自閉スペクトラム症(ASD)とは?ASD(自閉スペクトラム症)は、社会的コミュニケーションや対人関係の構築が難しい、また常同的・反復的行動が多くみられる、乳幼児期に出現する精神発達の障害です。普段と違うことを嫌がる、大きな音や光などへの感覚の過敏さがあるなど、「強いこだわり、感覚の過敏さまたは鈍麻さ」という特性もあり、知的障害(知的発達症)を伴うこともあります。症状の程度はそれぞれの人によって差があるため、スペクトラム(spectrum:範囲や連続体など幅を持った分布の意味)として診断されるようになりました。参考:傳田 健三著「自閉スペクトラム症 (ASD) の特性理解」『心身医学』57 巻 (2017) 1 号 P.19-26ASD(自閉スペクトラム症)は生まれつきの脳障害で、脳内の情報処理の仕方に障害があるといわれていますが、その原因はまだ分かっていません。この時期の成長や発達には大きな個人差がありますが、1歳でASD(自閉スペクトラム症)であると診断される指標として、・共同注意場面において「指さし」や「(他者の)指さし方向に顔を向ける」行動が出にくい・「他者の顔を見てほほえむ」などの社会的行動が出にくい・定型発達の1歳児にみられる「関心の共有」に興味を持ちにくいなどがあげられます。次章以降で詳しく紹介します。参考:横山佳奈、吉田翔子、永田雅子著「自閉スペクトラム症児への早期介入における現状と展望」『名古屋大学大学院教育発達科学研究科紀要 心理発達科学(Web) 』66巻 (2020) P.7-16参考:自閉症Q&A|厚生労働省1歳児の発達の目安って?定型発達児における、1歳頃の発達の目安としては、・歩き始め、手を使い、言葉を話すようになる・身近な人や身の回りの物に自発的に働きかけていく・歩く、押す、つまむ、めくるなど、さまざまな運動機能の発達や新しい行動の獲得により、環境に働きかける意欲を一層高める・物をやり取りしたり、取り合ったりする・おもちゃ等を実物に見立てるなどの象徴機能が発達し、人や物との関わりが強まる・大人の言葉を理解するようになり、自分の意思を親しい大人に伝えたいという欲求が高まる・指さし、身振り、片言などを盛んに使うようになり、二語文を話し始めるなどがあげられます。参考:保育所保育指針解説書 |厚生労働省ASD(自閉スペクトラム症)の特性は1歳児でも表れる?--違和感や発達の遅れ、気になるサイン1歳児は言葉の表出がまだまだ乏しいため、日常の中で気になる行動を見逃さないことが大切です。1歳頃に表れる、気になる発達の遅れやサインとは、どのようなものがあるのでしょうか。1歳児の気になる発達の遅れ、1歳児に表れやすいASD(自閉スペクトラム症)の特性として、・目が合いにくい、呼ばれても反応しない・社会性、言葉の発達(喋るのが遅い)などが表れやすい傾向・睡眠の問題(寝つきが悪い、途中で目が覚める、夜泣き)・人見知りがなさすぎる、あるいは人見知りが強すぎる、場所見知りが強いなどがあげられます。子どもにASD(自閉スペクトラム症)があるかどうかの診断において、厚生労働省は1歳6ヶ月児健診でM-CHATという質問紙を使用した「スクリーニング検査」を推奨しています。対人(対象物)関係や行動面(こだわりや常同行動など)、日常生活における反応や行動を、保護者から聞き取ります。・ほかの子どもに興味がありますか?・何かに興味を持った時、指をさして伝えようとしますか?・あなたのすることをまねしますか?(バイバイや拍手など)・名前を呼ぶと、反応しますか?など、実に20項目にわたり、将来において社会性の重要な基盤となる「非言語の対人コミュニケーション行動」を確認します。成長は個人差が大きいこともあり、M-CHATでASD(自閉スペクトラム症)の可能性が高いとされた1歳児のすべてがASD(自閉スペクトラム症)と診断されるわけではありません。また、基本的にM-CHATは保健師などがチェックするものであり、保護者自身がチェックするものではありません。参考:「改訂乳幼児期自閉症チェックリスト修正版」M-CHAT-R_F_Japanese.pdf(mchatscreen.com)1歳児に表れることの多いASD(自閉スペクトラム症)の特性による症状Upload By 発達障害のキホン※成長の個人差は大きいので、すべてに当てはまる、あるいは当てはまる項目が多いからといって「ASD(自閉スペクトラム症)である」というわけではありません。どこに相談や受診をすればいい?保護者ができることとは?1歳児は成長の個人差がとても大きく、発達の振れ幅が多い時期ですが、育てづらさがあったり、「この子に合ったよりよい関わり方を知りたい」と思ったら、まずは自治体の保健師さん・保健センターに相談しましょう。それ以外にも保健所や療育センターなどでも相談できます。参考:「1歳を迎えるお子さんをもつ保護者の方へ」|国立障害者リハビリテーションセンター子どもの発達について不安に思った場合は日常の様子をメモするなど、記録に残しておくことも大切です。保護者が見たこと、感じたことは何より重要な資料であり、それが早期発見、早期療育にもつながります。ただし、1歳児は成長・発達の個人差が一番大きい時期ともいえます。過度に心配したり気にしすぎたりせず、様子を見ながらおおらかな気持ちで接することも大切です。(監修:新美先生より)1歳頃のお子さんを育てるうえで、「1歳の子どもはこうであるべき」「1歳の子どものしつけはこうするべき」ということにとらわれ過ぎる必要はありません。うちの子はこういうことに興味があるんだな、こういうことをしていると楽しそうだな、こういう場面で困っているな、こういうシチュエーションは不安になるんだな・不快なんだなというお子さんの興味や苦手を探して、好きなこと興味ある活動を増やして、不快を減らして安心を増やすという方向性で関わっていけば間違いはないかなと思います。その中で、睡眠がとれない、癇癪が強すぎるなど、親子が生活しづらい困りごとがある場合は、相談機関に早めに相談するのもよいと思います。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年02月02日発達に特性がある子どもの中学受験。メリットとデメリットは?Q:ASD(自閉スペクトラム症)の小学生の子どもがいます。周囲に中学受験をするご家庭が多く、わが家も中学受験をしようか迷っています。発達に特性がある子どもにとって、中学受験のメリット・デメリットを教えてください。A:中学受験にはさまざまなメリット・デメリットがあります。できるだけ入学前に情報収集をすること、それも生の情報を集めることが大切になります。Upload By 発達障害のキホン中学受験のメリットとしては、発達に特性がある子どもにとって、一人ひとりの特性に合った学校環境の選択肢を広げることで、困難を減らし、本人の個性を伸ばし、学力を高められる点があげられるでしょう。また、中高一貫校の場合、高校受験がないことも大きなメリットとなるでしょう。デメリットとしては、学区域の公立の中学校と比較して自宅と学校の距離が離れている場合が多く、通学に困難が生じる可能性があること、経済的な負担の増加、子どもの特性に合わせた受験先の選択自体が難しいことなどがあげられるでしょう。入学前の情報収集が大切になりますが、学校と家庭との連携のしやすさ、合理的配慮がどの程度なされているのか(一つの例として、読み書きが苦手な子どもの学習にPCをどの程度取り入れているか)、職員との相談のしやすさなどが重要になってくると思います。公立の中学校にはない個性ある科目がある、お子さんの好きな活動があるなど、中学受験の魅力はさまざまあるかと思いますが、可能であれば先輩保護者から話を聞く、オープンスクールに参加するなど、できるだけ生の情報を集めるようにしたほうが良いと思います。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年02月01日「配慮できない」と言われた小学校から特別支援学級のある学校へ転校した息子Upload By ユーザー体験談現在6歳(小1)の息子がいます。4歳でASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)と診断を受けました。不安感が強く嫌なことばかり思い出してしまい、癇癪やこだわりも強い傾向があります。居住地域には自閉症・情緒障害特別支援学級がなかったため小学校は通常学級へ入学したのですが、学校からは「ほかの子と違う対応をすることは特別扱いだからできない」「配慮はできない」といわれ、息子は毎日先生方から怒られるばかりの日々に。学校へ対する不安が大きくなり、このままではダメだと、1年生の2学期から自閉症・情緒障害特別支援学級のある学校へ転校しました。大きな決断でしたので不安もありましたが、ここで転機が訪れたのです。新しい学校で出会った担任の先生新しい学校ではまず体験入学をしました。ここでは、特別支援学級の担任の先生が見てくださいました。「こだわりも強いけど、切り替えもできますね」「これからいろいろ問題は出てくると思いますが、大丈夫ですよ」と先生は力強く言ってくれました。当時、私は前の学校からさまざまな指摘を受けたことで滅入っていました。(受け入れてもらえるところに転校するしかないけれど、この子は変われないかもしれない……)と思っていたので、特別支援学級の先生に「この子は大丈夫」と言ってもらえた事が本当に嬉しかったのを覚えています。そして先生は、発達障害のある子どもにとても理解があり、愛情を持って根気よく接してくれました。Upload By ユーザー体験談息子の困った行動に先生は……転入後も息子の困った行動はみられました。授業中何度も立ち歩いてしまう、ダメだと言われていることも、どうしても気になってやってしまう(触らないで、入らないでと言われていることをしてしまう)、癇癪を起こして関係ないお友達を叩いてしまう、棒を振り回してしまい、お友達に当たってしまった……。そんなとき先生は、優しいだけでなく、ダメなことはダメだとはっきり伝えてくれます。そのあとは「本当は分かってるんだよね」「大丈夫」「できるよ」など安心できるような声かけをしてくれました。息子は「一番」に対してこだわりがあり、授業中の発表順や並び順などたびたび一番ではない事に癇癪を起こしていました。先生は一番にこだわって息子が癇癪を起こしそうになっていた時、「大丈夫、大丈夫、待てるよ」と言いながら息子を抱きしめて、一緒に順番が来るのを待ってくれました。順番まで待てたら、すかさず「ほら、待てたでしょ。できるんだよ!」と言って褒めてくれました。Upload By ユーザー体験談息子は幼稚園でも同じ理由で転園した事がありました。今回の転校もかなりショックだったと思います。「自分はみんなと同じように学校に通えなかった」という劣等感を抱いているようでした。転校した当初は、学校には行きたいけれど校門を入ると不安が押し寄せて癇癪を起こしたりしていました。ですが、すぐに「行きたくない」という事はなくなり、今では校門で「行ってきます!」と元気に登校していく姿を見送っています。家では学校での事を「楽しかった」「またやりたい」など笑顔で話をしてくれることも多くなりました。幼稚園から今まで、つらいことが多かった子育ての中で、子どもの様子にこんなに良い変化が見られたのは初めてでした。Upload By ユーザー体験談毎日笑顔が増えていく!思い切って転校を選択してよかった毎日笑顔が増えました。毎日何度も起こしていた癇癪は今は起こすこともなく、思い通りにいかない時に泣く事もあるものの、切り替えがとても上手になりました。弟がいるのですが弟に対して優しくなり、こだわりのある勝負事で負けたときも、負けを認めて「楽しかったー!」と終わりにできたり、弟に「上手だね、強いね」など褒める様子もみられるようになりました。まだ先は長いですが、思い切って転校を選択してよかったと心から思っています。先生は、優しいだけでなく厳しい面もありますが、いつも笑顔で、何があっても全力で受け止めてくれます。指導は厳しいけれど愛情たっぷりなのが息子にも伝わっている様子で、息子にも、親にも安心感を与えてくれます。今はまだ目の前にある問題と向き合って一つずつ解決していけるように模索しているところです。転校により良い変化が見られているので、このまま息子と私も成長していけたらいいなと思います。イラスト/吉田いらこエピソード提供/AAA(監修:鈴木先生より)お子さんにとってつらい環境から早く転校ができて良かったです。どんなに遠くても理解ある先生のいる学校がいいですよね。これは学校だけでなく医療や、美容院や塾などでも同じです。学校によって教育環境の差がなくなるように、本来は自治体や教育委員会が医療と連携して定期的な勉強会や会議が必要なのですが、現状はなかなか難しいようです。個人でいろいろな講演会を聴いて勉強している先生がいる学校では障がい児に対する「配慮」ができていると感じています。大事なのは教員の数ではなく、障がい児に対する知識の深さ&経験(センス)で、子どもの行動は教育環境にも左右されるため、いい環境に出合えることが重要です。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年02月01日中学校からの着信ASD(自閉スペクトラム症)の太郎は、現在中学2年生。特別支援学級に在籍しているが、基本的に授業は交流学級で行われている(※)。一学期の終わり、私の仕事がちょうど終わった頃に携帯に着信が入った。(※)授業の受け方や支援方法などは地域によって異なりますUpload By まゆん「〇〇中学校」太郎が通っている中学校からの着信だった。学校からの着信は珍しくはない。しかし何度かかってきても胸がざわつくもの。「今回は何があったのだろう」と、毎回不安になりながら電話に出ている。「もしもし。いつもお世話になっております。太郎の母です」私は冷静な声で電話に出るよう努めた。「こんにちは」聞き慣れた声は、太郎の担任の先生だった。太郎の担任の先生は、いつもであれば落ち着いてゆっくりと話す方である。しかしこの時は少し様子が違った。「えーっとですね」言葉に詰まっている様子から、何かあったのだと想像ができた。先生は続けて話を始めた。「今日の音楽はリコーダーのテストだったんですが……。それがみんなの前で吹くというテストで、太郎くんはそこで固まってしまって……」話は続き、リコーダーのテストは前もって生徒たちに伝えていたらしいが、太郎は「知らなかった」と言い「急な出来事」になってしまったようだということだった。Upload By まゆんみんなの注目を浴びた太郎は固まって動かなくなり、特別支援学級の先生に誘導されて少人数のクラスへ移動したとのことだった。音楽の授業は午前中に行われたが、特別支援学級に移動したあとも緘黙状態は続いたという。そしてようやく放課後になると表情は和らぎ、そのまま迎えに来た放課後等デイサービスのスタッフと学校を出たということだった。次に、今後のテストの受け方についての方針の相談があった。リコーダーのテストは受けなければ評価をできないため、必ず受けてほしいということだった。どうしたら受けることができるかと先生と話をした。本来はみんなと同じ条件でクラスメイトの前でテストを受ける形であるが、注目を浴びることで緘黙状態になるのであれば個人的にテストを受けることも可能ということだった。そして、最終的には本人の意見を聞いて、どういう形でテストを受けるか決めることになった。先生もここまで緘黙状態が続くとは思っていなかったようで、2人で教室にいて話をしようとしても太郎の口からは言葉がほとんど出てこなかったとのことだった。先生の声から、衝撃が伝わってくるようだった。すぐに私が電話したのは電話を切ったあと、すぐに放課後等デイサービスに連絡した。太郎がどんな様子だったかを知りたいというのが1番で、学校での出来事も情報共有したかった。タイミングよく太郎の担当の先生が対応してくださった。放課後等デイサービスでは、太郎自らリコーダーのテストについて話を少ししたらしいが、その後は何もなかったかのようにいつも通り過ごしていたということだった。Upload By まゆんそして次は、家にいるばあば(私の母)に電話をした。太郎に何かあって事情を話している時、ばあばはいつも冷静に「ほう。ほう。ふむふむ」と聞いてくれる。そしてばあばはこう言った。「さっきデイサービスから帰ってくるなり、リコーダーのテストができんかったって言ってたけど、自分から言えてるけん大丈夫やろー」私はこの言葉にまた安心した。その後、太郎と私は家でリコーダーの練習を一緒に行い、無事にテストを受けることができた。結局テストは、先生が太郎と話し合ってくださり、特別支援学級まで音楽の先生が来てくれて一対一で実施したという。テスト終了後の太郎は、特にその出来事を口にする訳でもなく、いつものように穏やかに過ごしていた。Upload By まゆん多方面からの支え問題が発生した時、こうして多方面からの支えがあることで私と太郎は生活ができているのだと思います。また、日頃から周りには感謝しているのですが、こういう問題発生時により強く周りの方の力というものを感じることができています。今回も学校の先生方、放課後等デイサービスのスタッフの方、私の母、そして太郎に力をもらい乗り越えることができました。太郎の特性については情報共有シートに記載して学校の先生に渡してあるのですが、どのような時にどのような場面緘黙になるのか、実際目の当たりにしないとよく分からないものだと思います。今回の件は、太郎を知ってもらうという意味では良い機会になったのではと考えています。今後も同じような場面が学校に限らず出てくると思いますが、その時その時で対処の仕方も変化していくと予想しています。引き続き、周りの人と連携をとりつつ今後も過ごしていきたいです。執筆/まゆん(監修:初川先生より)太郎くんのリコーダーテストをめぐる出来事から、情報共有について、また太郎くん・まゆんさんを支えるネットワークに関するエピソードをありがとうございます。特性についてあらかじめ情報共有していてもすべてをフォローできるわけではなく、学校はさまざまなイベントがあり、また子どもたちも日々変化・成長があるものです。こうして、何かあった際に、担任の先生と保護者の方との間ですぐに共有し、対応を検討できるのはいいですね。また、太郎くんの緘黙度合いがなかなか長時間にわたったことから、関係する方々ともその後の様子を聞き取りされたのもいいことだと感じました。保護者がお子さんの様子を常に見ているわけにもいかず、また、場や人によってお子さんも出し方を変えるかもしれない。リコーダーのテストにうまく対応できなかったという、いつもとは違う展開があったことを関係者が知っておくだけでも大事ですし、中心にいる太郎くんの様子を確認できたのは安心につながります。お子さんは自分の身に起きたこと、自分の気持ちをすべて説明できるわけでもないので、それぞれで様子をよく見てもらう意味でも、そして今後似たような出来事への予習としても情報共有は大事であると感じるお話でした。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年01月31日年末年始に体調を崩す次女が4年生の年末のことです。急に、動けないほどの胃痛を発症してしまいました。それまでも「胃が痛い」と言うことはあったのですが、こんなに痛がることはなく、すぐに病院に連れて行くことに。結局原因は分からず、お薬をいただいて痛みは軽くなったのですが、年末年始はほとんど食べられない状態がずっと続いて、クリスマスやお正月のご馳走を楽しみにしていた次女は、とても落ち込んでいました。その後、年が明けて学校が始まったある日。夕方、私が仕事から家に帰ると、そこにいたのは顔の腫れた次女。何事かと思ったら、全身がかゆいとのことで、体中にかなりの湿疹が出ていました。何かのアレルギーかと思って、すぐに病院に連れて行きましたが、原因不明の蕁麻疹(じんましん)とのことでした。こちらもお薬で軽快しましたが、しばらくは全身がかゆい状態が続いていました。Upload By まりまりどちらも原因は不明で医師からは……この立て続けに起こった体調不良ですが、どちらも医師からは、原因は分からず、「ストレスからきているのかもしれません」と言われました。「思い当たることはありませんか」と聞かれて、思い当たることしかありませんでした……。Upload By まりまりストレスの原因は?次女的には無理をしているつもりはない思い当たることとして、ちょうどその頃から通級指導教室が始まったこと、ずっと次女のカウンセリングを担当してくれていた臨床心理士さんが辞めてしまい新しい方に変わったこと、とても好きだったクラスからの進級への不安などがありました。