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発達が気になる小学生の保護者の「知りたい」を詰め込んだ本に小学校生活では、勉強や友人関係、学校のきまりや行事など、さまざまな場面で「困った!」を感じるお子さんや保護者の皆さんも多いのではないでしょうか?出版社・すばる舎は、発達が気になる小学生の家庭生活から学習まで、さまざまな「困りごと」を解決するヒントを詰め込んだ本を制作しています。この書籍の制作にあたり、発達ナビ編集部も制作協力を、発達ナビのコラムの監修をしてくださっている井上雅彦先生も総監修としてかかわることになりました。Upload By 発達ナビ編集部そこで、発達が気になるお子さんを育てる保護者の皆さんから、子育ての中で感じている不安や疑問からご家庭での工夫まで、さまざまなご意見をいただき、よりニーズに合う内容の本にしたいと考えています。勉強・友達・家庭生活…どんなことに困っている?何が知りたい?アンケートを実施Upload By 発達ナビ編集部この本では、次のような内容について、具体的な困りごととその背景にあるもの、対応方法などを紹介していきたいと考えています。●家庭生活・身辺自立●学習・運動●学校・集団生活●人間関係●お金・時間・気持ちのコントロール「わが家では特にこれが困っている」「こんな風にしたらスムーズにできるようになった」といったさまざまな声を生かした本にしたいと考えています。ぜひ皆さんの声を寄せてください!【対象】5歳~15歳のお子さんを育てる保護者※該当するお子さんが2人以上いらっしゃる場合は、まずはお一人についてご回答ください。2人目以降のお子さんについては、お手数ですが再度フォームにご回答いただければ幸いです。【回答期限】2019年5月17日(金)本アンケートは、無記名で選択式及び記述式となっており、所用時間は15分程度です。
2019年05月10日「10歳の壁・9歳の壁・小4の壁」という言葉を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。9~10歳のころに、子供が勉強面や心理面でつまずいてしまうのは珍しくありません。「壁」を乗り越え、将来、自立した大人になるためには、この時期に自分に自信をつけることが大切です。今回は、子供が自分に自信を持つべき理由と、そのために親ができることを2つ紹介します。劣等感が生まれる!?「10歳の壁」とは10歳の壁とは、10歳前後の子供が直面する課題として、よく知られています。「9歳の壁」「小4の壁」と言われることもありますね。文部科学省は、この時期の子供について、次のように説明しています。対象との間に距離をおいた分析ができるようになり、知的な活動においてもより分化した追求が可能となる。自分のことも客観的にとらえられるようになるが、一方、発達の個人差も顕著になる(いわゆる「9歳の壁」)。身体も大きく成長し、自己肯定感を持ちはじめる時期であるが、反面、発達の個人差も大きく見られることから、自己に対する肯定的な意識を持てず、劣等感を持ちやすくなる時期でもある。(太字による強調は編集部が施した)(引用元:文部科学省|3.子どもの発達段階ごとの特徴と重視すべき課題)子供の考え方は9~10歳の時期に大きく転換します。この転換によって、抽象的な「5-2=3」という式を、「5個のミカンを2つ食べたから残りは3個」などの具体例を介さずに理解できるようになります。また、抽象的な概念だけでなく、他人の目から見た自分の姿も理解し始めます。抽象的な考え方ができるようになるまでの期間は個人差があるので、子供たちは自己と他人を比べてしまい、自己肯定感を失いがちです。そして、このときに自己肯定感を失ったままだと、その後の成長に大きな影を落としかねないのです。10歳の壁を壊す「自己肯定感」の大切さ多くの企業・学校で活用されている行動習慣化メソッドを開発した人材育成研究家の永谷研一さんは、自己肯定感の大切さを次のように述べます。自己肯定感が高い人は、楽観的に物事を考えることができるので、少々不安であっても前向きな行動を起こすことができます。また自分の気持ちを開示することができるので、周りからのアドバイスも受けやすく、ぐんぐん成長することができます。その逆に自己肯定感が低い人は、悲観的に物事を考えてしまう傾向があります。新しい行動を起こそうとしてもリスクを考えて踏みとどまってしまい、前に進むことができません。(太字による強調は編集部が施した)(引用元:東洋経済ONLINE|「自己肯定感」が低い人に現れる”残念な症状”伸びる人と停滞する人の差にもつながる)自己肯定感を失ってしまった子供は、「どうせ頑張ったって、できないんだ」と考えるようになり、次第に挑戦をしなくなります。自分から行動を起こすことはなくなり、将来、指示待ち人間となってしまう可能性もあるでしょう。そして、人の後をついてゆくだけの人間にとって、これからの時代を生き抜くには厳しそうです。「東大・京大で一番読まれた本」として知られる『思考の整理学』の著者・外山滋比古さんは次のように述べます。僕が本に書いたのは、“墜落してもいいから飛行機になれ”ということです。グライダー型人間はモノマネが得意だけれど、新しい事態や時代の変化に対応できません。しかも現在は30年前よりはるかに時代が進み、学校で学んだ知識がより通用しなくなった。人工知能(AI)やITなどが発達した今こそ、他人に引っ張ってもらって飛ぶグライダー型人間ではなく、自力で自分のめざす場所まで飛べる飛行機型人間が求められています。(太字による強調は編集部が施した)(引用元:NEWSポストセブン|外山滋比古氏の提言「墜落してもいいから飛行機になれ」)子どもが将来活躍するためには、主体性を持って行動する必要があります。そのため、主体性を生みだす自己肯定感はとても大切な要素なのです。では、10歳の壁に負けず、子供に自己肯定感を身につけさせるためにはどうすればよいのでしょうか?叱ってばかりだと、自己肯定感はボロボロに……一番大切なのは、親が子供を信頼し、行動を見守るということです。子供が行動するとき、失敗しそうで不安になり、あれこれ口を出していませんか?「早く宿題をやりなさい」や「部屋をきれいにしなさい」などと、子供の行動に毎回口をはさみ叱っていると、子供はどんどん挑戦する心を失っていってしまうのです。教員出身の教育評論家、親野智可等(ちから)さんは次のように述べます。待てない親や先生は必ず子どもを傷つけます。目先のことばかり見て「○○ができてない。ちゃんとやらなきゃダメでしょ」と否定的に叱り続け、結局は子どもの自己肯定感をボロボロにしてしまうのです。(太字による強調は編集部が施した)(引用元:親力|やる気のスイッチが入る人と入らない人、その差はどこに?)子供は自分で必要だと感じたら、その時に自分で考えて、何とかしようと行動します。そして、その行動をやり遂げることによって、子供たちは「自分なら大丈夫だ、自分もできるのだ」と思えるようになるのです。したがって、自己肯定感を身につけさせるには、まず、子供の行動を見守ってあげることが大切なのです。「頭がいいね!」で自己肯定感は伸びないまた、親が子供をきちんとほめてあげることでも、子供の自己肯定感は高まります。その際、ほめ方に注意が必要です。褒めるときは子供の能力ではなく、行動を褒めましょう。スタンフォード大学で行われた実験によると、能力をほめられた子供は学習意欲が下がってしまうのだそう。ドゥエック教授は、子どもを対象としたテストで「頭がいいから成績がよかった」と能力をほめたグループと、「がんばったから成績がよかった」と努力をほめたグループのその後の行動を観察しました。すると、能力をほめたグループの子どもは新しい課題に消極的になったり、なかなか解けない難題に対して「楽しくない」「自分はできない」とあきらめてしまったりしたそうです。一方、努力をほめたグループは新しい課題にも積極的に取り組み、難問にも根気よくがんばる姿勢を見せ、最終的にいい成績を収めたといいます。(太字による強調は編集部が施した)(引用元:サイバーユニバーシティ株式会社|能力ではなく「努力」をほめる!効果的なフィードバックの方法)人間は能力を評価されると、その「能力が高い」という評価を維持するために行動してしまうのだそう。「頭がいいね」と褒められた子供たちは、「自分が問題をとけない、つまり頭がよくない」という評価を避けるために、「そもそも挑戦をしない」という決断をしてしまうのですね。また、米カリフォルニア大学サンディエゴ校とカナダのトロント大学、中国杭州師範大学の研究者らが行った研究では、「頭がいいね」と褒められた子供たちは、不正行為をする可能性が高くなるという結果でした。したがって、子供を褒めるときは、子供が努力した姿に注目してあげるようにしましょう。***9~10歳の子供は、勉強・身体の成長・人間関係などあらゆる面で大きな変化を迎えます。そんな子供がのびのびと挑戦し育ってゆくためにも、親はどーんと構えて子供を見守ってあげましょう。そうすることで、子供は主体性のある大人に成長できるでしょう。文/村瀬裕一(参考)文部科学省|3.子どもの発達段階ごとの特徴と重視すべき課題ダ・ヴィンチニュース|225万部突破! なぜ『思考の整理学』は東大生から根強く支持されるのか?AllAbout|「10歳の壁/小4の壁」子供がぶつかる勉強の見えない壁への対策3つ親力|やる気のスイッチが入る人と入らない人、その差はどこに?AERA dot.|「9歳・10歳の壁」を乗り越える3つの法則帝京科学大学学術リポジトリ|児童期の認知発達と心理発達の特徴と支援について産経新聞|写真で褒める「ほめ写」子供の自己肯定感アップJ-CASTニュース|子どもを「賢い」と褒め続ける教育ご用心!インチキする子になりますよ
2019年05月07日「小学校入学前にひらがなやカタカナを覚えたし、簡単な足し算・引き算なら大丈夫!」というご家庭が多くなっています。出遅れないようにと準備して臨みますが、小学校低学年で習う内容は簡単なので、入学後は親子で拍子抜けしてしまうかもしれません。ところが、簡単な低学年での学習内容こそが、中学年以上での理解度を大きく左右する大事な基礎となります。簡単なのに絶対外せないのが低学年の学習内容なのです。今回は、低学年(1~2年生)で習う国語と算数の学習内容からいくつか例を挙げ、どんなポイントが重要なのか、何に気をつけて学習すれば学年が上がっても苦労しないのかを紹介していきます。【国語】漢字は成り立ちから考える。音読は具体的に褒める。まず国語ですが、文部科学省の学習指導要領には1年生の授業全体850時間のうち306時間が、2年生は910時間のうち315時間が定められ、実に3分の1以上の授業時間が費やされるほど重視されています。【重要ポイント】ひらがな、カタカナ、漢字の読み書きによって、物の名前や動きや様子、自分や相手の気持ちを理解し表現できるようになります。漢字は1年生で80文字、2年生では160文字を習いますが、身の回りのことを伝えるのに必要な、数、方向、位置、形状、色、時間、自然、天気、学校生活でよく使う日常生活に密着した文字が中心になります。<↑1年生で習う漢字><↑2年生で習う漢字>【勉強のコツ】正しい文字を習得するには、書けることよりも読めるようになることが先で、ひらがな、カタカナ、漢字のどれにも同じことがいえます。その中で、■形がよく似ている文字を比べてどこか違うのかを見つける■ひらがなとカタカナは1文字ずつ対応していることが分かる■漢字にはよく似た仲間(部首)があるといった、文字の比較から部首の存在に気づけると、漢字の成り立ちや意味をスムーズに理解できるので、その先の漢字学習が楽になります。ただくり返し書くだけでなく、漢字にインパクトを持たせることが重要なのですね。また、低学年の教科書に取り上げられている文章は、シンプルでリズムが良いのが特徴で、何度も繰り返し音読してフレーズに親しむことで、文章の組み立て方や表現の仕方を学ぶことができます。語彙や表現方法の幅が広がると文章力アップにつながります。子どもの音読は聞き流しせず、「おじいさんのセリフがとてもよかったよ」「大きな声で読めていたね」と具体的に褒めてあげましょう。【算数】足し算・引き算をとにかくしっかり定着させる次に、算数の授業時間数は、1年生では授業全体850時間のうち136時間が、2年生では授業全体910時間のうち175時間が文部科学省の学習指導要領に定められています。国語に比べて時間数は少ないですが、この先の算数や数学へつながる基礎を作る内容ですのでしっかり理解しておく必要があります。【重要ポイント】算数の勉強といえば、足し算や引き算からスタートというイメージもありますが、実は「数の仕組み」から始まります。ものの個数を数えたり数字で表したり、あるいは「前から○番目」「右から○人」といった順序数を学びます。そのうえで、繰り上がりや繰り下がりも含めた足し算・引き算について学び、2年生になると掛け算へと発展していきます。また、数や計算以外にも量や長さ、広さ、時間といった図形や単位に関わる学習も始まります。【勉強のコツ】数の仕組みを最初に学習するとき、お子さんが何番目といくつ分の違いをしっかり理解しているか確認しましょう。これは日常生活の中で「上から3段目の棚の右から2番目にあるお皿を1枚取ってくれる?」「100円で39円のきゅうりは何本買えると思う?」といった問いかけで理解度を確認できます。単位や時間についても同じように、机以外の場所で「水を150ml用意してくれる?」「この番組は30分だったから、今日はあと30分テレビが見られるね」など、なるべく具体的なものや形を使って問いかけるといいでしょう。子どもはクイズが大好きです。「えー!すごいね、合ってるよ!」など大げさに褒めてあげてください。足し算や引き算は計算カードで繰り返し何度も覚え、タイムを計って読み上げる宿題を出す学校もあります。数式をみるたびに数の増減を考えるのではなく、見た瞬間に答えが口をついて出るまで慣れておきましょう。というのも、2年生や3年生で登場する掛け算や割り算は、足し算と引き算が繰り上がったり繰り下がったりしながら何重にも関わる「積み上げの学習」ですから、掛け算や割り算をスピーディに計算をするには基本となる足し算や引き算がいかに定着しているかがカギになります。勉強が簡単なうちに身につけたい「学習習慣」と「問題解決力」一度子どもが「なんだか国語(算数)って難しい……」と感じてしまうと、なかなかスムーズに学習が進まないようです。簡単に理解できて「勉強って楽しい!」と感じる段階から、少しずつ勉強の習慣づけをしていくことが大切です。低学年のうちは、家庭での学習時間は5~10分もあれば十分とも言われます。しかし、学校の授業は45分単位と子どもが集中できる時間に比べて長いので、これに慣れるためにも30分くらい続けて机に向かうことができるのが望ましいでしょう。学校から出された宿題を済ませたあとは、図書館で借りた本や授業で使う副読本を読むのもいいですし、席を立ってうろうろ歩き回らなければ、塗り絵やパズルなどで遊ぶことも立派な勉強だと認めて褒めてあげてください。低学年のうちに「1日30分、必ず机に向かって勉強する」ことを毎日達成して自信につなげるようにします。また、内容が簡単なうちに「分からないところを分かるようにするクセ」をつておくことも重要です。特に、算数は上述したように1年生の学習から積み上げていくものですから、どこかでつまずいたまま進んでいくと、その先の理解をストップさせてしまいます。ひとつずつ問題をクリアしていく問題解決力を養うためにも、毎日の学習で分からないところを分かるようにしましょう。***大きくなってからでは、なかなか身につかない勉強の習慣。低学年のうちにしっかり身につけるには、お父さんやお母さんがお子さんの横で勉強を見届け、頑張っている姿を認めて褒めてあげると効果的です。しばらく時間はかかるかもしれませんが、親御さんの声かけで子どもは自分に自信がつき、学年が上がってからも机に向かうようになりますよ。(参考)文部科学省|平成29年改訂小学校学習指導要領浜学園教育情報TIPS|小学校低学年から身につけたい学習方法浜学園教育情報TIPS|高学年の成績に直結!低学年のうちに最低限 身につけたいこと【算数編】ベネッセ教育情報サイト|元小学校教員が語る!低学年のご家庭でやっておきたい3つのことって?
2019年05月03日新学期が始まり、子どもには気持ち新たに勉強に励んでほしいと願う保護者も多いことでしょう。そのためにはまず、環境作りが大切です。普段なかなか集中して勉強できいないとしたら、今の環境が関係しているのかもしれません。今回は2級建築士である筆者が“子どもが集中して勉強できるリビングの作り方”についてお伝えします。1:勉強するときは、壁を背にする人は背後を警戒するため、背後に気配を感じると集中できません。そのため、壁を背にして勉強にするのが望ましいでしょう。これは、子ども部屋を設けた際にも同じことが言えます。机に向かって座ったときに、背中側が壁、子どもからは出入り口が見えるという配置がベストです。反対に、子ども部屋に入ったときに、勉強している子どもの背中が見える状態はNGです。子どもは出入り口からいつ人が入ってくるかと警戒するため、集中力がそがれます。2:昼光色か昼白色のデスクライトを使用するリビングに用いられている照明の色を気にしたことはありますか?多くの場合、電球色と呼ばれるオレンジ色っぽい光か、太陽光のような自然な色の昼白色が用いられています。しかし学習面において一番いい色みは、昼光色と呼ばれる青みがかった白の光です。昼光色は脳を覚醒し、集中力を高める効果があると言われています。文字もはっきり見えますので、オフィスなどに用いられることが多いです。そうは言っても、リビングの照明が埋め込まれていて変えることが容易でなかったり、なにより昼光色はくつろぎの場であるリビングには不向きです。手軽なのは、デスクライトを取り入れること。リビングの明るさは、そもそも勉強をする際の手元を照らすには足りない場合が多いため、昼光色のデスクライトがあるといいでしょう。ただし、昼光色は子どもによってはまぶしすぎると感じるケースもありますので、その場合には昼白色でも。3:リビングに観葉植物を置く植物には記憶力や集中力を高める効果があると同時に、リラックスさせる効力をもちます。観葉植物を置いたリビングは、落ち着いて勉強するのに最適です。実際に職場に観葉植物を置くことで、効率的に仕事をこなせるという実証もあるほど。ヒーリング効果も期待できる植物ですが、部屋に置きたくないという方には緑色のアイテムを取り入れるだけでもオススメです。緑色のクッションやラグ、またはソファに緑色のブランケットをかけるだけでもOK。緑は見る人への刺激が少なく、落ち着きや安心感を与えます。また目の疲れを緩和する働きも。そのほか、学習する際にはおもちゃやゲームなど、誘惑をシャットアウトすることも必要でしょう。わが家では小学生の息子の下に2人子どもがいますが、勉強中は必ずテレビを消すことをルールとしています。ただし、ラジオは流していることが多いです。BGMとして音楽などが流れていることは、脳科学的にも集中力が増すことが証明されています。でも好きな音楽のCDは音楽に集中してしまうのでNGですよ。ぜひ参考にしてみてくださいね!<文・写真:フリーランス記者沖田かへ>
2019年04月24日障害がある子が利用できるサービスの基礎知識から申請方法までが詰め込まれた1冊『障害のある子が将来にわたって受けられるサービスのすべて』障害がある子が産まれてから、親なきあとのことまで利用できるサービスを広く紹介されているので、今利用できるものの理解から、将来に向けて準備しておくことまでを1冊読むことで理解でき、漠然とした不安をを解消できそうです。1章は「保育・教育」に関するサービスについて。通所サービスの利用まで種類や利用までの流れ、多様な学びの場についてなどが紹介されています。2章では就労について、3章では障害者手帳によるサービスが、4章では障害者総合支援法に基づくサービスとして、ショートステイや同行援護、相談支援などさまざまなサービスや申請、費用などについての詳細を知ることができます。5章では、障害年金についての基礎知識や請求方法が、6章では親なきあとに向けてどのような制度が活用できるかが紹介されています。親子の視点で振り返る、0才から24才までの発達障害のある子どもの軌跡『ADHDと自閉症スペクトラムの自分がみつけた未来』ADHDと自閉症スペクトラムがある著者のこれまでの軌跡を、自身と母親2人の視点で振り返った一冊。生まれてすぐの様子から、幼稚園、小学校、中学、高校、大学、そして就職までがまとめて書かれています。多動、不登校、就活など、それぞれの時期にある困りごとや葛藤、乗り越えるまでがリアルな感情とともに綴られているため、描かれる場面の様子が鮮明にイメージできます。またこの本の特徴ともいえるのが、当事者である本人の声だけでなく、母親の声が共に紹介されていること。同じ時期に母親が考えていたこと、思ったことも記されているため、保護者としての気持ちに共感したり、こんな捉え方もあっていいんだ、と感じられるはず。子どもの感情を育てるヒントが盛りだくさん!『イラスト版子どもの感情力をアップする本 自己肯定感を高められる気持ちマネジメント50』嬉しい、楽しい、困った、悲しい、毎日たくんさんの気持ちがあふれる子どもたち。その一方で上手くそうした感情とつき合うことができない子どももいます。どのように感情を言葉にすれば良いかが分からなかったり、感情のコントロールが苦手であったりと、一人ひとり困りごとは異なります。この本では、場面ごとに子どもの気持ちを育くみ、自己肯定感を高めるヒントをワーク形式で紹介しています。心理学の専門家であり教育学博士でもある渡辺弥生先生が監修を務めます。イラストが主体のワークに加えてポイントで解説も書かれているので、子どもと一緒に取り組むのにぴったりな一冊です。3つのステップで友達や先生との関わり方を解説する『ソーシャルスキルトレーニング絵カード 小学生低学年版』①こんなとき②こうするよりは③こうしてみてはの”3つのステップ”で、場面ごとに人との上手なやり取りが分かる絵カードです。小学生低学年でよくある状況、お友達とのやりとりなどがかわいらしいイラストで描かれています。3つのステップを効果的に子どもに伝える使い方のヒントも紹介されているので、初めてでも取り組みやすいつくりです。また別売りの「アクトボイスペン」という音声ペンと連携しており、絵カードのセリフを読み上げてくれる仕様になっています。同じ言葉でも声色の違いを直接耳にすることで感情を読み解くヒントに繋がったり、実際の状況に近い練習としても使いやすそうです。教科別サポート方法も!発達に凸凹がある子どもの支援が分かる『小学校特別支援教育 指導スキル大全』発達障害のある子どもは小学校にあがると日常生活だけでなく、国語、算数、理科、社会など勉強で困ってしまう場合があります。教科ごとに必要なスキルが異なるため、学校や家庭での勉強のサポートにも工夫が必要です。この本には日常生活での場面に加えて、教科ごとのサポートのアイデアが沢山載っています。音楽や図工、体育や道徳などバリエーションに富んだ内容になっています。写真や例を沢山用いているため、すぐに実践することができそうです。
2019年04月20日ふだんから、愛情を言葉にして子どもに伝えていますか?言葉で言わずとも、日頃の態度やスキンシップで伝わっているはず……と思っている方も多いのではないでしょうか。愛する気持ちを伝えるのが苦手な傾向にある日本人ではあるけれど、恥ずかしがらずに、子どもの前ではストレートに「大好きだよ」と気持ちを伝えてみましょう。すると、親子間のコミュニケーションだけでなく、意外な部分にも効果がみられるそうなのです。愛情を受け止めている子は、自立心も育つ幼児期に日頃からスキンシップや言葉で愛情を与えてばかりいると、べったりと親離れしなくなると考える人も少なくないと思います。けれどもそれは、実は逆。子どもが社会性を持つには、まず親からの愛情をたっぷりと受け止めている必要があるようです。20世紀半ばに、愛着に関する最初の見解がもたらされたころ、保育園でつぎのような事実が確認されました。親とつながりを持つ子どもほど、一時的な親との別れによりよく対処できることがわかったのです。子どもの母親をよく知っていれば、保育士が信頼できる子守役となるのもたやすくなります。子どもたちは保育士を信用し、二次的な愛着心を抱くようになるのです。(引用元:デズモンド・モリス(2010) ,『デズモンド・モリス子どもの心と体の図鑑』,株式会社 柊風舎.)もしも、保育園や幼稚園に入園するにあたり親離れできない子に困っているのなら、今一度、子どもへの愛情表現を見直してみるのもいいのかもしれません。たとえば、毎朝「おはよう」のあいさつの後にギューっと抱きしめながら「大好きだよ!」と言葉にして伝えるのです。子どもをほめ、たくさん抱きしめて安心させ大げさなほど愛情表現をする母親は、それより感情表現の乏しい母親に比べて、我が子が世界を探検する準備ができていることに気づくでしょう。そっけなく、ぶっきらぼうな母親は、子どもを心細くさせます。(引用元:デズモンド・モリス(2010) ,『デズモンド・モリス子どもの心と体の図鑑』,株式会社 柊風舎.)子どもの社会的、感情的な成長、そして自立には、親からの愛情表現が少なからず影響していると言えそうです。自己肯定感を育むことができるのは「存在承認」生涯学習開発財団認定コーチであり「子育てコーチ」として執筆や講演で活躍中の川井道子さんは、『“言うことを聞かない子”が、おどろくほど変わる!「HAPPYワード」7つの法則』(柏書房)のなかで、言葉かけでは「行動承認」だけでなく「存在承認」を大切にすることを説いています。*存在承認=存在そのものに対する承認「生まれてくれて、ありがとう」「あなたがいてくれるだけで、うれしい」など*行動承認=行動に対する承認「◯◯ができてえらいね」「◯◯してくれたから、大好きよ」など(引用元:川井道子 (2014) ,『“言うことを聞かない子”が、おどろくほど変わる!「HAPPYワード」7つの法則』,柏書房.)ふだん使われているほめ言葉のほとんどは、「行動承認」によるもの。子どもにポジティブな声かけをするときは「テストで満点」「スポーツで1位」など、人より優れた部分をほめることが多いと思います。でも、そればかりが増えてしまうと、子どもは「人より優れていないと認めてもらえないんだ」と感じてしまうようになるのです。でも、特別な「良くできたこと」や「いいところ」が見つからなくても大丈夫。日頃から「存在承認」による言葉かけをすることで、子どもは自ずと自己肯定感を育むことができるのです。「ありのままのあなたを愛している――」具体的には、以下のような言葉が有効だと言えそうです。「いつだって◯◯ちゃんが大好きだよ」楽しんでいるときも悲しんでいるときも、ギュッと抱きしめながら伝えたい言葉です。「生まれてきてくれてありがとう」何ひとつできなくても愛しかった赤ちゃんの頃を思い出して。親でいられることの喜びを伝えましょう。「がんばっているね!」ただ結果を待つのではなく、がんばっている子どものありのままの姿をほめてあげましょう。「結果は気にせず、楽しんでおいで」テストや試合がどんな成績を残したとしても、愛情に変わりがないことが伝わる言葉です。「愛されている自覚」が勉強する姿勢を変えるまた、子どもに愛情を伝えることは、勉強に対する姿勢にも好影響を与えるようです。精神科医で和田秀樹こころと体のクリニック院長の和田秀樹氏は、母親は子どもに対し、勉強するから愛しているのではなく、愛しているから勉強してほしい、というメッセージを伝える必要がある、と言います。「勉強しないとお母さんに嫌われるから勉強する。お母さんが恐いから勉強する」というマイナス感情で勉強させるのではなく、「お母さんは僕のことを愛してくれている。僕が勉強すると、大好きなお母さんがもっと喜んでくれるから勉強する」 というプラス感情の方向に持って行ってあげてください。(引用元:和田秀樹(2013) ,『勉強ができる子に育つお母さんの習慣』,PHP研究所.)何かを学ぶとき、マイナス感情が動機になるよりも、プラス感情が動機となって励むほうがやる気が増してくるのは当然のこと。親の「大好きだよ」「愛しているよ」といった存在承認による声かけが、「もっと頑張ろう!」という励ましにつながっていくのです。小学校も中学年以上になると、親子のスキンシップも段々と減っていくものですが、言葉かけはいくつになってもできるもの。「◯◯ちゃんが生まれてきてくれて本当にうれしいんだよ」、「うまくいかなくても、お母さんが◯◯のことを大好きなのは変わらないよ」というような言葉かけを折に触れ重ねていくことで、子どもの自立心と向上心が育ち、親自身も親子関係を見つめ直すことができるはずです。***大人になって素直な気持ちを口にするのには気恥ずかしさもありますが、言葉にしないと伝わらないこともあるものです。子どもからの「ママ、パパ、大好きだよ」がこのうえない喜びであることと同じように、子どももまた、親からの「大好き」を心から喜んでくれるはず。ぜひ日常生活に「大好き」のセリフを取り入れていきましょう。文/酒井絢子(参考)PRESIDENT Online|子供が見違える「短い声かけフレーズ10」PHPファミリー|親の言葉が子を幸せにする!わが子にプラス言葉のシャワーをAll About|育て直しは何歳からでもできる効果的に伝わる子どもの愛し方デズモンド・モリス(2010) ,『デズモンド・モリス子どもの心と体の図鑑』,株式会社 柊風舎.川井道子 (2014) ,『“言うことを聞かない子”が、おどろくほど変わる!「HAPPYワード」7つの法則』,柏書房.和田秀樹(2013) ,『勉強ができる子に育つお母さんの習慣』,PHP研究所.
