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現在、1歳8カ月の娘の子育て中です。義母はとても穏やかな性格で、嫁である私にもやさしく接してくれていました。しかし娘が1歳になったタイミングで職場復帰をしたとき、義母の心ない言葉を耳にすることが多くなり悩んでしまいました。今回は「働くママ」に批判的な義母とのやりとりや、私なりの対処法をお伝えします。娘の人見知りに対する義母のひと言現在1歳8カ月になる娘は、生後半年ごろから激しい人見知りがあります。なるべく外の空気を吸ったり人が集まる支援センターに出かけたりして、少しでも人見知りを克服できるよう過ごしていました。 ある日、娘を連れて遠方に住む義母宅に行ったのですが、3カ月に1回程度しか会う機会がないため人見知りをして泣き出してしまったのです。義母は、泣き出してしまった娘を見て微笑みながら「お母さんが働きながらおなかの中で育てちゃったからだね。ごめんね」と言ったのです。 たまにしか会えないので、人見知りをしてしまい申し訳ないとは思っていたものの、まさかそんな言葉を投げかけられるとは思わず、驚いてしまいました。 義母は働くママ=私が嫌い!?その後、少しずつ義母に慣れて人見知りしなくなっていく娘を見て安心しました。しかし、育休を経て娘が1歳になった時点で保育園に通わせている私に、「女の人が仕事をして子どもを保育園に預けるなんて、育児放棄だ」、「妊娠がわかった時点で仕事をやめないから、子どもが病気がちで人見知りもする」など、義母は子どものことで気になることはすべて「働くことが原因」と結び付けて言うのです。 口調はやさしいのですが、私が働きながら育児をしていることを快く思っていないようで、かなり悩んでしまいました。 義母に同調しつつも私の考え方は曲げない義母の心ない発言にはショックを受けました。きっと義母自身が家事や育児に専念してきた方だったため、専業主婦が正しいという自負があるのだと思います。実際に4人の子どもを育て上げた義母に対して尊敬の念もあります。 とはいえ、働く必要があって育児と家事の両立に四苦八苦しているのに……と悲しくなってしまいました。 それでも働きながら育児をする選択は、私自身にも家族にとっても正しいという考えは曲げないようにしています。義母からの言葉はつらいですが、「お義母さんはすごいですね」と角が立たないように返しています。 義母の言葉はグサグサと刺さるものがありますが、受け流しながらなるべく穏やかに過ごすことにしています。ただ、その言葉が子どもに直接向けられたときには、夫を介して義母に「やめてほしい」と伝えるつもりです。そして、いつか義母が働くママの気持ちを少しでもわかってくれるときがきたらいいなと願っています。 イラスト/(c)chicchimama著者:河相 さくら国内外問わず旅行が大好きな1歳女の子のママ。育休中に小学校英語指導者資格を取得。主に子育て・英語育児を中心に執筆中。
2024年06月30日私は7歳と3歳の息子を持つ父親です。長男は家ではとてもおしゃべりで活発なのですが、外に出ると、家にいるときとは別人のようになり、感情を出さずしゃべりません。そんな長男は保育園でどうしているのだろうと心配して、私は先生に聞いてみることにしました。すると、驚く返答があったのです……。典型的な内弁慶で保育園生活が心配家ではとてもおしゃべりで常に何か話している長男。しかし、外ではびっくりするほどおとなしく、ほとんど話しません。家族以外の人と話すのが恥ずかしいようです。 保育園での生活はどうしているのか心配になって先生に聞いたところ、家にいるときのように感情を出して自分から話すことは少ないようでした。誰でも家と外での違いはありますが、長男の場合、差が大きいので私と妻は心配していました。 何も話さない長男に保育園での生活を見る機会があり、長男には内緒で行きました。長男からバレないように教室をのぞくと、友だちの輪からはずれてひとりで遊んでいる姿が見えました。 やっぱり輪に入れずにいるのか……とショックを受けつつそのまま見ていると、やがてひとりの子どもが何も話さない長男に話しかけてくれていました。しばらく見ていましたが、その後も友だちに声をかけられたりしていてどうやら信頼関係はある様子。しゃべらないのになぜだろうと思い先生に聞くと、思いがけない答えが返ってきて驚きました。 思わず涙が…先生のお話では、長男はとても気が利いてやさしい面を持っているとのことでした。保育園でプール遊びをしたある日、具合が悪くてプールに入れず先生と過ごす子がいたそうです。そのとき、長男もプールへ入らずにその子と遊んで一緒に過ごしたと先生は言っていました。 また、給食の時間にひとりでテーブルに座って食べている子がいたときも、その子がひとりにならないように自分もそのテーブルに移動して一緒に食べたそうです。人見知りでおしゃべりできない長男が、なぜ友だちから信頼を得ているのかがわかり、涙が出ました。 私は外で話せないことを叱ったときもありましたが、長男なりにコミュニケーションを図っていたことがわかり、叱ったことを反省しました。思い返してみると私も幼いころは人見知りで内弁慶だったため、長男も似たのだなと感じています。家にいるときと保育園にいるときのギャップはいまだに大きいですが、人見知りなのは長い目で見守ろうと思います。著者:佐藤 稜7歳と3歳の2児の父。サラリーマンとして働きながら副業としてライターを目指す他にブログ記事も執筆中。 監修者・著者:助産師 松田玲子医療短期大学専攻科(助産学専攻)卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務。 大学附属病院で助産師をしながら、私立大学大学院医療看護学研究科修士課程修了。その後、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。
2024年06月22日息子が2歳後半ごろ、1年数カ月後に幼稚園の入園を控えていたこともあり、同年代の子どもと関わりを持たせる目的でオープンスペースに通っていました。そんなとき、近隣の保育園が開催する集いに初めて参加したのですが、保育士さんからある言葉をかけられます。 保育園で開催される集いに初参加! ある日、2歳半の息子と私は保育園が開催するオープンスペースに初めて参加。オープンスペースとは、乳幼児やその保護者が在園児に限らず、自由に集まり遊べる場所のことです。おもちゃで楽しく遊んでいた息子でしたが、ほかの子どもが近づくと人見知りを発動! 私にしがみついて離れません。 すると、その場にいたベテラン風の保育士さんが近寄ってきて言いました。「お子さん、いつもこうなの? ママがお子さんにベッタリだからこうなるのよ!」と急に強い口調で言われ、ママ用の休憩スペースに行くよう促された私。「いえ……いつもではないのですが、人見知りなところがあって……」とタジタジになりながら返答するだけで精一杯。保育士さんは息子の様子を見て心配してアドバイスをしてくれたのだと思いますが、親の子どもへの接し方が悪いから、子どもが人見知りになると言われているように感じ、落ち込みました。 その後、息子を連れてそそくさとオープンスペースを後にした私。その日は落ち込みましたが、「保育士さんが言うことも一理あり、ある程度は子どもから離れて見守る姿勢も大切」という考えも生まれました。それ以来、その保育園のオープンスペースに行くのはちゅうちょしましたが、ほかのオープンスペースには積極的に通いました。半年後、息子は目の届く範囲内に私がいれば、ほかの子どもと一緒におもちゃで遊ぶように。 やがて幼稚園に入園した息子。子どものペースを大切にしてくれる園で、年中の現在は多くの友だちができ、楽しく過ごしています。子どものペースや性格を尊重し、成長を見守ることは大切です。しかし、子どものペースに合わせるだけではなく、時には親から行動を促すことも悪くはないと思いました。 作画/CHIHIRO著者:内野みお
2024年06月14日2018年生まれの活発でおしゃべりな息子・ひーくんを育てるはるのさんは、子育てと仕事を両立するワーママであり、HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)気質の持ち主。持ち前の繊細な性格に負けじと、育児にも仕事にも奮闘!そんなはるのさんは、繊細な性格ゆえに人見知りです。一方、息子のひーくんは、はるのさんとは正反対。 人見知りも物怖じもしないことから、はるのさんは、ハラハラドキドキすることも多いようで……。 とても社交的というか… ひーくんは保育園の先生の読み聞かせにも、お友だちにあいさつをするにも、さらにはお友だちのママに対しても前のめり! はるのさんは、そんな息子に振り回される反面、“人類皆兄弟”と言わんばかりの大らかな性格を肯定し、応援したくもなるのでした。 子どもだからこその奔放さにハラハラドキドキさせられながらも、「そのまま大きくなってほしい」と願うはるのさんの気持ち、まさに親心ですよね。 そして、人生経験ゆえでしょうか? 人見知りな性格かどうかにかかわらず、大人になると周囲の目が気になり、大きな声であいさつをすることさえ、恥ずかしいと感じることも……。 とはいえ、ひーくんのように元気いっぱい、朗らかなあいさつは、周囲を明るくしてくれます。そう思うと、誰とでも分け隔てなくコミュニケーションをとれるひーくんのことを見習いたいですね。 著者:マンガ家・イラストレーター はるの
2024年06月01日長女が1歳半のときのお話です。家ではよく言葉を発していた娘ですが、極度な人見知りで、外では言葉を発することがほとんどありませんでした。1歳半健診で自分の名前や指さしの受け答えがあると聞いていた私は、娘が初めて会う人と会話できるかと心配していました。そして健診当日を迎え……。ひと言も言葉を発しない娘健診のあとにそのまま実母と予定があったので、私と娘と実母の3人で会場へ行き、順番が呼ばれるのを待っていました。 娘の番になり、身長や体重などの身体測定のあと、別室でついに担当の保健師さんとの面談。やはり娘は名前を聞かれても、イラストを指さしされても、ひと言も発言せずに固まっていました。担当の職員さんも「普段、家では話すのよね?」と判断を迷っている様子でした。そんなとき……。 廊下にいる私の母を発見して…娘が、廊下で待っていた実母を見つけて「○○(実母の名前)さん!」、「ちて(来て)」と叫んだのです。すると実母は、廊下からうれしそうな顔で娘に手を振ってくれました。 そのあと保健師さんが再度、娘の名前を聞いても、イラストの指さしをしても、やはり娘はひと言も言葉を発することはなく面談は終了。しかし担当してくれた保健師さんは、「緊張しちゃったんだね。おうちでできていることもわかったので大丈夫」と言ってくれました。 何か娘の発達について指摘されるのではと不安に思っていた私は、実母のおかげで娘の普段の様子を見せることができ、ホッと安心しました。あとで実母にこのエピソードを伝えると、そんなことになっていたとはまったく気がついていなかったそうです。健診が終わった私たちを笑顔で迎えてくれた実母の顔を見て、何歳になっても母が一緒だとやっぱり心強いなと感謝した出来事です。 著者:河原りさ2016年生まれと2018年生まれの女の子2人、2024年生まれの男の子のママ。花屋に勤務。都会のおでかけスポットや植物に関心あり。監修者・著者:助産師 松田玲子医療短期大学専攻科(助産学専攻)卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務。 大学附属病院で助産師をしながら、私立大学大学院医療看護学研究科修士課程修了。その後、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。
2024年05月24日娘が5カ月くらいのころの話です。田舎暮らしの私たちの移動手段は、もっぱら車でした。しかし、娘はチャイルドシート拒否が激しく、なかなかおとなしく座っていてくれません。その日も、泣き叫ぶ娘をおさえつけてチャイルドシートに乗せていた私。するとそこにたまたま通りかかった高齢の夫婦が「ちょっと君……」と声をかけてきたのです……。 ご夫婦がかけてきた言葉「虐待じゃないか……?」 近くを通りかかった高齢の夫婦から言われた言葉に、私はしばし呆然。 「あんなに嫌がっているんだから、無理して乗せることもないでしょうに」「助手席に乗せてあげればいい」 のけぞって泣き叫ぶ娘。本当にチャイルドシートを嫌がっていることは私だって重々承知です。 しかし、万が一事故に遭ったら?そのときに限ってチャイルドシートに乗せていなかったら? でも、娘の嫌がることを強制するのは虐待なのかもしれない……とも思ってしまった私。その日ももちろんチャイルドシートに娘を乗せましたが、数日間はあのご夫婦から発された「虐待」という言葉が頭から離れませんでした。 夏は背中に保冷剤を入れてみたり、車ハンドルのおもちゃを置いてみたり、運転中は歌を一緒に歌ってみたり……。試行錯誤を繰り返しましたが、娘のチャイルドシート拒否は1歳半ごろまで続きました。 2歳を迎える前には、お菓子を食べながらであればご機嫌でチャイルドシートに乗ってくれるようになりました。車に乗る前に必ずといっていいほど「お菓子は?」と聞いてくるようになってしまいましたが……。 嫌がる子どもにチャイルドシートを強制するのは心が痛みますが、命を守るためには必要なこと。周りに何を言われようとも、わが子の命を最優先に考えるべきだと思っています。 ※6歳未満の乳幼児には、道路交通法でチャイルドシートの着用が義務付けられています。座席の構造上の問題で設置できない場合などに着用免除となることもありますが、チャイルドシートは子どもの命を守る「命綱」。大切な子どもの安全を守るために、大人が責任をもって正しく着用させましょう。 著者:山田花子/30代女性・主婦。2歳の娘を育てる専業主婦。旦那は多忙で毎日ワンオペ中。息抜きは夜のビール。イラスト:まげよ ※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています
