■前回のあらすじ帰省費用からおもちゃなどいつも義父から支援されてきた義姉。反対に義父からの支援がほぼなかった千里夫婦は「干渉されないから問題ない」と思っていた。そんなある日、義父が突然亡くなってしまう。しかし義姉は葬式に参列しないと言い始めて…。 >>1話目を見る 私の実家地域とは異なったお葬式の形式。ご近所さんが多数来てくれて、心温まる式にはなりましたが、体力的にはかなり大変なものでした。そして結局お義姉さんは現れず、お義兄さんだけがお焼香に来てくれました。それでもお義母さんはお義姉さんに理解を示していたのですが、ようやくやってきたお義姉さんから財産分与の話がいきなり飛び出して…。次回に続く(全10話)毎日更新!※この漫画は実話を元に編集しています脚本・ 日野光里 /イラスト・ 玄米(監修:アトリエPP合同会社)
2022年11月12日いつもお義父さんから愛されていることを自慢のように語っていたお義姉さん。だからお義父さんが亡くなってかなりショックを受けていると思っていたのですが…。自分の親のお葬式にすら参列しないって、どうして…?次回に続く(全10話)毎日更新!※この漫画は実話を元に編集しています脚本・ 日野光里 /イラスト・ 玄米(監修:アトリエPP合同会社)
2022年11月11日東京司法書士会は、2022年に司法書士制度が150周年を迎えることから、これを記念する事業として、「相続なんでも電話相談会」を開催いたします。【企画の概要】タイトル : 「相続なんでも電話相談会」主催 : 東京司法書士会概要 : 令和6年4月1日の相続登記義務化にかかる改正法の施行に伴い、現在社会の関心が高まっている「相続」をテーマとして1日限りの無料電話相談会を開催いたします。実施日時 : 令和4年11月5日(土)9時30分~17時00分(最終受付16時40分)電話番号 : 0120-040803(フリーダイヤル)その他イベント詳細については、特設サイトを御参照ください。特設サイトURL: ■本企画の開催に当たり令和6年(2024年)4月に相続登記の義務化がスタートすることもあり、今後、相続に関する相談需要の増加が見込まれます。司法書士は、登記のみならず、遺言書作成、遺言執行、遺産整理手続、成年後見等、業務で日常的に相続と極めて密接にかかわる職能であり、増加する相続に関する相談の受け皿となりうる存在です。本相談会は、相続登記のみならず、遺言書作成、遺言執行、遺産整理手続、成年後見等、相続に関わるご相談をお受けする相談会です。なお、『相続なんでも電話相談会』は1日限りの相談会です。この日にご都合がつかない方は、東京司法書士会総合相談センター等をご利用頂ければと思います。参考 司法書士制度150周年司法書士の前身である「代書人」は明治5年(1872年)に誕生しました。時代の変化とともに仕事内容も変化し、名称も「代書人」から「司法代書人」「司法書士」と変わり、令和4年(2022年)に150周年を迎えました。令和元年(2019年)に改正された司法書士法では、「法律事務の専門家として、国民の権利を擁護し、もつて自由かつ公正な社会の形成に寄与することを使命とする」と定められました。■法人概要名称 : 東京司法書士会代表者: 会長 野中 政志所在地: 〒160-0003 東京都新宿区四谷本塩町4番37号 司法書士会館2階URL : 【本記事に関するお客様からのお問い合わせ先】東京司法書士会 事務局 事業課Tel:03-3353-9191 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年10月31日英エリザベス女王の死去に伴い、英国に2つある王室公領の1つ、ランカスター公領を自動的にチャールズ国王が相続した。米INSIDERによると、時価総額にして約1040億円に上るこの遺産の相続税を支払う義務は、国王にはないという。ランカスター公領の興りは中世に遡る。アルビジョワ十字軍の中心人物だった第5代レスター伯シモン・ド・モンフォールの息子から没収した領地を、1265年に当時の国王ヘンリー三世が息子のエドモンド・クラウチバンクに与え、王室の私有不動産とした。現在は安定した収入を王室にもたらすための不動産として運営されており、昨年の記録によると女王はランカスター公領から2700万ドル(約38億円)の収益を得たとされている。英国の法律では、一定額以上の財産を相続する場合は40パーセントの税金を支払う義務が発生する。本来であれば、チャールズ三世は400億円を超える相続税を払わなければならないが、これは免除されることになる。一体なぜだろうか。1993年にメージャー首相が、短期間に2人の君主が相次いで亡くなった場合、相続税の支払いで王室が破産する可能性を指摘。その後、君主の相続税支払いを免除するルールを設けたと、i Newsで調査報道を担当するディーン・カービー記者が解説している。このルールは、2002年にエリザベス女王の母、“クイーン・マザー”ことエリザベス王太后のインペリアル・イースター・エッグのコレクションを含む約8000万ドル(約113億円)相当の遺産を女王が受け継いだ際に初めて適用されている。もう一つの王室公領であるコーンウォール公領は、チャールズ国王からプリンス・オブ・ウェールズの称号を継承したウィリアム皇太子へと引き継がれている。
2022年09月13日「うちは、相続放棄をかなり前からしているので、興味ないですね」6月26日放送の『ワイドナショー』(フジテレビ系)に出演していた長嶋一茂氏が、実家の相続についてこう言い切ったーー。しかし、この発言を聞いて「生前に相続放棄ってできるの?」と思った人もいるのではないだろうか。相続問題にも詳しい行政書士の塩崎由花里さんはこう指摘する。「相続放棄とは、『人が亡くなったときから始まる手続き』です。しかし、相続放棄という言葉には、勘違いや誤解も生じやすいのです」実際に、勘違いから起こったトラブルをもとに相続放棄について学んでいこう。【ケース1】放棄宣言を撤回された《不動産や預貯金などの、ある程度の財産のある親が先日亡くなりました。その際、以前から『自分は相続放棄した』と宣言していた兄が突然、『やはり財産をもらう』と発言を撤回し、私と弟はびっくり。『いらないって言ったクセに!』と不穏な空気が流れています》(東京都・主婦・60代)「生前の相続放棄(宣言)は法的に効力がありません。この場合、兄は相続放棄しているわけではないのです」(塩崎さん・以下同)つまり、冒頭の長嶋一茂氏も、現状では相続放棄できていないということになる。では、今回のケースの場合はどうなるのだろう。「相続放棄とは、親などの相続される人の死後、財産に関する相続権の一切を放棄すること。なので、まだ親などの被相続人が生きているときから、相続人が『自分は相続を放棄します』と、宣言していたとしても、法的効力はありません。今回のように、『やはりもらいます』と言っても認められます」今回のケースでは、きょうだい仲はこじれるかもしれないが、相続人全員で遺産分割の協議をするしかない。親に借金などの「負の遺産」があった場合も同様だ。「勘当されたり、大げんかして絶縁したと思っていても、法的な手続きを踏まない限り相続放棄はできません。その場合、親の借金なども相続することになります」縁を切ったはずの親の借金を支払わねばならないこともあるのだ。■法的な手続きを踏まないと相続放棄できない【ケース2】音信不通の子がいる《父が急死し、借金(負債)が多かったため、私と母と妹は相続放棄をしようと思います。ただ、父には先妻との間に長男がいます。相続放棄には長男の同意もいりますか?私たちにはその長男の居場所もわかりません》(大阪府・主婦・60代)「相続放棄は相続人それぞれが個人で行う手続きなので、所在不明の実子がいても、問題ありません。相続放棄していない長男には、自治体から不動産の固定資産税の請求などの通知がくることがあります。そのときに、長男が個人で放棄をするか否か判断する必要があります」 それでは、法的な相続放棄の手続きはどのようなものか。「弁護士または司法書士の名の下に、相続の開始があったときから所定の申述書に記載し、提出することで完了します」申述書は、東京家庭裁判所のHPよりダウンロードできる。〈1〉相続の開始があったときから3カ月以内に、〈2〉被相続人の最後の住所地の家庭裁判所に、〈3〉相続申述書・申述人(相続人)の戸籍謄本等・収入印紙800円などを同封し提出することで、相続放棄できる。【ケース3】親の預貯金を使ってしまった《父が他界し、住宅ローンや事業資金の借り入れなどもあるようなので相続放棄したいと思います。しかし、父の死後、口座の預貯金を下ろして自分の生活費などに用立ててしまいました。相続放棄はできるのでしょうか?》(熊本県・主婦・50代)「原則、被相続人の死後、相続財産を使ってしまったのであれば、『相続した』ことになるため、相続放棄はできません」葬式費用は問題ない場合があるが、生活費やカード払いで、誤って使ってしまわないように要注意だ。【ケース4】放棄後も空き家の管理義務が《母が他界したときに田舎の古家と土地しか残らなかったため、きょうだい全員、相続放棄をしました。ですが、自治体でももらってくれないほどの過疎地でした。本当に放棄できたのでしょうか?》(石川県・主婦・70代)「固定資産税などを請求されることはありませんが、管理義務は残ってしまうことはあります。そうしたときは、相続人全員で話し合い、管理することになります」古くなった空き家が倒壊して道に瓦が落ちたり、周囲の家とトラブルが起きた場合などは賠償等の責任を負わなくてはならない可能性がある。【ケース5】後から財産が見つかった《父の他界後、家も賃貸で、預貯金も見当たらなかったため私は相続放棄の手続きをしました。しかし後になって、父が新宿に広めのワンルームマンションを所有していたことが判明。ほかのきょうだいはこれを知っていたのか否かわかりませんが、相続放棄はしていません。相続放棄の手続きを無効にすることはできますか?》(東京都・会社員・40代)「一度、相続放棄の手続きをしてしまったら、撤回はできません。マンションは相続放棄していないきょうだいたちで相続することになります。このようなケースもあるため、熟考のうえで決めなければなりません。迷った場合は、専門家に相談することをおすすめします」塩崎さんは落とし穴を回避するために、最後にこうアドバイスをしてくれた。「被相続人から、財産や負債を漏れなく聞き取っておくことが大事です。相続放棄の期限は、被相続人の死後3カ月と短いので、必要な書類、自分自身の戸籍をあらかじめ取り寄せておくなど、準備しておくといいでしょう」あとで「しまった」と後悔しない、ベストな行動がとれるように備えておこう。
2022年08月25日東京司法書士会は、2022年に司法書士制度が150周年を迎えることから、これを記念する事業として、「相続」をテーマとする4コマ漫画を広く募集するコンテストを開催いたします。作品応募期間は、2022年9月1日~9月30日です。誰もが当事者となりうる「相続」を身近なものに司法書士制度は、前身である「代書人」が明治5年(1872年)に誕生して、令和4年(2022年)に150周年を迎えました。時代の変化とともに仕事内容も変化し、現在では、国民の権利を擁護し、自由かつ公正な社会の形成に寄与することを使命とする、法律事務の専門家へと発展しております。今般、法改正により不動産の相続登記が義務化されることとなったことから、「相続」について社会の関心が高まっております。この「相続」をテーマとして、広く一般から4コマ漫画を募集するコンテストを開催することにより、誰もが当事者となりうる「相続」を身近なものとして考えていただくきっかけとしたいと考えております。【企画の概要】タイトル:「『相続』をテーマとする4コマ漫画コンテスト」主催:東京司法書士会後援:東京法務局概要:広く一般から4コマ漫画を募集する。「相続」に関係のあるテーマであれば何でもよい。審査員:イラストレーター・ユーチューバーさいとうなおき漫画家神山丈瑠東京法務局長東京司法書士会長作品応募期間:2022年9月1日~9月30日応募方法:特設サイト内応募フォームから送信又は郵送賞・賞金:さいとうなおき審査員賞(10万円)他・賞金総額50万円審査結果発表:当会webサイトにて発表(12月1日予定)その他イベント詳細については、特設サイトを御参照ください。特設サイト : 企画用Twitterアカウント: (画像はプレスリリースより)【参考】※特設サイト
2022年08月07日東京司法書士会は、2022年に司法書士制度が150周年を迎えることから、これを記念する事業として、「相続」をテーマとする4コマ漫画を広く募集するコンテストを開催いたします。作品応募期間は、2022年9月1日~9月30日です。【企画の概要】タイトル :「『相続』をテーマとする4コマ漫画コンテスト」主催 :東京司法書士会後援 :東京法務局概要 :広く一般から4コマ漫画を募集する。「相続」に関係のあるテーマであれば何でもよい。審査員 :イラストレーター・ユーチューバー さいとうなおき漫画家 神山丈瑠東京法務局長東京司法書士会長作品応募期間:2022年9月1日~9月30日応募方法 :特設サイト内応募フォームから送信又は郵送賞・賞金 :さいとうなおき審査員賞(10万円)他・賞金総額50万円審査結果発表:当会webサイトにて発表(12月1日予定)その他イベント詳細については、特設サイトを御参照ください。特設サイト : 企画用Twitterアカウント: ■本企画の開催に当たり司法書士制度は、前身である「代書人」が明治5年(1872年)に誕生して、令和4年(2022年)に150周年を迎えました。時代の変化とともに仕事内容も変化し、現在では、国民の権利を擁護し、自由かつ公正な社会の形成に寄与することを使命とする、法律事務の専門家へと発展しております。今般、法改正により不動産の相続登記が義務化されることとなったことから、「相続」について社会の関心が高まっております。この「相続」をテーマとして、広く一般から4コマ漫画を募集するコンテストを開催することにより、誰もが当事者となりうる「相続」を身近なものとして考えていただくきっかけとしたいと考えております。■法人概要名称 : 東京司法書士会代表者: 会長 野中 政志所在地: 〒160-0003 東京都新宿区四谷本塩町4番37号 司法書士会館2階URL : 【本記事に関するお客様からのお問い合わせ先】東京司法書士会 事務局 事業課Tel:03-3353-9191 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年08月05日相続をきっかけとして、親族間でトラブルになるケースもあります。「そんな話はまだまだ先」と思っていた30代の真奈さん(仮名)は、父親の死をきっかけに予想外のトラブルへと発展していったそうです。メンタル心理カウンセラーの並木まきが真奈さんの壮絶な体験エピソードをご紹介します。第一子妊娠中に父親が帰らぬ人に…30代半ばの真奈さん(仮名)は、大学卒業後に実家を出て上京し就職。仕事の関係で知り合った4歳年上の男性と結婚し、すぐに第一子を妊娠しました。幸せの絶頂だと感じていたある日、突然父親が倒れたとの連絡が……。「実家は新幹線で2時間ほどかかる距離だったのですが、母から『パパが倒れた』と連絡があってすぐに実家に駆けつけました。けれど、父は倒れてから目を覚ますことなく、そのまま帰らぬ人に……。私も母も予想外のことで、バタバタと父の葬儀を終え、そのあとは父の遺産相続の手続きを進めることになりました。そしてそのときに、母から父はバツイチで、実は私に異母兄弟の兄が二人いることを知らされたんです」存在を知らなかった兄が二人… 相続の話をするため連絡をとってみると「父のことで憔悴しきっていた母の代わりに、私がその人たちに連絡をとって話し合いを進めることになりました。幸いなことに、母は生前の父から『何かあったら、ここに連絡をしてくれ』と、私の異母兄弟たちの携帯電話と住所を書いたメモをもらっていたんです。そのメモがあったので父の遺産相続について、二人の兄に連絡をとるのは思ったよりも簡単でした。最初に上の兄だという男性に電話をすると、向こうは私の存在を知っていたようで『あぁ、あなたが僕に電話をしてくるってことは、父に何かあったんですか?』と冷静な声で尋ねられました」そこで上の兄に父親の死と、相続にあたって話し合いをしたい旨を申し入れたという真奈さん。上の兄は「じゃあ弟には僕から連絡をしておきます」と言ってくれたので、話し合いの日時を決め電話を切ったそうです。「ところが、どうやらこの二人の兄がなかなか難しい人たちらしくって……。母は以前、父から兄二人はもめ事を起こすことが多いと聞いていたようです」それでも、同じ父親の子どもである以上、話し合いは避けられないと考えた真奈さん。約束の日には、憔悴している母親に同席を求めることなく、一人で話し合いに向かったとのこと。親の過去は何でも知っているという人は意外と少ないかもしれません。過去に別の人と結婚していたことがある親であれば、自分以外にも異母兄弟や異父兄弟が存在したとしても不思議ではないでしょう。こういったケースでは、相続の話を進めるにあたって一筋縄ではいきにくいこともあるようです。©Karimpard/miya227/gettyimages文・並木まき
