《認知症の前段階とされる軽度認知障害(MCI)の女性は、男性よりも認知症になりやすい――》今年7月、東京大学の研究チームがアメリカの科学誌に発表した論文が反響を呼んでいる。「MCIとは、正常な状態と認知症の中間にあり、物忘れが主な症状です。日常生活には支障がないのですが、たとえば銀行のATMで暗証番号を忘れてお金が引き出せないことがときどきあったり、同じ物を何個も買ってしまったりと、生活するうえで細かい失敗が出てくる状態を指します。認知症に進行しやすいので注意が必要ですが、現在の医療では、あまり有効な手段がないのが現状です」そう解説するのは、研究チームの1人で、東京大学医学部附属病院・神経内科講師で医師の岩田淳先生。厚生労働省によると、約3,000万人いる65歳以上の高齢者のうち、15%の462万人が認知症を患い、13%の約400万人がMCIの状態だという(’12年度調査)。人生100年時代を迎えたが、日常生活を支障なく送ることができる“健康寿命”を延ばすためには、認知症を発症させない、発症しても進行させないことが求められる。「MCIの背景にはさまざまな疾患があり、アルツハイマー病が潜んでいると進行は早くなります。高血圧や糖尿病など生活習慣病を患っていると認知症になりやすいということも過去の研究で明らかになっていますが、その進行の過程は未解明な部分があり、また日本人のデータもなかったので、2~3年間かけてデータを採ってきました」(岩田医師)研究では全国の38医療機関で診察を受けMCIと診断された男女234人(平均72歳)に1年に1度、認知機能テストや脳の画像検査を続けて3年間追跡調査を行った。その結果、3年以内に認知症へ移行した人は、男性が40%だったのに対し、女性は60%だった。「認知機能の悪化が早い女性には、ほんのわずかな腎機能の低下がみられました。同じ方法で実施されたアメリカの研究では、認知機能の悪化に男女差はありませんでした。なぜ、日本人では男女差が生じたのか。その理由として、日本の女性は男性よりも体が小さいため血管が細く、生活習慣病などによって引き起こされる動脈硬化が起こりやすいためではないかと推測しました」(岩田医師)脳内の血管がダメージを受けると、動脈硬化が起こり、神経細胞が壊され、認知機能の悪化を招きやすくなるという。見過ごされがちだが、全身の血管のうち、健康を維持するためにとても大切なのは約9割を占める毛細血管。全身の隅々まで酸素や栄養、熱を送り、老廃物を流す役割があるからだ。「毛細血管は放っておくと加齢とともに徐々に消滅してしまい、無機能化(ゴースト化)が進みます。血管が細い日本人女性が特に気をつけなければならないのが、この“血管のゴースト化”です」こう語るのは、『血管の強化書-破れない!詰まらない!澄み切った血液は万病を治す』(ワニブックス)の著者で、金沢医科大学総合内科学准教授の赤澤純代先生。女性ホルモンの一種、エストロゲンには血管の保護作用があるため、エストロゲンが減少すると血管にダメージを受けやすくなる。40代以降は、特に注意が必要だという。
2018年10月18日厚生労働省によると、約3,000万人いる65歳以上の高齢者のうち、15%の462万人が認知症を患い、13%の約400万人が認知症の前段階とされる軽度認知障害(MCI)の状態だという(’12年度調査)。人生100年時代を迎えたが、日常生活を支障なく送ることができる“健康寿命”を延ばすためには、認知症を発症させない、発症しても進行させないことが求められる。《認知症の前段階とされる軽度認知障害(MCI)の女性は、男性よりも認知症になりやすい――》今年7月、東京大学の研究チームがアメリカの科学誌に発表した論文が反響を呼んでいる。「MCIとは、正常な状態と認知症の中間にあり、物忘れが主な症状です。日常生活には支障がないのですが、たとえば銀行のATMで暗証番号を忘れてお金が引き出せないことがときどきあったり、同じ物を何個も買ってしまったりと、生活するうえで細かい失敗が出てくる状態を指します。認知症に進行しやすいので注意が必要ですが、現在の医療では、あまり有効な手段がないのが現状です」そう解説するのは、研究チームの1人で、東京大学医学部附属病院・神経内科講師で医師の岩田淳先生。研究では全国の38医療機関で診察を受けMCIと診断された男女234人(平均72歳)に1年に1度、認知機能テストや脳の画像検査を続けて3年間追跡調査を行った。その結果、3年以内に認知症へ移行した人は、男性が40%だったのに対し、女性は60%だった。「認知機能の悪化が早い女性には、ほんのわずかな腎機能の低下がみられました。同じ方法で実施されたアメリカの研究では、認知機能の悪化に男女差はありませんでした。なぜ、日本人では男女差が生じたのか。その理由として、日本の女性は男性よりも体が小さいため血管が細く、生活習慣病などによって引き起こされる動脈硬化が起こりやすいためではないかと推測しました」(岩田医師)脳内の血管がダメージを受けると、動脈硬化が起こり、神経細胞が壊され、認知機能の悪化を招きやすくなるという。見過ごされがちだが、全身の血管のうち、健康を維持するためにとても大切なのは約9割を占める毛細血管。全身の隅々まで酸素や栄養、熱を送り、老廃物を流す役割があるからだ。「毛細血管は放っておくと加齢とともに徐々に消滅してしまい、無機能化(ゴースト化)が進みます。血管が細い日本人女性が特に気をつけなければならないのが、この“血管のゴースト化”です」こう語るのは、『血管の強化書-破れない!詰まらない!澄み切った血液は万病を治す』(ワニブックス)の著者で、金沢医科大学総合内科学准教授の赤澤純代先生。女性ホルモンの一種、エストロゲンには血管の保護作用があるため、エストロゲンが減少すると血管にダメージを受けやすくなる。40代以降は、特に注意が必要だという。「加齢のほかにも、喫煙、運動不足、ストレスなどの習慣が血管に負荷を与えてしまいます。そして、血管の老化を加速度的に進行させてしまうのは、塩分や糖分をとりすぎる悪い食習慣です」(赤澤先生・以下同)次の生活習慣を確認してみよう。当てはまる項目があれば血管のゴースト化が懸念される。丈夫な血管を保つためにも、すぐに改めよう。【喫煙】喫煙は血管を収縮させ、血液の粘度が高まりドロドロになる。さらに、動脈硬化が進みやすくなる。【過度のアルコール摂取】お酒を飲むと一時的に血圧が下がり脈拍を速めるが、長時間飲み続けると血圧が上がり高血圧症の原因に。【塩分&糖質過多の食事】血管力を高めるのは薄味の食事。外食や加工食品を減らし、野菜やタンパク質を意識的に取るようにしたい。【肥満体形】コレステロール値が高い状態が続くと動脈硬化が進み、血管が狭くなる。標準体重を維持しよう。【運動不足】少し息が上がるくらいのスピードで1日30分歩く習慣をつけたい。ハードな運動は関節を痛めることがあるので注意。赤澤先生によれば、マッサージで血管の循環を促すことで、血管は鍛えることができるという。赤澤先生が推奨するのは次の2つのマッサージだ。【血流を促す「ふくらはぎマッサージ」】1)マッサージオイルを使い、ふくらはぎを両手で包み込むように、アキレス腱から膝裏のリンパ節までやさしくさすりあげる。2)膝の裏は、少し力を入れて特に念入りにマッサージする。3)親指でツボを押しながら、鼠径部までマッサージ。反対の脚も同様に。血海(膝の内側から指3本分上)、足三里(膝下の外側)、三陰交(くるぶしの内側から指3本分上)の、3つのツボを意識する。【リンパの流れをアップさせる「首・鎖骨のプッシュ」】1)あごの先から耳の下に向かって手でさすり、後頭部に向かって頭蓋骨のすぐ下を押す。さらに鎖骨に向かって首をさする。左右5回。2)肩の骨の付け根あたりから、鎖骨の上側の骨に近い部分を指で押す。左右5回。「必ず行ってほしいのがふくらはぎのマッサージです。ふくらはぎは“第二の心臓”といわれるほど、血流に大きな影響を与える大事な部分です。静脈には一方向に流れる弁があり、末梢の血液を戻す流れを作るには、ポンプの役割を果たす筋肉が必要です。ふくらはぎが硬くなっていたら微小循環が悪いことが考えられます。心臓に戻す方向でさすり、少し太い静脈に血液を戻しましょう」さわってみて冷たく感じたり、硬かったり、むくんでいたりしたら血行が悪く冷えているサインだという。また、相手と楽しみながら行う「足指じゃんけん」も、末梢血管の血流を促進させる効果があるそうだ。「首・鎖骨のプッシュ」はリンパの流れをよくするマッサージ。鎖骨の周辺には老廃物を運んでくる静脈がめぐり、リンパ管もたくさん張りめぐらされている。このあたりをほぐして血流をよくすることで、肩こりや頭痛も改善できて、一石二鳥だそう。手軽にできることから始めて、血管のゴースト化を防ぎ、健康寿命を延ばしていこう!
2018年10月18日介護をするうえでトイレの問題は最も優先すべきことでしょう。高齢になるとトイレの回数も増えてきますので、介護が楽になるか嫌になるかを左右するほど影響力の大きい問題です。そこで今回は、介護が楽になるトイレづくりのポイントをご紹介します。■ 認知症高齢者が夜中にひとりでトイレに行く危険性夜中に起きてトイレに行くと、眠気や動作の問題でふらつきや転倒の可能性が高くなります。IYO / PIXTA(ピクスタ)認知症高齢者の場合、足腰が弱くなり、視力も落ちているうえ、どこにトイレがあるのかわからないという、トリプルパンチの状態です。トイレの位置がわからないといのは、家の中における各空間の位置関係がわからなくなるという認知症の症状の表れです。いわゆる見当識障害というもので、季節、曜日、住んでいる場所、年齢など、自分を取り巻いている現状が理解できないのです。■ トイレまでの通路は明るく歩きやすい環境に!トイレ問題は寝室からトイレまでの通路と、トイレそのものに配慮する必要があります。深夜に目覚めた高齢者は、トイレに行こうと廊下に出ますが、廊下の照明スイッチが遠いと暗い中を歩くことになります。stockcamerawork / PIXTA(ピクスタ)センサー付きの照明にするか、せめてフットライトは設置したいところです。たむらあ / PIXTA(ピクスタ)人は明るい所から暗い所へ移動したとき、一瞬、視力が奪われ見えなくなります。若い人は10~30秒ほどで見えるようになりますが、高齢者は1~2分もかかります。また、高齢者は光源の輝度が高すぎるとまぶしく感じますので、明るくしすぎないように注意しましょう。寝室では顔の真上に照明を設置しないようにしてください。■ トイレとわかるように張り紙や看板などを設置認知症高齢者はトイレがどこかわからなくなり、あちこち捜し歩くことがあります。できればトイレと書いた用紙をドアに張ったり、看板を取り付けたりして、トイレだとわかるようにしましょう。ThefotosoloNo1 / PIXTA(ピクスタ)トイレのドアは外開きだと、出るときに人とぶつかる可能性があり危険です。できれば横にスライドする3枚引戸タイプがオススメです。Graphs / PIXTA(ピクスタ)ドアは使用中であることがわかるように、部分的にガラスがはめ込まれ、中の明かりが外から見えるタイプにすると良いでしょう。トイレのドアを開けたとき、自動で照明が点くようすると、スイッチを探す必要がなくなります。■ トイレ内は車椅子と介護者が入れる広さにトイレの中は車椅子と介護者(介護をする人)が入れて、さらに中で車椅子が回転できる広さがベスト。hap / PIXTA(ピクスタ)トイレの中には手洗いのできる小さな洗面と、オムツなどが置ける収納棚があると便利です。下着や衣服などの汚れはスロップシンクという専用の洗面台を利用するととても助かります。くまちゃん / PIXTA(ピクスタ)掃除用具や靴、マットなどの汚れ物も手洗いすることができます。■ 将来の介護のために新築時できること将来、親の居室を介護しやすくすることを考え、あらかじめトイレ・洗面準備配管を施しておくこともできます。hap / PIXTA(ピクスタ)必要なときに最小限の工事でトイレ・洗面付きの居室に改修でき、特に車椅子などを使うような頃に重宝すると思われます。ポータブルトイレという方法もありますが、抵抗があるという人もいるでしょう。ちゃんとしたトイレが居室にあれば遠慮なく用が足せ、気持ちよく過ごせます。介護生活が長引くと介護者のストレスが溜まり、心身ともに疲れてしまいます。トイレの問題は早めに対策をすることで、要介護者と介護者がともに辛さから解放され、在宅介護が楽になる大きな一歩となるでしょう。
2018年10月07日親と同居しようと思っている人の中には、二世帯住宅を建てる人が多くいます。それらの人たちには、やがて介護という現実と向き合うことになります。では、介護者とどのようにして家に住めばいいのでしょうか?そこで、気になる介護がしやす住まい「介護住宅」についてご紹介します。■ 同居の最も多い理由は「親の老後が心配だから」日本人の平均寿命が90歳に迫りそうな昨今ですが、すべての人の老後が明るいわけではありません。なぜなら、2025年には65歳以上の人の5人に1人は認知症を発症するという現実が立ちはだかっているからです。つまり、今は大丈夫でも10年後、介護している可能性は高いということです。親と別々に暮らしていた息子や娘が、再び親との同居を考える理由として最も多いのが、「親の老後が心配だから」というもの。Ushico / PIXTA(ピクスタ)特に片親だけになってしまった場合、同居の可能性はより高くなります。ちなみに、父一人または母一人という片親比率について旭化成ホームズが調べたところ、50代・60代では2割ほどですが、80代になると8割にも達します。また、親子同居経験者に限ると、じつに7割以上が介護を経験しているという調査結果もあります。■ 介護がしやすい「共用型」二世帯住宅親世帯と子世帯が同居となった場合、二世帯住宅を新築するという人も多くいます。二世帯住宅には独立型と共用型があります。独立型はキッチン、浴室、玄関などすべてが親世帯と子世帯とで別々になっている住宅です。千和 / PIXTA(ピクスタ)親世帯が元気なうちは互いのプライバシーが保ちやすい独立型がよいかもしれません。一方の共用型は、基本的な生活空間を共用し、サブキッチンやサブリビングなどのサブ空間を設けた住宅です。Fast&Slow / PIXTA(ピクスタ)3階建住宅では、2階に共有のLDKをつくり、1階に親世帯、3階に子世帯の居室をつくることがよくあります。2階で互いに交流するよう、メインとサブの空間を使い分けています。老親の介護に向いているのは、共有部分が多い共用型二世帯住宅でしょう。共用型は食事を一緒にとったり、リビングでくつろいだりと親を常に見守りながら生活することができます。■ 「娘夫婦同居」と「息子夫婦同居」の違いは何?同じ同居でも娘夫婦と息子夫婦とでは親子関係がかなり違ってきます。息子夫婦同居の場合、嫁姑問題に配慮して独立型にすることが多いようです。Fast&Slow / PIXTA(ピクスタ)娘夫婦の場合もそれなりに互いの立場を考えなければならないでしょう。息子夫婦同居の特徴として、親は子世帯のところへあまり行かないという傾向があります。これは、お嫁さんへの気遣いの表れでもあります。いざ介護することになっても親は自分たちだけで介護することが考えられますので、一人だけで介護しないよう、協力しあうことを心がけましょう。■ 主介護者の負担を軽くするルールづくり認知症を発症すると実の親子でも仲が悪くなったり、介護放棄したりするなど、これまでの関係が悪化することがあります。意外にも血縁関係のない夫や妻のほうが介護しやすいこともあるでしょう。認知症の初期には親も元気なのでよく動き、いろいろな問題を起こしやすいので、見守りや付き添いで主介護者は心身ともに疲れます。freeangle / PIXTA(ピクスタ)家族みんなが協力できるところは分担し、主介護者の負担を軽くするようルールを作ることも大切です。家事や見守りは子どもでもできる部分はたくさんあります。つむぎ / PIXTA(ピクスタ)介護で家族が一つにまとまるチャンスであると考えれば、協力は得られると思われます。■ 移動のスムーズさがカギ!介護がしやすい加齢配慮の二世帯住宅現在の住宅は家族の成長に合わせて、間仕切りや空間が変化しやすいよう設計されていることが多いといわれます。同じように、二世帯住宅を新築する場合、加齢による体力の変化にスムーズに応じられる住まいであることが重要です。介護で最も問題なのは移動で、想定すべきルートは3つあります。トイレへの移動リビングへの移動外への移動トイレの中では車椅子が回転できる広さを得るため、洗面と間仕切りを設けないワンルームにするなどの工夫が必要です。shizuka / PIXTA(ピクスタ)リビングは家族との団らんを楽しむ場であり、できるだけ一緒に過ごせるよう通行しやすいルートにします。外出のルートは、デイサービスや病院のほかに買い物や行楽に出かけやすいよう、玄関、階段、玄関アプローチに配慮が必要です。YNS / PIXTA(ピクスタ)これらのルートについては、車椅子でも通れる幅であることが大切です。段差や障害物をなくして、スムーズに通れるようにしておきましょう。介護住宅について、まだまだ個々の家庭で対処している状況ですが、親との同居やリフォームを考えている方は、ぜひ参考にしてください。【参考】※旭化成ホームズ 二世帯住宅研究所二世帯同居・この10年※旭化成ホームズ 二世帯住宅研究所親子同居スタイル・多様化の実態
2018年10月05日今では、マイホームの選択肢のひとつが二世帯住宅になっています。二世帯住宅を検討する際の心配事は、一緒に暮らし始めたはいいけど本当にうまくいくの?という暮らし方の悩みから、生活費や税金、相続などのお金のこと敷地活用や間取りのこと、介護や孫とのコミュニケーションなど、多岐にわたります。今回は、二世帯住宅の間取りの特長から考える住まいのコツや暮らし方まで、専門家から聞いた快適に過ごせる住まいの基本のコトを紹介!また、二世帯住宅を考える際によくあるお悩みについてもQ&Aで解説します。■ 間取りから学ぶ二世帯住宅の基本タイプ~特長と暮らし方のコツ二世帯住宅は、多くが親の家の建て替えと合わせたタイミングがいいようです。初めて二世帯住宅を考える方へ、間取りの特長や暮らし方のコツを基本から解説します。間取りから学ぶ二世帯住宅の基本タイプ~特長と暮らし方のコツ二世帯住宅の基本のタイプから間取り別メリットと注意点など、知っておきたい基本のコトを紹介。間取りから学ぶ二世帯住宅の基本タイプ《あわせて読みたい実例記事》>築80年の実家をリノベ。古材を生かして、快適な二世帯に【住まいの設計】>あたらしい「バリアフリーリノベ」【リライフプラスarchive】■ うまくいく二世帯住宅の建て方・暮らしの秘訣今は義理両親ともうまくいっているけれど、二世帯住宅にしたら本当にうまくいくの?建築家の米倉拓生さんに「うまくいく二世帯住宅の秘訣」をお聞きしました。うまくいく二世帯住宅の建て方・暮らしの秘訣【建築家米倉拓生さんに聞きました】二世帯住宅を建てる際には、気にするべきポイントがいくつかあります。娘夫婦、息子夫婦のどちらと同居するかでも建て方は変わるようです。うまくいく二世帯住宅の建て方・暮らしの秘訣《あわせて読みたい実例記事》>安心感と好きなインテリアを両立させた二世帯住宅【住まいの設計】■ ハウスメーカー業務経験者が語る!二世帯住宅を建てる前に抱えやすい悩みと解消ポイント二世帯住宅を建てる際、ハウスメーカーに依頼するケースが多くあります。ここでは、ハウスメーカーに5年勤めた経験のあるライターの川添さんに、二世帯住宅を建てる前に多くの人が抱えやすい悩みや不安、その解消ポイントをお聞きしました。ハウスメーカーで二世帯住宅を建てる前に起きる多い悩みと解決法多くの人が抱えやすい悩みや不安の解消ポイントを解説。ハウスメーカーで二世帯住宅を建てる前に起きる多い悩みと解決法二世帯住宅で義両親・夫側と妻側がうまくいくカタチとは?Q&A二世帯住宅を建てる前に、夫側、妻側どちらの義両親のどちらの場合でも、うまくいく「住まい」のあり方について確認しておきたい基本ポイントを解説。夫側、妻側どちらの義両親と住んでもうまくいく「住まい」のあり方《関連記事》>「二世帯住宅」ってどう?住んでから分かるメリット・デメリット>「お金、家事、介護…etc.「同居」の前に親と話し合って決めるべきこと《あわせて読みたい親とのコト》>親の介護ではいい嫁になるな!妻が「介護うつ」にならない方法6つ>約55%が相続先が未確定!「実家の相続」親子のホンネとは?>実家の片付けは親を監督兼助手にするとうまくいく!?【実践編】>2025年には5人に1人が認知症に!介護問題って何から始めればいい?>「実家」が汚すぎて片付けが無理…という人は必見!親も納得する整理術とは?
