話題になったあのマンガ、読みたかったけどタイミングを逃してしまった! ということ、よくありますよね。今回は、コミックに詳しい書評家の永田希さんが、マンガ好きじゃなくても楽しめる「話題になった“オトコとオンナのドラマ”原作コミック」5選を紹介します。ドラマを見た人も見なかった人も、ハマること間違いなし!ドラマとは違うふたりの姿を見て!『逃げるは恥だが役に立つ』©海野つなみ/講談社新垣結衣さんと星野源さんの主演で超人気ドラマになりましたね。一世を風靡した「恋ダンス」を練習した読者も多いのでは。親族や同僚による奇異の目を避けて、“恋愛はさておき”ひとまず「契約結婚」をしたふたりが徐々に互いを意識するようになっていく過程を、甘酸っぱく描いているのは原作コミックでも同じ。コミックを読むときに注目してほしいのは、ドラマ版とコミック版で登場人物たちがちょっと違うところ。星野源が演じた「平匡さん」のキャラは原作ではエンジニアらしい眼鏡男子。対する「みくり」はガッキーのような誰が見ても美人ではなく、ちょっと天然な普通め女子なのです。石田ゆり子さんが演じた、みくりの叔母にあたる「百合ちゃん」の姿も、ドラマ版とは違った魅力があります。元カレと魔性の男のあいだで揺れ動く『凪のお暇』©コナリミサト/秋田書店こちらは黒木華さんと高橋一生さんの主演でドラマ化されました。空気を読みすぎる性格からパニック障害になってOLを辞めた「凪」と、退社と同時に別れた元カレの「慎二」、そしてフリーターになった凪が出会った隣人で女性関係が超だらしない「ゴンさん」の三角関係を中心に、凪が新しい生活に右往左往しながら奮闘する姿が共感を呼びました。原作コミックの魅力は、真面目すぎてしんどい性格だけど心根のやさしい凪の健気さと、魔性の男ゴンさんと凪の曖昧な関係の生々しさ。そしてなんと言っても、元カレのくせに凪の生活にちょこちょこ登場する未練たらたらの慎二の存在です。まだまだ続きそうな三人の三角関係、どうなっていくのか続刊が気になります。話芸の世界のオトコとオンナたち『昭和元禄落語心中』©雲田はるこ/講談社岡田将生さん主演、竜星涼さん、成海璃子さんらの出演でドラマ化され、アニメ版も人気となりました。作詞・作曲・編曲を椎名林檎さんが手掛け、林原めぐみさんが歌うアニメ主題歌『薄ら氷心中』も話題に。日本の文化として長く親しまれてきていながら、ちょっと敷居の高い感じのある「落語」という話芸の世界。「昭和最後の大名人」と呼ばれる「八雲」と、弟子をとらないと決めている八雲のもとに押し入り同然で弟子入りをして、頭角をあらわしていく「与太郎」というふたりの噺家の物語です。若かりし頃の八雲には「助六」という同門の兄弟子がいたのですが、惜しくも早逝。豪快奔放でありながら才気あふれる助六に対して複雑な感情を抱く八雲でしたが、その助六の遺児である「小夏」を引き取り育てていました。助六の芸に間近で触れていた小夏と、助六の名跡を継いだ与太郎、そして八雲の複雑な愛憎劇をぜひコミック版で堪能してみてください。男女逆転時代劇の傑作『大奥』©よしながふみ/白泉社二宮和也さん、柴咲コウさん主演の映画や、堺雅人さんと多部未華子さん主演によるドラマ化など何度も実写化されました。『きのう何食べた?』など傑作・人気作ぞろいのよしながふみさんの代表作のひとつでもあります。正体不明の奇病により男性が激減した架空の江戸時代。国を治める将軍すらも女性がつとめることになった日本を舞台に、代々の将軍とその配偶者たちの日々を描く作品です。“歴史もの”ということで日本史の知識がないと楽しめないかと敬遠してしまうかもしれませんが、その心配はありません。想像を絶するほどに醜い人間社会の暗部から、涙なくしては読めない感動的にいたわり合うひとびとの姿まで、作者の見事なストーリーテリングで思わず引き込まれてしまうこと間違いなしです。男女の社会的役割を逆転させたことで、オトコとオンナの関係のややこしさ、奥深さがいっそう際立ちます。最新巻ではいよいよ幕末期にさしかかり、国が大きく揺れ動いています。この興奮をぜひリアルタイムで。苦くて甘い恋を味わって『失恋ショコラティエ』©水城せとな/小学館松本潤さんと石原さとみさんの美男美女コンビの主演でドラマ化されました。かつてヨーロッパで、惚れ薬や媚薬としても珍重されたチョコレート。その魅力にとりつかれて自分もチョコレート職人(ショコラティエ)になった「爽太」と、爽太が一方的に想いをよせる人妻の「サエコ」のお話です。好きな人に振り向いてもらえない切なさを抱きつつ、それでも好きな気持ちを大切にする爽太と、その爽太を翻弄する蠱惑的なサエコの距離感がゾクゾクする作品です。サエコをはじめ女性キャラクターに共感する読者も多いのですが、純朴なつもりでわりと腹黒いところのある爽太たち男性キャラクターについては、筆者の周囲でも「なんでそんなにオトコの気持ちわかるの?」と悲鳴があがるほどのリアルさ。男性心理を知りたい読者にも、こっそりおすすめです。どの作品も、微妙な男女の関係を丁寧に描いていて、読み応えがあります。ドラマを見た人も、見なかった人も。話題になった“オトコとオンナのドラマ”原作コミック」5選、時間のあるときにじっくりと作品世界に入り込んで、堪能してください。Information著者プロフィール永田希(ながた・のぞみ)書評家。1979年、アメリカ合衆国コネチカット州生まれ。 書評サイト『Book News』を運営。『週刊金曜日』書評委員。 「時間銀行書店」「終りの会」主宰。2020年4月17日に『積読こそが完全な読書術である』(イーストプレス)刊行予定。その他、『週刊読書人』『図書新聞』『HONZ』『このマンガがすごい!』 『現代詩手帖』『はじめての人のためのバンド・デシネ徹底ガイド』で執筆。【Twitter】@nnnnnnnnnnn【アイキャッチ画像】©goodluz / Shutterstock
2020年03月31日理屈くさい男子大学生に、恋人ができて振られ、事実を受け入れがたいまま妄想が暴走する、森見登美彦さんのデビュー作『太陽の塔』(新潮文庫刊)。森見文学の出発点として今なお根強い人気を誇る一冊だが、そのコミカライズを手がけたのが、本作が連載デビューとなるかしのこおりさん。担当編集者も原作の大ファンで「かしのさんはかわいい女の子を描くのが得意なのですが、男性の多い『モーニング』編集部員を紹介するマンガを描いてもらったところ、デフォルメが上手でこれならいけると思いました」とのこと。たしかに「才能と知性の無駄遣いっぷりは余人の追随を許さない」という主人公の盟友・飾磨(しかま)や、生きている女性に告白されて動揺しまくる山男のような高藪など、中身も見た目もアクの強い男が勢ぞろい。「森見さんの作品に登場するキャラクターはみんな個性的で、とても愛嬌がありますよね。だけど主人公と飾磨の外見は、小説のなかであまり触れられていなかったので、悩みながらも読んで受けた印象を、そのまま素直に絵にしてみました」意外に難しかったというのが、かしのさんが得意なはずの希少な女性キャラ、元恋人の水尾さん。「小説で水尾さんは、主人公の思い出や妄想として出てくるのですが、何を考えているのか見えてこなくて。あるシーンで悩みすぎて森見さんにお聞きしたら、主人公目線でわからないことはわからないままでいい、と言われて納得しました」独特の文体が大きな魅力といえるので、原作に愛着がある人ほどマンガ化を無謀だと思うかもしれない。しかし失恋中の貧乏学生の目に映る京都の景色や、夢と現(うつつ)を行き来する脳内など、文字で記されていることだけでなく、行間からも空気やにおいをすくい取るように、マンガならではの表現にこだわっている。「最初に読んで好きだと思った気持ちのまま、最後まで突っ走った感じです。いい言葉がたくさんありすぎて、泣く泣くカットしたのですが、そのぶん絵でうまく置き換えられたらいいなと思いながら描きました」原作ファンの期待を裏切らず、マンガから入った人も置いてけぼりを食らわない。森見&かしのワールドにどっぷりハマれる、幸せな出会いが生んだコミカライズといえる。『太陽の塔』3終わらない失恋の行方はいかに。クライマックスの「クリスマスええじゃないか騒動」は必見。森見さんのあとがきも収録。原作は新潮文庫(490円)より発売。講談社650円©森見登美彦/新潮社 2003©かしのこおり/講談社かしのこおりマンガ家。「夏の種」(Webコミック「モアイ」で公開中)にて月例賞「モーニングゼロ」2016年8月期佳作受賞。『太陽の塔』が連載デビュー作となる。※『anan』2020年3月18日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・兵藤育子(by anan編集部)
2020年03月13日新型コロナウイルスの脅威に怯えながら、インフルエンザ感染にビクビクするこの時期。家族もご自身も元気でしょうか…?わが家は、先日、園児の娘が公園の遊具から落下して骨折。そして数日後に小学生の息子が胃腸炎発症。学校を欠席していたら「学級閉鎖」が始まる……という日々で大騒ぎです…(泣)そんな私をスーパー元気づけてくれる漫画をご紹介したいと思います。『おひとりさま母さん』…タイトルからもわかるようにシングルマザーの七尾ゆずさんの子育て漫画です。■保育園の着信アリが恐ろしい自分はもちろん、家族の誰かが体調を崩すと、通常の家事や子育て+医療機関受診、看病……とタスクは増えるばかり。「一週間、休まずに行ける」というのは、当たり前のようでいて、当たり前じゃないという事実…に気がつきます(涙)。保育園の着信アリに怯える気持ち、子どもについ大きな声を出してしまって猛烈に反省する気持ち…多くの人が一度は経験があるのではないでしょうか…■大人には理解できない子どものコダワリそして、登園前の恒例行事と言えば「これ着たくない」「あれが着たい」「(窮屈じゃないのに)これキツい」……。ジェンダーバイアスをできるだけかけずに育てたいと思っているわが家にも、娘に「ピンク期」がありました。そして七尾さんちのミライちゃんも…わが子も、毎日、毎日、同じ服を着ていきたがるという謎のコダワリが発症した時期があり、このシーンには、首が取れるほど大きくうなずきました!どのエピソードもさすがプロの漫画家さんの表現力…! そりゃもう、引き込まれるわ、引き込まれるわ、引き込まれて当然ですわ! 仕事の締め切りが迫る中、子どもの発熱で焦る気持ち…そんな中で頼れる身内もいない不安、その焦りと不安で子どもにキツくあたってしまって自己嫌悪する「悲しい」「つらい」だけでは言い尽くせない想い…。本書では七尾さんが、人生の荒波にもまれながら、誠実に娘さんのことを考え、娘さんと自分の人生にいかに向き合うかを模索する日々が描かれるのです。■衝撃のシングルマザーになった理由…!そして、七尾さんがシングルマザーとなった経緯が描かれる『おひとりさま出産』も…すごいんです!描かれているのは、年収200万円以下、独身、アラフォーという状態で「1人で」出産に挑んだ実話です。借金もあり子育てパートナーとしては不安しかない男性と付き合っていた七尾さん…でも、どうしても子どもが欲しかった七尾さんはシングルマザーとして産むことを決意するのです! が…こんな衝撃作、そうそう目にしません。でも、そこはやはり七尾さんの漫画家としてのすごさ。めっちゃ笑えて、めっちゃ泣けて、ジーンと感動しちゃうんです。出産、育児のサバイバルライフ『おひとりさま出産』『おひとりさま母さん』仕事、家庭、育児、出産……人それぞれいろんな選択がありますが、どれが正解で、どれが間違いなのかということではないことに気づかされます。数々ある人生の岐路で何かを「主体的に選ぶ」権利があるということ自体が、とても素晴らしいことで、それを実践している七尾さんのエネルギーに圧倒されました。また、シングルマザーの育児という大変な毎日が描かれますが、その中で子どもと過ごすことに七尾さんがハンパない幸せを感じていることも伝わってきます。この先、女性の社会進出がさらに進むと、結婚しないままの出産を選ぶ女性も増えていくでしょうし家族の形や価値観もどんどん変化していくでしょうし、これまでの「結婚」というシステムに縛られない女性たちも増えていくでしょう。その、令和の社会におとずれた家族観、女性観の大きな変化を、七尾さんはイチ早く実践しているともいえると思いました。漫画を読むと、「人生なんとかなる」という七尾先生の生き方を応援したくなるようでいて、読み終わると実はこちらが応援されているような気持ちになりました。ほのぼの育児漫画とは、ちょっと‥いやだいぶ違った作品です。七尾さんが選んだ道は、一般的な「幸せの形」ではなかったけれど、「子育ての幸せ」は同じです。是非、読んでみてほしいです…! ■七尾ゆずさんからのスペシャルメッセージ!七尾ゆずさんよりスペシャルメッセージをいただきました!出産を決意したのは38歳。年収200万円以下、漫画では大した稼ぎもなく深夜バイトをしていた時期でした。目の前に迫る出産のタイムリミットが怖くてたまらない毎日。付き合っていた相手との結婚を考える事もできず「一人で育てるから子どもを作って下さい」と頼んだのが始まりでした。「子どもは何があっても幸せにする」そう決意した時からお話は始まります。 ミライにはたくさんのことを教えてもらいました。かわいいってウキウキするでしょ。人の肌ってこんなにあったかいのよ。愛されるってこんなに心が満たされるのよ。 娘のミライに出会わなければ、こんな事も気づかずに私の人生は終わっていたと思います。 今になると、何故あんなに子どもが欲しかったのかが分かる気がします。恋愛は人並みにできなかったけど、子どもを愛する心だけは育っていたからなんだなぁと。 子どもは両親の愛情に包まれて育つのが一番の幸せだと思います。でもシングルマザーでも幸せにできる…いや、男がいない方が幸せになれる事もある! 今もおひとりさま子育てはてんやわんやです。でもずっと1人で生きてきたからこそ今の幸せが身に沁みます。自分の信じた道を選択した事で人生が大きく動き出しました。誰かのために頑張れる。それってなんてありがたい。そんなハンパない幸せ噛み締めて奮闘するナナオとミライの物語。是非ご一読いただければと思います。半端ない貧乏生活と半端ない幸せおひとりさまの母さん道…ぜひご覧ください! Amazonで詳細を見る Amazonで詳細を見る
