日本IBMは12月15日、顧客一人ひとりの理解に基づき、あらゆるチャネルで統一されたブランド体験の提供を支援することを目的に、クラウド型のマーケティング・ソリューション「IBM Marketing Cloud」とオープン・エコシステムの提供開始を発表した。「IBM Marketing Cloud」は、メールやモバイル・プッシュ、Web、ソーシャルの顧客接点をサポートするクロスチャネル・キャンペーン管理を行う基本機能のほか、TwitterやFacebookなど他社が提供するサービスのデータをクリック操作で統合するデータ・エクスチェンジ・プラットフォーム「Universal Behavior Exchange(以下、UBX : ユニバーサル・ビヘイバー・エクスチェンジ)」や、クロスチャネルのブランド体験を設計する「IBM Journey Designer」、その施策効果を分析する「IBM Journey Analytics」の3つのサービスで構成される。また、同社は「IBM Marketing Cloud」の提供開始に合わせ、UBXのオープン・エコシステム「IBM Marketing Cloud パートナー・ネットワーク・プログラム」を開始。先行して、オプトやカレン、デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム(DAC)、フリークアウトがパートナーとして参画する。例えば、DSPサービスと連携する場合、CRMと同一のシナリオを広告展開に活用できる。パートナー各社は、IBM Marketing Cloudと自社のサービスを連携することで、網羅的なコミュニケーション設計とその実行をマーケターに提供できるほか、データ分析から得られるインサイト(洞察)を顧客との対話に活用し、「個客」ごとに好ましいタイミングにパーソナライズされた対応を実現することが可能だ。
2015年12月16日IBMは12月7日(米国時間)、IBMクラウドのサービス「IBM Object Storage」を発表した。同サービスにより、開発者は対話形式でオブジェクト・ストレージを構築し、アプリケーションと連携させることができることに加え、スケーラブルでAPIへアクセス可能なプラットフォームにより、非構造化データを格納、取得するだけでなく、このコンテンツを使用したアプリケーションの開発が可能となる。また現在、IBMのクラウド・プラットフォームの「Bluemix」でベータ版として提供されているObject Storageを用いて外部アプリケーションからアクセスすることができる。同社によると同サービスを使用した場合、開発者は画像やドキュメント、動画といったコンテンツなど増大する非構造化データを高速、簡単かつ安全に利用、格納できるようになるという。同サービスや買収したCleversafeもそうした取り組みの一部となる。また、同サービスはAPIベースのデータ・アクセスを可能にするOpenStackのObject Storage(Swift) API、認証用のOpenStack Identity(Keystone)を利用することで、開発者はBluemixの内部、外部のオブジェクト・ファイルと連結するアプリケーションの構築が可能なほか、オブジェクト・ベースのデータへの不正アクセスを回避するID管理と認証ができる。また、管理を簡単にするサービス・ダッシュボード形式のユーザー・インタフェースやオブジェクト・ブラウザー、開発者のデスクトップからのドラッグ&ドロップによるアップロードおよびダウンロードが可能だ。さらに、OpenStack Swift APIおよびSDKによるオブジェクト・ストレージへのアクセスや外部アプリケーションおよびサービスからObject Storageにアクセス、サービス・キーも使用できることに加え、Bluemix内のオブジェクト・ストレージ・インスタンスごとに分離したセキュリティーも可能になるという。
2015年12月16日IBMは12月10日、セキュリティ・アナリティクス・プラットフォーム「IBM Security QRadar」のセキュリティ・インテリジェンス機能を利用したカスタム・アプリケーションを顧客とビジネス・パートナー、開発者が構築できるようになったと発表した。また、セキュリティ・コミュニティーがIBMのセキュリティ・テクノロジーに基づいてアプリケーションを作成および共有できるマーケットプレイスとして、「IBM Security App Exchange(英語)」を開設した。今回のセキュリティ・アナリティクス・プラットフォームの公開は、高度に組織化されたサイバー犯罪に対抗するため、業界のコラボレーションとイノベーションを促進することを目的としてIBMが今年行った大きな取り組みの第2弾。IBMは、IBM X-Force Exchangeを通してセキュリティ脅威データ 700TBのデータベースを4月に公開しており、発表以来、2000超の組織が脅威共有プラットフォームを利用しているという。IBMは、セキュリティ・アナリティクス・プラットフォームと、脅威インテリジェンスのデータベースをあわせて公開することで「業界におけるコラボレーションを深め、組織がデータと専門知識を共有し、サイバー犯罪に先手を打つ」としている。
2015年12月11日JSR、日本アイ・ビー・エム(日本IBM)、千住金属工業の3社は12月9日、300mmウェハ対応の半導体高密度実装用バンプ形成技術「Injection Molded Solder(IMS)」を開発したと発表した。IMSはウェハ上にレジストで形成したマスクの開口部に溶融はんだを「IMSヘッド」で直接注入し埋め込むことによって、微細なはんだバンプを形成する方式。同技術はIBMが開発したもので、マスク開口部分のサイズに応じて微細なはんだバンプを信頼性高く低コスト・グリーンなプロセスで形成することができる。従来は200mmウェハ向け試作装置に留まっていたが、今回、JSRが高解像性を維持したまま溶融はんだを直接埋め込む高温プロセスに耐えるレジスト材料を、千住金属工業が溶融したはんだ材料を300mmウェハに埋め込む時の精緻な圧力・温度制御を実現できる装置を開発したことで、300mmウェハ対応が実現した。なお、12月16日~18日に東京ビッグサイトで開催されるSEMICON Japan 2015では、300mmウェハ対応のIMS装置とレジスト材料を3社が共同出展する予定となっている。
2015年12月09日日本IBMは11月30日、LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーといった性的指向少数派の総称)の社員が安心して働き、能力を最大限に発揮できる環境を整えることの一環として、社員が配偶者と同じと考える同性パートナーを会社に登録する「IBMパートナー登録制度」を新設し、2016年1月から施行すると発表した。同制度の対象は日本IBMの正社員とその同性パートナーとし、利用条件は、双方が「成人である」「配偶者がない「パートナーが近親者でない」こと。制度を利用すると、登録したパートナーとの結婚や出産などの特別有給休暇や育児および介護休職を取得できるようになるほか、慶弔見舞、赴任旅費といった人事プログラムの対象を登録されたパートナーに拡大する。
2015年12月01日日本IBMは11月26日、あらかじめ設定したビジネス・ルールに基づいて業務を自動化することで人を中心とした業務変革を支援し、プロセスの効率と品質を高めるソフトウェアの最新版「IBM Operational Decision Manager(ODM) V8.8)」を発表し、同月27日から提供開始を予定している。参考価格は612万5000円(税別、70プロセッサー・バリュー・ユニット)。日本IBMならびにIBMパートナー経由で提供する。ODMは20年近くの実績を持つルール・エンジンを搭載し、クレジットカードの不正取引の防止や顧客窓口の対応、通信会社の料金計算、保険会社の査定業務などの自動化・効率化を支援している。今回、IoT(モノのインターネット)に対応するため 、スマートフォンやセンサーなどの位置に基づくルールの設定が強化され、GUIでのルール設定や地図上での一覧などの新機能が追加された。位置に基づくルール(条件)を設定することで、車や飛行機などの移動するモノや、利用者の位置情報といった地理データを活用してルールを定義し、アクションを自動化できる。例えばセンサーを取り付けた荷物やスマートフォンを持った利用者が特定のエリアに入った場合、自動的にメールよるアラート送信などの処理を自動化。モバイル端末やセンサーとODMを組み合わせることで、ルールに合致する一瞬を捉えるとともに自動でアクションにつなげ、利用者に対し利便性を提供する。さらに、最新版では設定したルールが正しく作動しているか検証するためのテスト・ツールの機能を拡張。プログラミングすることなくルールを検証し、エラーがあった場合は容易に原因を特定することができるため、運用の効率化が図れるとしている。また、クラウドサービスとして月額課金制でODMを提供する「Operational Decision Manager on Cloud(ODM on Cloud)」の提供を開始し、SoftLayerのデータセンターの可用性と同社による24時間365日のサポートを提供。同サービスにより、利用客はODMのルール・エンジンを最適なシステム構成で構築や運用のコストなく迅速に利用できる。同サービスではODM V8.8のStandard版の機能を提供し、価格は月額72万5300円(税別)。