2022年07月22日「相続対策の大切さ」「相続対策の具体的な方法」「相続税の申告、納税の注意点」 をまとめたドキュメント(清田家の相続の記録)アマゾン書籍 : キンドル電子書籍 : 大反響! 発売たちまち4刷!東洋経済オンラインで紹介、アクセスランキング2位!Yahoo!ニュースで紹介!本書は、私の経験を通して、「相続対策の大切さ」「相続対策の具体的な方法」「相続税の申告、納税の注意点」をまとめたドキュメント(清田家の相続の記録)です。(本文より)相続税の申告を6,000件超、相談を22,000件超担当――日本トップクラスの実績を誇る相続のプロが初めて経験する特別な案件、それが自分の父親の相続でした。収益を生まない裏山の売却を提案しても首を縦に振ってもらえない、なかなか遺言を書いてもらえないなど、専門家として、息子として実感した相続の「現実」、そして生前の準備から、葬儀、手続き、申告までの一部始終を包み隠さず描きます。一方で実際に行った節税策を多数紹介。これから相続を迎えるすべての人に知ってほしい大切なことをまとめた1冊です。■目次第1章 私が「相続専門税理士」になった理由・農家の跡取り息子として、横浜に生まれる・都市近郊農家は、農業だけでは生活できない・「農業嫌い」の私が、農家を支える仕事に就く など第2章 父の相続対策をはじめる・相続対策の最初の一歩は「裏山」の整理・父が7人の孫に対し、15年間贈与をした理由・私が「遺言どおり」に分割しなかった理由・さまざまな相続対策を組み合わせて、合法的に税金を減らす など第3章 父、亡くなる・早めの相続対策は、じつは早めの介護対策でもある・人はいつか、必ず死ぬ など第4章 父の相続の手続き・申告をする・葬儀費用の一部は、相続税から控除できる・相続税は、「払いすぎてしまう」ことがある・相続トラブルは、コミュニケーション不足が大きな原因 など■著者紹介清田幸弘(せいた・ゆきひろ)ランドマーク税理士法人 代表税理士立教大学大学院客員教授1962年、神奈川県横浜市生まれ。明治大学卒業。横浜農協(旧横浜北農協)に9年間勤務、金融・経営相談業務を行う。資産税専門の会計事務所勤務の後、1997年、清田幸弘税理士事務所設立。その後、ランドマーク税理士法人に組織変更し、現在13の本支店で精力的に活動中。急増する相談案件に対応するべく、相続の相談窓口「丸の内相続プラザ」を開設。また、相続実務のプロフェッショナルを育成するため「丸の内相続大学校」を開校し、業界全体の底上げと後進の育成にも力を注いでいる。『お金持ちはどうやって資産を残しているのか』(あさ出版)、『都市農家・地主の税金ガイド』(税務研究会出版局)など著書多数。アマゾン書籍 : キンドル電子書籍 : 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2022年06月28日「相続する土地・家屋の20~30%は、望まない相続であるといわれています。使い道がないのに、維持費や固定資産税などを負担しなければならない“負動産”だからです。なかには、相続したのに登記しないケースも。こうした“所有者不明”となっている土地を合わせると九州の面積を超えていて、この状態が続けば、いずれ北海道の面積も超えるといわれています。その対策のために、来年、再来年と、新しい制度が始まります。知らなければ、過料を科されることもあるので、注意が必要です」こう話すのは司法書士法人リーガル・フェイスの田中均弥さんだ。資産価値が低く、利用する予定もない“負動産”が心の重しになっている人は多い。「買い手も借り手も見つからない空き家は、傷むのが早いので、定期的に空気を入れ替え、メンテナンスしなければなりません。しかし、相続した空き家と自宅が遠く離れている場合、難しいでしょう」■空き家でのトラブルは相続人の責任に放置されたままの空き家は、放火されたり、誰かが住みつき犯罪の温床になったり、倒壊して近隣の家に迷惑をかけるリスクがある。「『空家等対策特別措置法』によって、倒壊の恐れなど危険な建物は自治体の判断で取り壊すことができますが、基本的にトラブルがあれば、その責任は土地・建物の所有者が負うことになります」(田中さん、以下同)こうした“負動産”にも、固定資産税がかかる。タダでもいいので自治体等に寄付したいと思う人は多いはずだ。「ところが寄付というのは、互いの意思が必要で、どちらか一方の希望だけでは成立しない。所有者が『あげる』といっても、公園に利用できるなど、公共事業に有効活用できる土地でなければ、自治体は寄付を受け付けません」そんな人の助けになるのが、2023年4月27日から施行される「相続土地国庫帰属法」だ。「相続で取得した土地は、一定の条件を満たしていれば、どんなに資産価値が低くても国が引き取ってくれるようになります」しかし、どんな土地でも引き取ってくれるわけではない。「まずは更地であること。空き家があれば、解体しなければなりません。一般的な一軒家(30~40坪程度)であれば、解体費用は100万円から200万円くらいでしょう」土地が崖地だったり、所有権に争いがある場合もダメ。「国に引き取ってもらう土地の10年分の管理費を払うのも条件です。まだはっきりと決まっているわけではありませんが、市街地の約200平方mの宅地であれば80万円、山林や畑、原野などなら20万円ほどが目安となりそうです」まったく買い手のつかない田舎の実家などに困った場合は、解体費用含め120万~180万円ほどでこうした悩みとおさらばすることができる。それを安いと感じるか、高いと感じるかは、“負動産”をどの程度負担に感じているかによるだろう。「施行以前に相続した不動産などが対象になるのか、まだ明確な規定はされていないので、今後の指針が注目されています」
2022年06月22日みなさんは親戚の方々とは上手く付き合えているでしょうか? 大なり小なり親戚トラブルは皆さん経験があるみたいです…。 今回は実際に募集した義実家トラブルエピソードをご紹介します!相続問題実家の隣に叔父(父の弟)が住んでいました。叔父の家の隣に40坪程度の土地があり、私の父からは私に相続させると聞いていました。このことは叔父も知っていたはずだったのですが…父が亡くなった後、叔父から「私が相続するはずの土地」は叔父が相続するように聞いていた、と主張してきました。父と叔父はとても仲良しで、私も好きな叔父だったのですが、なぜ父が亡くなった後に土地の相続を主張してきたのかわかりません。その後叔父とは何回も話を繰り返し、どうやら叔父はその土地を自分の子どもや孫にあげたかったようで…。私も父からの思いを聞いていましたし、叔父の主張は断固拒否。出典:lamire結局その土地は私が相続した後に、叔父に金銭を払って購入してもらうことに。仲が良いと思っていた親戚ですが、お金や土地などの資産が絡むと態度や対応が変化するものですね…。情けなく悲しく感じました。そのことがあってから、叔父や叔父の家族とも表面的な付き合いとなってしまいました。(男性/無職)わが家の問題なのに…父が長患いの末に亡くなりました。私は実家を出ていたので、家で看病と介護をしてくれていた妹にお礼ということで、相続は放棄するつもりでした。それを嗅ぎつけた義実家の面々に呼び出され「あなた長女じゃないの!」「放棄なんて正気の沙汰じゃない!」と攻め立てられ…。相続と言っても妹が住んでいる実家くらいで本当に大したものはないのに、外野がうるさくて疲れ果てました。(女性/会社員)いかがでしたか?こんな親戚と付き合うとなると骨が折れそうですね。子どものためにも親戚とはいい関係でいたいものです…。以上、親戚トラブル体験談でした。次回の「トラブル体験談エピソード」もお楽しみに♪※こちらは実際に募集したエピソードを記事化しています。"
2022年06月18日夫に先立たれた妻が財産を相続した際、その一部申告漏れを指摘されるというケースが増えている。正しい認識で、先々のペナルティの発生を防ごうーー。「税務署から連絡を受けたときはびっくりしました。まさか自分が追徴課税を支払うことになるだなんて……」そう肩を落とすのは首都圏近郊に住むA子さん(70代)。A子さんは、夫の死後2年ほど経過してから税務調査を受け、その結果なんと数百万円のペナルティを科せられたという。夫は長年にわたり商売を営んでいた。夫が病いに倒れてから店をたたみ、夫名義の不動産をすべて処分。そのお金を夫と折半し、手元に所有していた。夫の死後、相続税の申告を税理士に依頼したとき、「預金通帳以外のお金は申告しなくてもいいのだろう」と考え、“へそくり”のことを伝えていなかった。押入れに保管していた多額のへそくりが、ペナルティの対象になったのだ。「タンス預金自体が悪いのではなく、問題なのは手持ちの現金まで税務署はわかるはずがないと、タンスの引出しやクローゼットの奥にしまってある現金について申告をしないことです。これは相続税を『過少申告』したことになります。配偶者が相続した課税遺産総額は『1億6000万円』もしくは『配偶者の法定相続分相当額』のうち、どちらか多い金額までは相続税が課せられないといったルールがあります。ところが、A子さんのケースは相続税を過少申告した『仮装隠ぺい行為』にあたる可能性があります。仮装隠ぺい行為と認定されると、配偶者の相続税の優遇措置が受けられなくなります。“へそくり”についても、すべて申告する必要があります」そう指摘するのは、税理士で円満相続税理士法人代表の橘慶太さん。橘さんはこれまで5000人以上の相続相談に乗り、手続きのサポートをするなかで、税務署に“狙い撃ち”される家族を見てきた。「結婚後、長年専業主婦をしていて、なおかつ実家の親から大きな遺産を相続したわけでもない。そういう妻の預金通帳に数千万円ものお金がある場合、『専業主婦だった妻の通帳に多額の預金があるのはおかしい』と疑われて調べられるのです。相続財産は夫が亡くなったときに残っていた『夫名義の財産』だと思う人も多いでしょうが、専業主婦の妻の通帳にあるお金は元をたどると『夫が稼いだお金』で構成されています。そのようなお金のことを『名義預金』といい、実際には夫の財産として相続財産に含める形で相続税を計算します」じつは、私たちの財産は、毎年の確定申告や給与の源泉徴収票をもとに「国税総合管理」(KSK)という国のシステムによっておおよそ把握されている。差額があると、「どこかに隠しているのではないか」と疑いの目を向けられるのだという。相続税の修正申告というと、「書類の不備」などを指摘されることをイメージするかもしれないが、相続税を申告しなかった人の財産もこのシステムで把握できるようになっていると橘さんは言う。「自分の預貯金が相続税の対象になるということは、まったく知りませんでした……」ため息をつくのは、首都圏在住のB子さん(80)だ。やはり相続税の申告漏れを指摘され、約100万円の追徴課税を支払うことになってしまったという。「申告漏れ」はB子さん名義の預金だった。「いきなり100万円と言われてショックでした。私の相続分には『配偶者の税額の軽減』が適用されたので相続税はかかりませんでしたが、2人の子どもたちの分には相続税が発生してしまいました」(B子さん)■夫からのプレゼントが対象になることもB子さんは生活費として夫からもらったお金の残りをコツコツ貯めて“へそくり”にしていた。このほかにも、20年ほど前に夫が定年した際に退職金の一部を預かっていた。「退職金を分けて、一部を妻の口座に入れるケースをよく見かけますが、妻へのプレゼントであれば年110万円を超えると『贈与税』が発生します。一時的に預かっているだけ、ということであっても、元をたどると夫が稼いだお金なので、相続財産に含めなければなりません」(橘さん)■「制度を知らなくて」は税務署には通用しない近年、税務署は相続税の申告書を提出しなかったB子さんのような「無申告者への税務調査」を積極的に行っているという。「不慣れだったので計算ミスをしてしまった、制度を知らなかった、という人に対しても税務署は容赦しません。’20年7月~’21年6月に税務調査を受けた家庭の85.3%が修正することになり、申告ミス等で、追加で課税される1件あたりの追徴課税額は943万円にもなりました」追徴課税の“ターゲット”になる財産は、預金のほかにもある。へそくりを使い株や投資信託など妻の名義で購入した金融資産も、元をたどって夫のお金であれば、相続財産に含めなければならない。このほかに、夫が保険料を支払っていた生命保険金、金やプラチナなどの貴金属類も相続財産になるため注意が必要だ。■追徴課税の“ターゲット”になりやすい財産【預金】妻名義の銀行口座のお金、タンス預金は、元をたどると夫の収入から成り立つので相続財産に含める。【不動産】自宅は「小規模宅地の特例等」が適用されれば相続税は8割減になるが、ほかに投資用の不動産がある、借地権付きの土地に建物を立てているなどのケースは要注意。【生命保険金】夫が保険料を支払っていたら、名義は妻でも受け取った生命保険金は相続財産に含める可能性が(※500万円×法定相続人の人数の分は非課税)。【株・投資信託】妻の名義で株や投資信託を保有していても、購入資金が夫のお金であれば、相続財産に含める可能性も。【金・プラチナ】夫から妻へのプレゼント、あるいは妻の自分へのごほうびであっても、購入資金が夫のお金であれば、相続財産に含める可能性が。「うちの財産はたいしたことはないから」と安易に判断せず、相続税が発生するかどうか、わからない場合は税務署や相続に詳しい専門家にきちんと相談しよう。相続で大切な資産を減らしてしまうことのないよう、親や自分のへそくりについて、正しい申告を心がけたい。
2022年06月09日簡単に人間関係を崩してしまうお金。お金があれば不自由はしませんが、トラブルの元になることも。 今回は実際に募集した金銭トラブルエピソードをご紹介します!相続亡くなった父方の祖父の相続で、家族みんなが大変な思いをしました。元々自分は父を亡くしていたため、祖父の相続を父の代わりに相続(代襲相続)しなければならず、叔父と共に相続手続きをしていました。戸籍を調べたところ、なんと祖父に隠し子がいたことが判明…。さらに海外の人であったため、なかなか相続が上手く進まず、さらに最終的に相続分のお金の取り合いで大喧嘩になってしまいました。結局、半分ずつに遺産を分けることになりましたが、親戚同士の仲も悪くなり後味が悪くなりました。(女性/専業主婦)出典:lamire遺産の分配妻の祖母がひとり暮らしをしていましたが、老人ホームには入りたくないと常日頃から言っていました。祖母には2人の娘がいましたが、長女(妻の母)はなくなっており、本来であれば二女である叔母が世話をするのかなと思いきや、叔母は拒否。結局我が家で同居することになって2年ほど一緒に暮らしました。その間、週末は祖母が暮らす家に移動して生活したり、その後、祖母が老人ホームに入ってからも、叔母はほとんど面倒を見ずにうちの妻が世話をしによく行っていました。祖母が亡くなり、祖母のまわりの人はみんな、うちの妻と叔母とで遺産を分割すればいいと思っていましたが、叔母は急に「1人で相続する」と言い、話し合いでは解決せずに、最終的には裁判に…。出典:lamire叔母がやや多めに相続することで決着しました。これを機に叔母とは完全に縁が切れましたが、それでよかったと思っています。(男性/保育士)いかがでしたか?お金はトラブルの元になりやすいみたいです。お金の貸し借りは慎重にしないといけませんね。以上、金銭トラブル体験談でした。次回の「トラブル体験談エピソード」もお楽しみに♪※こちらは実際に募集したエピソードを記事化しています。"