以前、小学校入学時にもストレスから身体に症状が出ていたので、また違うかたちで出てきたのかもと思いました。ただ、次女本人にストレスの原因になっていそうなことについて聞いても、「大丈夫」「つらいことはない」「何がストレスになっているか分からない」という感じで、傍から見ていると、環境が変わって負担に感じているのは分かるのに、次女自身は、自分の状態がよく分かっていない様子でした。Upload By まりまり以前、心理士さんから聞いた言葉を思い出した以前心理士さんに、「次女には場面緘黙があるけど、好奇心旺盛でいろいろやりたがって疲れすぎてしまうことが多いので、どう対応したらよいか」と相談したことがありました。今後次女は、そういうものを自分でコントロールしていかなくてはいけないけれど、親としてはどう対応していったら良いのか難しかったのです。そこでは、心理士さんから・もちろん自分でいろいろ経験して、自分で分かるのが一番良い・ただ、今は小学生だし、自分で分かるのが難しい部分もある・近くにいる保護者としては、その時の次女の気持ちを聞いて、フィードバックしていくことで、次女自身の理解を促すというようなアドバイスを受けました。そうすることで、次女が自分の気持ちを言語化して、自分の気持ちや身体の状態を自分で考えられるようになるきっかけになるとのことでした。なので、その後から、なるべくそれを意識して次女と話していくことにしました。Upload By まりまり次女と自分の状態について言語化していく次女はまだ、自分の状態に気づくことに手助けが必要だと分かったので、この間に起こった変化と、それにあたっての次女の気持ちを話し合いました。そこで、いろいろ変化がある時はつらい気持ちになってそれがストレスになること、そういう時は無理をしないで休むことも必要だと話しました。そういうことを積み重ねて、次女が自分自身の身体や心の調子を分かって、少しでもうまくコントロールしていけるようになったらと思っています。Upload By まりまり執筆/まりまり(監修:新美先生より)ストレスが影響して、身体に不調をきたしている、いわゆる心身症の状態だったと思います。頭痛や腹痛、アレルギー疾患(蕁麻疹も含みます)や、自律神経の不調など、ありとあらゆる病気が、ストレスに大きな影響を受けます。心身症の多くの場合、ご本人はストレスを自覚していなかったり、大したことがないと気にしていなかったり、否定していたり、もっと頑張りたいと思っていたりします。ご本人がストレスをストレスと意識していないからこそ、体が症状で悲鳴を上げている状態とも言えます。子どもに心身症症状が出ている場合は、大人のほうでストレスの原因となっていることを探して環境調整したり、ご本人がストレスを自覚してストレスを避けたり上手に付き合ったりできるようなサポートが必要です。記事ではまさに、お子さんご本人が自分の状態に気づいてコントロールできるようになるよう、話し合ってサポートしたことが書いてありました。すぐには自覚できなくても、そこに焦点を当てていくことで、徐々に実感して対処法を身につけていけるようになるとよいですね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年01月31日東京都放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報2023年12月1日にオープンしたunico八王子は、「脳科学×コーチング」をテーマとしたアクティブラーニングを取り入れたレッスンを行っています。unicoでは「ちがい」と「おなじ」をどちらも大切にしたいという想いをモットーに、お子さん一人ひとりが持つ「育つ力」を引き出すことを大切にしています。「子どもたちが楽しめる場所」「子どもたちが安心する場所」そして、「子どもたちが育つ場所」を目指しています。⻑時間の集団支援だからこそ得られる体験やワークショップも充実している施設です。東京都の放課後等デイサービスをもっとみる東京都児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報コペルプラス信濃町教室は、JR総武線「信濃町駅」、東京メトロ丸ノ内線「四谷三丁目駅」より徒歩8分の場所にある教室です。すべてのお子さんがもつ「無限の可能性」と「やった!できた!楽しかった!」と思える支援を大切に日々のレッスンを実施。お子さんが「今日、コぺルプラスに来てよかった」と思えること、そして、保護者の方にとっても安心できる場所になれるような教室づくりに力を注いでいるそうです。楽しく遊ぶ中から学び、できることを増やし、お子さんが園や学校、家庭で自分らしく過ごしてしていくためのスキルを身につけられるようにサポートしています。東京都の児童発達支援をもっとみる神奈川県放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報コぺルプラスジュニア稲田堤教室は、「できないこと」にアプローチするのではなく「できること」を増やしていくことを大切に考えている教室です。また、勉強という枠にとらわれず、日常生活に大切な「気づき」や「思考」にもアプローチした発達支援を実施。レッスンの中で、お子さん自身が持つ能力を楽しみながら最大限に発揮できるようなレッスンの提供を目指しています。お子さんと保護者の方が笑顔を増えるように、そして「また、コペルに来たい!」という声を聞くことができるように、ご家族にも寄り添いながら、共にお子さんの成長をサポートしています。Upload By 発達ナビ施設情報ふらっぷすは2024年2月にオープンする課後等デイサービスです。お子さんとその保護者の方の心配事、悩み事など些細なことでもヒアリングし、個別支援計画を作成してくれます。日常生活で必要な挨拶、礼儀、姿勢など自立につながることから少しずつ「できた!」という気持ちを大事にし、意欲的に取り組める支援を提供。プレオープンは2024年1月から。見学や体験はすでに受け入れ可能とのことです。保育士や児童指導員、介護福祉士など経験豊富なスタッフが迎えてくれます。神奈川県の放課後等デイサービスをもっとみる神奈川県児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報コペルプラス稲田堤教室は、川崎市の方はもちろん、調布、府中、稲城にお住いの方も通うことができる児童発達支援施設です。お子さん一人ひとりの発達の過程に寄り添い、個別または小集団のレッスンを提供。楽しく遊びながらできることを増やし、園や学校、家庭で自分らしく過ごしていくためのスキルを身につけられるようにサポートをしています。また、お子さんや保護者さんの要望や困り事にしっかりと耳を傾け「個別支援計画」を作成。 教室の隣には小学生向けのコペルジュニア稲田堤教室もあり、年長から就学への移行もスムーズに行うことができるのも特徴です。Upload By 発達ナビ施設情報コペルプラス宮前菅生教室は、2023年7月にオープンした教室です。言葉の遅れや行動に落ち着きがない、集団行動がむずかしい、癇癪、こだわり……など、発達特性や困り事はお子さんによってさまざま。診断名がなくても、お子さん本人や周囲が生活するうえで困難を感じている例もあるのではないでしょうか。コペルプラス宮前菅生では、目の前にいるお子さんの状態を理解し、起こっている困難に対し何ができるのかを第一に考えることを大切にしているそう。そして、豊かな発達の途上にあるお子さんと保護者の方をあたたかくサポートする教室です。Upload By 発達ナビ施設情報2024年2月にオープンするふらっぷすでは、お子さん一人ひとりの個性に合わせ、自立支援、対人関係支援、運動能力向上、社会適応能力の向上などを目指して、個別、集団の支援を提供。児童発達支援管理責任者、保育士、児童指導員、介護福祉士などのさまざまな分野の専門スタッフが、お子さんたちの日常生活がより良いものとなるよう将来を見据えた支援を行い、お子さん自身、また、保護者の方の不安にも寄り添い、支えになることを目指しています。そして、失敗や成功する体験を共にしながら、お子さんたちの自信へとつなげていくことに力を注ぎたいと考えている施設です。神奈川県の児童発達支援をもっとみる埼玉県児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報東武スカイツリーライン「草加」駅西口より徒歩3分とアクセスしやすい場所に位置するコペルプラス草加教室。レッスンでは、苦手な部分をフォローするのはもちろん、お子さんのできるところにスポットを当てていきます。スタッフたちがたくさんの笑顔で褒めることにより、自己肯定感を育みお子さんの可能性を引き出していきます。実際の教室の雰囲気やレッスンの様子が気になる方は、体験レッスンへお申込みされてみてはいかがでしょうか。Upload By 発達ナビ施設情報コペルプラス飯能教室は、西武鉄道池袋線 「飯能」駅 北口より徒歩3分の立地にあり、公共交通機関でも通所しやすい場所にあります。駐車場も完備されており、車での通所も可能。「子どもの可能性は無限大」をモットーに、お子さんの持つ力を最大限に発揮できる支援を常に目指しているそう。「楽しいあそび」を通して、「できた!」「やったー!」という自信につなげていくことを大切に、お子さんの発達過程の姿に寄り添い、個別または小集団のレッスンを提供している教室です。Upload By 発達ナビ施設情報コペルプラスせんげん台教室では、保育士や児童指導員などの資格を持ったスタッフたちがお子さん一人ひとりの可能性を引き出す支援を提供しています。楽しみながら挑戦をすることで、「できた!」「やりたい!」の気持ちを引き出し、お子さんの「できないことをなくす」のではなく「できることを伸ばす」ことを大切にしています。発達のことや子育てのことなど、些細なことでも相談しやすい環境を整え、「お子さんの成長の瞬間を一緒に感じ、喜び合える」そのようなスタッフがいる教室です。Upload By 発達ナビ施設情報JR高崎線「宮原駅」から徒歩3分、アクセスのよい場所に位置するコペルプラス宮原教室では、お子さんや保護者の方が安心して通える教室づくりを目指して、一人ひとりに合わせた「楽しいショーのようなレッスン」を提供。また、個別クラスだけではなくソーシャルレッスンクラスで集団でのレッスンも実施。園や学校、そして家庭でも、お子さんが自分らしく過ごしていくためのスキルを身につけることを目指しています。Upload By 発達ナビ施設情報コペルプラス川口領家教室は「できないことをなくす」のではなく「できることを伸ばす」ことで、自分の個性を認め、お子さん自身が自分の個性を認め、何事にも前向きに取り組めるようになることを目指しています。無料体験レッスンでは30分間実際の支援を受けることで、教室の雰囲気を感じられ、お子さんが楽しく通い続けられるかどうか、また保護者の方も安心してお子さんを預けられるかどうかを確認することができます。専用駐車場もあり、小さなお子さんも通いやすい環境が整えられています。Upload By 発達ナビ施設情報コペルプラスさいたま見沼教室では、お子さん一人ひとりに合わせた支援を大切にしています。そして、瞳が輝くような楽しい支援を通して、お子さんが自発的に取り組み、自ら能力を発揮していく姿をサポート。「できないことをなくす」のではなく「できることを伸ばす」ことで、お子さん自身が自分の個性を認め、何事にも前向きに取り組めるようになることを目指しています。同教室では、無料体験レッスンの随時受付に加え、無料の子育てサロンを毎週水曜・土曜日に開催。駐車場も2台分用意されているので、車での通所も可能です。埼玉県の児童発達支援をもっとみる千葉県放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報わくわくクラブは、JR常磐線、武蔵野線「新松戸駅」、流鉄流山線「幸谷駅」より徒歩3分の場所にあります。スタッフは、子どもたちの課題や苦手なことをいかに楽しくできるかを工夫しプログラムを設定。そして、子どもたちの個性を大切に、さまざまなカリキュラムや遊びを通じて、「できた!」という成功体験を積み重ねていけるようにサポート。また、時間を使った気持ちの切り替え方や、自由遊びの中でのやり取りを大切にし、お子さんがありのままの自分を認めながら、成長していけるような支援を行っています。千葉県の放課後等デイサービスをもっとみる千葉県児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報コペルプラス千葉中央教室は、千葉都市モノレール「 葭川公園」駅 徒歩5分、JR総武線 「千葉」駅、京成千葉線・京成千原線 「千葉中央」駅 徒歩10分の立地にあり、公共交通機関でアクセスがしやすい場所にある教室です。日々のレッスンでは、「笑顔あふれる発達支援」を心がけ、さまざまな着目点からのアプローチを実施。「できないことをなくす」のではなく「できることを伸ばす」ことに注力。お子さんが自分の個性を認め、何事にも前向きに取り組める姿を目指してサポートしています。Upload By 発達ナビ施設情報コペルプラス柏たなか教室は、つくばエクスプレス 「柏たなか」駅より徒歩3分と、公共交通機関で通所しやすい場所にある教室です。「できないことに対する訓練」ではなく、できないことの背景に存在する「課題」に焦点をあて、お子さんの能力を引き出すための発達支援を実施。2000種類以上の、さまざまな感覚や物事をとらえる力を育てるための多種多様な教材を通じ、お子さんの集中力を高め、豊かな学びの環境を届けています。まった、保護者の方はレッスンの様子をマジックミラー越しに見ることができ、お子さんの表情や成長の瞬間を感じることできます。Upload By 発達ナビ施設情報コペルプラス柏松葉町教室は、「けやき通り」という緑が豊かな通りに位置し、室内も広々としたとても開放感のある教室です。「柏の葉キャンパス駅」と「北柏駅」から同教室方面へ向かうバスもあり、教室から徒歩5分圏内に駐車場も用意されています。笑顔が絶えないアットホームな雰囲気の中、お子さまが自分らしくのびのびと成長し、楽しく学べるレッスンを提供。また、お子さんが自分自身を表現し、自己肯定感を高めるためのプログラムも充実しているそうです。千葉県の児童発達支援をもっとみる栃木県放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報「みんなちがって、みんないい」。それぞれの「ちがい」を認め、受け入れ、互いに助けあうことのできる社会を創りだしたいと考えるブロッサムジュニア下永田教室では、発達支援を通して自尊感情を高め、お子さんが自信をもって社会へと飛び出していけるようにお手伝いをしています。そして、お子さんの個性を丸ごと受け止め、それを伸ばしながら、新しいスキルも身に付けられるように一人ひとりに合わせた多様な支援プログラムを用意しサポートしています。栃木県の放課後等デイサービスをもっとみる茨城県児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報「つたえるってたのしい、つたわるってうれしい」をコンセプトに、コミュニケーション支援に力を入れている施設です。アートプログラムも充実しており、さまざまなアートの技法を取り入れながらお子さんに豊かな経験を提供しています。また、臨床美術士によるアートセラピー、理学療法士が作成した特別支援計画に基づく発達支援も実施。送迎も用意され、未就学児にも対応しています。保育園や幼稚園へのお迎えも可能です。茨城県の児童発達支援をもっとみる愛知県児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報就学に必要な基礎知識や生活習慣をレッスンするコペルプラス上前津教室は、地下鉄「上前津駅」から徒歩3分の通いやすい場所にある教室です。スタッフは児童指導員の資格とさまざまな経験を持ち、お子さん一人ひとりの個性を尊重する支援をしています。また、お子さんだけでなく保護者の方にも寄り添い、サポートを行ってくれるので、たくさんの喜びを分かち合いながら、お子さんの成長を見守ることができます。無料体験レッスンでお子さんの瞳が輝く瞬間を実際に見届けてはいかがでしょうか。Upload By 発達ナビ施設情報「ストリート」という施設名には「子どもたちが前に進むための“道”になりたい」という思いが込められています。日々のレッスンでは、お子さんにとっての「よいこと」を見つけ、「できる」を引き出し、「できた」ことへの達成感を獲得できるようにサポート。ABAを用いたレッスンを中心に、個別支援と、ダンスや音楽等の集団支援を組み合わせたレッスンを行い、保護者の方はその様子を見守ることができるようになっています。長年の経験を持つスタッフが、個別と集団を組み合わせた支援で、お子さんや保護者の方の困り事に誠心誠意対応できるように努めています。愛知県の児童発達支援をもっとみる静岡県児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報コペルプラス藤枝教室は、JR東海道本線「藤枝駅」南口から徒歩3分の場所に位置しています。コペルプラス藤枝教室では、お子さんの瞳が輝くような楽しいレッスンを通して、お子さんが自発的に取り組み、自ら能力を発揮していく姿をサポートしています。スタッフは保育士や幼稚園教諭、特別支援学校教諭をはじめ、精神保健福祉士や児童指導員など全員が有資格者で、お子さんの発達に関するさまざまな知識を有しています。2000種類以上のオリジナル教材は、ゲームや製作などもあり、お子さんが楽しみながら取り組めるように工夫されています。楽しいレッスンの中でできることを増やし、園や学校、家庭で自分らしく過ごしてしていくための必要なスキルを身につけることを目指しています。静岡県の児童発達支援をもっとみる新潟県児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報コペルプラス長岡教室は、JR信越本線「長岡」駅大手口より徒歩9分の場所にあり、駐車場は関東町パーキングに3台分用意されています。フラッシュカードや百玉そろばん等、さまざまな教材を使ったレッスンは、お子さんの興味や関心を引き出しながら、スタッフもお子さんの気持ちに寄り添い、共に楽しむことを大切にしているそうです。お子さんのあるがままの個性を尊重し、一人ひとりの力を伸ばす支援を目指している教室です。新潟県の児童発達支援をもっとみる大阪府児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報コペルプラス箕面粟生外院教室はマンションの1階部分が教室となっており、敷地内に専用の駐車場が2台用意されているため車での通所も可能です。さまざまな感覚や物事をとらえる力を育てるための多種多様な2000種類の教材を通じ、お子さんの集中力を高め、豊かな学びを届けています。1回60分のレッスン時間で、25~30個程度の課題に取り組むのだとか。同教室では、個別支援を中心に、2~6名の小集団レッスンや、毎回異なる運動支援も実施。また、全ての部屋にマジックミラーが設置され、保護者の方はお子さんがレッスンを受ける様子を見守ることができます。大阪府の児童発達支援をもっとみる京都府児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報JR「丹波口駅」から徒歩10分の場所にあるコペルプラス京都中堂寺教室は、「楽しい!」と感じられる時間の中から、「できた!やりたい!」という気持ちを引き出すことを大切にする教室です。「常にお子さんの成長をサポートできる存在でありたい」という考えのもと、明るく優しいスタッフたちが、お子さんに寄り添い、何事にも前向きに取り組めるように導きます。また、保護者の方は、マジックミラー越しにレッスンに取り組むお子さんの姿を見ることができ、成長の瞬間を感じることができる工夫が取り入れられています。京都府の児童発達支援をもっとみる兵庫県児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報コペルプラス塚口教室は、JR福知山線 「塚口」駅より徒歩8分の場所にある教室です。たくさんの教材を取り入れた遊びを通して、お子さんの「できた!」の積み重ねを大切にしています。「コペルはいつ?」「コペルに行くのが楽しい!」「コペルにまた行きたい!」とお子さんが思えるような支援を心掛けているそうです。スタッフは全員が児童指導員の資格を持ち、お子さんの発達に関するさまざまな知識を備え、お子さん一人ひとりの成長や自己肯定感の育成を全力でサポートしています。Upload By 発達ナビ施設情報コペルプラス明石教室は、JR「明石」駅、山陽電鉄 「山陽明石」駅より徒歩5分とアクセスのしやすい場所にあります。お子さんの発達に合わせた2000種類の豊富なオリジナル教材を用いて、「できた!」という達成感を大切にした楽しいレッスンを行っているそうです。また、知育だけでなく徳育も大切にし、お子さんの心の成長もサポート。保護者の方の不安や疑問にも寄り添い、共にお子さんにとって、よりよい未来を見つけられるようスタッフ一丸となって取り組んでいる教室です。兵庫県の児童発達支援をもっとみる「もっと施設の情報を詳しく知りたい!」「見学をしてみたい!」と思ったら、Webからもお問い合わせが可能です。施設情報ページでは、掲載されている施設の情報を地域ごとに検索して見ることができますよ。
