息子が通っているのは、お勉強がまったくない、いわゆるのびのび系の幼稚園。とても楽しく通っているのですが、勉強の経験がないまま小学校に入学することに不安を感じ、年長さんになる前に算数と国語を教えてくれる勉強系の習い事を始めることにしました。キャパオーバー!習い事で親子とも時間に追われる日々にすでにスイミングと片道1時間近くかかる英語教室に週1回づつ通い、降園後の公園遊びは欠かさない息子。ここに週に2回通う勉強系の習い事を入れてみたら…本当に時間がない!習い事の送迎と家事を両立させるために、その日の習い事の準備を持って幼稚園に迎えに行き、降園後に習い事に直行、スキマ時間で公園遊びをさせるように。また、晩御飯は子どもが幼稚園へ行っている間に準備をし、余った時間で掃除や洗濯などの家事をこなすようにしていたのですが、自分の時間がない生活にヘトヘトに。1か月も経たずにこのスケジュールは無理かもしれないと考えるようになりました。どの習い事も大好きな息子のために頑張りたいと思っても、常に時間に追われるスケジュールにすっかり疲れてしまい、イライラして子どもに当たっては、反省して落ち込むようになってしまいました。また、子どもも週4日の習い事は疲れるようで、習い事の帰りに寝てしまい、家に着いても起きないことも…。幼稚園のママ友に相談してみたところ、年長になるとみんな習い事のやりくりに苦戦しているそう。中には、その日の晩御飯は外食と決めて、1日に2つ掛け持ちするツワモノも。また、きょうだいがいると習い事も増えて送迎が大変なので、きょうだいで同じ習い事しかさせていないというママもいました。そして、口をそろえて言うのが、子どもがやりたい習い事、親がやらせたい習い事を全部やっているとキリがないということと、時間とお金がとても足りないということ。理想と現実に悩んでいるのは、みんな同じようでした。習い事を減らすことを決意現状に悩みながらも、ハードなスケジュールをこなしていたのですが、無理がたたったのか、私の体調不良が続くようになってしまいました。夫婦で相談した結果、私が体調をくずしてまで習い事を続けることより、親子ともに毎日楽しく元気に過ごせることの方が大事だという結論になり、習い事の整理をすることに。家から遠くて、送迎に関して一番の負担になっていた英語教室を辞めることにしました。息子は、先生とも教室とも、とても相性が良かっただけに苦渋の決断でした。辞めた後、英語教室のことを思い出しては「また先生に会いたいなあ」と呟く息子を見て、大人の都合で習い事に通わせたり、辞めさせたりとつらい思いをさせてしまったことを後悔。今後は習い事の無理なスケジュールを組むのはやめようと誓いました。送迎のいらないオンライン英会話に挑戦してみることに1歳半から続けてきた英語の勉強をどうするかを考えずに英語教室を辞めてしまったわが家。まずは家でドリルなどを使って勉強をしてみたのですが、私がうまく教えることができず、あっという間に挫折してしまいました。けれど、ここで辞めてしまうのはもったいないので、送迎がない勉強法は何かないかと探していたら、子ども向けのオンライン英会話があることを知り、始めてみることに。最初は、パソコンを使って知らない人と英語で話すということに拒否反応を示した息子。これで英語が嫌いになっては元も子もないので、教材を使うコースではなく、フリートークのコースを選択。数回目のレッスンで、最近ハマっている「マインクラフト」というゲームにとても詳しい男性の先生と出会い、あっという間に仲良くなりました。パソコンを通じての会話だと、直接顔を合わせて話すのと違い、会話が広がりにくいのではと少し心配していたのですが、「マインクラフト」という共通の話題のおかげで、まったく問題なし。むしろ、相手にどうやったら上手に伝えられるかを息子が工夫するようになり、英語力がグッと向上しました。なお、契約したオンライン英会話の先生は全員フィリピン人。英語が母国語ではないので、発音が不安だったのですが、人によって多少ばらつきはあるものの、訛りはほぼ気にならないレベルでした。話すことが好きなのに一人っ子の息子は、大好きな「マインクラフト」の話ができることが嬉しいようで、ヒマさえあれば「レッスンの予約とって!」というように。私は送迎がなくなり、息子がレッスンを受けている時間を家事に使えるようになったことで、普段の生活が格段にラクになりました。さらに、通っていた英語教室よりオンライン英会話のレッスンの方が費用が半額近く安く、結果的に教育費も抑えることができました。お気に入りのおもちゃのカタログを見ながら先生とフリートーク保育園ママに聞くと、保育園に通っていると習い事に通うのは時間的に難しいので、タブレット学習やオンラインを使っているママが多いそう。小学校に入学したり、引っ越したりして環境が変わっても続けられるのがメリットと話していました。実際にオンライン英会話を使ってみて、手軽さと充実さ、コスパの良さに驚いたので、個人的には、これからもっと自宅で出来るオンラインや通信教育などの勉強法が増えてくるのではないかと思っています。でも、スポーツなど、実際に通わないと学ぶことが難しい習い事がたくさんあるのも事実。小学生ママに聞くと、小学生になっても習い事の送迎は親が付き添うことが多いそう。習い事の送迎を卒業するのは当分先になりそうですが、今後も無理せず親子で楽しく習い事と付き合っていきたいと思います。<文・写真:ライター芳賀千歳>========読者限定RIZAPトライアルモニター募集中!「シェイプアッププログラム」を4万9800円(4回・税別)でお試し。さらにモニター謝礼として1万円のキャッシュバック!さらにモニター終了者から抽選でクオカード3000円分を100人にプレゼント。さらに本コースへの入会金5万円無料。店舗により受け入れ制限がかかる場合が想定されますのでお早めにお申し込みください。申し込みはこちら ⇒申し込み〆切:2019年8月31日(土)
2019年08月03日運動も勉強も習い事も、はじめるには早いに越したことはない!と思ってしまいがち。けれども、子どもの発達段階を考慮して教育を進めないことには、子どもにとっても親にとっても、かえって負担になってしまいます。ここでは、4歳〜7歳の幼児期から小学校入学までの時期の子どもの発達と学び、そして親が意識しておきたいことについてご紹介します。ただし、年齢についてはあくまでもひとつの目安ですので、興味関心や刺激を与えるヒントとしてご覧いただければと思います。■4歳―親子の会話で語彙力アップ【4歳頃の子ども】自分が成し遂げたことは自慢し、大人にほめてもらおうとする4歳。「ママみて!」「すごいでしょ」といったアピールが増えてくる時期です。語彙数は1500を超え、長い文章を使い、もののありかを説明するときは位置を示す言葉を使ったり、所有関係を表す言葉も使い分けます。【教育のヒント】言葉をどんどん吸収する4歳の子とは、それまで以上に「親子の会話」を楽しむことが何よりの知育になります。大人の語彙力が子どもの言葉の数に大きな影響を与えるといっても過言ではないでしょう。下記のように、ものの名前を単純に教えるような一方的な言葉かけではなく、より丁寧な表現をして会話を楽しむようにしてみましょう。×「鳥さんだよ」→〇「かわいいスズメさんがいるよ。エサを探しているのかな」×「風が強いね」→〇「ゴォーッと強い風が吹いているね、飛ばされちゃいそう!」また、4歳頃になると「子どものためになる習い事をさせなければ!」と考える親御さんも多いようですが、無理強いは禁物。イヤイヤ通ったところで、思ったような成果は出ないものです。4歳くらいの時期なら、子どもがその場所に「行ったら楽しい」と思えているかどうかを基準にするとよいでしょう。先生や周りの子どもたちと楽しい時間が過ごせるのであれば通わせ、浮かない顔をしている子に「何歳までに始めないと……」と親が焦りながら無理強いしても、かえって苦手意識を持たせることになってしまいます。■5歳—遊びから想像力や自制心を学ぶ【5歳頃の子ども】集団生活に慣れ、ルールのある遊びやゲームを楽しめるようになってくる5歳。語彙数が2,000程度にまで増えているため、ジョークを言ったり、物語を語ったりして、大人を楽しませてくれることも。また、この頃になると、物の名前だけでなく、“その言葉の意味” や “文脈の中での使い方” を質問することがあります。これは「言葉には明確な意味と比喩的な意味がある」ということを理解しているからです。【教育のヒント】言葉の持つ意味を理解しはじめる5歳くらいの子。「ごっこあそび」も好きな年頃ですが、これには、ことば(セリフ)やもの(おもちゃ)を巧みに使い、状況や社会的なできごとを他者と演じることで、想像力や自制心を学ぶ重要な役割があります。また、ごっこあそびに伴う子どもの空想ドラマは、貪欲に知識を吸収させるチャンスだと、教育コーチングオフィスSaita Coordination代表で(財)生涯学習開発財団認定コーチの江藤真規さんは言います。たとえば以下のように、親も一緒になって子どもの好奇心を上手に利用して自然に学びを増やすのもよいでしょう。《ごっこあそびで「テーブルマナー」を知る》お姫さまごっこで「お姫さま、きょうはナイフとフォークでお食事をしてみましょう」と誘ってみます。たとえおもちゃのカトラリーでも、扱い方が自然と上達していくのがわかるはずです。《ごっこあそびで「文字の練習」をする》学校ごっこの先生役になったら「さあ、ノートに名前を書いてみよう!」と促し、生徒役になったら「先生!『山』ってどう書くんですか?」と子どもに聞けば、一生懸命調べたり覚えたりしようとします。もちろん、ごっこあそびの最中で「そうじゃないでしょ!」などと叱るようなことがあってはいけません。「こうするともっと素敵なお姫さまね」「◯◯くん、書けるようになったね!」などと褒めながら、あくまでも遊びのなかで、さりげなく教えてあげるのがよいでしょう。■6歳—日常生活の工夫で学習の土台づくり【6歳頃の子ども】児童期の入り口に立つ6歳。この頃には、物語の展開を構成する起承転結がわかるようになったり、時間の概念を獲得したり、また、文字や数などの知的な活動への興味も芽生え始めます。自分や友だちの名前、街の看板などの文字を読んだり、エンピツで文字を書いたりする子どもも出てきます。【教育のヒント】小学校入学前後は特に、先取り学習に励む親子などに影響を受けて焦ってしまったりしがちですが、お手伝いやふだんの生活のなかで学びをつかみ取れることもたくさんあります。たとえば算数なら、小学校入学前に15くらいまで数えられれば数の概念はしっかり頭に入っているので、それ以上は無理に教えなくても大丈夫、と『IQがみるみる伸びる0歳から6歳までの遊び方・育て方』(廣済堂出版)の著者であり祖川幼児教育センター園長の祖川泰治さんは言います。普段の生活のなかでのちょっとした工夫で、楽しく学習の土台づくりをしていきましょう。《おやつで算数を学ぶ》無味乾燥な数字の足し算や引き算よりも、体で実感する算数が大切な時期。お菓子を一列に並べ、「今日は右から5つまで食べよう」と言ってみたり、「ママは3つ、◯◯ちゃんは2つ、全部でいくつかな?」などと聞いてみましょう。クイズのように楽しみながら大好きなおやつを食べるとなれば、子どももごきげんで答えてくれるはずです。《買い物で算数を学ぶ》お菓子やおもちゃをねだる子どもに、たとえば「100円よりも安いものならば買っていいよ」と言えば、必死になって探すはず。なんとなくでも数の概念がわかるようになり、百の位にも親しみが出てきます。そのうち足し算を覚えたら、複数の値段を合算して100円になるように選ぶこともできるようになります。《看板で文字を学ぶ》街中で、看板の文字の当てっこクイズをしたり、「“A” という字を見つけてみよう!」と、知っている文字を探し歩いたり。子どもには先入観がないからこそ、難しい漢字だろうと英字だろうと関係なく、多くの文字を学びとろうとします。《お手伝いでものの名前を学ぶ》子どもは「ごはん」や「コップ」などの身近なものの名詞は知っていても、意外と「お玉」や「しゃもじ」などの名詞は知らず「ごはんをよそうやつ」なんて表したりします。お手伝いをしてもらうときにも、「ママがお玉で味噌汁を注ぐから、お椀を運んでくれる?」というように会話におり込んでみるといいでしょう。知っている言葉が増えることは自信にもつながります。■7歳—決まった時間で生活リズムを身に付ける【7歳頃の子ども】授業や宿題がどういうものかわかるようになり、勉強をすることに少しずつ慣れてくる7歳前後。脳の回路が発達し始め、判断力や記憶力も、急速に高まっていきます。本格的に学習を開始するのに適した時期です。【教育のヒント】この頃に基本的な生活習慣を時間によって決めておくと、体内リズムも作られ、勉強の習慣づけもしやすくなります。朝起きて、朝ごはんを食べ、学校に行き、おやつを食べ、習い事に行き、夜ごはんを食べ、宿題をして、お風呂に入り、寝る、というような基本的な生活を、できるだけ決まった時間に行なうようにするといいと、江藤真規さんは言います。時間が決まっていれば、無理なくその行動に移ることができます。自然と気持ちが動くので、抵抗が少ないのです。当たり前の基本的生活習慣がリズミカルに整っていることは、子どもの体内リズムを作る上でも大変役立ちます。また、基本的な生活のペースがきちんとできていれば、その他の用事を組み込むことも簡単です。自分が自由に使える時間帯がはっきりするからです。しかも、その組み込んだ用事にも比較的抵抗なくとりかかれるので、大きな時間の節約になります。同じ時間に同じことをする、この単純な習慣が、大きな時間を作り出す源となるのです。(引用元:江藤真規(2009) ,『勉強ができる子の育て方』,ディスカヴァー・トゥエンティワン.)目安となる時間を決めておけば、たとえば8時頃お風呂に入ったら、ベッドに入る9時までは自由時間!というように、生活にも楽しみやメリハリがついてきます。おすすめは、親も子どもと一緒の時間帯に行動すること。家庭内の計画も立てやすくなり、子どももよりスムーズに生活習慣を身につけられるようになるはずです。***年齢を目安にまとめてみましたが、大切なのはこどもの個性や適性です。しっかりと向き合いながら、その子に合ったペースで学びの基礎を育んでいけるといいですね。文/酒井絢子(参考)江藤真規(2009) ,『勉強ができる子の育て方』,ディスカヴァー・トゥエンティワン.祖川泰治(2015) ,『小学校前の3年間にできること、してあげたいこと』,すばる舎.内田伸子 (2017) ,『子どもの見ている世界誕生から6歳までの「子育て・親育ち」』,春秋社.デズモンド・モリス(2010) ,『デズモンド・モリス子どもの心と体の図鑑』,柊風舎.公益財団法人母子衛生研究会赤ちゃん&子育てインフォ|Part2 赤ちゃんの発育発達と親子あそび4歳頃の子ども公益財団法人母子衛生研究会赤ちゃん&子育てインフォ|Part2 赤ちゃんの発育発達と親子あそび5歳頃の子ども公益財団法人母子衛生研究会赤ちゃん&子育てインフォ|Part2 赤ちゃんの発育発達と親子あそび6歳頃の子ども
2019年08月01日最近、新聞やテレビなどの報道で「教育虐待」が取り上げられ、特に中学受験をする子供の話として、注目を集めています。しかし、どの年齢の子供にも起きる可能性があるとも言われています。筆者も子供を中学受験させた経験者ですが、「教育虐待をしていたかも」という方の話を元に「教育虐待」について考えてみました。■ 教育虐待って一体どういうこと?makaron* / PIXTA(ピクスタ)最近は中学受験が盛んで「塾以外で過度に両親のいずれかが勉強を押し付ける」現象が起きています。これが「教育虐待」になりやすいとも言われています。Fast&Slow / PIXTA(ピクスタ)また、中学受験に関する本も多く出版されていて、中でも「親の力が9割」という内容の本が多く出ていますが、「親がリードしなければ、子供の将来はダメになる」と誤解してしまう親もいるのでしょう。今回、ご近所に住んでいた方で「中学受験」がらみで離婚にまで発展した母親と連絡を取ることができ、実際にあった「教育虐待」について話を聞きました。■ 教育虐待は母親がしてしまうケースもあるNOV / PIXTA(ピクスタ)夫婦共働きで母親はウェブデザイナーとして在宅で仕事をしていて、父親は会社員というご家庭でした。近くに引越したのを機に仲良くさせていただいたのですが、子供3人全員を将来中学受験させるという方針のご家庭で、お付き合いに少し困りました。Fast&Slow / PIXTA(ピクスタ)子供3人が全員とも幼稚園年長時から地元の小さな塾に通い、スイミングや習字、体操、空手と塾以外にもたくさんの習い事をしていました。筆者の子供とスイミングスクールが一緒で同じ時間帯に授業があり、しきりに「中学受験」について話をしてくるので、少し距離をおいた時期もあります。■ その家庭で起きた教育虐待の連鎖あんみつ姫 / PIXTA(ピクスタ)その後、年齢順に有名中学受験専門塾に通わせるようになり、会うたびに「有名校に3人とも通わせる」と話していました。ひとり目の子は中学受験をしましたが、全て不合格で地元の公立中学に通わせました。ふたり目の子は、上の子の様子を反面教師にしたのか、母親の目を気にしながらも、塾で上位クラスにいるように勉強をしていました。しかし、少しでも順位が下がれば、母親が「どうしてできないの!」と怒鳴り、必要以上にドリルをするようにしました。Graphs / PIXTA(ピクスタ)ふたり目の子供は、母親も満足する超難関校に合格し、その他の学校にも合格したのですが、母親が一番気に入った学校へ入学しました。一番下の子で、ついに問題が起きました。ふたり目の子と同じ学校への受験を考えて、中学受験の準備に入りました。成績は一時よかったものの、成績が落ち始めました。過度に独自のドリルをさせたり「なぜできないの!」としつこく説教したり勉強を強いるようになりました。父親が止めても、父親に「私にまかせて!」と怒鳴るようになったといいます。さらに成績が落ちることにもつながったのです。■ ついに子供の体に異変が…OrangeMoon / PIXTA(ピクスタ)ある日、母親が子供たちを起こしにいくと、一番下の子が激しい腹痛を起こしていて、慌てて病院に連れていきました。検査の結果、特に異常はなく、医師から「何か学校や習い事でつらそうにしているとかありますか?」と聞かれたそうです。母親は黙っていましたが、父親から「実は妻が子供に中学受験の勉強をきつくさせていた」と話し、医師から注意を受けることになりました。親から教育虐待を受けると、場合によっては「助けて!」という心の叫びとして、体の症状として出てくることもあるようです。医師からは強く「教育で子供を追いつめてどうするの?」とお叱りも受けたとか。その子供は「塾は嫌い。ママもパパも嫌い。勉強はいや」と泣きながら訴えて、母親は「教育で虐待をしていた」と気づき、父親も止めなかった自分を責め、中学受験をやめる決心をしました。このことで夫婦間の溝が生まれて離婚されたのですが、「自分の学歴コンプレックスから子供を苦しめた」と話していました。Fast&Slow / PIXTA(ピクスタ)その母親が「こういう傾向の人が教育虐待をしやすいのでは」話してくれました。1.両親のどちらかに学歴コンプレックスがある2.父親もしくは母親の卒業校に通わせたいという強い希望がある3.共働きで金銭的余裕があるので、教育に力を入れたい4.両親ともに高学歴すべての家庭に当てはまるとはいいきれませんが、父親が教育虐待をしているケースも多いと教えてくれました。■ まとめmaroke / PIXTA(ピクスタ)最近は早期教育が盛んですが、教育虐待の始まりになっている可能性も少なくありません。高校や大学への進学後も、教育虐待によって心の傷を負っている子もいるようです。「子供には苦労させたくない」という考えの家庭は多く、教育方針が厳しい家庭は見かけます。しかし、ひとつ間違えると、家庭崩壊へ繋がります。親が歩んだ人生と、子供の歩む人生は違います。「子供が自分で将来を決めて進む」ということを大切にしながら、子供と接していきたいものです。
2019年07月30日ついつい口に出てしまう「勉強しなさい!」という言葉。いくら繰り返したところで子どもがやる気を出すようにならないのはわかっていても、黙っていられない!という親御さんはきっと少なくないはず。しかし、主体的に学習する姿勢が子どもに身についていれば、自ら考え行動できるはず。したがって、「勉強しなさい」という声がけは、そもそも必要なくなります。では、どうすれば子どもの主体性を引き出すことができるのでしょうか?勉強の強制は逆効果!?「勉強しなさい!」と机に向かうことを強要し続けると、学年が上がるほど、いわゆる「馬の耳に念仏」に。すると、ますます親のイライラは募り、子どもは「ウザい」と感じるようになり、主体的な勉強からはさらに遠ざかっていくばかり……。そのような悪循環に陥るのを防ぐためにも、なるべく早い段階から「勉強しなさい」という言葉を避ける必要がありそうです。つまり、勉強は強制するのではなく習慣化するよう心がけるのが、伸びる子を育てるポイントになります。実は、成績の良い子ほど親から「勉強しなさい!」と言われていません。良い成績をおさめることができている子は、小学生のころから親にガミガミ言われなくても学習する習慣がついているのです。私の経営する学習塾でも、成績が良い生徒には、「親に言われる前にやる」タイプが多く、彼らは自分で考え、前向きな気持ちで勉強を楽しんでいます。(引用元:安村知倫(2017) ,『子どもの成績を「伸ばす親」と「伸ばせない親」の習慣』, 明日香出版社.)また、東大生の6割は「勉強しなさい」と言われたことがないといいます。彼らは、子ども時代に自主性・主体性を重視した教育を受けてきたおかげで、「好きなことに思いっきり没頭できた」のではないかと言うのは、東北大学加齢医学研究所教授で医学博士の瀧靖之氏。脳は、「好き」「興味がある」とポジティブなレッテルが貼られた情報ならば、思考が深まり、しっかり理解して記憶するようになるそう。「勉強しなさい」「やらなくちゃダメでしょ」などといったネガティブな声かけでは勉強が楽しいものだと感じることができず、拒絶するようになってしまうのも無理はありません。まずは行動を認める声がけをそうはいっても、いつまでも机に向かおうとしない子どもを黙って見過ごすことはできないですし、放っておいても進歩は望めません。まずは現在進行形で子どもの行動を認める言葉かけをするとよいと、学習コンサルタントでステージメソッド塾代表の西角けい子さんは言います。たとえば、宿題をしているときに「宿題、頑張っているね」と、声をかけてみましょう。これは宿題や勉強に限らず、ごはんを食べているときに「おいしそうに食べているね」、ゴロゴロしているときに「疲れているみたいね」といった、子どもの「いま」に対する共感の言葉がけを心がけると、家の雰囲気もよくなり子ども自身も親から行動を認めてもらえると感じるようになり、自信につながってきます。「宿題をやらなくちゃだめでしょ!」「今やろうと思ってたんだよ!」と言い合うような、怒る親とふてくされる子どもという悪しき構図からひとまず抜け出す簡単な方法です。また、「褒めて伸ばす」とはよく言いますが、テストの点を褒めたり成績を褒めたりするのももちろんですが、まずは途中の頑張りを認めて褒めてあげることも大切です。誰が見てもわかるような成果がなくても、姿勢よく机に向かっている、字を丁寧に書いている、難しい問題も投げ出さずに取り組んでいる、というような努力の過程の具体的な部分に注目し、「頑張っているね」「いいね!」と声をかけてあげましょう。これは、いちばん身近にいる親だからこそできること。小さな努力を認められ褒められて育つ子は、やる気も出て、その積み重ねで大きな成果を生むはずです。強制ではなく、きっかけづくりを子どもの「いま」を認め、さらにはテストの結果などがんばった面を評価することができたら、次に、わかっていない部分を親子で確認し合います。そこで親が「こんなふうに勉強してみたら」と提案するなどして、子どもが自分に合った勉強の仕方を発見するきっかけを作ってあげることが、勉強への姿勢を変えていくコツ。勉強して賢くなることが実感できれば、子どもは面白がってそれに打ち込むようになります。例えば練習を重ねて50メートル走のタイムがどんどん早くなったり、あるいはピアノが上手に弾けるようになったりするのと同様、勉強することで賢くなるのは、誰にとっても快感なのだから。賢くなり、難しい問題が解けるようになると、子どもなりに手ごたえを感じてくれるものなのです。(引用元:松永暢史 (2007) ,『子どもを親より賢くする本子どもを賢くする親は、ここが違う!』, PHP研究所.)子どもよりも少しだけ上のレベルの目標を設定し、「この目標を達成させるためにはどうしたらいいと思う?」と声をかけ、一緒に目標を達成するための方法や段取りを考えます。ただし、一緒に考えているようで最終的に親が「こうしなさい」と決めてしまうのはNG。あくまでも、学ぶのは子ども自身。本人から「こういう方法があると思う」という考えを引き出すことが大切です。それによって成果を得ることができれば、自ら勉強に取り組む姿がみられるようになるはずです。子ども主導で勉強時間を決めておくしかし、まずは大前提として、宿題や勉強に取り組む「時間」を生活の中に作らなくてはなりません。そこで親が「夕食前に1時間は勉強するようにしなさい!」と押しつけても、子どものモチベーションは続きません。自分で決めさせて実行させるほうが、子どもの責任感も育つというのは、チャイルドコーチングアドバイザーで桜ゼミナール塾長の安村知倫氏。子ども主導で、平日の何時から何時は宿題、何曜日の何時から何時は理科の復習、といったようなスケジュールを決めさせるのです。まずは、1週間のうちで時間が決まっている行動を書き出し、空白時間を見つけ、そこに勉強時間を設定していきます。ただし、空白時間には勉強だけでなく遊び時間もしっかり組み込み、勉強内容は最終的に子ども自身が決めるとよいといいます。効率的なスケジュールを組むことができれば、親は決まった時間に「そろそろ時間だね」と声をかける程度で済むようになるはずです。これは学習面だけでなく、健康で規則正しい生活を送るためにも有効な手段といえますが、親の協力も不可欠。できるだけスケジュールに沿った時間に子どもが夕食や入浴を済ませられるよう、生活の土台となる部分は崩さないようにしていけるといいですね。努力の「見える化」がさらなるやる気を引き出すさらに安村知倫氏は、子どもが自分で努力したことを「見える化」すると効果的だといいます。壁かけカレンダーを用意して、学校の宿題を含めたその日の家庭学習がきちんとできたら、カレンダーに◯をつけていく。学校のプリントを見直ししたら、ひとつの箱に入れていく。漢字練習や計算などの自学ノートを終わったら、同じ場所に積み上げていく。カレンダーに◯が並んだり、箱にプリントがたまったり、ノートが積み重なったりしていけば、頑張った証拠が目に見えることで満足感が得られ、さらなるやる気を引き出すことができるのです。この「見える化」した部分を親も一緒に喜ぶようにすれば、ますます効果的かもしれません。前述しましたが、親だからこそ知ることができる努力の過程を見逃さないことが大切です。テストや試験の「結果が全て」ではなく、それまでの努力が大切で尊いものだとわかっている子どもは、学習習慣が自ずと身につき、いずれ成績に反映されることでしょう。***家事や仕事を「頑張りなさい」と言われるよりも、「頑張っているね」と言われたほうがモチベーションを保てるのは、大人も同じ。何かを「やりなさい」と言われると逆効果になることが多いのは、振り返ってみれば合点が行くのではないでしょうか。「勉強しなさい!」を封印することができれば、親も子も少しずつ良い方向へ変わっていくはずです。文/酒井絢子(参考)こどもまなび☆ラボ|「勉強しろ」は逆効果!統計でわかった、親が本当にやるべき3つのことベネッセ 教育情報サイト|「勉強しなさい」よりも効果的!?な、子どもの学習意欲を高める関わり方PRESIDENT Online|自ら机に向かう子の親が欠かさない習慣「勉強しなさい」と言わない理由SankeiBiz|「勉強しなさい」は逆効果勉強嫌いな子を変貌させた家庭の特徴安村知倫 (2017) ,『子どもの成績を「伸ばす親」と「伸ばせない親」の習慣』, 明日香出版社.明光2020教育改革室 (2018) ,『開始5分の「振り返り」から子どもの学力はぐ〜んと伸びる!』, 主婦の友社.西角けい子 (2010) ,『子どもの成績は、お母さんの言葉で9割変わる!−−普通の子が次々日本一になったニシカド式勉強法』, ダイヤモンド社.小林公夫 (2009) ,『「勉強しろ」と言わずに子どもを勉強させる法』, PHP研究所.江藤真規 (2009) ,『勉強ができる子の育て方』, ディスカヴァー・トゥエンティワン.汐見稔幸 (2007) ,『親子のハッピーコミュニケーション』, 岩崎書店.瀧靖之 (2018) ,『16万人の脳画像を見てきた脳医学者が教える究極の子育て「賢い子」は図鑑が育てる』, 講談社.松永暢史 (2007) ,『子どもを親より賢くする本子どもを賢くする親は、ここが違う!』, PHP研究所.