2015年11月26日日本IBMは11月24日、都内で記者会見を開き、ハイブリッドクラウドの普及により複雑化していく企業ITの監視と管理を支援する「IBM Integrated Managed Infrastructure(IMI)」を2015年末から提供を開始すると発表した。価格は個別見積もりで、100台のWindowsサーバをベース管理(監視含む)で5年間契約した場合、1台あたり1万6000円(税別)~。同社によると、継続的な成長を支援する企業ITには基幹業務を支える従来のITに加え、顧客接点の強化や高度な分析などを行う新たなITを追加し、それらを連携させながら新しい価値を生み出すことが求められているという。また、迅速かつ柔軟なIT利用を実現するクラウドなどSystems of Engagementの台頭により、データベースやCRMといったSystem of Recordである従来システムと連携させたハイブリッドクラウドの普及が見込まれる中、異種混在環境となる企業ITの運用管理が重要課題になっている。日本IBMグローバル・テクノロジー・サービス事業部サービスライン執行役員の久利建樹氏は異機種混在環境に対する統合管理を実現する企業ITの要件として「企業内のITシステムにおけるクラウドの環境はIaaSやPaaSなど、さまざまな種類がある中で活用しているコンピュータリソースを考えていかなければならない。基本的にはソフトウェアでコントロールすることが我々が実現する考えだが、そのためにはリソースを統合的・自動的に活用可能なオーケストレーションや日々変わっていくITリソースを常に最適化するブローカー、過去の傾向などを含めたオペレーショナルアナリティクスが必要となる。加えて、顧客のITリソースを必要なものだけモジュール化し、システムマネージをしていくことを我々としては考えている」と述べた。また、同氏はシステム運用管理の課題について「運用の一元化、費用の最適化、運用負荷の軽減、迅速に実現、グローバル標準の5つがある。これに対し、我々は異種混在のIT環境において監視・運用を一元的に管理し、モジュール型で必要な管理機能だけを選択することができ、グローバルで同一のサービスレベルを備えている」と主張した。新サービスはIBMのアウトソーシングやマネージドサービスなど、グローバル規模での知見に基づきデザイン、効率化されたプロセスや自動化ツールを活用することにより、迅速なサービス提供やコスト最適化を支援。また、必要なサービス機能やその対象を柔軟に選択できるため、ニーズに合わせてサービスを選定することが可能だ。さらに、サービス開始までの期間を標準で3カ月とし、監視や管理のシステムを新たに構築する場合と比較して短期に監視や管理を開始できる。IMIの対象環境はサーバやストレージ、ネットワーク機器、IBMのクラウド「SoftLayer」、他社クラウド環境などとなる。例えば、グローバル企業が海外拠点のITをクラウドサービスで展開している場合でも国内にある従来システムと合わせて、一元化された監視や管理を支援。これにより、運用の効率化だけではなく、グローバルレベルでサービス品質の統一と標準化が可能となる。日本IBMグローバル・テクノロジー・サービス事業本部第一サービスラインソリューションの志賀徹氏は「市場の動きとしてコンピューター環境はオンプレミス、オフプレミス、プライベートクラウド、パブリッククラウドなどさまざまな環境があるが、そのような環境に対して我々は一元的なマネージドサービスを提供すべきであり、そのような流れを受けてIMIを開始する。マネージドサービスはビジネスの迅速性・高適応力、生産性とパフォーマンスの最適化、統合されたエンド-エンドのハイブリッドなITサービスの提供・管理の3つが必要となっている。IMIの特長はオンプレミス、オフプレミスのクラウド環境に対し、運用機能のサービスを迅速に提供できる。また、プライベートクラウドやAWS、Azureといったものにも提供が可能だ」さらに、同氏はIMIの今後の方向性として「まずはIMIのサービスとインフラを自動的にディプロイし、先進的な分析機能を活用して自動検出させ、仮想エンジニアロボット機能で自動修復することで運用そのものを可能な限り自動化していく『ダイナミックオートメション』を備えたサービスを目指す。また、コグニティブな学習機能を活用し、運用そのものをコグニティブな形にしていきたいと考えている。また、自動化の機能の1つとしてプライベートクラウド、パブリッククラウド、従来ITにまたがり、オーケストレーションの機能を実現していく方針だ」と新サービスの今後に期待を寄せた。
2015年11月25日米IBMは11月18日(米国時間)、認知コンピューティング技術の「Watson」を利用したモバイルアプリ「IBM Watson Trend」を発表した。年末のショッピングシーズンの支援アプリで、売れ筋商品のトレンドや売り切れ予測ができるという。同日、iOS向けに無料で公開した。IBMのWatsonは、質問に対する仮説の生成と評価、利用に応じて学習する能力、自然言語の理解などの特徴を持つ認知コンピューティング技術。すでに、医療、料理などの分野で活用されており、今回これを消費者のショッピングに応用する。米国では年末、感謝祭の翌日のブラックフライデーで年末商戦がスタートする。クリスマスがあることから、年間のうち最も消費動向が活発になる時期だ。全米小売業協会によると、2014年のホリデーショッピングでは成人1人あたり約800ドルを費やしたという。IBM Watson Trendは「Sentiment Analysis」「Keywork Extraction」「Concept Tagging」「Taxonomy Classification」などの特徴を備えるIBMのオープンな「Watson Devloper」プラットフォームを利用し、ソーシャルメディアサイト、ブログ、フォーラム、コメント、レーティング、レビューなど約10000のソースからスコアリングして、千万単位のオンラインでのやりとりにおける市場心理を汲み取る。カテゴリは「コンシューマー家電」「おもちゃ」「ヘルスケアとフィットネス」の3種類を用意し、合計で最大100製品まで表示される。各製品別のページでは、トレンドの背後の情報、トレンドスコアの推移、人々が製品についてなんと言っているかなどの詳細情報がわかる。このように、売れ筋商品をリストすることで”ギフトガイド”となるだけでなく、コンシューマーが買おうとする製品、買った製品に対してどのような感情を抱いているのかがわかるという。アプリではこれらの情報を毎日フィードする。また、トレンドの動向予測、どのようにショッピングしているかなどの情報もレポートする。将来的には、地理と言語データを加え、パーソナライズ関連の機能も強化する予定だ。これにより、ユーザーの興味や好みに合わせた情報を配信できるとしている。同アプリを発表した18日のトレンドとして、「Nikon D-SLR」などハイエンドのデジカメ、「Gameband」などのウェラブルや「Star Wars Legos」をあげている。なお、執筆時(11月22日)のトレンドでは「Apple Watch」がトレンドスコア100、「Samsung TV」がトレンドスコア67などとなっている。「コンシューマーがWatsonの認知コンピューティングの力を手にすることで、ホリデーシーズンが容易になるかどうかを知りたい」とIBMは述べている。
