好きな彼に「うっとおしい」と思われていたら、ショックすぎますよね……。男性は女性の何から、重さやしつこさなどを感じるのでしょうか。それは「好意がダダ漏れだから」とは限らない様子。そこで今回は、男性に「うっとおしい」と感じさせる言動を、聞いてきました。■ 行動を詮索する「友達と飲んできたって言っただけで『どこで?』『誰と?』『それって女もいた?』『二人だけ?』と質問責めにしてくる彼女。浮気でも疑われてるのかと思えば、それはないって言うんだけど……。友達と遊んでても、また彼女にしつこく尋問されるのかと思うと憂鬱。なんか自由がない気がします」(26歳・男性)浮気を疑うわけでもないのに、会わない間の彼の行動は把握しないと気が済まない、という女性も結構いますよね。でも「飲みに行くな」「遊びに行くな」と禁止しているわけでもないのに、男性からは「重い女だな」と思われがちなんです。やましいことはないのに、「聞かれたらなんて答えようか」と気になってしまうのが男性。根掘り葉掘り聞かれて憂鬱、という気持ちがそのままうっとおしい気持ちに変わってしまうのでしょう。■ 自分の話ばかりする「私が、私は、って自分のことばっかり話している女性って重く感じますね。『私って、連絡がマメじゃない男子はダメな人だから』とか、知らないよ……。私のことはなんでも知って受け止めて!ってノリは、よっぽど好きな子じゃないとキツいです」(29歳・男性)自分の話ばかりで、私を知って!という女性を押し付けがましいと感じる男性は多いです。このタイプの女性は、男性の話を聞かなかったり、話をさえぎる傾向もあり、男性につまらない思いをさせがちなことも一因かも……。でも男性も好きな女性に対しては「俺は」「俺ってさ」と自己開示しまくるものです。そう考えると、女性の自分語りも、無意識のうちに「俺にはこたえられない好意」と受け取られているのかも知れません。■ 彼が察して動くことを望む「私がどこに行きたいか当ててとか、好きだったら私のほしいプレゼントわかるよね?とか、女性のそういうノリって重いんですよね。外すと機嫌悪くなるし。『自分のことはなんでもわかってもらってて当然』って感じが嫌ですね。そんなのわかんないよ」(32歳・男性)してほしいことや、ほしいプレゼントなど、彼が普段の自分を見ていて分かってくれて、サプライズでもしてくれたら最高!確かに素敵ですが、その期待は男性には嫌がられる様子。自分の気持ちや要望を口に出して、ダメだったらショックだから、彼から言い出してほしい。だから彼に任せる……そんな気持ちなのでしょうが。「ダメだった時も、なんで?って怒らないなら、どんどん希望を言ってほしい」と言う男性も多いですよ。察してもらうの待ちは、いいことなしと言えそうです……。■ 素直に口に出そう「彼に対して無言の圧をかける態度」は、男性に不評のようですよ。自分を知ってほしい、察してほしい、思い通りにしてほしい、そんな気持ちは、素直に口に出す方が二人の仲も深まるはず。(中野亜希/ライター)(愛カツ編集部)presented by愛カツ ()
2021年02月12日「子どもは好きだから」「1児を育てた経験があるから大丈夫」と思っていても、もしかしたら産後うつの一歩手前、さらには、すでに産後うつになっている可能性があります。他人事ではなく、少しでも辛いと思ったら周囲の人や専門家に頼ってほしいのが「産後うつ」です。 そもそも「産後うつ」とは?産後うつとは、出産後6〜8週の間に発症する「うつ病」のことをいいます。ここで間違えてはいけないのが、「出産後6〜8週の間に“発症する”うつ病」ということです。6〜8週の間に産後うつと“診断される”のが産後うつではありません。 疲れを感じていたとしても、育児をしているため仕方のないことだろうと頑張っているうちに病状が進み、重いうつ病になってしまうことは多々あります。もう産後から1年近く経っているから自分は産後うつではないだろうと思っていても、すでに発症しており、うつ病が進行している可能性もあるのです。 実際、2015〜16年に行われた国立成育医療研究センター調査では、産後1年未満に死亡した女性の死因で最も多いのが自殺という結果が出ており、要因が「産後うつ」であると考えられています。 誰でもなる可能性がある病気「うつ病」というのはよく聞く病気でありながらも、自分とは遠い存在であると思っている方も多いと思います。しかし誰でもなりうるのがこの病気です。今までの人生できっちりやってきたママが、赤ちゃんが思うように育児用ミルクを飲んでくれなかったり、夜泣きがひどかったりで困惑し、産後うつになってしまうこともよくあります。また、明るくくよくよしない性格だと自分も周囲も思っていた人がなってしまうこともあります。 「産後うつ」の恐ろしさとはうつ病の怖いところは、うつの状態かどうか本人はわからないことが多く、ただ頑張って疲れているだけと思っていたり、自分は思い込みやすい性格だと勘違いし、病気と認識せずに病いが進行してしまうところです。また、頑張り屋さんで、もともと前向きな性格な人ほど、周囲に自分の辛さを見せまいとし、また周囲もその人の変化に気づけず、うつを進行させてしまう場合もあります。 幸い「うつ病」であると気づくことができたとしても、非常に辛いのは、薬でラクになることはあっても完治しにくいこと、いつ治るか周りにも本人にもはっきりわからず、ただただ終わりの見えない辛い日々が続くことです。自分自身の存在価値をどうしても受け入れることができず命を絶ってしまうこともあります。 産後うつは、ホルモンのバランスや、こどもができたことによる大きな環境の変化によって起こります。繰り返しになりますが、誰にでもなりうる病気です。気分が沈む日が多い、疲労感・無気力感に囚われる、育児や家事に集中できない、望んだ赤ちゃんなのに愛おしく思えない、体が重く感じるなどがあれば、なるべく早く周囲や専門家に相談することをおすすめします。 【まずは相談してみてください】 ●よりそいホットライン(電話相談)0120-279-338(フリーダイヤル・無料)岩手県・宮城県・福島県からは0120-279-226(フリーダイヤル・無料) ●生きづらびっと(SNS 相談)LINEの友だち追加ID検索@yorisoi-chat(生きづらびっと)月曜日・火曜日・木曜日・金曜日・日曜日 17時から22時30分(22時まで受付)水曜日 11時から16時30分(16時まで受付) ●厚生労働省 相談先一覧 ●いのち支える相談窓口一覧(都道府県・政令指定都市別の相談窓口一覧) <参考>国立成育医療センター「人口動態統計(死亡・出生・死産)から見る妊娠中・産後の死亡の現状」著者:ライター メンタル心理カウンセラー・上級心理カウンセラー カトウ ヒロコメンタル心理カウンセラー・上級心理カウンセラー。また、フリーのWEBプロデューサー&ライターとして活動中。
2020年10月16日「コロナ禍のなか、ここ1〜2カ月で『うつ』になる人が増加している傾向がみえます。私が診察していても『うつ』と診断する方は確実に増えてきていて、その7割方が女性という印象です」こう話すのは、立教大学教授で精神科医の香山リカさん。緊急事態宣言が出された4月ごろにも「コロナうつ」の危険は指摘されていたが……。「緊急事態宣言のころは『感染したらどうしよう』という、新しい感染症への恐怖心や不安、一過性の心のパニックなどで受診する方が多かった。でも、ここ最近では、『うつ』の診断基準の当てはまる状態の方が、増えているんです」女優の竹内結子さん(享年40)が9月27日に亡くなった。警察庁発表「月別の自殺者数」では、今年8月の女性の自殺者数は’19年8月より40%もの急激な増加となっている。自殺とうつには深い関係があるという。「自殺された方の遺書などから。8割方はうつ病状態だったのではないかという研究報告もあります。多くの方が、もしも亡くなる前に診察できたのなら『うつ』と診断される状態だったということです」では、どんな人がうつになりやすいというのだろうか?「責任感が強く、人に頼れずなんでも自分で解決しようとする人、また、『自分は大丈夫、うつにならない』と思っている人こそ注意すべきです。なにかに失敗したとき、『自分のせいだ』と自分を責めやすい性格の人もそうですね。また『いまはみんなコロナで大変だから』と考えるような人は、カウンセリングや受診も遅れ、重症化してしまう恐れがあります」竹内さんは今年1月に第2子を出産したばかりだったことから、「産後うつ」の可能性も指摘されている。初産のときは大丈夫でも、2人目以降で発症することはあるのだろうか?「子どもの数が多くなることで、育児の負担が増えます。そして、人によっては、初産のときと比べてしまう。1人目の出産は無我夢中で必死だったけれど、2人目だとある程度、客観視する余裕が出てくるので、『ちゃんとできるはずなのに、こんなこともできない』と自己批判してしまう部分があるかもしれません」また、2人目の出産は、初産時よりは年齢が上がるため、身体的負担も大きいうえに、更年期障害と重なる可能性も出てくる。「出産でホルモンバランスが崩れるのに加え、40代にさしかかっての出産は、更年期障害の始まりの時期とも重なります。二重のストレスがかかってくる可能性がある」またアルコールにも注意が必要だ。特に、主婦の場合は台所でお酒を飲んでしまう“キッチンドリンカー”が危ないという。「キッチンでお酒を飲んでいると、家族は気付きにくく、飲んでいる頻度や酒量が把握しにくい。心のエネルギーが低下していると自制がききませんから、止める人がいなければ飲み続けてしまいます。しかし、精神的な不調をお酒で紛らわせていると、酔いが覚めたときに現実に戻り、不調がさらに悪化してしまう場合も。そんなときに自殺の危険が出てくるのです」因果関係は不明だが、竹内さんもキッチンでお酒を楽しんでいたことを、テレビで明かしている。『子どもが寝静まって「2〜3時間はボーッとできる」と思ったら、だいたい台所でお酒を飲んでいる。キッチンドリンカーは危ないよって言われるけど……』(’19年3月10日放送『ボクらの時代』フジテレビ系より)そんなうつ自殺を防ぐ、10の習慣を香山さんが教えてくれた。【1】「もっと頑張らないといけない」などと自分を責めない【2】何にもしない日を作る【3】ネガティブなことは「たまたま起きただけ」と片づける。原因を追求しない【4】コロナの感染拡大や有名人の相次ぐ死去に気分が落ち込んでいる人は、ニュースをチェックする時間を朝と夕にそれぞれ一度だけに限る【5】休みの日に資格の勉強などの自己研さんをやりすぎない【6】問題をお酒で解決しない【7】いま苦手な人でも「嫌いな人」と決めつけない【8】物事の「よい」「悪い」の判断をすぐしないで、とりあえず保留する【9】犬の飼い主同士の挨拶くらいはするなど、ちょっとした人付き合いの煩わしさは受け入れる【10】夜は寝ること。とにかく寝て、朝起きてから考える。日曜の夜は自殺が多いので要注意もっとも幸せそうなタイミングでも精神に不調をきたすこともあるのだという。「夜中にひとりで悩むのを何としても避けたいのはもちろんですが、竹内結子さんはご家族と同居している状況で、一家団らんしたあとに亡くなったと報道されています。日曜の夜にもっとも自殺が多いともいわれています。家族と暮らしている方も、単身の方も、夜、特に『週末の夜』には悩まないで、寝てしまうのがいいでしょう」「女性自身」2020年10月20日号 掲載
2020年10月09日先日、厚生労働省より「2019年人口動態統計(確定数)の概況」が公表されました。少子化に歯止めがかからず、2019年は「86万ショック」とも呼ぶべき状況であるとされています。その一方で、周産期死亡率、新生児死亡率、乳児死亡率、妊産婦死亡率などは低水準を推移し世界トップクラスとなっていますが、新たな問題も浮かび上がってきています。 妊産婦のメンタルヘルスが問題視されてきている2016年の日本産婦人科学会で、2005年~2014年の10年間に東京23区で63人の妊産婦さんが自殺によって亡くなっているという調査結果が報告されました。 うち40人が「産後1年未満」の方で、その6割の方がうつ病や統合失調症などを患い、病院に通っていたことがあり、そしてその半数の方が「産後うつ」だったとのことです。産後、自殺で亡くなった方の数は、産後の出血が原因で亡くなった方の約2倍です。 産後うつとは?産褥期に発症する精神障害を「産褥精神障害」あるいは「産褥精神病」と呼びます。産後うつ病は、産褥精神障害の大半を占める病気で、早ければ産後2週~4週間ごろに発症すると言われています。 産後3~10日のママが発症する「マタニティブルーズ」は産褥期の生理的な現象で、症状は産後2週間ほどで自然に治まると言われていますが、マタニティ・ブルーズが悪化し、産後うつ病に移行するケースも少なくありません。 産後うつ病のリスク因子として、・過去にうつ病を含む精神障害の病歴がある(非妊娠中・妊娠中)・妊娠や出産、育児に関する不安、ストレス、肉体的疲労・シングルマザー、10代のママ・妊娠37週未満の早産・多胎・赤ちゃんに深刻な疾患などがある・夫や周囲の協力が少ない・家族の病気や死別、お金の問題など・社会的サポートが乏しいなどが挙げられます。 日本産婦人科学会によると、産後ママの5~10%が産後うつ病になるとされています。また、米疾病予防管理センターによると、9人に1人のママが産後うつ病に陥ると報告されています。いずれにしても、産後うつ病は決して珍しい病気ではないのです。 産後うつ病の代表的な症状は、・いつもより涙もろくなった。少しのことで涙が出る・パパや周囲の人に対して、腹が立つことが多い・孤独な気持ちになることが多い・赤ちゃんを傷つけないか不安に思う・自分は“良い母親ではない”と感じてしまうなどがあります。自分に当てはまる点がないかチェックしてみましょう。 産後うつを予防するには? もし、産後うつになってしまったら?深刻な抑うつ状態に陥らないために、次のような予防対策が重要だと言われています。 ・早期の段階で対策に取り組むうつ病の予防には早期対策が重要だといわれています。妊娠中に気になる症状や、育児に関する不安があるママは、早めに医師に相談しましょう。また、家族や近隣の人、専門家など、育児をサポートしてくれる人を見つけておきましょう。 ・産後ママは睡眠確保と休息を最優先にお産による体力の消耗や育児疲れなど、ママの肉体的疲労が産後うつ病につながるケースもあります。家事・育児を頑張りすぎず、体と心を休めることを最優先にしましょう。 ・夫婦でよく話し合いを育児はママとパパ、両方にとって大きな仕事です。日頃から育児の不安など、自分の考えを相手に伝えることが大切です。育児中はパートナーへの不満がつきものですが、日頃から小出しで伝え合い、不満を溜め込まないようにしましょう。 いろいろな社会資源を活用しよう!産後のママを支援するために、現在さまざまな活動がおこなわれています。 ◆産後ケアセンター産後、ママと赤ちゃんが一緒に過ごすことができる宿泊型のケア施設です。24時間、助産師がママと赤ちゃんをサポートします。パパの宿泊も可能な施設もあり、費用もさまざまです。※ベビーカレンダー産後ケア検索 ◆産後ヘルパー研修を受けた子育て経験のある方が赤ちゃんが生まれたお家の家事や育児などのお手伝いをしてくれます。民間の産後ヘルパーや地域によっては自治体で派遣してくれるところも。料金は民間のほうが費用が高いようです。 ◆産後ドゥーラドゥーラとは「女性を助ける、経験豊富な女性」のこと。赤ちゃんが生まれたお家の家事や育児のお手伝いだけでなく、ママの相談相手にもなってくれます。妊娠中からの活用もできるようです。 また、産後うつ病が疑われる場合、速やかな対処が必要です。出産した産婦人科や、出産前に通院していた精神科など病院を受診しましょう。必要と判断された場合は質問票を用いた検査がおこなわれます。産婦人科での診断が難しい場合は、精神科医を紹介されることもあります。 