2019年07月14日たまの休みくらいは、思いっ切り子どもを自然のなかで遊ばせてあげたい――。都市化が進み、誰もが多忙な時代だからこそ、そう考える親も少なくないでしょう。でも、親子ともに自然に触れる機会が減っているいま、親は子どもにどのように自然体験をさせてあげればいいのでしょうか。「プロの自然解説者」である、プロ・ナチュラリストの佐々木洋さんにお話を聞きました。アドバイスに先立って語ってくれたのは、子どもたちとの自然体験活動を通じて佐々木さんが感動したというエピソードです。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)いまもむかしも子どもたちの本質は変わらないわたしがおこなう子ども向けの活動は本当に多岐にわたっていて、それこそ虫ばかりを追いかけるようなこともあれば、ただのんびりと山を歩くということもあります。過去25年以上にわたっておこなってきた活動のなかでとくに印象に残っているエピソードをお伝えしましょう。その日、出掛けたのは干潟で、「泥んこ体験」をさせることが目的でした。幼い頃に干潟や田んぼで遊んだことがあれば、足の指と指の間を柔らかい泥が抜ける独特の感触を思い出すという人もいるでしょう。なんともいえない気持ち良さがありますよね。地方であれば、いまも干潟や田んぼで泥まみれになって遊んでいるという子どももいますが、都心部だとそうはいきません。連れて行った子どもたちは幼稚園の年長さんたちで、ひとりも干潟で遊んだ経験はありませんでした。当然、子どもたちはおっかなびっくりです。しかも、「汚れるとお母さんに怒られる」なんて思っている子どももいて、なかなか泥んこになりません(笑)。ところが、ある男の子が転んで泥だらけになっちゃった。すると、その瞬間、子どもたちが一斉に「わーッ!」と叫んで泥まみれになって遊びはじめたのです。わたしは、その光景を見ていて子どもたちにかけられた「現代の呪文」が解けた瞬間だと思いました。いまもむかしも子どもたちの本質は変わりません。ただ、いまの子どもたちは自然に触れる機会が激減しているというだけなのです。「ついに子どもたちの『本能』に火がついた」と、感動したことを強く覚えていますね。擬人化して虫への恐怖心を取り除く子どもたちが自然に触れる機会が減っていることを思えば、子どもを自然に親しませるには親などまわりの大人が工夫してあげることも必要かもしれません。虫が苦手だという子どもも多いものです。虫の怖さは人によってさまざまでしょうけど、ひとつは「自分でコントロールできない」ということが考えられます。自分で飼っている犬などのペットなら、その行動もある程度コントロールできますし、行動の予測もできるでしょう。でも、触った経験のない虫の場合はどんな動きをするのかがわかりません。だから怖いのです。だとしたら、それこそペットのように思わせてあげればいいのです。自然体験が少ない子どもなら、おとなしくて危険でもないダンゴムシでも触れないという子どももいます。そういう子どもにはダンゴムシに親近感を持たせてあげましょう。何匹かのダンゴムシがいたら、「どのダンゴムシが好き?」と聞いてみる。ダンゴムシを怖がる子どもなら、「いちばんちっちゃいダンゴムシ」なんて答えるかもしれません。そうしたら、「お父さんはこの大きくて格好いいヤツがいいな」「大きさがちがうから、もしかしたら親子かな?」なんて話してみる。いわば、擬人化するというわけです。そうすると、子どもは自分が選んだダンゴムシに親近感を持ちはじめます。他の虫には触れなくても、「『僕の、わたしのダンゴムシ』なら大丈夫」というふうに虫への意識が変わっていくのです。そうすれば、徐々に他の虫に対しての恐怖心も和らいでいくはずです。「子どもと一緒に体験する」という意識また、以前と比べて自然体験が減っているのは、大人も変わらないかもしれません。そういう親が子どもに自然体験をさせようとすると、つい「もっと勉強してから」と思ってしまいがちです。とくに教育熱心な親の場合、全部勉強してから教えようと考える真面目な人が多いのです。でも、そんなことをしているうちに子どもはどんどん成長してすぐに親と一緒に外で遊ぶような年齢ではなくなってしまいます。大切なことは「子どもと一緒に体験する」という意識です。公園で子どもに「この花、なに?」と聞かれて、その場で答えられなくてもなんの問題もありません。「なんだろうね?」「うちの近くにもあるかな?」なんて答えて、帰宅してから子どもと一緒に調べればいいのです。子どもとは、親が上から下に向かって教え諭すだけの対象ではありません。親もわからなくて知らないことであれば、子どもと同じ目線に立って一緒にワクワクドキドキしながら学んでみてはどうでしょうか。また、「同じ目線」という意味でいえば、実際の目線の高さを親子で交換することもおすすめします。親子で散歩をしているとき、子どもは目ざとく虫や花を発見しますよね。もちろん、目がいいということもあるのですが、それは子どもの目線が物理的に低いからです。地面に近いのですから小さな花にも気がつきますし、草木の葉の裏に隠れている虫も見つけられるというわけです。そこで、親が実際に子どもと同じ高さで周囲の自然を見てみる。逆に、子どもを抱っこしてあげて大人の目線から見える風景を味わわせてあげる。きっと、親子ともに新たな発見や感動があるはずですよ。『ナンコレ生物図鑑 あなたの隣にきっといる』佐々木洋 著/旬報社(2015)■ プロ・ナチュラリスト 佐々木洋さん インタビュー一覧第1回:「自然だし、仕方ない」現代の恵まれた子どもたちが“自然体験”から学ぶ重要なこと第2回:「虫が怖い」はこうして克服。ダンゴムシすら触れない子に、親は何をすればいい?第3回:自然観察=現場検証!?生き物の“痕跡”探しから始まる、都会でもできる自然体験(※近日公開)第4回:カブトムシやクワガタが採り放題!夏休みに親子で作る“スーパーバナナトラップ”(※近日公開)【プロフィール】佐々木洋(ささき・ひろし)1961年9月30日生まれ、東京都出身。プロ・ナチュラリスト。公益財団法人日本自然保護協会自然観察指導員、東京都鳥獣保護員などさまざまな立ち場で自然解説活動をしたあと、「プロ・ナチュラリスト 佐々木洋事務所」を設立。「自然の面白さや大切さを多くの人とわかち合い、そのことを通じて自然を守っていきたい」という思いのもとに、25年以上にわたって、自然観察指導、自然に関する執筆・写真撮影、講演、テレビ・ラジオ番組の出演・企画・監修、エコロジーツアーの企画・ガイド等の活動をおこなう。著書に『ぼくはプロ・ナチュラリスト 「自然へのとびら」をひらく仕事』(旬報社)、『モリゾー・キッコロ 森へいこうよ! 会える! 虫図鑑』(宝島社)、『「調べ学習」に役立つ水辺の生きもの』(実業之日本社)、『よるの えんてい』(講談社)などがある。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年07月14日雨の日が続いていますね。アウトドア派の私たち夫婦は、雨の日でも傘をさしてお出かけをしていました。しかし0歳児と3歳児がいるとそうもいきません。風邪をひいてしまわないか心配したり、傘や子ども用レインコートなど、いつも以上に大荷物になってしまったり。そこで、自宅で楽しむ方法はないかと導入を決意したのがホームプロジェクター。これが小さな子どものいるわが家の救世主ともいえる存在に!活用法をレポートします。わが家が購入したホームプロジェクターは「popIn Aladdin」!わが家が購入したホームプロジェクターは「popIn Aladdin(ポップインアラジン)」という多彩なコンテンツを搭載した、世界初のプロジェクター付きシーリングライト。天井に簡単に取りつけることができます。投影できるサイズは40〜120インチで、「XGIMI」の高品質なプロジェクターが内臓されています。スピーカーは、世界中の音楽ファンから認められている「Harman Kardon」が搭載されていて、天井から心地よい音が。LEDシーリングライトには6段階の明るさ×6段階の色から選べる調光・調色機能が搭載されています。直感的な操作ができ、専用リモコンでの音声操作・検索が可能。スマートフォンからは、リモコンアプリも利用できます。子育てファミリーの救世主!?寝かしつけにも!一般的に子どもが集中できる時間は年齢×5分と言われています。ホームプロジェクターを使用し始めたのは長男が0歳の時。つまり集中力はほぼない状態です。実際、テレビでDVDを見せてもすぐに飽きてしまうことが常でした。しかし、同じDVDをホームプロジェクターで投影したところ、15分間、楽しそうに集中して鑑賞。迫力のある大画面で、本格的な音声だったからではないかなと感じています。これにより生まれたちょっとした時間に家事ができ、とても助かっています。また、寝室に設置したことで、3歳になった息子は、寝る時間になると自ら寝室に行くように!読み聞かせ絵本の映像や心が安らぐ音楽を聞きながら眠りつくようになり、寝かしつけが格段にラクになりました。決め手は勉強にも使える機能やネットとの連動いろいろな種類のホームプロジェクターがある中、「popIn Aladdin」を購入した決め手は、絵本の読み聞かせ機能や「あいうえお」や「ABC」などの勉強機能が内臓されていたから。最近は「ABC」の表が気に入っていて、街中で見つけた英語表記の看板のアルファベットを指差しては満足げな笑顔をしています。またネットへ繋ぐことができるので、YouTubeやAmebaTVを観ることもできます。幼稚園で覚えてきたダンスをYouTubeの映像と共に流すと、ノリノリで踊ってくれました。スマホでYoutubeを見せることには抵抗がありましたが、家族が一緒に大画面で楽しむという方法はいいなと思いました。ほかにも、今話題の「パプリカ」という曲の映像を流すと、楽しそうに体を動かしています。雨の日には、ダンス映像を流すのがおすすめ。歌って踊れるので、ストレスが発散できるようです。日中でもホームプロジェクターは映るのかいくら雨の日でも、日中の室内は映画館のように真っ暗ではありません。しかし「popIn Aladdin」は明るい部屋でもくっきり色鮮やか。また、凹凸のある壁紙でもキレイに投影されます。まるで自宅に映画館ができたようで感動しました。映画館と違って一時停止が可能なので、家族のペースでゆっくり映像を楽しめるところも気に入っています。以前、EPSONの「ドリーミオ」を使っていたことも。6畳間程度のスペースでも100型の大画面投写が可能で、プロジェクターとしては「popIn Aladdin」よりも本格的な印象があります。ただ、プロジェクター本体を投影したい壁の反対側に設置しなくてはならず、設置場所を選ぶことや、息子が本体を触ったりするため手放した経緯が。その点、「popIn Aladdin」は、シーリングライトを取りつける方法と同じなので、気軽に設置場所を変えられ、子どもが触れることがないのも気に入っています。今では、寝かしつけも含めて、毎日利用しているホームプロジェクター。子育てファミリーにぜひチェックしてほしいアイテムです。<文・写真:ライターかつき>
2019年07月11日春休み。進級に伴って変化する環境に息子が適応できるのか、不安を抱える私。そんなある日、息子が1枚のチラシを差し出した担任・N先生の寄り添いに心を動かされたこともあり、3年生の後期が終わるあと1週間のところで、通学を始めた息子。とはいえ、学校で起こる不便や不快感など、根本的な問題が解決したわけではない。そして転出により児童数が減少したため、新学年からは2クラスが統合されて1クラスになるという。全校生徒の顔をなんとなく把握できるような、田舎の小さな小学校だ。「教室に見たことない子がいる」というようなことはないだろうが、1つの教室で過ごす人数が変わることで、人間関係はもちろん、室内に響く音声が、聴覚過敏もある息子の耳にどう響くかも変わってくるだろう。となると、これまでとは違った問題が発生する可能性もある。本人も不安があるのか、「新学期になったら、また毎日行けるか分からない」と言っている。まあ、考えてみたらここまでが余りにも順調すぎたのだ。本人だって「いきなり毎日最初から最後まで、というのはできないかもしれない」と言いながら、3年生のラスト1週間の毎日、始業から終業までを学校で過ごすのには、かなりのエネルギーを要しただろう。短い春休みの間で、身心両面のリカバーができるかどうかは分からない。仕切り直しだと考えて、過度な期待をせず様子を見ることにした。そんな構えで春休みを迎えようとした私に、息子が1枚の紙を差し出した。「これ、行ってきてもいいかな」それは小学校で行われている、放課後と週末のレクリエーション会の予定表だった。息子が通う小学校では毎週水曜日の放課後と土曜日の午前中、地域ボランティアの方と提携して行われるレクリエーションの時間が設けられている。会場は校舎の中。その春休み特別企画として、プログラミング体験講座が開催されるのだとか。そのころ息子は、いくつかの要素を組み合わせてオリジナルゲームを簡単に作れる、という携帯ゲーム機のソフトに夢中になっていて、それをきっかけにプログラミングに興味を示していた。何年か前に私は障害者向けの就業研修で、プログラミング言語のJavascriptを学んではいたが、きれいさっぱり忘れてしまっていたし、覚えていたとして(あと、JavaScriptが最新ではないことはさておいても)、彼の興味を引きつけるように教える自信は一切持ち合わせていない。レクリエーションでは、現役のSE兼プログラマーの方が、小学生が楽しく、分かりやすく学べるように指導してくださるようだ。徒歩で出かけられる場所で、しかも無料である。反対する理由はない。「いいじゃんいいじゃん、行ってきなよ!」「レクリエーション、3年生は対象外だったの!?」冷や冷やしながら迎えに行くと、満足そうに微笑む息子。なぜ?当日息子は冷えたルイボスティーを自分で水筒に詰め、張り切って出かけた。レクリエーションが終了するお昼近くなったら迎えに行くから、と息子の後ろ姿に声をかけ、私は仕事の作業に取りかかった。合間にふと「今ごろ楽しんでいるかな」と、レクリエーションのスケジュール表に目を向けた私はすぐさまフリーズ。そこにははっきりと「対象:4年生~6年生※3年生以下は見学」と印字されているではないか。そのときはまだ3月、息子は3年生なのだ。プログラミングを体験したくてわくわくで出かけた息子が、「3年生だから、見学ね」と言われてその状況を受け入れられるだろうか。そこで不満とともに「自分も参加させろ」と申し立てるようなタイプではないが、かなりのフラストレーションを募らせることは想像に難くない。(こりゃもしかしたら途中で帰ってくるかもしれないな…)などとぼんやり考えながら作業を再開したが、昼近くなっても帰宅する気配はない。意外にも見学を楽しんでいるのか。私は、身支度をして小学校へと向かった。待合室になっている教室で待機して、どれくらい経ったころだろうか、「お待たせしてすみません!みんなで盛り上がってしまって、ついつい長くなってしまいました!」と、レクリエーション担当の教員・K先生と、参加した児童たちが戻ってきた。もちろん、息子もおり、満足そうに微笑んでいる。「ごめん、私、チラシの説明をよく読んでいなくて…」「あ、それなんだけどね」私の言葉を受けてこちらを見上げた息子は、K先生に向き直った。「あの、本当は対象外なんですけど、見学になる参加者が息子さん1人で。ほかの児童たちも“ハルくんならきっとできるよ”と言うので、一緒に参加してもらったんです」「そうなんだよ!上級生のみんなが仲間に入れてくれたんだよ!それで、分かりにくいところは教えてくれてね!マイコン制御のロボットを(プログラミングで)操作したんだけど、あまり上手くできなくてもみんなが“最初からこんなふうにできるなんてすごいよ!”ってさあ!」K先生が説明してくださったあと、息子は目を輝かせながら、何があって、それがいかに楽しかったり嬉しかったのかを早口でまくし立てた。私が心配するまでもなく、息子は充実した時間を過ごしていたのだった。K先生にお礼を申し上げて帰ろうとしたら、K先生がこうおっしゃった。「息子さん、いろいろ学校が不便をかけて、ずっとお休みをしていたので、楽しんでもらえるか心配だったんですけど…プログラミングやものづくりが得意で大好きなのでしょうね、いきいき楽しそうに取り組んでいましたよ」私はもう一度お礼を申し上げ、息子とともに学校をあとにした。「今日から新学期だよ!」やりたいことが見つかった息子は、ランドセルを揺らしながら学校へさて、気づけば4月。まもなく新学期に突入というある朝、朝食を終えて食器洗いやらなんやらをしている私を尻目に、息子がなにやら慌ただしい。「どしたの?今日なんかあんの?」「なんかあんの?じゃないよ!今日から新学期だよ!!」新学期、間もなくではなく完全に突入していた。数日前に支度はしてあったものの、「また毎日行けるか分からない」という息子の言葉が頭に残っていたからか、私は完全に油断し日付の感覚がおかしくなっていた。「お、おう。そうだった、ごめんごめん」「のん(私の呼び名)が忘れちゃダメでしょう。じゃ、行ってきます!」息子は笑いながら靴を履き、「うおおおお!小学4年生!!!」という雄叫びとともに、集団登校の集合場所へ走り去って行ったのだった。完全に、予想外の光景である。もちろん、登校すると想定していなかったわけではない。とはいえ、約1年半の不登校生活を過ごし、1週間登校をしたものの、春休みをはさんで「また毎日行けるか分からない」と懸念していた9歳児が「うおおおお!小学4年生!!!」という雄叫びを上げながら学校に向かう姿なんぞ、誰が想像するものか。「のんが小学生のころには、コンピューター室ってあった?」春休みのレクリエーションを終えてからの帰り道、同じ小学校の卒業生でもある私に、息子は聞いた。「ないない。30年以上前は、こんなにコンピューターが普及していなかったもん。PCなんて、学校にも家にもなかったよ」「ふーん…コンピューター室が学校にあるのは知ってたけど、今日初めて入ったよ。楽しかった。でね、またプログラミング教室をレクリエーションの会でもやるし、学校でも、まあ毎日だったりしょっちゅうは無理かもしれないけど、PCを使ってプログラミンクとか、いろいろ勉強できるんだって!」普段、私が使用しているスペックの低いPCをたまにいじる程度しかできなかった息子は、比較的新しくてスペックの高いPCを、時間の限り思う存分使用できたことが本当に嬉しかったようだ。「携帯ゲーム機でオリジナルゲームを作るのも楽しかったけどさ…自分が入力した文字や数字が言葉になって伝わって、ロボットが作動したり、静止画だと思っていたものが動画になるってすごいよ!だから、すぐでなくてもいいから、ああいう勉強をしていきたいなって思ったんだよね」話しながら進む息子の足取りは、まるでステップを踏むように軽やかだった。「また毎日学校に行けるかは分からないけど、これからも勉強はしていきたいなって思う」私に向けているとも、ひとりごととも取れるような口調で、息子がつぶやいていたのを思い出す。「やりたいことがあるっていうのは、外野があれこれいう言葉より心に響くもんだね…」ランドセルを揺らして駆けていく息子の背中を眺めながら、今度は私がベランダでつぶやいていた。児童数が増えたことに伴う困難なども、特別支援学級の利用で万事解決!ではなかった…しかし、やはりというべきか、問題が浮上した。元々黒板にチョークで文字を書くカツカツという音が息子は苦手だったのだが、教室内にいる児童数が増えたことで、音の響き方がますます苦痛に感じられるようになったらしい。加えて、「班ごとで相談」という場面では、大声ではないとはいえ、たくさんの話し声が耳に届いてしまい、「自分の班の人の声を聞き取るのも大変だし、頭がちゃんと働かなくなる感じがする」と訴えた。在籍は通常学級のままではあるが、様子を見て特別支援学級の利用も可能であるという話を、以前校長先生から聞いている。特別支援学級では黒板とチョークは使わずにホワイトボードで授業を進めるらしいし、人数だってかなり少ない。今息子が抱えている困難は、解決すると思われる。そこで息子に「どうする?特別支援学級で授業を受けてみる?」と問うてみたところ、「是非そうしたい」と返ってきた。私は連絡帳を開き、息子が感じている困難と、特別支援学級での授業を希望しているということを、担任の先生に宛てて書いた。息子が連絡帳を持参したその日に担任の先生から電話をいただき、いくつかの授業を特別支援学級で受けることになった。2つの教室を行き来することで不快感が軽減され、快適に学習できるようになった息子は、毎日嬉しそうに登校。帰宅したらすぐ友達の家に出向いて一緒に宿題をしたり遊ぶなど、「本当にあなたは少し前まで不登校だった人なのですか?」と疑いたくなるほど、いきいきと過ごしていた。「特別支援学級は嫌な音がしないから、勉強も楽しくできるんだよ。休み時間に中庭や体育館でみんなと遊ぶのも楽しい。土日にのんとどこかに出かけるのも楽しいけど、今はそれと同じくらい学校が楽しいんだ!」などと申し、ゴールデンウィークの10連休については「半分でいいのに」とぼやいていたほど、学校が大好きになっていた。これで万事解決、めでたしめでたし…で、収まれば良かった。収まってほしかった。ゴールデンウィークが終了し、私の仕事が忙しくなってきたある日の午後、息子はえらく憤慨した様子で学校から帰宅した。「もうやだ!また学校行くのが嫌になって来たよ!!」えっ、ちょっと待って、今の時期に家にいられると困る…とうっかりこちらの都合による本音が出そうになったが、息子だって辛いことがあったのだから、とぐっと堪え、「どうした?何かあった?」とだけ、どうにか口にできた。この前まであんなに楽しそうだったのに、何があったんだ…。<第3回に続きます>