2015年11月24日IBMとXilinxは11月16日(米国時間)、IBM POWERベースのシステム上でXilinxのFPGA対応ワークロードアクセラレーションを使用し、より高性能でエネルギー効率の高いデータセンターアプリケーションを可能にするため、複数年にわたる戦略的提携を締結した。今回の締結により両社は、オープンなアクセラレーションインフラストラクチャ、ソフトウェアおよびミドルウェアを共同で開発し、機械学習、ネットワーク機能仮想化(NFV)、ゲノム解析、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)、ビッグデータ解析など新たなアプリケーションに対応する。近年、新たなアプリケーションが増加しており、データセンターにおいて要求されるスループットとレイテンシを少ない電力で実現することを目的に、アプリケーションアクセラレーターの使用が注目されているという。そのため、データセンター全体にアクセラレーターを展開することも現実的となっており、IBMのオープンでライセンス可能なPOWER アーキテクチャとXilinxのFPGAの組み合わせにより、次世代データセンターのワークロードにおいて強力なパフォーマンスおよび単位ワット当たりの性能を実現するとともに、総所有コストの低減を可能にするとしている。両社の戦略的提携の一環として、IBM Systems Groupの開発者はXilinxのFPGAアクセラレーターを使用し、POWERベースのサーバ、ストレージおよびミドルウェアシステム用のソリューションスタックをOpenStack、DockerおよびSparkなどのデータセンターアーキテクチャ向けに作成。また、IBMはIBM Power Systemsサーバに搭載されるXilinx FPGAのアクセラレーターボードの開発と認定も行う。一方Xilinxは、自社のソフトウェア定義「SDAccel」の開発環境およびライブラリのPOWERベースバージョンを開発し、OpenPOWER開発者コミュニティ向けにリリースする。さらに、両社はIBMのコヒーレントアクセラレータープロセッサインタフェース(CAPI)を活用し、加速化するコンピューティングの価値を継続して顧客へ提供する。CAPIはPOWERアーキテクチャに搭載されている同社独自の機能であり、POWERアーキテクチャに統合されたコヒーレントなソリューションを構築する能力をXilinxやテクノロジ業界全般に向けて提供する。なお両社は、これらの技術革新により、POWER8ベースのシステムはOpenPOWERエコシステムを基礎としたスタックによりパフォーマンスの増大を実現できるようになり、ムーアの法則の限界を打ち破ることが可能になるとコメントしている。
2015年11月20日IBMは11月18日、都内で「THINK Forum Japan」を開催した。同フォーラムではIBMコーポレーション会長・社長兼CEOのジニー・ロメッティ氏が「コグニティブ・ビジネス時代のリーダーシップ」と題し、人間のような学習能力や情報処理能力を備えたコグニティブ・システムにより専門知識を拡張し、その習得を加速化したりすることが可能なコグニティブ・コンピューティング「Watson」が切り拓く未来について講演したほか、パネルディスカッション、各種講演を行った。ロメッティ氏は「我々は日本のCEOや役員など500人を対象にアンケート調査を実施し、約76%が将来的にデジタルコンバージェンスは業界に影響を与えると回答した。クラウドやアナリティクス、モバイルの3つはテクノロジーシフトとしてIT産業が変わるだけでなく、そのほかの業界においても変化が起こるだろう。テスラやUber、Airbnbなど新しいテクノロジーを活用した企業が生まれており、すべての事業や企業がデジタル化したらどうなるのだろうか。デジタル化というのはビジネスの基盤であり、目的地ではない。我々のビジネスでも顧客のデジタル化に取り組んでいるが、最も変革的なトレンドはコグニティブなテクノロジーを活用することだ」と強調した。同氏はコグニティブ・ビジネスについて「デジタルビジネスにデジタルインテリジェンスを加えるとコグニティブビジネスができる。テクノロジー、ビジネスの時代としてコグニティブが到来している。現在、なぜ改めてテクノロジーの時代なのかについて3つの現象がある。まず1つ目は、かつて見えなかったデータが見えるようになっている。2つ目はコグニティブ・コンピューティングの導入があり、あるとあらゆるデータを理解・推論し、学習するシステムのことで『Watson』が恰好の例だ。3つ目はコードとクラウドの繋がりで、クラウドがプラットフォームとなり、そしてプログラマーがクラウド上でアプリケーション開発を行っている。これら3つの現象を踏まえると思考能力を製品・プロセスに織り込むことができる」と語った。そして、コグニティブ・ビジネスの5つの特徴として「1点目はより深く人との関わりが可能となり、2つ目はワトソンにより知識が拡張できる。3つ目は、コグニティブ・ビジネスであれば自動車や医療機器、家電などに学習機能を有した製品・サービスの創出が可能となり、4つ目は企業のプロセスやオペレーションでも学習することができ、5つ目はどんなリサーチに対しても活用が可能だ。データで企業は変わり、その結果、コグニティブになっていく。日本企業は新たなライバルの出現により、新しい競争の在り方・基盤が必要となっている」と同氏は指摘した。また、ロメッティ氏は「深い関わりを顧客・従業員と持つチャンスはあるか、データを活用する余地はないか。そしてエビデンスに基づかない意思決定の代償はなにかと考えることだ。多くの企業は意思決定がエビデンスベースではない状況の一方、選択肢が揃えばしっかりした意思決定ができるのではないか。研究、製品開発、カスタマーサービスなどのパターンを見出す余地は多々あるほか、労働力の高齢化への対応や社員のスキルアップを図りたいということはないだろうか」とコグニティブ・ビジネス時代への対応と新しいビジネス構築の方策として問題提起を促した。そのためにコグニティブ・ビジネスがあると同氏はいい「プロジェクトの進捗を追跡するため、まずは最初に測定指標を策定する。その後、システムをプロトタイプ化した上でトレーニングし、現在のシステムと繋げる。もちろん業種や領域の知識を得ていなければならないが、コアなWatsonシステムを作り、業種ごとに構築している。例えばWatsonヘルスがあり、300億の画像解析ができる医療機器メーカーのソリューションを生み出しており、糖尿病の治療や膝関節の置換手術に役立てることが可能だ」と語る。さらに「ヘルスケア以外にも、ワトソンでなければ可能ではないものを我々は提供している。そしてテクノロジーのシフトが始まると変革は必須であり、不可避だ。デジタル同様にコグニティブもいずれ普及していき、コグニティブなくして大量の情報に対応することは不可能になるだろう。ベストチョイス・チャンスはコグニティブであり、人類が直面する最も困難な課題に対応・支援するのもコグニティブだ。大胆な予測にはなるが、将来的に人類の重要な意思決定は、なんらかのコグニティブシステムに支えられ、競争の基盤も変化していくだろう」とWatsonの未来について同氏は胸を張った。
2015年11月19日沖電気工業(OKI)と日本IBMは11月16日、地方自治体向け地方創生分野で各種クラウド・ソリューション・サービス提供における協業について合意した。今回の協業では、OKIは日本IBMと協力して、地方創生クラウド・サービスの運営に加え、地方自治体向けの取り組みで培ったノウハウをもとに地域活性化を実現する新しいアプリケーションの開発を行う。一方、日本IBMはOKIによるIBMクラウド環境を活用した新ソリューションの開発における技術支援を行い、地方自治体の魅力作りを推進していくことで地方自治体の魅力を発信し、観光、産業などから地方自治体の新たなビジネスへの取り組みを支援する。また、OKIが地方自治体向けに開発した地方創生に貢献する防災システムやITSシステムなどの各種アプリケーションや、日本IBMおよび同社のパートナー企業が提供するソリューションを「SoftLayer」上で提供するため、両社が協力して技術検証を行う。OKIはIBMのクラウドプラットフォーム「IBM Bluemix」などを活用し、観光による地域活性化や雇用創出、ITSによる地域内移動、防災・減災など、快適で豊かな生活の実現につながるソリューションを提供するOKI独自の地方自治体向け地方創生ソリューションを新たに開発し、2016年4月より提供を予定している。両社の協業により、地方自治体はOKIが提供する「地方創生クラウド・サービス」を利用し、短期間かつ低コストで地方自治体が自身の魅力作りに必要なサービスを選択、利用することが可能となる。OKIの地方創生クラウド・サービスは、市町村防災行政無線システムや消防指令システムなど地方自治体向けにシステム提供をした実績を踏まえ、地方自治体が抱えるさまざまな課題解決を支援することを目指すクラウドサービス。安心・安全、域内移動、観光振興など、多くのソリューションをクラウド上で提供している。今回、同社はIBMのSoftLayer東京データセンターを利用し、ベアメタルサーバー、仮想サーバー、ストレージ、ロードバランサー、ファイアウォール、ネットワークサービスなどSoftLayerの全サービスと機能を活用し、安定性と性能、そしてセキュリティーを備えたインフラ構築に取り組んでいく。また、サーバー構築、維持、運用費用などのコストの観点でも、自治体向けクラウド環境の運用コストを削減する効果が期待されている。