2024年01月30日小中5年間不登校だった娘わが家の娘、いっちゃん(ASD(自閉スペクトラム症)・現在16歳)は、小学校5年生から中学時代まで不登校でした。発達障害と睡眠障害(非24時間睡眠覚醒症候群)があり、朝決まった時間に登校することが難しかったのです。全く行かないというわけではなく、午前中に目を覚ましたときは登校します。とはいえ、泊まりの学校行事には不参加でしたし、年間の出席日数でいえば、欠席していた日のほうがはるかに多かったと思います。欠席した日の勉強はどうしていたかというと……学校には月に7日程度は行っているわけなので、登校した際に、休んでいた間の授業プリントや小テストなどをもらってきて(大体教室の机の中に入ってる)、自宅で教科書を見ながら授業プリントで自習するということはやっていました。Upload By 寺島ヒロ小テストは、親か6歳年上のお兄ちゃんが付き添って、そのプリント自習の後にやらせていました。そのテストの正答率は8割ほどでしたが、担任の先生によると、ほかの児童生徒さんともさほど差はないということだったので、そのまま提出していました。ちなみに、定期テストの結果は真ん中くらい。都市や国の名前や、技術や家庭科のテストで「けがき線」や「まつり縫い」のような用語を問われると正答率が悪いという特徴は見えてきていました。親目線では「あんまり勉強してないな……」という思いはありつつ、しかし、家では絵を描いたり音楽をつくったりとほかの興味のあることで忙しくしていたので、本人も家族も「特別遅れてないならまあいいか」という感じでした。高校は通信制の学校に進学しました。通信制の高校に進学して通信制の高校に進学すると、当然ですが出席日数などは問われません。もともと自習が苦にならないタイプの娘、繰り返して見ることのできるビデオ授業がメインになったのは大変ありがたかったようです。担当の先生のテレビ通話でのフォローアップも受け、着々と単位を取得することができました。【いっちゃんが通信の高校に進学した顛末はこちら】↓しかし、希望の大学を目指そうとすると少々、いえかなり厳しい状態です。小中学校を通して学校の制度や教育システムがどうにも理解できなかったいっちゃんでしたが、高校でキャリアガイダンスや進学指導を受け……発達的にも良いタイミングだったのでしょう、やっと理解し「わたしは大学に行きたい!」と言いだしました。思いも新たに、しかし高校1年生の終わりに受けた初めての模試の結果は撃沈! それでもあきらめるにはまだ早いですし、受験がなくても勉強はしておくに越したことはありません。「数Bが全然分からん!」「忘れていることが多すぎるみたい」という娘にも、はっきりとした課題感が生まれてきたよう。今が学び直しのチャンスかも!?というわけで、娘と話し合って、高校2年生の夏休みは小学校4年生の内容から勉強のやり直しをすることに決めました。紙の本のドリルで学び直し!やり直しの方法は、市販のドリルを本屋で買って、一緒にやることにしました。Webには、高校が用意してくれたものも含めて、インターネットでできる便利な問題集などもありますが、紙の本のほうが親がついて見てやりやすいですし、手で紙に文字を書き入れる「面倒くささ」も、娘には良い経験になるだろうと思いました。さあ、これで夏休みの間にみっちりやるぞ!と思った矢先……なんと、わが家にコロナが襲来。ばたばたと家族が倒れる事態になってしまいました。危うし、学び直し!しかし、「決めたことはやる!」ASDのこだわりか、家族の中でいち早く復活した娘、家族が寝ている中、一人もくもくとドリルを進め、夏休みの終了日までに、ついに中学3年生までの分を終わらせてしまいました!Upload By 寺島ヒロただ「勉強しなきゃ」「いい点とらなきゃ」と思うだけでは難しいけど、4年生の分のドリルを終わらせる、その次は5年生の分のドリルを終わらせる……みたいに具体的にクリアする目標が見えていたので、手が付けやすかったのかもしれません。大学受験にはまだまだ遠いけど……今(高校2年生の冬)も、高校1年生の分のドリルで復習しながら、学校の勉強を進めています。「ドリルまた買ってきて」とか「英検の参考書が欲しい」と言ってくるようになり、小中の頃に比べると、はっきりと自主的に学んでいる感じがしています。執筆/寺島ヒロ(監修:新美先生より)不登校中と通信制高校進学後の学習について、詳しく聞かせていただきありがとうございます。学校にあまり通えていなくて睡眠障害で生活リズムが不安定だった時でさえも、学校のプリントを自習で着々とやりこなし、テストで正答率8割、真ん中ぐらいの成績をとれていたということは、いっちゃんは自習学習に向いている、学習が基本的に苦じゃないタイプの方なのでしょう。思春期の不登校期間に、コツコツ学習をこなしている人は多くない印象なので、とてもすごいです。そして通信制高校の学習スタイルは、そんないっちゃんにはとても合っていたのでしょう。さらに、高校でのキャリアガイダンスや進路指導がヒットして、明確な目標ができてしまえば、強いですね。苦手なところもしっかり分からないところまで戻って学び直しをして、分かる、できるようになる手ごたえをつかめてきたのでしょう。こうなってくると、学習が楽しくなってきて、目標までまっしぐらですね。楽しみです。正直、ここまでコツコツ自主的に学習できるお子さんばかりではありません。これはお子さんのタイプにもよるので、どんなに周りが仕向けようとしても動かないこともあるでしょう。学習に限らなくても、明確な目標やモチベーションがあって、本人のやり方にフィットすると、見違えるように何かに打ち込めることもありますが、その出合いがいつ来るのかは誰にも分からず、気長に見守るしかないこともありますね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年01月30日ワンオペ育児とは?なぜ起こる?発達の気になる子どもの対応Q&A、相談先についても紹介ワンオペ育児とは、保護者一人に育児の負担が偏っている状態を表す言葉です。単に一人で育児をするのではなく、「孤独な育児」という意味が含まれていて、昨今社会的関心を集めています。そもそもワンオペとは「ワンオペレーション」、つまり一人で作業することを意味していて、コンビニエンスストアや飲食店などで、店員一人だけで店を回している状態に対して使われていました。そういった過酷な働き方と一人で育児をする保護者の状況が似ているということで、2010年代半ば頃からインターネットなどで「ワンオペ育児」という言葉が使われるようになり、今ではニュースなどでも取り上げられることがあるほど注目を集めています。現在ワンオペ育児を担っているのは保護者の中でも母親が多いと言われているため、この記事でもワンオペ育児をする母親の状況などを主に記載していきます。実際に発達ナビのサイト内でも、「ワンオペ育児でもう限界……」「イライラしてしまうことがあっても、ワンオペなので逃げ場がありません」など、ワンオペ育児に疲れた様子の書き込みが見られます。ワンオペ育児は一人で子育てを行っている状態のため、悩むことがあっても相談相手がいないことや、時間や精神的な余裕がなくて自治体の子育て窓口に連絡ができないということがあります。その結果、適切な支援を受けることができずに育児のつらさが解消されず、心身の疲労が蓄積することで、精神疾患の発症や、子どもへの望ましくない関わりなどを招いてしまいかねないと言われています。参考:三谷 はるよ著「育児期の孤独感を軽減するサポート・ネットワークとは」『家族社会学研究』32 巻 (2020) 1 号 P.1-2なぜ起きる?ワンオペ育児の原因ワンオペ育児になる原因には、日本社会の労働環境や家庭環境、パートナーの姿勢や親自身の性格的傾向といった、さまざまな要因が考えられています。・パートナーの労働環境により、育時休業や時短勤務ができない近年では日本でも男性の子育てへの参加意識が高くなっていると言われています。厚生労働省は2010年から男性の育児休業促進などを目的とした「イクメンプロジェクト」を行っており、国内での関心も高まっていると思われます。しかし、政府が掲げている目標では、2025年までに男性の育児休業取得率を30%までに上げるとしていますが、2021年時点で13.97%と目標にはまだ遠く及ばないのが現状です。また、日本の男性は諸外国に比べて仕事に費やす時間が長いというデータもあります。令和4年に内閣府男女共同参画局がまとめた資料によると、2020年のOECD(経済協力開発機構)による調査では、週全体平均で日本の男性の有償労働時間は一日あたり452分でした。これは日本の女性の有償労働時間の約1.7倍となっています。こういった社会的背景から、父親は育児をしようとしても時間が取れず、母親一人で育児をせざるを得ない状況が起きていると考えられます。・頼れる実家や親戚が近くにいないワンオペ育児になる要因として、核家族化が進んだことも挙げられています。以前は祖父母や親戚、地域の人など多くの人が関わって育児をしているという状況がありました。それが、核家族が進んだことで周りに頼れる存在がいなくなり、必然的に子育ては親のみで行うという状況が生まれてきました。・パートナーの非協力的な姿勢パートナー(ここでは夫)の子育てへの非協力的な姿勢もワンオペ育児の要因と考えられています。令和4年に内閣府男女共同参画局がまとめた資料によると、家事育児の男女の負担割合は男性3:女性7となっており、家事育児の負担が女性に偏っている現状がみられます。また、内閣府が実施した令和4年度男女共同参画社会に関する世論調査では、育児について、自分と配偶者でどのように分担したいと思うか聞いたところ、約70%の男性が 「育児は自分と配偶者で半分ずつ分担」と回答した一方で、「配偶者のほうが自分より育児を多く分担」と回答した男性が約20%いました。加えて、子どもがいる夫婦が離婚して母親が親権を持つケースや、未婚のシングルマザーとして母親が一人で育児を行う場合もあります。こういった、男性が育児に関わる時間の短さや、一部の男性の子育てへの非協力的な姿勢などが、母親のワンオペ育児につながっているとも考えられます。・困り事をひとりで抱え込んでしまうなどの性格傾向親自身の性格傾向にもワンオペ育児で悩んでしまう要因があると言われています。不安が強かったり、周りの人に相談できずに抱え込んでしまう傾向がある方は、育児の孤独感や子育てに対して否定的な考えを抱きやすいという調査もあります。もちろんワンオペ育児の困り事は状況により生じることが多いですが、ワンオペ育児を担っている方の性格によっては悩みが深いものになる可能性もあります。参考:イクメンプロジェクト|厚生労働省参考:加藤 承彦、越智 真奈美、可知 悠子、須藤 茉衣子、大塚 美耶子、竹原 健二著「父親の育児参加が母親,子ども,父親自身に与える影響に関する文献レビュー」『日本公衆衛生雑誌』69巻(2022)5号 p.321-337参考:令和4年度男女共同参画社会に関する世論調査|内閣府参考:コラム1 生活時間の国際比較 | 内閣府男女共同参画局参考:三谷 はるよ著「育児期の孤独感を軽減するサポート・ネットワークとは」『家族社会学研究』32 巻 (2020) 1 号 P.1-2発達の気になる子どものワンオペ育児……こだわりや癇癪、どう対応する?医師Q&Aここでは、発達が気になる子どものワンオペ育児に関するさまざまなギモンについて、小児科医の室伏佑香先生に伺います。(質問)日々のルーティンを回すのが大変で、子どもとの過ごし方がマンネリになりがちです。刺激が少ないと発達に影響がありますか?(回答)ワンオペ育児をする保護者の負担は非常に大きいと考えられます。そのため、余裕がなく遊びなどもワンパターンになることもあるでしょう。しかし、子どもは日々の暮らしのいろんな場面で刺激を受けているので過度に心配する必要はありません。保護者がリラックスして接することで親子の関係も良くなり、結果的に子どもの健やかな成長にもつながるでしょう。悩みすぎずに適度に肩の力を抜くことも大切です。Upload By 発達障害のキホン(質問)子どものこだわりや癇癪に付き合って家事が進まず、ストレスになってしまいます。どうしたらうまくいくでしょうか?(回答)ワンオペ育児の最中にお子さんのこだわりや癇癪の対応に追われて、家事が全然進まないということもあると思います。そのような場合は、「今はそういう時期」と割り切ることも一つの方法です。家事を完ぺきにこなそうとすると、できなかったときに大きなストレスを感じることもあります。ある程度思うように進まなくても仕方ないと割り切ることも大切です。今は便利な家電や宅配サービスなど家事を楽にする製品やサービスがいくつもありますので、活用していくことも検討してみてはいかがでしょうか?状況をパートナーと共有し、食事は買ってきてもらうなど協力しながら進めていくようにしましょう。Upload By 発達障害のキホン(質問)ワンオペ育児が大変で、ついついテレビや動画に頼ってしまいます。見せすぎると発達によくない影響がありますか?(回答)乳幼児期の子どものテレビ・DVDの視聴時間と発達の関係を調べた調査では、視聴時間が長くなればなるほど、1~2歳ではコミュニケーション能力、2~3歳では粗大運動、微細運動、社会性などの発達に影響が出るとされています。また、日本小児科医会は「2歳までのテレビ・ビデオ視聴は控える」、「1日2時間までを目安とする」と提言しています。ただし、テレビや動画を全く見せてはいけない……と保護者の方が必要以上にストレスを感じてしまうことはありません。実際に、上に示した調査結果でも、1歳時点でテレビや動画を全く見せていない家庭は1割程度、2歳以上ではほとんどありませんでした。小さいお子さんがテレビや動画を見るときは、「できるだけ親子で一緒に楽しむ・質の良い内容のものを選ぶ・長時間見せない」といったことに気をつけながら、上手にメディアと付き合っていくとよいでしょう。また、負担のない範囲で外遊びや読み聞かせの時間をつくるようにするのも、物理的にテレビや動画と距離を置くことができ、お子さんの興味をテレビや動画からそらすことができるのでおすすめです。Upload By 発達障害のキホン参考:乳幼児期の子どものテレビ・DVD の視聴時間と発達の関連が明らかに|千葉大学参考:「子どもとメディア」の問題に対する提言|社団法人日本小児科医会「子どもとメディア」対策委員会ワンオペ育児で限界に追いつめられないために……解決策や相談先はある?ワンオペ育児を続けることで、心身の健康に悪影響が出ることが懸念されています。ここでは、ワンオペ育児の負担を軽減させるための方法をいくつか紹介していきます。・パートナーと解決策を話し合うワンオペ育児になっている場合に、パートナーと解決策を話し合っていくことが大事です。といっても、パートナーは仕事などによりその状況をよく把握していないことも考えられます。まずは、時間を取って現在どのようなことでつらい思いをしているかをパートナーに伝えて、家事や育児の役割分担、次にあげるさまざまなサービスの活用などを話し合っていくといいでしょう。・さまざまな支援サービスを利用するワンオペ育児をはじめとして子育ての負担を軽減させるためのサービスがあります。公的なものでは自治体が運営をする「ファミリー・サポート」サービスがあり、保育園などへの子どもの送迎や一時的な預かりなどを実施しています。ほかにも、民間では家事代行サービスや一時預かりサービスなどがあります。うまく活用して、負担を減らしていくようにするといいでしょう。参考:ファミリー・サポート・センター事業|東京都福祉局・地域子育て支援センターなどの保健師やカウンセラーに育児相談してみる各地域には、主に未就学の子どもたちや保護者同士の交流ができる子育て支援センターが設置されています。センターには子育ての専門家がいて、ワンオペ育児に関する相談をすることも可能です。また、ほかの保護者と話すことによって、つらさに共感してもらったり、アドバイスがもらえたりすることもあるでしょう。・ワンオペ育児からうつ病などの精神疾患になった場合ワンオペ育児のストレスからうつ病などを発症すると、子育てに対する意欲が低下したり、感情的な対応が増えたりして、保護者がつらいのみならず子どもの発達にも多大な影響を与えることが考えられます。また、保護者の感情的な対応がエスカレートすることで、子どもへの不適切な関わりにもつながりかねません。そうならないためにも、上に挙げた対策を取るとともに、早めに悩みを相談することが大切です。子育てに関する相談窓口はたくさんあり、電話、SNS、メールなどさまざまな方法で相談が可能です。東京都の窓口を掲載しますが、各自治体にも同様なWEBサイトがあると思いますので、つらいと感じたときは早めに相談するようにしましょう。参考:相談窓口|東京都こども子育て相談窓口また、子どもの発達が気になる場合は専門機関に相談することも重要です。子どもに発達上の特性があるときは、その特性に応じた対応をすることが大切ですが、ワンオペ育児をしている中で一人で適切に対応することは難しいと言えるでしょう。そこで、専門家の力を借りて、発達の気になる子どもの特性の把握や対応方法のアドバイスなどを受けることで、子育ての大変さを減らしていくことにもつながっていきます。発達の気になる子どもの相談先としては、・発達障害者支援センター・児童相談所・保健センター・かかりつけの小児科などがあります。相談しやすい場所から問い合わせてみるといいでしょう。まとめワンオペ育児は保護者の一人が育児の大部分を担うことで、孤独感などから保護者の心身に悪影響が出る可能性も指摘されています。ワンオペ育児は社会的な背景や家庭の事情もあり仕方がない部分もありますが、できるだけパートナーと役割分担することや、公的、民間の家事や子育てサービスを活用することで負担を軽減させていくことも大切です。また、子どもに発達の遅れや、発達の凸凹がある場合は、こだわりが強かったり癇癪が激しかったりと、一人での対応がより難しくなることも考えられます。子どもの状態によっては、療育手帳や通所受給者証を取得して、さまざまな福祉サービスを利用できる可能性があります。福祉サービスには、子どもの特性に合わせた支援が受けられる通所支援のほか、レスパイトと呼ばれる一時預かりやショートステイなどのサービスもあります。詳しくは、自治体の障害福祉窓口にご相談ください。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年01月29日障害者福祉サービス等の令和6年度の改定について令和6年度より児童発達支援事業所などの運営者に関わりのある「障害福祉サービス等報酬改定」が行われる予定です。この記事では、同時に検討が進められている「児童発達支援センターの類型一元化」の内容を中心にお届けします。はじめに、「障害福祉サービス等報酬改定」における主要事項は、次の通りです。・障害者が希望する地域生活を実現する地域づくり1 障害者が希望する地域生活を実現・継続するための支援の充実2 医療と福祉の連携の推進3 精神障害者の地域生活の包括的な支援・社会の変化等に伴う障害児・障害者のニーズへのきめ細かな対応1 障害児に対する専門的で質の高い支援体制の構築2 障害者の多様なニーズに応じた就労の促進・持続可能で質の高い障害福祉サービス等の実現のための報酬等の見直し(参考)厚生労働省|令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の基本的な方向性について次に、発達が気になる子どもの保護者の方に特に関わりがあると考えられる「障害児に対する専門的で質の高い支援体制の構築」について、詳しく見ていきましょう。児童発達支援センターの機能強化が検討される背景基本的な考え方として、「障害児に対する専門的で質の高い支援体制の構築」においては、児童発達支援センターを中核とするとされています。