響されて大声で怒鳴る指導スタイルになっているお父さんコーチの方もいるのでは。今回は、かつては怒る指導をしていたけれど「サカイク」に出会って指導スタイルがガラッと変わったお父さんコーチにお話を聞きました。チームの保護者にも「180度変わった」と言われ、我が子との親子関係にも変化があったそうです。写真は少年サッカーのイメージサカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!>>■違和感を感じつつも、周囲と同じように怒る指導をしていた和歌山県の岩出市サッカースポーツ少年団でお父さんコーチとして活動する谷さんは、お子さんがチームに所属したことでお父さんコーチとしてサッカーに関わるようになりました。「サカイク」に出会って指導スタイルが「180度変わった」以降サッカーの魅力にますますハマり、子どもたちがサッカーを楽しめるようにと指導者ライセンスやレフェリーの資格取得など日々学び続けていますが、かつては「怒る指導者」だったそうです。「違和感は感じつつも、 よそのチームも結構怒鳴って怒っている指導者もまだまだいて、先輩たちがそうしているからと自分も怒ることが多かったです」と語る谷さん。実際、厳しい指導をしているコーチが見ている学年は県大会で上位に入ったり、結果を残していたこともあり、結果だけ見たら厳しい指導をした方が勝てるのかなと思っていた時期があったそう。■厳しい指導を受けた子たちがサッカーをやめていくのを聞いて......ですが、ずっと違和感を感じ続けていたそう。子どもたちの競技人生を考えた時に、小学生年代から厳しい指導を受けた子たちが高校、大学、社会人になってもサッカーを続けているかというとそうでないことに気づいたのだとか。強豪校に進学して選手権やインターハイに出場した子が、大学以降サッカーをやめてしまったり「もうサッカーはいいや」と離れてしまう子たちがいるのを目の当たりにして、サッカーは元々楽しいからやるのに、厳しい指導や出場機会の問題でサッカーが面白くなくなってしまうことに心を痛めていたと教えてくれました。■サカイクの考え方の方がしっくり来たもともと谷さん自身が「自分の子とは自分で決めさせる」という親御さんの考えのもとに育ってきたこともあり、「怒って指示する指導で子どもたちが伸びるのか」という疑問を持っていたと言います。そんな時にたまたま「サカイク」に出会って、サッカー少年少女の保護者の心得10か条を知り、「育成に対する考え方とか、自分にとってはこっちのほうがしっくりくるかもと思ったんです」と振り返ります。「子どものことを否定せず、大人は見守り環境を作る考えに共感した」と、サカイクを知って以降は色んな記事を読んで情報をアップデートしている毎日だそう。■勝ち負けも大事だが「サッカーって楽しい」が大前提サッカーには勝敗があり、プレーする選手は勝ちたいと思うもの。監督やコーチ、保護者のみなさんだってわが子のチームに勝ってほしいと思うのは当然です。ですが、何をしても勝てばいい、というものではありません。その年代ごとのサッカーの理解であったり、原理原則をしっかり押さえて勝利を目指す。それが指導者としての力量であり、中学、高校と競技人生を続けていくために大事なことではないか、と谷さんは言います。「チームとして勝ち負けも大事だけど、サッカーって楽しいよね」が大原則にあるうえで、攻撃や守備の目的を教えるスタンスで指導にあたっているとのこと。サッカーを始めたころから辛い思いでしかなければ、それを続けたいとは思わないものですよね。「サッカーって楽しい」という気持ちを育むことは、やる気やサッカーに取り組む姿勢にも影響するものなので、指導者や保護者の皆さんは大事にしてほしいものです。■保護者の方にも「180度変わったね」と言われた谷さんはサカイクに出会い、自分が抱えていた違和感は間違いじゃなかったと確信したそうです。子どもたちを伸ばす大人の在り方に共感し、指導スタイルを変えたと言います。以前は違和感を感じながらも周囲のチームの影響もあり、怒る指導をしていましたが、サカイクに出会ってからは怒らなくなったそう。簡単なミスに対して指摘したり、失点した際はハーフタイムで叱責したりしていたのを全く言わないようにして、選手たちにどうして失点したのかを考えさせ、話を聞いてから谷さんがアドバイスをするようなやり方に切り替えたのだとか。それまでの指導方法と真逆のやり方に、最初は保護者も「どうしたの?」と戸惑いがあったそうですが、谷さんが指導についての考え方やスタンスを伝えていくことで「そういうのが良いよね。コーチ、180度変わったね」と言ってくれたそう。他のチームの指導者からも「子どもに対するジャッジが適切になったよね」「選手にとって何が良くて何がダメか分かりやすくなってる」と言われたのだと谷さんは嬉しそうに教えてくれました。■親たちの声かけも変わった谷さんの指導スタンスに保護者の多くも共感してくださり、今では応援の声かけも変わったそう。以前はそこまで保護者の声援がなかったとのことですが、最近は「ナイスプレー」などポジティブな声かけが増えたそうです。谷さんが変わったことで、保護者の皆さんも子どものサッカーに楽しんで関われるようになっているようです。■我が子との関係性にも変化が谷さんの周囲の変化はチームの保護者だけではありませんでした。以前は親子で同じチームに所属していましたが、指導者目線と親目線もあり息子さんに厳しく当たってしまうこともあったそう。ですがサカイクに出会って「親は子どもを応援しよう」という基本スタンスを改めて心に刻み、プレーへのダメだしはしない、勝とうが負けようが褒めるところはちゃんと褒める、試合後の会話は「今日も一生懸命だったね」から始めるなど、接し方を変えたそう。息子さんがチームを移籍したこと、谷さんが変わったことなどタイミングが重なったのはあるかもしれませんが、以前より息子さんが本音で話してくれるようになった気がする。「親子関係が良くなりました」と谷さん。サッカーの話も含めて、いろんな話ができるようになったことを嬉しそうに話してくれました。大人の接し方次第で子どもが変わり、チームも雰囲気が良くなった体験でした。皆さんも参考にしてみてはいかがでしょうか。サカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!>>
2024年04月17日皆さんは、早とちりをした経験はありますか?今回は「指導室に呼び出される友人」にまつわる物語とユーザーからの声を紹介します。イラスト:エトラちゃんは見た!友人が心配で…カメラにハマっている、小学生の主人公。そんな主人公には、気がかりなことがありました。毎日放課後になると、友人が先生に呼び出されるのです。そして2人は指導室に入っていき、数分経つと友人は泣きながら出てくるのでした。その様子を見て、嫌な予感がした主人公は…。助けようと思い…出典:エトラちゃんは見た!「私が助けなくちゃ!」と思い、カメラを片手に指導室に乗り込みます。すると勝手に写真を撮ったことで先生に怒られ、主人公が指導室に呼び出されるハメに。しかしそこで話を聞くと、家庭の問題で苦しんでいて、先生はその相談に乗っていたようで…。早とちりで乗り込んだ結果、カメラを没収されてしまう主人公なのでした。読者の声今回は早とちりでしたが、友人を助けるために動いた主人公はかっこいいと感じました。毎日泣くほどつらい思いをしている友人が、心配になりますね…。(30代/女性)友人を助けたいと思って行動した主人公は、とても勇気ある優しい子どもだと思います。早とちりでも自分のために行動してくれて友人は嬉しかったでしょうし、先生たちも主人公の優しさを理解してくれているでしょう。(40代/女性)※本文中の画像は投稿主様より掲載許諾をいただいています。※作者名含む記事内の情報は、記事作成時点でのものになります。※実際に募集した感想をもとに記事化しています。※こちらのお話は体験談をもとに作成しています。(愛カツ編集部)
2024年04月06日進級時の引継ぎは、かつてないほどスムーズだった以前の記事でも書きましたが、4年生から5年生への進級時は、新しい担任の先生との引継ぎがかつてないほどスムーズにいきました。理由としては、・通級指導教室に行き始めたことで、個別指導計画が作成されていた・通級指導教室の先生と新しい担任の先生の連携がうまくいっていた・新しい担任の先生が、場面緘黙について調べてくれていたという感じだと思います。毎年、どこから説明しようか、どこまで配慮を求めていいのか……と、気を遣いながら新しい担任の先生との面談に挑んでいましたが、次女の特性や場面緘黙について先生に予備知識があることで、とても連携が取りやすく感じました。新学年開始時から担任の先生がいろいろ配慮してくれていた進級から1ヶ月半ほど経った頃、担任の先生と私との間で面談を実施したのですが、それまでにも先生は次女に対していろいろと配慮をしてくださっていました。例えば、次女がみんなの前で発言や発表等をする時はその都度どうしたいか確認してくれていたり、次女が積極的にクラスメイトの輪の中に入れるような関わりをしてくれていたりしました。Upload By まりまり家での次女の様子もポジティブに見えた先生の関わりもあって、次女も、何かできた時などには、「自己紹介でちゃんと声出して言えたよ!」とか「今日友達にありがとうって言えた!」など、その都度私に報告してくれていました。Upload By まりまりできたりできなかったりはあるものの、先生に応えるように、次女なりに頑張っているのが分かり、私もうれしく思っていました。今年は環境も良いし大丈夫かも!そういった担任の先生との関わりや、その前の学年から開始した通級指導教室での支援もあり、次女の頑張っている姿を見ながら「今年は学校のサポートも充実しているし、次女も頑張っているし、いろいろ大丈夫かも!」と、私はホッとしていました。Upload By まりまり校外学習を経て……そうして環境にも恵まれて頑張っていた次女ですが、5年生の5月頃に宿泊を伴う校外学習(1泊2日)があり、その後から急に学校に行けなくなってしまいました。いじめなど嫌なことがあったという訳ではなかったのですが、朝起きると「疲れた」「だるい」と言って起き上がれなくなってしまったのです。Upload By まりまり現在6年生の次女ですが、この時のことを改めて聞いても、特に理由はなくてとにかく疲れてだるかったのだそうです。それから次女は少し学校をお休みして、その後はしばらく五月雨登校が続きました。今考えると……次女が休み始めたきっかけは校外学習でしたが、今考えると、進級してしばらくの間頑張りすぎていたんじゃないかな?と思います。次女はもともと、自分でも気づかないうちに無理をしてしまうという傾向があります。Upload By まりまりこの時は、進級時の環境が良かったことで私も安心し、次女の変化に期待もしてしまいましたが、もう少し、次女の様子を注意深く見て、積極的に休ませてあげるなどできれば良かったのかもしれないと、今は思っています。執筆/まりまり(監修:新美先生より)学校は、年度ごとに担任が替わることがあり、担任が替わったときに、どれだけ新旧担任間で引継ぎをしてくれているのか、新しい担任に保護者からどこまで改めて情報を伝えるのがよいのかは毎年本当に悩みますね。サポートブックなどのツールもありますが、そういうものを使うべきかどうかも迷います。エピソードにあるように、通級指導教室に在籍になり、個別の支援計画が作成されたことにより、新しい担任にも支援情報が引き継がれ、年度スタートから必要な支援・配慮が行われたことはうれしかったですね。支援や配慮があったとしても、学年が上がってくることで、お子さんが気を遣いすぎる場面、頑張りすぎる場面が増えるなどもあったのかもしれません。学校を数日休んだり、五月雨登校ぐらいの距離感で通うことが許容されたことで、それ以上疲れをため込みすぎなくてよかったと言えるのかもしれませんね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年03月31日今回のお仕事ハックは「指導中の後輩との上手な関わり方が知りたい」とのお悩みについて、コラムニストのヨダエリさんがアドバイス。指導中の後輩との上手な関わり方が知りたい私は後輩のミスを発見するとついキツく注意してしまったり、お願いの仕方に無礼があると冷たくしてしまったりしてしまいます。そんな態度をとってしまう自分に悲しくなります。もっと大きな心を持たなければと……。反省した後に冷たくしてしまった相手に対して急に優しくするのも気持ち悪いと思われるのでは……と不安で、うまくコミュニケーションが取れなくなってしまいます。指導しなければいけない後輩との付き合い方にコツがあれば知りたいです。(営業職/30代)指導って、褒めるだけじゃ済まないので難しいですよね。ミスや問題点は指摘して改善させる必要がある。だからといって、攻撃したいわけでも落ち込ませたいわけでもない。……きっと多くの人がそう考えているはず。あなたの中にもそういう気持ちがあるから、キツく注意した後などに反省しているわけですよね。立派です。ただ、あなたの態度や行動の全てが悪いわけではない、と私は思います。前述したように、ミスを指摘するのは先輩として必要なこと。お願いの仕方に無礼がある場合に違和感を抱くことも先輩として正しいです。そこをスルーしてしまったら、後輩は自分の間違いに気づく機会を得られず、“社会人として難あり”と周りから思われかねません。じゃあ今後、後輩を指導する上で何を心がけるべきかというと。ズバリ、冷静さを保つことだと思います。あなたは、「冷たくした後に優しくするのも気持ち悪いと思われるのでは」と考えてしまうくらい、繊細で気を遣う人。でも一方ですぐイラッとしてしまうところがあるので、後輩に対する言動に整合性が取れず、ジレンマに陥っている。たぶんあなたがこんな風に悩んでいることに後輩は気づいていないはず。なぜなら、反省している姿を後輩には見せていないから。でも、それはそれでいいと思うんです。後から謝ると、後輩は「えっ、あのミスそこまで気にしなくていいってこと?」と混乱してしまう恐れがあります。また、一貫した態度を貫けない人として、あなたを軽んじる可能性もあります。コロコロ考えを変える人は先輩として頼りなく見えるからです。もちろん暴言を吐いたり怒鳴ったりしたのであれば謝った方がいいですし、状況にもよります。が、何より今後すべきことは、退社時に「お疲れ様!」と自分から声をかけるなど、指導している時以外はいつも通り明るく接すること。「あなたが嫌いなわけではないよ」と分かってもらうために。加えて、指導中にイラッとしそうになっても、それを態度に出さないよう努めること。例えば、指導の前に心を落ち着かせるルーティンを作る。水を飲む、トイレに行く、お気に入りの匂いをかぐなど、何でもいいので。こういうの、意外にばかにできないものです。あと、睡眠時間をちゃんと取る、休日は仕事を忘れてリフレッシュする、なども実は大事。人は疲れていたり時間に追われたりストレスをためこんだりすると余裕がなくなり、人に対して寛大になれなくなるので。過去の自分を振り返ってみても、そうだったなぁと(ちなみに、お互いに仕事が忙しすぎる夫婦が離婚する一因はこれだと思います)。あとは、ミスを注意する時は、褒めることも忘れずに。「こっちはできてるよ!」「こういうのは得意そうだね」といった具合に。注意だけされた場合と、注意されたけど褒められもした場合とでは、相手の心に残るものが全く違います。今後どんどん成長してもらうためにも自信を持ってもらうことは本当に大事なので、ちょっと大げさなくらいに褒めてあげるといいですね。きっといい先輩になれますよ!Point.・「嫌っているわけじゃないよ」と知ってもらうべく、指導時間外に明るく声をかけよ・すぐにイラっとしないよう、指導前に心を落ち着かせるルーティンを作ってみよう・睡眠不足やストレスは寛大さを保つ上で大敵なので、よく寝る&リフレッシュも大切・ミスを指摘する時は、同時に良い部分を褒めてあげることも忘れずに!(文:ヨダエリ、イラスト:黒猫まな子)