2019年04月13日子どもの頃、クラスに「運動も勉強も両方できる、万能型の同級生」が何人かいたという記憶はありませんか?それもそのはず、子どもの学力と運動能力には、相関関係があるといわれているのです。今回は、運動能力と学力の関係や、それらをアップさせるための方法について紹介しましょう。「運動能力」と「学力」には相関関係があるスウェーデンのブンケフロという町の小学校で、毎日体育の授業をするクラスと、週2回体育の授業をするクラスを設けて、運動能力と学力の相関関係についての研究が行なわれました。その結果、毎日体育の授業を行ったクラスは、体育が週2回のクラスに比べて、算数、国語、英語の成績が良かったことがわかったのです。アメリカでも同様の研究が行なわれましたが、やはり同じような結果が出ました。心肺機能・筋力・敏捷性が高い子どもたちは、算数と読解のテストで高得点を獲得。そして、体力的に優れているほど、得点が高くなったそうです。なお、日本でも、文部科学省による小中学校の全国都道府県学力テストの結果と体力・運動能力の調査結果を照らし合わせたところ、「運動ができる子どもは勉強もできる」傾向があることがわかっています。やはり「運動」と「勉強」には相関関係があるとみて間違いないようです。文武両道な子どもの特徴3つまた勉強も運動も得意な子どもには、以下のような特徴がみられることが多いといわれています。【特徴1:よく歩いている】フィンランドの調査によると、毎日たくさん歩く子どもは、ストレスに対する抵抗力が高くなり、勉強や宿題を最後までやり通すことが苦にならないといわれています。そのため、毎日の徒歩通学やウォーキングは、子どもの学力向上にも良い影響があるのです。【特徴2:朝食をとる習慣がある】文部科学省の調査によると、朝食をとっている子どもほど、テストの点数が高くなるといわれています。また、農林水産省の調査でも、毎日朝食を食べる子どもは体力合計点が高いとされています。勉強や運動で能力を発揮するためには、そのエネルギーとなる朝食が欠かせないといえるでしょう。【特徴3:何度も繰り返し学べる】例えば、漢字の読み書きや計算方法を覚えることと、ボールの投げ方を覚えることは、一見まったく違う分野に見えます。しかし、いずれも何度も繰り返すことで、脳から神経に「こうすれば、この漢字が書ける」「こうすれば、ボールがまっすぐ投げられる」という電気信号が発信されるという仕組みになっているのです。そのため、繰り返して学ぶことができれば、運動能力と学力ともに伸ばすことにつながります。「運動能力」「学力」をともに伸ばすための方法運動能力と学力をともに伸ばすためには、以下のような取り組みが効果的です。■心拍数が増える有酸素運動をする脳の記憶中枢として働く海馬や、情報伝達を担うケーブルの集合体である白質は、運動によって刺激を受けることで成長することがわかっています。また、身体を動かした直後は集中力が高くなることも立証されています。記憶力と情報伝達能力、集中力を向上させるためには、心拍数が1分間で最大150回まで上がるような有酸素運動が効果的。具体的には、なわとびやボール遊び、かけっこなどに取り組んでみましょう。■“ちょこっと運動” を取り入れる前述したように、身体を動かすと、その後集中力がアップします。そのため、子どもが宿題などをしているときに集中力が途切れてきたと感じたら、宿題はいったん中断して身体を動かしましょう。数分でできるラジオ体操などを取り入れるのもおすすめです。合間に運動を挟んで集中力を高めることで、集中すべき場面とそうでない場面の切り替えがうまくできるようになることも期待できます。■集団で行なうスポーツに挑戦させるサッカーや野球、バレーボール、バスケットボールなど、集団で行なうスポーツでは、それぞれの考えを持つチームメンバーの中で自分の意見を主張したり、他のメンバーの意見を理解したり、自分よりもレベルの高いメンバーにライバル心を燃やしたりといった、さまざまな場面があります。こうした経験は、子どもの思考力や共感力、社会性の向上にもつながります。また、「みんなで協力してひとつの目標に向き合い、悲しみや喜びを分かち合う」「熱中できるものがある」という経験は、子どもにとって一生の思い出にもなります。***現代の子どもは、交通手段の発達や公園などの減少などにより、身体を動かす機会が限られています。そのため、意識的にスポーツなどを取り入れる必要があります。親子でスポーツを楽しみ、学力・体力の向上につなげましょう。文/田口るい(参考)農林水産省|1 子供の基本的な生活習慣の状況東洋経済オンライン|子どもの学力と体力の知られざる深い関係学研キッズネット|子どもが伸びる家庭の10の習慣第6回スポーツができる子は勉強もできる!?プレジデントオンライン|なぜ頭のいい人は「運動」が好きなのかベネッセ 教育情報サイト|学力も体力も生活習慣が左右!?ベネッセ ウィメンズパーク|第1回 子供の成長と運動の関係 – スポーツキッズの体と心を応援!
2019年04月01日勉強や習い事、お手伝いなどのさまざまな場面で、「子どものやる気がない」「どうしたらやる気を出してくれるのだろう?」と思い悩んだことのある親御さんは多いのではないでしょうか。事前に約束をしたり、繰り返し言い聞かせたりしても一向にやる気を出さない子どもに対して、つい頭ごなしに怒鳴ってしまうこともあるかもしれません。しかし、子どものやる気を引き出すのは、コツさえつかめば大人のやる気を引き出すよりもスムーズです。今回は、子どもと大人のやる気メカニズムの違いや、子どものやる気を引き出すポイントについて解説していきます。子どもの「やる気」を引き出しやすい理由本来、子どもはやる気に満ちあふれています。子どもは大人に比べ、さまざまな事柄に対して経験値が浅いため、日々の生活の中で新しい発見や感動につながることが非常に多いのです。例えば「昨日よりも長い距離を歩けた」という経験は、子どもにとって大きな喜びになります。大人にとっては記憶にも残らないような出来事でも、子どもにとっては印象的で大きな意味を持つ変化であり、成功体験なのです。こうした経験は、脳の奥にある大脳基底核の一部で運動の開始・持続・コントロールなどにかかわる線条体を活性化させ、子どものやる気を大きく引き出します。一方、大人の場合は、これまでの人生経験や知識から、物事に対して現実的になりやすい傾向があります。そのため、子どものように生活におけるさまざまな変化を楽しんだり、刺激を受けたりすることが少なくなるのです。また、大人になるにつれて過程よりも結果を重視される機会が多くなります。よって、経験や行動と快感を結びつけてやる気を呼び起こす線条体への刺激が少なくなり、大人は子どもに比べてやる気を引き出すのが難しいともいえます。やる気が起こる要因は2種類あるけれど……やる気が起こる要因は、心理学的に「外発的動機づけ」と「内発的動機づけ」の2種類に分けられます。どちらも “やる気のもと” ですが、どうやらやる気を出すための引き金が違うようです。それぞれについて説明しましょう。【外発的動機づけ】環境や状況、人や結果といった、外的要因からやる気を起こすこと。例えば、エアコンやフリードリンクといった快適な環境が用意されている、締め切りや試験が明日に迫っている、怖い上司や先生に監視されている、結果を出せば給料アップやご褒美が約束されているなどの理由があって仕事や勉強のやる気が出たというのは、外発的動機づけによるものです。【内発的動機づけ】ある物事の変化や発見、学びや成長から喜びを得て、自分自身でやる気を起こすこと。外発的動機づけとは違い、メリットや報酬など関係なく「これがしたい」という気持ちから、何らかの行動を起こします。内発的動機づけをきっかけとした活動は、外発的動機づけがきっかけになっている場合に比べて、本人が充実感を覚えやすく、持続性があるといわれています。では、子どもたちの「やる気」を出させるためには、どちらの動機づけを利用すればいいのでしょう?人間はやらなければならないことに対し外発的動機づけを用いると、その持続性が下がってしまうということがわかっています。逆に、内発的動機づけを用いたときは、その行動が続きやすくなるのだそう。やらなければいけないことを「勉強」とした場合、つまり、以下のようになります。■内発的動機づけを用いる→勉強が続く!■外発的動機づけを用いる→勉強が続かない……子どものやる気を引き出し継続させるには、内発的動機づけを用いた方が良いでしょう。内発的動機づけで地頭が良くなる!?内発的動機づけによる子どものやる気を引き出すためには、以下の声かけが有効です。■結果ではなく過程を褒める大人になると、物事を結果だけで判断しがちです。そのため、子どもをつい「できたのか、できなかったのか」だけで見てしまうこともあるでしょう。内発的動機づけには、結果よりも過程を楽しむことが重要なので、子どもを褒める際には結果だけでなく過程にも着目してみましょう。例えば、テストで100点が取れなくても、前回より1点でも上がっていたら、そのことをしっかり褒めます。かけっこで勝てなかったとしても「毎日公園で練習を頑張ったもんね。前より速くなったていたよ!」など、以前に比べて成長したことや頑張れば結果が変わることの楽しさや喜びを伝えると、子どものやる気につながります。■子どもが興味を持ったことを肯定する子どもは、自分が興味を持ったことを親が肯定してくれると、自分自身が肯定されたようなうれしい気持ちになります。子どもが何かに興味を持っているということは、すでにそれに対するやる気が芽生えている証拠であり、親がそれを肯定的に捉えることで、やる気がどんどん引き起こされるのです。「ダンゴムシがこんなところにいるなんて、よくわかったね。別の場所も探してみようよ」など、子どもが「もっと知りたい」と思うような声かけをしてみましょう。子どものころの「興味を追究する経験」は、地頭も鍛えられますし、その後の学習姿勢にもかかわってきます。夢中になって図鑑を読むうちに語彙も増え、読めない漢字が読めるようになっているかもしれませんよ。***子どもは、やる気次第でびっくりするほどの成長をみせることもあります。子どもならではの伸びしろを無駄にしないよう、親は子どもの興味ややる気を伸ばすためのサポートを心がけましょう。文/田口るい(参考)coFFee doctors|変化に気づく子ども、結果にこだわる大人~子どものやる気を伸ばすには?~東洋経済オンライン|子どもの「やりたくない」をやる気にする秘訣東洋経済オンライン|子どものやる気に”着火”させる2つの方法ホウドウキョク|子どもの“やる気”はどう作る? 自主性を引き出すための“声かけ&質問”を学ぼうベネッセ教育情報サイト|「原因追究」が子どものやる気を奪う?[やる気を引き出すコーチング]プレジデントオンライン|脳を騙して「4倍働いて2倍遊ぶ」方法Study Hacker|やる気が続かない?学習を持続できる『自己効力感』の高め方Study Hackerこどもまなび☆ラボ|知的好奇心がぐんぐん伸びる!東大生の多くが経験している「ハマり体験」とは
2019年03月24日勉強であれスポーツであれ、意欲的に取り組める子どもになってほしい、子どもの「やる気」を引き出したいと願う親御さんは多いでしょう。でも、なかなか親の思い通りにはならないのが子どもであり、現実です。そこで、子どもの自主性・自立性を引き出す独自の授業で注目を集める、東京学芸大学附属世田谷小学校教諭・沼田晶弘先生に、子どものやる気を引き出すためのアドバイスをしてもらいました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)誰でもやる気にさせる魔法の言葉は存在しないこう言ってしまうと元も子もないかもしれませんが……「この言葉をかけたら子どもがやる気になる」というような魔法の言葉は存在しません。「やる気スイッチ」という言葉が、それこそスイッチを入れるように簡単に子どものやる気を引き出す方法があると誤解を与えているのでしょうね。やる気というものは、コップに水が少しずつ溜まっていくように徐々に蓄積していくもの。その水を溜めるには、日頃から子どもと関わり、声かけをするなどまめにコミュニケーションを取るしかありません。そうして徐々に溜まった水がコップいっぱいになり溢れはじめると、ようやくやる気も溢れ出すという状態になるのです。しかし、具体的にどんな声かけをすればいいのかというとひとことで表現するのはとても難しい。というのも、子どもにはそれぞれに個性がありますし、万能に効く言葉はこの世に存在しないからです。僕の場合であれば、ときには褒めるし、ときには叱るというやり方をします。また、しっかり信頼関係が築けている子どもが相手の場合、「もっとできるだろう、そんなものか」と、発破をかけるようなこともあります。子どものプライドを刺激してやる気を引き出すというわけです。このような場合には、言葉のチョイスは慎重にしなくてはいけません。もちろん、信頼関係を構築するために、日頃から密なコミュニケーションを取っておく必要がある。多くの教員は教室にある自分の席で給食を食べますが、僕は子どもたちのなかで一緒に食べるようにしています。そういった場面では本当にくだらない話もしながら、子ども一人ひとりの性格やキャラクターを把握するのです。自分の子どものやる気を引き出すには、どんなコミュニケーションをするべきか――。親御さんがつねにその意識を持ってお子さんに接してください。そうすれば、自然とかけるべき言葉が見えてくるはずです。子どもが持つプライドが、内発的なやる気を生み出す親御さんにお伝えしておきたいことのひとつに、いわゆるご褒美を頭ごなしに否定しないでほしいということがあります。子どもに限らず、大人でもただ「やる気になりなさい!」と言われてそうなれるものじゃありませんよね(苦笑)?子どもがやる気になることが重要だと思うのなら、やる気を引き出すご褒美を否定するべきではないと思うのです。ご褒美を嫌う親御さんは、「ご褒美で起こしたやる気なんてすぐになくなる」と考えます。たしかにそれには一理あるかもしれない。でも、子ども自身の内側からやる気がみなぎるのをただ待っているだけではなにも変わりません。そうではなくて、ご褒美で出させたやる気が消える前に、内発的にやる気が生まれるように変える必要があるのです。いわばこれは、バーベキューのときの着火と同様の原理です。ご褒美は最初に火をつける新聞紙のようなものだと考えてください。そこに新聞紙をただどんどん足していくだけでは、肝心の炭には火がつきません。炭に火をつけるのが目的だとわかっていれば、新聞紙をどう使えばいいのかがわかるはずなのです。ご褒美否定派の人は、それこそ勝手に炭に火がつくのを待っているだけの状態……。それでは、なかなかやる気を引き出せるものではありません。では、ご褒美という新聞紙でどのように炭に火をつけるのか。それは、先に少しお伝えしましたが、「プライドを刺激する」ということに尽きます。内発的にやる気を生み出すものは、その子が持つプライドしかないといっていいかもしれません。家庭教育にもゲーム的要素を取り入れるこれらのことは、僕がクラスでやっている計算トレーニングに臨む子どもたちを見ていてもよくわかります。そのトレーニングでは、ある条件を満たせばシールをもらえるルールにしています。でも、トップクラスの子どもたちは、続けているうちにシールなんてほしがらなくなってしまいました。では、なにをほしがるのかといえば、「記録」(計算時間)なのです。そういう子どもたちは、すでに自分との戦いという領域に入っていて、内面からどんどんやる気が溢れているような状態にあります。なぜそうなったのかといえば、「もうこのレベルまで到達したら、シールなんかのためじゃないよな!」なんていって、僕がたきつけたからです。そういうことを繰り返してきたことで彼らのモチベーションは一気に上がり、いまや誰にいわれるでもなくとんでもない量の計算を毎日しています。「この子たちは遊びが嫌いなのかな?」なんて心配になるほどに(笑)。このようにして内発的なやる気が生まれるようになれば、当然、勉強の成果も飛躍的に上がります。計算トレーニングをはじめた当初、10分で問題の半分も終えられなかったある女の子は、いまは1分以内にすべての問題を終えるようになりました。家庭では、クラスのライバルのような競争相手がいないので、プライドを刺激するということはやりにくい部分もあるかもしれません。それでも、お父さんやお母さんが競争相手になるとか、ゲーム的な要素を取り入れてプライドを刺激する、やる気を引き出すということはできるのではないでしょうか。『家でできる「自信が持てる子」の育て方』沼田晶弘 著/あさ出版(2018)■ 東京学芸大学附属世田谷小学校教諭・沼田晶弘先生 インタビュー一覧第1回:子どもの「内発的なやる気」を引き出す、たったひとつの方法。第2回:「早くしなさい!」と言わないためには?着替えの時間の『ドラえもん』が効果大な理由(※近日公開)第3回:「褒める」にひそむ意外な盲点。本当に褒めるべきこととそうでないことの違い(※近日公開)第4回:「典型的ないい子」を育てるよりも大切な、伸ばしてやるべき子どもの「考える力」(※近日公開)【プロフィール】沼田晶弘(ぬまた・あきひろ)1975年9月19日生まれ、東京都出身。東京学芸大学附属世田谷小学校教諭。学校図書生活科教科書著者。東京学芸大学教育学部卒業後、インディアナ州立ボールステイト大学大学院で学び、インディアナ州マンシー市名誉市民賞を受賞。スポーツ経営学の修士課程修了後、同大学職員などを経て、2006年から現職。児童の自主性・自立性を引き出す斬新でユニークな授業が読売新聞に取り上げられ話題となる。教育関係のイベント企画を多数実施する他、教育関係だけではなく企業向けの講演も精力的におこなっている。著書に『「変」なクラスが世界を変える! ぬまっち先生と6年1組の挑戦』(中央公論新社)、『子どもが伸びる「声かけ」の正体』(KADOKAWA/角川書店)、『ぬまっちのクラスが「世界一」の理由』(中央公論新社)、『「やる気」を引き出す黄金ルール 動く人を育てる35の戦略』(幻冬舎)など。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年03月20日そろそろ子どもに学習習慣をつけさせたいと考えているなら、朝の時間を勉強タイムにしてはいかがでしょうか。「早起きは三文の徳」と言いますが、脳のはたらきも朝が最も活性化しているようです。今回は、朝学習を取り入れるにあたって、お子さんの年代に合わせたおすすめ勉強法をご紹介します。また、「朝が弱く、すっきり起きられない」「親は朝学習に付き合う必要があるか」など、朝学習を続けるうえで気になるお悩みも解決します。すでに小学生のお子さんでなかなか勉強の習慣が身につかず、この先が不安な親御さんも必見ですよ。朝は脳の「ゴールデンタイム」!早朝から集まって朝食を取りながらミーティングを行なうパワーブレックファストや、観光や寺院巡り、サーフィンなどを楽しんでから会社へ向かうエクストリーム出社など、ここ数年は朝時間を活用する動きが盛んです。このような朝時間の活用は、脳科学においても有効だとわかっています。脳科学者の茂木健一郎氏は、脳のゴールデンタイムについて以下のように話しています。私たちは日中の活動を通して、目や耳からさまざまな情報を得ています。その情報は大脳辺縁系の一部である海馬に集められ、短期記憶として一時的に保管されます。その後に、大脳皮質の側頭連合野に運ばれますが、この段階では記憶は蓄積されているだけです。それが睡眠をとることで、記憶が整理され長期記憶へと変わります。すると朝の脳は前日の記憶がリセットされるため、新しい記憶を収納したり、創造性を発揮することに適した状態になります。この脳の仕組みが、朝の時間がゴールデンタイムだと言われる理由です(引用元:THE21 ONLINE|脳科学者が勧める「朝時間」の使い方)※太字は編集部で施した朝、目覚めたばかりの脳が、1日のうちで最もぐんぐん情報を吸収して新しいことを考えだせるとしたら、この時間帯を上手に使わない手はありませんね。小中学校の約7割が、読書や勉強などの朝学習を実施脳のゴールデンタイムを使った活動は、公立の小中学校でも広く行われているようです。1時間目が始まる前の10~15分くらいを使い、「朝学習」「朝学」のような名前で、子どもたちはドリル学習や読書などを行なって朝の時間を有効に活用しています。文部科学省の教育課程部会が調査した結果によると、平成26年度の実績では、公立の小学校で74.8%、中学校では64.8%が短時間の朝学習を取り入れています。小学校では、そのうちの約半数が朝学習を週に5日行なっていて、「読書」「漢字」「計算」のほか、最近はゲームやチャンツなど音声中心の外国語活動を取り入れているところもあるようです。また、朝学習で得られる効果や成果については、次のように報告されています。目的・効果・成果(小学校)○ 目的として考えるものについては、9割程度の学校が「繰り返し学習による基礎的な知識・技能の定着を挙げており、6割程度の学校が、「朝学習を通じた児童の一日の生活リズムの定着」を挙げている。○ 「短時間学習により、指導の成果や児童の変容がみられたか」という質問に対し、「とてもみられた」または、「みられた」と回答した学校は9割を超える。○ 具体的な成果や変容については、9割程度の学校が「基礎的な知識・技能が身についた」を挙げており、6割程度の学校が「児童の一日の生活リズムが整うようになった」と回答している。(引用元:文部科学省|公立小学校・中学校における短時間学習の実施状況(平成26年度実績))朝の10~15分というわずかな時間でも、繰り返しの学習で知識やスキルの定着のほか子どもたちの生活リズムが整っていることが実感されているようです。年齢別にみた「最適な朝学習」の内容と時間脳は朝から午前中にかけて、前日の情報が整理されてクリアになっている状態なので、考える力が求められることや集中力が必要なことに適しています。ただし、目が覚めてすぐの時間帯は、脳もまだしっかり起きていません。あれこれ複雑に考えなければならない勉強ではなく、音読や計算問題などで脳のウォーミングアップをするのがいいようです。お子さんの年齢に合わせて次のような学習を取り入れてみてはいかがでしょうか。<小学校入学前>入学前に覚えられるようにと、ひらがなや数字の練習をさせたくなりますが、まずは「朝起きたら声を出す、手を動かす」ことから始めましょう。