4月4日に京セラドーム大阪で行われたプロ野球セントラル・リーグ阪神タイガース対東京ヤクルトスワローズ戦で、乱闘事件が発生。藤浪晋太郎投手の投げたボールが、畠山和洋選手の頭部付近に直撃。畠山選手が激昂すると、両軍入り乱れて揉み合いに。そこへ入ってきたウラディミール・バレンティン選手が矢野輝弘コーチを突き飛ばすし、反撃とばかりに同コーチが跳び蹴りをする事態に。このような乱闘事件は最近少なかったこともあり、ネット上では「藤浪が悪い」「バレンティンが悪い」などの意見があがり、論争になりました。どちらが悪いかについてはそれぞれの主張があるためどちらが正しいのかはわかりません。しかし、暴力行為については、野球というスポーツのなかで行われたこととはいえ、許されるべきものではないでしょう。このようなプロ野球の試合で行われる暴力行為は罪にならないのでしょうか?Q.プロ野球の乱闘で行われる暴力行為は罪にならないのですか?*画像はイメージです:暴力行為を受けた選手が重大な怪我を負った場合は傷害罪、そうでなくても暴行罪になる可能性があります。暴力を受けた選手が怪我をした場合、当然ながら傷害罪になります。また、怪我をしなくても暴行罪が成立するでしょう。プレー中の接触はともかく、乱闘は選手・監督の業務とはいえず、なんらの正当性が認められないのは社会一般と同じはずです。プロ野球の乱闘の場合、暴力行為といっても重大な怪我を負ったケースがないこと、プロ野球を管理する日本プロ野球機構からペナルティが課されること、警察に訴えでる人がいないことなどから、傷害罪にまでは至らないことがほとんどです。それ自体、社会的に許容すべきことか否かわかりませんが。今回の阪神対ヤクルトも、バレンティン選手と矢野コーチに制裁金と厳重注意処分がそれぞれ課せられており、既に事後処理は完了。罪に問われるようなことにまでは、至っていません。しかし、暴力による骨折や失明など日常生活に支障がでるような怪我を乱闘によって負った場合は、警察が動き傷害罪になる可能性が高いと思われます。このような場合、傷害罪は親告罪ではありませんので、たとえ届け出がなくても、警察が動き、場合によっては罪に問われることになるでしょう。 乱闘も野球の醍醐味という人もいますが、厳密に言うと人を殴るという行為は犯罪であり、暴行罪・傷害罪になるということは、選手もファンも忘れない必要がありますね。 *記事監修弁護士:森川文人(ピープルズ法律事務所。弁護士歴25年。いわゆる街弁として幅広く業務を経験。離婚、遺産相続をはじめ、不動産、 慰謝料・損害賠償請求、近隣トラブル、借地借家、賃金、インターネット問題、知的財産権などを扱う。)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*ballgame / PIXTA(ピクスタ)
2017年04月13日「嵐」櫻井翔と芸人・有吉弘行がMCを務めるバラエティ「櫻井・有吉THE夜会」の4月13日(木)今夜放送回に、この春スタートする日曜劇場「小さな巨人」から長谷川博己、春風亭昇太、駿河太郎の3人がゲストで登場する。“夜会掲示板”に寄せられたゲストの願望や疑問、悩みを、櫻井さんと有吉さんが視聴者と共に解決、実現していく同番組。今回は長谷川さん、昇太さん、駿河さんの3人がプライベートにまつわる様々な事柄についてトークを展開する。まずは長谷川さんの怪しい噂うわさを検証。そのうわさとは「新宿二丁目に通ってる?」「映画しか観ない?」「ヒッチハイクしていた?」というもので、これらのうわさについて長谷川さんを直撃。また休日の過ごし方や自宅のこだわり、さらに大ヒットした『シン・ゴジラ』撮影秘話など様々な話題について語る。昇太さんは“独身貴族御殿”を大公開。こだわりが詰まった昇太さんの自宅にカメラが入るも、その独身道を極めすぎたキッチンに出演者一同総ツッコミ。57歳独身の変わり者過ぎる食生活も明らかになる。駿河さんは父・笑福亭鶴瓶との思い出についてトーク。一度だけ怒られた思い出や家族全員が気まずくなった出来事など爆笑秘話が続々登場。またパンツにこだわる駿河さんが“「神パンツ」を探す”という初1人ロケに挑戦する。今回ゲストで登場した3人が出演する日曜劇場「小さな巨人」は4月16日(日)から毎週日曜日21時~TBS系で放送スタート。初回25分拡大。警視庁と所轄の確執、警察内部の戦いという“リアルな警察の姿”と“人”を描く、これまでにない警察エンターテインメントとなる本作。長谷川さんが主人公の香坂真一郎を、昇太さんが芝署署長の三笠洋平を、駿河さんが真一郎の同期で良きライバルの藤倉良一を演じるほか、TBS連続ドラマ初出演となる岡田将生、安田顕、香川照之、芳根京子らが共演。『シン・ゴジラ』で長谷川さんと共演した市川実日子が彼の妻役で、先日結婚を発表した佐々木希も出演する。「櫻井・有吉THE夜会」は4月13日(木)21時57分~TBS系で放送。(笠緒)
2017年04月13日*画像はイメージです:俳優の渡辺謙さんが、一般人女性と不倫していたことが判明。報じた週刊誌には「動かぬ証拠」の写真が掲載されており、不貞関係にあったことは間違いないよう。「ラスト・サムライ」の裏の顔に、ショックの声があがっています。現在渡辺が海外にいる模様で、記者会見などは開かれていません。妻で女優の南果歩も沈黙しており、離婚となるのか、容認するのかは不明です。仮に離婚となった場合は、南果歩さんが望めば慰謝料を支払う義務が発生するものと思われます。では、金額はどのくらいになるのでしょうか? ■不貞や婚姻期間に応じた金額が請求される金額を決定するうえで考慮される事情としては、不貞の期間や回数、婚姻期間、子どもの有無などがあります。婚姻期間については長ければ長いほど、慰謝料は高額化します。原則的に慰謝料の金額に「収入」や「職業」は算定要素になりません。混同されがちですが、基本的にはどのような職業、いかなる収入であろうとも、慰謝料には直結することはありません。ただし、例外的なケースとして慰謝料増額に職業が加味されることがあります。過去の判例でいうと、弁護士やプロ騎手などの裁判で、職業が慰謝料の算定要素となったことがありました。渡辺謙さんの場合、上記のように原則的には一般人と変わらず不貞期間と婚姻期間に応じた慰謝料になると思われますが、過去の芸能人と同じように、社会的な心象などを考慮し、自ら高額な慰謝料を支払う可能性があります。また、彼は日本を代表する俳優であることから、「例外」になることも考えられます。以上の要素からやはり慰謝料を支払うことになるとすれば、それなりに高額になるものと思われます。 ■当然の代償芸能人の不倫についてはかつて「芸の肥やし」、という考えもあったようですが、現在は認識が厳しくなっています。どのような人間であろうと、結婚している相手を裏切るという行為は、倫理的に許されるものではありません。仮にそれが発覚すれば、法的に代償を支払うのは当然といえます。 *記事監修弁護士:理崎智英(高島総合法律事務所。離婚、男女問題、遺産相続、借金問題(破産、民事再生等)を多数取り扱っている。)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*Graphs / PIXTA(ピクスタ)
2017年04月12日静岡第一テレビのアナウンサーが、無免許で自動車を運転していたことが判明。会社にはニセ自動車運転免許証のコピーを提出し、「乗用車が運転できる」と偽っていたようです。その事実をひた隠しにしていましたが、4月1日に取材先から帰る際社用車を運転していたところ、追突事故を起こしてしまい、事態が発覚。無免許運転で逮捕されました。勤め先である静岡第一テレビは、自動車運転免許証の現物をチェックしておらず、社内全員が騙されてしまったとのこと。ちなみにこのアナウンサーは一度も自動車運転免許を受けた経験がなく、我流で自動車を運転していたそうで、「免許の偽造」が疑われています。現在同アナは釈放され会社の処分を待っている状態ですが、今後偽造免許についても捜査が及ぶものと見られています。仮に本当に免許を偽造していた場合、どのような罪になるのでしょうか?Q.運転免許証の偽造はどのような罪になりますか?*画像はイメージです:有印公文書偽造罪になります。運転免許証は都道府県の公安委員会が発行する公文書です。したがってこれを偽造することは、刑法155条1項の有印公文書偽造罪に該当し、1年以上10年以下の懲役となります。また、偽造運転免許証を呈示した場合は、有印公文書行使罪(刑法158条1項)に問われ、こちらも1年以上10年以下の懲役です。両者とも軽い犯罪ではありません。運転免許証の偽造は、自動車の運転技術を偽ることになります。当然ながら自動車は誤った操作をすれば、人を殺す凶器になってしまうことは、皆さんご存知の通りです。そのような意味で、実際に無免許運転もしている今回の事件はかなり危険で、許されざるもの。それ相応の償いが必要になるものと思われます。 *記事監修弁護士:高野倉勇樹(あすみ法律事務所。民事、刑事幅広く取り扱っているが、中でも高齢者・障害者関連、企業法務を得意分野とする)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*makaron* / PIXTA(ピクスタ)
