先生発案!目からウロコの「合理的配慮」の実例ベスト5出典 : こんにちは。『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法』著者・楽々かあさんこと、大場美鈴です。うちには、もうすぐ小学校卒業の発達障害のある長男と、グレーゾーンの小4の次男・小1の長女がいます。今まで私は、学校の先生方と連携し、さまざまな「合理的配慮」をお願いして、ここまでやってきました。でも、担任の先生がいつの間にかやってくれていた「さり気ない配慮」もたくさんあるんです。本当にちょっとしたことでハードルが下がって、すごく気持ちがラクになったり、みんなと一緒に取り組めたりするんですよ。今回はお忙しい通常学級の先生にも手軽にできて、「◯◯くんだけズルイ」だなんて目立たずに、クラス全体で取り組んだり、さり気な〜くサポートできる、目からウロコの「合理的配慮」の実例ベスト5を、一挙にご紹介します!Upload By 楽々かあさん教室の机の奥に、くっちゃくちゃのプリントやテストが押し込められて、大事なお知らせを持ち帰り忘れてしまう長男。おかげで、「一体いつの話?」という、提出期限切れの申し込み用紙が後から発掘されることも。そんな「困った」を担任の先生が、たった1本のヒモを使って問題解決して下さいました。連絡帳を入れる学校指定のジッパー式の「連絡袋」のカドに、書類用の綴じヒモを通して輪にするだけ!これを、長男の机の横のフックにひっかけて、プリントやテストを配ったら、すぐにそこに入れるように促して下さったのです。机の外に出て見えているので、長男も持ち帰る時に気づきやすく、先生も声かけしやすい、ナイスアイデアでした!出典 : ある年の学習発表会では、グレーゾーンの次男の担任の先生も、さり気ない配慮をして下さいました。緊張しやすく、大勢の人を前にすると固まってしまって、台詞や動くタイミングが吹き飛んでしまう次男。プレッシャーから、直前に「やっぱりムリィ〜!」と敵前逃亡した実績もあります。でも、その年の先生は、なんと、体育館のステージの正面2階の連絡通路から、まるでオーケストラの指揮者のように、次男に大きなジェスチャーでサインを送って、タイミングを教えてくれたのです。先生のサインに、マウンドのピッチャーのように小さく頷く次男。そして、無事台詞が言えたら、先生はニッコリ笑顔で大きな「マル」を作って見せてくれました。他の先生からは「◯◯先生と◯次郎君、コントみたい」なんて、面白がられていましたが、次男は安心して参加でき、「できた!」体験がとても自信になったようです。おかげで、翌年からは、配慮なしでも学習発表会が大丈夫になりました。出典 : もう一つ、次男の先生から。次男は「人の顔と名前が覚えにくい」ので、3学期になっても、クラスのお子さんたちの3分の2くらいは、名前が分からなくて、自信を持って話しかけることができず、本人もそのことを結構気にして悩んでいました。次の学年の初めに面談をお願いし、そのことを先生に伝えたところ、教室の後ろにクラス写真に名前を入れたものを掲示して下さいました。このように「クラス皆が共有できる」ことは、次男だけでなく、同じようなタイプの子や転校生、近年増えている外国人の子など、どんな子も安心できる素敵な「さり気ない配慮」だと思います。出典 : 教室の席というのは、実は大抵、視力や身長、クジ運だけではなく、ある程度担任の先生が、クラス運営のしやすさなどを加味して決められていることもあるようです。一般的に、席の配置では「ちょっと気になる子は、先生の目の前の、最前列中央の席」になることも多いかと思います。確かに先生がマメに声をかけやすく、目が届きやすいですよね。不注意性の高い長男が低学年の頃は、いつもココが定位置でした。でも、その時のクラスの雰囲気や他のお子さんたちとの関係で、優先することも変わって来るようです。3・4年生の時、長男の定位置は「中央一番後ろ」になりました。その理由は、「◯太郎君が授業中に何度も声かけされるのを、他の子の目につきにくくするため」とのこと。長男は「教科書◯ページだよ」「定規出してね」など、先生にその都度個別に声かけしてもらえれば気づきやすいけど、それが最前列の席だと、いつもクラスのお子さんたちから目についてしまいます。社会性が育って、仲間意識が強まる3・4年生は「ギャングエイジ」とも呼ばれ、ちょっとしたことが、仲間はずれやからかいの要因になることもあります。そんな空気をいち早く先生が気づいて細やかに配慮して下さり、一番後ろにしてくれました(そして、ちょっと遠回りしながら、声かけも続けてくれました)。この位置は長男もお気に入りで、安心できたようです。空気を読むのが苦手な長男は、自分で気づけない・モヤモヤした気持ちを言葉でうまく表現できないこともあるので、先生がさり気なく守ってくださって、本当に有難いなと思いました。また、聴覚過敏のある次男は、廊下側の柱の横の、片側が壁になっている席が落ち着くようです。班決めなども、大人しい子が多いグループになる確率が不思議と高い学年は、「ひょっとして、配慮してくれてるのかな?」なんて感じることもあります。他にも、夏休みの自由研究の発表などは、順番を最後のほうにしてくれて、他のお子さんたちの「お手本」をたくさん見てからだと、発表の仕方がイメージしやすくなったこともありました。マニュアルではなく、実際の状況に合わせた弾力的な対応と、ほんのちょっとの先生の采配で、下がるハードルも結構あります。出典 : 長男が1年生の2学期から、漢字書き取りが宿題に出るようになりました。ところが当時の長男は、視力に問題はなくとも、漢字のカドやトメ・ハネ・ハライが正確に認識できなかったため、どんなにがんばっても字がお手本どおりに書けませんでした。担任の先生は、漢字ノートをとても丁寧に添削して下さったのですが、本人には訂正前と後の違いが分からず、「どこをどう直していいのか、分からないよ〜」と泣きながら、何時間もかかって宿題をし、勉強にすっかり自信をなくしていました。丁度その頃に長男の発達障害の診断がつき、先生にそのことを相談したところ、漢字の間違っているところを「丁寧に訂正する添削」から、合っているところや丁寧に書けたところに、花マルやほめコメントをつけるという「丁寧にほめる添削」に、変えて下さったのです。そして「◯太郎君に良い方法は、他のお子さんにもいいと思うので、クラスで『ほめほめ作戦』やってみますね!」と、明るく言って、長男だけでなく、クラス皆のお子さんの漢字ノートを、同じように花マルで埋めて下さいました。先生が柔軟にものの見方を変えて、同じ添削指導に使うエネルギーを、少しでもできているところを見つける方向に使って下さったおかげで、長男は少しずつ自信を取り戻していきました(段階的に訂正にも慣れていき、今では、×をもらっても大丈夫になりました)。誰だって、自分のやり方を変えたり、人に合わせたりすることは、そんなに簡単なことではないのを、私は知っています。そこを快く譲って下さった、まだお若いその先生に、私は心底敬服したのです。先生方が、共に育ててくれたからこそ…出典 : こうして見ると、「合理的配慮」というのは、診断書を持っていって交渉するような、難しくて特別なことばかりではなくて、「集団教育の知恵袋」とでも表現できそうな、もっと手軽で身近な、さり気ないことだって、たくさんあるのだと思います。子どもたちにとっては、先生のちょっとした気遣いや思いやりが感じられるだけで、「学校」の印象だって全然違うんです。それにはまず、先生方に気持ちと時間の余裕が必要なのだと思います。ただでさえ、大人数の子どもたちをたった1人で引き受ける通常学級の担任の先生が、授業時間の増加や過剰な雑務による負担を長時間勤務でこなしている現状があります。そんな中で、子ども一人ひとりの小さな困り感に気づいたり、丁寧に関わる時間を持つのは、至難の業でしょう。中には、私がうまく連携できなかった先生もいましたが、お一人でさまざまな問題を抱え込んでいた印象でした。また、ある先生は「本当は◯太郎君のこと、もっと丁寧に見てあげたいのに、なかなか時間がなくて、そこまでできなくてごめんなさいね」と、申し訳なさそうに謝っておられ、私も胸が苦しくなりました。本当に今の教育現場は、厳しい状況に置かれているのが痛切に伝わってきます。でも、そんな中でも、結局6年間ずっと、学校があんまり好きではなかった長男に、それぞれの先生が「できる範囲で、できること」を探りながら関わり、一緒に育てて下さったからこそ、なんとかここまで来れたのだと思います。おかげさまで、その長男も、この春中学生になります。「取り残される日本の教育 わが子のために親が知っておくべきこと」尾木直樹・著(講談社+α新書)「池上彰の『日本の教育』がよくわかる本」池上 彰・著(PHP文庫)大場美鈴/著『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法』2017年/刊/ポプラ社
2018年01月15日Upload By 発達ナビ編集部LITALICO発達ナビユーザーの皆様新年あけましておめでとうございます!発達ナビでは、2018年も価値のある記事をお届けしてきたいと思っております。本年も、どうぞよろしくお願いいたします。新年のお年玉企画として、人気の本を、合計51名様へプレゼントいたします。気になっていたけれどまだ読んでいなかった!という本があったら、この機会にぜひご応募ください。ご応募は締め切りました(1/9 10:00更新)新年お年玉企画!合計51名様へ、人気の本をプレゼントします出典 : ご紹介している本の中から、ご希望のものを選んでご応募ください。応募方法は記事の最後でご紹介しています。発達ナビ連載ライター陣の書籍・コミック発達ナビでの連載でも、ADHDのあるリュウ太くんとの毎日を描くかなしろにゃんこ。さん。このコミックでは、思春期・反抗期を迎えたリュウ太くんとのエピソードが満載です。ケンカっぱやい、忘れ物が多い、衝動性などの特性があるリュウ太くん。ついに家のお金に手をつけてしまいます…。それでもやっぱりかわいいわが子に、かなしろにゃんこ。さんは、どう向き合ったのでしょうか。2017年10月発売。かなしろにゃんこ。さん直筆の絵柄とサイン入りコミックを5名様にプレゼントします。かなしろにゃんこ。さんのページこの本の著者、モンズースーさん自身も、小さなころから生きづらさを抱えた発達障害当事者。そして二人の子どもは、ともに発達障害グレーゾーンでした。本書のテーマは、幼稚園・小学校就学などをめぐる進路問題。子どもにとって最善の道とは何か…悩みながらも子どもとともに進んでいく姿は、多くの共感を呼んでいます。2017年9月発売、第1作『生きづらいと思ったら 親子で発達障害でした』(2016年5月発売)の続編です。モンズースーさんのサイン入りで3名様にプレゼントします。モンズースーさんのページしおりさんの息子・カムくんには、先天性サイトメガロウイルス感染症、難聴、発達障害、睡眠障害などがあります。手話も1語しか使わず、自分の思いを言葉で表すことや、人と目を合わせることも苦手だけれど、人が大好きで甘えん坊です。いろんな困難はあるカムくんだけれど、愛情に包まれながら成長していく姿をほのぼのとしたタッチで描いた4コマ漫画集です。2017年5月発売。しおりさん直筆の絵柄とサイン入り。さらに、絵柄入りのオリジナルポストカードも一緒に、5名様にプレゼントします!さんのページLITALICO発達ナビでの連載でも、子育てや声かけのコツ、支援ツールの工夫、学校や園とのかかわり方などを紹介している楽々かあさんこと、大場美鈴さん。そんな楽々かあさんのアイディアがたくさん詰まった本がこの2冊です。ご自身の子育ての経験から生まれたさまざまな工夫は、今すぐ使いたいものばかり。困った時のサポート役になってくれそうです。いずれも、心があたたかくなる直筆メッセージ&サイン入りで、それぞれ5名様にプレゼントします。楽々かあさんのページ子どもをのびのび育てるためには?日本各地で講演活動を行う立石さんは、特別支援学校の高等部に通う息子さんを育てる母親でもあります。子どもの人生は、学校卒業後、そして親がサポートできなくなったあとも続きます。子どもに合った療育をすることの大切さや、周りへの伝え方、学校選びについてなど、将来を見据えてどのように育て、周りの人とかかわっていくのかなどが書かれています。まだ小さなお子さんを育てる保護者にとって、先輩ママからのアドバイスをもらえ、前向きに進んでいく一助となる一冊になりそうです。合計5名様にプレゼントします!立石美津子さんのページ発達ナビで取材をさせていただいた方の書籍・コミック発達障害のADD(注意欠如障害)であることを公表している、モデル・俳優の栗原類さん。この本は、15万部突破となった栗原さんの自叙伝的エッセイ『発達障害の僕が 輝ける場所を みつけられた理由』(KADOKAWA)を、活字が苦手な方やお子さんにも親しみやすいようにマンガ化し、2017年12月に発売されました。マンガパートは酒井だんごむしさんが担当し、やわらかなタッチで描かれています。各話の間には栗原さん自身による文章に、母親の栗原泉さん、主治医の高橋猛先生のコメントを交えたミニコラムも収録され、発達障害特性ゆえに生じる困難さや疲れやすさとその対応方法、将来の自立に向けた想いなどが語られています。合計3名様にプレゼント!10歳で発達障害のひとつ、アスペルガー症候群と診断された岩野響さん。中学時代に不登校となり、高校進学しない道を選んだ彼が見つけた「ぼくにしかできないこと」とは、鋭敏な味覚と嗅覚、こだわりを生かして研究・焙煎したオリジナルコーヒーづくりでした。2017年12月に発売となったこの本では、自身の発達障害と向き合い、自分だけの仕事を見つけるまでの岩野さんの歩みが描かれています。特性を強みに変え、好きなことを仕事にしたら、障害がなくなったという彼の生き方は多くのことを教えてくれます。合計5名様にプレゼント!仕事のストレスをきっかけにうつ病を発症、さらには大人になってからアスペルガー、ADHDと診断された著者である岩本さん自身が、症状を軽減させるために自己分析し、実践してきた過程をご紹介しています。特に発達障害のある成人の方に役立つ内容です。著者のサイン入りで5名様にプレゼントします。発達障害のある子を育てる保護者におすすめの名作・話題の書籍自閉症のある子・光くんと母親の日々を描いた名作コミックは、テレビドラマ化もされました。発達ナビでも、モンズースーさんが、このマンガのシーンと絡めながら子育てエピソードを連載中です。今回は、2017年に新装版として発売された<誕生・幼児篇/保育園篇>と<小学校低学年篇>をセットで5名様にプレゼントします。同年代の女の子に比べ、性の知識が乏しくなりがちでトラブルにも巻き込まれやすいといわれるアスペルガー症候群のある女の子(アスピーガール)。彼女たちの心や体を守るための生き方、考え方、対応策などが紹介されています。アスペルガー症候群のある女の子が一人でも読み進められるように、分かりやすい内容となっています。思春期を迎えるお子さんへ、どのように伝えたらいいか分からないときや、一緒に話をしたいときなどの助けとなってくれそうです。応募方法下記の「ご応募はコチラから」ボタンをクリックすると、応募フォームに移動します。フォームにて、ご希望の商品をお選びいただいた上で、ご自身のメールアドレスを入力してください。応募人数が上限に達した場合は抽選となります。応募は何回でもできますが、当選はお一人様につき1冊(又は1セット)となります。応募締め切りは、2018年1月9日10:00です。応募は締め切りました。当選された方にのみご連絡をしますので、h-navi.jpドメインからのメールが受信可能なメールアドレスでご応募ください。※当選された方には、別途プレゼントの送付先をお伺いします(期日までにご返信いただく必要があります)。※当選者は厳正な抽選のうえ決定いたします。当選者の発表は賞品の発送をもってかえさせていただきます。
2018年01月03日家に帰れない!親も泣きたい、子どものこだわり出典 : スーパーでひっくり返って「買って!」「買わない!」の親子バトルの無限ループ。せっかく着せた服を「絶対イヤ!」と脱ぎ捨てて、パンツ一丁で大暴れ。公園から「帰らない」の一点張りで、日が沈んでも家に帰れない。その上、周囲の大人からは子どもが「ワガママ」と見られて、「ちゃんとしつけてる?」「ちゃんと褒めてる?」なんて、親の育て方に問題があるかのように言われてしまうと、泣きたい気持ちにだって、なりますよね。もちろん親にできることはたくさんあるけれど、一生懸命やってるつもりでも、うまくいかないことだってあるんです。実は、子どもの「こだわり」って、ほめたり叱ったり、言って聞かせたりするだけでは、解決できない場合もありますし、そもそも、大人が全てを正す必要のないこともあります。子どもの「こだわり」の具体的な対応と活かし方を、『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法』著者で、かつては公園から家に帰れず途方に暮れていた、楽々かあさんこと大場美鈴が、ズバリ「図解」でお伝えします。ちょっと待って。それって本当に子どもの「ワガママ」!?出典 : 確かに、大人が子どもにキチンと、社会的なルールやマナー、ガマンを教えてゆくことは大事です。でも、こだわりというのは「こうしたい!」という、子ども自身の強い意志でもあります。その全てを、「正しいこと」を盾に大人がへし折ってしまったら、より一層不満や不安を強めたり、「自分には自分の人生を動かす力がないんだ」なんて無力感を感じてしまうかもしれません。それに、子どもの本能的な感覚からくる、強いこだわりは、「叱る」「言って聞かせる」などの、理屈が通用しないこともあるんです。それよりも、子どもの全てのこだわりを「ワガママ」と一括りにせずに、許容できないこと、妥協できること、成長に活かせることを見極めて、それぞれに合った対応をすれば良いのです。そのためには、まずは、それが「子どものこだわり」なのか、「大人のこだわり」なのかを、区別する必要があります。Upload By 楽々かあさんでは、ズバリ「こだわり」を、マトリクス図で図解して分析してみましょう。名付けて「こだわりマトリクス」!縦軸は、それが「子ども」のこだわりなのか、「大人・環境側」のこだわりなのかの見極めです。横軸は、それが、人の迷惑になっているか、それとも、個人の好みや感性の違いの範囲なのか、どうかです。図の外側にいくほど感覚的な強いこだわり、中央に近づくほど理性で解決できる余地があるもの、とお考え下さい。その「こだわり」が、客観的に見て、この図のどこに当てはまりそうか、頭の片隅でイメージできると、子どものこだわりが発動したときも、少しだけ冷静に対応できると思いますよ(まあ、親も人間なので無理なときもありますケドね)。1→【キチンと対応したほうがいい「こだわり」】人に大きな迷惑がかかってしまう「こだわり」で、子どもの間違った思い込みや、未学習、周りの状況判断の苦手さ、などによるもの。または、その子や周りの人の日常生活に支障が出てしまうほどの、強い不安・不満感などです。2と3→【大人・環境側の「こだわり」】必ずしも、子どもばかりが原因とはいえない「こだわり」。大人の側にも「絶対こうしなければならない」「これが正しいこと・常識」という強いこだわりがあり、それに対して自分の思いどおりにならない、子どもの強い意志とぶつかり合ってしまうのです。この部分が特に、大人には「ワガママ」なように感じられ、この横軸の境界線で、親子バトルが起こりがちなのではないかと思います。また、大人が気になることも、「人の大きな迷惑になっていること」から「よく考えてみれば、誰にも迷惑はかかっていないこと」まで段階があります。4→【活かす・伸ばす・好きにさせてもいい「こだわり」】人の迷惑にもならず、自分も気にならない子どものこだわりは、好きにさせて良いものであり、逆に、そのエネルギーを有効活用することで、できることを増やし、その子の世界を広げることもできます。そして、1から3のこだわりは、大人の対応次第で、だんだん4に近づいていけるかもしれません。…つまり、子どもの困った「こだわり」が起こる理由の約半分は、大人や環境側にも原因がある、ということなのです。じゃあ、一体どうしたらいいの…!?じゃあ、親や周りの人は、テコでも動かない子を前に、一体どうしたらいいのでしょうか。ここでは、うちのこだわり対応をお伝えしていきますね出典 : のこだわりは、一般的な社会のルールから、大きく出てしまっているものです。ですから、人の迷惑になってしまうだけでなく、「将来、社会の中でなんとかやっていけるか」の大事なポイントなので、ココはがんばりどころです。逆にいえば、最低限ココだけできれば大丈夫。子どもの気持ちをケアしながら、根気よく丁寧に、その子に合った方法で、繰り返し伝えていく必要があります。でも、例えば「病院で騒いでしまう場合」ひとつでも、●それがいけないことだと、まだ理解していない場合(未学習)【対応例】「病院で大きな声を出すと、頭が痛くなる人がいる」など、具体的に納得できる理由を丁寧に説明する。図や絵で描いて伝える。目の前でお手本を見せる…など、試行錯誤で、その子に合った伝わりやすい方法を見つけていきます。●どうしたらいいか理解はしているものの、周りの状況に気づいていない場合【対応例】「周りの人はどうしてる?」など周りに気づかせる。「病院ではどうすればいいんだっけ?」など、適切な行動を思い出せる声かけをしながら、「病院では静かにすること」が習慣として定着するまでつき合います。●「いつも元気なのは、ほめられること」などと、カン違いしている場合(誤学習)【対応例】「◯◯ではOKだけど、病院では静かに」と、「やっていいこと・いい場所」の明示や、段階表やリスト、図を作るなど、分かりやすく許容範囲を分類して、セーフとアウトの線引きをします。…など、背景にある理由によって、それぞれに合わせた対応が必要なのです。ただし、「通学路の途中で、どうしてもそこを通るのがイヤで座り込んでしまう」などの場合、背景に、その子が感覚的に強い恐怖心を抱くような情報(音・ニオイ・光・人やモノ、過去の経験など)があるかもしれません。その場合、まずは気持ちに共感し、心身をケアしながら、環境を調節し、負担感が減る工夫をしてあげるのがいいと思います(うちではこの場合、落ち着くまで車で送り、徐々に慣らしていきました)。出典 : のこだわりは、その子どもの行動が、親や先生の個人的な「正しいこと・常識」に当てはまらず、子どもと大人のこだわりがぶつかることで生じる問題です。そうは言っても、子どもの要求を何でも許せる訳でもありませんし、道徳・モラルとして教えたいこともありますよね。そんなときの対応を、スーパーでの「お菓子買って!」「絶対ダメ!」の例で説明します。●事前の相談や工夫で対策【対応例】家を出る時や、スーパーの駐車場で「お菓子は◯円まででOK?」など事前に相談し、納得できてからお店に入る。また、宅配サービスなどを利用する選択もあり。小さな子に、いろいろと見せておいて「絶対ダメ」は、そもそもハードルが高いのです。また、お腹がすいていれば欲しがって当然。食事やおやつの後に連れて行けば、少しはガマンしやすくなると思います。●妥協・交渉の手本を見せる【対応例】どうしても欲しがる場合、まずはその気持ちに共感し、その上で、「じゃあ、替わりにジュースは戻して来れる?」「これは高いから今日は買えないけど、来週の運動会の参加賞にしようか」など、妥協と交渉のお手本を見せます。そして、子どもが少しでもガマンできたら「ガマンできたね」「ありがとう」等、伝えます。これを繰り返していると、子どものほうも多少の妥協や、話し合いができるようになってきます。ただ、それでも「手のつけられないほど暴れる」「手当たり次第なんでも欲しがる」などの場合、「子どもが本当に欲しいのは別のモノ」の可能性もあります(うちでは、私が他の兄弟の世話にかかり切りになっているとき…などでした)。また、学校の給食で、どうしても苦手なものがあるのに「絶対に残さずに食べなさい!」と強く求められて教室から逃げ出したり、「行きたくない!」と登校しぶりをする状況では、「皆、イヤでもガマンしているんだよ」なんてお説教は通じません。そこには、味覚や触覚(食感)などの強い過敏さがあるかもしれません。この場合、病院で意見書などを頂いたり、「無理矢理◯◯を食べさせると、吐き戻してしまう」「パニックを起こしてしまう」など、その程度が「好き嫌い」の範疇を超えていることが分かる、客観的・具体的な理由を示して、丁寧にお願いするのがいいと思います。