お子さんが好きな絵本があれば親子で音読をするのもいいですし、塗り絵や迷路、仲間見つけなどで楽しく学べる幼児向けのステップアップドリルもおすすめです。毎日少しずつドリルを進めていくと、達成感が得られ、明日も頑張ろうというやる気も起こります。ときには、カルタやパズルで学びにつながる遊びを取り入れてもいいですね。<小学低学年(1~2年生)>音読は、読解力を身につけるためのトレーニングとして効果的ですし、朝一番に声を出すことで脳と体が目覚めます。国語の教科書から、学習している単元の文章を音読してもいいですし、小学校低学年用の読み物を音読してもいいですね。ほかには、学校で習った内容の復習時間にするといいでしょう。宿題で漢字ドリルや計算ドリルの学習が出されていたら、1週間前にやったところや、ひとつ前の単元に戻ってやってみます。すでに済んだところは復習したがらないというお子さんもいるかもしれません。そんなときは、ドリルの問題を逆から進めたりパパやママがランダムに「次は○番!」と指定したりすると、おもしろがってくれますよ。朝学習にかける時間は個人差が出る部分ですが、習慣化していくことを考えると5~30分を目標にすると良さそうです。日によっては、5分、10分を確保するのが精いっぱいということもありますが、朝学習に取り組めたことを認めて褒め、子ども自身が達成感を得られるようにしましょう。また、毎日朝学習を続けていると、その子の中で「型」ができてきます。そして、その「型」が崩れると気持ちが悪いのです。歯を磨いたりお風呂に入ったりするのと同じように、「朝の勉強」をしないと、なんだか気持ちが悪くなるのだそう。そうなったらしめたものですね!朝学習の「困った!」こんなときは、こんなふうにとはいえ、朝学習をしようと親子で決めても、毎日続けるのは大変なことです。大人でさえ、早く起きられない日や気乗りしないこともあるので、当然ながら子どもにもそんな日はあります。朝学習を始めて直面する「困った!」には、どのように対処すればよいでしょうか。●朝、起きられない!朝起きられないことには朝学習も進みません。早めに就寝して、十分な睡眠時間を確保しましょう。朝学習へと一足飛びに進まず、まずは生活リズムを早寝早起きパターンに整えることから始めます。●朝せっかく起きたのに、ボーっとしている目が覚めるのは予定通りの時間でも、起きてからボーっとしていては朝学習の時間を取る前に登校時間が迫ってきます。そのようなときは、朝の日光を浴びる、家の中をぐるぐる歩く、歯を磨いて顔を洗う、音読で声を出すなど体を動かすと目が覚めて頭もスッキリしてきます。●朝は忙しく、子どものそばにいてやれない朝学習が習慣化するまでは、なるべく近くで見届けると、子どものやる気も出やすく、やり遂げることで自信や達成感を得られます。朝は忙しく十分に時間が取れないという家庭であれば、リビングやダイニングテーブルで朝学習をさせながら、目の届くところで朝食や出勤の準備をしながら見届けてもいいでしょう。小学校入学前のお子さんは、朝の30分を学習時間に使えるように起きるところからスタートになる子が多いかもしれません。なかなかスムーズに進まなくても焦らず、子どもの頑張りを応援する気持ちでいることが大切です。***朝学習の良いところは、曜日に関係なく一定の時間を確保しやすいことです。習い事や塾があって、夕方の時間帯はコンスタントに学習時間を取りにくいというお子さんにもオススメの勉強法といえるでしょう。(参考)THE21 ONLINE|脳科学者が勧める「朝時間」の使い方東京法経学院|朝は「脳のゴールデンタイム」!朝に勉強をするのが効率的な理由とは文部科学省|公立小学校・中学校における短時間学習の実施状況(平成26年度実績)ベネッセ教育総合研究所|第4回学習指導基本調査 第2章 教育課程外の時間Study Hacker|勉強する時間帯のゴールデンルール。効率よく勉強できる時間帯をまとめて紹介!Study Hacker|朝の勉強で脳は冴えわたる。メリットだらけの朝勉を続ける3つのコツAll About|「朝勉強」のススメ~朝は勉強のゴールデンタイム~Study Hackerこどもまなび☆ラボ|1日5分から始めよう!毎日続けることで自己肯定感が高くなる「学習習慣」のコツ
2019年03月18日「学力」とは、「教育を通じて獲得した力」です。一般的には、「どれだけ勉強ができるかを示す力」といっていいでしょう。文科省がおこなっている学力調査などは、まさにその意味で使われているものです。しかし、育児や教育に関する執筆活動の他、各種メディアで活躍する教育ジャーナリストのおおたとしまささんは、「『本質的な学力』とは『どう生きていくか』を考える力」だと語ります。構成/岩川悟(slipstream)取材・文/清家茂樹(ESS)写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)勉強をし過ぎる子どもと全然しない子どもいま、小学生を見ていて問題に感じるのは、勉強をする子どもとそうではない子どもの差が開き過ぎているということです。これは中学受験に付随する問題でもあります。いまの中学受験は競争が過酷ですから、受験をするとなるとすごく勉強をしなければなりません。一方、中学受験をしないと決めた子どもは、逆に勉強を全然しなくなる傾向にあるように感じます。人間形成のためか、あるいはいわゆる後伸びする力を養うためか、「子どもの頃にはできるだけ遊んだほうがいい」という意見もあります。でも、その遊びがただゲームをするだけだったり、スマホをいじるばかりだったりというものであれば問題でしょう。もちろんずば抜けて勉強ができる必要はありませんし、教科書を丸暗記するような必要もない。でも、教科書に書かれていることを筋道立てて理解し、小学校で得るべき基礎学力を身につけておかなければ、その子どもの後々の人生は厳しいものになるはずです。それこそ、中学受験はしなくても、高校受験や大学受験の場面で壁にぶつかることになるでしょう。基礎学力や学びの姿勢がなければ、そういうときに手にしようとするのは「付け焼き刃の学力」でしかないのです。つまり、高校入試や大学入試という目的をクリアするためだけの「間に合わせの学力」です。もちろん、それで目的を達成できれば問題はないかもしれません。ただ、付け焼き刃の学力だけしかない場合と、それとは異なる「本質的な学力」を身につけている場合では、その後の人生は大きく変わってくるはずです。「教養」が世界での自分の生かし方を示すでは、「本質的な学力」とはどんなものでしょうか。それは、ふたつの要素にわけられるとわたしは考えています。ひとつは「教養」。もうひとつは、「学び続ける力」です。教養とは、「さまざまな学問の観点から世のなかを見る目を養うこと」です。ここではひとつの卵を例にしましょう。家庭科の観点からなら、卵を使ってどんな料理がつくれるのかという見方になる。栄養学の観点なら、黄身にはビタミンが多くて白身にはタンパク質が多いといった見方になるでしょう。理科なら、この卵がニワトリのものなのか別の生き物のものなのかを見分けるための方法を考える。社会科なら卵の値段が決まった理由を考えるかもしれないし、数学なら卵の容積を求めたり、殻が描く放物線を数式で表す方法を考えたりするかもしれません。ひとつの卵というものも、いろいろな学問の観点、角度から光を当てることによってその本質が立体的に見えてきます。「教養を得る」ということは、そういうふうにさまざまな視点に立つことで、ものごとをより正確に捉えられるようになることなのです。そうして教養を得ると、自分が置かれている世界を正確に把握し、そのなかで自分をどういうふうに生かしていくのかと考えられるようになっていきます。つまり、自分が「どう生きていくのか」を判断できるようになるのです。これは「学ぶ意味」でもあり、もはや付け焼き刃の学力とはまったく別のものですよね。そして、教養が身についていれば、日常のなかで、「あ、こういうことも学ばないといけないな」と新たな課題を次々に見つけることもできるはずです。そういう意味では、「学び続ける力」も教養に含まれると考えることもできるかもしれません。抽象的思考を高めるのは幼いときの「具体的体験」子どもに本質的な学力、つまり教養を身につけさせたいのであれば、幼い頃から「具体的な体験」をできるだけたくさんさせることが重要です。11歳くらいまでは、人間は抽象的な思考を苦手としています。だから、小学生のうちは「りんごがいくつでみかんがいくつ、合わせていくつでしょう?」というふうに、目に見えるもの、手で触れられるものを使って学びます。でも、中学生以降になると、抽象的思考ができるようになる。「x」や「y」という概念上の数字を使って表す方程式を理解するようになります。抽象的思考では、りんごやみかんのような具体物を使いません。でも、頭のなかでは抽象的なものを具体物と同じように操作しています。そして、小さい頃に具体物に触れた体験が豊かであればあるほど、抽象的思考がより得意になるのです。そのために、小さい子どもにはできるだけさまざまな体験をさせてあげてほしいと思います。また、高校受験や大学受験を見越した実利的な面からわたしの意見を述べると、やはり小学校の低学年のうちに学習習慣を身につけさせておくべきです。先にお伝えした、「学び続ける力」にも通じるものですが、受験で成果を出すにも、結局は「自ら学ぶ」姿勢が必要だからです。そのためには、学校で出される宿題以外に、ほんの少しでもいいから別の勉強をすることを子どもの習慣に組み込んでみてください。内容は本当になんでもOKです。市販のドリルをやってもいいし、新聞を読んで気になった記事に対する感想を書くということでも、虫が好きな子どもなら自分で虫図鑑をつくるというプロジェクト型のものでもいいでしょう。そして、それらをやる時間は本当に短くてもいい。1日に10分の「自ら学ぶ」習慣がついていれば、その10分を30分や1時間に伸ばすことができます。でも、ゼロを1にすることはものすごく大変です。自ら学ぶ習慣がないまま大人になると、その後の人生が充実したものでなくなる可能性が高いことは、簡単に想像できますよね。『中学受験「必笑法」』おおたとしまさ 著/中央公論新社(2018)■ 教育ジャーナリスト・おおたとしまささん インタビュー一覧第1回:過当競争極まれり。難関中学への“逆転入学”が子どもに弊害をもたらしている第2回:「間に合わせの学力」では人生厳しい。「本質的な学力」を伸ばす“1日10分”の学び第3回:学力は人並程度あればいい。「新たな時代」を生き抜くためには“3つの力”が必要だ(※近日公開)第4回:「教育虐待」のやっかいな実態。今の子どもには“決定的に足りない”時間がある(※近日公開)【プロフィール】おおたとしまさ1973年10月14日生まれ、東京都出身。教育ジャーナリスト。麻布中学校・高等学校卒業、東京外国外大学英米語学科中退、上智大学外国語学部英語学科卒業。株式会社リクルートを経て独立し、数々の育児誌、教育誌の編集に関わる。心理カウンセラーの資格、中学高校の教員免許を持っており、私立小学校での教員経験もある。現在は、育児、教育、夫婦のパートナーシップ等に関する書籍やコラム執筆、講演活動などで幅広く活躍する。著書は『受験と進学の新常識 いま変わりつつある12の現実』(新潮社)、『名門校とは何か? 人生を変える学舎の条件』(朝日新聞出版)、『ルポ塾歴社会 日本のエリート教育を牛耳る「鉄緑会」と「サピックス」の正体』(幻冬舎)など50冊を超える。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年03月12日入学や進学で環境が変わるこの時期。「新しい環境になじめるかな?」「勉強についていけるかな?」と心配事を抱えて不安でいっぱいになっていませんか?親の不安な気持ちは、子どもにも伝わるもの。親御さんご自身が余裕をもって新しい環境を迎えるためには、どうしたら良いのでしょうか。まずは自宅でできることとして、少しずつ知育アイテムを取り入れることから始めてみましょう。次第に子どもは好奇心が刺激されて、不安な気持ちが小さくなっていくはずです。新しい環境や勉強に対する不安より、「はやくたくさんのことを知りたい!」という期待のほうが大きくなれば、新生活への心配事も吹き飛ぶのではないでしょうか。今回は、子どもの勉強意欲や知的好奇心を自然と高めてくれるアイテムを家庭の中に取り入れるコツをお教えします。子どもの能力を伸ばすとっておきのアイテムとは?賢い子の家にあるものと聞いて何を思い浮かべますか?よく言われているのは、『図鑑』『地図』『地球儀』ですね。なぜ、それらが家にあると、子どもの能力を伸ばすことができるのでしょう。図鑑、地図、地球儀は、どれも子どもの頭に浮かんだ「?」を解決するのを手助けするアイテムです。しかし現代では、「知りたいことを知るため」「情報収集のため」だけであれば、インターネットで充分ですよね。では、今あえてこれらのアイテムを家に置いておく意味とは一体何なのでしょう。なぜ図鑑や辞書や地図がいいかといえば、編集者が情報をきちんと整理して、必要なものを目立たせてくれているからです。(中略)想定される読者とその背景を理解して、どう届くかということを編集者が考えてまとめてくれたものが辞書、図鑑、地図。気づきを生みやすい情報を集合させて、わかりやすいかたちで整理してくれている本の力は、インターネットでは置きかえられません。(引用元:WEDGE Infinity|頭がいい子の家のリビングに辞書・地図・図鑑があるのはなぜ?)そう述べるのは、『頭がいい子の家のリビングには必ず「辞書」「地図」「図鑑」がある』(すばる舎)の著者・小川大介氏です。つまり、あらかじめ図鑑や辞書などの紙で得た知識があるからこそ、インターネットという玉石混交の情報の渦の中に飛び込んでも、情報を取捨選択することができる、というわけです。また、30年以上にわたり難関中学・高校受験指導を行ってきた家庭教師の西村則康先生は、たくさんの家庭にお邪魔するうちに気づいたことがあるそうです。それは、「できる子の家庭は、意外と散らかっている場合が多い」ということ。「お母さんが一生懸命片付けても、子どもの好奇心が勝ってリビングにモノが転がり出てしまっているんです。たとえば、リビングの中心に地球儀が出してあって、それがほこりをかぶっていなければ、「この家の子は地理に興味があって、しょっちゅう眺めているのだろう」と判断できます」と西村先生が言う通り、せっかく買った図鑑も地球儀も、実際に使わなければ何の意味もありません。「ただ置いてあるだけ」ではなく、日常の生活の一部として家庭に馴染ませることが大切なんですね。図鑑・地図・地球儀は小学校の授業で必ず役に立つ!次に、それぞれのアイテムがもたらすメリットについて、より具体的にご紹介します。「本当にいつか役に立つのかな?」と半信半疑の親御さんも、きっと安心できるはずですよ。■図鑑16万人の脳画像を見てきた脳医学者・瀧靖之先生は、著書『「賢い子」に育てる究極のコツ』(文響社)の中で、「成績が伸びていった子は幼い頃から図鑑が大好きで、よく見ていた」と述べています。そして、伸びる子の親は、図鑑を使って子どもの好奇心を上手に刺激していることがわかっていて、それは脳科学の観点からも理にかなっていると説きます。本を読むときは、脳の中でも、「言語野」と呼ばれる「側頭葉」や「前頭葉」などの部分が活性化します。それに加え、図鑑は必ず画像(写真やイラスト)をともないますから、図形認識や空間認知を担う領域など、言語野以外の複数の脳の領域も同時に活性化できます。脳の刺激という面だけで考えても、「図鑑は子どもの脳にいい」ということがわかるでしょう。(瀧 靖之(2016年),『「賢い子」に育てる究極のコツ』,文響社.)また、図鑑の題材の多くは自然科学なので、理系の能力を伸ばすアイテムとしても最適です。たとえば、就学前に魚の図鑑を眺めていて「エラ呼吸」という言葉が目に入ったとします。その時点ではよく意味がわからなくても、小学校6年生の理科で呼吸について習ったとき、「あ!図鑑に出てきた!」という気づきにつながります。このように、「自分はこれを知っている」という自信は、確実に子どもの学習意欲を高めるでしょう。■地図今、子どもの行動力や空間認識力が低下傾向にあることが問題視されています。大人である私たちも、スマートフォンや車のナビゲーションシステムの発達により、音声案内のおかげで地図を読まずに目的地までたどり着くことが可能になりました。しかし、どんなに時代が変わっても「地図が読めること」は、生きていくうえで必要不可欠な能力であり、もちろん学校教育でもしっかりとカリキュラムが組まれています。小学校1・2年生は、生活科の授業において地図を読むための基礎的な力を養います。学校探検や通学路探検、学区内探検を通じて簡単な絵地図などを書かせることで、身近な場所について認識します。小学校3年生からは、本格的に社会科の授業が始まります。地域における社会的事象や地形といった深い知識を学ぶために、地図の見方や記号などを認識し、具体的に活用しながら学習に活かします。また、地図を作成することで空間認識力を養います。生活科の授業に比べて、学ぶ範囲は身近な地域→市区町村→都道府県→世界へと広がります。■地球儀「百ます計算」に代表される陰山メソッドで有名な教育者・陰山英男先生が「子どもの知的好奇心を刺激し、満たすのに地球儀は最適」と太鼓判を押すほど、地球儀は子どもの学びの可能性を広げてくれるアイテムです。一言で地球儀と言っても、基本的なものから付属のタッチペンで音声情報を聞くことができるものまで、今はさまざまな種類が展開されています。お子さんの興味をそそるものを一緒に選んであげましょう。小学校の授業に地球儀が登場するのは5年生から。それまでに、地球儀を身近な遊び道具として生活の中に取り入れることで、小学校高学年からの学習にもスムーズに入っていけるはずです。親が家庭でできること最後に、これらのアイテムを上手に活用するために親ができることについて考えていきましょう。■はじめての図鑑にはワクワク感を!前出の瀧靖之教授は「3~5歳頃に訪れる『なぜなぜ期』には、ぜひ図鑑を活用して子どもの好奇心を思考力に結びつけましょう」と述べています。初めて図鑑に触れさせるときに重要なのが、「図鑑には知らないことがたくさん詰まっていて、ページをめくれば世界が広がって楽しい!」と実感することであり、それを親と共有することです。■図鑑から実体験へとつなげる子どもが図鑑を見て目を輝かせていたら、その内容に関する体験をさせてあげるといいでしょう。恐竜なら博物館、魚なら水族館……図鑑と現実が結びつくと、知識はより強固になります。■地図を貼るならリビングに子どもの目線に合う位置に地図を貼ることで、リビングでリラックスして過ごしているときにも、無意識に目に入ってきます。すると、地図が生活の一部となり、いずれ学校で勉強する地図学習においても抵抗なく受け入れることができるでしょう。■手づくりの地図が宝物になる就学前のお子さんなら、少しずつ地図に慣れさせましょう。いつもは自転車で通り過ぎる近所の道も、あえて地図を片手に徒歩で探索してみると意外な発見があるかもしれません。手づくりの地図を用意して「きれいなお花が咲いている場所」や「猫ちゃんが集まっている公園」に、花や猫のシールを貼って印をつけるのもいいですね。■子どもが自然に手に取る工夫を隂山英男先生は、テレビの近くに図鑑や地球儀を置くことをすすめています。理由は、ニュースやクイズ番組を見て気になったことをすぐに調べられるからです。子どもの行動パターンや生活動線を考えて、「この場所にこれがあったら、学習意欲の向上につなげられるかも」と想像して、さりげなく置いてあげるのがポイントです。■ニュースの話題に国名が出てきたらチャンス!スポーツを題材にすれば低学年の子どもでも世界の国に興味を持つことができます。「サッカーワールドカップが開催されたロシアってどこ?」「テニスの国際大会が開かれるウィンブルドンってどこにあるの?」ニュースから流れてくる話題に耳を傾けていると、自然と世界の国々に興味がわいてきます。■一歩進んだ地球儀の活用法「どうして夏は暑いの?」「どうして夜になると暗くなるの?」こういった疑問に答えるときも地球儀が役立ちます。たとえば懐中電灯を太陽に見立てて地球儀に当て、「日本に太陽が当たっているとき、裏側のブラジルは真っ黒だよね。だから日本が昼ならブラジルは夜だね」と説明しましょう。さらに深い理解につながります。***重要なのは、知育に役立つアイテムを置いておくことではありません。それらをいかに活用し、お子さんの学びにつなげることができるか、そのことを忘れないようにしましょう。(参考)WEDGE Infinity|頭がいい子の家のリビングに辞書・地図・図鑑があるのはなぜ?日経BPムック(2017),『日経DUAL Special!』,日経BPムック.瀧 靖之(2016年),『「賢い子」に育てる究極のコツ』,文響社.洋泉社MOOK(2017),『子どもの脳を伸ばす最高の勉強法』,洋泉社.Study Hacker こどもまなび☆ラボ|もっと地図を楽しもう!「地図が読める」だけじゃない、子どもが地図に親しむメリットStudy Hacker こどもまなび☆ラボ|地球儀で子どもの興味関心をグローバルに!遊びながら学べる、地球儀の上手な活用法。
