ときはすでに11月。絶望してる暇もないプレ幼稚園という初めての「社会」から拒否されたことは、まるで世界中から拒否されたような絶望感でした。いっそ幼稚園なんか行かずにスバルと2人きりで過ごそうか、なんて考えたりもしました。2人きりの世界なら誰かが決めた枠からはみ出ても何も言われないし、誰とも比べられないし、迷惑もかけないし、ただのかわいいかわいいスバルのままでいられるから。しかしプレ幼稚園の通園を毎週楽しみしていたスバルの姿が頭に浮かび、考え直しました。集団活動が苦手でマイペースに振る舞うスバルですが人が好きなのです。スバルは人に囲まれてニコニコ笑っているのが似合うのです。「そんなスバルにピッタリの幼稚園を探そう」と決意したのでした。しかしときはすでに11月目前。各幼稚園の入学願書受付開始が始まる時期です。とにかく時間がありません。ママ友がいない私ですが、たまたま公園で出会った先輩ママさんに「人気のある幼稚園は入園願書受付日の前夜から並ぶ」と聞いていました。つまり4月までに幼稚園が見つかれば良いのではなく、今すぐ新しい幼稚園を見つけて願書受付日に間に合わせなければいけないのです。プレ幼稚園から退園勧告を受けるまで、この幼稚園にそのまま入園する予定でいたのでそれ以外の幼稚園の情報がゼロの状態からのスタートです。スバルにぴったりの幼稚園とは?プレ幼稚園を退園した日、夜になっても全く眠れませんでした。どうせ眠れないならと、インターネットで近隣の幼稚園をリストアップすることにしました。特色や教育方針、年間行事の写真などを吟味しながら、徹夜で幼稚園の情報を集めました。ホームページを読み込んだだけでもいろいろな特色があることが分かり、マーチングバンドとかミュージカルのようなスバルが苦手な集団活動に力を入れている幼稚園はリストから外しました。逆にスバルが楽しめるものが何か考えると…Upload By 星あかり当時はまだ乗り物以外のものへの興味が分からなかったので、「のびのびと」「一人ひとりひとりの個性を大事に」「自分らしさを育む」みたいな若干ふんわりした表現を頼りに、いわゆる「のびのび系」の教育方針と思われる幼稚園を当たることにしました。ちなみにホームページに障害のあるお子さんの受け入れの有無が書かれている幼稚園はなかったので1件ずつ電話してみるしか手立てはありません。退園したプレ幼稚園は地域の中ではのびのび系で有名な幼稚園だったので「この幼稚園に断られた子」という肩書きを背負ったスバルがほかの幼稚園で受け入れてもらえる気がしませんでした。発達障害がある子どもを受け入れる園を探して。泣きながら幼稚園に電話朝が来て、幼稚園が始まる時間になって「今日はリストの中から10件の幼稚園に電話をかけよう」と決意しました。全部断られたら明日また10件。それも全部断られたとしたら、私たちはどうなってしまうのだろう…。断られることを前提でかける電話は本当に怖くて、幼稚園の電話番号を電話に入力してから通話ボタンを押すまでに随分と時間がかかりました。何度も呼吸を整え、やっとの思いで1件目の幼稚園に電話をかけました。この日の私のコンディションは、頭は冷静なのに常に涙があふれてくるという非常に良くない状態でした。泣きながら電話をかけてくる不安定な母親という第一印象を持って欲しくなかったので、泣いているのを悟られないようアナウンサーを意識したハキハキした口調で事前に用意していた原稿を読み上げました。原稿にはチャート式で話すことをまとめてあり、先方の返答をある程度予測してさらにその先の返事ができるように細かく書いていました。徹夜明けのポンコツの脳みそでも対応できる完璧な原稿です。今までの経緯や自閉スペクトラム症と診断されたこと、そしてスバルの今の状態を説明し「可能でしたら見学や面談をさせていただけますか!」と。本当はポタポタと涙が顎から滴り落ちていましたが、そんなことを感じさせない明るく元気な声で話すことができました。電話を受けた幼稚園の先生の反応は電話の向こうの先生は「なるほど」と言ったあとほんの少し無言になりました。「ああ、今、断る言葉を探している」と思いました。しかし先生は「お母さんのことが心配です。今日でも明日でもスバルくんと一緒に幼稚園の見学に来ませんか?」と言ってくれたのです。明るく元気な声でハキハキと話したはずなのに心配されてしまいました。バレバレです。それはさておき、「スバルくんは他害は?オムツは?着替えは?意思の疎通は?食事は?癇癪は?」そんな質問は一切なく、一番最初に私を心配する言葉をかけてくれたという事実に困惑しました。そんな優しい言葉は用意していたチャート式原稿に載ってなかったから。こうして翌日、この幼稚園に見学に行くことになりました。10件、20件電話をかけて全部断られるつもりで始めた幼稚園探しでしたが、実際には3件電話して3件とも見学や面談に呼んでくださり、入園もウェルカムという結果になりました。本当に予想外のうれしい結果になりました。3つの幼稚園にはそれぞれの良さがあり、どの幼稚園の方針がスバルに向いているのだろうと頭を悩ませました。しかし最終的には最初に電話したこの幼稚園に決めました。Upload By 星あかり電話で先生からかけてもらった優しい言葉の記憶は何年経っても色あせることなく心に残っています。スバルと共に成長する中で孤独を感じたとき、スバルと2人だけの世界に逃げ出したくなったときにふと思い出し「この世界には私たちを心配して一緒に考えてくれる人がいる」と前を向くお守りのような言葉になりました。執筆/星あかり(監修:初川先生より)新しい幼稚園探しのエピソードをありがとうございます。退園を言い渡されたあの夜にリサーチされたのですね。本当にお疲れ様でした。退園を言い渡されると、社会から拒否された感じ、世界から拒絶された感じがされるとのことでしたが、同じような思いをされた保護者の方も多くいらっしゃることと思います。排除された、入れてもらえなかったということの保護者の方への衝撃の大きさ、計り知れないほどだったとお察しいたします。さて、衝撃を受け、眠れぬ興奮した頭でリサーチをして、翌朝から電話をかけ始めたとのこと。電話で確認・質問することをフローチャートにまとめられたこと、素晴らしいです。緊張しながら、そしてそもそもの心持ちとして穏やかならぬ心で話をしなければならないときは、そうした準備がとても大切です。勇気をもってお電話されて、そしたら予想外のあたたかい言葉をいただけて。新しい園探しは順調に進んだようで何よりです。お子さんに何らか課題や障害があると分かっている場合、そうした経緯や状態について整理してお伝えするとスムーズに進みやすい面はあります。前の園のようにNGの場合は早い段階でそう伝えてくるでしょうし、そうではない場合は事情を知ったうえで建設的な話が展開されやすくはあります。お子さんをうまく受け入れていただけるか不安だと、場合によっては、できれば言わずに隠しておきたいと思うこともあるかもしれませんが、知っていることや経緯について話してそれを受け入れてくださる園(先生方)を探す方がよいと感じています。これは幼稚園だけに限らず、小学校入学やそれ以降も同じで、ご心配なことを伝えたうえで、建設的な話し合いをし、お互い準備を整えたうえで入園入学等に至ることが大事なように(うまくいくように)感じています。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年05月18日ひどい癇癪は経験してこなかったUpload By まる穏やかタイプの息子を育ててきて、今まで特に癇癪やこだわりに悩まされることはなかった。もちろん気に入らないことがあるときは泣いたり、散歩中息子の行きたい方向と違う方向へ行こうとすると泣いて地面に座り込み動かなくなるなどはあったが、息子自身の切り替えがうまいのか、その場を移動してしまえば長時間泣き続けて悩まされる…といったことはほぼなかった。ただし、苦手な場所やこの場にいたくないなどの状況だと、その嫌な場所を離れるまで泣いたり不機嫌は続く。今までも慣れない療育に通い出したときは泣いて教室から出ようとしていたり、いつもと違う保育園の行事のときには泣き続けて行事に参加できずに帰宅したこともあった。つい最近だと息子は動物園や水族館が苦手なようで、動物園内に入ってからずっと不機嫌で動物を何も見ずに通り過ぎ早々に帰宅するなどがあった。嫌なことに対する表現ができているからか、暴れたり手がつけられないほどの癇癪はない。思い通りに行かないときUpload By まるそんな息子も最近になって困りごとが出てきた。自分の気持ちを表現できるようになったが、その方法が思い通りにいかないことがあるときに叩いてくるようになったのだ。息子はテレビが見たいのに「今からご飯だからあとで見ようね」と言われたときや、息子は別の方向へ行きたいのに「こっちに移動しようか」と言われたときなど、思い通りにならないとすぐに手が出てしまう。ママの「ダメよ」「やめなさい」などの否定的な言葉にはとても敏感で、すぐに不機嫌になり叩いてくるので、あまり否定的な言葉にならないように言い換えたりしてるが、日々忙しい毎日を送っていると言い換えなど忘れて叩かれお互い嫌な気持ちになることが増えている。療育の先生に相談したところ、まだ嫌な気持ちを説明できないせいで、叩くことが表現方法になってしまっている。言葉で説明できるようになれば変わってくるよ。と言われた。「いらなーい」「かえるー」の連呼Upload By まる息子自身単語はよく出るようになっており、最近は気に入らないことがあると「いらなーい」「かえるー」などのマイナスな言葉を連発するようになっている。この前、ファミリーレストランに入った際に混んでいて少し順番待ちをしなくてはいけなかった。私は息子に「順番だよ」「待ってようね」などのできるだけ簡単な言葉で何度も説明したが、息子はそれが気に入らなかったようですぐに「いらなーい、かえるー」を連発で私を叩く。それなら仕方ないとレストランを出ると、「(さっき出てきたレストランへ)いくー!」と怒っている。仕方なく戻るとまた順番待ちをしなければいけないため「いらなーい、かえるー」の連発。息子に繰り返し説明しながら順番待ちをしたが、周りの目も気になるしなんだかとても疲れてしまった。手が出たときはUpload By まる保育園でも話を聞くと、気に入らないときに先生を叩くことも増えているとのこと。ただ「もっと前はかみつくこともありましたよね」と先生から言われて、そういえばと思い出した。頻繁じゃないからすっかり忘れていたが、気に入らないときにガブっとやられてあざになったこともあった。かむではなくて手で叩くになっただけ成長しているのかもしれないとふと思った。ただ、叩くのが今のところまだ大人に対してだけだが、いつお友達に手が出るか分からない不安があり、先生にも相談をしている。叩かれるたびに息子の目を見て「痛いよ」「悲しい気持ちになる」「○○が嫌だったね」などとお話するようにし、状況に応じて「ごめんね」と言ってもらうようにしている。執筆/まる(監修:新美先生より)お子さんが小さいころ、同世代の子どもが喜ぶ場所や、そこまで嫌がらない場面でも、自分の子どもだけが不機嫌になってしまうと、保護者としては困ってしまって、そうしたことが繰り返されると疲弊してしまうことがありますね。お子さんが一人ならお子さんに合わせて行動することができても、ほかのきょうだいもいたりすると対応できないこともあります。この子はこういう場面は苦手だからと、はっきり分かってしまえばそこには近寄らないようにすればよいですが、そこまで開き直るまでの期間が保護者としては苦い思い出になることもありますね。お疲れさまです。まだ言葉が十分育っていない時期に、拒否やイライラを伝える手段として、「叩く」などの手段をとることがあります。もちろん不適切な表現であることは確かで、やめさせたいものではありますが、このことに対して「だめだよ」と言葉で叱っても効果はほとんどありません。嫌だということを伝える手段が獲得できれば叩くということをしなくてもよくなるのですが、簡単にはいかないです。視覚支援などを使って活動の見通しを伝えて、やるかやらないか選べるようにする、やりたくない行動は「×」などのジェスチャーで拒否すれば受け入れてもらえる、その場を離れてカームダウンスペースで落ち着けるなど、本人が拒否できる環境と手段を獲得していくことが必要です。ですがそんなことを試みる前に、言葉が増えてきて、言葉で伝えられるようになると、激しい他害・癇癪は減っていくということも実際には多いかもしれません。お子さんがまだ発語は単語レベルという場合、言葉の理解もしているようで、複雑なところは十分に伝わっていないかもしれません。この段階では、叩いたことを謝るということにはこだわらなくてもいいかもしれません。「叩くー謝る」が、ただのパターンになって定着するだけになることもあります。叩くことがよくないことであることを伝えたいのであれば、〇と×を絵にかいて伝える(〇:「いや」のジェスチャーの絵、×:叩いている絵)とか、叩くとけがをして血が出てしまって泣いてしまう、というような場面をイラストにして伝えるなど、言葉だけではなく視覚的に伝える工夫もしてみるといいかもしれません。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年05月17日「2年生になったし頑張ろうかな!」Upload By 丸山さとこ中学2年生に進級したコウは、いつになくはりきっているようです。「提出物を全部出せるようになりたい」と言い、宿題の作文でもその決意を語っていました。「2年生になったし頑張ろうかな!と思って!」と晴れやかな顔で言うコウを前に、『なぜ進学した節目の1年ではなく2年の今…?』という疑問を全力で飲み込んで応援している私です。そんな風にやる気に満ち溢れ、実際に行動をしているコウを見ていると感心しますし、うれしく思います。ただ、それと同時にあまり期待していないところもあります。なぜなら今までの流れから考えると、新しい刺激の効果は長く続かないからです。「2年生に進級した」という新しい刺激はコウの行動に変化を起こします。でも、その刺激は行動が定着するほど長く続くものではないため、「次の新しい刺激」が必要になってくるのです。それを用意することは簡単ではない上に、気持ちの盛り上がりや意識の力だけで習慣を身につけようとすることは今のコウには難しそうです。やる気を出しているうちにできることはないかと目論んだ結果「とはいえ、せっかくコウがやる気を出しているのだし少しでも助けになれば」と思い、私は新しい方法を提案してみました。机の横に手提げバッグを下げて、そこに持ち帰るプリントや問題集を入れるという方法です。Upload By 丸山さとこ以前からその方法があることは知っていましたし、小学生のときに試そうとしたこともあります。ですが、コウ本人が「手提げバックを絶対学校に忘れると思う」と渋ったため無理強いはしませんでした。当時、それを聞いた私も「確かに忘れるだろうな」と思った覚えがあります。それくらい忘れ物が多かったのです。当時よりは減ったものの今でも体操服や給食袋を忘れることは珍しくないコウですが、今回は「やってみる」とすんなり受け入れてくれました。学校から物を持ち帰ることが難しい子どもにとって、「机の中に入れたものを持ち帰ること」は、かなり難しいのだろうと思います。コウを7年間見守ってきた今は、特にそう実感しています。Upload By 丸山さとこ学校の机の収納空間には、「のぞき込んだり中身を出したりしないと、一目では何が入っているか分からない」という管理の難しさがあります。この7年間、コウの机の中が整頓された状態は見たことがありません。今までのコウと忘れ物のこと、そして学校の机収納の惨状を考えると、「机収納の管理やファイリング能力の向上によってコウの忘れ物が解決することは、少なくとも現時点では難しいだろうな!」と思います。Upload By 丸山さとこそうであれば、まだ『机の横の手提げ袋に入れる習慣』の定着を試みたほうが、今後の助けになる可能性があるのではないかな?と考えています。もし今後、先生の支援をお願いする機会があったときには、「帰りの会の段階で手提げ袋が机の横にかかったままになっていたら、リュックに入れさせて下さい」と具体的にお願いすることができるからです。支援を受けるためにできることを、スモールステップで小学校と違い、中学では教科ごとに担当の先生がプリントを配り宿題の指示を出します。それをクラス担任の先生が把握することは難しいです。それらをコウに持ち帰らせるべく机の中をチェックしていただくことは、作業にかかる手間のことを考えても難しいだろうと思います。ですが、「机の横にある手提げ袋をリュックに入れさせる」であれば、担任の先生によっては引き受けていただける可能性があります。コウが一人で解決するのが難しいことに関しては、『支援を頼みやすい状態まで持っていく』のも、コウができる一つの解決方法なのかもしれないなと思うこのごろです。スモールステップで進めていくことで、『ここまではできるようになった』の先を『ここからは難しいので助けが欲しい』として依頼しやすくなるかもしれません。そう考えると、スモールステップをどう設定して進めていくのか、新しい視点を増やして模索できるようになるかもしれないなと思いました。Upload By 丸山さとこ執筆/丸山さとこ(監修:新美先生より)中高生の忘れ物・持ち帰り物対策は不注意のあるお子さんでいよいよ苦労するところですね。まだまだ自分で管理できるようにはならないし、小学生のときのように担任と保護者の連携だけではフォローしきれなくなり、間もなく社会に出ていくことを想像すると親として焦る気持ちが大きくなる時期です。さすがの丸山さん、これまでの経験から、新年度のお子さんの張り切りも一時的なものでそこまで長く続かないだろうと予測しつつ、その張り切っている時期に乗じた新規試みを提案してみる、ハードル低めに…という一連の流れが小気味よいですね。片付け方について、ASD傾向が強くADHD傾向がない方は、1対1対応できっちりしまう場所を決めてラベリング・ファイリングするようなやり方が向いている方が多いのですが、ADHD傾向がある方は、1対1対応の収納は定着しにくいようです。ADHD傾向のある方で中高生ぐらいになっていくらか自覚が出てきた方であれば、コラムにあるような、もらった瞬間にワンアクションでなんでも同じ場所に一緒くたでいいからとにかく袋に入れればOKみたいなやり方は、取り組みやすそうです。1つの袋にいれるとごちゃごちゃになるので取り出すときはフォローが必要かもしれません。とにかく「持ち帰ろう」と思った瞬間にワンアクションで、手の届く範囲に持ち帰るものを入れる袋があるというのは、とてもよいやり方だと思います。大人になっても大きい鞄1つでどこにでも持っていってなんでも入れておくというやり方で乗り切っている人いますよね。そこにつながる。中高生ぐらいになると、「いいかげん全部自分でできるようにならないと」と親も先生方も思いがちですが、サポートする側にそこまで大きな負担にならない形で合理的配慮をお願いするのは、中高生であっても必要ですし、大人になっても必要に応じて周囲の人に合理的配慮をお願いすることもできるのだというつもりで、本人が今できることをスモールステップで練習していくのがよいと思います。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年05月16日場面緘黙(場面緘黙症/選択性緘黙)とは?場面緘黙(場面緘黙症/選択性緘黙)とは、発声器官の障害がなく言語能力にも問題がないにもかかわらず、特定の場面で話せなくなってしまう疾患です。家族とは話せるのに、幼稚園や学校などで先生やクラスメイトなどと話せない場合があります。2~4歳での発症が多いですが、学校へ行き始める時期まで気づかないこともあります。このコラムでは、・場面緘黙の「環境の整え方」・場面緘黙は親の育て方が原因?・場面緘黙は治るの?・場面緘黙の治療について・場面緘黙の診断は何科を受診すればいいの?など、場面緘黙にまつわるギモンから、子どもに場面緘黙がある保護者のお悩みや困りごとなど専門家の先生のアドバイスを交えてご紹介します。【発達ナビQ&A】場面緘黙のわが子はどうしたら喋れるようになる?「環境を整える」ってどうしたらいいの?発達ナビのQ&Aコーナーでは、子育てに関する疑問や知りたいことを質問するとほかの発達ナビ会員の方々が実体験などをもとに答えてくれます。場面緘黙に関する質問とその回答をご紹介します。3歳の息子が場面緘黙です。本人が安心できる環境を整えると良いと記事にありましたが、具体的にどんなことをすれば良いのでしょうか。家庭や幼稚園の何を変えればより安心できる環境になるのでしょうか。出典:こちらの質問には以下のような回答が寄せられました。(略)場面緘黙のお子さんのお母さんは、常にお子さんの代弁者としてお友達にお子さんの気持ちを伝えるのが仕事です。黙っているけど楽しいとかうれしいとか遊んでくれてありがとうとか。実際にこれをしていた保護者のお子さんは小学校低学年で決まったお子さんとなら話せるようになっていました。あとは幼稚園の後にお家(お子さんが話せるから)へ招待したり、お泊まり会をしたり、土日は地域の活動やお稽古事で幼稚園のお友達や小学校のお友達と会うようにしていました。話せないことをプレッシャーに思わないような配慮をしてもらってなるべくみんなと同じ事をさせて貰うことです。例えばお当番さんは前に出て話すのですが、紙に書いたものを持たせるとか、お友達に声だけやってもらうとか、オープンにして多くのお友達に助けてもらう事です。沢山の好意的な援助をもらえると安心するのかな?と思います。出典:場面緘黙に関するギモンと体験談をもとにした回答をご紹介いたしました。発達ナビQ&Aコーナー場面緘黙のあるお子さんは、家や心地の良い場所、リラックスできる環境では話すことができます。強い不安によって症状が引き起こされるものです。コミュニケーションを取らないことで不安を軽減し、不安を増大させる社会的やり取りから身を守っています。家庭では、リラックスして話せる環境を維持するようにしましょう。外出先では、慣れている家族だけで他人から注目されなければ話すことが可能なお子さんもいます。外出先でも、家と同様のリラックスした環境を整えると良いですが、事前にどのような場所に行くのか、何をするのかを見通しを立てておくと、不安の軽減につながります。