「学生時代に数学が好きだった」と胸を張っていえる人は、どのくらいいるでしょう?OECDが15歳(日本では高校1年生)を対象に実施した学習到達度調査によると、調査対象となった34か国のうち、日本の学生の科学的リテラシーは1位、数学的リテラシーは2位という堂々たる結果でした。しかし、IEA国際数学・理科教育動向調査によると、「数学の勉強は楽しい」と答えた日本の中学生は全体の48%。国際平均の71%を大きく下回っています。テストでは高得点だけれど、勉強は好きではない――そんな人が多いということなのかもしれません。■1日1分で数学的センスは身につく「だからこそ、社会に出てからもう一度、数学を学んだ方がいいと思うんです。それは学生時代の試験勉強とは違う、ビジネスに生かせる数学的センスを養うためです」そう話すのは『Suzie』でもおなじみの、ビジネス数学を提唱する教育コンサルタントの深沢真太郎さん。企業研修やセミナーで「数学的な思考がいかにビジネスに役立つか」を説く一方で、たった3年ほどで数学的な思考にまつわる本を多数出版されています。6月6日に発売された『10戦9勝の数字の使い方』(小学館)は、12冊目の著作。「でも多くの人が、『えっ、社会人になってもまた数学を勉強しなおさなくちゃいけないの?』って誤解をするんですよね。数学的センスを身につけるには、日々のわずかな時間、たとえば1日1分でいいんです。ちょっとしたスキマの時間に数学的なことを毎日続けて、少しずつ時間をかけて数学脳になっていくのがいちばん簡単です」(深沢さん)公式や定理を覚えなおしたり、難しい問題をたくさん解いたりするのは大変ですが、1日1分程度でいいなら、なんとかなりそうな気がします。■数字も漢字もひらがなも全部同じ!でも、「数学的なこと」って?いったい、なにをしたらいいのでしょう?「企業研修やセミナーの最初に、受講者にいつも数字の言葉遊びをしてもらいます。たとえば、『数字を使って自己紹介をしてください』『あなたが恋人のことをどれくらい好きなのか、数字で表してみてください』というふうにね。そうすると『私の身長は160センチです』とか『私は彼のことを90%愛しています。ここからもっと増えていく可能性があります』なんていうふうに話してくれるんです」(深沢さん)なるほど。そう考えてみれば、数字は「数学で使用する特別な記号」ではなくなりますね。「数字って、なにかを表現する“言葉”にすぎないんですよ、なにも難しくないでしょう?『数学が苦手だな』という感覚を克服する第一歩は、数字も漢字もひらがなも全部同じ、いずれもなにかを表現する言葉なんだと認識するところからはじめるといいでしょうね」(深沢さん)数字も言葉。このような考え方をすれば、確かに苦手意識はなくなりそうです。■ビジネスではアタマの使い方が必要深沢さんの新刊『10戦9勝の数字の使い方』には、文系人間にこそ身につけてほしい「ビジネス数学思考」や「論理思考のセンス」のヒントがたくさん。それらが身につけば、ビジネスのさまざまな場面においての問題解決や、議論を展開する際に役立ちそうです。「数学とは、アタマを使うセンスを磨く“スポーツ”だと私は考えています。テストでいい点を取ることが、数学を学ぶゴールではありません。ビジネスに微分積分などの数学的な知識を直接必要とすることも、きっとほとんどないでしょう。ビジネス数学に必要なのは、そういった『知識』ではなく、算数や数学でトレーニングした『アタマの使い方』なんです」(深沢さん)この本を読んでもっと数学脳を鍛えたいなと思ったら、ぜひ『Suzie』のバックナンバーにある深沢さんのコラムを、遡って少しずつ読んでみてください。ジムでトレーニングをするような感覚で数学に取り組めるはずです。(取材・文/宮本ゆみ子) 【取材協力】※深沢真太郎・・・BMコンサルティング株式会社・代表取締役/教育コンサルタント/多摩大学非常勤 講師/理学修士(数学)公益財団法人日本数学検定協会「ビジネス数学検定」で国内最上位を獲得。ビジネスパーソンの思考力や数字力を鍛える「ビジネス数学」を提唱し、様々な大手企業の人財育成をサポートしている。『「仕事」に使える数学』(ダイヤモンド社)、『数学女子智香が教える 仕事で数字を使うって、こういうことです。』(日本実業出版社)など著書多数。 【参考】※深沢真太郎(2016)『10戦9勝の数字の使い方』小学館
2016年06月18日以前『バラ肉のバラって何?誰かに教えたくてたまらなくなる”あの言葉”の本当の意味』を取り上げたことがありますが、その続編というべきが、『サランラップのサランって何?誰かに話したくてしかたなくなる“あの名前”の意外な由来』(金澤信幸著、講談社)。「フマキラーのフマ」「ククレカレーのククレ」「スターバックスコーヒーのスターバックス」「歌舞伎町の歌舞伎」「コービー・ブライアントのコービー」など、おなじみの商品名、会社名、地名、人名の由来を明かしたものです。「へー、なるほど!」と驚きの連続である本書から、数字に関連したトピックスを引き出してみたいと思います。■1:SHIBUYA109の「109」ってまずは簡単なところから。渋谷駅前に1号店を、そして全国的にも100店舗以上を展開するSHIBUYA109といえば、日本国内だけでなく、海外の若い女の子にも人気。1号店ができたのが昭和54年(1979年)だといいますから、すでに30年以上の歴史があることになります。そんな109を運営しているのは、東急モールズデベロップメントという会社。いうまでもなく東急グループの一員で、つまり109は「東急→とうきゅう→10(とう)9(きゅう)」という語呂合わせなのです。また、営業時間の「午前10時〜午後9時」を表してもいるのだとか。■2:スリーエム ジャパンの「スリーエム」って住友スリーエム株式会社は、平成26年(2014年)9月1日で住友電工とアメリカの3Mが合併を解消したため、3M社の100パーセント子会社に。そこで社名も「スリーエム ジャパン株式会社」となりました。ところで、この「スリーエム」とはなんなのでしょう?アメリカでは現在「3M Company」となっていますが、かつては省略形ではなく、正式な名称を社名としていたのだそうです。それは、「Minnesota Mining and Manufacturing Co.」で、直訳すると「ミネソタ鉱山製造」。現在はさまざまな分野の化学・電気素材をつくる多国籍企業として知られていますが、この名が示すとおり、もともとはミネソタの鉱山で鉱石を採掘する会社として創業したのです。■3:「551蓬莱」って肉入り中華まんじゅうは、関東では肉まんですが、関西では豚まん。そして関西で豚まんといえば、やはり551蓬莱です。同店のCMから豚まんという名称が広がったといいますから、その影響力は絶大です。551蓬莱は、大阪市中央区に本店のある中華料理の販売・飲食店。関西2府4県にお店があるのだそうです。店名の「551」は、創業当時、電話番号が551番だったことに由来したもの。そこに、「ここがいちばんを目指そう」という意味も与えられているのだといいます。■4:エフエムナックファイブの「ナックファイブ」って埼玉県を放送エリアとするFMラジオ局といえば、エフエムナックファイブ(通称NACK5)。もともとの正式名称は「エフエム埼玉」で、ナックファイブは愛称でしたが、平成13年(2001年)に正式名称もナックファイブと変更されたのだそうです。この「ナックファイブ」とは、同局の周波数である79.5から取られたもの。ラジオ局では放送のなかで周波数をアナウンスすることがよくありますが、社名に周波数を使っているのは同社だけだとか。■5:ロックバンドの「U2」ってアイルランド出身のU2は、世界的なロックバンドとして有名。アメリカの経済誌「フォーブス」が2011年6月に「世界でもっとも稼いでいるミュージシャン」に認定したことでも知られています。U2というバンド名はシンプルで、どんな国の人にもおぼえやすい名前。意味については「第二次大戦時のドイツの潜水艦Uボート2から」、「アメリカの偵察機U2から」、あるいは「you too」からなどの説がありますが、いずれもメンバーが否定しているのだそうです。そしてメンバーによると、「U2に意味はなく、名前候補リストにあったなかで、ましなものを選んだだけ」。このことについてギタリストのジ・エッジは「ひとつの文字とひとつの数字だから、いいやすくおぼえやすい」と、そしてヴォーカリストのボノは、「U2の魅力はそのあいまいさにある。解釈の仕方は無限大だろ」と語っているといいます。*このように、ちょっと意外なエピソード満載。「商品名・ブランド名」「社名・団体名・学校名」「地名」「人名・グループ名」とジャンルも多岐にわたっており、ひとつひとつが短くまとめられているので、空いた時間にリラックスして楽しむことができるでしょう。(文/作家、書評家・印南敦史) 【参考】※金澤信幸(2016)『サランラップのサランって何?誰かに話したくてしかたなくなる“あの名前”の意外な由来』講談社
2016年06月17日『ビジネスマンのための最新「数字力」養成講座』(小宮一慶著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)は、2008年3月に初版が発行されるや15万部以上のヒットとなった『ビジネスマンのための「数字力」養成講座』に次ぐ、8年ぶりの第二弾。著者は企業規模や業種を超えた「経営の原理原則」に基づき、幅広く経営コンサルティング活動を行っている経営コンサルタント。また、日経新聞の景気指標を用いた講演にも定評があります。本書の趣旨のひとつは、ビジネスパーソンの「数字力」の養成。しかし、もうひとつの趣旨にこそ、注目すべきポイントがあるといえるかもしれません。それは、数字をとおして日本の現状を理解してもらおうというもの。いま政治的、経済的に世の中で起こっていること、日本のディープな部分の多くは、公開されているさまざまな数字から誰もが知ることができるというのです。きょうはそのなかから、「日本の人口」に関する部分をチェックしてみましょう。■人口は毎年30万人ずつ減少中国勢調査は5年に1回、大規模な調査だと10年に1回しかないため、あくまで推計値だといいますが、現在の日本の人口はおよそ1億2,000万人だろうといわれています。昨年1年間で、30万人減っているのだそうです。昨年生まれた子どもの数は、約100万5,600人。亡くなった人の数が130万人強。一昨年は、生まれた子どもの数が100万1,000人で、亡くなった人の数が127万人。ときどき新聞に掲載されるこうした推定値から計算すると、だいたいのところ人口は30万人ずつ減っているわけです。ただし団塊の世代が亡くなりはじめるころには、毎年100万人単位で減るだろうと著者は推測しています。団塊世代は一学年200万人単位、多い学年だと現在でも約240万人ですが、このところ、生まれる子どもの数は100万人程度。今年成人式を迎えた人が120万人ですが、多少出生率が上がって、そこまで戻ったとしても、やはり人口は毎年100万人単位で減少していくだろうということです。放っておくと数十年後には8,000万人台になってしまうため、政府は1億人を目標にしているわけですが、あまり現実的ではないわけです。■構造をどう変えていくかが課題団塊世代は退職後も元気で、退職金がある程度入ってきて、経済的にも余裕があるため、GDPには消費面で貢献していることになるといいます。しかし著者が懸念しているのは、後10年も経つと、「もう旅行するのもしんどいな」という人たちが数多く出てくるであろうということだとか。つまり今後、人口が格段に減っていくことは確実で、消費も減っていくため、GDPの伸びも期待できないことになるのです。その一方、この先数十年にわたり、若い人たちの社会保険料負担と税負担が増えていきます。これも可処分所得が減るので、GDPの減少要因となります。だからこそ、この構造をどう変えていくかが、現在の最大の課題だということです。■アベノミクスは「机上の空論」この課題の難しさは、「経済が安定しないと子どもが増えない」という点にあると著者は指摘します。ただでさえ子どもを産まない理由としては経済的理由が大きいのに、経済が安定しない現在、将来不安のなかで進んで子どもを産む人が増えるとは考えにくいわけです。そうした状況下、「アベノミクスでGDPを600兆円に」などということは机上の空論だといわざるを得ない。著者はそう主張しています。90年代初頭、すでに(合計特殊出生率)「1.55ショック」というものがあり、こうした事態になることはわかっていたそうです。そして、現在の合計特殊出生率は1.46。なのになぜ、抜本的な少子化対策がとられてこなかったのでしょうか?この問いに対する答えは簡単。「票にならない」からだというのです。背に腹は変えられなくなったせいか、いまになって待機児童や保育所の問題が国会でも討議されるようになりました。しかし合計特殊出生率が回復しつつあるヨーロッパでも筆頭の位置にいるフランスでは、保育、学費など、多くの育児、教育費が無償。いまや50%を超える非嫡出子が、それらにおいて不利になることもないといいます。■名目GDPを上げることが重要ただしベースのところで、経済が豊かでないと支えきれないわけです。フランスも経済状態は決してよくはありませんが、ひとりあたりのGDPは日本よりはずっといい状態。それは、出生率が大きく回復したデンマークやスウェーデンなどの北欧諸国も同じだそうです。少子化対策もとったものの、基本は経済がよくなったからだといいます。一方、日本はどうでしょう?介護の問題もそうですが、経済の足腰をいかに強くするか。重要なその点が、ずっとなおざりになっているというのです。だからこそ重要なのは、とにかく名目GDPを上げることだと著者はいいます。それ以外に、根本的な方法はないとも。*著者の解説はとてもわかりやすいので、読み進めれば無理なく、数字を通じて世の中の構造を把握できるはず。ぜひ、手にとってみてください。(文/作家、書評家・印南敦史) 【参考】※小宮一慶(2016)『ビジネスマンのための最新「数字力」養成講座』ディスカヴァー・トゥエンティワン