2019年07月08日「子どもが何かに没頭し、こちらの呼びかけにまったく反応しなくなった」という経験がある方は多いのではないでしょうか?それは、子どもが「フロー状態(ゾーン)」に入っているからかも。今回は、子どもの成長に大きくかかわってくる「フロー状態」のメカニズムや、子どもへの影響についてご紹介します。フロー状態(ゾーン)って何?フローとは、アメリカの心理学者ミハイ・チクセントミハイが提唱した概念で、「物事に対して時間を忘れるほど集中し、最高のパフォーマンスを発揮できる状態」のこと。人はフロー状態に入ると、集中力が研ぎ澄まされて目的達成のために没頭できます。そして、目的達成後は、非常に高い満足感や達成感、心地良い疲労感を得ることができるのです。大人でも、「締め切り直前に集中力が高まり、一気に仕事を片づけることができた」「スポーツ中、身体が自然と動くような感覚があり、練習ではできなかったはずの高度なプレイができた」といった体験をしたことがある方もいるのではないでしょうか?これこそが、フロー状態です。そして、フローよりもさらに集中力が増した状態をゾーンといいます。ゾーンに入ると、これまで体感したことのない超人的な集中力が発揮されますが、その境地にたどり着くことはなかなか難しいのだそう。オリンピックで活躍する一流アスリートなど、特に集中力を求められる人々の中には、ゾーンを経験したことがある方もいるようです。フロー状態(ゾーン)がもたらすものシリコンバレーを拠点とする教育機関 シンギュラリティ・ユニバーシティのFlow Genome Projectの研究結果によると、フロー状態に入ると次のような効果がもたらされるのだそう。・創造性や、課題解決能力が4倍になる・新しいスキルを学習するスピードが2倍になる・痛みや疲労を感じなくなる・ノルアドレナリン、ドーパミン、エンドルフィン、アナンダミド、オキシトシンといった、やる気や集中力を高めたり、幸せを感じさせたりする脳内物質が放出されるそのため、フロー状態に入ると、疲れやストレスを感じることなく、効率的なスキルアップが可能になるのです。フロー状態(ゾーン)を作るためのポイント子どもにフロー状態を体験させるためには、以下のポイントに注意しましょう。また、フロー状態に入ることには、子どもにとってさまざまなメリットがありますので、そちらも併せてご紹介します。・思いっきり遊ばせる発達心理学を専門とするお茶の水女子大学の内田伸子名誉教授らが、20代の子どもを持つ保護者約1,000人を対象に行なった調査によると、子どもが偏差値68以上の難関大学に合格するなどした保護者の35.8%が「小学校入学前の子育てで意識していたこと」について「思いっきり遊ばせること」と回答しました。一方、そうでない子どもの保護者で同じ回答をした割合は、23.1%に留まったのだそう。大学講師や幼児教室主宰などを通して、乳幼児から青年まであらゆる年代の子どもを20年間指導してきた、子育てガイド・長岡真意子氏は、次のように述べています。遊びを通し自発的に深く興味に没頭することで、リラックスした集中状態、努力を努力と感じない「フロー状態」を身につけます。「遊び」のすごいところとは、こうしたスキルや能力を、習い事のように大人の指導によって学ぶのではなく、自発的に楽しみながら身につけてしまえることです。またやるべき課題の間にも遊びを挟むことで、課題へ取り組む意欲や効率がより高まることも分かっています。(引用元:All About|子供の「遊び不足」が危険!遊びの天才を取り戻す方法)前述の調査結果からもわかる通り、遊びを通してフロー状態に入るという経験は、子どもの学習能力を伸ばすことにもつながるのです。そのため、子どもが遊びに集中しているときは、親はむやみに声かけをせず、できる限り見守りましょう。・ルーティンワークを身につける子どもが、勉強や習い事の練習の際に集中して取り組み、フロー状態に入れば、短時間で効率的に能力やスキルが身につきます。フロー状態に入りやすくなる集中力を養うためには、ルーティンワークを身につけることが有効です。ルーティンワークは「どうやったらうまくいくのか」などと試行錯誤する必要がないため、余計なことを考えることなく作業に集中しやすくなるといわれています。メンタルトレーナーの岡本正善氏は、集中力をつける方法としてルーティンワークを身につけることを推奨しています。例えば、勉強前には「1回深呼吸をして書棚の一番左に並べてある数学の問題集を取る」「試験開始の合図が聞こえた瞬間、筆箱を開いて使い慣れた鉛筆を取り出す」など、何でも構いません。毎回徹底することで、潜在意識は素直に目標に向かって動き出すようになります(引用元:ベネッセ教育情報サイト|ここ一番という場面で「集中力」を発揮する方法、「ゾーン状態」へのポイント【後編】)勉強の場合は「まずは机に座って今日やることを書き出す」、ピアノの練習の場合は「指慣らしとして『猫ふんじゃった』を弾く」など、子どもにもできそうなルーティンワークを身につけさせてみましょう。・成功している姿をイメージするメンタルトレーナーの岡本正善氏は、集中力を上げる方法として、ルーティンワークを身につけるほかに成功している姿をイメージすることも推奨しています。潜在意識に働きかけるには、成功パターンをイメージするだけでいいのです。ただし、何度も繰り返して、潜在意識にイメージを刷り込む必要があります。そうすると、本番では潜在意識がイメージに沿って動き出し、「失敗するかもしれない」といったマイナスのメンタルに惑わされず、集中力を発揮する状態に入りやすくなります。(引用元:ベネッセ情報教育サイト|ここ一番という場面で「集中力」を発揮する方法、「ゾーン状態」へのポイント【後編】)ただし、子どもの場合はまだイメージするのが難しい場合もあるので、親から子どもに「今日10分だけ勉強したら、新しい漢字を○個覚えられるようになって、いろんな本が読めるようになったり、国語のテストで良い点が取れたりするよ!」など、成功することによってどんなことが起こるのか、できるだけ具体的に説明してあげましょう。そうすることで、子どもが何かに集中して取り組むことのメリットを学ぶ機会にもなります。***何かに没頭するフロー状態は、子どもの能力を伸ばしたり、成功体験を身につけたりするのに欠かせないものです。子どもが集中しているときは、できるだけ見守る姿勢を保ち、充分にフロー状態を経験させてあげましょう。文/田口 るい(参考)ベネッセ教育情報サイト|ここ一番という場面で「集中力」を発揮する方法、「ゾーン状態」って何?【前編】ベネッセ教育情報サイト|ここ一番という場面で「集中力」を発揮する方法、「ゾーン状態」へのポイント【後編】識学式リーダーシップ塾|ミハイ・チクセントミハイの「フロー理論」こそ、モチベーションコントロールの最適な処方箋プレジデントオンライン|「頑張ろう」「勝とう」は集中力の邪魔だ学研キッズネット|子どもが伸びる家庭の10の習慣第12回よく遊んだ子は賢くなる!?~子どもを伸ばす遊びの力~ZUU online|「解決能力は4倍、学習スピードは2倍」All About|子供の「遊び不足」が危険!遊びの天才を取り戻す方法
2019年07月03日学校や園から帰ってきた子どもがリビングで寝そべっていたり、ゲームに夢中になっていたりする姿を見て、「宿題やったの!?」「いつまで遊んでいるの!」と怒ってしまうことはありませんか?子どもにも一息入れて疲れをとる時間が必要だとはわかっていても、つい「余計な一言」を言って急かしてしまう人も多いことでしょう。毎日のように口酸っぱく言い続けても、肝心の子どものやる気が起こらなければ、「余計な一言」は効果がないどころか、親子の信頼関係に影響を及ぼすことも……。何も言わなくても子どもが自らすすんで取り組み、親子ともに心穏やかに過ごせるようになるには、子どもの「やる気スイッチ」を上手に押すことが必要です。小言では子どもの「やる気スイッチ」は押せない子どもに「〇〇やったの?」と言ってしまうとき、私たちは「やっていない」ことを知っているか、薄々わかったうえで聞いていることがあります。教育評論家の親野智可等さんはこのように述べています。日頃から子どもに罠をかけてわざわざ嘘をつかせるような意地悪な質問をしていると、子どもは親に対する信頼感が持てなくなり素直な気持ちもなくなります。そして、親の攻撃から自分を守るために、たくみな嘘をつくようにもなります。(引用元:学研キッズネットkidsnet for Parents|「片づけしたの?」「宿題やったの?」「明日の仕度したの?」など。「質問形」の裏に隠れているもの)子どもの口から正直に言わせようと誘導する親の一言は、子どもにとっては攻撃に感じられるもの。親子の信頼関係にとって好ましくないようです。あなたは、お子さんに対してこのような小言を言っていませんか?「いつまで寝ているつもり?」「宿題はちゃんとやったの?」「遊んだおもちゃは、片付けたんでしょうね!」「食べ終わった食器は、どうするんだった?」そんなとき、「今やろうと思っていたのに!」と怒るお子さんは多いことでしょう。その胸の内は、パパやママの小言にガッカリして、素直に向き合いたくない状態にあるのかもしれませんね。「やる気スイッチ」を押された子どもの特徴一方、「○○やったの?」と聞かなくても、こうしたことを自分からすすんでやれる子もいます。・朝は決まった時間にひとりで起きる・学校から帰ってきたらまず宿題に取りかかる・おもちゃで遊んだあとは元通りに片付ける・食事が済んだら食器を下げる彼らは、何事にも前向きで、失敗してもくじけず目標に向かって頑張れる「やる気スイッチ」が入った状態にあります。「やる気スイッチ」を自分で入れることができる子どももいますが、初めの頃は親御さんが絶妙のタイミングで押してあげているケースが少なくありません。「やる気」が習慣化してくるにつれ、子どもたちは自らスイッチを入れられるようになっていきます。「やる気」は、もって生まれた性格ではなく、親御さんが上手に引き出して身につけることのできるスキルと言ってもいいでしょう。「やる気スイッチ」が入った子は、この先どうなる?ベネッセ教育総合研究所の「小中学生の学びに関する調査報告書(2015)『研究レポート2自律的な理由で勉強することが適応的である』」によると、「内発的動機づけ」が高い子どもは学校での成績が良いという研究結果が出ています。「内発的動機づけ」とは、自分自身でやる気を引き出して、物事に取り組めるということ。すなわち、「やる気スイッチを自分で入れられる子」のことですね。やる気スイッチを自分で入れられるようになると、勉強や習い事、家でのお手伝いなどに対して、主体的に目標を見出して楽しんでこなせるようになっていきます。これは、お子さんがこれから成長していくプロセスにおいて「不本意でもやらなければならないこと」に直面したときに克服する力になるものです。中高生であれば定期テストや受験に向けての勉強、大学生ならば単位取得のために必要な課題や試験勉強など、「やりたくないなぁ」と思いながらもやらなければならないことは、たくさんあります。社会人になってからも、仕事のプレッシャーや毎日の通勤、会社での人間関係など、いつも楽しくおもしろいことばかりとは限りませんよね。これらの克服すべき壁に対し、子どものうちに「やる気スイッチ」が押せるようになっていると、これまでも上手に乗り越えてきた経験が自信となり、自ら意味を見出して意欲的に取り組むことができるのです。子どもの「やる気スイッチ」を上手に押す方法子どもの「やる気スイッチ」の上手な押し方には、次のような方法があります。【学習面】◆なかなか勉強を始められないときOK「宿題、何時からやろうか?」「今日の宿題は何をやるの?」NG「まだやってないの?」「早くやりなさい!」はっぱをかけたり急かしたりしても、子どもにはわかりにくく、かえって逆効果です。「何をやるのか」「どんなタイミングで始めるのか」を聞いて、子ども自身が考えるきっかけを与え、自分で決めた経験を重ねられるように声かけをしましょう。◆机には向かっているものの、集中できていないときOK「まずは3問やってみよう」「もうここまで進んだの?」「ひとりで頑張っているね、手伝えることがあったら言ってね」NG「ダラダラしないの!」「さっさと終わらせなさい!」まずは、どうして集中できないのか原因を探ってみます。問題の量が多いようであれば、短く区切って集中を促し、難しそうな問題や苦手な分野であれば、ここまでやってきた頑張りを認める声かけをしてあげましょう。また、ひとりで黙々と続けることが得意ではない子なら、大人の存在が近くに感じられて頑張れるようにリビング学習をすすめるなど、環境づくりを提案してもいいかもしれません。【生活面】◆身のまわりのことができていないときOK「靴がそろっていると玄関がスッキリするね」NG「ほら!また脱ぎっぱなし」「自分でやりなさい!」たとえば、子どもが靴を脱ぎっぱなしにしているときには、「脱ぎっぱなしはダメじゃない!」と叱るのではなく、「そろえてくれると玄関がスッキリする」に置き換えることが大切です。具体的で前向きなフィードバックは、ほめ言葉に匹敵し、やる気を引き出すことが研究でわかっています。◆決まった家の手伝いをやらないときOK「今日は一緒にお皿洗いしようか?」「あなたのお風呂掃除は丁寧だから、ピカピカになってうれしいよ」NG「決めたこともできないの?」「それくらいはやりなさい!」家の手伝いを何か決めて任せている家庭も多いと思いますが、一度決めたからといって必ずしもその人がやり遂げなければならないわけではありません。やる気がなさそうだなと感じる日は、「一緒にやろう」と声をかけると、案外すんなり動けるお子さんも。また、手伝ったことで人の役に立っているということを伝えるのも効果的です。どのような場面でも、「何がどこまで自分はできているか」がわかり、「何をいつ取り組むのか」を自分で決めるように促すと、「やる気スイッチ」は入りやすくなります。***大人と同様に、やる気スイッチは、すぐに押せる子もいれば時間がかかる子もいます。また、新学期や学校行事など慣れないことが続いていると、心身が疲れていることも。ときには「1回休み」を取り入れるのも「やる気スイッチ」を上手に押すコツですよ。(参考)学研キッズネットkidsnet for Parents|「片づけしたの?」「宿題やったの?」「明日の仕度したの?」など。「質問形」の裏に隠れているものschola|生活の節目を活用すれば、子どものやる気を高めることができる進研ゼミ保護者通信|やる気アップの声かけバージョンアップさぽナビ(Z会)|子どものやる気を引き出すコツ(1)こどもまなび☆ラボ|子どもが「本当に褒めてほしいこと」。やる気スイッチをONにする言葉とはドロシー=ノー=ノルト・レイチャル=ハリス著、石井千春訳(2003),『子どもが育つ魔法の言葉』,PHP文庫ベネッセ教育総合研究所|研究レポート2自律的な理由で勉強することが適応的である
2019年07月02日意欲的に、家庭学習に取り組む息子。一方、在宅ワーカーの私はストレスを蓄積させ…登校渋りを幾度も繰り返し、8歳の誕生日を迎えたその日に「もう学校には行かない」と宣言した息子は、この4月で小学4年生になった。不登校開始1週間の時点で、「行かない気持ちに変わりはない。万が一気が変わったら申告するから、そちらからは一切聞いてくれるな」との旨の申し出があったので、私から働きかけることは避けていた。根性論にて復学を強く勧める学校側に辟易しつつ、息子の意思を尊重すると決めた私。それが2年生後期までの話である。それが1年前、3年生に進級したとき、風向きが一気に変わった。息子たちのクラスを受け持つことになった担任の先生、そして新しく着任した校長先生と教頭先生は、息子の自宅学習に協力的だったのだ。月に一度、担任の先生が課題を持ってきてくれ(もしくは私が受け取りに行き)、息子が1ヶ月かけてこなす。翌月に終了した課題と新しい課題を交換、さらに翌月には先生が添削した課題をまた持ってきてくれる、ということを繰り返すのだ。通学するのと全く同じペースとはいかないし、教科の偏りは出てしまうが、大幅な遅れを取ることはない。エネルギー出力にムラはあるが、息子はもともと知識欲が強い、勉強の好きな人間だ。学校からいただいた課題以外にも、自ら所望した問題集などにも取り組むほどで、家庭学習はとても順調に進んでいくように見えた。しかし、問題が発生した。息子ではなく、私に。フリーランスのライターである私の仕事は、ほぼ在宅にて行われている。だから打ち合わせ等がない限り、四六時中息子と同じ空間で過ごすことになる。1人の時間が持てないだけでも息苦しいというのに、集中力が途切れやすい私は、自分のペースで作業を進行できない状況にいらだちを募らせていた。分かっている、息子は悪くない。しかし、例年であれは冬季うつの時期にしか服用しない抗うつ剤が、春になっても手放せなくなっていた。些細なことで腹を立て、そんな自分を呵責し、深夜に眠れず涙すること連日。数ヶ月に1回、1泊2泊の出張や1人旅をしたところで、蓄積されたストレスは解消しきれなくなってきたのだ。そんなある日のことだった。平日の午後、小学校が終わるころを見計らって公園へ出向くことが増えていた息子が、帰宅後にこう申し出たのだ。「文化祭の日、学校に行ってみようと思う。同じクラスのJ君に誘われたから。行ってもいい?のん(私の呼び名)も付き合ってくれる?」久しぶりに登校し、文化祭を楽しんだ息子の口から出た意外な発言。しかし、いつ気が変わるかも知れず…出典 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文化祭のスケジュールは、午前中が体育館で行われる音楽発表会、正午手前に各々の教室で帰りの会を行い解散、あとは自由見学となっていた。いつごろ行きたいのかと息子に聞くと、音楽発表会の時間から行きたいのだという。私の都合で朝一番からの見学は叶わなかったが、それでも早いうちに学校にたどり着けた。実のところ、体育館のような空間に響く音声というものは、聴覚過敏を持つ私が苦手とするものだった。両耳から勢いよく水を流し込まれるような痛みと不快感で、めまいと吐き気を催してしまうのだ。デジタル耳栓を用意していなかったことを激しく悔やみつつ会場に入ると、存外辛くない。不快感がゼロというわけではないのだが、幾分か楽だ。どうやら私は「体育館のような空間で、“複数の人が雑談している声”の響き」が苦手であり、音楽だとそこまでではないようなのだ(体育館や音楽にもいろいろあって、どこでもそうとは言い切れないが)。さて、私自身が特性について再発見をし、1人密かに感激していたところ、担任の先生が私たち親子の姿に気づいた。息子をクラスメイトたちが並ぶ列へ、そして私も発達障害の当事者であり、聴覚過敏を持っているとご存知の先生は、私を保護者席から離れた職員席へと、それぞれ誘導してくださったのだ。息子は列の最後尾についたのだが、前にいた子が気配を感じたのか、振り向いた。更に前の子が何かを察して振り向き、また更に前の子が…というように次々とみんなが息子の存在に気づいて、声こそ出さないし、振り返るのもそれぞれ1、2回であったものの、そわそわとした雰囲気になるのが、見ていておかしいやら微笑ましいやら。演奏が終わり、一旦休憩になった途端、「ハルくんだ!」「ハルくんだ!」「ハルくんがいる!」「ハルくん、久しぶり!」と、たくさんのクラスメイトが一斉に息子に駆け寄ってくれた。詳しい会話の内容までは聞こえない。息子本人はとても照れくさそうな、でも確実に嬉しそうな表情で応対しているのが分かった。それから息子は音楽会だけでなく、終わりの会にも参加し、クラスの友達に誘われて、自由見学にも出向いた。途中でパニックを起こして、途中で何も言わずに帰宅してしまったのだが、後日会ったときにそれを責めることもせず、むしろ心配してくれたのだという。彼らを含む、息子の存在を受け入れてくれたクラスの児童たち、息子だけではなく、私の特性にもご配慮くださった先生方には心から感謝している。その数日後、「行事のときとか、たまには学校に行ってみようかな」と息子がひとりごちた。正直、とても驚いた。とはいえ、いつ気が変わるとも知れない。私はさしたる期待をせずに聞いていた。限界を迎えていた私。約束を守りたい気持ちと復学を促したい気持ちの間での葛藤案の定、「たまに」は年をまたいでも訪れることはなく、私は出張や旅行で息抜きをしつつ、ギリギリのところで踏みとどまっていた。いや、すでにおかしくなりかけていた。寝入る直前に「何か食べたい」と申し出た息子に「もう寝る前だし、牛乳ぐらいにしておこうか」と言葉を返し、寝つかせたあとに「あれはネグレクトではないか?ネグレクトに違いない」と自責を始め、夜半を過ぎるまで泣きとおすなど、精神のバランスも生活のリズムも著しく乱れていた。仕事も思うように進行させられず、「もう私にはコラムなど書けないかもしれない」と、『発達ナビ』の牟田編集長に宛てて、泣きながらメールを打ったのもこのころだ。とにかく、限界だった。「フリースクールや放課後デイ施設などがあるではないか」とおっしゃる方もいるだろうか。もちろん視野に入れ、自分なりに調べた。しかし私たち親子は、施設数が都会に比べて圧倒的に少ない地方に住まう身である。学費や立地など、条件に見合う場所を見つけられなかったのだ。そして3月の半ばになって、「たまに」がようやく訪れた。とても興味を引かれる学習内容ばかりの時間割で、給食は好物ばかりの献立の日があるから、というのだ。息子はその日、朝の会から終わりの会まで学校で過ごし、「音が辛いこととかちょっとあったけど、勉強は面白かったし、みんなと遊ぶのも楽しかった!次はいつ行こうかな?」と笑顔で帰宅し、私に話してくれた。(次の「たまに」はまたしばらく来ないのかな…)と考えるだけで胃から何かがせり上がる。楽しいのなら、もっと高い頻度で登校して欲しい。できれば毎日。でも、私から登校を促す働きかけをしない約束を、息子とは交わしている。だから言えない。私を信頼してくれるこの人との約束を破りたくない。破りたくはないのだが…。約束を破り、私は切り出したさて、話は前後するが、以前のコラムにも書いた、息子が3年生になってすぐの面談で、「息子さんとの(登校を促さない)お約束もありますし、もし学校に行きたいという話を息子さんがしたら、というつもりで聞いていただきたいのですが」という前置きのあと、校長先生がこんな話をしてくれた。「教科書を使って、みんなと同じペースで学ぶ、という学習方法が、向いている児童と向いていない児童がいます。すでにお渡ししている教科書よりも使いやすいと息子さんが思える教材があれば、それを使って児童の数が少ない特別支援学級や、もしくは別の学習室で学ぶという方法もあります。特性の関係で疲れやすいでしょうから、そんなときは遅れてきても構いませんし、早退しても構いません。息子さんが無理をせず、のびのびと学校生活を楽しめるように、私たちはできる限り協力します」フリースクールを検討して調べたことは前項で述べたが、私が調べた限りの、どのフリースクールよりも手厚い。これが公立の小学校である。しかも、身心ともに疲弊しきった息子が不登校を決めたときに、「苦手を克服するということから逃げ続ける息子さんを容認して、成長の機会を奪ってもいいんですか?」と私を叱責し、これは書いたことがなかったが、特別支援学級の利用や、進級を期にした転籍を願い出た際、「息子さんは頑張れば通常学級でもやっていけますから必要ありません」と跳ね除けた公立小学校と、同じ公立学校なのだ。知識欲の強い息子はいずれ、私の学習サポートでは物足りなくなるだろう。現状だって、私は自分の仕事と家事に手一杯で、十分な時間を割けているわけではない。そして条件に合うフリースクールは見当たらない。しかし、フリースクール以上に手厚い、すでに息子が在籍している小学校がある。もう、これは言うしかなかろう。「ごめんなさい、私は今からあなたとの約束を破ります」そう、私は切り出した。何事かと表情を引き締めた息子に向かって、続けた。「約束を破るわけだから、あなたが怒ったとしても無理はない。でも、最後まで聞いてほしい。正直、私は今の生活が限界。仕事をしながらあなたの学習をサポートするのはとても大変だし、正直ちゃんとサポートできているかも自信がない。これからあなたがさらに多くのことを、深く学びたいと願うときが来るかもしれない。そうなったら学力面と知識面、時間の面でも私の手には負えなくなると思う。あなたの学びの妨げを、もし自分がしてしまったら、私は悔やんでも悔やみきれない。それから、仕事の効率が確実に落ちているなと感じている。これは私の気が散りやすいというのが問題であって、あなたが悪いわけではないから、気に病んでほしくない。とはいえ、もっと仕事に集中する時間がほしい。そうした私の勝手な事情で約束を破ることを、本当に申し訳なく思っている。許さなくてもいい。…いきなり、毎日、最初から最後まで、とは言わない。でも、もう少し学校に行く頻度を高くしてほしい」そして、面談で校長先生が話してくれたことを、息子に伝えた。息子は何も言わずに聞いていたが、私の言葉が途切れたのを見計らってか、ゆっくりと口を開いた。「今の学校だったら、行くのは嫌じゃないよ。でも、ずっと家にいたし、のんが言ったように、いきなり毎日最初から最後まで、というのはできないかもしれない」「うん、それは仕方ない。ありがとう、聞いてくれて、怒らずに受け入れてくれて、本当にありがとう」「うん。だって、のんが仕事をできなくなったら、まだ働ける年齢じゃない自分だって困るし」「いきなり毎日最初から最後まではできないかもしれない」などと申していた息子だったが、土日をはさんだ週明けから春休みに突入するまでの1週間、毎日最初から最後まで、つつがなく登校し、帰宅すると、学校での様子を楽しそうに伝えてくれたのだった。「学校に行ってみよう」と息子が思えるきっかけとなった、N先生の寄り添い出典 : 年生の中盤過ぎから始まった息子の不登校生活は、3年生のラスト1週間で、ひとまず終わりを迎えた。ここで私の頭に疑問が浮かぶ。そもそもどうして「学校に行ってみよう」と息子は思えたのか。本人に質問をしてみたところ、このような答えが返ってきた。「(担任の)N先生、学校に来てねみたいなことを一度も言わなかったから」そうなのだ、N先生は「息子さんの顔が見たいのでお構いなく」とおっしゃって、ほぼ毎月わが家にご足労くださっていたのだが、ただの一度も登校を促すような発言はなさならかったのだ。2年生のころ、当時の担任の先生が、クラス全員からの手紙を持って、わが家にいらしたことがある。「早く学校に来てね」との旨の内容がそれぞれの文字と言葉で綴られていたそれに、息子は一瞥もくれなかった。「あなたはこんなに必要とされているんだよ」ということを伝えたい、先生の愛情と善意であることは理解できる。でも、そこに息子はいないのだ。学校に行くことが辛くてたまらない息子の気持ちが、まるで「改めるべきもの」として扱われているように、私には見えてしまったのだ。「助けてってお願いしているのに、無視されているような気持ちになった」と、後日息子も述べている。「N先生って、元気?とか、最近好きな遊びはある?とかは聞いてくるけど、学校に来てねとかは言わなかった。なんかそれが、こっちの気持ちを大事にしてくれているように思えたから」思いやりや寄り添いは、なにも気遣うような優しい言葉をかけることだけではない。言葉少なであるからこそ、自分が尊重されていると感じられることは、大人にだってある。イソップ寓話『北風と太陽』を私は思い出し、次年度もN先生が担任であったらいいなと願いつつ春休みを迎えた。いや、担任がどなたになるかという話の前に、休みが明けたら「やっぱり学校に行きたくない」と息子が言い出す可能性は、なきにしもあらず。心の準備を、私はした。《次回に続きます》
