確定申告は、自営業などの人が、前年の所得を申告し税額を確定させる手続きで、今年は2月18日から3月15日まで。そんな確定申告が、今年からスマホでできるようになるという。経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれた――。【払いすぎた税金はスマホからの確定申告で取り戻せます】もうすぐ確定申告が始まります。会社員でも、医療費を多く使ったり、ふるさと納税などの寄付をたくさんした方などは、申告すると払いすぎた税金が戻ってきます。ただ「申告書を書くのは面倒だ」という方もいました。そんな方に朗報です。今年から、スマホで確定申告ができるようになります。スマホ専用の作成ページに入力すればよいので簡単です。スマホでの確定申告ができる方は、まだ限定的です。副業などのない会社員で、年末調整済みの方。かつ、会社からの給料以外に収入がない方の、医療費や寄付金の控除申告を行う際に限られます。また昨年までは、インターネットで申告書を送る「e-Tax」を利用するには、マイナンバーカードとそれを読み取るカードリーダーが必要でした。これらがない場合は、作った申告書を印刷して税務署に持参するか、郵送しなければなりませんでした。今年からは、マイナンバーカードの代わりに、税務署が発行するIDとパスワードがあれば、e-Taxが利用できます。スマホで作った申告書は、印刷する必要もなく、3,000円程度といわれるカードリーダーを買うこともなく、そのまま税務署にインターネットで送ることができます。IDとパスワードは、事前に本人が税務署に行き、身分証明を示せば交付されます。これさえあれば、あとは自宅作業なので、今年は控除の申告をしてみませんか。税金控除の申告でもっとも多いのは、医療費控除です。’17年からセルフメディケーション税制も加わり、該当する方が増えています。医療費は、家族が病院で払った治療費や薬局で買った市販薬代などを合算し、年間で10万円を超えた分を控除できます。セルフメディケーション税制は、病院で処方される薬から市販薬に切り替えられた「スイッチOTC医薬品」だけを合算し、年間1万2,000円を超えた分が控除できます。ここでいう家族は、「生計が同じ」が条件です。単身赴任中の夫や下宿している子どもなども、同じ家計で暮らす家族。また、離れて住む親に仕送りをしていれば、親も同じ家計、家族とみなされます。医療費の控除を受ける際は、離れて暮らす家族の分も忘れずに、レシートを集めてください。ただし、医療費控除とセルフメディケーション税制は、どちらか一方しか利用できません。迷う場合は、税理士に相談してください。また、去年は災害が非常に多い年でした。被災した方は、被害額を申告することで税金を減らすことができます。控除の方法は、雑損控除か災害減免法による控除の2通りから得なほうを選べます。とはいえ、専門家でないと判断が難しいので、税理士にご相談を。税金の払いすぎは、家計のムダ遣いです。きちんと申告して取り戻し、税金は正しく納めましょう。
2019年02月08日1月18日、来年度の公的年金の受給額が発表された。’19年度は0.1%の引き上げ。この決定は物価の上昇に比べると実質目減りになるという。経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれた――。’19年度は0.1%の引き上げです。厚生年金は、40年間夫が会社員で妻が専業主婦だったモデル夫婦が今年度より227円増えて、月22万1,504円。国民年金は、40年間保険料をかけ続けた満額の方1人分が、67円増えて月6万5,008円です。景気のよいニュースも聞こえるなか、年金額が今年度とあまり変わらないのは、「マクロ経済スライド」が発動されたからです。どういう仕組みか、見ていきましょう。もともと年金は、物価に合わせて受給額が変わるものでした。しかし少子高齢化が進み、年金を支える現役世代が減って、年金をもらう高齢者が増加。年金財政はご存じのとおり、ひっ迫しています。そこで、’04年に導入されたのがマクロ経済スライドです。現役世代の賃金と物価を基準として、人口構成の変化などから算出する「調整率」を差し引き、年金額を抑えようとするものです。ただし、マクロ経済スライドは、賃金も物価も前年より上昇した年に限って発動されます。’