株式会社サリバテック(代表取締役CEO:砂村 眞琴、以下 サリバテック)は、唾液によるがんリスク検査「サリバチェッカー」に、2021年9月1日胃がんの検査項目を追加いたしました。【検査概要】検査名 :唾液によるがんリスク検査【サリバチェッカー】検査項目 :胃がん(9/1~)、肺がん、膵がん、大腸がん、口腔がん、乳がん※1検査方法 :唾液に含まれる代謝物を液体クロマトグラフィー質量分析機(LC/MS)で測定し、がん細胞で特異的に上昇する代謝物を用いリスクを評価検体採取量:唾液 0.1mL以上※1乳がんは女性のみ【背景】2017年1月より開始した唾液によるがんリスク検査【サリバチェッカー】は、痛みがなく場所を選ばず短時間で検査ができます。コロナ禍のセルフヘルスケア課題を解決できる検査サービスとしてのニーズが高まり、現在1,300以上の医療機関と300の企業・団体や健康保険組合にご利用いただいております。一方、評価できるがん種が限られており特に罹患率の高い「胃がん」追加をご期待いただいておりました。この度、都内医科系大学協力のもと研究開発が進み胃がんを追加する運びとなりました。今後もより簡単で高精度な検査を目指し、お客様からのご要望を反映し、多くのがん種および様々な疾患リスクの検査を開発し当社は進化を続けてまいります。【サリバチェッカー概要】「サリバチェッカー」は、唾液で現在のがん罹患リスクを評価します。唾液中の代謝物濃度を高精度に分析し、がん罹患時に異常値を示す物質の濃度をAI等で解析することで、現在のがん罹患リスクを評価します。唾液を採取し、サリバテックへ返送するだけで検査が可能なため、からだ・気持ちに負担をかけることなく、一度の検査で6種のがん罹患リスクを調べることができます。また、検査結果について相談可能な提携医療機関が全国に約400施設ございます。今後も提携医療機関を拡大してまいります。サリバチェッカー イメージサリバチェッカー URL: 【サリバテック・代表取締役CEO 砂村 眞琴より】胃がんの臨床研究に取り組んでおりましたが、代謝物からリスクを判定するAIのアルゴリズムが完成し、9月1日より胃がんを検査項目に追加する運びとなりました。これもひとえに、研究に参加していただいた胃がん患者の皆様とご家族様、そして各医療機関で研究に携わっていただいた先生方のご協力のおかげです。本邦に於いて、胃がんは男性の死因第2位、女性の死因第4位であり唾液検査の胃がんプロジェクトは最重要課題でした。サリバチェッカーがきっかけで大腸がんや膵嚢胞性腫瘍が発見された方から感謝のお言葉をいただいており大変励みになっております。既存の大腸がん・膵がんに胃がんが加わることになり、消化器系の疾患を広くカバーできるようになりました。コロナ禍でがん検診の受診率低下がニュースとなっております。医療機関の皆様におかれましても検診受診率の回復と意図したがんの早期発見の取り組みに当検査を是非ご活用ください。今後もアカデミアとの共同研究を進め、がんの検査項目を増やしていく予定です。また、がんだけでなく生活習慣病や精神疾患などの早期発見技術の開発にも着手しており、皆様の健康を守る役割を担っていきたいと考えております。臨床研究にご協力いただきました胃がん患者皆様のお気持ちを忘れずに、がんで苦しむ人を1人でも減らせるように当社は研鑚を重ねてまいります。【サリバテック概要】会社名 :株式会社サリバテック代表者名:代表取締役CEO 砂村 眞琴事業内容:・唾液によるがんリスク検査事業・新規リスク検査開発事業・研究検査受託事業 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2021年09月01日公益社団法人 日本放射線腫瘍学会事務局(JASTRO)は、日本人のがんに関する知識や放射線治療に関するイメージの変化を明らかにすることを目的に、健康成人を対象とした調査を昨年に引き続き実施しました。調査の背景には、がんの3大治療の一つとされる放射線治療の施行件数が他の治療法より少なく、諸外国と比較しても大きな隔たりを認める日本の現状があります。そこで人々のがん治療に関する知識量や情報量、治療に関するイメージを明らかにするために本調査を実施しました。また、同時期に乳がん患者に対しては、これまで患者目線に立った治療の印象や放射線治療の認知度などについての報告が少なく、国内の実状を明らかにするために調査を行いました。<調査結果の主なポイント>【健康成人調査】◆放射線治療に関する正しい知識がまだまだ不十分であることが明らかに。◆がんの3大治療のイメージ、放射線治療はわずかだが全体的に良い方へ推移。◆中でも『治療後も生活の質が保たれる』が昨年と比較して10.1ポイント上昇。◆「治療期間が短い」や「治療と就労の両立が可能」も5ポイント以上アップ。【乳がん患者調査】◆乳房温存手術後に本来必要な放射線治療を受けていない人が1割超。◆放射線治療で「髪が抜ける」「入院が必要」など誤ったイメージを持つ人が多い。◆放射線治療を実際に受けると、治療前に思っていたより楽だったと感じる人が4割超。◆手術・化学療法に比べて、放射線治療は勤務状況に変更をきたしにくい。〔調査概要〕■調査方法 :インターネット調査■調査実施期間 :2021年5月10日(月)~5月11日(火)■調査実施委託先:株式会社マクロミルケアネット■監修 :東京大学医学部附属病院放射線科中川恵一、扇田真美、南谷優成、向井智哉〔健康成人調査 対象〕■調査対象 :がんと診断されたことがない20歳以上80歳未満の日本人男女■解析サンプル数:3,090(男性1,570、女性1,520)〔健康成人調査 回答者属性〕男性20代 :249名 8.1%男性30代 :312名 10.1%男性40代 :316名 10.2%男性50代 :349名 11.3%男性60代以上:344名 11.1%計 1,570名女性20代 :290名 9.4%女性30代 :300名 9.7%女性40代 :296名 9.6%女性50代 :321名 10.4%女性60代以上:313名 10.1%計 1,520名〔乳がん患者調査 対象〕■調査対象 :乳がん患者※初発の乳がん診断後1年以上5年未満の女性患者■解析サンプル数:309名〔乳がん患者調査 概要〕■回答者属性女性20代 :1名 0.3%女性30代 :13名 4.2%女性40代 :105名 34.0%女性50代 :120名 38.8%女性60代以上:70名 22.7%■乳がんステージ0期 :6名 14.9%1期 :122名 39.5%2期 :90名 29.1%3期 :31名 10.0%4期 :9名 2.9%正確なステージ不明:11名 3.6%【健康成人調査】■健康成人調査:がんの放射線治療、正しく認識されていない現状明らかに問いの文章内容が「正しい」、「誤り」か「わからない」のいずれかで回答。3,090人の参加者の中から、「全てわからない」と回答した284人を抜いた2,806人の正答率は図1の通りです(正答率が高い順)。今回の調査から、放射線治療ががん治療に使われているという事実はおおよそ理解されていますが、その詳細に関しては知らない人が大半であるという実情が明らかになりました。放射線治療はテクノロジーの進歩とも結びついており、治療技術の進歩も目覚ましいものがあります。また、治療費も手術・化学療法と比べて安い場合が多く、通院で治療ができるため、仕事や生活との両立も可能です。しかし、欧米と比べると、まだまだ放射線治療が行われる割合は少ないのが現実です。図1■健康成人調査:がんの3大治療のイメージがん治療のイメージに関して昨年と同じ設問で回答してもらい、その結果を比較しました(2020年調査条件「がんと診断されたことがない20歳以上70歳未満」サンプル数3,094)。以下の結果は2020年調査に合わせ、2021年は20歳以上70歳未満のデータ2,885人を対象としています。双方を比較したところほとんど変化が見られない手術や薬物療法に比べ、放射線治療ではわずかながらもそのイメージに有意な向上(p値図2年代別に放射線治療のイメージの変化をみると、図3のように20代から60代まですべての年代で肯定的に受け止めています。中でも50代(p値図3詳細なイメージの変化をみると、「とてもそう思う」「どちらかといえばそう思う」と答えた人の割合が、『治療後も生活の質が保たれる』が34.3%から44.4%と10.1ポイントも上昇しました。『他の治療法と比べて治療期間が短い』が19.1%から26.0%とこちらも6.9ポイント上昇しています。また『治療と就労の両立が可能』は33.8%から39.3%に5.5ポイント上昇しました。一方で、「イメージがつかなくて怖い」と回答した割合が今年は「とてもそう思う」「どちらかといえばそう思う」を合わせて54.7%で、昨年の51.5%から3.2ポイント上昇する結果となりました。また、放射線治療の正しい知識の設問と合わせて比べると、放射線治療に関する正しい知識を持っている人ほど、放射線治療に対して全般的に肯定的な意見を持っており、『完治率が高い』『昔と比べて治療技術が進歩している』など個々の項目に対してもより肯定的であることが明らかになりました(図4-1、図4-2)。図4-1、図4-2【乳がん患者調査】■乳房温存手術患者の13.6%が放射線治療を受けていなかった乳がん初回治療において、乳がん患者309人のうち乳房温存手術を実施した人は49.8%(154人)、全切除術を実施した人は46.3%(143人)でした。乳房温存手術後には原則的に放射線治療を追加することが必要ですが、乳房温存手術を受けた患者154人のうち、放射線治療を受けていない人の割合は13.6%でした*(図5)。図5■乳房温存手術後に放射線治療が必要であることを知った時期「診断から手術までの間」が最多乳房温存手術後は標準治療として放射線治療が必要であることを知った時期は、「乳がん診断から手術までの間に知った」が72.1%と最多で、「乳がんになる前から知っていた」は11.7%に留まりました。また、「乳がん手術後に知った」が9.7%いたほか、「今まで知らなかった」は6.5%いました(図6)。図6■乳房温存手術後に放射線治療が必要であることの情報源、乳腺外科医からが80.3%と最多乳房温存手術後に放射線治療が必要であることを知っていた人を対象にどのように情報を得たのか訊いたところ、一番多かったのが「乳腺外科医から聞いた」80.3%で、次いで「テレビ・インターネット・本・新聞などの医療機関以外の情報」22.9%、「放射線治療医から聞いた」は9.2%でした。広報活動などを通じて、患者の放射線治療のリテラシー向上を図る必要があると思われます(図7)。図7■放射線治療前後の印象の変化、治療後に「大変」と感じた割合は22.7ポイント減少乳がん治療を受ける前のそれぞれの治療に対する印象と、実際に治療を受けた後の印象について尋ねたところ、放射線治療では治療前に「とても大変」「どちらかと言えば大変」を合わせた割合が83.4%でしたが、治療後では60.7%と22.7ポイントも減少。治療前のイメージと違い大変ではないが7.4%から23.9%と16.5ポイント増えました。他の治療法と比較しても治療後に大変だったという人の割合は放射線治療が一番少ないことが明らかになりました(図8)。図8■放射線治療で「髪が抜ける」「入院が必要」など誤ったイメージを持つ人が多い治療前の放射線治療のイメージについて聞いたところ、「髪が抜ける」13.3%、「入院が必要」8.7%など誤ったイメージを持っている割合が多いことが分かりました(図9)。図9■放射線治療を実際に受けると、治療前に思っていたより楽だったと感じる人が4割超治療後の印象において「手術、放射線医療、抗がん剤・分子標的薬」いずれの治療法も実施した回答者に絞ってみたところ、「治療前に思っていたより楽だった」と回答した割合は放射線治療が41.4%と他の治療法よりも高い結果が出ました(図10)。図10■標準的な放射線治療の治療回数を約7割が許容できると回答乳がんの術後の放射線治療の標準的治療回数は15-30回ですが、放射線治療を受けた回答者に許容実施回数について尋ねたところ、一番多かったのが「25-29回」で30.1%、次いで「10-14回」19.6%、「30回以上」17.2%の割合の順となり、7割以上の人が標準的な治療回数は許容できると考えていることが分かりました(図11)。図11■放射線治療は満足度の割合が高いことが明らかに「手術、放射線治療、抗がん剤・分子標的薬」いずれの治療法も実施した人では「放射線治療」の満足度が85.7%と他の治療法よりも高い結果となりました(図12)。図12■手術・化学療法に比べて、放射線治療は勤務状況に変更をきたしにくい診断時に働いていたかどうか尋ねたところ、全体の62.5%が働いていたと回答。そのうち、65.8%が勤務状況の変化があったことが分かりました。具体的には「休職した」が28.0%で最多、次いで「退職した」20.2%、「時短勤務した」15.0%の順となりました(図13)。図13勤務状況の変更理由となった治療法を見ると手術が54.1%と最も多く、次いで抗がん剤・分子標的薬22.6%で、放射線治療は16.5%と3大治療法の中では最も少ないことが分かりました。これにより、放射線治療は仕事に影響を及ぼしにくいことが明らかになりました。■個人年収の変化、30.6%が減収と回答治療前と治療後の個人年収の変化について尋ねたところ、最も多かったのは「変わらない(50万円未満の増加または減少)」で67.9%でしたが、30.6%が50万円以上の減収になったことが明らかになりました(図14)。図14〈放射線治療を受けて治療前後で異なっていた点の患者の声(抜粋)〉・治療前はメディアからのイメージが先入観として不安が大きかったが、関係者にカミングアウトしたり、医療者や体験者の話が大きく参考になり、思っていたより負担が少なかった。メディアの情報も基準となっていて、負担が少ない分自信につながった。(東京都 53歳 会社員)・放射線治療自体は想像していたよりも楽だったが、毎日通院しなければならないのが大変でした。(神奈川県 53歳 専業主婦)・放射線治療に毎日通うので体力的に大変だったが、短時間で終わるので最後まで通うことができた、治療前はすごく嫌だと思っていた。(東京都 44歳 専業主婦)〈放射線治療に対する意見や要望(抜粋)〉・しょうがないことですが、男性が対応してくれていたこと。やはり女性のほうが嬉しいです。(群馬県 48歳 パート・アルバイト)・体中に放射線を当てるための線を描かれるのが嫌だった。(京都府 47歳 専業主婦)・放射線治療は特に苦痛だと思わなかったが、毎日通うのが面倒であった。コロナ禍だったので、治療が中断するのではないかと不安だった。(兵庫県 50歳 自営業)・私は職場の理解を得られたので問題なく行えましたが、毎日通院するのは仕事をしていると辛いと思いました。ですが、診察と違って予約時間通りに行われるので、スケジュール調整はしやすいと感じます。(兵庫県 48歳 パート・アルバイト)・放射線治療は大変でしたが、女性スタッフの方がとても親切で、痛々しい胸のケアを親身になって治療法を教えてくれたのが嬉しかったです。(兵庫県 43歳 会社員)・できれば女性技師の方にやってもらいたい。(千葉県 46歳 会社員)・この治療でがんが死滅するのなら、絶対にやるべき。(広島県 51歳 専業主婦)〈今回のアンケート調査結果から〉■東京大学大学院医学系研究科 総合放射線腫瘍学講座 特任教授中川恵一放射線治療は、臓器の形態や機能を温存できることが最大の特徴です。また、体への負担も少ないため、通院が原則です。費用も99%近くのケースで健康保険が利きますから、高額な自己負担は不要です。手術と放射線治療が同等の治療効果を示すがんは少なくありませんが、日本では欧米ほど行われていません。