2018年10月05日ベーチェット病とはベーチェット病は、口の中や皮膚、眼など、さまざまな部位に炎症症状があらわれる病気で、発症の原因がはっきりと分かっておらず国の指定難病になっています。1937年にこの病を初めて報告したトルコの医師「フルス・ベーチェット」の名をとって、病名がつけられました。地域ごとでは、日本では北海道や東北に多く、世界的に見ると、日本、韓国、中国、中近東、地中海沿岸諸国に多く見られます。そのため、シルクロード病とも呼ばれています。平成26年時点で約2万人の患者がおり、その男女比はほぼ同等ですが、男性の方が重症化しやすい傾向があります。また、発病年齢は男女とも20~40歳に多く、ピークは30代前半です。出典:難病情報センター「病気の解説(一般利用者向け)ベーチェット病(指定難病56)」ベーチェット病の4つの主症状出典 : ベーチェット病には、口内、陰部、皮膚、眼にあらわれる4つの主症状があります。さらに5つの副症状もあります。それらの症状が複合的かつ慢性的に発症し、その症状の組み合わせによって病型が分類されます。この章では、まず4つの主症状について見ていきましょう。再発性アフタ性潰瘍は、口唇、頬粘膜、舌、歯肉、口蓋粘膜にでき、円形で痛みを伴います。いわゆる口内炎の症状で、ベーチェット病の場合は繰り返し発症するのが特徴です。初発症状としてもっとも頻度が高く、98%のベーチェット病患者で確認されている代表的な症状です。出典:難病情報センター「病気の解説(一般利用者向け)ベーチェット病(指定難病56)」皮膚症状でよくみられるのは以下の3種です。・結節性紅斑…皮膚に円形の赤みが出て硬くなり、痛みを伴います。ひざ下・ひじ下によくあらわれる症状です。・血栓性静脈炎…皮膚表面に近い静脈に沿って痛みが出て、皮膚が赤くなります。ひざ下によくみられます。・毛嚢炎(もうのうえん)様皮疹または痤瘡(ざそう)様皮疹…「にきび」に似た大きめの皮疹が顔、頸、胸部、背部などにできます(思春期、副腎皮質ステロイド薬を服用している場合は、その影響も考慮する必要があります)。◇皮膚症状の共通の特徴皮膚の過敏性が高まり、カミソリ負けを起こしやすかったり、注射や採血で針を刺したあとに赤く腫れたり膿んだりすることがあります。よくみられる眼症状に「虹彩毛様体炎」があります。普段外気に触れている眼の表面側の炎症で、痛み、充血、眩しく感じるなどの症状を生じます。表面側の炎症が眼の奥の方まで広がると「網膜絡膜炎(ぶどう膜炎)」となり、視力低下や視野異常を引き起こします。炎症を繰り返していくうちに、失明に至ることがあります。いずれも、両眼にあらわれることが多いです。男性では陰嚢、陰茎、亀頭に、女性では大小陰唇、膣粘膜にできる痛みを伴う潰瘍です。見た目は口内炎に似ていますが、痕が残るくらい深い炎症になってしまうこともあります。ベーチェット病の副症状出典 : 副症状はベーチェット病の発症から数年経過して出現することが多く、「副」症状という名のくくりであっても軽い予備的な症状ばかりを表すわけではなく、生命に危険が伴う重篤な症状も含まれます。5つの副症状を一つずつ確認していきましょう。膝、足首、手首、肘、肩などの関節に腫れを伴う炎症が起きます。似た症状に、関節リウマチがありますが、ベーチェット病による関節炎の場合は左右非対称に症状があらわれること、関節の変形や強直(関節や筋肉がこわばること)が残らないこと、手指などの小さい関節には発症しないことが特徴です。血管炎に分類されるほかの疾患では、動脈の病変が主ですが、ベーチェット病由来の血管病変は動脈系にも静脈系にも生じます。むしろ、上大静脈、下大静脈、大腿静脈などの太い深部静脈の病変の頻度が高く、その病変のほとんどは静脈を閉塞してしまう血栓症という症状です。また、静脈に比べ頻度が高くないとはいえ、動脈の病変もあり、その多くは動脈瘤です。瘤のできる場所や、瘤が破裂してしまった場合には生命に関わる重篤な病態に陥りやすいため、注意が必要です。主に小腸と大腸の移行部分(右下腹部)を中心とした腸管潰瘍です。腹痛、下痢、下血などが主な症状で、腸管潰瘍が進行すると腸管に穴が空くこともあり、緊急手術が必要な場合もあります。脳や脊髄などの中枢神経系に症状がみられることもあります。神経病変は難治性で男性に多く、ベーチェット病発症から神経症状が現れるまで平均6.5年と言われています。患者さん個々に症状はさまざまです。髄膜炎や脳幹脳炎として急性的に発症するタイプと、認知症などの精神症状に片麻痺や小脳症状などの神経症状が伴って慢性的に進行するタイプに大きく分けられます。昨今は神経病変と喫煙になんらかの関連性があるのではないかと考えられ、研究が進められています。出典:難病情報センター「病気の解説(一般利用者向け)ベーチェット病(指定難病56)」痛みと腫れを伴う睾丸部の炎症です。男性患者の約1割弱にみられます。出典:難病情報センター「病気の解説(一般利用者向け)ベーチェット病(指定難病56)」ベーチェット病の病型ベーチェット病は主症状・副症状の組み合わせによって4つの病型に分類されます。「口腔粘膜の再発性アフタ性潰瘍」「皮膚症状」「眼症状」「外陰部潰瘍」の4つの主症状が全てが発現したもの。・4つの主症状のうち3つが出現したもの。・主症状2つと副症状2つが出現したもの。・主症状の1つである眼症状に加え、もう1つの主症状が出現したもの。・主症状の1つである眼症状に加え、副症状が2つが出現したもの。主症状の一部が出現しているが、不全型の条件は満たしておらず、副症状が繰り返しがみられたり、悪化するもの。完全型・不全型の基準を満たしている状態に加え、特定の病変を伴うタイプ。病変部位それぞれに合わせて病型の名称があります。1. 腸管型副症状である消化器病変のうち「腸管潰瘍」が確認されている場合。2. 血管型副症状である血管病変のうち動脈・静脈問わず大きな血管に病変が認められる場合。3. 神経型急性型・慢性型問わず副症状である神経病変が確認された場合。ベーチェット病の原因ベーチェット病は、原因が不明で厚生労働省に難病に指定されています。有力な仮説として、何らかの遺伝素因(体質)に病原微生物(細菌やウイルス)の感染が関与して、白血球などの免疫系が異常に活性化し、強い炎症が起こるのではないかと考えられています。特に、ベーチェット病患者は白血球抗原「HLA-B51」(白血球の血液型のようなもの)の比率が健常な方に比べ、はるかに高いことが分かっています。ベーチェット病のメカニズム解明については、これからの研究の成果が期待されるところです。「ベーチェット病かも」と思ったら何科に行けばいい?出典 : ベーチェット病の症状はさまざまであるため、最初は症状に合わせて皮膚科や眼科、相談しやすいかかりつけ医などを受診することが多いでしょう。症状の組み合わせが診断の決め手となるので、受診時には、あらわれている全ての症状を伝えることが大切です。必要に応じて医師が専門病院の紹介などもしてくれます。数は多くないですが、ベーチェット病を主な対象疾患に含む専門科「膠原病内科(またはそれに準ずる科)」も存在します。以下のサイトで、全国のベーチェット病の診療ができる病院を検索できます。ベーチェット病研究班「ベーチェット病の診療医」ベーチェット病の検査方法ベーチェット病はさまざまな部位で症状を発現します。そのため、複数の検査を行う必要があります。採血をして炎症反応と白血球抗原「HLA-B51」の陰陽を調べます。炎症反応については、白血球の増多や炎症の指標であるCRPの値などから各種炎症の有無や程度を確認します。HLA-B51は日本人の健常者を検査すると約15%の方が陽性であるのに対し、ベーチェット病患者では約50〜70%が陽性を示します。出典:日本眼科学会「Behçet病(ベーチェット病)眼病変診療ガイドライン第 4 章 ベーチェット病の検査」ベーチェット病患者の多くは、口腔内連鎖球菌に強い過敏反応を示すため、連鎖球菌死菌抗原を使い、プリックテスト(プリック針で対象の物質を少量皮膚に入れ反応を調べる)を行います。陽性の場合、20~40時間後に強い紅斑反応があらわれます。出典:日本眼科学会「Behçet病(ベーチェット病)眼病変診療ガイドライン第 4 章 ベーチェット病の検査」病変の組織や細胞を採取し、ガラス標本をつくって顕微鏡で、病変時特有の反応があるかを確認します。これまで、ベーチェット病患者特有の細菌やウイルスは検出されていませんが、主に特徴的な白血球の挙動や、全身的血管炎の可能性を示唆する壊死性血管炎の有無を調べます。参考:一般社団法人日本病理学会「病理診断について」眼球に帯状の光を当て、拡大鏡で観察する細隙灯顕微鏡検査などがあります。1. 腸管型ベーチェット病診断や重症度チェックのためにも大腸内視鏡検査が必須です。2. 血管型ベーチェット病MRI、造影CT、超音波検査、血管造影検査などの画像検査を行います。3. 神経型ベーチェット病髄液検査やMRIの画像検査を行います。ベーチェット病は完治するのか。治療期間は?ベーチェット病の根本的な治療法はまだ特定されていません。症状が出ている活動期とおさまっている非活動期を慢性的に繰り返すため、通院・治療は基本的に長く続くことになります。ただ、予後は良好で10年程度で症状が落ち着くケースが多いです。非活動期は定期通院や服薬、日常生活の気配りだけで十分な場合もあります。特殊型と眼症状は重症化することがあり、注意は必要ですが、特殊型の症状に効果がある薬の開発が進んでおり、眼症状においても失明に至る患者数は減少しています。出典:帝京大学医学部内科学講座 リウマチ・膠原病グループ/研究室「ベーチェット病」ベーチェット病の治療法出典 : 現状、完治させるための治療法はありませんが、症状を緩和するなど対処的な治療法が行われています。症状の活動性や重症度を考慮して優先順位を決め、各部位の症状に合う治療法を選択しながら進められます。口腔内の再発性アフタ性潰瘍、陰部潰瘍には副腎ステロイド軟膏が有効で、眼症状でも用いるコルヒチンなどの内服薬もあります。薬物療法のほか口腔内、病変局所を清潔に保つこと、むし歯の治療も重要です。また、結節性紅斑にもコルヒチンが有効、痤瘡様皮疹はにきびと同じように軟膏治療などを行います。コルヒチン錠0.5mg「タカタ」出典:ベーチェット病研究班 治療出典:日本皮膚科学会「一般公開ガイドライン尋常性痤瘡治療ガイドライン 2017」虹彩毛様体炎など眼の前側に病変がとどまる場合は、副腎皮質ステロイドと瞳孔を開く目薬で対処します。重症時には、副腎皮質ステロイドの注射を行います。一方、眼の奥のほうで起きる網膜脈絡膜炎では、注射・点滴など全身に薬の成分がいき渡る方法で対処します。これらの眼症状が頻発する場合は、症状や患者の体質に合わせて、コルヒチン、シクロスポリン、インフリキシマブなどの内服薬が使われます。眼症状は症状の反復が視力の低下につながります。そのため、症状が落ち着いている時期でも、予防として服薬を継続することが重要です。コルヒチン錠0.5mg「タカタ」シクロスポリンカプセル10mg「ファイザー」/シクロスポリンカプセル25mg「ファイザー」/シクロスポリンカプセル50mg「ファイザー」/シクロスポリン細粒17%「ファイザー」レミケード点滴静注用100コルヒチンが効果的ですが、対症的には消炎鎮痛薬も使用します。これらの効果がない場合に副腎皮質ステロイド薬を用いることもありますが、短期間の使用が推奨されています。コルヒチン錠0.5mg「タカタ」主な治療法は副腎皮質ステロイド薬と免疫抑制薬の併用です。日本では国内の経験上、深部静脈血栓症をはじめ血管病変に対しては血を固まりにくくする治療法を選択することが多いです。血管病変の中には、動脈瘤破裂による出血のように命の危険が伴うものもあり、その場合は緊急手術を適応することになります。破裂する前など、症状が落ち着いている期間に手術をする方法もありますが(待機的手術)、病変の再発率が高く、かえって危険を伴うという見解から、極力保存的に対処すべきと考えられています。待機的手術を行なった場合には、再発の防止のための治療を十分に行う必要があります。クローン病などの炎症性腸疾患に準じた治療で、副腎皮質ステロイド薬などを使用します。副腎皮質ステロイド薬は状態を見ながら、徐々に減らし長期投与を避けることが好ましいですが、難治性の病であるため、薬をやめることは難しい傾向があります。そのため、副腎皮質ステロイド薬の副作用対策も行い、生活の質の向上を図ります。消化管の出血、穴があいてしまった場合には手術を要します。再発率が高いため、血管病変と同様に術後の免疫抑制剤を用いた治療が重要です。急性型の脳幹脳炎、髄膜炎には炎症を抑えるためステロイドが主に使用されます。急性型はこれらの治療に比較的よく反応します。一方、精神症状などが主体である慢性進行型に有効な治療方法は確立されていません。眼病変に対するシクロスポリン服用患者では、20〜25%に神経症状が出現するとされています。神経症状に対してシクロスポリンは禁忌であり、神経症状が出現したら中止し、ほかの治療薬に変更します。ほとんどが急性型ですので、シクロスポリンの中止と副腎ステロイド薬投与で改善します。シクロスポリンカプセル10mg「ファイザー」/シクロスポリンカプセル25mg「ファイザー」/シクロスポリンカプセル50mg「ファイザー」/シクロスポリン細粒17%「ファイザー」出典:ベーチェット病研究班「ベーチェット病とは 治療」ベーチェット病とのつき合い方。日常生活で気をつけることは?出典 : ベーチェット病とつき合っていくにあたり、日常生活で以下に留意しましょう。・休養、保温、ストレス軽減…冷えや過労によって症状が悪くなる傾向があるため、全身の休養・保温、ストレス軽減を心がけることが大切です。季節の変わり目や寒冷前線の通過時、女性は月経前後は特に注意を払いましょう。・口腔内の衛生(むし歯、歯肉炎などの治療)…ほとんどのベーチェット病患者に口腔内のアフタ性潰瘍がみられることから口腔内の衛生も非常に重要です。毎日の歯磨きを丁寧に行い、むし歯や歯肉炎もしっかりと治療しておきましょう。・禁煙…ベーチェット病の悪化因子である喫煙をやめることも、大切な留意事項となります。・食事…特に禁忌や推奨するものはありませんが、口内炎発症時は刺激物を控え、バランスのとれた食事をとりましょう。・定期受診…ベーチェット病は症状が落ち着く非活動期があるため、往々にして通院が疎かになることがあります。どんなに状態が良くとも油断せずに、定期受診は欠かさないようにしましょう。ベーチェット病は医療助成金をもらえるの?ベーチェット病は指定難病なので、ある一定以上の症状が確認された場合は、所得別に定められた上限金額を上回った分の治療費を助成金として受け取ることができます。ある一定の症状というのが、ペーチェット病のガイドラインに定められた「重症度分類」のStageⅡ以上に該当する場合になります。Upload By 発達障害のキホンどのステージに該当するかは、直近6ケ月間で最も悪い状態を基準として医師が診断します。例外として、症状の程度が上記の重症度分類で一定以上に該当しない場合でも、高額な医療を継続する必要があるものについては、医療費助成の対象となります。参考:難病情報センター「指定難病患者への医療費助成制度のご案内」参考:厚生労働省「56 ベーチェット病」一人ひとりの病状や所得状況などによって、必要書類や受け取れる金額などが異なってきます。以下の記事に詳しく紹介しているので、参考にしてみてください。ベーチェット病と就労ベーチェット病の症状は個人差が大きいので、当事者がサポートの必要性を感じていない場合には、一般的な就職活動・就労の継続で問題ありません。ただ、病状により、なんらかの就労への不安・困難を感じている場合には、難病患者向けの就労サポートを利用する方法があります。さまざまなサポート、支援サービスがありますのでいくつかご紹介します。職業相談から職業紹介まで一貫した就労サポートが行なわれています。難病者専門のサポート窓口「難病患者就職サポーター」も設置されており、障害特性に応じたきめ細かな支援が可能です。地域障害者センターに用意されている各種「職業リハビリテーション」や、身近な地域の企業、社会福祉法人などで「委託訓練」を受け、障害や職種に合わせて就労の準備を行うことができます。就労支援のノウハウを有する専門員(ジョブコーチ)を職場適応・定着のサポートとして、職場に派遣してもらうことができます。参考:厚生労働省「難病患者の就労支援」まとめベーチェット病の明確な原因は分かっていません。疑わしい症状が現れた場合には、症状の程度によらず、速やかに病院を受診し、医師の診断を仰ぐことが大切です。また、ベーチェット病と診断された場合には、根治させる治療法が確立されていないことから、うまく病気とつき合っていくことが必要になります。定期受診を欠かさず続けながら、闘病中の困りごとを軽減するために、日常生活での留意点や、支援制度について学ぶことも良いでしょう。一人で病気の苦しさを抱え込まずに、周囲の助けを得ながら治療していきましょう。参考:難病情報センター「病気の解説(一般利用者向け)ベーチェット病(指定難病56)」参考:難病情報センター「診断・治療指針(医療従事者向け)ベーチェット病(指定難病56)」参考:日本眼科学会「ベーチェット病」参考:ベーチェット病研究班「ベーチェット病とは 診療」参考:ベーチェット病研究班(FAQ)参考:順天堂大学医学部付属順天堂医院(膠原病・リウマチ内科)参考:帝京大学医学部内科学講座 リウマチ・膠原病グループ/研究室「ベーチェット病」参考:横浜市立大学付属病院 「ベーチェット病診療研究センター」参考:池袋サンシャイン通り眼科診療所 「細隙灯顕微鏡検査」参考:ベーチェット病友の会「ベーチェット病とは」