2024年04月26日現在3歳になる娘は、生後3カ月のころから保育園に通っています。当時夫が失業しており、私は産後2カ月で仕事復帰しました。認可保育園は空きがなく、藁にもすがる思いで入れた認可外保育園。娘は当時最年少だったこともあり、先生はもちろん、上の年齢の子どもたちも娘をとてもかわいがってくれました。しかし、保育料が高いため、保活を継続していたわが家。娘が2歳のときに、無事、認可保育園へ転園することができました。しかし、私は転園を後悔することに……。生後3カ月から通った保育園を2歳で転園通っていた園はとても良い保育園でしたが、認可外ということもあり保育料が高く、経済的に余裕のないわが家は認可外に通わせながらも認可保育園への保活を継続。娘が2歳になったタイミングで、なんと地域で一番人気の認可保育園への入園が決まりました。 通い慣れた環境から引き離してしまうことに不安はありましたが、娘も「新しい保育園行く!」と楽しみな様子。さらに娘はあまり人見知りしない性格で、初めて会う人に対しても自ら積極的に接することができたため、きっと新しい環境でも大丈夫だろうと、このときは考えていました。 娘の様子に転園を後悔転園して1週間ほどたったころ、「保育園に行きたくない。前の保育園がいい」と娘が言うようになりました。前の保育園ではとても活発で自由奔放に過ごしていた娘でしたが、新しい園では、常に緊張しながら過ごしているとのこと。すっかりおとなしくなってしまった様子です。 もともと保育園が大好きだった娘の変化に私は、「転園は娘にとってマイナスだったのではないか……。金銭的に無理をしてでも今までの園に通わせてあげればよかった」と激しく後悔するようになりました。 時間と共に環境に適応していく娘にひと安心そんな思いを抱えながら過ごしていましたが、半年ほどすると環境に慣れてきたようで、徐々に「今日は○○ちゃんと遊んだ」、「○○が楽しかった」など、楽しい報告が聞けるようになりました。 転園当初は先生の間でも「おとなしい子」として扱われていた娘ですが、今ではクラスで一番のおしゃべりになっているそう。再び以前のように楽しそうに保育園に通う娘の姿を見ることができて、心の底から安心することができました。子どもには順応力があるのだなと驚かされました。これからも娘の力を信じて見守っていきたいと思います。 不安と後悔でいっぱいの転園でしたが、時間の経過と共に子ども自らの力で適応していってくれました。今ではすっかり転園先の保育園になじみ、毎日いろいろなことを学んできています。この先もきっと、環境が変わるたびに親は心配で心がいっぱいになるのだろうなと思いますが、子どもの適応能力を信じて乗り越えていこうと思います。 著者:南星 花監修者・著者:助産師 松田玲子医療短期大学専攻科(助産学専攻)卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務。 大学附属病院で助産師をしながら、私立大学大学院医療看護学研究科修士課程修了。その後、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。
2024年04月08日保育士の中田馨さんが、保育士から見た、ママ友付き合いが「じょうずな人」と「苦手な人」について詳しく教えてくれました。子どもが園に通っていると、どうしてもママ友との関わりが出てきますよね。人付き合いが苦手という方にとっては、悩みの種になることも……。保育士目線でのお話、ぜひ参考にしてくださいね。こんにちは! 保育士の中田馨です。子どもが人生で最初に社会に出るのが、保育園や幼稚園というご家庭も多いかと思います。子どもが社会に出ると必ずついてくるのが「親同士の関わり」です。 保育所での保護者同士の対応を見ていたら、「あぁ、このママはママ友付き合いがじょうずそうだな」と感じることが多々あります。実は、私自身が「人見知り」なので、ママ友付き合いがとっても苦手だった親の一人です。 今回は、保育現場や私自身のママ友付き合いから見える、ママ友付き合いが「じょうずな人」と「苦手な人」のお話をします。 分け隔てなく「あいさつができる人」まずは、分け隔てなくあいさつができるママに出会うと「わぁ、この方なんて素敵なんだ」と思います。それほどお話ししたことがないのに、ニッコリ微笑まれて「おはようございます」と言われたら、朝からすがすがしい気持ちになるものです。 毎日、何度もあいさつするうちにそれが習慣になれば、あいさつすることへのハードルは下がるものですが、私のような人見知りは「最初のあいさつ」へのハードルがものすごく高いのではないかと思います。 「最初のあいさつ」をあまりに緊張して「おはようございます……」と言ったものの、か細い声すぎて相手に届かず、一人落ち込んでしまう……という経験、私は何度もしています。 そこで、私なりに決めたことは「相手と目を合わせる」こと。目が合えば、か細い声でもあいさつが届くことが分かったからです。ママ友とすれ違うときは、目線を上げて目を合わせることからスタートしてみてください! 相手の子どもの「気になる部分を言わない人」「〇〇ちゃんって、落ち着きがないよね」、「○○君って、引っ込み思案だよね」、「1歳過ぎてもまだ、ハイハイなんだね」。もし、自分の子のことを、ママ友にこんな感じで評価されてしまったら? 少なからず、ショックを受けるのではないかと思います。 言った本人は、きっと評価するつもりはなく、感じたままの感想を言っているのだと思いますが、子どもの性格や発達面はナイーブな部分でもあります。なので、「そう」感じてしまったとしても「言わないほうがよい」でしょう。 保育士の中田目線で見てみると、「落ち着きがないは、元気いっぱい!」、「引っ込み思案は、よく周りが見えている」、「1歳過ぎてもハイハイをしているのは、足腰を鍛えているところ!」。どうですか? 少し考え方を変えると、気になるところが、気にならなくなりますよ。 相手の子の「気になるところ」を見つけたときは、頭の中でこういった変換をしてみてもよいかもしれませんね。 相手の「子育てに口出ししない人」子育ての方法は、各家庭によって本当に違います。私の子育てだって、きっとほかのご家庭から見ると「変なことしているなぁ」と思われることでしょう。子育てのアドバイスをみなさんに伝えている私も、自分の子育てに自信満々? かと言われるとそうではありません。今も思春期の娘へ「これで正解だったかな?」と日々の選択に、多少の不安を抱きながら対応しています。 毎日毎日おこなわれている、子育ての大小の選択は、ママ自身が「こうしよう」と悩みつつも決定してきたこと。それに対して「こうしたほうが良いんじゃない?」、「うちの場合はこうしているけれど」などと、聞いてもいないのに言ってこられたらどうでしょう? 時には、傷ついてしまうこともあるのではないかと思います。 相手の子育てには口出ししない。と言うのは大原則。ただ、相手が悩んで相談してきたら「どうしたらいいかな」と、寄り添って話を聞いてあげるのがよいでしょう。 ママ友付き合いが苦手な方へ「私って、ママ友付き合いが苦手だな」と感じているママさん。最初に書いたように、私もママ友付き合いが苦手な母の一人です。子どもが中学生になっても高校生になってもそれは変わりません。 ただ、すれ違うときは目を合わせてあいさつすることは、今も大切にしています。それに加えて、無理に話をしようとしない、無理にお付き合いしようとしないことも大切かなと思います。 無理すると最初はよいですが、だんだん気持ちがしんどくなってくることもあります。本当に気の合う人は、無理をせずとも自然に会話が弾むはず。会話が弾んだら「じゃあ、今度一緒に遊びましょう!」となってきます。きっと、みなさんにも1人、2人とそんな自然に会話が弾むママ友ができるはずです。 ママ友は作るものではなく「自然にできる」ものではないかな? と思います。焦って「ママ友付き合いをじょうずにしよう」と頑張り過ぎてしまったり、子どものためにママ友を作ろうと思わなくて大丈夫ですよ。 著者:保育士 一般社団法人 離乳食インストラクター協会 代表理事 中田家庭保育所施設長 中田馨0~2歳対象の家庭保育所で低年齢児を20年以上保育する。息子が食べないことがきっかけで離乳食に興味を持ち、離乳食インストラクター協会を設立。現在は、保育士のやわらかい目線での離乳食の進め方、和の離乳食の作り方の講座で、ママから保育士、栄養士まで幅広く指導。離乳食インストラクターの養成をしている。
2024年03月21日友だちのふりをした敵、「フレネミー」。ほとんど接点のないような人から悪口を言われたり、その根も葉もない悪口を告げ口されたり……。根っからの人見知りを自称するナエくまさんが中学生のときに経験した、フレネミーによる“理不尽”の数々をマンガ化!そのフレネミーの1人が、同じクラスの胡内さん。胡内さんは学校のルールどおりに給食のゴミ袋を手渡したナエくまさんに、「にらんできた」と濡れ衣を着せてきた人物です。それがある日のこと、ひとりで登校するナエくまさんに胡内さんが声をかけてきたことから2人は友だちの関係となり、さらには胡内さんから誘われ、一緒にクラスの英語係になることに。英語の授業は毎日のようにあるため、英語係はなかなかに面倒。 特に人見知りのナエくまさんは、ひとりで職員室に行くのも苦手なのですが……。 体調を心配すべきなのだが… 胡内さんが学校をお休みすると、英語係の仕事をするのはナエくまさんひとり……。 根っからの人見知りのナエくまさんは英語の先生を迎えに行くたびにガチガチになってしまい、「今日は来て!」と神頼みするのでした。 休みを繰り返す胡内さんのことも心配ですが、ひとりで職員室に行く緊張感を理解できる人も多いのではないでしょうか? 大人ばかりの職員室は、同じ校内でもちょっと異質な雰囲気が漂っていましたよね。 その異質さに緊張する人がいる一方、たまに職員室に行く機会が発生すると、不思議とわくわくしたり、何はなくとも怒られそうな感じがしてしまい、萎縮したりした思い出のある人もいるはず。 “職員室”という場所にどんな思い出があるのか振り返ってみると、これまで忘れていたエピソードがよみがえってくるかもしれません。 >>次の話 著者:マンガ家・イラストレーター ナエくま
2024年02月08日自閉スペクトラム症(ASD)とは?ASD(自閉スペクトラム症)は、社会的コミュニケーションや対人関係の構築が難しい、また常同的・反復的行動が多くみられる、乳幼児期に出現する精神発達の障害です。普段と違うことを嫌がる、大きな音や光などへの感覚の過敏さがあるなど、「強いこだわり、感覚の過敏さまたは鈍麻さ」という特性もあり、知的障害(知的発達症)を伴うこともあります。症状の程度はそれぞれの人によって差があるため、スペクトラム(spectrum:範囲や連続体など幅を持った分布の意味)として診断されるようになりました。参考:傳田 健三著「自閉スペクトラム症 (ASD) の特性理解」『心身医学』57 巻 (2017) 1 号 P.19-26ASD(自閉スペクトラム症)は生まれつきの脳障害で、脳内の情報処理の仕方に障害があるといわれていますが、その原因はまだ分かっていません。この時期の成長や発達には大きな個人差がありますが、1歳でASD(自閉スペクトラム症)であると診断される指標として、・共同注意場面において「指さし」や「(他者の)指さし方向に顔を向ける」行動が出にくい・「他者の顔を見てほほえむ」などの社会的行動が出にくい・定型発達の1歳児にみられる「関心の共有」に興味を持ちにくいなどがあげられます。次章以降で詳しく紹介します。参考:横山佳奈、吉田翔子、永田雅子著「自閉スペクトラム症児への早期介入における現状と展望」『名古屋大学大学院教育発達科学研究科紀要 心理発達科学(Web) 』66巻 (2020) P.7-16参考:自閉症Q&A|厚生労働省1歳児の発達の目安って?定型発達児における、1歳頃の発達の目安としては、・歩き始め、手を使い、言葉を話すようになる・身近な人や身の回りの物に自発的に働きかけていく・歩く、押す、つまむ、めくるなど、さまざまな運動機能の発達や新しい行動の獲得により、環境に働きかける意欲を一層高める・物をやり取りしたり、取り合ったりする・おもちゃ等を実物に見立てるなどの象徴機能が発達し、人や物との関わりが強まる・大人の言葉を理解するようになり、自分の意思を親しい大人に伝えたいという欲求が高まる・指さし、身振り、片言などを盛んに使うようになり、二語文を話し始めるなどがあげられます。参考:保育所保育指針解説書 |厚生労働省ASD(自閉スペクトラム症)の特性は1歳児でも表れる?--違和感や発達の遅れ、気になるサイン1歳児は言葉の表出がまだまだ乏しいため、日常の中で気になる行動を見逃さないことが大切です。1歳頃に表れる、気になる発達の遅れやサインとは、どのようなものがあるのでしょうか。1歳児の気になる発達の遅れ、1歳児に表れやすいASD(自閉スペクトラム症)の特性として、・目が合いにくい、呼ばれても反応しない・社会性、言葉の発達(喋るのが遅い)などが表れやすい傾向・睡眠の問題(寝つきが悪い、途中で目が覚める、夜泣き)・人見知りがなさすぎる、あるいは人見知りが強すぎる、場所見知りが強いなどがあげられます。子どもにASD(自閉スペクトラム症)があるかどうかの診断において、厚生労働省は1歳6ヶ月児健診でM-CHATという質問紙を使用した「スクリーニング検査」を推奨しています。対人(対象物)関係や行動面(こだわりや常同行動など)、日常生活における反応や行動を、保護者から聞き取ります。・ほかの子どもに興味がありますか?・何かに興味を持った時、指をさして伝えようとしますか?・あなたのすることをまねしますか?(バイバイや拍手など)・名前を呼ぶと、反応しますか?など、実に20項目にわたり、将来において社会性の重要な基盤となる「非言語の対人コミュニケーション行動」を確認します。成長は個人差が大きいこともあり、M-CHATでASD(自閉スペクトラム症)の可能性が高いとされた1歳児のすべてがASD(自閉スペクトラム症)と診断されるわけではありません。また、基本的にM-CHATは保健師などがチェックするものであり、保護者自身がチェックするものではありません。参考:「改訂乳幼児期自閉症チェックリスト修正版」M-CHAT-R_F_Japanese.pdf(mchatscreen.com)1歳児に表れることの多いASD(自閉スペクトラム症)の特性による症状Upload By 発達障害のキホン※成長の個人差は大きいので、すべてに当てはまる、あるいは当てはまる項目が多いからといって「ASD(自閉スペクトラム症)である」というわけではありません。どこに相談や受診をすればいい?保護者ができることとは?1歳児は成長の個人差がとても大きく、発達の振れ幅が多い時期ですが、育てづらさがあったり、「この子に合ったよりよい関わり方を知りたい」と思ったら、まずは自治体の保健師さん・保健センターに相談しましょう。それ以外にも保健所や療育センターなどでも相談できます。参考:「1歳を迎えるお子さんをもつ保護者の方へ」|国立障害者リハビリテーションセンター子どもの発達について不安に思った場合は日常の様子をメモするなど、記録に残しておくことも大切です。保護者が見たこと、感じたことは何より重要な資料であり、それが早期発見、早期療育にもつながります。ただし、1歳児は成長・発達の個人差が一番大きい時期ともいえます。過度に心配したり気にしすぎたりせず、様子を見ながらおおらかな気持ちで接することも大切です。(監修:新美先生より)1歳頃のお子さんを育てるうえで、「1歳の子どもはこうであるべき」「1歳の子どものしつけはこうするべき」ということにとらわれ過ぎる必要はありません。うちの子はこういうことに興味があるんだな、こういうことをしていると楽しそうだな、こういう場面で困っているな、こういうシチュエーションは不安になるんだな・不快なんだなというお子さんの興味や苦手を探して、好きなこと興味ある活動を増やして、不快を減らして安心を増やすという方向性で関わっていけば間違いはないかなと思います。その中で、睡眠がとれない、癇癪が強すぎるなど、親子が生活しづらい困りごとがある場合は、相談機関に早めに相談するのもよいと思います。