新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、全国の小学校・中学校・高校・特別支援学校を臨時休校するよう、安倍晋三首相からの要請がありました。突然の休校――これから始まる長い長い自習学習の時間をどうすればいいのか……不安を抱える親御さまも多いのではないでしょうか。そこで、自宅にいながらさまざまな「学び」を得られるオンライン授業をいくつかご紹介します。【総合力】プレゼン、英語、探究学習、そして体幹トレーニングまで!■オンラインおうち学校のべ20,000人の学校生徒にプレゼンテーション出前授業を提供してきた一般社団法人アルバ・エデュが、「オンラインおうち学校」で親子を応援。ふだんはなかなかお話が聞けない、第一線で活躍する先生方とインタラクティブに行なうオンラインでの「学び」は、かなり貴重です。グローバルな視点や専門的なお話に触れる大きなチャンス!今だからこそ、「楽しい!もっと知りたい!」好奇心をおうちで底上げ!【対象年齢】年長~中高生、学生、大人【学び】プレゼンテーション/英語/探究学習(SDGs、社会課題、政治経済、社会システム、食育等)/作文/書写/食育/体幹トレーニング/ダンスなど【詳しくはこちら↓】【アート】簡単な工作から、きものデザインや本格的な鉛筆画が学べる■どこでもアートきっず教育学、心理学、教育心理学、心理療法などを取り入れた、画期的な指導に定評がある『芸術による教育の会』。その人気コンテンツである美術教育オンラインサービス「どこでもアートきっず」が、無料開放しています。とてもわかりやすい10~15分程度の動画を見てから、実際に作品を作ってみましょう。家にあるもので簡単にできるアートがたくさんありますよ♪【対象年齢】年少~【学び】きもののデザイン/紙コップアート/シャガール作品/立体を描く/光と影を描くなど【詳しくはこちら↓】【国語・算数】東京都教育委員会が提供!学習のつまずきを防ぐ良問ばかり■東京ベーシック・ドリル東京都教育委員会が提供している、基礎的な学習内容を身につけるためにつくられた学習教材。「東京ベーシック・ドリル(電子版)」は、パソコンやタブレット端末を使って学習可能です。各単元ごとに学習することができるので、苦手問題の克服にも向いているでしょう。【対象年齢】小1~中1【学び】小1〜中1までの国語・算数・数学/小3・小4の社会・理科/中1英語(画像引用元:東京都教育委員会|1年 練習 3-1 ひきざん)(画像引用元:東京都教育委員会|1,2年言語 2-8 いろいろな言葉2)また、オンライン学習ではありませんが、「東京ベーシック・ドリル(プリント教材)」もあるので、プリントアウトして学習することもできます。春休みまでに基礎をしっかり固めておけば、4月から気持ちのいいスタートがきれるはず。(画像引用元・左:東京都教育委員会|(10)「は」、「へ」、「を」」)(画像引用元・右:東京都教育委員会|(5)しきにあらわそう)***大好きなお母さんお父さんと、朝からずーっと一緒にいられるから嬉しいな♪子どもたちからは、そんな声が多いかもしれません。せっかくの機会です。時間をたっぷり使った「深い学び」を経験してみませんか?ご紹介したオンライン授業も、受けっぱなしではなく、親子で話し合ったり、もう一度作ってみたり、アイデアを出し合ってみたりしてみましょう。もしかしたら、休み明けからのお子さまは、やる気と好奇心のかたまりになっているかも!?お子さまの「好きなもの」「やりたいこと」が見つかりますように。(参考)芸術による教育の会芸術による教育の会|どこでもアートきっずアルバ・エデュ東京都教育委員会|東京ベーシック・ドリル東京都教育委員会|東京ベーシック・ドリル(電子版)/PDF版目次
2020年03月03日ランドセルも届き始め、いよいよ入学準備シーズン♪本日のコラムは、当店ママスタッフ達が「これいいよ」と語り継いできた入学準備アイテムをご紹介します。子どもの気分が上がる身支度用品から、貰ってうれしい補助アイテムまで、スタッフ間で口コミ人気の5選です。では、いってみましょう。【1】 時計で朝の身支度スムーズ作戦早くしないと遅刻するよー!〇時〇分までに支度しないと間に合わないッッッ!朝のあるあるシーンですよね。そんな、朝からガミガミ言っちゃう回数を少しでも減らせますように〜。「Lemnos」の少し大人っぽいデザインは、子ども部屋だけでなくリビングに置いても違和感ナシの佇まい。「長針間違えなくなったな。」「今何時?パパにも知らせてあげて。」なんて親子の会話をきっかけに、子ども自らのスケジュール管理に自信がつきそうです。・ アナログ時計、長針がまだちょっと自信ない。・ キャラクター時計だと飽きそうだし...・ 時計はもう読めるけど、下の子の練習のためにもあると良いかも。そんな子ども目線、親目線、どちらも納得の時計は、新生活で良い仕事してくれます。▼ご紹介したアイテムはこちら ⇒「Lemnosふんぷんくろっくwithcolorfortable置き時計/レムノス」 【2】 省スペース、ランドセル置き場帰宅した瞬間、カバンを放り投げて放置!...この習慣は得意なのに、どうして「子ども部屋に片づける」って習慣は身に付かないんでしょうね〜。ホントに、まったく。ピカピカのランドセルを、放り投げないでおくれー。(6年間使うんだぞー。)迷わず即決率高めのランドセルハンガーがコチラ。■ 1か所にモリモリ収納できますランドセル、給食袋、習字道具など、学用品が1か所にまとめられる「T字+5つのフック付き」というタップリ収納力。省スペースなので、リビングの学習コーナーもスッキリ片付きます。■ 6年間、シッカリ使える1〜6年生まで使いやすい高さ100cm。ランドセルを掛けたまま開け閉めできて、教科書の出し入れもスムーズにできます。丈夫なスチール素材でシンプルな美観をキープ。■ 兄弟でも長く使える上の子のランドセルをT字に、下の子の通園バッグをフックに。そして、数年後には2人のランドセルを前後W掛け。成長に合わせて、そんな使い方アレンジもOK。「ランドセルがディスプレイみたいになりお洒落です。」というお客様からの嬉しいお声も。▼ご紹介したアイテムはこちら ⇒「smartランドセルハンガー/スマート」 【3】 リビング学習の必需品、バルミューダスマホ、タブレット、パソコン、ゲーム。目に悪いのかもしれない誘惑が多い、イマドキの子ども達。なので、少しでも目に優しい環境を整えてあげられたら.。o Oそこで、選んで間違いない究極のデスクライト。目への優しさを追求し、本来の色を見る目を育てるという、こだわり満載の照明なんです。■ テーブルに目を近づけない手術灯の技術をもとに、独自のミラー構造で子どもの視界に影を作らない光を届けます。手元を見ようと姿勢を低くすることもなくなります。■ ブルーライトを大幅カット一般的な白色LEDライトの約半分で、子どもの疲れ目を抑えます。照明の質に悩むリビング学習の頼もしい味方です。■ 「こんな色をしていたんだ」太陽光に近い灯りで、本来の色を見ることができます。見慣れた図鑑も、ページをめくるたびに新発見の連続です。【写真】※影のビフォアフターの写真でいかがでしょうか。わが家でも「いつか買おう」的なアイテムだったのですが、ある日、折り紙を教えている時に影で手元が暗くなっていて折りづらそうで、(これは早めに買っておこう。)と購入を決断。文字の練習、ドリル、折り紙、図鑑、読書、お絵描きに、クリアな視界と本来の色に、子どもも集中力を発揮しています。「入学準備をはじめるにあたって、学習机よりもまず最初にこれを買いました。」 by新1年生母スタッフ▼ご紹介したアイテムはこちら ⇒「BALMUDATheLight/バルミューダ【送料無料】」 【4】 とっても小さな算数セット用シールベルマーク並みに何枚あっても困らないお名前シールは、入学祝いのプレゼントにも喜ばれる一品。・ 定番の算数セットに。・ お名前ペンでは書けない、鉛筆、箸など「細っ!」な部分に。・ あると便利なピンセット付き。耐水性もバッチリです。タップリ使える1000ピース入りなので、気の遠くなるような記名だってラクショー! これだけあれば学期途中で急に記名が必要になった時にも慌てなくてOKですね。▼ご紹介したアイテムはこちら ⇒「1000ピースお名前シール耐水算数セットディアカーズ【送料無料】」 ラストは、「鍵デビュー」する小学生たちへ。【5】 ピーピー!!!!お守りキーリングこう見えて、いざというときにお役立ち。ネットショッピングモールの笛・ホイッスルランキングで堂々1位&2位に輝いた、福井県鯖江市生まれのキーリング。〜選べる2タイプ全19種類です。〜・ イニシャルで選ぶなら、「アルファベット」・ 好きな動物で選ぶなら、「アニマル」普段はキーホルダーとして、そして、いざという時、防災・防犯に、お助けホイッスルとして、お守り代わりに持たせたい。↓お客様レビューで★★★★★高評価です。「小さい子どもでも簡単に吹くことが出来る」「高学年になってもOKなデザインが気に入りました。」「使う機会がないことを願っていますが万が一の時のために」大切な君へ。入学準備の仕上げに、小さなお守りを贈ります。▼ご紹介したアイテムはこちら ⇒「エッフェアルファベットキーリング/effe」 ▼ご紹介したアイテムはこちら ⇒「エッフェ ペンシエロ アニマルキーリング お守りホイッスル/effe pensiero」 いかがでしたか?入学準備に少しずつ買い足すもよし、「入学祝い、どんなものがいい?」「何か必要なものはある?」そんなありがたいお伺いにちゃっかりリクエストするもよし。どれにしよう、何色にしよう〜、なんて可愛い新1年生のワクワクの入学準備をアンジェが少しでもお手伝いできれば幸いです。 ■暮らしのはなし ■こどもと暮らす T.Kitahara作って食べて、会話が弾む。家族との大切な日常に、ほんのひと手間、幸せの仕掛けを。
2020年03月01日子どもに「意味までわからせる」ことの大変さ「2/5 ÷ 3/7」という計算問題の答えを出せる方は多いでしょう。「3/7」を逆数(分母と分子を入れ替えた分数)にして「7/3」にし、「2/5 × 7/3」として計算すればいいのです。ところでみなさんは、「どうして逆数をかけるのか」と聞かれたら、相手が「あっ、そういうことか!」と納得できるようにその理由を説明できるでしょうか。もちろん「できますよ」という方もいるでしょう。ですが多くの方は、「どうして分母と分子を逆にするのか」「どうして割り算なのにかけるのか」説明に困るのではないでしょうか。今の小学校の算数の教科書には、「どうして逆数をかけるのか」の説明が載っています。図などを交えながら、子どもに考えさせるようになっている教科書もあります。ですが実際は、この理由を小学生の子どもに考えさせたり教師が説明したりすることは、とても難しいこと。まじめな先生ほど、子どもに「意味までわからせよう」と頑張って説明するのですが、すぐに理解できる子ばかりではなく、多くの子がつまずいてしまうのです。じつは私も、分数の割り算で逆数をかける意味を子どもたちにわからせようとしたことが何度もありますが、成功したことはほとんどありません。先輩教師からは「教師が子どもに説明すればするほど、子どもはわからなくなるんだ!」とよく言われたものです。実際、子どもの様子を見ると、説明を聞けば聞くほど余計に混乱しているようでした。この例のように、子どもに意味までわからせようとすると多くの子どもが混乱しがちな学習内容は、ほかにもあります。代表的なのが、割合を求める学習です。中学・高校に進み数学を勉強するようになれば、さらに多く出てきます。それでも、子どもの勉強では常に「意味までわかる」ことを目指さなくてはいけないのでしょうか?今回は、「意味までわからせる」ことの意義について、考えてみたいと思います。「意味までわかる」状態がゴールになる学習の例学校では、意味がちゃんとわからないと次の学習に進めないことがあります。小学校2年生の例をあげてみましょう。一通り、九九の学習を終えたところで、次のような問題が出てきます。【問題】「5×3」になるもんだいを作りましょうかけ算の式は、「1当たり(1つぶん)の数×いくつぶん」だと教えます。(かけ算は反対にしても答えが同じなんだから順番なんてどうでもいいという人も意外に多くいますが、今の小学校では、このように教えることになっています。)「1当たりの数が先」ということまでわかっていない子は、正しい問題を作ることができません。誤った作問の例がこちらです。【間違い例】5人に3こずつあめをくばります。あめはぜんぶでいくつになるでしょう。この問題だと、「1当たり(1人ぶん)の数」は3ですから、かけ算の式は「3×5」になってしまいますね。正しい問題は、次のようなものになります。【正解例】5こずつ3人にあめをくばります。あめはぜんぶでいくつあればいいでしょう。これは、かけ算に出てくる最初の数字(「かけられる数」ともいいます)が1当たりの数を意味していることをちゃんとわかっていないとできない学習の例です。かけ算では、「できる(九九が言える)」だけでなく、「意味がわかる」こともゴールにしないといけない、というわけなのです。現実社会では「できる」がゴールになることが多い先に書いたように、小学校の学習では、意味がわかっていないとできない問題があることは確かです。となると、子どもには常に意味までわからせなければいけないようにも思えてきますよね。ですが、はたして本当にそうなのでしょうか。「わかる」と「できる」には次のような違いがあります。「わかる」:理由や理屈などを納得して理解していること「できる」:自分の力で何かを成し遂げられることこのどちらを目指すべきなのか考えるために、まずは現実社会での例をあげてみましょう。私にはかつて、「話し方教室」に通い、3分間スピーチの組み立て方や話し方などを勉強していた時期があります。授業時間は日曜日の朝から夕方まで。午前中には「話をどう組み立てればいいのか、そうするのはどうしてなのか」の理論を勉強しました。そして午後は、ほかの学生と講師の前で実際に3分間スピーチをするという実習の時間。「話し方教室」では、話し方の理論が「わかる」ようになるための勉強もしましたが、ゴールは3分間スピーチが「できる」ようになることでした。私の経験を、もうひとつ。一時期ミュージカル鑑賞に熱中していた私は、音痴で歌もダンスも全くできないのに、観るだけでは飽き足らず、実際に舞台の上に立ってみたくなりました。そこで、ミュージカル学校の面接を受けてどうにか入学許可をもらい、ミュージカルの歌と演技を学ぶことに。ここでも、やはりゴールは「できる(歌える・踊れる・演技ができる)」でした。「こうして歌えばいい」という理論だけわかっていてもダメ。よく言われる「畳の上の水泳」と同じ状態になってしまいます。「ダメでもともと」の挑戦であったとはいえ、ミュージカルは観客にみせるものですから、なおのこと「できる」がゴールでなければいけなかったのです。このように現実社会では、意味が「わかる」ことよりも、そのことをちゃんと「できる」ことのほうが求められます。もちろん、「意味がわかって、できる」のであれば一番よいのでしょうが、実際問題、日常生活の中には、意味がわからなくてもできてしまうことは多くあります。たとえば、テレビを見るとき、どうして映るのかわからなくても電源を入れさえすれば見ることはできます。自転車がなぜ動くのわからなくても、乗り方さえ身につければ乗ることができます。パソコンで文章を書くときだって、なぜ、キーボードを押すと文字が出てくるのかわかっていなくても文章を仕上げることができます。(現に今キーボードを打って文章を書いている私自身、パソコンで文字が書けることの仕組みなど、まったく知りません。)こうして見てみると、現実の世界では、多くのケースで「できる」がゴールになっているということがわかります。家庭でも「できる」をゴールにして教えよう日常生活では「できる」がゴールになることが多いとは言え、学校の勉強では「できる」だけではダメだとよく言われます。その一例が、先のかけ算の話ですね。ですが家庭の学習では、必ずしも「わかる」ことを目指さなくてもいい、と私は考えています。というのも、「わかる」ことに重きを置きすぎると、「わかっているのに、できない」という状態になりかねないからです。「わかっているのに、できない」とは、たとえば「先生から計算のやり方を聞いて“なるほど”とわかっても、いざ問題を前にしてみると解けない」「教科書を読んで“へえ、この漢字はこう読むんだ”とわかっても、何も見ずに書くことはできない」といったようなこと。まさに「知ってるけど、解けない・書けない」ということです。これでは明らかによくありませんよね。勉強では、わかりさえすればそれでいいのではなく、できないといけないのです。であれば、現実社会がそうであるように、家庭で子どもに勉強を教える際には、ひとまず「できる」をゴールにしてみてはいかがでしょうか。もちろん、「意味もわかるし、できる」ようになれば、それに越したことはありません。でも、最初から完璧に意味が分からなくても、「できる」をゴールにしていくうちに、「そういうことだったのか!」と「わかる」タイミングが訪れます。ではどうすれば子どもは「できる」ようになるのか。ここでは、国語の漢字と算数の計算問題を教えるときを例にして、家庭でできる「子どもが『できる』ようになる勉強の教え方」を簡単にご紹介します。すべて、先輩教師から教わった方法です。【漢字の書き取り】新出漢字を鉛筆で書く前に、ドリルなどのお手本の漢字を指でなぞる。ここで覚えてしまうぐらい、何度も指でなぞる。ドリルなどでなぞり書き用に薄く印刷されている文字を、鉛筆でなぞる。何も見ず、なぞらないでも書けるかどうか、確かめる。ここでは「できる(書ける)」をゴールにしているので、その漢字がどのようにしてできたかを「わかる」必要はありません。漢字の成り立ちの学習をすることもありますが、そのときのゴールと、漢字を書けるように学習するときのゴールは異なります。【計算問題】一通り問題を解き、答え合わせをする。間違えた問題にチェックを入れておく。1でチェックを入れた問題だけ、もう一度解き直し、答え合わせをする。間違えた問題にチェックを入れる。2でチェックを入れた問題だけ、再度解き直し、答え合わせをする。間違えた問題にはチェック。全問正解するまで、1~3を繰り返す。チェックがなくなれば、全部「できた」ことになります。これはどの教科、どんな学習でも使える方法です。***以前「日本地図があっという間に頭に入る!?【漢字】と【都道府県】の覚え方」で書いた都道府県の覚え方のように、「できる」ようになるための学習方法は、まだまだたくさんあります。ぜひ、今回ご紹介したことを、家庭で子どもに勉強を教えるときの参考にしてみてください。(参考)EDUPEDIA|「わかる」「できる」「身につく」「使える」の差サクセス塾|成功法則 ⑧『わかる』と『できる』は違う!!【自立学習応援塾】一進ゼミナール/ガウディア川越鯨井教室|「わかる」・「できる」の違い
2020年02月29日小学校入学まであと少し。新入学生説明会が行われ、入学までの準備についての説明を受けた人も多いのではないでしょうか。私は元小学校教諭だったので、この時期になるとよく聞かれるのが、「勉強は、先取りしておいた方がいいの?」「ひらがなって全部書けないといけないのかな?」という質問。小学校1年生の担任をした経験から、感じたことをお伝えします。意外とスピーディーな国語・算数の進み方小学1年生はまだなにも学習していないことを前提に、国語はひらがなの読み書きから、算数は数字の読み書きや1.2.3と数を数えるところから勉強がスタートします。なので、家では何も勉強していなくて…というお子さんでも大丈夫。とはいえ、国語は、1学期に50字のひらがなの学習が行われ、2学期はカタカナと漢字が同時進行するという感じで、わりとスピーディーに進みます。文字以外にも助詞の使い方、文章の読み取り、人前で話す練習と話す内容を考える「スピーチ」についてなどを学ぶので、学習内容は盛りだくさん。算数は、数の数え方から始めますが、すぐに足し算・引き算の学習に入り、1学期には繰り上がりの足し算、繰り下がりの引き算に進むなど、こちらも進みは早めです。この進み具合を考えると、できれば入学前に準備しておいた方が、自信をもって学習に取り組めたり、スムーズに進めたりできるのではないかと思います。では、どんなことに取り組んでおくのがいいでしょうか。国語:ひらがなは読んで書けるとベスト文字に興味を持つタイミングは個人差があります。特になにもしていなかったけれど、気づいたらあらかた読めていたということも多いです。読むことになかなか興味を示さなくて…というときには、遊びながら触れていくのがオススメです。わが家の子どもたちは、かるたや音の出るおもちゃで覚えました。書くことに興味を持ったら、ワークを買ったり、無料でダウンロードできるプリントを使うのもいいですね。そのときに注意したいのが書き順です。保護者に話を聞くと「正しく書けていれば、書き順なんて気にしなくていいでしょ」という人もいれば、「正しく書くよう言ってもなかなか素直に聞いてくれなくて」という人もいました。書き順は文字を一番キレイにスムーズに書くための順番です。漢字学習にもつながっていきますので、正しく書く習慣をつけたいところ。ただ、書くたびに「そうじゃない、間違っている」といちいち言われていては子どもたちも楽しくないですね。正しい書き順で書けるようにするにはまずは文字を書くときには書く順番があることを伝えます。「こうやって書くのが小学生の書き方なんだよ」「順番通りに書くときれいに書けるんだよ」などと、声をかけて盛り上げながらできるといいですね。ワークやプリントには数字や色で書き順が示してあったりします。一緒に、「どこが1番かな?どこから書くのかな?」と確認したり、「ここは横に」「これはまっすぐおろすんだよ」など、正しく書けるよう声をかけてあげると、楽しんで書き順を身につけることができます。書き順通りにかけたら◎をつけてあげたり、特別きれいに書けたら花丸を描いてあげたりすると、子どもが喜んで取り組みますよ。正しい書き順である程度書けるようになっておくと、余裕をもってその他の学習にも取り組んでいけると思います。算数:数・形・時計、身近にあるものにたくさん触れあって1年生の算数で大切なのは実体験です。数を数えてみたり、比べてみたり、並べてみたり…がたくさんできるといいのですが、授業の中だけではなかなか時間が取れません。できれば、毎日の生活の中で、実際に手を動かして数えたり、比べたりといった機会が多くもてるといいですね。食卓に並んだミニトマトの数を数える、お兄ちゃんと弟のイチゴの数を比べて同じにしてもらう、など工夫次第でいろいろなことができると思います。時計と図形に触れる機会を多く作る経験の差が出るのが時計と図形です。家にアナログ時計があればいいのですが、最近はスマートフォンが時計代わりの家庭やデジタル時計しかない家庭も多いようです。できれば、アナログの時計を見る機会を増やしてください。最近は100円ショップでアナログ時計を購入することもできますし、自分専用のお気に入りの目覚まし時計や腕時計を準備してあげると、喜んで見る機会も増えると思います。図形で差が出るのが、四角形を三角形に分けていく問題です。何も考えずにすっとできる子もいる一方、何度説明しても頭にハテナがたくさん出ている子もいます。市販のモザイクパズルやタングラムを利用するのもいいですが、おりがみやマグネットで形遊びをするのもオススメです。四角や三角をたくさん作って自由に形遊びをするだけで、図形を身近に感じることができるようになると思います。小学校生活は、それまでの毎日とはガラリと変わって、授業中心、勉強中心の生活です。何にでも前向きに挑戦できる子、慎重になる子、いろいろな子がいますが、「あ、これ知ってる!」「これならできるよ」が多い子の方が余裕をもって学校を楽しんでいるように感じました。入学前に少しずつ知っていることや見たことがあることを増やしておくと、心に余裕ができ、「勉強って楽しい!だから学校が楽しい!」と感じられるのではないかなと思います。ワークやドリルで勉強の先取りを…というよりは、親子で楽しみながら、国語や算数につながる学びの機会をたくさんつくりましょう。何かしておいたほうがいいのかな?と思っているママやパパは参考にしてみてくださいね。<文・写真:ライターHIDE>