Upload By 楽々かあさん3の場合は、大人の目からは非常識に思えるけど、よくよく考えてみれば、「自分は気になるけど、特に誰の迷惑にもなってないよね」というタイプのことです。例えば、「この服を着なさい」「絶対イヤ!」といったシチュエーションで、TPOに大きく差し支えない場合など。つまり「個人の好みや考え方の違い」の範囲であるものの、大人の側に「自分の常識」があると、どうしても気になってしまうのです。基本、ここは「子どもは子ども、私は私」と線引きして、大目に見てあげればいいところです。ですが、それがどうしてもできない場合には、「ワガママを言っているのは、自分のほう」という自覚を持って、謙虚な姿勢でダメ元で、「私はこう思うんだけど、こうしてみない?」と、お願いしてみます(大人だって、絶対にワガママを言ってはダメ、ということもありません)。例えば、娘が「全身ピンクの服装でお出かけしたい!」と言い張った場合。う〜ん、誰にも迷惑かけてないケド、私の中の常識は「ちょっとそれは、アレだよね…」と思います(笑)。そんな時は、「ピンク、素敵だよね。でも、おかあさんは、ちょっと白が入ってると、もっとオシャレだと思うな。ホラ見て、プリンセスの◯◯ちゃんも、こんな感じだよ♪」と絵本を見せるなど、判断材料を与えて、あの手この手でトライしてみます。ただし、それをどうするか、決めるのは子ども自身です。それでもダメなら、覚悟を決めて、一緒に恥をかくつもりで出かけると、意外と誰も気にしなかったりもします。気が済むまでこだわれば、いつか卒業することもあります(娘は、全身ピンクブーム→かぶりものブームが去って、今は少しはお洒落になりました)。もし、卒業できない程ピンクが大好きなら、こちらのものの見方を変えて、思い切って伸ばしてあげることもできます。カメラでも買い与えてみると、夫婦漫才の才能が開花するかもしれません。出典 : そして4は、その強いエネルギーを有効活用して、のびのびと伸ばしてあげられる、素晴らしい「こだわり」なのです。また、1をキチンとケアしたり、3もこちらのものの見方を変えれば、4になることもありますし、2で妥協や交渉のお手本を見せ続けてゆけば、子どもも物事を柔軟に考えられるようになると思います。そして、結果的に子どもの希望どおりになっても、ならなくても、大人から自分の意思を尊重され、ちゃんと耳を傾けてもらえた実感があれば、周りの人のことも想像できるようになっていきます。うちの4の例です。味覚が敏感で、食へのこだわりが強い長男は、手先が不器用だけれども、料理が自分でできるようになりました。また、大好きなマインクラフトのおかげで、パソコンの達人になり、海外ユーザーとチャットもしています。潔癖症だった次男は、私が放置した、シンクの水垢や黒ずみをピカピカにお掃除してくれるようになり、助かっています。動物大好きの長女に根負けして飼い始めた仔犬で、家族みんなも、近所の人たちとのコミュニケーションの機会が増えました。子どものこだわりは、豊かな感受性の表れであり、上手に活かせば、できることも増えるし、その子の世界も広がっていくんです。(子どもの個別の問題への具体的な対応方法や、より強い「かんしゃく・パニック」対応は、このコラムの最後に紹介する著書に詳しくまとめてあります。)大らかな社会であれば、気にならないこだわりもある出典 : 周りの人達は、子どもが一見ワガママに見える行動をとると、つい「親の育て方」などを責めたくなってしまうかもしれません。そういった社会的なプレッシャーが、親が子に「完璧さ」を求め過ぎてしまう要因にもなっているように思えます。もちろん、親や周りの大人にできることはいっぱいあります。それでも、子どもってもともと五感が敏感で感受性が強い、未完成な生き物なのです。こういった子ども達のこだわりは、「みんなと同じようにできなくてはならない」「感性の違いを認められない」「多少の失敗も許さない」という、大人の余裕のなさからくる、社会全体のこだわりによって、より鮮明に浮き彫りになってゆきます。こちらがものの見方をほんの少し変えるだけでも、気にならなくなる「こだわり」だって、結構あるのではないでしょうか。
2017年12月14日小学校を即退学!学校が合わなかった少年エジソン出典 : こんにちは。『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法』著者、楽々かあさんこと、大場美鈴です。【偉人の凸凹学】3回目は、出ました!発明王トーマス・アルバ・エジソン!「なぜ1+1は2になるの?」「なぜ風は吹くの?」「なぜ魚はおぼれないの?」「なぜ星は落ちてこないの?」好奇心の塊・少年エジソンは、小学校に入るや否や、教科書丸暗記スタイルのエングル先生を質問攻めにして困らせ、「落ちこぼれ」「問題児」のレッテルを貼られてしまいました。それに怒ったゴッドマザー・母ナンシーは「もういい!私が家で勉強を教えます!」と啖呵を切り、わずか3ヶ月で学校を退学したエピソードは有名ですね。そして後に起業したエジソンは、蓄音機、白熱電球、キネトスコープなど、生涯で1913件もの特許発明を成し、文字通り「発明王」として、歴史に名を残しました。彼は、それまでの人類の生活を、自分自身のアイデアですっかり明るく変えてしまったのです。…あれ?定番の偉人伝としてよく知られたエジソンの生涯ですが、「小学校退学」と「発明王」の間が、スッポリ抜けていませんか?一体その間、何をしてたんでしょうね。実は、母ナンシーの言葉どおり、エジソンはお母さんと一緒に家で勉強していたのです。学校が合わずに「落ちこぼれ」のレッテルを貼られてしまったエジソン。でも、学校の勉強が、勉強の全てではありません。母ナンシーは、エジソンの旺盛な好奇心に応えつつ、学ぶことの楽しさを家庭で教えていきました。これこそが「ホームスクーリング(ホームエデュケーション)」という教育の、ひとつの考え方なのです。そして、この時期に培われた知識と経験が、後の発明の源となり、起業家としても成功する人間性の土台となりました。エジソンと母ナンシーは、一体どんな勉強をしていたのでしょうか。学ぶことが好きになるヒントとともに探っていきたいと思います。ゴッド・マザー母ナンシーの決断。ホームスクーリングって…?Upload By 楽々かあさんまず、「ホームスクーリング(ホームエデュケーション)」とは、一言で言えば「学校に通わずに家庭を拠点とした学習を行っていくこと」です。実は、ホームスクーリングは、世界的に「教育のひとつの選択肢」として公的に認められている国・地域が多くあります。上の世界地図は、「ホームスクールの合法性」マップです(緑:合法、黄:ほぼ全域で合法、あるいは実践されているが論争中、赤:非合法/オリジナル作成者: Zginder、2010年版)。現在アメリカでは、220万人(2015年現在)の子どもが家庭で学んでいます。その中には一流大学に飛び級で合格するほど優秀なホームスクール出身者もいるようです。不登校やいじめ、経済的・宗教的・文化的理由…などから、やむを得ず家庭で学習を行うこともあります。でも、英才教育やギフテッド教育の一環としての、積極的・自発的な選択も多いのだそうです。その学習のスタイルはまさに「自由」ですから、特定の勉強法はありません(ただし、単位取得のテストや、在籍校への報告義務がある場合もあります)。通信教材で教科書に添った学習、ネットや外部スクールなどを活用する学習、才能を育てるための独自の教育などなど、そこには「学び方はひとつではない」世界があります。ホームスクーリング「ホームスクーリング」Wikipedia参考:「アメリカのホームスクーリング事情から考える学校の存在意義について」一般社団法人こたえのない学校そういった世界的な流れもあり、最近日本でも、ホームスクーリングを選択するご家庭が、少しずつ増えて来ているようです。…とはいえ、2017年2月に施行された「教育機会確保法」では、不登校を「休んでも良い」と認めたものの、学校以外の学習を義務教育の一環として認めることは盛り込まれず、公的には十分な受け皿が整っていないのが現状のようです。実はうちでも、学校の勉強に意欲を失っていた当時3年生の長男が、エジソンの伝記マンガを読んで「おれは、こういう風にかあちゃんと家で勉強したい。それならできる気がする」とぽつりと言ったことがあります。でも私は、「ホームスクーリングって素敵だな」と思っていても、「いざ、実行」となると、結構な茨の道が予想され、弟妹への影響まで考えると、思い切ることができませんでした。ただ、それから現在まで、日常生活の中でエジソン親子式の学習法を「できる範囲で」取り入れてみることによって長男も「勉強が楽しい」と言うようになりました。オールC評価だった、学校の成績も上がってきましたよ。では、具体的に、少年エジソンと母ナンシーの家庭での学習法をみてゆきましょう。「教育機会確保法 不登校対策は」(くらし☆解説)NHK解説委員室・解説アーカイブス学ぶことって楽しい!「生きる力・考える力」を育てるエジソン親子の学習法エジソン親子の学習法は、『天才エジソンの秘密母が教えた7つのルール』(ヘンリー幸田・著、講談社)という本が詳しく、元小学校教師でもあった母ナンシーの先見の明と懐の深さ、そして、キラキラした瞳の少年エジソンの「生きた学び」の姿が伝わってきます。エジソンは、慣れ親しんだ家で、母や家族に見守られながら、後の発明につながる膨大な知識と経験を、着実に蓄えてゆくのです。出典 : まず、学校をやめたエジソンに与えられたのは、大量の本。百科事典や歴史書、化学実験に関する本や、世界の名作の数々…そして、自宅の物置小屋を改造した、実験のための専用の地下室でした。例えば、「なぜ、アヒルの卵がヒナになるの?」と、身近に不思議さを感じたら、まず実際に自分で卵を温めてみました。でも、うまくいかない…そこで、お母さんと一緒に百科事典を調べると、3週間以上も温めなくてはならないことが分かります。そして、それを調べる過程で、鳥の生態について多くの知識を得ることができた…といった具合です。全てこの調子で、エジソンは自分のペースで好奇心の赴くままに学んでゆき、高校生用の化学実験の本を片手に実験を繰り返すなど、まさに「毎日が自由研究」状態。こうして自ら、興味を持ったことや不思議に思ったことを、教科書や学年にとらわれずに、気が済むまで徹底的に掘り下げて、その周辺の知識や実際の経験とつなげることによって、学びを広めていったのです。現代の一般家庭では実験用の地下室までは難しいかもしれませんが、好きなことに集中しやすい環境を整えてあげるといいかもしれません。例えば、リビングの一角に趣味の専用コーナーを作ってあげたり、必要な道具や関連書籍を買い揃えて、いつでも手に取れるようにしてあげる…など。また、現代ではインターネットが手軽な百科事典として、気になったことをいつでも調べることができます。でも、膨大な情報から有益なものを取り出すのは結構コツと経験がいるので、お子さんが調べたいことがあったら、どんなキーワードで探せばいいか、どんなサイトの信頼性が高そうか、などをそばで助言してあげるといいでしょう。出典 : 地下室で化学実験を夢中で繰り返していたエジソンは、次第に「もっと実験材料を買いたい!」と思うようになりました。でも、エジソン一家の家計は楽ではありません。ここで母ナンシーの素晴らしさは、エジソンに、実際に仕事をさせてみたことです。当時は、子どもが働くのは珍しくなかったのですが、なんといっても「あの」エジソン君ですからネ。それまで、運河に落ちたり、火事を起こしたり、何度も危ない目に遭ってきたワケです。…それを考えると、「ウチの裏庭の野菜を売ってみたい!」と提案する我が子に、「名案ね!」と背中を押せる母ナンシーは相当な度胸です。「かわいい子には旅をさせよ」の実践ですね。そして、少年エジソンは町へ出て、野菜を売り始めます。すると、単に家で採れた野菜を持っていったのでは売れないことを知ります。そこには、それぞれの人々の生活があり、ニーズがあり、需要と供給のバランスでものの値段が決まる…という経済の原則を、「体感」して知ってゆくのです。実際の経験を積み重ねた学びは、何ものにも代え難い財産になります。この後も、何度か危なっかしいことをしながらも、少年エジソンは、列車の中で自分で発行した新聞『The Weekly Herald』を売るなど、「いいこと思いついた!」を次々と実践してゆきました。その中で、さまざまな立場や境遇の人達の、生の声を拾い上げた経験が、後に、世の中のニーズに応える商品開発の原点になったように思います。でも、そこまでできなくても、日常生活の中でお手伝いや買い物等を通じてもプチ体験を積んでゆけます。お手伝いでお駄賃をもらい、近所の駄菓子屋に行って、お店の人とお話する…などでも充分「生きた学び」になります。また、お子さんと一緒にスーパーで「ずっと天気が悪かったから、野菜が高いね」「この中で、一番おトクなのはどれかな?」「カゴいっぱいで何円くらいでしょう〜?」等と会話するのもいいでしょう。こういった物価の実感は、算数の単位間違いなど、テストの回答ミスを減らすのにも役立つと思いますよ。そして、エジソン親子の学習法の中で、私が最も素晴らしいと思うのが「親子の対話」の時間です。2人は、書物による膨大な知識と実際の経験を、対話しながらアウトプットして整理し、より本質的な理解を深めていったようです。エジソン親子はこの時間を心から楽しんでいたのだそうです。あるときは、エジソンが魅了されたギリシャのヘレニズム文化について、あまりの楽しさに時間を忘れ、夜が更けるまで2人で語り合ったんだとか。実は、エングル先生がエジソンの質問攻めに匙を投げたように、好奇心旺盛な子の知的な疑問につき合うには、大人のほうも、相当勉強し、余裕がないとできないことだと思います。実際に、こういう子を相手にしているとよく分かるのですが、次々と湧いて出る好奇心の芽を伸び放題にすると、うちの庭の雑草のように収拾がつかなくなってしまうのです。大人は、必ずしも答えを用意する必要はなくても、より広い視野に立ち、物事の本質を見極め、全体像を把握する「知の地図」を持っていないと、迷子になってしまうでしょう。現代では「夕飯までに宿題を終わらせなきゃ!」「洗い物が終わったら、明日の時間割の支度をさせて、ハミガキさせて…」なんて、毎日時間に追われながら子育てしていると、子どものとりとめのない話に根気よくつき合うこともなかなかできませんよね。こういった時間に縛られない教育ができるのも、ホームスクーリングの大きな魅力です。ですが、正直子どもの話についていけない(私もです!)、毎日忙しくてとても無理、という場合、習い事等で「その道のプロ」に教えてもらうなど、誰かにアウトソースしてしまうのもひとつの手です。また、お子さんの話をほどほどに聴きながら、考えを客観的に見つめる「鏡」になってあげるだけでも良いでしょう。好奇心旺盛な子が興奮気味でとりとめのない話をする時に、まずは、「うんうん」「そーなの」「それで、それで?」と相づちをうってあげると、気持ちが落ち着きやすくなると思います。それから、「それってつまり、◯◯ってコト?」「それって例えばどういうこと?」など、話の要点を確認したり、具体例を質問すると、自分の考えを把握しやすくなるでしょう。また、「お母さんはこう思う」「もしかしたら、こう考える人もいるかも」と、自分や他人の立場からの意見を伝えていくと、次第に、物事を多角的に検証する姿勢が身につくかもしれません。Upload By 楽々かあさんまた、うちではこんな時、筆談も併用しています。言葉だけではうまく伝わらないことも、図にしたり、絵にしたり、要点を箇条書きにすると、子どもが伝えたいことを共有しやすくなります。連想ゲームが止まらない子には、マインドマップやふせんメモなどを使って、考えを整理する習慣づけもいいと思います。得た知識を他の人と共有することは、本当に良い勉強になりますし、何より、人と話すことや学ぶことが好きになるでしょう。本当はどんな子だって、学ぶことが大好きのハズ!出典 : こんな豊かな子ども時代を過ごした「元・落ちこぼれ」エジソンは、ご存知のように明るく輝ける人生を歩みました。母ナンシーが61才でこの世を去った後も、晩年まで、母の面影と心の対話を続けていたことが、記録にも残っているそうです。もしかしたら、少年時代、お母さんと夜更けまで語り合ったひとときが、偉大な彼の人生の中で最も幸せな時間だったのかもしれませんね。でも、エジソン親子は、やっぱり特別な人たちなのでしょうか?確かに「いいと思ったことを実際にやってみる」行動力と、失敗にめげずに挑戦し続ける情熱には、天性の素質があるかもしれません。でも、本来子どもは、どんな子だって、好奇心いっぱいで学ぶことが大好きな生き物なんです。もし、今「勉強」に対して、あんまり良い印象を抱けないお子さんがいたら、こんな自由で豊かな、エジソン親子のホームスクーリングの考え方を、できる範囲で、少しでも日常生活に取り入れると、勉強という言葉のイメージがちょっぴり変わるかもしれませんね。だって勉強って、本当は、もっと楽しくて、ワクワクするものなんですから。「天才エジソンの秘密 母が教えた7つのルール」ヘンリー幸田・著(講談社)コミック版世界の伝記「エジソン」吉田健二・著(ポプラ社)学習漫画 世界の伝記「エジソン―魔術師といわれた発明王」三上篤夫、かたおか徹治・著(集英社)
2017年10月19日苦難の人、ゴッホの生涯。純粋過ぎるがゆえに…こんにちは。『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法』著者・楽々かあさんこと、大場美鈴です。今回の「偉人の凸凹学」シリーズは、「ひまわり」などの歴史的な傑作絵画を残した、後期印象派の巨匠・ゴッホです。皆さんは、ゴッホの人生を知っていますか?今でこそ、その絵画は、値が付けられない程の価値がありますが、生前、ゴッホの絵が売れたのは1枚だけだったとも言われています(諸説あり)。その才能は幾多の天才の中でも、際立って突出しているように思えますが、ゴッホほど苦しみに満ちた人生を送った画家も少ないのではないかと思います。Upload By 楽々かあさんオランダ出身の画家、フィンセント・ファン・ゴッホは、牧師の父を持ち、6人兄弟の事実上の長男として生まれました。少年時代から、純粋で思い詰めやすく、カッとなりやすい性格でもあったそうです。そのため、対人面でうまくいかないことが多く、学校を中退したり、失恋を繰り返したり、画商や伝道師の仕事をしたものの、クビになってしまうなど、挫折の連続でした。そして、ゴッホの最大の理解者で画商の、弟テオ(テオドルス)の勧めで画家となったものの絵は売れず、仕送りをしてもらって生涯ニート生活。以後亡くなるまでのわずか約10年間で、1600点の水彩・素描と800点以上の油彩画という、膨大な作品を残したのだそうです。ゴッホは印象派の画家達との交流や、ジャポニズムの影響なども受けながら、才能を開花させてゆきますが、その絵の価値はなかなか世間に認められませんでした。そして、南仏・アルルでの、友人ゴーギャンとの共同生活はうまくいかず、自らの耳を切り落としたという、有名な「耳切り事件」を起こします。以降、弟の結婚などで不安定になり、発作や錯乱を繰り返し、自ら精神病院に入院し、療養します。そして、ようやく才能が注目され始めた頃、拳銃で自殺(享年37才)。その半年後、後を追うように、弟のテオも衰弱して亡くなりました。その後、ゴッホの絵画が世間に認められたのは、テオの妻ヨーと、甥フィンセントの尽力があったからと言われています。こんな、苦難の連続だったゴッホを想うと、私は正直、「うちの子には才能なんてなくてもいいから、ゴッホのような人生は送らないで欲しい」と願ってしまいます。我が子には、死後にどれだけ賞賛を得るよりも、生きてる間に、毎日を幸せに生きて欲しいからです。私たちが、ゴッホの人生から学べることはなんでしょうか。完璧主義で、「0か100か」は、生きづらい!Upload By 楽々かあさんでは、このゴッホの「生きづらさ」の原因はなんだったのでしょうか。ゴッホが特に対人面でうまく行かなかったのには、私は、次のような理由があるように考えます。・物事を「0か100か」の両極端で捉え、柔軟になれない考え方・完璧主義でこだわりが強く、妥協できない考え方・他人と自分の間に上手な線引きができずに、多くを求め過ぎてしまう考え方…など。おそらく、ゴッホは生来、真面目で一途な性格の特徴があり、それを挫折と失敗の経験を繰り返すことで、より考え方の偏りを強めてしまったように見受けられます。例えば、恋愛で思い詰めている時、ゴッホにとっての「女性」は、「その人ただ一人」であり、その唯一の女性から拒否されることは、この世の全ての人から愛を得られないように、感じられたのかもしれません。ですから、フラれても「女の子なんていっぱいいるさ。次いこ、次!」とはならず、相手の家に押しかけて、自傷的な行動で訴えてしまいます。これでは、男性としての魅力以前の問題で、想いを寄せられた女性は、「ただひたすら重い、逃げ出したい」気持ちになるのではないでしょうか。また、「耳切り事件」に至ったのも、ゴッホと同じくらい自己主張が強いけれど、性格的には正反対で野性的なゴーギャンとの共同生活の中で、画風や芸術に対するお互いの考え方の違いを認めることができずに、激しい意見の衝突を繰り返して消耗し、思い詰めた行動に出てしまったのだと思います。「人は人」と要領よく線引きできずに、相手に「自分と同じ」ことを期待し過ぎてしまっていたのかもしれませんね。Upload By 楽々かあさんでも、ゴッホは、自己中心的な人物かというと、そうではありません。初期の名作「じゃがいもを食べる人たち」など、農夫や庶民の生活ぶりばかりを描いた多数の絵からは、貧しい暮らしの人々に深く共感した、ゴッホの優しさと、慈愛の目を感じ取ることができます。決して「人の気持ちが分からない」なんてことはなく、むしろ、他人の苦しみを我がことのように感じる共感力の高さや博愛精神があり、「人の役に立ちたい」気持ちも人一倍強かったように思います。ところが、そんな長所ですら、裏目に出てしまうのです。キリスト教の伝道師を志していた時のゴッホは、劣悪な環境で働く炭坑夫たちに深く同情し、一緒に炭だらけになり、自分の服すら(下着までも!)分け与えて、文字通り全てを捧げてしまいました。ゴッホは、聖書の教えを真面目に忠実に、実践しただけなのでしょうが、これは「教会の権威を落とす」行為として、伝道師の資格は剥奪されます。純粋で一途過ぎるが故に、ゴッホは「ほどほど」という考え方ができなかったのです。では、ゴッホと似たような「生きづらさ」が、我が子や身近な人、あるいは自分自身にある場合、どうしたらもう少しラクに物事を考えられるようになるのでしょうか。「ほどほど」な考え方を育てる声かけと工夫Upload By 楽々かあさんゴッホの絵画の色彩を見ると、代表作「ひまわり」や「星月夜」、「自画像」、「糸杉」など、青と黄や、赤と緑という、補色(反対の色)同士の鮮烈な対比や、明と暗がくっきりとした大胆な構図が見て取れます。だからこそ、見る人の心に迫る力強さを表現できるでしょうが、ゴッホの「生き方・考え方」という点から見れば、常に2つのものが対立する世界観が象徴されているように思えます。このように「0か100か」「白か黒か」という、絶対的な2択の思考は、何事にも完璧主義な人に多く見られます。例え、テストで90点をとっても、間違った10点のほうが気になるタイプです。これは、仕事面では、ゴッホのように完成度の高いものができる長所にもなりますが、対人面では難しさがでてしまいがちです。こういった考え方を緩めてあげるには、まずは言葉から、「中間の表現」が、イメージできるようにしてゆくといいと思います。「ちょっと」「大体」「ほぼ」「ほとんど」…など、日常生活には曖昧な表現が溢れていますが、つい「0か100か」で考えてしまう人は、「ちょっとって、一体どれぐらいだろう?」と具体的にイメージできずにいる場合が多いようです。そんなときは、具体的な数値を入れた声かけなどで、「翻訳」してあげると良いと思います。たとえば、・「ちょっとって言うのは、3日くらい待って欲しいって意味だよ」・「ほとんどって言うのは、90%くらいできてるってことだよ」といったように、具体的な程度を示します。また、実際に目の前で・「大体って言うのは、ここからここまでのことね」と、線等を引いて、見えるように範囲を示してあげると、分かりやすくなると思います。鮮烈で力強い色彩が魅力のゴッホですが、もしかしたら、曖昧な中間色のグレーやパステルカラーなどを多用していたら、考え方は、もう少し柔軟になっていたのかもしれませんね(そのときの絵画としての価値は分かりませんが)。