波瑠、中川大志、松下由樹、鈴木伸之、桜井ユキらの出演でおくる「G線上のあなたと私」の2話が10月22日にオンエア。今回は中川さん演じる理人の“名言”と、滝沢カレン演じる芙美が考えた子どもの“キラキラネーム”に視聴者が注目した模様だ。波瑠さんが寿退社間近に婚約破棄され、仕事も結婚も失った小暮也映子を演じて主演。そんな也映子が通い始めたバイオリン教室で出会う19歳、イマドキ大学生の加瀬理人に中川さん、主婦の北河幸恵に松下さん。理人の兄で眞於と交際していたが婚約破棄、直後に別の女性と結婚した侑人に鈴木さん。也映子が通うバイオリン教室の講師で侑人の元婚約者・久住眞於に桜井さん。身重の侑人の妻・加瀬芙美に滝沢さんといったキャスト。※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。初めての発表会に挑む也映子、理人、幸恵の3人。也映子は婚約者への未練を断ち切るため結婚式の二次会で着る予定だったワンピースを着用する。気合十分で望んだもののさんざんな演奏に意気消沈した3人は、夫も姑が旅行で不在となる幸恵の家で練習会を行うことに。幸恵の娘・多実(矢崎由紗)のピアノ伴奏に合わせ楽しく練習をしていると姑・由実子が突然帰宅。由実子の嫌がらせだと涙を流す幸恵に理人は「泣いてはダメですよ。楽しくしてればこっちの勝ち」と言葉をかける――というのが2話のおはなし。幸恵を励ますために理人がかけたこの言葉に「19歳でこのセリフとか…惚れてまうやろ…」「近距離で言われたいっちゅうねん」といった感想が続出。また兄の元婚約者に片思いし告白すべきか悩む姿にも「中川大志がすごいかわいい!何これ!かわいい!!!」「中川大志が可愛くて可愛くて…」などの声も多数。一方、理人の兄・侑人と妻・芙美の間には子供が誕生することに。身重のなか子どもの名前を考える芙美だが、候補となった名前が「苺朗(いちごろう)」や「星絵夢(ぽえむ)」「園風(ぞふぃ)」「六家斗(ろけっと)」などことごとく“キラキラネーム”で、こちらには「イチゴが好きだから、「苺郎」酷いww」「星の絵の夢で 星絵夢 ぽえむ というキラキラネームの衝撃」などの反応も数多く寄せられている。(笠緒)
2019年10月23日劇団スーパー・エキセントリック・シアター(SET)の第57回本公演『ピースフルタウンへようこそ』が、10月11日に東京・サンシャイン劇場にて開幕。その初日公演に潜入した。【チケット情報はこちら】劇団創立40周年記念となる本作は、座長の三宅裕司が演出を、SET本公演では三作目となる吉高寿男が脚本を手掛け、「幸福」をテーマに描かれた作品。人気の高級住宅街・青金台(あおがねだい)と寂れた素裸無町(すらむちょう)を舞台に、そこで暮らす人々の姿から、本当の平和とは?幸福とは?人間とは?を問う物語で、SETの“ミュージカル・アクション・コメディー”の集大成ともいえるエンターテインメント作品となっている。「あなた今、幸せですか?」という台詞から始まる舞台。絵に描いたような幸せそうな暮らしを送り“ちょっとしたことでも歌って踊りたくなる”という青金台の人たちの生活と、困窮していて喧嘩も多いが誰もが正直でどこかのびのびとした雰囲気の素裸無町の人たちの生活を対比するように物語は進んでいく。青金台の出来事は、突如としてミュージカルが始まるのがおかしい。SETならではの歌やダンスのクオリティはやはり魅力で、今回はさらに三宅と野添義弘というベテランコンビのハーモニーも聴けるのでぜひ注目を。素裸無町の面々は歌わないぶんテンポのいい芝居で見せるが、このやりとりもSETならではの息の合い方。後半には華やかなアクションシーンもあり、小倉久寛らベテラン勢の若手に劣らぬキレの良さも見どころだ。もちろん恒例である三宅VS小倉の丁々発止のやり合いも。旗揚げメンバーから若手まで、それぞれがさまざまに活躍している姿に、40周年の劇団ならではの層の厚さを感じた。クライマックスにはこの40年、劇団が作り続けてきたものに思いを馳せずにはいられない展開も。「幸福」とはなにか、ぜひ劇場で目撃してほしい。カーテンコールで三宅は「40周年を迎えましたが、これからも体力が続く限りやっていこうと思っています。お客様が楽しくて元気が出るような作品をつくっていきたい」と挨拶。また、旗揚げ公演は「お客さんが7人、出演者が15人だった」と明かし、小倉も「旗揚げ公演のことを思うと、(40年後に)この劇場でこんなにたくさんお客様が入って、やっているとは思わなかった」と感慨深く振り返り、「三宅さんが『終わってから飲みに行く』って言うんですよ。『俺を褒めてやるんだ』と言っているのを聞いて泣きました」と語った。思いもよらない展開が次々に巻き起こる本作は、10月27日(日)まで東京・サンシャイン劇場にて上演後、11月8日(金)・9日(土)に愛知・穂の国とよはし芸術劇場PLAT、11月13日(水)・14日(木)に兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホールを巡演。取材・文:中川實穗
2019年10月16日いくえみ綾原作のコミックを波瑠主演、中川大志、松下由樹、鈴木伸之らでドラマ化する「G線上のあなたと私」が10月15日から放送開始。中川さん演じる大学生・加瀬理人に「かわいい」の声が殺到中だ。本作は、波瑠さん演じる寿退社間近に婚約破棄され、仕事も結婚も失った小暮也映子が通い始める“大人のバイオリン教室”を舞台に繰り広げられる恋と友情の物語。也映子がバイオリン教室で出会う恋愛に不器用なイケメン大学生・加瀬理人に中川さん、也映子のバイオリン仲間で嫁姑問題に直面中の主婦・北河幸恵には松下さん、理人とは真逆な性格の兄・侑人には鈴木さん。さらに侑人の元婚約者でバイオリン教室の講師・眞於には桜井ユキ。眞於と婚約破棄した直後に侑人が結婚した加瀬芙美に滝沢カレンといったキャストが出演する。※以下ネタバレを含む表現があります。ご注意ください。注目の1話は、婚約破棄され会社も退職した也映子がショッピングモールで眞於の演奏を聞き、同じ演奏を聴いていた幸恵、理人とともにバイオリン教室に入会。3人でレッスンを始めるが、ある日眞於が理人を下の名前で呼ぶのを聞いた也映子と幸恵は、理人から眞於と侑人の間に遭った出来事を聞く。だが理人が眞於に想いを抱いていることを感じ取った也映子と幸恵は、彼のことを茶化して怒らせてしまう……という展開。1話を見ていた視聴者からは、兄の婚約者だった眞於に想いを抱きつつも、上手くそれが表現できずに不器用に振る舞う理人と、演じている中川さんに「かわいすぎ」「中川大志くんのキャラめっちゃ良いわ」「こういうツンデレキャラも似合うなー」「どんな役も出来る大志くんは上手いな」などの声が集まっている。また「波瑠・松下由樹・中川大志って組み合わせ考えた人天才では?」とキャスティングの良さを讃える投稿も見られたほか「もう一度ピアノやりたくなってきちゃった」「ゴスペルクラスのことを思い出した」など、音楽を習っていた視聴者たちからの共感も寄せられていた。(笠緒)
2019年10月15日サンミュージックに所属する若手男性俳優11人で構成されるユニット「SUNPLUS」の第1回舞台公演「SUMMER BAZAAR ~夏の終わり~」が10月18日(金)に開幕する。その稽古場に潜入した。【チケット情報はこちら】脚本を宮本武史、演出を赤澤ムックが手掛ける本作は、メンバーのために書き下ろされた会話劇。舞台は男子校の寮。夏休みが始まり生徒たちは実家に帰省するなか、居残った生徒数名が、寮の伝統行事「サマー・バザー」に駆り出される。そのなかで、登場人物それぞれが抱える不安や悩み、そして一歩を踏み出すまでの葛藤が描かれるストーリー。それぞれ演じるのは、井澤巧麻、佐伯亮、佐奈宏紀、谷水力、山形匠が高校2年生の役。平野宏周、丸山隼が教師の役。水田達貴が寮の管理人の孫の役。野口準が井澤の弟役、三井理陽が佐奈の親戚役、そして蒼木陣が谷水の兄役だ。取材日は、稽古が始まって一週間ほどたった頃。2015年に結成し、長らく活動してきたメンバーは、休憩時間の和やかな様子からもチームワークの良さが伝わってくる。稽古開始するまで、それぞれ台詞の読み合わせをしたり筋トレをしたりと楽しそうだったが、赤澤の呼びかけで芝居が始まると空気は変わった。若手俳優のユニットが演じる男子校の寮の話…というとまずは爽やかで楽しい青春ものをイメージしがちだが、本作はけっこうな重さを持つストーリー。生徒たちは家族との不和や、過去のトラウマ、DVなどさまざまなものを内に秘めたまま、寮で過ごしている。クラスも違い、そこまで仲がいいわけでもないという彼ら。しかし、個室のエアコンが壊れたことによって広い部屋で寝泊まりすることになって、物語は動き出す。ふとしたやり取りの中でも、抱えた事情が見える人、見えない人、ふと見え隠れする人など、それぞれの性格と背景を丁寧に表現していくキャスト達。そこに赤澤が「もうちょっと感情隠せる?」「その芝居だとこういう関係性が見えない」と調整を入れていく。まだ稽古は始まったばかりだが、辛いDVシーンなども遠慮なく芝居できているのだろう。生々しく、観ていて引き込まれた。このメンバーだからこそ深まっていくものが、これからたくさんあるのだろうと感じさせる稽古場だった。メンバーの中でも若い平野が先生役を務めたり、佐奈がやたらとモテる役だったり、どんな部分がどう生かされているかを想像するのも楽しそうだ。そんなSUNPLUS第1回公演「SUMMER BAZAAR~夏の終わり~」は10月18日(金)から27日(日)まで東京・新宿村LIVEにて上演。取材・文:中川實穗