2019年03月11日子どもが小さいうちは、勉強を見てあげたり、目の届くところで宿題をさせたい…と、リビングで学習をさせている家庭も多いことでしょう。子どもの立場からしても、身近な人の声や生活音がある場所のほうがリラックスできそうですね。ただリビング学習において注意したいのが“照明”です。今回は照明コンサルタントの筆者が、リビング学習において気をつけたい照明について説明します。リビングでは明るさが足りていない?近年の流行として、リビングには埋め込み式のダウンライトが設けられていることが多く、そうでない場合にも“明るすぎない”明かりを使用する傾向が見られます。照明には昼光色と呼ばれる白っぽい光と、暖色と呼ばれるオレンジみを帯びた光がありますが、一般的にダウンライトや間接照明に用いられるのが後者の色です。暖色系の色みには落ち着きがあり、生活をするのにはいいのですが、学習する環境としてふさわしいものではありません。照明の明るさを表すもののひとつに“照度”があげられますが、勉強や読書の際には500~1000ルクスの照度が必要です。多くの家庭のリビングでは、この照度が足りておらず、照度が足りていないと字が見づらいために顔を近づけて見るようになり、視力低下や姿勢を悪くする原因となりかねません。局部照明を加えることで明るさアップに照度を上げるには、机の上に置くデスクライトで補うことができます。このとき、いくつかの注意点があります。・デスクライトを置く位置によっては、手で影を作ってしまうため、きき手の逆側にデスクライトを配置する・夜勉強するときには、デスクライトのみではなく、全体照明を使ってまわりも明るくする・明るすぎない光源を選ぶいずれも目に負担をかけないために必要なことですが、3つ目の光源選びにいたってはデスクライトを購入する際から考えておかなければなりません。デスクライトにも種類が多くありますので、目安として以下のようなものを選ぶといいでしょう。LEDを使用したもの最近ではほとんどの照明がLEDを使用しています。蛍光灯のように熱くならないため、子どもが触っても安全です。消費電力が少ないため、省エネにも。シェード幅の広いものシェードとは電気スタンドのかさの部分を意味します。デスクライトでは“電球のある部分”です。シェード幅が広いものは場所をとってしまうという難点もあるのですが、明るさのムラが少ないため目に負担をかけません。演色性の高いもの自然光があたったときの色が、どれだけ再現されているかを表すのが演色性です。“Ra”で表され、Ra100が自然色と同色です。自然色に近いほど目が疲れにくいため、勉強をする際にはRa80以上のものを選ぶことをおすすめします。購入の際には説明書きを確認してください。勉強をする環境の明るさは、集中力にも影響を及ぼします。今まで明かりには気をつかっていなかった人も、新学期前のこの時期にぜひ見直してみてくださいね。<文・写真:フリーランス記者沖田かへ>
2019年03月10日子どもは時に、大人をハッとさせるような疑問を投げかけてきます。その疑問に正確かつ誠実に答えようとすればするほど、「この答えは本当に子どもに響いているのかな?」「ちゃんと納得できたかな?」と不安になってしまいますよね。今回は、いつの時代も大人を悩ませる子どもの疑問、「どうして勉強しないといけないの?」について、とことん考えてみましょう。「将来のため」はNGみなさんも子どものころ、親御さんに「どうして勉強しないといけないの?」と聞いたことはありませんか?すると、このような答えが返ってきたのではないでしょうか。「いい大学に入るためだよ」「今のうちに勉強しておかないと後で苦労するよ」「なりたい職業につくためだよ」確かにその通りですね。大人になってみると、学生時代にしっかりと勉強することの大切さや意味を実感することも多いはずです。でも、はたして、その回答で子どもは本当に納得し、勉強に対するモチベーションが上がるのでしょうか。ふくしま国語塾主宰のカリスマ教師・福嶋隆史先生は著書の中で次のように述べています。「「将来のためだから」と言われても、たいていの子どもは何年・何十年も先の自分の “将来像” をイメージすることなどできないので、あまり良い答えとは言えません」また、教育・子育てアドバイザーの鳥居りんこさんは、勉強に悩む多くの中高生から相談を持ちかけられるそうです。そこで出たひとつの結論を紹介します。優秀な子供が勉強する目的を見失った時に、大人が「試験のため」「知名度の高い大学へ行くため」「裕福な生活をするため」と言って丸め込もうとすると、親の期待とは正反対のところに着地するケースは少なくない。そうした大人の意見は、幸せに至るひとつの“手段”であって、人生の“真の目的”ではないから子供の疑問解消には至らないのだろう。(引用元:PRESIDENT Online|「なぜ勉強が必要?」子供への模範解答3)ただ漠然と「将来のため」と言い聞かせても、いま現在勉強の意義について疑問を感じている子どもにとっては、納得のいく答えではないようです。ではいったい、どのような回答が望ましいのでしょうか。「勉強する意味」の答えはひとつじゃないここからは、教育のプロや各界の著名人が「人生の先輩」として考えた回答を見ていきましょう。■広い視野で世界を見るため前出の鳥居さんは、藤沢市の聖園女学院中学・高校の校長、ミカエル・カルマノ神父に「人はなぜ勉強しなければならないのでしょう?」と問いかけたところ、次のような答えが返ってきたそうです。「勉強は自分の窓を開けるということです。学ぶことで、今まで見ていたものとは違う何かを見ることになります。視界を広げるために学ぶのです」■子どもの「生きる力」を引き出すため教育ジャーナリストのおおたとしまさ氏は、勉強とは「生きる力を引き出すこと」だと説きます。もともとeducationの語源はラテン語のdocere(引き出す)であるという説があります(アルク語源辞典より)。子どもにインプットするのではなく、アウトプットさせるように仕向けるという意味です。それが正しいとするならば、「未知なる状況に接しても狼狽することなく、道理を見極めて対処する能力」こそ、どんな状況の中でも「生きる力」であり、それを引き出すことこそがeducationの本来の意味だといえるのではないでしょうか。だとすれば大人がすべきことは、子どもに「生きる力」を授けることではなく、子どもの「生きる力」を引き出すことであるといえるはずです。(引用元:おおたとしまさ(2013年),『子どもはなぜ勉強しなくちゃいけないの?』,日経BP社.)■生きるうえで役立つものを選ぶため将棋棋士の羽生善治さんは、道徳について考える本の中で「どうしてお母さんは、ボクの嫌いな勉強をおしつけてくるんだろう?」という子どもの疑問に対して、「たくさんのことを知ると生きていく上で役に立つから」と答えています。この世界にはたくさんのものがあります。目に見えるもの、見えないもの、手にふれられるもの、ふれられないもの、その一つひとつを知ってゆくのが勉強で、外で遊ぶのも勉強です。お母さんは世界のたくさんのことを知ってほしいのです。それが大きくなって大人になった時に生きていく上でとても役に立つ事を知っているのです。たくさん勉強して、たくさん遊んでできるだけたくさんの事を知ってください。そして、大人になったときにいらないものは自分の判断ですべて捨てて、残ったものがあなたが勉強したものです。(引用元:文 やまざきひろし/絵 きむらよう・にさわだいらはるひと(2018年),『答えのない道徳の問題どう解く?』,ポプラ社.)■これからの時代に必要な能力を伸ばすため東京大学名誉教授で教育学者の汐見稔幸先生は「なぜ勉強するのか」という問いに、「好奇心や思考力、表現力を伸ばすため」と答えています。これからは「教えたことをどのくらい覚えているか」ということを学力の目安とするよりは、「与えられたテーマをどう解決していくか」という思考力や、「考えたことをどう伝えるか」というコミュニケーション力や表現力を学力として考えたほうがよい、としたうえで、「豊かな思考力を身につけるには“思考する練習”が必要」とのこと。つまり、テストで良い点数をとるために勉強が必要なのではなく、もっと広い視野で物事を考え、自分の言葉で表現する手段として勉強することが大切なのです。■“学び方” を知るためまた、筑波大学准教授でメディアアーティストの落合陽一氏は、勉強する理由を「新しいことを考えたり、新しいことを身につける方法を学ぶため」と説きます。新しいことを学ぶ必要がある時に、「どう学ぶのが自分にとって効率的か」を知っていると非常に有利になります。そのためにどうやってその状態に自分を持っていけるかを考えながら、常に勉強し続けることが大事になってくるのです。(引用元:落合陽一(2018年),『0才から100才まで学び続けなくてはならない時代を生きる学ぶ人と育てる人のための教科書』,小学館.)よく「学校の勉強なんて社会に出たらまるで役に立たない」という言葉を耳にします。しかし「学習する訓練」を怠っていたら、社会に出たときに新しいことを学習する方法がわからないのでつまずいてしまうのです。■たくさん失敗して成長するため教育評論家の石田勝紀氏は、高校受験を控えたある生徒に「勉強の意味」について聞かれたとき、「自分の成長のため」と答えました。さらに「トップ校にいく人と比べて自分ができないという比較ではなく、1ケ月前の自分と比べて成長したのかどうか」が重要であり、途中で投げ出さず、諦めない姿勢を貫くことの大切さを伝えたのです。また、石田氏は「学び=成長は、失敗や間違いから生まれるもの」だとも説きます。「何が学べたか、次はどうすればうまくいくか?」に焦点を当てるようにすれば、子どもの中に「自分はできる」という自信や希望が芽生えます。そのことを目の当たりにしてきた先生ならではの回答ですね。大事なのは「ごまかさないこと」これまでご紹介してきた“教育のプロ”の回答を参考にして、いくつか答えを考えてみました。ぜひ参考にしてみてください。これから〇〇くんはたくさんの人と出会うよね?その中には、自分とはまったく違う考え方の人もいるかもしれない。そういった人たちとも一緒に遊んだりお話したりするときに、それまで勉強してきたことが役立つんだよ。知らないことを知るって楽しいことなんだよ。ワクワクして「もっと知りたい」って自然に思えることが本当の勉強なんだ。だから、勉強は「楽しむため」にするんだよ。頑張って続けてきたことは、いずれ必ず大きな花を咲かせる。スポーツでも習い事でも、「もうやめたい」って諦めそうになっても頑張って続けることが大事。勉強だって同じだよ。勉強する内容よりも大事なことは、勉強を続けること。続ける力をつけることだよ。途中で投げ出したら何にも残らなくなっちゃうから、目の前の課題をコツコツこなしていけば、いずれ大きな宝物になるよ。これらはほんの一例です。もしお子さんが納得できなければ、親子で一緒に考えてみましょう。お子さん自身が勉強の意味について深く考え、向き合うことが、答えを導き出す唯一の方法です。***大人は子どもの疑問に完璧に答えられなきゃいけない!とプレッシャーを感じていませんか?だからといって、ありきたりな言葉で適当にごまかしても、子どもはすぐに見抜きます。それよりも「お母さんもわからないから一緒に考えてみよう」と提案しましょう。(参考)福嶋隆史(2010年),『わが子が驚くほど「勉強好き」になる本』,大和出版.PRESIDENT Online|「なぜ勉強が必要?」子供への模範解答3おおたとしまさ(2013年),『子どもはなぜ勉強しなくちゃいけないの?』,日経BP社.文 やまざきひろし/絵 きむらよう・にさわだいらはるひと(2018年),『答えのない道徳の問題どう解く?』,ポプラ社.汐見稔幸(2008年),『汐見先生の素敵な子育て「子どもの学力ほ基本は好奇心です」』,旬報社.落合陽一(2018年),『0才から100才まで学び続けなくてはならない時代を生きる学ぶ人と育てる人のための教科書』,小学館.東洋経済ONLINE|「勉強する意味は?」と問う子に刺さる言葉東洋経済ONLINE|子どもに「夢を持て」と言う前にすべきこと
2019年03月09日「男女平等」という考え方が社会に広く浸透しているいま、学校教育現場も例外ではありません。男女で明白なちがいがある体を使うスポーツなどはともかく、勉強の場合であれば男女平等であることはごく自然なことでしょう。でも、V-net教育相談所を主宰し、さまざまな独自教育メソッドを開発している松永暢史さんは、「子どもの学習意欲をかき立てて学力を伸ばすための手法は、男の子と女の子それぞれでちがう」と語ります。構成/岩川悟(slipstream)取材・文/清家茂樹(ESS)写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)女の子が潜在的に持つ「忍耐力」に期待する男の子を男の子らしく育てるには「好奇心」、女の子を女の子らしく育てるには「感受性」を伸ばしてあげることが大切だとわたしはとらえています。(インタビュー第3回参照)。でも、できれば子どもには勉強もできるようになってほしいですよね。男女それぞれに特質があるのと同じように、学力を伸ばしてあげるためのコツにも男女のちがいがあります。女の子にはまず「駄目なことは駄目」だと教える必要があります。なぜなら、「わがまま」に育てないためです。女の子の場合、どうしても「かわいい、かわいい」と育ててしまいがちです。しかも、そのかわいさゆえ、本人が要求しないうちからものを与えてしまうこともあります。そうやって甘やかしていれば、あたりまえですがわがままに育ってしまう。ただ、わたしが長く教育に携わるあいだに見てきた限り、残念ながら「わがままでかしこい女の子」はめったにいません。というのも、勉強というものは我慢してやらなければならない側面が強いものだからです。親がわがままに育てた結果、忍耐力が育たず勉強嫌いになってしまう女の子が多いのです。でも、本来なら女の子は男の子以上に忍耐力を備えているものなのです。大人になれば、男には到底耐えられないであろう出産を経験することが多いわけですし、親として負担の大きい子育ての中心を担うのですからね。甘やかしたくなるところを親が我慢し、女の子が潜在的に持っている忍耐力を発揮させて辛抱強く勉強をさせる。そういう工夫が女の子に対しては必要だと考えています。男の子は「面白い!」と思えば一気に学習意欲が増す一方で男の子の場合は、基本的にはあまり勉強に向きません。理由は簡単で、女の子と比較すると忍耐力が足りませんから(笑)。しかし一方で、「面白い!」と思った場合には、女の子よりもよっぽど熱心に勉強をするようになります。これは、好奇心に従って行動したがるという男の子の特質によるものです。学者に男性が多いのも、そういう側面が影響しているのかもしれません。面白いと思う対象があれば、寝る間を惜しんで研究にいそしむのが男性というものです。であれば、男の子には「面白い!」と思うように勉強させる工夫が必要になります。そもそも、子どもが「勉強したい」と思うときにはどんな気持ちが働いているのでしょうか。それはシンプルに、「頭が良くなりたい」という気持ちです。「頭が良くなっている」という実感があれば、「面白い!」と思い、一種のたかぶりを感じるわけです。これはたとえば、跳び箱に挑戦し徐々に高い段を跳べるようになるときと同じ原理です。「5段を飛べた」というわかりやすい実感によってたかぶりを感じ、「今度は6段に挑戦しよう」というチャレンジ精神が生まれるのです。男の子に勉強させたければ、跳び箱のようにできるだけステップアップをわかりやすくさせる工夫が必要です。これについては男女のちがいはありませんが、「面白い!」と感じることで一気に学習意欲が高まる男の子の場合、より強く意識しておくべきことでしょう。「だまされない」ために言語能力を高めるまた、子どもの性別に関係なく高めるべき「だまされない」力についても、わたしなりの考え方をお伝えしておきます。私たちが最大限に楽しい人生を歩むためには「武装」が必要です。この場合の武装とは、攻撃手段ではありません。自分を守る、より具体的にいえば「だまされないようにする」ための手段を意味します。「だまされる」とは、相手のいっていることを正確に理解せず、あるいは相手の言葉に対する判断をせず、相手の思い通りにされてしまうことです。この世のなかは、人をだまして儲けようとする人間がいくらでもいる社会であることは明らかです。わたしたちが接する情報の多くも、誰かが利益を上げるために流しているものが少なくありません。そして、そうしたものとのやり取りは最終的に言語でなされます。契約書の内容をきちんと把握できない人間は、だまされてしまうこともあるでしょう。ですから、「だまされない」ためには言語能力を高める必要があるのです。インタビュー第2回でもお伝えしたとおり、子どもの言語能力を高めるには読み聞かせと音読が有効。とりわけ『徒然草』などの古典作品は、言語能力を高めるのに最適です。ただ、古典だととっつきにくいと思われる方には、わたしの著書『将来の学力は10歳までの「読書量」で決まる!』(すばる舎)で紹介している「読むだけで頭が良くなる厳選本145冊」をおすすめしています。戦後の文学作品や絵本の中にも、正しい日本語の系譜を受け継いでいる作品は数多くあるのです。言語能力はまぎれもなく、あらゆる勉強に必要な力。言語能力を高めることは、より良い人生を歩むためだけでなく学力を高めるためにも、必要なことなのです。子どもにとって体験が伴わない知識は意味がない最後に、特に男の子を育てるうえで大切な「体験」の重要性についても触れておきます。大人になったときのことを思えば、男性は「なにか」ができないといけません。そのためには、子どもの頃から「なにか」を得るための経験をたくさんしておく必要がある。男の子の好奇心が反応して行動をしようとしたときには、できるだけその気持ちをかなえてあげるべきです。その役割を担うのはやはり同じ男性である父親でしょう。母親は少しでも「危ない」と思ったら子どもの行動を止めてしまいますからね。そして、母親とは別に子どもの行動を妨げるものが「スイッチとクリック」の存在です。いまの子どものまわりにはゲーム機やパソコンなどさまざまな機械があふれています。スイッチがある機械で遊んでしまうと、本来必要である好奇心に従った行動は起きませんし、現実世界での「体験」が減ってしまいます。成長途中にある子どもにどれだけ知識を与えても、それ単体ではほとんど役に立ちません。体験を伴って得た知識でなければ、後で引き出して使うことができないのです。男の子を「なにか」ができる男性に育てるため、なるべく多くの体験をさせてあげてください。その体験は、現実世界で起こり得ることならどんなことでもいいのです。ただ、都会の高層マンションのなかに閉じこもっていては、好奇心はそうそう芽生えませんし、体験をなかなか得られないということになるでしょう。そういう環境なら、たとえば動物を飼ったり、鉢植えで植物を育てたりするということでもいい。「家のなかでもできること」をなるべく増やして、男の子の好奇心が働くような環境をつくってあげるよう、親御さんには心がけてほしいですね。『将来の学力は10歳までの「読書量」で決まる!』松永暢史 著/すばる舎(2015)■ 教育環境設定コンサルタント・松永暢史さん インタビュー一覧第1回:“AIに勝つ力”は学校教育では育たない。親にしか伸ばせない子どもの「7つの力」第2回:国語力は“〇〇の音読”で爆発的に伸びる。読むだけで子どもの頭がよくなる名作本の選び方第3回:思考と行動、男女の違いを徹底解説。“男の子らしさ”“女の子らしさ”が伸びる教育方針第4回:学力を伸ばすコツは男女で違う!子どもの性別で見る学習傾向と、勉強法のひと工夫【プロフィール】松永暢史(まつなが・のぶふみ)1957年生まれ、東京都出身。慶應義塾大学文学部哲学科卒業。V-net教育相談事務所主宰。教育環境設定コンサルタント、学習アドバイザー、能力開発椅子トラクター。「サイコロ学習法」「ダイアローグ法」「抽象構成作文法」など多数の教育メソッドを開発。子どもの個性に合わせてどのような教育をすることが正しいかを導き出し、学習計画、教育機関利用法、進学計画等を提案する。個人授業では国語を担当。『頭のいい小学生が解いている 算数脳がグンと伸びるパズル』(中経出版)、『落ち着かない 話を聞けない マイペースな 小学生男子の育て方』(すばる舎)、『「ズバ抜けた問題児」の伸ばし方』(主婦の友社)、『新 男の子を伸ばす母親は、ここが違う!』(扶桑社)など、教育関連の著書多数。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年03月03日子どもが学校から帰ってきてもなかなか宿題に取りかからない、机に向かってはみるけれど勉強に集中できていない様子だ、といった悩みを抱えていませんか?勉強の時間や場所を決めて実行しても、なかなか集中モードに入れないお子さんも多いようです。そんなときのお子さんは、「脳が覚醒していない」のかもしれません。実は、集中して勉強するには「脳が覚醒している」ことが大切なのです。脳が覚醒しているというのはどのような状態をいうのか、覚醒レベルはどうしたらアップできるのか、さらに子どもがあっという間に集中する簡単なエクササイズを3つご紹介します。脳が覚醒すれば集中できる集中して勉強する方法には、さまざまなアプローチがあります。たとえば、食後は血流が脳よりも消化器官に優先して流れるので勉強するなら食前がいい、他に気を取られないよう机の上には勉強に使わないものは置かない、勉強が終わったらゲームやおやつなどのご褒美を用意するなど――。実際にご自身の学生時代やお子さんの勉強対策に試したことがあるでしょう。しかし現実には、環境や条件を整えても、さっと集中モードに切り替えて勉強するのは難しいですね。集中して勉強するには、「集中している」ときの脳の状態を知るとヒントが見えてきます。脳科学者の篠原菊紀先生は、以下のように話しています。脳科学の観点から説明すると、「集中できている」というのは、脳の線条体(せんじょうたい)という部分が活動している状態。線条体とはいわゆる「やる気スイッチ」です。行動と快感を結びつけている器官で、移動する動物のすべてが持っているものとされます。というのも、行動に快感を感じられなければ、動物は生き抜くことができないからです。(引用元:Study Hackerこどもまなび☆ラボ|子どもの「やる気」と「集中力」を引き出す脳科学的テクニック)線条体は、脳の奥にある大脳基底核という神経細胞体の一部で、運動の始まりや持続、制御を司っている部位です。体への刺激を伝えるはたらきがあり、ここから出される信号が「淡蒼球(たんそうきゅう)」という部分に届くことで、脳の「やる気スイッチ」がオンになります。つまり、脳を集中している状態にするには、体に運動などで刺激を与えて線条体を活動させ、淡蒼球に刺激を与えることが必要で、運動によって脳をうまく騙せれば集中できるといえるでしょう。脳の集中力を上げるには、体幹の筋肉を動かす実際、運動をすることで集中力が上がるという脳の仕組みを生かして、授業が始まる前に外遊びや運動の時間を取り入れている学校や園も各地にあるようです。同じように帰宅後、家でも宿題や勉強の前に運動を取り入れて集中力をアップさせることができます。その際、「体幹」の筋肉を意識することがポイントです。