19年度は両方上昇したので、4年ぶりの発動となりました。具体的には、指標となる賃金上昇率が0.6%なので、本来なら年金も0.6%アップとなるところですが、調整率の0.5%が差し引かれることになりました。マクロ経済スライドは導入から15年たちますが、デフレ下では発動されないため、今回が2回目の発動です。政府のもくろみより年金額の抑制が遅れているため、’18年度から、マクロ経済スライドが発動されない年の調整率を翌年以降に持ち越す「キャリーオーバー制」が導入されました。’19年度の調整率である0.5%は、’19年度分の0.2%と、’18年度から持ち越された0.3%を合算したものです。そのため、0.5%という大きな減額になり、来年度の年金額は0.1%アップにとどまったのです。とはいえ、年金額自体は今より若干増えるため、危機感はそれほどないかもしれません。ですが、物価は1%上昇しています。年金は実質的に目減りしているのです。今後も年金は抑制されます。経済状況によりますが、約25年後には今より年金額を2割減らす試算もあります(’14年・厚生労働省)。たとえデフレでも、調整率がキャリーオーバーされ、マクロ経済スライドの発動時にまとめて引かれますから、年金の実質目減りは、ずっと続くと覚悟してください。私は、しっかり家計をやり繰りすれば、年金だけで暮らせると考えています。ただ、今までどおりの暮らしを続けるのは危険。年金だけでの暮らしを守るには、家計のスリム化が不可欠です。特に、よくわからないことにお金をかけないこと。たとえば保険は手厚い特約を付けても、請求を忘れるようなら保険料がムダです。また、投資も、銀行窓口で投資信託を買った人の46%が損をしているというデータがあります(’18年7月・金融庁)。よくわからない投資で損するなどムダ。ムダはとことん、なくしましょう。
2019年02月01日ちょっとの工夫で少しの得でも、積もり積もれば、結果は全然違う。年金は当てにできないと思う人は必読。経済ジャーナリストの荻原博子さんが、年金受給額をふやすための裏ワザを教えてくれた――。「老後が心配だ」と多くの方が口にします。しかも高齢の方より、40代、50代の現役世代のほうが、不安感が大きいように思います。ですが私は「老後は年金だけで暮らせる」と考えています。40代、50代の方が老後を迎えるころも、大丈夫だと思います。ただし、年金制度をきちんと知って、十分に活用することが大前提です。私はこのほど、『年金だけでも暮らせます決定版・老後資産の守り方』(PHP新書)を出版しました。そこには、年金だけで暮らすための極意を詰め込んでいます。今回はその中から、特に40代、50代の『女性自身』読者の皆さんに今知ってほしい、年金を増やす裏ワザをお伝えしたいと思います。公的年金には大きく分けて、国民年金と厚生年金がありますが、今回は2組の夫婦を例に考えます。1組目は、夫が40年間会社勤めで厚生年金、妻はその間ずっと専業主婦だった「厚生年金モデル夫婦」です。2組目は、自営業などで2人とも40年間国民年金の保険料を払い続け、満額を受給できる「国民年金夫婦」です。まず、それぞれの今の年金額を知っておきましょう。厚生年金モデル夫婦は月約22万1,000円で、国民年金夫婦は月約13万円です(’18年度・厚生労働省・夫婦2人分)。では、今40歳の方が年金をもらい始めるころの年金額はどうなっているのでしょうか。将来の年金額は、厚生労働省が5年に1度「財政検証」を行い、試算します。前回’14年の財政検証でもっとも標準的な経済状況では、今から約25年後、’43年度の年金月額は、厚生年金モデル夫婦が約24万4,000円、国民年金夫婦が約12万5,000円となっています。現状より少しよいか現状並みに見えますが、実は、現役世代の給料が今より1.39倍に増え、物価も上がっていることを前提にしています。これを基に今の価値に換算すると、厚生年金モデル夫婦で月約18万円、国民年金夫婦で約9万円相当になります。つまり、今40歳の方が年金をもらい始める25年後は、今より2~3割程度、年金が減るということです。「老後がますます不安だ」と嘆く前に、今から紹介する年金アップの裏ワザをぜひ試してください。■国民年金のまとめ払い国民年金の保険料は現在、毎月払いだと1万6,340円です(’18年度・厚生労働省)。