児童発達支援センターを中核に、身近な地域でニーズに応じた必要な発達支援が受けられる体制整備を進めるとともに、地域の障害児支援体制の充実を図る。引用:厚生労働省|令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の基本的な方向性について児童発達支援センターは、平成24年の改正児童福祉法の施行 によって設けられました。現在(令和6年1月時点)は、「福祉型」と「医療型」の2つに分けられており、「医療型」児童発達支援については、肢体不自由児のみを対象としています。しかし、「医療型」児童発達支援センターは全国に91施設(令和4年)というのが現状です。[%E2%80%A6]ataset&kikan=00450&stat_infid=000040123108&metadata=1&data=1(参考)厚生労働省|社会福祉施設等調査 / 令和4年社会福祉施設等調査 年次推移そのため、住んでいる地域によって支援内容や環境に差が生じ、肢体不自由児が必要な支援を受けにくかったり、肢体不自由児以外の障害のある子どもは、通いやすい場所に「医療型」発達支援センターがあっても利用できず、別の事業所を探す必要があったりといった課題があります。さらに次のような指定基準があり、・「福祉型」児童発達支援センターは、児童指導員又は保育士の配置人数は、障害児4人に対して1人・「医療型」児童発達支援センターは、児童指導員・保育士の配置人数は、障害児の人数に関わらず、それぞれ1人ずつ「医療型」は、子どもの人数に応じた児童指導員・保育士の配置が難しいため、利用する肢体不自由児に対して、乳幼児期に重要な「遊び」を通した発達支援が十分に行いにくいといった課題があります。(参考)厚生労働省|障害児通所支援の在り方に関する検討会報告書これらを踏まえて、「児童発達支援センターの機能強化等による地域の支援体制の充実」が方向性の一つとして掲げられていると考えられます。ポイント1.「福祉型」「医療型」児童発達支援センターの一元化障害福祉サービス等報酬改定検討チームでは、児童発達支援センターの「福祉型」と「医療型」の一元化、「福祉型」における3類型(障害児、難聴児、重症心身障害児)の区分の一元化について、現在検討が進められています。Upload By 発達ナビ編集部障害特性に関わらず身近な地域で支援を受けられる体制の整備〇 児童発達支援センターの基準・基本報酬について、多様な障害児が身近な地域で支援を受けられる体制整備を促進する観点から、福祉型・医療型の類型を一元化するとともに、福祉型における3類型(障害児、難聴児、重症心身障害児)の区分も一元化する。一元化後の新たな基準・基本報酬は、現行の福祉型(障害児)を参考に設定するとともに、難聴児や重症心身障害児について、現行の基準で求めている体制等も踏まえて、障害特性に応じた支援を行った場合の評価を行う。引用:厚生労働省|令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の基本的な方向性についてポイント2.「中核拠点型」児童発達支援センターの整備児童発達支援センターを中心とした地域の障害児通所支援の体制整備が検討されています。その中では、「専門人材を配置して地域の関係機関と連携した支援の取組を進める」など、4つの機能を発揮して地域の障害児支援の中核的役割を担うセンターを中核拠点型と位置付けて、体制や取組に応じて段階的に評価を行う方向で検討が進められています。児童発達支援センターの機能・運営の強化〇 児童発達支援センターの中核機能の発揮を促進する観点から、専門人材を配置して地域の関係機関と連携した支援の取組を進めるなど、4つの機能を発揮して地域の障害児支援の中核的役割を担うセンターについて、中核拠点型と位置付けて、体制や取組に応じて段階的に評価を行う。〇 児童発達支援センターが未設置の地域等において、センター以外の事業所等が中核的な役割を担う場合に、中核拠点型のセンターの評価も参考に、一定の評価を行う。引用:厚生労働省|令和6年度障害福祉サービス等報酬改定の基本的な方向性についてまとめ令和6年度の「報酬改定」にともない、厚生労働省では現状の課題を踏まえた「児童発達支援センターの役割(在り方)」の検討が進められています。特に児童発達支援センターの機能一元化が進めば、施設の選び方や利用方法も変わってくることが想定されます。今後、発達ナビでも最新情報をお届けしていきたいと思います。
2024年01月29日ABA(応用行動分析)とは?応用行動分析学、通称「ABA」(Applied Behavior Analysis)とは、人間の行動を個人と環境の相互作用の枠組みの中で分析、実際に社会でのさまざまな問題の解決に応用していく理論と実践の体系です。ABA(応用行動分析)療育のメリットは?Q:ABA(応用行動分析)療育とはどのような療育なのでしょうか。ABA(応用行動分析)療育のメリットなども知りたいです。A:多くの研究でABA療育を行うことによって、コミュニケーションや言語や認知の発達などが報告されています。ABA(応用行動分析)療育はASD(自閉スペクトラム症)の早期療育に関して、エビデンスのある方法として知られています。基本はセラピストと1対1で、行動原理に基づいて、コミュニケーションや認知、生活スキルなどさまざまなプログラムが行われます。ABA療育は「社会生活上の困難」を減らし、望ましい行動を増やしていくことでQOL(生活の質)を向上させることを目的としています。例えば困った行動をなくすためには1.原因の理解・特定2.適切な手法を知る3.その手法を実施し、効果があるかどうかを記録4.効果があれば継続し、効果がなければ、その手法を改善することが重要とされています。また、子どもが学習に集中できない場合は、スケジュールなどをあらかじめ教えて見通しが持てるようにしたり、学習場所の環境を整えたり、保護者や教師などの声掛けや行動を変えることで、子どもが適切に行動できるよう引き出していきます。最近では、「発達行動介入」と言われる日常的な遊びや人と関わる場面でコミュニケーションの基礎的スキルを学んでいくプログラムも広まってきています。ABA療育は早期から開始することが理想ですが、状況に合わせて無理なく続けていけるように、子どもやご家庭に合ったペースで進めていくことが大切です。Upload By 発達障害のキホン
2024年01月29日生後9ヶ月で離乳食開始するもまったく食べず、何度も離乳食を中断することにUpload By 鳥野とり子わが家の息子ねこ太は現在小学校1年生。ADHDグレーゾーンで特別支援学級に在籍しています。ねこ太は在胎27週930グラムで産まれた早産児で、寝ない・飲まない・とにかくよく泣く赤ちゃんでした。新生児の頃から直接母乳を飲むことが下手で授乳には大変苦労をしました。そのうえ生後半年を過ぎた頃から、遊び飲みがひどくなりミルクを飲まなくなりました。悩んだ私は主治医に相談をして、生後9ヶ月(修正月齢6ヶ月)から離乳食を開始することにしました。ミルクには興味がないけれど、もしかしたら食には興味を持ってくれるかも?なんて淡い期待を寄せながら迎えた離乳食初日、小さじ1杯分の10倍粥を口に入れると……見事にブーっと吐き出されてしまいました。「初めての離乳食だし仕方ないな」と思っていましたが、何日経ってもこの状態。なんと、お粥を小さじ3杯食べられるようになるまで1ヶ月以上かかったのです。主治医のアドバイスで夜間断乳を決意!これで離乳食が進むかと思いきや……Upload By 鳥野とり子離乳食開始から3ヶ月、あまりにも食べないので離乳食を中断したり再開したりを繰り返していました。どうしていいか分からず、主治医に相談したところ、「思い切って夜間断乳をしてみたらその分食べるようになるかもしれない」というアドバイスを頂いたのでさっそく夜間断乳をする事に。夜間断乳を始めると夜泣きがひどくなり大変でしたが、それでも食べてくれるようになるならと夫と交代で一晩中必死であやして寝かしました。しかし夜間断乳しても食べ具合はまったく変わらず。夜泣きは悪化するし食べないし、何をしても上手くいかずクタクタになりました。さらなる苦戦!離乳食から幼児食への切り替えUpload By 鳥野とり子離乳食に苦戦しましたが、さらに苦戦したのは幼児食への移行でした。その頃のねこ太はお粥から軟飯に移行しただけでも食べなくなる状況だったので、普通のごはんなんて食べる訳がなく、かなり長い間水分が多くドロドロにすりつぶした状態の離乳食を与えていました。あまりにもドロドロの状態の物しか口にしないので、「この子はこのままずっと流動食のようなドロドロの物しか食べられないのかな……」と不安になったのを覚えています。ねこ太に気付かれないように少しずつ少しずつ食事に含まれる水分を減らし、幼児食っぽい食事を少し食べられるようになったのは2歳0ヶ月(修正月齢1歳9ヶ月)の時でした。もしかしたら口の中に問題があるのかも?と思い言語聴覚士さんに相談することにUpload By 鳥野とり子少しずつ幼児食も口にするようになりましたが、2歳を過ぎても水分が多い食事でないと食べられない息子。もしかしたら咀嚼や嚥下の機能に問題があるのかもしれないと思い病院で相談したところ、言語聴覚士さんにねこ太が食べているところを見ていただけることになりました。いつも食べさせているごはんをタッパーに詰めて病院へ行き、言語聴覚士さんの前でお昼ごはんを食べさせてみました。結果は……なんと問題なし!口の動かし方も、舌の動かし方も、飲み込み方もゆっくりだけどちゃんとできているし、大きな問題はなさそうとのことでした。言語聴覚士さんには「食べないのは咀嚼嚥下の問題ではなく、単に食に興味がないのかもしれないですね」と言われ、この時は「食に興味がないってどういう事?」と不思議に思いましたが、のちにこの言葉の意味が分かりました。無理せず息子のペースで食事を進めた幼児期。療育の給食が救いにUpload By 鳥野とり子息子が飲まない・食べないのは単に食への興味が薄いのが原因と言われ、特にこれといった対応策が見つからないので、息子の食事のペースに根気強く寄り添うしかありませんでした。その後もなかなか年齢相応の食事内容や食事ペースにはならず、私はどんどん精神的に追い詰められていきました。しかし、そんな私と息子に転機が訪れました。それは児童発達支援事業所の給食です。2歳4ヶ月から6歳3ヶ月まで通った児童発達支援事業所は給食の提供がある施設で、この給食のおかげで息子が食べられる物がどんどん増えたのです。家とは違う環境でお友達や先生と食べる給食は息子にとって刺激になったようです。今まで食べようとしなかったおかずや、私が息子に食べさせたことのないおかずを口にするようになり、食事の幅が一気に広がりました。7歳になった今でも食は細い息子。でもよく食べる日もあるし元気に成長しているのでそれだけで花マル!Upload By 鳥野とり子先日7歳になった息子ですが、今でも食への興味は薄めなので食事に集中できなくて食べながらボーっとすることが多いし、食べるスピードも相変わらず遅いです。お友達より食べる量は少な目ですが、すごく食べる日もあるし何より元気に成長しているので食事に関してはあまり気にならなくなりました。気にならなくなるまでには長い道のりがあり、息子の食事のことで私がノイローゼ気味だった時期もあります。たかが食事と思われるかもしれませんが、1日に3回もあることです。食べないと心配だし、せっかくつくった物を食べてくれないのは悲しくて親として大きな悩みでした。私は自分が食べるのが大好きなので食に興味が薄いという状態が理解できず、ごはんは本能的に食べる物なのだと思いこんでいました。でも今の息子を見ていると、言語聴覚士さんに言われた通り乳幼児期に食べなかったのは食への興味の薄さだったんだなと納得しています。今では、息子には息子の食事のペースがあると思い気長に見守っています。執筆/鳥野とり子(監修:初川先生より)ねこ太くんの食事にまつわる、とり子さんの悩みと対応の変遷のシェアをありがとうございます。ミルクをうまく飲まない、離乳食で大苦戦、幼児食も大苦戦……こうしたことに心当たりのある読者の方も多いのではないでしょうか。とり子さんも書かれていましたが、つくったものを食べてもらえないのはどうしても保護者の心情としては悲しくなりますね。折々に小児科の先生や言語聴覚士の先生など、専門家の方に見ていただきながら対応されてきたこと素晴らしいと思います。何か器質的な問題や体の使い方の問題などがあればそれはそれで対応する必要があるのでそのあたりをまず相談されてこられたことは何よりです。「食への興味が薄い」「食に執着がない」といった話は相談場面ではよくうかがいます。ただ、ご家族の中に同じような傾向の方がいないとなかなかそうした要因は思いつかないかもしれないですね。ねこ太くんは児童発達支援事業所での給食がきっかけでさまざまなものを食べられるようになったとのこと。小学校での給食をきっかけに食べられるものが増えたという方もいらっしゃいます。同世代の子たち、家族ではない大人(先生方)との食事という状況から食べることに興味を持ったり挑戦したりするということもある、ということですね。また、自分で食べ物(野菜など)を育ててみたり、調理してみたりしたことをきっかけに興味を持つお子さんもいます。食事との付き合い方もお子さんの個性が出るところです。無理強いしていいことはないので、心配なことは専門の方に相談しながら、本人のペースや興味関心の変遷を見守っていけるといいと思います。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年01月28日ペアレント・トレーニング(ペアトレ)とは?ペアレント・トレーニング(ペアトレ)とは、保護者が環境調整方法や子どもへの肯定的な働きかけを学ぶことで、子どもの発達を促進し、子どもの問題行動や保護者の心理的なストレスなどを改善していくプログラムです。ついつい子どもを叱ってしまいがち。ペアレントトレーニングのメリットとは?Q:子どもに発達障害があり、「片づけをしない」「宿題をしないでゲームばかりしている」などの好ましくないと思われる行動をすると叱ってしまいがちです。ペアレントトレーニングに関心があるのですが、どのようなメリットがあるのでしょうか。A:ペアレントトレーニングは保護者が個々の子どもの特性を理解し、子どもに合わせた関わり方を学ぶことで問題行動の改善や発達の促進を目指すことができます。発達障害のある子育てにはさまざまな困難やストレスがあると言われています。また、子どもの示す不適切な行動に対して感情的な対応をしてしまうこともあるかもしれません。ペアレントトレーニングは保護者が個々の子どもの特性を理解し、一人ひとりの子どもに合わせた関わり方を学ぶことで問題行動の改善や発達の促進を目指したプログラムです。例として、・子どもの行動を観察し、良い部分を見つける・良い部分を褒める・子どもが落ち着けるような環境を見つける・より良い声掛けの方法を知り、子どもに伝えるなどがあります。内容としては、講義だけでなく演習やホームワークも設定され、具体的、体験的に学べるようになっています。グループや個別などさまざまな形式がありますので、自分に合ったプログラムを選んでいくとよいでしょう。Upload By 発達障害のキホン(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年01月28日当てはまる特性とそうではない特性がある……。これって発達障害なの?「もしかしたら発達障害かもしれない?」と思って調べても、当てはまる特性とそうではない特性がある、ASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如多動症)の特性に少しずつ当てはまるけれどどっちなの?と思われたことがある方は多いのではないでしょうか。なぜそのようなことが起こるのでしょうか。発達障害を理解するには、具体的なイメージをもつことが大切です。以下のケースの男の子は発達障害に該当するでしょうか?また、発達障害だとしたら、どのような診断がつくでしょうか?一緒に考えてみてください。ケース:時間にルーズな小4の男の子Upload By 専門家体験談小学4年生の男の子の例です。ゲームが大好きなのですが、ゲームで遊び始めると、友達との約束や宿題をやる時間、寝る時間などを忘れて熱中してしまいます。寝る直前になって宿題をやり始めても、疲れているのでそう簡単には終わらず、翌日は寝不足となって授業にも集中できなくなります。ただし、教室のルールを厳守しすぎる傾向があり、ルール違反をした友達を注意するという面もあるそうです。ゲームの時間は1日〇時間と決めても、1日しか持ちません。また、この子の場合、ゲームにだけ集中しているのかというとそうではなく、プレイ中に気が散って、ゲーム機の電源をつけたままほかの遊びを始めることがあり、ゲームへの情熱にもむらっ気がみられます。さて、この男の子には発達障害があるのでしょうか?ADHD(注意欠如多動症)?ASD(自閉スペクトラム症)?Upload By 専門家体験談男の子には「活動の切り替えが苦手」「用事を忘れてしまう」「気が散りやすい」という特徴がみられました。このことから、ADHD(注意欠如多動症)の特性の可能性があるのではと考えられます。また、ケースをよく読むと、ゲームをやり続けるこだわりや教室のルールを厳守しすぎる律儀な面もみられます。こうした面に加え、ASD(自閉スペクトラム症)の特性である対人関係の困難さが見えるならば、ASD(自閉スペクトラム症)と診断される可能性もあります。ちなみに、これらは特性によって生活上の支障が生じた場合「診断」されます。このように発達障害の人の一部は、ASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠如多動症)などいくつかの特性がまじりあっているタイプになるため、一概にASD(自閉スペクトラム症)である、ADHD(注意欠如多動症)であると診断されるとは限らないのです。発達障害には「重複」や「強弱」がある発達障害のようではあるけれど、どの障害とも言い切れない……、はっきり答えが出ていない解説に驚いたり、釈然としない思いを抱かれた方もいらっしゃるかもしれません。ですが、これが発達障害の実際の姿です。この男の子の例のように、発達の特性に「重複」や「強弱」があることは、発達障害を理解する上でとても重要なのです。私は、発達障害がある人のことを「~ができない」と考えるのではなく「~よりも~をする」という「選好性」を持っている人だととらえています。例えば「雑談よりも内容重視の会話をしたがる」、「対人関係よりも自分のこだわりを優先する」、「じっとしていることは苦手だが、思い立ったらすぐに行動に移せる」といったものです。その優先するものが少数派なため、発達障害の人たちは周囲から理解されづらく、生きづらさを感じているのです。発達障害は、けっして特別なものではありません。発達の特性は、いわゆる「ふつう」と地続きのものです。いまは特に困難を感じることなく生活している人の中にも、発達障害の特性がある人はいます。もし特性に当てはまる部分があったという人は、生活をしていて困ることがでてくる前に、自分の特性、自分のやりたいことを理解すること、そして生活環境の調整に取り組んでいただければと思います。マンガ/吉田いらこ(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年01月27日良い出会いを求めて奔走私には発達障害がある24歳の娘がいます。私たち親子はこれまで多くの人に支えられながら暮らしてきました。今までの子育ての中で私は良い人との出会いこそが要(かなめ)だとつくづく感じています。もちろん出会った人すべてのが「最高!」というわけではなく、ときには「うーん残念」と思うようケースも少なからずありました。でも教育の現場も福祉の現場も、複数人(チーム)での関わりが基本なので「この人とは何かウマが合わないなぁ」と思ったら私は周りの関係者に相談をしたりしてきました。このように、私は長い間良い支援者との出会いを求めて奔走してきました。周りの人はきっと「このお母さん必死だなぁ」と感じていただろうと思います。今の私たち綱渡り状態ではありましたが、何とかドロップアウトすることなく成長した娘。彼女は現在、親元を離れグループホームで生活をしています。娘はずっと暮らしてきた地域とは違う自治体管轄のグループホームを選んだので、小学生の頃からから築き上げてきた支援者との繋がりは引っ越しと同時になくなってしまいました(引継ぎはしてもらいましたが)。環境の変化が苦手な娘が、新たな支援者との関係を一からつくるのには時間がかかります。でもさまざまな苦労をしながらも彼女のペースで頑張っているようです。