2019年10月09日池田純矢が作・演出を手掛ける「エン*ゲキ」シリーズ第4弾『絶唱サロメ』が10月5日に東京・紀伊國屋ホールで開幕。開幕前に囲み取材とフォトコール(マスコミ撮影用シーン公開)が行われ、囲み取材には主演の松岡充、豊原江理佳、納谷健、小浦一優(芋洗坂係長)、吉田仁美、池田純矢、鈴木勝吾、シルビア・グラブが出席した。エン*ゲキ#04「絶唱サロメ」チケット情報オスカー・ワイルド作の戯曲『サロメ』を原案に、池田が“LIVE ENTERTAINMENT”として生み出した本作。開幕を前に池田は「自分が書いて、自分が演出しているのですが、もう自分の手からは遠く離れていて、自分自身が毎日感動に打ち震えています。観たことない、こんなのが観たかった!という作品です」と感慨深く語る。主演を務める松岡も「僕は彼(池田)をクリエイターとして尊敬しているので、一緒に新しい楽しいことができるんじゃないかという期待でこの作品に参加しました。彼は『ちょっと怖い…』って思うくらい(笑)、僕のことをすごくわかっていて。僕以上に『松岡充ってこういうところが魅力なんだよ、それをお芝居に当てはめたらこう表現できるんだよ』を計算している。だからあまり目を合わさないようにしています(笑)。俳優人生15年目にして、まだ見ぬところにチャレンジしたいです」と強い意気込みを語った。豊原は「最初に台本をいただいたときから、特別で大好きな作品です」、納谷は「稽古段階から目指す場所に果てがなかった分、初日を迎える不安はありますが、やってきた稽古を信じてがんばりたいです!」、小浦は「僕が演じる首切りナーマンはとにかく(松岡演じる)ヨカナーンをいたぶりつくす役です。お客様を恐怖のどん底におとしいれたいと思います!」、吉田は「劇場におさまりきれない思いを届けられたらと思って、ワクワクで爆発しそうです!」、鈴木は「この役とこの世界のリアリティの中で、お客様に届けられる芝居をできたら」、シルビアは「この劇場のサイズに皆さんがおさまるかが心配ですが(笑)、ぜひぜひ楽しみにしていてください!」とそれぞれコメントした。フォトコールではいくつかのシーンを抜粋して公開。松岡演じる預言者・ヨナカーンがもたらす不思議な力“ヴォイス”を巡るストーリーの中で、松岡をはじめ、豊原や鈴木、そして小浦も歌唱を披露する。和田俊輔が手掛ける音楽、芝居、そして美しい衣裳やセットも含め、本作ならではの『サロメ』。ぜひ劇場で堪能してほしい。エン*ゲキ#04『絶唱サロメ』は、10月13日(日)まで東京・紀伊國屋ホール、10月26日(土)・27日(日)に大阪・サンケイホールブリーゼにて上演。チケットは発売中。取材・文:中川實穗
2019年10月07日ミュージカル劇団「ミュージカル座」による『おでかけ姫』が9月25日に開幕、9月29日(日)まで東京・六行会ホールにて上演中。25日の公演レポートをお届けする。【チケット情報はこちら】本作は、脚本・作詞・演出・振付をハマナカトオル、作曲・編曲・音楽監督をtakが手掛け、2016年に初演されたオリジナルミュージカル。初演に続き“おでかけ姫”を水野貴以が演じる。物語の舞台はふたつ。ひとつは現実世界、そしてもうひとつは夢の世界。現実世界で“スポーツカー王子”と呼ばれる御曹司(丹宗立峰/水越友紀・Wキャスト)との熱愛を週刊誌に書かれたテレビ局の人気女子アナ・丸岡久理子(水野貴以)だが、実際のところは「結婚なんて考えられない」「仕事が楽しい」と一人で日々を楽しむアラサー女性。しかし夢の世界では“お姫様=マル王女”として7日後に隣の国の“フェラーリ王子”と結婚が決まる。1度しか会ったことのない王子と結婚して本当にいいものかという迷いを払しょくするために、お城を抜け出し王子のもとに“おでかけ”するマル王女。しかし、その道中で泥棒・ピート(中井智彦)と出会い――。“愛”や“結婚”という重みのあるテーマを描きながら、確かな歌唱力とポップな音楽で、軽やかに展開していく本作。コメディタッチな表現や、タップダンスをはじめとするダンスなども楽しく、“王室”や“テレビ局”というどこか私たちの日常とは距離のある設定ながら、いつのまにか同じ世界に引き込まれていく。マル王女のストーリーは、夢の世界ならではの思わず笑ってしまうようなハチャメチャ展開もあるが、そんな中だからこそ、水野をはじめとする実力派キャストたちの歌声によって説得力を持って届けられる“愛”や“想い”が鮮やかに際立っていた。クライマックスの水野と中井によるデュエットでは、「何のために結婚するの?」「結婚って何?」と考えていたマル王女が知った答えがそのハーモニーからも真っ直ぐに伝わってくる。ミュージカルそのものの魅力が体感できる作品だ。果たしてマル王女そして丸岡は、どんな“結婚の意味”に辿り着いたのかをぜひ劇場で確認してほしい。伊東えりが初演から引き続き演じる魔女や、今井清隆と渚あきが演じる夫婦など、個性豊かなキャラクターが揃う本作の上演時間は休憩なしの約2時間。ミュージカル『おでかけ姫』は9月29日(日)まで東京・六行会ホールにて上演中。取材・文:中川實穗
2019年09月26日東京・DDD青山クロスシアターで行われる落語会『青山らくご ~DDD寄席~』のVol.2が10月4日(金)から6日(日)に開催される。vol.1に続き出演する柳家花緑と、ゲストの篠井英介に話を聞いた。【チケット情報はこちら】劇場で開かれ、“落語界と演劇界がクロスする落語会”として今年8月にvol.1が開催された『青山らくご』の第二弾。前回も出演した花緑は「第一弾はおもしろい会になりましたね。DDD青山クロスシアターは落語にちょうどいいサイズだと感じました。一番後ろの席でも顔が観えますし、伝わりやすい距離感ですよね」と感想を語る。初登場でトークゲストの篠井は「青山という、落語にはなかなか結び付かなかった場所でやるというのもミソですよね。ワクワクする」と印象を語る。会は3日間開催され、初日は花緑の一門から柳家緑君、大神楽の柳貴家雪之介を迎えての「~花緑のふざけ過ぎてごめんなさいの会~」。花緑曰く「ふざけることを前提にやる落語会です」とのこと。内容について「僕が9歳から落語をやってきて、一番ふざけているものを詰め込む予定です。この企画は、最初で最後かもしれないですよ(笑)」と構想を語ると、篠井も「すごい!それはアピールしないと」と大興奮。中日(なかび)は「~『昭和元禄落語心中』の会~」と題し、昨年10月に放送されたドラマも好評の漫画『昭和元禄落語心中』(雲田はるこ/講談社刊)にゆかりのある出演者が揃う。噺家はドラマに出演した橘家圓太郎、隅田川馬石、柳家緑助、トークゲストに松田役の篠井が登場。篠井は「噺家の皆さんがドラマの現場でどんなふうに思っていたのか聞いてみたい。今だからできる話ができればと思っています」と楽しみにしている様子。余談だが、篠井は落語をやらないのかと聞いてみると「やってみたいというスケベ心はあるんですよ、正直」と笑いつつ、「でも、とんでもないです」と落語家へのリスペクトを明かした。千秋楽は「~令和の推しメンの会~」と題し、落語界のイケメン五明樓玉の輔、瀧川鯉斗、林家木りんが集結。昨年上方演芸の殿堂入りをした「かしまし娘」から正司花江をトークゲストに迎え、トークバトルが行われるという。花緑が「僕は、玉の輔兄さん以外のふたりに稽古をつけているのですが、確かに推しメンになるほどのいい男ですよ。でも……これ以上は言いません!!」と気になる言葉(笑)。一体どんな会になるのか最も未知な日とも言えそうだ。ここでしか観られない3日間になる『青山らくご Vol.2~DDD寄席~』は、10月4日(金)から6日(日)に東京・DDD青山クロスシアターで開催。」取材・文:中川實穗
2019年09月25日屋良朝幸主演のダンスエンターテインメントショー『THE CIRCUS! -エピソードFINAL-』が全国を巡演し、現在は東京・新国立劇場 中劇場にて9月29(日)まで上演中だ。9月13日に行われたプレビュー公演のレポートをお届けする。【チケット情報はこちら】オリジナルミュージカル『THE CIRCUS!』シリーズは、企画・構成・演出・振付をTETSUHARUが手掛けるダンスエンターテインメントショー。2016年に【エピソード0】が初演され、今回が4作目にしてシリーズFINALとなる。アメコミの世界から飛び出したような世界観で、これまで数多くのアーティストやミュージカル、映画、ドラマなどで振付を手掛けてきたTETSUHARUならではのみせ方で、ダンス・アクション・音楽・映像を組み合わせた表現が広がる。主人公で、強靭な体力と精神力を武器に国家の危機を救う“アツい男”、ケントを演じるのは、屋良朝幸。さらに、前作【エピソード2】にも出演した、矢田悠祐、越岡裕貴(ふぉ~ゆ~)、寺西拓人(ジャニーズJr.)、田野優花、高橋駿一(PADMA)、菜々香、青柳塁斗、そして植木豪も登場。今作では新たに、壮一帆、奥村佳恵も加わり、3年に渡り描かれてきた熱い絆の物語が終結する。物語は、3人の男たちによるバトルシーンから始まる。次々と敵を倒していったのは、ベン(植木)、ウィラード(寺西)、そして……ケント・バーンズ(屋良)。前作までを知る人は「どういうことになっているの?」と思うような面子だ。ベンによると、ケントの仲間たちは半年前に(【エピソード2】)、特殊なエネルギーを持つ星の欠片・コアを巡る戦いで起きた爆発によって全員死に、ケントの所属していた「サーカス」はもうないという。ベンの仲間として活動を共にするケント。しかし――。カーテンコールで屋良が「今までの中で1番踊って、アクションしている。TETSUHARUさんのSっ気には本当にやられます(笑)」と話した通り、出演者全員がとにかくダンスして、アクションして、時には歌ってと、パフォーマンスを軸にストーリーを進めていく本作。アクションはダンスの要素が入った美しい動きが華やか、ダンスも映像とコラボしたパフォーマンスなどもあり楽しく、本シリーズならではの面白さがさらにパワーアップしていた。芝居パートのチームワークの良さは4作目ならでは。それぞれのキャラクターもより濃くなった印象だ。そして、ラストの屋良VS植木のダンスバトルは必見。言葉を使わずに身体表現だけで見せる想いや絆、決意は、このふたり、そして本作だからこそ見せられる世界だろう。ぜひ劇場で堪能してほしい。公演は9月29(日)まで東京・新国立劇場 中劇場にて上演後、10月2日(水)には神奈川・やまと芸術文化ホール メインホールにて上演。取材・文:中川實穗
