いまや私たちの日常に欠かせないインターネットやSNS。便利であるいっぽうで、危険な側面があるのを誰もが感じているのでは?そこで、ある人気キャラクターがインターネット上でたどった衝撃の出来事を目の当たりにする話題作をご紹介します。『フィールズ・グッド・マン』【映画、ときどき私】 vol. 366ハッピーなキャラクターたちが繰り広げる若者のリアルな日常を描いているマット・フューリーの漫画「ボーイズ・クラブ」。カルト的な人気を博していたが、主人公であるカエルのペペが「feels good man(気持ちいいぜ)」というセリフを放ったことがすべての始まりとなる。いつからかインターネットの掲示板やSNSには、このセリフとともに“ネットミーム”として改変されたペペのイメージ画像が溢れだしてしまう。さらに、2016年のアメリカ大統領選時には、匿名掲示板「4chan」で人種差別的なイメージとともにペペが大拡散され、ADL(名誉毀損防止同盟)からヘイトシンボルとして正式認定される始末。マットの思いとは裏腹にペペの乱用は加速し続けることに……。アメリカの映画批評サイト「ロッテントマト」で96%を叩き出し、「いますぐ必見の痛烈なポリティカル・ドキュメンタリー」と絶賛されている本作。今回は、その裏側について、こちらの方々にお話をうかがってきました。アーサー・ジョーンズ監督&ジョルジオ・アンジェリーニさん本作で監督デビューを飾り、サンダンス映画祭新人賞を受賞するなど高く評価されているアニメーターで脚本家でもあるジョーンズ監督(写真・左)。今回は、マットと同じアーティストとして感じている思いや制作過程で発見したインターネットが抱える問題などについて、本作のプロデューサーであるジョルジオ・アンジェリーニさん(写真・右)と一緒に語っていただきました。―ペペの生みの親であるマット・フューリーさんが経験した一連の騒動を監督は、友人として間近でご覧になっていたそうですが、それを映画にしようと思ったのはなぜですか?監督ペペがニュースに出たり、掲示板でミームとして扱われるようになったりしてから、この騒動ついてはずっと驚かされていたんです。以前からマットとはペペについていろいろと話し合っていたので、この数年間でペペの身に起こったことについて非常に興味深く感じていました。そんななか、2016年にペペがヘイトシンボルに登録されてしまい、それによってマット自身がネオナチやオルタナ右翼なんじゃないかと勘違いしている人も増えていたので、ドキュメンタリーを作ることで「ペペを守って真実を伝えたい」「いまのアメリカの現状を世界に発信したい」と思うようになったのがこの作品を制作しようと考えた理由です。―制作の過程では、それまで知らなかった事実に直面することもありましたか?監督僕は普段あまりSNSを使わないですし、「4chan」を見たのも初めてだったので、新しい発見はたくさんありましたね。作品自体がリサーチプロジェクトでもあるので、SNSがいかに世界やコミュニケーションの方法を変えたのかという経緯や社会の変化をこの映画を通して伝えたかったというのもひとつです。そのために、SNSのコミュニティを理解するように努力したり、現代の哲学やメディア論に関する資料を読んだり、学者の方にお話を聞いたりと、多方面から調べていきました。インターネットには忍耐力を持って接することが大事―ペペが置かれている立場については、どう思われましたか?監督もうひとつ僕が驚いたのは、ペペがいかにファンたちと感情的なつながりがあるかということ。たとえば、「4ちゃんねらー」と呼ばれる4chanの投稿者であるミルズと話しているなかでも、彼らのような人たちにとって、ペペとの絆がどれほど強いのかを感じることもありました。それは、作品を作っていくなかでも、おもしろいと思った点です。―そういった一連の出来事を目撃して、インターネットやSNSとの向き合い方は変わりましたか?ジョルジオさん監督はあまりSNSをしないタイプの人なので、これに関してはこの映画の公式SNSなどを担当している僕が答えたいと思いますが、まずは忍耐力を持つことが大事だと気がつきました。今回のペペのようにインターネット上では、ネガティブな方向に用いられることもありますが、そんなときでも忍耐力を持って接していれば道は必ず開けていくということを学んだからです。―では、利用している人に向けてアドバイスがあればお願いします。監督まず頭に入れておくべきなのは、それぞれのプラットフォームはユーザーを操るためのツールであって、できるだけそこで時間を費やすように作られていたり、不安や恐怖をあおったりするようになっているということ。いま、SNSは空気のような存在とされていますが、もう少し批判的な目を向けていく必要があるのかなとは思っています。特に、この作品を通してみなさんにも考えてほしいのは、メディアリテラシーの大切さやSNSとどう接していくかということです。いかに協力して平和な社会を作れるかを考えてほしい―そのいっぽうで、いい面もあるとは思いますが、どうお感じですか?ジョルジオさんインターネットやSNSというのは、あくまでもみんなが繋がることのできる“偽りのユートピア”のような場所なんじゃないかなと思っているので、正直言って、今回の過程ではあまりポジティブな面を見つけることはできませんでした。というのも、ネットカルチャーにおいては、愛情や共感よりも悪意やヘイトの感情のほうが広がりやすいんだと感じたからです。なので、みなさんにもそういったことを忘れずに、インターネットに参加してほしいなと思っています。そして、SNSにコントロールされるのではなく、する側に立ち、いかに協力して平和な社会を作れるのかも考えてもらえたらいいなと。あとは、自分を偽ることなく、インターネット上でも自分らしさを見せることを恐れないでほしいので、そういったメッセージも受け取ってもらいたいです。―こういう作品なのでインターネット上に投稿される作品に対する感想も気になったのではないでしょうか?監督確かにネガティブなコメントを恐れていましたが、人々は驚くほどいい反応を見せてくれました。そのときに感じたのは、インターネットやSNSが与える影響について対話をする心の準備がみなさんできているんだなということ。そして、ネガティブなイメージがついてしまったものの、いかに人々がペペのことを愛しているのかを実感しました。それによって僕たちは勇気をもらえましたし、ペペが歩んできた長い旅路の一部になれたこともうれしく思えた瞬間だったと思います。ペペはアメリカ社会の鏡になっている―もしも、ペペというキャラクターが存在せず、インターネット・ミームとしてここまで利用されることがなければ、アメリカの歴史も変わっていたと思いますか?ジョルジオさんペペは社会に影響を与えるキャラクターというよりは、社会の鏡だと考えています。なので、愉快でハッピーなペペから悲しいペペになり、怒りを抱えているペペを経て、最後は暴力的になるという変化がありましたが、あれはまさにアメリカの文化を象徴していると言えるでしょう。アニメーションのなかで、ペペが見ている鏡が割れるシーンがありますが、そこでもアメリカの文化を比喩的に表現しているんですよ。ペペがいなければこの作品は生まれませんでしたが、ペペ自身が社会を変えたということはないと思います。監督だからペペがいなくても、トランプは当選していたでしょうね(笑)。―誰もがマットさんの立場になりうる可能性がありますが、同じアーティストとして活動するうえで監督も創作活動や表現の自由の難しさを感じることはありましたか?監督マットは僕よりも才能がある人なので、同じ立場になれるとは思っていませんよ(笑)。ただ、いまの世の中で漫画は消費文化だと思われているところがありますが、社会のなかで重要なアートだと僕は考えています。それまでは受け身なところもありましたが、自分自身が動くことで世の中を変えることができることを知れたので、不安や恐怖を感じるよりもワクワクした気持ちのほうが強かったですね。―これからも、ミームは影響力を増していくのでしょうか?ジョルジオさん「ミーム」というのは新しい言語だと思っているので、今後なくなることはないでしょうね。ただ、ちょっと影響力が大きすぎるという意味では問題だと思っているので、ミームに対して社会がどのように反応していくか、というのが課題なのかなと考えています。2020年の大統領選挙のときに民主党候補者を目指していたマイケル・ブルームバーグ氏もお金を払って自分のミームを作成し、影響力を得ようとしていたほど。彼のような人でもミームを意識しているんだと知り、改めてミームの力の大きさを知りました。普通に見ているだけならミームはいろんなユーモアのセンスが融合されていて面白いので、いい意味で発展してもらいたいなとは感じています。世の中にとって何がベストかを考えていくべき―今後、ミームとはどのように付き合っていけばいいと思いますか?監督これはアメリカだけではなく、世界中で起きていることですが、ミームを使って力の弱い人たちを操ろうと悪用しているケースも見られるので、それに対しては、何かしらの形で戦っていかなければいけないと感じています。―なかなか難しいことではありますが、みなが「フィールズ・グッド」と言えるようになるになる社会に必要なものは何だとお考えですか?監督まずは、オンラインに費やす時間を減らすこと。そして、プラットフォーム自体が社会的責任を負うということが大事だと感じています。そのために、プログラマーや経営者たちと多様な思考を持った人たちが集まって一緒に作り上げていくことが必要なのではないかなと。ユーザーも声を上げるべきですし、会社もグローバルな責任を持って運営をしていかなければいけないですが、とにかく世の中にとって何がベストなのかを議論しながら、プラットフォームを作り上げることが求められると思います。あとは、コミュニティのなかでお互いに力を与え合って、幸せを感じることですね。そんなふうに社会のなかで役に立てているという感情が人々をフィールズ・グッドにさせるのではないかと考えています。―最後に、おふたりが日常生活で「フィールズ・グッド」と感じる瞬間を教えてください。ジョルジオさん一番幸せを感じるのは、家族や友人、ペットと時間を過ごしているとき、それからアーサーのようなクリエイティブな人たちとの仕事をしているときですね。監督僕もジョルジオと同じで、大好きな仲間と一緒にコラボレーションして制作しているときがフィールズ・グッドな瞬間です。あとは、シャワーを浴びてさっぱりして、強いコーヒーを飲んで、好きな音楽を聴きながら犬を散歩させる時間に幸せを感じています。世界中で起きている問題にみんなで向き合う!現代社会が抱える問題や闇の実態について、人気キャラクターを通して見ることができる本作。インターネットという世界では、誰もがいつ被害者や加害者になるかもしれない危険性があるだけに、これからの付き合い方を考える意味でもいま観るべき1本です。取材、文・志村昌美痛烈な予告編はこちら!作品情報『フィールズ・グッド・マン』3月12日(金)ユーロスペース、新宿シネマカリテほかにて全国順次公開!配給:東風+ノーム©2020 Feels Good Man Film LLC
2021年03月11日“日本初の金魚すくいマンガ”として人気を博し、「このマンガがすごい!」にもランクインを果たしたことのある『すくってごらん』が待望の実写化。そこで、豪華キャストのなかから、こちらの方にお話をうかがってきました。百田夏菜子さん【映画、ときどき私】 vol. 365ガールズユニット・ももいろクローバーZのリーダーであり、女優としても活躍している百田さん。劇中では、左遷された元エリート銀行員が田舎町で出会う金魚すくい店を営むミステリアスな女性・生駒吉乃を演じています。今回は、ヒロイン役に初挑戦した心境や現場での裏話、そして自身が救われたエピソードなどについて語っていただきました。―事前に脚本を読み込んでも想像しきれない部分がたくさんあったそうですが、完成した作品を観たときは、いかがでしたか?百田さん歌や音楽の部分はどういうふうに組み込まれていくのかがわからなくて、「どんな展開になるんだろう」とワクワクしていました。撮影しているときは真壁(幸紀)監督の言葉を信じてやっていましたが、実際に作品を観たときには想像していた以上のものが映像になっていたので、驚きでしたね。改めて、監督の頭のなかはどうなっているんだろうと思ったり(笑)。でも、同時にこの作品に参加できたことをとてもうれしく思いました。―そのなかでもお気に入りのシーンがあれば、教えてください。百田さんまずは自分が出演していないシーンを観ることができたのは、楽しかったですね。なかでも、足踏みから音が始まって、歌になっていくシーンはまさにエンターテインメントだなと。ライブでも舞台でもミュージカルでもなく、それが映画のワンシーンとして急に出てくるので、構えていないと一瞬追いつかないんですけど、そんなふうに気持ちを転がされている感じも楽しいんですよね。おもしろくて、あっという間に終わっちゃった感じでした。仕草や話すテンポを意識して役に近づけていった―今回演じた吉乃は、秘密を抱えている艶っぽさのある女性でしたが、どのようにとらえて演じましたか?百田さんミステリアスで何を考えているのかがわからない女の子で、セリフに性格が表れているわけでもなかったので、言葉の裏側にどんな気持ちがあるのかを想像するのが難しかったです。しかも、とても女性らしくて、私にはない要素が満載だったので、仕草や話すテンポを意識して役に近づけていきました。吉乃の魅力をどう表現していけばいいかをずっと考えながら撮影していたように思います。今回は浴衣を着ていたので、座るときの動きや物を相手に渡すときの仕草、ピアノを弾いているときの心が解放されている表情に関しては、けっこう意識して演じました。―劇中で披露している方言の練習も大変だったのではないですか?百田さん方言は、イントネーションの録音をいただいていたので、それを聞きながらくり返しイメージトレーニング。本作にも出演している清水みさとちゃんが方言指導をしてくれたので、撮影中も教えていただきながらできたのでよかったです。以前にもドラマで関西弁を使ったことはありましたが、同じ関西でも奈良は雰囲気が全然違うので、そのあたりも勉強しました。―監督は、映画『幕が上がる』を観て以来、ずっと役者としての百田さんに興味があり、圧倒的な“光”のなか に見える“影”がとても美しいと感じていらっしゃったそうです。直接何か言われたことはありましたか?百田さん全然そんなふうに言われてませんね……。言ってほしかったです(笑)。お家で過ごすひとりの時間を大事にしている―(笑)。百田さんと言えば、キラキラした光のイメージが強いですが、ご自分で影の部分を感じることもありますか?百田さん私に対しては明るいイメージを持ってくださっている方が多いですが、実は普段は家から一歩も出ないタイプなんですよ(笑)。というのも、お家にいるのが大好きで、ひとりの時間を大事にしたいと思っているほうなので。自分のことを明るいとか暗いとか、あまり考えたことはないですが、いつも通りにしているだけなのに、共演した方から「意外とイメージと違うね」と言われたことはありますし、「そのまんまだね」と言われることもあるので、みなさんからいろいろな印象を持っていただいているんだなと。結局、自分でもよくわかっていないのかもしれないです(笑)。―では、尾上松也さんと共演した感想や印象に残っているエピソードがあれば、教えてください。百田さん松也さんと初めてお会いしたのは、本読みのとき。ただ、私が意外と自分から話しかけるのが得意ではないのと、松也さんもすごく人見知りなので、隣にいるのにお互いに真正面しか見れなくて、セリフ以外あまり言葉を交わすことができなかったんです。現場でも、最初に1対1でダンスをするといういままで経験のないシーンからの撮影で、お互いに少しどうしていいかわからないときがありました。でも、松也さんが現場の空気をすごく温かくしてくださったので、何気ない会話からだんだん打ち解けることができたと思います。実際、松也さんがいい雰囲気を作ってくださったおかげで、キャストもスタッフもみんな楽しく撮影をすることができました。松也さんの歌声はパワーがあってステキだった―そんななか、人見知りのお二人が仲良くなったきっかけはありましたか?百田さん奈良の体育館で撮影前のリハーサルをしていたとき、バスケットボールとゴールがあったので、松也さんと私とスタッフさんでフリースロー対決をすることに。一番点数の低い人がアイスをおごるというルールで、松也さんが負けたんです(笑)。そのときに「バスケやってたの?」とか「どんなアイスが好き?」とか、いろいろと話すようになってから、距離が縮まったような気がしました。―ステキな思い出ですね。撮影中の忘れられない出来事についても、教えてください。百田さん松也さんが「僕、歌います!」といきなり言って、歌い出すシーンがあるんですが、現場の雰囲気がめちゃくちゃシュールで、それがツボにハマってしまい、何度か笑ってNGを出してしまったことがありました。深呼吸をして心を落ち着かせ、何とか無事に終わりましたが、あのときは本当におもしろかったです。―実際、松也さんの歌声を聞かれてみていかがでしたか?百田さん本当にステキな歌声でした。松也さんはいつでも全力で歌ってくださるので、町全体に松也さんの歌声が届くんじゃないかと思ったほど(笑)。それくらいパワーもあってすごかったです。ただ、吉乃という役としてはその歌声が心に届いてはいけないシーンもあるなかで、松也さんの歌が素晴らしくて心に届いてしまうときがあったので、意識的に気持ちに“ふた”をしたこともありました。でも、そういうふうにすることは、とても難しかったですね。楽曲自体も本当にどれもいい曲ばかりで、魅力的だなと感じました。いつもメンバーが一番近くで見守ってくれている―この作品では、人生を救われる人たちの姿が描かれていますが、ご自身も誰かに救われた経験はありますか?百田さん具体的な言葉を挙げるのは難しいですが、仲良くしている先輩方や誰かが何気なくかけてくださった言葉に救われることは多い気がしています。あとは、私がいっぱいいっぱいのとき、メンバーが一番近くで見守ってくれていますし、みんなで賑やかにゲラゲラと笑っていられるだけでも救われているなと感じますね。覚えていないくらいくだらない話とかをしていたりするんですけど、メンバーとの何気ない日常に、私は救われているんだと思います。―特に、このコロナ禍ではメンバーの存在の大きさを改めて感じることもありましたか?百田さんそうですね。いままでも何かあるたびに、全員で話し合ってきましたが、今回もリモートで会議をした際に、いろいろな意見が飛び交っていたので、本当に心強かったです。打ち合わせのあとは、いつもメンバーだけでお互いの近況報告をしながら過ごしていましたが、人と会う機会が少なくなっている時期だったので、そういう時間にはたくさん救われました。若いうちにアクションに挑戦してみたい―お家で過ごすのが好きとお話されていましたが、お気に入りの過ごし方は?百田さん動画配信のドラマや映画を観るくらいで、全然特別なことはしてないんですよ(笑)。強いて言うなら、いろんな飲み物を作れる機械を最近買ったので、カフェラテとかミルクティーとか抹茶ラテとかを作って楽しんでいます。―今後、プライベートと仕事のそれぞれで挑戦したいことがあれば、教えてください。百田さん私は体を動かすのが好きなので、やってみたいのはスカッシュ。あとは、自粛期間中にリモートで友達からバレエを習っていたんですが、その進化バージョンとしてアクロバティックなバレエのレッスンがあると聞いたので、それをやって体幹を鍛えたいなと思っています。お仕事では、体が動かせる若いうちにアクションに挑戦してみたいですね。それから、ananさんにもまた呼んでいただけるように、これからもがんばりたいと思います!インタビューを終えてみて……。お話をしているだけで思わずこちらも笑顔になってしまうほど、キラキラと明るいオーラに包まれている百田さん。劇中で見せる大人っぽい妖艶な雰囲気とのギャップには、誰もが心をつかまれてしまいます。百田さんの新たな魅力が詰まった本作をお見逃しなく!華麗に彩られた異世界に誘われる!恋愛や人間ドラマを描きつつ、歌や踊りをポップな映像で見せるという新感覚なエンターテインメントを堪能できる本作。不思議な世界へと迷い込んだあと、気がつけばあなたの心も救われているのを感じられるはず。写真・北尾渉(百田夏菜子)取材、文・志村昌美スタイリスト:関 志保美ヘアメイク:チエ(KIND)ワンピース¥120,000(REDValentino 03-6384-3534)、シューズ¥58,000(RED (V) 03-6384-3534) ブレスレット¥96,000、イヤリング¥12,000(共にe.m. 03-5785-0760)ストーリー東京から田舎町へと左遷されてきた大手メガバンクのエリート銀行員・香芝誠。絶望的な気分で歩いていると、金魚すくいの店を営む美女の生駒吉乃と運命の出会いを果たす。ネガティブな性格と左遷のショックから心を閉ざした香芝は、仕事に打ち込もうとするが、吉乃のことが頭から離れなかった。ところが、吉乃には抱えている秘密があったのだ。香芝は、吉乃を救おうとある決意をすることに。エリート人生から外れてしまった香芝の人生と恋の行方はどうなってしまうのか……。斬新な予告編はこちら!作品情報『すくってごらん』3月12日(金)TOHOシネマズ 日比谷 ほか全国ロードショー配給:ギグリーボックス©2020映画「すくってごらん」製作委員会 ©大谷紀子/講談社写真・北尾渉(百田夏菜子)
2021年03月11日連載第174回目は、春菊を使った韓国の人気おつまみ、キムチチヂミです!今回は、豚バラ肉を使いましたがお好みで海鮮やチーズを合わせたりと、アレンジも楽しめます。おかずとしてもちょうどいい一品、ぜひトライしてみてはいかがでしょうか。『キムチチヂミ』【旬を味わう 美人レシピ】vol. 174旬食材は、春菊!爽やかな香りと程よい苦みがくせになる春菊。旬は秋から冬にかけて、11月~3月頃です。冬に葉と茎が柔らかくなり美味しさが増します。春菊はβカロテンやビタミンCを含み、また、抗酸化作用もあり、美肌効果を期待できます。お肌にいいだけでなく、免疫力UPも期待できるのでこの季節は風邪予防にも効果的ですね。また、むくみ改善や血圧を下げる働きのあるカリウムも含まれています。女性には嬉しい栄養素ですね!お鍋には欠かせない、春菊。生でサラダやスムージーとしていただくのもおすすめです。この季節、免疫力UPのため積極的に摂りいれたい冬野菜ですね。 毎日食べて美しいお肌をキープしてみてはいかがでしょうか!材料はこちら!【材料(1枚分)】白菜キムチ:100g豚バラ肉:75g春菊:1/2わ程度(生地)卵:1個薄力粉:大さじ4片栗粉:大さじ2塩:ひとつまみ水:大さじ3ゴマ油:適量(たれ)酢:大さじ1しょうゆ:大さじ1一味唐辛子:適量まず、下準備を始めます。~その1:キムチを切ります。キムチを1㎝幅程度に細かく刻みます。まず、下準備を始めます。~その2:春菊は長さ3㎝程度に切り分けます。春菊は食べやすいように、長さ3㎝程度に切り分けます。まず、下準備を始めます。~その3:たれを作ります。たれの材料(しょうゆ、酢、白ゴマ)を合わせます。お好みで一味唐辛子を加えます。では、作ります! ボウルに卵を割り入れ、生地を作ります。ボウルに卵を割り入れます。薄力粉と片栗粉を加えます。薄力粉と片栗粉を加え、混ぜすぎないように優しく混ぜ合わせます。水と塩ひとつまみを加えます。水と塩を加え、混ぜ合わせます。生地にキムチを加えます。生地に刻んだキムチを加えます。春菊を加えます。春菊を加え、さっと混ぜ合わせます。フライパンで焼きます。フライパンにゴマ油を熱し、生地を流し入れ全体に広げます。豚バラ肉を並べます。広げた生地の上に豚バラ肉を並べます。片面3~5分程度焼き色がつくまで焼きます。片面に焼き色がついたところで裏返します。裏返し、裏面も3分程度焼きます。フライ返し等でフライパンに押し付けながら、両面にしっかりと焼き色がつくまで焼きます。最後にゴマ油を鍋肌から加え、焼きます。両面に焼き色がついたところで、鍋肌からゴマ油を加え、カリっと焼き仕上げます。焼き上がったらお好みの大きさに切り分けます。おいしさのアレンジポイント春菊の代わりにニラや青ネギ等でも美味しく仕上がりますよ。お好みでミックスシーフードや、チーズを加えるのもおすすめです!
