「痛みや被ばくの危険性がない乳がん画像化システム『マイクロ波マンモグラフィ』の実用化に向けて、私たちはプロトタイプとなる機器を開発しました。これからいよいよ医療機関で治験がスタートし、早ければ’21年の冬以降、全国の病院に設置することを目指します」こう語るのは、世界初の画像化システム『マイクロ波マンモグラフィ』の開発者である神戸大学数理データサイエンスセンターの木村建次郎教授(40)。9月13日、神戸大学で行われたプロトタイプ機の研究成果発表には、実用化と普及促進に協力する企業関係者らが出席。新聞、テレビなどメディアも多数訪れ、大きな注目を集めていた――。厚生労働省が40歳以上の女性を対象に、2年に1回乳がん検診を受けるよう呼びかけているにもかかわらず、’16年に同省が実施した国民生活基礎調査によると、受診率は全国で44.9%。半数にも達していないのが現状だ。それほどまでに乳がん検診が敬遠されるのには、X線マンモグラフィが持つ撮影における痛み、X線による人体への影響のリスクが背景としてある。そんな乳がん検診の難点を解消したのが、この「マイクロ波マンモグラフィ」という技術だ。「微弱な電波を出すアンテナを使い、乳房の表面を軽くなぞるようにスキャンし、我々が導き出した世界初の計算理論を用いて、乳房内の構造を立体的な画像で写し出します。表面をなぞるだけで、痛みはない。さらに、機器が発するマイクロ波は、携帯電話の1,000分の1以下の微量の電波なので、身体に与える影響もほとんどないと考えられます」(木村教授・以下同)マイクロ波マンモグラフィが持つメリットはそれだけではない。「プロトタイプ機を使用した臨床研究では、高濃度乳房を含む全ての乳房で、高い乳がん検出感度を持つことが示されました」乳房は、乳腺と脂肪、そして乳房を支える靱帯で構成されている。「高濃度乳房」とは乳腺と靱帯が密集している乳房のことで、これはX線を遮断してしまうため、がんを見つけることが困難とされてきた。アジア人女性の35~50歳未満の約8割、50~65歳未満の約6割がこの「高濃度乳房」に当てはまるという。「マイクロ波は、高濃度乳房を貫通し、がん組織に当たった際、著しく反射する。その波形を解析し、数秒でがん組織を含む乳房全体を立体画像で写し出します。つまり、検査後すぐに、画像化することができるんです」木村教授は、反射して散らばったマイクロ波から、物体の形を導く計算式を世界で初めて導き出した人物。そしてその数学的理論と、高い周波数のマイクロ波を発生させ観測する半導体技術を合わせて完成したのが、この装置なのだ。
2019年09月25日納豆、豆腐などに加え、豆乳を使った飲料や手軽に食べられるバーなど、大豆を使った製品の品数はますます増えている。最近では大豆缶や大豆のパックも数種類がスーパーの棚に並んでいて、簡単に手に入るようになった。ところが意外にも、私たちが実際に1日あたりに摂取している豆類の量は、健康上の目標にまだまだ足りていないようだ。厚生労働省が推奨している1日の豆類摂取量の目標値は100g。しかし、「平成27年国民健康・栄養調査」によると、40代、50代の女性の摂取量は約40g足りていないのだ。「若い世代ほど、“大豆離れ”が進んでいるようなのです」そう指摘するのは、栗原クリニック東京・日本橋の栗原毅院長。「大豆には、タンパク質、脂質、炭水化物の『三大栄養素』のほか、カルシウム、カリウム、鉄といったミネラル、さらにビタミンE、葉酸、食物繊維、イソフラボンなど、実に多くの栄養素がバランスよく含まれていて、ズバ抜けて優秀な食品と言えます。健康寿命をのばすためにも、私たちは毎日の食事で、もっと積極的に大豆を食べるべきです」(栗原先生・以下同)栗原先生が特に注目しているのが「大豆タンパク」の働きだという。近年、日本人の筋力低下が著しく、その主な原因はタンパク質の摂取量が不足していることにあると栗原先生は話す。「今の日本人が直面している筋力不足の問題は、メタボよりも深刻と言えます。筋肉量が十分でないと疲れやすく、免疫力が下がり、高齢になったときに身体機能が低下してしまう『サルコペニア』に陥りやすいのですが、最近では、若い層でも筋肉が不足した『新型栄養失調』状態の人が増えています。これは明らかにタンパク質の不足からくるものです」私たちの体に大切なタンパク質だが、筋肉を作るのに必要な量の目安は、体重分のグラム数だ。体重50kgの人であれば、1日に50gのタンパク質の摂取が必要となる。タンパク質を50g摂取するには、肉であれば100g、卵だと5個分だ。大豆製品だと豆腐1丁、納豆なら3パック程度にあたる。タンパク質以外にも豊富な、健康効果をもたらしてくれる大豆の栄養素とその働きを見ていこう。【食物繊維】有害物質を体外に運び出す水溶性食物繊維、便の材料となる不溶性食物繊維が共に豊富に含まれていて、腸内環境を整える働きをする。【カルシウム】大豆に含まれるカルシウムは吸収率もよく、骨を作ってくれる。骨粗しょう症の予防にも大切だ。【脂肪】大豆の脂肪は植物性なので、悪玉コレステロールになる成分ではなく、血液をサラサラにする効果の高いリノレン酸が豊富に含まれる。【イソフラボン】ポリフェノールの一種で、女性ホルモンのエストロゲンと似た働きをすることでも知られている。それ以外にも、血圧を低下させる、血中の悪玉コレステロール(LDL)を減らしバランスを整える、更年期障害の症状を抑える、乳がん予防、ビタミンEとの相乗効果で血管を若々しく保つ、骨の破壊を抑えるなど、働きは多い。【オリゴ糖】乳酸菌やビフィズス菌など、善玉菌のエサとなり腸内環境を整え、便を増やして便通をよくする。免疫力アップにも。「国立がん研究センターが行った大規模追跡調査では、みそ汁を1日に3杯飲む人は、1杯未満の人に比べて乳がんを発症するリスクが約40%低いという結果が発表されています。ほかにも、女性で大豆製品を多く摂取するほど心筋梗塞や脳梗塞といった動脈硬化性疾患のリスクが34%低くなるという研究結果もあります。さらに、大豆製品の摂取量が多い女性は、少ない女性に比べて10年後に認知機能が衰えるリスクが低下するという報告もされています。海外でも大豆への関心は高く、アメリカのデザイナーフーズプログラムでは大豆はにんじんやにんにくなどとともに最も重要な食品グループに入っており、その働きが注目されています」また、日本の長寿地域は昔から大豆食品をよく食べているという研究もある。「魚が捕れない山村部や、米もあまり収穫できない村でも、大豆を栽培してたくさん食べた村の人々、また豆腐を食べる習慣のある村の人々は長生きの傾向があることがわかっています」そして、これらの栄養素を取りこぼさないためにも大切なのが、大豆を使ったものから食事を始めること、すなわち「大豆ファースト」だ。「大豆は消化吸収率の高い食材です。大豆から食べ始めることで、さまざまな栄養素を効率よく吸収することができます。同時に大豆は食物繊維も含むため、食後の血糖値の上昇を抑えることができるのです」
2019年09月18日左胸に早期の乳がんが見つかった美智子さまは、9月8日、東京大学医学部附属病院で、がんの摘出手術を受けられた。手術は乳房を残す温存手術(部分切除)で行われ、がん組織だけを摘出。術後には必要に応じて放射線治療を受けられ、順調なら2〜3カ月で軽い運動ができるまで回復するという。美智子さまが84歳で手術を決断されたことは、高齢化が進む日本で、がん治療をどうすべきか、考えるいい機会でもあるーー。がんは加齢とともに増加する病気。平均寿命が延びたことで高齢者の患者数が増え、’14〜’15年にがんと診断された人では、75歳以上が約4割を占めている。福岡大学医学部総合医学研究センター教授で「高齢者のがんを考える会」の発起人でもある田村和夫先生はこう語る。「がんの治療には、3大治療である、手術、抗がん剤療法、放射線治療があります。それぞれに副作用や合併症などのマイナス面を伴い、それが高齢者には高いハードルになるのです。特に体の負担が大きいのが手術。がんを切除できても、ダメージから、体力や免疫力の低下による肺炎で死亡するケースもあります。当然ながら、高齢者のがんの治療によって、その人の本来の寿命を短くしてしまうことは避けなければいけません。さらに副作用で寝たきりになったり認知症になったりしないよう生活の質(QOL)を維持することも重要なのです」東京大学医学部附属病院放射線治療部門長の中川恵一先生はこう語る。「高齢者のがん治療は、体の負担の大きい手術よりも、放射線治療が中心になります。放射線治療では治らず、手術が必要なのは胃がんや大腸がん、子宮体がんなどです。早期の胃がんや大腸がんは、身体的なダメージの少ない内視鏡・腹腔鏡などで腫瘍の切除ができるため、高齢者でも耐えることができます。しかし、進行したがんで胃や大腸の全摘となると体の負担が増え、術後に体重減少や筋力低下を招き寿命を縮めてしまうことがあるので慎重な判断が必要です。子宮体がんの全摘手術も、体へのダメージが大きいので、80歳を超えて健康状態の悪い方は、慎重に考える必要があります」がんは部位ごとに違う病気といっても過言ではない。さらに進行スピードも異なる。進行が速い、肺がんは注意が必要だ。「肺がんの根治を目指し、肺葉切除をすると、呼吸機能が大きく損なわれます。高齢者で早期の肺がんなら放射線のピンポイント照射、進行した肺がんなら抗がん剤と放射線の併用が、比較的体の負担も少なくメリットが大きいのです」(中川先生)逆に、高齢であっても手術という選択が適切な場合も。「乳がんの手術は、おなかを切るわけではないので、体への負担が少ない。そのため高齢者であっても、健康状態がよければ、手術をしたほうが完治や再発を防げるなどメリットが大きい」(中川先生)美智子さまのご決断は、医師との話し合いのうえ、最善の方法を選んだことがうかがえる。最後に田村先生が語る。「高齢者のなかには、すごく元気な人もいれば脆弱な人もいます。同年齢でも個人差がとても大きい。さらに、若い人のがん治療は、根治や長期延命が目的ですが、高齢者の場合には“残された人生をどう過ごすか”ということが重要な要素になってくるのです」
2019年09月16日8月27日、イギリス・マンチェスターで開催された「国際放射線研究学会(ICRR)2019」において、がんの増感放射線療法「コータック」臨床治験の第一段階であるフェーズ1の結果が発表された。増感放射線治療「コータック」とは、高知大学名誉教授で高知総合リハビリテーション病院院長の小川恭弘医師が2006年に開発した療法のことだ。乳がんや臓器や骨にできる固形がんの放射線治療を行う際に、オキシドールとヒアルロン酸の混合液をがんに注射することで、放射線の効き目を飛躍的に増大させる効果がある。がん治療薬というと、ノーベル賞受賞で有名になった「オプジーボ」など「費用が1回数千万円もする」という高価なイメージがあるが、コータックの治療費は「1回わずか500円ほど」だという。開発者の小川医師に話を聞いた。「これまでの治療実績からみると、日本で年間約9万人が新たに罹患される乳がんに対しては、ほぼすべての患者さんで乳房切除手術をせずにこのコータックで治療することができます。もちろん、あとの乳房再建手術も不要。ほかにも多くの固形がんを手術なしに治療することが可能となるんです」開発以来、この治療法を行った症例は、全国で個々に手掛けている医師と小川医師の担当した分を合わせて1千例を超えており、直径15センチの乳がんを消失させた例や、末期の直腸がんを治した例もあるという。しかし現在まで日本では、治療費(薬価)が安すぎて、製薬会社が開発に二の足を踏んでいたため、コータックは保険適用がされていなかった。そこで小川医師と株式会社KORTUCは海外での認証を目指し、イギリスのロイヤル・マーズデン病院でヤーノルド医師らとともに臨床治験を行い、効果や安全性の確認作業が繰り返されてきた。今回、国際放射線研究学会で発表された結果を小川医師は以下のように解説する。「今回の臨床治験の患者さんはすべて局所進行乳がん、あるいは再発乳がんで、つまり『ほかに治療法がない』という重度の患者さんばかりでした。乳がんの病巣としても直径5センチ以上の大きなものばかり。そんななか、45%にあたる5人が『部分寛解』でした。これは、がん細胞は完全に死滅しても、がんの病巣が残っているという状態も含みます。手術で切除するわけではないので病巣は残っていますが、がん細胞はありません。『蜂の巣はあっても、蜂はいない』のと同じことです。そして55%にあたる6人が『病状不変』という報告でしたが、これは、効果がなかったという意味ではありません。治療後もがんが残っていたとしても、短期間で必ず増大するところをコータック治療12カ月後でも『不変』だったという報告なのです。つまり、治験を受けた患者さん全員の局所進行がんが、コータック治療によって『休眠状態』になったか、あるいは『死滅して繊維組織だけ残った状態』になったという結果が発表されたのです」この結果により、イギリスではすでに、治験の次の段階であるフェーズ2に向けて準備が進んでいるという。「それだけ目覚ましい効果があったということでしょう。10月14日にロンドンで、フェーズ2開始に向けた会議が開催され、今年度中にフェーズ2が実施されることが決定される見通しです。その結果がよければ薬としての承認が得られるというところまで、イギリス当局との協議は進んでいると聞いています」がん患者のために、コータック普及促進を目指し、著書『免疫療法を超えるがん治療革命 増感放射線療法コータックの威力』(光文社)を6月に出版した小川医師が、今後の展望をあらためて語る。「今回のイギリスでの動きは、3年後の2022年の日本での認可、保険適用を見据えたものです。つまりコータック治療が日本全国で受けられる体制づくりの大きな一歩と言えます。この『コータック治療』をまだご存じない方や、全国の『がん治療・放射線治療』に従事する方に、広く認知・認識してもらえればうれしいですね」『免疫療法を超えるがん治療革命』著者:小川恭弘(高知大学名誉教授)価格:1,500円+税出版:光文社小川恭弘先生が研究を重ね、実績を積んできた増感放射線療法コータックを紹介。「コロンブスの卵」的な発想が生まれたいきさつや、コータックで命を救われた患者さんの声が満載。患者さん本位の治療を目指してきた小川先生の集大成的な書。
2019年08月27日今年1月に岐阜市で胃がんの検診を受けた50代の女性が、7月16日に亡くなった。「要精密検査」と診断されていたにもかかわらず、「異常認めず」と誤って通知されていたのだ。市区町村が実施するがん検診への信頼を、大きく揺るがす事件であった。「全国の自治体で行われているがん検診で、正しくがんが発見できる精度は、そもそも7〜8割。4〜5割の自治体すらあります。がんの見落としは、かなりの確率で起こりうるのです」そう語るのは、国立がん研究センター・社会と健康研究センター検診研究部長の中山富雄医師。がん検診にはなぜ、そのように“穴”があるのだろうか?中山医師と、東京大学医学部附属病院放射線治療部門長の中川恵一医師が部位別に解説してくれた。【乳がん】乳腺が発達している人にマンモグラフィーは不向き女性の11人に1人がかかるといわれる乳がんは、40〜50代女性の部位別死因のトップ。年間1万4,000人ほどが命を落としている。「『マンモグラフィー』が乳がんの早期発見に効果があることは明らかですが、弱点もあります。画像で乳がんの部分は白く写るのですが、同時に乳腺も白く写るので“雪原で白うさぎを見つける”くらい、がんとの判別が難しいのです。とくに日本人は乳腺濃度の高い“デンスブレスト”が多く、画像を読む技量の低い医師による“見落とし”の可能性はあります。乳房に超音波を当ててがんの有無をみる『超音波検査(乳腺エコー)』は乳腺が白く写り、がんは黒く写ります。二親等以内に乳がんか卵巣がんにかかった人がいる“乳がん家系”の方は、40歳以前から乳がん検診をするべき。とくに若い人は乳腺が発達しているため、超音波検査がいいでしょう」(中川医師)乳がんの発見率はマンモグラフィーが8割、超音波が7割と万能ではないことも知っておきたい。「超音波検査も検査する技師の腕次第。機器を扱う角度のわずかなぶれで、乳がんが見逃されてしまうこともあるのです。わずかな病変を見つけ出す名人もいますが、そうでない人もたくさんいるのが現状。超音波検査の認定試験が’15年からスタートしていますが、技術の均一化には時間がかかりそうです」(中山医師)【胃がん】早期で見つかりやすいのはバリウム検査より胃カメラ’90年代まで日本での死亡者数が最も多かった胃がん。今でも5万人近くが亡くなっている。ただし、早期に発見できれば、ほぼ100%が治るという。おもな検査は「胃部X線検査(バリウム検査)」か「胃内視鏡検査(胃カメラ)」のどちらかを選択する。「胃がん患者の98%はピロリ菌の感染が原因です。採血や採尿などで感染の有無を調べ、感染していた場合には抗生物質で除菌することも重要です。バリウム検査は、X線画像に写る胃の粘膜の凹凸から病変を見つけます。これで手術可能な大きさまで進行した胃がんを見つけることはできますが、凹凸がない早期がんは盲点になりやすい。胃カメラは胃の内部の変化まで見られるため見落としが少ないのが特徴。早期の咽頭がんや食道がんが見つかることもあります」(中山医師)厚生労働省の「地域保健・健康増進報告」によれば、’16年に新たに胃がんになった13万人のうち、自治体のバリウム検査で見つかったのはわずか4,500人。もはや時代にそぐわないようだ。【子宮頸がん】「細胞診」の精度は高いがそれでも“見落とし”は2割年間で約1万人が患者となり、3,000人近くが亡くなっている子宮頸がん。おもな検査となるのはブラシやヘラで子宮頸部の粘膜を採取して調べる「細胞診」だ。「顕微鏡で採取した細胞を調べるため、有効性が高く、大規模な臨床研究でも『検診で死亡率が下がる』ことが判明しています」そう話す中川医師。それでも見つかる確率は、最大で8割という。「子宮頸がんは、HPV(ヒトパピローマウイルス)の感染が原因。海外では主流になっている、HPVに感染しているかどうかをチェックする検査も、検診とあわせて行うといいでしょう」(中川医師)どうやら“見落とし”も多い、がん検診。とはいえ、「受診しないのは間違いです」と中川医師。「がん検診はそもそも“受診者個人のがんと向き合い、死亡リスクを下げる”ためのものではなく、“国民全体のがん死亡率の減少”が目的。でも、だからこそ公的な補助があるわけで、受けなければ損だと思います。そのうえで、自分の家系に多いがんや、生活習慣病の既往歴など、抱えているリスクに応じて、自己負担での検査も受けることが重要です」(中川医師)検診に頼りきらず、“自分に合った”がん対策を始めよう!