2019年09月25日人気乙女ゲームを原作にした舞台「OZMAFIA!! sink into oblivion」が、2017年の初演からキャストを一新して上演される。主演の神永圭佑と、谷佳樹、遊馬晃祐に話を聞いた。【チケット情報はこちら】本作は、記憶を失った少女・フーカと、「オズの魔法使い」や「赤ずきん」など名作童話をモチーフにしたさまざまなキャラクターが出会い、物語を展開していくゲームの舞台化。脚本は小日波著書、演出は伊勢直弘が手掛ける。初演からキャストを一新しての上演となる今作。主演を務める神永は「個人的に初演キャストに知り合いが多いので、彼らの気持ちを継いで真ん中に立つと思うと、より“しっかりやらないと”という気持ちになりました」と明かす。それを聞いた谷が「そんな神永くんを後ろから支えられる存在でいたいです。今回は若いキャストも多いので、30代の僕は嫌われ役になってもいいかも。はっちゃけすぎたときに止められたらなって」と語ると、遊馬は「僕は谷さんに止めてもらうタイプかもしれない!(笑)役の関係性的にもおふたりとお芝居することが多いと思うし、いい関係を築いていきたいです」と、初対面ながらいい雰囲気。神永は、マフィア「オズファミリー」のボス・カラミアを、谷は相談役・キリエを、遊馬は幹部・アクセルを演じる。神永は「カラミアは大らかで、おっちょこちょいで、常に笑っているような人物。でもオズファミリーのボスなんです。そこに何かがあると思うので、研究していきたいです」、谷は「キリエはとにかく喋るし口が悪い人。そういう人がどうして“相談役”なのかが大事なのかなと思っています。今回は“ファミリー”というくらいだから、関係性を大切に演じたいですね」、遊馬は「アクセルはツンデレで、なにか気持ちはあっても抑えてしまうタイプなんだと思います。僕とはなにかと真逆な人なので、稽古場でしっかりと役を深めていきたいです」とそれぞれ語る。乙女ゲームをやるにあたり「フーカと僕らのやりとりを見て『私もこうされたい』と思ってもらえたら、原作の魅力に近づくのかなと思っています」と神永。演出について谷は「僕、伊勢さんとは今年だけで4本目なのですが(笑)、伊勢さんの稽古は早いし短い。最初は驚くのですが、だからこそすごくいいものができあがる」とふたりに伝授する。遊馬は「僕はデビューから2.5次元作品だけをやってきて、前作、前々作で初めてオリジナル作品をやらせてもらいました。コテンパンになりながらいろんなことを学んだので、今回はより魅力的なキャラクターを作りたいです」と意気込む。そんな3人が出演する本作は10 月23 日(水)から27 日(日)まで東京・こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロにて上演。取材・文:中川實穗
2019年09月20日2006年に公開された映画『フラガール』を原作にした舞台『フラガール - dance for smile -』が10月から11月にかけて上演される。総合演出は河毛俊作、構成演出は岡村俊一が手掛ける本作で、主演を務める井上小百合(乃木坂46)に話を聞いた。【チケット情報はこちら】本作について井上は「母と一緒に映画館に観に行ったのを覚えています。当時も『おもしろかったね』と話した記憶があるのですが、今改めて観ると、あのときとは違う感想を持ちました」と語る。作品の舞台は昭和40 年の福島県いわき市。かつて栄えた炭鉱の町がエネルギーの石油化で滅んでいく中で、町おこしのために常磐ハワイアンセンターの設立が計画される。建設への反対や、当時は馴染みのないフラダンスへの偏見を浴びながらも、少女たちが必死にフラガールへと生まれ変わっていく物語だ。「すごく深い話だったんだと思いました。描かれているのは女性が社会進出する姿で、登場人物たちは女性ならではの強さや美しさや明るさで、いろいろな壁を突破していく。作品の舞台は昭和40年ですが、私は今もまだ女性の社会的な立場は男性と同じでないように思います。だからこそすごいエネルギーを届けられる作品になるはず。男女問わずいろんな人に観てほしいです」作品の肝と言えるのが、クライマックスのフラダンス。井上も「あのシーンがあってこその作品だと思う。本格的なフラダンスは初めてですが、舞台は全てが見えるしごまかしがきかないので、一生懸命頑張りたいです」と意気込む。自身が演じるフラガールのリーダー・谷川紀美子については「どこにでもいそうな素朴な子。そういう子が最後にすごいダンスを見せることがドラマチック」と印象を語り、役は「自分に合ってると思います。田舎育ちですし、素朴だねってよく言われるんですけど、やると決めたことは最後まで突き通すタイプなので」と話した。舞台での活躍も目覚ましく、演じることが好きだという井上。「私は自分を出すのも、自分のことを知られるのも得意じゃなくて。だから舞台上にいるときのほうがいろんなことを表現できるんです。もともとお芝居を観るのが大好きで、元気や勇気やいろんなエネルギーをもらっていました。その舞台に立つ側になったとき、自分も誰かに何かを与えられていると思う。そこが原動力にもなっています」。井上が「この令和の時代に生きる人たちがこの作品を観て、どんなことを考えるのかが私は楽しみ」という舞台『フラガール - dance for smile -』は、10月18日(金)から27日(日)まで東京・日本青年館ホール、11月2日(土)から4日(月・祝)まで大阪・サンケイホールブリーゼにて上演。チケットぴあでは9月19日より先行先着を実施。一般発売は9月21日(土)より。取材・文:中川實穗
2019年09月19日<ダンス×演劇×J-POP>という組み合わせで、台詞を使わずに身体表現と音楽で物語をみせるダンスエンタテインメント集団「梅棒(うめぼう)」による舞台『ウチの親父が最強』が現在上演中。大好評の東京公演のレポートをお届けする。梅棒 Extra シリーズ『ウチの親父が最強』チケット情報“梅棒 EXTRA シリーズ”と題した本作は、2014年に上演された第2回公演の5年ぶりの再演。梅棒のメンバー8名(伊藤今人、梅澤裕介、遠山晶司、遠藤誠、塩野拓矢、櫻井竜彦、天野一輝、野田裕貴)に加え、ゲストには、ミュージカルからストレートプレイまで幅広い作品で活躍中の多和田任益、ダンスパフォーマンスに定評がある横山結衣(AKB48)、そして梅棒公演ではお馴染みで本作の初演にも出演したパイレーツオブマチョビアン、鉄棒ダンスで注目を集める上西隆史(AIRFOOTWORKS)、子役の永洞奏瑠美が名を連ねる。初演は、梅棒が初めて長編を披露した作品(第1回公演はオムニバス形式)であり、第2回公演にしてPARCO劇場に進出し、多くの人が彼らの名を知るきっかけとなった大切な作品。ある男女が出会い、結婚し、子供が生まれ、成長し……という家族の物語で、梅棒らしいコメディテイストもしっかりと盛り込まれつつ、全体的に温かでホロリとくる作品だ。梅棒初出演の多和田はその豊かな演技力に加え、長い手足を存分に生かしたダンス、アクションで、登場人物の中でも複雑な役どころを鮮やかに演じていた。ヒロイン役で同じく梅棒初登場の横山は、愛らしくコロコロ変わる感情表現とキレのあるダンスパフォーマンスとのギャップが印象的。さらに、永洞の小さな身体がのびのびと広がるダンスや芝居には心を惹きつけられ、パイレーツオブマチョビアンや上西が繰り出す目を疑うようなパフォーマンスは痛快だ。そして、ときに引き締め、ときにとっちらかし、作品を賑やかに仕上げるのは、やはり梅棒メンバーのパフォーマンス。この絶妙なバランスは、ぜひ劇場で確認してほしい。ここ数年の本公演と比べると、劇場のサイズ感やストーリー展開、選曲(再演版の選曲もあり)に新鮮味を感じ、逆に“今の梅棒”の良さも改めて見えるようにも感じた『ウチの親父が最強』は銀座 博品館劇場での上演を終え、9月20日(金)から23日(月・祝)まで東京・新国立劇場 小劇場、その後、10月19日(土)に福岡・西鉄ホール、10月22日(火・祝)に三重・四日市市文化会館 第2ホール、10月25日(金)から27日(日)まで大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA TTホールにて上演。チケット発売中。取材・文:中川實穗