2020年02月16日こんにちは。赤井トマトです。連載として出産の体験記を書いています。前回からの続きで、陣痛が始まったけど、子宮口が1センチしか開いてない私。小雨の中、歩いて帰ってきた話の続きです。今までのあらすじ→ →1話はこちら →2話はこちら →3話はこちら 布団で2時間ぐらいもだえていたら、陣痛の間隔が5分以下になりました。「陣痛の感覚が5分切ったら、また来てください。」と産院に言われていたので、陣痛タクシーを呼んで、また病院に。この時、紙に名前や住所を記載したのですが、立ち合い出産の項目は『希望しません』に丸をしました。立ち合い出産について。私はどちらかというと「恥ずかしい!」という気持ちが強かったのです。産院は立ち会い出産ができる所だったので、夫には「立ち合い出産は恥ずかしいからしないでお願いしたいです。」と、話しました。夫としては、産むのは私なので、私の気持ちを優先したいと思ってくれていたことはとても嬉しかったです。高齢出産の初産。もうすぐ娘が産まれます。
2020年02月01日現在、夫と息子(9ヶ月)と3人暮らしのわが家。夫の両親は徒歩15分の距離に住んでいるため、息子が生まれてからは頻繁に行き来するようになりました。かわいい孫のためにいろいろとしてくれるのはうれしいのですが、義母の行動は今の時代の感覚とズレていることも多く…。義父も夫も気の強い義母に強く言えないので、問題を見て見ぬふりをしている状況が続いていました。なかでも困ったのが、義母のアレルギーや虫歯への無理解です。世代間の考え方の差とはいえ、義母の行動や言動にモヤモヤする日々。そんなイライラを募らせていた私を震え上がらせたのは、思い出すだけでもぞっとする義母のさらなる行動でした。しかも「虫歯菌がうつるかもしれないので」と説明しても、「どうせ乳歯は抜けるんだし、虫歯になっても平気でしょ」とまったく聞く耳を持たないのです。義母の無知と聞き入れてくれない態度に怒りが込み上げてきましたが、ここで私が感情的に怒っても関係が悪くなるだけだからと気持ちを落ち着かせる私。「近所に住む義母と関係を悪くしたくない」その思いが先行して、感情的になることをおさえていましたが、とうとう怒りが限界に達する出来事が義母と私との間でおきたのです。続きはこちらから※この漫画はウーマンエキサイト読者の方からお寄せていただいたコメントを元に作成しています。マンガ:べるこ\人気作家の動画もぜひご覧ください!/ 母ちゃんTVはコチラ チャンネル登録お願いします♪
2020年01月28日続きが気になり、新刊が出るたびに「あれ、読んだ?」と話題になる。現在、累計80万部を超える『1122』をはじめ、私たちの心をとらえる作品を担当する漫画編集者の一人が、上村晶さんだ。フリーランスという形をとる漫画編集者は、業界でも珍しい存在。“作家さんとのおしゃべりは信頼関係を生む大事なもの”「作品単位でお仕事を引き受けています。作家さんと一緒に企画を立て、“この作品はここの編集部がよさそう”と相談して持ち込みます。入稿や校了、宣伝なども関わるところは関わる。一つの雑誌で思いついた企画をすべてやることは難しく、諦めることもあったのですが、いまはほかの媒体に提案できるので嬉しいです。作品創りでは、作家さんが描きたいことが第一ですが、得意なことも大事。描きたいからといって不得意なことをやるとうまくいかないこともあるし、逆の場合だとモチベーションが上がらなかったりもします。さらに、いままでとは違う、ちょっとしたチャレンジをすること。その3つの円が重なる部分を大前提として狙います。たとえば『1122』は、公認不倫という題材を使って夫婦を描いた作品ですが、作者である渡辺ペコさんの久々の長編作品なので、ちゃんと届けたいという気持ちが強かった。そこで、よりエンタメにふるということを意識しました。ペコさんの作品には、品と、深い心理描写があるから、スキャンダラスな題材を使っても下品にならない。そこを信頼しているからこそできたことです。“もっとベタに”“引きを強く!”と編集者が全員言うようなことを言っていました(笑)」作家さんは十人十色だからこそ、相手を知ることを大事にしている。「一番好きな作業は打ち合わせです。作品について話す時間もあるけど、私の場合は8割おしゃべり(笑)。でも、これがどうも無駄じゃないという確信があるんです。昨今の社会で起こっている問題や流行りの話題、オタク話について聞きながら、相手の考えや思考、嗜好、違和感や怒りみたいな感情をどういう時に持つのか、そういう全体をひっくるめて作家さんを知ることが、信頼関係を作るうえで大事だし、作品創りに生きている気がします。作家さんの洞察力や言語センス、着眼点、そして、そこから生まれるきらめきは、私からは絶対に出ないもの。それを出しやすくするため、土地を耕し、水をあげるのが私の作業かなと」最近は、社会とのコミットを考えるようになったという上村さん。創りたい作品の傾向にも影響が。「個人と個人の話で収束することもできるけど、個人が依って立つ社会という視点を入れたいと思うようになりました。年をとったからだと思います(笑)。『1122』では、既存の夫婦観への息苦しさやセックスレスの悩みを取り上げていますが、そうした社会にある悩みを物語にすることで、解決とはいかないまでも、読んだ人が一回シミュレーションができますよね。悩んでいる人の糸口になるかもしれないし、悩んでいる人に目を向け、理解するきっかけになることもできると思うんです」本が売れないいまの時代にも明るい可能性はたくさんあると言う。「電子発の作品も当たり前に生まれ、漫画のアプリも増えています。スマホの中でこんなに読んでいる人がいる、潜在的読者はたくさんいると思うと、やっぱり物語というものが欲されているんだなと。それはすごく心強いことです。発表の仕方や形態は変わっても、物語はなくならないんじゃないかということは、確信しています」うえむら・あきらフリーランス漫画編集者1974年11月8日生まれ、広島県出身。太田出版に入社し、雑誌『マンガ・エロティクス・エフ』の編集長を務める。その後、2014年に独立してフリーランスの編集者となる。編集を担当した、さまざまな恋模様を繊細に描いた志村貴子さんの作品『どうにかなる日々』のアニメが、今年の初夏、期間限定で劇場公開される。※『anan』2020年1月15日号より。写真・内山めぐみ取材、文・重信 綾(by anan編集部)
2020年01月11日冬目 景さんの『空電の姫君』は、いわゆるガール・ミーツ・ガールの物語なのだが、最初に断っておくと本作は『空電ノイズの姫君』(全3巻)の続編。連載媒体の移籍で、タイトルを変えてリスタートした。音楽を拠りどころにするギター少女と訳ありの親友。「描きたいイメージとして最初にあったのは、ふたりの女の子の友情というか関係性。なのでバンドマンガのつもりはあまりなく、音楽はあくまでも舞台装置なんです」本作から読む人のために、これまでの流れを簡単に説明しておこう。ミュージシャンの父を持ち、幼い頃からギターを弾いてきた女子高生の磨音(まお)は、転校生で天性の歌声を持つ夜祈子(よきこ)と出会う。一方で、磨音はプロデビューを目指してギタリストを探していた、2人の男子大学生が組むバンドに加入。作者の冬目景さん自身も音楽好きで、主人公にはぜひギターを弾かせたかったそう。「ロックをやっている女の子って、どちらかというとキツめなイメージがありますけど、磨音はふんわりした雰囲気で、ギターを弾くと豹変するような子にしたくて。対照的に夜祈子のほうは、ストレートの黒髪でクールにしようと思いました」普段は内向的で、人前で演奏することなど考えたこともなかった磨音が、バンドという仲間を得たことで音楽の新たな扉を開く。その一方で、夜祈子も音楽が心の支えになっているようなのだが、なぜか人前では積極的に歌いたがらず、磨音のバンド活動に関しても、今のところ応援するだけの立場にとどまっている。「夜祈子はやや面倒くさいタイプ。ミステリアスな彼女の過去がこれから明らかになっていくのですが、夜祈子のことを描きたくて、このマンガを描いているのかもしれません」冬目さんの作品は、作画も大きな魅力のひとつ。今作は「楽器をたくさん描かなければいけないことが、とにかく大変!」と苦笑するが、躍動感のあるライブシーンなどは必見。先述の通り、連載先を変えてまでこだわりたかったのは、減りつつある紙媒体で発表することだった。「もともと私は美大で油絵を専攻していて、マンガを始めて間もない頃はカラーの絵をキャンバスに描いて、編集さんにそのまま渡したりしていたんです(笑)。いまだデジタルをほぼ使わないアナログな描き方なのですが、紙媒体を選べるうちはそこで描き続けたいと思っています」美しい絵柄とともに、バンドのゆくえと彼女たちの選択を見届けたい。『空電の姫君』アマチュアバンドで、少々頼りない男子大学生とともに練習やライブに励む磨音。夜祈子はそこにどう絡んでくるのか。『イブニング』で連載中、1巻は重版が決定。講談社630円©冬目景/講談社とうめ・けい1992年デビュー。代表作は『羊のうた』『イエスタデイをうたって』など。『グランドジャンプ』で「黒鉄・改KUROGANE-KAI」連載中。※『anan』2020年1月1日-8日合併号より。写真・中島慶子インタビュー、文・兵藤育子(by anan編集部)
2019年12月30日年に1度のマンガの祭典、ananマンガ大賞。(1)イケメンが出てくること、(2)ラブストーリーであること、(3)現在連載中であること、(4)読んだ後“楽しかった~”とハッピーな気持ちになれることという4つの審査基準のもと、担当編集&ライターが多数のマンガをじっくり読み、今年も大賞を選出。浜谷みおさんのを大賞に選ばせていただきました!スマホマンガアプリの〈LINEマンガ〉で連載中の、ぽっちゃり系“古墳女子”の淡い恋物語です。『やまとは恋のまほろば』4つの見どころ1、主人公・穂乃香が似ているのは、大学近くの“前方後円墳”。メガネ&ぽっちゃりな穂乃香は、いわゆる“今どき女子”的なかわいさは皆無。合コンの席で出会った男子には、「何がマシュマロ系だ」「あれはナシ、チェンジ」とまで言われてしまう。傷ついた心を隠しつつ、表向き平穏に暮らしている、そんな女子大生。2、舞台は大学の古墳研究会。部員の男子2人は超イケメン!そんな穂乃香にとっての“まほろば=オアシス”が、古墳研究会。彼女を拒絶せず、人として温かく交流してくれる2人の男子部員が在籍。これが外も中もイケメンな男子!とはいえ、その優しさ&近い距離感ゆえ、穂乃香は翻弄されるわけですが…。3、恋に合コンに夢中な女友達とのなんともいえないリアルな距離感…。大学デビューをした、中学からの友人・友葉の価値観の変化に悩みつつ、でも古墳研究会のイケメンを狙い、穂乃香に妙に優しくしてくる美女友達の丹菜ちゃんのことは、疑わない穂乃香。友情に恋が絡み始めるときのこの複雑な感じ、共感しかない!!4、塩対応なのに思わせぶり!!飯田くんとの関係は恋なの!?常に低体温ぽい雰囲気の古墳研究会の男子2人組ですが、同じ学年の飯田くん(コケ好き)の穂乃香への態度は、「古墳キャラに似ててかわいい」と言ったり、プリンを食べさせようとしてくれたり、もうそれ、絶対“好き”でしょ?!うらやまけしから~ん!浜谷みお先生に受賞特別インタビュー――まずは受賞の感想をいただいてもいいですか?ネームがまったくうまくいかず落ち込みまくっていた夜中に、担当編集者さんから連絡をいただきました。最初は、「そういう賞を目指して頑張りましょう」という励ましかと思ったのですが、どうやらそうではなく…。しばらくしてからやっとじわじわ喜びがやってきました。――それにしても、“古墳”がテーマというのは前代未聞。そこにまず心を掴まれました。もともと自分の身近に古墳があるので、以前マンガを描いていたときから、何か古墳を絡められないか…とは思っていたんです。今回、キャラクターを考えるとき、形として古墳を絡めたら、穂乃香の性格が見えてきて、話にも広がりが。ちなみにモデルにさせてもらっているのは大阪府八尾市の心合寺山古墳。モチーフがみんなかわいくて、グッズの展開が熱いところも魅力です(笑)。――古墳研究会に所属する飯田くんと可児江さん、この2人のまったくオラついていない男性像や恋愛観が、とても令和的だと思いました。そこに何かメッセージは込めていますか?私自身は、年齢や性別における価値観の変化をそんなに感じているほうではないのですが、女子も男子も、やりづらい世間的な物差しではなく、個人の価値観を主に据えることで、生きやすさや楽しみが増しているなら、何よりだと思います。この2人のように恋愛に重きをおいていないタイプの人たちが、急にそちらに舵を切るようなことがあったとき、いったいどうなるのか、そこには興味が惹かれますね(笑)。――一方で、穂乃香の女友達との距離感がとてもリアルで、こういう経験、女子ならきっとあるな…と胸が痛くなります。彼女の場合は大学に入って新しい世界に出たわけで、人間関係が変わることで、いろんな経験をしますよね。正直、そこに強いメッセージを込めているわけではないですけれど、“みんな一緒じゃなくてもいいんだよ”という気持ちはあるかもしれません。――連載メディアが雑誌ではなく、スマホアプリで配信というのも新しい挑戦ですよね。そのあたりはいかがですか?配信後、すぐに感想が反映されるというスピード感にはまだまだ慣れません(笑)。喜んだり落ち込んだり、いろいろありますが、でも8年ぶりにマンガを描けている今、読者の方から反応をいただけることが一番嬉しいです。実は今まで読みきりしか描いたことがなく、連載は初なんです。穂乃香や飯田くん、可児江さんなど、自分が作ったキャラクターに長く寄り添えることが新鮮でとても楽しい。彼らをちゃんと育てたいし、同時に自分もマンガ家として成長したいと思っています。――やはり気になるのは、穂乃香の恋の行方です。何かヒントをいただけると…!!3人以外の他者との関わりの中で、恋がどうなっていくのか、見守っていただけると嬉しいです。3人の関係性も徐々に変わってきますので、ぜひ続きを楽しみにしていてください!『やまとは恋のまほろば』関西にある“おたけやま古墳”。その近隣大学に通う穂乃香は、ぽっちゃりな自分を「前方後円墳に似ている」と自嘲する女子大生。大学デビューした中学時代からの友人を横目に、〈古墳研究会〉に所属、マイペースに青春を謳歌しようとするのだが…。1巻580円/LINE Digital Frontier©浜谷みお/LINEはまたに・みお’07年、集英社主催新人マンガ賞「金のティアラ大賞」で銅賞を受賞しマンガ家デビュー。一度は筆を置いたものの、この作品で再デビュー。※『anan』2020年1月1日‐8日合併号より。写真・中島慶子取材、文・河野友紀(by anan編集部)