2020年02月19日3/8 (日)に「LITALICO発達ナビ まなびフェスタ2020」開催!昨年ご好評いただいた「LITALICO発達ナビ子育てフェスタ2019」に続き、今年もユーザー参加型のイベントを開催します。今年のイベントテーマは、発達ナビのコンテンツでもユーザーの皆さまの関心が高い「まなび」です。発達が気になるお子さまにとって「子ども一人ひとり」学び方は違います。ご来場いただいた保護者の皆さまに将来に向けて前向きになれる体験をご提供するため、専門家による講演やパネルトーク、発達が気になるお子さまのくらしを支える企業の皆さまとの出合いの機会や、ユーザーの皆さま同士の交流の場をご提供したいと考えています。全プログラム無料!プログラムごとに先着順の事前予約制「発達ナビ まなびフェスタ2020」は、全プログラム無料・プログラムごとに先着順の事前予約制です。「気になっていたのに、満席になって申し込めなかった...!」ということのないよう、早めにお申し込みください!それではさっそく、プログラムをご紹介します!Upload By 発達ナビ編集部Upload By 発達ナビ編集部【1部:特別講演「発達が気になる子」と向き合い続ける保護者の方へ】保護者の皆さまが感じられている疑問や不安に寄り添い、日々の子育てのヒントになるようなお話を予定しています。主な内容(予定)1.「発達が気になる子」について2.保護者が気にしていることについて3.診察室では、生活で困っていることに注目して、その子の思いを想像し、親の疲れ具合に合わせた助言のようなことを伝えたい【2部:田中先生と先輩保護者によるパネルトーク「我が家の進路選択」】発達障害のあるお子さまの保護者に具体的なエピソードをお聞きしながら、田中先生とまなびについて考えていきます。ゲスト田中康雄先生(こころとそだちのクリニック むすびめ 院長。国立精神・神経センター精神保健研究所児童・思春期精健部 児童期精神保健研究室室長、北海道大学大学院教育学研究院 名誉教授を経て現職。著書:『「発達障害」だけで子どもを見ないで その子の「不可解」を理解する』、『ADHDとともに生きる人たちへ: 医療からみた「生きづらさ」と支援』他多数)橋口亜希子さん(橋口亜希子個人事務所代表・発達障害を手がかりとしたユニバーサルデザインコンサルタント。厚生労働省社会保障審議会障害者部会委員、内閣官房ユニバーサルデザイン2020心のバリアフリー・街づくり分科会委員、一般社団法人日本発達障害ネットワーク事務局長などを歴任し、現職。著書:『そのママでいい発達障害の子を育てるあなたに贈る43のエール』)古山真紀子さん(長女(中2、ASD・ADHD・LD)、長男(小5、ASD・ADHD・LD)、次男(4歳、グレーゾーン)を育てる保護者。岡山で、発達凸凹のお子さまや保護者をサポートする活動を行う「ぴいさぽ」を運営)※本プログラムは、保護者さま向けセミナーとなります。年齢問わずお子さま連れでのご参加はご遠慮いただいておりますUpload By 発達ナビ編集部家庭でのお子さまとの関わりや、リフレーミングのポイントについてのお話などを予定しています。主な内容(予定)1.子どもの苦手を減らすより「できる」を増やしましょう2.ほめ方にもいろいろあります3.言葉かけをマイナーチェンジ4.子どもも大人もパーフェクトじゃなくて大丈夫5.子どもも大人も「困った」「たすけて」と言えるといいですね阿部利彦先生(星槎大学大学院 教育実践研究科 教授。星槎大学附属発達支援臨床センター長。専門分野:学校カウンセリング、特別支援教育。著書:『見方を変えればうまくいく!特別支援教育リフレーミング』、『見方を変えればうまくいく!発達が気になる子の子育てリフレーミング』、『これだけは知っておきたい 発達が気になる児童生徒の理解と指導・支援: 多様性のある子どもたちのあしたのために』など多数)※本プログラムは、保護者さま向けセミナーとなります。年齢問わずお子さま連れでのご参加はご遠慮いただいておりますUpload By 発達ナビ編集部算数・数学の楽しさを伝える活動を科学館や学校など各地で10年間続けてきた数学のお兄さん・横山明日希さんによる算数ショーです。算数でもっとも重要な「数」には沢山のフシギが潜んでいます。「数」をテーマにしたクイズやマジック、サイコロを使ったビンゴゲームなど双方向のやりとりや、参加型のコンテンツ等を交えながら楽しく学べるわくわく算数ライブをお届けします!後半には「算数をもっと楽しむには」をテーマに、保護者さま・お子さまに向けて、自身の体験も交えてお話しします。※未就学のお子さまやお一人での参加が難しいお子さまについては、必ず16歳以上の方の同伴が必要です参考記事Upload By 発達ナビ編集部悩みの深いご家庭と向き合う無学年式オンライン教材「すらら」。2019年は不登校や発達の気になる生徒2,300名(全体の6割)が家庭学習で利用。家庭学習を見守る保護者の関わり方を学ぶ勉強ペアレントトレーニングは150名の方が受講されました。本講演では不安が強く勉強に気持ちが向かないお子さま、勉強に気持ちは向いても不安な気持ちと向き合えないお子さま、このようなお子さまとの関わり方について、お話しさせていただきます。ペアトレの軸となる行動分析学に加え、心理療法の「認知行動療法」も取り入れた不安の強いお子さまとの関わり方についてお伝えしていきます。※本プログラムは、保護者さま向けセミナーとなります。年齢問わずお子さま連れでのご参加はご遠慮いただいておりますUpload By 発達ナビ編集部お子さまとご家族が「自分らしい人生」を歩んでいくために、「福祉」と「ファイナンス」両方の専門家として、ライフプランニングをサポートする株式会社LITALICOライフによる講演です。お子さまがのびのびと成長できるような進路を選ぶために、早い段階からお子さまの目指したい将来像や特性を見据えた上で、情報収集しておくことがとても重要です。こちらの講演では、発達障害のあるお子さまの進路にお悩みの保護者さま向けの基礎的な内容をお伝えします。小学校以降の進路の選択肢や必要な教育資金など、お子さまのライフプランを考える上で必要な情報を幅広く得ることができます。※本プログラムは、保護者さま向けセミナーとなります。年齢問わずお子さま連れでのご参加はご遠慮いただいておりますUpload By 発達ナビ編集部「サポートブックのことは知ってはいるけれど、作ったことがない」「何を書けばいいのか分からない」という方も多いのではないでしょうか。このワークショップでは、サポートブックの使われ方や書き方のコツをご紹介。参加者の皆さんとお話ししながら、リラックスして書いてみましょう。※12:30~13:30、16:30~17:30は、同じ内容のワークショップとなりますサポートブックとは?入園/入学/進学などお子さまのライフステージが変わる際に、お子さまの普段の様子や関わり方や知っておいて欲しい情報を、園や学校の先生、支援者と共有するためのツールです。情報を共有することでお子さまを取り巻く全ての人が、同じ方針、同じ方法でお子さまに関わることができ、お子さまが安心して毎日を過ごすことができます。※本プログラムは、予約受付前となります追加プログラムの情報は、次回のコラムでご紹介していきます!ほかにも、まなびフェスタに関連するコラムは特設ページにて、一覧でご確認いただけます。ぜひチェックしてみてください。お申し込みの流れUpload By 発達ナビ編集部Upload By 発達ナビ編集部Upload By 発達ナビ編集部LITALICO発達ナビ まなびフェスタ2020開催概要【日程】2020年3月8日(日)10:00-17:00【対象】発達の気になるお子さまの保護者さま・お子さま【料金】無料(ワークショップなども無料でご参加いただけます※要事前予約)【会場】大田区産業プラザPiO(京急蒲田駅より徒歩3分)東京都大田区南蒲田1-20-20大田区産業プラザPiO
2020年02月14日「褒めて伸ばす子育て」がいいといわれることが多い昨今。新著『それは子どもの学力が伸びるサイン!』(廣済堂出版)が好評で、首都圏トップクラスの難関校合格率を誇る進学塾VAMOSの代表である富永雄輔先生は、「褒める」ことの一方で「叱る」ことの重要性を指摘します。そして、そもそもいまは、時代背景として「褒める」ことがより大切になってきているのだそう。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)子どもの精神状態を一定にすることが大切いま、子どもの力をしっかり伸ばしてあげるために、「褒める」ことが大切だとよくいわれます。でも、その反面、きちんと「叱る」ことももちろん大切。そして、子どもを褒めるにしても叱るにしても、そのタイミングこそが重要だとわたしは考えています。褒めることが大切だといっても、ただむやみに褒めるのではなく、適切なタイミングで褒め、逆に叱るべきタイミングにはしっかり叱るべきです。なぜかというと、子どもが勉強で成果を出すためには、精神状態を一定に保つことがなにより大切だからです。勉強ができる子どもには、いい精神状態を保っているという特徴があります。いい精神状態とは、学校や塾に通うこと、学ぶこと、勉強で結果を出すことが「楽しい」と感じる状態です。そういう子どもの学力が伸びることは、容易に想像できるでしょう。しかも、精神状態がいい子どもの場合、その伸び方は大人の想像を超えます。「飛び越し学習」といいますが、大人の勉強での伸び方が「1、2、3、4……」と一定のものだとすると、子どもの場合は、「1、2、7、12、20……」というふうに、飛躍的な伸び方をするということがよくあります。でも一方で、ちょっとした心の問題によって、「20、12、7、2、1……」というふうに学力が直滑降で落ちてしまうことがあるのも子どもの特徴です。褒めるも叱るも、子どもの精神状態次第子どもがなにか心の問題を抱えているような状態で、算数の問題を目の前にしても、気持ちを切り替えてしっかり勉強に取り組めるはずもありません。大人でもそうでしょう?たとえば、離婚したというようなネガティブな出来事を経験した直後に、気持ちを切り替えてしっかり仕事に取り組めといわれても、なかなかそうはできません。そういう状態では、仕事のパフォーマンスが上がるわけもないでしょう。まだ精神的に幼い子どもなら、なおさらです。そして、子どもの精神状態を安定させるために、適切なタイミングで褒めたり叱ったりすることが大切なのです。では、その「適切なタイミング」とはいつなのでしょう。それは、子どもの精神状態次第ということになるでしょう。たとえば、子どもがテストで70点を取ってきた。70点に対して子どもが自信を失って落ち込んでいるようなら、70点取れたことをしっかり褒めてあげるべきです。逆に70点で子どもが有頂天になっているようなら、足りなかった30点についてしっかりと叱るべき。精神状態が安定していることが大切だといっても、子どもが有頂天になっているような状態は問題です。有頂天とは油断以外のなにものでもなく、現状に満足して努力をやめるということもあるからです。褒め上手とは叱り上手――そう認識して、テストの点数などの基準ではなく、子どもの精神状態をきちんと観察して、適切なタイミングで褒めたり叱ったりしてもらいたいと思います。子どもができたことを褒めて自己肯定感を高めるまた、褒めることには、子どもの精神状態を安定させること以外にも子どもの自己肯定感を高めてあげられるというメリットがあります。いまの子どもたちは、たくさんの習い事をしています。しかも、わたしたちが子どもの頃の習い事と比べて、野球やサッカーなどスポーツの習い事も本格的ですし、英会話やプログラミングなど、かつてはあまり見られなかった習い事をしている子どもも多い。とくに都内では小学校受験も盛んですから、そういう傾向も強まっています。すると、子どもたちのなかでのヒエラルキーが早い段階ででき上がってしまうのです。小学校に入学した時点で、体操教室に通っていたために鉄棒で前回りが何回もできる子どももいれば、鉄棒なんて触ったこともないという子もいる。先取り教育によって小学校入学前に九九を覚えている子どももいれば、数字を覚えていない子もいます。しかも、幼い子どもは残酷ですから、「え?○○ちゃん、こんなことも知らないの?」「こんなこともできないの?」というふうに、まわりの子に劣等感を植えつけるということもある。そうして、ヒエラルキーの下位になってしまった子は、劣等感の塊になってしまいます。そして、劣等感の塊になってしまった子どもに起こりがちなのが、できないことや苦手なことを「嫌い!」と思ってしまうこと。まわりの子どもよりできないから「鉄棒は嫌い!」「算数は嫌い!」というふうに思ってしまうのです。「嫌い!」というのは“感情”ですから、親など周囲からの働きかけで解消させることは容易ではありません。だからこそ、たとえまわりの子どもたちから遅れていたとしても、なにかができたらしっかり褒めることが重要です。そうして子どもの自己肯定感を高め、「嫌い!」をつくらないようにしてください。子どもを褒めることが単純にいいわけではなく、いまの時代背景として、子どもの自己肯定感を高めるためにも、褒めることが必要になってきているのです。『それは子どもの学力が伸びるサイン!』富永雄輔 著/廣済堂出版(2019)■ 進学塾VAMOS代表・富永雄輔先生 インタビュー記事一覧第1回:子どもを「“エンジンがでかい”賢い子」にするための、親の心得第2回:“できない”意識を持つ子にすべき、超重要なこと「褒めて自己肯定感を高める!」第3回:「ゲームや漫画は禁止!」が、子どもの“集中力の育ち”を阻害する理由(※近日公開)【プロフィール】富永雄輔(とみなが・ゆうすけ)京都府出身。進学塾VAMOS代表。幼少期の10年間をスペインのマドリードで過ごす。京都大学卒業後、東京・吉祥寺に幼稚園生から高校生までを対象とする進学塾VAMOSを設立。現在、吉祥寺校に加え、四谷校、浜田山校の3校を開校。入塾テストを行わず、先着順で子どもたちを受け入れるスタイルでありながら、毎年、首都圏トップクラスの難関校合格率を誇る。受験コンサルタントとしての活動も積極的に行っており、年間300人以上の子どもたちの家庭をヒアリング。その経験をもとに、子どもの個性に合った難関校突破法や東大生を育てる家庭に共通する習慣についての研究を続けている。主な著書に『男の子の学力の伸ばし方』(ダイヤモンド社)、『女の子の学力の伸ばし方』(ダイヤモンド社)、『東大生を育てる親は家の中で何をしているのか?』(文響社)、『「急激に伸びる子」「伸び続ける子」には共通点があった!』(朝日新聞出版)がある。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2020年02月10日どんな親も、我が子を「できない子」にしたくはありません。そのために、親はどうすればいいのでしょうか。新著『それは子どもの学力が伸びるサイン!』(廣済堂出版)が好評で、首都圏トップクラスの難関校合格率を誇る進学塾VAMOSの代表である富永雄輔先生にアドバイスをしてもらいました。まずは、「できない子」の対極にある「賢い子」の話から伺いました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)「賢い子」とは、地頭のよさを使える子みなさんは、「賢い子」というとどういう子どもをイメージするでしょうか?わたしは、賢い子を自動車にたとえて「エンジンがでかい」というふうにいっています。これは、いわゆる地頭がいいということです。むかしからある表現なら、「1教えられれば10わかる子」ともいえるでしょう。では、賢い子はどうして1教えられれば10わかるのでしょう。それは、点と点をつなげられるからです。一つひとつの知識をバラバラに理解しているのか、それとも意図的につなげて体系化する習慣があるのか。そのちがいが、賢さという点で大きな差を生みます。たとえば、算数の掛け算と割り算を別のものとして理解している子どもは、それほど賢いとはいえません。一方、賢い子は掛け算を理解すれば必然的に割り算も理解できる。なぜなら、掛け算と割り算は同じ事象に対する観点を逆にしたものに過ぎないからです。つまり、賢い子とは、点と点をつなげ、ひとつのことから複数のことを理解しようとする子といういい方もできるでしょう。加えていうなら、「地頭のよさを使える」ことも賢い子の特徴です。先に、賢い子を車にたとえて「エンジンがでかい」と表現しました。ただ、車の場合はエンジンが大きければそれだけスピードも出るのですが、人間の場合、たとえ大きなエンジンを持っていても、そのエンジンをうまく使えない人もいます。最近、兵庫県に住む9歳の子どもが、数学・算数検定の最難関である1級合格の最年少記録を更新したことが話題になりました。その子の地頭のよさは、モンスター級といっていいでしょう。ただ、どんなに頭がいい子どもでも、なにもしないまま微分や積分がわかるようになるわけではありません。その子の親がしっかりと自分の子どもを観察し、我が子が数学に向いていることに気づき、地頭のよさをきちんと使えるように数学の勉強をさせてあげた――そのことが素晴らしいのだと思います。できない子ができる子を逆転しづらい時代この子のように、子どもがしっかりと地頭を使えるようになるためにも、わたしは先取り教育をおすすめします。ときどき、「先取り教育を受けた賢い子は、そのまま伸び続けるのでしょうか?」といった質問を受けることがあります。おそらく、「そうではない」という答えを期待する人も多いでしょう。でも、現実問題でいうと、近年は勉強が苦手ないわゆるできない子が、先取り教育を受けてきたできる子を逆転するという現象が起きづらくなっているように思います。それには、大きくふたつの理由が考えられます。ひとつが、いまの子どもたちのメンタルが非常に弱いこと。もっというと、そのメンタルを厳しく鍛えることが世間的にハラスメントだとしてやれなくなっていることも大きい。勉強をさぼって周囲から遅れはじめた子どもに対して、学校や塾の先生が叱って一生懸命に勉強させようとすると、その行為がハラスメントだと取られる。そうすると、できない子を一生懸命に指導しようという先生もいなくなりますから、できない子ができる子に追いつくことが難しくなるのです。もうひとつの理由が働き方改革です。いまは学校の先生も塾の先生もきちんと休みを取らなければなりません。ですから、正規の授業に加えてプラスアルファの補習が非常にやりづらくなっています。正規の授業だけでは内容を理解できない子どもをフォローできないわけです。つまり、先の質問に対する正確な回答は、「できる子がそのまま伸び続けるというよりは、できない子ができる子との差を埋めることができず、逆転しづらくなっている」ということになります。多くの親の教育知識は子どもの頃で止まっている加えて、いまは公教育が崩壊しつつあることも重要なポイントです。ここ30年ほどのあいだに、教育内容は大きく変わっていないものの、授業の時間は減っています。そのため、かつてなら公教育だけでも子どもたちが身につけられていたことも、いまの子どもはそうできなくなっています。では、いまの親は、我が子の学力をしっかりと伸ばしてあげるためになにをすればいいのでしょうか?それは、ここでわたしがお伝えしたようなことを含め、いまの子どもたちをめぐる教育環境の変化をきちんと知るということです。それぞれの業界の最先端でバリバリ働いているような人も、教育のこととなると自分が子どもの頃の知識で止まってしまっている人が多いようです。なぜかというと、すべての大人が自分たちなりに教育を受けた経験があるからです。その経験があるために、教育に関する新たな情報を知ろうとせず、教育環境はいまもむかしも変わらないと思い込んでいるケースが非常に多いのです。でも、むかしといまでは子どもをめぐる教育環境が大きく変化していると知れば、打つ手はいくらでもありますよね。クレームを恐れて先生たちが子どもを厳しく指導できないのであれば、親自身が我が子には厳しく指導すればいい。学校や塾の授業だけでは足りないのなら、親が補習をする、あるいは家庭教師に補習をしてもらえばいい。いずれにせよ、打つ手を考えるにも、親は教育に関する最新の情報にもっと敏感になるべきだと思います。『それは子どもの学力が伸びるサイン!』富永雄輔 著/廣済堂出版(2019)■ 進学塾VAMOS代表・富永雄輔先生 インタビュー記事一覧第1回:子どもを「“エンジンがでかい”賢い子」にするための、親の心得第2回:“できない”意識を持つ子にすべき、超重要なこと「褒めて自己肯定感を高める!」(※近日公開)第3回:「ゲームや漫画は禁止!」が、子どもの“集中力の育ち”を阻害する理由(※近日公開)【プロフィール】富永雄輔(とみなが・ゆうすけ)京都府出身。