2018年09月30日親を介護していて、つい怒鳴ったり叱ったりすることがあります。怒りはなかなか抑えづらいもので、抑えれば抑えるほどつい言ってしまいます。自分でいかに感情を制御できるかが、介護で苦しまないためのコツでもあります。そんなときは我慢するのではく、あきらめることをオススメします。今回は介護者の怒りを抑えるために考えるべきことをご紹介いたします。■ 同じ行動を繰り返す親につい怒ってしまう原因は?認知症の親が問題行動をとったとき、つい怒って大声を出すことがあります。認知症ONLINEが行ったアンケートによると、介護家族の約8割が虐待しそうになったと回答しています。Fine Graphics / PIXTA(ピクスタ)例えば、仏壇の供え物を食べたり、トイレの水で手を洗ったり、鼻をかんだティッシュをポケットに入れたり、あるいは家にいるのに「はやく家に帰りたい」と言ったときなどです。Graphs / PIXTA(ピクスタ)最初はそうした行動に戸惑いますが、何度もやられると感情が乱れて怒りへと変わります。本当は怒りたくない、だけど反射的に暴言が出てしまう。そして、後悔する……。こうしたことの繰り返しに自分を責め、次は我慢しようと思います。しかし、問題行動を見た瞬間、どうしても怒鳴ってしまいます。■ 怒るより“あきらめた”ほうがお互いにラク!そこで提案したいのが、どれか一つだけ諦めてみること。ocsa / PIXTA(ピクスタ)親の問題行動の中で一つだけ選び、今日は怒らないことにしよう、と決めてしまうのです。そう強く決意すると、不思議と冷静でいられます。どちらかというと諦めに近い心境ですが、怒らないでやり過ごすことができます。例えば、鼻をかんだティッシュをポケットに入れても、見て見ぬ振りをすること。freeangle / PIXTA(ピクスタ)やがて時間が経ってから、「ポケットのティッシュ、捨てたほうがいいよ」と言います。すると、え、何これ?と言って、親はティッシュを捨ててくれるはずです。■ 問題行動にも、本人には本人なりの理由がある実はこうした問題行動にも理由があります。鼻をかんだティッシュをポケットに入れるのは、ティッシュがもったいないから。SoutaBank / PIXTA(ピクスタ)ティッシュなどがない時代に育ち、紙を大切に使うという意識が働いているのかもしれません。すべての問題行動になんらかの理由があると思えば、少しは感情的にならずに済みます。これは子育てにもいえることでしょう。■ 怒っても変わらないなら、こちらの考え方を変える目をそむける、諦める、といったことは一般の人にはほめられたものではないでしょう。しかし、介護ではよくあることです。自分が感情を荒げなければ相手も落ち着いています。怒っても何も変わりません。相手が変わらないのなら、こちらが変わるしかありません。まずは自分が何に対して怒るのかを知ること。それを一つずつ潰していくようにあきらめていくことが、怒らないコツだと思います。SAMURAI / PIXTA(ピクスタ)まあ、いいか。少しぐらい汚くたって死にはしないわ。そう思えば、気持ちは楽になり、今まで怒ってきたことがバカバカしく思えてくるのではないでしょうか。いい意味で、あきらめる選択は介護において有効だといえます。【参考】※認知症ONLINE認知症の介護家族の約8割が「虐待」しそうになった経験が「ある」。調査データ発表
2018年09月26日お茶の水健康長寿クリニック院長の野菜スープ9月18日、野菜スープでアンチエイジングを図ろうというレシピ集『老けない体に生まれ変わる 奇跡の野菜スープ』が発売された。著者は白澤抗加齢医学研究所所長で医学博士、お茶の水健康長寿クリニック院長の白澤卓二氏である。また、栄養士でフードコーディネーター、多数の健康レシピを手がけている落合貴子氏が料理を担当している。抗酸化力野菜スープを50品掲載2015年まで順天堂大学大学院医学研究科加齢制御医学講座の教授を務めていた白澤卓二氏は、寿命制御遺伝子の分子遺伝学などの研究を行い、日本アンチエイジングフード協会理事長でもある。また、発表した著作は『100歳までボケない101の方法』など300冊を超えている。新刊『老けない体に生まれ変わる 奇跡の野菜スープ』では、食材の抗酸化力に着目した50品の野菜スープのレシピを掲載。アンチエイジングだけでなく、ダイエットやがんの予防、認知症の予防にも効果があるとしている。レシピではキャベツ、トマト、にんじん、ブロッコリー、ほうれん草、かぼちゃ、なす、アスパラガス、パプリカ、春菊のそれぞれを主役にした野菜スープが5品ずつ掲載されている。(画像はAmazon.co.jpより)【参考】※老けない体に生まれ変わる 奇跡の野菜スープ
2018年09月24日在宅介護では暴言や暴力が絶えないともいわれています。このいわゆる虐待は大きな問題でもあります。認知症の人に接するうえで最も大切なことは何か。このような悲劇を招かないために、一度立ち止まって考えてみる必要がありそうです。■ 最も暴力に発展しやすいのは子が親を介護するケース!?平成27年度、家族や親族による虐待数は15,976件でした。これは前年と比べて237件増えています。sakai / PIXTA(ピクスタ)介護者と要介護者の関係を大きく分けると、子が親を介護、妻が夫を介護、夫が妻を介護、妻が姑を介護、という4つのケースがあります。この中で最も感情を乱しやすいのは、子が親を介護するケースです。また認知症の人は感情のコントロールがうまくできないため、何かと怒ったり頑固になったりします。しかも言うことを聞かないうえ、暴言や暴力までふるうこともあります。その結果、介護者がストレスを抱え、今度は介護者による虐待が始まることも少なくありません。■ 虐待で最も多い!息子が親に対して行う暴力平成27年度の虐待事例15,976件のうち、息子が全体の40.3パーセント(7,099件)を占めています。Ushico / PIXTA(ピクスタ)以下、夫の21.0パーセント(3,703件)、娘の16.5パーセント(2,906件)の順に続いています。では、なぜ息子の暴力が多いのか。それは、もともと力の差があるうえ、身内という遠慮のない関係が災いし、暴力をふるいやすいのではないかと思われます。■ 在宅介護で虐待が起こる最大理由はストレス!息子や娘は、自分を育ててくれた親をいつまでも気丈で尊大な人と思いたいものです。しかし、幼児のようにわがままや身勝手な振る舞いをする親に、我慢できなくなり、つい手を挙げてしまうのではないでしょうか。厚生労働省の調査によると、在宅介護で虐待が起こる最大の理由は「介護疲れ・介護ストレス」とのこと。shimi / PIXTA(ピクスタ)徘徊や異常行動を起こす親に振り回されると、疲れ、ストレスが溜まり、やがて冷静に対処することができず、大声で怒鳴ったり、手が出たりします。■ 病に対する理解不足は悲劇を生む根源同じ質問を一日に何十回もされると、多くの人は冷静さを失うでしょう。でも、それが認知症なのです。言ったこと、聞いたことをすぐに忘れる病が認知症なのに、性格が悪いとか頭がおかしいとか、本気で思ってしまう人もいます。shimi / PIXTA(ピクスタ)認知症で最も悲しいことは、こうした誤解による関係性の崩壊です。では、どうすればいいのでしょうか?最大の防止策は、認知症を理解することです。多くの介護者が認知症を理解しないまま介護をしていると考えられます。介護方法は知っていても、病気についての理解がないため基本的な接し方ができない人が多いのです。これは悲劇の根源でもあります。認知症の人は病人である前に人なのです。汚い言葉には汚い言葉で返します。優しい言葉には優しい言葉で返します。■ 認知症を理解し受け入れる寛容さが大切認知症は治らない病気、認知症になったら家庭は崩壊する、などの言葉が独り歩きし、誤解を信じ込んでいる人はたくさんいます。認知症を理解することは相手を理解することであり、それによって憎まない・怒らないにつながります。しげぱぱ / PIXTA(ピクスタ)病を憎んで人を憎まず。難しいことかもしれませんが、病気を理解し真正面から受け入れる寛容さが私たちには必要なのだと思います。【参考】※イリーゼ高齢者虐待を防止するには?介護現場の実態と今後の解決策※厚生労働省医療経済研究機構「家庭内における高齢者虐待に関する調査」概要※厚生労働省平成27年度 高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律に基づく対応状況等に関する調査結果
2018年09月18日「介護って、やっぱり報われないことだらけだけど……」。自身の体験をもとに、家族小説を書き上げた彼女。そこには、家族への温かい愛情が込められていた――。「母親に認知症の兆候が表れはじめたとき、『最近、母さんおかしくない?』と先に周囲が気づいて、本人はさほど自覚なんてしていないように見えました。でも、『すぐ忘れる、バカバカバカ』と母親のメモを見つけて、“本人がいちばん傷ついているんだ”ということに気がついたんです」そう語るのは、作家の阿川佐和子さん(64)。9月28日、小説『ことことこーこ』(KADOKAWA)が出版される。同小説は、40歳を目前に新たな仕事と親の介護を抱え、人生の岐路に立った女性・香子が、自分の道を見つけて歩み出す姿を描いた家族小説だ。認知症でもの忘れがひどくなった母・琴子が自分のために書いていたたくさんのメモを、香子が見つける場面は、阿川さんが認知症の母親の介護をするなかで体験したことがベースになっている。香子の家族と同じように、阿川さんの両親は当初2人で暮らしていた。しかし、父親(故・弘之氏)が自宅で転んで頭を打ったり、誤嚥性肺炎を起こしたりしたため、’12年初めより入院することになる。「私が子どもだったころから、父は『老人ホームに入れと言われたら俺は自殺する』って宣言していました。でも、父が転んで以降、高齢者2人だけの生活を続けさせるのは無理だと判断したんです。だからといって、きょうだいの誰かが親と同居するのは難しいということになりました」(阿川さん・以下同)’15年に父親が病院で最期を迎えるまで、阿川さんはきょうだいとともに両親の介護生活に奮闘した。「とにかく人手が必要だったから、つねにきょうだいで会議をして、ケア担当のシフト表を作りました。診察に行ったとき、担当医に言われたことを、パソコンに打ち込んで情報を共有したり、もうそれは阿川家の“一大プロジェクト”でしたよ(笑)。夫も協力的で、いまでも私の仕事が遅くなったとき、母をデイサービスに迎えに行ってくれたり、母の食事も、近くの料理屋さんに連れていって、2人で食べてくれることもあります」身をもって体験した、「親の介護」という深刻な社会問題。『ことことこーこ』には、その経験や教訓が込められているという。「介護って、報われないことだらけ。これなら喜ぶだろう、と思って買い物に行っても『そんなものいらん!』と言われたり、一生懸命に世話をしていた嫁や娘が、いちばん嫌われたりするケースもあると聞きますしね。それまで親に育ててもらってお世話になったぶん、子どもの自分が恩返しとして介護をしなきゃいけないと思うから、いろんなことを犠牲にして時間を作るわけです。『ありがとう』とも言ってもらえないことを続けていくと、精神的にまいっちゃうんですね」そんな生活に悩む多くの人たちに対して、阿川さんは「ズルをしてみてもいい」とアドバイスする。「父にあまりにも文句を言われたとき、悔しいから預かっていたお金で、私のタイツや下着を買ってみたの(笑)。そしたら、『これで仕返ししたぞ!』って気が晴れるんですよ。母に『昼、来てほしい』って言われたときに『仕事だから』と言って夕方から母のところに行ったんです。すると母が『大変だね、あなた仕事のしすぎじゃない?』なんて言われて、私は『うん』と返すけど、本当はゴルフに行って疲れた顔に見えてた、なんてこともあるんです(笑)」そんなとき、母親は「休んでなさい、ご飯は適当でいいよ」と言ってくれるという。「だから、ちょっと悪いかなと思って『いいえ、ちゃんと作るわよ』と応えちゃう。自分がズルすると、人に優しくなれるんですよ。浮気した亭主の心境って、こんな感じだと思う(笑)」体力も精神力も必要とする親の介護。そのなかにも、母親への優しい愛情が阿川さんからは見て取れた。(取材:インタビューマン山下)
2018年09月16日「母親に認知症の兆候が表れはじめたとき、『最近、母さんおかしくない?』と先に周囲が気づいて、本人はさほど自覚なんてしていないように見えました。でも、『すぐ忘れる、バカバカバカ』と母親のメモを見つけて、“本人がいちばん傷ついているんだ”ということに気がついたんです」そう語るのは、作家の阿川佐和子さん(64)。9月28日、小説『ことことこーこ』(KADOKAWA)が出版される。同小説は、40歳を目前に新たな仕事と親の介護を抱え、人生の岐路に立った女性・香子が、自分の道を見つけて歩み出す姿を描いた家族小説だ。認知症でもの忘れがひどくなった母・琴子が自分のために書いていたたくさんのメモを、香子が見つける場面は、阿川さんが認知症の母親の介護をするなかで体験したことがベースになっている。「確かに、小説の中には、実際に私が体験したことをけっこう使いました。ほかにも、主人公の香子は一度使ったラップを洗って干して、また使うシーンがあるんですが、実は私も同じことをしていまして、よく周りから『信じられない』とあきれられます……。だってコップの飲みかけのお茶を冷蔵庫に入れるために使ったラップって、そんなに汚れないじゃない。捨ててしまったら、ラップから『もうちょっと働きたい』と言われそうな気がして、レモンを包んであげたりしてるんです」(阿川さん・以下同)香子の家族と同じように、阿川さんの両親は当初2人で暮らしていた。しかし、父親(故・弘之氏)が自宅で転んで頭を打ったり、誤嚥性肺炎を起こしたりしたため、’12年初めより入院することになる。「私が子どもだったころから、父は『老人ホームに入れと言われたら俺は自殺する』って宣言していました。でも、父が転んで以降、高齢者2人だけの生活を続けさせるのは無理だと判断したんです。だからといって、きょうだいの誰かが親と同居するのは難しいということになりました」入院させたものの、家に帰りたがる父親を見て、「よし、戻ろう」と何度も口から出かかったという。「でも、そうなったら私が全部仕事を辞めなきゃいけなくなる。24時間父と母のケアをして、ご飯も作ってなんて生活ができるのだろうか?あるいは、24時間対応の看護師さんを雇うとしたらどれほどお金がかかるか……。それで父に『ごめん、ここはひとつ』と病院にいるように説得しました。すると、父は切ない表情になって『わかってる』と。かわいそうだなとは思ったけれど、おかげで仕事は続けられました」’15年に父親が病院で最期を迎えるまで、阿川さんはきょうだいとともに両親の介護生活に奮闘した。「とにかく人手が必要だったから、つねにきょうだいで会議をして、ケア担当のシフト表を作りました。診察に行ったとき、担当医に言われたことを、パソコンに打ち込んで情報を共有したり、もうそれは阿川家の“一大プロジェクト”でしたよ(笑)。夫も協力的で、いまでも私の仕事が遅くなったとき、母をデイサービスに迎えに行ってくれたり、母の食事も、近くの料理屋さんに連れていって、2人で食べてくれることもあります」サポートがあったとはいえ、阿川さんへの負担は大きかった。しかも、体調は万全ではなかった。「昨年くらいまでは、更年期障害に悩んでいましたね。ちょっと前髪が顔にかかるだけで、『ああうるさい!』とイライラしたりするんですよ。真夏は、腕が太いからノースリーブは着ないことにしていたんですが、気取ったこと言っている余裕もなくなって。とにかく暑いんですよ。更年期障害って」そこで阿川さんは、イライラを軽減させる方法を考えた。「一つずつ、小さなイライラを取り除くということから始めてみました。たとえば、原稿の締切りが明日にまで迫っていたら、『ごめんなさい今週は無理かもしれない』とお願いしてみる。『じゃあ来週の金曜日で』と言ってもらえたら『やった!』って一つ軽減するでしょ。前髪を短く切り、ノースリーブを着る。『醜い腕をさらすことになるが、みんな許せ!』と宣言すれば、また一つ楽になれる!」(取材:インタビューマン山下)