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年02月02日私と1歳違いのいとこが亡くなりました。いとこは小学生のときに両親が離婚し、その後唯一の家族だった叔母も病気で他界しています。仕事中に突然倒れてそのまま帰らぬ人になって、遠縁ながらもわが家に連絡がきたのです。驚いたのが、いとこには10歳になる娘がいたこと。結婚せずに、今まで女手一つで誰にも頼らずに育ててきたようでした。いとこの娘・ハナは、母親を亡くしてひとりぼっちになってしまいました。いとこの訃報いとこの訃報を受け、私たちは慌てて葬儀場へ向かいました。そこには親族席にぽつんとひとり座っている女の子の姿……。私はすぐにその子がハナだとわかりました。 私はそのとき独身で、絵本作家を夢見て絵を描く日々を送っていました。どちらかというと人見知りで、初めて会う人には話しかけることができません。ハナに話しかけるにも勇気がいったのですが、小さく丸める背中を見て、声をかけずにいられませんでした。 私は自分がママのいとこだと伝え、葬儀中ずっとハナの手を握って寄り添っていました。葬儀の間中も、親戚中の話題は「誰がハナを引き取るか?」ということ。引き取りたいという人はおらず、このままでは児童養護施設に保護されるしかないようです。 では私が引き取れるかというと、そんなに簡単な話ではありません。絵本作家になる夢も叶えたいし、これから結婚することになったとしたらハナの存在が邪魔になるかもしれません。それに子どもをひとり引き取るには、多額のお金がかかります。 しかし、ハナを置いて帰ろうとはどうしても思えません。私は、思いきって「わが家においで」とハナに言いました。 同居生活がスタート戸惑いながらも、同居生活がスタート。人見知りの私と遠慮がちなハナの会話はぎこちなく、なかなか打ち解けることができません。何かきっかけがつかめればと思い、私は自作の絵本を読み聞かせてみましたが、反応はイマイチでした。 しかし数日後、学校にハナを迎えに行った私は、楽しそうに鳥を追いかけながら笑う彼女の姿を見かけました。帰宅後、その様子を絵に描いてあげると、ハナは大喜び! これをきっかけに、心を開いてくれるようになり、わが家で正式に引き取ることが決まりました。 子育てを通じて学んだものそれからしばらくして、私はハナをモデルにした絵本を描こうと思いつきました。両親を失った少女が鳥の気持ちがわかる能力を持っていることに気づき、鳥たちと心を通わせながら強く生きていく……。そんなお話です。 一気に描き上げ、さっそく本人に見てもらうと「読んだ後に心がほっこりしてきて、幸せな気分になれた」と言ってくれました。そして、自分と同じように悲しみと寂しさを抱える人に読んでほしいと……。その言葉を聞いて、私は出版社へ持ち込むことにしました。 作品を読み終えた担当編集者からも絶賛され、ついに私の作品が本屋に並ぶことに! その絵本はベストセラーになり、私はプロの絵本作家になるという夢を叶えたのでした。 ハナを引き取らなければ叶わなかった私の夢。『子どもを引き取る』という決断は、私にとって決して軽いものではなく、実際にたくさん苦労し、お金もかかりましたが、ハナの子育てを通じて、私はたくさんのことを学びました。 その経験が、私の作品に良い影響を与えたことは間違いありません。子どもを育てているようで、保護者もたくさんのことを学んでいるのですね。 著者:ライター ベビーカレンダー編集部/ママトピ取材班
2023年12月22日人見知りはいつから始まる?人見知りの原因とは?赤ちゃんが普段接している養育者以外と接するときに、ぐずったり泣き出したりと人見知りが激しくて困っている方もいらっしゃると思います。人見知りは子どもが発達していく過程で、人を区別できるようになってくると起こると言われています。目安としては生後6~9ヶ月頃から始まり、2~3歳頃になるとおさまってくることが多いようです。ただ、子どもの発達には個人差が大きいため、下記の月齢はあくまで目安としてください。赤ちゃんは、生まれた頃はまだ視力も発達しておらず、身近な大人の姿もよく認識できていません。生後6ヶ月頃になってくると、養育者など身近な人の顔を判別できるようになってきます。あやしてもらうと喜んだり、養育者にしがみついたり、あとを追うようになったり、大人とのやり取りを楽しむ様子が見られるようになります。子どもと養育者は、このようにして愛着を築いていきますが、特定の大人との愛着関係が強まっていくことで、それ以外の慣れていない人と接すると、不安が高まり接触を避けたり泣いたりといった様子を見せることがあります。8~9ヶ月頃になると、多くの子どもが人見知りをするようになります。人見知りの激しさは子どもによって差があり、目をそらすといった消極的な場合から、泣き叫ぶなど激しい様相を呈する場合もあります。また、初対面ではなくても、あまり会う機会のない祖父母などの大人に対して、それまでは人見知りしなかったのに、急に人見知りをするようになる場合もあります。このように、人見知りは子どもが人を識別できるようになったことと、特定の大人との愛着関係ができたからこそ生じる状態と言えます。それまでいろいろな人と接していたのに、急に人見知りが始まると戸惑うかもしれませんが、子どもの発達の自然な過程なのであまり心配しないようにするといいでしょう。人見知りはおおよそ10ヶ月~1歳半頃が最も激しく、2~3歳頃になる頃には落ち着いてくると言われています。これは、10ヶ月~1歳半頃は愛着の対象である人(多くは養育者)が離れることに不安が強くなる時期だからです。そのため、慣れない人と接する場面では不安感からより人見知りが激しくなることが考えられます。その後、子どもがさまざまなコミュニケーション手段を獲得し、他者と関わる機会が増えていくことで次第に人見知りもおさまってくるようになります。参考:お母さんと子どものコミュニケーションのために|厚生労働省参考:保育所保育指針解説書|厚生労働省参考:分離不安および人見知り|MSDマニュアル家庭版人見知りが激しい子に特徴はある?人見知りの程度や行動は個人差が大きく、まったく人見知りしないという子どももいれば、激しい子どももいます。人見知りが激しい場合、「話しかけられただけで泣き叫ぶ」「養育者以外が抱っこをすると泣く」「ほかの人の顔を見ただけで「怖い」と養育者に抱き着く」「養育者の陰から出てこない」など、比較的ささいなことでも大きく反応します。また、泣いている時間も子どもによって差があり、一度泣き出すとなかなか泣き止まず、養育者が困ってしまうということもあります。このように人見知りが激しく、外で泣き叫んでいるときなどは「何とかしなくては」と焦ってしまうこともあるでしょう。そのときに叱責するなど無理に泣き止ませるのは逆効果になることがあります。人見知りは養育者との関係がうまくいっているからこそ起きるものです。泣き続けている場合は、子どもが普段触れ合うことの多い人が抱っこをするなどをして、安心感を感じられるようにするといいでしょう。参考:親子の関係|東京都生涯学習情報人見知りが激しい場合、発達障害などの可能性がある?人見知りは子どもの発達の過程で生じるものと分かっていても、程度によっては「何かほかに原因があるのでは」「発達障害の影響かも」と感じることがあると思います。ですが、発達障害があるから人見知りが激しくなるというわけではありません。しかし、発達障害があることで不安が強く、そのことが人見知りの程度に影響を与えることは考えられます。人見知りが激しい以外にも、気になる行動や特性が見られた場合は専門機関へ相談してみるといいでしょう。発達障害のある子どもに見られる特徴例・癇癪が激しい・自分のことに夢中になり友達と遊ぶことが少ない・慣れない状況や急な変更に不安が強い・感覚過敏がある(著しい偏食、特定の音を過剰に嫌がる、ある洋服の素材を嫌がったり洋服のタグを嫌がったりする)・歯磨き、着替えなどの身辺自立が遅れがちここで挙げた特徴はあくまで一例です。人見知り以外にも発達で気になる様子がある場合は以下の機関に相談してみるといいでしょう。発達の気になる子どもの相談先・かかりつけの小児科・専門の医療機関(療育センター、児童精神科、小児神経科など)・市町村保健センター・児童相談所・子ども家庭支援センター・発達障害者支援センター対面だけでなく電話やインターネットを通じて相談できる場合もあります。WEBサイトなどで確認してみるといいでしょう。参考:支援者のための地域連携ハンドブック~発達障害のある子供への対応~|東京都保健医療局まとめ慣れていない人と接するときに、避けたり泣き叫んだりといった人見知り。子どもの人見知りは6ヶ月頃から現われて、2~3歳頃まで続くと言われています。いつまでも泣いていたり、それまで仲良くしていた人にも人見知りするようになると「困ったな」と感じるかもしれません。しかし、人見知りは養育者と愛着を形成できているからこそ起こる状態で、子どものコミュニケーション手段が増えることで自然とおさまってきます。しかし、人見知りの程度や期間が気になったり、ほかにも発達で気になる様子がある場合は、背景に障害などが隠れていることも考えられます。心配な方はかかりつけの小児科や保健センターなど専門機関に相談してみるといいでしょう。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2023年11月22日良く言えばにぎやか、悪く言えば騒がしい義母。出産時の面会やお宮参りでもハイテンションでおしゃべりしてしまい、周囲から注意されたことも。私は、いつも聞き役に回って疲れるうえ、大きな声で周りに迷惑かけていることもあるため恥ずかしいと思っていました。そんな義母が2歳の娘に及ぼした影響とは? 超ハイテンションな義母に娘のリアクションは?義母は出産の面会時やお宮参りなど、静かにしないといけない場面でも大声で話してしまい注意されることもあるくらい、いつもテンションが高い人です。年3回の帰省時にも終始おしゃべりが止まらず……。聞き役の私は、帰ってきてからドッと疲れて寝込むほどでした。 それに反して、静かな環境のわが家。夫は、常にテンションが一定で物静かなタイプです。私もおしゃべりなほうではないため、夫婦のコミュニケーションはかなり落ち着いています。そのせいかはわかりませんが、娘は2歳になってもなかなか言葉が出ず、家族以外の人の前ではいつも人見知りしながらモジモジ。そんな控えめな娘を見て私は「周りと馴染めるようになるかな? 大丈夫かな……」と少し心配していました。 そんな中、お盆休みに義実家へ5日間滞在することが決定しました。義母は私たちを迎えるとすぐにおしゃべりをスタート。2歳の娘に対しても、ずっと話しかけたり、遊ぶ様子を実況中継したりとにぎやかでした。娘は初日こそ人見知りしていたものの、だんだんと義母のテンション高く話す様子が楽しくなったようです。滞在中、義母と一緒のときは、ほとんど大笑いしていました。そして最終日には、なんと発する言葉が増えたのです! 義母のマシンガントークに疲れることもある私ですが、娘に良い影響をたくさん与えてくれていることに気づき、今では感謝しています。わが家でも会話の時間をもっと増やして、楽しく娘の語彙力を伸ばしていきたいです。 著者:野々村りん/30代女性・主婦。夫と恥ずかしがり屋の娘の3人家族。日本酒好きで、週末の晩酌が息抜きとなっている30代ママ。作画:Pappayappa ※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています
2023年11月08日1歳半になる息子は、いつになっても義父母に会うと怖がって泣いてしまいます。その理由の1つが義父母の息子への対応だと気づいた私たち夫婦は、息子への対応の仕方を変えてもらうように義父母へお願いしてみたのですが……。そんな中、姉の助言で私自身も学んだ体験談をご紹介します。義父母に怖がる息子義父母はとても個性的なキャラクターの持ち主だと私は感じていました。 小さな子どもは両親以外の大人に慣れていない可能性もあるので、静かに落ち着いて話しかけてくれたり息子の反応を待ってくれたりする方もいるなか、義父母は息子の気持ちなどお構いなし。大きな声で話しかけたり、嫌がっているのに無理やり抱っこしたりするので、息子はいつも義父母に会うと大泣きなのです。 親の私たちも「またか……」と息子を泣き止ませるのが大変でした。 夫が義父母へ注意しても……あるとき、夫が義父母に「息子には静かに声をかけてやってよ。怖がって泣くから」と注意しました。しかし、義父は「そんなの幼稚園に行ったらどうするんだ! 大声にも慣れないと入園時大変だぞ!」とまったく聞き耳を持たず。義母も相変わらず息子の人見知りも気にせず、「ほら! おいで! おばあちゃんとおもちゃ探しに行こ!」と嫌がる息子の手を引いて、最後に息子は泣く始末です。 普段、平日は私と2人きりで静かに過ごしている息子には義父母の対応は刺激が強いのかいつも泣いてしまうため、義父母に会うのがおっくうになっていきました。 私の考え方を変えてみる「もうちょっと息子寄りになって対応してくれたらいいのに……」と思い、姉に相談してみると、「世のなかにはいろいろな人がいるし、○○(息子)の刺激になっていいんじゃない? 成長とともに慣れてくるよ!」と意外な言葉が返ってきたのです。 義父母に会うたび泣く息子に気を取られて「もうやめてよ」と思っていた私も、姉の言葉で「息子の成長のためにもさまざまな環境や人に慣れさせることも大事だ」と考え直し、これも1つの社会勉強なんだなと思えるようになりました。 人に会う回数を増やしてみると……平日は家で仕事をしているため、息子と外へ出て人に会う機会がないことも義父母を怖がる1つの原因だと思いました。そこで私は、週末の子どもサークルへ参加することに。 最初のうちは、誰かが叫んだり大きな笑い声がしたりすると怖がっていた息子。しかし、10分ほど経つと他の子どもとおもちゃで遊ぶようになったのです。今ではたくさんの人に触れることで義父母にも慣れてくれるといいなと期待しています。 義父母を怖がって泣く息子に疲れていた私。「もう少しやさしく息子に対応できないのかな」と困っていましたが、今では義父母も多少やわらかい感じで息子をかわいがってくれているので、見守っていこうと思えるようになりました。息子も成長とともにいろいろな人がいて、さまざまな環境があるということを少しずつ学んでくれたらいいなと思います。 著者:岩見エリ/女性・主婦。2人の男児の母。看護師歴12年、フランスで出産し子育て中。 ※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています
2023年11月03日生まれた時から寝ない赤ちゃんだった娘。インターネットで検索すると「発達障害」の言葉が…わが家の自閉スペクトラム症(ASD)のある娘、しぇーちゃん(現在8歳)は、生まれた時から1時間以上はまとめて寝ない、母乳もミルクもあまり飲まない、立って揺らさないと泣き止まないという育てづらい赤ちゃんだったのですが、「手のかかるタイプなんだ」と思い子育てしていました。娘が生後1ヶ月の頃に「赤ちゃん寝ない」と検索すると発達障害関連の記事が表示されるので、早い段階で発達障害や自閉スペクトラム症という単語には出合っていました。それでも発達障害への確信に至らなかったのは、娘はかなりの人見知りで私と離れると泣き、後追いもよくしていたからです。例えテレビに夢中になっていても、私がトイレへ行くと毎回ハイハイでついてきたり、夕飯づくりで夫が面倒を見ている時も泣いて私を呼んでいました。今なら、発達障害の特性の現れ方は人それぞれということが分かるのですが、当時の私は、「人見知りや後追いがあるのだから、きっとこの子は発達障害じゃない……」と自分に言い聞かせていました。Upload By マミヤ生後10ヶ月で抱いた強い違和感。外出が怖くなり、娘と家に引きこもる日々しかし、生後10ヶ月で歩き出してから、だんだんと私の中で娘の発達に対して強い違和感を覚えるようになります。あんなに人見知りで後追いをする娘が、外へ出ると道端の石や階段やマンホールに夢中になり、私の存在など「動きを邪魔してくるモノ」という感じなのです。多動で手も繋がないし、呼んでも無視、目も合いません。帰りたがらないので毎回泣き叫ぶ娘を抱っこして連れて帰りました。家の中での娘は私にべったりなのに……外へ出ると別人のようになるのです。後から主治医の先生に言われましたが、娘は「人より物への興味が強い」という特性があるため、外では「たくさんの刺激になる物>母親」の構図になるようです。この特性は現在もしっかり残っています。なので公園に行っても「人より物」な娘はそこにいるお友達には興味がありません。むしろ公園へ行く手前のマンホールで砂を落とすことへ執着して公園へたどり着かずに帰宅することもありました。多動対策にベビーカーや抱っこ紐で公園へ向かう作戦もしましたが、信号で止まると脱出しようと暴れて泣くのでなかなか上手くいきませんでした。そして私はだんだんと娘と出かけるのが怖くなり、極力家に引きこもって日々を過ごしていました。保健師の叔母の言葉で娘の育てづらさを再認識。発達相談へUpload By マミヤある日、保健師をしている親戚の叔母さんから電話がありました。世間話をした後、叔母さんから「しぇーちゃんもあちこちお出かけして……子育て支援センターとかでお友達とたくさん関わらせたりいろんな人に会うといいよ。良い刺激になるからね」と言われました。その時は曖昧な返事をしましたが、内心「簡単に言うけど、私以外に話しかけられたら泣く、お友達に興味がない、外では多動で私の声が届かないし、帰る時は毎回泣いて帰れない……どうやって人と関わらせたらいいの!?支援センターなんてハードルが高くて行けないよ」と泣きそうでした。そして気楽に言われたことさえも「無理なこと言わないで」と思ってしまうほどの娘の「育てづらさ」を認識し、この時「娘は発達障害かもしれない……」という考えが頭をよぎりました。その後、娘は1歳半健診で要観察になりました。そこから逆さバイバイ、クレーン現象、オウム返しなどが出てきて「この育てづらさと自閉スペクトラム症の特徴、これが発達障害じゃなかったら逆に困る!」と思うほど確信を持って、娘が2歳になる前に保健所に自ら電話をかけ、発達相談の予約を取りました。保健所に連絡をして療育施設へ通所するようになってからの味方がいるような安心感、同じ仲間がいる心強さ……家にこもり親子2人でなんとか日々を過ごしていた時期を考えると、もっと早く発達相談をしたら良かったと思います。「発達障害」という診断がつくのは正直怖いという思いもありました。でも娘の現状を直視せず「この子は普通」と思い込みながらの子育てのほうが私にはつらく、娘の障害を認めてからのほうが笑顔でたくさん接することができるようになったと思います。Upload By マミヤ執筆/マミヤ(監修:新美先生より)1時間以上まとめて寝られないとは、生まれた時からとても大変でしたね。生後1ヶ月で発達障害や自閉スペクトラム症の単語に出合っていたとはさすがです。発達障害、自閉スペクトラム症などで調べると、インターネット上の記事や書籍には、いろんなタイプの発達障害・自閉スペクトラム症のお子さんの特徴が網羅的に書いてあるので、後に診断を受けるお子さんでも「すべてに当てはまる」と思われることはまずないようです。なので、「ここはうちの子に当てはまっているけど、こっちは違っているから、発達障害ではない」などと思ってしまうというのもよくあることです。それでも、お子さんをしっかり育ててよく観察をしているからこそ、やっぱり「育てづらいタイプの子どもだ」と感じられて、発達相談にアクセスできたのですね。発達障害の特性のあるお子さんは少数派ではありますので、そのことに気付かず子育てをしていると、周囲に理解してもらいづらく孤独感を感じることもあります。マミヤさんが書かれているように、発達相談・療育につながることで、仲間を見つけられて、お子さんに合った関わり方が分かり、親子の笑顔が増えたのはとてもよかったです。詳しく教えていただきありがとうございました。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年10月16日Upload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ赤ちゃんなのに歩行器で暴走。危な過ぎて歩行器はすぐ処分Upload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイわが家は母である私・ワッシーナを筆頭に、家族のほぼ全員が個性いろいろな発達凸凹タイプです。それぞれの特性をキャラクター化しており、動物の顔をしています。わが家で3番目に生まれた次女リスミーは、赤ちゃんの頃は夜泣きも人見知りもせず、ベビーベッドや畳の上でよく動き回る元気な女の子でした。上の子に比べてずいぶん育てやすい子だなという印象でした。生後半年が過ぎてハイハイができるようになったので、上の子が使っていた歩行器に乗せてみることにしました。すると歩行器にリスミーを乗せたとたん、ものすごい勢いで床の上を滑り回り、椅子や壁にぶつかりました。あぜんとする私の前で、リスミーを乗せた歩行器はどんどんスピードアップして、ふすまの小さな段差に激しくぶつかり、ひっくり返りそうになりました。リスミーを追いかけていた私は、リスミーが床に投げ出される寸前で、歩行器を止めることができました。ちょっとした恐怖体験でしたので、私は慌てて歩行器を処分しました。その日以来、速すぎるリスミーの動きには気を配るようにしていました。雑踏で迷子になっても楽しそう。母はトラブルに巻き込まれないか心配にUpload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ幼児期になるとリスミーは好奇心の強い、行動的な女の子に育ちました。ある日のショッピングセンターでのエピソードです。当時、子どもたちを連れて大型ショッピングセンターに出かけると、駐車場から出てショッピング・フロアに着くやいなや、4人の子どもたちはクモの子を散らすように、あっという間に駆け出していました。そうなると私はショッピングセンターの広いフロアを走り回って、子どもたち一人ひとりをつかまえることになります。落ち着きのない子どもたち4人全員を連れて買い物などできるはずがないのに、私は忘れっぽいので、何度でも同じ判断ミスをしてしまいます。もう二度と私一人で子どもたちを連れて買い物をしないと毎回心に誓うのですが、次の瞬間には忘れてしまうのです。その日も、いつものように走り回る子どもたちをつかまえましたが、次女リスミーだけが、どういうわけか見つかりません。途方に暮れていると館内アナウンスで迷子の案内がありました。「◯◯ちゃんと仰る3歳くらいの女の子をお預かりしています。保護者の方は~」というような内容でした。リスミーは、発音がたどたどしくて慣れない人には聞き取りができないので、違う名前がアナウンスされましたが、私はすぐに本人だと分かり、サービスカウンターに駆けつけました。すると迷子のはずのリスミーは、事務用椅子をクルクル回して楽しそうに笑っているのです。大泣きしているのではと心配して駆けつけた私はエンジョイしている様子のリスミーを見て、一気に力が抜けました。あとから聞いた話では、リスミーは自分からサービスカウンターにやってきて、スタッフの方に自分から「迷子です。お母さんを呼んでください」と伝えたそうです。この子はもしかして恐怖心がきちんと機能していないのではないか、と逆に心配になりました。大学病院で診断を受け、言語聴覚士のトレーニングを受けるUpload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ4歳になったリスミーは、約2年後に小学校入学を控えていました。ところが私には大きな悩みがありました。リスミーはこの時もまだ言葉がはっきりせず、特に「かきくけこ」の「か行」は発音できないままだったのです。そのため私は彼女の言うことの半分も聞き取れませんでした。私は、発音のたどたどしいリスミーがこのまま小学校に入学してしまうと、からかいや、いじめの対象になってしまうのではないかと恐れました。そのため、いろいろ調べて紹介状を入手し、大学病院を受診したところ「構音障害」であると診断を受けました。私は長女ニャーイの時から心の中に持ち続けていた疑問を確認してみました。「リスミーは発達障害ですか?」と聞いたのです。すると担当医は「まだ幼過ぎて発達障害の診断はできません。リスミーちゃんの構音障害は個性です。でも何もせずに放置しておくと、成長しても発音がうまくできなくなるかもしれないので、トレーニングをしましょう」との答えでした。それから定期的に通院し、言語聴覚士の指導のもと、さまざまなトレーニングを受けました。口や舌の体操をしたり、バ・タ・カ・ラの音をゆっくり繰り返し発音したり、ストローでコップの水を吹いたりしました。幼い時から始めるほど療育は効果が高くなる!?Upload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ通院で発語トレーニングを受けながら、言語聴覚士からは「自宅でもリスミーちゃんの言葉を聞き返したり、言い直したりは決してしないでください」と念を押されていました。家庭での指示を守りつつ、1年ほどトレーンングを続けていましたが、リスミーの発音には特に大きな変化が見られなかった、ある日のことです。リスミー、ニャーイ、私の3人で食事をしていると、いきなりリスミーが「ぱっぱすばすば」と言いました。聞き返すことを禁じられていたので、私はとても困りました。「ぱっぱすばすば」が何を意味するのかまったく連想できず、途方に暮れて、リスミーの隣の席のニャーイの顔を必死の形相で見つめ、SOSを出しました。するとニャーイは涼しい顔で、さらっと某アニメ映画のタイトルを答えました。この映画は家族みんなで観たばかりだったので、私も覚えていました。リスミーに向かって「おもしろい映画だったね。また観ようね」と声をかけました。すると、リスミーはうれしそうに笑いました。私は会話がつながったことに胸をなでおろしました。やがて小学校入学の直前でリスミーは課題だった「かきくけこ」がしっかり発音できるようになり、小学校に通い始めました。リスミーは発音がいまいち正しくないところがありましたが、私は「これもリスミーの個性」と捉えていました。また本人も「これはリスミー語なの!」と言っています。リスミーは、成長とともに発達凸凹の特性が目立ってきましたが、思春期に入ったあたりからは、トラブルの度に自分の工夫で乗り越えることができるようになっていきました。これは、きっと、わが家で一番低年齢から福祉や医療の支援に繋がり、専門家のトレーニングを受けたおかげだと思います。執筆/ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ(監修:森先生より)好奇心旺盛で、困ったら自分から大人に助けを求めることができる利発さがあるお子さんなのですね。良さをしっかり理解して伸ばしてあげていて素晴らしいです。構音障害も個性の一つとしてとらえながら適切なトレーニングを積み重ねてこられたので、お子さんは自信を持って成長することができたのでしょうね。トラブルを工夫して乗り越えることができるようになるためには、根本的な自信を育てながらトレーニングを重ねる必要があるのです。早くから専門家に相談することは、トレーニングを早期に開始できるという意味でも、保護者がお子さんへの接し方を学ぶという意味でも、とても良い効果があるのです。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2023年10月10日きょうだいで発達障害!? 長女と次女で異なる点前回は長女まゆみの持つ障害や特性を人にどう伝えているかをお話ししましたが、実はそれ以上に悩ましく感じているのが次女あずさの特性を人にどう伝えるかです。現在5歳の長女まゆみの場合は2歳10ヶ月のときに自閉スペクトラム症と知的障害の診断もばっちりついています。そして、1分も一緒に過ごせば「あ、何か障害がある子なのかな? 」と誰もが分かる言動なので、「どうしたら本人が生きていきやすいか」を考えたときに「周囲にもオープンにして理解を得ていこう」という結論に至るまで長くは悩みませんでした。一方、次女のあずさは「人見知りや物怖じをしなさすぎること」「癇癪の強さ」などから自閉スペクトラム症のグレーゾーンの指摘を受けているものの、2歳9ヶ月の今のところ診断はついておらず、知的な遅れもやりとりの困難さもありません。ただし、特定の場面になるとほかの子どもたちとの違いを感じることがあるので、少し注意が必要と言われている子どもです。そんなあずさが「どうすれば生きていきやすいか」はまだ模索している最中ですが、現時点での対応について書いていきます。Upload By にれ発達障害グレー2歳次女、あずさの特性小さな頃から場所見知りや人見知りとは無縁だったあずさ。好奇心も強く、市役所や保健センターなどの大きな建物では私が制止してもズンズンと探索行動を始めてしまうので、そうした点がまゆみと似ているなと思いつつ、「子どもってこんなものなのかな?」とも思っていました。けれどあるとき、長女の通う療育先の心理士さんに聞くとこんな答えが返ってきました。Upload By にれその後の検査と診察で自閉スペクトラム症グレーの指摘を受けたのですが、物怖じをしなさすぎる特性は2歳9ヶ月になった今も健在です。見知らぬ人に自分から声をかけたり、振り返るとハトを捕獲していたり、動物園ではヤギの口に手を突っ込みにいったりする様子が見られます。危険なときや相手に迷惑がかかりそうなときは止めているのですが、警戒心や恐怖心はどこへいったのだろうと本当にヒヤヒヤします。困難を感じる「待つ場面」このあずさの『ドンドンいったれ特性』によって困るのが、健診などの待ち時間です。先頃、2歳半児向けに市の歯科健診があったのですが、40組ほどの親子がひしめく待合室という非日常空間にあずさが大興奮してしまいました。騒がないようにと持参したタブレットに見向きもせず、「ここでお待ちください」と案内された1m四方ほどの待ちスペースを飛び出していくあずさ……。Upload By にれほかの親子さんたちの迷惑になるので何度も自分たちのスペースへ連れ戻すのですが、その都度「ママ、や~め~て~」「あずちゃんはあるきたいの!」