進学塾VAMOS代表。幼少期の10年間をスペインのマドリードで過ごす。京都大学卒業後、東京・吉祥寺に幼稚園生から高校生までを対象とする進学塾VAMOSを設立。現在、吉祥寺校に加え、四谷校、浜田山校の3校を開校。入塾テストを行わず、先着順で子どもたちを受け入れるスタイルでありながら、毎年、首都圏トップクラスの難関校合格率を誇る。受験コンサルタントとしての活動も積極的に行っており、年間300人以上の子どもたちの家庭をヒアリング。その経験をもとに、子どもの個性に合った難関校突破法や東大生を育てる家庭に共通する習慣についての研究を続けている。主な著書に『男の子の学力の伸ばし方』(ダイヤモンド社)、『女の子の学力の伸ばし方』(ダイヤモンド社)、『東大生を育てる親は家の中で何をしているのか?』(文響社)、『「急激に伸びる子」「伸び続ける子」には共通点があった!』(朝日新聞出版)がある。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2020年02月09日みなさんは「アクティブ・ラーニング」という言葉を聞いたことがありますか。小学校で2020年から実施される「新学習指導要領」の中にも、このアクティブ・ラーニング(主体的、対話的で深い学び)が大きな目玉として取り上げられています。これまで小学校の授業では、先生が生徒へ説明することが中心の「受動的」な授業が一般的でした。これに対し、「アクティブ・ラーニング」では、生徒同士が話し合い、教え合い、「能動的」に学ぶことができる授業を行います。小学4年生の息子が通うクラスでは、この「アクティブ・ラーニング」が『学び合い』という形で、2学期のスタートと同時に取り入れられました。『学び合い』とは「アクティブ・ラーニング」の代名詞と言われ、上越教育大学教授の西川純先生の提唱する学校教育のあり方で、全国的に広がりを見せているとのこと。幼稚園ママやパパはまだ先の話と思っている人も多いと思いますが、1年生からこの『学び合い』を取り入れている小学校も多くあるようです。今回は息子の担任の先生にお話を聴きながら、私から見た息子の変化を含め、この『学び合い』を紹介します。具体的に『学び合い』って何をするの?『学び合い』は、子ども同士で教え合い、学び合い、自発的に学習していく授業スタイルです。算数であれば、先生が授業の最初の5分間で生徒に課題を与え、クラス全員がその課題を授業時間内に達成することを伝えます。子どもたちは、まず自分で問題を解いたあとに、立ち歩き、できた子どもがわからない子に教えに行ったり、わからない子ができる子に聞きに行ったりします。そうして、子ども同士でたくさんコミュニケーションをとりながら、「クラス全員が課題を達成する」ことを目指します。ここで一番大切なのは「一人も見捨てない」ということ。息子のクラスにも「一人も見捨てない」と大きくポスターが掲げてあります。本当に子ども同士で勉強が理解できるの?『学び合い』が始まってすぐ、息子が「学び合いのときは参観自由だから見に来て!」と言うので、実際の算数の授業をのぞいてみました。そこには生き生きと互いに教えあう子どもたちの姿があり、話をしているのを聞いていると大人よりもずっとわかりやすく説明していることがわかります。問題がわからない子どもの周りには数人の子どもたちが集まり、1人の子の説明がむずかしければ、他の子が説明するといった感じで、わかるまで入れ替わり立ち替わり教えていました。担任の先生いわく、この『学び合い』を始めてからわずか2週間ほどで、クラスにさまざまな変化が見えてきたそうです。・子どもたちのやる気が変わる!子どもたちは「誰かに教えたい」という意欲が強く、次の日の単元の予習をしてくるようになったとのことです。中には「友だちと一緒に課題を達成したい」という思いから、その友だち専用のわかりやすい説明を考えてくる子も。・子どもたちの人間関係が変わる!『学び合い』ではクラス全員で課題を達成することを目指すので、クラスの結束が強くなります。子ども同士のトラブルがあっても、自分たちで解決できるようになったとのこと。・子どもたちの成績が変わる!当初は算数のみ取り入れられていた『学び合い』ですが、その算数のテストの平均点がぐっとあがったとのこと。わからないままに先生の説明を聞くよりも、わかるまで友だちに聞くほうがずっと効率的なようです。もちろん、『学び合い』にはプラス面だけではなく、「先に終わった子がつい遊んでしまう」「特定の子には教えに行かない」など、学校やクラスの雰囲気によっては課題となる部分もあるそうです。しかし、息子のクラスではそのようなことがなく、『学び合い』が好きな子どもたちだったので、その効果がでるのも早かったのではとのことでした。『学び合い』で、息子にも変化が今まで与えられた宿題をこなすことだけで精一杯だった息子は、『学び合い』が始まってから、予習をするようになりました。予習をしていけば、クラスの友だちにすぐに教えられるからとのこと。教えたり、教えられたりをする中で、今まで話したことがなかった子とも話すようになり、帰ってくると学校での出来事を楽しそうに話してくれます。二分の一成人式で保護者参加型『学び合い』を体験算数からスタートした『学び合い』は、現在、国語、社会、理科、そして、英語と体育にも取り入れられています。先日行われた二分の一成人式にも保護者参加型の『学び合い』が取り入れられました。子どもたちの将来の夢を聞いて保護者が質問をしたり、「10億円あったら世の中のためにどうやって使う?」というテーマで子どもと大人がグループで輪になり、「えんたくん」と呼ばれる丸い形のダンボールをひざの上にのせ、そこへアイデアを書き込みながら話し合ったり。今まで私が抱いていた「子どものスピーチに親が涙する二分の一成人式」というイメージとはかなり違う、にぎやかで活動的なひとときに、笑顔あふれる会となりました。子どもたち自らが教え合う『学び合い』は知識力だけではなく、多様な社会でお互いを認め合いながら人間力も養うのだと先生のお話を聴いて改めて感じました。これまでと違う授業スタイルを保護者である私たちもポジティブに受け入れて、子どもの成長を見守っていきたいですね。<文・写真:ライター稲井華子>
2020年01月31日入学までに、子どもにどこまで知識をつけさせておいたらよいか、悩むママは多いですよね。算数の基本、「たし算・ひき算」はそのひとつではないでしょうか。学校により指導方針は違い、「就学前までにたし算ひき算ができた方がよい」とは一概には言えません。どちらかといえばできなくても、まったく問題ありません。とはいえ、子どもが「自分から」数字や算数に興味をもったら、その時は教えるチャンス。未就学児でも、ステップを踏んで理解を深めていけば、簡単なたし算・ひき算はマスターできます。わが家の年長の長女が実際に算数に興味をもち、たし算ひき算ができるようになるまでにしたことを紹介します。きっかけは、生活のいろいろなところに!長女は年中になった頃、わが家で使っていた食事のトレーに手書き風にデザインされていた「1+2=3」「10-5=5」などの式に興味をもち、尋ねてきました。入園前に数字が読めるようになり、年少で数が数えられるようになっていたところへ、見慣れた「数字」と、当時知らなかった「+」「-」「=」の組み合わせが暗号のようで、不思議に思ったようでした。・買い物中、値段やレジに興味をもつ・おやつやおもちゃの数が気になる・お友達が転園し、クラスの人数が変わる・点数が入るタイプのスポーツをしている・増える、減るの感覚がついてくるなど、きっかけはさまざま。子どもが数字自体や数の変化に興味をもち、尋ねてきたり、考えている様子があったら教えるチャンスかもしれません。興味をもった子どもの伸びしろはすごいので、ぐんぐん成長する可能性を秘めています。まずは「増える」「減る」を視覚的にとらえるたし算・ひき算の導入として、「増える」「減る」を視覚的にとらえることから始めました。わが家は家にあったビー玉を使いましたが、おはじきやブロック、お菓子でも◎。できれば均一なサイズで、子どもの手に掴めるものが扱いやすいと思います。長女が興味をもった「1+2=3」や「10-5=5」を、ビー玉を使って、一緒に声に出して数えながら右へ左へと移動させていきました。足したり引いたりを続けるうちに、「+」「-」の意味が理解できていきます。慣れたら、私が問題を出し、長女にやってもらうことを繰り返しやりました。この時注意して見てあげてほしいのが、"1〜10まで口に出して言うことができていても、それが「ひとつひとつ」のものを指しているかどうか"です。この年齢ぐらいの子どもは、「数」がきちんと理解できていないことも多く、「1」が「ひとつ」と結びついていないことも。そのため、口では数字を唱えていますが、同じものを2回指していたり、とばしていたりと、正しく数えられていないことがあります。口に出している数字とその数が合っているかを見てあげてください。たし算ひき算を日常生活とからめてイメージする視覚的にとらえられたら、言葉でも説明して「イメージ」してもらいましょう。・ラムネが2個ありました。友達に1個もらい(あげ)ました。何個になるでしょう。・教室に友達が3人います。2人入ってきたら(出て行ったら)何人になるでしょう。・今あなたのチームは4点です。あなたが1点ゴールを決めました!何点になるでしょう。など、子どもの日常にありそうな出来事に絡めてイメージする問題を出すと、「1+2=3」などの式を、ただの記号としてではなく、「たす」「ひく」の概念が理解しやすくなります。最初は手を使ってOK。10以内からスタート、10を分けることもやってみる視覚とイメージの両方でとらえられるようになっても、たし算、ひき算がすぐできるわけではありません。最初は5以内の「片手」を使ってできるところから始め、慣れてきたら次に「両手」を使ってできる10以内へとステップアップしていきましょう。「10」を分けることが理解できると、たし算ひき算が得意になります。ビー玉などを使って、10のかたまりを2つにわけて「1と9」「2と8」「3と7」「4と6」「5と5」になることを見せます。すると、同じ10でも、さまざまな組み合わせで分けられることが分かり、より数への理解が深まるでしょう。繰り返すことで、確実に身になる!喜びにつながる声がけをたし算ひき算を気に入り、勉強としてやりたい!といった興味がでた場合は、紙に問題をたくさん書いてあげると喜んで取り組む子もいるでしょう。逆に、興味があるけどそこまでは…といった場合には、前述した「イメージ」を遊びや普段の会話にさりげなく混ぜると自然に慣れていくと思います。「今日の夕飯にトマトを3個使いたいんだけど、今1個しかなくて。あと何個買えばいいかな?」など、日常会話に盛り込むチャンスは、たくさんあります。楽しくなってくると、そのうち自分でマネして問題を出してきます。できた時は一緒に喜び、丸つけは派手に!「わかった!」「できた!」の喜びは確実にモチベーションUPにつながります。間違えても、まずは取り組んだことを褒めてあげて、一緒に見直すといいですよ。現在年長の長女は、繰り上がりのたし算、繰り下がりの引き算、3つの数の計算(5+8-6など)にチャレンジしています。得意不得意がありますし、最初に記した通り、就学前の習得は必須ではないため、無理強いは不要です。学校で学ぶ前に嫌いになっては本末転倒。「必須ではないからこそ」あくまでポジティブに、親子で一緒になって楽しくやってみてください。<文・写真:ライターちゃおこ>
2020年01月10日日本にいても子どもの幼稚園・学校選びは悩みますが、事情の異なる海外だとなおさら。オーストラリアに暮らすようになって、まず悩んだのが小学6年生になる子どもの教育についてでした。海外での学校選び、親の思いと子どもの思いわが家が悩んだ選択肢としては、現地でしかできない経験や友人を作ることのできる家の近くの現地校か、大きく環境が変わる海外だからこそ、安心して日本の教育を連続して受けられる日本人学校かという2択でした。せっかく違う土地に来ているのだし、現地の生活に触れ、英語を習得してほしいという思いが強かったわが家。そして、小学生の送迎が必須のオーストラリアでは、家から近い公立の学校の方が送迎もラクで、費用も私立である日本人学校の半分だということもあり、まず子どもに勧めたのが現地校でした。6年生の子に話を切り出すと、不安ながらも英語を話せるようになりたい!と意欲満々。日本人学校でも英語はネイティブの先生が教えてくれるとのことでしたが、日本人学校では進級して中学部になると、現地校に入り直す子が増え、中学部全体で片手で数えられるほどしかいないという年もあるといいます。友達がかなり狭い範囲になってしまうのはイヤだという子どもの主張もあり、同世代の多い現地校へ入れることにしました。日本より2年間長い義務教育オーストラリアの義務教育は、7月までに5歳になる子が、その前の1月にキンディという学年に入学になるため、日本でいう年中~年長さんから始まります。オーストラリアは小学校が7年制、中学・高校にあたるハイスクールは6年制で、ハイスクール4年目の(高校1年生)までが義務教育です。つまり、キンディから始まり、1年生がyear1、高校1年生にあたるyear10までが義務教育となるので、日本より2年間義務教育が長いということになります。そのため、現地の6年生にあたるyear6には、日本でいう5年生と6年生が混在します。義務教育期間だということで、エリア内の公立の学校ならすんなり入らせてくれるのだろうと考えていたのですが、現実はそう甘くありませんでした。学年が高ければ高いほど、すんなり現地校に入れるわけではなかった家の近くの現地校に連絡をすると、中学校にあたるハイスクールに入るためには、英語の授業についていけない場合は、まずハイスクール付属の英語強化校で授業を受けなければいけないことが判明しました。そこは、「IEC(インテンシブ・イングリッシュ・センター)」と言って、英語が母国語ではない子をまとめてサポートしながら、現地での授業について行けるようになるまで、半年から1年ほど通う「特別教室」のようなもの。英語で算数や理科・社会・体育などを学んでいきます。ハイスクール付属の英語強化校は、いくつかのハイスクールごと1か所設置させており、通う学校にはない場合が多いです。11歳になっていれば、小学生の期間であっても、先にハイスクールに入れるというので、まずは通う予定のハイスクールとは異なる、地域のIECに通うことにしました。ちなみに、小学校5年生までであれば、公立の小学校であれば即座に受け入れてもらえます。ゆっくりとランダムに学んでいくオーストラリアのカリキュラムオーストラリアの義務教育は、期間は長いのですが、学年で比較すると日本に比べて、算数や理科のレベルは2~3年ほど遅れているといわれてます(OECD学力調査より)。つまり小学6年生なら、3〜4年生のレベルの算数を勉強しているということ。一度習ってきたことを英語で学び直す形なので、IECでの授業は内容的にはさほど難しいものではないようです。国語にあたる英語と、オーストラリアの歴史などを学ぶ授業は初めて出てくる言葉が多いので覚えるのが大変なようですが、英語も中1のはじめのレベルからの開始だったため、どうにかついていけているよう。日本と違うのは、パソコンを多用し、自分で発表するということが多いところでしょうか。一番驚いたのが、日本のように少しずつ段階を踏んで理解させるというような積み上げ式の学習ではなく、その時々でランダムだということ。それは算数で特に顕著で、日本でいう小学校3年生と5年生で習う内容が混じったものが、ハイスクールで出てきたりするようです。そして、学期に1度はある遠足をはじめ、遊びの要素がとても多くあります。英語で必要な教科を集中的に学ぶというIECでも、ビーチに行ったり、カードゲームやビデオ鑑賞が行われたりと、けっこうイベントが多いです。英語は着々と力をつけているけれど、親としては悩みもワークブックはありますが、教科書もなく、算数や理科などを体系的に学ぶ仕組みとなっていないオーストラリアの教育。長い義務教育期間に、ゆっくりと時間をかけて学ぶシステムになっているようで、日本に比べて内容はだいぶ易しいですが、自分で考えて発表するという機会や、楽しいイベントに重きを置いているようです。現地校での教育を受けはじめて、ひとつの学期が終わりました。英語は着々と力をつけているのがわかります。しかし、算数や理科などの内容は、新しいことを身につけている感じがまったくありません。日本にいれば習っていたであろうことを習得していっていないことを、親としては若干焦るようになりました。現時点では、現地校と日本人学校の教育のどちらが子どもにとってよいのだろうかと悩みますが、今はのんびりした現地校に通うわが子を見守っていきたいと思っています。<文・写真:ライター結生>
2020年01月07日来年度小学1年生になるから、そろそろ入学用品の用意をしようかなと考えている人に伝えたいことがあります。実は、早めに用意しておいても「使えなかった」とムダになってしまう可能性も。私が早めに用意して失敗だったものを紹介します。1.学習机わが家では、息子がまだ4歳のころに、いずれ使うようになるからと学習机を購入。ですが、小学校に入学してから実際に勉強する場所はリビングでした。学習机は子ども部屋に置いてありますが、教科書の準備もリビングでするので、結局、学校用品はすべてリビングに置いてあります。学習机は部屋で勉強する年齢になってからでよかったと思っています。2.算数セットのお名前シール小学校入学前に大変になると聞いていた、算数セットのお名前書き。そのため、算数セットのお名前シールを用意しておいたのですが、息子の学校では算数セットが貸し出し制だったため、必要ありませんでした。ほかの学校に通う子をもつママに聞いたところ、算数セットを購入した人も、子どもの名前入りシールが付いてきたので、購入する必要はなかったそうです。3.ランドセルカバー息子の通う小学校では、入学すると黄色いランドセルカバーがもらえます。しかし必ず黄色いカバーをつけなければいけないというわけではなく、好きなカバーをつけてもOK。実際に自分で用意したカバーをつけている子も目立ちました。そこで、わが家では事前に透明なカバーを購入していたのですが、黄色いカバーで十分。購入する必要はなかったと思いました。ちなみに今は、カバーをつけたくないと言って、カバーなしで通っています。ランドセルは頑丈な造りなので、そうそう傷はつきませんし、もし傷がついてもそれはそれで思い出になるのでいいかな感じています。入学準備のタイミングは説明会が終わってからがおすすめ年が明けて1月〜2月に行われる入学説明会の際に、準備するものが書いてあるプリントを渡されます。また、説明会できょうだいがいる先輩ママにいろいろ聞くこともできます。私は、息子の習い事が一緒の同じ学校の先輩ママにいろいろ教えてもらいました。筆箱や下敷き、鉛筆など授業中に使うものはキャラクターNGなのは知っていたのですが、「秋の発表会のために豆絞りが必要になるから、販売している夏の間に購入しておいた方がいい」という学校独自の必要なものも教えてもらい助かりました。入学準備に関わらず、入園準備も同じで、絵本袋も大きさが指定されていたり、手提げ、肩掛けなどの違いもあります。確認せずに作ったり購入しても使えない場合も。そんな失敗がないように、説明会が終わってから準備することをおすすめします。<文・写真:ライター三浦麻耶>
2019年12月13日どうもこんにちは、のばらです!さて前回、家で学校ごっこをして遊ぶ姉妹の様子をお伝えしましたが、母も予想だにしていなかった、意外なところにその影響がでていたのです…!そう…まだ若干3歳の末っ子が3の段を少し言えるようになっていたのです…! 笑どうにか妹に掛け算を覚えさせようと叫び続けた長女の叫びは次女をあっさり通り越し末っ子長男にしっかりと届いていたのです…!3歳児に掛け算を教わる羽目にならぬよう、少しでも次女の頭の片隅に長女の声が届いているよう願わずにいられない母なのでした。
2019年12月13日プログラミング教育の必修化はいつから?小学校のプログラミング教育は、2020年4月から「全面実施」となります。一部の学校ではすでに取り入れられていましたが、2020年からは文部科学省の新学習指導要領にしたがい、すべての小学校で取り入れられることとなるのです。中学校では現行の学習指導要領でも簡単なプログラミング教育は必修でしたが、2021年からはさらに本格的なプログラミング教育が始まることが決まりました。技術・家庭科(技術分野)においてプログラミングに関する内容を充実させることが決定しています。プログラミング教育が本格化することで、今後は高校入試でもプログラミングに関する問題が出ることが予想されています。知っていた?プログラミング教育、これは勘違い!「プログラミング」という科目が新設されるわけではない「国語」や「算数」などのように「プログラミング」という科目が新設されるわけではありません。現在の各教科の中に、情報技術を活用した学習が組み込まれます。【新学習指導要領の例示】・算数(5年生)プログラミングを通して正多角形をかく・理科(6年生)電気の性質を利用した道具をプログラミングを通して学習する他にも「情報化の進展と生活や社会の変化」「情報技術をいかした生産や人の手によるものづくり」などを全学年を通して総合的に学んでいくことになります。各教科とは別に、実際にプログラミングを体験してプログラミングの楽しさや達成感を味わう学習も始まります。学ぶのは専門的なスキルではなく「考え方」プログラミング教育では、専門的なプログラミング言語の習得を目指すわけではありません。今後のIT社会に必要な「プログラミング的思考」を身につけるのが目的です。プログラミング的思考とは、自分が「こうしたい」という動きを実現させるために、どういう動きの組み合わせが必要で、それらに対応した記号をどのように組み合わせていくかを論理的に考えることを指します。プログラミング的思考を学ぶ過程で、子どもたちは自然とプログラミング言語を覚えたり、プログラミングのスキルを身につけたりしていくことになります。実際の学習事例は?具体的にはどのような授業が始まるのでしょうか。ここでは新学習指導要領に例示された内容を見ていきます。【算数】プログラミングを通じて正三角形をかく【目的】コンピューターで正三角形をかく【学習の流れ】・コンピューターには正三角形をかくという命令は入っていないため、コンピューターに用意されている命令を組み合わせて、正三角形をかく必要がある・紙で作図するときの手順をパソコンで命令する・コンピューターに用意されている命令「長さ○cm 進む(線を引く)」「左に○度曲がる」などを組み合わせていく・順番に命令を組み合わせていくなかで修正、改善・正三角形ができたら「正三角形をかく」プログラムが完成正三角形をかくプログラミングの例としては、「ペンを下ろす」→【「長さ100進む」「左に120度曲がる」】を3回繰り返すなどが考えられます。このような授業によって、図形に関する数学的な知識を活用しながら試行錯誤するプログラミング的思考が身についていきます。【音楽】リズムやパターンを組み合わせて音楽をつくる【目的】リズム・パターンを組み合わせて音楽をつくる【学習の流れ】・プログラミング言語、創作用ソフトなどを用いる・教師が用意しておいた「ドンドン」「ドンドコ」「ドドンコ」といったリズムやパターンを実際に表現する・リズムやパターンを組み合わせていって、まとまりを意識した音楽をつくる・つくった音楽を実際に自分たちで演奏するつくった音楽を聴くなかで「これは意図した音楽ではない」「もっときれいな音楽を作りたい」という意見が出てきます。これが、問題を発見する・解決するといった「プログラムの変更」にあたります。音楽表現を高めると同時に、プログラミング的思考をみがくことができる学習です。プログラミング的思考を身につけよう現代の子どもたちが大人になるころには、IT化によって働き方が大きく変わるといわれています。小さいときからコンピューターを理解し活用する力を身につけることは、将来の可能性を大きく広げてくれるでしょう。プログラミングに詳しいママやパパもいれば、「プログラミングを教えることなんて自分にはできない」と不安に感じるママやパパもいるでしょう。しかし、小学校での必修化のメインはあくまでも「プログラミング的思考を学ぶこと」。プログラミング言語などの専門的なスキルの習得が目的ではないことがポイントです。必修化に向けて準備しておきたい場合は、プログラミング教室や子ども向けのプログラミング教材の利用を検討してみても良いですね。子どもと一緒に未知の分野に挑戦する姿勢で、親子で楽しんでみてはいかがでしょうか。