Upload By 楽々かあさん次に、「絶対〜すべきだ」「必ず〜しなくてはならない」というような極端で決めつけた表現は、自分自身の思い込みも強めてしまうので、意識的に次のような言葉を使うようにしてみます。・「私は、多分〜だと思う」・「私は、なるべく〜したい」・「私は、できれば〜であって欲しい」このように、「例外」があることを受け容れる幅を持たせてあげるのです。同時に、「私は」と入れることで、主語を明確にすることも意識してみるといいと思います。日本人の場合は特に「私は、私は」と、主語を明示する言いまわしは馴染みが薄いかもしれません。ですが、主語を入れることで、その考えがあくまで「自分のもの」だと意識できるので、他の人の考え方との間に線引きをする練習になります。またこれは、こちらがゴッホのようなタイプに接するときにも、あくまで自分の意見であると伝えられるので、不要な対立を防ぐことができるかもしれません。もしかしたら、こんな風に、ほんの少しだけ、言葉の表現をマイルドにしていれば、仲違いをしてしまったゴッホとゴーギャンも、もうちょっと、うまくいったかもしれませんね。Upload By 楽々かあさんそして、誰でも挫折や失敗を繰り返していれば、どうしても自信をなくしてしまいます。自信をなくすと、余裕がなくなり、ますます他人の意見を受け容れる柔軟さが持てなくなったり、「次は失敗できない」と、自分自身にプレッシャーをかけて、不安感から思い込みを強めてしまいがちです。もしも私が、ゴッホの身近な人物だったら、「できているところに気づかせる」声かけなどをしていたかもしれません(ひょっとしたら、弟テオも実践済みだったかもしれませんが…)。・「結果的には残念だったけれど、こういった成果があったよね」・「(あなたは)失敗だと言うけれど、ここまではできているよね」…というように、結果や部分ではなく、物事をトータルで全体的に捉えられるように、気づかせてあげるといいと思います。また、・「Aという選択には、こんな良い点があるが、こんなデメリットもある」・「AとB以外にも、Cという選択もあるし、A+Bという方法もある」…と、「0か100か」の絶対的な2択にせず、複数の選択肢や、折衷案の提示などをしてあげると、物事を両面から見たり、多角的に捉えたりできるようになるかもしれません。また、他人に言われると納得できないことも、自分でメリット、デメリットを一覧表に書き出して点数などをつけて、比較検討する習慣などもいいと思います。実際、この後の時代の天才画家ピカソは、ゴッホと同じく突出した才能がありながら、画風の数々の変遷やキュビズムの表現に見られるように、物事を多角的に捉え、違った価値観を受け容れる柔軟さがあったようです。それにより少し要領よく世渡りし、生きてるうちに経済的にも成功し、女性にもモテ、91才まで長生きしたようです(でも、個人的には、私はピカソよりゴッホの絵のほうに、惹かれますが…)。究極の選択。ありふれた幸せか、人類の遺産か…!?Upload By 楽々かあさんもし、ゴッホがほんの少し、物事を柔軟に考え、曖昧さを許し、人は人と割り切れていたら…日々をもっとラクに生きられたのかもしれません。でも、その、ごくありふれた幸せが、溢れる才能と引き換えなのだとしたら…?私には、ゴッホは自らの苦しみの人生と引き換えに、その突出した才能を得たように思えてなりません。極端に偏っていなければ、なし得ないこともあるのだと思います。そんな「生きづらさ」を抱えるゴッホだからこそ、あのように鮮烈で力強く、見る者の心を直接揺さぶるような、素晴らしい傑作の数々が生まれたのではないでしょうか。あなたは、人類の歴史的な遺産と、一人の人間のありふれた幸せを、天秤にかけることはできますか?もちろん、選択肢は2択ではありませんけどね。大場美鈴/著『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法』2017年/刊/ポプラ社「アスペルガーの偉人たち」イアン ジェイムズ ・著、草薙ゆり・訳(スペクトラム出版社)「ゴッホ (コミック版世界の伝記)」木村 泰司 ・監修、フカキ ショウコ・漫画(ポプラ社)「あの人の人生を知ろう~ゴッホ兄弟」文芸ジャンキー・パラダイス画像出典:「ヴァーチャル絵画館西洋美術史」Earl Art Gallery
2017年09月19日「偉人の凸凹学」には、身近な育児のヒントが満載!こんにちは。『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法』著者で、うちの子専門家・楽々かあさんこと、大場美鈴です。多くの方は「偉人」や「天才」と聞けば、その突出した才能や、素晴らしい偉業、華々しい武勇伝の数々に、「まあ、うちの子には関係ないわよね」とか「元々の出来が自分とは違う」なんて、遠い話のように感じられるのではないでしょうか。でも、後世までも偉人として語り継がれる人たちの中には、人並み外れた才能がある反面、実は人並み外れてできないこと、苦手なことがあることも多いって、知っていましたか?実際、偉人の苦手さ・欠点に関しては、「うちの子のほうが、もう少しちゃんとしてるかも…」とか「自分のほうがまだマシ」と思えるような、大失敗やしくじりエピソードが満載なのです。そんな、できないことも多かった偉人たちの「自分の苦手さとのつき合い方」や、周りの人たちの関わり方、失敗や挫折をどう乗り越えたか。あるいは、乗り越えられなかった理由は何か…。…そんな偉人の生き方を、子どもの発達と育児・教育・療育という「凸凹学」の視点で読み解き、苦手さや短所を抱えながらも、社会の中で自分を活かして生きてゆくためのヒントはないか、探っていきたいと思います。天下人・織田信長の少年時代Upload By 楽々かあさんその第1回目は、ご存知、戦国時代を駆け抜けた風雲児「織田信長」。後に天下人となった信長は、その卓越したカリスマ性と行動力で、群雄割拠の混乱の時代を切り拓いていきました。好奇心旺盛で「いいと思ったことは、とにかくやってみる」決断力と実行力。試行錯誤し諦めない粘り強さ、飽くことなき研究心・向上心を持ち合わせています。その上、不思議と人を惹きつける魅力があり、まさに、戦国時代のヒーローです。最近歴史にハマっているうちの小6長男も、「信長超カッケー!」と、憧れています。ところが私は、そんな信長リスペクト息子がまるで、素行のよろしくない金髪の先輩に「ノブナガパイセン、マジ、パネエッス」と、憧れているような印象がして、一抹の不安感も覚えます。なぜなら信長は、大人になりその素晴らしい才覚を発揮するまでは、周りの大人たちから「尾張のうつけ者(=大バカ者)」と呼ばれる少年時代を送っていたからなのです。青年時代の信長の身なりや態度について、側近でもある太田牛一が詳細に書き記した『信長公記』によれば…その頃の信長の身なり・振るまいといえば、湯帷子を袖脱ぎにして着、半袴。火打袋やら何やらたくさん身につけて、髪は茶筅髷。それを紅色とか萌黄色とかの糸で巻き立てて結い、朱鞘の大刀を指していた。(中略)特に見苦しいこともあった。町中を歩きながら、人目もはばからず、栗や柿はいうまでもなく瓜までかじり食い、町中で立ったまま餅を食い、人に寄りかかり、いつも人の肩にぶらさがって歩いていた。その頃は世間一般に折り目正しいことが良いとされていた時代だったから、人々は信長を「大馬鹿者」としか言わなかった。「現代語訳信長公記」太田牛一・著、中川太古・訳(KADOKAWA)p43より…とあります。半裸のようなラフな格好、派手で奇抜な髪型と飾り物、人目もはばからず食べ歩き。うーん、この「やっちまった」感を現代風に例えれば、髪を赤と黄緑のメッシュに染めて、シャツの前をはだけたニッカポッカスタイルで、コンビニの前でダラダラと友だちとタムロし、ケータイストラップをジャラジャラさせながら、唐揚げでも立ち食いしてそうなカンジでしょうか。大人たちが眉をひそめるのも、私も一母親として、気持ちが分からないでもありません(笑)。他にもこの頃の信長は、不真面目な態度や、冠婚葬祭で場をわきまえない非常識な行動をしていたので、周りの大人たちの目にはさぞ「うつけ者」に映ったのでしょうね。でも、逆に言えば、こんな信長が、なぜ「うつけ者」を卒業し、一国一城の主として家族や家臣たちを守りながら、やがては天下人になるほどのの大人になれたのか気になりませんか?同じように、昔は少々やんちゃが過ぎて、周りの大人たちから怒られてばかりだったのに、急に「あの子、なんだか最近しっかりしたわよね」な〜んて言われるようになった子が、誰もで身近に1人や2人、思い当たるのではないでしょうか。自由奔放で少々我の強い少年の心を、類い稀なるリーダーシップのある大人へと成長させた理由。そのヒントは少年時代の信長の「あそび」に、ぎゅっと詰まっているように私は感じられます。心と身体を成長させる、信長の「あそび」出典 : 青年信長の日々の過ごし方について、前出の「信長公記」によれば…信長は十六・十七・十八の頃までは特にこれといった遊びにふけることもなく、馬術を朝夕に稽古し、また、三月から九月までは川で水練をした。泳ぎは達者であった。(中略)市川大介を召し寄せて弓の稽古、橋本一巴を師匠として鉄砲の稽古、平田三位を絶えず召し寄せて兵法の稽古、それに鷹狩りなど。「現代語訳信長公記」太田牛一・著、中川太古・訳(KADOKAWA)p42-43より…と、毎日馬に乗り、水泳をし、武芸の訓練や鷹狩りをしていたようです。大変健康的ですね。でも、これは当時、上流階級の武士の子たちは、上品に蹴鞠(けまり)などをたしなむのが良しとされていた風潮の中、口うるさい大人たちの目には少々自分勝手で奔放に思えたのかもしれません。ですが、私には、信長は自分の心身の成長にとって必要なことを、本能的に熟知していたように思えてなりません。もちろん、生死をかけた戦いが続く戦国時代の最中、優雅なお作法や社交的なたしなみよりも、武芸や乗馬の訓練のほうが、より実践的で役に立つことは言うまでもありません。ですがそれ以上に、この信長の「あそび」は、彼を心身共に成長させることに一役買っていたように見受けられます。Upload By 楽々かあさん実は信長が好んだ、乗馬や水泳は、バランス感覚と体幹を鍛える全身運動として有効だと言われています。バランス感覚と体幹が整うことで、身体の使い方が全般的に上手になり、自分のイメージ通りに身体を動かせるようにすることを助けてくれます。これは一見当たり前のことのように思えますが、体幹が未発達だと、指先の微妙な動きまで、ピタリと想いどおりにコントロールすることは、意外と難しいのです。そして、自分の思い通りに身体が動かないと、ちょっとしたミスや失敗が多くなり、些細なことでイライラしがちになるかもしれません。ですから、身体の中心軸がしっかり整うことで、ストレスが減り、気持ちも安定しやすくなるようです。また、少々血の気の多い若者同士が「肩が触れた、触れなかった」でケンカになる、ありがちなシチュエーションも、自分の身体の車幅感覚である「ボディ・イメージ」がお互いに未発達なために勃発しているのかもしれません。それを考えれば、武芸の訓練などは、自分のリーチできる範囲を知り、身体感覚を養うことで、心身共に相手との程よい距離感を掴むことができ、不要な衝突が減らしていくことに役立つでしょう。現代の一般のご家庭では、馬術や武芸の訓練は気軽にできないため、例えば、バランスボールを椅子替わりに使ったり、アスレチックや遊園地などのレジャーや、木登りやトンネルあそびなどを、生活の中で意識してみるといいと思います。お年頃の若者が衝動的に、馬の替わりにバイクを乗り回したくなるのも、ある程度、成長のためには理に叶った行動なのかもしれません。もちろん、スイミングなどの習い事に通ったり、運動部で爽やかな青春の汗を流すのも、健全でいいと思います!Upload By 楽々かあさんまた、信長が大好きだった、解き放った鷹に獲物を狩らせる「鷹狩り」や、的を狙って撃つ弓矢や鉄砲の訓練も、自然と動体視力などの目の動きが鍛えられ、集中力を養うのに最適と言えるかもしれません。実は、「話してみれば利発さを感じるのに、学校の成績はイマイチ」という子の中には、特定の目の動きや手の動きに苦手さがある場合があります。これが理由で、読み書きに負担がかかっていて、充分に実力を発揮できていないのかもしれません。そんな子でも、不規則な動きをする獲物を目で追ったり、弓矢や鉄砲で動く的を狙ったりすることは、目力を鍛え、読む力を向上させるので、信長のように書物などで勉強することが好きになるかもしれません。ご家庭で、手頃な鷹が入手しづらい場合は、大自然の中で魚採りや昆虫採集、生き物観察などに興じてみるといいかもしれません。また、現在日本では、銃の所持は法律に違反しますので、バッティングセンターや、ダーツ、ボウリングなどの手軽なレジャー施設 や、あるいは、親子で会話しながらキャッチボールなど、平和なあそびが多数あります。弓道部やアーチェリー部なんかもオススメですよ。Upload By 楽々かあさんまた、信長は、槍や火縄銃を研究し改良を加えるために、試行錯誤しながら分解・組み立てを繰り返したり、日頃から武器の手入れをしていたと思われます。そうして指先の細かな動きが育ったことも、書く力の向上に役立っていたように思います。火縄銃の改造は良い子にはオススメできませんが、機械の分解や、プラモデル、手芸や工作など、お子さんの興味関心に合ったものがあれば、楽しみながら手の動きを育み、学習の土台を作ることができます。膨大な知識と経験を基にした、信長の独創的なアイデアや、難しい戦局でのキレッキレの采配ぶりも、こんな学習の地道な下地作りがあってこそのように思います。「好きこそものの上手なれ」と言いますが、好奇心の強い信長だからこそ、地道な訓練や研究のための作業も飽きずに続けられたのかもしれませんね。Upload By 楽々かあさん実は、信長のようにラフな服装を好み、大人から見ると「だらしがない」「落ち着きがない」なんて思われがちな子は、肌(触覚)に過敏さなどがあって、集中力の妨げになっている可能性もあります。肌が敏感だと、学校の椅子の固さや服のチクチクが気になって、モゾモゾ・ソワソワしてしまうようですし、ピッタリとして締め付け感のあるキチンとした服などは、嫌がる傾向が強いようです。信長の半裸ファッションも、お肌の敏感さの表れなのかも…なんて私には思えます。でも、信長の場合、あそびの中で、馬や鷹、野生動物などと野山を駆け回り、いろんなものを、実際に見て・触れて・確かめることで、肌の過敏性がなだめられていき、ほどほどに落ち着いていったのかもしれません。肌に敏感さがあるお子さんは、馬や鷹、犬や猫、ハムスターやカブトムシなどのペットのお世話を任せてみるのもいいですし、ふれあい牧場に出かけてみたり、日頃から、ちょっとした親子のスキンシップを多目にとる、などを気長に心がけてみると、落ち着きやすくなるのではないでしょうか。ついにあの信長が「うつけ者」を卒業した!出典 : そして、後に結婚した信長は、妻・濃姫のコワモテのパパ、斎藤道三との会見の際、それまでとは打って変わって…宿舎の寺に着いたところで、屏風を引きまわし、生まれて初めて髪を折り曲げに結い、いつ染めておいたか知る人もない褐色の長袴をはき、これも人に知らせず拵えておいた小刀を差した。この身支度を家中の人々は見て、「さては、近頃の阿呆ぶりは、わざと装っていたのだな」と肝をつぶし、誰もがしだいに事情を了解した。「現代語訳信長公記」太田牛一・著、中川太古・訳(KADOKAWA)p54より…と、突然キチンとした正装で現れて、周囲をあっと驚かせました。そりゃあ、コンビニ前でタムロしてたお兄ちゃんが、いきなりパリッとしたスーツにネクタイ姿で現れたら、周りは「してやられた!」と思いますよね。見た目の印象大事!自分の快適さよりも、優先すべきことがあるのを自覚し、実行できた瞬間なのではないでしょうか。信長、無事「うつけ者」卒業です!他にも、「卒業」の理由として、美談として有名な、幼少より信長の子守りをしてきた爺、平手政秀の諫死(かんし)エピソード(自刃の理由には諸説あります)や、織田家の家督を継いだことなどで、社会的な責任と役割を与えられたことなども考えられます。が、大人になっても変わらないところは変わらない、という部分もあったようです。大人たちは、子どもが毎日あそんでばかりいると、つい「ちゃんと勉強しなさい!」って小言が出てしまいがちですが、一見無駄なように見える子どものあそびの中にこそ、心と身体を成長させる大事な栄養が沢山詰まっているように、私には思えるのです。ちょっとした寄り道や道草程度なら大目に見て、気長に見守ってあげることも、周りの大人たちには必要なことなのかもしれませんね。「現代語訳 信長公記」太田 牛一・著、中川 太古・訳(中経出版)「戦国人物伝 織田信長 (コミック版日本の歴史) 」すぎた とおる/早川 大介・著、加来 耕三・監修(ポプラ社)「発達障害の子の感覚遊び・運動遊び 感覚統合をいかし、適応力を育てよう1 」木村順・監修(講談社)「織田信長は意外と優しい!?【入門】桶狭間から本能寺までの49年を最新解説!」BUSHOO!JAPAN(武将ジャパン)
2017年08月18日テストの点や成績が悪くても、「勉強ができない子」なんかじゃない小さな頃は、学ぶことが大好きだった長男。1日中飽きもせず、数字のマグネットを眺めて、並べて、会話して、数の法則を発見して、まさに「数字が友だち」状態でした。イタズラっ子で好奇心も強く、大好きな「機関車トーマス」、「マーク」や「宇宙」の図鑑はボロボロになり、内容を全部覚えてしまいました。当時の長男は、幼稚園では毎朝登園しぶりをするし、お友だちとはうまくいかないことが多かったけれど、私は「この子は、学ぶことがこんなに大好きなんだから、小学校に行ったらきっと勉強で自信をつけてあげられるハズ」と思っていました。Upload By 楽々かあさんところが、そこで待っていた現実はまったく逆。長男の学校の成績は、学年を追うごとに下がっていきました。宿題の漢字書き取りは泣いて嫌がるし、ノートもロクに取らない。得意なハズの算数だって、九九も覚えられないし、筆算もミスばかり…あんなに勉強が好きだったのに、なんで!?どうして!?私は長男の白紙回答のテストにも、「がんばりましょう」ばかりの成績表にも、なんだか納得できませんでした。だって、話してみれば、興味を持ったことには博学で、一つのことをじっくり考え、ユニークな独自の発想ができる長男。私は、彼を「勉強のできない子」だとは、到底思えなかったのです。そんな中、長男には当時の基準で「アスペルガー症候群」の診断がつき、発達障害があることが分かりました。そして私は、発達障害について知るうちに、長男はADHDとLDの特徴も併せ持っていることにも、気づいていったのです。そう。長男のテストの点や成績の悪さは、LD(学習障害/学習症)の部分に、原因と理由があったのです。学校の成績が悪いのは、彼の努力不足のせいなどではなかったのです。そんな長男や、同時代を生きる、同じようなお子さん達の姿を前に、私が切に願うことを、楽々かあさんこと、大場美鈴がお伝えします。そもそも「LD」って…?そもそも、「LD」って何でしょうか…?学習障害とは、全般的な知的発達に遅れがないものの、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算・推論する」能力のうちいずれかまたは複数のものの習得・使用に著しい困難を示す発達障害のことです。英語ではLearning Disabilityと呼ばれ、LDと略されることも多いです。 By 楽々かあさん実は「LD」の特徴は、身近で誰にでも起こりうる発達の偏りでもあり、「障害」として診断される程ではなくても、LD的な「部分」がある人は、結構な割合でいるようです。例えば、方向音痴で地図を読むのがなんとなく苦手、人の顔と名前を覚えるのだけは割と時間がかかってしまう、なんていう「局所的な苦手さ」は、思い当たることがある方も多いのではないでしょうか(私もです!)。LDのある子・方は、そんな「局所的な苦手さ」が、たまたま勉強に必要な、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算する」「推論する」という分野にあり、スムーズな学習への障害物になっている、ということだと私は理解しています。そして、LDのうち、特に「読み・書き・計算」に困難さが強く表れている場合、それぞれ「ディスレクシア(読字障害)」「ディスグラフィア(書字障害)」「ディスカリキュア(算数障害)」と更に分類されます。長男の場合、「ディスグラフィア(書字障害)」の特徴があり、文字を書くことが全般的に苦手で、特に漢字は何回書いても覚えられませんでした。そのため、筆算で「繰り上がりの小さな字を書く」ことが負担だったり、また、「九九や公式の丸暗記」などに、局所的な苦手さがあるため、得意なハズの算数でも、充分に実力を発揮することができなかったようです。いくら成績表で「がんばりましょう」と言われても、本人の「努力では乗り越えられない壁」があったのです。参考書籍「怠けてなんかない!ディスレクシア~読む書く記憶するのが困難なLDの子どもたち」 品川 裕香 (著)「その子に合った学び方」ならできる!Upload By 楽々かあさんでも、局所的な「できないこと・苦手なこと」の説明だけでは、LDのある子の本当の姿を語り尽くすことはできません。なぜなら、LDがある子は、苦手な部分の発達の凹がある反面、得意な部分の発達の凸だって、同時に育っていることも多いからです。私は、長男の場合、「漢字をひたすら書いて覚える」「九九を丸暗記する」ための脳の部分にゆくハズの栄養が、み〜んな別のところがぐんぐん育つために使われてしまっているのだ、と思っています。例えば、長男は四年生の時、47都道府県を漢字で答えるテストは、ほぼ白紙回答でお手上げでしたが、実は「地図パズル」などの立体的な形でなら、目隠しをしても、全ての都道府県名を触って当てられる、という特技があります。知能検査では「視空間認知」という分野などに強さが見られる長男は、立体を使い、手で触って確かめるという方法なら、俄然分かりやすいのです。それから、ラーメンを作った時に「かあちゃん、見て!秋田県!!」と、焼きのりで秋田県の形を、何も見ずに正確に表現して見せてくれたこともあります。こんな長男の学習面の長所は、テストの回答用紙がのりで配布される日がやって来ない限り、学校で陽の目を見ることはないでしょう。でも、現在は通常学級で学んでいる長男は、家での工夫・サポート・療育あそびを気長に続け、学校と連携して支援や合理的配慮をお願いしてきたことと、本人の自然な成長もあって、ほどほどに黒板を写して、ノートが取れるようになりました。(ただし、「ノート書くのをがんばってると、先生の話が半分くらいしか分からない」とも言い、iPadで予習しています)ケタの多い筆算も、自分なりに工夫してできるようになりました。Upload By 楽々かあさんそして最近は、学校の教科書は一旦脇に置いて、視覚的・体感的な学び方の工夫をしたり、彼の興味関心や理解度、集中力に合わせるなど「長男の学び方に合わせる」ことで、再び小さな頃のように、キラキラした目で「勉強が楽しい!」というようになりました。LDのある子は、決して「勉強ができない」のではありません。「その子に合った学び方」なら、できるのです。たまたま、35-40人が1クラスで一斉一律に行われる、日本の小学校で伝統的な読み・書き・計算中心の授業スタイルが、その子が得意な学び方とは「違う」というだけのことなのです。そしてLDのある子が、無理をして自ら日本の集団教育のスタイルに合わせようとした結果、心身に大きな負担がかかってしまうように思えます。そんな中で、LDのある子が通常級の授業や、テストや受験の際に、タブレットやパソコンの持ち込み、代読や代筆、別室受験や、試験時間の延長などの「合理的配慮」をお願いすることを「ズルイ」「不公平」だというのは、私は、視力の弱い人にメガネを使わないように求めるのと同じだと思うのです。参考:楽々かあさんメルマガ「書字まとめ あの長男が、黒板を写し始めました。」参考書籍「算数の天才なのに計算ができない男の子のはなし 算数障害を知ってますか?」バーバラ エシャム (著)、品川 裕香 (翻訳)くもんの日本地図パズル苦手なことができるようになっても…出典 : そして…LDに気づかれずにいる子も多い中で、親と学校の理解やサポートを得られてきた長男は幸運だと思いますが、それでも決して、これで「メデタシ、メデタシ」ではなかったのです。長男は今、彼にとっては「字を書くことへの困難さの壁」よりも更に大きな、過去最大の「壁」にぶつかっています。