2016年06月14日こんにちは。深沢真太郎です。ビジネスパーソンを数字と論理に強くする「ビジネス数学」を提唱する、教育コンサルタントです。以前、ある企業の研修に講師として登壇したときの話です。休憩時間に、参加者のひとりからこのような質問をされました。「深沢先生のような“数字アタマ”になるには、いったいどうしたらいいですか?」おもしろい表現をするなと思いました。“漢字アタマ”とか“ローマ字アタマ”なんて表現、まずしませんからね。にもかかわらず、私にもすぐにニュアンスが理解できました。それだけ私たちは、数字で考えることを特別な能力だと思っているのかもしれません。しかし、私は決してそんなことはないと思っています。どんなに数字が苦手な人でも、“数字アタマ”になることは可能だからです。今回は、そのためのアプローチ方法と実際の思考トレーニングをひとつご紹介しましょう。安心してください。誰でも1分間でできる、とても簡単なものです。■クイズの作成が数字アタマになる近道さっそくですが、次の質問に1分間で答えてみてください。Q.あなたは昨日、階段をぜんぶで何段上り下りしましたか?概算でお答えください。……もちろん、1段ずつ数えているなんてことはないでしょう。仮に万歩計を持っていたとしても、上った(下った)階段の段数だけを測ることはでいないはずです。ということは、この質問に答えるためにはアタマを使う必要があるということです。要するに、数字とアタマを使わないと答えられないようなクイズを考え、スキマ時間に遊ぶことが“数字アタマ”になるための最短距離だということです。さて、上記の質問ですが、私ならこう答えます。A.最寄り駅の階段が仮に50段だとしたら、行きと帰りで2回。(50×2=100)さらに打ち合わせに出向いた企業の最寄り駅の階段も利用。(50×2=100)そのあと移動する際に歩道橋をいちど渡ったので、その歩道橋の階段も50段だと仮定。(50×2=100)ここまでで合計すれば、100+100+100=300(段)「思っていたより少ない」というのが私の所感です。いずれにしても、このような数字があると、健康と体力向上のためにエレベーターやエスカレーターのある場所でも、あえて階段を使ってみようかなと思えます。つまり、気づきと改善策を得ることができたわけです。・数字で測るから具体的な情報になる・具体的な情報になるから、気づくことがある・気づけるから、改善もできるビジネスにおいても、まったく同じことがいえますよね。■1日1分の習慣で数字アタマになれる普段からほんの少しのスキマ時間(1日1分間で十分)を使い、アタマのなかで数字を使って測る習慣をつけてみましょう。すると、ビジネスの商談やミーティングなど、サクッとアタマのなかで概算する必要があるときにも、簡単に数字をつくれるようになります。少なくとも、日本でただ1人の「ビジネス数学の専門家」は、いまもそのようにして“数字アタマ”を鍛えています。日々の1分間の使い方を変えれば、“数字アタマ”は簡単につくれるのです。(文/深沢真太郎) 【参考】※ビジネス数学の専門家深沢真太郎〜数字が苦手な人の救世主〜-YouTube※ビジネス数学ブログ※深沢真太郎(2015)『そもそも「論理的に考える」って何から始めればいいの?』日本実業出版社
2016年06月07日こんにちは。深沢真太郎です。ビジネスパーソンを数字と論理に強くする「ビジネス数学」を提唱する、教育コンサルタントです。■女性はギャップに弱い私は男性ですが、かつて女性の友人が複数いる食事会に参加したとき、彼女たちがこんな話題で盛り上がっていたことを記憶しています。「ギャップに弱い」みなさんも心当たりがあるのではないでしょうか。恋バナ(恋の話)においては、定番なのかもしれませんね。「遊び人に見えるのに、意外とマジメだった」「仕事ができなさそうなのに、実はエリートだった」「おとなしそうなタイプに見えたけど、意外と積極的だった」「実はいい年齢なのに、とても若々しく見える」などなど……。私は心理学の専門家ではないので学術的な説明はできませんが、少なくとも恋愛においては「ギャップに弱い」というのは事実かもしれません。■数字を使ったギャップそこで、ビジネス数学の専門家である私は、このようなテーマでお話をすることにします。ビジネスパーソンならば、意図的に「数字を使ったギャップ」を演出せよ。どういうことか、説明しましょう。実は「ギャップに弱い」は、ビジネスコミュニケーションにも当てはまります。たとえばこんな表現で伝えられると、思わず「すごい!」と思ってしまいませんか。・入社わずか1年で、営業成績は第1位を獲得した。・コストは20%カットしたのに、売上は30%もアップさせた。・たった1人で、従業員1,000名分の勤怠管理をしている。実際、これらがもし本当ならすごいことです。そしてこれらに共通するのは「ギャップ」があること。「差」と表現してもいいでしょう。ならば、ビジネスにおける「差」は数字で表現できるものがほとんどのはずです。すごいこと=ギャップ=差=数字で表現できることしかし、もしこれらの「すごいこと」がこのような表現で伝えられたらどうでしょう。・入社してからすぐに、すごい営業成績を残した。・コストは減らし、売上は増やした。・すごい人数の勤怠管理を任されている。そのすごさは伝わってきませんよね。つまり、せっかくのすごさ(=ギャップ)も、数字を使わなければまったく伝わらないのです。なんともったいないことでしょう。人はギャップに弱い。それはビジネスコミュニケーションにおいても同じです。だからこそ、そのギャップをきちんと数字で表現しましょう。最後に、今回のエッセンスが見事に体現されていたビジネス書のタイトルをご紹介します。当たり前ですが、本は買ってもらわないといけないものです。だから、そのスゴさをうまく伝えないといけません。このふたつは、ギャップを上手に数字で表現していますね。・言葉ひとつで儲けは10倍・99%の人がしてないたった1%の仕事のコツちなみに後者はある年もっとも売れたビジネス書といわれ、大ベストセラーとなったそうです。たとえばプレゼンで使うメッセージを考える際の参考になるのではないでしょうか。(文/深沢真太郎) 【参考】※ビジネス数学の専門家深沢真太郎〜数字が苦手な人の救世主〜-YouTube※ビジネス数学ブログ※深沢真太郎(2015)『そもそも「論理的に考える」って何から始めればいいの?』日本実業出版社
2016年05月18日こんにちは。深沢真太郎です。ビジネスパーソンを数字と論理に強くする「ビジネス数学」を提唱する、教育コンサルタントです。■「数字で報告してくれ」の真意上司に、こんなことをいわれた経験はありませんか?「ちゃんと数字で報告してくれ」「資料にはちゃんと数字を入れてくれ」いわれた瞬間に「数字?めんどくさいな~」と憂鬱な気分になって、どんな資料を見せてどんな報告をすればいいのか途方に暮れる……。そんなビジネスパーソンも決して少なくないでしょう。しかし、ここで間違えてはいけないことがひとつだけあります。この上司のリクエストは「数字を伝えてほしい」ということではなく、「ポイントとなるメッセージを数字で伝えてほしい」ということだとういう点です。■「文章1と文章2」の違いとはたとえば、次の2つの文章を読んでみてください。<文章1>先週の数字ですが、売上高は500万円であり、営業利益は145万円。営業利益率は29%でした。ちなみに先々週は売上高が400万円であり、営業利益は100万円。営業利益率は25%です。つまり、営業利益は45万円増加し、営業利益率は25%から29%へと4ポイント増加しました。参考までに、先週の客数は250人、先々週は200人です。つまり、客単価は先週も先々週も2万円と変わりませんでした。<文章2>先週のトピックスは営業利益45万円増と営業利益率4ポイント増の2つです。その要因はプロモーション強化による客数増(50名)と、利益率の高い新製品がよく動いたことと考えられます。■ストレスを感じるのはどちら?さて、読んでいてストレスを感じる文章はどちらだったでしょうか。あるいは想像してみてください。ご自分がこの文章を耳で聞く立場だとしたら、どちらの伝え方のほうが状況を理解でき、最後まで聞けるでしょうか?答えはおそらく、<文章2>でしょう。上司もおそらく同じだと思います。いくら数字に強い人であっても、たくさんのデータを眺めたり、たくさんの数字が登場する会話を聞くのはストレスなのです。でも立場上、状況は正確に把握し、正しい指示をしなければなりません。あるいはその上司は、その状況をさらにその上司に説明しなければらないかもしれません。ですから、当然こういう思考回路になるのです。「ポイントだけでいいから、極めてわかりやすい言葉で伝えて」■上司への報告は数字で伝えよう上司が求めている「数字」は、メッセージが込められていない無機質な数字ではありません。もしそれを求めているのなら、ITで自動化でもしてパソコンの画面で数字の羅列をいつまでも眺めていればいいのです。きちんとメッセージが込められた、人の血が通った数字が求められているのです。どの職場でもソツなく仕事をこなしながら上司ともうまくやっていける人は、みんなこのことがわかっています。決して上司に媚びなさいといいたいわけではありませんが、ストレスなく仕事をしていくためには、上司とのコミュニケーションは避けて通れません。ならば、上司にできるだけストレスをかけずにコミュニケーションできたほうがトクですよね。「数字を伝える」ではなく、「数字で伝える」。つくった報告資料、きちんと血が通っていますか?(文/深沢真太郎) 【参考】※ビジネス数学の専門家深沢真太郎〜数字が苦手な人の救世主〜-YouTube※ビジネス数学ブログ※深沢真太郎(2015)『そもそも「論理的に考える」って何から始めればいいの?』日本実業出版社