東京大学名誉教授の小林寛道氏は、体幹の筋肉(体幹深部筋)を動かす効果について、次のように述べています。「体幹深部筋というのは、背骨や骨盤周辺、また四肢の付け根にある筋肉の総称です。姿勢を保ったり、歩く・走るといった人間の基本的な動作にかかわる重要な働きをする筋肉であり、その代表的なものが、背骨と脚をつないでいる大腰筋です。そして、これらの筋肉に刺激を与えると、意欲や根気、集中力が高まることがわかっています」(引用元:プレジデントムック(2017),『プレジデントFamily 小学生からの知育大百科 2018完全保存版』, プレジデント社.)※太字は編集部で施した本来は、勉強の前に外遊びをさせて体をのびのびと十分に動かせるのが理想ですが、環境や状況によって難しい場合は、体幹の筋肉を動かすことで同じような効果が期待できます。脳に効く!集中力が高まるエクササイズ脳の「やる気スイッチ」である線条体は、体を動かせば活動してくれます。そのため、特に決まったエクササイズを行なう必要はありませんが、ここでは例として、小林教授が提唱する大腰筋を動かすエクササイズを3つご紹介します。【仰向けで行なうエクササイズ】1)仰向けで床に寝ます2)膝を90度に曲げ、お尻を浮かせます。おへそを天井へくっつけるイメージでゆっくり持ち上げます3)持ち上げたらゆっくり元に戻します4)2と3の動きを8回繰り返し、2セットを目安に行ないます【正座で行なうエクササイズ】1)正座の姿勢になります2)両手を前に伸ばし、背筋がまっすぐになるように前屈して伸ばします3)伸ばした姿勢のまま、前を見るように首を上げます4)そのままおなかの筋肉を引き締めて体をゆっくり元に戻します【あぐらで行なうエクササイズ】1)足の裏を合わせて胡坐の姿勢になります2)両手でそれぞれの足首をつかんで、背中はまっすぐ伸ばしたまま、頭と肩でぐるっと大きな円を描くように上体をまわします3)次に肩をまわさず腰だけをまわします正座やあぐらはヨガや座禅にも取り入れられているように、集中したいときやリラックスしたいときに適していると小林教授はいいます。そして、正座やあぐらで姿勢良く座るには、お尻を後ろに突き出すくらい腰をしっかり伸ばすのがコツだそう。また、これらのエクササイズで効果を上げるには、背骨と脚をつないでいる大腰筋をイメージしながら行なうように声をかけてあげるといいですよ。もちろん、上記エクササイズでなくても、ストレッチやスクワット、逆立ちなどでも効果を得ることができます。親子で軽く体を動かしたあとに、タイマーなどを使って「宿題何分で終わるかなゲーム」をしてみてはいかがでしょう。いつもはダラダラとやっている宿題があっという間に終わるかもしれませんよ!***勉強前だけでなく仕事、スポーツ、芸術など分野を問わず、集中力はさまざまな場面で必要になる能力です。それぞれの分野で必要になる記憶力、思考力、技術力、創造力といった能力を十分に発揮する場合でも、高い集中力を自在に操れることが大きなアドバンテージになります。(参考)Study Hackerこどもまなび☆ラボ|子どもの「やる気」と「集中力」を引き出す脳科学的テクニック親力講座|簡単な問題でやる気スイッチの線条体を活性化するさぽナビ(Z会)|<あなたのまわりのサイエンス>集中力と継続力を発揮するしかけをつくるベネッセ教育総合研究所|やる気は脳ではなく体や環境から生まれる(池谷裕二インタビュー)プレジデントムック(2017),『プレジデントFamily 小学生からの知育大百科 2018完全保存版』, プレジデント社.
2019年02月27日「漢字のテスト」が苦手だった息子息子リュウ太は、小学校低学年の頃から漢字のテストが大の苦手です。Upload By かなしろにゃんこ。前日に書き取りをした漢字でも、テストになるとなかなか思い出せず、「自分はどうして漢字を覚えていられないんだろう?」「みんなのように記憶できないのはなんでだろう?」と、悩んでいるようでした。中学生になってから「漢字が苦手な理由」が判明!そんな息子が、中学3年生になった時のこと。受験勉強をしていても国語と英語がアウトな感じで、「暗記ものはダメだ…」とあきらめていました。そんな中、息子が「漢字の勉強についての思い」を打ち明けてくれたのです。Upload By かなしろにゃんこ。「自分は小学生の時から、漢字を正しく記憶することが難しかった。漢字を間違えて覚えてしまったり、熟語の問題では漢字の形やイメージがちっとも浮かばなかったりした」という息子。そして、こりゃダメだ!と思い、国語がキライになっていたというのです。そういえば、当時…Upload By かなしろにゃんこ。息子のノートやドリルは、9分の1が真っ白でした。漢字が苦手でできないとなると、ヤル気も起こらず…。「どうせ覚えられないなら、努力してもムダだ」と思ったり、「ボクは字がうまく書けないから、書くことが苦痛だ」と思ったりして、落ち込んでしまうんだそうです。1年間でノート1冊を使い切らないくらいのやらなさでした。トホホ~(涙)だけど…数字のイメージはすぐに浮かんでくる!息子は国語はまるっきしダメでしたが、計算は得意でした。それは、数字がくっついたり、減ったり、増えたりするという「数のイメージ」ができるからなのだそうです。Upload By かなしろにゃんこ。どんなイメージなのか私には分かりませんが、毎朝テレビの時計表示の数字を見ると、勝手に計算してしまうのだそうです。それは自分でも止められなくて、ご飯を食べながら箸休め的に画面を見ただけでも、そこに数字があると計算を始めてしまうんだとか。看板やチラシなどを見た時も、目に入ったものの中に数字が並んでいるとつい足し算や掛け算をやってしまうので、たまにやりすぎて疲れることもあるそうです。計算は得意なのに、暗記が苦手なのはどうしてだろう?しかし、計算だけで高校受験がうまくいくこともないため、息子は暗記ものの勉強ができないことに悩んでいました。発達障害の告知をしていたので、息子自身「これもADHDの特性なんだろうか?」と思っていたようです。でも…息子は「発達障害だからという理由だけで、暗記が苦手」なのでしょうか?もちろん、発達障害の特性ゆえできないこともあったでしょう。でも、きっとそれだけではない…。特性によって、いろんな困りごとや、できないことが積み重なり、いつか息子は「きっとできない」と自信を失ってしまっていた。そしてそれゆえ、努力することもせずあきらめてしまっていた。だから、覚えることができないのではないか…。私には、そう思えたのです。息子には、早く結果を出したくて、功を焦ってしまう特性があります。うまくいかないことがあると「はい、次!」となってしまい、あきらめるのが早い。うまくスタートできるものにだけ集中してエネルギーを使うので、この特性が「本当は、頑張れば暗記できる」という可能性を遠ざけてしまっていたように思います。「みんなも勉強している!」息子がようやく気付いたことそこで、私は息子にこんなことを伝えてみました。Upload By かなしろにゃんこ。熟語も本当にいっぱいあって覚えるのは一苦労だけれど、予習復習やくり返し学習の積み重ねによって習得していくもの。だから簡単に覚える人なんていないし、みんなくり返し学習をして、何度も確認しながら進んでいるんだよという話をしました。すると息子は「え?みんなそんなに勉強してるの?」と驚いていました。どうも、自分以外の人は記憶力がいいから、書き取りを1日やった程度で覚えられているんだと思っていたようです。そして「みんなもそれなりに大変な思いをして暗記してるのか!オレもやればできるかな?」と気が付いたようでした。今年、息子は国家試験に挑戦中!Upload By かなしろにゃんこ。万年怠け者の息子は、どの程度やれば「努力」になるのかが分からないようでしたが、その後「本当に努力が必要な場面」に遭遇しました。高校時代の赤点回避のための勉強と、今年受ける整備士の国家試験です。今まさに国家試験の受験勉強中な息子は、二十歳になった今も「みんなみたいにスラスラ覚えられないんだよ!クソー!」と弱音を吐いています。グチグチ言う性格は相変わらず…(笑)。それでも、試験対策の特別授業を受けながら毎日少しずつ勉強して、点数が上がってきているようです。「暗記が苦手な子は時間をかけて進めていくか、コツコツが苦手だから一気に詰め込みで試験に挑むか…しかないよね」と、私も励ましています。これ、一応私なりの応援なんです(笑)。期待しすぎてプレッシャーにならないように、少し突き放して影で応援することにしています。
2019年02月18日もうすぐ小学校入学式シーズン。筆者の息子も、今年新1年生になります。重いランドセルを背負って学校まで行けるのだろうか、勉強はついていけるのだろうか、さまざまな心配が頭をよぎります。子どもが困らないためにも、「小学校に上がる前までに、できるようになっておいた方がいいこと」を小学校の先生や小学生のママ・パパに聞いてみました。自分の名前の読み書きができるひらがなの読み書きは、「小学校に上がってから一から勉強するので、できなくても大丈夫ですよ」と、以前小学校の先生から聞いたことがあります。とはいえ実際のところ、筆者のまわりの子は読み書きができる子がほとんど。もちろん、読み書きできなくても問題はありませんが、名前が読めると自分の靴箱やロッカーを探すときに困りません。また子どもが自信をもって小学校生活をスタートできるのではないかと思います。簡単な時計が読める最近では、「チャイムが鳴らない学校が増えている」と、聞いて驚きました。筆者が小学生だったころは、当たり前のようにチャイムが鳴っていたので、時代を感じますね。チャイムが鳴らない理由は、「自分で時計を見て行動できるように」と自主性を育てるためだそうです。小学校に上がると、家は〇時〇分に出る、〇時○分までに着席すると、今までに比べ、時間で区切られて行動する機会が増えます。時計の読み方は小学校でも習いますが、息子は時計を読むのが苦手なので、今から少しずつ練習をしています。通学路が分かっているこれは、“できるようになっておきたい”、というよりは、“できるようになっておかなければいけない”ことですね。学校からも「通学路の確認をお願いします」と、言われています。登校班がある場合はいいですが、ひとりで通うとなると、なにかと心配ですよね。事故に遭った話を先輩ママから聞くとなおさら心配です。電車やバスを使って通学する場合も、乗り間違えずたどり着けるか気が気ではありません。危険な場所がないか確認しながら、ひとりで行けるようになるまで親が付き添い、練習する必要がありそうです。早寝早起きができる小学校に上がる前でも気をつけたいことですが、恥ずかしながら、わが家の朝は遅めです。小学校に上がったら、幼稚園と比べると1時間半ほど早く家を出ないといけません。単純に考えても、1時間半早く起きないと間に合わないということです。時間がなくて朝食を食べられない、という事態は避けたいところ。いきなり早起きの習慣はつかないので、春休み中になんとか早寝早起きのリズムを整えなければと思っています。どちらかというと、朝が苦手な筆者が身につけないといけないことだったりするんですけどね…。約束事を覚える小学生になると親の手を離れて、ひとりで行動することが多くなります。「知らない人には絶対についていかない」「道路の端を歩く」など、各家庭での約束事があると思います。とくに、震災や想定外のことが起こったときどうするのか。公衆電話の場所や使い方、連絡先を覚えさせるなど、あらかじめ教えておきたいと思います。この機会に、家族全員で確認しておくといいかもしれませんね。小学校入学準備は早めにスタート小学校に上がるまでにできるようになっておきたいことの中には、子どもの命に関わる重要なこともあります。なので、しっかりと理解できるまでくり返し伝えたいと思います。不安と期待でいっぱいの入学式まであと少し。入学準備は、早めにスタートするのがよさそうです。<文・写真:フリーランス記者三浦麻耶>
2019年02月17日子どもの勉強については、さまざまな家庭の方針がありますよね。子どもの成長や習得、意欲の度合いに合わせて、その都度親が対応していかなければならないこともあるでしょう。自宅での学習においては、「親が子どもに勉強を教える」か、「教えないほうがいいのか」、または「教えるならどの程度なのか」悩むパパママは多いのではないでしょうか。今回は、親が子どもに勉強を教えるべきか、考えてみたいと思います。■子どもに勉強を教えているパパママは8割以上子どもに勉強を教えているかたずねたアンケートでは、「質問されたら教えている」という回答が60.8%でもっとも多い結果になりました。「教えている」と答えた23.7%を加えると84.5%となり、8割以上の親は子どもに勉強を教えているようです。 Q. 子どもに勉強、教えてる?質問されたら教えている 60.8%教えている 23.7%教えることができない 9.9%親は教えないようにしている 2.9%その他 2.8%一方で、「教えることができない」、「親は教えないようにしている」という正反対の回答も1割以上寄せられていました。■「自分で考える力」を身につけてほしい親たちの内情もっとも多い6割以上が「質問されたら教えている」と回答したのは、なぜなのでしょうか。「基本的にリビングで勉強しているので、聞かれたときだけ教えたり、いっしょに調べたりしています」(滋賀県 30代女性)「わからないときだけ教えています。まずは自分で十分に考えることが必要だと思うので」(三重県 40代男性)「勉強の中身を教えるというより、勉強の仕方を教えるようにしています。やり方や考え方が身に付けば、後々役立つと思います」(徳島県 40代男性)寄せられたコメントでは、「聞くまでは自分で考えてもらいたい」という意見が多く寄せられました。また、なかには「教科書を読んだりインターネットで調べたりして、聞かれたときに困らないように予習しておく」という熱心なパパママからの声もありました。筆者の長男もまもなく小学生。たまに自宅で勉強をしているのですが、すきあらば「わからない、答え教えて」と言ってくるので、その都度「もうちょっと考えなさい」と諭しているのが現状です。もしかしたら、「質問されたら教えている」と答えた多くのパパママが、同じような経験をしているのかも。そのうえで、子どもたちの考える力を伸ばしたいと思い、行動しているのかもしれませんね。■勉強を教えることは「親子のコミュニケーション」?勉強を「教えている」と答えたパパやママは23.7%という結果に。具体的にはどのように子どもたちの学習に関わっているのでしょうか。「塾に入れる余裕なんてありませんから、教科書を先読みして学習してから積極的に教えています」(東京都 40代男性)「日々の学校の教科書とノートを私がチェックしています。書き間違いや、きれいに書けているところに絵やコメントなどを入れてあげると子どもが喜んで“もっと書いて!”と励みになるようです」(東京都 40代女性)「小学生の頃は手取り足取り教えていたが、中学生になったらかえって私の方がことわざや計算問題を教えてもらっていました。わからないことをいっしょに考えるのはとても楽しいですし、高校生の今も時事問題を出し合ったりしています」(神奈川県 40代女性)読解問題や算数など、子どもが苦手な教科を中心に毎日教えているという声には、「すごすぎる!」と脱帽しかありません。教える親側にとっても、学習内容を理解し、子どもたちに教える時間を捻出するのには、大変な苦労もあるだろうなと思わずにはいられません。ただ、「一方的に教える」というよりは、勉強の時間を親子のコミュニケーションとして捉えている側面もあるようです。親が勉強している姿を見せるということも、もしかしたら大切な要素の一つなのかもしれません。■勉強を教えないパパママたちの思いとは一方で、「勉強を教えない」理由に関するコメントも集まりました。まずは、「教えられない」という回答に隠された思いをのぞいてみましょう。▼親の状況で教えたくても教えられない「教えることができない」と答えた9.9%の親たちのコメントからは、そのつらい現状が垣間見えてきます。「母子家庭でフルに働き、帰るのが19時を過ぎます。夕飯とお風呂に入れるので手一杯ですが、週に1度はいっしょに勉強するようにしています。ただ、その間も下の子が騒いだりちょっかいを出してきたりで、なかなか進みません」(千葉県 40代女性)「共働きで忙しく、帰ってから家事に追われて宿題を見てあげる時間がありません」(神奈川県 40代女性)「子どもが反抗期で教えられない」という声もあり、仕事や子どもとの関係から、教えたくても教えられないというつらい思いを抱えた親もいるようです。教えたくても、自分が教えられないという場合には、家族で対策を話し合ってみるのもひとつのてかもしれません。学校や塾での宿題でわからないことがある場合には、子どもから先生に質問するという方法もあります。子どもは、「宿題でわからないことを聞くのは恥ずかしい」と思っていることも多いので、子どもに声掛けしてもいいかもしれませんね。▼「あえて教えない」とする真意は?また、2.9%のパパやママは「親は教えないようにしている」と回答しました。「簡単には教えません。まずは自分で調べさせます。教科書や辞書、ノートは、そのためにあるんだということもわかってほしいですし、自分で調べて、答えを得たときの達成感や喜びなどをもとに、その情報をしっかり自分の物にしてほしい」(愛知県 40代女性)「基本的に勉強は教えておらず、まずは先生や友人に聞くように話しています。おかげで長女は先生に躊躇(ちゅうちょ)せず聞けるようになり、先輩や友人と勉強会をしているようです」(佐賀県 40代女性)「内容が難しいし、教え方が学校と違っては困ること。そして一番は親だからどうしても感情が入り、熱くなって説教となってしまうので教えない!」(神奈川県 40代女性)「勉強を教えることで、子どもとけんかになる」という声が多く寄せられ、親子での勉強には“距離が近すぎる”という難しさがあることが見えてきます。さらに、自分が教わったときと学習内容や考え方が変わっているため、子どもを混乱させないようにあえて教えないというパパママも多いようです。たしかに、数十年前に習った方法が現代でも通用するのかはわからないところ。今の時代に即した教え方や考え方があることから、親が教えることで、子どもが恥ずかしい思いをしてしまっては、心苦しいですよね。■子どもの勉強に親はどうやって関わるのか最後に、高校生の子どもを持つパパとママから寄せられた意見を紹介したいと思います。「高校生なので具体的な勉強は教えていませんが、勉強するときには集中するよう、たびたび言っています。また、勉強と遊びにはメリハリをつけること、そしてテスト前にはテスト勉強のスケジュールを必ず立てて、進捗(しんちょく)状況を確認しながら調整することの重要さを教えています」(千葉県50代男性)「教える、教えないに関わらず、子どもを持つ以上は彼らが習う教育の内容はフォローして、自分でも情報更新していきたいと思っています。日本の教育内容やシステムに関心を持ち改良していくのは大人の責任ですから」(東京都 40代女性)これまでの子育てをとおして、それぞれの家庭でどのように勉強と向き合ってきたかが見えてくるような気がします。わが家も、4月から小学生になる長男と年少になる次男とともに、長い長い学習の道がまもなく始まろうとしていますが、どのような勉強方法が子どもにとって一番いいのか、これから探していきたいと思います。家庭での勉強スタイルについては、子どもの個性、親の事情などが複雑に絡み合ってきます。ときには大きく衝突することもあるでしょうし、成長、進学に伴って、どんどんその関わり方は変化していくことだと思います。その都度、その答えをそれぞれの家庭で話し合い、見つけていくことが、子どもの勉強とうまく付き合っていく鍵なのかもしれませんね。Q.子どもに勉強、教えてる?アンケート回答数:4638件 ウーマンエキサイト×まちcomi調べ