2015年11月16日日本IBMは11月12日、API(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)を活用したサービスやアプリケーションを創出する企業向けに、API作成までを3ステップで支援する「APIクイック・スタート・プログラム」を提供する。「APIクイック・スタート・プログラム」は、まず日本IBMのAPIに関する専門家と導入企業のIT担当者と討議を行い、APIへの理解を深めるところから始める。その後、ビジネス担当者向けに無償ワークショップを実施し、APIに対する共通理解を深めるとともに、ビジネスにつなげるための戦略を検討。その後、日本IBMやIBMパートナー企業が実際のAPI開発を有償で支援する。今回新たに、開発者向けにAPI管理ソフトウェア「IBM API Management」とゲートウェイ製品「IBM DataPower Gateway仮想エディション」を無償で1年間提供する。「IBM API Management」を活用することで、企業はセキュアかつ容易にAPIを作成や公開、運用、分析し、さまざまなAPIを適切に管理できる。また、「IBM API Management」はIBM Bluemixでも提供しているため、他社が提供するAPIとの接続も容易だという。「IBM API Management for Bluemix」の参考価格は10万回コールあたり税別593円から。また、IBMが9月に買収を発表した企業向けNode.jsソリューションのプロバイダー、StrongLoopのソフトウェアを活用することで、オープンな技術であるNode.jsに準拠したAPIの開発も可能。「IBM SDK for Node.js for Bluemix」の価格はメモリ1GBの仮想マシンで、100時間ごとに税別735円が課金される。
2015年11月13日米IBMは10月26日(現地時間)、Watson Analyticsと同様に、主力のビジネス・インテリジェンス・ソリューション「Cognos Analytics」のユーザー・エクスペリエンス(顧客体験)を再設計したと発表した。Cognos Analyticsの再設計に伴い、ビジネス・ユーザーとIT担当者の両者が、場所とデバイスを選ばずに、レポートを作成・配信することが可能になった。今回、「目的指向のモデリング環境」「コンテキストに沿って機能するスマート検索」「1つの環境であらゆる種類のビジネス・レポートを作成する機能」が追加された。具体的には、目的指向のモデリング機能により、経験の浅いユーザーでも、必要とするデータを簡単に収集することができる。例えば、「収益」「製品」「部門」といった単語を入力するだけで、Cognos Analyticsはユーザーの目的を解釈し、データ・ソースでそのような属性を検索して、使用するモデルを提示する。スマート検索では、オーサリング・モードで「チャート」と入力すると、チャートを追加するための適切なメニューを提示するほか、そのデータに最も適した視覚化をユーザーに推奨する。加えて、本番管理レポート から、セルフサービスで作成したレポートやダッシュボードまで、あらゆる分野のレポートに1つのソリューションで対応可能になった。Watson Analyticsは、セルフサービス設計という共通原則に基づき、エンタープライズBIに不可欠な、信頼性と拡張性に優れたソースとして新たなCognos Analyticsと連携し、ユーザーによる俊敏で主体的な検索、分析予測、魅力的な視覚化を実現するという。
2015年10月28日米IBMは10月22日(現地時間)、マーケティング担当者が顧客の行動や好みに基づいてパーソナライズした顧客体験を容易に提供でき、顧客とのエンゲージメントをより高めることが可能というデータ・エクスチェンジ・プラットフォームを発表した。具体的には、「IBM Marketing Cloud」の主要コンポーネントである「IBM Universal Behavior Exchange」において、IBMおよびパートナー・ソリューション間でデータを瞬時に接続可能にしたもの。クラウド・ベース・サービスである同サービスを使用すると、マーケティング担当者は既存のソリューション間でデータを容易に接続し、よりパーソナライズした適切な顧客との対話を生み出すことができるという。このデータ交換から得た洞察により、FacebookやWeb上でより効果的なキャンペーンを推進可能になるとしている。ソーシャル/モバイル/CRM/有料広告ソリューションを含む認定パートナーのオープン・エコシステムが、同サービスをサポートしているとのこと。リリース時点でこのエコシステムには、MediaMath、Spredfast、MutualMind、SugarCRM、Exchange Solutionsといった、各分野のリーディング・カンパニーが参加しているという。同サービスはクリックで接続できる統合機能を備えており、マーケティング担当者は、既存の全てのソリューションのデータへ容易にアクセスして利用可能になるとのこと。また、事前に統合したパートナー・ネットワークを持ち、有料チャネル/所有チャネル/アーンド・チャネル全体で、幅広い顧客の行動・イベント・対象者のデータとすばやくシームレスに統合できるという。さらに、顧客の行動を高度にパーソナライズした対話に変換できる機能により、全てのチャネルで一貫した体験を提供できるとしている。これらの特長によって、マーケティングの俊敏性が高まるとのことだ。
2015年10月27日日本IBMは26日、広島銀行のインターネットバンキングで欲しい情報のリアルタイム提供を支援すると発表した。日本IBMは広島銀行のオムニチャネル・マーケティングの実現に向けた新たなインターネットバンキングの構築を支援し、今年7月13日から稼働を開始。同インターネットバンキングは、閲覧履歴や顧客属性などから顧客のニーズをリアルタイムで予測し最適な商品・サービスを案内することで、優れた顧客体験を創出し、顧客満足度の向上と販売促進を支援する。広島銀行は2015年4月に「中期計画2015~地域と共に未来を『創る』~」をスタートし、「金融仲介機能の発揮を通じ、地域のお客さまと共に持続的に成長していく『好循環』の創造」、「新たな付加価値の創出による企業価値の向上」、「地方創生への積極的なコミット」を三本柱として掲げ、営業推進体制の強化や地域別戦略に基づいた経営資源の再配分を通じて「質の伴った量の拡大」を進めている。顧客のニーズが多様化する中、営業店の窓口を利用しない非対面チャネルの強化が求められており、ホームページやインターネットバンキングの価値を高めるためにチャネルを連携させて、優れた顧客体験を提供することが課題となっていた。新システムは、ホームページ内の閲覧履歴から顧客の潜在ニーズを予測して関連するバナー情報をリアルタイムで表示したり、インターネットバンキングにログイン後、興味や関心のある内容を顧客属性の分析により予測して関連するバナー情報を提供。例えば、閲覧の多い内容に関する期間限定のキャンペーンを案内したり、興味のありそうな新しい情報を紹介して、詳しいページへと誘導する。これにより、「顧客のライフイベント・ニーズに合致した最適な情報を最適なタイミングに案内し、顧客満足度の向上を図ることができる」(日本IBM)。システム構築においては、国内金融機関向けの多数の実績に基づいたコンサルティングを行い、インターネットバンキングを活用したマーケティング戦略の立案を支援。また、リアルタイムで個別に最適なメッセージを配信するソフトウェア「IBM Interact」とキャンペーン管理ソフトウェア「IBMCampaign(旧称UnicaCampaign)」を採用して新たにチャネル統合基盤を構築し、従来は各チャネルがそれぞれ情報系システムにアクセスしていたものを統合し、統一されたインターフェースで短期間かつ低コストで連携ができるようになった。広島銀行のインターネットバンキング・システムは、複数の銀行で共同利用する「IBMチャネル共同センター・サービス」を利用しており、金融業務に対応できる高度なセキュリティーを確保し、安定性、堅牢性に優れた運営を支援している。今回は、チャネル統合基盤と「IBM チャネル共同センター・サービス」を連携させて、新たなインターネットバンキングを構築した。日本IBMでは、業界に先駆けて先進的なオムニチャネル・マーケティングを実現するため、今後は、ATMとも連携し、チャネル横断のマーケティングをさらに推進していくとしている。