今の私たち親子は以前に比べ程よい距離感が築けています。では、“子育て”が終わったのかといえば決してそうではなく、大きな問題が起きたときには本人や支援者の方から連絡が来ます最初は手探りで娘に接していた支援者の方々も1年、2年と娘と接していくうちに彼女の特性(ツボ)を徐々に理解してくれてきたように感じています。人と制度の両輪先にも書きましたように、私は支援の要は『人』だと考えています。それは娘が24歳になった今でも変りません。でも最近はそれに加え『制度』も大事なのだと感じるようになってきました。娘が中学生の頃までは放課後等デイサービスの制度はなく、役所などでも障害のある子どもの居場所の情報を集約、統括はしていませんでした。ですので、民間の施設の情報をクチコミやインターネットで集め、一件一件電話をしては子どものことを説明し、自分の足で確認に行くしかありませんでした。良い施設が見つかったとしても全額自費で経済的にかなり厳しかったです。「子ども食堂」や「ヘルプマーク」といったものも、娘が高校生の頃にでき、徐々に全国に広がっていきました。今では多くの人が利用しているこのようなサービスが全国に広がるには制度(=国や自治体の予算)が欠かせません。もちろんどんなに制度が整っても、それを使う人の知識や技術や適性、意欲がなければそれは意味を成しません。でも逆もまた然りで、素晴らしい支援者や職員がいても、適切な制度がなければ彼らの動きに制限がかかってしまうこともあるのです。『人』と『制度』この両輪が上手く機能してこそ充実した支援が得られると私は考えています。Upload By 荒木まち子制度の最新情報を集める大切さこのコラムの読者さん(発達ナビユーザー)は小さいお子さんの保護者の方も多く、制度や法律と言われてもいまいちピンとこないかもしれません。私も子どもが小さかった頃は毎日を過ごすのが精いっぱいでした。幼稚園でトラブル、学校での勉強、友達関係、反抗期、生活リズム、受験、進路、就職etc.目の前のことの対応に日々追われていました。でも、振り返ってみると「もう少し早いうちから制度や法律についても気にかけておけば良かった」と思っています。改正された障害者総合支援法・児童福祉法が2024年4月1日に施行されます。法律は難しいと感じるかもしれませんが、私たちの暮らしにどんな影響があるかを知っておくと将来への不安は少なからず減るはずです。改正の内容の一部をざっくり言うと◆グループホームで暮らしている方がそこを出て、別の暮らし方を希望した場合・2024年3月まで→新居は本人が探す・改定後→入居中のグループホームなどが居住支援(物件探し、一人暮らしで必要な支援の相談など)を行うといったようなものがあります。<参考>厚生労働省障害者総合支援法等の改正についてまた、障害のある子どもの就労に関しても、令和7年10月に新たな就労選択支援が施行される見込みだそうです。これは現在中学3年生の子どもからが対象ですので、当てはまる方は注視が必要です。情報はどこで入手する?地元に根づいたママ友同士の情報はときにとても有益ですが、法律や制度についての最新情報が話題に上がることは少ないかと思います。では、それらの情報収集はどこでしたら良いでしょうか。特別支援学校であれば学校やPTA主宰の勉強会などでも情報は得ることができますし、親の会(手をつなぐ育成会)の広報誌などでも最新情報が手に入ります。企業が主宰する講演会などに参加するのも良いかもしれません。<参考>全国手をつなぐ育成会連合会 (zen-iku.jp)人との繋がり、ネットワークを制度が充実したからといって、すべてを行政や支援者に丸投げして任せてしまうことがないよう私は心掛けています。なぜなら人との繋がりが希薄になってしまうからです。制度や支援を理解し上手く利用することで、親の私自身の心にも余裕が生まれ、子どもに対しておおらかに接することができるようになったのは事実です。でも親にはできなくて支援者にはできることがあるように、親だからこそできること、親にしかできないこともきっとあると思うのです。“親も支援者もワンチーム”といったぐらいの気持ちでお互い素敵な関係が築けたなら、そのネットワークはきっと親がいなくなった後も子どもを支え、守ってくれると私は考えています。今後、私が願うこと現在、支援やサービスに地域差があるのは確かです。でも都心に限らず、先駆的・画期的な取り組みをしている自治体はあります。それらが良い「モデルケース」となって全国に広がり、いつしか「スタンダード」になれば良いな、と思います。行政の、地域や業種・職種を超えた柔軟な繋がりや連携が広まり、どこに住んでいても同じような支援やサービスが途絶えることなく受けられるようになる日がくることを願ってやみません。放課後等デイサービスだって、子ども食堂だってヘルプマークだって全国に広まったんだから不可能ではないはず!と私は思っています。執筆/荒木まちこ(監修:渡部先生より)まさにおっしゃる通りで、私がコメントを差し挟む余地はほとんどないというのが率直な感想です。制度が無ければ希望する支援は受けられませんが、その制度を担う人がいなければ利用できない。どちらかが欠けても、本人の地域生活は成り立ちません。そして制度も少しずつ変わったり、新しいものができたりしています。こういった情報はなかなか検索しても見つかりません。ぜひどこかの家族会に入会して、本人が少しでも安心して暮らせるような情報をゲットして、下世話な言い方をすれば「トク」してほしいと思います。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年01月27日早期療育とは?療育とは、障害のある子どもや、発達の遅れや偏りのある子どもに対して行われる支援です。それぞれの子どもの発達状況や特性などに応じて今現在の困りごとの解決や将来の自立に向けて支援を行います。知的発達症やASD(自閉スペクトラム症)の子どもが早期に療育を始めることで、社会的コミュニケーションの能力などが伸びるとも言われています。参考:就学前早期の自閉症児への療育介入は、社会予後を改善させる可能性|国立成育医療研究センター3歳児健診で「要観察」。療育に通うのは早い?Q:子どもが3歳児健診で「要観察」となり、療育機関を紹介されました。まだ要観察なので療育に通うのは早いのではと悩んでいます。「早期療育」のメリットなどが知りたいです。A:子どもに合った早期療育を行うことで、子どもにとって発達を促進し、困難を減らしていく可能性が高まり、保護者にとっても子どもに合わせたかかわり方が相談できるというメリットがあります発達障害者支援法においても早期支援の重要性が示されています。診断がなくても主治医の意見書によって早期から児童発達支援が受けられるようになってきました。早期療育にも個別支援や集団支援などさまざまな形態があります。子どもの発達や特性には個人差があるので、一人ひとりの子どもに合わせたプログラムが必要です。自発的、意欲的に周囲とかかわれるような環境を作り、自信や意欲、コミュニケーション能力の向上、自己選択、自己決定などを伸ばす支援を行います。子どもに合った早期療育を行うことで、子どもにとって発達を促進し、困難を減らしていく可能性が高まり、保護者にとっても子どもに合わせたかかわり方が相談できるというメリットがあります。Upload By 発達障害のキホン(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年01月27日療育園から幼稚園に転園して早3カ月が経過したどんちゃん。幼稚園にもすっかり慣れて毎日、楽しそうに通っています。■お友だちからお手紙をもらったそんなどんちゃんのクラスは現在、お友だちや先生にお手紙を送り合うのが、はやっているのだそうです。定型発達の年中さんだと、確かにそろそろ文字に興味を持ち始め、平仮名やカタカナの読み書きができる子が増え始める頃です。しかし、知的障がいに加えて発達障がいもあるどんちゃん。文字はまだまだハードルが高いです。(きっとお手紙を送り合うお友だちを、離れたところから見つめるのが精一杯なんじゃないだろうか…)と、なんとも言えぬ寂しさがあるのかもしれないと心配していました。ですがある日、どんちゃんの通園バッグの中から見慣れないサイズの紙が出てきました。なんと! お友だちからお手紙をもらったのです!お手紙の内容もさることながら、読み書きがまだできないどんちゃんを仲間はずれにすることなく、お手紙を書いて渡してくれたお友だちのことを思うと、涙が止まりませんでした。そんなことがあった数日後。 ■どんちゃんからのお手紙は家宝に今度はどんちゃんから私にお手紙が!体が未発達なうえに小さくて、ペンを持つための力もあまり強くないどんちゃん。話によると、いつもどんちゃんをサポートしてくださる加配の先生が手を握ってくれて、どんちゃんが書きたいように補助してくれたそうです。お手紙の内容も相まって、私はさらに涙が止まらず…!先生やお友だちの温かい気持ちの中で、どんちゃんは日々成長している! と強く思った出来事でした。ちなみに、このときのお手紙はあまりにうれしかったので、額に入れて飾っております。家宝です。
2024年01月26日大きな不安を抱え始まった幼稚園生活。順調に見えたけれど……わが家の長男あーにはASD(自閉スペクトラム症)があります。まだそうとは知らなかった頃に迎えた幼稚園の入園式で、一人だけ走り回り、夫の眼鏡も私のコサージュ(借り物!)も破壊する暴れっぷり……。大きな不安を抱えた状態で迎えた幼稚園生活ですが、いざ始まってみると一見そこまで大きな問題があるわけではありませんでした。登園不安が強いわけでもなく、泣いたり暴れたりが頻発するわけでもない。トイレにも行ける。身辺自立や集団参加には難があるけれど、年少さんでは珍しいことでもない。それでも私は、3歳半健診で発達について相談しようと決めていました。私が発達相談をしようと決めた2つの理由3歳半健診であーの発達について相談すると固く決意していたのはなぜか……母親の勘、というとあまりにもふわっとし過ぎているので、当時をよくよく思い返して言語化を試みようとするのならば、やはり「わが子とコミュニケーションが取れないことによるストレス」の一文に尽きると言えるでしょう。3歳なりのコミュニケーション。いや、年相応でなくてもいい、それが叶わないフラストレーション……。おしゃべりはするんだけど、会話のキャッチボールができないんですよね。例えば、「パパはどこに行ったの?」と聞いたら「パパはお菓子が好きなんだよ」と返ってくる。「パパ」という単語は分かる。それについての話をする。おしゃべりはできている……だけど、それってコミュニケーションではないんだよなああああ(ここで頭を抱える)。会話の……ストラックアウトなんだよなああああ!(うまいこと言えた?)Upload By よいこ一事が万事これなんです、ちなみに12歳の今もその傾向が非常に強いです。そして謎遊び。幼稚園で、小高い山の上に立って葉っぱや砂をひたすら落とす。人とは遊ばないし、いったい何が彼をそんなに魅了しているのか分からない……。それがダメってわけじゃないけれど、おままごとやごっこ遊び、お友達との交流などにだんだんと興味を持ち始める年齢において、意味のない(ように見える)ことを2時間とか平気でできる。Upload By よいここの2点から導き出される結論……。わたしにとって、あーは「よく分からない」存在でした。わが子なのに「よく分からない」存在?募る不安自分で産んだ、自分の子どもなのに、何を考えているのか、よく分からない。いや、生まれた時からべったりで育てているので何が好きか、何が嫌か、は分かります。何が欲しいかも。でもそうじゃなくて、こちらの言うことを理解してくれない、してくれようともしないあーは、私にとってまるで「未知の生き物」のようでした。そして理解できないことで、なんだか不安になるのです。Upload By よいこしかし相手は自分の子ども。「可愛さ」と「分からない」が拮抗する毎日。よく分からない、を分かりたい。愛しているから、可愛いからこそ理解したい。そしてこの不安から脱して安心したかったんだと思います。発達相談を決めた一方で……「気のせいだよ」という言葉も期待していた自分というわけで、発達の相談をすることになんの迷いもありませんでした。でも一方で心の奥底で、「気のせいだよ」「そんなことないよ」「普通に生きていけるよ」って言われることを望んでいた気もします……。Upload By よいこ母の気持ちは常にアンビバレンス。だってそうじゃないー!?できれば普通がいいじゃん、みんなと一緒がいいじゃん!そんな物分かりよくいられるわけなくない??と、思い返せば雑念だらけの診断前。いいじゃんいいじゃん人間だもの!そんなこんなで、運命の(?)3歳半健診の日を迎えたのでした。執筆/よいこ(監修:初川先生より)3歳の時に発達相談を受けると決断された理由のシェアをありがとうございます。自分の子どもなのに分からない。可愛いと分からないが拮抗する。よいこさんが言葉にしてくださった当時の心境に共感なさる読者の方も多いのではないでしょうか。よいこさんが理由として挙げられた、会話のキャッチボールならぬ「会話のストラックアウト」(お伝えされたいニュアンスがよく伝わる表現ですね)。そして、「謎遊び」。このくらいの年の子どもはこのくらい育っているはず、こうして遊ぶはずという知識や経験との違和感。体感としておぼえる違和感。そうした違和感はとても大切だと相談業務にあたりながら日々思います。そうした違和感をきっかけに相談やお子さんへの理解、支援などへつながることができます。場合によっては、「心配しなくて大丈夫ですよ」の場合もあるかもしれませんし、支援者の方としばらく一緒にお子さんの成長を見守る伴走体制に入ることもあると思います。どんなお子さんであっても、子育ての中で悩ましく思うときはあると思いますが、そこに何らかの診断が後からつく場合にはその悩みや違和感、葛藤の度合いがかなりのものだと思います。保護者が日々悩みながら、アンビバレントな心境になりながらも、子どもは育ち、子育ては続いていきます。お子さんはもとより、保護者を支える意味でも相談や支援につながってくださることを支援者としては願うところです。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年01月26日生涯学習とはどんなもの?「生涯学習」と聞くと、成人後の学びであるとか、シニアの方向けの学びであるととらえている方も多いのではないでしょうか。生涯学習について、文部科学省は下記のように記しています。「国民一人一人が,自己の人格を磨き,豊かな人生を送ることができるよう,その生涯にわたって,あらゆる機会に,あらゆる場所において学習することができ,その成果を適切に生かすことのできる社会の実現が図られなければならない。」引用:平成30年度文部科学白書第3章生涯学習社会の実現|文部科学省「生涯学習」とは、「生涯にわたる学習」を指す言葉です。これは障害のある方たちにとっても同様です。このコラムでは、・障害がある子の学校卒業後の学び・豊かな余暇のためにできることなど、生涯学習についてのギモンから、知的障害のある方の将来の学びまで専門家の先生のアドバイスを交えてご紹介します。【専門家が回答】知的障害のある子どもの生涯学習とは?分かりやすく解説!ここからは鳥取短期大学 幼児教育保育学科 教授であり、「特別ニーズ教育学」「障害児教育学」の専門家、國本 真吾先生に知的障害のある子どもの生涯学習についての質問にお答えいただきます。Q:障害のある方の「生涯学習」とはどのようなものなのでしょうか。目的なども簡単に知りたいです。A:「生涯学習」というのは、人の一生涯にわたる学びです。障害がある方にとっても「学び」は決して学校だけではなく、「あらゆる機会に、あらゆる場所」で保障したいものです。「働く」だけで終わってしまう毎日ではなく、「生きがい」としての活動が充実することで、働く意欲や労働の目的も変化していくことでしょう。「生涯学習」は、その人らしい人生や幸福を形にしていくものとして注目されます。Upload By 発達障害のキホン「生涯学習」と聞くと、「大人の学び」と思われる方もあるかもしれません。しかし、「生涯学習」というのは、人の一生涯にわたる学びなのです。一生涯ということですから、生まれてから老いるまでとなりますから、年齢にかかわりなく、学校教育、社会教育、家庭教育などの学びを含んでいるわけです。障害のある人にとって、学ぶ機会は学校教育を終える18歳までで途切れる形が多いと言えます。例えば、特別支援学校高等部を卒業した人で、大学等に進学する人の割合は1.7%です(2023年3月卒業者、学校基本調査)。一方で、高等学校を卒業した人の場合は60.8%と、障害の有無で約36倍の差があります。また、障害種別で見ると、聴覚障害校からの大学等への進学は36.3%に対し、知的障害校は0.4%と、そこに約90倍の開きが存在します。18歳以降も学び続けたいという希望があっても、進学には障害の有無や種別により大きな差があるのが実態です。「学び」は決して学校だけではなく、「あらゆる機会に、あらゆる場所」で保障したいものです。大人になった時、働く場や日中活動の場もそうですが、生活する中で知っておきたい知識や技術は存在します。学校で学んだことが、その先一生使えるものかと言われたら、そういうわけではなくなっています。知識や技術のアップデートの機会でさえ、障害のある人にとっては一人ではできないこともあったりするわけです。人生100年時代と言われる中、AIやICTツールなどの技術革新も進んでいます。生活の中に浸透していくそのようなものを使いこなすことを、この先どこで誰が教えてくれるのかということもあります。大学ではなくても、希望すれば誰もが学ぶ機会が保障される活動が存在することが求められるわけですが、障害のある人はその機会から遠ざけられてきたと言えます。2017年度より、文部科学省は障害のある人の生涯学習支援に力を入れるようになりました。そこでは、「生涯学習」を「学び」の活動に限らず、文化・芸術、スポーツなども含めて、障害のある人の生涯学習を広く推し進めようとしています。これまで、そのような活動は「余暇」と括られる時間の取り組みとして見られてきましたが、休みの日に「生きがい」となる活動があることは、人間らしい生活としても重要です。「働く」だけで終わってしまう毎日ではなく、「生きがい」としての活動が充実することで、働く意欲や労働の目的も変化していくことでしょう。「生涯学習」は、その人らしい人生や幸福を形にしていくものとして注目されます。参照:学校基本調査-令和5年度結果の概要-|文部科学省Q:子どもに知的障害があります。将来、就労以外にも自分の余暇の時間を楽しんでほしいと思っています。障害がある子どもの将来の生活の質をあげるために、いまからできることはあるのでしょうか?A:お稽古事の類も一つではありますが、地域の中で障害のある子どもを対象とした活動は存在しているかを探ってみましょう。図書館の利用、公共交通機関の利用や交通系ICの使用(チャージ含む)なども、生活の質を考えると必要なことになるでしょう。スーパーやコンビニでの買い物経験、カフェやファミリーレストランの利用などの中での何気ない経験の積み重ねが将来の生活を切り拓く力にもなるはずです。Upload By 発達障害のキホン「生涯学習」は学校教育も含めたものですが、学齢期からの取り組みも必要です。例えば、大人になってからの休みの日をどのようにして過ごすかを考えた場合、子どもの時からの経験の積み上げが生かされていくだろうと思われます。お稽古事の類も一つではありますが、地域の中で障害のある子どもを対象とした活動は存在しているかを探ってみましょう。私が住む鳥取市では、障害のある子どもを大人になっても継続して受け入れている、音楽、体操、ダンス、スポーツなどの活動があります。民間の取り組みにはなりますが、一人の子どもが複数掛け持ちしていたり、親子で一緒に参加していることもしばしばです。子どもにだけやらせるのではなく、親も一緒になって楽しめる活動という選択肢もあってよいだろうと思います。また、図書館の利用を例にすると、学校図書館や地域の公共図書館の利用を重ねておけば、休みの日の居場所の一つとして使うことができます。そして、公共交通機関の利用や交通系ICの使用(チャージ含む)なども、生活の質を考えると必要なことになるでしょう。学校や放課後等デイサービスで誰かによる送迎が当たり前になっていると、帰り道に道草を食うような経験自体が奪われています。一人で、または友だちと出かけることができるためには、楽しい活動の存在とともに、それへのアクセスに必要な経験や力も不可欠です。スーパーやコンビニでの買い物経験は、学校でも取り組んでいたりしますが、カフェやファミリーレストランの利用などもあってよいでしょう。