アメリカでは新規のがん患者の約半数が放射線治療を受けていますが、日本ではその半分程度と考えられています。公益社団法人 日本放射線腫瘍学会では、昨年度に引き続き一般人を対象に、がん治療に関する知識や放射線治療に関するイメージについてアンケート調査を実施しました。その結果、まだまだ、誤解が多いことが分かりましたが、全体的なイメージとしては、前年よりも肯定的となり、特に、50代、60代では、有意なイメージの改善が見られました。放射線治療の個別のイメージについては、『治療後も生活の質が保たれる』が34.3%から44.4%と10.1ポイントも上昇しました。『他の治療法と比べて治療期間が短い』も6.9ポイント、『治療と就労の両立が可能』も、5.5ポイント上昇していました。一方で、「イメージがつかなくて怖い」と回答した割合が今年は54.7%で、昨年より3.2ポイント増える結果となり、放射線治療の普及に向けたさらなる啓発活動の必要性も明らかになりました。■東京大学医学部附属病院 放射線科助教 放射線治療専門医扇田真美乳がんは日本人女性で最も多いがんで、放射線治療を受ける患者さんの大きな割合を占めます。乳房温存手術後は原則として放射線治療を行うことが標準治療なのですが、そのことを事前に知らない方が多いことが今回の調査で明らかになりました。放射線治療が必要なことを知ったきっかけは乳腺外科医からという回答が多く、一般の方への周知や放射線治療医の関与が低いことが分かりました。アメリカでは放射線治療を行うかどうかに関わらず、乳がんの治療前に放射線治療医からも話を聞くそうです。日本では放射線治療医の人数も少なく同様の体制をすぐに整えるのは難しいかもしれません。しかしながら今回の調査の結果、放射線治療について誤ったイメージをもっていたり、実際に治療を受けてみると思ったよりも楽だったと感じる方が多いことから、もっと放射線治療について皆様に知ってもらうよう我々放射線治療医は努めていかなくていけないと感じました。乳がんは他のがんと比べて就労・子育て世代が多く、治療と仕事や家事育児の両立が問題となることもあります。就労状況の変化以外にも治療のために様々な影響がでていることと思います。患者さんの状況に応じた治療ができるよう努めていきます。今回の調査結果が多くの方々に放射線治療について興味をもっていただくきっかけとなることを願います。 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2021年08月31日全国でもっとも高い青森県の乳がんの死亡率は、全国でもっとも低い山形県のおよそ2倍もあるという。地域差が生まれる理由を専門医に聞いた。理由を知ると、必要ながん対策も見えてきたーー。「一生のうちに2人に1人はがんになりますが、実はがんのかかりやすさや死亡率で各都道府県には顕著な差があります。この地域差を把握することで、自分が住む地域で当たり前になっている生活習慣を見直したり、がんに対する意識を高めたりすることが重要です」そう語るのは国立がん研究センター全国がん登録室の松田智大室長。’16年にがん患者の情報を各自治体が届け出をして、国が一元で管理する「全国がん登録」が始まって5年になる。「スタート当初は、届け出をする自治体でも、熱心な県とそうでない県があり、小規模な医療機関の数字の漏れもありました。しかし、年々、データの精度が増していて、最新のものは十分に信頼に足るデータとして、実態を捉えていると言っていいでしょう」(松田室長)6月には最新(’18年)の罹患率が報告されたばかり。そこで本誌は、「乳がん」「大腸がん」「肺がん」の10万人あたりのがんの死亡率と罹患率を、都道府県別にベスト5とワースト5を紹介。【乳がん】晩婚、晩産が罹患率の高さの要因に〈どんながん!?〉:閉経後の肥満、女性ホルモン「エストロゲン」に長期間さらされることでリスクを高める。40歳以上で2年に1回の検査が推奨。東京都や神奈川県の罹患率が高いのは、女性の社会進出が進み、晩婚、晩産のライフスタイルが影響か。死亡率が最悪の青森県と最小の山形県では2倍近くのひらきが。早期発見のカギを握る乳がん検診の受診率(40〜69歳、過去2年)は青森県45.6%に対し、山形県61.0%。罹患後の医療機関へのアクセスの悪さも影響の可能性が。【大腸がん】食生活が大きく影響。医療アクセスも大事〈どんながん!?〉:女性の死者数がもっとも多いがん。40歳以上で2年に1度「便潜血検査」と精密検査「内視鏡検査」を推奨。5年生存率は70%と高い。食生活の欧米化により微増傾向に。喫煙、飲酒、肥満でリスクが上がり、女性では赤身肉、加工肉も影響の可能性が。“死ににくい県”の岡山県と“死にやすい県”の岩手県の検診受診率はほぼ同じ。交通基盤と医療機関が充実している岡山県と、内陸と太平洋側に山脈がある岩手県で、病院へのアクセスに差があることが原因か。【肺がん】喫煙率と罹患率に明確な関係が〈どんながん!?〉:気管支や肺胞の細胞ががん化。喫煙が最大リスクだが女性ホルモンの「エストロゲン」が要因の肺腺がんも。5年生存率が低く、早期発見がカギ。罹患率、死亡率ともに最悪の北海道は、女性の喫煙率でも14%と全国いちばんの高さ。死亡率ワースト3に入った青森県(11.2%)、大阪府(10.4%)も喫煙率が高い。死亡率が低いベスト5はすべて喫煙率が全国平均以下。石川県の罹患率は高いが、死亡率は4位の低さ。検診の受診率45.7%(’19年)と高いことが影響か。「罹患率は生活習慣や環境などが反映されます。一方、死亡率はそれに加え、病院へのアクセスのしやすさ、住民の健康に対する意識の高さ、検診で早期発見できているかどうか、再検査の受診率、診断から治療に至る医療体制などで差がつく可能性があります」順位に一喜一憂することなく、データから読み解く傾向と対策をしっかり心がけよう。
2021年07月28日「一生のうちに2人に1人はがんになりますが、実はがんのかかりやすさや死亡率で各都道府県には顕著な差があります。この地域差を把握することで、自分が住む地域で当たり前になっている生活習慣を見直したり、がんに対する意識を高めたりすることが重要です」そう語るのは国立がん研究センター全国がん登録室の松田智大室長。’16年にがん患者の情報を各自治体が届け出をして、国が一元で管理する「全国がん登録」が始まって5年になる。「スタート当初は、届け出をする自治体でも、熱心な県とそうでない県があり、小規模な医療機関の数字の漏れもありました。しかし、年々、データの精度が増していて、最新のものは十分に信頼に足るデータとして、実態を捉えていると言っていいでしょう」(松田室長)【女性に多いがん】〈全がん〉罹患数:42万9,900人/死者数:15万8,900人(1)乳がん罹患数:9万2,300人/死者数:1万5,500人(2)大腸がん罹患数:6万8,600人/死者数:2万5,200人(3)肺がん罹患数:4万3,100人/死者数:2万2,300人(4)胃がん罹患数:4万1,800人/死者数:1万5,200人(5)子宮がん罹患数:2万8,200人/死者数:7,000人(6)すい臓がん罹患数:2万0,700人/死者数:1万8,400人※国立がん研究センター「がん罹患数予測」(2020年)と「がん死亡数予測」(2020年)より本誌作成。6月には最新(’18年)の罹患率が報告されたばかり。そこで本誌は、女性に多い6つのがんの10万人あたりのがんの死亡率と罹患率を、都道府県別にベスト5とワースト5を紹介。「罹患率は生活習慣や環境などが反映されます。一方、死亡率はそれに加え、病院へのアクセスのしやすさ、住民の健康に対する意識の高さ、検診で早期発見できているかどうか、再検査の受診率、診断から治療に至る医療体制などで差がつく可能性があります」全部位で女性が“死ににくい県”の1位となったのは滋賀県。「平均寿命も全国トップクラスの滋賀県は亡くなる方が少ないだけではなく、罹患率も9位の低さで、かかりにくい県でもあります。女性の喫煙率が全国2番目に低く、生活習慣の影響はあるようです。がん検診の受診率は全国平均レベルですが、医療機関が充実した京都府にも近く、罹患後にも手厚い治療が受けやすいという理由があるのかもしれません」罹患率がもっとも低かった愛知県は、喫煙率は全国平均以下で、塩分摂取量もかなり低い。さらに県民の99%が、がん診療連携拠点病院まで30分以内にアクセスできるという。一方、罹患率がもっとも高い北海道は、女性の喫煙率が全国一の高さで、さまざまながんの発症リスクを高めているようだ。がんで亡くなりやすいワースト1の青森県。乳がん、すい臓がんで全国最下位となっている。「がん検診の受診率は全国でも平均的か部位によってはそれ以上ですが、喫煙率が全国ワースト2位です。塩分の摂取量も多く、生活習慣の影響で罹患率も高くなっていると考えられます。医療の技術は全国的に差がないといわれていますから、医療機関へのアクセスの悪さ、さらに病院嫌いで症状がないと受診しない傾向にある県民性が発見を遅らせてしまうのでしょう」
2021年07月28日「ほんの些細な症状を放っておくと、あとで重大な病気のサインだったとわかることがあります。自分の体の状態をよく見ておき、変化に気をつけることが大切です」こう話すのは『主治医が見つかる診療所』(テレビ東京系)にレギュラー出演中の総合内科専門医・秋津壽男先生。都内で秋津医院を開業している秋津先生は、先日もこんなケースに遭遇した。「20代前半の女性が便秘の相談に来たんです。問診してみると、この半年ほどで、ぽっこりとおなかが出てきて、ダイエットをしているというんです。ウエストを見せてもらうと、たしかにぽっこり膨れています。触診してみたら、なにか球状のものに触れたので、超音波で診断してみると、卵巣が小さなスイカくらいに膨れ上がっていて、卵巣のう腫が疑われました」その女性は、婦人科で無事、手術をして事なきを得たが……。「ウエストが膨らんできたことで、もう少し早く受診していれば、卵巣のう腫の摘出手術の痕がもう少し小さくて済んだはずなんです」こうした症例を著書『放っておくとこわい症状大全』にまとめている秋津先生から、とくに気づきにくい重大な病気のサインを教わった。【Q1】直径1センチくらいの細い便が毎日出る【A1】大腸がん一般的に便の太さは直径2〜3センチ。 これがとくに大腸の出口付近に腫瘍ができると、大腸が狭くなり、直径1センチ程度の軟らかな便しか通らなくなってきます。もし便が細くなり、この状態が続くようでしたら、病院で、大腸検査を受けることをおすすめします。【Q2】生理が終わったのに貧血症状がある【A2】胃がん、大腸がん成人女性の貧血の原因8割が過多月経による出血。閉経後に、まぶたの裏が白い、歯茎が白いなど、貧血の症状が見られたら、胃や腸からの出血が考えられ、胃がん、大腸がんの可能性があります。併せて腹痛、体重減少などの症状があれば、病院で検査を受けてください。【Q3】酸っぱいものにむせるようになった【A3】咽頭・食道がん刺激物を食べるとむせるのは、食道の上部の、胃に行く食べ物と肺に行く空気を分ける部位がうまく働かなくなるせい。初期の咽頭・食道がんでは、刺激物以外にふつうはむせない酸っぱいものにむせることがあり、急に酸っぱいものにむせるようになったら要注意。【Q4】頻尿だが毎回少ししか出ない【A4】膀胱がんおしっこがしたくなってトイレに行くがあまり量が出ない。頻尿は加齢や膀胱炎などでも起きますが、毎回、出る量が少ない(1回10秒以内が目安)場合は、膀胱内に腫瘍ができて、おしっこをためられる量が少なくなっている可能性があり、膀胱がんの疑いがあります。【Q5】乳首がかゆい【A5】乳がん下着でこすれたり、不潔にしていることで、乳首にただれやかゆみが起きることはあります。そうした原因がないのに、ただれたりかゆくなったりするのは、乳首とつながっている乳管にがんができたため分泌物が出て、ただれたり、かゆくなったりしている可能性があります。もしこのような症状を自覚したら、自己判断したり、怖がったりせずに、なるべく早く専門医に相談することをおすすめしたい。
2021年07月21日年齢を問わず、日本人の1/4が悩んでいる腰痛。このコロナ禍でさらなる増加傾向にあるのは事実だが、なかには内臓疾患に由来する痛みもあり、放置すれば命にかかわることも。その危険を見逃さないための対処法を覚えておこうーー。「腰痛のほとんどは、骨や筋肉、関節の不調からくるものです。ところが、確率は1割ほどと少ないものの、なかには内臓疾患が原因で痛みが現れるケースがある。自覚症状が出にくい“沈黙の臓器”とは異なり、腰は“きちんとものを言う器官”なので、その声に耳を傾けることが大切です」そう語るのは、総合内科の専門医である池谷敏郎先生。著書『腰痛難民』でもその必要性を訴えているが、担当した患者のなかにも“病気の最初のサインが腰痛だった”ケースは多々あるという。実際、どのような症例があるのだろうか。「痛み止めを飲んでも腰と背中の痛みが引かない、と悩んでいた患者さんは、膵臓がんでした。また、なんとなく腰が痛いと感じていた人が、慢性腎盂炎であったり、乳がんの骨転移だったこともあります。さらには、ぎっくり腰だと思ったら大動脈瘤破裂だった、というケースも。ちなみに、大動脈瘤の患者さんの9割に、腰痛があるといわれています。腰が痛いことと内臓の病気が結びつかず、こちらからうかがわない限り、内科で腰痛を訴える人が少ないのが現状です。そのため適切な治療を受けられず、いつまでも治らないまま“腰痛難民”になってしまうのです」腰痛はおもにどんな内臓疾患と関係があり、また、その見分け方はあるのだろうか。「腰痛と関係しやすいのは、腰の裏に位置する“後腹膜”の中にある臓器の疾患です」内臓疾患など病気に起因する腰痛には次のものがある。■後腹膜にあるおもな臓器(器官)【十二指腸】胃もたれ、胸やけがある。ストレスが多い人は注意。【膵臓】症状はないことが多い。糖尿病の人は注意【腎臓】排尿に違和感がある。倦怠感を伴うことが多い。【尿管】排尿に違和感がある。【子宮】不正出血、月経痛、月経不順がある。【腹部大動脈】体勢を変えても痛みが変わらない。高血圧の人は特に注意。■その他【がんの骨移転】がんの罹患経験がある。特に肺がん、乳がん、前立腺がん、多発性骨髄腫など。【心因性】大きなストレスや不安を感じているとき。「ただし、痛みの感じ方は人によって違うので、この場所のこの痛みならこの内臓の疾患、と特定するのはとても難しい。くれぐれも、自己判断は禁物です。少なくとも、腰に悪いことをした覚えがまったくないのに急に痛みが出たとき、整形外科を受診して1カ月ほど様子をみても改善しない場合は、内臓の疾患を疑い、医師に相談するべきです。もちろん、整形外科でもさまざまな可能性を考えますが、内科の専門医でない以上、見逃すこともありえます。原因が見つかるまで、消化器内科(膵臓、十二指腸など)、泌尿器科(腎臓、尿管など)、循環器科(腹部大動脈)、女性の場合は婦人科(子宮)を受診しましょう。それでも原因がわからない場合は、心因性という可能性も」受診する際は、大学病院や総合病院でなくても、診療所やクリニックで対応可能。また、かかりつけ医がある場合には、そちらから専門医の外来を紹介してもらうのが理想的だ。「ただし、急に現れた腰痛で、次の6つの症状がひとつでもあるときは、ためらわずに救急車を呼んでください。(1)どんな姿勢をとっても痛みが和らがない。(2)痛みがどんどん強くなる。(3)強く痛む場所が移動する。(4)血圧が下がってきた。(5)血尿が出た、または排尿時に激しい痛みがある。(6)便や尿がもれる。腹部大動脈瘤破裂、大動脈解離、馬尾症候群、尿路結石など、緊急性の高い病気の可能性があります」「女性自身」2021年3月23日・30日合併号 掲載