2024年02月27日発達障害のある次男の中学校生活がいよいよスタート!Upload By スガカズ発達障害(ADHD、LD)のある次男はこの春から中学校の通常学級に通っています。希望していた週一回の特別支援教室(通級指導教室)にも無事に通えることになりました。次男は昔から、環境の変化が苦手です。環境の変化があるときに対人関係のトラブルが起こりやすくなります。小学校に入学してからは大人(今回の場合は学校の先生など)とのトラブルが大半で、小学校低学年の頃はかんしゃく(暴言、物にあたる)や脱走がときどきありました。そのため、「次男の特性をあらかじめ知ってもらっていたほうがトラブルを未然に防げる」と思い、次男の特性などを中学校に事前に共有しています。学校生活スタート。本人の気持ちは……?次男は小6の秋におこなった、特別支援教室(通級指導教室)の体験での自己紹介で「中学校に入ったら怒るのをなおしたい」と言っていたり、入学直前には「中学校に入ったら新しい友達をつくる」「どんな学校なのか楽しみ」と話していました。小学校卒業前から本人の情緒は比較的安定していて、中学校に通ってからも不安定になることはありませんでした。知らない人も多く小学校とは違った環境でしたが、よい緊張感をもって中学校に通い始めました。入学から1ヶ月ほど経つと、クラスにも徐々になじめるようになり、新しい友達も増えました。また、クラス担任は次男との関わり方が上手く、次男自身も担任を好意的に思っているようで、大きなトラブルもなく毎日学校に通うことができています。Upload By スガカズただ、昔から朝は苦手で、緊張感がなくなった現在は、遅刻が目立つようになりましたが……。部活動はソフトテニス部に入部しました。体を動かすことは昔から得意だったので、テニスは未経験でしたが、どんどんできることが増えていきました。週5日の練習や、休日の試合など熱心に活動しています(平日の朝は遅刻が目立ちますが試合の朝は不思議と遅刻しません)。一度だけ、体育の先生と意思の疎通がうまくいかず、泣いて授業を抜け出したことがありましたが、その際には担任が次男に事情を聞き、学校で話し合って解決することができました。授業は前向きに参加しており、小学校の頃と比べると大きな成長を感じています。初めての定期テストと、課題提出7月、次男にとって人生で初めての定期テストがありました。次男は書字障害があり、文字を書くことが困難なため、書字を含めた勉強が苦手です。ただ、小6の頃から毎月療育に通っており、そのお陰で、文字を書く困難さは改善されました。小学校の頃はノートが真っ白だったのですが、中学校では、困難さを抱えつつも努力して書こうとしているようです。次男の中学校は、普段は課題が出ないのですが、定期テストの日に、課題の提出を求められます。小学校に通っていた時は、宿題の内容を担任の先生と話し合って調整してもらっていました。ですが、中学校では課題の範囲が学年で決まっており、次男だけ調整することは難しいということでした。また、この時期の子どもは友達との時間を優先しがちなので、本人が家にいない時間が増えました。そのため、課題に取り組める時間の確保が難しかったです。Upload By スガカズ【1週間の間にこなす課題】・国語漢字20ページ・数学50ページ・英語20ページ全ての問題を解いて丸つけ間違ったところはノートにやり直して提出結局、締め切りが1週間という限られた時間で次男が課題をこなすことはできませんでした。数学、英語はなんとか提出できましたが、国語の課題は手をつけられなかったので、未提出です。また、テストに向けた復習をする時間はまったくありませんでした。そもそも私は「次男は中学校でテストを受けてくれるのだろうか?」といった疑問がありました。中学校のテストは小学校の時よりも長時間の集中力や、見通しが求められます。もともと小学校でのテストが、書字の困難さを含めさまざまな理由から、白紙のままで0点で返ってくることも珍しくなかったのです。そのため、数日間、みんなと同じようにテストを受け続けることは難しいのでは?と、私は思っていました。Upload By スガカズ期末テストは3日間あったのですが、本人は3日間乗り越えることができました。国語は白紙に近い状態でしたが、受けてくれただけで、十分だと思いました。はじめての定期テストを終えて気付いたこと・漢字にルビがふられていた→ルビふりのお願いはしていませんでしたが、学校側で学習障害(LD)の生徒向けの対応をしてくれていました。・テスト時間の延長は個別で対応ができる→後日、テスト結果を持参して療育に相談しに行った際に、テスト時間の延長ができるかもしれないという話になりました。実際に学校に質問したところ、別室に移動して受けることができるということでした。今のところ本人の当日の意向から、延長の対応はしないでテストを受けています。・プリントをホチキス留めしてプリントの順番がバラバラにならないようにする。→国語のプリントが右とじのスクラム製本だった(ホチキス留めされていなかった)。テスト中にプリントを落としてしまい、順番が分からなくなったので、問題の意味が理解できなかったから白紙に近かったのだそう。学校には、ホチキスを持参する旨を共有した。ホチキス留めをしただけで2学期の国語の中間テストは解いた問題の数が増えた。初めての課題提出で気づいたこと・課題の範囲は先に知ることはできないが、どのワークを使うのかは分かったので、得意な教科は、時間がある時に少しずつ進められるとよい→とは言っても次男の特性から、声かけが重要ですが、「先生から言われてないからやらなくてもよい」と自己判断する場面があったので、先生から「中学生は自主的にやらないといけない」と次男に伝えてもらいました。Upload By スガカズ本当によかったと思うことは、「クラス担任との相性がよい」ということです。次男が通うソフトテニス部の顧問をしているので、テスト後の部活に参加する条件が「数学の提出を完了させること」だったそうです。好意をもっている先生に言われてしまったこと、部活に早く参加したい気持ちが、本人を動かしているんだろうと思います。テストの結果にはあまりこだわりませんが、提出できる課題を少しずつ増やせればいいなと思います。執筆/スガカズ(監修:井上先生より)中学生活で初めての定期テスト、親御さんもお子さんもかなり不安だったと思います。スガカズさんも触れておられましたが、書字障害や感覚過敏など医師や専門機関の診断、所見や意見書があれば、話し合いによって解答欄の拡大や別室受検など症状に応じた合理的配慮が可能になる場合があります。また、提出物に関しても手書きではなく、パソコンやタブレット端末の活用で代替するなども考慮されるかもしれません。合理的配慮の際には、実施前に本人が納得すること、実施したあとに本人の意見を取り入れながら改善していくことが大切です。周囲の生徒と異なる支援を受けることが本人の心理的な不安につながる場合もありますので、お子さんの思いを尊重しながら本人のペースで進めていかれるとよいと思います。スガカズさんも書いておられるように教師との信頼関係も何より大切ですね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年11月01日四条繁栄会商店街振興組合、阪急電鉄株式会社及び京都市で構成する四条通地下道活性化推進会議では、これまでから絵画や写真の展示を行うなどの文化的な活用により、四条通地下道の活性化に取り組んでいます。四条通地下道をより一層明るく彩り豊かな空間へと変化させることを目指す一環として、この度、任天堂株式会社が同地下道において世界的な人気を誇るゲームコンテンツ「スーパーマリオ」の世界を表現した装飾を展示されることになりましたので、お知らせします。四条通へお越しの際は、是非、同地下道で表現されたスーパーマリオの世界をお楽しみください。1 開始日令和5年10月5日(木) ※常設掲示(終期未定)2 イメージ3 場所四条通地下道の10番出入口(四条寺町通付近)から11番出入口(四条麩屋町通付近)までの間(約100メートル)【四条通地下道活性化事業について】平成29年7月に、四条繁栄会商店街振興組合、阪急電鉄株式会社(地下道設置・管理者)、京都市の三者で「四条通地下道活性化推進会議」を設置し、「SOCIAL ART MUSEUM(ヘラルボニー社)」や、「天才アート」作品展など、文化的な活用による活性化を推進しています。本件に加えて、今後は、京都市内に本部又は学生が通うキャンパスを有する大学及び短期大学との連携による四条通地下道活性化事業の実施等により、さらに明るく彩り豊かで歩いて楽しめる空間の創出に取り組んでまいります。阪急電鉄 リリース 発行元:阪急阪神ホールディングス大阪市北区芝田1-16-1 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2023年09月19日場面緘黙次女と通級指導教室(ことばの教室)の先生との最初の面談での心配事まず、通級指導教室(ことばの教室)を利用するにあたって、次女と通級の先生と個別の面談をすることになりました。場面緘黙の次女は、クラスメイトとは話せませんが、担任の先生とは必要最低限の会話をすることができ、なんとか自分の意思が伝えられます。Upload By まりまりただ、知らない先生だと、初めての面談でコミュニケーションをとるのはかなり難しいのではないか……と思い、心配していることを先生に話してみました。Upload By まりまり先生からの提案すると、先生のほうから「次女さん、タイピングはできますか?」との質問がありました。次女はタイピングが得意で、少し自信を持っているので「もしかしたらパソコンを使ったほうが、やり取りがうまくいくかも……」と伝えたところ、必要であれば面談時にパソコンを使っていただけることになりました(そして実際使ってコミュニケーションがとれました!)。Upload By まりまりさらに先生から「面談で初対面だと緊張しちゃうと思うので、事前に一度顔を合わせておいたほうが良いでしょうか?」とのご提案があり、とにかく目立つのを恐れている次女のために、みんなに注目されにくい時間ということで、給食の準備の時間に、こっそり声をかけていただくことになりました。こんなに考えてもらえるとは思っていなかったこうして、先生と細かいことまでいろいろお話できたのは、Upload By まりまりと、言っていただけたことが大きかったと思います。正直、ここまで次女や保護者の気持ちを考えて対応してもらえるとは思っていなくて驚きました。もっと早く学校での支援ができていれば…と、同時に、「もっと早く学校内での支援ができていれば……」という気持ちにならざるを得ませんでした。学校での緘黙症状が一番強い次女。1年生で場面緘黙疑い、2年生で場面緘黙の診断を受けて、4年生の終わり頃になってやっと学校で……という気持ちでした。次女自身への支援はもちろんありがたく、さらに、私自身にとっては「学校に理解・協力してくれる先生方がいる」というだけで、何もなかった頃よりかなり安心した気持ちで学校へ次女を送り出すことができるようになりました。Upload By まりまり子どものため、そして、自分のためにも、通級指導教室を利用し始めて良かったなと思いました!執筆/まりまり(監修:室伏先生より)次女さん、ことばの教室での授業をスタートされることになったのですね!先生との初回の面談のご様子や、まりまりさんのお気持ちなど、詳しくお聞かせくださり、ありがとうございました。事前の顔合わせや、タイピングでのコミュニケーションの提案など、授業開始前からさまざまな工夫を取り入れてくださるとのこと、安心できますね。今後、次女さんの安心できる居場所が増えるといいですね。また、通級の先生と考えた工夫が、今後さまざまな場所で活躍してくれるかもしれませんね。通級で場面緘黙に対する支援をしてくれるかどうかについてはまだまだ地域差も大きいというのが現状かと思います。場面緘黙のお子さんが安心して過ごせる支援の場が増えることを願います。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2023年08月30日担任の先生と話して通級指導教室の申し込みをした次女は、場面緘黙(選択性緘黙)の診断から2年経過してから通級指導教室に通うことになりました。診断を受けてからすぐに通うことにならなかったのは、当時の相談先で通級指導室などの情報に触れる機会がなく、私自身がそれについて良く知らなかったためです。4年生のときの担任の先生とのお話から、初めて次女の学校に通級指導教室が設置されていることを知り、次女も通えるかもしれないとの話が出て、「これはいい!」と話を進めてもらうこととなりました。「次女が緘黙の症状で一番つらい思いをしている学校の中で、支援をしてもらえる!」と喜んでいたものの、その後、「本当にこの選択で良かったのか…?」と不安な気持ちになってきました。Upload By まりまり通級指導教室を利用するにあたって不安に思ったこと私自身、何を不安に思っているのか、具体的によく考えてみることにしました。私が不安に思っていたことは、・通級指導教室に行くことを次女自身がどう思うのか・通級指導教室の先生は場面緘黙にどの程度知識があるのか・通級指導教室では場面緘黙の児童に対してどんなことをしているのか次女に対しては、のちに本人と良く話し合いをすることにしました。それ以外の不安点は、通級指導教室についての現状を私が知らないことで心配になってしまっているため、相談して解決することにしました!臨床心理士さんに相談してみたまず、次女と私がクリニックでお世話になっていた臨床心理士さんに相談してみました。この臨床心理士さんは、当時発達支援センター(わが家が住んでいる場所とは別の地域)でもお仕事されている方でした。すると、意外にも「少し慎重になったほうが良いかもしれません」とのお話が…。Upload By まりまり臨床心理士さんの答えは…この臨床心理士さんのお話では、学校によって対応にもバラつきがあるとこと。場面緘黙について良く知らないまま対応しているところが一部あることや、みんなの前で無理やり話させるなど間違えた対応をしているケースもあるということでした。Upload By まりまりその点について、学校方と良くお話したほうが良いとのことだったので、特別支援教室の先生方との話し合いの際に、確認してみることにしました。その後特別支援コーディネーターの先生と通級の担当の先生と面談その後、次女の学校の特別支援コーディネーターの先生との面談があり、私が不安に思っている点について素直に質問してみることにしました。Upload By まりまりこういう質問をすると失礼かな?とも思ったりしましたが、先生は、私の不安を良く理解してくれ、丁寧に答えてくれました。通級指導教室には、次女以外にも場面緘黙のお子さんが通っていること、また、場面緘黙の症状の軽減より、まずは次女が安心して過ごせる環境づくりを目指していくこと、さらには、今後、同じ小学校にいる長女の卒業による次女の心理面の変化についてまでお話がありました。Upload By まりまり次女の気持ちを優先してくれる対応に安心した特別支援コーディネーターの先生のお話で、場面緘黙について理解があること、次女の気持ちをよく考えてくれていることが分かり、かなり不安が解消されました。「本当に大丈夫?」という感じの質問をするのは失礼かなと思ったりもしましたが、それが安心して次女を通わせられることに繋がり、思いきって聞いてみて良かったなと思った出来事でした。執筆/まりまり(監修:初川先生より)ことばの教室を利用の前に感じた不安についてのエピソードをありがとうございます。ことばの教室であれ、通級指導教室、特別支援学級などの本来的な役割(どんな目的で設置されているか、定義的な意味合い)は決まっていますが、実際に中でどのように何が行われているかというところは聞いてみないと分からないところではあります。特に、場面緘黙のお子さんに関して、ことばの教室の利用は第一選択肢とは言えない面があるので、クリニックの臨床心理士さんはすぐに決めるのではなくもっと情報収集をするよう助言されたのでしょう。ただ、どんな場合であっても、お子さんが通うかもしれない教室等については、直接面談してお子さんの状態や課題をお伝えすると共に、その教室で何をどのように行っているか、何を大切にしているのかといったことは確認しておくほうがよいでしょう。今回はコーディネーターの先生から、どうして次女さんにことばの教室が良さそうなのかについての詳細なお話をうかがえてよかったですね。ことばの教室というものは良いものらしいから使ってみよう!と決めてしまうのではなく、事前に内情をよく知る先生から実際に次女さんに対してどんなことができそうか、何を大切に指導・支援を行うのかについて知ってから利用の意志を固めるのとでは、だいぶ安心感が違うのではないでしょうか。何かを決断する際には不安が浮かぶことも自然なことです。大人が情報収集することで一歩安心につながりうる。今回のエピソードはそれを伝えてくれているように感じます。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2023年07月31日看護師でありシングルマザーでもある、まゆんさんの体験を描いたマンガを紹介します。新人指導中のときのこと。緊張している新人社員に指導していると、自閉症スペクトラムの息子と重ねて見てしまったまゆんさん。指導者と母の心が交差してしまい……。★前の話新人と息子を重ねて見てしまい…こんにちは。自閉症スペクトラムの息子を持つ、シングルマザーのまゆんです。看護師は患者さんの生命を預かるお仕事。当然ミスがあってはいけませんから、厳しく指導することもあります。頭ごなしに怒るなんてことはありませんが、このときばかりは怒ってしまいそうになりました。そこで頭によぎったのは息子のこと。太郎がどんな職種に就くのかはわかりませんが、ミスをして指導されることもあるでしょう。そのとき彼にそれを乗り越えられるだけの力があるのか……指導者と母の心が交差して心配になってしまいました。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。著者/まゆん(41歳)自閉症スペクトラムの息子をもつシングルマザー。看護師として日々働いている。Instagram:@mayun4311