2018年09月15日少しずつ認知症の症状が現れるアルツハイマー型認知症とは異なり、脳梗塞、脳出血などの脳血管が原因で認知症になる人は少なくありません。しかも、脳梗塞は40代、50代でも発症します。とはいっても、脳梗塞は生活改善などで防ごうと思えば防げる病気です。ここでは脳梗塞で認知症を発症した人の介護について、一例を紹介します。参考になれば幸いです。■ ある日突然、父が倒れて自宅で介護することに…同居している義理の父親(78歳)が脳梗塞で倒れ、退院したら自宅での介護を考えているという主婦A(48歳)さん。KY / PIXTA(ピクスタ)Aさんのご主人は営業部で出張も多いため、主介護者となるのは必然的に自分だろうと感じていました。Aさんは事務職で比較的休暇が取りやすく、仮に会社を辞めてもご主人の収入でなんとかなるとも考えました。当初、Aさんは自宅で介護(在宅介護)するか、介護施設に入所させるかで悩んでいました。しかし、父の意識はしっかりしているため、施設入所はやはり気が引けました。■ 離職せず介護休業を利用して介護に専念Aさんは結局、自宅で介護という方法を選択しました。そして、現在の仕事について、次の4つの選択肢を考えました。勤務時間を短くして早く帰宅し、介護できるようにする地元のスーパーなどでのパートに切り替える自宅でできる仕事をする仕事をしないで介護に専念するAさんが選択したのは1でしたが、上司に相談すると、しばらく介護休業をとればいいとアドバイスされました。ふじよ / PIXTA(ピクスタ)介護休業は雇用保険から介護休業給付金が支給され、1回の介護休業期間は最長3か月です(介護休暇は最長5日間)。言われるまま介護休業をとり、父の介護に専念することにしました。■ 自宅でリハビリと介護に追われる日々に3か月ほど入院して自宅に帰ってきた父は、左半身麻痺と言語障害がありましたが、自分でご飯を食べたり、トイレに行くことはできます。KY / PIXTA(ピクスタ)リハビリ通院によって父親も機能回復を目指して頑張っていました。あまり回復はしないものの、現状を維持しながらそれなりに自立した生活が続きました。Aさんの介護は食事づくりと食事介助、歩行訓練の手助けや見守り、薬の管理、トイレ介助などです。歩行中に倒れると自分では起き上がれないうえ、下手をすると命の危険性もあります。自宅であっても目が離せないのです。しげぱぱ / PIXTA(ピクスタ)■ 「デイケア」に通い介護者も負担が軽減Aさんは父親に、より質の高いリハビリを受けさせようと考え、デイケアを利用することにしました。Fast&Slow / PIXTA(ピクスタ)要介護3の父は毎日楽しくデイケアに通うようになり、Aさんの負担も一気に軽減されます。そして、仕事にも復帰しました。仕事の時間を短縮して、デイケアから帰ってくる父親を迎え入れることにしたのです。ところが、事態は急変しました。昼間大人しくしていた父が夜中に起きて動き回るという異常な行動をするようになります。昼夜逆転現象の始まりでした。Aさんの疲労はこれまで以上となり、睡眠不足の日が続きます。Ushico / PIXTA(ピクスタ)■ 認知症の19%にも及ぶ!脳梗塞が原因で認知症に発展するケースも多い脳梗塞や脳出血などによって発症する認知症のことを「脳血管性認知症」と呼び、認知症全体の19%にも及んでいます。主な症状としては、何に対しても意欲や自発性がなくなるとともに、感情の起伏が激しくなり、些細なことで怒ったり落ち込んだりします。NOV / PIXTA(ピクスタ)ただ、判断力や記憶力は比較的保たれています。また、手足に麻痺や感覚の障害、言語障害などの症状が現れることもあります。日中に活動する意欲が少ないため、不眠や昼夜逆転につながり、その対応に振り回される家族も睡眠不足や大きなストレスを抱えてしまいます。■ 「介護施設」に入所して落ち着きを取り戻した父その後、Aさんの父は「脳血管性認知症」を発症してしまいます。夜中に窓を割って出て行こうとしたり、家の中を歩き回るようになりました。Aさんは毎晩のように繰り返す父の対応に追われ、ついに疲労で倒れ入院してしまいます。それを見かねたAさんのご主人は、父親をグループホーム(認知症の人を対象とした介護施設)に入所させることにしました。IYO / PIXTA(ピクスタ)施設では父親に応じた介護プランが作られ、介護士が日々のケアを行います。異常行動を繰り返していた父もよやく落ち着きを取り戻し、面会に訪れるAさんとも笑顔で会話できるようになりました。Aさんの父親の場合、最初からデイサービスか施設か、という選択ではなく、自然の流れで最終的に施設に入所したケースです。自宅で介護する人が増えていますが、介護の負担が大きいか小さいかによって、最初から施設入所という選択もあり得るでしょう。脳血管性認知症の人が必ずしもこのような流れを辿るわけではありません。あくまでも参考として、一つの流れを知っておくと良いでしょう。【参考】※厚生労働省Q&A~介護休業給付~※認知症ねっと認知症とは?原因・症状・対処法から予防まで
2018年09月14日多発する、高齢ドライバーの事故。それを受けて、見守り用の専用車載器付き保険や、後付けできる急発進防止装置など、事故を防ぐ見守りサービスが増えているという。それはどんなものなのか?経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれた――。最近、高齢ドライバーが起こす事故のニュースをよく目にします。5月には、90歳の女性ドライバーが4人をはね、うち1人が亡くなる痛ましい事故が起きました。交通事故自体は減っています。昨年の死者数も3,694人と過去最少でした(’18年・警視庁)。しかし、75歳以上のドライバーに限ると、死亡事故は横ばいです。人口10万人当たりに換算した死亡事故の件数は、75歳未満が3.8件に対して、75歳以上は8.9件と、2倍以上も起こっているのです(’17年・内閣府)。いっぽう、免許証を自主返納する人も増えました。昨年は約42万人。’16年より約8万人増えて、過去最多になりました(警察庁)。ですが、外出の足として車が欠かせない地域もあります。高齢者の外出が減ると、認知症が進むのではないかなど、家族は心配なことが多いでしょう。そこで、運転を見守る方法を見ていきましょう。まずは、見守りのついた自動車保険があります。三井住友海上の「GK見守るクルマの保険」です。無料レンタルの専用車載器を取り付けて、利用します。運転中に5回以上の急ブレーキやふらつきなどがあると、アラートで運転者に知らせます。高速道路の逆走などは、アラートとともに、あらかじめ指定した家族などに、メールで報告します。また、走行データから月間運転レポートを作成し、本人と家族などに届けます。保険料は、「GKクルマの保険」に、見守りのための特約料として年3,480円が加わります。あいおいニッセイ同和損保の「タフ・見守るクルマの保険」などにも、見守りが付いています。次に、見守り用の車載器をレンタルする方法があります。オリックス自動車の「エバードライブ」は、後付けできる車載器です。速度超過や急ブレーキ、急発進などを記録し、指定された連絡先にリアルタイムで知らせます。「今どこサーチ」では、車が今どこにいるかを、家族はスマホなどで確認できます。月額は2,980円(税別・以下同)です。また、シガーソケットに差し込むだけのレンタル車載器も開発されました。スマートドライブの「SmartDrive Families」です。9月末からサービス開始予定で、月2,480円。事前申し込みで2カ月無料になる特典もあるようです。国は、高齢ドライバーの事故防止のため、自動ブレーキの付いた「セーフティ・サポートカー(サポカー)」の利用を呼び掛けています。とはいえ、新車への買い換えは厳しい家庭が多いと思います。オートバックスセブンの急発進防止装置「ペダルの見張り番」は、取付け工賃込みで3万9,999円。ブレーキを踏む勢いでアクセルを踏んでも発進しませんし、アクセルとブレーキの両方を踏むとブレーキがかかりますので、アクセルとブレーキの踏み間違い事故を防止できます。敬老の日に、親と運転について話してみてはいかがでしょうか。
2018年09月14日「ごぼう音頭で声だそう~、ハイッ!」と、「GOBOU」と手刺繍された茶色い作務衣に赤いハチマキ姿で大きく呼びかけるごぼう先生。彼が考案した「イス体操」は、自主制作のDVDが全国2,000以上の施設に導入されている。愛知県岡崎市でデイサービスを運営しながら、この体操の指導をしているごぼう先生が話す。「もともと私は鍼灸師でした。祖母が介護状態と認知症になったことをきっかけに、介護サービスの道へ進みました。当初、施設ではみんなで体を動かせなかったので、誰でもできる健康体操を考案しました」「イス体操」は、座りながらできる、1回10分程度の10種類の体操。高齢になって思うように体を動かせない人でも、その場を楽しめる体操を目指している。「あるとき自宅で、祖母といっしょにイス体操をしていたら、たまたま家にいた父も参加したいと言って体を動かし始めたんです。慣れない祖母の介護で家の中がどんよりしていた時期で、しょっちゅうケンカをしていた2人が、体操をしているときは笑顔になる。体操はコミュニケーションになるんだ!と思った瞬間でした」そこから、“R70(70歳以上推奨)”の健康体操を掲げ、全国の施設をまわるように。人気の秘密は「参加している人たちとの楽しい交流」だと語る。「表情が変われば動きも変わる。最初から体を上手に動かす必要はありません。まわりの人とその場を楽しむことができれば、体も自然についてきますから」今年7月にリリースした新しい健康体操『懐かしい音楽でらくらく♪イス体操』は、名曲や盆踊りなど昔からなじみのある音楽を取り入れた。懐かしい音楽は、脳を活性化させるという。「プロモーションビデオを作るために集まった参加者の最高年齢は102歳のおばあちゃんでした。皆と一緒に声を出し、足踏みをしたそのおばあちゃんの大きな笑顔が印象的でしたね」体操で流れる『ごぼう音頭』は、先生が作詞・作曲。ボイストレーニングにも通って歌にも挑戦した。「よっこらしょ~どっこいしょ~♪」と曲が流れると、お年寄りたちもどこかで祭りが始まったのかとソワソワした表情に。「これからの目標は『ごぼう音頭』を引っ提げて、みんなで『紅白歌合戦』に出ることですかね(笑)」
2018年09月14日「高齢者が、できるだけ長く要介護状態になることなく、健康で暮らせるようにと開発したのが、『いきいき百歳体操』です。はじめて1年は参加者も少なく苦労しましたが、いまでは10万人以上がこの体操をしています。しかもこれは、廃用症候群という、お年を取って体が弱り長期間筋肉を使わないでいる人も効果が認められたものなんです」そう語るのは堀川俊一高知市保健所所長。堀川さんが中心となり理学療法士、医師が’02年につくりあげた体操は、現在、全国42の都道府県、1万カ所以上の施設で教室が開かれている。「いきいき百歳体操」に続くように、1,000人規模や11万人を超える団体も登場している。そこで本誌は、参加人数の多い体操サークルの内容とおもな開催場所をまとめた。【いきいき百歳体操】高知県<内容>高知市の保健所が介護予防に取り組むなかで、’02年に開発した「高齢者向け筋トレ」の運動プログラム。イスに座り、手首と足首におもりをつけて運動を行い、筋力とバランス能力を高める。96歳の女性の5メートルの歩行速度が9.2秒から3.3秒と3倍の速さになり、筋力も2倍になったという。その成果が認められて、’14年から「地域づくりによる介護予防推進支援事業」となり全国へ広まった。<開催場所>高知市からスタートし現在では、北海道から沖縄県まで全国42都道府県の約450市町村で、1万カ所以上。住民の主導により週に1~2度開催されている。【ゴエン予防体操】神奈川県<内容>介護予防トレーナー久野秀隆さんが主宰する健康体操。誤嚥予防のために、のどの筋肉を鍛える。運動だけではなく、認知症予防をはじめ口腔、栄養、精神面の健康の話を取り入れている。笑いながら高齢者の身体の仕組みを学び、痛いところや調子の悪いところにどのように対処していくのかを身につけていくのがモットー。参加者同士が、名前を覚えたり、出身地の話をしたりと交流しながら体操することを心掛けている。<開催場所>神奈川県の都市部を中心に開いており、7年間で開いた教室件数は5,719件(’18年8月)。定期的サークルは月に1~2回開催。参加人数平均20~25人。のべ11万4,000人。参加者は60~90代で、女性は約9割。【はじめての健康ダンス】大阪府<内容>シニアの身体機能を向上させるリズムダンス。日本ストリートダンススタジオ協会(大阪府)と奈良県立医科大学老年看護学講座、そして名古屋学院大学との共同研究で開発された。認知症予防やメタボ・ロコモ予防にも。ヒップホップや「ダンシングクイーン」などのディスコ曲や、昔のヒット曲にのり楽しく体を動かす。さらに、ダンスサークル(ダンスヨリアイ)を自分でおこなうための「ダンスリーダー養成講座」もあり、これまで100人以上がリーダーに。<開催場所>’16年に大阪府泉大津市でスタートし大阪市、吹田市、和歌山県で展開。企業との連動プランとして、「イオン和泉府中店」ではじめての「健康ダンス教室」が開かれている。週に1度、1時間、8週間連続。1回に30~50名が参加。【美らがんじゅう体操】沖縄県<内容>’07年、沖縄県宜野湾市の健康増進計画「健康ぎのわん21」から発足した運動部会が、肥満などの生活習慣病を予防する取り組みとして考案したオリジナル健康体操。「基本編」と「らくらく編」があり、どちらも簡単な筋トレで、高齢者も気軽に体を動かせるのが魅力。1曲あたり約25キロカロリーを消費できる。同市出身のミュージシャン・ジョニー宜野湾さんが考案した、親しみのある三線の音に合わせた楽しい曲調が特長。<開催場所>各自治会公民館で実施されている高齢者ミニデイサービスや、老人福祉センターにて定期的に実施。ウォーキング大会など、大勢が集まる市内イベントのウォーミングアップにも活用されている。’17年は各地で260回開催。のべ6,650人が参加。【よかトレ】福岡県<内容>「足元気体操」「かんたん体操」「祝いめでた体操」など6つの健康づくり・介護予防体操の総称が「よかトレ」。体操時間は各3~15分。座ったままできる体操などもあり、体力に合わせて取り組める。「祝いめでた体操」は、博多祗園山笠などで歌われる「祝いめでた」のリズムに合わせて踊る。福岡市内にある「よかトレ実践ステーション」では、無料で運動専門職スタッフから体力測定や運動実技の指導を受けられる(年1回)。<開催場所>200近くの「よかトレ実践ステーション」が福岡市内で登録されている。月2回程度、グループによって5~100人が集まり、参加者の年齢は60~90代。高齢の親には、いくつになってもじょうぶな体でいてほしいもの。あなたの町でも、楽しく参加できるプログラムを用意しているサークルが見つかるかも!