2022年06月07日「相続人の一人が認知症に……」 「わが家は相続人が行方不明」親が90歳、100歳まで存命なのは心強いが、そのぶん、子世代も60代、70代と高齢になる。勃発してくるのが「老々相続」問題だーー。「老々相続とは、高齢の親の財産を老いてきた子世代が相続すること。長年、老々介護をしてやっと親御さんを見送った後、『老々相続』という仕事が待っています。少しでも困らないために、いまから準備をしておくことは大事です」注意をうながすのは、老々相続問題に詳しい行政書士の塩崎由花里先生だ。「通常、法定相続人は配偶者と子です。配偶者と子がなければ親やきょうだいとなり、老々相続の場合、相続人が認知症や行方不明になってしまうケースがあり、相続手続きが難航します」考えられるケースを紹介しよう。■コミュニケーションをとることがいちばん大事【1】法定相続人が認知症に「法定相続人が認知症になると、成年後見人をつけなくてはなりません。成年後見人の手続きには3~6カ月ほどかかり、その間は本人に必要な法律行為ができません。遺産分割協議もできないため、相続手続きに長い期間がかかります」(塩崎先生・以下同)【2】法定相続人がすでに他界「法定相続人である配偶者と子どもがすでに亡くなっている場合、孫がいれば、相続は孫に引き継がれます。亡くなっている子が複数いると相続人が増え、20人、30人というケースも。全員で遺産分割の話し合いをして、手続きを進めるのは容易ではありません」【3】相続人が行方不明「私の担当したケースで、何十年も前に音信不通になったお子さんがいました。所在地を判明させ、やりとりできるまで数年がかりでした。さらに相続の手続きをしている途中で相続人が亡くなってしまい、手続きが初めから、となるケースも」相続手続きが何年も進まず、空き家が長年放置され、銀行口座が凍結され、財産分与がままならない事態にもなるという。回避策として「『遺言書』を作成しておくこと」と塩崎先生は説明。「自分は誰にどの財産を、どれだけ残したいのかを考えて遺言書を作成しましょう。その際に遺言執行者を指定しておけば安心です」遺言書は公正証書で作成するのが最善だが、それが難しい人も多い。そこで、今回は自筆で遺言を残す方法を教えてもらおう。「『全財産を妻○○に相続させる』という文言でも可能ですし、お世話になった知人に財産を渡したいとか、寄付することも可能です」遺言書サンプルは、図のとおり(画像参照)。「必ず手書きが原則で(財産目録はPC打ちが可。ただし署名などが必要)、誰に何を相続させるかを書いていきます。この場合、介護などで長年お世話をしてくれた子の取り分を多くするなども指定できます。できれば、なぜその配分なのかといった思いを記してもいい。相続人たちを納得させる材料にはなると思います」大切なのは、相続人が確実に発見できるようにしておくこと。発見できなければ遺言者の意思は実現されない。「司法書士や行政書士といった専門家に託しておくと安心ですし、法務省の遺言書保管制度を利用するという手もあります」また、遺言書の用意以外にもやっておくと安心なことを、次のリストで確認しておこう。【もめない老々相続のためにやっておくと安心!】〈1〉遺言書を作成しておく〈2〉相続人の間でコミュニケーションをとっておく〈3〉不動産、株などの財産を極力洗い出し、保管場所を把握しておく〈4〉借金などの負債を把握しておく〈5〉銀行口座は2行ほどに絞る〈6〉ペットの行き先を決めておく〈7〉デジタル製品のパスワードなど、万一のときにはわかるようにエンディングノートなどに記しておくそして最後に、もっとも大事なことは日ごろの交流である、と塩崎先生は言い切る。「相続が起きて、初めて相続人間で連絡をとり行方不明や認知症の人を把握するのではなく、日ごろからつながりを持つことが老々相続のトラブル回避になるでしょう」【PROFILE】塩崎由花里行政書士、塩崎由花里事務所代表。女性とシニアに向けて手続き業務を行う傍ら、メディア出演、セミナーなどで活躍
2022年05月26日すぐにでも相続対策を始めた方がいい5つのパターンキンドル電子書籍 : アマゾン書籍 : 本書は、私の経験を通して、・相続対策の大切さ・相続対策の具体的な方法・相続税の申告、納税の注意点をまとめたドキュメント(清田家の相続の記録)です。(本文より)●特に資産5,000万円いかの方の争いが全体の約8割。いま相続時のトラブルが増えている2000年8,889件↓↓↓2020年11,303件相続はお金のことに加えて感情も絡むのでとても難しい案件です。相続税の申告を6,000件超、相談を22,000件超担当――日本トップクラスの実績を誇る相続のプロが初めて経験する特別な案件、それが自分の父親の相続でした。収益を生まない裏山の売却を提案しても首を縦に振ってもらえない、なかなか遺言を書いてもらえないなど、専門家として、息子として実感した相続の「現実」、そして生前の準備から、葬儀、手続き、申告までの一部始終を包み隠さず描きます。一方で実際に行った節税策を多数紹介。これから相続を迎えるすべての人に知ってほしい大切なことをまとめた1冊です。●親が元気な時から相続に取り組み始めた結果、相続税を「約30%」も減税させることに成功しました。①相続対策(相続税対策)「亡くなる前」にすること②相続税の申告、納税の対策「亡くなったあと」にすること●すぐにでも相続対策を始めた方がいい人・兄弟がいる人・土地を持っている人・相続税を払う可能性がある人・子供がいない人・顔を見たことがない相続人がいる(特に甥・姪)相続税を余計に払ってしまう、家族間でトラブルが起こることが考えられます。早くから対策に乗り出すことで、「資産を残す」「節税する」「家族の平和を守る」ことができるようになります。本書が、みなさまの助力となることを願ってやみません。■目次第1章 私が「相続専門税理士」になった理由・農家の跡取り息子として、横浜に生まれる・都市近郊農家は、農業だけでは生活できない・「農業嫌い」の私が、農家を支える仕事に就く など第2章 父の相続対策をはじめる・相続対策の最初の一歩は「裏山」の整理・父が7人の孫に対し、15年間贈与をした理由・私が「遺言どおり」に分割しなかった理由・さまざまな相続対策を組み合わせて、合法的に税金を減らす など第3章 父、亡くなる・早めの相続対策は、じつは早めの介護対策でもある・人はいつか、必ず死ぬ など第4章 父の相続の手続き・申告をする・葬儀費用の一部は、相続税から控除できる・相続税は、「払いすぎてしまう」ことがある・相続トラブルは、コミュニケーション不足が大きな原因 など■著者清田幸弘(せいた・ゆきひろ)ランドマーク税理士法人 代表税理士立教大学大学院客員教授1962年、神奈川県横浜市生まれ。資産税専門の会計事務所勤務の後、1997年、清田幸弘税理士事務所設立。その後、ランドマーク税理士法人に組織変更し、現在13の本支店で精力的に活動中。急増する相談案件に対応するべく、相続の相談窓口「丸の内相続プラザ」を開設。また、相続実務のプロフェッショナルを育成するため「丸の内相続大学校」を開校し、業界全体の底上げと後進の育成にも力を注いでいる。『お金持ちはどうやって資産を残しているのか』(あさ出版)、『都市農家・地主の税金ガイド』(税務研究会出版局)など著書多数。キンドル電子書籍 : アマゾン書籍 : 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2022年05月24日清田 幸弘 著『相続専門の税理士、父の相続を担当する』2022年5月12日刊行株式会社あさ出版(代表取締役:田賀井弘毅、所在地:東京都豊島区)は清田 幸弘 著『相続専門の税理士、父の相続を担当する』 を2022年5月12日に刊行いたします。相続の専門家が当事者に。伝えたい大切なこと相続税の申告を6000件以上手掛ける日本トップクラスの相続専門税理士が初めて経験する案件――それが父の相続でした。プロが自分の親の相続を担当するとどうなるのか。生前の準備から、葬儀、手続き、申告までの一部始終をマンガや図解を交えてわかりやすく解説。実際に行った節税策も掲載しています。相続のプロが、親の相続の一部始終を包み隠さず描く前代未聞の1冊※本書よりマンガ部分を一部抜粋相続時トラブルは、 全体の約8割が資産5000万円以下相続時トラブルは、 全体の約8割が資産5000万円以下父がまだ元気なときから相続対策し、 相続税を「約30%」減額父がまだ元気なときから相続対策し、 相続税を「約30%」減額相続対策を「できるだけ早く」 はじめたほうがいい理由相続対策を「できるだけ早く」 はじめたほうがいい理由財産だけでなく、 親の気持ちも受け継いでいく財産だけでなく、 親の気持ちも受け継いでいく書籍情報表紙タイトル:相続専門の税理士、父の相続を担当する著者:清田 幸弘ページ数:232ページ価格:1,650円(10%税込)発行日:2022年5月12日ISBN:978-4-86667-385-1 amazon: 楽天: 目次第1章私が「相続専門税理士」になった理由第2章父の相続対策をはじめる第3章父、亡くなる第4章父の相続の手続き・申告をする著者プロフィール清田 幸弘(せいた・ゆきひろ)著者:清田 幸弘ランドマーク税理士法人 代表税理士立教大学大学院客員教授1962年、神奈川県横浜市生まれ。明治大学卒業。横浜農協(旧横浜北農協)に9年間勤務、金融・経営相談業務を行う。資産税専門の会計事務所勤務の後、1997年、清田会計事務所設立。その後、ランドマーク税理士法人に組織変更し、現在13の本支店で精力的に活動中。急増する相談案件に対応するべく、相続の相談窓口「丸の内相続プラザ」を開設。また、相続実務のプロフェッショナルを育成するため「丸の内相続大学校」を開校し、業界全体の底上げと後進の育成にも力を注いでいる。【報道関係各位】『相続専門の税理士、父の相続を担当する』リリース.pdf : 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2022年04月27日「うちの子どもたちは仲がいいし、大した財産もないから、自分が死んでもその後、相続トラブルになることはない」と思い込んでいる親たちは多い。ところが、家庭裁判所に持ち込まれる相続トラブルは、この20年で約1.5倍以上に増えて、近年の新受件数は1万4,000件強で推移。その約3分の1は「1,000万円以下」のケースという。「相続は遺産が少ないほどトラブルになりやすく、なかでも多いのは、すでに父親は他界していて、その後、母親が亡くなったことで、財産を子どもたちで相続する場合。すでに独立している子どもたちは集まれる機会が少ないうえ、限られた時間の中で決めなければならないことがたくさんあるので、冷静さを失いがち。特に、自宅とわずかな現金しか残っていないというケースは注意が必要です。やはり、親御さんが元気なうちに、自宅や預貯金をどのように相続してほしいのか、きちんと決めてもらうことが大切です」そうアドバイスするのは、相続問題に詳しい行政書士の竹内豊さん。「死んだ後の話をするのは不謹慎だ」と思うかもしれないが、親族が集まれる機会に、相続について話し合っておくことが、トラブルの回避につながるという。 本来、被相続人の死亡をもって始まるはずの相続だが、なぜ、生前から準備しておく必要があるのだろう。それは、「被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10カ月以内に相続税の申告・納付」を、故人の居住地を所轄する税務署に出向いて行わなければならないというルールがあるからだ。「親が『遺言書』を遺していない場合は、相続人で遺産分割協議を行い、『遺産分割協議書』を作る必要があります。これを含めた必要な書類を10カ月以内にそろえ、相続税の申告・納付手続きを済ませなければなりません。仮に相続財産が基礎控除額(3,000万円+法定相続人の数×600万円)以下であれば相続税はかかりませんが、持ち家がある場合は、自宅の評価額だけで基礎控除額を超えてしまう可能性もあるので注意が必要です。万が一、申告が遅れてしまうと、不動産の『小規模宅地等の特例』などの優遇が使えなくなり、相続税の額が増えてしまう恐れも出てきます」(竹内さん・以下同)さらに、親に多額の借金があったことがわかった場合は、3カ月以内に家庭裁判所に相続放棄を申し出ることで、負債を背負わずに済むといった選択肢もあるので、モタモタしてはいられない。■スムーズな相続のためには親の生前から準備が必要もちろん“みとった後”も忙しい。葬儀や納骨のほかにも、健康保険、年金の死亡手続きや、銀行口座やクレジットカードの解約など、やらなければならないことは山ほどある。そんななかで円滑に相続を進めるためには、親の生前にやっておくべきポイントが3つあるという。まずは、相続財産を確認すること。「通帳を集めて残高を確認しておきましょう。相続開始後の預貯金の払い戻しは大変手間がかかります。複数口座があるとなおさらですので、口座はなるべく1つにまとめて、あとは親御さんが元気なうちに解約してもらうといいでしょう」通帳とともに、金融機関の届出印はどれなのか、目印のシールでも付けておくとわかりやすい。また、故人の銀行口座を解約するときに必要なこともあるので、日ごろから自分の実印もきちんと管理しておきたい。続いて、自宅はいくらの価値があるのかを、固定資産税の通知書をもとに調べておく必要がある。土地が共同名義になっていると相続時にややこしくなるので、自宅の登記簿謄本を取得して、所有者が誰なのか把握しておこう。2つ目のポイントは、誰が相続人になるのかを確認すること。きょうだいは2人だけなので、相続人は2人、と思いきや、じつは両親は再婚で先妻の子がいた、なんてこともありうる。「戸籍謄本を取り寄せて相続人の数を把握し、簡単な家系図を作成してみましょう。たとえば、父がすでに他界して、母の財産を3人の子どもが相続するときは、法定相続分は3分の1ずつになります」そして3つ目が、具体的な遺産の分け方を決めておくこと。介護の負担など、親との関わり方はきょうだいによって異なることもあるので、必ずしも法定相続分のとおりに分けなくてもよいというのだ。「たとえば、長男が親の介護やみとりの中心になり最期まで面倒を見たとしたら、『ほかのきょうだいたちより多くの財産をもらってもいいはず』、と思うでしょう。そのようなときは『遺言書』を活用して、相続に親の意思を反映せておくことです。きょうだい間の話し合いを円滑に進めるためにも、生前に『遺産の分け方の確認』をしておくことが大切です」相続でもめる原因の多くは、この「遺産の分け方」にあるが、そうしたトラブル回避の“切り札”になるのが「遺言書」だ。自ら公証役場に足を運んで、口述しながら公証人が作成する「公正証書遺言」と、原則すべてを自分で自書して作成する「自筆証書遺言」の2通りがあるので覚えておこう。いっぽう、「終活」ブームとともに耳にする機会が増えてきた「エンディングノート」は、相続財産を目録にするときには便利なツールだが、これだけで安心と思ってはいけないという。「エンディングノートは、終末期の医療の受け方やお葬式のやり方など、故人の希望を周囲の家族に伝えておくのにとても便利なツールなのですが、法的な効力はありません。かえってエンディングノートに書いてあることが原因でもめることもあるので、どれだけの財産を誰に遺すという相続に関しては、『遺言書』を作成して、具体的な分配方法を決めておくことをお勧めします」ちなみに’19年1月改正の相続法施行により、自筆証書遺言の作成は、だいぶハードルが低いものに。遺言書に添付する「財産目録」は、それまで手書きに限られていたのが、パソコンでの作成が認められるようになったほか、通帳などのコピー添付も認められるようになった。また、昨年7月からは、自筆証書遺言を市区町村の法務局で預かってくれる保管制度ができ、書類の不備を指摘してもらえるようになった。紛失リスクもなくなるので、ぜひトライしてみよう。■もめない相続のカギは相続人同士の“納得感”しかし、いくら「遺言書」で財産の分け方を指定しても、ほかの相続人から遺産の最低限の取り分である「遺留分」を請求されると、渡さなければならないといった決まりもある。たとえば、母と同居する長男が、「弟と妹は介護をほとんど手伝わないのだから、相続財産は分けなくてもいいだろう」と考えたとしよう。長男の気持ちを察した母は、「長男だけに相続財産を渡す」という「遺言書」を書こうとしたが、弟と妹から「遺留分」を請求されたら、法定相続額の2分の1を渡さなければならず“争続”のもとになる。もし遺産が3,000万円であれば、3人のきょうだいで分ける場合の法定相続額は1人1,000万円で、遺留分はその2分の1の500万円という計算になる。遺言書を書くときには、こうした遺留分に配慮し、相続人同士が納得できる内容にしておくことが望ましい。また、遺言書に不備があると無効になることも。遺言書を作成した「日付」の時点で親の認知機能に問題があったり、体調不良で正確な判断ができていないということが後でわかったりすると、無効になることがあるので注意したい。「遺言能力といって、遺言の内容を十分理解したうえで自分の死後にどのようなことが起こるのかを想定できる能力が問題になります。遺言能力がない人が遺言を書いたとして、ほかの相続人がその内容に納得いかないと家庭裁判所に申し立てられると、無効になる可能性があります」