2019年01月29日『こどもまなび☆ラボ』では、これまでに何度も読書の大切さや読書と学力の関係性についてお伝えしてきました。さらに、小さいうちから読書を習慣づけることで、勉強面だけではなくあらゆる面で良い影響を及ぼすこともわかっています。では実際に、東大や一流大学に通っているような人は、幼少時どのような読書環境で過ごしてきたのでしょうか。また、親は子どもにどのような読書環境を与えてあげるべきなのでしょうか。賢いから本を読むの?本を読むから賢いの?「東大家庭教師友の会」が約7,000人の現役東大生から集めた経験談を分析した結果によると、8割以上が親に「勉強しなさい」と言われずに勉強し、東大に合格したといいます。『こどもまなび☆ラボ』の過去の記事からも、子どもに「勉強しろ」と口うるさく言うことが逆効果であることは明らかになっています。(「勉強しろ」は逆効果!統計でわかった、親が本当にやるべき3つのこと)ただし「読書」に関しては、子どもが小さいうちから親が導き、促してあげることで、確実にその習慣は身につきます。あらゆる調査結果からも、一流大学に通う学生の多くは幼少期からたくさんの本を与えられて育ち、成長後も読書が習慣になっていることがわかっています。プレジデント社が行ったアンケートで、現役東大生の小学校時代の読書冊数は、平均で月7.4冊という結果が出ました。全国平均が月5.6冊(学研教育総合研究所 小学生白書Web版「小学生の日常生活に関する調査」2014年より)だったので、小学校6年間で130冊もの読書量の差が出るという結論が導き出されました。この結果を見て、「将来東大に合格するような子は、そもそも普通の子どもより賢いからたくさんの本を読んでいるんじゃない?」という感想を抱いた方もいるのではないでしょうか。でも実は、賢いから本を読む、という認識は間違っているのです。教育や子育てに関する数多くのベストセラーをもつ教育環境設定コンサルタントの松永暢史氏は「賢い人は本が好きだと思っている人はいると思いますが、逆です」と述べています。「(中略)本を数多く読むと言語的な理解力が上がり、言語を使いこなす能力も身につきます。さらに、考える時間も増えて思考力が高まる。結果、勉強もできるようになるわけです」(引用元:産経Biz|賢さの鍵握る“読書体験”東大生が小学生時代に読んだ本って何だろう?)つまり、本をたくさん読むからこそ思考力や理解力が高まり、成績に結びつくのです。東大などの一流大学に通う学生たちは読書家が多く、幼い頃からの読書習慣のおかげで合格することができた、という話もよく聞きます。そのような子たちは、どんなきっかけで本を好きになり、読書習慣を身につけることができたのでしょうか。また、そのために親ができることはあるのでしょうか。調べるうちに、いくつかの共通点が見えてきました。読書に熱中する “ハマり体験” が子どもの脳を刺激する!『プレジデントFamiliy(2018年秋号)』の特集「東大生192人頭のいい子の本棚」では、東大生が小学生におすすめしたい本を紹介しています。「ハリーポッター」シリーズ(1位)、「かいけつゾロリ」シリーズ(2位)、「ズッコケ三人組」シリーズ(3位)というランキング結果から、東大生も子どものころは普通の小学生が読むような娯楽作品を好んでいたことがわかります。ここで注目すべきは、「シリーズもの」を読むことをすすめている、という点です。東大生の多くは、小学生のうちに「シリーズものの本を読みきった」という経験があります。また、「学校の図書室の本をほとんど読み尽くした」と語るほど読書に熱中したことがある東大生も少なくありません。東北大学加齢医学研究所の瀧靖之教授は、「自分の好奇心の赴くままに好きなことに熱中しているうちに、わからないことは誰に聞けばいいのか、どうやって調べればいいのか、というストラテジー(戦略)が身につきます」と述べています。それがのちに勉強や仕事の面で非常に役立つのです。また、夢中になって楽しめることが多ければ多いほど、神経伝達物質のひとつであるドーパミンが放出されます。シリーズ物に熱中することもいわゆる「ハマり体験」の一種であり、それにより脳が大いに刺激されたということも考えられるでしょう。親がつくる『アラカルト本棚』のすごい効果偏差値35から読書習慣の改善で東大合格を果たした西岡壱誠氏は、東大生100人にアンケートをとり、彼らの幼少期の読書遍歴や読書法について著書(『東大生の本棚』・東洋経済新報社)にまとめています。西岡氏は、子どもに無理やり「親が読ませたい本」を読ませることだけはしてはいけない、と説きます。誰しも「この本を読みなさい!」と押し付けられるのは億劫であり、それがきっかけとなって読書嫌いにもなりうる危険性もあります。ですから、子どもが「自分で読みたい本」を選ばせてあげる必要があるのです。さらに、親から押し付けられるのではなく、「多くの本をおすすめしてくれたのが良かった」と非常に多くの東大生が答えたそう。その中でも、『親が作ったおすすめの本の本棚』=『アラカルト本棚』の存在が、その後の読書習慣に強く影響を及ぼしていることがわかりました。アラカルト本棚には、文化系の本も理系の本も、雑誌も漫画も小説も、ジャンルや本の形態も飛び越えた「おすすめ」が並びます。ある学生は、そこに置いてあった科学アドベンチャーシリーズを読んで理系に興味を持ち、東大理学部に進んだそうです。つまり、子どもに特定の本や特定の分野だけを無理に押し付けるのではなく、その時々の興味関心に沿って自由に選べる本棚を作ることで、子どもは自然と興味のある本に手を伸ばすようになるのです。「知りたい!」「読みたい!」そのタイミングを逃さない中学受験指導を行っている浜学園の国語科講師・木村潤一先生は、「レベルが上位のクラスほど読書量が多い」といいます。塾の教材やテストで、物語やエッセーなどいろいろな本を活用していますが、引用するのは本の中の一部でしかないんですね。そこで授業後に、全体を読んでみようと自ら考えるのは、やはり上位クラスの子供たちです。もともと知的好奇心が強く、自分の知らないことがあったらすぐに知りたがる子が多い。教材で使った翌日には、本を手に入れて読んでいる子もいますよ。(引用元:PRESIDENT Online|できる子の家で読まれている本50冊)つまり、「続きが気になるけど……まあいいか」「また今度、時間があるときに続きを読もう」とならずに、知的好奇心が抑えきれずに、すぐに行動に移して「気になること」を即解決するのも、賢い子の特徴であると言えるでしょう。読後にアウトプットする習慣がある前出の『東大生の本棚』著者・西岡壱誠氏は、東大生の読書法の特徴について次のように語っています。東大生は読書法の工夫で「思考力」も鍛えています。「自分の頭で考えて、自分の地頭を鍛えるような読書」をしている。(中略)しかもそれを、小さい頃から実践しているのです。(引用元:PRESIDENT Online|東大式“読んで終わり”にしない本の読み方)たとえば、本を読み終えて「ああ、面白かった!」と確かに感じたのに、しばらくすると内容を忘れてしまった……ということはありませんか?いくら印象深い内容でも、時間が経てば忘れてしまうのは脳の構造的にも当然なのですが、西岡氏によると「東大生は読んだ内容を忘れにくく、本から得た知識を活用できている」らしいのです。それは東大生の多くが、小さい頃から「あること」をしているから。「それ」は何かというとーー「感想」です。東大生は、本を読んだ後、「感想」をアウトプットするから忘れないのです。(引用元:同上)西岡氏によると、本を読んだ後に生じる感情を言語化することが記憶の定着につながるだけではなく、「感想を誰かに聞いてもらう」「それに対してフィードバックしてもらえる」という経験が重要であるとのこと。なるほど、インプットした知識をアウトプットすることが大切なのですね。お子さまのアウトプットの習慣をつけるために、以下のことを取り入れてみてはいかがでしょうか。■読書日記をつける感想は一行でもOK。もちろんたくさん書ける子はどんどん書かせてあげましょう。感じたことを自分の言葉で残すことで表現力も高まります。また市販の読書日記や読書ノートを利用するのも手です。ぬりえやシールなど子どものテンションを上げる仕掛けがたくさんあるので、アウトプットがしやすいかもしれません。いろいろな読書日記があるので、親子で読書日記を選ぶところから始めてみるのもおすすめです。■感想を話し合う「〇〇が△△したところがおもしろかった」など、本の内容についてお子さんに話してもらいましょう。どんなところに心が動かされたのか、お子さんの考えを聞くよい機会になると思います。また、親子で同じ本を読み、感想を話し合ったりする「親子読書」も◎ですよ。本についての会話を楽しむことで、インプットした知識をしっかりと記憶に根付かせることができるでしょう。***東大生の幼少時代の読書環境や読書法は、なにも特別なものではありません。むしろ子どもの好奇心を伸ばし、あらゆることに興味をもつきっかけづくりとしての読書体験が必要なのですね。(参考)Study Hacker こどもまなび☆ラボ|東大生の親の4つの特徴。「勉強ができる子」の脳を育てるために、親がするべき心がけ産経Biz|賢さの鍵握る“読書体験”東大生が小学生時代に読んだ本って何だろう?「東大生192人頭のいい子の本棚」,プレジデントFamily,2018年秋号.東洋経済ONLINE|頭のいい子に共通する小学校時代の過ごし方東洋経済ONLINE|東大生の親が子にかけた「本好きになる魔法」PRESIDENT Online|できる子の家で読まれている本50冊PRESIDENT Online|東大式“読んで終わり”にしない本の読み方神奈川県大和市|家読(うちどく)の推進について大分県竹田市立都野小学校|親子読書のすすめ
2019年01月29日2020年度に大きく変わる「大学入試共通テスト」では、知識の詰め込みだけではなく、思考力や判断力が問われるようになります。このような力を養うためには、机の前での「The 勉強」では身につきません。実は、日常生活の中の新しい経験や楽しい体験こそ、思考力や判断力が自然と身につけられるチャンスなのです。そこで今回は、その具体的な方法をご紹介します。日常や非日常の体験の中でこそ記憶に残る!子どもの考える力は、無限の可能性を秘めていると言われています。しかし、小さな子どもの思考力を引き出すには、親の手助けが必要です。なかでも日常生活と勉強をリンクさせる方法が、もっとも有効なようです。意識的に、日常生活に学校で学んだことを応用させることで、学習内容をより定着させることもでき、さらに思考力や判断力、さらには応用力も養うことができるのです。そこで実践したいのが、買い物やスケジュール管理、お出かけの計画などの経験や体験。大人にとっては当たり前のことでも、子どもにとっては初体験のことばかり。初体験というのは、子どもにとってすべてが学びであり、その経験から大切なことをどんどん吸収していきます。子どもは自分の体験で得た知識はそう簡単には忘れません。理科・社会は私たちの生活と関わる教科なので、日常生活の中でも様々な体験ができますが、いつもと違う場所でいつもと違う体験をするほうがより記憶に残ります(引用元:日経DUAL|中学受験にも生きる!冬のおでかけ学習【社会編】)子ども主体で考え、判断させる実例集それでは、実際にどんな方法があるのか実例をご紹介します。子どもの年齢や、学校で習っている学習内容に合わせて、どんなことに挑戦できるかをご両親が判断してみてください。■決まった金額内で買い物をする足し算や引き算、掛け算などを学校で勉強し始めたら、子どもに買い物を頼んでみましょう。慣れるまでは一緒に買い物に出かけて、後ろから見守ってあげるのでもいいですね。500円や1000円など、あらかじめ予算を決めておいて、その予算を越えないように買い物をするよう伝えます。余ったお金でお菓子を買っていいよとご褒美をあげれば、足し算と引き算を使って、いくらのお菓子が買えるのかを一生懸命計算するでしょう。ほかにも、一緒に買い物へ行って会計をする時に、お釣りの小銭が少なくなるように考えさせると、思考力が身につきます。小さなお子さんであれば、100円を渡して駄菓子を自分で計算させながら買うのもいいですね。<この体験で身につく力>思考力判断力計算力■お出かけの目的地や交通手段を考える親子でのお出かけは、子どもにとって新しい経験がいっぱい。いつもは親が決めてしまう休日のお出かけ先を、たまには子どもに決めさせてみましょう。子ども主導で計画を立て、家族で出かけてみることもよい経験です。ガイドブックやインターネットを見ながら、目的地を決めましょう。そのときに、日帰りでも行ける場所なのかを地図で確認しながら決めるといいですね。地図を学習している時期であれば、学習内で勉強した地名などを絡ませて、行き先を決めるのもおすすめです。行き先を決めたら、そこまでの交通機関を一緒に考えてみましょう。地図上で目的地を見ながら、電車で行きやすい場所なのか、駅からは徒歩なのかバスなのか、車で行く方が便利なのか、ご両親がアドバイスしながら経路を考えてみます。このような経験を通じて、子どもは自ら考える力や、交通手段などを比較して決定する判断力を養うことができます。また、実際にその場所に行ってみると、計画通りにいかないことも出てくるでしょう。その時に、どうして上手くいかなかったのか、どうすれば上手くできるのかをもう一度考えてみると、そこで応用力も育まれます。そして、地図を見ながら目的地までも、ぜひ子ども主体で動いてみましょう。親にとっても新しい発見があり、親子で新鮮な体験になるはずです。<この体験で身につく力>思考力判断力応用力地図を読む力■お出かけ先でのスケジュール管理時計が読めるようになったら、日常的な声掛けで、「○時に家を出るけど、あと何分ぐらいある?」などと、クイズ感覚で問いかけてみることで日常生活と勉強を“リンク”!子どもの「判断力」「応用力」「計算力」を鍛えるよい方法ですね。そして、日常生活の中で時間の管理がある程度できるようになったら、お出かけ先でのスケジュールを子どもに組み立てさせてみてはいかがでしょうか。一日のスケジュール表を紙に書いて、「○時にここに着くには、何時に出ればいいかな?」「お昼には何分ぐらい時間を取ろうか?」など、最初はご両親と一緒にスケジュールを組み立ててみましょう。慣れてきたら、自分で考えさせてみて、ご両親が無理のないスケジュールになっているかを確認してみるのもいいかもしれません。そして実際に現地へ行ってみて、スケジュール通りに回れたのか、回れなければどこで時間がかかったか、時間が足りなかったのかなどを、一緒に話し合ってみるのもおすすめです。子どもはその体験をもとに、次回は時間の管理を工夫することができるでしょう。時間の配分を予測したり、改善したりすることができるようになると、日常生活や学校生活の時間の使い方も上手にできるようになるでしょう。<この体験で身につく力>思考力判断力時計を読む力時間の使い方臨機応変に動く力3つのアプローチを親が意識しておく!買い物やお出かけの計画などを、ただ経験させるのではなく、以下のようなことを親御さんが意識しておくのがより効果的なようです。【「考える」とは】「自分の言葉で語れること(What)」「疑問に思うこと(Why)」「手段や方法を思いつくこと(How)」のいずれかのことをしているときに、「考えている」という状態になると考えます。通常の教育では、「これは何?」「どこ?」「いつ?」「どっち?」が多く、このようなインプットばかりのアプローチでは、考えるという行為は起こりにくいのです。(引用元:東洋経済ONLINE|「考える力がない子」を変える3つの問いかけ)意識しておきたいのが、この3つのアプローチです。集団で行う学校での学習では、自分の言葉で伝えたり、じっくり時間をかけて手段や方法を考える機会が少ないのが現状。しかし日常での経験の中であれば、その機会は親御さん次第でたくさん与えることができるのです。〇自分の言葉で語れること(What)〇疑問に思うこと(Why)〇手段や方法を思いつくこと(How)買い物やお出かけなどをきっかけに、自分の言葉でどうしたいかを人に伝えられたり、そこで疑問に思うことを言葉にしたり、手段や方法を考えたりという経験をたくさんさせて、自然と考える力を身につけさせましょう。***知識をインプットするような机の上の勉強だけではなく、日常の中の経験と学習内容をリンクさせることで、自らの力で考え、判断する力が自然と身につきます。これが親子での楽しい体験であれば、子どもは「またやってみたい!」「もっと何かしてみたい!」という意欲にもつながります。たっぷり時間が取れる長期休みなどに、ぜひ親子で実践してみてくださいね。文/内田あり(参考)ベネッセ教育情報サイト|親子で過ごす時間が子供の学習能力を底上げする!日経DUAL|中学受験にも生きる!冬のおでかけ学習【社会編】東洋経済ONLINE|「考える力がない子」を変える3つの問いかけ
2019年01月15日こんにちは! イラストレーターのにわゆりです。今回は習いごとのお話です。今はたくさんの習いごとがあふれていて、選ぶのにとても迷ってしまいますよね。子どものうちはいろいろなことに挑戦させたい! あれもこれも~! なんて、親の私たちのほうが一生懸命になってしまいます。モン太は今、2つの習いごとに通っています。始めたきっかけは、モン太が通っている幼稚園で園の終了後にそのまま習えるからでした。小さいキーちゃんを抱えながら毎日送るという手間がはぶけるので、習わせない手はない!お勉強系、スポーツ系などいろいろな習いごとを開催している幼稚園。モン太はクリスマスにサッカーボールを頼んだので、サッカーは即決! そしてとにかく体をたくさん動かしてほしかったので、バランス感覚もやしなえる体操を習うことに。お友達もたくさんできて楽しそうなのはもちろん、できなかったことができるようになり、ぐんぐんと成長していく子どもたちに感動してしまいます。さらにうれしいことも…!赤ちゃんのころから体がとても弱く、しょっちゅう風邪をひいていたモン太でしたが、毎週のサッカーと体操でたくさん体を動かしているからか、丈夫になり風邪をまったくひかなくなりました。また、体操教室が主催するキャンプでは大きいリュックを背負ってでかけたりと、内面もたくましくなったように感じます。普段できないようなことを経験できるのも、習いごとのだいごみですよね。そしてモン太は卒園し、園児対象のサッカー教室もそのまま終了したのですが、とても楽しんでいたので別のサッカー教室に通うことに。体操のほうは、そのまま幼稚園で小学生クラスも受けられるとのことで、仲良しのお友だちと続けることにしました。送迎は少し大変になりましたが、お友だちと体操をするのを毎週楽しみにしているモン太。本人が「楽しい!」と思うことが一番大事だな~と思っていますが…「そろそろお勉強系も?」「キーちゃんにもなにか習いごとを!」「習いごとに一体いくら費やせば!?」と、いろいろ悩みはつきないかーちゃんです。
2019年01月12日子どもをやる気にさせる、勉強好きにさせる方法をいろいろと学んで実践しているのに、あまり効果を感じられない——。もしかしたらそれは、選択した方法が子どもの「遺伝的な脳の癖」に合っていないからかもしれません。お話を聞いたのは、脳科学者・篠原菊紀先生。先生によると、同じ方法も「脳の癖によるタイプのちがいによっては効果が半分以下になる」こともあるそう。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹(ESS)写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)どんなことに子どもの脳が快楽を感じるのかを知る一般的に「やる気スイッチ」とも呼ばれる脳の線条体(せんじょうたい)と呼ばれる部分が活動している(インタビュー第2回参照)と、ただやる気になるということ以上のメリットがあります。線条体とは、行動と快楽を結びつける器官。つまり、線条体が活動しているということは、いまおこなっている行動が望ましいものだと感じているということです。そして、快楽を感じているために記憶がつくられやすい状態でもある。であるのなら、子どもをやる気にさせ勉強効率を上げるには、それぞれの子どもの脳がどんなことに対して快楽を感じやすいのかということを知る必要があります。これには一種の、「遺伝的な癖」があります。「気質」と言ったほうがわかりやすいかもしれませんね。たとえば、将来的にマスコミの道に進むような子どもは、もともと新しもの好きな子が多いでしょう。新しい刺激やスリリングな事柄に対して快楽を感じるのです。そういう子どもの場合、新しいことにチャレンジをしたら褒めてあげるとか、チャレンジできる環境を用意してあげると、やる気の維持につながります。一方で、逆にとにかくリスクを嫌う子どももいます。そういう子どもだと、新しいことにチャレンジをしたからといって褒めても、やる気の維持といった効果は半分以下。そうではなくて、「この勉強をしておくとあとで安心だよ、役立つよ」といった、保険外交員のような言葉が効果的です。そうした脳の癖を知るのに、以下のようなチェックテストも役に立ちます。子どもにあてはまる項目、あるいは親御さん自身にあてはまる項目をチェックしてください。というのも、親子が一致していれば親が自分をモデルにして考えればいいし、不一致なら親の思いはすれ違いを生みやすくなると自覚できるからです。【A】~【D】まで、それぞれいくつチェックしてもらっても大丈夫です。【A】□ ヘアスタイルをよく変える□ コンビニやドラッグストアの新製品は必ずチェックする□ 急に新しいことをはじめたくなる□ 進学するならやっぱり都会がいい□ ルールを守るのが苦手□ お金は使うためにある【B】□ 安心、安全が一番□ 疲れやすい□ 人見知りするほうだ□ 友だちと直接話すよりメールのほうが気楽□ 外出するより家にいるほうが好きだ□ 目立つことはあまり好きじゃない【C】□ 「親友」と呼べる友だちが多い□ ドラマや映画を見てつい涙が出る□ 甘いものが大好き□ 人にプレゼントをする、他人をよろこばせることが好き□ 褒められ好きで、褒められるとやる気が出る□ 友だちの誘いはなるべく断らない【D】□ 自分の部屋はいつも整理整頓されている□ 朝ごはんは、毎日決まった時間に食べたい□ バッグのなかには「いざ」というときのアイテムがけっこう入っている□ DVDを借りたら必ず特典映像を見る□ 空気が読めない人やノロノロしている人には我慢できない□ 少しでも太ったら「ダイエット」の文字が頭に浮かぶ子どもの脳の癖に合わせて言葉や環境を選ぶ人の行動特性はこの【A】〜【D】のベクトルの組み合わせになります。チェックの多い上位ふたつぐらいの傾向に留意するといいでしょう。【A】新しものの好きの「新奇探索傾向」感性が豊かでチャレンジ精神旺盛ですが、飽きっぽい傾向もあります。ですから、この傾向を持つ子どもはスタートダッシュが重要。じっくりスケジュールを立てて勉強の準備に時間をかけるとその段階で飽きてしまうことも。宿題でもテスト勉強でも、一気にやらせてしまうのがいいですね。また、子どもが新しいことをはじめたら、なんらかの「ゴール」を設定してみてください。飽きさせないという意味もありますが、達成感は脳の活性化に重要なもので、次なるステップへのモチベーションとなるからです。【B】リスクを嫌う「損害回避傾向」安定を好む心配性で、日本人に多い傾向です。この傾向を持つ子どもは、基本的に習慣的な勉強を苦としません。反面、一度スケジュールが狂うと、「もういいや」と一気にやる気を失う可能性もある。急に割り込む用事にも対応できるよう、勉強のスケジュールには余裕を持たせておきましょう。また、習慣的なことを好むので、次々に新しい参考書や問題集に取り組むのではなく、1冊に決めてじっくり勉強するほうが向いています。【C】承認欲求が強い「報酬依存傾向」この傾向にとっての報酬とは、「まわりから認められているという実感」です。この実感がなくなると不安に陥ってしまいますが、自分を認めてくれる人の前では存分に力を発揮できます。この傾向の子どもが期待しているのは「頑張ったね」「すごいね」という褒め言葉です。家での勉強についてはもちろん、学校での勉強についても話を聞いて、「今日もよく頑張ったね」と褒めてあげてください。【D】完璧主義の「固執傾向傾向」【C】とは逆に周囲の評価はほとんど気にしません。なにかをはじめると完璧にやり遂げないと気が済まず、ものごとに白黒をつけたがる傾向もあります。この傾向を持つ子どもは一つひとつ着実に勉強していくことを好みます。一度に複数のことをするとストレスを感じるので、勉強の優先順位をつけさせるといいでしょう。