休みの日に親子で一緒に楽しむ活動を終えて、ほっと一息するためにファミリーレストランに寄った際、タッチパネルで注文したり、ドリンクバーを自ら操作させたりなど、何気ない経験の積み重ねが将来の生活を切り拓く力にもなるはずです。Q:知的障害がある子どもは特別支援学校卒業後、もう学びの機会は失われてしまうのでしょうか。知的障害のある子どもが卒業後もっと学べるような場所はあるのでしょうか。A:特別支援学校の高等部卒業後も、学びの機会を得ようと思った場合、知的障害対象の特別支援学校高等部専攻科、障害福祉サービスを活用した「福祉型専攻科」「福祉型大学」、大学・専門学校などの科目等履修生や聴講生制度の利用、青年学級、公民館講座などの選択肢が考えられます。Upload By 発達障害のキホン特別支援学校の高等部卒業後も、学びの機会を得ようと思った場合、いくつかの選択肢が考えられます。・知的障害対象の特別支援学校高等部専攻科高等部3年を終えたあと、専攻科を置く特別支援学校への進学があります。専攻科は、高等部の卒業生だけではなく、高等学校を卒業した人も対象となる障害であれば入学できます。ただし、知的障害を対象とした特別支援学校では、全国で10校にしか専攻科は存在しません(2024年1月現在)。専攻科を設ける場合、多くは2年制ですが、なかには3年や4年間学べる学校もあります。学びの中身も、職業自立をめざした形もあれば、生活の質を高めたり、大人として豊かに生きるための学びを重視する学校など、それぞれで違いがあります。・障害福祉サービスを活用した「福祉型専攻科」「福祉型大学」特別支援学校の専攻科が少ないこともあり、障害福祉サービスを活用する形で、ゆっくり大人になるための時間を保障しようという取組みが広がっています。障害福祉サービスの「自立訓練事業」や「就労移行支援事業」などを組み合わせたもので、「福祉型専攻科」とか「福祉型大学」と称する場合があります。・大学・専門学校など知的障害特別支援学校高等部卒業であっても大学入学資格は有します。また、正規の学生としての入学ではなくても、科目等履修生や聴講生制度を利用したりすることもできるでしょう。大学によっては、知的障害の人を対象とした公開講座やオープンカレッジ、履修証明プログラムを設ける試みも始まっています。また、いわゆる専門学校(専修学校専門課程)に進む形も考えられます。2024年4月より、合理的配慮の提供義務の対象に私立の大学・学校も加わります。学生としての身分にかかわらず大学・学校を利用する上では、合理的配慮に関しての建設的対話を申し出てみることも必要になるでしょう。※制度上は特別支援学校卒業で大学入学資格は得られますが、大学側が定めた科目の単位を取得していないと受験自体ができない場合もあります。・青年学級、公民館講座など地域によっては、「障害者青年学級」や公民館講座などで、障害のある人が学べる場を設けていることがあります。学びといってもさまざまで、季節ごとでの行事や旅行を計画して楽しむ場合もあります。行政が実施しているものもあれば、民間団体が実施しているものなど、運営主体もさまざまです。そのため、行政の窓口では十分把握できていなかったり、ネット検索でも十分ヒットしないこともあります。文部科学省は、毎年「障害者の生涯学習支援活動」に係る文部科学大臣表彰を行い、事例集の形で表彰された活動などを紹介しています。このようなものを参考にしてみると、身近なところで行われている活動を見つけることができるかもしれません。参考:令和3年度における専攻科の生徒への修学支援の対象となる高等学校等専攻科|文部科学省参考:「障害者の生涯学習支援活動」に係る文部科学大臣表彰事例集|文部科学省障害のある子どもの生涯学習について、さらに詳しく知るためにUpload By 発達障害のキホンUpload By 発達障害のキホン(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
2024年01月25日物を投げる、弟や妹を傷つける。癇癪で近所から苦情……対応は?Q:特別支援学校小学部に通う高学年の子どもがいます。家で1日に何度も、物を投げたり、弟や妹を傷つけたりします。また、癇癪が起きると叫び声をあげ、床を踏み鳴らすので近所から苦情がきて困っています。このような場合、どのような対応をしたらよいのでしょうか。A:家庭だけで抱え込まず、特別支援学校の先生、相談支援専門員などと相談しながらチームで対応することが大切です。他害行動はどのような場所や状況で生じやすいか振り返ってみましょう。まず起こりにくい環境を整備し、回数を少しでも減らしていくことを考えましょう。Upload By 発達障害のキホンもの投げやきょうだいに対する他害行動はどのような場所や状況で生じやすいでしょうか。振り返って書き出してみてください。これらの行動の機能として要求が通らないとき、注目が得られていないとき、余暇がなくすることがないとき、嫌な刺激や感覚が生じているときなどが考えられます。まず起こりにくい環境を整備し、回数を少しでも減らしていくことを考えましょう。環境整備には視覚支援や構造化などが有効です。それぞれの問題行動の代わりになる適切な行動も教えていきます。保護者だけで考えるのではなく、特別支援学校の先生や専門機関の相談員に相談してみましょう。家庭環境の中で対応が困難な場合、在宅支援に関連する福祉サービスで利用可能なものがあるかもしれません。相談支援専門員に訪ねてみるのもよいかと思います。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年01月24日行き慣れていない場所が苦手な、知的障害(知的発達症)を伴うASD(自閉スペクトラム症)の息子現在12歳の息子は、3歳の時に知的障害(知的発達症)を伴うASD(自閉スペクトラム症)と診断されています。機嫌が良くても悪くても言葉にならない奇声を発していることが多いです。マイペースな息子ですが臆病な面があり、賑やかであったり行き慣れていない場所が苦手。ですから、普段病気になったときは、息子が行き慣れているかかりつけの小児科にかかっています。慣れているとはいっても、病院へ行く前には病院の外観や待合室の写真を見せながら、口頭で病院へ行くことを説明してから行くようにしています。そして、可能なら大人2名で連れていき、診察が終わったら、大人は子どもを連れてすぐ帰る人、会計を済ませる人に分かれるなど、オペレーションにも心を砕いていました。Upload By ユーザー体験談現在、かかりつけの小児科は先生の都合で一時閉院中。なるべく息子が病気にならないように注意していたのですが、先日、息子が急に高熱を出したのです。もしかしてインフルエンザ?でもかかりつけ医はお休み……どうする?学校ではインフルエンザが流行っていたため、真っ先にインフルエンザを疑った私。検査をしなければと思うも、ただでさえ鼻の中を診られるのが苦手な息子が、行ったことがない病院でインフルエンザの検査となったら、大騒ぎ必至です。どうすればいいか悩みましたが、家で診てもらうのが一番良さそうだと思い、初めて往診を頼んでみることにしました。息子は高熱のためとてもつらそうで、トイレ以外で立ち上がることさえできません。私は(インフルエンザ検査で陽性となれば、抗インフルエンザ薬を処方してもらえるから、それを飲めれば少しは楽になるかな……)と心配しながら息子の看病をしていました。検査の結果、もしインフルエンザでなければ、解熱さえすれば登校できます。実はその週末は学校の学習発表会でした。できたら参加させてやりたいと思っていたので、私としては息子がインフルエンザ検査をすることは欠かせないことだったのです。ですが……。検査を嫌がり家中を逃げ回る息子!それを追いかける母……やがて医師が到着したので私は部屋に案内しました。息子は初めて会う医師に警戒している様子でした。医師は慣れた様子で「この時期の高熱ですから、インフルエンザかもしれませんね」とすぐ検査の用意を始めてくれました。すると、その瞬間、息子は検査をされると察したようで(ものすごい洞察力!)、いきなり立ち上がり逃げ出したのです!先ほどまで立ち上がることすらできずぐったりしていたのに……!(えぇ!?)と私はその素早い動きにびっくりしつつも、息子を追いかけました。私一人ではまったく連れ戻すことができません。息子は家中を逃げ回りました。普段は狭く感じる家が、この時はやけに広く感じました……。Upload By ユーザー体験談医師はそんな私たちの様子を見て、これは無理だと思ったのでしょう。「お母さん、検査は諦めましょう」と言い、ただ息子の熱が高いこと、周りではやっていることから「見なし陽性」と解熱剤などを処方してくれました。ただし、検査はできていないので、当然抗インフルエンザ薬は処方してもらえませんでした。Upload By ユーザー体験談私としては、息子にはなんとしても検査を受けてもらいたかったので、がっくり。抗インフルエンザ薬を処方してもらえなかった……、もし解熱したとしてもインフルエンザかもしれないことを考えて学習発表会は欠席しなければ……と。医師が帰ると、息子はさっとベッドに戻り横になりました。その様子を見て(具合が悪いのに、よくあそこでまで逃げ回れたね……本当に嫌だったんだね……)と思いました。抗インフルエンザ薬を飲まなかった息子はなかなか解熱せず……その後程なくして私も発熱、検査を受けたところインフルエンザと判明しました。おそらく息子もインフルエンザだったのでしょう。私は抗インフルエンザ薬を飲んだのでほどなく快方へ向かいましたが、薬を飲んでいない息子はなかなか解熱しませんでした。1週間以上、熱が上がったり下がったりしていたので、本人もとてもつらかったと思います。Upload By ユーザー体験談往診はとてもありがたいものですが、往診の先生はお一人でいらっしゃっしゃったので、検査時に嫌がる子どもの場合、その対応をする人手は病院のほうがあると改めて感じました(もちろん、病院にもよると思います)。このままだと、今後息子が病気や怪我をした時、「息子に抵抗されることを考えたら、これくらいなら受診しなくても大丈夫かな」と思ってしまいそうです……。高学年になり体も私より大きくなってきた息子。このままでは通院や検査はさらにハードルが高くなってしまいます。息子が落ち着いて受診できるように、なにか対策を講じなければと改めて思わされた出来事でした。イラスト/keikoエピソード参考/あきこ(監修:藤井先生)普段のかかりつけ医院に受診されるときには、写真を用いて見通しを持った声かけをされていたのですね。見通しを持てることで落ち着く場合には、その対応をされるのが良いと思います。中には、病院の写真を見るだけで嫌がるお子さんもいるので、お子さんのタイプにもよります。私の勤めているクリニックでは、お子さんには嘘はつかず、見通しを伝えます。診察に不安な様子が伺える場合には、写真、絵カードなどで示してから診察や検査を行うこともあります。それでも、不安の全てを解消することは難しいのですが、不安がありながらも診察を受けてくれたことを労い、褒めることを繰り返し行なっています。以前までは、血液検査や注射で大暴れであったお子さんも、だんだんと診察が受けられるように成長する姿もみられます。病院の先生、スタッフの方と協力しながら、落ち着いて受診できる工夫を講じることをお勧めします。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年01月24日1歳半で言葉が出ていなかったわが家の長男けんとは3歳の時に自閉スペクトラム症と診断を受けました。けんとが周りの子たちに比べて発達がのんびりだと、私がハッキリ気が付いたのは1歳半健診の日でした。けんとが初めての子どもだった私はどれくらいの月齢の子が、どういう行動をするのか……という知識がありませんでした。母子手帳などに書いてある「生後〇ヶ月で〇〇をする」というのは「あくまで平均的な目安で、人それぞれ発達のスピードは違うだろうから、気にしなくてもいいのかな」と、のんびり考えていたのです。けんとは1歳半で言葉が全く出ていませんでしたが、私はそれほど気にしていませんでした。Upload By ゆきみ1歳半健診の通知が届き、指定された日程に保健センターへ。会場には、けんとと同じ1歳半とは思えないような子どもたちで溢れていました。けんとは言葉が全く出ていなかったことに加え、歩き方も、ほかの子に比べると不安定でヨチヨチ。落ち着きがなく、常に興味のあるものを見つけては歩きまわっていました。ほかの子が保護者とやりとりをしながら、椅子に座って順番を待っている姿に私は愕然。順番を待っている間だけで、けんとは「何かがみんなと違う」と私は感じました。そして、名前が呼ばれ、いざ1歳半健診がスタート……とはならなかったのです。やりとりが上手な周りの子たちに驚愕案内された大きな部屋では、数組の親子が椅子に座っていました。けんとは、自分の席につくまでの間に気になるものを発見したのか、そこへ行きたくて全然座ろうとしません。そして大声で泣き出してしまいました。落ち着かせている間、私はほかの子の様子をチラチラと見てみました。周り子が保護者と一緒に、大人しく椅子に座っているだけで「すごい!」と驚きました。さらに、保護者とコミュニケーションを取りながら、保健師さんとも指さしや言葉をつかったやりとりが上手にできている姿を見てさらに驚愕。Upload By ゆきみ当時のけんとは言葉も出ていないうえに、指差しも全くしていませんでした。大号泣するけんとをあやしながら見渡した、周りの子の1歳半健診の模様は、とにかく衝撃的で驚きの連続でした。ほぼ何もしないまま1歳半健診が終了けんとの様子が少し落ち着いたので1歳半健診がスタートしました。保健師さんがけんとに挨拶をしたり、話しかけたりしても反応は薄く、保健師さんの顔を見ることもしませんでした。保健師さんからの問いかけに、ほぼ何もしないまま1歳半健診が終了。周りの子たちとの違いに不安になりすぎて、私は放心してしまいました。その様子を見たからなのか、保健師さんが「希望者は臨床心理士さんによる発達相談が受けられますが、どうなさいますか?」と声をかけてくださいました。待ち時間はかなりあるようでしたが、発達相談を受けて帰ることに。Upload By ゆきみ発達相談から繋がっていった支援別室で臨床心理士さんによる発達相談を受けました。私と臨床心理士さんが、けんとが産まれてから今までの発達について話をしている間も、けんとは落ち着きがない様子。けんとは落ち着きがない様子。臨床心理士さんは、けんとの行動を観察したあと、けんとに話しかけ、いくつか質問を出しました。しかし、けんとは心理士さんの話を聞こうともしませんでした。当時、私は次男を妊娠中。あと数ヶ月で里帰り出産を予定していたので、次男の出産を終えたあと、またけんとの様子をみていただくということでその日は終わりました。Upload By ゆきみ次男を出産し1ヶ月月が過ぎた頃、けんとは2歳になりました。しかし、相変わらず言葉は出ておらず、指差しもしません。改めて発達相談をして、けんとの様子を見てもらいました。その発達相談にて、市で行っている親子教室を紹介してもらいました。そして年少の歳から、地域の幼稚園に通うのではなく、少人数で手厚く療育を受けられる市立の発達支援施設に通うことを親子教室の先生、臨床心理士さんなどに薦められ、通うことを決断。親子教室や発達支援施設では発達に関する勉強会があったので参加し、けんとの特性について理解を少しずつ深めていくことができました。今、思い返してみても、周りの子たちとの違いに驚愕しすぎた1歳半健診。あの日、発達に関する悩みがスタートした、私にとっては思い出深い1日となりました。執筆/ゆきみ(監修:室伏先生より)1歳半健診でのけんとくんのご様子、ゆきみさんのお気持ちを具体的に共有していただき、ありがとうございました。想定外の状況に、ゆきみさんのご不安や戸惑いもとても大きかったのではないかと思います。自閉スペクトラム症のお子さんの中には、普段と違う状況が苦手で、目新しいものに注意を惹かれやすかったり、不安感からそわそわしたりパニックになってしまうという子も多いものです。健診などの普段と違う環境では、なおのこと力を発揮するのが難しいかもしれません。早い段階で療育に繋がることができたこと、勉強会への参加などを通して家族の方がご理解を深めることができたこと、本当によかったですね。またけんとくんに関する記事を楽しみにしております。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年01月24日友人とのトラブルなどがきっかけで現在不登校。家では癇癪。相談場所は?Q:発達障害のある小3の子どもがいます。友人とのトラブルなどがきっかけで現在不登校になっています。学校にどのような対応をお願いしたらいいのかも分からず、家にいても癇癪がひどくどうしたらいいのか悩んでいます。どのような場所に相談をしたらよいのでしょうか。A:きっかけとなった友人とのトラブルについて、学校の先生と一緒に解決方法を探っていきましょう。場合によっては保健室や相談室登校などの可能性も探っていくことが考えられます。自宅以外の居場所なども探してみましょう。Upload By 発達障害のキホンまず友達とのトラブルの原因を考えてみます。担任の先生に相談しながら、双方が納得するような指導や環境をつくっていくことが考えられます。また、友達とのトラブルも含めて、不登校の要因はほかにも複数考えられる場合があります。再登校に関しては学校との連携に基づいて、登校しやすい環境条件を整えることから始めていきましょう。登校が困難な場合は、自宅以外の居場所として放課後等デイサービス(※)などの利用も考えられます。放課後等デイサービスの利用に関しては、お子さんの状態に合わせてクールダウンのスペースの確保や、感覚過敏性に対する配慮などの環境調整や、個別の課題やスケジュールの提供などの配慮が得られることが望ましいと思います。地域の相談支援専門員などと相談しながら進めていけるとよいでしょう。学校と福祉機関の情報共有や連携も必要だと思います。(※)放課後等デイサービスの利用には「通所受給者証」(受給者証)が必要となります。取得の条件や手続き方法は自治体により異なります。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年01月23日障害のある子は親を選んで生まれてくるってホント!?新年早々、なんだかいきなり波乱を呼びそうなテーマですが、けっこう私はこの手の話を耳にするんですよ。「子どもは親を選んで生まれてくる」って。そして、「障害のある子どもは、それに耐えうる強い親を選んで生まれてくる」と……。こういった話について、障害のある子どもを育てている親御さんの反応はさまざまだと思います。「そうか!だからか……!だからうちを選んで生まれてきたのね!」と、救われるような気持ちになる人もいれば、「は?そんなことある訳ないわ」と否定する人もいることでしょう。じゃあ、私の場合はどうだったかというと……。「いや、もしそうだったら選び先間違えてるんじゃない?」と正直思いました。だって私ときたらズボラでいい加減で、家事だって下手くそだし、どう考えてもできた親じゃないし、今もきいちゃんをフォローしきれていないことがたくさんあるからです。おうち療育だって正直面倒くさい(というか、ほぼできていない……)生まれてくるなら、もっと私よりもテキパキしてたり、イライラしなかったり、向いてそうな人、たくさんいるやん!!と(もちろんそういうすばらしい親御さんもたくさんいます)。Upload By 星きのこそして、実際のところ、私の周りにいる障害のある子どもの親御さんたちも、定型発達の子どもの親御さんと何ら変わりがないわけですよ。つまり、すごいなと思う人もいれば、ズボラな人もいる。お洒落な人もいればそうでない人もいる。たまたま、障害のある子どもが生まれたってだけで、別に障害がない子どもの親御さんと何も変わりません。Upload By 星きのことにかく明るい!初めて「親の会」に参加して私が初めて親の会に参加させていただいた時のこと。私のまったくの偏見なのですが、障害のある子どもの親御さんって、お洒落にも気を遣う余裕なんてなくて、とっても疲れているというイメージを持っていました(本当にごめんなさい……!汗)。でも、実際にお会いしてみると、すごくお洒落な方や、バンドマンみたいな個性的なお母さんもいて(笑)。本当にいろんな方がいてビックリしました。そりゃそうですよね、子ども産んだからっていきなりその人の個性が変わる訳はありません。もちろん、子どもを産んでからは自分自身に手がかけられなくなるのは、定型発達の子どもも、障害のある子どものお母さんも、皆一緒です。それどころか、わが子のエピソードをネタにして、大笑いしているのにビックリしました……。「うちの子、この前、電車乗り間違えて大変だったのよー!」「うちの子がお風呂の中でウンチしちゃって、プカプカ浮いちゃって……」「うわ~!! うちなんてね……」あ、明るい……!皆さま、とても明るい……!! と、衝撃を受けました。反対に、親の会のメンバーから見た私の初対面の印象は、「く、暗い……!このママ、大丈夫かしら!?」だったそうです。最近、先輩ママさんに「きのこさん、明るくなってよかったわー!あの時、暗すぎてどうしようかと思ったもの」と言われました(笑)。と、言っているその先輩ママさんはなんと暗黒期が6年間もあったそうです! 皆、それぞれいろいろなことを乗り越えて今があるんだなあと思いました。Upload By 星きのこ「障害がある子の母は強い」なんて言われがちだけど、実際は結局、何が言いたいかというと、「子どもが親を選んで生まれてくる。障害のある子どもの母は強い」と言われますが、皆、周りの助けを得ながら少しずつ強くなっているんです。私には分からないけれど、もしかしたら本当に「子どもは親を選んで生まれてくる」なんてこともあるのかもしれません。私自身は、そういった考え方については否定的でもなく肯定的でもないのですが(むしろちょっとロマンチック~なんて思ったりもします(笑))、でも、そういう言葉で、心が弱っている母親に付け込むような商売をする人たちもいると聞いたことがあります。ですので私は、ちょっとお金儲けの匂いや怪しい感じがする団体には近づかないようにしています。いつか遠い遠い未来に自分もきいちゃんもあっちの世界(?)に行った時に、「ねえ、本当はどうだったの?ママ、すっごく驚いたんだけどー!」ときいちゃんに笑いながら聞いてみたいと思います。Upload By 星きのこ執筆/星きのこ(監修:鈴木先生より)以前にもお話ししましたが、ダウン症児の親の集いである「こやぎの会」発行の「ダウン症の健康手帳」1ページ目に書いてある詩の一部を紹介させていただきます。「会議が開かれました。(中略)天においでになる神様に向かって天使たちは言いました。“この子は特別な赤ちゃんでたくさんの愛情が必要でしょう。(中略)どうぞ神様この子のためにすばらしい両親をさがしてあげて下さい。(中略)天から授かった特別な子どもなのです」あなたは子どもが、そして天使たちが選んだ親なのです。あなたでなければ育てられなかったと天使たちの会議では結論したのです。豊かな愛を抱いて育ててくださいね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