2021年11月17日「残すものは何もないから、わが家に限って相続争いなんか起きるはずがない」。そう思っていても、意外と基礎控除額を超えた金額が相続分として残ることが。今すぐ財産を洗い出して賢く節税をーー!「生前贈与ができなくなる!?」「相続税の節税ができない!」富裕層の間でそんな噂が飛び交っている。事の発端は’20年12月の税制改正大綱だ。「相続税と贈与税を一体的に課税する観点から課税方法を見直す」との記載が、さまざまな臆測を呼んでいる。「相続なんて、庶民には関係ない」そう思う人が多いだろう。だが、相続専門の税理士、橘慶太さんはこう警告する。「法改正があっても、富裕層は相続税が多少増える程度です。万全の準備も行うでしょう。しかし、もっとも大きな影響を受けるのは、相続税の対象ラインぎりぎりの方です。改正前なら相続税と無縁でいられたのに、改正後は相続税を払う立場になることもあるでしょう。相続税は、子どもたちに大きな負担を残します。’16年の相続税法改正以来、相続税の対象者は増えています。都市部の地価の高い地域に持ち家のある方は注意が必要です」■相続税の計算の仕方は?今のうちに考える庶民にこそ影響の大きい税制改正のゆくえを、Aさんの例をもとに解説してもらおう。夫と死別したAさんの財産は次のとおり。地価が高騰し自宅は3,000万円相当だが、子どもに負担をかけないよう節約に励むAさんの生活は、庶民そのものだ。【Aさん(72)の場合】子ども:2人Aさんの財産:土地・家屋3,000万円、預貯金1,500万円。計4,500万円相続税基礎控除額:3,000万円+600万円×2人=4,200万円相続税対象額:4,500万円−4,200万円=300万円「Aさんのような方が、いちばん危険です」(橘先生・以下同)相続税は3,000万円+(600万円×相続人数)が基礎控除で、これを上まわれば課税される。Aさんの場合、相続人は2人だから基礎控除は4,200万円。相続財産は全部で4,500万円。もし今亡くなると、300万円が相続税の対象だ。「相続税は死後10カ月以内に、申告手続きと原則現金での納税を終えなければなりません。ですが基礎控除額を超えなければ、申告も納税もいっさい不要。残された子どもたちの負担は雲泥の差です」相続税を回避できる対策は?「今なら、『生前贈与』を行えば相続財産を減らせます」生前贈与とは、生きている個人が財産を贈ること。親から子への贈与でも、もらう側の子に贈与税が発生する。課税方法は2種類だ。1つ目は「暦年課税」。1年ごとにもらった財産に対して、毎年贈与税を納める。ただし年間110万円の基礎控除があり、110万円以下なら申告も納税も必要ない。2つ目は「相続時精算課税」だ。通算2500万円までの贈与には贈与税がかからないが、贈与者が亡くなったときは、それまでに贈与された財産と相続財産とを合算して相続税を算出し、納税する。贈与税はどちらかを選ぶのだが、Aさんのようなケースでは、暦年課税を選ぶのが一般的だ。そのうえで、110万円の基礎控除内、たとえば100万円の贈与を2人の子どもに2年間行えば、相続財産を400万円減らすことができ、相続税の対象から外れる。もっと相続財産の多い人は、次の節税策も活用できる。【暦年贈与】非課税枠:年110万円注意点:贈与者の死から3年以内は相続税対象に【教育資金の一括贈与】非課税枠:1,500万円注意点:’23年3月末まで【住宅取得資金の贈与】非課税枠:省エネ住宅1,500万円、一般住宅1,000万円(※住宅の取得時期により、非課税枠が異なる)注意点:’21年12月末まで【結婚・子育て資金の贈与】非課税枠:1,000万円注意点:’23年3月末まで【扶養義務者間での生活費や冠婚葬祭での祝い金等】非課税枠:制限なし注意点:その都度、必要な金額を社会通念上妥当な範囲で■税制改正の本当の目的は?損しないためにできることところが、冒頭で述べた相続税と贈与税の一体化の方向に税制改正が進めば、相続税の節税ができなくなる可能性がある。「税制改正のシナリオはいくつか考えられる」という橘先生に3案挙げてもらった。【1】“持ち戻し”期間を5年、7年、10年などと長期化“持ち戻し”とは暦年課税で、贈与者の死からさかのぼって3年以内に贈与された財産を、相続財産に含めて計算し直すこと。税制改正で持ち戻し期間が長くなれば、高齢になって始める暦年贈与では、相続税を節税するのが難しくなる。【2】“持ち戻し”の対象を相続人以外の孫などにも広げる持ち戻し対象が広がると、死ぬ間際の「孫」への贈与も持ち戻しとなり、節税の効果がなくなる。【3】非課税制度の期限終了で延長なし非課税贈与がなくなれば、相続財産を一度に大きく減らす方法がなくなる。税制改正はいつ始まるのか?「来年すぐにはないでしょう。今年末の税制改正大綱に詳しく改正内容を示し、法整備を行って、早ければ2年後から施行でしょうか」それまでにやるべきことは?「Aさんのケースでは、まず財産を洗い出すこと。そして、生前贈与などを利用して、早いうちに相続財産を減らしておくことです」生前贈与以外に方法は?「子や孫の教育費や生活費の支援も、扶養義務者間は非課税ですから利用できます。ただし必要なときに必要な額を渡すのが条件です」将来、相続税制はどうなる?「暦年課税を廃止して相続時精算課税に一本化し、相続税の節税ができない税制にする。相続税の基礎控除をさらに引き下げて、相続税の対象を広げる。そんな未来を、国は描いているのかもしれません」相続税は人ごとではない。節税ができなくなる前に、生前贈与で相続財産をスリムにしよう。
2021年10月20日相続が発生したとき、一番の難題は実家の土地や建物はどうしたらいいかということ。相続すれば税金や維持費が重くのしかかってきます。「空き家を放置するのはリスクがあります。相続の前に実家の状況や不動産価値を見極めることが大切です」と話すのは、FP2級の資格を持つ海田幹子さん。今回は住む予定のない実家を相続した場合としなかった場合、それぞれの対処法について教えてもらいました。■ 空き家を放置するのはリスクがある!固定資産税が最大6倍になることも空き家を放置すると以下のようなリスクがあります。固定資産税や修繕費、管理費など、維持管理するためにコストがかかる人が住まなくなると、建物の老朽化の速度が早まり資産価値が下がる老朽化や自然災害などで建物が倒壊すると人にケガをさせる可能性がある景観や衛生面などの悪化により周辺住民や行政からの注意を受ける税制優遇措置から外れて固定資産税が高くなることがある「住む予定がないから」「今住んでいる場所から遠いので」などと、相続した不動産の管理をしないことはNG。空き家を放置してしまうと、様々なリスクがあると覚えておきましょう。きちんと管理がされず、倒壊や保安上の危険があると見なされたときや、衛生上有害な状態と判断されたときは「特定空家」に認定され、固定資産税が最大6倍に増額されてしまう可能性もあります。実家として住宅が建っている土地には、固定資産税評価額が以下のように軽減されます。住宅の固定資産税評価額固定資産税=評価額(課税標準額)×標準税率(1.4%)200㎡以下の部分:固定資産税評価額×1/6200㎡を超える部分:固定資産税評価額×1/3しかし特定空家に認定されてしまうと、軽減がなくなってしまうのです。では、固定資産税評価額の軽減がある場合とない場合でどのくらい負担が増えるのか見てみましょう。建物評価額100万円・土地評価額1000万円の不動産の固定資産税固定資産税評価額の軽減がある場合100万円×1.4%+1000万円×1/6×1.4%=約3万4333円特定空家に認定された場合100万円×1.4%+1000万円×1.4%=15万4000円上記の場合、評価額の軽減がある場合とない場合では、年間約11万9667円もの差がでました。特定空家に認定されると、固定資産税の負担が上がってしまうので、空き家は放置せず、適切に管理しましょう。■ 住む予定のない実家を相続したときの対処法3つ住む予定がない場合は、実家を手放すか活用するかが選択肢に挙げられます。対策1.賃貸に出す借りてくれる人がいるなら、賃貸に出すことが可能。家賃収入が見込め、人が使うことで建物の老朽化のスピードが遅くなるというメリットがあります。対策2.売る住まない不動産を持っていても維持費がかかり続けるため、地価が上がる見込みがなければ売却もあり。立地や空き家の状態などにより買い手が見つからない場合は、実家の近くに住む親戚や住民に低額で売却、または無償譲渡も選択肢のひとつになります。対策3.寄付する土地は自治体に寄付をすることも可能です。ただし寄付できる土地は、自治体にとって有用な不動産に限られるため、買い手が見つからない不動産を寄付することは難しいかもしれません。■ 買い手がつかなさそうな不動産…相続前なら放棄できる!基本的に所有している土地は売却や寄付をしない限り手放すことはできません。ただし、これは「所有」している場合のこと。相続前なら相続放棄をすることで土地の所有権を放棄できます。買い手がつかなさそうな不動産の場合、検討する余地はあるでしょう。注意しなければいけないのは、不要な土地だけを放棄し現金だけを相続することはできないということ。相続放棄をするならすべて放棄しなければならない、ということを覚えておきましょう。土地の所有権がない=固定資産税を払わなくていいということ。ただし、相続放棄をしたあとも、土地の管理義務は残ります。管理義務からも免れたいときは、土地の管理を代わりに行ってくれる相続財産管理人の選任が必要です。相続財産管理人の申し立ては家庭裁判所で行います。申し立てにかかる費用は、収入印紙や郵便切手、官報公告料など。それにプラスして、相続財産管理人の経費や報酬にあたる予納金が必要です。予納金は裁判所が決定し、数10万程度の場合もあれば100万円ほどになることもあります。相続財産管理人が決まってはじめて、土地の管理義務から解放されることになります。住む予定のない実家などの不動産は、賃貸や売却、寄付をしない限り、固定資産税や管理費などの費用がかさみ続けます。一度取得した土地は、基本的に放棄することはできません。相続する実家に不動産価値がなく買い手がつかないと判断した場合は、相続の際に「相続放棄+相続財産管理人の選任」により手放すのもひとつの手でしょう。●教えてくれた人/海田幹子さんファイナンシャルプランナー2級の資格を持つwebライター。ライフプランニングや住宅ローン、資産運用などお金にまつわる内容を多数執筆。私生活では2児の母。わかりやすくてためになる記事を心がけている
2021年03月15日「親が存命の人であれば、相続の問題は決して人ごとではないはず。けれど、相続に関して無頓着である人は少なくありません。じつは私自身も父の死後“相続地獄”に陥ってしまったんです」こう語るのは『相続地獄』(光文社)を出版したばかりの、経済アナリスト・森永卓郎さん(63)だ。森永さんといえば、かつて本誌の取材でも「ケチと呼ばれることを恐れず、楽しく生きる」とケチ哲学を提唱。ロケ弁を多めに持ち帰る、スーパーの半額シールを狙うなど、徹底した節約生活ぶりを発信してきたが、意外なことに、相続対策はしていなかったという。「父が生きている間、相続に関して、何も考えていなかったんです。当時は知識がなく、どこをケチればいいかも、わかりませんでした。父が亡くなってから、財産を把握したり、遺品整理をするのは本当に大変で……。相続地獄を味わった身として、親の存命中に相続準備をすることの大切さを痛感しています」森永さんいわく「ケチは情報と知識の積み重ね」。“相続地獄”にハマりお金も労力も無駄にしてしまった森永さんに、たとえケチと言われても、親の存命中にやっておくべき準備を聞いた。【極意1】資産リストを作っておく「親の預金口座は生前にかならずリストアップを。金融機関は500以上ありますので、親の死後、口座があるか問い合わせるだけでもひと苦労。気づかずに、消えてしまう口座もあるかもしれません」(森永さん・以下同)10年以上出し入れのない休眠口座の預金額は毎年1,200億円にものぼるという。さらに、タイムリミットがあるのもやっかいだ。相続税の申告と納税は、親の死後、10カ月以内に行わなければならない。「四十九日法要が終わるまではバタバタしていますから、申告作業は実質8カ月ほど。漏れがあれば脱税になりますし、相続税の支払い期限を過ぎると、期日から2カ月までは年利7.3%、2カ月を過ぎると14.6%と消費者金融並みの延滞税が発生します」相続税をスムーズに申告するためにも、資産リストは必須なのだ。さらに、生前に小額口座を解約してまとめておくことも重要だと森永さん。「苦労の末、ようやく探り当てた口座が、残高わずか700円というケースもありました(笑)。この労力なんだったの……という感じです。口座をまとめる際の注意点として、預金額は、金融機関が破綻しても補償される1,000万円を超えないこと」近年は、ネット証券などデジタル資産にも注意が必要だ。「今思えば、父はパソコンを使っていたから、私の知らない株式取引やネット銀行があったかも。そこまで考えが及びませんでした」デジタル資産の有無を確認し、ログインID・パスワードは残しておいてもらおう。【極意2】財産は生前に整理「親の死後に一つずつ遺品の価値を見極めるのは途方もない労力がかかります。私の場合は、弟が業者に頼んで一括処分しました。しかし、まとめて処分するのでは損する可能性も」親の存命中に価値のある財産がどれなのか、聞き出しておくことが重要だ。「見落としがちなのは百貨店友の会の積み立てや航空会社のマイル。じつは、配偶者や法定相続人に受け継ぐことができるので、存在の有無を確認しておきましょう」さらに、死後の整理を楽にするためにも、不要なものは生前に処分を進めたい。優先すべきは自動車など持っているだけで費用がかかるものだ。「固定電話もスマホがあるなら、詐欺電話のリスクもあるので解約を検討してみてください。親が介護施設に入居して実家が空き家になっている場合は、思い切って手放すのも選択肢」【極意3】ファミリーヒストリーを聞いておこう「“公正証書はお金がかかるのでハードルが高い”という人は、自筆遺言を残してもらいましょう。思い出の品、家族への思い、財産の分割など、親の考えを知っておくことは重要です」ファミリーヒストリーを作り、把握していない「相続人」がいないかどうかも確認を。「以前、私は家系図を作る会社に依頼し、江戸時代まで家系をさかのぼりました。すると、びっくりすることに、亡くなった母親には夭逝した妹がいたんです。幸い、相続に関するような発見はありませんでしたが、もし隠し子などが見つかれば“争族”の種になるので、早めに把握しておきましょう」【極意4】葬儀・墓の準備も生きているうちに親の希望する葬儀や、墓をどうするかも確認しておきたい。「葬儀は、死の悲しみもあるなか進めなければならないので、相見積もりを取らず、病院から紹介された葬儀社にすべて任せてしまうケースが多いです。しかし、本当にそれでよいのか冷静に判断を」現在は比較的安価な家族葬や、火葬場で弔う直葬(20万円ほど)など選択肢も広い。「親の生前に葬儀の話題を持ちかけるのは気が引けますが、気持ちよく親を送るためにも話しておくべきです。墓についても、新たに購入する場合、都内だと500万円はかかります。できれば葬式費用とあわせて用意してもらうほうが安心です」とはいえ、相続準備をしようとしても、そもそも親に財産や死後の話をするのは抵抗があるもの。「いきなりお金の話はケンカになり、信頼もなくします。ふだんから親にリスペクトの念を持って接することが、肝心です。話す前には『いつもありがとう』、いろいろ教えてもらったときには『お陰で安心したよ。ご飯行こうか』とねぎらうことを忘れずに」親子のコミュニケーションが、“相続地獄”回避の第一歩なのだ。「女性自身」2021年2月23日号 掲載
