「発達障害」について知りたいことや今話題の「発達障害」についての記事をチェック! (1/98)
30歳を過ぎて判明したASD(自閉スペクトラム症)幼い頃から生きづらさを感じていた私ですが、学校の成績が良かったため、30年以上前で社会に発達障害についての情報が普及していなかった当時、私のASD(自閉スペクトラム症)の傾向には誰も気づきませんでした。学校では「頭はいいけど変わった子、つきあいづらい子、できるはずなのに頑張らない根性なし」というような扱いを受け、いじめや、教師からの厳しすぎる指導などに苦しんでいました。20代いっぱい、働こうとしても体調がついていかずに続けられず、準ひきこもり状態で過ごしました。30歳のときに危機感を覚え、この不調をなんとかしなければと、ある鍼灸接骨院に通い始めたのです。そこで聴覚過敏と同時に「発達障害」の可能性があるのでは?と病院受診をすすめられたことからASD(自閉スペクトラム症)を自覚、32歳のときに診断を受けました。ADHD(注意欠如多動症)が判明するまでASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けた精神科ではエビリファイという薬を処方され、これがよく効いて、生活リズムが整いました。同時に福祉につながり、障害者手帳と障害年金を取得。治療や情報収集にお金がかけられるようになりました。30代後半には複雑なトラウマも自覚してトラウマ治療を受け、複雑性PTSDの診断も受けました。40代、ずっとトラウマ治療を続けてきて、ずいぶん良くなった感じはあるものの、2024年あたりから「あと何か一押しが足りない」といった感じのところで足踏みが続いていました。45歳目前で判明したADHD(注意欠如多動症)診断を受けて以降、発達障害について発信したり情報収集する中でずいぶんとネット上で専門家とのつながりができたのですが、その中に有能な発達支援の先生がいました。この春、たまたま機会があって、2025年の4月にこの先生に直接ご挨拶に行きました。そこでの会話の中でふと、「宇樹さんは見たところ、多動はないようだけど、注意散漫はあるような気がする」という話になったのです。そこから、「確かに昔教習所に通ったときに運転適性検査で『注意力が非常に散漫』と書かれて驚いたことがあります。多動のないADHD(注意欠如多動症)で昔ADD(Attention Dificit Disorder)というのがあったけど、今どうなってるんでしたっけ」「今はADHD(注意欠如多動症)のサブタイプとして不注意優勢型ADHD(注意欠如多動症)という分類になっているはず」と展開。もしかして私も不注意優勢型ADHD(注意欠如多動症)で診断が出るような傾向を持っているのかな? と思いながら帰宅し、調べてみたところ、「それって私じゃん!」というような特徴の人々についての情報がぞろぞろ出てくること出てくること。それで、コンサータ登録医の資格を持っている専門医にかかることを決心しました。第三者情報として小学校時代の通知表も添えて説明してみたところ、「間違いなくADHD(注意欠如多動症)の傾向がある」として、不注意優勢型ADHD(注意欠如多動症)の診断を受けました。私の生きづらさを増していたADHD(注意欠如多動症)の傾向この診察のとき、「頭の中がいつも何か散らかった感じで、情報や刺激がすぐに頭の中で溢れたようになってワーッとなってしまう」という話をしたら、「情報がうまくフィルタできていない、処理にも困難がある。これはADHD(注意欠如多動症)の特徴で、おそらく服薬でだいぶん楽になる」と言われました。情報のフィルタと処理に困難がある……よく振り返ってみると自分の、ときどきとんでもないうっかりをするところにとても苦労していたことを思い出すのです。ゆっくり時間があるときで、疲れておらず、プレッシャーもかかっていないときならまだいいのですが、「時間に追われていて慌てている」「初めての場所に行く」「泊まりがけで遠出する」「仕事や試験などで緊張している」など、何か負荷が大きい状態になると、おそらくギリギリで回していた処理能力を超えるのでしょう、しょうもないケアレスミスが頻発します。ベースに完璧主義のASD(自閉スペクトラム症)と、不安の強い複雑性PTSDの傾向があるため、こうした自分のADHD(注意欠如多動症)的な傾向をどうにかコントロールしようと常に過剰に緊張・努力していたと思います。負荷のかかるできごとの前にはものすごく不安が高まります。なるべく突発的な情報処理による大きな負荷を避けるためでしょう、必死にたくさんいろいろ調べ、脳内でシミュレーションするようになりました。無事に終えたあとにはもうすっかり疲労困憊です。こうした極端な不安の強さや完璧主義は、不安症や強迫症のレベルだと思っていましたが、ASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如多動症)の併存ではとりわけ不安症や強迫症の二次障害が多いらしいとも聞きました。なぜ診断されていなかった?32歳の時点でASD(自閉スペクトラム症)の診断はあり、以降かかってきた医師の中には「広汎性発達障害(ASDやADHDなどを分類しない発達障害)」と見立てた人もいました。しかし、私も含め誰も私のADHD(注意欠如多動症)的な部分に目を当てませんでしたし、それを前提としたアプローチもしませんでした。なぜかを考えてみたのですが、おそらく私が精神科にかかったのは成人後で、目立った多動や分かりやすい衝動性がなかったうえ、ASD(自閉スペクトラム症)やトラウマの印象に引っ張られたからでしょう。医師に小学校の頃の通知表を見せたこともありませんでしたし、自分自身、ADHD(注意欠如多動症)の可能性を考えた目で通知表を見返してみたこともありませんでした。成人や女性の場合、子どもの頃には多動や衝動性の傾向があっても、成長に伴い目立たなくなって不注意優勢型に移行することが多く、発覚しづらいとのこと。確かにそのつもりで通知表を見てみると、小学生の頃の私にはASD(自閉スペクトラム症)の傾向だけでなく、ADHD(注意欠如多動症)の衝動性や多動と思われる言動があったことがしっかりと見て取れます。ADHD(注意欠如多動症)治療薬、複雑性PTSDや双極症傾向への影響も考えた処方情報のフィルタや処理の機能のアップにはコンサータが最もよく効くようです。しかし、やはり強い薬であることと、私の場合、トラウマや双極症の傾向があるため、交感神経を刺激しすぎることによる過覚醒→躁転や不眠のリスクがあるとのことで、まずは少しマイルドなストラテラから開始することになりました。治療をスタートして1ヶ月を過ぎてストラテラの通常の維持量は1日80mgとのことですが、まずは40mgから開始しました。効果は数週間で徐々に現れてくる、開始直後には「効果は感じられないのに副作用だけ感じる」みたいな時期がある、と聞いていました。しかし、朝食後に最初の1カプセルを飲んだ数時間後、軽い口渇感を覚えると同時に「あれ?なんだかちょっと頭の中が静かで気持ちが落ち着いてない?」と感じました。そして、交感神経を刺激するはずなのに、なんだかうっすら眠い。安心している感じ。あれをやらなきゃこれをやらなきゃ!という焦りが楽になっている。それでいて、なんだかパッパと動ける。私のように、服用開始初日からそれなりの効果を感じる人は少数ながらいるようです。その後3日ほどだいたい同じ状態が続き、パッパと動ける→疲れる→午後にパタッと昼寝というのを繰り返しました。そして4日め、朝起きてお白湯を飲んでいるときに突然「あ、散歩に出たら気持ちよさそうな天気だな」と思い、「まだ紫外線が強くない時間だから日焼け止めを塗らないで出られるな」と、パッと着替えて5分で出発、10分ぐらい近所を歩いてみたら気持ちのいいこと。感激して、以来、雨の日や体調が悪い日以外は毎日散歩が続いています。いっぽう、血中濃度が安定してきたと思われる1週間めぐらいから胃のムカムカと便秘がひどくなりました。胃腸の蠕動運動が低下することにより、このような副作用が出るようです。吐き気止めや緩下剤、胃にやさしいものを少しずつ食べる、おなかを動かす深い呼吸をするなどで対処しました。服薬開始から1ヶ月を過ぎた頃にはほぼほぼ副作用が気にならなくなっていましたが、梅雨入りによる湿気、その後すぐの酷暑でさっそく夏バテに突入してしまい……胃酸を抑える薬を処方され、とりあえずストラテラの増量は見送ることになりました。注意や集中、切り替えの力、気分の安定性などは徐々にしっかりと底上げが効いてきている感じです。ゆっくりと様子をみながら医師には、「ともかく焦らずゆっくりと、数ヶ月のスパンで考えて。あと、あまり効き目に期待しすぎないこと。少しでも楽になればなという気持ちでね」と言われています。やはり、効き目を感じるぶん焦ってしまうのですが、焦りすぎれば必ず不調となって返ってくるので、一歩ずつ進んでいかなければなと思っています。宇樹義子/文(監修 鈴木先生より)宇樹さんは「大人になってしまったASD(自閉スペクトラム症)/ADHD(注意欠如多動症)」なのです。大人になって発症したわけではなく、通知表に書かれている通り、小学生からASD(自閉スペクトラム症)/ADHD(注意欠如多動症)症状があったのです。ただ、かかりつけ医が診断できず、また学校の成績が悪くないと担任がスルーしてしまうケースも多いのです。最近はメディアの影響もあり大人になってから気づくことが増えてきました。ただ、成人精神科でADHD(注意欠如多動症)やASD(自閉スペクトラム症)の診断のできる医師は多くはありません。そのため精神科ではASD(自閉スペクトラム症)/ADHD(注意欠如多動症)と診断されずに双極性障害(双極症)や適応障害(適応反応症)などと診断されることも多いのです。最近はSNSの情報などをきっかけに自身に発達特性があるのではと感じて相談に来る大人の患者さんが増えております。たいていはご自身の認識の通りなことが多いです。自身に発達特性があるのではないかと疑ったら、宇樹さんのようにASD(自閉スペクトラム症)/ADHD(注意欠如多動症)をきちんと診断でき、コンサータ登録医の資格を持っている医師の下を受診して相談することをおすすめいたします。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2025年07月12日\発達障害の子が、不安なく・よりよく育つためにできること/発達障害や親子関係、教育、地域支援など、子どもに関わるさまざまな分野で活躍するスペシャリストが集結!立命館大学教授で発達障害・知的障害の方への支援について研究している川﨑 聡大先生。川﨑先生監修・著の『発達障害の子が羽ばたくチカラ 気になる子どもの育ちかた』(KADOKAWA)では、子どもたちの育ちを支えるために、家庭・学校・地域社会がどのように環境をととのえていけばよいかを、わかりやすく解説しています。今回はその中から、療育の目的と、わが子の発達障害に気づくきっかけについて、ご紹介します。書籍『発達障害の子が羽ばたくチカラ 気になる子どもの育ちかた』療育は万能か 最初の向き合い方と考え方「療育」の目的を再確認する※画像はイメージです特に生活を送るうえでの困難さが診断の基準になっている知的障害や発達障害に関して、療育は障害や特性を「治す」ことが目的ではありません。風邪やケガではありませんから。こういうと「先生、治らないからですか?」と質問されることがありますが、それも正確ではありません。療育は発達障害特性によって生じる生活上の困難さを様々な手段を用いて少しでも楽にすることが目的です。療育は発達特性を「消して」典型発達にするためではなく、スキルを増やしていくのも目的ではなく手段! にすぎません。「発達障害特性を治す」「典型発達に近づける」といった考え方と、「できることが一つひとつ増えていった結果、またその人を取り巻く環境が変わっていった結果、典型発達の人と同様に楽しく生活を送ることができる」という考え方は同じではありません。言うまでもなく、療育は後者の第一歩です。前者の「治す」にとらわれてしまうと、本人と養育者ばかりが重荷を背負うことになりかねません。気付くきっかけ―乳幼児健診の本来の意義※画像はイメージです発達障害や知的障害に気付く(あるいは気付かされる)きっかけになるのが、「乳幼児健診」です。地方自治体(市区町村)によって流れは若干異なりますが、一般的には1歳6か月健診や3歳児健診の集団健診から精査の過程を経て、保健師やケースワーカーの定期フォローがあり、臨床心理士やPT(理学療法士)・OT(作業療法士)・ST(言語聴覚士)といったリハビリ職が早い段階から介在する地域もあります。知的な遅れや行動面の課題が著しい場合は1歳半健診で、ASD特性が明確な児童も3歳児健診でその多くが見出される傾向にあります。乳幼児健診を含めた母子保健事業の本来の目的は保護者と子どもが安心して日常生活を送ることですので、心配もあると思いますが養育者としては「この子と私の生活を少しでもよくするための提案やアドバイスを聞くことのできる場所」と考えて、積極的に利用してください。まず具体的な生活上の困ることや、子どもの困った行動、将来の不安などを、担当の方にしっかりと話しましょう。まず話すことで自分の頭の中を整理することもできます。健診結果と進路をリンクさせたような都市伝説的な噂が流れますが、これは都市伝説以前の「デマ」です。=====この続きは、是非書籍でご覧ください。発達障害の子が羽ばたくチカラ 気になる子どもの育ちかた詳しくみる※本記事は、『発達障害の子が羽ばたくチカラ 気になる子どもの育ちかた』(監修・著:川﨑 聡大、著:川上 康則、神谷 哲司、三富 貴子、和田 一郎、石田 賀奈子/KADOKAWA)より抜粋・再編集して作成しました。
2025年07月09日「パニック中の記憶がない」という衝撃の告白現在16歳、高校生の息子は、10歳でASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けました。慎重で落ち着きがなく、初めての場所やいつもと違うことに弱い、急な予定変更など見通しが立たないと不安になる、目や耳が過敏などの特性があります。幼い頃から癇癪は見られていましたが、小学3年生になると、担任の先生との相性が合わないのか、パニックの激しさが増し、全力で泣き叫んだり、自傷行為をしようとするようになりました。そして小学4年生のある日、息子が突然私のところへ来て、衝撃的な言葉を口にしました。「パニック中の記憶が無い。居ない人の声が聞こえる」Upload By ユーザー体験談それまでは、スクールカウンセラーと協力し、パニックが起こる前に次の行動を予告したり、学校へ行く準備を手伝ったり、イライラした時には深呼吸を促すなど、さまざまな対策をしてきましたが、さすがにこれは深刻な状況だと感じました。息子の言葉をスクールカウンセラーに伝えたところ、即座に「それは病院に連れて行ったほうがいい。家族の努力だけじゃどうにもならないから、薬の処方などについても相談してみましょう」と言われ、「前に療育に通っていたときに診てもらっていたところにカルテがあるはずだから、まずはそこに相談してみてはどうでしょう」とアドバイスを受けました。年長から小1まで通っていた発達支援施設には医師が常駐し、そこに受診していました。ですが、連絡してみると予想外の返答が返ってきました。「小児科ではなく児童精神科へ」思春期外来のある精神科病院への転科すぐ発達支援施設に問い合わせたところ「最後の受診から何年も経っているため、初診まで半年かかります。半年後には状況も変わっていると思いますし、息子さんはもう10歳なので、症状からも小児科ではなく児童精神科で診てもらったほうが良いと思います」と言われました。そして、思春期外来のある精神科病院を教えてくれました。紹介状についてダメ元で聞いてみたところ、「紹介状を書くにも初診が必要ですが、お子さんが改めてこの施設で受診しなくても、これからかかる先の病院に情報を提供できます」とのこと。この施設が初診まで半年かかるのは知っていましたし、通っていたのはかなり前なので、ほかの病院に変わることに特に抵抗はありませんでした。地元で子どもが通える精神科についての知識は全くなかったので、別の病院を教えてもらえたのは大変ありがたかったです。すぐ教えてもらった病院に電話したところ、「思春期外来の先生が〇曜日に来ます。予約は要らないので、その曜日の午前中に来てください」と言われ、幸いにも割とスムーズに受診することができました。問診表と持参した過去の発達検査の結果で診断、リスペリドンを処方紹介された精神科病院はとても混んでいました。問診票の項目が多かったため、母子手帳を確認しながら小さい頃のことを思い出して記入、さらに問診でいろいろと聞かれたあと、職員さんが息子に「先生が原因を調べてくれるからね」と言ってくれました。診察では問診票と家から持参した過去の発達検査の結果を見て、先生からあっさりと診断を受けました。「発達障害ですね。保育園で落ち着きが無くて加配の先生が付いていたことからも、ASD(自閉スペクトラム症)で間違いないと思います」そう言って、紙に「自閉スペクトラム症」と書いて渡してくれました。そして、「パニックを起こしたり、起こしそうになったりした時には、薬を飲ませてください」と、リスペリドンという薬を処方してくれました。発達障害の診断には時間がかかると思っていたことと、息子が横で一緒に聞いていたこともあってすぐ診断が出たことに少し戸惑いました。ただ、幼い頃から落ち着きがなく、ずっと発達障害の疑いを持っていたので、診断を受けてホッとしたというのが一番の感想です。学校へ配慮のお願いをしても「一体何の問題が?」という態度を取られることが何度かあったので、「これで学校にいろいろとお願いしやすくなる」とも思いました。突然診断を受けた息子の思いは……息子は思いのほか落ち着いていました。「自分がパニックを起こして記憶がなくなったりするのには原因があるんだ」ということが分かって安心したようです。その日から「何で僕はみんなと違うの?」と泣きながら訴えてくることがなくなりました。そしてパニック時に薬を飲むととても落ち着くようになりました。私は「薬を飲むとこんなに楽なんだ」と驚きましたし、息子自身も「心に効く薬があるんだ!」とびっくりしていました。次の受診で「薬のおかげですごく楽になりました」と伝えると、先生は「そう言ってもらえるのが一番嬉しい」と笑顔で言われました。Upload By ユーザー体験談服薬はメリットが多いですが、副作用もありました。息子は頭痛と眠気がでるようになり、頭痛については、「パニック中は神経が高ぶっているからそういうこともあると思います」と説明されました。そして夜遅くに薬を飲むと、次の日昼頃まで起きられないこともあることを相談すると、「傾眠がある場合は薬を半分にしてもいいですよ」と言われ、半分に割って飲んでいます。十分に眠ると今度はスッキリするので、学校への行き渋りも減って助かりました。高校生になった息子、現在の状況は……受診、服薬もしていますが、今でもパニックを起こすことはありますし、「記憶がない」ともよく言います。しかし、成長して泣き叫ぶようなことはなくなりましたし、何よりも「薬があるから」という安心感があります。また、不安なことも相談でき、「記憶がなくなるのは自分の心を守るためだから」「記憶が戻らなくなることはないから大丈夫です」と医師から言われるとホッとします。途中で先生が変わってしまいましたが、新しい先生も息子の悩みに付き合ってくれています。定期的に状況報告をして薬をもらうだけでも、いざという時に医師に助けを求められる状況はとても大事です。現在高校生になった息子ですが、環境の変化もあって疲れが溜まるらしく、たまに学校を休んだりしています。それでも学校自体は楽しいらしいです。今後は、自分自身をしっかり理解して、自分のことを自分で周囲に説明できるようになり、困ったときは助けを求めたり、困っている人を助けたりできるようになると良いと思います。イラスト/keikoエピソード参考/まこぺ(監修:新美先生より)小児科から児童精神科に転科したときのことを聞かせていただきありがとうございます。何歳まで小児科で、何歳から児童精神科・精神科か、どのような状況でどちらの科に受診するとよいかということについては、地域や病院による差が非常に大きいため、お住まいの地域やかかりつけの病院で問い合わせていただくことが必要です。病院や科ごとに、診療の対象年齢がある程度決まっていたり、症状や状況によって得意分野や、役割分担(すみわけ)があったりします。また紹介や初診の手順についても、病院ごとのルールやローカルルールみたいなものが決まっていることもあります。面倒だな、融通が利かなくて不親切だなと感じることもあるかもしれませんが、この分野の診療リソースがニーズに比べて不足していることがほとんどなため、少ないリソースで診療体制を維持するための工夫でもあるのでどうかご了承ください。元々発達障害特性のあるお子さんは学校生活でストレスを受けやすく、学童期、特に思春期頃になってくると、今までにないさまざまな精神症状が起きてくることは少なくありません。そうした時に、ストレス源を減らしたり、ストレス対処行動を身につけたりすることと同時に、適切な薬物療法を受けることも、お子さんにとってメリットがあることも多いです。筆者さんの息子さんも、そうした相談ができる担当医にスムーズつながることができ、ストレスや自分の特性とうまく付き合いながら成長していけていることが伺えてよかったです。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2025年07月08日早くも大反響!「マンガ発達障害の子どもと私たち」新章・りん編スタート。その他、訪問看護、兄弟ゲンカ、放デイ探し、児童精神科受診など6月に公開したエピソードをチェック!早くも大反響!「マンガ発達障害の子どもと私たち」新章りん編がスタート!娘さんの発達障害について食い違う夫婦の意見は……。その他、完結を迎えたアキラ編の一気読みや訪問看護、それぞれ特性の違う兄弟ゲンカの対応方法、発達障害姉弟の放デイ探し、児童精神科受診への迷いなど6月もさまざまなエピソードを公開しました。発達ナビユーザーから寄せられた体験談をもとにしたセミフィクションマンガ「発達障害の子どもと私たち」。新章「りん編」がスタート!子どもの幸せを願うのは同じなのに、子どもの発達や障害への対応を巡って、夫婦の意見が食い違う……そんなこともあるのではないでしょうか。支援が必要と感じる母と、成長を信じる父——。価値観や期待が異なることで、すれ違いが生まれてしまい……。小学6年生のりんさんは、3歳の時に中度知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けました。診断を受けた際、医師から「療育」を勧められた妻は支援に繋がろうとするのですが、夫は理解をしてくれませんでした。なんとか無事に支援に繋がることができ、療育を始めたばかりの頃は泣いてばかりのりんさんでしたが、だんだんと児童発達支援にも慣れ、少しずつできることが増えていきます。しかし、夫は依然としてりんさんの障害を分かってくれず……。先日完結を迎えた「発達障害の子どもと私たち」アキラ編。発達障害の兆候を初めての子育てということもありことごとくスルーしていたM子さん。周り人からさまざまな支援を受け、アキラくんが5歳でASD(自閉スペクトラム症)と診断されるまでの道のりをまとめて振り返ります。特別支援学校高等部に通う娘さんは、未就学の頃から自宅で訪問PT(理学療法)を受けています。娘さんは歩行が遅かったので、1歳半頃から自治体の発達センターでPTを受け始めました。歩行器やバギーも作ったほうがいいからと、2歳でとある先天疾患の診断がつく前から、理学療法士さんに身体障害の手帳取得をすすめられ、無事取得し、必要な補装具なども作成ができました。しかし、4歳になる年度からは「PTではなくOTをうけては?」とすすめられます。引き続きPTを受けたい……そんな時に知ったのが「訪問看護」でした。兄弟ゲンカが止まらない!性格が正反対なASD(自閉スペクトラム症)の長男とADHD(注意欠如多動症)傾向の次男。几帳面な兄の「指摘」と、活発な弟の「言葉の反撃」。お互いの個性や特性で衝突することが多く、母親のみちるさんも困惑の日々を送ります。感情の波をどう乗り越え、互いを理解させるのか?親の葛藤と試行錯誤の結果は……。姉弟ともにASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如多動症)があるけれど、特性がまったく違う……!?姉弟の子育てに奮闘する親が辿り着いた、放デイ利用のリアル体験談です。子どもたちそれぞれに最適な放デイを探した結果、静かな環境で夢を見つけた娘さん、活動型で成長した息子さん。合わない場所は変える勇気も必要で……放デイ選びの秘訣と子どもたちの輝く変化、そして親自身が救われる道のりとは?おしゃべり好きで人なつっこいですが、不安感が強く、聴覚過敏・触覚過敏がある小学校2年生の息子さん。小学校1年生の冬、「この程度で病院にかかるなんて、もしかして大げさ?」と思いながらも児童精神科を初めて受診しました。しかし、いざ医師に診察をしてもらうと、想像以上に支離滅裂な息子さんの反応に驚いてしまいます。