2019年08月13日「女性の場合、大豆製品を種類多く摂取する人ほど、そうでない人に比べて、心筋梗塞や脳梗塞といった循環器疾患のリスクが34%、全死亡リスクが14%低くなる――」今年3月、このような調査結果が国立がん研究センターから報告された。40~69歳の男女約8万人を20年近くにわたって追跡調査(コホート研究)したものだ。この研究を実施した大妻女子大学家政学部食物学科公衆栄養研究室の小林実夏教授は、研究内容についてこう説明する。「調査では、対象者が133種類の食材を、1日に何種類摂取しているかを算出し、死亡リスクとの関連を調べました。魚、肉、野菜、果物、大豆食品などの個別の食品群についても同様の検討を行いました。男性は果物を、女性は大豆食品を種類多く摂取するほど死亡リスクの低下が見られました。特に循環器疾患については顕著でした」国立がん研究センター、社会と健康研究センター予防研究部部長の井上真奈美さんは、このような早死のリスクを下げる食品について、次のように話す。「これまで数多くの大規模調査を行ってきて『これさえ食べておけば大丈夫』という食品は存在しません。しかし、健康に影響をどう及ぼすかが、わかってきた食品も少しずつあります。まだ断定できるものは少ないのですが、大豆食品、緑茶、コーヒーは、その効果が明らかになってきています。野菜、果物も健康に何らかのよい影響のある食品だと推測しています」死亡リスクを下げるには抗酸化、抗炎症作用の働きが必要不可欠というのは、お茶の水健康長寿クリニック院長の白澤卓二先生だ。「がん、心筋梗塞、脳梗塞など死亡リスクを高める疾患の原因は、細胞の慢性炎症であるということがわかっています。加齢や酸化ストレスなどで細胞の炎症が進行すると、血管が弾力を失って硬くなり、心筋梗塞や脳梗塞の原因ともなる動脈硬化を引き起こすことになります。血管の硬直を防ぎ、弾力性を持たせること、また血中のコレステロールを抑えて血流をスムーズにすることが重要なのですが、それには抗酸化作用や抗炎症作用のある食品を取る必要があるのです。たとえば、ビタミンA、C、Eに含まれる抗酸化成分は酸化ストレスや細胞の炎症を抑える働きがあり、ビタミンB群は細胞のストレス耐性を上げてくれます。また、食物繊維には腸の働きを活性化させ、腸内環境を整える働きもある。野菜や果物には、こうした栄養素が多く含まれるものが多いのです」さらに、野菜、果物には副次的な作用もあるのだとか。「野菜や果物を取る人ほど幸福感が高い状態が保てるということがわかっています。野菜や果物には“幸せホルモン”と呼ばれるセロトニンなどの脳内物質を分泌する働きを持つものも多く、それも病気を遠ざける要因のひとつになっているのではないかと推測しています」(白澤先生)これまでに世界中でさまざまな食材の疾患との因果関係が調査研究されている。健康増進、疾病予防に働くと認められている食品をピックアップした。食材を選ぶときの参考にしてほしい。■死亡リスクを下げる食品リスト(監修:白澤卓二)【なす】病気:動脈硬化、心疾患、高血圧効能:なすにはカリウム、ビタミンC、ビタミンB6が含まれている。特に皮の部分に多く含まれるポリフェノールのアントシアニンには抗酸化作用があるので皮をむかずに食べたい。アントシアニンが心疾患のリスクを34%下げるという報告がある。カリウムの働きで血圧抑制作用も期待できる。【セロリ】病気:がん、動脈硬化、高脂血症効能:「セロリに含まれるアピゲニンという成分に細胞の抗炎症作用があるといわれています。またルテオリンには抗がん作用が働くという疫学調査もあります。食物繊維が腸の働きを整えてくれるだけでなく、セロリの葉の部分には血液をサラサラにする栄養素が含まれていて、コレステロールの低下や動脈硬化の予防に」(白澤先生)【にんにく】病気:心臓病、脳卒中、動脈硬化、がん(胃がん、結腸がん、食道がん、すい臓がん、乳がん)効能:アリルスルフィドという成分にがんの発現予防、生成抑制作用があることがわかっている。にんにくを摂取すると結腸がん、前立腺がんのリスクが約50%低下するという報告がある。米国国立癌研究所(NCI)もにんにくを抗がん特性のある野菜と認めている。血液サラサラ効果もあり、心臓病や脳卒中の予防にも効果が。【しょうが】病気:脳卒中、心疾患、がん(肺がん、大腸がん)、糖尿病効能:しょうがに含まれる活性化合物がインスリンと代謝の改善につながるという報告が。血糖値の上昇を抑え、血液をサラサラにする作用も。「抗炎症作用、消化促進の働きが、大腸がんの予防に期待されています。唐辛子と一緒に使うと唐辛子の発がん性が相殺され、肺がんの発生率が減少したという実験結果も」(白澤先生)【ターメリック(うこん)】病気:脳卒中、がん(肺がん、乳がん、皮膚がん、胃がん、すい臓がん)、心疾患、高血圧効能:ターメリックに含まれるクルクミンというポリフェノールには抗酸化・抗炎症作用があり、代謝異常や自己免疫不全疾患の治療効果がわかっている。肝臓のダメージをサポートする働きも。「肺がん、乳がん、皮膚がん、胃がんのがん細胞の成長を妨げる効果のほか、すい臓がんや前立腺がん、骨肉腫の予防効果が期待されています」(白澤先生)【シナモン】病気:糖尿病、高コレステロール効能:シナモンに含まれるプロアントシアニジンという成分が、インスリンの分泌を促し、糖質の代謝を促す働きがある。シナモンの含まれたスパイスを取った人から抗酸化作用の上昇が13%認められ、インスリンの反応が20%低下したという研究結果がある。【ナッツ類(くるみ、アーモンド、ピーナツ)】病気:心疾患、脳卒中、動脈硬化、糖尿病、肥満、高血圧、がん効能:くるみはナッツ類の中でもオメガ3脂肪酸を最も多く含む。コレステロール値や中性脂肪値を下げ、動脈硬化を防ぐ。αリノレン酸により冠動脈疾患の予防効果が期待できるとされている。2型糖尿病の発症リスクが33%減になるという報告も。ナッツをよく食べる人は心臓病などを含めた総死亡率が低いことも報告されている。【りんご】病気:高コレステロール、脳卒中、心臓発作、がん(乳がん)効能:りんごにはビタミンや食物繊維が豊富に含まれている。英国の研究では、1日1個のりんごを食べる人は脳卒中や心臓発作のリスクを下げることがわかっている。別の研究では、りんごを含む白い果実の摂取が多い人は、脳卒中リスクが52%低かったという結果も。りんごのフロレチンが乳がんの予防を示したデータもある。【ぶどう】病気:がん(乳がん、胃がん、大腸がん、すい臓がん、肝臓がん、皮膚がん、白血病)、心疾患、脳卒中、動脈硬化効能:ぶどうにはカリウム、ビタミン類のほか、レスベラトロールが豊富に含まれている。「レスベラトロールには血栓を予防する働きがあり、心臓病患者に与えたところ心臓内皮の機能改善が見られたという研究結果があります。また、ケルセチンにはがん細胞の抑制、成長を防ぐ働きがあるという報告もあります」(白澤先生)【チョコレート】病気:脳卒中、心疾患、高血圧、がん(乳がん、胃がん、大腸がん、すい臓がん)効能:原料のカカオにはミネラルや食物繊維が豊富。レスベラトロールの含有量はワインの約1.6倍。カカオバターの主成分のステアリン酸には血中コレステロールを下げる働きがある。ココアを1日2.25グラム摂取するグループは0.5グラム未満のグループに比べ心血管系のリスクが4割減、脳卒中の危険度が4割程度減少したという報告も。
2019年07月25日「女性の場合、大豆製品を種類多く摂取する人ほど、そうでない人に比べて、心筋梗塞や脳梗塞といった循環器疾患のリスクが34%、全死亡リスクが14%低くなる――」今年3月、このような調査結果が国立がん研究センターから報告された。40~69歳の男女約8万人を20年近くにわたって追跡調査(コホート研究)したものだ。この研究を実施した大妻女子大学家政学部食物学科公衆栄養研究室の小林実夏教授は、研究内容についてこう説明する。「調査では、対象者が133種類の食材を、1日に何種類摂取しているかを算出し、死亡リスクとの関連を調べました。魚、肉、野菜、果物、大豆食品などの個別の食品群についても同様の検討を行いました。男性は果物を、女性は大豆食品を種類多く摂取するほど死亡リスクの低下が見られました。特に循環器疾患については顕著でした」国立がん研究センター、社会と健康研究センター予防研究部部長の井上真奈美さんは、このような早死のリスクを下げる食品について、次のように話す。「これまで数多くの大規模調査を行ってきて『これさえ食べておけば大丈夫』という食品は存在しません。しかし、健康に影響をどう及ぼすかが、わかってきた食品も少しずつあります。まだ断定できるものは少ないのですが、大豆食品、緑茶、コーヒーは、その効果が明らかになってきています。野菜、果物も健康に何らかのよい影響のある食品だと推測しています」死亡リスクを下げるには抗酸化、抗炎症作用の働きが必要不可欠というのは、お茶の水健康長寿クリニック院長の白澤卓二先生だ。「がん、心筋梗塞、脳梗塞など死亡リスクを高める疾患の原因は、細胞の慢性炎症であるということがわかっています。加齢や酸化ストレスなどで細胞の炎症が進行すると、血管が弾力を失って硬くなり、心筋梗塞や脳梗塞の原因ともなる動脈硬化を引き起こすことになります。血管の硬直を防ぎ、弾力性を持たせること、また血中のコレステロールを抑えて血流をスムーズにすることが重要なのですが、それには抗酸化作用や抗炎症作用のある食品を取る必要があるのです。たとえば、ビタミンA、C、Eに含まれる抗酸化成分は酸化ストレスや細胞の炎症を抑える働きがあり、ビタミンB群は細胞のストレス耐性を上げてくれます。また、食物繊維には腸の働きを活性化させ、腸内環境を整える働きもある。野菜や果物には、こうした栄養素が多く含まれるものが多いのです」さらに、野菜、果物には副次的な作用もあるのだとか。「野菜や果物を取る人ほど幸福感が高い状態が保てるということがわかっています。野菜や果物には“幸せホルモン”と呼ばれるセロトニンなどの脳内物質を分泌する働きを持つものも多く、それも病気を遠ざける要因のひとつになっているのではないかと推測しています」(白澤先生)これまでに世界中でさまざまな食材の疾患との因果関係が調査研究されている。健康増進、疾病予防に働くと認められている食品をピックアップした。食材を選ぶときの参考にしてほしい。■死亡リスクを下げる食品リスト(監修:白澤卓二)【大豆食品】病気:がん(乳がん、前立腺がん)、脳梗塞、心筋梗塞効能:国立がん研究センターのコホート研究では「1日3杯以上味噌汁を飲む人は1杯未満の人に比べて乳がんの発生率が40%少ない」という結果が。大豆に含まれるイソフラボンに乳がんの予防効果があると考えられる。大豆をよく食べる女性グループの脳梗塞のリスクは36%、心筋梗塞のリスクは45%低いことがわかっている。【緑茶】病気:がん(胃がん)、動脈硬化、心疾患、脳梗塞効能:緑茶に含まれる茶カテキンに、がん細胞の増殖を抑制する働きがある。カフェインは血管内皮の修復を促し、血管を健康に保つ。国立がん研究センターのコホート研究では、1日5杯以上緑茶を飲む女性は、1杯未満と比べて胃がんリスクが3割減、心疾患死亡リスクが37%減。脳梗塞のリスクも2割程度減という報告がある。【コーヒー】病気:がん(子宮体がん、肺がん、大腸がん)、心疾患、脳血管疾患、呼吸器疾患、消化器疾患、糖尿病、高血圧効能:コーヒーに含まれるクロロゲン酸が活性酸素の働きを抑え、抗炎症作用・抗酸化作用に。カフェインには血管内皮の機能を改善し、脂肪燃焼作用も。コホート研究では、飲まない人と比べてコーヒー1日1杯以上で脳出血リスクが2~3割減、子宮体がんリスクに関しては1日1~2杯で4割、3杯以上で6割減という報告がある。【青魚(イワシ、アジ、サンマ、サバ)】病気:がん(すい臓がん、乳がん)、心疾患、脳出血、動脈硬化効能:コホート研究では、青魚に含まれるDHAを多く摂取する人は、すい臓がんのリスクが最大30%低下したという研究結果が。すい臓がんは慢性炎症が関係していると考えられており、青魚に多く含まれるDHA、EPAが、免疫調節作用を持ち、抗炎症作用に働くといわれる。また、中性脂肪やコレステロールを減少する働きも。【柑橘類】病気:がん(口腔がん、食道がん、胃がん、肺がん)、心疾患、脳卒中効能:柑橘類に含まれるビタミンCが体内の抗酸化作用を促し、免疫力も高める働きをする。国立がん研究センターのコホート研究では、柑橘類の摂取の多い人は、少ない人より循環器疾患のリスクが20%低いという報告がある。オレンジ色をつくるβカロテンには抗酸化作用も。温州みかんには肝臓の疲労回復を促す作用が。【玄米】病気:がん(大腸がん)、心臓病、脳卒中、2型糖尿病効能:玄米に含まれる食物繊維が血液をサラサラに、ミネラルは血糖値の急激な上昇を抑える働きが。十分な食物繊維を取っている人は脳卒中のリスクは22%減、大腸がんのリスクは16%減。心疾患のリスクが30%減になるという報告が。米国の調査では玄米をよく食べる人の糖尿病発症リスクは36%低かったという報告がある。【酢】病気:糖尿病、高血圧効能:酢は穀物や果実を発行させてできた発酵食品。酢の成分の酢酸には代謝の促進と、脂肪の分解を促進する働き、塩分の取りすぎを防ぐ働きがある。1日大さじ1杯のお酢を12週間飲んだ人は内臓脂肪・腹囲が減少したという研究報告や、血圧の高めの人が酢を6週間飲むと正常域に下がったという研究結果などが多数ある。【そば】病気:心筋梗塞、脳卒中、動脈硬化効能:食物繊維、ミネラルのほか、ルチンとビタミンB群が豊富。そばのルチンが高血圧の抑制をし、血管内皮を丈夫にするという研究報告がある。米国心臓学会では、食物繊維の多い全粒穀物を取ることが血中コレステロールを正常にし、心筋梗塞、脳卒中、糖尿病のリスクを下げる可能性があるとしている。【海藻】病気:がん(大腸がん)、高血圧、糖尿病、心疾患、甲状腺疾患効能:海藻はミネラルとビタミンを豊富に含み、ケイ素というミネラルが血管壁の弾力性を保ち、血管内にコレステロールが付着するのを防ぐ。血中コレステロールを18%下げるという報告も。血糖値を抑える作用や抗酸化作用もある。海藻に含まれるアルギン酸にはナトリウムを排出し、フコイダンには抗がん作用がある。