2019年09月19日いじめに遭い、不登校になる子どもたち。なかには自ら命を絶ってしまう子も……。私たち大人には何ができるのだろう?中川翔子(34)が実体験を踏まえて語る。「『死ぬんじゃねーぞ!!』は私がライブ中にも叫ぶメッセージ。いじめに遭い、私と同じような思いをしている子どもたちに、“どうか生き延びて”と伝えたくて」そんな願いを込め、中川翔子が自身のいじめ体験を文章とイラストでつづった『「死ぬんじゃねーぞ!!」いじめられている君はゼッタイ悪くない』(文藝春秋)がベストセラーとなっている。子どものころからマンガやアニメ、ゲームが好きだった中川だが、私立中学に入学直後から、1人で絵を描いていることで「キモい」「オタク」とレッテルを貼られ、いじめが始まった。「誰からも話しかけられず孤立して、5分、10分の休み時間をどう過ごしていいか、わからなかった」絶えず誰かに悪口を言われ笑われている気がして、吐き気をこらえながらも、何とか学校へ通う日々。「週末に、母と一緒にマンガを読んでダラッと過ごしたり笑ったりしているときが救いでした」大人はよく「つらいのは今だけ」「卒業したら楽になる」と、助け船のつもりで言葉にするが……。「いじめで苦しんでいる子どもの耳には入りません。私は、死にたくなるくらいなら、学校には行かなくていいと思う。不登校は“逃げる”ことじゃない。自分の人生に合う道を探すことなんです」中川の母は娘のために、通信制高校を見つけてきた。「通学も自分のペースでいい。ひきこもりの人やヤンキーもいる。世代もさまざま。いろんな人がいて、それぞれよかった」教室で絵を描いていると「めっちゃうまいじゃん。Ayu(浜崎あゆみ)の絵を描いて」と、声をかけられたことも。「うれしかった。その同級生とは今でも友達です。母が違う選択肢を示し、味方でいてくれた。これが何よりサポートになりました」中川の母は、毎年貯金をはたいて、旅行にも連れていってくれた。「小学校3年のときに父が亡くなってからは、母が1人で働いて育ててくれました。決して裕福ではないなか、16歳のときには、フロリダのディズニーワールドへ連れていってくれて……。それから10年後、ディズニー映画『塔の上のラプンツェル』(’11年公開)で、私がラプンツェルの声を担当したときは、母も大喜びしてくれました。『生きててよかった〜』と思いましたね」そう思ったのには理由がある。「じつは17歳のとき、『死にたい』という衝撃が襲ってきて、リストカットしてしまったんです。母は『バカ!なんでこんなことするのよ』と、涙を流しながら私を叱りました。父が亡くなったとき以来、初めて見た母の涙……。今も忘れられません」その後、再び「死にたい衝動」に襲われたという中川。そのときは飼っていた猫が甘えてきて、さすっているうちに収まったという。「『死にたい衝動』が起きたときは、まずいったん寝て、好きなものを食べたり、好きなことをしたりして、気持ちをそらしてほしい。それを繰り返して、少しずつ毎日を生き延びてほしいです」好きなことをする――中川の場合はマンガ、アニメ、ゲームと、“明るい遺書”のつもりで始めたブログだった。「“好きなこと縛り”で発信していたら、そこに共感の声が届くようになり、自分の居場所になって、夢や未来をつくり出す場所にもなっていきました。私がそうだったように、つらい時代は『未来の種を見つける“さなぎの時間”』。いじめで苦しんでいる子どもには、そう伝えたい。お母さんには、そんな子どもに“隣って”あげてほしいんです」“隣る人”とは、絶妙な距離感で子どもを見守り、寄り添い続ける人。ある児童養護施設の保育士と子どもを描いた映画のタイトルだったという。「ただ隣に、そばにいる人。でも、いじめで傷ついた子どもの絶対的な味方。いじめはなくならないかもしれない。でもいじめで亡くなる子は、なくしたい。そのためにも“隣ってくれる”大人が必要なんです」最後に、10代の自分に今、かけたい言葉を聞いてみると。「大丈夫。生きているといいことあって、幸せを感じられる。つらい日々も上書きできる。30代、友達もいるよ、約束する!」いつも“隣って”くれた母にも「ありがとう」と伝えたい――そう笑顔で答えた。
2019年09月09日アニメから10年後の磯野家を描く 明治座9月公演 舞台『サザエさん』が9月3日に開幕した。その初日に囲み取材が行われ、主演でサザエ役の藤原紀香、マスオ役の葛山信吾、フネ役の高橋惠子、波平役の松平健、カツオ役の荒牧慶彦、ワカメ役の秋元真夏(乃木坂46)(Wキャストで齊藤京子/日向坂46)、タラオ役の大平峻也、タマ役の酒井敏也が登壇した。【チケット情報はこちら】会見で藤原が「脚本・演出の田村孝裕先生と共に、かなり細かく稽古を重ねてきました」と語ったように、芝居はもちろんセットや小道具、効果音に至るまで、隅から隅まで『サザエさん』らしさが詰まった舞台。キャラクターはそれぞれ10年前…つまりアニメの面影をしっかりと漂わせ、特に大学生になったカツオや、服飾学校に通うワカメ、中学生のタラオは思わず「大きくなった!」と親戚のような気持ちにさせられる役作り。逆にサザエや波平、フネ、マスオという大人の面々は、懐かしさすら感じられる魅力を放っている。特にオープニングは、誰もが「あの『サザエさん』だ!」という演出の目白押しで、ぜひ注目してほしいポイント。とはいえ舞台となるのはアニメの10年後の世界。「磯野家にもこういう問題がやってくるんだなということを、稽古場でも考えました」と藤原が語るように、波平は定年退職し、カツオは就職活動を控え、ワカメは課題に追われ、マスオは残業続き、タラオは勉強に忙しく、家族そろって食卓を囲む機会はほとんどなくなっていて、それぞれがリアルな悩みも抱えている。けれど、その問題をどうするかは、やっぱりサザエさん!と思う展開。高橋が「いろんなことを言い合えたり、喧嘩したり、ぶつかり合えたり。それが家族の良さ。“些細なことでもいいから何でも話して”っていうサザエさんの台詞は、時代が変わってもそうだなと思います」と語るストーリーはぜひ劇場で確認してほしい。また、ある意味で最も“舞台ならでは”な存在・タマについて、演じる酒井は「葛山さんの飼い猫の動画を見せていただいて、勉強しました」とサラリと話したが、実際はかなりのインパクト。客席に笑いを生む存在となっていた。三河屋さんや中島、穴子さん、花沢さんなどお馴染みのキャラクターも登場する舞台『サザエさん』は9月17日(火)まで東京・明治座にて、9月28日(土)から10月13日(日)まで福岡・博多座にて上演。取材・文:中川實穗
2019年09月04日ミュージシャンROLLYによるコンサート『Global ROLLY Groovy 2019~ローリーの音楽交差点~』が9月21日(土)から23日(月・祝)まで、神奈川・横浜赤レンガ倉庫1号館 3Fホールにて開催される。どんな公演になるのか、ROLLYに話を聞いた。【チケット情報はこちら】ROLLYが「へんてこりんなコンサートなんですよ」と言う本作は、2005年から2013年まで東京・青山円形劇場で『ROLLY Glory Rolly』『Classical ROLLY』『Best of ROLLY』『ROLLY 生誕50周年 -前夜祭-』と上演してきたコンサートシリーズだが、昨年から横浜赤レンガ倉庫に会場を移し今年で2回目となる。このシリーズはROLLYとバイオリニスト・中西俊博の出会いから生まれたもので、今回も中西は音楽監督、そしてバイオリンで出演。さらに林正樹(ピアノ)、楠均(パーカッション)、鹿島達彦(ベース)、アルフォンヌこと羽田謙治(パフォーマンス)、吉澤耕一(演出)という布陣で上演される。そこで演奏されるのは「クラシックやジャズやシャンソン…音楽のすべてを超えたナンセンスな世界」とROLLY。今回のセットリストに並ぶのも、ROLLYの曲(すかんちの楽曲も!)だけでなく、クラシックや童謡、歌謡曲など、少し不思議なラインナップだ。当然、そのままやるわけではない。「日本のコンサートで最もイカれたことを、最もハイセンスにバカバカしく、けれど真剣にやっています。超一流のミュージシャンが、真心を込めてアホなことをやり続ける世界です」。中でもクラシック音楽にオリジナルの歌詞をつけ歌うアレンジは秀逸で、「歌うために作られていない音楽に全く関係ない歌詞を乗せる、フルオーケストラで演奏する音楽をたった5人で演奏する…これ大変なんですよ」と笑うが、だからこそROLLYにしか作れない世界となる。今回はムソルグスキーの『バーバ・ヤーガの小屋』(組曲『展覧会の絵』より)を使った新曲をやるそうなので、事前に正統派の演奏を聴いておいてもより楽しめそうだ。ROLLYが「このコンサートはあまりにも難しすぎてね、毎回自分で墓穴を掘ってます(笑)」と語るように、演奏以外も凝りに凝っている。会場となる赤レンガ倉庫の特色を生かした演出は、「『赤い靴』という童謡は多くの方がご存知だと思うのですが、あの曲で“異人さんに連れられて行っちゃった”女の子は、実は外国行きの船に乗らなかったという話があって。船に乗る前に結核になり、そのまま亡くなったというんです。今回はその子をテーマに、“実は横浜の地下にもカタコンベ(地下墓地)があった”という架空の設定でやろうと思っています」(昨年はフランスがテーマでパリの地下墓地が舞台)と、期待せずにはいられないもの。赤い靴はいていた女の子がどうなったのか……めくるめくROLLYの世界をぜひ堪能して!公演は、9月21日(土)から23日(月・祝)まで、神奈川・横浜赤レンガ倉庫1号館 3Fホールにて。チケット発売中。取材・文:中川實穗
2019年08月23日ケラリーノ・サンドロヴィッチの書き下ろし最新作「ドクター・ホフマンのサナトリウム~カフカ第4の長編~」が11月にKAAT神奈川芸術劇場で上演される。作・演出のケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)と主演の多部未華子に話を聞いた。今回初タッグのふたりだが、劇場などでは顔を合わせており、「初めて言葉を交わしてからはおそらく4、5年経つ」(KERA)のだそう。本作への出演について「作品の内容を知る前に出演を決めました。決め手はやっぱりKERAさんです。KERAさんの作品は全部違うけれど、そのどれもおもしろい」と多部。本作は、KERAが『失踪者』『審判』『城』に続くカフカ4作目の長編小説を“捏造”し、舞台化するというユニークな作品。内容についてKERAは「僕もまだわからない(笑)。ただカフカの、ありもしない小説を捏造するわけですから、理路整然とした芝居にはまずならないと思います。そうした作品を歓迎してくれるのがKAATですしね」。KERAが書くとはいえど多部も「難しいイメージがあり、読んだことはありません」と明かすカフカ作品。やはり難解なものになるのだろうか。カフカの大ファンでこれまで2作、カフカにまつわる作品を上演してきたKERAは「世の中にはいろんな「面白い」があって、スッキリとわかりやすい面白さもあるし、爽快感を伴う面白さもある。そしてなんだかわからなくて観たあともモヤモヤするような面白さもあるんですよね。絵やダンスを観て、“これどういうことなの?わからないからつまらない”と言う人っていないじゃないですか。絵画やダンスは“わかろう”という前提で観ないから。“わかる”ってことだけじゃないんですよ、“面白い”って」。その世界で演じるのは大変そうだが、多部は「内容をよく理解できないまま稽古場に行くことは結構あることなので、いつも通りです」と飄々。「けれど稽古で“何度読んでもわからなかった”と話すと、大体松尾(スズキ)さんに“え!”と言われてしまいます(笑)」と笑う。その松尾作品での活躍は実は本作にも直結している。「僕は昔から松尾さんをすごく信じているから。その松尾さんの作品に何本も出ている多部ちゃんへの信頼は大きいんです」(KERA)。舞台での芝居が「1番好きです。本番の約2時間を頑張れば終わる、その潔さが好きです」と話す多部が、KERAとの初タッグでどんな姿を見せるかにも期待したい。「カフカを捏造しようと思ってもカフカにはなれないし、“やっぱKERAだな”と思われるんじゃないかな。難解なりにポップになると思う、僕がやると。久しぶりに生演奏もあるし」(KERA)という「ドクター・ホフマンのサナトリウム~カフカ第4の長編~」は、11月にKAAT神奈川芸術劇場にて上演。8月24日(土)からの一般発売に先駆けて、チケットぴあでは先着先行受付中。取材・文:中川實穗