医師が分析した息子さんの発達課題。そして診断の結果は……?ご自身のエピソードを投稿してみませんか?『発達ナビ 読者体験談』は皆さんのご経験を基に制作されています。ご投稿いただいたエピソードは、連載ライターさんのイラスト、専門家の先生からのコメントをつけた上で掲載させていただきます。「あの時は悩んでいたけれど、今はこうなった……」など、発達障害のあるお子さんを育児している皆さんへ、ご自身の経験をお届けいただけないでしょうか。ご応募は以下の応募フォームから受け付けております。皆さんのご投稿を、お待ちしております。【現在の募集テーマ】・障害告知・パートナー(夫婦) 関係・両親(義両親)、親族関係・進学・受験関係・冠婚葬祭関連・反抗期、思春期・自傷・学習関係・不登校、行き渋り・ゲームとの関わり・不器用さについて・ママ友や、ほかの保護者の方とのエピソード・ご近所関係(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2025年07月05日不登校になったら、まずは休養と相談!子どもが実際に不登校になったら、どうすればいいのか。不登校になったときの対応の基本は、まずは休養と相談です。子どもが不登校になるときというのは、その子のなかで問題が最終段階になったときです。子どもはもう疲れ果てているので、休養をとる必要があります。まずは家庭を居心地のいい場所にしましょう。それに加えて、子どもが親や学校の先生に、気軽に相談できるような環境を整えていくことも必要になります。休養にはいくつかの段階があります。心身ともに疲れ切っているときには、その疲れを癒すためにやりたいことを思う存分やって、エネルギーを蓄えるような時間がまずは必要になります。そのときには子どもが一番好きなこと、例えばゲームをしたり、動画を見たり、運動をしたりといったことに時間を使います。子どもが学校を休んでゲームをやっていたら、大人としては「授業をサボって、遊んでいるなんて」と感じるかもしれません。その気持ちも分かりますが、不登校になるくらいに消耗した子には、ゲームでも動画でも好きなことに没頭する時間もある程度は必要です。エネルギーが回復してくると、子どもはゲームや動画などに少し飽きて、ほかのことにも目を向けるようになるかもしれません。一人で遊んでいるのも楽しいけれど、ちょっと出かけたりもしたい、誰かと何かをしたい、という気持ちも湧いてくるのです。これが次の段階です。子どもがゆっくり休んで落ち着いてきたら、少しずつ、休日に家族で遊びに出かけるなどに誘ってみましょう。ただ、不登校になったときには、親子関係がギクシャクしがちです。遊びに誘っても、子どもが応じない場合もあります。その場合には、家で一緒におやつを食べるような軽いやりとりに誘ってみて、親子関係を少しずつ回復させていくのもいいと思います。子どもが元気になってくると、すぐに「じゃあ少しは勉強しよう」「そろそろ学校に行ってみよう」とうながす人もいますが、休養は段階的に進むものです。まずは一番やりたいことをやる。少し回復してきたら、次にやりたいことを始める。一足飛びに先へ進むことはできないので、じっくり対応していきましょう。十分に回復してくると、子どもの興味や意欲が出てきて、本人が友だちや学校のことにも関心を向けるようになってきます。例えば、子どもが久しぶりに友だちと会って遊んだときに、今後の学校行事の予定を聞いてきて、「この日は行ってみようかな」と話し出すようなことがあります。学校を休む日もあれば、行ける日もあるというような状態になっていくこともあります。それまでは「毎日が日曜日」のような生活になりますが、子どもはその間、ただサボっているわけではありません。その期間を通じて、自分のペースを取り戻していきます。休養は段階的に進むということを意識しながら、焦らずに対応しましょう。ただ休ませて見守っているのでもなく、早く再登校することを求めるのでもなく、子どもの回復を見ながら、少しずつ対応を調整していくというのがポイントになります。数週間かかる子もいれば、数年かかる子もいるただし、学校に興味が出てくるまでに時間がかかる場合も多いです。「ちょっと行ってみようかな」と言うようになるまでに数週間かかる子もいれば、数年かかる子もいます。学校でつらい体験を何度も重ねた場合には、授業や行事になかなか興味を持てなくなることもあります。子どもが「親や先生の言うことを聞いたら、また嫌な思いをすることになるのでは」と警戒している場合もあります。その警戒心を解くためには、親や先生が時間をかけて、子どもに「もう嫌なことを無理強いしない」という証拠を見せるしかありません。そのことを本人が信じられるようになるまで、対応を徹底するしかないのです。不登校の対応として「まずは家庭を居心地のいい場所にしましょう」と言うと、「家の居心地がよかったら、ますます学校に行きたくなくなるのでは」と質問されることがありますが、そうではありません。不登校になるということは、基本的には学校の居心地が悪いわけです。そのうえ家も居心地が悪くなったら、子どもの行く場所がなくなってしまいます。それでは子どものメンタルヘルスが崩れてしまうでしょう。子どもが家で安心して過ごせるようにしたほうが、エネルギーの回復につながります。子どもが「行きたくない」「学校は嫌だ」と言っていたら、「そうなんだ」と答えて、本人の話をゆっくり聞く。そんなふうに子どもの気持ちを受け止めることが、親子関係の回復につながっていきます。発達障害のある子の不登校では、環境的な要因が大きく、学校側との相談が必要になることも多いです。そのため、子どもが親だけではなく、学校の先生にも悩みを相談できるようになれば理想的なのですが、担任の先生との関係が悪化して不登校になっている場合には、その先生を相談相手にするのは難しいでしょう。その場合には、校内で発達障害にくわしい先生を探して、その先生に相談していくのがいいかもしれません。一方、担任の先生との関係はいいけれど、友だちづき合いなどの要因があって不登校になっているという場合には、親子で放課後に学校へ行って、担任の先生と話をしてくるようなこともできるでしょう。また、先生がときどき家庭訪問をして、子どもや親の話を聞くようにしているという例もあります。それも相談のいい機会になります。家庭と学校以外の居場所、いわゆる「サードプレイス」で子どもの相談相手が見つかることもあります。習い事の先生や放課後等デイサービスのスタッフ、地域の大人などが子どもの話を親身に聞いてくれて、相談相手になることもあるのです。例えば、家族で地域の農園を一区画借りて野菜を育てていて、子どもが不登校になってからも農園には一家で通い、そこでは子どもが周囲の大人にいろいろなことを話している、というケースもあります。そういう相手のほうが気楽に話せるという子もいます。親子関係が良好であることも重要親子関係が良好で、家庭が居心地のいい場所になっていて、子どもが身近な大人に相談しやすい雰囲気ができていれば、いま登校できていなくても、将来を過度に心配する必要はありません。それはただ学校に行っていないだけで、心身ともに健康であり、社会参加への意欲も失っていない状態です。本人に何かやりたいことができたときには、それを誰かに相談できます。よく休んでエネルギーが回復すれば、子どもは自分から動き出すものです。子ども一人ではできないこともありますが、そのとき誰か相談相手がいれば、子どもはその人の助けを借りながら、自分のやりたいことに向かっていけます。そういう状態をつくっていくために休養と相談が必要であり、そのためには親子関係が良好であることも重要なのです。Upload By 本田秀夫不登校になったとき、絶対にやってはいけないこと子どもが不登校になったときに絶対にやってはいけないこと。それは、親が子どもに「学校に行かない人はダメな人間だ」という価値観を見せることです。例えば、子どもが学校を休む日が増えてきて、学校には行かないのにゲームはやりたがるという場合に、親が「学校に行くならゲームをやってもいい」といった形で、取引のような話をすることがあります。これも絶対にやってはいけません。なぜかというと、それでは子どもに「学校に行かないあなたを、私はダメ人間だと思っているよ」というメッセージを伝えることになるからです。それからもう一つ、「学校を休むなら昼間は家で勉強をしなさい」と指示するのもやめてください。本人も、勉強が遅れていることは分かっています。それでも勉強が手につかないくらいにしんどくなっているのが、不登校の子どもたちです。そういう状態の子に「昼間は勉強しなさい」と言ったら、子どもに「学校に行かないうえに、勉強もしないなんて、あなたはダメな人間だよ」と伝えることになります。取引条件を出す場合、「学校に行くこと」「勉強をすること」を無条件に善だと感じている面があるのかもしれません。「毎日学校に通って勉強をしたほうが、成長につながるはずだ」と考えている可能性があります。しかし、子どもの発達の仕方はそれぞれに違います。とにかく学校に行きさえすれば子どもはみんな成長するのかというと、そうではありません。学校の環境が子どもに合っていない場合には、子どもが頑張って登校して、一生懸命勉強をしても、健やかな成長につながらない可能性が高いです。その場合に必要なのは、子どもが学校に行く努力をすることではなく、大人が子どもを理解して、環境を調整することです。緊張しないで話せる雰囲気をつくっていく私のところに不登校の相談に来られるお子さんで、経過のいい方は、子ども自身が自発的に動き出せる状態になっていくことが多いです。親御さんから「まだ学校にはあまり行けていません」「でも家族仲良く過ごしています」といった話が出てきます。そういうとき私は、「みなさん家で楽しく過ごせていますか」「遊びに行ったりもしますか」といった雑談をします。なぜかというと、親御さんを焦らせてはいけないからです。不登校からの回復には、ある程度の時間がかかります。その間、親御さんが心の平穏を保てるようにサポートすることも大事なのです。親御さんにも支えが必要です。親子ともに緊張しないで、のんびり話せる雰囲気をつくっていくことが重要なのです。それが親子関係を良好に保ち、休養と相談の時間を確保することにつながっていくのです。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2025年07月04日障害受容をしない夫と支援に繋がろうと奔走する妻。そして娘は小学校へ入学し……娘の障害について理解してくれない夫。家族で話し合いができない中、妻は一人頑張って、児童発達支援へ繋がります。最初は泣いてばかりだったりんさんも、笑顔を見せるようになってホッとしたのでした。そして就学前に受けた知能検査で、中度から軽度知的障害(知的発達症)と診断されたりんさんは、自閉症・情緒障害特別支援学級へ入学することになったのですが……。以下から続きをお楽しみください。特別支援学級でのりんUpload By ユーザー体験談Upload By ユーザー体験談「子どもの好きを伸ばしたい」Upload By ユーザー体験談Upload By ユーザー体験談娘の障害を理解しない夫が中学受験を提案。本人も乗り気になり自閉症・情緒障害特別支援学級に入学、放課後等デイサービスにも通い、少しずつ成長していくりんさん。そんな中、夫はりんさんの「生き物好き」を伸ばしてあげたいと、私立中学校の生物部を調べて見学を提案、妻は困惑します。そしてりんさん本人の希望で予想外の中学受験が始まることになりました。次回「自閉症娘の中学受験で家庭内はギグシャク…「障害のレッテルを貼っているのは君」と夫から責められ【マンガ発達障害の子どもと私たち/りん編4話】」は7月10日(木)に公開予定です。是非ご覧ください。イラスト/志士ノまる(監修:井上先生より)自閉症・情緒特別支援学級に入級し、りんさん自身の障害特性に合わせた支援によって学校生活も順調にスタートしました。環境が整い行動面の問題が落ち着くことにより、学習も安定した成長が見られています。学習面では、中学年以降は抽象的な学習が増え、特定の教科や単元で困難を感じる子どもも出てきますが、りんさんも好きなことや得意なことに関する動機付けを活かしながら全体的な学習を頑張っていたのだと思います。苦手分野の克服だけに力を注ぐのではなく、興味が高い分野を中心に学びの楽しさを重視して教えていくことはこの時期に大切なことだと思います。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2025年07月03日最初は、末っ子である次女の問題行動から発覚!5人家族のうち、3人に発達障害があるわが家。発端は、次女がまだ小学校3~4年生の頃に、家庭内で問題行動を起こしたことでした。私と夫が対応していく中で、これはどうもおかしいぞ?と思い、次女を連れて発達障害を診てくれる病院へ行き、検査の末にASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如多動症)の診断を受けました。そういえば、2歳で言葉をたくさん覚えた頃から、ずっと明るく元気でおしゃべりが上手な子どもでした。起きている間ずっとおしゃべりしていましたね。今も薬を飲み忘れると、人のことはお構いなしに延々話しかけてきます。……いや、楽しいんですけどね?でも母の脳みそが悲鳴をあげる日もあります(笑)。Upload By ゆたかちひろテスト中に頭が真っ白になる高校生の長男学力的には分かっているはずの問題ばかりなのに、テスト中に頭が真っ白になり、何も書けなくなっていた長男。テストの点数がひどいことになり、もしや、次女と同じ発達障害で何か困りごとが発生しているのでは?と受診に至り、ASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如多動症)の診断を受けました。そこから学校へ配慮の相談をして、別室受験をさせてもらうなどでなんとか高校を卒業しました。無事に大学合格!……からの、留年(笑)!発達の凸凹が大きく、実はわが家の3きょうだいの中でも一番繊細で、でも同時に留年しても全然生活態度が変わらないので、鈍感なのかもしれません。Upload By ゆたかちひろそして私自身も精神科受診へ子どもたちの様子を見て、これは私も発達障害がある気がする……グレーと言われるかもしれないけど、検査してみたほうが良いな、と当時働いていた職場のすぐ近くにあった精神科を受診。アラフィフでADHD(注意欠如多動症)の診断を受けました。思い返せば、心当たりしかない半世紀。自分の特性と知らぬ間に向き合いいろいろと工夫したり、克服していることも多かったと思います。グレーゾーンどころか、検査結果だけ見たらぶっちぎりのADHD(注意欠如多動症)でした(笑)。発達障害関連のコラムを書くうちに、自身の特性を改めて見直すと、出るわ出るわの困りごと。今まで、困っている状態がデフォルトだったのだと判明しつつあります。Upload By ゆたかちひろ3人とも障害者手帳を申請、取得しました。3人そろって発達障害の診断を受け、投薬でそれぞれ効果を実感していることもあり、自立支援医療制度を利用したり、配慮や福祉サービスを受けるために、精神障害者保健福祉手帳をそれぞれ持っています。子ども達は3級、私は2級です。そんな3人の障害者を養う夫の苦労たるや、大変なものだと思われます。長女もよく、3人ともめんどくさいとボヤいています。発達障害を比較的オープンにしている、面白おかしく過ごす、仲良し家族ですが、水面下では足をバタバタ、ジタバタ頑張って生きています。時々、猫のほうがお利口だなと思うぐらいダメダメな3人ですが、七転び八起きの経験が、どなたかの気づきのきっかけや、息抜きになればうれしいです。ゆるく、元気に、発信していきます!Upload By ゆたかちひろ執筆/ゆたかちひろ(監修:新美先生より)はじめまして、ゆたかさん。自己紹介・ご家族紹介をありがとうございます。文面から伝わる、にぎやかで仲良しなご様子、これからどんなエピソードを聞かせていただけるのか、楽しみです。ご家族の一人が発達障害の診断を受けたことがきっかけで、ほかの家族も次々と……ということはよくありますよね。家族の中で特性と特性がぶつかり合うこともあれば、自然と共感できたり、お互いの経験を参考にしあえたりとお互いに影響し合うのが家族ですよね。いろいろ聞かせていただけることを期待しております。よろしくお願いいたします。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2025年07月02日「この程度で病院にかかるなんて、もしかして大げさ?」児童精神科受診への迷い息子は現在7歳11ヶ月です。おしゃべり好きで人なつっこい性格ですが、不安感が強く、聴覚過敏・触覚過敏があります。6歳で受けた新版K式発達検査では全領域DQ82、7歳2ヶ月で受けたWISC-Vでは全検査IQ95という結果でした。特別支援学級(私の住んでいる自治体は、特別支援学級に進む際、診断書やWISCの結果の提出は必要ありませんでした)や放課後等デイサービス、学童でも問題なく過ごせており、特に大きなトラブルがあったわけではありませんでした。そのため、通院を始めるまでは「この程度で児童精神科を受診するなんて、もしかして大げさ?」という迷いがありました。ただ、私自身が育児に疲れを感じることが増えていたこと、そして何か現状を良くする手がかりを見つけられればという思いから、小学校1年生の冬、精神障害者保健福祉手帳取得を見据えて児童精神科を受診することにしました。「手帳取得を見据えて」と書くとしっかり計画をたてていた……という印象を与えてしまうかもしれませんが、そこまできちんと考えていたわけではありません。「取れれば便利かも?」くらいの感覚でした。また、これまで息子に発達特性があるとは思っていたものの、病院での正式な診断を受けたことがなかったことも、受診を決意する理由の一つでした。この体験談では、息子の受診の様子と、先生からいただいたコメントなど詳しくお話しさせていただきます。初受診。想像以上に支離滅裂だった息子の反応にびっくり現在、通院を始めて約4ヶ月で、その間に5回ほど通いました。親子で受診するパターンと、子どもは別室で待機して保護者と先生の2人で話すパターンが交互にある感じです。最初は親子での受診でした。先生から「お母さんは口を挟まないでね」と強く言われ、先生と息子だけで話すのを見守りました。先生は最初「今日はなんで、ここに来たの?」と息子に聞きました。受診は、息子自身が何かに困っていたからというよりは、私側の都合だったので、息子には「学校で困ってることや嫌なことがあるようなら、先生が聞いてくれるから話してみてね」程度しか伝えていませんでした。そのため、息子は先生の問いかけの意味が理解できず、しかも先生からは質問に答えやすくなるような補足説明はなかったため、普段の数倍落ち着きを失いました。椅子からずり落ちそうな姿勢で、隣に座っていた私のカーディガンに顔をうずめたり、私のカバンの中を探って、中に入れていたお菓子を取り出そうとしていました。Upload By ユーザー体験談その日息子はゲームのキャラクター柄のトレーナーを着ていたので、先生が「そのゲーム、好きなの?」と息子が話しやすそうな話題を振ってくれました。普段なら、待ってましたとばかりに自分の好きなゲームについて語り出す場面だったはずですが、このときは「今日は学童休んだ」とか「(私のカバンの中には)ママの飴があるんだよ」とか、先生の声かけとは関係のない話を脈絡なくし、その日の診察は終わりました。児童発達支援や放課後等デイサービス、特別支援学級の先生とは違って、児童精神科の先生は息子が話しやすいように誘導したりしなかったからなのか、息子の話は普段よりもさらに支離滅裂で、ちょっとびっくりしました。ただ、先生は息子に対して驚いたりいらだったりした様子をまったく見せなかったため、息子はうまく話せなかったことを気にしてはいませんでした。「病院だったけど、注射されなくて良かった!」とむしろ前向きな反応で、病院をあとにしたのでした。医師が分析した息子の発達課題。そして診断は……次の回の診察で、先生と私だけでお話した際、初診での息子の様子からどのような発達課題が読み取れるかといった解説を聞くことができ、とても勉強になりました。まず先生は「前回の診察の様子を見て、どう思いましたか?」とおっしゃいました。私が「ここまで落ち着きがないのは久しぶりだなと思いました。いつもはおしゃべりが上手だと思っていたのですが、初診の日は全然違う様子だったのに驚きました」と答えると、先生が驚くべき解説をしてくれました。「診察では息子さんの『生』の状態を知りたかったので、あえて質問の補足などをしなかったんです。小1くらいになってくると、こうした情報のない状態でも、相手が何を求めているかを推測しながら、それに合った答えを言ったり、わからない所を尋ねたりできるようになってくるのですが、息子さんは相手の意図の読み取りに苦手さがあるので、不安になって、じっとしていられなかったんだと思います」さらに、息子が「だめだと分かってるのに、いつもバッグの中のお菓子が気になっちゃって…」と言ったことについて、「息子さんなりに『自分で自分をコントロールできなくて困ってる』『そう感じることがよくある』ということを伝えていたように思えました」と説明されました。私はそんな発言をしたことをすっかり忘れていたのですが、先生はそういうところを見ているのかと驚きました。事前に詳細な問診票を提出していたこともあり、「本来なら診断名をお伝えするまでに診察に半年くらいかかります。ですが問診票に必要な情報が詳細に入っていることや前回の診察の様子を見ると、息子さんにはASD(自閉スペクトラム症)特性があることはほぼ言えると思います」と言われました。結果、7歳7ヶ月でASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けることになりました。息子の応援団に医師が加わり、長期的な視点が見えてきた先生の言葉で印象的だったのは、「ASD(自閉スペクトラム症)特性のある子は、思春期にさしかかる10歳を超えてくるあたりから、同年代の子のコミュニケーションの高度化に追いつけず、しんどさを抱えることが多いです。反抗期が始まる前の低学年の時期から、児童精神科ともつながっておいて相談先を増やしておくのは、今後の備えとしておすすめですよ。いいタイミングで受診されましたね」という長期的な視点でのアドバイスでした。Upload By ユーザー体験談また、これまでの支援について「早期療育は効果ありますよ。反抗期が始まる前(未就学児~小学校低学年)は療育のゴールデンタイムなんですよ」「適切な時期に、適切な支援に関わることができていますね。これまで大きな困りごとがなかったのは、その頑張りの成果ですよ。お母さんさえ良ければ、これからは私もサポートに加わりますからね」と言ってもらえたのが、心強かったです。現在小学2年生になった息子は、1年生の頃よりも休み時間に交流学級の友だちと遊ぶことが増えています。交流学級で同じクラスになった男の子が息子を誘いに来てくれているそうで、交友関係が広がるのは喜ばしいことです。ただ、話を聞いていると、相手の子は息子を「自分が強気に出ていい相手」だと認識して仲良くしたがっているような印象もあります。人間関係の複雑化がこれから始まっていくんだろうなという感じです。こういうときに私がどっしり構えていられるためにも、息子の応援団(あるいは私の相談相手)は多いほうがいいと思っています。受診するまでは「おおげさ?」と考えていた児童精神科ですが、このタイミングの受診で良かったのかなと思っています。現在、精神障害者保健福祉手帳の取得を検討中です。「いつ頃まで」といったところまでは特に考えておらず、「取れれば便利かも?」くらいの感覚ですが、息子の将来への備えの一つとして前向きに考えています。イラスト/SAKURAエピソード参考/苗(監修:藤井先生より)親御さんがこれまでお子さんの特性と向き合いながら日々を過ごされてきたことに、頭が下がる思いです。素敵な医師との出会いがあったこと、本当によかったですね。「こんなことで受診していいのかな」と悩まれる方も多いですが、子どもの成長や環境の変化によって困りごとは変わってくるものです。そんな時、医療機関は「相談口のひとつ」として気軽に頼っていただければと思います。精神障害者保健福祉手帳は、必要になったときに役立つ選択肢の一つとして考えることができる制度ですから、今すぐに使う予定がなくても、「相談できる場所」「使える制度」を知っておくことは大きな安心につながりますね。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2025年06月30日特別支援学校では、入学時点で卒業後の進路を見据え4つのコースがあった現在24歳になる知的障害(知的発達症)を伴うASD(自閉スペクトラム症)の息子は、小学校1年生から特別支援学校に通い、小学校3年生から中学3年生までは特別支援学級で学びました。中学卒業後は特別支援学校高等部に進学し、小学校時代の友人と再会してクラスメイトとなったことを、とても喜んでいました。息子が通っていた特別支援学校高等部では、入学時点で入学相談を元に卒業後の進路を見据え、以下の4つの類型に分かれていました。