症状が深刻な場合は、抗うつ薬を用いた薬物療法や、入院治療が施される場合もあります。特に入院治療は、育児のストレスから切り離され、緊張を和らげるきっかけとして、有効とされています。 本当につらくなったら30分やり過ごして!2020年は新型コロナウイルスの影響により、生活が大きく変化しました。8月の全国の自殺者が去年の同じ時期より大幅に増えたことがわかっています。国は新型コロナウイルスの感染拡大の影響がないか、分析を進める方針とのこと。 自殺衝動(抑えられない自殺への衝動)のピークは5~10分ですが、誰かと30分ほど話していると、落ち着いた状態になると言われています。ですから、本当に死にたいと思ったときは30分だけやりすごしましょう。 厚生労働省では、電話やSNSによる相談窓口を紹介しています。 電話■こころの健康相談統一ダイヤル電話をかけた所在地の都道府県・政令指定都市が実施している「こころの健康電話相談」等の公的な相談機関に接続します。0570-064-556※相談対応の曜日・時間は都道府県によって異なります。 ■よりそいホットライン(一般社団法人 社会的包摂サポートセンター)ガイダンスで専門的な対応も選べます(外国語含む)。0120-279-338つなぐささえる(フリーダイヤル・無料)岩手県・宮城県・福島県から0120-279-226つなぐつつむ(フリーダイヤル・無料) ■いのちの電話(一般社団法人 日本いのちの電話連盟)0570-783-556(ナビダイヤル)○午前10時から午後10時まで※IP電話(アプリケーション間の無料通話を除く)からは03-6634-2556(通話料有料)0120-783-556(フリーダイヤル・無料)○毎日16時から21時まで○毎月10日は、午前8時から翌日午前8時まで※IP電話(アプリケーション間の無料通話を除く)からは03-6634-7830(通話料有料) SNS■「生きづらびっと」LINEの友だち追加ID検索@yorisoi-chat(生きづらびっと)月曜日・火曜日・木曜日・金曜日・日曜日 17時から22時30分(22時まで受付)水曜日 11時から16時30分(16時まで受付) ■「10代20代の女の子専用LINE」LINEの友だち追加毎週 月曜日・水曜日・木曜日・金曜日・土曜日第1部 14時から18時(17時30分まで受付)/第2部 18時30分から22時30分(22時まで受付) ※厚生労働省相談先一覧 新型コロナウイルスの影響によりこれまでとは違った生活を強いられ、気軽に外出したり人と会ったりできない状況が続いています。なかなかストレスや不安が解消できない……という方も多いかと思います。「自分は大丈夫」と思っている方でも、何かのきっかけで産後うつになる可能性もあります。小さな悩みごとでもひとりで抱え込まないことが大切です。こんな状況だからこそ、ひとりで頑張らず、誰かの助けを借りながら日々過ごしていきましょう。 監修者・著者:助産師 REIKO医療短期大学専攻科(助産学専攻)卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務。 大学附属病院で助産師をしながら、私立大学大学院医療看護学研究科修士課程修了。その後、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。
2020年09月29日「現在のコロナ禍にあっては、とくに介護うつ発症のリスクが高いといえるでしょう。ただでさえ弱っている高齢の家族に万が一のことがあってはいけないと、外出や友人との食事を控えたりしているうちに、家に閉じこもって介護に向き合う時間が増え、逃げ場がなくなる。こうした傾向は、うつ病の発症につながります」そう話すのは、高齢者の訪問診療に取り組む、つばさクリニック院長の鈴木智広先生だ。介護うつとは、介護や看病からくる精神的な負担から発症するうつ病のこと。介護者の過半数が精神的負担を感じているのが現状だ。高齢化社会といわれて久しい日本において発症する患者はあとを立たず、介護、看病疲れが原因の自殺者は、今や年間200人以上にのぼっている。「症状としては通常のうつ病と同じで、無気力になり、今まで楽しかったことが楽しいと感じられない、自責の念が強くなるなどの傾向が目立ちます。また、よく眠れなくなったり、食欲が落ちたりするケースも。原因は、介護によるストレスです。介護によって仕事を辞めたり、趣味の時間を減らしたりと生活を変えざるをえない方が多いかと思いますが、これは大きなストレスになりえます。また、つきっきりの介護で24時間気が抜けないような緊張状態も大きな負担になりますし、介護に関わる経済的な負担が原因で、気持ちが不安定になることもあるでしょう」しかし、こうした過酷な状況であっても、介護うつを発症しない人がいるのも事実だ。そこにはどんな差があるのだろうか。「生真面目で責任感が強く、すべてを一人で抱え込もうとする人は、追い詰められやすく、介護うつになりやすいといえます。いわゆる“ワンオペ介護”をしている人は、要注意です」介護うつになりやすい人の特徴をチェックリストにまとめたので、自分が該当するかどうか、確認してみて。【介護うつ危険度チェックリスト】□ 生真面目□ 融通が利かない□ 責任感が強い□ 完璧主義□ 趣味がない□ 自分でなんでも決めたい□ 近親者にうつ病になった人がいるとくに、これまでどおりに仕事を続けながら、介護を両立させようと奮闘している人は、一度その生活を見直したほうがいいだろう。「育児・介護休業法」では、介護休暇や介護休業が定められているので、職場に相談のうえ、必要に応じて取得することも検討したい。「責任感が強い人ほど、誰かに相談したり、負担を軽くすることを“甘え”と捉えてしまうかもしれませんが、それは違います。介護保険制度を利用し、訪問介護やショートステイなどの介護サービスを積極的に使って、負担を減らしていきましょう。要介護度が高い高齢者の場合、通院に付き添うだけでも一仕事。それを当たり前と考えずに、訪問診療に切り替える選択も視野に入れてみてください」「女性自身」2020年9月22日 掲載
2020年09月20日身の回りのことは、全部自分で決めたい。そういえば、趣味が少ないほうかも……。思い当たるフシがある人は要注意!介護によるストレスで、「介護うつ」になってしまうかも。回避のポイントは“頼る”ことだーー。「現在のコロナ禍にあっては、とくに介護うつ発症のリスクが高いといえるでしょう。ただでさえ弱っている高齢の家族に万が一のことがあってはいけないと、外出や友人との食事を控えたりしているうちに、家に閉じこもって介護に向き合う時間が増え、逃げ場がなくなる。こうした傾向は、うつ病の発症につながります」そう話すのは、高齢者の訪問診療に取り組む、つばさクリニック院長の鈴木智広先生だ。介護うつとは、介護や看病からくる精神的な負担から発症するうつ病のこと。介護者の過半数が精神的負担を感じているのが現状だ。高齢化社会といわれて久しい日本において発症する患者はあとを立たず、介護、看病疲れが原因の自殺者は、今や年間200人以上にのぼっている。「症状としては通常のうつ病と同じで、無気力になり、今まで楽しかったことが楽しいと感じられない、自責の念が強くなるなどの傾向が目立ちます。また、よく眠れなくなったり、食欲が落ちたりするケースも。原因は、介護によるストレスです。介護によって仕事を辞めたり、趣味の時間を減らしたりと生活を変えざるをえない方が多いかと思いますが、これは大きなストレスになりえます。また、つきっきりの介護で24時間気が抜けないような緊張状態も大きな負担になりますし、介護に関わる経済的な負担が原因で、気持ちが不安定になることもあるでしょう」しかし、こうした過酷な状況であっても、介護うつを発症しない人がいるのも事実だ。そこにはどんな差があるのだろうか。「生真面目で責任感が強く、すべてを一人で抱え込もうとする人は、追い詰められやすく、介護うつになりやすいといえます。いわゆる“ワンオペ介護”をしている人は、要注意です」’17年に発表された厚生労働省の調査によると、夫婦のみの世帯では、配偶者の要介護度が重症化しても、施設への入所を検討していない割合が高いとの結果が出ている。つまり、妻、もしくは夫ひとりで介護を背負い込んでいる家庭が多いということだ。住み慣れた自宅で夫婦で過ごしたいという思いのいっぽうで、介護する側にかかる負担が大きくなりすぎると、その生活自体が破綻してしまう危険もある。「介護者が疲労から介護うつになり倒れてしまったら、介護をする人がいなくなってしまいます。本末転倒の結果を招かないためには、なにより介護する人自身の健康が重要です。適切な介護サービスを利用して負担を軽くするのもそのためだと考えれば、“甘え”とはならないことがわかるはず」介護うつになりやすい人の特徴をチェックリストにまとめたので、自分が該当するかどうか、確認してみて。【介護うつ危険度チェックリスト】□ 生真面目□ 融通が利かない□ 責任感が強い□ 完璧主義□ 趣味がない□ 自分でなんでも決めたい□ 近親者にうつ病になった人がいる「介護うつにならないためには、誰かに相談すること。相談相手として、いちばん身近なのが高齢者福祉のスペシャリストであるケアマネジャーです。要介護認定を受けると、介護サービス利用のサポートをしてくれますが、実務的なことだけでなく、介護にあたって不安に感じていることを包み隠さず相談してみましょう。訪問診療をしていると、ケアマネジャーから『介護しているご家族が、かなり疲弊されています』と連絡があり、施設への入所やショートステイを案内するケースがあります。自身では判断ができなくても、身近で見ているケアマネジャーが気づいてサポートしてくれるのはよくあること。ふだんから、なんでも相談できる関係を築いておくことが大事です」介護の負担が減ればそのぶん自分のために使える時間が増え、気持ちを休めたり、趣味に時間を費やしたりして、ストレスの解消ができる。それが結果として、介護うつ発症の回避につながるのだ。「介護をひとりで抱え込んでいる方は、まず市区町村の役所の介護担当部署に相談することからスタートを。また、地域の医療や福祉などを支援する『地域包括支援センター』では、介護認定を受けていなくても相談ができます」介護を受ける家族のためにも、助けを求める勇気を持とう。「女性自身」2020年9月22日 掲載
2020年09月20日9月16日、Twitterにこんなツイートが投稿された。《もし奥様が「産後うつ」を言い訳にして家事や育児を怠ったら怒鳴りつけて躾けましょう。私は産後3ヶ月で衆議院議員選挙を全力で駆け抜けました。「産後うつ」は「甘え」です》これは、希望の党から17年10月の衆院選に出馬した橋本琴絵氏によるものだ。「産後うつは甘え」だとする彼女は続けて《「産後うつ」なる病気は地球上に存在しません。誰かが勝手にあると思い込んでいるだけ》《これからなる世界は、甘ったれた精神ではならんのです》といい、さらにこうつづっている。《「産後うつ」などと甘えたこといっているから男女平等は実現せず、性差別が横行することにまだ気付けないのでしょうか》橋本氏のツイートの影響で、Twitterでは「産後うつ」がトレンド入りを果たした。しかし彼女の考えに、こんな指摘が相次いでいる。《お産や体調は100人いれば100通りあるかと思います 自分の経験を基準に人を責め立てるのはとても適切ではないかと思います》《産後に大事にされることこそ、女性が尊重されている世の中と思います》《産後うつは決して「甘え」なんかではない》厚生労働省は、16年までの2年間で産後1年以内に自殺した妊産婦は全国で少なくとも102人いたと発表している。その多くは「産後うつ」のようにメンタルヘルスの悪化によって、自ら命を落とすケースだという。「日本の著名人では釈由美子さん(42)が産後うつを経験しています。釈さんは16年6月に第1子を出産しましたが、次第に育児への責任感で涙が止まらないように。睡眠時間や食欲が次第に減退していったと明かしています。また元日本テレビアナウンサーの山本真純さんは出産から2ヵ月で様子が変わり、『自信がない』と漏らすように。そして産後うつと医師から診断され、10年に34歳という若さで命を絶ったことが報じられました」(全国紙記者)アメリカでは産婦のうち9人に1人が産後うつを発症していると推測されており、女優のドリュー・バリモア(45)を筆頭に著名人たちもその苦しみを公表。同国では19年に産後うつのための薬「Zulresso」が世界で初めて販売されることになり、話題を呼んだ。「世界的に活躍するイギリス出身の歌手・アデル(32)も『産後うつだった』とインタビューで語っています。またカナダでは地域の看護師がお産を終えたママの家を訪問し、メンタルヘルスを定期的にチェックしてくれる州もあるそうです。ドイツでも『ヘバメ』と呼ばれる産後のケアをする助産師が同じ役割を果たしており、かかる費用は保険でカバーされるといいます。彼女たちに悩みを口にすることで、ママたちの気持ちはラクになるそうです」(前出・全国紙記者)国内外問わず産後うつに苦しむ女性はおり、なかには命を落とすママも。それでも“産後うつは甘え”といえるのだろうか。
2020年09月18日「子どもはかわいいし、きちんと育てたいと思っている。でも…」家の中でずっと子どもと相対していると、逃げ場がなくなって心が折れてしまいそうになる親は少なくありません。育児ノイローゼ、産後うつなどにならないためにはどうしたらいいのでしょうか?小児科医で2人のお子さんのお母さんでもある森戸やすみ先生は、そういった子育ての不安やイライラ、焦り、迷いを抱えるお母さん・お父さんに向けて、SNSやさまざまな医療メディア、そして著書 『小児科医ママが今伝えたいこと! 子育てはだいたいで大丈夫』 (内外出版社)などで子育てが楽になるヒントやアドバイスを発信してきました。そんな森戸先生に、お母さん・お父さんが日頃感じている子育ての悩みやつらさはどうして起こるのか、それを軽減するにはどうしたらいいかなどお話をうかがいました。●森戸やすみ(もりと・やすみ)先生小児科専門医。一般小児科、NICU(新生児特定集中治療室)などを経て、2020年6月1日、東京都台東区に『どうかん山こどもクリニック』を開業。『小児科医ママとパパのやさしい予防接種BOOK』(内外出版社)など著書多数。二児の母。Twitter: @jasminjoy Facebook: ■自分の子育てを自分で責める、あなたの中の「インナー姑」――子育ての悩みにはいろいろありますが、お母さん自身が自分を責めてしまっている、先回りして自分を制してストレスがたまっているケースはないでしょうか。森戸やすみ先生(以下、森戸先生):そうですね。私はそれをインナー姑と呼んでいます。現実に姑から注意されたわけでもないのに、自分の子育てを責める自分がいるんですよね。例えば、お母さんは出産後に美容室へ行くのも申し訳ない、誰に子どもを頼もうかと悩むでしょう。でも、想像してみて欲しいのが、夫も同じ理由で悩むでしょうか? 「子どもが生まれたばかりなのに申し訳ない」と思いながら理容室へ行くでしょうか?お母さんは育児に一生懸命で責任を感じているから、自分ばっかり背負ってしまうところがあります。でも、子どもの親はお母さんだけではありません。1人ですべてを背負いこむことはないのです。――そうですよね。どうしてお母さんの中にはインナー姑が存在してしまうのでしょうか?森戸先生:「子どもの頃から子育てはお母さんがするもの」と刷り込まれているため、そういった社会的イメージにとらわれてしまうのかもしれません。この前、取材で会った方の『子どもができたら以前のように夫にいろいろやってあげられないのが申し訳ない』の言葉に私、ポカンとしちゃって(笑)。家族が1人増えたんだから、今まで通りにはいきません。親になるのはお母さんだけではなくお父さんもなんですから、夫にも自分のことは自分でしてもらうのは当然で、今までのように受け身で待つのはおかしいですよね。