2017年04月11日*画像はイメージです:女子プロレスラー・上林愛貴さんと事実婚状態にありながら、女優の濱松恵さんと不倫関係にあったというお笑いグループ『東京03』の豊本明長さん。両者とも事実を認め謝罪していますが、騒動は収まっていません。 ■ブログで豊本明長さんを批判現在2人の関係は終わったそうですが、濱松さんが納得していない模様で、連日関連したブログ記事を更新。豊本さんと上林さんが「事実婚」状態であることを「ビジネスパートナーで仕事のため」「既婚ではなくフリー」と説明されたことを明かすなど、交際の内情を明かしています。一連の記事がどこまで真実なのかはわかりませんが、ネットという不特定多数が閲覧する場所で内密な話を暴露されるのは気分のいいものではありません。そのうえ濱松さんは批判とも取れる記述を行っており、豊本さんを攻撃しているようにも思える状況。彼女からすれば騙した彼が悪いということなのでしょうが、豊本さん側としてはブログの削除や更新の停止、さらに名誉毀損での提訴や賠償請求などを検討したくなることでしょう。そのような措置にでることははたして可能なのか?法律事務所アルシエンの清水陽平弁護士にご意見を伺いました。 ■名誉毀損は成立する?Q.名誉毀損罪は成立するのでしょうか?A.「名誉毀損とは社会的評価を低下させることであるため、浮気をしていたということは社会的評価を低下させる事情といえるため名誉毀損とはいちおう言い得ます。しかし、公共性、公益目的、真実性があれば、違法性が阻却されるところ、少なくとも公共性、真実性は認められそうです。あとは公益目的の有無ということですが、これが否定される例は明確な嫌がらせのような場合であり、本件でも公益目的がないとまで言い切れるか少々微妙であろうと思います。したがって、違法性阻却事由があるものとして、名誉毀損が成立しないということになる可能性は十分あると思います」(清水弁護士)不倫していたことは紛れもない事実であることを双方が認めているうえ、ブログ内での主張は全くのデタラメとは思えず、真実性もあると思われることから、名誉毀損罪に該当するか否かはかなり微妙なようです。 ■ブログの削除や賠償請求は可能?Q.ブログの削除や賠償請求は可能でしょうか?A.「上記の理由により、簡単ではないと思います。もっとも、プライバシー侵害が成立する余地は十分あり、プライバシー侵害を理由とした削除・賠償を求めることができる余地はあるといえます。ただし、これも簡単というわけではないですし、請求をした時点で、その請求自体をネタとして記事が書かれる可能性もあります。また、賠償額としてもそれほど高額なものにはならず、かけた費用を下回る可能性が高いと思われます」(清水弁護士) ブログの削除要求は名誉毀損罪と同じく、真実性などの観点から難しいようです。プライバシー侵害については認められることもありそうですが、仮にそうなったとしても微々たる金額になる可能性が高いとのこと。豊本さんとしては、現在の沈黙状態がベストなのかもしれません。 ■ネットでの暴露話にはリスクがある続けて清水弁護士に、「ネットで不倫などを暴露する行為」についてもご意見を伺いました。「特にどうこうという気はないですが、好ましい行為ではありません。自分にとってもマイナスが大きいですし、当然相手の権利侵害にも、なりえるもので、後々賠償請求を受けるリスクや、やっぱり消したいといった形で思う可能性もあるからです」(清水弁護士)ブログに「暴露話」を書きたくなる気持ちもわからなくはありませんが、色々なことを考えると、慎重になったほうが得策といえるでしょう。 *取材協力弁護士:弁護士 清水陽平(法律事務所アルシエン。インターネット上でされる誹謗中傷への対策、炎上対策のほか、名誉・プライバシー関連訴訟などに対応。)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*ミヤヒロ / PIXTA(ピクスタ)
2017年04月11日最近はゴミ出しのルールが厳しくなっており、分別の厳重化や有料化が進んでいます。おもに資源の再利用が目的とされていますが、日々生活する者にとっては不便さを感じることも事実です。そのため、つい、コンビニのゴミ箱に家庭ゴミを入れてしまいたいと思ってしまうことがあるでしょう。たいていの場合はゴミ箱に「家庭ゴミ禁止」と書いた張り紙が貼ってあるのですが、それを無視して捨ててしまったことがある人もいるかもしれません。この行為が何かしらの法律に触れることを理解している人がほとんどでしょうが、どのような罪になるのかを認識している人は少ないのではないでしょうか?そこで今回は「コンビニへのゴミ不法投棄」について解説します。*画像はイメージです:■営業妨害になる可能性まず考えられるのが、業務妨害罪。「家庭ゴミ禁止」と書れた張り紙が貼られている場合、店側は家庭ゴミの持込みを「拒否」し「禁止」していることになります。注意書きを無視して家庭ゴミを捨てた場合は、店側の意向に反する業務妨害となり、捨てたゴミの量などによっては、刑法234条の威力業務妨害罪に該当し、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が課される可能性があります。それでは、張り紙が貼っていない場合はどうでしょうか? ■不法投棄に問われる注意書きの張り紙が貼っていない場合でも、罪になります。本来捨てるべきではない場所にゴミを捨てるわけですから、廃棄物処理法第16条の「何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない」という条文に違反し、「不法投棄」になります。そして、不法投棄に対しては、廃棄物処理法第25条より「5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金」が課せられます。また、不法投棄を目的にゴミを収集、運搬した場合は同法第26条によって「廃棄物を収集または運搬した人に対して3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金」です。コンビニのゴミ箱に家庭ゴミを投棄することについて、「軽く」考えている人もいるかもしれませんが、不法投棄は5年以下の懲役であるうえ、罰金も1,000万円以下と重い罰則が定められている罪に該当します。もちろん、コンビニだけではなく、空き地や他人の居住地なども同様です。不法投棄には重い罰則が科され得るということを覚えておきましょう。 *記事監修弁護士:木川雅博 (星野法律事務所。通信会社法務・安全衛生部門勤務を経て、星野法律事務所に所属。破産・再生・債務整理を得意とする。趣味は料理、ランニング)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*白熊 / PIXTA(ピクスタ)
2017年04月10日日本人と切っても切れない関係の馬。戦国最強といわれた武田信玄軍の「騎馬隊」は、武将の能力も去ることながら、馬の走力や知力が高かったことも強さの要因とする説があります。そのほかにも徳川家康が武田軍に大敗した三方ヶ原の戦いで逃げる際、必死に馬にしがみついて追手から逃げるなど、日本の歴史において馬は重要な役割を果たしてきました。最近はもっぱら競走馬としての役割が多く、交通手段としては用いられることがほとんどなくなった馬ですが、全国各地に「乗馬クラブ」が存在し、現在でも人を乗せて走り続けています。そんな馬で、戦国時代のように颯爽と道路を走ってみたい。じつはこれ、現代でも可能らしいのです。本当でしょうか? Q.現在でも馬で道路を走ることはできますか?*画像はイメージです:道路交通法では軽車両扱いとなるため公道を走ることは理論的には可能ですが、安全に十分注意する必要があります。道路交通法で、馬は軽車両扱いとなっているため、公道を走ることは理論上可能です。ただし、夜間に公道を走る場合は、照明灯を付ける必要があります。さらに、当然ながら左側通行など交通法規を遵守しなければなりません。また、馬が糞をした場合には即座に片付る必要があるでしょう。現代でも公道を走ることが許可されている理由は、馬が日本人の交通に対して多大な貢献をしてきたことによるもので、「畜力」として考えられています。ちなみに、牛も馬と同じ扱いで、公道を走ることができます。動画サイトなどを見ると、実際に馬で道路を走る様子が収められています。落馬する可能性がありますので、安全上乗馬に慣れていることが条件にはなりますが、走ることは可能です。 *記事監修弁護士:森川文人(ピープルズ法律事務所。弁護士歴25年。いわゆる街弁として幅広く業務を経験。離婚、遺産相続をはじめ、不動産、 慰謝料・損害賠償請求、近隣トラブル、借地借家、賃金、インターネット問題、知的財産権などを扱う。)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*カツ / PIXTA(ピクスタ)
2017年04月09日人気YouTuberのはじめしゃちょーさんが、複数女性と交際していたことが判明。その相手の1人が同じ事務所の木下ゆうかさんだったそうで、号泣する動画が流出したことも話題になりました。その後もトラブルが相次いだはじめしゃちょーさんは、活動休止をすることを発表。“火遊び”の代償は、大きなものになってしまったようです。今回のように交際相手が一方を裏切る形で“股をかける”ことは、多々あります。噂ですが、ある女性芸能人が“8股”をかけていたという伝説もあるほど。美男美女は黙っていても異性がよってくるだけに、遊んでしまうのでしょう。遊び人にしてみれば単なる火遊びなのでしょうが、信じて1人のみと付き合っていた人間にとっては屈辱的で、慰謝料を請求したいところ。しかし、婚姻関係がないだけに難しいような気もします。そのようなことは可能なのでしょうか?Q.恋人が二股交際していた場合慰謝料を請求できる?*画像はイメージです:相手との関係によります。事実婚や婚約でない場合は無理です。単につきあっているだけで、婚約もしていないうえ事実婚状態でもない場合は、慰謝料を請求することはできません。道徳的に複数の異性と肉体関係を持つ交際をすることは非難されるべきことと考えられていますが、法的に責任を問うことは残念ながら困難です。ただし、その相手と婚約している場合や事実婚状態である場合は、貞操義務が発生しますので、婚約破棄や別れが発生した時点で慰謝料をすることができます。事実婚でも婚約もない恋人が二股をかけていたという人にとっては少々ショックかもしれませんが、これが現実。見る目がなかったと思って、スパっと次に行ったほうがいいかもしれませんね。 *記事監修弁護士:森川文人(ピープルズ法律事務所。弁護士歴25年。いわゆる街弁として幅広く業務を経験。離婚、遺産相続をはじめ、不動産、 慰謝料・損害賠償請求、近隣トラブル、借地借家、賃金、インターネット問題、知的財産権などを扱う。)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*Stokkete / Shutterstock