2021年03月24日「新型コロナウイルスの感染への不安から、がん検診の受診率が激減しています。日本対がん協会によると、がん検診の受診率が、’20年4月は前年比で15%、5月は8%にまで減り、通年で3~4割減になる見通しです。また、生活習慣病などを予防する健康診断でも、受診者数が3割以上減っていることが明らかに。来年か再来年には、がんで亡くなったり生活習慣病を患ったりする人が急増する可能性があります」そう語るのは、医療経済ジャーナリストの室井一辰さん。受診控えが進む中、自宅で血液や尿などを採取して検査機関に送付、後日検査結果を受け取る“遠隔検診”に注目が集まっているという。「感染リスクが気になり、健康診断を受けられない、という人にとっては、遠隔検診は価値があると思います」ここ2~3年、忙しくてがん検診や健康診断を受けていないという人はもちろん、さまざまな病気のリスクが上がる50歳以上の人や、血縁者に遺伝性の病気(乳がん、肺がん、すい臓がん、糖尿病、脂質代謝異常症、くも膜下出血や動脈瘤)の患者がいる人、喫煙や飲酒、肥満、睡眠不足など、生活習慣において不安要素がある人は遠隔検診を活用するメリットがありそうだ。線虫がん検査「N-NOSE」(価格9,800円・税別)なら、病院に行かずにがん検査が可能。「線虫がん検査は、“がん患者の尿に集まり、健康な人の尿からは逃げる”という線虫の性質を利用した検査です。胃がんや乳がん、大腸がんなど15種類のがんに反応し、基礎研究における精度はステージ0、1の早期がんを含めても、86.3%でした。’20年1月に事業をスタートしましたが、病院でのがん検診を受けられなかった方から『助かった』というお声をいただいています」そう語るのは、「N-NOSE」を展開するHIROTSUバイオサイエンスの広報・永溝はるかさん。「線虫は、既存の検査では検知できないがんのかすかなにおいにも反応します。そのため、通常のがん検診を受けていても、念のために、と追加で線虫がん検査を受ける方もいらっしゃいます」検査では、自宅に届く専用容器に採尿。冷凍状態で(常温状態なら採取後4時間以内に)、東京と福岡にある専用ステーションへ持参すると、約6週間程度で検査結果が届くという。「1月下旬には、大阪にもステーションを開設予定です。将来的にはがん種の特定を目指していますが、現状ではがんのリスクを調べる検査。がんの早期発見から治療へつなげる『がんの一次スクリーニング検査』として活用していただきたいです」「女性自身」2021年1月19日・26日合併号 掲載
2021年01月20日文/RKRKピンクリボンフェスティバル運営委員会事務局(公益財団法人日本対がん協会ほか、以下PRF)が活動のコンセプトを再定義し、『MY PINK ACTION 知ろう、自分と乳がんのこと。』を新たにスローガンとして設定しました。2021年4月より、啓蒙活動がスタートします。乳がんの早期発見や適切な治療の大切さを伝える活動を続け、今年で18年目を迎えたPRF。この18年間で、40歳以上の乳がん検診率は44%にまで上昇。また、この期間にライフスタイルの変化、多様性、医学の進歩など、女性たちを取り巻く環境も大きく変化しました。今回の新スローガン『MY PINK ACTION知ろう、自分と乳がんのこと。』は、PRFに加えて医療従事者や乳がん罹患経験者などからなる検討委員会が、生活者調査などの結果をふまえて決定しました。これらの乳がんに関する“今”の課題に対し、今後5年間をかけて取り組んでいくとのことです。乳がんに対する知識、検診への正しい理解が大切20代~60代の女性に対し、乳がんを取り巻く問題に関してアンケート調査を行うと、国が定めるマンモグラフィ検診は対象者(対象年齢40歳以上)の約7割が受けたことがあるものの、セルフチェックを行っている人はわずか9%との結果になりました。乳がんに対する課題としては「乳がんに関する知識がない」「正しい情報がどこにあるのかわからない」「自分ゴト化できていない」といったものがあげられました。一方、罹患経験者は実際に困っていることに関して、「心の問題」「治療や副作用」「復職や就職」「外見の変化」「経済的な負担」など、様々な悩みが浮上しました。これらを踏まえ、治療方法や相談先、乳がんに関わるケアなど、“乳がんにまつわる正確な情報を理解すること”の重要性が明らかになりました。「MY PINK ACTION」とはミッションPRFの活動指針として、1つのミッションと5つのカテゴリーが設定されました。ミッションは『正しい知識の習得と自分に合った適切な行動を促す』で、年齢や生活様式は違えど、乳がんについて自分事として向き合い、正しい情報を正しく理解し、自分に必要な行動を考え実践できるように活動していく、という想いが込められています。また、コンセプトマークは解像度が粗いピンク色のグラデーションが特徴。2021年1月から、PRFへの申請することでピンクリボン運動へ取り組む法人活動で同マークが使用できるようになっています。正しく向き合うために大切な、5つのカテゴリーここからは、今回の『MY PINK ACTION』で設定された、「正しい知識の習得と自分に合った適切な行動を促す」ための5つのカテゴリーをご紹介します。日頃から定期的に乳房のセルフチェックを行うことが大切で、気になったときには医療機関を受診するように促すこと。年齢や生活習慣、また遺伝性のリスクなどによって、各個人に合った検診も異なります。それらを踏まえ、それぞれに対し適切な検診の受診を促すこと。患者や家族、またその周囲の人々の不安を理解し、相談できる場所を提供するといった心の支えにつながる情報を伝えること。乳がんの治療への誤ったイメージの払拭や、なかなか聞きにくい疑問の解消をはかる。また、がんとともに生きるために、その助けとなる情報を伝えること。がんの経験や受け取り方はそれぞれ異なるため、その多様性を尊重する。また、現在の自分自身と向き合うために、必要な情報提供を行うこと。まずはセルフチェックから始めてみてはいかがでしょうか?ぜひこの機会に、一度自身の状態を見直してみてください。【参考】18年で変化した乳がんを取り巻く課題を見つめ直し新活動コンセプトを再定義「MY PINK ACTION知ろう、自分と乳がんのこと。」発表 - PR TIMES©︎公益財団法人日本対がん協会
2021年01月07日病気になってもポックリとは逝けずに、お金を払って生きながらえる。それが、医療が発達した令和の現実。大病を防いで、健康でいるのがなによりの節約につながるのだーー。「現状、大学病院などの大病院を初めて受診する際、紹介状がないと、診察料とは別に5,000円以上の負担があります。その負担が引き上げられる可能性があるのです」こう話すのは、国の医療制度に詳しい社会保険労務士の石田周平さん。厚生労働省の諮問機関・社会保障審議会において、前述の費用を引き上げる方向で現在、議論がなされていると、11月19日付の読売新聞で報じられた。「国は高齢者を中心に病院窓口での自己負担率を上げる傾向にあり、初診時の別負担増加もその流れ。紹介状を持って大病院を訪れるためには、『かかりつけ医』を持つことが重要です」(石田さん)日本医師会によると、かかりつけ医とは《健康に関することを何でも相談でき、必要な時は専門医療機関を紹介してくれる身近にいて頼りになる医師》のこと。「医療情報ネット」などのウェブサイト上でも、探すことができる。厚労省「上手な医療のかかり方」プロジェクトの担当者は、かかりつけ医を持つメリットを次のように説明してくれた。「同じ先生に継続して診療を受けることで、体質や、生活習慣、なりやすい病気などを把握してもらうことができます。体調不良を気軽に相談できれば、大きな病気の早期発見や予防につながるはず。専門的な検査や治療が必要となった場合には、症状に適した専門医療機関を紹介。もちろん紹介状も書いてもらえます」かかりつけ医を持たないいちばんのデメリットは、日ごろの健康管理がおろそかになり、病気やその予兆を発見するのが遅れてしまうことだ。そのせいで入院となれば、かなりの出費となる。「かかりつけ医を持ち、病気を予防・早期発見することで、大病を防ぐことがいちばんの節約になるんです」(石田さん)では、かかりつけ医がいることで病気を予防・早期発見できた場合と、そうでない場合で、どれくらい金額に差が出るのだろうか?石田さんに「脳梗塞」「糖尿病」「乳がん」という3つの疾病に関して、かかりつけ医が「いる」「いない」のそれぞれで、50歳から90歳までの40年間にかかるお金をシミュレーションしてもらった。【脳梗塞】血圧が高い50代女性についてシミュレーション。まず、かかりつけ医がいて、高血圧を治療している場合、月1回診察を受け、薬代を含めて月額4,000円(自己負担3割分)がかかるとすると、40年間で192万円の出費に。一方、かかりつけ医がおらず、高血圧を放置し60歳で脳梗塞となり倒れてしまった場合。容体により入院日数はさまざまだが、脳疾患患者の平均入院日数である78日間(厚生労働省「平成29年患者調査」より)入院したとする。また、脳梗塞における一入院費用の平均値159万7,077円(公益社団法人全日本病院協会「医療費(’19年度)」より)に、高額療養費制度を適用したとすると、一入院あたりの費用は25万円弱。そこに、78日分の食事代を足すと35万円強が自己負担金額となる。「そこで完治すればいいのですが、後遺症が残る場合も多いのが脳梗塞。《要介護1》となり、介護費用として毎月1万6,765円かかることになれば、30年間で約604万円の出費となります」(石田さん・以下同)つまり、入院費と介護費用を足した639万円から、かかりつけ医がいる場合の費用192万円を引いた「447万円」が、「かかりつけ医がいれば減らせる出費」だとわかる。【糖尿病】かかりつけ医によって血液検査で血糖値の高い糖尿病予備群であることが発覚。毎月、食事・運動療法の指導を受けた場合、毎月の医療費が2,000円だとすると、40年間で96万円の出費に。一方、かかりつけ医がおらず、高血糖を放置した場合。60歳になったある日、起き上がれないほどのだるさを感じ病院を受診し、そこで初めて糖尿病が発覚……。「60歳で糖尿病が判明し、インスリン注射が必要になったとします。診療費・薬代の合計で毎月1万2,000円かかるとすると、30年間で432万円かかる計算です」この432万円から、前述の96万円を引いた「336万円」が、「かかりつけ医がいれば減らせる出費」となる。【乳がん】風邪やちょっとした体調の変化で、かかりつけ医を受診。年に3回受診したとして、ふだんの通院費は40年間で12万円。そのなかで、自治体実施の乳がん検診を勧められ、55歳のときに乳がんを早期に発見できたとする。がんの治療費などの情報を提供するサイト「がん治療費.com」の小郷浩之さんによると、早期乳がんで、乳房温存手術、再発予防抗がん剤、放射線治療、ホルモン療法などを行った場合、99万円が自己負担金額となる。一方、かかりつけ医がおらず、検診を受けていなかったばかりに、60歳になって乳がんが進行した状態で発見された場合、治療にかかる自己負担金額は123万円に。術前に行う薬物療法や、術後の抗がん剤治療期間が長引くといった理由で、費用がかさんでしまうのだ。さらに本誌の調べによると、切除した乳房を再建する手術を行う場合、高額療養費制度を利用しても、約10万円が自己負担となる。つまり、123万円+10万円=133万円が「かかりつけ医なし」の場合にかかる費用だ。その結果「かかりつけ医がいれば減らせる出費」は「22万円」。がんは進行すると、別の臓器に転移する可能性もあり、そうなると出費はさらに増えるだろう。かかりつけ医は、自分の健康を守るばかりでなく、無駄な出費も防いでくれるのだ!「女性自身」2020年12月22日号 掲載
2020年12月16日「病院に行ってコロナになるのが怖いから」。そんな理由でがん検診を控える人が増えている。だが、医師はこんな警鐘をーー。がん検診を受診する人が激減している。「日本対がん協会」によると、地方自治体のがん検診での受診件数は、国内でコロナ感染が拡大した今年3月に前年比の64%まで落ち込むと、4月には前年比16%、5月には8%と激減した。常磐病院(福島県)の乳腺外科医の尾崎章彦さんが語る。「東日本大震災のとき、独自に調査しましたが、福島県では症状を自覚していながら病院に1年以上行かなかったケースが、震災前は4.1%でしたが、震災後には18.6%と、約4.5倍も増えました。こうした“受診控え”は、今回のコロナ禍においても実感します。なかには、非常に進行の早いがんもあるので、注意が必要です」そこで専門医等に取材し、上半身で疑われるがんの代表的な自覚症状を作成した(※医師への取材をもとに本誌が作成。がんによって、ここにない症状が出ることもあります。症状が出なくてもがんになることもあるので、必ず定期的な検診を受けましょう。また、ここに出る症状が別の病気によるものであることもありますので、必ず医師の判断を仰いでください)。【頭】□ これまでなかった急な頭痛がある=脳腫瘍□ これまでとは位置や痛み方の違う頭痛がある=脳腫瘍□ 言葉が理解しにくい=脳腫瘍□ 急に始まったふらつき、息切れ、顔が白くなるなどの貧血症状=大腸がん、胃がん、子宮体がん【目】□ 片目だけ見えづらい=脳腫瘍□ 部分的な視野の欠損がある=脳腫瘍【口】□ 言葉が出にくい=脳腫瘍□ 舌に、なかなか治らないしこりやただれがある=舌がん【のど】□ たんに血が混じる=肺がん□ 息切れがする=肺がん□ 2週間以上続くせき症状=肺がん□ 声のかすれ=食道がん□ 食べ物が食道でつかえる、しみる=食道がん【胸】□ 胸のつかえや痛み、違和感が生じる=食道がん□ 動悸、胸痛、息苦しさが続く=肺がん【手足】□ 片方の手(足)に力が入りにくい=脳腫瘍□ ふらふらとして、真っすぐ歩けない=脳腫瘍【乳房】□ 胸にしこりがある=乳がん□ 脇の下にしこりがある=乳がん□ 乳首の色が変わる、ただれる=乳がん□ 左右の胸の形が対称的でなくなる=乳がん□ 胸の皮膚があつぼったくなったり、赤くなる=乳がん□ 乳頭から透明、赤、もしくは黒っぽい分泌液が出る=乳がんもちろん症状があるからといって、即がんというわけではないが……。「少しでも不安な症状があれば、医療機関で受診すべき。たとえば乳がんの場合は、胸のしこりをセルフチェックできます。ただ、症状に気づいたときには進行しているケースも少なくない。触診では見つからない病変もあるので、40歳以上の人は2年に1度、マンモグラフィー検査を受けることをおすすめします」(尾崎さん)前出の日本対がん協会の調査で、受診率が低かった肺がん(5月の前年同月比5.8%)に関しても、日本医科大学附属病院呼吸器内科・久保田馨さんからアドバイスをもらった。「肺がん患者は若年層ではまれですが、50代から増加が著しくなり、患者数のピークは70代前半です。せきや息切れが続く場合は、必ず受診してください。検査は胸部単純X線検査が一般的ですが、発見が難しい場合もあり、必要に応じて胸部CT検査を行います。検診においても、CT検査はX線と比べて、見逃しのリスクが低く、肺がんによる死亡率も20%低くなると報告されています。禁煙や受動喫煙防止とともに、定期検診や早めの受診が有効です」ここで紹介した症状がある人は迷わず病院へ行こう。そして、いちばんは症状の出ていないがんも発見できるがん検診を受けること。コロナ禍であっても、がん検診は不要不急の外出ではないのだ。「女性自身」2020年11月17日号 掲載