それは「勉強ができなかった自分」の壁です。折角勉強をやる気になった彼が、黙々と問題を解いていた手が急に止まり、突然怒り出したり、ネガティブな連想ゲームが止まらなくなったりして、勉強を中断してしまうことがあります。ずっと、学校の成績が悪くて「勉強のできない子」という印象のまま、小学校5年間を過ごしてきた長男。長男は、空気が読めない体質だし、人の話もあんまり聞いてないので、私は、周りから何か勉強や成績のことで言われても、気にしないほうなのだろうと思っていました。ところが、そうではなかったんです。周りからの何気ない言葉や表情の意味を、その時点ではすぐに気づかなかっただけで、ずっと何かが彼の心に引っかかったまま記憶の片隅に保存されて、皮肉なことに、学習面の力が向上してきたことで、ある日突然分かってしまうことが出てきたようなのです。私が知る限り、長男の周りには、優しい子、温かい先生が多かったと信じています。それでも、小学校5年間の中で定着してしまった「勉強のできない子」という自分のイメージが、今の彼の足かせとなっているのです。そして、「自分に合った方法なら、できる」ことに気づいた長男は、今までの自分自身にも憤り、一つの小さなミスから、過去のミスや失敗の体験のイメージが、次々と芋づる式に思い出されて、何度もその時のイヤな気持ち、悔しい気持ちを味わい直してしまうのです。過去の自分に、負けないで欲しい。時間をかけて大事に育ててきた「学びたい」きもちの芽が、つぶれないで欲しい。そう祈るように願っています。しかし、同時に私は、「家での勉強は楽しい。効率がいい」という長男に、「それでもみんなと同じ学校で、同じように勉強したほうがいい」という、前向きで合理的な理由を、なかなか見つけられずにいます。世界に目を向けてみれば…出典 : 一方、世界に目を向けてみれば…個性を尊重する風土のあるアメリカでは、習熟度別クラス編成や飛び級制度、約200万人の子ども達が学ぶギフテッド・2E(著しい能力の凸凹がある、二重に例外的なタイプの子)教育も含めた特別支援教育プログラムなどがあり、強い個性も「社会的資源」と捉え、大事にされる受け皿があります。LDに対する理解が深いイギリスでは、「SEN(Special Educational Needs=特別な教育的必要性 )」のある生徒に対して、通常の教室の中で学習アシスタントの方の配置などがあり、個別の教育計画(IEP)を元に、一人ひとりのニーズに合わせた学び方で学んでゆけるバックアップ体制が整っているのだそうです。また、特別支援教育に限らず、教育先進国と言われるフィンランドでは、1クラス20人以下の少人数のクラス編成、勉強の苦手な子への補修制度、小学校から大学までの学費無料など、得手不得手や親の経済力などで学力の差が出ない「平等」な手厚い教育で、成果を上げているようです。教育移住先として人気で、「イエナプラン教育」に代表されるオランダなどでは、多国籍な環境の中、ダイバーシティ(多様性)を認め、学校や学習内容に選択肢が多く、学区や学年や教科書の枠に縛られない、自由度の高い教育を行っています。また、ホームエデュケーション/ホームスクーリングの考え方が普及していて、学校に通学せず家庭を拠点とした学習を行っていくことが、公的に認められている国・地域も多くあります。参考書籍「ギフテッド 天才の育て方 (ヒューマンケアブックス)」 杉山登志郎・岡南・小倉正義 (著)マガジン「学力世界一の国"フィンランド"と日本の教育方法の違い」不登校新聞「オランダの教育を知る」参考書籍「子どもは家庭でじゅうぶん育つ―不登校、ホームエデュケーションと出会う」東京シューレ (著, 編集)宝石を捨てないで。30年の過去と未来Upload By 楽々かあさんこういった状況の中、今の日本の子ども達は、30年前、私が小学生だった頃と同じように、大人数の教室で、一斉に前を向いて座り、教科書の順に添って一律に進められる、読み・書き・計算中心の授業を受け、宿題は相変わらず、音読・漢字書き取り・計算ドリルをしています。もちろん、この方法の全てが悪い訳ではなく、日本の子ども達は平均的に学力が高く、伝統的な教育方法が「合っている」子も、数多くいるのだと思います。でも、それが「合わない子」だって、もはや「例外的」とは言えない程、一定の割合の人数、通常の教室にいるのです。私は、うちの小学校の先生方が、毎日夜遅くまで残業しながら頑張っているのを知っているので、親と現場の先生方の努力だけでは「これ以上」に期待できることには限りがあるように思えます。そして、一律に「みんなと同じように」が強く求められる中では、LDがある子に限らず、個性が強く、人と違った発想ができる子、特定の分野に高い好奇心・探究心が持てる子、自己主張でき行動力がある子ほど、つらい想いをしがちなのではないでしょうか。以前より、欧米に比べ「30年遅れている」とも言われて来た日本の特別支援教育。現在「発達障害」などの言葉が広まり、LDのある子を巡る状況は少しずつ良い方向へ進んでいます。また、新しい学習指導要領の普及・実践で期待できる部分も大きいとは思ってはいますが、「もしも」こういった子達への教育の受け皿が整うまで、あと30年もかかるのだとしたら…。長男は今の私と同じ年齢になっているのです。その時の彼は、どんな人生を送ってきているのでしょう。本当に学びたいことを、専門の教育機関で学べるチャンスはあったでしょうか。進学や就職活動で、苦手さや成績表や学歴が、足かせになってはこなかったでしょうか。温かい日差しの当たる場所で、毎日を楽しんで過ごしているでしょうか。私は、モノを大事にする文化のあるこの国で、今を生きるLDのある子を始めとする、個性の強い子ども達に、折角の長所を「活かす・伸ばす」支援教育や、ひとりひとりのニーズに合わせ、多様な学び方を受け容れる公的な受け皿が整っていないことは、宝石を捨てるように、モッタイナイことだと思うのです。そして、子ども達は、日々成長し続けてゆくのを、大人の都合で待ってはくれません。今スグ誰もができるLD対応…それは「できる子」として接すること出典 : それでも、特別な資格も、誰の許可も要らない、今スグ、誰もができる「LD対応」があります。どうか、LDのある子を、「勉強のできない子」だなんて、決めつけないで下さい。その子に合った学び方なら、「できる子」なのだと、心から信じてあげて下さい。見かけ上のテストや成績表では表現しきれない、旺盛な好奇心や探究心、そして「学びたい」気持ちを誰よりも持っているのです。だから、どうか、お願いです。LDのある子には、例えテストが何点でも、今から、「できる子」として接してあげて下さい。記事中のイラストの一部は「楽々かあさん公式HP」より、無料ダウンロードできます。
2017年07月21日実は私、「選択性のかんもく」のある子でした。出典 : 今でこそ、凸凹3兄妹の子育てをしながら、「楽々かあさん」として支援・執筆活動を続け、学校の先生方と連携し、ママ友さんやご近所づきあいも無難になんとかこなせている「大人の凸凹さん」の私。でも、実は、小学生の頃は「選択性のかんもく」のある子でした。「選択性のかんもく」(場面緘黙症)では、家などで慣れた人とは話せるけど、それ以外の場所・人ではだんまりになる…などの特徴が現れます。(※「選択性のかんもく」表記について:現在日本では、本人の意思に関わらず、話すことに困難さがあることから「場面緘黙症」という呼称が一般的なようですが、この漢字表記は、視覚にやや過敏性のある筆者が、若干の圧迫感を覚えますため、このコラムでは「選択性のかんもく」という表現を使用させて頂きます。)選択性のかんもくになる原因や、発達障害との関連性は明確ではないようですが、私自身のことを振り返ってみれば、元々の体質的な凸凹などから不安感が強く、いろいろと空気を読み過ぎていたように思います(あくまで私自身の自己分析であり、選択性のかんもくになる理由はさまざまだと思います。)そんな私から、人と話すことが苦手なお子さん・大人の方、そしてお子さんを心配されながらも子育てしている母さん・お父さんに今、伝えたいことがあります。休み時間の過ごし方が分からなかった出典 : 私は、小さな頃から感覚が敏感な体質で、小学3年生の頃まで「選択性のかんもく」がありました。私の場合、軽く頷いたり、「うん」とか「はい」程度は言えたので、ある程度の意思疎通はでき、「内向的で大人しい子」といった印象だったように思います。そのため当時は「発達障害」や「場面緘黙症」などの言葉を、周囲の大人は知る由もありませんでした。でも、首を横に振るなど「ノー」という意思表示は苦手だったように記憶しています。そして、不思議と学校の授業中は発言できていたので、さほど問題にはされませんでしたが、その実、私はとっても困っていました。授業中は、「1+1は…?」と聞かれれば、答えは「2」と決まっています。「教科書の◯ページを読んで」と言われれば、そこを書いてある通りに読めばいいだけです。ところが、休み時間や、給食、登下校などの「お友達と自由に話していい時間」には、一体何を話したらいいのか、何をして過ごせばいいのか、さっぱり分かりませんでした。そこには「正解」がなかったからです。更に、こだわりも強かったので「こうしなければならない」という自分ルールがたくさんあり、自由に身動きできなくなっていました。だから、当時の私は、授業中よりも休み時間のほうが緊張して過ごしていました。今思うと、凸凹傾向で感覚が敏感だった私にとって「休み時間」=「予測のつかない時間」で、とても不安だったように思います。教室はざわざわとして情報量が多く、予測不能に自由に動き回る男子達にも、宇宙語のような言語を操る女子達にも、私の情報処理は全く追いつかなかったのです。当時の私には、学校の休み時間は混沌として、居場所のない空間でした。そして、どうしたらいいのか分からずにだんまりを決め込んで、自由帳に黙々と絵を描き続け自分を守っていました。お絵かきの中だけは自由に過ごせる居場所があったんです。Upload By 楽々かあさん今でこそ、いろんなアイデアが出て来る私ですが、当時は、クラスの寄せ書きの大半に「生真面目」と書かれるくらい真面目過ぎる子で、決められたルールや規則に従って動くことはできても、柔軟に、臨機応変に動くのは苦手だったんですね。大人になってからも、話すことは苦手。自分自身を療育した私そんな私も、小3の時の約1ヶ月間の不登校と、担任の先生のある言葉をきっかけに、少しずつクラスの子達とも話せるようになっていったのです。それでも、複数の人前で話すことや、雑談には苦手意識があるまま大人になりました。以前は、公園のママ友さん達の井戸端会議の輪の中では情報量が多過ぎて、一体誰を見て、どのタイミングで話せばいいのか分からなくて、帰宅後どっと疲れてしまったり、悶々と一人反省会をして眠れない、なんてこともありました。娘にも「ママ、いつもおばあちゃん達とお話するばっかじゃなくて、お母さんのお友達も作ったら?」と促される始末(笑)出典 : でも、うちの子達にソーシャルスキルやセルフコントロールを教えるために学んだことを、私自身が目の前で実践し、お手本を見せていく必要に迫られたのです。子どもに一つひとつ、人づき合いの仕方を教えていくのと同時進行で、私はアラフォーになってから独学で自分自身を療育し、苦手さと上手につき合えるようになりました。(療育は、何才からでも遅過ぎるということはありません!)うちの子と同じように、人づき合いを「自然と学ぶ」ができて来なかった私。だから、社交的な方なら自然と当たり前にできることも、ひとつひとつ、自分自身に再度プログラミングするように、それまでのこだわりや思い込みを書き換えていきました。そして、感じてはいけない感情などない、ということも発見しました。その結果、今では人づき合いで大きく困るということもなく、自分にちょうど良い距離感を掴み、ほどほどに人間関係に無理しない線引きができるようになって、なんとかお母さん同士の雑談も、たまには楽しめるようになりました。そして、そんな子ども時代を過ごした私が、前著の出版を機に、お母さん達の前で講師としてお話する機会を、ほんの少しだけ頂くこともできたのです。この機会を通じて「自分は意外と話すことが好きだったんだ」と、生まれて初めて知りました。そんな私から、今「人と話すのが苦手」だと感じているお子さん・大人の方に向けて書いたメッセージを、お伝えします(以下、著書より引用して公開)。今、人と話すのが苦手なあなたへーそして、小学生の頃の私へーUpload By 楽々かあさん”人と話すのが苦手なあなたは、きっととても心優しい子・方なのでしょうね。もしかしたら、誰も傷つけないように、一生懸命言葉を選び、相手の期待する「正解」を探して、言葉が出てくるまでに、すごく時間がかかったり、ましてや、グループの会話だと、誰に返したらいいのかも分からないし、せっかく「正解」らしきものを思いついても、その間にお話はどんどん進んで、今頃言ったら雰囲気が壊れるかも……なんて、結局言葉を飲み込んでいるのかもしれませんね。でもね。実は、他の人は「正解」を知りたいのではないんです。あなたに話しかけてくる人は、自分の話を最後まで聴いて欲しいだけか、あなたの素敵な声が、ほんのちょっと聞きたいだけか、あなたに興味があって、自分との違いを知りたいだけなんです。でも、自分の心がよく分からないうちは、無理に話さなくても大丈夫です。優しいあなたは、誰よりもまず、自分の心の声をよく聴いてあげて下さいね。よく知らない子・人と、そんなにお話できなくてもいいから、今は、自分の心と仲良くなって、できるだけホンネで話せれば、それで充分です。そして、もし、自分の心の声がはっきりと聴こえてきたら、自然と、だれかにそれを伝えたくなるかもしれません。もしかしたら、人を気遣って思いやり、相手に合わせてあげられる……そんな優しいあなたを必要としている人が、いつか、どこかで、待っているのかもしれませんね。人と話すのが苦手だった、私より。”出典「発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法」p.146よりおわりに出典 : 今、「選択性のかんもく」のあるお子さんや、人と話すのが苦手だと感じている子・方、そんなお子さんを見守っているお母さん・お父さんは、話すことに対する不安やプレッシャーを強く感じられているかもしれません。私もそうでした。だから、「私が大丈夫になったんだから、お子さんも大丈夫」なんて、私には言えません。お子さんにはお子さんのペースがあるし、背景となる理由も人それぞれですものね。でも…かつてそんな子だった私も、無事大人になり、この通り、なんとか元気でやっているということ、頭の片隅で覚えていて下さると嬉しいです。Upload By 楽々かあさん大場美鈴/著『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法』2017年/刊/ポプラ社
2017年06月19日うちの子が、またやらかした…!出典 : 幼稚園時代は、3年間登園しぶりを貫き通した長男。先輩ママ達は、口を揃えて「小学校に入ったらラクになるわよ〜」って、毎日お疲れ気味の私に希望を持たせようとしてくれました。ところが!入学した小学校にも慣れ、日に日に暑くなり始めたこの時期、私はパニックになりそうでした。私を待っていたのは、毎朝ランドセルを忘れる長男を、ジャージ姿にサンダルのまま走って追いかけ、さらに放課後は学校に忘れ物をとりに行く日々・・・あれあれ?こんなハズではなかった。なんだか話がちがーう!でも、そんなうっかりさん・あわてんぼさんのお子さんも大丈夫!実は、学用品をカスタマイズして、その子に合わせて分かりやすく、使いやすく、気づきやすくできるんです。工夫次第で、忘れもの・落としものを減らして効率UP。ゴミ出しだって間に合うし、下の子の習い事も連れてけます。そんなうちの工夫を、今となっては楽しい思い出となった当時のエピソードと共に、楽々かあさんこと、大場美鈴がご紹介します。ランドセルの中身がからっぽ…出典 : うちは小学校からかなりの距離があります。重いランドセルと暑さで、大抵は家に着く頃にはぐったりしていてもおかしくありません。それは小学1年生にはなおのこと大変でしょう。ところが、他のお子さん達よりも大幅に早く帰宅し、涼しげな顔で元気よく「ただいま!」と家に飛び込んできた長男。・・・アヤシイ。「ランドセル、見せて!」案の定、中身はからっぽ!これでは宿題もできないし、明日の時間割も分かりません。仕方ないので、放課後の学校に忘れ物を取りに行き、職員室の担任の先生に一声かけると、「ああ、◯太郎くんのお母さん。ちょうど良かった」と言われ、イヤな予感と共に一緒に教室に入って頂くと・・・まあ、出るわ出るわ。長男が学校で脱ぎ捨てた、大量のくつ下、上着、そして肌着(どうりで、ないと思った…!)。それから、「一体いつのお茶?」という、不気味な水筒。机の中も、道具箱の中も、くっちゃくちゃのゴミだらけ!・・・んー、目を背けたくなる現実。でも、口で言われた事をすぐに忘れちゃう子や、周りをみながら動くのが苦手な子は、紙に書いて「見える」ようにしてあげるだけで、気がつきやすくなるかもしれません。Upload By 楽々かあさん画像出典:「発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母の毎日ラクラク笑顔になる108の子育て法」p7よりというワケで、ランドセルのフタの「あの位置」に入るように、イラストで「持ち帰りリスト」を作ってみました。「毎日」「金曜日」「雨の日」など、曜日やシーン別に分けて、持ち帰るタイミングを伝え、水筒も「もし忘れたらどうしたらいいか」という対処法も書き添えました。この場所なら、帰りの会の時には、必ず目に入ります。イラストでなくても、持ちものセットをそれぞれ写真に撮って、写真加工・フレームアプリでも同様にできると思います。これで、さすがに「からっぽ」ってコトは減り、今はこのリストがなくても大丈夫になりました。それから、朝、長男が手ぶらで登校しようとしている時には、玄関先でこんなクイズを出しています。「クイズです。学校に行く時に、必要なものは何でしょうか?」「給食セット、オンリー」「オトコの大事なトコを隠す、葉っぱ1枚」「(弟の)◯次郎さえいれば、おれは他に何もいらない」…などのボケが返って来ることも多々ありますが、この朝の親子コントの風景。もはやうちの習慣として定着しています。時間割を書いて来ないッ!期限切れでシワシワの申し込み用紙…出典 : 連絡帳に明日の時間割を書いて来ないことが多かった長男。一体明日の持ち物は何なのか、宿題は何か。毎日のように先生に電話で聞くのもなんだか申し訳ないし…。その上、ランドセルの底からは、シワシワになった、提出期限切れの何かの申し込み用紙なんかが発掘されるのです。…はあ〜(ため息)。でも、実は連絡帳を書かない子や提出物を出し忘れる子には、その子なりの理由があるかもしれません。長男の場合は、当時、漢字学習が原因で学校を休みたがる程、字を書くのが苦手で、黒板の書き写しがかなり負担のようでした。その上、周りを見ながら動くのも苦手なので、連絡帳を書いたり、提出物を出したりするタイミングもよく分かってなかったようです。これも、工夫次第で負担感を減らして、気づきやすくすることができます。Upload By 楽々かあさんまず、連絡帳のカスタマイズから。連絡帳は表紙に「タグ」をつけると、連絡事項や提出物があるのが分かりやすくなります。【作り方の例】1.クリップボードのついたノートカバーと、パスケース(100円ショップ)を購入し、カバーの表紙に強力両面テープでくっつける。2.パスケースに入る大きさのカードを、オレンジ(目立つ色)と白の2枚用意し、オレンジのカードに「連絡提出物あり!」と書き、白のカードと裏表に貼り合わせる。ラミネートでパウチできるとなおよし。3.カードの端に穴を開け、紐を通してパスケースと結ぶ(完成!)。これで、先生に何か連絡や提出物がある時には、カードをオレンジに裏返して入れておけば、気がつきやすくなります。また、連絡帳を出すタイミング、書くタイミング、出す場所がよく分からない場合は、担任の先生に「このクラスのルールを教えて下さい」と、聞いてしまうのが確実でいいと思います。周りを見ても分からなければ、聞いてしまえばいいんです。それを箇条書きにしたラベルシールなどを、連絡帳か連絡袋に貼っておきます。そしてもう一つ。明日の時間割には「専用フォーマット」を作りました。全教科と、定番の宿題と持ちものをリストUPし、適宜空欄を入れたものを、ワープロソフトで作って大量プリントし、先のカスタマイズした連絡帳カバーのクリップボードに挟んでおきます。Upload By 楽々かあさん画像出典:「発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母の毎日ラクラク笑顔になる108の子育て法」p7より参考アイデア:Facebookページ「楽々かあさんのアイデア支援ツールと楽々工夫note」読者投稿よりこれなら、マルつけや、簡単な記入だけで済むので、明日の時間割の書き写しの負担を減らせます。無事、明日の時間割を揃え終わったら、その紙を外して、一番上には常に新しい用紙がくるようにします。また、教科や定番の宿題はクラスによって違うので、学年が上がる度にフォーマットを更新します。字を書けるようになってきたら、徐々に自分で記入する部分を増やしてゆくといいと思います。うちの長男は、これでずいぶん翌日の時間割を書いてくるようになりました。ただ、それでも忘れてしまうこともあるので、その時には先生と相談して「時間割を書き忘れた時にはどうしたらいいか」のルールを決めてもらいました(うちの場合「教科書は時間割表どおり。宿題は音読と計算ドリル1ページを、とりあえずやればOK」など)。先生に電話する回数も減って、お互いにWIN-WINです。参観日に目撃!ガチャガチャと一人で忙しそうな我が子。出典 : ある参観日。私が目撃したのは、「教科書◯ページを開きましょう」「◯◯を一旦しまいましょう」など、先生の指示が出る度に、ガチャガチャバラバラと、鉛筆や消しゴムを落としまくって、一人で忙しそうな我が子の姿。消しゴムを拾っている間に、何ページを開くように言われたのか忘れてしまって、今どこをやっているのやら、分かりません。ページを探してひとつひとつ内容を見ながらめくっている間に、クラスのみんなは次のことを始めています。しまいには諦め、窓からお外の様子を眺めては、お空の雲の形がフシギだなあ…って、コース・アウト。うーん、かあちゃん気が遠くなりそう。あ、こっち見て手を振ってる…。「イエーイ」じゃな〜い!前見て、前!実は、同時にいろんなことをするのが苦手な子や、好奇心が強くてあれこれ目に入ると手元がうっかりしちゃう子、手先が不器用な子などは、一斉にどんどんまっすぐ進む、授業のスピードがしんどいこともあります。だから、授業中に迷子になっているようなもので、やる気がない、とか、サボっているワケじゃない場合も多いんです。うちの場合、とりあえず文具を落とすのは仕方ないとして、教科書をカスタマイズして、早めにコースに戻れる工夫をしました。Upload By 楽々かあさん画像出典:「発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母の毎日ラクラク笑顔になる108の子育て法」p9よりじゃーん!教科書に「インデックス」です!市販のインデックスシールを、教科書の単元とページを裏表で書き込んで、ちょっとずつズラして貼るだけで、ずいぶんと効率UPです。これなら、鉛筆3回ぐらい落とせる余裕ができますね(笑)とっても便利なので、長男は今でも愛用していて、毎年新学年の新しい教科書を頂いたらすぐ教科書にインデックスを貼っています。現在の6年生の社会の歴史などは、教科書にインデックスをつけると、そのまま時代の流れの全体像が分かり、学習理解にも役立ちます。シャイでみんなと違う目立つ事が苦手なタイプの子は、教科書のフチをマーカーペンで塗って、単元やページ数の目印をつけておくだけでもいいと思います(私も高校時代、英和辞典などにやっていました)。それから、ささやかな抵抗ですが、机からコロコロと逃げてゆく鉛筆は、市販の三角軸の鉛筆や、四角い鉛筆キャップなどを使うと、少しは転がり落ちる回数が減らせ、落ちても捕獲しやすくなるようです。脱走する消しゴムには、とにかく沢山スペアを用意する作戦。うちでは業務用の安価な「切れ端消しゴム」を大量ストック。消しゴム本体に名前を書いて、筆箱に常時2、3個は入れています。まとめ出典 : どうでしたか?実は、子どもの持っている元々の個性によっては、「周りを見て、自然と学ぶ」「失敗すれば、自分で気づく」が、難しい場合もあります。そんな、うっかりさん、あわてんぼさんは、いくら「気をつけて」「忘れないで」と念押ししても、「言葉は消えていっちゃう(長男・談)」のだそうです。ちょっとだけ、一手間かかりますが、モノを工夫してカスタマイズするだけで、気をつけやすく、忘れにくくなります。子どもも、親も、先生も、ラクになる方法は沢山あると思いますよ。Upload By 楽々かあさん大場美鈴/著『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法』2017年/刊/ポプラ社