2019年11月26日年長のお子さんを持つ親は就学時健診が終わると、来年はいよいよ1年生!と 期待や不安が入り混じる時期ではないでしょうか。この時期に、小学校への準備として習い事をはじめたり、家庭学習をはじめる人も多いそう。わが家でも、昨年の今ごろ、年長のときに学習塾に通わせていました。しかし、小学1年生になってみて思うのは、「入学準備学習は必要なかった」ということ。その理由とは?入学準備学習をしようと思った理由年長の秋頃は、ママ友に会えば入学準備学習の話題で持ちきりです。その当時、わが家では学習系の習い事をしていなかったので、まわりの子がしていると聞くと、「何かさせた方がいいのかも」と焦ってしまいました。特に息子は早生まれということもあって、身体能力でまわりにひけを取っていた分、勉強で「できる!わかる!」と自信をつけさせてあげたいという気持ちが強くありました。母子ともに限界…危うく勉強嫌いになるところに10月頃から近所の学習塾に通いはじめ、最初は楽しんでやっていた息子。それが、徐々にトーンダウン。それもそのはず、簡単な計算のプリントを1日10枚。到底楽しみながらできるものではありませんでした。それでも、あの手この手を使って頑張らせていましたが、3か月を過ぎた頃には、プリントを頑なに拒むように。さすがにこのままでは勉強嫌いになると思い、辞めることにしました。入学前に勉強して失敗⁉︎「授業がつまらない」息子は、勉強が「できるから楽しい!」ではなく、「できるのになんでやらないといけないの?」と思うタイプ。実際入学して、勉強がはじまったら、「簡単すぎてつまらない」と話すようになりました。小学1年生の1学期は、ひらがなは1日一文字覚えるペース。算数も数字の読み方を覚えてから、10までの足し算と簡単なことしかやりません。ひらがなの書き方、計算は入学してからでも十分覚えられると感じました。入学前にもっとやっておいた方がよかったと思うこと以前、小学校校長の経験をもつ幼稚園の園長先生から、「幼少時代にしっかり遊ぶことで、自然と勉強に興味をもつようになる」と教えてもらいました。お買い物ごっこなら足し算、引き算の勉強に。お店屋さんごっこでメニューを書けば、ひらがなの勉強に。絵本を読むと国語、積み木やブロック遊びは、算数の立体図形に強くなります。現にブロック遊びが大好きな息子は、算数の積み木問題が大得意でした。子どもは、遊びを通じて勉強に必要なことを学んでいるんだなと実感しています。小学生になると、慣れない学校生活に疲れてぐったり。帰ってきてからも宿題をしたり、習い事をしたりすると、遊ぶ時間も気力もなくなってしまいます。小学校入学を控えたみなさんには、充実した遊びの時間をもつことをおすすめしたいです。<文・写真:ライター三浦麻耶>
2019年10月17日自己分析をして、目標に向けて行動する力を高めよう『やる気スイッチをON!実行機能をアップする37のワーク』著者の高山恵子さんは自身もADHDであり、ADHDの理解の普及支援を行うNPO法人えじそんくらぶの代表です。本書の中で実行機能とは「目標に向かって行動するために必要な考えや行動、感情をコントロールする機能」のことを指します。ワークを通して、自分の苦手なことについて自己分析をしたり、問題解決力をつけたりするために活用できる一冊です。実行機能を構成する要素は「起動(やる気スイッチ)」「計画立案」「時間の管理」など計8つに分類されており、まず自分がもつそれぞれの力のバランスをチェックリストで分析。その上で各要素の力を高めるためのワークに取り組むことで、バランスよく実行機能を高めていくことに役立てられるようになっています。ワークは実生活の中で起こりうることが例になっているので、自分に当てはめて考えることができます。また、実行機能を高めるワーク以外に、「朝ねぼうした」「遅刻した」などの失敗した場面でどう対処したら良いかを考えるワークもついており、実行機能を高めていきながら、問題が発生したときにも応用できるような構成となっています。当事者による、生活していくための分析が詰まった一冊『発達障害の私が夫と普通に暮らすために書いているノート』大人になり結婚した後に発達障害であることが判明した著者のななしのういさん。それまで自身の特性による困り感は特に感じていなかったそうですが、夫と生活していく中で夫につらい思いをさせている場面があることに気づき、状況を改善するためにノートを書き始めたそう。文字にして書き出すことで頭の中が整理できるという著者の手書きのノートは、起こったできごとの分析とそれに対しての改善策が丁寧に記されています。ノートには、夫婦のコミュニケーションから、料理や掃除・片付けなど日常の家事、仕事や通院のことまで、生活に関するさまざまなことがまとめられています。中には、著者自身の視点からの分析に加えて夫からのコメントがついているページも。起こったできごとに対しての夫の見解や著者に対して思うことが書かれています。文字にすることで双方の考えを理解して改善策を見つけ出していく方法は、いろいろな人との関係調整や困りごとの解消に活用できそうです。見やすく、楽しみながら学習できる!『個別支援プリント』シリーズ多くの人にとって読みやすいと言われているUD書体を使用して作られた国語と算数のプリント集が発売されました。丁寧な解説やなぞりがき線の補助など取り組む際にお子さんが苦手意識を持ちにくいような工夫も凝らされおり、特別支援教育士の先生も推薦しているプリント集です。『漢字が苦手な子どもへの個別支援プリント』シリーズはステップ4の2年生の漢字まで、『算数が苦手な子どもへの個別支援プリント』シリーズはステップ6の3年生と4年生の一部内容までを含んだものが発売されています。ステップ1は、漢字の学習に入る前の線のなぞりがき・ひらがな・カタカナ・数字のプリント集になっています。とめる・はらうなどの運筆の練習や「さんかいよんでからかきましょう」など取り組み方の説明がついているので、少しずつステップを踏みながら取り組むことができます。また、マス写しのように楽しみながら空間認知力を鍛えられる問題も含まれており、読み書きに抵抗感なく取り組みながら、その後の漢字の学習に繋げることができます。くり上がりの足し算、くり下がりの引き算の問題集ですが、まずは20までの数を図に合わせて数字で書いてみたり、並んだ数字の穴埋めをしたり、「1と9」「2と8」など数を分解したりと、数字の概念の学習から問題が始まります。くり上がり・くり下がりの計算の際には、数字を分解して書く欄やくり上がりの数字を書く欄など補助が豊富で、取り組み方を一つずつ理解しながら進んでいくことができます。子どもの気になる言動、その理由は?『発達と障害を考える本』シリーズ学校の場面に合わせて特性のある子どもの気になる言動とその理由や支援の手立てを解説するシリーズ「発達と障害を考える本」、これまでのADHD、LDに加えてアスペルガー症候群、自閉症についてまとめた新刊が発売されます。『ふしぎだね!?新版アスペルガー症候群のおともだち』では、「授業中に関係のない話をしてしまう」「思い通りにならないとパニックになる」「会話がかみあわない」など特性からくる困りごとを抱えた小学生について、そのときの本人の心情と、授業や友人関係の中で工夫ができることを解説しています。得意な面を生かした関わり方も提案されているので、お友達との活動の中で無理なく参加し、本人の自己肯定感を高める工夫を考えるヒントももらえそうです。また『ふしぎだね!?新版自閉症のおともだち』では、特別支援学級で学ぶ5人の小学生が登場し、「予定が変わると不安になる」「他の人の給食を食べてしまう」「リコーダーの音が我慢できない」など、交流級でのできごとを中心に、特性に合わせた配慮を知ることができます。周りのおともだちが不思議に思う行動も、特性を知ることで本人が過ごしやすくなることがわかります。やさしい解説で、学校の先生が読んでも、クラスに気になる行動をする友達がいるというお子さまが読んでもわかりやすい一冊です。
2019年09月06日子ども向けのワークなどによくある迷路。じつは、迷路で遊ぶと、子どもにとってさまざまな効果が期待できるのです。今回は、迷路で遊ぶことのメリットや、おすすめの迷路絵本をご紹介しましょう。迷路で遊ぶと頭が良くなる!?知育玩具や絵本にも用いられることが多く、子どもはもちろん、大人も夢中になってしまいそうな迷路。子どもが暇を持て余してしまう車やバス、電車での移動の際や、天気が悪い日のお家遊びツールとしても活用できるため、子育て家庭にとっては必須とも言えるアイテムのひとつです。シンプルな遊びにも思える迷路ですが、「ゴールにたどり着くためにはどこを曲がればいいのか考えながら線を引いていく」という作業は集中力や判断力が必要とされ、脳の活性化につながるのだそう。医学博士の白澤卓二氏は、迷路遊びの効果について次のように述べています。迷路には、脳の働きを活性化させる力があります。お子さんが夢中になって迷路をとくことで、空間認識能力のアップや、認知機能の柔軟性が獲得されています。また、お年寄りの認知症予防プログラムにも迷路は活用されています。(引用元:絵本ナビスタイル|迷路で子どもの「脳力」がアップする!『めいろどうぶつえん』)「線を引く」ことのすごいメリット迷路遊びでは、「ゴールを目指して線を引く」という作業がメインになりますが、中学受験のプロとして活躍している小川大介先生いわく、「線を線として書くこと」には以下のメリットがあるのだそう。●文字や数字を学ぶ基礎ができる小さな子どもにとって、迷路遊びのような「1本の線を引く作業」はかなり難しいと小川先生は言います。そして、線を書く遊びになじんでいる子となじめていない子では、本格的に文字や数字を学び始めてからの定着に大きな差が出るのだそう。幼少期に楽しく遊びながら、文字・数字を書くための基本を身につけることができる点は、迷路遊びの大きなメリットです。●算数の図形問題への苦手意識がなくなる小川先生いわく、迷路などで線を書くと、自分の手で動かしたものが形になる感覚を味わうことができ、形に対するセンサーが磨かれていくのだそう。前述したように、子どもにとって線を引くのは難しい作業。最初は紙に線を引く練習から始めましょう。直線や曲線を書く練習から始めていき、慣れてきたら丸や三角、四角などの図形に発展させていくことで、図形として物をとらえる目が養われ、ひいては算数の図形問題にもなじめるようになります。年齢別・おすすめの迷路絵本さまざまな絵本のテーマにもなっている迷路。ここでは、おすすめの迷路本を年齢別に紹介します。2、3歳〜「ぐんぐんすすめ! よんだりたどったりめいろであそぼ」著:かしわらあきお(幻冬舎)大きくてわかりやすい迷路になっており、まだ線を書くのが難しい子どもでも指でなぞりながら遊べます。「てくてく」「とことこ」など、子どもが好きな擬態語がいたるところに散りばめられており、言葉遊びも楽しめます。「ベリーくんのきのみやさん」(エド・インター)絵本と木製の迷路がセットになった知育玩具です。ストーリーに合わせてマグネットペンで玉を運ぶ迷路で、数の数え方や色の認識力、手先の器用性などが養われます。「ノンタンおばけむらめいろ」著:キヨノサチコ(偕成社)子どもに大人気のノンタンシリーズの迷路本です。ノンタンが好きな子どもはもちろん、おばけが好きな子どもにもピッタリ。ノンタンとおばけのやりとりを楽しみながら、迷路にふれるきっかけとして活用するのもおすすめです。 年長~小学校低学年「算数が好きになるパズル迷路のろじか~る」著:算数パズル開発室(世界文化社)迷路をしながら、計算問題では身につかない考える力を養う絵本。迷路で楽しく算数に触れることができるので、算数に苦手意識がある子どもにもおすすめです。「めいろどうぶつえん」著:吉川めいろ(飛鳥新社)50種類の動物が迷路になっており、動物が好きな子どもにおすすめです。動物ごとに生態の解説も載っているので、図鑑のように楽しむこともできます。「パズルでまなぼう③めいろ」監修:市川希(世界文化社)完成後の迷路に色を塗ると動物などが出てくるページがあり、迷路でゴールにたどり着いたとき、そして色を塗って動物が出てきたときと、さまざまな達成感が味わえます。知能研究所・所長の市川希先生による解説つきです。***子どもから大人まで楽しむことができ、脳の活性化にも良い影響がある迷路。ぜひ親子で取り組む趣味のひとつに加えてみてはいかがでしょうか。文/田口 るい(参考)マイナビウーマン子育て|迷路は知育に最適!?迷路の効果と子供への教え方日経デュアル|簡単オススメ!紙と鉛筆を使い、子を賢くする方法絵本ナビスタイル|迷路で子どもの「脳力」がアップする!『めいろどうぶつえん』偕成社|ノンタンおばけむらめいろ世界文化社|算数が好きになるパズル迷路のろじか~る世界文化社|パズルでまなぼう③めいろ絵本ナビスタイル|ぐんぐんすすめ! よんだりたどったりめいろであそぼ株式会社エド・インター|えほんトイっしょベリーくんのきのみやさん
2019年08月13日「うちの子、国語が苦手みたい」と悩んでいませんか?国語科において必要とされる「語彙力」「表現力」「読解力」は、ほかの科目でも要求されます。小学生のうちから国語が苦手だと、文章問題や教科書を読んでも理解できず、学校での勉強全体に影響を及ぼすのです。今回は国語が苦手な子どもの特徴や、国語が苦手になってしまう理由をご説明します。そして、国語の苦手を克服するために親がどうサポートできるか、3つの方法をご紹介しましょう。国語が苦手な子どもの特徴国語が苦手な子どもにはいくつか特徴があります。自分の考えをうまく表現できない筑波大学付嘱小学校教諭の青木伸生氏によると、自分の考えをうまく表現できない子どもは国語が苦手な傾向にあるそうです。体験した出来事や読んだ物語についての感想を自分の言葉で表現するのは、一定の国語力がないとできません。見聞きしたことを頭の中で整理して、言葉として表現するには「語彙力」「論理的思考」「文章構成力」が必要。いずれも国語科において要求される能力です。つまり、自分の考えをうまく表現できない子は国語が苦手だといえるでしょう。国語が苦手だから自分の考えを表現できない、ともいえます。算数の文章問題が解けない子どもの算数の成績が悪いのだとしたら、原因のひとつは国語力の低さかもしれません。お子さんの算数の答案を見てみましょう。「3-2+5=」と式があらかじめ書かれている問題なら正解しているのに、「リンゴが3個あって、そのうち2個を太郎君が食べて、花子ちゃんがミカンを5個持ってきた」といった文章問題を間違えている場合、日本語の読解が苦手なのかもしれません。国語が苦手だと、算数の文章問題を解くことができません。算数の文章問題では、計算能力だけでなく、文章を読んで理解し、適切な式を自分で考え出す能力が要求されるからです。青木氏も、算数と国語の関係について以下の通り語っています。ドリルのような単発の計算は得意な子どもであっても、国語力が伸び悩んだがために本来の能力を発揮できないということにもなりかねないのです。(引用元:StudyHackerこどもまなび☆ラボ|子どもの主張はくみ取らなくていい!親だからこそできる、我が子の国語力アップ法)計算自体は得意な子どもでも、国語が苦手だと、算数の成績が伸び悩んでしまいかねません。本を読まない国語が苦手な子どもの最大の特徴は、自発的に本を読まないことです。本を読むことで、日本語の正しい文法やさまざまな言葉を知ることができます。言い換えれば、本を読まないと文法や語彙を自然に身につけることができないのです。また、本を読まないということは、物語や言葉のおもしろさに興味を持っていないのだとも考えられます。日本語の物語や言葉に関心がなければ、国語の勉強そのものを退屈だと感じるかもしれません。2014年に発表された研究によると、テキサス大学オースティン校のレイ・リンデン准教授らは、フィリピンの小学校100校を2つのグループに分け、読書が成績に及ぼす影響を調べました。一方のグループの小学生に対しては「読書マラソン」(毎日1時間、読書・朗読や単語ゲームの時間を与える)を実施し、もう一方のグループにはしなかったそう。ひと月後、読書マラソンを行なった小学校での国語の標準テストの偏差値は、読書マラソンをしなかった小学校よりも0.13高かったそうです。単語力や読解力が上昇していることがわかりました。特に単語力と読解力が優れていたとのこと。やはり、読書をすると国語の成績は伸びるようですね。反対に、読書をしない子は国語が苦手である、ともいえそうです。国語が苦手な理由では、国語が苦手になってしまうのはどうしてなのでしょう?一部の子どもが国語が苦手な理由には、子どもの能力だけではなく、現代の子どもを取り巻くさまざまな事情が関係しています。子どもと大人が会話する機会が少ない一部の子が国語を苦手としてしまう背景には、核家族家庭の一般化や、共働きの家庭の増加があります。昔だったら、子どもが学校から帰宅したとき家には大人がいたため、大人と会話することで日本語の表現や知らない言葉を自然に学んでいました。しかし、両親と子どものみの家庭で、両親が共働きで夜まで帰宅しないとなると、子どもが親と言葉を交わせる機会は非常に少ないですよね。親は帰宅しても仕事で疲れていて、子どもとあまり話したがらない、ということもあるかもしれません。たしかに、学校や学童保育において、子どもたちは多くの会話をしていることでしょう。しかし、子ども同士での会話では、大人との会話によってもたらされる「正しい文法」や「未知の言葉」を身につけるのは難しいのではないでしょうか。そのため、正しい日本語や多くの言葉を伝えてくれる大人との会話が少なくなってしまった現代の子どもは国語が苦手な傾向にあるといえます。家庭に本や新聞がない子どもが国語を苦手としてしまう背景には、スマートフォンの普及や、家庭から本や新聞などの活字を読む習慣が失われたことも関係していそうです。読者の皆さんにも、「携帯電話をスマートフォンに替えたら、読書量が減った」「ニュースはスマートフォンで見るから、新聞の購読をやめた」という人がいるのではないでしょうか。オーストラリア国立大学・米ネバダ大学の研究者たちが、31の国・地域における25〜65歳の16万人を対象として2011〜2015年に行なった研究によって、家庭にある書籍数と読み書き能力に相関性があることがわかりました。被験者に「16歳のときに自宅に何冊本があったか」という質問に答えてもらったあと、読み書き能力・数字などのテストを受けさせたそう。そして調査の結果、家にほぼ本がない家庭で育った被験者は、読み書き・数字の能力が平均よりも低いことがわかりました。家庭の書籍数とテストの結果は、本の数が350冊程度までだと比例していたそうです。家庭に本がない、つまり家庭に読書習慣のない子どもは、活字に自然と親しむ機会がないわけです。そして本を読む習慣がないと、読解力や語彙が身につかず、結果として国語が苦手となってしまうわけですね。国語の苦手を克服するには1:親子の会話を増やす小学生が国語の苦手を克服するには、大人と会話をする機会を増やしましょう。身近な大人、つまり親と会話をすることを通して、子供は気持ち・考えを伝える方法や未知の言葉を学べます。東京の公立小学校教諭・杉渕鐵良(すぎぶち・てつよし)先生も、子どもの「会話力」を上げるには、親子でたくさんのおしゃべりをするに尽きると語っています。会話力とは、さまざまな言葉を正確に使ったり、順序立てて話したりできる能力です。会話をする機会を増やすだけではなく、言葉の使い方も意識すると、会話の質が上がって正しい日本語の使い方を身につけられますよ。たとえば、今まで会話で「これ」「それ」などの指示語を使うことが多かったのなら、「テーブルの上にあるポット」や「ハンガーにかけてある紫色のTシャツ」などの具体的な言葉で表現するよう、親のほうから心がけましょう。物事を具体的な言葉で表現できるようになる頃には、国語の苦手はすっかり克服されたことでしょう。国語の苦手を克服するには2:読み聞かせによって本に興味を持たせる国語の苦手を克服する方法としては、親が本を読み聞かせることによって、子どもに本への興味を持たせることも重要です。読み聞かせは親子にとって良質なコミュニケーションともなりますし、本を読む習慣や本への興味がなかった子どもでも、読み聞かせによって本に興味を持つかもしれません。上で紹介した筑波大学附属小学校の青木伸生先生も、国語が苦手な子どもが本に興味を持って能動的に読書をするようになるには、親の協力と理解が必要であると述べています。