2020年11月05日■私たちは、そう簡単に老いを受け入れられないあれは、昔からの女友達とランチをしていたときのこと。20代後半で出会った女性社長友達4人は、皆それぞれ40代後半から50代前半になったというのに、会えば仕事の話や美容の話、20年前と変わらない熱量で毎回情報交換が止まらない。その席で誰かが突然つぶやいた。「サザエさんのフネさん、アラフィフだって知ってた?」百物語のようにその場は静まりかえり、フネさんのおばあさん然としたたたずまいを各々が思いめぐらせる。サザエさんが昭和の設定だからとは言え、いまの方が平均寿命が延びているとは言え、あのフネさんの「まるっと老年期を受け入れている姿勢」は現代アラフィフにとってはある種の脅威。カラーリングで白髪を隠し、エステやクリニックに通って肌の老化を多少防ぎ、爪にはネイル、ダイエットサプリで体形を保っている自分の悪あがきぶりが否応なしに露呈してしまうからだ。悪あがきといえば、私たちは「フネさんと同世代」以外にも認めたくないことがある。それは、更年期。閉経前後に訪れる「更年期障害」については、今まで多くの人が悩まされてきたはずなのに語り部は少ない。女性ホルモンが減少することによって引き起こされるそれらは、卵巣の変化も含めて「女性性リタイア?」みたいな印象があるのか、いまだセンシティブな話題ではある。少なくとも、「今日、生理何日目?」と、若い頃友人に聞いた気軽さで、「いつから更年期始まった?」とは聞けない程度には。実際、SNSでの同世代女性の書き込みに、「めまい? 更年期障害ですか?」と聞かれたことに対する相手の非礼さを責め、聞かれた自分を嘆いているものを見つけたことがあって、そのあまりに執拗な長文に、それこそ更年期障害の影響ではないかと勝手に心配したことがある。カジュアルに聞く方も聞く方だが、彼女はもともとこざっぱりとした性格だった故、同世代としては他人事と到底思えなかった。やはり私たちは、美容の側面でも、生物としてのステージ的にも、そう安々と“老い”を受け入れられないのだ。医療やテクノロジーがこれからも発展してゆけば、さらに私たちのような女性が増えてゆくのだろう。■更年期障害、私の場合更年期とは一般的に、閉経の前後10年の期間を言うらしい。私は44歳のときに乳がんが発覚し、右乳房全摘出後にホルモン治療を開始して閉経したので、人よりも少し早く更年期を迎えたことになる。乳がんの顛末を綴った本『我がおっぱいに未練なし』にも書いたが、ホルモン治療を提案されたときには、すぐに閉経するということや、多岐にわたる更年期障害の症状を聞いておののいた。イライラやめまい、突然の発汗、体重増加、髪や肌のパサパサ化、やる気の低下、などなど、全部ごめんこうむりたいラインナップ。中でも「やる気の低下」に至っては、「やる気」だけで生きてきた私としてかなりの致命傷に思われた。しかし、命には代えられないし、更年期障害は放っておいても数年後には経験することだと考えた。そしてなにより、先生の言った「症状が全部出る人もいるし、まったく出ない人もいる」という言葉の「まったく出ない方」に希望を託し、私はホルモン治療かもーん! 更年期ばっちこーい! と閉経したのだった。それから半年が経ち45歳になった私は、正直浮かれていた。あんなに心配した更年期障害は、突然の発汗は多少あるけどそれくらいで、他にはなんの不自由もなかった。「私は“まったく出ない人”だったのね~」と、なにかの賭けに勝ったような高揚感があったし、生理のない人生がこんなに快適だったとは! と驚いていたのだ。あの毎月の腹痛やら倦怠感やら不快感がない世界は本当にハッピーで、こんなことなら若い頃からピルを飲んでいればよかったと後悔しつつも、来月再建する予定の「新しいおっぱい」に気をとられ、終始ワクワクしていた期間だったのをよく覚えている。なんだか最近イライラするなぁ、と感じるようになったのはそれから3年後の48歳、今年の4月のこと。新型コロナウイルスの影響による自粛期間中だったので、原因はコロナのストレスだろうと疑わなかった。6月には露骨な体力の衰えを感じる。これも、続けていた水泳がジムの休業により断たれたせいだと思った。で、7月にはめまいがきて、8月にはだるくてやる気が起きない感じになったのだが、それでも私は今年の猛暑のせいだと思っていた。コロナも猛暑も多少落ち着いた9月になっても症状は続き、私はやっと、自分にとっての不都合な真実に目を向けることとなる。「これ、更年期障害フルコースやん!」と。そうと決まれば話は早く、更年期障害にいいと聞いていた水泳をがっつり再開し、いろいろなサプリを試しまくる。私の場合は友人に紹介してもらった、医者に処方してもらえる漢方が一撃で効いた。ここ半年苦しんでいた症状が一掃されたわけで、生活はバラ色に、仕事も精力的にできるようになったのだ。■まずは「更年期を疑ってみる」選択肢を持って私の愚かすぎる更年期障害エピソードから、40代以降の女性たちにはぜひ、「まずは更年期を疑ってみる」という選択肢を持ってほしい。そして、クリニックなどに気軽に相談するのをおすすめしたい。敵は、「おばさんと認めたらおばさん臭くなる」みたいな精神論で太刀打ちできる相手ではない。思春期にも我々を荒ぶらせ、妊娠時には不安をあおり鬱々とさせたあの「ホルモン様」なのだ。私の場合、「更年期を認めない」と自分につっぱってよかったことはひとつもない。聞くところによると、閉経や更年期という概念が広まったのは19世紀後半以降らしい。そう考えると、更年期もその後の老年期も、現代に生きる人たちへのギフトみたいなものだ。せっかくのギフト期間をよりハッピーに過ごすために、私たちは健康に留意し、医療を頼り、アンチエイジングを楽しんでいいのだ。そして、より幸せでパワフルな更年期人口が増えるように、更年期障害をもっともっと気軽にシェアできる世の中になるといいな、と思っている。
2020年10月21日エスティ ローダー グループ 2020 乳がんキャンペーン開催提供:エスティ ローダー1992年、故エヴリン H. ローダー(元エスティ ローダー グループ シニア コーポレート ヴァイス プレジデント)が創設した「乳がんキャンペーン」。その象徴に選ばれたのは、女性一人ひとりに乳房を思いやる心を伝えるピンクのリボンでした。今では世界70カ国以上で展開される活動となり、現在までに寄付金総額8,900万ドル、そのうち7,300万ドルが「米国乳がん研究基金(BCRF)」を通じて、293の医療プロジェクトに活用されています。活動開始28年目を迎える今年は、コロナウイルスの影響により例年のような、主要建造物をピンク色にライトアップするグローバル ランドマーク イルミネーション等、人を集めるキャンペーンができない代わりに、自宅にいてもオンラインで参加できるデジタルコンテンツ「Pink Ribbon in Your Hand」を通し、乳がんのない世界を作るための、意識向上を図ります。あなたの手のひらのピンクリボンが寄付につながる「Pink Ribbon in Your Hand」詳細提供:エスティ ローダー特設サイトから手のひらをスマートフォンで撮影すると、AIがあなたの手のひらにあるピンクリボンを見つけ、リボンが浮かび上がります。その画像を「#乳がんのない世界へ」と「#TimeToEndBreastCancer」のハッシュタグをつけてSNS上でシェアすることで、一定金額が寄付となり、米国乳がん研究基金(BCRF)やJBCRG(Japan Breast Cancer Research Group)等を通じて医療研究に役立てられます。【 Pink Ribbon in Your Hand 特設サイト 】「2020 乳がんキャンペーン オンラインセミナー」開催提供:エスティ ローダー自分の乳がん予防対策として、私たちにできることとは「ピンクリボン月間」のスタートに合わせ、2020年10月1日に行われたオンラインセミナーには、乳がんの研究を行う一般社団法人JBCRG理事の清水千佳子先生が登場。「がんは小さなうちに見つけられると治る可能性が高くなるため、小さいうちに発見することが大事である」と話し、そのためには自分の乳房の状態を知るために、日ごろから自分の乳房を見て、触って、感じるためのセルフチェックを行う気をつけなければならない乳房の変化(しこりや血性の乳頭分泌など)を知る乳房の変化を自覚したら、すぐに医療機関へ行く40歳になったら定期的に乳がん検診を受診するの4点を意識すべきと教えてくださいました。自分でできることとしては、お風呂などで乳房にしこりがないかやワキの下・鎖骨の上下のリンパ節が腫大していないかを、目で見て、触れて確認すること。そして、もし少しでも異変を感じたら、すぐに医療機関を受診することが特に大切です。定期的な検査を受けることももちろん必要ですが、検査は100%とは言えないため、なにより、異変を見逃さないことが重要と言えるでしょう。11人にひとり乳がんになる時代。今がんばっている人を思う、自分のために乳がんを知るまた、自分さえ乳がんにならなければ、小さなうちに発見できれば良いということではありません。乳がんは、11人にひとりはなる可能性があると言われているほどに私たちにとって身近な病気であり、今この瞬間もがんばっている方が大勢いるのです。乳がんと診断され、時につらい治療を行い、治った場合も転移再発リスクと戦い続け、病気と闘うのみでなく、仕事や妊娠出産子育て等の日常も並行して行う中で、治療と生活、仕事とお金、家族のことなど、尽きることない悩みを抱えながら過ごしている方が世界には多くいらっしゃいます。そんな方々を救うため、近い将来乳がんのない世界を作るためには、金銭的な支援及び、乳がんについての正しい知識をより多くの人に広めることが必要不可欠。本キャンペーンを通して支援するとともに、自分のために、家族や大事な人のために、世界中の人々のために、今できることを考えてみませんか。エスティ ローダー グループの支援活動キャンペーン支援製品を10月1日(木)より8つのブランドで展開提供:エスティ ローダー「Pink Ribbon in Your Hand」の他にも、エスティ ローダー グループは様々な支援活動を実施。エスティローダーグループ8ブランド(アラミス/ラボシリーズ、アヴェダ、ボビイ ブラウン、クリニーク、ドゥ・ラ・メール、ジョー マローン ロンドン、エスティ ローダー、トム フォード ビューティ)からは、10月1日(木)より、ピンクカラーやリボンをモチーフとしたキャンペーン支援製品が発売中です。収益の一部は、米国乳がん研究基金(BCRF)やJBCRG(Japan Breast Cancer Research Group)等を通して医療研究に役立てられます。※一部限定製品は、無くなり次第終了となります。クリニーク「モイスチャサー サージ」シリーズ2,400円~6,900円ボビイ ブラウンパワフル ピンクス リュクス マット リップ カラー デュオ5,500円トム フォード ビューティリップ カラー6,000円エスティ ローダーピンク パーフェクション リップスティック セット7,000円ジョー マローン ロンドンレッド ローズ コロン16,000円ラボ シリーズエイジ RE7,000円アヴェダピンクリボン CA ハンドクリーム3,600円ドゥ・ラ・メールクレーム ドゥ・ラ・メール10,000円※価格は全て税抜き表記です。「ガーリーくまさん×ピンクリボン」の支援スタンプを9月30日(水)より発売提供:エスティ ローダー自宅でもできる支援活動としては、こちらがおすすめ。人気LINEスタンプクリエイターnaonao3の手がける「ガーリーくまさん」とピンクリボンの限定コラボデザインの「LINE」スタンプを購入することで、エスティ ローダー グループ 2020 乳がんキャンペーン活動の応援に繋がります。「エスティ ローダー グループ 2020 乳がんキャンペーン」Special Videoを9月25日(金)より公開中エスティ ローダー グループの社員がメッセージリレー形式にて、乳がんのない世界への想いを語る、Special VideoがYouTube公式チャンネルならびに特設サイト内にて公開中。この動画を見るとともに、あなたの内に秘めたメッセージも、SNS等で発信してみてはいかがでしょうか。ひとりでも多くの方が乳がんに対して正しい知識を持つことが、支援の第一歩へと繋がります。
2020年10月06日「がん予防の第一歩は、やはり食生活。体内にがん細胞を発生させない食事を日常的に心がけることが大事です。さらに、食材同士の組み合わせによってはその効果を何倍にも高めることができます」そう話すのは、栄養学博士の白鳥早奈英さん。’82年、日本ではじめて「食べ合わせ」という概念を提唱したのが白鳥さんだ。「食べ合わせ」とは、「複数の食材の組み合わせにより効果・効能が生じること」をさす。たとえばピーマンと油は好相性で、油で炒めることでピーマンに含まれるカロテンの量はじつに5倍にもなる。アメリカの国立がん研究所がまとめた、「デザイナーフーズ・ピラミッド」のトップに君臨するにんにくをはじめ、ブロッコリーやしいたけ、緑茶など、がん予防効果のある食材と、その成分を高める食材の食べ合わせをまとめた一例が次のとおりだ。【にんにく】効果を高める食べ合わせ:豚肉、玄米にんにくに含まれるアリシンが、豚肉や玄米に含まれるビタミンB1の吸収をよくする。それにより免疫力をアップさせる成分の働きを高めることができる。【大豆】効果を高める食べ合わせ:麹、卵黄大豆イソフラボンには乳がん予防効果があり、麹もがん予防効果が期待できる。大豆は抗がん作用があるレシチンを含む卵黄との食べ合わせも効果的。【鶏むね肉】効果を高める食べ合わせ:なめこ、昆布鶏むね肉のイミダペプチドには疲労回復効果があり、なめこのぬめりがこの吸収を補う。昆布に含まれるアルギン酸もイミダペプチドの吸収を高め、免疫力アップに。【しいたけ】効果を高める食べ合わせ:牛乳、豆腐しいたけに含まれるレンチナンの免疫力増強と、牛乳のビタミンB2でがん抑制に。レンチナンと豆腐のカルシウムも好相性で、がん予防効果を高める。【ブロッコリー】効果を高める食べ合わせ:味噌、そばブロッコリーのスルフォラファンと味噌の脂肪酸エチルにはそれぞれがん予防効果が。血管の弾力を増し体を元気にするルチンを含むそばと組み合わせても◎。【アボカド】効果を高める食べ合わせ:いちご、マグロアボカドに含まれるプロトカテク酸ががん細胞増殖を抑制。いちごは肝臓がん増殖因子を抑制する働きが期待できる。マグロの不飽和脂肪酸にもがん予防効果が。【アーモンド】効果を高める食べ合わせ:バター、にがうりアーモンドのビタミンE、ポリフェノールは血管年齢を若返らせ、バターのビタミンAは肺がんを防ぐ。がん予防効果のあるにがうりのモモルデシンとも相性◎。【緑茶】効果を高める食べ合わせ:べったら漬け、キムチ緑茶に含まれるカテキンにはがんの原因ともなる活性酸素を除去する作用がある。麹のポリフェノール、キムチの乳酸菌にもがんを予防する効果がある。「がんの予防のためには免疫力アップが不可欠。そのために、活性酸素を取り除く効果の高い抗酸化食品を積極的に取ることが大切です。ビタミンC、ビタミンE、ビタミンB群、βカロテン、ポリフェノールなどが含まれる野菜や果物を意識的に取りましょう。たとえばにんにくは強力ながん予防食材。これに含まれるアリシンはエネルギー源となるビタミンB1と一緒に摂ることでその吸収力を高めます。エネルギーが増殖することで、免疫力がより強化されるという、メカニズムです」たまねぎのケルセチンは血管を丈夫にし、弾力をつける効果がある。オクラと食べ合わせるとネバネバがこの吸収を助け、血流を促し、免疫力を高めてくれる。「エネルギーを増強したり、血管を強化すると、体温を上げる効果もあり、結果として発がんリスクを下げることができるのです」また、女性特有のがんや腫瘍に効果が認められている食材も、食べ合わせで栄養効果を高めることができる。「大豆には乳がんの予防効果があるイソフラボンが含まれます。これは麹や卵黄と組み合わせることでがんの予防効果を高めます。ローズマリーに含まれる卵巣嚢腫の進行を抑制する成分カルノシン酸は、肉類との食べ合わせによってより効果を発揮します。疲労やストレスもがんの原因になりますから、元気な体を作ることも立派ながん予防法の一つ。鶏むね肉に含まれるイミダペプチドは、渡り鳥が何千キロも飛行できるほどのパワーを生み出すスタミナ成分です。揚げものやサラダでおいしく食べることができるので、飽きずに摂取できます」食べ合わせによって、がんを予防する食材のパワーを余すところなくいただこう!「女性自身」2020年8月18日・25日合併号 掲載