――先生のおっしゃる「社会的イメージ」というのは、小さい時から蓄積されてきた良妻賢母のイメージだと思います。それはお父さんとお母さん両方が持っていると思いますが、どうやって切り替えていけばいいのでしょうか。森戸先生:女性は、将来こういう風に子育てをしたい、こういう家庭にしたいと具体的に考えている方が多いように感じますが、男性でそこまで考えている方は少ない印象です。そのため、お父さんは子育てをしながら自分の育児観をつくっていくのでしょうが、その過程で前の世代の刷り込みが出てきてしまうのでしょう。私の場合、小児科医として時短で働いていましたが、夫の衣類をクリーニングに出そうとしたとき、『これって私がしなければいけないこと?』とふと気づいた瞬間がありました。私は子どものために時短勤務をしているわけで、夫のためではない。どうして私だけが仕事をセーブしなければいけないの? これはおかしいと気づいたのです。――でも、お母さんは気づいてもお父さんのほとんどは「それはおかしい」とは気づいてくれませんよね(笑)。森戸先生:それは、誰からも言われないからでしょう。ずっと妻が不機嫌で口をきいてくれないのはどうしてだろう? とは感じることはあっても、それがワンオペ育児で疲れているから、不満があるからとは想像できないのです。だから、『家族が1人増えたのだから物理的に私1人でこなすのは無理です』と伝えた方がいいです。そういう夫へのアドバイスや指導を子どもが生まれる前にできるといいのですが、医療機関にそのインセンティブ(意欲を引き出すための外部からの働きがけ)は残念ながらありません。医療行為ではないから診療報酬につながらないため、ほとんどの両親学級や父親学級でそういった指導は行われていませんね。――「まだ大丈夫」と無理をして体調を崩してしまうお母さんもいますよね。そうなる前に、自分で限界ラインが判断できるポイントはありますか?森戸先生:例えば、食べられない・眠れない場合はかなりつらいい状態だと思います。でも、妻がそんな状態になっていたら、夫に先に気づいてほしいですね。夫がそれに気づかないのは、コミュニケーション不足。育児に大変そうな妻に『大丈夫?』の一言も声もかけられないのだとしたら、それは家族とは言えませんよね。■仕事で子どもに「ちょっと待って」と言う罪悪感――今回のコロナ禍で、保育園から「なるべく登園させないようにご協力ください」と要請されたという話も聞きました。森戸先生:そう言われてしまうと、真面目な保護者ほど『先生たちが大変だから行かせないようにしよう』と頑張ってしまいますよね。そういったときのためにも、預け先の選択肢はなるべく多く持っておくといいです。『預けようと思えばいつでも預けられるけど、まだ大丈夫だからうちで見る』という状態で子どもを見るのと、『私しか子どもを見る人がいないから見るしかないんだ』というのとでは心の余裕が大きく違いますから。――家で子どもを見ながらテレワークをしていたお母さんは「仕事だからちょっと待ってて」と子どもに言わなければいけなかった状況も多かったと思います。そうやってプライベートと仕事が混同する生活は、子どもに負担をかけることになるのでしょうか?森戸先生:それは、『ちょっと待ってて』と言う理由が仕事だから、お母さんが罪悪感を持ってしまっているだけではないでしょうか。どんな場合でも、緊急度の高い順からお母さんは対応せざるを得ないので、それは仕事に限りませんよね。例えば、下の子のお世話をする場合でも上の子に『ちょっと待ってて』と言っていると思います。上の子がいろいろお母さんに話しかけていても、下の子がお椀をひっくり返した、うんちがおむつからはみ出したなどの一大事だったら『ちょっと待ってて』と、そちらにかかりきりになりますよね。それは仕方のないことで、仕事だから特別子どもが傷つくということはないと思います。――確かにそうですよね。それでも罪悪感を持ってしまうお母さんは、自分の気持ちをどうコントロールしていけばいいでしょうか。森戸先生:先ほども言いましたが、『夫も同じように罪悪感を持つだろうか? どうして私はそう感じるんだろう?』と冷静に想像して、子どもや子育てに対して距離を置いてみて欲しいのです。テレワーク中の夫は、ウェブ会議だからと子どもを部屋から締め出しても、おそらく罪悪感は抱かないと思うのです。男性はそれができるのに、どうして私は罪悪感を抱えるのだろうと客観的にとらえるとイライラしなくなるのではないでしょうか。生きていくためにはお母さんも仕事をしなければいけないし、子どもにも協力してもらわなければ共倒れになってしまいます。子どもと仕事、どちらも大切で責任感を持っているからこそ罪悪感が生まれるのであって、一時的にどちらかを優先してしまうことは仕方のないことです。子どもが理解できる年齢かにもよりますが、お母さんもお父さんと同じくらい一生懸命仕事をしていること、だから協力して欲しいことを子どもに伝えるのはいいですね。子どもに説明することで、お母さんが自分で自分を納得させるという効果も期待できます。――コロナ禍のテレワークで、子育てをお母さん1人ですることがどれほど大変か理解できたというお父さんの声も耳にします。お父さんは次にどういった行動に移ればいいと思いますか?森戸先生:今回のことをきっかけに、また保育園が預かってくれなくなった場合はどうするか、もし親のどちらかが病気をしたらどうするか、もし勤務先が倒産したらどうするかなど、もしものときへの備えについてこの機会に話し合ってはいかがでしょうか。■「夜が来るのが怖い…」寝かし方が間違っていたかも!?――なかなか子どもが寝てくれない、夜泣きがひどいなどで「夜が来るのが怖い」というお母さんが多いようです。森戸先生:アジア全域では、子どもに添い寝して家族みんなで寝るのが一般的ですね。日本もしかりで、赤ちゃんが寝るまで親は寝かしつけをし、夜泣きをしたら抱っこしてあやすなどをお母さんはしているでしょう。しかし、寝つくまでに何時間もかかる、夜泣きで度々起きなければいけないなどで、お母さんの多くは「夜が怖い」と感じてしまいます。そういった生活が続き寝不足になるお母さんが陥りやすいのが「産後うつ」や「育児ノイローゼ」です。実は、このお母さんの行動こそが赤ちゃんが寝つきにくく、夜も頻繁に起きる原因ではないかといわれています。子どもとしたら、起きている限りお母さんはずっとそばにいてくれるし、泣けばずっと相手をしてくれるわけですから。なかなか寝なくなるのは当然かもしれません。日本流の寝かしつけや夜泣き対応をしていると、子どもは1人で寝る学習がなかなかできないわけです。――夜泣きについて、先生は著書で「消去法」を推奨されていますね。森戸先生:消去法というのは、欧米で取り入れられている子どもの睡眠方法。生まれて数日したら親子は別々の部屋で夜を過ごし、子どもは1人で寝る練習をするというものです。この消去法では、赤ちゃんが泣いてもなるべく手を出さないようにして様子を見ることが大事。まるっきり一人にする必要はなく、赤ちゃんの様子を観察しつつ、なるべく抱っこしないようにします。そうすることで、一人では眠れない、泣いたらママが来てくれるといった入眠の誤学習を防ぐ方法です。眠りのトレーニングを生まれてすぐすることで、こうやって眠ればいいんだと子どもは生後3〜4カ月までには習得するようです。――泣いても相手をしてあげないと、愛情を感じずサイレント・ベビー(無表情で言葉も遅い赤ちゃん)になってしまうのではないかと心配するお母さんもいるようです。森戸先生:このサイレント・ベビー説は日本で長年信じられてきた育児神話の一つですが、医学的根拠が大変薄いのです。一小児科医が提唱した考えなので科学的根拠もありませんし、その説が正しいとしたら、消去法を取り入れている欧米の子どもはみんなサイレント・ベビーになってしまいます(笑)。赤ちゃんが夜、長時間ぐっすり寝られるように、海外には、夜用の腹持ちのいいミルクもありますよ。日本では、母親が子どものために尽くすことが美徳のようにいわれますが、お母さんも人間なので睡眠はとても大事です。生活リズムを子どもに合わせていたら寝られないし働けないというのなら、そこは大人に合わせてもらうのでいいと思います。子どもの安全を確認しつつ、一人で寝かせてもいいのではないかと考えます。例えば、夜8時に寝かしつけを始めたけれど、結局10時まで寝ないというお母さんが相談に来られるんですけど、その2時間があったらお母さんはいろいろなことができますよね。夜8時に寝かせようと頑張る母親と絶対に寝ないと頑張る子どもの戦いが毎日(笑)。それなら、9時半に寝かしつけるようにしてもいいと思うのです。育児が思い通りにならないと、イライラしてキーっとお母さんもなってしまいますよね。それでは、お母さんも子どももお互いがつらくなってしまいます。それより、多少理想とは違う子育てになっても、お母さんと子どもの両方が楽でうれしい方を選んでいいと思います。例えば『完璧なおやつを手作りしたいからキッチンへ来ないで』と子どもを追い出すよりも、2人でスナック菓子でも食べていた方がお母さんも子どもも幸せではないでしょうか。インナー姑に従って自己満足のためにやる育児ではなく、子どもと親の両方が笑顔で過ごせる方法は? という観点で優先順位を考えた方がいいですね。■「叱った後はやさしく抱きしめる」は本当に正しいの?――子どもへのしつけですが、よく育児書に「子どもを叱った後はやさしく抱きしめてあげましょう」と書いてありますが、その通りなのでしょうか? それは、DV夫が暴力・暴言の後に「ごめんね」と妻にやさしくなるのと一緒ではないかとモヤモヤするお母さんもいるようです。森戸先生:そうですね、叱られてすぐに抱きしめられたら、子どもは混乱しそうですよね。さっきまで叱っていたお母さんが急に抱っこするので「どうして?」と子どもは思います。それに、最終的にやさしく抱っこされるのなら、子どもは何をしたら叱られるかという基準がわからなくなるかもしれません。それに、大きな声やきつい言葉で叱るなどはエスカレートしやすいですし、人前で恥をかかせる行為にもなるので、子どもには逆効果となります。好ましくない言動をしたらお母さんがかまってくれると子どもが誤解しないように、叱るのではなく目を合わせない、話しかけても答えないなど、「無視」が効果的だといわれています。また、タイムアウト法といって、子どもを別部屋に連れていくなど1人にして考える時間を与えるというのも保育園などで取り入れられています。ただし、ほかの人や物、自分自身にも害が及ぶような危険な言動を子どもがした場合には、直ちに止める必要があります。――叱らず相手にしないのが効果的とのことですが、おでかけ先で子どもが泣いたり暴れたりしたとき、親が叱らないと「何だあの親は」と周囲は思いますよね。森戸先生:日本では、周囲へのパフォーマンスとして親の強く怒ってる姿を見せなければいけないというのがあるかもしれませんね。周囲に迷惑をかけるようなら、乳幼児の場合は外に出る、あやすなどの対応をし、言い聞かせることができる年齢の子なら、繰り返し穏やかな声で「静かにしなさい」と短くわかりやすく指令を伝えるブロークンレコードという手法をおすすめします。ただし、周囲へのパフォーマンスとして大声で強く叱ったりする必要はありません。でも、そういった子連れに対して文句を言う人たちは、手を貸してくれるわけではないですし、何か起こったときに責任を取ってくれるわけでもありません。だから、お母さんはあまり気にしなくていいと思います。実は、そういった文句だけの人は少数派だと思います。多くの人が『子どもが泣いてお母さん大変そうだな』『元気な子どもでかわいいな』って思ってる人の方が多いけれど、『うるさいな』というマイノリティーの言葉の方が目立つだけではないでしょうか。だから、そういうお母さんに対する周りの圧力みたいなものは気にしなくていいと思います。――家ではいろいろできそうですが、外では見逃してしまいそうです。森戸先生:それをしてしまうと、子どもは『外なら泣いたり暴れたりしても大丈夫』と覚えてしまうので、お母さんは外でも一貫性を示す必要があるでしょう。場所がどこであっても『やってはいけないことはやってはいけません。お母さんはもう知りません』という態度を示せるといいですね。なかなか難しいとは思いますが…。■イヤイヤ期の子育てがつらい、限界だというお母さんへ――2、3歳のイヤイヤ期の子を持つお母さんで、子育てが楽しく思えない、子どもをかわいく思えないというのは少なくありません。でも、そう感じてしまう自分をまた責めるという悪循環が生まれています。森戸先生:そう思うのは当然ではないでしょうか。例えば、自分もお父さんやお母さんから、いつも100%好かれていたと思いますか? 逆に、自分も親のことはすごく大好きだけど、すごく嫌いなときもありますよね。親から怒られたことがない、親が嫌で家出したいと思ったことがない人の方が少ないのではないでしょうか。子どもだから、家族だから100%好きでなければいけないことはありません。好きだけど嫌いという感情があるのは自然だと思います。――確かにそうですね。でも、頭では納得していてもイヤイヤ期の子どもにはイライラしてしまいます。それをやり過ごすコツや、自分をコントロールする方法はありますか?森戸先生:子どもに尽くそうと思わないこと。人間ですから睡眠も必要ですし、1日に1つは子どものこと以外の楽しみがあるといいですね。イヤイヤ期の子どもは暴言もはきますし、たたいてくることもあるでしょう。親であってもムカッとするのは当然です。そういった楽しみがなければ子育ては続きません。――ときにはお母さんが感情的になってしまうこともあると思います。森戸先生:いつも冷静に大きな声を出さずに子どもを育てるのは無理な話です。それでお母さんが罪悪感を持つことはありません。叱っても子どもに悪いことをやめさせる効果はないかもしれませんが、思わず大きな声が出てしまうのは仕方のないことです。うちもイヤイヤ期は大変でしたけど、当時はタイムアウト法など知りませんでした。でも、子どもが好ましくない行動をしたら無視する、応じられないものには毅然とした態度で受け入れないなど、今から考えるとタイムアウト法に近いことをやっていました。――そうなんですね。先生が子育てで一番悩まれていたのはどんなことでしたか?森戸先生:私は当直があったので『お泊まりで仕事行かないで』と娘が泣くんですよ。うちで子どもが泣いてるのに、病気の子を診なければいけない自分にすごく罪悪感を持っていました。でも、病院には私をすごく必要としてくれる子がいるのに、行ってあげられないというのも嫌だったんです。ですから、2人目が生まれた時には育休を長めにとったり、時短勤務に切り替えたりと働き方を考えました。――ということは、お子さんは0歳から預けられていたんですか?森戸先生:母に預かってもらうこともあったし、職場の保育室へ連れて行ったり、認可保育園に空きがでたら保育園へ。第一子のときは『預けて働くなんてごめんなさい』と思っていましたが、保育園の方が常に複数の先生がいらっしゃるし、相手は子育ての専門家。かわいそうなことは何にもなく、誤解だと気づきました。知らなかったからそんな不安があったんですね。3歳まではお母さん1人で子育てした方がいいといういわゆる『3歳児神話』は厚生労働省によってすでに否定されています(厚生労働省 『厚生白書(平成10年版)』 )。母親だけが育児をするものではないし、むしろ弊害があるケースがあるとはっきり提言を出しているのです。人は社会の中で生きていくのですから、小さい頃から社会に触れるのは大事だと思いますし、むしろ良い面の方がたくさんあると思います。今は、仕事を持つお母さんの方が専業主婦の倍以上いるのですから(厚生労働省 『厚生白書(平成30年版)』 )、子どもを保育園などに預けることは普通のことですよね。■自分の中の「インナー姑」を追い出すには?