2019年06月25日子育てをしていると、わが子の意外な一面を見てハッとすることもたくさんあるのではないでしょうか。親である自分とは考え方がまるで違っていたり、物の見方が正反対だったりと驚かされることも多いはず。そもそも、人には誰しも “持って生まれた気質” というものがあります。たとえ親子であっても兄弟であっても、それぞれが違うものを持ち合わせているのです。持って生まれた「気質」は変えられない親は子どもに対して、「こんな人間に育ってほしい」という願望を抱くもの。そしてその多くは、「活発で勉強やスポーツをがんばる優しい子」をイメージしているのではないでしょうか。しかし、現実は思い通りにいきませんよね。すると、ついカッとなったりイライラしたり……。親がイライラするときは、必ずと言っていいほど、頭の中に理想の子ども像を描いています。外で元気に遊び、自ら進んで勉強をやり、片づけがきちんとできて親の手伝いもよくする……。しかし、そうした親の勝手なイメージは子どもの気質とは異なるかもしれません。(引用元:AERA dot.|「9タイプ気質診断」で目からうろこ子どもの気質がわかればイライラしない!)そう述べるのは、NPO法人ハートフルコミュニケーション代表理事の菅原裕子さん。大切なのは、子ども本来の気質を理解し、それぞれの気質に合わせたコミュニケーションをとることだといいます。東海大学文学部教授で学校心理学が専門の芳川玲子先生も、「子どもに明朗快活に育ってほしいと願っている人も多いが、そもそも明朗快活になれない人もいることを理解するべき」と指摘します。芳川先生は、「性格」と「気質」はまったく違うものであることを前提として、子どもの「気質」に合わせた子育てをすることで親のストレスが軽減されると述べています。そもそも、「性格」は最初から固定されているものではなく、成長とともに足されていくものであり、学校や社会での役割に合わせて何層にも加わっていくもの。「性格」は変えることができるというわけです。一方で、性格の一番中核には、もともと持って生まれた「気質」があり、それを変えるのは難しいといわれています。「気質」は、改善することはできても、完全に変えることはできないのです。だからこそ、子どもの気質を把握して、どんな関わりをしていくかを考えることが大切です。「親がどうあるべきか」ではなく、「どうしたら子どもとよい関係が築けるか」という視点で子どもと向き合っていきましょう。9つの気質の強弱の組み合わせが “その子らしさ”およそ50年前、アメリカの精神科医であるトーマス博士らは、136人の子どもの乳児期から青年期の成長過程を追跡調査しました。その結果、「人間には9タイプの気質的特徴が、幼少時の段階ですでに備わっている」ことが明らかになったのです。■9つの気質とは1.活動の活発さ(活動性)・身体の動きがアクティブ、おとなしい、テンションが高い、など。・活発に動いている時間が長い子と、じっとしている時間が長い子がいる。また、動きの激しさにも差がある。・「○○くんは活発ね」「○○ちゃんは穏やかな子ね」など、その子の活動レベルの指標となる。2.集中力の持続性(注意の逸れやすさ・注意の幅と持続性)・ひとつのことに没頭できる、気が逸れやすい、飽きっぽい、など。・ひとつのことだけに注意を向けるのか、複数のことに注意を向けるのか、そしてそれがどれくらい持続するかの違いを指す。ひとつのことを何時間も集中して続ける子もいれば、いろいろなことに手を出す子もいる。・「勉強中、周りの物音に反応して集中できなくなる」といったネガティブなケースばかりではなく、「砂場でぐずりだしたので、滑り台に連れていったらケロッと機嫌が直った」などのポジティブなケースも含まれる。外的な刺激でどの程度気が逸れやすいかを指す。3.粘り強さ(行動の可変性)・へこたれない、言い出したら聞かない、すぐあきらめる、など。・行動を変えさせたり止めさせたりするのに、どの程度の刺激が必要かの違い。一度言うだけで修正してくれる子もいれば、何度も繰り返して言わないと変えられない子もいる。・難題を前に、どれだけ粘れるかを指す。4.新しい環境への反応の仕方(新しい刺激に対する接近、回避の傾向)・新しいことにワクワクする、もじもじする、など。・新しい環境、新しい人に出会ったときに、どう反応するかを指す・はじめて触れるものや経験することに対しての反応も個人差がある。珍しいものに自分から近づいていくのか、避けたり逃げたりするのかといった行動パターンの違い。5.規則正しさ(生理的な規則性)・身体機能(睡眠、食事、排泄)が規則的、ルーズ、など。・生物学的なものに基づく行動や機能が規則正しいかどうかの基準。・決まった時間にお腹がすく、毎日20時になると眠くなる、など行動パターンが読みやすいか。6.変化に対応する順応の速さ(順応性)・環境が変わったときの順応が早い、ゆっくり、など。・新しい状況や環境、人間関係などに対してスムーズに適応できるかどうか。順応性の有無により、環境を変えることがよい刺激になるのか、環境を変えないほうがいいのかを判断できる。・たとえば、外出しようとしたら突然の雨。予定変更となったとき、すぐに家の中での遊びに切り替えられるかどうか。7.五感の敏感さ・外的な刺激や内的な刺激に敏感、あまり気にしない、など。・周りの音にどう反応するか、気温の変化に敏感か、など五感がどれくらい敏感かを指す。・転んで膝から血が出ていても平気で遊んでいる子もいれば、尻もちをついただけで泣いてしまう子もいる。8.喜怒哀楽の激しさ(反応の強さ)・よく笑う、よく泣く、感情を外に出さない、など。・外的刺激や内的刺激(内部的な身体感覚)に対する反応の強さを指す。・転んだときにワンワン大泣きする子もいれば、しくしく泣く子もいる。はっきり反応する子に比べて、あまり表現しない子は親がしっかり観察しなければならない。9.ベースの気性(機嫌のよさ)・機嫌がいい、気難しいところがある、など。・日常の大半をどのような気分で過ごすか、物事をポジティブにとらえるか、ネガティブにとらえがちか、という一般的な傾向を指す。・「快」「不快」の刺激をどれだけ感じやすいのか。また、それをどのくらい直接的に表現するのかの違い。・敏感な子は不快感が大きな苦痛となり、ずっと気にしてしまう。逆に不快感をすぐに忘れられる子もいる。誰もが、これら9つの気質それぞれを<強・中・弱>と異なる形で持ち合わせています。そして、その子ごとに違うレベルで組み合わさったものが「個性」であり「その子らしさ」です。ですから、「うちの子は泣き虫で……」「人見知りが激しくて……」「言い出したら聞かなくて……」といくら悩んでも、それはその子に備わっている「気質」であり、簡単には変えられません。そして「気質」は子どもごとに違っていて当たりまえ。もともとにぎやかな場所が好きな子と、静かな場所を好む子では、同じ声かけをしても通用しないということを理解しておきましょう。わが子の気質を見極める目をもとう9つの気質を組み立てて、わが子の特性をつかみましょう。たとえば、「うちの子は、ひとつのことに集中するのが好きで粘り強さもある。環境の変化には敏感ですぐに泣きがち」「うちの子は、飽きっぽくルーズだけどおおらか。基本的にはいつも機嫌よく過ごしている」と、特性を具体化して客観視してみてください。今まで、ほかの子と比べて「できないこと」や「劣っていること」ばかりが目についていたことに気づかされるのではないでしょうか?しかし「気質」は基本的には変わらないことを理解すると、気になる部分を変えようとして必死にならなくてもよくなります。親が子どものためにできることは、「対応や接し方」を変えることです。・「うちの子は引っ込み思案な気質。だから、いろいろな場所に連れていって、場慣れをさせよう」・「うちの子は飽きっぽい気質。小さなゴールをいくつも設定して、目標をクリアする喜びを身体で覚えさせよう」・「うちの子は活発だけれど、新しい人間関係を築くのがあまり得意ではない気質。チームプレーが求められるスポーツよりも、陸上や体操などにチャレンジさせよう」・「うちの子は五感が敏感ではなさそう。自然の中に連れ出して、綺麗な景色に感動したり、土の感触を感じたりする経験をさせてあげよう」・「うちの子は気持ちの切り替えがすぐにできない気質。突発的な出来事にも対応できるように、10分前行動を徹底させよう」・「うちの子は集中力が続かず注意が逸れやすい気質。勉強机の周りには、気が散るものを置かないようにしよう」このように、根本的な気質は変えられなくても、親が注意深く見てあげたり経験値を高めてあげたりすることで、「できる」ことは少しずつ増えていきます。***もちろん親にも9つの気質は当てはまります。自分と子どもが正反対の気質を持っていると、理解し合うことが難しいと感じるかもしれません。しかし、子どもをひとりの個人として見てあげることで、その子らしさを活かした対応ができるようになるはずです。(参考)AERA dot.|「9タイプ気質診断」で目からうろこ子どもの気質がわかればイライラしない!かもめの本棚|「気質」に合わせてゆったり子育て|第1回兄弟でも性格が違うのはなぜ?かもめの本棚|「気質」に合わせてゆったり子育て|生まれながらに持っている「気質」とはAll About|子供の個性が見えてくる トーマス博士の「9つの気質」SHINGA FARM|わが子の個性が分かる!持って生まれた「9つの気質」を知ると子育てが楽になる
2019年06月24日国語はもちろん、算数や理科などあらゆる教科を勉強する際にも重要とされる「言葉の力」。子どもの「言葉の力」を伸ばすためにはどうすればいいのでしょうか。お話を聞いたのは、屈指の名門校、麻布中学・高校の国語教諭である中島克治先生です。まずは、「おしゃべりな子どもと無口な子どものちがい」についてのお考えから話してもらいました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/玉井美世子(インタビューカットのみ)ドリル学習では「言葉の力」はなかなか伸びない我が子が、まわりの子と比べて無口だと心配になってしまう親もたくさんいると思います。でも、ありていにいってしまえば、それは「個性」ということなのです。親がどんなにおしゃべりでも子どもは無口になることもあるし、その逆もある。同じような育て方をしても兄弟姉妹でちがいはありますし、親のアプローチいかんで子どもが多弁になったり寡黙になったりといったことはないのではないかとわたしは考えています。子どもには親とはまったく別の人格が備わっていて、おしゃべりであれ無口であれ、それはその子の「個性」なのです。そうとらえれば、「なんとか子どもの言葉を増やそうと努力しているのに……」と、頭を悩ますというような呪縛から解放されることになるはずです。とはいえ、おしゃべりか無口かということとは別に、「言葉の力」を身につけておくことはあらゆる勉強をするにあたって重要となります。そう考える教育熱心な親であれば、子どもにドリル学習などをさせているかもしれません。でも、ドリル学習にはあまり意味がないとわたしは考えています。子どもからすればドリル学習はやらされる、仕方なくやる受け身の側面が強いものです。しかも、紙の上での学習ということで、どうしても現実世界に応用しづらいものであるため、学習した内容の定着率も良くありません。たとえ勉強した直後には身についても、1カ月、1年といった時間が経つと内容がすっぽりと抜け落ちてしまうのです。単なるドリル学習というものは、どうしてもただ覚えること、テストでいい点を取ることに重点が置かれます。そういう学習で得た知識は、子どもにとって「生きた知識」にはならないのです。親との共通体験が子どもの学習を補強していくでは、「生きた知識」としての言葉の力をどのように伸ばしてあげればいいのでしょうか。その方法は、「実生活のなかでの親とのコミュニケーション」です。たとえば、親子で植物園に出掛けたときに、以前に図鑑で見たことのある花が咲いているのを発見したとします。そして、「これ、前に図鑑で見たよね?」「どんな花だっけ?」といった会話をする。すると、実体験のなかで実物と言葉がぴたっと結びついていくので自然に言葉が子どもの頭に入っていくのです。親に教えてもらったとか、親の質問に答えられてうれしかったとか、具体的な場面のなかでの親との共通体験が学習を補強し、そのときに得た言葉はしっかりと子どもの頭に刻まれます。共通体験といっても、わざわざどこかに出掛けて特別な体験をしなければならないということはありません。それこそ家庭での日常的な会話でもできることです。会話の内容も天気のことでもご飯のことでもいいし、幼稚園や小学校での出来事、親子それぞれが観たテレビ番組の感想をいってもいい。そういった親とのコミュニケーションを通じて、子どもは満足したり、安心したり、うれしく感じたりといったポジティブな体験とともに感受性を高めながら言葉を覚えていくのです。子どもに知識をただ詰め込もうとしても、身につくものではありません。喜怒哀楽などの気持ちが伴わなければ、学習したことが子どもの糧にならないからです。たとえば、子どもがはじめて真っ赤な美しい夕焼けを見たとき、「綺麗」という言葉を知らなくとも子どもの心はすでに震えています。そして、そばにいる親が「綺麗だね」とつぶやいた。自分の心の震えと「綺麗」という言葉が重なり合う。そんな言葉を忘れるわけがありません。親子のコミュニケーションにおける3つの注意点子どもとコミュニケーションを取る際の注意点もお伝えしておきます。ひとつは、子どもから「これ、なに?」というふうに質問をされたときに、すぐには答えないほうがいいということ。答えられることでもあえて答えず、「なんだろうね?」「うちに帰ったら調べてみようか」というふうに答えるのです。どういうことかというと、子どもに立ち止まる時間を与えるということです。そうすることにより、子どもは手探りで考えることになる。その時間が、その後の学習で得た知識の定着を高めることになります。次の注意点は、子どもの言葉を頭から否定しないということ。子どもは大人が忘れてしまったような感覚を持っていて、大人が考えもしなかった側面から考えることもあるものです。大人になってしまった親からすれば、子どもの言葉が間違っていると思っても否定してはいけません。また、子どもの言葉に親が本当に驚かされることもあるでしょう。そういうときは否定せずに「そんなふうに考えるんだね」といったリアクションをしたり、素直に驚きを伝えたりしましょう。子どもからすれば、自分より言語能力が長けていると思っている親にちょっと先んじることができたという優越感を得ます。その優越感によって、子どもは言葉に対してよりポジティブにかかわっていくようになるのです。そして最後のアドバイスとしては、なにより親自身が子どもとのコミュニケーションを楽しむことが大切だということ。子どもは「教えてもらっている」と思うと受け身になってしまい、学びに対する積極性を失います。でも、親自身が楽しんでいれば、それは親が子に教えるという姿勢ではありませんよね。子どもも親の楽しむ姿勢に引っ張られてコミュニケーションを楽しむようになる。そうして、親子のコミュニケーションによって言葉を得る効果も高まるわけです。『本物の読解力をつけることばパズル 入門編』中島克治 著/小学館(2019)■ 麻布中学・高校国語科教諭・中島克治先生 インタビュー一覧第1回:子どもの「言葉の力」を伸ばすには?名門麻布の国語教師が説く“親の心得3か条”第2回:先取り学習はこんなに危険。「した子」の成績が「しなかった子」に抜かれるのはなぜ?(※近日公開)第3回:麻布中高の国語教師が断言。「絵本の読み聞かせ」の教育効果はやっぱり絶大だった!(※近日公開)第4回:我が子に“読書好き”になってほしいなら。ぜひ身につけさせたい「読み癖」とは(※近日公開)【プロフィール】中島克治(なかじま・かつじ)1962年生まれ、東京都出身。麻布中学・高校を経て東京大学文学部卒業。東京大学大学院博士課程修了。現在、私立麻布学園麻布中学・高校国語科教諭。『本物の読解力をつけることばパズル 初級編』(小学館)、『一生役立つ! 子どもの本当の読解力をグッと引き出す方法』(PHP研究所)、『1話5分! 12歳までに読みたい名作100』(新星出版社)、『小学生クロスワードBOOK 1・2・3年生』(星雲社)、『本物の国語力をつけることばパズル 中級編』(小学館)、『本物の国語力をつけることばパズル 入門編』(小学館)、『本物の国語力をつけることばパズル 初級編』(小学館)、『夏目漱石ほか文豪名著 書き写しノート』(朝日新聞出版)、『小学校入学前にことばの力をつける魔法の本棚』(小学館)など著書多数。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年06月24日わが家の娘10歳、息子8歳は朝何度起こしても起きません。それもそのはず、習い事や宿題、放課後の友達との約束…だんだんと夜寝るのが遅くなり、就寝は23時。どうにか起こしても、機嫌は最低最悪。食事もとれずにふてくされながら登校していました。今回は、そんな子どもたちとの毎朝の格闘に疲れ果てた私がトライした「早起き大作戦」を紹介します。作戦1早く寝る支度を整える朝早く起きるには、当然早く寝なくてはなりません。親としての目標は21時に就寝。しかし寝ない…というか寝られません。毎日23時就寝だった子どもたちは、布団に早く入れても眠くならないのです。そこでまず、20時までに夕飯、風呂を済ませ、電気を少し暗めにし、リラックス時間を長くとりました。このリラックスタイムはあえてテレビを家族で見るようにしました。テレビ番組は20時55分に終わるので、終了したら布団に行く約束にしたのです。作戦2ゲーム、YouTubeを見られないようにする21時の就寝を目指すにあたり、壁になるのはゲームやYouTubeでした。わが家ではこれが一番厄介で、決めておいた時刻に弟がキリがよくゲームが終えても、姉がYouTubeを見終わらずというように、ダラダラと時間を使っていました。そこで、2人が学校に行っている間、充電器がうまくささっていなかったということにして、2つの電化製品の充電をゼロにしておきました。作戦3朝早く起きたらご褒美時間。ゲームにお菓子なんでもあり!充電がなく、ゲーム、YouTubeが見られなかったため、当然子どもたちからは文句が出ました。そこで、「今夜は充電しながら早く寝て、朝起きてゲームやYouTubeをしたらいいんじゃない?」と提案。さらに、「早く起きた時間、アイスを食べながらゲームでも、お菓子を食べながらYouTubeでも好きに使っていいよ」と普段なら決して許さない行為を全面的に解放してみました。これには子どもたちも目を輝かせ、「朝早く起きる!」と声を揃えて布団へ入っていきました。しばらくの間は、毎日の習慣ですぐには眠りにつくことができなようでしたが、朝の好き放題できる時間のために、2人は21時に布団に入るようになりました。試行錯誤の結果、ついに!1週間前後、この生活リズムにしてみたら、2人とも遅くとも6時半には起きて、自由な時間を満喫するようになりました。そのおかげで登校前の時間に余裕ができ、食事もしっかりとれるように。朝、お互いイライラしながら過ごしていた時間がウソのようにラクになったのです。予想以上の成果!ゲームの時間が勉強をする時間へわが家では学校の宿題のほかに、母の私が自作する漢字テスト、国語、算数のドリル2枚ずづが毎日のノルマとしてあります。これを終わらせなければ放課後、遊びに行くことができません。授業が多く、下校時間が遅い上に習い事がある日は、ノルマが終わらず公園に遊びに行くことができきなくなります。そんな日が続き、「また今日も遊べない!」と息子ががっかりしている日がありました。そこで「朝の自由時間、勉強してもいいんだよ。そうすれば放課後すぐに遊びに行けるんじゃない?」とアドバイス。よほど遊びに行きたかったのか、朝の自由時間、なんどドリルを済ませるようになったのです。また、娘も息子の様子を見て、夜に見たいテレビがあったり、塾の宿題が終わらない場合など、朝の自由時間を活用するようになりました。正直、私自身ここまでのことは目標として定めていなかったので驚いています。きっと子どもたちの友達の多くが宿題や勉強をしないと、放課後に公園へ行けないというルールを守っていることと、うまく合致したのでしょう。今まで、無理やり朝起こすのはうまくいかなかったという経験を生かして、朝自分たちが起きたくなるように作戦をたてたのが成功のカギだったと思います。<文・写真:ライターあんぱんだYO>
2019年06月23日教育先進国として名高いフィンランド。そのメソッドが優れていることは世界的に有名ですが、実際にどのような教育や政策が実施されているかご存じですか?日本で行なわれている教育との差は、いったい何なのでしょうか?今回は、日本とフィンランドの教育を徹底比較していきましょう。フィンランドの学校教育フィンランドの教育が世界から注目されるようになったのは、1968年に行なわれた大々的な教育改革がきっかけでした。この改革により、フィンランドは「持てる資源のほとんどを教育に投資する」「男女、家族の背景、財力は関係なく、万人に教育の機会を与える」という方針のもと、1972年には初等学校・中等学校を総合学校として統合し、義務教育をこれまでの6年から9年に延長します。この総合学校とは、日本の小学校と中学校にあたるものです。9学年全てが同じ校舎で学ぶ場合と、1~6学年と7~9学年の校舎が分かれている場合があります。総合学校を卒業した後、子どもの約半数は普通高校に進み、大学または応用化学大学への進学を目指します。それ以外の子どもは職業高校へ進み、実際の現場や学校などで職業訓練を受け、職業資格、上級職業資格、専門職業資格という3段階の資格を取得するのだそう。いずれの学校も、卒業までに2~4年かかります。待機児童問題とは無縁なフィンランド日本ではここ数年、保育園不足や待機児童問題が深刻化しています。厚生労働省の調査によると、平成29年度の待機児童数は全国で26,081人。前年比2,528人の増加でした。一方、フィンランドでは保育が必要な全ての子どもに保育施設を24時間確保することが各自治体に義務づけられており、違反した場合は罰則があります。そして、親の就労状況に関係なく、0歳から保育園(日本の保育園・幼稚園に相当)を利用することができるのです。また、総合学校での初等教育が始まる前の1年間は、保育園もしくは学校内でのプレスクール(就学前教育)に通って社会性を育てることが義務教育に含まれています。フィンランドと日本の教育比較日本とフィンランドには、幼児教育や義務教育のシステム以外にも、さまざまな違いがあります。・教育費日本では、認可保育園の場合は保護者の収入に応じた保育料がかかり、高校や大学では学費などの負担があります。しかしフィンランドでは、プレスクールから大学・大学院まで無料で通うことが可能です。総合学校では、教科書や給食も無料。高校では、教科書代の負担はありますが、給食は無料です。家庭の経済状況にかかわらず、学びたい子どもはしっかり学べるという体制が整っているのです。昨今日本で増えている、大学卒業後の奨学金返済が生活を圧迫しているという問題も、フィンランドであれば起こることがなさそうですね。・読書量フィンランドの読書量は世界1位。図書館の数はもちろん、図書館を利用しにくい地域を巡回する移動式図書館の数も多く、国民が図書館利用に熱心であることで知られています。昨今読書離れが指摘されている日本とは対照的ですね。ところで、「読書量が算数の成績を左右する」ことはご存知ですか?「読書量の多い人は国語の成績が良い」というイメージを抱いている方は多いかもしれませんが、「読書量が多いほど算数の偏差値が高い」という研究結果も出ているのです。2016年から2017年にかけてベネッセが行なった調査によると、読書量の多いグループと全く読書をしないグループとでは、読書量の多いグループのほうが全ての科目において成績が良く、中でも算数の偏差値において最も大きな差が開いたのだそう。フィンランドが教育先進国として成績を残している理由には、読書量も関係しているかもしれませんね。・授業や休みの日数フィンランドの年間授業日数は190日程度で、日本よりも40日程度少なくなっています。加えて、夏休みが2ヶ月。さらに、小学生のうちは宿題やテストもほとんどなく、塾もないので、学習時間そのものが他の国と比べて短い傾向にあります。小学生のうちから塾に通うことが当たり前になっている場合も多い日本からすると「そんなに休んで、勉強は大丈夫なの?」と不安になってしまいそうですが、逆に遊びと勉強の切り替えがしっかりとできるようになり、限られた時間で集中して学習に取り組むようになるのです。・PISAテストの結果フィンランドは、経済協力開発機構(OECD)が3年に1回、世界各国の15歳の子どもを対象に実施している「国際学習到達度調査(PISA)」で常に上位となっていましたが、2016年には数学の結果が12位と順位を落としています。一方で日本の数学の成績は5位でした。しかし、フィンランドではこの結果を受けても教育制度の改革をする予定はないそうです。その理由は、フィンランドの教育指針は生徒の勉強時間を多くすること“ではなく”、「学校を楽しくおもしろい場所にすること」だから。順位という数字に一喜一憂することなく、教育の本当の目的をしっかりと見定めているのです。・地域の子育て支援日本では、ワーキングマザーや、子どもがいる共働き家庭に対する理解や支援が、まだまだ充分ではありませんよね。一方、フィンランドのヘルシンキ市には、「レイッキプイスト」という日本の学童保育と子育て支援センターを併せたような施設があります。ここでは、おやつ代のみという格安の料金で放課後の学童保育を利用できるほか、夏休み期間は子どもに無料で昼食を提供するサービスを行なっているそう。このように、社会全体で子育てをする文化があり、子育てと仕事が両立できる体制が整っているのです。フィンランド式教育のメリット日本に比べて授業時間が少なく、休暇を十分に取っているフィンランドの教育ですが、さまざまなメリットがあります。一般財団法人基礎力財団理事長の陰山英男氏いわく、勉強は短時間で済ませたほうが学力が上がるのだそう。小学校高学年では、2時間程度をピークに、3時間、4時間と学習時間が増えるにつれて成績が落ちていったという結果が出ていると言います。反対に、学習時間が短ければ、そのぶん集中して学習することができるようになり、脳が鍛えられていくのだそう。「○分だけ」と時間を決めて行なうことで、毎日続けやすくなる効果もあるため、勉強の習慣も身につきやすくなります。また、自由時間がきちんと確保されていることから、自分の得意分野を見つけたり個性や能力を伸ばしたりする機会につながり、子どもの自己肯定感を伸ばすきっかけになるのも利点です。幼少期から習い事や塾などの教育に熱心になるケースが多い日本ですが、たまにはフィンランドのように、「遊ぶ時間を十分確保して、限られた時間で集中して勉強する」ことを実践してはいかがでしょうか。***フィンランドと日本の教育には、それぞれ優れた面があります。子どもの性格や生活環境に合わせて、適宜使い分けてみるのもいいかもしれませんね。文/田口るい(参考)Compathy Magazine|日本も後に続け!世界一の学力を誇るフィンランドの教育とは?こどもまなび☆ラボ|「フィンランド教育」の特徴とは?「教育費無料」にとどまらない、教育大国のシステムホンシェルジュ|ゆとり教育風のフィンランド教育?特徴と課題、日本の教育との違いに迫るクーリエ・ジャポン|子供を高い私学に入れるのはカネの無駄?「PISA」の結果を各国メディアはこう報じた東洋経済オンライン|フィンランドのワーママに「罪悪感」などない厚生労働省|「保育所等関連状況取りまとめ(平成 29 年4月1日)」カレントアウェアネス・ポータル|フィンランドの公共図書HugKum|小1は15分、小2は30分。勉強は短時間で済ませるほうが、学力が上がる!【隂山英男の家で伸ばす! 子どもの学力】こどもまなび☆ラボ|読書量が算数の成績を左右する!?子どもの学力を上げるために「1日数分」からできること影山ラボ|子どもは無限に育つ