2019年12月29日1999年に誕生した「ウーマンエキサイト」は、今年で20周年を迎えました。2016年に“愛あるセレクトをしたいママのみかた”をコンセプトにリニューアルし、家事・育児・仕事にと忙しいながらも積極的に情報収集を行うママたちに情報を届けています。そして2015年から開始した「コミックエッセイ」は、現在では約100名ものコミックライターさんが連載を持っています。そんなコミックエッセイは、年間で1800本以上配信!そこで今年2019年のウーマンエキサイトで最も読まれた記事を発表いたします。※2019年ウーマンエキサイト大賞は、2019年1月1日~2019年11月30日までに公開された記事を対象としています。》編集部が選ぶ「ウーマンエキサイトベストコミック」は コチラ 「編集部が選ぶ、絶対読んでほしいベストコミックエッセイ! 令和時代の子育てとは」 ■2019年ウーマンエキサイト大賞はこの作品! 『「3人目が欲しい私と、欲しくない夫。私が夫から合意を得るまでのいきさつ』/オギャ子さん 子どもを3人欲しいオギャ子さんと、2人でいいという夫。ふとしたことがきっかけで折り入って話をする機会がやってきます。その結果は…。読者にとっても子どもが欲しい、2人目、3人目が欲しいという話題は気になるところ。そんな話題に、鋭いオギャ子さん視点を入れて記事にしていただいたことで、多くの人から注目が集まりたくさんの読者に読んで頂ける記事となりました。改めて、ウーマンエキサイト大賞の受賞おめでとうございます。【オギャ子さん受賞コメント】意外にもこちらの「三人目どうする?」記事の反響が大きかったようで大変驚いております。これからも読者の皆様が、何を求めているかを敏感に察知しながら記事を書いていきたいと思っています。この度は大変光栄な賞をありがとうございました。■ウーマンエキサイト月間MVP! 各月で最も人気を集めた作品は?毎月150本以上配信しているコミックエッセイ。その中で、各月ごとのMVPを発表いたします。出産、子どもの成長やつらい病気、夫婦のリアルな問題、キュンキュンくる子どもの姿などバラエティに富んだ記事がMVPとなりました。▼1月MVP あるランチでの夫の一言で気づいた事実 『食事に文句ばかりの夫に我慢の限界!ご飯を作らせてみたら…』/オギャ子さん 「ウーマンエキサイト大賞」に続き2度目の受賞のオギャ子さん。オギャ子さんは、2016年からウーマンエキサイトで連載を開始いただいた最も長く執筆されているライターさんの一人です。受賞した記事は、あるランチでの出来事。オギャ子さんの家では料理を作ってもコメントが返ってこない男ばっかりの食卓。そこである事件が起こり、料理を夫が作ることになるのですが…。【オギャ子さん受賞コメント】光栄な賞を頂きましてありがとうございます!夫の話をただの愚痴で終わらせず、どのようにして解決していったか、できるだけ具体的に描くことを努力しました。これからも今よりもっとよりよい夫との関係を目指して日々模索していきたいと思っております。この度は大変ありがとうございました。▼2月MVP ママだって完璧じゃない! イライラすることもある! 『「泣き止んでよ!」怒っては反省する私に、保育士の夫が教えてくれたこと』/ホリカンさん 結婚前まで、子どもと関わる仕事をしていたというホリカンさんは、子どもができたら『私は怒らないお母さんになれる』と自信を持っていたそう。しかし、実際子どもができてみると、そんな自信は見事なまでに粉砕。イライラを抑えきれず、毎晩子どもの寝顔を見ながら号泣したいたときに、保育士をしている夫に教えてもらったのが…。【ホリカンさん受賞コメント】この度は貴重な賞を賜り、誠にありがとうございます!!こちらの記事は、当時のつらかった育児が、保育士である夫の言葉で救われた話です。子育てに関して『なんの根拠もない自信』を持っていた私。(ホント、当時の私をグーパンチしたい(笑))しかし、実際の育児は想像を絶するほど大変で、自分の理想とは大きくかけ離れていました。子どもが大好きでたまらないはずなのに、毎日毎日イライラ。何もかもが上手くいかず、トイレに閉じこもって号泣したこともありました。当時の夫の言葉は、今でも私の育児の指針となっています。お母さんだって完璧な人間じゃない。イライラするときだってある。方の力を抜いて笑顔で過ごせるように、これからも子どもと一緒に成長していけたらなと思います。▼3月MVP 保育園トラブル。子どもに悲しい顔をしてほしくない! 『挨拶を無視されてしまった…! 保育園の先生とのトラブルのきっかけ』/ネコおやじさん 元シングルファザーの夫と、2人の連れ子と実子1人の子育てに奮闘しているネコおやじさん。末っ子が通う保育園で起きた先生とのトラブルを描いた本記事が話題となり、お昼の情報番組でも取り上げられました!【ネコおやじさん受賞コメント】こんにちは、ネコおやじです!このたびは3月ランキングのMVPに選んでいただき、ありがとうございます!私なんかがMVPに選ばれてもいいのだろうかと思いつつ、それよりうれしさが勝つのでそこは胸にそっとしまっておきます…。保育園トラブルの話は、身バレしないように所々フェイクを入れてますが、まさかテレビで放送されることになると思わず正直ヒヤヒヤものでした(笑)▼4月MVP あの「ふよぬけ」夫がとんでもない行動を! 『陣痛中、夫の謎行動が超迷惑! 立ち合い出産の悲劇』/ゆむいさん 書籍化された『夫の扶養からぬけだしたい』のゆむいさんのウーマンエキサイトでの連載が4月のMVPに!「ふよぬけ」では夫の衝撃な言葉の数々が話題になっていますが、今回受賞した記事は、ゆむいさんの陣痛中に起きた出来事です。看護師さんの言葉によって、夫さんがとんでもない行動を起こします!▼5月MVP つわりの苦しみを夫にも理解してほしい! 『妊娠中、夫に「別れたい」と告げてしまった! ~つわりで夫婦が壊れる!?~』/ぺぷりさん 「つわり」による体調悪化で仕事も辞め、体重も落ちてげっそりする中、夫はほぼ無関心であるかのような態度。つわりの苦しみと妊娠中の情緒不安定も手伝って、どんどん悲しみのスパイラルに入っていき、ぺぷりさんはとうとう「別れたい」とメールしてしまいます。【ぺぷりさん受賞コメント】受賞いただき誠にありがとうございます。この記事を多くの方々に読んでいただけたということは、それだけ同じようにつらい想いをしたママさんが多いってことなんだと思うと泣けてきました。この記事をとおして、周りに妊婦さんのいらっしゃる皆さまに少しでもつわりのつらさを伝えられたら大変うれしいです。▼6月MVP パパのうれしさと悲劇 『「お父さんと寝る!」次女の言葉に嬉々とする父。しかしその夜待ち受けていたのは…』/まえだゆずこさん 週末だけ親と一緒に寝たがる娘ちゃん。いつもはお母さんと寝るのですが、その日に限って、「お父さんと寝る!」と言い出します。そんな言葉に嬉々となりデレデレの夫。しかしその夜待ち受けていたのは…。【まえだゆずこさん受賞コメント】MVPありがとうございます! わが家でのあるある光景を漫画にしてみました。4人きょうだいのうち、次女以外はお父さん大好きブームがありましたが、なぜか次女だけはブーム到来せず。そのせいかお父さんは次女に片想い気味!? ガンバレお父さん~!(注意・決して嫌われてるわけではありません)▼7月MVP もし子どもにアレルギー症状が出てしまったら… 『夜、子どもがアレルギー症状発症!? 焦るママを導いてくれた1本の電話』/まりげさん 昼間は元気だった息子が夜になると、突然くしゃみをはじめます。さらに白目の部分がはれ上がり、目が開かないほどパンパンに…! そこでまりげさんが頼ったのは1本の電話でした。【まりげさん受賞コメント】今回【アレルギー】の記事に対して多くの方に興味を持っていただけたのは、『子どもに何かあったら私が対応せねば…!』という読者の方々の気持ちの表れだと思います。白目がブヨブヨになってしまった場面も描いたので、いざという時のために『こんなこともあるんだな~』と覚えておいていただけたらうれしいです。▼8月MVP とっても人の好い心温まる夫婦のお話 『知らない人からよく声をかけられる私たち夫婦、友人が語るその理由とは…』/SAKURAさん 外出先で知らない人から声をかけられることが多いというSAKURAさんご夫婦。しかし友人から、言われたその理由で、なんとも複雑な気持ちに…。モヤモヤしならがも前向きにとらえたSAKURAさん夫婦はとってもステキです!【SAKURAさん受賞コメント】この度は「8月PVランキングMVP」に選んでいただき、ありがとうございます!まさか自分がこのような賞をいただけるとは! 光栄です!毎回書きながら「これで大丈夫かな…」と不安だった私には、ありがた過ぎる賞です。これもすべて、読んでくださる皆さまと、編集の方のおかげです。ありがとうございました。▼9月MVP 子どものデリケートな成長とその解決法 『トイレに何度も行きたがるのは体調不良? 外出先で娘が打ち明けた理由とは』/エェコさん エェコさんとのお出かけを喜んでいた娘。しかし、外出先でトイレに行ってはモジモジするのを繰り返します。体調が悪くなったわけでもない様子。そこでピンときたエェコさんは、あることを聞いてみると…?【エェコさん受賞コメント】ご連絡いただいた時はたくさんのライターさんが描かれているなかで、「私が9月のMVP賞!?」と喜びと驚きが交錯しました…! でもやはり圧倒的感謝です!これも読者の皆さまをはじめ、編集部の皆さまや家族のおかげです。ありがとうございます!これからもたくさんの方に読んでいただけるように頑張ります。今回は本当にありがとうございました!▼10月MVP 娘と弟の心あたたまるきゅんとするエピソード 『かわいいしぐさにキュン! 弟が長女にメロメロになった日』/チッチママさん 帰省した際に、1歳半の長女を母と弟にみてもらうことに。よく娘の面倒をみてくれる弟でしたが、散歩に連れて行こうとすると、娘がある行動を!【チッチママさん受賞コメント】10月PVランキングMVPに選んでいただきました、チッチママです。いつも皆さまに読んで頂きとてもうれしく思っています!この回は、長女と私の弟のやりとりを書いたもので、じつは弟から『今日こんなことがあったんだ!漫画にしてくれ!』との熱望があり描くに至ったものです。その記事が今回こんなに素敵なスポットライトをあてて頂きましたので、弟にも伝えたいと思います!▼11月MVP 放置された金魚、家で育てることにしたけど、金魚に異変が・・・ 捨てられていた金魚を自宅に連れて帰ったところ…金魚の体に異変が!? /モンズースーさん お祭りで買っただろう金魚が無責任にも捨てられており・・・家で飼うことにしたモンズースーさん一家でしたが、しばらくすると金魚の身体に異変が・・・・【モンズースーさん受賞コメント】11月PVランキングMVPに選んで頂きありがとうございます!「MVP」なんて生まれて初めて頂いたのでとてもびっくりしました!私の記事は暮らしの中で見つけた「小さな発見」をテーマで描いています、普段あまり目にしない豆知識ですが、これからも描いていきますので、また記事を見て頂けたら嬉しいです。コミックエッセイの方々が切り取る日常の風景は、多くのママにとっても起こりうる日々の出来事が多く描かれます。そのなかで悩んだり、つらくなったり、がんばったりと多くのママが施行錯誤しながら日々を過ごしていることでしょう。今回、「ウーマンエキサイト大賞」に選ばれた作品、各月のMVPを受賞した作品は、「自分だったら?」と考えさせられる作品が多かったように思います。もしその立場やその状況になったときに、どう行動できるのか、子どもにどう伝えればいいのか…。そうしたいろいろな出来事を自分事として、とらえることができれば、ママ達も知識を蓄えることができ、それぞれが自分の考えをアップデートできるのではないでしょうか。そして社会はもっともっと優しくなれるような気がしています。ウーマンエキサイトでは今後もそうしたママたちに寄り添いながら、毎日がステキに過ごせるコミックエッセイをコミックライターさんたちと協力しながらお届けしていければと思います。2019年、多くのコミックエッセイをお読みいただき本当にありがとうございました!(ウーマンエキサイト編集部一同) ↑ウーマンエキサイトベストコミック大賞はこちらから!