2020年08月19日ボビイ ブラウン(BOBBI BROWN)から、“ローズ&ベリー”カラーのリップセット「パワフル ピンクス リュクス マット リップ カラー デュオ」が登場。2020年10月1日(木)より限定発売される。「パワフル ピンクス リュクス マット リップ カラー デュオ」は、ボビイ ブラウンのラグジュアリーライン「リュクス(LUXE)」から登場するリップスティックセット。ダスティローズの「03 ボスピンク」と、ミディアムベリーの「17 ラズベリー」の現品サイズをセットにしている。リップの質感は、唇をしっかりと引き立ててくれる立体感のあるマット。ひと塗りでおどろくほど濃密な発色を叶えてくれる。【詳細】パワフル ピンクス リュクス マット リップ カラー デュオ 限定1種 5,500円+税<限定品>発売日:2020年10月1日(木)※リップは現品サイズ。※乳がん知識啓発キャンペーンにちなんで発売。本体価格の5%が米国乳がん研究基金やJBCRG等に寄付され、医療研究に役立てられる。【問い合わせ先】ボビイ ブラウンTEL:0570-003-770
2020年08月16日山内英子ブレストセンター長監修乳がんの治療後のダイエットについて解説している新刊『聖路加国際病院の乳がん術後の心と体を守るダイエット』が女子栄養大学出版部から発売された。女子栄養大学出版部は学校法人香川栄養学園の事業部のひとつであり、『栄養と料理』や『食品成分表』などの刊行、イベントの開催などを行っている。この新刊は聖路加国際病院乳腺外科部長で、ブレストセンター長の山内英子(やまうちひでこ)氏が監修を務め、B5変型判で112ページ、価格は1,600円(税別)である。簡単で続けやすいダイエットレシピなど全ての女性にとって他人事ではない乳がん。女性がかかるがんの中では最も多く、女性のうち約11人に1人が生涯のうちに乳がんにかかるとされている。乳がんの治療では体重が増加しやすいが、乳がん治療後の体重コントロールについての情報は少ない。山内英子氏らのチームは、乳がん治療後も安心して生活できるようサバイバーのための運動と食事による体重、体調のコントールについて研究し実践。新刊では、研究と実践の中で得られたノウハウを楽しく学べるよう解説している。肥満もがんのリスクであること、再発防止には食事と運動が重要であることなどを解説し、しっかり食べつつ、ゆっくりやせるダイエットについて紹介。簡単で続けやすいダイエットレシピ、無理せずに楽しくできる術後のエクササイズも紹介している。(画像はAmazon.co.jpより)【参考】※聖路加国際病院の乳がん術後の心と体を守るダイエット - 女子栄養大学出版部
2020年05月04日「がんには検診が有効ながんとそうでないがんがあります。ですから、検診して早期発見しさえすればよいということでもないのですが、日本の医療はいつまでも『早期発見・早期治療』をスローガンに掲げています。実はこの概念は世界の基準から見ても30年以上遅れているのです」日本医科大学武蔵小杉病院・腫瘍内科の勝俣範之医師はこう話す。検診が有効ながんか無効ながんかを決めるのはがんの進行度合いによるという。「がんの種類というのはがんが成長するスピードによります。『急速がん』は定期的に検診をしていても、成長が早くて見つかりにくいがんです。『毎年検診していたのに見落とされた』という場合は、このタイプのがんでしょう。急速がんには、急性白血病などの血液腫瘍や一部の固形がん(胚細胞性腫瘍、炎症性乳がん、すい臓がんなど)があります」(勝俣先生・以下同)検診をしても見つからないことが多いため、急速がんは検診が有効とは言えないという。「一方、『超のんびりがん』は、進行するスピードが10年単位と非常にゆっくりとしたペースで成長するタイプ。『進行しないがん』は、がんがそれ以上大きくならないか、あるいは死滅していくタイプで、いわば、これは治療しなくていいがんと言えます。前立腺がん、甲状腺がん、乳がん(一部)などがあります」超のんびりがんや進行しないがんの場合、治療しなくてもがんが大きくならないか、大きくなったとしても、患者はそれ以外の原因・理由で死を迎える。これも検診には適さないというのだ。「このがんのタイプのうち、のんびりがんは、放置しておくと1年から数年で大きくなって死に至るタイプで、唯一、定期的な検診の恩恵を受けるタイプです。しかし、残念ながら、現状では検診でがんが発見された時点で、それがどのタイプなのかは、誰にも分りません。部位でも特定することもできません。ですが、検診でがんの疑いが出ると、精密検査を受けることになり、がんと判明すると治療に入ります。非進行性のがん(超のんびりがんや進行しないがん)であっても同じです。そして、非進行性のがんであったとしたら、本来なら不必要な検査や治療とも言えるわけで、結果的に、過剰診断、過剰治療(過剰な診断や治療)を受けていることになるのです」では、検診は無効なのだろうか。「コクラン共同計画というイギリスの医学情報組織が発表したデータがあります。乳がん検診を受けた6,000人と受けなかった6,000人を13年間追跡調査したのです。最終的に検診で乳がんが見つかり、乳がんで死亡した人は11人、一方、検診をせず乳がんで死亡した人の数は14人でした。その差は3人で、検診により乳がんが発見された100人のうち、乳がん死亡を免れる確率は3人=3%となっています。さらに検診を受けた人たちのうち約1割が偽陽性で再検査を受け、乳がんが発見された人の3割が過剰診断・過剰治療を受けたとあります」偽陽性とは、「がんの疑いあり」とされて、精密検査を受けるが、最終的にがんではない場合をいう。がんと診断されると手術や本格的な治療に突入するが、偽陽性の段階ですでに肉体的、精神的に大きな負担をもたらすことは容易に推察できる。実は、がんの早期発見と関連して使われる「5年生存率」にも数字のトリックが隠されていると、勝俣先生は指摘する。「たとえば、50歳でがんが発生し、70歳で死亡した2人で比べてみましょう。Aさんは検診を受けておらず、67歳で診断され、3年後の70歳で死亡します。この場合、Aさんの5年生存率は0%です。一方のBさんは、63歳のときに検診をしてがんが見つかりました。治療をしましたが、7年後の70歳で死亡しました。しかし、Bさんは発見後5年以上生きたので5年生存率は100%です」ここで鍵となるのは、2人とも同じ時期にがんが発生していて、長期間無症状だったということ。「症状が出たときに治療をしたAさんに対して、Bさんは無症状時の検診でがんが判明したため、死亡までの期間が5年以上となりました。2人とも同じ時期にがんが発生し、同じ年で亡くなりますが、どのタイミングで見つかったかだけで0%か100%になるのです」数字のトリックはもうひとつあるという。「たとえば、症状が出て初めてがん診断される人の5年生存率が50%というデータがあるとします。検診を受けない場合は50%のままですが、検診を受けた場合は、検診で非進行性のがん(超のんびりがん、進行しないがん)の人数も加わると、母数が増えて5年生存率は、たとえば80%になったりします。非進行がんは、もともと生存率が高いので、5年後もほぼ全員が生存しているからです。つまり、底上げをすることで、全体の生存率が上がり、早期発見・早期治療が正しいという論調ができあがるのです。“5年生存率が伸びる”という説には、この2つのバイアスがかかっていることがあるため、検診群と非検診群とを比較した前向き研究をして、全体の死亡率まで低下するかどうかを見極めることが大切なのです」緩和ケアを行う萬田診療所の萬田緑平院長は高齢者へのがん検診はかわいそうと嘆く。「日本の医療の方針は『死なないように生きる』です。平均余命が5年、10年の人に検診してがんを見つけて、体力を落として認知症になるまで生きさせるより、健康寿命を延ばしてあげるほうがご本人のためにもよいのではないでしょうか。高齢者は糖尿病などの基礎疾患もあるので、手術リスクも大きいですし。70代や80代では、がんになってもならなくても、残された人生は限られています。果たして抗がん剤を使って体を痛めつける治療をすべきなのか、ということを考えるべきだと思います」過剰診断、過剰治療が多発する背景に、医療機関のビジネスの側面も否めないが、専門性を追求するあまり、患者の部位しか診ない、という日本の医療体制にも原因があるのだという。「日本で推奨されているがん検診を40代から毎年受け続けていたら、ほぼ全員が再検査・治療などで年間1カ月くらい入院しなくてはならなくなるでしょう。それくらい専門家は自分の専門分野の死亡率を下げたい。死因の押し付け合いです」(萬田先生)勝俣先生は、最後にこう加える。「すべてのがんに検診が有効なのではなく、検診が有効ながんは一部で、検診には、メリット、デメリットがあることを理解したうえで、受けることが大切です」「女性自身」2020年3月24・31日合併号 掲載
2020年03月19日がんは怖い病気。だから、検診をして早期発見・早期治療をすれば、治って長生きできるーー。これが多くの人が考えることだろう。ところが、必ずしもこの説が正しいわけでもないようだ。「がんには検診が有効ながんとそうでないがんがあります。ですから、検診して早期発見しさえすればよいということでもないのですが、日本の医療はいつまでも『早期発見・早期治療』をスローガンに掲げています。実はこの概念は世界の基準から見ても30年以上遅れているのです」日本医科大学武蔵小杉病院・腫瘍内科の勝俣範之医師はこう話す。検診が有効ながんか無効ながんかを決めるのはがんの進行度合いによるという。「がんの種類というのはがんが成長するスピードによります。『急速がん』は定期的に検診をしていても、成長が早くて見つかりにくいがんです。『毎年検診していたのに見落とされた』という場合は、このタイプのがんでしょう。急速がんには、急性白血病などの血液腫瘍や一部の固形がん(胚細胞性腫瘍、炎症性乳がん、すい臓がんなど)があります」(勝俣先生・以下同)検診をしても見つからないことが多いため、急速がんは検診が有効とは言えないという。「一方、『超のんびりがん』は、進行するスピードが10年単位と非常にゆっくりとしたペースで成長するタイプ。『進行しないがん』は、がんがそれ以上大きくならないか、あるいは死滅していくタイプで、いわば、これは治療しなくていいがんと言えます。前立腺がん、甲状腺がん、乳がん(一部)などがあります」超のんびりがんや進行しないがんの場合、治療しなくてもがんが大きくならないか、大きくなったとしても、患者はそれ以外の原因・理由で死を迎える。これも検診には適さないというのだ。「このがんのタイプのうち、のんびりがんは、放置しておくと1年から数年で大きくなって死に至るタイプで、唯一、定期的な検診の恩恵を受けるタイプです。しかし、残念ながら、現状では検診でがんが発見された時点で、それがどのタイプなのかは、誰にも分りません。部位でも特定することもできません。ですが、検診でがんの疑いが出ると、精密検査を受けることになり、がんと判明すると治療に入ります。非進行性のがん(超のんびりがんや進行しないがん)であっても同じです。そして、非進行性のがんであったとしたら、本来なら不必要な検査や治療とも言えるわけで、結果的に、過剰診断、過剰治療(過剰な診断や治療)を受けていることになるのです」日本には検診の種類にも問題があるという。次のように、現在、日本では、胃がん、大腸がん、肺がん、子宮頸がん、乳がんの5つのがん検診が国によって推奨されている。一見して、日本と米国での推奨度が異なるのがわかるだろう。【胃がん】日本での対象者:50歳以上男女<検診の方法>胃X線検査:日本の推奨グレード・B/米国(USPSTF)の推奨グレード・対象外胃内視鏡検査:日本の推奨グレード・B/米国(USPSTF)の推奨グレード・対象外ヘリコバクターピロリ抗体:日本の推奨グレード・I/米国(USPSTF)の推奨グレード・対象外【大腸がん】日本でも対象者:40歳以上男女¥<検診の方法>便潜血検査:日本の推奨グレード・A/米国(USPSTF)の推奨グレード・A(50〜75歳)S字結腸内内視検査:日本の推奨グレード・C/米国(USPSTF)の推奨グレード・A(50〜75歳)全大腸内視鏡検査:日本の推奨グレード・C/米国(USPSTF)の推奨グレード・A(50〜75歳)注腸X線検査:日本の推奨グレード・C/米国(USPSTF)の推奨グレード・対象外【肺がん】日本での対象者:40歳以上男女<検診の方法>非高危険群に胸部X線検査、および高危険群に胸部X線検査と喀痰細胞診:日本の推奨グレード・B/米国(USPSTF)の推奨グレード・D低線量CT:日本の推奨グレード・I/米国(USPSTF)の推奨グレード・B(55〜80歳高危険群)【子宮頸がん】日本での対象者:40歳以上女<検診の方法>細胞診(従来法):日本の推奨グレード・B/米国(USPSTF)の推奨グレード・A(21〜65歳)細胞診(液状検査法):日本の推奨グレード・B/米国(USPSTF)の推奨グレード・A(21〜65歳)HPV検査を含む方法:日本の推奨グレード・I/米国(USPSTF)の推奨グレード・I(30〜65歳)【乳がん】<検診の方法>マンモグラフィー(日本での対象者:40〜74歳):日本の推奨グレード・B/米国(USPSTF)の推奨グレード・B(50〜74歳)マンモグラフィー±視触診(日本での対象者:40〜64歳):日本の推奨グレード・B/米国(USPSTF)の推奨グレード・対象外マンモグラフィー±視触診(日本での対象者:40歳未満):日本の推奨グレード・I/米国(USPSTF)の推奨グレード・C(50歳未満)視触診(日本での対象者:全年齢):日本の推奨グレード・I/米国(USPSTF)の推奨グレード・D超音波検査(日本での対象者:全年齢):日本の推奨グレード・I/米国(USPSTF)の推奨グレード・対象外「米国では、Aは推奨するレベル、Bは合格ライン。CやDは禁止レベルです。Iはエビデンス不十分、それ以外は対象外。日本ではA、Bは推奨レベルですが、Cは『利益が不利益とほぼ同等』とし、住民検診などの対策型では推奨していません。Iはエビデンス不十分(人間ドックなどの任意型検診では個人の判断による)」日本と米国で共に推奨レベルAなのは唯一、大腸がんの便潜血検査だけだが、海外では50〜75歳で行うのに対し、日本では40歳以上と年齢制限が異なる。子宮頸がんも21〜65歳の細胞診は推奨レベルが米国ではA、日本ではBと異なる。乳がん検診のマンモグラフィーは日本も米国も推奨レベルBだが、日本では米国より10年開始が早い。そして、米国で推奨されていないのに日本では実施されている検査のほうが多い。胃がん検査は米国ではどれも推奨されておらず、大腸がんの注腸X線検査も対象外。乳がん検診も50歳以上のマンモグラフィー以外は推奨されていない。「米国ではA、B以外の検査対象のがんは、検診しなくてもいいがんとみなされているのです」これほど米国で異なるデータが開示されても、日本では変わらず定期的ながん検診で、若い年齢のうちから推奨しているのだ。では、検診が勧められる最たる理由の死亡率について。国立がん研究センターがん対策情報センターのデータによれば、乳がん検診の受診率が上がるにつれて、上皮内がんも含む乳がんの発見率も上がっている。「“早期発見が治療につながる”のなら、早期発見で死亡率は下がるはずなのに、実際は緩やかに上がっています。発見率が上がっているのは、超のんびりがんや進行しないがんの発見が増えているからで、死亡率は減っていないのです。同様の海外の報告は、甲状腺がん、前立腺がんでもされています」「女性自身」2020年3月24・31日合併号 掲載