2017年05月13日うちの子専門家・楽々かあさん、明日役に立つ!120のアイデアツールをまとめた子育て本を出版!発達ナビライターでもあり、Facebookやブログで子育て情報を発信し続けている楽々かあさん。2014年に公開された発達障害児への「声かけ変換表」の記事は、14万件以上シェアされ、大きな話題となりました。楽々かあさんは、発達に凸凹(でこぼこ)のある3人のお子さんのお母さんです。子育ての中で試行錯誤しながら「子育てを楽にするノウハウ」を次々と編み出してこられました。今、子育てに困っているお母さんに向けられたノウハウ本『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母の毎日ラクラク笑顔になる108の子育て法』が発売されてから1年。待望の第2弾の書籍『大場美鈴/著『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法』2017年/刊/ポプラ社』が出版されました。Upload By 田中千尋(発達ナビ編集部)大場美鈴/著『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法』2017年/刊/ポプラ社今回の書籍では、ちょっとした工夫で簡単にできるSSTや学校の先生とのやりとりのコツ、パニック・かんしゃくのときの対処法など、実践的で明日からすぐに役に立つ120ものアイデアを大公開。そんな新著の発売を記念して、発達ナビ編集部がアイデアツール発明家の楽々かあさんにインタビューを実施しました。楽々かあさんイチオシのアイデアツールから、3人の子どもの子育ての中でのご自身の変化、最近のお子さんの様子まで、たっぷりと語っていただきました。Upload By 田中千尋(発達ナビ編集部)楽々かあさん(大場美鈴)1975年生まれ。うちの子専門家(専業主婦)。美術系の大学を卒業後、出版社で医療雑誌の編集デザイナーとして勤務し退社。実父の介護経験を経て、結婚。3人の子宝に恵まれる。長男(小6)はASD+LD+ADHDで、通常学級から支援級に転籍。次男(小4)、長女(小1)はいくつか凸凹特徴のあるグレーゾーン。2013年より、Facebookなどで管理人「楽々かあさん」として、育児の傍ら、発達障害育児に役立つ支援ツールの制作と、日々の子育てのアイデアをシェア・情報発信する個人活動を開始。「声かけ変換表」がネット上で約14万シェアを獲得するなど拡散し話題となり、「AERA」「kodomoe」「東洋経済オンライン」「LITALICO発達ナビ」など、雑誌・ネットメディアに掲載多数。著書に『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母の毎日ラクラク笑顔になる108の子育て法』、『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法』2017年/刊/ポプラ社』(大場美鈴:著、汐見稔幸:監修)がある。※2017年5月1日現在つくった支援ツールは200以上!子どもたちが楽しみながら学んでいける、ひと工夫出典 : 編集部(以下、編):いつも発達ナビでコラムを書いていただきありがとうございます。そして、新著の発売おめでとうございます!楽々かあさん(以下、楽):ありがとうございます。どうぞ今日はよろしくお願いします。編:よろしくお願いします!楽々かあさんはこれまで数々のアイデアツールを発明されてきましたが、全部合わせるとどれくらいの数になるんですか?楽:正確には覚えていませんが、前回の書籍で108、新著で120の子育て方法を紹介したので、単純に足し算すると228ですね。でも、失敗も含めてボツになったものもあるので、それも含めるともっとあると思います。子どもが学校に置いてきちゃったりとか、すぐに飽きられたりとか、無駄になっちゃったものが多いんですけれどね。編:すごい数ですね。支援ツールを作り始めるきっかけは何だったのでしょうか。楽:きっかけというか…もともと手芸やおもちゃ作りは好きだったので、うちの子が赤ちゃんの頃から、ちょっとしたグッズはよく作っていたんです。例えば、お母さんが服を汚さずに赤ちゃんのお尻を洗うための布グッズとか。本格的な“支援ツール”と言えるものだと、「ポイント手帳」というのが一番最初の発明ですかね。子どものできたこと・がんばったことをノートに記して、ポイントをつけていって、ポイントが貯まったらお小遣いと交換できるというものです。Upload By 田中千尋(発達ナビ編集部)楽:この工夫は、子どもの発達障害に気づく前からなんとなくやっていたことなんですけど、やったことの成果やごほうびをわかりやすく「見える化」するというのは、実はうちの子に合ったやり方だったんだって、後で色々勉強してから知りました。支援の用語で言うと「視覚支援」ですね。私は美術系大学でデザインや造形を学んでいて、もともとお絵かきも好きだったので、ビジュアル化する支援方法というのは自分の得意分野にも合っていて、良かったですね。編:学生の頃にデザインを勉強されてきたことが今でも活きているのですね。楽:ええ、活かされています。長男は大きくなってきましたが、ポイント手帳は今も使っています。最近は物欲がなくなってきたみたいなんですけど、やっぱりあると安心するみたいですね。小さい頃は、「シールがいくつ貯まるとガチャガチャが一回できるよ」とか、物々交換制にしていましたが、小学校になってからはおこづかい制にしました。交換したお金をしばらく貯めてから欲しいゲームやフィギュアを買うとか、お金は自分で好きなように使わせています。編:ちなみに何ポイントでいくらなんですか。楽:以前は固定相場制でしたが、現在レートは変動相場制で調節しながらやっています。だいたい、その子の年齢に相応しい金額に収まるように設定していますが、「ちょっと稼いできたな」という時には微妙に調整したりしてます(笑)編:なるほど、変動相場制(笑)お子さんにとっては、ただやらされているという義務感ではなく、わくわく感をもって課題に取り組めそうで、いいですね。楽:そうですね。なにより頑張ったのが「見える」のがいいのだと思います。編:たくさんのツールを作成する中で、何か生活で変化したことはありましたか?楽:最初のうちは私が全部作ってあげていたけど、最近は本人たちと相談しながら作る物も増えてきたんですよ。本人に「こういうときにはどうしたらいいのかな」って考えてもらって、自分で支援ツールのアイデアを書いてもらうとか。作り方を少しずつ直伝している感じです。編:驚きました!自分で作ることができるようになってくるのですか。楽:最初の頃から、お手本というか、目の前で失敗も含めて見せてきたので。「あの頃はお母さんがこういうのを作ってたよね。この問題を解決するためにはどうしたらいい?」なんて言って、過去の例を出しながら自分で考えてもらっています。割と好きみたいですね、自分で考えるの。だから、ちょっとずつ自分で出来るように機会をつくっていってます。最近は逆に子どもたちが私を支援してくれることもあるんですよ。長女はこないだ卒園したばかりですが、とてもしっかり者で、私が幼稚園の支度で細々としたものをすぐ忘れるので、それを絵を描いてリスト化してくれたりとかして(笑)Upload By 田中千尋(発達ナビ編集部)編:長女さん、とてもたのもしいですね。お母さんがお子さんを支援するだけでなくて、お子さんもお母さんのことを支援してくれる、親子で互いにサポートしあっている姿が素敵だと感じます。これから成長してゆくのが楽しみですね。空気が読めなくたっていいじゃない。思春期を乗り切る「TPOリスト」編:数ある支援ツールの中でこれぞ一番の自信作!っていうものは?楽:最近のヒットはTPOリストですね。Upload By 田中千尋(発達ナビ編集部)楽:長男は空気が読めない子なんです。空気が読めないことも息子の長所の一つだと、私は思っているんですけどね。でも本人としては、言っちゃいけない悪口は何かとか、ある行動をしていいときと悪いときの区別がつけられないとか、困ることも多いみたいで。だから、場面に応じてどんな振る舞いをして良いか悪いかを、プログラミングのような要領でリスト化したんです。作る過程でも、「どんな言葉で聞けばいいと思う?」って本人と一緒に確認しながら進めていきました。編:私も空気読めないので、欲しいです(笑)このカードはずっと増え続けていくんですね。楽:長男は今年、6年生になったのですが、思春期に近づいてくるとより重宝するんじゃないかな。中学生くらいになると、空気の読み合いみたいになってコミュニケーションのハードルが高くなる時期ですから。でも、人の都合を事前に確認するとか、イラっとした時にはどうやってスルーするかとか、処世術みたいなものなので。空気が読めなくたって、条件別に言葉で知っておいて実行できれば、それで十分だと思っています。医療や教育の専門家はたくさんいるけど、「うちの子専門家」はあなただけUpload By 田中千尋(発達ナビ編集部)編:お子さんに合った支援ツールをたくさん発明してきた楽々かあさんですが、プロフィールに「うちの子専門家」と名乗られるのは、そうした経験があってのことなんですか?楽:あの肩書きは、自分の経験というだけでなく、育児に対する私の考えや願いも込められている肩書きなんです。一般の仕事の場合、どんな仕事でも10年やればプロの域になるかと思います。それと同じで、“お母さん業”も我が子のことに膨大な時間を費やしてるのだから、ある種のプロだと思うんです。だから、お母さんは「うちの子専門家」。特に、発達障害傾向のあるお子さんだと、それだけたくさん手も時間もかかるので、毎日お子さんのことにエネルギーも体力も時間もお金も使って子育てしていると思うので。もちろん私も、専門家の先生たちのことはすごく頼りにしています。だけど、お医者さんは体の専門家だし、カウンセラーさんは心の専門家だし、学校の先生は教育の専門家であって、ご自分の専門外のことも含めた、その子のすべてを見ることはできないんですよね。お母さんは、我が子が生まれてから今日までの間ずっと、発達の凸凹に限らないその子の全部を見てきたので、その子の真の専門家だと思うんですね。今、親と学校の連携という言葉がよく聞かれますが、学校の先生がお母さんのことを「その子の専門家」として見てくれれば、そしてお母さん業が専業でも兼業でも「プロ」としてもっと認められれば、学校連携もうまくいくんじゃないかなって思います。なので、この肩書きを名乗っているのは自分のことだけでなく、周りのお母さんや先生に対しての願いも込めてのことなんです。私がプロフィールに「うちの子専門家」と書くことで、この考え方がちょっとでも広まっていけばなあと思っています。子どもの凸凹を大事にできると、自分のことも愛せるようになる出典 : 編:空気が読めないことも息子さんの長所の一つだとおっしゃっていましたが、楽々かあさんは、お子さんの特性を常にポジティブに捉えられているように感じます。楽:自分の特性がポジティブに活きるかネガティブに作用するかって、その人のコンディション次第だと思っているんですよね。だから、「声かけ変換表」みたいにポジティブに言い換えするとか、本人や周囲の人も凸凹をより良い方向に捉えて活かしていけるように、いい面と悪い面の両面見ながらも、ややポジティブ寄りの発信をするように心がけています。編:そのポジティブさは、楽々かあさんのもともとの性格から来るものなんですか?楽:いえいえ、もともとの性格は全然楽天的じゃないんですよ。子どものときにはすごく真面目で内向的で不安の強い子でした。こういう考えができるようになったのは、うちの子たちを育てていく中で、子どものできているところや「ここだけはできた」っていう、良い面に視点をフォーカスする訓練をしてきただけなんですよね。やっぱり親っていうのはどうしても、子どものことを一生懸命考えれば考えるほど、できなかったことや続けられなかったことに目がいってしまうものですから。たとえば遊園地とかに連れていくとしますよね。最初の2、3時間は楽しく遊べていたけど、帰ろうといった途端に子どもに泣かれて暴れられてしまうこともあります。そこまでの楽しかった時間は忘れて、最後は怒っちゃったことしか心に残らないし、それまで楽しかったのが全部吹きとんじゃうとか。編:子育てをする親御さんなら何度となく経験しそうなことですね…楽:そうなんです。心がけているのは「それまでは楽しかったね」って、よかったところを見ることです。さっきの遊園地の出来事のように、たとえ途中でできなくなっても、できたところまでをちゃんと認めてあげるとか、気になることがあっても「これでオッケー!」とか「まあいいか~」とか、前向きな言葉を自分に言い聞かせながらやってますね。編:なるほど…できたところまでをちゃんと認めてあげる。楽:こういう考えができるようになったのは、子育てをするなかでの私自身の変化でもあります。自分を好きならきっと、たいていのことはなんとかなるよUpload By 田中千尋(発達ナビ編集部)編:お子さんがこれからどういう風に育っていったらいいなと思いますか?楽:やっぱり、うちの子たちには自分のことを好きでいてくれていれば、とにかくそれでいいと思っていて。自分を好きでいてくれれば試行錯誤しながらも道を切り開いていけるし、たいていのことはなんとかなるよって気がするんです。自分に欠点や苦手があったとして、その欠点を見ようともしていなければ、そもそも工夫をしようっていう発想も行動も生まれませんよね。でも、凸も凹も含めて自分のことを好きでいられれば、たとえ失敗してうまくいかなかったり、周りの理解が得られなかったりしたことがあっても、自分で世界を切り開いていけると思っています。それに、自分を肯定的に捉えることができると、他人に対しても寛容になれると思うんです。多少こだわりが強くても、それも含めてお互いさまだねって。だから、他人との関わりという意味でも、まず自分を好きでいてくれることが大事。編:「凸の部分も凹の部分も愛おしく思えるようになれば世界を肯定的に見られるようになる」と書籍に書かれていたことと繋がりますね。楽:欠点は「克服する」ばっかりに重点を置くと自分も苦しくなっちゃうので。工夫しながらうまく付き合うっていうのがいいかなって。欠点も長所も同じぐらい大事にできたらいいなと思います。お子さんが無事に生きていることは、親御さんが「めちゃくちゃ」頑張ってきた証拠だから出典 : 編:最後に、楽々かあさんの願いや夢があれば教えてください!楽:正直、母親としては、子どもが生まれたときから「早く楽になりたい」の一心ですね(笑)まぁ、世の多くのお母さんがそうだと思うんですけど。ただ一方で、"社会"に対して望むこととしては、発達障害対応が当たり前になるといいなってことですね。凸凹のある子を「普通」にしていくのではなく、さりげない配慮を受けられる環境が自然にあるといいなと。そうすればうちの子たちも生きやすいし、私もここまで一生懸命発信しなくてもいいし(笑)。でも、待つだけでなく、子育てをする中で自分にできることを自分ができる範囲でやっていけるといいのかなって思ってます。編:「ちょっと頑張ったら本人ができるようになる」ぐらいの環境を整えていくのが教育では大切なのかなと思います。楽:そうそう。ちょっと環境を調整したらできることってたくさんあると思うんですよね。ちょっとしたことで随分楽になる、そういうことが当たり前になっていくといいなって。編:おっしゃる通りですね。発達ナビの読者の方には同じような思いを抱いている方もおられると思います。何か、読者へのメッセージがありましたらどうぞよろしくお願いします。楽:まさに本の扉のページに書いていることですね。これを伝えたいです。ーどんなに療育を頑張っても、完璧な子にはなりません。そして凸と凹はどっちも大事。合わせて一人の子です。今が100点からのスタートです。ー楽:凸も凹も長所も短所も合わせて一人の子だし、完璧な子もいないし完璧な親もいません。親の理想通りの子も、子の理想通りの親もいないんです。子どもも親も、自分自身の長所と欠点の両方を大事にしてあげてほしいなって思いますね。それは発達ナビの読者さんもそうで、今の100点を認めてあげてほしいです。発達凸凹の子育てをしておられるお母さんっていうのは、日常生活の基本的な部分がとてもハードルが高いのでね。たとえば、普通に着替えさせる、身支度させる、家から園・学校に送り出す、宿題をやらせる、風呂に入れさせる、3食食べさせるとか。そういう日常生活の基本的な部分をこなすことがとてもハードルが高いので、まずそこに対して頑張ってきている自分のことを、ちゃんと認めてあげてほしい。お子さんが健康に無事に生きてるだけでも、本当にめちゃくちゃ親御さんが頑張ってきた証拠なんですよね。まずそこに100点をあげてほしいなって思うんですね。育児が大変だと、お母さんも自分のことが後回しになりがちだけど、例えば、あったかいご飯を食べるとかでもいいんです。おいしいものを食べて体をあたたかくして、そういうことでも自分を大事にできるんじゃないかなあと。編:「子育てをする親御さんが、自分で自分を大切にしてほしい」というメッセージはとてもあたたかくて、胸がじんとしました。たくさんの方に楽々かあさんの言葉が届いて、発達凸凹の子育てをする親御さんがより前向きになっていくといいなと強く思います。今日は素晴らしいお話を聞かせていただきありがとうございました。楽:ありがとうございました!Upload By 田中千尋(発達ナビ編集部)聞き手・書き手:田中千尋取材:2017.3Upload By 田中千尋(発達ナビ編集部)大場美鈴/著『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母の毎日ラクラク笑顔になる108の子育て法』2016年/刊/ポプラ社Upload By 田中千尋(発達ナビ編集部)大場美鈴/著『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法』2017年/刊/ポプラ社
2017年05月01日支援級って、実際どうなの?出典 : 「支援級って、実際どうなの?」「どんな雰囲気で、何をやってるところなの?」…と、特別支援学級という「未知の世界」が気になっているお母さんも多いかと思います。うちの長男は、発達障害に気づかずに通常学級で入学し、4年生まで過ごしました。そして、5年生になった時、自分の意思で支援級に転籍。さらに今年の4月からは、また通常級に戻る予定でいます。今まで繰り返しお伝えして来た通り、本当に支援級を巡る状況は千差万別です。これは「あくまで一例」ではありますが、長男と私が経験した「うちの」支援級ルポを、楽々かあさんこと、大場美鈴がお伝えします。うちの支援級の1日の流れ出典 : まず、朝の風景から。うちの支援級の登下校は、お母さんが付き添って歩いたり、車で送り迎えをしていたりする場合が多いです。我が家では、行けるときは登校班で歩いてゆき、不安定な時期や、行事などで心身の負担が大きな時期は、車で送って行きます。うちの学校の支援級は2クラス。身体・知的障害のあるお子さんのクラス(以下、A組)と、長男が在籍していた、主に発達障害の傾向のあるお子さんが中心となる、情緒クラス(以下、B組)に分かれています。通常級の出席番号とは違い、支援級のそれぞれの子には「専用カラー」が決められています。下駄箱やロッカーには、名前と共に、その子カラーのテープが貼られて目印になっているのです。そこに靴を入れて、クラスに向かいます。うちの支援級は、一階の保健室近くに配置されていて、普通級とはやや離れています。逆に、職員室、1年生のクラスとは同じフロアです。登校すると、子ども達はその日の予定を確認します。スケジュールボードに、それぞれの子の時間割がマグネットで並べられています。時間割はそれぞれの子で違うものになっています。教科によって支援級で過ごしたり、交流級に行ったり、運動場や音楽室に行ったりと、けっこう移動が多いです。交流級というのは、通常級のクラスでの授業・活動に参加することです。「協力学級」「親学級」などとも呼ばれています。B組在籍の子どもは、全部で6人程ですが、B組の教室に常時いるのは2〜3人。なかには1日中交流級で過ごす子もいます。A組、B組の子達が揃うのは給食の時間。机を全部くっつけて、2クラス合同で先生方も一緒に食べています。その様子は、カオスと言っても過言ではないくらい賑やかです。両クラスの最上級生である、A組の6年生の男の子は人気者。下の学年のお子さん達が慕って、おんぶをせがんだり、給食を配ってあげていたりと、微笑ましい様子も見られます。下校時刻は、それぞれの学年に準じたものになっています。上級生になるほど、6時間目の授業も増え、クラブ活動などもあります。低学年の子達が下校する6時間目には長男と先生のマンツーマンになることも多く、学習が捗るようです。チームで子ども達を見守る、先生達出典 : 支援級の担任は、A組はしっかりした女性の先生、B組はベテランの男性の先生です。そして、それぞれのクラスに副担任の先生がつきます。介助員さんも、両クラス合わせて常時2~3名が学校にいる感じで、主に身体介助の必要なお子さんのお世話や、交流級に行っている子の付き添いなどをして下さっています。子ども1人当たりの大人の数が多く、チームで手厚く見守って頂けます。とはいえ、クラスに不安定になっているお子さんがいる時には、複数の先生がその子にかかりきりになる状況などもありました。そして、支援級の担任の先生は、前回の記事でもお伝えしましたが、必ずしも、支援に詳しいとは限りません。長男のクラスの担任の先生は定年間近の大ベテランの先生でしたが、4月の時点では支援について、ほとんど何もご存知ではありませんでした。ですが、「お母さん達のほうがお詳しいでしょうから…」と、親の話を一人ひとり、謙虚に丁寧に聴いて下さり、私は本当に頭の下がる思いでした。その姿を見て、私は「あ、大丈夫だな」と思いました。先生は多少のことには動じないタイプで、個性の強い子ども達に忍耐強くつき合って下さり、長男も信頼している様子で、私は安心して見ていることができました。知識・経験以前に、先生自身が安定していること、子どもと基本的な信頼関係が築けることが、私はまず必要なように思います。そして、その子に合わせたり、親の話に耳を傾けてくれる姿勢があれば、例え支援に対する知識・経験が十分ではなくとも、次第に「プロ」になって下さるように思えます。気になる学習内容は…?出典 : うちの支援級の学習内容は、その子の進度に合わせたプリント学習です。プリントは本当にオーソドックスな問題を、教科書の順に添ってひたすら取り組むような形です。私は支援の本にあるような手作り教具やICT機器などをジャンジャン使って、体感的な授業がそれぞれの子に行われる様子を夢見ていたので、正直、やや肩すかしでした。それでも、通常級の一斉授業のスピードについていけず、ノートも取らずにぼーっと過ごしていた時に比べれば、私にはずっと有意義な時間のように感じられました。算数は、長男がつまづいている九九や、筆算の手順など、何学年も前のところから戻ってスタートし、少人数の環境の中、自分のペースでじっくり取り組んでいました。国語は、学習内容はほぼ理解できるものの、漢字がどうしても出て来ないので、学習補助用のiPadを持ち込んで辞書アプリで調べながら進めました。ただ慣れて来ると、プリント中心の学習はつまらなくなったのか、苦手科目以外のプリントに落書きが増えてきました。その時は先生に相談して、もう少し学習内容を調整して頂けるようお願いをしました。課題のレベルは「大体できるけど、定着してないこと」から「やや難しいけれど、なんとかできそうなこと」くらいが、その子にちょうど良い学習レベルだと思います。長男は「やさし過ぎる」「難し過ぎる」ものは、どちらも集中できないようです。長男の場合は、パソコンなど興味の強い科目から交流級で参加し始め、体育や図工などの実技教科、2学期には理科・社会も…というように、長男の様子をみながらこまめに連携し、徐々に交流級を増やして頂きました。