子どもに本を読んでほしい場合、まずは親が子どもに本を読み聞かせることから始めていきましょう。今まで本に興味がなかった子どもでも、本に書かれているストーリーがおもしろいと感じれば、自ら本を開くようになりますよ。子どもの自主性を促すため、本は親が一方的に選んで押しつけるのではなく、子どもが興味を持って自ら選んだ本を買い与えるようにしましょう。そして、親も子どもが読んでいる本に対して興味を示してください。「何が書いてあるのか教えて」「どんな物語なの?」と質問をすれば、子どもは「知っていることを説明したい」という欲求から、本を読み込むようになるはず。意欲的に読書をする習慣が身につけば、おのずと国語の苦手は克服できます。国語の苦手を克服するには3:親子で交換日記をする国語の苦手意識を解消するため、子どもとコミュニケーションをとりたいけれど、仕事が忙しくて、帰宅する頃には子どもは寝ている……ということもあるでしょう。子どもと話す時間が少なくて困っているのなら、交換日記というのはどうでしょうか。シリーズ50万部を突破した『東大合格生のノートはかならず美しい』の著者・太田あや氏は、子どもの国語力を上げる方法として、親子間での交換日記を推奨しています。リアルタイムで話せる時間が少なくても、交換日記であれば、空いた時間に書いてテーブルの上に置いておくなどして、コミュニケーションをとることができますね。親の書いた文章を子どもが読むことで、段落の分け方や言葉の意味などを知ることもできます。毎日のように文章を書く習慣がつけば、作文への苦手意識もなくなりそうですね。交換日記は、国語の苦手を克服するのに効果的な手段です。親としても、子どもとの交換日記は楽しい思い出になるのではないでしょうか。***国語の苦手を克服するためには、「本を読みなさい」と子どもに押しつけるのではなく、親が子どもとのコミュニケーションを楽しみながらサポートしてあげましょう。平日にまとまった時間を子どもと過ごせないなら、休日に本を読み聞かせたり、一緒に料理をしたりするのもよいですね。どうしても時間がとれないなら、交換日記がおすすめ。なお、国語力を高める方法については、「小学生の『国語力』を上げるには。3つの方法とオススメ問題集」もあわせてご参照ください。文/森下智彬(参考)StudyHackerこどもまなび☆ラボ|子どもの主張はくみ取らなくていい!親だからこそできる、我が子の国語力アップ法StudyHackerこどもまなび☆ラボ|国語力アップの鍵はやっぱり読書だった!将来のために今、本を読むべき理由StudyHackerこどもまなび☆ラボ|読書量が算数の成績を左右する!?子どもの学力を上げるために「1日数分」からできることStudyHackerこどもまなび☆ラボ|子どもを「読書好き」にするきっかけの作り方。国語力アップの決め手は家庭にある!StudyHackerこどもまなび☆ラボ|「文字を見るのも嫌!」子どもを国語嫌いにさせないために、親がすべき低学年からの工夫StudyHackerこどもまなび☆ラボ|「得意教科は国語!」自信をもって言えるようになるために効果的な勉強法リクルートマネジメント ソリューションズ|読書は子どもの学力を上げるのか?StudyHackerこどもまなび☆ラボ|小学生の「国語力」を上げるには。3つの方法とオススメ問題集Newsweek日本版|子どもの時に、自宅に紙の本が何冊あったかが一生を左右する:大規模調査Project MUSE|Improving Reading Skills by Encouraging Children to Read in School: A Randomized Evaluation of the Sa Aklat Sisikat Reading Program in the Philippines
2019年07月02日親子で料理をすることの大切さについて、よくご存じの方も多いと思います。しかし、「子どもと一緒に作るのに、どんな料理がふさわしいのかわからない」「具体的に何をさせればいいのか迷ってしまう」とお悩みの方もいるのではないでしょうか。そこで今回は、料理のメリットに加えて、親子で料理をする際におすすめのレシピ本をご紹介します。料理にはメリットがたくさん!親子で料理することには、以下のように、さまざまなメリットがあります。・五感に刺激が与えられる料理では、食材や料理を見る(視覚)、包丁で野菜を切るときの「トントン」、鍋で料理を煮込むときの「グツグツ」といった調理音を聞く(聴覚)、調理中のおいしそうなにおいをかぐ(嗅覚)、さまざまな食材や調理器具を触る(触覚)、できあがった料理を食べる(味覚)など、五感が刺激される場面がたくさんあります。料理するだけで五感すべてが鍛えられるので、子どもの感覚を効率的に育てることができるのです。・好奇心や探求心が育つ家庭教育の専門家の田宮由美氏は次のように述べています。料理をする時、材料の分量や、調理の手順を考えなければなりません。(中略)また、卵は焼くと何故固まるの?水と粉を混ぜるとどうしてネバネバするの?乾いた雑巾は何故水を吸い取るの?など化学的なことに興味を示す子もいるかもしれません。お手伝いの中には、考える事や工夫する能力が養われる他に、いろいろな不思議や発見があるでしょう。(引用元: All About|子供にお手伝いをさせるメリットと親が心がけるべき事)料理では、小麦粉と卵と砂糖などがおいしいケーキに変身したり、分量を間違えると失敗したりと、調理方法によって見た目や味が変化するシーンが多くありますよね。そのため、子どもの好奇心や探求心を育てることにつながるのです。・親子のコミュニケーションが活発化する親子での料理は、協力し合ってひとつの目標に取り組む行為でもあります。そのため、親子間のコミュニケーションが活発化し、思い出づくりにもなることもメリットのひとつです。また、買い出しや準備、後片付けなど、料理にあらゆる手間がかかっていることを知った子どもは、食事の支度をする親への感謝の気持ちを持てるようになります。さらに、親に「手伝ってくれてありがとう」「助かったよ」と言われることで、子どもの自己肯定感が高まる効果も。料理は学力向上にもつながる親子で料理をすると、子どもの成長につながるだけでなく、学習能力向上のきっかけになることもあるようです。・親からの指示を理解しながら料理する→国語への興味関心中学受験情報局「かしこい塾の使い方」主任相談員の小川大介氏は、子どもの国語力を育てる生活習慣として料理のお手伝いを挙げています。小川氏いわく、料理は下ごしらえから仕上げまでの過程を効率よく進める必要があるため、「段取り力」が身につくのだそう。そのため、学習面でも、どのような順番で手をつけるべきか計画を立てる力が養われるのだと言います。また、「野菜を食べやすいようにちぎって」「きつね色になるまで炒めて」などと指示を受けながら料理したり、レシピを読みながら作業をしたりすることも、理解力や語彙力の向上に役立ちます。・計量カップや計量スプーンを使う→算数への興味関心子どもが算数や理科を学ぶ過程に詳しく、弁理士としても活躍する宇治美知子氏は、著書『算数が楽しくなる、できる子になる!算数が好きになる教え方』(三樹書房)の中で、算数を好きになるお手伝いのひとつとして「ホットケーキ作り」をすすめています。料理では、レシピ通りに水や調味料の分量を測る場面がたくさんありますよね。「600ml必要だから、200mlの計量カップで3杯分」などと考えながら料理することで、計算力が向上するなどのメリットがあるのです。・食材について知る→理科や社会への興味関心魚をさばいたり、野菜を根と茎と葉に分けて切ったりしながら、それぞれの部位の名前や役割を知ることは、理科への興味関心が高まるきっかけになります。また、食材の産地や特性を知ることは、社会の勉強で役立つことも多いでしょう。年齢別・おすすめ料理本最後に、年齢に合わせたおすすめの料理本を紹介します。2歳〜「こどもキッチン、はじまります。 2歳からのとっておき台所しごと」石井 由紀子/著 はまさき はるこ/絵(太郎次郎社エディタス)たたく、つぶす、まぜる、むくといった、子どもでも安全に取り組むことができる作業を紹介しています。「2~3歳の子どもが料理に興味を持ち始めたので何かやらせてあげたい」という方や、初めて親子で料理にチャレンジする方におすすめ。また、「包丁はいつから始めるのが良いですか?」など、親の気になる疑問に答えるコラムもあり、レシピ本としても、育児本としても有効な一冊です。 3歳~9歳「子どもと一緒にお料理しましょ!3歳からのお手伝い」上田 淳子/著(文化出版局)双子の息子の母である著者が、3歳、5歳、7歳、9歳と年齢に合わせた料理のお手伝い方法を紹介しています。成長に合わせて、数年間使い続けられるのがうれしいポイント。オーブントースターや電子レンジだけで作れるレシピや「余ったポトフでカレーうどん」など、家庭的かつ実用的なレシピも載っています。 小学生〜「こまったさん」シリーズ寺村 輝夫/著 岡本颯子/絵(あかね書房)「わかったさん」シリーズ寺村 輝夫/著 永井郁子/絵(あかね書房) 30年以上も読み継がれている人気の料理絵本シリーズです。幼少期に読んだことのある親御さんも多いかもしれませんね。「この料理、作ってみたい!」と思わせるような楽しいストーリーに、わかりやすいレシピつき。「こまったさん」は料理、「わかったさん」はお菓子の作り方を紹介しています。お子さんの好きな食べものがテーマになっている巻をプレゼントして、「一緒に作ってみない?」と誘ってみるのもよいでしょう。 小学生〜「ルルとララのお菓子屋さん」シリーズあんびるやすこ/作・絵(岩崎書店)女の子を中心に、現在大人気のシリーズ。お菓子屋さんを開いた小学生のルルとララが、森の動物たちに頼まれてさまざまなお菓子を作っていく、夢いっぱいのストーリーです。毎巻、お話に沿ったレシピが可愛らしいイラストつきで紹介されており、実際にレシピを見てお菓子を作った小学低学年のお子さんからも「わかりやすくて簡単!」と評判。火や包丁を使わないレシピばかりなので、お子さんがひとりで作る際にも安心ですね。 ***親子で料理をすることには、数え切れないほどのメリットがあります。今度のお休みの日には、ぜひ親子で料理にトライしてみてはいかがでしょうか。文/田口 るい(参考)東京ガス ウチコト|【生きる力を育む! 】子どもと一緒に料理するメリット7つこどもまなび☆ラボ|五感が鍛えられるだけじゃない!集中力や思考力も高まるメリットだらけの「親子料理」こどもまなび☆ラボ|小学校の「国語・算数・理科・社会」につながっていく!子どもが料理をするメリットAll About|親子一緒に料理すると向上する!子供の能力3つAll About|子供と一緒に料理!年齢別おすすめクッキング5選All About|子供にお手伝いをさせるメリットと親が心がけるべき事中学受験ナビ|国語力を育てる10の生活習慣|成績UPは国語力が9割(8)宇治 美知子 (2015), 『算数が好きになる教え方―算数が楽しくなる、できる子になる!』, 三樹書房.太郎次郎社エディダス|こどもキッチン、はじまります。 2歳からのとっておき台所しごと文化出版局|子どもと一緒にお料理しましょ!3歳からのお手伝いあかね書房|こまったさんのシチューあかね書房|わかったさんの ふんわりケーキ岩崎書店|ルルとララのおかしやさん
2019年06月30日教育先進国として名高いフィンランド。そのメソッドが優れていることは世界的に有名ですが、実際にどのような教育や政策が実施されているかご存じですか?日本で行なわれている教育との差は、いったい何なのでしょうか?今回は、日本とフィンランドの教育を徹底比較していきましょう。フィンランドの学校教育フィンランドの教育が世界から注目されるようになったのは、1968年に行なわれた大々的な教育改革がきっかけでした。この改革により、フィンランドは「持てる資源のほとんどを教育に投資する」「男女、家族の背景、財力は関係なく、万人に教育の機会を与える」という方針のもと、1972年には初等学校・中等学校を総合学校として統合し、義務教育をこれまでの6年から9年に延長します。この総合学校とは、日本の小学校と中学校にあたるものです。9学年全てが同じ校舎で学ぶ場合と、1~6学年と7~9学年の校舎が分かれている場合があります。総合学校を卒業した後、子どもの約半数は普通高校に進み、大学または応用化学大学への進学を目指します。それ以外の子どもは職業高校へ進み、実際の現場や学校などで職業訓練を受け、職業資格、上級職業資格、専門職業資格という3段階の資格を取得するのだそう。いずれの学校も、卒業までに2~4年かかります。待機児童問題とは無縁なフィンランド日本ではここ数年、保育園不足や待機児童問題が深刻化しています。厚生労働省の調査によると、平成29年度の待機児童数は全国で26,081人。前年比2,528人の増加でした。一方、フィンランドでは保育が必要な全ての子どもに保育施設を24時間確保することが各自治体に義務づけられており、違反した場合は罰則があります。そして、親の就労状況に関係なく、0歳から保育園(日本の保育園・幼稚園に相当)を利用することができるのです。また、総合学校での初等教育が始まる前の1年間は、保育園もしくは学校内でのプレスクール(就学前教育)に通って社会性を育てることが義務教育に含まれています。フィンランドと日本の教育比較日本とフィンランドには、幼児教育や義務教育のシステム以外にも、さまざまな違いがあります。・教育費日本では、認可保育園の場合は保護者の収入に応じた保育料がかかり、高校や大学では学費などの負担があります。しかしフィンランドでは、プレスクールから大学・大学院まで無料で通うことが可能です。総合学校では、教科書や給食も無料。高校では、教科書代の負担はありますが、給食は無料です。家庭の経済状況にかかわらず、学びたい子どもはしっかり学べるという体制が整っているのです。昨今日本で増えている、大学卒業後の奨学金返済が生活を圧迫しているという問題も、フィンランドであれば起こることがなさそうですね。・読書量フィンランドの読書量は世界1位。図書館の数はもちろん、図書館を利用しにくい地域を巡回する移動式図書館の数も多く、国民が図書館利用に熱心であることで知られています。昨今読書離れが指摘されている日本とは対照的ですね。ところで、「読書量が算数の成績を左右する」ことはご存知ですか?「読書量の多い人は国語の成績が良い」というイメージを抱いている方は多いかもしれませんが、「読書量が多いほど算数の偏差値が高い」という研究結果も出ているのです。2016年から2017年にかけてベネッセが行なった調査によると、読書量の多いグループと全く読書をしないグループとでは、読書量の多いグループのほうが全ての科目において成績が良く、中でも算数の偏差値において最も大きな差が開いたのだそう。フィンランドが教育先進国として成績を残している理由には、読書量も関係しているかもしれませんね。・授業や休みの日数フィンランドの年間授業日数は190日程度で、日本よりも40日程度少なくなっています。加えて、夏休みが2ヶ月。さらに、小学生のうちは宿題やテストもほとんどなく、塾もないので、学習時間そのものが他の国と比べて短い傾向にあります。小学生のうちから塾に通うことが当たり前になっている場合も多い日本からすると「そんなに休んで、勉強は大丈夫なの?」と不安になってしまいそうですが、逆に遊びと勉強の切り替えがしっかりとできるようになり、限られた時間で集中して学習に取り組むようになるのです。・PISAテストの結果フィンランドは、経済協力開発機構(OECD)が3年に1回、世界各国の15歳の子どもを対象に実施している「国際学習到達度調査(PISA)」で常に上位となっていましたが、2016年には数学の結果が12位と順位を落としています。一方で日本の数学の成績は5位でした。しかし、フィンランドではこの結果を受けても教育制度の改革をする予定はないそうです。その理由は、フィンランドの教育指針は生徒の勉強時間を多くすること“ではなく”、「学校を楽しくおもしろい場所にすること」だから。順位という数字に一喜一憂することなく、教育の本当の目的をしっかりと見定めているのです。・地域の子育て支援日本では、ワーキングマザーや、子どもがいる共働き家庭に対する理解や支援が、まだまだ充分ではありませんよね。一方、フィンランドのヘルシンキ市には、「レイッキプイスト」という日本の学童保育と子育て支援センターを併せたような施設があります。ここでは、おやつ代のみという格安の料金で放課後の学童保育を利用できるほか、夏休み期間は子どもに無料で昼食を提供するサービスを行なっているそう。このように、社会全体で子育てをする文化があり、子育てと仕事が両立できる体制が整っているのです。フィンランド式教育のメリット日本に比べて授業時間が少なく、休暇を十分に取っているフィンランドの教育ですが、さまざまなメリットがあります。一般財団法人基礎力財団理事長の陰山英男氏いわく、勉強は短時間で済ませたほうが学力が上がるのだそう。小学校高学年では、2時間程度をピークに、3時間、4時間と学習時間が増えるにつれて成績が落ちていったという結果が出ていると言います。反対に、学習時間が短ければ、そのぶん集中して学習することができるようになり、脳が鍛えられていくのだそう。「○分だけ」と時間を決めて行なうことで、毎日続けやすくなる効果もあるため、勉強の習慣も身につきやすくなります。また、自由時間がきちんと確保されていることから、自分の得意分野を見つけたり個性や能力を伸ばしたりする機会につながり、子どもの自己肯定感を伸ばすきっかけになるのも利点です。幼少期から習い事や塾などの教育に熱心になるケースが多い日本ですが、たまにはフィンランドのように、「遊ぶ時間を十分確保して、限られた時間で集中して勉強する」ことを実践してはいかがでしょうか。***フィンランドと日本の教育には、それぞれ優れた面があります。子どもの性格や生活環境に合わせて、適宜使い分けてみるのもいいかもしれませんね。文/田口るい(参考)Compathy Magazine|日本も後に続け!世界一の学力を誇るフィンランドの教育とは?こどもまなび☆ラボ|「フィンランド教育」の特徴とは?「教育費無料」にとどまらない、教育大国のシステムホンシェルジュ|ゆとり教育風のフィンランド教育?特徴と課題、日本の教育との違いに迫るクーリエ・ジャポン|子供を高い私学に入れるのはカネの無駄?「PISA」の結果を各国メディアはこう報じた東洋経済オンライン|フィンランドのワーママに「罪悪感」などない厚生労働省|「保育所等関連状況取りまとめ(平成 29 年4月1日)」カレントアウェアネス・ポータル|フィンランドの公共図書HugKum|小1は15分、小2は30分。勉強は短時間で済ませるほうが、学力が上がる!【隂山英男の家で伸ばす! 子どもの学力】こどもまなび☆ラボ|読書量が算数の成績を左右する!?子どもの学力を上げるために「1日数分」からできること影山ラボ|子どもは無限に育つ
2019年06月22日文字の読み書きや足し算など、小学校入学前に子供に身につけさせたい!と親が思うものはたくさんありますよね。「○○ちゃんはもうカタカナが書ける、漢字が読める」など、ママ友のお子さんの情報を聞いて焦ることもしばしば。早期教育の広がりから、最近の幼稚園では”宿題”が出ることろも珍しくはありませんし、英会話はもちろん話題のプログラミングスキルを身につけることができる幼稚園も存在します。しかし、どの程度読み書きや算数ができるようになっていたら安心か、については人それぞれ。今回は、小学生の娘をもつ筆者が感じた、小学校入学準備に必要なことをご紹介。■ 勉強の準備はそれほど焦らなくていいemi-chiki / PIXTA(ピクスタ)公立、私立など学校によって違いますが、いざ授業がスタートして感じるのは”勉強の準備に関してはそれほど焦らなくていい”ということでした。1年生の初めはひらがなを1文字1文字丁寧に書く練習と音読、算数は数の数え方から。確かに授業の進度はひらがなや数字が読める・書ける、前提で進められるため全く文字の読み書きができない状態で入学すると苦労はするかと思いますが、突然文章題が出たりすることはありません。たっきー / PIXTA(ピクスタ)その他の授業は道徳であったり交通安全ルールや、季節の移り変わり(春の草花、夏に咲く花など)に触れたりなどこれから生きていく上で必要なことを身につけるものでした。■ 先生が子供に求めている、意外なことYsPhoto / PIXTA(ピクスタ)では、学校の先生は子供に何を求めているのでしょうか。入学前に必ずある「入学前説明会」では、早寝早起き、返事をすること、人の話を聞くことなど大体同じようなお話をされるはずです。これらは、普段の生活や幼稚園や保育園を通して身につけられることなので難しいことではありませんよね。そこで筆者は、家庭訪問の際にも”先生が求めていること”を質問しました。ジゲニスタ / PIXTA(ピクスタ)すると、「自分の力で困っていること、疑問に思うことを伝えられるようになること」という少々意外な答えが返ってきました。新学期はどの年齢のお子さんも初めての学年を経験するため、不安でいっぱい。そして、先生も生徒との信頼関係をこれから構築していく時期。子供は無意識に先生に遠慮してしまうそうなんです。家庭でも、子供の話をきちんと聞いて、子供が思っていることを打ち明けやすい環境を普段から作っていくことが大切であると感じました。■ 時計を読めるようになると時間の使い方がスムーズにプラナ / PIXTA(ピクスタ)最後に、これを身につけておけば便利!と筆者が感じていることをご紹介いたします。小学校に入ると”時間”で活動することが主となります。時計を読めるようになること、そして休み時間はあと何分で終わる、○時○分に家を出るなど“あと○分!”という時間の感覚が身についていたらとても便利です。プラナ / PIXTA(ピクスタ)例えば、3分間の砂時計を見ながら歯磨きをさせてみたり、公文の学習5分間などで短い時間の感覚がついたことで、あと10分あれば○○ができる、などと時間の使い方がスムーズになりました。時計の読み方を教えることは難しく考えがちですが、今は100円ショップにもおもちゃの時計もあるので遊び感覚で始められてみるのもいかもしれません。jirasaki / PIXTA(ピクスタ)小学校入学までに子供に身につけさせたいことは各家庭それぞれ。しかし、学校の先生の求めるものは子育てにおいてとても重要なことであると感じます。子供の話をきちんときいてあげられる環境が整っているか、今一度振り返ってみられてはいかがでしょうか?