2015年10月26日日本IBMは10月22日、データ保護や可用性と同時にデータに基づくリアルタイムな洞察を提供することを目的にフラッシュデバイスで高速化したミッションクリティカル業務向けハイブリッドストレージ「IBM DS8880ファミリ」を発表した。同シリーズはプロセッサやメモリ、搭載ストレージ構成などが異なる「IBM DS8884」「IBM DS8886」「IBM DS8888」の3モデルが用意されており、用途に応じて選択することが可能。99.9999%超の可用性に加え、ハイパフォーマンスフラッシュエンクロージャーモジュールを組み込んでおり、銀行や金融業界、小売業界のシステムのほか、電子カルテ、ERP、CRMなどのミッションクリティカルアプリケーションを従来機比で最大2倍程度の高速化を実現するという。また、ストレージ需要の増大に伴い複雑になりがちな管理を、直観的でわかりやすいGUIを採用することで、簡素化と集中化を実現し、運用上の課題解決を図ることができるほか、IBM Power Systemsベースの最新アーキテクチャでは冗長化されたすべての構成部品のオンライン・アップグレードが可能なため、システム停止のリスクが軽減され、ダウンタイムも年間30秒程度に最小化できるという。さらにリモート・ミラーリングが可能なため、可用性に優れたサーバ機能と統合することで高い可用性が実現可能。マルチサイト化された災害復旧ソリューションが導入されている場合、ダウンタイムのさらなる短縮が図れるとする。なお、最小構成価格はいずれも税別でDS8884(物理容量4.8TB)が7259万500円、DS8886(同)が9124万7800円で12月4日に発売を予定し、DS8888については価格は検討中で2016年上半期に提供開始を予定している。いずれも新型の19インチラックを採用することで、設置面積は従来ラック比で30%の削減ができるとのことで、同社ではスペースとコストを含めたリソースの稼働率を最大化できるようになると説明している。
2015年10月22日日本IBMとマネーツリーは21日、金融とテクノロジーを組み合わせて新たなサービスを生み出す「FinTech」と、企業のハイブリッドクラウドを支えるAPI技術の活用推進を目的とした協業を発表した。その他の協業企業として、ウェルネット、freee、Payward Japan、メリービズ、レジュプレスが決定している。今回の協業では、国内1550社以上の金融機関から明細データを自動的に取得できるマネーツリーのサービス「MT LINK」と日本IBMが提供するPaaS(Platform as a Service)の「IBM Bluemix」をAPIで接続して、両者協力の元で技術検証を行う。その狙いは、FinTechにおける迅速なアプリケーション開発と多岐にわたるAPI技術の活用や促進、国内におけるAPI経済圏づくりに寄与することとしている。「MT LINK」は、国内1550社以上の金融機関(銀行、クレジットカード、電子マネー、ポイント)から明細データを自動的に取得できるサービス。普通口座、定期口座だけでなく、法人口座として、メガバンク(三菱東京UFJ、三井住友、みずほ)をはじめ、84行の地方銀行、125行の全国の信用金庫に対応し、個人と法人の両者をカバーするサービスとなっている。IBM Bluemixは、IBMが提供するアプリケーションの構築、管理、実行のためのクラウドを基盤としたクラウドプラットフォーム(PaaS)。高いセキュリティの確保や運用管理の効率化を求められるエンタープライズ分野のハイブリッド・クラウド環境にて、企業の既存資産や地理情報などのインターネット上の各種サービスを組み合わせたアプリケーションやサービスの開発促進を支援する。
2015年10月22日日本IBMは10月9日、SAP製品向けのテンプレート・ソリューション群「IBM Global Express」において、SAPの次世代ビジネススイート「SAP S/4HANA」の対応を強化し、両社の技術を連携させたソリューションを組み込んだ「IBM Global Express Version 2.0」を販売すると発表した。IBM Global Expressは、20カ国の組織構造、法定帳票、税法対応、商習慣などに対応しており、日英中の3カ国語版での研修環境を提供しているほか、同社の千葉・幕張のAMSセンターで中国と連携した運用・保守を行っている。Version 2.0は、SAP S/4HANA Financeへの対応を強化するとともに、 IBM Watson Analyticsとの連携を行い、より高度な分析を可能にする。モバイルに関しては、SAP Fioriへの対応に加え、iPhone/iPad上のiOSネイティブのアプリとも容易に接続連携できる機能が組み込まれている。今後はIoT関連も強化し、秤量工程における材料測定結果のERP自動連携といったIoT対応のソリューションも提供する予定。各ソリューションの価格は個別見積もり(税別)で、IBM Watson Analyticsによる顧客のERPデータ活用に関する仮説検証サービスの場合、約900万円からとなっている。
2015年10月09日日本IBMは10月5日、顧客と共に未来を創造する拠点として、「戦略共創センター」を丸の内永楽ビルディング内に開設した。同センターでは、先端テクノロジーを活用したビジネスの構想策定、最先端のアナリティクスを駆使した経営戦略策定など、将来のビジネスに関する戦略策定を行うことで、顧客の成長や日本経済の成長を支援する。同センターは、経営層を招いて議論を交わすための「エクゼクティブ・ボードルーム」、プロジェクトで利用する「コラボレーティブ・スペース」、社員のワークスタイルを支援する「ビジター・オフィス」で構成される。「コラボレーティブ・スペース」は数人のグループ会議から30人程度のセミナーにも利用できるよう、レイアウト変更が柔軟になっており、旧来の日本型企業からスタートアップ企業まで、多種多様な出会いの場を創出するという。今後、同センターにおいては、世界規模で実施したグローバルの調査に基づく洞察をまとめた「C-suite Study」に関するエグゼクティブ対象のイベント、テクノロジーを活用して新たな金融サービスを創出するFinTechに関するワークショップなどを順次開催する予定。
2015年10月05日日本IBMは10月2日、Software Defined Storage(SDS:ソフトウェア定義型ストレージ)の構築を支援するサービス「IBMハイブリッドクラウド構築支援サービス-SDS構築オプション IBM Spectrum Accelerate版」の提供を開始した。サービス期間は約1.5カ月で、料金は個別見積。同サービスは、ハイブリッドクラウドをOpenStackベースで構築する「IBMハイブリッドクラウド構築支援サービス」でSDSの構築を行うオプションサービス。ストレージの非効率性を解決するソフトウェア製品群「IBM Spectrum Storage」の一製品である「IBM Spectrum Accelerate」をx86サーバーにインストールし、同社のハイエンドストレージ「IBM XIV Storage」と同等の機能や性能を備え、経済的で投資のし易いコモディティーハードウェアを活用して仮想ストレージ機能を実現する。顧客はハイブリッドクラウドにおけるクラウドの標準規格であるOpenStackの管理画面(ダッシュボード)上で、各仮想サーバー単位で設定できるため個々のストレージを意識することなく、管理や運用ができる。また、ストレージだけでなく、サーバーやネットワークなど他のITリソースとあわせた一元管理も可能としている。これら様々なITリソースを、単一のダッシュボードで閲覧や操作できるため柔軟かつ効率良く管理でき、運用コストの軽減を支援。同サービスは同社がこれまでデリバリーで培ってきた高品質な設計書や設定書を活用し、プロジェクトの労力と期間を短縮できるという。さらに、同サービスを利用するために、同社が別途OEM提供するx86サーバーとの組み合わせでハイブリッドクラウドとの接続やパフォーマンスの事前検証を行っている。これらを組み合わせて利用することにより、前提条件や共存要件にの労力や期間の短縮も可能だ。同社では、ITのインフラにおける大きな方向性である「Software-Defined Infrastructure 」(SDI)における主要な3つの機能、コンピュート、ネットワーク、ストレージの全体をソフトウェアで定義することで、インフラ全体の仮想化とリソース割り当て、最適化の自動化を支援していく。