2021年03月10日婚活で約1000人の男性と出会い、年下夫を射止めたライター・かわむらあみりがお届けするコラム【結婚引き寄せ隊】連載第67回は、婚活していると出会う“男性”についてのエピソードです。なかでも、いまでも印象に残っている「婚活男性3選」その22をお届けします。1.カッコよすぎる男【結婚引き寄せ隊】vol. 67それは異業種交流会に参加したときのこと。そもそも男女の出会いをうたっているものではなく、仕事においての人脈を広げるために、自分とは違う職業の人たちや普段は知り合うことのない年代の人たちとの交流が目的とされている会ではありますが、だからこそ婚活パーティでは出会わないタイプが参加しているのです。のんびりと婚活している女友達は、「幅広い交流が目的の場だから、あまりガツガツしてなくてちょうどいいかもね」という感じ。私も“ザ・婚活”という場所にはさんざん出向いているので、たまには異業種交流会のようなところに行ってもいいかと考えました。そこで知り合った人と直接どうこうなくても、その男性の会社の人を紹介してもらうなど、その先にはまた出会いが待っているかもしれませんし。いざ会場に足を運ぶと、なんとまあ大盛況。パッと見た感じ、きちんとビジネスモードで会話している男性同士もいれば、女性に声をかけてナンパしているように見える出会い探しっぽい男性もいるなど、さまざま。ちょっと圧倒されて会場のすみっこのほうにいた私たちに、「楽しんでますか?」と話しかけてくれた男性がいました。その男性は、30代半ばぐらいでスラッとした印象で背が高く、さっぱり系のイケメン。「どこから来たんですか?」「こんな仕事をしています」などと、普段の様子を会話していたら、だんだんとリラックスしてきました。連絡先を交換すると、「今度3人で遊ぼうよ」と言ってくる男性。3人で? と思っていると、さっぱり系イケメンにサッと忍び寄り腕にからみつく女性が出現し、「いつココ抜け出すの?」とうるんだ瞳で聞いているではないですか。男性は、「じゃ今から!」と言って、私たちに「また連絡しますねー」と言い残して去っていきました。あっという間の出来事にあ然とした私たちは、顔を見合わせて「これだからカッコいい人は信用できないね……」と(そうでない人もいるでしょうが)、ソッコー連絡先を削除したのでした。2.笑わない男それは婚活サイトで出会いを探していたときのこと。各会社によって少しずつ仕様は異なりますが、だいたいの婚活サイトでは、希望条件を入れて、それに見合った人たちがリストアップされてくるようになっていました。そんななかで、「なかなか楽しいことがないので『お笑い番組』をよく観る」という、40代のサラリーマンの男性が目に留まりました。私は大阪出身のため、小さいときから吉本のお笑いに慣れ親しんでいますし、一時期NSC(吉本興業のお笑い芸人養成所)に入ろうかと考えていたこともあるほどお笑いは好きなので、話が合うかなと思ったのです。そこからその男性とメールでのやりとりが始まりました。「こんな番組が楽しかった」とか、お笑い番組のことを織り交ぜながら、何度かやりとりが続いたので、実際に会うことに。すると、あんなに盛んにメールしていたのは別人?というほど、おとなしい男性……。こちらが場の雰囲気をこわさないようにと、和ませるようなことを言っても、まったく笑いません。ずっと無表情で、ときどき「ああ」「はい」などと返事をする程度で、ほんの1時間ぐらいのお茶の時間がものすごく長く感じて、ドッと疲れてしまいました。お笑いが好きとは言っていたけれど、それは笑い下手だから?ずっと一緒にいるのは無理だなあと。初対面だとなおさら、作り笑いでもいいから、相手を気遣える対応をしようと、その男性を見て思ったのでした。3.こだわりが強い男それは30代と40代が集まる婚活パーティに参加したときのこと。フリータイムをメインとしたそのパーティ会場では、最初の自己紹介のときをのぞいて、自分が気に入った人に話しかけにいくようなシステムになっていました。それほど気になる男性がいなかったので、とりあえずどうしたものかと思っていたら、近くにいた40代後半ぐらいの男性が話しかけてきました。あらためて自己紹介をして、仕事のことや趣味などいろいろと話していると、その男性はバツイチで「今日は真剣に再婚相手を探しに来たんです」とのこと。「そうなんですね〜」と話を聞いていると、たぶん、ずっと会話する相手がいなくてしゃべりたかったからか、怒涛の勢いで自分の話をしてきます。「結婚するならこんな人がイイ」という、その男性が希望する女性の条件が高すぎて、強いこだわりを感じました。それに「前の妻と違うタイプの人なら絶対うまくいく」と考えているようで、気合が入っているのはわかるものの、過去に縛られながら相手探しをしているためか、話しているとだんだんと疲れてしまいました。運良く他の女性が、その男性に話しかけてきたタイミングで、やっと解放されてひと安心。でも、その男性と接してみて、自分でも気づかないうちに自分語りをしすぎているかもしれない、気をつけようと思ったのでした。婚活していると、いろいろなタイプの人たちに会うこともあるかもしれません。くれぐれも、みなさんもお気をつけて、いい恋をしてくださいね。©MangoStar_Studio/Gettyimages©PeopleImages/Gettyimages©AaronAmat/Gettyimages文・かわむらあみり
2021年03月08日テレワークが増えた今。新たにお洋服を買うならオフィスカジュアルにも対応できる優秀アイテムがほしくなりますよね。しかし昨今のオフィスルックは年々カジュアル化が進行中。そのため、どの程度のカジュアルさ、どの程度のきちんと感があれば良いのかアイテム選びのさじ加減が難しいところ。そこで今回は、人気アイテムの中からオフィスカジュアルにOKな服、NGな服の2パターンをご紹介します。【NG】カットアウトトップスここ数シーズンほど、ファッション界ではデザイン性に富んだトップスが流行しています。よく見かける「パフスリーブアイテム」などの袖コンシャスなトップスは、トレンド中のトレンドですね。そこに加えて新たに登場したデザイントップスが「カットアウトトップス」。シルエットはなんてことはない普通のカットソーなのですが、デコルテや肩のラインなどが部分的にカットされたデザインのことをカットアウトトップスと言います。ハイブランドのコレクションでも多く登場していたので、その影響から多数のアパレルショップでも展開され始めています。シンプルな着こなしに程よいスパイスを与えてくれるのがカットアウトトップスの魅力ではありますが、部分的な肌の露出はオフィスルックでは厳禁。とくに胸や肩に視線が集中するようなアイテムは公的な場面においては過度にセクシャリティを感じさせてしまうので控えておきましょう。テレワーク中のオンライン会議ではとくに上半身しか見えないので部分的な露出があると余計にそこに人の視線が集まりますので気をつけて。【OK】ダンボールニットトップスジワジワと浸透している、ダンボールニットトップスも実はオフィス向きのアイテム。この名前を聞いたことがなくても、アパレルショップで触れたことがあるという方は多いはず。というのも、ダンボールニットと公表はしていませんが、UNIQLOに登場した人気アイテム「ウルトラストレッチ ドライスウェットプルパーカー」の不思議なあの手触りこそ、ダンボールニット独特の手触りだからです。ダンボールニット製法とは、縫製がダンボールの断面のような形をしていることから名付けられています。生地と生地の間に空洞があるのでとにかく見た目はふっくらしているのに軽い!手触りはスウェットのようなジャージのようなツルツルとしたもの。ふっくらしたフォルムなのに着ると立体的なシルエットを生み出すため、着やせ効果も高いんですよ。さらにほんの少し光沢感があるのでキレイめに見える優秀さ。シワにもなりにくいのでテレワークにも最適です。「ダンボールニット トップス」で検索をかけるとオシャレなアイテムが見つかるので、ぜひチェックを。オフィスコーデはデザインより、素材でトレンドを拾う!トレンド感のある着こなしをしつつも、オフィスカジュアルで浮かない服装。これって実はけっこう難しいバランスですよね。トレンドの服装は基本的に個性が強いデザインが多いので、選ぶアイテムによってはオフィスシーンでは浮いてしまいます。なので、賢く取り入れるならトレンドのデザインよりも、トレンドの素材を取り入れるのが正解。今回ご紹介したようなダンボールニットのほか、シアー素材(透け感が出すぎるのは注意!)やサテン素材などもOKです。ツヤや滑らかな手触りの服は基本的にオフィスカジュアルに最適ですので、ぜひこれを機に手にしてみてくださいね。イラスト、文・角佑宇子イラスト・角佑宇子
2021年03月05日連載第173回目は、ブロッコリーを使った、とっても簡単にできちゃうパスタメニューをご紹介します。ニンニクの風味と唐辛子のピリッとした辛みがくせになるお味ですよ。材料もシンプルなのでぜひ作ってみてはいかがでしょうか。『ブロッコリーとしらすのパスタ』【旬を味わう 美人レシピ】vol. 173旬食材は、ブロッコリー!1年を通してスーパーに並び年中楽しめるブロッコリーですが、旬は11月~3月に迎えます。緑黄色野菜として親しまれているこちらには、ビタミンCがたっぷり含まれています。たった2~3房程度食べるだけで1日分のビタミンCを摂取できると言われ、レモンよりも多く含まれているのです!そのほか、β-カロテンも豊富に含まれ、ビタミンCとの相乗効果で風邪に負けない身体づくりに役立つでしょう。抗酸化物質も多く含んでいるので美容にも効果があります!また芯の部分にも食物繊維がたっぷり含まれ、腸内環境を整えてくれますから捨てずに利用しましょう。温野菜としてゆでるだけで美味しくいただけるブロッコリー、ぜひ旬のこの時期に取り入れてみてはいかがでしょうか。材料はこちら!【材料(二人分)】パスタ:150g前後ブロッコリー:1/2房程度しらす:50g程度ニンニク:1かけ唐辛子:2本アンチョビペースト:小さじ1/2オリーブ油:大さじ3塩:ふたつまみ程度~コショウ:適量(パスタゆで用)お湯:約2~3L塩:大さじ2(仕上げ用)塩:適量コショウ:適量まず、下準備を始めます。~その1:パスタをゆでるためのお湯を沸かします。大き目の鍋にお水をたっぷり入れ、パスタをゆでるためのお湯を沸かします。まず、下準備を始めます。~その2:ブロッコリーとニンニク、唐辛子を切りわけます。ブロッコリーは小房にわけます。ニンニクは芯を除き薄切りにし、唐辛子は斜め半分に切り、種を除きます。では、作ります! お湯に塩を加えます。沸かしたお湯に、塩を加えます。まずブロッコリーをゆでます。パスタを茹でる前のお湯でブロッコリーをゆでます。約5分程度、長めにゆでます。いったん取り出します。5分程度ゆでたらいったん取り出します。同じお湯でパスタを加えゆでます。パスタは、袋の表示ゆで時間のマイナス2分程度の時間でアルデンテに仕上がるようにゆでます。同時にオイルソースも作ります! フライパンにオリーブ油とニンニクを入れ火にかけます。パスタのゆで上がりと同時に仕上がるようにオイルソースも作り始めます!フライパンにオリーブ油とニンニク、唐辛子を入れ弱火にかけます。ブロッコリーを加え炒めます。ニンニクの香りが立ってきたらブロッコリーを加え炒めます。パスタのゆで汁を加え、ブロッコリーを崩しながら炒めます。パスタのゆで汁を大さじ2程度加えます。フライ返し等でブロッコリーを小さめに崩しながら炒めます。アンチョビペーストと塩を加えます。アンチョビペーストと塩を加え、ゆするように混ぜ合わせます。パスタを加えます。水気をしっかりと切り、加えます。パスタがゆで上がったら、水気をしっかりと切り、フライパンに加えます。続けてしらすを加えます。しらすを加えます。手早く混ぜ合わせます。手早く混ぜ合わせます。塩で味を調えます。手早く絡め、味をみて塩を加え、味を調えます。器に盛りつけます。器にこんもりと盛りつけます。お好みでコショウを散らします。おいしさのアレンジポイント!しらすの塩味により、加える塩の量は調整してください。仕上げに、しょうゆを小さじ1程度加えるとちょっぴり和風になり、また美味しいですよ。写真、文・料理家 SHINO
2021年03月04日ドイツで開催されたマンハイム・ハイデルベルク国際映画祭で二冠に輝いたのをはじめ、海外の映画祭で高く評価されている映画『ターコイズの空の下で』。今回は、日本・モンゴル・フランスによる合作としても注目を集めている本作の魅力について、こちらの方にお話をうかがってきました。主演の柳楽優弥さん【映画、ときどき私】 vol. 366劇中では、裕福な家庭で自堕落な生活を送っていた青年タケシを演じた柳楽さん。本作は、タケシがモンゴル人男性アムラとともに、生き別れた祖父の娘をモンゴルの草原へと探しに行く旅を描いたロードムービーとなっています。そこで、モンゴルでの忘れられない思い出や30歳となったいまの心境などについて語っていただきました。―まずは、モンゴルに到着したときの印象はいかがでしたか?柳楽さん最初に飛行機で5~6時間かけて首都のウランバートルに行ったんですが、そこから遊牧民の移動式住居であるゲルがある場所に行くまで車で9時間。まずはその移動時間の長さに、一番びっくりしてしまいました。こんなに遠いんだなと。しかも、途中で運転手さんが砂漠で道に迷うこともあったのでかなり不安になりましたが、「あっちの木のほうかな?」みたいな感じでなんとか到着した感じでした(笑)。―いきなり映画と同じような経験をされたんですね。撮影はどのように進められましたか?柳楽さん台本にはあまり詳しく書かれておらず、その場に合わせて即興的に変わっていくようなタイプの現場でした。20代はキャラクターっぽい役柄が多かったので、今回はいい意味で自分自身と向き合えるような作品だなと。そのなかで、自分の弱点に気づかされることもあったので、どうしたらもう少し理想に近づけるのかについて考えるように意識していました。―今回は、どちらかというと事前に作り込めない役どころだったと思いますが、柳楽さんとしては演じやすいものでしたか?柳楽さん僕はガチガチに決まっているよりも、その場で演出していただけるほうが好きですね。デビュー作の『誰も知らない』がそういう演出で、それを最初に経験したからかもしれませんが。KENTARO監督もカメラの横からセリフや動きを指示してくださる方だったので、僕としてはすごく心地よかったです。20代で築き上げてきたものや考え方を一旦置いて、10代の頃のいい感覚を思い出せたように感じました。自分が好きだったものを改めて振り返ることができる時間になったと思います。この作品で前よりも少し大人になった―モンゴルでの撮影を経て、ご自身で変化を感じる部分があれば教えてください。柳楽さん何週間も携帯をまったく使えない場所で自分と向き合うしかなかったので、新しい挑戦でしたね。いままでとは少し違う角度から物事が見れたこともあり、視野が広くなったような気がしています。なので、モンゴルに行ったあとは、前よりも少し大人になったかもしれません。―今回は、ご自身にとって初の海外合作となりましたが、いかがでしたか?柳楽さんとにかくモンゴルに行ってみたくて参加しました。キャストやスタッフが5か国くらいから集まっている現場は初めてでしたし、いろいろな言語が飛び交っていて興味深かったです。監督が商業的な作品にしたくないとずっとおっしゃっていたので、僕も力まずに自然体でいることができました。最近は演技をしない感じを求められることはあまりなかったので、そういう意味でも楽しかったです。今回の現場で僕にとって一番大きかったのは、やっぱりKENTARO監督との出会いだと思います。―その監督は柳楽さんのことを「ソルジャー」と呼んでいるのだとか。柳楽さんそうなんですよ、監督は僕のことを「ソルジャー」とか「アニマル」とか言ってますね(笑)。監督は本当におもしろい方で、僕のツボにハマっているので、ぜひみなさんにも知っていただきたいです!KENTARO監督は信頼できる大好きな人―KENTARO監督は、海外育ちで4か国語を操る国際派俳優としても活躍されている方ですが、柳楽さんにとってはどんな存在ですか?柳楽さん頭がよくて、たくさん引き出しを持っていらっしゃる方なので、現場でもいろいろなこと教えていただきました。いまでは違う現場にいても、相談してしまうくらい頼りにしています。この前も「恐怖心があるのは当たり前のことだよ。だから、現場に行くときは剣を持って行くんだ!その剣がズタボロになっても、血だらけになっても、立ち向かわないといけないんだよ」と熱いアドバイスをいただきました。そんな感じで励ましてくださるので、話をしていると心が落ち着きますし、元気をもらえます。―いまでは作品を超えて相談できるお兄さんのような方なんですね。柳楽さんこれまで監督にそういうことを相談することはあまりありませんでしたが、KENTARO監督は俳優をされていることもあり、的確なことを言ってくださるので、本当に信頼しています。嫌なものは嫌だとはっきりしていている方ですが、オープンでもあるので、今回の現場でもいろいろと話し合いをさせていただきました。リーダーとしても心強かったですし、尊敬もしていますが、とにかくおもしろいので大好きです。―監督から影響を受けていることがあれば、教えてください。柳楽さん自分の意見をきちんというところや前向きなところは、見習いたいなと思っています。あとは、マメ知識がすごいんですよ。たとえば、乾杯するときに監督は目を見ないと絶対に嫌な人なんですが、昔のフランスでは割れないコップで乾杯をしていたので、強く乾杯してしずくを飛ばし、「お前は毒を入れてないよな?」と確認するために、お互いに目を合わせていたそうです。僕の目を見ながらフランス語で乾杯という意味の「サンテ!」を何度も言ってたのがおもしろくて……。そういうたぐいの話をたくさんしてくださったり、ダライ・ラマからもらったオオカミの爪をお守りに持っていたり、とにかく謎だらけの人です(笑)。実は年齢も本名も知らないんですけど、あえて聞かないのもおもしろくなってきているので、本当に独特な関係性だと思います。日本で当たり前のことも、当たり前ではないと知った―(笑)。では、共演したモンゴルの俳優陣からも刺激をもらったことはありましたか?柳楽さん日本とは違うな、と感じることはたくさんありました。モンゴルの俳優たちは、セリフで説明するよりも、表情だけで感情を表現する演技をされる方が多いです。そういうところは僕も憧れる部分なので、学ばせていただきました。日本では当たり前と思う感覚も、当たり前ではないと知ることができたので、それは合作映画ならではだと思います。そのほかに印象に残っているのは、みなさん体が大きくて、すぐにお相撲を取り始めること(笑)。あとはずっとウォッカを飲んでいることと、女性が強いことですね。今回共演したツェツゲ・ビャンバさんはモンゴルでは有名な女優さんですが、とにかく強くてかっこいいんです。僕がご飯屋さんで怖い人に絡まれていたとき、彼女が後ろからひと言発しただけで、体の大きな男たちが「すみません!」と言って、いなくなりましたから(笑)。―すごいですね。旅を一緒に続けたアムラ役のアムラ・バルジンヤムさんは、ハリウッドに進出されている俳優でもあります。何かアドバイスをもらったこともありますか?柳楽さん彼は「この人に言えば何でも解決する」と言われているほどモンゴルの映画界を背負っている存在で、みんなから「兄貴」と慕われていました。僕はモンゴルの歴史や馬の乗り方を教えていただいたことが印象に残っています。モンゴルでは絶対に負けたくないという気持ちが全面に出ている方が多くて、「ケンカの強い人が偉い」みたいな感じなので、そういうところもおもしろかったです。ただ、みなさん語学は堪能ですし、頭のいい方が多いので、勉強をすごくしているんだなと感じました。―撮影中に衝撃を受けたことといえば?柳楽さんバイクが爆発するシーンですね。本当に爆発させているので1回しかできないですし、破片が飛んで来たりして怖かったです。でも、そのときに監督を見たら、葉巻を吸いながらクレーンに乗って自分でカメラを回していて……。その姿がとにかくおもしろかったです。あとは、本物のオオカミと対峙するシーン。「それじゃあオオカミ逃げちゃうんじゃないの?」みたいな細い糸でオオカミを繋いでいたので、それも怖かったですね。どれも日本ではなかなかできないことばかりだったので、すごく新鮮でした。海外には挑戦できるならこれからもしたい―モンゴルに滞在中は、どのような生活をされていましたか?柳楽さんゲルで過ごしていましたが、大きなネズミやプレーリードッグが出入りしていましたね。あと、共同シャワーは3つあるけど、ひとりが使っているとほかの2つは使えないとか……。なかなか行けない場所ではありますが、1回で堪能できたと思うくらいの経験をさせていただきました。―食事も日本とは違うものだったと思いますが、いかがでしたか?柳楽さんプレーリードックを食べたときは衝撃的でしたが、縁起のいい食べ物で、お客さんを招いたときなどに食べる習慣があるそうです。ただ、首を切ったあとに内臓を取り出して、熱した石をなかに入れてジューッと焼く調理法が斬新で、最初は少し怖かったですね……。でも、「これを食べたら仲間!」みたいな感じだったので、おいしくいただきました。―ちなみに、味はどのような感じだったのでしょうか?柳楽さん少しけものっぽくてクセがありましたが、普通においしかったです。今回は、アムラさんの知り合いのシェフが現場にずっといてくださったので、毎日おいしいご飯をいただくことができました。―海外でさまざまな経験を積んで、今後も海外の作品に挑戦したい気持ちが強くなったのでは?柳楽さんハリウッドに対する憧れはありますけど、日本や海外に関係なく、今後もKENTARO監督のようなかっこいい人とこれからも出会っていきたいです。とはいえ、もちろん挑戦できるならぜひしたいとは思います。―30歳を目前に自分探しをする劇中のタケシに共感する部分もあったと思いますが、ご自身も30代に突入してみていかがですか?柳楽さん20代までは仕事を立て続けにやることが“正義”だと思ってましたけど、30歳になったのが2020年で、強制的にいろいろなことが中断されたので、改めて自分と向き合える時間を持つことができました。その間に食事の資格や船の免許を取ることもできたので、それはそれでいい時間になったといまは思っています。ひたむきさを持ちつつ、余裕のある俳優になりたい―そういう時期だからこそ、いままでできなかったことができたんですね。柳楽さんそうですね。家族と過ごしたり、資格を取ったりした以外にも、俳優としてもいろいろな欲が出てきたので、大切な時間だったんだなと。この作品のように、旅に出ることで出会いや学びを得ることもありますが、休みのなかからも意外と学べることは多いんだなと考えるようになりました。あと、いまは釣りにハマっているので、釣竿を買って、早く釣りに行きたいですね。共演者の方にも釣りをする方は多いので、一緒に行けるようになったらいいなと思っています。釣りは時間の使い方がぜいたくなところがいいですよね。―数年前にお話をうかがった際に、30代になったら自分に向いたものを多くやりたいとおっしゃっていましたが、30歳を迎えてその思いは強くなっていますか?柳楽さん20代の頃のようにすべての作品に同じようにエネルギーを注ぐというよりも、30代は好きな作品により集中できるようにしたいなとは思っています。トニー・レオンが好きなので、『花様年華』みたいな映画にも出てみたいなとか。30代だからこそ、演じられるような役と作品に出演したいですね。―この1年は、環境的にも大きな変化を感じたと思いますが、支えになってたものは何ですか?柳楽さんやっぱりエンタメですね。『愛の不時着』や『HUNTER×HUNTER』にハマってしまって、ワクワクしながら観てました。これだけひとつのワードが世界中で使われて、同じレベルでいろいろなことを感じている時代なんて、ここ最近ではなかったことなので、いまはみんなで一緒に乗り越えていくしかないのかなと思っています。―そのなかで柳楽さんの作品に救われた人もたくさんいると思いますが、俳優としてできることについても考えたことがあれば、教えてください。柳楽さんやっぱり俳優としてのあり方みたいなものはすごく考えました。もうすぐ31歳になるので、20代の頃のようなひたむきさを持ちつつ、余裕のある俳優になりたいです。そのなかで、僕が出た作品をみなさんに観ていただき、それがみなさんの支えになったらうれしいなと思います。インタビューを終えてみて……。どんな質問にも、気さくに優しく答えてくださる柳楽さん。モンゴルでの思い出とKENTARO監督について、とにかく楽しそうに話す姿に、こちらまでたくさん笑わせていただきました。本作の裏側を思い浮かべながら、柳楽さんと一緒に旅を体感してみてください!圧倒的な自然と熱演に引き込まれる!モンゴルならではの壮大な自然のなかで繰り広げられる唯一無二のロードムービー。言葉も文化も世代も超えて生まれた絆が、新たな気づきを与えてくれるはず。タケシとともに、“未知の自分”を探しに行ってみては?写真・角戸菜摘(柳楽優弥)取材、文・志村昌美ストーリー資産家の祖父に甘やかされ、自堕落で贅沢三昧の暮らしを送っていたタケシ。そんなある日、祖父によって、モンゴルに送り込まれることとなる。目的は、第二次世界大戦終了時にモンゴル人女性との間に生まれ、生き別れてしまった祖父の娘を探すことだった。タケシはガイドで馬泥棒のモンゴル人男性アムラとともに、モンゴルの草原へと向かうことに。言葉も通じない、価値観も異なる2人の旅が始まろうとしていた……。魅了される予告編はこちら!作品情報『ターコイズの空の下で』新宿ピカデリーほか全国順次公開中配給:マジックアワー、マグネタイズ© TURQUOISE SKY FILM PARTNERS / IFI PRODUCTION / KTRFILMS写真・角戸菜摘(柳楽優弥)