2019年07月24日「女性の場合、大豆製品を種類多く摂取する人ほど、そうでない人に比べて、心筋梗塞や脳梗塞といった循環器疾患のリスクが34%、全死亡リスクが14%低くなる――」今年3月、このような調査結果が国立がん研究センターから報告された。40~69歳の男女約8万人を20年近くにわたって追跡調査(コホート研究)したものだ。この研究を実施した大妻女子大学家政学部食物学科公衆栄養研究室の小林実夏教授は、研究内容についてこう説明する。「調査では、対象者が133種類の食材を、1日に何種類摂取しているかを算出し、死亡リスクとの関連を調べました。魚、肉、野菜、果物、大豆食品などの個別の食品群についても同様の検討を行いました。男性は果物を、女性は大豆食品を種類多く摂取するほど死亡リスクの低下が見られました。特に循環器疾患については顕著でした」国立がん研究センター、社会と健康研究センター予防研究部部長の井上真奈美さんは、このような早死のリスクを下げる食品について、次のように話す。「これまで数多くの大規模調査を行ってきて『これさえ食べておけば大丈夫』という食品は存在しません。しかし、健康に影響をどう及ぼすかが、わかってきた食品も少しずつあります。まだ断定できるものは少ないのですが、大豆食品、緑茶、コーヒーは、その効果が明らかになってきています。野菜、果物も健康に何らかのよい影響のある食品だと推測しています」今回、大豆食品が挙がった理由として、大豆に含まれるイソフラボンの効果がある。イソフラボンは、女性ホルモンに似た構造をしていて乳がん予防の効果があると考えられているが、血中コレステロール、血圧、インスリン抵抗性を改善する効果も認められているという。さらに血液循環を促進するビタミンE、オメガ3脂肪酸も含まれており、心筋梗塞や脳梗塞のリスクを下げる働きをしていると考えられている。味噌汁を1日3杯以上飲む人は、1杯未満の人と比べて乳がんになるリスクが40%低く、血圧を下げるのに有効だという結果も出ているという。「コーヒーには抗酸化作用やインスリン感受性改善作用、および脂肪燃焼の働きが明らかになっており、緑茶には循環器や呼吸器機能への働きが認められています」(井上さん)次に健康によい影響があると考えられているのが野菜と果物だ。今回の調査結果でも女性の場合、野菜が循環器疾患のリスクを23%下げていることがわかっている。緑黄色野菜は胃がん、ビタミンB6を含む食品は大腸がん、野菜に多く含まれるαカロテン、βカロテンは肝がん、葉酸、ビタミンB6、ビタミンB1は心筋梗塞、野菜、果物は食道がんのリスクを低くするという調査結果がある。「しかし、ビタミンやミネラルといった野菜や果物に含まれる特定の栄養素が体にいいからといって、サプリメントで摂取すればいいというわけではありません。むしろ、サプリメントでリスクが上がったという報告もありますので注意が必要です。安易にサプリメントで栄養を取ろうとせず、食べ物から摂取することが重要です」(井上さん)
2019年07月24日がん検診といったら、なんでも受ければよしというものではない。技師の未熟さ、放射線被曝の危険、高齢者には命とりになることも――。「自治体の検診は無意味ではありません。ただ、そもそも検診は『スクリーニング検査』といって健康な人のなかから、がんが疑われる人を一定数すくいあげ、ふるいにかけるというのが本来の狙い。ですから100%もれなく拾い上げるわけではありません。それを承知したうえで、がん検診を受けることの利益と不利益を確認しておくこと。体への負担といった不利益のほうが大きくなる検査は、あえて受けない選択肢もあります」そう語るのは国立がん研究センター検診研究部部長・中山富雄氏。では、私たちは何を目安に検査を選択すればよいのだろう?そこで参考になるのが、厚労省が取りまとめた「受けたほうがいい」「受けなくていい」検診のガイドラインである。がん検診に適すると評価されている胃がん、大腸がん、肺がん、子宮頸がん、乳がんについて、中山氏を代表とする厚労省の「有効性評価に基づくがん検診ガイドライン」作成チームが、慎重に検討を重ねたうえで、対象者の適正年齢、推奨グレード(A~D、科学的根拠を検討中のI)、そして、受けることによる利益と不利益を定めたものである。「このガイドラインはなんでもかんでも受ければよし、とする風潮のがん検診にブレーキをかける意義もあります」(中山氏・以下同)A、Bはおおむね同じ評価で、有効性が高い。Cは受ける利益もあるがそれと同程度の不利益もある。Dは受ける利益がないと評価された検査。Iの評価となっている検査については科学的評価が定まっておらず、今後ランクアップしてAになる可能性もありえるものだ。中山氏とともに、ここでは「肺がん」「子宮頸がん」「乳がん」の検査を見ていこう――。【肺がん】胸部X線検査と喀痰検査はおおむね問題なく、1年に1度の検査が推奨されている。注意すべきは「CT」であると中山氏は警鐘を鳴らす。「人間ドックではCTは当然のように行われていますが、線量が多すぎることで放射線被曝の問題が生じます。世界中の流れでは非喫煙者には行うべきではないともいわれています」また、技師の技術不足も挙げられる。「施設によっては、技師が医療機器を扱い切れていないことが大問題です。体への負担を気にせず、放射線を大量に浴びせてしまうことがあるのです。大きな病院では線量を患者さんにきちっと提示するところもありますが、告知せずやりっぱなしの医療機関も多く、線量の提示は普及してはいません」内視鏡の場合、本人にしんどいという自覚があるが、CTを受ける場合は、どれだけ被曝しても自分ではわからないので、危険だ。「毎年受けるのは、かなり害がありますから慎重に。受けたとしても、その前にどのくらいの線量を使用するか確認しましょう」【子宮頸がん】細胞診は一定の利益が認められている。従来法、液状検体法のいずれも20歳以上なら、2年に1回受けることが目安となる。「世界でもっとも広く行われている検診なので推奨できます」子宮頸がんの原因となるウイルスHPV(ヒトパピローマウイルス)に感染しているかどうかの検査については、いまは推奨グレードがIとなっているが、「推奨する」に改訂するかどうかの議論が進行中という。今後の行方に注目したい。【乳がん】40歳から74歳を対象としたマンモグラフィー単独法と、64歳までのマンモグラフィーと視触診の併用法については、「推奨する」としているが、そのほかの検診については「推奨しない」との結果。特に若い女性は乳腺のタイプによっては発見困難なこともある。「40歳未満の女性の乳房で、乳腺組織が多い場合を高濃度乳腺『デンスブレスト』といいます。こうしたタイプはマンモグラフィーでは全体的に白っぽく塊のように写ってしまい、がんがあっても発見しにくい、という難しさがあります」と、中山氏が解説するように、40歳未満の人についてのマンモグラフィーの単独法およびマンモグラフィーと視触診の併用法は推奨グレードはIとなっている。「今後、このタイプの乳腺の女性の検診についても検討を重ねる必要があります」超音波検査(エコー)については、読影技術によって診断結果にあまりにもばらつきがあるので、欧米諸国では、信頼性の低い検査とされている。
2019年03月27日「乳がん検診で受けた超音波(エコー)検査は5分で終わりました。その後『異常なし』の診断でしたが、本当に大丈夫でしょうか?」国立がん研究センター検診研究部部長・中山富雄氏のもとに、ある40代女性からこんな相談が寄せられた。中山氏は、「検査結果に信頼性はありません」と即答したという。検査結果が信頼できないとは!その真意を中山氏が語る。「超音波を懸命に実施しているのはアジアくらいで、欧米諸国の乳がん検診では採用されていません。超音波検査(エコー)は、検査技師の腕に委ねられていますが、超音波検査は、資格を持つ技師でも、機器を扱う指先のほんの1度の角度のぶれで、がんが映るか映らないかが決まってくるもので、職人芸の領域なんです。現状ではこの検査は、見落としのリスクが高すぎるとされ、実施は推奨されていません」(中山氏・以下同)乳房の超音波検査の認定試験は、2015年から始まっているという。そこで資格を得た医師や技師が、今後増えることを待つしかないのが現状だそうだ。「乳がんに限らず、がんというものは、毎年がん検診を受けていても発見されず、かなり進行してからようやく見つかることは珍しいことではありません。むしろ検診で異常なしだったからと油断して、自覚症状があっても受診に至らず、発見が遅れてしまうケースも多々あるのです」さらにこんなケースも――。2月末日、東京都杉並区の健診クリニックで肺がんを見落とされたと、70代の男性がクリニックと区を相手取り提訴。同クリニックでは昨年6月に、40代の女性患者が見落としにより死亡していたことが発覚、過去の胸部X線画像を精査したところ、44人に精密検査の必要があったことが報じられていた。提訴した男性は、このうちの1人であった。同事件の外部検証等委員会の委員にも名を連ねる中山氏は「あまりにずさんな医療機関がある」と嘆息し、こう説明する。「検診専門クリニックならば、検診に特化しているのだから、当然、X線の読影医の質は確保しているものと、検査を受ける人は思うでしょう。しかしこのケースは専門医の資格を持たない医師も診断・読影に従事し、かなりの数の見落としをしてしまったのです」自治体の検診であれば、「専門医」の資格取得者でなければならないという厳しい縛りがあるが、(任意で)私費で受ける検診クリニックや人間ドックには、そうした縛りがない。そこに落とし穴が潜んでいるのだと中山氏は言うのだ。「広告効果で多くの人を集めているから、というだけで医療機関を選ぶのはやめたほうがいいでしょう。受けるなら、気になる部位の専門医が所属しているのか、HPなどでプロフィールをよく確認して行くべきです」
2019年03月27日「すでにリンパ節への転移も2カ所あり、ステージ3Bの状態でしたので、小川恭弘先生(当時・高知大学医学部教授。現・同名誉教授、高知総合リハビリテーション病院院長)の所見では『余命3年』でした。’07年1月に検査を始め、3月から新治療にチャレンジしたんです」13年前に乳がんと診断された当時を振り返るのは、歴史時代作家クラブ賞を受賞した、時代小説家の藤原緋沙子さん(72)。その新治療「コータック(KORTUC)」を開始すると、がんは瞬く間に小さくなった。「3月中旬の3回目の注射で、5センチ大からわずか19ミリにまで縮小したんです。さらに1カ月後の4月には、腫瘍マーカーは健康な人と同じ数値に。そして5月30日の検査ではとうとう、リンパ節のものもすべて『消失しています』と。骨や肺に転移する前に、がんをゼロにできたことに、感謝以外ありませんでした」その後、10年以上たったいまも、藤原さんは「再発なし」で、精力的に執筆に励む毎日。転移がんをこれほど劇的に退治した新療法とは、どんな仕組みなのだろうか。小川さんが解説してくれた。「手術でがんを切除するのに比べて、放射線治療の効き目は『イマイチ』と思われていることに、40年前から疑問を持っていました。『放射線治療の効き目を高める(=増感)薬を開発しなければ』との思いで、マウス実験などで研究を重ね、がん細胞中で放射線を防御する『よろい』となっている『抗酸化酵素』を失活させる方法を発見したのが、’06年でした」小川さんが高知大学医学部教授時代に、研究に研究を重ね開発した「コータック」の作用のメカニズムは、次のようになる。「がん(=がん細胞の集団)が大きくなると、個々の細胞中の酸素が減って抗酸化酵素が増え、放射線治療効果は3分の1まで低下してしまいます。その抗酸化酵素を失活させ『よろい』を解くためには『過酸化水素』が必要で、かつ、その効果を持続させると同時に、注射の痛さを半減させるには『ヒアルロン酸』を混ぜるとよい。この増感剤(過酸化水素+ヒアルロン酸のコンビ)が放射線治療をフル(=3倍)にするのです」効果は大きいのに、とてもシンプルな構造の新治療法だ。こんなに画期的な開発なのに、昨年の本庶佑さんのノーベル生理学・医学賞受賞で注目された治療薬「オプジーボ」に比べて、まったくといえるほど認知されていないのはなぜだろう。日本もそうだが世界でもまだ、保険適用がされておらず、薬も商品化されていないというのだ。小川さんは少々困り顔で話す。「ええ、過酸化水素は市販の消毒液としてもおなじみの『オキシドール』のことです。それに『ヒアルロン酸』をまぜただけの薬では、1回分の原価が300円ほどにしかなりません。製薬会社は『利益にならない』と口をそろえるんです」だが小川さんは、あきらめず地道に研究を進めてきた。’06~’13年の臨床試験では、前出の藤原さんを含む乳がん患者70人にコータック注射をしたうち、69人が手術なしでがんが消滅し、5年生存率も100%を達成した。最近ようやく、薬事承認・保険適用に希望が見えてきたのだという。「チャールズ皇太子が理事長のがん専門病院『イギリス王立マーズデン病院』で、’17年2月から臨床治験が始まりました。安全性や有効性を段階的に確かめながら、イギリスで3年半から4年後には、医薬品として承認される可能性が出てきたんです。日本では欧米から約1年遅れて承認される例が多いため、コータックが“逆輸入”の形で薬事承認・保険適用されるまでに、5年くらい待つことになるでしょうか」しかし、今日現在で、日本でもコータック治療を受けられる病院や医療機関が、全国にあると小川さんは言う。「長崎県島原病院や、私の出身の高知大学、大阪医科大学、名古屋市立大学、東京放射線クリニックなど、すでに700症例以上で実施されています。コータックは、内視鏡やCTガイドなどを使用する注射方法で、あらゆる固形がん(かたまりをつくるがん)消滅に応用・適用が可能なんです。大学病院などは臨床試験として、コータックの部分は無償で行っているところもありますので、費用などは、問い合わせしてみてください」(小川さん)
2019年02月23日ある程度進行したがんに、威力を発揮している治療法がある。放射線治療の効果をより増す方法だ。転移もあった乳がんを患っていた作家が、「命を救われた」13年前の体験を語る。「59歳の冬、右の乳房のしこりに気づきました。夏から疲れやすく、肩こりもひどかったのですが、受診した産婦人科では触診のみで『乳腺炎でしょう』と。でもエコーとマンモグラフィーで『2センチのがん』とわかりました。セカンドオピニオンなどで検査針を刺しているうちにしこりは3センチほどに大きくなりました。医師に『命はどれくらいですか?』と聞いたとき、無言で笑ったのを見て『ああ、言えないくらいひどいんだ』と思ってがくぜんとしたんです」13年前に乳がんと診断された当時を振り返るのは、歴史時代作家クラブ賞を受賞した、時代小説家の藤原緋沙子さん(72)。だが、「ついに切除」という前夜、突然かかってきた電話で、「乳房温存」に希望が持てるように。「当時、高知大学医学部教授だった小川恭弘先生(現・同名誉教授、高知総合リハビリテーション病院院長)からの着信でした。知人の紹介で『私が開発した新しい治療法がありますので、やってみませんか?』とのお電話をくださった。そこに私は望みを託したんです」小川さんのいた高知大での検査時点で、さらに大きくなったがんは、5センチ大にもなっていたという。「すでにリンパ節への転移も2カ所あり、ステージ3Bの状態でしたので、小川先生の所見では『余命3年』でした。’07年1月に検査を始め、3月から新治療にチャレンジしたんです」その新治療「コータック(KORTUC)」を開始すると、がんは瞬く間に小さくなった。「3月中旬の3回目の注射で、5センチ大からわずか19ミリにまで縮小したんです。さらに1カ月後の4月には、腫瘍マーカーは健康な人と同じ数値に。そして5月30日の検査ではとうとう、リンパ節のものもすべて『消失しています』と。骨や肺に転移する前に、がんをゼロにできたことに、感謝以外ありませんでした」その後、10年以上たったいまも、藤原さんは「再発なし」で、精力的に執筆に励む毎日。転移がんをこれほど劇的に退治した新療法とは、どんな仕組みなのだろうか。小川さんが解説してくれた。「手術でがんを切除するのに比べて、放射線治療の効き目は『イマイチ』と思われていることに、40年前から疑問を持っていました。『放射線治療の効き目を高める(=増感)薬を開発しなければ』との思いで、マウス実験などで研究を重ね、がん細胞中で放射線を防御する『よろい』となっている『抗酸化酵素』を失活させる方法を発見したのが、’06年でした」小川さんが高知大学医学部教授時代に、研究に研究を重ね開発した「コータック」の作用のメカニズムは、次のようになる。「がん(=がん細胞の集団)が大きくなると、個々の細胞中の酸素が減って抗酸化酵素が増え、放射線治療効果は3分の1まで低下してしまいます。その抗酸化酵素を失活させ『よろい』を解くためには『過酸化水素』が必要で、かつ、その効果を持続させると同時に、注射の痛さを半減させるには『ヒアルロン酸』を混ぜるとよい。この増感剤(過酸化水素+ヒアルロン酸のコンビ)が放射線治療をフル(=3倍)にするのです」効果は大きいのに、とてもシンプルな構造の新治療法だ。だが日本もそうだが世界でもまだ、保険適用がされておらず、薬も商品化されていないという。しかし、今日現在で、日本でもコータック治療を受けられる病院や医療機関が、全国にあると小川さんは話す。「長崎県島原病院や、私の出身の高知大学、大阪医科大学、名古屋市立大学、東京放射線クリニックなど、すでに700症例以上で実施されています。コータックは、内視鏡やCTガイドなどを使用する注射方法で、あらゆる固形がん(かたまりをつくるがん)消滅に応用・適用が可能なんです。大学病院などは臨床試験として、コータックの部分は無償で行っているところもありますので、費用などは、問い合わせしてみてください」(小川さん)売れっ子作家の命を救った放射線増感療法、いざというときのために記憶しておこう。