2024年01月23日幼少期からの他害。小学校低学年くらいの頃に対策できることは?Q:子どもに重度のASD(自閉スペクトラム症)があり、幼少期から他害があります。このまま成長し、思春期を迎えたら親も他害を止められないかもしれません。小学校低学年くらいの頃に対策できることなどはありますか?A:まず他害が起こりやすい状況を振り返ってみましょう。そして、その子に合った環境調整をすることが大切です。Upload By 発達障害のキホン単に叱責したり注意するだけでは他害が改善しない場合、まず他害が起こりやすい状況を振り返ってみましょう。そして、指示や予定を視覚的に伝えたり、苦手な刺激を遠ざけたり、すべきことを具体的に伝えたりする環境調整を行ってみましょう。それでも改善しない場合、他害行動の代わりになる望ましい行動をスモールステップで教えていくことになります。特別支援担当の先生、もしくは発達障害者支援センター、医療機関などの専門機関に相談しながら対応していくとよいと思います。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年01月22日相変わらず課題の提出を忘れがちなコウですUpload By 丸山さとこ息子のコウは中学2年生です。ADHDがあるコウは、学校の課題提出を忘れがちです。高校進学のための内申点を上げたければ提出物は避けて通れず、親子ともども頭を悩ませています。先日の個人面談でも「課題の提出状況に波がある」と先生から指摘されていました。コウ自身も「成績をあげたい。そのためには提出物だよね」と言っており意欲はあるようですが、はたから見ていると『どうも具体性に欠けているな』と感じるところがあります。個人面談からの帰り道でコウに「3学期は提出物忘れずに出せそう?」と聞くと、彼はニコニコしながら「頑張ります!」と言いました。やはり気持ちばかりで具体性がありません。思わず「あ~、これは出ませんな~」と笑ってしまうと、コウは「なんで?」と不思議そうだったので例え話をしてみました。Upload By 丸山さとこ「仮に、お母さんがお弁当をよくつくり忘れているとしてね。コウが『お弁当つくれる?』って言ったら、お母さんが『頑張ります!』って言うの。どうかな?」そう聞くと、コウは「え~、不安しかない!」と目を丸くしました。そんな彼に「だよね。お母さんもさっきそんな気持ちになったよ」と共感しつつ、さらに想像してもらいました。Upload By 丸山さとこ「じゃあさ、『〇日〇曜日ね。何時に家出るの?』『寝坊したときに備えて、冷凍のおかずたくさん買っておくね』って言うのはどう?」そう聞いてみると、コウは「これなら大丈夫そう!」と満足そうに頷き「やっぱり『頑張ります』だけじゃダメかも」と納得してくれました。『対策をとる』ということを改めて考えてみましたそうして改めて提出物対策を話し合うと、コウは「必ずやらなきゃいけないことは具体的な対策を複数とったほうがいいね」と言いました。『メモとペンをポケットに入れる』『帰ったらその日のメモをちぎってホワイトボードに貼る』など、基本的な対策を改めて試してみるとした上で、「僕は今まで『頑張る!』だけだったから上手くいかなかったのかも」と過去の自分を振り返っていました。Upload By 丸山さとこ「対策は100点にできる」Upload By 丸山さとこ「『具体的に何をどう頑張るか』を決めると、上手くいってもいかなくてもそこから次を考えることができるんだよね」としみじみ言うコウ。私が「PDSAサイクルのP(Plan・計画)を立てようってことなのだろうね」と返すと、「テスト対策も同じだね」と頷きました。そして「絶対に忘れ物をしないとか、絶対に100点を取るとかは難しいけど、対策は100点にできるってことだよね!」と名言めいたことを言い、「……これは既に有名塾講師の先生が言ってるような気がする!」と予想していました(笑)。具体的な対策をとる習慣が身につくにはまだまだ時間がかかりそうですが、「対策の100点を目指そう!」をテーマに頑張っているコウを応援していきたいと思いました。執筆/丸山さとこ(監修:鈴木先生より)お子さんがADHDと診断されているのであれば、ある程度の不注意は投薬でコントロールが可能です。現在は薬物治療ができる時代に入っていますので、選択肢の一つとして検討してみても良いかもしれませんね。忘れ物や不注意などADHDの傾向があるお子さんは、小児神経の専門医に相談してみるのが改善への近道です。できるまでに時間がかかることで自尊心が低下していくこともありますので、お子さんの自尊心を守るためにも、早めにまずはかかりつけ医への相談をお勧めします。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年01月22日聴覚障害のあるアテンドとともに音のない世界で対話をするダイアログ・イン・サイレンス(静けさの中の対話)は、1998年にドイツでスタートし、フランス、イスラエル、メキシコ、トルコ、中国など世界中で100万人以上が体験したエンターテイメントです。日本では2017年より期間限定での開催を続けています。ダイアログ・イン・サイレンスは、音を遮断するヘッドセットを装着した状態で、音声に頼らず対話をする達人である聴覚障害のあるアテンドや、ほかの参加者と表情やアイコンタクト、ボディーランゲージなど、声を出さずにコミュニケーションをとります。いつも頼っていた言葉を使わない対話は、人を信じる心、助け合う心を育て取り戻していくことができる稀有な体験となります。今回は10ヶ月ぶりの開催となるダイアログ・イン・サイレンス「LOVE IN SILENCE」(2024年1月13日(土)~2月25日(日)開催中)をご紹介します。言葉を使わない対話からLOVEを発見しやりとりする「LOVE IN SILENCE」Upload By 発達ナビ編集部ダイアログ・イン・サイレンスで開催中の「LOVE IN SILENCE」。聴覚障害のあるアテンドに導かれて、いくつかの部屋を90分かけてめぐっていきます。参加者はヘッドセットを装着し、声、言葉、手話を手放す部屋へ入ります。こうしたコミュニケーション手段を使えない状態になることで、自然と相手の目をしっかりと見て、相手が何を伝えようとしているのかを受け取ろうと全身を集中させるようになります。日常生活ではなかなか使うことがない集中力、そして相手の目を見て相手の発しているものを受け取ろうとする力、それが新しい対話の入口となっていきます。Upload By 発達ナビ編集部その後、手で表現する、表情で伝えるなど言葉や手話をつかわないサイレンスの世界での対話を深め、楽しんでいきます。言葉を手放したことで行われる密度の高い対話は、体裁をつくろわずまっすぐに伝え合うことを恐れない心の強さと相手を信頼する力を育ててくれます。いくつかの部屋を終えたあと、1つ目の部屋に入る前の自分と比べると明らかに何かの変化が生まれているはずです。Upload By 発達ナビ編集部ダイアログ・イン・サイレンスは、聴覚障害の擬似体験ではありません。言葉や音を使わないコミュニケーションを育む中で、耳の聞こえない人を知り、その生活や文化を想像し思いを馳せることができる体験です。2024年1月1日におこった能登半島地震では、障害者への支援不足という問題が叫ばれています。聴覚障害のある人は音声情報を得ることが困難であるため、避難所での食料の配布時間などが伝わらないなど、命にかかわる情報が届きづらい状態です。また、手話などの自分の言葉を使ったコミュニケーションがとれず孤独を抱えてしまう恐れが高いため、同じ障害のある人同士など対等の立場で話し合う「ピアカウンセリング」の必要性も高まっています。「LOVE IN SILENCE」での対話によって生まれる“LOVE”は、こういった困りごとの多い世界で助け合う心へとつながる一歩となります。だからこそ、今、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。ダイアログ・イン・サイレンス「LOVE IN SILENCE」チケット絶賛発売中Upload By 発達ナビ編集部【期間】2024年1月13日(土)~2月25日(日)【体験時間】90分【会場】ダイアログ・ダイバーシティミュージアム「対話の森」東京都港区海岸1丁目10番45号アトレ竹芝シアター棟1F【チケット】大人:3,850円学生:2,750円小学生:1,650円(税込)※クリックすると発達ナビのサイトから『ダイアログ・イン・サイレンス「LOVE IN SILENCE」』のページに遷移します。
2024年01月21日視覚刺激で理解を深めるーー『会話力がおどろくほど育つ だれ?どこ?なに?カード』Upload By 発達ナビBOOKガイド会話のなかで頻繁に使われる、「だれ」「どこ」「なに」という疑問詞。それぞれの疑問詞が「人」「場所」「物」をあらわすということを理解していないと、質問に正しく答えられないことも。「だれ・どこ・なに」を区別し、適切な使い方を理解することは、知的障害や発達障害のある子どもたちのコミュニケーション力を高めるポイントのひとつです。本書は、楽しく遊びながら、会話でネックになりがちな疑問詞の理解を深めることを目的とし、特別支援教育士として発達障害がある子どもたちへ訪問療育サービスを行う八坂美穂先生が、ABA(応用行動分析)の理論に基づいて開発したカードゲームです。明るい色合いのかわいらしいイラストで構成されたカードは、7枚の「だれカード」、13枚の「どこカード」、32枚の「なにカード」と「場面カード」そして「だれ・どこ・なにシート」がセットになっています。ゲームは、ABA療育で行われる課題の一つ、支援者からの質問や見本に対して、子どもがいくつかある選択肢から対応するものを選んでいくという「見本合わせ(マッチング)」の理論に基づいて考案されています。本書の対象年齢は3歳から。絵カードなので、まだ文字が読めない子どもや、視覚優位の子どもにも取り入れやすいでしょう。さらに、理解度に合わせ、できることからスモールステップで進めるように工夫されています。親子でやりとりをするなかで、子どもの成長を感じられるのではないでしょうか。楽しみながら学べる本書は、家庭学習はもちろん、児童発達支援や放課後等デイサービス、学校や園など支援の現場にもおすすめの教材です。ちがいが分かれば、寄り添うヒントが得られるーー『発達障害の子どもたちは世界をどう見ているのか』Upload By 発達ナビBOOKガイド本書は、発達障害がある子どもたちから見た世界がどのようなものなのか、豊富な精神医学的知見を有する精神科医、昭和大学医学部精神医学講座主任教授 岩波明先生が、優しく理解しやすい言葉で解説した一冊です。本書では、ASD・LD・ADHDの3つの障害ごとに「家庭」「学校」「社会」において発達障害がある子どもたちの言動や気持ちを深堀し、一つひとつ丁寧に解説されています。さらに、発達障害の特性が小児期、思春期、成人期にわたってどのように変化していくのか実際の症例をもとに紹介。そのうえで、子どもたちと関わる立場の人々が、彼らとどのようにコミュニケーションを図っていけばよいか、当事者たちのことを的確に理解するための対応方法がまとめられています。わが子や担任児童など、身近にいる発達障害がある子どもたちが、どのように世界をとらえ感じているのかを理解することができたら。「なんで?」や「イライラ」が減り、これまでより少しだけ肩の力を抜いて共に日々を過ごせるようになるかもしれません。当事者に関する事例紹介と、医学的知見に基づいたよりよい接し方を盛り込んだ本書は、保護者はもちろん、学校や塾などの教育現場などで日々子どもたちと接する方にとっても、手元に置いておきたい一冊となるのではないでしょうか。困りごとに向き合う育て方のヒントが万歳ーー『発達障害グレーゾーンの子の育て方がわかる本』Upload By 発達ナビBOOKガイド発達障害の特徴がみられるものの診断を受けるほど色濃くはない、発達障害の「グレーゾーン」といわれる子どもたち。発達障害の診断項目を満たすほど特性はなくても、発達に凸凹があり、そのために日常生活に困りごとがある状態です。本書では、発達障害のグレーゾーンの解説から、グレーゾーンの子どもへの発達支援の基本、さらに、幼児期の就学前にできるサポートと、就学後の学童期にできるサポートの4部構成でイラストを交えて分かりやすく記されています。監修は、横須賀市療育センター所長であり小児精神・神経科医の広瀬宏之先生。本書では監修に加え、専門家からの視点でのコラムも執筆されています。発達障害は目に見えにくい障害のため、周囲の理解を得にくいことがあります。グレーゾーンであればなおさらです。しかし、発達の凸凹からくる困りごとを見過ごしてしまうと、やがて周囲の環境とのミスマッチが高じて、本人が傷つき、結果として発達の遅れや2次障害に繋がることも。診断があってもなくても、毎日の生活では工夫が不可欠なのではないでしょうか。声かけやほめ方、適切な環境設定、就学準備や学習支援など、幼児期から学童期までの子どもとの関わり方や工夫が具体的に紹介された本書は、発達障害グレーゾーンの子どもたちの困りごとに向き合うヒントが詰め込まれた一冊です。苦手を減らして小学校につなげる工夫ーー『発達凸凹キッズがぐんと成長する園生活でのGood!なサポート』Upload By 発達ナビBOOKガイド本書は、保育園、幼稚園、認定こども園などの集団生活の場面を取り上げ、多くの園で実際に起こりがちな「おしい!」対応と、ひと工夫加えた「Good!」な対応をそれぞれ4コマイラストで紹介。それらを比較しながら、なぜ「おしい!」のか、なぜ「Good!」なのかを分かりやすく解説された一冊です。著者の石川道子先生は40年以上にわたり、発達専門の小児科医として名古屋市立大学病院などで発達専門外来を担当しながら、診療室外では巡回相談や家族支援なども実地。NPO法人アスペ・エルデの会の統括ディレクターも務めています。また、同じく著者の三輪桃子先生はフリーランスの言語聴覚士として、保育園や幼稚園などでの巡回相談や療育機関での言葉の療育を担い、集団の場と個別の場、その両方から子どもの発達を支えているエキスパートです。第1章では、乳幼児期の集団生活が大切な理由を、第2章では乳幼児期に「人とよい関係を築く」ためサポート方法を、第3章では保護者とよい関係を築く対応方法、第4章では、幼児期の頑張りを就学後の生活に繋げる工夫が記されています。発達に特性がある子どもの関わり方だけではなく、その保護者との関係づくりや、小学校との連携についても丁寧に記されているのも本書のポイントです。保護者との情報共有や就学に向けたサポートについてなど、それぞれの場面で保護者にどのように伝えたらよいのか、また、何に配慮したら良いのかも具体的に解説されています。発達に凸凹がある子どもに関わる幼稚園や保育園などの保育者の方、療育関係の方、そしてこれから子どもたちを引き継ぎ受け入れていく小学校の先生にもおすすめの一冊です。できた経験を積み重ねてほしいーー『発達障害の子のためのできる道具自信を育てる』Upload By 発達ナビBOOKガイド本書は、筑波大学付属大学特別支援学校で発達障害のある子どもたちに日々寄り添う佐藤義竹先生の監修のもと、「できない」を「できる」に変えるお助け道具満載のビジュアル図鑑のような一冊です。特別支援教育では、「手立て」をとても大事に考えられています。手立ては、言葉かけなどの関わり方や、教材教具までさまざまです。大切なことは手立ての活用を通じて、「できる」から「できない」に変わるということ。本書には、手立ての一つである教材教具の視点から、子どもたちに寄り添う道具がたくさん紹介されています。道具を使うことで「できた」という経験、その積み重ねを通じて、子どもたちが達成感を得て、自信を深め自己肯定感を高めることを意識して構成されています。本書では、「ちゃんと洗いなさい」の「ちゃんと」を見える化する道具や工夫、指に入れずに握って切るタイプのハサミの紹介や、親子の会話が生まれるゲームでコミュニケーションの手立て、持ちやすい鉛筆や書きやすくなるノートなど学習についてなど、道具の紹介と共に「できる!ポイント」や佐藤先生からの道具を導入する場合の一言コメントも、一つひとつ丁寧に記されています。身辺自立の手助けや学習面のサポート、コミュニケーションを楽にしてくれるお助け道具の数々。さまざまな道具の紹介を通じて、発達障害がある子どもたちの成長に寄り添う、新たな視点を感じる子育てサポートブックではないでしょうか。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2024年01月21日「白いもの」以外の食べ物……ならば、大好きなピンク⁉娘の偏食っぷりはひどくて、食事は基本「白いもの」。白米、豆腐、牛乳、ヨーグルト、チーズ、バナナは喜んで食べてくれますが、それ以外のものは、なかなか食べてはくれません。3歳の時に、便秘気味で小児科に受診した際、お医者さんから「しばらく玄米にしてください」と言われてしまいました。家に帰った娘は「みーちゃんは、はくまいしじょーしゅぎなの」と泣き続け、ハンガーストライキ。「白米至上主義」なんて言葉、いったいどこで覚えたんだか⁉ホントに夕飯は食べてくれず、翌日少しぐったりしている娘を連れて小児科に再受診したら、「子どもはおなかがすけばなにか食べます」とお医者さんに強くいわれたので、ひきつづき玄米をあげて様子見。しかし、結局「おなかちゅいたよぉ~ひもじいよぉ~」と泣きながらミルクだけで過ごしていたので、私が根負けして、白米を出してしまったこともありました。食べるものは白いものが好きですが、娘はピンクが大好きで、当時の服装は、ピンク色のものばかり。そこで、「ピンクならば食べるのではないか?」と、料理がピンクになる食べ物をあれこれと試してみたところ、ビーツ(大根のようなもの)には興味を持ってくれたのです。幸い、ビーツは「食べる輸血」といわれるほど栄養価が高いので、以来、ビーツはわが家でよく利用する食材の1つとなりました。