「はなして!」とひとしきり抗議の声を上げてすぐにまた走っていってしまいます。だんだん私もイライラしてきて、「今は待つ時間!お願いだからママとここにいて!」と語気が強くなってきたとき、私たちのスペースの目の前で身長体重の測定が始まりました。あずさの目が輝きます。数人の保健師さんが子どもたちを測定しながら「じっとできて偉いね~」と褒めているのを確認すると、あずさも拍手しながら立ち上がって「じょうず!えらいえらい!よくできたね~!」とよそのお子さんたちにエールを送り始めました。たしかに私たちのスペースからは出ていないのですが……保健師さんサイドに回ろうとする2歳児の姿が面白く映ったのか、保健師さんや周りの人もクスクス笑っていました。困ったことに、静かにすることを促すと「いや!」と叫んで走り出してしまうので、何度か脱走を繰り返しながら、結局あずさの「褒め係」は私たちの番号が呼ばれるまで続きました。歯科健診の日、40組の親子の中では多少ウロウロしているお子さんもいましたが、ダントツで私とあずさがバタバタしていました……。言葉の発達と共に癇癪が落ち着いてきていたので、近頃は「もう定型発達と変わらないんじゃ?」と感じていたのですが、待合での様子は「やっぱりほかの子と違うところもあるな……」と改めて思う出来事でした。明るくて人懐こいのはよいことなのかもしれませんが、「人類みな兄弟!」と言わんばかりのあずさの人との関わり方は、適切な距離感が分からないのではないかと少し心配しています。まゆみの場合、こうした場ではヘルプマークをつけたり、「障害があります。困っていたら助けてください」と印刷されたテープを背中に貼ってさりげなく周囲にも事情が分かるようにするのですが、あずさの場合は少し考えてしまいます。障害というほどではないけれども困っているのは確かで、困っているけれども言葉が通じるので何とかなりそうな気がしてしまうのです。それに困っているのは私だけで、今のところ本人は困っていないのも悩みどころです。性格なのか特性なのか、このお調子者でグイグイいってしまうところを診断もなしに人にどう伝えていいかも分かりません。相手によって伝える・伝えないを使い分けることに通常のやりとりでは困らずに受け答えができるため、現在のところ、伝える必要のない人にまであずさの特性を話すことはしていません。まゆみのケースとは正反対になるのですが、あずさのことをよく知らない人に「特性がある」と伝えることで、逆に誤解や憶測を招くのでは?という懸念があるからです。一方で、関わる中で特性を目にするかもしれない祖父母世代や仲の良い友人たちにはありのままを伝えています。祖父母はともかく、友人たちはみんな「えっ?あずさちゃんが?全然分からなかった」と言ってくれるのですが、通常のつき合いでは気づかないくらい特性の出る場面が限定的ということなのでしょう。今は療育園に通っていますが、来年からあずさが保育園の年少クラスに通うようになれば、あずさの特性のことは園にも伝えるつもりでいます。長い保育時間の中であずさの特性が強く出る場面があるかもしれないので、定型発達の子どもと同じ対処では上手くいかない可能性があることを先生方にも知ってもらっていたほうが、あずさにとって良い園生活が送れるだろうと思うからです。あずさの特性に対し、ひとまずわが家は「周りの人が困るかもしれないので、あずさと日常的に関わる人には伝えておく」という方針になりました。関わってくれる人も予備情報があるほうが安心でしょうし、知っておいてもらうことであずさの助けになることもあると思います。激しかったあずさの癇癪が落ち着いていったように、積極的すぎる特性も落ち着いて、この先の集団生活で困らないくらいになるといいなと思います。本人も周りも困らなくなれば、当然ですがカミングアウトについて頭を悩ますこともなくなります。好奇心旺盛なところも人と関わろうとするところも、節度さえ守れれば長所になると思うので、私もあまりダメダメ言い過ぎずにほどよい加減を教えていきたいです。Upload By にれ執筆/にれ(監修:森先生)「発達障害のグレーゾーン」と言われる人は、10人に1人とも、7人に1人とも言われています。専門家によって意見はまちまちです。そもそも病院に来ないで悩んでいる人も多く、正確な人数を把握することがかなり難しいのです。精神医学では、便宜上「発達障害」の診断基準が定められていますが、実際のところ、「発達障害」、「グレーゾーン」、「発達に偏りのない人」、なんてはっきりくっきりと分かれているものではありません。グレーゾーンだから発達障害よりも苦しみが少ないとも思いません。発達障害には発達障害の、グレーゾーンにはグレーゾーンの苦しみがあります。グレーゾーンであることを周囲に伝えておくべきかどうか、悩まれる方も多いかと思います。もちろん、伝えておいたほうが対策をたててもらいやすいというメリットはありますが、中には偏見を持つ人もいるでしょうから難しいところです。どこまで伝えるかは慎重に考えないといけません。はっきりと味方になってくれる人、保育園や学校の先生には伝えておくべきでしょう。よく遊ぶお友達などごくごく親しい人にも特性を伝えておくと、いざというときに手助けをしてもらえるのではないでしょうか。たとえば誤解を受けそうな場面でフォローしてくれるとうれしい、というように伝えておくといいかもしれません。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年08月22日息子が2歳後半ごろ、1年数カ月後に幼稚園の入園を控えていたこともあり、同年代の子どもと関わりを持たせる目的でオープンスペースに通っていました。そんなとき、近隣の保育園が開催する集いに初めて参加したのですが、保育士さんからある言葉をかけられます。 保育園で開催される集いに初参加! ある日、2歳半の息子と私は保育園が開催するオープンスペースに初めて参加。オープンスペースとは、乳幼児やその保護者が在園児に限らず、自由に集まり遊べる場所のことです。おもちゃで楽しく遊んでいた息子でしたが、ほかの子どもが近づくと人見知りを発動! 私にしがみついて離れません。 すると、その場にいたベテラン風の保育士さんが近寄ってきて言いました。「お子さん、いつもこうなの? ママがお子さんにベッタリだからこうなるのよ!」と急に強い口調で言われ、ママ用の休憩スペースに行くよう促された私。「いえ……いつもではないのですが、人見知りなところがあって……」とタジタジになりながら返答するだけで精一杯。保育士さんは息子の様子を見て心配してアドバイスをしてくれたのだと思いますが、親の子どもへの接し方が悪いから、子どもが人見知りになると言われているように感じ、落ち込みました。 その後、息子を連れてそそくさとオープンスペースを後にした私。その日は落ち込みましたが、「保育士さんが言うことも一理あり、ある程度は子どもから離れて見守る姿勢も大切」という考えも生まれました。それ以来、その保育園のオープンスペースに行くのはちゅうちょしましたが、ほかのオープンスペースには積極的に通いました。半年後、息子は目の届く範囲内に私がいれば、ほかの子どもと一緒におもちゃで遊ぶように。 やがて幼稚園に入園した息子。子どものペースを大切にしてくれる園で、年中の現在は多くの友だちができ、楽しく過ごしています。子どものペースや性格を尊重し、成長を見守ることは大切です。しかし、子どものペースに合わせるだけではなく、時には親から行動を促すことも悪くはないと思いました。 作画/CHIHIRO著者:内野みお
2023年06月19日■前回のあらすじ4年生になったゆいは、クラス替えで仲良しの友だちと別クラスになってしまう。人見知りが強いため、新しい友だちもなかなかできない日々。やがて、今まで以上にテストの点数が低くなっていき…。■検索して調べてみるが…■学校から連絡が!ゆいに何かあるのかも…。そう思った私は、ネットで調べてみることにしました。HSCは、「High Sensitive Child」の略語で「非常に繊細な子ども」という意味。大人の場合「HSP」(PはPerson)と言われ、刺激に敏感すぎて不安やストレスを抱えやすく、最近では「繊細さん」と呼ばれることも。また場面緘黙は、他の状況で話しているにもかかわらず特定の社会的状況において話すことが一貫してできない状態。私は「繊細」で、「自宅では普通に会話できても学校では極度の人見知り」というゆいの特徴を手掛かりに調べたもののハッキリせず…。そんなある日、学校からゆいのことで話したいことがあるとの連絡を受けるのでした。次回に続く「療育手帳を取得した話」(全38話)は12時更新!参考: HSP・HSCについて/The Highly Sensitive Person 場面緘黙(かんもく)とは?/NHK福祉情報サイト ハートネット
2023年06月17日私は7歳と3歳の息子を持つ父親です。長男は家ではとてもおしゃべりで活発なのですが、外に出ると、家にいるときとは別人のようになり、感情を出さずしゃべりません。そんな長男は保育園でどうしているのだろうと心配して、私は先生に聞いてみることにしました。すると、驚く返答があったのです……。典型的な内弁慶で保育園生活が心配家ではとてもおしゃべりで常に何か話している長男。しかし、外ではびっくりするほどおとなしく、ほとんど話しません。家族以外の人と話すのが恥ずかしいようです。 保育園での生活はどうしているのか心配になって先生に聞いたところ、家にいるときのように感情を出して自分から話すことは少ないようでした。誰でも家と外での違いはありますが、長男の場合、差が大きいので私と妻は心配していました。 何も話さない長男に保育園での生活を見る機会があり、長男には内緒で行きました。長男からバレないように教室をのぞくと、友だちの輪からはずれてひとりで遊んでいる姿が見えました。 やっぱり輪に入れずにいるのか……とショックを受けつつそのまま見ていると、やがてひとりの子どもが何も話さない長男に話しかけてくれていました。しばらく見ていましたが、その後も友だちに声をかけられたりしていてどうやら信頼関係はある様子。しゃべらないのになぜだろうと思い先生に聞くと、思いがけない答えが返ってきて驚きました。 思わず涙が…先生のお話では、長男はとても気が利いてやさしい面を持っているとのことでした。保育園でプール遊びをしたある日、具合が悪くてプールに入れず先生と過ごす子がいたそうです。そのとき、長男もプールへ入らずにその子と遊んで一緒に過ごしたと先生は言っていました。 また、給食の時間にひとりでテーブルに座って食べている子がいたときも、その子がひとりにならないように自分もそのテーブルに移動して一緒に食べたそうです。人見知りでおしゃべりできない長男が、なぜ友だちから信頼を得ているのかがわかり、涙が出ました。 私は外で話せないことを叱ったときもありましたが、長男なりにコミュニケーションを図っていたことがわかり、叱ったことを反省しました。思い返してみると私も幼いころは人見知りで内弁慶だったため、長男も似たのだなと感じています。家にいるときと保育園にいるときのギャップはいまだに大きいですが、人見知りなのは長い目で見守ろうと思います。著者:佐藤 稜7歳と3歳の2児の父。サラリーマンとして働きながら副業としてライターを目指す他にブログ記事も執筆中。 監修者・著者:助産師 松田玲子医療短期大学専攻科(助産学専攻)卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務。 大学附属病院で助産師をしながら、私立大学大学院医療看護学研究科修士課程修了。その後、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。
2023年06月06日お楽しみイベントは工夫を持ち寄るUpload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイわが家は息子2人、娘2人、婿1人、孫3人で、みんながそろうと10人の大家族です。子どもは全員成人して社会人で、孫はこの春から全員小学生になりました。実は私たちは、夫ラクマを除いた家族全員が、個性いろいろな発達凸凹タイプです。それぞれの特性をキャラクター化しており、動物の顔をしています。例えば、私ワッシーナは、ワシのキャラクターですが、これは会話がよく飛んでしまうという多動なところを表現しています。私は、いわゆる発達凸凹タイプの人たちと定型発達タイプの人たちとは、日本人と外国人以上に個性が異なると感じています。なので、発達凸凹タイプを「火星人」、定型発達タイプを「地球人」と表現してきました。そんな個性豊かな愛すべき家族のこれまでの歩み、そして現在の様子などをご紹介できたらと思っています。さて、今から数年前の、新型コロナが騒がれる前のエピソードです。ひさしぶりにレストランで、家族みんなで食事会をすることになりました。家族それぞれの特性があるので、対策を話し合ってから集まったのですが、想像以上のパニックになってしまいました。Upload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイSNSで相談したところ、実家で集まるには狭すぎるので外食をしようということになりました。ところが、3人の孫たちは全員発達凸凹の特性があります。結果として、レストランの個室を貸切ろうということが決まりました。テーブル席だと孫たちが長時間おとなしく過ごすのが難しいだろうという判断からでした。孫たちがリラックスできる畳の部屋を探しましたが、交通の便がよいところに快適そうなレストランがなかなか見つかりません。選ぶ範囲を広げて探したところ、ほどよい場所にある、おしゃれなアメリカンレストランが見つかったので、食事会はそこで行うことにしました。食事会当日のことです。激しい人見知りと時間の感覚に大きなズレのある長女ニャーイの家族には、集合時間より早めに着くように伝えておきました。これは、孫たちが場の雰囲気になじむための対策でもあります。また次女リスミーの息子は激しい多動があるので、本人のお気にいりの音の出ない遊び道具を持参するように伝えました。これで孫たちへの対策はしっかりできたと思っていましたが、ちびっ子たちの特性は想像を超えていました。Upload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ私と夫ラクマ、長男ウルフー、次男ウッシーヤがレストランに着くと、入り口で一番乗りの長女ニャーイと婿ゴリマッチョが店内に入れずにいました。孫フクロッシュと孫デンデンが泣きわめいていたのです。ニャーイたちは困惑しながらも、けんめいにあやしています。フクロッシュとデンデンは、もともと抱っこのときに反りかえりぐせがありました。でも、ここでは見たこともないくらい大きく反りかえって泣き叫ぶので、そのあまりの激しさに私も夫ラクマも交代してあげることもできず、その場にニャーイ家族を残し、全員が集まるまで店内で待つことにしました。時間通りに次女リスミーと孫サルルゥがやってきました。その後、しばらく待ちましたが、ニャーイ家族は中に入れません。孫サルルゥは持参したオモチャに飽きて、そわそわしはじめました。相談の結果、ニャーイ家族を待たずに先に食事をすることにしました。