2019年06月16日子どもの頃は算数が嫌いで、「数字を見るだけでげんなりした……」という人も多いかもしれません。そういう自らの実体験から、「子どもも算数嫌いになるのではないか?」と心配している親はかなりの割合でいるといいます。「教育の鉄人」とも呼ばれ、カリスマ教師として知られる、東京の公立小学校教諭・杉渕鐵良(すぎぶち・てつよし)先生は、「国語と算数があらゆる学習のベース」だと語ります。では、どうすれば子どもの算数の力を伸ばしてあげられるのでしょうか。子どものやる気を引き出す独自の授業で注目される杉渕先生に、その秘策を教えてもらいました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)四則計算が算数を学習するためのベースになる学校での勉強がはじまる小学校で、とくに重要な教科は国語と算数です。なぜなら、それらが理科や社会などあらゆる他の教科を学習するためのベースとなるからです。では、子どもの算数の力を伸ばしてあげるにはどうすればいいのでしょうか?あたりまえのことですが、足し算、引き算、掛け算、割り算の四則計算をきっちり身につけることです。算数における四則計算は、ある意味で他の教科に対する国語と算数の存在に似ています。というのも、四則計算がしっかりできなければ、その先にある算数の領域、応用問題に進めないからです。つまり、四則計算は算数を学習するためのベースといえます。応用問題に臨む場合、たとえその考え方というものを理解できたとしても、四則計算がきちんとできなければ解答にたどり着けずにつまずいてしまいます。逆に、必要な四則計算がぱっとできるのなら、考えることに集中できる。だからこそ、応用問題の理解も深まりますし、その面白さを感じることもできるのです。スポーツだって同じではないでしょうか。たとえば、テニスをやるにも、素振りすらまったくしていないような基礎ができていない状態なら、まともにボールを打ち返せないでしょう。ボールをラケットで打つスポーツなのに、空振りばかりしていては面白いはずがありませんよね。最初に「できない」ということをわからせるでも、じつは逆の考え方もできます。まったくテニスの経験がない子どもにあえていきなり試合をさせてみるのです。もちろん、まともにボールを打ち返せないのですから、子どもは面白くありません。そこで、「きちんとボールを打てるようになったら試合が面白くなるよ」とリードしてあげて、基礎練習をさせる。子どもは試合の面白さを味わいたいがために基礎練習に一生懸命取り組むことになるはずです。それが、テニスをやりたいといっている子どもに最初から基礎練習ばかりさせてしまうと、「僕はテニスをやりたいのに」と、子どもは不満を抱いて意欲的に練習に取り組めません。そんな心理状態では、大事な基礎練習の成果もなかなかでませんよね?算数の場合も、まず子どもに応用問題をやらせてみて、それができないということをわからせてみるのです。うまくリードできれば、その面白さを味わおうと子どもは四則計算の習得に励むようになります。とはいえ、四則計算の学習はやはり地味で単純なものが多いので、子どもの集中力がなかなか続かないということもある。子どもが自然に四則計算の勉強をできるようにするには、やはりたくさんの工夫が必要です。子どもと一緒に楽しみながら四則計算を勉強する家庭でできることを考えると、日常生活のなかで子どもが楽しみながら四則計算に触れる機会を親がつくってあげることです。「学校の勉強なんて社会に出たら役に立たない」なんてことをいう人もいますが、四則計算は大人なら誰もが日常的に使っていますよね。たとえば、つねに節約しようと考えているお母さんたちは、スーパーで買い物をするにも何度となく四則計算を繰り返しているはずです。その計算を問題として子どもに出してみましょう。リンゴを買おうとしているときに、「3個で500円のリンゴ」と「2個で400円のリンゴ」があったとします。子どもに、「どっちを買えばお得かな?教えてくれる?」と相談するのです。子どもは大好きなお母さんの役に立ちたいと、頑張って計算をしてくれるはずです。自動車でどこかに出かけるときなら、目的地までの距離を教えてあげて、「いま、時速40キロだけど、目的地には何分で着く?」「時速60キロならどう?」というふうに出題することもできるでしょう。時計を使ってみるのもおすすめです。時計というと、時間を知るためのものと誰もが思い込んでいますが、じつは角度の勉強にも有効です。丸いアナログ時計を使って角度の問題を出すのです。「6時のときの長針と短針の間の角度は何度でしょう?」といった具合です。家族でおこなうものと考えれば、もっとふざけてみてもいいかもしれませんね。たとえば、「お父さんは3分に1回怒ります。お母さんは5分に1回怒ります。お父さんとお母さんが一緒に怒って大爆発するのは何分後でしょうか?」といったものはどうでしょうか?(笑)。これは紛れもない公倍数の問題ですが、きっと子どもは笑いながら取り組んでくれるにちがいありません。家庭で子どもに勉強させるときには、「子どもと一緒に楽しむ!」ということをいちばんに意識してほしいとわたしは思っています。勉強をしながらでも、子どもの心からの笑顔をたくさん引き出してあげてください。『たし算ひき算 10マス計算ドリル 左利き用』杉渕鐵良 著/学研プラス(2019)■ 東京都公立小学校教諭・杉渕鐵良先生 インタビュー一覧第1回:先取り学習はこうやれば効果的。「就学前学習ってどうなの?」に“教育の鉄人”が回答!第2回:「ちゃんと宿題やりなさい!」に効果がない理由。子どもに“響く”声かけの方法とは?第3回:子どもを「読書好き」にするきっかけの作り方。国語力アップの決め手は家庭にある!第4回:算数の力は“楽しく”伸ばす!地味で単純な「四則計算」を笑うほど面白いものにする工夫【プロフィール】杉渕鐵良(すぎぶち・てつよし)1959年生まれ、東京都出身。東京都公立小学校教諭。小学校教諭となって7年目に子どもたちのやる気を引き出す独自の授業「ユニット授業」を開発。その成果により、「教育の鉄人」と呼ばれ、2011年には「ユニット授業研究会」を設立。若手教員の指導にあたる他、講演のために全国各地を飛び回っている。『小学校教師だからわかる 子どもの学力が驚くほど上がる 本物の家庭学習』(すばる舎)、『全員参加の全力教室2 燃える! 伸びる! 変わる! ユニット授業』(日本標準)、『1日1枚5分でできる 漢字パズル』(すばる舎)、『自分からどんどん勉強する子になる方法』(すばる舎)、『子どもが授業に集中する魔法のワザ!』(学陽書房)など著書多数。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年05月27日小学生が学ぶ教科には、国語に算数、理科、社会などさまざまなものがあります。そのうち、「国語と算数があらゆる学習のベース」と語るのは、東京の公立小学校教諭・杉渕鐵良(すぎぶち・てつよし)先生。子どものやる気を引き出す独自の授業で注目され、「教育の鉄人」とも呼ばれるカリスマ教師です。今回は、その重要な国語と算数のうち、国語の力を伸ばすために家庭でもできることを教えてもらいました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)子どもを読書好きにするにはまず親が本を読む小学校における教科のうち、とくに重要なものが国語と算数です。それらの力が育っていないと、理科や社会の教科書、そのなかに出てくるグラフなどもきちんと読めないからです。逆にいえば、1、2年生頃にちょっとくらい理科や社会の勉強が遅れてしまったとしても、国語と算数がきちんとできるようになれば、あとからいくらでも遅れを取り返せます。そういう意味で重要な国語と算数のうち、国語の力を伸ばすために家庭でもできることというと、まずはやっぱり読書でしょうね。とくに1、2年生くらいの小さい子どもの場合なら、絵本の読み聞かせをおすすめします。というのも、読書は苦手でも読み聞かせは好きだという子どもが多いからです。また、親が本を読まなければ子どもも本に興味を示さないということも、読み聞かせをすすめる理由です。絵本の読み聞かせをすれば、子どもは文字や言葉、さまざまな概念を知ることになる。それはいまもむかしも変わらない読み聞かせの大きな効果です。そうして絵本の読み聞かせをするうち、「このシリーズものが面白い」というふうに、子どもがハマるものが出てくるでしょう。そういった事象こそ、読書好きになる兆候といえます。子ども自身が自ら本に興味を示さなければ、読書好きになるはずもありません。そう考えると、「○○先生が推薦しているから」なんていって、どこかの誰かがすすめる本を子どもに与えることにもなんの意味もありません。もし、子どもにすすめるのであれば、親御さん自身が本当に面白いと思ったものにしてほしいのです。そういう本であれば、「大好きなお父さんやお母さんがすすめるんだったら」と、子どもが興味を示すということだってあるはずですよ。漢字を覚えさせるにも「楽しさ」が最重要また、小学生なら漢字の学習も重要です。だからといって、漢字をいくつ書くだけというドリルのような学習方法はあまり好ましくありません。1、2年生のような小さい子どもの場合、楽しさが伴っていなければただ機械的にこなすだけになってしまい、なかなか学習効果が上がらないからです。ただの反復には意味がないのです。そういう意味では、いろいろと工夫をすることが必要。たとえば、「木」という漢字を書いて覚えるにも、子どもが「木」と書いたら、「これ、なんの木?」と聞いてみましょう。子どもは「桜の木」なんて答えるかもしれない。そうしたら、「じゃ、桜のピンクに塗ってみようか」と色鉛筆を与えるのです。あるいは、ピンクの色鉛筆で「木」と書かせてもいいですよね。また、漢字の「はらい」や「はね」を覚えさせるためにできる工夫もあります。「木」のはらいの部分を書くときに、親が「滑り台みたいだから、滑り台を想像して『シューッ』と書こう」といって、実際に「シューッ」といいながら書く。子どもも面白がって「シューッ」といいながら書くようになります。どちらも子どもにとっては遊び感覚で漢字の書き取りをすることになりますし、脳をしっかり使ってイメージを膨らませていますから、きちんと覚えられることになります。また、いろいろな漢字が書かれている紙を用意して、「このなかから、食べものの漢字を探そう!」なんて遊びもいいと思います。たとえば「公」という漢字は、「ハム」と読めますよね。そんな工夫がされている教材もたくさん市販されていますから、それらを使ってみてはどうでしょうか。しかも、そういう教材をやって漢字の面白さを知ったあとなら、子どもは一般的な漢字ドリルも楽しんでやるようになるものです。いずれにせよ、まだ小さい子どもには「勉強って面白い!」と思わせてあげることがなにより大切です。小さいうちから成績を気にし過ぎる必要はありませんし、「勉強は面白い」と思っていれば、自然に勉強を続け結果的に成績も伸びてくるものですからね。会話力を上げるには会話を重ねるしかない国語力を伸ばすためには、会話力の向上も外せないものでしょう。人と会話をするには、さまざまな言葉をきちんと使えることが求められますからね。子どもの会話力を向上させたいと思ったら、とにかく親が子どもとたくさんおしゃべりをすることに尽きます。子どものためのスピーチ教室なんてものもありますが、やっていることは、用意された原稿をただうまく読む訓練をしているだけ。実際の会話とは、そういうものではありませんよね?相手のいったことに対して瞬間的に反応し、自分の思いを適切な言葉で表現できてこそ会話になる。そう考えると、やはり実際に会話をすることでしかその力は伸びていかないのです。子どもと会話をするにあたって、親の立場として「いいインタビュアーになろう」と心がけることも重要なポイントです。学校から帰ってきた子どもがどことなくうれしそうにしていたら、「なにかいいことがあったの?」「それでどうしたの?」とどんどん聞き出してあげる。そのとき、親自身がそのインタビューを楽しむことが大切です。親が会話を楽しんでいる気持ちが伝われば、子どもはどんどん冗舌になっていくはずです。『たし算ひき算 10マス計算ドリル 左利き用』杉渕鐵良 著/学研プラス(2019)■ 東京都公立小学校教諭・杉渕鐵良先生 インタビュー一覧第1回:先取り学習はこうやれば効果的。「就学前学習ってどうなの?」に“教育の鉄人”が回答!第2回:「ちゃんと宿題やりなさい!」に効果がない理由。子どもに“響く”声かけの方法とは?第3回:子どもを「読書好き」にするきっかけの作り方。国語力アップの決め手は家庭にある!第4回:算数の力は“楽しく”伸ばす!地味で単純な「四則計算」を笑うほど面白いものにする工夫(※近日公開)【プロフィール】杉渕鐵良(すぎぶち・てつよし)1959年生まれ、東京都出身。東京都公立小学校教諭。小学校教諭となって7年目に子どもたちのやる気を引き出す独自の授業「ユニット授業」を開発。その成果により、「教育の鉄人」と呼ばれ、2011年には「ユニット授業研究会」を設立。若手教員の指導にあたる他、講演のために全国各地を飛び回っている。『小学校教師だからわかる 子どもの学力が驚くほど上がる 本物の家庭学習』(すばる舎)、『全員参加の全力教室2 燃える! 伸びる! 変わる! ユニット授業』(日本標準)、『1日1枚5分でできる 漢字パズル』(すばる舎)、『自分からどんどん勉強する子になる方法』(すばる舎)、『子どもが授業に集中する魔法のワザ!』(学陽書房)など著書多数。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年05月26日小学校にまだ入学していない幼い子どもがいる親であれば、いわゆる就学前学習などの「先取り学習」に強い興味があるはずです。その効果はどれほどのものなのか、そもそも必要なのか――。お話を聞いたのは、東京の公立小学校教諭・杉渕鐵良(すぎぶち・てつよし)先生。子どものやる気を引き出す独自の授業で注目され、「教育の鉄人」とも呼ばれるカリスマ教師です。実際の教育現場から見た先取り学習の価値とはどんなものでしょうか。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)学習内容のつながりを意識した「先取り授業」ひとことで「先取り学習」といっても、さまざまな種類があります。わたしの授業スタイルも先取り学習といえるものです。たとえば、本来のカリキュラムでは順に教える足し算と引き算もわたしは同時に教えます。また、掛け算と割り算も同様です。なぜかというと、足し算だけを先にやってしまうと、「足し算脳」とでも呼ぶべき頭の使い方が子どものなかでできあがってしまうから。そうなると、引き算を学ぼうとするときにその足し算脳が邪魔をして、なかなか引き算ができるようにならないということが起こるのです。掛け算と割り算の場合も同じです。先に掛け算だけを教えてしまうと、九九はしっかりできるのに、なぜか割り算は苦手だという子どもが続出してしまう。それは、本来であればひとつながりのものなのに分断して学ばせているからです。ピアノでいえば、課題曲全体を聴かせてもいないのに、頭から順に教えようとしているようなもの。どんな曲なのか全体像が見えていなければ、学習効果が高まるはずもありませんし、子どもは自分がなにをしているのかが見えずに不安になってしまいます。楽しければ、勉強も大好きな絵本と同じ感覚になるとはいえ、そういう授業スタイルを取っている教員はそうはいないでしょうから、ここでは一般の家庭でもできる先取り学習について、わたしの考えをお伝えします。先取り学習と聞いたときにまずイメージするのが、学校での学習内容を前もってやるというものでしょうね。小学校に入る前の就学前学習はその典型です。それらの先取り学習については、子どもにどんどんやらせてほしいと思います。というのも、「学校での勉強が復習になる」からです。そういった先取り学習については、「子どもが学校の勉強に興味関心を示さなくなるから駄目だ」という意見もあります。でも、映画にだって予告編があるじゃないですか?予告編を観て、その作品を観たくなったという経験はほとんどの人にあるでしょう。それに、好きな映画を3回も4回も観る人もいます。その場合、1回観ただけでは気づかなかったことに気づくということもある。つまりそれは、復習の効果に他なりません。「先取り学習が子どもの興味関心を奪う」なんてことは大人の発想で、子どもにとってはちがうのです。それこそ、大好きな絵本だったら、親が「また?」とうんざりするほど、何回も何回も「読んで」と子どもがせがむこともありますよね。勉強だって、楽しくできるように大人がちゃんと導いてあげれば、子どもにとっては映画や絵本と変わらないのです。とはいえ、先取り学習をさせるにも注意が必要です。やっぱり楽しくなければ子どもは興味を示しません。学校の教科書の内容を勉強するような先取り学習を無理に押しつけてしまうと、小学校に入る前に「勉強は楽しくない、面白くない……」と子どもに思わせて、まったくの逆効果となってしまいかねません。子どもの「学びの感覚」をつくる親子の対話また、とくに幼い子どもの家庭における先取り学習となると、学校の学習内容を先取りするタイプの学習の他にも大切なものがあります。それは、学びのための「感覚」を身につけるということ。たとえば、親子で一緒に出掛けたときには、「夕焼けって綺麗だね」とか「あれは三日月っていうんだよ」というふうに、目に入ったものを子どもに優しく教えてあげてください。家にいるときも、たとえばご飯を食べるときには「ハンバーグ、美味しいね」などと話しかける。内容はなんでもよくて、とにかく話しかけることが大切。そういった親との対話を通じて、子どもは学びのためのさまざまな「感覚」を身につけていきます。また、「感覚」という点では、体の「感覚」を使って学ぶことも大切です。ひらがなやカタカナを書いて覚えるにも、幼い子どもは鉛筆をまだうまく使えません。ですから、鉛筆ではなく大きな紙にクレヨンで書かせるとか、砂場で手を使って書かせる、あるいは尻文字で書かせることをおすすめします。そうすれば、体の感覚を通じて文字を覚えていくのです。それから、日常生活のなかでは、算数の勉強の橋渡しになるような数字に親しませるということもできます。スーパーに子どもと一緒に買物に行ったとします。親は「リンゴが5個ほしいのよね」といいながら、買い物かごに3個のセットをふたつ入れようとする。子どもが「お母さん、それじゃ6個だよ」なんていってくれたらしめたもの。「じゃ、どうすればいい?」と聞く。子どもは自分なりに考えて、3個のセットをひとつとバラ売りのものを2個持ってきてくれるかもしれません。そういうふうに、日常生活のなかにも学校の勉強につながるような要素はいくらでも転がっているものです。親御さんがそういう意識を持って、日常的な就学前学習を子どもにやらせてあげるように心がけてほしいですね。『たし算ひき算 10マス計算ドリル 左利き用』杉渕鐵良 著/学研プラス(2019)■ 東京都公立小学校教諭・杉渕鐵良先生 インタビュー一覧第1回:先取り学習はこうやれば効果的。「就学前学習ってどうなの?」に“教育の鉄人”が回答!第2回:「ちゃんと宿題やりなさい!」に効果がない理由。子どもに“響く”声かけの方法とは?(※近日公開)第3回:子どもを「読書好き」にするきっかけの作り方。国語力アップの決め手は家庭にある!(※近日公開)第4回:算数の力は“楽しく”伸ばす!地味で単純な「四則計算」を笑うほど面白いものにする工夫(※近日公開)【プロフィール】杉渕鐵良(すぎぶち・てつよし)1959年生まれ、東京都出身。東京都公立小学校教諭。小学校教諭となって7年目に子どもたちのやる気を引き出す独自の授業「ユニット授業」を開発。その成果により、「教育の鉄人」と呼ばれ、2011年には「ユニット授業研究会」を設立。若手教員の指導にあたる他、講演のために全国各地を飛び回っている。『小学校教師だからわかる 子どもの学力が驚くほど上がる 本物の家庭学習』(すばる舎)、『全員参加の全力教室2 燃える! 伸びる! 変わる! ユニット授業』(日本標準)、『1日1枚5分でできる 漢字パズル』(すばる舎)、『自分からどんどん勉強する子になる方法』(すばる舎)、『子どもが授業に集中する魔法のワザ!』(学陽書房)など著書多数。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年05月24日4年生にもなると学習内容はぐんと難しくなり、保護者の方も教えるのに四苦八苦するような問題がたくさん出てくるようになります。3年生まではなんとかついていけていたお子さんも、隠れた苦手ポイントが表面化する時期でもあるので、学習に取り組む姿勢から見直さなければならないことも。今回は、3年生から4年生に進級したお子さんが学習面で陥りがちがな苦手ポイントや、家庭でできるフォローの方法などを詳しく見ていきましょう。4年生、学習面での不安はどんなこと?進研ゼミの保護者を対象にベネッセがアンケートを実施したところ、3年生から4年生に上がる際に学習面で準備しておいた方がいいことや、親が注意深く見ておくべきことについて、次のような回答が得られました。□学年が上がるにつれて家庭学習の時間の確保が難しくなる。生活習慣を整えて、勉強時間をきちんと決めておくことが大切。□低学年で学んだ基本ができていないと、どんどん難しくなる勉強に対応できなくなる。わからない問題をそのままにせずに、しっかりと復習して理解するように心がけさせる。これまでのように、わからない問題にじっくり取り組む余裕がなくなってくるのが4年生からです。4年生に進級するまでの積み重ねが表面化される時期でもあるので、各教科の基礎的な部分がきちんと理解できているか改めて確認する必要があるようですね。その際には、テストの点数だけで判断するのではなく、ノートに書かれている内容も確認してみましょう。