2021年03月02日まだまだ寒い日は続くものの、春気分に浸り始めるこの時期。気持ちが春に向かうと自然と春服がほしくなりますよね。とはいえ実際に春服に手を出すのはちょっと躊躇しませんか?先物買いするのって勇気がいるものです。そこで今回オススメするのは、冬服で春っぽさを出す着こなしテクニック!ほんの少し意識を変えるだけで春感が出るのでぜひ試してみてくださいね。オーバーシャツ+ハイネックニット冬はニットの季節。寒い日が続く今も手放せないアイテムですよね。そんなニットを厚手素材から薄手素材に切り替えるだけで春っぽいコーデに切り替わります。例えば、ハイゲージのタートルネックセーター。これに上からオーバーサイズのシャツをON!ニットをシャツの上から着ると冬コーデになりますが、シャツの下に薄手のニットやセーターを仕込むと春コーデに切り替わります。外側から見えるアイテムがニットなのかシャツなのかで見え方が大きく変わるのですね。薄手ニットは厚手ニットに比べて暖かくないというイメージもありますが、実際にはそんなことはありません。素材が薄いぶん体に服が密着するので、しっかりと暖かさを保持できますよ。もちろん温感インナーをお忘れなく。さらに上からシャツをレイヤードすると防寒効果も高まります。ボトムはパンツとブーツで隙間風対策をし、冬アウターを着れば気温10℃前後の真冬でも怖くないはず!冬アウター+デニムジャケットまだまだ手放せない冬のあったかアウター。これにニット、厚手のボトムスにブーツといった全身が暖かい素材で構成される冬コーデですが、そこにプラス春っぽさを感じられるアイテムが投入されるだけで、だいぶイメージが変わります。その春っぽいアイテムというのはさまざまですが、手っ取り早く、そして流行に左右されないデニム素材が一番使い勝手がよくてオススメですね。冬アウターのインナーにデニムジャケットを仕込むだけで見た目が少し明るくなります。とくに最近のアウターはゆるっとしたオーバーサイズが多いので、デニムジャケットを合わせてもアウターに響きにくいのが利点。お手持ちの冬アウターにゆったりシルエットのコートがある場合は、ぜひデニムジャケットをインしてみて。ボトムスは揺れ感のある柔らかい素材のスカートやパンツを重ねて軽やかさを出すとより春らしい着こなしに。寒い日でも春コーデは楽しめる!春素材だから冬の今はまだ着られない……という考え方はもう必要なし!厚手素材のアイテムやインナーの組み合わせで薄手素材は今からでも着られますし、重ね着の工夫次第でいくらでも春っぽさを表現することはできます。また薄手素材の春服を使わずとも、ニットやアウターの色を明るく華やかな色に切り替えるだけでもOK。素材は冬だけれど、色みは春を意識すればそれで十分春コーデになりますよ!ぜひ、今からできる春コーデに挑戦してみてくださいね。イラスト、文・角佑宇子イラスト・角佑宇子
2021年02月28日1児のママでもあるライター・かわむらあみりがお届けするコラム【ママライフばんざい!】連載第25回は、卒園後、変化していくママ友付き合い3選をご紹介します。1.物理的に会わないので疎遠になる【ママライフばんざい!】vol. 25春は、保育園や幼稚園を卒園するシーズン。お子さんが小学校以上になると、それほど濃くはならないというママ友付き合いですが、幼少時のママ友付き合いは良くも悪くもけっこう濃い関係性という方も少なくありません。お子さんの保育園や幼稚園は同じでも、その後、同じ地域の小学校に進学するとは限らず、隣の学区の小学校に通う場合や私立や国立などを受験する場合も。家庭によって、その後の進路が変わってくるため、物理的に学校が遠くなって顔を合わせなくなると、自然とそれまでのママ友とは疎遠になることが多いようです。進学後は、同じ小学校のママ友付き合いや学校行事などもあり、幼少時のママ友よりも小学校でのママ友付き合いにシフトしていくことも。2.以前と変わらずに仲良くする疎遠になるママ友がいる一方で、以前と変わらずに仲良くし続けるママ友付き合いもあります。同じ小学校に進学するママ同士だと、幼少時からの付き合いがあるため、学校について本音が話しやすく、お互いの子どもが成長する姿を確認しあえて仲が続きやすいようです。とはいえ、まったく別の地域の小学校に進学するママ友でも、保育園や幼稚園時代にとくに仲良くしていたママ友の場合は、会う時間を作ってその後も集まったり、連絡を取り合ったりしてママ友付き合いが続く場合も。ずっと関係性を続けるか続けないかは、幼少時のママ友同士の付き合い方がどれだけのものだったのか、それぞれの環境やママの判断によって決まっている様子。3.あえてママ友関係を整理する幼少時は、保育園や幼稚園でよく顔を合わせていたママ友たちと、その後もどう続くのかは環境などにもよりますが、なかにはあえてママ友関係を整理することも。そういう場合は、通っている園にママ友の派閥があったり、グループが決まっていたり、意地悪なママ友がいたりと、何かしら疲弊してしまうママ友付き合いがあるようです。または、そういったことがなくても、もともとグループでの行動がニガテなママだと、ママ友同士でのおしゃべり会などはなるべく避けたい気持ちが強く、あえてママ友関係には近寄らないという場合も。ママになったからといって、無理にほかのママと懇意にしなくてはいけないわけではありませんから、それぞれの家庭やママの状況に見合う選択ができるといいですよね。ママになっても、さまざまな場面での選択がありますが、親子で一緒にすこやかなママライフが送れますように!©FatCamera/Gettyimages©SDI Productions/Gettyimages©Hakase_/Gettyimages
2021年02月28日婚活で約1000人の男性と出会い、年下夫を射止めたライター・かわむらあみりがお届けするコラム【結婚引き寄せ隊】連載第66回は、つい相手の男性のテンションを下げてしまうNG行動を3つご紹介しましょう。1.相手の話を聞かなすぎる【結婚引き寄せ隊】vol. 66好みの男性と出会えるだけでも運がいいかもしれない、恋活や婚活の世界において、せっかくのご縁を逃してしまいがちな女性の特徴があります。しかもそれを気づかないうちにやってしまい、相手の男性のテンションを下げてしまっているとしたら、こんなにもったいないことはありません。そんなNG行動のひとつめは、相手の話を聞かないということ。女性同士が集まって女子会をしているならいいんです、でも、同じペースで男性とも接してしまう人は要注意。もしも相手の男性が黙って話を聞いてくれているように見えても、内心「話が長いなあ」「いつまで自分のことばかり話しているんだろう」とうんざりされている場合があります。例外はあるものの、だいたいにおいて男性は事実を簡潔に話すタイプが多く、女性はただ自分の思いを聞いてほしいタイプが多いですよね。付き合っているならまだしも、出会ってすぐの関係で、自分の話ばかりしてしまったり、話が長かったりしていないか振り返りましょう。2.相手に合わせすぎる出会いを探していると、いろいろなタイプの男女と知り合うことがあります。なんでもひとりでテキパキとこなすキャリアウーマンタイプの女性よりも、人気があるのは、ほどほどに働いて男性をサポートしてくれるような女性です。とはいえ、あまりにもサポート役に徹しすぎるような女性は、あまり求められていない印象。仕事において前に出過ぎないポジションにいるなら、職場で役割をまっとうするぶんには構わないのですが、プライベートでも相手の意見に従っているだけだと、男性はちょっと味気なく感じるのかもしれません。自分に合わせてくれる女性は、男性にとってラクな存在ではありますが、自分で考えて行動していない印象があるのか、向上心がない女性だと思ってしまうようです。実際には、男性のことが好きだから相手好みになりたくて合わせている場合もあるでしょうが、そこまでの意図をわかってもらえないことも。例えば、「の資格を取りたい」といった趣味でもいいので、何かに向かって努力している姿を見せると、また印象が違ってくるかもしれません。3.SNSを意識しすぎるいまは、ごく当たり前に誰もが使っている、SNS。ツイッターやインスタグラムなど、日常生活のなかにすっかり溶け込んで、ごく普通に投降する人が多いアイテムです。でも、あまりにもSNSに近すぎるタイプの女性は、男性のテンションを下げてしまうこともあるようです。なかでも、男性と一緒にいるときの女性の振る舞い方で、その後の恋の行方に影響が出る場合も。例えば、一緒にカフェに入ることになり、ケーキセットを頼んだ女性がいつものように習慣づいている写メを撮り、インスタグラムにその写真をアップ。その一連の動作をあっという間のスピードでやっていた女性を目の前で見ていた男性は、その場ではとくに何も言わないものの、あとから「やっぱり、ないな」と思った、という話がありました。さすがにその男性が写っている写真を無断でアップするほどの失礼さはなかったものの、「ちょっと写真を撮るね」などのひとこともなく、SNS慣れしている女性のいつものペースでやってしまった行動でした。同じようなタイプの男性じゃない場合、マナーがなっていないと思われてしまうこともあるのかもしれません。いずれにしても、女性側のちょっとした気遣いがあれば、どれも解決する行動なのかなと感じました。恋活や婚活をしていると、うっかりNG行動をしてしまっている自分がいることもあるのかもしれません。そんなことも改善して、みなさんがすてきな人とすてきな恋ができますように!©AntonioGuillem/Gettyimages©Milan_Jovic/Gettyimages©PeopleImages/Gettyimages
2021年02月28日現在ヨーロッパ在住のファッションジャーナリスト、平野秀美さんのファッションスナップレポートです。今回は、着こなしで質問されることの多い、全身でホワイトや淡い色を着こなしたい時のポイントを紹介いたします。ホワイトだからできる上品な大胆さ!私のイチ推しのスタイルがこちら。ホワイトはホワイトなのですが、品のよい光沢感がある素材で、とっても上品に見えます。また、大胆に開いた胸元から見える大きめのネックレスは、バッグの金具とお揃いのゴールドカラーで統一。この大胆さも、ホワイトカラーで上品にクリアしています。帽子はなくてもよかったかもしれませんが、もし何か追加で身に着けるなら、主張しすぎない色にするときれいなホワイトが際立って、とってもスタイリッシュに見えます。ホワイト系ワンピースは、春夏に大注目!これからの季節に大活躍のホワイト系ワンピース。こちらは可愛らしい袖部分が、女性らしさを強調してくれていますが、あえてシューズや小物をかっこいい色と形で合わせています。小物はブルー系なので、全体の爽やかさをキープしつつ、ひとつひとつのパーツが強調されても違和感なく溶け込んでいますね。ワンピースにスニーカーは、ヨーロッパでは定番中の定番。ホワイト系のワンピースにスニーカーを合わせるなら、バッグも似たような色にすると、色がごちゃごちゃせず合わせやすいと思います。ほんのり異なる上下の色で、トーン調整も素敵!とっても参考になるスタイルがこちら。ホワイトバンツを上手着こなしていますね。全身真っ白だとちょっと着こなせるか自信がないという方には、ジャケットをこちらのように少し色が入ったものにするだけで、ホワイトパンツを上手に着こなせます。また、小物はあえて全部ブラックで統一しているところも、シンプルでまねしやすいポイントです。ライトベージュもこの春大注目!ライトベージュはホワイトよりも柔らかな印象で、暖かい雰囲気に見せてくれるので、ホワイトよりも比較的着こなしは簡単だと思います。ただし、ライトベージュの場合は、他の小物の色に注意すべきです。それは、ブラウン系やカーキとの相性がよい反面、濃いめのパープルなどといった強い色とは相性が悪そう。小物の色使いには気をつけて!ホワイト+柄で個性を表現する方法もある!だいぶハイレベルなスタイルですが、真っ白や明るいトーンに自信がない場合は、柄のある明るめの上下はおすすめです!写真のように、上下で柄が異なるものは、かなりチャレンジングで難しい着こなし方ですが、柄が入ることでお洒落度が上がる感じがしませんか?小物の色は、お好きなものをチョイスしてOK!小物まで思い切った柄や色にしても、面白いかもしれませんね。いかがでしたでしょうか。難しいと考えがちのホワイトコーディネイトや、全身明るめコーディネイト。ポイントさえ抑えておけば、実はとっても上品で清楚、使いやすいカラーなんですよ!ぜひ今年の春夏に挑戦してみてください。写真、文・平野秀美
2021年02月27日今季の秋冬から、かなりの人気を高めている白ブーツ。柔らかな色合いが抜け感のある着こなしに仕上がると話題を集めています。しかしそんな白ブーツ、やはり見た目のインパクトが強いことからブーツだけが悪目立ちするような失敗コーデも起こりやすいのが難点。そこで今回は、白ブーツでやりがちな失敗コーデと正解コーデのポイントをご紹介します。デニム×白ブーツコーデのNG、OKコーデ定番でどんなアイテムにも合わせられるデニム。もちろん、白ブーツとの組み合わせにも最適です。おそらくボトムスの中では一番といって良いほど組み合わせは楽チン。問題はトップスや小物といった全身コーデでの合わせ方です。とくに白ブーツはトレンド感の強いアイテム。トップスやバッグ、アクセサリーやヘアメイクといった他のパーツにも同じようにトレンド感がないと白ブーツだけが悪目立ちするといった着こなしになります。例えば、デニムにボーダートップス、カーディガンを組み合わせた定番中の定番コーデ。これなら白ブーツを合わせるより普通のスニーカーを合わせたほうが全体がマッチします。白ブーツを合わせるならデニムもトレンドのハイウエストのストレートデニムに切り替える。トップスは同じく白のハイネックで統一感を出す。人気のミニバッグ orスマホポシェットでミニマルコーデを意識するなどなど。人気のアイテムに人気のアイテム、こだわりのあるヘアアレンジを重ねると白ブーツのオシャレさが活きてきます。ワンピ×白ブーツコーデNG、OKコーデワンピースに白ブーツを掛け合わせたコーデは今年の春にもうってつけな人気のスタイル。トップスとボトムスの組み合わせを考える必要がないので楽にオシャレに決まりやすいですね。ただし、その分気をつけたいのがワンピースの丈バランス。ワンピースの丈が、ふくらはぎが露出する程度の短さ(膝丈、ミディ丈)だとワンピとブーツの間の脚のラインが目立ってしまってあまりオシャレではありません。丈のバランスから見ても脚が太って見えやすいシルエットが作られるのでスタイルアップもしにくいですね。とくに白ブーツは白ブーツ全体が露出して見えるより、スカートやパンツの裾からチラ見えするのがポイントなのでワンピースならロング丈と組み合わせるのを基本としておくと失敗しにくくなりますよ。そしてワンピースの色も重要です。白ブーツと相性の良さそうな淡く可愛らしいピンクは意外とおすすめできません。マッチし過ぎて可愛いすぎるためです。あえて柔らかなイエローやグリーン、ラベンダー、ブルーといった爽やかな春カラーを選ぶと洗練さがアップしますよ。個性のある白ブーツは、“さりげなくチラ見せ”がポイント今や多くの人が取り入れている白ブーツとはいえ、まだまだ新しいトレンドのひとつ。定番というのは程遠く、どうやって取り入れればいいのかちょっと悩むところです。ですが、なんていうことはありません。ポイントは、さりげなくチラ見せすることです。パンツにしても、スカートにしても裾からチラっと覗く程度にアクセントを効かせるだけで全身コーデがオシャレに見えます。ブーツインするなど白ブーツ全体が見えるコーデを避け、配色バランスを統一させればOK!真っ白が苦手な方ならオフホワイトやグレーがかった白ブーツもオススメですよ。ぜひ今年の春は気軽にトライしてみてはいかが?イラスト、文・角佑宇子イラスト・角佑宇子
2021年02月26日何かと忙しい生活を送っていると、つい忘れがちなのは自分の夢について考える時間。みなさんは、子どもの頃に持っていた夢を覚えていますか?その夢を実現した人もいれば、諦めた人もいるかもしれませんが、一度立ち止まって、自分の夢について改めて振り返るのは大事なこと。そこで、そんなときにオススメの話題作をご紹介します。『MISS ミス・フランスになりたい!』【映画、ときどき私】 vol. 363パリの場末にあるボクシングジムで手伝いをしていた青年アレックスは、事故で両親を亡くして以来、自信を失っていた。ところがある日、ボクサーとして夢を叶えた幼なじみと再会したことで、もう一度自分の夢へと向かう決意をする。その夢とは、少年時代に抱いていた「ミス・フランスになる」というものだった。そこでアレックスは、下宿先の家主や同居している個性豊かな仲間たちの力を借りて、無謀とも思える夢に挑戦することに。男性であることを隠してコンテストを受けたアレックスが迎える結末とは……。ミスコンテストというきらびやかな世界を舞台に、真の美しさとは何かを教えてくれる本作。今回は、こちらの方に見どころをおうかがいしてきました。ルーベン・アウヴェス監督監督・原案・共同脚本を務めているアウヴェス監督。俳優としてもさまざまな作品に出演しており、幅広い才能を発揮している注目の存在です。そこで、作品誕生の裏側や外見を重視する社会のなかで訴えたい思いなどについて、語っていただきました。―何年も前から、トランスジェンダーをテーマにした作品を考えていたそうですが、きっかけはどのようなことだったのでしょうか?監督実は、私の友人で性転換した人がいたことがこの作品の出発点となりました。ただ、僕が語りたかったのは性転換についてではなく、自分探しにおける精神と身体との調和にいたる際の感情的な道のりについて。それが興味深いと思いましたし、重要でもあると感じました。そんななかで出会ったのが、主人公のアレックスを演じてくれた“ユニセックスモデル”として活躍しているアレクサンドル・ヴェテール。彼は女性になろうとするのではなく、自分自身がどちらの性にもとらわれず、ファッションにおけるパフォーマンスにおいて、自分のなかにある女性性を前に打ち出している人です。彼は自分でいることを幸せに思いながら女性らしい自分を生きているので、その姿をすばらしいと感じて今回の脚本を書き始めました。ミスコンテストの裏側で発見もたくさんあった―そんなアレクサンドルさんの存在がストーリーにも大きな影響を与えていると思いますが、実際に彼の体験したことをエピソードとして反映しているところもありますか?監督具体的なエピソードとしては特に投影されていませんが、この映画のいたるところにアレクサンドルの息吹があると言っても過言ではないですね。なぜなら、作品の感情面においてもインスピレーションとしても、最初から最後まですべてを彼が背負っているからです。とはいえ、本作は完全なフィクションなので、主人公のアレックスとアレクサンドルのキャラクターはまったく違いますけどね。実際、アレックスは少し暗くて、自分がどうしたらいいのかわからない人物ですが、アレクサンドルはほかとは少し違うことを受け入れ、愛してくれる両親がいて、明るくポジティブな性格ですから。ただ、「女性でいるときのほうが、自分が強くいられるのを感じられる」というセリフひと言だけは、アレクサンドルがパフォーマンスをしていたときに話していた言葉からもらっています。―ミスコンテストについての描写も非常に興味深かったですが、実際にリサーチするなかでその実情に驚かされたことはありましたか?監督今回、ミス・フランスの実行委員会が門戸を開いてくれたおかげで、コンテストの様子を観察しながら脚本を書くことができました。そのなかで私が発見したのは、ミス・フランスの裏側で働いている人たちが、ひとつの世界を構成していること。ものすごい数のボランティアがいたり、異なる世代の人たちに統一感をもたらしていたりと、みんながミス・フランスという夢の世界で生きるために情熱を込めているんです。その姿を見るのは、とても気持ちのいいものでもありました。それから、私が魅了されたのは、コンテストに参加している若い女性たち。ミス・フランスの候補になったことで自分の生きる道を見つけることができて助かったと話している子がいれば、自分が何をしているのかわかっていない子がいるといった具合に、さまざまな女性がいたので、本当にいろいろな発見がありました。今回はミスコンテストを批判する映画ではありませんが、やはりコンテストは戦いですし、女性同士の関係は優しいものばかりではないので、この作品は「ハイヒールを履いたロッキーの映画」という側面もあると感じています(笑)。体と精神の調和がとれている人は美しい―では、映画でも描かれていたように、女同士ならではの“戦い”を目にしたこともあったのでしょうか?監督というよりも、コンテストの現実は、人生の現実と同じだと感じました。人はいつもグループに属したいと思うんだけど、そのなかに入るのはなかなか難しいこともありますよね。そういったリアルさをこの映画でも描いています。実際、コンテストの裏側でも、おとなしい女の子が派手な女の子たちのグループに入りたがっていたけれど入れてもらえないとか、強い人が弱い人を押しつぶそうとしていたというような現実を目の当たりにすることもありました。でも、それは狩りをするライオンの間を知性やずる賢さを使って切り抜けていくサバンナの法則のように、現実世界でも同じことが起きているだけではないでしょうか。それは、明らかなことだと思いました。―なるほど。コンテストでは厳しい美の規範がいくつもありますが、監督が思う“真の美しさ”とは?監督とてもいい質問ですね。僕にとって美しさの基準とは、精神的にも外見的にも自分が誰なのかを知り、受け入れ、そして自分自身に対して責任を持っていることだと思います。すなわち、自分の体と精神の調和が完全にとれているとき、人は美しくなれるのです。人生と自分自身に対して、微笑みかけられるのは美しいこと。だからこそ、アレクサンドルと出会ったときに、彼のことを本当に美しい人だと感じたんだと思います。彼はすべてにおいてプラスの見方をしていて、完全に自分を受け入れ、光の部分だけを持っているような存在ですから。外見だけを重視する社会は危険だと感じる―そう感じた具体的な出来事などもあったのでしょうか?監督あるとき、彼と街を歩いていると、彼のことを変な目で見る人たちと遭遇することがありました。でも、彼はすれ違う人たちにどんな目で見られても、相手に対して偏見を持つことなく、大きな微笑みを返していたのです。