学校は、場面緘黙のお子さんにとって、家と同じように振る舞うことが最も難しい場所です。何よりもまず、お子さんに関わる大人が、お子さんを知ろうと努めることが大切です。どのような環境だと安心して過ごしやすいのか、学校と家庭の連携が大切になります。過度なアイコンタクトは避け、選択肢式の質問で問いかけ、すぐの返答がなくても5秒待つというように、根気強く関わっていきます。少しでもコミュニケーションを取ろうとした場合に、さりげなく褒める言葉が出ることも大切です。Upload By 発達障害のキホン【小児科医に聞く】場面緘黙とは?育て方が原因!?治るの?何科を受診すればいいの?ここまで発達ナビのQ&Aコーナーに寄せられたギモンを中心にご紹介しました。ここからは、小児科医の藤井明子先生に場面緘黙の原因や、治療方法、受診科などをお聞きしたいと思います。(質問)子どもに場面緘黙があります。昔からおとなしいタイプの子どもでしたが、親の育て方で場面緘黙になることがあるのでしょうか。(回答)場面緘黙は、不安に対する遺伝的素因に加えて、脳機能に異常が認められるという報告もあります。不安の認知と反応をコントロールする扁桃体の機能自体が、過剰亢進を示唆する研究もあります。社会不安をもつ親御さんが、不安が起こされる状況を避けるので、結果的に子どもも、見知らぬ状況や人に接することをさけ、自発的に話をする機会を制限してしまう可能性はあるかもしれません。Upload By 発達障害のキホン(質問)子どもに場面緘黙の症状があります。診断や治療には何科を受診するのが良いのでしょうか?(回答)児童精神科、小児科を受診するのが良いでしょう。時間をかけてお子さんの状況を話をし、診察してもらう必要があるため、予約制のところが多いです。事前に症状を伝えて、問い合わせたのちに受診することをおすすめします。Upload By 発達障害のキホン(質問)場面緘黙は治るのでしょうか?(回答)どこでも誰とでも言語的コミュニケーションが取れるまではならなくても、安心でき、信頼できる人となら会話ができる程度になるお子さんもいます。学校と親御さんが連携して、少しずつ家以外の場所で、発声を出す機会を増やしていくことで改善した方もいます。まずは、空き教室で親御さんとお子さんが二人きりで話す→二人きりで話しているところの教室の前を先生が通る→二人きりで話をしているところに先生が入る、といった具合にスモールステップで、家以外で会話をする姿を見られても大丈夫という経験を繰り返しました。段階をふみ、特定の先生とであれば、さやき声で話すことができるようになりました。Upload By 発達障害のキホン(質問)場面緘黙の治療方法の流れなどが知りたいです。行動療法が有効と聞きましたが、一体どのようなことをするのでしょうか。(回答)場面緘黙に対する最も効果的な介入方法は、脱感作を用いた行動療法であることが多くの研究で示されています。脱感作の方法は2つです。1つ目は、子どもが現在話をしている人と行っている発話を、新しい場所や人へ広げていくことです。2つ目は、親御さんと普段通りの発話を維持しながら、部屋に入ってくる新しい人に対して、子どもの不安を徐々に軽減することです。いずれの方法も、親御さんや普段話をしている人の協力が必要になります。学校のスクールカウンセラー、先生との連携で対処されていたケースもあります。1回、2回関わってすぐに変化が起こるわけではないのですが、継続していくことが大切になります。Upload By 発達障害のキホン場面緘黙についての関連コラムはこちらコラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年05月15日不登校の歩き方は一人ひとりにある。1万人の当事者、親たちの言葉と語りーー『不登校の歩き方』少子化が進むなかでも不登校の小中学生は毎年増え続け、文部科学省によると2022年には全国で24万人、コロナ禍の自主休校など潜在的な不登校をあわせると30万人になると言われています。本書は、1万人を超える、不登校を経験した子どもたちや保護者の語りの記録から生まれ、不登校の悩みと質問に加え専門家のアドバイスがこの一冊に詰まっています。本書では、不登校に対する基本的な考え方や関わり方、子どもをより深く理解するためのヒント、昼夜逆転やネット・ゲーム依存への対応、きょうだいへの配慮、学校とのつきあい方、発達障害と不登校、進路問題など、多岐にわたる内容が取り上げられています。不登校は子どもからのSOSかもしれません。親は「不登校になってしまった」という言い方をする場面もありますが、これを「不登校になることができる」と考えてみると、子どもの見方も少し変わってくることも。親にとって不登校は困ったことかもしれませんが、子どもにとってはプラスの面もあると本書では書かれています。本書は、不登校で傷ついた子どもたち、そして、わが子と共に傷つき、悩み苦しみ疲れはてた親にとって「あわてない、せかさない、くらべない」ための処方箋のような一冊になるのではないでしょうか。子どもの心に寄り添う、ゆかいでホッとするお話ーー『がっこうのてんこちゃんはじめてばかりでどうしよう!の巻』この春、新1年生として小学校に通い始めている子どもたちもたくさんいることでしょう。授業や給食、クラスメイトなど、初めてのことだらけの学校生活。楽しい気持ちと同じくらい、不安やドキドキを毎日感じているのではないでしょうか。本書は『ツレがうつになりまして』の著者、漫画家・イラストレーターのほそかわてんてんさんが、そんな子どもたちに寄り添うお話をユーモラスな絵と文で綴った一冊です。本の主人公「てんこちゃん」は、初めてのことがとっても苦手。学校が始まり、クラス全員の前で自己紹介をすることになりましたが、緊張して何も言えなくなってしまうエピソードのほか、お弁当や遠足のお話などが全部で5話入っています。初めての学校で、誰もが経験する不安を「てんこちゃん」が少しずつ乗り越えていく姿を描いた本書は子どもたちの心に寄り添い、安心感を与えてくれることでしょう。絵と文が一体化しているので読みやすく、親子での読み聞かせはもちろん、子どもが自分で読むファーストブックにもおすすめです。日常生活、職場での困りごとに対する対処法が盛りだくさんーー『女性の発達障害 困りごとにどう向き合うか』発達障害は、男性よりも女性の方が症状が目立ちにくいことから、診断が遅れたり、診断されないまま成人してしまう人も多いと言われています。特に女性は、家事や育児など、家庭内での役割を任されることがまだまだ多い社会であり、その中で特有の負担、生きづらさを感じることも少なくないと考えられています。本書では、そんな発達障害がある女性たちが抱える悩みや生きづらさについて、具体的なアドバイスが提供されています。特に、「女性なのに」という視線、社会で求められる女性像とのギャップが、発達障害がある女性たちを苦しめることもあります。本書では、発達障害の基礎知識から始まり、家事、買い物、恋愛、人間関係など、日常生活、職場での困りごとや発生しやすいトラブルに対する具体的な対処法が紹介されています。この本の最終章では、自分をいたわり、自己肯定感を高める方法についても言及されています。あらゆる状況に対する具体的な対処法を知っていても、日常的に自分を責めてしまう癖があったり、リフレッシュ方法を知らなかったりすると、根本的な生きづらさは解消されないままになってしまうかもしれません。自分自身の心身の状況に向き合い受け入れることが、生きづらさをやわらげるための第一歩になるのではないでしょうか。本書は、当事者だけでなく、その家族、支援者などにもおすすめの一冊です。具体的な改善策をーー『マンガでわかる!「わたし、発達障害かも?」生きるのがラクになる「話し方」あります』本書は、発達障害と診断を受けた人やグレーゾーンの人、「自分は発達障害かもしれない」と思っている人が困りがちなコミュニケーションにおける問題について、具体的により現実的に改善していく方法として、精神科医ゆうきゆう先生の「心理メソッド」を漫画家jamさんのマンガで描いた作品です。「伝えることは1つ」に絞る、雑談や会話を途切れさせない「質問」のコツ、話す割合は「相手7:自分3」がちょうどいいなど、人間関係を円滑にする「コミュニケーションスキル」について解説されています。また、仕事がスムーズになる「報・連・相」の基本や、職場で使える「話す力」や「分かりやすい指示をもらうための工夫」、疲れやすい方に向けた「休憩の取り方のコツ」などのアドバイスも書かれています。本書の大半はマンガで構成され、困りごとやスキルなど項目ごとに描かれているので、自分が読みたいページから気軽に読むことができます。困りごとや苦手なことの改善策を一つひとつ具体的に知ることで、日々の生きづらさや不安が軽減されるヒントとなるのではないでしょうか。『発達障害のペアレント・トレーニング簡易版: プログラムの進め方と運営のコツ』「ペアレント・トレーニング」とは、保護者の方々が子どもとのより良いかかわり方を学びながら、日常の子育ての困りごとを解消し、子どもの発達促進や行動改善を目的とした保護者向けのプログラムです。もともと、知的障害や発達障害のあるお子さまを持つご家庭向けにアメリカで1960年台に開発されましたが、現在は幅広い目的や方法で展開され、多くの種類があります。本書は、ペアレント・トレーニングを効率的かつ効果的に行うための支援者のための実施マニュアルです。日本で広く普及している種類の1つ「精研式ペアレント・トレーニング」の従来10回程度のプログラムを、本書では全6回に凝縮。少ない回数で効率的に開催できるように工夫されています。第1章ではペアレント・トレーニングの基本を、第2章では全6回の実施の流れを「ねらい」「教示例」「ポイント」に分けて詳細に解説。また、ファシリテーターから参加者へ向けた効果的な言葉かけや、よく出る質問とその対応などもリアルに描かれ、実施のイメージがつかみやすい内容となっています。さらに、当日に提示するスライド資料の例も豊富に紹介され、巻末には「ワークシートとホームワーク」やパンフレットなど運営に役立つ資料も収載されています。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年05月14日「男の子だからこんなものか」が「何かあるかも」に変わった親子遠足1歳から保育園に入った息子は、保育園も問題なく過ごし、1歳半健診、3歳児健診で指摘をうけることもなく、親である私自身も息子にADHD(注意欠如・多動症)があるとは気づきもしませんでした。落ち着きのなさはありましたが、「男の子だからこんなものか」と思っていました。ですが、年少で行われた初めての親子遠足で私は「息子には何か特性があるかも」と違和感を抱いたのです。出発前に子どもたちが園庭に並んで先生の話を聞いていたとき、息子だけが列から脱走して園庭にある遊具で遊び始めたのです。乳児時代の保育園は大きな行事や団体行動がなかったため、周りのお友達と息子を比較できるような機会はありません。それまで私は、「3歳の子どもなんて、並んで話を聞けないのが普通」だと思っていたのですが、このとき初めて周りのお友達の成長を知り、明らかに違う息子の様子に衝撃を受けました。Upload By ユーザー体験談私は、すぐに保健センターに連絡しましたが、発達相談は約半年待ち。結局、年少の秋から地域の療育センターへ通えるようになったのですが、息子の問題行動は増え、私はどんどん追い詰められていきました。保育園でトラブル多発!どん底まで落ち込んだ年中時代団体行動が増えた保育園で、息子はよくトラブルを起こすようになりました。まず、息子は団体行動ができないので、いつも途中で脱走してしまいます。当然、運動会の練習にも参加できませんでした(ただ、練習には参加していなくてもどこかで理解しているようで、本番ではうまくできているのが不思議でした)。また、遊んでいたら途中で切り上げることができず、やめさせようとすると、泣いて暴れてしまいます。園では、みんなが席についたら給食を食べ始めるという決まりがあったのですが、給食の時間になって周りのお友達は席について準備をしていても、息子は前の活動をやめることができないため席につくことができませんでした。Upload By ユーザー体験談自分のペースを崩されると暴れたり、叩いたりしてしまうので、友達に手が出てしまうこともしょっちゅう。また、暑さ寒さに弱いので、屋外の活動がスムーズにできませんし、体幹を保つのが難しいのか、どこでも寝転んでしまいます。特に年中になってから、これらのトラブルはひどくなっていきました。私は、療育に通ってもなにも改善しないと焦ったり、保育園からなにか指摘されれば怒りを覚えたり、その一方で、息子が友達に手を出したという報告を受ければ、私たち親子は価値がないと思い込み、すべてを捨ててどこかに行ってしまいたいとまで追い詰められていきました。同級生や同級生の親御さんたちに会うのがつらくて、保育園の送迎を夫に頼んだ時期もありました。葛藤しながら通い続けた療育に救われた私ただ、そんな中でも療育には通い続けました。トラブル続きの中、藁にもすがりたい気持ちがあったからでした。実は、息子に「何かあるかも」と感じた親子遠足のころ、私の会社に自閉スペクトラム症のある方が障害者採用で入社してきました。その方は大学に入るまで自分の障害を知らず、療育なども受けず、生きづらさを感じながら人生を過ごしてきたと教えてくれました。そして、自分ももっと早く気づけて支援につながれていたら、ここまで生きづらさを抱えることはなかっただろうとも話してくれたのです。それを聞いた私は、息子の特性に早く気づくことができたのだから、療育を受けさせなければと強く思ったのです。息子は年少の秋から地域の療育センターに通い始め、年中までの間は月に1回作業療法(OT)と理学療法(PT)を受けました。コミュニケーションの改善より、体幹が弱くゴロゴロしてしまうことを課題とされていたので、トランポリンや平均台を使った体幹を鍛えるトレーニングが中心でした。私は、公的な支援を受けられて良かったという思いと、本当にこれで良くなるのだろうかという不安の間で揺れ動き、複雑な気持ちを抱えていました。当時はきちんと息子の障害を受容できていなかったということもあり、通所受給者証の書類にある「障害児」という言葉を見ると、改めて「息子は障害児なのか」と落ち込んだこともありました。Upload By ユーザー体験談そんな中、年長になった息子は、それまで通っていた地域の療育センターから、民間の児童発達支援の教室に移り、週1~2回の頻度で通所するようになりました。ここで、私たち親子に転機が訪れました。この児童発達支援では、母である私も先生に悩みを聞いてもらうことができたのです。障害を受容できないこと、息子の他害…悩む私の気持ちに共感をしてもらうと、それまで一人で抱えていた不安や焦燥感が消えていき、とても心が楽になりました。また、親子参加型の療育もあったので、初めて同じ境遇のお母さんたちと友達になることができました。保育園のお母さんとは違い、同じ悩みを持つ方とつながることができたことで、本音で語り合うことができました。本当に救われました。そのお母さんたちとは今でも仲良くしています。暗いトンネルのようだった障害児育児に、光が差し始めたときでした。Upload By ユーザー体験談小学校は通常学級へ入学。中学でも療育を継続しています年長の夏、特別支援学級と通常学級の授業を見学しにいき、息子にとっては通常学級がいいだろうとの判定を受け通常学級への入学、同時に通級を利用することになりました。そして、小学校入学から卒業までの間、息子は放課後等デイサービスで支援を受け、中学に入った現在も1ヶ所継続しています。保育園時代はとても大変でしたが、幸いにも息子は児童発達支援の教室や、放課後等デイサービスが大好きでした。とくに年長のときに通っていた児童発達支援では褒められることも多く、自信もついて、行動も良い方向へと変わっていきました。療育に行っていなければ母である私も悩みを打ち明ける場所がなく、毎日途方にくれるばかりで、息子との関係ももっと良くない状況に陥っていたと思います。勇気を出して相談して、息子にとっても私にとっても居場所となる教室や放課後等デイサービスと出合え、通い続けることができて良かったと心から感謝しています。イラスト/keikoエピソード提供/カプゴジラ(監修:鈴木先生より)保健センターの発達相談で半年待ちなど時間がかかる場合は、気軽にかかりつけ医に相談することをお勧めします。行けばすぐにでも話を聞いてくれる医者がそこにはいます。かかりつけ医が専門でなくてもどこかにパイプがあるはずです。それが医療連携です。特に地域の医師会に入っている先生であれば必ずどこの先生がそういう問題に強いかをご存じのはずです。ただ、専門の先生の外来も半年以上待つかもしれません。しかし、かかりつけ医からの紹介状があれば比較的早く診てくれる可能性はあります。これも医療連携なのです。各地域にはADHDや発達障がいの親の会があります。そういう場で同じ悩みを持った親同士の触れ合いができるのでこの機会に参加してみてはいかがでしょうか。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年05月13日TBS系日曜劇場 「ラストマン ―全盲の捜査官―」とコラボイベント!”目を使わないからこそ、できる”を体感する『ラストマン・イン・ザ・ダーク』ダイアログ・ダイバーシティミュージアム「対話の森」にて6月30日(金)まで開催Upload By 発達ナビニュース福山雅治さんが全盲のFBI捜査官を演じ、刑事役の大泉洋さんと共に難事件を解決していく話題のドラマ「ラストマン―全盲の捜査官―」(TBS系:日曜21時~)と、一般社団法人ダイアローグ・ジャパン・ソサエティのコラボイベント『ラストマン・イン・ザ・ダーク』が、東京・竹芝のダイアログ・ダイバーシティミュージアム「対話の森」にて4月23日(日)~6月30日(金)まで開催されています。「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」は、純度100%の暗闇の中を視覚障害者のアテンドの案内のもと、音、匂い、温度、手触りなど視覚以外の感覚をフルに研ぎ澄ませながら、人と人との関わりや対話(ダイアログ)を楽しむ体験型のソーシャルエンターテイメントです。1988年にドイツの哲学博士 アンドレアス・ハイネッケ氏によって考案され、世界47か国以上900万人を超える人が体験。日本では1999年に初開催し、これまで24万人以上が体験しています。今回のスペシャルコラボイベントは、「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」がドラマの全盲所作指導として全面協力したことにより実現しました。「ラストマン―全盲の捜査官―」の世界を暗闇の中に一部再現。福山さん演じる皆実捜査官の過ごしている世界を実際に体験することができます。「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」は、真っ暗闇の中で見ること以外の感覚を使い、驚きに満ちた発見をしていくと共に、対話を通してほかの参加者と協力し合うことで生まれる楽しさを感じられることも魅力。ドラマの撮影が始まる前、役づくりのために福山さんも同施設を訪れ体験したそうです。皆実捜査官の「目を使わない世界」を体感することで、ドラマがより一層楽しめることはもちろん、日々の生活のなかでも視覚障害がある人への理解を深めるきっかけになるのではないでしょうか。<詳細>期間: 2023年4月23日(日)~6月30日(金)場所: ダイアログ・ダイバーシティミュージアム「対話の森」東京都港区海岸1丁目10番45号アトレ竹芝シアター棟1F料金:大人3,850円(税込)/小学生1,650円(税込)※事前予約制(公式HPより予約)※体験は小学生以上が対象(保護者同伴が必須)※未就学の方は体験できませんチケット発売中所要時間・定員など:60分程度/1グループ8名様まで/1日最大24回開催(※日によって異なります)※クリックすると発達ナビのサイトから<ラストマン・イン・ザ・ダーク>のページに遷移します。宮沢氷魚さんが発達障害のある画家を演じる映画『はざまに生きる、春』5月26日(金)よりロードショーUpload By 発達ナビニュース宮沢氷魚さん主演、発達障害がある画家と女性編集者の恋の行方を描いた恋愛映画『はざまに生きる、春』が2023年5月26日(金)より全国の各劇場で順次公開されます。この映画は、出版社で編集者として働きながら自主映画を制作し高い評価を受けてきた葛里華 (かつ りか)監督による初のオリジナル長編作品。監督自身も過去に発達障害のある人に恋をした経験があったことが、この映画を撮るきっかけとなったそうです。宮沢氷魚さん演じる画家の透は、発達障害の特性から、自分の思ったことはそのまま言葉にし、感情を隠すことなく嘘をつけない。そんな真っすぐな透に惹かれていく小西桜子さん演じる編集者の女性・春。しかし、「誰かの気持ちを汲み取る」ということができない徹の言動に春は思い悩みます。「相手をもっと知りたい」と思う春の想いや、すれ違いを描くことで、人と人とのコミュニケーションの本質を問いかけてくる作品となっています。<劇場公開>2023年5月26日 (金)よりテアトル新宿ほか全国ロードショー※クリックすると発達ナビのサイトから<はざまに生きる、春>のページに遷移します。100個の質問で会話が弾む、おしゃべりOKの展覧会!『tupera tupera + 遠藤幹子 しつもんパーク in 彫刻の森美術館』2024年3月31日まで開催Upload By 発達ナビニュース箱根にある彫刻の森美術館では、絵本を中心に多彩な活動を続けるユニットtupera tupera(ツペラ ツペラ)さんと、NHK Eテレ『いないいないばあっ!』の空間デザインも担当する建築家の遠藤幹子さんが手掛ける『しつもんパーク』を2023年4月28日(金)から 2024年3月31日(日)まで開催しています。箱根の自然を活かし、国内で初めての野外美術館として1969年に開館した彫刻の森美術館。屋外展示には、近・現代を代表する彫刻家の名作約120 点が常設展⽰されています。