本人も気づかないような苦手ポイントが見つかるかもしれません。4年生の国語。学習のポイントは?4年生で習う漢字は3年生と同じく200字です。「養」「熱」「議」など、難しい文章の中で出てくるような複雑な漢字も出てきます。また低学年のときと比べて、格段に長く難しい文章を扱うようになり、登場人物の気持ちの深い部分まで読み取る問題も増えてきます。音読の宿題はなくなっていても、読解力を深めるためにも声に出して文章を読む習慣は続けましょう。さらに、作文や読書感想文では書く内容の中心を明確にし、内容のまとまりで段落をつくったり段落相互の関係に注意したりして、文章の構成を考える能力が求められます。最終的には自分の考えとそれを支える理由や事例との関係を明確にして、書き表し方を工夫する必要も出てくるため、普段から文章の構成を意識しながら本を読むようにするといいでしょう。また、ことわざや慣用句、故事成語などの意味を知り、使えるようになることも求められます。子どもから意味を聞かれてもすぐには答えずに、漢字の意味から読み解かせたり、辞書を引かせたりしましょう。自分で考えて調べることで、より記憶に残ります。4年生の算数。学習のポイントは?教育評論家の親野智可等先生は、4年生の算数について「基本的な四則計算が身についていないと授業でつまずくケースが多い」と指摘します。そして一度苦手意識を抱いてしまうと、それ以降積極的に授業に関わりにくくなるため、これまで以上に注意深く見てあげる必要があるとのこと。とくに気をつけてあげるポイントは次の2点です。■四則計算、基礎はできている?たとえば「612÷27」の場合、612は約600で27は約30だから、答えはだいたい20いくつになるな、と実際に計算をする前に答えの見当をつけることを「四則計算の結果の見積もり」といいます。これができるかできないかで、今後の算数の授業への理解度は大きく変わってきます。■図形の構造、理解できている?立方体、直方体の見取り図と展開図はかなりの苦戦が予想されます。平面図形に比べて、立体図形はスムーズに理解することが困難なので、親御さんの協力が必要になるでしょう。たとえばいらなくなった空箱を分解したり、展開図を作成して組み立てたりと、工夫次第で家庭でも図形を構成する要素について学ぶことができるはずです。4年生の理科。学習のポイントは?4年生の理科では「空気と水の性質」「金属、水、空気と温度」「人の体のつくり」などについて学習します。その中でもつまずきやすいのは次の単元です。■水の三態変化は台所で学べ!水が温度によって固体、液体、気体と変化することを意味する「水の三態変化」。これは中学で習う物質の状態変化につながる重要な内容ですので、習い始めのこの段階でしっかりと理解を深める必要があります。そこで役に立つのは「料理を手伝うこと」だと親野先生は説きます。なぜなら氷を作ったりお湯を沸かしたりする台所は、「水の三態変化」を実体験するのにうってつけの場所だからです。料理をするときは必ず火を使ったり、水を容器に移したりしますよね。その一連の作業は理科の実験と非常に似ているため、家で料理のお手伝いをしている子どもは、学校での理科実験にも積極的になる傾向があります。理科的思考を身につけるためにも、お手伝いは有効だというわけです。■数字と天気と肌感覚を結びつけるまた、「天気による1日の気温の変化」も苦手とする子どもが多いとのこと。天気を観察して気温を測り、その変化をグラフにして天気と気温の関係を理解することが求められるこの単元は、算数的要素も含まれます。算数でも出てくるグラフに対する苦手意識がつまずきの元になっているのでしょう。「自然現象を数値化する」という考え方は理科の基本的なスタンスであり、今後学年が上がるにつれてもっと複雑になる内容でもあります。朝は1日の天気予報を確認して、「気温が○度なら昨日よりも少し寒いね」「湿度○%なら雨が降るかもしれないね」と、数字を絡めて会話をするように心がけましょう。4年生の社会。学習のポイントは?4年生の社会は、3年生より広い範囲の地域や環境に目を向けた学習をします。その目的は、社会的事象への理解を通して地域社会に対する誇りと愛情、地域社会の一員としての自覚を養うこと。つまり、4年生からは広い視野で物事を見て、自分なりの理解を深めることが重要視されるのです。身近なところでは、飲料水や電気・ガスを供給する事業が、安全で安定的に供給できるように進められていることや、地域の人々の健康な生活の維持と向上に役立っているということも学びます。毎日当たり前のように使っている水や電気も、それを安全に行き渡らせてくれる人や仕組みがあってこそ。家庭における親からの教えも社会科の勉強として充分に役立ちますね。身近な生活の中で生じた疑問は、そのまま社会科の調べ学習につなげることができます。ガス会社や電力会社のホームページにも、子ども向けにわかりやすく説明しているページがあるので、親子で一緒に調べてみましょう。□東京ガスホームページ|キッズ東京ガス□東北電力ホームページ|でんきアドベンチャー***まだまだ小さな子どものように見えて、4年生ともなれば学習内容もかなり難しくなります。そんなとき「うちの子、ちゃんと勉強についていけるかしら……」と不安になるのではなく、子ども自身の“学ぶ力”を信じて見守ってあげることも大切です。また、家庭の中でも学びにつながる機会はたくさんあります。子どもの勉強の「苦手」をちょっとでも「好き」にさせるヒントは、家の中にもあるのです。(参考)Benesse 進研ゼミ保護者通信|新学期準備「コレ重要!」先輩保護者ランキング~高学年(小4ー6)編~文部科学省|小学校学習指導要領(平成29年告示)親力講座|小学4年生の勉強のポイントは?子どもはどこでつまずく?その対策とは?東京ガスホームページ|キッズ東京ガス東北電力ホームページ|でんきアドベンチャー
2019年05月23日2年生から3年生に進級するとき、学習面での不安を抱える保護者の方がとても多いそうです。算数がぐっと難しくなる、理科・社会が教科に加わるなど、2年生までと比べて3年生からは高学年につながる学習のベースを作らなければならなりません。そのため「つまずき」を感じる子どもがぐんと増えるのです。ここでつまずくと、高学年になって取り戻すことが難しくなります。だからこそ、勉強に対する「劣等感の芽」は早めに摘んでおかなければなりません。今回は、2年生から3年生に進級したお子さんが学習面で陥りがちがな苦手ポイントや、家庭でできるフォローの方法などを詳しく見ていきましょう。3年生、学習面での不安はどんなこと?進研ゼミの保護者を対象にベネッセがアンケートを実施したところ、2年生から3年生に上がる際に学習面で準備しておいた方がいいことや、親が注意深く見ておくべきことについて、次のような回答が得られました、□3年生になると授業の進み方も早く、内容が難しくなる。家で軽く予習復習ができるといいと思う。□理科・社会という単元が増え、覚えることも多くて大変。その結果余裕がなくなり、得意だった漢字や計算を間違えるなど他の教科にも影響が出てきた。□6時間授業も増えてくる。忙しさで余裕がなくなる。3年生からは本格的に勉強との向き合い方を見直さなければならない様子がうかがえますね。授業数が増えて放課後の自由な時間が減ることで、忙しさから余裕がなくなる子どもたちが多くなるとのこと。子どもが不安を抱えているのなら、親は安心できる居場所を作ってあげなければなりません。家庭での学習はもちろん大切ですが、まずは生活習慣や平日の時間の使い方、休日の過ごし方について、3年生に進級したタイミングで見直すことをおすすめします。3年生の国語。学習のポイントは?学習指導要領によると、3年生からは「筋道を立てて考える力や感じたり想像する力を養い、考えをまとめる力や伝える力を養う」ことに注意しながら国語の学習を進めるとのこと。その一歩として、主語と述語の関係、修飾と被修飾との関係、指示する語句と接続する語句、段落の役割についての理解を深めることを目標としています。さらに、文章の構成力をつけるだけではなく正しい文法を学び、ことわざや慣用句を使った表現力を身につけることも求められるようになるのです。■覚える漢字は200字に「漢」「業」「筆」など何通りもの読み方がある漢字や、漢字の組み合わせによっては日常的に使わないような単語を覚えることも。普段からいろいろなジャンルの本を読んだり、テレビのニュースで映し出される字幕を意識させたりすると、子どもの記憶に残りやすくなります。■国語辞典を家庭でも活用しよう3年生からはいよいよ国語辞典を学習に取り入れます。できればもっと早いうちから辞書に親しんでおくといいですね。文章力養成コーチの松嶋有香先生は、こどもまなび☆ラボで連載中の『国語辞典の世界へようこそ』の中で、学校の授業以外でも辞書を活用することをすすめています。辞書を引くことで調べ学習の基本動作が身につきます。そして、わからないことをそのままにしない姿勢は他の教科でも役に立つだけではなく、「生きる力」を子どもに与えるのです。ぜひご家庭のリビングにも一冊国語辞典を置いておき、いつでも調べられる準備をしておきましょう。3年生の算数。学習のポイントは?よく聞くのは「3年生から算数につまずく子が増える」ということ。しかし、決して急に学習内容が難しくなるわけではありません。実は、2年生のうちにマスターしておくべき基礎ができていなかったために「つまずき」が生じてしまう子も多いのです。■3ケタ、4ケタの計算が子どもを混乱させるまず、多くの子どもが4ケタの足し算・引き算でつまずきます。たとえば「3007ー2258」といった繰り下がりが2回ある引き算で混乱してしまい、計算に時間がかかって次第に授業についていけなくなることも。さらに「307×57」のように、3ケタ×2ケタで0が入るかけ算でつまずく子もたくさんいます。教育評論家の親野智可等先生は「このような計算は算数の基礎。つまずくようであれば、できるだけ早い段階で修復できるようにしましょう」と注意を促しています。算数は「積み上げ」の教科です。テストの点数だけで判断せずに、毎日使っているノートをチェックして、ちゃんと理解できているか確認しましょう。■図形の学習は作図がネックになることも3年生からは三角定規やコンパスを使いますが、作図する作業が難しくて算数が苦手になる子も多いといいます。どうしても苦手なら、家でコンパスを使って模様を描いて遊ぶといいでしょう。できあがった模様に色を塗ってみると、楽しみながらコンパスの使い方に慣れることができますよ。■表とグラフを積極的に生活に取り入れる親野先生は、数値や項目などの複合的な情報を関連づけて読み取る勉強を苦手としている子どもが多いと指摘します。その理由として「普段の生活の中で馴れ親しむ機会のないまま、教科書で初めて表とグラフに出会うから」と述べています。確かに日常的に家庭の中でグラフなどに触れる機会は少ないですよね。では、日頃から表やグラフに馴れ親しむにはどうしたらいいのでしょうか。親野先生おすすめの方法をご紹介します。□カレンダーに毎日の天気を書き入れる。毎日コツコツ続けることで、立派なデータとして活用することができます。体重や気温などの数字を入れるのもいいですね。□親子でじゃんけんなどのゲームをしてその勝ち負けを表にする。タテ軸とヨコ軸の組み合わせで表を作ります。「2回目と4回目はぼくが勝った」というように、表から情報を読み取る訓練になりますよ。□表に慣れたらグラフの基本である棒グラフを作成してみる。夕食のおかずを棒グラフにするのも面白いですね。1ヶ月集計した結果、「一番多いメニューはカレーだね」「お魚のおかずが少なかった」など、驚きや発見が出てくるかもしれません。3年生の理科・社会。学習のポイントは?いよいよ始まる理科・社会。これから学び始める教科なので、できるだけ苦手意識を持たせないように、楽しく学ぶ姿勢を身につけるための工夫が必要です。■理科:疑問が芽生えたときがチャンス!3年生で学ぶ理科の内容は、「物質、エネルギー」「光と音の性質」「磁石の性質」「電気の通り道」「電気の通り道」などです。とくに子どもたちがつまずきやすいのは「物の形や体積と重さの関係」について。ですから「材料・体積が同じなら、物の形が変わっても重さは変わらない」「体積が同じでも重さが違う物がある」、この2点を理解できるかがポイントになります。家庭でできる簡単な方法として、空のペットボトルに砂を詰めて量り、今度は同じペットボトルに水を入れて量ってみましょう。「同じ大きさの入れ物に入れても、重さが違うよね」と親子で確認し合えば、理解を深めることにつながります。例えば、親子で散歩や買い物に出かけた際には、ただ漫然と歩くのではなく、目にする草花や虫、その日の気温や風の向きなど、様々なことに子どもの関心を向けさせてあげて下さい。日々の生活の中で子どもを意識的にリードしてあげることが大切なのです。(引用元:親力講座|小学3年生の勉強のポイントは?子どもはどこでつまずく?その対策とは?)理科の学習において効果的なのは、実際に体験すること。家の中や近所の道端にも、理科を好きになる要素はたくさん潜んでいます。■社会:身の回りの環境が学びにつながる3年生の社会の授業では、「身近な地域や市区町村の様子を大まかに理解する」ことを目的としています。理科と同じように、実際に見て、感じることでスムーズに理解できるようになるでしょう。たとえば、散歩のときや車や電車でお出かけしたときに「この畑では何が取れるんだろう?」「この川はどこからどこまで流れているんだろう?」などと意識づけしてあげたり、街角に設置されている看板に目を留めたりすることで、自分の住む街や身近な環境への興味が高まります。また、観察・調査した内容を白地図などにまとめる力も求められます。日頃から地図に慣れ親しんでおくために、リビングやお風呂に貼っておいてもいいですね。***3年生では1、2年生のときとは違って「勉強」への意識を高めていく必要があります。遊びの延長のように楽しみながら学ぶよりも、自分なりの学習姿勢をしっかりと固める時期に入っていきます。そのためにも、日常生活の中から学習につながるヒントを見つけて関連づけてあげるのも、親としてぜひやってあげたいことですね。(参考)Benesse 進研ゼミ保護者通信|新学期準備「コレ重要!」先輩保護者ランキング~低学年(小1ー3)編~文部科学省|小学校学習指導要領(平成29年告示)Study Hacker こどもまなび☆ラボ|ゆか先生の国語辞典の世界へようこそ|たった5歳の子どもにも国語辞典を与えるべき理由。“辞書を引く”ことの莫大なメリット親力講座|小学3年生の勉強のポイントは?子どもはどこでつまずく?その対策とは?親力講座|算数の表とグラフの勉強は生活の中で慣れ親しんでおくことが大切
2019年05月17日小学校に入学して1年も過ぎると、生活面や学習面でさまざまな悩みが出てくるのではないでしょうか。お子さん自身は学校生活に慣れるのに精一杯ですが、ずっとそばで見ている親御さんは、我が子の “苦手” に気づき始めているころだと思います。今回は、1年生から2年生に進級したお子さんが学習面で陥りがちがな苦手ポイントや、家庭でできるフォローの方法などを詳しく見ていきましょう。2年生、学習面での不安はどんなこと?進研ゼミの保護者を対象にベネッセがアンケートを実施したところ、1年生から2年生に上がる際に学習面で準備しておいた方がいいことや、親が注意深く見ておくべきことについて、次のような回答が得られました。□先生の言うことを一方的に聞くことが多かった1年生のころと違い、自分たちで話し合ったり計画したりして授業や行事の計画を進めていく機会が増える。自分のことは自分でするように親子で一緒に確認するなどサポートが重要。□教科書にざっと目を通しておくなど、習うところを保護者が把握しておき、子どもの質問にすぐに答えられるようにする。□生活の中で学習のヒントになるようなことがあれば、積極的に話題に出す。1年生のころは、勉強といっても、言葉や数字に親しんだり、読み書きの基本を学んだりするくらい。子どもたち個人個人の能力に大きな差が生まれることはありませんでした。しかし2年生からは、覚える漢字は倍になり、計算問題は複雑に、さらに2学期からは九九をマスターしなければなりません。より難しくなる授業内容を理解するためにも、家庭における学習サポートはまだまだ必要になるでしょう。2年生の国語。学習のポイントは?文部科学省の学習指導要領によると、1年生と2年生で学ぶ国語の目的は「日本語の言語文化に親しむことや理解する」「伝え合う力を高める」「自分の思いや考えをもつ」こと。つまり、1年生と2年生では内容の難しさに違いはあるものの、その目的は共通しています。1年生で学んだことをさらに深掘りするイメージですね。■覚える漢字の量は2倍!2年生の国語の授業における最大の難関は「漢字」です。1年生では80字の漢字を覚えなければなりませんでしたが、2年生になるとなんと倍の160字に!しかも「顔」「線」「曜」など画数が多く、バランスを取るのが難しい漢字もたくさん出てきます。家庭学習のときには、姿勢や筆記用具の持ち方、筆順に従っているかなど、注意深く見てあげるといいでしょう。基本をしっかりと身につけるまで、何度でも繰り返し教えてあげるのがポイントです。■正しい文章を書く基礎をかためる2年生では文章の組み立てを考えて書くことが求められます。・「はじめ」に何を知らせたいかを書く・「中」に知らせたいことを詳しく書く・「おわり」にまとめのことばを書くこの決まりを守って文章を書くのは意外と難しく、とくに日頃から本を読む習慣がない子どもはつまずきやすいといいます。学年が上がるにつれて文章がより長く複雑になるため、順序を整理して、構成を考えながら文章を作成する力を身につけましょう。普段から家族で短い手紙のやり取りをしたり、映画や本の感想を短い文章にまとめるなど、日常の中で「文章を組み立てる」訓練をするといいですね。2年生の算数。学習のポイントは?1年生の算数の目的は「数や図形に親しみ、算数の楽しさを感じること」とされています。数を正しく数えることや時刻と日常生活を関連づけるなど、身近な数について学ぶことが学習のメインでした。2年生ではさらに進んで、「数の概念についての理解を深める」ことを目的とします。たとえば「買い物に行ってすばやく計算できると便利!」というように、数理的な処理を生活や学習に活用しようとする意識を求められるのです。■基礎の基礎を再確認する東京大学名誉教授で教育学者の汐見稔幸先生は、算数こそ最初につまずかないように家庭で見てあげるべき、といいます。たし算のルール、ひき算のルール、さらに九九といった基礎の基礎のところがきちんとわかっているかどうか、とても大切なので、ここは家庭で意識的にみてあげてください。この基礎部分ができていないと、2ケタや3ケタのたし算、ひき算、やがてわり算などのステップに進むことができなくなります。(引用元:汐見稔幸(2008年),『汐見先生の素敵な子育て「子どもの学力の基本は好奇心です」』,旬報社.)算数は積み重ねていく勉強です。一度つまずくと取り戻すことが難しいからこそ、低学年のうちに理解を深める必要があるのです。■ぐんと複雑になる計算問題2年生では、足し算・引き算・かけ算の3つが計算問題に上がります。進級した時点で「繰り上がり・繰り下がり」をしっかりとマスターできていないと、筆算でつまずいてしまうでしょう。「アメが3つの箱に6つずつ入っています。3つ食べたら残りはいくつ?」このような文章問題では、どの計算からやるのかを考える必要があります。つまり文章問題の読解力も求められるため、複合的な考える力をつけておかなければなりません。■油断しているときにこそ九九の確認を九九が始まる2年生の2学期ごろには、家庭でも毎日くり返し練習をして応援してあげることが大切。夕食後、ホッと一息ついているときやお風呂に入っているときに「九九、忘れていないよね?7の段は?」と突然聞いてみるなど、フォローしてあげるといいでしょう。■基本的な図形の概念を理解する2年生では図形を構成する要素に着目し、身の回りのものの形を図形として捉えることが求められます。日頃から「まっすぐ」「てっぺん」ではなく、「直線」「頂点」といった用語を用いることを心がけましょう。文章問題がすんなり理解できるようになります。理科・社会のベースになる「生活科」2年生までは1年生と同様に「生活科」の授業があります。これは3年生から本格的に始まる理科・社会のベースとなる教科です。たとえば次のような内容の学習をしていきます。□まちたんけん□野菜を育てよう□身近な生き物、小さな虫□廃材を使った遊び、動くおもちゃを作る□赤ちゃんのころの話を親から聞き、“自分新聞”をつくる□これからの自分、目標や夢についてまとめる(光村図書の教科書『せいかつ 下 みんなともだち』を参照)このように生活の授業では、地域の生活に関わることを通して身近な人々や社会、自然との関わりについて考えることを目的としています。また、自分自身を見つめることを通して、自分の生活や成長、身近な人々の支えについても考えます。生活科とは、まさに家庭でも一緒に学べる「生きた学習」です。身の回りの物事に関心を持ち、普段見過ごしているようなことに目を向けると、たくさんの発見があるのだということを知ってもらいましょう。***1年生ほど簡単でもなく、3年生ほど複雑にはなっていない2年生こそ、しっかりと基礎を固める大切な時期です。「ちょっと苦手かも」「よくわかってないけど、なんとなく点数が取れているからいいか」と思っていると、3年生以降のつまずきに直結します。苦手の芽は早め早めに摘んでおきましょう。(参考)Benesse 進研ゼミ保護者通信|新学期準備「コレ重要!」先輩保護者ランキング~低学年(小1ー3)編~文部科学省|小学校学習指導要領(平成29年告示)汐見稔幸(2008年),『汐見先生の素敵な子育て「子どもの学力の基本は好奇心です」』,旬報社.『せいかつ 下 みんなともだち』,光村図書.