2015年10月02日米IBMは9月15日(現地時間)、クラウド展開の継続的拡大に向けた取り組みの一環として、ブラジルで2つ目となるIBMクラウド・データセンターを開設したと発表した。新データセンターは計9,000台のサーバーと2.8メガワットの定格電力に対応できる能力を備え、ベア・メタル・サーバーや仮想サーバー、ストレージ、セキュリティー・サービス、ネットワーキングなど、あらゆるSoftLayerインフラストラクチャー・サービスを提供。設備の交換やメンテナンスによる運用の中断がないことを保証する、Uptime InstituteのTier III基準に準拠している。近年、戦略的ビジネス目標をサポートするためクラウドを求める組織が増加する中で、ブラジルのクラウド・コンピューティング市場は今後2年間で2倍以上に拡大すると予想されており、米調査会社フロスト&サリバン社によると2014年に4億7,480万ドル規模だったブラジルのクラウド・コンピューティング市場が、2017年には11億1,000万ドル規模に達すると試算されている。同社は、ブラジルの顧客にIBMクラウド・リソースへのローカル・オンランプを提供することで、データの保存やコンピューティングを国内で行うための柔軟性を高める。新データセンターは、サンパウロのオルトランジアとメキシコのケレタロにあるラテン・アメリカの2つのIBMクラウド・データセンターに加わり、グローバル規模で拡大するデータセンター・ネットワークの一部として、障害発生時の事業継続性の確保に必要なパフォーマンス・ソリューションや災害復旧ソリューションをユーザーに提供する。また、新データセンターは同社が買収したBlue Boxのソリューションなど、OpenStackベースのソリューションをホストすることもできる。これにより、あらゆるOpenStack環境の範囲拡大が促進されるため、顧客はAIX on Power Systemsなどの強力なアーキテクチャーをサポートするインフラストラクチャー・サービスやマネージド・サービスへの接続を可能とする。その結果、オープン・スタンダードやハイブリッド・クラウド展開における顧客の柔軟性が高まり、選択肢が広がるという。現在、SoftLayerのデータセンターの全能力は同社が大規模なグローバル・データセンターの拡大に向けて2014年に12億ドルの投資を行って以来、2倍以上に拡大。すべての主要大陸に存在するクラウド・データセンターのグローバル統合ネットワークにより、企業はリスクを最小限に抑えつつ、必要に応じて自社のITリソースの拡大縮小や増強を行うことが可能。また、開発者は、IBMのPaaSオファリングであるBluemixと組み合わせることで、世界のどこからでも完全な実稼働環境で新しいアプリケーションの開発やテストを容易に進めることができるほか、コグニティブ・コンピューティング・サービスを提供するWatsonなどの社内リソースやさまざまなサード・パーティ・サービスへのアクセスも可能としている。
2015年09月18日日本IBMはこのほど、2014年9月の開始から1年を迎えた国内のスタートアップ企業を支援するインキュベーション・プログラム「IBM BlueHub(ブルーハブ)」に、新たな外部有識者となる3社を迎え、計6社とのパートナー体制を強化すると発表した。外部有識者として加わった3社とは、IMJ Investment Partners Pte.Ltd.とトーマツ ベンチャーサポート、スカイランドベンチャーズ。IBM BlueHubでは、IMJ Investment Partners(IMJIP)と協力して、IBM BlueHubの選考をへてプログラムに参加するスタートアップへの出資検討と東南アジアでの事業化のメンタリングを通じて支援する。IMJIPは同プログラム初のインベストメント・パートナーであり、この連携により、スタートアップ企業の事業拡大を目的とする包括的な経営支援が可能になったという。トーマツ ベンチャーサポートは、トーマツ ベンチャーサポートが行っている地方スタートアップ企業へのオンライン・メンタリングに、IBMからアナリティクスやIoTのスペシャリストを講師として派遣して地方スタートアップ企業の支援を行う。アライアンス・パートナーとなるスカイランドベンチャーズは、テクノロジー・スタートアップ企業の創出を運営コンセプトとするコワーキングスペース「#HiveShibuya(ハイブシブヤ)」を通じて、エンジニアリング・デザインのミートアップやワークショップなどの活動を行い、海外進出を目指すスタートアップ企業を支援していくとしている。
2015年09月17日日本IBMは9月14日、金融とテクノロジーを組み合わせ新たな金融サービスを実現する「FinTech」について、金融機関向けの支援サービス「IBM FinTechプログラム」を10月1日から提供すると発表した。同サービスでは、IBMのグローバル・ネットワークによって世界的レベルでFinTechの動向をとらえ、日本における革新的なFinTechサービスの導入を推進する。具体的には、「FinTechに関する知識を深めるステージ」「アイデアを具現化してシステムの実証実験を行うステージ」「金融機関の既存システムに接続しサービスを本格的に導入するステージ」という3段階にわたり、4種類のプログラム・メニューを提供する。「FinTechワークショップ」では、IBMのグローバル・ネットワークを用いてFinTechの動向をとらえ、FinTechサービス活用するためのナレッジを提供するほか、活用事例やFinTech企業を視察するツアーも企画する予定。「ハッカソン・サポート」では、金融機関がハッカソンを行う際、グローバルでのハッカソン・サポートの経験を活用し、アイデアの募集からそれを実現するアプリケーションの試作・評価までのプロセスを支援する。「FinTechデザイン・ラボ」では、IBM Design Thinkingのアプローチを活用し、新たなデザインやアイデアの創出からビジネスのユースケースを作成し、かつ、アイデアを実現するFinTechアプリケーションの試作までを一気通貫で支援するプログラムを、必要なアプリケーション開発基盤とともに提供する。「FinTech導入・運用サービス」では、金融機関に対して、セキュリティや規制対応を確実に行いながら、ガバナンスのもとで既存の勘定系システムとの接続を行うサービスを提供する。
2015年09月14日日本IBMは9月11日、国内のスタートアップ企業を支援するインキュベーション・プログラムである「IBM BlueHub(ブルーハブ)」の選考を経て、第2期プログラムにおいて支援するスタートアップ企業5社を発表した。取り組みの詳細は、2016年上半期に発表する予定。同プログラムは、政府や民間企業が推進する起業家支援と同様に、日本の長期的な成長と競争力に貢献するスタートアップ企業の事業化を支援するため、同社がパートナー企業と協力して2014年9月から開始したもの。ビッグデータ領域をテーマにした第1期の参加企業5社に続き、第2期では様々な機器がインターネットに接続するIoT(モノのインターネット)領域などで起業を目指すスタートアップ企業計51社から5社を選定したという。選定した第2期の支援企業と領域は以下の通り。TRi-Meal: オートモーティブとIoTResidence: VISA代行申請とアナリティクステクニコル: メンタルヘルスとIoTFictbox: 仮想現実とビッグデータ笑農和: 農業とIoT
2015年09月14日日本IBMは9月10日、2014年9月の開始から1年を迎えた国内のスタートアップ企業を支援するインキュベーション・プログラム「IBM BlueHub(ブルーハブ)」に、新たな外部有識者となる3社を迎え、計6社とのパートナー体制を強化すると発表した。今回の提携により、同プログラムでは、IMJ Investment Partners(IMJIP)と協力し、同プログラムの選考を経て参加するスタートアップへの出資検討と東南アジアでの事業化のメンタリングを通じて、支援するという。IMJIPは同プログラム初のインベストメント・パートナーとなる。トーマツ ベンチャーサポートは、同社が行っている地方スタートアップ企業へのオンライン・メンタリングに、IBMのアナリティクスやIoTのスペシャリストを講師として派遣することによって、地方スタートアップ企業を支援。アライアンス・パートナーとなるスカイランドベンチャーズは、テクノロジー・スタートアップ企業の創出を運営コンセプトとするコワーキングスペース「#HiveShibuya(ハイブシブヤ)」を通じて、エンジニアリング・デザインのミートアップやワークショップなどの活動を行い、海外進出を目指すスタートアップ企業を支援。IBM BlueHubは開始以来、参画するパートナーが拡大してきた。今回のIMJIPとの連携により、同プログラムでは、スタートアップ企業の事業拡大を目的とする、包括的な経営支援も可能になったとしている。同プログラムは、パートナー各社と協力しながら、大学など教育機関との連携を視野に展開する予定としており、開発者向けに提供するクラウド・プラットフォーム「IBM Bluemix(ブルーミックス)」やクラウドサービス「SoftLayer(ソフトレイヤー)」などの、IBMのテクノロジーの提供とIBMの人材を通じて、起業を支援していく構えだ。