2017年04月06日R-1に優勝し、今もっとも旬なお笑いピン芸人といわれる『アキラ100%』。全裸にお盆1つで動き回りながらも局部を隠し切る緊張と緩和が最大の持ち味です。単純明快な芸が受けていますが、きわどい動きをするだけに賛否両論。一部からは「あれが芸なのか」「下品だ」という批判的な声もでています。彼の芸は「見えそうで見えない」という放送コードギリギリのところにあるわけですから、これはある意味、仕方のないことかもしれません。そんな声をよそに人気の方はうなぎ登りで、テレビ出演も増えたアキラ100%。今後しばらくはイベントなどにも引っ張りだこになることは間違いないでしょう。しかし、気になってくるのは「見えてしまった」場合。罪に問われるのではないでしょうか?Q.アキラ100%が「見せてしまった」場合どのような罪に問われますか?*画像はイメージです:公然わいせつ罪に該当する可能性があります多くの観衆の前で自らの性器を露出することは、刑法第174条の公然わいせつ罪になります。公然とわいせつな行為をした者は、六月以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。(刑法第174条)仮になんらかの理由でお盆を落としてしまい、公衆の面前にそれを晒してしまえば当然のことながら彼も公然わいせつ罪となるでしょう。最近はテレビの生番組にも出演しているアキラ100%ですが、仮に局部が見えてしまった場合は放送した側も刑法第175条わいせつ物頒布罪に問われる可能性があります。間違いが起こらないことを願いたいものです。 *記事監修弁護士:冨本和男(法律事務所あすか。企業法務、債務整理、刑事弁護を主に扱っている。親身かつ熱意にあふれた刑事弁護活動がモットー。)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*Shaynepplstockphoto / Shutterstock
2017年04月04日相変わらず減ることのない学校内での「いじめ」。最近は東日本大震災による原発事故の影響で避難した子どもが、いわれのない誹謗中傷を受ける事案が相次ぎ、社会問題化しています。いじめについては、いじめている子どもの親に責任を問うべきだと言う声があります。実際に自分のかわいい子どもがいじめを受けている場合、相手の親にもそれ相応の責任をとってもらわなければ気が済まないものですから、当然かもしれません。しかし、両者は血のつながりこそあれど、別人であるだけに、問うことは難しいような気もします。「いじめを行う子どもの親」に法的な責任を問うことは、はたして可能なのでしょうか?和田金法律事務所の渡邊寛弁護士に見解を伺いました。Q.息子が学校でいじめられた……いじめた子の親に法的な責任はある?*画像はイメージです:いじめの加害児童・生徒の親は、被害児童・生徒に対して損害賠償責任を負うことがあります。「いじめが不法行為となる場合、原則として加害児童・生徒本人は、被害児童・生徒に対して、不法行為による損害賠償責任を負います。もっとも、自分の行為の責任を理解する知能もないほど幼いときは、未成年者は法的責任を負いません。具体的な年齢が法律で何歳と決められてはいませんので、責任能力の有無は事案毎個別に判断されますが、概ね12歳程度になると法的な責任能力が認められるようになります。加害児童に法的な責任能力がない場合、本人は損害賠償責任を負いませんが、その親が監督義務者として被害者に対して損害賠償責任を負います(民法714条)。親は、監督義務を果たしていたことを立証すれば損害賠償責任を免れますが、監督義務の範囲は生活全般に及ぶ広いものですので、親の免責は簡単には認められません。加害生徒に法的な責任能力が認められる場合、民法714条の適用はありませんが、監督義務者である親は、その監督上の過失に基づき、被害者に対して損害倍責任を負うことがあります。民法714条の適用がある場合と比べると、親の監督上の過失をどちらが証明しなければならないかという立証責任の点と、監督上の過失と損害との因果関係も立証しなければならない点で、請求する側の負担が大きくなります。未成年者の親には子を監護・教育する義務がありますから、このように、いじめの加害児童・生徒の親は、被害児童・生徒に対して損害賠償責任を負うことがあります。ただし、親の責任は結果責任ではありませんので、例えば、親元から通学する中学1年生と全寮制の高校3年生とでは、同じ様な学校内でのいじめでも親の責任の有無の判断が異なることはあり得ます」(渡邊弁護士) いじめが「不法行為」となる場合、親が監督義務者として損害賠償責任を問われることもあるそう。我が子かわいさから、「うちの子に限ってそんなことはしない」と目を背ける親もいるようですが、それは監督義務を問われます。自分の子がいじめをしている可能性があると感じた場合は、直ちにやめさせるようにしてください。 *取材協力弁護士: 渡邊寛 (和田金法律事務所代表。2004年弁護士登録。東京築地を拠点に、M&A等の企業法務のほか、個人一般民事事件、刑事事件も扱う。)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*Yasu / PIXTA(ピクスタ)
2017年04月02日*画像はイメージです:広島県福山市の病院で、医師が統合失調症患者に対し、治療に必要ないと思われるパーキンソン病治療薬を多量に投与し、患者が体調不良を訴える事案が発生。当該医師が投与を指示した理由として「薬の使用期限が迫っていたことがきっかけ」などと発言していることが判明。この件について、ネットユーザーから「怖すぎる」「不適切な診察だ」と批判が集中しています。すでに医師は退職しているそうですが、投与について「効果があると思った」と話していることも報じられるなど不明瞭な部分が多いため、説明責任を問う声などがでています。事態を受けた広島県は病院に対し立ち入り検査を行いましたが、医師に対する処分などは発表されていません。今後、この医師に対して罪を問うようなことはあるのでしょうか?医療問題に詳しい三宅坂総合法律事務所の伊東亜矢子弁護士に意見を伺いました。 ■罪に問われる可能性は……「報道されている内容だけからは詳しい事情は分かりませんが、もし、“在庫処分”の目的だけで、全く効用のない薬を(そうと分かっていながら)投与した場合で、患者さんが傷害を負ったり、場合によって死亡してしまったようなケースでは、業務上過失致死傷罪が問題となると考えられます。敢えて患者さんに死傷の結果を生じさせようとした、或いは死傷の結果が生じても構わないと思っていた、などの場合はさらに、過失ではなく故意の“傷害罪”“殺人罪”に当たり得るともいえますが、“故意”の立証は難しい可能性があります。本件では、報道によれば、当該医師が『効果はあると思った』と供述されているようであり、実際にその点の医学的評価がどうなのか(現に投与を受けた患者さんに対する効果は医学的にみておよそあり得ないのか、場合によっては効果があり得るのか等)は気になるところです。仮に、効果は全く無く、かえって有害、といったことが明らかな投薬なのだとすれば、病院全体の管理体制の問題も考える必要がありそうです(報道によれば薬剤部でおかしいとの指摘はされたようですが、結局投与に至ってしまってはいるので)。なお、医師が『効果が全く無いと知って当該薬を処方した』場合は、診療報酬の不正請求(詐欺)等の問題も生じ得るところです」(伊東弁護士) このようなことが起こるのは残念。大多数の医師の皆さんは額に汗して懸命に医療の現場で奮闘していると思われますが、今後このようなことが起こらないようお願いしたいものです *取材協力弁護士:伊東亜矢子(三宅坂総合法律事務所所属。 医療機関からの相談や、 人事労務問題を中心とした企業からの相談、離婚・ 男女間のトラブルに関する相談、 子どもの人権にかかわる相談を中心に扱う。)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*polkadot / PIXTA(ピクスタ)
2017年03月30日3月、NHKの生活情報テレビ番組が糖尿病の治療について事実と異なった情報を流し、謝罪する一幕がありました。健康被害などは報告されていませんが、実際に番組を見て実践しようとした人もいたようです。生活お役立ち番組や医療を扱った番組はこれまでも数多く放送されており、納豆やココアなど、番組で取り上げられたことをきっかけに品薄状態になるほど売れることもありました。本当に健康になることができるのなら良いのですが、なかには今回のように後に誤っていることが発覚し、番組が打ち切りになったケースも発生しています。仮に番組内で紹介された健康法を実践し、体調不良や病気になった場合、謝罪だけでは納得いかないでしょう。放送したテレビ局に治療費はもちろん、慰謝料や損害賠償を請求したいところ。そのようなことは、可能なのでしょうか?ともえ法律事務所の寺林智栄弁護士に見解をお伺いしました。 Q.テレビ番組が間違った健康法を紹介し、実践して健康被害がでた場合、テレビ局に損害賠償請求できますか?*画像はイメージです:放送内容によりますが、かなり難しいと思われます。「放送内容にもよりますが、原則的には損害賠償請求の対象にはならないと考えます。損害賠償の請求が認められるためには、(1)他人の権利利益の侵害、(2)これに対する故意又は過失、(3)故意または過失と発生した損害の間の因果関係という要件をすべて満たす必要があります。仮に、放送された健康法が誤ったものであり、放送局側に過失があるとしても、実際に発生した健康被害、これに基づく損害の発生との間に因果関係を認めることが難しいと思われるからです。例えば、なんらかの運動法が紹介されてこれを実践した後に、負傷したというケースでも、そもそも実践した人に疾患があった場合には因果関係は認めにくいでしょう。何らかの食品を摂取する健康法が紹介されてこれを実践した後に、体調を崩したというケースでも、当時の体調や、過剰摂取、元々持っていた疾患などが関わっているケースもありえ、やはり因果関係を認めることは難しいのではないかと考えられます。但し、かなり詳細に健康法が紹介され、それを忠実に再現したこと、他に健康被害が生じる原因がなかったこと、これらを全て証明できた場合には、損害賠償請求が認められる余地があります」(寺林弁護士) 健康被害が生じる原因が他に考えられないことを立証できるうえ、紹介された健康法を忠実に再現したとみなされた場合は損害賠償請求が認められる可能性がでてきますが、健康被害と放送との因果関係を立証することが困難と思われるため、基本的に損害賠償を請求することは難しいようです。「テレビが言っているから正しいだろう」ではなく、「間違っているかもしれない」と注意深く話を聞くことが重要かもしれません。 *取材協力弁護士:寺林智栄(ともえ法律事務所。法テラス、琥珀法律事務所を経て、2014年10月22日、ともえ法律事務所を開業。安心できる日常生活を守るお手伝いをすべく、頑張ります。)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*Yoshi / PIXTA(ピクスタ)