A類型:生活介護を必要とする重度の障害のある生徒のクラスB類型:就労継続支B型作業所への進路を想定したクラスC類型:就労移行支援事業所、就労継続支援A型、B型への進路を想定したクラスD類型:障害者雇用枠での企業就労を目指すクラスそして、1年生時、A、B類型は園芸班・工芸班・ホームサービス班を経験、C、D類型は接客班、食品加工班、清掃班、事務班、施設管理班を経験し、2年生になると経験した班から2つの班に選び、3年生でさらにその中から1つに絞る、という流れでした。このように、在籍クラスを見るだけで、その生徒の進路がほかの保護者にも分かる状態です。入学するお子さんの障害の程度がさまざまであるため、このようにクラスが分かれているのでしょう。息子はC類型「就労移行支援事業所、就労継続支援A型・B型への進路を想定したクラス」に所属し、2年生の時は事務班・施設管理班を経験、将来はパソコンを使う仕事につきたいとのことで3年生で事務班に入りました。※学校や地域によって類型の名称・内容・進路想定は異なります。詳細は各学校にご確認ください。息子の在籍していたクラスは、企業就労が難しいとされる生徒が対象でした。正直なところ、「本当に息子は働けるようになるのだろうか」「卒業後、自宅で過ごすことになってしまうのではないか」という不安が日々募っていました。2年生になり、クラス別の保護者会がありました。その時担任の先生から、企業以外の見学については保護者が直接B型や就労移行支援事業所に連絡を取り、自由に見学に行って良いとの説明がありました。しかし、その時は、どういうものなのか、どこをどう選べばよいのか、何を基準に判断すればよいのか、まったく見当もつかない状態でした。就労移行支援との出合い2年生になると保護者会以外で、進路についての説明会が複数回始まりました。「年金の話」「区分認定の話」「進路の話」などテーマ別に保護者を招集して詳しく説明してくれるのです。その中で、就労移行支援という制度についてきちんと知ることができました。「就労移行支援」という言葉を初めて聞いた時は、正直なところ「また新しい制度の名前か」という程度の印象でした。福祉の世界には似たような名前の制度がたくさんあり、その違いがよく分からなかったのです。ですが、息子が利用している相談支援事業所から詳しい説明を受け、いくつか就労移行支援事業所も教えてもらいました。そして、自分でも調べていくうちに、就労移行支援制度の基本的な仕組みが分かってきました。就労移行支援制度とは、障害がある人の就労をサポートする障害福祉サービスです。Upload By 立石美津子利用対象(1)身体障害・知的障害(知的発達症)・精神障害・発達障害や難病の診断のある人(2)企業等での就労を希望する人で、就労が可能と見込まれる人(3)原則65歳未満の人(状況によっては65歳以上でも利用できる場合もあります)利用期間原則2年間(最大12か月延長可能)サービス内容1. 職業訓練(例)・ビジネスマナー、挨拶、身だしなみなどのトレーニング・自己分析を通しての適正把握・職場でのコミュニケーションのトレーニング・パソコントレーニング(基本操作やOfficeソフトのスキル向上など)・個人の適性に合わせた仕事のスキル向上・職場見学・実習・レクリエーションを通してほかの利用者との交流など2. 適性に合った職場探し就労移行支援事業所が直接、職業紹介を行うことは制度上できません。そのため、事業所内ではスタッフとの面談やプログラムを通して、利用者の希望条件、適性の把握、合理的配慮の整理などを行うとともに、ハローワークなどと連携して適性に合った職場探しをサポートしています。3. 就職活動のサポート求人についての相談対応や、応募書類の書き方、企業研究の仕方、面接での受け答えなどのプログラムを提供しています。ほかにも、応募書類の添削や模擬面接の実施などを通して就職活動に関するさまざまなサポートを実施しています。4. 職場定着のためのサポート就労移行支援事業では、原則として就職後6か月間の職場定着支援を行います。企業や就労した本人と定期的に面談し、問題が起きた時に間に入って調整するなどのサポートを行います。また、6か月経過後は就労定着支援と別途契約して最長3年間の定着支援を受けることもできます。利用料金前年度の世帯収入に応じて決まります。Upload By 立石美津子月額負担上限額があるため、利用回数に関係なく、設定された上限額を超える負担は生じません。この場合の世帯収入については、利用者本人と配偶者の所得を合算したものが対象となり、親の収入は計算に含まれません。ただし、サービス利用に伴う料金設定は各市区町村によって異なるため、上記の金額はあくまで目安となります。ここから私は10か所程就労移行支援事業所を見学するのですが、それについてはあとに続く連載の中で詳しくお話しさせていただきます。今ひとつ触れるとしたら、実際に見たサポート内容の充実ぶりです。単に作業をするだけではなく、パソコンスキルの習得から、面接練習、職場でのコミュニケーション方法まで、きめ細かい支援が行われていて本当に驚いたのを覚えています。「息子も働けるのかもしれない」と思った瞬間でした。まとめ情報は特別支援学校で得ることができた私の知人の話ですが、知的障害(知的発達症)があるお子さんが普通科高校に進学したケース情報があります。その方に息子が就労移行支援事業所に通うことを伝えた際、「何それ、知らない」と言われました。地域によって状況はさまざまだと思いますが、義務教育ではない特別支援学校高等部は、ある意味で職業訓練の場でもあると感じました。卒業後も社会で生活できるよう、B型、生活介護、就労移行支援事業所、企業など、学校側が手厚くサポートしてくれました。実際、学校の先生は何度も息子が希望する進路先に足を運んでくれました。そのため、特別支援学校高等部に進学したことは良い選択だったと思います。そして、知った就労移行支援制度。知る前は、「息子の将来はどうなるのだろう」という漠然とした不安ばかりでした。しかし、この制度を知ることで、「息子にも働く可能性があるのかもしれない」「しっかりとしたサポートがあるなら挑戦してみよう」と前向きに考えられるようになりました。次回は「障害者雇用か就労移行支援か」わが家が就労移行支援を選んだ決め手についてお話しさせていただきます。執筆/立石美津子(監修:渡部先生より)立石さんの就労移行支援に関するコラム、息子さんの実際の経験を元にした、とても参考になる内容でした。サービス内容の4で、「6か月経過後は就労定着支援と別途契約」とあります。この就労定着支援は、それまで利用していた就労移行支援事業所が継続して行う場合と、別な事業所が行う場合があります。障害者本人の意向や、事業所側の状況などによって変わってきますので、就労定着支援を希望する場合は、まずはそれまで利用した事業所に相談してみてください。就労に関する障害福祉サービスは種類も多く、仕組みも複雑なので、息子さんの希望や特性を知る特別支援学校が、しっかり支援してくださったというのは、とても良かったですね。6回連載とのことなので、今後も楽しみにしています。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2025年06月30日5歳児健診とは?何のために行う?この時期の健診が重要な理由5歳児健診は、主に就学前の発達上の課題などの早期発見と支援につなげることを目的としています。また、生活習慣の指導も目的に含まれています。5歳児は言語理解力や社会性が発達するとともに、課題が顕在化しやすい時期でもあるため、この時期に健診を行うことでお子さんの特性を早期に把握し、適切な支援につなげやすいと考えられています。実際に5歳児健診により不登校発生数が減少したという調査もあります。5歳児健診は3歳児健診などとは異なり実施は任意なので、実施していない自治体もあります。ただ、こども家庭庁では令和10年度をめどに全国展開を目指していて、自治体への助成などを強化しています。参考:5歳児健診ポータル保護者の方へ|こども家庭庁参考:乳幼児健診について|こども家庭庁参考:こどもまんなか実行計画2024|こども家庭庁発達が気になるお子さんにとっての5歳児健診は、3歳児健診では気づきにくく、就学前には気づいて対応したい発達上の課題を発見でき、早期の支援につなげるなど就学に向けて準備できるという意味合いがあります。5歳になると言語の発達が進んでいたり、園などで集団活動する機会が増えたりと3歳の頃とは状況が変わっており、新たな課題が顕在化することも多いと言われています。また、家庭内でも睡眠リズムが整わないなどの生活習慣やテレビやタブレットの動画視聴などメディアの利用でも気になる点が生じているかもしれません。5歳児健診はそのことに気づく機会になるとともに、家や集団生活で日ごろ気になっていることを専門家に相談して保護者の不安を解消する機会ともなります。また、5歳児健診は小学校に入学する前の就学時健診とも内容や目的が異なります。5歳児健診は就学時健診の約1年前に実施されるため、何か課題があった場合でも小学校入学前に医療や福祉などの支援につなげやすい点が特徴です。それとともに、発達に課題がある場合はお子さんの通っている園や入学予定の小学校と情報共有も行います。対して就学児健診では、内科や眼科、歯科の健診や教師による面談で学校生活を送る上で課題となる疾患を早期に発見することが主な目的となっています。歳児健診マニュアル.pdf参考:5歳児健康診査マニュアル|令和3年度~5年度 こども家庭科学研究費補助金 成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業5歳児健診では何をするの?具体的な内容をチェック5歳児健診は自治体によって集団で行う場合と、小児科のクリニックなどで個別に行う場合があります。保護者やお子さんとの問診や計測などを通してさまざまな項目を確認していきます。事前に問診表を提出し、身体計測、診察、保健指導、相談などを行う、というのが大まかな流れです。具体的な内容は以下のようになります。身体計測:身長、体重などを測定し、成長の進み具合を確認します目や耳の検査:問診や診察を通して疾患の可能性などを確認します精神・神経発達の確認:会話やしりとりなどを行い、知的能力や言語能力、社会性などを確認します運動機能の確認:片足立ちなどを行い、粗大運動・微細運動の発達などを確認します生活習慣の確認:食事、睡眠、排せつ、歯磨き、メディアの利用状況などの生活習慣を確認しますその他:必要に応じて医師、保健師、管理栄養士などによる保健指導や心理相談を実施します以上のような内容で行われ、3歳児健診時点の結果なども踏まえたうえで、発達の遅れなどを判断していきます。※自治体によって健診の内容には違いがあります5歳児健診では、運動・言葉・社会性・認知など、子どもの発達状況を確認するために、さまざまな項目が実施されます。具体的には片足立ちやしりとり、じゃんけんなどを通して一定の基準に照らして判断していきます。片足立ちは運動機能に遅れがないかをチェックするために行います。具体的には、片足立ちで左右とも5秒以上できるか、著しい左右差がないかを確認します。運動機能のチェックにはほかにもボタンのかけはずしや図形の描写などがあります。しりとりでは知的能力、ルールの理解、対人コミュニケーション能力などの精神発達をチェックします。5歳児は目安として3往復以上のしりとりができるとされているため、うまくできない場合は発達の遅れや難聴などの可能性が考えられます。じゃんけんも勝ち負けやリズムに乗ってできるかによって、発達の遅れがないか確認します。ほかにも会話を通しての言語理解、家庭や保育園での様子のヒアリングなどを通してお子さんの発達状況を確認していき、気になる様子があれば専門機関への相談などへつなげていきます。歳児健診マニュアル.pdf参考:5歳児健康診査マニュアル|令和3年度~5年度 こども家庭科学研究費補助金 成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業参考:田中 駿, 牛山 道雄, 清水 里美, 郷間 英世 著「しりとりを通してみた幼児の言語発達」LD研究 33巻 (2024年)2号 p. 187-1955歳児健診で発見される発達障害のサインは?発達が気になる時の相談先お子さんに気になる様子があっても、それが発達障害に関係しているのか判断が難しいと思います。ここでは、5歳頃に見られる発達障害のサインを紹介します。多く当てはまったからといって、必ずしも発達障害があるとは限りませんが、相談する際の参考にしてみてください。Upload By 発達障害のキホン参考:青森県子どもの発達支援ガイドブック|青森県参考:指導・支援|発達障害教育推進センターお子さんの発達で気になることがある場合は、専門機関に相談することでアドバイスや適切な支援などを教えてもらえることがあります。ここでは5歳児のお子さんの発達について相談できる窓口を紹介します。【お子さんの発達に関して相談できる窓口】自治体の発達相談窓口:自治体の窓口や児童相談所などで相談対応や支援機関などの紹介を受けることができますかかりつけの小児科医:専門的なアドバイスや医療機関などの紹介を受けることができます精神保健福祉センター:発達障害に関する相談や、医療機関の紹介などを受けることができます発達障害者支援センター:発達障害に関する専門機関でアドバイスや支援、情報提供などを受けることができます児童発達支援センター:児童発達支援や放課後等デイサービスなどの利用や情報提供を受けることができます場所によって予約の有無や対面、電話などの相談方法も異なります。まずは相談しやすいと感じる窓口に問い合わせてみるといいでしょう。参考:1.成長、発達で気になることを相談したいとき|独立行政法人 福祉医療機構 WAMNET【専門家に聞く】5歳児健診にまつわるギモンを分かりやすく解説!Q:幼稚園年中の男の子です。家ではあまり困りを感じていないのですが、幼稚園では落ち着きがなく、医療機関を受診するまではいかないけれど今後の発達に少し不安があります。就学時健診だけではなく、5歳児健診も受けたほうがいいのでしょうか?A:就学時健診だと就学まで1年未満のため、そこで何か対応を検討しても、すぐに支援を受けられない可能性があります。小学校に入学後、スムーズな集団生活を安心して送ることができるように、園での様子を5歳児健診時に相談されることをお勧めします。家だと落ち着いていても、集団で落ち着かない場合、ザワザワした環境が苦手だったり、いろいろな視覚情報が多いことが苦手など、お子さんによっても特性はさまざまです。お子さんの特性を早めに理解し、環境を整えることで、就学までの時間をより安心して過ごすことができます。Upload By 発達障害のキホンQ:幼稚園年中の女の子です。人見知りや場所見知りがあるので、検査がうまくできないのではと心配です。5歳児健診にはどのような準備をしていったらよいですか?A:5歳児健診は、検査という形で身構えて取り組む必要はありません。ご家庭や集団生活のご様子を問診し、健診での診察などを踏まえて総合的に判断します。「知らない場所で知らない大人と話す」というのは誰でも、緊張してしまうことはあります。少しでも安心して過ごせるように、例えば、・事前に行く場所を伝えて、先生とお話しするよなど、イメージができるように説明をしておく・お気に入りにの小さいぬいぐるみやタオルなどを持参する・「緊張しちゃっても大丈夫」と声掛けするなどの準備をしてお子さんに安心感を与えてください。Upload By 発達障害のキホン5歳児健診は早期の支援につなげるためにも大切な機会5歳児健診は3歳児健診では気づきにくい発達上の課題を発見し、早期の支援につなげるためにも大切な機会です。5歳児健診で発達の遅れなどが見つかった場合、専門家への相談や、園や小学校への情報共有などを行うことで、お子さんが学校生活へ適応するための支援も行っています。現在は実施していない自治体もありますが、こども家庭庁では早期の全国展開を目指して援助を行っています。また、実施していない自治体でも、似たような健診や発達相談を行っている場合があります。お住まいの自治体のWebサイトなどを確認し、活用していくといいでしょう。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2025年06月29日主な要因は、学校の側にあることが多い?私は不登校のお子さんや保護者、先生方からの相談を受けて、みなさんからお話を聞いています。お子さんが置かれている状況を俯瞰的にみているわけですが、実際のところどうなのかというと、お子さんに発達障害の特性がある場合には、不登校の主な要因は、学校の側にあることのほうが多いです。そもそも、学校が子どもにとって楽しい場所であれば、よっぽどのことがないかぎり、「学校に通いたい」という意欲は保たれます。「よっぽどのこと」とは、例えば家庭環境が荒れ、親とのやりとりで疲れ切り、学校に行けなくなるような状況を指します。この場合、家庭に主な要因がありますが、そういったケースは多くはありません。子どもは家庭内に多少問題があっても、「学校に行くと楽しいことがある」と思っていれば、登校しようとするものです。家庭内で問題が起きていなければ、あとは子どもにとって「学校が楽しいか、楽しくないか」ということが重要なポイントになります。発達障害のある子と定型発達の子の不登校を比べると……私は、発達障害のある子の不登校の多くが「個人と環境のミスマッチによって起こるもの」だと考えています。発達特性があっても、その特徴が学校の先生に理解されていて、一定の支援や配慮が得られる環境であれば、子どもが「授業が楽しくない」「学校の対人関係がうまくいかない」と感じることは少なくなります。一方、発達特性が理解されず、つねに「みんなと同じように」活動することを求められる環境では、子どもは居心地の悪さを感じるでしょう。それでは不登校の「準備状態」になりやすく、また、「引き金」となる出来事も起こりやすくなります。Upload By 本田秀夫不登校の背景には個人的な要因もあれば、環境的な要因もあるわけですが、発達障害のある子の場合、環境的な要因の比重がとても大きくなります。私は、それが「発達障害のある子の不登校」と「定型発達の子の不登校」の最大の違いだと考えています。発達障害のある子どもにとって、学校がなじみやすい環境かどうかが、非常に重要なポイントになるのです。発達障害のある子は、特性が理解されている環境であれば活動しやすくなります。しかし、ここでいう「環境」には担任の先生のキャラクターや教え方のスタイル、同級生のメンバー構成、学校全体の教育方針(ノルマ化やダメ出しの多さ)など、さまざまな要素が含まれます。親御さんと学校の先生が相談することによって、それらの要素をすべて調整していけるのであれば、発達障害のある子の不登校を根本的に解決できるでしょう。しかし、いまの学校教育の制度のなかで、そこまでの調整が実現することは難しいようです。例えば、子どもと担任の先生の相性がよくない場合に、親御さんが学校側に「2学期からほかのクラスに移らせてほしい」と言っても、その要望が通ることはまずないでしょう。環境的な要因を調整できない場合には、学校を休ませるか、子どもが苦しんでいても登校させるか、どちらかしか選択肢がありません。その場合、私は親御さんに「無理に登校させることは、問題の解決策にはならない」とお伝えしています。そういう意味で、発達障害のある子が学校に行けるかどうかという問題には、どうしても運がともないます。発達障害のある子の場合、通学先がどんな学校なのか、担任の先生が誰になるのか、クラスにどんなメンバーがいるのかといった環境的な要因によって、通いやすさが大きく変動します。しかし、子どもが学校や先生、クラスを選べるわけではなく、親や先生ができる調整にも限界があるので、不登校を完全に防ぐことはできません。学校になじめないときにできること子どもが学校になじめないと感じたときの選択肢は、基本的には、学校と相談するか、我慢して登校するか、休むしかないわけです。そして、学校との相談がうまくいかなければ、残る選択肢は2つです。さらに言えば、子どもが親や先生から「頑張ろう」と励まされて、休むという選択肢がなくなっていく場合もあります。そうなると、学校がどんなにつらい場所であろうとも、我慢して通い続けるしかないということになります。もしも学校との相談がうまく進まず、環境調整ができない状況になってしまったら、無理に登校してメンタルヘルスを損なうよりは、不登校を選んだほうがいいという考え方になります。しかしそれは、ベストな判断ではありません。本来であれば、大人が子どもの発達特性を理解し、環境を調整して、その子の学習機会を保障するべきです。それがどうしてもかなわないときに、現実的な選択肢のなかから一番マシな方法として、不登校を選ぶしかないという状況になるのです。環境を調整すれば、不登校は予防できる!ここまでに「発達障害のある子の不登校では、環境的な要因の比重が大きい」「主な要因は学校の側にあることが多い」と書いてきました。そして、「環境を調整できなければ、不登校を選ぶしかない」という話もしました。それだけでは悲観的な話に思えるかもしれませんが、これは裏を返すと「環境を調整すれば、不登校は予防できる」という話でもあります。例えば、音やにおいなどの刺激に対して過敏に反応しやすい「感覚過敏」が不登校の要因となっている場合があります。感覚過敏の場合、ざわざわした雑音が苦手な子がいます。図工室のようなところで、さまざまな機械から音が出ていると、それを苦痛に感じる子もいるのです。ほかにも、教室の空調装置やパソコンから出る音が苦手な子や、音程がずれた合唱を聞くのが苦手な子もいます。においへの過敏性では、理科室の独特のにおいが苦手で、実験がある日は学校に行けないという例があります。それから、給食の一部のメニューのにおいを苦痛に感じるという子もいます。Upload By 本田秀夫感覚の異常は生まれ持った特性であり、本人の心がけ次第で変えたりおさえたりできるものではありません。また、何度も体験すれば慣れるというものでもありません。黒板に爪を立ててひっかく音が苦手だという場合に、その音を繰り返し聞いても、慣れて好きになることはないでしょう。それと同じです。子どもに感覚の異常があって、どうしても耐えられない場所や活動がある場合には、その場所や活動への参加を絶対に強要しないようにしてください。図工室の音が強い苦痛となる場合には、図工室での授業には参加せず、別室で同様の活動をしたほうがいいでしょう。理科室での実験も同様です。重要なのは、子どもが学習できることです。図工室や理科室を利用しなくても、一定の学習をすることはできるはずです。給食についても、どうしても苦痛なことがあれば、別室で食べられるものだけ食べる、お弁当を用意するといった対応を取ることが考えられます。感覚の異常に対応するためには、別室対応やお弁当の用意のように、周囲の大人が手間をかけなければならない場合があります。しかしそれはメガネを用意することや、アレルギーに対応することと同じで、その子の生活や学習を保障するために必要なことです。感覚の異常は過小評価されがちです。感覚機能の個人差を比べるのは難しいのです。多くの人は、図工室の機械の音が最初は気になっても、そのうちに慣れたりします。そのため、誰かが感覚過敏をうったえて助けを求めてきても、「すぐに慣れるよ」などと答えたりするのです。ここに感覚面の対応の難しさがあります。私が「理科室のにおいが苦手なら、別室で参加するような形を検討しましょう」と提案すると、大人から「そこまでしなくてはいけないんですか?」と聞かれることがあります。そのくらい、本人と周囲の人の感じ方には差があるのです。対応に迷うときは、子ども本人がどうしたいのかを確認しています。周囲の人は本人の苦痛を過小評価しがちなので、本人の意思を確認して、対応を検討します。本人がやはり「においがつらい」と言う場合には、別室で参加する形を検討します。最近ではタブレットのビデオ通話機能などを使って、実験の様子をリアルタイムで、映像で見ることもできます。一方で、理科室のにおいは苦手だけど実験を自分で行いたい、または間近で見たいというふうに本人が希望することもあります。その場合には例えば、マスクをつけてにおいを防ぐような対応を検討していきます。ほかにも、図工室の音が苦手な子が作業自体は好きで、できれば授業に参加したいと希望することもあります。その場合には、イヤーマフをつけることなどを提案します。ここでは一例として、「感覚過敏」のお子さんへの「環境調整」を紹介しました。ほかにも、「授業や集団活動になじめない」「授業についていくのが難しい」「予定の変更が苦手」といった悩みについてもよく耳にします。これらの悩みを含めて、発達障害のあるお子さんの不登校は、対応次第で予防できるものだと私は考えています。そしてその対応というのは、けっして難しいことではありません。環境を調整することです。学校やクラス、先生を選ぶことはできなくても、環境を調整して、子どもたちが苦労しにくい学校にしていくことはできます。環境調整は不登校を防ぐための最善の方法子どもが「学校に行きたくない」と言っているときには、その子が学校を楽しいと思えない要因がどこかにあるはずです。