2019年06月22日世の中に「勉強が大好き」な人は、いったいどれくらいいるでしょうか?子どもだけでなく、大人の実社会を見渡しても「勉強が大好き!」という人に会うのはとても難しいことかもしれません。東大を首席で卒業し、現在は執筆業やコメンテーターとしても活躍する山口真由さんも、これまでの著書のなかで「勉強は楽しいものではない」と率直な感想を述べています。ただ反面、「その楽しくない勉強にも、すごくいい部分がある」ということも強調されています。「勉強しなさい!」と我が子にいうのは簡単ですが、「なぜ勉強をするのか」という具体的イメージの共有も大事なこと。そこで、山口さんが感じてきた、「勉強の良い部分」と、「勉強するうえで忘れてはならない大切なこと」をレクチャーしてもらいます。構成/岩川悟(slipstream)写真/川しまゆうこ勉強の良いところは、やればやっただけ成果が出ることわたしがこれまでの人生で努力を費やしてきた「勉強」について、思うことをお伝えしたいと思います。勉強の良いところは「やればやっただけ成果が出る」ところだと考えています。たとえば、音楽やスポーツなどは、プロとして稼いで裕福に生活していけるのは上位5%程度の厳しい世界。でも、勉強は活躍できる裾野が広く、勉強さえしていればがんばったぶんだけなにかが確実に手に入ります。つまり、たとえ勉強で上位5%に入れなくても、勉強したことが無駄になることはないのです(もちろん、音楽やスポーツの分野でも上位5%に入れなかったからといってそれまでのすべてが無駄になるわけではありませんが)。勉強はオール・オア・ナッシングではなく、社会にさまざまな受け皿があります。そのため、社会で生き抜いていくためには、じつは勉強はかなりコストパフォーマンスが良い方法だと見ることができます。なにごとも、将来の目標をしっかり持っていれば、努力を続けていくモチベーションになります。でも、ぜひみなさんにお伝えしたいのは、たとえその目標に勉強が必要なさそうに思えても、勉強はしておいたほうがいいということです。勉強がいつ役に立つのかは、人それぞれです。もちろん、受験や就職だけに役立つものではありません。勉強で得た知識そのものが役立つこともあれば、考える力や課題解決力、分析力、計算力など、人生のあらゆる場面において勉強した経験は役に立ちます。勉強をすれば、そのぶんだけ活躍できる場所が社会には用意されているのです。勉強でなにより大切なのは、細かく区切った「目標」を持つことわたしは、目標を達成するために、勉強をするという考えを持っています。となると、勉強でなにより大切なのは、まず「目標」を持つことになります。ただ、勉強を手段と割り切るだけでは、ふだんの勉強を続けていくのを難しく感じる人もいると思います。遠い目標や「なりたい自分」を思い描くのは大きなモチベーションになりますが、それだけでは、勉強の苦痛に耐えることが難しいのも現実。そこで、勉強の効果を上げるためには、最終的な目標だけでなく、その過程での小さな目標をいくつか立てることをおすすめします。たとえば、資格試験に臨むなら、そのための模試の判定でもいいし、TOEIC®なら、いまのスコアよりも少しだけ上のスコアを目標にするのです。このときのポイントは、少しがんばれば手が届くくらいの目標を設定すること。高い目標を設定して達成できずに挫折感を味わってしまうと、「根拠のない自信」も傷ついてもとも子もありません。具体的な目安としては、いまのプラス5%程度の目標値を考えると良いと思います。気合だけで勉強を続けることはできません。でも、小さな目標をクリアしていく「達成感」を意図的に配置していくことで、少しずつ最終的な目標へと近づいていけます。また、適度な負荷をかけ続けることで、ストレス耐性も増していくでしょう。※TOEIC®はエデュケーショナル・テスティング・サービス(ETS)の登録商標です。この製品はETSの検討を受けまたはその承認を得たものではありません***勉強というのは、覚えるべきことをひたすら覚え、同じルーティンを繰り返していく、まさに忍耐の作業です。でも、そこに苦痛を感じるのは子どもも大人も同様であって、むしろそれは正常なことなのです。ではなぜ、勉強をしなければならないのか――。それは、目標を達成するため、社会で生き抜くための手段といえるでしょう。もし、「勉強は楽しいものだ」と思える瞬間がくるとすれば、それはゴールに辿り着いたときなのかもしれません。そんなゴールを迎えることができるよう、子どもの勉強を考えていきたいものですね。※今コラムは、山口真由著『東大首席が教える 賢い頭をつくる黄金のルール』(セブン&アイ出版)をアレンジしたものです。『東大首席が教える 賢い頭をつくる黄金のルール』山口真由 著/セブン&アイ出版(2019)【プロフィール】山口真由(やまぐち・まゆ)1983年、北海道出身。東京大学法学部在学中3年次に司法試験、翌年には国家公務員Ⅰ種に合格。学業成績は在学中4年間を通じて「オール優」で4年次には総長賞も受けるなどし、同大学を卒業。卒業後は財務省に入省し、主税局に配属。2008年に退職し、翌年から2015年まで大手法律事務所に勤務し企業法務に従事。その後、1年間ハーバード・ロースクールへの留学をし、ニューヨーク州弁護士資格も取得。現在は、テレビのコメンテーターや執筆でも活躍している。レギュラー番組として、『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日系/毎週月曜コメンテーター)。著書には、『東大首席が教える超速「7回読み」勉強法』、『東大首席が教える「間違えない」思考法』(PHP研究所)、『リベラルという病』(新潮社)、『東大首席・ハーバード卒NY州弁護士と母が教える 合格習慣55 家庭でできる最難関突破の地頭づくり』(学研プラス)などがある。
2019年06月21日前回までのお話発達障害がある娘の進路、どう探す?どう選ぶ?何も分からないままスタートしたのは、小学5年生のときでした。地域の中学校の通常学級、特別支援学級、通級を見学。また、私立中学も検討しました。公立中学通常学級に進学してからは、高校以降の進路として、専修学校や単位制高校、特別支援学校の見学もしました。居場所がない中2の5月ごろ、娘は「数学の授業が難しくて辛い。あと優しい先生の授業のとき、男子が授業中に紙飛行機を飛ばしたりして騒ぐのが耐えられない。特別支援学級に移ろうかなと」という言葉を口にするようになりました。また一方で「本当は皆と一緒にいたい。薄々は気づいてはいるんだけどさ、『皆と違う』って言われると涙が出る」と涙ながらに語りました。娘の気持ちは日々大きく揺れていました。体育祭に向けた集団競技の大縄跳びやムカデ競争の練習がスタートすると、娘は腹痛や頭痛など体調を崩しはじめました。私の「練習も体育祭当日も休んで良いよ」という言葉に、娘は「それじゃサボリでしょ」と聞く耳を持ちませんでした。登校してもずっと保健室で休んでいる、8時に登校して8時30分に体調不良で早退する、そんな状態にも関わらず娘は毎日学校に通おうとするのです。体育祭が終わっても定期テストが終わっても娘の体調は良くなりませんでした。ある日のこと、娘は堰を切ったように自分の気持ちを口にしました。「自分で自分のことが分からない。クラスに居場所がない。友人関係がめんどくさい。友達が欲しいとも思わない。理解者も心を開く相手もいない。泣きそう。楽になりたい。私うつかな?」娘は過去にも学校行事の前などに体調を崩すことがありましたが、このときの娘はそれまでとは明らかに様子が違うようでした。私は学校と学習支援を受けていたNPO法人に娘の様子を伝えました。自ら特別支援学級へ娘は自ら学校の先生に「通常学級の教室にいるのが辛いです。でも保健室や相談室で一人ぼっちで過ごすのは嫌です。居場所としての特別支援学級を利用したいです」と伝えたそうです。学校は緊急措置として期間限定(※)で、特別支援学級に娘の机を設けてくれました。娘は通常学級の教室が騒がしくて辛いと感じたとき、通常学級のプリントを持参して静かな特別支援学級の教室で自習をしました。また可能なときは特別支援学級のカリキュラムにも参加しました(これは娘が中学の特別支援学級がどのようなものか知る良い機会になりました)。※1週間毎に振り返りをし、今後の事を考えていくというスタイル。通常は学年途中での在籍学級の変更はできませんが、娘の体調を踏まえ、緊急措置として対応してもらいました「積極的な休み」に理解のある学校娘が通っているNPO法人は学習支援の他に余暇支援も行っていて、娘にとって“居心地の良い居場所”になっていました。また同世代の子どもの「グチ会」なども開いていて、娘のストレス解消の場にもなっていました。そのことを知っている学校の先生方は「毎日学校に通うのが辛いなら週に1、2回早退や休みを取ってNPO法人などで英気を養うのも良いと思います」と『積極的な休み』に理解を示して下さいました。娘は金曜日は学校を早退し、NPO法人で過ごすことにしました。しばらくすると娘は私に特別支援学級の生徒や自分の障害について私に質問をするようになりました。Upload By 荒木まち子娘は“障害の専門書”から“親の手記”に至るまで通級やNPO法人、病院の待合室に置いてある“障害についての本”を片っ端から読んでいるようでした。娘の様子を見て私はそろそろ本人への障害の告知が必要だと感じたのでした。本人への障害告知学校内に居場所(避難場所)ができると、娘は少しずつ落ち着きはじめ通常学級で授業を受ける時間も徐々に増えていきました。授業に出られなかった分の勉強は、学校の夏期補習やNPO法人の学習支援で補うことができました。夏休み明け、娘はまだ所属に悩んでいるようでした。それでも「どうしたら良いのかはまだ分からないけど“過保護”は嫌だから、親には口を出して欲しくない」という娘の言葉から、親以外の相談先ができはじめていることを私は感じました。娘が落ち着いてきたこと、告知後の学校のフォローアップ体制ができていることを確認した上で、主治医は9月に本人への障害告知をしました。医師は障害の説明だけでなく、娘の長所やどのようにしたら困り感を減らせるかなどを“娘に分かりやすいように”説明してくれました。告知を受けた娘は「自分の事を理解してもらえてうれしかった」と言って喜んでいました。その後、娘は殆どの授業を通常学級で受けるようになりました。PC検定にチャレンジしたり、学校の文化発表で有志ダンスショーを企画したりと、娘の気持ちが前向きになった様子がうかがえました。そして自分に自信がついた娘は、当初考えていた特別支援学級への移籍について悩みはじめました。 特別支援学級ではなく、通常学級所属のままでいいのではないか、と。でもこの安定が「辛いときに受け入れてもらえる場所があるという安心感ありき」であることは本人もじゅうぶん理解していました。気がつけば、もう季節は先輩お母さんが言っていた“志望校を決めておくべき中2の秋”になっていました。クリエイティブスクールD高校特別支援学級を避難所として一時利用している間も、私たちは引き続き高校探しや見学を続けていました。私の住む地域では東京都のエンカレッジスクールと似た取り組みをしている「クリエイティブスクール」が数校あります。クリエイティブスクールは、中学校までに持てる力を必ずしも十分に発揮しきれなかった生徒を積極的に受け入れている公立の学校です。自宅から一番近いクリエイティブスクール、D高校では地域住民の協力のもと週に1回、学校の図書館内でカフェを開催するなど画期的な取り組みも行っていました。私はD高校に電話をして娘の状況を説明しました。担当の先生によると「発達障害に対する特別な配慮は行っていない」とのことでした。娘にD高校の話をすると「D高校の生徒を駅で見かけたことがあるけど、髪型とか服装とかすごく自由な感じだよね。私はルールがきちんと決められている学校のほうが自分の性格に合っていると思うんだよね。だからD高校は私には合わないと思う」私はふと思いました。娘が言う「合う」「合わない」は私が思うものと少し違うのかもしれない。私は学校を選ぶとき「障害に対する配慮があるか」や「娘が安心できる居場所があるか」に重点を置いていました。でもきっと今の娘には「そこに通う生徒と友達になれるか」「そこで友達と上手くやっていけるか」の方が大切なのでしょう。もちろん勉強もしたいのだろうけど、長い間「自分を理解してほしい」「一人ぼっちが嫌」と訴えてきた娘にとって、そこが一番ポイントとなるのは当然の事だったのかもしれません。D高校の見学は、娘が乗り気ではなかったこともあり、行きませんでした。揺れる気持ち娘が学校生活で一番の望んでいるものって何だろう?今まで候補として見学してきた学校は、実のところ親目線で選んではいなかったかしら?特別支援学級に入級するかしないか、娘の気持ちが揺れ動くのと同じように、親の学校選びの基準も振り子のように揺れ動くのでした。次回はそんな私たちの進路選択を決定的にした出来事について書こうと思います。
2019年06月20日筆者の長女は、現在私立中高一貫校の中3年生です。中学受験専門塾に入るには、新小3(小2)の2月がちょうどよいといわれています。詳しい中学受験事情を知らなかったため、小1から小3の5月まで地元の小さなプリント学習塾に通わせていましたが、トラブルがあって退塾しました。その後、気持ちが落ち着いた小4から中学受験専門塾へ入塾。そのときのトラブルがどういったものだったのか、参考までにご紹介いたします。■ 新学期から起きた子どもの異変ocsa / PIXTA(ピクスタ)筆者は、小1から中学受験専門塾への通塾は早いと考えていました。そこで、小3までは「勉強のくせづけ」として地元の小さなプリント学習塾に入塾させました。お試し期間があったので、おおよその退出時間がわかりました。塾へ行った時間から逆算してお迎えに出ていたのですが、小3の4月から長女の表情に変化が起きました。少し泣きそうになりながらも、「何もないよ、ママ」と子どもはいうので、少し気になりながら、家へ帰る日が続きました。makaron* / PIXTA(ピクスタ)4月下旬に入り、手の甲が腫れ上がった痕や、消しゴムがないことに気が付き「塾で何かあったのではないか」と、塾に問い合わせをしました。責任者の先生からは「特に担当の先生から報告はないです」との回答でした。ところが、毎回教室から泣きながら出てくるので、長女から話を聞き出しました。■ いたずらを通り越した行為が…しげぱぱ / PIXTA(ピクスタ)長女から聞き出せたことは、1学年上の男子が入塾してから筆箱の中身をばらまかれた同じ子に学習中のプリントを取り上げられて、勉強ができなかった先生に見つからないように、手の甲をつねられたといういたずらを通り越した行為が行われていました。主人にも相談して、一度長女へのいたずらのことと、今後の対応を塾と話し合うことにしました。■ 責任者の先生と担当の先生に温度差が…Gallardo / PIXTA(ピクスタ)まず長女から聞いた内容を全て話しました。責任者の先生は、一生懸命謝って「該当の生徒とお母さんとは、後日話し合って対応を決める」と話してくれました。担当の先生は、軽く「すみません」の一言のみです。その後塾側は、相手の子どもや親を交えた面談はなく、塾へ通う日をずらすことで対応することになりました。結局、この子どもは退塾しています。一方で、「もう塾を切り替えようか」と考えていた矢先に、担当の先生が、長女への添削や指導を行わないようになりました。■ 話し合いをしたものの、退塾することにmuu / PIXTA(ピクスタ)話し合いを始めると、担当の先生は以前のいたずらについては「記憶にないです」の一点張りで、長女への指導を拒否したことは、「気に入らないからです」と驚く発言をしました。さすがに、責任者の先生も驚いていて、筆者と主人は「これでは安心してここへ子どもを預けられない」と、退塾の手続きをすぐ取ると伝え、その場で手続きをしました。後日、責任者の先生から連絡があり、事前研修での教育が甘かったことの詫びがありました。担当の先生はその後退職したそうです。また、特別にということで学費返金の申し出がありましたがお断りしました。それよりも、長女の心の傷にならないか、心配でなりませんでした。■ その後の長女の進路は…ryuukikou / PIXTA(ピクスタ)トラブル後、すぐ中学受験専門塾へとは考えず、しばらくは自宅でドリルをさせて、小4になる前に「そろそろ塾通いしてみる?」と聞いて、長女の反応を見ながら塾探しを始めました。塾選びは迷いましたが、筆者が高校受験で通っていた塾で中学受験対応をしていると知り、問い合わせて長女と一緒に面談と見学をしました。見学後の面談で、プリント学習塾でのトラブルのことを話して、「それなら2対1の個別指導コースはどうでしょう?」という提案があり、お試し授業を2回受けてから、通塾を始めました。校舎の責任者の先生や各教科の先生が、丁寧かつ非常に面倒見がよい方ばかりでしたので、安心して子供を預けることができました。YsPhoto / PIXTA(ピクスタ)その結果、中学受験をし、志望校に合格して、毎日元気に通学しています。家計から学費を捻出し、子供に勉強を教えてもらうために預けているのに、いたずらをしている生徒への注意を怠り、その後叱られた腹いせに長女の指導拒否をされたのは、今でも驚くばかりです。長女は、うっすらと記憶にはあるのですが、今では元気に学校に通っています。嫌な思いはしたけれど、その後、いい先生方に恵まれて無事合格したので、結果としてかたのかもしれません。
2019年06月19日文字の読み書きや足し算など、小学校入学前に子供に身につけさせたい!と親が思うものはたくさんありますよね。「○○ちゃんはもうカタカナが書ける、漢字が読める」など、ママ友のお子さんの情報を聞いて焦ることもしばしば。早期教育の広がりから、最近の幼稚園では”宿題”が出ることろも珍しくはありませんし、英会話はもちろん話題のプログラミングスキルを身につけることができる幼稚園も存在します。しかし、どの程度読み書きや算数ができるようになっていたら安心か、については人それぞれ。今回は、小学生の娘をもつ筆者が感じた、小学校入学準備に必要なことをご紹介。■ 勉強の準備はそれほど焦らなくていいemi-chiki / PIXTA(ピクスタ)公立、私立など学校によって違いますが、いざ授業がスタートして感じるのは”勉強の準備に関してはそれほど焦らなくていい”ということでした。1年生の初めはひらがなを1文字1文字丁寧に書く練習と音読、算数は数の数え方から。確かに授業の進度はひらがなや数字が読める・書ける、前提で進められるため全く文字の読み書きができない状態で入学すると苦労はするかと思いますが、突然文章題が出たりすることはありません。たっきー / PIXTA(ピクスタ)その他の授業は道徳であったり交通安全ルールや、季節の移り変わり(春の草花、夏に咲く花など)に触れたりなどこれから生きていく上で必要なことを身につけるものでした。■ 先生が子供に求めている、意外なことYsPhoto / PIXTA(ピクスタ)では、学校の先生は子供に何を求めているのでしょうか。入学前に必ずある「入学前説明会」では、早寝早起き、返事をすること、人の話を聞くことなど大体同じようなお話をされるはずです。これらは、普段の生活や幼稚園や保育園を通して身につけられることなので難しいことではありませんよね。そこで筆者は、家庭訪問の際にも”先生が求めていること”を質問しました。ジゲニスタ / PIXTA(ピクスタ)すると、「自分の力で困っていること、疑問に思うことを伝えられるようになること」という少々意外な答えが返ってきました。新学期はどの年齢のお子さんも初めての学年を経験するため、不安でいっぱい。そして、先生も生徒との信頼関係をこれから構築していく時期。子供は無意識に先生に遠慮してしまうそうなんです。家庭でも、子供の話をきちんと聞いて、子供が思っていることを打ち明けやすい環境を普段から作っていくことが大切であると感じました。■ 時計を読めるようになると時間の使い方がスムーズにプラナ / PIXTA(ピクスタ)最後に、これを身につけておけば便利!と筆者が感じていることをご紹介いたします。小学校に入ると”時間”で活動することが主となります。時計を読めるようになること、そして休み時間はあと何分で終わる、○時○分に家を出るなど“あと○分!”という時間の感覚が身についていたらとても便利です。プラナ / PIXTA(ピクスタ)例えば、3分間の砂時計を見ながら歯磨きをさせてみたり、公文の学習5分間などで短い時間の感覚がついたことで、あと10分あれば○○ができる、などと時間の使い方がスムーズになりました。時計の読み方を教えることは難しく考えがちですが、今は100円ショップにもおもちゃの時計もあるので遊び感覚で始められてみるのもいかもしれません。jirasaki / PIXTA(ピクスタ)小学校入学までに子供に身につけさせたいことは各家庭それぞれ。しかし、学校の先生の求めるものは子育てにおいてとても重要なことであると感じます。子供の話をきちんときいてあげられる環境が整っているか、今一度振り返ってみられてはいかがでしょうか?