2016年05月17日こんにちは。深沢真太郎です。ビジネスパーソンを数字と論理に強くする「ビジネス数学」を提唱する、教育コンサルタントです。ビジネススクールの講義などで扱われるテーマに、「愛の値段は、いくら?」といったものがあります。「そりゃプライスレスでしょ!」といいたくなりますが、ちょっと待ってください。実は、数字に強い人はこういう難題に対しても次のふたつの思考回路を働かせ、そして見事に数値化してみせるのです。その思考回路は、(1)定義する、(2)くらべる、のふたつ。どういうことか、ご説明しましょう。■定義と比較の参考例まず、「愛」という概念が極めて曖昧です。いくら考えても、値段など計算できないのではないでしょうか。そのため、たとえば「愛」を「夫婦関係を維持するエネルギー」と定義しましょう。次に、なにかとなにかをくらべる発想を持ちます。このケースでは、「夫婦関係を維持しているふたり」と「夫婦関係が破綻したふたり」をくらべることにします。そこに、金額で表現できるものはないでしょうか?たとえば慰謝料などはいかがでしょう。もちろん慰謝料が発生しないケースもあるかと思いますが、ここはシンプルに考えましょう。「愛」がある → 夫婦関係を維持しているふたり → 慰謝料は不要「愛」がない → 夫婦関係が破綻したふたり → 慰謝料が発生あるデータによれば、離婚原因などによってその金額は100万円~1,000万円と幅があるそうですが、ここではざっくり平均として500万円程度としておきましょう。夫婦「愛」の値段=500万円そんな結論が考えられます。■親子の愛の値段は?また、私であればこんな考え方で「愛の値段」を計算するかもしれません。たとえば「愛」を親と子どもという視点で考え、「愛」の定義を「子供が0歳から成人になるまでの間に与えたもの」としてみましょう。すると「愛の値段」は、その子どもにかけた金額ということになります。一般的には、ひとりの子どもを成人まで育て上げるのに1,500万円はかかるといわれます。そこで、私なら子どもを持つ親に、こんなアンケートをするでしょう。—————————————————————————<アンケート>自分の子どもが成人になるまで1,500万円かかるとします。もし、あなたにとってはまったく見ず知らずの子ども(0歳)が成人するまでにいくらか援助して欲しいといわれたら、いくらまでなら出せますか?ただし、あなたはそれを考えるに十分な経済的余裕があるとします。—————————————————————————「愛」がある → 自分の子ども → たくさんお金を使ってあげたい「愛」がない → まったく見ず知らずの子ども → 正直、あまりお金を使えない人それぞれ、考え方は違います。「自分の子どもと同じだけ出せます」と答える方もいれば、「1円も出したくない」という方もゼロではないでしょう。もしこのアンケートの平均値が500万円という回答であれば、「愛」の値段は1,500万円−500万円=1,000万円、ということになります。つまり、親子「愛」の値段=1,000万円です。■定義と比較で計算をそろそろまとめましょう。ここまでふたつほどロジックを考えてみましたが、どちらにも共通するのはふたつの思考回路が働いたということです。(1)定義する(2)くらべる数字に強く、なんでも数値化することにチャレンジできる優秀な人は、このようにして数字をつくっていくのです。正解がないからこそ、アタマに心地よい汗をかける問題でもあります。みなさんなら、どのようなロジックを組み立てて「愛の値段」を計算しますか?「プライスレス」という便利な言葉に逃げず、ぜひチャレンジしてみてください。(文/深沢真太郎) 【参考】※ビジネス数学の専門家深沢真太郎〜数字が苦手な人の救世主〜-YouTube※ビジネス数学ブログ※深沢真太郎(2015)『そもそも「論理的に考える」って何から始めればいいの?』日本実業出版社
2016年05月15日世の中の森羅万象は、「ハカる」ことと一体。物理学的に表現すれば、「ハカれないものは、存在しないのと厳密に同じ」。ハカれるからこそ「存在」となり、意味が与えられる。こんな考え方に基づいた書籍が『プロフェッショナルをめざす人のための新ビジネス基礎力養成講座 「ハカる」力』(三谷宏治著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)。当然のことながら、主題となっているのは「ハカる力」です。「謀(はか)る」でも「図(はか)る」でも「諮(はか)る」でもなく、「測る」「量る」「計る」ことだといいます。それは、定規をつくり、あてて、試して、対象のなかに潜む「真実(インサイト)」を見抜くことなのだそうです。■「ハカる」力が必要な理由多くのビジネス現場に足りないのは、革新的な商品やサービス、あるいは、それらにつながるような調査や発見。しかし現実的に、職場で行われているのは硬直的なルーティン作業。出てくるアウトプットも新鮮味のないものばかり。仕事がそんなことばかりになっている方も、決して少なくないはずです。しかし、だからこそ必要なのは、ジャンプ力のあるおもしろい商品やサービスのアイデア。そしてその前提となる世の中の(見過ごされていた)変化、もしくは大変化の予兆。だからこそ、それらを見つけ、生み出すために「ハカる」力が必要(=足りない)ということ。■「ハカる力」の根源とは?ハカることの対極にある姿勢は、「感覚的に重要そうな要因を羅列すること」。たとえば、「売上が増えるには、景気好転と人口増が必要だ」などと口に出してしまうことがそれにあたるでしょう。たしかにそのとおりかもしれませんが、こんな主張をしたところでなにも変わるはずがないのです。ハカる姿勢とは、重要な事柄(この場合であれば売上増の分析)にあたって、曖昧な表現を許さず、重要な要因を選び出し、それらに因果関係があるという事実を示すこと。この例でいえば、・GDP成長が1ポイント上向いたとき、自社売上は5%向上する・商圏人口が1%増えたとき、自社売上は2%向上する・その他の外部要因が変動しても、自社売上にそれ以上のブレは生じないなどというようなことを示す。つまり、(1)定性的表現にとどまらず、定量的もしくは具体的指標に落とし、(2)大事な要因(だけ)を見定め(3)それらと目的(売上増やブランド向上等々)との因果関係を確認することが大切で、それこそが「ハカる力」の根源だというわけです。■言葉を数字に落とすべし!曖昧な表現を廃し、主張を具体的・定量的にしようとするとき、もっとも明確なのは数字で表すこと。たとえば「市場シェアが高い」ではなく、「市場シェア30%」と伝える。30%が高いかどうかは競合状況によるもの。シェア50%の敵がいるなら、30%は高いとはいえないわけです。しかしシェアトップで2位が20%なのだったとしたら、その30%は高いといえます。だからそのときは、「シェア30%、相対シェアは1.5」と表記すれば完璧だということ。このように、言葉を数字に落とすことはなかなか面倒。しかも私たちはつい、感覚的表現を使ってしまっているものです。・この分野では敵が「強い」・顧客とのリレーションが「効く」・流通を「押さえれば」勝ちでも、「押さえる」といわれても、そこに具体的な説得力はないわけです。そこで、・カバー率90%:流通チャネルの9割が自社製品を取り扱っている・専売契約率70%:それらのうち7割が専売契約を結んでいる・離反率3%:専売ディーラーが他者に寝返る率が年3%のみというふうに、数字に落としていくことが重要。しかも単純なところからでいいのだそうです。議論をきちんとぶつけ合おうとするとき(明確な意思決定をしようとするとき)、そのベースとなるべきなのは数字。客観的なファクト(事実)が求められるということで、発言者の情熱や気合い、声の大きさであってはならないといいます。たとえ周囲がそうだったとしても、それを覆すことができるのは「数字による議論」だということです。*こうした基本を軸として、以後も「ハカる力」の重要性が解説されていきます。事例やコラムも豊富に用意されているので、著者の考え方を無理なく理解できることでしょう。(文/作家、書評家・印南敦史) 【参考】※三谷宏治(2016)『プロフェッショナルをめざす人のための新ビジネス基礎力養成講座 「ハカる」力』ディスカヴァー・トゥエンティワン
2016年05月11日こんにちは。深沢真太郎です。ビジネスパーソンを数字と論理に強くする「ビジネス数学」を提唱する、教育コンサルタントです。先日、スポーツジムでトレーニングしたあと、体重計に乗ったときのことです。デジタルの体重計に表示された数字は以下のとおりでした。55.55kg「おぉ、ゾロ目だ!」と、思わず喜んでしまいました(笑)。「だからなんだ?」といわれてしまうと、それまでのお話です。55.55kgも48.32kgも単なる体重という数字であり、なんら変わらないのですから。しかし、この「ゾロ目」という数字は、なぜか人の心をちょっとだけ動かすチカラを持っているようです。■なぜゾロ目の数字は魅力的なのかたとえば、ふと見た瞬間のデジタル時計の表示が「11:11」だったら、なにか特別な瞬間を目の当たりにしたような感覚になりませんか?たとえば、ナンバープレートが「33-33」の車を見かけたら、ちょっと「おっ!」と思ってしまうのは、おそらく私だけではないはずです。不思議ですよね。数字が揃っているだけで、ちょっと特別なことが起こったような気がするのです。私は心理学者ではありませんから学術的なアプローチはできませんが、とにかく私たちはゾロ目の数字には特別感を感じてしまうようです。これを私なりにいいかえて表現すると、こうなります。「人は、『数字が揃っている』という現象に特別感を持ち、意味づけをしやすい」■数字が揃うと謎の説得力がある!この人間の習性を、普段のコミュニケーションでも役立てられないでしょうか?私の答えは「YES」です。具体的には、誰かに「なるほど~」「へぇ~」といってもらえるような説得力ある話をしたいときに、このエッセンスが活用できるのです。たとえば、ビジネス。過去3年間の売上高はバラバラだけど、営業利益率はずっと5%で推移してきたとします。これはいわば、「555」というゾロ目の状態であり、おそらくあなたもデータの中で「555」を特別な数字と認識し、いまのままでは来期も営業利益率5%程度の着地になるという意味づけをするでしょう。2013年:売上4,200万円/利益210万円/利益率5%2014年:売上3,500万円/利益175万円/利益率5%2015年:売上6,400万円/利益320万円/利益率5%2016年:売上???/利益???/利益率???そして、そこには説得力が生まれます。なぜなら、人は「数字が揃っている」という現象に、特別感を持ち、勝手に意味づけをするからです。■マジカルナンバーもゾロ目と同じあるいは、こんな身近なテーマでも同じことがいえます。あるダイエット商材を試したAさんが、「1ヶ月で3kg、Bさんも1ヶ月で3kg、Cさんも1ヶ月で3kg痩せました」といわれたとしたら、「私もきっと1ヶ月で3kg痩せられる!」と思ってしまうかもしれません。それは、「333」というゾロ目に対して勝手に特別感を持ち、意味づけをするからです。心理学には、「マジカルナンバー7」などという言葉もあります。一度聞いただけで直後に再生できる記憶容量は、数にしてだいたい7つだという説です。その真偽はさておき、1週間が7日であることや、郵便番号が7桁であること、七福神、七不思議といった言葉の存在は、この話に信憑性を持たせますよね。ストレートにいえば、人間はこういう話が好きなのです。*裏を返せば、なにかを伝えたいとき、特に強力な説得力が欲しいときには、「数字が揃っている現象」をネタにすると威力を発揮することになります。誰かに「なるほど~」「へぇ~」といってもらえるような説得力ある話は、ゾロ目と同じ構造になっているのです。(文/深沢真太郎) 【参考】※ビジネス数学の専門家深沢真太郎〜数字が苦手な人の救世主〜-YouTube※ビジネス数学ブログ※深沢真太郎(2015)『そもそも「論理的に考える」って何から始めればいいの?』日本実業出版社
2016年05月06日こんにちは。深沢真太郎です。ビジネスパーソンを数と論理に強くする「ビジネス数学」を提唱する、教育コンサルタントです。おいしい話に騙されたり、判断を間違えたりすること、ありますよね。そうならないためには、どんなときも「裏を読む」ことが大切です。これを常日頃から習慣にすれば、他にもさまざまなメリットがあります。では、裏を読むにはどうすればいいのか?具体例を挙げて、説明していきましょう。■相手の言葉に隠された「裏」の意味女「ねえ、のど乾かない?」男「え?別に乾いていないけど」女「……」もしかしたら、この女性は飲みものが欲しいわけではないかもしれません。しかし、高いヒールをはきながら長時間歩いているとしたら……?そう、彼女の言葉の裏には「ちょっと脚が痛いから休憩したい」というメッセージが隠れているのです。しかし、男性はこのように相手の言葉の「裏」を読むことが苦手だといわれます(私も含めて)。男女に限らずこのような局面で相手の言葉の「裏」まで読める人は、ビジネスも恋愛も“うまくやる”タイプなのでしょう。私も見習わなければいけません。■最大で「50%OFF」の裏の意味こうしたエッセンスは、恋愛に限らずさまざまな場面で大切です。たとえばそのひとつが、ビジネスシーンや普段の生活のなかで数字を読むシーン。<最大50%OFF>高級ブランド店の店頭に、「最大50%OFF」の赤い文字。なんとも魅力的な数字ですね。しかし、ちょっと考えてみましょう。高級ブランド店でメインの商品が50%も割引されていたら、商売にならないのではないでしょうか。おそらく50%OFFは革小物やスカーフなどだろうと、すぐに察しがつくでしょう。売り手の心理をちょっと読めば、この「最大50%OFF」を正しく読むことができるはずです。■社員満足度「100%」の裏の意味<満足度100%>新入社員に、会社に対する満足度調査をしたとします。その結果が、満足度100%!さて、みなさんの会社は新入社員にとって本当にいい会社なのでしょうか?もし私なら、その調査の時期を気にします。入社して1年くらい経過したタイミングで調査をしたのなら、「100%」という数字には意味があるかもしれません。しかし、もし入社してすぐに行った調査だとしたらどうでしょう?「この調査でネガティブな回答をすると、それがなんらかの理由で人事に伝わってしまい、自分の配属に影響するのでは……?」なんて邪推をしてしまうかもしれません。新入社員の心理をちょっと読めば、この「100%」を正しく読むことができるはずです。*そろそろまとめに入りましょう。冒頭の男女の会話は、女性の言葉の「本当の姿」をつかめなかった例ですが、同じように数字の「裏」を読むということは、その数字の「本当の姿」をつかむことです。数字の場合は、必ず「産みの親」がいます。突き詰めていけば、人間がいなければ数字というものは存在しないのです。ですから、その「産みの親」の心を読むことが、数字の裏を読むことになるのです。人の心の「裏」を読める人が、数字の「裏」も読むことができる。もしかしたら、恋愛上手な人は数字を読み解くことも得意かもしれませんね。(文/深沢真太郎) 【参考】※ビジネス数学の専門家深沢真太郎〜数字が苦手な人の救世主〜-YouTube※ビジネス数学ブログ※深沢真太郎(2015)『そもそも「論理的に考える」って何から始めればいいの?』日本実業出版社