――自分の中の「インナー姑」を追い出すにはどうしたらいいと思いますか?森戸先生:日本の絶対は、世界の絶対ではないことに気づくことですね。外国人のお母さんに『赤ちゃんは毎日お風呂に入れてますよね?』と聞いたら『いいえ』と言われたことがありました。へその緒が取れるまでお風呂に入れてはいけないという国もあれば、北欧など寒い国では体を冷やさないように毎日お風呂には入れないそうです。子どもは毎日お風呂に入れるものと私にも先入観がありましたが、首も座らない赤ちゃんをベビーバスへ毎日入れるのは大変ですよね。目的は清潔を保つことだから、拭くだけの日があってもいいわけです。『これが絶対』と思わず、いろいろな価値観を知ると、日本古来の『インナー姑』はいなくなるのではないでしょうか。そういった意味でTwitterなどのSNSを利用したり、ネットを活用して情報を収集するのは良いと思います。例えば、母乳をよく出すと言われる食材は国によってバラバラで、決まった食材はないのです。日本ではごはんを食べるように言われますが、じゃがいもとかかぼちゃは食べるけどごはんは食べない国もあります。離乳食も、ヨーロッパはみんなじゃがいもですが、東南アジアはタロイモ、日本はおかゆ。それぞれでいいのだと気づきます。SNSやネットには嘘か本当かわからない情報も氾濫していますが、真偽が怪しいと感じたものは、コメントで質問したりするといいと思います。それで返事がない、リプライがもらえないようなら、そのまま信じずに保留で。そして、同じような意見を持っている人がほかにもいないかリサーチして、総合的に信用できるかできないかを自分で判断するようにしたらいいでしょう。「小児科医はもちろん、産科の先生や看護師、保育園や幼稚園、学校の先生など、子どもに直接関わる仕事をしている人でも、未だに医学的・科学的に根拠のない『育児神話』を唱える人が後を絶ちません。そういったママを追い詰める日本特有の『育児はこうであるべき』が早くなくなればいいと考えています」と森戸先生。その歯に衣着せぬ「子どもを100%好きでいなくてもいいのよ」「お母さんだけが育児を背負いこむことはありません」「できないことは仕方がないから無理しないで」という言葉の数々に救われたお母さんも多いでしょう。森戸先生の著書のタイトルの通り、「子育てはだいたいで大丈夫」。子どもとお母さん、そしてお父さんみんなが幸せなことが、その家族の育児の形なのではないでしょうか。■参考書籍 『小児科医ママが今伝えたいこと! 子育てはだいたいで大丈夫』 内外出版社/森戸やすみ著/1540円(税込)朝日新聞の医療サイト『アピタル』の連載「小児科医ママの大丈夫!子育て」をまとめ、大幅に加筆したた1冊。<参考サイト>厚生労働省: 「厚生白書(平成10年版)」 厚生労働省: 「厚生白書(平成30年版)」
2020年07月20日感染症により、休園・休校の長期化、不要不急な外出の自粛要請で、子育て中のママやパパの負担やストレスは一層倍増しているでしょう。ちょっと気晴らしにお散歩やおでかけも難しい今、家の中でずっと子どもと相対していると、逃げ場がなくなって心が折れてしまいそうになることも。「子どもはかわいいし、きちんと育てたいと思っている。でも…」と悩む親は少なくありません。育児ノイローゼ、産後うつなどにならないためにはどうしたらいいのでしょうか?子育ての不安やイライラ、焦り、迷いを抱えるママやパパに向けて、内外出版社から新刊 『小児科医ママが今伝えたいこと! 子育てはだいたいで大丈夫』 が発売されました。著者は、小児科医で二人のママでもある、森戸やすみ先生。育児に悩むママやパパへ向けたこの本では、これまで信じられてきた育児神話の“本当のところ”や、とくにママがつらく感じる原因、自分らしくラクになれる子育てのヒントなどが、小児科医の視点でわかりやすく解説されています。●森戸やすみ(もりと・やすみ)先生小児科専門医。一般小児科、NICU(新生児特定集中治療室)などを経て、2020年6月1日、東京都台東区に『どうかん山こどもクリニック』を開業予定。『小児科医ママとパパのやさしい予防接種BOOK』(内外出版社)など著書多数。二子の母。Twitter: @jasminjoy Facebook: ■育児のトラブル・悩みはすべてママのせい?たとえば、おでかけ先や公共の乗り物の中で、子どもがなかなか泣きやまない。わが子がほかの子とうまく遊べなくて、つい手が出てしまう。せっかく離乳食を作っても、あまり食べてくれない。子育てではよくあることですが、そういう時になぜか決まって言われるのが「それって、愛情不足じゃない?」「もっと子どもには手をかけてあげないと」といった言葉です。とくに、子どもを保育園や学童に預けながら働いているママの多くは、家族だけではなくママ友や会社の同僚、よく知らない人にまで、同じようなことを言われた経験があるのではないでしょうか。実際、著者の森戸先生も、テーマパークで遊び疲れた娘さんが帰りの電車でグズったとき、たまたま乗り合わせた高齢のご婦人から「お母さん、もっと抱きしめてあげて」と諭された経験があるそうです。娘さんがグズったのは、森戸先生が抱きしめなかったからではなく、遊び疲れたからなのに。「それは本当に“親の愛情不足”が原因でしょうか?」と森戸先生は問いかけています。育児で何か問題や困ったことが起こったとき、人はどうしてなのかと原因を求めたくなるもの。しかし、子どもはそれぞれ個性がありますから、どの子にも当てはまる育児の定石はなく、大人の理屈では理解できないことも多いでしょう。一方、愛情というのも数値で測れるものではなく、親がどれほど子どもを愛しているかは目で確かめることはできません。そこで、「理解できない子どもの行動は、誰にも確かめられない親の愛情量に責任転嫁されているのではないか?」と、森戸先生は読み解きます。たしかに、親の愛情不足が原因としてしまえば、言った本人は間違いだと反論される心配もなく、自分に責任がないことも遠回しに主張できます。親に責任を押し付けることで、理屈の通らないことが解決できたと自己満足もできるわけです。しかし、子どもが泣いたりわめいたりすることと、親の愛情不足との因果関係は誰にもわかりません。子どもの数だけ個性もそれぞれで、グズってしまう原因もそれぞれ。それを、手っ取り早く原因を見つけたい大人が、こじつけているだけなのです。ところが、「小児科医をはじめ子どもに関わる専門家の中にも愛情の多寡(たか)の話をする人がいるのですから残念なことです」と森戸先生。たしかに、筆者もわが子を預けていた保育園の先生から同じようなことを言われたことがあったことを思い出しました。こういった周囲の「なんでもかんでも親の愛情不足が原因」というプレッシャーから、育児で何か困ったとき、「ほかの親ほど自分は愛情をかけてあげられていないのではないか」「もっと私がちゃんと子どもを見ていれば」と、無意識のうちに自分を責めてしまう方は少なくないでしょう。でも、それは周りからの勝手な押し付けであって、“親の愛情不足”と決めつけることは害でしかないと森戸先生は一刀両断。この言葉に、悪い夢からスッキリ目覚めたような清々しささえ感じます。■育児神話「根拠のないもの、気をつけたいもの」「子どもの問題は親の愛情不足が原因」と同じように、根拠なく信じられ続けている“育児神話”はたくさんあります。本書で紹介されているだけでも、以下のものが挙げられます。●3歳児神話「3歳までは家で母親の手で育てることが子どもの精神的な発育に一番良い」というイギリスの精神医学者ジョン・ボウルビィによる戦争孤児を対象とした調査報告(1951年)が元となっている考え●スマホ育児批判かつてはテレビやビデオ、パソコン、今はスマホといったメディアを使って子守りをしたり、親自身が夢中になることで、親子関係や子どもの心身の発育が阻害されるという日本小児科医会の提言(『スマホに子守りをさせないで!』(※1)●子どもの夜ふかし子どもは夜9時までに寝ないと、成長ホルモンが分泌されないために発達が遅れ、しかもキレやすくなるというもの●母乳信仰ミルク(粉・液体)よりも母乳の方が優れていて、どんな状況においても絶対に母乳のみで育てる方が赤ちゃんのためには良いという考え●離乳食を遅らせてアレルギー予防離乳食の開始を遅らせ、なるべく母乳だけで長く育てた方が、食物アレルギーの発症を予防できるというものいずれも、日本で一般的に信仰されている“育児神話”です。おそらく多くのママやパパが、これらのほとんど、もしくは全部を正しいと信じ、厳守しながら育児をしているのではないでしょうか。しかし、森戸先生はこれらに「すべてが根拠のあることなのでしょうか?」と疑問を投げかけています。たとえば、「3歳児神話」。精神医学者ジョン・ボウルビィが提唱していたのは、「子どもが育つ過程で、信頼できる大人との愛着関係を築くことが大事だ」ということ。それが、なぜか日本では「3歳まで母親の手によって育てられることが大事だ」にすり替わって信じられてきました。この3歳児神話はすでに国内外では否定されている考え方で、1998年の「厚生白書(平成10年版)」(※2)では「少なくとも合理的な根拠は認められない」とされ、さらに「母親と子どもの過度の密着はむしろ弊害を生んでいる、との指摘も強い」とされています。しかし、いまだにこの古い神話を信じている年配者は多く、「こんなに小さいのに保育園に行かせるなんて」「3歳までは家でお母さんが見た方がいい」といったことを言い、ママは根拠のない罪悪感を背負わされながら働くという事態がいまだに起こっているのです。それは、ほかの育児神話にも当てはまることだと本書は伝えています。たとえば、今のママはスマホから育児情報を得る機会が多く、小児科の予約をスマホでしたりお薬手帳のアプリを使ったりもします。スマホを使っているからといって育児をおろそかにしているわけではないし、息抜きにゲームをしたとしても一日中ではないのだから何も悪くないということ。子どもの夜ふかしがよくないのはたしかだけれど、その理由の一つとされてきた「成長ホルモンは夜10時〜翌2時に分泌される」というのは、今では間違いだとわかっていること。夜9時に寝るべき、早く寝ないとキレやすくなるという説に根拠はないということ。同様に、どんな状況でも母乳育児がいい、離乳食を遅らせたらアレルギーを予防できるという説も、間違っていることがいまでは明らかになっています。むしろ、離乳食に関しては、開始を遅らせることでかえってアレルギーのリスクが高くなることがわかっています。しかし、前述の「“親の愛情不足”ですべて片付ける問題」と同じように、小児科医や産婦人科医、看護師、保健師、保育園や幼稚園の先生といった普段から子どもと接している方でも、いまだにこれらの育児神話を唱える人は少なくありません。そういった専門家でさえ信じているのですから、夫や両親、兄弟、ママ友、会社の同僚が不用意に育児神話を持ち出してくるのも納得です。では、そんな古くさい育児神話とママはどう立ち向かえば良いのでしょうか?■今だから夫婦・家族と子育てについて考えようママが育児に不安を感じたり悩んだりするきっかけの一つに、ほかの人からの言葉かけがあります。たとえば「母乳なんでしょ?」「2人目は?」「こんな小さいのに連れ歩いて」「保育園に通わせるなんてかわいそう」など、挙げていけばきりがありません。子どもを生んでまず最初にびっくりするのは、こういった「余計なお世話」とも取れる不用意な言葉をかけてくる人が本当に多いことです。家族や友人ならまだしも、通りすがりの知らない年配者からも「今日は良いお天気ね」のノリで「私たちの頃はね…」と育児アドバイスが始まったりします。また、そういった言葉はほとんどの場合、お父さんではなくお母さんにだけ向けられるのも不思議です。それは、暗に「子育てのメインは当然、母親」という育児神話の押し付けが見え隠れしているようです。このようなママを悩ませる言葉や態度は、元をただせば前述した根拠のない育児神話がベースになっていることが多い印象です。森戸先生は、「そういった言葉はスルーしていい」と本書の「祖父母世代と親世代のギャップの埋め方とは」の章で解説しています。スルーしていい理由として、次の2つが挙げられています。 祖父母世代が育児をしていた頃の常識が、いまでは非常識となっていることが多い 育児はとてもナイーブで個人的な体験のため、各家庭で事情が違う大抵の場合、言葉をかけた側の問題ですが、相手が義両親や実両親の場合は、育児を手伝ってもらったり一生お付き合いを続けていく関係だからこそ、ことを荒立てられずにイライラ・モヤモヤしながら多くのお母さん、お父さんは我慢しているでしょう。そういった相手の言葉は聞き流す、適度に反論して距離をとるなどして、それでも改善が見られないなら、「育児で大変な時に、無理して会わなくてもいい」と森戸先生はバッサリ。育児の協力者は何も家族でなければいけないことはなく、幼稚園や保育園、保育ママ、ファミリーサポートなどの行政サービスを活用するなどで頼れる先をいくつも持っていた方が、子育てのストレスは軽減されることに気づかせてくれます。そういったことを夫婦で話すことも大切だと本書では伝えています。「育児は母親のもの」といった育児神話によって、これまでずっと子育てにおいて部外者扱い、戦力外通告をされてきたパパ。でも、いまはもうそんな考え方は古く、夫婦2人で子育てに関わっていく時代。パパも育児の当事者であり、同じ視点から、同じゴールに向かってどう子どもと関わっていくかを夫婦で話し合うことが、育児をもっとラクで楽しいものにしていくのでしょう。そのためにも「父親も育児参加できるよう排除しないで後押しを」と社会全体の意識改革も必要だと訴えています。■子育てでつらい、不安になったときは「子どもはかわいいし、初めてのことばかりで大変だけど、育児も毎日発見の連続で楽しい。でも、なぜかイライラ・モヤモヤしてしまうのはどうして…」そんな風にママやパパが悩み、「自分がおかしいと感じているのに『それは、おかしい!』と声を上げられない周囲からの育児プレッシャーが原因」と本書で読み解いてくれた森戸先生。そのほか、子どもの発達に関する疑問やお悩み、子育てメディアとの付き合い方、小児医療の正しい知識などを、小児科医として、また2人のお子さんのママとしての視点から、わかりやすく解説しています。読後は、心の中のモヤモヤがすっきりと晴れわたり、「子育てはだいたいで大丈夫よね!」と育児にたずさわるすべての人に安心と勇気を与えてくれる一冊となっています。■参考書籍 『小児科医ママが今伝えたいこと! 子育てはだいたいで大丈夫』 (内外出版社 森戸やすみ著 1540円(税込))朝日新聞の医療サイト『アピタル』の連載「小児科医ママの大丈夫!子育て」をまとめ、大幅に加筆したた1冊。●森戸やすみ先生1971年東京生まれ、埼玉育ち。1996年私立大学医学部を卒業し、医師国家試験に合格。専門的な学術書と手に取りやすい気軽な本の中間に位置するようなものを作りたいと考えている。<参考サイト>※1 公益社団法人 日本小児科医会: 日本小児科医会の提言(『スマホに子守りをさせないで!』) ※2 厚生労働省: 「厚生白書(平成10年版)」
2020年05月17日アメリカ版「マリ・クレール(marie claire)」誌の表紙を飾ったダコタ・ジョンソンが、カバーストーリーにてうつとの闘いを告白した。1989年、有名俳優であるドン・ジョンソンとメラニー・グリフィスの間に誕生したダコタ。幼いころに両親は離婚し、メラニーの再婚によりアントニオ・バンデラスが継父に。そんな背景もあってのことか、14、5歳の頃からうつを抱え、専門家に助けを求めたという。ダコタはうつに対するポジティブなイメージとして「世界を感じることができるから、美しいと思うようになった」と語っている。「私は複雑さを抱えていると思う。でも自分を抑えずに感情を吐き出したり、だれかの問題にしようとは思わない」。その複雑さが女優として役作りに大いに役立っているようで、最新作『The High Note』(原題)でダコタと共演しているトレイシー・エリス・ロスは、「ダコタは情熱的で、物事を深く感じる人。信じられないくらい魅力的で、遊び心もある」と絶賛。「彼女は自分の立ち位置や、自分がどういう人間なのかということをしっかりわかっているし、意見を言うことも恐れない」と称えた。ダコタは2015年にもうつとの闘いを明らかにしている。「自分がどこにいて何を考えているのか、何をしているのか、ときどきパニックになってしまう」と語っていたが、この5年でより落ち着きを取り戻しているようだ。(Hiromi Kaku)