2023年07月21日場面緘黙の診断が出た後、学校では…次女は2年生のときに場面緘黙の診断を受けています。4年生までの担任の先生方は、みなさん場面緘黙について知らなかったので、その都度私の方からお伝えしていました。Upload By まりまり学年が変わるたびに一からの対応で、先生にどこまでお願いしていいのか、私が考え過ぎているだけなのか、でも次女は困っているし…と、いろいろ気をつかうことが多かったです。支援センターでのことを担任の先生に言ってみた次女が4年生になったとき、学校で変わらず話せない次女を心配して、初めて地域の支援センターに相談に行きました。そのときに、支援センターの相談員の方からも、友達とコミュニケーションが取れない次女に対して、「自分から話しかけることが大事」というようなアドバイスがありました。しかし、話したくても話せないことに対する葛藤などを、学校の担任の先生にお話してみました。このとき先生は、できない次女を責めたり、鼓舞したりするのではなく、日ごろの次女のクラスでの様子を見て「どうしてもできない」ということを理解してくれていたように思います。Upload By まりまり私の方から提案してみた先生は、次女の大変さを理解してくれていたけど、先生の方でもどう支援していったら良いかというのは悩んでいました。私としても、学校での次女の困りごとに対して、どうして良いか分からないことが多かったです。そこで、特別支援学級の先生であれば、場面緘黙の支援に関する知識があるのではないか?と思い、特別支援学級に転籍するのはどうか、担任の先生に提案してみました。先生の返答は…現状では、次女は話せないけどクラス内でできることはやれているからということで、「特別支援学級…という感じではないかもしれません」ということでした。Upload By まりまりまた、特別支援学級は少人数制ではあるけれど、交流学級などで児童の入れ替わりもあり、わりと騒がしい環境になってしまうため、次女にはあまり向かないのではないかということでした。次女のような子どもが、学校で支援を受けるのはなかなか難しいのか…と残念に思っていたところ…。ことばの教室そこで私が急に思い出したのが「ことばの教室」でした。次女の学校にあるかどうかも分からなかったけど、場面緘黙に関する本を読んだときに、場面緘黙のある子どもが通える場所のひとつとして紹介されていたのを見たことがあったからです。Upload By まりまり先生に聞いたところ、なんと次女の通う学校でも1、2年前から通級指導教室として「ことばの教室」が始まっているとのことでした!場面緘黙の子どもも「ことばの教室」に通う対象になることを先生にお伝えしたところ、「ことばの教室」は個別での指導のため、次女にはそちらの方が向いているかもしれないとのお話。私自身もそう思ったので、「ことばの教室」の利用を申し込む流れとなりました。なかなか学校での支援に繋がらなかった次女のように静かに困っている子どもに対しては、支援の手がなかなか伸びにくい現状があると思います。そんな中、折に触れて見えにくい次女の困り感を先生に相談していたこと、先生がクラス内での次女の様子をよく見て理解してくれていたことで、「ことばの教室」への申し込みに至ったのかなと思いました。Upload By まりまり執筆/まりまり(監修:初川先生より)場面緘黙のお子さんの困っている状況や気持ちはなかなか見えづらいですね。多くの場合、本人たちも話せるものなら話したいと思っているけれど、どうしても声(言葉)が出ない、話そうとすると硬直してしまう等の状況に見舞われる場合があります。また、気合いでなんとかなるものと思われ、鼓舞されたり、逆に、一人が好きな子どもと思われてそっとされすぎてしまったり、いろいろと本人らの思いとは違う方向にいくこともあります。まりまりさんの次女さんはことばの教室に通級することになったのですね。ことばの教室に通うお子さんは主には言語障害をお持ちの方となるため、地域によっては場面緘黙だけの理由で入ることは難しいかもしれません。特別支援学級も当初検討されたとのことですが、おそらく知的障害の特別支援学級のことであったのかなと推測します。その場合、知的な遅れがあることが前提となるため、次女さんには合わない(担任の先生の見取りで今の教室でできることがたくさんあると)と判断されたのでしょうか。特別支援学級にはもう1つ種類があり、「自閉症・情緒障害」の特別支援学級ですと場面緘黙はあてはまります(この場合、情緒障害というのは、主に場面緘黙のことを指します)。ただ、通級にしても、特別支援学級に移るにしても、お子さんの希望も大切です。場面緘黙のお子さんだと、教室では話さないけれど、一緒に遊ぶのはできるし、そこが学校生活の支えになっているお子さんもいます。お子さんにとってどこで学ぶのがよさそうか、本人や保護者の希望など、多角的に検討することが大切です。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年06月27日そこそこ強いクラブチームに所属する息子。実力でチームを分けるのは分かるけど、控えチームには90分の練習中一度も指導してくれず放置され、胸が痛い。3対3なんかでも、スタメン組にはずっと指導しているのに、控えには基本すら教えてくれない。子ども自身は「チームが強いから」ここで頑張ると言うけど、どんな風に励ませばいい?とのご相談。スポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、これまでの取材で得た知見やご自身の体験をもとに、いまお母さんがラクになるための3つのアドバイスを送ります。(文:島沢優子)(写真は少年サッカーのイメージご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<遠征2万、練習試合1回1000円。お金がかかりすぎるクラブをやめさせたい問題<サッカーママからのご相談>息子は現在4年生でそこそこ強いクラブチームで控えです。3年生から入れるチームでコーチは1人です。実力で分けるのは当たり前だと思うのですが、コーチはずっとスタメン組を指導し、控え組を全く指導しません。これから中高とサッカーを続けるためには、教えられるのではなく自分で考える力をつけるのが大事と理解してます(必死に自分に言い聞かせています 笑)が、90分間の練習で1度も指導されず放置されてるのは胸が痛いです。例えば3対3。基本的な動き方くらい最初に教えてくれてもいいんじゃないの?まだ育成年代だし、スタメン組にはずーっと教えてるのに......。と感じてしまいます。辛いし、何か言いたくなるのでなるべく練習を見ないようにしていますが、時々練習会場の送迎の関係で見てしまい、心が締め付けられています。試合では、控え組にはコーチング皆無。失点すると、お前のせいだ、自分で考えろなど言われますが、スタメン組にはサイドコーチングしまくりです。右行け、中に切り込め......など。それを見てまた、「何なんだ、この差は!?熱量の差すごい!!」となります。控え組といっても、努力している子が大半です。息子も外のスクールや、本での独学、毎日自主練を頑張ってます。みんなやる気がないわけではないです。なのに、控え組は指導してもらえず自分で考えて自分で努力しなければならない現状。強くなれると信じたいです。 息子はこのチームが強いからここで頑張ると言っています。私としては息子の意思を尊重して、ぐっと我慢して見守る考えですが、何か励ましの言葉を下さい。<島沢さんからの回答>ご相談いただき、ありがとうございます。頑張っている息子さんの姿を見ていれば報われてほしいと思うのが親心です。お母さんにとっても辛い日々かとお察しします。何か励ましの言葉を、とのことですが、私がお母さんに一番に伝えたいのは「もう頑張らなくていいよ」の一言です。■口に出さずともお母さんのつらさは息子さんに伝わっているご相談文からしか判断できませんが、お母さんは「辛い」と書かれています。息子さんの練習を見れば心を締め付けられ、このままこのチームで頑張るという息子さんを尊重してぐっと我慢している。つまり、息子さんのサッカーはお母さんにとってネガティブなコンテンツでしかありません。そのことは例えば「お母さんはあなたのサッカーが辛い」と口に出さずとも、息子さんには伝わっているはずです。自分がサッカーをすることで大好きなお母さんを悲しませていると感じているでしょう。そう考えると、母子にとって今の状況は決して良いものではない気がします。サカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!■アドバイス①サカイク的な視点で見ると、スタメン組の方が考える力をつける機会を阻害されているそこで、三つほどアドバイスさせてください。ひとつめ。90分間の練習で1度も指導されず放置されている、スタメン組の指導とは熱量が違いすぎる等々、コーチに対する不満が募っているようです。が、指導方法については、暴力や目に余るハラスメントがない限りコーチに任せるしかありません。そのうえ、息子さんは今のチームで頑張りたいと主張しているなら、好きなようにさせればいいのです。また、「控え組は指導してもらえず自分で考えて自分で努力しなければならない現状」と書かれていますが、それは実は息子さんにとって良い環境とも言えないでしょうか。スポーツは習い事ではありません。もう4年生です。YouTubeなどの動画コンテンツを見たり、サッカーの試合を観戦したり、テレビで見るなどして、自分でサッカーを学ぶことのできる年齢です。もし、そこまで自分でやらないのであれば、それは「そこまでサッカーにはまらなかったんだな」と考えればいいことです。それに、4年生の今ははまってなくても、中学に行ったら猛然とはまり始めるかもしれません。子どもがいつ伸びるかは誰にもわかりませんから。私は息子さんよりも、お母さんが「サイドコーチングしまくり」と書いておられるスタメン組のほうが心配です。サカイクの読者ですから、サッカーは自分で考えるスポーツだという捉え方をご理解いただいているかと思います。その視点で考えると、スタメン組の子どもたちには、自分で考える余裕(余白)を与えられていないようです。これでは、大人の言うとおりにしか動けない子どもに育ってしまいます。サッカーでの習慣がすべてに影響するとは言いませんが、本来スポーツの育成現場は主体性や創造性を身につける場なのにと非常に残念です。■アドバイス②何のためにサッカーをさせているのか、子ども自身はどうなのか、今一度確認しよう二つめ。一度、「何のためにサッカーをさせているか」という原点に立ち返りましょう。ご相談文に「強くなれると信じたい」とありますが、何が何でもプロにさせたいのでしょうか?高校や大学を、受験勉強しなくてもいいスポーツ推薦で行かせたいのでしょうか?そういった思惑は、恐らく皆無かと思います。そうであれば、サッカーを楽しむこと、サッカーに一生懸命取り組むことができていれば、それでいいと考えられないでしょうか。相談文を見る限り、お子さんは懸命にサッカーに取り組んでいます。ただ、ひとつ気になるのは、息子さんが「チームが強いからここにいたい」と話していることです。強豪チームに属するのは試合に勝つことが多く、周囲から羨望の目で見られもするので誇らしい感覚もあるでしょう。しかし、スポーツで一番楽しいのは試合をすることです。実践機会があまりに少ないのであれば、その部分を息子さんに話してみるのもいいでしょう。ただし、どうするかを決めるのはあくまでも本人です。■アドバイス③コーチの言動を片時も目を離さずチェックする親を、子どもは望んでいるのか三つめ。冒頭でお伝えしたように、息子さんのサッカーについてお母さんは頑張るのをやめましょう。私から見ると、お母さんは少々息子さんのサッカーに注目しすぎているようです。90分の練習で息子さんが一度も指導されなかったと書かれていますが、90分間一時も目をそらさず息子さんだけを目で追っていたということになります。目で追いながら「ああ、今のシュート惜しい!」とか「よく頑張って最後までボールを追いかけたなあ」とお母さん自身がサッカーを楽しんでいるのなら良いのですが、どうもそうではなさそうです。そこまで必死になってコーチの言動をチェックすることを、息子さんは決して望んでいないはずです。■子どものサッカーは子どものもの、親が子どもの人生に乗っかると......(写真は少年サッカーのイメージご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)子どものサッカーや時間は、子どものもの。子どもの人生です。子どもの人生に親が乗っかって生きてしまうと、その重みに子どもは耐えられなくなってしまいます。したがって、お母さんはこれを機会に、趣味など自分の楽しみを見つけるなどして息子さんのサッカーと少し距離を置いたほうがいいと思います。子どもがぐっと伸びるとき、ほとんどの親御さんが「いつの間にか成長していたんですよ」とおっしゃいます。そこに親の干渉はありません。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)スポーツ・教育ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)『スポーツ毒親 暴力・性虐待になぜわが子を差し出すのか』(文藝春秋)など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)ブラック部活の問題を提起した『部活があぶない』(講談社現代新書)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てるテニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。指導者や保護者向けの講演も多い。最新刊は『高学歴親という病』(講談社α新書)。
2023年06月21日日本スポーツ界に、連綿と続く体罰の連鎖。競技を問わず、指導者の体罰、暴力、暴言は、令和に入っても後を絶ちません。2023年3月、日本バレーボール協会は「暴力撤廃アクション」を発表。川合俊一氏が会長に就任以降、改革を進めるべく、様々なアクションを起こしています。インタビュー後編では、川合会長に「暴力指導がなくならない理由」と「暴力指導では、トップレベルの選手が出て来ない理由」をうかがいました。(取材・文鈴木智之)日本バレーボール協会の川合俊一会長(C)新井賢一<<前編:それって指導?暴力?バレーボール協会が取り組む暴力撤廃アクション、暴力と指導の間にある「未暴力」とはサカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!■「東洋の魔女」時代に練習は厳しいものというイメージがついてしまった2023年に入っても、バレーボール強豪高の監督が部員に暴力を振るい逮捕されたり、解任されるニュースが報じられるなど、体罰は根強く残っています。川合俊一会長は「バレーボールの場合"東洋の魔女"の時代に、バレーの練習は厳しいものなんだというイメージがついてしまったんです」と、その一因を述べます。「それを全国の監督が見て、きついイコールひっぱたく、きついイコール『なにやってんだ!』と怒鳴ることだと解釈し、体罰に発展していった経緯があります」体罰を含む暴力指導はあってはならないことですが、それによって選手の成長やチームの強化につながった経験を持つ人がいるのも事実。川合会長は言います。「僕はバレーボールを始めたとき、やる気のない子どもでした。当時の監督が、練習をちゃんとしなかったり、試合に負けるとビンタをするような人で、『ミスをしたらビンタされるんだ』と思うと必死にやるようになるし、その結果、上達もしたんですよね」川合会長は暴力的な指導によって自身の上達につながった経験を認めた上で「それでも、絶対にあってはいけない」と語気を強めます。「僕のように、体罰や暴力的な指導で伸びる子もいるかもしれないけど、本当に能力のある子は頭がいいから、ミスや連帯責任で殴られるなんてバカバカしいと感じて、辞めてしまうんです。体罰をすると、チームの平均値は上がります。全体の下の方にいる選手は殴られるのが嫌で、一生懸命練習するようになるから。そうすると、下のレベルは上がるかもしれないけど、飛び抜けてすごい選手がいなくなるんです」サッカーする子どもを伸ばす親の心得「サカイク10か条」とは■誰かにやらされてやるのではなく、自分たちで考えて取り組むことで伸びる川合会長は、世界のスポーツ界でトップに立つ選手を例にあげます。「野球の大谷翔平選手やゴルフの松山英樹選手など、スポーツでトップになる選手って、自分で考えて行動することのできる選手です。簡単に言えば、頭がいい選手。もし彼らが暴力的な指導を受けていたら、いまのようなスターにはなっていないでしょう」周囲から抜きん出るためには、自分で課題をみつけて、それを克服するために考えて取り組む力が不可欠です。暴力的な指導で選手を「やらせて」も、その能力は身につきません。「私がバレーボール選手として、一番成長したのが高校3年生のときでした。というのも、監督が月に1日しか練習に来なかったんですね。