2019年12月20日平成から令和に変わるこの時代の変わり目。結婚、妊娠、出産、子育て、仕事との両立でライフステージが変わる女性たちの生き方も変化が見られます。ウーマンエキサイトでは、ママ、妻、働く女性を忙しい毎日を過ごしながらも、新しい時代「令和」を生きる新しいママに寄り添っていきたいと思っています。そこでウーマンエキサイトで、執筆する約100名ものコミックライターさんのコミックエッセイのなかから、ウーマンエキサイト編集部で選考した結果、今年の「ベストコミックエッセイ」を決定しました。》「ウーマンエキサイト大賞」は コチラ 「2019年最も読まれた子育てコミックエッセイ! ウーマンエキサイトコミック大賞」 ■「令和時代の子育て」賞最近、「ピンクは女の子の色、青は男の子の色」と言うようになった娘さん。そこでトキヒロさんは「できればもっと自由に生きて欲しい。見た目や生き方の違いで人を判断するような人にはなって欲しくない」と、ある映像を見せることに…。 『肌の色、性別…子どもに多様性を伝えるには? ある映像を見せてみた』/トキヒロさん このトキヒロさんの“多様性”を教えるための独自のスタイルに驚きながらも共感を覚える人が多かったこと、またママ自身が子育てにおいて「囚われない」「縛られない」「認める」ことの大切さを知る学びのきっかけになったことが高く評価されました。【トキヒロさん受賞コメント】この度は、恐れ多くも素敵な賞に選んでいただき光栄です。多様性やセクシャリティなど、私もまだまだ勉強中です。娘自身が、いろんな物を見て感じ、自分で考えられる子になってくれたらと思います。そして彼女が迷ったときは、「一番の理解者でありたい」。そういう気持ちでこちらの記事を書きました。■「愛情は得意なことで示しま」賞裁縫も料理も得意ではなくて、「母による手作りイベント」に怯えてしまうという荻並トシコさん。ただそんな荻並さんは、手作りできる人もステキだけれども、車庫入れが上手な人もステキといいます。お母さんらしいスキルに囚われがちな世のママに「愛情は得意なことで示せばよし」という川柳が心に染みたという声が多く挙がりました。 『手作り苦手な私…お母さん、失格ですか!? 令和の“母親らしさ”とは』/荻並トシコさん 【荻並トシコさん受賞コメント】「お母さんっぽくなくてもいい!!」と日々胸を張って生きていられればいいのですが、ちょっとしたキッカケで急に自信をなくしてしまったりすることがよくあります。自分の考えを記事にすることで自分を鼓舞していました。共感してくださる方が多数いらっしゃったのならうれしいです。■「家族って難しいで」賞子育てをしていると、自分自身の子どもの頃の記憶が呼び出される瞬間があります。自分の母との温かい記憶に励まされる人もいるでしょうし、逆につらい気持ちが呼び起こされる人もいるでしょう。今回、「家族って難しいで賞」では異なる2つの記事が受賞しました。▼表に見えにくい「実母と娘の関係」いつも明るく、あっけらかんとしたキャラで人気のホリカンさんからは想像できないほどダークで切ない実母のお話。 『実母のようにはなりたくない! 過去の辛い経験から生まれた私の育児ルール』/ホリカンさん ホリカンさんの実母のお話は、ご自身のブログでも公開されており、反響を巻き起こしています。毎日、毎日、蛇口をひねるように愚痴を言い続けるお母さんとそれを幼いころから聞き続けるホリカンさん。あれだけ嫌いだったはずなのに、ふと実母に似ていることに気が付く瞬間があり、背筋が凍るようなゾッとする感覚に襲われるといいます。【ホリカンさん受賞コメント】この手の話はとてもデリケートで、当事者にしかわからないこともたくさんあると思います。実際、私は身体的に虐待されて育ったわけではありませんし。こうして今幸せに暮らしているのは、ここまで大きくしてくれた母親のおかげです。しかし…だからこそ、表には見えにくい【実母と娘の関係】。この話を書くに当たってはとても勇気がいりました。当時を思い出す作業は、古傷をえぐられるような作業でした。実際に、ブログで公開した際にはご批判もいただきました。しかし、それ以上に多かったのが『私も同じです』というお言葉。私が思ってる以上に、私と同じように苦しんでいる方がたくさんいるということをこの時初めて知りました。悪気はまったくなく、まるで友だちにでも話すように、無意識に自分の子どもに愚痴を言ってしまうことって結構あることだと思います。しかし、子どもは母親の話をとても敏感に聞いているのです。私自身、毎日毎日洗脳のように母親の愚痴を聞かされ続け、つらい思いをしてきました。だからこそ、自分の子どもには私と同じ思いをさせてはいけないと思っています。▼親の何気ない一言が子どもを傷つけるもう一人は、グラハム子さん。ママ友と話しているときに、ついつい自分の子どもを卑下して、相手をもちあげたり、他人から子どもをほめられたときつい謙遜してしまうことがあります。そこには褒められてうれしい反面、ついつい自分の子なら多少冗談を言っても許されると思ってしまう感情もあったり…。そんなどこでも見かけるシーンでの親の一言が子どもの心を傷つけるのだとすごく反省させられる記事となっています。 『自分がイヤなことは人にも言わない…シンプルなことほど「家族」って難しい』/グラハム子さん 【グラハム子さん受賞コメント】このたびはこのような素敵な賞をいただき、まことにありがとうございます。家族って、いつも一番側にいてくれて、大好きだけれど、自分ではありません。家族だとついつい言いすぎてしまうこともありますが、それぞれの個性を尊重しあえる関係が私の理想ですこれからものんびり頑張っていきたいと思います。■「不登校に苦しんだ家族の絆」賞娘の「不登校」というテーマを全5回にわたって描いたじゃがいもころりんさん。友だち付き合いもできているし、勉強も理解できているから、それほど深刻に考えていなかったじゃがいもころりんさんでしたが、娘さんはどんどん家から出られなくなっていきます。そしてそんな彼女から「消えたい」の一言で、「私は何を守ろうとしていたのか」と一緒に苦しみに向き合うことに…。この不登校が始まる前、手探りの状態、元気になるきっかけまでを赤裸々に描かれ、多くの読者の心にインパクトを与えたことが大きく評価されました。 『不登校に苦しんだ娘の「消えたい」の一言で…親がやっと気がつけたこと』/じゃがいもころりんさん 【じゃがいもころりんさん受賞コメント】このたびは素晴らしい賞をいただき光栄です! これも読んでくれた皆さま、編集部の皆さまのおかげです。不登校はつらかったですが、だからこそ娘らしい生き方を見つけられ親子の絆も強くなった、かけがえのない体験です。悩める方々に届くといいなと思って書きました。本当にありがうございました!■「びっくりトラブル」賞子どもができて初めて知ったことは、子どもがケガなく元気で成長することは奇跡に近いということ。それぐらい小さい子どもにとっての危険な箇所はたくさんあります。それは家の中にも…。今回、受賞した作品は、「とにかくイラストの描写がすごい!」と編集部でも大きな話題となりました。そして心が締め付けられそうになる展開に、親としてあらためて気を付けていかなければいけないことを再認識させられる記事として評価されました。 『家の中も危険だった…! 子どもの事故…それは一瞬で』/もづこさん 【もづこさん受賞コメント】まさか賞を頂くとは…! と驚きつつも、たくさんの方に読んで頂けたのかなとうれしく思います。この記事を読み返すと当時の衝撃を思い出し、『今こうして娘と一緒に受賞を喜べていることが奇跡なんだ』と感じます。記事を読んで「自分も子どもの安全にもっと気をつけよう!」と思っていただけたら幸いです。■「涙ぽろぽろ」賞自分がイライラしていることを「子どものせい」としてしまうことは日常では起こりがち。そんなときの私の顔はどう子どもに写っていたのだろうか…。「ごめんね…おかあしゃん」と謝る息子のイラストは、胸をぎゅっと締め付けられるような、危機迫る感情を覚えます。誰でも一度は思わずやってしまいそうなシチュエーションだけに、身につまされる思いがしたという編集部からの意見が続出しました。 『イライラし続けた私の態度が息子を傷つけた…私は今どんな顔していたの?』/鈴木し乃さん ■「子どものいる防災は大変で」賞毎年起こる大きな災害。他人ごとではなく、本当にすぐ身近で起こるこうした災害は誰もの心の中に暗い影を落とします。いま現時点でも災害によって、日々大変な生活を強いられている方々がいることに思いを馳せながら、災害弱者である子どもを抱えた防災も考えていく必要があります。あらためて「自分がいざ何かあったら」を考えさせるきっかけとなったことが評価されました。 『幼児がいると大変…!突然の停電で焦りまくったので改めて「防災対策」を考え直しました』/tomekkoさん 【tomekkoさん受賞コメント】この度は子連れ防災の記事を選出していただきありがとうございました。甚大な被害を受けられた地域の方々に比べたら本当に小さな被害ですみましたが、これを機に家族での防災に自分ごととして関心を持つことができました。災害時の備えとして、少しでもこの記事がお役に立てれば幸いです。■「時短&おいしいスボラ飯」賞「おいしい」「簡単」「時短」キーワードは、ママにとって魔法の呪文のようなもの。子どもが喜ぶ料理を出したい、けれど時間をかけることはできない、そんな毎日の葛藤をかなえてくれる料理を提案してくれたなーみんさん。この記事を見て、「作りたい!」という声がとても多く挙がりました。 『話題の「焼きTKG」が子どもたちに大ウケ! アレンジ簡単な定番ズボラ飯』/なーみんさん テキストテキスト 【なーみんさん受賞コメント】この度は【時短&おいしいスボラ飯賞】ありがとうございます!じつはこのズボラ飯、母から譲り受けたズボラレシピで私も子供の頃よく食べておりました。自分が母となった今、簡単で美味しいってこの上なく素晴らしいと実感しております(笑)アレンジもたくさんできるので手を抜きたい日はぜひ作ってみてください!■「神夫ってすごいで」賞体調が悪くなったある日、「imo-nak」さんの夫さんはてきぱきと物事を決めて言ってくれます。しかも「勘違いしないで、君に倒れられると、俺が大変なだけ!」とイケメンマンガの主人公並みのセリフまで! そんな神夫の対応は、さらに続きます!このimo-nakさんの夫さんに、編集部一同「うらやましい!!!」の一言に尽きました。 『体調を崩してダウン… ピンチの状況で夫がとった行動にある意味、驚愕!』/imo-nakさん 【imo-nakさん受賞コメント】素敵な賞をありがとうございます!とても嬉しいです。受賞を夫に伝えたところ、「自分がされて嬉しいことを相手にもしてるだけだよ」…とまたしても神夫発動していました。これからも家族仲良く、そして夫にあやかって私も神妻になれるように(←無理)がんばります!2019年もたくさんのコミックエッセイを描いていただいたコミックライターさんたちに、深く感謝いたします。またウーマンエキサイトのコミックエッセイを読んでいただいた多くの読者の皆さま、ありがとうございました。今回、編集部メンバーが推した作品は、これからのママたちに一緒に考えていきたいテーマだったり、まだまだ「母親らしさ」に囚われがちで悩むママたちに寄り添いたいと思った作品ばかりです。また子育て中に起こる葛藤、実母との関係など、赤裸々な問題にも真摯に取り組まれたコミックライターさんの作品は、編集部でも大きく考えさせるテーマでした。2020年に向けて、これまでママたちが一人で悩み続けてきた問題点にも深く切り込んでいこうと、今回選出された作品をみて編集部でも思いを新たにしました。令和時代のママに向けてウーマンエキサイトでは「OPEN子育て」を提案しています。「ダメな自分もさらけ出しちゃう」、「家事も育児も、アウトソースはもちろんOK」、「人も、自分も、否定しない」などなど。2020年もママに寄り添いながら、もっともっと楽しい毎日が送れる記事をお届けできるように頑張ります。(ウーマンエキサイト編集部一同) ↑ウーマンエキサイトベストコミック大賞はこちらから!