今回は、娘が喜んで食べてくれて、しかも作るのもお手伝いできる時短レシピ「簡単ボルシチ」をご紹介します。感覚過敏の子どもが作れる&食べられる「簡単ボルシチ」●材料(大人2人分よりは少な目の、大人1人+子ども1人分)・牛肉100g・ビーツ(水煮されているもの小さめ2つ)・キャベツ・白菜・ほうれん草などの葉ものどれかを2~3枚・人参1/2本・玉ねぎ1/4個・ジャガイモ1個・お湯300ml・コンソメキューブ1個・塩少々【その他あると良い食材】・ニンニク少々・トマト1個、あるいはトマトの水煮大人だけだとニンニクも入れるとおいしいのですが、子どもも一緒に食べるので、ニンニクはなしでつくっています。入れたい方は、ニンニクを少々入れるともっとおいしくなります。娘はトマトが嫌いなので、トマトを使っていませんが、トマトやトマトの水煮を入れるともっとおいしくなります。水煮を入れる場合には、お湯の量を半分くらいにして、水分量が全部で300mlくらいになるように調節してください。保育園から帰宅してからスタート!30分で仕上げます!Upload By 秋山ゆかりUpload By 秋山ゆかりちょきちょきひたすら切ってもらいます。スープで煮込んでしまうので、わが家はバランスを考えて、しいたけなどのキノコ類を入れることも多いです(娘は絶対にキノコは口には入れませんが……)。仕上げにサワークリームやパセリをトッピングするとさらにおいしくなりますが、わが家は娘が偏食のため、サワークリームもパセリもなしのことが多いです。Upload By 秋山ゆかり1、水煮のビーツを使うこと。すでに柔らかいため、長時間の火入れが不要です。また、生から煮るよりもあくが抜けているため、味覚が敏感な子にも少しは優しい味のようです。2、小さめのサイズに切ること。火入れの時間が短くてすみます。ジャガイモは、洗って皮つきのままラップしてレンチンしておくと、火入れの時間が短くてすみます(うちは娘が電子レンジ調理のものを一切食べないので、この手が使えませんが……)。試行錯誤の末、水煮のビーツが定番に!最初娘のお手伝いは、はさみでチョキチョキと切ることでしたたが、すぐに大人の真似をしたがったため、子ども用の包丁を持って切るのを手伝ってくれるようになりました。最初は、手を切ってしまうのじゃないかとドキドキで、「自分でやったほうが早く終わるのに!」と思ったことも何度もありますが、「これは私の忍耐をつける修行だ!」「それよりも、この子が食に興味を持ってくれることの方が大事だっ!」と思い、ぐっとこらえていました。そのうち、ちゃんとできるようになるのですから、子どもの成長力たるやたくましいです。初めてお手伝いしてくれたボルシチは、「お手伝いをした!」という気持ちが強かったからか、あるいは、ジャガイモの味が安心だったのか、「みーちゃん、ごはんじょーじゅー」といいながら、半分近く食べてくれました。私は、娘が白ではない色付きのスープを食べていることに興奮しました(笑)。2回目につくったときは、生のビーツを使ったためか、薄切りにしてあったけれども、ほとんど食べてくれず……。あくが強かったのかもしれません。3回目は、ビーツパウダーを使ったのですが、コクがうまく出ず、味がぼやけていたこともあってか、娘は「うしゅーいピンク。ちょっとちがーう」といって、手をつけませんでした。Upload By 秋山ゆかり4回目以降は、水煮のビーツをスーパーで買うようになり、あくもそれほど強くなく、おいしくできあがったので、娘も「ピンクー、ピンクー」と喜んで食べてくれるようになり、わが家の定番となりました。ビーツといえば、この他にも、ビーツを使ったニョッキやサラダなど、いろいろとつくってきました。ニョッキは、ジャガイモをつぶしたものに、ほんの少しビーツの粉を混ぜ込んでつくって、白とピンクにして、ホワイトソースをかけて食べるのが一時ブームになりました。Upload By 秋山ゆかりほうれん草の粉も残っていたので、それを混ぜた緑バージョンや、カボチャの粉を入れた黄色バージョンもつくってみましたが、それらは食べてくれませんでした(涙)。なかなか手ごわいですね。よろしければ皆さんもお試しください!執筆/秋山ゆかり(監修:井上先生より)感覚過敏とこだわりは互いに関連することも多いです。秋山さんのようにお子さんと一緒に料理をつくることで、料理に入っている食材が何なのかも分かり、食べれるようになったお子さんもいらっしゃいます。また料理自体が楽しくなると食事も食べやすくなると思います。お子さんのリクエストを材料や調理方法に反映させていらっしゃるところはとてもすばらしいですね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年01月20日コロナ禍での休校がきっかけで見通し不安、昼夜逆転、家庭内暴力が始まった息子小学校1年生のときADHD(注意欠如多動症)、ASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けた息子は、小学校までは通常学級に所属していました。小学5年生の年度末にコロナ禍のため休校になったことをきっかけに、「いつから学校に行けるの?」と先の見通しが立たずパニックとなり、昼夜逆転生活がスタート。そして同時に他害が始まりました。できる限りのサポートをと向き合いましたが、暴力を抑えられず家族だけでは対応が難しい状況となり、きょうだいへの影響も大きかったことから、6年生になってすぐ半年ほど小児精神科への入院も経験しました。9月から小学校に復帰したのですが、マスク生活など今までの生活様式が一変してしまい、パニック症状が悪化しました。小学6年生の2学期に、小学校の先生、進学予定の中学校の先生と私たち保護者とで話し合う機会を持ちました。中学校の通常学級では教科ごとに先生が変わるので、息子へ細かなフォローアップができる特別支援学級が良いのではという意見がでました。息子に相談したところ、息子自身も特別支援学級がいいとなり、中学入学と同時に、特別支援学級(情緒学級)に転籍しました。これで息子も落ち着いた学校生活を送れるかと思ったのですが、環境の変化に弱いため特別支援学級の環境に馴染めず、孤独を感じたようです。授業内容もすでに習ったものであったそうで、勉強好きだった息子は学習意欲が低下。そして再び不登校となってしまいました。中学で再び不登校に。一日中ゲーム、子ども部屋はゴミ部屋に……。不登校後は昼夜逆転に戻り、一日中ゲームで遊んでいたり、近所のスーパーで買い物したものを食べたりしていたようです。片づけができないので、部屋はゴミ部屋状態でした。Upload By ユーザー体験談家庭内暴力もひどくなりました。夫はテレワーク中で、息子の暴力行為を目の当たりにしたためメンタルの調子を崩し、息子へ向き合うことができなくなりました。私一人で息子と話し合い、児童相談所との相談もしました。児童相談所より「自宅での療育が困難」と判断された息子。一時的に児童養護施設でお世話になることになったのですが、そこでも暴れてしまい受け入れ先がなくなってしまいました。そのため、以前から契約していたショートステイ施設でロングステイさせてもらい、しばらくは、そこから中学校へ週2、3日、半日登校するという生活になりました。そこで生活リズムを作ってもらえればと思ったのですが、ここでも昼夜逆転を直すことは難しく、相変わらず荒れた生活を送っているようだった息子。どうすればいいのか……私は悩みに悩みました。「息子の生活リズムが整えられるような施設はないでしょうか」児童相談所へ何度も相談し、全力で息子に合う施設はないか探しました。ですが、暴力行為のある息子は、県内の施設全てで受け入れを拒否され、行き場がありませんでした。しかし、ようやく県外の医療併設型児童養護施設が一枠あいていることが分かりました。ここへ入所することになると、施設内の学校へ通うことになります。息子のこれからの人生を考え、義務教育期間中に生活改善をしておきたいと思っていた私は、藁にも縋る思いで、施設入所への準備を始めました。「目標を立てて一緒に頑張ろう」最初息子は施設への入所を嫌がりました。ですが、日にちをかけて話し合い、「今のままでは、地元の中学に通い続けることが難しいよ。生活習慣を整えて中学3年生の4月からこちらに戻れるよう、目標を立てて一緒に頑張ろう」と、息子と一緒に目標を立てました。そして、息子とともに施設を見学し、本人も生活の乱れを自覚していて、なんとか立て直したいと思っていることから施設入所を承諾。中学1年生の1月から入所し、施設に併設されている中学へ通うようになりました。私は祈るような気持ちで見送りました。ここからが息子の踏ん張りどころなのです。Upload By ユーザー体験談一方、通っていた中学校の先生には都度報告、相談をしていたのですが、この施設入所については、先生方からはなかなか理解してもらえませんでした。「週に数日でも中学校に通えているのに、施設にいれるのですか?」「家庭で子どもの療育はできないのですか」「お子さんは見捨てられたと思わないでしょうか……」でも、どうすればいいのでしょうか。今のままでは息子の生活を立て直すことが難しいのです。私は先生に一生懸命説明しました。息子が納得したうえで入所することを。Upload By ユーザー体験談夫のメンタルが弱っている中、私自身の精神状態もかなり危うい状態でしたが、義務教育期間中に息子の生活リズムを整えなければ、彼は大人になってもずっとひきこもる可能性もあるかもしれない……。できるだけ早期に、息子の生活や精神面を整え、将来自立できるようにサポートしたい、それがかなう環境を息子に用意してやりたいという思いでいっぱいでした。その思いが、なんとか私を支えていたと思います。努力した息子は、生活習慣を整え目標通り退所。地元の中学へ入所中、息子は長期休暇などを利用して定期的に試験外泊し、寝る時間など自宅でのルールを取り決め実施しました。また、試験外泊の際は、地元の中学の先生と面談、また先生も息子の施設や施設内学校の訪問もしてくださり、施設と学校同士で情報共有してくださり、本当に感謝しています。そして息子は、目標通り中学2年生の終業式後に退所し自宅に戻ってきました。そして、中学3年生の4月から、地元の中学へ転入、特別支援学級へ再び通い始めました。先生方は、息子が戻ってくるまでに2年かけて、特別支援学級での指導の仕方について中学校と教育委員会と話し合い、改革をしてくださっていました。特別支援学級の生徒は30名程度いたのですが、息子は通常学級と同じ内容の授業を受けることができるクラスになりました。そのため、勉強好きな息子は不登校にはならず、通い続けることができ、なんと中学3年は皆勤賞。定期テストも通常学級と同じテストを受け、学外で行っている受験対策用の模試や9月以降は実力テストのみ交流学級で受験するようになりました。これは、息子の受験対策として、大勢の生徒に囲まれて試験をうけられるよう学校側が計画してくださいました。Upload By ユーザー体験談志望校受験に向けて頑張っている息子を支えていきたい家に戻ってきてからの息子は前向きで、障害受容もしっかりとできており、先日精神障害者福祉手帳3級を取得しました。息子は幼少期からの夢「設計士、建築士」への道を希望しています。学習能力は高いのですが、情緒が安定しないため公立高校への進学は断念し、丁寧に対応してくれる私立の専修学校・建築科を単願志望しています。一時期、家庭崩壊の一歩手前だったわが家ですが、息子は今、将来の夢に向けて前向きに勉強に取り組んでいます。悩んでいた数年前が嘘のように、落ち着いた生活を送れています。夫のメンタルも回復し、私自身の精神状態も成長した息子の姿が心の支えとなり回復してきました。息子はこれからどんどん成長していくと思います。自分のやりたいことに向かって、これからも頑張る息子を、私は支え続けたいと思います。イラスト/海乃けだま※エピソード参考者のお名前はご希望により非公開とさせていただきます。(監修:鈴木先生より)自閉スペクトラム症のあるお子さんの対応には、ペアトレの基本である「傾聴と承認」が重要です。息子さんはまだ中学生なので児童相談所ではなく本来ならば小児科の神経外来を受診して相談すべきでしたが、該当するような小児科が近所にはなかったものと推測します。児童相談所は医療ではないので診断はできません。基本的にはかかりつけ医に相談して専門医へ紹介してもらうのが筋でしょう。中学校の先生がおっしゃるように、週に数日でも中学へ通えているならば一般的には施設に入れる必要はないと思われます。児童精神科医と小児神経科医との考えには多少ずれがありますが、医療へつなげることも忘れてはいけないことだと思います。そこには必ず答えがあるはずです。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年01月19日いじめを避けて私立中高に入学した私ASD(自閉スペクトラム症)がある私は、公立小学校でひどいいじめを受けていました。兄が心配して両親に「義子は中学以降は私立に行かせてやってくれ、公立に進むともっとひどいいじめに遭うと思う」と頭を下げてくれたことから、中学受験をして中高一貫の私立の進学校に通うことになりました。進学校では好成績によってスクールカースト上位におっとりしたお嬢様の集まる女子校だったその学校では、スクールカーストはスポーツの得意さや言動のそつなさではなく、成績の良さで決まるところがありました。私はピタッといじめられなくなりました。「あの常に学年で3位以内の宇樹は私の友達なんだよ!」とほかの子に自慢する子や、いつも成績のいい◯組の宇樹ってどの子? と見にくる、他クラスの子もいるぐらいでした。コミュニケーションの面ではやはり浮いていたので、うっすら敬遠されて、同じグループの子たちが気づいたら休みの日にこっそり私抜きで遊びに行っていたとかはありましたが、それ以上のことはありませんでした。親や先生の期待×完璧主義・白黒志向で無理が加速仕方ないことなのですが、世間や周囲の大人の誰にも発達障害の知識がなかった30年前当時、両親には「学校の成績がいい = 有名大学に行って有名企業に入るか士業などに就いてエリートになる」といったイメージしかなかったようです。口でははっきり言わないものの、両親が私に「エリートになるに違いない」という期待を寄せているのはひしひしと伝わってきていました。また、父は幼稚園ぐらいの私に「世の中は戦場で、お前たちはそこで戦い抜いて生きていくんだ」と言って聞かせたり、小学校時代に学校に行きたくないと言ったら「いま学校に行かなくなったらお前の学歴は途絶えてしまう。そうするとお前は将来路頭に迷う。だから頑張って学校に行きつづけろ」と諭したりしました。ASD傾向のある幼い子どもだった私が、父の言ったこのようなことを鵜呑みにして恐怖し、「全力で努力しつづけて勝つ(良い大学に行くなどしてエリートになる)のでなければ生きていけない」と思い込んだのは自然なことです。私は本来の特性にもある完璧主義・白黒思考を加速させ、強迫的なまでに勉強に打ち込むようになりました。食べる寝る以外ほとんど勉強に捧げた青春と弊害中高時代は慢性的に過労状態でした。耳鳴りや口内炎、風邪がいつまでも治らないなどは日常茶飯事。いつも歩きながら眠り込んでしまいそうなほど眠くて、「思う存分眠れるなら思い残すことはない」と思うくらいでした。いま思えば学校まで片道で2時間近くかかる通学で毎日午前5時起きというだけでも体力的に無理がかかっていただろうに、高3になれば、午後4時ぐらいに学校が終わると予備校の始業に間に合わせるために文字通りダッシュして電車に飛び乗り、帰宅は午後11時近く。その後、午前0時過ぎまで復習をして、寝るのは午前1時半……。睡眠時間は慢性的に4時間前後でした。そして定期テストのときには徹夜に近いことをし、カフェイン飲料で心身に鞭を打っていました。自室を片づける気力体力が枯渇していて、部屋はいつも足の踏み場もないような状態。休日は夕方まで寝っぱなし、ニキビは顔じゅうに広がり、頭がクラクラしてくるほどの冷えのぼせに苦しめられ、毎度の生理痛はあまりの強さに時にはトイレで昏倒するほどになりました。部活を楽しむ余裕などもちろんなく、アルバイトや遊びで人間関係を楽しんだり学んだりする余裕もありませんでした(余裕もなかったし、「学生の本分は勉強だ」として父から禁止されていました)。幅広い経験を積んでたくさん勉強以外のことを学ぶべき時期に、あまりにも勉強、それも詰め込みの受験勉強ばかりに費やしてしまったこと、また、大事なこの時期にあまりに自分の身体を痛めつけてしまったことを、今深く悔いています。大学に入っての挫折、バーンアウトからのひきこもり傾向勉強も大学選びも自分の意志から出たものではなく、親の勧めや期待に盲目的に従うような形で300%ぐらいの無理を何年も続けていた私。親の言っていたとおりの有名私大に受かった時点で、すべてのモチベーションが吹き飛んでしまいました。バーンアウトです。入ったのは、有名作家を多数輩出している文学部でしたが、授業が始まってすぐに、「私はどうやら文学に興味がないらしい」と気づいてしまいました。ショックが大きすぎて、しばらくの間、頭が真っ白に……。高校までのように、「学校側が決めた時間割があって、何時から何時まできっちり授業に出なければいけない」といったような縛りがなくて自由なこと、どんな学生生活にするかを自分で選んで自発的に進めていかなければいけないことも、私の混乱に拍車をかけました。私はロクに大学の授業に出なくなりました。当時勃興期だったインターネットでチャットに没頭するなどして、だんだんに生活は昼夜逆転。昼間に出かけられなくなっていきました。この頃、悪いことに母の調子も悪くなります。私が出かけようとすると何かと妨害してきたり、私が日常の世話をしてやらねばならなくなったりしたことで、私はここから今の夫に出会って実家を出るまで10年間ほど、暗黒の準ひきこもり生活が始まることになってしまいました。ASDの私が今思うこと ーーまずは自立訓練、そして手に職が必要だった最近、ある自立訓練施設が「働き続けられる人間になるためには、スキルを身につける前に、心身の健康管理をして上手に日常生活を継続できるようにする『自立訓練』が必要」ということを発信しているのを見て、本当になるほどと思いました。誰もこのこと(世の中には生活の仕方について訓練が必要なタイプの人がいて、私がそのタイプだということ)を知らなかったのだから仕方ないのですが、私は子どもの頃から最近に至るまで、「私も当然、スキルを身につければ働けるようになるはずだ」と思って必死に勉強したり資格勉強したりしてきたのです。でも言われてみれば確かに、私に必要なのは、無理しすぎず適度に努力しつづけて結果的にものごとをやりとげることだったり、その前提としての無理しすぎないマインドセットだったり、そういうことだったのですね。また、やはり仕方がないことではありますが、「学校の成績がよい = 有名四年制大学に入るのがベスト」という、私の親世代の価値観も、結果的に私を苦しめてしまったなと思います。今となっては、私のようなタイプは、何か専門学校に通って「手に職」となるようなスキルや資格(特に、資格がなければその仕事に就けない「業務独占資格」)を身につけて早めに社会に出たほうがよかったのではとも思います。20代から30代は、定型発達の若者にとっても社会生活を送る上で大事な人生経験を積む時期。発達障害のある若者は人生経験から何か学んで自分のものにするのに時間がかかるので、この時期に何かしらの社会活動が継続できるようコンディションを保っておく(=ティーンのうちに本人にそぐわない無理をさせない)のが何より大事だと思います。私は自分に合う進路選択ができなかったため、この時期をひきこもってしまって学習機会を損失したり、立ち直るための治療に精一杯で過ごしてしまって充分なキャリアも積めなかったりしたので、次の世代の子どもたちにはもっと違った生き方をしてほしいと願っています。文/宇樹義子(監修・鈴木先生より)父親にもこだわりがあり、同じようなASD特性のある方だったのではないでしょうか。また、自分のやってきたことや、やってこれなかったことを、過剰に娘に押し付けて巻き込んだケースとお見受けしました。バイトや部活をして社会性を高めることも重要ですが、中には人間関係などでやめていく人も見られます。大学に入って自由が逆に混乱を招いたように、ASDの受け身型タイプの方は、人からやることを示されてその通りに行っていく方が楽なことも一方ではあるものなのです。中学高校の進学校で学んだことは決して無駄ではなく、将来に必ず役立つものと思います。プラス思考でやっていきましょう。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年01月19日4人の子ども育ててます
子育て楽じゃありません
良妻賢母になるまでは。