2017年03月30日「嵐」の櫻井翔と有吉弘行がMCを務めるバラエティ番組「櫻井・有吉THE夜会」。3月30日(木)今夜の放送回はゲストに俳優の小栗旬、山本耕史、青木崇高を迎え、人気俳優3人がテレビでは見せない本性をさらけ出すトークを展開する。「櫻井・有吉THE夜会」は“夜会掲示板”に寄せられたゲストの願望や疑問、悩みを、櫻井さんと有吉さんが視聴者と共に解決、実現していく番組。今回小栗さんが掲示板に寄せた願いは「僕のものまねをしている芸人に会いたい」というもの。「花より男子」の小栗さんのモノマネでブレイク中の“おばたのお兄さん”が自分に乗っかり過ぎなので直接会って物申したいという要望に応え、番組が初対面ガチドッキリを敢行。追い詰める小栗さん、追い詰められたおばたさん…果たして。また山本さんの掲示板は「本当においしい激辛メニューを味わえるお店を知りたい」というもの。そこでTVチャンピオン激辛通選手権優勝、1,000食を超える激辛料理を完食してきた鈴木浩二氏を迎え、3つのレベルの美味くて辛い料理がスタジオに登場する。さらに芸歴40年の山本さんが研究を重ねたモノマネを披露。こちらもお楽しみに。そして青木さんからの掲示板は「新たな激ウマコロッケ情報をお願いします」。商店街でお肉屋さんのコロッケを買って食べながらビールを飲んで歩くというツアーが好きだという青木さんのために、櫻井さんの同級生にして大親友だという超人気グルメブロガー・フォーリンデブのはっしーが、上野、麻布十番、飯田橋にある行列必至の超人気店を紹介する。今回ゲストで登場した小栗さん、山本さん、青木さんの3人は、3月30日(木)本日から豊洲「IHIステージアラウンド東京」で公演開始となる舞台“劇団☆新感線「髑髏城の七人」Season花”に出演中。1990年に古田新太主演で初演されると、その後市川染五郎などによって7年ごとに再演が繰り返されてきた「劇団☆新感線」の代表作である同作を、今回は“花・鳥・風・月”の4シーズンに分けてロングラン公演。小栗さんはかつて織田信長の影武者だった捨之介を、山本さんはかつて森蘭丸だった蘭兵衛を、今回が劇団☆新感線初参加となる青木さんは天魔王役の成河と兵庫役を務める。「櫻井・有吉THE夜会」は3月30日(木)21時57分~TBS系で放送。(笠緒)
2017年03月30日3月、国会では「証人喚問」が開かれ、証人が国会議員に喚問を受ける様子がテレビ中継されました。開かれたことについては賛否両論ありますが、視聴率は16.1%にまで及んでおり、高い注目を集めたことは間違いありません。今回の喚問で盛んに聞かれたのが「偽証罪に問われますよ」という言葉。真実を引き出すための「揺さぶり」として発せられたフレーズです。ところでこの偽証罪とは、どのようなものなのでしょうか?*画像はイメージです:■証人が嘘をつくと3ヶ月以上10年以下の懲役証人喚問では初めに証人が「良心に従って真実を述べ何事も隠さず、また、何事も付け加えないことを誓います」と書かれた宣誓書を朗読したうえ、署名・捺印します。当然ながら、嘘をつくと偽証罪に問われ、3ヶ月以上10年以下の懲役に問われます。つまり、証人喚問での偽証罪は「嘘をつかないと宣誓したにもかかわらず、嘘をついた罪」ということになります。ただし、審査や調査の終了前に自ら偽証したことを自白した場合、罪が減免されることがあります。これは、事実を究明しやすくするためです。偽証罪に問われるケースは、証人喚問だけではありません。民事・刑事を問わず裁判所に証人として出廷した人間が嘘をついた場合にも適用されます。これは嘘の供述による誤審を防止するもので、裁判の判決を揺るがしかねない「証言」となるわけですから、このような措置が取られています。当然ながら、裁判所でも宣誓書への署名捺印と読み上げを行うことになります。なお、あくまでも「証人」のみに適用されるため、原告・被告の当事者や被告人が嘘をついても偽証罪は適用されません。 ■記憶違いの場合は罪に問われる?人間には記憶が曖昧なケースが多く、自分が記憶していたことと事実が異なっていることが多々あります。また、受け取り方の違いや見間違いということもあるでしょう。仮に証人の発言がこれに該当する場合、どうなるのでしょうか?このような場合、基本的に故意に嘘をついていた場合のみに偽証罪は適用されるため、「間違い」による事実との相違は罪に問われません。ありのままを話せば、偽証罪に問われることはないといえます。一般人にとってはあまり縁のない偽証罪ですが、「証人喚問や裁判などで証人が故意に嘘をついたら問われる罪」ということは、覚えておいて損はないでしょう。 *記事監修弁護士:冨本和男(法律事務所あすか。企業法務、債務整理、刑事弁護を主に扱っている。親身かつ熱意にあふれた刑事弁護活動がモットー。)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*freehandz / PIXTA(ピクスタ)
2017年03月28日3月12日から26日まで行われた大相撲3月場所。注目を浴びていた優勝争いは、千秋楽にまでもつれ込み、新横綱の稀勢の里が2場所連続2回目の優勝を果たしました。今場所では、稀勢の里は、安定した取り口で勝利を重ねる一方、これまで盤石の強さをみせてきた白鵬が5日目に休場。17年ぶりの4横綱による優勝争いに注目していたファンにとっては、少々残念な場所になりました。横綱は相撲界でトップの立場にあり、つねに勝利を義務づけられた存在。仮に格下相手に負けると、会場に座布団が舞うことになります。場内アナウンスでは「座布団を投げないてください」と呼びかけ、館内の禁止事項にも明記されているのですが、金星が発生すると、必ずその光景を目にします。マス席の座布団は意外と重く、舞った物が当たると痛いもの。仮に当たりどころが悪く、怪我をしてしまったら、投げた人間に治療費や損害賠償を請求したくなりますね。実際のところ、そのようなことは可能なのでしょうか? Q.大相撲の会場に舞う座布団に当たって怪我をした場合、損害賠償を請求できる?*画像はイメージです:できます。投げた座布団が人に当たれば怪我をさせてしまうことも予見可能ですから、座布団で怪我をした人は投げた人に対して治療費等の損害賠償を請求できるものと思われます。刑事上も座布団を投げて人に怪我をさせると傷害罪や過失傷害罪に該当する可能性があります。また、安全対策が十分でなかったのであれば、主催者や管理者に損害賠償を請求することも考えられます。現実問題として投げ込まれた座布団から投げた人物を特定することは難しいわけですから、仮に上記のようなことが発生すれば主催者である相撲協会に損害賠償を請求せざるを得ません。場内アナウンス等による注意でも座布団の舞がなくならないことからすると、法的リスクという意味でも、相撲協会はより効果的な安全対策を講じる必要があるように思います。なお、「座布団の舞」は、名物となっていることや、プロ野球の硬式ボールのように当たって失明や骨折など重大な怪我に繋がることが少なそうなこともあって、これを許容する相撲ファンの意見もあるようです。しかし、座布団投げは、当たれば人を怪我させる危険があり、本来は禁止されている行為で、怪我をさせれば法的にも損害賠償の義務を負います。それだけは忘れないようにしてください。 *記事監修弁護士: 渡邊寛 (和田金法律事務所代表。2004年弁護士登録。東京築地を拠点に、M&A等の企業法務のほか、個人一般民事事件、刑事事件も扱う。)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*Yuka Tokano / Shutterstock
2017年03月28日先日、ラーメン二郎仙台店で店員に「初めての人は小で」と言われたにもかかわらず、名物の大を注文し、「食えるわけねえよ」と笑いながら大半を残して帰った客について「クソ野郎三連コンボ」「2度と来るな」とTwitterに書き残し、店の対応が議論を呼びました。店員がネットにツイートしてしまうケースは極めて稀ですが、居酒屋を中心に飲食店では店舗運営に不利益をもたらす行動や、迷惑行為を働いた客について、店側が「入店拒否」を通告することは多々あります。客としては、納得がいかないこともしばしば。このような飲食店の「入店拒否」や「出入り禁止」措置は違法ではないのでしょうか?Q.飲食店の「入店拒否」や「出入り禁止」、これは違法ではありませんか?*画像はイメージです:基本的に違法性は問題となりません。飲食店営業に、「入店を拒否してはならない」とか「入店を許可しなければならない」いう明確な法規制はありません。したがって、入店を許すか否かの店舗管理権は、その店のオーナーや管理する人物の裁量に任されており、その人物は、店舗管理権の行使の一環として、客の入店を許すか否かの裁量を有します。したがって、そこに明確な理由が存在している場合(たとえば店へ迷惑行為を働いたなど)は、「出入り禁止」の処分に違法性はないと思われます。ただし、差別的な理由など、合理的な理由がなく、かつ当該入店拒否が名誉棄損に該当したり、当該入店拒否によって客に対して明確な損害が発生することが予見できる場合には、当該入店拒否に違法性が生じる可能性は否定できません。通常、飲食店が入店拒否や出入り禁止を通告することは、会員制でもない限り考えにくいとは思いますが、食事はくつろぎのひとときでもあるものです。入店拒否や出入り禁止を通告されてまで飲食しても気持ちがくつろぐことはありません。そんな場合は気持ちを切り替えて他のお店を開拓してみてはいかがでしょうか。 *記事監修弁護士: 大達 一賢(エジソン法律事務所。第一東京弁護士会所属。「強い、やさしさ。」、「守る≒攻める」、「戦略&リーガル」の3つの思いを胸に、依頼者のために全力を尽くします)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*marucyan / PIXTA(ピクスタ)