その他の日は、3年生が中心になって練習をしていました。監督が来ないとなると、練習を休みたいと思わなくなるんです」当時、川合会長が通っていた高校は、バレーボール部にも関わらず、屋外の土のコートで練習していたそうです。「コートが外なので、雨が降ると練習ができないんです(笑)。体育館を使えるのは、日曜日の午前中だけ。どうしたかというと、チームメイトの父親のツテを頼って、遠方にある幼稚園の体育館を借りて練習していました。それも、自分たちで『使わせてください』と交渉して」体育館で練習ができる時間は貴重なので「めちゃくちゃ集中して練習するようになった」そうで、「僕個人もチームメイトもすごく成長しました」と振り返ります。「その結果、1年生のときは東京都でベスト4だったのが、3年生のときは関東大会で優勝しました。誰かに言われてやらされるのではなく、自分たちで考えて取り組むことで、伸びていくんですよね」■今の時代、指導者も大変常にアップデートしないといけない川合会長は「いまの時代の指導者は、大変だと思います」と話します。「極端に言うと、昔はやる気がない選手がいたら、殴ってやらせればよかった。でもいまの時代は、選手に話をして理解して納得させて、やる気を出させなければいけません。そのためには、指導者が学ぶこと。考え方をアップデートさせなければいけない時代に来ているんです」バレーボール協会は講習会やWebサイトを通じて、指導に対する考えを積極的に発信し、指導者への啓蒙活動を続けています。「だけど、時間はかかりますよ。何か一つの時代があって、それが変わるって大変なことですから。スポーツ界が体罰禁止と声をあげ始めたのが、ここ10年ぐらいですよね。当時、体罰をしていた人が40歳だとして、まだ50歳。なかなか一気には変わらないです。それでも、バレーボール協会としてもそうですし、私としても、指導者に会うたびに『バレーボールの指導とはね――』と言い続けていくしかないんです」■ミスにいちいち怒っていたら競技が成り立たない川合会長は「バレーボールはミスありきのスポーツ。ミスのたびに怒っていたり、イライラしてもしょうがない」と諭すように言います。「我々はイライラするスポーツの指導者なんだから。ミスしたからって、いちいち怒っていたら、バレーボールという競技は成り立ちませんよ」これはサッカーも同じでしょう。足を使ってプレーする時点で、ミスをする可能性は大いにあります。「ミスをするのは当たり前で、じゃあどうすればミスをしなくなるんだろうと考えるのが、指導者の仕事です。選手がミスをするのであれば『自分が指導できていなかったんだな』と、自身の指導内容に目を向けてほしい。バレーボール協会としても、指導をアップデートするための情報提供は続けていきますから」■競技団体を超えて暴力をなくすことがスポーツの価値を高める川合会長はサカイク読者に向けて、バレーとサッカーの垣根を越えて、次のようなメッセージをくれました。「残念ですが、いまなおスポーツ界には暴力、未暴力があります。スポーツや競技団体の垣根を越えて、暴力をなくそうと努力することは必要だと思いますし、それがスポーツの価値を高めることにつながると思います。ぜひスポーツ界で連携して、暴力をなくしていきましょう」バレーボール協会『暴力撤廃アクション』の詳細はこちら>>サッカーする子どもを伸ばす親の心得「サカイク10か条」とは
2023年06月20日日本スポーツ界に、連綿と続く体罰の連鎖。競技を問わず、指導者の体罰、暴力、暴言は、令和に入っても後を絶ちません。2012年の『桜宮高校バスケットボール部体罰自殺事件』後、スポーツ界は様々なアクションを起こしてきましたが、スポーツ指導者の体罰がニュースになるなど、いまだ強くはびこっています。2023年3月、日本バレーボール協会は「暴力撤廃アクション」を発表。川合俊一氏が会長に就任以降、改革を進めるべく、様々なアクションを起こしています。そこで今回は川合会長に「なぜ、いま暴力撤廃アクションを発表したのか」「指導者の暴力をなくすために、どうすればいいか」をうかがいました。バレーボール協会が立ち上げた、新たな施策も含めて紹介します。(取材・文鈴木智之写真・新井賢一)日本バレーボール協会の川合俊一会長(C)新井賢一サカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!■選手への暴力撤廃に向けた取り組みを強化2022年3月に、バレーボール協会会長に就任した川合俊一氏。現役時代は日本代表の主将を務め、ロサンゼルス五輪、ソウル五輪に出場。引退後はタレントとして活躍し、2015年からはトヨタ自動車ビーチバレーボール部でゼネラルマネージャーを務めるなど、スポーツ内外の知見が豊富な人物です。川合氏が会長就任以降、「トヨタ自動車での経験を活かして」(同会長)、コンプライアンス・ガバナンス強化に着手。指導者による選手への暴力撤廃に向けて、取り組んでいます。サッカーする子どもを伸ばす親の心得「サカイク10か条」とは■協会がアクションを発表したことで声を上げやすくなる2023年に入っても、指導者による暴力は起きており、2月には、市立船橋高校男子バレー部の監督が生徒への暴行容疑で逮捕。3月には、前年度の高校選手権で優勝した日本航空高校の監督が、部員に暴行(平手打ち)をしたとして解任されるなど、指導の名のもとに暴力を振るう事件が立て続けに起きています。現状について、川合会長は次のように感想を述べます。「指導者の体罰が表面化していますが、これはバレーボールに限ったことではなく、他のスポーツにも、表に出ていないだけで、体罰や暴力、暴言はあるでしょう。ただ、バレーボール協会として、暴力撤廃アクションを発表したことで、暴力や暴言を受けている人が声をあげやすくなっている面はあると思います」■暴力と指導の間にある「未暴力」とは暴力撤廃アクションには「バレーボールの世界から暴力・体罰・ハラスメントを撤廃する」「暴力と指導の間にある未暴力に向きあう」というコンセプトがあります。未暴力とは、暴力と指導の間にある、明らかな暴力とは判断しづらいもののことで、将来的に暴力へと発展する危険性があるものを指します。日本バレーボール協会は、2023年3月25日発行の日本経済新聞に"それって、指導ですか? 暴力ですか?"という全面広告を掲載。指導現場で起こり得る事例を、指導者、選手の立場から記載し、「未暴力」の危うさを、指導者や選手に気づいてもらうことをテーマにしています。ポスターには、次のような例が並んでいます。【指導者】試合後、集中が足りない選手に自覚を促すために、みんなの前で指導した→【選手】負けた後、チーム全員の前で「お前のせいだ」とコーチに責められました【指導者】体罰にならない範囲で、気合を入れ直してもらうために、大声で喝を入れた→【選手】バレーボールを壁にたたきつけて「たるんでる!」と大声で怒鳴られました川合会長は言います。「これを見た指導者に『自分がしているのは暴力ではないか』と振り返り、選手の側は『練習の中で、自分が受けた仕打ちは暴力ではないか』と気づいてもらうことが、暴力撤廃の第一歩だと思っています」■暴力と指導の間にある「未暴力」とはバレーボール協会は指導者、選手への啓蒙とともに、教育委員会を通じて、暴力・暴言・ハラスメントを行っている指導者へ聞き取り調査を行うなど、新たな取り組みを開始しました。「これまで、暴力に関する通報窓口は、バレーボール協会や都道府県協会、全国連盟など分散していました。まずはそれをバレーボール協会に一元化しました。なぜなら、暴力や体罰をしている指導者が、都道府県協会や全国連盟の要職についている場合、通報したとしても、揉み消されるケースがあるのではないかと感じたからです」暴力や体罰、ハラスメントが起きた場合、最上部の団体であるバレーボール協会に通報し、学校の部活動で問題が起きた場合は、同協会が都道府県の教育委員会に連絡し、調査してもらう流れを作ったそうです。「バレーボール協会には、問題が起きたときに調査をする権利がありません。我々は調査をする組織ではないので、学校の管轄である教育委員会に連絡をして『おたくの県でこういう問題が起きているので調べてください』と、調査してもらうようにしています」他にも、弁護士を入れた、第三者委員会を通じて調査をする方法も始めており、川合会長は「教員の指導者が力を持っていて、教育委員会とつながっている場合は、暴力や暴言が隠蔽されてしまうこともあり得ます。それはあってはならないと考えています」と、言葉に力を込めます。■あからさまな暴力指導にはNOを突き付けるのが望ましいが......あからさまな暴力指導には、確固たる意思でNOを突きつけるのが望ましいですが、なかには、NOと言いたくても言えないケースもあります。川合会長は言います。「僕の知人に『サッカーは体罰のニュースがあまり出ないけど、なくなったの?』と聞いたところ『なくなってなんかいないですよ。指導者にたてつくと、試合に出られなくなるから、子どもも親も我慢しているんですよ』という言葉が返ってきました」さらに、こう続けます。「暴力を受けた子が通報したとすると、チームの中で誰が言ったかは、雰囲気でわかるんですよね。あるいは指導者がクビになったら、チームの人たちから文句を言われる。とくに強くて、結果が出ているチームは、言えるような状況じゃないです。だから、表面化させるのはすごく難しいんです」■せっかく始めたのに指導者が原因で辞めてしまうことがあってはならないそれでも、体罰やハラスメントを受けた人が、声をあげやすい環境を作ること。そして「暴力指導は当然のこと、未暴力のケースも、指導者自身に気づいてもらい、改めてもらう働きかけをしていくしかない」と言います。「バレーボール協会としては、暴力や体罰を見過ごすわけにはいきません。せっかくバレーボールを始めたのに、指導者が原因で辞めてしまうなんてあってはならないことですし、競技人口の減少にもつながります。そのためにも指導者の行いを顧みてもらい、自分がしていることは暴力なのではないか、体罰なのではないかと気づいてもらうことに取り組んでいるところです」次回の川合会長インタビュー後編では「暴力指導がなくならない理由」と「暴力指導では、トップレベルの選手が出て来ない理由」を紹介します。バレーボール協会『暴力撤廃アクション』の詳細はこちら>>サッカーする子どもを伸ばす親の心得「サカイク10か条」とは
2023年06月19日Amit Youngerが6月に来日zen placeは2023年6月17日(土)、zen place pilates 渋谷スタジオにおいて、ピラティス指導者Amit Younger(アミット ヤンガー)による指導者向けワークショップ『Strong and Mobile Shoulders/強靭で可動性のある肩』を開催します。同ワークショップでは、肩関節と肩甲帯全体の強度と安定性を向上させることを目的とした、マットやプロップスを使ったレパートリーなどを紹介します。開催時間は14:00から17:00まで、料金は24,500円です。申し込みはzen place academyのホームページにて受け付けています。全4回のワークショップを開催Amit Youngerによる2回目のワークショップは、6月21日(水)にzen place pilates 横浜スタジオで開催されます。テーマは『Side Bending and Rotations/サイドベンドとローテーション』です。3回目は6月22日(水)にzen place pilates 新宿スタジオで、4回目は6月24日(土)にzen place pilates 銀座2丁目スタジオで行われます。(画像はzen placeより)【参考】※zen place※zen place academy
2023年05月18日「土屋鞄製造所」は2023年6月2日(金)、京都・東洞院通に新店舗「土屋鞄製造所 京都店」をオープンする。「土屋鞄製造所」京都に関西最大級の新店舗京都・堺町通から移転する「土屋鞄製造所 京都店」は、関西エリア最大級となる新店舗。日本で最も古い京都の錫工房「清課堂」による錫製のカウンター、国産牛革のヌメ革を採用した什器など、職人の手仕事が感じられる空間で、土屋鞄のものづくり文化を体感できるような店舗となっている。関西エリア初となる革製品の修理・手入れスタンド店内には、革製品の手入れや修理相談を無料で出来る専門スタンド「クラフツワークスタンド」を、関西エリアでは初めて設置。革に精通した店舗スタッフによるブラッシングやオイルケアなどの手入れや、専門の職人が担当する修理の受付などを行ってくれる。いずれのサービスも、土屋鞄の店舗で取り扱われている全ての大人向け皮革製品が対象。修理だけではなく、メッセージやイニシャルなどを特製のヌメ革オーナメントに刻印するギフトサービスも実施される。新ブランドカラーの限定アイテムまた、新ブランドカラー「TSUCHIYA BLUE」をテーマにしたオープン記念イベントを、6月2日(金)から7月31日(月)までの期間で開催。「TSUCHIYA BLUE」を採用した限定アイテムや新作バックパックの一般予約販売、インスタレーションの展示、土屋鞄の人気アイテムが当たる革のカプセルトイなど、様々な企画が用意されている。店舗情報「土屋鞄製造所 京都店」オープン:2023年6月2日(金)住所:京都府京都市中京区東洞院通蛸薬師下ル元竹田町643 BINO東洞院1F営業時間:11:00〜19:00(定休日なし)延床面積:191.18㎡(57.83坪)【問い合わせ先】お客様サポート係TEL:0120-907-647(平日10:00~17:00)
2023年04月17日6歳でADHD(注意欠如・多動症)の診断、小学校入学後はトラブルだらけで…「通級指導教室」を勧められわが家の小6息子は6歳のころにADHD(注意欠如・多動症)の診断を受けました。息子は小さな子どもやお年寄りに優しい面もありますが、一度思い込んだら考えをなかなか変えられない、プライドが高い、人の目を気にして先回りしすぎてしまう、気が散りやすく興味があることがあると、そちらに気を取られてしまう…など困った一面もありました。小学校は通常学級に入学しましたが、息子はクラスに適応できずに授業中に教室を抜け出すように。5月終わりから6月ごろには通常学級に在籍はしているけれど、先生たちのご厚意で特別支援学級で授業をたびたび受けるようになりました。私は「このまま特別支援学級に移籍させたほうが良いかもしれない…」と考え、教育センターの担当の方に相談しましたが、息子のIQでは特別支援学級への移籍は難しいとのことでした。そこで担当の方に勧められたのが「通級指導教室」でした。私は早速夫にもそのことを相談しましたが、夫の意見は…。Upload By ユーザー体験談夫が通級指導教室に大反対!通級指導教室に通うことを提案すると夫は大反対!理由は「授業から抜け出したら周りの子どもたちから変に思われるし、イジメの対象になる」とのことでした。通級指導教室に行くとなると、週1回2時間を別の学校へと通うことになるため、クラスにいないことになります。「なんでいないの?」とクラスメイトも疑い始めるのではないか、それが原因でいじめになるのではないかと夫は心配していました。また、息子は3ヶ所の放課後等デイサービスにも通っていたので夫としてはそれだけで十分だと、とにかく通常学級の子どもたちと違う行動をすることで浮いてしまうのが不安だったようです。通級指導教室が別の学校にあるので、その時間には送迎をしないといけなく、共働きのわが家にできるのかという不安もありました。当時、私は下の子が生まれて育児休暇中のタイミングだったので、とりあえずやってみようと夫には伝え、復職後のことはそのときまた考えようと伝えました。Upload By ユーザー体験談夫説得のためにみんなで通級指導教室の見学へ。夫の心境は…納得しない夫をどうにか説得しようと、夏休み前の7月ごろに夫と息子の3人で通級指導教室の見学に行きました。先生方に話を聞くと「通級指導教室は人気で簡単には入れない」「たくさんの子どもが来ている」などのことを教えてくれました。そして、息子のようなタイプの子どもは、低学年のころは多動気味だが、学年と共に落ち着いて高学年には多動部分は収まる傾向があると聞きました。とはいえ今は課題が多いので、低学年のうちに得意なことを伸ばして、自信をつけていくことが重要になってくるかもしれないと話してくれました。また通級指導教室に通うことにより、自校への要望を通級指導教室の先生から話してもらえることや、何かあったときの居場所がつくれるので本人の生活もしやすいということも分かりました。先生のお話を聞いて、通級指導教室に通うの特別なことではないこと、多くの子どもが来ていること、なにより息子が楽しそうに体験をしている姿を見て夫も納得したようです。息子の障害についても「自分も同じような子どもだった」と言い、認めてこなかった夫。自分がどうにかやってきたからこそ、息子に関しても同じようにどうにかなると思っていたようです。自分の経験があるからこそ、あえて特別なことをするのは反対をしていました。しかし、今は時代が違うことや、いろいろな支援があることを伝えました。実際の息子の様子を見てもらうことで、夫自身が思う以上に息子には課題が多いとも認識したようです。