2016年05月04日こんにちは。深沢真太郎です。ビジネスパーソンを数と論理に強くする「ビジネス数学」を提唱する、教育コンサルタントです。この記事を執筆しているのは2016年4月27日ですが、本日の日経新聞を読んでいて感心したことがありました。さすが、日経新聞の編集者さんはよく考えて記事を書いているなと。記事に使う資料のなかで使っている数字のチョイスが、とても「読者想い」なのです。■なぜC社だけ「3.3倍」なのか今朝の日経新聞には、国内の自動車メーカーに関する記事がありました。トヨタ、日産などが昨年度とくらべてどういう状況にあるのか、数字を使って説明している記事です。いま、そのなかの3社をピックアップし、仮にA社、B社、C社としましょう。記事にあった数字をそのまま、一部だけ抜粋します。<輸出台数の前年増加率>A社:-1.4%B社:-2.2%C社:3.3倍私が感心したのは、C社データの伝え方です。ご覧の通り、C社だけ「%」を使っていません。いったいなぜ、C社だけ「3.3倍」という伝え方なのでしょうか?■読者へのやさしさがつまっている「えっ、そんなこと?」と思われたかもしれませんが、まあ聞いてください。もし、私が預かる企業研修や公開セミナーなどで、このデータを新聞の読者にどう伝えるかを演習として課したら、おそらくほとんどの方がこう表記すると答えるでしょう。<輸出台数の前年増加率>A社:-1.4%B社:-2.2%C社:330.0%その理由はおそらくこうです。「A社もB社も「%」で表記しているのだから、C社だって「%」で表記するのが当然」。あるいは、「C社だけ『◯倍』という表記では統一感がなくて、なんとなく気持ち悪い」というところでしょう。しかし、残念ながらこの回答には「読者へのやさしさ」がまったくありません。■大事なのは「身近な表現」か否か増加率300%などという表現を、この1年で何回目にした(あるいは口にした)ことがあるでしょうか?ビジネス数学の専門家である私ですら、一度も口にした記憶がありません。一方、3倍という表現はこの1年で何度も目にしましたし、口にしたこともあります。要するに、申し上げたいのは「伝える側は、相手にとってなじみ深く、より身近な表現で伝えるべきだ。そのようなちょっとしたやさしさが、伝え上手か否かを決めるのだ」ということです。■伝えるときはやさしさを込めよう事実、私のセミナーにおいても「1.4%」は「ほんのちょっと」と認識できるけれども、「300%」と聞くと、一瞬「?」と思考が停止してしまう方がいます。極端な例を挙げれば、「8%」は消費税の存在によりイメージできる数字ですが、「8000%」ではイメージしにくいでしょう。人は、普段から使っていない表現で伝えられても、ピンとこないのです。「日経新聞の編集者さんはさすがプロだな」と感心した理由はそこにあります(決して上から目線で申し上げているわけではなく、心からの敬意です)。このエッセンスは、ビジネスパーソンなら誰もが自分ごとにしなければなりません。みなさんの伝え方には、「相手へのやさしさ」が込められていますか?(文/深沢真太郎) 【参考】※ビジネス数学の専門家深沢真太郎〜数字が苦手な人の救世主〜-YouTube※ビジネス数学ブログ※深沢真太郎(2015)『そもそも「論理的に考える」って何から始めればいいの?』日本実業出版社
2016年04月29日こんにちは。深沢真太郎です。ビジネスパーソンを数と論理に強くする「ビジネス数学」を提唱する、教育コンサルタントです。昨日、スーツを中心に展開しているアパレルブランドからハガキが届き、このようなセールスプロモーションがご案内されていました。スーツA:¥5,000 OFF(¥29,000+税以上の商品)スーツB:¥3,000 OFF(¥19,000+税以上の商品)シューズ:¥2,000 OFF(¥9,900+税以上の商品)スラックス:¥2,000 OFF(¥5,900+税以上の商品)魅力的ですよね。このような「おいしい数字」は、街中でもたくさん目にします。でも、こういう数字には惑わされる可能性があります。■自分はどんなものをお得と思っているのかなぜなら、このような表記を目にしたとき、数字が苦手な人ほど、次のような思考回路になってしまうからです。「このなかでどれが一番お得なんだろう……?」わかります。たしかに、それがわかるなら知りたいところ。ですが、私はそんな方にこそ、このような質問をしてみたいのです。「ところで、あなたにとってお得ってどういうことなんですか?」要するに、「お得」の定義がきちんとされているかどうかということ。ところが実際にこのような質問をすると、ポカーンとした表情を浮かべる方が実に多いのです。質問の意味がピンとこなかったのでしょう。でも、よく考えてみてください。なにをもって「お得」なのかが決まっていないのに、「どれが一番お得か?」の答えなど、導き出せるはずがありません。もっとも割引率の高いものが「お得」であるならば、それぞれの割引率は以下の通りですから、もっとも「お得」な買い物はスラックスだということになります。スーツA:最大でおよそ16%OFFスーツB:最大でおよそ15%OFFシューズ:最大でおよそ19%OFFスラックス:最大でおよそ31%OFFしかし、いちばん割引額の大きいものが「お得」だと定義するならば、もっとも「お得」な買い物はスーツAです。この話は、シューズとスラックスを比較すると本質が見えてくるかもしれません。スラックスのほうが「お得」という考え方もあるし、どちらも2,000円引いてくれるという意味では同じサービスレベルだという考え方もあるでしょう。■自分にとってのお得を定義しておくといい要するに、数字に惑わされてしまう人の多くが、「定義」をしないまま答えを探そうとするのです。そういう意味では、普段から買い物をするかしないかの基準や、自分にとっての「お得」を定義しておくと、買い物の局面でも迷わずに自分がすべき選択ができるのではないでしょうか。ちなみに私は、割引の金額で判断することを原則としています(あくまで私個人の場合)。「当店の商品は最大50%OFFです!」というコピーを見ただけでは、「買わなきゃ!」という気持ちにはまったくなりません。もしそのお店が100円ショップだったらスルーするでしょうし、高級ブランド店だとしたら足を止めるかもしれません。そこに、迷いはまったくありません。何事もそうですが、迷う人はカンタンなことを難しく考えています。迷わずサッサと決められる人は、一見難しそうなことをカンタンに考えています。要するに、そういうことです。(文/深沢真太郎) 【参考】※ビジネス数学の専門家深沢真太郎〜数字が苦手な人の救世主〜-YouTube※ビジネス数学ブログ※深沢真太郎(2015)『そもそも「論理的に考える」って何から始めればいいの?』日本実業出版社
2016年04月21日こんにちは。深沢真太郎です。ビジネスパーソンを数と論理に強くする「ビジネス数学」を提唱する、教育コンサルタントです。熊本地震において被災された皆様には、心よりお見舞い申し上げます。1日も早い復興を心より祈っております。こういうときだからこそ、私は専門家として数学的に「支援」を考えてみたいと思います。■被災地のためにお金を使おう私の考える「支援」とは、「通常の生活ができている方は、やむを得ない事情のある方や一部の職業の方を除き、通常どおりの生活を続け、しっかり経済活動を行い、ほんの少しだけ被災地のためにお金を使う」ということです。「いますぐ被災地に行ってなにかしてあげたい!」「悲惨な状態のなか苦しんでいる人たちがいるのに、いつもどおりの生活をしていていいのか?」そういう気持ちは尊いものであり、なんら否定されるものではありません。しかし、ここでちょっと冷静になって数字で考えてみましょう。もっと具体的にいえば、「お金」というキーワードで考えてみるのです。はっきりいいますが、お金がなければ復興はできません。ものすごく簡単にいえば、私たちはみんなで協力して、被災地のためにたくさんお金をつくるべきです。いったいどういうことかご理解いただくために、とてもシンプルなモデルで説明します。たとえば、ここに地域Aと地域Bがあります。この場合、100人の住民によって生み出されるお金はご覧の通り19,000円です。地域A:[住民が使う金額]¥100×[住民の数]10=¥1,000地域B:[住民が使う金額]¥200×[住民の数]90=¥18,000合計¥19,000ここで、地域Aが被災したと仮定します。すると、人数は変わらないとしても、使うお金は減る(たとえば50円)ことでしょう。さらに、ここで極端に考えてみましょう。もし、被災しなかった地域Bの住人が全員、通常の経済活動を放棄し、「支援」という名のもとに地域Aに出向いてしまったら、どういうことが起こるでしょう?ご覧のとおり、この100人が生み出すお金は激減します。地域A:[住民が使う金額]¥50×[住民の数]100=¥5,000地域B:[住民が使う金額]¥200×[住民の数]0=¥0合計¥5,000そうではなく、大切なのは、地域Bの住人はこれまでどおりの経済活動を行い、そしてちょっとだけ被災地のためにお金を使うことなのです。■経済活動で支援をすべき理由現地の名産品や農作物を買うもよし、支援金でもよいでしょう。このモデルでいえば、90人がたった10円でもそのような消費をすれば、被災した地域Aのために生み出されたお金は500円と900円の合計1,400円。地域Aに生まれたお金は被災するより以前より増え、この100人全員で生み出したお金も増えているのです。地域A(Aのための消費):[住民が使う金額]¥50×[住民の数]10=¥500地域B(Aのための消費):[住民が使う金額]¥10×[住民の数]90=¥900地域B(いつもどおりの消費):[住民が使う金額]¥200×[住民の数]90=¥18,000合計¥19,400いつもどおりの経済活動+ほんの少しの気持ち。これが、私の考える「支援」です。繰り返しになりますが、「気持ち」だけでは復興はできません。お金がなければ復興は不可能なのです。私たちはみんなで協力して、被災地のためにたくさんお金をつくるべきです。このテーマに対してはいろんな考え方があり、立場や環境によって正解は異なるでしょう。しかし、刹那的な感情だけで突っ走るのではなく、ほんの少しでいいからこのように数学的に考えてみたうえで、ご自身がすべき「支援」をされてはいかがでしょうか。*余談ですが、私は東京の銀座にある熊本産のアンテナショップ、銀座熊本館に足を運びました。義援金も募っておりましたので、もしお考えにフィットするようでしたら、足をお運びになられてはいかがでしょう。(文/深沢真太郎) 【参考】※ビジネス数学の専門家深沢真太郎〜数字が苦手な人の救世主〜-YouTube※ビジネス数学ブログ※深沢真太郎(2015)『そもそも「論理的に考える」って何から始めればいいの?』日本実業出版社