2019年06月16日ここぞというときに学力をぐんと伸ばす子。東大などの難関大学に合格する子。困難なときも自分で道を切り開いていける子。そういった子どもと、そうではない子どもの違いって、いったい何だと思いますか?その答えは “家庭”にありました。さっそく、詳しくご紹介しましょう。子どもの伸びしろは家庭環境で決まる?入塾テストがないにもかかわらず、中学受験の第一志望合格率が7割以上、大学受験では難関大への合格率が8割以上という進学塾 VAMOS(東京・吉祥寺)を主宰している富永雄輔氏は、受験コンサルタントとしてこれまで2,000人以上の親と接してきた経験から、次のように述べています。そもそも、「伸ばしやすい子」とはどういう子なのでしょう?それは、十分な「伸びしろ」が準備されている子です。「伸びしろ」とは、さらに成長する余地であり、可能性のこと。しっかりと「伸びしろ」をつくられた子どもは、きっかけさえ見つかれば、飛躍的に学力を伸ばしていきます。そして、その「伸びしろ」を育てるのはそれぞれのご家庭なのです。(引用元:富永雄輔(2017),『東大生を育てる親は家の中で何をしているのか?』, 文響社. )親の心がけ、幼少期からの家庭での習慣、休日の過ごし方、環境づくりなどが、子どもの「伸びる」「伸びない」に関係しているということ。なにげなく過ごしている家庭での日々が、じつはとても大切なのです。1. まず心がけたい「心休まるおだやかな家庭」「陰山メソッド」に代表される基礎学力の向上や、『徹底反復シリーズ』をはじめとする教材開発などで知られる教育者・陰山英男氏はこう述べています。私は教員時代に毎年何十件と行っていた家庭訪問で、子どもの性格と家庭の雰囲気の関係を考えるようになりました。そうして振り返っていきますと、やはりおだやかな心地よさが感じられる家庭のお子さんは成績がいい子が多く、また年齢相応のしっかりとした話し方のできるお子さんが多いということが改めて感じられたのです。(引用元:ベネッセ教育情報サイト|陰山英男氏に聞く!子どもの学力を伸ばす勉強法・習慣とは?)また、これまで多くの子どもや親たちに指導を行なってきた「花まる学習会」代表の高濱正伸氏も、「家族関係の良さが子どもの安心感の源泉」であり、「家族で心からくつろげて安心できる家である」ことが、伸びる子を育むうえでとても大切なことだと指摘しています。両親は共働き、子どもは習い事や塾で忙しい……今はそんな毎日を過ごすご家庭も多いのではないでしょうか。だからこそ、家の中では家族全員が心から落ち着ける空間、良好なコミュニケーションが取れる雰囲気を意識的につくっていくことが必要かもしれません。伸びる子のベースには、「家庭で得られる安心感」があることを忘れないようにしたいですね。2. 伸びる子の親の褒め方伸びる子の親の特長として、「褒め上手である」こともかなり大きなポイントのようです。たしかに、褒められることで子どもは自信がつき、自己肯定感を高められる――というのは、よく聞く話ですよね。ただし、褒めすぎは要注意だそう。というのも、伸びる子は常にもっともっと上に行きたいという上昇志向を持っているから。子どもを伸ばしたいなら、この “ハングリー精神” は不可欠なのだそうです。たとえば、算数で80点の壁をなかなか超えられなかった子どもがいるとしましょう。努力の甲斐あって、85点を取ることができたとしたら、どんな褒め言葉をかけてあげますか?目標よりさらに5点高い85点を取れたのだからおおいに褒めてもいいのですが、ある親御さんはこう言ったのだそうです。「よく頑張ったね。さあ、これで90点を目指す準備ができたじゃない!」これこそ、絶妙な褒め言葉。85点を取れたことはしっかり褒めていますが、その先にも目を向けさせるような言葉です。褒めるのはもちろん必要ですが、時に大事なのは、「それはまだゴールではない」と子どもに感じさせることなのです。ほかにも、伸びる子の親の傾向として、以下に挙げた行動が挙げられるようです。ぜひ参考にしたいですね。■「勉強(宿題)しなさい」と言わない■テストの結果、成績の上下に一喜一憂しない■家族の目の届く場所(リビングなど)で勉強させる■平日も休日も生活リズムを崩さない■家庭菜園をする■お手伝いをしっかり任せる■無駄なものを家におかない■収納のしつけをする■子どもと一緒に図書館、劇場、美術館、博物館、科学館などに行く3. こんな環境づくりでさらに伸びる子に家の中にちょっとした “仕掛け” をつくって、家族みんなで楽しむこと。これも、伸びる子が育つ家庭の特長です。ポイントは、“自然と視界にはいってくるもの” “手を伸ばしやすい場所にある”です。ただし、強制はせず、うまくいけば儲けものくらいの感覚で試してみてくださいね。■ファミリーライブラリーを作る伸びる子の特長のひとつとして、“読書好き” あるいは “多読だった時期がある” が挙げられるようです。読書が子どもに良い影響を与えるのは、もはや周知の事実ですよね。問題は、「どうやったら読書好きになるのか」ではないでしょうか。そこで試していただきたいのが、「ファミリーライブラリー」。ファミリーライブラリーとは、いつでも目に入るところ、手に取りやすい場所に、親自身が読みたい本、親が子どもに読んでほしい本、子ども自身が読みたい本などを棚などに並べておくこと。そのうち何冊かは、表紙を向けて並べておくのが効果的だとか。そうすることで、子どもの視覚に訴えやすく、瞬間的に手を伸ばすようになるのだそう。さらに、親もなにげなく本を手に取ることが増えるでしょう。親の読書する姿を日常的に子どもに見せることも、子どもを読書好きにさせると言われています。子どもと一緒に調べものができるように、本の近くに辞書や辞典、世界地図、地球儀を置くのもおすすめです。■覚えたいことを紙に書いて貼る四字熟語、歴史の年号、英単語、漢字……覚えなくてはいけないことが増えてきたら、紙に書いて「トイレの壁」や「冷蔵庫のドア」に貼っておきましょう。そうすることで、記憶に残りやすくなり、ひとつやふたつは無意識のうちに覚えてしまうものなのだとか。メディアで活躍中の山口真由さんも、著書『東大首席・ハーバード卒NY州弁護士と母が教える 合格習慣55』の中で、「何かを記憶として定着させたいとき、毎日、何度か必ず行く場所に貼っておくのが効果的」だと言っています。また、山口さんはもっと効果的な方法として、「覚えたことを親子の会話の中で声に出してアウトプットする」と書いています。ポイントはゲーム感覚で楽しむこと、だそうですよ。***どれも、ちょっとした親の心がけや工夫でできてしまうことばかりでしたね。でも、そんななにげない些細なことが、知らず知らずに子どもに大きく影響を与えることは間違いないようです。ぜひ幼少期から家庭で取り入れてみませんか。文/鈴木里映(参考)富永雄輔(2017),『東大生を育てる親は家の中で何をしているのか?』,文響社高濱正伸,相澤樹(2018),『あと伸びする子はこんな家で育つ』,大和書房ベネッセ教育情報サイト|陰山英男氏に聞く!子どもの学力を伸ばす勉強法・習慣とは?Business Journal|学力の高い子ども、親の習慣や家庭環境に「共通の傾向」…文科省調査で判明東洋経済ONLINE|「勉強しなさい!」が不要な子の”家庭内習慣”山口真由(2018),『東大首席・ハーバード卒NY州弁護士と母が教える 合格習慣55』,学研プラス
2019年06月15日幼い子どもを抱える親の悩みのひとつに、公共の場で子どもが騒いでしまうということがあります。また、子どもが小学生くらいになれば、勉強やスポーツに辛抱強く取り組む子どもになってほしいと願うはずです。その悩みを解決し、願いをかなえる子どもの「我慢する力」はどうすれば育むことができるのでしょうか。発達臨床心理学、保育学、児童学を専門とする東京都市大学人間科学部教授の井戸ゆかり先生に、アドバイスをしてもらいました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)「生理的な我慢」は強いるべきではない「我慢」にもいくつかの種類があります。ひとつは「自己抑制」という意味での我慢。これは、なにかいいたいことややりたいことがあっても、自分で判断をして「この場ではいわないほうがいい」「やらないほうがいい」と自分を抑えることです。そういう意味での我慢は社会生活を営むうえでとても大切なものですから、幼いときからさまざまな経験を通して徐々に教えていくとよいでしょう。一方で、とくに幼い子どもの場合は、「生理的な我慢」を強いるべきではありません。トイレに行きたくなってしまう排泄欲などはその代表的なものです。そういう我慢を無理にさせると健康にも害が及ぶことがあります。たとえば電車に長時間乗らなければならないときなどは、乗車前にトイレに行かせるとか途中でトイレ休憩を取るなど、親が工夫してあげる必要があります。それらの工夫は、子どもにとって必要なルールを覚える訓練にもなります。たとえば、幼稚園や保育所のなかには、お昼ご飯の前に子どもたち全員をトイレに行かせるというところもあります。これには、食事中にはなるべくトイレには行くべきではないというマナー、ルールを教えるという意味も込められているのです。生理的な我慢を強いるべきではないといっても、野放しにしてしまっては問題です。まずはきちんとルールを学ばせる。そのうえで、どうしても体の具合が悪いときなどは遠慮しないできちんと親や保育者に伝えるということを教えることが大切です。無理な我慢をさせないように親が工夫する先にお伝えした自己抑制という意味での我慢についても、あまり幼いときから無理に我慢させることは注意が必要です。というのも、子どもは幼稚園や保育所での集団生活を通じて、徐々に自己抑制を学んでいくからです。3歳児たちの入園式では、どの子どもも落ち着きがありません。でも、3年後の卒園式では、みんなが静かにできて見違えるほどに成長した姿を見せてくれるものです。そう考えれば、電車やレストランなど、静かにしていてほしい場所に幼い子どもを連れて行く場合には、親の側が工夫するべきではないでしょうか。3歳くらいまでの幼い子どもは、走ってはいけない場所や静かにしておかないといけない場所というものがそもそもわからないのですから、まずはそういう場所にはなるべく連れて行かないという選択をすることを考えてほしいですね。どうしても行かなければいけないというときなら、短時間で済ませることも選択肢となります。または、静かなレストランで食事をするならば、お父さんとお母さんのどちらかが子どもに絵本を読んであげるとか、子どもを抱いて外に連れ出してあげるというふうに、両親が交代で子どもを見るということもできますよね。片方が子どもを見ているあいだに、食事は済ませればいいのです。あるいは、いまならキッズスペースを設置しているような子どもを連れて行きやすいような工夫をしているお店もありますから、そういうところを選ぶことも検討すべきことです。そもそも、親の都合で幼い子どもに我慢をさせることはなるべく避けるべき。なぜなら、3歳くらいまでの幼い子どもに無理やり我慢をさせたり、「ダメ!」とむやみに禁止したりすると、自発性が伸びなくなるからです。そのくらいの子どもにはなるべく伸び伸びとできる環境を用意してあげるように意識してほしいですね。「褒める」ことが子どもを我慢強くするその後、子どもが成長して小学生くらいになれば、勉強やスポーツなどに一生懸命に取り組める我慢強い子どもになってほしいですよね。そういう子どもに育てるためのポイントは、やはり「褒める」こと。子どもが我慢強くなにかに取り組めたとしたら、「頑張ったね!」「よく我慢できたね!」と褒めてあげて、「本当は遊びたかったのにね」と子どもの気持ちに寄り添ってあげましょう。我慢できたことを褒められた子どもは、我慢することに意味があると気づくようになります。同時に、褒めることは子どもの達成感を高めることにもなります。なにかを成し遂げれば、子どものなかで達成感は生まれますが、親に褒められることがその達成感をさらに高めてくれる。その体験を経て、子どもは自信を持って「次も頑張ろう」と思えるようになります。親などまわりの大人が褒めてあげることの重要性は、子どもには自分で自分を褒めることが難しいという点にあります。大人であれば、自分を客観視して「今日は頑張ったから自分にご褒美をあげよう」ということもできます。でも、子どもにはそれが難しいのです。だからこそ、子どもが我慢強くなにかに取り組んだのなら、たくさん褒めてあげて、「頑張って我慢してよかった」と感じさせてあげてください。『保育の心理学 実践につなげる、子どもの発達理解』井戸ゆかり 編著/萌文書林(2019)■ 東京都市大学人間科学部教授・井戸ゆかり先生 インタビュー一覧第1回:あなたの子どもは大丈夫?絶対に見過ごしてはいけない「自己肯定感」低下のサイン第2回:「失敗を恐れない力」の育て方。子どもに「挑戦したい!」と思わせる、効果抜群な言葉かけ第3回:「辛抱強い子」を育てるヒント。「我慢する力」を伸ばすのは“○○上手な親”だった!第4回:「先生に言いつけるよ」がダメな理由。自己主張できない子が育つ“4つのNGなしつけ”(※近日公開)【プロフィール】井戸ゆかり(いど・ゆかり)東京都出身。東京都市大学人間科学部教授。専門は発達臨床心理学、保育学、児童学。学術博士。横浜市子育てサポート研修講師、渋谷区子ども・子育て会議会長などを務める。二児の母。著書に『子どもの「おそい・できない」にイライラしなくなる本』(PHP研究所)、『「気がね」する子どもたち-「よい子」からのSOS-』(萌文書林)、編著に『保育の心理学Ⅱ 演習で学ぶ、子ども理解と具体的援助』(萌文書林)』、監修書に『1さいのなあに? のびのび育つ! 親子ふれあい絵本』『2さいのなあに? 「知りたい」がいっぱい! であい絵本』(ともにPHP研究所)などがある。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年06月14日知育アイテムとして定番の「図鑑」。東北大学加齢医学研究所教授の瀧靖之氏によると、東大生の9割が図鑑を読んで育った、あるいは興味を持っていたというデータがあるのだとか。とはいえ、大きくて重たくて、絵本のようにストーリーを読み聞かせるわけでもない図鑑を、どう活用したらいいのかわからない、なんてことはありませんか?ここでは図鑑の学習効果や家庭での取り入れ方についてまとめてみました。勉強意欲や知的好奇心が自然と高まる子どもにとって図鑑が身近なものになる一番のメリットは、勉強意欲や知的好奇心が自然と高まっていくことにあります。テレビなどの映像と違い、図鑑は何度でも読み解くことができるからこそ、手元に置いておきたいもの。一度に全てを読み進めるのではなく、自分の気づきや好奇心によって見る箇所が変わってくるため、継続して「自ら学ぶ」という姿勢を育むことができます。幼い頃から図鑑に慣れ親しんでいると、勉強への心理的ハードルをぐっと下げてくれる効果も望めるでしょう。例えば、家に植物の図鑑があり、いつも気に入って眺めている子がいたとします。小学校の初めての理科の授業で「子葉」という言葉を習うとき、「最初に出てくる葉っぱのことだ!」と、すでに図鑑で得た知識に出会うことで自信につながります。「それ知ってる!」から始まる学習は、その後の意欲や吸収の度合いに差が出てくるのです。幼児期の「なぜなぜ期」にも図鑑は有効。「なぜ?」「どうして?」と聞かれたら、図鑑で親子一緒に調べればコミュニケーションになるうえ、こどもを正しく納得させることができます。忙しくて手が離せないときにも「図鑑で見つけて、お母さんにも教えてくれる?」と子どもに自ら調べさせてもよいでしょう。また、後述の図鑑との触れ合い方にもつながりますが、図鑑は幼い頃から大人になるまで使うことができ、めくるたびに新発見があり、好奇心を刺激してくれます。一冊の図鑑はまさに一生モノ。だからこそ、親世代と子ども世代で一緒に学ぶことを楽しむツールとなり得るのです。図鑑の取り入れ方のコツでは、子どもに図鑑を自然と親しんでもらうには、どうしたらよいのでしょうか。取り入れるからには図鑑に夢中になってほしい、と意気込む親御さんも少なくないでしょう。まずは、図鑑はお勉強のための参考書ではなく、知的好奇心を広げていくワクワクする本である、と認識するのがポイントのようです。みんながみんな、図鑑を愛読して「◯◯博士」になる必要はありません。大切なのは、さまざまな分野に関する知識が満載で、きれいに分類されている図鑑という書物があること、その書物を見ると知りたいことが調べられて知識が広がるということを、家庭環境のなかで伝えていくことです。今の図鑑は非常によくできています。衣食住から自然科学に関心を持たせる工夫など、日常のあらゆるできごとから図鑑の世界へ入っていけるよう、入り口が用意されているのです。(引用元:小川大介(2016) ,『頭がいい子の家のリビングには必ず「辞書」「地図」「図鑑」がある』,すばる舎.)では、その図鑑のメリットを生かすには、どんなところに気をつけたらよいのでしょうか。家庭内に図鑑を取り入れるコツをまとめてみました。■与えるのは文字を覚える前から図鑑の中の絵や写真を見ているだけでも楽しいものですが、知りたい気持ちが湧き出てくると自然と文字への興味も生まれ、認識し、覚えるようになってきます。文字への興味が薄い、とお悩みの場合にも図鑑は有効。大好きな乗り物や恐竜の図鑑を与えてあげることで、文字の学習もスムーズになるでしょう。■興味のある分野から、1冊ずつはりきって図鑑を全巻そろえる必要はなく、子どもの好きな分野から1冊ずつ用意するようにします。そして、特に興味を示している分野があれば、その分野の図鑑を何種類か買って見比べてみるのも、おもしろいものです。ほかの分野にも興味が出てきたら、また子どもと一緒に選び、徐々にそろえていきます。そうすることで、「これらは自分の図鑑だ」と愛着も湧いてきます。■「すぐに」「その場で」触れられる場所に置く知識の吸収が一番いいのは、「あとで調べよう」ではなく、知的好奇心のアンテナが立っているその瞬間。タイミングを逃さないためにも、リビングなど子どもがいつもいる場所に図鑑を置いておきましょう。家庭内で子どもが興味を持ちそうなことが話題にあがったら、すぐにその場で「調べてみよう!」と図鑑を取り出します。その習慣がつくと、子どももわからないことに直面したときに自ら調べるようになるはずです。■「まだ知らなくていい」は禁物子どもと一緒に図鑑を読むときは、子どもの年齢的には知らない言葉や難しい内容だったとしても、制限して読む必要はありません。「は虫類」や「両生類」などといったなんとなく聞いていた単語も、そのときは理解できていなくても、その後の学習でいずれ生きてくる知識となるのです。親が「まだ難しい、知らなくていい」と制限してしまうと、子どもも敏感に反応し「このくらいでいいんだ」と自分に制限をかけてしまうことになります。図鑑の知識と現実の体験を結びつけるのは親の役割図鑑にはたくさんの知識が詰め込まれていますが、それはあくまでもバーチャルの知識。そこに現実世界での実体験が結びつくと、こどもはいっそうワクワクし、「知ること」に喜びや楽しさを感じ世界が豊かに広がっていきます。バーチャルとリアルを結ぶことで、子供の好奇心を刺激できれば、子供は自ら学びを深めていきます。本人たちも、「自分が努力して勉強している」という意識は持たないものです。伸びる子の親というのは、バーチャルとリアルを結びつけ、子供の好奇心を強くする取り組みを「意識的に」行っているのだと思います。(引用元:瀧靖之(2016) ,『16万人の脳画像を見てきた脳医学者が教える「賢い子」に育てる究極のコツ』,文響社.)・図鑑で動物に興味を持ったら、実物を見に動物園へ行く。・散歩中に花を見つけたら、図鑑でその花を探してみる。・プラネタリウムで出てきた星の名前を、宇宙の図鑑で探してみる。というように、レジャーや遊びに、学びを結びつけることを意識的に心がけると、図鑑の効果を最大限に得ることができそうです。ただし、家の外の体験で見つけたものを、家に戻って図鑑で調べるとなると、対象物を覚えておくことが必要になります。そのタイムラグを逆に利用して、「よ〜くみて覚えておいて!」と声をかけてみましょう。すると、子どもは俄然やる気を出して、近づいてじっくりと色や形や動きなどを観察するはずです。可能であればスケッチブックとえんぴつを持ち歩き、観察の際にわたしてあげるのもいいですね。図鑑の出番を増やすにはいろいろ考えて図鑑を買ったというのに、ちっとも開こうとしない……。そんな場合も、子どもに無理やり押しつけるのはもってのほか。もともと興味がある分野だったのに、「読まないともったいないじゃない」「たまには見てみたら」などと言って押しつけてしまうと、図鑑そのものだけでなく、せっかく興味を持っていた分野さえも敬遠するようになってしまいかねません。では、子どもが自然と図鑑に触れるようになるには、親はどのようなアプローチができるのでしょうか。キーワードは「親も一緒に」。少しの歩み寄りで、子どもにも変化が生まれるはずです。■親が図鑑を読む姿を見せる子どもはいつも親を見ているもの。親が習慣的に図鑑を読んでいたら、子どももまねて自分で読んだり、隣に座ってのぞき込んできたりするはずです。ただし、親にも無理は禁物。短時間でも真剣に、楽しそうに読んでいる様子を持続的に見せるのがいいでしょう。そして時には「ねえ見てみて、◯◯って書いてあるよ」と、図鑑のページから親子の会話の糸口をつかんでみるのもいいかもしれません。■図鑑クイズを出し合ってみる親が「カメはどんな場所に卵を産むでしょう?」などとクイズを出し、答えは図鑑で調べて解説します。逆に、子どもにも図鑑の中からクイズを出してもらうのも楽しいものです。図鑑には大人も知らない知識がたくさん載っているということがわかり、図鑑のすごさも改めて感じられるでしょう。ただし、このクイズは暗記のためのものではなく、あくまでも好奇心を持つことが目的。「今の話は覚えておいたほうがいい」「理科の授業でテストに出るよ」などと念押しする必要はなく、図鑑による楽しい時間を過ごせるように心がけましょう。上記のことをためしてみても、ちっとも興味を示さなければ、そういうものだと割り切ってもいいのです。中学受験情報局「かしこい塾の使い方」主任相談員の小川大介氏は「子どもは、出会いたい知識に出会いたい瞬間に出会わせてあげれば、知識を勝手に吸収して賢くなっていく」と言います。何年も図鑑を開くことがなくても、置いてさえおけば、学校や塾の授業や自由研究などでいずれ手に取る機会がやってきます。出会うべきタイミングを焦らず気長に待つのも大事なことです。***そもそも自分が図鑑に馴染みがなく、「図鑑をどうやって見たらいいのかわからない」と感じる親も少なくないはず。それでも堅く考える必要はなく、ビジュアルを見て楽しんだり、子どもが好きそうなところだけを調べてみだり。要はおもしろがることができればよいのです。図鑑は子どもの学びの相棒となるだけでなく、親にとっても、子どもと学びながらコミュニケーションを取ることができるすばらしいツール。日常生活の中に上手に取り入れていけるといいですね。文/酒井絢子(参考)こどもまなび☆ラボ|子どもは勝手にかしこく育つ。“自ら学ぶ力”を伸ばす辞書・地図・図鑑の活用法こどもまなび☆ラボ|“好奇心” がぐんぐん伸びる!学習効果アップのために活用したい「図鑑」のチカラJ-WAVE NEWS|賢い子は図鑑で育てる! 東大生の9割が実践していた知的好奇心を伸ばす方法小川大介(2016) ,『頭がいい子の家のリビングには必ず「辞書」「地図」「図鑑」がある』,すばる舎.瀧靖之(2016) ,『16万人の脳画像を見てきた脳医学者が教える「賢い子」に育てる究極のコツ』,文響社.祖川泰治(2015) ,『小学校前の3年間にできること、してあげたいこと』,すばる舎.
2019年06月14日わが家の長女はヨコミネ式の保育園を卒園し、その後引っ越しに伴い次女と長男はおむつなし育児を実践する自然派保育園に通っています。わたしが個人的に感じる双方のメリット・デメリットをお伝えします。 ヨコミネ式保育園のメリット・デメリットヨコミネ式保育園のメリットは、運動も学習も自然と身に付き、その能力が高くなるということ。長女は卒園時に逆立ち歩きや三転倒立、片手側転などができたうえ、小学校低学年で習う漢字が書けたり、九九を暗記していたり、そろばんができたりしていました。しかも、すべて楽しそうにしていました。 みんながライバルでありながらも互いを励まし合い、切磋琢磨していくので落ちこぼれる子がいませんでした。 また、毎日の練習を楽しくみんなで続けられているのは、モチベーションを維持させる先生方の声かけなどがすごくじょうずなのだろうと思います。そのへんも含め、きちんとヨコミネ式教育の研修を受けている先生方に安心感もありました。 デメリットは、とにかく自由に遊ぶ時間が少なかったことです。園児でありながら勉強や運動、音楽の時間と決められたカリキュラムをこなすことが多く、自由に過ごす時間はほとんどなかったように思います。0~1歳児では遊んだりお散歩したりする時間はありましたが、泥んこになった服を持ち帰ってくるようなことはほとんどありませんでした。 自然派保育園のメリット・デメリット自然派保育園のメリットは、とにかく子どもたちが楽しそうなこと。毎日外遊びをし、お散歩に行き、暖かい日は水遊びをし、生き物を捕まえて飼ってみたり、野菜をとってきて食べたりと、その季節ならではの体験をたくさんして帰ってきます。大まかな予定は立てられているものの、そこで何をするかは園児たちに委ねられているのも大きな特徴。自主的にしたいことを見つけて遊んでいるので、楽しくて仕方ない様子です。 また、給食やおやつの食材・調味料1つにもこだわりが感じられ、できるだけ地元のもので、安心・安全なものを、という配慮がされています。「園でしっかり食べているから、おうちでママが頑張れない日があっても大丈夫よ」と保育士さんが言ってくれるのも心強いです。 デメリットは、着替えがたくさん必要なことと、洗濯物が毎日大量なこと。さらにおむつなし育児を実践している園なので、衛生面も決していいとは思えません。また、ひらがなや数字をまったく教わりません。 他にはこんなことも!ヨコミネ式のほうは、やはり小学校に入ってからの授業や勉強にすんなり入っていくことができたのは安心でした。子どもも“できる”という自信から「楽しい」「もっとしたい」という気持ちが湧くようで、長女は勉強も運動も積極的に頑張っています。また、「周りの子を応援する」というのも自然に身に付いており、お友だちとも仲良くできています。 自然派のほうは、感性や発想力が磨かれていると感じます。絵本の絵を見てお話をつくったり、花を見て急に歌をつくって歌い出したりと、わからないからこそできる創作力が身に付いているように見えます。 一番いいと感じていることは、どちらの園も特徴や方針がはっきりしているため、働いている保育士さんたちがその方針をしっかり意識し、ポリシーを持って保育をしてくれていると感じる点です。どんな園であれ、保育士さんたちの人柄やプロ意識こそが1番大切なポイントという気がしています。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての自然派保育園とヨコミネ式保育園にあてはまるとは限りません。必要に応じて通園を希望する園に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 著者:ライター 岩崎未来三児(女・女・男)の母。出版社・編集プロダクションの勤務を経たのち、第一子出産を機にフリーランスに。現在は会社役員という肩書きを持ちながらも、ライター・編集者としても活動中。
2019年06月14日幼稚園時代の先生のアドバイスについての話です。これが結構苦労しました。家でもトランプやウノをつかって遊びながら覚えさせてました。(色と数字覚えるのにウノがちょうどいいです!)卒園間近のある日、面談で担任の先生にこんなことを言われました。当時の私は、「本人も一生懸命頑張っているのにそんな言い方しなくても!」と腹が立ったのを覚えています。「出来ない子」みたいに言われた気になったんですよねえ。そして小学生になって…算数の解き方を数時間かけて教えてやっと納得した様子の次女。しかし…あのときの言葉を今実感しています!!確かに理解するまで時間がかかるし、教えてもすぐ忘れるので、何度か繰り返し教えないといけない…。これは親のフォロー必須だ…。担任の先生のアドバイスはものすごく的確だったのです。あの時、先生は本当に次女のために思って言ってくださったんだな~と、2年後の今、とっても感謝しています…。お会いすることがあったらお礼を言いたいと思います。