2021年02月15日新型コロナウイルスの収束が見えないなか、これまでになく「死」を身近に感じ、「相続」を考えた人もいるのではないだろうか。相続法は’18年、約40年ぶりに大きく改正され、手書きの「自筆証書遺言」の法務局保管制度が、’20年7月から始まった。さらに’21年度以降には、法務局に保管された自筆証書遺言の遺言者が亡くなったときに、生前指定した人に連絡する制度が本格的に始まる予定だ。このように遺言書に関する制度が整備され、そのハードルは下がっているが、それでも、まだ多くの人たちにとって遺言は「うちには関係ない」存在だろう。だが、弁護士の竹内亮さんはこう指摘する。「遺言書がないと、遺族が集まり、財産分けについて話し合わねばなりません。その話し合いこそが、大変なのです」遺言書があれば話し合う必要もなく、遺言書どおりに相続すればよい。残された家族がもめる機会も、大幅に減るという。「特にお金持ちでもない、普通の家庭に、複雑な遺言書は必要ありません。A4用紙1枚に手書きでつくる『シンプル遺言』で十分です」(竹内さん・以下同)残された家族がもめないための遺言書づくりを、教えてもらおう。【ケース】仲よしのお嫁さんにも遺産を分けてあげたい光文恵美(55歳)の夫はすでに他界し、恵美は長男夫婦と2世帯住宅で暮らしている。夫の存命中から、恵美と長男の嫁であるG子(32歳)はとても仲がよかった。G子は、夫が病いに倒れたときも恵美と交代で看病してくれたし、夫の葬儀でも恵美を心身ともに支えてくれた。恵美は「G子がいてくれてよかった」と、心から感謝している。とはいえ、G子は長男の嫁だから、法定相続人ではない。このままだとあんなによくしてくれたG子に何も残してやれない。恵美は、なんとかG子に財産を残す方法はないものかと思案している。実は、民法改正によってお嫁さんなどにも「特別寄与料」が認められ、財産を一部受け取れる制度ができた。「とはいえ、お金に換算できない『支え』のようなものだと、特別寄与料が認められるのはむずかしいと思います」たとえ、特別寄与料が認められるとしても、遺言書がなければ、恵美の死後、財産を分ける話し合いの場で、G子は「私にも財産が欲しい」と主張しなければならない。恵美の長男でG子の夫であるF輔が相続財産を受け取るのに、さらにG子個人にも遺産が欲しいとは、なかなか言い出せないだろう。「こういうときに、シンプル遺言が有効です。遺言書にG子にいくらか財産を分けると書けば、G子さんが主張しなくても財産を受け取ることができます」その際、法定相続人ではないG子には「遺贈する」と書く。注意しよう。【遺言書の例(自分で書く)】主な財産データ:自宅(土地・建物)1,500万円、預貯金3,500万円遺言書1東京都○○区××1-2-3の自宅の土地建物を長男のF輔に相続させる。2預金のうち300万円を長男F輔の妻G子に遺贈する。3それ以上の預金はすべて長女のH美に相続させる。4以上に書いたもの以外のすべての財産を長女H美に相続させる。2020年10月13日東京都○○区××1-2-3光文恵美(印)それぞれの項目を書き終えたら、書いた日付、書いた人の住所、氏名、そして押印を忘れずに。「子どもたちに、恵美さんの思いをよく話しておきましょう。何も言わずにお嫁さんに遺贈すると、不信感を招く恐れがあります」後に残る家族への贈り物として、シンプル遺言を書いてみよう。「女性自身」2020年10月27日号 掲載
2020年10月21日新型コロナウイルス感染拡大の影響で、家族との時間が増えた人も多いのでは。こんなときには、家族の問題。特に’18年に法改正された「相続」について考えてみてはいかがだろう。「相続なんてお金持ちの問題。うちには関係ない」と思う人は多いが、相続裁判の約3分の1は遺産額1,000万円以下だ。5,000万円以下まで広げると、76.3%に及ぶ(’18年・最高裁判所)。「遺産は自宅と少しの貯金」という普通の家族が危ないのだそう。そこで、経済ジャーナリストの荻原博子さんが相続に翻弄された家族のケースを例に、「相続トラブル」を避けるための正しい知識を教えてくれたーー。【ケース1】末っ子だけに生前贈与〈恵子さん(40歳)は独身。親と同居し、介護も一手に担いましたが、母、父と相次いで亡くしました。父は生前、介護の労をねぎらって、恵子さんだけに毎年100万円を渡していました。相続協議の席で、それを知った2人の兄は激怒!〉お金など財産を与えることを贈与といい、贈与税がかかります。ただし、贈与税は年間110万円を超えた額にかかるため、恵子さんのケースは非課税。申告も不要です。ですが、亡くなる前3年間の贈与は、相続財産に含まれるのです。父の遺産が3,000万円だとすると、恵子さんへの贈与3年分、300万円を合わせた3,300万円が遺産総額です。きょうだい3人で分けると、1人分は1,100万円。恵子さんはすでにもらった300万円を引いて800万円を受け取ることに。また、父の遺産が300万円だった場合、恵子さんへの贈与300万円を合わせた600万円が遺産総額です。3人で分けると1人分は200万円。すでに300万円もらっている恵子さんは100万円もらいすぎで、この分、兄たちは足りません。兄たちの不足分は、恵子さんが自腹を切って払わねばならないことも。とはいえ相続は、相続人が合意すれば、どのように分けてもOK。兄たちが介護のお礼として目をつぶってくれるといいのですが。【ケース2】妻は住み慣れた家で暮らしたい〈時価2,000万円の自宅と約2,000万円の貯金を残して、健一さん(75歳)が亡くなりました。妻は年金暮らしで生活費に不安を抱えていますが、住み慣れた自宅で暮らすつもりです。しかし、教育費にあえぐ2人の子どもから、自宅の売却を提案されました〉自宅を売却すると妻は住む場所に困りますから、’20年4月から施行された「配偶者居住権」を活用しましょう。配偶者居住権とは、自宅の権利を、「居住権」と「その他所有権」に分けて、配偶者は居住権だけを相続できる、としたものです。居住権やその他所有権がいくらかは複雑な計算式があるので、仮に、2,000万円の自宅の1,000万円が居住権、残り1,000万円がその他所有権とします。健一さん宅の相続財産は全部で4,000万円。法定相続どおりだと、妻が2分の1の2,000万円を、子どもらは1,000万円ずつに分けます。これまでなら、妻が2,000万円の自宅を相続すると、貯金はもらえませんでした。しかし、配偶者居住権を使うと、妻は1,000万円の居住権と1,000万円の貯金を、子どもらはそれぞれ、自宅のその他所有権を500万円分と貯金500万円を受け取ることができます。妻は自宅に住み続けられ、また貯金も手に入るので生活費も安心。自宅の売却は、妻が亡くなってから、改めて考えましょう。「女性自身」2020年5月12・19日合併号 掲載
2020年05月08日新型コロナウイルス感染拡大の影響で、家族との時間が増えた人も多いのでは。こんなときには、家族の問題。特に’18年に法改正された「相続」について考えてみてはいかがだろう。「相続なんてお金持ちの問題。うちには関係ない」と思う人は多いが、相続裁判の約3分の1は遺産額1,000万円以下だ。5,000万円以下まで広げると、76.3%に及ぶ(’18年・最高裁判所)。「遺産は自宅と少しの貯金」という普通の家族が危ないのだそう。そこで、経済ジャーナリストの荻原博子さんが相続に翻弄された家族のケースを例に、「相続トラブル」を避けるための正しい知識を教えてくれたーー。【ケース1】亡き父が連帯保証人に〈工場を経営していた勇吉さん(77歳)が亡くなり3カ月以上たったころ、8,000万円もの借金が発覚しました。銀行から、知人の連帯保証人になっていたという知らせがあり、家族は寝耳に水でした〉借金など「負の遺産」が大きい場合、相続全体を放棄することができます。ただし、相続放棄は、相続開始を知ってから3カ月以内に行わねばなりません。銀行は、相続を放棄されると返済してもらえないので、あえて死後3カ月以上たってから連絡してきたのかもしれません。また、銀行員がお葬式に参列することがありますが、これは相続人がそろっているか、確認する側面もあるようです。葬式に参列していたら、「相続開始を知らなかった」と言い逃れできませんから。こうした事態を避けるために、連帯保証人や借金など言いづらい情報も、家族にはきちんと伝えておくことが大切です。【ケース2】先祖伝来の自宅をどう分ける?〈代々、都内の一等地に住む徳太郎さん(83歳)が亡くなりました。残したものは2,000万円の貯金と、時価1億円の自宅です。相続人は、徳太郎さんと同居する長男と、別に暮らす次男の2人。長男は徳太郎さんの介護に力を尽くした自負もあり、住み慣れた家から離れるつもりはありません。しかし、次男は自宅を売却して、遺産を分けろと主張しています〉土地の相続は、相続の評価額を8割減らせる「小規模宅地等の特例」が使えます。その条件は、相続人が配偶者か、同居の親族か、同居していないが持ち家がないなどの要件を満たす親族であること。徳太郎さんのケースでは、同居している長男が相続すると評価額は8割減で2,000万円。貯金2,000万円と合わせても基礎控除の範囲内ですから、相続税はかかりません。ですが、きょうだい2人で相続すると、遺産総額は1億2,000万円。相続税を計算すると、それぞれ580万円、計1,160万円も必要です。次男が貯金2,000万円を受け取ることで納得すれば、相続税はゼロで済みますが、溝は深いようです。ほかにも想定外な相続トラブルを『最強の相続』(文春新書)に集めています。相続は、親が元気なうちに、相談を始めましょう。「女性自身」2020年5月12・19日合併号 掲載
2020年05月08日連日、新型コロナウイルス関連のニュースで持ちきりだが、4月には相続など、私たちの“お金”に関する重要な法律が施行される。それらは私たちの生活にどう影響するのか。経済ジャーナリストの荻原博子さんが、生活への影響度の大きさで★をつけてくれたーー。【民法改正配偶者居住権の施行】生活への影響度★★昨年、40年ぶりに民法が改正され、相続が変わりました。今年4月からは、「配偶者居住権」が認められるようになります。相続は、相続人が納得すれば自由に分けてよいのですが、合意できないと「法定相続」というルールに従うことになります。これまでの法定相続は、夫が他界し、妻と子どもで相続する場合、妻が遺産の半分を、子どもたちが残り半分を分け合うのが決まりでした。たとえば、2,000万円のマイホームと2,000万円の貯金を残して夫が他界したとします。遺された妻がマイホームに住み続けたい場合、妻は2,000万円のマイホームを、貯金2,000万円を子どもたちで分けることになります。きょうだいが2人なら、それぞれ1,000万円ずつ受け取ります。でもこれでは、妻が貯金を相続できず、その後の生活が困窮することになりかねません。そこで4月からは、マイホームについて、妻が「居住権」を、子どもが「その他所有権」をと分けて相続できるようになります。先に2,000万円のマイホームが、居住権が1,000万円、その他所有権が1,000万円とすると、妻は1,000万円の居住権と1,000万円の貯金を相続し、子どもたちがそれぞれ500万円分のその他所有権と、500万円の貯金を相続することになります。配偶者居住権によって、妻はマイホームに住みながら、貯金も手にして生活も安定するでしょう。これから相続をする方には、かなり大きな法改正といえます。【発送電の分離】生活への影響度★’16年に「電力小売の自由化」が行われ、新しい発電業者などがたくさん誕生しました。ですが、各家庭に電力を送る送配電部門は大手電力会社にゆだねられたまま。これでは、新しい発電業者は高い送電費用を払わせられることになりかねず、電気料金の自由な競争を妨げるのではといわれていました。そのため、今年4月の発送電の分離が、電力自由化の総仕上げ。小さな発電業社も自由に割安な送電網を利用できるようになって、もう一段階、電気料金が安くなることが期待されていました。しかし実際は、大手電力会社が別会社をつくって送電網の管理を行うことになりました。送電網の構築や管理には、大きな資金とノウハウが必要だからです。4月は発送電の分離という節目ですが、大きく取り上げられることもなく、電気料金の引き下げも見込めないでしょう。「女性自身」2020年4月7日号 掲載
2020年03月27日【今週の悩めるマダム】2人の兄が相続トラブルで揉めています。上の兄は両親が亡くなるまで実家で暮らし、介護をしてくれていました。いっぽう都会暮らしの下の兄は、両親とは帰省のときに会う程度でした。両親の死後、2人の兄は絶交状態に。でも近々、下の兄の娘の結婚式があります。どうしたら2人は仲直りしてくれるでしょうか。(佐賀県在住・50代主婦)あまりお話ししたことがありませんが、実は僕にも弟がいるんです。2歳年下の58歳。彼は離婚をして、子どもはおらず独身です。現在、福岡で母と一緒に暮らしています。その家は僕が母を住まわせるために買った家で、そこに母と弟が暮らしています。父が他界して15年ほど経つのですが、父が残したマンションがいまでも福岡市の中心部にあります。最近になって、そこが建て替えするため、マンションが売れることになったのです。それで最近、弟から“僕が遺産相続を放棄するための書類”が送られてきました。これが面倒なことに、サインをすれば済むというものではなく、在仏日本大使館に出向いて申請をし、さらにはそれを1週間後にふたたび受け取りに行かないとなりません。自分のためにするのなら喜んでやるところですが、書類だけ送りつけられ、「遺産は勝手にこちらが相続する」ということですから、なんで僕がやらないとならないのか、となるわけです。でも、母の面倒を毎日見てくれている弟のことを思うと、そのぐらいのことはしてやらなきゃとも思います。彼が遺産を相続することに、もちろん異論はありません。ただ、最初に「兄貴、こうなったのだけど、僕が相続していいよね?」みたいな一言があればよかったかな、と思います。それが「筋」というものです。そういう思いやりの一言があれば、「当然でしょ。お前には感謝しかないんだよ」という流れに落ち着くわけですから。僕らはこのようなことで仲たがいすることはありませんし、そのマンションの売却金が弟の老後のために役立つなら願ってもないことです。いつも、何よりも、まず弟のことが心配でしたからね。そんな僕らのような良好な兄弟関係でも、「えー、筋が違うだろ、紙切れだけ送ってきやがって」となるのですから、もうちょっと複雑な遺産相続のある兄弟関係では揉めるのも当然でしょう。そこで、奥様。あなたにできることは「娘の結婚式に出て、一緒に祝ってやってほしい」と下のお兄さんから上のお兄さんに連絡させることかもしれません。僕の知り合いに全く同じケースの兄弟がいました。25年もの長きにわたって口も利かない、年賀状もなし、交流ゼロの兄弟。ところが昨年、お兄さんのお子さんが結婚したのです。僕がその弟さんに、「血の繋がった子が結婚するのに顔出さないわけにはいかないでしょう。一緒に祝わせてくれ、と一言連絡したほうがいい」と勧めたのです。渋々でしたが、弟さんはお兄さんに僕が言った通りのメッセージを送りました。そして結婚式当日、長年絶交していた弟を、兄はなんと自分の横に座らせたのです。きっかけは本当に些細なことでいいんです。もともとは血を分けた仲。意固地になっているだけで、仲直りは「一言」で済むのです。【JINSEIの格言】兄弟間のトラブル解決のきっかけは、本当に些細なことでいいんです。もともとは血を分けた仲なんですから。意固地になっているだけで、仲直りは意外と「一言」で済むのです。この連載では辻さんが恋愛から家事・育児、夫への愚痴まで、みなさんの日ごろの悩みにお答えします!お悩みは、メール(jinseinospice@gmail.com)、Twitter(女性自身連載「JINSEIのスパイス!」お悩み募集係【公式】@jinseinospice)、またはお便り(〒112-0811 東京都文京区音羽1-16-6「女性自身」編集部宛)にて絶賛募集中。※性別と年齢を明記のうえ、お送りください。以前の連載「ムスコ飯」はこちらで写真付きレシピを毎週火曜日に更新中!