そして算数もマイペースにコツコツとプリントに取り組み続けた結果、学年相応まで進めることができ、3学期には、全科目交流級での授業になりました。通常級でできてしまった大きな段差を、支援級で長男自身のステップで徐々に上がっていったことにより、学習への自信がついたのです。異年齢・多種多様!支援級の子ども同士の様子は…?Upload By 楽々かあさん休み時間、B組(発達障害の傾向のあるお子さんが中心となるクラス)の男の子達は、手作りカードゲームなどをして楽しく遊んでいました。時折、通常級の次男も、支援級に顔を出して、一緒に遊んでいたようです。次男曰く「エアコン、効いてるんだよね~」とのこと。体温調節が身体の機能的に苦手なお子さんもいるため、うちの両支援級はエアコンが完備されています。転籍前、精神面の凸凹差の大きな長男は、通常級の同年齢のお子さん達と、やや話が合わないようでもありました。でも、異年齢で多種多様なお子さんの集まる支援級では、年下のお子さんと気が合ったり、年配の先生方とたくさん雑談できるので気が楽だったようです。とはいえ、B組の子同士の関係は、仲のいいときはすごく良いけど、ちょっとしたきっかけで大げんかするという、ジェットコースター式。気持ちを言葉で伝えたり、妥協することが苦手な子が多いため、実際の所、衝突事故も多かったです。でも、その中で長男は、「ゆずってあげる」「合わせてあげる」ことの大切さに少しずつ気づけたようにも思います。また、B組では長男は一番年長。クラスのお子さん達をまとめたり、お手本になる役割も与えられました。それよって学校での「居場所」ができたようです。支援級で過ごしたことは、長男の心の成長にも大きなプラスになったように思います。支援級に移ったことを、通常級の子たちはどう受け止める…?出典 : 交流級に行くことで、支援級と普通級を行き来していた長男は、通常級の先生の目から見てもさほど違和感なく溶け込んでいたようです。また、支援級にいても、運動会などの行事では今までクラスメイトだった通常級の子達と一緒でした。運動会の組み体操も林間学校での野外活動も、支援級の先生方に見守られながら、不安に思うことをひとつひとつクリアしながら参加しました。少しだけハードルを下げたり、大人が見守ってあげたりすることで、皆と一緒にできることはたくさんあると思います。長男が支援級に移った時は、それまでと態度が変わった子もいました。長男に対して以前より距離を置く子もいれば、かえって優しくなった子もいるし、何も変わらない子もいました。でもさまざまな機会を通して、一緒に過ごすことで、普通級の子達も支援級の子たちに慣れていきます。多感な年頃の子達の間には、お互いに取り扱いが難しい面も少なくありません。さらに、空気を読めなかったり、集団の中で目立つ行動を取ってしまう長男にとって、コミュニケーションのハードルが高いであろうと思う部分は今でもあります。それでも長男は、6年生に進級したら、居心地良さそうにしていた支援級を卒業して、皆と同じクラスに戻ると言います。私は、支援級に転籍したときのように、長男に通常級の良い点、そうでない点の両方を伝えましたが、今回も長男の決意は変わりませんでした。そこには、好奇心の強い彼にとって今の成長に必要な刺激があるのかもしれません。また、合理的に物事を判断する長男にとって、考えられるデメリットを上回る何かを、今は感じているのかもしれません。子どもの成長と学び方は、一律一様ではないのだから…。ここまで3回に渡り、私達親子の実際の体験から、支援級と通常級の間にある選択肢、支援級を検討する際の判断のポイント、そして、うちの支援級の実際の様子をお伝えして来ました。支援級は本当に千差万別で、私には「うちの」支援級が標準的かどうかも分かりません。でも、具体的な情報が開かれてゆくことで、もっと支援級が身近で気軽に感じられる場所になってほしい、と私は願っています。また、支援級と通常級、それぞれにメリット・デメリットがあり、私にはどちらがいいとも言えません。でも、通常級にいる子達にとっても、長男が5年生を過ごした支援級を「別世界」と感じてるわけではないと感じています。そして、一つだけ確かなことは、日々成長する子どもたちによって、その個性の発達のスピードやその子に合った学び方は、一律一様ではない、ということです。これは長男の今までの育ち方と、興味関心のあり方を見守って来た私が、実感として思うことです。柔軟に、臨機応変に、その子に合った学び方が、どんなお子さんにも安定して提供される日が、なるべく早く来ることを、同時代を生きる子を持つ一母親として、私は願ってやみません。Upload By 楽々かあさん大場美鈴(著), 汐見稔幸(監修), 『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法』ポプラ社, 2017年
2017年04月10日うちの学校の支援級、わが子に合ってる…?出典 : 「支援級か、通常級か…迷ってるけど、どうやって判断すればいいの?」「うちの子が通う学校の支援級、どんな環境だろう?どういうところを気にしたらいいの?」現在、希望者急増で過渡期にある、特別支援学級(以下、支援級)をめぐる状況は様々です。情報を探すと、「うちの子も是非お願いしたい!」と思える素晴らしい支援級もあれば、残念ながら、現場の事情が追いつかずに、十分な理解や子どもに合った対応が得られない支援級もあるようです。支援級をご検討の際には、実際に、お子さんが通う「その」支援級がどうなのか、自分の目で確かめてみることが必要です。長男が自ら通常級から支援級への転籍を希望した際、私はまず、特別支援コーディネーターの先生の案内で、実際にクラスを見学させて頂き、事前に疑問な点、不安な点の詳しいご説明をお願いし、長男本人も見学・体験させて頂きました。それでも、後から「もっと早く確認しておけば良かった」と思ったことも少なからずありました。そこで、支援級を選択する前に「確認してよかったこと」「確認しておけばよかったこと」の、判断のポイントを、あくまで「うちの経験上」ではありますが、楽々かあさんこと、大場美鈴がお伝えします。支援級見学の際にぜひ確認しておきたい!4つのポイント出典 : 長男が通っている支援級は、身体・知的に障害のあるお子さんのクラスと、長男のように、大きな知的・言葉の遅れの心配はないものの、発達障害の傾向のある子が中心となる、情緒級に分かれています。学校によっては、どの障害の状態のお子さんも一緒のクラスになる場合もあります。その場合でも、個別に学習内容を調節して頂ける場合はいいのですが、そうでない場合、お子さんに学習面での理解力がある程度あっても、学習内容や課題が簡単過ぎるケースがあります。そうなると本人の理解度とのミスマッチが起こり、その支援級がその子の力を伸ばせる環境とは言いがたくなる可能性があります。逆に情緒級がある場合も、その子の学習の進度に合わせた課題でない場合もあります。本人の能力や理解度に合わせた学習ができるかどうかは、よく確認しておきたいポイントの一つです。万が一合わない場合でも、先生と学習内容を調整して頂けるか、相談の余地があるかどうか、見極めておいたほうがいいでしょう。また、基本的に支援級の成績表は、「国語は漢字ドリルをがんばり、丁寧に漢字を書けるようになりました」というような、言葉による表現がされることが多いようです。特に将来的に、中学受験の可能性がある場合には、念のため希望した際には通常級と同じ評価で対応可能かどうか、確認しておいたほうがいいでしょう。(中学受験の際、全ての学校で成績表の提出が必須という訳ではないようですが、一部の入試日程や推薦、A.O.入試の場合などには、成績表のコピーの提出が必要になる場合があります。)出典 : 次に気をつけたいのは、今のところ、すべての支援級の担任の先生が、特別支援教育の知識・経験が豊富であるとは限らない、ということです。支援級の担任には、特別な資格などは必須ではなく、今まで通常級で担任してきた先生が、急に支援級を受け持つ場合も多いようです。長男の今年の担任も、長年通常級を受け持ったベテランの先生ですが、支援級の担任は人生初でした。ただし私は、支援に詳しくない先生=子どもにとって良くない先生、とは限らないと思っています。確かに、凸凹のある子に伝わりやすい方法を多く知っている先生なら心強いと思います。しかし、詳しい先生1人に負担がかかり過ぎてしまったり、クラスの他のお子さんの状況などによって、少人数であっても十分に子ども一人ひとりを見ることができない…など、先生お一人の力では解決できない現場の事情がある場合もあります。そのため支援に対する知識・経験の有無で、一概には判断できないと思います。もし、先生が支援に詳しくないからと、あからさまに保護者が落胆してしまうと、それが子どもや先生にも伝わって、その後の信頼関係に影響が出てしまうかもしれません。私は、知識・経験の有無よりも、・先生が子どもを肯定的に見ようとしてくれるか・子どもに合わせた指導をしてくれるか・親の話に耳を傾ける余力があるかのほうが大事だと思っています。しかし、見学の時点で気持ちよく応対してくれた先生に会えたとしても、翌年に我が子を担任してくれるとは限らないというのは注意したい点です。通常級に比べれば、支援級の先生は比較的長く同じクラスを担当することが多いようですが、異動がないわけではありません。また、大変残念なことながら、今まで毎年のように支援級の補助教員や介助員の先生が、年の途中で1人、2人とお辞めになってしまうことも、私は学校のお便りで度々知らされてきました。厳しい現場の現実があるように感じます。出典 : 人事異動がある先生方と違い、子どもたちは比較的同じメンバーでともに支援級で過ごすことが多いです。もちろん、入学や卒業、転籍などによる入れ替わりはありますが、クラス替えもなく、ほぼ同じメンバーで何年間も過ごすことになります。支援級は、学年を越えて、多種多様な子ども達の集まりとなるため、それが合う子、合わない子がいると思います。支援級の低学年のお子さんは、かなり自由気ままな印象がしたりで、見慣れてないと「これで大丈夫かしら…」と少々不安に感じられるかもしれません。そういう時は、何年もその環境で過ごしてきた、高学年のお子さんの様子が参考になると思います。その子なりに落ち着いていたり、交流級に意欲的に参加している様子が見られれば、その支援級の環境がプラスに働いていると受け取ってもいいのではないかと私は思っています。また、掲示物が破れっぱなしになっていないか、といった備品の様子、ロッカーに分かりやすいマークなどの工夫があるか、といった教室環境も、その支援級が安定しているかの参考になると思います。(ちなみに私は、教室の備品の乱れが放置されている場合、先生に余裕がなく、かなりお疲れ気味…というシグナルだと受け取っています。)出典 : 私が見学した時、1クラス6~7名と聞いていた支援級の情緒クラスには、いつも低学年の2~3人のお子さんしかいませんでした。他のお子さんは「交流級」に行っているのだそうです。長男の学校の場合、大抵は学年が上がるほど交流級で過ごす時間が増えていき、最終的に通常級に移籍する子も多いそうです。ご家庭で「いずれは、できれば通常級へ」と希望している場合には、交流級の活用状況は要チェックです(また、そもそも支援級から通常級への転籍が可能かどうか、よく確認しておく必要がある学校もあるようです)。交流級の活用状況は学校によって様々です。長男の小学校はかなり積極的なほうだと思います。後に担任の先生からその理由を伺うと、「年々、支援級への希望者が増えているので、◯太郎くんのように、交流級の授業に意欲がでてきたお子さんは、どんどん”卒業”して、通常級に戻って頂けると助かります」…とのこと。なかなか厳しい内情もうかがえます。とはいえ交流級を充分に活用できている学校は、通常級の子達も支援級の子に日頃から馴染んでおり、支援級”卒業”後も、比較的クラスに溶け込みやすいのではないかと思います。交流級の活用については、見学時、私はあまり気にしていませんでした。でも今思うと、重要なポイントだったと思います。どんな状況の支援級も、本人が体験してみるのがイチバン!出典 : 見学をする際には、参観日のようなよそ行きの状態ではなく、支援級のありのままの状態を子ども本人が、できるだけ何回も見られるほうがベターです。長男が普通級から支援級へ転籍する前に、私は長男本人が何度も支援級を見学・体験できるよう、お願いしました。でも見学を予定していたある日、突然見学がキャンセルになったことがありました。先生によると、「今日は、落ち着けてないお子さんがいたので、見学は中止させて頂きました。また日を改めて、予定を調整させて下さい」とのこと。それを聞いて、私はこう言いました。「是非、そういう時も本人に見せてください。ご迷惑になるようでしたら、廊下からでも構いませんので。支援級は、皆が落ち着いている時もあれば、そうでない時もあることを、本人が十分知って、納得したうえで転籍したいです。」支援級は、長男と同じように、あるいはそれ以上に、特別な配慮・支援を必要とするお子さんの集まりです。当然のことながら、少人数とはいえ、いつもクラス全体が落ち着いているとは限りません。そんな支援級で過ごすイメージを本人が持てると、入級後の環境の変化にもついていき易いと思います。長男の場合は実際に何度も授業を見学させて頂き、給食の時間を支援級の子達と一緒に過ごしたり、といった機会を作って頂きました。すると、「今日はすんごい泣いてる子もいたよ」「一年の子が途中で教室出てっちゃった」なんて言うときもありました。私は「支援級はそういう時もあるよ。それでもいい?」と聞きましたが、長男は「それでもいい。支援級に行く」と決心は変わりませんでした。「うちの」支援級には良いところも、そうでないところもあることを、十分納得の上で転籍をした私達。結果的にこの一年は、長男の成長のプラスになりました。実際に自分の目で確かめて、後悔のない選択を出典 : 長男の先生からの話にもありましたが、近年、支援級を希望する子どもが急増している傾向があります。なかなか現場がそれに追いつけないという裏事情もあり、全てが保護者の希望どおり、理想どおりという訳にはいかない場合も、多いかと思います。それでも、事前にメリット・デメリットを良く比較検討し、納得のゆくまで説明をして頂き、実際に自分の目で確かめて、体験して、自分たちの意思で決められれば、後悔するリスクを減らすことができます。学校生活でお子さんが自信をつけてゆける、プラスの選択ができるよう、祈っています。Upload By 楽々かあさん大場美鈴(著), 汐見稔幸(監修), 『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法』ポプラ社, 2017年
2017年03月13日うちの子は支援級?それとも通常級?悩む前に知ってほしい、もう一つの選択肢出典 : 「うちの子、本当に通常級で皆と一緒にやっていけるの…?」「心配だから支援級にしたけど、本当にこれで良かったの…?」この時期、発達障害・グレーゾーンのお子さんの入学を控えたお母さんは、気持ちが揺れ動いているかもしれません。また、入学後のお子さんを見て、「通常級で頑張っているけど、正直ついていけないみたい。私もトラブルばかりで、なんだか疲れちゃった…」「支援級でのんびりやってるけど、正直持て余しているみたい。うちの子、ずっとこのままでいいの…?」…なんて悩まれているお母さんもいるでしょう。我が家の長男は、通常級・支援級の両方を経験しています。通常級と支援級、両方を経験した私たち親子だから分かること。そして、「通常級か、支援級か」の二者択一ではなく、通常級で受けられる支援や、支援級でも出来る通常級との交流など、さらなる選択の可能性だってあることを、楽々かあさんこと、大場美鈴がお伝えします。通常級から支援級へ、そしてまた通常級へ。それぞれのクラスで受けることが出来た配慮出典 : うちの長男は、小学校入学時の健診までは、目立った知的・言葉の遅れはなく、発達障害に気づかずに入学し、4年生まで通常学級(以下、通常級)で過ごしました。そして、5年生で特別支援学級(以下、支援級)に自分の意思で転籍し、来年度は、また通常級に戻る予定でいます。(※転籍を希望する場合、いつ頃までに伝えれば翌年度のクラス編成に間に合うかは、地域・学校ごとによって異なりますので、それぞれご確認下さい)支援級にも、通常級にも、それぞれにメリット・デメリットがあり、その時々の担任の先生との相性や、クラスの他のお子さん達との関係などでも大きく、その環境が合うか、合わないかは変わってきます。正直、そのクラスがお子さんにとっていい環境になるかは、「実際に、フタを開けてみないと分からない」のです。だから、一概に「通常級で伸びる」「支援級で落ち着く」とは、言い切れない現実もあると思います。また逆に、「通常級で落ち着く」「支援級で伸びる」可能性だって十分あるのです。そして、「支援級か、通常級か」の間で揺れ動く、うちの子と似たようなお子さんには、「その中間のスタンス」である「通常級で受けられるサポート」と「支援級で可能な通常級との交流」もそれぞれあることも、是非知っておいて欲しいと思います。加配や取り出し個別指導、我が家が通常級で受けることが出来たサポート出典 : さて。入学時までに、親に発達障害に気づかれず、いきなり通常級に放り込まれた長男(ごめんね)。当然、大混乱・大パニックです!ランドセルの中身はからっぽ。登下校ではケンカばかり。漢字書き取りは投げ出す…毎日トラブル続きで、私も育児にすっかり自信をなくし、途方に暮れていました。そしてある日。長男はクラスのレクリエーションに参加できずに、泣いて教室を飛び出しました。…そんな時、一緒にいてくれたのが、「加配」の先生でした。「加配」とは、担任に加えて、他の教員などが通常級に入り込む形で、支援の必要な子を中心にサポートしてくれる制度のことです。呼び方も役割もそれぞれビミョーに違いますが、「加配」「補助教員」「支援員」「介助員」「民間のボランティア」などといった呼び名の人が、クラスに配置されて子供を支援してくれます(学習指導ができるのは、教員免許保持者のみ)。自治体の予算で人員が確保されるので、状況によっては、希望を伝えても、配置や増員がすぐには難しい場合もあるかもしれません。うちの学校の場合、加配教員の先生が、1・2年生の各学年に1名が配置され、各クラスを巡回しています。うちの子達がお世話になった例は…・教室を泣いて飛び出したり、パニックになってしまった時に、一緒に廊下にいてくれた・授業中、ぽわ〜んと上の空になっていた時に気づかせたり、漢字学習の時、下書きを入れてくれた・休み時間、友だちともめ事になった時に、仲介役をしてくれた…などなど。普段から何かと長男に声をかけてくれ、コミュニケーションを図ってくれました。他にも、読字障害のある子や、言葉での表現が難しい子、日本語が母国語でない子などに、教科書の代読や筆談をする、などのサポート例もあるようです。加配の先生は、支援・介助の必要な特定の児童1人につく場合もあれば、うちの学校のように、障害の有無に限らず「教室で気になる子」を中心に、全体的にフォローすることもあります。うちの加配教員の先生方は、商売大繁盛。いつも走り回っていて、忙しそう。正直、学年に1人の配置では、低学年のクラスでは手が足りず、充分とは言えない状況のように感じましたが、子ども達にとっては「教室を飛び出したら、加配の◯◯先生が捕まえてくれる」という、不思議な安心感があったようです。出典 : ところが、3年生になると、学年への加配教員の配置はなくなってしまい、特別支援コーディネーターの先生にご相談したところ、頂いた提案が「取り出し個別指導」(以下、取り出し)でした。実は、うちの自治体の他校に設置の「通級」は、希望者が多くて順番待ちの待機状態。私は「何年も待ってる間に、うちの子は大きくなっちゃう!」と、最初から通級の希望は出しませんでした。「取り出し」は、その学校の独自の裁量による任意のサポートです。必ずしも全ての学校で実施されている訳ではないのですが、近年、徐々に実施する学校も増えて来ているようです(実施の有無は、各学校にお問い合わせ下さい)。これは本当に助かりました。うちの場合、希望者が多く、週に1時間程度でしたが、空き教室を利用して、その時間に手の空いている先生(音楽などの教科担任、少人数指導、管理職の先生等)が1対1で、長男を個別に見てくれるというもの。算数を中心とした学習のフォローや、習字や作文など、授業の時間内に取り組めなかった、終われなかった課題を、一緒に丁寧に仕上げてくれました。それでも終わらなかったことは、家でフォローしていたので、私は内心「週1時間では全然足りない」と思っていました。でも、長男はこの「取り出し」の時間をとても楽しみにしていて、少しでも「これならできる」という体験を学校内で得られることが大事なのだと気づきました。それに、この1対1の時間で、長男はいろんな先生と打ち解け、何かと声をかけてくれたりと、学校に長男の理解者・味方が増えました。そして、「おれは、人数が少なければ集中できる!」という自信が持てたので、人数の少ない支援級への転籍を、自ら希望したのです。交流級制度を使うことでこれまでのクラスメイトとも一緒に学ぶことが出来る!出典 : 「交流級」は、「協力学級」「親学級」などとも呼ばれ、支援級に在籍しながら、特定の普通級のクラス(長男の場合、5年◯組)で、一部(または全部)の授業・活動に参加することです。長男は5年生で支援級に移ってからも、それまで一緒に普通級で学んで来たクラスメイトと突然「別世界」に切り離された訳では決してありません。というのも、長男の場合、書字や集中など特定分野に苦手さがあるだけで、今までも、「全て」の教科で「全く」ついていけない、という訳ではありませんでした。そこで「交流級」を活用して、一部の授業や活動は、今まで通り「皆と一緒に」、それ以外の授業は支援級で「その子に合ったペースで」という、選択をしました。長男の場合、転籍してすぐの数週間は、一日中支援級にいましたが、様子をみながら、徐々に交流級で参加する科目を増やし、3学期の現在は、全科目交流級で授業を受けています。他の支援級のお子さん達も、一日中支援級にいたり、交流級を増やしたり減らしたり、ずっと交流級で過ごしたり…と様々です。また、交流級では、支援級の介助員の先生が、慣れるまでそばで見守ってくれたりもしています。それから、それぞれの学年の係活動、運動会や遠足などの行事も、基本的に交流級のクラスメイトと一緒に活動しています。長男は、支援級で苦手分野をマイペースに学びながら、徐々に交流級で過ごす時間を増やしていった結果、再び学習への自信がつき「おれ、もっといろいろ勉強したくなった」と、6年生はまた普通級に戻ることを自ら希望しました。通常級と支援級を行き来させながら私が考えたこと…出典 : オリジナルな発達で、その時々で、伸びたりつまづいたりを繰り返してきた長男。うちでは、そんな彼にとって、なるべく「自信になるほう」の選択をし続け、今があります(勿論うちでも、全てが希望どおりに運ばなかったことだって沢山あります)。子どものことを真剣に考える程、親は期待したくもなるし、不安にもなりますよね。私だってそうです。ただ、私が実感しているのは、子どもの可能性に「絶対」などないということです。私自身、つい思い詰めてしまう性格なので、普段から「絶対〜すべき」や「必ず〜しなくてはならない」といった極端な考えが浮かんだ時は「できれば〜して欲しい」「なるべく〜だといいなあ」と頭の中で変換するように意識しています。子供への声かけ変換を、自分自身に対しても応用した形ですね。そして、「ずっと」「全部」ではなく、「今は〜かもしれない」「ここは〜の可能性もある」と、問題を部分的に絞って考えたりもしています。●「絶対、通常級でがんばるべき」→「できれば、通常級でがんばって欲しいなあ」●「ずっと、支援級で守ってあげなくては」→「今は、支援級で守ってあげたほうがいいかもしれない」…こんな風に変換して考えると、少しだけ気が楽になりますし、子どもの可能性だって広がります。選択肢は2択じゃない!あらゆる可能性には、あらゆる選択を。さて、うちの「もう一つの選択肢」って、何だったと思いますか?そう!ちょっとちゃっかりしていますが、通常級でもサポートの力を借りたり、支援級の在籍でも通常級との交流を行うなどといった、「通常級と支援級の、イイトコ取り」。マイペースな子には、マイペースな支援を。オリジナルな子には、オリジナルな支援を。あらゆる可能性には、あらゆる選択を。「支援級か、普通級か」の2択ではなくこんな選択肢だってあることを、頭の片隅で覚えておいて頂けたら嬉しいです。Upload By 楽々かあさん大場美鈴(著), 汐見稔幸(監修), 『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法』ポプラ社, 2017年