これを6カ月分まとめて口座振替で払うと、毎月払いより1,110円安くなります。まとめ払いは6カ月のほか、1年、2年とあり、長期ほど割引額は大きくなります。2年払いの口座振替は、毎月払いより1万5,650円安くなります。2年払いの保険料は1人分で約38万円と高額ですが、一度目だけ貯金からねん出し、それ以降は毎月払いの保険料を払ったつもりで貯めておきます。2年後、保険料貯金から2年払い保険料を払うと、手元に1万5,650円が残る計算です。夫婦2人とも2年払いにすると3万1,300円残りますから、これを老後貯金に回しましょう。今40歳の国民年金夫婦が、これから20年間2年払いにすると、割引総額は1人分で15万6,500円、2人分なら31万3,000円です。まとめ払いの申し込みは、毎年2月末までです。国民年金の方は、今が切り替えのチャンスです。■付加年金国民年金には、保険料に月額400円を上乗せして払う「付加年金」という制度があります。これを利用すると、将来年金をもらうときに、200円×付加年金を払った月数分がプラスして支給されます。たとえば、40歳の方が60歳まで、付加年金を払ったとします。付加年金分の保険料総額は、400円×12カ月×20年間=9万6,000円です。年金をもらうときには、200円×12カ月×20年間=4万8,000円が毎年、国民年金に加算されます。毎月の年金額にするとわずか月4,000円ですが、月400円の付加年金保険料からすると10倍です。付加年金でもらえる年金額は、保険料を払う月数に比例しますから、できるだけ早く手続きすることをお勧めします。さらに、付加年金の上乗せは一生続きます。先の40歳で付加年金を始めた方は、年金をもらい始めて2年たつと、付加年金分として4万8,000円×2年間=9万6,000円受け取れ、支払った保険料の元が取れます。3年目以降はずっと“もらい得”が続くことになります。女性の平均寿命は87.26歳です(’17年・厚生労働省)。88歳まで生きた方がもらえる付加年金は、23年間で約110万円。払った保険料を差し引くと約100万円お得です。これは1人分ですから、国民年金夫婦の方は、ぜひ夫婦2人そろって早めに手続きしてください。■年金の繰下げ受給年金は、国民年金も厚生年金も、65歳からの支給が原則です。ですが希望すれば、60~70歳の間の好きなタイミングでもらい始めることができます。65歳より早くもらい始めることを「繰上げ受給」、65歳より遅くもらい始めることを「繰下げ受給」といいます。65歳より早くもらい始めると、0.5%×早くもらった月数分が減額されます。たとえば60歳からもらい始めると、0.5%×12カ月×5年=30%の減額です。国民年金満額の方の年金額は月約6万5,000円ですが、5年繰り上げて60歳からもらい始めると30%減額され、月約4万5,000円になります。早くからもらえるのはメリットですが、76歳以上長生きすると、一生に受け取る年金総額で損になります。反対に、65歳より遅くもらい始めると、0.7%×受給を遅らせた月数分が増額されます。たとえば70歳からもらい始めると、0.7%×12カ月×5年=42%アップです。今40歳の厚生年金モデル夫婦は、65歳からの年金額が月約18万円でした。2人とも70歳からもらう5年繰り下げを行うと、月18万円×42%=約7万6,000円増額され、月約25万6,000円になります。国民年金夫婦も2人とも70歳からの受給に繰り下げると、月約9万円の年金が42%アップで月約12万8,000円になります。どちらの夫婦も81歳以上長生きすると、年金総額でお得になります。特に自営業の方は定年がありませんから元気で長く働いて、年金を遅くもらい始める繰り下げを活用するといいと思います。