親と先生は子どもの話を聞きながら、さまざまな要因を考えていきましょう。そして、その子が「こういう学校だったら行きたい」と思えるような環境を整えていきましょう。子どもと大人でよく相談をして、環境調整に取り組んでいくことが、発達障害のある子の不登校を防ぐための最善の方法です。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2025年06月26日中度知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けた3歳の娘。夫は娘の障害を理解してくれず……小学6年生のりんさんは、3歳の時に中度知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けました。診断を受けた際、医師から「療育」を勧められたTさんは支援に繋がろうとするのですが、夫は理解してくれず……。今回は2話目をお送りします。家族で話し合うなんて、うちには無理Upload By ユーザー体験談Upload By ユーザー体験談積み重なる「できるようになったこと」Upload By ユーザー体験談Upload By ユーザー体験談「特別扱いなんて必要ない」頑なな夫。そして自閉症・情緒知的障害特別支援学級へ母の頑張りで、無事支援に繋がることができたりんさん。療育を始めたばかりの頃は泣いてばかりでしたが、だんだんと児童発達支援にも慣れ、少しずつできることが増えていきます。しかし、父は依然としてりんさんの障害を分かってくれず、話し合いになりません……。そんな中、就学前に受けた知能検査で中度から軽度知的障害(知的発達症)となったりんさんは、自閉症・情緒障害特別支援学級へ入学することになりました。次回第3話「娘の障害を受容せず中学受験を提案!?夫の行動に驚くも娘は乗り気で…【マンガ発達障害の子どもと私たち/りん編3話】」は7月3日(木)に公開予定です。お楽しみに。イラスト/志士ノまる(監修:井上先生より)ワンオペ育児の中で、お子さんの最もよい環境を探し、療育もがんばって通われたんですね。りんさんの場合は、そのような努力もあり、知的障害(知的発達症)の状態は中度から軽度へ改善したのではないでしょうか。発達が見られたことは喜ばしいことですが、親の期待もより高まります。就学先の選択もその期待値を盛り込む非常に悩ましいものであったのだろうと思います。さまざまなことをおひとりで乗り越えられたのに、パートナーにそれを否定されると自分の子育てすべてを否定されたように感じてしまうかもしれません。しかし、漫画には書かれていませんが、この時期にはさまざまな支援者が相談に乗ってくれたのではないでしょうか。できるだけ多くの味方を作っていくことで少しでも気持ちを楽にすることができるかもしれません。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2025年06月26日盛り上がり過ぎ!?LITALICO発達ナビは『発達が気になる子どもを持つ保護者のためのポータルサイト』と銘打ち、ユーザー参加型のWebサイトとし2016年1月にオープンしました。Upload By 発達ナビ10周年企画Webサイト内には『コラム』『Q&A』『コミュニティ』などのサービスがあり、中でも『コミュニティ』はサービス開始後、非常に盛り上がりをみせた機能でした。コミュニティルームは発達ナビ会員(以下、ユーザー)であれば誰でも開設することができます。趣味について語り合ったり、同じ年頃の子どもを持つ親同士が悩みを打ち明けたり、1人語りや自身で撮影した写真を投稿したりなど、内容は多岐に渡りました。24時間いつでも書き込めるので、発達ナビ開設当時、中にはオールナイトで交流していたコニュニティもありました。社会ではマイノリティ(少数派)である『障害のある子どもを持つ保護者』は、このWebサイトではマジョリティ(多数派)です。『コニュニティ』は、それまで周囲になかなか理解してもらえない苦労があり、肩身の狭い思いをしてきたユーザーの憩いの場になったのだと思います。“ユーザーが楽しんで元気になる”という意味では、大成功の機能でしたが、ちょっとハマり過ぎてしまった人もいたかもしれません(笑)。私もその波に乗りました(笑)さすがに徹夜はしませんでしたが、私も『コニュニティ』を楽しんだクチです。発達ナビ開設当時は、ライター同士の交流もあり、お互いのさまざまなことを共感しあったり、時には愚痴を言い合ったりもしました。Upload By 発達ナビ10周年企画Q&Aでも「このグッズがうちの子には合った」とか「こんな時、うちではこんなふうにしている」といった目からウロコの体験談に、私もしばしば助けられました。ダイアリー機能の登場その後、新たな機能として『ダイアリー』がリリースされました。これは私のイチオシ機能です。なぜなら子どもの成長記録は、サポートブック作成時や転院時、障害年金申請時に必要になるからです。時が経つと記憶は曖昧になってしまうものです。特に服薬の記録は大切なのでぜひ記録に残しておいてほしいと思います。この機能ができる前、私は子育ての記録をノートに手書きしていました。コラムを書く際にはそのノートを読み返すのですが、記録と日記と投薬メモが混じっているので読むのに時間がかかります。その点、このLITALICO発達ナビのダイアリー機能はカテゴリーを分けて記録ができるのでとても便利です。「公開」「限定公開」「非公開」の選択も可能なので、私は心の中のモヤモヤを「非公開」にして書いたりもしています。ユーザーさんの中には、ダイアリーのコメント機能をほかのユーザーさんとのやり取りに利用したり、ブログのように自身の体験談や考えなどを発信している方もいらっしゃいます。皆さん自分に合った使い方をされているようです。新旧アイテムの良いとこどりを!10年の間にLITALICO発達ナビだけでなく、発達障害児の子育てや、障害児・者を取り巻く環境や考え方はずいぶんと変わってきたと実感しています。インターネット(SNS)が広く普及したことで、さまざまな情報が手に入りやすくなりましたし、便利なアイテムも増えました。時計が読めなくても視覚で残り時間が分かり、視覚支援療育にも有効な『タイムタイマー』は、今ではスマートフォンのアプリなどでも代用が可能です。Upload By 発達ナビ10周年企画スマートフォンのリマインダー機能も皆さんもよく使われていると思います。電車の中や病院の待ち合待ち合い室などで、じっとしていられないお子さん対するスマートフォンやタブレットでの動画視聴も私は良いと思っています。お互いのストレスを減らすためのアイテムは多い分に越したことはないですものね。発達障害のあるお子さんは、ひとり遊びが多かったり、周りが働きかけても思ったように反応してくれないことが多いと聞きます。私の娘も小さい頃は抱っこや手繋ぎ、集団リトミックなどが苦手で幼児教室や育児サークルに参加できませんでした。でも、療育センターの集団リトミックプログラムは水を得た魚のように楽しんでいました。そこでは昔ながらの手遊びや歌、紙しばいや絵本が多く用いられていました。昔ながらの遊びには子どもの心や体にうったえる何かがあるのかもしれません。大切なのはマッチング、フィーリング、タイミングだと思うので、一度ダメだったからとあきらめず『昔ながらのもの』『最新のもの』『それらをミックスしたもの』に何度もチャレンジするのが大切なのかなと思います。私が「LITALICO発達ナビ」に願うことLITALICOジュニア(旧Leaf)会員限定サイトだった『ふぁみえーる』が、誰でも参加できる『LITALICO発達ナビ』になったことで、訪問者が増え注目度も上がりました。保護者だけでなく当事者や支援者など、さまざまな立場の方が参加するようになり、新たに規約なども作られました。私は当時の編集長さんに「LITALICO発達ナビは保護者のためのWebサイトなのか」質問したことがありました。その編集長さんは「障害のあるお子さんもいつかは大人の“当事者”になります。保護者の方が“当事者”の場合もあります。メインのユーザーは保護者さんですが、当事者の方々からの意見や経験・情報も長い目で見れば子育ての役に立つと思います。なのでユーザーの限定はしていません」と仰っていました。編集部注:その後、成人当事者を対象とする記事なども掲載するWebサイト「LITALICO仕事ナビ」が2018年に生まれました。仕事ナビ『ふぁみえーる』時代からのユーザーの方々の中にはルールの変更や、雰囲気の変化に戸惑いを感じ、Webサイトを卒業された方もいらっしゃいましたが、価値観の多様化や時勢にあわせWebサイトがバージョンアップしていくことは良いことだと思っています。『保護者やユーザーを元気にするWebサイトを目指す』という基本はそのままに、ユーザーの意見を取り入れながら“みんなでつくるポータルサイト”として、これからも変化・成長し続けてほしいと願っています。小学生のお子さんを持つ保護者の方へお子さんが未就学の頃とは違い、小学生になると、定型発達のお子さんとの違いがよりはっきりと見えてくることがあります。その中で、障害のあるお子さんやその保護者の方にとっては、思い悩む時期になることもあるかもしれません。発達ナビを訪れる保護者の方の中には、お子さんに合った関わり方や配慮を日々工夫されている方も多いのではないかと思います。私自身も、「ちょっとした工夫や配慮で、思っていた以上にうまくいくことがあるんだな」と気づかされる場面がありました。実際、ほんの少しの配慮や工夫で、驚くほどスムーズに問題が解決することもありますし、「スモールステップなら、もう少しできるかも!」と感じる場面もあると思います。でもそのとき、お子さんが実はギリギリの状態でがんばっている可能性もあるかもしれません。そんなことを、少しだけ心の片隅に置いていただけたら……と思います。親としては、つい「もう少しできるかも」と期待してしまうかもしれませんが、子どもが心身ともに疲れきってしまうと、その後の回復には思っている以上に時間がかかってしまいます。(私にも経験があります)。『ちょっとした』工夫で、わが子が『余裕をもって』できるような状態が理想的なのかもしれません。親だけでなく子ども自身も「まわりと同じように」と願い悩むケースもあるかと思いますが、学生時代は『皆と同じようにできること』を目指すのではなく、『本人の笑顔が増えること』を目標にして気持ちに折り合いをつけていけたら……と、私自身の子育てを振り返って感じています。お子さんの人生は、義務教育を終えたその先のほうが、ずっと長く続いていきます。お子さんを守りたい一心で、保護者の方が一人で頑張りすぎてしまうこともあるかもしれません。そんなときこそ、信頼できるプロの力を借りながら、“味方”を少しずつ増やしていけたらいいなと思っています。中高生のお子さんをお持ちの保護者さんへのメッセージはまた次の機会に……。執筆/荒木まち子(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2025年06月25日姉弟ともに発達障害の診断。わが家の放デイ選び3つ条件わが家の子どもたちは2人とも発達障害の診断が出ています。診断はともに小学校1年生の6月頃でした。現在大学1年生の娘はADHD(注意欠如多動症)、ASD(自閉スペクトラム症)のグレーゾーンで、注意欠陥の特性が高め。現在高校2年生の息子は、ADHD(注意欠如多動症)、ASD(自閉スペクトラム症)で多動、衝動性が強く、中学3年生の時に精神障害者保健福祉手帳3級を取得しました。2人とも同じ診断名がありますが、特性は全く違います。子どもたちに診断が出てから、市の障害者支援センターに相談を続けていました。担当の方から「お母さんも2人の育児で疲れてしまうでしょうから、放デイ(放課後等デイサービス)を利用してみませんか?」と提案されました。当時私は、途方にくれていました。夫は協力的でしたが、私自身も持病があり家事もままならない状態。また、2人が一緒にいるとどちらかが癇癪やパニックを起こし、毎日が戦場のようでした。(少しでも子どもたちと離れる時間が持てるなら……)と、私の希望に合う受け入れ先を相談支援専門員さんに探してもらい、放デイの利用を決めました。Upload By ユーザー体験談私が放デイ選びの条件にしたのは以下の3つです・送迎あり(マスト)・プログラムの内容よりも、生活リズムを整えてくれるかを優先・生活リズムのため、曜日固定で利用できるところわが家は2人同時に預けられる放デイと、それ以外にも子どもたちそれぞれの特性に合った放デイを利用し、週3回利用していました。また「合わない」と感じた放デイをいくつか辞めています。今回はわが家の放デイ利用についてお話します。静かな環境が大事。支援だけでなく「夢」もくれた娘の放デイ娘は人見知りで穏やかでおっとりした性格。周囲に優しいものの、自己肯定感が低く、自分を卑下してしまいます。そのため、静かな環境でやりたいことができる放デイを選びました。娘は簡単なお菓子作りを楽しく感じていたようで、お土産として持ち帰ってくれることもありました。夏休みなどの長期休暇には、お出かけ体験、プール遊び、近所の公園散歩など多彩なイベントがあり、楽しそうにしている姿はとても嬉しかったです。また、放デイで重度の障害のあるお子さんと接する中で、「優しく接する気持ち」も育ててもらいました。娘は「特別支援学級の先生になりたい」との発言もあり。大学では、教員免許取得を目指しています。放デイには娘の「夢」もいただきました。多動の弟には活動型放デイ。習い事で悲しい思いもしたけれど……息子は利発で勉強好き、手先が器用ですがマルチタスクが苦手です。癇癪が起こると大パニックになり、多動であちこち走り回るため、居室が広く、壁登りやトランポリンなど室内運動ができる活動型の放デイを選びました。息子は活動型の放デイが好きで、夏場は水遊びができる施設が特にお気に入りでした。宿題を終えた後、その日のメンバーで遊びを決めるトレーニングなどもあり、成長に繋がったと思います。余談になりますが、放デイのない日にやっていた習い事では悲しい思いをしました。サッカーを習っていたのですが、小3のときにコーチから「障害のある児童は集団指導が困難だから辞めて欲しい」と言われたのです。泣く泣く退部しました。そんなつらい状況の中でも、放デイで生活リズムを作っていたので、大きく乱れることはなくホッとした覚えがあります。その後、息子は柔道教室に巡り合い、ここでも体を目一杯、動かす楽しさを学びました。中学は柔道部。今も柔道教室に週1回通っています。Upload By ユーザー体験談何か所か放デイを辞めたことも。見極めの難しさを感じて放デイを利用するようになって、放デイから帰宅すると、夕食→入浴→就寝と流れができ、生活が安定しました。放デイで目いっぱい楽しんでくるので、すんなり寝てくれることも増えました。送迎ありの施設を選んでいたので、私も帰宅した子どもたちを笑顔で迎えることができ、わが家が各段に落ち着いたのは本当に助かりました。一方、新規オープンした放デイに通ったことがあったのですが、職員の入れ替わりが激しく子どもたちが落ち着かなくなってしまったことがあり、退所したことがあります。また、早いもの勝ちでスケジュールを押さえるシステムの放デイについては、生活リズムをつけるため固定の曜日で利用を希望しているわが家とは合わないと感じ、利用を辞めました。また、指導員の力不足を感じる放デイもいくつか見てきました。新規参入の放デイが増えている中、どこがいい施設なのかという見極めは非常に難しいと感じました。通ってみて「合わない」と思ったら、無理せずに別の場所を探すことも大切だと思いました。中学生からの放デイは?高校生が通える施設も増やしてほしいわが家は、子どもたちと話し合い、小学校卒業と同時に放デイも卒業しました。娘は「中学からは勉強に集中したい」と希望し卒業、息子はそんな姉を見ていたので、同じように辞めた形です。実際、中学生になると勉強や部活動が忙しく、中学での利用は難しかったと思います。娘は、高校生になってから、一時期高校生向けの放デイへ通っていたのですが、こちらも時間がなくて通えなくなり、半年で辞めました。私の住む地域では、高校生への放デイの受け入れがほぼなく探すのが大変でした。思春期以降の子どもが利用できるデイサービスが増えることを期待しています。わが家はどうなってしまうのだろう……という不安が和らいだ。一方、18歳以上の支援の少なさが心配子どもたちが幼い頃は、(わが家はどうなってしまうのだろう)と不安でいっぱいでした。いろいろな方の支援があり、今の子どもたちの成長に繋がっています。現在大学生の娘。高校生まではよくパニックを起こしていましたが、今は厳しい校則も無く、笑顔で夢に向かって頑張っています。課題に計画的に取り組み、留学費用のために、アルバイトも始め、教員になるため頑張っています。息子は、幼少期からの夢を目指し、楽しく学校生活を送っています。難易度の高い資格試験に挑戦するという大きな目標に向かう姿は頼もしいです。息子に関しては、精神障害者保健福祉手帳を持っていることもあり、将来は障害者雇用も検討しています。そんな成長した2人ですが、18歳を過ぎると支援の手が少なくなるのが不安のひとつです。今の大学は、障害学生支援制度が充実しており、入学事前面談を利用し大学内では支援を受けられていますが、この先、就労後はどうなるのか……。娘、息子の気持ちを大切にしつつ、前に進んでいけたらと思っています。イラスト/鳥野とり子※エピソード参考者のお名前はご希望により非公開とさせていただきます。(監修:室伏先生より)お子さんお二人それぞれの 異なる特性に合わせて放課後等デイサービスを柔軟に選び、工夫して利用されてきたこと、とても素晴らしいと感じました。診断名は同じでも、実際の支援ニーズは全く違うこと、その違いをきちんと受け止めて 「一律ではない支援」 を求めていかれた姿勢はとても大切なことだと思います。今回共有いただいた通り、一度利用を始めた放デイであっても、「合わない」と感じた場合は、無理に継続する必要はありません。お子さんの特性やご家庭の状況に合う施設はさまざまですので、ぜひ複数の選択肢を比較しながら検討してみてください。そうした柔軟な姿勢が、結果的にお子さんたちにより良い環境を提供することにつながっていると感じました。放デイでのお子さんの学びももちろん重要なことですが、放デイがあったことで「帰宅後の生活リズムが整った」「親が時間的・精神的余裕を持って子どもを迎えられるようになった」という効果は、家庭内の親子関係の質にも良い影響を与えることが多く、これは 本人の情緒の安定にとってもとても大切な要素です。放デイの利用で、親子ともに安心できる時間が増えることの大切さを改めて感じるとともに、18歳以降も切れ目のない支援がさらに広がっていくことを願わずにはいられません。お子さんたちのこれからの歩みを心から応援しています。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2025年06月25日DCD(発達性協調運動症)の息子は傘がさせない?幼稚園時代は……ASD(自閉スペクトラム症)とDCD(発達性協調運動症)の息子、スバルはまれに見る不器用BOYです。日常生活に数々の困り事があるのですが、小学校に入学してから1番最初にぶつかった壁が「雨の日に傘がさせない」ことでした。幼稚園の送迎時の雨具はレインコート一択でした。なぜならば傘がさせなかったからです。DCD(発達性協調運動症)のスバルは手先を使うことや体全体を使うことが難しく、体の動きをスムーズに連動させることも苦手でした。傘をうまく開くことも難しく、傘のボタンを押すタイミングと傘を広げる動きが連動せず、手元もふらつき地面や体をガリガリと擦りながらやっと開けるレベル。傘をさして歩いていても、歩くたびに傘がぐらつき幼稚園に到着する頃には満遍なくびしょ濡れでした。なのでレインコートを着せて、傘の練習のために年齢よりも小さい子向けの小さくて軽い傘を持たせていました。傘を手だけで畳むことも難しく、傘の持ち手をお腹に当て、両手を使ってどうにか閉じていました。傘を巻くことももちろん難しいので、もはや巻くことは諦めて紐だけとめていました。小学1年生になると幼稚園時代に雨のたびに傘をさす練習をしていたので、小学校に入学する頃には危なげなく傘がさせるようになるだろうと考えていました。しかし小学校に入学した後も相変わらずグラグラと危なっかしい持ち方をしていました。傘がうまく使えるようになるまではレインコートで登下校させようと思い、ランドセルの上から羽織れるタイプのレインコートを購入したのですが、レインコートにも落とし穴がありました。この時点では私か夫が送り迎えしていたのですが、今後1人での登下校を想定した時「ランドセルの上からの着脱が難しい」「濡れたレインコートの処理が難しい」などの問題点がありました。レインコートを着た上からランドセルを背負う方法も考えましたが、この高級なカバンを豪快に雨にさらす勇気がありませんでした。Upload By 星あかりならばと急ピッチで傘をさす技術の向上を目指すことにしたのですが、こんな軽くて小さい傘でもぐらつくのにこれ以上どうしたら良いのか分かりませんでした。しかしある日、ひょんなことから解決の糸口を見つけることになります。同じクラスの友だちが、スバルの持っている小さい子向けの傘を面白がって「ちょっと持たせて」と言って自分の小学生サイズの傘と交換しました。しばらく歩いていると、スバルが手に持っている小学生サイズの傘がぐらついていないことに気がつきました。なんとスバルには重たすぎて手で支えきれず、頭に被るようにしか持てなかったため、頭で固定されてぐらつかなかったのです。Upload By 星あかり完全に盲点でした。もはや勝利を確信しその日のうちに小学生サイズの傘を購入しました。ワンタッチで開けて、被って使っても前が見えるように透明で、骨が丈夫な素敵な傘です。家でウキウキと開け閉めの練習をしていると、スバルが言いました。「重たくて閉じられないよ」と。持ち手をお腹に当てて両手を使って全力で閉じているのに最後のカッチンまであと5ミリ届きません。不器用を極めし、おもしれぇ男。その後、傘問題は……その後は1年生のうちに1人で傘が閉じられるようになりました。できるようになったと言っても、そう簡単には閉じられず、両手を使って時間をかけてやっと閉じられるレベルでした。一生懸命頑張っていると、年上のお兄さんお姉さんが手伝ってくれたりもしたそうです。小学6年生になった現在は大人の傘だって簡単に開け閉めできます。折り畳み傘だって開け閉めできます。人よりもかなり不器用ですがゆっくりゆっくり確実にできることを増やしています。でもまだ傘を巻くのは難しいので紐だけとめています。これもそのうちできるようになるのだろうと期待しています。執筆/星あかり(監修:室伏先生より)幼稚園の頃から傘をさすことが苦手だったスバルくん、ご自身もうまくいかないことに苛立ちを感じたりすることもあったかもしれませんが、丁寧に積み重ねてこられたご本人、そしてご家族の根気や粘り強さ、本当にすばらしいと思います。小学生サイズの傘のほうが安定しやすかったというのは、大きな発見でしたね。DCD(発達性協調運動症)のお子さんは重心が安定しにくいため、「軽すぎる道具」は逆に扱いづらいこともあり、さまざまな道具を実際に体験してみることは大切なことかもしれませんね。年上のお兄さんお姉さんが自然にサポートしてくれた経験もとても良い社会的学びになりましたね。こうした経験は 「助けを受けてもよい」「困ったときに声をかける」 スキル形成にもつながります。自身でできなくても、必要な時に適切に援助を求められる力は、自立を支える重要なスキルです。これからもスバルくんらしいペースで、一つひとつできることを増やしていけることを、心から応援しています。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2025年06月23日2025年4月から鉄道割引制度はどのように変更された?変更点や条件を解説以前は鉄道運賃の割引は主に身体障害と知的障害(知的発達症)のある方が対象でしたが、2025年4月より精神障害のある方にも拡充されました。割引を受けるには精神障害者保健福祉手帳を取得する必要があるため、順番に紹介していきます。精神障害者保健福祉手帳とは、発達障害を含む精神障害のある方が対象の障害者手帳のことで、障害の程度により1級から3級までの区分に分かれています。障害者手帳には精神障害者保健福祉手帳以外にも、身体障害のある方が対象の身体障害者手帳と知的障害(知的発達症)のある方が対象の療育手帳があります。療育手帳は自治体によって名称が異なる場合があり、愛の手帳や愛護手帳という名称で呼ばれることもあります。発達障害のある方は精神障害者保健福祉手帳が対象となるほか、知的障害(知的発達症)を伴う場合には療育手帳も対象となります。障害者手帳は一定の障害があることを証明する公的な手帳で、取得することで税金の控除や施設利用料の割引などを受けることができます。手帳の種類や障害の程度の違いにより受けることができる割引などは異なることがあります。参考:障害者手帳|厚生労働省2025年4月からJR各社をはじめとした各鉄道会社で、精神障害者保健福祉手帳を持つ方への鉄道運賃の割引制度が拡充されました。