2016年04月19日「日本人の2人に1人ががんになる時代」といわれますが、このフレーズは、国立がん研究センターの「がん統計」がもとになっているのではないかと推測できます。■2人に1人は「がんになる」は間違いない実際の統計データ「がんに罹患する確率~累積罹患リスク(2011年データに基づく)」を見てみても、生涯でがんに罹患する確率は“男性62%(2人に1人)、女性46%(2人に1人)”。そのため、2人に1人の確率でがんになるというのは間違いではないことがわかります。また、胃がんは男性が11%(9人に1人)、乳がんが9%(12人に1人)と書かれているので、男性は胃がんが、女性は乳がんが多いことも同時にわかります。もうここまでくれば、りっぱな国民病といってもいいのでしょう。こんな統計を見させられると、やっぱり「がんへの備えをしておかないと!」と考えてしまいますよね。それはきっと、「がんを患うとお金がかかる」というイメージがあるからではないでしょうか?だとすると、「やはり、がん保険に入ったほうがいいのか?」と考えることになるでしょう。■30~50歳で「がんになる確率」は低いしかし、どうなのでしょうか?別の統計データ「現在年齢別がん死亡リスク」を見ると、0歳の男性が、50年後の50歳までにがんになる確率は、なんと2%しかありません。一生涯では、女性にくらべて男性の方ががんになる確率が高いのですが、60歳までをくらべると、女性ががんになる確率が高いこともわかります。つまり、がんを患う確率は50歳以降一気にあがるのです。いいかえれば、おもに子育てをしている30歳から50歳の間にがんを患うケースは、確率的にはとてもまれなのです。「日本人の2人に1人ががんになる時代です。がん保険に入っては?」と勧誘されるのと、「お子さんが成人するまでにがんになる確率は2%程度です。それ以降のためにがん保険に入っては?」と勧誘されるのでは、ずいぶん印象が変わりませんか?数字は使う側に都合のいい部分だけが切り出されています。振り回されないで判断しましょう。(文/ファイナンシャルプランナー・岡崎充輝) 【参考】※最新がん統計-国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター
2016年04月14日こんにちは。深沢真太郎です。ビジネスパーソンを数と論理に強くする「ビジネス数学」を提唱する、教育コンサルタントです。さっそくですが、みなさんは買いものをしたときにもらう「レシート」をどう使っていますか?「家計簿に使っている」「え?もらってもすぐに捨てますけど」「そもそも、不要なものだからもらいません」おそらく、このような答えが多いのではないでしょうか。そこで、私の答えです。「数的感覚と論理思考を鍛える練習ツールにしています」いったいどういうことか、具体的な例でご説明します。■レシート1枚で数字に強くなれる!たとえばひとり、飲食店で軽い食事とアルコールを楽しんだとしましょう。—————————————————————ペペロンチーノ¥690内ドリンク&オツマミセット¥780内赤ワイン グラス¥440内 小計¥1,910消費税等¥141合計¥1,910 合計点数3点No.36271名—————————————————————レシートには必ず「数字」が書かれています。この数字を使って、2~3分だけ遊ぶのです。たとえば、こんな感じに。1,910(円)÷3(点)≒637(円)なるほど。あの店の1品単価はだいたい600円から700円くらいか。場所やメニューの内容からすると、ちょっとお高めな気がするな……。消費税率が8%から10%になったら、会計はどうなるだろう……?1,910(円)-141(円)=1,769(円)1,769(円)×1.10=1,946(円)あ、まだ2,000円でお釣りがくるな。レシート番号の4桁で「10」でもつくってみようかな。3627 → (6-3)×(7-2)=2×5=10レシート番号の4桁で「0」でもつくってみようかな。3627 → 7−3-6+2=0■数字遊びはビジネスで活用できる!テーマはなんでもOK。数字を使って頭のなかで遊ぶとは、こういうことです。「こんなことをして、いったいなんの意味があるの?」と思われる方もいらっしゃるでしょう。しかし、私たちビジネスパーソンは仕事の場において、「その金額が高いか安いか」を数的に評価する局面もあるはず。また、増加率が◯%増えたらどうなるのかを数字で計算することもあるでしょう。わかりやすく説明するために、要素の順序を論理的に組み立ててプレゼンを設計することもあるのではないでしょうか。ビジネス書を買っても1章くらいしか読まないという人にこそ、こういう感覚を持ってほしいと思います。レシート1枚でも、数字の力を鍛えることができるのです。(文/深沢真太郎) 【参考】※ビジネス数学の専門家深沢真太郎〜数字が苦手な人の救世主〜-YouTube※ビジネス数学ブログ※深沢真太郎(2015)『そもそも「論理的に考える」って何から始めればいいの?』日本実業出版社
2016年04月12日7つの大罪、7人の小人、7つの海……。「7」はいつも特別な数字です。スロットでも、「7」が3つそろうと大当たりです。では、私たちはどうして「7」を特別な数字だと感じるのでしょうか?■「7」が好きな人は12.6%もいるイギリスのニューキャッスル大学では、442人に好きな数字とその理由を聞く調査を行っています。「7」は男女ともに、好きな数字の1位でした。「7」を選んだのは全体の12.6%で、6.8%だった2位の「4」に大差をつけました。「7」を選んだ人は、どうしてこの数字を選んだのでしょうか。「ラッキーだから」という理由ももちろんありましたが、「なぜかわからないけど好き」という人も少なくありませんでした。でも、「7」がこんなに特別だというのは不思議です。■バビロニア歴で1週間が「7」日間にそもそも、1週間は7日です。あまりにも当たり前のことなので普段は意識しませんが、ここにも特別な「7」が登場しています。どうして1週間は7日でなければならないのでしょう。どうして曜日は5つや8つではなく「7つ」なのでしょうか。これは古代バビロニア歴に由来しています。バビロニア歴では、新月から次の新月までを1か月としました。それを、新月、三日月、満月、三日月の4つの期間に分割すると、7日のまとまりができたのです。これがのちにユダヤ歴に受け継がれ、現在の1週間のもとになったと考えられています。誰かが「7」に決めたのではなく、自然にそうなってしまったようです。■人が短時間で覚えられるのも「7つ」自然にそうなっている「7」として、人間が記憶できる数があります。人は一度に覚えられるものの数は、7つまでだと言われているのです。それ以上は、短時間でおぼえるのが難しいと考えられています。また、脳は「7」に関係していることのほうが、より記憶しやすいという研究もあります。*「ラッキーナンバー」といった文化的な理由で特別な数として知られている「7」ですが、自然界のルールの中でも「7」は特別な数字として存在しているようです。(文/スケルトンワークス) 【参考】※Why ‘7’ is the luckiest number-the Conversation
2016年03月27日精神状態や性格を数値化し、人々がそれを指標にしている監視社会を描いたアニメ『PSYCHO-PASS(サイコパス)』が話題です。この作品がそうであるように、管理社会・ディストピア(反ユートピア)を舞台とした作品は、マイナンバー制度やコンピューター・AIの発展等の影響で語られることが増えてきました。そこで今回は、さまざまな「数字」に苦しめられるディストピア作品をご紹介します。『PSYCHO-PASS』にはまった人も、そうでない人も是非手に取ってください!■1:『華氏451度』(レイ・ブラッドベリ)レイ・ブラッドベリによって書かれたSF小説界の名作。発表から60年以上たったいまでも根強い人気がある作品です。本を持つことや読書が禁止され、テレビやラジオでしか情報を得られない社会を描いた物語。人々が相互監視する世界が形成されており、密告が横行しています。「華氏451度」とは本が燃える温度。この世界で発見された本はすべて「ファイアマン」と呼ばれる機関に燃やされてしまうのです。ファイアマンである主人公は模範的な隊員でしたが、ある女性と知り合うことで本を読むようになり、自分の仕事や社会に疑問を抱き始め、終われる身になっていきます。読書好きの人だけでなく、情報社会に生きる多くの方に読んでほしい一作です。■2:『NO.6』(あさのあつこ)テレビアニメ化もされた、あさのあつこの近未来SF。対戦の結果荒廃してしまった社会で、理想の都市と呼ばれている「NO.6」。環境が常に整備され、教育や医療が発展し、人類の理想を詰め込んだような都市の暗い裏側と秘密を探る物語。恵まれた環境で育ち、人を疑うことを知らない主人公と、貧しい環境でそだち、人一倍警戒心が強い一匹狼の友人。2人が織りなす物語は、多くのことを考えさせてくれます。■3:『番号をどうぞ』(星新一)ショートショートの巨匠、星新一の小説。表題作にもなっているこの作品は、マイナンバー制度によって一部で話題になりました。番号をなによりも優先する未来社会が舞台。主人公は休暇中に湖に堕ちてびしょ濡れになってしまい、カード類の入った財布をなくしてしまいます。買い物をしようにも、身分を証明しようにも自分の番号が思い出せず取り合ってもらえません。また、警察の保護を受けようとしても、「番号がないと保護できない」といわれてしまいます。便利なようで実は恐ろしい「番号の世界」は、もう現実になりつつあるのかもしれません……。■4:『THX 1138』(ジョージ・ルーカス)ジョージ・ルーカスのデビュー作であるSF映画。興業的には成功しませんでしたが、現在ではリマスター版が発売され、再評価されている作品です。コンピューターによって人名までも番号で管理されている25世紀。人々は精神安定剤を服用しながら、すべての娯楽を奪われ、感情もない人生を送っていました。主人公THX-1138は女性ルームメイトのLUH-3417と恋に落ち、薬の服用をやめたことで投獄されてしまいます。記号化され、人間性がはく奪された社会から主人公が逃亡を図るという壮大なストーリーのはずなのに、物語は淡々と進んでいく不思議な一本です。■5:『1984』(ジョージ・オーウェル)ディストピア小説といえば必ず名前が上がる小説、それが「1984」です。村上春樹「1Q84 」の元ネタでもあります。ビッグ・ブラザーという指導者をトップに据えた政党に、統治・管理されているロンドンが舞台。役人として歴史改ざんを行う主人公は、あることから体制を疑うようになり、その裏側に迫っていきます。物語全体を象徴するのが「2+2=5」という数式。党が2足す2は5だといったら誰もがそれを信じてしまう社会を表しています。そんな2+2=5の社会を疑う主人公が最後に思うことは……? 衝撃のラストは忘れられないものになるでしょう。*高度な社会に生き、多くの情報が流れてくる現代人だからこそ、ディストピア作品を手に取ってみるべきなのかもしれません。時代に流されて生きているうちに管理社会で暮らしていた、なんてことが実際に起こるかもしれませんからね……。(文/堀江くらは)
2016年03月16日『プレゼンの勝つテクニック 図解 書く・伝える・フォローする』(天野暢子著、実業之日本社)の著者は、「プレゼン・コンシェルジュ」という一風変わった肩書きの持ち主。いってみればプレゼンテーションに関わることならなんでも相談に乗り、最適なアドバイスをする仕事だということ。広告代理店、新聞社、広告主などのマスコミ畑で働いてきた実績を持ち、プレゼンテーションのスキルは実務を通じて積み上げてきたそうですが、そんななか「上手に」とか「格好よく」と依頼されることはなかったのだそうです。では、なんといわれたのかといえば、「勝てるものをつくってくれ」。だから常に、「勝つためにはなにをすべきか?」しか考えてこなかったのだといいます。いうまでもなく、プレゼンは「勝つ」ことに意味があるから。そこで本書でも、意識しているのはとことん「勝つ」こと。そこを軸として、プロが当たり前のようにやっていること、けれども簡単に実践でき、すぐに効果が出るテクニックを公開しているわけです。きょうはSTEP1「資料作り」のなかから、数字と時間に関する項目に焦点を合わせてみたいと思います。■数字は右揃え・小数点揃えで売り上げや伸び率、人数、提案額など、プレゼンにおいては数字を使って説明することがよくあります。それは、相手を納得させるための有効な武器であるともいえるでしょう。とはいっても、それは便利な反面、理解するのにいちばん時間のかかるものでもあります。必ずしも、数字に強い人ばかりではないからですが、仮に数字を読み間違えさせてしまったとしたら、自分にも相手にも損害が生じることになります。そこで読み間違えられないようにするために重要なのが、「数字は右揃え、小数点揃えで見せる」こと。数字は「一」の位で揃えて見せるのが原則なので、必ず右揃えに。そして小数点を含む数字は小数点で揃えて表示。3ケタごとにカンマを振れば、さらに認識しやすくなるといいます。単に「千人」「百万円」などを使わず、ストレートに把握できる表記で見せるべきだということ。瞬時に数字が把握されれば、提案数字を正しく評価、検討してもらうことが可能に。その結果、「選ばれる資料」になるというわけです。■意味の区切りにはスペースをひと続きの名称や用語は、「どこが意味の区切りなのか」がわかりにくく、相手を誤解させてしまうことがあります。しかし、一瞬で意味がわからず考え込ませてしまうとしたら、それは相手の時間を奪うことにもなってしまいます。そればかりか、意味を取り間違えられたり、誤解されたままになったりする可能性も否定できません。だとしたら、そんなプレゼンが成功するとは考えにくいはず。そこで重要なのが、スペースで区切って意味を伝えること。的確に文章の内容を把握してもらうために、まずは段落を分け、次に適宜、句読点で文を切るのです。そして意味の区切りでは、スペースをはさんで字と字を分けて見せるといいのだとか。たとえば・北大学食ランキング・加賀美香(氏名)・東京都営業能力開発協会・国立府中間高速料金・関内科外科これらはどれも、どこで区切ったらいいのかが判断しづらいのではないでしょうか?そこで、・北 大学食ランキング・加 賀 美香(氏名) ← 姓と名の間を空けることで区別がつく・東京都 営業能力開発協会・国立府中 間高速料金 ← 句読点や「・」を入れるべきではない言葉も、スペースを加えれば区切りが伝わる・関 内科外科というように、半角スペースと全角スペースを駆使すれば見やすくなるのです。つまり相手を考え込ませることなく、ストレートに理解できる文章に変えてみれば、それは相手に無駄な時間をかけさせない資料になるということ。その結果、素早く「決定」へと誘導できるわけです。*このように著者のプレゼン資料に対する考え方は、「勝つ」ことだけを目的としているだけあって実に具体的。応用できるポイントも多いので、プレゼンで悩んでいる人はぜひ参考にしてみてください。(文/書評家・印南敦史) 【参考】※天野暢子(2016)『プレゼンの勝つテクニック 図解 書く・伝える・フォローする』実業之日本社