2018年09月14日直木賞作家・中島京子の『長いお別れ』が、『湯を沸かすほどの熱い愛』の中野量太監督により、映画化することがわかった。公開は、来年。キャストは近日発表されるという。認知症を患った父と、献身的に家族を支える母、そして2人の娘。彼女たちは日々遠ざかっていく父の記憶と向き合いながら、家族の“愛しい思い出”を見る。認知症の父と過ごす、ある家族の幸福な7年間が描かれる。原作者の中島京子は『小さいおうち』で第143回直木賞を受賞。さらに14年には山田洋次監督により映画化され、その年の日本アカデミー賞では最優秀助演女優賞を含む10部門を受賞する話題作となった。今回映画化する『長いお別れ』は、作者自身の実体験を基に書かれた。認知症という病を暖かな眼差しで向き合い、優しさとユーモアに溢れた家族の物語だ。メガホンをとるのは、中野量太監督。自身の長編デビュー作品でもある『湯を沸かすほどの熱い愛』で、日本アカデミー賞ほか数多くの映画賞で受賞し、一躍注目を集めた。そんな彼の待望の監督最新作として選ばれたのが、『長いお別れ』。中野監督は「オリジナル脚本へのこだわりを捨てられた」と語るほど原作に惚れ込み、自身初の小説の映画化となる。原作者・中島京子さんコメント『長いお別れ』は、認知症を患った父親とその家族を描いた物語です。認知症と聞くと、年老いた親が壊れていってしまうと身構える方が多いと思うのですが、発症してからが長いこの病気と向き合う時間は、ただつらいだけの日々ではなく、涙もあれば笑いもあります。家族にとっての大事な「別れの時間」だと、私は思っています。映画の中で、素晴らしい俳優さんたちが、どんなふうに演じてくださるのか、いまからとても楽しみにしています。中野量太監督コメント『長いお別れ』は、僕にとって初の原作を元にした映画になります。この本を読んだ時、オリジナル脚本へのこだわりを簡単に捨てられました。それくらい撮ってみたいと思えたし、僕の頭の中で面白くなる想像が、どんどん膨らみました。アルツハイマー型認知症を患った父を持つ家族の話なのに、何度も笑って、何度も優しい気持ちになって。僕が描きたい家族の映画がそこにありました。納得の脚本に仕上がりました。そこに素晴らしい俳優陣が集まってくれました。認知症を扱った映画としては、今まで観たこともない作品になると思います。ずっと家族を映画で描いてきた僕の、また一歩進化した最高傑作を目指します。すでに、今年8月末にはクラインクインしており、気になるキャストも近日中に発表になるという。『長いお別れ』は2019年、全国にて公開予定。(text:cinemacafe.net)■関連作品:小さいおうち 2014年1月25日より全国にて公開© 2014「小さいおうち」製作委員会湯を沸かすほどの熱い愛 2016年10月29日より新宿バルト9ほか全国にて公開© 2016「湯を沸かすほどの熱い愛」製作委員会
2018年09月13日「もの忘れが多くなると、このまま脳が衰え、いずれ認知症に……と不安になる人もいます。でも諦めることはありません。脳は何歳になっても成長するのです」そう語るのは、加藤プラチナクリニック院長の加藤俊徳先生。胎児から超高齢者まで1万人以上の脳のMRI画像を分析してきた脳科学のスペシャリストだ。加藤先生の新著『50歳を超えても脳が若返る生き方』(講談社)には、驚きの“新事実”が書かれている。たとえば、中高年になると年々脳の機能は低下していくと思っている人も多いはずだが……。「加齢とともに脳の神経細胞が減っていくことは事実です。ただ、脳の全体が衰えるわけではありません。脳には使われずに眠ったままの“潜在能力細胞”が残っています。それは100年以上生きても使い切れない。だから脳は死ぬまで衰えることはないのです」(加藤先生・以下同)さらに、大人になれば脳の成長は止まるという“常識”も覆す。「ある80歳の男性の脳のMRI画像を見ると“運動機能”が弱まっていました。そこで私が脳の活性化を促すコツをアドバイスしたところ、彼はドラムの練習を開始。すると、1年後に脳が7歳程度の子どもと同じ伸び率で急成長していたのです。私はこの木が枝を伸ばすように脳が成長することを『脳の枝ぶり』と呼んでいます」脳の成長には、複数の脳の機能を使うことが重要だ。「脳の中では、同じ働きをする複数の神経細胞が集合して基地を作っています。これを“脳番地”と名付けました。なかでも脳の若返りに欠かせないものが、8つの番地です」8つの脳番地は次のとおり。【1】思考系思考や意欲、想像力をつかさどる。【2】伝達系コミュニケーションを通じて意思疎通を行う。【3】運動系体を動かすこと全般に関係。【4】感情系喜怒哀楽などを感じ、表現する。「感覚系」を通じて活性化する。【5】理解系目や耳を通じて得た情報を理解する。【6】聴覚系言葉や音を脳に集積させる。【7】視覚系映像や画像、文章を脳に集積させる。【8】記憶系ものを覚えたり、思い出したりする。「体を動かすことが好きな人は運動系が鍛えられ、楽器演奏が得意な人は聴覚系脳番地が育つ。逆に苦手なものやふだん使わない脳番地は未熟なままで年々衰えていく。ですから、これをバランスよく刺激することで、認知症を遠ざけることができるのです」では、その8つの脳番地を常に刺激するライフスタイルとは、どのようなものだろうか。「実は男性より女性のほうが、ふだんの生活で脳を活性化させているのではないかと思っています。たとえば専業主婦の方であれば、子育て、家事、近所付合い、パートの仕事はもちろん、趣味やオシャレへの関心まで、多岐にわたって脳をフル活用しています。とりわけ美の追求やオシャレなものへの物欲は脳の成長に欠かせない栄養素。脳のためには、いくつになっても“欲”は持ち続けてほしいところです」
2018年09月12日「もの忘れが多くなると、このまま脳が衰え、いずれ認知症に……と不安になる人もいます。でも諦めることはありません。脳は何歳になっても成長するのです」そう語るのは、加藤プラチナクリニック院長の加藤俊徳先生。胎児から超高齢者まで1万人以上の脳のMRI画像を分析してきた脳科学のスペシャリストだ。加藤先生の新著『50歳を超えても脳が若返る生き方』(講談社)には、驚きの“新事実”が書かれている。たとえば、中高年になると年々脳の機能は低下していくと思っている人も多いはずだが……。「加齢とともに脳の神経細胞が減っていくことは事実です。ただ、脳の全体が衰えるわけではありません。脳には使われずに眠ったままの“潜在能力細胞”が残っています。それは100年以上生きても使い切れない。だから脳は死ぬまで衰えることはないのです」(加藤先生・以下同)脳の成長には、複数の脳の機能を使うことが重要だ。「脳の中では、同じ働きをする複数の神経細胞が集合して基地を作っています。これを“脳番地”と名付けました。なかでも脳の若返りに欠かせないものが、8つの番地です」8つの脳番地は次のとおり。【1】思考系思考や意欲、想像力をつかさどる。【2】伝達系コミュニケーションを通じて意思疎通を行う。【3】運動系体を動かすこと全般に関係。【4】感情系喜怒哀楽などを感じ、表現する。「感覚系」を通じて活性化する。【5】理解系目や耳を通じて得た情報を理解する。【6】聴覚系言葉や音を脳に集積させる。【7】視覚系映像や画像、文章を脳に集積させる。【8】記憶系ものを覚えたり、思い出したりする。「体を動かすことが好きな人は運動系が鍛えられ、楽器演奏が得意な人は聴覚系脳番地が育つ。逆に苦手なものやふだん使わない脳番地は未熟なままで年々衰えていく。ですから、これをバランスよく刺激することで、認知症を遠ざけることができるのです」そこで「脳を老化させない習慣」について、加藤先生に解説してもらった。■新しいことに挑戦する「初めてのことに挑戦したいという前向きな考え方は、脳全体を活性化させますし、脳のマンネリ化を防ぎます。歯磨きを利き手と逆でやったり、自分では作らないようなB級グルメを楽しんだりするだけでも脳は元気になるのです。聴覚系と伝達系を鍛えるカラオケですが、いつも十八番ばかりの人は要注意。新しい持ち歌を増やして、記憶系や感情系、伝達系の強化をはかりましょう」■家事を楽しむ掃除、洗濯、料理など、家事は最強の脳トレ。ただし漫然とやっていては効果が半減するという。「ロボット掃除機は便利だと思いますが、せっかくの脳トレの機会を逃してしまうことになりますね。雑巾がけやホウキでの掃除は運動系を鍛えるだけでなく理解系を伸ばします。またリビングは10分、寝室は5分、と細かく掃除の時間を区切ることで、記憶系も元気になるでしょう。スーパーに行く際には、事前に買い物リストを作りましょう。1つの食材で3つのメニューを考えてみたりすることでも、思考系が活発に働きます。また料理の途中で3回以上味見をしてみてください。味見は過去の記憶を脳から引き出して比較する行為ですから、記憶系や思考系を鍛えることができます」■人とふれあう社会的に孤立すると脳は劣化していく。人とのコミュニケーションが脳の成長につながるという。「ご近所のお友達と“井戸端会議”をすることでも、聴覚系、視覚系、伝達系など複数の脳機能を使うことになります。趣味や習い事でも、社会とのかかわりが増えますね。とくに自分より若い世代の話をじっくり聞くことは効果的。今まで知らなかったことや刺激を与えてくれる情報に敏感な姿勢は、脳をイキイキとさせます。さらに人間関係を円滑にする笑顔の使い方も重要。これが右脳の伝達系を活性化しますから」■生活スタイルをキープ「文房具を長く愛用していたり、愛読書を読み返す、昔のアルバムを見返したりすることは記憶力の強化になります。早めに生前整理を、と思い切った“断捨離”をする方もいますが、それも善しあし。人生の終わりなど、これが限界だと諦めてしまうと、その時点で脳は成長を止めてしまうのです」年相応に持ち物を減らして人付合いもほどほどにと考える人は多いかもしれないが、“ひきこもり”はボケを早める可能性が。「便利すぎる生活は脳を老化させます。家の中も、多少不便なほうが脳は活性化するのです。どうせなら20歳以上、自分の年齢をサバ読んでみませんか?人は必ずしも年相応に行動をとる必要はありません。実年齢が50歳でも30歳のつもりで行動すれば、自然に体を動かす機会が増えるだけでなく、脳もその年齢の状態に戻っていくものです」なるほど。“楽チン生活”は脳を老けさせるのでご注意を!
2018年09月12日親や夫の介護が必要になったら、何をどうすればいいの?そんな悩みを抱いている人は少なくないでしょう。60代~80代の親を持つ人にとって、介護はいつ訪れてもおかしくない問題です。ここでは、多くの人が最初に出会う「デイサービス」と「ケアマネージャー」についてご紹介します。■ 介護保険サービスを利用するには要介護認定から親や夫、妻が認知症かなと思ったら、まずは病院で診察してもらいます。SoutaBank / PIXTA(ピクスタ)その結果、認知症と診断されたら役所やに出向いて要介護認定の申請をしましょう。ISO8000 / PIXTA(ピクスタ)要介護認定は介護保険制度を利用するベースとなりまので、必ず申請しましょう。camera_papa / PIXTA(ピクスタ)申請後、調査員が自宅に来て聞き取りや観察を行い、1か月ほどで認定結果を伝えてくれます。要介護1~5、または要支援1、2に認定されて始めて、さまざまな介護保険サービスが利用できるようになります。■ 最初に出会うのは、介護の専門家・ケアマネージャー要介護1~5に認定されると地域包括支援センターで、「デイサービス(通所介護支援)」を紹介してくれます。デイサービスは親を昼間だけ預かって、食事や運動などを提供する施設です。tkc-taka / PIXTA(ピクスタ)送迎もしてくれますので、決められた時間に自宅で待っていればよく、介護の負担は軽くなります。デイサービスに入るためには、まず地域包括支援センターで要介護者に適したデイサービスを選び面談します。面談の相手はデイサービスに所属するケアマネージャーです。しげぱぱ / PIXTA(ピクスタ)正式には介護支援専門員と呼ばれ、要介護認定を受けた人が適切な介護サービスを受けられるよう支援する専門家です。ケアマネージャーは要介護者や家族と話し合い、デイサービスでのケア内容、運動、食事、レクリエーションなどのケアプランを作成します。介護のスペシャリストなので、何でも気軽に相談できる強い味方です。■ 「デイサービス」は最もポピュラーな介護保険サービス「デイサービス」は認知症でも比較的軽度の要介護者に多く利用されている日帰りタイプの介護施設です。デイサービスでは自宅で安心して暮らし続けていけるよう、生活支援(食事や入浴を提供)や機能訓練を行っています。Ushico / PIXTA(ピクスタ)また、ラジオ体操や歩行訓練などで体を動かしたり、レクリエーションやイベントに参加したりします。Greyscale / PIXTA(ピクスタ)疲れた時は何もせずゆっくり休み、仮眠もできます。でも、宿泊はできません。介護保険制度では要介護度の程度によって、介護サービスを利用できる回数が決められています。要介護1、2の方は週に1、2回しか利用できないことがありますので注意してください。■ 一人ひとりに対応する「小規模多機能型デイサービス」デイサービスには、「小規模多機能型デイサービス」という日帰りと宿泊の両方ができる事業所もあります。IYO / PIXTA(ピクスタ)通常のデイサービスでは、施設が計画したスケジュールに沿って過ごしますが、小規模多機能型では朝から晩まで滞在する人や食事のみ、入浴のみの数時間だけ利用する人など、利用者ごとに対応してくれます。日中は通常のデイサービスと同じように過ごし、夜は同じ施設で宿泊する。そして、翌日はデイサービスで再び過ごす。昼も夜も施設やスタッフが慣れ親しんでいるというのも、利用者にとっては安心できる点といえるでしょう。数日間の宿泊も可能で、これによって家族の負担がかなり軽減できると考えられます。■ 介護保険サービスの料金は月にどれくらいかかる?要介護認定で1~5に認定されれば、デイサービスのほかにも、ショートステイ(短期宿泊)、ホームヘルパー(家事や介護を支援してくれる人)、訪問入浴サービスなどが利用できます。hap / PIXTA(ピクスタ)要介護や要支援に認定されると、こうしたサービスが1~3割の自己負担で利用できます。重度の要介護(要支援1が最も低く、要介護5が最も高い)ほど利用限度額は大きくなります。限度額を超えてしまうと、超過した金額は全額自己負担となりますので注意しましょう。ちなみに保険で適用される限度額は、最も高い要介護5で約36万円/月、自己負担は約3万6000円/月です。最も低い要介護1で約5万円/月、要介護2で約10万円/月、自己負担はそれぞれ約5,000円/月、約1万円/月です。5万円、10万円でデイサービスに何回通えるか、ケアマネージャーなどとよく相談してください。■ ケアマネージャーやデイサービスは変更も可能さまざまな介護保険サービスを使うことで介護する側の負担を減らすことができます。どんなサービスを利用するかは、ケアマネージャーと家族が話し合って決めます。しげぱぱ / PIXTA(ピクスタ)ケアマネージャーは介護のことなら何でも相談できる頼もしい専門家です。今後の在宅介護で重要な協力者となりますので、良好な関係を保つようにしましょう。しかし、どうしても相性が合わないケアマネージャーもいますので、その場合は別の人に変えてもらうことも可能です。デイサービスは見学もできますので、いろいろな施設を見てから決めるほうが良いでしょう。
2018年09月09日2025年には、人口のボリュームゾーンである団塊の世代が75歳以上となり、全人口の5人に1人が後期高齢者という2020年代。当然、認知症患者も激増。「介護離職」や「介護難民」はますます増加すると予想される。5人に1人にまで増える後期高齢者、それは50代後半に差し掛かった多くの人にとって自分の親にあたる。現在の平均寿命が男性81.09歳、女性87.26歳であることを考えれば、2020年代には多くの人が親の介護、看取りを経験するだろう。物心両面の備えが、まさに待ったなしになるのだ。そこで、とし生活設計の取締役で、1級ファイナンシャル・プランニング技能士の大野高志さんと、キャリアカウンセラーの小島貴子さんに、いまの50代が2020年を乗り切るための方法を教えてもらった。■「生身の人」から得られる情報にアクセス!「100年人生の後半戦を楽しむためには、新しい世界を広げることが大切。これまでママ友とばかり付き合っていたなら、ぜひバリキャリの友人とも情報交換をしてみて。結局、人間というのはテレビやウェブではなく、生身の人間からの情報がいちばん刺激になるもの。昔の級友や同僚が、きっと『まだ見ぬ世界』を教えてくれる貴重な存在になるはず!」(小島さん)■親のエンディングノートを作成しておくべし「親が元気なうちに本人の意思をエンディングノートに記しましょう。このとき、関係者全員がその内容を了解することと、各自の分担は何か、ある種『契約的な考え方』が重要です。その作業が『自分のとき』について考えるきっかけにもなります」(小島さん)■平均介護期間のための資金、216万円を確保せよ「まずは親が公的な介護を受けられるだけの資金確保が急務です。あくまで現行制度の話ですが、介護サービスの自己負担額は利用限度額内なら原則1割。地域差はありますが、もっとも重度な要介護5だと限度額が約36万円なので、月の負担額は3万6,000円程度になります。現在、平均的な介護期間は約5年といわれていますので、216万円(=3万6,000円×12カ月×5年)程度は確保しておきたいですね」(大野さん)■相続から発生する問題を最小限に食い止めよ「裁判所の統計によると、遺産相続の訴訟件数の3割は遺産総額1,000万円以下。相続争いは資産家だけの問題に限りません。公正証書遺言を作成しておくと安心です。資産の総額にもよりますが、公証役場にて数万円から作成可能です。また実家の家屋も、親御さん亡き後の処分方法を決めておきましょう。2代空いたら空き家まっしぐらです」(大野さん)年老いた親が通る道は、いつか自分も通る道。親の「最期」としっかり向き合うことで「自分の老後」を考えるきっかけにしよう。