2020年03月03日もしも自分の親が連帯保証人でありながら死亡した場合、その債務が自分に降りかかるのではないかと不安ですよね?そこでこの記事では連帯保証人の相続について解説します。相続対象となる場合とならない場合、対処法も含めて紹介しますので、ぜひ参考にしてください。連帯保証人が死亡したら負債も相続する?相続が発生するケースはさまざまですが、一般的に相続を考える場合は、親の死亡が前提となります。世代の順序通りに亡くなった場合、親の資産を本人の配偶者や子どもが相続するわけですが、万一被相続人(亡くなった本人)が誰かの借入金に対して連帯保証人となっていた場合、連帯保証の相続はどう考えるべきなのでしょうか?まずはその内容として以下を解説します。配偶者や子供などの家族が相続相続人で分割して相続債務を誰かに集中することも可能配偶者や子供などの家族が相続結論から申し上げますと、連帯保証は相続する必要があります。たとえばあなたの父親が亡くなった場合には、相続人である母親やあなたが連帯保証を相続しなければなりません(あなたに兄弟がいる場合は兄弟も相続)。連帯保証人になるケースは、信頼できる相手だからこそです。ちゃんと返済してくれるという信頼がある相手や、万一借金が焦げ付いてもその人のためなら肩代わりしても良いと思えるような相手です。しかし、それは被相続人から見ての信頼であり、相続した家族からすると無関係な相手となります。被相続人が死亡したことで縁もゆかりもない人の連帯保証や、場合によっては借金を背負う可能性があるのです。相続人で分割して相続基本的に相続は1人に対して行うものではありません。相続人同士で話し合って複数名へ相続することになります。話し合いで解決しない場合には、法定相続を基本として相続することになります。たとえば、法定相続を前提とし、相続人が母親・あなた・弟で、連帯保証債務を2,000万円請求されたとすると、以下のような負担が必要となります。ただし、相続人の誰かが後述する相続放棄をしている場合には事情は変わります。たとえば、あなたの弟が相続放棄をした場合には、母とあなたで負担することになります。債務を誰かに集中することも可能連帯保証債務は遺産分割協議によって、誰かに集中させることも可能です。たとえば母親が「自分が連帯保証債務を負担する」と言った場合、母親に集中させることができるのです。ただし、遺産分割協議における決定事項は、相続人同士の約束事に過ぎませんので、法的にはほかの相続人も連帯保証人とみなされます。万が一母親が銀行などの金融機関に借金返済ができなければ、ほかの相続人が支払わなくてはならないのです。連帯保証を相続した場合には、あらかじめ想定しておく必要があります。連帯保証人の相続は変更できる?相続放棄という対策被相続人が連帯保証人だと分かった場合で、その立場を受け継ぎたくないのであれば、相続放棄すると良いでしょう。相続放棄は資産の相続だけでなく、負債の相続も放棄するという方法ですので、負債の方が大きい場合に有効です。相続放棄について以下内容を解説します。相続放棄可能な期間相続放棄否認の可能性限定承認なら安心して相続可能[adsense_middle]相続放棄可能な期間相続放棄は、「相続開始や相続人になったことを知った翌日から3カ月以内」に行う必要があります。被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申述しましょう。3カ月以内と聞くと期間が短い気がするかも知れませんが、「相続開始」や「相続人になってから」ではなく、「知った翌日」から3カ月以内なので、知らなかった期間は含まれません。親の離婚などで長年会っておらず、死亡を知らなかったケースなどにも安心です。相続放棄否認の可能性相続放棄をしようと思っても、できない場合があるため注意が必要です。具体的には、相続財産を処分した時です。相続財産の一部だけでも処分してはいけません。また、相続財産を隠していた場合や、内緒で消費していた場合、意図的に目録へ記載しなかった場合も相続放棄はできません。一旦相続放棄をしたとしても、発覚すると相続放棄できないものとされています。限定承認なら安心して相続可能限定承認は、相続財産の範囲で債務を弁済するという相続の仕方です。つまり、後から借金が発覚したり、連帯保証の債務を負うことになっても、相続財産以上に負担する必要がないのです。ただし、法定相続人全員で行わなければならないため、1人でも反対者がいると成立しません。また、弁護士費用が100万円を超えるなどもハードルとなり、利用者は少ないようです。とはいえ、財産の内容や法定相続人の考え方により、1つの選択肢となり得ます。連帯保証を相続したらもしも連帯保証を相続してしまった時には、どのようなことを念頭に置くべきなのでしょうか?必ず考慮しておくべきこととして、以下内容を紹介します。連帯保証人に債務者本人と同じ責任がある主債務の調査すべき金融機関との交渉を模索すべき連帯保証人に債務者本人と同じ責任がある連帯保証人は債務者本人と同じ責任があります。つまり、債務者が借金を返せなくなった場合、自分が借金していることと変わりがなくなるのです。連帯保証人よりも責任が軽いものとして「保証人」がありますが、保証人にある権利が連帯保証人にはありません。たとえば、自分よりも先に債務者に請求して欲しいと主張する権利(催告の抗弁)は、保証人にはありますが、連帯保証人にはありません。また、債務者に支払い能力があるにも関わらず、自分に請求が来た場合の主張(検索の抗弁)も、保証人にはできますが連帯保証人にはできません。さらに、保証人が複数名いる場合には債務を分けられますが、連帯保証人にこの権利はありません(分別の利益)。連帯保証人の責任は保証人よりも圧倒的に重いのです。主債務の調査すべきもしも連帯保証を相続してしまった場合、債務の内容や債務者の返済状況をチェックしておく必要があります。人様の借金ですから、いつ焦げ付くとも限りませんので、状況を把握した上で対策を講じる必要があるのです。たとえば、残債から考えると自分でも返せる場合には、連帯保証人の相続をしても良いかも知れません。逆に、万一負債を被った場合に自分の資産では賄えないのであれば、先述の相続放棄が賢明でしょう。判断基準を明確とするために、きっちりと確認しておきましょう。金融機関との交渉を模索すべき連帯保証人から外してもらうよう、金融機関に交渉することが可能です。状況によって金融機関が応じてくれる可能性もあるからです。たとえば、残債が少ないケースがこれにあたります。借入れ審査時には連帯保証人が必要となる額だったとしても、残債が少ない場合には不要となるケースがあります。連帯保証人を外してもらえなくても、保証債務を減額してもらえるケースもあります。また、代わりの保証人や担保を立てられる場合にも連帯保証人から外れられる可能性がありますので、一度相談してみましょう。請求される前に!連帯保証が相続対象か確認しようそもそも、連帯保証の相続対象となるものとならないものがあります。以下内容は相続対象か非対象か迷う人が多い項目ですので、それぞれについて解説いたします。親本人が金融機関からの借入に対する連帯保証人である場合賃貸借契約の連帯保証身元保証人根保証[adsense_middle]親本人が金融機関からの借入に対する連帯保証人である場合親が誰かに頼まれ、金融機関からの借金に対する連帯保証人となっている場合には、親の死亡によって連帯保証の相続をしなければなりません。このケースは最もシンプルな連帯保証の相続となります。そして、借金が焦げ付いた場合、自分には全く身に覚えのない借金であるにも関わらず、返済が求められることになります。賃貸借契約の連帯保証賃貸借契約の連帯保証も相続対象となります。かみ砕いて言うと、部屋を借りる時に連帯保証人となった場合のことです。連帯保証人として債務を被るケースとしては、家賃の滞納です。実際に滞納した家賃と、遅延損害金を連帯保証人が支払わなければなりません。このケースにおいて連帯保証人の立場を相続すると、親の有人や知人の家賃をあなたが支払うことになるのです。法人の連帯保証契約賃貸契約において、法人契約の連帯保証人を立てる場合には契約相手の承諾が必要です。連帯保証人が個人であれば責任追及がしやすいですが、法人の場合には取り立てが困難だからです。個人の場合は連帯保証も相続しますが、法人の場合は破産などによってそれ以上取り立てができない可能性が高いのです。身元保証人就職する場合などに身元保証人を求められるケースがあります。身元保証人とは、なんらかの損害を与えた場合に、身元保証人がその損害を補償するという契約です。身元保証人は被保証人との間に信頼関係があるからこそなれるものですので、相続によって身元保証人になったとしても信頼関係が認められません。そのため、身元保証人の立場は相続されません。根保証根保証というのは、継続的取引の債務を将来にわたって保証するものです。具体的には銀行における当座貸越契約などが該当します。期間に定めがない根保証は相続対象となりませんが、限度額や期間に定めがある場合には相続対象となります。連帯保証を相続してしまったら債務整理も検討連帯保証を相続してしまい、万が一負債を背負うことになった場合には債務整理を検討しましょう。もちろん、返済できるのであれば返済していけば良いのですが、返済が厳しいという場合に債務整理は有効な手段です。債務整理とは合法的に借金の負担を軽減、もしくは帳消しにする方法で、以下の種類があります。借金を軽くする任意整理借金を大幅に削減する個人再生借金を帳消しにする自己破産デメリットよりもメリットが大きい借金を軽くする任意整理任意整理とは、借金の負担を軽減する方法です。債権者と債務者が協議の上で、将来利息のカットや返済額のカットを行います。大幅な借金軽減は望めない反面、債務者の負担軽減をきっちり行うため、今後の返済が軽くなるでしょう。任意整理は裁判所を通さずに手続きをしますが、弁護士や司法書士が窓口となって対処してくれますので、知識がない人でも安心して手続きを進めることができます。ただし、5年~10年はクレジットカードやローン取引ができなくなります。借金を大幅に削減する個人再生個人再生とは、借金の負担を大幅に軽くしてくれる方法です。具体的には借金を5分の1程度まで軽減してくれ、3年でその分だけ分割返済するというものです。つまり、残りの5分の4は免除されるため、一気に借金の悩みから解放されます。住宅や車などの資産を手放すことなく借金が軽減されるため、これまでの生活を維持しながら自立しやすい方法です。個人再生という表現のほか、民事再生と表現されることもあります。ただし、借金額の上限が5,000万円以下と定められていますので知っておきましょう。個人再生は裁判所を通して行う手続きとなります。ただし、約10年はクレジットカードやローン取引ができなくなります。借金を帳消しにする自己破産自己破産は、資産を没収される代わりに借金が帳消しになる方法です。借金額が大きく、どうしようもない場合に最後の手段として利用しましょう。資産は没収されると言っても、生活必需品や99万円以下の現金は保有することができます。ただし、約10年はクレジットカードやローン取引ができなくなることや、免責決定までの3カ月~半年間は、生命保険募集人や警備員など、就けない一部職業があります。自己破産も任意整理や個人再生とともに、弁護士や司法書士が相談に乗ってくれます。デメリットよりもメリットが大きい債務整理をすると、上記のようにいくつかのデメリットが生じてしまいます。しかし、デメリットよりもメリットの方が大きいです。クレジットカードが作れなかったり、ローン契約ができない、就けない職業があるなどは、平時の段階から考えると大きなデメリットと感じられるでしょう。しかしながら、実際にお金の問題に直面した人にとっては、直近の問題の方が重いのです。借金を背負ってしまうと明日が見えない状況となりますので、早めに専門家へ相談した方が良いでしょう。連帯保証人が死亡した場合の相続に関するまとめ連帯保証人が死亡したら、連帯保証を相続する必要があります。連帯保証人は債務者と同様の責任があるため、相続すべきかどうか検討しなければなりません。連帯保証は、金融機関からの借入や賃貸借契約などのように相続対象となる場合がある一方、身元保証人や根保証のように相続対象とならない場合があります。その線引きもしっかり引いておきましょう。連帯保証の債務を免れるには、相続放棄や債務整理などの対策がありますので、あらかじめ知っておくと良いでしょう。
2020年02月18日親の遺産をめぐって起こりがちな兄弟トラブル。それまで仲が良かった兄弟でも、財産の話が絡むと確執が生じることもあります。本記事では、相続が発生すると、なぜ兄弟間で争いになるのかを説明します。将来揉め事にならないよう、あらかじめできる対策も知っておきましょう。父母の遺産に対して兄弟が持つ権利は同じ父母が亡くなったとき、その子供は全員相続権を持ちます。兄弟がいれば、兄弟間では公平に財産を分けるのが原則です。相続人の順位と割合法律上相続人になる人は、配偶者(夫・妻)と血族(子供、父母、兄弟姉妹)です。配偶者はどんな場合にも相続人ですが、血族については優先順位があり、(1)子供、(2)父母、(3)兄弟姉妹となっています。相続できる財産の割合は、配偶者と一緒にどの血族が相続人になるかで次のように変わります。配偶者と子供・・・配偶者1/2、子供1/2配偶者と父母・・・配偶者2/3、父母1/3配偶者と兄弟姉妹・・・配偶者3/4、兄弟姉妹1/4兄弟間では権利は平等子供は第1順位なので、死亡した人に子供がいれば必ず相続人になります。子供が複数いる場合、子供と子供の間には権利の差はありません。子供は皆相続人となり、取得できる財産の割合(相続分)も同じになります。たとえば、父親が亡くなり、母親と子供(姉、妹)で財産を相続する場合、母親の相続分は2分の1、子供の相続分は姉も妹も4分の1ずつです。親の財産を相続する兄弟の定義は?家族でなくても、亡くなった親と法律上の親子関係がある兄弟姉妹がいることがあります。家族でなくても法律上の血縁関係があれば、遺産相続に巻き込まなければなりません。養子にも実子と同じ権利がある亡くなった親に養子がいることがあります。養子縁組とは法律上の親子関係を発生させる手続きなので、養子は法律上れっきとした子供です。子供の中に親の養子がいれば、実子と同様に相続人になります。この場合には、養子も含めた兄弟間で平等に財産を分ける必要があるということです。異母兄弟・異父兄弟も相続人に親が再婚している場合など、異母兄弟や異父兄弟がいることがあります。異母兄弟や異父兄弟も、死亡した親の子である以上、相続人になります。相続分も他の兄弟と変わりません。異母兄弟や異父兄弟がいるけれど、会ったこともないという人も多いでしょう。しかし、相続の場面では関わらざるを得ないことがあります。兄弟の中に非嫡出子がいる場合非嫡出子とは、結婚していない男女の間にできた子供です。これに対し、結婚している男女の間にできた子供は嫡出子と呼ばれます。死亡した父親が愛人との間に子供を設けている場合、父親が認知をしていればその子供は非嫡出子となり、父親の子供として相続権を持ちます。嫡出子と非嫡出子とは、以前は相続分が違いました。法改正により現在では、嫡出子と非嫡出子の相続分には差がなくなっています。