2016年03月14日こんにちは。深沢真太郎です。ビジネスパーソンを数と論理に強くする「ビジネス数学」を提唱する、教育コンサルタントです。人間誰しも「どう?私ってすごいでしょ!?」と自分をアピールしたくなること、ありますよね。話すほうは、聞いてほしいからつい言葉も多くなりがち。でも、もしかしたら相手は、「一方的なアピールばかりを、いつまでも聞かされたくない」と思っているかもしれません。だからこそ、アピールするときはできるだけ簡潔にしたいもの。もちろん、この「アピール」はプライベートな場だけでなく、ビジネスシーンにもあふれています。たとえば、自社製品のアピール。テレビCMのコピーや、商談時の口説き文句などがそれにあたるでしょうか。そこで、有名企業や有名ブランドは「すごいでしょ!?」とアピールしたいことをどう伝えているのか、ちょっと勉強してみましょう。■小学生にも伝わるiPodの数字アピール最初の例は、米アップル社の製品である「iPod」。2001年のリリース時、アップル社はこの製品の魅力を、ある数字を使って世の中に発信しました。さて、どんな数字でメッセージを伝えたか、覚えてらっしゃいますか。「1,000 songs in your pocket」そう、「あなたのポケットに1,000もの曲を」というメッセージだったのです。要するに「こんなたくさんの曲が、こんな小さなスペースに収まる。どう?すごいでしょ!?」と言っているわけです。そして、注目していただきたいのは、“実際に入る曲数はピッタリ1,000ではなかったかもしれない”ということ。にもかかわらず、小学生でもピンとくるような1,000という数字を使うところに、彼らのセンスを感じます。1,110も1,000も、伝えている事実はほぼ同じ。しかし、伝わり方が違うのです。■イナバ物置CMの数字アピールもうまい!つぎに、別の例もご紹介しましょう。「イナバ物置」という、有名な物置のメーカーがあります。このイナバ物置のテレビCMで流れるフレーズはあまりにも有名です。「やっぱりイナバ、100人乗っても大丈夫!」これもまた、数字が入っています。ところが、もしこのCMのフレーズが次のものだったら、どう感じるでしょうか。「やっぱりイナバ、なんと300kgf/㎡です!」(kgf/㎡:重量キログラム毎平方メートル)もしこれが正しい数字だったとしても、なんだかよくわかりませんね(笑)。要するに、「事実を伝える」ことと「それが伝わりやすいか」は、別のこととして認識しないといけないということです。先ほどの「iPod」の話と同じですね。まして、人間は相手のアピール話をダラダラ聞かされるのは嫌なもの。だからこそ、有名企業や有名ブランドは自分たちのアピール話を究極まで短くし、数字の力も借りて最高に伝わりやすい状態にして伝えているのです。ビジネス会話も、アピール話は「伝わりやすい数字」で簡潔に。(文/深沢真太郎) 【参考】※深沢真太郎(2016)『99%の人が知らない数字に強くなる裏ワザ30』ダイヤモンド社
2016年03月11日『世界NO.1執事が教える“信頼の法則”「信じていい人」「いけない人」の見分け方』(新井直之著、KADOKAWA)の著者は、日本バトラー&コンシェルジュ株式会社代表取締役社長。同社は、執事によるフルオーダーメイドサービスを提供しているという珍しい会社で、著者自身も執事として大富豪のお客様を担当。また、それに加え、企業向けに富裕層ビジネス、顧客満足度向上に関するコンサルティング、講演、研修なども行っているのだそうです。そんな実績を持つ著者の新刊である本書は、お客様をトラブルから守るために蓄積してきた「信頼できるかどうか」を見極めるテクニックを公開した書籍。切り口自体が、とてもユニークです。■日本人が大好きな数字の3と8に要注意ところで著者は本書のなかで数字の話題に触れており、「3と8は適当な数を表すときに人が好んで使う数字」だと指摘しています。たとえば、こんな感じ。「こちらの商品ですが、すでに3社からオファーをいただいております」「朝から営業に回っていて、こちらで8件目なんですよね」前者の「3社」は、本当は1社からしかオファーがないのに、「それでは少なすぎる」「かといって5社と大ボラを吹くのは後ろめたい」というときなどに、「ほどよい数字」として使われることが多いといいます。ただし無意識のうちに使っている人がほとんどで、自分がそれを多用していることに気づく人は少ないのだとか。また無意識である以上、本人に罪悪感はないものの、聞く人が聞くと「あれ? おかしいな」と感じることも。一方の「8」は、「想像以上に数が多い」ことをアピールしたいときによく使われる数字。昔から「嘘八百」などといいますが、80%、800件、8,000人などは要注意。10のようにキリがいい数字ではわざとらしいので、それに近いところで、8なら「そこそこ多い」というイメージをアピールできるのではないかという心理がそこにはあるのだそうです。日本人が3を好んで使ってきたことは、歴史的にも明らか。その証拠に、「石の上にも三年」「三日坊主」「三日天下」「仏の顔も三度まで」など、さまざまな言葉があります。また3は、「満」「充」を連想させる縁起のよい数字と考えられることも。対する8も、「八雲」「八重桜」「八百万」など、「たくさん」という意味を込めて使われてきました。そればかりか「八」には「末広がり」の意味があるため、運のよい数字としてお祝い事などにも使われています。■根拠のない「大げさな表現」にも要注意また、数字ではありませんが、映画のCMに多い「全米が涙した新作」「絶賛上映中」などの根拠のない大げさな表現、あるいは通販番組の「他にはない切れ味」「限定100名のみ先着順」「全国から感謝の声が届いています」など、調べる音ができない「あおり文句」にも、3と8に通じる曖昧さがあると著者は指摘しています。とはいえ映画や通販番組の場合、多少は誇大な表現を使ったとしても、エンタテインメントの暗黙の了解として楽しめるので問題はないといいますが。ただし、ビジネスの世界では話が別。大富豪のように常に数字に神経をとがらせている人は、8が多用されていることに気づくと、すぐに「うさんくさいな」と警戒するというのです。つまり、そうした人との商談において、こうした表現を多用すると信用を失いかねないということ。もちろん、3と8を使ってはいけないというわけではありません。しかし、そもそも3と8は10のうちの2つの数字でしかないわけです。本来、話に出てくる確率は5分の1程度なので、それが2回に1回出てきたら、確率的にもおかしいということ。だからこそ、「この商品は、ご紹介したほとんどの方がご購入なさっています」「こちらの商品は人気が高く、あと残りわずかです」というようなあおり文句も含め、あいまいで無責任な言葉が口癖になっていないか、一度、周囲の人とチェックし合うことを著者は勧めています。いわれてみれば、無意識に多用していたかもしれませんね。*プロの執事が書いているだけあって、語り口は上品でソフト。気持ちよく読み進めながら、「信頼」についての大切なことを無理なく身につけることができるでしょう。(文/書評家・印南敦史) 【参考】※新井直之(2015)『世界NO.1執事が教える“信頼の法則”「信じていい人」「いけない人」の見分け方』KADOKAWA
2016年03月09日こんにちは。深沢真太郎です。ビジネスパーソンを数と論理に強くする「ビジネス数学」を提唱する、教育コンサルタントです。「数字に対する苦手意識がない人」今回はこれをテーマにしてみようと思います。■数字が苦手な人とそうでない人の違い数字が苦手でない人は、かつての算数や数学の問題が鮮やかに解ける人ではありません。もちろん、円周率の数字をスラスラ言える人のことでもありません。では、どんな人のことを指すのか。「“遊び”を楽しんだ人」これが私の答えです。いったいどういうことか、説明しましょう。数字が苦手な人とそうでない人は、いったい何が違うのか。多くのビジネスパーソンに尋ねてみた結果、ある共通点があることがわかりました。「人生のどこかで、“数字遊び”を楽しんだ経験がある」「数字遊び」とは何か特定のものを指しているわけではなく、アタマの中で数字を使って考える遊び全般のことを指します。■数字の苦手意識が消える簡単なゲームたとえば、電車に乗るとき。近年は電子マネーの時代になりましたから、切符を購入する人は減ったと思いますが、私はかつて切符を購入したときは、その切符に書かれている4つの数字を1回ずつ使い、四則演算で「10」をつくるゲームをしていました。(例)切符に書かれている4つの数字「4」「7」「1」「3」「7」−「4」=33×「3」=99+「1」=104つの数字を1回ずつ使い、四則演算で「10」がつくれました。「懐かしい。たしかに私もやった」なんて人も多いのでは?このような遊びは、ドライブの最中にも必ずしていました。前を走る車のナンバープレートは、恰好の素材ですから。実は私は今でもPASMOのチャージ時には必ず領収書を発行するようにしています。領収書には伝票番号があり、(たいていは)5桁の数字が記載されています。この数字を使って、同じように「10」をつくってみる。1パターンできたら、他のパターンもできないかチャレンジしてみる。電車に乗っているときの数分間の暇つぶしにちょうど良いのです。「文系だけど数字に強い人」は、皆さん何かしらこのような遊びをどこかで経験し、数字を使った楽しい時間を経験しているようです。楽しかった。面白かった。だから、数字に対する苦手意識があまりないのでしょう。「数字が苦手」はアレルギーのようなもの。できるだけたくさん数字を目にし、アタマの中に存在させる習慣を持つことが克服の第一歩です。いまからでも遅くありません。いつまでもSNSでゲームなんてしていないで、スキマ時間に数字で遊ぶ習慣を身につけませんか?数字に強くなるコツなんて、この程度のことなんです。(文/深沢真太郎)【参考】※深沢真太郎(2015)『そもそも「論理的に考える」って何から始めればいいの?』日本実業出版社
2016年01月29日ジャパンネット銀行は4日、数字選択式宝くじ「ロト7」「ロト6」「ミニロト」のインターネット販売を開始した。また、これを記念して、同日より「ロト」ネット販売開始記念キャンペーンを開始した。○ジャパンネット銀行の「ロト」の特徴買い逃し、当せん金の受け取り忘れの心配がない忙しい人でも、インターネットでいつでも宝くじを購入できる。定期購入予約もできるので、買い逃す心配がない。また、当せん金はジャパンネット銀行の口座へ自動入金されるので受け取り忘れがない。店頭購入時の申込カードをデザインした購入画面購入画面には、従来くじ売り場で使用している申込カードのマークシートデザインを採用し、店頭と同じ感覚で購入できるようにした。ジャパンネット銀行によると「マークシートのデザインは『ナンバーズ』のときもお客様から好評を得ており、このたびの『ロト』でも店頭で購入されるように違和感なく申込みができる」としている。当せん番号分析ページを用意直近3ヵ月と直近1年の当せん数字の出現回数を紹介している。○「ロト」ネット販売開始記念キャンペーンの概要期間:1月4日(月)~1月29日(金)内容:対象くじはロト7、ロト6、ミニロトA賞は、期間中に対象くじをいずれか合計500円以上購入した顧客の中から抽選で100名に、三井住友カードVJAギフトカード10,000円分をプレゼントする。B賞は、期間中に、対象くじをいずれか1口以上購入した顧客の中から抽選で4,000名に、Tポイント500ポイントがプレゼントされる。エントリー不要で、条件を満たすと自動的に抽選の対象となる。合計500円以上購入した顧客は、A賞・B賞とも抽選対象となるが、A賞・B賞の重複当選はない。今後もジャパンネット銀行は、顧客の幅広いニーズに応えることができるよう努めていくとしている。