2017年02月26日ウチの子に褒めるところなんて…出典 : 「子どもは褒めて育てましょう」なんて頭ではわかっちゃいるけど、うちの子、ちっとも褒めるところが見つからないんです。褒めようと思っていても、いつまでたってもできなくって、ぜーんぜん褒めるチャンスがやって来ないんです。それにね、最近は、珍しくできたことを「スゴイね!」って褒めてみても「ウザイ!」とか言うんですよ。正直、もう何て言って褒めていいやら、サッパリわかりません。…なーんて、お悩みのお母さん。大丈夫ですよ。そんなときに使える、「子どもの自信を伸ばす声かけテクニック」を、かつてはうちの子の褒めるところが1つも見つけられなかった楽々かあさんこと、大場美鈴がお伝えします。親の理想は子どもの現実に沿ったものなのか?まずは見直してみてUpload By 楽々かあさんどんな子にも、子どもの個性には、得意なことと苦手なことがあります。「運動はできるけど勉強は苦手」とか「算数は得意だけど国語は苦手」とか…。でも実は、得意と苦手の差が大きく開けば開く程、子どものストライクゾーンが狭くなり、学校などの集団行動や、一斉一律の学習スタイルでは、クリーンヒットが少なく、なかなか結果が出せないのです。特に、スタンドプレーが得意な子や学業にあんまり関係ない分野に特化した子は、頑張っても三振続きで学校では褒められ経験が少なくなりがちです。そして平均…つまり、「これがフツー」「◯年生なら、これくらいできて当たり前」から外れることが多くなると、できる部分よりできない部分のほうが、集団行動や成績評価の上では目立ってしまうかもしれません。そしてできるところはいいけれど、できないところはものすごく頑張らないと皆についていけない。できないところが足を引っ張って、できるところまで実力を発揮できない、わかってもらえない。ホントはもっとできるハズなのに、思い通りにできない自分に腹が立つ!こんな現実の壁にぶつかって、人知れず自信をなくしているかもしれません。そこで、親の「褒めライン」を断腸の思いでグーッと、グーッと下げて子どもの「できないところ」に合わせてみましょう。比較はその子自身。結果ではなく、意欲・がんばり・部分・発想に注目して出典 : 子どもの個性の育ち方には個人差があるため、例えば得意な部分は実年齢+2才くらいのペースでグングン育ち、苦手な部分は実年齢−2才くらいでゆっくりゆっくり、その子なりのペースで育っている…などの場合もあります。むしろ、何でも平均的にまんべんなく育っているお子さんのほうが、貴重な存在かもしれませんね。そこで、比較はその子自身とします。今を生きる子どもは自分の小さな進歩や成長に気づいてないこともあるので、そこを気づかせて伝えてあげます。1年前、2年前のお子さんと比べ、少しでもできることが増えていたら、●「2年生の時は九九があやふやだったけど、最近バッチリだね。頑張っているね」と、同級生がどうであれその子なりの進歩をみます。うちの長男は、5年生でやっと九九が覚えられましたが、これは本人にとっては決して「できて当たり前」のことではないので、苦手なことができるようになると自信になります。「できたこと」を当たり前にしない。日頃の頑張りにも着目したい出典 : それでもなかなか結果がついてこない場合には、目を皿のようにして、部分的にでも「できているところ」「頑張っているところ」を探すようにします。一見周りの子達が当たり前にできることでも、その子なりのやってみた意欲、苦手分野や日々の何気ない頑張り、「ここだけは/ここまでは」できている部分などに注目します。例えば…・字を書くのが苦手な子が、宿題の漢字書き取りを雑だけどとにかく終わらせた・運動が大嫌いな子が、運動会の練習が続く時期になんとか毎日登校している・勝負事で負けると泣いちゃう子が、ゲーム大会ではずっと隅っこに居たけど、とりあえず参加だけはしたこれらは、本人にとってとてもハードルの高いことを、メチャメチャ頑張りながらやっている一例です。出典 : そこで、この頑張りに気づいてあげます。「それくらいできて当たり前でしょ」という、自分の中での常識は、一旦どこかに置いておき…●「宿題、始めたね/終われたね」●「おかえり。今日は暑かったけど、よくがんばったね」●「ゲーム大会参加したんだってね。お疲れさん」こんな声かけで、頑張りを「わかってもらえた」ことで、その子の次の挑戦へのエネルギー源になります。それから、ひいき目に見ても「素敵!」「素晴らしい!」とは絶賛しにくい、奇妙キテレツな芸術作品や、奇行・珍行動に対しては…●「う〜ん、ソレ新しいね!」「こんなこと思いつくのは、◯太郎君だけだよ」…と、発想力や斬新さ、オリジナリティを認めてあげると、ドヤ顔になるかもしれません。「すごいね」「えらいね」が使えなくなった「お年頃」の子には、こんな声かけを出典 : 一方で、得意分野の「できるところ」に関しては、本人は「こんなのできて当たり前」と、シレッと思っているものです。ですから、算数が得意な子のテストの90点を褒めても、本人は残りのできなかった10点のほうが気になってしまい、素直に喜べないこともあります。完璧さを追求したいタイプは尚更、自分が納得できなければ採点甘めの賞賛は「ウザイ」なんて、受け取ってくれないかもしれません。加えて、周りとの違いに気づき始めるお年頃だと「すごいね!」「えらいね!」と結果を褒めても「もっとすごい人、もっとえらい人は沢山いる」などと、子どもには現実が見え始めています。すると、親の身内びいきの評価だけでは満足しなくなったり、かえってプレッシャーに感じたりと、なんだかちょっと取り扱いがメンドクサイ感じがします。うちの長男も、最近は「こんなことで、大げさにスゴいとか言われても、なんかヤだ」なんて言います。ぐぬぬ、生意気な…!でも、これは子どもの興味・関心が広がり、周りのことも見え始めてきたという、成長の証でもあるんですね。ついこの間まで赤ちゃんだった、可愛い私の井の中の蛙ちゃんが、自分だけの世界では狭くなって、お外の様子を気にしだしたのです。出典 : じゃあ、そろそろお年頃になってきた子には、どうしたら自信をつけてあげられるのでしょう?それは「あなたのことに関心があり、いつも見守っているよ」というメッセージを、さらりと、そしてしつこく送り続けることだと私は思います。例えば…(子どもが「今日、◯◯の練習があって大変だった」とグチを言ってきたら…)●「そうかあ。◯◯の練習大変だったんだね」と、言ったことをそのままオウム返し(冬の寒い日に学校から帰って来たら…)●「今日は寒かったよね。温かい肉マンあるよ」と、感覚や気持ちに寄り添い&胃袋作戦(なんだかんだと不平不満をもらしてきたら…)●「そっかあ」「そうなんだー」「そうだよね~」と、共感しながら相づちプロのカウンセラーさんのイメージで、子どもの気持ちに寄り添い共感し、さり気なく日々の頑張りを認めてあげると、「理想通りには上手くいかない現実」への不満を和らげ、「見守られ感」が自信になります。また、育ち盛りの男子は特に親の褒め言葉は受け取らなくても、美味しいものならなんでも受け取ります(笑)。「美味しいものをくれる人=いい人、大事な人」と素直に入力されます。胃袋作戦、侮れませんよ。親が理想を修正しても、子どもの理想が高いときはどうする?出典 : デリケートな完璧主義タイプも、結果をあれこれ言われるより、●「最近、頑張り過ぎて疲れてない?」なんて、身体を気遣う声かけや、そっとお茶でも置いておくほうがいいかもしれませんね。それから…●「◯◯先生が、『◯太郎君は最近、係活動をよく頑張ってますね。助かります』って面談で言ってたよ」…なんて、間接アタックもいいと思います。親以外の他の人に認められる・感謝される経験も、大事な栄養になります。ちょっとだけ盛り気味でもいいので、小さなポジティブ情報も、逃さず本人に具体的にフィードバックします。それでも、なかなか多感な時期の子に響く声かけが見つからない時は、直接本人に訊いてみるといいかもしれません。私も、長男に「じゃあ、『スゴイ』じゃなくて、なんて言って欲しいの?」って訊くと…「『OK』とか『GJ (=Good job!)』とか、親指で「いいね!」マークとか、ハイタッチとか…」…と、シンプルで短い言葉やボディランゲージなどが良いのだそうです。本人の意思を聴き、それを尊重してあげるのも「一人前」として扱われ、自信につながると思います。まとめ出典 : どうでしたか?子どもはいつの間にか、親の知らない世界を広げていきます。そして、そこでちょっと苦い経験やもどかしい想いをしたり、自分の実力を突きつけられ、現実の壁にぶつかりながら、一所懸命井の中から飛び出そうと、ブツブツ言いながらも頑張っているのかもしれませんね。でも、ここまでお子さんが成長できたのは、お母さんの頑張りの証です。お年頃の子は、1人で大きくなったみたいな顔してますが(笑)、お母さんがついこの間までオムツを替え、熱が出れば看病し、毎日ごはんを作り続けてきたおかげなんです。そして、まだまだ新しい世界への不安も多いので、自分の長所も短所も、5年前10年前からの成長も、そして今現在のできる時もできない時も、誰よりも知っているお母さんが、変わらず側で見守ってくれることが、お子さんの何よりの自信になると思いますよ。参考書籍:著書「発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母の毎日ラクラク笑顔になる108の子育て法」Upload By 楽々かあさん
2017年01月09日ご近所の有名人!?「マイペース君」の正体とは出典 : 「マイペース君」…それは、さり気ない気遣いや「言わなくても察して欲しい」なんて奥ゆかしさや、煩わしい社交辞令や世間体とは無縁の人のことです。気になることは徹底的に追求しながら我が道を独走し、気がつけばご近所の有名人、クラスの変わり者。その上、職人気質の頑固一徹で気難しいとくれば、周りの人も実はついてゆくのが大変だったりします。なぜなら「マイペース君」は、地球や宇宙や人類には優しいのに、目の前50cmにいる「私」のことは全然気づかなくて、分子や数の法則やバグのことにはデリケートなのに、髪型やファッションや女心には本当に無頓着なのですから…。でも、もしかしたら本当は「マイペース君」も、あなたが何を考えているのか知りたいけど、わからなくて困っているのかも。そして、気がつけば1人ぼっちで、「なんでこんなに、自分は皆と違うんだろう…」と、人知れず思い悩んでいることもあります。でもね、本当はそんな「マイペース君」は、ITの革命児スティーブ・ジョブズのように、ユニークで独創的で、強靭なメンタルの持ち主なのかもしれません。そんな強烈な個性と才能豊かな「マイペース君」の長所やいいところに気づき、良い関係を気長に続けるために、お互いに「空気がわかりやすくなる」コミュニケーションの秘訣を、自身も含めて5人家族がマイペース一家な、楽々かあさんこと、大場美鈴がお伝えします。マイペース君の短所を長所に「凸凹変換」すると…?Upload By 楽々かあさんではなぜ、「マイペース君」は、こんなにもマイペースなのでしょう?実は「マイペース君」が目の前のことに気づかないのは、心のピント調節が苦手だからかもしれません。まるで、GoogleEarthで遊ぶ子どものように、宇宙飛行士の視点から地球を眺めたり、反対にググーッと寄って、虫眼鏡の視点から、部分を拡大して観察するのは得意なのですが、対人関係に程よい距離感(相手の顔がよく見える距離)にピントを合わせにくいのです。すると、人の表情から感情を正確に読み取ったり、その場の状況を臨機応変に判断するのが苦手なので、「空気が読めない」と言われてしまいがちです。でも世の中、空気を読んで人の顔色ばかり窺っていたら、できないことや成し遂げられないことなど山ほどあります。例え出る杭が打たれても、気にしない「メンタルの強さ」という強力な長所でもあるのです。そして、感性豊かでオリジナルの身体感覚があり、人とは違った情報の受け取り方や独自の解釈をする「マイペース君」。ですが、その独自の情報処理の仕方は、例えば、パソコンでWindowsが主流となって普及していても、Mac派やUNIX派などもいるように、それぞれのニーズに合わせて使いやすいOSがあるのと同じ、というだけなのかもしれません。出典 : 生まれた時から、そのOSが「マイペース君」には「フツー」なのですから、なかなか他の人との感じ方の違いが想像しにくく、本人が「当然・当たり前・常識」と信じて疑わないことが、一般的な世間の常識とズレている場合もあります。でも、それまでの「常識」に異を唱える斬新な試み、革命的なアイデア、革新的な発想。そして、誰がなんと言おうと自分の信念を曲げないガンコさ…「マイペース君」のユニークさや独自性・意志の強さは、人類の財産なのかもしれません。また、「マイペース君」の中には共感力が高く、空気も読めて繊細で優しく、争いごとが苦手な温厚なタイプもいます。こちらは一見、対人面でのトラブルは少ないのですが、その実、周りに気を遣い過ぎて疲れやすいところがあります。更に、「うっかりマイペース君」や「あわてんぼマイペース君」などの複合機型もいて、想像力+独自性の発明家タイプや、行動力+カリスマ性の風雲児タイプなど、果てしないポテンシャルや求心力を秘めています。前回までの記事も併せてご参照下さいね。出典:Facebook記事「凸凹変換表」(初出:2015.12.25)「凸凹変換表」の無料ダウンロードは、楽々かあさん公式HPより。マイペース君に気持ちや状況を伝え、コミュニケーション力がUPするコツUpload By 楽々かあさんでは、そんな個性の強い「マイペース君」と毎日一緒にいる家族や周りの人達は、どうしたら気長くつき合ってゆけるのでしょう?●ここは「できる範囲」で!実は、影響力の大きな「マイペース君」に、ひたすら合わせ、自分だけがガマンし続け全てを譲っていると、一緒にいる人は、自分自身の心が見えにくくなってしまう、という弊害が出やすい傾向があるようです。周りの人も自分自身の気持ちも大切にし、「マイペース君」に分かりやすい表現で伝えると、「歩み寄り」ができます。●言葉で分かりやすく、自分の気持ちや、して欲しい行動を具体的に、合理的に伝える「マイペース君」には、「言わなくてもそれくらい察して」「空気を読んで自分で動いて」と期待するのは早めに諦め、日本的な奥ゆかしい表現よりも、欧米型のはっきりとしたコミュニケーションのほうが、マイペース君には通じやすいようです。●「私は」を主語にした「Iメッセージ」で、ポジティブな気持ちもネガティブな気持ちも率直に伝える「私は嬉しいよ」「私は今、こう思っているよ」「それは私、イヤな気持ちになるよ」そんな率直な伝え方を繰り返すことで、だんだんと「感じ方の違い」をわかってもらえると思います。はっきりとした表情や、声のトーンの使い分け、ボディランゲージなどを交えると、より分かりやすくなるかもしれません。こうして気持ちを表現することは、周りの人自身にとっても、自分の感情を回復し、ストレスを溜めずに済む工夫にもなると思います。出典 : また、「マイペース君」が、1人で悩みがちなのが「暗黙のルール」や「TPO」がサッパリわからないことです。●明確に今の状況を伝える例えば、こちらの体調が悪くても、「私、今、風邪で熱があるから休んでいるの」と伝えれば、いつも通り平常運転で過ごそうとする「マイペース君」も、思いやりのある行動を取れるかもしれません。●「超・具体的に」やって欲しい行動を伝える状況を伝えても何にもしてくれない場合は、そもそも「その場に合った行動」が、インプットされていないかもしれません。「悪いんだけど、冷蔵庫の真ん中の段から、保冷剤をとって、タオルで包んで持って来てもらってもいい?」とお願い口調で頼んでみましょう。●感謝も明確に伝える明確に伝えた結果行動してくれたら、「ありがとう。優しいね」と伝えましょう。感謝を伝えることで、それが「優しい行動」なのだと、1つひとつプログラミングされ、次第にわかってくれます。出典 : そして、実は「マイペース君」は、ものすごく得意なことと、ものすごく苦手なことの差が大きいので、精神面でも、クールで大人びたところと、シャイで純粋な子どもっぽさが同居した、意外性のある「ギャップ萌え」な魅力を持ち合わせていることも。そんな「マイペース君」を大好きになった場合の攻略法も教えちゃいます!●文章、音声、動画などで気持ちをわかりやすく伝える「大好き!」「◯◯さんは大事な人です」「私は◯◯さんの、~なところが好きです」そんな想いも、自分で何度も見直せるように、手紙・写真・動画など、「証拠」の残る形にしておくのもいいと思います。手元に残るものがあれば、周りの人が側にいなくても「マイペース君」を孤独感から救うことができます。「マイペース君」は感情の読み取りが苦手なため、こちらが好意を持って見つめていても永遠に気づきませんし、親子や夫婦で「いつも一緒にいるんだからわかってるハズ」のつもりでも、愛情が全然伝わっていないこともあります。そして、本人は「人から嫌われているのかも」と、内心辛い思いをしているかもしれません。もし、本当に「マイペース君」を、家族として、恋人として、友人として、大切に想っているのなら、言葉で面と向かってハッキリ、一度でもその気持ちを伝えてあげたほうが親切です。ほんの少し意識するだけ!「マイペース君」が積極的に使いたいコトバUpload By 楽々かあさん「マイペース君」自身がほんの少し意識するだけでできる、シンプルなコミュニケーションの処世術があります。それはズバリ、「わからなければ、人に訊く!」ということ。●「どんな服装でいけばいいでしょうか?」「これでいいですか?」こんな簡単な確認を入れるだけで、不要なトラブルがグッと減ります。●「今、◯◯してもいいですか?」「時間は大丈夫ですか?」「(自分はこうしたいけど)、◯◯さんはどう思いますか?」こんな風に相手の都合を確認する習慣をつけておくと、「マイペース君」への信頼度がぐんと上がっていきます。出典 : そして、もう1つ。対人関係を円滑にする上で、大事なコツがあります。それは、お互いに「少しでも譲ったり妥協したりできたら、感謝を伝える」ということ。●「譲ってくれて、ありがとう」この一言があるだけで、お互いの気持ちが和らいで、ものごとがスムーズに運ぶようになってゆくと思います。こだわり派で完璧主義の「マイペース君」にとって、他人に譲る・妥協するというのは、まるで自分の完成された世界をハッキングされるように、とても苦しいことのようです。でも、「一切ゆずらない」「絶対に妥協しない」だと、話し合う余地すらなく、折角の素晴らしい長所や才能を活かす機会自体が失われるとしたら、本当に勿体ないことだと思うんです。そして実はどんな人にも、こだわりやどうしても譲れないことはあるんです。「マイペース君」に合わせてくれる周りの人も、自分の信念を譲ったり妥協したりするのは、実はそんなに簡単なことではありません。「マイペース君」の「こうでなければイヤだ」という職人的なこだわりは、大事に大切にしたほうが良いと思いますが、それ以外の、特に対人面では「どうしてもここだけは」という部分は絞って、多少でも妥協ができるとチャンスが広がります。出典:Facebook記事「相手の都合を聴く言葉」(初出:2016.8.20)愛と少しの妥協が地球を救う!?「マイペース君」が自分らしくいるために…出典 : こうやって、言葉や態度でわかりやすく気持ちを伝え、わからないことは聞き、多少の妥協をしながら感謝を伝え、お互いに歩み寄れると、独自性が強く孤高な「マイペース君」に、理解者・協力者が増えていきます。そうすると、「マイペース君」のユニークな感性と、信念を貫くメンタルの強さを、社会に貢献する形で活かしやすくなります。「人と違っても、愛されていること」が実感できると、孤独から救われた「マイペース君」は自分らしくいることを許せるようになってゆきます。すると、水を得た魚のように、自分のオリジナルな世界を遠慮なく外側にも発信してゆけるでしょう。世界的な著名人から、ご近所の有名人・クラスの変わり者まで、「マイペース君」への愛ある理解と、お互いのほんの少しの妥協があれば、彼・彼女が地球を救ってくれる日がやってくるかもしれませんね。「うっかりさん」も「あわてんぼさん」も「マイペース君」も、それを支える家族や周りの人も、自分の長所・得意なことと、短所・苦手なことの、どちらも大事にしてあげて下さいね。参考書籍:著書「発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母の毎日ラクラク笑顔になる108の子育て法」Upload By 楽々かあさん記事で使用のイラストは、「楽々かあさん公式HP」より無料ダウンロードできます
2016年12月26日少年マンガから飛び出した!?身近にいるいる、こんなタイプ!出典 : 「あわてんぼさん」…それは、目的地に着いたと思ったら2秒でいなくなり、思い立ったら即行動!後先考えずにフライング。向こう見ずで、ちょっぴり血の気も多いトラブルメーカー。見ているほうは、いつも心配しっぱなしで、ハラハラドキドキ。とにかく危なっかしくて、気の休まるヒマもありません。でもね、本当はそんな「あわてんぼさん」は、不動の人気を誇る少年マンガ「ワンピース」の、夢と冒険に生きる主人公・ルフィのように、行動力とバイタリティに溢れ、仲間思いの頼りがいのある人物なのかもしれません。そんな健全な少年マンガの王道をゆく「あわてんぼさん」のトラブルを減らすために、親や周りの人達ができる接し方のコツと、自分でも簡単にできる自己管理の工夫を、楽々かあさんこと大場美鈴がお伝えします。あわてんぼさんの短所を長所に「凸凹変換」すると…?Upload By 楽々かあさん一見、後先考えないような印象の「あわてんぼさん」は、実はめちゃくちゃ頭の回転が早いのかもしれません。「思考のスピード・オーバー」。それが「あわてんぼさん」が慌ててしまう理由のようです。時に、自分自身の思考の高速スピードに、身体や言葉がついていけず、ドンガラガッチャーン!と「自損事故」や、途中で「エンスト」したり、つい言い過ぎたり手が出たりで「衝突事故」になることも。「あわてんぼさん」はF1カーのように、ハンドル操作やブレーキングの難易度が高いのです。自分でも、頭の考えについていくのに必死で、猛スピードで目的地までの最短直線距離を突っ走り、高速道路の走行と同じく、周りが見えにくくなってしまいます。出典 : でもこれは、見方を変えれば「行動力・決断力がある」とも言えますよね。瞬間的に判断し、それを即・行動に移すことができる、頼りがいのある長所としても見ることができます。そして、「あわてんぼさん」は感情が素直に顔や態度に出やすく、お説教もどこ吹く風。ウジウジといつまでも昔のことを引きずらない、カラッとした「立ち直りの早さ」もあるようです。また、いつも動き回っていれば体力も自然とついてきます。長所を活かせば、タフで頼れるナイスガイなのです(勿論、女性もです!)。また、「うっかりさん」と「あわてんぼさん」のハイブリッド・カーのタイプは、まさに破壊と創造。持ち前の好奇心の強さと想像力、それを実現できる行動力とエネルギーで、時代の先端を切り開いていくようなパワーがあります。前回の「うっかりさん」の記事も併せてご参照下さいね。出典:Facebook記事「凸凹変換表」(初出:2015.12.25)「凸凹変換表」の無料ダウンロードは、楽々かあさん公式HPより。あわてんぼさんがスピードダウン!一旦停止できる、接し方のコツと声かけUpload By 楽々かあさんもしかしたら、エネルギッシュな「あわてんぼさん」に毎日つき合う家族や仲間達は、休む間もなく振り回されて、クタクタになっているかもしれません。実は、新幹線には新幹線の、ジェット機にはジェット機の専用ブレーキがあるように、「あわてんぼさん」にも、圧倒的な馬力に見合ったブレーキと制御システムが必要なのですが、本人の努力や頑張りだけでは、自分のエンジン出力に追いつかずブレーキをかけられないこともあります。新幹線やジェット機には、副操縦士がいますよね。これと同じように、「あわてんぼさん」がスピード・オーバー気味の時に周囲の人が、ちょっとだけブレーキの手助けをしてあげることで、スピードダウン・左右確認できると、もっと安全運転しやすくなるかもしれません。出典 : 実は、「あわてんぼさん」のブレーキを補助するのは、ちょっとした声かけで大丈夫なんです。