2019年01月25日ちょっとの工夫で少しの得でも、積もり積もれば、結果は全然違う。年金は当てにできないと思う人は必読。経済ジャーナリストの荻原博子さんが、年金受給額をふやすための裏ワザを教えてくれた――。「老後が心配だ」と多くの方が口にします。しかも高齢の方より、40代、50代の現役世代のほうが、不安感が大きいように思います。ですが私は「老後は年金だけで暮らせる」と考えています。40代、50代の方が老後を迎えるころも、大丈夫だと思います。ただし、年金制度をきちんと知って、十分に活用することが大前提です。私はこのほど、『年金だけでも暮らせます決定版・老後資産の守り方』(PHP新書)を出版しました。そこには、年金だけで暮らすための極意を詰め込んでいます。今回はその中から、特に40代、50代の『女性自身』読者の皆さんに今知ってほしい、年金を増やす裏ワザをお伝えしたいと思います。公的年金には大きく分けて、国民年金と厚生年金がありますが、今回は2組の夫婦を例に考えます。1組目は、夫が40年間会社勤めで厚生年金、妻はその間ずっと専業主婦だった「厚生年金モデル夫婦」です。2組目は、自営業などで2人とも40年間国民年金の保険料を払い続け、満額を受給できる「国民年金夫婦」です。まず、それぞれの今の年金額を知っておきましょう。厚生年金モデル夫婦は月約22万1,000円で、国民年金夫婦は月約13万円です(’18年度・厚生労働省・夫婦2人分)。では、今40歳の方が年金をもらい始めるころの年金額はどうなっているのでしょうか。将来の年金額は、厚生労働省が5年に1度「財政検証」を行い、試算します。前回’14年の財政検証でもっとも標準的な経済状況では、今から約25年後、’43年度の年金月額は、厚生年金モデル夫婦が約24万4,000円、国民年金夫婦が約12万5,000円となっています。現状より少しよいか現状並みに見えますが、実は、現役世代の給料が今より1.39倍に増え、物価も上がっていることを前提にしています。これを基に今の価値に換算すると、厚生年金モデル夫婦で月約18万円、国民年金夫婦で約9万円相当になります。つまり、今40歳の方が年金をもらい始める25年後は、今より2~3割程度、年金が減るということです。「老後がますます不安だ」と嘆く前に、今から紹介する年金アップの裏ワザをぜひ試してください。■厚生年金の加給年金厚生年金に20年以上加入している夫が年金をもらい始めるとき、年下の妻を扶養していたら、妻が65歳になるまで「加給年金」がもらえます。加給年金は18歳未満の子がいる場合などにも支給されますが、妻の場合は、年22万4,300円。妻の年齢による特別加算も付きます。先の厚生年金モデル夫婦の妻が夫より年下だった場合は、特別加算も合わせて年約39万円もらえます。月約3万3,000円ですから、忘れずに年金事務所にお届けを。1つ注意点があります。加給年金をもらえる方が、年金を65歳より遅くもらい始める「繰下げ受給」を行い、実際に年金をもらおうというときに、妻が65歳を過ぎていたら加給年金は一切もらえません。そういう方は、厚生年金部分と国民年金に当たる基礎年金部分とを分けて、基礎年金だけ繰り下げる手もあります。夫と妻との年齢差などで、加給年金を何年もらえるか、厚生年金を繰り下げたほうが得かが変わります。よく比べて考えてみてください。■企業年金などもらい忘れをチェック読者の皆さんには、若いころは会社勤めをしていた方もいるでしょう。そのとき働いていた会社で企業年金や厚生年金基金に加入していれば、たとえ1カ月だけの加入でも企業年金が一生もらえます。ただ企業が独自に行う企業年金は、結婚して名字や住所が変わってしまうと、本人が申し出ない限り支給するのがむずかしく、もらい忘れている方が130万人もいるそうです(’12年度末・厚生労働省)。心当たりのある方は勤めていた会社か、企業年金の加入期間が10年未満と短い方などは、企業年金連合会に問い合わせてください。
2019年01月25日問題山積みのまま新時代へと突入する’19年。経済ジャーナリストの荻原博子さん(64)が、立憲民主党の枝野幸男代表(54)に、今後の日本経済の行方について問う。題して「2019年、日本はどうなる」緊急対談。荻原「10月に消費増税が施行されたら景気が冷え込むのは間違いありません。国民にとって何のメリットもない。安倍総理だって、消費増税をやるデメリットは、よくわかっているはず」枝野「当面、大衆課税は無理ですよ。日本の今の消費不況からすると、そんなことをやれる状況ではない」荻原「安倍政権がやってきたことは、法人税を下げて消費税を上げる。つまり、家庭から企業にお金を移転させるということですね。それでなんと150兆円も企業の内部留保は増えたが、みんなの給料は上がらずという悪循環……」枝野「今やらなければいけない景気対策は『格差の是正』です。