また、ピカソ館をはじめとする室内展⽰場や、⼦どもたちが体験できる作品のほか、天然温泉の足湯もあり、年代を問わず憩いのひとときを過ごすことができる美術館です。この企画は、家族や友人、初めて会った人、みんなに聞いてみたい100の質問が書かれているワークブック『しつもんブック 100(tupera tupera著:青山出版)』をベースに、館内のさまざまな場所に設置されている“しつもん”に答えながら、彫刻の森美術館のアート鑑賞を楽しむことができる参加型展覧会です。メイン会場には、子どもたちが遊びを通して、色彩の美しさや造形の面白さを発見することを目的として遠藤幹子さんが設計した体験型アート作品を展示。また、tupera tupera(ツペラ ツペラ)さんの絵本の原画展示や、国内で出版した絵本を手に取り閲覧できるコーナーもあります。さらに、絵本やグッズが充実したショップのほか、カフェではオリジナルドリンクの販売も予定されています。たくさんのおしゃべりを通じて「人と人」、「人と場所」がつながることを目的とした楽しい展覧会。緑豊かなこの季節、箱根へこの機会にお出かけしてみてはいかがでしょうか。<詳細>日時:2023年4月28日(金) 〜 2024年3月31日(日)会場:彫刻の森美術館 (アートホール / ポケっと。 / 丸太広場キトキ / カフェ / 屋外展示場)開館時間:9:00 〜 17:00 (入館は閉館の30分前まで)休館日:なし (年中無休)料金:美術館入館料※美術館入館料についてはホームページをご覧ください※クリックすると発達ナビのサイトから<しつもんパーク>のページに遷移します。彫刻の森美術館ホームページベルリン国際映画祭金熊賞受賞!日仏共同製作のドキュメンタリー『アダマン号に乗って』4月28日より公開Upload By 発達ナビニュースドキュメンタリー映画の巨匠ニコラ・フィリベール監督最新作、第73回ベルリン国際映画祭コンペティション部門で最高賞の金熊賞を受賞した日仏共同製作『ON THE ADAMANT(英題)』が、『アダマン号に乗って』の邦題で4月28日より全国上映されています。「アダマン号」は、パリの中心地・セーヌ川に浮かぶ木造建築の船で、精神疾患がある人たちを無料で受け入れるユニークなデイケアセンター。そこには毎日、桟橋を渡っていろいろな人がやってきます。本作は、そんな「アダマン号」での日々をそっと見つめ、優しい眼差しでとらえたドキュメンタリー映画です。「アダマン号」では、絵画や音楽、ダンスなど数多くのワークショップが行われ、創造的な活動を通じて、患者同士の結びつきや社会と再びつながることをサポートしています。そして、そこで働く看護師や職員らは患者の自主性を尊重し寄り添い続け、患者もスタッフも区別なく、誰もがいきいきと表現豊かに過ごすことができる場所なのです。フィリベール監督は、2021年から22年の数ヶ月間、このアダマン号に足を運び、この施設に通う人々をカメラ越しに見つめてきました。『アダマン号に乗って』の日本公開は当初、2024年春を予定していましたが、フィリベール監督の「日本の観客にいち早く届けたい」という強い思いと、金熊賞受賞後の国内外のメディアや映画ファンから大きな反響を受け、2023年4月のフランス公開から日を開けず、4月28日(金)から公開されることになりました。この機会にぜひ、ご覧になってはいかがでしょうか。<劇場公開>2023年4月28日 (金)より上映中ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次公開中※クリックすると発達ナビのサイトから<アダマン号に乗って>のページに遷移します。当事者としての経験をいかしてーー立命館大学の学生が発達障害児者支援アプリを開発Upload By 発達ナビニュース発達障害がある子どもが自分の特性を深く理解し、必要な支援を求められる力や、自らの力で自分自身を支援するスキルを身につけられるアプリ『Focus on』を、立命館大学産業社会学部3回生(休学中)の森本陽加里さんが開発しました。森本さんが『Focus on』の開発を始めたのは高校在学中から。背景には、森本さん自身も発達障害の当事者であり、その特性から学校生活に悩み、小学2年生から2年間、再び中学2年生で2度の不登校に。その苦しんだ経験から「発達障害の子どもたちが救われる環境をつくりたい」と、支援アプリ『Focus on』を立案しました。大学進学後もアプリ開発を継続し、学生起業家の登竜門と呼ばれる「キャンパスベンチャーグランプリ」大阪大会で最優秀賞、全国大会で日刊工業新聞社賞を受賞。立命館・社会起業家支援の仕組みを活用し、2022年末に一般社団法人の設立を果たしました。森本さんが開発した『Focus on』は、発達障害の子どもと「疲れ」について着目したアプリです。アラート機能付きの疲労度測定機能と自己支援記録機能が搭載され、子どもたちが「頑張りすぎて、ポキっと折れてしまう」状態を防ぐことができます。本人が記入した疲れや困りごとを安心できる人のもとへ伝え、また、本人が頑張りすぎないように伴走してくれる、まるでバディのようなアプリとなっています。※クリックすると発達ナビのサイトから<Focus on>のページに遷移します。【子どもたちのアール・ブリュット2023】おかざき世界子ども美術博覧館にて2023年9月24日まで開催Upload By 発達ナビニュース愛知県のほぼ中央に位置し、徳川家康の出生地としても有名な岡崎市にある「おかざき世界子ども美術博物館」にて、『子どもたちのアール・ブリュット2023』が2023年4月1日(土)~9月24日(日)まで開催しています。アール・ブリュットとは「生(い)きの芸術」という意味のフランス語で、芸術の教育を受けていない人たちによって制作された独自の概念を指す言葉として1947年ごろから用いられています。伝統や流行、教育などに左右されず、自身の内側から湧き上がる衝動のままに表現した芸術を示し、おもに障がいのある人たちによる造形活動が活発に展開されています。おかざき世界子ども美術博物館では、2021年度から障がいのある子どもたちの作品の常設展「子どもたちのアール・ブリュット」を開催。現在開催中の2023年度前期展示では、岡崎市内の特別支援学級、愛知県立岡崎聾学校、愛知県立岡崎特別支援学校、愛知県立岡崎盲学校、愛知教育大学付属特別支援学校に通う子どもたちが制作した作品を紹介します。どこまでも自由で、あふれる創造力で表現された作品の数々。障がいのある子どもたちのひたむきな表現活動に触れることで、アールブリュットを身近に感じる機会になるのではないでしょうか。<詳細>日時:2023年4月1日(土)~9月24日(日)休館日:毎週 月曜(5月1日、7月17日、8月14日など※9月18日は開館)※祝日は開館し翌平日休館(詳しくはホームページをご確認ください )開館時間:9時00分 ~17時00分(入館は16時30分まで)料金:無料会場:おかざき世界子ども美術博物館2F第4展示室※クリックすると発達ナビのサイトから<おかざき世界子ども美術館>のページに遷移します。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年05月12日障害のあるわが子と一緒にアウトドアを楽しみたいけれど…わが家はキャンプやバーベキューなどアウトドアで活動する機会が多いです。そんな私たち家族を見て、友人から「障害のある子どもを連れてのキャンプって大変じゃない?」と聞かれることもたまにあります。普通に生活するだけでも大変なので、それはもちろん「大変」なのですが、そんな中でも楽しく過ごせるようにさまざまな工夫をしています。Upload By みんまず、Pを連れてのキャンプでは、何よりも安全を重視しないといけません。キャンプ場によっては川や海が近くにあったり、急な段差など足場が悪いところがあったりと、自然の中では100%安全な場所は存在しません。Pは水が好きだし高いところも好きなので、キャンプへ行くとPから目を離す余裕は全くなく、私は常に周りを見ながら危険を予測、予防しながら過ごしています。Upload By みん自然の中は危険がいっぱい!何をどう注意すれば良い?それでも疲れたときやトイレに行きたいときなど目を離さざるを得ない場面があります。そんなときは必ず夫にPを見てもらうよう声をかけ、Pには安全のために車の中やテント、ハンモックの中で少しの間待ってもらうこともあります。小さいときにはハーネスも役に立ちました。また私たちの近くで過ごしているほかのキャンパーに迷惑がかからないように注意することも必要です。そのようなストレスを少しでも減らすために、キャンプ場を選ぶときはできるだけハイシーズンを避け、人が多く混雑しそうな人気のあるキャンプ場は、最初から選ばないようにしています。たとえ施設の設備があまり整っていなくても、人が少なくて安全な場所を選ぶようにしています。それでもどうしても大変そうな場合は、テント泊ではなくロッジやコテージ泊などを選択するのも良いと思います。偏食のわが子の食べものはどうする?持って行くおもちゃは?次にアウトドアでの食事ですが、偏食のPはキャンプで食べられるものが限られてしまうので、Pが食べられるパンやお菓子はもちろん、バナナやコーンフレーク、パウチゼリーなど常温で置けて食事の代わりになりそうな物をたくさん持って行っています。アウトドアに持って行くおもちゃも、いつの間にか落としたり無くしたりする可能性があるので、1番のお気に入りではない物を少しだけ持たせています。もし落としても探しやすいよう目立つ色や大きさの物、そして最悪無くしたとしても、またすぐに買える物を選んで持って行くようにしています。Upload By みんアウトドアで過ごすのは大変だけど経験を積み重ねると…キャンプに興味はあっても障害児を連れてはなかなかハードルが高く踏み出せないこともあるかもしれません。想像するだけでも大変なことのほうが多いですし、実際、楽しさより疲れが勝ってしまうかもしれません。でもわが家の場合、確かにかなり大変ではありましたが、幼いうちからキャンプに慣れさせて、外で過ごす経験やどんな場所でも寝る経験を積み重ねてきたからこそ、Pが7歳になった今では、キャンプへ連れて行っても幼いときほどのこまり感は減りました。Pの行動も大体予測できるようになったので、不安やストレスはかなり減り、私もキャンプをゆっくり楽しめる時間がつくれるようになりました。良い意味で親子共に年々アウトドアでの活動に慣れることができています。これからもPと一緒にアウトドアを楽しみたいと思います。Upload By みん執筆/みん(監修:新美先生より)キャンプなどアウトドア活動での工夫について、具体的な工夫を詳しく教えてくださりありがとうございます。キャンプ自体に慣れない人から見れば、危険も多そうなアウトドアにわざわざ連れて行かなくてもいいのではないかと一瞬思ってしまいがちですが、とてもしっかり対策をしたうえで家族で楽しまれているのは素敵だなと読ませていただきました。親やきょうだいのもともとの趣味や家族で楽しんでいた活動に、特性の強いお子さんを参加させるのには苦労もありますが、スモールステップで少しずつ慣れていき、さまざまな工夫をして一緒に参加できるようになれるのはとてもいいですね。特性の強い子どもがいるからと、あきらめずに、準備して工夫して安全を確保して、いろんな活動を広げていけるのは、親子ともどもに生活の充実になり大事なことだと思います。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年05月12日利用者のみなさまの声をサービスに生かしたい!アンケートへのご協力お願いします発達ナビでは、みなさまに役立つ情報や機能をより多く提供させていただくために【ユーザーアンケート2023】を実施しています。発達障害のあるお子さんやそのご家族、発達障害のある当事者の方のご状況は、まさに千差万別です。また、支援者の方が感じられている課題感や必要な情報もさまざまだと思います。ぜひ、みなさまのご状況やお考えのことを教えてください。発達ナビへのリクエストもお待ちしております!アンケート結果は、発達ナビの運営や株式会社LITALICOの各種サービス提供の参考として使用させていただきます。誰もが過ごしやすい社会をつくっていくためにも、ぜひみなさまの声をきかせてください。また、アンケートの最後に「インタビュー調査(謝礼あり)」のご案内もありますので、ぜひご覧ください。※1. アンケートは匿名です。「インタビュー調査」にご協力いただける場合は、ご同意の上、メールアドレスのご記入が必要です※2. 回答時間は10~15分程度です※3. 総問題数は回答によって変化しますが、平均50問程度です発達ナビのコラム一覧ページお近くの発達支援施設が探せる!施設情報ページ子育ての疑問を相談できる!Q&Aコーナーコラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年05月11日わが家のゲーム、動画との付き合い方小学6年生の長男(グレーゾーン)も小学4年生次男も、ゲームで遊ぶのも動画を見るのも大好き!わが家のゲーム、動画との付き合い方をご紹介します。少なくとも小学生のうちは、ゲームにも動画にも触れさせたくありませんでした。とくにゲームはハマってしまうと毎日そればかりになってしまうから(子どものころの私がそうでした)。Upload By 星河ばよところが長男は放課後等デイサービスで動画サイトと出合い(タブレットの貸し出し時間が一日15分程度ある)、そしてほぼ同じタイミングで夫がこっそり買っていたゲーム機を見つけてしまい、それからはもう子どもの興味を止められなくなりました…。夫婦で話し合い、いろんな決まりをつくったり試行錯誤しながら、現在は下記のようなものになっています。....................................................................................平日の場合は宿題を、土休日の場合は自主学習(※)をすませることが条件のうえで① ゲームと動画視聴合わせて、平日は1日最大3時間、土休日は1日最大4時間までとする(ただし12時から19時までの間に限る)② 50分遊んだら10分休憩をとる③ 夕方までに1時間程度、公園へ遊びに行くこと(雨天中止)....................................................................................※自主学習は、長男が通信教育2教科、次男がネットの無料プリント教材4枚です(次男もそのうち通信教育をさせる予定)。ゲーム時間はもしかしたら多く感じられるかもしれませんが、わが子たちの場合、短すぎても結局約束を守れずだらだら遊んでしまいがちなのでこれで良しとしています。それを踏まえても長いですかね? 否定はしません(笑)。Upload By 星河ばよ私は子どものころ、母から「ゲームは1日1時間まで!」とタイマーをポイっと渡されましたが、ゲームしてると1時間なんてあっという間なのです。ほら、動画サイトやSNSを眺めていると時間があっという間に感じませんか?夢中になって兄弟であれこれ盛り上がる様子は微笑ましいです。普段は2人ともケンカばかりなので。(ちなみにゲーム機によっては保護者が子どものゲーム時間を管理できるアプリがあり、そこで遊べる時間が設定できます。設定時間になるとアラームで通知、さらにはそこでゲームを強制終了させることも可能)うちの子どもたちは約束の時間になってもパッとやめられません。私が在宅で仕事をしていて気づかないと特にそうです。設定時間にパッと強制終了させてもいいのですが、子どもの自主性を信じてみたい気持ちもあり踏みとどまっています。というよりも、もしゲームをセーブ(プレイしたところまで保存)できていなかったら悲劇だなという気持ちの方が大きいかも…(最近のゲームはオートセーブが主流みたいですけどね)。Upload By 星河ばよ追加コンテンツ、オンラインプレイについて先ほどからゲーム、ゲームと言っていますが、わが家では子どもにスマホゲームはさせていません。いわゆるテレビゲームのみ許しています。わが家で購入したゲーム機には、ゲームソフトに対する追加コンテンツや、オンラインプレイを楽しむための月額あるいは年額プランなどがあります。追加コンテンツは私たち夫婦が買うこともあるし、子どもが自分のお小遣いを貯めて買うこともあります。オンラインプレイについては、初めは子どもが遊んで大丈夫なのか不安だったのですが、私や夫が都度確認しながら許可しています。子どもも今のところはトラブルなくオンライン対戦を楽しんでいるようです。ゲーム・動画サイトに助けられたコロナ禍2020年、新型コロナウイルス感染症により緊急事態宣言が発令されたことは、記憶に新しいと思います。長男の通う学校は休校、次男の通う保育園は登園自粛になってしまいました。やむを得ない状況とはいえ、不要不急の外出自粛要請に、途方にくれた家庭も多かったのではないでしょうか。子どもと公園に行っていいのかも分からなくなり、私たちは家に引きこもる毎日を過ごしました。先の見えない状況の中、長男と次男だけは「学校(保育園)に行かなくていいし、ママと一緒にいられて、うれしい!」と笑顔でした。私もこんなに子どもと四六時中過ごした日々は、あとにも先にもないのではないかと思います。家にひきこもって何をしてたかというと、母子3人でテレビゲームで遊んだり、動画視聴を楽しみました。たまにカードゲームや、お絵かきなどで遊んだりもしましたが、基本はテレビゲームと動画視聴でした(子どもたちは動画ではだいたいゲーム実況を見ています)。いつ外出自粛が解除されるか分からない、いつ自分や家族が感染するかも分からない不安な日々だったけど、この2つの娯楽のおかげで子どもとどんなに明るく過ごせたか。感謝してもしきれません。ゲーム開発者のみなさん、動画クリエイターのみなさん、この場を借りてお礼申し上げます!Upload By 星河ばよおわりにこれまでわが家もいろんな決まりをつくったり試行錯誤しながらやってきました。子どもがテレビゲームで遊ぶことに対して、さまざまな意見があると思いますが、私自身にも、家族で遊んで楽しかった、友達と一緒になって謎を解き明かした、ゲームの物語やキャラクターにどっぷりハマった、そんな思い出がいくつもあります。時間を忘れて夢中になった思い出は、かけがえのないものです。大人になってからも心を温めてくれたりしますよ。ゲームも動画も家族で上手に付き合って、子どもたちと楽しいおうち時間をこれからも過ごしたいと思っています。執筆/星河ばよ(監修:初川先生より)ゲームや動画視聴については多くの保護者の方が頭を悩ませるテーマですね。ただ、保護者の方ご自身がゲーム好きな場合と、ご自身にゲーム歴のない方の場合とではこうしたことへの悩み方が違うようにも感じます。星河さん一家のゲームや動画視聴のルールは、一般的によく言われるルールでの許可時間よりも長いように感じる方が多いと思います。ただ、よく見ると、「宿題・自主学習を終えている」「19時まで」という条件に親和性を感じるのではないでしょうか。ゲームを楽しめる星河さん夫婦だからこそ、ゲームをしている子どもの気持ちをふまえた設定になっていて、だからこそそのルールを守ることに大きな軋轢が生まれないのかもしれないですね。ゲームや動画を楽しむこと・ゲームや動画から得る経験、決めたルールを守るためのストレス。それらの接点のどこで「わが家のルール」を設定するかが大事なのだなと感じます。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年05月11日口頭の指示をすぐに忘れがちな娘。「メモを取れば?」とアドバイスしても…広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)のある中1娘。情報を耳で聞き、頭で処理する力が弱いという特性があるので、口頭の指示をすぐに忘れがちです。そんな様子を見て「メモを取ったら忘れないんじゃない?」とアドバイスをしても…Upload By SAKURA「大丈夫!私、ちゃんと覚えておけるから!」の一点張りでまた忘れて…の繰り返しでした。Upload By SAKURA一人モヤモヤしていた私は、夫に相談しました。Upload By SAKURA「待つしかない」これは、娘の療育の日々が始まって、何度もしてきたことでした。Upload By SAKURA最近、できることも増え、成長してきた娘を見てきたので、特性を理解しつつも、私は急激な変化を求めていたと気がつきました。そこからは、自分の感情と戦いながら、心を落ち着かせ、無心で言葉を繰り返しかけ続ける日々…。Upload By SAKURAもちろんずっと無心ではいられず、ついイライラしてしまうときもありました。何か言ってしまいそうになるときは、娘から離れ、悶えながら耐えたり、夫に愚痴ったりして、ストレスを発散させました。Upload By SAKURAメモをとるように言い始めてから2年…とうとう娘に変化が!?そして、娘にメモをとるように言い始めてから、2年近く経ったある日…Upload By SAKURA娘はメモをとり始めました!私は、なかなか咲かない花に、水をあげ、待ち続け…やっと花が咲いたような気持ちになりました。Upload By SAKURAしかし、私の思いとは裏腹に、言われた日々を覚えていなかった娘…。私が試行錯誤し、いろんな感情と戦っていた日々は、娘にとって、たいした時間じゃありませんでした。そうだ…この子はそうだった!と思うと、なんだか笑えました。それから娘は、ちょっとしたことでもメモをとるようになりました。Upload By SAKURA言われたことをメモにとり、もう一度視覚から情報を入れることで、娘はきちんと覚えるようになりました。それから娘は、学校にもメモ帳を持っていくようになり、こまめにメモ。通常学級の担任の先生と、特別支援学級の担任の先生から「最近、あーさんがすごいです!なんでもメモとって、しっかり行動できます!」とお褒めの言葉をいただきました。Upload By SAKURA中学生活は、今までより大変なことが起きるかもしれませんが、この経験を活かし、「気長に言い続ける」「とにかく待つ」ということをしっかりと頭に入れたいと思います。