2017年03月27日19日から春の選抜高校野球が開幕。WBCが盛り上がっていただけに若干陰の薄い今大会ですが、清宮幸太郎選手など能力の高い選手が目白押しということもあり、多くの人が観戦しているようです。試合を見ていると目に入ってくるのが、坊主頭の選手たち。一部の高校を除くと、ほぼすべての高校が坊主または“スポーツ刈り”です。これは髪を短くすることが入部条件となっていることが多いためで、大抵の場合、納得いかなくとも野球を続けたいのなら、同意するしかないようです。しかし、本来ならば野球に髪型は関係ないわけですから、長髪でもかまわないはず。仮に「坊主頭に同意したけどやっぱりやめた」と髪を伸ばした場合、強制的に退部させられるもの思われます。このようなことが起こった場合、提訴することはできるのでしょうか?水田法律事務所の河野晃弁護士に見解を伺いました。 Q.野球部の指導者から丸刈りを強制され、拒否して退部させられた場合、提訴することは可能?*画像はイメージです:できると思われます。「権利、利益が対立する場合、裁判所が考慮するのは、“目的と制度の間に合理的な関連性があるかどうか”というところだと思います。この場合、“制度(=丸刈り)”がどういう“目的”で行われているのかというところが重要でしょう。野球をするのに丸刈りにする合理的な根拠は無いように思います。野球界の最高峰であるプロ野球は丸刈りを強制していません。理由があるならむしろ教えて欲しいですね。まぁ、あり得るとしたら、分かりやすい恭順の意を示せということなんでしょうか。高校野球では大人の野球以上に遥かに監督が絶対的です。監督に逆らうような選手は試合に使ってもらえません。それを事前に植え付けるための手段なのかなとは思います。あとは、チームとしての一体感でしょうか。『俺は丸刈りにしているのにあいつはしていない』みたいな感じにならないために統一しているのかもしれませんね。ただ、どれも、法的な合理的関連性が認められる可能性は低いように思います。法律で解決をするということになれば、丸刈りが強制された経緯(最初から分かっていて入部したのか、途中から強制になったのか等)も重要だとは思いますが、丸刈り拒否で退部となったという経緯が明確に立証できるのであれば、勝てる可能性はあると思います。ただ、そもそもですが、そんな裁判などで学校と争っているうちにかけがえのない時間はどんどん失われていくのも現実ですが……。ちなみに、私は小学校から高校まで野球部でしたが、丸刈りにしたのは高校3年生の最後の大会前だけでしたね。そもそも、中学、高校は丸刈りを強制されてません。小学校の時は“スポーツ刈り”が推奨されていましたが、少しそんな髪型にして、後々徐々に伸ばしていったような気がします。特に辞めさせられたり試合に出させてもらえなかったりという思い出はありません。結局、実力さえあれば、だいたいの監督は使ってくれるんですよね。そのチームで、その監督のもとで、野球がしたいということで入部したのであれば、後から丸刈り云々で文句言うような人っていませんよね。最初から分かって入ったのであればなおさらです。髪の毛なんてそのうち生えてきますし、本気で野球に打ち込みたかったら気にならないのではないでしょうか。少なくとも生徒は。騒ぐ親御さんはいらっしゃるかもしれませんが」(河野弁護士) 現実的に「坊主に同意したうえで途中から長髪にする」場合は退部せざるを得ないと思われます。しかし、不服として提訴した場合、勝てる可能性もあるようです。実際のところそのようなことをする球児はまずいないと思われますが、「坊主頭の強制」については、不満に思っている野球部員も少なからず存在していると聞きます。また、高い能力を持ちながら坊主になることが嫌で野球をやらないという高校生もいるようです。球児の「坊主」については「高校生らしい」「坊主に同意できない人間はチームスポーツができない」という意見と、「強制はおかしい」「自主性に任せるべき」という声があり、つねに意見が対立しています。読者の皆さんは、どのように考えているでしょうか? *取材協力弁護士:河野晃 (水田法律事務所。兵庫県姫路市にて活動をしており、弁護士生活7年目を迎える。敷居が低く気軽に相談できる弁護士を目指している。)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*KOHEI 41 / PIXTA(ピクスタ)
2017年03月25日*画像はイメージです:今月21日東京都心でソメイヨシノが開花したとの発表が気象庁よりありました。春のお楽しみである、花見。気の置けない仲間や、職場の人々と綺麗な桜を見ながら酒を飲む。日本独特の文化です。そんな花見の計画を立てている人も多いのではないでしょうか。 ■楽しい花見が…場所取りをめぐってトラブルも楽しいイベントである一方、毎年トラブルが発生しています。昨年、横浜市の企業が公園の8割をブルーシートで覆ったうえ、「この時間以外はご自由にお使いください」などと書いた張り紙を掲示し、5日間に渡り場所取りをしたことで、猛批判を浴びました。このほかにも企業や個人による過剰な「花見の場所取り」がたびたび問題になっています。本来なら人間の「良心の範囲内」で行われるべきことなのですが、残念ながら度を越した場所取りが横行しているようです。あまりにもおかしな場所取りを見かけた場合、法的に訴えたくなります。違法性を問えるような場所取り行為とはどのようなものなのでしょうか? ■違法になる場所取りは?まず違法性を判断するうえで肝となってくるのが、私有地か公有地かということ。当然ながら、私有地の場合は所有者の許可を得ない形で勝手に「花見をするから」といって場所をとるのは、所有者の権利を違法に侵害するもので、不法行為に基づく損害賠償(民法709条)の対象となるばかりでなく、建造物侵入罪(刑法130条)となる可能性もあります。次に公有地についてですが、こちらは管理者の意向がどのようなものかが鍵になってきます。管理者が一切の場所取り行為や花見を禁止している場合、それを破る形になる場所取りは違法となる可能性が高く、不法行為責任が生じ得ます。また、条例等で地域ごとに規制をしている場合には、刑事上の責任が生じる可能性もあります。一方、管理者が許可している場合は場所取り可能ということになりますが、社会常識を大きく逸脱していると思われる場合、違法性を問われることがあります。また、公園の場合は都市公園法で、「都市公園に公園施設以外の工作物その他の物件又は施設を設けて都市公園を占用しようとするときは、公園管理者の許可を受けなければならない」(都市公園法6条)と定められており、違反した場合は六月以下の懲役又は三十万円以下の罰金が課される可能性があります。いずれにしても社会的に見て常識外と感じられる行為は、法に触れる可能性があるということ。常識を持った場所取りをするよう心がけましょう。 *記事監修弁護士: 大達 一賢(エジソン法律事務所。第一東京弁護士会所属。「強い、やさしさ。」、「守る≒攻める」、「戦略&リーガル」の3つの思いを胸に、依頼者のために全力を尽くします)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*Natural Box / PIXTA(ピクスタ)
2017年03月22日関西ではおなじみの食べ物、たこ焼き。小麦粉で作られたアツアツの生地と、中に入ったタコの味が絶妙で、大阪名物となっています。当然ながらたこ焼きはタコが入っているのが大前提。客はそれを目当てに商品を購入するわけです。仮に入っていなければ、大問題に発展することでしょう。これはほかの料理にもいえることで、カツ丼にカツ入っていない、牛丼に牛肉が入っていないなど、メインである食材が入っているという認識でいるにもかかわらず欠落していれば、クレームの対象になります。もちろん、このようなことは少ないのですが。たこ焼きやハンバーガーなど、中に入っている物がポイントの料理では、稀に「入れ忘れ」が発生することがあります。そのよう場合は、当然返金を要求したいところですが、可能なのでしょうか? Q.たこ焼きの中にタコが入っていない!この場合返金できますか?*画像はイメージです:食べていなければ返金してもらうことができます。たこ焼きはタコが入っていることを前提として販売しており、入れる義務があるといえます。入っていない状態で販売することは、この義務に反することになり、民法415条の債務不履行責任を負うことになります。当該たこ焼きを食べていない状態で返金請求された場合は、店側は素直に応じなければなりません。ただし、既にたこ焼きを食べてしまった場合はタコが入っていないことを「了承」したことになりますので、返金義務は消滅します。実際のところ、たこ焼きのなかにタコが入っているか否かは食べなければわからないわけですから、返金を要求するケースは極めて少ないと思われます。事実上、無理と言ってもいいかもしれません。仮にタコを大々的にウリとして宣伝しておきながら入れてない場合は、景品表示法になる可能性もありますが、こちらも労力などを考えると、面倒な作業です。「泣き寝入りしたくない」という強い意志が必要になりそうですね。 *記事監修弁護士:星野宏明(星野法律事務所。不貞による慰謝料請求、外国人の離婚事件、国際案件、中国法務、中小企業の法律相談、ペット訴訟等が専門。)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*masa44 / PIXTA(ピクスタ)
2017年03月21日イギリスのパフォーム・グループが運営するスポーツ動画配信サービス『DAZN(ダ・ゾーン)』。全世界の様々なスポーツをネットで閲覧することができるため、高い人気持ちます。同社は、昨年約2,100億円を投資して明治安田生命Jリーグと10年間の放送契約を締結。これまで試合を放映してきた『スカパー!』が同リーグの中継を断念したため、ファンにとっては重要な観戦ツールとなりました。2月26日、ついに明治安田生命Jリーグが開幕。有料契約者たちが、DAZN(ダ・ゾーン)で試合を見ようとアクセス。お金を支払っているわけですから、「視聴できて当然」なのですが、出てきた動画はカクカクで、止まることも多々。有料契約者たちは一様に「酷すぎる」と、怒りの声をあげ、炎上状態になりました。のちにDAZN側は記者会見を開き謝罪するとともに、技術的な問題が発生していたことを公表。今後は「万全の体制を期す」としています。しかし、ファンとしては1度あったことは2度あるのではないかと勘ぐってしまいます。仮に開幕戦のようなことがあれば、損害賠償請求などを検討したいところです。動画配信サイトが料金を徴収したにもかかわらず、内部の問題で配信できなかった。このような場合損害賠償請求をすることはできるのでしょうか?エジソン法律事務所の大達一賢弁護士に見解をお伺いしました。Q.有料のストリーミング中継がカクカクでまともに見られない!賠償を請求することはできますか?*画像はイメージです:ケース・バイ・ケースですが、配信者側に問題があったことに起因するトラブルなら請求できる可能性があります。「最近は、テレビだけでなくインターネットでも様々な番組を見ることができるようになり、動画配信業者もどんどん増えてきました。この記事を読んでいる方の中にも、インターネットで配信される番組をよく見ている、という人もいるはず。そして、それらの動画配信サイトは、有料会員になると快適に動画を見ることができる、という場合が多いように思われます。しかし、有料会員となり、お金を払ったのにもかかわらず動画をまったく快適に見られない場合、有料会員は動画配信業者に対して損害賠償をすることは可能なのでしょうか。今回のような場合、視聴者である有料会員と配信業者との間には、視聴者は「会員が一定の金銭を支払う義務」を負い、配信業者は「動画を配信する義務」を負うという内容の契約が成立しています。