2019年08月21日歌舞伎や日本舞踊など伝統芸能と言われる舞台で活躍する「邦楽囃子(ほうがくはやし)」を軸に、ラテンパーカッションやアコーディオン、ウッドベースなど多様な楽器とセッションする「お囃子プロジェクト」のvol.14が、9月3日(火)・4日(水)に東京・ヤマハ銀座スタジオで上演される。主宰で邦楽囃子演奏家の望月秀幸と望月左太寿郎に話を聞いた。【チケット情報はこちら】普段演奏されるのが伝統芸能の場ということもあってどこか“キチンとした”印象がある邦楽囃子だが、彼らのつくるステージはフレンドリーで賑やか。そこにはvol.1での経験が影響しているといい「古典の世界では、シーンとしたなかで幕が開き、演奏をして、終わったら拍手をいただく。僕らはそういうものしかやったことがありませんでした。でも、vol.1のゲスト・ニトロン虎の巻(2011年にNITRONに改名/バンド)のパフォーマンスでお客さんが全員スタンディングになったのが印象的で」(秀幸)、「(お囃子を聴きに来たお客様ばかりで)誰も彼らのことを知らないような状況だったのですが、みんなの心を掴んでいったんです」(左太寿郎)ある意味ショックも受けたそうで「僕たちは“お客様を喜ばせる”ということをひとつもしてきてないね、という話になって」(秀幸)、「古典の演奏会というのは、お客様に向けてというよりは、演奏者が自分と向き合っているのを鑑賞してもらうという側面が強い。逆に『お囃子プロジェクト』はみんなが単純に楽しめたり、お囃子に興味を持ってもらうためのツールにしたい」(左太寿郎)と今のスタイルで進み出した。最近はその魅力が伝わり始め、動員が増えたほか、「お囃子プロジェクト」としてテレビ番組や公演に呼ばれる機会も増えたという。邦楽囃子は、主に締太鼓(しめだいこ)、大鼓(おおつづみ)、小鼓(こつづみ)、笛を使った演奏のこと。そこに毎回ゲストプレイヤーがさまざまな楽器を携えて参加する。演奏する楽曲も、J-POPや、秀幸の趣味であるプロレスの曲(!)など親しみやすい。「ただ自分たちの意識はそんなに変わらないです。常に自分たちのジャンルの音楽としてやっている」(左太寿郎)、「お囃子のカタチを崩さずにミックスすることにはこだわっています」(秀幸)と、邦楽囃子そのものを生かしたアレンジ。だからこそ、ここでしか聴けない音が味わえる。今回はオリジナル曲も作曲。「尺八をメインにしたラテンの曲になります。お囃子の演奏家が作るラテンの曲…寿司屋が作るラーメンみたいな感じです(笑)」と秀幸。「お囃子プロジェクト」vol.14は、9月3日(火)・4日(水)に東京・ヤマハ銀座スタジオにて上演。チケット発売中。取材・文:中川實穗
2019年08月16日NHK連続テレビ小説「なつぞら」に出演中の山田裕貴が8月13日、アメーバオフィシャルブログと自身のInstagramに中川大志との“#新郎ショット”を公開、ファンからは「美しすぎ」「ヤバ過ぎるツーショット」「さいっっこう!!!」といった声が相次いでいる。朝ドラ通算100作目となる本作では、ヒロインの奥原なつ(広瀬すず)の北海道の親友・小畑雪次郎を山田さんが、なつの職場・東洋動画で出会った演出家・坂場一久を中川さんが演じている。8月10日(土)放送の第19週・第114回には、なつと坂場、なつと姉妹のように育ってきた夕見子(福地桃子)と雪次郎の合同披露宴が北海道・十勝で行われ、話題となった。そして、13日に更新したSNSで山田さんは、「『 #なつぞら 』#新郎ショット」と綴り、タキシード姿の中川さんと紋付羽織袴姿の自身の2ショットを初公開。2枚目の写真では、「#カッコつけたらぶれました」「ぼくは二枚目になれなかった(笑)。だじゃれ。」と茶目っ気たっぷりなコメント。確かに、2枚目の写真では山田さんのキメ顔がぶれ気味…。この投稿にファンは「かっこいいー」「男前なお二人様」「美しすぎ」「シンプルにかっこいい」「イケメンボーイズ!!」「さいっっこう!!!」「ヤバ過ぎるツーショット」「ぶれてもかっこいい」などの声が殺到。さらに、山田さんのお茶目なだじゃれに、「だじゃれかわいい」「ダジャレ~(笑)いつも笑わせてくれてありがとうございます!」「上手いこと言うねぇ 座布団3枚!!」といったコメントも寄せられている。連続テレビ小説「なつぞら」は毎週月~土曜日8時よりNHK総合ほかにて放送中。※全156回(text:cinemacafe.net)
2019年08月14日博多華丸と酒井美紀が主演を務める舞台『めんたいぴりり~未来永劫編』が9月22日(日)に東京・明治座で開幕する。2013年から主演を務める博多華丸に話を聞いた。【チケット情報はこちら】『めんたいぴりり』は、博多土産の定番・辛子明太子の誕生を描いた『明太子をつくった男』(川原健・著)を原作に2013年に福岡でドラマ化され、好評を得て全国で放送された作品。2015年には博多座で舞台化、今年1月には映画化も果たした“メイド・イン・博多”の人気シリーズだ。舞台2作目となる今作『未来永劫編』は、今年3月、4月に博多座で上演された新作。舞台は東京初進出となる。博多座での公演を振り返り華丸は「舞台2作目でプレッシャーはありました。でも幕が開けて、お客さんが“今回もよかった!”と言ってくれたのでホッとしましたね」。今作は、年老いて病床に伏す俊之(華丸)がこれまでの人生を振り返り、「明太子」に情熱を注いだ日々の思い出が走馬灯のように甦る――という内容だが、「初めて描くエピソードもありますよ」と、これまでの映像や舞台を観てきた人にも楽しめる内容になっているそう。華丸が「申し訳ないくらいいい役をやらせてもらっています」と言うのは、日本で初めて明太子を製造・販売した“ふくや”の創業者・川原俊夫をモデルにした俊之役。酒井美紀演じる妻・千代子と共に、戦後の博多で明太子作りに情熱を注ぐ男だ。博多っ子の役は得意なように思えるが、「これは地元の人にしかわからないような違いですが、僕は“博多”ではなく“福岡市内”の人間。だからやっぱり違うんですよ。“博多=商人の町”のあの感じは自分にはないものなんです」と話し、「だから博多山笠(博多の祭)に参加して、皆さんと飲みに行ったりしました。なるべく博多の、そして当時の感じを出そうと思って」と、徹底した役作りに取り組んだのだという。実は本作での芝居の経験は漫才にも生きた。「間(ま)が怖くなくなりました。漫才だけやっていると、どうしても間があくのが心配になるんですよ。でも芝居では間もしっかりと演出してもらえるので、その重要性を感じることができた。それが本業にも生きてる…と妻から言われました。『めんたいぴりり』がよかったっちゃないと?って(笑)」明太子のお母さん(!)スケトウダラ役として映像出演する相方・博多大吉にも「東京でやるからね、ちょっとくらい出てくれよと思ってます」と笑顔をみせた華丸が主演を務める舞台『めんたいぴりり~未来永劫編』は、9月22日(日)から29日(日)まで東京・明治座にて上演。取材・文:中川實穗
2019年08月14日ケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)が作・演出を手掛ける「ドクター・ホフマンのサナトリウム~カフカ第4の長編~」が11月にKAAT神奈川芸術劇場で開幕する。出演者の瀬戸康史に話を聞いた。KERAの書き下ろし最新作である本作は、『失踪者』『審判』『城』に続くカフカ4作目の長編小説の遺稿が発見され、舞台化するというもの。つまりKERAが愛するカフカの長編を捏造し、戯曲化する。そんな本作ついて瀬戸は「やっぱりKERAさんの発想はおもしろいなと思いました。ただ、カフカってちょっと難しいじゃないですか。僕も『城』と『変身』を読みましたが、まったくと言っていいほど意味がわかりませんでした。だからもしかしたら観る人も『難解な作品になるのかな』と思っているんじゃないかと思いますが、KERAさんなのでめちゃくちゃおもしろいと思います。それだけは自信を持って言えます!」と語る。それほどKERAに信頼を寄せる瀬戸が、KERA作品に出演するのは2017年の『陥没』(KERA作・演出)以来2作目。その際に演じた役はこれまでの瀬戸の印象とは違うもので、俳優・瀬戸康史の実力を知らしめた。「映像などでの僕のイメージは完全に裏切ったと思います。そういう役を振ってくださったことにすごく感謝しています」と明かし、「こうやってまた呼んでいただけて、恩返しするつもりでがんばりたい。気は早いですが、次も呼んでいただけるような働きはしたいです」と意気込む。当時の稽古について尋ねると「楽しかったです。脚本が毎日数ページずつできていくんですよ。KERAさんが僕らを見て書かれている感じがすごく新鮮でしたし、みんなでイチからつくっている感じがしました」といきいきとした表情で振り返り、演じることも「自由でした。言われたのは“役に慣れないこと”くらいで。だからそのシーンをやったらすぐ忘れるくらいの勢いでやっていたのを覚えています。今回はカフカだから、役としてはもう少し作り込まれる部分もあるんじゃないかな…いや、完全に想像ですけど(笑)」と楽しそうに話した。主演は多部未華子。「ガッツリお芝居で絡むのは初ですが、いろいろな表現に挑戦されている方という印象があります。そういう方とご一緒すると刺激を受けますし、特に多部さんは同い年なので燃えますね。他のキャストを見ても、いい作品になる予感はしていますよ!」と瀬戸が語るKAAT神奈川芸術劇場プロデュース「ドクター・ホフマンのサナトリウム~カフカ第4の長編~」は、11月7日(木)から24日(日)までKAAT神奈川芸術劇場にて上演。その後、兵庫、北九州、愛知を巡演する。8月24日(土)の一般発売に先駆け、7月31日(水)からプレイガイド最速先行抽選受付中。取材・文:中川實穗