2018年09月09日長引く経済不況に、超がつくほどの少子高齢社会の到来……。これから私たちが迎える“未来の年表”は不安だらけ。「人生100年時代」といわれるいま、50代女性を待ち受ける未来は、明るいものばかりではないようだ。年代別にどんな時代なのかを見てみよう。■2020年代「『2025年問題』が勃発!5人に1人が後期高齢者へ……」東京五輪という一大イベントで幕を開ける2020年代。だが、その後の見通しは決して明るくない。何より大きなトピックは、「2025年問題」。人口のボリュームゾーンである団塊の世代が75歳以上となり、全人口の5人に1人が後期高齢者という時代になるのだ。当然、認知症患者も激増。「介護離職」や「介護難民」はますます増加すると予想される。他方、少子化による人口減もいよいよ本格化。2015年発表の国勢調査では、調査開始以来、初めて人口が減少したことが明らかになったが2020年以降もその回復は期待できない。少子化によって子どもを産む年代の女性の絶対数が減少しているため、女性1人あたりの出生率が多少回復したところで、出生数は取り戻せないのだ。65歳以上の前期高齢者も含めれば、3人に1人が高齢者になる2020年代。高齢者をめぐる諸問題は、もはや誰にとっても「人ごと」ではなくなるのだ。■2030年代「地方からは銀行、百貨店、医療機関が消え、街の風景も一変」自身も高齢者の仲間入りをする2030年代になると、生産年齢人口(15〜64歳)、なかでも若年世代はさらに減少していく。「厚生労働省白書」(2015年)では、2035年には男性の3人に1人、女性の5人に1人が生涯結婚しないと推測されており、その改善はますます難しいものになるだろう。さらに、いまも昔も、若者は都市部へと流れていくもの。それによって多くの地域で生産力が不足。地方の衰退はさらに広がり、これまでは離島やへき地で顕著だった医療問題などが、より広範囲で起こってきそうだ。地域によっては一般的な医療だけではなく、スーパーや金融機関といった、生活に欠かせないサービスすら受けられなくなる可能性がある。人口減少による社会構造の変化が、これまでの私たちの生活のあり方に大きな影響を与えてくる時代。生活防衛のためには、定年を迎えた後でも、可能な限り「現役」でいる気概が求められそうだ。■2040年代「『8050問題』も深刻化し、穏やかな老後は夢のまた夢」高齢者の数がピークを迎える2040年代。ここで注視すべきなのは、なんといっても「8050問題」だろう。ひきこもりやニートの高齢化は現在でもすでに指摘されているが、ついには「80代の親が、50代の子どもを支える」(=8050問題)といった危機的な状況が発生するというのだ。ちなみに内閣府が2010年に行った「若者の意識に関する調査(ひきこもりに関する実態調査)」によると、ひきこもりになったきっかけは「職場になじめなかった」「病気」がともに23.7%で1位。たとえ、わが子がいまは学生生活を楽しんでいても、その後困難な状況に遭遇し、ひきこもってしまう可能性は大いにある。自身も立派な後期高齢者に仲間入りするこの時代。自分の亡き後でもわが子が一生暮らせるような資産を残すのは困難だが、少なくとも、人生の幕引きくらいは自らの手で行う必要がありそうだ。不安だらけの未来だが、いまからきっちり備えることが「人生100年時代」を乗り切るためには大事だ。
2018年09月09日■【恋する薬膳~迷える女子へ贈る優しいレシピ】身近な魚=アジと言われてはいるけれど、実はあまり家で調理することがなかったりします。居酒屋でたたきを食べたり、海の幸を求めてはるばる港町へ行き、なめろうを味わったり、お総菜屋さんでアジのフライを買って頬張ったり…。家で作るとしたら塩焼き!? 昨今は家で魚を焼く人も減ってきていますよね…。今回は男性にも大人気のアジフライをちょっぴりオシャレにアレンジ。家で作る特別なディナーの時も使える、アジとシソの素敵レシピをお届け!■アジの薬膳効能と栄養のお話アジは青魚なので血液サラサラ効果で知られていますが、もっとたくさんのすごい効能があるとされています。【アジ】アンチエイジングにも旬は夏。腎の機能を高め、認知症、肝臓病、動脈硬化、そしてなんと!老化に対して予防効果があると言われています。その他、生活習慣病に効果があるとされています。【シソ】冷えた体を温めて爽快なシソの香りにはご存知の通り、防腐作用が。薬膳の五性(5つの性質)は「温」なので体を温めてくれます。クーラーや冷たい飲み物などで冷えた体にありがたい食材です。解毒作用もあるとされているため、生魚と一緒に食べたりすることも多いですね。■アジと青ジソのサクサクフライ≪材料≫約2人分・アジ…2尾(スーパーで売られている三枚におろしたもの)〇シソ…5枚〇パルメザンチーズ…大さじ2〇チューブ入りにんにく…小さじ1〇オリーブオイル…大さじ1●小麦粉…大さじ5●溶き卵…1個●パン粉…大さじ5・塩コショウ…少々・米油…適量≪作り方≫[1] シソをみじん切りにして、ボウルに〇の材料と和えておく。[2] アジに塩コショウし、1を薄く広げてのせる。[3] 2に●の材料を小麦粉、溶き卵、パン粉の順でつける。[4] フライパンに米油を熱し、3を揚げる。表面がかたくなったら上げて完成。大きいのでディナーのメインとして。シソを他のハーブに代えてももちろんOKです。その際は香りのバランスを考えて量を調節してくださいね。■年齢を重ねるほどに美しくなる現代女性の恋昨今のアラサー、アラフォー女性の若さと外見偏差値は、全般的にレベルが高くなっています。それを反映しているのが、最近の若い男性に結構多い、年上女性好き。昔は老若問わず「女は若いのに限るぜ!ヒヒヒ」といった男性が多かったように思います。現代も40代後半から上の男性は若い女性を好む傾向があるようですが、それに対して若い男性は、価値観が合い、自分の好みのタイプであれば、年齢は結構上でも気にならないといった意見が多いこと!多いこと!(2回言います)特に今の40代の女性たちは、とても美しく、肌も20代の女性よりキレイだったりします。美容だけでは醸し出せない美しさ。過去の経験もその人に深みを持たせ、ほのかに母性も香る。魅力的ですね。現に、20代の頃より40代になってからモテ期が炸裂している女性もいるくらい!もし女性の「若さ」にやたら固執する男性がいるなら、女性に求めているものも「若さ」だけかも。中年を過ぎても若い女性と付き合える自分が好きなのです。それに加え、日本はロリコン文化が盛んだったりするせいか、若いというだけで勝っていると勘違いする女性も多いのは悲しいところ…。しかし、そういった若いから美しい、モテるといった考えはもはや時代遅れかもしれません。昔のように実年齢の若さで女性の美を図る時代はもう終わり。恋愛もさまざまな形が誕生しています。恋に悩んで、キレイになっていくのは少女だけではありません。きっとこれからも年齢を重ねるごとに女性たちはどんどん美しさを増し、生涯、恋をし続けることでしょう。10年後、20年後の美のために、食材選びにも重点を置いてくださいね。
2018年09月08日風邪やインフルエンザは、それぞれの体験を通してどんな病気かわかります。ところが認知症は頭で理解していても、本当のところは発症した人しかわからない病です。そんなよくわからない病について、実際に発症した方の意見を紹介してみたいと思います。■ すべてのことが不明確でぼやっとした感じ認知症医療の第一人者で精神科医の長谷川和夫氏は昨年、自身が認知症を発症していると明かしました。長谷川氏は1974年に認知症診断の物差しとなる「長谷川式簡易知能評価スケール」を公表し、今日まで多くの医療現場で使われています。氏の場合は、それほどひどい症状でなく、正常な状態と認知症とを行ったり来たりするという比較的軽度な認知症です。そんな氏が語ったのは、認知症って実はこういうことだった、という自分なりの体験でした。氏が痛切に感じているのは、確かさが欠如するということでした。freeangle / PIXTA(ピクスタ)今がいつなのか、今どこにいるのか、目の前の人が誰なのか――。そうしたすべてのことが不明確ではっきりしないということです。■ 不明確なことは何度も確かめたくなる病気のようで病気でないような、単なる物忘れと思われがちな初期の認知症のころは、同じ行為を何度も繰り返すことがあります。たとえば家を出て行くとき、ドアに鍵をかけたかどうかが不安になり、途中で引き返して確かめる。あんみつ姫 / PIXTA(ピクスタ)あるいは、昔の同級生や先生の名前がわからなくなり名簿を調べたり、学校に電話することも。cozy / PIXTA(ピクスタ)わからないままだと不安が募り、それが原因でパニックになることもあります。■ はっきりしないことが大きな不安と恐怖になる認知症の人は、よく「怖い、怖い」と口にします。何が怖いかと聞くと「よくわからない」と答えます。B612 / PIXTA(ピクスタ)おそらく何事もはっきりしないというのは、とても恐いことだと思われます。もし自分が急に知らない町で目覚めたとします。しかも、そこに至った経緯さえもわからない。え、ここはどこ?最初は不思議に思うでしょうが、やがて怖くなる。それが常に起きている状態が、認知症ではないでしょうか。■ 笑顔とやさしい声がけで安心感を与える長谷川氏は週に一回、デイサービスに通うようになり、そこでの体験はとても心地良いとも語っています。自分には馴染みのない職員でも、彼女らは自分のことをよく知っていてくれ、とても安心感があると言います。ボーッとしていると、長谷川さんどうしたの、何か困ったことでもあるの?と声がかかる。それがとても嬉しいと感じているそうです。kou / PIXTA(ピクスタ)こうした声がけはどこのデイサービスでも行うものですが、こんな一言だけで安心して過ごせるそうです。■ やさしく接すれば相手もやさしくなれる不安に苛まれる人が多い認知症ですが、誰かが常にそばにいて声をかけてあげるだけで安心できるのです。時には手を取って、笑顔とやさしい言葉で話しかけてあげましょう。kou / PIXTA(ピクスタ)多くの認知症の人はこちらの対応次第で笑ったり、怒ったりします。言葉もそうですが、相手の顔の表情をよく見ています。やさしい言葉でも顔がこわばっていれば、不安になってしまいます。それはあたかも人と接することの基本的な行動であり、心のクスリのようなものなのかもしれません。常にやさしい気持ちで接することができるといいですね。【参考】※認知症ねっと長谷川式認知症スケール
2018年09月07日がんに次ぎ、日本人の死因の2位と4位を占めているのが、心臓疾患と脳血管疾患。「“突然”というイメージがありますが、じつは多くの場合、前兆ともいえるサインがあります。それが頭痛やめまい、いびき、夜中に何度も目が覚めるなどの症状です」そう教えてくれたのは、沖縄で“異色の歯科医”と呼ばれる宮城旺照先生。「歯科医として歯のかみ合わせの不具合を治療・観察するうちに、睡眠中の歯の食いしばりなどによって“首がこる”と、首の左右両サイドにある血管(内頸静脈)が圧迫され、血液や脳脊髄液の循環障害が起こることがわかりました。この“循環の滞り”こそが、先ほど挙げた頭痛やめまい、不眠の原因となり、そのままの状態が続くと、脳梗塞や心臓発作、さらには脳の機能障害のひとつである認知症にも向かいやすくなるのです」(宮城先生・以下同)つまり、心臓と脳の中間地点である首のコリをほぐし、血液や脳脊髄液がスムーズに流れるようになれば、原因不明と診断された多くの症状が改善され、心臓疾患や脳疾患の予防にもなるというわけだ。首の左右のコリが原因で起こる不調には次のようなものがある。■右側のコリ→ウツやパニック障害首の後ろの「右側」を流れる内頸静脈は左脳とつながっている。ここが圧迫されると、左脳の「物事を冷静にとらえる」機能に異常をきたし、落ち着かない、不安が増すなど、精神疾患につながるケースが多い。■左側のコリ→頭痛などの不調首の後ろの「左側」は、右に比べて約2倍の太さの内頸静脈が流れ、まさに「命綱」ともいえるスポット。ここがこって循環が滞ると、頭痛をはじめ、脳梗塞、くも膜下出血など、命に関わる病気につながる危険性が高い。「そこでぜひ実践してほしいのが、道具もコツもいらず首のコリをほぐせる“首わしづかみ”習慣です。1日1分行うだけで、その不調とおさらばできます」「首わしづかみ」のやり方は、左手を首の後ろにまわし、親指に力を入れて首をぐっと強めにつかむ。首の左側を刺激することで、血液や脳脊髄液の循環を促す。1回1分でいいので、気づいたらもむことを習慣づけよう。同様に右手で右側を刺激すれば、精神安定につながる。「首わしづかみ」を習慣づけて自分の命を守ろう!
2018年09月06日「心臓疾患と脳血管疾患には、“突然”というイメージがありますが、じつは多くの場合、前兆ともいえるサインがあります。それが頭痛やめまい、いびき、夜中に何度も目が覚めるなどの症状です」そう教えてくれたのは、沖縄で“異色の歯科医”と呼ばれる宮城旺照先生。がんに次ぎ、日本人の死因の2位と4位を占めているのが、心臓疾患と脳血管疾患だ。「歯科医として歯のかみ合わせの不具合を治療・観察するうちに、睡眠中の歯の食いしばりなどによって“首がこる”と、首の左右両サイドにある血管(内頸静脈)が圧迫され、血液や脳脊髄液の循環障害が起こることがわかりました。この“循環の滞り”こそが、先ほど挙げた頭痛やめまい、不眠の原因となり、そのままの状態が続くと、脳梗塞や心臓発作、さらには脳の機能障害のひとつである認知症にも向かいやすくなるのです」(宮城先生・以下同)心臓と脳の疾患を引き起こす仕組みはこうだ。「かみ合わせが悪い」→「睡眠中に歯を食いしばる」→「首がこる」→「頭が後ろに反り返る」→「口が開きやすくなり、首の血管も圧迫される」→「いびきや無呼吸に陥る」→「心臓や脳の疾患につながる」。心臓と脳の疾患を防ぐためには、「首わしづかみ」が効果的だという。そのやり方は、左手を首の後ろにまわし、親指に力を入れて首をぐっと強めにつかむ。首の左側を刺激することで、血液や脳脊髄液の循環を促す。1回1分でいいので、気づいたらもむことを習慣づけよう。同様に右手で右側を刺激すれば、精神安定につながる。さらに「首わしづかみ」にプラスしたい、心臓と脳の疾患を防ぐ3つの習慣を宮城先生が解説。【1】ミネラル豊富な塩をしっかりとる「血圧を気にして過剰な減塩に走るのは、逆に危険。ミネラルやマグネシウム不足を招き、筋肉をケイレンさせてしまいます。特に足がつるのは、“次は心臓がつりますよ”という体からの警告であり、“塩をとりなさい”のサイン。ただし、化学的に作られたものは避け、海水から作られたミネラル分豊富な“いい塩”を選ぶことが大切です。足がつったら、塩小さじ1杯を溶かした塩水を、治まるまで毎日飲んでください」【2】点滴のようにつねに水を補給する「水分不足は、心筋梗塞、脳梗塞のリスクを高める大きな要因に。市販の清涼飲料水(ペットボトルのお茶も含む)の多くは酸性なので尿として排出されやすく、やはり“水”で水分補給するのがベストです。じつは、のどがかわくのは、すでに体内の水分が不足しているサインで、危険な状態の一歩手前です。そうなる前に、のどがかわいていなくてもこまめ(理想は30分間隔)に水を飲み、水分補給を心がけましょう」【3】あごを引いた状態で寝る「首こりが原因で、頭を反り返した状態で寝ている人は意外と多いもの。これでは首が圧迫され、睡眠中に排出される脳の老廃物がスムーズに流れにくくなるうえ、副交感神経のスイッチがうまく入らなくなり、睡眠障害を引き起こします。さらに、口がぽかんと開きやすくなり、口呼吸が進んで、感染症や無呼吸症候群にいたるケースも。寝る際はやや高めの枕で、あごをちょっと引いた姿勢を保てるようにしましょう」【番外編】飲むべき薬は頭痛薬「頭痛の際は、我慢せず薬を飲むほうが脳にとってはいいのです。頭痛薬には血管の拡張を阻害し、血液をサラサラに保つ成分が含まれているので、脳の血管内圧を下げる効果があります。これにより、脳出血を防ぐことができ、血液や脳脊髄液の循環もスムーズになるため、脳疾患のリスクも回避できるといえます」