その姿は本当に美しかったですし、そういうところから学ぶことは多かったと思います。だからこそ、自分自身を受け入れているとき、人は美しくなれるのだと気づかされました。―監督は俳優としても活躍されているので、普通の人よりも、外見で判断されたりする経験が多いかと思います。いまは外見を重視する社会だと思いますが、そのなかで監督が意識されていることがあれば、教えてください。監督確かに、いまの時代はどんどん難しくなっているなと感じています。だからこそ、僕の映画は外見だけを重視する社会に対する皮肉にもなっているんですよ。なぜなら、SNSが発達したことでつねに外見が重視され、いつでも最高の状態でいなければならないと思い込むのは、危険なことだからです。僕は表現ができる自由な世界にいますが、どんなにイマジネーションの世界を楽しんでいたとしても、片方の足は必ず現実にしっかり置いた状態にしなければならないと考えています。気をつけなければならないのは、イメージのなかだけの世界に囚われてバランスを失ってしまうこと。新しい世代の人たちは、外見の美しさばかりを重視しているところがありますが、それは本当に危険なことなんです。劇中でも、ミス・フランス委員会のディレクターであるアマンダが、「形式だけを重視しすぎてはいけない」といったことを言いますが、それこそがまさに私がこの映画で言いたいことでもありました。僕自身は幸運なことに、そうしたバランスを崩したことは一度もないので、意識しているとすればそのあたりだと思います。夢を実現させる秘訣は、違いを力にすること―それでは最後に、自分の夢をつかもうとがんばっている人や悩んでいる人に向けてアドバイスがあればお願いします。監督今回、夢について描くためにこの映画を作りましたが、実は僕自身は人生を生きることに一生懸命であまり夢を見たことがない人間なんです(笑)。でも、「自分の信じている夢を実現すべきだ」というのは、この作品で訴えたいと思って作りました。たとえそれがどんなにクレイジーなものであっても、自分を信じていれば、夢はきっと叶えられるということを伝えたかったのです。主人公のアレックスも、男の子なのにミス・フランスになりたいというのは、クレイジーな夢ですからね。これから夢を叶えたい人にアドバイスをするとすれば、平凡な言葉になってしまうかもしれませんが、まずは自分を信じること。そして、自分が持っている“違い”を力にしてください、ということです。ときには、その違いから人に指をさされることもあるかもしれませんが、その違いこそが力となり、自分が思っているところよりも遠くへと進むことができ、夢を実現できるはずですから。まとめると「差異を力にせよ!」というのがアドバイスですね。あと、ひとつ付け加えるとすれば、自分の周りを善意と愛で固めるのも大事なこと。他人が下す判断で立ち止まることなく、自分を愛し、良いことを願ってくれる人たちと一緒に前進してほしいと思います。夢は人生を輝かせるスポットライト!誰の人生においても、夢を持つこと、そして叶えることがいかに大切なものかを思い出させてくれる本作。心震えるラストシーンで見せるアレックスの勇気と美しさには、思わず息を飲み、そして拍手を贈らずにはいられないはずです。胸に秘めている夢があるのなら、まずは一歩を踏み出してみては?取材、文・志村昌美美しい予告編はこちら!作品情報『MISS ミス・フランスになりたい!』2月26日(金)シネスイッチ銀座ほか全国公開配給:彩プロ©2020 ZAZI FILMS – CHAPKA FILMS – FRANCE 2 CINEMA – MARVELOUS PRODUCTIONS
2021年02月25日大正から昭和初期にかけて活躍した画家・デザイナー、小村雪岱(こむら せったい)の展覧会が三井記念美術館で開かれています。日本画の制作から舞台芸術まで手がけた雪岱は、今ならマルチアーティストと呼ばれるような人。彼の作品はセンス抜群で、令和の時代に見てもしびれます。どれほどステキなのか、作品と会場の様子をご紹介!どんな展覧会?【女子的アートナビ】vol. 195三井記念美術館で開かれている『特別展 小村雪岱スタイル』では、画家や装幀家、舞台美術家としても活躍した小村雪岱(1887-1940)のクールな作品が集結。肉筆画から、木版画、挿画、装幀本まで100点以上が紹介されています。さらに、彼の作品に影響を受けた現代のデザイナーやクリエイターたちの新作も展示。木彫りやガラス作品などの工芸品も見ることができます。小村雪岱って?小村雪岱は商業美術の世界で活躍した天才デザイナー。出身は埼玉県の川越で、東京美術学校(現・東京藝術大学)で日本画を学び、卒業後は美術系の出版社に入社。2年後に退職して泉鏡花の小説で装幀を担当し、評判となります。その後、資生堂意匠部に入社してデザインを担当。今でも使われている「資生堂書体」の基礎を築きました。36歳で退職したあとは装幀や新聞連載の挿絵、歌舞伎や映画などの舞台装置の原画制作など、多方面で活躍しました。センスよすぎ!会場にはたくさんの作品が並んでいますが、特にステキなのが木版画の数々。必見作品のひとつ目は木版画の《おせん雨》。1933年に東京朝日新聞で連載された邦枝完二の小説『おせん』の挿絵として描かれたものです。小説の舞台は江戸時代の明和期。三美人のひとりとして有名な茶屋の看板娘おせんをめぐる悲恋のストーリーで、この挿絵では、しつこく言い寄る若旦那から逃げる場面が描かれています。(画面右下で黒頭巾をかぶっているのがおせん)絵の半分以上が傘で埋めつくされ、その上をシャープな雨の線が走り、円と直線の配置が秀逸。モノクロームのシンプルな作品ですが、今の時代に見てもとってもおしゃれ。連載当時も雪岱の挿絵が人気となり、新聞の発行部数も増えたそうです。ちなみに、展覧会図録の裏表紙にも本作品がデザインされていて超クールです!想像力をかきたてられる!必見作ふたつ目は、雪岱が装幀を手がけた泉鏡花の小説『日本橋』の見返し絵をもとにした連作原画の版画3点。作品テーマは日本橋界隈の風景です。《青柳》では人物のいない室内の様子が高い視点から描かれ、畳の上に三味線と鼓が並んでいます。柳の葉と畳の緑がさわやかなのですが、ぽつんと置かれた和楽器がちょっと意味深。いろいろと想像力をかきたてられます。《雪の朝》も美しい作品です。降り積もった新雪と家の明かりが描かれ、凛とした空気感が伝わります。必見作三つ目は、『サンデー毎日』に連載された吉川英治の小説『遊戯菩薩』の挿絵原画。黒く塗りつぶされた背景に繊細な線で男女が描写されています。小説のストーリーを知らなくても、この登場人物たちのいる世界に引き込まれていきそうです。会場には、雪岱が装幀を手がけた本もたくさん並んでいます。どれもおしゃれなデザインで、ジャケ買いしたくなるものばかり。センスの良さが光っています。商業美術の分野で活躍した人の作品は、散逸しているケースもあり、展覧会でまとめて見られる機会はあまりありません。ぜひこの貴重なチャンスに、雪岱の多彩なアートワークをご覧になってみてください。Information会期 : ~4月18(日) ※会期中、一部展示替えあり※事前予約制時間 : 11:00~16:00 (入館は15:30まで)休館日 : 月曜日(※2月22日は開館)、2月28日入館料(税込): 一般¥1,300、大学・高校生 ¥800、中学生以下無料※70歳以上¥1,000会場:三井記念美術館
2021年02月25日現在ヨーロッパ在住のファッションジャーナリスト、平野秀美さんのファッションスナップレポートです。今回は、今年ほしいサングラスを厳選してみました!男女から圧倒的な人気!スクエアー形サングラスがかっこいい!シャープでカッコ良いスクエア形のサングラスは、最近は男性にも女性にも大人気。カッコ良い雰囲気を好む方にはかなりおすすめの形です。ラウンド形は、70年代~80年代っぽいファッションに合わせると素敵!ひとつあればおしゃれの幅がだいぶ広がるラウンドタイプは、雰囲気を作るのに最高の形。年代を感じさせるスタイルやヴィンテージなどが好きな方にはもってこい!自分らしいスタイルを楽しめますよ。小顔にも見えて日差しもバッチリ遮ってくれる!大きめサングラス日本でも人気上位に位置する、大きめサングラス。形は種類豊富に出ていて選びがいがあります。小顔効果もあり、サングラスとしては一石二鳥!上級者向け!細身タイプのサングラス個人的にはなかなか難しいなと思いまだ挑戦できていませんが、細身タイプのサングラスは、おしゃれさんがよく身につけていて、ファッショニスタっぽい雰囲気になれる。身につけるだけでおしゃれさんの仲間入り!?透け感あるサングラスは、マスクと相性もいいかも!?少しハードルの高い、色のついた透け感あるサングラス。しかもこちらの写真のように形まで独特だとかなりのハイレベルなおしゃれスタイルですが、今年はマスクもしながらサングラスをすることを考えると、色のついた透けたサングラスが重宝しそう!?色縁サングラスで個性をいかしたおしゃれを!写真はヘアスタイルとバッチリ合ったフレーム色のサングラスをしています。レンズだけでなくフレームの色も、本当に種類豊富にあるので、自分好みの色をチョイスしてテンション上げてください!おしゃれの幅を広げるためにも、今年は新しい色をゲットしたいところです。遊び心満点!変わった形のサングラス普段使いにはどうかと思いますが、イベントやビーチなどではぜひいつもと違う形のサングラスをおすすめします!特にハート形は、ここヨーロッパでも公園やフェスティバルでよく見かける人気のフォルム。友人も持っていますが、もうとっても可愛いですよ!他の形も、自分らしさをこれひとつで表現できちゃうから、サングラスって重要ですね。今年は、マスクをしながらサングラスをすることが増えると思いますので、マスクスタイルでも似合うおしゃれなサングラスをゲットしたいですね!ぜひ参考にしてみてください。写真、文・平野秀美文・平野秀美
2021年02月22日現在ヨーロッパ在住のファッションジャーナリスト、平野秀美さんのファッションスナップレポートです。今回は、流行りに流されず、長く愛用するのにぴったりなファッション小物を紹介いたします。王道『ルイ・ヴィトン』のモノグラムは一生物日本でも大人気の『ルイ・ヴィトン』モノグラム。世界のインフルエンサーにも大人気。使い込むほど味が出るレザーのモノグラムシリーズは、やはり自分と一緒に成長しているようで一生愛用したくなるバッグです。インフルエンサーの中で人気なのは、定番の形ではないもの。そこはお好みで、自分らしいデザインをピックアップするのもオススメです。徹底したエコロジスト!『ステラ マッカートニー』 Stella McCartneyファッションブランドではかなり大胆であると思っていましたが、絶対にレザーを使用しないという信念。最近は各ブランドもレザーではなく、環境にも優しいものを使用するようになりましたよね。徹底したエコロジストとしての理念のもとに、制作・デザインされた『ステラ マッカートニー』のバッグも、もちろんレザーは使用されていません。ですが、『ステラ マッカートニー』のロゴやデザインは、『ステラ マッカートニー』だから素敵!と思わせてしまうブランド力と、シンプルでいて色や空間を引き立ててくれるデザイン力が魅力です。長く愛用するのにぴったりな、流行りすたりのない『ステラ マッカートニー』らしいデザインは、いつの時代もオススメです。セレブやインフルエンサーに大人気!『クロエ』 Chole『クロエ』がデザインするバッグは、いつも世界的に人気になるものが多いですが、ここ最近ではやはり"Cバッグ"が大人気。特に小さめサイズのショルダーバッグはモデルをはじめ、本当に多くのインフルエンサーが愛用しています。シンプルでいて必要最低限のものが入る、本当にちょうどいいサイズ。ひとつあると長く愛用できるバッグです。男性からも人気が高い『ジェイダブリューアンダーソン』 JW Anderson男女ともに人気なのが『JW Anderson』のバッグ。特にピアスはやっぱり人気のようです。期待どおりの可愛さであり、インパクト強めでアクセントになる柄や色も多数!お洒落さんからの根強い人気があるのもわかりやすい。作りもしっかりしていて、仕事でもプライベートでも使えそうなバッグのひとつです。やっぱり外せない『クリスチャン ディオール』 Christian Dior最近よく見かけるこの『クリスチャン ディオール』のトートバッグ。荷物多めの女性にはぴったり!さらに重くないので本当にたっぷりと荷物を入れられます。デザインも個性的な柄からシックなネイビー調のデザインまで種類が豊富。やっぱり可愛くても荷物が入らないんじゃ意味がない!という、荷物多めタイプの女性には、かなり重宝するバッグです。本日は、1度買ったら長く愛用できる人気ブランドバッグを紹介しました。なかなか手が出せないバッグもありますが、一生愛用すると思うと、実はお手頃なのかもしれません。ぜひ参考にしてみてください!写真、文・平野秀美
2021年02月21日連載第172回目は、旬のカブを使った、簡単おつまみをご紹介します。葉の部分も使い、カブのうまみを丸ごと味わえる嬉しいメニューです。ニンニクと唐辛子と一緒にさっと炒めるだけで味付けはとってもシンプル。あっという間にできちゃいます!『カブのアーリオオーリオ』【旬を味わう 美人レシピ】vol. 172旬食材は、カブ!カブは、旬が2回あり、春ものと秋ものがあります。春ものは2月~5月ごろまでが旬で、秋ものと比べて肉質が軟らかいのが特徴です。地方品種が多く、全国で約80種類もあるそう!気になるカブの栄養素ですが、実の白い部分には、ビタミンCや食物繊維、カリウム、アミラーゼという消化酵素が含まれています。なかでも、アミラーゼはでんぷんの消化酵素であり、たんぱく質の消化を助け、食べ過ぎ、胃もたれ、食欲不振に良いとされていて、整腸作用もあります。また、普段は捨てがちなカブの葉ですが、実はとっても優秀! ビタミンCをはじめ、代謝をサポートするビタミンB群、カロテン、カルシウムなどが豊富に含まれています。抗酸化作用が高い栄養素がたっぷりだから、アンチエイジング効果を期待するために、葉も一緒に取り入れましょう材料はこちら!【材料(二人分)】カブ:2個※葉の部分も使用厚切りベーコン:50g程度(短冊切り)ニンニク:1/2かけ唐辛子:1本塩:適量コショウ:適量オリーブ油:適量まず、下準備を始めます。野菜を切ります。カブは12等分にくし切りにします。カブの葉は3㎝幅に切り分けます。ニンニクは皮と芯を除き、みじん切りにします。唐辛子は半分に切り、種を除きます。では、作ります! フライパンにオリーブ油とニンニクを入れ弱火でじっくり火にかけます。フライパンにオリーブ油とニンニクを入れ弱火にかけます。焦がさないように、ニンニクをゆっくり炒めます。唐辛子を加えます。ニンニクから香りが出てきたら唐辛子を加えます。ベーコンを加え炒めます。ベーコンを加え炒めます。カブを加え炒めます。カブを加え炒めます。塩をひとつまみ程度加え、炒めます。カブがしんなりとしてきたらカブの葉を加えます。カブがしんなりとしてきたらカブの葉を加えさっと炒めます。塩コショウで味を調えます。最後に塩コショウで味を調え、火を消します。おいしさのアレンジポイントベーコンを加えずにカブだけでも美味しく仕上がりますよ。ベーコンの代わりに海老を加え、ほんの少しアンチョビペーストを加えても美味しいですよ
2021年02月21日婚活で約1000人の男性と出会い、年下夫を射止めたライター・かわむらあみりがお届けするコラム【結婚引き寄せ隊】連載第65回は、なかなか恋人と会えなくても、愛を育むコツを3つご紹介します。1.電話やLINEでストレートに気持ちを伝える【結婚引き寄せ隊】vol. 65現在は世界的にコロナ禍でもあり、なかなか外出することもままならない状態ですよね。そんななかでも、ラブラブでいられるコツは何かというと、まずはストレートに気持ちを伝えることだといえます。そんなのカンタン!と思いがちですが、照れくさかったり、「言わなくてもわかっているだろう」と考えてあえて気持ちを言わなかったりするカップルも少なくありません。頻繁に会うことができていた時期には、なんとなくふたりの空気感で察してもらえていたようなことも、物理的に距離が離れると、言葉でちゃんと伝えるということの大切さに気づくこともあるようです。電話で直接声を聴くのもいいですし、いまはビデオ通話でおたがいの姿を確認しながら、会話ができる時代。さまざまなアプリケーションを活用して、電話デートやオンラインデートをして、遠くにいる場所にいる恋人としっかりとコミュニケーションをとると、心の距離は離れません。なんとなく世間話をするだけでも、安心するかもしれませんが、「会えなくて寂しいな」といった心情は素直に伝えてみるといいでしょう。2.次に会えるときまで自分磨きをする恋人と頻繁に会っていたときよりも、なかなか会えないからこそ、さらに思いが高まってしまうこともあるはず。ですが、こんなときこそ、自分磨きをする絶好のチャンスです。たとえば、普段さぼっていたムダ毛のお手入れをする、スキンケアなど美容面を充実させる、おうちでできるストレッチなどでシェイプアップをする、料理のレパートリーを増やしておく……など、それぞれの付き合い方やライフスタイルに合ったおうち時間を過ごしましょう。いまは遠隔授業受講やリモートワークをしている方もいるかもしれませんが、恋人に限らず、あまり人に会わなくなると、身なりに気を遣わなくなることも。忙しくなってくると、自分磨きにかける時間がなくなってくるでしょうから、自分なりのおうち時間の使い方を見つけておくといいでしょう。いつか恋人とよく会えるようになっても、いま見つけておいた自分磨きのやり方は、今後もずっと続けていくと、よりすてきな女性になっていけるはず。3.相手のことを考えすぎない離れていると、「いまどうしてるのかな?」とふと恋人のことを思い出すときもあれば、たまたま連絡したときに通じなかったり、折り返し連絡が入らなかったりすると、「まさかほかの誰かと一緒にいることも!?」などと、ネガティブな発想に陥ってしまう場合も。とくに普段から物事を考えすぎてしまうタイプの女性は、あえて相手のことを考えすぎないことが大事です。ひとつ疑いだすと、何をしていてもつい疑ってしまうようなネガティブスパイラルに陥ってしまいますから、目の前の事実だけを認識しておく以外は、よけいな想像はシャットアウトしましょう。相手のことを考えすぎていると気づいたら、とりあえずほかのことをしてみるといいですよ。おやつを食べる、趣味のサイトを見る、軽く体を動かすなど、ちょっとしたことでも違うことをすると気分転換に。そして何よりも、恋人のことを信じることです。恋人と離れていても、さめてしまうことなく、そのまま愛を育んでいくことはできるはず。おたがいの“いい距離感”を見つけて、快適に過ごしたいものです。みなさんの恋がうまくいきますよう、応援しています。©Luis Alvarez/Gettyimages©Aja Koska/Gettyimages©Westend61/Gettyimages
2021年02月18日人生の醍醐味でありおもしろさを感じられる瞬間のひとつといえば、偶然の出会いから自分が大きく変わっていくこと。そこで、ある少女の初めての恋をヴィヴィッドに描き出していると話題のラブストーリーをご紹介します。『ベイビーティース』【映画、ときどき私】 vol. 361病を抱える 16 歳の女子高生ミラは、ふとしたことから不良青年モーゼスと出会う。家を追い出され、孤独だったモーゼスをミラは自宅へと食事に誘うが、母アナと父ヘンリーは、モーゼスはミラにふさわしくないと嫌悪感を示していた。そんな両親の猛反対をよそに、ミラは怖いもの知らずで自分を特別扱いせずに接してくれるモーゼスに惹かれ、どんどんのめりこんでいく。彼との刺激的でカラフルに色づいた日々を駆け抜けていくミラだったが、病は容赦なく彼女の体をむしばんでいくことに……。世界各国の映画祭でグランプリや観客賞を数多く受賞し、映画評論サイト『ロッテントマト』でも現在94%という高評価を得ている本作。そこで、こちらの方にお話をうかがってきました。シャノン・マーフィ監督Variety 誌に「2020年注目すべき10人の監督」に選出されたこともあるマーフィ監督。長編デビュー作にして、大きな注目を集めています。今回は、本作の魅力や現場で心を動かされた瞬間などについて語っていただきました。―本作が長編映画1本目となりましたが、この脚本を選ばれたのはなぜですか?監督実はここ2年ほど、長編デビュー作となる企画をずっと探していました。私は自分で脚本を書かないタイプなので、“自分の声”を持っていると感じられるような脚本を求めていましたが、なかなか見つけることができなかったんです。でも、そんななかでこの脚本を読んだときは、すぐに「これだ!」と感じることができました。―原作は、オーストラリア出身の戯曲家で女優のリタ・カルネジェイスさんが手掛けた演劇ですよね。この物語のどのようなところに惹かれたのかを教えてください。監督最初に脚本を受け取ったとき、家のソファーに座って読んでいましたが、そのときにものすごく圧倒されたことをいまでもよく覚えています。なかでも、ミラ、モーゼス、アナ、ヘンリーという4人のキャラクターたちと過ごす時間がとても愛おしく感じました。でも、脚本を読み終えたら、その時間も終わってしまったので、それがとにかく悲しくて……。だからこそ、この作品の監督をすることができれば、少なくとも2年間はこの4人と一緒に過ごすことができるんだと思い、何としてもこの仕事をものにしたいと考えました。なので、一番は4人のキャラクターたちですね。大きなプレッシャーを感じる撮影だった―そのときに、これはやりがいのあるものだと感じて挑戦したいと思われたともうかがっていますが、今回作品を作るうえで挑戦だったことはなんですか?監督まず、ひとつ目の大きな挑戦としては、ミラ役の女優に髪を全部剃ってもらうこと。製作費にそういったメイクを毎回する予算がなかったというのもありますが、私自身が本物であることを求めているので、これはマストの条件でした。ただ、そこで発生したのは、いろいろな撮影のスケジュールの調整が難しくなるという問題。というのも、父親役のベン・メンデルソーンのスケジュールが10日間しか取れなかったうえに、そのうちの2日間でミラに髪を剃った状態で参加してもらわなければならず、そう考えると残りの8日間で彼のパートをすべて撮り終えなければならなかったので……。それは本当に大変なことでした。自分にも非常に大きなプレッシャーをかけることになってしまったので、今後は2度とそうならないようにしたいなと思ったほどです(笑)。―今回は若手キャストもすばらしく、非常に魅力的で印象的でした。まずミラ役のエリザ・スカンレンをキャスティングした理由を教えてください。監督ミラ役を決定するまでにはかなり時間がかかってしまい、何百人もの候補の方々に会いました。そこまで時間がかかってしまった理由としては、私自身もミラというキャラクターの本質を見極めるのに時間がかかってしまったからでした。そんなときに気がついたのは、ミラというのはいろいろな側面を持っている人物なので、何者にもなれる幅広い演技力を持っている女優であれば、一緒にキャラクターを作っていけるのではないかということ。そこで、エリザをキャスティングすることにしました。というのも、彼女は怖いくらいの才能の持ち主で、彼女自身がどんな人間なのか見当がつかないくらい本当にいろいろな顔を持っている人ですからね。ケミストリーは現場で一緒に育むもの―では、本作でヴェネチア国際映画祭の最優秀新人賞に輝いたモーゼス役のトビー・ウォレスさんについてはいかがですか?監督彼の場合は、出演していたテレビシリーズを見て、オーディションを受けてもらうようにお願いしたのがきっかけでした。実際に、オーディションで彼の様子を見ていると、自分を主張するようなこともなく、つねに周囲や相手のことを思いやれる人であることがわかったんです。それを目にしたときに、「ああ、これはモーゼスのエネルギーだな」と感じました。そういった理由から、彼にモーゼスを演じてほしいと思ったんです。