2019年05月16日「小学校入学前にひらがなやカタカナを覚えたし、簡単な足し算・引き算なら大丈夫!」というご家庭が多くなっています。出遅れないようにと準備して臨みますが、小学校低学年で習う内容は簡単なので、入学後は親子で拍子抜けしてしまうかもしれません。ところが、簡単な低学年での学習内容こそが、中学年以上での理解度を大きく左右する大事な基礎となります。簡単なのに絶対外せないのが低学年の学習内容なのです。今回は、低学年(1~2年生)で習う国語と算数の学習内容からいくつか例を挙げ、どんなポイントが重要なのか、何に気をつけて学習すれば学年が上がっても苦労しないのかを紹介していきます。【国語】漢字は成り立ちから考える。音読は具体的に褒める。まず国語ですが、文部科学省の学習指導要領には1年生の授業全体850時間のうち306時間が、2年生は910時間のうち315時間が定められ、実に3分の1以上の授業時間が費やされるほど重視されています。【重要ポイント】ひらがな、カタカナ、漢字の読み書きによって、物の名前や動きや様子、自分や相手の気持ちを理解し表現できるようになります。漢字は1年生で80文字、2年生では160文字を習いますが、身の回りのことを伝えるのに必要な、数、方向、位置、形状、色、時間、自然、天気、学校生活でよく使う日常生活に密着した文字が中心になります。<↑1年生で習う漢字><↑2年生で習う漢字>【勉強のコツ】正しい文字を習得するには、書けることよりも読めるようになることが先で、ひらがな、カタカナ、漢字のどれにも同じことがいえます。その中で、■形がよく似ている文字を比べてどこか違うのかを見つける■ひらがなとカタカナは1文字ずつ対応していることが分かる■漢字にはよく似た仲間(部首)があるといった、文字の比較から部首の存在に気づけると、漢字の成り立ちや意味をスムーズに理解できるので、その先の漢字学習が楽になります。ただくり返し書くだけでなく、漢字にインパクトを持たせることが重要なのですね。また、低学年の教科書に取り上げられている文章は、シンプルでリズムが良いのが特徴で、何度も繰り返し音読してフレーズに親しむことで、文章の組み立て方や表現の仕方を学ぶことができます。語彙や表現方法の幅が広がると文章力アップにつながります。子どもの音読は聞き流しせず、「おじいさんのセリフがとてもよかったよ」「大きな声で読めていたね」と具体的に褒めてあげましょう。【算数】足し算・引き算をとにかくしっかり定着させる次に、算数の授業時間数は、1年生では授業全体850時間のうち136時間が、2年生では授業全体910時間のうち175時間が文部科学省の学習指導要領に定められています。国語に比べて時間数は少ないですが、この先の算数や数学へつながる基礎を作る内容ですのでしっかり理解しておく必要があります。【重要ポイント】算数の勉強といえば、足し算や引き算からスタートというイメージもありますが、実は「数の仕組み」から始まります。ものの個数を数えたり数字で表したり、あるいは「前から○番目」「右から○人」といった順序数を学びます。そのうえで、繰り上がりや繰り下がりも含めた足し算・引き算について学び、2年生になると掛け算へと発展していきます。また、数や計算以外にも量や長さ、広さ、時間といった図形や単位に関わる学習も始まります。【勉強のコツ】数の仕組みを最初に学習するとき、お子さんが何番目といくつ分の違いをしっかり理解しているか確認しましょう。これは日常生活の中で「上から3段目の棚の右から2番目にあるお皿を1枚取ってくれる?」「100円で39円のきゅうりは何本買えると思う?」といった問いかけで理解度を確認できます。単位や時間についても同じように、机以外の場所で「水を150ml用意してくれる?」「この番組は30分だったから、今日はあと30分テレビが見られるね」など、なるべく具体的なものや形を使って問いかけるといいでしょう。子どもはクイズが大好きです。「えー!すごいね、合ってるよ!」など大げさに褒めてあげてください。足し算や引き算は計算カードで繰り返し何度も覚え、タイムを計って読み上げる宿題を出す学校もあります。数式をみるたびに数の増減を考えるのではなく、見た瞬間に答えが口をついて出るまで慣れておきましょう。というのも、2年生や3年生で登場する掛け算や割り算は、足し算と引き算が繰り上がったり繰り下がったりしながら何重にも関わる「積み上げの学習」ですから、掛け算や割り算をスピーディに計算をするには基本となる足し算や引き算がいかに定着しているかがカギになります。勉強が簡単なうちに身につけたい「学習習慣」と「問題解決力」一度子どもが「なんだか国語(算数)って難しい……」と感じてしまうと、なかなかスムーズに学習が進まないようです。簡単に理解できて「勉強って楽しい!」と感じる段階から、少しずつ勉強の習慣づけをしていくことが大切です。低学年のうちは、家庭での学習時間は5~10分もあれば十分とも言われます。しかし、学校の授業は45分単位と子どもが集中できる時間に比べて長いので、これに慣れるためにも30分くらい続けて机に向かうことができるのが望ましいでしょう。学校から出された宿題を済ませたあとは、図書館で借りた本や授業で使う副読本を読むのもいいですし、席を立ってうろうろ歩き回らなければ、塗り絵やパズルなどで遊ぶことも立派な勉強だと認めて褒めてあげてください。低学年のうちに「1日30分、必ず机に向かって勉強する」ことを毎日達成して自信につなげるようにします。また、内容が簡単なうちに「分からないところを分かるようにするクセ」をつておくことも重要です。特に、算数は上述したように1年生の学習から積み上げていくものですから、どこかでつまずいたまま進んでいくと、その先の理解をストップさせてしまいます。ひとつずつ問題をクリアしていく問題解決力を養うためにも、毎日の学習で分からないところを分かるようにしましょう。***大きくなってからでは、なかなか身につかない勉強の習慣。低学年のうちにしっかり身につけるには、お父さんやお母さんがお子さんの横で勉強を見届け、頑張っている姿を認めて褒めてあげると効果的です。しばらく時間はかかるかもしれませんが、親御さんの声かけで子どもは自分に自信がつき、学年が上がってからも机に向かうようになりますよ。(参考)文部科学省|平成29年改訂小学校学習指導要領浜学園教育情報TIPS|小学校低学年から身につけたい学習方法浜学園教育情報TIPS|高学年の成績に直結!低学年のうちに最低限 身につけたいこと【算数編】ベネッセ教育情報サイト|元小学校教員が語る!低学年のご家庭でやっておきたい3つのことって?
2019年05月03日子どもの頃、クラスに「運動も勉強も両方できる、万能型の同級生」が何人かいたという記憶はありませんか?それもそのはず、子どもの学力と運動能力には、相関関係があるといわれているのです。今回は、運動能力と学力の関係や、それらをアップさせるための方法について紹介しましょう。「運動能力」と「学力」には相関関係があるスウェーデンのブンケフロという町の小学校で、毎日体育の授業をするクラスと、週2回体育の授業をするクラスを設けて、運動能力と学力の相関関係についての研究が行なわれました。その結果、毎日体育の授業を行ったクラスは、体育が週2回のクラスに比べて、算数、国語、英語の成績が良かったことがわかったのです。アメリカでも同様の研究が行なわれましたが、やはり同じような結果が出ました。心肺機能・筋力・敏捷性が高い子どもたちは、算数と読解のテストで高得点を獲得。そして、体力的に優れているほど、得点が高くなったそうです。なお、日本でも、文部科学省による小中学校の全国都道府県学力テストの結果と体力・運動能力の調査結果を照らし合わせたところ、「運動ができる子どもは勉強もできる」傾向があることがわかっています。やはり「運動」と「勉強」には相関関係があるとみて間違いないようです。文武両道な子どもの特徴3つまた勉強も運動も得意な子どもには、以下のような特徴がみられることが多いといわれています。【特徴1:よく歩いている】フィンランドの調査によると、毎日たくさん歩く子どもは、ストレスに対する抵抗力が高くなり、勉強や宿題を最後までやり通すことが苦にならないといわれています。そのため、毎日の徒歩通学やウォーキングは、子どもの学力向上にも良い影響があるのです。【特徴2:朝食をとる習慣がある】文部科学省の調査によると、朝食をとっている子どもほど、テストの点数が高くなるといわれています。また、農林水産省の調査でも、毎日朝食を食べる子どもは体力合計点が高いとされています。勉強や運動で能力を発揮するためには、そのエネルギーとなる朝食が欠かせないといえるでしょう。【特徴3:何度も繰り返し学べる】例えば、漢字の読み書きや計算方法を覚えることと、ボールの投げ方を覚えることは、一見まったく違う分野に見えます。しかし、いずれも何度も繰り返すことで、脳から神経に「こうすれば、この漢字が書ける」「こうすれば、ボールがまっすぐ投げられる」という電気信号が発信されるという仕組みになっているのです。そのため、繰り返して学ぶことができれば、運動能力と学力ともに伸ばすことにつながります。「運動能力」「学力」をともに伸ばすための方法運動能力と学力をともに伸ばすためには、以下のような取り組みが効果的です。■心拍数が増える有酸素運動をする脳の記憶中枢として働く海馬や、情報伝達を担うケーブルの集合体である白質は、運動によって刺激を受けることで成長することがわかっています。また、身体を動かした直後は集中力が高くなることも立証されています。記憶力と情報伝達能力、集中力を向上させるためには、心拍数が1分間で最大150回まで上がるような有酸素運動が効果的。具体的には、なわとびやボール遊び、かけっこなどに取り組んでみましょう。■“ちょこっと運動” を取り入れる前述したように、身体を動かすと、その後集中力がアップします。そのため、子どもが宿題などをしているときに集中力が途切れてきたと感じたら、宿題はいったん中断して身体を動かしましょう。数分でできるラジオ体操などを取り入れるのもおすすめです。合間に運動を挟んで集中力を高めることで、集中すべき場面とそうでない場面の切り替えがうまくできるようになることも期待できます。■集団で行なうスポーツに挑戦させるサッカーや野球、バレーボール、バスケットボールなど、集団で行なうスポーツでは、それぞれの考えを持つチームメンバーの中で自分の意見を主張したり、他のメンバーの意見を理解したり、自分よりもレベルの高いメンバーにライバル心を燃やしたりといった、さまざまな場面があります。こうした経験は、子どもの思考力や共感力、社会性の向上にもつながります。また、「みんなで協力してひとつの目標に向き合い、悲しみや喜びを分かち合う」「熱中できるものがある」という経験は、子どもにとって一生の思い出にもなります。***現代の子どもは、交通手段の発達や公園などの減少などにより、身体を動かす機会が限られています。そのため、意識的にスポーツなどを取り入れる必要があります。親子でスポーツを楽しみ、学力・体力の向上につなげましょう。文/田口るい(参考)農林水産省|1 子供の基本的な生活習慣の状況東洋経済オンライン|子どもの学力と体力の知られざる深い関係学研キッズネット|子どもが伸びる家庭の10の習慣第6回スポーツができる子は勉強もできる!?プレジデントオンライン|なぜ頭のいい人は「運動」が好きなのかベネッセ 教育情報サイト|学力も体力も生活習慣が左右!?ベネッセ ウィメンズパーク|第1回 子供の成長と運動の関係 – スポーツキッズの体と心を応援!
2019年04月01日日本に住んでいた頃、上の子供の英語教育は、頭痛の種でした。お父さんがイギリス人だから、苦労しなくても英語が話せるようになっていいねとよく言われましたが、子供だって必ずしも苦労せずに言語を覚えるのではないのだなあと、そばで見ていてしみじみ思ったものです。現に一才からイギリスで育っている下の子も、会話で “I buyed” などと言ってしまうのを、何度も “I bought” と言い直したものです。今ではさすがに減りましたが、それでも時々、不規則動詞の過去形はミスが出ます。話し言葉でもそうですから、読み書きはさらに工夫が必要です。日本の子供達が長い時間をかけて漢字を覚えていくように、イギリスの子供は例外が多い英語のスペルを、時間をかけて覚えていきます。私たち家族にとって難しかったのは、ちょうど日本語の読み書きに興味を持ち始めた上の子の、日本語に対する好奇心を潰すことなく、どうすれば英語の読み書きを導入できるか、でした。英語圏の小学校で使われるフォニックス教材最初に購入したのは、フォニックス教材のJolly Phonicsでした。英語圏の小学校などで使われる教材で、アルファベットと音をうまく組み合わせて教えていくのには非常に向いています。動画の14秒あたりから見るとわかるように、子供達にアルファベットと音、それに体の動作を教えていきます。CDやビデオも併用して使う、基本的には学校用の教材です。小さな子供の興味を引くように作ってあり、とても助かったのですが、我が家には一つだけ問題がありました。これは、親がつきっきりで見ないとならないプログラムだったのです。フルタイムで働いていた当時の私には、子供が保育園から帰ってくる7時過ぎから、夕飯、お風呂、翌日のしたくと、やるべきことが山積みでした。その中でこの教材を使うのは、とても難しいことでした。優れた教材ですから、もっと時間があったら活用できたのに、と残念に思っています。オンライン識字教育プログラム “Reading Eggs”そんな時、同じように日本で子育てをしているニュージーランド人のお母さんから勧められたのが、オンラインの識字教育プログラム、Reading Eggsです。対象は2歳から13歳まで。英語圏の小学校で公式に使われることもあるプログラムですが、ゲームのような感覚で英語が読めるようになっていきます。あまり小さいうちからコンピューターに触らせるのはどうかな、とも思ったのですが、これはとても使いやすいプログラムでした。7時過ぎに保育園にお迎えに行き、帰ってきてご飯のしたくをしている間、数十分、遊び感覚でやってもらうのに最適だったのです。ちなみにReading Eggsを開発した会社(3P Learning)は、子供向け算数のオンラインプログラム、Mathseedsも出しています。簡単な計算をゲーム感覚で楽しみながらマスターすることができるので、こちらも一時期、併せて利用していました。まさに英語「を」学ぶだけでなく、英語「で」学ぶことができる、貴重な教材だったのです。オンラインプログラムは、イギリスの小学校の宿題でも大活躍イギリスに引っ越してきてから気づいたのですが、イギリスの小学校の宿題は、こういったオンラインプログラムを使うことが多いのです。算数の計算のような単純な問題は、オンラインプログラムに任せてしまえば先生は採点をしなくても良いですし、それでいて、それぞれの子供の弱点がわかりますよね。学校から出される宿題だからといって、クラスの子供たち全員が一斉に同じ問題を解くのではなく、それぞれ違う問題に取り組むこともあります。オンラインプログラムを活用することで、前回お話ししたオックスフォード・リーディングツリーを使った識字教育と同様に、子供のレベルに合わせた教育をすることができるのです。家庭にコンピューターがない子供のために、休み時間に学校のコンピューターを使って宿題をやってしまう「ホームワーククラブ」もあります。どこの国でも先生は大忙しですが、機械に任せられるような単純作業を機械に任せられる、良いシステムだと思います。英語圏にはきちんとした教育目的のオンライン教材がたくさん!オンライン識字教育プログラムReading Eggsや算数プログラムMathseedsは、会費がかかりますが、家庭で手が出せない金額ではありませんし、非常に良いプログラムだと思います。※識字・算数プログラム合わせて、年間購読で一ヶ月あたり7.92ドル(約880円)、識字プログラムのみだと一ヶ月あたり6.70ドル(約750円)。子供が自分である程度読めるようになると、多読教材がオンラインで読めるのも魅力的です。図書館で英語の本を借りることも日本国内ではそう簡単ではありませんから、絵本を一冊買う程度の金額で、ある程度の読書量を確保することができるのはいいですよね。実は英語圏にはかなりの数、しっかりとした教育用のオンラインサービスがあります。そして多くが、比較的利用しやすい価格帯で提供されているようです。例えば、全世界の子供たちと、算数の競争ができるサイトMathleticsは、先ほどご紹介した3P Learning 社の開発したもので、会費は年間約60ポンド、日本円で8,700円前後でしょうか。こうした教材が開発される背景には、小学校での宿題に使われるだけでなく、一定人数ホームスクール(ホームスクーリング)をしている子供がいることも挙げられるでしょう。学校に通うのではなく家庭で教育を受けるホームスクーリングは、アメリカやオーストラリアのように国土が広い国では、場合によっては必然的なチョイスです。病気であったり、家庭の方針でホームスクーリングを選ぶケースもあります。これは海外に限ったことではありません。インターナショナルスクールに通わせると年間300万円を超える学費がかかることもあり、東京に住んでいる外国人の親御さんの中には、経済的な事情からホームスクーリングを選ばざるをえない方もいます。日本に住んでいた頃は、日本の保育園に通う上の子のために、「ホームスクーリング」と「小学校」をキーワードに、オンラインサイトをかなり探しました。まだまだある!低年齢向けオンライン教材識字だけでなく、様々な科目を教えてくれるサイトもあります。現在下の子供が小学校で使っているサイトはPurple mashといい、英語だけでなく科学や算数、ITやアートなど、イギリスのカリキュラムに沿った様々なトピックを扱っています。残念ながら、学校向けの事業展開ですが、似たようなサイトで家庭教育に使われているものもあります。たとえば上の子の小学校が使っていたのはEducation Cityと呼ばれるサイト。イギリスやスコットランドのカリキュラムをカバーしており、ホームスクーリングをしている家庭向けのサービスは年間89ポンド、日本円で約13,000円で利用することができます。英語だけでなく算数や科学、IT、フランス語やスペイン語も。そして英語を外国語として学んでいる子供向けの教材もあります。アメリカのカリキュラムを念頭においたものですが、英語や算数、理科や社会、ITに加え、ヘルスやアート&ミュージックなどの様々な科目を扱っているBrain Popは、家庭ごとに利用することができます。現在はアメリカの小学校の約4分の1が利用しているとされているサービスです。同様にStarFallもアメリカのカリキュラムに沿った識字教育のサイトです。フォニックスを学べるアニメーションや、音声付のウェブ絵本、ダウンロードしてワークシートとして活用できる紙ベースの教材をはじめとして、多岐にわたった学習コンテンツを楽しむことができます。一部有料コンテンツもありますが、無料で楽しめる教材も豊富に用意されています。幼稚園生向け、小学生向けに分かれ、会員登録の手間なく、子供の学習レベルに合った内容にアクセスできます。子供の負担にならない程度、ゲーム感覚でイギリスやアメリカの小学生たちの使っている教材に触れることは、実は日本にいても、昔よりずっと簡単になっているのです。(参考)Wikipedia|BrainPopJolly Phonics UK Catalogue
2019年03月21日小学校入学前、年長さんの秋くらいから親も園も小学校にむけて準備がはじまります。筆記用具の種類や算数セットのシール貼りなど不安なことがもりだくさんでした。でもそういう「親がやること」のほかにも心配なことがありました。保育園から渡されたプリントに「小学校入学までにできたほうがいいもの」というリストがあり、そのハードルの高さに不安しかなかったです。それだけでも焦りを感じるのに…お手紙を書くのが好きな子は文字の読み書きもできて、簡単な算数ならできるという子も。入学前からレベルが違う!スタートダッシュ遅れてしまったのか?と思いました。■学校説明会で質問「ひらがながまだ書けないんです…」ここで先生が「しっかり書けるようにしてきてください!」なんて言われたらどうしようとドキドキしていたけど、先生の回答はこうでした。■私の焦りを救った先生の答えは?もちろん、学校によって方針はさまざまだと思うけど、小学校へあがる前に「あれもやらなきゃ」「これもできたほうがいい」と、まわりやネットの情報で不安が大きくなったり、子どもたちにも知らず知らずのうちにプレッシャーを与えていたりしていたのかなと思うと反省しました(実際小学校にあがると字が書ける、書けないはさほど気にならなかったです)。できたほうがいいものはできたらいいとは思うけど、変に不安を子どもに伝染させるよりは「ま、楽しく学校へ行けていればいっか」と、どんと構えていったほうがいいな、と思った入学前でした。
2019年03月12日