2016年01月06日師走を締めくくる日本のテレビ番組といえば、「NHK紅白歌合戦」ですね。そこで、第66回を迎えることしの「紅白」について、数字にまつわるトリビアを集めました。大みそかにテレビを鑑賞しながら、ちょっと人に話したくなるネタを一挙ご紹介!■1:対戦成績は「紅29VS白36」で白組の圧勝!野鳥研究会が客席の色を数えたり、審査員と視聴者投票で決まったりする紅白の勝敗ですが、トータルでは白組が優勢。昨年も白組が勝利でした。ことしはどちらに軍配が?しかし、この勝敗を気にする人っているのでしょうか(笑)。■2:開始時の1951(昭和26)年はラジオのみだった1945(昭和20)年、終戦からわずか4か月後の大みそかに「紅白音楽試合」という名ではじまった音楽番組が、1951(昭和26)年1月3日に正月のラジオ番組として放送されたのが「紅白」のはじまり。大みそかのテレビ放送になったのは第4回(1953年)から。■3:ことしの出場歌手51組中、初出場は10組も!初出場の紅組は大原櫻子、Superfly、乃木坂46、μ’s(ミューズ)、レベッカ。白組はゲスの極み乙女。、BUMP OF CHICHEN、星野源、山内惠介、三山ひろしの計10組。特別企画には小林幸子が帰ってきます。■4:出場歌手の20組がメモリアルイヤー出場者の選考基準は「ことしの活躍」、「世論の支持」、「番組の企画・演出」の3要素。それに加え、ことしは「デビュー○年」や「グループ結成○年」などメモリアルイヤーの集大成として紅白に出る出場者が20組も!そのうち10周年以上を迎える名実ともに人気の歌手は16組にもおよび、本人やファンにとって感慨深い紅白となりそう。例)今井美樹(2回目)デビュー30周年AKB4(8回目)結成10周年Perfume(8回目)結成15周年松田聖子(19回目)デビュー35周年五木ひろし(45回目)デビュー50周年近藤真彦(10回目)デビュー35周年V6(2回目)デビュー20周年福山雅治(8回目)デビュー25周年森進一(48回目)歌手活動50周年など■5:出場者の過去最多人数は431人!前回2014年の431人が過去最多。中でもAKB48、SKE48、HKT48、NMB48の「AKB」グループとSMAP、TOKIO、嵐、関ジャニ∞、V6、Sexy Zoneといった「ジャニーズ」勢、そしてEXILE、E-girls、三代目JSoulBrothersの「EXILE」系も加わり、史上稀に見る大人数でした。■6:観覧争奪戦を勝ち抜いた2,702名だけが生で観られる会場のNHKホールは収容人数3,500人。関係者以外に生で観覧できるのは当選券を手に入れた人のみ!ことしは102万枚を超える応募枚数のうち1,351枚が当選(1枚で2人入場可)。当然、NHKの受信料をきちんと払っている人だけです。計算上、1人で755枚応募してやっと1枚が当選するという、もはや宝くじのようなプラチナチケットです。■7:出演者勢ぞろいで丸3日間の入念なリハーサル例年、12月29日から本番までの3日間は紅白関係者全員がNHK仕切りのもと、行動を共にするようです。司会者と全員の出場者が面接を行い、段取り確認や出場記念トロフィーの手渡しなどをします。本番通りに行われるカメラリハーサルでは、衣装も美術も、出場者同士のコント的かけあいも基本は本人が参加。アドリブはあり得ないというわけですね。■8:台本は500ページもあって「電話帳」と呼ばれる本番で使用する台本は「電話帳」と呼ばれるほどの厚みがあり、司会者と歌手のセリフが事細かに記されているそうです。台本にない言動をしようものなら、疲れもピークに達している全スタッフからの冷たい視線が突き刺さるそう。万が一セリフを噛んだら、タイムキーパーとカンペ出しのスタッフらが血まなこになって修正するとか。■9:打ち上げはNHKの食堂で約2時間、差し入れは各事務所からたっぷりと!お祭り騒ぎの本番を終えた出演者とスタッフを待つのは打ち上げ。例年NHKの食堂で年が明けた0時から約2時間行われ、出場者は他番組の中継やライブなどに各々散っていくそうです。「各事務所からの差し入れが大量にあって、嵐なんてオリジナルの嵐マークが入ったお菓子まであった」と、昨年に引き続きウラトーク(生放送中に副音声で盛り上げる)担当のバナナマンが明かしています。■10:「紅白」だけ2秒間のフェードアウトがない!CMのないNHKでは番組の最後2秒間の音量を絞りフェードアウトさせて、次の番組へとつないでいます。しかし「紅白」だけはそのフェードアウトがなく、急に次番組の「ゆく年くる年」へ。「紅白」の華々しいフィナーレから、静かで厳かな風景への切り替えが胸に刺さる演出だったのですね。あの瞬間も「紅白」の見どころのひとつではないでしょうか。*いつの時代も、誰でも、テレビの前で年内最後の夜を満喫できる「紅白歌合戦」。ことしはどんな演出で楽しませてくれるのでしょうか。2015年の大みそかまであとわずかです!(文/中田蜜柑)
2015年12月31日マイナンバー制度がはじまりましたね。私は正直なんのことかさっぱりわかりません(笑)。ナンバーといえば、とくにカップルには、注意しなくちゃいけない数字がたくさんあるそうです。この数字が、2人が長続きできるかどうかの鍵を握るなんてことも。そこで今回は、元No.1キャバ嬢のナナミ・ブルボンヌさんに「カレとの関係で注意すべき5つの数字」についてお話いただきました。■1.「1ヶ月ごぶさた」はレスの入り口「まずは『1』という数字。2人がセックスレスになってしまわないかどうか、見極めるのが一ヶ月です。2人が『そういえば1ヶ月してないな』と意識し始めるのがだいたい一ヶ月頃なんです」たしかに「一ヶ月」というのは、ひとつの節目かも。「もう一ヶ月かー」なんて思ったことがみなさんもあるはず。ここで「まあいいや、そのうちするでしょ」と楽観視してしまうと、ズルズル数ヶ月ごぶさたになってしまうそうです。■2.2回目のエッチ以降「一般的に、『男性は同じ女性とのセックスは2回で飽きる』と言われています。その後は、性欲だけじゃなく、彼女に対する愛情がないと交際が続かないということですね」2回っ!? 早くない(笑)? でももし本当にそうだとしたら、2回するときまでに、カレが十分あなたのことが好きって状態にしておかなきゃいけないってことです。だからこそ、付き合ってすぐにたくさんエッチをしちゃうのがよくないって言われるのかもしれませんね。■3.大きいケンカは3回したらダメ「『三度目の正直』という言葉がありますよね。3回も失敗したら、もう2人はダメです。心身ともに疲れ果ててしまうような大げんかは、2回まで。3回するってことは、もうこの先無限にありますよ(笑)」「三度目の正直」というのは、「一度目や二度目はあてにならないけど、三度目は信頼できる結果がでる」というものです。調べました(笑)。たしかに、大げんかって、一度や二度ならまだしも~ってところがありますよね。■4.4年で恋愛感情消えます「脳の仕組みとして、4年経つと恋人への恋愛感情は完全に消えてしまうんです。なので、これまでに『この人以外は考えられない』という信頼関係を築いておかないと、飽きられておしまいですね」4年以降は「好き」以外の安心感とか、友情とか、そういったもので関係を補っていく必要があるということ。でも、4年も付き合ってたら、自然とこういうものは備わってくる気がしますね。■5.5年で結婚しないとズルズルいく「これは完全に私の経験論なのですけど、やはり結婚するなら付き合って5年以内ですね。それを逃して、5年以上付き合った彼氏に振られて青春を台無しにした女性を多く見てきました」長く付き合って別れると、次の彼氏もできにくいし、年もとっちゃってるし、いろいろとキツいですよね・・・・・・(笑)。真剣に結婚を考えているなら、5年以内に勝負を決めなくちゃいけないかも。■おわりにどうでしたか? すぐに来る数字、まだまだ先の数字。いろいろありましたが、頭の片隅にでも置いておくといいかもしれませんね。こういういろんな人の恋愛の経験談から出てくる恋愛理論みたいなのって、けっこう怖いくらいに当たりますから。(遣水あかり/ライター)(ハウコレ編集部)
2015年12月01日普通に生活していれば、「0」を目にしないことはありません。ではみなさんは、「0」という数字がない世界を想像できますか?私たちにとっては信じられないことですが、「0」という概念は、古代数学者たちが悩みに悩み、他の数字のあとに発見した概念だったのです。「0」という数字の歴史に迫ってみましょう。■「0」の始まりは空位を表す記号「なにもない」ということを表す「0」ですが、最初に使われたのは数字の桁を埋めるためでした。大きい数字を表すとき、その位に数字がなければ「0」を書きますよね。たとえば「103」という数を表したい場合、「13」と書いてしまっては違う数になってしまいます。この空いた位を埋めるために使われたのが「0」の始まりだと言われています。「0」が使われる前は、空いた位を空欄にするなどで表記していたようですが、やはり間違いが多く不便だったようです。そこで空いた位に書く記号として「0」が使われ始めたのです。古代中国やバビロニア、インドなど、さまざまな国で使われていました。■計算における「0」の発見とは?では「1-1=0」といった計算で使われる「0」が発見されたのはいつごろなのでしょうか?計算における「0」という概念が発見されたのは、1300~1400年ほど前のインドだと考えられています。誰がどのように発見したのかは明らかになっていませんが、7世紀初頭の書物に「0」を使った計算式が登場します。ここでは「a+0=a」「a-0=a」など、ある数に0を足したり引いたりしても答えは変わらないことや、ある数に0をかけると必ず0になることなどが書かれています。いまでは当たりまえの数式ですが、「0」という概念がなかった時代に、わざわざ答えが変わらない計算式を考案したというのは、よほど頭の柔らかい人たちだったんでしょうね。現在もインド人は数字に強いことで知られていますが、十分に納得できます。✳︎考えてみれば、「なにもない」ことを字に書いて表すというのは不思議なことです。「0」のない生活など考えられませんが、「0」を使うようになるまでにはさまざまな人の試行錯誤があったのですね。「0」を書くとき、そのドラマに思いを馳せてみてはいかがでしょうか。(文/スケルトンワークス)【参考】※ゼロの起源とその発見-寺下寛子
2015年11月27日こんにちは。深沢真太郎です。ビジネスパーソンを数と論理に強くする「ビジネス数学」を提唱する、教育コンサルタントです。今回はちょっとしたゲームを。■数字を使わないかけ算・質問編「紙とペンをご用意ください。次のかけ算を、数字を使わずに筆算する方法を考えてください。12×34=?」筆算ということは文字通りペンで書いて計算する方法ですから、電卓や暗算で処理しましょうという話ではありません。あくまで紙とペンで解決しなければなりません。私たちはかつて学校で、このようなかけ算はこう筆算すると学んだはずです。12×34————4836————408しかし、この方法は数字を使ってしまっています。いったいどうすれば、数字を使わずに筆算なんてできるのでしょうか。■数字を使わないかけ算・回答編このテーマに限りませんが、何事も考え方を変えれば道も開けるもの。よく喩えに使われますが、グラスに水が半分入っている状態を見て、「もう半分しか残っていない」と思うか、裏を返せば「まだ半分も残っている」と思うかの違いです。数字は使えない。でもそれは、裏を返せば「数字以外なら何を使ってもいい」ということでもあります。ならば、点と線だけで計算したって、構わないですよね。つまり答えは、線を交差させることで出来る交点の数を数え上げればおしまいです。一の位は「8」、十の位は上に位置する4と下に位置する6の合計である「10」、百の位は「3」ですから、結論は408となります。なんだか遊び心もあって、面白いですね。この筆算は12×34に限らず使えます。あらためて、計算というものを楽しんでみませんか。考え方を変えれば、道は開けます。遊び心を持てば、退屈だったものも面白くなります。(文/深沢真太郎)【参考】※深沢真太郎(2015)『数学女子 智香が教える仕事で数字を使うって、こういうことです』日本実業出版社