父親が認知していない場合父親と愛人との間に子供ができているけれど、父親が認知していない場合には、法律上の親子関係は発生しません。たとえ生物学上は親子であっても、その子供は父親の相続権を持たないことになります。遺産を相続するまでの流れ親が死亡した後、相続手続きをする際の大まかな流れは次のとおりです。[adsense_middle]1. 戸籍謄本を集める相続手続きを行うためには、戸籍謄本を揃える必要があります。戸籍謄本を確認することで、相続人が誰であるのかを確定することもできます。戸籍謄本を集めるときには、被相続人の出生から死亡までの戸籍はもちろん、相続人とのつながりがわかる戸籍もすべて取り寄せなければなりません。相続に必要な戸籍謄本は一般に数が多く、自分で揃えるには手間がかかります。相続手続きを依頼するなら、戸籍謄本の収集の段階から行政書士・司法書士などの専門家に依頼すると良いでしょう。戸籍謄本を集めている過程で、それまで知らなかった異母兄弟や異父兄弟が出てくることがあります。この場合には、異母兄弟や異父兄弟にも連絡をとって相続手続きを進めなければなりません。2. 遺産の内容をリストアップ相続財産を明確にします。どのような財産があるかわからない場合には、被相続人の自宅などを探して手がかりになるものを見つけます。預貯金がある場合には金融機関で残高証明書を発行してもらい、不動産がある場合には法務局で登記事項証明書を取得しておきます。3. 相続人全員で遺産分割協議相続人と相続財産が確定したら、相続人全員で遺産分割協議を行い、誰がどの財産をもらうか、どういう比率で分けるかなどを話し合います。話し合いは皆が集まって行う必要はありません。電話や手紙のやりとりでも、全員の意思確認ができればOKです。分配方法が決まったら、遺産分割協議書を作成します。話し合いに参加してくれない人がいる場合や、財産の分け方で全員の意見が一致しない場合には、家庭裁判所に遺産分割調停(または遺産分割審判)を申し立てて解決を図ることができます。4. 財産の名義変更手続き遺産分割協議で決まった内容に沿って、財産の名義変更手続きを行います。預貯金については金融機関で払い戻しまたは預け替えをし、不動産については法務局で相続登記をします。兄弟の相続でよくあるトラブル親の財産を兄弟で相続するときには、どういったことでトラブルが生じるのかを知っておきましょう。不動産の遺産分割方法が決まらない遺産として土地や建物といった不動産がある場合には、兄弟間で揉めてしまいがちです。不動産というのは動かせるものではなく、バラバラに分けられるようなものでもないからです。たとえば、亡くなった親名義の家に同居していた子供がいれば、当然家を相続したいでしょう。しかし、一人が家を相続すると、他の兄弟が相続するものがなくなってしまうことがあります。親の介護をした人が多くもらえるわけではない子供の頃は一緒に育った兄弟姉妹でも、大人になると親とのかかわり方は同じではないでしょう。平等に配分すると、かえって不公平に感じることもあります。たとえば、妹は親と同居して親の介護をしていたけれど、姉は家を出て年に1回くらいしか実家には戻ってこなかったということもあります。このような場合、親の介護をしていた妹はその分財産を多くもらいたいと思うこともあるでしょう。一方の姉は、自分にも権利があるのならその分は確保したいと言うかもしれません。そういったところから確執が生じやすくなります。親の介護で寄与分は認められる?被相続人に特別の寄与をした人を優遇する「寄与分」という制度も民法上用意されています。親子間には相互に扶養義務があるので、介護をするのはある意味当然のこととも考えられます。裁判所を通して遺産分割する場合でも、親の介護をしただけでは寄与分は認められにくいのが現状です。親から生前贈与を受けている人がいる場合も子供の中に、親からお金の面で援助を受けていた人がいる場合もあります。親からの援助が民法上の「特別受益」に該当すれば、遺産分割の際にその特別受益を遺産に加算し、特別受益者はその分は受け取ったものとして遺産分割することが認められています。結婚の際の持参金や留学費用などが特別受益に当たることが多いですが、明確でないものや証拠がないものなどもあり、争いになりがちです。兄弟で不動産を分けるときの注意点相続した親の不動産を分けるときには、トラブルにならないよう分け方に気を付ける必要があります。[adsense_middle]遺産分割の方法は3種類まず、遺産分割の方法としてどんな方法があるのかを知っておきましょう。一般には、次の3種類の方法のいずれかで決めることになります。現物分割財産の現物をそのまま分ける方法です。たとえば、遺産として土地・建物と預貯金があり、長男と次男が相続人である場合に、長男が土地・建物、次男が預貯金という形で分けるのが現物分割です。換価分割遺産を売却してお金に換えてから分ける方法です。たとえば、遺産が自宅の土地・建物のみの場合、一人が自宅をもらうと、他の人がもらうものがなくなります。このような場合、自宅を売却してお金に換え、お金を相続人全員で分ければスッキリ分けられます。代償分割財産を取得した人が他の相続人にお金(代償金)を払って、相続により得た財産額が公平になるように調整する方法です。たとえば、遺産が自宅の土地・建物のみで、一人がどうしても自宅がほしいという場合には、他の相続人に代償金を払うことで承諾を得てもかまいません。土地や建物を共有にしない不動産は持分を設定して共有にすることができます。不動産を物理的に分けることはできなくても、共有にして各相続人の権利を確保することは可能です。しかし、不動産の分け方が決まらないという理由で共有にするのは、できるだけ避けた方が無難です。共有の不動産にはトラブルも多いので、問題を先送りにしてしまうにすぎません。共有にした場合のトラブルとは?土地や建物を共有にすると、簡単に売れなくなってしまいます。不動産を売却等して処分したい場合には、共有者全員の合意が必要です。一人が土地を売りたいと言っても、他の人が売りたくないと言えば、その土地は売れないことになります。土地の持分を売却することは可能ですが、特別な事情がない限り、土地の持分だけを購入したいという人はいないでしょう。また、共有者のうちの誰かが亡くなった場合には、亡くなった人の相続人が持分を相続することになり、不動産の共有者が増えてしまうという問題もあります。権利関係が複雑になれば、ますます全員の合意が難しくなってしまうでしょう。分け方によって税金が変わる遺産の分け方の違いで、税金にも差が出ることがあります。土地を誰がもらうかで相続税が変わる相続税を計算するときには、土地の評価額を出さなければなりません。被相続人の自宅の土地については小規模宅地等の特例が適用になり、評価額を8割減額できる場合があります。小規模宅地等の特例は、誰がその土地を取得するかによって適用の可否が分かれます。たとえば、親と同居していた人が自宅の土地を相続した場合には適用されますが、親と同居していた人がいるにもかかわらず他の人が土地を相続した場合には適用されません。評価額を8割減額できるかどうかは大きな問題です。兄弟の誰が自宅の土地をもらうかで、税金の金額が変わる可能性も視野に入れておきましょう。換価分割では譲渡所得税に注意換価分割を行った場合、譲渡所得が発生していれば譲渡所得税の課税対象となり、相続人全員に譲渡所得税がかかります。マイホームを売却して譲渡所得が発生した場合には、3,000万円の特別控除が受けられ、税金の負担が軽くなります。相続した親の自宅を売却した場合、親と同居していた相続人については3,000万円の特別控除が受けられます。一方、親と別居していた相続人は特別控除が受けられません。兄弟で平等に分けたつもりでも、手元に残る金額に差が出ることがあります。遺言で相続トラブルを防ぐ親の死後の兄弟トラブルを防止するために、親に遺言書を書いておいてもらう方法があります。親に遺言書を作成してもらおう被相続人が遺言書を残している場合、被相続人の意思を尊重して、法定相続よりも遺言が優先することになっています。親に遺言書を用意しておいてもらえば、兄弟間で遺産分割協議をする必要もありません。親の希望だからと言うことで、兄弟全員が納得する可能性もあります。兄弟の遺留分に気を付けておく親に遺言書を書いてもらうときには、遺留分に注意しておかなければなりません。遺留分とは遺言の内容にかかわらず確保できる最低限の取り分です。子供が親の相続人になる場合には、子供は皆遺留分を持ちます。子供の遺留分は次のとおりです。たとえば、父親が既に亡くなっており、母親の財産を兄弟3人で相続する場合、1人あたりの遺留分は4分の1を3人で割った12分の1です。兄弟全員が少なくとも12分の1の財産を取得できるように、母親に遺言を書いてもらう必要があります。相続における兄弟トラブルに関するまとめ親が亡くなったとき、遺産に対して兄弟が持つ権利は平等です。不満を持つ人が現れないよう、全員の権利に配慮しながら遺産を分配する必要があります。将来、遺産相続で兄弟トラブルになることが予想されるなら、親に遺言を書いてもらう方法も検討しましょう。
2020年02月17日「子供よりも孫の方が信用できる」「相続の回数を減らしてコストを抑えたい」などの理由で、遺産を子供ではなく孫に引き継がせたいと考える人も多いようです。何もしなければ孫は相続人にはならないケースが多いので、孫に遺産を相続させるには事前に対策が必要です。本記事では、孫に遺産を相続させる4つの方法を説明します。孫は遺産を相続できる?相続できるなら割合はどうなる?国税庁贈与税の計算方法贈与税の金額は、上の速算表に当てはめ、次の計算式で出します。贈与税額=基礎控除後の課税価格×税率-控除額たとえば、2,000万円の土地の贈与を受けた場合、基礎控除後の課税価格は2,000万円-110万円=1,890万円となります。特例税率で計算すると、1,890万円×45%-265万円=585万5,000円一般税率で計算すると1,890万円×50%-250万円=695万円となり、特例税率の方が税金が安くなります。高税率と言われる贈与税ですが、祖父母から孫への贈与については比較的税金は抑えられています。孫に非課税で贈与する方法孫への贈与を非課税にできる場合があります。具体的には、次のような方法です。①毎年110万円以内で贈与する年間110万円の基礎控除枠を利用して、毎年少しずつ贈与する方法です。ただし、毎年一定額を連続して贈与すると、最初からまとまった金額を贈与するつもりだったとみなされ、合計額に課税されてしまうことがあります。②非課税特例を利用子供や孫に現金を一括贈与する場合、利用目的によっては一部が非課税になる特例を利用できます。たとえば、教育資金として贈与する場合には1,500万円まで、結婚・子育て資金として贈与する場合には1,000万円までが非課税です。住宅購入資金として贈与した場合には条件によって異なりますが、最大で3,000万円までが非課税になります。なお、それぞれの特例で年齢などの条件があるので、孫への贈与なら必ず非課税になるわけではありません。孫への贈与に相続時精算課税を使った方がいい?相続時精算課税とは、60歳以上の人から20歳以上の子供や孫への贈与を2,500万円まで非課税とし、相続時に贈与財産額を相続財産額に加算して相続税課税で精算するものです。なお、贈与が2500万円を超えたら一律20%の贈与税がかかります。相続時精算課税を一度選択すると、通常の暦年課税(毎年110万円まで非課税になる方法)に戻すことができません。孫への贈与に相続時精算課税を使うときには、次のような点に注意が必要です。相続税は1.2倍になる下で説明しますが、孫の相続税は通常より2割加算されるので、相続時精算課税を選択しても孫の税金は高くなります。暦年課税なら生前贈与加算しなくていい相続人に対する死亡前3年以内の生前贈与は相続税の課税対象に含められますが、相続人でない孫への生前贈与は対象外です。孫には暦年課税で贈与を行った方が得策のことがあるので、十分に検討が必要です。死因贈与する方法(その2)は孫の了承が必要死因贈与でも確実に財産を譲ることができますが、孫の同意が必要です。孫に義務を負わせることも可能死因贈与では、財産を贈与をする代わりに、何らかの義務的な内容を約束させることも可能です。たとえば、孫との間で「生前に自分の面倒を見てくれたら死後に財産をあげる」といった約束をしてもかまいません(負担付死因贈与)。孫は放棄できない自分の死後、孫に財産を譲るには遺贈という方法もあります。遺贈は自分で遺言を書くだけで、孫の了承はいりません。ただし、孫は遺贈を放棄することもできます。一方、死因贈与は孫と契約を結ばなければならないので、孫の同意が必要になり、孫が拒否した場合には実現しません。死因贈与を受けた孫は放棄できないので、孫の同意を得て契約を結ぶことができれば、確実に財産を譲れます。相続税がかかる死因贈与を行った場合には、贈与税ではなく相続税の課税対象です。相続税がかかるかどうかは、被相続人の財産が基礎控除額を超えるかどうかで決まります。相続税の金額は、原則として取得した財産額に比例します。しかし、次の1~3以外の人は、相続税額が2割加算されるというルールが設けられています。被相続人の1親等の血族子の代襲相続人配偶者孫は子供の代襲相続人である場合を除き、相続税が1.2倍になります。同じ財産でも子供に譲るのと孫に譲るのとでは税金の額が変わってくることを認識しておきましょう。孫に遺贈する方法(その3)では遺留分に配慮遺言を書くときに気を付けなければならないのが遺留分です。孫に遺贈する場合、他の相続人の遺留分に注意しておきましょう。[adsense_middle]相続人の遺留分を確保して孫に遺贈する必要がある遺留分とは、兄弟姉妹以外の相続人について、民法上確保されている最低限の相続割合です。直系尊属のみが相続人のケースでは財産全体の3分の1が、それ以外のケースでは財産全体の2分の1が、遺留分を持つ人(遺留分権利者)のために確保されます。【例2】遺留分権利者として、配偶者と子供2人がいるケース上記の【例2】では、財産全体の2分の1が遺留分権利者に確保されるので、配偶者の遺留分は4分の1、子A及び子Bの遺留分は各8分の1となります。孫に遺贈をする場合には、配偶者、子A、子Bの遺留分を確保しておかなければなりません。もし孫に全財産を遺贈する旨の遺言を書いた場合には、配偶者は財産の4分の1に相当する金銭を、子A及び子Bは財産の8分の1に相当する金銭を支払うように孫に要求できます(遺留分侵害額請求)。なお、どうしても孫にすべての財産を遺贈したい場合、遺留分権利者に話をして納得してもらい、家庭裁判所で遺留分放棄の手続きをとってもらう方法もあります。相続税にも注意孫に遺贈をすると、孫は相続税を払わなければなりません。上にも書いたとおり、孫の相続税は通常の1.2倍になります。孫が税金を多く支払うことに抵抗を持つかもしれませんので、事前に話し合いをしておいた方がよいでしょう。孫を養子にする方法(その4)でも孫の相続税の負担は重くなる生前に孫と養子縁組すれば、遺言を書かなくても孫に財産を引き継がせることができます。ただし、孫の相続税の負担が重くなることは変わりません。孫を養子にしても相続税は1.2倍に!養子は1親等の血族なので、通常は上に書いたとおり、相続税の2割加算の対象外です。しかし、孫などの直系卑属が養子になっている場合には、例外的に2割加算する扱いになっています。孫を養子にする場合でも、遺贈の場合と同様、孫の相続税が高くなることは変わりません。二重身分のケースでは?養子である孫が子供の代襲相続人でもある場合には、相続税は加算されません。孫に遺産相続する方法に関するまとめ自分の死後に孫に遺産を譲る方法(死因贈与、遺贈、養子縁組)では、孫に1.2倍の相続税がかかってしまうという難点があります。生前贈与を行えば非課税枠を使って税金を抑えられるケースもあるので、死後にこだわらないなら生前贈与も含めて検討すると良いでしょう。贈与税や相続税などの税金は、家族構成や財産状況によっても変わってきますので、税理士に相談して対策をとるのがおすすめです。