2019年02月23日「がん患者の登録が’16年に施行されて初めて全数調査。これまでよりも正確で詳細ながん患者の実態分析が可能です。ランキングに一喜一憂することなく、この調査結果から浮かび上がる、がん予防のヒントを見つけ出すことが重要です」そう語るのは、国立がん研究センター「全国がん登録」室長の松田智大医師。厚生労働省が1月17日に公表した「’16年がん患者数」は、すべてのがん患者を追跡する「全国がん登録」のデータを初めて集計・分析したもの。この調査結果で見えてくるのが「女性のがんが少ない県」である。「全国がん登録」に調査に関わっている松田先生が続ける。「がんのリスクを減らし、かつ科学的根拠が示されている健康習慣は『禁煙、節酒、食生活、身体運動、適正体重の維持』の5つ。これらに加えて“がんになりにくい地域”には、それなりの食生活や生活習慣が隠されているのです」女性のがんが少ない都道府県ランキングトップ10は次のとおり(人口10万人あたりのがん罹患者数)。【第1位】愛知県・321.9人【第2位】山口県・327.2人【第3位】群馬県・328.3人【第4位】山形県・330.9人【第5位】岡山県・331.2人【第6位】長野県・331.4人【第7位】沖縄県・332.7人【第8位】栃木県・333.8人【第9位】静岡県・335.0人【第10位】島根県・336.8人※厚生労働省「がん登録2016年速報」より作成この“がんにならない県” ランキングで第1位になった愛知県にはどんな秘密があるのだろう。愛知県がんセンター研究所の松尾恵太郎医師が語る。「愛知県の女性の場合、がんのリスクを上げる喫煙率や飲酒率では、全国平均を大きく下回っています。また、肥満が比較的少ないのも重要なこと。厚生労働省の調査でも肥満率は全国の平均より下にあります。また、年間のスポーツ行動者率は全国6位。つまり体を動かす習慣を持つ人も多いのです。さらに県内の女性に、がんが少ない要因は、乳がんになる人が少ないことです」たしかに「全国がん登録」の最新のデータによると、愛知県女性の乳がんの罹患率は7.5%(’16年累積罹患率10万人あたり)で全国トップ3に入る低さ。愛知県が乳がんの罹患を抑えている背景とは?松尾先生が分析する。「乳がんは、乳腺が女性ホルモンにさらされ続けることによって発症リスクが上がります。妊娠中は分泌が止まるため、女性ホルモンにさらされない期間が生じます。そんな機会が多い方が、乳がんの罹患リスクを下げます。実は愛知県は人口が多い割に婚姻率が高く、また若くして結婚している女性が多いのが特徴。妊娠回数も多いことが予想され、乳がんの罹患率を下げることに寄与している可能性もあります」愛知県の婚姻率は全国3位(’16年総務省統計局調べ)。ちなみに「女性のがんが少ない県」第2位、山口県の女性の平均結婚年齢は28.6歳(’15年人口動態統計)。日本でもっとも早婚の県のひとつである。愛知県の県庁所在地・名古屋市では、喫茶店文化が花開いていることで知られている。名古屋市の喫茶代は1世帯あたり年間1万2,945円(’14~’16年平均、総務省調査)と全国2位だ。名古屋学芸大学健康・栄養研究所の下方浩史所長は次のように語る。「そんな喫茶店の多くで提供されるのはボリュームたっぷりのモーニングサービス。その背景には、愛知県民に朝食をしっかり取る習慣が根づいていることがあるでしょう。朝から良質なタンパク質などをしっかり食べれば、体内時計が整います。体内時計が正しく動くことは、がんの増殖を抑える効果があるともいわれているのです。喫茶店は、愛知県に住む女性たちにとっての社交場。友人とのおしゃべりは、がんの発症要因と考えられるストレスの発散にも。また大いに笑う楽しい会話は免疫力を高め、がん細胞を消滅させるナチュラルキラー細胞を増やしてくれるのです」また、愛知県といえば、トヨタを筆頭に、デンソー、ブラザー工業など大企業が多い。そんな企業の福利厚生が、がんになりにくい県をつくっていると、下方所長。「従業員ばかりではなく、家族の健康にも配慮する、古きよき日本の文化が残っている企業が多く、主婦の健診や人間ドックの補助金が出ることも。そのように健康を意識する機会が増えれば、食生活や生活を変えるきっかけにもなるでしょう」(下方所長)
2019年02月01日厚労省が新たに発表したがん罹患率の調査結果は、これまでのものよりさらに正確な数字だといわれるが、がん患者が少ない地域の“生活スタイル”をのぞいてみると驚きの共通点が見えてきた――。「がん患者の登録が’16年に施行されて初めて全数調査。これまでよりも正確で詳細ながん患者の実態分析が可能です。ランキングに一喜一憂することなく、この調査結果から浮かび上がる、がん予防のヒントを見つけ出すことが重要です」そう語るのは、国立がん研究センター「全国がん登録」室長の松田智大医師。厚生労働省が1月17日に公表した「’16年がん患者数」は、すべてのがん患者を追跡する「全国がん登録」のデータを初めて集計・分析したもの。この調査結果で見えてくるのが「女性のがんが少ない県」である。「全国がん登録」に調査に関わっている松田先生が続ける。「がんのリスクを減らし、かつ科学的根拠が示されている健康習慣は『禁煙、節酒、食生活、身体運動、適正体重の維持』の5つ。これらに加えて“がんになりにくい地域”には、それなりの食生活や生活習慣が隠されているのです」女性のがんが少ない都道府県ランキングトップ10は次のとおり(人口10万人あたりのがん罹患者数)。【第1位】愛知県・321.9人【第2位】山口県・327.2人【第3位】群馬県・328.3人【第4位】山形県・330.9人【第5位】岡山県・331.2人【第6位】長野県・331.4人【第7位】沖縄県・332.7人【第8位】栃木県・333.8人【第9位】静岡県・335.0人【第10位】島根県・336.8人※厚生労働省「がん登録2016年速報」より作成この“がんにならない県”ランキングで第1位になった愛知県にはどんな秘密があるのだろう。そして、上位に入っている県にはどんな共通点があるのだろうか?愛知県がんセンター研究所の松尾恵太郎医師が語る。「愛知県の女性の場合、がんのリスクを上げる喫煙率や飲酒率では、全国平均を大きく下回っています。また、肥満が比較的少ないのも重要なこと。厚生労働省の調査でも肥満率は全国の平均より下にあります。また、年間のスポーツ行動者率は全国6位。つまり体を動かす習慣を持つ人も多いのです」また、愛知県といえば八丁味噌や三河味噌などの豆味噌が食卓を彩ることが多いが……。「愛知県民は味噌汁以外だけでなく味噌カツや味噌煮込みうどん、どて煮など調味料として豆味噌を多用していることは重要なポイントです。蒸した大豆を味噌玉にして、こうじに仕込んでつくる豆味噌には、女性ホルモンと似た働きをする大豆イソフラボンが豊富。それが乳がんの発症を防ぐ効果があると考えられています」(松尾先生)発酵食品である豆味噌の抗酸化力に注目しているのが、椙山女学園大学の江崎秀男教授(管理栄養学)。「2年以上熟成させる豆味噌には褐色の色素『メラノイジン』が多く含まれ、米味噌や麦味噌と比較しても抗酸化作用が強いのが特徴。体を酸化させて細胞や遺伝子を傷つけてがんを発生させる、活性酸素を除去する働きがあるのです。また『メラノイジン』には、糖尿病を予防する機能も。がんの発症リスクを2~3割上げるといわれるのが糖尿病です。実は愛知県は、糖尿病による死亡率がもっとも低い県です」豆味噌だけではない。愛知県では、生産量の多い酢、みりん、醤油などバラエティ豊かな発酵食品がそろっていることも忘れてはならない。発酵食品といえば「女性のがんが少ない県」で第3位に入っている群馬県は「乳酸菌飲料」の年間消費額が全国平均の2倍近くで、全国トップクラス。腸内環境を整え、免疫力を高める効果がある発酵ライフも大切なようだ。愛知県の年間日照時間は2168時間(総務省統計局調べ)で全国第2位。この日照時間の長さとがんとの関係に注目しているのは、名古屋学芸大学健康・栄養研究所の下方浩史所長だ。「愛知県が、全国でも有数の日照時間が長い地域であることはあまり知られていません。日光を浴びると体内でビタミンDが生成されます。食物から摂取するよりも、日を浴びるだけで効果的にビタミンDが活性化されます。骨格の形成に関与することがわかっているビタミンDですが、最近では免疫機能を高め、肝臓がん、肺がん、乳がんなどの予防効果があることもわかっています」ちなみに、群馬県も1年間の快晴日数46日で全国2位と、共通している部分といえる。がんの予防には、野菜の多い食生活が欠かせないが、実は愛知県は、カゴメの調査によると1人あたりの1日の野菜平均摂取量は99.5グラムで全国ワーストだ。「愛知では共働きで働いている人が多いこともあり、お総菜を買って食べたり、外食の機会が多かったりすることで、野菜の摂取量が低いのかもしれません。しかし、トマトやキャベツなどの日本有数の産地である濃尾平野があり、親戚や知人には農業関係者がいる人も。そこから新鮮な野菜をもらうなど、統計には出てこない“摂取量”もあるはずです。海に面した愛知は新鮮な魚介類や海藻なども豊富。そんな豊かな食の環境もがんの発症を抑えていると考えています」(江崎教授)農業王国の群馬県の野菜産出額は愛知県に次ぐ第6位。ふぐで有名な下関で知られる山口県は、豊かな海に囲まれている。ここにもなにかしらのヒントがありそうだ。最後に、松尾先生が言う。「日本人の2人に1人がなるがんは、私たちにとって身近な病気です。がんのリスクを下げる生活習慣や食などを複合的に、そして地道な取り組みをコツコツ積み重ねることが近道なのです」
2019年02月01日女性の体が変化していく40代。健康に不安を抱える年代だが、どこでどんな検査を受けたらいいのか迷う女性は多い。そこで本誌は、40代以上の女医50人に、緊急アンケート。「40代以上の女性が受けておくべき検査」を調査。がんを早期発見するためには、どんな検査が必要なのか、部位ごとに見ていこう。大腸に次いで、女性で2番目に“がん死”が多いのは肺がん。アンケート結果で気になったのは、「まずはエックス線検査をすすめるが、見落としも多い」という回答が散見されたことだ。たしかに、河北健診クリニック(東京都)で肺がんの見落としがあったニュースは記憶に新しい。大阪府摂津市のマツイ医院院長・大林きよ子先生は、見落としの可能性についてこう説明する。「胸部エックス線検査では、小さいがんは見えづらいので、正直言って見落としも多い。ただ、毎年受けることで、ちょっとした変化に気づき、見落としが防げます。より詳細に見るにはCT検査がおすすめですが、被ばく量がエックス線より多い。リスクの高い肺がん家系の方や喫煙者は、1~2年に1度CT検査を受けるのがベストです」女性のがん罹患数ではトップの乳がんは、40代後半から50代前半で罹患率のピークがくる。仙台市のせんだい総合健診クリニック院長の石垣洋子先生は、次のように語る。「乳がんは、治るがんにもかかわらず、日本の乳がん検診受診率は国際的にも最低レベルで、不幸にも命を落とす方が出てしまうのが残念です」アンケートでも、女医の多くが、乳がん検査は「1~2年に1度受けてほしい」と回答。超音波検査を推奨する医師が多かった。岡山市・淳風会健康管理センターの斧澤克乃先生も超音波検査をすすめる。「マンモグラフィーでは、脂肪の少ない“高濃度乳腺”の方は、がんが判別しづらいのです。日本人女性の約8割は高濃度乳腺といわれているので、乳房の大きい方に多い脂肪性乳腺以外は、超音波検査のほうが適しています(乳房超音波検査は、自治体検診にはないのでオプション)。まれに超音波検査で写らないがんもあるので、超音波検査は毎年受けて、マンモグラフィーは、数年に1度受けると安心です」子宮頸がんは30代後半から40代前半に、子宮体がんは、40歳から急増し55歳で罹患率がピークに。アンケートでも、多数の女医が、「子宮頸がん・体がんともに、1~2年に1度は細胞診検査を受けたほうがよい」と回答。「子宮頸がんは、2年以上放置したら子宮の筋層の奥まで進行して入院治療が必要となってしまいますが、2年以内であれば、診察台の上で異型細胞だけをパチンと切除して終わり。前がん状態のうちに取りきれてしまうのです。細胞が直接採取できる検査なので、必ず受けてほしい」(斧澤先生)20人の女医が「毎年受けたほうがよい」と回答した超音波による卵巣がん検査は、自治体の“がん検診”では対象になっていない。「子宮がん検査を受けるときに、オプションで子宮・卵巣の超音波検査を付けると、卵巣がんの可能性もわかります」(斧澤先生)