ちなみに、アメリカなどでは、ラブストーリーやバディもののように2人を中心に描くような作品では、ケミストリーリーディングといって、事前に2人の相性を見る練習をすることがあります。でも、今回の作品ではあえてそれをせず、2人にはリハーサルで初めて会ってもらいました。―それによって、どのような効果が生まれたと感じていますか?監督まず、私は監督として、ケミストリーリーディングというのをあまり信用していません。なぜなら、役者2人を部屋に閉じ込めて、相性がいいところを見せてくださいとお願いするのは、すごく人工的なことだなと思うからです。私が考えるケミストリーというのは、事前に確かめるものではなく、現場で一緒に育んでいくものではないかなと。だから、今回も特に心配はしていませんでした。電気が走るような感動を味わうことができた―実際、現場で生まれた2人の化学反応に驚かされた瞬間はありましたか?監督夜に外出するシーンがありましたが、あのときはとてもマジカルな夜だったと思います。特に、カラオケバーで踊っている場面では、スタッフの誰もが2人の繋がりを感じ、電気が走るような感動を味わうことができました。本当にワクワクするような瞬間でしたね。エリザとトビーの2人も、この日の撮影中は2人だけで過ごす時間を作ってみたり、お互いに手を取り合ってみたりしながら役作りをしていました。どういうふうに2人の雰囲気を作り上げていけばいいのかをよくわかっているので、本当に聡明な役者たちだなと。なので、私も2人を信用し、ペースを合わせることを意識していました。―そんななかでも、監督が演出でこだわった部分はどのようなことでしょうか?監督基本的に私はしっかりとすべてをチェックするタイプですが、同時にカオスやクリエイティビティがつねにある状態を作ることも大切にしています。というのも、監督がミクロン単位までマネージメントした演技だと、その人自身に見えなくなってしまうこともありますからね。細かくこうしてほしいという要望はありますが、そのなかでもお互いにアイディアを出し合い、つねに自由であることをキープするようにしているつもりです。そうすることで、独特なエネルギーが生まれるので、私はそれをとらえるような演出にこだわっています。―監督にとって、ミラとモーゼスの関係性はどのように見えましたか?監督2人はとても不思議な関係性だと思いました。プラトニックのようでありながら、すごく性的なエネルギーを感じさせ、さらにそれ以上にお互いを求めあっているようなところがありましたから。ミラにとっては、自分の心が一番落ち込んだときに寄り添ってくれる人が必要であり、モーゼスにとってはほかの人とは違う視線で自分を見てくれる人が必要だったんじゃないかなと思います。失うものがないからこその自由はすばらしい―脚本のリタさんは、「失うものが何もなくなったとき、どんなふうに感じるか?」という大きな問いからこの作品が生まれたとおっしゃっています。監督自身もこの作品を通じて、そういったことを考えさせられましたか?監督ある状況下において、自分がどんなふうに振る舞うかは誰にも予測できないものだと思っています。だからこそ、キャラクターたちがそれぞれの状況に置かれたときにどんなふうに反応するのかを掘り下げていく作業は、非常に楽しかったです。この物語には、依存症という大きなテーマも取り上げていますが、そこに関してキャラクターを厳しく裁くことなく、困難を乗り越え、うまく向き合うために薬の力を借りてしまう人と依存症の関係性を描きました。そのなかで、私は生きるうえで何も失うものがないからこそ得られる自由はすばらしいものだと私は感じています。みなさんにも、この作品を観たあとに自分の人生においても、そんな自由がある生き方をしたいと思っていただけたらいいなと。たとえミラのように末期的な病を抱えていなかったとしても、そういう生き方をしてほしいと願っています。特に、2021年にはこういったことが大きなメッセージとなるのではないでしょうか。―監督自身もこの作品と出会ったことで、物の見方が変わった部分があったのでしょうか?監督もともと私自身が持っていた考え方が多く反映されている作品ではありましたが、この映画を撮り終えたあとで、よりミラのことを思い出すことが多くなりましたね。そのうえで、鳥や海を眺める時間が増えたり、人生において素敵なものを気に留めるようになったり、生きているうえですばらしいと思ういろいろなものに対する感謝の気持ちを改めて噛みしめています。人は忙しいとそういう感覚を忘れてしまいがちですが、それらを当たり前だと思わないようにしたいですね。ときには足を止めてその瞬間をしっかりと体感していますし、生きていることを以前よりも意識するようになったかもしれません。―現在、監督としてますます注目を集める存在となりつつありますが、ご自身ではどのように感じていますか?監督「2020年注目すべき10人の監督」として取り上げられたことで、「オーストラリア以外でも私のことを監督として認知してくれるところがあるんだ」という意識を初めてはっきりと持つことができました。ただ、それとは関係なく、この先もつねに自分に対して挑戦を突きつけていきたいです。まだ具体的に言えるものはありませんが、ミュージカルや機能不全に陥っている家族の物語など、さまざまなドラマをこれからも描きたいなと。ユニークな作品づくりが私にはできると思っているので、どんな企画でも取り組んでいけたらいいなと考えています。美しい映像とともに引き込まれる!少女が経験した最初で最後の恋を刹那的に描き、観る者を虜にする本作。恋のきらめきと痛みに激しく心を揺さぶられ、両親からのあふれる愛にも胸を締めつけられる珠玉の1本です。取材、文・志村昌美心に刺さる予告編はこちら!作品情報『ベイビーティース』2⽉19⽇(⾦)新宿武蔵野館、 渋⾕ホワイトシネクイントほか全国ロードショー配給:クロックワークス/アルバトロス・フィルム© 2019 Whitefalk Films Pty Ltd, Spectrum Films, Create NSW and Screen Australia
2021年02月18日「このマンガがすごい! オンナ編」にランクインし、女性たちから絶大な人気を誇る大ヒットコミック『ライアー×ライアー』がついに映画化。公開を待ちきれないという人も多いと思いますが、今回は本作についてこちらの方にお話をうかがってきました。女優の森七菜さん【映画、ときどき私】 vol. 362“女癖の悪いクール系モテ男・透”を演じたSixTONESの松村北斗さんとともにW主演を務めている森さん。劇中では、“地味系女子大生・湊”とメイクで変身する“ギャルJK・みな”の両方をコミカルに演じ分けています。そこで、現場の様子や嘘にまつわるエピソードなどについて語っていただきました。―まずは、これだけ人気のある作品からオファーが来たときはどうお感じになりましたか?森さん私は中学生のときに読んでいたこともあり、原作を知っていたので、まさか自分が湊を演じることになるとは思いませんでした。でも、その当時から、なぜかこの作品だけはほかにはない運命的なものを感じていたんですよね。なので、今回出演が決まったことで、ずっと抱いていた特別感が証明されたような気がして、うれしかったです。―そのなかでも湊役を演じるというのは、意外に思いましたか?森さん驚いたというか、恐縮だなと思いました。ただ、地味系女子大生というのは、確かに私には合っているのかなと(笑)。今回はギャル系も演じなければいけなかったですが、ギャルになりきる必要はなかったので、メイクさんに頼りつつ、仕草には気をつけました。―とはいえ、原作ファンであるがゆえに感じるプレッシャーもあったのでは?森さん自分が原作を好きだからこそ、原作ファンの方々の目線はすごく意識しましたし、みなさんに納得してもらうにはどうすればいいかを考えました。でも、現場では監督がつねに私の道しるべとなってくださったので、そこに思いっきり向かって行くだけだったと思います。なので、あまりプレッシャーを感じずに演じられました。1度で2度おいしい作品になっているのがおもしろい―実際に作品を観て、お気に入りのシーンがあれば教えてください。森さんこの作品がおもしろいのは、前半と後半ではっきりとわかれる瞬間があって、それぞれ全然違う“色”になっているところ。1度で2度おいしい作品になっていると思います。実際、その分岐点となるシーンを撮っているときは、それまでのコミカルなシーンとは違って、現場も緊迫した状態になったので、別の映画を撮っているような気分になったほどでした。完成した作品を観たときも、そのギャップにドキッとさせられて、完全にやられたなと。それだけ緊張感のあった現場で出たセリフだからこそ、ひと言ひと言に真実味を持たせられたんだと思いました。―義理の弟であり、恋の相手役でもある透役を松村北斗さんが演じられていますが、ご一緒されてみて、どのような印象を持たれましたか?森さん初めて音楽番組でお会いしたときもそうでしたし、現場でのたたずまいを見ても、すごく威厳のある方だなという印象でした。それでいて、透になったときはツンとデレのデレの部分もアドリブを入れながらさらっとできてしまうので、何を考えているのかわからないような不思議な気持ちになることも(笑)。でも、だからこそ透は松村さんじゃないとダメなんだなと納得しました。そんなふうにいろんな顔を持たれているところも、すごいなと思っています。―現場では、すぐに打ち解けられましたか?森さんシーンを重ねていくにつれて、「松村さんにならこういう切り返しをしても大丈夫なんだ」という安心感が生まれたので、お芝居を中心に打ち解けることができたように感じています。カメラが回っていないところでも、お芝居のお話をさせていただきましたが、どんなことでもちゃんと聞いてくださるので、何でも相談できました。松村さんはアイドルと俳優のどちらにも芯を置いてらっしゃる方なので、尊敬していますし、本当に信頼できる方だと思っています。初のラブコメで、表現方法に悩むこともあった―今回は主演として、現場で意識されていたこともありますか?森さん主演ということは、私が観客の方々と一緒に旅をすることになるので、みなさんに愛してもらえるキャラクターにすることがひとつの目標でした。原作の湊もみなも本当に愛おしいキャラクターなので、そこを忠実にやっていけば大丈夫だろうと原作を信じて進んでいった感じです。―本作の登場人物たちは、自分の気持ちをうまく伝えられないキャラクターばかりですが、ご自身は気持ちを素直に表現できるほうですか?森さん内容にもよりますが、疑問があるときは、この疑問を抱いていること自体が合っているのかどうかを悩んでしまって、なかなか言い出せないことはよくあります。なので、ひとりでじっくりと考え、最終的には自分のなかで消化することが多いかもしれないです。ただ、うれしいことや楽しいことに関しては、けっこうすぐ顔に出ていると思います(笑)。―劇中では森さんが見せるさまざまな表情も見どころですが、どのように役作りしたのでしょうか?森さん原作の湊はコロコロと表情を変えるところが魅力的でもあるので、台本に漫画のコマを印刷して貼り付け、それを見てから本番に挑むこともありました。それくらい原作を意識しています。ただ、漫画で描かれている表情をお芝居で表現するのは、難しかったです。しかも、それまでラブコメは未経験だったので、どうやってお客さんに伝えるかは悩みました。そんななか、監督が言葉や動きでたくさん教えてくださったので、それに助けられました。―やはりコメディならではの難しさもあったということですか?森さん今までとは違いました。特に、“見せる笑い”というのは初めてだったので、どうなるのかなと不安になることも……。ただ、撮影しながら笑ってしまう瞬間もけっこうあったので、私たちがお芝居をしていてそうなるのなら、きっとみんなも笑ってくれるんじゃないかなと思いながら演じていました。私は自分の“メーター”がわからないところがあったので、徐々に自分の気持ちを出すことに慣れていったという感じですね。そのなかで、「こうしたほうがおもしろいかな」とかを考えられる余裕が少しずつ出てきたので、自分としてもすごく身になった現場でした。ギャルメイクで別人になれてうれしかった―みなのギャル姿は、とてもかわいかったです。変身した姿をご自分で見てどう思いましたか?森さん鏡を見るたびに、「誰これ?」とびっくりしてました(笑)。別人になったみたいな気分でしたが、自分をだませるほど変われたことがうれしかったです。実写化するうえで、そこが一番高いハードルだなと思っていたので。観ている方に「透は気づいているでしょ!」と思われないように、いろいろと工夫しました。―それほどご自分でも驚かれたのなら、ご家族の反応も楽しみなのでは?森さん新鮮に感じてくれると思います。でも、こういうラブストーリーも初めてなので、きっとそこも茶化されるんだろうなと覚悟しています。―制服を着たとき、ご自身の高校時代がフラッシュバックすることはなかったですか?森さん撮影したときは、まだ高校を卒業して2か月くらいしか経っていなかったので、制服もまだ全然いけるなと(笑)。でも、そのうちだんだん制服がコスプレみたいだと言われてしまうのかな、とは考えてしまいました。―高校生と大学生の両方を行き来するなかで、大人と子どもを切り替える部分もあったと思います。ご自身も学生時代からお仕事をするうえで、そういった経験はありましたか?森さん以前は大分に戻ったら高校生で、東京に戻ってきたら大人として扱われるギャップが苦しいと感じることもありました。でも、楽しむときは楽しんで、仕事のときは仕事という切り替えが自分のなかでだんだんできるようになったので、それは私にとっても大きなことでした。私はこれからも女の子と女性を行き来するような大人になりたいので、そこでその基盤を作れたことはよかったなと感じています。―ちなみに、高校時代にギャルになってみたいと思ったことは?森さんなかったですね。というのも、私は校則通りにずっとひざ丈のスカートをはいていて、メイクも自分でしたことがなかったくらいなので。今回ギャルを経験してみて、足を出したり、爪が長かったり、すごく大変だなとは思いました(笑)。―もし、ご自分が変装するなら、ギャル以外にしてみたいメイクや着てみたい衣装はありますか?森さんパンク系女子ですね(笑)。というのも、『一度死んでみた』の(広瀬)すずちゃんの格好がすごく好きなので、一度挑戦してみたいなと思います。自分が我慢しても相手を応援できる関係に憧れる―以前、別の作品で森さんが来ると晴れると、“リアル天気の子”っぷりが話題になったことがあるそうですが、今回の現場はいかがでしたか?森さん透とみなが出会う渋谷のシーンは、実は2回目に撮影したものなんです。というのも、1回目はせっかく朝3時に起きたのに、雨で撮影できなくて。天気の子としては恥ずかしかったですね(笑)。ただ、事あるごとに私が天気の子の話をしたので、松村さんから「いつまでひっぱってるんだ」とつっこまれました(笑)。天気の子だったのは1年以上前だったので、効力も切れてしまい、今回は天気に振り回される撮影になってしまいました。―(笑)。作品を通じていろいろなラブストーリーを経験されていると思いますが、憧れるものはありますか?森さん朝ドラのときはハナコの岡部さんが相手役で、修業して1人前になるまで結婚を待つという設定でしたが、相手のやりたいことを応援して、自分は8年近くも我慢して待つなんて、すごいなと思っていました。そういう関係性は魅力的だなと思いますし、憧れますね。―今回は、クールでモテる透と優しくて一途な烏丸というタイプの違う2人の男性の間で揺れる役を演じられました。ご自身はどちらがタイプですか?森さん烏丸くんは素直な気持ちをたくさん伝えてくれるので、女の人からすると安心もするだろうし、グラッときますが、透はツンデレをうまく使い分けてくる強者なので、そういう不安定さに惹かれちゃう女性は多いのかなとは思いました。それぞれにいいところがあって選べないので、私は中間くらいの人がいいのかなと(笑)。実際、現場でもどっちがいいかでけっこう盛り上がることが多かったです。でも、みんなシーンごとに意見が変わって、「いまので透派になった!」と言ったと思ったら「やっぱりいまので烏丸派になった!」みたいな感じでした(笑)。なので、映画を観てくださる方でどっち派が増えるのかが気になっています。二十歳になる前にいろいろと身に着けたい―では、男性を見るときに、大事にしているポイントは?森さんあまりそういうことを考えたことはないんですけど、たとえば「うん」とかの返事が優しい人がいいですね。こういう言葉っていつの間にか出ているような一番気に留めないものだと思うので、それを優しく言える人はきっと全体的に優しい人なんだろうなと。なので、「うん」を優しく言う人がいいですね。―本作は小さな嘘から始まる物語ですが、いまだから言える嘘にまつわるエピソードはありますか?森さん実は、今回の撮影中のことなんですが、共演者の堀田真由さんに「私、ミドルネームがあるんです」と嘘をついたまま、訂正せずにここまで来ちゃいました(笑)。なんでそういうことを言ったのか思い出せないんですけど、私はけっこうそういうしょうもない嘘をつくのが好きなんです。しかも、堀田さんが信じてしまったので、おもしろくなってしまってそのままにしてしまいました。堀田さんには、この作品の宣伝活動中に暴露したいと思います(笑)。―反応が楽しみですね。それでは、10代最後の年をどう過ごして、20代を迎えたいと思っているのかを教えてください。森さんあと6か月くらいしかないですが、大人になる準備は欠かせないなと感じています。自分としては何も変わっていなくても、二十歳になった途端、急に周りから大人として扱われるんだろうなと思っているので。そういったこともあって、今までは直感だけでやっていた部分もたくさんありましたが、最近は頭できちんと考えることも増えました。二十歳を迎える前に、いろいろと身に着けておきたいなと思っています。インタビューを終えてみて……。かわいらしい無邪気な笑顔を見せつつ、仕事の話になると真剣な眼差しも見せる森さん。取材中は、そのギャップにすっかり魅了されてしまいました。20代ではどんな顔を見せてくれるのか、今後もますます楽しみな女優さんです。恋愛では嘘が最高のスパイス2人なのに三角関係に陥ってしまうという見たことのないラブストーリーを繰り広げる本作。湊と一緒にドキドキハラハラしながら、イケメン男子たちとの胸キュンも存分に堪能してみては?写真・黒川ひろみ(森七菜)取材、文・志村昌美ヘアメイク:池田ユリ(éclat)スタイリスト:Babymixストーリー恋愛経験ゼロの地味系女子大生の湊は、幼いころに両親が再婚したため、義理の弟である同い年の透と同居していた。不愛想だが、イケメンで女癖の悪い透。そのことが原因で、2人の仲はいつもギクシャクし、お互いに冷たい態度を取っていた。ある日、湊は親友に頼まれて、高校の制服にギャルメイクで街に出ることに。偶然にも透と遭遇してしまうが、湊はとっさに女子高生のみなだと嘘をついてしまう。それを信じた透は、みなにまさかの猛アプローチ。正体を明かせなくなった湊はみなとして透と付き合うことになってしまう。そんななか、再会した幼なじみの烏丸から告白される湊。はたして、恋の行方はどうなってしまうのか……。トキメキが詰まった予告編はこちら!作品情報『ライアー×ライアー』2月19日(金)ロードショー配給:アスミック・エース(C) 2021『ライアー×ライアー』製作委員会(C)金田一蓮十郎/講談社写真・黒川ひろみ(森七菜)
2021年02月18日交際したての頃はすごく仲が良かったのに、なんだか最近はマンネリ気味…。マンネリなどが原因ですれ違い始めて、別れに至ってしまうのは悲しいことです。冷静に状況を捉えてポジティブに行動することで、別れを回避できるかも。まずは状況と自分の気持ちを整理するマンネリ化などでお互いの気持ちがすれ違うと、イライラしたり落ち込んだりと、ネガティブな感情を持ちがちです。現実以上に悲観的に物事を捉えている可能性もあります。まずはなるべく客観的に状況を把握することが大切。もしかしたら状況自体に相手はそこまで不満を持っていないかもしれません。それよりも、ネガティブな話題や空気感に嫌気が差しているなんてことも。客観的に状況を捉えるようにしたら、次は自分の気持ちを整理してみて。悪い方向に考えすぎると、感情もこんがらがってしまいがち。自分はこれからどうしたいか、何に不満を持っているのか、どういう状態が理想なのか。今の気持ちやこれからの方向性を自分の中で整理してみると、話し合いなどもスムーズに進みやすくなります。相手の気持ちを確かめて、尊重するいきなり重たい話し合いを持ちかけられると、責められたような気持ちになりがちです。「一緒に映画を観てみたいな」などと、ちょっと身近な話題から始めると良いかもしれません。結果的に映画を観ないなど、思ったようにならなくても、なるべく冷静さを保つのが大切。なぜ映画を観たくなかったのか、その理由を聞いてみましょう。もちろん人間の感情は複雑なので、その理由だけでその人の全てがわかるわけではありません。他の事柄での理由も聞いてみると良いかも。過去の話をする場合、「掘り返すつもりはなくて」と前置きすると、答えやすくなる人もいます。そもそも相手がマンネリ化した状況に不満を持っているのか、状況の認識に差がないかなどを確認してみると、すれ違いの原因も見えやすくなります。話しているなかですれ違いを感じると、ついイライラしてしまうかもしれませんが、そうした態度を出すと、相手も嫌な気分になってしまいます。今は問題解決が最重要だと認識して、相手の言葉に耳を傾けると、喧嘩などに発展しにくいでしょう。相手の気持ちや理由が見えてきたら、それを尊重するようにして。尊重し合うことは、パートナーシップでとても大事なことです。落としどころを見つけられるよう2人で模索相手の気持ちも大事ですし、もちろん自分の気持ちも大切。別れたくないからといって、自分の気持ちを押し殺すことはありません。逆も然りで、相手に押しつけるのも良くないことです。一時的に解決したとしても、長期的には同じことを繰り返すリスクも。パートナーとはいえ他人なので、感じていることや考えていることは異なります。譲れない部分はお互い尊重しながら、折り合いをつけるように試行錯誤していきましょう。1人だけで頑張ろうとすると疲れてしまいます。「好きだから、また一緒の時間を楽しみたい」と伝えると、相手もわかってくれるかも。例えば相手がなかなか新しいことを始めたがらない性格だとします。そういった性格の人は、毎日のように新たな提案をさせるとしんどくなってしまうことも。一気に解決しようとせず、この1か月で少し前進できたかなと、ゆったり前向きに捉えるようにしてみて。心の負担も小さくなるはずです。だんだん笑顔になれる日が増えれば、不満も少なくなるでしょう。すれ違いでネガティブになると、負のループに陥りがち。問題点や折衷案を出せるよう前向きに行動できると、今後の関係が前よりも良くなるかもしれません。冷静に状況を見て、相手と自分の気持ちを尊重すること。マンネリを感じたり、別れそうな重たい空気で苦しかったりする場合は、ちょっと考え方を変えてみるのも良いかもしれませんね。RidofranzfizkesKateryna Soroka