2019年08月01日小堺一機のライブショー『小堺一機トーク&ソング SPECIAL ~リハの気分で!~』が、8月14・15日に東京・Bunkamura シアターコクーンで上演される。小堺に話を聞いた。【チケット情報はこちら】内容については「自分でもわからないんですよ」と笑いながら、「基本的には全部ふざけてる。きちんとしたものをやる場所は3か所くらいで(笑)、あとはずっと笑ってもらえるようにつくっています」ベースは“トーク&ソング”。お喋りはここでしか聴けないちょっとワルいトーク、歌謡曲ヒットメドレー、映画音楽や小堺のオリジナル曲など彩り豊かだ。さらに今回は「ずっとやってみたかった」という挑戦も。「『五つの銅貨』(1959年)という映画があるのですが、その中でダニー・ケイとルイ・アームストロングと小さい女の子がそれぞれ違う歌を歌って、最後にひとつになるというシーンがあるんです。それを僕は小さい頃から『どうやってやるんだろうな』と思っていて。今回は出演者の3人(小堺・ピアノ宇佐元恭一・チェロ橋本歩)で、それをやってみようと思います」。そんな歌のアイデアからも垣間見える、小堺ならではのステージ。その根っこにあるのは、子供の頃に観ていたテレビ番組なのだという。「当時は『ダニー・ケイ・ショー』(アメリカのバラエティー番組)も普通に放送されていたんですよ。そこでダニー・ケイさんが歌うし、踊るし、笑わせるのがすごくカッコいいと思っていた」。そんな一味違うおもしろさの定義が染み込んだ小堺だからこそのアイデアが詰め込まれた時間は、ここにしかないものだ。テレビの印象が強い小堺だが、1985年から2017年まで毎年上演された『小堺クンのおすましでSHOW』をはじめ、舞台にも立ち続けている。その魅力を「舞台は最後にお客様に完成させてもらうもの。これは今でもそうなんだけど、ドーンとくる笑いって思いもよらないものが多いんですよ。そしてそういうものは次の日にやってもウケない。本当に“その日のそのとき”だけのものなんです」と語る。実はそんな経験がこの“リハの気分で”という副題につながっている。「思いもよらない爆笑って、お客さんがくれたある瞬間に僕がパンと返せたときに起こるものなんです。それは僕にとっても楽しいものですが、そのためには“リハの気分”でやらないと。“次の曲があるから”では返せないですからね。だから“リハの気分”っていうのはダラダラやるという意味ではなく、そういう心持ちでやりたいなっていうことです」。小堺が「いい意味で何も残らないものを届けたい。おもしろかったー!でも何やってたっけ?というようなね」と語る本作は、8月14日(水)・15日(木)に東京・Bunkamura シアターコクーンにて。チケットは現在発売中。取材・文:中川實穗
2019年07月31日満島ひかりや坂口健太郎が出演し、熊林弘高が演出を手掛けるシェイクスピアの恋愛喜劇『お気に召すまま』が7月30日に開幕する。それに先がけフォトコール(マスコミ向け撮影会)が行われ、冒頭のシーンが公開された。【チケット情報はこちら】開幕を前に熊林は「僕が演出を考える前提には、“役者の肉体”が大きくあり、作品と役に正しくはまる役者があって初めてスタートが切れるんです。シェイクスピアを演出するのは初めてです。シェイクスピアは、プロテスタントの時代に、カトリックの生まれなうえ、ゲイだったという説もある、つまり仮面をかぶって生きていた人なんですよね。だからこそ、作中で幾度も「自分とは何者か」と登場人物たちに自問させる。シェイクスピアのどこまでも続く問いかけに、いまわれわれが何を感じ考えたかを提示し、あとは観て下さる方々に委ねるしかありません。お客様には存分に(舞台となっているアーデンの)森の混沌を味わっていただければと思います」とコメント。本作は、配役で男女や年齢が大胆にひねられていたり、アーデンの森が牧歌的なユートピアではなく性的欲望がうごめく暗闇になっていたり、一筋縄ではいかない世界観。『お気に召すまま』と聞いて自動的にイメージするものとのギャップは、おもしろくもあり、なにか気付かされるものでもあった。ヒロイン・ロザリンドを演じる満島は「劇中ではかなり明け透けに、性的なことや恋することが語られますが、見て聞いている方それぞれにもきっと、違ったどきどきがあると思います(どきっとして欲しい)」、オーランド役の坂口は「性差を超えてさまざまな愛のカタチが描かれる今作、混沌としたアーデンの森で、自分が持っている肉体を、性的に純粋に駆使しながら、オーランドとして生まれてくる感情を大切に演じています」とコメントを寄せた。フォトコールでは、物語の始まり、ロザリンドとオーランドが恋に落ちるまでのシーンを披露。シェイクスピア特有の膨大な長台詞が渦巻く中でも、ふと運命に触る言葉が告げられる瞬間や、ロザリンドとオーランドの視線が交わる瞬間には、劇場全体の空気がぐらりと揺れたのが印象的だった。思わぬ始まり方や、客席まではみ出した舞台、合わせ鏡のようなセット、美しい衣裳も楽しく、魅力的なキャストが揃う本作は7月30日から8月18日(日)まで東京芸術劇場 プレイハウスにて上演後、豊橋、新潟、兵庫、熊本、北九州を巡演する。取材・文:中川實穗
2019年07月30日城田優が演出を手掛けるミュージカル『ファントム』が11月・12月に上演される。その製作発表会見が開かれ、ファントム/エリック役の加藤和樹と城田優、ヒロイン・クリスティーヌ役の愛希れいかと木下晴香、ファントムの恋敵・シャンドン伯爵役の廣瀬友祐と木村達成(それぞれWキャスト)が出席した。ミュージカル「ファントム」チケット情報本作は、ガストン・ルルーの小説『オペラ座の怪人』を原作に、アーサー・コピットが脚本、モーリー・イェストンが作詞・作曲を手掛け、アメリカで1991年に初演されたミュージカル。今回の上演は、2014年にファントム/エリック役を演じた城田が演出を手掛ける新演出版。城田はファントム役も演じる。加藤、城田、愛希、木下による劇中歌『You are music』の美しいハーモニーからスタートした会見では、モーリー・イェストンから「(今回の新演出版では)今まで観たことのない、城田優ならではのオリジナリティが生きた『ファントム』を期待しています」というメッセージも。城田は今回の演出について「歌を歌いあげるミュージカルではなく、心情を歌い上げるミュージカルをつくりたい。いかに“心”に届けられるかが一番大事だと僕は思っています」と語る。城田とWキャストでファントム/エリックを演じる加藤は「城田優とは僕の初舞台でご一緒しました。僕を知っている彼だからこそ、一緒につくり上げられる役だと思います。城田は『「今までで一番加藤和樹がいい」と言わせる作品にする』と言いました。この言葉は自分にとってもプレッシャーです。演出家・城田優に最後までついていきたい。ご期待ください」と熱く語った。愛希は「この作品、そしてクリスティーヌという役にはずっと憧れがありました」と明かし、木下は「自分の新しい一面を出して、衝撃的なクリスティーヌを皆様にお届けできるよう精一杯つとめていきたいです」と意気込み、廣瀬は「プレイボーイでもあるシャンドンがいかにクリスティーヌに惹かれていくか、そこにある純粋さもみせていきたい」、木村は「こんなに勉強させていただける座組はなかなかない。いろんなことを吸収しながら、作品の一員として素晴らしいものにできるようがんばっていきたい」とそれぞれコメントした。城田が「オペラ座の怪人…つまりオペラ座に住んでいるお化けがどうして誕生したのか、彼がどうしてそうならなければならなかったのかを描いたストーリーに心打たれる」と語る公演は、11月9日(土)から12月1日(日)まで東京・TBS赤坂ACTシアター、12月7日(土)から16日(月)まで大阪・梅田芸術劇場 メインホールにて。取材・文:中川實穗