また、完璧主義ゆえに自己評価が低い一面もあるため、勉強したら「今日できた勉強」を書き出すなどして、勉強の成果を肯定的にとらえられるよう工夫してあげてください。子どもがどういうことに快楽を感じるのか、それに合わせて言葉や環境を選んであげることが大切です。中学入試を受けるにしても、「この学校に行けば世界が開けるぞ」と言うのが子どものやる気アップに効果的なのか、あるいは「あとあと安全だよ」「みんなに褒められるよ」「こんなすごいことができるぞ」と言うのがいいのか。特に気を使いたいのは一見矛盾する傾向がいずれも強いとき。そういう場合、子どもはストレスを抱えやすいので、子どもの「ああでもない、こうでもない」に粘り強く付き合ってあげてください。『男の子がさいごまでできる めいろ』『女の子がさいごまでできる めいろ』篠原菊紀 監修/KADOKAWA(2018)■ 脳科学者・篠原菊紀先生 インタビュー一覧第1回:記憶力の要は「記憶の仕方」にあり。親が知っておくべき「記憶の脳科学」第2回:子どもの「やる気」と「集中力」を引き出す脳科学的テクニック第3回:子どもの気質をテストで診断。脳のタイプ別「“勉強好き”に育てる方法」第4回:「間違った褒め方」していませんか?子どものやる気を維持させる「褒め方」メソッド(※近日公開)【プロフィール】篠原菊紀(しのはら・きくのり)1960年生まれ、長野県出身。東京大学教育学部卒業、同大学院教育学研究科修了。東京理科大学諏訪短期大学講師、助教授を経て、現在は諏訪東京理科大学工学部情報応用工学科教授、地域連携研究開発機構・医療介護・健康工学部門長、学生相談室長。「茅野市縄文ふるさと大使」という肩書も持つ。応用健康科学、脳科学を専門とし、「遊んでいるとき」「運動しているとき」「学習しているとき」など日常的な場面での脳活動の研究をしている。教育関連の他、アミューズメント、自動車産業などとの共同研究も多数。子どものための「脳トレ」に関する著書も数多い。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2018年12月20日年長のお子さまをもつママは、年が明ければ卒園式までカウントダウン。そして、その先には小学校入学が控えています。園から小学校に上がると生活に大きな変化がありますが、それに加えて2020年に施行される新学習指導要領で、大きくシフトチェンジがあるのが気になるところです。「一体何がどう変わるの?」「普通に勉強をしているだけではだめなの!?」などと不安を抱くママも多いのではないでしょうか。そこで、教育市場動向や入試傾向にも詳しい、Z会 幼小事業部『みらい思考力ワーク』開発責任者の田中多恵子さんに、2020年に向けてどのように備えればいいのか、お話を伺いました。◆Z会 幼小事業部 みらい思考力ワーク開発責任者田中多恵子(たなか・たえこ)さん1986年入社。長きにわたり、Z会小学生コース 国語の教材開発を担当。<Z会小学生向けコース>コースやレベル、教科の選択など柔軟なシステムで、お子さまの未来を拓く教材を提供。1・2年生向けには、親子での学びをとおして知性と感性を育む「小学生コース」がある。新一年生のママたちへ、2020年に向けて専門家からアドバイス!Q.2020年度には何が変わるのでしょうか?田中さん: 2020年度から小学校では「新学習指導要領」が施行されます。この年度には大学入試制度も大きく変わり「大学入試センター試験」が廃止されますので、日本の教育界全体で大きな変化があると言えます。大学入試では、単なる知識力だけではなく、その知識を使いこなす力、自分で問題を発見して答えや新しい価値を生み出す力が問われるようになります。その流れで小学校でも広い視野をもち、知識を活用できる力を身につけることが求められます。Q. 具体的には、各教科の学習内容も変わりますか?田中さん:小学校の学習でもっとも変化があるのが、英語(外国語活動)です。3年生から対話中心の英語(外国語活動)の授業が必修化され、5年生からは成績がつき、「聞く」「話す」「読む」「書く」の4技能の育成がこれまで以上に重視されます。この対話を重視した活動は英語に限らず、すべての教科で重視されるようになります。さらに、知識を身につけることが中心だった従来の学習から、知識を活用していく力が求められるようになります。Z会ではその変化に対応し、小学生コース1・2年の国語では、通信教育ではめずらしい「はなす」というカリキュラムを設けています。対話によって、コミュニケーション能力を高め、表現力を豊かにするための取り組みです。また、理科・社会へつながるZ会オリジナル教科「経験学習」では、経験するための材料を揃えるところからはじまり、工夫したり考えたりしながら体験。実際に五感を使って感じるなかで、身近な事象に対する興味・関心を広げ、意欲的に学ぶ姿勢を身につけます。一生使える「考える力」を養うための “6つの力” とはQ. 「考える力」は、どのように勉強したら身につきますか?田中さん:これからの社会で求められているのは、何かを教わるだけではなく、自分で考え、他者を動かし、一緒に行動することができる力です。単に問題を早く多く解くというのではなく、わかるまで考える、どうしてこの答えになるのか納得する、ということが大切になります。Z会では2019年4月に『みらい思考力ワーク』が開講します。この講座では子どもたちの「考える力」を伸ばすために、まずは6つの力を身につけます。1)論理的判断力2)情報整理力3)試行錯誤力4)連想力5)注意力6)推理力教科の枠を超え、教科の知識や日常生活で習得した知識を組み合わせて解く問題で「知識の活用の仕方」を学べます。あれこれ試行錯誤したり、ひらめいたり。将来の受験でも社会生活でも役立つ、粘り強く考えぬく力を養います。 考える力を育む『みらい思考力ワーク』の問題例をみる 「年長の冬」から、徐々に勉強へ移行しようQ. 小学校のスタートで “つまずかない” ための準備とは?田中さん:小学校入学の時期は、通う場所も友だちも変わるため、お子さまにとっては大人が考える以上に大きな変化を経験します。入学前は、まずは「1年生になることが楽しみ」と思えるように準備をしてあげてください。ひらがなや数字などは入学後も取り組む時間はとれるので、あせらずおおらかな気持ちで接してあげてください。逆に、勉強が進んでいるお子さまの場合、すでに知っていることだと学校の授業がつまらなくなってしまう場合もあります。そして、気がついたら授業が先に進んでいた…ということがないように注意が必要です。Z会の幼児コースでは、小学校入学にそなえて徐々に国語や算数の教科的な取り組みを行っていきます。これまでとは違う「勉強する」という雰囲気に慣れておけます。正解しなければいけないものではないので、親子で楽しみながら取り組んでいただくことで、入学後の学習がスムーズになります。 Q. 子どもの勉強はどうやってサポートしたらよい?田中さん:保護者も仕事や家事で忙しい時代。勉強中ずっとそばに付きそう必要はありません。Z会を受講されているご家庭では、朝の時間帯を活用したり、家事をしながらお子さまを見守っていたりするご家庭も多いです。忙しいときは、お子さまが取り組んだものを後で○をつけてあげるだけでもよいでしょう。大切なのは認めてあげること。出来不出来に関わらず、がんばりをほめてあげましょう。Z会の幼児コース、小学1・2年コースでは、親子で学ぶことを大切にしていますが、教えることが負担にならないよう、「サポートブック(保護者用指導書)」を用意しています。大人にとって教えるのが難しい問題でも、ほめながら正答へ導く方法を掲載しているので、お子さまのやる気をそがずに楽しく教えられます。お子さまのがんばりを目に見える形で表すシールやスタンプも用意していますので、継続の原動力になります。 小学生コース1年生の「おためし教材」(無料)はこちらから 年長さん親子がZ会の「おためし教材」を体験!そんなZ会の『みらい思考力ワーク』のおためし教材を、来春、新1年生になる「まちちゃん」親子に体験してもらいました。早生まれのまちちゃん。お母さんは「何でもゆっくりで心配」と話しますが、教材を開くと、楽しそうにさっそく「まちがいさがし」の問題から取り組み始めます。遊びの延長で取り組めそうな問題ですが、実は思考力の中の6つの力のひとつ、「注意力」を育てる問題です。日常生活での知識をもとにおかしいところを探します。「ここがヘン!」まちちゃんの楽しそうな声が響きます。右ページの「影」の問題は、光と影の理科的な知識がなくても解けるのでしょうか? 「むずかしいから、おうちのひとといっしょにさがそう」と書いてあるので、まちちゃんもお母さんと一緒に取り組みます。「注意力」は全体や部分を比べて発見する力なので、影の法則を知らなくても、注意深く見比べることで、違いを発見できそうです。字を覚えたてのまちちゃんが次に挑戦したのが「文字の入れ替え」問題。ひらがなを入れ替えて、違う生き物の名前を作る問題です。4文字の「くろしま」は「しろくまだ!」とすんなり思いついたまちちゃんですが、5文字、6文字となるとちょっと苦戦。お母さんも「ただ答えを教えるのではなく、どうやったら考える力を伸ばせるかな」と少し迷います。そこで付属の「サポートリーフレット(保護者用指導書)」を参考にしていただきました。ママもサポート!「教え方アドバイス」も充実Z会の「サポートリーフレット(保護者用指導書)」には、正解だけでなく、その時期の子どもがつまずきやすいのはどこか、どのようにアドバイスをしてあげるとよいのか、「間違えたときの接し方」が載っています。「理由を確認して、お子さまの考えを認めてあげてください」というアドバイスに、“間違えたときこそ学びの大きなチャンスがある” ことに気づかされます。「ほめ方や子どものひらめきを応援する声かけ例が載っているのはとても心強いですね」とまちちゃんママ。まちちゃんが体験した「文字の入れ替え」問題で問われているのは「試行錯誤力」で、解決にはいくつかのアプローチがあるそう。まちちゃんママも「『て』のつく言葉を考えてみる?」と、「て」がつく5文字の生き物の名前を考えてみることを提案します。まちちゃんのご家庭では、すでに兄妹とも塾通いや通信教育を経験しているそうですが、「どんどん解いてあっという間に終わってしまうような教材よりも、ちょっと難しいけれどきちんと考えるようにできていて、やりごたえがある」と、考える力を伸ばすZ会のおためし教材にも納得の様子。早生まれのまちちゃんも、お母さんの心配をよそに粘り強く問題に取り組み、「楽しかった」と笑顔を見せてくれました。小1・小2コースが大幅リニューアル!「プログラミング学習」もスタートそれぞれの「おためし教材」を見たまちちゃんのお母さんは、「思考力が鍛えられて力がつきそう。以前から子どもには『書く力』をつけてもらいたいと考えていました。添削問題もあるし、教材も書くものが多く、これなら『書く力』も養えそうですね」とも話します。2020年度の新学習指導要領の施行に対応し、Z会では教材を大幅にリニューアル。子どもたちの主体的な取り組みを促す国語・算数・経験学習の教材に加えて、家庭にある機器で手軽に取り組めるプログラミング学習も追加料金なしで学ぶことができます。「プログラミング学習 Z-pro」は年4回配信。2019年度の小学生コース1・2年生を受講した方には、標準サービスとしてついています。プログラミング学習では「論理的思考力」「問題解決力」「創造力」の3つの力が鍛えられ、「プログラミング的思考」を伸ばす土台が作られていきます。「プログラミングってどんなことを学べばいいのかわからなかったからよかった」と、まちちゃんママも安心した様子でした。変化の速い現代社会。子どもにどんな力をつけさせたらいいのか、と不安なママが多いのではないでしょうか。親としては、学校の成績や受験だけでなく、一生役立つ「考える力」を伸ばしてあげたいですね。ずっと使える「考える力」を身につけよう!【新1年生の学習スタートに、Z会がピッタリの6つの理由】 1) 将来の可能性を広げる“考える力”が身につく『みらい思考力ワーク』※『みらい思考力ワーク』なしのご受講も可能です※『みらい思考力ワーク』に提出課題はありません2) 「保護者用指導書」で、保護者も効果的な学習支援ができる3) 1日10~15分で、無理なく学習習慣が身につく4) 毎回同じ担任の先生から、一人ひとりに合ったアドバイスがもらえる5) プログラミング学習も追加料金なし6) 努力賞プレゼントで、モチベーションもアップ Z会小学生コースについて 詳しくはこちら PR: Z会 取材・執筆・撮影:まちとこ出版社
2018年12月20日子どもが勉強に対する意欲を持ってくれない、集中力が続かない……。小さな子を持つ親御さんであれば、そんな悩みを抱えているはずです。その悩みを解消してくれるのは、脳科学者の篠原菊紀先生。「やる気になる」「集中できている」ということはどういう状態なのか、どうすればそうなるのか、脳科学の観点から教えてくれました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹(ESS)写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)勉強への集中力が持続する時間は15分まず、集中力が「どのくらい持続するか」という話からはじめましょう。じつは、集中力の持続時間はテストの内容によって異なりますから、一概には言えません。たとえば、クレペリンテスト。就職、転職時の適性検査に採用している企業もありますから、受けたことがあるという人もいるでしょう。1列に並んだ隣り合う1桁の数字をひたすら足し算していくもので、計算能力、集中力などを測定するテストです。このクレペリンテストの場合、だいたい7分くらいを過ぎるとパフォーマンスが落ちて、休憩を挟むとまた上がってくるということが研究結果からわかっています。また、テレビ番組などの映像コンテンツに対する集中力が持続するのはだいたい15分くらい。10分から15分ごとに1回CMが入るというのは、脳科学の観点からすれば正しいのです。そして、肝心の勉強に対する集中力が持続するのもだいたい15分くらいですから、15分をひとつの目安に休憩を挟んであげるのがいいかもしれません。ただ、「手慣れた」科目の勉強への集中力はより長く持続します。20代くらいの若い人のほうが、集中力が続きそうなイメージを持たれがちですが、マサチューセッツ工科大学の調査によると、じつは集中力のピークは43歳くらい。これも、その年齢に至るまでの人生のなかでさまざまな経験を積むうち、知識やノウハウが蓄積し「手慣れ」てくることが関係します。年齢と集中力に関連することとして、もうひとつお話をしておきましょう。ビジネス書等で「朝のほうが勉強や仕事に集中できる」というようなことを見聞きするかと思います。じつは、これも年齢によって変化するもの。中高年層だと午前のほうがパフォーマンスは高い。でも、若者となると、午後~夜のほうが集中できる傾向にある。もちろんこれには個人差もあります。結局のところ、集中できる時間帯というものは人それぞれちがうということです。であれば、集中力を高めるためにはどの時間帯に集中力が増しているのか、集中力が減っているのか――時間によって変化する「やる気曲線」を本人に書かせてみてはどうでしょうか。これには、「この時間帯には集中力が増している」と自己認知することで実際に集中力を高めるという効果が期待できます。もちろん、小さい子どもにあまり遅い時間に勉強させるわけにはいきませんが、今後の学習のためにも知っておいていいことだと思いますよ。「行動」をイメージさせてやる気スイッチを入れる子どもの集中力を高めたいのなら、「集中できている」というのはどういう状態なのかを知っておく必要もあるでしょう。脳科学の観点から説明すると、「集中できている」というのは、脳の線条体(せんじょうたい)という部分が活動している状態。線条体とはいわゆる「やる気スイッチ」です。行動と快感を結びつけている器官で、移動する動物のすべてが持っているものとされます。というのも、行動に快感を感じられなければ、動物は生き抜くことができないからです。わたしたちの祖先が獲物のマンモスを見つけて追いかけはじめた。でも、あっさりと追跡をあきらめてしまったらどうでしょうか。獲物を捕らえることができず、餓死してしまいますよね。追いかけはじめたら、追いかけ続けられなければならないのです。実際にそうして獲物を確保して、生き延びることができた。つまり、一度「やる気スイッチ」が入ったら行動に快感を感じるという仕組みを人間は持っているのです。であれば、子どもを勉強に集中させるためには、「やる気スイッチ」を入れる方法さえ知ればいいということになる。その方法とは、「行動」をイメージさせることです。「勉強しよう」「やる気を出そう」と思って線条体の活動がはじまるのならそもそも苦労はありません。どんなにそう思っても線条体にその命令が届かない、その場合が問題なのです。「やる気を出そう」と思っているときの脳活動を調べると、じつは言語野と呼ばれる部分は活発に動いています。勉強をしないでだらけている子どもに「勉強しなさい」と言うと、「いましようと思ってたのに」なんて答えませんか?それは嘘ではないのです。そういうときには、子どもに、立ち上がって机に向かって歩いて椅子にドンと座って教科書をガバッと開いてガシガシと勉強するというようなことを映像のようにイメージさせる。先にお伝えしたように、線条体は行動と快感を結びつける器官ですから、「行動」をイメージすることで重い腰も浮きやすくなるのです。いま、「ドン」「ガバッ」「ガシガシ」という言葉を使いましたが、オノマトペ(擬声語)を使うと線条体の活動がはじまりやすくなります。また、実際には楽しくないことも口角を上げて取り組めば楽しくなるという話を聞いたことがあるのではないでしょうか。1980年代頃から感情心理学において言われてきたことですが、これは脳科学の点からも正しいと言えること。口角を上げると脳のなかでドーパミンという快楽物質の分泌が盛んになり、記憶効率が高まりスキルアップしやすくなることがわかっているからです。苦手な科目の勉強に取り組む際には、子どもにニコニコしながら楽しそうにやるよう教えてあげる。とはいえ、小さい子どもなら理屈で理解することは難しいかもしれません。であれば、親御さん自身も、面倒なことをニコニコしながらやってみる。そういう姿を子どもに見せてあげてください。『男の子がさいごまでできる めいろ』『女の子がさいごまでできる めいろ』篠原菊紀 監修/KADOKAWA(2018)■ 脳科学者・篠原菊紀先生 インタビュー一覧第1回:記憶力の要は「記憶の仕方」にあり。親が知っておくべき「記憶の脳科学」第2回:子どもの「やる気」と「集中力」を引き出す脳科学的テクニック第3回:子どもの気質をテストで診断。脳のタイプ別「“勉強好き”に育てる方法」(※近日公開)第4回:「間違った褒め方」していませんか?子どものやる気を維持させる「褒め方」メソッド(※近日公開)【プロフィール】篠原菊紀(しのはら・きくのり)1960年生まれ、長野県出身。東京大学教育学部卒業、同大学院教育学研究科修了。東京理科大学諏訪短期大学講師、助教授を経て、現在は諏訪東京理科大学工学部情報応用工学科教授、地域連携研究開発機構・医療介護・健康工学部門長、学生相談室長。「茅野市縄文ふるさと大使」という肩書も持つ。応用健康科学、脳科学を専門とし、「遊んでいるとき」「運動しているとき」「学習しているとき」など日常的な場面での脳活動の研究をしている。教育関連の他、アミューズメント、自動車産業などとの共同研究も多数。子どものための「脳トレ」に関する著書も数多い。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2018年12月18日トップライター:沼口祐子日本にあって、フランスにないものは「塾通い」かもしれません。フランスにも学習塾がないわけではありませんが、数はとても少なく、通う生徒もまれです。また、塾は学力向上というよりは、成績不振な子どものサポートが目的となっているようです。では、放課後や休暇中の宿題や勉強を誰がみるのかというと、それは親です。フランスには階級意識が色濃く残っており、両親や家族の学歴レベルがほぼそろっています。そのため、現代になっても親の職業を継ぐ子どもは多く、親がわが子の勉強をサポートし、将来の道につながるようサポートしていくのです。科学者の子は科学者に、弁護士の子は弁護士に、教師の子は教師に、というパターンは少なくありません。理数系が苦手なのは家系なのか?パリ郊外ジフ市の公立中学ジュリエット・アダンに5年生(日本の中学1年)の2学期から転入した娘は、当初から数学、化学の授業についていくのが大変でした。家に戻ってからも長い時間机に向かって必死に勉強をしていましたが、成績は伸び悩んでいました。ある日、娘はこんなふうにたずねてきました。「ねぇ、ママ、わたしたちの親族でサイエンスに強い人っている?」わたしは父方、母方すべての親族を思い浮かべましたが、理数系はひとりもいなく、みんな文系であることに気づきました。すると娘は「やっぱね~。これって遺伝だよ」とため息をつきました。そして4年生(日本の中学2年)になると、クラス担任のムッシュ・ブリュヌが数学教師だったため、新学期がはじまると同時に、わたしは娘とともに学校に呼び出されることになってしまいました。「カリンには助けが必要です。塾に通うか家庭教師をつけるべきと思いますが」ムッシュ・ブリュヌはそう切り出しました。先生に言われるまでもなく、わたしも塾や家庭教師の料金を調べてみましたが、需要があまりないためか高額になっているようで、わが家の家計では捻出不可能でした。それを伝えると、ある提案をしてくれました。フランスの宿題お助け教室とは?先生「では、ちょっと趣旨は違いますが、わが校のエイド・オー・ドゥヴワ(宿題お助け教室)に参加してみますか?専任教師に数学を重点的にみてくれるよう、わたしから頼んでおきますので」わたし「授業料はどのくらいかかりますか?」先生「ここは公立校ですから、もちろん無料ですよ。ご心配なく」移民の多いフランスでは、公立校の中学校までの期間は放課後に生徒をサポートする制度があるのだそうです。家庭内で勉強を見てもらえない生徒を救済するシステムで、これはどの地域のどの学校にもあって、もちろん無料です。