2021年02月17日仕事や人間関係において、悩みが多くなればなるほど“心の健康”を保つのが難しいと感じている人も多いのでは?そこで、「世界幸福度ランキング」で、2018年から3年連続で1位を獲得しているフィンランドから届いた心温まる1本をご紹介します。それは……。『世界で一番しあわせな食堂』【映画、ときどき私】 vol. 360フィンランド北部・ラップランド地方の小さな村にある食堂に現れたのは、上海で料理人として働いていたチェンとその息子。恩人を探すためにやって来たというが、その人物を知る者は誰もいなかった。そんななか、食堂をひとりで経営していた地元の女性シルカは、チェンに食堂を手伝ってもらう代わりに恩人探しに協力することを提案する。恩人は見つからないままだったが、チェンの料理は評判となり、食堂は大盛況。次第にチェンは、シルカや常連客と親しくなっていく。ところが、チェンの観光ビザの期限が迫り、帰国の日が近づいていた……。日本でも人気の高い北欧のライフスタイルを垣間見ることができる本作。そこで、こちらの方にさらなる魅力について、お話をうかがってきました。ミカ・カウリスマキ監督弟で映画監督のアキ・カウリスマキとともに、フィンランド映画界を代表する存在のミカ監督。今回は、本作の見どころや舞台裏、そして“真の幸せ”について語っていただきました。―舞台となっているラップランド地方の美しい景色は見どころのひとつだと思いますが、監督にとってこの土地の魅力とはどのようなところでしょうか?監督本当に魅力的な場所なので、止めてくれないといつまでも話せるくらい(笑)。ラップランドこそがこの作品のスタートでもありますが、もともとは35年前に現地で始めたミッドナイト・サン映画祭がきっかけでした。そのため、いまでは映画祭を行う6月とクリスマス休暇中の冬に毎年訪れています。夏でも冬でもそこには美しい自然が広がっていて、寒暖と明暗の両方を味わうことができるので、本当に特別な場所。そのなかでも、僕が好きなスポットは2か所あって、まずは劇中にも出てくる森のなかでダンスができる施設。ここはいつも映画祭でも使用しているほど、お気に入りの場所です。そしてもうひとつは、美しい山の景色。ラップランドの空気はとても澄んでいますし、湖の水も飲めるくらい本当にキレイなんですよ。―画面からもその美しさは伝わってきました。そんななか、現地では数年前から中国人観光客が殺到している様子を目の当たりにしたそうですね。それによって街に変化を感じることもありますか?監督いろいろな意味で、とても興味深いなと思って見ていました。もちろん、そこに住んでいる人たちにとっては、経済的に良い点もあるけれど、僕としてはあまり観光客が多くなりすぎると、その場所自体が破壊されてしまうのではないかという心配も正直あったので。非常に複雑な気持ちと言えるかもしれませんね。ただ、地元の人たちには、お金だけを追うのではなく、自然を保つことも忘れずに、バランスを取っていってほしいなとは思っています。長い歴史を誇る中国の料理との対比を見せたかった―本作では、料理がもうひとつの主人公のようでした。なかでも中華料理にスポットを当てていますが、劇中に登場する料理で監督のお気に入りはありますか?監督本当に全部美味しかったんですけど、強いて言うならトナカイとハーブを組み合わせた一品。フィンランドにはなかなかない料理なので、印象に残っていますね。今回の現場ではキャストやスタッフ用のケータリングでも劇中と同じメニューを出していたので、休憩になった瞬間にみんな食べ物に飛びついていたほど(笑)。現地で獲れた魚なども使っていたので、最高の食事とともに撮影できる環境でした。―ただ、監督はフィンランドでは多くの人が不健康な食事をしていると感じているのだとか。どのような食生活を送っているのでしょうか?監督「フィンランド」と言われて、最初に「食」が思い浮ぶことがないくらいここには食の文化というものがありません。さすがに最近は以前よりもおいしいレストランが増えてきて、料理も多様化してきましたが、それでも私たちは昔ながらの肉や魚を使ったシンプルな料理を食べています。というのも、フィンランドでは、食べ物に対して「お腹がいっぱいになればいいよね?」みたいなところがありますから(笑)。そういったこともあり、医食同源的な考えを持ち、長い歴史を誇る中国の料理との対比をコメディとして劇中で見せられたらおもしろいだろうなと思いました。もちろん、フィンランドにもおいしい食べ物はありますけどね!―(笑)。あと、監督は日本食もお好きだとうかがっていますが、きっかけなどはありますか?監督僕が初めてお寿司を食べたのは、1980年代初頭のドイツはベルリン。本当においしくて、すごく大きな感銘を受けた瞬間でした。それ以来、ずっとお寿司やお刺身の大ファンなので、以前作品のプロモーションで日本に行ったときにも、1週間毎日「お寿司が食べたい」と言い続けていたほど。そしたら、配給会社のみなさんから「監督、日本にはほかにも料理があるのですが……」と言われてしまったこともありました(笑)。でも、それくらいお寿司をずっと食べ続けていたいほど大好きなんですよ。いまでは、いろいろと試しましたが、日本料理はどれもおいしいので一番好きな料理のひとつとなりました。世界中を旅して、現地のものをたくさん味わってきた僕でも、やっぱりお寿司が一番のお気に入りですね。全人類が力を合わせて地球を守るべき―日本人としてはうれしいお言葉です。では、弟のアキ・カウリスマキ監督についてもおうかがいしたいのですが、お互いの映画について話し合うこともありますか?監督いつも別々の国に住んでいることが多いので、会う機会があるとすれば、2人で始めたミッドナイト・サン映画祭を開催する夏の時期だけ。しかも、映画の話はほとんどしなくて、一緒に経営しているレストランやバーについての話ばかりしていますよ(笑)。―そうなんですね(笑)。とはいえ、お互いに刺激を与えあっているところもあるのでは?監督確かに、一緒にいろいろな映画を観て育ち、一緒に映画を作り始めたので、テイストが似ているところはあると思います。ただ、あくまでもそれぞれが自分の作品を作っている、という感じですね。僕たちは以前からいくつかのお店を一緒に営んでいますが、そのなかでも30年くらい前からやっている映画館とレストランやバーを合わせた複合施設をちょうど去年リニューアルオープンしたところなんです。だから、余計に会うとその話ばっかりになってしまうんですよね。ちなみに、お店の名前はなんと偶然にも『コロナバー』と言います(笑)。ヘルシンキではけっこう有名なので、日本からの観光客の方にもよく足を運んでいただいていますよ。―落ち着いたらぜひ『コロナバー』にお邪魔したいです。また、映画のなかではグローバリズムについても描かれています。海外生活が長い監督だからこそ、その重要性について実感することも多いのではないでしょうか?監督本当その通りですね。人類はいま、たくさんの大きな挑戦に直面しているので、それと戦うためには、みんながひとつにならなければいけないと感じています。気候の問題からパンデミック、戦争までいろいろありますよね。でも、さまざまな場所に住んできたからこそ思うのは、誰にとっても一番重要なのは日々の生活。つまり、食や安全、健康、愛、宗教などですが、信じるものがなんであろうとみんなが必要としているものは共通して基本的なものなんですよね。それを今回の映画でも見せています。人生において、私たちが目を向けるべきは本当にシンプルなものなのに、クレイジーな独裁者たちが真逆なことをしていて、人々を分断するような怖いシナリオが進められているんです。本来ならいまこそ全人類が力を合わせてひとつになり、私たちが住む美しい地球や自然を守っていかなければならないんですけどね……。人が幸福になるために必要なのは、シンプルなもの―そういう状況だからこそ、改めて「幸せとは何か?」を考えている人も多いと思います。“世界一幸福な国”と言われるフィンランドに住む監督にとって、“真の幸福”とは何ですか?監督実は、フィンランドが幸福度ランキングで1位だと知ったときには驚きました。なぜなら、フィンランド人は、そこまで自分たちが幸福だと思っている人は多くないですからね(笑)。おそらく幸福度ランキングというのは、社会福祉や基本的な生活に必要な教育や医療システムといったものがきちんとしているかどうかという意味においてですよね。確かに、そういった幸福であるために必要な土台に関しては、しっかりしていると思います。でも、真の幸福というのは、家族や子ども、友人、好きな仕事といったものが大事なんじゃないかなとは思います。だから、人が幸福になれる理由はすごくシンプルなことなんですよね。あとは、安心できる環境かどうかというのも重要なポイントかなと。フィンランドは安全な場所なので、そのあたりの安心感はありますし、税金を払う気になる環境が用意されていると感じています。フィンランドでは子どもがひとりで出かけることはできますが、ブラジルに住んでいたときはボディーガードをつけなければ、絶対に出かけられませんでしたからね。そういったことがかなわない多くの国に比べると、基本的な幸福に必要なものがそろっている国だと思います。いまこそみんながひとつになることが大事―では、コロナ禍や分断が広がる社会で幸せを見失っている人も多いと思うので、日本の観客にも伝えたいメッセージがあればお願いいたします。監督この作品を観てくださった方のなかで、希望を感じ取ることができたとおっしゃっていた方がいましたが、それこそがこの映画を作った理由のひとつでもあります。なので、他人のことをケアすることで生まれる喜びのように、すごくシンプルなことからスタートするべきかなと。繰り返しにはなりますが、みんながひとつになることが本当に大事だと思っています。実際に起きてしまったことは喜ばしいことではないけれど、たとえばトランプ前大統領のような人物がトップに立つと世界がどういう方向に行ってしまうのか、ということがわかった人は多かったはずです。なので、教訓を得られたという意味ではよかったのではないかと感じています。ただ、SNSに対してはまだ心配なところはありますね。「ソーシャル」という言葉が入っているように社交性を促しているものではあるけれど、実際には極論を言う人やテロリストのような人たちに利用されているところもありますから。ただ、こういった状況が加速していくと、SNSに関連する大手企業がすべての情報をコントロールし、私たちの考え方を支配してしまう可能性もあるのかなと。そうなる前に、みなさんには自分自身で判断できるようになってもらいたいです。SNSは“いい使用人”ではあるけれど、“いい主人”ではありませんから。いくつかの企業にコントロールされてしまわないように気をつけてほしいなと思っています。寒い国から届いた最高に温かい1本!美しい自然の景色と思わずのどが鳴る料理の数々に、釘づけになってしまう本作。目が喜ぶだけでなく、文化や言葉を超えて生まれる人と人との絆にも心が満たされるのを感じられるはずです。取材、文・志村昌美ほっこりする予告編はこちら!作品情報『世界で一番しあわせな食堂』2月19日(金) 新宿ピカデリー、渋谷シネクイント 他、全国順次ロードショー配給:ギャガ©Marianna Films
2021年02月17日精神科医のフロイトやイギリスのダイアナ妃に愛された日本人芸術家、吉田博の展覧会が上野の東京都美術館で開かれています。美しすぎる木版画で世界を魅了した吉田とは、どんな人だったのでしょう?彼の作品とその生涯をご紹介!どんな展覧会?【女子的アートナビ】vol. 194『没後70年吉田博展』では、明治から昭和にかけて活躍した吉田博(1876-1950)の初期から晩年までの木版画を中心に、水彩画や油彩画、さらに版木や写生帖も展示。前期・後期あわせて200点近い作品を見ることができます。若いころから海外に出て西洋の芸術に触れた吉田は、独自の表現と技法を確立。本展では、彼の手がけた木版画の全容が紹介されています。明治期にアメリカへ…吉田は旧久留米藩士の家で次男として生を受け、15歳のときに画才を認められて図画教師の養子になります。17歳で京都の画塾に入門、さらに上京して日本初の美術団体・明治美術会の会員になります。1899年、23歳のときに画家仲間と渡米。デトロイト美術館で開いた水彩画の素描作品展で評価されたのを機に、アメリカ各地で展覧会を開いて作品を売り、成功を手にします。その後、パリ、ロンドン、ドイツ、スイス、イタリアなどを巡ってからアメリカに戻り、1901年に帰国。おもに風景画を描き、洋画家として日本国内でも高い評価を受けました。展覧会のプロローグでは、若いころに描かれた油彩画や水彩画などを見ることができます。木版画の世界へ!1923年、47歳のときに吉田は再び渡米。現地で作品を売りますが、そのとき好評だったのが水彩画や油彩画ではなく木版画でした。帰国後、吉田は本格的に版画制作の世界に入っていきます。上の写真は、自ら版元となり監修した『米国シリーズ』の作品《エル・キャピタン》。このシリーズでは、ヨセミテ渓谷やグランドキャニオン、ナイヤガラなどの景勝地が美しい色彩で表現されています。ダイアナ妃やノラ・ジョーンズも購入!1926年になると、吉田は精力的に木版画を制作。西洋の写実的な表現と日本の伝統的な版画技法を融合させ、代表作となるシリーズ『日本アルプス十二題』と『瀬戸内海集』を生み出します。『瀬戸内海集』シリーズの《光る海》はダイアナ妃の所蔵する作品のひとつ。日没に近い時間帯に海面がキラキラと光る様子が美しく表現されています。ダイアナ妃は1986年に来日した際、自分のクレジットカードで吉田の作品《猿澤池》を購入。《光る海》と二点並べてケンジントン宮殿の執務室に飾っていたそうです。彼の作品は、精神科医のフロイトが書斎に飾っていたり、歌手のノラ・ジョーンズも収集していたりと、海外にファンが多いことでも知られています。「日本といえば浮世絵版画」のイメージが強かった欧米で、吉田は新たな日本芸術の世界を切り拓きました。ところで、浮世絵版画と吉田の木版画の違いはどこにあるのでしょう?まずは描き方。陰影のないフラットな浮世絵と比べると、吉田の作品は写実的です。しかも、対象となるモチーフをじっくりと観察し、例えば水の流れや水面に輝く光までも細かく描写。その原画を、浮世絵版画の3倍以上も手をかけ、何度も摺りを重ねて美しい版画に仕上げているのです。さらに、同じ版木を使いながら摺色を替え、時刻や光の変化を表現。こうして、浮世絵版画とは異なるオリジナルの木版画を生み出しました。世界中の風景を楽しめる!吉田は若いころから晩年まで、旅を続けながら写生をして風景を描き続けた芸術家です。また、戦時中は従軍画家として派遣されており、中国の風景を描いた作品なども残っています。終戦後の逸話もユニーク。もともと吉田の作品はアメリカで人気があったこともあり、戦後は米軍将校たちが彼の版画工房を訪れるなどアメリカ人との交流が盛んだったそうです。そして1950年、都内の自宅にて73歳で他界しました。会場には欧米だけでなく、アジア各地やインド、そして日本国内の風景を描いた版画作品も数多く展示されています。吉田の美しい木版画を見ながら旅の気分を味わってみてはいかがでしょうか。展覧会は3月28日まで。写真、文・田代わこInformation会期: ~3月28日(日)※会期中、一部展示替えあり休室日:月曜日開室時間:9:30~17:30(入室は閉室の30分前まで)会場:東京都美術館企画展示室観覧料:一般¥1,600、大学生・専門学校生:¥1,300、高校生:¥800、65歳以上:¥1,000問い合わせ:03-5777-8600(ハローダイヤル)※本記事の写真は、プレス内覧会で主催者の許可を得て撮影しています。
2021年02月17日現在ヨーロッパ在住のファッションジャーナリスト、平野秀美さんのファッションスナップレポートです。なぜか季節の変わり目は髪型を変えたります。今回は春に向けて、思い切ったベリーショートからカラースタイルまで紹介します。思い切りたい!ベリーショートで気分もスッキリ!写真のように短くしてみたいとは思うものの、ロングから短くするのには、勇気がいりますよね。ボーイッシュすぎるのもちょっと…と思う方にはぜひ知ってほしい!ベリーショートって可愛らしさ全開だと思いませんか?顔のパーツがはっきり見えるので、濃い目のメイクで顔立ちをはっきりさせて。実はベリーショートはここヨーロッパでもとっても人気で、街中でよく見かける人気のヘアスタイルです。ゆるふわな可愛らしさにひと目惚れ!ベリーショートまで短くはしたくないけど、ショートはチャレンジしてみたいという方には、ぜひこちらもおすすめ。ショートヘアですが、前髪と後をやや長めにすると、短すぎるという感じもしないですよね。ふんわりした雰囲気がとっても可愛い、女性にも男性にも人気のショートヘア。今年は思い切ってレッド系で攻めてみる!?春になるとゴールドやピンク系のヘアカラーが人気になりますが、今年はもう少しパンチの効いたレッド系はいかがですか?人それぞれの脱色できる色の明るさにもよりますが、もともとあまり脱色が効かない方には、明るくなりすぎないレッドもいいかもしれませんね。前髪くりくりは反則でしょう!可愛すぎます。前髪まで少しカール気味なモデルさんをよく見かけますが反則ですよね。本当に可愛い!短めの前髪は強調しすぎることも多いんですが、カールがかかることで優しい雰囲気に。今年イチオシのヘアスタイルです。やっぱりボブ。分け目で雰囲気が変わって楽しめる!日本の女性に似合う、そして人気なのがボブ。みなさん、お洒落にスタイリングしていますよね。実はシンプルで飽きちゃうかもと思われる方もいるかもしれませんが、分け目次第で雰囲気が面白いくらい変わるので、ボブスタイルはやっぱりおすすめ!カジュアルに個性的な雰囲気を出したいなら真ん中分け、大人っぽく見せたいなら7/3分けにするだけで、特にパーマをかけると、とっても雰囲気ある女性に大変身。ヘアスタイルでここまで楽しめるんだと感心するほど!今回は今年の春に試してみたいヘアスタイルをご紹介しました。ヘアスタイルを変更したいと考えている方に参考になれば幸いです。写真、文・平野秀美
2021年02月15日連載第171回目は、とっても簡単なバレンタインメニュー!今年は、ちょっぴりビターなチョコレートと、牛乳と生クリームを合わせて、簡単チョコレートプリンを作ってみてはいかがでしょうか。ゼラチンを使うので冷蔵庫で冷やすだけで、あっという間に完成です!オーブンいらずで材料もシンプルなので、お菓子作り初心者でも楽々作れちゃうお手軽レシピですよ。『チョコレートプリン』【旬を味わう 美人レシピ】vol. 171旬食材は、チョコレート!スーパーフードとしても注目されている”カカオ”!カカオニブやカカオパウダーなど、さまざまな注目食材がありますが、一番身近なものと言えば ”チョコレート” です!チョコレートはご存知のようにカカオ・ポリフェノールが代表的な成分。赤ワインの2倍以上も含まれていると言われています。アンチエイジング効果が期待されていて、肌の老化を引き起こす活性酸素を除去し、ストレスを緩和させる作用もあるとか。またテオブロミンという成分が、血行を良くし基礎代謝を上げてくれるそう。まさにアンチエイジングですね!また、"Bean to Bar チョコレート" はだいぶ定着し、専門店も増えてきましたね。お気に入りのチョコレートを使って、ぜひバレンタインにリッチなチョコレートスイーツを作ってみてはいかがでしょうか。材料はこちら!【材料(グラス4個分)】ビターチョコレート:60g ※カカオ分70%程度のビターなチョコがおすすめです牛乳:250ml生クリーム:50ml※今回は脂肪分47%を使用しますきび砂糖:15g卵黄:1個ラム酒:大さじ1/2※お好みのお酒でOKですゼラチン:4g冷水:大さじ2※ゼラチンをふやかします(トッピング)イチゴ:適量生クリーム:お好みで ※ゆるめの固さに仕上げますココアパウダー:お好みでまず、下準備を始めます。~その1:ゼラチンをふやかします。ゼラチンを冷水に振り入れふやかします。まず、下準備を始めます。~その2:チョコレートを細かく刻みます。チョコレートを細かく刻みます。※市販の刻みチョコレートを使うと手間が省けて便利ですでは、作ります!鍋に牛乳とチョコレートを加えます。鍋に牛乳と刻んだチョコレートを加え混ぜます。弱火にかけ、混ぜながら温めチョコレートを溶かします。弱火にかけ、混ぜながら温めチョコレートを溶かします。沸騰させないよう気を付けながら、ゆっくりと温めましょう。火から下ろし、溶かしたゼラチンを加えます。チョコレートが溶けたら火から下ろします。ふやかしたゼラチンをレンジ500Wで20~30秒程度温め溶かし、加えます。ゆっくりと混ぜ合わせ、軽く粗熱を取ります。ボウルにきび砂糖と卵黄を入れ、混ぜます。大きめのボウルにきび砂糖と卵黄を入れ混ぜます。そこへ牛乳で溶かしたチョコレートをゆっくり加え混ぜます。牛乳で溶かしたチョコレートをゆっくりと加え混ぜ合わせます。生クリームを加えます。生クリームを加え混ぜ合わせます。最後にラム酒を加え、さっと混ぜます。ラム酒を加え混ぜ合わせます。お酒はお好みで加えてください。グラスに注ぎます。グラスにゆっくりと注ぎます。冷蔵庫で冷やします。冷蔵庫で1時間~冷やし、固めます。冷蔵庫から取り出し、お好みでイチゴや泡立てた生クリームを添えます。冷蔵庫から取り出し、しっかりと固まっていることを確認し、泡立てた生クリームやイチゴを添えます。お好みでココアパウダーを散らします。おいしさのアレンジポイントフルーツはお好みのフルーツを添えてください。今回は脂肪分47%の生クリームを使いましたが、さっぱりと仕上げたい場合は脂肪分35%前後の生クリームを使用してくださいね。
2021年02月13日婚活で約1000人の男性と出会い、年下夫を射止めたライター・かわむらあみりがお届けするコラム【結婚引き寄せ隊】連載第64回は、婚活していると出会う“男性”についてのエピソードです。なかでも、いまでも印象に残っている「婚活男性3選」その21をお届けします。1.謙遜していると見せかける男【結婚引き寄せ隊】vol. 64それは30代から40代の男女が集まる、大人数での婚活パーティに参加したときのこと。いつものように次から次へと短時間で「はじめまして〜」と会話をしていく自己紹介タイムで、スーツ姿の男性が私の座っている席へとやってきました。プロフィールシートを交換し合い、それをもとに初対面同士、会話をふくらませていくのですが、スーツ姿の男性は30代後半ながら高収入を得ている様子。参加男性によってはあまり詳しく書かない年収をしっかりと記入していました。高収入ですね、などとズバリと言うのもなんだなと思いながらも、これは経済力をアピールしたいのだろうなと「エリートの方ですよね」と言うと、ニヤッと笑って「いやいや、わたしなんて全然ですよ」との返事が。男性が自身を「わたし」と言うタイプは、仕事以外あんまり身近にいないので、ちょっと違和感。すると畳み掛けるように「でもまあ、同年代に比べれば稼いでいるかもしれませんね」とドヤ顔をしたかと思ったら、何かにハッと気づいたように「いえ、まあ、たいしたことないんです」と謙遜。きっと本音では堂々と高収入ぶりなどをアピールしたいけれど、以前何か高圧的な態度をして失敗したのか、ふっと控えめモードになる変わりかたが気になりました。経済力はあるに越したことはありませんから、謙遜モードを無理にひっぱりだしてこなくても、ほどほどにしたらいいのになあと思っていたら、すぐに時間終了となって次の男性と会話する番に。結局、その男性とは自己紹介しかお話ししませんでした。婚活パーティのような瞬発力が必要になる場面では、自分のよさを活かせるパターンとそうでないパターンがあるよねと思ったのでした。2.温和そうに見えて実は企んでいた男それは20代から40代まで、さまざまな年齢や職業の男女が集まる飲み会に参加したときのこと。出会いを求めて婚活中の人もいれば、ただ単に飲むことが好きだという人、誘われてたまたま予定が空いていたから顔を出したという人まで、いろいろいました。そんななかで、正直なところ外見はそれほどモテそうな感じではないものの、しゃべってみるとものすごくジェントルマンで安心できてしまう、温和な笑顔を見せる30代ぐらいの男性がいました。こちら側の話もよく聞いてくれるし、もちろんダメ出しをすることもなく、ただそっと寄り添う……というイメージで、時折笑顔を見せながら静かにお酒を飲んでいる男性。その飲み会はそのまま解散となりましたが、しばらくすると、また「今度みんなで集まろう」という飲みの誘いがきました。前の飲み会に参加していた女友達に、また連絡があったが行くのか確認しがてら話していると、なんと温和な笑顔の男性を気に入ったから「積極的にデートに誘った」と言うのです。でも、続けて耳にしたのは、「なんか売りつけてきた」という話で驚愕。どうやらその男性は、いわゆるマルチ商法というか、デート商法というか、好意をちらつかせて商品を売るという良からぬことをやっているようでした。実際にちょっと接しただけでは、やさしい温和な人という印象しかなかったのに、まさかそんなことを!? と、その飲み会にはそれから一切行っていません。婚活していると、いろいろなところでの出会いが本当のご縁につながることもあれば、相手のバックボーンがよくわからないまま交流することもあるので、危ないものには決して近づかないでおこうと思ったのでした。3.真冬でも日焼け自慢の男それは30代後半から40代後半までと、ある程度大人の男女が集まる、個室お見合いに参加したときのこと。それまで大人数の婚活パーティに参加していながらも空振りが続いて、やっぱり真剣に結婚を考えている割合が高そうな個室お見合いへと、行く先を変えてみたのでした。なかにはバツイチの男性もいれば、「仕事が忙しくてプライベートをおろそかにしていたらいい年になってしまって」と話す男性など、けっこう正直に淡々と話す参加者が多数そろっていました。ただ、そんななかでインパクトが大きかったのが、こんがりと日焼けした小麦色の肌の男性です。パッと見ただけで、あれ? と誰もが思ってしまうような、真冬なのに小麦色の肌、そして10代や20代の若者がやっているのは見たことがあるけれど……という襟足長めの個性的なウルフカットのようなヘアスタイルをした、40代の男性がいました。こちらの視線に気づいたのか、聞くまでもなく「僕ね、アウトドアが好きで、日焼けしてるでしょ?」と言ってきました。近くで見ても、ふつうに太陽の光で焼けるのかな?冬なのに。日焼けマシンでがっつり焼いているんじゃ、などと考えてしまい、相手の会話が入ってきません。失礼ながらぼんやり会話してしまい、最後に「ねっ、やっぱり白い肌よりコッチのほうが男らしいから」と、二カッと笑顔を向けられ、「……はい」と作り笑顔を浮かべて返事をしてしまったのでした。婚活していると、普段は出会わないようないろいろなタイプの人たちに会うこともあるかもしれません。くれぐれも、みなさんもお気をつけて、いい恋をしてくださいね。©Morsa Images/Gettyimages©Nastasic/Gettyimages©Tom And Steve/Gettyimages