そして、この「動画を配信する義務」の具体的内容として、同契約上、通常想定しうる程度の通信環境が整っている場合には、配信を会員が快適に見ることのできるようにすることも含まれるものと考えられます。配信業者がそもそも配信をしていない場合は当然ながら、仮に配信をしていたとしても、一般の視聴者が準備をするのが困難なほどに高度な環境じゃないと見られないといった場合には、配信業者は債務不履行責任(民法415条)として、損害賠償をする責任を負うことになりますが、そうではなく、原因が会員側にある場合には責任を認めるのは難しいことになると思います。なお、仮に業者側に責任が認められる場合、その損害額は、原則として動画を快適に見られなかった期間に応じて決まることになると思われます。例えば月会費制の場合、月会費を1ヶ月分の日数として30で割り、その数字に見られなかった期間の日数分を乗じた金額、というように決められることが多いでしょう。ただし、その時にその番組を見ることに意味があり、その番組を見るために有料会員登録した、という事情がある場合において、配信業者がそれを知り、又は知ることができたといえるような場合には、例外的に、月会費分に加え、慰謝料を請求することができる可能性もあるかもしれません。また、視聴者が、配信業者に対して改善を求めたにもかかわらず、動画環境が改善されない場合には、損害賠償に加え、契約を解除することもできます(民法541条、545条3項)。ただし、同時にストリーミング中継の配信を受けるには、業者が推奨する環境が指定されているのが通常で、その環境がよほど高度なものではなく、会員側にとって容易に準備できるようなものであれば、それが準備できていない場合などが規約上免責されると定められている場合も少なくありません。 では、そのような規約の有効性が次に問題となりますが、規約自体が全くの不合理であって公序良俗違反(民法第90条)として無効になったり、消費者契約法に違反したりしない限りは、原則として有効といえそうです。インターネット動画配信の市場が年々大きくなっています。ユーチューバーがひとつの仕事として確立したり、テレビ番組のオンデマンド配信が始まったり、大手メディアでは取り上げられないような話題も、ネット動画配信だからこそ世の中に知らせる機会ができるなど、その広がりはまさに無限大。近頃では弁護士もYouTubeを利用して広告を行っている例も珍しくありません。このように、インターネット動画配信の市場が広がっていることもあり、このようなトラブルも今後増えていくことも考えられますが、配信業者と視聴者が良い関係を築き、より進んだ技術の進歩が得られるように、これからの市場の広がりに期待したいところです」(大達弁護士) まだまだ法整備が進んでいない分野といえるだけに、様々な見解があるでしょうが、やはり運営側のトラブルで配信できない場合は、債務不履行責任が発生する可能性が高いようです。頭の片隅に入れておくべきかもしれません。ただし自身の環境不全が原因である場合は、無効です。このあたりが争点となりそうですね。 *取材対応弁護士: 大達 一賢(エジソン法律事務所。第一東京弁護士会所属。「強い、やさしさ。」、「守る≒攻める」、「戦略&リーガル」の3つの思いを胸に、依頼者のために全力を尽くします)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*nito / PIXTA(ピクスタ)
2017年03月20日3月7日、関西地方の不動産会社に勤務する女性が、物件を紹介する動画の音声を消えているものと勘違いし、男性を誹謗するような会話が入ったままYouTubeにアップロードされる事案が発生。さらに他の動画でも卑猥な発言や私的な会話、さらに放屁などが録音されていたうえ、物件に対する乱雑な振る舞いが「不動産会社社員にふさわしくない行動」と批判を受けています。この社員がどうなったのかは不明ですが、一部では解雇されてしまったのではないかとの噂があります。「ウッカリ」の代償は、かなり大きなものになってしまいました。*画像はイメージです:■ネットでの誹謗中傷は少なくない最近はニコニコ生放送やツイキャス、ふわっちなど自ら動画を配信することが容易になる世の中になりました。それに比例して、動画内で第三者を誹謗中傷する、馬鹿にするなどの事案が発生することが多くなり、警察が出動する事態に至るケースもあります。また、SNSでも嫌な思いをしている人は多いと聞きます。いわれなき誹謗中傷や、過激な悪口など、匿名性が担保されているサイトほどそのような光景を目にします。そのような書き込みには慰謝料の請求や名誉毀損罪での提訴を検討したいところです。しかし、匿名性が高いネット社会でそのようなことは可能なのでしょうか? ■匿名性の高いネット社会で誹謗中傷者を訴えることは可能なのか?まず慰謝料の獲得についてですが、目に余る名誉毀損や悪口を書き込んだ者については、プロバイダ責任制限法を活用することで、情報の開示を求めることができます。ただ、実際に書き込んだ者を特定するためには、まずサイト運営者にIPアドレスの開示を求め、それにより判明するプロバイダに対して契約者の情報を求めなければならず、しかもログの保存期間は書込みから3~6か月程度のため、迅速に動くことが求められるなど、ハードルは低くありません。書込みをした者の情報を得ることができれば、慰謝料を請求することができます。相手が素直に支払わない場合には、裁判を起こすことになるでしょう。なお情報の開示を求める場合は、そのURL、動画、書き込みのスクリーンショットなど証拠が必要となりますので保存しておきましょう。 ■削除依頼に応じない場合は……動画や書き込みの削除については、運営者に通報することが基本的な対応です。その際、単に通知をするだけでは対応してくれないことが一般的であり、自分の権利が侵害されたということのきちんとした説明と、本人確認書類を送ることが必要です。本人確認書類は、免許証やパスポートの写し、印鑑証明書などが想定されています。なお、自分で対応することが難しいと考えた場合などは、法務局が削除の対応や、場合によっては開示請求についても援助してくれることがあるので、相談してみるとよいでしょう。悪質な書き込みに悩んでいる方は、弁護士に相談するとともに、法務省の人権擁護機関への相談も検討してみましょう。 *記事監修弁護士:清水陽平(法律事務所アルシエン。インターネット上でされる誹謗中傷への対策、炎上対策のほか、名誉・プライバシー関連訴訟などに対応。)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*poosan / PIXTA(ピクスタ)
2017年03月19日3月9日、プロ野球阪神タイガースの福留孝介選手が、春季キャンプ中に若い女性と不倫行為に及んでいたことが判明。チームを引っ張る主将の不貞に、批判が噴出しています。このほかにも昨年からベッキー、乙武洋匡氏、六代目三遊亭円楽など、不倫スキャンダルが頻発。芸能人やスポーツ選手は高所得であるだけに、異性関係も派手になるようです。倫理的に許される行為ではないのですが。一般社会でも職場で「明らかに不倫してるな」と感じることは多々あります。当人同士は楽しいでしょうが、見せつけられているほうは腹立たしく、「ブログやSNSで大ぴっらにばらしてやりたい」と思ってしまいます。不貞行為をしているのですから、それくらいやられて当然ですよね。しかし、そのような行為は後で訴えられる可能性があるというのです。本当なのでしょうか? Q.不倫をSNSで暴露したら後で訴えられる?*画像はイメージです:暴露したことによって家庭が壊れた場合、損害賠償を請求される恐れがあります当然ながら暴露するまで不倫していることを配偶者は知らない状況ですから、それが公になれば離婚に至ることでしょう。その場合、離婚原因は不倫をSNSで暴露したことにあるわけですから、離婚する夫婦それぞれから損害賠償を請求される可能性があります。不倫を知ったほうがいいのか、知らぬが仏のほうが幸せであるのかは意見が分かれるところですが、結果として離婚となった場合、暴露した側、つまり原因を作った人間が責任を問われてしまいます。少々納得がいかない気もしますが、これが現実のようです。倫理に反した行為を正す意味での行動なら、仮に損害賠償覚悟で暴露することもあるかと思います。しかし、その行為にリスクもあることは理解しておかなければなりませんね。 *記事監修弁護士:理崎智英(高島総合法律事務所。離婚、男女問題、遺産相続、借金問題(破産、民事再生等)を多数取り扱っている。)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*creativefamilly / PIXTA(ピクスタ)
2017年03月19日近頃はワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で盛り上がっていますね。侍ジャパンは土つかずの6連勝で準決勝進出を果たしました。先行きが気になっている方も多いのではないでしょうか?さて、3月7日に行われた、日本対キューバ戦で、山田哲人選手の放ったホームラン制の打球をレフトスタンドに居た観客の少年がグラブでキャッチし、妨害して二塁打にするという事案が発生しました。ネットでは子どもへのバッシングが展開され、素顔や住所が公開されてしまう事態に。山田選手が「次もグローブを持って来場してほしい」と呼びかけフォローしましたが、試合の勝敗を左右しかねない行為だっただけに、批判が根強いようです。今回のような「野球場の妨害行為」は稀に発生。かつてはグラウンドに観客が乱入したこともあります。その場合、乱入者はどのような罪に問われるのでしょうか? Q.野球場に乱入して試合を妨害…この場合罪になる?*画像はイメージです:威力業務妨害罪に問われる可能性があります野球のゲームの進行を妨害するような行為については、威力業務妨害罪に問われる可能性があります。1990年、スパイダーマンのような格好をした男が広島市民球場のバックネットに登り、「巨人軍ハ永久ニ不潔デス」などと書かれた垂れ幕を掲示する事件がありましたが、この男は威力業務妨害罪で現行犯逮捕されたうえ略式起訴され、罰金20万円の刑事処分を受けています。かつては誤審に憤った観客がグランドに降りて抗議するなどの行為もありましたが、現在はそのような光景を見ることもは少なくなりました。このような行為は一般的に、抗議の仕方によっては、威力業務妨害罪が成立する可能性がありました。乱闘騒ぎになれば、暴行罪が成立する可能性もあったといえます。最近は、ネットで写真が拡散される危険性が高い影響からか、このようなシーンは見ることが少なくなりました。ただし、今回のケースについて威力業務妨害罪が成立することはないでしょう。野球のゲームの進行そのものを妨害したわけではないですし、なにより、この子どもには、ゲームの進行を妨害する意思(故意)がないからです。また、余談になりますが、14歳未満の子は「刑事未成年者」に該当し、仮に犯罪行為を行った場合でも処罰されません。とはいえ、先ほどのスパイダーマンのケースのように、興行の進行を妨げる行為を行えば、場合によっては、威力業務妨害罪に問われる可能性があるということを忘れないようにしてもらいたいと思います。 *記事監修弁護士:寺林智栄(ともえ法律事務所。法テラス、琥珀法律事務所を経て、2014年10月22日、ともえ法律事務所を開業。安心できる日常生活を守るお手伝いをすべく、頑張ります。)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*うさぴょん太郎 / PIXTA(ピクスタ)