金持ちほどカネを使わないのが経済の大原則です。法人税や高額所得者に対する所得税を上げることなど、まずそっちをやらないと。そして所得が低めの人の賃金、所得を底上げする。所得が低めの人がお金を使えば消費は上向きます。格差を是正し、将来への不安を解消することが国民における消費を拡大させ、日本経済を立ち直らせると思っています」荻原「所得の底上げが大事だとおっしゃいましたが、具体的にはどんな方法がありますか?」枝野「介護や保育といった人手が不足しているところに、たくさんのニーズがあります。実は、国が直接的に給料を上げられる分野の代表が介護と保育なんです。ところが、どちらも需要があるのに低賃金。ここにお金を回せば、職員の賃金の底上げができる。国がどのくらいお金を出すかにかかっているわけですよ。需要があるところで、充実したサービスが受けられる場所が増えれば、老後や子育ての安心も高まるので一石二鳥や三鳥なんですよ」荻原「枝野さんは、消費不況を脱却するための対策として、“低所得の人たちの賃金、所得の底上げ”が、最も近道だということですね」枝野「われわれは従来から右とか左でもなく、上からと下からと両方から変えると言ってきました。今年は選挙もあるので、それをどうかみ砕いてわかりやすく伝えるか。伝えていければかなりの人たちが『そうだよね』と思っていただけるという自信はあります」荻原「先ほどおっしゃられた介護と保育の分野で、国がお金を出せば改善することができるわけですから」枝野「そうです。たとえば防衛費だって大事ですけど、アメリカから使うかどうかわからない戦闘機を向こうの言い値でそのままで買うぐらいだったら、現場の自衛隊員の待遇を改善すべきなんです。待遇をよくすることのほうが、日本の安全を高めると思いますから」荻原「発想がいまだに箱物から抜け切らないので、“オリンピックをやりましょう!”“大阪万博をやりましょう!”“IRをやりましょう!”という感覚のまま」枝野「5月1日に元号が変わります。そういうときって、結果的に時代の変わり目にもなってきたと思います。平成は昭和の成功体験を何とか引っ張って、引っ張って、ここまで食いつないできた。アベノミクスは昭和の成功体験に引きずられているんです。企業がもうかったらそのお金で設備投資をして新しい工場をたくさん作って、たくさん人を雇って給料も上がっていって」荻原「そうですね。いまは工場も海外に移転しているし、そこで雇用が生まれようもない。企業がもうけても株主も海外の人が多いので、お金はそっちに回ってしまう」枝野「でも、さすがにもう昭和から抜け出そうよというのが、新たな元号の下での考えだと思っています」荻原「生活者を軽視するような政策ではなく、国内で消費が増えるようなものでないと本当の意味で経済はよくならない。そのうえ、消費税率UPでは本当に私たちの暮らしが危なくなります」枝野「みんなが成長の実感の持てる日本経済にしていかないといけない。選挙でもそれが大きな争点となるでしょう。所得の低い人たちが底上げされると、結果的にその人たちがお金を使って消費するので、経済も回る。“あなたの暮らしにもつながるんですよ”と伝えることが、大事なのではないかと思います。変わり目のときはいろいろなことが起こって、大変かもしれません。でも、時代を変えようと前向きな空気を作れれば、そんなに絶望することはないと思います」
2019年01月21日問題山積みのまま新時代へと突入する’19年。経済ジャーナリストの荻原博子さん(64)が、立憲民主党の枝野幸男代表(54)に、今後の日本経済の行方について問う。題して「2019年、日本はどうなる」緊急対談。荻原「安倍政権がやってきたことは、法人税を下げて消費税を上げる。つまり、家庭から企業にお金を移転させるということですね。それでなんと150兆円も企業の内部留保は増えたが、みんなの給料は上がらずという悪循環……」枝野「今やらなければいけない景気対策は『格差の是正』です。金持ちほどカネを使わないのが経済の大原則です。法人税や高額所得者に対する所得税を上げることなど、まずそっちをやらないと。そして所得が低めの人の賃金、所得を底上げする。所得が低めの人がお金を使えば消費は上向きます。格差を是正し、将来への不安を解消することが国民における消費を拡大させ、日本経済を立ち直らせると思っています」荻原「少子高齢化の問題も深刻ですね。