Upload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイまわりに人がいるとテンションが上がるサルルゥは、一口食べるごとにイスから降りて走り出そうとします。私とリスミーが代わる代わる絵本を読んだり、お遊戯いりで歌ってあげたりしますが、すぐに飽きてしまいます。新鮮な遊びを用意するのですが、まるで障害物レースのようなめまぐるしさです。だいぶ時間が経って、ようやくフクロッシュとデンデンが泣き止み、ニャーイ家族が部屋に入ってきました。やっと全員がそろい、ニャーイ家族が食事を始めたころには、食事が終わりオモチャや遊びに飽きたサルルゥに限界がきて、ついに室内を走りまわりはじめました。走りだすサルルゥを私とリスミーで、代わる代わるつかまえて座らせるのですが、ふだんはおとなしいフクロッシュとデンデンまでつられて走りだすのです。Upload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ5人の大人たちが総出で子どもたちをつかまえては座らせるのですが、じっとしていられるのはせいぜい5秒くらい。もはや食事どころではありません。夫ラクマがあぜんとして見守るさわぎのなか、平然としているのは空気がうまく読めないウッシーヤだけです。Upload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイそのうち黒服を着たレストランのスタッフがやってきました。騒がしさを注意されるのかと思いきや、個室の貸切の時間が過ぎたとのこと。久しぶりに家族全員そろっての食事を楽しもうとしていたのに、まるでかなわず、がっくりでした。ニャーイ家族はほとんど食事がとれなかったので持ち帰りすることになりました。Upload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ後日、夫ラクマと2人でふりかえりをしました。いろいろ考えて工夫したつもりが、孫たちの特性の手ごわさが想像以上だったと気づきました。孫たちは、初めての場所や慣れない環境だとパニックを起こしやすいということを身をもって知ることができました。人見知りの激しい孫には、初めてのレストランは恐怖体験だったのでしょう。これからの工夫をあれこれ考えましたが、そもそも家族みんなそろって外食することがまだムリなんだという結論になりました。発達凸凹なわが家はフツーに合わせなくてもいいという家庭内ルールがあったのです。ふりかえりで気づいた、よかった点です。①時差式集合は正解②家族全員が集まるという成功体験で終わり、いい思い出になった③レストランでの食事会はまだムリと気づけた④大人は誰も声を荒げることなく子どもたちに接することができたふりかえりで気づいた改善点です。①場所は自宅あるいは静かな環境のアウトドアで行うか、避難場所を用意する②孫たちには事前にくわしく外出先の説明をする③それぞれがマイペースで楽しく過ごす④自宅で集まる場合は過ごしかたを工夫する⑤過ごしかたは、そのつど家族でアイディアを出しあうほかにも今後、気をつけるべきこととして①親以外が孫に触れるときは本人たちに許可をとる②孫に近づきすぎない③大声で話しかけないなどを話し合いました。執筆ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ(監修:鈴木先生より)発達に凸凹があるようなら、医師の診断をきちんと受けることをおすすめします。発達検査を受けると、どんなところに凸凹があるのか数値的に分かり参考になるので、まずはご自分やお子さん自身を知ることから始めてみてはいかがでしょうか?親御さんやお子さん、お孫さんにも、似たような特性や行動が見られることがありますが、治療や療育により、症状を和らげることができれば、もっと楽しくみんなで集まることが可能になると思います。まだ小さいお子さんに関しては、早寝早起きを実行し、電子メディアを避けて公園での遊びを増やすなど生活環境を整えるのも重要なことです。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年05月23日長女が1歳半のときのお話です。家ではよく言葉を発していた娘ですが、極度な人見知りで、外では言葉を発することがほとんどありませんでした。1歳半健診で自分の名前や指さしの受け答えがあると聞いていた私は、娘が初めて会う人と会話できるかと心配していました。そして健診当日を迎え……。ひと言も言葉を発しない娘健診のあとにそのまま実母と予定があったので、私と娘と実母の3人で会場へ行き、順番が呼ばれるのを待っていました。 娘の番になり、身長や体重などの身体測定のあと、別室でついに担当の保健師さんとの面談。やはり娘は名前を聞かれても、イラストを指さしされても、ひと言も発言せずに固まっていました。担当の職員さんも「普段、家では話すのよね?」と判断を迷っている様子でした。そんなとき……。 廊下にいる私の母を発見して……娘が、廊下で待っていた実母を見つけて「○○(実母の名前)さん!」、「ちて(来て)」と叫んだのです。すると実母は、廊下からうれしそうな顔で娘に手を振ってくれました。 そのあと保健師さんが再度、娘の名前を聞いても、イラストの指さしをしても、やはり娘はひと言も言葉を発することはなく面談は終了。しかし担当してくれた保健師さんは、「緊張しちゃったんだね。おうちでできていることもわかったので大丈夫」と言ってくれました。 何か娘の発達について指摘されるのではと不安に思っていた私は、実母のおかげで娘の普段の様子を見せることができ、ホッと安心しました。あとで実母にこのエピソードを伝えると、そんなことになっていたとはまったく気がついていなかったそうです。健診が終わった私たちを笑顔で迎えてくれた実母の顔を見て、何歳になっても母が一緒だとやっぱり心強いなと感謝した出来事です。 著者:河原りさ2016年生まれと2018年生まれの女の子2人、2024年生まれの男の子のママ。花屋に勤務。都会のおでかけスポットや植物に関心あり。監修者・著者:助産師 松田玲子医療短期大学専攻科(助産学専攻)卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務。 大学附属病院で助産師をしながら、私立大学大学院医療看護学研究科修士課程修了。その後、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。
2023年05月17日わが家では、平日にパパと子どもの時間がほとんどありません。パパと子どもの時間といえば、休日のお風呂だけ。ところが、お風呂の時間を喜んでいた子どもが、ある日突然「パパは嫌! ママがいい!」と言うように。そのときのパパ見知り体験談を紹介したいと思います。パパとのお風呂を泣いて嫌がる息子1歳を過ぎ、お話がじょうずになった息子との会話がとっても楽しかったころ、突然「パパは嫌」が始まりました。たまにしかパパと入れないお風呂も「ママがいい」と言い始めたのです。 「そんなこともあるんだ」と最初は思っていたのですが、ママだってたまにはひとりでお風呂に入ってゆっくりする時間が欲しい。それに、泣いてまでお風呂を断られるパパはショックが大きかったようです。 普段から男同士仲良く!そこで、普段から「パパってお仕事しててすごいよね」と息子に話したり、パパが手伝ってくれたことなどを息子の前で大げさにほめたりしてみました。 パパもお風呂での遊びを考え、泡風呂の素を用意するなど、パパと一緒のお風呂が楽しくなるように工夫しました。休日はパパと息子だけの時間を増やして公園で遊び、買い物をしてきてもらうことも。男同士、2人だけの経験が増えることで、どんどん仲良くなってくれて期待通りでした。 それでもたまには「やっぱりママ」それでもたまに「お風呂はママがいいな」という日もあります。息子にお風呂を断わられる瞬間がパパにはかわいそうなので、前もって聞いておいて「今日はダメだって」とママからパパへ伝えるようにしました。 「どうして嫌なの?」と聞いたり、説得しようとしたりするのは意味がないと気付いてやめました。特に男の子は、“何が何でもママが一番”ということも多いのかもしれません。逆にあっさり認めてあげることで安心するのか、次の日はパパとお風呂に入ってくれていました。 4歳になった息子は、今では「どっちでもいいよ」と言ってくれるようになりました。一時期の成長過程であるパパ見知りでしたが、さみしそうにしていたパパのためにも、早めに終わってよかったと思っています。 イラスト/manami.koiso監修/助産師 松田玲子著者:斉藤あや大人しく内気な娘と楽天的で活発な息子、男女二児の母。ママ・パパに役立つ情報をお届けすべく、これまでの育児経験を生かして、育児の工夫やお役立ちグッズなどの情報を発信中。
2023年05月15日娘が生後2カ月から通い始めたベビーマッサージ教室。外出するとき、赤ちゃん連れだと泣いて周りに迷惑をかけてしまうのが心配でしたが、全員が赤ちゃん連れという状況は気がラクでした。また、初めての育児に戸惑う中で、ママたちと接する機会ができて気分転換にもなりました。 赤ちゃんが参加できる集まりを探す妊娠中からずっと「早くママ友が欲しい」と思っていた私。初めての育児で夫が仕事に行っている平日は、まだ赤ちゃんだった娘と2人きりで過ごしていたため、どうやってママ友をつくろうかと考えていました。私は人見知りしてしまう性格ですが、赤ちゃんが集まる場所にはなるべく参加することに。 インターネットで、「地名 ベビー」と検索して情報を集めていたところ、ベビーマッサージ教室を発見しました。節約生活をしていたので経済的な面で習い事に躊躇する気持ちもありましたが、月に1度だけなので思い切って参加することに。 ドキドキしながらベビーマッサージ初日赤ちゃんは裸になり、赤ちゃん用のオイルを塗ってからマッサージ。講師の先生が赤ちゃんの人形で見本を見せてくれるので、初めてでもわかりやすかったです。娘はマッサージされるのが好きらしく、ベビーマッサージの日はいつもよりご機嫌でした。特によかったのが便秘解消になるマッサージ。 娘は生まれてすぐのころから便秘ぎみだったので、おなかのマッサージと足を動かすマッサージを続けることで便秘解消に役立ちました。習った日からは家でも毎日ベビーマッサージをして、親子の触れ合いの時間に。講師の先生が「パパにもぜひ教えてあげて」と言っていたので、時々パパもマッサージしました。 マッサージ後のお楽しみベビーマッサージ教室はカフェを貸し切って開催されていて、ベビーマッサージが終わるとケーキとドリンクを楽しむことができました。月齢の小さな娘を連れての外食はなかなか難しかったので、とても貴重な時間に。 また、育児の悩みや地域の情報交換もできてよかったです。ベビーマッサージ教室は1歳前後で卒業される方が多かったのですが、県外への引っ越しを機に生後8カ月でやめました。引っ越しの前日にも通っていたほどに、最後まで育児の息抜きとして楽しんでいました。 月に1度の楽しみだったベビーマッサージ教室。娘と2人きりで過ごす時間が長い生活の中で、良い気分転換になりました。私が人見知りなので自己紹介の時間は毎回緊張しましたが、赤ちゃんのいるママと交流する良い機会に。なによりも、ベビーマッサージでまだ話せない娘とコミュニケーションを取る時間がとても楽しかったです。 監修/助産師 松田玲子作画/加藤みちか著者:津崎 あぐり2歳女児を子育て中。大学卒業後、建築模型製作やガラス雑貨の販売を経験。趣味はステンドグラス製作。インテリアや育児などのライフスタイルについて執筆している。
2023年04月26日外出は苦難。だけどご近所さんにバーベキューに誘われて…ほぺろうは現在、特別支援学校に通う小学1年生。今でこそ経験を重ねて少しずつ改善してきたものの、もっと小さなころは場所見知りが壮絶で外出するのも苦難でした。一般的に子どもが喜びそうな場所やイベントに遊びに行くなんてとても無理。泣いて暴れて収拾がつかなくなり、逃げるように帰るのが常。ほぺろうが3歳のとき、良かれと思ってチャレンジした動物園も、遠路はるばるやって来て入園できたと思ったら大号泣!…結局、入園料だけ支払って即また遠路はるばる帰宅したという記憶があります。Upload By ぼさ子そんなほぺろうが就園し年中になったある日、私たち家族はご近所さんからバーベキューのお誘いを受けました。しかし、お誘いを受けてもほぺろうの事情で参加することは難しい。「子どもはみんな泣くもの。大丈夫!ほぺろう君 連れておいで~」と優しく言ってくださるが、ご近所さんが想像する「泣く」とほぺろうのものは絶対違う。みなさんを困惑させ迷惑をかけてしまうことが目に見えていたのでバーベキューをお断りしました。が、しかし…。ご近所さんを見送ったあと、私たち夫婦は自分たちの対応を思い出して落ち込みました。言葉で説明するのが難しいほぺろうの状態。親切で誘ってくれる相手から見たら、頑なに断るわが家の態度はワケが分からなかっただろうと。そんなつもりはないのに輪に入ることを拒絶しているように見えたのではないかと…。ご近所さんにほぺろうのことを口頭では説明していたけど、実際に様子を見てみないと障害の程度や事情は伝わりにくいのだと悟ったのと同時に、伝わらないままだと「ワケの分からない家族」として孤立してしまう気がして、それはほぺろうのために良くないと反省しました。Upload By ぼさ子ほぺろうを見てもらおうと決意した夫婦会議当時は、今よりさらにほぺろうの困りごとが激しかったので、人を避けたいという気持ちがなかったと言えばウソになります。でも、中途半端にほぺろうを人から遠ざけたままでは周囲から心配や誤解を招く可能性があると考え直しました。今後どうしていこうか夫婦で会議したときの夫の言葉が印象的でした。「ご近所さんにはちゃんとほぺろうを見てもらった方がいい。『自閉スペクトラム症があります』だけでは普通は伝わらない。どんな子どもか知ってもらった上で受け入れてくれる人がいればありがたいし、逆に抵抗のある人がいれば距離を置くように配慮しよう」「迷惑をかけるのは生きている限り避けられないだろう。でも、ご近所さんには知ってもらおう…」Upload By ぼさ子人への挨拶を大切にしてきた私たち夫婦ですが、ほぺろうの癇癪が酷くなってからというもの「迷惑かけないために」と ほぺろうを遠ざけるように即撤退することが多くなっていました。でも、ほかの場所ではそれで良くても、長期的に考えると『生活圏』でこのままの状態は良くない。なぜなら、人を避けてばかりだと不可解さで周りに不安を与えてしまい、その結果ほぺろうの印象が悪くなる可能性もある。保育園や学校は数年で卒業するけど家はずっと暮らす場所。ここで暮らしていくほぺろうのことを考えると、口で説明するだけではなく私も勇気を出してもっとほぺろうの様子をご近所さんに見てもらおうと思いました。これだけは!親子で頑張って参加する行事それからは、相変わらずお出掛け的なイベントには行かないわが家ですが、ゴミ拾いや花火大会など町内行事だけは積極的に家族で参加するようになりました。ほぺろうが場所見知り人見知りしてパニックになるのでご迷惑をお詫びしつつ途中リタイアがほとんどですが、5分だけでも顔を出すところから始めて、少しずつ滞在時間を延ばしていっています。