2017年03月18日昼はだいぶ暖かくなってきたものの、夜はまだまだ寒い3月末。こんな季節は、熱燗を飲んで温まり寝たいところですね。3月は別れの季節だけに、学生から社会人になる、転勤で環境が変わる人が多くなる時期。また、これから花見も開催されるだけに、飲み会の機会も増えてくることでしょう。なかには楽しさのあまり我を忘れ、気がづいたら道路で寝ていたなどという人もいると聞きます。そのようなことを「武勇伝」として得意気に語る人も居るのですが、実はこれ、道路交通法違反らしいのです。本当でしょうか? Q.道路で寝てしまったら道路交通法違反になりますか?*画像はイメージです:なります道路交通法第七十六条に何人も、次の各号に掲げる行為は、してはならない。一道路において、酒に酔つて交通の妨害となるような程度にふらつくこと。二道路において、交通の妨害となるような方法で寝そべり、すわり、しやがみ、又は立ちどまつていること。三交通のひんぱんな道路において、球戯をし、ローラー・スケートをし、又はこれらに類する行為をすること。四石、ガラスびん、金属片その他道路上の人若しくは車両等を損傷するおそれのある物件を投げ、又は発射すること。五前号に掲げるもののほか、道路において進行中の車両等から物件を投げること。六道路において進行中の自動車、トロリーバス又は路面電車に飛び乗り、若しくはこれらから飛び降り、又はこれらに外からつかまること。七前各号に掲げるもののほか、道路又は交通の状況により、公安委員会が、道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく交通の妨害となるおそれがあると認めて定めた行為と規定されています。道路で寝そべることは、二に該当するため道路交通法違反になります。罰則は5万円以下の罰金が定められています。酒を飲んで道路で寝るのは武勇伝ではなく、犯罪であることを忘れないでください。 *記事監修弁護士:河野晃 (水田法律事務所。兵庫県姫路市にて活動をしており、弁護士生活7年目を迎える。敷居が低く気軽に相談できる弁護士を目指している。)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*Rina / PIXTA(ピクスタ)
2017年03月16日タレントの小倉優子さんが、浮気が発覚していたヘアメークアーティストの夫と離婚したことが判明。「話し合いによる円満離婚」とされていますが、実際のところは元夫の「浮気グセ」に辟易したためといわれています。夫婦の問題は当事者2人しかわからないもので、それぞれにそれぞれの「離婚理由」があります。ギャンブル癖、借金、酒癖、性格の不一致。様々な理由で結婚生活にピリオドを打っています。そんな離婚理由のなかで、微妙なラインになってくるのが配偶者の前科。まったく過去を知らずに結婚してみたら、あとで前科があったことがわかった。この場合、本来なら「それでも一緒に生きていく」事を選ぶべきであると思われますが、なかには「別れたい」と考える人もいるようです。少々自分勝手な行為にも思えるだけに、離婚理由として認められるのかどうか、微妙なラインです。法律はどうなっているのでしょうか?離婚問題に詳しい高島総合法律事務所の理崎智英弁護士に見解を伺いました。 Q.配偶者がじつは前科持ちだった…離婚理由として認められる?*画像はイメージです:ケース・バイ・ケースだが、殺人など重大事件なら認められる可能性が高い「まず、配偶者のどちらかが離婚に反対している場合、一方配偶者から他方配偶者に対する離婚請求が認められる場合には、“婚姻を継続し難い重大な事由”(民法770条1項5号)が必要です。そのため、本件でも、夫が離婚に反対した場合、妻からの離婚請求が認められるためには、夫に前科があることが“婚姻を継続し難い重大な事由”に該当する必要があります。さて、夫に前科があることが判明した場合、妻としてはショックでしょうが、前科があるというだけでは、婚姻関係を継続し難い重大な事由にはストレートには言えません。前科といっても様々なので、たとえば、交通違反の罰金刑も前科ですが、交通違反の罰金刑を受けた人とは結婚したくないということが社会一般の共通認識とまではいえないと思いますので、婚姻を継続し難い重大な事由は認められないと考えます。逆に、殺人等の重大犯罪で長期間刑務所に服役していたような場合には、結婚前にそのような事実を知っていれば結婚しなかったでしょうし、そのような人とは結婚しないことが社会一般の共通認識ともいえますので、婚姻を継続し難い重大な事由に当たると考えます」(理崎弁護士) ケース・バイ・ケースですが、その前科が一般的にみて「婚姻関係を継続し難い重大な事由」に当たるかどうかが判断基準になるとのこと。重大犯罪を隠して結婚していた場合は、それに該当するため離婚自由として認められるようです。 *取材協力弁護士 理崎智英(高島総合法律事務所。離婚、男女問題、遺産相続、借金問題(破産、民事再生等)を多数取り扱っている。)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*タカス / PIXTA(ピクスタ)
2017年03月09日最近は徐々に暖かくなっており、春はもうすぐそこまで来ているようです。窓を閉め切り暖房をつけ走行していた自動車も、温暖な日は窓を開けて外気をいれながら走行することが増えてきました。目的地に到着し、車から降りたとき、つい窓を開けっ放しで出てしまった。盗難の可能性があるため、かなり危険な行為ですから、このようなことはほとんどないと思われます。しかし、人間ですからそのようなこともたまにはあるでしょう。そんな「ウッカリ」が違法になるらしいのです。「窓を開けて駐車するだけで違法」とはにわかに信じられませんが、本当なのでしょうか?エジソン法律事務所の大達一賢弁護士に見解をお伺いしました。Q.駐車時に窓を開けっぱなしにして車を離れたら違法になる場合があるって本当ですか?*画像はイメージです:本当です。「暑い時期や空気の入れ替えのために窓を開けて自動車を運転したことのある人は多いのではないでしょうか。そんなとき、ちょっとした用事を済ませるために車から離れる場合に、窓を閉め忘れていた、なんて人も少なくないはず。しかし、実は、窓の閉め忘れは道路交通法に違反する可能性があるのです。道路交通法第71条は“運転者の遵守事項”について規定しており、同条第5号の2は、『自動車又は原動機付自転車を離れるときは、その車両の装置に応じ、その車両が他人に無断で運転されることがないようにするため必要な措置を講ずること』としています。つまり、“他人が勝手に運転しないように、車から離れるときには施錠や防犯対策をしっかりしなさい”ということです。今回のように窓を閉め忘れただけの場合には、基本的には他人が運転する危険がそこまで大きいとはいえませんが、キーを社内に残している場合やキーレス自動車で何らかの操作方法によりエンジンが始動できるような場合にはある程度の危険があるといえそうです。なお、この義務に違反したからといって、罰則や行政処分を受けることはありません。しかし、車上荒らしに遭う危険性や車そのものを盗まれる危険性がある上、その車で事故を起こされた場合には、民事上の損害賠償責任を負う可能性もあります。春も近く、心も軽やかでオープンになりがちですが、自宅も自動車も戸締りはしっかりと。思いがけない出費を余儀なくされないためにも、窓の閉め忘れには十分注意しましょう」(大達弁護士) 窓の閉め忘れは犯罪や余計な出費を招きかねませんから、しっかりと閉めるようにしておきたいですね。 *取材対応弁護士: 大達 一賢(エジソン法律事務所。第一東京弁護士会所属。「強い、やさしさ。」、「守る≒攻める」、「戦略&リーガル」の3つの思いを胸に、依頼者のために全力を尽くします)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*sabmix / PIXTA(ピクスタ)
2017年03月08日大学生や高校を卒業する皆さんのなかには、この春休みに教習所に通い自動車運転免許を取得した人もいることでしょう。一昔前は教習所の教官が生徒に怒鳴りつけることもあったようですが、最近は少子化の影響もありかなり優しくなっているそうです。「怖い教官」に怯えた世代にとっては、少々驚いてしまいますね。さて、今回は、運転免許取得後1年間は付ける必要がある「初心者マーク」について触れてみたいと思います。*画像はイメージです:■初心者マークは新米ドライバーの義務免許をとったら、いよいよ公道へ。その場合、1年間は必ず車に初心者マークをつけることになります。これは道路交通法第71条の5に定められている「義務」。つけない場合は違反となります。(初心運転者標識等の表示義務)第71条の5第1項第84条第3項の普通自動車免許を受けた者で、当該普通自動車免許を受けていた期間(当該免許の効力が停止されていた期間を除く。)が通算して1年に達しないもの(当該免許を受けた日前6月以内に普通自動車免許を受けていたことがある者その他の者で政令で定めるものを除く。)は、内閣府令で定めるところにより普通自動車の前面及び後面に内閣府令で定める様式の標識を付けないで普通自動車を運転してはならない。そして、この義務に違反した場合には、2万円以下の罰金又は科料に処される可能性があり、わざと付けなかった場合だけでなく、付け忘れていた場合であっても同様に、2万円以下の罰金又は科料に処される可能性があります。ただし、違反切符を切られた場合に、反則金を納付すれば、刑事処分はされません。なお、違反点数として1点が加算されます。ちなみに、初心者マークをつけている自動車に対して危険を防止する目的以外での煽り行為や幅寄せなどを行った場合は、初心運転者等保護義務違反になり、5万円以下の罰金に処される可能性があります。ただし、違反切符を切られた場合に、反則金を納付すれば、刑事処分は科されません。なお、表示義務違反の場合と同様、違反点数1点が加算されます。 ■初心者マークを1年以上つけていたらどうなる?通常初心者マークは1年で外すものですが、運転に自信がない場合は保護を受ける意味で「もう少しつけておきたいな」と思うもの。はたして、可能なのでしょうか?答えはYES。初心者マークの年数に制限はありませんので、つけることは可能です。しかし、運転者が1年以上の経験を持っているため、保護義務は発生しません。実際のところ周りを走る自動車は初心者マークをつける運転者が「じつは1年以上運転している人」であるかどうかを判断することは不可能に近いと思われますから、運転に不安を覚えている人は1年以上初心者マークをつけておいたほうがいいかもしれませんね。 *監修弁護士: 大達 一賢(エジソン法律事務所。第一東京弁護士会所属。「強い、やさしさ。」、「守る≒攻める」、「戦略&リーガル」の3つの思いを胸に、依頼者のために全力を尽くします)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*Satoshi KOHNO / PIXTA(ピクスタ)