執筆/SAKURA(監修:鈴木先生より)せっかくメモをとってもそれを見ない人もいます。気長に待っても毎回忘れることが多い人は不注意優勢に存在するADHDの可能性もあります。その場合、忘れる以外にも、部屋を片付けない・失くしやすい・人の話を聞かない・授業中集中できない・準備にもたもたするなどの症状もあります。診断がつけば治すこともできます。どんなに短いことでも初めてメモを取ったら思いっきり褒めてあげることも重要です。褒められることでメモをとる軌道に乗れるからです。次はメモを見てそれを実行するかどうかです。実行できたらさらに褒めてあげましょう。そうすることによりメモをとって実行する習慣がつけば周りから注意されることも減り、自尊心が上がるはずです。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年05月10日私はカサンドラ症候群?自閉スペクトラム症のあるパートナーとの不和、子育ての難しさパートナーや子どもなどの身近な人に自閉スペクトラム症(ASD)などがあり、コミュニケーションをとることが難しく、ストレスを抱える日々が続いてしまい、それが次第に心身の不調となってあらわれてしまうことがあります。これを「カサンドラ症候群」と呼ぶことがあります。「カサンドラ症候群」は医学的な病名ではなく、明確な診断基準は定められていませんが、メディアなどでも取り上げられることもあり、カサンドラ症候群の症状を訴える人も増えているようです。発達ナビのQ&Aコーナーにもこれまでさまざまな質問が寄せられています。「カサンドラ症候群という病気があるの?」「自閉症育児。夫に頼ることができず、心療内科を受診したり、帯状疱疹になったりボロボロです。こういうのをカサンドラ症候群というのでしょうか」「自閉症のあるパートナーを持つ方、子育てにおいて心ない言葉を投げられたこと、話が通じなくてつらいなどと言われたことはありますか?わたしが悪いのでしょうか?」「ADHDと自閉症のある長男が奇声を発すると、下の子がヒステリックに怒ったり、最近では精神的にまいっているようです。これはカサンドラ症候群でしょうか?」このコラムでは、カサンドラ症候群にまつわるギモンから、家族など身近な人に発達障害がある場合のお悩みや困りごと、体験談や、専門家の先生のアドバイスを交えてご紹介します。カサンドラ症候群とは、パートナーや子どもなどの身近な人に自閉スペクトラム症(ASD)などがあるためにコミュニケーションをとることが難しく、それにより心身の不調があらわれたり、対人関係に問題が生じている状態を言います。カサンドラ症候群は、医学的な病名ではなく、明確な診断基準は定められていません。特に妻や夫といったパートナーに起こる場合が多いと言われていますが、自閉スペクトラム症(ASD)のある子どもを育てる保護者がカサンドラ症候群になる場合もあります。夫の無理解、ワンオペ自閉症児子育てがつらい。これはカサンドラ症候群?発達ナビのQ&Aコーナーに寄せられたカサンドラ症候群に関する質問と発達ナビ会員の実体験にもとづく回答をご紹介します。Q. 自閉症スペクトラムの夫を持つ方にお伺いしたいです。子育てに関して心無い言葉を投げられたこと、お前はズルい(悪い)人間だと言われたこと、お前と話すと話が通じなくて辛いと言われたことはありますか?どちらも未診断ですが、夫が自閉症スペクトラム、ADHD、幅広い障害の傾向があると自分で言っています。私は心療内科のスクリーニング検査でADHDの傾向が高いとなりました。二人とも、多動、不注意、学習障害などはありません。略私や実母に対して気に入らない事があると、人を傷付ける表現の言葉で攻撃をしてきます。その他、何人かの友人や上司にもそういった攻撃をしているようです。付き合い始めは全くいい人で、結婚、出産を機に気に入らない事があると無視、言葉での攻撃がでてきました。自分の中の「正しい事」に執着し、それを外れた言動があると激怒します。(略)こちらの質問には以下のような回答が寄せられました。A.私のパートナーも、診断こそありませんがASD傾向が強めです。ご質問に書いてらっしゃるご主人の言動と、とても似ている行動を取ります。社会・職場では、ステキなこだわりを持った面白い人家庭内では暴力こそ無いものの、困ったこだわりの多過ぎる、時々暴君となる人です。子育てに手出しは全然してくれませんでした。ですが口出しはされてきました。事あるごとに「お前の考え方では、やり方では…」とダメ出しです。特に教育・学習の面では、子どもの現実を見ず、日常こちらに任せきりなのに、何かあると「お前の考えは甘過ぎる」と散々でした。なので、共感します。とっても‼️そして共感してくれる仲間も、ここにはたくさん居ると思います。(略)小学2年生の息子は、思い通りにならないと暴言や癇癪を起こします。お薬を飲み始め、癇癪の時間は短く、軽くなりました。(中略)しかし、夫はいつまで経っても、息子を炎上させるだけの人。少しでも夫婦で連携して、家庭内で息子の気持ちが安定出来るようにして行きたい私は、どうしても夫に対して、イライラしてしまいます。また、息子の主治医に夫の言動や、実際会ってもらい話した感じから、息子の発達障害は夫からの遺伝の可能性が高いと言われました、私も今までの夫との生活からの違和感を、その言葉で納得出来ました。夫に頼れない、育児に心療内科を受診したり、帯状疱疹になったりボロボロです。こういうのをカサンドラ症候群と言うのでしょうか?同じような環境の方、どのように自分を保ち、育児してますか?こちらの質問には以下のような回答が寄せられました。A.いつまでたってもわかってくれず、イライラしても、学校での出来事や日頃の様子、さほどきにかけていないんじゃないかなー。そのとき腹がたったら怒る、っていうことだと思います。こういう場合は、仕方がない。父親がいいとこを持ってく形にし、父親と子供を対立させない事だと思います。できれば、父親から、誉めてもらうようにすることができればよいのですが。自分と同じような考え方をしてもらいたいと思っても無理です。子供の悪い点より、よいところをなるべくご主人には見せてあげて。 お気持ちわかります。私も「夫と二人で子供の成長を喜びながら、相談しながら共感しながら子育てしたい」と考えていましたが、それは叶わぬ夢でした。旦那様には聴覚過敏があって、お子さんのグズグズが辛いのかもしれません。夫と子供の接点を減らして、旦那様とご自分のイライラを減らしていきましょう。一人ぼっちの子育て、心細く、空しく、寂しいですよね。でも、考えようによっては、余計な口出しをされず、自分の思う通りに子育てができるということでもありますから。ただ、子育てに集中しすぎると、「子供に妻を取られた」と、夫が子供を敵視し、攻撃することがあります。夫に出来そうな仕事を振り、大袈裟に感謝するなどして、適度に配慮しておく工夫が必要です。夫に気持ちの共感を求めるのは難しいです。必要なことはあまり感情的にならずに損得の話に置き換えて話すと良いようです。感情的に夫に話しても「妻に攻撃された」という記憶が残るだけで、伝わりにくいでしょう。旦那様が視覚優位なタイプの方なら、ラインやメールなどで、視覚的に気持ちを伝えるのも良いかもしれません。一人ぼっちのむなしさは、お近くのカサンドラの会で、仲間に共感をもって聞いてもらうとスッキリしますよ。カサンドラ症候群に関するギモンと体験談をもとにした回答をご紹介いたしました。発達ナビQ&Aコーナーカサンドラ症候群の原因には、身近な人の自閉スペクトラム症(ASD)の特性によるトラブルがあると言えます。ここでは、カサンドラ症候群の発端となりうる自閉スペクトラム症(ASD)の特性について解説します。自閉スペクトラム症(ASD)には「対人関係や社会的コミュニケーションの困難」と「特定のものや行動における反復性やこだわり、感覚の過敏さまたは鈍麻さ」といった特徴があると言われています。◆対人関係や社会的コミュニケーションの困難表面上は問題なく会話できるのですが、その会話の裏側や行間を読むことが苦手です。曖昧な表現が苦手だったり、不適切な表現を使ってしまうことなどがあります。場の空気を読むことに困難さがあり、相手の気持ちを理解したり、それに寄り添った言動が苦手な傾向にあります。本人が意図していなくてもその場の雰囲気を無視をしたような言動をとることもあり、対人関係を上手に築くのが難しい場合があります。気持ちの理解が困難なために相手を傷つけたり、自己中心的と思われる言動や行動をしてしまうことなどがあります。◆特定のものや行動における反復性やこだわり興味を持ったことに対して過剰といえるほど熱中する傾向があります。また法則や規則が崩れることを極端に嫌うということもあり、自分のルールがあったり、興味のあることに対して話し続けてしまうことなどがあります。しかし、困ったことばかりではなく、この特性は強みとして活かすこともできます。◆自閉スペクトラム症(ASD)の特性だと頭では分かっていても…身近な人に自閉スペクトラム症(ASD)があると分かったとき、多くの方は理解をしようとするでしょう。しかし、日々の中で困惑してしまうこともあるかもしれません。特性だと分かっていても、自閉スペクトラム症(ASD)のある人と接していくうちに、思うようにコミュニケーションがとれないことに自信をなくしてしまったり、周囲に相談しても理解をしてもらえず、孤独を感じてしまう場合があります。その結果、体調不良や抑うつ状態に陥ってしまうことがあるのです。【精神科医に聞く】カサンドラ症候群かもと思ったら?自閉スペクトラム症(ASD)のある家族とのコミュニケーションのコツここまで発達ナビのQ&Aコーナーに寄せられたギモンを中心にご紹介しました。ここでは、精神科医の染村先生にカサンドラ症候群のような症状があらわれたときの対処法と、自閉スペクトラム症(ASD)のある家族とのコミュニケーションのコツについてお答えいただきます。(質問)自閉スペクトラム症(ASD)のある夫との毎日でストレスが溜まり、夜眠れない日々が続いています。カサンドラ症候群は病気ではないと聞きましたが、病院を受診してもよいのでしょうか。(回答)A.夜眠れない日々が続いている場合は、精神科(メンタルクリニック)や心療内科へ受診することをおすすめします。不眠の状態が続くと、疲労の回復が得られず、また心配や不安感を抱えやすくなり情緒不安定になります。安定した日常生活を送り、ご主人と向き合うためにも、まずは自身の健康状態を改善させることが最優先です。Upload By 発達障害のキホン(質問)夫に自閉スペクトラム症があると分かりました。家族より自分のことを優先します。5歳の子どもがいますが、子育てもほとんど私1人でしています。顔を合わせれば言い争いになってしまい、精神的に参っています。どのように対応したらいいでしょうか。離婚したほうがよいのだろうかと悩んでいます。(回答)A.結婚当初の夫婦2人のときは争いごとが少なかったのに、お子さんが生まれ、育児の負担が妻の側に大きくかかることで、夫婦の関係性が悪くなることは多いものです。このような場合は、話し合いをして、夫の家庭での役割を決めていくのもよいでしょう。夫に子育てを任せるのは不安だと感じる場合は、掃除や洗濯など夫ができそうな家事の一部を分担してもらうのが現実的です。また自閉スペクトラム症の特性として、予定や役割の急な変更、想定外の事態を苦手としているため、夫の家事の分担も具体的に取り決めておくとよいでしょう。例えば、朝のゴミ出し、週2回の掃除機かけ、毎週土曜日のお風呂掃除など、やる項目や頻度を決めておくことです。夫の家庭での協力や役割が決まると、妻自身も安心する部分もあると思います。離婚となると子どもへの影響も大きいことから、大きな決断をする前に、まずは夫婦で話し合い、協力して歩みよれる部分を探っていくことをおすすめします。Upload By 発達障害のキホン(質問)家族に自閉スペクトラム症があることが分かり、自分がカサンドラ症候群になってしまうのではないかと不安です。カサンドラ症候群にならないためのコツはありますか?(回答)A.カサンドラ症候群は、自閉スペクトラム症などのため共感性や情緒的な反応が乏しいパートナーと暮らしている人に起きるものです。典型的なものとして、夫は気持ちの共有が苦手であるが、本人は自覚もなく改善しようとしない。よって妻の方が、自分は被害者で、夫のみが反省して治療すべき問題として捉えやすいものです。しかし、自閉スペクトラム症のような特性を抱えているケースで、夫だけの問題とみなし、夫が反省して100%変えることを求めた場合に、解決に到達することは不可能となってしまいます。妻は、夫の特性を理解して、ある程度受け入れることも大切です。一緒に生活して共有する時間が増えることで関係性が悪化することも多いものです。夫婦といえども、それぞれの時間や空間を尊重して干渉しすぎないことで、関係が好転することもあります。しかし育児や親の介護など当人以外の課題が絡んでくるときに、問題が出てきます。都度2人で話し合いの場を設けて、具体的にやるべきことを取り決めていくとよいでしょう。最初から2人で話し合うことが難しい場合は、カウンセラーなどの専門家を第三者として交えて話し合いをしていくことをおすすめします。Upload By 発達障害のキホンカサンドラ症候群にまつわるコラム発達ナビに掲載されているカサンドラ症候群にまつわるコラムをご紹介します。心身に影響が出ている場合は、迷わず医療機関に相談をカサンドラ症候群とは、パートナーや子どもなどの身近な人に自閉スペクトラム症(ASD)などがあるためにコミュニケーションをとることが難しく、それにより心身の不調があらわれたり、対人関係に問題が生じている状態を言います。カサンドラ症候群は、医学的な病名ではなく、明確な診断基準は定められていません。しかし、夜眠れない、動悸がするなど心身に影響が現れている場合は、精神科(メンタルクリニック)や心療内科などを受診することがおすすめです。また「カサンドラ症候群かも」と感じるとき、自閉スペクトラム症などのある人の問題だと捉えられがちですが、相手のすべてを変えることで解決することはできません。家族が特性を理解し、互いに歩み寄ることも大切になってきます。夫婦などの場合、育児や親の介護など当人以外の課題が絡んでくるときに問題が出てくることは多くあります。特性を理解し、話し合いながらやるべきことを決めていけるとよいでしょう。難しい場合は、カウンセラーなどの専門家を第三者として交えて話し合いをしていくことがおすすめです。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年05月09日小さいころは育てやすく、発達も月齢相当だったもともとおとなしく、育てやすかったゆい。発達も月齢相当で、乳幼児健診で何かを指摘されることはありませんでした。そんなゆいですが、小学2年生の後期からだんだんと勉強が苦手になってきたようでした。けれど私は「勉強が苦手だけど元気に成長しているし、それでいいや!」と、そんなに気にしていませんでした。きっかけは小学4年生のクラス替え。知り合いが誰もおらず…ゆいから笑顔が減ったと感じたのは、小学4年生になってからです。親しい友達とクラスが離れ、初めて知り合いが誰もいないクラスになったのです。私も最初は残念だと思いましたが、そのうち新しい友達ができるだろうと考えていたのです。けれど、ゆいに新しい友達はできませんでした。自分から話しかけることができないゆいは、誰かが声をかけてくれるのを待っているうちに1人になってしまったのです。特に嫌がらせをされているわけではなく、ただ親しい友達がいないだけの状態でした。Upload By 吉田いらこ私は子どもの友達づくりに親が介入するなんて変だし、人間関係は本人が自力で世界を広げていくことが当たり前だと思っていました。ゆいには「勇気を出して声をかけてみたら」なんて、今思えばアドバイスにもならないことしか言っていませんでした。(それができればとっくにやっている…)。そして「いつか新しい友達ができて、楽しく登校するようになるのでは」と、期待していました。しかし、学校に行っても特に楽しいこともないうえに、勉強もだんだんと苦手なものが増えてきて、ゆいにとって学校はとてもつらい場所となっていきました。私と言えば、学校の授業に苦戦しているゆいを塾に行かせることしか思いつかず…。そのような日々のなか、学校の先生から専門機関で発達検査を受けることを提案されました。小学5年生のクラス替えでは…Upload By 吉田いらこ先生と面談し、専門機関での受診を勧められたのが小学4年生の3学期、そして小学5年生のときに軽度知的障害、ASD、場面緘黙と診断されました。その後、小学5年生のクラス替えでは、仲良しだった友達と再び同じクラスになることができました。多分先生が配慮してくれたのではないかと思っています。その友達を介して、ゆいにも新しい友達ができました。以前の私は「友達づくりは自分から話しかけないといけない、自分で克服していかないと」と考えていました。でも、友達を増やすきっかけを学校側がつくってくれた結果、ゆいは学校生活が楽になりました。今は、私の考えが凝り固まっていたなと反省しています。そして先生方が力を尽くしてくださったことを感謝しています。Upload By 吉田いらこ執筆/吉田いらこ(監修:初川先生より)ゆいちゃんが友達作りに苦戦したエピソードと母としての半生的な思いのシェアをありがとうございます。この4月にもお子さんがクラス替えを経験した読者の方は多くいらっしゃると思いますが、まだ年度が始まってひと月というこの時期はお子さんの友達作りに関して不安に思っている保護者の方もいらっしゃることと思います。「友達づくりは本人が自力でするもの」、その通りではあります。ただ、友達づくりに限らず何か新しいことを始めるとき、それが成就するには土台としてその環境がその子にとって安心安全であることが前提にはなります。内気なタイプのお子さんや新しい環境に慣れるのに時間がかかるお子さんだと、友達づくりに時間を要するかもしれません。ですが、それが達成されていくのは、その環境がそのお子さんにとって安心安全だと感じられているからだと思います。安心安全というのは、単に危険がない(例えば、いやがらせされるなど)ということだけではなく、学校という場を考えると、授業場面での参加状況(つまり、授業が「わかる」や楽しいと感じられるか)も大きな要素の1つになりえます。ゆいちゃんは場面緘黙の診断も下りたとのことですが、ベースには「不安」があるとも捉えることができます。友達づくりそのものに苦手さがもともとあったとしても、そこに挑めるかどうかは環境による影響もあるのではと感じます。授業の理解度や友だちの会話のペースの速さなどでお子さんがつまずいていないか確認してみるのも1つです。また、友達づくりを頑張ろうとしてもきっかけがないと難しく感じる子もいます。「1人でいる」ことを周りがどう理解するかによるボタンの掛け違いもあるかもしれません(周りが「あの子は1人でいるのが好きなのかな」と思っているけれど、本人は「1人でいるのがとてもつらい」など)。お子さんがどう感じているかは家で話すことの方が多いと思いますので、担任の先生にそのあたりを伝えてみるのも1つあると思います。お子さんが安心して学校で過ごせるように、(何かをお願いするということではなく)お子さんの苦戦の状況を担任の先生と共有・相談するのはぜひ試みていただければと思います。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年05月09日恐れていたことが起きた入学式Upload By カタバミまちゃは年長のときに特別支援学校にするか特別支援学級にするかで迷いましたが、特別支援学級に入れることにしました。入学式の当日。会場の体育館には、新一年生になった子どもたちとその親御さんと先生たちが集まっていました。まちゃはマスクを嫌がり、隣について下さった先生がマスクをつけようとするたびに、静かな体育館の中で「ちゃうよー!」と叫んでいました。ほかの新1年生が起立したりお辞儀したりする中で、まちゃは飽きたとき用にと持たせた絵本を読み、周りと一緒に行動しようという意思は全く感じられません。絵本に飽きるとイスからずり落ちて床に寝そべって何やらしゃべっていました。まちゃは未就学のときに療育園に通っていて、私は何度もマジックミラー越しに見学をしましたが、ここまで周りとは別の行動をしている姿を見たことはなく、私は入学式で特別支援学級に入れた選択は間違っていたのかもと思いました。ショックで行事はこれから全て欠席させようかと思ったほどです。それから、まちゃはひどい偏食で療育園の連絡帳に「食べた給食は米3粒」と書かれたこともあり心配していました。特別支援学級での初めての給食は大泣きしてしまいほとんど食べなかったそうです。特別支援学級に入学し、どうなることかと思ったけれどUpload By カタバミまちゃは多分同学年の中でも自宅が1番遠く、学校まで30分ほど私と一緒に歩くのですが、毎日嫌がらずに黙々と登校しました。毎日1時間目の授業は広い校庭で行う体育なので、運動が大好きなまちゃはそれが楽しみで通えていたのかもしれません。まちゃの好きな動物の絵本や絵カードも担任の先生が揃えてくださり、平仮名や数字の課題が終わったら見ても良いことにしてくれました。初日は大泣きだった給食ですが、翌日からは個々人に応じて量も変えて下さったので、偏食なまちゃがほぼ毎日給食を完食することができました。まちゃが好きな図工の時間も多く、描いた絵を教室に積極的に貼ってくださいました。夏休み前の先生との面談で私は「入学式はびっくりしました」と明るく話せました。担任の先生は「まちゃくんはとても成長しました」と仰ってくださいました。ほかにも畑での水やりが上手だとか、通常学級との合同の授業も特に嫌がらず大人しく受けていると報告してくださいました。クラスメイトはまちゃと似たタイプの、周りの人への興味が薄いお子さんが揃ったとのことで、静かで勉強しやすい環境が整っているとも聞きました。小学校への行き渋りは全くありませんでした。2学期からの教室のメンバー変更。クラスメイトからの指摘がストレスにUpload By カタバミ2学期に入り、ほかのクラスの先生が長期でお休みをされる関係で、1クラスの人数が増え、まちゃはほかの学年の児童と同じクラスで勉強することになりました。