2020年02月09日被相続人が連帯保証人になっていながら死亡した場合、財産を受け継ぐ相続人は連帯保証人の立場も相続しなければなりません。その結果、相続した財産よりも負債の方が大きくなる可能性があります。この記事では、連帯保証人の相続について解説いたします。債務者の連帯保証人死亡時は、連帯保証人も相続対象被相続人が死亡した場合、相続人は住宅や金銭など、各種財産を手に入れられます。しかし、もしも被相続人が連帯保証人となっている場合には、その地位も引き継がなくてはなりません。債権者が借金を返せなければ、相続人が負債を被ることになります。まずは連帯保証人の相続について以下内容を紹介します。親が連帯保証人なら子供はピンチ必ず連帯保証人になっていないか確認すべき連帯保証人になっているかの調べ方相続対象となるケースとならないケース親が連帯保証人なら子供はピンチ相続の形はさまざまではあるものの、一般的には親が死亡した際に配偶者や子供に財産が相続されます。言い換えれば親が連帯保証人になっている場合、その負債が子供に降りかかる可能性が高いのです。親にとっては信頼している人の連帯保証人だったとしても、子供にとっては縁もゆかりもない人の連帯保証をしなければならなくなります。必ず連帯保証人になっていないか確認すべき親が高齢である場合や重病である場合には、終活の一環として必ず借金の有無や連帯保証人になっていないかどうかを確認しておきましょう。死亡してから確認するよりも、存命中に確認した方が確実です。もちろん、死亡後にも念のため確認し、ダブルチェックしておきましょう。連帯保証人になっているかの調べ方被相続人が連帯保証人になっているかどうかの調べ方は、保管しているはずの契約書を探す方法です。連帯保証人になる場合、金銭消費貸借契約書を交わす必要があり、連帯保証人にも渡されます。一般的に、この契約書は保管しているはずですので、遺品整理を兼ねて探してみましょう。契約書を保管していない場合や、見つからなかった場合には、督促で気付くことになります。相続対象となるケースとならないケース連帯保証人の立場が相続されるケースとされないケースがあります。相続対象となるケースは、金融機関からの借入に対する連帯保証人や、不動産などの賃貸借契約に対する連帯保証人です。相続対象とならない場合は根保証の場合です。根保証とは、継続的な取引で生じる債務を将来にわたって保証するものです。極度額等の定めがなければ相続対象外となります。連帯保証人は債務者と同じ義務がある連帯保証人には債務者と同等の義務があります。そのため、借金が焦げ付いた場合、連帯保証人は債務者と同じ借金を背負うことになります。また、保証人に認められている権利が、連帯保証人には認められていません。具体的には以下のとおりです。債権者へ振れない本人が返せても請求されることがある複数の保証人で分割できない債権者へ振れない債権者が連帯保証人に督促をした場合、連帯保証人は支払わなければなりません。通常の保証人であれば先に借りた本人へ督促するように要求できます。これを催告の抗弁権といいます。しかし連帯保証人にはその権利がありませんので、債権者の求めに応じて借金を肩代わりしなければなりません。本人が返せても請求されることがある債権者が連帯保証人に督促した際、本当は債権者に返済能力があると知っていれば、債権者に請求してもらいたいものです。このことを検索の抗弁権をいいます。しかし、連帯保証人には検索の抗弁権もありませんので、債権者の求めに応じなければなりません。複数の保証人で分割できない通常の保証人であれば、複数人数で債務者の借金を分割可能です。このことを分別の利益といいます。しかし連帯保証人の場合には分別の利益がありませんので、1人で返済する必要があります。相続放棄すれば回避可能!その手続き方法とは?相続人が多額の負債を抱えている場合や、連帯保証人になっている場合などには、相続放棄することで回避できます。相続は資産だけでなく借金も受け継ぐことになりますので、相続放棄は有効な手段です。ただし、相続放棄する場合にはいくつか知っておくべきことがあります。ここではその内容として以下を解説いたします。プラスマイナスを考慮して相続放棄を検討相続放棄の手続き法相続開始を知ってから3カ月以内相続放棄の注意点相続放棄期限を過ぎてしまったら[adsense_middle]プラスマイナスを考慮して相続放棄を検討相続放棄をする場合には、資産と負債のバランスを考えましょう。たとえ被相続人が連帯保証人となっていても、借金の総額が資産を下回る場合は相続した方が得です。逆に、資産の合計よりも借金が多い場合や、連帯保証人まで相続するリスクの方が高い場合には、相続放棄をした方が無難でしょう。プラスマイナスをしっかりと考慮して検討する必要があります。相続放棄の手続き法相続放棄の手続きは、被相続人の住所を管轄する家庭裁判所です。家庭裁判所に行って手続きする方法と、郵送する2パターンがあります。必要書類は「相続放棄の申述書」「被相続人の住民票除票または戸籍附票」「申述人の戸籍謄本」の3点で、場合によって身内の戸籍謄本が求められることもあります。ちなみに、相続放棄に必要な費用は、収入印紙代800円と、戸籍謄本450円が必要です。相続開始を知ってから3カ月以内相続放棄を検討する上で重要なことは、相続開始を知ってから3カ月以内という期限があることです。もしも期限を超えているのに相続放棄をしなかった場合には、相続をしたと見なされてしまいます。ただし、相続開始から3カ月以内ではなく、相続開始を知ってから3カ月以内ですので、知っておくと良いでしょう。相続放棄の注意点相続放棄をする場合には、限定承認も視野に入れましょう。先述したように、相続した方が良い場合と相続しない方が良い場合は、資産と負債のバランスによります。しかし、資産と負債のバランスがハッキリと分からない場合もあります。相続放棄をした結果、実は資産の方が多かったというケースの場合、相続人は損をします。このようなケースでは限定承認がおすすめです。限定承認とは、相続財産に資産と負債が混じっているケースで、プラス財産の範囲に限ってマイナス財産も相続する方法です。万が一マイナス財産が多かったとしても、プラス財産を超えないため、相続人が被る被害を回避できます。ただし、限定承認には一定の条件があります。それは、相続人全員が賛成するという条件です。相続人の中に1人でも反対者がいれば限定承認は認められませんので、成立しないことも多いです。相続放棄期限を過ぎてしまったらもしも相続放棄期限を過ぎてしまってから相続放棄したい場合には、状況によって裁判所の判断となります。なるべく早めに弁護士に相談すると良いでしょう。多くの弁護士事務所は無料相談をしていますので、気軽に相談が可能です。連帯保証人の相続に関するまとめ債務者の連帯保証人死亡時は、連帯保証人も相続対象となります。連帯保証人は債務者と同じ返済義務があるため、相続すると借金を背負うリスクがあります。そのリスクを相続によって背負わなければならないため、被相続人が連帯保証人になっていないかどうか、あらかじめ確認しておく必要があるでしょう。ただし、連帯保証人の相続を回避するには、相続放棄という手段がありますので、リスクヘッジが可能です。
2020年02月09日相続財産管理人は、相続する人がいない財産を管理します。あまり聞き慣れない言葉ですが、どんなときに関与することになり、どんな仕事をするのでしょうか?本記事では、相続財産管理人を置くべきパターンや就任までの大まかな流れを説明します。相続財産管理人って誰?どんな制度?相続があっても、相続財産管理人が必ず置かれるわけではありません。相続財産管理人が関与するのは、比較的特殊なケースです。相続人がいない・全員放棄の財産を管理する相続財産管理人が関与するのは、相続人が1人もいないか、相続人全員が相続放棄して財産を引き継ぐ人がいない場合で、必要性がある場合にのみ選任してもらえます。死亡した人が土地や建物、預貯金などの財産を持っていないなら、相続手続き自体必要ないので選任も不要です。誰がなる?申立時には候補者を推薦できますが、候補者が選ばれるとは限りません。家庭裁判所の名簿に掲載されている弁護士などの専門家が選ばれるのが一般的です。相続財産管理人を置くべきケース相続財産管理人が必要な場合としては、次のようなパターンが考えられます。(1) 特別縁故者が存在同一生計だった人や療養看護に努めた人など、特別の間柄だった人(特別縁故者)がいる場合です。特別縁故者が財産分与請求の申立をすれば、遺産の一部や全部をもらえる可能性がありますが、この請求の前提として相続財産管理人が必要です。(2) 借金を残している死亡した人が誰かからお金を借りていたら、お金を貸した人(債権者)は遺産から返済を受ける権利があります。もし相続人が1人もいなければ、債権者は「お金を返してくれ」と言う相手がいません。このような場合、相続財産管理人が付けば、遺産から返済してもらえます。(3) 全員が相続放棄した相続放棄した人も、新たに相続人になった人が遺産を管理可能になるまでは、遺産の管理を継続しなければなりません。すべての相続人が相続放棄した場合には管理義務を逃れられないので、負担をなくすためには相続財産管理人を選任してもらう必要があります。(4) 国や地方公共団体による用地買収死亡した人の土地を引き継ぐ人がおらずそのままになっているとき、国や地方公共団体が用地買収のために相続財産管理人選任を申し立てることもあります。役割と権限相続財産管理人の主な役割は、死亡した人の財産の清算です。たとえば、借金の支払いをしたり、預金の払い戻しをしたりします。清算完了後、残った財産は国のものになるので、これを国庫に帰属させる手続きも行います。どんなことができる?相続財産管理人は、自らの判断で保存行為(財産の現状を維持する行為)や管理行為(物の性質を変えない範囲で利用・改良する行為)を行う権限を持ちます。一方、処分行為を行う場合には権限外行為となり、裁判所の許可を受けなければなりません(※下表参照)。申立件数は増加している下のグラフは、平成21年から平成30年までの10年間に新規で受け付けられた相続財産管理人事件数です。グラフを見てわかるとおり、近年事件数は右肩上がりで増えています。亡くなるときに家族や親戚がいない人が増えていることが考えられ、この傾向は今後続くものと思われます。相続財産管理人選任申立方法は?おひとりさまの残した土地や建物、預貯金などがそのままになっている場合には、利害関係人などが申し立てれば、相続財産管理人を選任してもらえます。就任までの流れと必要書類を知っておきましょう。[adsense_middle]就任までの流れ相続財産管理人が就任するまでの流れは、大まかには次のとおりです。1. 申立書を提出死亡した人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申立書と必要書類を出します。2. 審理出された書類にもとづき、申立を認めるか却下するかの審理が行われます。3. 審判審理の結果、相続財産管理人を置くべきとなったときには、裁判所が適当な人物を選び、審判を出します。4. 公告相続財産管理人が選任されたら、裁判所は遅滞なくこれを公告するものとされています。準備すべき書類次のような書類を揃えて提出します。家事審判申立書戸籍謄本相続放棄申述受理証明書住民票除票(または戸籍附票)遺産に関する資料候補者の住民票等家事審判申立書裁判所のホームページにあるものをダウンロード・印刷して記入します。財産目録も添付します。戸籍謄本死亡した人の出生から死亡までのもののほか、相続人がいないことがわかる戸籍・除籍・改製原戸籍謄本すべてが必要になります。なお、法定相続証明制度を利用し、法定相続情報一覧図の写しを提出してもかまいません。法定相続情報証明制度とは、あらかじめ戸籍謄本の束を法務局に提出しておき、法務局で交付を受けた法定相続情報一覧図を提出する方法です。相続放棄申述受理証明書相続放棄により相続人がゼロになったケースでは、相続放棄申述受理証明書を添付します。住民票除票(または戸籍附票)死亡した人の最後の住所を証明するものが必要です。住民票はマイナンバーの記載のないものを提出します。遺産に関する資料遺産としてどんなものがあるのかがわかる資料が必要です。不動産がある場合には登記事項証明書及び固定資産評価証明書、預貯金がある場合には残高証明書等を添付します。候補者の住民票等候補者を指定する場合には、候補者の住所がわかるものを出します。住民票はマイナンバーの記載がないものが必要です。申立は自分でできる?申立の際には、戸籍謄本の収集に労力がかかります。第3順位までの相続人が1人もいないということを証明するためには、かなりの数の戸籍が必要になることがあります。忙しくて時間がない場合や手続きに自信がない場合には、弁護士や司法書士に依頼するとよいでしょう。相続財産管理人選任にかかる費用は?相続財産管理人の選任手続きには費用がかかります。実際に申立をする場合には、費用を上回るメリットがあるかどうかを検討しましょう。申立時の印紙代や切手代は?相続財産管理人選任事件で必要な収入印紙は800円分、切手は裁判所によって異なりますが数千円程度です。さらに、選任後は官報公告が行われるので、公告料金4,230円も納める必要があります。予納金も必要。相場はどれくらい?申立の際の印紙や切手はそれほど高額ではありません。しかし、相続財産管理人の報酬に充てる予納金も納める必要があり、これが高額です。金額は事案によって異なりますが、数十万円から100万円程度になります。相続財産管理人の報酬は相続財産から支払われべきものなので、清算後余剰があれば予納金は戻ってきますが、財産状況によっては戻ってこないこともあります。お金をかけても手続きするメリットがあるかを考えてから申立しましょう。おひとりさまは遺言を書いておく相続財産管理人選任の手続きは、面倒な上に費用がかかります。自分が死んだ後財産を引き継ぐ人がいないおひとりさまは、遺言を書いておくと、周囲の人に迷惑をかけずに済みます。遺言を書くときには、自筆証書遺言や公正証書遺言の形にし、法律的に無効にならないようにしておきましょう。相続財産管理人に関するまとめ身近で身寄りがない人が残した財産があり、自分に利害関係があれば、相続財産管理人の選任申立てを検討してみましょう。もし自分が特別縁故者の立場なら、財産を受け取れる可能性もあります。ただし、費用がかかるので、どれくらいのメリットがあるかを考えておかなければなりません。身寄りがいないおひとりさまは、周囲への負担がかからないよう、誰に財産を譲るかの遺言を書いておくことも考えましょう。
2020年01月31日