2021年02月12日いつの時代も人々の関心を引くテーマのひとつといえば、謎多き未解決事件。そこで今回は、サスペンスフルな展開満載の実話をもとにした刺激的な1本をご紹介します。それは……。『私は確信する』【映画、ときどき私】 vol. 3592000年2月、フランス南西部トゥールーズで38歳の女性スザンヌ・ヴィギエが3人の子どもを残して突然姿を消した。夫で法学部の教授であるジャックに殺人容疑がかけられるが、明確な動機も証拠も遺体も見つからない。しかし、メディアのセンセーショナルな報道は過熱していくいっぽうだった。そんななか、ヴィギエ一家と関わりのあったシングルマザーのノラは、ジャックの無実を訴え、弁護士のデュポン=モレッティに弁護を懇願する。そして、自らも助手となって250時間もの通話記録を調べることに。スザンヌの愛人やベビーシッターの証言が明らかになるなか、ノラは新たな真実と疑惑に気がつき始めていた……。フランスで実際に起きた未解決事件をもとに映画化し、本国では40万人を動員する大ヒットとなった本作。そこで、こちらの方にお話をうかがってきました。アントワーヌ・ランボー監督これまで短編映画の制作で着実に実力をつけてきたランボー監督。本作が長編デビュー作でありながら、確かな演出力が高く評価されています。今回は、自身の経験や作品を通して感じた思いなどについて語っていただきました。―監督がこの事件のことを知ってから、映画が完成するまでには10年近い年月がかかったそうですね。それだけ長い間監督のモチベーションになっていたのは何ですか?監督僕にとっては、「この話を絶対に映画にするんだ」という強い思いがあったので、やめる理由がまったくなかったというだけですね。実際、その期間は毎朝この事件のことが僕の頭のなかにはあったほどですから。それから、ジャック本人や子どもたちと知り合って、彼らに愛情面でも思い入れがあったというのも大きかったかもしれませんね。今回はシナリオを完成させるだけでも5年かかりましたが、それほど長い時間をかけたこともよかったといまは思っています。なぜなら、それによってこの映画にとっても、ヴィギエ一家にとっても、僕にとっても、ちょうどよい距離感が生まれたからです。シナリオに5年かけたあと、資金を集め、ようやく2019年に完成を迎えましたが、僕にとってはあっという間だったと感じています。―ヴィギエ一家と直接交流を続けるなかで、いろいろと感じたことや発見したこともあったと思いますが、それらを映画に反映した部分もありましたか?監督この映画のなかには、僕自身が経験したこともすべて真実として作品に埋め込まれています。たとえば、ノラのように第二審のときに弁護士のデュポン=モレッティにお願いしたのは僕ですし、映画には登場しませんが、ジャックの新しいパートナーであるエミールが子どもたちを育てながら9年間も正義のために戦っている姿も間近で見てきました。そういう意味では、僕もヴィギエ一家とは、家族の一員のような密接な付き合いをしていたと言えるかもしれません。ただ、彼らのことを暴露するようなことはしたくなかったですし、ほどよい距離を取るようには意識していました。クライマックスに司法に対する見解をすべて込めている―では、ノラというキャラクターをフィクションとして入れた意図について教えてください。監督彼らと過ごした経験を踏まえたうえでノラという人物を作りあげましたが、自分の真実に対して少し暴走してしまう姿に、世論の体現という意味を持たせたかったからです。そういった部分に関して自分が描きたいと思うものを彼女に投影しているので、ノラというキャラクターはフィクションにしました。主観性というのは、ノラが体現していることであり、まさにこの映画のテーマでもあります。ノラは自分を見失って、過ちを犯すわけですが、自分は真実を追求しているつもりでもどんどん逆の方向に行ってしまうことがあるというの彼女を通して描きました。―監督もノラのようにヴィギエ一家と近い立場にいたと思うので、ご自身とノラが重なる部分もあったのではないでしょうか?監督そうですね。ただ、彼女の司法に対する視点や見解は、僕のものとは違います。僕の考えは、クライマックスで見せる弁護士の最終弁論にすべてを込めました。このシーンは数年かけて脚本を書き上げたほどですから。そこで伝えたかったのは、疑いがあることによって有罪へと向かうのではなく、弁護して無罪のほうへと向かうべきだということです。あともうひとつ、ノラで描いているのは、強迫観念の危険性。異常なほどの執着に陥ってしまうことの危うさを彼女には表現してもらってます。最初ノラは、エリン・ブロコビッチみたいに正義感あふれる良き市民みたいな感じで登場しますよね。でも、それが暴走することによって、最終的には『スター・ウォーズ』のダース・ベイダーみたいになってしまうという人物像を頭のなかで思い描いていました。公開禁止を求めて訴えられたこともあった―なるほど。ちなみに、完成した作品をご覧になったジャックや子どもたちの反応はいかがでしたか?監督今回、最初の観客はヴィギエ一家のみなさんで、親戚などを含めるとだいたい100名ほどの方々に観てもらいました。僕にとっても、最初に彼らに見せるということが重要でしたから。彼らは企画にもシナリオにも事前に同意してくれてはいましたが、やはりできあがった作品を観たときは、すごく感情を揺さぶられたようでした。というのも、彼らにとってはつらい経験をふたたび体験するような時間だったので、動揺もしていたと思います。ただ、数回観てくれた子どもたちは、この作品ができてよかったと言ってくれました。なぜなら、これまでメディアでは何度も自分たちの父親が母親を殺した犯人だと言われてきて、そのたびに弁護してきたが、もうそれをしなくてもいいんだと思ったからです。つまり、この作品にリレーのバトンを渡すことができたんだと。そんなふうに、ありがたく受け止めてくれているようです。―関係者のみなさんが、好意的に作品を観てくださってよかったですね。監督いや、それが妻の愛人だけが、この作品が公開禁止になるように、僕らを訴えたんですよ……。それによって僕らも法廷に出ることになりましたが、最終的には彼が敗訴となりました。というのも、これはでっちあげからどういうふうに冤罪が作り出されていくのかというプロセスを描いていて、一般的にも意味がある作品であり、公開してしかるべきだと司法が判断してくれたからです。司法でも間違えることはありますが、それがどうやって生み出されているのかというのをこの作品では見せることができたと感じています。いまでは、そんなふうにとても有効な作品としてとらえられているのでよかったです。タイムリーな作品として観客に訴えかけるものになった―賢明な判決だと思います。実際本国では、多くの観客を動員しヒットとなりましたが、監督がこの作品がいいものになると確信した瞬間はいつですか?監督僕は初めて裁判を傍聴したとき、「フランスの司法はこんなものなのか?」と椅子から転がり落ちそうになるくらい大きな衝撃を受けたんです。そのときにこれは映画にしなければいけないと思いましたし、観客にもいかにフランスの司法制度が機能不全なのかというのをちゃんと知ってほしいと感じました。そう決意したときから、この作品は観客にも自分が受けたような大きな衝撃を与える作品になるだろうという確信はあったと思います。今回の事件は、マスコミが騒ぎ立てた噂が蔓延することによって世論が構成されていったところがありましたが、20年前に比べるといまのほうがSNSも普及していますよね。そういう意味ではいまのこのタイミングのほうが、よりタイムリーな作品として訴えかけるものになるだろうなという確信は強くなっています。―本作では、裁判が題材ではありますが、SNSの普及や過剰なマスコミ報道などによって、現代では誰もが被害者もしくは加害者になるうる危険性があるというのもその先に感じました。私たち個人がどういう意識を持たなければいけないとお考えですか?監督それは現代が抱える非常に大きな問題ですよね。僕の立場からしか答えることはできませんが、この映画を撮って、さまざまな経験をするなかで、いまはSNSにはコメントをしないと決めています。SNS自体はすごく好きですが、自分があまり知らないことに対してコメントすることはよくないと、自分に禁じているんです。SNSを悪者扱いするつもりはないですし、社会的にいい面もありますが、実際トランプ前大統領がTwitterを乱用したことによって、民主主義が脅かされるという事態も起こったばかりですからね。複雑な部分があるこの問題に対してひとつの見解を述べることは容易ではないですが、現段階ではそのような対策を僕は取るようにしています。次々と真実が明らかになる展開に息を飲むスピード感のあるスリルと緊迫感に満ちた法廷バトルで、観る者を釘づけにする本作。いつの間にか疑惑と真実の狭間に引きずり込まれ、感情を激しく揺さぶられてしまうはず。監督の心からの訴えと俳優の熱演によって生み出された圧巻のラストシーンは必見です。胸のざわつきが止まらない予告編はこちら!作品情報『私は確信する』2月12日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次公開配給:セテラ・インターナショナル©Delante Productions - Photo Séverine BRIGEOT
2021年02月11日バレンタインデーを目前にひかえ、ここで一気に恋愛モードへと気持ちを高めたいところ。そこで、“愛の国”フランスから届いたオススメの注目作をご紹介します。それは……。『マーメイド・イン・パリ』【映画、ときどき私】 vol. 358記録的な雨によって浸水してしまったパリ。セーヌ川に浮かぶ老舗バー“フラワーバーガー”のオーナーの息子であるガスパールは、ウクレレを持って歌うパフォーマーとして働いていた。ある夜、ガスパールはルラという名の人魚が倒れているのを見つけ、自宅で懸命に看病することに。美しい歌声で出会う男性を虜にし、恋に落ちた男性たちの心臓を破裂させて命を奪っていたルラ。ガスパールの命も奪おうと試みるものの、過去の失恋の経験から恋する感情を一切捨ててしまっていたガスパールには効かなかった。2人は徐々に惹かれ合っていくが、ルラは2日目の朝日が昇る前に海に帰らなければ、命を落としてしまうという。はたして、2人の恋の行方は……?女心をくすぐるような美術と音楽が満載のオシャレなラブストーリーとして話題の本作。今回は、生みの親でもあるこちらの方にお話をうかがってきました。マチアス・マルジウ監督音楽をはじめ、執筆や映像でも才能を発揮し、独創的な世界観から“フランスのティム・バートン”とも呼ばれているマルジウ監督。本作は自身の小説を原作に、初の長編実写映画に挑んでいます。そこで、作品を通して伝えたい思いや愛とは何かについて語っていただきました。―ガスパール役のニコラ・デュヴォシェルさんは、ガスパールには監督が投影されていると感じ、2か月間ずっと監督を観察して役作りをしたそうですね。ご自身でも、そのような意識はありましたか?監督確かにガスパールは、ほとんど私だと思います。なぜなら、彼が感じていたことは、自分も感じていたことで、分身のようなところがありましたから。ある意味で、自伝的な映画になったと言えるかもしれません。いつもは、自分から遠く離れた人物を作るほうが好きなんですけどね。ただ、彼のほうが私より悪いところもあれば、私より強いところもあるとは感じています。まず、私よりもよくない点は、恋愛に対して極端な考えを持っているところ。私自身も過去には恋に苦しんだことがありましたが、彼のように愛をまったく感じられないところまではいってませんでしたからね。そして、ガスパールが私よりも強いと思うところは、彼には勇気があるところ。この物語は3日間のお話ですが、彼は短い時間で自分の心を開き、ふたたび感情を取り戻すことができたのです。すべての燃料になるのが愛―実際に、ご自身の経験も反映されているところはありますか?監督これはすごくおもしろいことなんですが、実はこの本を書き終わってから私はガスパールと同じ経験をしました。それは、ある女性と出会ったときのこと。私はガスパールと同じように、3日間で彼女に心を開いてしまったんですよ(笑)。なので、私の人生哲学は彼と同じになったと言えるかもしれませんね。その素晴らしい女性とは、いま一緒に暮らしています。―自分が書いた物語が現実になるとはすごいですね。劇中では「愛とは燃料だ」というセリフがありましたが、監督にとっての愛とは何ですか?監督いまの質問をひっくり返してお答えしますが、「すべての燃料になるのが愛だ」と言いたいと思います。それが私の基本です。たとえば、病気になったときや何かを失ったときにも、抵抗する力をもたらしてくれるのは愛ですし、愛があるからこそいまを強く感じることができるとも思っています。つまり、すべての源に愛があるのです。それは、一種の宗教のようなものと言えるかもしれません。宗教であれば神を信じるものですが、私は愛を信じています。これは恋愛においてだけでなく、親子や友人に対する愛も含まれていますが、自分を豊かにしてくれる愛が重要なのです。私は、人生において愛以上に重要なことがあるとは思えません。人生は短いもので、通りすぎる鳥のようでもあると言われています。そのなかで、愛や情熱のない人生など考えることが私はできませんから。―心にメモしておきたくなるようなステキなお言葉ですね。監督そして、愛とはサプライズでもあるので、自分自身を動かし、自分と他人を驚かすものでなければなりません。だからこそ、私は人生において絶えず冒険を続けていきたいと思っています。決められたプログラムに沿っていくのではなく、そのなかで必要なのは即興性とユーモア。愛が大河なら、それらはその分流であるとも言えるでしょう。私はこれからもすべてのことに対して枯れないように愛を注ぎ続けていきたいと思います。我慢と努力を続ければ、必ず晴れの日は来る―ただ、年齢や失敗を重ねていくとガスパールのように、恋することを諦めてしまう人も多いと思います。愛に対して臆病になっている人たちに監督からどんな言葉をかけたいですか?監督「まずは辛抱強くあれ。そして勇気を持て」と言いたいと思います。愛を諦めてしまうのは、エゴが傷ついているからにすぎません。子どもの頃に自転車で転んだときのことを思い出してみてください。痛い思いをしたくないから、もう乗りたくないと思いますよね?でも、これこそがこの作品のなかでつねに訴えていたことでもあります。つまり、人生は失敗だらけで自尊心が傷つくことばかりだけれども、本当に重要なのは失敗したあとにふたたび立ち上がってまた始めること。人生では仕事がうまくいかなかったり、失恋したり、いろんな失敗がありますが、この障害をどう乗り越えるかが一番大切なんです。―確かに、人生では成功よりも失敗のほうが多いかもしれませんね。監督いい物語というのは、A点からB点に直接行くのではなく、その間にある障害を飛び越えるのか、下に穴を掘っていくのか、よそを回るのかといった具合に、どうやってそれを克服するのかを考えることで、初めておもしろいストーリーになります。もちろん、行動するよりも言うほうが簡単ですけどね。ただ、私は恋愛において、かつてないほど幸せな気持ちをいま味わっています。だからこそ思うのは、雨のあとには必ず晴れが来るということ。一生雨が降り続けるんじゃないかと思うくらい時間がかかるときもありますが、忍耐強く我慢し、がんばって努力を続け、勇気を持って光を探して行けば、必ず晴れの日に到達するとみなさんに伝えたいと思います。夢を追いかけて、情熱のままに生きている―心強いお言葉をありがとうございます。では、いまは素晴らしいパートナーとの愛が、監督の創作活動にも大きなインスピレーションを与えていると感じていますか?監督まさにその通りですね。実は、私は昨年の3月に詩集を出版しましたが、その本のコラージュやイラストを担当してくれたのが彼女です。「恋の詩の楽しい変調」という意味のタイトルで、朗読をしたレコードも出し、コロナで中止になってしまいましたが、舞台やショーも予定していました。そういった意味でも、人魚に出会って創作力を取り戻したガスパールと私は同じと言えるでしょうね。しかも、私が彼女に出会ったのは、ガスパールが人魚と出会った場所の近くでもあるんですよ(笑)。ちなみに、私の彼女はDaria Nelsonといって、インスタグラムやYouTubeでも活動しているので、よかったらみなさんもチェックしてみてください。―それから、劇中でパフォーマーとしての誇りについて話しているシーンも印象的でした。「誇りはあらゆる物事の核心である」というセリフがありましたが、幅広い創作活動をしている監督にとっての“誇り”とは何ですか?監督とてもいい質問ですね。まず私が誇りに思うのは、いろいろなものを人とわかちあえるということ。そして、愛を維持できるということです。その愛というのは、クリエイションにおいても、友情においても、恋愛においても言えることですが、自分が夢中になり、それを突き詰められるようになることです。私にとって大事なのは、自分のしていることと自分であることが一致していること。そして、自分の好きなことをしてお金を稼げるということです。多くの人が、食べていくために仕事をして、残った時間を自分の好きなことに費やしているかもしれません。ただ、私の場合は趣味がないので、自分の好きなことや夢を追いかけ、自分の情熱のままに生きているんです。結果的にそれが生計を立てることにも繋がっているので、私はそれをとても誇りに思っています。自分にとっての冒険は、生きること―そのなかで、学んだこともありましたか?監督当然のことながら、私は多くの間違いをしてきましたし、これからも間違い続けるでしょう。でも、学び続けていくなかで、自分の情熱を追求し続けられる人生を送れることには誇りを持てると思います。もちろん、そういった人生を送るために多くの犠牲を払っていますし、少し変わった人でいるために戦わなければいけないこともありますが、私にとっては楽しい戦いであり、喜んでしていることですから。そして、そういった人生を送っているからこそ、素晴らしい人にも出会うことができたので、私にとっての冒険は生きることなんです。―なるほど。本作では、どのシーンでもインテリアが非常に素敵だったので、監督から特に注目してほしいポイントがあれば、教えてください。監督今回は自分の部屋にあったものほとんどを装飾として持っていったので、みなさんにお見せしたいものはたくさんあります。たとえば、劇中に出てくる鳩時計やメキシコの人形は、実際に私のものですし、あとは次のアニメ作品に使う女の子の人形も出ているんですよ。それから、映画のなかでは頭がハートになっている人物の絵がガスパールのコップや冷蔵庫に描かれていますが、これは私が前に出したアルバムのキャラクターで、私が骨髄移植を受けて入院していたときのことと関係しています。ここでもまた愛が重要になってきますが、頭の代わりにハートであるのは、自分を愛し、自分が愛される存在にふたたびなるんだという意味が込められているので、この作品にもシンボルとして入れたいと考えていました。いろいろなものが隠しアイテム的に映っているので、ぜひみなさんも注目してみてください。目も心も楽しませてくれる!“恋の都”パリが魅せる美しい景色とともに、切なくてキュートなラブストーリーが堪能できる本作。恋している人も、恋に臆病になっている人も、胸が高鳴るのを感じられる大人のためのおとぎ話です。大切な人を誘って、劇場へと行ってみては?ドラマチックな予告編はこちら!作品情報『マーメイド・イン・パリ』2⽉11⽇(⽊・祝)新宿ピカデリーほか全国公開配給:ハピネット©2020 – Overdrive Productions – Entre Chien et Loup – Sisters and BrotherMitevski Production – EuropaCorp - Proximus