2020年03月19日皮膚がんリスクを高める、肌にシミができるなど、何かとネガティブなイメージがある紫外線。でもちょっと待って!そこにはさまざまな病気を遠ざけ、若さを保つうれしい効果が盛りだくさんなのです。「太陽光に含まれる紫外線は、特に女性にとって大敵と思われがちですが、最近の研究では私たちの肌や体を健康にしてくれるありがたい存在であることがわかってきたのです」乳腺専門医で、アンチエイジング医療に詳しい南雲吉則先生はそう話す。紫外線といえば、美容や健康によくないイメージがつきまとうものだけれど……。「私たちの体が紫外線を浴びると、肌の表面でビタミンDがつくられます。骨を丈夫にするために日光浴が効果的なのは有名ですが、それ以外にも、ビタミンDの作用によって、多くのメリットを得ることができます。がん、うつ、認知症、ぜんそく・花粉症などのアレルギー症状、さらには心筋梗塞、脳梗塞、動脈硬化など、日本でも問題となっている疾患の多くを防ぐのに紫外線は有効なのです」(南雲先生・以下同)とはいえ、やはり紫外線といえば念入りにカットするもの、というのが多くの人が認識しているところだ。南雲先生が次のように解説する。「シミやシワの原因になると考えられている紫外線には、UV-A(A波)とUV-B(B波)があります。A波は肌に当たることで、消毒作用が働いたり、ハリも与えてくれます。一方、B波は浴びすぎると皮膚表面にやけどのような状態を起こします。ところが、B波はほとんど地上に届くことはないのです。暑い季節の一定の時間帯を除けば、私たちが浴びるのは紫外線のうち体によいA波なのです」南雲先生がクリニックの乳がん患者の血中ビタミンD量を計測したところ、紫外線のメリットをいっそう実感したという。「98%の人が、血中のビタミンD量が20(単位はng/ml)以下の『欠乏状態』でした。それ以降、私は患者さんに日光浴を推奨し、冬の間はタンニングマシンに入ってもらうようにしました。すると、術後の回復が明らかによくなっていったのです。ビタミンDは免疫力を高めることで、がんをはじめ、さまざまな病気を予防してくれます。健康体でいるためには、紫外線は積極的に浴びたほうがいいのです」免疫力のほかにも、脳神経の活性化、血管の修復、糖代謝を活発にする作用などによって、うつや認知症、動脈硬化、糖尿病などの予防効果が得られるという。紫外線が、単にがんを招く元凶という考えは、大きな誤解なのだ。注意したいのは、紫外線は窓越しでは十分に私たちの体に届かない。直射日光を浴びることが大切だという。冬の間は日差しが弱く、衣類も着こんでいるため、皮膚に届く紫外線が圧倒的に不足する。そこは、日光を吸収した乾燥きのこ類(きくらげなど)やレバーなど、ビタミンDを多く含む食品で補うことを南雲先生はすすめているそうだ。「今は乳がんの発生率は30代から増加傾向にあります。30代以上の女性にはぜひ、夏の10〜14時を除いた時間帯にできるだけ肌を日光にあてることをおすすめします。目安として1日30分程度が望ましいでしょう」シミ、シワを過度に気にせず、紫外線を味方につけて健康な体を維持していこう!「女性自身」2020年2月11日号 掲載
2020年02月05日サプリさえ飲んでいれば健康になれる。そう安易に思い込んでいると、いつしかサプリが体をむしばむ“毒”になってしまうかもしれないーー。「自分の健康状態を把握せずにサプリを飲みすぎてしまうと、思わぬ“落とし穴”にハマることがあるのです」そう語るのは『医者が教える「あなたのサプリが効かない理由」』(イーストプレス)の著者で、サプリをつかった栄養療法を行っている医師の宮澤賢史先生。内閣府の調査(’12年度)によると、日本人の約5割が2種類以上のサプリを利用している。そして、年齢が上がるほど、飲むサプリの種類は増える傾向にあるという。同調査では、病院で処方される薬とサプリを併用している人はおよそ3割。しかも、そのうち8割の人は、医師にサプリの使用を伝えていないということが判明している。「医師からの処方薬を服用しているときに、サプリも摂取してしまうと、治療薬の効果を阻害してしまうだけでなく、もともと抱えていた病状が悪化する可能性さえあるのです。たとえば、コレステロールを下げる処方薬を服用している人が、同じくコレステロールを下げる効果を持つ紅麹のようなサプリを過剰に摂取すると、コレステロール値が著しく低下し、その副作用としてうつ症状を起こす危険性が高くなります」(宮澤先生)そこで本誌は、国立健康・栄養研究所、愛知県薬剤師会薬事情報センターのデータや、宮澤先生ら専門家の協力をもとに、“危険なサプリの飲み方”を次にまとめた。こんな時、このサプリを飲むのは危険!【血圧を下げる薬を飲んでいる】サプリの種類:カプサイシン(ダイエット)降圧剤(ACE阻害薬)を飲んでいる場合、ダイエットのためにカプサイシンを摂取してしまうと、咳が誘発され止まらなくなることがある。【コレステロールを下げる薬を服用】サプリの種類:紅麹(コレステロール低下)同じくコレステロール低下をうたう紅麹サプリと併用すると、効果が強く出すぎ、肝障害やうつなどの症状を引き起こすリスクがある。【利尿剤を飲んでいる】サプリの種類:ビタミンC(栄養補給)利尿剤(ダイアモックス)とのビタミンCの併用で腎・尿路結石のリスクが上がる。【血液をサラサラにする薬を飲んでいる】サプリの種類:ビタミンE(抗酸化作用)抗血栓薬(ワーファリン)と、ビタミンEの大量併用によってかえって出血しやすくなるという報告が。また、健脚づくりを助けるとされるグルコサミンサプリも抗血栓薬と併用すると作用が減弱する。【鎮痛薬としてアスピリンを常用している】サプリの種類:イチョウの葉(認知機能向上)解熱鎮痛薬(アスピリン)とイチョウの葉サプリを併用することで、サプリの作用が減弱する。【喉が腫れて熱っぽい】サプリの種類:鉄(貧血対策・栄養補給)体内に炎症(発熱、ケガ、脂肪肝、副鼻腔炎、喉や歯の炎症など)があるとほぼ全てのサプリの効果は減弱する。とくに鉄は代謝の悪化および身体機能の低下を招くおそれがある。【しつこい疲れが取れない】サプリの種類:プロテイン(タンパク質摂取・筋力増強)疲れは強いストレスによる副腎疲労の可能性もあるため、タンパク質摂取が正しいとは限らない。また、タンパク質の過剰摂取を招き、内臓疲労の原因にも。【下痢や便秘を繰り返している】サプリの種類:プロテイン(タンパク質摂取・筋力増強)腸内環境が悪化している場合はほぼ全てのサプリの効果が半減。タンパク質の塊であるプロテインは消化不良を起こし、症状の悪化を招くことも。【お酒を飲む前はいつもウコンを飲んでいる】サプリの種類:鉄(貧血対策・栄養補給)ウコンには鉄分が含まれており、鉄分が過剰に肝臓に蓄積。肝障害を悪化させる可能性も。【母親や祖母が乳がんにかかったことがある】サプリの種類:イソフラボン(エイジングケア)女性ホルモンのエストロゲンに似た働きをするイソフラボンのサプリ。乳がん発症リスクを上げるかもしれないといわれており、当てはまる人は摂取を控えたほうがいい。では“正しいサプリの飲み方”とはなんなのだろうか。宮澤先生は症状に合わせて、適切な栄養素を選ぶ重要性を語る。「まずは検査をして、自分に不足している栄養素を突き止めることが大事です。たとえば、慢性疲労に当てはまる人であれば、マグネシウム、亜鉛、ビタミンB群などの栄養素が足りていないので、必要に応じてサプリで補うように、と指示することができます。決して、自己判断だけでサプリを飲もうとしないこと。医師としても、患者が自己判断でサプリを飲んでいることを知らなければ、検査の数値が上下したとき、その原因がわからず、正確な診断を下せません。どんなサプリを取ればよいか、そればかりを気にしている人は多いですが、いちばんの理想は、サプリがいらない体になること。これを忘れないでください」「女性自身」2020年2月4日号 掲載
2020年01月29日「日本では年間、約8万7,000人が乳がんと診断され、1万4,000人以上が亡くなっていますが、患者のうち約10%は進行の早い遺伝性の乳がんだと考えられています」こう話すのは、株式会社ゲノムクリニック代表取締役で婦人科医の曽根原弘樹先生。「一般的な乳がんは、厚生労働省が40代以上に推奨する2年に1度の検診でも、ステージ1の状態でよく見つかりますが、遺伝性の場合は、1年でステージ2になることがあります」発症年齢も早くなるようで、通常は30代後半から多くなるが、遺伝性だと20代でもなりやすい。「さらに、ふつうは乳房の片側だけに腫瘍ができることが多いのですが、遺伝性の乳がんは両胸に、同時にできることもあるんです」とても厄介な遺伝性の乳がん。しかし、曽根原先生は「遺伝性」だからこそ、対策できることもあるという。「この乳がんは体の設計図である遺伝子のうち、乳がんと深く関わる遺伝子が壊れている人が発症しやすい。言い換えると、壊れているかどうかを調べれば、罹患する前から発症リスクを知ることができるということです」そこで先生が始めたのが、遺伝性乳がんリスク検査サービスだ。「検査では、唾液から抽出した遺伝子を解析して異常がないかを調べます。検査期間は1〜3カ月。壊れていたら陽性で、発症リスクは最大で約70%になる。欧米の調査だと、約100人のうち1人には変異があるとの報告があります」検査では遺伝性の卵巣がんのリスクもわかるという。「卵巣がんも同じ遺伝子が密接に関与しているからです。陽性だった場合、最大発症リスクは約50%程度です」株式会社ゲノムクリニックのホームページと取材をもとに編集部が作成した発症リスクが次のとおりだ。【乳がん】一般的な日本人:9%乳がん遺伝子を持っている人:最大約70%【卵巣がん】一般的な日本人:1%乳がん遺伝子を持っている人:最大約50%アメリカではハリウッド女優のアンジェリーナ・ジョリーが同様の検査を受けて、「陽性」と判定され、’13年に両乳房の予防切除を、’15年には卵巣と卵管の切除を行っている。「彼女には、家系内に複数の乳がん・卵巣がん罹患者がいる濃厚な家族歴がありました。この検査は、医療機関でも受けられますが、対象は濃厚な家族歴のある人だけ。しかし、家族に乳がん罹患者がいなくても、突然変異で遺伝子が壊れていて、発症リスクが高い人もいる」そこで、曽根原先生は濃厚な家族歴がない人でも検査を受けられるようにした。「これまでに約50人が検査を受けましたが、全員『陰性』でした。『陽性』の判定が出た場合は、ステージ1で見つけられるよう、乳がん・卵巣がん検診の間隔を半年に1回行うことを推奨しています」さらに、曽根原先生はより多くの人が使いやすいように、サービスの利便化も図る。「現段階では、検査スタッフと対面しないと検査を受けられないので、遠方に住む人も自宅で受けられるように、唾液は郵送でやり取りして、カウンセリングは電話で行うサービスを計画しています。倫理委員会から許可が下りれば、年内にもスタートさせようと考えています(※)」早期発見できれば、生存率は高まる乳がん。一度、リスク検査を受けるか検討してはどうだろう。※現在、対面方式の検査料は3万9,500円(税別)。郵送方式の料金はまだ決まっていない。「女性自身」2020年2月4日号 掲載
2020年01月27日痛い、費用が高い、そもそも見つけにくい……。多くの問題を抱えていた従来のがん検査。それを次々とクリアするような技術が開発され、これからは「早期発見・早期治療」が限りなく可能な時代へ!ーー。「“痛くない”“被ばくしない”というメリットを持つ最新マンモグラフィを用いた治験を今夏から開始します。翌年の夏ごろには、実用できるよう目指しています」神戸大学数理データサイエンスセンターの木村建次郎教授が開発した、世界初の画像化診断システム「マイクロ波マンモグラフィ」。’18年10月、本誌は研究段階であったマイクロ波マンモグラフィを紹介した。取材当時、木村教授は実用化のめどを「’21年の秋ごろ」としていたが、少し早まることになりそうだ。「微弱な電波を出すアンテナ発信機を使い、乳房の表面を軽くなぞるようにスキャン。乳房内の構造を立体的な画像で映し出します。乳房の表面をなぞるだけなので痛みはありません。機器が発するマイクロ波は、携帯電話の1,000分の1以下の微弱な電波なので、体に与える影響もほとんどないと考えられます」(木村教授・以下同)臨床研究では、乳腺と靱帯が密集している「高濃度乳房」を含むすべてのタイプの乳房で、高い乳がん検出感度を持つことが証明されている。「50〜65歳未満のアジア人女性の約6割が、この高濃度乳房に当てはまるとされています。この高濃度乳房は、従来のマンモグラフィに使用されているX線を遮断してしまうため、乳房に潜むがんを見つけることが困難とされてきました。いっぽう、マイクロ波は高濃度乳房を貫通します。がん組織にマイクロ波が当たったときの波形を解析し、数秒でがん組織を含む乳房全体を立体画像ではっきりと映し出すことができるのです」早期発見で9割以上が治る、といわれる乳がんだが、発見の難しさもあり、世界では毎年52万人以上、日本では1万4,000人以上も亡くなっている。「マイクロ波マンモグラフィが世界中に導入されたら、10年後には、先進国において、乳がんで死亡する人は激減するでしょう。そして近い将来、乳がんで亡くなる人がゼロになると信じています」簡単に、そして安心して乳がん検査が受けられる時代はもうそこまで来ている。「女性自身」2020年1月28日号 掲載
2020年01月19日「高齢化の影響で健康への関心はますます高まりを見せています。健康情報はあふれているものの、意外と知らないことや、思い込みのままでいること、昔は黒だと考えられていたことが今では白になっていたり、その逆といった情報も少なくありません」大人気ドラマ『ドクターX』シリーズ(テレビ朝日系)の医療監修も務める、医師で医療ジャーナリストの森田豊先生はこう話す。森田先生は、エビデンス(科学的根拠)に基づいた最新の健康情報を知ってもらうためにも、いろんな場面で、クイズ形式で正しい知識を紹介するようにしているという。そんな森田先生が、がんにまつわる2択クイズを出題。健康寿命を目指すための知識を取り入れて、2020年をもっとイキイキ過ごそう!【Q1】食道がんになりやすいのは?熱いものを好んで飲む人 or 冷たいものを好んで飲む人正解は、熱いものを好んで飲む人。「イランのテヘラン大学で行われた調査で、70度以上の熱いお茶をよく飲む人は、そうでない人に比べて食道がんになるリスクが8倍に増加するという研究結果が報告されています。熱いまま飲むと食道の粘膜が傷つき、炎症を起こしてがん化する可能性が高まります」(森田先生・以下同)【Q2】がん予防によい食材の組み合わせは?ブロッコリーとわさび or 大豆とレモン正解は、ブロッコリーとわさび。「ブロッコリーにはがんの発生を抑制するスルフォラファンというフィトケミカルが含まれていますが、熱処理をするとその特性が壊されてしまうと考えられています。ところが、わさびを加えるとスルフォラファンの効果が復活するという特性があるのです」【Q3】歯磨きをしないと発症リスクが高くなるのは?食道がん or 舌がん正解は、食道がん。「『1日に1度しか歯を磨かない人は、2回以上磨く人より食道がんになるリスクが約30%増加する』という報告が愛知県がんセンターから出ています。口の中には発がん性物質アセトアルデヒドをつくる細菌がいて、歯を磨かなければ増殖してしまうのです」【Q4】睡眠時間が短くなると発症リスクが高くなるのは?大腸がん or 乳がん正解は、乳がん。「東北大学が約2万4,000人の女性を対象に行った研究で、平均睡眠時間が6時間以下の人は、7時間以上寝ている人より乳がんのリスクが1.6倍高かったという報告があります。年末年始は多忙で不規則になりがちですが、睡眠はしっかりとるようにしましょう」一つひとつはわずかな選択だが、こうした小さな積み重ねが、生活習慣病、ひいてはがんの予防にもつながっていくのだという。「私たちには本来、自然治癒力が備わっていて、日々体内でつくられるがん細胞を消してくれる働きをしてくれています。その自然治癒力を最大限に引き出すためにも、正しい知識を持って体にやさしい生活を心がけることが大切です」「女性自身」2020年1月1日・7日・14日号 掲載