2019年12月20日こじれた恋愛関係を、繊細で切ない心理を掬い上げつつユーモラスに描く志村貴子さん。月刊誌『Kiss』で連載中の『おとなになっても』は、大人の百合ロマンスだ。小学校教諭の綾乃は、行きつけのバーで、朱里という女性と初対面で意気投合。熱いキスまでする仲に。しかし、実は綾乃が既婚者であるなど、いわゆる大人の事情が混み入っている。「『恋人や配偶者がいるなら諦めろよ。そっちを解消してから次行きなよ』って話になっちゃうと、それで終わってしまう話なのですが…(笑)。それを解消しないままいきなり恋が始まってしまったことに対する、驚きや戸惑い、狡(ずる)さなどを、綾乃自身もたぶん感じているんですよね。1話めの時点では、綾乃はちっとも誠実じゃないのでそれを修正するためにもがいたりはしているんですが」ヘテロなのに自分の気持ちに戸惑う綾乃と、レズビアンで女性との恋で傷ついたことがある朱里。共に自分の気持ちを持て余しつつ、それでも好きな気持ちが膨れ上がっていく。そんな切なさが、綾乃や朱里の目ヂカラや物言わぬときの唇のニュアンスからひしひしと伝わって、キュンとせずにはいられない。「豊かな表情の作り方は難しくて、毎回悩みどころですね。はっきりとした喜怒哀楽よりも、それぞれの間に存在する“少し悲しい”とか“少し嫌な気分”のような、表向きはあまり表情には出さないけれど、胸の内には渦巻く複雑な感情があって…というのを、ただの真顔や無表情になってしまわないよう、うまく表せたらなと思っています」綾乃の夫は、妻からどストレートに「気になる人がいる」と言われて困惑。また、姑も、アポなしで訪ねてくるような人で、夫や姑の存在が、ふたりの関係にどんな影響を与えていくのかも気になるところ。「夫にしてみたら、妻の告白は青天の霹靂すぎてなかなか感情が追いつかない事態でしょう。彼の内面の変化を、段階を経てじっくり描いていきたいです。お姑さんもただのチクチクばあさんというより、この人はこの人で家族の問題に頭を悩ませている。根は悪い人じゃないと思うので、そういう人間的な部分も描けたらいいなぁと思っています」続きが楽しみすぎる!『おとなになっても』1小学校教諭の綾乃と、ダイニングバーで働く朱里の一目惚れラブストーリー。女子高生同士の心の揺れを描いた名作『青い花』の著者が、30代女性の愛に挑む。講談社440円しむら・たかこマンガ家。1973年、神奈川県生まれ。本作のほか、2015年に、第19回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞した『淡島百景』(既刊3巻)など連載多数。※『anan』2019年12月25日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2019年12月19日ゆりあ先生こと伊沢ゆりあは、手芸教室を開く主婦。物書きの夫・吾良と義母との平穏だった3人暮らしは、吾良が外出先で倒れたことで一変!次々に発覚する夫の秘密も、自宅での介護も、どーんと受け止めるゆりあだが…。入江喜和さんの『ゆりあ先生の赤い糸』は、ヒロインの肝の据わったキャラや彼女を取り巻く人間関係など、まったく目が離せない予想外の展開が魅力だ。異色のヒロイン誕生のきっかけは、担当さんとの世間話からだという。「夫に愛人発覚、となったらどうするか?」という話になったとき、家に連れてきて、面倒見てしまいそうな気がする、と答えた入江さん。ゆりあはそれを地で行くヒロインだ。物語は、ゆりあの少女時代から始まる。姉の蘭とは性格も対照的で、姉妹で始めたバレエも、ゆりあだけが真面目に向き合い、ゆえにつらい思いもする。父親からも強い影響が。だが、こうした少女時代のエピソードがのちに、辛抱強く、何でも背負いすぎるゆりあの性格に生きてくる。「前作の『たそがれたかこ』にしても、前々作の『おかめ日和』にしても、言いたいこともいったん引っ込めて考えるようなおとなしめな主人公が続いたので、弱きを助け強きをくじくような男気あふれるヒロインが描きたくなったんだと思います。バレエも出てくるので、大好きなシルヴィ・ギエムみたいな男前な人がいいなーと(笑)」4巻に入り、ゆりあは、懇意にしている便利屋さんを営むシングルファーザー伴ちゃんと急接近。「年齢は50歳、おっさんのようなゆりあさんですが、少女マンガとして描いてるので、恋はしていてほしいと思っています。今後ますます、ゆりあさんの心の支えになっていくかもしれませんね」明るいタッチで描かれてはいるが、ゆりあさんひとりにのしかかる経済的な問題や、リク君こと箭内青年、シングルマザーのみちると幼い子どもたちといった、新たな同居人たちとのこの先の関係の行方など、状況はますますハードに。「私くらいの年齢になると、出会いはどうあれ、仲良くなる人とは仲良くなるし、思わぬ人に助けてもらえることもあるなと感じます。そんなふうに3人の関係がその時によって変わっていけばいいなと思います」『ゆりあ先生の赤い糸』4夫がくも膜下出血で昏睡状態になったとの知らせを受け、病院に駆けつけたゆりあ。夫に付き添っていた美青年と夫との関係は…。2020年1月に5巻が刊行予定。講談社440円©入江喜和/講談社いりえ・きわマンガ家。東京都出身。夫でマンガ家の新井英樹氏とともに、今年画業30周年を迎えた。「描くのが年々楽しくなってきています。この先も続けていけたら最高です」※『anan』2019年12月25日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2019年12月18日男子を好きでも息子は息子。母親目線で温かな家族の姿を描くのは、おくらさんによるコミック『うちの息子はたぶんゲイ』。ズバリなタイトルなのだが、当事者ではなく周辺からゲイの物語を描きたかった、とおくらさんは言う。「ゲイに限らず中高生くらいのときは、家族は重要な存在ですよね。当事者目線だと自分語りで重くなりがちなので、母親の視点から客観的に描いてみたかったのです」夫が単身赴任で、普段は息子2人と主人公の母親の3人で暮らしている青山家。高1の浩希は素直でよい子なのだが、同級生の男子を好きっぽいことが、素直すぎるあまり隠しきれていない。そんな息子の姿を、母親は愛情たっぷりに見守っている。「母親はある意味、理想的なキャラクターですが、自分が浩希を目の前にしたらどうしてあげたいかな、という思いで描いています。作者として絶対にやらせないと決めているのは、息子に対して『なんで?』と聞くこと。セクシュアリティはそもそも説明できることではないし、理由なんて別になくていいと思うので」一方で、たまに帰ってくる父親は家族思いなのだが、悪意なしにゲイをディスるような発言をしたり、恋愛観を押し付け気味だったりして、息子の心に揺さぶりをかけてくる。「父親は、普通によしとされていることを疑わない人。ごく一般的な視点のつもりなんですけど、事情を知っている側からすると、こんなにもきつい言葉になるというのを一身に体現しているキャラクターですね」父親の言動はセクシュアリティの問題に限らず、自分の思い込みや常識が他者を傷つける可能性があることを教えてくれる。そんな父と長男の傍らで、感情の読めない中2の次男がいろいろ察しているっぽい描写もまたよくて……。全体的には軽やかなノリで、好きな人への思いがダダ漏れしている息子や母親の大きな愛に、笑ったり優しい気持ちに。そして時折、ハッとさせられるエピソードがスパイスのように入り込む。「大きな問題提起をするつもりはまったくありません。ゲイを題材にすると苦悩やつらい部分がフィーチャーされがちだけど、単純に明るい話があってもいいと思うんです。みなさんと一緒でゲイの人も普通に生きているし、そういう状況を想像するきっかけになれば、この物語を描いた意味があるのかなと思います」『うちの息子はたぶんゲイ』140歳の母・知子の視点で、ゲイかもしれないうっかり者の長男、何となく気づいているっぽい次男、優しいけど鈍感な夫を描く、家族コメディ。スクウェア・エニックス818円©2019 Okura/SQUARE ENIXおくらマンガ家。ノンケとゲイの高校生による青春恋物語『そらいろフラッター』(全3巻)の原作を担当。『うちの息子はたぶんゲイ』は本人のTwitter(@okura_yp)やpixivでも公開。※『anan』2019年11月13日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・兵藤育子(by anan編集部)
2019年11月11日皆さんこんにちは、チッチママです。季節はすっかり秋ですね。こちら新潟、10月半ばにして遂にコタツを出してしまいました。アパート暮らしでダイニングテーブルがない我が家では、このコタツテーブルでご飯を食べるわけなのですが…床が汚れる分にはアルコールスプレーをシュッとして拭けば済むのですが、コタツ布団やカーペットとなると、やはり拭くだけじゃ物足りず丸洗いしたくなる…。でもご飯のたびに洗ってたんじゃ、もはやただのテーブルになってしまう。いくらよだれかけを装着させたところで被害を完全に防ぐことは難しい。どうする…。ご馳走さまをした瞬間にシートごと次女を脱衣所に運び、そのままお風呂です。今のところこれで炬燵布団への被害は免れています。
2019年11月06日長崎・波佐見を舞台に“器作りの情熱”と“恋のゆくえ”を描くのは、小玉ユキさんによる『青の花 器の森』3。長崎県波佐見町を中心に作られている波佐見焼。現代の食卓に合うような洗練されたデザインが多く、雑貨屋さんなどでもよく見かけるが、同じ長崎出身の小玉ユキさんも以前から波佐見の磁器が好きだったそう。「窯元が多く集まる中尾山を歩いていたとき、くねくね曲がった坂道や狭い路地が、今まで描いてきた『坂道のアポロン』や『月影ベイベ』に似ていて一気に愛着が湧いて、これは描くしかないな、と思いました」物語は、波佐見焼の絵付をしている青子(あおこ)の窯元に、北欧で作陶活動をしていた龍生(たつき)が1年限定で働きに来るところから始まる。龍生は美しい形を作るものの、そもそも器に絵付をすることに否定的なため、ふたりは対立していたが、お互いの才能に惹かれて徐々に認め合うように。「焼き物って、陶芸家がひとりで作るイメージを持っている人も多いと思うのですが、波佐見焼は伝統的に分業制で量産型。しかも窯元以外に型や生地を専門に作る人たちもいます。それぞれが技術を追求して、やっていることは高度なのに、ひけらかさない感じがかっこいいんです」本作は器自体も主役といえる。龍生の作った形に青子が絵付を施す共作の器も登場するのだが、その生みの苦しみまでは想定外だったようだ。「新しい器を作るストーリーのたびに、マンガ家というよりプロダクトデザイナーみたいな気持ちになっています(笑)。ふたりの意見が重なり合うような柄や形を考えるのが、すごく大変で。だから青子がアイデアを思いつくシーンは、リアルに表現できている気がしますね」さらに小玉さんが予想外だったのが、龍生の変化。当初は過去作では見たことのないような“イケメンだけど嫌なヤツ”だったのに、お茶目な部分がどんどん出てきて、青子と同様、読者もキュンとしてしまうはず。そんななか、3巻では何やらワケありな男が青子を訪ねてくる。「新たに登場する男性は、性格も熊っぽい風貌も、龍生以上に今まで描いたことのないタイプです。誰の目線で読むかで結構賛否があるみたいなのですが、私としては愛情を持って、楽しんで描いています」今後も登場人物の新たな一面が、まだまだ見えてきそうな予感。ものを作るときめきと、恋のときめきがシンクロする爽やかな作品だ。『青の花 器の森』3波佐見焼の窯元で作陶に励む男女を通して、大人の恋ともの作りの喜びを描く。実際に波佐見で取材を行い、器作りに携わる人の情熱をリアルに表現している。小学館454円©小玉ユキ/小学館こだま・ゆきマンガ家。2000年デビュー。代表作『坂道のアポロン』は第57回小学館漫画賞を受賞。そのほか『月影ベイベ』『ちいさこの庭』など。※『anan』2019年10月30日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・兵藤育子(by anan編集部)
2019年10月25日編集さんからの「『貧窮問答歌』を描いてください」というむちゃ振りに端を発し、資料との格闘の果てに生まれた奈良時代の異文化交流コメディ『あをによし、それもよし』。その著者が石川ローズさん。「編集さんから送ってもらった資料に、当時の一般庶民の生活のイメージ図があったんです。家の中での生活の様子が“ミニマリストの家にそっくりだ!”と思ったのが、欲のない山上(やまがみ)誕生のきっかけですね」現代の物にあふれた暮らしに辟易している山上が、奈良時代にタイムスリップ。下級役人の小野老(おののおゆ)の家で居候しながら、当時なら当たり前のシンプルライフを堪能するというのが物語のベース。衣食住のギャップも面白いが、そこは奈良時代!歌と出世の関わりが興味深い。2巻では、大伴旅人(おおとものたびと)、藤原不比等(ふじわらのふひと)など実在の有名な貴族歌人も多数登場。意外な歌の才能を発揮していた山上は、ちょっとした誤解から山上憶良になって出世していったり、「小野妹子(おののいもこ)はおれのおじいちゃん」という老のつぶやきに驚いたり。異文化交流モノとしてだけでなく、人間関係ドラマとしての面白さも加速してきた。「歴史が苦手な人にも読んでいただきたいので、歴史上の出来事ではなく、人間を軸にストーリーを作っています。実際に日本の基礎が出来上がろうとしているカオティックな時代だと思っていますので、人間関係もかなりカオスになる予定です」それにしても、資料の読み込みや時代考証、建築物や衣装などを描く難しさ、さらに文脈にのっとったギャグも織り交ぜて…と、読む方は楽しくても、描くのはハードルが高そうな本作。「1話当たり平均3冊くらい新しい資料を読みます。なので書きたいネタが多すぎて、でもページ数的に使えないので泣く泣く捨てるはめになっています。しかし、私はミニマリスト。泣かずに捨てます。いや、むしろ喜んで捨てています。逆に!」そう、石川さんご自身も、ミニマルな生活を実践中なのだとか。「断捨離が趣味で財布に入っていたポイントカードをすべて捨てたこともあります。モノが減るほど、自分の時間が増えるのを実感しました。とはいえ山上ほどは極められないので、山上のセリフは自分の理想と願望の叫びですね(笑)」3巻では名前だけ有名な長屋王(ながやおう)との交流が深まる!?続きも楽しみ!『あをによし、それもよし』2ミニマルな生活を愛するあまり面倒くさい理屈をこねる山上。成り行きから、歌人・山上憶良になってしまう第2巻。増刊『グランドジャンプむちゃ』で連載中。集英社600円©石川ローズ/集英社いしかわ・ろーずマンガ家。長崎県出身。大学では美術史専攻。2012年、Web「やわらかスピリッツ」にて、「やわらかロック」でデビュー。世界史検定2級に落ちるほどの歴史好き。※『anan』2019年10月2日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2019年09月26日こんにちは育田花です。今回はわたしがコミックライターになったきっかけのようなものを書かせていただきます。私のこの仕事コミックライターって言うんだ…と初めて知りました。ライターは知ってるけど、コミックライターか!現在は育児休暇中ですが、普段は会社員をしております。はじまりは、3年前の三男の産前休暇の時。休み中なにか好きなことに打ち込もうと、昔描くのが大好きだった絵を毎日日記にしようとほぼ日手帳を購入しました。内容は好きなアニメや漫画の絵、育児中に欲しいもの、ネットで見て気になったこと、長男次男の様子をペンで描いていました。それをインスタが流行っていたので投稿して楽しんでいたのです。ただ、産前休暇の時のように産後は時間を取れなくなってしまい、日記を描くのをストップしてしまいました。産後間もなくしてiPad ProとApple pencilの存在が気になりはじめて思い切って購入しました。前々からデジモノが大好きで気になるものはついつい買っていたのでこれが功を奏してまたお絵描きできる日々が復活しました。アナログと違って画材を用意する時間、インクが乾く時間を気にせず準備する時間もかからないので隙間時間にさっと取り出して描くことができました。描けるようになるとどんどん意欲が戻ってきて、育児のこと、夫婦のことを描き始めてたくさんの方が目にしてくれる機会が増えてきました。インスタから出版社の方やニュースサイトの方からお声掛けいただいたり、またそのつながりでのご縁もあって今の仕事につながっていきました。絵を描くのが大好きでしたが、それで自立して生きて行くことは完全に無理だろうと将来の選択肢にも入れず生きてきたので今のこのお仕事がとても楽しいです。仕事をしている自分、育児をしている自分も好きですが、本当に好きな事を活かせているこの仕事をしていふ時が一番イキイキしているなと感じます。仕事をしている時も絵の仕事を並行して行なっている時もありますが綿密にスケジュールを組むこともとても楽しいのです。自分の好きな事を仕事にするという夢を抱くのは間違った事ではないといつか子供達に胸を張って言える日が来たらいいなと思っています。