1週間程してから、通っていた放課後等デイサービスの方から「まちゃくんが今まで見たことがない様子になっています。特別支援学級やご家庭に何か変化はありましたか?」と聞かれました。今までトイレで失敗することはなかったのですが、トイレは空いているのに室内で急に笑いながら排尿したとのことでした。「錯乱状態、パニックです」と言われてしまいました。ちなみに自宅では変わった様子はありませんでした。すぐに小学校の担任の先生に相談したところ、新しく同じ教室になったお子さんが切り替えが苦手なまちゃに「もうやめなきゃダメだよ」とよく指摘していて、まちゃは嫌がっていたとのこと、クラスの人数が増えたことで担任の先生が以前よりまちゃへの対応ができなくなり、補助の先生にまかせていることの2つが思い当たるとのことでした。担任の先生は「すぐに対応します」と言ってくださいました。先生はまちゃを急かすお友達の席とまちゃの席をなるべく遠くにして、できるだけ担任の先生がまちゃと一緒にいてくれるようにしてくださったそうです。まちゃは放課後等デイサービスでもすぐに落ち着き出したと報告されました。1年生終盤。3学期で急に変化が見られるようにUpload By カタバミ3学期の終わりの修了式でまちゃは、人でいっぱいの体育館で30〜40分、周りの様子を見て一緒にお山座りをし、一緒に立ってお辞儀もしていたそうです。私が教室を覗いたとき、苦手だと聞いていたお友達の体操服を着るお手伝いをしていてびっくりしました。自宅では教えていないのに、急にお父さんの飲んだお酒の缶を潰して缶ゴミを入れる袋に入れてくれたり、タオルを畳んでしまってくれるようになりました。放課後等デイサービスに持たせたお弁当箱を「出して」とお願いしたら蓋も開けて、カトラリーも全部出して、たまに洗ってくれるようになりました。偏食のまちゃは、好きな食べ物は独り占めしていました。これまで好きな物を誰かに分けると怒っていたのに、「私も食べたい!」とお姉ちゃんが言うと食べるのをピタッと止まり、分けても怒らないようになりました。食べられる物もかなり増えました。周りを見て行動できるようになったようです。表情も反応もとても増えて、公園に行ってもほかのお子さんを避けなくなりました。発語はそれほど増えていませんし、平仮名はまだ1文字ずつ繰り返して覚えている段階ですが、1年間でだいぶ成長を感じられるようになりました。執筆/カタバミ(監修:新美先生より)入学当初の混乱から、さまざまな工夫を経て、環境にも慣れて、急成長していく1年間を振り返って教えて下さりありがとうございました。どの環境を選んでも、入学当初はお子さんにとって大きな環境の変化で、不安が大きいものです。慣れない環境では気持ちが落ち着かずそわそわして、普段はしないような行動に出ることがあります。行動自体に翻弄されず「慣れてないから不安なんだな」と理解して対応していけるとよいですね。学校生活では、本人が学校に来るモチベーションが持てるような随所に配慮していただけて、行き渋りなく通えているというのは何よりでした。様子の変化に、放課後デイの方が気づいてくださり、学校との連携がとれたのも素晴らしいですね。学校での不安やストレスが、学校ではそのまま出ないで、放課後の情緒や行動の変化に現れることもよくあります。その場だけで判断せず、本人の生活の場の関わる方たちが連携して、環境調整に動いてもらえる体制は理想的だと思いました。本人にとって、ストレスがある状況が続くと、成長が止まってしまったり退行したりしているように感じる時期もあるのですが、環境に慣れて、活動の中で自信がついてくると、一気にさまざまなことができることようになるということもよく経験します。ストレスが少なく心のゆとりが出てくると、自立できる場面が増えたり、他者への興味が増えて良い関わりができるようになるということもありますね。まちゃくんにとって良い環境が整って、本来持っている力を十分に発揮する姿を見られるのは、親御さんも関わる先生方もとてもうれしいですよね。良いお話を聞かせていただきありがとうございました。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年05月07日不安しかない⁉ADHD小2の息子が結婚式に招待されて息子は、ADHD(注意欠如・多動症)があります。気が散りやすく、興味があることにすぐ気を取られてしまいます。そんな息子が、小学2年生のとき、私の弟(息子にとっては叔父さん)の結婚式に出席することになりました。飽きっぽく、じっとしていられない息子が、結婚式、披露宴と長い時間落ち着いていられるのか…。さまざまな心配事が浮かんできました。ですが、息子は今回結婚する私の弟のことが大好きなのです。弟は、息子をとてもかわいがってくれていました。家が離れているので3ヶ月に1度くらいしか会えませんが、一緒にお出かけをしたり、遊んだりしてくれる叔父さんに会える日を息子はいつも心待ちにしていたくらいです。私は、息子に叔父さんの結婚式に行きたいか聞いてみました。息子は、結婚式がどういうものか分からないようでしたが、大好きな叔父さんに会える!と出席を快諾。さらに、なんと息子はリングボーイのお役目を務めることになったのです。私は息子にそんな大役が務まるのかとハラハラしましたが、息子は、大好きな叔父さんやみんなにいいところを見せたいと、張り切っていました。慣れないタキシードでリングボーイを立派に務めた息子窮屈だと嫌がりながらも、慣れないタキシードに着替えた息子。服は気になるようでしたが、結婚式へ行くことは楽しみでたまらないといった様子でした。順調に式場へ到着し、我々はリングボーイのリハーサルに参加しました。実際に式を行う教会の中で神父様と指輪を運ぶ息子。神妙な顔で一生懸命に取り組んでいる真剣な姿を見て、私は立派だな、頑張っているなとうれしく感じました。その後の本番は大成功!落ち着いて役目を果たした息子は、大役が果たせたことが自信につながったようです。最初は不安でしたが、とてもいい経験をさせてもらえました。Upload By ユーザー体験談大役が終わって気が抜けた…?だんだんと落ち着きがなくなっていって…その後始まった披露宴。最初はスムーズに参加できていたのですが、大人でさえ長く感じることもある披露宴です。ADHDのある息子はもっと長く感じているでしょう。スタート時点はよかったものの、ある程度食事も食べ終わり、スピーチが続くようになったころからソワソワし始めました。息子はやることがないままただ座っているということが難しいので、どうしたらいいか困りました。もっと小さいころは、シールブックや絵本などを与えていましたが、もう小2ですのでそういうものには興味を示してくれません。ですが、さすがに結婚式場でゲームをやらせるわけにもいきません…。披露宴が中盤に差し掛かるころには、蝶ネクタイは苦しいと外し、いつのまにかズボンに入れていたシャツは外に出ている…という状態の息子。なんとか上着は着ていてくれましたが、それもいつ脱ぎたいと言い出すか分からない状況でした。Upload By ユーザー体験談飽きてしまった息子を救い、周りも笑顔にしたアイテム…それは!?なんとかしなければと思った私は、息子に自分のデジタルカメラを渡し「カメラマンになって、いい写真撮ってきて!」とささやきました。すると息子はパッとイキイキとした表情になったのです。これが大成功!「写真を撮る役割」をもらって、息子はうれしかったようです。カメラをもって新郎・新婦のところへ行ったり、来賓客のテーブルをまわって写真を撮りだしました。本人も楽しそうだし、周りの方も「ちびっこカメラマンだ!」とかわいがってくれました。新郎・新婦もピースサインで、満面の笑顔。ほかにも息子は、プロのカメラマンさんの横にちゃっかりお邪魔して一緒に撮ったり、小さい体を生かして人の隙間へ入って行って、最前列で写真を撮っていました。仕事を与えて暇をつなぐという方法が、息子には見事にハマったのです。Upload By ユーザー体験談叔父さんからの「ありがとう」に喜びと自信をもらった息子披露宴の終わり、叔父さんから「ありがとう!」と言ってもらえた息子は、とてもとてもうれしそうでした。大好きな叔父さんの結婚式で役割を果たせたことは、息子にとって、とてもいい思い出にもなりました。最初は不安でしたが、出席して本当によかったです。Upload By ユーザー体験談その3年後、小5になった息子は、今度は夫の弟の結婚式に出ることになりました。3年前より落ち着いてはいますが、飽きっぽいところは相変わらずな息子。このときも前回の経験を生かしてカメラマンをお願いしました。ただこのころには、落ち着かなくなると自分でロビーに退出するなどコントロールが取れるようになっていたので、前より問題なく終えることができました。息子の成長を感じた出来事です。イラスト/taekoエピソード提供/カプゴジラ(監修:新美先生より)冠婚葬祭の場に子どもを連れていくことはなかなかハードルが高く感じることもあります。例えば本人がよく知らない親戚の葬式など、モチベーションも持てなくて、内容も我慢することばかりなら、出席しないという選択肢もあるかもしれません。今回のように、本人が大好きな叔父さんの結婚式ということで、ご本人に出席のモチベーションがあることが何より成功ポイントですね。リングボーイの大役が果たせて、ご本人も、叔父さんも、親御さんもみんなうれしかったですね。読ませていただいてこちらまでほっこりしました。しかし、披露宴は長時間にわたり、よく知らない人の長いスピーチなど、じっと聞いていられない場面も続きます。「何もしないで待つ」ということは子どもにとって苦痛でしかないことです。そんなとき、カメラマンの役割を任せるというのは、なんとも素晴らしいアイデアですね!これは、披露宴に限らず、学校の行事(運動会、音楽会)でも応用できるアイデアだと思いました。お子さんの状況によっては、中座する、そもそも出席しない、リモート参加するといったことも選択肢にはなりますが、このようにふさわしい役割をもらって、本人も充実感を持って参加できるという工夫は素晴らしいと思いました。ありがとうございました。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年05月06日小児科医、臨床心理士、言語聴覚士、「親なきあと」の専門家による解説付エピソード集「専門家の支援を受けたいけれど、どんなことを相談できるの?」「どんなアドバイスをもらえるの?」「ほかのお子さんのケースが知りたい」そんな保護者の方や、家庭でもできる発達支援や、わが子への関わりのヒントを知りたい方に、ぜひ読んでいただきたいエピソードが満載です。トラブル多発で行き渋りがある小学生のエピソードーー小児科医の解説付忘れ物が多い、指示どおりに行動するのが苦手、先生に暴言も…学校でのトラブルに悩む小学生と保護者のエピソードです。自閉スペクトラム症とADHDの診断後、子どもへの投薬や保護者へのペアトレを始めると…?学校に対して要望がある場合の相談方法に関するアドバイスも。発達が気になる中学生のエピソード4編ーー臨床心理士の解説付自閉スペクトラム症とADHDの傾向がある中学生の「友達トラブル」に関するエピソードです。中学校に進学し、友達づきあいが難しくなってしまうお子さんは少なくありません。一緒に過ごすグループの子たちと話を合わせられず孤立してしまい、行き渋りも始まった中学生。臨床心理士の3つのアドバイスとは…?中学校から帰宅すると、すぐにゲーム・スマホを始めるADHD傾向のある中学生のエピソードです。宿題やお手伝いなどやるべきことができていない、生活リズムが乱れてしまっている。注意すると反抗的な態度をとるのでどうすれば…悩む保護者に臨床心理士が伝えた、子どもとの関わり方のポイントとは…?趣味のフィギュアに夢中で、勉強に身が入らない自閉スペクトラム症のある中学生のエピソードです。自閉スペクトラム症の傾向があるお子さんの関心の狭さや、収集癖を心配に思う保護者の方もいらっしゃるかもしれませんね。お小遣いやお年玉をもらうと、すぐに新しいフィギュアを購入。保護者が受験の話題を出しても、「高校、別に行きたくないし」と無関心の中学生。臨床心理士の一言をきっかけに、受験勉強に身が入るようになって…?高校受験を控えた、自閉スペクトラム症のある中学生のエピソードです。「志望校が決まらない」焦りは、受験時期が近づけば近づくほど大きくなっていくものですね。「わが子に合いそうな学校を選んであげて、受験するよう話をすればいいでしょうか?」と聞く保護者に、臨床心理士が伝えた大切なこととは…?多動が気になる小学生のエピソードーー言語聴覚士の解説付「授業中や食事中に立ち歩いてしまう」自閉スペクトラム症とADHDのある小学1年生の子どものエピソードです。学校の先生との面談で「立ち歩きが多い」「注意しても座り続けられない」と言われ、療育のときに相談をする保護者。すると、「座ることが目的になっていませんか?」と言語聴覚士から問いかけられて…?卒業後、親なきあとが心配…自閉症高校生のエピソードーー「親なきあと」専門家の解説付特別支援学校高等部に通う自閉スペクトラム症のある子どもの保護者が抱く、将来への不安にまつわるエピソードです。特別支援学校卒業後のことを心配に思う保護者。「親なきあと」の専門家から「療育手帳をお持ちですか?」と聞かれて、「IQ80程度という判定で療育手帳は取得できなかった」と答えると意外なアドバイスが…?コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年05月05日発達が気になる子どもの悩み、ギモンに専門家が回答!発達が気になるお子さんを育てる中で、悩みやギモンがわいてくることもあるのではないでしょうか。発達ナビでは、保護者の方々のさまざまなギモンに専門家の先生が回答する企画を行ってきました!これまでのテーマは「癇癪」「睡眠障害」「就学」「二次障害」「不登校」「療育手帳」。専門家の先生に事例ごとに具体的にご回答いただいています。ぜひ参考にしてみてください!発達が気になるお子さんの悩みでも多い「癇癪」。日々の対応に困っていながらも、「病院にいっていいもの?」「薬を服用させるのが心配」という保護者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。例えばこんなギモンを小児科医の先生に質問!Q.発達障害のある子どもの癇癪(かんしゃく)にはどう対応したらよいでしょうか?事前にできる対策はありますか?Q.子どもが毎日ちょっとしたことで癇癪(かんしゃく)を起こし、親もヘトヘトです。どの程度から病院を受診してよいのでしょうか?Q. 癇癪(かんしゃく)がひどく、薬が処方されました。服用にあたって気をつけることはありますか?さくらキッズくりにっくの藤井明子先生の回答はこちらから!赤ちゃんの夜泣きがつらい、幼児期になっても寝つきが悪くて毎日寝かしつけが大変、小学生・中学生の昼夜逆転が心配…など睡眠に関してさまざまなお悩みがあると思います。また、起立性調節障害、ナルコレプシーなど睡眠障害に関わる診断名を耳にすることがあっても実際どういうものなの?とギモンに思う方もいらっしゃるかもしれません。睡眠の問題は生活習慣の問題だと思われることもあるかもしれませんが、発達障害と睡眠障害は併存していることが多く、眠れない原因の背景に睡眠障害が隠れていることもあります。例えばこんなギモンを小児科医の先生に質問!Q:子どもが寝ないという理由で、病院にかかるとしたら小児科でいいのでしょうか。どんな小児科でも相談できるのでしょうか。Q:発達障害があり、睡眠障害を併存している場合、どのような治療法がありますか。必ず薬が処方されるのでしょうか。Q:中学生の子どもは、昼夜が逆転してしまっているような状態です。睡眠のリズムを取り戻すには、家庭でどのようなサポートができるでしょうか。さくらキッズくりにっくの藤井明子先生のご回答はこちらから!保護者も子どもも選択を迫られる就学先の問題。地域によっても通える学級・学校の種類や制度などが違ってくるため、就学先の基準や相談の仕方などに悩む方も多いかもしれません。発達ナビQ&Aコーナーでも全国からお悩みの声が寄せられています。発達ナビQ&Aコーナーに寄せられたギモンQ:情緒学級がある小学校が、住んでいる地域にありません。通常学級+通級、知的障害の特別支援学級、情緒学級のある小学校などで迷っています。何を基準に選んだらよいでしょうか。こちらの質問に対する発達ナビ会員の方の実体験をもとにした回答と、発達障害のあるお子さんの支援、臨床心理学の専門家である井上雅彦先生が解説する就学先を選ぶポイントはこちらから!発達障害の特性を理解されない、失敗して叱責される、不安な経験を繰り返すなどの経験を重ねることで、次第に自己肯定感が下がり、うつ病、不安障害などの精神疾患の合併や、不登校やひきこもりなどにつながることがあり、これを二次障害と呼ぶことがあります。子どもが二次障害の状態であるとき、保護者はどのように理解し対応していったらよいのでしょうか。例えばこんなギモンを児童精神科医の先生に質問!Q.落ち着いていられない・気が散ってしまう子への関わり方を教えて下さい(小学2年生・ASD、ADHD)Q.小5の男子(ASD、ADHD)です。登校の行き渋りがあります。同級生とのコミュニケーションが上手くいかない、勉強が楽しくないなどの理由があるようです。無理にでも学校に行かせるのか、休ませるのか、どちらが良いのでしょうか?Q.専門医に助言を求めたいのですが、本人が病院に行ける状況にない(行きたがらない)場合どうしたら良いでしょうか?(高校生、未診断。対人恐怖、睡眠障害あり)代官山やまびこクリニックの千村浩先生の回答はこちらから!「学校に行きたくない」子どもがこう口にしたとき、保護者はどう対応したらよいのでしょうか。また、不登校になったときの学校や社会とのつながりや、学習について、ゲーム依存への心配など悩みは尽きないと思います。例えばこんなギモンを臨床心理士・公認心理師の先生に質問!Q.子どもが不登校になった場合、学校とはどのように連携したらいい?Q.不登校が長期間にわたっている。保護者側もサポートに疲弊、このまま学校に行かなくていいのか、ひきこもりになるのではと将来が不安ですQ.不登校になり家でゲームをずっとやっているわが子。依存症にならないか心配臨床心理士・公認心理師であり東京都内のスクールカウンセラーでもある初川久美子先生の回答はこちらから!みなさんは療育手帳を取得していますか?発達ナビ会員のみなさんに療育手帳の取得の実態についてアンケートを実施しました!療育手帳を取得するとよいと聞いたけど、分からないことだらけ…という方もいらっしゃるかもしれません。例えばこんなギモンを行政書士・社会保険労務士の先生に質問!Q.発達障害がある場合は「精神障害者保健福祉手帳」しか申請できないのでしょうか?療育手帳は取得できますか?Q.療育手帳の対象は?取得に年齢やIQは関係ありますか?Q.療育手帳を取得するメリットってなんですか?親なきあと相談室主宰であり、行政書士・社会保険労務士の渡部伸先生のご回答はこちらから!医師が患者の病名、症状、診断した内容などを記した書類「診断書」。発達ナビ会員のみなさんにも診断書についてアンケートを実施しました!診断書は、どんなときに必要になるのでしょうか。例えばこんなギモンを小児科医の先生に質問!Q.子どもの診断書はどこでもらえるのでしょうか?Q.診断書の費用は大体どのくらいですか?Q.診断書を作成してもらえない場合もあるのでしょうか?さくらキッズくりにっくの藤井明子先生のご回答はこちらから!みなさんのギモンをお待ちしていますこんなときどうしたらいいの?どこに相談したらいいの?ほかの人はどうしてる?など、これからも発達が気になるお子さんを育てるみなさんのギモンに具体的にお答えしていきたいと思っています。発達ナビ会員同士が質問・回答ができる発達ナビQ&Aコーナーでの話題の投稿に対して専門家の先生からコメントをいただくこともあるかもしれません。気になるギモン、お悩みなどぜひ発達ナビQ&Aコーナーへの投稿や、こちらの記事へのコメントでお待ちしております!コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年05月03日通園・通学ルートや食事にこだわり、気持ちの切り替えができず癇癪など…発達障害があるわが子の「こだわり・癇癪」体験談丸山さとこさんの中学2年生の息子・コウ君にはASDとADHDがあります。幼少期、「ルーティーン」へのこだわりが強かったコウ君の癇癪を防ぐために、できるだけ「ルーティーンになったら困ること」を避けていたそうです。しかし、コウ君が安心して過ごすためには、「いつもと同じ」であることも重要で…。丸山さんは、どのようにバランスを取っていたのでしょうか?SAKURAさんの娘・あーさんには自閉スペクトラム症があります。SAKURAさん夫婦は、あーさんに発達障害があると知ってから、あーさんが自己肯定感を損なうことのないよう気をつけながら育ててきたそうです。その甲斐あって、あーさんは失敗しても落ち込んだり、自信を失ったりすることなく成長。ところが思春期に差し掛かった今、思わぬ結果に…!?カタバミさんの息子・まちゃ君は特別支援学級に通う小学1年生。知的障害と自閉スペクトラム症があり、幼いころはおとなしく、癇癪やこだわりと感じられることは少なかったと言います。ところが、小学生になって一変!通学路にはまちゃ君のこだわりポイントがたくさんあって・・・。星河ばよさんの息子さんは発達障害グレーゾーン。保育園時代は気持ちの切り替えが難しく、思い通りにならないと泣き暴れ・・・毎日が癇癪の連続だったそうです。小学2~3年生になったころ、友達と遊ぶ予定がなくなってしまったときのこと。癇癪を起こすのかと思いきや、息子さんがとった行動は・・・?みんさんの息子・P君には知的障害を伴う自閉スペクトラム症があります。療育園に通っていたころ、新学期の環境変化にとまどい、癇癪を起こす姿が見られていました。そして、不安になるのは親も同じ。なんとか息子の癇癪を防ぎたいと、みんさんはP君の担任の先生に、お気に入りのおもちゃを出してもらえないか聞いてみました。すると、先生の答えは意外なもので・・・。さいごに今回の「こだわり・癇癪」特集では、発達ナビライターさんからさまざまな体験談をお寄せいただきました。「うちの子も、同じようなこだわりがある!」「わが子の癇癪の原因も、もしかしたら○○なのかも?」