それまでも鉄道会社独自に割引を行っている場合がありましたが、今回はJR各社や主な私鉄などでほぼ同じ内容で実施されることとなりました。また、この割引は新幹線を利用する際にも適用されます。新幹線の利用には普通乗車券と特急券が必要となり、そのうち普通乗車券が割引になるためです。ただ、障害の程度や片道の距離などにより違いがありますので、詳しいことは次で説明します。割引が実施されているのは以下の各鉄道会社です。JR各社・JR北海道・JR東日本・JR東海・JR西日本・JR四国・JR九州主な私鉄(2025年以前から実施している場合あり)・東武鉄道・西武鉄道・京王電鉄・小田急電鉄・東急電鉄・相模鉄道・京浜急行電鉄・京成電鉄・名古屋鉄道・近畿日本鉄道・阪急電鉄・阪神電気鉄道・南海電気鉄道・京阪電気鉄道・西日本鉄道主な地下鉄(2025年以前から実施している場合あり)・東京メトロ・都営地下鉄・横浜市営地下鉄・名古屋市営地下鉄・大阪メトロ・福岡市地下鉄・札幌市営地下鉄・仙台市地下鉄・京都市営地下鉄精神障害者保健福祉手帳での鉄道運賃の割引は条件を満たせば、保護者にも適用されます。ここでは、割引対象者の基準について具体的に紹介していきます。割引は一律ではなく、障害の程度や本人の年齢などの基準によって変わってきます。障害の程度により「第1種」と「第2種」という区分があり、第1種の場合は本人の年齢関係なく、第2種の場合は本人が12歳未満の場合に介護者にも割引が適用されます。割引適用の条件は以下となります。第1種・単独乗車:片道100キロを超える場合に5割の割引・介護者同伴:本人と介護者1名に対し5割の割引(小児定期乗車券を除く普通乗車券、回数乗車券、普通急行券、定期乗車券)第2種・単独乗車:片道100キロを超える場合に5割の割引・介護者同伴:12歳未満の本人と介護者1名に対し5割の割引(小児定期乗車券を除く定期乗車券)第1種と第2種の基準は以下のようになっています。第1種:精神障害者保健福祉手帳1級第2種:精神障害者保健福祉手帳2級または3級割引を受けるには、第1種第2種の区分が精神障害者保健福祉手帳の「旅客鉄道株式会社旅客運賃減額欄」に記載されている必要があります。2025年4月以降に発行された手帳にはあらかじめ記載がありますが、それ以前の手帳で記載がない場合は、自治体の障害福祉窓口でシールの貼り付けなどの対応をしてもらう必要があります。なお、鉄道会社によっては顔写真がない手帳では割引を受けることができない場合があります。その場合は再発行手続きが必要となりますので、障害福祉窓口にご相談ください。Upload By 発達障害のキホン参考:精神障害者に対する旅客鉄道株式会社等の旅客運賃の割引について|東京都福祉局参考:JR東日本|東日本旅客鉄道株式会社精神障害者旅客運賃割引規則割引が適用されるJR・私鉄・地下鉄など鉄道会社一覧Upload By 発達障害のキホンSuica、PASMO、ICOCAなどのICカードがさらに便利に!障害のある方を対象としたICカード乗車券である「障がい者用Suica」「障がい者用PASMO」も2025年4月から精神障害者保健福祉手帳が対象に加わりました。対象となるのは区分が第1種の方とその介護者です。第2種の方は対象外で、小児と大人の区別もありません。本人用と介護者用がセットになっており、「同時かつ同一行程で乗車される場合」に限り使用可能です。ただ、片道100キロを超える場合は、本人用のみで使用できる場合があります。購入の際は障害者手帳を呈示し、本人用と介護者用を同時に購入する必要があります。なお、ICカードには1年間という有効期限があり、更新するには再度障害者手帳の呈示が必要です。JR西日本で使われている「ICOKA」では、現在のところ精神障害者保健福祉手帳を持っている方は対象外となっています。ただ、身体障害者手帳または療育手帳を持っている方を対象とした「ICOCAのスルッとKANSAI特別割引用ICカード」があります。こちらも第1種に区分される方が対象で、基本的に本人と介護者が一緒に利用する必要があります。ICカードの対応は各鉄道会社で違いがあります。今後対象が拡大される可能性もありますので、公式サイトなどで情報を確認しておくといいでしょう。参考:関東 IC カード相互利用協議会|精神障がい者のお客さまにも障がい者用 IC カードをご利用いただけるようになります参考:JRおでかけネット|特別割引用ICカードのご案内その他精神障害者保健福祉手帳で受けられる割引一覧鉄道運賃以外にも精神障害者保健福祉手帳で受けられる割引はたくさんあります。主なものを紹介します。鉄道以外の交通機関の割引は以下となります。飛行機:本人と介護者に割引きあり:本人と介護者に割引きありスカイマーク:本人と介護者に割引きありタクシー各社:基本的に1割引路線バス東急バス:普通運賃は5割引、定期券は3割引(介護人の方は適用条件あり)名鉄バス:普通運賃・回数運賃につき1級・2級は本人と介護者が5割引、3級は本人のみ5割引神奈川中央交通:本人と介護者が5割引高速バス EXPRESS:特定のプランで5割引(必要性が認められると介護者も5割引)エクスプレス:本人と介護者が5割引そのほかの割引・駐車場の利用料・文化施設(水族館、動物園、美術館、博物館など)の利用料・レジャー施設、スポーツ施設、公園の利用料・テーマパーク等の入園料・携帯電話、通信サービスの料金・所得税や相続税など税金の控除・金融機関での貯蓄の利子への非課税(マル優)・NHK放送受信料や電話番号案内(104番)の減免(※電話番号案内は2026年3月31日をもってサービス終了となります)ここで紹介したのは精神障害者保健福祉手帳に関する割引きなどです。障害者手帳の種類や等級により内容が異なる場合があります。また、自治体独自に割引などのサービスを行っている場合がありますので、お住いの自治体の公式サイトや障害福祉窓口でご確認ください。参考:障害者手帳の等級・障害支援区分障害等級別サービス一覧表・各種早見表|江戸川区精神障害者保健福祉手帳で受けることができる制度を知って活用していこう2025年4月より精神障害者保健福祉手帳での鉄道運賃の割引が拡充されました。長い間身体障害者手帳と療育手帳のみが対象だったので、大きな転換点といえるでしょう。また、鉄道運賃以外にも割引や減免などの制度があります。医療や療育などにかかる費用の助けとなるため、どのような制度があるか知って活用していくといいでしょう。また、今後も精神障害者保健福祉手帳を持っている方への割引などは拡大していくことが考えられます。お住いの自治体や利用するサービスの公式サイトなどで情報を集めておくといいでしょう。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2025年06月21日子どもが「学校に行きたくない」、大人はどうすればいい?登校しぶりがあるとき、休ませて様子を見たほうがいいのか。それとも、励まして登校させたほうがいいのか。保護者の方からそう聞かれることがあります。子どもが「学校に行きたくない」と言い出すのは、親御さんからすると「問題の始まり」に見えますが、お子さんからすると“学校に行く自分”を捨てた「最終段階」と言えます。大人が思っている以上に、子どもは問題を抱え込んだり一生懸命にふるまったりしているのです。不登校対応の基本3点「休養」「相談」「親子関係」「学校に行きたくない」は子どもからのSOSです。その段階では、まずは休ませたほうがいいでしょう。不登校の対応の基本は3つ、「まずは休養」「相談しやすい環境づくり」、そして「親子関係を良好に保つ」ことです。「学校に行きたくない」というのは、その子のなかで問題が「最終段階」になったときです。子どもはもう疲れ果てているので、休養をとる必要があります。子どもに休養をとらせ、相談しやすい雰囲気をつくり、親子関係を良好に保つ。そのうえで、もう一つポイントがあります。それは、親が「登校させたい」という煩悩を消せるかどうかです。煩悩が消えれば、登校に結びつくかどうかを気にしすぎないで、淡々と対応できます。これが本当に大事なのです。そして、「煩悩を消してください」と言うのは簡単ですが、実践するのは親御さんにとって簡単なことではないと思います。親として「子どもを学校に行かせない」という決断をしたとしても、周囲の無理解な人(場合によっては学校の先生や子どもを支援する立場の人でさえも)がこんなふうに言ってくるかもしれません。「では、子どもが将来、『仕事が嫌だから行かない』と言ったら行かせないんですか?」「甘やかしていると、将来本人が困るのではないですか?」「子どもを学校に行かせるのは、親の義務ではないのですか?」このような言葉に耳を傾ける必要は、一切ありません。「学校に行きたくない」と打ち明けてくれた子どもの意思を尊重し、子どもに休養をとらせたいと判断するのは間違いではありません。ここは親が「登校できなくてもかまわない」というくらいに腹をくくって、淡々と平和に過ごしていると、子どももリラックスするようになります。そうすると、子どもも「休みたい」とか「明日は行ってみようかな」と言いやすくなるのです。「登校できていれば安心」というわけでもない「登校させたい」という気持ちを捨てるのは簡単ではないかもしれませんが、ここで参考となる情報を一つお伝えしましょう。発達障害のある子の場合、登校できていれば将来は安泰なのかというと、そうとは限りません。発達障害のある子の相談を受けていると、小学生から高校生くらいまでは問題なく通学していて、勉強も得意だったけれど、大学生くらいの時期から生活がうまくいかなくなって、その後はひきこもりの状態になっているという話を聞くことがあります。対人関係が苦手だったり、基本的な生活習慣が身についていなかったりして、大学や就職先で苦労する人がいるのです。本人の話を聞いてみると、「子どもの頃から勉強を頑張っていれば親は何も言わなかった」「同級生と一緒に活動することは少なかった」「学校生活を特に楽しいと思っていなかった」といったエピソードが出てきたりします。学校生活を楽しめていなかった。勉強以外のことにはあまり参加できていなかった。でも親は子どもが毎日登校して、いい成績を取れていれば、問題ないと思っていた。家庭でも勉強が優先され、生活スキルを習得する機会は少なかった──。こういった育ち方をした子は、登校できていても、社会に出ていくための土台づくりができていなくて、あとで挫折することがあります。登校日数や学力が、将来の社会参加を保証するわけではないのです。社会参加に必要なのは「自己決定力」と「相談力」私は、発達障害のある子が将来、その子なりに社会参加するために必要なのは、登校日数や学力ではなく、生活スキルや対人関係などをその子なりに学んでいくこと、そして「自己決定力」と「相談力」を身につけることだと考えています。自己決定力というのは、できることを自分で判断して実践する力です。相談力は、困ったときに誰かに援助を求める力です。この2つの力を持っていれば、子どもは本当の意味で自立することができます。自分で次の行動を決め、動き出せます。そして、困ったときには、誰かに相談して援助を求めることができます。自己決定力と相談力を身につけるためには、子どもが日頃から、自分で選ぶこと・決めることを経験する必要があります。また、悩んだり困ったりしたときに、まわりの人に相談する経験も必要です。2つの力は毎日の小さな行動の積み重ねによって育つのです。子どもは中3の夏休み――義務教育の最終学年で子どもが進路選択という節目を迎えるときに、2つの力を試されることになります。中3の夏休みは、子どもが自分の将来について、豊富な選択肢を得る機会です。小学校や中学校の段階では進学先の選択肢は多くありませんが、中学卒業後の進路は幅広く存在します。そのなかから、自分の行きたい道を自分で選びます。そこで自己決定力が必要になります。中3の夏頃に親子関係が良好で、子どもが心身ともに健康で、親や先生、まわりの大人に相談しやすい雰囲気ができていれば、本人が「将来どうしよう」「このままじゃまずいんじゃないか」といった気持ちを大人に伝えることができます。これがとても重要なのです。子どもが一人で進路を決めるのは難しく、大人の助けが必要です。世の中にはどんな学校があるのか。自分が選択できるのはどの学校なのか。これらの情報を得るには、大人の手助け、親や先生への相談が欠かせません。不登校の子が中3の夏休みに自分の進路をよく考え、納得のいく決断をくだすためには、それまでに2つの力をある程度、養っておく必要があるわけです。ただ、そこで一つ大きな問題があります。不登校の子の家庭は、「自己決定力」と「相談力」が育ちにくい環境になりがちなのです。なぜかというと、子どもが、親から登校を期待されていることを察して、本心を言えなくなる場合が多いからです。登校するかどうかを自分で決めることができない。悩んでいても親に相談することもできない。それでは2つの力は育ちません。どうしたら「自己決定力」と「相談力」が身につくのか子どもにはその日ごとに「学校に行くかどうか」を聞いて、本人が「行く」と言ったら「行ってらっしゃい」と答える。「行かない」と言ったら「じゃあ休もうか」と応じる。そういった対応を淡々と続けます。学校に行ってもいいし、行かなくてもいい。本人の意思を尊重する。そういう対応をすれば、自己決定の機会を保障できます。また、子どもが何をつらいと感じているのかを聞いたり、授業の予定を伝えたりして、学校のことを話し合う時間をつくれば、相談する機会も保障できます。そのうちに本人が「この授業にだけ行くのもアリかな?」と聞いてきたりもします。子どもが「相談すれば、悩みが解消することもあるんだな」と感じるようになっていくこともあります。日々の生活のなかで親が子どもの話を聞き、その子の判断を尊重する時間をつくるようにすれば、学校を休んでいても、2つの力は育っていくのです。「自己決定」「相談」というキーワードを見て、子どもに重大な決断をさせるような場面をイメージする人もいるかもしれません。しかし先ほどもお伝えした通り、この2つの力は毎日の小さな行動の積み重ねによって育っていきます。ですから、親子で「学校に行くかどうか」という話をするときに、それを一大事のように扱うのではなく、もっと軽い感じで、毎日淡々と相談できるようにしたほうがいいのです。例えるなら、「今日のおかず」の話をするような感覚です。「晩ごはんのおかず、どうする?」「これが食べたい」という会話をするときには、親も子どもも、それを重大な決断だと思っていません。学校に行く、行かないを気軽に話せる関係に親は子どもに「どうしたいのか」を聞く。子どもはその日の気分を答える。それと同じような感覚で「今日は学校行く?」「行かな~い」という会話ができるようになると、子どもの自己決定力や相談力が育ちやすくなります。私のところに相談に来られる方のなかには、そういう軽い感じで学校の話をする親子が多いです。「最近どうですか」と聞くと、親御さんもお子さんも、軽い感じで「行っていません」とか「ときどき行っています」と答えます。そのくらい緊張感がほぐれてくると、お子さんは自分が興味を持っていること、今後やりたいことなどを話すようになったりもします。結果として、自己決定と相談ができるようになっていくのです。ただ、発達障害のある子には、口頭での相談を苦手とする子も多いです。例えば、学校に行くかどうかを話すときに、親としては軽く聞いているつもりでも、子どもがうまく答えられなくて、黙ってしまうこともあります。また、子どもが親の顔色を見て、学校に行きたくなくても「行く」と答えることもあります。その場合には、カードに「行く」「休む」「2時間目から行く」「明日行く」などの選択肢を書いて示し、指を差して選べるようにしてもいいでしょう。答えをはっきりと口にするのが苦手な子も、意思表示をしやすくなります。Upload By 本田秀夫不登校の子どもにとって、学校に行くかどうかを考えることや、その話をすること、自分で判断することは、それ自体がしんどいことです。子どもに自己決定や相談を求めるというよりは、子どもが自己決定や相談をしやすい環境をつくることを意識してください。相談した結果、子どもが「明日行く」と決めたのに、翌日になると「やっぱり行きたくない」と言い出すこともあります。そのときは「行きたくない」という最終的な判断を尊重しましょう。そこで「自分で決めたんだから行きなさい」などと言ってしまうと、一度発言したことは撤回できない環境になるので、子どもは気軽に自己決定しづらくなります。不登校の子どもは、自己決定と相談を少しずつ身につけていきます。その子なりに頑張って、少しずつ成長しています。必要以上に厳しくしないで、うまく言えないことや心変わりをすることも受け止めながら、じっくり対応していきましょう。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2025年06月19日障害への対応をめぐってすれ違う夫婦……新章「りん編」がスタート子どもの幸せを願うのは同じなのに、子どもの発達や障害への対応を巡って、夫婦の意見が食い違う……そんなこともあるのではないでしょうか。支援が必要と感じる母と、成長を信じる父——。価値観や期待が異なることで、すれ違いが生まれることも。セミフィクションマンガ「発達障害の子どもと私たち」、今回から始まる「りん編」は、発達ナビユーザーの実際の体験談です。自閉症・情緒特別支援学級在籍している小学6年生の娘。「娘に障害があるとレッテルを貼っているのは君」という夫の言葉に私は——Upload By ユーザー体験談Upload By ユーザー体験談「少しずつ」できることを増やしていく場所へUpload By ユーザー体験談子どもの障害について夫婦ですれ違い、孤独は深まる保育園の先生から勧められたこともあり、りんさんの発達相談を受けた母。中度知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)の傾向を指摘されました。母は支援を受けたいと考えますが、父は「療育って意味あるの?」「大きくなればできるようになるだろ」と理解してくれず……。一人で抱え込む母。夫婦のすれ違いは、この先どうなっていくのでしょうか。次回、第2話「就学を前に夫は「特別扱いは必要ない」と言い出して…。自閉症娘に必要な支援をめぐってすれ違う私たち【マンガ発達障害の子どもと私たち/りん編2話】」は6月26日(木)に公開予定です。お楽しみに。イラスト/志士ノまる(監修:井上先生より)りんさんのお話のように、パートナー間で発達の遅れの認識や診断名や療育への理解に食い違いが見られることは多いように思います。2人だけでそのギャップを埋めようと頑張りすぎたり、諦めてワンオペになってしまうことは、孤立感を深め非常につらい状況になられたのではないでしょうか。ギャップの解消には、時間が必要なことも多いと思います。再受診には夫婦で行くなど、あいだに人を介していくのもひとつの方法かもしれません。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2025年06月19日正反対の性格の兄弟、いつも折り合いが悪くて……わが家には長男・次男・末っ子の長女の3人の子どもがいます。その中でも困っているのが長男と次男の関係。現在小学校6年生の長男は、3歳でASD(自閉スペクトラム症)と診断され、小学校では自閉症・情緒特別支援学級に通っています。おっとりしていて、インドア派。趣味は某ゲームのカード収集で、自分なりのルールをとても大事にします。空気を読むのが苦手で、マイルールを他人にも適用しがちです。一方、次男には診断はありませんが、ADHD(注意欠如多動症)傾向が見られます。不注意の特性が強めで、忘れ物や紛失が多いタイプ。ランドセルを通学路に置きっぱなしにして帰ってきたこともありました。そんな次男は活発で外遊びが大好き、エネルギーに満ちあふれている子です。現在小学校4年生で、長男と同じく自閉症・情緒特別支援学級に在籍しています。そんな2人、親としては仲良くしてほしいのですが、折り合いが悪くいつも困っています……。ASD(自閉スペクトラム症)長男の「指摘ぐせ」が止まらない!家庭内でよく起こるのは、長男による「指摘」や「叱責」です。例えば、次男が食べた後のお皿を片付けないと「片付けて!」と厳しく注意する長男。さらに、現在年少の末っ子の長女が泣いていると「次男が泣かせた!」と即座に責める場面もあります。最近では、次男が下の妹を泣かせ、その様子を見た長男が次男に注意して、2人がケンカになるという流れがよくあります。妹が次男のものをほしがって「貸して」「今使ってる」と言い争いになっているところを、長男が怒る……といった具合です。ただし、次男と妹の関係性は悪くなく、むしろ面倒を見て遊び相手になってあげていることが多いです。長男がその関係性が「見えていない」側面もあると感じています。妹の泣く声がうるさくて「感覚的にダメ」というのもあるかもしれません。Upload By ユーザー体験談力関係が逆転⁉「お兄ちゃんは友だちがいない」と痛いところをついて攻撃するADHD(注意欠如多動症)傾向の次男そんな長男と次男ですが、幼い頃から今にいたる過程で、力関係が逆転しました。長男が就学する前は、気に入らないことがあると次男に手が出ることもあり、次男が泣かされる姿を何度も見てきました。ある時のことです。少し目を離したすきに当時3歳くらいだった長男の手が出てしまい、赤ちゃんだった次男の目の下に傷をつくってしまうことがありました。それから私はできる限り次男を見守り、1歳代までは背中におぶってなるべく長男が手を出す余地を環境的に失くすようにしていました。それでも手が出た時は、長男の気持ちを一旦受け止め、その気持ちを言葉にするようにしていました(言葉にできないために手が出てしまうところもあるかなと思っていました)。そして、次男がどう感じたか、次男の気持ちを考えるような問いかけをしていたと思います。このあたりは、ペアレントトレーニングや療育に行っていた教室の先生方から学んだことです。けれど今では立場が逆転。次男のほうが強くなりました。あるときは口論の末、次男が長男を引っかいて怪我をさせてしまったこともあります。また、ケンカになると、口達者の次男は「兄は友だちがいない」という点を突いてきます。長男も『自分は内向的で友だちがいない』と気にしているので、「こんなだから、お兄ちゃんはダメなんだ」と言い立てられると、涙してしまうことも……。この精神的な攻撃で、長男はとても傷ついていると感じています。長男へは「本当に気が合う友だちと出会うタイミングは、人それぞれ」「たとえ今友だちがいなくても、そこまで気にしなくていい」と伝えていますが、(次男もそこまで長男を追い詰めなくてもいいのに)と思っています。2人の仲をどう取り持つ⁉特性を伝え合い、歩み寄るためにそんな二人の仲をどうとりもつか……。私はそれぞれが一人のタイミングで話をするようにしています。長男は学校の送迎の時に、次男は買い物についてきてもらう時に、なるべく押しつけではなく、違う見方を話すようにしています。たとえば、長男には「年少の妹ちゃんが欲しがっていたあのおもちゃは、次男くんのもので昨日買ったばかりだったみたいだよ。だから、なかなか譲りたくなかったみたいなんだよね」「長男くんが勉強している時は、お手伝いや妹の遊び相手は弟くんがしてくれていたんだよ」次男には、「お兄ちゃんはモノを大事にするし、コツコツ続けてやるのは得意だよね。次男くんが失くしたものをお兄ちゃんに借りることも多いよね」と伝えています。また、少しずつですが、お互いの特性についても話しています。長男には「次男くんは気を付けていても、どうしても忘れてしまったり片づけるのが苦手だったりするところがあるんだよ」と伝えています。Upload By ユーザー体験談また、長男は「〇〇すべき」というルールが自分にも相手に対しても強いため、そこから外れる行動が多い次男のことを嫌だと思う場面が多いようです。思春期のイライラや普段のうっ憤もあいまって、お互いがヒートアップしてものすごい剣幕になることもたまにありますが、長男の中では「弟は自分に対してひどいことをするけれど、本当に悪いことをする人間ではない」という受け止めではあるようです。次男へは長男の特性を伝えつつ、理解してもらうようにしています。大人になったら、共通の思い出で笑い合える兄弟でいられるようにそれぞれが成長していく中で、長男は人の中で揉まれる経験がもう少し必要だなと感じます。次男はお友だちやその親御さんなど、いろいろな人とのふれあいの中で人間関係について学ぶ機会が多かったのかもしれません。それもそれぞれの個性なのかもしれませんが……。大人になるにつれて、それぞれリスペクトし合える存在になっているといいなと心から思います。きょうだい児として、将来にわたってお互いのケアをしてほしいとは思っていません。それぞれ自立できるように、親としてできることをしていきたいと思っています。大人になった時に、子どもの頃の共通の思い出で笑い合える日が来たらいいな……。イラスト/ネコ山エピソード参考/みちる(監修:鈴木先生より)ごきょうだいそれぞれは、お父様、お母様、それぞれの気質を受け継ぎ異なった特性がみられることはよくあります。異なった特性を持ったお子さんとの関わり方について、お母様はペアトレで学んだことが生かされていると感じました。