2019年09月10日女性の生々しさをコミカルにもシリアスにも描く、漫画家の鳥飼茜さん。最新作『サターンリターン』から見えてくる、独特の死生観とは?女性が救われる漫画、と言っていいだろう。男女の性の不平等を描いた『先生の白い嘘』や、生き方や自立について考えさせられる『おんなのいえ』など、鳥飼茜さんの漫画は夢物語ではない現実を突きつけてくるのに、優しさが通底している。連載中の『サターンリターン』もかなり力の入った作品で、今回の主人公はデビュー以降、小説を書けなくなった女性・理津子。かつて書くきっかけを作ってくれた男友だち・中島が自殺したことを知り、彼女の人生が動き始める…。――死や喪失がテーマと思われますが発想の経緯を教えてください。鳥飼:もともと私は、漫画を描くのが苦手なんですよ。――えっ!?鳥飼:こういう世界や人がいいなって思えるような理想的なことを描けないんです。それで『先生の白い嘘』が完結したとき、次に何を描けばいいかわからなくなっちゃって。今までとは違うテイストの絵にするなど、いろいろ工夫してみて、結局自分が描けるのは、実際に存在しそうな人や出来事をフィクションとして成立させることなのかなと思ったんです。それと理想は描けないけど、怖いものは描けるっていうのもあって。私にとって漫画を描くことでカタルシスを得られるのは、現実的に恐れていることを絵にしたり、セリフにしたとき。一般的な漫画の描き方とは違う気がしてコンプレックスでもあるんだけど、そういうやり方しかできないんですよね。――『先生の白い嘘』で、そのことに気がついた感じですか?鳥飼:そうですね。中学生のとき、レイプが怖すぎて警察に電話相談したことがあるんです。彼氏とかも全然できないような“おぼこい”子どもだったんですけど、「どうしたら防げますか?」って。なんで女であるだけで、レイプに遭うかもしれないっていう地雷を抱えて生きなければいけないのか、ずっとわからなくて。そういう思いを漫画にしたら「男女の不平等を描く人」みたいな冠をつけてもらうようになったんですけど、私自身は論理としてのフェミニズムよりも、不安を残したまま、恐怖にさらされる可能性のある世界を生きていることが、単純に嫌で気になるんですよね。同様に、死ぬことや自分の人生を失うことも怖いんです。以前、自分の近い人が死んじゃったことがあって。当時付き合っていた人の友だちとして紹介されたのですが、彼氏よりもフィーリングが合ったくらい。だけど亡くなってから、自分が見てきたその人と、そのあとに見聞きして知った姿が、合致しないような違和感があったんです。――「30歳になる前に死ぬ」と言って自殺した中島というキャラクターは、そうした経験が影響しているのですね。だけど若くして死んだミュージシャンが伝説になるように、早世の美学みたいなものはたしかにありますよね。鳥飼:私は一日でも長く生きたいと思っていたから、かっこ悪くなる前に死にたいっていう感覚は全然わからなかったんですけど…生きていると失っていくことも同時にありますよね。物事に対する興味もそうだし、健康だってそう。それで昔、その死んだ友だちが、このまま失い続けるなら、生きているよりここで終わったほうがましだと思える地点がいつか来るんじゃないかみたいなことを言っていて。それまでまったく理解できないと思っていたことが、そのときすこしわかった気がしたんです。物事を失うスピードは人によって違って、加速度的に失っている人もいる。私も生きながらちょっとずつ何かを失っているけれども、それが急に加速したらどうなるかわからないなあって思ったんです。――その中島を救えなかった思いにとらわれる、主人公の“書けない小説家”の理津子は、いつになくミステリアスな女性ですね。鳥飼:今って共感の嵐が起こりまくっているけど、自分はそれに飽きちゃったところがあるんです。私は物語の受け手として、共感をあまり重視していないほうなのですが、人って共感できないと物語を消化できないものなのかな、と疑問に思って。共感はなくてもなんらかの共鳴があれば、物語は成立するんじゃないかなっていう実験的な意識もあります。要するに、理津子は最初から共感できない女ってことだと思うんですけど(笑)。――それでも気になってしまう、というのはありますね。今回は、今までで一番描くのがしんどくて、同時に描いていて一番スリルを感じる漫画だそうですが。鳥飼:基本的にどんな漫画も描くのはしんどいけれど、いろんな種類のしんどさがあるんです。たとえば『地獄のガールフレンド』とか『おんなのいえ』みたいなコメディタッチで、前向きに生きようねって背中を押してあげる系の作品は、ちょっとだけ嘘をついているというか、いい子を演じているようなしんどさがあります。今回の作品にそういう感覚は全然なくて、そのぶん描きたいことを率直に描こうとしているから、「これが伝わらなかったら負け」くらいに思ってます。隠し立てできないからこその、身ひとつのしんどさっていうのかな。自分が描ける情感の極みと、読む人を飽きさせないエンタメ性っていう、頭の使い方が全然違う表現を両立させようとしてるから、息切れするんです。背伸びしているし、身の丈に合っているかもわからないけど、この描き方が今は一番面白いですね。――作品の系統としては『先生の白い嘘』と比較的近いと思うのですが、また違うしんどさですか?鳥飼:違うけど、ケンカ腰っていうのは一緒。青年誌で描くと、なぜかケンカ腰になっちゃうんです。女性誌だと、やっぱり同じ女だからわかってくれるよね、みたいな甘えが出てしまうし、女の人には笑っていてほしい。怒られたくないんです(笑)。だからいい子ちゃんになってしまうのかも。――タイトルの「サターンリターン」は土星回帰という意味で、占星術では約30年に一度、大きな転機が訪れるといわれているそうですが、今までの人生でそう思えるような出来事はありましたか?鳥飼:サターンリターンとされる時期でいうと、子どもができたことですね。妊娠が判明したその日から、お医者さんに動いちゃダメって言われたんです。これから漫画を連載したかったのに、体を起こすこともできなくなって。安定期が一切ない妊娠期間で、ハラハラしっぱなしでした。出産後は、家のことや仕事で動きっぱなし。そのうち夫とうまくいかなくなって、震災もあったりして。無茶苦茶だったけど絶望的だと思ったことはその間一度もなくて、むしろ元気で希望がありました。寝たきりは最悪だったけど子どもに会うためのことだし、離婚もよくなるためにすることだったから。不安だったけれども、“変わっていく過程”っていう実感がありました。戻りたくはないですけど(笑)。とりかい・あかね1981年生まれ、大阪府出身。2004年デビュー。漫画単行本は『おはようおかえり』『おんなのいえ』『先生の白い嘘』『地獄のガールフレンド』『マンダリン・ジプシーキャットの籠城』など。エッセイ&対談集『鳥飼茜の地獄でガールズトーク』、エッセイ『漫画みたいな恋ください』なども。『週刊ビッグコミックスピリッツ』(小学館)で隔週連載している『サターンリターン』は、第1巻発売中。書けない小説家となり、現在は専業主婦の加治理津子。ある日、30歳を目前にかつての友人・中島が自死したことを知り、真相を追う。男女の性差、夫婦、母性など、鳥飼さんらしい視点で現代社会のさまざまなひずみが切り取られている。※『anan』2019年9月11日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・木村舞子インタビュー、文・兵藤育子(by anan編集部)
2019年09月04日縁あって東京・新宿区のはずれにある木造の一軒家の2階に間借りすることになった矢部太郎さん。大家である上品なおばあさんとの交流を基にフィクション化したコミック『大家さんと僕』は瞬く間にベストセラーとなり、手塚治虫文化賞短編賞という大きな賞を受賞するほど高い評価も得た。だから、ファンはずっと首を長くして待っていたのだ、続編を!しかし、当の矢部さんは、もうこの物語の続きを描くことはできないと思っていたし、描かないつもりだったそう。「でも大家さんが入院したことで、描けば、大家さんが元気になる気がして…。また読んでもらえると思ったことは大きかったです」かくて、連載に描き下ろしも加えてできあがった『大家さんと僕 これから』は前作以上にドラマがある。大家さんの思い出話の中に重苦しい戦争体験が出てきたり、矢部さんと大家さんがおしゃべりする場所が家ではなく病院になってきたりと、切なくなってしまう場面も多い。「僕も大家さんも年を取らず、変わらない毎日を描くというやり方もあったと思うんですが、最初の本が、大家さんと出会い、近づいていく話でした。きちんとした続編にするなら、大家さんとの別れと感謝を描かなければと思ったんです」涙腺を刺激するコマはいくつもある。大家さんが矢部さんを〈血のつながらない親族〉と紹介する場面はそのひとつ。「大家さんは軽いユーモアのつもりだったと思いますよ。そういう洒落た言い回しをする人でしたから」もちろんシャンソンショーや伊勢丹などに連れだってお出かけしたり、一緒にお茶を飲んだり、おなじみのほっこりした日常もたくさん。「そういえば僕から誘ったことはなかった。誘えばよかったですね…。タピオカミルクティーとか飲んでみたかったかな。大家さんはグミが好きだったからハマった可能性もありますね(笑)」その大家さんのビジュアルは、このマンガの大きな魅力でもある。「小さくて、ふんわりした髪型で、メガネにしたいというのはあったんです。“かわいいおばあちゃん”で検索して、出てきた画像を基に考えました。ファッションは、美智子さまの写真集を参考にしました」併せて、ファンブック『「大家さんと僕」と僕』もおすすめ。ふたりの関係がなぜ多くの人の心に刺さるのか、その秘密が垣間見られる。右・『大家さんと僕 これから』1100円左・『「大家さんと僕」と僕』1000円豪華執筆陣による寄稿やイラスト、描き下ろしマンガなどを収録した番外編。(共に新潮社)©矢部太郎/新潮社やべ・たろう1997年にお笑いコンビ「カラテカ」結成。芸人としてだけでなく、舞台やドラマ、映画で俳優としても活躍。初めて描いた『大家さんと僕』がベストセラーとなり、一躍、時の人に。※『anan』2019年9月4日号より。写真・土佐麻理子インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2019年08月30日子ども二人を育てながら、家事も仕事も、ぜんぶ上手くまわすのはとっても大変。以前は夫が単身赴任をしていたのですが、家族の誰かが体調を崩した時は、実家が遠方なこともあり苦労したものです。特に私自身が熱を出したときは、ふらふらで気力を振り絞って動かないといけません・・・今は単身赴任は解除され、夫と一緒に暮らしてはいますが、それでもやはり私が体調を崩すと、家族、特に子どもたちへの影響が大きく、「母は倒れられない」というプレッシャーで辛くなった時期もありました。そしてあれこれ試行錯誤しながらもたどり着いた、私が心がけている「3つの健康習慣」をご紹介します。 とても基本的なことなのですが、無理なく継続できることが大事だなと実感しています。そんな経験を経てたどり着いた「わたしの健康管理 3つのルール」その 1. 朝ごはんをしっかり食べるやっぱり健康な体作りに欠かせないのが食べるもの。特に一日のはじまりである朝ごはんは、その一日パワフルに過ごせる鍵になると思うので、特に気を付けるようになりました。ただ、朝から手間がかかるのは継続が難しいので、卵焼きやチーズをのせて焼いただけの食パン、ミニトマトなど、できるだけ手を加えずに食べられるものをしっかりと食べることを心がけています。便通もよくなり、気持ちよく一日が始められます。その 2.寝る前は子どもと遊びながらストレッチじつは私は腰痛持ち。子連れだと整体に行くことがままならないので、酷くならないよう日々のストレッチを心がけています。三日坊主な性格なため、一人だとなかなか続かないので子どもたちも巻き込んで、夜寝る前に一緒に遊びながらやっています。これがとても幸せな時間なのです。その 3.外出から戻ったらすぐに「手洗い・うがい」家に帰ってきたら何をするよりもまずは「手洗い・うがい」! 集団生活をしているとどうしても 色んな菌をもらってきてしまうので、子どもたちにも徹底しています。時に手洗い歌を歌いながら、時に「誰が一番泡立てられるかな?」と声かけをしながら、爪の間や指先など洗い残しがないようにしっかり時間をかけて手洗いをすることを心がけています。何かと行事が多い「季節の変わり目」は要注意そしてこの時期、特に徹底しているのが「手洗い・うがい」です。季節の変わり目は何かと行事が多いのに、家族が次々とダウンしがちな時期ですよね。まずは、家に菌を持ち込まないよう、私も子どもたちも帰宅後はすぐに「手洗い・うがい」を徹底しています。子どもたちにも教えている「正しい手洗い」のコツをご紹介します!「正しい手洗いのコツ」をチェック!この 「手洗いのコツ」 を教えながら私が率先して手洗いすると、子どもたちも自然とやってくれるようになりました。 最近のハンドソープはタイプや香りもさまざまでワクワクしてきますよね。それに、子どもと一緒に選んだハンドソープなら、楽しみながら習慣化できそうですね。家族だけでなく「ママ自身」も大切に育児の右も左もわからない状態だった新米ママ(私)も7年生になり、色々経験してきて思うのは、家族が健康で楽しく過ごすには、まずは自分自身を大切にすることが大事なんだということでした。母が心身共に元気でいると、自然と家族がうまくまわっていき、家族全体の笑顔にもつながっていくようでした。みなさんも、まずはできることから始めてみてくださいね!家族みんなで楽しく手洗い! 「キレイキレイ 薬用泡ハンドソープ」きちんと殺菌し、バイ菌から手肌を守る、泡で出るタイプのハンドソープ。みなさまに選ばれて売り上げNo.1! ※2018年1月~12月シリーズ累計販売金額インテージSRIハンドソープ市場(ボディー用石鹸除く)バイ菌を増やさない抗菌(※1)ポンプヘッド採用!抗菌ポンプヘッドの抗菌効果は、SIAA基準に適合しマーク認証されています。※1 ポンプヘッド表面の菌の増殖を抑制すること”泡切れのよさ”と”すすぎの早さ”1. “泡切れがよく”、“すすぎが早い”ので、洗いあがりがぬるつきません2. 「殺菌成分(IPMP ※2)」配合で、きちんと殺菌し、バイ菌から手肌を守ります ※2 イソプロピルメチルフェノール3. きめ細かな泡がすみずみの汚れまで捉え、しっかりと落とします4. 内容量(液面)が外から分かる「ウインドウストライプ」入りボトル5. バイ菌を増やさない抗菌ポンプヘッド 「キレイキレイ ハンドソープ」をみる Amazonでの購入はこちら 新登場「キレイキレイ 99.99% 除菌ウエットシート」キレイキレイシリーズに、しっかり除菌できてノンアルコール、除菌率99.99%のウェットシートが登場。アルコール特有のツンとするイヤなニオイがせず、食べこぼしや身の回りにも安心して使えます。*パッチテスト済み ※すべての方に皮ふ刺激が起きないというわけではありませんシートは150mm×200mmと大きめサイズなので、子どもの外遊びや外食時に、公共のトイレやつり革などの菌が不安な時など、様々なシーンで活躍します。 「キレイキレイ99.99% 除菌ウエットシート」をみる Amazonでの購入はこちら [PR]ライオン株式会社