などと参考になるエピソードも多かったのではないでしょうか。わが子の「こだわり・癇癪」は、困ってしまうこともあるけれど、子どもの自己表現のひとつの形でもありますよね。うまく付き合いながら、親子共に、もっと過ごしやすくなる方法が見つかるといいですね!コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年05月01日癇癪を起こすのは子どもではなく…母である、私!?Upload By 丸山さとこ最近はほとんど癇癪を起こさなくなった息子のコウです以前はパニックになったり癇癪を起こしたりして周りも本人も振り回されることの多かったコウですが、小学5年生で「もしかして、自分の表現って人より激しいのかな…?」と気づいたことをきっかけに大分落ち着いてきました。人との違いに気がついて自分を客観視できたから落ち着いたのか、落ち着いたから人の様子や自分の姿を見れるようになったのか、どちらが先なのかは今振り返ってもよく分かりません。いずれにせよ、それらの変化はコウにとってよい循環を産んだようです。「0か100か」の白黒思考で極端な発想にいきついたときも、時間を置くことで「さっきの僕は思い込みが激しかったかもしれない」と気づくことが増えたそうです。そんな風にコウが落ち着いてきた一方で、私は癇癪を起こしやすいままだな~と思うことはしばしばです。実は私もコウと同じくASDとADHDがあり、見通しを立てることや物事の優先順位をつけることが苦手です。表面上は大人である保護者として振舞うため『はた目から見て分かりやすい癇癪』は少ないかもしれません。私が「玄関片づけて。服は脱いだらハンガーにかけるかカゴへ。水筒持ってきた?もう3日目ですが?」とガミガミうるさく言う姿は、よくある『イライラしているお母さん』だと思います。ですが、そんなときの私は『親として怒ったり叱ったりしている状態』というよりも、『自分の思うようにならないことに苛立って、ただ文句を言っている状態』になっているのだろうと思います。Upload By 丸山さとこ脱ぎっぱなしの服、出ない提出物、学校に置き忘れた水筒などなど…何度も言い聞かせたり工夫したりするだけではどうにもならず、難しさを感じることは多いです。コウ自身が「どうにかしよう」と思わないと変化は起きにくいだろうなと思います。とはいえ、ASDの特性からセルフモニタリングが難しく、ADHDの特性から注意の向かう先があっちこっちにいきやすいコウにとって、「どうにかする必要があるのだ」と実感することは難しいと理解はしています。ですが、「理解しているかどうか」と「スルーできるかどうか」はまた別の話です。ガミガミ言っても仕方がないと分かりつつ、私自身が子どものころに感じていた『イライラして癇癪を起こしているとき』と同じ気持ちで、イライラして癇癪を起こしてしまう私です。今の私は幼児のようなもの(かもしれない)このようなとき、私は「今の自分って幼児みたいなものなんだろうな」と思うことがあります。「型はめパズルのピースが思うように入らなくてイライラしてる幼児ってこんな気持ちなのかもな」と幼児に一方的に共感することもあります。Upload By 丸山さとこ『こうしたら入るはずだろう』と思ってピースをグリグリと回転させているとき、『こんなに工夫しているのに、何で!?』と思うのかな?と想像したりします。すると、「今の私は、複雑な形のピースを丸や三角形と同じように捉えてやきもきしているのかもしれないな」と思い至ります。「そうであれば、ひたすら同じ働きかけをしても変化がないのは仕方がないことだな」と考えることで、コウに対して「今の自分は強引ではなかったか?」と振り返る気持ちがほんの少し生まれます。このように幼児を通して自分を振り返ってみると、「今すぐどうにかならない現状」を受け入れつつ「どうにかなっていく可能性」を諦めないでいられることが、幼児とは違う大人らしさなのかもしれないな、と思います。焦りや不安から「0か100か」の白黒思考が強まると行き詰りやすくなるのは、コウだけではなく私も同じだな~と感じます。せっかちに結論を焦らず、投げ出さず、自分自身も含めた現状の変化をゆっくり待てるようになりたいなと思います。Upload By 丸山さとこ執筆/丸山さとこ(監修:初川先生より)母の癇癪かもしれないという思索のシェアをありがとうございます。拝読して、私はなんと鋭い視点なのだ…!と驚愕しています。それは、「母の癇癪」をさとこさんはご自身の発達障害に由来するものとして捉えていらっしゃいますが、そこは今はいったん置いておくとして、「親として怒ったり叱ったりしている状態」か「自分の思い通りにならないことに苛立っている状態」か、そこを客観視しているということが鋭く、そして素晴らしいなと感じました。ここ、ドキリとしながら読んだ方、多いのではないでしょうか(私もその一人です…)。わが子を叱る際(叱れているならまだしも、感情的に怒ってしまうこともありますね)、それが子どもにとって必要だから叱っているのか、それとも、自分の家事育児が円滑に進むようにとか、自分の虫の居所が悪くてとか、そうした自分のためにわが子を叱っているのか。ときどき、その線引きができなくなっているときって、きっと皆さん心当たりがあるのではと感じます(私は今、私自身のためにわが子を怒ったことを思い出し、一人静かに反省しています…)。子育てをしていると、また子どもが成長していることに気づいていくと、子どもの様子に照射される形で、自分自身の得意不得意やよくやる気持ちの置き所のパターンが見えてくることがありますね。今回、さとこさんはご自身の発達的な特性によるものなのではと考えてみたり(おそらくそういった面もあるのかもしれないですね)、幼児が型はめパズルに苦戦するときの気持ちが思い浮かんだり、改めてふと考えてみると、保護者である自分自身のありようについての視野が広がったのでしょう。日常にまみれたり、一生懸命になりすぎたりしていると、視野は狭くなるのでそうしたことには気づかなかったかもしれません。コウくんの成長を感じたことが今回の気づきにつながったように感じるので、そうした子どもの育ちと親の気づきとの相互作用はとても興味深く感じます。子どもは自分とは別の人間なので、思ったようには動きません。どうしてもはまらない型はめパズルのピースのように、子どもは親の思ったような形になるものではないということです。でも、パズルのピースとは違って、子どもは育つし、変化する存在でもありますね。そうした大事な視点を今回のコラムから再認識させてもらったように感じました。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年05月01日見通し不安のある息子、苦手な「避難訓練で」大パニック!ひきつけを起こしてしまい…息子はこの春で小学2年生になります。診断はありませんが、日々の急な予定変更や、幼稚園で毎年あったクラス替え、小学校入学、時間割の書き忘れで次の日の予定が分からない…など見通しが立たなくて不安になったり、癇癪やパニックにつながってしまうことが多々ありました。これまでで一番印象に残っているのは、幼稚園のときの避難訓練です。息子の通っている幼稚園では、毎月1回避難訓練がありました。息子は、サイレンの大きな音が苦手で、毎回涙目になりながら参加していました。避難訓練は、夏休み前までは先生が事前に予告してくれるのですが、子どもたちが園生活に慣れてくる9月からは、いざというときのために予告なしで行うようになりました。年少のころ、初めて予告なしの避難訓練が行われた日、突然の大きな音と状況に息子は大パニックになってしまい、ひきつけを起こして倒れてしまいました。「本当の火事じゃないから大丈夫だよ」など先生が何度も伝えてくれたそうなのですが、なかなか落ち着くことができず、次の日から「避難訓練はある?」と毎日聞いてくるようになりました。Upload By ユーザー体験談園としては引き続き子どもに予告しないという方針だったようなのですが、担任の先生と相談し、息子には避難訓練の日を事前にこっそり教えることになりました。Upload By ユーザー体験談年長になっても避難訓練が怖い!息子が見つけたまさかの「法則」とは?息子の「避難訓練が怖い」は、年長の秋ごろまで続きましたが、徐々に理解できるようになったのか、避難訓練の度に泣くことはなくなりました。そのころに先生と相談して、ほかのお子さんたちと同じように避難訓練があることを事前に伝えないことにしました。年長になり、ひきつけを起こして以来2年ぶりに予告なしの避難訓練が行われた日、息子はパニックになることなく過ごせました。「避難訓練はもう怖くないの?」と聞いたら、先生からは予告していないはずなのに「今日避難訓練やるって分かった」というのです。詳しく聞いてみると「先生が朝の遊び時間を短くする日に避難訓練をする」という法則を見つけ出し、先に心構えをしていたようなのです。Upload By ユーザー体験談実際に避難が必要になったとき、息子は大丈夫?自分なりに解決策を見つけて大パニックを起こさなくなった息子の様子に成長を感じたものの、これは避難訓練慣れしただけなのでは?実際の避難が必要な状況になったときに果たして息子は大丈夫なのか…?と、私は逆に不安になりました。私がそんなことを考えていると、避難訓練を克服した息子は、いろいろ説明してくれました。「サイレンがなったら、おしゃべりをやめて先生の話を聞くんだよ」「地震だったら、〇〇に避難するんだよ」「〇〇が火事になったら、〇〇に避難するんだよ」「逃げる場所が変わることもあるから、そのときは先生の話を聞かなきゃだめ」Upload By ユーザー体験談実際に避難が必要になったとき、見通しは立ちにくく、大人でも冷静でいられるかは分かりません。息子は、パニックを起こすかもしれません。でもこうして長い時間をかけて先生がていねいに伝え続けてくれたことは、いざというとき、息子が落ち着くためのヒントになってくれるのではないかと思います。イラスト/カタバミエピソード参考/カワカワ(監修:鈴木先生より)誰でも非常ベルの音はうるさくて嫌なものです。ASDと診断されたお子さんは感覚過敏があり、特に音過敏が多くみられます。運動会のピストル音、打ち上げ花火の音、車のクラクション音など突発的な音が嫌いです。あらかじめ分かっていても、いつ音が鳴るか不安で仕方がない場合は耳栓やヘッドホンをするなどの対処が必要です。実際に避難が必要になったときは自分で耳を抑えながら逃げるしかありません。一般のお子さんは徐々に慣れていきますが、ASDのお子さんは「慣れる」ということが難しい場合が多いということを理解する必要があります。初めに怖いと思ったらずっと怖いが続いてしまうのです。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年04月30日ADHD当事者…小学校時代の「衝動性」を思いだし私は大人になってからADHDと診断され、現在は就労移行支援を受けて、企業で働いています。私が子どものころはまだ「発達障害」という言葉もメジャーではなく、原因は分からないけれどクラスメイトと自分に違いや壁を感じることも多かったです。今回はそんなADHDのある私の小学校時代の友達トラブルを振り返りたいと思います。当時の私はADHDの「衝動性」が特に強く、よく怪我をしているような子どもでした。とにかくじっとしているのが苦手で、いつもそわそわと体を動かしており、その方が落ち着いて過ごせていました。この衝動性はもちろん学校でも出ており…小学校時代は通常学級に在籍をしていましたが席に座っていられずに授業中に立ち歩き、教室をうろうろとしていることが多かったです。また、一度自分が「こうしたい!」と思うとその気持ちを抑えられませんでした。授業中に「トランポリンしたい!」と思うと、授業中だとしても構わずに教室を出ていき、トランポリンのある特別支援学級に行ってトランポリンで跳ね、通常学級、特別支援学級両方の先生を驚かせていたりしました。Upload By ユーザー体験談「面白いから」衝動性からクラスメイトに危険なことを…そんな小4のある日のことです。授業中にまた私はそわそわ…先生の話を聞かずに別のことを考えていました。そして思いついたことは「前の席の女の子の椅子をガタガタと揺らしたら面白いのでは?」……今考振り返ると、自分の行動に驚きますが、当時の私は一度自分が「面白いかも!」と思ったことを即実行してしまう衝動性がありました。Upload By ユーザー体験談思いついたら止められなかった私。前の座席の女の子の椅子を思いっきり揺らしました。前後に揺らすと前の席の女の子は大きく揺れ、後ろの席の私の机に頭をぶつけそうな勢いです。面白くなってもっと揺らすと、その女の子は衝撃で椅子から落ちてしまいました!もちろんクラスは大騒ぎ。私は先生にすごく怒られましたが当時の私は「面白いのになんで怒られたんだろう?」と怒られている理由が分かりませんでした。Upload By ユーザー体験談女の子は保健室に行きましたが、大事には至らず…本当によかったです。当時通っていた小学校はかなりのマンモス校。クラスの人数も多く、また、私の親が毎年PTA役員をつとめ、かなり学校内で存在感があったこともあり、先生からも言いづらかったのでしょうか。今では考えられないことかもしれませんが、このことが私の親に伝わることはありませんでした。今思うと、親にこうした私の問題行動がが伝わらなったことで、ADHDに気づくことも遅れたのではないかと思います。成人後、ADHDの特性から仕事が続かない日々…TVで「合理的配慮」を知りその後、ADHDと診断されぬまま、中学、高校と進学をし、就職をしました。就職先でも相変わらずそわそわとしてしまったり、また感覚過敏も強かったので、なかなか職場の環境に馴染めず、仕事はできても環境が合わなくて体調を崩し、1つの職場に長くいることができませんでした。仕事を始めてからは、学生時代以上にうまくいかないことが続く毎日。「生きづらさ」を感じる場面が日に日に増えていくようでした。そんな中、「何かあるのかもしれない」と感じた私は、ようやく病院を受診し、ADHDの診断を受けました。「ADHDがあって、このまま仕事を続けることは難しいのかな」と思ったときにTVで合理的配慮を受けている方の番組を見ました。その番組では、聴覚過敏のある人がイヤーマフやノイズキャンセリングイヤホンをして働いている様子や、そわそわしてしまう人用のスタンディングデスク、疲れやすい人への静養室などの配慮の例が紹介されていました。「これだ…!合理的配慮を受けられたら仕事が続けられるかもしれない!」目の前が明るくなった瞬間でした。Upload By ユーザー体験談現在は、就労移行支援を受けて、企業で働いています。ADHDは「治る」ことはないけれど「うまく付き合っていく」ことはできます。今後も自分の特性を理解して、生きづらさを少しでも減らした生活ができればいいなと思っています。また、小学校時代にもし適切な支援を受けていたら…とも考えます。私が子どもだったころに比べ、現在は発達障害について社会の理解も進んできています。特性のある子どもたちが支援を受けて少しでも楽しく安心して過ごせる未来になれば良いなと思っています。イラスト/taekoエピソード提供/はっちゃん(監修:鈴木先生より)以前は小児科でも診断できなかったADHDが、今は精神科でも診断できる時代になりつつあります。私の外来には大人になってしまったADHDの方がよく受診されますが、現代においてADHDは薬物治療のできる時代になりました。保険適応もあり、慢性疾患として治療することができます。私の外来では最低2年間の内服をおすすめしています。気づいたときが早期発見でいいと思います。周りの環境次第でよくなったり悪くなったりします。母親は出産を機にADHDが悪化することが多々あります。食事や洗濯などの仕事量が増えるからです。「うまく付き合って」いけなくなったらできるだけ早く専門医に相談することをお勧めします。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年04月29日自閉スペクトラム症(ASD)とは?自閉スペクトラム症(ASD)は発達障害の1つで、これまで自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー症候群などの名称で呼ばれていましたが、2013年にアメリカ精神医学会による、精神疾患の診断基準・診断分類「DSM-5」が出版されて以降、自閉スペクトラム症(ASD)/自閉症スペクトラム障害と呼ばれるようになりました。※この記事内では以下「自閉スペクトラム症」と記述します。自閉スペクトラム症(ASD)は、「対人関係や社会的コミュニケーションの困難」と「特定のものや行動における反復性やこだわり、感覚の過敏さまたは鈍麻さ」などの特性が幼少期から見られ、日常生活に困難を生じる発達障害の1つです。知的発達症(知的障害)を伴うこともあります。幼少期に気づかれることが多いと言われていますが、症状のあらわれ方には個人差があるため就学期以降や成人期になってから社会生活において困難さを感じ、診断を受ける場合もあります。参考:(7)自閉症・情緒障害|文部科学省自閉スペクトラム症は生まれつきの脳機能障害です。乳幼児期の育て方によって発症するものではありません。自閉スペクトラム症の根本的な原因を治療することはまだ不可能と言われています。また、ひとことで「自閉スペクトラム症」と言ってもその症状は人によってさまざまなので、それぞれの特性や発達のペースに合った療育や支援、教育的な対応、合理的配慮、環境調整や本人の工夫などが必要になってきます。癇癪、衝動性、こだわりなど個別の症状に対しては、まずは環境の調整を行います。自閉スペクトラム症そのものを治す薬はありませんが、ある一定年齢以上であれば特定の症状に対して薬が処方される場合もあります。自閉スペクトラム症(ASD)と広汎性発達障害、アスペルガー症候群、高機能自閉症との違いは?広汎性発達障害とは、アスペルガー症候群や自閉症などを含む障害の概念として使われていました。 DSM-5で広汎性発達障害の名称は「自閉スペクトラム症」の診断名に統合されました。アスペルガー症候群は広汎性発達障害の1つとして定義されてきました。知的発達の遅れを伴わず、かつ、自閉症の特徴のうち言葉の発達の遅れを伴わないものがアスペルガー症候群に分類されていました。DSM-5でアスペルガー症候群の名称も「自閉スペクトラム症」の診断名に統合されました。参考:参考3定義と判断基準(試案)等|文部科学省高機能自閉症は自閉症の中で「知的発達の遅れを伴わないもの」を指す概念として使われていました。高機能自閉症と アスペルガー症候群の違いは、発達の初期の言葉の遅れの有無であり、遅れが見られたものを「高機能自閉症」と分類していましたが、明確な違いはないという指摘もありました。DSM-5で高機能自閉症の名称も「自閉スペクトラム症」の診断名に統合されました。参考:参考3定義と判断基準(試案)等|文部科学省Upload By 発達障害のキホン自閉スペクトラム症(ASD)と併存しやすい症状自閉スペクトラム症はさまざまな併存症があると言われています。約70%以上の人に1つの精神疾患が、40%以上の人に2つ以上の精神疾患があると言われています。知的発達症(知的障害)、ADHD(注意欠如・多動症)、発達性協調運動症(DCD)、不安症、抑うつ障害、限局性学習症(学習障害、LD)、場面緘黙症(選択性緘黙)などが併存することがあります。参考:ASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)について|e-ヘルスネットADHDとは、不注意(集中力がない)、多動性(じっとしていられない)、衝動性(考えずに行動してしまう)の3つの症状が見られる発達障害のことです。限局性学習症(学習障害)は知的発達に遅れがないものの「読む」「書く」「計算する」などの能力に著しい困難を示す発達障害のことです。医学的な定義では限局性学習症は上記3点の困難を指しますが、文部科学省での定義は「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算・推論する」の5点を指し、定義に若干の違いがあります。参考:学習障害(限局性学習症)|e-ヘルスネット参考:学習障害(LD)、注意欠陥/多動性障害(ADHD)及び高機能自閉症について|文部科学省発達性協調運動症とは、日常生活における協調運動が、本人の年齢や知能に応じて期待されるものよりも不正確であったり、困難であるという障害です。別名、不器用症候群とも呼ばれていました。知的発達症(知的障害)とは、発達期までに生じた知的機能障害により、認知能力の発達が全般的に遅れた水準にとどまっている状態を指します(発達期とはおおむね18歳までを指し、それ以降に事故や病気などで知的機能が低下しても、知的発達症とは言いません)。場面緘黙症(選択性緘黙)とは、たとえば家庭では問題なくおしゃべりができるのに、幼稚園や学校、公共の場など特定の場面で「話せない」状態をいいます。自閉スペクトラム症のある子どもとの生活の様子は?特選連載コラム自閉スペクトラム症のあるお子さんをもつ発達ナビの連載ライターさんの厳選コラムをご紹介。「あるある」と共感したり、今の悩みを解決するヒントが見つかるかも…?大人の自閉スペクトラム症の仕事での困りごとなど、関連コラム自閉スペクトラム症のある人が大人になると、仕事面で困ることが多くなってきます。自閉スペクトラム症のある人は得意、不得意がハッキリしていることが多いので、自身の得意分野をきちんと理解して自分に合った職や対処法を探すことが重要になってきます。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年04月28日発達障害のある子どもの「見通し不安」は日常や学校生活でも発達障害があるお子さんやそのご家族の中には「急な予定変更が苦手で、癇癪を起こしてしまう」「見通しが立たないと強い不安を覚え、パニックになってしまう」など「見通し不安」でお悩みの方も多いのではないでしょうか。発達ナビのQ&Aコーナーでも「見通し不安」に関する相談や疑問が数多く寄せられています。「見通し通りにいかないとパニックになります。これはASDの特性?」