2015年09月11日日本IBMは9月11日、ストレージ・ソフトウェア・ファミリー「IBM Spectrum Storage」にクラウド機能を追加したと発表した。これにより、データ保護プラットフォーム「IBM Spectrum Protect」でIBMクラウド上にデータをバックアップすることを可能にすることが可能になる。今回の機能追加により、クラウド・ゲートウェイ・アプライアンスを経由せずに、IBM Spectrum Protectから直接IBMクラウド上にデータをバックアップすることができるようになる。結果、企業は、バックアップするデータの特徴に応じて、オンプレミスのオブジェクト・ストレージとクラウドを使い分けることができる。中堅中小企業であれば、追加のバックアップ・サーバやメディア・サーバ、重複排除アプライアンスが不要となり、ベータ版を利用した利用者を対象に行ったコスト分析の結果から、IBM Spectrum Protectによりバックアップ・インフラストラクチャに要するコストを平均で最大53%削減できることが確認されているという。IBM Spectrum ProtectはIBMとCiscoが共同開発したVersaStackソリューションのオプションとして2015年第4四半期の提供が開始され、他のパブリッククラウドにもサポートを拡張する予定。あわせて、同社のクラウドサービス「SoftLayer」を利用したIBM SaaSソリューションとして「IBM Spectrum Accelerate for Cloud」も提供される。同ソリューションにより、SoftLayer上にブロック・ストレージを迅速に展開することが可能になる。同社は、ソフトウェアで提供されるIBM Spectrum Accelerateを拡張し、XIVストレージ・システム、オンプレミス・サーバ、クラウド環境間で有効なポータブル・ライセンスを提供する。IBM Spectrum Protectの価格は75万6000円(IBM Spectrum Protect Suite Entry - Front End 1TB当たり)、IBM Spectrum Accelerate on Cloudの価格は241万1200 円(最小50TBから)となっている(いずれも税別)。
2015年09月11日日本アイ・ビー・エム(IBM)は9月4日、IBMセキュリティ・オペレーション・センター(SOC)がまとめた「2015年上半期 Tokyo SOC 情報分析レポート」と、「IBM X-Force脅威に対するインテリジェンス・レポート:2015年第3四半期」を発表した。レポートによると、クライアントではメール添付型マルウェアが依然として多く、40%の組織でドライブ・バイ・ダウンロード攻撃を確認。サーバでは脆弱性が公開された直後から攻撃が行われているケースも発生しているという。今回、ランサムウェアが増加し、これまでの英語版だけでなく日本語版登場していることや、ホスト間特命暗号化通信でやりとりをするダーク・ウェブがTorを不正に用いて攻撃を行っていることが報告された。ただし、2015年の脆弱性の公表件数はスローペースで、2011年以来最も低い数値となる見込みであるという。日本IBMでは2つのレポートを同時に発表した理由について、「IBMではセキュリティを注力分野の1つと位置づけている。その活動を広くアピールすることを目的に、別々に作成されたセキュリティレポートを同時に発表することとした。IBMがセキュリティ事業に注力する姿勢の表れとして受け取っていただきたい」(日本IBM グローバル・テクノロジー・サービス事業本部 Tokyo SOCセンター長 鳥谷部彰則氏)と説明した。「IBMのSOCは世界10拠点に監視拠点を置き、133カ国にサービスを提供している。4000社の顧客が契約し、約2万台の機器を監視している。世界10拠点が単一のオペレーションシステムを利用しており、検出された脅威を同時に分析する。Tokyo SOCでは日本語でのサポートを求めるお客様向けに事業を展開している。一方、X-Forceはセキュリティ分野の研究開発体制で、全世界9拠点にリサーチセンターを持つ。特許取得件数は3000件以上、年間投資額15億ドル以上、セキュリティエンジニア1万5000人が在籍する。ここで研究、開発された内容は製品やサービスに反映される」(鳥谷部氏)「Tokyo SOC情報分析レポート2015年上半期」では、依然としてメール添付型マルウェアが多数確認されたという。添付ファイルの99%以上が実行形式で、多くのものがZIP形式など圧縮されていたほか、メールに添付されるマルウェアのうち、脆弱性を悪用する攻撃は全体の0.4%にとどまったそうだ。「実行形式以外のマルウェアとしては、Microsoft Officeなどのマクロファイルが発見されている」(日本IBM グローバル・テクノロジー・サービス事業本部 シニア・セキュリティー・アナリスト 猪股秀樹氏)マクロファイルは変動はあるものの、月間1万から3万件以上のメールが検知されている。添付ファイルを開き、マクロを実行してしまう事例が、継続して月に1件から10件程度発生。マクロ実行には社内の許可が必要としている組織がほとんどだが、不正なマクロを実行する被害が一定の割合で発生している。Webサイトを閲覧する際にマルウェアに感染させるドライブ・バイ・ダウンロード攻撃は、2014年下半期と比べて約3倍に増加した。これはAdobe Flash Playerの脆弱性が多数公開されたことの影響が大きいと見られる。2015年に検知されたドライブ・バイ・ダウンロードの90%以上がAdobe Flash Playerの脆弱性を悪用している。パッチが公表される前に悪用された脆弱性を悪用した、いわゆるゼロデイ攻撃も7つ発見されている。ドライブ・バイ・ダウンロード攻撃が検知された組織の割合は40.5%。2014年下半期の16.9%から約2.4倍となった。感染させられているマルウェアの多くは、広告の自動閲覧、ファイルを暗号化し、金銭の支払いを求めるマルウェア「ランサムウェア」となっている。「ドライブ・バイ・ダウンロード攻撃が特に多く検知されたのが、6月、7月。これはFlashの脆弱性が多かったことの影響と見られる」(猪俣氏)脆弱性が公開された直後から発生する攻撃は今期も継続している。4月に公開されたWindowsのHTTPプロトコル・スタックに関する脆弱性を突く攻撃は、公開翌日に約900件検知された。攻撃の対象、国、業種に明確な偏りはなく、脆弱性の有無を調査する目的で、広く攻撃が行われたものと推測されている。「前期は大きな脆弱性が発見されたが、今期は前期ほど大きな脆弱性の発見はなかった。その中で唯一大きかった脆弱性が、WindowsのHTTPプロトコル・スタックに関するものだった。発表直後に攻撃が確認されていることから、企業側は迅速な対応が求められる」(猪俣氏)2014年9月に発見されたShellShock攻撃は2015年も継続。2015年4月に新たなワームと思われる通信パターンが急増していることが確認されている。攻撃元のIPアドレスには、日本国内のIPアドレスが含まれているため、攻撃を受けたサーバが国内にも存在すると考えられる。IBM X-Force研究開発チームは脅威状況の監視や分析を行っているが、今期の傾向として「ランサムウェアの変化」が紹介された。 ランサムウェア自体は2010年頃に登場したが、2015年には「サービスとしてのランサムウェアキット」が公開されるようになった。また、価値の高いコミュニティを攻撃するために、特定のファイル形式をターゲットとするように進化している傾向も現れている。TeslaCryptはオンラインゲームに関連したユーザーファイルを狙うことで、オンラインゲーマーをターゲットとしている。特定コミュニティに関連づけられた独自仕様ファイル形式が攻撃者にとって魅力的なものとして認識されているようだ。「これまでランサムウェアは英語が中心だったが、日本語版ランサムウェアも発見されている。今後、ランサムウェアの高度化や複雑化が進む見込みで、さらに日本語でのランサムウェアも増えてくるのではないか」(日本IBM セキュリティ・ソフトウェア事業部 セキュリティー・スペシャリスト 藤盛秀憲氏)ランサムウェアをより複雑なものとしているのが、C&Cサーバに接続し、拡散する自己複製型のVirLockが除去をさらに困難にしていることだ。2014年末に発見されたVirLockランサムウェアは、自己複製することで、ファイルを暗号化するだけでなく、それらのファイルを感染させ、感染したすべてのファイルに小さな変更を加える。「ランサムウェアによってファイルを暗号化された場合、犯人の要求通りにお金を支払っても端末が元に戻るとは限らない。よって、お金を支払えば済むとは思わないほうがいい。対策としては、バックアップをとり、感染したらバックアップを使って復旧すること」(藤盛氏)ダーク・ウェブはホスト間の特命暗号化通信に参加する、悪意ある個人や組織によって構成されている。そのダーク・ウェブで利用されているのが、Tor(トーア)だ。Torは、元々は米海軍調査研究所が政府の通信を保護する目的で、第三世代オニオン・ルーティング・プロジェクトとして2004年に設計、実装、導入したもので、個人の暗号化通信を可能にすることから、不正な目的にも悪用されている。「優れた技術ではあるが、現在では不正な目的に悪用されている。TorはThe Onion Routerの略で、タマネギをむいたように中身がわからず、出口ノードしかわからなくなる。この特徴が悪人にとって都合よく使われている」(藤盛氏)IBMの調査では、米、オランダのホストしている出口ノードが他国よりも多く、日本でのホスティング例は今のところはない。米、オランダの出口ノードが多い理由は判明していない。攻撃先としては、金銭だけでなく、知的財産の窃盗、事業内容の偵察などを目的としているものも多い。情報通信、製造への攻撃は、金融/保険分野への攻撃の3倍になっている。