日本だと放課後はお金を払って学習塾に通うのが一般的と考えると、その点だけ取ればフランスの公立校は至れり尽くせりとも言えます。娘が通っている中学校のエイド・オー・ドゥヴワは、授業が半日で終わる水曜日を除いた月・火・木・金の放課後に、校内の図書館を使って開かれていました。専任教師は、フランス語・数学・歴史・地理・物理・生物、そして英語のすべてを教えることができるとのこと。ただし、ドイツ語だけは教えられないと言われましたが、娘の場合、ドイツ語の助けは必要ありませんでしたから問題はありません。とりあえず週に2回エイド・オー・ドゥヴワに参加すべく、その場で申し込みをしました。娘は毎日でもいいと言ったのですが、疲れてしまうのも問題なので週4日がちょうどよかったようです。凱旋門の前で微笑む14歳ごろの娘気さくな先生は、ラガーマン!エイド・オー・ドゥヴワは、6年生から3年生(日本の小学校6年~中学3年)の”やる気のある生徒”だけが少数集まっていたそうです。宿題のサポートが必要な移民の子はもっと大勢いたはずですが、勉強ができなくても、宿題をやらなくてもいいという生徒はそこには来ないからです。成績が伸び悩み、それでも、なんとかしたいという意欲と向上心のある生徒だけなので、その数は毎回10人ほど。しかし、娘にとって少人数はラッキーでした。図書館内で騒ぐ生徒はいないので集中でき、また先生からは個別の説明をじっくり聞けるからです。専任教師はムッシュ・シメオニというがっちりした体格のラガーマンでした。初対面の日、娘は「顔に殴られたあとみたいなアザがあったから、けんかっ早いこわいオジサンかと思った」と言っていました。娘のいぶかしげな表情を読み取ったムッシュ・シメオニのほうが、「いや~、昨日のラグビーの試合で顔をぶつけちゃってね」と照れ笑いしたそうです。先生はジフ市のラグビーチームの選手でもあったのです。ムッシュ・シメオニはあらかじめ、娘のこれまでの成績をチェックしており、数学を重点的に、またほかの主要科目もテスト前には、ていねいに教えてくれることになりました。娘も気さくな先生にすぐに慣れ、何でも質問ができたと喜んでいました。おやつも学校が無料提供ところで、放課後におやつもなくて小腹がすくのでは……と、心配したのですが、「いつもジュースやマドレーヌやクッキーとかが並んでて、食べ放題なんだよ」と、娘からの報告を受け、こちらもひと安心。無料なのにここまでやってくれる学校にはひたすら感謝でした。エイド・オー・ドゥヴワの終了は18時30分。先生と生徒が外に出てくるのは19時近くなり、冬になると真っ暗なので、わたしは犬連れで校門まで迎えに行っていました。学校の送り迎えは愛犬ジュエルの日課でしたムッシュ・シメオニは愛想がよく、毎回わたしに手を差し出し握手を交わしながら、「カリンの成績は上がっていきますよ」と、励ましの言葉をかけてくれました。その後、各科目の成績はわずかに上がってはいったものの、肝心の数学に関しては1ポイントだけは上昇したものの、落第しないギリギリの線が続きました。どんな子にも得手不得手があるのだから、わが娘も落第せずに進級していってくれればそれでいいかなと、そのころのわたしは考えていました。沼口祐子(ぬまぐちゆうこ)1957年静岡市生まれ。編集プロダクションを経て、フリーライターになり、女性誌のさまざまなページ作りに携わる。1995年に渡仏し、パリで20年間子育て、犬育てをしたのち、2015年に帰国。著書に、『しあわせになれるパリ幼稚園物語』、『気分はパリ暮らし』などがある。
2018年11月23日みんな超絶マイペース。居心地のいい不思議な空間先日、娘が通う、通信制サポート校(※)の個人懇談に行ってきました。一番に聞かれたのが「お子さんはどんな時に体調が悪くなるのですか?」ということでした。体調の悪さが心理的なものからきていることを理解したうえで、具体的にどんな症状で苦しんでいるのか知り、学校で症状が出れば本人の負担にならないようにサポートしてあげたいという配慮からきた質問だったのです。懇談以外でも娘のために配慮してもらったことがいろいろあります。「体幹が弱く椅子に座って勉強するのが苦痛」と言えば、校長の自宅からちゃぶ台を持ってきて娘のためのスペースを作ってくれました。「漢字を書き写すのにスマホで漢字辞典を見ないとやりにくい」というと、「いいよ」とその場で認めてもらえました。今まで学校の先生からそこまで娘に関心や配慮の気持ちを持った質問をされたことはなかったのでびっくりしました。「ここまで娘に心を寄せてくれるのか」と思うと、中学までのつらい日々を思い出して少し泣きたいような気持になりました。娘の通う通信制サポート校は、本校は遠方にある通信制高校で、その分校のような形となっています。授業、レポート、スクーリングといった卒業に必要な全てのことはサポート校で行われます。一対一の指導が基本なので、不登校期間が長く学力に自信がない、娘のような子も安心して学ぶことができます。このサポート校には、フリースクールも併設されていて、施設は共同。広さは小学校の教室2つ分くらいで、サポート校とフリースクールの生徒は混じりあって同じように過ごしています。子どもたちは、登校する時間もまちまちで、過ごし方も自由そのもの。勉強する子もいればオセロに興じる子、好きな模型作りをしていたり、先生に進路相談する姿も。みんなでおやつを買いに行くこともあります。生徒が「ハンバーガー買いに行くけど~」と声をかけると、校長自ら「僕の分も買ってきて」と頼んでいたのには笑いました。人と話すのが好きな子もいれば目を合わすのもしんどい子もいます。だけど不思議なことに誰も居心地が悪くなることもなく共存しているのはなぜでしょうか?(※)通信制サポート校は、通信制高校に通う生徒に対して、3年間で卒業ができるよう単位取得・進級などに必要とされる勉強や精神面での支援を行う役割を担っています。通信制サポート校で勉強したとしても、高校卒業資格を取得することはできません。大半のサポート校は通信制高校と提携し、サポート校入学の際には通信制高校への同時入学が必要です。無理をさせない、追い詰めない娘が通うサポート校の主な教員は、校長・教頭夫婦です。二人とも元小学校の教員で塾講師。自分たちの子どもが不登校になり、無理やり学校に戻そうとして家出されたという経験があります。そのとき、カウンセラーの元で不登校の子ども対応について猛勉強されたので、「無理をさせない」「親子を追いつめない」といった対応は見事なものがあります。生徒たちのことも家庭環境を含めてとてもよく見ています。娘がフリースクールに入学したてのとき、少し勉強しただけで疲れてしまう様子をすぐに見抜いて「よく頑張ったね!今日はもう終わり。帰って家でゆっくりしてね」と声をかけてくれました。なかなか続けて通うこともできず間が空いても、顔を出せば笑顔で「よく来たね」と声をかけてくれ、おやつの時間に誘って他の生徒と話す時間をとったり、ピアノのレッスンに誘ったりと工夫して関わり続けてもらううちに、娘の表情もどんどん柔らかくなって学校での滞在時間も少しずつ伸びていったのでした。先生の目配りの対象は生徒だけに限りません。つき添いの私に「いま、つき添いのお母さんが来てるんだけど話してみない?」と声をかけて親同士の交流を促したり、私がほかの生徒と話せるようにおやつに誘ってくれたりしています。おかげで娘の同級生の親御さんとも親しくなれたり、フリースクール生の親御さんの相談相手になったりと有意義な時間を過ごさせてもらっています。先生が信頼してくれるから、子どもたちは心を開くもう一つ印象深かったのは、先生方が私に生徒を紹介するときは必ず「この子にはこんなに素晴らしいところがあるんです」と本当に嬉しそうに伝えてくれるということ。娘のことも、「お母さん、ほらこのレポート見てください。フリースクール生の頃よりずっとたくさんの文字をきれいに書けるようになっていますよ」という風に伝えてくれるので嬉しくなります。この学校に来ている子どもたちは不登校経験者がほとんどで、入学したての子やフリースクール生を見ていると、大人と目を合わせることのできない子がとても多いです。きっと、それまでにいっぱい傷ついてきたのでしょう。そんな子どもたちが、学年が上がるにつれて先生方にはタメ口で辛辣なことを言ったりすることがあります。ビックリしている私に後で先生がそっと教えてくれたことがありました。「あの子は家では親に決して逆らわないんです。ここで発散できるならいいんですよ」って。先生方は子どもたちのことをよく理解し、深い信頼をもって接しているのだなと感じました。別に勉強するわけでもなく、フラッと立ち寄って先生とひとしきり軽口を叩きあって「また来るわ」と帰っていく子どもたちを見ていると「ここが安心できる居場所の一つとなっているのだな」と腑に落ちたのでした。娘もいつの間にか先生方に信頼を寄せるようになっていました。サポート校1年生になって、最初は私につき添い登校を頼んでいたのに、夏休み前には時々一人で登校するように。怖がりで安心できる場所じゃないと私が一緒でも行きたがらない娘がです。また、こんなこともありました。家で「学校でも年金や社会保障の教育は必要だと思う」という話になったときのことです。娘が「校長に頼んでみようかな」と言ったのです。学校の先生に何かを望むこともなくなり、完全に学校から背を向けていた娘が先生に提案するなんて!本当にサポート校のこと、そして先生方のことを信頼して安心できる存在だと思っているのだなとうれしくなりました。痛みを知っているからお互いに優しくできる先生に頼まれて、先輩が後輩の相手をすることもこの学校ではよくあります。もともと心優しい子どもたちばかりですし、人の痛みに敏感で相手の心を思いやれる力を持っているので、新しく入ってきた子に関わるときは注意深く、その子に負担をかけないよう、怖がらせないように上手に接してくれます。その様子はカウンセラーや教師もかなわないくらい。娘は誘われたらそつなく応対しているようですが、「私はそういうこと(人間関係)に煩わされずに勉強できるからこの学校にきたんだ」とも言っています。その言葉に「この子には友達ができないんだろうか」と心配しましたが、それもまた一つの信念で、尊重すべき考えと思い直しました。この学校には人の輪には入ろうとしない子もいますが、どんな個性を持っていても尊重される校風にはどの子も救われているだろうなと思います。7年間の不登校の末に出合えた、通信制サポート校に思うこと正直、小2から不登校になってしまった娘が通信制高校に進学してちゃんと卒業できるのかかなり不安でした。だけど、月に2回(※)ほど、本校と連携している通信制サポート校に登校して、ちゃんとレポートも提出し1年前期の定期試験も無事クリアすることができました。どうやら今のところ彼女は最小限の省エネモードで卒業を目指しているようです。「月2回しか行けないのか」とがっかりしたこともありましたが、よく考えてみると7年間ほぼ学校に通ったことのない子が月2回も通学していることが奇跡で、それは先生方の寄り添いのおかげだなと感じています。つき添い登校の際にはずいぶん学校の様子も見せてもらいましたし、他の生徒やその保護者とも楽しく交流できたおかげで私も得るものがたくさんありました。私自身、学校にいると落ち着くし楽しいんです。そんな学校に出合えたことを本当に感謝しています。(※)出席日数はスクーリングを入れて普通の高校の約10分の1ですみます。スクーリングに行けなかったり、学校に来られない場合も個別に対応してもらえるので卒業は可能です。
2018年10月12日出産して子育てに専念。子供が小学校に慣れてきたら社会復帰しようと考えている人も多いですよね。しかし、ブランクがあると社会復帰に不安を感じることも。そこで注目したいのが仕事に役立つ資格です。今回は、子育てする妻に社会復帰につながる資格の取得について、パピマミ編集部が紹介します。資格は社会復帰を目指す就職活動で武器になる家事と子育てに追われながら毎日を過ごす人が大半ですよね。少しでも空き時間が確保できたら、自分の好きなことに時間を使いたいと思うはず。しかしその気持ちをグッと我慢して、自分自身の将来のためにその時間を使ってみませんか?社会復帰したいなら、空き時間を利用した資格の勉強が最適です。資格を取るメリットは、就職活動の際に「自分が資格を取るためにどれだけ努力をしたのか」を面接官にやる気をアピールできます。たとえブランクがあろうと、「その仕事を得たい」という気持ちも伝えやすくなり、就職活動においても有利になるでしょう。資格を選ぶ際は、「ママの間で人気の資格」というキャッチコピーに惑わされず、自分に最適な資格を選ぶようにしてください。まずは「どのように仕事をしたいのか 」を明確にし、それを実現できるスキルや知識を見極めることが大切。それでこそ、資格を得る価値があります。再就職の際に資格がメリットを生むケース会社が採用で注目するのは、経験やスキルだけでなく人柄やポテンシャルなど様々 です。資格があれば社会復帰につながりやすい!と言っても、資格は経験やスキルを強化するものと捉えておきましょう。大きな期待をするほどの結果は得づらいのです。例えば、医療事務や調剤薬局事務など医療系の資格は、医療機関で専門的な仕事に携わります 。これらの資格はどれも民間資格で、実際の業務に必須だという訳ではありません。資格がない人でも仕事に就けますし、資格があるかどうかよりも、経験の方が優先されます。とは言いつつ、資格を得てメリットが生まれるケースも存在します。「医療事務系の現場で働いていたが、結婚を機に退職してからブランクが長い」というようなケースです。この場合、「今までの実務経験にプラスして、今回新たな知識と現場の情報を把握するために資格を取った」と説明すれば採用担当者に熱意が伝わりますし、資格手当につながる可能性も出てくるはずです。人材不足の分野で活躍する道も興味がある仕事が人材不足の分野であれば、資格取得によってより仕事が得やすくなるというメリットが生まれます。介護職が人材不足になっているように、この分野では「介護職員初任者研修」が近年ホームヘルパーの2級に該当する資格として新しく誕生しました。これは、介護資格の中でも一番取りやすい資格なので、介護職に就きたいなら最初に取得しておきましょう。「特定求職者」に相当する場合は、ハローワークにある求職者支援制度を活用して資格を取ることも可能です。また、介護スタッフと同様に人材不足が指摘されているのが保育士です。子育てを経験している主婦には、育児経験を仕事に活かせると注目されている資格 。通信教育で勉強することも可能で、半年間勉強して合格する人もいますが、空いた時間を利用して勉強するなら、1年から2年確保しておけば無理なく学習できるでしょう。なお、保育士になれば保育園に加えて子育て支援センターなどでも活躍できます。資格取得を目指すと決めたら心掛けたいこと社会復帰のために資格を取りたいと思ったら、取り掛かりたいのは情報収集と同時に勉強時間を確保すること 。挫折しないために、2、3点のコツを押さえておきましょう。まずは「この時間を勉強に充てる」と決めたら、家事はそれ以外の時間で終わらせるようにしっかり段取りを組むこと 。そして、モチベーションを保ち続けるためにも、最初は「とりあえず30分毎日勉強する」など負担にならない程度から取り組み、慣れてきたら少しずつ時間を増やすようにしましょう。また、ついテレビを見てしまう時間などの「すき間」時間を勉強に充てる方法もおすすめです。テキストを5分でもいいので見直したり、スマートフォンのアプリを使って勉強することもできます。暗記すべき事柄をメモにまとめ、調理中に食材を煮ているわずかな間や入浴中に確認してもいいでしょう。短時間でも勉強する癖をつけると、一日の間で勉強に充てられる時間を捻出しやすくなる はずです。まとめ子育て中でも、子供の面倒を見たり家事をしている合間に勉強できる資格が色々あります。もちろん、決して「資格さえ持っていれば社会復帰は簡単」という訳ではありません。ありませんが、就職活動でアピールでき、自分に対して自信が持てるようになりますよね。これまで資格の取得に取り組んだことがない人も、子育てを機に勉強してみてはいかがでしょうか。ハードルが高そうに思われても、合格率が意外と高いものもありますので、ぜひチャレンジしてみて下さい。
2018年09月27日子どもが小さいうちは当たり前のように行っていた絵本の読み聞かせも、小学生になり自分で本を読めるようになった頃から行わなくなるというご家庭も多いのではないでしょうか。しかし、小学生以降も継続的に読み聞かせを行っておくことが、将来の子どものためになるのだそう。今回は、長年にわたり“子ども”と“本”に関わってこられた海沼栄造先生に、読み聞かせの大切さを教えていただきました。読み聞かせは、親の愛情を感じる大切な時間――絵本の読み聞かせについて伺います。読み聞かせは子どもが何才ぐらいまで続けるといいのでしょうか?「読み聞かせは、子ども自身が『もういいよ』と拒否するまで、できるだけ長く続ける方がいいと思います。字が読めるようになって、自分で本を読みたいという子どももいるでしょう。もちろん、それはそれで読ませてあげましょう。でも、“子どもが自分で読むと言い始めたからお母さんはもうやらなくていいわ”と思うのではなく、どこかの時間で、『じゃあ、今度はお母さんが読もうか』と声をかけて、膝の上に抱っこしながら読んであげてください。お母さんに抱かれて読み聞かせてもらうのは、子どもがお母さんの愛情を体全体で感じられる時間です。自分で本を読むのは自立につながること、読み聞かせは親の愛情を感じること、その両方が子どもにとって必要なことなのです」――長く読み聞かせを行っていた子とそうでない子では、なにか違いはでてきますか?「私の塾に通ってきている中学生の中に、小学校4年生ぐらいまでお母さんに本を読んでもらっていた子がいます。『大草原の小さな家』などの長いシリーズものを、じっくりお母さんに読んでもらっていました。その後、自分だけで本を読むようになってからも、読書を愉しみながら、じっくりと考え、他者の意見にも熱心に耳を傾ける子に育っています。これはあくまでも私の経験上ですが、本が好きで、たくさん本を読んでいる子は、結果として成績も優秀な子が多いと思います。たぶん、数学以外の科目は、ほとんど心配ないでしょうね。数学的ものの考え方は国語力だけではどうにもならないものがあるのですが、それ以外の科目は基本的に大丈夫です。また、本をずっと読んできた子と、本を読んできていない子では、考える力と書く文章に差がでます。本を読むと、想像力が膨らみ語彙が勝手にたまるので、物語を作ったり批評文を書いたりするときの言葉の使い方が上手になるのです」読み聞かせの継続が、本好きな子を育てる――最近では本離れも進んでいますが、子どもを本好きにさせるにはどうすればいいと思いますか?「今の時代、テレビやゲームなど、本がなくても楽しいと思えるものが山ほどありますが、そこはやはり、親がひと踏ん張りしないといけないところだと思います。子育てにおいて、子どものあるがままにさせるだけが良いとは限らないのです。子どもを本好きにするには、読み聞かせを続けるのが一番良い対策です。小さい頃から読み聞かせが続いている子であれば、本の面白さ、お母さんと本を読む喜びを知っているので、たとえ他のものに夢中なときがあっても、絶対に本に戻ってくると思います。また、お母さんたち親も、少しでいいから自分の好きな本を読む時間を取りましょう。今のお母さんたちもネットの世界で生きているし、忙しくてなかなか時間がとれないかもしれませんが、親が本を読む姿を見せることも大切なのです」――なるほど、親の背中を見せなければいけないのですね。では最後に、おすすめの絵本などがあれば教えてください。「小学校低学年のうちは、絵本をできるだけたくさん読んであげてください。絵本の中の美しい絵を見て楽しむ感覚は、想像力を育むのにとても大事なことです。そういう点では、吉田遠志という絵本作家の『アフリカの動物絵本シリーズ』や、バーバラ・クーニーの『にぐるまひいて』『オーパルひとりぼっち』、ユリー・シュルヴィッツの『よあけ』などは、子どもの美的感性を磨き、心の部屋を膨らませる最高の贈り物だと思います。小学校に入ったからと言って、文字だけの本へ移行しなくてはと急ぐ必要はまったくありません。山ほど絵本を読んで、同時進行で、『くまの子ウーフ』や『エルマーのぼうけん』といった児童書も混ぜていけばいいのです」――大変勉強になりました。引き続き、読み聞かせを行っていこうと思います。この度はありがとうございました。(※ご紹介いただいた絵本の中には絶版になっているものもございます。図書館などで所蔵している可能性もありますので、探してみてください)お話を伺ったのは…海沼 栄造(かいぬまえいぞう)先生【プロフィール】1967年に東京学芸大学入学。1989年~1999年の間、経堂で子どもの本屋「もみの木」を営業。1995年に学習塾「悠愉学舎」を開き、現在に至る。遊びを取り入れながら学ぶことによって五感を通じた学ぶ面白さや、自然・社会の中に潜むたくさんの不思議さに気づいてもらい、自分で考えて判断し行動する人間に育ってほしいという想いで子ども達と一緒に学んでいる。子どもの本(現在は大人の本も)を読む「エヴァの会」を約20年、子どもの教育などの本を読む「樹の会」を約10年、塾の現役・OBのお母さん達、地域の方々と一緒に続けている。【参考】悠愉学舎PHOTO/Fotolia
2018年09月25日子どもたちと一緒におやつを作りながら、子どもたちの成長を実感。学校の勉強が生活に役立った瞬間を見ました!子どもたちとおやつを作りました!今日は4コマです。リットル・ミリリットルの勉強が役立った!この間、デシリットルの話をした時に、この液体の単位を覚えてから料理をするとき格段に理解力が違うと思った! ミルメークに限らず(というかミルメーク知ってますかね?)水と混ぜて食べるお菓子系も自分でできるもんね!ただ、漫画の最後にも描いたんだけど、作り方に読めない漢字があったので、そこが読める字にしてもらえると完璧かな~(えらそうに)ミルメークは私が小学生の頃給食にたまに出てくる粉で、牛乳(わたしはビン牛乳だった)に入れて混ぜて飲むとおいしい、という素晴らしい粉だったんです! パック牛乳は混ぜられないから出ないのかな…?今、いろんな味があるんだね! 知らなかった!
2018年09月15日STEAM教育って何?
子育て楽じゃありません
細川珠生のここなら分かる政治のコト