Upload By ぼさ子自宅=生きていく場所ほぺろうを知ってもらうことで優遇してほしいとか可愛がってほしいとか、ましてや発達障害について勉強してほしいとかでは決してありません。ただ「こういう子どもなんだな~」とフンワリとでも思ってもらえたらありがたいのです。ほぺろうが生きていくための居場所とは…と考えたとき、「自宅」のウエイトは非常に重い。ほぺろうもご近所さんもお互いが気持ち良く暮らせるには?と思うと「少しでもほぺろうをオープンにすること」「親である私たち夫婦が周りに不安を与えない、話しかけやすい雰囲気をつくる」ことを心がけています。特別な行為ではありませんが、小さな積み重ねでほぺろうが社会の一員に加えてもらえたらと願って。ほぺろうが小学生になった現在、いまだに「ご近所さんに障害が十分伝わった」というワケではないし、理解を押しつけようとも思いません(逆の立場で考えてみても、難しさを感じます)。でも年月が経ち、最初は顔を出すだけでも大変だったほぺろうがご近所さんの顔を覚えてきて、相変わらずコミュニケーション取れないまでもリラックスしてその場にいられるようになってきました。夏に開催された花火大会では、小学1年生にしてやっと!最後まで泣かずにその場に居続けることができました。わが家に一番近いお宅の方は 泣き暴れの激しい時代からほぺろうのことを見てくれていました。ずいぶん騒音で迷惑をかけてしまったり心配させてしまったりしたはずなのに、「今日のほぺろう君、最後までいられてスゴイ!成長したね」「これからも一緒に楽しめたらうれしい」と言ってくださって、私は目頭が熱くなりました。ずっと見守っていてくださったんだなぁ…と感謝せずにいられません。Upload By ぼさ子執筆/ぼさ子(監修:新美先生より)場所見知り・人見知りが強かったり、多動・癇癪などが強いお子さんの場合、お子さんにつらい思いをさせたくない気持ち、目立ちたくない、とがめられたくない、そもそも大変すぎて疲れるという親の気持ち両面から、人が集まる場を避けるようになることはありますよね。そういう中で、ご夫婦で話し合い、地域の中で生きていくためにも、少しずつ慣れていこうと決めて出ていかれたというエピソードは大変に勉強になりました。ありがとうございます。おそらくご夫婦で話し合って決めて、協力して連れていかれたというところが鍵なのかなと思います。エピソードにあったような5分だけでも連れて行って、あとのお仕事はご主人に任せて子どもは奥さんが連れてささっと帰るというように、外担当と子ども担当をわけて協力されるのはいいなと思いました。そういったことを積み重ねて、お子さんもだんだん慣れて、ご近所さんにも知ってもらえるというのは理想ですね。余裕がないときはそこまでできないと思うこともあるかもしれませんが、ご家族で協力してできることであれば、地域に出ていくことも大事ですね。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年02月24日現在3歳になる娘は、生後3カ月のころから保育園に通っています。当時夫が失業しており、私は産後2カ月で仕事復帰しました。認可保育園は空きがなく、藁にもすがる思いで入れた認可外保育園。娘は当時最年少だったこともあり、先生はもちろん、上の年齢の子どもたちも娘をとてもかわいがってくれました。しかし、保育料が高いため、保活を継続していたわが家。娘が2歳のときに、無事、認可保育園へ転園することができました。しかし、私は転園を後悔することに……。生後3カ月から通った保育園を2歳で転園通っていた園はとても良い保育園でしたが、認可外ということもあり保育料が高く、経済的に余裕のないわが家は認可外に通わせながらも認可保育園への保活を継続。娘が2歳になったタイミングで、なんと地域で一番人気の認可保育園への入園が決まりました。 通い慣れた環境から引き離してしまうことに不安はありましたが、娘も「新しい保育園行く!」と楽しみな様子。さらに娘はあまり人見知りしない性格で、初めて会う人に対しても自ら積極的に接することができたため、きっと新しい環境でも大丈夫だろうと、このときは考えていました。 娘の様子に転園を後悔転園して1週間ほどたったころ、「保育園に行きたくない。前の保育園がいい」と娘が言うようになりました。前の保育園ではとても活発で自由奔放に過ごしていた娘でしたが、新しい園では、常に緊張しながら過ごしているとのこと。すっかりおとなしくなってしまった様子です。 もともと保育園が大好きだった娘の変化に私は、「転園は娘にとってマイナスだったのではないか……。金銭的に無理をしてでも今までの園に通わせてあげればよかった」と激しく後悔するようになりました。 時間と共に環境に適応していく娘にひと安心そんな思いを抱えながら過ごしていましたが、半年ほどすると環境に慣れてきたようで、徐々に「今日は○○ちゃんと遊んだ」、「○○が楽しかった」など、楽しい報告が聞けるようになりました。 転園当初は先生の間でも「おとなしい子」として扱われていた娘ですが、今ではクラスで一番のおしゃべりになっているそう。再び以前のように楽しそうに保育園に通う娘の姿を見ることができて、心の底から安心することができました。子どもには順応力があるのだなと驚かされました。これからも娘の力を信じて見守っていきたいと思います。 不安と後悔でいっぱいの転園でしたが、時間の経過と共に子ども自らの力で適応していってくれました。今ではすっかり転園先の保育園になじみ、毎日いろいろなことを学んできています。この先もきっと、環境が変わるたびに親は心配で心がいっぱいになるのだろうなと思いますが、子どもの適応能力を信じて乗り越えていこうと思います。 著者:南星 花3歳と1歳の姉妹と、発達障害の夫、13歳の猫と暮らす。妊娠中に夫の失業、切迫早産、胎児発育不全など、さまざまなトラブルを体験。IT業界で働くワーキングマザー。監修者・著者:助産師 松田玲子医療短期大学専攻科(助産学専攻)卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務。 大学附属病院で助産師をしながら、私立大学大学院医療看護学研究科修士課程修了。その後、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。
2023年01月26日チーム事情で上の学年に駆り出されてキーパーやらされているけど、本人は「キーパーは絶対やりたくない」と言う。春からは同学年のチームでもキーパーになりそう。人見知りだから今のチームで続けたいけどキーパーは嫌という息子。親も楽しかったサッカーが嫌なサッカーになってほしくない。どうしたらいい?とのご相談をいただきました。スポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、これまでの子育てと取材で得た知見をもとに、お子さんをサポートするために必要なことをお伝えします。(文:島沢優子)(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<下手くそと言われ「おまえはそんなに上手いのか?」と返す弁が立つ息子に困ってます問題<サッカーママからのご相談>小4(9歳)の息子が所属しているのはそんなに強くないチームですが、その中ではセンターバックのポジションでチームの中では一番走り回って頼りになる存在です。ですが、来年度のチームは学年が上がり5、6年チームになるのですがキーパーがいないのでうちの子がかり出されてキーパーをやらされています。本人は絶対キーパーはやりたくないと言います。フィールドを走り回るサッカーが大好きでキーパーは全然面白くないと言います。でもコーチが怖くていえないと言っています。このままでは学年上がったらキーパーにさせられそうです。でも親が口出すのは憚られそうで移籍も視野に入れております。本人は人見知りで出来ればこのチームで続けたいけどキーパーは嫌なのです。どうしたらいいのかわかりません。楽しいサッカーを嫌なサッカーにさせたくありません。アドバイスお願いします。<島沢さんからの回答>ご相談いただき、ありがとうございます。まず、ゴールキーパーというポジションについてお伝えしておきます。例えば日本では、子どもがサッカーを始めたら、ボール、トレーニングシューズ(トレシュー)やスパイク、そしてどこかの欧州クラブか代表のユニフォームを練習着として買ってあげる親御さんが多いです。一方ドイツでは、ボール、スパイク、キーパーグローブを購入すると聞いたことがあります。ドイツでカーンやノイヤーなど世界的なゴールキーパーが生まれていることからも、キーパーが人気のポジションであることがわかるかと思います。■欧州ではキーパーは人気ポジションなのに、日本ではネガティブなイメージを持たれているドイツや欧州ではゴールキーパーの役割がいかに大きいものかを、指導者、保護者ともに理解しています。そこが、サッカーがプロ化されてまだ30年の日本と、100年以上の歴史を持つクラブがひしめく欧州との大きな違いだと考えられます。さらにいえば、サッカーは小柄ですばしっこい子どもがやるスポーツという先入観もあって、身長が高かったり体の大きな子どもはバスケットボールや野球を選択します。そんな要素も相まって、キーパーというポジションが過小評価されているのかもしれません。このようにキーパーというポジションへの価値が乏しい一部の指導者は、試合に勝つために「大きくて動ける子ども」にずっとキーパーをやらせたり、消去法のように「フィールドではあまり動けないからキーパーでもやらせるか」という考え方になりがちです。本来なら小学生のうちにさまざまなポジションを経験してもらって、サッカーがどんなスポーツなのかをしっかり理解してもらうことが必要なのに、どうしても試合に勝つことが何より優先されてしまうのです。サカイク公式LINEアカウントで子どもを伸ばす親の心得をお届け!■他の子もキーパーをやりたくないかもしれない、その場合の解決策をコーチに提案してみるそのような風土で息子さんも育っているわけなので「キーパーをやりたくない」という感覚を抱くのは仕方のないことでしょう。ただ、息子さんに「自分も嫌なんだから他の子たちも嫌かもしれない」という視点はないでしょうか。そこはお母さんが「君が嫌なら他の子も嫌なんじゃないかな?」と考える糸口を与えてもよいかと思います。だったら、どうすればいいかな?そんな問いかけをしてみてください。そこが第一段階です。おのずと「試合ごとに交替してキーパーをやる」という答えが出てくるかもしれません。もしもそういった結論に達したのであれば、息子さんと一緒にコーチと話してみてください。ここが第二段階です。キーパーは全員で交替でやれないか。小学生のうちはさまざまなポジションを経験させてほしい旨を伝えるのです。本来なら息子さんに任せて自分で言えるといいのですが、コーチが怖くて言えないということなのでお母さんが付き添ってはいかがしょうか。メールの文章だけなので、どんなクラブでどんな方針で指導なのかはうかがい知れません。ただ「親が口出すのは憚られる」とあるので、お母さんにとって自由に意見を言えるようなクラブではないのでしょう。コーチに言うのが難しいというのなら、とりあえず第一段階までやってみて、しばらくは息子さんに任せてみてはいかがでしょうか。■このチームにいたいけどキーパーは嫌、は子どもの問題親が転ばぬ先の杖を用意せず、見守ってご相談文に「どうしたらいいのかわかりません」と書かれていますが、本人が「もう嫌だ。このチームでやりたくない。僕は他のチームを探す!」と立ち上がるまで何もしなくていいと思います。「人見知りで出来ればこのチームで続けたいけどキーパーは嫌」これは息子さんの問題です。また「楽しいサッカーを嫌なサッカーにさせたくありません」とありますが、嫌なサッカーだからどうするか?を決めるのも息子さんです。今のお母さんの心情を察すると、転ばぬ先の杖を用意しようと一所懸命に見えます。「チームの中で一番走り回って頼りになる存在」なのに「キーパーをやらされるなんて悔しい」。そんな負の感情が、お母さんの中にあるかと思います。もちろんそう感じるのは当然です。かわいいわが子ですから自然なことです。私もかつてはサッカー少年と少女の母親だったのでよくわかります。とはいえ一番良いのは、息子さんが自分で「キーパーは交替でやりたい」と仲間やコーチに提案できることです。お母さんが「人見知りだからそんなことできない」と信頼できなければ、息子さんはそこから一歩踏み出すことができません。ゆっくりでよいので、背中を押してあげられたらと思います。■移籍を考えるタイミングは、我が子がそうしたいと言ってきたとき(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)それでも、所属されているクラブが交替でキーパーをやってみんなが試合に出られるよう工夫してくれない。もしくは息子さんが別のクラブでやりたいと自分から言ってきたら、そこで移籍を考えればいいことだと思います。ただし、移籍したとて、次もキーパーをやってと言われるかもしれません。お母さんにとって大事なことは、周りの環境に振り回されず自分を持った子どもに育てることです。息子さんが自分の意思を他者に伝えることができ、なおかつチームのことを考えられる人間になる。そのためにどうしたらよいかを、一緒に考えてあげられるお母さんでいてほしいと私は思います。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)スポーツ・教育ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)ブラック部活の問題を提起した『部活があぶない』(講談社現代新書)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てるテニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。指導者や保護者向けの講演も多い。最新刊は『スポーツ毒親 暴力・性虐待になぜわが子を差し出すのか』(文藝春秋)。