「今は喧嘩していても、10年後には仲良く協力して生きていければいいですね」といつも私は外来では親御さんにお話ししています。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2025年06月18日兆候をことごとくスルー!? 息子が5歳でASD(自閉スペクトラム症)と診断されるまでの道のりは?「発達障害の子どもと私たち」アキラ編まとめ発達ナビユーザーの体験談から生まれたマンガ「発達障害の子どもと私たち」。現在5歳のアキラくんは最近ASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けました。思い返すと1歳の頃から兆候はありましたが、保護者の方は初めての子育てということもあり「そんなものなのかな」と気づかず……。ASD(自閉スペクトラム症)と診断されるまでに一体何があったのか、今回は3章アキラ編完結記念としてアキラ編の連載コラムをまとめてご紹介します!「息子には障害があるの……!?」1歳半健診の経過観察を楽観視。保育園入園後も言葉が増えずに不安に。繋がった支援は……「アキラ編」を完結まで一気読み以下関連リンクから全4話を一気にご覧いただけます。不登校・学習の壁・転籍……「はるき編」「みき編」もまとめ読み!2人の主人公・小学3年生のはるきさん、小学4年生のみきさんはそれぞれの「壁」に直面し、学校へ行くことができなくなってしまいました。学校に行けないもどかしさ、葛藤、苦しみ……本人とその家族がどう立ち向かっていったのかがリアルに描かれています。各話の終わりに鳥取大学大学院教授で発達障害を専門とする井上雅彦先生からのアドバイスも掲載。プロローグ、そして二人のその後が描かれたエピローグとともに、「発達障害のある子どもと私たち」全10話を読み返してみませんか?「発達障害の子どもと私たち」次回の展開は……「発達障害の子どもと私たち」、はるき編、みき編、アキラ編に続く第4弾「りん編」が間もなくスタートします!りんは小学6年生の女の子。幼少期、保育園でパニックを起こすことがあり、発達相談を受けた結果、ある診断を受けます。母は支援を求めますが、父は娘の障害を受容してくれませんでした。障害への対応をめぐってすれ違う夫婦の結末は……。2025年6月19日(木)から連載開始予定です。お楽しみに。Upload By ユーザー体験談(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2025年06月15日LITALICO初のグループホーム、LITALICOレジンデンスとは?LITALICOレジデンスは、障害のある方の生活を24時間・365日支えるグループホームです。国の障害福祉サービスの一つである「共同生活援助 日中サービス支援型」にあたります。今回は1拠点目となる「LITALICOレジデンス井の頭公園(10室+ショートステイ2部屋)」の管理責任者である松本慎二さんに、グループホームの特徴や今後の展開を聞きました。障害のある方の一生涯を支える挑戦Upload By 発達ナビ編集部松本慎二さん神奈川県のNPO法人にて理事として就労継続支援、共同生活援助(グループホーム)に管理者として従事、その後、LITALICOライフにて障害のあるお子さまの保護者の方向けのセミナーや親なきあとなどの個別相談を行う部署にてコンサルタントとして業務を行う。その後、LITALICOレジデンス事業部にて「LITALICOレジデンス井の頭公園」の立ち上げから管理者として就任して、今に至る。――LITALICOレジデンス立ち上げの背景について教えてください。松本さん:現在の日本では、障害のある方の9割以上がご自宅で生活をされています。特に都心部において重度障害者向けのグループホームが不足しており、「自宅の近くに、わが子が安心して生活できる地域に開かれたグループホームがあれば」という保護者の方の声を多く聴く中で、私たちは障害のある方の一生涯を支える挑戦を始めました。――立ち上げの準備はどのように進めたのでしょうか。松本さん:運営や人材育成の部分では、介護福祉士の育成などに尽力されている柴野裕子先生(帝京科学大学助教授) にスーパーバイザーとして入っていただき、さまざまなご指導をいただきました。また、歴史ある事業所にご協力いただきスタッフの外部実習も行いました。設計・施工については、障害福祉施設の実績も多くお持ちの積水ハウスさんにご協力いただきました。そして、全室バリアフリーの最新設備環境を用意することができました。Upload By 発達ナビ編集部Upload By 発達ナビ編集部Upload By 発達ナビ編集部自分らしく安心して生活できる場所を目指して――「LITALICOレジデンス井の頭公園」の支援体制について教えてください。松本さん:常勤看護師や理学療法士も所属しており、スタッフが昼3人以上の体制で24時間・365日サポートを行います。健康管理・服薬管理・金銭管理なども対応するほか、訪問診療、訪問看護、訪問歯科、訪問美容などの訪問サービスについても地域と連携しています。――「共同生活援助 日中サービス支援型」のグループホームは、珍しいのではないでしょうか。松本さん:はい。入所施設ではなく生まれ育った地域のグループホームで、という流れの中で、特に重度の障害がある方の入居できるグループホームが足りていないという課題がありました。そうした背景もあり、LITALICOは重度障害がある方向けのグループホーム事業をスタートさせたのです。入居されている皆さんは、日中生活介護に通われる方もいらっしゃいますが、通所せずホームで過ごす方もいらっしゃいます。日中も安心して過ごすことができることに魅力を感じてくださった方も多くいらっしゃいます。――どのようなアクティビティを予定されていますか。松本さん:ホームの中のイベントやエクササイズのほか、公園や動物園など周囲の環境や施設も活用していきたいと考えています。また「地域に開かれたグループホーム」を目指し、地域の行事などにも参加できたら良いですね。今年4月に行った地域の方向けの説明会に多くの方が来ていただき、「避難訓練をするときは声をかけてね」「楽器の演奏会をやりましょうか」など、とても温かく迎えていただきました。自然なかたちでご近所づきあいがスタートできたことに感謝しています。――お食事は皆さんで取るのでしょうか。松本さん:基本的にダイニングで食事をしますが、生活介護に行かれる方もいるので一斉にではなく食事のタイミングは適宜調整をします。なお、アレルギー対応や、嚥下の状態に合わせた食形態での提供も行います。Upload By 発達ナビ編集部――入居対象となる方の障害区分について教えてください。松本さん:支援区分として「障害支援区分4以上の認定を受けている方」としていますが、実際に入居が決まった方は5と6の方です。――入居料金はどれくらいかかりますか。松本さん:家賃や水光熱費、食費などを合わせて13~14万円ぐらいとなります。東京都では月24,000円(令和7年度現在)の家賃補助制度を活用できるほか、障害年金や国の補助制度もあるので対象となる方には申請手続きのサポートも行っています。――入居前の準備は、どのように進めていくのでしょうか。松本さん:その方が自分らしく過ごせることがとても大切です。グループホームで幸せに生活していただけそうか、お受入れのための体制が取れるかなどの確認を行うため、ご入居を検討いただける場合は事前にご自宅を訪問しヒアリングをさせていただきます。今回は20代の方が多かったため、通われていた特別支援学校に伺い先生のお話しを聞いたり、生活介護事業所に通われている方については事業所に伺いご様子を見学させていただいたりもしました。ご本人についての理解が深まり、リラックスの仕方やご移動の際の安全確保の方法なども確認することができました。Upload By 発達ナビ編集部――「LITALICOレジデンス井の頭公園」は、ご入居は満室となり、ショートステイ(短期入所)のみ受け付け予定ということですが、事前の内覧会ではどのようなお声がありましたか。松本さん:内覧会には合わせて約100名の方がいらっしゃいました。親なきあとについて真剣にお考えの保護者の方が多く、特別支援学校在学中や卒業直後のお子さんの保護者の方にも多くご参加いただきました。また、「LITALICOレジデンス井の頭公園」のような「女性専用・同性介助」のショートステイ(短期入所)は数が少ないことから、ご利用を希望される方が多くいらっしゃいました。中の雰囲気については、「明るくて雰囲気が良いですね」とお喜びの声をいただきました。部屋ごとに壁紙の色を変えたり廊下の壁を淡い色にしたりなど、良い意味で「グループホームらしくない」かもしれません。これから開設する施設も同様のデザインコンセプトを予定しています。Upload By 発達ナビ編集部2026年春、2拠点目「LITALICOレジデンス狛江中和泉」がオープン予定――LITALICOレジデンスの今後の展開について教えてください。松本さん:すでにお問い合わせを受け付けていますが、2026年春に2拠点目の「LITALICOレジデンス狛江中和泉」をオープン予定です。こちらは20室(+ショートステイ2室)あり、男女ともに入居が可能です。そのほか2026年度中に杉並区と練馬区にオープン予定で、それ以外にも都内で複数の計画が進行中です。1拠点目のノウハウを活かしながら多くのニーズに応えられる体制づくりを目指します。早くから将来の選択肢を増やすための準備を――お子さんの将来に向けて、ご家庭で大事にしたいことはなんでしょうか。松本さん:小さい頃から将来の自立を見据えて療育や支援を行うことが大切だと思います。例えばグループホームのような場所で共同生活ができるかどうかによって選択肢の数が変わってくるでしょう。また、ショートステイ(短期入所)を活用し、ご家族と離れて泊まる経験をしておけると良いですね。お子さまが自立するためのスキルを身につけるきっかけになりますし、親離れだけでなく子離れという面でもおすすめです。――さいごに発達ナビの読者の皆さんへメッセージをお願いします。松本さん:親なきあとについて直視するのはすごくご負担が大きいと思いますが、早すぎるということはないので気になったその時から準備を始めることをおすすめします。LITALICOでは、誰もが「自分らしい人生」を歩んでいけるよう、さまざまな興味・課題に合わせた情報提供や個別相談を通じてライフプランニングをサポートする「LITALICOライフ」の事業も行っていますので、幅広くご支援ができると思います。お子さんを任せられると思える第三者は多いに越したことはありません。グループホームに入居するということはご本人にとってはもちろん、ご家族にとっても大きな生活の変化です。ショートステイ(短期入所)から試してみることもできますので、まずはお気軽にお問合せいただければと思います。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2025年06月12日「マンガ発達障害の子どもと私たち」新章・アキラ編の結末は?その他、訪問看護や服薬など5月に公開したさまざまなエピソードを紹介!「マンガ発達障害の子どもと私たち」新章・アキラ編の3、4話が更新!療育のチャンスを逃してしまったM子さんがようやく自覚したわが子の障害は……。その他、気になる方も多い訪問看護や睡眠障害の服薬、きょうだいで違う放課後等デイサービスの使い方、発達ナビでの「行き渋り、不登校」アンケート結果など5月もさまざまなエピソードを公開しました。発達ナビユーザーから寄せられた体験談を基にしたマンガ「発達障害の子どもと私たち」アキラ編第3話。療育を受けるために受給者証を取得したものの、市の心身障害児訓練施設の療育利用を勘違いから断ってしまった!?3歳児健診で発達について診てもらいたいと相談し、紹介された療育センターはなんと1年待ちでどうしたらいいの!?そんな時に見つけたのは……。近所で偶然見つけた発達外来を受診したM子さんはそこで診断書をもらいます。もらった診断書に書いてある内容を見て、改めてうっかり断ってしまった心身障害児訓練施設で療育を受けたい!と決意をします。進級前の引継ぎのため保育園に「生育歴」を提出して先生から指摘を受けたり、4か月に1回の発達外来受診では医師からのコメントに驚き……それでも今までの育児を振り返ってみて感じたことは……アキラ編、最終回の結末は?就学前はお子さんの発達障害に気づいていなかったチノパンさん。入学3日目には友だちとのトラブルが起き学校から連絡、その後も集団行動が難しい、お友だちとの関係がうまくいかないなどのトラブルは続き……不登校を選び、その後は特別支援学級への転籍。さまざまな出来事がありましたが、その中で訪問看護との良い出合いもありました。重度障害があるこっこさんの娘さん。睡眠障害があり、それも15年近い付き合いとのこと。コマ切れ睡眠、必須の添い寝に腕枕……母であるこっこさんが眠れるのは毎日3時間か4時間という万年寝不足状態に。体は限界を迎え、とうとう腎臓を悪くしてしまいます。そんな中、娘さんに「メラトベル」を処方してもらい、入眠問題は一歩前進……と思ったのも束の間、今度はまた別のトラブルが!?同じASD(自閉スペクトラム症)でも放課後等デイサービスの使い方はそれぞれ違う!?小4の娘さんと小2のASD(自閉スペクトラム症)きょうだいを育てるmuscatさん。放課後等デイサービスと自宅、放課後教室などを使いながら働いています。姉と弟は別の放課後等デイサービスを利用しています。その理由はそれぞれの特性や性格に関係しているようで……。きょうだいでの放課後等デイサービス利用を考えてる方の施設探しの参考になるコラムです。発達ナビでは、会員のみなさまに『新学期、環境の変化に不安…「行き渋り」「不登校」についてアンケート&エピソード募集!』を実施、124名から回答をいただきました!新学期による環境の変化、そして長期休み明け……このような時期は行き渋りや不登校が多くなる傾向にあります。アンケートの具体的なお話や、体験談に綴られた子どもへの寄り添い方の中には悩み解決のヒントがあるかもしれません。ご自身のエピソードを投稿してみませんか?『発達ナビ 読者体験談』は皆さんのご経験を基に制作されています。ご投稿いただいたエピソードは、連載ライターさんのイラスト、専門家の先生からのコメントをつけた上で掲載させていただきます。「あの時は悩んでいたけれど、今はこうなった……」など、発達障害のあるお子さんを育児している皆さんへ、ご自身の経験をお届けいただけないでしょうか。ご応募は以下の応募フォームから受け付けております。皆さんのご投稿を、お待ちしております。【現在の募集テーマ】・障害告知・パートナー(夫婦) 関係・両親(義両親)、親族関係・進学・受験関係・冠婚葬祭関連・反抗期、思春期・自傷・学習関係・不登校、行き渋り・ゲームとの関わり・不器用さについて・ママ友や、ほかの保護者の方とのエピソード・ご近所関係(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2025年06月07日ASD(自閉スペクトラム症)の姉弟を育てていますわが家にはASD(自閉スペクトラム症)の姉弟がいます。長女が5歳、次男が4歳のときに診断を受けました。二人ともマイペースで、食べることが大好き。そして、ちょっぴり負けず嫌いな性格です。現在は長女が小学4年生、次男が小学2年生になりました。今回は、そんなわが家の「放課後の過ごし方」をご紹介します。わが家の放課後スケジュールはこのような感じです。・週2回:放課後等デイサービス(放デイ)・週4回:自宅で過ごす・不定期で利用:放課後教室(本人の希望により)Upload By ユーザー体験談私は仕事やPTAの役員仕事などがあるため、毎日決まった時間に帰ることはなかなかできません。そんなときは、同居している義母にお願いすることもあります。義母が不在の曜日(週2日)は、放デイを利用。放デイは曜日を固定して通所しています。不定期で利用している放課後教室は、学童とは違い、地域ボランティアによる無料の預かり事業です。夏は16時半、冬は16時まで開室していて、工作や遊具遊びなど、楽しく過ごせる場です。なお、2歳違いの姉弟はそれぞれ別の放デイを利用しています。姉の場合:癇癪と不安感から放デイ利用をスタート長女が小1のときは、家に祖母がいて、コロナ禍の中だったため私の仕事も子どもの下校より早く終わる状況が多く、放デイの利用は考えていませんでした。そもそも、当時は放デイの存在自体を知らなかったのですが……。でも、弟の診断・療育開始をきっかけに私の外出が増え、長女が「家に一人でいるのが不安そう」「癇癪が増えた」と感じるようになりました。そんな中、学校に定期的に見回りに来るソーシャルワーカーの方から、放デイの存在を教えていただきました。今利用している放デイは、・同じ小学校の子も通っている・土曜日にイベントもあり楽しそう・場所見知りが激しい娘が「また行きたい」と言ったという理由から決めました。ただ、娘は近所のお友だちが大好きで「一緒に遊ぶ時間が足りないから放デイ行きたくない!」となる日もあるようです。でも、行ったら行ったで楽しんでいるようなので、無理のない範囲で利用しています。弟の場合:きょうだい別の放デイに。本人の「楽しい!」が決め手弟が小1になる際には、「姉と同じ放デイだと家にいるときと同じになってしまうのでは?」と考え、別の放デイを選びました。年長さんの年度末から探しはじめたため、ほとんどの施設はすでに定員いっぱい……。そんな中でも体を動かすのが好きな息子に合いそうな「運動療育」を取り入れている施設を見学しましたが、本人が怖がってしまって断念しました。結局小2から通いだしたのですが、今通っている放デイに決めたのは、・見学で「楽しい!」と笑顔を見せた・所長さんが息子に優しく接してくれたというポイントが大きかったです。息子も放デイで大好きなサッカーを楽しんでいて、今のところ「行きたくない」と言われたことはありません。放デイと相談して始めた一番助かっている支援は……娘が放デイに通い出した頃、娘との関係で一番悩んでいたのは、宿題をめぐって言い合いになってしまうことでした。帰宅してから「宿題やったの?」「まだ!」というやり取りや、宿題をしなければいけないけれどしたくない娘が、だんだんとイライラ……。そうなると家庭内の雰囲気も悪くなる一方でした。このことを放デイのスタッフさんに相談したところ、家庭の雰囲気が良くなるようにと、支援の内容を検討してくださいました。それ以降、スタッフさんが、自然に自分で宿題に取り組めるような気持ちを作ってくれるように声をかけるなどしてくださいました。娘もやる気になるのか、そのまま宿題に取りかかることも。娘は家で宿題をするとすぐ「分からない!」と怒るのですが、放デイでは不思議とそんなことがないと聞いています。この支援のおかげで家での「宿題やった?」というやりとりが激減し、家庭の雰囲気がぐっと穏やかになりました。弟の放デイでも同様のお願いをしています。また、それ以外にもさまざまな支援をしてくださったおかげで家庭での癇癪も減り、落ち着いて過ごせる時間が増えました。娘は場所見知りも激しいのですが、休日に行われる放デイでのイベントなどはとても楽しみにしているようです。Upload By ユーザー体験談支援次第で本人の生きやすさが変わる……この言葉が忘れられないわが家では今の放課後スタイルにとても満足しています。特にルーティンができあがっているので、高学年になっても今のまま利用を続けられたらと考えています。娘は将来、部活動にも興味があるようなので、中学生になったらまたスケジュールを見直すかもしれません。弟については、まだまだ未知数ですが……。娘は、友だちや小さい子にとても優しくて、そのままの優しさを持って育ってほしいです。苦手な勉強も少しずつ自信をつけていけたらと思っています。息子には、まずは「自分のことは自分でできるように」なってほしいというのが今の目標です。診断をしてくださった先生が「障害を障害と思わず“個性”として見てあげてください。支援次第で本人の生きやすさが変わります」とおっしゃっていたことが、今でも心に残っています。これからも、子どもたちが自分らしく、そして少しでも生きやすくなるような環境を、親として整えていけたらと思っています。イラスト/プクティエピソード参考/muscat(監修:森先生より)仕事やPTAと多忙な中、お子さんの個性に寄り添い、それぞれに合った放課後の過ごし方を模索された体験談をありがとうございます。周囲の方のサポートを上手に活用しながら、お子さんたちの「楽しい!」という気持ちや「安心」を大切にされてきたのですね。宿題をめぐるストレスを軽減するために放デイのスタッフさんと連携し、家庭の雰囲気を穏やかに保つ工夫を重ねされたことも素晴らしいと思います。「支援次第で本人の生きやすさが変わる」という言葉は本当にその通りで、子育てには絶対的な正解パターンがあるわけではないので子ども一人ひとりに向き合いながら手探りでサポートの仕方を探していくしかありません。さて、発達の偏りのあるお子さんは、マイペースで特定のことに興味を強く惹かれたり、負けず嫌いな一面を持ったりすることがあります。「場所見知り」や「癇癪」、「運動への興味」などがみられることがありますが、一人ひとり特性が異なるため、支援は個別にカスタマイズする必要があります。早期診断により、適切な療育や支援を早期に開始できるため、子どもの社会的スキルや生活適応力を向上させる可能性が高まります。放課後等デイサービスは、構造化された環境での学びや社会性の向上、ストレス軽減に役立つ重要な支援をすることができます。「場所見知り」や「運動好き」は、感覚ニーズに関連している可能性があります。感覚過敏がある場合、環境の変化に不安を感じることがあります。事前に環境を説明したり、慣れる時間を設けたりすることが有効です。逆に、運動で感覚刺激を求める場合、定期的な運動プログラムが感情の安定に役立ちます。施設によって得意なプログラムも違いますし、雰囲気も違いますので、実際に見学に行ったり通ってみないと分からない部分も多いかもしれません。癇癪や不安は、感情を調整する難しさから生じることが多いですね。放課後等デイサービスでの宿題支援のように、スタッフが自然にモチベーションを高める声かけを行うのは、感情調整を促す良い例です。家庭でも、「落ち着く場所」や「好きな活動」を用意し、感情が高ぶったときに自分でリセットできる方法を少しずつ教えると良いでしょう。宿題をめぐる言い合いを減らすためには、放課後等デイサービスを頼ることも手ですが、ご家庭でやらなければならない場面も避けては通れないかと思います。そんな場合は、以下のことを試してみましょう。・短時間集中:宿題を10~15分の短いセッションに分け、間に休憩を入れる。・選択肢の提供:たとえば「国語からやる?算数からやる?」と選ばせることで、主体性を持たせる。・報酬システム:宿題が終わったら好きなこと(ゲーム、テレビ、おやつなど)を設ける。・感覚調整のための道具や環境・気が散らないように、勉強道具だけしか見えない勉強用のスペースを設ける。・感覚過敏がある場合、ノイズキャンセリングイヤホンや重いブランケット(加重ブランケット)で落ち着ける環境を整える。これからも、お子さんたちの優しさや強みを大切にしながら、ご自身も無理なく楽しみながら子育てを続けてくださいね。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2025年05月29日私が発達ナビライターになった経緯Upload By 発達ナビ10周年企画2014年12月、娘の支援をしてくださっていた先生などからのすすめもあり、私は自身の子育て体験談を4コマ漫画にしてブログで描き始めました。漫画といっても私はプロでもなくただの一保護者です。アナログ人間の私が苦手なデジタル作業などは、パソコンが得意な当事者の娘(中学3年生)が担ってくれました。翌年、ブログを見たLITALICOの担当者さんから、新たに立ち上げるサイトのライターの依頼がありました。当時はWeb会議ツールは今ほど普及しておらず、私は詳細説明を受けるため東京のLITALICO本社に行きました。担当者の熱意新設サイト担当者のLさんは若く熱意あふれる女性でした。LITALICOジュニアで児童指導の経験もある彼女は「お子さんを指導していくなかで『保護者が元気なこと』が、お子さんのためには一番良いことだと感じたんです。だから保護者の方々が元気になれるようなサイトを作りたいんです」そして「今までなかった『全国の情報が集まるサイト』にしていきたいと思っています」とお話してくださいました。Upload By 発達ナビ10周年企画乳幼児健診で指摘はされませんでしたが、未就園児の頃から私は娘の発達に違和感を抱いていました。身近に頼れる親戚もいなかったため、私は自治体の相談窓口や保健師さん、赤ちゃん広場・児童館の支援員さんなどに相談をしたり、未就園児を対象とした幼・保育園の体験プログラムなどに積極的に参加しました。困りごと感を理解してもらえなかったことも度々もありましたが、めげずにあちこちに相談しているうちに子育て支援センターに繋がり、親同伴の療育プログラムを受けることができました(その頃私は『療育』という言葉すら知りませんでしたが)。