2019年07月25日手塚治虫の“黒い”作品群の代表作を原作に、上演台本・演出を中屋敷法仁、主演を五関晃一(A.B.C-Z)が務める舞台『奇子(あやこ)』が現在上演中。その東京公演開幕に先がけ公開ゲネプロと囲み取材が行われ、取材には五関と梶原善、そして中屋敷が出席した。会見で中屋敷が「水戸でのプレビュー公演(7月14日・15日上演)では興奮しました。こんなに好きな原作を、こんなに好きな俳優さんで、僕の好きな演出でやってくれている。夢を見ているみたいな感じです。五関くんが本当にかっこよくて、水戸公演から東京公演まで早く観たくて仕方ない気持ちでした」と熱く語った本作。青森で500年の歴史を誇る大地主でありながら、終戦後の農地改正法を境に衰えていく天外(てんげ)一族を中心に、一族の体面のために土蔵の地下に22年ものあいだ閉じ込められる奇子を巡り起こる物語について五関は「時代背景も、それぞれが持っている欲も、初めて読んだときはファンタジーに感じたくらい、自分とはかけ離れた出来事だと思いました」と話し、だからこそ演じるうえで「それをリアルとして突き詰めていくのは大変でした」と振り返る。梶原も「重いです。観ている方はどう思っていらっしゃるのか」と語るように、遺産のために妻を実の父に差し出す天外家の長男・市朗(梶原)をはじめ、次男の仁朗(五関)、三男の伺朗(三津谷亮)、東京で奇子と出会う波奈夫(味方良介)ら登場人物の奥底に持つものが、奇子(駒井蓮)という存在によって暴かれていくような内容で、同じ手塚作品『鉄腕アトム』などからは想像しにくい残酷さも描かれている。マンガの内容を約1時間45分に凝縮した舞台は「そのシーンそのシーンで主人公が変わるので、そのぶん、それぞれの欲や目を疑いたくなる行為が怒涛のように押し寄せてくる」と五関。登場人物の心情が芝居や時にはダンスによって滴るような生々しさで表わされ、特にそれぞれが追い詰められたときの姿、今際の際に語る言葉は強烈。観ている側もどこか剥き出しにされていくような感覚に陥る作品だ。中屋敷が「演出や原作の手が届かないくらい俳優同士のやりとりが濃密。だからこれからも(公演を重ねるにつれ)勝手に深まっていくんじゃないか」と話す、手塚治虫生誕90周年記念事業PARCOプロデュース2019 舞台『奇子』は、7月28日(日)まで東京・紀伊國屋ホールにて上演中。その後、8月3日(土)4日(日)に大阪・サンケイホールブリーゼにて上演。ぴあでは下記特別サイトにて発売中。また、東京公演は公演当日午前9時30分より11時まで当日券専用ダイヤル(0570-00-2321)にてチケット発売中。取材・文・撮影:中川實穗
2019年07月23日原嘉孝(宇宙Six/ジャニーズJr.)が主演する舞台『THE BANK ROBBERY!~ダイヤモンド強奪大作戦~』が8月2日(金)に開幕する。その公開稽古と会見が行われ、会見には原、桜井玲香(乃木坂46)、元木聖也、尾上寛之、しゅはまはるみ、溜口佑太朗(ラブレターズ)、塚本直毅(ラブレターズ)、大堀こういち、市川しんぺー、田中要次、演出の小林顕作が出席した。【チケット情報はこちら】本作は今イギリスで最も勢いのあると言われている頭脳派コメディ劇団「Mischief Theatre(ミスチーフシアター)」の最新作。日本初演となる今回は、谷賢一が翻訳、小林顕作が演出を手掛ける。この日は2シーンの稽古を披露。まずは元木演じるミッチがダイヤモンドを強奪するために刑務所から脱獄する冒頭~オープニングシーンの稽古が行われた。“刑務所から脱獄”と言っても、笑ってしまう展開、歌、ダンスなど盛りだくさんで賑やか。これから始まる物語の楽しさを予感させるシーンとなった。続いては、原演じるスリの名人サムが、母親(しゅはま)の働く銀行を訪れ、桜井演じる結婚詐欺師カプリスに出会うシーン。まず舞台となる銀行がハチャメチャで、行き交う人も強烈なキャラクターばかりなのだが、そんななかサムは最愛の母親との会話中でもスリのチャンスは逃さない、ある意味“デキる男”。隙あらば人の財布を抜き取りながら口八丁手八丁でその場を切り抜けていくのに、母親に怒られると逆らえない姿はかわいい。また、カプリスのやり手な結婚詐欺師ぶりは歌&ダンスで表現されるのだが、桜井の愛らしい外見とかわいいダンスで歌いあげられる歌詞は強烈。そのアンバランスに思わず笑ってしまう。稽古後に開かれた会見は笑いの絶えない和やかな雰囲気。小林が「コメディは難しいですが、今回おもしろいと思います。イギリスに勝てるなと思うくらい。日本人の繊細な間(ま)が活かされている」と手応えを話し、原は自信の役柄について「サムはお母さんが大好きだったり、スリの名人だったりして、人によって全く違う顔を見せる。そういう詐欺師っぽい一面が出せたら」、桜井は「ヒロインだと思うのですが、時々自分がヒロインなのかわからなくなるシーンがあります(笑)」と紹介。元木は作品について「ここまでコメディに振り切った作品はなかなかない。誰が観ても楽しいはず」と話した。田中が「見所はとにかく出てくるキャラクターがバカばっかりなところ。普通はひとりくらい振り回される人がいるのですが、本当にバカばっかり!(笑)」と話す本作は、8月2日(金)から8月12日(月・祝)東京・新国立劇場 中劇場、8月16日(金)から8月17日(土)大阪・森ノ宮ピロティホールにて上演される。取材・文・撮影:中川實穗
2019年07月17日オスカープロモーションによる男性エンタテインメント集団「男劇団 青山表参道X」の第2回公演『ENDLESS REPEATERS -エンドレスリピーターズ-』が7月20日(土)に開幕する。川尻恵太(SUGARBOY)による脚本・演出で、3つのチームでの上演となる本作。各チームを代表して、「ルビー」の飯島寛騎、「サファイア」の西銘駿、「エメラルド」の定本楓馬に話を聞いた。【チケット情報はこちら】オリジナルの密室劇で<4人チーム+ゲストひとり>の5人芝居となる本作。「ルビー」チームは飯島寛騎・栗山航・小沼将太・立花裕大、「サファイア」チームは西銘駿・塩野瑛久・村上由歩・松本健太、「エメラルド」チームは定本楓馬・中村嘉惟人・湯本健一・長田翔恩という布陣だ。さらに「日替わりゲスト」として水江建太・奥野壮・岩田知樹のほか、別チームのメンバーが登場することも。そんな独特のつくりの本作を、飯島は「全く同じストーリーだからこそ、各チームがどう演じるか、どんな違いが出るかが興味深いです」、西銘も「少人数だからこそ各チームの色が出るはず。さらに日替わりで自由なスペシャルゲストが加わりますからね…(笑)。毎回“違う作品”だと思われるようなものになればいいなと思います」と意気込む。各チームについて、飯島は「ルビーチームは“チーム・アダルティ”。他のチームに比べて年齢が上なぶん経験値があるのは魅力なのですが、いかんせん個性の塊揃いなので(笑)。どんなことになるのかは今から楽しみです」、西銘は「サファイアチームは“チーム・スタンダード”。メンバーを知っている方は異論があると思いますが(笑)、敢えて僕らはスタンダードを目指します!」、定本は「エメラルドチームは“チーム・バラバラ”です。それはチームワークがバラバラという意味ではなく(笑)、アクションだったり、英語だったり、メンバーそれぞれが違う得意分野を持っているという意味でのバラバラ。このメンバーだから生まれるものを活かしていきたいです」。昨年6月に旗揚げ公演を行った「男劇団 青山表参道X」。舞台作品としては2作目だが、それ以外にもさまざまな活動を行ってきた。飯島が「身内感が出てきた」と語るように、インタビュー中の3人の雰囲気も他の現場ではあまり見たことがないのびのびとした表情が印象的。定本は「それぞれがそれぞれの活動の中で吸収してきたものを持ち帰って、それをまたメンバーが吸収できる場所になっている。そこがすごくいいなと思います」と語る。旗揚げから1年経った今だからこそのものが観られるであろう本作は、7月20日(土)から28日(日)まで東京・品川プリンスホテル クラブeXにて上演。取材・文:中川實穗
2019年07月10日7月27日(土)から31日(水)まで東京・三越劇場にて舞台『Run For Your Wife』が上演される。本作はイギリスの劇作家レイ・クーニーによる戯曲で、日本でも何度も上演されているコメディ作品。主演の山本一慶に話を聞いた。【チケット情報はこちら】山本にとって初のコメディ作品となる本作。「脚本を読んで、計算しつくされた上質なコメディ作品だなと思いました。笑わされるのと同時に、どうなっていくのかワクワクする内容で、脚本を読んでいるだけでも楽しくて。そこに挑戦できるのはありがたいです」。これまでも舞台上で“笑いを取る”ことはやってきたという山本だが「でも、そういう笑いとは違いますよね。登場人物のすれ違いだったり、勘違いだったり、そこから生まれる出来事だったりが、被さり合って被さり合って生み出される笑いですから。だから正直、不安もあります。舞台上でのキャッチボールがうまくいかないとおもしろくならないから」。主人公にはふたりの妻がいるけどバレたくない!というドタバタ劇。山本が演じる主人公のタクシードライバー ジョン・スミスは「重婚している最悪なヤツなんですけど(笑)、脚本を読んでいると憎めないんですよね。むしろガンバレって言いたくなるかわいらしさがある。そこを演じたいです」。そんなジョンのために振り回される友人を演じるのが、初共演のルー大柴。「ルーさんと僕の年齢差をうまく生かせれば、僕らがやる『Run For Your Wife』になるんじゃないかと思っています。35歳差の“友達”ですからね。そんなふたりだからこその関係も楽しい要素にしたいです」。ジョンのふたりの妻を演じるのは、花奈澪と七木奏音。「花奈は以前共演して以来、気心知れた仲なので、こういう作品を一緒にやるのは楽しみです。奏音ちゃんとも共演経験はあるのですが、そのときはあまり話せなかったので、今回どんなふうになるのか期待しています。それ以外の皆さんも芝居が好きなメンバーが揃っているので、楽しくなるんじゃないかな」。演出の菅原道則とはこれまでもタッグを組んでおり「菅原さんは役者にも自由にアプローチさせてくれるんですよ。そのうえで締めてくれるので、すごくやりやすいです」と信頼を寄せる。この6月に30歳という節目を迎えて最初の作品。「30歳の誕生日にファースト写真集を発売していただき、当日はファンクラブイベントもあってファンの皆さんと迎えられて、いいスタートを切れました。その皆さんが、僕がこの作品に出ることを喜んでくださっていて。だからこそいいものを見せたい。笑わせますが、それは僕が普段2.5次元作品で見せるような笑いでも、コントの笑いでもない、コメディ作品の笑いです。計算しつくされた笑いを堪能していただきたいです!」文:中川實穗、ヘアメイク:瀬川なつみ