Upload By ユーザー体験談通級指導教室に通うようになった息子。クラスメイトの反応は?その後、秋ごろから通級指導教室に通うようになった息子。朝から行くので、クラスを抜けていくというより、遅刻して登校をしてくるという感じだったので、さほど違和感や影響はありませんでしたが、担任の先生にお願いして息子がその時間にいないことをクラスメイトに説明してもらいました。クラスメイトは「ふ~ん」といった感じで受けいれてくれて、息子が帰ってくると「おかえり~」、途中で抜けるときは「いってらっしゃい」と声をかけて送り出してくれています。「人と違うことをする」ということでイジメを想像しがちですが、そう考えるのは大人だけで、子どもたちは柔軟に受け入れてくれました。通級指導教室を理由にいじめられたりからかわれたことは一度もなく、むしろみんな息子を応援してくれています。Upload By ユーザー体験談私立中学に決めた息子の進路。子どもを導いていくために小学校の経験を踏まえて、中学は私立中学に行くことに決めました。通級指導教室に行ったことで、やはり息子にはある程度の特別支援がまだ必要であると感じ、少人数指導の私立を選びました。今はいろいろな進路があり、学校のスタイルもさまざまです。私たち親世代の一律教育のような考えは捨て、常に新しい情報を得て子どものために適した進路へ導いていけたらと思っています。私立中学に行くことで出てくる問題もあるかもしれませんが、その都度問題に立ち向かい親子で解決していきたいと思います。イラスト/吉田いらこエピソード参考/カプゴジラ(監修:鈴木先生より)私立中学へ行けるようなIQのお子さんであっても、ASDで音過敏のある方や視線恐怖のような不安のある方などは特別支援学級を利用していることもあります。一般に特別支援学級は知的クラスと情緒クラスがあり、比較的IQの低いお子さんは前者を、IQが普通か高くても自閉スペクトラム症などのあるお子さんは後者を選んでいます。私立中学へ行っても残念ながらいじめなどはない、と言えないのが現状です。ただ、教師の異動がないため、さほど環境の変化のないことがいいところです。ADHDは薬物治療で改善しうるので、きちんと診断して治すことが重要となります。今回のように実際に学校などへ行って現場を見ることが一番重要です。偏見をなくして分からないことは遠慮なく学校や教育委員会に相談すればいいと思います。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年04月08日近年、海外の指導者が来日し、日本の子どもを指導する場が増えてきました。そのときに、海外の指導者が口をそろえて言うのが「日本の子どもたちは、コーチの言うことをよく聞く」という言葉です。その反面「日本の子はシャイで、自分を表現しようとしない」という言葉も聞かれます。自己表現が苦手なのは子どもだけに限らず、大人にも通じることで、日本人の特性なのかもしれません。日本の中だけで生活するのであれば、とくに不自由はしませんが、ことサッカーというグローバルなスポーツにおいて、「自己表現が苦手」というのは、マイナスに働くこともあります。そこで今回は日本の育成年代で長く指導し、サッカー王国ブラジルの名門育成クラブ「クルゼイロ」のジャパンスクールで指導をする小林弘典コーチに、「子どもたちの感情を解き放つためにしている、ブラジル人コーチの仕掛け」について話を聞きました。ブラジル人コーチは「自ら考えて動く」「自己主張する」といった部分に、どのようなアプローチをしているのでしょうか?(取材・文鈴木智之)写真提供:クルゼイロキャンプ■日本の子どもは失敗するとベンチを見る"クルゼイロジャポン"は東京のスクールの他に、今春三重に開校予定。春休みや夏休み等に、ブラジルからコーチを呼び、短期キャンプを実施しています。小林コーチは、ブラジルから来たアドリアーノコーチに「日本の子どもたちの話を聞く姿勢は素晴らしい」と感心されたそうです。「日本の子たちは、なんて良い教育を受けているんだ! と驚いていました。ですが、いざサッカーの練習が始まると、ミスを恐れ、失敗するとベンチやコーチを見る子がたくさんいました。極めつけは、ゴールを決めたのに誰も喜ばないこと。これにはびっくりしていました」■集団の一員として振舞えるが、個になると弱い日本の子どもアドリアーノコーチは、「日本の子は点を取っても嬉しくないの? あの子たちはサッカーを本当に好きでやってるの?」と質問をしてきたそうです。そこで小林コーチが「彼らは、枠からはみ出すことがあまり得意ではないのではないか」と答えると「子どもはもっと自由でいいし、何よりサッカーというスポーツは自分の感情を出さなければ絶対に勝てないし、上達もできない」と言われました。両者は「子どもたちに感情を発露させることに対して、私達はもっと取り組まなければいけない」という結論に至ったそうです。また、日本の子どもたちは、集団の一員として振る舞うことはできますが、選手個々に目を向けたときに「きみは何ができるの?」「何がしたいの?」という状態になっていたのだと言います。■もじもじしていた子たちが積極的に!「楽しい」環境を作ることが大事そんな日本の子どもたちを見たアドリアーノコーチは、驚きの行動に出ます。トレーニング中、サッカーボールやテニスボールなど、ありったけのボールをコートに投げ入れたのです。「たぶん、50球ぐらいあったと思います(笑)。それを次々にコートに入れて、どんどんシュートを打っていいよ、ドリブルで仕掛けようと言いました」子どもたちはコーチの言葉通り、たくさんあるボールを手当たり次第、ゴールに向かって蹴っていきます。「そうしたら、もじもじしていた子たちが、シュートが打てる、うれしい! と積極的にプレーし始めたんです。ドリブルやパスが成功したときの喜びもあるかもしれませんが、何よりも、ゴールを決めることが最高に楽しいわけです。その環境を作ってあげることが大事なのだと、改めて学びました」ブラジル名門育成クラブの指導を体験できる「クルゼイロキャンプ」参加者募集中>>■「こんなに楽しそうにサッカーをする姿は久しぶり」と保護者も感激当時のクルゼイロキャンプでは、子どもたちが感情を表すための仕掛けとして「得点を決めた後に、ゴールパフォーマンスをしないとゴールは認められない」などのルールを設けていったそうです。「そうすると飛行機ポーズだったり、クリスティアーノ・ロナウドの真似だったり、いろいろやり始めるんですよね。そのルールがなくなって、普通に試合をした後にもやったりと、感情を表に出して、積極的にプレーし始めるようになりました」小林コーチは「子どもたちに口で言ってもすぐにはできないので、こちらが仕掛けをして、気持ちをくすぐってあげる。ブラジル人のコーチはそういうところが上手だと思います」と話します。その様子を見た保護者も「いつもは苦しそうにサッカーをしているけど、ここに来るとすごく楽しそうにプレーしている」「こんなに楽しそうにサッカーする姿は久しぶりに見た」と感激するそうです。「ただ、日本の子たちはそれを引きずってしまうというか、真剣にプレーする場面でも、雰囲気に流されて、遊び気分になってしまうことがあります。そこはコーチが気にかけながら、やるときはやるというオンとオフをはっきりするようにしています」■サッカーする上で感情を出すのが必要な理由でも日本の子たちはミスを怖がる傾向にあるので、ミドルサードでもアタッキングサードでもプレーが変わらないんです」さらに、こう続けます。「せっかくフェイントやドリブルのトレーニングをしているのに、試合になると出てこない。それもミスを恐れているからです。だから我々コーチは『サッカーにミスはつきものだ』『失敗を恐れずにチャレンジしよう』ということを、繰り返し、伝えています」「ミス=失敗、怒られる」という考えから「上手くなるためにはチャレンジが必要で、チャレンジにミスはつきもの」という考えにチェンジしていくことで、子どもたちは積極的に挑戦するマインドになります。その状況に導くためにも、トレーニングの設定やルールなどで、よりチャレンジしやすい環境を作ることが大切なのだと教えてくれました。「ブラジル人コーチは、練習のルールやメニューを工夫することで、子どもたちが積極的にチャレンジする環境を作るのが上手」と話す小林コーチ。ブラジルからはネイマールやヴィニシウス、リシャルリソンなど、あっと驚くプレーをする選手が次々に育ってきますが、その背景には彼らの思想や文化、それに基づいたトレーニングがあることは間違いないでしょう。サッカーは国民性を映すスポーツと言われますが、日本が外国から学ぶことは、まだまだたくさんありそうです。ブラジル名門育成クラブの指導を体験できる「クルゼイロキャンプ2023春」は、現在参加者募集中です。詳細はこちら>>「個の力」にフォーカス!試合で活躍するヒントを一人一人に伝えるクルゼイロサッカーキャンプ>>
2023年03月02日昨今、スポーツ界のニュースで報じられることが多いのは、指導者の暴力・暴言関連のネガティブなニュースが多く、それに関心が高い保護者も多いと思います。そのような旧態依然とした指導が残っていることも事実ではありますが、最近では「子どもを伸ばす指導」をしている指導者・チームも増えています。今回は、この夏開催されたワールドチャレンジ2022の現場でお伺いした話をもとに、育成に力を入れているチームの指導者が、どんなふうに選手と接したり、声掛けをしているのかをご紹介します。3年ぶりにFCバルセロナが参加したU-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ(C)新井賢一<<関連記事:3年ぶりにバルサが参戦、ワールドチャレンジ2022の記事はこちらサカイク公式LINEアカウントで保護者のみなさんへお役立ち情報をお届け!■「育成に力を入れているチーム」とはどんなチーム?皆さんは育成に力を入れているチームとは、どんなチームだと思いますか。・小学生年代で県大会や全国大会で優勝させてくれるチーム・トロフィー、メダルを獲るチーム・Jクラブや競合クラブのセレクションに合格できるぐらい上達させてくれるチームそんな風に、小学生年代で何らかのタイトルを獲らせてくれるチームだと思っていませんか。もちろん、勝ちたいから頑張ることは良い事です。子どもたちが大会でトロフィーや賞状をもらって喜んでいる顔を見ると、保護者も嬉しいものですよね。ただ、育成に力を入れているチームは「もっと先」を見て指導しています。この夏開催されたワールドチャレンジ2022で、いろんなチームにインタビューをしてきたので、そこで聞いた指導者たちの「小学生年代の育成」に関する考えなどを紹介します。■小学生年代がサッカー人生の頂点ではない今年は3年ぶりに海外勢も出場し、まさに世界への挑戦となる大会になりました。サカイクは大会のメディアパートナーとして、色んなチームにインタビューをしましたが、Jクラブの育成組織も含め、ほとんどのチームの指導者が異口同音に口にした言葉があります。それは、「小学生年代がサッカー人生の頂点ではない」です。また、このようなことをおっしゃる指導者も多かったです。「小学生年代は、中学以降もサッカーを続けるための『種まき』の時期。まずはサッカーを楽しむことを大事に、勝ったり負けたりする中でいろんなことを学んでいければいい」まさにその通りで、中学以降もサッカーを続けていくためには「サッカーって楽しい」と心に刻まれることが大事ですし、育成に力を入れているチームの指導者たちは「今」だけでなく「少し先」を見据えていることがうかがえました。技術習得より「ありがとう」が言える方がサッカー上達につながる理由■グラウンドに響く監督たちの声、一番多いのは?ちなみに、今大会も多くのチームの監督、コーチの声がグラウンドに響いていましたが、どんな声掛けが多いかわかりますか?答えは・・・↓↓「ナイス!」「いいよ!」「そうそう!」といった肯定的な声です。各カテゴリーの予選を勝ち上がって出場する強豪チームが多いので、厳しい声が多いと思いましたか?ちなみに今大会では多くの方が「ナイス、ナイス、ナイス!」「いいよ、いいよ、いいよ!」「そうそうそう!」など3回ぐらい繰り返すことが多かったです。口に出すとその位の回数がリズムも良く言いやすいのかもしれません。街クラブ選抜チームを率いた播戸竜二監督は「素晴らしい!」「まだ終わってないよ」を連呼して選手たちのモチベーションを上げていました。そんな感じで、大きな声で選手たちに何か伝えているシーンは多いですが、肯定して背中を押してあげるような声が多いのです。試合前には「みんなの思うようにプレーしたらいいと思うよ」と選手たちに信頼を伝えて送り出していたチームも。ハーフタイムも選手たちで試合の改善ポイントなどを話し合い、そこに監督やコーチがアドバイスを加えるというチームも多くみられました。そういった、選手が安心してサッカーができる状態が当たり前にあることが、選手を伸ばすことにつながるのでしょう。■普段からの関係性、信頼が大事ちなみに、ワーチャレに限らず、声を張り上げている指導者の多くが「ピッチの中では私の声は聞こえないですからね。サッカーは自分で状況を判断して動かなければなりませんから」とおっしゃるのですが、本当に聞こえていないのか選手に聞いてみました。私「監督、声大きいよね」選手「うん」私「でも、ピッチの中では聞こえないもの?」選手「聞こえてるよ」とのことで、しっかり聞こえていると笑顔で教えてくれました。ちなみに、プレー中の「サイドを切れ」「中締めろ」のような声に関しては「声は聞こえてるけど、状況によってはすぐ対応できないし自分で判断するから」ということのようです。選手たちも必死に対応している時は、外からの声はハッキリ聞こえない時もあるのでしょうね。プレーに対する「ナイス」「いいよ」以外の声でよく聞かれるのは、ボールが落ち着いたときに「A(名前)、B(名前)が出しどころ無くて困ってるときフォローしてあげて」とか、「まだ焦る時間じゃないから、前係にならなくていいよ」のようなアドバイスが多かったです。一見厳しいことを大声でピッチに叫んでいるように見える監督がいるチームも、試合終了後には選手と指導者たちが仲良く談笑している、というのもよくある光景です。選手取材の後に監督のインタビューをしたときも、監督が「午後も試合あるから今のうちにお昼食べて」と声をかけても、選手たち自身が「監督のインタビューも見たーい!」とその場に留まるなど微笑ましい場面も。監督のインタビューをカメラの後ろで見ているYF NARATESOROの選手たち。インタビュアーが選手たちに「監督は普段どんな人?」と聞いたら矢継ぎ早に「おもしろい」「芸術家」「私服がかっこいい!」と答えてくれました(C)新井賢一そういった場面を目の当たりにすることで、大事なことは指導者たちと子どもたちの普段の関係性、信頼の構築なのだと改めて感じました。普段から心理的安全が確保されているから、子どもたちは思い切りサッカーを楽しめているのです。■子どもも保護者も指導者も、みんながサッカーを通じて幸せになる環境をどうしても、旧態依然とした指導の問題のほうがニュースで取り上げられやすく、ネガティブな情報の方が読者の共感も生むため、スポーツの現場には問題がある指導者が多いように捉えられてしまう部分もありますが、情報をアップデートしながら子どもたちに接している指導者の方はたくさんいます。保護者の方も、自分たちの学生時代とは大きく異なる現代の育成について改善できることをチームで話し合ったり、古い慣習などを見直して負担を減らすことで、子どものサッカーにかかわるのが気持ちと体力面でラクになると思います。サッカーをする子どもたちだけでなく、関わる親・指導者も楽しめる環境が増えていくことが大人たちの幸せにもつながるのです。サカイクではこれからも、いい指導をする・しようと取り組む指導者、チームを応援していきます。サッカー少年の親が知っておくべき「サカイク10か条」とは
2022年10月05日実在する企業を名乗り、偽ったメールなどを配信して、人々のクレジットカード情報といった個人情報を不正に取得する犯罪の『フィッシング詐欺』。『フィッシング詐欺』についての情報をまとめている、『フィッシング対策協議会』によると、2021年の1年間で52万件もの報告が確認されているそうです。偽装メールの特徴として、『緊急』『重要』といった言葉を強調し、手続きを急がせるような文面があるといいます。しかし、中には本物のメールであるかと思わせるような、巧妙なものも実在しているのです。本物かと思ってしまった偽造メール筆者が「本物ではないか」とヒヤヒヤした、実際に届いた1通の『フィッシング詐欺』のメールを紹介します。メールの送り主は、百貨店で有名な株式会社三越伊勢丹ホールディングスのグループ会社である、クレジットカードを発行する株式会社エムアイカードを装ったもの。「ご本人様のご利用かどうかを確認させていただきたい取引がありました」と、不正利用を注意する文言とともに、URLへと誘導する文章が書かれていたのです。文章を見ると、あたかも本物の情報であるかと思ってしまいそうですよね。しかも、巧妙な点はこれだけではありません。メールアドレスやウェブサイトのURLなどで使われる『ドメイン』と、会社名と住所の組み合わせが、本物にそっくりなのです!ドメインと住所を調べてみると?この『フィッシング詐欺』のメールアドレスは、『info@mistore.jp』。『mistore.jp』を検索すると、本物の三越伊勢丹オンラインストアに移動しました!メールの発行者は株式会社エムアイカードと、実在する会社と同じです。しかし、正しい同社の本社所在地は東京都中央区晴海一丁目8番12号。メールには、中野区の住所が書かれていることから、正しくありません。会社所在地を調べず、本物であるかと思い、URLをクリックしていたら…怖いものです。株式会社三越伊勢丹ホールディングスは2022年7月、同社を装った『フィッシング詐欺』のメールに注意するよう、客に呼びかけています。身に覚えのない不正利用を知らせるものであっても、まずは同社の担当問い合わせ先に電話するなど、届いたメールが本物であるかどうかを確認しましょう![文・構成/grape編集部]