もしこのとき私に体力や精神的な余力がなかったら、周りに相談したり、あちこち出向いていくことはできず、きっと孤独の中で娘と二人煮詰まっていたことでしょう。娘は小学生の間は『グレーゾーン』と言われていて、療育センターではこれといった療育は受けていませんでした。娘は表面上は会話はできます。得手(読むこと、暗記、絵を描くこと)不得手(運動、計算)の差が大きいです。人は好きですが、他人とのコミュニケーションが苦手です。受け身で自らトラブルを起こすことはありませんが、高学年になってからは、いじめにもあいました。なので進路には、とても悩みました。果たして特別支援学校や特別支援学級が娘に合っているのか?本人はそれを望んでいるのか?私は中学卒業後の進路先も視野に入れつつ、通える範囲で娘に適した学校を探すことに奔走しました。『発達障害』『学校』『進路』『中学』『高校』といったキ-ワードの検索魔となり、ヒットしたブログを片っ端から読んだり、学校に関する書き込みや掲示板を目を皿にして読み漁ったりしました。そしてずっと「情報が一元化してくれていたらどんなに良いか」と思っていました。新サイトはまさに私がずっと望んでいたものでした。また「どうぞ荒木さんもこのサイトをどんどん“利用”してくださいね」と『サイトとユーザーのwin-winの関係』を示唆するLさんの茶目っ気たっぷりなところにも私は好感を抱きました。新サイトオープン!2016年1月に、発達障害ポータルサイト・LITALICO発達ナビはオープンしました。当時は何十人ものライターさんが在籍し、さまざまな記事を書いていました(ライターさんは未就学~小学生ぐらいのお子さんの保護者の方がほとんどでした)。私は自身のブログを立ち上げた時から、娘のことを書くときは内容に間違いがないかを事前に本人に確認していたので、発達ナビの記事も娘にチェックしてもらってから入稿していました。サイトオープン当初は当時のメインユーザーに合わせ未就園児~小学生の頃の話をよく書いていたので、娘は自分の記憶にない小さかった頃の話や、その時の親の気持ちを書いたコラムを興味深く読んでいました。ライターのイロハを学ぶ今私が持つライターのノウハウは、全て発達ナビ編集部担当さんから教えてもらいました。Upload By 発達ナビ10周年企画コラムは“初めてサイトを訪れたユーザーさんや、初めて私のコラムを読む方にも分かりやすい内容にすること”が大切です。でも、何本もコラムを書いていくうちに「発達ナビの読者さんなら、このことは知っているだろうから、端折っても良いかな」「この内容は以前もコラムで書いたことがあるから、説明はいらないかも」と思ってしまうことがあります。そんな時は必ず編集担当者さんから指摘を受けます。発達ナビのコラムは、担当者の他にも編集部で複数のチェックが入ります。時間と手間がかかりますが、複数の目で確認することで記事がブラッシュアップされる過程が私は好きです(誤字脱字を直してもらえるのもうれしい!)。近年では専門家の監修も付くようになり、読者さんがより安心して読める記事になっているかと思います。情報過多最近ではSNS上で数多くの子育て漫画や体験談を目にするようになりました。動画配信なども増え、欲しい情報も以前より簡単に手に入るようになってきています。でも、便利になった一方で、情報の多さゆえに子育てに不安を感じてしまう保護者が増えているようにも感じます。『障害児の子育てはこんなに大変!』といった内容のものや、アクセス数目的のインパクトのある見出しのものが「おすすめ動画」として次々と出てきてしまったら、不安が増すのは当然なのかもしれません。小さなお子さんを持つ保護者の方へ前に述べたように発達ナビは保護者を元気にすること目指しているサイトです。コラムや動画には必ず何かしらの気付きやヒントがあるはずです(少なくとも私はそう心がけてきました)。コラムの他にも『Q&A』では先輩保護者が親身になって答えてくれます。『コミュニティ』では同じ悩みや趣味を持つユーザー同士が交流しています。『ダイアリー』は子育て記録や自分の気持ちを公開・非公開でつづることができます。ユーザーは、プロの支援者や医師ではないので聞かれても答えられないこともあります。でも、支援者や医師では分からない親としての気持ちを共感しあうことができます。そして、実体験に基づくちょっとした知恵やアイデアは意外と役に立ったりするのです。チャレンジ、そして……自分の子どもに障害があったとしても、将来を悲観する必要は実はそれほどないんです。何もしなくても良いというわけではありませんが、けっこうどうにかなるものです。そもそも障害があってもなくても子どもを育てていく上ではいろいろなことがありますし。ずっと先のことをあれこれ考える時間を、目の前のお子さんと一緒に過ごす時間に充ててほしいと思います。そして不安を感じたときは周りをどんどん頼ってみてください。リアルでお子さんを見てもらい、プロの方にお子さんへの接し方やアプローチの方法を相談していろいろと試してみてほしいです。スピードは違うかもしれないけれど、成長しないお子さんはいないので、一度や二度の失敗にはめげず、ぜひいろいろチャレンジしてみてください。そしてもし少しでも上手くいったアプローチがあったら、それを次の世代の保護者さんに伝えていってもらえたらうれしいです。今回は小さなお子さんを持つ保護者の方へのお話がメインとなりましたので、小中学生のお子さんを持つ保護者の方へのお話はまたの別機会に書いていこうと思います。執筆/荒木まち子(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2025年05月28日発達外来の受診。そこで診断書をもらい療育へつながり……Upload By ユーザー体験談Upload By ユーザー体験談Upload By ユーザー体験談Upload By ユーザー体験談はっきり言われてやっと自覚したわが子の障害名。でも支えてくれた方々には感謝の気持ちがいっぱいで発達ナビユーザーからの体験談を元にしたストーリーマンガ「発達障害の子どもと私たち」第3章アキラ編もこれにて最終回です。近所で偶然見つけた発達外来を受診したM子さんはそこで診断書をもらいます。もらった診断書には「言葉の遅れを母親が気にして受診。言葉を促す訓練が必要と認める」と書いてあり、改めてうっかり断ってしまった心身障害児訓練施設「わかば」で療育を受けたい!と感じたM子さん。保健センターへ電話をして利用の手続きをし通い始め、発達検査(新版K式)を受け、心理指導や言語指導なども不定期ながら受けられることになりました。そんな中、進級前の引継ぎのため保育園に「生育歴」を提出することに。気になる点などの項目を空白で提出したところ、先生からツッコミが。ここで初めて「健診で要フォロー」となっていることや「様子見」の意味を知ることになりました。その後、4か月に1回の発達外来受診ではっきりと「息子さんは間違いなくASD(自閉スペクトラム症)です」と言われ、やっとアキラくんの診断名を自覚することとなります。しかし、振り返ると「必要な支援はそれなりに受けられていた」と感じていたというM子さん。周りの方の絶妙なアシストやサポート、気遣い、なにより障害にかかわらず「アキラくんのために」と動いてくださる方がたくさんいてくれて感謝をしているとM子さんは言います。お子さんの発達に遅れなどがあると不安を感じてしまう方も多いと思います。周りに相談し、時には頼って一人で抱え込まずに子育てをしていけると良いですね。※心身障害児訓練施設「わかば」は仮の施設名です。イラスト/星あかりエピソード参考/M子(監修:井上先生より)気づきから診断、そして支援機関での情報の共有というプロセスや期間は一人ひとりの子どもやご家族にとっておいてさまざまです。まさに子育てにとって激動の時期ですがアキラくんのお母さんのように周囲の支援者が心理的に寄り添ってくださることがこの時期の親にとって大きな助けになると思います。人によって診断や障害の理解、支援の受け入れなどに時間がかかる場合もあり、それぞれの方のペースに合わせた支援が必要とされます。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2025年05月27日(この記事はアフィリエイトを含みます)「中学受験」は、子どもの将来を見据えて親ができるサポートのひとつと言えます。しかし、20歳で学習塾を創業して以来、35年以上に渡って子ども教育に携わってきた石田勝紀さんは、中学受験に伴うリスクも指摘します。中学受験に向いている子、そうでない子の特徴について、それぞれ解説してくれました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)親の都合で中学受験をさせても結果は伴わない「中学受験」の話題を見聞きすることが増えていますが、首都圏など一部の地域で過熱状態にあることは間違いありません。中学受験向けの模擬試験や教育情報の収集を行なっている首都圏模試センターの集計によれば、2024年に首都圏1都3県で中学受験をした小学6年生の割合は、推計18.2%と過去最高を記録しています。しかし、「みんなが受験するから」といった同調圧力、あるいは「自分が子どもの頃に受験に失敗したから」といった劣等感、はたまた「自分が楽しかったから子どもにも私学に行ってほしい」といった気持ちから子どもに中学受験を強いるのは避けたほうがいいでしょう。それらはいずれも親の勝手な都合でしかありません。当の子どもにフォーカスしていないのですから、よく考えてみればおかしな話です。子どもの気持ちが伴っていなければ、勉強の成果だってついてこないのは目に見えていますよね。そもそも、「塾」というものの存在を勘違いしている人も少なくないようです。多くの親が、「中学受験をさせたいが、うちの子は勉強が苦手だから」といった気持ちから子どもを学習塾に通わせます。でも、学校のテストや宿題があるうえに塾でもテストや宿題が課されるのですから、勉強が苦手な子にとっては大きな負担となり、親が思うような結果にはつながらないというのが実情です。塾とは本来、「学校の勉強は簡単すぎて退屈だ」「もっと高度な勉強をしたい」と思っている子どものためにあるものです。中学受験を目指す子どもが通うような学習塾は、その最たるものと言えるでしょう。「中学受験に向く子」と「中学受験に向かない子」そのような視点から、中学受験に向く子のタイプが見えてきます。先に述べたような「学校の勉強が簡単すぎる」という子は、中学受験に向いています。「高度な勉強をしたい」と思っているのですから、一度塾に通わせれば楽しさを見出して熱心に勉強に取り組むはずです。ほかには、たとえば「英語が好きで、国際的な仕事に就きたい」「将来的にITの分野で活躍したい」など、将来の方向性が定まっている子も中学受験に向いているタイプです。それぞれに独自性を打ち出している私立校には、自身の将来像が明確な子どもの希望に沿った学習環境が備わっている学校もあるので、夢に向かって邁進できるからです。将来像が明確なタイプと重なる部分もありますが、特定の分野に対する知的好奇心が強い子も中学受験に向いているタイプですね。公立校の場合、学習においてはバランス型が求められます。要するに、あらゆる教科で好成績を残せる子のほうが内申点は高くなるわけです。すると、興味や能力が特定の分野に偏っている子はのちの高校受験で不利になりますから、中学受験を考えてもいいかもしれません。あるいは、ASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠如・多動症)といった診断をされている子にも、中学受験をおすすめします。発達障害の子どもたちに対して適切なフォローや学習指導ができる学校もあるので、親としては安心です。詳しく調べてみるといいかもしれません。中学受験をしないほうが普通のルート!?これらのことから言えるのは、残る大半の子どもたちは無理に中学受験をする必要はないということです。「学校の勉強が簡単過ぎる」という子、小学生のときから明確な将来像を抱いている子、興味や能力が特定の分野に偏っている子、発達障害の子どもたちは、全体から見れば少数派です。「まわりもみんな中学受験をするから」と焦る気持ちも理解できますが、中学受験をしないほうが普通のルートなのです。もっと言えば、東京など中学受験が盛んな地域の場合、公立のほうがのちのち子どもにとって有利に働くこともあるほどです。「学校の勉強が簡単過ぎる」といった優秀な子どもたちが中学受験で私立校に行って抜けるため、公立校でしっかり勉強することで内申点が上がることも考えられます。そうして上位の都立高に進学し、最終的には中学受験をした子どもと同レベルの大学に進むことも珍しくありません。親の立場としては、経済的にもお得だと言えるでしょう。それとは別の視点からも、中学受験をしないほうがいいと言える点があります。受験をする場合、「自分の学力よりも上位の学校を目指す」のが一般的です。わざわざ、現状の学力で行ける学校は目指しませんからそれは当然ともいえます。しかし、そうすると合格者のなかの下位でどうにか入学できたという子が出てきます。「まわりはすごい子たちばかりだ」「自分も頑張ろう!」と刺激を受けて高みを目指せる子もいますが、「小学校では優秀だったのに、ここではビリだ……」と自己肯定感が大きく低下し、勉強に対するモチベーションを失ってしまうケースも多いのです。仮にその子が公立校に進んでいたなら、「自分はできるんだ!」という気持ちをもって意欲的に勉強を続け、大きく学力を伸ばせたかもしれません。そのようなリスクがあることも、ぜひ知っておいてください。そして、中学受験をするしないにかかわらず、子どもが小学生のときにしかできないことを思いっきり経験させてあげてほしい。中学生になれば、学習内容もより複雑になったり部活を始めたりして、自由に使える時間はぐっと少なくなります。特に、なんらかの挑戦を伴うような自然体験は子どもの自己肯定感を大きく高めてくれるという研究結果がいくつも存在します。そうした体験は、子どもの生涯にわたって大きな財産となってくれるはずです。『10年後、どんな親子関係でいたいですか?子どもを育てる7つの原則』石田勝紀 著/大和書房(2024)■ 教育専門家・石田勝紀先生 インタビュー一覧第1回:後天的にだって「賢い子」は育てられる。わが子のタイプに着目すれば長所は確実に伸びていく第2回:中学受験に「向いている子」「向いていない子」。教育のプロが教える4つの判断ポイント第3回:「人間力」が高い子の親がしていること。完璧を目指さない7割の子育てが子どもを伸ばす(※近日公開)【プロフィール】石田勝紀(いしだ・かつのり)1968年生まれ、神奈川県出身。教育者、著述家、講演家、教育評論家。Yahoo!ニュース公式コメンテーター。国際経営学修士(早稲田大学)、教育学修士(東京大学)。1989年、20歳で起業し学習塾を創業。4500人以上の子どもたちを指導する。35歳で東京の中高一貫私立学校の常務理事に就任し、大規模な経営改革を実行。2016年からは「カフェスタイルの勉強会〜Mama Café」という子育て・教育の学びの会を全国で年130回以上主宰し、これまでに1万3000人以上の母親から相談を受けている。東洋経済オンライン連載「ぐんぐん伸びる子は何が違うのか?」は、累計1億3000万PV。音声配信メディアVoicy「Mama Caféラジオ」は、1500日以上連続で配信しており、フォロワー数は1万8000人を超える。著書は『同じ勉強をしていて、なぜ差がつくのか?』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『頭のよい子が育つ家のしかけ』(日本文芸社)、『のびる子はやっている 最大効果を出す 小学生の勉強法』(新興出版社啓林館)、『勉強しない子に勉強しなさいと言っても、ぜんぜん勉強しないんですけどの処方箋』(ダイヤモンド社)など全30冊。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2025年05月23日姉たちに比べゆっくりだった、とつおの発達Upload By マミー・マウス子ビッツ初めまして!イラストレーターをしながら4人の子育てに奮闘中の、マミー・マウス子ビッツと申します。現在4人きょうだいとして賑やかな毎日を送るわが家の子どもたちですが、定型発達の長女次女に比べて息子の発達は、一般的な成長の目安通りに進むことがほとんどありませんでした。お座りや寝返り、たっちやあんよなど全てがゆっくりで、何よりも待てども待てどもほとんど発語がありませんでした。しかし息子はコミュニケーションは取れていたため、健診などでも3歳までは様子を見ようとアドバイスされていました。上の子2人を育てる中でいわゆる「一般的な成長」がどんなものであるか良く分かっていた私は、「息子には何かある」とは感じながらも第3子であることと息子の可愛さも相まって、心に余裕を持って育児ができていました。息子が2歳の頃末娘が生まれ、ますますバタバタとしているうちにあっという間に3歳に。それでもやはり発語がほとんど出なかったため、いよいよ発達検査をし軽度知的障害 (知的発達症)との診断が出たのでした。発達支援施設に通い始めた、とつおUpload By マミー・マウス子ビッツ軽度知的障害(知的発達症)との診断を受け、 発達支援施設に通い始めたのは3歳半頃から。息子の場合は指示が通るなど、コミュニケーション能力が高かったため保育園に通っていたのですが、毎朝の行き渋りは年中さんまで続きました。普段の園生活で集団行動を学びながら、 週1と月1で2か所の施設に通い発達支援をしていただきました。4歳を過ぎた頃、初めて「ママ」と呼んでくれてから2語文、3語文と語彙も増え、さまざまなことに自信を持ちお友だちもでき、年中さんである5歳になった頃はトイレでの排便も成功。発達支援においてはSTに加えOTにも意欲的に取り組むようになり、とつおなりの成長を家族みんなで喜んでいました。あっという間に年長さんになり、姉たちも通う小学校の特別支援学級への入学を念頭において、学級見学などをして準備を進めていました。そんな矢先のある日……。忘れられない、6月のある日のことUpload By マミー・マウス子ビッツ息子は急激な発熱で痙攣(けいれん)を起こすことがあったため、てんかんの診断はありませんでしたが、主治医から熱性痙攣(けいれん)を予防するために毎日服用する抗てんかん薬が処方されていました。いつものように朝の検温を済ませ平熱を確認後、抗てんかん薬をきちんと飲み、保育園に登園しました。その日は比較的暑い日でした。午後、保育園で外遊びをしたあと急激に発熱した息子は、 痙攣(けいれん)を起こし、救急車で運ばれたのでした。この発熱は溶連菌感染によるものだったのですが、これをきっかけに入院することとなった息子は、MRIなど検査の結果「脳症」と診断され、体に麻痺が残りました。入院中のリハビリや投薬による治療で少しずつ回復したものの、記憶力や判断力が以前よりも低下してしまうなどの後遺症が見られ、退院後に再度受けた知能検査では中度知的障害(知的発達症)との診断になりました。息子の発達の後退、それでも前に進むUpload By マミー・マウス子ビッツ息子が脳症になってから、まもなく1年が経とうとしています。現在の息子は、倒れる前に比べてできないこともあるけれど、少しずつ着実に回復しています。笑顔で家族のもとへ帰ってきてくれたことが何よりも幸せなことだと、倒れてからのこの1年間のさまざまな出来事を通して感じています。就学前診断や医師の診察も受けるなど、専門家の皆さんから薦められたことも決め手となり、私と夫は息子の特別支援学校への入学を決めました。4月から1年生として新たなチャレンジを始めた、とつお。慣れない新生活に波立つ日もありますが、あらゆる感情を味わいながら家族で前へ進み続けたいと思っています。これから過去の出来事や特別支援学校での様子をコラムとして綴り、同じような気持ちでお悩みを抱える保護者の方々と共に歩んで行けたらうれしいです!執筆/マミー・マウス子ビッツ(監修:室伏先生より)お子さんのこれまでの歩みと、その中での変化を大切に綴られていて、読みながら胸がいっぱいになりました。思いがけない診断や、回復後の変化を受け入れていく過程には、きっとたくさんの葛藤や戸惑いがあったことと思います。そのような困難の中でも、今を前向きに歩まれているご姿勢に、心からのエールを送りたいです。急性脳症は、その多くが感染症に伴って発症し、熱性痙攣(けいれん)や知的障害(知的発達症)のないお子さんであっても一定の頻度で生じうる疾患です。発症時期としては、乳幼児期が多いですが、学童期以降で発症することもあります。意識の悪い状態から回復した後にも、麻痺や知的障害(知的発達症)、発達障害などの後遺症が残ることもあります。とつおくんには複数回の熱性けいれんがあったとのことで、けいれん予防のためのお薬を毎日しっかりと服用されていたとのことですが、残念ながら、こうしたお薬では脳症の発症を防ぐことは難しいのが現状です。急性脳症については、現時点で確立された予防法がほとんどなく、今もなお研究が進められている段階です。特別支援学校という環境の中で、お子さんが自分のペースで安心して学び、成長していけることはとても大切なことです。これまでのご家族の姿勢や工夫、そして何より「とつおくんを信じて見守る」温かいまなざしが、きっとこれからの成長にもつながっていくのだろうと感じました。とつおくんとご家族の歩みが、これからも穏やかで実りあるものでありますように、心から願っています。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