2019年08月21日ウーマンエキサイトの読者のみなさんこんにちは。私は2人の姉妹を育てる主婦です。今回は「私がコミックライターになるまで」の話を書きます。じつは、この記事を書くにあたって「ほう、このお仕事はコミックライターっていうんや」と知りました。そんなへっぽこライターをしている私ですが、趣味としてイラストを描きながら、お仕事の依頼をいただくようになるまでを振り返りたいと思います。■落書きが好きだった学生時代私は落書きをすることが大好きな子どもでした。(そっから振り返るんかい)とはいえ、芸術系の学校に行ったり、美術部で絵を学んだことはなく、ただ教科書に落書きをしたり(おい)、授業中の眠気しのぎに先生の似顔絵を描いて、友だちを笑わせるのが好きでした(勉強せえ)。大人になると、ほかにも楽しいことがたくさんあるので、だんだんと絵を描かなくなりましたが、いまのように落書きをするようになったのは、上の娘の出産がきっかけでした。■育児日記がわりの落書き絵日記私にとって初めての子育ては楽しいことばかりではなく、むしろ不安な気持ちが強かったように思います。仲の良かった友人たちは仕事に打ち込んでいたので、育児について気軽に相談できる人がいませんでした。そのため、教科書に落書きをしていた学生時代のように、チラシの裏側に今日あったことをちまちまと描くようになりました。そして当時、私の周りでは限られた人しか使っていなかったInstagramに絵を載せたところ、姉と地元の友人が「いいね!」を押してくれて、そこから楽しくなり定期的に絵を描くようになりました。■趣味が「仕事」になった理由SNSやブログにイラストを投稿している人の大半が「たくさんの人に見てもらいたい」とか「お仕事にしたい」と思っているのではないでしょうか。しかし、私にはどちらの気持ちもなく、落書きをInstagramに投稿し始めてから数年間は、自分の記録のためだけに描いていました。どうして最近になってお仕事の依頼がくるようになったかといえば、私自身が「仕事にしたい」と思うようになったからです。イラストに限らず「これは仕事だ」と思うと、おのずとクオリティを上げようと思いますよね。例えば、ハンドメイドのお洋服づくりを仕事にしようと思えば、自分で着るものをつくるときよりも、細部の処理を気にするはずです。こうして、仕事の目線をちょっとずつ意識するようになり、できる範囲で絵を描く道具や環境を整えながらSNSでの投稿を続けたところ、コラム記事やイラストの依頼がくるようになりました。もし、趣味を仕事にしたいな、と思っているなら、まだお仕事になっていなくても「これは仕事なんだ」と思って取り組み、SNSで発信してみてはいかがでしょうか。自分自身のスキルアップにもなりますし、思わぬところから仕事につながるかもしれません!■趣味が仕事になるともっと楽しい!私は息抜きとして落書きをしているくらいなので、Instagramやブログを更新するのはとても楽しいです。それがお仕事になるともっと楽しい! というのが私の実感です。名だたるコミックライターさんと比べると、イラストのクオリティやお仕事の実績もまだまだですが、私は外での仕事と育児、日常生活に無理のない範囲で、やりがいのあるイラストやコラムのお仕事を続けていけたらと思っています。
2019年07月14日面白いかどうかは別として、人に話したくなる映画がある。それも魅力のひとつなのだろうが、服部昇大さんによる本作『邦画プレゼン女子高生 邦キチ! 映子さん』Season2は玉石混交の邦画からその部分に特化した作品を抽出した、(いい意味で)常軌を逸した映画紹介マンガだ。「マンガを描いているときに、趣味的に映画を流していたのですが、あまり面白いと仕事が進まなくなるので、多少見逃しても惜しくないような映画ばかりかけるようになって。邦画は掘れば掘るだけいろんなものが出てくるので、忘れられているような作品や、やばいシーンを紹介するマンガにしようと思ったんです」女子高生の“邦キチ”こと邦吉映子が、たった2人しかいない「映画について語る若人の部」で、洋画好きの部長・洋一を相手に好きな邦画の魅力を紹介する。ストーリー自体はいたってシンプルなのだが、邦キチの作品のチョイスに加えて、プレゼンの視点がかなり独創的。「プレゼンは最初から意識していたわけではなく、説明好きな自分の作風だったという感じです。周りの人に普段話していることを、そのままマンガにした回もありますね」邦キチの作品選びの傾向として目立つのが、たとえば『ルパン三世』のような人気コミックやアニメの実写版。原作ファンが多いだけに賛否両論が起こりやすく、下手すると大惨事になりかねない、バクチ的なジャンルともいえる。しかしながら邦キチは、世間の評価などまったく気にせず、いわゆるツッコミどころにこそ面白さを見出していく。「いかにもな失敗作でも、邦画だと予算やら条件の悪さやらいろんな事情を想像できて、映画とマンガの違いはあるものの僕自身も作り手として愛情を持たざるを得ないんです」暴走しまくる邦キチのプレゼンはマニアックになりすぎるものの、見ようによってはとても清々しい。“大きな声”に振り回されがちな世の中で、好きなものは好き、いいものはいい、とためらいなく発言する姿には、眩しささえ感じてしまう。「自分はそこまで詳しくないから、なんて気後れはしなくていいし、難しいことを考えず、もっとみんな好き勝手に発言していいのに、という思いはあります。映画の感想なんかは特に、厳しめに語るのが基本になってますけど、邦キチみたいな観方をしたら面白いと思いますよ」『邦画プレゼン女子高生 邦キチ! 映子さん』Season2絶妙な作品チョイスはそのままに、プレゼンのパターンや視点がさらに多彩なシーズン2。邦キチの好みも浮き彫りに!?仲間も増え、カオス感が増してます。ホーム社750円©服部昇大/ホーム社はっとり・しょうたマンガ家。著書に『魔法の料理 かおすキッチン』『ダークアクト』『今日のテラフォーマーズはお休みです。』など。「日ペンの美子ちゃん」の6代目作画担当。※『anan』2019年7月10日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・兵藤育子(by anan編集部)
2019年07月07日古今東西の英雄や武将、芸術家など著名人たち923人の死にざまを、淡々と綴った山田風太郎の大著『人間臨終図巻』。長く読み継がれてきた稀代の奇書を、さらに楽しむためのマンガが登場。それが、サメマチオさんの『追読人間臨終図巻』だ。「原作本との出合いは中学2年のとき。高校生のいとこの文化祭のバザーで、衝動買いしたんです」タイトルから、偉人たちの伝記を恭しくまとめたものだろうと想像していたサメさんは一読して面食らう。「“臨終”とあるから、厳粛に人の死を取り扱った、もの寂しげな語り口かと思いきや、誰がどう死んだかの描かれ方があまりにさらりとしていたので、期待をちゃぶ台返しされたような気分でした(笑)。でも、死は重いもの、というのがそもそもステレオタイプな見方だったのかもしれない。いい意味での軽さに、目が啓かされたところがありました」サメさんの死生観にも大きく影響した作品をマンガにするに当たっては、迷いもあったという。「原作の魅力は、風太郎節ともいうべき文章の面白さが大きいんですね。マンガ化するのにヘタに言葉を抜粋したら、その世界観が壊れてしまう。再構築するためのコンセプトが何か必要だろうと思いました」それを考えながら、生年の時系列で人物を並べ直しているうちに、紀元前から昭和まで、時代ごとにくくるスタイルを思いつく。「原作は没年齢でカテゴライズしているので、若くして活躍した人と晩成型とでは歴史に名を残す位置にひらきが出ます。年代順に並べたことで意外な発見も多かった。たとえば伊藤博文と沖田総司は3歳しか年が違わないんですよね。そうやって歴史的評価を併せ、年代順に組み替えてみると、本編の面白さとは違った“追読”の意味が出てくるなと。そうした副読本的な意識で描いているので、人物や事件の歴史的背景など原作にはない情報も入れています。追読版では原作とは異なる読後感になるだろうと思いましたが、それはそれ。私のマンガをきっかけに、原作に返ってほしいという気持ちがあるので」山田風太郎の遺稿などを参考に、裏話なども織り込むつもりだったが、「風太郎先生はボツ原稿や資料のメモ書きをほぼ遺していなかった。そのあっさり加減は、さすが人間臨終図巻の著者の面目躍如ですね(笑)」『追読人間臨終図巻』I写真資料なども駆使し、歴史的人物の顔は似せるように意識。文芸誌『読楽』に現在も連載中で、923人の完結までに15年を要するという大プロジェクトだ。徳間書店1500円©サメマチオ/徳間書店サメマチオマンガ家。2010年、第1回ネクスト大賞を受賞した『マチキネマ』で鮮烈デビュー。近著に、OLのはつみが、仕事で得た臨時収入で、プチ贅沢体験をする『はつみ道楽』(宙出版)※『anan』2019年6月19日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2019年06月12日デビュー作『どうにかなりそう』で、思春期の不器用な恋や性を大胆かつ繊細に描き、大きな反響を呼んだ岡藤真依さん。最新作の『少女のスカートはよくゆれる』でも官能的な世界観はそのままに、少女たちの抱える悩みや戸惑いにより深く入り込むような内容になっている。「今まで自分のマンガにメッセージ性を持たせるようなことは、あまり意識してこなかったんです。だけど今回は描き進めるうちに、私自身が昔許せなかったことや、目をつぶっていたことをあれこれ思い出して。あのときは何もわからなくて声を上げられなかったけど今なら言える、下手くそでもいいから伝えたいっていう強い欲求に駆られました」幼少期のトラウマで好きな人とセックスに踏み出せない女の子、脳性マヒで車椅子生活を送っているけれども普通に恋をしたい女の子、彼氏ができて“女の顔”になった親友にイラつく女の子…。登場する少女たちは心と体の成長がアンバランスで、自らの性を持て余している。「たとえば部屋からエッチな本が見つかって笑い話になるような男の子と違って、女の子の性はアンタッチャブルなところがあるじゃないですか。時期が来れば誰もが興味を持つことで、別に恥ずかしくも不自然でもないのに、女の子自身が罪悪感を抱いてしまうのはつらいですよね」障害者の恋や性というデリケートなテーマに挑戦しようと思ったのは、自らの無知による無意識の差別を正したかったからなのだとか。それは少女という存在に対して多くの人が抱きがちな幻想と、ある意味では同じなのかもしれない。しかし、悩んでいるのは少女だけではない。少女と呼ばれる時期が過ぎても女性であることから逃れられない絶望と希望を、岡藤さんは逃げずに描く。「心が発達していないうちから、性の対象に見られて嫌な思いをして、ようやく成熟した女性になったら『もう若くないから』と異性に無視されてしまう。結局大人になっても、自らの性を持て余している感じは変わらないのかもしれません」女として生まれたことを、いつか肯定できるように。彼女たちは傷つきながらも前を向いて生きていく。さまざまな悩みを抱えながら、自らの性と向き合う女性たちの短編集。少女マンガでさえもなかなか描かれない、思春期の少女の内面を繊細な筆致で描く。『少女のスカートはよくゆれる』さまざまな悩みを抱えながら、自らの性と向き合う女性たちの短編集。少女マンガでさえもなかなか描かれない、思春期の少女の内面を繊細な筆致で描く。太田出版1500円おかふじ・まいマンガ家、イラストレーター。思春期の少年少女の、未完成な性をモチーフにした作風で注目を集める。デビュー作『どうにかなりそう』(イースト・プレス)が発売中。©岡藤真依/太田出版※『anan』2019年6月12日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・兵藤育子(by anan編集部)