2022年10月04日監督・コーチの話を聞かない、練習の並び順でケンカ、行動が遅い......。U-10年代の指導の指導はどうすればいい?池上正さんの書籍を読んで実践しているけど、うまくいかない。という悩みをいただきました。この連載を読んでいる方の中にも、同じような経験を持つ方がいるのでは。今回も、ジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんが、話をじっと聞いていられないU-10年代の指導の指導のコツを伝授します。(取材・文島沢優子)池上正さんの指導を動画で見る>>(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<上手い子、そうでない子が混在するチーム。どっちにも楽しんでほしいからレベルでグループ分けしたいが、注意点は?<お父さんコーチからの質問>こんにちは。田舎の少年団で指導をしている者です。担当はU-10です。池上さんの書籍「伸ばしたいなら離れなさい」を読ませて頂き実践しているのですが、子どもたちが話を聞きません。行動が遅い、待ち時間の並び順でケンカばかりする、など、なかなか上手くいきません。池上さんの本が発売されたころとは教育、家庭でのしつけなども変わっているので子どもたちの気質なんかも変わってきているというのはあると思うのですが、(過保護なご家庭が多いと感じます......)この年代のチームがまとまる良い方法はないでしょうか?<池上さんからのアドバイス>ご相談ありがとうございます。先日、首都圏のある自治体で、教員の方々に「これからのスポーツを考える」というタイトルでお話しさせていただきました。そのなかで、子どもたちが主体的対話的深い学びが必要だと言われているけれど、授業でその時間をつくっていないという話が出ました。■子どもが輪に入れないとき、大人の方が焦って世話を焼いていないか午前中、ひとつの学校で6年生に指導した際、みんなの活動に入っていけない子どもがいましたが、私は最後まで声をかけませんでした。指導の後で、担任の先生から「あの子には声をかけないのですか?」と尋ねられました。私は、ほかの子どもたちの行動を待っていたのです。その子が交わらない最初の10分は、他の子どもたちは何もしませんでした。が、そのうち「入れよ」と声をかける子が出てきました。言ってもらった子は「いいの?」という感じで中に入って一緒に活動するようになりました。「どうしてあんなふうになるんでしょう?」と先生は不思議な顔でしたが、私からすればそもそも子どもの世界に大人が踏み込まない方がいいと思っています。先生がどうするか、ではないのについ声をかけてしまうようです。先生はそれが自分の役割だと考えているし、周りもそうなので、先生が行動を起こさないと周囲に「何か言ってください」と言われてしまう。そうならないためには「子どもをどう育てるか」を共有しなくてはなりません。それなのに、「自分が言わなければ!」と大人は焦ってしまうわけです。子どもが成長する余白を与えていません。機会を奪っていることも多いのです。サカイク公式LINEアカウントでイベントや最新情報などをお届け!■子どもたちをずっと動かすことがカギ「並ぶ必要のない」練習メニューを提供することさて、ご相談いただいた件です。10歳以下。けんかしたり、ふざけたり。小集団でいろいろなことをやりたくなる。この年代の特徴です。大人のほうが「この年代なら当然だ。当たり前。こんなものだ」とおおらかにとらえることが重要です。そして、もうひとつ大事なのが、並ぶ必要のないメニューを提供することです。つまり、並ぶ時間もなく、次々とサッカーをしてもらう練習にしてください。実際、ご相談者様のように子どもの私語やふざける様子が気になる指導者の方たちは、おしなべて並んで行うメニューを組んでいることが多いようです。子どもたちをずっと動かしましょう。いつもお話ししているように、練習はミニゲームを中心に。その間に、2対1、3対1など小集団で動くメニューを挟みます。コートを半分に使ったり、4分の1ずつにするなど、狭いスペースでよいので次々と行うようにしましょう。■「早くしなさい」ではなく「このままだと○分しか練習できないよ」と焦らせる方が有効そのほかに、三つほどアドバイスさせてください。ひとつめ。子どもの行動が遅いと感じるのは、指導者側の問題でもあります。子どもに対し「何やってるんだ」「早くしなさい」ではなく、「時計の小さい針が6を指したら、次のメニューを始めるよ」などと、明確な時間を示すことです。練習の時間を最初から決めておくことです。そこで「このままだと、次の練習は○分しかできないよ~」と知らせることも有効でしょう。■水分補給の時間が長すぎると集中力が切れてだらけてしまうので、時間の見直しを二つめ。水分補給の時間確保についても一考してみましょう。皆さんの練習を見ていると、水分をとる時間が長いときがあります。子どもは座りこんでしまい、おしゃべりをしながらゆっくり補給しています。そうると、コートになかなか戻ってきません。子どもたちに、水分補給は休憩ではないこと、飲んだらすぐコートに戻るよう伝えましょう。そのことをきまりにしてください。その際、水分補給を急がなくてはいけない根拠を伝えることも重要です。「試合中はボールをいつも見ていないといけないよね。練習中は試合をしているのと同じ集中力でやりましょう。試合の中で起きることに気を配らなくてはいけないのに、ぼーっとしているとどうなりますか?」そのように、子どもたちが早く集まる動機づけになるような話をしてください。「君たちの水筒は押せば出て、すぐ飲めるよね。便利だよね。だから、飲んで蓋を閉めるまで3秒でいけるね!」などと話します。そうすると、大慌てで我先にとコートに帰ってきます。例えば「前回よりタイム短縮できたね」「記録を伸ばそう」などと自尊心を刺激しましょう。急がなくてはと思えるような仕掛けをしてください。当然ながら、子どものことなので、そんなふうに毎回できるわけではありません。行きつ戻りつしながら、習慣にしていくことです。素早く行動できたときは「良かったね。みんなが早く動いたから、たくさんサッカーができるよ」と褒めましょう。■説明は短めに、練習しながら少しずつ修正ポイントを伝えよう(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)三つめ。水分補給をサッとやったのに、次の練習メニューの説明が長いと、子どもたちはざわざわし始めます。上述したように、説明はできるだけ短く切り上げましょう。子どもたちがじっとしていることなく、すぐに行動できるようにします。言うことを聞かせようと思うがあまりに、じゃあ注意しようとなりがちです。そうすると余計話が長くなって逆効果です。また、練習中に1回の説明で練習がうまくできない場合があります。コーチが再度確認したり、説明したい場合は一度集めて「この練習はどう?どこが難しい?」などと尋ね、修正するポイントを伝えます。そして、また集める。そんなふうに少しずつコミュニケーションを図りながら、行ってください。最終的には、冒頭でお伝えした児童のように、子ども同士で「集中しようぜ」などと声を掛け合えるチームを目指してください。池上正さんの指導を動画で見る>>池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2022年09月23日子どもたちが毎日たくさん練習することを「サッカーが好きすぎて」「上手くなるために頑張ってる」と目を細める親や指導者もいますが、それって正しいのでしょうか。オーバートレーニングになっているのでは?たくさん練習する=上達じゃないのでは?成長期に運動しすぎることの弊害は?など、今回はサカイク編集部が気になっている疑問を池上さんにぶつけてみました。ジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんが、練習しすぎによる心身への影響などを教えてくれました。(取材・文島沢優子)池上正さんの指導を動画で見る>>(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)<<仲間との協力プレーは大事だけど、ドリブルなど個のスキルも不可欠だと思う。U-8年代の指導は何に注力すべきか教えて<編集部からの質問>今回は、コーチからの質問でなく編集部から質問させていただきます。「運動しすぎること」について教えてください。いっぱい練習すること、長時間練習することが上達につながる、と思っている指導者はいまだに多くいるように思います。また、保護者側も同じように思っている方も多く、「毎日練習があるチームの方が上達する」と入団のポイントに挙げていたり、練習以外でもずっとボールを触っていることを「上達するために頑張っている」と目を細める方も少なくないようですが、これってサッカーの「しすぎ」ではないでしょうか。(オーバートレーニング症候群?)疲労回復の面や、成長期に運動しすぎるのは、摂取した栄養より消費カロリーが多そうで、身体を大きくする面でも気になります。先日の弊社イベント、親子サッカーでトレーニング後もずっとサッカーしている子たちがいて、池上さんが「練習しすぎを止めるのも大人の役目」と言ったと聞きました。指導者や親は、子どもの運動量について、どの位を目安にすればいいですか。<池上さんの回答>サカイク編集部から興味深い相談がありました。ありがとうございます。さて、みなさんは「超回復」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?アスリートだった方や、大学などでスポーツを学んだ方はよくご存じかともいます。超回復とは、トレーニングの間にきちん休むことで運動が定着することです。科学的にも証明されています。■筋力アップやスキル習得のためにも休息して「超回復」させることが大事例えば、練習や試合の後に一日、二日と休んだ翌日、トレーニングしたことが定着している、つまり上手くなったような感覚を持つことがあります。その感覚はその後少し薄れるのですが、そうやって運動しては、休みをきちんととることでうまくなっていきます。休息は、大人だけでなく子どものアスリートにとっても非常に重要です。また、超回復というと、筋力アップのためには休みが必要であるという説が有名です。しかし上述したように、スキル習得にも超回復は立証されています。サカイクの最新イベントやお得な情報をLINEで配信中!■サッカーが上手くなるためには、心身の余裕が大事そもそもインプットしたスキルは試合で使えるようにしないと意味がありません。要するにアウトプット、試合で発揮する機会が必要です。ところが、毎日ずっと練習しているとインプットばかりになってしまいます。いや、週末には試合をしていますよ、とおっしゃるかもしれません。が、少年サッカーの試合でコーチがこうしなさい、こう動きなさいと指示ばかりしていれば、それは練習になります。アウトプットし、それをまた自分で振り返る。サッカーが上手くなるには、そのようなこころの余裕が大切になってきます。きちんとお休みをとればリフレッシュできるのです。加えて、小学生年代に来る日も来る日もスポーツ漬けでは、人間形成ができません。もちろんサッカーによって人として成長するのですが、大人になるための学びの機会が必要です。サッカーだけじゃない。長い人生を考えると、友達と遊んだり、家族でどこかに出かけたり、野外活動などサッカー以外の豊かな経験を積んでほしいと思います。■日本の子はオーバートレーニングのリスクにさらされている欧州では、サッカーの間に、他の遊びをします。さまざまなスポーツも体験させます。例えば水泳やバスケットボールなど、他のスポーツの経験が後々サッカーの役に立つこともあります。ことサッカーという競技は、さまざまな運動技能が合わさったものです。ボールを足で扱うわけなので、多くの場面で片足で立っています。つまりバランスの競技です。そのことから、他のスポーツが大いに役に立ちます。日本でも、いくつかの競技を並行して行なう「マルチスポーツ」が注目されるようになりました。一方で、日本の小学生はオーバートレーニングのリスクにさらされています。小学校に紐づけられた少年団などでは朝練を行っているところもあります。そうなると、例えば放課後にサッカースクールに通う子の場合、寝るのは夜11時過ぎなのに翌日は早起きして学校に行かなくてはなりません。しかも、朝練はコーチや親から「やりなさい」言われてやっています。自発的な練習ではありません。■練習を「やればやるほどうまくなる」という根拠はない夏休みも、チームからの「リフティング〇回できるようになろう」という宿題に取り組まなくてはなりません。夏休みはもっと自由に他のことができるはずなのに、人としての成長に必要なことができなくなります。すでに申し上げたように、サッカーでも学べるけれど、他のことに集中することも大事です。そういったことがよくわかる本に『アスレチックスキルモデル才能を適切に発揮させる運動教育』(レネ・ウォンホートほか/金子書房)があります。良かったら手にとってみてください。たくさん練習をすれば上達する、やればやるほどうまくなると皆さん思われていますが、まったく根拠がないことがよくわかるでしょう。■運動しすぎるリスクは身体だけでなく精神面にも。楽しむはずのスポーツに「抑圧」されている運動をし過ぎるリスクは明白です。ジュニア期でオーバートレーニングになると、サッカーであればかかと、足の甲、足首、膝、腰と、下半身を中心にスポーツ障害のリスクが高まります。休まず長時間練習すると、睡眠が足らなくなります。そうすると身長が伸びません。100%、良いことはありません。加えて、精神的にもバーンアウトする恐れがあります。それなのに、大人も子どもも「練習しないと不安だ」という気持ちになっています。楽しくて、子どもの生活を豊かにするはずのスポーツによって、抑圧されています。このことは「毎日真面目に練習しなさい」と子どもに言ってしまう日本人の教育観も関係しています。練習するのは、チームの中で一番になるためです。大人がチームの中で競い合わせています。なぜなら学校の教育が同じ様式だからです。「クラスで一番になりなさい」と言われて育ちます。言われなかったとしても、そのような競争の価値観は刷り込まれています。どんなことにおいても競争、競争なので、運動会で全員手をつないでゴールしようといったことをしても、根本的な策にはなりませんでした。■チームで協力しあうのがサッカーなのに、個人プレーによる自己完結になっている(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)「競わせることが子どもの大きな動機づけになる」という意見もありますが、それではエゴイストが育ちます。チームで協力し合って勝利を目指すのがサッカーなのに、個人が活躍することで自己完結します。チームでどう勝つかといった重要なことが学べません。特に今のような暑い時期に無理にサッカーをする必要はありません。子どもをしっかり休ませましょう。その間、大人も休めます。その時間のなかで新たな学びをぜひ身に付けてください。池上正さんの指導を動画で見る>>池上正(いけがみ・ただし)「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。