2015年11月25日こんにちは。深沢真太郎です。ビジネスパーソンを数と論理に強くする「ビジネス数学」を提唱する、教育コンサルタントです。「数字に強くなるために、日経新聞を読みましょう」そんな主張を聞いたことはありませんか?たしかに日経新聞は計指指標や様々な企業の業績が数字で記載されています。読むことで、数字に対する感覚が養われるという主張は一理あります。しかし、ほとんどの方が「読み方」を間違えています。私が提案する読み方はこうです。記事から読んではいけません。いったいどういうことか、説明します。■数字に強くなる「新聞の読み方」実はほとんどの方は、新聞をこういう順序で読んでいます。まずタイトルを読み、概要をつかむ→記事を読む→念のため表やグラフなど、補足資料も読むしかし、残念ながらこれではいくら毎日頑張って日経新聞を読んだところで、数字に強くはなれません。数字に強くなるための読み方はこうです。まずタイトルを読み、概要をつかむ→表やグラフなどを読み、その数字から何が言えるかを推測する→最後に記事を読み、答え合わせする単に数字を眺めているだけでは、残念ながら数字に強くはなれません。その数字から何がいえるのかを自分なりに考え、仮説を立て、確認する行為をして、はじめて数字に対する感覚は鍛えられるのです。前者の読み方だと、それをすることなくいきなり事実関係や考察を読んでしまいますので、事実の把握はできても、数字に強くなるトレーニングにはまったくならないのです。■記事は最後に読んだ方がいい理由1つ例を挙げましょう。今年の7月、「アルバイト、時給1,000円時代」というタイトルの記事が日経新聞に掲載されました。その記事内には、この数年アルバイトの時給が急激に上昇していることを表現する折れ線グラフもありました。あなたなら、この1,000円という数字と、上昇を伝える折れ線グラフだけから、今の日本では何が起こっていると想像しますか?なぜ時給が上昇しているのか。おそらく、若者の減少により採用側が人材を確保できないため、時給を上げて募集せざるを得ないのでしょう。このままだと、2020年には時給1,100~1,200円が相場という世の中になると推測できます。そして、2020年といえば東京オリンピックが開催される年。国内の飲食店、サービス業はちゃんとまわっていくのでしょうか……。つまり、この1,000円に上昇というニュースは、「若者にとって喜ばしいこと」ではなく、「日本、だいじょうぶ?」というニュースなのです。あなたもこのくらいの推測をしてから、実際に記事を読んでみましょう。実際、この日の記事内容も、私の考察と非常に近い論調でした。これが本当の意味での「数字を読み、数字の感覚を鍛える」ということ。あなたの新聞の読み方、間違っていませんか?(文/深沢真太郎)【参考】※深沢真太郎(2015)『数学女子 智香が教える仕事で数字を使うって、こういうことです』日本実業出版社
2015年11月23日漢数字の「八」は「末広がり」といって、縁起のいい数字とされていますよね。でも、アラビア数字の「8」も無限大の記号によく似ていて、縁起がよさそうです。ということで、数字の「8」について掘り下げてみました。■1:茅の輪くぐり「茅(ち)の輪くぐり」をご存知ですか?神社に6月や12月、草でできた巨大な輪が置かれているのを見たことがある人もいるかもしれません。イネ科の草などでつくった輪を8の字に3回くぐると、半年間にたまった汚れが払われるそうです。とある神社のウェブサイトによると、8の字にくぐる理由は漢数字の8が末広がりで縁起がいいから、という説があるのだとか。■2:マジック8ボールアメリカのおもちゃに、手のひら大の黒いボールに「8」と書いてある「マジック8ボール」というものがあります。これを手に持ち、「はい」か「いいえ」で答えられる質問を投げかけたあとにマジック8ボールを回転させると、答えがボールの小窓に出てくるという「占い」をして遊ぶおもちゃです。もともと、このおもちゃを考案した人の母親が占い師で、そこからアイデアを得たらしいのですが、当初の名前には「8」はついていませんでした。のちにビリヤードの「8」のボールに似せたデザインになり、現在の形と名前になったそうです。■3:数秘術の8数秘術(ニューメロロジー)では、数字の8は「事業」や「お金」に関係しています。財産、繁栄を意味する数字で、物質面と非物質面のバランスをとる数字でもあるのだといいます。■4:エンジェルナンバー「数字には天使からのメッセージが込められている」というエンジェルナンバーで有名なドリーン・バーチューによると、8は「無限」や「宇宙に無限に存在するあらゆるいいこと」を意味するそうです。たとえば「無限の愛」とか「無限のエネルギー」、「無限の時間」など。8は無限大のあの記号に形が似ているというのも、なにか関係しているのかもしれませんね。■5:聖書の8聖書における「8」は、復活や始まり、救いを意味しているといいます。それは、旧約聖書の創世記に出てくるノアの方舟の話で、方舟に乗って洪水を免れた人の数が8人だから。さらに、ゲマトリアと呼ばれる、言葉を数字に置き換えるカバラ数秘術で「イエス」を数字に置き換えると、「888」になるそうです。■6:八生道仏教には、「八正道」と呼ばれる、悟りに至るまでの8つの道があります。お釈迦様が最初に行った説法とも言われており、正見・正思・正語・正行・正命・正精進・正念・正定の8つです。■7:中国の8日本の漢字「八」の故郷とも言える中国でも、八は縁起がいい数字とされています。ただし日本人が「末広がり」という理由で好むのと違い、中国語の「八」の発音が、「発」と似ているからだそう。「発」には、拡大するとか発展するとか、財産を生み出すイメージが伴うのだそうです。そのため、8がつく不動産や車のナンバープレートなどは高く取引されるとか。*日本のみならず、さまざまな文化で「8」はミステリアスなパワーがあったり、縁起のよい数字と受け止められたりしているようですね。生活に取り入れてみたら、パワーがもらえるかもしれませんよ。(文/松丸さとみ)
2015年11月11日私たちの生活において、数字には重要な役割があります。特にビジネスシーンでは、数字は指標や判断材料として欠かせません。しかし、その正確さや公平性ゆえに、私たちは数字に縛られすぎるもの。たとえばレストランに行ったとき、値段を気にして食べたいものを我慢したり、「●●万部突破!」という文句につられて本を買ったりするなど、気持ちや感情は数字に左右されてしまうわけです。そんななか、オーストラリアの『The Age』では、数値化することへの疑問が述べられていました。■自分の身体に耳を傾けられなくなる?「多くの人が、数字で計れないものは管理できないという認識を持つ」そう語るのは、メルボルンにあるスポーツセンターの心理学者、ジャッキー・ラウダー氏です。スマートフォンの普及に伴い、さまざまなアプリケーションが使われる現代。自己管理もアプリケーションによる数値化に基づいて行われつつあります。こうした数値化テクノロジーの背景には、米国カリフォルニア州から始まったQS(Quantified Self)というムーブメントがあります。QSとは、コンピューターを用いて人間の行動や状態をトラッキングし、定量的に観測するという、1種の分析方法。プロのトレーナーや医者にとっては、定量化はとても有益なものになります。しかし、一般の人が単に定量化だけを行うと、自分の身体に耳を傾けることを止め、生活が数字に支配されてしまう危険性があるのです。■すべて数字で判断できるわけではないメルボルン大学の数学者であるジャン教授は、「数字はどんなときでも冷静で公平。議論の余地はない」と指摘します。事実と幅広い知識に基づいた判断は、思想や直感に基づく判断よりも遥かに優れていますが、すべてが定量化できるわけではありません。たとえば、文化と創造性について考えてみましょう。仮にある文学の質を測ろうとしたとき、作者がどれくらい本を書いてきたのか、その本がどれくらい売れているのか、読者をどれくらい楽しませたのかなど、どれを基準に判断すべきなのでしょうか?■人々は数字で余計な不安をなくしたいたとえば感情を測り、視覚化することはできるのでしょうか?自己管理アプリケーションReallifexのクリエイター、アレックス・プレイト氏によると、なにが起きているかをより理解し、不安をなくすためのクリアで事実に基づいた観点を持つため、人々は感情を測りたいのだそうです。自分になにが起きているのか、視覚化されたグラフで見ることができるとも述べています。しかしこれは、自分の感情に対して感情のない判断を下すことに繋がるのではないでしょうか。ちなみにこちらのアプリケーションはおよそ30,000回ダウンロードされており、ユーザーの大半が35歳以下の若い男性だそうです。■数字は人に誤った判断をさせない?オーストラリアで最大の投資ファンドの1つである、プラチナアセットマネジメント社の取締役社長であるカー・ニルソン氏は、毎日莫大な数字を最大限に活用して判断を行っています。ニルソン氏は、数字は意思決定に明快な判断理由をもたらし、感情よりも大事な判断材料になると述べています。しかし、タスマニア州のモナギャラリーの創設者であり、熱狂的なギャンブラーとしても知られているデビッド・ウォルシュ氏は自身のブログで、「シリアからの難民問題について人々の心を動かしたのは、難民70人がトラックで窒息したというニュースよりもクルド人の小さな男の子が波打ち際でうつ伏せに亡くなっている1枚の写真だった」と語っています。*技術の進歩により、現代社会ではさまざまなものを測れるようになっています。たしかに数字は重要な判断材料ですが、捉え方もまた人それぞれ。無理に数値化するのではなく、測れないものは自分の心や身体に問いかけていきたいですね。(文/スケルトンワークス)【参考】※Don’t let numbers rule you-life counts more-The Age
2015年11月04日数を計算するとき、他の人に数字を伝えるとき、私たちは無意識に手の形で数を表しています。数を表すジェスチャーは多くの国に存在するものの、表現の仕方は国によってさまざま。国別に、数字を表すジェスチャーをくらべてみましょう。■1:アメリカ・・・人差し指から順に立てていく人によって異なる場合もあるようですが、アメリカでは多くの場合、手を握った状態から、人差し指、中指、薬指、小指、親指の順に立てて数えます。日本で人に数字を見せる場合と同じですね。■2:中国、台湾・・・人差し指から順に立てて6以降は特殊な形中国や台湾では10までは片手での表し方が決まっています。1~5まではアメリカ式と同じですが、6~10までは中国と台湾それぞれ別の、その数字専用の特殊な手の形が決まっています。中国だったら6は親指と小指を立てる、7は中指、人差し指を立てて3本の指で丸をつくる、8は親指と人差し指を立てる、9は人差し指だけ立てた状態から丸めて親指にくっつける、10は人差し指と中指を立ててクロスさせて表します。台湾の6は中国と同じですが、7は2種類の表し方があり、なんと中国の8か9と同じ。これはとても紛らわしそうです。9は手を開いた状態から小指だけ折り曲げます。10は両手の人差し指でバツを作って表します。日本人が見たら何か断られていると勘違いしてしまいそうですね。■3:フランス、ドイツ他北欧諸国・・・親指から順に立てていくフランスやドイツその他の多くの北欧諸国では、手を握った状態から1で親指、2で人差し指、3で中指、4で薬指、5で小指を順に立てていきます。4のジェスチャーは日本式に慣れている人にとってはきついかもしれませんが、小さいころからこのジェスチャーをしている人たちにとっては簡単なようです。■4:フィリピン・・・小指から順に立てていくフィリピンでの数え方は、手を握った状態から、小指、薬指、中指、人差し指、親指の順に立てていく方法です。日本人が手を開いた状態から数を数えはじめたときの、6~10の数え方と同じですね。■5:インド、バングラディッシュ・・・指関節を親指で指し示す数学が強いイメージの強いインドの数え方は、日本から見るととても不思議。親指で他の指の関節のシワを指し示して数字を表すのです。小指の一番下の節からスタート。1のときに小指の一番下の関節、2のときは小指の下から2番目の関節、3のときは小指の一番の上の関節を同じ手の親指で触ります。小指が終わったら薬指の下の関節から、薬指が終わったら中指、中指が終わったら人差し指と続き、片手のシワで12まで数えられます。*外国で数字を使う機会は少なくありませんが、ジェスチャーで乗り切ろうとすると、思いもよらない数字にとられてしまうことがあるかもしれませんね。(文/スケルトンワークス)【参考】※Embodied numerosity: Implicit hand-based representations influence symbolic number processing across cultures-ScienceDirect
2015年10月30日