2018年09月06日高次脳機能障害とは人は、周囲にあるものを見たり聞いたりして情報を得て、これまでの経験も踏まえながら考え、行動をしています。このような脳の働きを、高次脳機能または認知機能と言います。病気やけがなどによって、この脳の機能がうまく働かなくなった状態を認知障害と言います。高次脳機能障害は、そのうちの一つです。高次脳機能障害を起こす主な原因は、脳梗塞などの脳血管疾患や、事故による頭部外傷、窒息などで起こる低酸素脳症、脳炎、脳腫瘍の手術後などがあげられます。これらの病気やけがの後遺症として、高次脳機能障害が起きるのです。高次脳機能障害の主な症状出典 : 高次脳機能障害には、主に「記憶障害」「注意障害」「遂行機能障害」「社会行動障害」の4つの症状があります。それぞれ詳しく解説していきましょう。記憶障害は、物事を覚えられなくなったり、覚えていたことを忘れてしまったりする状態(=健忘)のことを言います。この健忘には主に2種類あります。・前向性健忘:脳に障害を負った時点から後に新しい物事を覚えられなくなる状態。受傷から時間が経っていくと、受傷時に近い記憶ほど思い出せなくなる。・逆向性健忘:脳に障害を負った時点より前のことを思い出せなくなる状態。昔のことほど思い出すことができ、受傷時に近い日の記憶は思い出せない。軽度であれば、部分的に記憶は維持されており、複雑な出来事でも思い出すことができます。中等度だと、古い記憶や学習したことは思い出せるものの、複雑な記憶や新しい出来事は思い出しにくくなります。重度になると、前向性健忘と逆向性健忘のどちらも起こり、ほぼ全ての記憶に影響が出てしまいます。人は、日常生活においてさまざまな情報を選択して注意を向けたり、同時に複数のことに注意をしたりしながら、行動しています。この注意に関する機能が障害されるのが、注意障害です。注意障害には、以下の2つがあります。・全般性注意障害:注意を向けるものを選ぶ「選択機能」、向けた注意を維持する「維持機能」、いったん向けた注意を別のものへ移す「転換機能」、複数のものへうまく注意を振り分ける「配分機能」を全般性注意と呼びます。これらが障害され、注意散漫になったり集中力が保てなくなったりする状態です。・方向性注意障害:損傷を受けた脳の反対側の空間のみ注意を向けられなくなった状態です。左側の半側空間無視が多く、左側にあるものを認識できず、食事時に右側にあるものだけを食べたり、絵を描いても右側しか描かなかったりします。このほか、一度に1つのものにしか注意が向けられない「同時失認」もありますが、比較的珍しい症状とされています。遂行機能障害は、物事の計画を立てて、その通りに行動することが難しくなる状態を言います。人は何かをするときに、頭の中でその順序を決めたり、必要なものを準備したりすることができます。しかし、この遂行機能が障害されると、物事を達成するのに何が必要なのか、何をすればいいのか、その順番の組み立てはどうするのか、などの判断が難しくなってしまいます。マニュアルや工程表などがあれば、その通りに実行するのは可能です。ただし、イレギュラーなことが起きたときに、再度その場で計画を立て直すということができないので、臨機応変な対応は難しくなります。社会的行動障害にはさまざまな症状がありますが、それらによって社会的生活を営むことが難しくなる状態を言います。中でも代表的な5つの状態について説明します。・対人技能拙劣(せつれつ):相手の気持ちや立場を配慮することができず、人間関係をうまく築けない。・依存性、退行:まわりの人を頼る傾向が強くなったり、子どもっぽくなったりする。・意欲、発動性の低下:運動障害や精神的なうつ状態がないのに、自発的に何かをしようとしなくなる。・固執:一つの物事に対してこだわりが強くなる。・感情コントロールの低下:すぐに怒り出したり、暴力的になったりする。そのほか、気分が落ち込んでしまう抑うつや、性的逸脱行為、食欲や物欲などを抑えられない欲求コントロールの低下などが起きることもあります。高次脳機能障害の診断基準出典 : 国立障害者リハビリテーションセンターが作成した行政上のガイドラインでは、以下のように高次脳機能障害の診断基準が定められています。Ⅰ.主要症状等1.脳の器質的病変の原因となる事故による受傷や疾病の発症の事実が確認されている。2.現在、日常生活または社会生活に制約があり、その主たる原因が記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などの認知障害である。Ⅱ.検査所見MRI、CT、脳波などにより認知障害の原因と考えられる脳の器質的病変の存在が確認されているか、あるいは診断書により脳の器質的病変が存在したと確認できる。Ⅲ.除外項目1.脳の器質的病変に基づく認知障害のうち、身体障害として認定可能である症状を有するが上記主要症状(I-2)を欠く者は除外する。2.診断にあたり、受傷または発症以前から有する症状と検査所見は除外する。3.先天性疾患、周産期における脳損傷、発達障害、進行性疾患を原因とする者は除外する。Ⅳ.診断1.I〜IIIをすべて満たした場合に高次脳機能障害と診断する。2.高次脳機能障害の診断は脳の器質的病変の原因となった外傷や疾病の急性期症状を脱した後において行う。3.神経心理学的検査の所見を参考にすることができる。なお、診断基準のIとIIIを満たす一方で、IIの検査所見で脳の器質的病変の存在を明らかにできない症例については、慎重な評価により高次脳機能障害者として診断されることがあり得る。また、この診断基準については、今後の医学・医療の発展を踏まえ、適時、見直しを行うことが適当である。高次脳機能障害と診断するためには、脳に損傷があることを確認する必要があります。そのため、まずはCTやMRIなどの画像検査をします。ただし、検査をしてもはっきりとした病変が確認できないこともあります。その場合には、問診やそのほかの検査などを参考に、評価を慎重に行うことになります。また、どんな障害が起きているのか、障害の程度はどのくらいかを具体的に把握するために、神経心理学的検査を行う場合もあります。これは診断そのものには必須ではありませんが、診断書を作成する場合には必要となります。各症状において、必要となる主な神経心理学的検査は以下の通りです。・知的機能障害:MMSE、HDS-R(改訂長谷川式簡易知能評価スケール)、WAIS-III・記憶障害:WMS-R、三宅式記銘力検査、RBMT、ベントン視覚記銘力検査、Rey-Osterrieth複雑図形検査・注意障害:Trail Making Test、標準注意検査法(CAT)、PASAT・遂行機能障害:BADS、Stroop Test、ウィスコンシンカード分類検査(WCST)高次脳機能障害と似ている疾患として、認知症が挙げられます。認知症も認知機能が低下していく病気ではありますが、全体的に機能低下していくのが特徴です。高次脳機能障害の場合は部分的に機能が障害されるため、全体的な機能低下でないことが多いとされています。高次脳機能障害の治療方法出典 : 高次脳機能障害を起こす原因となった病気やけがの治療が終わったあとは、高次脳機能障害に対する治療を行っていくことになります。高次脳機能障害は、発症から数年以内であれば、リハビリテーションなどの治療によってある程度改善することが期待できます。また、発症年齢が若いほうが改善の度合いはより良いとされています。しかし、脳の損傷の程度によっては、十分な治療をしても大きな後遺症が残ってしまうことがあります。そうした場合は、日常生活や健康管理、コミュニケーションなどの面で、家族や専門職による継続した支援が必要になります。高次脳機能障害の治療においてメインとなるのが、リハビリテーションや社会生活に対応するための訓練です。このリハビリテーションや訓練は、大きく分けて3つの種類があります。・医学的リハビリテーション:病気やけがなどの急性期の治療が終わったあと、医療機関で行われるリハビリテーション。認知リハビリテーションとも言う。認知機能の回復や、残された能力を使って生活ができるようにするために行われます。・生活訓練:日常生活を送る上で、必要な行動をできるようにするための訓練。・職能訓練:生活訓練がある程度進んだ段階で、状態にあった職業を選んだり環境を整えたりするために行われる訓練。生活訓練と職能訓練は、障害者支援施設や障害者職業リハビリテーションセンターなどで行われます。個々の障害の種類や程度によって必要な訓練は異なるため、それぞれに合わせたゴールを定めて、訓練を行っていきます。リハビリテーション以外にも、状態に応じて薬を使った治療が行われます。高次脳機能障害で注意が必要なのが、てんかん発作です。てんかん発作は脳の損傷も原因となります。その発生を抑えるために服薬することも少なくありません。また、感情のコントロールがうまくいかずに人間関係に影響を及ぼしている場合などにも、薬物治療が行われることがあります。高次脳機能障害のある人の困りごと出典 : 高次脳機能障害は、見た目には分かりにくい障害です。そのため、周囲に理解されにくいほか、障害のある本人も状態を認識できていないことが多くあります。また、障害によって不便が生じるのは日常生活の中であるため、診察時に具体的に見てもらえません。それによって、医療機関で診察を受けても見落とされてしまう場合があります。物事が思い出せない、感情のコントロールができないなど、生活の中でうまくいかないことがあるのに、原因が分からなかったり、周囲から理解してもらえなかったりということも珍しくありません。高次脳機能障害のある人が受けられる支援出典 : 高次脳機能障害と診断された場合、公的支援を受けることができます。高次脳機能障害は精神障害に分類されているため、障害の程度によっては精神障害者保健福祉手帳の取得が可能です。身体障害を合併している場合には身体障害者手帳、受傷した年齢が18歳未満で知的障害があると診断されれば療育手帳が、それぞれ申請対象になります。障害者総合支援法に基づき、生活の援助や生産活動の場を提供する「介護給付」、就労や自立した生活を目指す「訓練等給付」を受けられます。利用するには、市区町村の障害福祉担当窓口へ申請します。精神障害者保健福祉手帳または自立支援医療受給者証(精神医療通院)など、詳しい必要書類についてはお住まいの自治体の福祉窓口にお問い合わせください。年齢によっては介護保険制度を利用して、介護サービスを受けることも可能です。介護保険制度を利用できるのは、65歳以上で支援・介護が必要と認められた方、または40〜64歳で脳血管疾患などによって要支援・要介護状態となった方です。介護サービスは、障害福祉サービスよりも優先されます。しかし、就労移行支援などは介護サービスで利用できないため、障害福祉サービスを利用することになります。障害の有無に関わらず受けることができるのが、職業リハビリテーションです。職業相談や職業評価、訓練、指導、職業紹介のほか、就職してから能力を維持・向上させるためのサービスを受けることもできます。これらのサービスは、ハローワークや地域障害者職業センターなどで提供されています。高次脳機能障害のある人の相談先出典 : 高次脳機能障害のある人の相談は、各地域の健康福祉センターや地域包括支援センターなどで受けつけています。また、高次脳機能障害の治療やリハビリテーションを行っている医療機関にも相談窓口が設けられています。地域によっては当事者会や家族会などがありますので、そういった場で気持ちを共有したり、情報を得たりすることも有用です。参考:相談窓口の情報|国立障害者リハビリテーションセンター家族が高次脳機能障害になったときのサポート方法出典 : 家族が高次脳機能障害になったとき、以前とは違う姿に戸惑ってしまうことも少なくないでしょう。まずは、以前と比べてどのように変化したのか、どのような障害を負ったのかなどを理解することが大切です。医師などの専門家に詳しく話を聞き、理解をした上で対応を検討していきましょう。高次脳機能障害は人によって、症状は異なります。本人がどんな場面でつまずくのかを確認し、環境調整をしたり、本人の持つ能力でできるように工夫をしたりしてみましょう。そして、家族だけで問題を抱えていると、疲弊してしまいます。相談機関や家族会などもうまく利用しながら、無理なくサポートできる体制を整えることが重要です。まとめ出典 : 高次脳機能障害は見た目には分かりにくいため、本人が気づきにくいだけでなく、周囲にも理解されにくい障害です。しかし、まわりの人が一つひとつの行動を観察したり、自身で振り返ったりすると、どんなことで困っているのかが見えるようになります。障害の程度にもよりますが、早い段階で治療を開始すれば、ある程度の回復も期待できます。医師やリハビリテーションスタッフ、行政の担当者などと相談しながら、対応を検討していきましょう。参考:高次脳機能障害情報・支援センター|国立障害者リハビリテーションセンター参考書籍:中島 八十一 (著), 今橋 久美子 (著)『福祉職・介護職のためのわかりやすい高次脳機能障害原因・症状から生活支援まで』(中央法規出版・2016年)参考書籍:橋本 圭司 (著)『高次脳機能障害―診断・治療・支援のコツ』(診断と治療社・2011年)
2018年08月31日なんだか最近、体にちょっとした違和感を覚えたり、歩くのがつらかったり。ひょっとしたら、神経が圧迫された状態になりつつあるのかもしれない――。「『脚にしびれや痛みがある』『長く歩くとつらい』、こうした症状は脊柱管狭窄症、もしくはその前兆かもしれません。『もう年だから』と諦める前に、どんな病気なのか知っておくことが大事です」こう語るのは、参宮橋脊椎外科病院の大堀靖夫先生。近ごろ、よく耳にする脊柱管狭窄症。どんな病気なのだろうか?「脊柱管とは背骨に沿ってのびるトンネルのようなもので、中には神経が通っています。加齢とともに脊柱管が狭くなり、神経が圧迫され、痛みやしびれが出るのです。活動的なシニアが増えたことから、注目されている病気です」(大堀先生・以下同)気がかりなのは脊柱管狭窄症が、運動機能が低下する「ロコモティブシンドローム」を招くことだ。「問題は歩けなくなること。体が動かしづらくなるため、ひきこもりがちになり、活動量が落ちるため筋力も低下します。運動不足やストレスから生活習慣病やがん、うつや認知症などさまざまな病気につながることも。足腰が弱くなることで、寝たきりや要介護のリスクも高くなってしまうのです」次のチェックリストで、当てはまる項目が多いほど、脊柱管狭窄症である可能性が高い。□100~200メートルほど歩くと、脚にしびれや痛みが出るが、座って休むとラクになる□前かがみの姿勢がラクに感じる□お尻から脚にかけてしびれがある□台所に10分以上立つと、太ももがしびれる□尿漏れや残尿感が気になる□冬になると脚にしびれが出る□慢性的な腰痛がある脊柱管狭窄症は腰痛がサインになることも。この腰痛の原因をしっかり把握することで、早めの対策が可能になる。腰痛を抱える患者数は国内に2,800万人いるが、実はその85%は原因がわからないという。「エックス線やMRIといった画像検査で診断できる腰痛は、脊柱管狭窄症と椎間板ヘルニア、骨粗しょう症にともなう圧迫骨折など原因がはっきり特定できるのは15%ほどに限られます」ストレスや不安、うつなど心理的なものが影響することも。女性の体の悩みに関する調査では、肩こりに次いで2位である腰痛。がんや感染症、解離性大動脈瘤など危険な病気のサインである場合もあるそう。痛みのもとをハッキリさせることが重要だ。
2018年08月30日なんだか最近、体にちょっとした違和感を覚えたり、歩くのがつらかったり。ひょっとしたら、神経が圧迫された状態になりつつあるのかもしれない――。「『脚にしびれや痛みがある』『長く歩くとつらい』、こうした症状は脊柱管狭窄症、もしくはその前兆かもしれません。『もう年だから』と諦める前に、どんな病気なのか知っておくことが大事です」そう語るのは、参宮橋脊椎外科病院の大堀靖夫先生。近ごろ、よく耳にする脊柱管狭窄症。どんな病気なのだろうか?大堀先生が解説してくれた。■背骨の神経の通り道が狭くなることで、痛みやしびれなどのトラブルが……脊柱管を通る神経が、腰椎の変形や、靱帯が厚くなることで圧迫され、お尻から脚にかけて痛みやしびれが起きる。脊柱管狭窄症には、神経の束が圧迫される「馬尾型」、そこから腰や脚などに出ていく部分が圧迫される「神経根型」、両方が圧迫される「混合型」がある。「脊柱管とは背骨に沿ってのびるトンネルのようなもので、中には神経が通っています。加齢とともに脊柱管が狭くなり、神経が圧迫され、痛みやしびれが出るのです。活動的なシニアが増えたことから、注目されている病気です」(大堀先生・以下同)■主な原因はズバリ「加齢」最大の要因は加齢で、50代後半から増え、70代になると10人に1人の割合で症状がみられる。ほかに、重いものを持ち上げたりする機会の多い仕事をしていたなど、腰に負担がかかる生活をしているとリスクが高くなる。生まれつきの背骨の構造が影響することも。■キーワードは「間欠跛行」「腰痛はひどくなく、背筋を伸ばして立ったり、歩いたりすると、脚にしびれや痛みを感じるのが特徴です。前かがみになるとラクになり、また歩けるようになる『間欠跛行』という症状を自覚して病院を訪れる患者さんが多いです」歩いていると脚のしびれや痛みがだんだんとひどくなり、それ以上歩けなくなる。まえかがみの姿勢をとったり座ったりすると治まり、再び歩けるようになる。患者の7割にみられる。気がかりなのは脊柱管狭窄症が、運動機能が低下する「ロコモティブシンドローム」を招くことだ。「問題は歩けなくなること。体が動かしづらくなるため、ひきこもりがちになり、活動量が落ちるため筋力も低下します。運動不足やストレスから生活習慣病やがん、うつや認知症などさまざまな病気につながることも。足腰が弱くなることで、寝たきりや要介護のリスクも高くなってしまうのです」
2018年08月30日「『脚にしびれや痛みがある』『長く歩くとつらい』、こうした症状は脊柱管狭窄症、もしくはその前兆かもしれません。『もう年だから』と諦める前に、どんな病気なのか知っておくことが大事です」こう語るのは、参宮橋脊椎外科病院の大堀靖夫先生。近ごろ、よく耳にする脊柱管狭窄症。どんな病気なのだろうか?「脊柱管とは背骨に沿ってのびるトンネルのようなもので、中には神経が通っています。加齢とともに脊柱管が狭くなり、神経が圧迫され、痛みやしびれが出るのです。活動的なシニアが増えたことから、注目されている病気です」平均寿命が延び、超高齢社会を迎えた現代。この症状に悩む人が急増しているようだ。「腰痛はひどくなく、背筋を伸ばして立ったり、歩いたりすると、脚にしびれや痛みを感じるのが特徴です。前かがみになるとラクになり、また歩けるようになる『間欠跛行』という症状を自覚して病院を訪れる患者さんが多いです」気がかりなのは脊柱管狭窄症が、運動機能が低下する「ロコモティブシンドローム」を招くことだ。「問題は歩けなくなること。体が動かしづらくなるため、ひきこもりがちになり、活動量が落ちるため筋力も低下します。運動不足やストレスから生活習慣病やがん、うつや認知症などさまざまな病気につながることも。足腰が弱くなることで、寝たきりや要介護のリスクも高くなってしまうのです」脊柱管狭窄症は、どの神経が圧迫されるかによって『神経根型』『馬尾型』『混合型』の3タイプに分かれる。「『神経根型』は薬などの治療で7割ほどの人は症状がよくなります。痛みが強い場合は、患部に麻酔薬を注射する『ブロック療法』を行うことも。『馬尾型』『混合型』では投薬治療のほかに、神経を圧迫している骨や靱帯の除去手術も検討します。手術だと短期間で症状が改善されます。また内視鏡などメスを入れる部分を小さくして体の負担が少ない『低侵襲』の手術も増えています」発症を防ぐには、腰に負担をかけない生活を心がけること。仮に発症しても、前向きに病気と向き合ってほしいと大堀先生は語る。「脊柱管狭窄症は命に関わる病気ではありません。治療の目的は症状を改善するだけでなく、背筋を伸ばして歩くことができること。それだけで心身ともに若返ります。生きがいや生き方を見つめ直すことにもつながるのです」