2022年08月12日日本代表の久保建英選手を直接指導するなど、世界で活躍するトップ選手にコンサルティングや指導を行い、パリ・サンジェルマンの育成部門でダイレクターを務めたダビッド・エルナンデス氏。10年以上にわたるキャンプやクリニックを通じて日本人選手についても熟知している指導者です。前編では、ダビッド氏が考えるスペインと日本で育成年代の選手において11の違いをお伝えしました。後編では、日本人選手が世界で成功するために必要なトレーニングなどを伺いました。パリサンジェルマンの育成部門でダイレクターを務め、かつては久保建英選手を直接指導していたダビッド・エルナンデスさん<<前編:パリ・サンジェルマンでダイレクターを務めた指導者が語る、スペインと日本で育成年代の選手における11の違いとは?■日本がW杯で優勝するために分析すべきこと――なぜ日本人選手は成功するのが難しいのでしょうか?まずサッカー選手にとって「成功する」とは何を意味するかを定義しなければいけません。もしそれがサッカーをプレーすることを楽しみ、その後の人生において大切な能力や価値を身につけるということを意味するなら、日本人選手は既に成功していると言えると私は考えます。一方で、もし日本代表が世界ランキング上位のチームに勝つことや、ワールドカップで優勝することとするなら、改善すべき点について分析するべきかもしれません。――改善すべき点とはどのようなことでしょうか?前編でもお話したように「率先力」「理解力」「柔軟性」「量」「質」「規律」「努力」「積極性」「順序」「コーディネーション」「評価」これら11の要素があげられます。■日本では正しいとされる会話の「順序」が、スペインやイタリアでは通じないことも――11の要素に含まれている「順序」とはどのようなことでしょうか?どんな国でもトレーニング形式はその国の伝統や文化に影響を受けるものです。日本の場合も同様で、いくつかの場面では日本の伝統や文化がとても良い影響を与えていると考えています。日本のチームが試合後にロッカールームを使用前と同じかむしろ使用前よりも綺麗にしている画像が欧州ではたびたび話題になります。また、日本チームが試合に負けた後、ファンに敬意を払い負けたことを謝ったり、応援してくれたことに感謝したりする写真もよく目にします。しかしこうした影響はいつもポジティブに働くわけではありません。日本人にとっては会話において「順序」を尊重することが大切です。他人の時間や空間を邪魔しないことが正しい振る舞いとされています。こういったことはスペインやイタリアの文化とは大きく異なっています。私たちスペイン人にとっては、ジェスチャーをしたり、話すときに腕を動かし、相手を触ったりするのは普通のことです。相手が話し終える前に遮るように話すことも普通なのです。この「順序」という概念は人生の多くの場面でメリットをもたらしますが、サッカーのトレーニングや試合ではデメリットになると私は考えます。「順序」の概念も、サッカーのトレーニングや試合ではデメリットになるとダビッド氏は語りますサカイクの最新イベントやお得な情報をLINEで配信中!■日本人は腕や身体を使ってボールを奪う回数が少ない――それでは日本人がサッカーで成功するためには文化を変えなければいけないのでしょうか?いいえ、そうではありません。選手のプレーの戦術的な面を分析する時、トレーニングのプランニングを考える時、そしてトレーニングや試合中に、この点を考慮しなくてはいけません。正しくあることやルールを守ることは大切です。しかし、個人やチームのプレーにネガティブに働いてしまう慣習は修正しなければいけないということです。――例をあげていただけますか?例としては、ウイングの選手がボールを持ち、クロスを上げようとしています。多くの場合、日本のサイドバックの選手は強くプレスをかけずに相手に自由にプレーさせてしまいます。相手に介入しないのです。相手のプレーを遮るのに時間がかかってしまい、相手に有利な状態でプレーされてしまいます。もうひとつの例はボールを奪う場面で、相手のパスをインターセプトするか、五分五分のボールを奪うことがほとんどです。私の見解では、相手のスペースに入っていき腕や体を使ってボールを奪う回数が日本人選手は極端に少ないように思います。日本人選手は相手のスペースに入って腕や身体を使ってボールを奪うことが極端に少ない印象がある、と語るダビッド氏■日本人が世界で活躍するためにはどのようにトレーニングすべきか――ではどのようにトレーニングすべきなのでしょうか?ここではひとつの例しかあげていませんが、私が思うにこの「順序」という概念がプレーにネガティブな影響を及ぼしている場面はたくさんあります。まずやらなければいけないことは、普遍的な個人戦術(プレー原則)やポジションごとの個人戦術のひとつひとつをパフォーマンスとして発揮できているか分析することです。次に文化的な影響を受けている問題点を補完するための具体的なキーファクターを考えることです。そして最後に、その問題点に選手が直面し、解決方法を見つけるためのトレーニングを準備することです。――ではどのようにトレーニングすべきなのでしょうか?前編の「スペインと日本で育成年代の選手における11の違いとは?」では、それぞれの育成年代の選手の違いを「率先力」という観点から分析しています。近いうちに「日本サッカーと欧州のサッカー 11の違い」というタイトルで本を出版し、これらの要素を(定義、比較分析、事例、メリットとデメリット、指導法など)深掘りしていく予定です。また、エコノメソッドキャンプでは、先程述べた日本人選手の課題を改善するトレーニングを行っていますので皆様の学びになるはずです。<エコノメソッドサマーキャンプ2022 概要>【開催日時・場所】【中学生キャンプ】中学1年生~3年生京都クール8/12(金)-8/13(土)@大谷中学高等学校【小学生キャンプ】小学2年生~6年生奈良クール8/9(火)-8/10(水)@ヤナギフィールド愛知クール8/15(月)-8/16(火)@瀬戸SOLAN小学校千葉クール8/18(木)-8/19(金)@ZOZOPARK HONDA FOOTBALL AREA川崎クール8/22(月)-8/23(火)@富士通スタジアム川崎高知クール8/27(土)-8/28(日)@野市ふれあい広場サッカー場対象小学生キャンプ:小学2年生~小学6年生中学生キャンプ:中学1年生~中学3年生基礎技術をしっかり持った中級・上級レベルの方※男女不問その他各種割引あり(友達紹介割引、兄弟割引など)宿泊・通いプランありエコノメソッドキャンプの詳細・お申込みはこちら>>エコノメソッドスクール公式HP>>ダビッドさんのトレーニングも紹介賢いサッカー選手を育てるDVD
2022年08月01日特別支援教室のガイドラインが変更に出典 : 東京都では、平成28年度から小学校、平成30年度から中学校の特別支援教室の導入を進めてきました。この導入期に合わせて「特別支援教室の導入ガイドライン」が作成され、ガイドラインに沿って各校で特別支援教室の導入が進められました。そして、令和3年4月に東京都の全ての区市町村立小中学校において特別支援教室の導入が完了しました。それに伴い、令和3年3月に「特別支援教室の運営ガイドライン」が作成されました。このガイドラインには、あらたに指導期間の考え方や指導目標の設定の仕方などが記載されました。東京都教育委員会|「特別支援教室の運営ガイドライン」を作成しました「特別支援教室の運営ガイドライン」は、導入時のガイドラインとどのような点が変わったのでしょうか。東京都教育委員会の教育庁都立学校教育部特別支援教育企画調整担当の方にお話を伺いました。新ガイドラインでは、指導期間や指導目標について明確に。そのねらいとは?出典 : 発達ナビ編集部(以下――)特別支援教室の導入時のガイドラインと、最新の 「特別支援教室の運営ガイドライン」の違いはなんでしょうか?東京都教育委員会:特別支援教室の運営に必要なことだけではなく、特別支援教室での指導以外の場面での役割の重要性など、これまでの導入ガイドラインの内容をさらに充実させています。特に、指導期間の考え方、指導目標の設定(読み書きチェックリストの活用、連携型個別指導計画の作成)の仕方、指導による達成状況の確認、指導目標を達成した後の在籍学級での支援などについても記載を充実するなど、発達障害のある児童・生徒への支援について総合的に記載しています。ーーガイドラインが発表されたことにより、支援者や保護者からどのような声がありましたか。東京都教育委員会:保護者の方や学校の先生方から、指導期間の考え方について教えてほしいといった声などが寄せられました。発達障害のある児童・生徒は、学校生活での多くの時間を通常学級で過ごしています。こうしたことからも、特別支援教室での学びを通じて、学習上や生活上の困難さを低減し、学校生活を有意義に過ごしてほしいと考えています。そのため、一定の指導期間の中で、どの程度、指導目標を達成できたのかを確実に評価すること、その上で、引き続き指導の継続が必要なのか、それとも指導を終了し、通常学級の中での配慮や工夫をしていくことが良いのかなどをしっかりと判断して実践していくことが重要だと考えています。指導期間は、一つの区切り。大切なのは、子どもの困りに着目すること出典 : ーーガイドラインの中の「原則の指導期間 は1年間とする」「延長する場合、再設定する指導期間は最長1年間とする」という指導期間について具体的に教えて下さい。それ以降は在籍できないということなのでしょうか?東京都教育委員会:そのような声が保護者の方や先生方からもありました。期間をはっきり記載したのは、「基本的に1年間しか在籍できません、最長2年間までしか在籍できません」ということではありません。1年、2年というのはあくまでも一つの区切りなので、期間を設けた上で「本当にその子が困っていることは何なのか」「指導法は合っていたのか」などを確認しよう、2年間の指導に対し、指導目標の達成まで至らなかった場合は、改めて適切な支援の在り方から考え直そう、ということです。そこでやはり特別支援教室での指導が必要であれば、再度在籍することもできます。また、特別支援教室を退室したお子さんが、やはり指導が必要だとなれば、改めて特別支援教室で指導を受けることも可能です。ーーありがとうございます。指導期間の考え方についてよく分かりました。最後に子どもたちへのメッセージをお願いします。東京都教育委員会:発達障害による困難さで、さまざまなつまずきを感じているかもしれません。また、うまくいかないなどの経験から自信をなくしてしまうこともあるかもしれません。特別支援教室は、みなさんのスキルを向上するための教室です。発達障害による困難さを少しでも低減することができるよう、先生方が寄り添ってくれます。先生方を信じて頑張ってくださることを願っています。取材協力:東京都教育委員会教育庁都立学校教育部特別支援教育企画調整担当
2022年06月14日選手の約7割は指導者の理論を欲していない では、どう伝える?株式会社カンゼンは、現在、Jリーグ大分トリニータでヘッドコーチを務める歴戦の指導者岩瀬健氏による『サッカー指導者は伝え方で決まる机上は緻密に、現場は柔軟に』を6月7日より発売いたします。『サッカー指導者は伝え方で決まる机上は緻密に、現場は柔軟に』書影内容紹介選手の約7割は指導者の理論を欲していないでは、どう伝える?歴戦のプロ指導者が明かす「ザ・現場」のリアルな手引き書プロサッカー指導者の岩瀬健氏はトップチームからスクールまで様々なカテゴリーのサッカー選手を指導してきました。サッカー指導者は、ピッチ外における「指導者の理論(ロジック)」とピッチ内における「選手の感覚(フィーリング)」に隔たりがあることを自覚しなければならない、と彼は言います。つまり、机上では緻密な理論を持つことは当然として、現場ではその理論を柔軟に伝えなければ選手は躍動してくれない――。トップチーム監督デビューとなった大宮アルディージャでの経験も踏まえながら、試合、戦術、分析、練習、育成、選手など、シチュエーションごとの最良の伝え方をサッカーライターの清水英斗氏とともに考察していきます。サンプルページ第1章ロジックは緻密に、伝え方はポップに第3章ゲーム分析と伝え方第4章練習設計の考え方対談指導者の「伝え方」を考察する岩瀬 健( 大分トリニータヘッドコーチ)×戸田和幸( 元日本代表・解説者・指導者)目次目次①目次②序章「伝える」とは何か?お互いが次に進むために/監督のキャリアに関わるターニングポイント/指導者としていかに「伝える」か1章ロジックは緻密に、伝え方はポップにロジックでは選手に伝わらない/伝えるのは指導者だが伝わる方法は相手によって決まる/ロジックを好む選手との接し方/コーチは選択肢を増やし、監督は決断をする/ズバッと変えられる勇気はあるか?/監督が仲介人を付けるケースが増えている2章サッカーの戦術とは何か?戦術が「窮屈ではない」若い選手が増えつつある/攻撃における3つのキーワード/「スペース」は必ずある、「良いタイミング」は相当な幅がある3章ゲーム分析と伝え方練習設計は敵陣、自陣に分けて考えると落とし込みやすい/相手を分析する上で攻守において目を留めるポイント/試合の「結果」を受けて伝える時に必ず注意すべきこと4章練習設計の考え方指導者は練習のメリットとデメリットを把握したい/前の試合の修正課題を指摘する際に留意すべきこと/次の試合の想定・準備には「余白」を残しておくべき?/「プレービジョンの浸透・増幅」を意識し、無機質な練習になるのを避ける/選手と信頼関係があればどんな練習でもあり5章育成に携わる者としてこれから「変わるもの」「変わらないもの」を想像する/サッカーは3つの要素を奪い合うスポーツ/選手にとって小学6年生という1年間は一生に一度しかない/指導者が「やりたいこと」と「できること」に差が生まれるワケ/依存より自立すること、大人になってから伝わること/「生」で衝撃を受けることが指導の熱量につながる6章個人、グループ、チームの関係性チームと個人の成長のバランスをどう考えるか/指導のメソッドがあるメリットとデメリット対談指導者の「伝え方」を考察する岩瀬健( 大分トリニータヘッドコーチ)×戸田和幸( 元日本代表・解説者・指導者)おわりに書誌情報タイトル:サッカー指導者は伝え方で決まる机上は緻密に、現場は柔軟に著者:岩瀬健構成:清水英斗定価:1,870円(本体1,700円+税)判型:四六判総頁数:208PISBNコード:978-4-86255-644-8発売日:2022年6月7日amazon : Rakutenブックス : 商品情報 : プロフィール岩瀬健(いわせ・けん)1975年7月8日生まれ、千葉県出身。習志野高校から1994年に浦和レッドダイヤモンズに加入。98年シーズン途中に大宮アルディージャへ移籍し、5シーズンプレーしたのち指導者の道へ。浦和のユースコーチなどを経て13年から柏レイソルの育成組織で指導。U-15コーチ、U-15監督、アカデミーダイレクターを歴任し、17年からトップチームのヘッドコーチに昇格。18年のリーグ戦残り2試合を監督として指揮。19年はアカデミーヘッドオブコーチ、2020年は大分トリニータのヘッドコーチ、21年は大宮の監督に就任するも、同年5月に成績不振を理由に解任。22年から再び大分のヘッドコーチを務めている。清水英斗(しみず・ひでと)1979年12月1日生まれ、岐阜県出身。プレーヤー目線で試合の深みを切り取るサッカーライター。著書に『サッカー観戦力 プロでも見落とすワンランク上の視点』(東邦出版)、『サッカーは監督で決まる リーダーたちの統率術』(中公新書クラレ)、『サッカー好きほど知らない戦術の常識』(小社)など。【この件に関する問い合わせ先】株式会社カンゼン営業部担当:伊藤真TEL:03-5295-7723MAIL: ito@kanzen.jp 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2022年06月03日みなさんは、お子さんが「くやしい気持ち」を抱えたときに、どのように寄り添っていますか?わが家も特別支援教室(通級指導教室)や放課後等デイサービスで、気持ちの切り替えを学んでいますが、これがなかなか難しい…。ある日、特別支援教室(通級指導教室)の活動で遊んだ「すごろく」が楽しかったから欲しいと、おねだりしてきたミミ。実際にやったことがあるゲームだったらちゃんと遊べるかなと、すぐに購入しました。弟のふーも一緒に3人でやることに。Upload By taekoいざすごろくを始めると、さっそく事件が…!ワクワクしながらサイコロを振ったミミ、うれしそうにコマを進めていきます。でも、止まったマスが非情にも「ふりだしにもどる」だったんです。「どうなるかな」と焦る私。せっかく上機嫌で遊べていたのに、癇癪が爆発してしまうのでは…。Upload By taekoミミの様子を伺うと、とても驚いたのですが、その悔しさをグッと堪えていたんです。悔しそうにしながらも、自分のコマをスタートに戻していました。その姿を見て、「あぁ、普段から教室で学んでいる気持ちの切り替えが、ちゃんとミミもできるようになったんだ!」と、思わず感激してしまいます。その何気ない小さな成長が、とてもうれしかったんです。そう、ここで終われば、ハッピーエンドの話なのですが…。Upload By taekoそして、賽は投げられた。更なる悲劇が、ミミを襲うのです仕切り直して、ミミの順番がやってきました。「どうかよいマスに止まって!」と願う私、そしてミミの手の中から放り出されて転がるサイコロ。コロコロコロコロと、永遠にも感じられる長い時間が流れます。なんと出た目はさっきと同じ、当然止まったマスは「ふりだしにもどる」でした。今度は我慢できずに、「もうヤダ!!!!!!」と泣いてすごろくのマップをひっくり返してしまうミミ。一度こうなってしまうと、もう後には戻れません。そんなミミに、親としてどんな風に接してあげることができるのでしょうか。Upload By taeko私は、「悔しいのかもしれないけれど、ひっくり返すのは悲しいよ。みんなで遊んでいるのだから、もうミミとは一緒にやりたくないと思っちゃうよ」と、正直に気持ちを伝えました。変に機嫌を取るよりも、まずはまっすぐ伝えたいと思ったんです。それでももちろん機嫌は直らないので、そのままふーと2人ですごろくを続けることにしました。ミミにももう一度遊んでほしかった私は、ここである作戦を決行します!名付けて、オーバー気味に楽しんでいる姿を見せて、思わずミミも遊びたくなっちゃう作戦。すごろくの行方に一喜一憂しながら、見事ふーが勝ちました。少し落ち着いた様子のミミに、「一緒にやる?」と聞いてみると、今度は小さくうなずいてくれました。もうあの悲劇は繰り返すまいと、今度は「ふりだしにもどる」はなしのルールに変更。最後まで楽しく遊ぶことができました。Upload By taekoすごろくに限らず、子どもたちが積み上げてきたものが「ふりだしにもどる」ような、世の中の不条理にこれからの人生の中で出合うかもしれません。そんなときにも、その「悔しい気持ち」を乗り越える力、気持ちを切り替える力を、少しずつ少しずつ育んでいって欲しいと願っています。たかが「すごろく」、されど「すごろく」。だいぶ大袈裟かもしれませんが、そんなことを考えさせられてしまいました。Upload By taeko執筆/taeko(監修:井上先生より)すごろく遊びを通じて、予測不可能なマイナスの出来事に出合ったときに、感情をどのようにコントロールしていけば良いかを学べた体験ではないでしょうか。お母さんと弟さんが遊んでいる様子を見ながら落ち着きを取り戻して、そして「ふりだしにもどる」がないように環境調整をして最後まで終われた成功体験が、今後「ふりだしにもどる」があっても大丈夫という自信になると思います。