2021年02月10日毎日緊張感のある生活を強いられていると、映画館でゆっくりと作品の世界観に浸ってぜいたくな時間を過ごしたいと思う人も多いのでは?そこで、そんなときにオススメの映画をご紹介します。それは……。話題作『春江水暖~しゅんこうすいだん』【映画、ときどき私】 vol. 357はるか昔から大河・富春江が流れる杭州市富陽区。ある日、グー家の家長である年老いた母の誕生日を祝うため、4人の兄弟や親戚が一同に顔を揃えていた。ところが、祝宴の最中に母が脳卒中で倒れてしまう。母は介護が必要となるが、4人の息子と孫たちもさまざまな問題を抱えていた。再開発が進み、変わりゆく街のなかで、大家族はそれぞれの人生を歩み始めることに……。2019年に行われた第72回カンヌ国際映画祭で批評家週間のクロージング作品に選出され、主要海外メディアでも高い評価を得ている本作。今回は、こちらの方にお話をうかがってきました。グー・シャオガン監督本作が長編デビューとなるシャオガン監督。国際的に話題となったこともあり、中国映画界の新たな才能として一躍注目を集める存在となっています。そこで、撮影の舞台裏や現代の中国における結婚観の違いなどについて語っていただきました。―本作は2年もの時間をかけて撮影したそうですが、それが作品にどのような影響を与えていると感じていますか?監督この映画はこれだけ長い時間をかけたからこそ、いまの完成度に到達できたんだと思っています。僕にとって時間は、映画のなかでも重要なキャラクターのひとり。時間によって四季や街の様子、そしてキャラクターたちもどんどん変わっていきました。たとえば、劇中に妊娠している女性が登場しますが、それも撮影期間中に彼女が実際に妊娠したので、エピソードして盛り込むことにしたんです。今回の映画は、僕にとっては初の劇映画であり、初めてクルーと一緒に作った映画なので、最初は何もわからないところから始まりました。でも、2年という時間をかけたおかげで監督としてのスキルが上がり、スタッフたちとの連携も研ぎ澄ませることができたと思います。長いマラソンを走っているようでしたが、区間をわけながら自分のペースで走りながら作っているような感覚でした。出演者の親戚に怒られてばかりで、大変なこともあった―もともと撮影は2年かけて行う予定だったのでしょうか?監督実は、最初は1年で撮ろうと思っていました。でも、いま考えれば、それも難しい目標だったかもしれません。というのも、この映画のテーマや出演者が素人であることなど、もろもろの要素が資金集めをするのには向いていない作品だからです。なので、1年目はお金が足りなくなってしまって、知り合いに借金をしながらなんとかしましたが、撮影中はお金が使われるいっぽうですからね。撮りながらお金を集めるという自転車操業のような状況になってしまうこともありました。そこで仕方なく2年目に突入することになったんですが、時間をかけたおかげで台本を修正しながら撮影できたのはいま考えるとよかったことだと思います。―キャストのみなさんは、ほとんどがご自身の親戚や友人だそうですね。見事な演技でしたが、俳優ではない彼らを演出するうえでの苦労もあったのでは?監督素人を演出するときに一番難しいことは、カメラに対する恐怖心を克服させること。僕の親戚も友人も撮影されるのは初めてだったので、最初は数十人に囲まれた状態で演技することがどうしてもできませんでした。コップ1杯の水を飲むことすらできないほど、はじめは緊張していましたから。それも、長い時間をかけて慣れてもらうしかありませんでした。―そのほかにも、忘れられない出来事があれば教えてください。監督本当にいろいろなことがありました。よく見かけたものでおもしろかったのは、最初は緊張していた親戚や友人が慣れてくると、後から入ってくるキャストに対して演出をつけだして、助監督のようなアドバイスをしていたことですね(笑)。あと、おじさんもおばさんも自分たちの仕事をしながらだったので、忙しければ遅れて来たり、気分が悪ければ現場に来なかったりするので、契約書を交わしてもそれ通りにいかないことはたくさんありました。でも、彼らは役者になりたいわけでも、この映画に出て有名になりたいわけでもなく、ただ甥っ子を助ける義理人情だけで出演してくれていましたから。なので、何度か彼らに叱られて大変なこともたくさんありました……。伝統をいかに現代にとどめられるかを探求したかった―ちなみに、どのようなことがあったのでしょうか?監督ひとつは、中秋節という伝統行事のシーンを撮ったときのこと。中国では家族団らんのお祝いごとなので、どういう装飾にしようかとスタッフたちと相談して、いろいろと準備を進めていました。いよいよ撮影の前日というときに、おばさんから僕に電話が入り、怒涛の勢いで罵倒され、何が何だかわからないまま怒られていたんです。理由を聞いたら、あるスタッフが撮影をするおばさんの家に菊の花を置いていたことがわかりました。菊は中国でお葬式のときに使う花ということもあり、「中秋節にはとても縁起が悪い」と気分を害していたのです。ただ、中国のどこかの地方では中秋節に菊の花のお酒を飲む伝統があるらしく、それを聞いたスタッフが飾ろうとしたみたいですが、おばさんはものすごく怒っていましたね。急いで謝りに行き、機嫌を直してもらってなんとか次の日に撮影をしました。そのほかにも、漁師のおじさんの船のライトをスタッフの誰かが壊してしまったときには、僕に電話がかかってきて、また怒られて、謝りに行って、ご機嫌を取るみたいなことを繰り返しましたが、撮影中はそんなことばかりでした(笑)。―大変でしたね。今回は、ご自身の故郷の変化を目の当たりにしたことがきっかけでこの作品が生まれたそうですが、実際に大きな開発が人々にどのような変化を与えているとお感じですか?監督僕がこの映画で目指そうとしていた大きなテーマというのは、「伝統的なものをいかに現代に残すか」ということ。でも、今回の再開発に関して、地元の人や僕は好意的に受けとめています。もちろん名残惜しさもありますが、貴重なものを取り壊したり、無駄に壊したりしているわけではなく、古い街並みをキレイにして、よりよい生活が送れるようにしようというものだからです。ただ、この映画のなかでは、「伝統をいかに現代にとどめられるか」を探求していきたいという思いは、つねにスタッフと共有していた部分です。時代は進まざるを得ないですし、後戻りもできません。それどころかどんどん新しい技術が生まれて、それが未来へと繋がっていきますよね。AIやロボットによって、将来サイバーパンクみたいな世界になるかもしれませんが、そんな未来でもどうやって伝統を残せるかを僕は考えたいと思っています。結婚観がいまでも保守的なことを不思議に感じていた―監督にとって、伝統とは何ですか?監督伝統というのはお寺や古い建物など外側にだけあるものではなく、変わることのない人の心こそが“伝統の核心”だと考えています。たとえば、伝統のある古い建物のなかにいる人がスマホでSNSをやっていたら、それは伝統を体現しているとは言えませんよね?それよりも、人がいかに伝統に想いをはせたり、古いものと自分とのつながりを感じたりする心のほうが大事なんじゃないかなと。社会も街も変化していきますが、人の心というのはそれほど変化しないものだし、いまも昔も変わらないと僕は思っています。―劇中で描かれている世代ごとの結婚観への違いも、非常に興味深かったです。監督僕は映画のなかで3世代の違う結婚観や恋愛観を描きましたが、それがすべての中国人というわけではありません。ただ、典型的な人々を体現しているとは思っています。ちなみに、劇中で家族に反対される孫娘のグーシーの恋愛が出てきますが、あれは実際にグーシーの母親役を演じた僕のおばさんのエピソードを入れました。つまり、僕のいとこのお姉さんが恋人と駆け落ちして何年間も親と不仲だった時期があったということです。いまは和解していますけどね。ただ、僕が生まれ育った杭州は上海から近くて、わりと文化的にも物質的にも豊かな地域なのに、結婚に関してはいまだに親が子どもの結婚をコントロールしようとするところがあると思います。僕がずっと不思議に感じていたのは、中国は経済も発展していますし、どんどん新しくなっている国なのに、その部分だけはどうして古くて伝統的なんだろうかということ。北京に住んでいたときに、アート系のオープンマインドな友人がたくさんできましたが、そういった彼らの家でさえ結婚に関しては保守的な部分があり、疑問を抱いていたので、この映画ではそれを探求したいと思いました。実は、僕自身も恋人や結婚相手に対して、両親から口出しされた経験があるんですよ。世代によって異なる愛を描いてみたかった―親世代と若い世代の考え方の差が生まれる根本には、どのような理由があると感じていますか?現代の中国における若者の結婚に対する考え方についても教えてください。監督反対されたり、ジャッジの基準となったりするのは、相手の経済的な問題ですね。この映画を撮っていて気がついたのは、親世代と僕ら世代の違いは時代背景に影響されているということ。いまの50~60代の人たちが生まれ育った時代はまだ文化大革命の頃で、毛沢東もいて、全体主義の社会で物質的にとても貧しかったのです。大家族で物質的な豊かさを求めていて、そういうものを手に入れることがステータスでもあり、安心をもたらすものでもあったので、彼らにとっては精神的なものを追求することはそんなに大事ではありませんでした。生きるうえで重要だったのは、物質的なものを手にして、国を立派にすることでしたから。それに比べて、いま若い人たちは、一人っ子政策によって大事に育てられ、豊かに発展した社会のなかで、物質的なものに安心感を求めることなく、精神的な追求のほうが大切になっていますよね。そういった部分がいまの中国における世代間の違いを生んでいる理由だと感じました。だからこそ、世代によって異なる愛を描いてみたいというのも、この映画を作った核になっているとは思います。それは、かつておばあさんが経験した愛、4人兄弟それぞれの家族に対する愛、現代の若い恋人同士の愛とさまざまですが、考え方が違うとよいコミュニケーションが取れないことも今回は描きました。日本には大好きな監督や作品がたくさんいる―なるほど。また、監督は日本映画がお好きだと聞きました。影響を受けている監督や作品についても、教えてください。監督映画を観始めたときに岩井俊二監督の作品でおもしろさを知りましたが、ほかにも是枝裕和、橋口亮輔、藤井道人といったいまの監督から黒澤明、小津安二郎、溝口健二といった巨匠たち、あとは中島哲也やホラーの監督まで好きな日本の監督はたくさんいます。おそらく中国と地理的に近いこともあって、文化や美的感覚にしっくりくるものがあるのかなと。好きな作品もたくさんありますが、僕は家族をテーマにした作品からエネルギーやインスピレーションを受けることが多いですね。昨年末に僕の住んでいる杭州で、山田洋次監督と是枝監督の上映会イベントが開催されていて、足を運んできました。その際、大晦日に改めて是枝監督の『歩いても 歩いても』を拝見しましたが、本当にすばらしくて感動したので、「この映画でパルム・ドールを獲ったほうがよかったんじゃないか」と思ったほど(笑)。それくらい僕の一番好きな作品です。派手なストーリーではありませんが、撮るのが非常に上手でいらっしゃるのに、そういうテクニックを見せないところもすばらしくて尊敬できる監督だと感じました。市井の人がおくる日常をリアルに感じられる絵巻をじっくりと眺めるかのごとく、美しい四季の移り変わりを堪能できる本作。そのなかで必死に生きる人々の姿、そしてさまざまな愛のカタチに静かな感動が心のなかに広がるのを感じられるはずです。取材、文・志村昌美荘厳な予告編はこちら!作品情報『春江水暖~しゅんこうすいだん』2月11日(木・祝)Bunkamuraル・シネマほか全国順次公開配給:ムヴィオラ©2019 Factory Gate Films All Rights Reserved
2021年02月09日2月もさまざまな話題作の公開が控えていますが、そのなかでもオススメの映画は、シカゴ国際映画祭で観客賞と最優秀演技賞の2冠に輝いた『すばらしき世界』。日本が誇る名優・役所広司さんと国内外で高く評価されている西川美和監督が初タッグを組んだことでも注目を集めている作品です。そこで、本作の魅力について、こちらの方々にお話をうかがってきました。仲野太賀さん&長澤まさみさん【映画、ときどき私】 vol. 356劇中で仲野さんが演じたのは、罪を償って刑務所から出たばかりの男・三上に取材と称して近づいていくテレビマンの津乃田。そして、取材対象として三上におもしろさを感じ、言葉巧みに津乃田をそそのかすやり手プロデューサーの吉澤を長澤さんが演じています。今回は、本作の現場を通してお二人が得たものやお互いに対する思いについて、語っていただきました。―まずは、この物語のどのあたりに惹かれたのかを教えてください。仲野さん脚本を最初に読んだとき、セリフも展開もすばらしい作品だなと思いました。西川監督の作品は、いつも人間がいかに複雑で、矛盾を抱えているかという多面的な描き方をされていますよね。それを今回も感じましたし、いまの僕たちが日常生活で身につまされることもテーマにしているので、それをこのタイミングで西川監督が撮るということにものすごく意義があると思いました。長澤さん私も生きているなかで時代の移り変わりというのを感じていますが、そのなかですごく疑問に思っていたのは、時代の流れに合わせて人が変化していくことがはたして常識なのか、正義なのか、ということ。この作品にはそういうことが詰まっているので、すごくいい作品だなと思いました。それでいて、登場人物たちが持つ人間味がすごくリアル。そういったところにも心を動かされましたが、取ってつけたような価値観ではないので、そのあたりも共感できたところです。作品を観終わったあとにはちゃんと問いが生まれますし、満たされて温かい気持ちにもなりました。それくらい自分のなかに残る作品になったという印象です。意識したのは、観客と映画の“橋渡し”になること―仲野さんは撮影前に監督といろいろディスカッションをされたそうですが、どのようなことを意識して演じられたのでしょうか?仲野さんお話をいただいたときから西川監督に言われていたのは、「津乃田は一番共感性の高い役だから、観客とこの映画の“橋渡し”になってほしい」ということ。僕が求められていたのは、津乃田に寄り添いながら、三上と観客に向き合い、そのうえで俗っぽさを出すことでした。三上がいろいろな表情を見せてくれるので、津乃田としてそれにどうリアクションしていくのか、という部分は大事にしたところです。―監督が長澤さんにオファーした理由について、「きれいな女優さんはヒール役を受け入れるのに時間がかかるが、いまの長澤さんならこれくらいの悪役は跳ね返してくれると思ったから」とコメントされています。ご自身ではそういう感覚はありましたか?長澤さん吉澤のように自分の性を仕事でうまく使うというのも、ひとつの知恵かもしれませんが、彼女の根本にあるのは「一番いいネタを持っていこう」という熱意。なので、あえて悪く演じるのではなく、とにかく仕事にまっとうしている人ということを意識しました。あとは、監督に求められていることに応えたいという気持ちが強かったですね。現場でも細かく足したり引いたりする提案をしてくださったので、それがおもしろくて、監督がおっしゃる通りにがんばろうという思いで現場に挑みました。太賀くんの表情がステキすぎて、いまでも忘れられない―仲野さんは、「あと15回くらい津乃田を演じたい」とおっしゃっていると聞きました。それほど今回の現場が充実していたということだと思いますが、西川組の魅力はどのようなところですか?仲野さんワンシーンを撮ることの丁寧さも、一日一日を過ごすことの丁寧さもそうですけど、西川組は時間の流れ方が全然違うんですよね。それは監督がものすごく時間をかけて入念な準備をしていて、それでいざ撮影という感じなので、スタッフのみなさんもそれをわかったうえで現場に入っているからだと思います。それくらい作り込みの丁寧さが違うのかなと。今回は撮影監督の笠松則通さんをはじめ、これまで日本映画をずっと支えてきた超一流の方々ばかりがそろっていたので、僕にとっては“日本映画の聖域”のような現場でもありました。そこにいられるだけで幸せだったので、あと15回とは言いましたが、正直あと30回は演じたいですね(笑)。長澤さん私が太賀くんをすごいなと思ったのは、三上が若者のことを叱って喧嘩になるシーンの撮影が終わったあと。現場と支度場所が遠かったこともあって、車が来るのを待ってたんですけど、そのときにすごくうれしそうに達成感に満ちあふれた顔をしていたんです。それを見て、「本当に映画を愛している人なんだな」と思いましたし、「これから映画界を担っていく人になるんだな」とも感じました。太賀くんは今回もちゃんと現場の一員になっていましたけど、それは太賀くんがしっかり努力してそこに追いついているから。そういうたたずまいが本当にステキだなと思って、ずっと見ていました。少年のようでも大人のようでもあるその表情があまりにもよかったので、いまでも忘れられません。西川監督からは、俳優に対する深い愛情を感じられた―その様子を長澤さんに見られていたことはご存じでしたか?仲野さん全然自覚はなかったですけど、喜びと充実感が出ちゃってたんですね(笑)。おそらくそれは、スタッフやキャストのみなさんがこれまで自分が影響を受けてきた憧れの方々だったので、その場所に自分が携われている喜びもあったんだと思います。長澤さんあんな顔、本当にいままで見たことなかったよ。仲野さんそうですか(笑)?でも、そういうふうにいられたのも、やっぱり西川組のすごさかなと。なぜなら僕の肌感として、“自分の居場所”をみなさんがちゃんと作ってくださっていたからです。「ここにいていいんだよ」と託してくださっているというか、受け入れてくださっている懐の深さみたいなものを現場で感じることができました。―では、長澤さんにとっての西川組とは?長澤さん西川監督は自分の作品に出ている俳優に対して、とても深い愛情を持ってくださるので、すごく大切にされている感じがあってうれしかったです。もちろん、がんばらなくちゃという責任もありましたが、そういう監督の愛をいただけたのも、西川監督の現場の好きなところでした。長澤さんは、心が温かくて尊敬できる人―お二人はこれまでも共演経験がありますが、お互いのことをどのように思っているのかを教えてください。長澤さん私は太賀くんに信頼しかないですね。仲野さんうれしいですね(照)。長澤さん本当に、年下の俳優さんで一番信頼している人なので、一緒にお芝居するのも楽しいし、太賀くんの作品を観るのも楽しみなんですよ。だから、「太賀くん、どんどんいっちゃってー!」って感じです(笑)。今回、西川監督も陰で「太賀くん、いいよね」とずっと言ってましたから。太賀くんは本当にそれくらい愛される人なんですよ。以前一緒に共演した佐藤二朗さんも、山田孝之くんも同じことを言っていましたが、太賀くんを嫌いになる先輩俳優はいないと思います。仲野さんいやー、本当にうれしいです!長澤さんやっぱり人間性もいいんだと思います。仕事ができるのは、見ての通りみんなわかってますからね。本当にいい子なんですよ。仲野さんありがとうございます!僕が長澤さんと初めてちゃんとお芝居をさせてもらったのは、映画『50回目のファーストキス』での姉弟役だったんですけど、最初に対面したときに、絶大な懐の深さみたいなのを感じたんですよね。「おっ!弟が来たな!」みたいな。長澤さんちょっと、それじゃあ、おっさんみたいじゃない?仲野さん(笑)。でも、本当にそんなふうに受け入れてくれたのがすごく印象深くて。それは言葉とか態度とかではなく、心をバンッと開いてくれた感じがしたんですよね。それ以来、ご一緒させていただくことも続いているので、ご縁もある方だなと。長澤さんが僕のことを肯定してくださっているのが伝わってくるので、僕も年上の女優さんのなかで一番信頼しています。距離も近いと勝手に感じていますが、長澤まさみさんといえば超トップランナーでもありますから、そういう尊敬もありながらどこまで心の温かい人なんだろうと思って、いつも感謝しかありません。長澤さんありがとう!役所さんの姿から、学ぶことはたくさんあった―では、主演の役所広司さんとご一緒されてみて、役者として、人として感じた役所さんの魅力やすごさを目の当たりにした瞬間があれば、教えてください。仲野さん役所さんを語るには、まず僕自身が持ち合わせている言葉では足りなすぎるんですよね。それくらい偉大な方だと思っています。日本映画の大黒柱でもあるので、偉大すぎて恐れ多かったです。今回、役所さんが演じられた三上のなかには、喜びも悲しみも怒りも寂しさも全部入っていて、それがいくつも重なっている魅力的な人物でしたが、役所さんが演じることによって、人間の奥深さや複雑さが表現されていると感じられました。本当に役所さんは底知れないというか、僕にとっては背中が大きすぎる方です。長澤さん大半の人は役所さんに緊張してしまうと思うんですけど、それは決して役所さんが威圧的ということではなくて、私たちが勝手に役所さんにたじろいでしまうだけなんですよね。役所さんは若手にもすごく気を遣ってくださったので、私も緊張感に負けないようにがんばらなきゃと思いながら向き合いました。それでもやっぱり緊張してしまう自分がいて、そういう葛藤が生まれてしまう難しさはあったと思います。でも、役を体現されている先輩の姿を見て、教えられることはたくさんありました。学びをくださるとても優しい先輩でもあるので、次に共演させていただくときは緊張せずにのびのびとできたらいいなと思っています。私は数日しかご一緒できませんでしたが、その空気を味わえただけでもよかったですし、役所さんの現場でのあり方はシンプルで、向き合い方も画面に出るものだと改めて気づかされました。自分を見つめ直すことで、幸せの価値が変わった―この作品を撮影していた2年ほど前と現在とでは、世界も一変してしまいましたが、お二人が考える“すばらしき世界”に必要なものは何だと思いますか?仲野さんそもそも僕は欲深い人間なので、「あれがほしい」「これがほしい」「もっとこうありたい」と言っては自分の首を絞めたり、人に当たってしまったりすることが普通にありました。でも、自分の生活を一回見直したときに、「僕は自分が思っている以上にモノを持っているぞ」と。そのときにこの世界がすばらしいと言えるほどのものが、実は身の回りにはけっこうあるんだということに気づかされました。―こういう状況に陥ったからこそ、そう考えるようになったということですか?仲野さんコロナだけではなくて、いろいろな映画を観ても気づいたことですね。そう思うようになってからは、「いまあるモノにもっと幸せの価値を見いだせたらいいな」と考えています。モノでも人でも何でもいいと思いますが、そうしたほうがいまの時代は幸せになれるんじゃないかなと思うようになりました。それはこの映画で描かれていることにも通じていますが、自分のことを見つめ直すと、意外とそこには“すばらしき世界”があるんじゃないかなと。それまでは新しいことやもっとすごいことをしたいと必死になっていましたけど、その歩みが一回止まったときに、「いや、待てよ。いまだって十分に幸せじゃないか」という気づきを得られたんだと思います。それもあって、最近は身近なところに目を向けてみようというマインドになってきている気がしますね。一生懸命がんばって生きることほど楽しいことはない―長澤さんも心境の変化はありましたか?長澤さん私も「満たされていることはみんな知っていたのに、忘れていたんだな」ということに気づかされることはたくさんありました。あと、これは年々感じていることですが、「真剣に一生懸命がんばって生きることほど楽しいことはない」ということですね。ただ、私は器用なほうではないので、いつも必死なんですけど、それをこれからも続けていきたいですし、感情的な部分を大事にしていきたいです。今回の現場で役所さんや太賀くんを見て思ったことでもありますが、自分が決めたことに対して一生懸命向き合って、チャレンジ精神を持って前に進んでいる人は魅力的ですから。手を抜くことは簡単にできますけど、私はその先にある自分の感情というか、値のつかないものに対する欲が高まっているので、そうやって自分の可能性を伸ばしていきたいなと思います。インタビューを終えてみて……。相手への信頼感と尊敬、そして仲の良さがこちらにも伝わってくる仲野さんと長澤さん。若手のなかでもいまや日本映画界に欠かせない存在であるお二人から語られるお話は、どれも興味深いものばかりで引き込まれてしまいました。そんなお二人が愛した現場で生まれた傑作をみなさんもぜひ映画館でご覧ください。魂が震え、込み上げる感情を抑えられない実在した男をモデルに、社会が抱える不寛容さや生きるとは何かに迫っている本作。葛藤を抱え、生きづらさを覚えている人も多い現代だからこそ、不器用ながらもまっすぐ生きようとする三上とそんな男を囲む人々の姿には誰もが大きく心を揺さぶられるはず。自分にとっての“すばらしき世界”を知り、さまざまな問いと向き合うためにも、まさにいま観るべき1本です。写真・北尾渉(仲野太賀・長澤まさみ)取材、文・志村昌美仲野太賀 スタイリスト:石井大/ヘアメイク:高橋将氣長澤まさみ スタイリスト:Makiko Gibson Miura /ヘアメイク:小澤麻衣(mod’s hair)Outfit credits ストライプシャツ¥32,000、ジャンプスーツ¥49,000 MEIMEIJ(エスケーシー 06-6245-3171)ブレスレット¥33,000、リング¥16,000(共にFLYNK/WORLD STYLING 03-6804-1554)シューズ ¥79,000(セルジオ ロッシ/セルジオ ロッシ カスタマーサービス 0570-016600)ストーリー下町の片隅にひとりで暮らしている三上は、強面で短気だが、まっすぐで優しく、困っている人を放っておけない男だった。人生の大半を刑務所で過ごしてきた元殺人犯でもある三上は、13年ぶりに出所。社会のレールから外れながらも、何とかまっとうに生きようと悪戦苦闘していた。そんな三上を番組のネタにしようと近づいてきたのは、若手テレビマンの津乃田とプロデューサーの吉澤。ところが、三上の壮絶な過去と現在の姿を追ううちに、津乃田は思いがけないものを目撃してしまうことに……。心に訴えかける予告編はこちら!作品情報『すばらしき世界』2 月 11 日(木・祝)全国公開配給:ワーナー・ブラザース映画©佐木隆三/2021「すばらしき世界」製作委員会写真・北尾渉(仲野太賀・長澤まさみ)
2021年02月09日