2019年07月10日中村雅俊デビュー45周年を記念した『中村雅俊45thアニバーサリー公演』が東京・明治座にて上演中。その公演初日に潜入した。【チケット情報はこちら】1974年4月にドラマ『われら青春!』で俳優デビューし、同年7月にはドラマ挿入歌『ふれあい』で歌手デビューした中村の記念公演となる本作は、その45年間に欠かせない“芝居”と“歌”をそれぞれ披露する二部構成。明治座初座長を務める。第一部で上演されたのは、中村が主演を務める時代劇『勝小吉伝 ~ああわが人生最良の今日~』。中村とは4度目のタッグとなる鴻上尚史が脚本・演出、鹿目由紀が脚本を手掛け、中村が勝海舟の父である勝小吉を演じる。共演は、小吉の妻・賀来千香子、息子の麟太郎(未来の勝海舟)・東啓介、麟太郎の恋人・愛加あゆ、悪役の片目・山崎銀之丞、小吉の兄・田山涼成、小吉の甥・寺脇康文ら個性豊かな面々。時代劇ならではの殺陣はもちろん、生演奏あり、歌あり、ダンスあり…そしてまさかのフライングあり!?という賑やかで楽しい作品に仕上がっていた。そしてその楽しさの中には「相手を信じる気持ち」や「今日の自分によかったと言える生き方」などさまざまなメッセージが詰まっていて、そこから生まれるあたたかなものには“中村雅俊”という存在に通ずるものを感じた。中村が演じる小吉は、自由でどこかとぼけているけれど剣の腕が立つ男。そんな彼を中心に登場人物それぞれが周囲の人を愛し、信じ、影響を与え合い、勇気を持って一歩踏み出す姿にぜひ注目してほしい。そして第二部のライブでは、デビュー曲『ふれあい』をはじめとするシングル曲はもちろん、アルバム曲やメドレーなど10曲以上を披露。中村は、歌はもちろんのこと、サックスやギターなど楽器を演奏したり、MCで観客とコミュニケーションを取ったりと、約60分のステージはあっという間だった。この日はMCで、本ライブのタイトルであり、7月1日に発売したばかりのベストアルバムのタイトルにもなっている『yes!on the way』について「まだ途中、という意味です。まだまだがんばるつもり。過去の45年よりもこれから先のほうががんばり甲斐があります」とにこやかに語り、観客を喜ばせた。公演は7月31日(水)まで東京・明治座にて上演中。チケット発売中。また、7月15日(月・祝)に開催される一夜限りのスペシャルライブには小椋佳、松山千春がスペシャルゲストで参加する。取材・文:中川實穗
2019年07月09日1969年10月5日に放送開始し、今年50周年を迎えるアニメ 『サザエさん』。そのアニバーサリー企画のひとつとして舞台「サザエさん」(脚本・演出:田村孝裕)が上演される。アニメから10年後の磯野家を描くという本作。磯野カツオを演じる荒牧慶彦に話を聞いた。【チケット情報はこちら】漫画やアニメを舞台化した2.5次元作品でさまざまな役を魅力的に演じ、高い人気を集める荒牧。小学生男子から刀剣男士まで演じてきた彼だが、磯野カツオという誰もが知るキャラクターを演じることには驚いたそう。「最初に話を聞いたときは戸惑いました、“僕でいいんですか!?”って。まさか自分がカツオ役をやるとは…」と明かしつつも「光栄なことです」と笑顔をみせる。本作のカツオは“10年後”の大学生。「大学生って進路に悩みますし、周りからの影響も過分にうける年頃だと思うので、そういう揺れる心が人間臭くていいなと思いました。ちょっと大人ぶりたい年頃を演じるので、アニメのわんぱくさも残しつつ、そういう部分も演じていけたら」。荒牧自身も大学時代は進路で揺れたそうで「ちょうど就職活動の頃に俳優をやろうと決めたので、友達が次々と大企業に就職が決まっていくなかにいるとやっぱり揺れましたね。だけど1回は自分のやりたいことをやってみたいと思い、この世界に飛び込みました。当時、僕を心配していた友達は今も応援してくれています。あのときやれてよかったです」。サザエを藤原紀香、マスオを葛山信吾、フネを高橋惠子、波平を松平健、ワカメをWキャストで秋元真夏(乃木坂46)と齊藤京子(日向坂46)、タマを酒井敏也というキャスト陣が揃う本作。「豪華なキャストの皆さんとお芝居できることは、嬉しいのと同時に“うわあ、めっちゃ緊張するやつじゃん!”と思いました(笑)。だから早く先輩たちと仲良くなりたいです。きっと親しみやすくておもしろい作品になると思いますし」と稽古が始まるのを楽しみにしている様子。脚本・演出の田村孝裕とも初めてのタッグとなるが「初めての演出家さんとはまず打ち解けたいです。そうするとお互い話をしやすくなりますから。特に今回はまだ誰も見たことのない10年後のカツオなので、しっかりと話しながらつくっていけたら」と意気込む。10年後の磯野カツオ、そして磯野家がどんな姿をみせてくれるのか楽しみに待ちたい。舞台「サザエさん」は9月3日(火)から17日(火)まで東京・明治座、28日(土)から10月13日(日)まで福岡・博多座にて上演。7月15日(月・祝)からの一般発売に先駆け、7月11日(木)までぴあ先行申込受付中。取材・文:中川實穗
2019年07月08日8月11日(日・祝)と12日(月・休)に東京・DDD青山クロスシアター初となる落語会『青山らくごVol.1~DDD寄席~』が開催される。劇場で開かれ、落語家・柳家花緑、俳優・風間杜夫らが出演する、“落語界と演劇界がクロスする2日間”な本企画。その両日に出演する風間に話を聞いた。【チケット情報はこちら】8月11日は「~花緑と風間落語×演劇の最強タッグ~」として柳家花緑、風間、柳家勧之助が、12日は「~風間杜夫と旬な若手たち~」として風間と笑福亭べ瓶、三遊亭とむ、三遊亭鳳月が出演するこの企画。そこに両日出演し、古典落語のネタを披露する風間は、“演劇界代表”とはいえ落語ファンにはおなじみの存在だ。俳優業のかたわら20年以上にわたり落語に取り組み、多いときは年間30ステージほども高座にあがる。実は1日目に共演する花緑はその活動のきっかけを作った人物。「僕が初めて高座にあがったとき、花緑師匠がすごく褒めてくださいまして。花緑師匠は小さん師匠のお孫さん、つまり人間国宝の孫でしょう?さすがサラブレッドですよ。人を見る目が違う。褒める人間を間違えない(笑)。師匠の眼力の鋭さに敬服しまして、『それじゃあやってやろうじゃないか』とね」とお茶目に笑う。2日目の出演者は、二ツ目(落語家の階級。最高位「真打」のひとつ下)を中心に勢いある若手がズラリ。そんな若手との共演を「楽しみ」と語りつつも「でも中には『なんで風間杜夫なんだ』と思っている人もいるかもしれないからね!そこは芸でねじ伏せないと」と意気込んでみせる。では風間にとって“良い芸”とはなにか。「これは芝居も同じですが、上手い下手、好き嫌いはあれど、結局人を惹きつけるのって“人柄”だと思います。よく『芸は人なり』と言いますよね。そこに人間性が出るものだからこそ、僕がつまんないヤツだと噺もつまんなくなっちゃう」。『芸は人なり』は柳家小さんの言葉でもあるが、俳優・風間と縁が深いつかこうへいの考えにも通ずる。「つかさんも、そうやって僕らを前に出してくれました。お客さんに判断してもらえ、と。お前の中にある愛嬌だとか正義感だとか卑屈さだとか人を嫉む気持ちとか、とにかく人としてのいろんなものを観てもらえ、そして『でもやっぱり風間はいいな』と言われるようになれ、と」。本企画を前に「花緑師匠と同じ板の上に出られることはしあわせですし、若手の皆さんの高座を拝見して刺激を受けるのも楽しみです。落語はいつも修行のつもりで出ていますが、僕が落語を楽しんでることは、お客さんに伝えたいですね」と語った風間。70歳を迎えてもなお進化し続ける風間と落語家たちの、DDD青山クロスシアターでしか観られないコラボをお楽しみに!取材・文:中川實穗
2019年07月05日鄭義信が演出を手掛け、稲葉友、大鶴佐助、中山祐一朗(阿佐ヶ谷スパイダース)が出演する舞台『エダニク』が6月22日に東京・浅草九劇で開幕、7月15日(月・祝)まで上演中だ。【チケット情報はこちら】食肉加工センターを舞台にした本作。開幕に際し演出の鄭は「この作品の中には“人が生きるために、肉を食べなくてはならない”という大きなテーマが隠されているのですが、そのことが笑いの中から少しずつ染みていく形で、最後に観客にどう伝わっていくのか、今からとてもドキドキしています」とコメント。横山拓也(iaku)が2009年に書き下ろし、以降、さまざまな演出家、出演者によって再演を重ねられている脚本について鄭は「とてもしっかり書き込まれている作品なので、その中で役者がどれだけ自由にのびのびと遊べるかというのが、今回の演出の大きなテーマでもあります」と語る。その言葉通り、今作は、脚本を読んだだけでは想像できない、あらゆる意味で“稲葉、大鶴、中山、そして鄭だからこそ”と思わされる仕上がりに。そういう意味でも、もちろん芝居の面でも、演劇のおもしろさを堪能できる作品となっている。3人芝居となっており、稲葉は「男3人の丁々発止なやり取りと鄭義信さんならではの演出がギッシリと詰まった劇を楽しんでいただけたら嬉しいです。多面的なテーマを持った演劇ですので何がどこでどうお客様に響くのかこちらも楽しみにしております」。大鶴は「3人の登場人物が持つそれぞれの思いや願いが交差し合い濃密な空間が舞台上を支配すると思うので、そこにお客さんも巻き込み、汗だくになって帰ってもらいたいです。ジェットコースターのような展開の中、3人それぞれの真実を見逃さないで欲しいです」。中山は「屠場(とじょう)という牛や豚を解体する場所での劇です。そこによくわからない兄ちゃんが入ってきて、帰ってほしいのに全然帰ってくれないというなかで色々な事件が起こる仕掛けとなっていて、元々の会話劇の面白さにアングラの鄭さんの演出が加わりパワフルなコメディとなっていますので大変観やすくて誰にもオススメです」とそれぞれコメント。笑いもあって観やすいのに、それだけでは終わらせない3人にぜひ注目してほしい。また、この劇場サイズだから届く熱気や空気、見える表情の変化、香る食べ物の匂いも、本作をより濃密なものにしている。劇場でぜひ体験してほしい。公演は7月15日(月・祝)まで東京・浅草九劇にて上演中。取材・文:中川實穗
2019年06月28日兄の連れてきた婚約者は…
いきすぎた自然派ママがこわい
義父母がシンドイんです!