2020年05月13日まだまだ収束の兆しが見えないコロナ禍。感染による肺炎症状の恐ろしさと共に外に出られない、先が見えない状況が続くことで「コロナうつ」も増えている。「皆様いかがお過ごしですか?『元気のパワースポット』と呼ばれる僕ですが(笑)、新型コロナウイルスの影響で家族が住むロンドンに帰ることができなくなり、大好きな飲み会も自粛中。想像以上にこのウイルスは手ごわいなあと思っているこのごろです」そう話すのは、元気健康長寿を目指す「デュークウォーキング」を確立。最期まで自分の足で生きる人生のよろこび「ぴんしゃんウォーキング」や、歩くことで道徳を伝える「歩育(ほいく)」を提唱すべく、日本全国のみならず世界で活躍中のデューク更家さん。「でも、決して気落ちはしていません。今回は、『STAY HOME』を守りながら、コロナうつを撃退するウォーキングを特別に考案しました!」体が元気でないと、心もついていかないもの。「その中でも、僕は東洋医学でいう『気血水』を巡らせることが重要やと思います」とデュークさん。「今回のメソッドは姿勢の悪さや下半身の筋力の衰えなど、現代人や読者世代の皆様が潜在的に抱えている問題を解消します。さらに不安がもたらす息苦しさを解消して、停滞してしまった魂も、活性化!手軽に実践してもらえるよう「時短」も念頭に置いていますので、お家にいる時間を楽しむ『もう一つの手段』としてぜひ取り入れてみてくださいね」■バーテブラ・ウォーキング肋骨、肩のコリをほぐし可動域を広げる。肩甲骨を動かし、背骨(バーテブラ)の血を巡らせることでコロナうつによる息苦しさを解消。〈エクササイズ編〉【1】手首を交差して、両手の手のひらを合わせる。指先は下を向いた状態をキープ。【2】手のひらを合わせたまま両腕をまっすぐ上に伸ばす。【3】肘を直角に曲げる。両手はしっかりと握り、頭の後ろへ。【4】3で握った手をもう一度合わせ、腕を上へまっすぐ伸ばす。肋骨と肩甲骨ごと引き上げるように意識。肩甲骨まわりの筋肉がほぐれることで自然と深い呼吸ができるようになる。【5】3と同様にもう一度肘を直角に曲げる(両手は握る)。【6】右斜め上に向かって両腕を伸ばす。左の体側をしっかり伸ばすように意識する。【7】もう一度3のポジションへ。4と同様に両腕をまっすぐ上げ、また3のポジションへ戻す。今度は6と反対に、左斜め上に向かって両腕を伸ばす。毎回3のポジションへ戻り、まっすぐ上へ→右上へ→まっすぐ上へ→左上へ→まっすぐ上へのサイクルを10回ほどおこなう。〈ウォーキング編〉【8】右腕は手のひらを前に向けた状態で斜め上に上げ、左腕は手の甲を前に向けて、右腕と直線を作るように体から離す。【9】右脚を踏み出すと同時に、右手のひらで肩甲骨の間にある「身柱」を、左の手の甲でおへそのちょうど後ろ側にあたる背中の「命門」のツボを軽くたたいて刺激する。滞りがちな背中の血流をUP!【10】反対側も左腕を手のひらを前に向けた状態で斜め上に上げ、右腕は手の甲を前に向けたら同様に。「シュン、シュン」とリズムよく呼吸をしながら5歩。両腕を1歩ごとにかえて1〜10を2回で1セット。朝、晩1セット(計2セット)おこなう。「コロナうつになるとストレスによって姿勢が悪くなり、肩甲骨が横に広がって胸を閉じてしまいます。これが原因で、息苦しさを訴える人が続出中!そこで、凝り固まった肋骨や肩をほぐして肩甲骨を動かすのがこのエクササイズの特徴。背中のツボを刺激して血流も促進するので、深い呼吸が取り戻せます。副交感神経が刺激され、リラックス効果も抜群で気が晴れるでー」「女性自身」2020年5月5日号 掲載
2020年04月30日5歳と2歳の娘を育てています。長女とイヤイヤ期の次女の対応に疲れ、現在うつ状態になり病院に通っています。今回は苦しいなか、周りの人たちからかけられて救われた言葉や現在の状態などを紹介したいと思います。 うつ病になってしまった 今年の幼稚園の夏休み期間は、次女に自我が芽生えたため、姉妹の争いと私の取り合いが絶えず毎日大変でした。そんなバタバタでストレスフルな夏休みが終わったころ、私の心と体に異変が。体が重く、何もしたくないしすぐ涙が出るようになったのです。心療内科に行ったらうつ病と診断されました。病院に通って薬の力を借りつつ、根本の原因と思われる育児の悩みや不安も聞いてもらいたいと思い、地域の子育て相談に行き、夫にも積極的に話をするようにしています。 子育て支援者さんの言葉私の住んでいる地域では、予約をすれば無料で子育て支援者さんが育児の悩みを聞いてくれます。相談にのってくださった子育て支援者さんは真摯に話を聞いてくださり、いろいろなアドバイスをくれました。そのなかでも私の心に一番刺さったのは、「完璧なお母さんを持つ子どもは実はつらいんだよ。だって、一生母親の存在を超えることができないんだよ」という言葉です。「だからお惣菜を出したり、だらだらテレビを見たりする姿を見せたって全然いいのよ」という言葉です。 夫の言葉今回のことに関して夫はとても協力的です。週末は夫ひとりで子ども2人をショッピングセンターに連れて行き、お昼ごはんを食べさせ、遊ばせて帰ってきてくれる日もあります。そんな日はやはりクタクタになってしまうようで、「こりゃずっと一緒にいる○○が精神病むのもわかるよ」と理解を示してくれました。子育ての大変さをわかってもらえ、すごくうれしかったです。そして私が風邪をひいたときは「早く元気になってくれないと困る」と言っていたのに、今回は「焦らずゆっくり治せばいいよ」「いつも愛情をかけてるのだから、数カ月の間、ほったらかし気味でも問題ないよ」と言ってくれました。専業主婦なのに家事と子育てがキチンとできない状況が申し訳ないと思っていましたが、このように言ってくれたことで、頑張りすぎないほうが早く治るだろうと思えるようになりました。 今回、私の周りには理解を示し、やさしい言葉をかけてくれる人が多くて本当に救われました。まだ薬は飲み続けていますが、焦燥感や絶望感はもう感じていません。今後も抱え込みそうになったら周りから言われた言葉を思い出し、頑張りすぎずに子育てしていければと思います。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 「共感した」「私の場合はこうだった」など、ぜひベビーカレンダーサイトのコメント欄にご感想をお寄せください。また、ベビーカレンダーでは皆さんから募集した体験談を記事でご紹介させていただくことも。ベビーカレンダーに会員登録すると届くメルマガから、皆さんのオリジナル体験談をご応募ください。 監修/助産師REIKO作画/まきこんぶ著者:山本加奈子2児の母。自身の体験をもとに、妊娠・出産・子育てに関する体験談を中心に執筆している。
2020年04月05日健康診断では何の問題もなかったのに、最近、やる気が出なかったり、カラダが重かったり、肌荒れや頭痛も…。もしかするとそれは、必要な栄養が不足している“栄養型うつ”のせいかも?「“うつ”という言葉は、うつ病とうつ状態が混同されて使われていることが多いですが、実は意味が違います。うつ病とは脳の機能障害が原因の病気の名前で、一方、抗うつ薬が必要な場合から、財布をなくしたり、失恋による一時的な気分の落ち込みまで、憂うつな状態すべてが、うつ状態です」とは、精神科医の奥平智之先生。「うつ状態の一つで、栄養の摂取不足や吸収不良などの問題でココロやカラダに不調が起きるのが、“栄養型うつ”です。例えば、疲れやすかったり、食欲が出なかったり、イライラするなど情緒不安定だったり…。それらの原因がタンパク質やビタミン、ミネラル不足である場合があるんですね。食事を改善して、足りていないと思われる栄養を補ったら、うつ状態や不調がすっかり良くなります」奥平先生が“栄養型うつ”を改善するためにすすめているのが、具だくさんのスープと味噌汁。「まず基本となる栄養素は、タンパク質とビタミンB群です。全身のあらゆる組織や酵素、うつ状態に関わる脳内ホルモンなどは、タンパク質からできているからです。また、全身の細胞でエネルギーを作るのに、ビタミンB群や鉄なども欠かせません。スープや味噌汁だと、煮ることで食材が柔らかくなって消化・吸収しやすくなりますし、カサも減ってたくさん食べられます。スープに溶け出た栄養も無駄なく摂ることができます」具だくさんスープ&味噌汁の基本ルールルール1:タンパク質は2種類以上。基本の栄養素、タンパク質はたっぷり摂る。なのでタンパク源は2種類以上で、必ず動物性を1種類入れる。1食あたりのタンパク質量の目安は20~25gほど。そのためには肉や魚介約100gに、卵1個、豆腐や大豆などをプラスして。ルール2:にがりでマグネシウムを補充。ストレスが多いと、脳内ホルモンや細胞でエネルギーを作るのに不可欠なマグネシウムの必要量が増えるので、うつ状態だと不足しがちに。補給には吸収されやすいにがりがおすすめ。スープに数滴垂らすだけでOKなので、必ず加えよう。ルール3:酸味でミネラルの吸収率アップ。クエン酸、リンゴ酸、アミノ酸…。酸と一緒に摂ると鉄や亜鉛、マグネシウムなどミネラルの吸収率がアップ。アミノ酸であるタンパク質たっぷりのスープに、酢や柑橘類、トマトなど酸味のある食材を足して効率よくミネラルを吸収させて。ルール4:避けたい食材を知っておく。胃腸に炎症が起きていると栄養がうまく吸収できない。炎症の原因となる小麦に含まれるグルテン、乳製品のカゼイン、食品添加物を使った調味料や加工食品、リノール酸などのオメガ6のアブラも極力控えたい。食品の原材料名で確認を。4種類の具材を組み合わせる基本となるタンパク質と、以下の食材を組み合わせてビタミン、ミネラル、食物繊維を補おう。海藻類わかめ、海苔、もずく、めかぶなど海藻類は水溶性食物繊維に富む。マグネシウム源としても貴重。スープに旨味が出るのでお好みで。キノコ類腸の動きを促す不溶性食物繊維が多いのがキノコ類。添加物や重金属などカラダに有害なものを吸着し排出するデトックス効果も。野菜腸が健康だと栄養の吸収力が上がる。食物繊維が豊富な野菜で腸内環境を整えて。抗酸化力の高い緑黄色野菜も取り入れよう。タンパク質ビタミンB1が豊富なのは豚肉。鉄や亜鉛が多いのは牛の赤身肉。青魚はビタミンDが摂れるので腹わたごと使う。卵も万能食材だ。おくだいら・ともゆき精神科医、日本栄養精神医学研究会会長、山口病院(埼玉県)精神科部長。著書に『栄養型うつを治す! 奥平式スープ』(エイ出版社)ほか多数。※『anan』2019年11月20日号より。写真・中島慶子(by anan編集部)
2019年11月19日私は産後3カ月目に産後うつを発症し、通院し始めました。現在は周囲の理解と助けのおかげで回復傾向にあり、新しい仕事を始めることができています。産後うつと診断されショックでしたが、自分を追い詰め過ぎないようにしたことで次第に気持ちが明るくなりました。そのときの私の経験をお伝えします。 育児を楽しみたいのに苦痛で仕方がない初めての出産を無事に終えた私はうれしさと達成感に溢れ、育児を楽しもうと意気込んでいました。でもその気持ちとは裏腹、身体がついていかずに悔しい思いをする日々。夫の仕事の都合で出産前に引っ越し、赤ちゃんとの新生活は新居にてスタートしたため、生活に慣れることと初めての育児との両立は想像していた以上に大変だったのです。 私の母は他界し、父は存命ですが仕事が忙しく頼ることができません。義実家に頼らざるを得ない状況で、関係は良いほうですが付き合いにストレスを感じることも時折ありました。私はそれでも乗り切れる! と意気込んでいたものの、体調不良を繰り返したり、落ち込みやすくなったりと、異変を感じるように……。 産後うつと診断され、ショックを受ける何をするにも苦痛を感じるようになり、産後3カ月ごろに親族のすすめで心療内科を受診しました。医師からは産後うつの症状と診断され、極力ストレスを溜めないようにと言われました。 妊娠する前から産後うつという病名はテレビやネットで見聞きしていましたが、「自分が罹るはずなんてない」と思い込んでいたのでショックを受けました。でも、夫や周囲の人たちが精神疾患に理解があり、偏見を持たずに受診をすすめてくれたことが幸いでした。 心をラクにする方法を探し、快方を目指す産後うつを和らげるには時間がかかる場合があると聞き、物事を焦り過ぎないようにしようと思いましたが、不安定な感情や気分の上下、それが引き金となる周囲の人との衝突に悩み、ひどく落ち込むことも……。 しかし、病気と向き合って今の自分の姿を認めていくことで、かえって気持ちがラクになることに気付いたのです。少しでも育児をラクに乗り切る方法が見つけられるようになった現在は、2歳の子どもと接することを楽しめるまで余裕が出てきました。そして、不安感や焦燥感に悩まされることも徐々に少なくなり、夫が新しく始めた自営業をサポートできるまで回復しました。 産後うつは決して他人事ではないということを思い知りました。産後のストレスや疲労などから、気付かぬうちに不安定な状態に陥ることもあります。でも、悲観し過ぎることなく病に向き合い、いつかは元気になりたいという希望を持ち続けたことが、今の私が元気に過ごせる活力の源となっています。著者:仲本まゆこ自身の体験をもとに、妊娠・出産・子育てに関する体験談を中心に執筆している。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
2019年07月10日米FDA(食品医薬品局)が19日、世界初となる産後うつのための薬を承認した。 赤ちゃんを出産した女性に起こる「産後うつ」は世界的に問題となっている。日本では、国立成育医療研究センターなどの調査結果によると、2015年から16年までの2年間に、妊娠中もしくは産後1年未満の女性が自殺した数は102人に上ったという。今回承認されたブレキサノロン(Brexanolone)は、ザルレソ(Zulresso)という商品名で販売される。一度服用すると、60時間にわたって持続的に作用し、2日以内に効果が見られるという。「産後うつは、時には命をも脅かす深刻な状態です。女性は自分自身、そして子どもを傷つけることを考えかねないのです。また、母子の絆を育てることを妨げる可能性もあります」FDAの精神医学製品を担当するティファニー・ファーチオニー医師は、プレスリリースで警鐘を鳴らした。また、ザルレソはすぐに一般医院で処方されたり、薬局で販売されるわけではない。過剰な鎮静、または投与中の意識喪失などの重大なリスクへの懸念から、当面は認定医療施設で、医師の監視下でのみ処方されるという。その費用は2万ドル(約223万円)を超えるとか。 USA TODAYによると、疾病管理予防センターは米国で9人に1人の産婦が産後うつを発症していると推測している。