2019年06月08日「非認知能力」とは、テストの点数や偏差値など数字で測れる認知能力に対して、数字では測れない力のこと。そこには、回復力、やり抜く力、自信、自己肯定感、リーダーシップ、主体性、社会性、共感力……など、さまざまな力が含まれます。その非認知能力との出会いによって自身の人生を変えたのが、ライフコーチとして日米で講演会やワークショップを展開する、アメリカ・ワシントンDC在住のボーク重子さん。全米の女子高生が知性や才能、リーダーシップを競う大学奨学金コンクール「全米最優秀女子高生」で娘のスカイさんが優勝したことでも注目を集め、出版された本は軒並みベストセラーになっています。もちろん、ボーク重子さんの子育ての軸となったのも、子どもの非認知能力を伸ばすことでした。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/櫻井健司(インタビューカットのみ)はじめての失敗で心が折れた子ども時代子どもの非認知能力の有無によってどんなちがいが生まれるのか――。親であればとても気になるところですよね。ここでは、わたし自身を例にしてお伝えしましょう。子どもの頃のわたしは、「いい高校、大学、会社に入って、いい結婚をすれば一生安泰だから、とにかく勉強をしなさい」といわれて育ちました。わたしの親は少し教育熱心だったかもしれませんが、当時の「幸せへ向かうレール」に子どもを乗せようとする、ごく普通の家庭だったと思います。わたしはいわれるままに勉強をしましたから、最初は学校の成績も優秀でした。ところが、中学生のある日、急に数学ができなくなったのです。いつも100点だったテストがいきなり70点になってしまった。そして心が折れた。いまならその理由がわかります。それは、わたしの非認知能力がまったく育っていなかったからです。当時のわたしは、「やりなさい」といわれたことになんの疑問も持たずに従っていました。いわゆる「いい子」です。だからこそ、自分で考えるということをまったくしたことがありませんでした。勉強も親や先生にいわれたことをやって、とにかく暗記を繰り返すだけ。学習内容の本質を理解していませんから、学習レベルが上がると一気に成績が落ちてしまったのです。そこでわたしがどうしたかというと……勉強をやめてしまいました。というのも、賢くないと思われるのがすごく嫌だったからです。「勉強をしなければ、『やればできるのに』と思ってもらえる……」。そう考えたわけです。そのときのわたしに回復力ややり抜く力といった力があれば、そこで立ち止まって「どうすればいいか」と考えられたでしょう。でも、当時のわたしにはそれらの力はなかった。要するに、わたしには勉強での失敗経験がなかったのです。なにかをして失敗するという経験は、非認知能力を育てるためにはとても大切なものです。あたりまえですが、失敗しないことには回復力なんて育つわけがありませんからね。そもそも、それ以前に主体性が育っていれば、親や先生のいうことにただ従うのではなく、自ら考えて勉強に励むこともできたかもしれません。さらに、そういった主体的な勉強で成績が上がったのなら、自信をつかむこともできたでしょう。でも、当時のわたしはそうではなかった。だから、たったひとつのテストの結果でポキッと心が折れてしまったわけです。教育法のちがいが子どもの人生を大きく変えるそれからはどんどん成績は下がる一方で、自分は「なんてダメなのだろう」という気持ちを拭うことができませんでした。そこからわたしが回復するには、15年ほどの時間がかかりました。20代はそれこそ暗黒時代。ずっと「どうして自分はこんなに駄目な人間なんだろう?」「どうせわたしなんて……」と思いながら過ごしていました。その後、回復するに至ったのは、30歳になる直前に、当時お付き合いしていた男性にフラれたことが大きなきっかけです。そのとき、真剣な顔をしている彼を見たわたしは「プロポーズかな?」と思った。でも、彼は「君は僕と結婚したらどう生きたい?」と聞くのです。当時のわたしは、「え?そんなの決まってる」と思いました。その答えは、「あなたのお世話をして、あなたの子どもを生んで、一緒に年を重ねたい」です。わたしの返事を聞いて、彼はこういいました。「僕、それだけの人はいらない」と。幼い頃から凝り固まった人生観を刷り込まれ、自分というものを持てていないわたしに彼は愛想を尽かしたというわけです。そうして「幸せへ向かうレール」から外れたことで、わたしは一念発起しました。ずっと心のどこかで「いつかやりたい」と考えていたアートの勉強をするため、イギリス、続いてアメリカに渡ったのです。そのうち結婚して娘が生まれると、また強い不安に駆られました。「わたしに育てられたら、いつも自信を持てなくて誰かの指示を待つわたしみたいな人間に娘が育つのではないか」と――。そして、娘のための学校を探しているうちに出会ったのが非認知能力でした。当時のアメリカにおけるいわゆるエリートコースにある幼稚園や小学校は非認知能力教育に重点を置くようになりつつありました。そして、ある研究によって、その潮流は決定的なものとなった。従来の教育を受けるか、非認知能力を高める教育を受けるかによって、その後の子どもたちに大きなちがいが生まれることがはっきりとわかったのです。非認知能力を高める教育を受けた子どもたちの学習は、機械的にやらされるようなものではありません。学習内容に興味を持ち、自ら能動的に学ぶ。勉強したくないときも、責任感があるから「やらなくちゃ」と勉強をする。もちろん、学習成績も上がります。さらには、自分がやったことを肯定してもらえるため、自信を持つようにもなる。子どもたち一人ひとりが認められるから、いじめも減る。やる気、主体性、パッションがあって、自分がやりたいことをやるためにそれ以外のことも自然にできるようになるし、やり抜く力も身についていく――。まさにいいことずくめなのです。親は子どものロールモデルという役割から逃れられないさて、肝心の非認知能力を高める教育ですが、特別な学校でしかできないというわけではありません。むしろ、家庭教育のほうが重要だともいえます。娘を通わせた学校の先生からは、「いちばん小さいけれど最強のコミュニティーである家庭での教育、親との対話が子どもにもっとも影響を与える」といわれました。親は子どものロールモデルという役割から逃れることはできません。親の姿を見て育つ子どもは、ふとしたときに出るしぐさや口癖などまで親に似るものです。子どもは必死に生きて親を愛して、いずれ親のようになる。それだけ親という存在は子どもにとって大事なものなのです。そう気づいたとき、わたしは思い至りました。「だとしたら、まずわたし自身が自分の非認知能力を高めなければいけない」と。それから、わたしはいろいろと行動をはじめました。アートギャラリーを立ち上げたこともそのひとつでしょう。とにかく行動することが大切で、ずっと家にこもっていても心は強くなりません。家でご飯を食べてテレビを観ているだけなら、誰かに共感したり、失敗して回復したりする必要もないし、主体性やリーダーシップを発揮する場面もありませんからね。そして、「ママ、いまはこういうことをしてるんだよ」というふうに、自分の行動を子どもとシェアするのです。子どもは親を見て育つといいますが、見えやすくするのも親の役目です。子どもには、いわれなければわからないこともたくさんあるのですから。親の行動をシェアする際には、「失敗こそシェアする」と心がけてください。当時のわたしはなにもわからないままビジネスをはじめましたから、当然、失敗の連続です。それらの経験を娘に伝え、ときには娘からアドバイスをしてもらうこともありました。それは、失敗か成功かという結果ではなく、なにがどうしてどうなったかというプロセスを娘に見せるということです。そうすることで、子どもは、失敗は通過点であってやり直しができるということ、方法はひとつじゃなくてもしひとつの方法が駄目でも他の選択肢や可能性を試せばいいといったことを学んでいくことができます。それは、回復力ややり抜く力といった非認知能力そのものですよね。そう考えていたわたしは、娘には成功より失敗を重点的に見せてきましたから、娘にとってはじつは格好悪いママなんです……。はじめて「子育ての本を書くんだ」といったときに、いちばん驚いていたのが娘でしたね(笑)。娘のスカイさんと。『世界基準の子どもの教養』ボーク重子 著/ポプラ社(2019)■ ボーク重子さん インタビュー一覧第1回:子どもが親の失敗から学ぶもの。「やり抜く力」を育むなら“格好悪い親”であれ第2回:「親の態度」がカギを握る。子どもの自己肯定感を高める行動、低める行動(※近日公開)第3回:「ルールを守れる子ども」はこうして育つ。親が子に与えるべき大事な“時間”(※近日公開)第4回:「自分の考えを言えない」問題の解決法。幼い子どもにこそ大切な“リベラルアーツ”(※近日公開)【プロフィール】ボーク重子(ぼーく・しげこ)ライフコーチ。福島県出身。30歳の誕生日1週間前に「わたしの一番したいことをしよう」と渡英し、ロンドンにある美術系の大学院サザビーズ・インスティテュート・オブ・アートに入学。現代美術史の修士号を取得後、留学中にフランス語の勉強に訪れた南仏の語学学校でのちに夫となるアメリカ人と出会い1998年に渡米、出産。「我が子には、自分で人生を切り開き、どんなときも自分らしく強く生きてほしい」との願いを胸に、全米一研究機関の集中するワシントンDCで、最高の子育て法を模索。科学的データ、最新の教育法、心理学セミナー、大学での研究や名門大学の教育に対する考え方を詳細にリサーチし、アメリカのエリート教育にたどりつく。最高の子育てには親自身の自分育てが必要だという研究データをもとに、目標達成メソッド「SMARTゴール」を子育てに応用、娘・スカイさんは「全米最優秀女子高生 The Distinguished Young Women of America」に選ばれた。同時に、子育てのための自分育てで自身のキャリアも着実に積み上げ、2004年、念願のアジア現代アートギャラリーをオープン。2006年アートを通じての社会貢献を評価されワシントニアン誌によってオバマ大統領(当時上院議員)やワシントンポスト紙副社長らとともに「ワシントンの美しい25人」に選ばれた。2009年、ギャラリー業務に加えアートコンサルティング業を開始。現在はアート業界でのキャリアに加え、ライフコーチとして全米並びに日本各地で、子育て、キャリア構築、ワークライフバランスについて講演会やワークショップを展開している。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年06月08日子育てをしていて、「悩みがひとつもない」と言い切れる親御さんは、いないのではないでしょうか。ほとんどの人が、大なり小なり子どもにまつわる悩みを持ちながら、ひとつひとつ解決していく努力や工夫を繰り返しているはずです。今回は、あらゆる悩みや心配事を追求すると必ずたどり着く『生活習慣力』を身につける方法をお教えします。すべての悩みはつながっている!「朝食を食べない」「好き嫌いが多い」「朝起きられない」など生活にまつわる悩みから、「なかなか宿題をやらない」「忘れものが多い」「苦手な教科についていけていない」など学習や学校生活に関する悩み、さらに「お友だちとのトラブルが多い」「休み時間はいつもひとりで過ごしているようだ」「自分の気持ちを言えずに我慢しがち」などメンタルに関する悩みまで、親はいつでも子どもの心配をしてばかりです。どんなに毎日注意しても、子育て本を何冊読んでも解決しない……。すると「私の育てかたが間違っているのかな?」と余計不安になってしまいますよね。しかし、それらの悩みは、生活習慣を見直した途端に驚くほどスムーズに解決できることもあるのです。発達心理学を専門とした目白大学専任講師の荒牧美佐子先生は、次のように解説しています。基本的な生活習慣は、日々の生活の流れの中にありますから、そのうち何か一つだけを身に付けさせようとしてもうまくいかず、それぞれが影響し合い、全体的な成長を遂げていきます。(中略)こうした負のスパイラルに陥らないよう、保護者のかたには、お子さまが気持ちよく生活が送ることができるようなサポートをしていただきたいです。(引用元:ベネッセ教育情報サイト|小学校での学びの土台を作る 子どもの生活習慣【基礎編】)心身ともに不健康な状態だと、集中力が低下したり情緒不安定になったりします。また、どんなに勉強時間を増やしたところで、土台となる生活習慣が乱れていると学習内容は身につきません。ベネッセ総合研究所が実施した「幼児期の家庭教育調査・縦断調査」によると、生活習慣の定着している子どもほど、学びに向かう力が高いことが明らかになっているそう。生活習慣力を身につけることは、先を見通す力につながります。たとえば、休み時間にトイレに行って次の時間の準備をしておくことで、結果的に授業にも集中できる、といった良いサイクルをスムーズにつかめるようになるのです。基本的な生活リズムを固定したうえで勉強時間を確保することが、子どもの健やかな精神や学力向上の支えとなるのは当然ですね。では、高い生活習慣力を身につけるには、どのような工夫が必要なのでしょうか?まずは「現状把握=自分を知る」ことから『PDCAサイクル』という言葉を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。ビジネスシーンではよく耳にするこの言葉、会社の業務や製品を改善するために用いられる考え方を意味します。P目標を設定し(Plan)D行動し(Do)C振り返り(Check)A改善する(Action)簡単にいうと、“計画的に行動して、その成果を評価する” というサイクルを繰り返すことで、仕事のやり方を改善する手法です。最近では、常に変化する現状を把握する必要もあるという考えから、「R自分を知る(Research)」が加えられるようになりました。これによって、自分の強みや弱みに気づき、目標達成までの過程を自己管理できるというわけです。ビジネスシーンでは当たり前のように浸透している「R-PDCA」。実はこの手法、子どもの生活習慣力アップにも活用できるのです。ポイントは、親や教師から “やらされる” のではなく、“自発的・自律的に” 目標を設定して行動し、その行動の成果を振り返って改善する習慣をつける、ということ。つまり、子ども自身に『自己マネジメント力』をつけてもらうのが最終的な目的です。自己マネジメント力をつけると、子どもの思考は次のように変化していきます。「夢を実現するために、自分に合う勉強の仕方に変えていこう」「もっとテレビやゲームの時間を減らして読書に回してみよう」「教科書に出てきた作家のほかの作品も読んでみよう」このように、自分の生活と学習の実態を把握して、改善策を考えて実行するようになるのです。R-PDCAサイクルで子どもの意識がみるみる変わる!早稲田大学教職大学院の田中博之教授が提唱している“小学生向けのR-PDCAサイクル”は、「子どもが自分の時間を可視化して把握するのに役立つ!」と、多くの保護者の方たちから支持されています。実際に始める前に、まず1冊のノートを用意しましょう。市販の書き込み式R-PDCAサイクルノートもあるので、使いやすいものを選ぶといいかもしれません。田中博之 監修(2018年),『3・4年生用 小学生のための生活習慣力アップノート』,日本能率協会マネジメントセンター.■RーPDCAサイクル実践方法○「R」(Research)・まず、自分を知ろう!自分の性格や得意なこと、苦手なこと、好きなことを知るための「マイページ」をつくります。個性を伸ばし、苦手を克服するために何が必要なのかを把握することが目的です。好きな遊び、好きな食べ物、どんなことをしているとき楽しいのか、1年後の目標、将来の夢や目標を書きましょう。↓○「P」(Plan)・今月の予定を書こう!予定が一覧できるようにスケジュール帳形式が◎。今月中にどんなことができるようになりたいのか、いつまでにやらなければならないのか、色つきのペンやシールなどで目立つように印をつけましょう。↓・今週の計画を書こう!早寝、早起きをする。ご飯を残さず食べる。算数のドリルを1日2ページやる、など1週間単位での目標を書きます。そして、1週間の終わりに、目標をクリアできたか見直しましょう。マルをつけてチェックするなど、成果を可視化するのがポイントです。↓○「D」(Do)・計画に沿って実際に行動しよう!計画通りに行動するのが難しい場合は、状況に応じて変更してもかまいません。↓○「C」(Check)・毎日書き込もう!日記のような感覚で、毎日書く習慣をつけます。「今日やることリスト」や「生活チェックリスト」では、犬の散歩をする、家のお手伝いをする、などチェック項目はできるだけ細かくしましょう。クリアしやすいので達成感が得られます。ほかにも「今日のできごと日記」では、絵や文章で1日を振り返ります。最後には必ず「おうちの人からひとこと」を。↓・週の終わり、月の終わりには親子で一緒にノートを見ながら振り返りましょう。チェックリストによって客観的に分析できます。↓○「A」(action)・反省点を次に活かそう!「時間配分がうまくいかなかったから、次回は算数の勉強時間を長めに確保しよう」など具体的な計画を立てます。上記のサイクルを繰り返すことで、生活習慣力がアップして計画通りに行動できるようになります。また、月の終わりに保護者が「できたこと」をフィードバックすると、子どもは自信がつき、自己肯定感アップにもつながるでしょう。***生活習慣を規則正しく整えることが、子どもの健康と学力向上を考えるうえで大切なのはわかりきっていても、実際にどこから整えていけばいいのかわからない……。そうお悩みの保護者の方は、ぜひ、R-PDCAサイクルを試してみてください。1冊のノートを通じて、子ども自身は自分の頭の中を整理でき、親は子どもが何を考えているのかを把握できるので、適切なアドバイスを与えられるでしょう。(参考)ベネッセ教育情報サイト|小学校での学びの土台を作る 子どもの生活習慣【基礎編】ベネッセ教育総合研究所|自己マネジメント力が子どもの総合学力を伸ばす日経XTREND|小学生向け「PDCA本」が親心をつかんだ理由田中博之 監修(2018年),『3・4年生用 小学生のための生活習慣力アップノート』,日本能率協会マネジメントセンター.
2019年06月06日僕は中学2年生。社長をしていますUpload By 加藤路瑛はじめまして。加藤路瑛(かとうじえい)といいます。中学2年生です。株式会社クリスタルロードの取締役社長をしています。中学生で社長になれるのか?と不思議に思う人もいらっしゃるかもしれません。社長になるのに年齢制限はありませんが、法人登記する時に必要な印鑑証明を取れるのは15歳からなので、株式会社を作ることはできません。そこで、親に代表取締役になってもらい、僕が代表権のない取締役社長として会社を立ち上げました。この方法を僕は「親子起業」と呼ぶことにし、親子起業を広めていきたいと考えています。株式会社クリスタルロード起業のきっかけUpload By 加藤路瑛僕は小さい頃から働くことに興味を持っていました。しかし、親に話しても「大人になってからね。今はしっかり勉強しなさい」と言われるだけでした。僕も親や他の大人が言うので「そういうものなのだろう」と深く考えずに、中学生になりました。中学1年の6月、僕は僕の運命を変える出会いをします。それは、カードゲーム『ケミストリークエスト』です。化学が好きな僕のために、親が遊びながら勉強するといいと買ってくれたものです。Upload By 加藤路瑛箱の帯に「小学生で起業したスーパー高校生社長考案」と書かれていました。僕は中身より小学生で起業とはどういうことなのだろうと気になってしまい調べてみました。このカードゲームは米山維斗さんが考案し、小学6年生の時に会社を作ってカードゲームを販売していました。お父さんが代表取締役で米山さんが取締役社長で起業していました。僕は小学生で社長になれることを知ってびっくりしました。そして、今まであたり前だと思ってきたことは、そのように小さい頃から思い込まされていただけで、世の中には自分の知らない世界があって、気がつかなければ気づかないままなのではないかと感じました。もし、僕の知らない世界があるなら、もし、僕でも社長になれるなら、「やってみたい」と、思いました。これが僕の起業ストーリーのはじまりです。起業を決意した日からちょうど半年後、僕は株式会社クリスタルロードの取締役社長になりました。起業までの道のりUpload By 加藤路瑛中学生で起業したいと人に話をすると、「義務教育を終わらせてからにしろ」「中学生らしいことをしなさい」と言われることもありました。他にも、「実績がないのに起業したいなんてファンタジーだよ」とか、クラウドファンディングの目標金額を40万円くらいにしていたのですが、「ふざけているのか?目標金額を1000万円にして本気を見せろ」などと言われることもありました。たくさんの大人に「応援する」という言葉のあとに否定的なことを言われました。僕は大人に相談するのが嫌になりました。相談してダメな点は指摘してくれるのに、具体的な提案は全くなかったからです。またネット上では、「中学生で社長なんてどうせ失敗する」「親子起業ってどうせ親の操り人形なんだろう」などの匿名の批判もありました。僕への批判や中学生が起業することへの反対意見は、僕がクラウドファンディング で100万円以上調達できた頃から減っていきました。実際に法人登記し、メディアを運営したり、講演会で話したり、テレビやメディアに出るようになると、肯定的な言葉をかけられることが増えていきました。Upload By 加藤路瑛多くの人は自分の経験や価値観から、ダメだと判断しがちです。でも、自分の価値観で分かることなんて少ししかないと思います。子どもが何かやりたいと言っても、大人自身が想像できないからダメと言ってしまうことって結構多いんじゃないかと思うのです。今、周りには僕の考えに共感してくれたり、活動を応援してくれる人がたくさんいます。同世代の中高生の仲間も、大人の仲間もいます。反対されたり批判されたりする時期は辛いかもしれませんが、ある時点まで到達すればきっと楽になります。その時点に到達する前に諦めてしまうのは、残念です。だから僕は、子どもを理由に「今」を諦めなくていいことを、たくさんの人に伝えたいです。出版クラウドファンディングへの挑戦僕がどうして起業しようと考えたのか。どんな風に会社を立ち上げどんな困難や楽しさがあったのか。さまざまな人と出会い、経験をする中で、「世の中は自分が思う常識の外に別の世界がある」ということを伝える本を書いてみたいと思うようになりました。でもそれは、大人になってからだと思っていました。Upload By 加藤路瑛ある日、僕は出版社の幻冬舎とクラウドファンディングのCAMPFIREが出版クラウドファンディングの会社「EXODUS」を作ったことをSNSで見かけました。どんな内容か分かりませんでしたが、「出版の常識をぶった切る」と書かれていて、僕も本を書くならここで出してみたいと思ってしまいました。なぜなら、僕も「世の中の固定観念を変えることが必要」だと発信しているからです。子どもがやりたいと思ったことをできるようになるには、大人の固定観念も子どもの固定観念も変えなければなりません。「EXODUS」なら一緒に世の中の固定観念を変えられる気がしました。Upload By 加藤路瑛このプロジェクトには300件の応募があり、「EXODUS」1期生として10人が選ばれました。僕が最年少です笑。加藤路瑛の出版クラウドファンディングのプロジェクトページUpload By 加藤路瑛2次審査は序章を書く課題でした。その序章は公開していますので、よかったら読んでみてください。【序章】選ばれたから本が出版されるわけではありません。「EXODUS」は、クラウドファンディング で1000冊・250万円以上の支援を集めたら出版されるという仕組みです。中学生の僕には想像できない金額ですが、挑戦したいと思いました。たとえ読み書きが苦手でも、本は書けるUpload By 加藤路瑛僕は読み書きが苦手です。どれくらい苦手かというと、授業中のノートはほとんど書けません。漢字が苦手で書くとひらがなばかりの文章になってしまいます。英語の綴りもなかなか覚えられません。中学校の数学のテストで「名前は漢字で書きましょう」と注意書きをされた中学生です。読むのも得意ではありません。人より読むスピードは遅いですし、同じ行を何度も読んでしまったり、書かれていない文字に勝手に脳内で変換してしまうようで、音読すると「そんなこと書いていないよ」と注意されたりします。でも、この文章をここまで読んで、僕が読み書きが苦手だと思った人はいたでしょうか?僕はスマホでは普通に文章を書けますし、漢字も使います。ただし、鉛筆と紙で書いたり読んだりすることが極端に苦手です。鉛筆で文字を書こうとすると、言葉が出てこなくなるのです。僕は鉛筆と紙で作業することが苦手なのです。でも、スマホを使えば文章も書けますし、文字も読みやすいです。(読むのは好きではないですが…)多くの人ができることをできないと障害と言われることがあるようですが、読み書き障害も、紙や鉛筆を使って書くことが得意な人が勝手に決めたことだと思います。もし、今、紙と鉛筆がなくなって全てスマホで入力することになったら、使いこなせない人は障害があると言えるのでしょうか?僕は紙と鉛筆での読み書きが苦手ですが、読み書き障害ではありません。小学生の頃、検査に行きましたが、「学校生活で困っているなら診断名を出しますが困っていないようなので、このまま個性でいいと思います」と先生に言われ、僕はそのまま学校生活を送っています。ノートを書いたり、作文を書いたり、テストなどでも、「きついな」「面倒だな」と思うことはたくさんありますが、困ってはいません。これが僕だからです。起業をしてから気がついたのですが、学校ではあんなに紙と鉛筆で文字を書くことが多いのに、仕事ではほとんどありません。企画書やプレゼンなどの資料は全てパソコンで作成しています。運営しているメディア「TANQ-JOB」の運営もパソコンやスマホです。僕自身インタビュー記事を書きますが、メモは苦手ですので、インタビューは録音して、家で録音したものを聞きながら記事をパソコン入力しています。TANQ-JOBは全て小中高生で運営していますが、メンバー同士の連絡もスマホとパソコンがあれば大丈夫です。仕事で紙に文字を書いたことがあるか思い出そうとしてみましたが、思いつきませんでした。(法人登記や契約書などの書類もパソコンで入力し、出力したものに捺印します)小中高生のための職業探求ウェブメディアTANQ-JOBUpload By 加藤路瑛学校では紙に文字を書かなければならないことが多すぎます。テストもパソコンで回答できるようになれば、読み書きが苦手な人のテストの点数はあがるかもしれません。社会に出てから紙に文字を書くことはそれほど必要とされないので、学校での学び方も社会の変化に合わせて変わる必要があるのかもしれません。紙に文字を書くのは手段です。それが苦手なら他の手段を使えばいいと思いますが、学校では自分で手段を選べないのできついなと思うことはあります。できないのを苦しい思いをしてまで頑張るより、「できない」と開き直れた方が楽になると思います。僕は、「できないものは、できない」と開き直っていますが、できないなりに学校の課題はきちんとやって提出しています。僕が本を出版したい理由Upload By 加藤路瑛僕は今、18歳以下限定のクラウドファンディングのプラットフォームの構築に取り組んでいます。僕は起業資金をクラウドファンディングで集めました。とてもありがたいことに115万円ものご支援をいただきました。しかし、調べてみると、中高生が募集しているプロジェクトは目標金額を達成していないものがとても多かったのです。中には支援金がゼロのものもあります。子どもがクラウドファンディングをしても、大人はそんなに簡単にお金を出してくれるわけじゃない――甘くはないのだと思いました。クラウドファンディングを成功させるには、事前の準備が必要です。お金を出してくれるのは大人です。経験や人脈のない子どもでもクラウドファンディングを成功させるためには、サポート体制が必要です。そこで、僕のように中学生だったり、もしくは小学生や高校生であっても利用しやすく、挑戦したいことを世の中に発信して、その支援を募れる仕組みを作りたいと今、準備をしています。プラットフォーム構築という新規事業の準備という大切な時期に、あえて出版クラウドファンディングに挑戦する。なぜ僕が今、その決断をしたのか――それは、世の中の常識を変えたいからです。〇〇なんて自分には無理、まだ早いんじゃないかと言われた…そうやってあきらめてしまう子どもたちがたくさんいます。でも、僕は伝えたいのです。中学生でも社長になれる。読み書きが苦手でも本を出版できる。いつもは、ひらがなばかりの作文を書く僕が、スマホやパソコンを使ってどんな文章を書くことができるのかを、沢山の人に読んでもらいたいです。そして、今、読み書きで困っている人や、それ以外でも学校のことや家のこと、友達のことで悩んでいる人に、今いる場所だけがすべてではなくて、固定観念をなくしてしまえば、今まで見えなかった自分の居場所が見えることを伝えたいです。それを僕は僕の行動で示したいと思っています。「EXODUS」の紹介Upload By 加藤路瑛出版クラウドファンディング は30日間で1000冊・250万円のご支援を集めるプロジェクトです。6月3日から7月2日まで募集しています。ぜひご支援ください。そして僕の本を読んでください。Upload By 加藤路瑛チラシ「13歳の中学生が挑む『出版クラウドファンディング』」読み書きが苦手な僕の教育や、僕の母の子育て方法に興味がある方へUpload By 加藤路瑛クラウドファンディングでは、支援金に応じてお礼(リターン)が設定されます。今回の出版クラウドファンディングでは、本だけでなく、色々なリターンを用意しました。その中で、母の協力のもと、母の子育て方法を記録したnoteの提供や子育て相談が無制限にできるリターンを用意しました。僕は講演したりイベントに出ることもあるのですが、保護者の皆さんの中には、僕の話より母がどうやって僕を育てたのかに興味がある方も多いようでした。Upload By 加藤路瑛低体重児だったこともあり、小さな頃はできないことも多く、読み書きも苦手。中学受験では塾のカリキュラムが合わず、塾なしで勉強をしました。そんな僕の勉強方法や子育てに興味がある方は、母の育児相談のコースをご利用いただければと思います。リターン:「子育てnote」と「子育て相談」が付いたコースUpload By 加藤路瑛今までにたくさんの人に出会い、ご支援、ご協力をいただけたことをとても感謝しています。僕の活動の最新情報はTwitterをご覧ください。応援していただけるとうれしいです。加藤路瑛のTwitter