2023年01月25日定型発達だと思っていた次女私には二人の娘がいます。長女のまゆみは自閉スペクトラム症と知的障害の診断がついており、次女のあずさはいわゆるグレーゾーンの自閉傾向があると指摘されています。現在は4歳と2歳の娘たちですが、1歳半健診はそれぞれに思い出深いものがあります。まゆみのときは、誰が見ても「何か困りごとのある子だな」と分かるくらい意思疎通が難しい子どもで、騒ぎすぎて別室待機になったことや、相談ごとが多すぎて帰宅が夕方になったことを今でも覚えています。やがて次女のあずさも1歳半健診を受ける時期になりましたが、母子手帳のチェックリストにある“指差し”や“言葉での簡単なやりとり”などもできていたため、私は安心しきって「この子の1歳半健診はすぐに帰れるだろう」と考えていました。結果として、その1歳半健診で初めてあずさの発達面の違和感に気づき、その半年後に改めて自閉傾向の指摘を受けたことから、療育を始めることになります。「この子は問題ないだろう」と思いながら向かった次女の1歳半健診次女のあずさと1歳半健診の会場に着いてすぐ、「あれ?」と感じました。ほかの子どもたちはおとなしくお母さんの横で待っているのに、あずさだけがウロウロと待合室を練り歩くのです。「こっちにおいで」「ママのお膝で待とう」「大好きな絵本もあるよ」など、どれだけ声をかけても振り返りません。いつもなら呼んだら来るし、振り返って笑うのに、一体どうして?と思いました。仕方なく抱きかかえて席に戻ろうとすると、今度は大暴れ。どうにか席に座らせても、じっとできずにすぐウロウロ…。また捕まえても、私の手から逃れようとどんどん機嫌が悪くなってしまいます。探索に夢中になって指示が通らないその様子は、長女まゆみの小さいころを彷彿とさせました。Upload By にれ検査が終わるたびにあっちこっち行きながらも、検査自体は引っかかることなく進んでいきました。この点は予想通りだったものの、まさか待ち時間でこんなに苦労するとは想定外でした。『次の人』として待機している少しの間にも、あずさは床のシートを剥がして裏側を確かめています。そんなことをしているのは会場であずさだけでした。私はそんな娘の様子に不安を感じ、その場にいた保健師さんに聞いてみました。「この子、多動でしょうか。こんなに落ち着きがないなんて」保健師さんも観察してくれていたようで、「確かによく動く子ですね、いつもこうですか?」と聞かれました。確かにあずさは普段からよく歩き、よく遊ぶ子どもです。ただ、制止しているにも関わらずこんなに好奇心のまま動き回る様子は記憶にありません。考えてみると、あずさは病院にかかったことがほぼなく、予防接種も予約制で、移動もマイカーばかりのため、「じっとして待ってね」と声をかける機会があまりなかったように思います。1歳半健診はあずさにとって、初めての「じっと待つべき場」だったのです。不安が膨らみ、長女の療育先に相談「異常なし」として1歳半健診が済んだあずさ。けれど、一度抱いた不安は私の中で膨れ上がりました。ひと月ほど悩んだのち、私は長女の通う療育施設に「次女も多動傾向で困りごとが出てきた」と相談させてもらいました。幸いなことに、療育先は発達外来のある病院と提携しており、あまり待たずに心理士の方に診てもらうことができました。ただ、その時点では「異常とまではいえない」という結果で、「言葉もよく出ており、おもちゃを介して遊んだときに“ちょうだい”も“どうぞ”もできるので現時点では発達上問題ないといえます。よく動きたがるのはお姉ちゃんの行動を見て学んでいるとも考えられますし、性格的にも好奇心が強いようです。場所見知りと人見知りのなさは見られますが、そう心配はいらないでしょう」ということでした。「そうか、あずさの中ではまゆみの行動がスタンダードになってるんだ。もっと同年代の子の振る舞いを見る機会をつくらないと」と納得した私は、支援センターや児童館に行く回数を増やすことを安心材料にしていました。半年経って、強まってきた特性そうして1歳半健診から半年が過ぎました。その間、多動ぶりに困らされることが多くなってきて、「定型発達だろう」から「何らかの特性があるかもしれない」に私の意識も変わりつつありました。さらに、2歳を迎えてイヤイヤ期も最高潮。外へ行きたがるので1時間半から2時間ほど散歩に出る日が多いのですが、帰宅して私がクタクタになっていても、あずさは玄関でひっくり返って「おさんぽーーー!!もっかい!!いこうよーーーーー!!!!」と30分近く大泣きする日もしばしばでした。日ごろはいつもニコニコして、スーパーへ行くと周りのおじいさんおばあさんから「愛嬌のある子だねぇ~」と人気者になることも多いあずさですが、ひとたび癇癪が大爆発すると、親を叩いたりおもちゃを投げたりと手がつけられないようになってきたのです。Upload By にれそれでも私は「これがイヤイヤ期かぁ。大変だけど、まゆみはイヤイヤ期がまだ来ていないから新鮮だなぁ」とのんきに考えていました。転機になったのは、あずさを観客として連れて行ったまゆみの療育先の運動会でした。特性が大爆発!もう一度診察を受けることになって地域の体育館を借りて行われた運動会で、外に出たがったあずさが大癇癪を起こしたのです。あずさをなだめるのに抱っこして外へ出ようとすると、母親がいなくなるのを察知したまゆみが泣き出すというカオスな状況で、先生方も2人を泣き止ませようとあの手この手を尽くしてくれました。Upload By にれあとから聞いたのですが、差し出された風船を怒りのまま叩き落とすあずさを見て、先生方も「癇癪の様子がただごとではない」と感じたそうです。そこから「詳しく話を」ということになり、今度は心理士に加えて医師にも診ていただくことになりました。一番の困りごとというと多動だったので、私はてっきり「発達障害があるとしてもADHDの傾向だろう」とばかり思っていました。ところが、医師と心理士さんが問題視したのは多動や癇癪の強さよりも場所見知りと人見知りを全くしないことの方で、「現時点で診断をつけるとするなら自閉スペクトラム症」と告げられました。これには本当に驚きましたが、ADHDの診断は3歳ごろまでつけづらいという理由のほか、よくよく考えると、「周囲の様子を見ることなく自分の欲求を優先してしまう」という自閉的な傾向が場所見知りと人見知りのなさにつながっていたのか!とそこで初めて気づきました。いつもニコニコ人懐こい印象だったので、「あずさは物怖じしない性格なんだ」と思い込んでいたのです。そのまま療育をすすめられ、「療育に診断書の要る自治体だったら書いているところだけど、うちの市は診断書がなくても療育が受けられるので正式な診断はまだつけないでおきますね」と言われました。あずさはいわゆるグレーゾーンに当たる子どもなのだろうと思いました。ショックを受けつつも、心に芽生えた気持ち長女に続いて次女にも自閉傾向があるという事実はショックでしたが、2歳という早期から療育を受けられることになったのはあずさにとって良かったと思っています。指差しや受け答えができても自閉スペクトラム症とされる場合もあるのだと、私にとっても大きな学びになりました。あずさは今後、とりあえず1年間療育に通わせて様子を見るつもりでいます。Upload By にれ先生方にとって、保護者に子どもの発達の指摘をするのは勇気の要ることだと思います。元々相談実績があったとはいえ、運動会のあとに指摘してくださったことは本当に感謝しています。また、あずさの場合は気づきにくいタイプの自閉スペクトラム症だったこともあり、おそらく長女の存在なしには発達の違和感に気づけなかったんじゃないかとも思います。次女のあずさの特性の早期発見と、早期療育につながることができたのは、その前にお姉ちゃんのまゆみに発達障害があることが分かったことがきっかけで母親の私が徐々に理解を深めてこられたためでもあるので、まゆみにもありがとうと言いたいです。この先どうなっていくか未知な部分はたくさんありますが、姉妹の特性をよく理解して、親も子も笑顔を忘れないようにしていこうと思います。執筆/にれ(監修:初川先生より)次女あずさちゃんが療育につながったエピソードのシェアをありがとうございます。人の多い場面でじっと待てないことに違和感を感じたり、多動さや癇癪などに対応するのに苦労したり、そうしたことに瞬間瞬間でそう感じることはあっても、日々の子育てでそうしたことが流れていくなどして、なかなか相談する機会も持ちづらい面もあるかもしれません。にれさんが健診や長女まゆみちゃんの療育機関でそうした気配や不安をお話されたことがまずとても良かったと思います。にれさんも書かれているように、早期に療育につながったことは、あずさちゃんのより良い成長発達の面ではとても良いターニングポイントになったでしょう。相談して、何もないなら何もないで見守る。その後にまた違和感を感じたら、また改めて相談する。そうして複数の目で子どもの発達を見て、できることをする。そうした営みがとても良いなぁと感じました。
2023年01月19日成長曲線から外れることなく、順調に育ってきた息子。1歳までに歩き、私のマネをして「ママ」と言うこともありました。しかし、マネをしているだけで言葉の意味はわかっていないようでした。1歳半まで意味のある発語が見られないまま健診の日を迎え、そこで発達の相談をし、発達支援施設に通うことになった体験談をご紹介します。体の発達は順調だったけれど……“もしかして、育てにくい子なのかな?”と感じることは何度かありました。生後5カ月のころ、息子を連れて結婚式に参列したときのことです。披露宴会場では私たちの席の近くにスピーカーがあり、音楽や拍手の音がするたびに息子は泣いていました。 生後10カ月のころは、かんしゃくを起こすとなでもかんでも物を投げていましたし、知らない人が近づいてきただけで泣くこともありました。すごく警戒心の強い子だったと思います。 集団健診で他の子と比べると……1歳半健診は初めての集団健診で、息子と同じぐらいの子たちが落ち着いているように見えて驚きました。というのも、息子はじっとしているのが苦手だったのです。人見知りが激しく、初対面の大人がいると泣き出すこともしょっちゅうでした。健診は母子で受けている方が多かったのですが、私は夫にもついてきてもらいました。 息子は体重計に乗るのを嫌がり泣き叫んでしまったので、夫と一緒に計り、夫の体重を引くというかたちでおこないました。積み木を積むなどできるわけもなく、積み木を投げて終了しました。 発達検査を受けることに……健診後に相談し、後日詳しい発達検査を受けることになりました。そのときも人見知り全開で、私が口頭で質問に答え、検査項目のチェックをしてもらいました。予想通り、言葉の遅れが顕著にみられました。 意味のある発語がないだけでなく、言葉の意味を理解していないのです。元々意思の疎通ができていないと感じていたので、あまりショックではありませんでした。それよりも今後どうするべきかを教えてもらえることに安心していました。 安心した専門家の言葉 紹介してもらった発達支援施設に初めて行ったとき、「お母さん、よく頑張っていますね」と言ってもらえたことで、私の育て方が悪いわけではないのだとホッとしました。 2歳9カ月になった今は発語が増え、人見知りもなくなり、簡単なコミュニケーションがとれるようになりました。今でも偏食や感覚過敏な部分はありますが、お友だちと仲良く遊ぶことができています。 わが子が発達障害かもしれないと思うと不安になり、何度も検索しました。発達のスピードも、タイミングも、子どもによってそれぞれ違うものです。私は、これからも専門家のサポートを受けながら、息子の個性を尊重し、成長を見守っていきたいと思います。 ※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。 イラスト/(c)chicchimama著者:大森りさ0歳と2歳の兄弟の母。長男は発達支援施設に通っている。主に妊娠・出産・子育てについての記事を執筆している。監修者・著者:助産師 松田玲子医療短期大学専攻科(助産学専攻)卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務。 大学附属病院で助産師をしながら、私立大学大学院医療看護学研究科修士課程修了。その後、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。
2023年01月07日3児のママ小児科医・保田典子先生のコラム。今回は、入園してから慌てないために、今からしておきたいことを、保田先生の経験を交えてお話しいただきます。こんにちは、小児科医の保田典子です。私生活では子育て中の3児の母です。4月保育園入園を希望して書類を出された方も多いのではないでしょうか。4月入園ができた場合、入園できるまであと3カ月。入園してから慌てないために、今からしておきたいことを、私の経験を交えてお話ししたいと思います。 4月入園あるある4月はたくさんの0歳、1歳、2歳さんが保育園に進入園をして、(主に)ママが仕事復帰をする季節です。私も17年以上新入園児さんを小児科医として見てきて、3人の子どもを保育園にお願いしてきました。そのなかで保育園ならではの入園あるあるがあります。 0歳児さんあるある0歳前半だと、まだ人見知りもあまりないので、慣らし保育などは意外にすんなり乗り越えられたりします。ただ、まだ月齢が浅いので、保育園に入って風邪の洗礼を受けるとゼイゼイと呼吸が苦しくなりやすく、長期化することがあります。 0歳後半だと、人見知りが始まり、預けるときに大泣き!ということがよくあります。人見知りが強いとハンガーストライキ(飲まず食わずで主張をおこなうこと)を起こす子も。育児用ミルクを飲んでくれなくて予想外に慣らし保育が長くなることがあったりします。もちろん、園に入れば風邪を引きやすくもなります。 1歳児さんあるあるやっぱり0歳後半さんと同じで、人見知りで預けるときに大変になることが多いです。また、1歳になってくると周りを見ることができるようになり、保育園で予想以上に気を張って頑張る子が多いです。 そうやって気が張ってくると、4月後半から6月にかけて疲れがたまり、風邪からこじらせて肺炎になってしまって入院することになる……というケースもよくあります。(今年、私のところではなかったです)。 呼び出し時の対応を決めておこう!保育園に入れてみないとわからないことが多いのですが、風邪をひきやすい子もいれば、ひきにくい子もいます。ひきやすい子は本当に毎日のように、毎週のように呼び出しをされることがあります。 わが家はみんな平熱が高かったため、風邪でもないのに毎日電話が鳴っていた時期がかなり長期間ありました。保育園に入る前に“毎日呼び出されてもいいように”対策を練っておくことをおすすめします。 わが家は、私が外来の日などは絶対に休めないので、「○日午前はパパ当番、△日午後はママ当番、□日はどっちも無理だからシッターやファミリーサポートを使おう」など、毎日呼び出され当番を決めていました。使うにしても使わないにしても病児保育や病後児保育、シッターの登録などをしておくといいと思います。私も無料のところはとりあえず登録しておき、有料のところは困ったときに決めたりしていました。 冬の3カ月でしっかり充電を♪風邪対策だけではなく、0歳後半以降の子は預けるたびにギャン泣きされて、パパ・ママも子どももつらい数週間が待っているかもしれません。泣かれるのはつらいですが、それだけ親との信頼関係が強くできているという証拠でもあります。冬の3カ月でしっかりスキンシップをたくさんとって、親も子もメンタル的にも充電をたっぷりしておくといいですよ。入園準備や復帰準備で忙しい時期でもありますが、親子で楽しいことをたくさんしてくださいね。 監修者・著者:医師 高円寺こどもクリニック院長 保田典子 先生2003年筑波大学医学部卒業、国立国際医療センター、大阪市立総合医療センター小児循環器内科勤務を経て、2014年東京女子医科大学大学院博士課程修了後現職。小児科専門医。一般診療、小児循環器診療に加えて、漢方治療や発達相談にも対応している。2021年、高円寺こどもクリニック開院。3児の母。
2022年12月31日STEAM教育って何?
子育て楽じゃありません
細川珠生のここなら分かる政治のコト