2020年01月07日10月18日、がんに関する発表があった。’16〜’17年の2年間にがんになった20〜39歳の約8割が女性で、その原因は子宮頸がんや乳がんの増加にあるというのだ(国立がん研究センター・国立成育医療センター)。こうしたデータを見ると、「娘もがん保険に加入させなきゃ」と思う人もいるかもしれないが、本当にがん保険は必要なのか。経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれたーー。■1回3,349万円の新薬が約40万円に3つのポイントを見てみましょう。【1】データの分析まず、20〜39歳でがんになる割合を考えましょう。20〜39歳の人口は約2,860万人に対して、がんになった方は約1万8,000人。つまり、がんになるのは20〜39歳の0.06%と少数です。(’15年・国立がん研究センター)。若いがん患者の約8割が女性とは驚きですが、実は、レアケースの内訳だと冷静に受け止めましょう。【2】がんの治療費がん治療は高額になるイメージがありますが、実際のところは?たとえば乳がんの方の入院費用は平均約74万円です(’18年度・全日本病院協会)。3割負担だと約22万円になりますが、高額療養費制度を利用すると、自己負担は一般的な収入の方で月9万円ほど。ただ「先進医療が必要になったら、保険適用外だから高額になる」と心配する方もいるでしょう。しかし、先進医療はどんどん保険適用に組み込まれてきています。たとえばオプジーボ。当初は患者1人当たり年間3,500万円かかると話題になりましたが、’14年から保険適用になりました。’16年からは重粒子線や陽子線の治療が、今年5月には1回3,349万円の白血病治療薬キムリアにも保険適用が広がっています。さらに来年度中には、遺伝性の乳がんの再発予防治療も保険適用になるようです。保険適用になると、高額療養費制度が利用できます。超高額なキムリアも、自己負担は約40万円に抑えられます(一般的な収入の方)。安全性や治療効果などが定まった先進医療は、保険適用に格上げされるため、ほとんどのがん患者は保険のきく治療を受けています。【3】医療保険やがん保険の給付金がんで入院したら、給付金はいくら受け取れるのでしょう。最近の保険料が手ごろな医療保険は、入院給付金が60日までというものが多いです。とすると、入院日額1万円としても、最大60日分で60万円。これに手術一時金が20万円付いても、受け取る給付金は合計80万円。この程度なら貯金でまかなえる方も多いでしょう。また、がんの平均入院日数は16.1日で、乳がんだと11.5日です(’17年・厚生労働省)。入院期間が短いので、入院給付金も少なくなります。保険はがんにならないお守りなどではなく、単純にお金の備えです。加入には、治療費と自分の貯蓄、支払う保険料と受け取る給付金などの比較検討をしてください。若い女性にがんが多いというのは心配です。若いからと油断せず、早期発見のため、みんなでがん検診を受けましょう。
2019年11月15日「乳がんは近年、よく治るようになりました。私の患者さんのなかには再発・転移をしても、治療を受けてその後、十数年がんが出てこない人、治療を終えてから出産する人も珍しくはなくなりました」そう話すのは、国際医療福祉大学三田病院乳腺センター長などを歴任、現在はよしもとブレストクリニックを開業し、数千人の乳がん女性と向き合ってきた吉本賢隆先生。発見され、数カ月で命を落としてしまう人もいる一方、再発・転移しても結果的に生還する人がいる。がんは部位やケースによって、まったく違う病気のようだ。「統計精度の問題はあるが、がん全体の生存率は7~8年前と比較すると、おそらく上昇しているといえると思います」こう語るのは、国立がん研究センターがん対策情報センターがん登録センター長の東尚弘先生。そこで本誌は、国立がん研究センターがん対策情報センターで8月に公表された、「がんの部位別・5年生存率」をもとに、がんの部位別に専門医から傾向と対策を聞いた。【膵臓がん】現代がん医療がいかに進化しようとも、いまだ圧倒的に治りにくいのが膵臓がんである。全ステージを通して生存率が9.6%、ステージ4であれば1.7%という厳しさだ。日本ではまだ数少ないオンコロジスト(腫瘍内科医)で、抗がん剤のエキスパートである武蔵野徳洲会病院の佐々木康綱先生は語る。「確立された検診法がないうえ、早期発見が難しく、見つかった多くの患者さんは、すでに切除不能であるケースがほとんどなのです。たまたま別の病気でCTスキャンを受け、運よく早期発見できたような場合は、完全切除が可能で、治癒に結びつくこともありますが……。また、膵臓がんは、多臓器に浸潤・転移しやすいのも特徴です。その場合は化学療法が適用されますが、近年、難治がん治療の鍵とされる、分子標的薬も、免疫細胞を再活性化する『免疫チェックポイント阻害剤』も、膵臓がんに対しては、あまり有効なデータがないのが現状です。ただし近年、日本で開発されたS-1という抗がん剤が、進行膵臓がんを対象とした治験で、5年生存率44%という好結果をたたき出しました。この数字から、この治療法が極めて優れている可能性がありますが、わが国でしか使える薬ではないので世界的な標準治療になるかはまだ未確定です。また最近では、がんの遺伝子解析により膵臓がんの中にもDNA配列ミスの修復機能の働かない『マイクロサテライト不安定性(MSI)が高い一群の患者が存在することが明らかになりました。この特性を持った膵臓がん患者に免疫チェックポイント阻害薬『ペムブロリズマブ』(商品名キイトルーダ)を用いた場合、6人中5人(83%)に腫瘍の縮小を認めたとする報告があり、わが国でもこの治療が実地医療で保険診療として行える状況です』膵臓がんの生存率アップは、これからの課題といえそうだ。【肝臓がん】肝臓がんは、5年生存率が全ステージ40.0%という数字だけを見るとやはり「治りにくい」といえそう。しかし肝臓がんは、ウイルス感染により発症するB型、C型肝炎から、がんに移行するケースが全体の8割で、肝炎への感染がわかったら、注意深く観察を続けることで早期発見が可能である。そうすれば、外科手術や、「ラジオ波」「肝動脈塞栓療法」と、治療の選択肢は広がっているのだ。「もっとも、肝炎や肝硬変を患っている場合は、肝臓機能がすでにかなり低下していることから、何年たっても新たながんが起こりやすく、『治癒』という言葉を使うのは難しいのが現状です」(佐々木先生)
2019年11月14日「乳がんは近年、よく治るようになりました。私の患者さんのなかには再発・転移をしても、治療を受けてその後、十数年がんが出てこない人、治療を終えてから出産する人も珍しくはなくなりました」そう話すのは、国際医療福祉大学三田病院乳腺センター長などを歴任、現在はよしもとブレストクリニックを開業し、数千人の乳がん女性と向き合ってきた吉本賢隆先生。発見され、数カ月で命を落としてしまう人もいる一方、再発・転移しても結果的に生還する人がいる。がんは部位やケースによって、まったく違う病気のようだ。「統計精度の問題はあるが、がん全体の生存率は7~8年前と比較すると、おそらく上昇しているといえると思います」こう語るのは、国立がん研究センターがん対策情報センターがん登録センター長の東尚弘先生。そこで本誌は、国立がん研究センターがん対策情報センターで8月に公表された、「がんの部位別・5年生存率」をもとに、がんの部位別に専門医から傾向と対策を聞いた。【肺がん】肺がんは5年生存率が40.6%でいまだに「治りにくい」とされる。ただし、なかでも「非小細胞がん」は、治療成績が上がってきている。日本ではまだ数少ないオンコロジスト(腫瘍内科医)で、抗がん剤のエキスパートである武蔵野徳洲会病院の佐々木康綱先生は語る。「免疫チェックポイント阻害薬など新たな薬剤が開発されたことが大きく貢献しています」肺がんは、小細胞がんと非小細胞がんに分けられ、特に治療が難しいのは小細胞がんで、肺がん全体の15%程度になる。発育が早く転移を起こしやすいので、手術より抗がん剤治療が主となるという。「とはいえ、近年、化学療法が有効であるといわれていたがあまり進歩がなかった。ただし最近は、免疫療法アテゾリズマブの追加効果が認められ、ようやく治療成績の向上が見込めるようになりました」(佐々木先生)非小細胞がんである腺がんは、非喫煙者の女性にも比較的発症する場合が多いので、たばこを吸わない人にも、決して無縁ではないから要注意だ。最後にーー。たとえば、これほど治りやすくなった乳がんの患者の中でも、命を落とすケースもある。前出の吉本先生は、警告する。「標準治療から外れて、代替医療に頼ってしまうケースです。保険がきかないため、治療費に糸目をつけない人は、『この治療法がいいよ』などと、方々から効果の保証されていない治療薬や、サプリメントを勧められ、標準治療を受ける機会を逃してしまい、気がついたときには手遅れになる、適切な治療を逃してしまう人がいるのです。これは乳がんだけでなくどんながんにも言えることです」本来、治るはずが命を落としてしまうケースである。治る・治らないには、危険な分かれ道があるということだ。
2019年11月14日「乳がんは近年、よく治るようになりました。私の患者さんのなかには再発・転移をしても、治療を受けてその後、十数年がんが出てこない人、治療を終えてから出産する人も珍しくはなくなりました」そう話すのは、国際医療福祉大学三田病院乳腺センター長などを歴任、現在はよしもとブレストクリニックを開業し、数千人の乳がん女性と向き合ってきた吉本賢隆先生。発見され、数カ月で命を落としてしまう人もいる一方、再発・転移しても結果的に生還する人がいる。がんは部位やケースによって、まったく違う病気のようだ。「統計精度の問題はあるが、がん全体の生存率は7~8年前と比較すると、おそらく上昇しているといえると思います」こう語るのは、国立がん研究センターがん対策情報センターがん登録センター長の東尚弘先生。そこで本誌は、国立がん研究センターがん対策情報センターで8月に公表された、「がんの部位別・5年生存率」をもとに、がんの部位別に専門医から傾向と対策を聞いた。【子宮頸がん】子宮頸がんは全ステージで5年生存率75.3%と、治りやすいがんと言えそう。成城松村クリニック院長・松村圭子先生は、子宮頸がんには、早期発見が重要と指摘する。「子宮頸がんで亡くなる人は、長年細胞診を受けていないため早期発見ができず、手遅れになってしまうケースが多いのです。子宮頸がんは、性交渉によって感染するHPV(ヒトパピローマウイルス)が原因であることが判明しており、20代の患者が罹患するなど、若年化が顕著です。住民検診で推奨されている、2年に1度の子宮頸がんの細胞診(検診)を受けておけば、がんになる手前の、前がん病変もすくい上げることができるのですが」子宮頸がんは、前がん病変、あるいはステージ0期であれば、部分切除が可能であり、ほぼ100%完治を目指せる。またステージ1期であっても、子宮を温存できれば、その後の妊娠・出産は可能になる。乳がん同様、治りやすいがんの代表格でもあるのだ。【子宮体がん】この十数年、子宮頸がんの罹患数に匹敵するほど急増しているのが子宮体がん。5年生存率は全ステージで82.1%と、治りやすいがんといえそう。やはり子宮頸がんと同じく、早期発見が重要だ。不正出血など兆候があれば、速やかに検査を受診することが重要、と松村先生は言う。「子宮体がんの多くは、乳がんと同じくエストロゲンの過剰刺激によって発症するので、生涯の月経回数が多い、すなわち妊娠・出産回数の少ない人が高リスクになります。早期発見・治療につながれば、治りやすいがんともいえます」「治りやすいがん」は早期発見が鍵になるということだ。しかし、検診で早期発見をすることについて東先生は次のように語る。「どんながんでも早期発見が有効かというと、そうではありません。がんによっては、早期発見できたとしても有効な治療ができなかったり、逆にそもそも進行が非常に遅いがんの過剰診断であったり、やみくもに検診を進めると、ただ『がん患者である』という状態を長くするだけになってしまうこともあります。それを防ぐため、検診の有効性は発見率だけでなく死亡率の減少で証明をします。私が強調したいのは、そうして有効性が確立されている『対策型検診』は受けてほしいということです」この対策型検診は、厚生労働省のHPなどで公開しているが、40歳以上の大腸がんの便潜血、40歳以上の乳がんのマンモグラフィー、20歳以上の子宮頸がん細胞診などである。
2019年11月14日「乳がんは近年、よく治るようになりました。私の患者さんのなかには再発・転移をしても、治療を受けてその後、十数年がんが出てこない人、治療を終えてから出産する人も珍しくはなくなりました」そう話すのは、国際医療福祉大学三田病院乳腺センター長などを歴任、現在はよしもとブレストクリニックを開業し、数千人の乳がん女性と向き合ってきた吉本賢隆先生。発見され、数カ月で命を落としてしまう人もいる一方、再発・転移しても結果的に生還する人がいる。がんは部位やケースによって、まったく違う病気のようだ。「統計精度の問題はあるが、がん全体の生存率は7~8年前と比較すると、おそらく上昇しているといえると思います」こう語るのは、国立がん研究センターがん対策情報センターがん登録センター長の東尚弘先生。そこで本誌は、国立がん研究センターがん対策情報センターで8月に公表された、「がんの部位別・5年生存率」をもとに、がんの部位別に専門医から傾向と対策を聞いた。【乳がん】いまや日本女性の11人に1人が罹患する乳がんであるが、全ステージで5年生存率が92.5%、ステージ1だと99.8%と、実は治りやすいがんの代表格である。「薬物療法の進展が、がん医療を劇的に進化させたことはいうまでもありません。特に乳がんでは日本で’01年に認可された“がん細胞を狙い撃ちにする”『分子標的薬』である『ハーセプチン』の登場が、乳がんのなかでも、比較的悪性度の高かったタイプの治療に、大きく貢献しています。一方、乳がんでも、ホルモン療法も、ハーセプチンも効かない『トリプルネガティブ』のタイプは治療が確立されていませんが、このほど免疫細胞を再活性化する免疫療法『アテゾリズマブ』が、わが国でも承認になり、生存率の上昇がさらに期待できるかもしれません」(吉本先生)【大腸がん】大腸がんは日本人女性の死因1位(人口動態統計 によるがん死亡データ・’17年)である。しかし、全ステージでは5年生存率72.9%で、極端に低い数字ではない。これは実は、ステージ1期で発見できれば、5年生存率は95.4%であり、早期であれば「治りやすいがん」でもあるからだ。だからこそ、早期発見が重要である。「大腸がんの便潜血検査は厚労省推奨で、死亡率減少に有効です。便潜血検査自体は体に負担のない検査なので多くの人が受けますが、残念なことに、陽性という判定結果が出ても、その後の精密検査(内視鏡)を受けない人が多いのです。せっかくの早期発見の機会を逃すので、必ず精密検査とセットで受けることが肝心です」(東先生)また、進行した大腸がんについても、近年劇的に、薬物治療が進化している。日本ではまだ数少ないオンコロジスト(腫瘍内科医)で、抗がん剤のエキスパートである武蔵野徳洲会病院の佐々木康綱先生によると、「EGFR(上皮成長因子受容体)ががん細胞膜上に発現している大腸がんには、10年ほど前に抗体薬が登場して治療成績がかなり向上しました」この先、大腸がんはますます「治りやすいがん」となりそうだ。