【落ち着かせる声かけ】◇「ゆっくりでいいよ」「待ってるよ」「大丈夫だよ」「あわてんぼさん」は、穏やかでシンプルな声かけで、アクセルが緩みます。NGなのは、「早く!早く!」と急かすこと。ただでさえ頭の中は猛スピードなのに、更に急がせてしまうと、事故率がUPしてしまいます。でも、こちらにも都合がありますよね。学校の登校班には集合時刻があり、お仕事には締め切りや納期がありますから。そんなときは、◇「あと3分しかない!」→「あと3分待てる」と、伝え方を肯定的に変換するだけで、かえって効率UPできると思います。また、高速走行では視界が狭くなるのと同じで、「あわてんぼさん」は集中し過ぎると、周りに気付きにくくなってしまいます。そこで、視野を広げて状況に気づかせたり、一旦停止を促して考えをまとめます。【左右確認する声かけ】◇「ちょっとこれ見てくれる?」「今、時計は何時?」「みんな今、何してる?」「具体的に」視線を動かして視野を広げると、周りに気付きやすくなります。また、親しい人の場合、肩や頭のつむじを、軽く指でつんつん、トントンとして気づかせる、などの手も使えます。出典 : また、「あわてんぼさん」は、いいことを次々と思いつくと、相手が「わかってる・知ってる」前提で夢中で話し、先へ先へと進んで、周りがおいてきぼりになってしまうこともあります。そこで…【一旦停止する声かけ】◇「それってつまり、◯◯ってこと?」「~まではわかったんだけど、◯◯っていうのは、例えばどんなこと?」…と、助手席役の人は、時々話を復唱して要点をまとめたり、内容確認して「具体的に」立ち止まって考えるように質問してあげると、話がわかりやすくなるかもしれません。そして、事故防止に大事なのは、時々休憩させること。実は、「あわてんぼさん」は集中すると、自分自身の疲れにも気付きにくい場合があります。本人は、動いていたほうがストレスが溜まらないのですが、いくらタフでも、頑張り過ぎれば疲れが溜まります。でも、集中し過ぎていると、なかなか自分では高速道路を降りられないんです。そんな時には…【休憩を促す声かけ】◇「ちょっとおやつタイムにしようか?」「トイレ休憩、大丈夫?」「どこまでだと、キリが良さそう?」…など、感覚に訴えたり、相手の世界に話を合わせながら、時々サービスエリアに寄って休憩し、ゲージを確認して給油すれば、突然「ガス欠」になることを防げます。こんな、ちょっとした声かけと接し方で、お互いに安心・安全で快適なドライブになると思います。もう事故らない!頭の交通整理とナビで、安全運転できる身近な工夫Upload By 楽々かあさん「あわてんぼさん」が事故らないために、自分でもできる身近な工夫は、頭の交通整理とナビゲーションです。先の見通しをつけるのが苦手なところのある「あわてんぼさん」、「具体的に」ほんの少し未来を想像したり、大事なことを思い出せるようにするといいと思います。【思考の交通整理をする工夫】・思いついたことをマインドマップや、ふせんメモに書き出し、並べて配置して眺め、全体を把握する。書き出したアイデアを分類したり、一覧表にまとめるのも良い。・ふせんやリストに、メリット/デメリットなどを書き出して点数をつけ、ものごとを両面から比較検討する。【環境の交通整理をする工夫】・個室ブースやついたて、カーテン、ヘッドフォン、耳栓、PCメガネなどで、情報量を減らして、集中しやすい環境にする。・よく忘れることや間違うことに、マークやアイコンで標識/貼り紙などをして、気をつけることを「見える」ようにする。・電車やバスの車掌さんの指差し確認(指差喚呼)のように、注意/安全確認するフレーズで、(心の中でもいいので)復唱/点検する習慣をつける。(例:「持ちもの確認。カギ良し、サイフ良し、ケータイ良し」「戸締まり確認。火の元OK、窓OK、ドアOK」等)出典 : 【安全性を高めるための工夫】・すぐにいなくなる小さな子には、GPS搭載の子ども用ケータイや腕時計型の携帯端末、リード付きリュックやハーネスなど。・すぐにいなくなる大人の場合は、愛する家族やパートナーの写真等の「お守り」を、待ち受け画面など、いつも見える所に置く。【計画的に実行する工夫】・工程表や計画表を作る。スモール/ステップで「具体的な行動」にわけること、ゴールはどこか目的地を明確にするのがポイント。・「うっかりさん」同様、完成図で全体を把握したり、手順カードやマニュアルの掲示、ふせんで優先順位をつけることも有効。そして、「あわてんぼさん」の方も、時々は心配しながら見守っている家族や周りの人達に、「元気だよ」「大丈夫だよ」と伝えて、安心させてあげて下さいね。頼りになる!圧倒的なパワーとリーダーシップのある「あわてんぼさん」出典 : 仲間達の協力を得て、自分の運転上手になった「あわてんぼさん」は、もう、危なっかしいトラブルメーカーではありません。そう!「あわてんぼさん」は、そのあふれるエネルギーを効率よく活かせれば、行動力と決断力があり、それを実行できるバイタリティ、失敗してもへこたれないタフさを兼ね備え、強力なリーダーシップを持った、頼れるキャプテン・タイプなのです。そして、頭の回転スピードに行動が追いついて、本来の実力が発揮できると、自信が持てて気持ちに余裕が生まれます。すると、それまで自分のことで一杯いっぱいで気付かなかった「あわてんぼさん」の周りの家族や仲間達のことを、大事に全力で守っていけるんです。ジェット機のように多くの人たちを乗せ、飛び立てる、圧倒的なパワーのある「あわてんぼさん」。時々休憩しつつ、安全運転でよい旅を!きっとそこには、新世界が広がっているでしょう。次回の楽々かあさんコラムは「マイペース君」編の予定です。お楽しみに!参考書籍:著書「発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母の毎日ラクラク笑顔になる108の子育て法」記事で使用のイラストは、「楽々かあさん公式HP」より無料ダウンロードできます
2016年11月26日みなさんの周りにも、こんな人いませんか?出典 : 「うっかりさん」それは…いつも探し物に追われ、忘れ物をしてはあたふたとして、貴重な人生の時間を「あれがない、これがない」と言って浪費してしまう。なんだか大変そうにしていたかと思えば、ぽわ〜んと考え事をして、上の空で壁や電柱に頭をぶつけたり、電車で駅を乗り過ごし、いつの間にか知らない土地に降り立っている…そんな不思議人間です。もしかしたら、「うっかりさん」は、いつもうっかりミスや失敗ばかりで、親や先生・上司からの注意や叱責が続いたり、自分でも「なんでこんな簡単なことができないんだろう」なんて落ち込んで、自信を無くしがちかもしれません。でもね、本当はそんな「うっかりさん」は人間味溢れる、豊かな世界観を持った魅力的な人物でもある可能性が高いのです。そんな愛すべき「うっかりさん」の、長所やいいところに気づき、ミスや失敗を減らすために、親や周りの人達ができる接し方のコツと、うっかりを予防する、自分でも簡単にできる自己管理の工夫はあるんです今回は、「うっかりさん」の魅力を引き出すポイントを、自分自身のうっかりとつき合いながら、「うっかりさん」な子ども達を子育て中の、楽々かあさんこと大場美鈴がお伝えします。うっかりさんの短所を長所に「凸凹変換」すると…?Upload By 楽々かあさんそもそも、「うっかりさん」って、なんでうっかりしてしまうのでしょう?それは、こうした理由があるからかもしれません…。・頭の中がいろんな雑多で膨大な情報でいっぱいで、処理が追いつかない(いわば、「脳のメモリ不足」状態)・目や耳から入って来る情報を、そのまま無選別に受け取り過ぎてしまう・今するべきことの優先順位がつかない・あれも、これも、それも、同じように気になってしまうから、ついつい手元がおろそかにでもこれは、見方を変えれば「好奇心旺盛」とも言えるんです。「うっかりさん」の長所をみてみましょう。●要る情報と要らない情報の区別は苦手だけど、一見無関係な情報同士が結びついて、アイデアやひらめきを得やすい●発想力や想像力が豊かで「クリエイティブ」そして、ミスや失敗ばかりの「うっかりさん」の最大の魅力は、その「親しみやすさ」です。思い出してみて下さい。「うっかりさん」の代名詞、マンガ「ドラえもん」の主人公、のび太君を…!彼は、できないことが多くて、失敗ばかりだからこそ、世代も国境も超えて幅広く愛され、親しまれる人気者になれたのではないでしょうか。「うっかりさん」は、そんな不思議と憎めない、人間味溢れる魅力が満載なのです。出典:Facebook記事「凸凹変換表」(初出:2015.12.25)「凸凹変換表」の無料ダウンロードは、楽々かあさん公式HPより。上の空のうっかりさんを「今、現在」に戻す、接し方のコツと声かけUpload By 楽々かあさんでは、そんな「うっかりさん」の子育てをしたり、学校や職場で上手にフォローしながらつき合っていくには、どうしたらよいでしょう?いつもお空にぽわ〜んと浮かんでいる「うっかりさん」が、地に足をつけて現実の世界でやっていくためには、「今、現在」に気づかせ、何を優先して行動すれば良いのか、具体的に思い出せるようにするのがポイントです。【気づかせる声かけの例】●「今、何してたんだっけ?」「今◯時だけど、大丈夫?」●「どうすればいいんだっけ?」「こういう時、いつもはどうしてるの?」●「今やることはAと、Bと、Cだけど、どれから始める?」こんな声かけで、うっかりさんはハッと我に返ったり、大事なことを思い出したり、優先順位をつけて具体的な行動に移ることができます。そして、ミスや失敗の多い「うっかりさん」なので、親や周りの人は、つい小言を言いたくなってしまいますが、周囲からの注意や叱責が続いてしまうと、余計にうっかりが増えてしまいます。出典 : 「うっかりさん」は、同時にあれもこれもとテキパキ処理するのが苦手かもしれませんが、ひとつひとつ順番に確実にやってゆくことは得意だったり、全体像を把握してから具体的な部分に入ることで、頭の整理整頓ができて動きやすくなります。●1つのことが終わってから、次の指示を出す●やることを順番に、箇条書きやリスト、チェック表にして、伝言メモ、ホワイトボードなどに書いてあげる…などで伝える情報を絞って整理し、伝え方を工夫すると、落ち着いて行動することができます。また、最初に完成図やお手本を見せてあげると、イメージしやすいタイプもいます。うっかりミスや失敗続きで、成功体験が少ないと、本人は「なんでこんな簡単なこともできないんだろう」と、落ち込んでしまって、自信がなさそうにしているかもしれません。ほめるハードルを少しだけ下げ、「ここまではできているね」と、できている部分に気づかせたり、「忘れ物がなかった」「遅刻しなかった」と、頑張れた部分を褒めたりすると、自信につながります。「うっかりさん」は、一見他の人ができて当たり前のようなことも、本人にとっては、ものすごく努力が必要なことがあるからです。例えギリギリセーフでも、なんとか時間どおり目的地に着けた時などには「間に合って助かったよ」など、さり気なく感謝を伝えてあげると「次も頑張ってみよう」という意欲が出てきます。もう忘れない!記憶力を道具で補い、うっかりを予防Upload By 楽々かあさんそして、「うっかりさん」が自分自身でもできる、「うっかり忘れを予防する簡単な工夫」があります。つい忘れてしまうのは、先述の通り感性豊かな「うっかりさん」が受け取る、圧倒的な情報量に対して、脳のメモリが不足気味だからです。道具を工夫して、外部メディアにデータを移し、「覚えなくては」「気をつけなくては」という負担を減らせば、情報処理が追いつき、スッキリ動きやすくなります。【やることを把握する工夫】●カレンダーやスケジュール帳に、やることを書き出したふせんを貼る●スマホアプリのTODOリストなどで、優先順位をつける【記録する工夫】●買い物メモなど、メモ魔になる●書くことが負担の場合には、スマホやデジカメで写真を撮って記録する習慣をつける【思い出す工夫】●スマホや家電製品のアラームやキッチンタイマー、リマインダーをセットして活用する出典 : 【ミス・失敗の対処への工夫】●もし失敗しても「こうすればOK」という対処法を書いたカードや、手順表・工程表を作って貼っておく【なくしもの、探し物を減らす工夫】●よくなくすものにはヒモをつける●大事なものだけを入れる専用のBOXを作る●「習い事セット」や「打ち合わせセット」など、用途別に専用バッグをそれぞれ用意し、必要なものは入れっぱなしにしておくうちの子ども達には、登校時刻や宿題開始のアラーム、「OKカード」や手順表、ヒモ付きのハサミや連絡帳のタグなどを使って、学校や日常生活の工夫をしてきました。自分の「うっかり」と上手につき合うことで、「せっかくいいこと思いついたのに、紙と鉛筆が見つからなくて忘れちゃった」なんて勿体ないこともなく、クリエイティブな長所も活かすことができます。参考情報:「WatchMinder」海外にはADHD等の子・方のための、メッセージ付きバイブレーション機能のある腕時計型リマインダーなどもあるそう。出典:Facebook記事「OKカード」(初出:2013.11.9)うっかりは最大の魅力!?人間味あふれる愛すべき「うっかりさん」出典 : こうして、自分でも工夫しながら、周りの人の理解や協力を得られると、うっかりミスを少しでも減らし、ひとつひとつ宿題や仕事をこなして、小さな「できた!」の成功体験を積み重ねることができます。そして、親や周りの人たちが、「うっかりさん」の当たり前の頑張りや、できていることに気づいて認めてあげることで、失っていた自信を回復することができます。すると…自信がついた「うっかりさん」は、最大の魅力を発揮することができるんです。それは、うっかりしていて、ミスや失敗が多いという、自分の欠点を長所として受け容れられるということ。「うっかりさん」のうっかりは、実は、欠点であるにも関わらず、一番素敵なところでもあるのです。どんな人でも長所と短所はセットで持っているものですが、一見完璧そうで、誰にも隙を見せない人の前では、大抵の人は緊張してしまって、心を開くことができません。そこへゆくと、人間味溢れる愛すべき「うっかりさん」は、周りの人の気持ちを和ませ、安心させ、話しかけやすい親しみを感じさせます。できないことも多い「うっかりさん」が、自分なりに一生懸命がんばっている姿は、人に勇気や希望を与えることができます。でも、自分に自信がないと、せっかくの素敵なうっかりを隠し通して、完璧を演じようと頑張り過ぎてしまうかもしれません。「うっかりさん」は、そのままでも充分素敵なんです。「うっかりさん」のうっかりを、周りの人も、そして、「うっかりさん」自身も、家宝のように大事にしてあげて下さいね。次回の楽々かあさんコラムは「あわてんぼさん」編の予定です。お楽しみに!参考書籍:著書「発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母の毎日ラクラク笑顔になる108の子育て法」記事で使用のイラストは、「楽々かあさん公式HP」より無料ダウンロードできます
2016年10月31日頑張っても上手くいかない子育て。それなら「伝え方」を変えてみては?出典 : 親が口を酸っぱく言っても聞いてない、根気よく諭してみてもわかってくれない、キツく叱って反省したかと思いきや、次の瞬間にはすぐに同じ間違いを繰り返す…なんてことばかりだと、お母さんもクタクタになってしまいますよね。その上、子どもがちょっとでも気になる行動をすれば、周りから「しつけがなってない」「叱り過ぎ」「甘やかし過ぎ」だとか、「ほったらかしてる」…こうした厳しい目線をチクチク感じてしまうと、「これ以上、一体どうすりゃいいの!?」と途方に暮れてしまいます。これは、毎日本当に疲労困憊しながら頑張っているお母さんにとっては、とても辛いことだと思います。だって、人1倍、いや、10倍は頑張っているのに、謝ることはあっても、誰も褒めてくれないんですから。私も以前は「頑張っているのに、なんで私だけこんなにうまくいかないんだろう…」と、いつも思っていました。でもね、もしかしたら「その子に合った伝え方」を見付けることで、子どもたちはルールを守ったり、ガマンや妥協ができたりするかもしれません。毎日しんどい思いをしているお母さんが、ほんの少しの工夫ですぐにできる、子育てのコツを3つ、うちの子専門家の楽々かあさんがお伝えします。Upload By 楽々かあさんつい言いがちな「ちょっと」や「ちゃんと」などの曖昧な表現や、「人の迷惑になる」などの抽象的な言い方は、まだまだ人生経験の少ない子どもにはイメージしにくいようです。その場合には「してほしいことを具体的に伝えて」みましょう。例えば、●ちょっと待って→あと◯分待ってね●ちゃんとしなさい!→シャツをしまって、背筋をピンとしてごらん●電車で騒ぐと迷惑だよ→声が大きいと、他の人が次の駅の名前を聞き逃しちゃうから、「これくらい」で話そうね(実際に小さな声の手本を見せる)●走るな!→歩こうね…という感じで変換し、「ちょっと」とは一体どのくらいなのか、「ちゃんと」とは一体どういう動きのことなのか、「迷惑」とは一体誰がどんな思いや不便をすることなのかを、「具体的に」伝えてあげると「ちゃんと」動きやすくなります。また、「〜してはダメ」「〜しない!」という否定形ではなく、「◯◯だったらOK」「◯◯するなら大丈夫」というように、「やっていいこと」を肯定形にして伝えます。あとね、夢中になると周りに気付けないお子さんには、遠くから大声で呼んでも耳に入らないので、ムダなエネルギーを消耗するだけです。その子の近くまで行って、名前を呼んでつんつんして気付かせたり、「かあちゃんを見て?」と言って、子どもが注目してから話し始めたりすると、効率が良いと思います。(これ以外の子どもに伝わりやすい声かけ例は、楽々かあさん公式HPから無料配布している「声かけ変換表」をご参照下さい)楽々かあさん公式HP参考:Facebook記事「声かけ変換表(指示・命令・禁止)」(初出:2014.7.4)Upload By 楽々かあさんまるで自動消音装置でもついているかのように、親の小言が見事に右から左へ抜けていく子は、耳からの情報よりも目からの情報のほうが受け取り易い可能性が高いです。「言っても言っても分からない子」は、「見えるようにすれば分かる子」なんです。だから、「よく言う小言は紙に書く!」というのは、うちの育児の鉄則です。いっつも同じことばかり、繰り返し言っている気がしたら、目につく場所に貼り紙をすれば良いのです。その時に分かりやすいマークやアイコン等を描いたり、目立つ色にしたりすれば、気付き易くなります。それから、●イラストやマンガ、写真●箇条書きのリストや手順●図や表、フローチャートなどで表示してあげると、複雑なルールや抽象的で難しいことも、延々とお説教するよりも、ずっとわかりやすく、そして頭に残りやすくなります。100回言っても伝わらないことも、1回絵を描くだけで伝わることもあります。絵を描くのが苦手なお母さんは、棒人間でも充分ですし、写真をスマホアプリで加工したり、ネットのフリー画像や園・学校のお便り、パンフレット、フリーペーパーなど、使えるところをコピーしたり切り抜いて貼れば大丈夫です。それから、「せっかく貼り紙をしてもそれを見るのを忘れる」というツワモノのお子さんには、もう一手間かかりますが、「何を見ればいいんだっけ?」と、紙を見るように気づかせる声かけを併用するといいと思います。参考:Facebook記事「おうち標識」(初出:2013.12.20)Upload By 楽々かあさん普段は子どもに7割くらい、穏やかに優しくできていても、ついに堪忍袋の緒が切れ「いい加減にしなさいッ!」と、大声でカミナリを落とすこともあるでしょう。そんな時だけ、パパやご近所さんは気が付くものですが、さっきまでできていた7割のほうもちゃんと見て欲しい、と思うこともあるのではないでしょうか。これと同じように、子どもが良くない行動をした時だけ注意していると、子どもも「いつも怒られてばっかり。おれだって頑張ってるのに全然わかってくれない!」と不満になるかもしれません。子どもが褒められるようなことをしていなくても、普通に過ごせている時には、そこを褒めてみましょう。例えばうちでは、3兄妹が特別美しい兄弟愛の姿を見せていなくても、ほどほどに楽しくケンカをせずに遊べている時には「かあちゃん、今日は平和で助かるわあ」と声かけしています。そして兄が弟を叩くなど、良くない行動があったときも、「やめて!」と強く短く言い、叩くのをやめてくれたら「やめられたね」と褒めます。しぶしぶでも、夢中になっているゲームの手を止め、宿題に取りかかれた時も同じです。一見ワガママに思えることや、他の子にとっては「できて当然」と思えることでも、ちょっとでもガマンできたり、気持ちを落ち着けたり、しぶしぶでも妥協できたときは、褒めるチャンスです。●「ガマンできたね」●「頑張ったね」●「譲ってくれてありがとう」と、努力や過程を褒めたり、感謝を伝えたり、その子の努力に応じて声をかけ、ポイントやごほうびを与えたりします。当たり前のようなことの頑張りであっても、気付いて伝えると、少々やんちゃなお子さんも、良くない行動をいつもより早めにやめてくれたり、ガマンや妥協したりできるようになると思います。大人でも、ちょっとしたことで「頑張っているね」「ありがとう」と言われたら、まんざらでもないですよね。参考:Facebook記事「ポイント手帳2015」(初出:2015.3.13)まとめ出典 : どうでしたか?「言っても言ってもわからない子」に伝わる、ほんのちょっとの子育てのコツはいくらでもあるんです。そして、子どもがなかなかわかってくれなくても、それは決してお母さんが頑張っていない、という意味ではありません。毎日、子どもに身支度をさせる、3食食べさせる、園や学校に行かせる、スーパーや公園に連れて行く、一日を無事に終える…そんな当たり前のような日常の、お母さんの大変さや頑張りには、なかなか周りの人もパパも気付いてくれません。でも、今日までお子さんが元気に無事成長できているのは、そんなお母さんの地道な日々の努力のおかげです。自分のことも、たくさんほめてあげて下さいね。参考書籍:著書「発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母の毎日ラクラク笑顔になる108の子育て法」大場美鈴・著/汐見稔幸・監修(ポプラ社)
2016年09月26日日本ツインテール協会が手がけるアイドルユニット「drop」に、4人目の新メンバーとして大場はるかが電撃加入することが明らかになった。dropは、8月30日に東京・渋谷PARCO内のライヴハウス「2.5D」にて新曲発表イベント「dropの次元ドロップ」を開催し、チケットがソールドアウトしたことから、急遽公演を増やし2部構成に変更。その1部のステージでこれまでの持ち曲を披露した後、サプライズ発表が行われた。drop4人目のメンバーとなった大場は、1993年生まれの20歳。かつて秋葉原で伝説的な人気を誇ったジュニアアイドルという経歴の持ち主で、秋葉原で握手会を開催すると300名を超える長蛇の列を作り、会場店舗の来場記録を更新した逸話を持っているという。その後は、舞台やドラマ、映画などでの女優業やNHKで放送中の高校講座『ロンリのちから』でタレントしてレギュラー出演。現在20歳ながら顔も体型も中学生のままという大場は"合法ロリ"のキャッチコピーを掲げ、安心して応援できるロリを提案していくという。彼女の担当カラーは緑で、属性は自然。dropは、今までに数百名の美少女を撮影してきた日本ツインテール協会がプロデュースし、三嵜みさと、杉野静香、滝口ひかりの3人で構成されたアイドルユニット。水樹奈々の楽曲や『うたの☆プリンスさまっ♪』『戦姫絶唱シンフォギア』の企画原作、音楽プロデューサーを務める上松範康氏が作曲を担当。協会会長の古谷完氏が作詞を担当し、サブカルチャーのエッセンスも取り込みながら、"脳を焼くアイドル"という独自の世界観が注目を集めている。4人体制となったdropは、現在オフィシャルサイトにて新曲「いろはにほへとでヴァンパイア」を公開中。ヴァンパイアに扮した4人が目くるめくボーカルチェンジで歌い上げるホラーでポップなキラーチューンを披露している。なお、9月12日には東京・TSUTAYA O-EASTにて「GIRLS BOX VOL.15 @EAST ~祝15回目SP!!~」、15日に東京・Zepp DiverCity「GIRL’S BOMB!! ~秋の大感謝祭~」、23日に宮城県・仙台市内の「SENDAI COLLECTION 2014」に出演する。(C)Photograph by KanFuruya
2014年09月02日