2018年12月23日婦人科検診で受けられる検査は?ひとことで、婦人科検診といっても、受ける病院や人間ドックによって検査内容は様々です。なので、検診を申し込む前に、どのような検査内容が含まれているのかを事前にチェックしておく必要があります。一般的には・子宮頸がん検査・内診・子宮体がん検査・乳がん検査が挙げられます。 婦人科検診は何歳から受けられるの? 婦人科検診は、何歳から受けるべきという基準は特にありません。いつでも婦人科を受診することは可能ですし、自治体などでは30歳を過ぎると1年に1回程度、子宮がん、乳がんなどの検診を受けることができます。婦人科の病気と言ってもいろいろあります。内科などと同じく、症状が現れてからの受診でも治る病気がほとんどですが、がんなど、症状が出てからでは遅すぎる病気については、定期的に検査をしておくほうがよいでしょう。 婦人科の選び方と予約方法 どんな病院を選んだらいいの?インターネットで検索して評判の良い病院、家や通勤途中にある病院、一度電話で問い合わせして対応の良い病院、女医さんのいる病院など…。選ぶ基準は人それぞれですね。特に気をつけたいのは、乳房の検査をしたいときです。子宮や卵巣の検査は婦人科ですが、乳房の検査は、基本的に外科だということを覚えておくとよいでしょう。婦人科でも乳がん検診をしてくれるところもあるので、事前に確認することをおすすめします。また、最近では、乳房を専門に見てくれる乳腺外来も増えているので、そちらを探してみるのもおすすめです。 予約の仕方は?受けたい検査をしてくれる病院を見つけたら、まず電話やネットで予約。そのときに気をつけたいのは、月経日です。時期によっては受けられない場合があるので、あらかじめチェックしておきましょう。 婦人科検診当日の準備。必要なもの、服装は? 必要なものは?保険証、費用は忘れないようにしましょう。クレジットカードが使えないところもありますので、予約の段階で、あらかじめ費用などと合わせてチェックしておくとよいですね。 診察費はいくらくらいなの?・STD(性感染症)を疑って受診した場合自己負担額は6,000円~11,000円ほどです。内訳としては、だいたい以下の通り。初診料:保険適用3割負担で800~1000円ほど検査費用:4,000~9,000円ほど薬代:1000円前後自費診療の場合は、総額で15,000~20,000円ぐらいが相場となります。 ・子宮頸がん、子宮体がん検診の費用自治体からの公費検診であれば、無料から、2,000円程度の自己負担が一般的です。また、自費診療の場合は、各機関によって異なりますが、子宮頸がん検査のみで、3,500円~6,000円程度というケースが多いようです。 服装は脱ぎ着しやすいもので検診の当日は脱ぎ着しやすい服装で向かいましょう。診察台では下着を脱ぐ場合もあるので、パンツスタイルより長めのスカートが◎!検査着を用意してくれている病院もあるので、事前に確認してみましょう。 なるべくナチュラルな状態でメイクはせずに、すっぴんに近い方が、顔色の状態が分かりやすく貧血などの症状もわかるのでベターです。 婦人科検診でわかる病気 婦人科にかかわる病気には、以下のものが挙げられます。・乳がん・HPV(ヒトパピローマウイルス)または子宮頸(けい)がん・子宮体がんが挙げられます。それでは、それぞれの検査の内容について解説していきましょう。 乳がんの検査について 乳がんってどんな病気?乳がんとは、乳房組織に発生する悪性腫瘍のこと。妊娠・出産経験のない人の方がなりやすく、30代でも発症する病気です。乳がんは、早期発見し、治療を開始すれば完治が可能な病気。ですので、乳がん検診は定期的に受けることが大切です。 乳がん検査の方法は?乳がん検診は上半身裸で行います。基本的な流れは以下の通り。【視診】↓両側の乳房をくまなく観察します。↓【触診】しこりを探します。↓【医療機器による検査】マンモグラフィーか超音波検査のどちらかを合わせて行います。施設によっては、マンモグラフィーと超音波検査を両方とも行うところもあります。それぞれの方法に一長一短はありますが、一般に、40代より上の年齢ならマンモグラフィー、40代より下の年齢ならエコーが推奨されます。 マンモグラフィーとは?検査って痛いの?マンモグラフィーとは、乳房専用のレントゲン検査を行う装置のこと。マンモグラフィーは乳房を上下に挟んで一枚、さらに挟んだ状態で斜めにねじって一枚撮影する方法が一般的です。欧米人のように乳房にボリュームのある方は挟みやすく、挟まれる痛みもそれほどありませんが、東洋人は比較的乳房のボリュームがなく、特にやせて乳房の小さい方は挟みにくいので、多少挟まれる痛みがあると思います。しかし、個人差はありますが我慢できる程度の痛みですので、さほど心配はないでしょう。 HPV・子宮頸がんの検査について 子宮頸がんってどんな病気?子宮にできる悪性の腫瘍(しゅよう)のうち、子宮の入り口にできるものを子宮頸がんと呼びます。子宮頸がんはHPV(ヒトパピローマウイルス)という病原体のうち、高リスク型HPV感染により発症します。このHPV はほとんどが性行為による感染とされていて、約80%の女性が一生のうちに一度はHPVに感染するといわれています。 HPV・子宮頸がん検査の方法と流れ・HPV高リスク型HPV感染を調べます。検査室でおりものを採取し、ウイルスの有無を判定します。子宮頸部の細胞診と同時にHPV検査も行うこともあります。医師にしてもらう他、自己採取で検査する方法もあります。自分で膣の中に綿棒を入れて、おりものを採取する方法です。ただ、自分で綿棒を入れるほうが怖いということであれば、医師に採取してもらいましょう。また、自宅などで自分で採取した子宮頸部の細胞を郵送し、検査してもらうサービスもあります。 ・子宮頸がん一般的に次のような流れで検査します。病院によって異なる場合があります。【問診】↓【視診】下着を取って内診台へと向かい、医師が子宮、おりものなどの状態を目で診ていきます。↓【内診(触診)】医師が直接、膣内に指を入れ、腫れ、しこり、その他の異常がないかを確認します。↓【細胞診】クスコという器具を膣に入れて中を広げ、子宮の入り口をブラシで擦って細胞を採取します。クスコは様々な大きさのものがありますが、一番小さいものだと人差し指くらいです。性行為の経験がなく不安な方は、受診の際に初めて検診を受けることを伝え、一番細いクスコを使ってもらえるよう、あらかじめ相談しておくといいでしょう。細胞診でがんが疑われる場合は、さらに精密検査を行います。 子宮体がんの検査について 子宮体がんってどんな病気?子宮にできる悪性の腫瘍のうち、子宮体部(内膜)にできるものを子宮体がんと呼びます。子宮の入り口に発生する子宮頸がんとは性質が異なります。症状としては不正出血、おりものの増加などがあり、子宮体がんになる前段階から見られることがありますので、月経の不順と簡単に片づける前に疑いを持ってみましょう。逆に子宮体がんになってからも自覚症状が全くない場合もあるので、早期発見には定期的な検診がもっとも重要です。ただし、自治体や会社などで行われる検診は、頸がんの検診だけのことが多く、体がんを発見するのは困難です。また、月経不順は子宮体がんだけでなく、ほかの病気の兆候であることも多いので、繰り返しになります、「体質だから」と簡単にとらえずに、積極的に婦人科の診察を受けることをおすすめします。 触診や機械での内診は、絶対に必要なの?検診には、視診、指での触診の他、「プローブ」という細長い超音波器具を膣に入れる経膣エコーの検査を受けることがあります。ただし、膣内に器具を入れることに抵抗があるようであれば、検査の際に「経膣エコーの代わりに腹部エコーかCT/MRIで検査してほしい」と話してみてください。受診前に問い合わせをしたり、かかりつけのお医者さんに、この点を記載した紹介状を書いてもらったりするのもよいでしょう。 子宮体がんの検査方法と流れ一般的に次のような流れで検査します。病院によって異なる場合があります。【問診】↓【視診】医師が性器周辺、膣内、分泌物のチェックをします。↓【内診(触診)】子宮や卵巣の状態を、腟から指を入れて調べます。肛門から指を入れ、直腸やその周囲に異常がないかを調べることもあります。↓【細胞診】子宮口から細い器具を挿入し細胞を採取し、検査します。分泌物や子宮細胞の検査結果はだいたい一週間後くらいかかります。細胞診でがんが疑われる場合は、さらに精密検査を行います。 わかれば怖くない!婦人科検診に行ってみよう 子宮頚がんと乳がんは一番早期発見しやすいがんであり、早期発見すれば、命を救うことはもちろん、子宮や乳房を温存する治療法も選択できます。また、がん以外でも、子宮筋腫や卵巣のう腫などの病気であれば20代でも多く見られることがあります。様々な婦人科の病気を早期に発見するためにも、若いうちから定期的に検診を受けたり、異常を感じたらすぐに受診することが大切です。怖がらないで、ぜひ検診を受けてくださいね。 wellfyより
2018年12月11日「今回の検査結果では、乳がんのリスク値がやや高めでした。これをもって即、がんがあると判断するわけではありませんが、精密検査で確定診断を受けることをお勧めします。専門科のある医療機関へ紹介状を書きますよ」記者が受けた検査結果をもとに、丁寧に解説してくれるのは大泉中央クリニック院長の砂村眞琴氏。2週間前、記者が受けたのは「サリバチャッカー」という検査だ。砂村氏が開発した、わずか0.2~0.4ミリリットルの唾液でがんのリスクを判定するというもの。検査室の長机には梅干しの入った瓶が置かれている。「自然の唾液が必要なので、香りだけ嗅いで、唾液が上がってくるのを待ちましょう」と看護師さん。酸っぱい香りに誘われ、ある程度唾液が口にたまったら、太めのストローでつるっと垂らす――。唾液を収めた容器を看護師さんに手渡し、検査終了。採取した唾液はフリーザーで冷凍され、クール便で衛生検査センターに送られ解析される。体への負担もゼロというこの検査は、慶應義塾大学先端生命科学研究所と東京医科大学発の医療ベンチャー「サリバテック社」が開発。同社のCEOであり、東北大学で長く消化器外科手術に従事した砂村氏が、’10年から「体に負担の少ない検査法を開発したい」と、ヒトの体から出る「代謝物質」である唾液に着目。治験を経て、’17年に実用化となった。検査の鍵となるのは、がん患者から出る、「ポリアミン類」という特異的な物質でスペルミン、スペルミジンなどだ。それら8種類の物質の濃度から最新AI(人工知能)がリスク解説するのがこの検査の特徴である。「自覚症状の出にくい膵がんも、早期の段階で発見できる可能性があります」(砂村氏)結果は、膵臓・大腸・乳腺・肺・口腔の5つのがんそれぞれについて、0~1までのリスク値を算出。ABCDでリスクを示し、CDと判定されれば専門科で精密検査を受けるよう勧められる。さて、記者の検査結果では、大腸がんはB、肺がんはAと判定されたが、乳がんはCであったことから、冒頭のように、砂村先生から「何年も検査を受けていないのなら、これをきっかけに受けたほうが」とアドバイスをいただいた。現在全国20カ所の医療機関で検査でき、費用は2万~4万円(税抜き)程度であるが、今後、検査を受けられる医療機関が広がり、多くの人に利用してもらうことで、1万円以下に価格を下げていきたいという。「身体的な負担や、面倒くさいということで、長年検診から足が遠のいている方に活用してほしい。簡易検査にありがちな検査しっぱなしを避けるため、この検査後のフォローをする医療機関も増やしています」(砂村氏)
2018年10月28日ここ最近、よく話題に挙がる「男性はげたを履かせてもらっている」説。今夏発覚した東京医科大学の不正入試問題では、男子学生に加点するいっぽうで、女子学生は減点していたことが明らかになった。平成も終わろうとしているこの時代に、「男性にげた」どころか、いまだに女性というだけで「逆げた」を履かされる残念なニッポン。そんな「逆げた」の存在について考えるときに見過ごせないのが、女性にだけ訪れるアレ――。そう「生理」だ。女性活躍がしきりに叫ばれるいっぽうで、「出産」という生命の一大イベントと密接に関わる「生理」は、「逆げた」の大きな要因になっているにもかかわらず、なぜかタブー視され続けている。あまりに身近な存在のため女性自身も無自覚になりがちだが、その苦労を女性が「自己責任」であるかのように背負わされ、男性は「知らなくて当たり前」とされるのはいったいなぜ?改めて考えると「シンプルに不思議」!これからの時代に、女性はもちろん、男性も知っておきたい「生理」のこと。「生理は小さなお産です。それだけの産みの苦しみを、女性は毎月味わっているといえるでしょう」そう話すのは、成城松村クリニックの松村圭子院長。月経自体は生理現象とはいえ、女性の健康を左右するエストロゲンと深く関係する。生理にともなう“健康リスク”への意識を高めよう。■月経回数が多いこと自体がリスク現代女性が抱える「生理問題」の根幹となるのが、昔と比べ生涯の月経回数が激増していること。「もちろん個人差はありますが、戦前ぐらいまでは、女性の生涯月経回数は50回程度でした。これは、初潮が来るとほどなく結婚し、8人、9人と子どもを産むことが『普通』だったため。妊娠中と、授乳中の多くは月経がないので、たくさん子どもを産めばそれだけ月経回数は減少。子宮や卵巣を休ませる期間も長かったといえます。いっぽう現代女性の生涯月経回数はなんと400回以上!昔に比べて発育がよくなり、初潮が低年齢化していることと、晩婚・少子化がその理由です」(松村院長・以下同)まずは、女性の月経回数が昔に比べ激増していることそのもののリスクについて、松村院長は次のように語る。「卵巣にある卵胞が裂けて卵子が排出されることを『排卵』といいますが、妊娠しないとこれが繰り返されることになり、卵巣がんの発症リスクが高まります。また、子宮内膜に似た組織が子宮以外の場所でエストロゲンに反応し、増殖や出血を繰り返す病気を子宮内膜症といいますが、こちらは月経回数と発生頻度が正比例。さらに、月経が多い=エストロゲンに長期間さらされることで子宮体がんのリスクも上昇するほか、子宮筋腫や乳がんもエストロゲン依存の病気として知られています。そして、これらの病気の多くは、乳がんをのぞき、生理不順や重い生理痛、不正出血などの症状を伴うもの。『たかが生理』と侮っていると、大病を見逃す危険性があることを、まずは理解してください」■若い女性の極端な痩せ志向が生理不順につながる次に、外見に敏感な若い女子ほど気をつけてほしいのが過度なダイエット。「とくに体が未成熟な10代では体が飢餓状態となり、生命維持に直接関係のない『妊娠機能』からストップしてしまいます。生理不順や無月経となるほか、放置すれば不妊につながることも。20代以上も例外ではありませんが、成長期はとくに注意が必要です」■20代から子宮内膜症に要注意本来なら生理も安定してくるはずの20代。不順なら、何かしらの問題を抱えている可能性もある。「現代人なら、出産を経験していない限り、20代後半ですでに150回以上の月経を経験している計算になり、子宮内膜症の発症リスクは十分高くなっています。いっぽうで自分の生理に無頓着で、初潮はおろか、最終月経がいつだったかさえ把握していないという方も少なくありません。これでは診断に支障をきたしますので、面倒であっても、生理のサイクルはきちんと記録しましょう」■無理がたたってくる30代30代ともなると体に無理がきかなくなってくるが、月経を繰り返したことによるエストロゲンの影響もさらに蓄積してくるころだ。「子宮内膜症のリスクが引き続き高いのはもちろん、子宮の良性腫瘍である子宮筋腫のリスクも増加。さらに、ストレスによるPMS(月経前症候群)にも、かかりやすくなるといえるでしょう」■プレ更年期がはじまる40代生理自体はまだあるものの、妊娠率がガクッと下がるのがアラフォー。これは、「出産のタイムリミット」に直面する時期でもある。「そのため、あせりや不安など、精神的なゆらぎが原因で更年期のような不調を訴える人も。周りと比べず、自分の人生で『快』と思えることは何かを、しっかり見つめるようにしましょう」■更年期以降は年相応の美しさをそしていよいよ訪れる更年期。子宮体がんのリスクはこのあたりで増加する。他方、エストロゲンが激減することに伴う不調の多くはホルモン補充療法などでカバーできるが、何よりも「受け入れることが大切です」と松村院長。「私自身も更年期に入りましたが、まったく不調はないんです。それは、たぶん私が『若さ』に固執していないから(笑)。閉経に伴う喪失感からうつ病になってしまう人もいますが、閉経以降も長生きできるようになった今だからこそ、次のステージを楽しまなくちゃ」女性に履かされる究極の逆げた、「生理」。でも、女性もそれを履きこなし、男性がその足元を少しでも支えることができたなら。互いの人生の足取りは、きっともっと軽やかになるはず!