2019年03月20日辛い恋を望んで続けている人はいないと思いますが、断ち切ることが中々出来ないことも多いですよね。でも、そろそろ幸せな恋愛もしたいはず。今回は辛い恋から抜け出す方法について紹介します。恋を忘れるには次の恋やはり辛い恋を断ち切るのに効果的なのは、次の恋です。特に女性の場合、幸せな恋愛をすれば、過去のことは無かったかの様に頭から抜けていくことも珍しくありません。ただ、辛い恋の真っ只中にいる時は、次の恋のことなど考えられない場合が殆どですし、強制的に辛い恋を終わらせることも難しいと思います。ですから、無理に次の恋をしようと考えるのではなく、ちょっとだけ周りに目を向け、グループでも単独でも良いので異性との交流を広げるところから始めていくのがおすすめです。気になる人や、良い巡り合わせがあれば、自然と次の恋に気持ちが移って、辛い恋を終わらせることが出来ますよ。恋愛以外に夢中になれるものを見つけよう辛い恋や報われない恋で苦しむのは誰にとっても辛いことですが、恋愛で苦しむということは、ある意味、恋愛について考えられる余裕や、費やせる時間があるためと言えます。逆に言えば、そういった余裕や時間がなければ、恋で悩むこともなくなります。恋愛以外のことで頭が一杯になれば、辛い恋について悩む時間は減ります。また、報われないと分かっている相手に呼び出されても、他に優先しなくてはいけないことがあって時間がなければ断るしかないですよね。つまり辛い恋から脱出するためには、その恋について考えることや使える時間を強制的に減らすことが効果的なのです。趣味を見つけるのでも良いですし、体を動かすのでも良いです。恋愛以外に夢中になれるものを見つけることが大きな助けとなりますよ。即効性の荒療治ならコレどんな方法でも効果がなく、荒療治でも良いので今すぐ辛い恋から抜け出したいという場合には、恋の相手との接触を絶つことが有効です。電話番号やSNSのアカウントなど、相手の連絡先や近況が分かるものは全て消去し、贈り物や写真など相手を思い出す様なものも全て処分すると効果的です。強制的に関わりを絶つことで、これ以上は何も出来ることが無くなりますから、恋を終わらせる近道になると言えるでしょう。一歩を踏み出すことが大切辛い恋に嵌っていると、その恋から抜け出すことは大変かもしれません。けれど、次にまた幸せな恋をすれば、嘘の様に過去のこととなる場合も多いものです。ここで紹介した方法を参考にしつつ、ちょっとした一歩を踏み出してみて下さい。きっと辛い恋を終わらせて、次は幸せな恋を掴むことが出来ますよ。
2019年02月04日結婚はしたいけれどそもそも出会いがないと悩んでいる人は多くいます。そんな人が始めるのが今流行っている婚活となります。しかし、婚活はゴールが結婚となるので長期戦になり疲れを感じやすい面を持っています。そこで、婚活うつについて詳しく説明するのでしっかりチェックしてみてください。1. なるほど!婚活うつになりやすい人まず婚活うつとなりやすい人について知っておきましょう。(1) 婚活うつとは?婚活うつとは正式には「婚活疲労症候群」という呼び名があることは意外と知られていないですよね。そう名付けられるほど今婚活うつになってしまう人が多い傾向にあります。症状は、婚活が原因で生活する上で憂鬱になったり、不安、倦怠感や絶望感が出てきます。うつ病は原因がはっきりしないこともありますが、婚活うつの場合は原因が婚活であることがはっきりしている面が挙げられます。(2) 完璧主義者こうした考え方を持っている人はとてもプライドも高いので、結婚相手にも多くのことを望む傾向にあります。そのため自分の要望をすべて満たす人しか探さないので、結局出会うことができずにやがて婚活うつになってしまいます。多少の妥協や自分と合う人の理想と現実について考えることがない面が難点となります。(3) 周りを気にしすぎる年齢的なものもあって、周りの友人の結婚ラッシュにあうとまるで自分だけ取り残されたような気持ちになり婚活を急いでしまいます。「私も早く結婚して幸せになりたい」と願っていますが、結婚は願望より縁の世界なので焦るだけどんどん婚活うつになっていってしまうでしょう。2. 意外!疲れの原因となる婚活のデメリット!婚活は楽しいことばかりではなく意外とメリットも多いので抑えておきましょう。(1) お見合いやパーティーが多い1人でも多くの男性に出会いたいからと休日にお見合いやパーティーばかり入れていると休む暇がなく疲れてしまいます。実際にお見合いやパーティーは頻繁に行われていますが、参加回数が多いからいい相手に出会えるわけではないことを覚えておきましょう。たまには休んでリフレッシュすることで新たな気持ちで婚活と向き合えるようにしてみてください。(2) 常にライバルがたくさんいる婚活の最大のデメリットと言えるのが「お付き合いか結婚が決まるまで婚活を続けることができる」という点が挙げられます。具体的に言うと、例えデートをしている女性がいても複数の女性との婚活がOKとなっています。例えば、自分では上手くいっていると思っていても突然「他にもっと気が合う女性が見つかったので」とお断りされることもあり得ます。ライバルを常に意識しなければならないのはとても疲れる原因となってしまうでしょう。(3) 自分を否定してしまう婚活をしていて自分が気にいっていても相手からお断りされることがあります。たくさん断わられることによって「自分が悪いのでは?」と漠然に考えてしまい自分に否定的な気持ちになってしまいます。真剣に結婚を見据えているからこそ、成就することも難しいことをよく覚えておきましょう。「今回は縁がなかっただけ」と思うことで次の婚活へ気持ちが切り替えやすくなります。3. 改善できる!婚活うつの対処法!もし婚活うつになってしまったら、ご紹介することを試してみてください。(1) マイペースに進める多くの人と出会う機会を増やすことによって、頻繁に初対面の人とばかり会うことになるので、緊張によって心が疲れてしまうことがあります。出会いは逃げたりしないので、焦らず休日に余裕をもって婚活の予定を入れるようにしましょう。例えば「1か月で3人ぐらいの出会いがあればいいかな」とゆっくりしたペースで人と向き合うことを心がけてください。(2) ある程度期限を決めておく婚活は思っている以上に大変なものなので、結婚というゴールまで休まないとなるとかなり疲労してしまいます。そのためあらかじめスタートさせる時に軽い期限を設けておきましょう。例えば「婚活を3か月したら、1か月はお休みする」という風に工夫することによって、返ってメリハリがついてより良い婚活を行うことができるようになります。(3) 自分に合った方法を選択する一言で婚活と言っても色々な方法があることをご存知ですか?例えば、今結婚相談所に入ってプロにお見合いやパーティーを勧めてもらっているのなら、ちょっと視点を変えてみて自分だけで臨むスマホで簡単にできる婚活サイトにチェンジしてみましょう。もしかして婚活のやり方が自分に合っていない可能性があるので、枠にとらわれずに出会いを大切にしていきましょう。まとめ婚活というと結婚を望んでいる多くの女性がやっているイメージがありますが、実はとても大変なことばかりだとわかりましたね。出会いよりも自分のことを大切に考えて、自分に合った婚活を目指しましょう。結果は頑張ることよりも縁やタイミングで決まるものなので、気長に待つことも大切です。
2018年11月15日安藤和津(70)も介護うつにーー。10月18日、都内で著書「“介護後”うつ」の発売を記念した記者会見を開催した安藤。同著では介護疲れやそれ以降の“うつ”について告白。スポーツ紙によると「感情から手足がもがれた感覚で生きなければいけないことが本当につらかった」と振り返ったという。「介護うつは今や、芸能界でも話題です。布川敏和(53)さんの元妻・つちやかおりさん(54)は、お兄さんが介護うつになっていたことを明かしています。ご両親の介護に疲れたお兄さんは一時、アルコールに依存。しかしお父様が亡くなられたのをキッカケに、お母様をグループホームへ入れたそうです。それによってお兄さんへの負担が減ったようです」(芸能関係者)松平健(64)は10年に元妻・松本友里さん(享年42)を亡くした際、マスコミ各所に宛てたコメントを発表。松本さんが母の介護や出産で体調を崩していたと発表し、こう説明していた。「パニック障害・不眠症・うつ状態を引き起こし、この3年間はいろんな病院にかかりましたが、結局、心通じ合う医師とはめぐり合うことができませんでした」そして「私の力不足と悔やんでおります」とコメントしていた松平。「私が居ながら亡き母の穴を埋めきれず、愛する母のもとへ旅立たせてしまったこと、今はただただ残念な気持ちでいっぱいでございます」と切なる気持ちをにじませていた。「欽ちゃんファミリーでおなじみの清水由貴子さん(享年49)は、09年に介護うつの末に亡くなっています。明るくまっすぐな性格の清水さんはお母様の介護にも積極的でした。しかしある時期から落ち込んだり、涙を落とすように。心配した妹さんが3人での旅行を計画していた矢先に、清水さんは自ら命を絶ってしまったからいました」(芸能関係者)介護する側に完璧さを求めないこと、そして1人で抱え込まないための環境づくりが重要といえそうだ。
2018年10月21日いつ、誰が「うつ」になってもおかしくない。私たちはそんなストレスの多い現代社会を生きている。だが、いざ自分が「うつかもしれない」と感じたときに、一体どう対処すべきかわからないという人が圧倒的に多いだろう。自らも過去に産後うつを経験。それがきっかけで一般社団法人メンタルヘルス協会認定の「上級心理カウンセラー」資格を持つメンタルサポート研究所認定講師 今村範子さんに、「うつ」状態に陥ったときに取るべき行動について話を聞いた。「イライラ」と「うつ」の違い、どう見極める?「一時的な憂うつやイライラと違って、“うつ病”は状態が進むと心身にさまざまな不調が現れます。食欲がなくなる、体がだるい、疲れやすい、あらゆることがひどく面倒に思える、頭が重く感じる、動悸やめまいがする、日中のひどい眠気、不眠、胃の不快感、便秘、性欲がなくなる…などの症状が続くときはうつ病を疑っていいでしょう」(今村さん 以下同)感情面でも顕著な動きがある。ふとしたときに涙が流れる、朝起きたときに強い不安を覚えるなどの症状が現れる人もいるという。一見すると、PMS(月経前症候群)ともよく似ているが、PMSが一時的なものであるのに対して、長期に渡って症状が続くのがうつ病の特徴だ。「よく感じるイライラや憂うつ感以外にも身体的な症状がある、かつそれらが2週間以上毎日のように、ほとんど1日中続いている。このような条件が揃った場合は、早めに精神科、心療内科を受診することをおすすめします」治療の二本柱は抗うつ薬とカウンセリングだが、精神科や心療内科を受診することに、心理的な抵抗感を覚える人もいるだろう。そういった場合に駆け込める場所はあるのだろうか?「精神科のハードルが高いと感じる方は、まずは身近な保健師さんや、かかりつけの婦人科の先生に相談してみましょう。メンタル面に詳しい先生なら、症状を見極めて適切なクリニックを紹介してくれるはずです」並行して、心理カウンセラーによるカウンセリングを受けることも回復に向けての効果があるという。「つらい思いを言葉にして吐き出し、誰かに親身に聞いてもらうだけでも楽になりますから。経験豊富なカウンセラーならば、相談内容に応じて医療機関と連携を取りながら治療を進めることもできます」では、もしも担当の医師やカウンセラーと「なんだか相性が合わないかも」と感じたときはどうすればいいのだろう?「その場合は、ご自身が安心して診てもらえると感じる先生をセカンドオピニオンで探すことをおすすめします。信頼できる相手と治療やカウンセリングを続けていくうちに、まるで薄紙を剥がしていくかのように、少しずつ、楽になっていくはずです」今村さんが考える、うつ病から回復するためのポイントは次の2点だ。・医師と相談しながら、不安やイライラを和らげる適切な薬(抗うつ薬)をきちんと飲む・服薬と並行して、溜め込んだ感情を楽にするために適切なカウンセリングを受ける「抗うつ薬は効き目が現れるまでにやや時間がかかります。ただ、副作用はわりと早い時期に感じるため、『効かない気がする』と感じることも多々あります。個人差はありますが、1~2週間を過ぎた頃から効き目を感じる方が多いので、自己判断で途中で止めないことが大事です」適切な対応を続けることで、状態は少しずつでも必ず改善していくはずだ。心療内科は特別な場所ではないし、抗うつ薬も過剰に怖がるような薬ではない。正しい知識と周囲の人のサポートを味方につけながら、焦らず、ゆっくりと回復への道を歩んでいこう。(取材・文:阿部花恵編集:ノオト)
2018年05月30日東京23区内のみで63人。2014年までの10年間で、自殺した妊産婦の人数だ。そのうちの3分の2が産後であり、約半数が「産後うつ」や精神疾患と診断されている。赤ちゃんが生まれて幸せいっぱいのはずなのに、なぜか「つらい」「しんどい」気持ちのほうが大きい。かわいいはずの赤ちゃんを「かわいいと思えない」と感じてしまう。さらには幼い我が子を残して、自ら命を断ってしまうママもいる。自らも過去に産後うつを経験し、それがきっかけで一般社団法人メンタルヘルス協会認定の「上級心理カウンセラー」資格を取得したメンタルサポート研究所認定講師 今村範子さんに、妊娠・産後の「うつ」の原因について話を聞いた。「産後うつ」は10人に1人がかかる身近なもの「産後うつとは、出産後に2週間以上、抑うつ状態が続く病気です。うつ病の一種であり、多くは出産後2~3週間で発症しますが、3~4カ月を過ぎてから症状が現れてくる人も。重症化すると1年以上症状が続くこともあり、そのままうつ病に移行するケースもあります」(今村さん 以下同)産後の女性の10人に1~2人がかかるといわれている「産後うつ」。おもな症状としては以下のようなものが挙げられる。【産後うつのおもな症状】□イライラする□憂鬱になる□疲れやすい□涙が出る□不安定な気持ちになる□自分を責める□食欲不振□不眠上記以外にも、「育児への不安が急激に込み上げてくる」「強い自己否定感を感じる」「赤ちゃんや夫への愛情を感じられなくなる」など、情緒不安定になるのが産後うつの特徴だ。産後の女性は心身ともに不安定になりやすい産後の女性が情緒不安定になるのは、性格傾向や外部の環境だけのせいではない。女性の体のなかでホルモンバランスが大きく乱れることも関係している。「産後うつを引き起こす大きな原因のひとつとして、出産後の母体ではホルモンバランスが乱れることが挙げられます。妊娠中に分泌されていた女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンは産後に激減します。授乳ホルモンのプロラクチンが急増することで、ホルモンバランスが大きく変動するのです」ホルモンバランスの乱れは自律神経に影響を及ぼし、うつ症状を引き起こす要因になりうる。「産後1カ月までは安静に」といわれるが、実はその後、産後2カ月、3カ月、4カ月の母体も、心身ともにまだまだケアが必要な状態なのだ。今村さんは産後の女性たちにこうメッセージを贈る。「赤ちゃんが夜泣きをするのは、母親のせいではなく、その子の特質。夜泣きした赤ちゃんを前にしてもあなたの体が思うように動かないのは、怠けているのでも、あなたがダメだからでもありません。もうすでにあなたは十分頑張っている。一人で抱え込まず、信頼できる人に気持ちを話し、助けてもらえる環境をつくっていきましょう」初めての育児に戸惑って「産後うつ」になる人もいれば、今村さんのように3人目の産後に初めて「産後うつ」になったという人もいる。出産による心身のダメージ、置かれている子育て環境、赤ちゃんの性質など、さまざまな要因が絡まりあって起きるのが「産後うつ」なのだ。今、まさにつらい産後を過ごしているママは、まずはパートナーや家族、友人に今の気持ちを打ち明けてみよう。もしもその人たちに「理解してもらえない」と感じたら、次は産婦人科の医師や地域の保健センターに相談してほしい。何よりも大切なことは、「一人で抱えこまないこと」なのだから。(取材・文:阿部花恵編集:ノオト)