「『〇〇されたらどうしよう。××と言われたらどうしよう』などと何かを始める前から不安が強い子どもにどう接したらいいのでしょうか」「行事があるごとに『見通し不安』になる息子、学校にどう相談したらいい?」「見通しが立たなくなると、衝動的に廊下に飛び出してしまうことがあります。学業に支障をきたすので、困っています」このコラムでは、見通し不安にまつわるギモンから、見通しが立たないことによるお悩みや困りごとなど専門家の先生のアドバイスを交えてご紹介します。【Q&A】「見通し不安」はどう対応したらいい?学校にサポートを求めるべき?発達ナビのQ&Aコーナーでは、子育てに関する疑問や知りたいことを質問するとほかの発達ナビ会員の方々が実体験などをもとに答えてくれます。見通し不安に関する質問とその回答をご紹介します。(質問)ADHDとASDがあります。自分がある程度立てた見通し通りにいかないとパニクるのですが、これはASDの特性ですか?それとも誰にもある事ですか?こちらの質問には以下のような回答が寄せられました。(回答)ADHD、発達障害当事者です。わかりますよ~パニックになりますよね。私の場合は、実際にパニック発作が起きてしまったり(脂汗だらだら、体が熱くなって呼吸もしづらく、頭がぐわんぐわんして吐きそうになる…など)、頭が真っ白になってフリーズしたり、誰かと一緒にいるときにそのような状況になると口汚く当たり散らしたり(完全に八つ当たり)してしまいます。(略)主治医によると、上記のようなパニックを起こさないよう予防するのはとても難しく、パニックを起こしてしまったことへの後悔に気を取られたり、変なこだわりが出てきてしまって対処がしづらくなってしまうので、「起こしてしまったものはしょうがない。その後のフォローをしっかりすれば周りも理解してくれるし、対処に集中できる。」とのアドバイスをいただきました。(略)質問)私の息子は4月から保育園と発達教室が進級した関係で変わりました。4月からの環境もガラリと変わったせいか、いまだに保育園と教室へ行くのを拒否します。朝起きたら、行かない嫌い行きたくないの一点張りで支度も満足にできません。(略)本人を背負って車にとりあえず乗ってもらっても脱走する恐れがありロックはもちろんかけているのですが後部座席からボンボンフロントガラス目掛けて物を手当たり次第投げ散らかしてきたりもします。(略)無理やり行きたくない場所へ連れて行かれる、と意地になっているのかもしれません。環境に適応するのは時間がかかると覚悟はしていますが、「あとどれくらい」とかの見通しが立たない中で若干、焦ってもいます。何か成功例などありましたら、是非お聞きしたいです。宜しくお願いします。こちらの質問には以下のような回答が寄せられました。(回答)4月からとなると、そろそろ慣れて欲しいという気持ちになりますよねなお、お子さんおいくつですか?イヤイヤ期も関係しないかなというのが気になった点です。もし、知的の要素もあるならば、イヤイヤ期が2歳ではなく、4-5歳ででる場合もあります。その場合は、ひとまず寄り添いそうつつ、毎日のルーチンに慣れて行くように生活の型を作っていくと少しずつ収まっていくのかなと思います。(略)ウチの長男は、不安感が強くて保育所時代は本当に大変でした。。見通しを立てることと、毎日出来るだけ生活を崩さないようにしても、保育所のちょっとした出来事や行事などで気持ちが崩れやすかったりしました。お子さんが癇癪を起こすのにも、年齢がいくにつれて収まる可能性があるかと思いますが、お子さんなりの理由があると思います。もし、日常的な生活で判りにくいならば、ペアレントトレーニングなどを受けることで、ご自身のお子さんの観察の仕方、接し方なとを知るのも1つの方法かと思います。私自身は、ペアレントトレーニングや自分自身のアンガーマネジメントをすることで、かなり対処がしやすくなりました。(略)見通し不安に関するギモンと体験談をもとにした回答をご紹介いたしました。聞いてみたい質問があればぜひQ&Aコーナーに投稿してみてください!【小児科医に聞く】どうして「見通し不安」になるの?対応のコツや学校への配慮の求め方ここまで発達ナビのQ&Aコーナーに寄せられたギモンを中心にご紹介しました。ここでは、小児科医の藤井明子先生に見通し不安になる原因や、家庭や学校での対応のコツについてお答えいただきます。(質問)発達障害のあるわが子は、見通しが立たない状況に不安になり固まってしまったり、癇癪を起こすことがよくあります。どうして「見通し不安」になるのでしょうか。成長していけばなくなるのでしょうか。(回答)A.発達障害の特性の一つに、先を見通して、その状況に応じて臨機応変に対応するのが苦手ということがあります。また、特定の感覚の過敏さのために、特定の行動パターンや環境へこだわりを認めることもあります。行動パターンや環境の変化に、対応するのが難しいことで、不安を生じます。感覚の過敏さへの対策をすることで、こだわりが和らぎ、パターンの変化にも、柔軟な対応ができるようになっていくこともあります。そのためには、事前に見通しを立てた声かけと、生じうる変化について、前もって知らせておくのも大切です。Upload By 発達障害のキホン(質問)息子は「予定通り」にこだわりがあります。普段生活しているうえで少しでも予定通りからはずれてしまうとパニックを起こしてしまいます。ルーティンはどこまで許容していいものなのでしょうか。(回答)A.どこまで許容していいかの線引きはお子さんの特性や、状況によって違ってきます。日々のルーティンも、環境の変化によって変えざるをえないときもあります。年度替りで、園の先生やクラスの場所が変わったり、引越しで登園時間が変わったりなどで、ルーティンを変えざるをえないこともあります。その場合には、ルーティンの10分の1ずつというスモールステップで、少しずつ変化させてならしていくことをおすすめしています。Upload By 発達障害のキホン(質問)来年度、入学式を控えています。不安になりがちな娘が初めての場所で、慣れない行事に参加することが今から不安です。事前に準備しておけることなどはありますか。(回答)A.入学式だけでなく、運動会、お遊戯会など、普段と違うイベントで、不安を感じられるお子さん、親御さんの相談はよくあります。入学式の場合には、学校の先生に事前に相談し、入学式の会場や、座る場所、式の長さなどを聞き、工夫できることはないか、先生と一緒に考えられると良いと思います。事前に会場を見るだけで、本番の参加は全く問題なくできるというお子さんもいました。お子さんの特性に合わせて、座る場所も隅の落ち着きやすい場所、式の全てに参加が難しければ、途中で退出するなどの工夫ができないかなど、相談してみましょう。Upload By 発達障害のキホン(質問)運動会や遠足、宿泊学習など、楽しみにするお子さんもいると思うのですが、うちの子はそういった学校行事がある度にとても不安になってしまいます。たびたびなので対応にも悩んでいます。学校にはどのように相談したらよいでしょうか。(回答)A.まずは、不安な気持ちを言葉で表せるお子さんは、不安な気持ちを言葉で出したことを、否定せずに受け止めましょう。親御さんに、気持ちを受け止めてもらったことで、不安な気持ちがありながらも、参加してみようと意欲がでるお子さんもいます。そして、参加ができたら、不安があったけれど、参加できたことに注目して、声をかけましょう。学校へは、お子さんにどのような工夫をしたら、不安が軽減できるのかを相談すると良いでしょう。行事のプログラムを、視覚的に見える形にしておき、プログラムが進むごとにシールを貼って、進捗状況を分かるようにする。参加時間を短くしてもらう。不安が強すぎる場合には、補助の先生や、親御さんが一緒にいることができるようにする。お子さんによってできる工夫はさまざまかと思います。Upload By 発達障害のキホン見通し不安にまつわるコラム発達ナビに掲載されている見通し不安にまつわるコラムをご紹介します。不安が強いお子さんの対応で大切なのは「事前の声かけ」「気持ちを受け止めること」発達障害のあるお子さんでお悩みの方も多い「見通し不安」。特性により臨機応変が苦手であったり、感覚の過敏さなどからこだわりを生じ、変化に対応するのが苦手であるなどから不安につながることがあります。「見通し不安」が強いお子さんには、事前に見通しを立てた声かけと、生じうる変化について、前もって知らせておくことが大切です。園や学校の行事など普段と違う状況で不安になるお子さんも少なくはありません。お子さんが不安な気持ちを言葉で表した場合、まずは不安な気持ちを言葉で出したことを、否定せずに受け止めましょう。受け止めてもらえたことで、「やってみよう」と思えることもあります。お子さんの特性や状況によって、できること、対応したほうがよいことはさまざまではありますが、事前に園や学校に相談することで対応ができることがあります。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年04月27日3年生のとき、話にクラスメイトの名前が出てくるようになった次女はもともと、家で学校のことをあまり積極的に話しませんでした。コミュニケーションを取れないことでクラスメイトとの関わりがほとんどないため、学校のことを聞くと「忘れた」「覚えてない」という感じの答えがほとんど。ただ、3年生になってしばらくたってから…Upload By まりまりUpload By まりまりという感じで、学校の話が増えて、クラスメイトの名前が出てくるようになったりしました。担任の先生に聞いてみたなんで3年生になってからクラスメイトの話が良く出てくるんだろうと不思議に思っていました。もしかして、次女からクラスメイトに話しかけたりとかしてるのかも…⁉などと、少しの期待を胸に、面談のときに担任の先生に聞いてみることに。Upload By まりまり相変わらず言葉でのコミュニケーションは取れていない…先生からは「次女さん自身から友達とコミュニケーションを取っている姿はほとんど(たぶん全く…)見られない」とのことでした。分かってはいたものの、少し残念に思いましたが、先生からは「次女さんはよく頑張っていますよ」とお話がありました。Upload By まりまり担任の先生が工夫してくれていたこと先生のお話を聞くと・グループ学習のときは可能な限り一緒に入るようにしている・席替えのときに、良く話す子や面倒見の良い子を隣にしてみる・決まったことは言えるため、授業中になるべく声を出す機会を設ける・ひとこと交換日記のやり取りを続けるなどを継続して実施してくれていました。それまでは次女が「なんとかクラスにいられる状態」でやってきていました。でも、先生の対応によって、次女が「クラスに参加している」という感じで気持ちが変化してきたのかなと思います。先生のお陰で、クラスが「安心していられる場所」になっていた次女に対する以上の取り組みだけでなく、クラス全体の雰囲気も良く、次女にとってクラスが「安心していられる場所」に変わったのではないかと思います。だからこそ、学校の話が増えたり、3年生の3学期には…Upload By まりまりと、初めて「学校が好き」という発言があったのでした!それまで、次女の口から「学校好きだよ」なんて言葉が聞けることがあるとは思っていなかったので、このときはとてもうれしく思ったのでした…!執筆/まりまり(監修:新美先生より)場面緘黙のあるお子さんが、学校での話をうちに帰ってからたくさんお話ししてくれるようになったというのはとてもうれしい変化ですね。学校での生活に主体的に入れるようになったことの現れですね。学校でたくさん吸収してきたことをその場では話せなくても、家に持ち帰ってお話しすることで、お子さんの学校の一日が完了するのかもしれません。担任の先生の取り組みがとても素晴らしいです。場面緘黙がある場合、気を遣われすぎて何もしなくてもいいよという関わりも、何とかして話させようという関わりも本人にとっては居心地悪く負担になりがちです。今回のエピソードでは、話せなくてもお子さん自身が「そこにいる」ことを実感できるよう、負荷をかけすぎず上手に活動に巻き込んでくれています。先生もお友達も、自分のことを見てくれていると感じられる場面が積み重なって、「学校が好き」という発言につながったのでしょうか。うれしいエピソードをありがとうございました。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年04月27日『中が見えて取り出しやすいメッシュバッグインウォレット』の商品開発モニターを担当しました。今回、発達ナビ×フェリシモコラボの、発達が気になるお子さんや保護者さまが便利で快適に過ごせるためのグッズづくりに参加させていただきました!私は『中が見えて取り出しやすいメッシュバッグインウォレット』の商品開発モニターを担当しました。財布やカギ、スマホやハンカチなどをひとまとめにし、バッグの中で迷子になることを防ぐバッグインウォレットです。「かばんを変えると財布を忘れてしまう」「ハンカチがかばんの底でぐちゃぐちゃになってしまう」などのお悩みを元に考えられた商品です。メッシュ素材で中身が見やすいのはもちろん、かばんの持ち手に取りつけられるので、取り出しやすく、忘れる心配がありません。指を掛けやすい金具のファスナーを引くと、がばっと開いて中が一目で見渡せるじゃばら型になっています。普段から大切なものをまとめて入れておけば、バッグを変えても忘れ物を防ぐことができます。Upload By 丸山さとこ※詳細ボタンをクリックすると発達ナビのサイトから株式会社フェリシモのサイトに遷移します財布やカギなど「外出に必要な持ち物」を忘れがちな私と息子が使ってみたら…!私と息子のコウはASDとADHDがあります。財布やカギなど外出に必要な持ち物を忘れがちで、バッグを入れ変えたときなど「あっ!財布忘れてる?」「スマホ…充電したままだ!」と出先で冷や汗をかくこともしばしばです。Upload By 丸山さとこそんな私とコウが忘れがちな「財布・カギ・スマホ」の3点をひとまとめにできるアイテムが『中が見えて取り出しやすいメッシュバッグインウォレット』です!名前の通りメッシュ素材で中が見やすいため、カギやスマホを持っているかどうか一目瞭然でとても便利です。特に、財布とカギが一体化できるところが素晴らしいと思いました。Upload By 丸山さとこ考えてみれば、自宅の中でも持ち歩いて使うスマホと違い、カギと財布は基本的に外出中しか使わないものなので、一緒にしておくことは理にかなっているわけで…。「私はなぜ、今まで鍵と財布を分けていたのだろう?」と思いました。また、しっかりしたメッシュ素材でガバっと大きく開くのも、中が見やすくて使いやすいです。開けるときも大き目リングで指をかけやすく、微細運動が少し苦手な息子は「使いやすいね~」と喜んでいました。Upload By 丸山さとこ財布やカギは家に忘れてくると大変困るものなので、私にとって「忘れ物」は自覚しやすい困り感の一つです。一方、「大事なものがかばんの中で迷子になること」は探せば見つかるからか、「よく迷子になるんだよね~」と思いつつ今まであまり気にしていませんでした。ところが、今回モニターとして『中が見えて取り出しやすいメッシュバッグインウォレット』を試させていただいた結果、「持ってるはずなのに?」と慌てずにいられることで減るストレスは大きいのだな…と感じるようになりました。日常にある小さな不便やそれに伴うストレスは自覚しにくいことがありますが、それをさりげなく解消してくれる便利なアイテムを使うことで、楽になることはたくさんあるのだろうなと思いました。Upload By 丸山さとこ『中が見えて取り出しやすいメッシュバッグインウォレット』は、その名の通り「中が見えてかばんから取り出しやすい」とても便利なウォレットでした。しっかりしたメッシュ素材でポーチのように大きくつくられたウォレットは、お財布もカギもスマホもパスケースも全てまとめてくれます。大事なものをオールインワンで持ち運べる安心感は、一度体験してみると「あっ、ストレスが違う!」と分かるかもしれません。かばんの中で大事なものを迷子にしやすい方、財布やカギを忘れてしまうことがある方におすすめのアイテムだと感じました。※詳細ボタンをクリックすると発達ナビのサイトから株式会社フェリシモのサイトに遷移しますコラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年04月26日診断書とは?発達障害のある子どもの保育園、幼稚園、学校や受験での合理的配慮に必要?療育を受けるのに必要?診断書とは医師が患者の病名、症状、診断した内容などを記した書類です。発達障害(自閉スペクトラム症、ADHD、学習障害など)がある子どもの場合、診断書を提出することによって手帳の取得ができたり、幼稚園、学校、受験での合理的配慮を受けやすくなったりなどさまざまなメリットがあります。18歳未満の子どもの場合、発達障害の診断書が必要になるのは「精神保健福祉手帳」の取得や「特別児童扶養手当」の受給の際になります。児童福祉法に基づくサービス(療育など)の利用や、通級指導教室、特別支援学級の入級、特別支援学校への入学の際にも診断書が必要になる場合があります。合理的配慮を受けるために必ずしも診断書が必要な訳ではありませんが、学校などで合理的配慮を受ける際に診断書や病状の詳細が記載された診療情報提供書があると、どのような支援が必要になってくるのか学校側で連携しやすくなるというメリットもあります。また、「障害者差別解消法」の施行により、障害がある人が受験をする場合、個別面接、個別受験、問題文の読み上げなど負担が重すぎない範囲で配慮することが国公立の学校には義務づけられました。このような配慮を受ける場合にも、医師の診断書や診療情報提供書などを連携することがあります。参考:日本の特別支援教育の状況について|文部科学省障害者総合支援法によるさまざまな福祉サービスを受けるためには、診断書とは少し違いますが、「医師意見書」が必要になります。参考:医師意見書記載の手引き|厚生労働省発達ナビユーザーに診断書についてアンケートを取りました!学校や受験での合理的配慮、児童発達支援の利用、保育園の加配…「診断書をとったきっかけ」「診断書で変わったこと」ほか、発達障害がある子どもの保護者のリアルな声発達ナビでは2023年3月27日から4月9日の期間、で『「診断書」どのタイミングで取得した?診断書について知りたいことなどエピソードを大募集!』として診断書についてのアンケートを実施しました。結果は「子どもが未就学時代に診断書を作成したことがある(36%)」「診断書を作成したことがない(34%)」と僅差で未就学時代に診断書を作成したことがある方が多い結果となりました。それに続き「子どもが小学校時代に診断書を作成したことがある(21%)」という結果になり、お子さん比較的小さいころに診断書を作成したことがある方が多い結果となりました。「診断書」どのタイミングで取得した?診断書について知りたいことなどエピソードを大募集!Upload By 発達障害のキホン1歳7カ月(確定診断と同時)で作成しました。公立療育に通うために、受給者証が必要だったためです。現在は診断書がなくても通えるのですが、当時(約20年前)は診断書が必要でした。(あまだれさん)療育を受けるための受給者証を取得するため作成してもらいました。(夜子さん)最初は保育園で加配の先生をつけたいから取得してほしいと言われ。今は療育に通うために使ってる会社の介護支援制度申請のため年1回取得してる。(はまこ茶さん)入学時に支援級希望しており、診断書が必要だったので。(あきっちさん)療育手帳取得のため診断書を書いてもらいました。(まろさん)未就学児時代の診断書は「療育の利用」「保育園での加配」「特別支援学級入学」などで診断書を取得される方が多いようでした。学校への対応を親だけでは学校が固くて無理だったのでぶつかるよりはとドクターの知恵をお借りしました。(梛丹さん)小2の時にいよいよ特性が目立つようになってきて、服薬治療の必要を感じたのと、次年度(小3)を支援級にするか通常級のままで行くか決めるための判断材料も欲しくて、診断を受けました。(sacchanさん)読み書きに困難さがあり、授業でのデジタル教科書の使用を学校に相談するため、診断書を書いてもらいました。(kazehimeさん)小学校時代の診断書は「通う学級の判断」や「小学校での合理的配慮」などで診断書を取得される方が多いようでした。診断書が必要になる機会がなかったので1度もないです。病院とのつながりはあるので、必要になれば書いてもらえる環境ではあります。(夢野途中さん)診断名としては聞いていますが、今のところ提出が必要なことがなかったので未作成です。4月から小学生ですが、就学支援シートに幼稚園の先生、療育の先生から対応の詳細を書いてもらい提出しました。(AAAさん)診断書を作成したことがない方の多くは「必要な機会がない」とのことでしたが、取得の環境を整えたり、診断書でなくてもお子さんの詳細を学校に提出したりなど、できる準備をしていると安心してお子さんも過ごせそうです。ここまで診断書についてのアンケート結果を発表してきましたが、ここからは気になる「診断書」についての疑問を小児科医の藤井明子先生に回答していただきます。Q:子どもの診断書はどこでもらえるのでしょうか?発達障害などに関する診断書でしたら、診断した病院へ依頼が良いでしょう。直近に受診したことがなければ、かかりつけの小児科や児童精神科、小児神経科に依頼をしてみましょう。Upload By 発達障害のキホンQ:診断書の費用は大体どのくらいですか?同じ病名の診断書でも、費用は各病院によって違います。また、医療保険対象外になりますので、費用は全額自己負担となりますのでご注意ください。Upload By 発達障害のキホンQ:診断書にはどのような情報が記載されていますか?どこに使う診断書かによって必要な情報が追加されたり、逆に不要な情報は省略されることもあります。診断書作成依頼の際に医師と相談しながら必要な情報をすり合わせられると良いですね。・園へ加配申請をする場合の記載例診断名に続き、集団生活において個別的な声掛けなどの支援を要するため、加配職員の配置が望まれる、などの所見を記載します。