2019年11月14日「乳がんは初期に治療できれば治せる病気です。しかし、進行してしまうとがん細胞が多様化したり、薬剤耐性などの問題が起こったりする可能性が高まります。検診を受けることと、乳房に変化を感じたらすぐに病院を受診することが大切です」そう早期検診の重要性を力説するのは、静岡県立静岡がんセンターの西村誠一郎乳腺外科部長。美智子さまの乳がん手術の治療方針を決定する会議・キャンサーボードに参加した医師の一人だ。8月、美智子さまの左胸に乳がんが見つかったと宮内庁が発表し、日本中に衝撃が走った。しかし、幸いなことに腫瘍はステージIの早期乳がんだった。美智子さまも「早い段階で見つけていただき、ありがたい」と話されていた。「9月8日に摘出手術を受けられた美智子さまですが、術後の経過は良好だそうです。がんは完全に切除され、再発リスクは非常に低いという診断でした。現時点では放射線治療を行う必要性はないと判断され、現在はホルモン治療を継続されています」(皇室担当記者)手術が行われたのは東大病院だったが、乳がん発見から手術まで大きな役割を果たしたのは、静岡県立静岡がんセンターの医師たちだった。執刀医の1人だった高橋かおる乳腺センター長は、’07年に宮内庁から依頼を受け、毎年乳がん検診を担当してきた。美智子さまが乳房超音波検査を受け、MRI検査でも乳がんの疑いありと診断されたのは今年7月。そして「針生検」と呼ばれる精密検査を担当したのは植松孝悦医師だった。本誌は植松医師と前出の西村医師に、乳がん“早期発見の極意”を聞いたーー。植松医師はマンモグラフィー(乳房のX線写真)などの乳房画像診断と乳腺インターベンション(超音波などで確認しながらの針生検)の両方が専門。静岡がんセンターにしかない乳腺画像診断科の部長を務める。「画像診断で病変が見つかっても、実際には乳がんではないという場合がかなり多いのです。そこで、発見した病変が乳がんなのか一部を採取して判別し、どのような治療法が有効なのかも決めるために行うのが針生検です。超音波でリアルタイムに病変の位置を確認しながら直接、針を刺して組織を取ります。小さい病変であっても正確に診断できます。慣れた医師であれば10分もかかりません。患者さんの負担も小さい検査です」(植松医師)植松医師の針生検と、東大病院の病理診断、静岡がんセンターの病理検査により、美智子さまの腫瘍は乳がんと診断された。続いて、この検査結果をもとに静岡がんセンターキャンサーボードが開催され、治療内容が検討された。西村医師にキャンサーボードの役割を聞いた。「医師が独りよがりの治療をすることを避けるため、多職種を集めたチームで多角的な視点から治療の方針を決定します。患者さんがどんな生活を望んでいるのか、抗がん剤の使用を望んでいるのか、さらには年齢や収入などさまざまな要素から検討します」ただ、治療法の決定は最終的には患者自身に任せられる。西村医師は、その判断にあたって注意してほしいことがあるという。「たとえば乳がん患者によるブログには、乳がん当事者の心の隙間を埋める言葉がいくつも掲載されています。それらに共感するあまり、ブログの執筆者と自分の状態が違うのに部分手術にこだわったり、医学的根拠がない民間療法に頼ったりする方も少なくありません。ただ、ほかの乳がん患者の経験を実際に聞くことは有益です。体験者から具体的な話を聞くことができる患者会をおすすめします」乳がん検診といえば、近年普及したのがマンモグラフィー検査だ。だが、この検査も決して万能ではないという。「乳がん検診は“対策型検診”と自主的な“任意型検診”に分けることができます。対策型検診は市区町村が実施している、40歳以上の女性を対象とした2年に1度のマンモグラフィー検査です。検診マンモグラフィーによる死亡率の減少という利益は証明されています。しかし、乳がんがあるのに発見できない“偽陰性”や乳がんでないのに要精査となる“偽陽性”など、検診マンモグラフィーによる不利益もあります。マンモグラフィー検査を含めて、100%すべての乳がんが見つかる検査はありません」(植松医師)美智子さまもマンモグラフィー検査を継続的に受けてこられたが、左胸の病変が発見されたのは今年7月の超音波検査でのことだった。西村医師は、マンモグラフィー検査と超音波検査を組み合わせることもすすめている。「今は2年に1度行われている対策型乳がん検診ですが、発見のタイミングを逸してしまうケースも見受けられます。増殖が速いタイプの乳がんであれば、発見できないほど小さな病変が、2年間で2〜3センチの腫瘍にまで大きくなることもあります。心配な方は2年に1度のマンモグラフィー検査の間に超音波検査を任意型検診として受けることもよいかもしれません。治療に不利な状態になる前に発見できる可能性が高まります」進行してしまった乳がんの治療は、医師の立場からも難しく、患者にとっても負担が大きいという。「抗がん剤による脱毛といった副作用、乳房の切除や再建手術の負担、さらに末期がんでのモルヒネでは消せないほどの治療の痛み……。闘病の苦しみをがんになる前から想定できている方はほとんどいないのが実情です。しかし、発見が早ければ治療もスムーズです。そういう意味で上皇后陛下のケースは理想的でした。一般の方が上皇后陛下と同じ水準の検査や治療をすることは難しいですが、まずは一人でも多くの方に検診を受けてもらい、検診率を100%に近づけていくことが大切だと思っています」(西村医師)美智子さまに学び、読者の皆さんもぜひ、早期発見のための乳がん検診を!
2019年11月11日エスティ ローダー グループは、毎年10月を「乳がんキャンペーン」月間と定め、世界の人々に連帯を促し、乳がんのない世界を作るための意識向上を図る活動を行っています。当キャンペーン27年目となる今年も、東京スカイツリー(R)や清水寺などをピンク色にライトアップするグローバル ランドマーク イルミネーション、8ブランドでの支援製品発売、オンライン キャンペーン、社員ボランティア活動等を実施。メッセージの発信や、支援製品の収益金による寄付活動を通じて医療研究や患者団体などをサポートします。本キャンキャンペーンの一環としてオープンする“丸の内 ピンク リボン ガーデン”オープニングセレモニーには、ELCジャパン株式会社 代表取締役社長のスー フォックスさんが登場し、思いを語りました。私たちが今すぐできる支援を通して、「乳がんのない世界」を目指すお手伝いをしませんか。エスティ ローダー グループ 2019 乳がんキャンペーン「治癒への希望が私たちをつなぐ。#乳がんのない世界へ」撮影:GODMake.1992年に、故エヴリン ローダー(元エスティ ローダー グループ シニア コーポレート ヴァイス プレジデント)が設立した「ピンクリボンキャンペーン」。今では世界70か国以上で展開される活動となり、現在までに寄付金総額7,900万ドル、そのうち6,500万ドルが「米国乳がん研究基金(BCRF)」を通じて、260の医療プロジェクトに活用されています。そんなキャンペーン27年目となる今年も、エスティ ローダー グループは「乳がんキャンペーン」月間と定めた10月に、東京スカイツリー(R)や清水寺などをピンク色にライトアップするグローバル ランドマーク イルミネーション、8ブランドでの支援製品発売、オンライン キャンペーン、社員ボランティア活動等を実施。エスティ ローダー グループが日本本社を置き、働く女性が多く集まる丸の内エリアに位置する“丸の内 ピンク リボン ガーデン”のオープニングセレモニーには、ELCジャパン株式会社 代表取締役社長のスー フォックスさんが登場し、「世界中の人に乳がん知識を広め、乳がんのない世界を目指したい。皆で団結しましょう」と、力強いメッセージを日本語でくださいました。私たちができる「ピンクリボン」とは撮影:GODMake.①何よりも正しい知識を持ち、それを広めることでは、「乳がんのない世界」を目指すために、私たちができることには何があるのでしょうか。国立国際医療研究センター病院 乳腺・腫瘍内科/一般社団法人JBCRG(乳がんのない世界をめざして、乳がんの研究をおこなう非営利の研究団体)理事の清水千佳子さんは、とにかく「乳がんについて勉強し、正しい知識を持つことが大切である」と話します。乳がんは、主に更年期以降の50歳前後の女性がなりやすいとされ、10~11人に1人がかかると言われている病気。しかも、世界中で15秒に1人は「乳がん」と診断されているほど身近な病であるにも関わらず、その後の治療方法や病気の進行について、あまり知られていないという問題があります。私たち1人1人が「ピンクリボンキャンペーン」を通して関心を持ち、当事者になった際のことや、友人や家族が発症してしまった場合に必要となる知識を、きちんと身に着ける必要があります。そして、その知識や本キャンペーンの存在を、より多くの人に広めることで、関心の輪を広げましょう。②研究への支援が、早期発見・発展した治療へと繋がるまた「研究により乳がんは良くなるので、その必要性を知り、支援もして頂きたい」と清水さん。乳がんは、早期発見により治る確率がぐんとあがります。また、もし進行してから発見されたとしても、正しい治療で生存率は上がるのです。そして、この確率をこれまで以上にあげるために必要なのが「研究」。研究に必要な支援を私たち1人1人が行うことで、将来的に「乳がんのない世界」を実現することは可能です。具体的な行動は『エスティ ローダー グループ 2019 乳がんキャンペーン』でできるピンク リボン ガーデン等を訪れ写真を広め、支援商品の購入で協力を撮影:GODMake.「正しい知識を持ち広める」「支援をする」その2つをすべきとわかったけれど、何から始めたら良いかわからないという方は、ぜひ、『エスティ ローダー グループ 2019 乳がんキャンペーン』への参加をしてください。“丸の内 ピンク リボン ガーデン”をはじめとする場所を訪れ、そこに込められたメッセージを読み取り「#乳がんのない世界へ」という願いと向き合いながら、お友達同士で乳がんについて深い話をするのも良いでしょう。また、そこで撮影した写真をSNSへアップすることは、ピンクリボンキャンペーンを広めることへと繋がります。エスティ ローダーグループでは、SNSを通じた拡散を目指し、エスティ ローダー グループの人気製品の詰め合わせが当たるInstagram投稿キャンペーンや、購入することで支援へと繋がる製品を発売。誰でも気軽に参加できる、「ピンクリボン」の機会を提供しています。エスティ ローダー グループの人気製品が当たる!Instagram 投稿キャンペーン撮影:GODMake.「乳がんキャンペーン」の一環として、Instagramハッシュタグキャンペーンを実施。「あなたの周りの身近な乳がんのない世界を創るための活動」等の写真を撮影し、ハッシュタグ「#乳がんのない世界へ」を付けてInstagramに投稿すると、抽選で5名様にエスティ ローダー グループの人気製品を詰め合わせてプレゼント。期間:2019年10月1日(火)~10月31日(木)商品:抽選で5名様に、エスティー ローダー グループの豪華な化粧品セットをプレゼント応募方法:1. 下記いずれかの写真を撮る。あなたの周りの身近な乳がんのない世界を創るための活動(キャンペーンイベントも含む)京都 清水寺・東京スカイツリー(R)のピンクライトアップ丸の内ブリックスクエアのインスタレーションイベント2. ハッシュタグ「#乳がんのない世界へ」をつけて投稿。3. 当選された方には事務局からダイレクトメッセージでご連絡します。乳がんキャンペーン支援製品撮影:GODMake.エスティ ローダー グループの8つのブランドで、10月1日よりキャンペーン支援製品を発売。(一部ブランドを除く)収益の一部は、米国乳がん研究基金(BCRF)やJBCRG(Japan Breast Cancer Research Group)等を通じて、医療研究に役立てられます。大好きなブランドコスメを購入することが支援に繋がるなんて、これ以上ないことですよね。※一部数量限定につき、無くなり次第終了いたします。※エスティ ローダーの支援製品のみ、10月6日より順次発売予定となります。一部店舗により発売日が異なりますのでご注意ください。※エスティ ローダーの支援製品のみ、公式オンラインショップでの発売は10月14日からとなります。ラボ シリーズ エイジ RE7,000円ボビイ ブラウン ブラウド トゥ ビー ピンク リップ カラー デュオ5,800円アヴェダ【ピンク リボン2019】チェリー アーモンド CA ハンドクリーム3,600円ドゥ・ラ・メール クレーム ドゥ・ラ・メール ザ・モイスチャライジング クリーム10,000円ジョー マローン ロンドン レッド ローズ コロン16,000円クリニーク「ドラマティカリー ディファレント」シリーズ6,500円エスティ ローダー ピンク パーフェクション リップスティック セット7,000円トム フォード ビューティ リップ カラー6,000円※すべて税抜き表記です。
2019年10月04日昨年10月、本誌が紹介し反響を呼んだ、乳がん検診の最新技術。ついにその技術が、全国的な実用化に向けて第一歩を踏み出した。“乳がん死亡者ゼロ”の未来は近い!?「痛みや被ばくの危険性がない乳がん画像化システム『マイクロ波マンモグラフィ』の実用化に向けて、私たちはプロトタイプとなる機器を開発しました。これからいよいよ医療機関で治験がスタートし、早ければ’21年の冬以降、全国の病院に設置することを目指します」こう語るのは、世界初の画像化システム『マイクロ波マンモグラフィ』の開発者である神戸大学数理データサイエンスセンターの木村建次郎教授(40)。9月13日、神戸大学で行われたプロトタイプ機の研究成果発表には、実用化と普及促進に協力する企業関係者らが出席。新聞、テレビなどメディアも多数訪れ、大きな注目を集めていた――。厚生労働省が40歳以上の女性を対象に、2年に1回乳がん検診を受けるよう呼びかけているにもかかわらず、’16年に同省が実施した国民生活基礎調査によると、受診率は全国で44.9%。半数にも達していないのが現状だ。それほどまでに乳がん検診が敬遠されるのには、X線マンモグラフィが持つ撮影における痛み、X線による人体への影響のリスクが背景としてある。そんな乳がん検診の難点を解消したのが、この「マイクロ波マンモグラフィ」という技術だ。「微弱な電波を出すアンテナを使い、乳房の表面を軽くなぞるようにスキャンし、我々が導き出した世界初の計算理論を用いて、乳房内の構造を立体的な画像で写し出します。表面をなぞるだけで、痛みはない。さらに、機器が発するマイクロ波は、携帯電話の1,000分の1以下の微量の電波なので、身体に与える影響もほとんどないと考えられます」(木村教授・以下同)昨年10月、本誌はまだ研究段階であったマイクロ波マンモグラフィを木村教授の解説とともに紹介。掲載後、教授が所属する神戸大学には「臨床研究に協力したい」という女性の声が、全国各地から寄せられたという。今回発表されたプロトタイプ機は、これまで臨床研究で使用していた装置よりも、さらに高い解像度を有している。「これまでにも臨床研究を重ね、精度を検証してきました。来年からはじまる治験は、関西、関東の複数の病院で行われる予定です」その後、国内に4,000台、アメリカに8,000台、EUに1万6,000台、その他の地域に約1万台を設置することを目標にしているという。早期発見で9割以上が治る、といわれる乳がん。しかし、発見の難しさもあり、日本では1万4,000人以上が亡くなっている。「マイクロ波マンモグラフィが世界中に導入されたら、早期発見が可能と考えられます。10年後には、先進国において、乳がんで死亡する人は激減するでしょう。そして近い将来、乳がんで亡くなる人がゼロになると信じています」“痛くない”、“被ばくしない”、そして“見落としなし”の乳がん検診が、全国の病院で受けられる日はすぐそこまで来ている。
2019年09月25日今の時代だから気になる! 美容医療にできること
初めてのデリケートゾーンケア
やせにくいママのための「脳科学ダイエット」ってなに?