2018年05月24日地元住民におなじみの人気イベントテニススクールの運営などを手がけている株式会社ITCが、「靱公園」(大阪市西区)内で毎年開催されている「うつぼスポーツフェスタ」に「靱テニス・マネージメントチーム」の一員として参加します。2018年の「うつぼスポーツフェスタ」開催日は5月19日(土曜日)。すこやかな心身を育むスポーツを日々の暮らしに取り込める「生涯スポーツ社会」の実現につながる活動を目的とした地域一体の健康増進・スポーツイベントです。会場となる「靱公園」は大阪メトロ「本町駅」から徒歩約7分。5月上旬には園内でバラが咲き誇り、他府県からも多くのファンが訪れる市民いこいの場です。予約不要、参加費無料なので気軽にどうぞ当日の会場は「靱公園」なにわ筋東側にある「ITCうつぼ庭球場前広場」。全日本テニス選手権ダブルス元女王の久見香奈恵プロが参加するテニス体験のほか、幅跳びやボール投げなどさまざまなスポーツ体験会が実施されます。また輪投げやスーパーボールすくいといった遊びのコーナーも設けられるので年齢を問わず楽しめます。参加費は無料(事前予約不要)でラケットの無料貸し出しもあるので誰でも気軽に参加可能です。(画像はプレスリリースより)【参考】※株式会社ITCのプレスリリース/PR TIMES※株式会社ITC※ITCうつぼ庭球場前広場
2018年05月16日産後うつを経て気がついた、自分を許すことの大切さ。およそ10人に1人が経験するといわれる、産後うつ。2013年に女の子を出産した藤田あみいさんは、自分がうつ状態になったことを最初は受け入れがたかったようだ。「子どもを産むまでふわふわ生きてきたというか、地に足がついていなかったと思うんです。目の前にか弱い生き物が出てきた瞬間に、母になったのだから変わらなきゃいけないと思ってしまったんでしょうね」はじまりは、娘が発達障害かもしれないという不安が生じたことだった。インターネットを検索しては不安になり、周りの人や医師に「問題ない」と言われてもほっとするのは一瞬で、強迫性障害を発症してしまう。娘を愛する気持ちは、変わらないどころか日々強くなるのに、治りたいという意志とは裏腹に症状が悪化。本書は入院中に1週間ほどで書き上げたそうで、「懺悔」という言葉にはこんな思いが込められていた。「私にとって、懺悔は3段階ありました。娘の障害を疑うようになったとき、まず世間体を気にしてしまったのがひとつ目。その後も不安が拭えなくて、懺悔の対象が娘と夫に変わってきて、最終的には自分自身に許してもらえなければ、抜け出せないような状況でした」散々迷惑をかけて、周りの人を不幸にしている自分や、当たり前の生活を送れなくなった自分を許せなかったのだが、その気持ちこそが藤田さんを苦しませていたのだ。「そのことにずっと気づけなかったんですよね。自己犠牲なんて、最初からいらなかったんです」藤田さんの場合は母になったことでこうした状況に陥ってしまったわけだが、仕事や人間関係などにおいても、理想とかけ離れていることに自己嫌悪を抱いてしまう人は、意外に多いのではないだろうか。そして「こうでなければならない」と本来望んでいないような世間的ルールを、自分自身に強いてみたり…。「娘がどうしたら幸せになれるんだろうって考えたら、不安要素がどんどん出てきてしまったのですが、娘にとっては私がそばにいてあげるだけでよかったんです。変わらなくていいということに気づいたら、すごく自由な気持ちになれました」自分自身を受け入れる。現代社会を健やかに生きるうえで大切なことに、この本は気づかせてくれる。ふじた・あみいイラストレーター。女性誌やウェブにてコミックエッセイを連載。ウェブで「ぜんぶ、無印良品で暮らしています。〜三鷹の家大使の住まいレポート〜」を執筆、2016年に書籍化。産後うつの状態から心を取り戻すまでの葛藤を綴った、「Hanakoママweb」連載の書籍化。今を生き抜くための学びが多い一冊だ。マガジンハウス1500円※『anan』2018年4月4日号より。写真・土佐麻理子(藤田さん)大嶋千尋(本)インタビュー、文・兵藤育子(by anan編集部)
2018年03月29日前回、産後うつの症状について記事にしましたが、今回は、産後うつの時に救いになったことについてです。うつの時は本当にたくさんの人に助けてもらいました…!!では、どうぞ~。支援センターには保健師さんが常駐していて、時々面談の時間を取ってくれていました。そんなある時、保健師さんがかけてくれた言葉が…。わたしは、母親になったからには、いい母親になりたかったし、たくさん手をかけてあげたかったし「どれだけたくさん手をかけてあげたかが、愛情のバロメーター」だと思っていました。だけど、うつになってしまい、思うように手をかけてあげられなくなってしまって、そんな自分が情けなくて仕方なかったのですが、だからこそ、周囲の人たちの助けや優しさに気づけたように思います。もし、うつになっていなかったら、周囲の人たちに頼ることも、許せなかったかもしれません。理想的な育児を追い求めて、自分も子どもも追い詰めていたかもしれません。「育児は一人ではできない」と良く言いますが、本当にそのとおりだと思います。ワンオペ育児という言葉がすっかり市民権を得ましたが、たった一人で奮闘して、追い詰められているお母さんがたくさんいます。しんどいお母さんが少しでも減る世の中になるといいなぁ…と願っています。
2018年02月13日ブログなどでは書いているのですが、わたしは第一子出産後に育児ノイローゼからの産後うつを経験しました。産後うつは、うつの症状もつらいのですが、そこに待ったなしの育児がのしかかってきます。その時のことを漫画にしてみました。では、どうぞ~。うつ病の人が「やる気が出ない」とか「体が動かない」とかいうのは、正直気力の問題だと思っていたし、やる気があればなんだってできるはずでしょ!? と思っていましたが…自分がなってみてわかりました。ほんとうに、体が動かない…!!!体全体が鉛のように重いし、頭もうまく回らない。買い物に行っても何を買っていいかわからず立ち尽くしてしまうし、簡単な料理の手順もわからなくなってしまいました。こんな状況で理想的な育児なんてできるはずもなく、毎日なんとか最低限の衣食住を満たすのに精いっぱい。ちゃんとした母親になりたかったのに、ろくに母親らしいことをしてやれない。そんな理想とはかけ離れた現実が苦しくて、当時は毎日自分のことを責めていました。ですが、うつになったからこそ気づけたことや、うつのときに助けてくれた人たちもたくさんいました。そのことについてはまた次回…。
2018年02月06日『コウノドリ』(TBS系)第3話が10月27日に放送された。描かれたのは、さまざまな迷信を信じてしまう妊婦・山崎麗子(川栄李奈)の無痛分娩と、第1話から描かれてきた彩加(高橋メアリージュン)の産後うつ。とくに産後うつについては、放送直後からSNS上に共感の声が殺到。さまざまな思いを抱えながら、日々育児に奮闘する母親たちの叫びを「これでもか!」と詰め込んだ至極の物語だった。■産後うつを救った星野源の言葉とはどんなときでも「大丈夫です!」と仕事の話ばかりする彩加について、小松(吉田羊)は自分が何か力になれることはないかと悩んでいた。だが四宮(星野源)は、産後うつは精神疾患であり産科の領域ではないと主張する。もちろんそれは正論。しかし、彩加に手を差し伸べたいと考えているのはサクラ(綾野剛)も同じだった。第1話に回想として登場した三浦芽美は、産後うつによって自殺。サクラは三浦の命を救うことができなかった自分を、悔やみ続けていたのだ。そんななか、ペルソナ医療センターを訪れた彩加が、病院の受付に赤ちゃんを置いたまま姿を消してしまう。それを聞いたサクラは一目散に院内を探し回るが、靴を脱ぎ、屋上の柵に手を掛ける彼女に声をかけたのは四宮だった。「もう、どうでもいいんです、だれにも必要とされてない」と嘆く彩加に、「まだ治療の道がある患者を放っておくことはできない」と返す四宮。「治療!?」と、思ってもいない言葉に彩加は驚くが、四宮は「治療です、治ります」と続けるのだった。■「育児を美化しすぎ」に激しく共感一般的に、病気と診断されるのはつらいことだが、ときには「病気だ」と診断されることで気持ちが楽になることもある。「いま一番必要なのは、きちんとした知識を持った専門医の助けです」という明確な言葉は「なんで、どうして」と小さな世界で自問自答を繰り返していた彩加にとって一筋の光となった。もちろん、そんな四宮の言葉には感銘を受けたが、筆者が大きくうなづいたのはメディカルソーシャルワーカー・向井祥子(江口のりこ)の「私もこんな仕事していますけど、子どもを窓から投げ出したいと思ったこと何度もありますよ。みんな子育てを美化しすぎです。髪振り乱して必死にやってるんです」という言葉。夜泣き、頻回授乳、たびたびのおむつ替え、ミルクを吐いたら着替えさせ、抱っこをして寝かしつけても、ベッドにおろすとすぐに大泣き…。小さなわが子に振り回されっぱなしの日々の中、たまに鏡を見れば、ボサボサ頭に目の下のクマ…。みんなはちゃんと子育てできているのに、自分だけができていないと追い詰められていく。だからこそ、彩加の産後うつ症状には、「ひとごとではない」とたくさんのママたちが共感したのだろう。今橋(大森南朋)の言うように「お母さんはだれにもがんばったねと褒めてもらえない」。仕事は結果を出せば評価されるが、こんなにもしんどい子育ては、どんなに自分を犠牲にしてがんばっても、だれにも評価はしてもらえない。褒めてほしくて育児をしているわけではないが、ママだって「がんばっているね」と認められるだけで、世界が明るく見えるのは当然である。■ママたちは「仕事が忙しいから帰れない」は通用しない「俺も手伝う」発言で、世の母親たちを敵に回してしまった康孝(ナオト・インティライミ)も「挽回できますかね」と反省の念を口にしていた。「赤ちゃんが0歳なら、お母さんもお父さんも0歳ですよ」というサクラの言葉にあったように、母親もいっぱいいっぱいだが、父親も父親になったばかり。相変わらず康孝は「人間は2人でひとつになんかなれない」と四宮に喝を入れられていたが、夫婦とはいえ“別々の人間だからこそ、互いを尊重しあう”というのは、子育てに限らず夫婦としての大きな指針と言えそうだ。子どもを保育園に預けるのも困難な世の中。苦労を乗り越え仕事に復帰しても、康孝のように「仕事が忙しいから帰れない」というのはワーママには通用しない。外でも家でも、やりたいことをやりたい時間にできない生活は、どうしたってストレスがたまる。それでもわが子を思って必死に戦っているママたちのがんばりをパパには認めてほしいし、心だけでも寄り添っていてほしい(行動も伴ってくれたら、その100倍うれしいが…)。そんな『コウノドリ』からのメッセージに、ママたちはどうしたって共感せずにいられないのだ。■サクラ&四宮の2ショットに眼福! 気になるあの女性の正体は!?シーンごとに心に響く名ゼリフの連発となった第3話。さらに四宮の「おまえが大丈夫じゃないんだよ」というサクラへの投げかけをはじめ、サクラ&四宮の眼福2ショットは、育児に疲れているママたちを癒やす要素としてもありがたかった。そして今回も、最後の最後で登場した四宮が“お茶していた”あの女性。白川(坂口健太郎)は「まじかよ…」とつぶやいていたが、次回こそは何やら進展がありそうだ。というか白川先生、次こそ2人の関係についてしっかりと切り込んでおくれっ!11月3日放送の第4話のテーマは“トーラック(帝王切開後の自然分娩)”。自然分娩がしたいと望む妊婦の意思を優先したいサクラと、子宮破裂などのリスクを懸念する四宮が再び対立する。TBSテレビ 金曜ドラマ『コウノドリ』金曜よる10時から【産後うつに関する記事】
2017年11月02日以前、産婦人科の先生に“産後うつ”について取材にした時のこと。「産後うつは、ママだけでなく、パパもなるんですよ」と言われ、衝撃を受けました。「出産をしていないパパが、なぜうつになるの?」と疑問がいっぱいでした。なぜパパが“産後うつ”になるのでしょう?「広尾レディース」院長で医学博士の宗田 聡先生によると、“産後うつ”は“うつ”と同じで、男女問わず几帳面な性格・真面目な人がなりやすいです。産後の定義が、産後1年のため、“産後うつ”とされてしまいますが、ママはもちろん、パパにも十分になる可能性があるといいます。約10人に1人がなると言われる“産後うつ”。パパもなる可能性が「“産後うつ”は、約10人に1人がなる可能性があると言われています。ママはもちろん、パパも同じ割合でなる可能性があります。国立成育医療研究センターの2016年の調査によると、産後の父親の約17%に産後うつのリスクがありました。初めての育児や慣れないお世話が大変なのは、パパも同じです。最近はイクメンも増えてきて、育児するパパが普通になってきました。そんな中で『きちんと育児をしなくては』『決めた通りにちゃんとしないと』とストレスを感じてしてしまい、“うつ”になってしまうことがあります」“うつ”になる原因は2つ。もともともっている真面目・几帳面といった性格的要因に加えて、「弱音を吐けない」「自分1人でうまくやらなければ」など、周りからのサポートがない状況で、1人で育児をしているように感じる環境要因が混ざり合って、“うつ”になってしまうのだとか。「『うちのパパは大雑把だから大丈夫』『近くに実家もあるし安心だよね』と思わず、どちらかの要因だけでも“うつ”になることもあるので注意しましょう。以下に“うつ”でないかをチェックする項目を挙げました。子育て中なら夫婦でチェックしてみて、お互いにどんな状況で育児をしているか、よく話し合い、共有しておくと安心ですよ」産後うつを簡単チェック! こんな症状ありませんか?□眠れない□やる気がおきない□疲れやすい□ちょっとしたことで涙が出る□イライラする□情緒不安定になる□いろいろなことに興味がもてない□赤ちゃんがかわいく思えない「これらの症状が1つでもあるようなら、定期検診の際に産婦人科医や助産師さんに相談したり、区や市の保健師さんに相談してみると良いでしょう」「出産したママだけのもの」「ホルモンの乱れが原因」と勘違いしていた“産後うつ”。イクメン全盛期とはいえ、パパも初めての育児に不安に思ったり、孤独を感じたりするのは普通のことだと思います。1人で育児を抱え込まないで、友人や周りの人に相談することも大切な息抜きになります。無理をせずに夫婦でお互いに気遣いながら、楽しく子育てをしていきたいものです。取材協力/・宗田聡(そうださとし)医師:医学博士・産婦人科医。著書に「EPDS活用ガイド」(南山堂刊、2017年10月発行予定)「これからはじめる周産期メンタルヘルス-産後うつかな-と思ったら-宗田-聡」「これからはじまる周産期メンタルヘルス」(南山堂刊 )など・広尾レディース<文:フリーランス記者武田由紀子>