2025年05月22日息子には支援が必要なの?療育のために受給者証を申請、しかしその間にもまた気づかず支援を1つ逃していて……!?Upload By ユーザー体験談Upload By ユーザー体験談Upload By ユーザー体験談Upload By ユーザー体験談療育を受けるために受給者証を取得。しかし、市の心身障害児訓練施設の療育利用を断ってしまったり、発達を診てもらうには1年待ち。そんな時に見つけたのは……発達ナビユーザーからの体験談を元にしたストーリーマンガ「発達障害の子どもと私たち」第3章アキラ編の第3話目はいかがだったでしょうか。アキラくんは5歳でASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けています。知育教室(習い事)で言われた「クレーン現象」がきっかけで息子さんにはASD(自閉スペクトラム症)かも?と感じるようになったM子さん。発達の遅れがある子どもが受けられる「療育」という存在を知り、受けるために必要な「受給者証」を申請しようと決意します。相談と申請に必要な意見書をもらうために半年前に予約した保健センターへ行きますが、その間に市の心身障害児訓練施設「わかば」での療育を打診されます。最初は「できることはやろう!」と思っていましたが、実際わかばは隣の市にあり通うのがかなり大変……。その後かかってきた保健センターからの電話でわかばのキャンセルを募っていると思ったM子さんはわかばに通うことを断ってしまいます。しかし、「今考えると障害児訓練施設の利用ということもあり私が発達の悩みで追い詰められてないかなど気を配っての発言だったのかも」と振り返っています。3歳過ぎてからぽつぽつと言葉も出てきたアキラくん。3歳児健診にてM子さんは発達について診てもらいたいと相談しますが、紹介された療育センターはなんと1年待ち!帰り道に「何かできないことはないのか……」と悩んでいたら目の前に『発達外来』の文字が!次回は最終回となる第4話「発達外来の受診。そして生育歴でやっと気づいた『様子見』の意味」。続きもぜひご覧ください。※心身障害児訓練施設「わかば」は仮の施設名です。イラスト/星あかりエピソード参考/M子(監修:井上先生より)初めてのお子さんで子育てに悩みつつ、発達の遅れに不安を抱いた状態で専門機関である保健センターを訪れることはとても勇気が必要な決断であったと思います。療育という手段があることを知り、それに必要な「受給者証」「意見書」など初めて接する言葉に対する戸惑い、不安、そして自らが判断したり決めなければならないことの多さやさまざまな人が関わる手続きの複雑さ、待ちの長さなど親御さんの負担や不安はいかばかりであったかと思います。支援者にはこの時期の親御さんの心理状態を理解し、共感的でかつ具体的な丁寧な説明が求められます。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2025年05月21日就学・進路の大調査!発達特性のある子どもの中高進学先、受験の割合は?【小学校高学年、中学、高校編】2024年12月20日から2025年2月28日に、LITALICO発達ナビでは「就学・進学アンケート」を行い、発達障害のある子どもの保護者283名の声が寄せられました。アンケートへのたくさんのご回答、ありがとうございました。2022年の文部科学省の調査によると、通常学級に通っている中で特別な支援が必要だと考えられるお子さんの割合は、小学校・中学校では8.8%、高等学校では2.2%という結果になっています。参考:通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する 調査結果について|文部科学省このコラムでは発達障害や特性のあるお子さんの思春期での困りやトラブル、悩み、受験についてや合理的配慮など、アンケートの回答と併せて「就学・進学」にまつわる質問や思いなどもご紹介いたします。今回は「小学校高学年(4.5.6年)、中学、高校編」のアンケート結果を紹介します。気になる中学・高校受験の割合についてや進学先の選び方など皆さんの参考にもなるはずです。回答者や回答者のお子さんの情報については「未就学・小学校低学年編」で公開中です。こちらもぜひ合わせてご覧ください。<調査対象について>「LITALICO発達ナビ」コラムや会員へのメールから、アンケートフォームにて回答いただいた発達障害の子どもをもつ保護者:283名の回答を集計しました。(調査期間:2024年12月20日から2025年2月28日)※設問によっては283名全員が回答していないもの、複数回答可のものがあります。※調査結果の構成割合は四捨五入をしているため、合計が100%にならない場合があります。高学年になって振り返る……就学先は正解だった?合理的配慮についてのエピソードなども【小4以上のお子さんのいらっしゃる方へのアンケート】ここからは小学校4年生以上のお子さんのいる保護者の方の回答とコメントをピックアップしてご紹介します。小学校4年生以上のお子さんの在籍クラスは通常学級が35%と一番多い結果となりました。その後自閉症・情緒障害特別支援学級(22%)、通常学級+通級指導教室(22%)、知的障害特別支援学級(12%)、特別支援学校(5%)と続きます。高学年になり転籍を考えるお子さんも多いのではないでしょうか。Upload By 発達障害のキホン実際に決めた就学先については合っていたと感じた方が64%と一番多い結果となりました。どちらともいえない方は26%、合っていなかったと感じた方は7%でした。特別支援学級の縦割りクラスに支えられることもある一方で高学年になり同級生との差に悩むお子さんもいらっしゃるようです。Upload By 発達障害のキホンアンケートに寄せられたコメントをご紹介します。・合っていたと感じる(知的障害特別支援学級在籍)入学当時は特別支援学級は1クラスしかなく、1~6年生まで全員の合同クラスでした。九九を覚えたり、宿泊行事があったり、それぞれの運動会の過ごし方など、小学校6年間の学校生活を、1年生のときに身近に見知ることができたのが、よい「予告」になったと思います。また、親としても、頼もしい高学年の先輩をこの目で見られたことは、大変心の支えになりました。(以下略)・どちらとも言えない(知的障害特別支援学級在籍)先生が学年が上がる度に変わるが、引き継ぎができていないので、子ども自身が先生のやり方に慣れないといけないので、苦労する。就学先の支援や合理的配慮に満足をしている(22%)、おおむね満足している(47%)という結果となり、合わせて69%の方が満足をされていると回答しています。しかし、あまり満足していない(17%)、不満がある(6%)という方もいらっしゃいます。学年が上がるにつれて悩みも多様化してきますので、そのお子さんに合った支援が望まれます。Upload By 発達障害のキホン・満足している(通常学級)【中学年で困ったこと】小3からは徐々に勉強で困ることが増えてきました。算数はたし算・かけ算は何とかなるが、引き算・わり算の理解に苦戦。桁の概念の理解が弱く、計算問題は扱う数字が1000を超えると扱いが分からなくなりました。国語は小4の終わり頃に漢字を頑張らせることを捨てて、将来に向けてタイピングの練習をする方向に切り替えました。【高学年(小5)で困ったこと】算数は九九を覚えてもすぐ抜けていく対策が必要でした。図形問題は計算が比較的簡単なので得意ですが、通分と約分が必要な分数同士の計算、割る数に小数点を含むわり算の筆算など、手順が多く目線の複雑な移動が必要な問題は、途中で迷子になってどうしたらいいのか分からなくなりました。国語は、漢字を捨てたことで逆に安定したようです。生活面では、友だちと夜遅くまでオンラインゲームで遊んでしまうことで入眠の困難さが増すなど、タイムスケジュールの乱れからくる情緒の不安定さ・気持ちの切り替えの鈍さが目に付くようになってきました。・満足している(自閉症・情緒障害特別支援学級)交流学級での失敗を、なぜダメだったか、どうすれば良かったのか等、特別支援学級で丁寧に教えてもらえた。学習もマンツーマンで丁寧に教えてもらえたので良かった。・おおむね満足している(通常学級)3年生から申し出て、なかなか思うような支援が受けられなかったが、5年生の途中から、専科の先生により、板書がタブレットにテストの時は補助がつくなどしてもらっていて、過ごしやすくなっていると思う。※特定の就学先によって困り事が生じたり解決したりするわけではなく、あくまで子どもの状態と環境によって変わりますので注意が必要です。中学校の在籍クラスは?【中学生以上のお子さんの保護者アンケート結果】中学の在籍クラスは通常学級が55%と半数を占める結果となりました。続いて自閉症・情緒障害特別支援学級が17%、通常学級+通級指導教室が13%、知的障害特別支援学級が10%となっています。Upload By 発達障害のキホン中学受験はした?【中学生のお子さんのいらっしゃる方へのアンケート】ここからは中学生以上のお子さんのいる保護者の方の回答とコメントをピックアップしてご紹介します。中学受験をしたお子さんは29%、していないお子さんは71%という結果になりました。私立中学でも合理的配慮が義務化されたことにより、私立中学の選択をする方も多くなっているのかもしれません。Upload By 発達障害のキホン・本人が、地元の学校でないところに行きたいと言い出したのが一番の決め手になり、小5の三学期あたりから急いで学校探しと、受験勉強開始。どうにか入れるところ、入りたいところがみつかり、合格もいただけました。入学してみれば、同じようなタイプの子、同じような特性のある子がチラホラいて、過ごしやすさもあり、特性ある子同士のトラブルもありつつ、楽しく過ごしてます。・目を見て話をすることが苦手だったので、面接の練習を校長先生やほかの先生に、本人がお願いし協力していただきました。また、人前で発表したりすることに慣れるため、集会広報委員になりました。全校生徒の前でも、司会進行や代表挨拶など、自分で考え周りの意見を聞きながら行動する力をつけたと思います。中学への進学、進路先はどこに決めた?トラブルや話し合いの内容など・小学校自閉症・情緒障害特別支援学級→私立中学校受験小学校からは『特別支援学級から中学受験をした子はいないので……』ということで、わが家が前例をつくる立場になりました。なんせ、学校からはずいぶん心配されました。あと、地元の公立中への進学のように情報を密につなげないもどかしさも持ってくださっていたよう。でも、小学校とはトラブルなく、私立中受験のことを応援していただいたと思っています。・小学校通常学級→大学付属中学校受験本人はいじめのこともあり女子校を希望していましたが、親としてはその先の進学のことも考えて共学の大学付属校を考えていたため、そのあたりのすり合わせでお互い妥協するまで少し時間がかかりました。・小学校通常学級+通級→公立中学校通常学級+通級6年の夏休みに発達検査を実施。結果と担任、通級担当の先生の報告書を中学校へ提出した。通っていた小学校から移動した先生が教頭になり、通級指導教室を新設したため、話がスムーズだった。・小学校自閉症・情緒障害特別支援学級→私立中学校受験小5になったタイミングで、主治医から、公立の中学校だと、配慮に限界があるので、手厚い支援を望むなら、私立の受験を考えるように勧められました。※必ずしも公立中学よりも私立中学が手厚いという訳ではありませんので注意が必要です。アンケートに寄せられたコメントをご紹介します。・小学校通常学級私立中入学後に学校とトラブルになったら困るので、オープンスクールや学校相談会で、必ずわが子は発達障害がありこのような特性があるが、入学していいか、入学後どのような受け入れになるか聞いていました。私立ですから、発達障害に対しあまりいい顔をされない学校もあり、そこは避けました。正直に学校側からも答えていただいていたことは、よかったと思います。・小学校通常学級+通級指導教室通級指導教室を継続するかどうかを迷いました。小6の時にご担当くださったベテランの先生の勧めで、中学校も継続することにしました。・小学校自閉症・情緒障害特別支援学級地元の公立中学には行かずに、公立中高一貫校を受験するつもりでいたが、子どもが高学年になって受験する気持ちが薄れてしまったために受験を断念。本人が地元公立中学を希望した。決めた進路先は子どもに合っていたと感じましたか?の質問では合っていたと感じるが約半数の55%、どちらともいえないが25%、合っていなかったと感じるが18%の結果となりました。Upload By 発達障害のキホン・合っていたと感じる(中学:自閉症・情緒障害特別支援学級在籍)中学生ともなると、新たな悩みも発生します。特別支援学級の担任や支援員さんと共有して共に歩んだ気がします。たくさん勉強させていただきました。・合っていなかったと感じる(中学:通常学級在籍)普通の中学は「小テスト、テスト、部活、行事」に日々追われて忙しいのが一般的。そういう生活がうちの子には合わなかった。中学進路先の支援や合理的配慮に満足しているかの質問に対しては、満足しているが19%、おおむね満足しているが38%と、半数以上の57%の方が満足している一方で、あまり満足していないが21%、不満があるが10%という結果になりました。成長をし、思春期を迎え勉強、交友関係など小学校時代とはまた違う悩みがでてきているようです。Upload By 発達障害のキホンアンケートに寄せられたコメントをご紹介します。・満足している(中学:自閉症・情緒障害特別支援学級在籍)中学では小学校の時に比べ、本人も成長しているので、小学校の時のような支援ではなく、本人に合わせた距離感、濃密さの支援であった。・おおむね満足している(中学:通常学級+通級指導教室在籍)年齢が上がるにつれ通級に行っている間にある授業に出られないことを嫌がるようになった。通級の内容自体は好きだが普段の授業が分からなくなることを気にしていた。・あまり満足していない(中学:通常学級在籍)緊張が強く人見知りもはげしかったため、おなじ小学校出身の子と、何名かは同じクラスになるように配慮してもらったが、場面緘黙については、あまり知られていなかったのか、理解がなく、皆と同じようにみんなの前で発言することを強制されたり、しんどい場面も多くあった。感覚の過敏さから、体育祭の応援合戦の練習はつらかったようだが、上級生が指導するため、合理的配慮はなかなか受けられずしんどい思いをしながら、参加せざるを得ない状況だった。コロナ禍のため、応援合戦が中止だった年は助かった。高校の進路、いつから考え始めた?受験エピソードや高校卒業後の進路についてなど【高校生のお子さんのいらっしゃる方へのアンケート】ここからは高校生以上のお子さんのいる保護者の方の回答とコメントをピックアップしてご紹介します。中学卒業後の進路については41%の方が「中2」と回答をしました。その次に中1・27%と続き、進路先の見学などに備えて早めに考えるご家庭が多いようです。Upload By 発達障害のキホン受験をしたお子さんが76%という結果になりました。中学受験をしたお子さんの結果が29%なので、高校受験はかなり多くの方が通る道のようです。Upload By 発達障害のキホン・通常学級+通級指導教室/進路について考え始めた時期:中2将来なりたい職業を考え、そこに辿り着くために必要な進学先を絞り、その中から見学し決めた。・通常学級+通級指導教室/進路について考え始めた時期:中2体調があまり良くなくて、通信制で考えていました。スクーリングは心配でしたが、本人がワクワクする視点で学校を決めてもらいました。心配な点は私が学校に掛け合って合理的配慮をお願いするからあなたは心配な部分は考えなくていいんだよ!って伝えました。不安な部分は知ってる方に聞いたり、学校に確認していきながら徐々に減らしていくことができました!・結果に対する恐怖が尋常ではなく、追い詰められると声を発してしまうので、中学校の先生のアドバイスで別室受験しました。・高校説明会で個別相談で本人の特性を伝えた上で相手の様子を見て預けても大丈夫そうな高校にした。推薦で早めに進学先を決めて準備期間を長く持てるようにした。・県立高校でも必ず面接があるので、中学で生徒全員に所作や話す内容をチェックしつつ徹底的に練習を行ってくれた。息子はなかなか合格点をもらえなかったが、できるまで何度も練習していたようだ。本番の面接は想定した質問と違っていて対応できず(本人談)結果はギリギリの点数だった。結果は合格でした。中学卒業後の進路先は普通科高校が49%と一番多い結果でした。そのあとに通信制高校+サポート校(13%)、特別支援学校高等部(11%)と続いています。通信制高校(7%)と通信制高校+サポート校(13%)を合わせると20%となり、進学先に通信制高校を選ぶ方も多かったです。Upload By 発達障害のキホン・中学/通常学級→普通科高校へ進学息子にあった学校であるかどうかを考慮した。実際に学校説明会などで希望校の先生がおられるブースで、息子の特性と障害があっても受験が認められるか、受験が認められ合格後入学した場合に、必要な配慮は受けられるかを尋ねた。3校の先生に同様の内容で質問をしたが、どの学校も障害は問題にならないこと、過去にも特性のある学生は何人もいて、問題なく学生生活を送れていることなどを説明してくれた(いずれも私立学校)・中学/自閉症・情緒障害特別支援学級→単位制高校へ進学私は、その先の進路を見据えて特別支援学校が良いと思いましたが、本人の希望で高等学校へ進学。全面本人の希望で挑めることは、この時期しかないのかも、と思い応援しました。・中学/自閉症・情緒障害特別支援学級→通信制高校+サポート校へ進学本人が中学でうまく行かなかった分、高校で友だちと過ごしたり、通信制の中でも通学型にこだわりいろいろ模索したが、送迎も考慮し、市内にできた2年目の通信制高校に決めた。中学卒業後の進路先について合っていたと感じる方が75%と一番多く、どちらともいえないが17%、合っていなかったと感じるが8%という結果になりました。Upload By 発達障害のキホン・合っていたと感じる(中学/通常学級→普通科高校へ進学)ほぼ毎週担任の先生から電話をいただいて学校での状況を教えてくれています。特性も理解してくれ、サポートのやり方も素晴らしく安心して通わせています。・合っていたと感じる(中学/通常学級+通級指導教室→高等専門学校へ進学)似たタイプのお子さんが多い!(見た目も似ている!笑初めて、入学式でわが子を見つけられないという事態に…笑)いま高専で卓球部をつくろうと頑張っています。仲間を集め、顧問を探し、必要な手続きのために学生組織に掛け合うなど、中学校まででは考えられない行動力を発揮しています。誰も彼のことをバカにしたり煽ったりしない、という環境がそうさせるのだと思います。精神的に安心で安全であることが、どれほど子どもの成長にとって大事なことか、眼前で証明されているようです。・どちらともいえない(中学/通常学級+通級指導教室→高等専門学校へ進学)何度か体験授業などに参加し、入学後2か月は登校できていたが友人とのトラブルがきっかけで登校できなくなり退学となった。そのため、あっていたかどうかは分からない。進路先の支援や合理的配慮については満足している(31%)、おおむね満足している(36%)を合計して67%の方が満足をしている結果となりました。あまり満足していないは12%、不満があるは7%となり、支援を受けることによっての対人関係などで不安を感じることもありそうです。Upload By 発達障害のキホン・満足している(中学/通常学級+通級指導教室→普通科高校へ進学)対人関係や気持ちの不安定さから、自傷行為が多かったが、高校で休憩場所を設定してくれたり、カウンセラーに定期的に面談したりできた。何か問題があってもすぐに対応してくれ信頼関係ができた。・あまり満足していない(中学/自閉症・情緒障害特別支援学級→普通科高校在籍)特別支援学級ではないので、みんなが自分のことを支援が必要な人と認識しておらず、困っていても誰に声かけたらいいか分からない様子でした。また、支援が必要な人と周囲に認識されることも怖くて合理的配慮が利用できない状況です。高校卒業後の進路については多岐に渡ります。その中でも一番多かったのが大学(46%)でした。その次に専門学校(22%)となり進学を選択する(する予定)の方は68%となりました。一方就労については合計して18%となり、内訳としては障害者雇用での就職(7%)が一番多い結果となりました。Upload By 発達障害のキホン小学校高学年の合理的配慮、発達障害でも受験は可能?特別支援学級だと内申点がつかないの?専門家が解説!Q:小学校高学年になってきて低学年の時と違う合理的配慮の必要性を感じています。宿題やグループ学習時の配慮などをしてもらっていますが本人も勉強や周りについていけないようでつらそうです。特別支援学級への転籍も考えたほうがよいのでしょうか。A:いきなり転籍を考えるのではなく、通級指導教室などの利用を行って、個別の学習でどの点を補完していくとよいのかをアセスメントしたうえで転籍の判断をされると良いと思います。転籍先の特別支援学級の人数やメンバー、個別のニーズにどれくらい合わせてもらえそうか、交流学級との授業との割合などによっても変わってきます。また、本人が特別支援学級を体験し、メリットを感じるかどうかも大切な要素になるでしょう。(回答:井上 雅彦先生(鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授))Q:中学受験を考えていますがどのような配慮をしてもらえるのでしょうか?今後高校受験もすることを考えると学校側の迷惑にならないか不安です。A:発達障害などの診断があれば合理的配慮を求めることで入試の際の個別的な配慮は可能になります。ただし受験前の在籍校での個別の教育支援計画の中に合理的配慮の事項が記載されていたり、テスト時などでの配慮の実績を求められることがあります。(回答:井上 雅彦先生(鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授))Q:中学では自閉症・情緒障害特別支援学級に通っています。特別支援学級だと内申点がつかないなどと聞きましたが高校受験が不利になってしまうのでしょうか。A:障害があることや特別支援学級在籍であることによって入試が不利になることはありません。自治体や教育委員会によっても違いますが、内申書に代わる評価を行っているところもありますので在籍校や地域の教育委員会、私立であれば受験先の学校に訊ねてみてください。(回答:井上 雅彦先生(鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授))(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2025年05月17日娘の睡眠障害歴は15年、母は万年寝不足特別支援学校に通う重度知的障害がある娘には、幼児の頃から睡眠障害がありました。障害の影響で脳波異常があるせいか睡眠はコマ切れ、いつまでたっても乳児のような睡眠で1~2時間おきに目を覚ますので、娘が1歳を過ぎたころに仕事復帰した私は万年寝不足。結局寝かしつけには添い乳しか方法がないように思えて、小学生になっても添い寝添い乳する毎日を続けていました。さすがに小学校中学年位からは添い乳は卒業しましたが、今度は寝かしつけの方法がない。コマ切れ睡眠の上に、5~6時間後にはすっかり目を覚まし遊び始めるのです。つまり、娘が22時に寝るとすると、3時か4時には完全に起きるわけです。寝かしつけから寝入るまで1時間以上かかることも多かったのですが、その間は真っ暗にしていないといけません。添い寝している大人が先に寝てしまうと娘は絶対に寝なかったので、大人はじーっと娘が寝入るまで腕枕でそばにいる必要がありました。ぐっすり寝入り、腕枕を外しても大丈夫かなという頃合いを見て寝室を出て、家事や残った仕事をする。そうすると、私が就寝する時間は午前0時をまわります。しかし、娘は明け方前に目を覚ます。つまり、私が眠れるのは3時間か4時間という毎日です。Upload By ユーザー体験談母の体は限界、病気に。メラトベルの処方へ睡眠不足の毎日が祟ったのか、数年前には腎臓を悪くし「このままでは人工透析になるかもしれない」と病院で告げられました。私が倒れたら大変……そう思って、思い切って娘の主治医に入眠しやすくなる薬を処方してもらえないか相談をしました。当時、日本では病院で処方ができなかった「メラトベル」が小児に処方できるようになった時期でした。メラトベルはメラトニンを補う薬で副作用もほとんどないと聞いて、それであればぜひ試してみようと思ったのです。娘の障害には睡眠障害を伴うことは主治医もご存じでしたので、すぐにメラトベルを処方してもらえました。すると驚くことに、いままで入眠に1時間以上かけていた寝かしつけが30分以内に。それだけでもずいぶん楽になりました。しかし、トラブルはまだ続くのです。添い寝、腕枕の影響で頸椎ヘルニアに娘は寝るときに腕枕をしないと寝つけない。しかし中学生になると40キロを超え……体はすっかり大人の娘を腕枕するのは重い……。娘が寝入ったら腕を外すのですが、夜中に目を覚ました娘はおそらく寝入ってる私の腕をとって腕枕にするため、朝起きると肩の痛みや手のしびれに気づくことも多くありました。腕枕をして15年近く。私の肩や腕は限界だったのでしょうか。数か月前から、肩に激痛が走るようになりました。五十肩?と思って整体に行ったり湿布を貼ったりしても一向に良くなりません。さすがにおかしいと思い、整形外科に行ってMRIをとると、頸椎ヘルニアになっていて、その影響で肩まで痛くなっていることが分かりました。悪化したら手がずっとしびれてしまうかもしれません。腕枕している間はもちろん、していないときも、娘がどんどん私の方によって来るため、50センチくらいの幅で寝ることになり、十年以上ろくに寝返りも打てなかったのもよくなかったようです。意を決して別々のベッドに!意外にも……!?添い寝しないと寝てくれない。でもこれ以上は私の体が限界になってしまう。今まで、シングルベッドを2つくっつけて寝ていましたが、「もうお姉さんなので、ママとは違うベッドに寝ます!」と(半ば強引に)宣言し、ベッドを離してみることにしました。最初は納得がいっていなかった娘でしたが、メラトベルの効果でうとうとしている状態だったためか、なんとか寝てくれました。明け方になるとやはり気持ちのコントロールが難しいのか、こちらのベッドにやってきますが、5時から6時までの1時間程度なら私も耐えられます。最近は、寝るときに自分の足だけ私のベッドにのせて、かすかに母を感じながら寝る技も見出したようです。ようやく!十数年ぶりに!朝まで熟睡できる毎日を送ることができるようになりました。娘自身も、一人でベッドで寝たほうが睡眠が深そうです。以前は私が隣で動くと、振動で眠りが浅くなるらしく、そのたびに目を覚ましそうになっていたのですが、夜中に目を覚ますこともなくなりました。Upload By ユーザー体験談もっと早くベッド離すことができたのかも?とも思いますが、今がきっと娘の心の成長的にもよいタイミングだったのではないかなとも思います。まだまだ一人きりでは入眠はできず、部屋を真っ暗にして隣のベッドで寝入るまで一緒にいてあげる必要はありますが、お互いのQOLはぐっと上がりました。重度の知的障害があり、成長は亀のように遅いですが、それでも少しずつ成長しているし、気持ちのコントロールもできるようになってきているのだなぁと思うと感慨深いです。イラスト/よしだエピソード参考/こっこ(監修:鈴木先生より)「寝る子は育つ」という言葉もあるように、睡眠障害のあるお子さんは成長ホルモンの出が悪く、低身長になる傾向があります。日中の活動を高め、バタンキューで眠ることができれば良いのですが、重度の知的障がいや神経発達症のあるお子さんは睡眠に問題のあるケースが多くみられます。入眠を早くするためにメラトニンのサプリメントを以前は海外から輸入して利用している方が多かったのですが、最近は神経発達症の診断がついていれば16歳未満に限ってメラトベル(メラトニン製剤)を処方することが可能となりました。睡眠をよくするための睡眠衛生環境も重要です。常夜灯のような弱い灯でもメラトニンを抑制して目覚めさせてしまうこともあるので、ホテルのように小さな窓で照明の明るさも抑えて、寝る時には真っ暗な状態が望ましいのです。従って、寝る前に電子メディアを見るようなことも控えましょう。日中の散歩をお勧めします。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
2025年05月15日子育て楽じゃありません
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