2017年03月07日近隣トラブルには様々なものがありますが、その代表格がマンションなどでの生活音のダダ漏れ。「夜にもかかわらず年中ドタドタと足を踏み鳴らす」「真夜中に大音量で音楽をかける」など、多種多様なケースを見聞します。ご存知の通り「音がうるさい」ということを発端としたトラブルが殺人事件を引き起こしたこともあります。賃貸マンションなら最悪引越しも考えられますが、分譲マンションの場合は、なかなかそうもいきません。このようなとき、法律的に加害者を強制退去させることはできないのでしょうか?和田金法律事務所の渡邊寛弁護士に見解を伺いました。 Q.分譲マンションに住む隣人の騒音が激しい場合、被害者側から強制退去させることはできる?*画像はイメージです:生活騒音の場合は、退去を求めることまではできません。「マンションの他の入居者の騒音被害が改善されない場合、損害賠償請求や差止請求が考えられます。裁判では、騒音の態様や程度(音の種類、大きさ、時間帯、頻度、継続性など)、騒音防止の措置の有無や内容、マンションの遮音性能などの事情を総合的に考慮して、一般人を基準に、騒音が社会生活上の受忍限度を超えるものであるかどうかによって判断されます。過去の裁判で慰謝料請求が認められたものとして、階上の住戸の子どもの騒音の事案で原告1人当たり30万円の慰謝料を認めた裁判例(東京地裁平成24年3月15日判決、東京地裁平成19年10月3日判決)、階上の住戸のフローリング床への変更による生活騒音の事案で原告1人当たり75万円の慰謝料を認めた裁判例(東京地裁八王子支部平成8年7月30日判決)があります。差止請求の対象は、部屋の使用ではなく、騒音の発生ですが、損害賠償請求よりもハードルは高いです。分譲マンションについては、建物区分所有法という法律があり、所有者の“共同の利益に反する行為”があったときは、管理組合が同法に基づいて使用禁止や競売を請求できることがあります。もっとも、他の方法で効果が望めないときの請求であり、一般的な生活騒音の場合は“共同の利益に反する”とまでは言い難いため、まず認められないと考えられます。騒音被害で競売請求が認められた裁判例もありますが(東京地裁平成17年9月13日判決)、昼夜を問わず騒音・振動・叫び声等を発生させるなどの著しい迷惑行為があった極端な事案です」(渡邊弁護士)損害賠償を請求することはできますが、退去を求めることはほぼ不可能であるようです。筆者もマンションの騒音問題で悩んだ経験があるのですが、問題解消の糸口がなかなか見つからず、ノイローゼ気味になりました。引越しというわけにもいかないという方は、弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。 *取材協力弁護士: 渡邊寛 (和田金法律事務所代表。2004年弁護士登録。東京築地を拠点に、M&A等の企業法務のほか、個人一般民事事件、刑事事件も扱う。)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*kojikoji / PIXTA(ピクスタ)
2017年03月06日最近はスポーツ会場にカメラを持って登場し、パシャパシャと撮影している一般人をよく目にします。そのような人たちはたいていTwitterやブログなどのWeb媒体に画像をアップしています。スポーツやライブの写真で気になるのが、選手の後ろに写っている観客の顔。丁寧にモザイクをかける人も多くなってきていますが、未処理のまま投稿している人もいます。この場合、肖像権を侵害しているように思えます。また、スポーツ選手や芸能人についてもプレーや舞台裏のオフショットを勝手に撮られてアップロードされることがあり、不愉快に思っている人もいるそうです。このような行為は法律的に見てどうなのでしょうか?銀座ウィザード法律事務所の小野智彦弁護士に見解を伺いました。 Q.スポーツの観戦中の観客や選手のオフショット写真をSNSに勝手にアップ…肖像権の侵害では?*画像はイメージです:観客については一定の要件を満たせば肖像権の侵害にはなりません。有名人については、パブリシティ権があり、これを侵害する可能性があります。「以下の法律が該当します。(付随対象著作物の利用)著作権法第30条の2 写真の撮影、録音又は録画(以下この項において「写真の撮影等」という。)の方法によつて著作物を創作するに当たつて、当該著作物(以下この条において「写真等著作物」という。)に係る写真の撮影等の対象とする事物又は音から分離することが困難であるため付随して対象となる事物又は音に係る他の著作物(当該写真等著作物における軽微な構成部分となるものに限る。以下この条において「付随対象著作物」という。)は、当該創作に伴つて複製又は翻案することができる。ただし、当該付随対象著作物の種類及び用途並びに当該複製又は翻案の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。2 前項の規定により複製又は翻案された付随対象著作物は、同項に規定する写真等著作物の利用に伴つて利用することができる。ただし、当該付随対象著作物の種類及び用途並びに当該利用の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。つまり①写り込んだ他人の「著作物」を分離することが困難であること(分離困難性)②写り込んだ他人の「著作物」が、作成する写真や動画等への影響が軽微(軽い)であること(軽微性)③写り込んだ他人の「著作物」の著作権者の利益を不当に害しないこと(利益不侵害性)これらの要件を満たせば、肖像権侵害にはならないということになります。芸能人やスポーツ選手の場合は、肖像権とは別に、その肖像自体に“顧客吸引力”があり、財産的価値があります。これは、“パブリシティ権”と言い、判例でも認められているものです。したがって、こういう方達の肖像を勝手に使うことは、パブリシティ権の侵害となり、莫大な損害賠償請求をされることがありえます」(小野弁護士) 一般人については要件を満たせば肖像権侵害にはならないようですが、有名人の場合はパブリシティ権の侵害と判断される場合があるようです。そのあたりを留意しながら、ネットに画像をアップしてください。 *取材協力弁護士:弁護士 小野智彦(銀座ウィザード法律事務所。浜松市出身。エンターテイメント法、離婚、相続、交通事故、少年事件を得意とする。)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*den-sen / PIXTA(ピクスタ)
2017年03月03日2月20日、週刊誌上に某政党代表の母親に関する「犬のフン」に関する記事が公開され、話題となっていることをご存知でしょうか。この母親が犬のリードを放し、ご近所さんの家で立ち話をしていたところ、その犬がフンをしたそう。本来なら飼い主が速やかに片付けるものですが、その様子を見た彼女はそのまま立ち去ろうとしたとのこと。話をしていた女性が呼び止めて掃除をさせたそうですが、同じようなことが2回も起きたそうで、抗議を入れたものの、埒が明かないようです。あくまでも真偽は不明ですが、「フンを放置する」という行為は飼い主として失格です。もちろん愛犬家の皆さんはマナーを守っていると思いますが、仮に「自分の家にフンを放置する犬の飼い主」がわかっている場合、処罰させることはできないのでしょうか?銀座ウィザード法律事務所の小野智彦弁護士に見解を伺いました。 Q.犬の散歩中自分の家の前にかならずフンをさせ始末しない人がいる……処罰できませんか? A.できます。「各種法律で処罰規定があります。軽犯罪法では、公共の利益に反してみだりにごみ、鳥獣の死体その他の汚物または廃物を棄てたものを拘留または科料で処罰できると規定され、 犬のフンは“その他の汚物”とみなされることになります。廃棄物処理法では、 ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、フン尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であって、固形状又は液状のものを廃棄物と定義し、それを不法投棄すると5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金となっています。犬のフンはこの“廃棄物”に含まれることになります。自治体によっては、条例で犬の飼育に関する規制を設けている場合がありますので、ご注意ください」(小野弁護士) 軽犯罪法や廃棄物処理法、そして自治体によっては条例違反に問われることもあるようです。飼い犬がフンをした場合は、必ず片付けるようにしましょう。 *取材協力弁護士:弁護士 小野智彦(銀座ウィザード法律事務所。浜松市出身。エンターテイメント法、離婚、相続、交通事故、少年事件を得意とする)*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。期待に応えられるライターを目指し日々奮闘中)【画像】イメージです*jyugem / PIXTA(ピクスタ)
2017年02月28日