2017年10月12日切迫早産の可能性のため入院。そして出産後も消えない不安出典 : 妊娠したら、しばらくは普通に妊婦として生活して、直前になったら病院に担ぎ込まれて出産するんだとばかり思っていました。しかし、私の出産経験は、想像と全く違う結果となりました。妊娠4カ月半で切迫早産で入院、その後の検診で大きなトラブルが判明、出産までの長期入院を言い渡されてしまったのです。私が入院した病院では、切迫早産や切迫流産、合併症、胎児の病気などのトラブルを抱えた妊婦がたくさん大部屋で同室入院していました。基本的に体は元気な人が多いので、病室では人間関係のトラブルが耐えません。私が一番苦手な「女の園」の中で、逃げ出せない拘束生活…しかも、いつの間にか私が最古参に。くれぐれもトラブルに巻き込まれないようにと、心すり減らす日々が続きました。いつまで妊娠が継続できるかわからず、緊急手術で取り出さなくてはいけない可能性があるという日々はものすごいストレスを感じるもの。妊婦雑誌を読むと涙が出そうでしたね。やっと生まれた娘は検査のため、すぐに新生児として入院。いろいろとあったものの、幸い退院するころにはすっかり元気になりました。しかし長い間、ストレスを抱えながらも病院の中でスタッフに守られる日々を送っていたのに、出産を終えて病院を出た途端、「さぁ、これからあなたはお母さんですよ。頑張って。」というプレッシャーがかかるこの落差。それまでのストレスとホルモンバランスの崩れもあったのでしょう。私の心はあっという間に故障してしまいました。強迫神経症が悪化してなかなか次の行動に移れなくなったうえに、ひどいうつ状態がやってきたのです。入院中、実家、自宅…私の心を救ってくれたのは保健師さんのネットワークだった出典 : そんな私を見て、入院中から保健師さんとの面談が始まりました。精神的なつらさ、この先の不安な気持ちをしっかり聞いてもらい、退院後も実家から保健師さんに何度も電話してつらい気持ちを聞いてもらいました。時間を割いてしっかり対応してもらい、ずいぶん私の心は救われました。さらにその保健師さんは、実家が管轄下に入っている保健所につないでくれ、実家にも保健師さんが訪問してくれるようになりました。娘の発育状況を診たり、私の話もじっくりと聞いてくれて心強かったです。そして、自宅に帰ってからも保健師さんが訪問するよう手配してくれたのです。入院中から実家、そして自宅へと管轄がそれぞれ違う保健所が、ネットワークをつないで私を救ってくれました。赤ちゃんとふたりきりの生活で壊れた心。保健師さんのおかげで子どもとの時間を楽しめるように出典 : 実家から自宅に戻ると、昼間は赤ちゃんとの二人きりになる生活が始まりました。当時は近所にまだ知り合いがおらず、まだ公園にも連れて行けない赤ちゃんとの二人きりの生活は泣くほどさみしかったです。そんなときに訪問してくれた保健師さんはとても頼りになる存在で、育児のアドバイスをしてくれたり、私の悩み相談にも乗ってくれました。そして孤独に悩む私を、近くの保健所で行われる赤ちゃんとママ教室に誘ってくれました。初めて出会う他の親子たち、そして優しく見守ってくれる保健婦さん。出産してから初めて他のママと会話して、心が緩んでくる感じがしました。だけど、やはり日中のほとんどを赤ちゃんとふたりで過ごす孤独と、赤ちゃんを守らなければならないプレッシャーは私の心を蝕んでいきました。強迫神経症が悪化して日常生活が送れないレベルに達してしまったのです。当時は赤ちゃんを寝かせたまま、何時間もかけて哺乳瓶の消毒、掃除をするまでになってしまいました。私のSOSを聞いて母が世話に通ってくれましたが、その状況を見かねた父から強制帰還命令が出され、実家へ帰ることになりました。このときの父の決断力には今でも感謝しています。あのままだったらきっと親子共倒れになっていたことでしょう。その時も保健師さんは私を助けてくれました。そのころかかっていた実家近くの精神科はどうしても私に合わず、症状がひどくなっても対応してくれませんでした。それを知って自宅から通える精神科を調べてくれ、つないでくれたのです。結果的に紹介された精神科にかかったおかげで、だんだん症状は落ち着き、子どもとの生活を楽しめるようになりました。保健師さんがすすめてくれた親子教室のおかげで、育児がもっと楽しく!出典 : 少し落ち着いたころ、保健センターで1歳半検診がありました。指さしで引っかかってしまった娘を心配していると、育児に不安のある親子のための親子教室を薦められました。そのときは発達障害という可能性は聞いてなかったので、何も考えず娘を連れて親子遊びを楽しんでいました。いまから考えると、保健師さんは一人ひとりの子どもの様子をよく観察していたのだと思います。教室が終わるときには、「もう心配いりませんからね」とニッコリと送り出してもらいました。娘は小4でアスペルガー症候群と診断されましたが、この時点では気づいてもらえませんでした。特性らしきものが目立ち始めたのはもう少し後だったので、仕方ないと今では思っています。この教室のおかげでママ友もでき、地元情報の交換もできるようになって、ずいぶん暮らしも育児も楽しくなりました。本当に参加してよかったです。発達障害と二次障害を抱えていた私。それでも子育てができたのは…出典 : 保健師さんの存在を忘れかけていた、娘が3歳を過ぎたころのことです。私が働きだしてから娘の様子がおかしくなって「仕事を辞めた方がいいのかな」と思い詰めることがありました。そのとき頭によぎったのは、親子教室でお世話になった保健師さん。保健センターに電話して相談したところ、さっそく面談の場を設けて娘の様子を観察し、私に接し方のアドバイスをしてくれました。おかげで娘の問題行動もおさまり、私も安心して仕事に行けるようになったのです。こうして振り返ると、私は保健所と保健センターの保健師さんたちに支えられ、助けられたから、発達障害と二次障害を持ちながらもなんとか娘の幼児期を乗り切れたのだと思います。あのころは、まさか自分と娘が発達障害だとは思いもしませんでしたが…。分からなくても救われることがあるのです。育児で困ったときは保健センターに相談にのってもらうのはおすすめです。「こんなことで電話していいのかな?」とためらわず、まず助けを求めてみませんか?
2017年03月10日うつは決して珍しい病気ではありません。現在、日本では100万人を超える人が、うつ病で医療機関を訪れています。受診せずに苦しんでいる人を含めると、もっと多いことでしょう。自分はそうでなくても、自分の周りで苦しんでいる人も多いだろうと思わせる数字です。うつになったときには、辛かったことを吐き出したり、親しい誰かに打ち明けたりすることが大切だといわれています。人と話すことが解決につながるとも、よく聞きますよね。でも、話すことの大切さを強調するだけでは片手落ちです。聞く方はどう聞き、どう返事をすればよいのでしょう?自分が聞く立場になることも大いにありえますから、ぜひ、指針や目安がほしいですね。そこでアイルランドの情報サイト『Lovin Dublin』が報告した、うつになった友人の話を聞くときにいってはいけないこと7つのことをご紹介します。ちなみにアイルランドでは、約40万人がうつ病で苦しんでいるのだそうです。アイルランドの人口は約464万人と日本の約3.6%ですが、うつ病人口は日本の40%ほどで、割合はかなり高めです。■1:「どうしてうつになったの?」うつには明確な理由や解決策がないこともあります。うつになった理由は、相手にとって答えにくいもの。酷なことになる場合があることを、心に留めておきましょう。相手に罪悪感を押しつけることにもなりかねません。自分がうつの場合、周囲が納得するような理由がない場合はその質問はスルーしましょう。■2:「テンションの落ちるときってあるよ。心配しないでいいよ」たしかに誰にでも、テンションの落ちるときはあります。しかし、「気分の落ちこみ=うつ」とは限りません。相手が「どれほど辛い思いをしているか」について話していたら、辛い気分が続いている期間や、辛さの度合いを確認してください。期間が2週間を超えているとしたら「そういうこともあるよ」のレベルを超えている可能性があります。医療機関を受診することを勧めるべきです。サインを見過ごしてはいけません。■3:「外出してみようとしている?」辛くてたまらなくて、外出も散歩もままならない状態なのに、外出してみようとしたか聞かれるのは、おぼれている人に向かって泳いでみたかと聞くようなものです。泳げないからおぼれているのですから。■4:「薬の常習性が怖くないの?」うつの人が、必ずしも薬での治療を受けているわけではありません。足の骨を折った人が、みんな足に金具を入れているわけではないのと同じです。とはいえ、薬での治療をしている人に薬の副作用を吹きこみ、治療方針に不安や恐怖をもたらすより、薬をきちんと飲んで、早く回復することをサポートした方がずっとよいでしょう。■5:「ポジティブな考え方が役立つと思うよ」うつは皮肉な態度をとるからなるわけではなく、悲観的だからなるのでもありません。ですから、この質問が浮かんでも、ぐっと口を閉じておきましょう。ちなみにうつ病のはっきりした原因はわかっていませんが、脳の神経の伝達物質の働きが悪くなること、激しい疲労やストレス、環境変化等、複数の要因が重なることで起きるといわれています。原因がひとつだけ、ということはまずないそうです。■6:「いい代替療法を紹介するよ」医療機関を受診しましょう。できれば医師・カウンセラーなどの専門家が、チームで対応してくれる医療機関が理想的です。■7:「友だちでこんなスゴイことをやった人がいてね」この言葉は、同じようなことに挑戦しようとしている人にはとても参考になりそうですよね。でも、うつの人には役立たないことが多いでしょう。うつの人は、いろいろと問題について話しても、必ずしも解決策を求めていない場合があります。というより、情報量の多さに圧倒されてしまうといったほうが近いかもしれません。ただ、話したいのです。相手を情報過多で疲れさせるよりは、お茶を淹れて一緒に座り、話を聞きましょう。「ホントそれって最低よね。とても辛いと思うわ」と共感を伝えるのです。*軽い気持ちで口にしてしまいそうな言葉もあれば、ずっと相手の話を聞いてサポートしているなかで、こちらが辛くなっていってしまいそうな言葉もありましたね。うつに苦しむ人のためだけでなく、支える人のためのカウンセリングもあるそうです。聞く立場になるときや、大切な人を支えようとするときは、自分にとっても正念場になります。自分を支えるサポートシステムも、必ず準備しておきたいですね。(文/粟飯原由布子) 【参考】※7 Really Shit Things Not To Say To Your Depressed Friend-Lovin Dublin
2016年08月22日通勤時や帰宅時、うつ顔で電車に乗っている人の割合は、日本はとても多いといいます。精神的にもきついし、ブスな顔になってしまうので避けたいものですよね。筆者の住んでいるフランスでは、毎日うつ顔で出社している女性などいません。毎日自信に満ちた表情で、颯爽と闊歩しているのです。フランス女性たちのその表情は、日本人の発想にはない、当たり前のようで意外な4つの柱で支えられていたのです。■どんなに忙しい時も「女」だということを忘れないもちろんフランスでもみんな、忙しく仕事をしています。しかし、忙しいというのを理由に「女性であること」をサボったりしません。日本では、長時間労働が当たり前。毎日残業で疲れが取れず、朝起きれないため化粧も服もテキトーで出社……。図星な女性も少なくないのではないでしょうか。皆、社会人である前に女性なのです。フランス人女性はそれをサボらず、メイクの時間や服を選ぶ時間をしっかり取るために、集中してできるだけ短時間で仕事を仕上げようとします。すると、仕事の効率もよくなり、キレイな自分も保てるのです。■結婚・出産をしないといけないという強迫観念は0日本で当たり前のように唱えられている「アラサーになったら結婚しなければならない」という強迫観念は、フランスにはありません。なので「結婚したいから、結婚する」なんて悲しい女子はフランスにはいないのです。誰も結婚・出産のリミットに怯えておらず、キャリアをセーブしてもいないのです。女性にとって、結婚・出産のイベントは人生にとって大きいものですが、それを「リミット」なんてものに縛られて楽しめないのはもったいないことなのではないでしょうか。■「NO」をはっきり言う日本は、なぜかわかりませんが「NO」といいにくい風潮がありますよね。自分が「NO」と言いたくても、言えなかった経験はほとんどの方にあるのではないでしょうか。対するフランスは、自分が「NO」と思ったらはっきり主張します。我慢など絶対にしません。自分の意見や権利のために、主張、交渉するのが当たり前の国フランス。そのためストレスもたまらず、鬱蒼な表情をしている人はとても少ないのです。■トレンドだからといってものを買わないフランスでは、日本のように同じような服を着ている女性を見かけることはありません。なぜなら、全ての物事を自分の目で判断するからです。知り合いのフランス人女性が日本に着た時は「なんで皆同じような服を着ているの?クローンみたい!」と驚いていました。トレンドだからという理由でものを買う発想がないフランス人からすると、理解しがたい光景のようです。フランスでは、行列のできる店も日本ほどありません。それは、「人気だから」という評判で店に並んだりしないから。それぞれの価値観で好きなものを選んでいるからです。何にも縛られないフランス人女性のように生きることで、もっと日本の女性の笑顔が増えたら良いな、そんな風に願っています。20代のみなさんも、そんな素敵な社会人になれるように、自分を追い込みすぎないようにしてくださいね。
2016年07月11日妊娠・出産を終え、いよいよ母親としての育児が始まるニューママたちを取りまく環境は大きく変わります。出産後によく聞く「マタニティーブルー」、いわゆる「産後うつ」による不眠に悩まされるママも少なくありません。育児への不安やストレス、夫や家族からのサポートの欠如、ホルモンバランスの変化などが原因として考えられています。情緒不安定な時期が続くと、不眠に加えて食欲不振や無気力感、集中力の低下、ヒステリーなどの症状が現れることが多く、ママのメンタルヘルスケアがとても大切になります。そこで、産後うつにならないために取りいれたい3つの習慣をご紹介しましょう。その1. 120%病にならない「赤ちゃんが眠ってくれたから、この時間に家事を終わらせちゃおう!」と、つい考えてしまいがちなママたちはとてもがんばり屋さん。育児も家事も完璧にこなさなくてはと、自分を追いこんでいませんか?「完璧・完全」は「認知のゆがみ」ともいわれる典型的なパターン。「できないことがあってもいい」、「できるときにやればいい」、このように思考にゆとりのスペースを意識的につくってあげなければ、忙しいママたちの心は膨らみすぎた風船のようにパンパンになって、辛くなってしまいます。赤ちゃんが眠ったら一緒に眠って夜眠れない分を補ったり、1人の時間を満喫すべく録画しておいたテレビを観たりして、自分をいたわる時間を優先しましょう。赤ちゃんはママの笑顔が大好きです。ママがいつも穏やかな笑顔でいられるように、「これもあれも完璧にこなそう!」という120%病にはならないようにしてくださいね。その2. 情報デトックスを心がける育児本やネットなど、手軽に情報にアクセスできることは便利な一方、あまりに頼りすぎてしまうと、情報の渦に飲みこまれ、自分を見失ってしまったり、時には他人と比較して「私はいいママではないかもしれない」と自信を失ってしまったりすることも。精神的にデリケートな時期は、情報との関わり合い方に注意が必要です。自分らしいママでいられるように、気分転換に楽しみながら読む情報と、家族や出産経験のある友人、または助産師さんや病院の先生などの専門家に相談する情報をある程度内容によって区分けしましょう。その3. 旦那さんと仲良くタッピングタッチ不安や緊張をほぐし、心を癒やして優しい気持ちにしてくれる方法としておすすめなのが「タッピングタッチ」です。「タッピング」は指先の腹を使って軽く弾ませるように左右交互にたたくというとてもシンプルで簡単なメソッド。今夜からすぐにでも取りいれられます。まずは旦那さんの目の前に座り、背中を優しくタッピングしてもらいましょう。それが終わったら、象の鼻のような動きで、両腕を使って背中をさすりながら手で腰のあたりをポンポンと軽くたたいてもらってください。続いて、肩と腕、首、頭もソフトにタッピングしてもらいます。最後は手のひら全体を使って、背中、肩から腕を優しくさすって終わりです。すべての動作は焦らずのんびりとしたペースで行うように意識します。余裕があるときは同じ工程を旦那さんにもしてあげて、お互いをケアしあってくださいね。一生懸命で責任感が強いママほど産後うつのリスクは高まってしまいます。まわりに甘えることを恐れず、赤ちゃんと一緒に自分のこともねぎらい、大切にしてあげることも忘れないでくださいね。そして、心身ともに深く休まる睡眠を楽しみましょう。
2016年07月01日