(ただし、診断書を出しても、加配職員が手配できない園もあるので、提出の前に園や主治医と相談しましょう)・学校へ現在通院中であることを伝える場合の記載例診断名に続き、現在の薬などの治療内容、通院頻度を記載します。Upload By 発達障害のキホンQ:子どもに発達障害があり合理的配慮を受けるために詳しく書いてほしい部分があります。医師に希望を伝えても大丈夫でしょうか?診断書は医師が問診内容や検査の結果を元にして書きます。問診外や検査外のことは書くことができないので、保護者の希望に沿えない場合もあります。発達障害の併存疾患には知的障害・てんかん・睡眠障害などがありますが、これらの合併症についての対処法などは、診断書ではなく、診療情報提供書などで情報提供を行うことが多いです。Upload By 発達障害のキホンQ:診断書の作成期間は大体どのくらいですか?一部の書類は即日で作成できることもありますが、診断書の内容によっては時間がかかる場合もあります。提出期限などがある場合は余裕をもって依頼をすると安心ですね。Upload By 発達障害のキホンQ:診断書を作成してもらえない場合もあるのでしょうか?また、特別児童扶養手当、精神保健福祉手帳の診断書を、該当機関に提出しても、申請が通らない場合があることも理解しておく必要があります。診断書は「現在の症状の様子」で作成をします。過去に診断や症状があった場合でも、現在症状がない場合には診断書が作れないこともありますのでご注意ください。Upload By 発達障害のキホン診断書についての関連コラムはこちらコラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年04月26日自閉スペクトラム症(ASD)とADHD(注意欠如・多動症)の診断を受けた小学4年生発達障害の専門家が出会った発達が気になる子どもたちや、その保護者の抱えていたリアルな「困った!」をもとに、対応策などをドキュメントタッチで解説します。今回は、通常学級に通う小学4年生の子どものエピソードです。忘れ物が多い、指示どおりに行動するのが苦手、先生に暴言も。自閉スペクトラム症(ASD)とADHD(注意欠如・多動症)の診断後、子どもへの投薬や保護者へのペアトレを始めると…。Upload By 専門家体験談Upload By 専門家体験談Upload By 専門家体験談マンガ/taeko解説:子どもの治療と同じように大切なペアレント・トレーニングーー小児科医今回は、忘れ物が多い、指示どおりに行動するのが苦手、先生への暴言…などの困りがあり、診察や検査を行った結果、自閉スペクトラム症とADHDの診断をした小学4年生の子どものエピソードをもとにお届けしました。診療のポイントは大きく2つです。薬物治療ADHDの主な症状である多動性・衝動性、不注意に対して、薬物治療を開始しました。ペアトレ(ペアレント・トレーニング)学校でも家庭でも叱られてばかりという状況が続くと、だんだんと子どもの自尊心が下がってしまいます。保護者が子どもの応援者となる関わりを目指したペアレント・トレーニングによって、「傾聴」と「承認」を学び、子どもに肯定的な声かけができる状態を目指しました。以前は、学校から早退してしまうと「なんで帰ってきたの?」とつい強い口調で声かけをしてしまった保護者の方も、「どうしたの?」と優しく尋ねることができるようになり、子どもも言いたいことを言えるようになりました。なお、学校に対して要望がある場合、「担任の先生」「校長先生」「市の教育委員会」「県の教育委員会」という流れで、順を追って相談することをおすすめします。合理的配慮を受ける場合は、主治医の意見書を添えると良いでしょう。(後日談)タブレット持参にまつわるエピソードを学校の作文に書いてコンテストに応募してみてはどかと提案したところ、保護者の方も大きくうなずかれていました。子どものあきらめない気持ちを、教育の世界に伝えられたら新たな一歩になることでしょう。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年04月25日発達障害とは知らずに過ごした乳幼児のころうちの息子タケルは2000年生まれ。親の私が発達障害を疑い始めたのは2005年ごろ、実際に診断を受けたのは2008年になってからです。赤ちゃんのころから、ちょっとしたことでもよく泣いていたタケル。小さな音に敏感で、家の外から車のクラクションの音がすれば泣き、幼稚園で友達から肩を叩かれては泣き、スプーンが落ちた音でも泣いていました。しかも、ひっくり返ったり、突っ伏したりして、それはそれは長く長く泣いているのです。Upload By 寺島ヒロタケルが幼稚園生だった当時は、まだ発達障害という言葉もあまり知られていませんでしたし、私もまさかわが子に発達障害があるとは思わず、「この子は繊細だなあ。こんな調子では大きくなって苦労するだろう。たくましく育てなければ!」と思っていました。泣き+暴れ激しい癇癪にビックリしかし、3歳になっても4歳になっても、音に驚いて泣き出すクセが治ることはなく、身体が大きくなり声も大きくなったことで、より暴れ方が激しくなってきました。「うおー!うおー!」と叫び声をあげて倒れ、そのまま身体をよじりながら泣き続けます。時には1時間も2時間も泣き続けていることもあります。故意に人や物に暴力を加えることはありませんが、机には体当たりするし、床に置いてあったものは粉々です。「どうしたの?何かあった?」と聞いても「あった」とはいうものの、それ以上の説明はわあわあという泣き声に紛れて要領を得ません。そのは私も少し「この子には発達障害があるかも...」と疑っていたので、聞きかじりの知識で「これが癇癪ってやつなのかな!?」と思っていました。癇癪を起こしたときの対処法はうちのタケルの場合は、ずっと感情が爆発して泣いている様子ではあるのですが、得物をもって暴れたりはしなかったので、疲れて小休止を取っている隙を狙いすまして、毛布などで包んで、暗い部屋に放り込むということをやっていました。Upload By 寺島ヒロしかし、泣きやんでから何があったのか、どうして怒ったのかを聞いても、本人はほとんど覚えていないのです。憑き物(つきもの)が落ちたようにケロッとして自分の遊びに戻っていってしまいます。どうしてこんなに激しく怒るのか、そもそも何をそんなに怒っているのかは、ずっと謎のままでした。小学生になっても感情爆発!は止まらない小学生になったタケルは、泣きながら床を転がることこそなくなりましたが、周囲には理解できないことで怒り、何時間も泣いているような「泣き怒り」がしばしばありました。家では布団にくるんでおけば安全ですが、小学校で癇癪が起きると、校庭や廊下で棒立ちのままワンワン泣き続けてしまったり、勝手に家に帰ってきてしまいます。学校で迷惑をかける...ということもあるのですが、泣きながら公道を走って帰宅するわけなので、とにかく事故に遭わないかが心配でした。ですので、息子が学校で泣き始めたら電話をもらうことにして、その都度私が学校まで迎えに行き早退させていました。今思い返してもこの時期が1番忙しかったし、「なんでこんなことしちゃってるんだろう?」と私自身も混乱していたと思います。予定通り進まないと怒るのはASDの特性!?いろいろな謎が解けたのは、2008年以降、タケルに発達障害(アスペルガー症候群、現在はASDに統合)があると分かってからです。発達障害について詳しく知りたいと読んだ本の中に、ASDのある子どもは予定通りに物事が進まないと激しい癇癪を起こす場合があると書いてあるのを見て、私は「これだ!」と膝を打ちました。小さかったころのタケルは「ただ音に驚いたから泣いていた」と私は思っていました。でも、もしかしたら「音が聞こえたことで、自分の心の中の予定が変わったり、やろうとしていたことを忘れたから怒っていたんじゃないか?」と気がついたのです。その日も家で癇癪を起こしたタケルに、早速「何かやろうとしていたことがあったんじゃないの?」と聞いてみました。すると「そうだよ!頭の中に全部できてたのに、お父さんがつけたテレビがうるさいからもう台無しなんだよ!!」と言うではありませんか!ビンゴ!!Upload By 寺島ヒロ発達障害の息子の「自分にとっては当たり前なこと」「いつもそれで怒ってたの?どうして予定通り進まないのが嫌だったと言わなかったの?」と聞くと、「予定が崩れるのは誰だって嫌なものでしょう?」とタケル。学校ではよく先生からの声かけや、子ども同士のボディタッチがありますが、それがタケルにとってはいちいち煩わしく「邪魔をされている」と思っていたようなのです。本人からすると、それはあまりに当たり前のことで、説明する必要もないこと。だから余計「なぜボクがこんなに理不尽な目に合っているのに分かってくれないんだ!」と怒りが募っていたのでしょう。息子のように発達障害のある子どもは「普通の(多くの)人だったら平気」が分かりません。タケルにとっては「自分だったら不愉快だ」が当たり前で「ほかの人もそうだろう」なのです。こういうことは、意外と見過ごしがちになってしまうところだなあ...と反省しました。息子自身が障害を理解することで癇癪を軽減「ほかの多くの人は声かけや音などで邪魔が入ったとは思わないし、することも忘れない」ということを知ったので、タケルは「意地悪されているわけじゃなかったんだ」と他人に怒りを向けることがなくなりました。学校での「泣き怒り」も、ぴたりと止まりました。また「中断がこんなにも不愉快なのは障害の特性」ということを、息子自身が理解したことで、集中して考えたり、手順の多い作業をするときは、静かな環境をつくってリスクを減らしてから取り掛かることができるようになりました。残念ながら、22歳になった今でも「何か邪魔が入ると忘れてしまう」という特性自体がなくなったわけではありません。たまに「あー!考えが飛んでったー!」と言いながらイライラしていることもあります。それでも子どものころに比べたら、本当にたまにのことになりました。一生解決しない問題なのかもしれませんが、うまく折り合いをつけていって欲しいと祈るばかりです。執筆/寺島ヒロ(監修:藤井先生より)タケルさんの癇癪、泣き怒りの理由が、とても長い時間を経て分かったのですね。2000年生まれだと、今よりも発達障害や発達障害の特性について知る機会が少なかったかもしれません。その状況の中、寺島ヒロさんが毛布にくるんでクールダウンする環境を整えたり、泣き怒りの理由を一緒に探ろうと質問されたことで、対処法を探ることができましたね。2~3歳ごろの癇癪スタートの年齢では、癇癪の理由をお子さんが言葉にすることは難しいですが、このように実際のエピソードを共有していただくことで、癇癪の対応に苦慮されている親御さんの手立てになりそうですね。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年04月25日「床の色が変わると歩けない」息子のこだわりが生んだ独自ルールUpload By べっこうあめアマミみなさんは、何らかの施設内を歩いているとき、床の色の切り替わりに注目することはあるでしょうか?おそらく、ほとんどの人はないと思います。しかし、息子はそういった床の色の切り替わりに敏感で、歩く場所の色が変わると急に足を止めて踏み出せなくなってしまうことがよくありました。子どものころ、遊びの延長的に、「同じ色の場所を踏んで歩く」というルールを自分に課して学校などから帰った経験がある人はいませんか?もしかしたら、それを極端に強固にしてしまったものが、息子の床へのこだわりなのかもしれません。息子の床の色に対するこだわりは強く、「この床は踏みたくない」と思ったら全く動けなくなってしまいます。無理に動かそうとすると癇癪につながることもありますが、動けなくなった場所が人の迷惑になる場所だったり危険な場所だったりすると、非常に困ります。息子のこだわりは一貫性があるものではなく、あるときはダメだった床があるときは大丈夫になっていたりと、その日のコンディションにも左右されるものでした。息子は言葉が話せないので、こだわる理由の真相を聞き出すことはできません。しかし、おそらく息子は体のほかの部分に比べて足裏の感覚が敏感で、たとえ靴や靴下を履いていたとしても、足裏と近いところにある床が気になってしまうのではないか?と思っています。療育のお部屋が床の張り替え!「一歩」を踏み出せなくなった息子Upload By べっこうあめアマミ息子が未就学児のころ、療育で通っていた発達支援施設で、一部の床の張り替えをしたことがありました。息子がいつも使っていた教室の床も張り替えられ、きれいな教室で過ごせてうれしいな…と思っていない人が一人。息子です。いつもの教室の一部の床の色や素材が変わったことに、息子はすぐに違和感を感じたようでした。変わった場所に踏み入るのをためらい続け、どうにか療育は受けられたものの、療育中もソワソワして、その日はなんとなく落ち着かない様子だったようです。そして、帰りの時間。息子の「できる限り床を踏みたくない」気持ちが限界を迎え、部屋の隅から一向に動かなくなりました。どんな声がけも通じず、迎えに来た私は困り果てました。歩く場所は作ってあげればいい、先生が出した魔法のアイテムそんなとき、救世主が現れました。一人の先生が、息子の両足が乗るくらいの大きさの色のついた丸い紙を、何枚か持ってきてくれたのです。そして、その紙を息子の前に置き、ここに乗るようにと息子を促しました。Upload By べっこうあめアマミ目の前に現れた、別の色の床(紙)。息子はそこで気持ちが切り替えられたのか、先生がおいた紙に興味を持ち、その上に乗りました。そして、先生がさらにもう一歩前に紙を置くと、息子は新たに置かれた紙の上に進みました。息子が新たな紙の上に乗ると、後ろには戻らないように、さりげなく先生が後ろの紙を取っていきます。その後は先生の華麗な誘導と紙さばきで、どんどん前に進んでいった息子。床が気に入らなくて歩きたくないのなら、歩く場所として簡易的な「別の床」を作ってあげよう。この先生のアイデアのおかげで、無事息子は教室を出て、帰路につきました。Upload By べっこうあめアマミこだわりと上手につきあっていくために障害の有無にかかわらず、私たちは誰しも、何かしらのこだわりを持っているのではないでしょうか。そのこだわりを無理になくそうとしたり、本人の意思に反した動きを無理やりさせようとしても、お互いにイライラがたまってうまくいかないことは多いと思います。療育で、先生の見事な誘導により、息子がストレスなく自然と苦手な床の上を移動できたのを見て、私はこだわりを「なくす」のではなく「上手につきあっていく」大切さを感じました。そうはいっても現実は、同じ方法を使ってもうまくいかないこともありますし、どうにもならずに無理やり動かすしかないシーンは多々あります。それでも、できるだけ息子の気持ちを尊重し、親として息子のこだわりとつきあっていきたいと思います。執筆/べっこうあめアマミ(監修:藤井先生より)療育の先生のアイディアに至るには、べっこうあめアマミさんが、息子さんのこだわりに気づいていたことが大事だと思いました。急に道端で立ち止まったり、療育に参加しなかったりという状態だけを見ると、床の色にこだわっているという点にはすぐに気がつかない可能性もあります。息子さんの行動と、その状況を観察されたことで、こだわりの詳細な内容に気づかれたのだと思いました。その観察力が素晴らしいと思いました。こだわりを「上手につきあっていく」という視点で考えると、できる工夫が浮かんでくることがありますね。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年04月24日自閉症息子の就学相談。通級指導教室、特別支援学級どっちがいい?わが家の小3の息子は5歳で自閉スペクトラム症(ASD)、小2でADHD(注意欠如・多動症)の診断を受けました。今は通常学級に在籍しながら通級指導教室に通っています。息子は小さなころから基本的にはおとなしい性格でしたが、こだわりが強く、一旦こだわりが出てしまうと癇癪に繋がってしまうタイプです。幼稚園に通っていたころは、友達からからかわれることもありましたが、当時はからかわれていること自体に気づいてなかったのか、本人的には楽しく通っていました。そして年長になり就学相談の時期に…。すでに自閉スペクトラム症の診断を受け、療育には通っていたので私は息子の就学先を「通常学級在籍で通級指導教室に通う」と「特別支援学級在籍」で悩んでいました。Upload By ユーザー体験談特別支援学級のほうが手厚い支援を受けられる?通常学級在籍は周りの友達に影響されて成長できるかも…。私の中でどちらにしたら良いのか希望はなかなか決まらないまま、就学相談で息子は発達検査、行動観察、グループ観察などを受け、11月になり教育委員会からの結果は…。通級指導教室と判定されて。母の気持ちは…教育委員会からの結果は「通級指導教室判定」でした。息子の場合は「知的障害特別支援学級は、IQが入級基準以上のため対象外」「集団観察のときにおとなしく、問題がないと思われた」ようですが「自閉スペクトラム症の診断はあり、療育に通っている」という部分で、通級判定につながったようです。その判定を聞いて、母である私はホッとしました。私だけでは、息子にはどんな支援が必要なのかが判断しきれず、悩むばかりで息子の進学先を決められなかったからです。子どもの発達に詳しい職員や、専門家の方々がそう判断してくれる進路ならと、心強いものがありました。夫や親戚たちにも伝えたところみんな口を揃えて「良かった!」と言っており、「4月から通級指導教室で頑張っていこう」という気持ちで息子の就学問題は一旦解決をしました。Upload By ユーザー体験談入学後、うれしい配慮を感じながらも問題も出てきて…そして入学後、通常学級在籍ですが担任の先生が配慮をしてくださり、息子の席は一番前、周りには息子がよそ見をしていたら声をかけてくれそうなしっかりしている子どもたちを配置してくれました。しかし、新たな悩みも…。通級指導教室へは毎週2コマ授業を途中で抜けていくのでクラスメイトから「なんでいなくなるの?」「どこに行っているの?」と聞かれることがしばしばありました。しかしまだ小1ということもあり息子自身もなぜ行くのかよく分かっていないので「なんでだろうね~」とうまく答えられなかったようです。Upload By ユーザー体験談その様子を見ていた先生がある日私に「こんなことが多くなってきたので、ちゃんとクラスのみんなに伝えたほうが良いかもしれません」と相談をしてくれました。みんなに説明して変な風に思われないかな?と正直怖い気持ちもありました。ですが、息子のことを理解もしてほしい…悩みましたが先生とも話し合い、朝の会のときにクラスのみんなに伝えよう、という話になりました。クラスメイトに通級指導教室へ通っている理由を説明。みんなの反応は?そして朝の会の当日…息子は自分で通級指導教室に通っている理由を言いました…が、まだ幼いということもあり、なぜ自分が通っているのかよく分かっていない息子。私と先生が渡したメモをそのまま読んでいましたが、本人の口から言うことが重要だと思ったので、そこは良かったと思います。そのあと先生が「みんなはガヤガヤしてるところで疲れちゃうことはない?」「〇〇くん(息子)はみんなよりそういう部分を感じやすいから少し離れて違う場所で勉強をしているんだよ。」とフォローしてくださったことで、クラスメイトたちも理解をしてくれたようです。その後は通級指導教室に行くときも「なんで?」と聞く子どももいなくなり、「いってらっしゃい!」と明るく送ってくれるようになりました。小3になった今は通級仲間もできて「自分だけじゃない」と安心して学校生活を楽しんでいるようです。Upload By ユーザー体験談しかし、また別の問題も出てきて…友達関係はうまくいっていますが、小3になるとどんどん勉強も難しくなり、通級で支援を受けていてもついていけなくなることが増えてきました。宿題の量も増え、終わらず癇癪を起こしてしまい、私も息子もイライラ…これでは良くないと特別支援学級への在籍移動を担任に相談しましたが、「特別支援学級は今これ以上人数を増やせない」「空きができても、息子さん以上に支援の必要な子どもが優先になってしまう」と断られてしまいました。もちろんその部分の優先順位は理解しています。ですが、それが息子が特別支援学級に入れない理由になってしまうのはまた違う問題になってきます。小学生のうちに、改めて在籍級について悩むことになるとは…通級指導教室に通えば一安心という訳ではありませんでした。今も担任や校長先生たちを交えてどのような形が一番息子に良いのかを話し合っています。これからもたくさん悩むこともあるだろうけど、先生方や息子の意見も聞きながら息子に合った環境を模索していければと思っています。イラスト/keikoエピソード提供/かけうどん(監修:鈴木先生より)「指導」と言う言葉はどうしても上から目線になってしまいがちなのでやはり「支援」という言葉にした方が私はいいと常々思っております。どちらにしても支援が必要なお子さんなので、ご本人や親御さんの意見を伺いつつ学期ごとにあるいは日ごとに変えられるような柔軟性が必要だと思います。今の制度では年度初めに決めたら1年間はそのままで行くことが多いようです。通級か在籍かを議論する特別支援教育委員会では有識者も含めて個人個人について話し合いますが、あくまでも紙の上での話だけであり、みんなが実際に本人の姿を見ているわけではありません。主治医の意見書などはなく、IQテスト中心に話が進んでいることが多く、実際に通ってみないと分からないのが現状です。どちらにするかは親御さんが決めることで、教育委員会の指示に従う義務はないのです。事務的な手続き優先ではなく、子どもファーストの考えを持って対応できる学校環境が望ましいのです。また、通級などで途中退席する子どももいることを事前に担任がみんなに分かりやすく説明して周知しておく必要があります。そうすれば「なんでいなくなるの?」ではなく、「頑張ってね」という言葉が必然的に同級生から出るはずです。隠さずにみんなで支援していく空気が必要なのではないでしょうか。毎年同じようなお子さんはいるので教員は先のことを見据えて早めにみんなと共有すべきだったのです。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年04月23日