2022年05月13日子どもたちの生きるための底力を育むーー『マンガ・コグトレ入門』「コグトレ」とは、コグニティブ(Cognitive:認知)に着目したトレーニングの略称です。コグトレには、学習面、社会面、身体面の3方面から包括的に子どもたちを支援するという特徴があります。学習面では基礎学力の土台づくり、社会面では対人スキルの向上、身体面では身体的不器用さの改善を図ります。『マンガ・コグトレ入門』では、小学校のクラスを舞台にしたマンガで「コグトレ」を分かりやすく紹介。学習面、社会面、身体面を育む計50のトレーニングが掲載されています。実際に取り組む際のポイントや留意点、子どもからよくある質問やその答え方、間違うパターンなどを一緒に紹介しているので、「コグトレ」がはじめての方も進め方をイメージすることができます。この本に掲載されている50のトレーニングは、ダウンロードして何度でも使用できます。支援者の方だけでなく、保護者の方にもおすすめの一冊です。タブレットの活用術、便利なアプリが満載ーー『教室でできる タブレットを活用した合理的配慮・自立課題』GIGAスクール構想が動き出し、全国の小中学校では一人1台タブレットを持つようになってきました。しかし、障害特性に合わせたICT活用は進んでいない現状があります。この本では、iPadを用いて、子どもが使用する際に推奨する基本設定やそれぞれの特性に合わせた設定の仕方、アプリを活用した合理的配慮のヒント、自立課題に役立つアイデアや使えるアプリを紹介しています。教室だけでなく、家庭でもすぐに活用できるアイデアが満載です。タブレット活用の基礎が分かる一冊です。脳科学によって解明ーー『ASD、ADHDの「苦手」を乗り越え自己実現』発達障害のある人の、脳の中で起こっていることを明らかにする検査は、現時点ではありません。しかしこれまでの研究で、発達障害は脳と関連しているということは分かっています。発達障害のある人が苦手なことの中には、脳の中で起こっていることを想像できるものと、脳の中で起こっていることが想像できないものがあります。この本では、ASD、ADHDというような診断名ではなく、脳の中で起こっている「苦手なこと」に着目し、脳科学でその分析と苦手を克服するためのトレーニング方法を紹介しています。「発達障害」を今までとは違った視点でとらえることができるようになるかもしれません。発達が気になるお子さんを育てる保護者の方、そして思春期のお子さんにぜひ読んでほしい一冊です。困っている一人ひとりに寄り添う場所ーー『みんなが輝くために3 (舞台は通級指導教室)』『みんなが輝くために』は、小学校の通級指導教室の日々を描いたマンガです。主人公の松平彩はあることがきっかけで通級指導教室の担当教諭になります。さまざまな困難さや、学校生活を送る上で悩みを抱えた子どもたち。主人公は、時に周囲の先生や児童の家庭とぶつかりながらも、一人ひとりに合った支援を探っていきます。第3巻は、新入学のお話からはじまります。新一年生の担任は、入学したばかりの児童にADHD傾向があることに気づきます。過去にADHD傾向のある児童を指導した経験のある担任は、通級の活用を考え、主人公である松平彩に相談します。その中で分かったのは、保育園などとの連携で学びの場が変わっても継続して支援を続けられる工夫でした。マンガの舞台となる通級指導教室は、開設から4年目を迎えます。主人公は、通級指導教室のない学校に赴き、通級指導のために巡回し、困っている子どもたちへの支援だけでなく、通級への理解を高める活動をしていきます。著者は、発達障害教育、特別支援教育を専門とする梅田真理教授(宮城学院女子大)。通級指導教室のしくみや、指導におけるねらいについての解説つきなので、マンガを楽しみながら通級指導について知ることができます。真の幸せとは。15の家族へのインタビューーー『おかあちゃん、こんな僕やけど、産んでくれてありがとう-精神障がいがある人の家族15の軌跡』この本は、精神障害のある人の家族15組が障害や困難とどのように向き合い、未来へ歩み出したのかを紹介しています。精神保健福祉領域のソーシャルワーカーとして34年間にわたり、精神障害がある人やその家族に寄り添ってきた社会福祉学博士の青木聖久教授(日本福祉大学)がインタビューをしました。15のエピソードは、自分を大切にした生き方を考えるきっかけになるでしょう。
2022年05月10日サッカーの指導者の悩みで一番よく聞かれるのが「保護者対応」。最近ではインターネットの記事や動画で情報を得る方も多くなり、サッカーの経験がない親御さんも指導者に「ネットにはこんな指導が良いと書いてあった」「うちの子は●●が得意なので■■選手のようなポジションが合っていると思います」など注文を付けてくる方もいるそうで、頭を悩ませている指導者たちも少なくないようです。サカイクでは指導者たちのリアルな悩みを聞くために、オンライン座談会を実施しました。そこで聞いた現場の声をお届けします。写真は少年サッカーのイメージ子どもが心からサッカーを楽しむために大事にしてほしい親の心得「サカイク10か条」>>■上手い子の親たちが選手起用に意見してくる3、4年生を指導するAコーチのチームでは、学年の担当コーチに対して保護者から練習方法や選手起用について口を出されることが多いのが悩みだそう。チームの結果より自分の子が活躍したかどうかを重視し、勝ちを求めるために試合のメンバーについても「あの子たちと組ませてください」「あの子は外してください」など意見されることも多く、その対応に困っているとのこと。子どもたち同士はうまい下手に関わらず仲良く練習しており、指導者としても小学生年代は楽しむことを一番に、サッカーを嫌いにならないように全員を試合に出したりしているのに、親たちの方が勝利にこだわっており、その結果チームに不満が生じアレコレ言ってくる現実があることに悩んでいると教えてくれました。■わが子のポジションを指定してくるチームを指導して22年のベテラン指導者Bさんも、近年保護者の要求が変わってきたと感じている方の一人です。海外のリーグも気軽に視聴できる環境が整ったり、インターネットの普及もあり情報があふれた最近では、子どもの得意なプレーに照らし合わせて、例えば「うちの子はドリブルが得意なのでメッシ選手のようになれるでしょうか」のように、親から見てプレースタイルが似ていると思う有名選手のようになれるか聞いてくる保護者や、「うちの子はボールコントロールが得意なのでMFが適正だと思います(MFにしてください)」など、わが子のポジションを指定してくる保護者が増えているのだそう。また、試合では「ボールを持ったらドリブルしろ」など直接プレーを指導する保護者や、チームへの要望ではなく自分の子だけに親がやってほしいプレースタイルを指示する方もいるなど「チームスポーツをしているはずなのにまるで個人競技のようになっている」と教えてくれました。わが子の試合よりも、サッカー動画を見ることが多い保護者もいるそうで、動画で切り出されたプレーを見ていることで、サッカーの流れの中でのプレーより一瞬の技術にばかり注目して、それをわが子に求める方も増えつつあることを嘆いていました。■個人偏重は指導者にも原因が?低学年を担当するCコーチは、保護者のサッカーの個人偏重には、サッカーというスポーツの理解によるものではないかと言います。パスが通った、ゴールが決まったなど、結果が見えやすい、分かりやすい部分ばかり評価されることで、サッカー経験のない保護者の方々は結果ばかりに注目してしまう。これはチームとしてのやり方にも問題があると感じる、とCコーチは言います。そこでCコーチは、結果につながる一つ前のプロセスもしっかり褒めるなど、保護者に「いいプレーとは何なのか」を理解してもらうように心がけているのだとか。また、いわゆる「お父さんコーチ」として関わる保護者コーチもいるそうで、最初は子どもがサッカーを楽しめばそれでいいと思っていたお父さんコーチが、公式戦などが始まる年代になると「勝たせたい」という思いから勝利重視に変わってしまうことがあることが残念だと教えてくれました。保護者の方が勝ちたい思いが強くて、いつの間にかレギュラーメンバーを固定してしまったりするのだそう。そして、それまでは全員で楽しめればいいと思っていた保護者の方も「勝たせるメンバー選考」に賛同してしまうことが多いのだとか。チームとしては、小学生年代は楽しませることを重視し、中学以降もサッカーを続けてもらいたいので出場時間を平等にするなどの工夫をしていることをいかに理解してもらうか、という部分で苦心していると教えてくれました。■サッカー経験者の保護者が勝利を求めてくる同じく低学年を指導するDコーチも、チームとしてはサッカーを楽しいものと思ってもらいたいという方針で指導育成に当たっているのに、保護者の中でも学生時代にサッカー部だった方(主に父親)が勝利を求めてくることに歯がゆさを感じているのだと言います。試合に勝つためにはこんな風にした方が良いのではないか、といった練習内容や戦術についての提案に留まらず、「あの子たちを出すなんて負けに行くつもりですか?」など、出場メンバーについてほかの保護者がいる前でも心ないことを仰ることに心を痛めているとのこと。もちろん、チームとしての方針があるので全員出す理由を伝えはするものの、そういった保護者の方はなかなか納得してくれず、日々悩んでいるとそのつらい心の内を明かしてくれました。■指導者はアップデートしているのに......学生スポーツのニュースというと、どうしても旧態依然とした厳しい指導や暴力暴言での被害にまつわる記事が多いので、そのようなスパルタ指導者が多いと思う方も多いのかもしれません。ですが、近年サッカーの指導者は、ライセンス更新のタイミングや、様々な「子どもを伸ばす指導」の発信により、かつての指導と同じではいけないと常に情報をアップデートしている方がたくさんいます。逆に親御さんは、学生時代にサッカーを経験していてもそこからいったん離れ、わが子がサッカーをするようになってから再び関わる際に、自分の現役時代と同じ感じで関わってしまうことが多いので、このような指導者と保護者の感覚に乖離が生まれてしまうこともあるようです。今回お伝えしたのはほんの一部ですが、指導者のみなさんが様々な事情で保護者の方への対応に苦慮していることがうかがえました。子どもにいい指導を受けさせたい、と思う親御さんは多いでしょう。しかし、子ども以外の理由で指導者になりたい人が減ってしまったら、いい環境・いい指導者のもとに置くこともできなくなるのです。サカイク10か条では、保護者の心得として「サッカーのことはコーチに任せよう」としていますが、それは「親は一切口を出すな」ということではありません。よくわからないことや疑問に思うことは質問して話し合ったり、子どもたちのために何が一番いいのかを判断して一緒にサポートするということを大事にして、親御さんもわが子のサッカーを思いきり楽しんでください。子どもが心からサッカーを楽しむために大事にしてほしい親の心得「サカイク10か条」>>
2022年04月19日大人気マンガシリーズ、今回は永遠の厄年2人組(@eiennoyakudosi)さんの投稿をご紹介!「SNSの罠で不登校になった話」第7話です。なんと自粛明けに学校に登校するとA梨さんがお兄さんに付きまとわれてると噂になっていた…!生徒指導室出典:instagram間違いないよね?出典:instagram一方的出典:instagram勘違いだろ!!出典:instagram生徒指導室に呼ばれたお兄さん。不自然にメッセージを消されお兄さんが送ったものだけが残っている証拠を突き付けられました。生徒指導の教師から罵倒され怖くなったお兄さんは無理矢理認めてしまいました…。次回の配信もお楽しみに!(lamire編集部)(イラスト/@eiennoyakudosi)本文中の画像は投稿主様より掲載許諾をいただいています。"
2022年03月10日俳優の桜田通が19日、都内で「桜田通『SMILE』CALENDAR」発売記念イベントを開催。イベント前に行われた取材会では30代になって意識が変化したことを明かしていた。本カレンダーのテーマは「SMILE」。これまであえてクールな表情に徹してきた20代のカレンダーとは打って変わって30代最初のカレンダーとなる本作では笑顔を解禁。友人に見せるような普段の桜田通の表情が見られる。20代は公の場であまり笑顔を見せることがなかったという桜田。その理由について「こういう取材ってすごく緊張してしまい、なかなか自然な表情を出すことができなかったんです」と説明すると「変に笑うとぎこちないし、そのイメージがついてしまうのはどうなんだろうと思って、20代はあえて笑顔を作らないようにしていたのですが、30代になり、なんかこだわりがなくなったので、自然体な自分でいようと決めたんです」と変化を述べる。写真集には自然体の桜田が映し出されている。特にお気に入りは8月のカット。「ポケモンセンターで撮った写真ですが、僕はミュウツーが好きで、自然と笑顔になれるんです」と笑うと「ちょうど昨年12月、僕の誕生日を迎えたあとに撮っていただいた写真なので、本当の30代の僕が写っています」と語っていた。30代になった感想について「実はそんなにうれしくなかったんですよね」とつぶやくと「もちろん年を重ねていく喜びはあるのですが、僕の仲の良い俳優仲間たちは1、2歳年下が多いので、なんか自分が先に30代になるのがちょっと嫌だなと思っていたんです。あとは、何をやっても20代だと『若いのに頑張ったね』と言っていただけていたのが、30代になると『当たり前だよね』と思われてしまうような……。若さの特権がなくなった感じがしますよね」と苦笑いを浮かべていた。20代は自分がやりたいなと思っていたことにアプローチできた時期だと語った桜田。30代は「音楽、ファッション、お芝居など一つ一つに時間をかけて深めていける10年にしたい」と意気込みを語ると「30歳になってフッと肩の力が抜けたので、もっと自由に自分らしくいられるようにしていきたいです」と抱負を述べていた。
2022年02月19日看護師でありシングルマザーでもある、まゆんさんの体験を描いたマンガを紹介します。今回は新人指導中のお話です。緊張している新人社員に指導していると「見ないで欲しいです!」と言われてしまい……。★前回:「あんたがわがままやったんやろ?」冗談付きの患者さんから衝撃のひと言 #看護師でシングルマザーな私の話 1こんにちは。自閉症スペクトラムの息子を持つ、シングルマザーのまゆんです。看護師は患者さんの生命を預かるお仕事。当然ミスがあってはいけませんから、厳しく指導することもあります。頭ごなしに怒るなんてことはありませんが、このときばかりは怒ってしまいそうになりました。そこで頭によぎったのは息子のこと。太郎がどんな職種に就くのかはわかりませんが、ミスをして指導されることもあるでしょう。そのとき彼にそれを乗り越えられるだけの力があるのか……指導者と母の心が交差して心配になってしまいました。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。★関連記事:「正直なめてた…」保健所の指示のもと、PCR検査を受けに行ったら… #新型コロナ奮闘記 #五十路日和 36★関連記事:「ついに始まる…」乳がん告知から約1カ月後、術前抗がん剤がスタート #40歳独身で乳がんになりました 11★ウーマンカレンダー連載マンガをもっと読む著者/まゆん(41歳)自閉症スペクトラムの息子をもつシングルマザー。看護師として日々働いている。Instagram:@mayun4311
2022年02月06日