2019年06月03日子どもは、幼年期から児童期、思春期と成長する過程で、変化する環境のなか、たくさんの人と関わるようになります。特に、園生活や学校生活では、友だちとの関係、先生との関係、学習面のことで、不安や悩みを抱えたりストレスを感じたりしてしまうこともあるでしょう。そのようなときに、私たち親はどのような対応ができるのでしょうか。親ができる3つのポイントをご紹介しましょう。不安の感じ方には個人差がある!集団生活が始まるまで、毎日お父さんお母さんと一緒に過ごしていた日常が、ある日を境にがらりと変わり、お友だちや先生との日々が始まります。また、小学校に就学すると、これまで遊び中心だった幼稚園・保育園の生活から、机に向かって勉強をする「学習」が始まります。このような環境の変化は、子どもにとって楽しみでもありますが、同時に不安を感じる原因になることも。不安に感じるかどうかは、個人差があります。同じ場面であっても、子どもによっては不安に感じる子もいれば、そう感じない子もいるでしょう。このように、不安や悩み、ストレスの感じ方はひとりひとり異なるので、親御さんは自分のお子さんがどんなときに不安を感じやすいかをよく観察してみましょう。具体的に、子どもが不安を感じやすいシチュエーションはどんなものが考えられるでしょうか。<幼年期>■母親と離れて、はじめての幼稚園や保育園での生活■園生活や、児童館・プレ幼稚園での集団生活に馴染めない■お友だちとの関係性での不安■トイレで失敗してしまった、失敗してしまうかもという不安<児童期>■じっと座って授業を受けなければいけない■学校の授業中に発言を求められる■苦手な食べ物でも、給食で食べなくてはいけない■勉強や体育などで、友だちができることが自分はできない■クラス替えなどのタイミングなど、友だち関係の不安このように、幼年期や児童期は、園生活や学校生活の中での不安や悩みを抱える場合が多いようです。特に、新生活が始まるタイミングなどは、お子さんの様子を見守っていくことが大切です。子どもの不安やストレスをキャッチするまた、子どもは不安を感じても、大人のように上手に言葉にできないことも。そこで、親御さんがその気持ちを汲み取ってあげたり、体に現れる変化などに気づいてあげたりする必要があります。不安やストレスを感じている子どものタイプは大きく4つに分類できます。■頭に現れるタイプ不安になる、落ち着きがなくなる、悩んでいる様子を見せる■気分や感情にあらわれるタイプイライラする、苦しいと感じる、憂鬱、無口になる、表情がない■身体にあらわれるタイプお腹を痛がる、胃を痛がる、眠れない、おしっこがしたくなる■行動にあらわれるタイプ兄弟などをいじめる、物にあたる、お友達に手を出す、泣く、引きこもる、怒る、抱きつく、指をしゃぶる、甘え行動が増える子どもが不安を抱えている状態では、このような反応を見せる場合が多いと言われています。また、低学年から中学年ぐらいまでの子どもは悩みを言葉にするのは難しいため、「お腹が痛い」など、身体的な不調を訴えるケースが多いのだそう。一方、高学年になると、頭に現れるタイプが優勢になり、頭を抱えて悶々と悩んだり考え込んだりするようになります。どんなことで不安を感じるかに個人差があるように、不安を感じているときの子どもの反応もその子それぞれ。直接不安を口にする子もいれば、口にせず不安な様子を見せる子、身体的なストレス反応で出てくる子などさまざまです。親御さんは、お子さんがどのようなタイプなのかを把握したり、年齢によって反応の現れ方に変化があることを知っておきましょう。子どもが不安を感じていたら、親がすべき3つのことお子さんがいつもと違う様子だったり、不安を口にすることがあったとき、親御さんはどのようなことをすべきなのでしょうか。親御さんがすべき3つのことをご紹介します。<その1>不安やストレスか、病気なのかを判断するNPO法人 子育てひろばほわほわの顧問である永瀬春美さんは、「“おなか痛い”には病気の可能性もあるので、診察を受けることが大事。そのうえで、慣れない新生活に加え、不安な気持ちを表現できないことなどが重なって、腹痛の症状が出ることがあります」と言います。このように、「お腹が痛い」「頭痛がする」など、身体的な不調として訴えてきた場合は、まずは病気かどうかの判断をすることが必要です。毎日一緒に過ごしているご両親であれば、その様子からある程度は判断できると思いますが、やはり小児科へ行って医師の診察を受けることが大切です。医学的に明確な病気や原因が確定できなかった場合に、ストレスを疑ってみるのがいいかもしれません。<その2>子どもの話をじっくり聞いてみる身体的な不調がストレスや不安感からくるものだとわかったら、次は子どもの話をよく聞いてあげましょう。声をかけるときは、困っていることを前提とした声かけをするといいと言います。たとえば「最近〇〇していることが多いけど、大丈夫?」や「何か学校で困っていることはある?」などのように、子どもが困っているのだと訴えやすいように話しかけてみましょう。また、話を聞くときは、子どもの話が終わるまで「聞き役に徹する」ことが重要。子どもの話を聞いている最中、親御さんとしてはさまざまな感情や考えが湧き出てくると思いますが、とにかくまずは聞き役に徹しましょう。子どもの話を遮って、自分の思いを言い出すのは最悪の対応なのだとか。子どもの感情をそのまま受け止めて、「そうだったんだね」と頷いてあげるといいでしょう。教育ジャーナリストのおおたとしまささんも、子どもの気持ちを受け止めることについて以下のように言っています。気持ちが凹んでいるとき、「自分の気持ちをわかってもらえた」と思うだけで、ひとは前に進む意欲を復活させることができます。そういう経験を繰り返すことで「自分は一人じゃない」「やるだけやってみよう」「なんとかなるさ」と思える心の強さが育まれます。(引用元:日経DUAL|子どもの「折れにくい心」を育てるマジックワード)大切なのは、「お母さん(お父さん)はいつでも、あなたの話を聞いてあげるよ」という姿勢を見せること。何か不安なことがあれば、「いつでもお母さん(お父さん)が聞いてくれる」という安心感があるだけで、子どもは勇気を持って不安を乗り越えられるかもしれません。<その3>解決策は子どもに決めさせる「聞く」ことができたら、今度はこれからどうするのかの「相談」をします。子どもがどうしたいのかを聞いて、どのように問題解決をしていくか話し合いましょう。そのときに、親御さんのアドバイスを踏まえたうえで、子どもに今後の方向を選択させます。解決策は子ども自身に決めさせるのがポイントです。谷町こどもセンター(大阪市)で所長を務める、臨床心理士の日下紀子さんも次のように話しています。小学生の場合は、「スモールステップを用意する」「がんばりを認める」ことが大切なのだそう。「勉強や体育で遅れをとっていることがストレスにつながっているのなら、少し頑張れば乗り越えられそうな目標を一緒に立ててあげるのがいいでしょう」(引用元:いこーよ|新生活こそ要注意!)不安を抱くことは、決して悪いことではありません。不安というのは、人間が自己防衛するための本能であり、そのおかげでいろいろなトラブルを回避できたり、乗り越えられたりするのだそう。ですから、無理に不安を取り除いたり回避するのではなく、不安な気持ちが少しでも改善するにはどんなことをしたらいいのか、その方法を親子で一緒に考えましょう。不安や悩みを抱えることは、成長過程において自然なことなのです。***子どもが不安になりやすい時期は、4月の新学期が始まった直後、ゴールデンウィークなど大型連休前後、夏休み明けと言われています。せっかく整って慣れてきた学校生活のリズムが崩れてしまう時期でもあり、子どもは不安やストレスを抱えやすくなりますので、このような時期はとくに注意が必要です。ご家庭では、子どもがサインを出しやすい、不安や悩みを言葉にしやすい環境を作ったり、普段からお子さんの言葉に耳を傾けるようにすることも大切ですね。文/内田あり(参考)さぽナビ|子どものストレス対処法(1)さぽナビ|子どものストレス対処法(2)仙台市教育委員会|子供の不安・変化を見逃さないための生徒指導ハンドブックいこーよ|新生活こそ要注意!子どものストレス原因&親の対処法NHK生活情報ブログ|おなか痛いをわかってほしい日経DUAL|子どもの「折れにくい心」を育てるマジックワード
2019年06月02日小学生の塾通いには中学受験のためにというイメージがあるかもしれません。しかし実際は学校の授業を補習する目的の塾もあります。また、塾に通うことによって学習習慣をつけることを狙っている場合もあります。この記事では、これから小学生の子供を塾に通わせるべきか悩んでいる方に向けて、塾のメリット、そしてデメリットをも隠さずに解説していきます。小学生の段階で子供を塾に通わせたほうがよいのか悩んでいる方に向けて、塾に通わせるメリットとデメリット、小学生の塾の選び方をご紹介します。小学生の子供を塾に通わせるメリット小学生の子供を塾に通わせるメリットは中学受験対策の他にも、小学校の苦手科目を克服させたり、学習意欲を向上させるといったものがあります。小学生のうちから勉強に取り込む学習の習慣がついていると、今後の試験勉強や自宅での学習にも多く役立ちます。●勉強する習慣が身につく小学生が塾に通う最も大きなメリットと言えば、勉強する習慣がつくことです。子供たちは家では、テレビやスマートフォン、ゲームなど、勉強以外の他の事に興味がいってしまいがちです。子供に勉強の習慣を付けさせて、集中力を身につけるだけでも大変なことなのです。塾で勉強する習慣がついていれば、試験前にはしっかり勉強をするようになり 、自主的に学習するようになります。小学生のうちから決まった時間に勉強に集中する習慣が身につくと、今後の試験対策や中学校・高校生にも大きく役立ちます。●勉強の楽しさが身につく小学生が塾に行くメリットにはさらに、勉強の楽しさが身につくことが挙げられます。小学校の勉強は、学年が上がるにつれて勉強の難易度が徐々にアップします。どんな小学生も、得意科目もあれば苦手科目も出てくるでしょう。学年が上がる程、学校の勉強について行き宿題をするのが大変になるので、勉強を「心から楽しい」と思える余裕がなくなります。苦手な科目や分からない問題があると、「勉強が辛い」「めんどくさい」と思うようになり、勉強をしなくなる子供が増えてきます。しかし塾に通うと勉強ができるようになり、勉強に対し肯定的な気持ちを持てるようになります。●中学受験の情報を得られる中学受験の詳しいデータや情報を得られることも大きなメリットです。中学受験対策の学習塾では、近年の中学受験に関する詳しい情報を持ち合わせています。小学校ではなかなか頻繁に相談できないことも、学習塾の室長には気になる時にいつでも相談できるでしょう。●子供が受験を意識する塾は中学受験を予定されている方に役立つのはもちろん、子供が中学受験に興味を持つきっかけを作ってもくれます。塾に通い始めた頃は中学受験を意識していなくても、勉強に楽しさを見出すようになれば、より高みを目指して自主的に中学受験を目指しだす子供も出てきます。小学生の子供を塾に通わせるデメリット小学校の子供を塾に通わせるのは、メリットだけではありません。デメリットも押さえた上で、学習塾通いを決めることが大切です。●自由な時間が減る塾通いをはじめればそのぶん自由な時間が減ります。塾通いが原因で睡眠時間が短くなると体にも悪影響を及ぼすので、無理に通わせるのは逆効果です。●費用がかかる塾は費用がかかるというのもデメリットの一つです。科目数、指導方法(個別指導・集団指導)など塾のスタイルによっても相場が変わりますが、一般的に塾の月謝は高額です。水泳やピアノと言った習い事と比べると、夏期講習や模擬試験など、月謝以外の金額も多くかかります。●無理やり通わせるとストレスになる塾通いを無理強いすれば子供にとってそれがストレスになり、やがて塾どころか勉強自体へ嫌悪感を持つようになってしまいます。本人のやる気がなくなってしまっては、周りがどれだけ勧めても逆効果にしかなりません。小学生から塾に通わせる必要はある?小学生は塾で勉強させる必要があるのだろうかと疑問に思う親も多いでしょう。最終的には、小学生から塾に通うかどうかは子供本人の気持ち、または状況によって変わります。●自分の子供に塾が必要か見極める学習塾と一口に言っても、中学受験対策のほか、補習自由を目的にしたところもあります。自分の子供はどちらに適しているのか見極めることも必要です。●塾通いが必要なケース中学受験を考えているけど学校のテストが芳しくない場合は、塾通いが必要でしょう。難関中学や公立の中高一貫への進学を検討している場合は、入試対策に沿った授業を行う大手進学塾がおすすめです。●授業についていけていない中学受験はしないけれども、小学校の授業についていけていない、苦手科目が多い、学習する習慣がついていない場合は、補習塾がオススメです。苦手科目を克服して学校のテストで点が取れるようになると、自宅でも自分で進んで勉強するようになります。●中学受験に関する情報が少ない中学受験に関する情報集めは自分だけでは難しいと言えます。しかし学習塾では志望校の入試傾向やデータを知り尽くしており、対策法を指導してくれます。●自宅学習だけでは不安学習塾では勉強に取り組む習慣が身につくため、家ではなかなか学習できない、集中できない子供は塾に通うと良いでしょう。●無理して塾に通わせる必要はない特に中学受験を考えておらず、学校のテストも点数が取れているなら、無理して塾に通わせる必要はありません。学校の授業をしっかり理解していて、宿題などを自主学習もできているといえるでしょう。小学生の塾の選び方自分の子供には学習塾が必要だと判断した場合は、どんな基準で塾選びをすれば良いでしょうか?早速ポイントをチェックしてみましょう。●通いやすさ本人が楽しく通い続けられるかどうか、塾の方針と会っているかどうか確かめることが大切です。補習目的なのに中学受験用の塾を選んでしまうと、宿題が多いことにストレスを感じ、だんだんと塾に行きたくなくなるでしょう。子供本人が楽しく前向きに通える塾を選ぶことが大事です。●子供の学力中学受験の目標であっても、学習塾と子供の学力が合ってなければ意味がありません。学習塾によっては補習をしながら受験を目指すところもあります。子供の学力に合わせた塾を選びましょう。●講師学習塾の講師は大学生のアルバイトが多く、突然辞めてしまうというケースもよくあります。子供が慣れてきた頃に先生が変わり、ストレスになることもあるので、塾の講師の特徴をよく検討することが大切です。小学生の塾のメリットまとめ塾は中学受験を考えている人だけでなく、小学校の授業についていけない、集中力が無いといった子供も役に立ちます。小学生のうちから勉強に集中する習慣をつけることは、その後の学習に大きなメリットとなるはずです。上手に塾を選べばメリットを多く享受できますので、一度塾通いを検討してみるのもよいかもしれません。。●ライター/高須 亮
2019年05月30日子どもが受けている国語の授業の内容は把握していても、その「狙い」まで理解しているという親御さんは少ないはずです。現在、国語の授業はどんな狙いを持っておこなわれているのか――。全国国語授業研究会会長や教育出版国語教科書編著者も務める筑波大学附属小学校の青木伸生先生に、その狙い、家庭教育にも取り入れることができる勉強法を教えてもらいました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)小学校低学年、中学年における国語授業の狙い小学校の国語の授業は、学年ごとにそれぞれ「狙い」が決まっています。現在の学習指導要領でいうと低学年、中学年、高学年でわかれていて、低学年の狙いは「順序」というものです。国語の勉強をはじめたばかりの低学年の場合、まずは物語や説明文の順序をとらえて読むということが出発点になります。物語なら、話のなかにどんな人が出てきたのか、そしてその人たちはどんな順番で出てきたのかといったことをとらえることが、文章の理解には欠かせません。また、説明文なら、どんな話がどういう順番で書かれているのか、「はじめに」「次に」「終わりに」といった説明のプロセス、組み立てを意識できる必要がある。文章のなかに出てくる言葉の順番やつながりを見つけることが、文章を理解するためのはじめの一歩なのです。そして、中学年になると、その狙いは「中心点」というものに変わります。これは、段落のなかの要点や、文章全体で筆者がいちばんいいたいことはどこに書かれているのか、物語なら山場の場面はどこかというような、大事なところを見つけようというものです。「音読」が子どもにもたらすさまざまな効果小学校の国語の授業というと、「音読」を思い浮かべる人も多いでしょう。大人になって音読することはほとんどないと思いますが、小学校では定番、必須の内容ですよね。もちろん、音読にも重要な狙いがあります。これは、とくに低学年の子どもたちにとって大切なものです。その狙いのひとつは子どもたちの「体づくり」。ちょっと意外に思うかもしれませんね。音読では、しっかり両足を床につけておなかから声を出すように指導します。そうすることで、まだ体が小さい低学年の子どもの体幹をつくるということを意識しているのです。また、聞き手を意識させて読ませることで、「声の大きさの調整」をできるようにさせることも重要な狙いです。低学年の子どもたちの場合、近くにいる、遠くにいるといった聞き手のちがいによって声の大きさを調整することがまだ上手にできません。声の大きさのほか、発する言葉の歯切れの良さといったものも含めて、聞き手に的確に声を届ける練習をさせるのです。それから、「日本語のリズムをつかむ」ことも狙いのひとつ。低学年の国語の教科書には谷川俊太郎の『かっぱ』のようなリズム良く読める詩が多く登場します。それを声に出して読むことで、言葉のリズム、日本語の響きを実感しながら体に入れていくわけです。また、音読すれば自分の声を自分で聞くことになりますよね。目で文字を追うだけではなかなか文章を理解できない低学年の子どもも、言葉を目で追いながら耳からも入れることで理解を深めることができるのです。親の問いかけで子どもの読解力を高める子どもの国語力のベースを固めるためにも、とくに低学年、中学年のうちは家庭でも子どもに音読をやらせてみてください。それにあたって、ひとつ親御さんにアドバイスをしておきましょう。物語は会話文とそれ以外の地の文で構成されています。そのうち、会話文の読み方が、子どもがどれだけ登場人物の気持ちを理解しているかの指標になるのです。音読できたことを褒めながら、「さっきのセリフをとっても大きな声で読んだのはどうして?」とか「小さな声で読んだのはどうして?」といったふうに問いかけてみてください。子どもは自分なりに考えて、「すごくうれしそうだったから」「寂しそうだったから」といったふうに答えるはずです。本人は無意識のうちに声の大きさや読む調子を変えていたかもしれません。でも、その振り返りをさせることが、登場人物の気持ちを考えさせ、物語の読解力を高めるということにつながるのです。「書き写し」は範囲ではなく時間を決めるまた、音読と同様に家庭でもできることとしては、「書き写し」もおすすめです。わたしが低学年、中学年の子どもに出す宿題は音読と書き写しが中心です。それだけわたしも重視しているものだということです。書き取りの効果は、先にお伝えした「自分の声を聞いて理解を深める」という音読の効果と似たものです。国語の教科書でも子どもが好きな本でもいいので、ある作品の書き写しをする。手で書いて写すうち、「この言葉はさっきも出てきたな」とか、「さっきの言葉と表現が変わったな」といったふうに子どもにはたくさんの発見があります。目で文字を追っただけでは感じとれないものが明確に見えてくるのです。ただ、書き写しをさせる場合には、「今日はここからここまで」と範囲を決めることは避けましょう。そうしてしまうと、文章を読んだり書いたりすることが苦手な子どもにとってはただただつらい作業になってしまいます。勉強を毛嫌いするようにもなりかねません。そうではなくて、「1日3分」というふうに時間を決めるのです。3分たったら、たくさん書き写しをしていても、全然書けていなくても終わり。これが書き写しを長続きさせるコツです。しかも、これには別の効果も期待できます。範囲を決めた場合、その範囲を書き写さなければ終わりませんから、子どもにとってはただ書き写すことが目的になってしまう。結局、機械的に書くことになって、中身が頭に入っていかないのです。一方、時間を決めた場合は、どれだけ書き写すかは自由ですから、たとえ短時間でも集中することになります。家庭での音読と書き写し。これらをやるだけで、その後の国語の成績は大きくちがってくるはずです。『青木伸生の国語授業 3ステップで深い学びを実現! 思考と表現の枠組みをつくるフレームリーディング』青木伸生 著/明治図書出版(2017)■ 筑波大学附属小学校教諭・青木伸生先生 インタビュー一覧第1回:子どもの主張はくみ取らなくていい!親だからこそできる、我が子の国語力アップ法第2回:「宿題の定番」になるのも頷ける。意外だけどすごく重要な「音読」の4つの狙い第3回:「文字を見るのも嫌!」子どもを国語嫌いにさせないために、親がすべき低学年からの工夫(※近日公開)第4回:作文力アップも期待できる!文章の読み方の新習慣「フレームリーディング」とは(※近日公開)【プロフィール】青木伸生(あおき・のぶお)1965年生まれ、千葉県出身。東京学芸大学卒業後、東京都の教員を経て現在は筑波大学附属小学校教諭。全国国語授業研究会会長、教育出版国語教科書編著者、日本国語教育学会常任理事、筑波大学非常勤講師なども務める。近年はフレームリーディングの専門家としても注目を浴びる。『ことばの事典365日』(小峰書店)、『青木伸生の国語授業 フレームリーディングで説明文の授業づくり』(明治図書出版)、『青木伸生の国語授業 フレームリーディングで文学の授業づくり』(明治図書出版)、『ゼロから学べる小学校国語科授業づくり』(明治図書出版)など著書多数。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年05月29日子どもの頃は算数が嫌いで、「数字を見るだけでげんなりした……」という人も多いかもしれません。そういう自らの実体験から、「子どもも算数嫌いになるのではないか?」と心配している親はかなりの割合でいるといいます。「教育の鉄人」とも呼ばれ、カリスマ教師として知られる、東京の公立小学校教諭・杉渕鐵良(すぎぶち・てつよし)先生は、「国語と算数があらゆる学習のベース」だと語ります。では、どうすれば子どもの算数の力を伸ばしてあげられるのでしょうか。子どものやる気を引き出す独自の授業で注目される杉渕先生に、その秘策を教えてもらいました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)四則計算が算数を学習するためのベースになる学校での勉強がはじまる小学校で、とくに重要な教科は国語と算数です。なぜなら、それらが理科や社会などあらゆる他の教科を学習するためのベースとなるからです。では、子どもの算数の力を伸ばしてあげるにはどうすればいいのでしょうか?あたりまえのことですが、足し算、引き算、掛け算、割り算の四則計算をきっちり身につけることです。算数における四則計算は、ある意味で他の教科に対する国語と算数の存在に似ています。というのも、四則計算がしっかりできなければ、その先にある算数の領域、応用問題に進めないからです。つまり、四則計算は算数を学習するためのベースといえます。応用問題に臨む場合、たとえその考え方というものを理解できたとしても、四則計算がきちんとできなければ解答にたどり着けずにつまずいてしまいます。逆に、必要な四則計算がぱっとできるのなら、考えることに集中できる。だからこそ、応用問題の理解も深まりますし、その面白さを感じることもできるのです。スポーツだって同じではないでしょうか。たとえば、テニスをやるにも、素振りすらまったくしていないような基礎ができていない状態なら、まともにボールを打ち返せないでしょう。ボールをラケットで打つスポーツなのに、空振りばかりしていては面白いはずがありませんよね。最初に「できない」ということをわからせるでも、じつは逆の考え方もできます。まったくテニスの経験がない子どもにあえていきなり試合をさせてみるのです。もちろん、まともにボールを打ち返せないのですから、子どもは面白くありません。そこで、「きちんとボールを打てるようになったら試合が面白くなるよ」とリードしてあげて、基礎練習をさせる。子どもは試合の面白さを味わいたいがために基礎練習に一生懸命取り組むことになるはずです。それが、テニスをやりたいといっている子どもに最初から基礎練習ばかりさせてしまうと、「僕はテニスをやりたいのに」と、子どもは不満を抱いて意欲的に練習に取り組めません。そんな心理状態では、大事な基礎練習の成果もなかなかでませんよね?算数の場合も、まず子どもに応用問題をやらせてみて、それができないということをわからせてみるのです。うまくリードできれば、その面白さを味わおうと子どもは四則計算の習得に励むようになります。とはいえ、四則計算の学習はやはり地味で単純なものが多いので、子どもの集中力がなかなか続かないということもある。子どもが自然に四則計算の勉強をできるようにするには、やはりたくさんの工夫が必要です。子どもと一緒に楽しみながら四則計算を勉強する家庭でできることを考えると、日常生活のなかで子どもが楽しみながら四則計算に触れる機会を親がつくってあげることです。「学校の勉強なんて社会に出たら役に立たない」なんてことをいう人もいますが、四則計算は大人なら誰もが日常的に使っていますよね。たとえば、つねに節約しようと考えているお母さんたちは、スーパーで買い物をするにも何度となく四則計算を繰り返しているはずです。その計算を問題として子どもに出してみましょう。リンゴを買おうとしているときに、「3個で500円のリンゴ」と「2個で400円のリンゴ」があったとします。子どもに、「どっちを買えばお得かな?教えてくれる?」と相談するのです。子どもは大好きなお母さんの役に立ちたいと、頑張って計算をしてくれるはずです。自動車でどこかに出かけるときなら、目的地までの距離を教えてあげて、「いま、時速40キロだけど、目的地には何分で着く?」「時速60キロならどう?」というふうに出題することもできるでしょう。時計を使ってみるのもおすすめです。時計というと、時間を知るためのものと誰もが思い込んでいますが、じつは角度の勉強にも有効です。丸いアナログ時計を使って角度の問題を出すのです。「6時のときの長針と短針の間の角度は何度でしょう?」といった具合です。家族でおこなうものと考えれば、もっとふざけてみてもいいかもしれませんね。たとえば、「お父さんは3分に1回怒ります。お母さんは5分に1回怒ります。お父さんとお母さんが一緒に怒って大爆発するのは何分後でしょうか?」といったものはどうでしょうか?(笑)。これは紛れもない公倍数の問題ですが、きっと子どもは笑いながら取り組んでくれるにちがいありません。家庭で子どもに勉強させるときには、「子どもと一緒に楽しむ!」ということをいちばんに意識してほしいとわたしは思っています。勉強をしながらでも、子どもの心からの笑顔をたくさん引き出してあげてください。『たし算ひき算 10マス計算ドリル 左利き用』杉渕鐵良 著/学研プラス(2019)■ 東京都公立小学校教諭・杉渕鐵良先生 インタビュー一覧第1回:先取り学習はこうやれば効果的。「就学前学習ってどうなの?」に“教育の鉄人”が回答!第2回:「ちゃんと宿題やりなさい!」に効果がない理由。子どもに“響く”声かけの方法とは?第3回:子どもを「読書好き」にするきっかけの作り方。国語力アップの決め手は家庭にある!第4回:算数の力は“楽しく”伸ばす!地味で単純な「四則計算」を笑うほど面白いものにする工夫【プロフィール】杉渕鐵良(すぎぶち・てつよし)1959年生まれ、東京都出身。東京都公立小学校教諭。小学校教諭となって7年目に子どもたちのやる気を引き出す独自の授業「ユニット授業」を開発。その成果により、「教育の鉄人」と呼ばれ、2011年には「ユニット授業研究会」を設立。若手教員の指導にあたる他、講演のために全国各地を飛び回っている。『小学校教師だからわかる 子どもの学力が驚くほど上がる 本物の家庭学習』(すばる舎)、『全員参加の全力教室2 燃える! 伸びる! 変わる! ユニット授業』(日本標準)、『1日1枚5分でできる 漢字パズル』(すばる舎)、『自分からどんどん勉強する子になる方法』(すばる舎)、『子どもが授業に集中する魔法のワザ!』(学陽書房)など著書多数。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年05月27日うちの家族、個性の塊です
夫婦・子育ていまむかし
めまぐるしいけど愛おしい、空回り母ちゃんの日々