2018年10月22日「免疫チェックポイント阻害剤の誕生は、世界のがん医療に大きなインパクトを与えました。さらに開発の基礎となる研究をされた本庶佑先生が、ノーベル賞を受賞したことで、その効果が報じられています。しかし“万人に効く”“夢の新薬”ととらえるのは、時期尚早です」新薬への過大な期待に警鐘を鳴らすのは、医療ガバナンス研究所理事長で、内科医の上昌広さんだ。免疫チェックポイント阻害剤のメカニズムについて、上さんが解説してくれた。「がん細胞など、体内の異物はキラーT細胞というリンパ球が攻撃します。しかしがん細胞は賢く、T細胞とくっつくことで、攻撃する信号を止めてしまうのです。新薬は、この結合を阻害し、キラーT細胞が、がん細胞を追跡、攻撃するよう働きかけるのです。がんを直接攻撃するという、これまでの手術・放射線・抗がん剤とは一線を画す、まったく新しい概念で、第4のがん治療といわれています」(上さん)こうした構造を利用して脚光を浴びたのが、’14年に発売されたオプジーボだ。「当初は皮膚がんの一種、悪性黒色腫に対して承認されましたが、間もなく、肺がんの中でも8~9割を占める非小細胞肺がんに保険適用が広がりました」(上さん)慶應義塾大学医学部先端医科学研究所所長の河上裕さんが、効果を表すデータについてこう語る。「肺がんにおいて既存の治療では予後が悪い場合も多かったのですが、免疫チェックポイント阻害剤によって、その16%の患者さんが、5年間生存しています」(河上さん)発売当初は1年で3,500万円もした薬代も、対象者が増えたために、1,000万円まで値下げされている。現在は、効果が確認された6種類の阻害剤が承認を受け、対象となるがんや、患者の状態により、公的保険が利用可能。支払う費用の上限を設定している高額療養費制度もあるので、患者の自己負担額を抑えられる。承認を受けているのは肺がんや腎臓がん、悪性黒色腫など約10種類。しかし、広い部位で治療が進められており、大腸が、乳がんは治験も最終段階だ。国内で承認されている免疫チェックポイント阻害剤の「実力とリスク」は次のとおり(薬名はすべて販売時のもの)。■「オプジーボ」【保険適用のがんの種類】悪性黒色腫、非小細胞肺がん、腎細胞がん、ホジキンリンパ腫、頭頸部がん、胃がん、悪性胸膜中皮腫。【近い将来、保険適用になりうるがん】食道がん、大腸がん、卵巣がんなど。■「キイトルーダ」【保険適用のがんの種類】悪性黒色腫、非小細胞肺がん、ホジキンリンパ腫、尿路上皮がん。【近い将来、保険適用になりうるがん】乳がん、大腸がん、食道がんなど。■「ヤーボイ」【保険適用のがんの種類】悪性黒色腫、腎細胞がん。【近い将来、保険適用になりうるがん】胃がん、食道がんなど。■「バベンチオ」【保険適用のがんの種類】メルケル細胞がん。【近い将来、保険適用になりうるがん】胃がんなど。■「テセントリク」【保険適用のがんの種類】非小細胞肺がん。【近い将来、保険適用になりうるがん】小細胞がん、肝細胞がん、乳がんなど。■「イミフィンジ」【保険適用のがんの種類】非小細胞肺がん。【近い将来、保険適用になりうるがん】膀胱がん、肝臓がん、卵巣がんなど(他剤との併用)。■6種類の免疫チェックポイント阻害剤に考えられる副作用間質性肺疾患、心筋炎、消化管穿孔などの命に関わるようなケースも起こりうる薬剤もある。皮膚炎(かぶれや水ぶくれ、粘膜のただれ)、甲状腺炎(多汗、動悸、浮腫)、重篤な大腸炎(下痢、血便)など、自己免疫反応が起こることがある。「乳がんに関しては、これまで治療が難しかったトリプルネガティブ乳がんという種類であっても、10%ほどの患者さんに効果が表れているという報告もあります」(河上さん)治験データを集積して申請されれば「通常、半年~1年で承認される」(上さん)というから、この1~2年で一気に対象者が増える可能性があるのだ。だからこそ今後、この“夢の薬”に冷静な目が必要だと、前出の2人は語る。まず、注意しなければならないのは、同じ薬剤を使っても、効かない患者のほうが多いということだ。「奏効率と言いますが、6つの阻害剤でがんが見えなくなる、もしくは大きさが30%以上縮小した率は、肺がんで20%弱、悪性黒色腫で20%程度です」(河上さん)たとえば、オプジーボの添付文書には《切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌》《根治切除不能又は転移性の腎細胞癌》などと書かれている。がんの進行度によっても、使用できる人が厳密に定められている。「現状では、万人が受けることができず、患者さんのがんの性質、免疫体質、腸内細菌や喫煙の有無などの環境因子も関係して治療効果が決まっていきます」(河上さん)そして、先述したように“危険な副作用を伴う薬”であることも、知らなくてはならない情報なのだ。「“免疫”と聞くと、自分の体内にあるものだから、副作用が少ないと感じてしまいがちですが、そんなことはありません。主に、自己免疫疾患のような症状が代表的です。甲状腺機能が低下して疲労感が増したり、粘膜がただれたり、発疹ができることも報告されています。肝機能障害、腎機能障害、脳炎、1型糖尿病なども注視しなければなりません」(上さん)間質性肺疾患や心筋炎など、場合によっては死に至る副作用を引き起こすこともある。「それも“まれ”なレベルではなく、阻害剤を使った患者さんの10%以上に、重篤なケースを含めた比較的強い副作用が起こっています」(河上さん)まだまだ課題は山積している免疫チェックポイント阻害剤だが、これからのがん治療に新たな光をもたらす薬剤であることは間違いない。
2018年10月18日「免疫チェックポイント阻害剤の誕生は、世界のがん医療に大きなインパクトを与えました。さらに開発の基礎となる研究をされた本庶佑先生が、ノーベル賞を受賞したことで、その効果が報じられています。しかし“万人に効く”“夢の新薬”ととらえるのは、時期尚早です」新薬への過大な期待に警鐘を鳴らすのは、医療ガバナンス研究所理事長で、内科医の上昌広さんだ。免疫チェックポイント阻害剤のメカニズムについて、上さんが解説してくれた。「がん細胞など、体内の異物はキラーT細胞というリンパ球が攻撃します。しかしがん細胞は賢く、T細胞とくっつくことで、攻撃する信号を止めてしまうのです。新薬は、この結合を阻害し、キラーT細胞が、がん細胞を追跡、攻撃するよう働きかけるのです。がんを直接攻撃するという、これまでの手術・放射線・抗がん剤とは一線を画す、まったく新しい概念で、第4のがん治療といわれています」(上さん)こうした構造を利用して脚光を浴びたのが、’14年に発売されたオプジーボだ。「当初は皮膚がんの一種、悪性黒色腫に対して承認されましたが、間もなく、肺がんの中でも8~9割を占める非小細胞肺がんに保険適用が広がりました」(上さん)慶應義塾大学医学部先端医科学研究所所長の河上裕さんが、効果を表すデータについてこう語る。「肺がんにおいて既存の治療では予後が悪い場合も多かったのですが、免疫チェックポイント阻害剤によって、その16%の患者さんが、5年間生存しています」(河上さん)発売当初は1年で3,500万円もした薬代も、対象者が増えたために、1,000万円まで値下げされている。現在は、効果が確認された6種類の阻害剤が承認を受け、対象となるがんや、患者の状態により、公的保険が利用可能。支払う費用の上限を設定している高額療養費制度もあるので、患者の自己負担額を抑えられる。承認を受けているのは肺がんや腎臓がん、悪性黒色腫など約10種類。しかし、広い部位で治療が進められており、大腸が、乳がんは治験も最終段階だ。「乳がんに関しては、これまで治療が難しかったトリプルネガティブ乳がんという種類であっても、10%ほどの患者さんに効果が表れているという報告もあります」(河上さん)治験データを集積して申請されれば「通常、半年~1年で承認される」(上さん)というから、この1~2年で一気に対象者が増える可能性があるのだ。だからこそ今後、この“夢の薬”に冷静な目が必要だと、前出の2人は語る。まず、注意しなければならないのは、同じ薬剤を使っても、効かない患者のほうが多いということだ。「奏効率と言いますが、6つの阻害剤でがんが見えなくなる、もしくは大きさが30%以上縮小した率は、肺がんで20%弱、悪性黒色腫で20%程度です」(河上さん)たとえば、オプジーボの添付文書には《切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌》《根治切除不能又は転移性の腎細胞癌》などと書かれている。がんの進行度によっても、使用できる人が厳密に定められている。「現状では、万人が受けることができず、患者さんのがんの性質、免疫体質、腸内細菌や喫煙の有無などの環境因子も関係して治療効果が決まっていきます」(河上さん)まだまだ課題も山積している。「平均して2週間に1回の点滴投与となりますが、治療を終了する時期に関しての判定基準も、まだ定まっていません。さらに今後は、効く人、効かない人を判定する検査の研究、効果が高められるような併用薬の組み合わせのデータも、積み上げていかなければならないのです」(河上さん)とは言え、免疫チェックポイント阻害剤は、これからのがん治療に新たな光をもたらす薬剤であることは間違いない。実際、より効果を高めるための研究は、確実に前進しているが、まだ発展途上の治療法でもあるのだ。
2018年10月18日「痛すぎてもう受ける気にならない……」「被ばくの心配が……」。乳がん検診の重要性が叫ばれるなか、X線マンモグラフィが抱える問題は多い。しかし、それらを一気に解決してくれる、世紀の大発明が!「微弱な電波を出す発信機を使い、乳房の表面を軽くなぞるようにスキャンするだけで、乳房の中を立体的に3次元画像で映し出します。従来のX線マンモグラフィでは見えなかったがんも、この検査器を使えば、はっきり見ることができるんです」こう語るのは、世界初の乳がん画像診断システム「マイクロ波マンモグラフィ」を開発した神戸大学の木村建次郎教授(39)。乳がん検診でおこなうX線マンモグラフィは、撮影時に乳房を板で挟むため、「信じられないくらい痛かった」という声が多く上がっていた。さらに、X線による被ばくのリスクもあるため、定期的にマンモグラフィ検診を受けたいという女性は減少傾向にある。厚生労働省は40歳以上の女性を対象に、2年に1回乳がん検診を受けるように呼び掛けているが、’16年に同省が実施した国民生活基礎調査によると、受診率は全国で44.9%と、半分以下にとどまっているのが現状だ。しかし、木村教授のチームが開発した「マイクロ波マンモグラフィ」は、乳房表面をなぞるだけなので、検診による痛みはない。さらに、乳房に当てる電波は携帯電話の1,000分の1以下、つまり被ばくの心配もないという。革新的な技術なのだ。「乳房は、乳腺と脂肪、そして乳房を支える靱帯で構成されています。乳腺と靱帯が多く密集している『高濃度乳房』の場合、X線を遮断してしまうため、がんを見つけることが困難とされていました。その『高濃度乳房』を貫通することができるのがこのマイクロ波。がん組織に当たった瞬間跳ね返されるので、数秒でがん組織を立体画像で映し出すことができます」マイクロ波マンモグラフィで特筆すべきは、そのがん検出の精度。木村教授は、本誌記者に、従来のX線マンモグラフィとマイクロ波マンモグラフィでの撮影結果を見せてくれた。どちらも、「高濃度」とされている同じ人物の乳房を撮影したものだ。X線で撮影すると、乳房全体が白く写ってしまう。がん組織も同じように白く写るため、“雪山で白うさぎを探すがごとく”と言われるほど、高濃度乳房の人のがんは見落とされやすかった。しかも、日本人女性の約4割が高濃度乳房に当てはまるとされている。しかし、マイクロ波で撮影したものは、がん組織が黒い影としてハッキリ写っているのがわかる。「反射して散らばったマイクロ波から、物体の形を導く計算式を世界で初めて解明しました。そしてその数学的理論と、高い周波数のマイクロ波を発生させて観測する高度な半導体技術を合わせて完成したのが、この検査機器なのです。これまでに、神戸大病院などの4つの医療機関で、『高濃度乳房』のがん患者や健康な人ら約250人を対象に臨床研究を重ねました。その結果、年齢、乳房のタイプに関係なく、高い確率で乳がんを検出できることがすでに実証されています」
2018年10月18日「微弱な電波を出す発信機を使い、乳房の表面を軽くなぞるようにスキャンするだけで、乳房の中を立体的に3次元画像で映し出します。従来のX線マンモグラフィでは見えなかったがんも、この検査器を使えば、はっきり見ることができるんです」こう語るのは、世界初の乳がん画像診断システム「マイクロ波マンモグラフィ」を開発した神戸大学の木村建次郎教授(39)。乳がん検診でおこなうX線マンモグラフィは、撮影時に乳房を板で挟むため、「信じられないくらい痛かった」という声が多く上がっていた。さらに、X線による被ばくのリスクもあるため、定期的にマンモグラフィ検診を受けたいという女性は減少傾向にある。厚生労働省は40歳以上の女性を対象に、2年に1回乳がん検診を受けるように呼び掛けているが、’16年に同省が実施した国民生活基礎調査によると、受診率は全国で44.9%と、半分以下にとどまっているのが現状だ。しかし、木村教授のチームが開発した「マイクロ波マンモグラフィ」は、乳房表面をなぞるだけなので、検診による痛みはない。さらに、乳房に当てる電波は携帯電話の1,000分の1以下、つまり被ばくの心配もないという。革新的な技術なのだ。「乳房は、乳腺と脂肪、そして乳房を支える靱帯で構成されています。乳腺と靱帯が多く密集している『高濃度乳房』の場合、X線を遮断してしまうため、がんを見つけることが困難とされていました。その『高濃度乳房』を貫通することができるのがこのマイクロ波。がん組織に当たった瞬間跳ね返されるので、数秒でがん組織を立体画像で映し出すことができます」早期発見で9割以上が治るといわれる乳がんだが、毎年、世界中で52万人以上、日本だけでも1万4,000人以上が亡くなっている。「毎年、全世界で乳がんになる人は167万人以上いるといわれています。マイクロ波マンモグラフィが、実用化されて世界中で使われるようになると、これまで見つからなかった乳がん患者も含め、その数は瞬間的に500万人、600万人と膨れ上がるでしょう。それでも、早期発見が可能になることで、将来乳がんで亡くなる人はゼロになると信じています」木村教授は、国に認可されるのに3年、世界中に普及するまで5~6年かかるだろうと予測している。たとえ普及に10年かかったとしても、20年後には乳がんで死亡する人が激減する計算だ。このマイクロ波マンモグラフィは乳がん患者だけでなく、医療現場からの期待も大きい。「たとえば、高濃度乳房の人に抗がん剤を試した場合、X線マンモグラフィでは、どのように変化しているかを追うことは困難です。超音波エコーを使っても、乳房内の奥深いところまではどうなっているのかわからないでしょう。マイクロ波マンモグラフィなら立体的な位置がはっきりと見えるため、1カ月に1回、定期的に撮影すれば、どのがん組織がどう縮んでいっているかを完全にモニターできるんです。がんの進行度がはっきりとわかるため、手術をいますべきかそうでないか、どういう治療がふさわしいのか、という判断を医師がしやすくなるのではないでしょうか」さらに、乳房の表面をなぞるだけの作業なので、誰がやっても同じ画像が出せるという利便性も。「うちのスタッフ20人にやらせたら、みんな同じ画像を100%出すことができました。X線を使わないので、放射線取扱主任者の資格が要りません。極端な話、病院以外の場所、たとえば駅などの公共施設に置いて、会社帰りに女性同士でやることだってできるんです。ただし、画像を見ての判断は、専門の医師にしてもらう必要がありますが」少しでも早く実用化され、全世界の女性の命を救うために、この機械が活躍する日を期待したい。