2018年08月30日脊髄小脳変性症(SCD)とは出典 : 脊髄小脳変性症(SCD)は、小脳を中心に、脳幹、脊髄、大脳が徐々におかされる進行性の神経変性疾患のことです。主に歩くときにふらついたり、ろれつが回らなかったりする運動失調と呼ばれる症状があります。脊髄小脳変性症は数十の疾患を含む総称で、その病型によって運動失調のほか、パーキンソン症状や認知症などさまざまな症状が同時にあらわれることもあります。病型は、遺伝性とそうではない孤発性に大きく分けられます。発症年齢などにもよりますが、進行すると数年で車いすが必要になり、寝たきりになったり死に至ることもあり、家族や医療・福祉などのサポートが必要不可欠です。◇小脳のはたらき小脳は四肢の運動がなめらかになるように、また、歩行の安定を調整する機能などがあります。そのため、小脳が障害されると、筋肉に異常はないのに手足がうまく動かせなくなり、歩行時にふらつくといった運動障害が起こります。参考書籍: 日本神経学会厚生労働省「運動失調症の医療基盤に関する調査研究班」(監修)「脊髄小脳変性症・多系統萎縮症診療ガイドライン」作成委員会(編集) 『脊髄小脳変性症・多系統萎縮症診療ガイドライン2018 』(南江堂・2018年)脊髄小脳変性症(SCD)の主な症状出典 : 脊髄小脳変性症は数十もの病気が含まれているので、症状もさまざまあります。ここではその中でもよく見られる症状について、紹介します。1. 小脳性運動失調脊髄小脳変性症でもっとも代表的な症状です。筋力の低下、麻痺といった筋肉の異常はないものの、筋の協調運動の障害が生じて、体をうまくコントロールできない状態です。・歩行障害…歩行時のふらつき、歩けないなど・四肢失調…腕や手がうまく使えない、箸がうまく使えない、文字が下手になったなど・会話障害…声の大きさやリズムが不整、言葉が不明瞭になる・眼振…眼球が細かく揺れる2. 不随意運動本人の意思に関係なく体が動く症状です。・素早くピクッとする動き・踊っているように見える・姿勢の異常などが起きるジストニア3. 自律神経系の障害血圧や呼吸などを調整する自律神経系の障害によって引き起こされる症状で、脊髄小脳変性症のなかでも患者の多い多系統萎縮症(MSA)によく見られます。・起立性低血圧…起立時に血圧が急に下降し、立ちくらみ、耳鳴り、頭痛などが起こる。重症例では失神することもあり、寝たきりになるケースもある・発汗障害…下半身から発汗の機能に影響が出て汗が出なくなる一方で、上半身では汗が多く出るなど、体温調節がうまくできなくなる。最終的には全身で汗が出なくなる・排尿障害…十分に尿を膀胱に溜めていられない頻尿などの蓄尿障害と尿を排出させることが困難となる尿排出障害があり、同時に生じることもある・睡眠時無呼吸…眠っている間に10秒以上呼吸が止まるのを1時間のうち5回以上繰り返す脊髄小脳変性症(SCD)を発症する原因は?出典 : 遺伝性のものとそうでない孤発性と呼ばれるタイプがあり、原因も疾患によって様々です。疾患ごとの原因遺伝子の特徴などは研究によって明らかになってきていますが、脊髄小脳変性症を引き起こすはっきりとした原因はまだ解明されていません。孤発性の場合、生活習慣や食習慣の関係はないと考えられ、疾患の進行を左右するような食習慣などもありません。遺伝性の場合は、遺伝の仕組みや疾患ごとの原因遺伝子が分かってきており、親子で伝わっていく常染色体優性遺伝性の疾患、きょうだいのみで発症する常染色体劣性遺伝性が知られています。脊髄小脳変性症(SCD)の病型病型がはっきりと分かることでその後の進行の見通しや、治療などの道筋も立てられます。そのため、病型の分類などを把握することは大切です。病型は、遺伝性かいなかによって大きく区別されます。Upload By 発達障害のキホン遺伝性ではない孤発性は脊髄小脳変性症患者全体の半数以上を占めます。その中でも多系統萎縮症(MSA)は最も多く、かつて別の疾患と考えられていた、オリーブ橋小脳萎縮症、線条体黒質変性症、シャイ・ドレーガー症候群も多系統萎縮症に含まれています。小脳以外にも脳幹の萎縮が目立ち、進行すると車いすの使用や寝たきりになるなど日常生活が難しくなります。一方で、皮質性小脳萎縮症は小脳失調症以外のパーキンソン症状や自律神経症状などがない純粋小脳失調型です。予後や進行は多系統萎縮型と大きく変わってきます。Upload By 発達障害のキホン遺伝性の場合、多くは常染色体優性遺伝性です。日本で発症の頻度が高いのはマチャド・ジョセフ病や脊髄小脳失調症6型(SCA6)、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症などがあげられます。常染色体劣性遺伝性は、両親が未発症でも発症します。十分に家族歴などの情報を得られないと、孤発性と思われる可能性もあります。脊髄小脳変性症(SCD)の発症の頻度や年齢の特徴出典 : 脊髄小脳変性症の患者は、全国で3万人を超えると言われています。また、2003年の「運動失調に関する調査及び病態機序に関する研究班」の解析結果では、脊髄小脳変性症の67.2%が孤発性、27%が常染色体優性遺伝性、1.8%が常染色体劣性遺伝性、残りが「その他」と「痙性対麻痺」でした。出典: 診断・治療指針(医療従事者向け) 脊髄小脳変性症(多系統萎縮症を除く)(指定難病18)|難病情報センター発症年齢の傾向は、病型によっても変わってきます。全体では小児から70歳以上の高齢までと幅広く、特に30歳前後の中年以降に多くなります。出典: 脊髄小脳変性症 概要|小児慢性特定疾病情報センター主に見られる多系統萎縮症と皮質性小脳萎縮症は、ともに成年期以降に発症します。そのうち、多系統萎縮症が64.7%、35.3%が皮質性小脳位縮小と臨床診断されています。出典: 日本神経学会厚生労働省「運動失調症の医療基盤に関する調査研究班」(監修)「脊髄小脳変性症・多系統萎縮症診療ガイドライン」作成委員会 (編集) 『脊髄小脳変性症・多系統萎縮症診療ガイドライン2018 』(南江堂・2018年)日本における遺伝性脊髄小脳変性症は、90%以上が常染色体優性遺伝性、数%が常染色体劣性遺伝性、さらにまれにX連鎖性が認められています。常染色体優性遺伝性に含まれる疾患別では、マチャド・ジョセフ病、脊髄小脳変性症6型(SCA6)、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症、脊髄小脳変性症31型(SCA31)の4疾患だけで70〜80%を占めます。出典: 日本神経学会厚生労働省「運動失調症の医療基盤に関する調査研究班」(監修)「脊髄小脳変性症・多系統萎縮症診療ガイドライン」作成委員会 (編集) 『脊髄小脳変性症・多系統萎縮症診療ガイドライン2018 』(南江堂・2018年)常染色体優性遺伝性であれば、祖父母、両親、患者の各世代には男女ともに発病者が分布していることになります。成人発症の遺伝性疾患は、患者のきょうだいや子どもの世代に未発症の保因者がいることも十分に考えられます。一方、常染色体劣性遺伝性の場合、両親が未発症でも保因者となります。患者のきょうだい、両親が近親婚でその血縁に罹患者がいる場合には、劣性遺伝である可能性が高いと思われます。また、一見孤発性と思われても、常染色体劣性遺伝性である可能性もあります。常染色体劣性遺伝脊髄小脳変性症3、4、6型の疾患では、多くが幼少期から若年発症です。しかし、一部には出生時にすでに小脳萎縮があり、非進行性であるなどの特徴から奇形・低形成、またはそれを基盤とした発達障害との異同が問題となっています。ほかにも、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症は、祖父母、父母、子、孫…と世代を経るごとに発症年齢が早まるのが特徴です。成年発症では、ふらつき、震えなどの小脳失調、舞踏アテトーゼなどの不随意運動が主症状とされてます。一方で、20歳以下の発症では、てんかん、精神発達遅滞、小脳運動失調といった症状がみられます。脊髄小脳変性症(SCD)の検査・診断出典 : 脊髄小脳変性症の診断は神経内科で行われ、臨床症状や頭部MRI、CTスキャンの画像検査から非遺伝性・遺伝性の違い、病型を調べます。診断を受けることで、症状に対応した治療を受けられます。皮質性小脳脊髄小脳変性症は、診断のための決定的な所見がないため、検査によって他の疾患の可能性を除外していきます。・画像検査…MRIやCTスキャンで小脳などの萎縮の有無、脳血流シンチグラフィーで小脳の血流低下の有無などを調べます。・神経学的な診察…本人の意思と関係なく体が動く反射や反応、麻痺などの神経症状がないかを調べます。・遺伝子検査…家族の中で脊髄小脳変性症の人がいる場合、採血をして遺伝性かどうか、どの病型に属しているかを調べます。予後の見通しなどにか変わってくるほか、治療可能な疾患の処置を適切に行うためにも、別の病気ではないかどうかの鑑別は重要です。症状が似ている疾患は以下のようなものがあります。・ビタミンB1やB12、葉酸の欠乏・アルコール中毒・甲状腺機能低下症・多発性硬化症・エイズ関連の神経疾患など多くの原因遺伝子が分かってきたこともあり、遺伝子検査によって正確に診断できるようになってきました。正確な診断ができることで、臨床的に有用な情報が提供されます。また病型の確定は予後の判定、合併症の予測に有効です。遺伝子検査をしない場合、原因究明のために他のいくつもの検査を繰り返すことになりますが、それが必要なくなるという長所もあります。しかし、遺伝性の場合、親族に保因者がいたり、患者の子ども以降の世代にも影響したりすることが考えられ、診断の受容における心理的影響についても配慮が必要であることが知られています。そのため、遺伝子検査は、患者本人の意思に基づいて行われるものとされています。参考: 脊髄小脳変性症の診断 | 健康長寿ネット参考書籍: 水澤 英洋 (監修) 月刊『難病と在宅ケア』編集部 (編集)『脊髄小脳変性症のすべて』(日本プランニングセンター・2006年)参考書籍: 日本神経学会厚生労働省「運動失調症の医療基盤に関する調査研究班」(監修)「脊髄小脳変性症・多系統萎縮症診療ガイドライン」作成委員会 (編集) 『脊髄小脳変性症・多系統萎縮症診療ガイドライン2018 』(南江堂・2018年)脊髄小脳変性症(SCD)の進行・予後は?出典 : 脊髄小脳変性症の進行は、病型ごとに傾向があります。小脳症状のみがみられる病型の場合、孤発性、遺伝性を問わず、おおむね10〜15年など長い時間をかけてゆっくり進行します。発症年齢が高齢の場合は、余命にあまり影響を与えない場合もあります。ただし、小脳だけでなく多系統を障害するタイプの病型では、孤発性、遺伝性の両方で、進行が早く重症になることが分かっています。出典: 独立行政法人国立病院機構 宇多野病院 『難病ケアガイド』(日総研出版・2005年)多系統萎縮症の予後は個人差はあるものの、一般的には、発症から3年ほどで歩行補助具、5年ほどで車いすが必要となります。その後は、発症から10年程度のうちに寝たきりとなり、血圧や呼吸、排尿、嚥下などの機能が衰えることで、肺炎や窒息などによって死亡する場合があります。出典: 月刊 難病と在宅ケア4月号脊髄小脳変性症のすべて「多系統萎縮症の現状と課題」(日本プランニングセンター・2018年)対して同じ孤発性でも、皮質性小脳萎縮症では、歩行時のふらつきや字がうまく書けないといった上肢の運動失調、ろれつが回りにくいなどの小脳症状のみがみられます。発症から4〜5年後に一人で歩ける人は76%だったという国内の研究の報告もあります。長い年数をかけてゆっくりと進行し、多くのケースで車いすが必要になります。出典: 日本神経学会厚生労働省「運動失調症の医療基盤に関する調査研究班」(監修)「脊髄小脳変性症・多系統萎縮症診療ガイドライン」作成委員会 (編集) 『脊髄小脳変性症・多系統萎縮症診療ガイドライン2018 』(南江堂・2018年)遺伝性も同様で、常染色体優性遺伝性脊髄小脳変性症のなかでも、小脳症状のみがみられる脊髄小脳変性症6型(SCA6)や脊髄小脳変性症31型(SCA31)は、発症から車椅子が必要になるまでの平均が20年余りという報告もあり、進行はゆるやかであることが多いです。出典: 日本神経学会厚生労働省「運動失調症の医療基盤に関する調査研究班」(監修)「脊髄小脳変性症・多系統萎縮症診療ガイドライン」作成委員会 (編集) 『脊髄小脳変性症・多系統萎縮症診療ガイドライン2018 』(南江堂・2018年)脊髄小脳変性症(SCD)の治療やリハビリは?出典 : さまざまなアプローチで、根本的治療の実現に向けて研究が進められていますが、まだ確立した治療法はありません。薬で症状を和らげる対症療法や生活の質を維持していくためのリハビリが中心となっています。一般的に、薬剤による治療開始は早ければ早いほど、運動機能が維持でき、身体機能も良好な状態をより長く保つことができる可能性があります。主症状である運動失調に対しては以下のような薬が使用されます。注射液…プロチレリン酒石酸塩(ヒルトニン®)錠剤…タルチレリン水和物(セレジスト®)その他、足のつっぱり感、めまい感など、症状に応じて薬で治療します。ヒルトニン®セレジスト®うまく体が動かせなくなっていくことで、症状の進行とともに患者が転倒などを恐れて動く時間が減っていく傾向があります。それに伴い、筋力や体力の低下につながり、さらに症状を悪化させます。しかし、小脳失調を主体とする脊髄小脳変性症に対して、バランスや歩行に対する理学療法を集中的に行うと、小脳失調や歩行が改善することができます。病院などでのリハビリテーションをはじめ、自宅での日常生活でも自分でできることを継続的に行うなど前向きに体を動かしていくことが大切です。介護者が専門的技術を指導してもらうことも、介護者負担を軽減するために重要です。外来や訪問リハビリテーションの際に歩行時や車いすなどへの移乗時の介助方法に関して、介護者が指導を受けて習得することで、負担感の軽減、腰痛や転倒事故の予防にもつながることが期待されます。参考書籍: 日本神経学会厚生労働省「運動失調症の医療基盤に関する調査研究班」(監修)「脊髄小脳変性症・多系統萎縮症診療ガイドライン」作成委員会 (編集) 『脊髄小脳変性症・多系統萎縮症診療ガイドライン2018 』(南江堂・2018年)家族も知って安心。利用できる福祉制度・相談先出典 : 脊髄小脳変性症は、厚生労働省の認可する指定難病に認定されており、医療費の補助や福祉・介護サービスなどを受けることができます。患者本人や家族の生活を支えてくれる制度や相談先を知り、頼るようにしましょう。◇医療ソーシャルワーカー病院の医療ソーシャルワーカーは、病気やけがで生じる心理的・社会的問題、経済的問題を患者や家族が解決できるようにお手伝いしてくれます。診断された本人や家族がどう受け止めたらいいか悩んだり、進行して働くことができなくなる不安、身の回りのことが一人でできにくくなっていくといった問題に専門的な立場から寄り添い、改善の糸口を考えてくれます。参考: 医療ソーシャルワーカーとは|公益社団法人 日本医療社会福祉協会◇特定医療費(指定難病)受給者証認定申請によってお住まいの都道府県から交付されます。受給者証があると、医療費について、所得に応じて一部が助成されます。◇障害者総合支援法「障害者総合支援法」では、障害者の定義に難病等も含まれます。そのため身体障害者手帳を持たない難病患者にも、障害福祉サービスが公費負担されます。お住まいの市町村区の担当窓口で申請をすると、障害福祉サービス・相談支援・補装具及び地域生活支援事業 (障害児の場合は、障害児通所支援と障害児入所支援も含む)が利用できるようになります。参考: 障害者総合支援法が施行されました| 厚生労働省◇介護保険介護を必要とする人に対し、その費用の給付を受けられます。介護保険に必要な要介護認定は本来、65歳以上が対象ですが、脊髄小脳変性症は40歳以上から対象となります。お住まいの市区町村の窓口で要介護認定を申請してください。医療保険と介護保険で重複しているサービスは介護保険が優先されます。ただし、訪問看護は医療保険となります。参考: 特定疾病の選定基準の考え方 | 厚生労働省◇傷病手当金病気療養のために仕事を休み、給料が減った・もらえないなどの場合、健康保険から支給されます。◇障害年金国民年金の加入者が、病気やけがで障害が残った時に受け取れる障害基礎年金と障害基礎年金に上乗せして支払われる障害厚生年金があります。脊髄小脳変性症では、障害が重くなり仕事を継続することが困難になった際などに申請できる場合があります。障害認定日や障害程度、年金の加入期間など、細かい決まりがあるので病院で相談してみてください。参考: 難病対策| 厚生労働省参考: 指定難病患者への医療費助成制度のご案内 | 難病情報センターまとめ出典 : 脊髄小脳変性症は、病型によって症状や進行などが変わってきます。根本的な治療法がまだなく、介護などで家族や周りの支援が必要となる可能性が高い進行性の難病ですが、検査をしっかり受けることで、症状に対応した治療を受られ、リハビリで体の機能をなるべく維持することもできます。医療費の補助や介護サービスを受けられるので、制度を理解してサポートを受けることで、一緒に過ごす家族の不安や負担を減らすこともできます。診断後の日常生活は、患者本人が行えること、周囲のサポートを必要とすることを見極めながら、治療やリハビリをして過ごすことが大切です。参考: 脊髄小脳変性症(多系統萎縮症を除く)(指定難病18)|難病情報センター参考書籍: 独立行政法人国立病院機構 宇多野病院 『難病ケアガイド―筋萎縮性側索硬化症・パーキンソン病・脊髄小脳変性症・多発性硬化症』(日総研出版・2005年)参考書籍 : 水澤 英洋 (監修) 月刊『難病と在宅ケア』編集部 (編集)『脊髄小脳変性症のすべて』(日本プランニングセンター・2006年)参考書籍: 月刊 難病と在宅ケア6月号脊髄小脳変性症のすべて「脊髄小脳変性症の病態と治療〜現状と展望〜」(日本プランニングセンター・2018年)参考書籍: 日本神経学会厚生労働省「運動失調症の医療基盤に関する調査研究班」(監修)「脊髄小脳変性症・多系統萎縮症診療ガイドライン」作成委員会 (編集) 『脊髄小脳変性症・多系統萎縮症診療ガイドライン2018 』(南江堂・2018年)
2018年08月28日