2019年06月08日“人が好き”で、困っている人は放っておけない町田くんと、彼に戸惑いながらも心を動かされていく周囲の人々を描いた人気コミック『町田くんの世界』。実写化にあたり、『舟を編む』『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』などの代表作で知られる石井裕也監督は、主人公・町田くんとヒロイン・猪原さん役に、オーディションで選んだ超新人をキャスティングしました。細田佳央太さんと関水渚さんのお二人です。細田:関水さんと二人で臨んだ最終オーディションで、主役を演じることを知ったんです。発表自体は、監督の「いいんじゃない」という軽い一言だったので、最初は何を言っているのか呑み込めませんでした(笑)。関水:私は、その後に「君が町田で、君が猪原ね」と言われるまで、ダメだったのかと思っていて。細田:急だったからね。共演させていただく方々のお名前も、リハーサル中に知らされたんです。関水:あの時は不安でたまらなくなりました。憧れのみなさんと一緒にお芝居することが信じられなくて。細田:役作りをする中でも、不安は常にありました。町田くんは“人が好き”で、困っている人は誰でも助けようとしていて、常に何事にも全力。周りにはいないような人なので。関水:走り方も全力だもんね。猪原さんが町田くんに追いかけられるシーンは、後ろからの迫力がものすごくて、怖かった(笑)。細田:あれ、石井監督と走り方を研究したんだよね。原作のタイム通り、遅く走るために。役作りするにあたって、監督が常に一緒に考えてくださったのが心強かった。関水:私は“人が嫌い”で人間不信な猪原さんの、振り切った芝居がなかなかうまくできなくて。監督の指導に本当に助けられました。そういえば、撮影中はお互いほとんど話さなかったよね。細田:確かに。自分の役を演じることに精一杯で、周りを見る余裕がなかったんです。関水さんと共演するシーンは多かったけど、常に気を張っていたから。関水:そんな中、共演したみなさんが気遣って声をかけてくださったので、リラックスできたんです。細田:確かに、太賀さんや岩田(剛典)さんから「学校どう?」みたいに話しかけてもらえて、張り詰めていた緊張がほぐれたな。関水:そういう意味では、振り回されながらも、町田くんや猪原さんをそれぞれの距離感で見守ってくれている登場人物たちと、似た関係だったかもしれないです。細田:常に全力で一生懸命になることって、冷たい目で見られることもあるけど、町田くんの奮闘を観たら、本当は格好良くて素敵なことだと感じてもらえると思います。右/ほそだ・かなた2001年12月12日生まれ、東京都出身。小学2年生で芸能界へ。直近ではWOWOW『連続ドラマW 悪党~加害者追跡調査~』に出演。特技は剣道とバスケットボール。左/せきみず・なぎさ1998年6月5日生まれ、神奈川県出身。2020年に映画『カイジ ファイナルゲーム』が公開予定。特技は野球のスコア付けと書道。趣味はお菓子作り。『町田くんの世界』監督/石井裕也脚本/片岡翔、石井裕也原作/安藤ゆき出演/細田佳央太 関水渚、岩田剛典 高畑充希、前田敦子 太賀 池松壮亮 戸田恵梨香、佐藤浩市、北村有起哉 松嶋菜々子ほか6月7日(金)より全国公開。©安藤ゆき/集英社©2019 映画「町田くんの世界」製作委員会※『anan』2019年6月12日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・岡本健太郎(細田さん)臼井 崇(THYMON Inc./関水さん)ヘア&メイク・菅野彩香(ENISHI/細田さん)板倉タクマ([ヌーデ]/関水さん)(by anan編集部)
2019年06月05日自分の性が突如、変わってしまう。そんな究極の変化に向き合う主人公の心理をていねいに追っていく日暮キノコさんの『個人差ありマス』。とにかく先が気になるコミックだ。「こうした性転換モノは10代のラブコメ的な世界ではあるけれど、30代既婚の社会人が主人公のは見たことないぞ、好きなエロも織り込めるぞ、と気づきました(笑)。せっかくの週刊誌連載なので、頭で難しく考える前にやってみようと」100均チェーンの商品企画部で働く磯森晶と、2歳年上の妻・苑子は、結婚5年目ですでにどこか冷めた関係。それを寂しく思っていた晶は、ある晩、九死に一生を得る。同時に世界でもめずらしい〈異性化体質〉であることが判明。苑子のサポートで、化粧や下着など不慣れな「女性の日常」を始めるが、晶自身は、女ふたりで再出発することとなった結婚生活にも心が揺れていて…。ところが2巻では、さらに仰天の出来事が!夫婦という共同体に、セックスや子作りなど性の問題が、ますます複雑に立ちはだかる。ちなみに、LGBTをめぐる空気は実社会でも変わりつつあるものの、なおデリケートな問題。だが本書では、とても温かく描かれている。「性的マイノリティについて問題提起しようと始めたわけではなく、あくまでエンタメとして楽しんでもらえれば。理解があっても当事者の気持ちを完全に体現することはできないので、LGBTの方々と実際にお話しさせていただき、どういう表現なら失礼に当たらないかなど腐心しています。前向きな物語にしていきたいと思っています」その取材や、描くことを通してなお強くなった思いがある。「私自身、可愛い女の子とお食事して楽しくお話ししたいな、という気持ちもあるんですね。名前が付くほどの感情ではないけれど、男や女である前に『ひとりの人間じゃん』と思うし惹かれる相手に性別って関係ない。性別でくくって話されると逆に『一緒くたにしないで』と反発したくなることもあります。それくらい性は多種多様だし、個人差あります、なんじゃないかと思うんです」『個人差ありマス※』2脳出血から奇跡的に生還した32歳の磯森晶は、体が〈異性化〉してしまったことにとまどう。そのとき妻で作家の苑子は…。『モーニング』で連載中。講談社610円※マスはに斜線ひぐらし・きのこ神奈川県出身。別冊フレンド新人まんが大賞の佳作を受賞し、2005年にデビュー。少女誌で活躍した後、青年誌での初連載『喰う寝るふたり 住むふたり』が話題に。※『anan』2019年6月5日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2019年06月01日少し前のことになりますが、家族みんなが体調を崩す...という、我が家で最大のピンチが訪れました。できることならあんな壮絶な戦いはもうしたくありません。健康の大切さを痛感する出来事となりました。そこで我が家が実践している「体調管理」方法は、まったく特別なものではなく、それでいて一番大切な「手洗い・うがい」です。働いていた時には手のひらサイズのアルコールジェルを常に持ち歩いて、気付いた時にこまめに消毒していました。そして「野菜やフルーツを意識的に摂る」ことにも気を遣っています。そして今回ウーマンエキサイトさんからご紹介いただいた体調管理にピッタリだという「明治プロビオヨーグルトR-1」。じつは、我が家では常に冷蔵庫に「明治プロビオヨーグルトR-1」をストックしているんです!(笑)新学期のバタバタが落ち着いて、少し油断しやすいこの時期だからこそ、手洗い・うがい、そして「明治プロビオヨーグルトR-1」で乗り切りましょう!「明治プロビオヨーグルトR-1」明治の長年の乳酸菌研究の中で選び抜かれた、強さひきだす乳酸菌1073 R-1株を使用した「明治プロビオヨーグルトR-1」。毎日の家族の体調管理にぴったり、みんながおいしく手軽に飲めるドリンクタイプのヨーグルトです。家族の体調を管理するママたちと家族のさまざまなストーリーをご紹介しています。 明治プロビオヨーグルトR-1体調第一家族ストーリーを見る >> [PR] 株式会社明治
2019年05月14日小学生や中学生のときに、誰もが経験したであろう合唱。しかしながら思春期には特に気恥ずかしさも手伝って、その魅力がわからずじまいだった人も意外と多いのでは。漫画『はしっこアンサンブル』2について、作者の木尾士目さんにお話を聞きました。工業高校×合唱、悩めるキミよ、歌でつながろう!「実を言うと、私もやりたくないです(笑)。声を出すのも恥ずかしいし、下手くそなのを聞かれるのを想像するだけで恥ずかしい。でもそういうコンプレックスを仲間となら越えていけるという構図が、合唱はとても作りやすいんですよね」主人公・藤吉晃は、作者の木尾さんと同様、低い声にコンプレックスを抱いている。工業高校に進学したのも、声を使わなくてもいい仕事に就けることを期待したから。声のせいで性格自体も引っ込み思案なのだが、その独特な声を熱烈に称賛したのが、合唱部を作ろうと意気込む同級生の木村仁だった。「工業高校を舞台にしたのは、単純に男声合唱をやりたいので、男が多い舞台が必要だったのと、もうひとつは理系的なアプローチがしたかったから。声を出す、歌う、ハモるといった行為を理屈で説明できれば、私のようなひねくれた人間でも納得できるのではないかと考えました」合唱が好きすぎて周囲から浮いている木村が、その理系的アプローチの役割を担っているのだが、合唱の魅力や声の出る仕組みを情熱的に説明する姿に、藤吉のみならず読み手も思わず引き込まれてしまう。またマイクを自作したり、ちぎれたコードをハンダづけしたりなど、工業高校ならではの小ネタも。2巻までは、部の前身となる同好会を作るため、メンバー集めに奔走する様子がメインに描かれるのだが、常にケンカ腰な金髪ヤンキーや、ピアノを挫折した不器用な女子など、前途多難な雰囲気たっぷりの個性的な面々。「行き当たりばったりなところもあるのですが、こういうライブ感でキャラが入り乱れるのが、木尾士目の一番おいしいところなんですよ、たぶん(笑)。キャラが出そろって、ようやく面白くなってきてくれたかな、と正直ホッとしています」名曲が数々登場し、歌声が聞こえてきそうな音楽シーンも見どころ。「今後は部に昇格するための実績作りとして、コンクールや演奏会に参加するようになっていきます」ついに本格的(?)に始動する同好会。その行く末を見届けよう。『はしっこアンサンブル』2リアルな工業高校の日常と、合唱に挑戦するはみだし者たち。不登校、虐待、親の過度な期待など、さまざまな問題を抱えた高校生が歌でつながる青春物語。講談社648円きお・しもく1994年「点の領域」でアフタヌーン四季賞を受賞してデビュー。主な作品に『四年生』『五年生』『げんしけん』など。『はしっこアンサンブル』3巻は夏に発売予定。※『anan』2019年5月15日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・兵藤育子(by anan編集部)
2019年05月09日新興文芸の胎動が聞こえてきた大正末期。東京で新雑誌『文藝春秋』が産声を上げたのと同じ年、大阪では小山内薫が率いるプラトン社が『苦楽』の創刊に着手。永美太郎さんの『エコール・ド・プラトーン』は、そのプラトン社に集う文士たちの群像劇だ。だが、最初に浮かんだアイデアは、少し違っていたそう。「女性マンガが好きなんです。時代を遡って掘っていくうちに、大正時代の少女雑誌の挿絵や挿絵画家たちに興味が湧いて、そんなマンガを描いてみたいと思ったものの、さすがにテーマがニッチすぎる(笑)。その世界の隣に近代文学があり、こちらの切り口からいこうと思いました」1巻で活躍するのは、川口松太郎と直木三十五。さらに、芥川龍之介や谷崎潤一郎、菊池寛など、のちに文豪と呼ばれる作家たち。岡本かの子や夫の一平、少年時代の太郎なども登場する。「文芸史や大正の文壇については好きでなんとなく読んでいたんですが、連載が決まってから改めて調べ直しました。ネームを組み立てていくうちに『こういうエピソードがあったらいいのに』とアンテナを立てておくと、新しい発見があったりする。ただ『たくさん調べました』というだけの表現はマンガとして面白くないので、史実に忠実でありつつも、肉付けやさじ加減には腐心しています」永美さんが仰ぎ見ている作家のひとりが、故・杉浦日向子。「師匠でもある山田参助さんともよく話していたんですが、杉浦さんって作中のセリフを生み出す達人なんですよね。彼女のマンガのように、作品のムードにハマる印象的な言葉を見つけられるかも勝負です」舞台がレトロな分、作画も苦労が尽きない。たとえば当時の生活描写や着物の描き方。「着物姿とか、実は正確に描けたからといって絵として決まらないんですね。日本髪や着物が美しく見える角度も、当時の美的感覚とともに絵に織り込めたらいいなと思っているので、ネットで見つけた資料や郷土資料などを頼りにしています。ちなみに、本作を描くようになってから、自分でも着物を着るようになりました。また、著名な文豪たちの顔は、教科書などでよく知られている分、リアリティとデフォルメの加減が難しい。さっぱりした線が好きなのですが、軽すぎる絵柄になると史実の重みが薄れてしまうので、説得力を持たせるタッチはどういうものだろうと。試行錯誤は続いています」岩田専太郎ら挿絵画家たちの物語が始まる2巻の刊行が待ち遠しい。『エコール・ド・プラトーン 1』新雑誌の創刊に関わる文士たち。編集者として活躍した後、第1回直木賞受賞者となる川口松太郎を軸に、熱き交流が描かれる。リイド社720円©永美太郎/リイド社ながみ・たろう1984年生まれ、兵庫県出身。京都造形芸術大学卒。書店員、山田参助氏のアシスタントを経て本作が初連載。大正~昭和初期の群像劇を描くことは10年来の悲願だったとか。※『anan』2019年5月1日-8日合併号より。写真・中島慶子インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2019年05月02日最近、女性ファンが増えつつある日本酒だが、著者・はるこさんのような人もいまだ少なくないだろう。「もともと私は洋酒派で、日本酒に興味を持ち始めてはいたものの、難しいというイメージがありました」しかし原案協力の「酔っぱライター」こと、江口まゆみさんのアドバイスもあり、いまや主人公の日本酒好きOL・藤井松子並みにその魅力にハマっているご様子。アラサーOLの恋を“つまみ”に日本酒の魅力に酔いしれる。松子は彼氏ナシの32歳。結婚や出産で同世代の飲み友が減るなかで、若干焦りつつも、カップ酒を家飲みする気ままな暮らしを楽しんでいる。カップ酒なんていきなりハードルが高いし、オッサンくさい……。そんな思いが少しでもよぎった人こそ、読み進めてほしい。飲み切るのにちょうどよいサイズだし、レンジでお燗をするのに適した形状で、しかも飲み比べもしやすいので初心者にぴったりなのだ。こんなふうに日本酒の楽しみ方や、シーンに合わせたおすすめの銘柄がたくさん登場するのだが、単なるうんちくで終わらないのが本作の面白いところ。会社で隣の席のクールで思わせぶりな年下男子に翻弄されたり、日本酒の趣味が合う年上男子とお店で意気投合したりして、お酒ほどには素直に酔えない松子の恋の行方も気になってしかたがない。「恋愛模様の描き方は、リアル感とマンガらしさのバランスにこだわっています。喜怒哀楽それぞれをつまみに酔うのもあり、というノリで。好きな人やものがあるって楽しいし、どんな日も楽しむことを忘れない松子を描ければと思っています」恋愛したいのに、尻込みしてしまうアラサーの本音に共感しながら、日本酒が飲みたくなることも必至。「日本酒は日常から旅先まで多彩な姿で楽しめて、大人の読者様には話のネタに、日々のスパイスにしていただけるのではと思います。江口さんからいただくお酒選びなどの情報を私自身も毎回楽しみにしていて、知らなかったご当地情報を学べたり、日本の魅力再発見につながるお酒なんだなあと感じています。まだ出ていない地域のお酒もこれからどんどん登場しますし、松子も現地に飲みに出かけたりする予定です!」『酒と恋には酔って然るべき』ひとりは楽しいけれど恋もしたい、日本酒好きな悩める松子の恋模様をコミカルに描く。気になる銘柄が続々出てきて、入門者も日本酒好きも楽しめます!秋田書店680円©はるこ(秋田書店)2019はるこマンガ家。最新刊に『お高い彼の誘惑キス』(ぶんか社)。美波はるこ名義でも活動しており、『背徳のセブンセクシー』シリーズ(ZITTO)など連載作を多数執筆している。※『anan』2019年4月24日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・兵藤育子(by anan編集部)
2019年04月23日