2018年10月18日「今でも、がん=死とイメージする人は少なくありません。しかし確実に、がんと共に生きていく時代が近づいています」とは、医療ガバナンス研究所理事長で腫瘍内科の上昌広医師。国立がん研究センターが9月11日、がん患者の「3年生存率」を初めて公表した。写真の表は、日本人に多い「5大がん」のステージ別のデータだ。上医師が解説する。「これは11年にがんと診断された全国約30万人のデータから算出したもので、がん全体の3年生存率は71.3%にものぼることが分かりました。これまでは約10年前に診断されたがん患者の5年生存率が一般的だったので注目を集めています。3年生存率の公表には、5年分のデータが揃うのを待たずして、最新治療を受けた患者の状態を把握するためのデータが算出できるという利点があるのです」今回公表されたデータのなかで、とりわけ3年生存率が高いのが乳がんだ。ステージ1では100%、全体でも95%を超えている。だが気がかりなのは、もっとも助かりやすい乳がんであっても、がん細胞がほかの部位に転移するステージ4になると生存率が54.4%に急落してしまうことだ。熊本大学乳腺内分泌外科の岩瀬弘敬教授は“生死を分ける境目”をこう語る。「まず、転移した部位がどこかによって生存率の明暗が分かれます。リンパ節や骨ならば3年後も70%以上の生存率が見込めますが、肝臓や肺などほかの臓器に転移した場合は3年後で50%を切ってきます。また進行が速いか遅いかというがんの性質によっても変わります。ステージ4と一口に言っても、小林麻央さん(享年34)の場合は発症してから亡くなるまでが短かったので進行の早いがんだったと考えられます。半面、再発しても10年以上生きている人も少なからずいます。とはいっても、やはり早期発見がもっとも大切です」女性の11人にひとりがかかるといわれる乳がんは、がんのなかでも唯一、自分で発見できる病気。乳がんで死なないためには、日常生活のなかでいかに自分の体をケアするかが重要だ。女性のがんのなかで最も死亡者が多いのが、大腸がん。ステージ4になると一気に生存率が下がり、30・3%になる。だが、東京女子医科大学病院がんセンター長の林和彦医師は「ステージ4でも絶望的になってはいけない」と語る。「ステージ4のがんは以前までは“末期がん”と呼ばれていましたが、今の医療現場ではもうそんな言葉は使われていません。医療の進歩により、ステージ4で転移がある進行がんでも、薬物療法でがんを縮小させたり、症状を抑えたりすることが可能になりました。その結果、ステージ4から3に下がることもあります。もはや、ステージ4は“死の境目”ではないのです」3年生存率のデータをひも解くことで見えてきた、がんに克つ希望。しかし、東京医療保険大学の副学長で外科医の小西敏郎教授は“3年生存率データへの過信”にこう警鐘を鳴らす。「3年生存率といっても、がんの部位ごとに治るまでの期間が異なります。つまり、“3年生きたからがんが治った”と安心してしまうのはとても危険です。たとえば、胃がんや大腸がんは5年が判断の目安。乳がんの場合は10年以上経ってから再発することがいくらでもあるので油断できません」06年に胃がん、09年に前立腺がんを経験している小西教授。2度の生還から“がんに克つ境目”を知る小西教授の話には生存率を上げるヒントが多い。「今は、私のように何種類ものがんにかかる時代。よく陥りがちなのが、1度がんになったときの担当医に定期的に経過を診てもらっているから安心だと思い込んでしまうこと。専門医は他のがんに気がつかないことも多いのです。私は体全体のがん検診を受け続けたことで、前立腺がんを早期発見することができたのです」がんの啓蒙活動を行っている、東京大学医学部附属病院・放射線科の中川恵一准教授は最後に言う。「実は先進国のなかで、がんで命を落とす人が増えている国は日本だけなんです。がん検診受診率の低さが主な理由といえます。また、がんのことを知らずに効果のあやしい代替医療や民間医療に走る患者が多いのが現状です」「がんに克つ」には、まずは早期発見。ステージ3や4でも過度な不安を抱かず、冷静な判断で適切な治療を選ぶことが重要なのだ。
2018年09月20日エスティ ローダー グループは、活動26年目を迎える今年も、乳がんのない世界を創ることを目的とした「乳がんキャンペーン」を実施。2018年の乳がんキャンペーンのテーマは、「Time To End Breast Cancer #乳がんのない世界へ ~伝えたいメッセージを花に託して~」。アーティストのニコライ バーグマン氏率いるニコライバーグマン フラワーズ & デザインとコラボレーション!提供:エスティ ローダーコラボが実現したアーティストのニコライ バーグマン氏率いるニコライバーグマン フラワーズ & デザインとのキャンペーンには、美しい花をきっかけに、大切な人と乳がんについて会話してほしいという思いが込められているんです。ピンクのフラワーデザインが魅力の期間限定カフェ「ピンクリボン フラワー カフェ」2018年10月2日(火)から8日(月・祝)まで、「Nicolai Bergmann Flowers & Design Flagship Store(ニコライ バーグマン フラワーズ & デザイン フラッグシップ ストア)」内をピンク色の花でディスプレイ。また、期間限定カフェ「ピンクリボン フラワー カフェ」がオープンします。提供:エスティ ローダーキービジュアルのピンクのフラワーデザインでディスプレイされたカフェやフラワーショップは、存在感を出しながらもお洒落でつい足を踏み入れたくなる空間。提供:エスティ ローダーこのカフェだけで楽しめるオリジナル ドリンク「Juice of Hope」もあります。そしてキャンペーン期間中、ストアでは、「ピンクリボン限定 オリジナル フラワーボックス」が数量限定で販売されます。売上の一部は JBCRG(Japan Breast Cancer Research Group)へ寄付されるそうですよ。フレッシュフラワーボックス提供:エスティ ローダープリザーブドフラワーボックス提供:エスティ ローダー発売期間2018年10月2日(火)~なくなり次第終了価格:フレッシュフラワーボックス Sサイズ 4,000 円(税抜)、プリザーブドフラワーボックス Sサイズ 9,000 円(税抜)住所:東京都港区南青山5-7-2ニコライ バーグマン フラワーズ & デザイン コラボレーション詳細<ピンクリボン フラワー カフェ>実施時期:2018年10月2日(火)~8日(月・祝)住所:東京都港区南青山5-7-2営業時間:10:00-20:00 ※10月2日(火)は13:00から営業予定※最新情報は特設サイトをご確認ください。特設サイト概要:オリジナル ドリンク「Juice of Hope」発売(価格:750 円(税抜)<1日15杯限定 オリジナルフラワーシール付>)オリジナルフォトスポット乳がんの知識を深めていただけるコンテンツオープン当日の2日は、プレス向けパーティが実施予定。ニコライ バーグマン氏も登壇し、コラボレーションに込めた思いを聞くことができます。Instagram ハッシュタグ投稿キャンペーン「大切な人に伝えたいメッセージを花に託して」キャンペーンの一環として、Instagram ハッシュタグ投稿キャンペーンも実施。ピンク色の花の写真にハッシュタグ「#乳がんのない世界へ」を付けて投稿すると、抽選で5名様にピンクリボン限定 オリジナル フラワーボックスのプレゼントが!Instagram ハッシュタグ投稿キャンペーン概要期間:9月18日(火)~10月31日(水)応募方法:「ピンク色の花の写真」に「#乳がんのない世界へ」をつけてInstagramにご投稿ください。賞品:ニコライ バーグマン ピンクリボン限定 フラワーボックス(抽選で5名様)※詳細は特設サイトをご確認ください。※当選の場合は、Instagramキャンペーンアカウント(ELGC BCC 事務局:@ELGCBCC_CP2018)より当選者へ直接ご連絡いたします。特設サイト京都 清水寺、東京スカイツリーがピンク色になる!?提供:エスティ ローダーエスティ ローダーは、「乳がんキャンペーン」の認知度向上を目的として、毎年10月に世界の主要建造物をピンク色にライトアップする「グローバル ランドマーク イルミネーション」を実施しています。今年は京都 清水寺<仁王門、西門、三重塔、観音慈光>(京都府京都市)や、東京スカイツリー(東京都墨田区)といった各地のランドマークがピンク色にライトアップ。グローバル ランドマーク イルミネーション 詳細京都 清水寺 <仁王門、西門、三重塔、観音慈光>実施時期:2018年9月28日(金)~10月28日(日) ※10月20日(土)は通常ライト色住所:京都府京都市東山区清水1丁目294点灯時間:19:00-22:00※9月29日(土)は18:30~21:00(受付終了/21:30 閉門)、夜間特別拝観無料(通常大人 400円)<東京スカイツリー>実施時期:2018年10月1日(月)住所:東京都墨田区押上1丁目1-2点灯時間:18:30-22:00提供:エスティ ローダーまた、10月1日(月)よりキャンペーン支援製品が数量限定で発売。その収益の一部は、乳がん撲滅への研究資金へ。「乳がんキャンペーン」を実施しているエスティ ローダー グループはこのような活動を26年続けているんです。普段、乳がんについて考える機会がないという方も、見つめ直すいい機会になるのではないでしょうか?今回のコラボレーションでもある、美しい花をきっかけに、ぜひ大切な人と乳がんについて話してみてくださいね。
2018年09月14日エスティローダーグループは、活動26年目を迎える今年も、乳がんのない世界を創ることを目的とした乳がんキャンペーン「Time To End Breast Cancer #乳がんのない世界へ」を展開。合わせて、フラワーアーティストとの期間限定コラボカフェや、Instagramハッシュタグ投稿キャンペーン、イルミネーションイベント等を実施する。テーマは「伝えたいメッセージを花に託して」エスティローダーグループが実施する「Time To End Breast Cancer #乳がんのない世界へ ~伝えたいメッセージを花に託して~」では、フラワーアーティストのニコライ バーグマン氏率いる「ニコライ バーグマン フラワーズ&デザイン」とコラボレーション。美しい花をきっかけに、大切な人と乳がんについて会話してほしいという思いを込めたキャンペーンを実施する。コラボレーションの一環として、2018年10月2日(火)から8 日(月・祝)まで、「Nicolai Bergmann Flowers & Design Flagship Store(ニコライ バーグマン フラワーズ&デザイン フラッグシップストア)」(東京都港区南青山)の店内をピンク色の花でディスプレイ。期間限定カフェ「ピンクリボン フラワーカフェ」をオープンする。Instagramハッシュタグ投稿キャンペーンで「ピンクリボン限定フラワーボックス」をプレゼントまた、9月18日(火)~10月31日(水)の期間限定で、Instagramハッシュタグ投稿キャンペーンも実施。ピンク色の花の写真にハッシュタグ「#乳がんのない世界へ」を付けて投稿すると、抽選で5名様にピンクリボン限定オリジナルフラワーボックスをプレゼント!◆Instagramハッシュタグ投稿キャンペーン概要期間:9月18日(火)~10月31日(水)応募方法:「ピンク色の花の写真」に「#乳がんのない世界へ」をつけてInstagramにご投稿ください。賞品:ニコライ バーグマン ピンクリボン限定フラワーボックス(抽選で5名様)※詳細は特設URLからご確認ください。※当選の場合は、Instagramキャンペーンアカウント(ELGC BC事務局:@ELGCBCC_CP2018)より当選者へ直接ご連絡いたします。今回のキャンペーンではこのほか、世界の主要建造物をピンク色にライトアップする「グローバル ランドマーク イルミネーション」も実施。京都の清水寺や、東京スカイツリー®が美しいピンク色にライトアップされる光景は圧巻だ。自分だけでなく大切な人の乳がんへの意識を高めるためにも、家族やパートナーと一緒に足を運んでみてはいかがだろうか。【参考】※「Time To End Breast Cancer #乳がんのない世界へ」
2018年09月13日治療中の女性のセカンドオピニオンとしても東京都新宿区新宿にある美容外科の新宿ガーデンクリニックは7月24日、乳房再建術の手術を開始すると発表した。現在、大学病院などの大病院では、保険適用による乳房再建手術が行われているが、同クリニックでは、美容外科としての技術と実績を生かした手術が行われることになる。同クリニックは治療中の人のセカンドオピニオンとしての活用も可能としており、カウンセリングは何度相談しても全て無料となっている。シリコンインプラント法や脂肪注入も女性の象徴ともいえる乳房。乳がん治療における手術では、乳房に何らかの変形をもたらしてしまうことになる。手術を受けた女性の中にはがん治療がひと区切りしても、パートナーに見せることができなくなったり、女性としてのアイデンティティの喪失感を覚えたりする人も少なくない。ガーデンクリニックでは、豊胸術などの審美目的の手術を日常的に多数行っており、乳がん手術後の乳房再建術においては、大学病院などではあまり行われていないシリコンインプラント法や脂肪注入なども実施し、乳頭と乳輪の再建手術も同時に行うことが可能となっている。また、ガーデンクリニックはNPO法人J.POSH(日本乳がんピンクリボン運動)のオフィシャルサポーターでもあり、乳がんの正しい知識の普及と、乳がん検診の早期受診を推進するピンクリボン運動を支援している。(画像はプレスリリースより)
2018年07月31日綺麗なバストの形を保つためだと、自宅にいる間もずっとブラジャーをつけて過ごしていると、体にとって良くない影響を与えてしまうことも。外出時以外ではブラジャーを外していた方がよいと言われている理由をご紹介します!外出時には必ず着用しているブラジャーですが、自宅に帰ってきてからそのままつけっぱなしの状態で夜寝る前まで過ごしているという方もいらっしゃるのではないでしょうか?ブラジャーには硬いワイヤーが入っており、そのワイヤーが胸周辺を締め付けてしまうので、ずっとつけっぱなしにしておくことは健康上にもよくない悪影響を与えてしまいます。出典:byBirth家にいるときはブラジャーを外した方がいい理由乳がんの発生率を低くする胸周辺をギュッと締め付けているブラジャーを長時間着用するということは、ずっと胸を圧迫している状態が続いているということになります。毎日つけているブラジャーに入っているワイヤーが長時間胸を締め付けてしまうと、リンパの流れが悪くなり体に悪影響となる毒素が体の中に溜まってしまう状態に陥ってしまいます。出典:byBirthアメリカで行われたとされる研究では、1日中長時間ブラジャーを着用している人に比べて、全くブラジャーを着用しないノーブラ状態の人と比べると約125倍ほど乳がんになる確率が高くなっているという結果が発表されたという説があります。乳がんは女性にとってとても怖い病気なので、乳がん予防をするためにも、家にいるときはブラジャーを外して締め付けをなくす方が良いとされています。血液循環をよくする体を締め付けるブラジャーを朝から寝る前までつけっぱなしにしていると、血流の循環を妨害し呼吸をするのがしんどくなってしまいます。自分に合ったサイズよりも小さめのブラシャーをつけている場合は、締め付けがひどくなり血液の流れを悪くしてしまうおそれがあるので、自宅に帰ったらすぐ脱ぐようにしましょう。出典:byBirth皮膚への刺激を減らすブラジャーのワイヤーやホックなどが長時間体の皮膚に密着している状態が続くと肌が刺激を受け、ひどくなると皮膚の炎症やアレルギーを引き起こしてしまいます。特に背中などの皮膚が敏感な方であれば、ブラジャーの周りがかゆくなってしまったりする恐れも。出典:byBirthブラジャーをつけている部分がなんだかかゆいなと感じた時は、ひどくなるのを防ぐためにも1日の中でブラジャーをつけている時間を短くすることをオススメします。毒素が排出される1日中長時間ブラジャーをつけっぱなしにしているとリンパ管を防いでしまい、体の中に悪い毒素が溜まってしまう原因となります。リンパから毒素を排出するためにもキツイブラジャーの長時間の着用は避け、家にいるときはブラジャーをせずにノーブラの状態をキープする方がよいとされています。ノーブラでいることのメリットは?肩こりが解消されるブラジャーをつけないノーブラ状態でいることによって、ブラジャーの肩紐によって肩が重く感じることもなく楽な状態で過ごすことができます。ブラジャーによって体が締め付けられると血液の循環が悪くなり、頭痛や肩こり、冷え性を引き起こしてしまう原因となってしまうので、日頃から頭痛や冷え性に悩まされている方は、ブラジャーをつけている時間を短くしてみることをオススメします。出典:byBirthノーブラのデメリットは?胸が大きいと形が崩れやすい胸が大きければ大きいほど重力によって下に垂れていくので、ノーブラの状態をずっと続けてしまうとどんどんと胸が垂れていってしまう原因となります。ブラジャーを着用していないと動くたびにバストの揺れが大きくなり、バストを支えているクーパー靭帯に負担がかかってしまいます。胸が大きいという方はあまり体を締め付けないような楽なブラジャーを着用して、胸が垂れるのを防止する必要があります。夜寝るときもブラジャーは外しておいた方がいい?外出時以外の自宅にいるときは、ブラジャーはつけない方が健康面にも良いのですが、寝るときもブラジャーを外しておいた方がいいのでしょうか?出典:byBirth寝るときにブラジャーを着用していないと、あお向けや横向きになるのを繰りかえしている内に胸の脂肪が左右に流れ、胸の形を支えているクーパー靭帯に負担がかかり胸の形が崩れてしまいます。家にいて寝る前まではノーブラで過ごすことをオススメしますが、寝ているうちに胸の脂肪が左右に流れ、クーパー靭帯に負担がかかってしまうのを防ぐためにもブラジャーを着用する方が良いと言われています。ですが、普段外出しているときにつけている身体を締め付けてしまうワイヤーが入ったブラジャーではなく、寝るとき用のナイトブラを着用し体の締め付けを防ぎながら、胸の形もキープしていくことが重要です。自宅にいるときはブラジャーを外すのが◎いかがでしたでしょうか?ブラジャーをつけているのとつけていないのとではそれぞれメリット・デメリットがありますが、健康のためにも家にいるときはブラジャーをとって体の締め付けをなくしてあげることが大切です。出典:byBirth外出時にはいつものブラジャー、家にいるときはノーブラ、寝るときはナイトブラジャーといったように使い分けをしていくことで、綺麗な胸の形をキープしながら健康面にも配慮していくことができます!