Torが提供する攻撃基盤により、特命の攻撃者として悪意あるボットネット操作を、悪質なネットワークや転送に利用することが可能となる。誰でも、簡単に攻撃を行うことが可能で、匿名性が守られることも問題となる。また、Torノードをホストする企業ネットワークとして悪用されてしまうと、Tor中継が帯域幅を独占し、出口ノードの所有者はそのノードから発行されたコンテンツが、他の場所でホストされている他のユーザーのものであっても、そのコンテンツに法的責任を負うことになるといったリスクが生まれる。X-ForceではTorを原因とする脅威を防ぐために、頻繁に更新されるさまざまなディレクトリで特定された、Torノードのファイアウォールに大規模なブロックを適用。アプリケーション・ゲートウェイおよび不正侵入防御システム/侵入検知システムソリューションによって、攻撃をリアルタイムに警告し、問題のソースからのトラフィックをブロックすることを推奨している。さらに、自社ネットワークでTor中継がもたらす脅威を防御するため、未承認の暗号化プロキシサーバ、個人で購入したプロキシサーバ、USB/光媒体/SDカードなどの個人所有リムーバブルディスクの使用を禁止するなど、利用規程を含めた、包括的な企業ポリシーを策定し、社内での運用を徹底するべきだとX-Froceをでは提言している。こうした動きがある一方で、X-Froceの調査では2015年上半期までの脆弱性の公表件数は合計で8000件。2011年以来、最も低い数値となっている。「例年に比べ、かなりスローペースとなっている。ただし、ゆっくりしたペースが一転して急増する年もあるので、通年このペースが続くのかはわからない」(藤盛氏)としている。
2015年09月08日日本IBMは9月4日、東京を含む全世界10拠点のIBMセキュリティー・オペレーション・センター(SOC)で2015年上半期(1月-6 月)に観測したセキュリティー・イベント情報に基づき、主として国内の企業環境で観測された脅威動向をまとめた「2015年上半期Tokyo SOC情報分析レポート」と「IBM X-Force 脅威に対するインテリジェンス・レポート:2015年第3四半期」を発表した。IBM SOCは130カ国以上、約4,000社の顧客のシステムに対し、セキュリティー・イベントを分析することによりセキュリティー対策を支援しており、10年以上蓄積してきたセキュリティー・インテリジェンスを相関解析エンジン(X-Force Protection System)へ実装し、1日あたり200億件(毎秒約23万件)以上の膨大なデータをリアルタイムで相関分析を実施。Tokyo SOC 情報分析レポートは、この解析結果を日本国内の動向にフォーカスして独自の視点で分析・解説したものを半年ごとに公表している情報分析レポートだ。2015年上半期の同レポートでは「メール添付型のマルウェアの多数検知」「約40パーセントの組織でドライブ・バイ・ダウンロードの攻撃を確認」「相次ぐ脆弱性と継続する過去の脆弱性への攻撃」の3点が挙げられた。日本年金機構の報道でもメール経由でのマルウェア感染が大きく取りあげられたが、Tokyo SOCでもメール添付型のマルウェアに感染した端末が外部サーバーと通信するケースを検知している。標的型攻撃に対して防御だけを目的とした既存の対策に限界がある一方、ばらまき型のメールウィルスに関しても不審なメールを開封しないようにコントロールすることが難しいため、感染を想定した運用管理体制の構築が急務となっている。また、2014年下半期に減少していたドライブ・バイ・ダウンロード攻撃は増加傾向を示し、攻撃が確認された組織は前期の16.9%から40.5%に増加。誘導元として改ざんされたWebページ以外に広告配信ネットワークを悪用してマルウェア感染サイトにリダイレクトするケースも見られたという。観測されたドライブ・バイ・ダウンロード攻撃の90%以上がAdobe Flash Playerの脆弱性を悪用するものだった。さらに、GHOSTやFREAK、Logjam、VENOMといった新たな脆弱性が発見されるとともに、2014年のShellShockやHeartbleedも継続して攻撃を検知。脆弱性の公開直後から攻撃が発生する傾向にも変わりはないため、平時の情報収集やアセット管理の重要性が再認識された。一方、IBM X-Forceは民間セキュリティー研究開発チームの一つとして、膨大な量のイベントやマルウェアのサンプルをリアルタイムで相関分析し、脅威や脆弱性の研究と監視に取り組んでいる。また、これらの脅威に対する企業システムの保護を支援するため、IBMのセキュリティー製品群への脆弱性に関する情報の反映や、Tokyo SOCをはじめとしたSOCにて提供するマネージド・セキュリティー・サービスなどとの連携を図っている。IBM X-Force 脅威に対するインテリジェンス・レポートは、これらの活動に基づいたセキュリティー脅威の動向に関する調査として四半期毎に発行している。同レポートの2015年第3四半期では「ランサムウェアの進化」「Tor(トーア)が不正目的に使用される」「2015年上半期は4,000件を上回る脆弱性が公表される」とした。ランサムウェアは価値の高いコミュニティーを攻撃するために、特定のファイル形式をターゲットにするように進化。例えば、TeslaCryptはオンライン・ゲームに関連したユーザー・ファイルを狙うことで、オンライン・ゲーマーをターゲットにしている。また、大規模なサイバー脅威を引き起こす犯罪者たちは、匿名で通信することができるTorを使用していることが判明し、Torが提供する攻撃基盤により匿名の攻撃者として悪意のあるボットネットの操作を、悪質なネットワークや転送に利用することが可能という。Torを難読化すると不法行為者の匿名性をさらに強化することになるほか、攻撃の物理的な出どころをわかりにくくし、特定の地域から攻撃しているように見せかけている。そのほか、2015年上半期は4,000 件をわずかに上回る新しいセキュリティーの脆弱性が報告されており、現在の傾向が続けば予想される脆弱性の公表件数は合計で約8,000件となり、2011年以来最も低い数値となる。
2015年09月07日米IBMはこのほど、OpenStackをベースとしたIBMのプライベートサービス「Blue Box Cloud」が、世界中のSoftLayerクラウド・データセンターから利用できるようになったと発表した。Blue Box Cloudはホストおよびオンプレミスの両方で稼働可能なプライベート・クラウドで、それぞれOpenStackの専用ハードウェアで稼働する。同社は、Blue Boxの買収から90日以内にBlue Box Cloud Dedicatedの「Private Cloud As a Service」をより幅広いOpenStackベースのソリューションに統合した。利用者は、専有サーバで提供されるOpenStackによるオープンソースをベースとしたプライベート・クラウドのメリットを享受できるという。また、希望の地域にあるデータセンターからOpenStackのインフラを購入でき、SoftLayerの世界中のデータセンター内のデータを分離し、待ち時間を低減し、エンドユーザー向けにアプリケーションのパフォーマンスを向上することが可能になる。
2015年08月31日米IBMは8月21日(現地時間)、同社のPlatform as a Service(PaaS)である「Bluemix」向けの一連のサービスの一般出荷と機能強化を発表した。これにより、開発者はJavaベースリソースをクラウドベースアプリケーションに、よりシームレスに統合できるようになる。Liberty Buildpackでは、Java EE 7対応Libertyの最新機能を利用・プレビューできるようLibertyランタイムが更新され、IBM JRE 7.1がデフォルトのままでも、BluemixでJava 8を使用してアプリケーションをテストおよび実行できるようになった。また、これまでベータ版として提供されていたjsp-2.3、el-3.0、jdbc-4.1 Liberty機能が、実稼働環境対応版として提供される。IBM Eclipse Tools for Bluemixの新バージョンもリリースされ、JavaScriptデバッグ、Node.jsアプリケーションのサポート、Java 8対応Liberty for Javaの統合機能、最新のEclipse Marsバージョンに対応したEclipse Marsのサポートのほか、自己署名証明書の機能向上などが加えられた。また、JEEアプリケーションに対するインクリメンタル公開のサポートが拡張され、Webフラグメントプロジェクトがサポートされるようになった。さらに、IBM XPages on Bluemixによって、クラウドにDomino XPagesの機能が提供される。開発者は、機能豊富で応答性の高いセキュアなアプリケーションをBluemix上で開発して、市場に素早く投入できるようになる。
2015年08月28日