2018年06月17日KDDIはこのほど、「女性の将来への備えに関する調査」の結果を明らかにした。同調査は2017年11月15日~19日、全国の30歳~59歳の女性1,000名を対象にインターネットで実施したもの。最近1年以内の健康診断の受診状況を尋ねたところ、63.6%が「受診した」、36.4%が「受診しなかった」と回答した。年代別や就業状況別にみると、50代では受診した割合は72.1%と他の年代より高いが、30代では53.5%となっている。非就業者の場合、受診した割合は52.3%で、就業者(72.3%)に比べ低かった。最近1年以内に乳がん検診の必要性を感じたか聞くと、56.1%が「感じた」、43.9%が「感じなかった」と答えた。年代別にみると、「感じた」と答えた人は30代で54.4%、40代で56.6%、50代で57.4%となっている。最近1年以内の乳がん検診の受診状況を尋ねると、「受診した」は38.0%、「受診しなかった」は62.0%だった。年代別にみると、受診した割合は30代で27.0%、40代は39.5%、50代は47.4%となっており、未受診は30代で7割強、40代で6割、50代でも半数を超えた。「乳がん検診の経験がある」と回答した人に対し、初めて乳がん検診を受けた年齢を聞くと、「40歳未満」という回答は59.2%だった。平均年齢は35.9歳となっている。乳がん検診を受診しなかった人に受診しなかった理由を尋ねると、最も多い回答は「金銭的な負担が気になるため」(36.1%)だった。次いで「面倒だと感じるため」(30.6%)、3位は「自分のことは何となく後回しになっているため」(24.2%) となっている。「自覚症状がない」「検査で痛みを感じることは避けたい」という回答もあった。乳がん検診に自己負担で費用を支払ってもよいと考える人に対し、支払ってもよいと考える金額を尋ねたところ、平均は3,904円だった。最近1年以内に乳がん発見のために行う乳房のセルフチェックをしたか聞いたところ、「した」と回答した割合は45.5%だった。実施した人を年代別にみると、30代は42.3%、40代で44.9%、50代で49.2%だった。40歳未満で初めてのセルフチェックを経験した割合は64.6%で、平均は34.6歳だった。がんに罹患する日本人は何人に1人くらいだと思うか尋ねると、全体で最も多い回答は「5人に1人~3人に1人」(44.1%)だった。日本人が生涯でがんに罹患する確率は、男性で62%、女性で46%で、「約2人に1人」であるが、正しく回答した人は13.2%に留まっている。86.8%が現実の罹患率よりも低く予想していることがわかった。「がん保険」に加入しているか聞いたところ、「加入している」は41.8%、「加入していない」は58.2%だった。加入の理由は、「万が一や、いざという時の備えとして」が最も多く、次いで「家族などのすすめ」「身近な人の罹患」が続いている。加入していない理由は「金銭的な理由」が最も多かった。
2018年01月15日温泉利用型健康増進施設「神戸みなと温泉 蓮」(兵庫県神戸市)は12月7日、乳がんリハビリヨガインストラクターを講師に迎えて行う「乳がんリハビリヨガ ~乳がん経験者のためのヨガ~」を開催する。同イベントは、乳がんを経験した人を対象として行う1日限定のヨガレッスン。講師は、長年の看護師経験とその専門知識を生かし、乳がんリハビリヨガインストラクターとして活躍する天井紀代美氏が務める。60分のレッスン時間中、天井氏は乳がんを経験した人の心と体をゆっくりとていねいにサポートするという。レッスン後は、同施設の展望大浴場で入浴できる。この展望大浴場は通常宿泊者限定で利用できるものだが、今回は参加者限定で特別に貸し切りになるとのこと。時間は10時~12時15分(10時~11時がスタジオヨガ、11時15分~12時15分が展望大浴場での入浴)。料金は3,000円(税別)。定員は8名で、先着順に受け付ける。
2017年11月22日治りにくい大人ニキビや月経前に悪化するニキビの治療には、低用量ピルが処方されることがあります。女性ホルモンを主成分とするピルには、男性ホルモンの働きを抑制することでニキビの発生を根本から改善する効果が期待できます。ニキビ治療に用いられるピルの種類と効果、注意点について解説します。ホルモンバランスの乱れはニキビの原因思春期ニキビの多くは皮脂の過剰分泌によって引き起こされますが、大人ニキビのほとんどは、ホルモンバランスが乱れて男性ホルモンが優位になることで引き起こされるといわれます。ホルモンバランスは不規則な生活やストレスによって崩れやすく、また、生理周期によっても変動します。10代の頃にできる思春期ニキビは、第二成長期の終わりとともに自然となくなっていきますが、大人ニキビはホルモンバランスを整えることで根本原因を改善することが、治すうえで大切なポイントとなります。それでは、ホルモンバランスとニキビの関係について、詳しく見ていきましょう。ストレスによる男性ホルモンの増加大人ニキビの8〜9割は、ストレスからくる男性ホルモンの過剰分泌によるものだと考えられています。社会人としての重圧や人間関係の悩み、多忙で不規則な生活などが重なると、身体はストレスに対抗しようと副腎皮質からコルチゾールという抗ストレスホルモンを分泌します。コルチゾールには、ストレスに対抗する作用とともに男性ホルモン(アンドロゲン)の分泌を増やす作用もあります。男性ホルモンには皮脂を分泌する作用があるため、これが増えると角質が厚くなったり余分な皮脂が毛穴につまりやすくなり、ニキビができやすくなってしまうのです。特に、顎(あご)やフェイスラインは男性ホルモンの影響を受けやすく、ニキビがでやすい部位といわれています。男性ホルモンは副腎皮質からだけでなく、男性の精巣や女性の卵巣からも分泌されています。女性の卵巣で作られる男性ホルモンは、テストステロンというものです。生成される量は男性の10分の1程度ですが、男性と同じく皮脂分泌を増加させ、角質を厚くする作用があります。生理前に悪化するニキビも、ホルモンが原因女性は、生理前になるとニキビができたり、肌荒れすることがあります。これには、黄体ホルモン(プロゲステロン)が関係しています。黄体ホルモンには、肌を乾燥させたり、皮脂の分泌を増やす作用があります。生理の約2週間前になると、黄体ホルモンの影響で肌の水分量が低下し、乾燥が進みます。乾燥した肌は角質が厚くなり、黄体ホルモンによって分泌量が増えた皮脂が毛穴につまりやすくなります。この状態は、卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌が増える時期(生理が始まってからおよそ2週間後)が来ると自然に収まります。卵胞ホルモンには皮脂の分泌を抑え、きめ細かい肌を保つ働きがあります。このように、男性ホルモンや黄体ホルモン優位の状態で引き起こされるニキビは、ホルモン治療で根本から改善していく必要があります。ピルの種類と効果ホルモン治療の代表的なものに、低用量ピルの服用があります。ピルといえば一般的には経口避妊薬として知られていますが、女性のさまざまな症状や疾患にも効果があります。ピルの原理と種類ピルとは、卵胞ホルモンと黄体ホルモンをさまざまな割合で含んだ薬剤です。服用することで卵巣からの排卵を抑制し、避妊効果を得ることができます。含まれている卵胞ホルモンの量によって、低用量ピル、中用量ピル、大用量ピルに分けられますが、現在は副作用がより少ない低用量ピルが主流となっています。中用量ピルや大用量ピルは、主に女性ホルモンが関わる諸症状(無月経や更年期障害など)の改善や、月経周期の変更に使用されています。低用量ピルのメリット1960年にアメリカで初めて認可された頃のピルは、胃腸障害や静脈血栓塞栓症(じょうみゃくけっせんそくせんしょう)などの副作用があるとして問題視されていました。それらのリスクを改善するようホルモンの量を抑えて開発されたのが、低用量ピルです。日本においては1999年に認可されました。低用量ピルは市販されておらず、購入の際は医師の処方せんが必要となります。低用量ピルは、避妊以外にも以下のような目的で使用できるメリットがあります。月経痛や月経過多、月経前症候群(PMS)の軽減月経不順の改善プレ更年期に見られる症状(自律神経失調症など)の軽減子宮内膜症のリスク低下子宮体がん、卵巣がんの予防ニキビの改善 など低用量ピルの成分や種類ピルに含まれる成分のうち、卵胞ホルモンはいずれも「エチニルエストラジオール」ですが、黄体ホルモンには化学構造の異なる複数の成分があります。また、含まれている黄体ホルモンの種類によって「第1世代」から「第3世代」までに分類されています。<黄体ホルモンの世代と成分名>第1世代(1960年代に登場)の黄体ホルモン成分…ノルエチステロン第2世代(1960年代後半に登場)の黄体ホルモン成分…レボノルゲストレル第3世代(1980年代に登場)の黄体ホルモン成分…デソゲストレル世代とは別に、ホルモンの配合量によって「1相性」から「3相性」までの分類もあります。処方されたピルの1錠1錠すべてが同じ成分なのが「1相性」、本来のホルモンバランスにより近くなるよう、ホルモン成分が3段階に変化するのが「3相性」です。現在、低用量ピルはさまざまなメーカーから発売されています。体質によって相性や飲み合わせがあるため、医師と相談して自分に合った低用量ピルを選ぶことが大切です。低用量ピルのニキビへの治療効果女性ホルモンである卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)を少量ずつ含んでいるピルには、ニキビの原因となる黄体ホルモンや、副腎皮質および卵巣由来の男性ホルモンを抑える働きがあります。これにより、体内のホルモンバランスを整え、ニキビができにくい状態へと導きます。特に、卵胞ホルモンは皮脂の分泌を抑えるほか、肌の弾力やハリのもととなるコラーゲンを生成する働きも担っており、別名「美肌ホルモン」とも呼ばれています。ただし、卵胞ホルモンが過剰になりすぎると乳がんや子宮体がんのリスクが高まるため、バランスが大切です。皮膚科でのニキビ治療実際、皮膚科でのニキビ治療には、抗生物質やディフェリンゲルとともに低用量ピルの処方が導入されています。ニキビ治療に用いられる低用量ピルには、以下のようなものがあります。マーベロン(第3世代1相性)男性ホルモン(アンドロゲン)の作用が少ないため、ニキビの一時的な悪化も起こりづらいです。ファボワール(第3世代1相性)マーベロンのジェネリック医薬品として、同じ作用が期待できるものです。アンジュ(第2世代3相性)ホルモン量が少なく、3相性なので自然のホルモンサイクルに近い働きをします。皮膚科では、生活背景やニキビの発症因子を十分考慮したうえで、一人ひとりの体質に合わせたニキビ治療を行います。まずは低用量ピルを処方してホルモンバランスを整え、ニキビのできにくい体質づくりをしたうえで、炎症の鎮静やニキビ跡の改善など、必要に応じた治療を施すことが多いです。ピルによるニキビ治療はこんなニキビに有効低用量ピルなどのホルモン治療は、以下のようなニキビや体質に効果が高いとされます。<ホルモン治療が効果的なニキビの症状>フェイスラインや顎(あご)周辺に集中した赤ニキビ。胸や背中など、広範囲にわたるニキビ。<ホルモン治療が効果的な体質>慢性的な大人ニキビに悩んでいる。大人ニキビが悪化し、他の治療法では効果がない。ニキビとともに、顔の皮脂の多さや多毛が気になる。ニキビのほか、月経不順などで悩んでいる。ピルが服用できない人もいる低用量ピルは、生理が始まった思春期頃から使うことができ、健康で喫煙習慣のない人では40代まで飲むことができます。しかし、以下の項目に該当する人は服用することができません。また、服用前に医師の判断を仰ぐべき人もいるので、注意しましょう。<ピルを服用できない人>乳がんや子宮頸がん、子宮体がんの人35歳以上で、かつ1日15本以上タバコを吸う人血栓症になったことがある人高血圧の人重篤な肝障害や肝腫瘍がある人妊娠中、または授乳中の人片頭痛がある、血液が固まりやすいなどの症状がある人出産直後、手術直後や手術を控えている人<医師に相談し、慎重に服用すべき人>40歳以上の人タバコを吸う人肥満の人血縁者に血栓症になった人がいる人血縁者に乳がんになった人がいる人子宮筋腫など、婦人科系の疾患がある人てんかん症状のある人ピルの飲み方低用量ピルは1サイクル(4週間)が1シートになっており、1シート21錠入りと28錠入りのものがあります。28錠タイプは最後の7錠が偽薬(プラセボ)で、薬を休んでいる週も続けて飲むことで飲み忘れが起こらないようにするためのものです。偽薬はしょ糖(ショ糖)やブドウ糖など、飲んでも身体にほとんど影響のない成分です。基本の飲み方生理の初日から毎日1錠ずつ、できるだけ同じ時間帯に服用し、それを3週間続けて次の1週間は薬を休みます。基本的に朝・昼・晩いつ飲んでも構いませんが、同じ時間帯に飲めるよう、自分の生活パターンに適した時間帯を選ぶようにしましょう。海外に出かけるときは、日本時間で同じ時間帯に服用できるようにしてください。水かぬるま湯で飲むのが基本ですが、お茶やジュースでも構いません。ただし、ピルの効果を高める作用のあるグレープフルーツジュースは避けましょう。避妊目的も兼ねている場合もし飲み忘れたときは、気づいた時点でなるべく早く飲むようにしましょう。飲み忘れて48時間以上が経過した場合は、その月の服用は中止し、翌月の生理から新しいシート(1か月分)を飲み始めてください。避妊目的を兼ねていない場合は、飲み忘れた錠剤はそのままシートに残し、次の錠剤から通常通り服用します。通常分を飲み終えたら、残ったものは後で服用せず、新しいシートに移るようにしましょう。ニキビ治療の効果が現れるまでの期間低用量ピルは体内のホルモンバランスを変えることでニキビができにくい体質に改善していくため、効果が出始めるまでには数か月かかると考えておくとよいでしょう。症状が軽度であれば1か月程度、重度のニキビや慢性的なニキビには3か月程度を目安としてください。また、ピルに含まれるホルモン量が体質に合わない場合は、ニキビが悪化する可能性があることも覚えておきましょう。ピルの副作用ピルの効果や副作用については、体質やピルの成分との相性によってかなり個人差が出ます。低用量ピルは大・中用量ピルよりもホルモン量を低く抑えているため、副作用もかなり軽減されていますが、飲み始めのころは以下のような副作用を感じることがあります。これらの症状は、飲み続けるうちに早くて数日、長くても1か月程度でおさまるとされます。一般的な副作用軽い吐き気倦怠感頭痛乳房のはり軽度の不正出血まれにですが、以下のような重篤な副作用が現れることもあります。このような症状が見られた場合は、ただちに服用を中止してください。重篤な副作用血栓症(ふくらはぎの痛み、手足のしびれ、息切れ、鋭い胸痛・頭痛、目のかすみなどをともなう)心筋梗塞肝機能障害乳がんや子宮頸がんふくらはぎの痛みやむくみ、しびれ、突然の息切れ、激しい胸痛や頭痛、目のかすみや血圧上昇などの症状が現れたときは低用量ピルの使用を中止し、すみやかに医療機関を受診しましょう。ピルの値段ピルは医師の処方に基づいて服用する医薬品ですが、ニキビ治療における低用量ピルの処方は保険が適用されません。初診料(または再診料)、検査料、ピルの処方料などが5,000〜1万円程度、ピル自体の費用は1か月分1シート(28錠)あたり3,000円前後と考えておきましょう。※金額はあくまで目安です。ピルは必ず皮膚科で処方してもらいましょう低用量ピルは皮膚科や産婦人科などの医療機関で処方されます。個人輸入や海外通販などで入手する方法もありますが、偽物の薬をつかまされるなど健康被害に会う危険性が高いです。また、自己診断でピルを服用するのは大変危険です。くれぐれも医師の診察を受けたうえで、用法や用量を守って服用しましょう。ピルの服用をやめるとニキビは再発する?ピルの服用を中断するとホルモンバランスが元に戻ってしまい、ニキビが再発してしまうこともあります。医師と相談のうえ、用法や用量をきちんと守って服用するとともに、生活習慣の改善によってホルモンバランスの改善に努めることも大切です。ホルモンバランスを整える生活習慣慢性的なニキビや悪化するニキビの原因には、ストレスやタバコ、紫外線、間違ったスキンケアなどがあります。以下のような点に注意して、大人ニキビができにくい肌づくりをサポートしましょう。ストレスを上手に解消する日頃からストレスにうまく対処する方法を見つけることが大切です。適度な運動やストレッチなどでリフレッシュする、ストレスを忘れて夢中になれる趣味を楽しむ、自然に向き合う、気持ちを吐き出せる友人と交流するなど、自分流の解消法やリラックス方法、気持ちの切り替え方を見つけましょう。質の高い睡眠を得る睡眠不足は身体に大きなストレスを与えるだけでなく、睡眠中の成長ホルモンの分泌を阻害することで肌が新しく生まれ変わるしくみ(ターンオーバー)を著しく損ない、ニキビを長引かせる原因となります。睡眠には、脳が活動していて眠りの浅い「レム睡眠」」と、脳が熟睡している「ノンレム睡眠」の2種類があります。成長ホルモンが活発に分泌されるのは、「就寝後最初のノンレム睡眠90分と、レム睡眠90分の計180分間」とされています。眠りについてから最初の3時間は深くぐっすり眠れるよう、生活リズムや就寝環境を整えましょう。ニキビの改善によい食べ物を意識的に摂る栄養バランスのとれた食事を心がけることも大切です。肌の健康維持に欠かせないビタミンAやB2・B6、C、E、肌のターンオーバーをうながす亜鉛やカルシウム、鉄分などのミネラル、肌のハリを保つコラーゲン、便秘を防いで老廃物を体外に排出する食物繊維などを、毎日の食事やサプリメントで積極的に取りましょう。油分や糖分の摂り過ぎは大人ニキビを増やす元となるので、できるだけ避けましょう。アルコールやタバコを控えるアルコールには糖分が多く含まれているため、飲酒によって皮脂腺が刺激されることがあります。また、タバコはニコチンによって体内のビタミンCを破壊したり、肌のターンオーバーを低下させます。これらはなるべく控えるようにしましょう。正しいスキンケアを行い、清潔な環境を整えるニキビ予防には毎日のスキンケアも重要です。毎日やさしく洗顔し、化粧水や美容液、乳液などによる保湿もきちんと行いましょう。紫外線は肌の角質を厚くさせ、毛穴づまりの原因になるので、UV化粧品によるケアも忘れないようにしてください。また、ニキビを気にするあまり頻繁に触ると、雑菌などが付着してニキビを悪化させてしまうことがあります。髪の毛や手指でニキビを刺激しないよう気をつけるとともに、タオルや枕などは常に清潔なものを使用するよう心がけましょう。まとめホルモンバランスの乱れによるニキビ発生のメカニズムと、ニキビ治療で用いられることがある低用量ピルについて見てきました。何度もくり返すニキビや、生理のたびに悪化するニキビに用いられることもある低用量ピルは、必ず医師の診察を受けたうえで使用しましょう。使用上の注意点や副作用のリスクなどをきちんと把握し、正しく服用することが大切です。監修:楠山法子
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