高齢者は老後の年金、介護といった不安があるので、貯蓄を使わない。一方で、低賃金、子育て支援の不足、教育費の高騰など、現役世代の生活が苦しいという現実もありますね」枝野「1,500兆円を超えるともいわれる国民の金融資産の多くを占めているのが高齢者の貯蓄です。内需主導の経済で、このお金が国内消費に回るようにしていけば、かなり安定した社会が作れるはずなんです」荻原「今の高齢者の方々はすくんじゃって、お金を使わない。銀行も信用できないから、お金をタンス預金でためて、死後にお金がゴロゴロ出てくるみたいな、とんでもないことになっています。もう少し安心して暮らせるようにしないとお金が消費に回らない。先ほど、所得の底上げが大事だとおっしゃいましたが、具体的にはどんな方法がありますか?」枝野「介護や保育といった人手が不足しているところに、たくさんのニーズがあります。実は、国が直接的に給料を上げられる分野の代表が介護と保育なんです。ところが、どちらも需要があるのに低賃金。ここにお金を回せば、職員の賃金の底上げができる。国がどのくらいお金を出すかにかかっているわけですよ。需要があるところで、充実したサービスが受けられる場所が増えれば、老後や子育ての安心も高まるので一石二鳥や三鳥なんですよ」荻原「年金暮らしで何が不安かといえば、病気になったときや、介護が必要になったとき。これが不安でお金を使えない。この分野を充実させれば、仕事も雇用も増えるので、個人消費を拡大させることにもつながる」枝野「高齢者も元気なうちに、充実した老後のためにお金を使えるなら使いたい。だから、まさに医療や介護を安心できるものに近づけていくことが急務なのです。直接的には低賃金の人の所得の底上げ。間接的には将来の不安を小さくして、タンス預金になっている貯蓄を少しずつ使っていただく。これが景気対策になるのです」荻原「安倍総理は、“女性が輝く社会”と、声高に言っていますが、実際は輝く社会になんてなっていませんからね」枝野「そうですね。派手にやれる人は、その人たちもいろんな壁を乗り越えているわけだけど、その越えられる余地のある一部の人だけが輝いているわけですから」荻原「派手に何かをやるんじゃなくて、非正規雇用やパートを含めた人たちの底上げが急務じゃないですか。とくに賃金の安い介護職員や保育士などは、女性が多い職場ですからね。そこで賃金が底上げされれば、新たな雇用も増えるでしょうから、活躍の場も広がる」枝野「でも、安倍政権は逆のことをやっているわけです。学童保育の安心を高めなきゃならないのに、指導員は1人でOKだとか。保育所の数と職員を増やさないといけないのに、無償化だとか。これでは、親は小さな子どもを安心して預けられないですよ」
2019年01月21日問題山積みのまま新時代へと突入する’19年。経済ジャーナリストの荻原博子さん(64)が、立憲民主党の枝野幸男代表(54)に、今後の日本経済の行方について問う。題して「2019年、日本はどうなる」緊急対談。荻原「安倍総理は、本当に消費税を上げる気があるのか?という疑問があります。消費不況の対策案として掲げるポイント還元など、あまりにも愚策ばかりで、すでにみんな大混乱。このまま10月に消費税を上げて大丈夫なのか、と」枝野「消費税が上がることだけでも、心理的な影響は大きいです。加えて、これだけめちゃくちゃな対策と称するものをやっていると、さらに消費を冷え込ませる可能性もあるでしょうね」荻原「安倍政権は、これまで消費増税を2回先送りしました(’14年11月、’16年6月に延期を表明)。これは明らかに選挙対策でしたよね。今年は2つ大きな選挙(統一地方選、参院選)があるので、今回も不安にさせるだけさせておいて、またサプライズカードを切るんじゃないかという気がします。つまり3回目の先送り、消費増税はやらない。あり得ませんか?」枝野「安倍さんだからやりかねないですけど、それは新たな大混乱をもたらすことになる。すでにみんな準備を始めていますからね。10月に近づけば近づくほど、小売業者が大混乱を起こします。大手企業は何とかなっても、中小零細企業は対応しきれない。急に先送りすると言われたら、現場はもっと対応できないんじゃないかと」荻原「でも、大混乱しても消費税を上げなかったという、安心感が日本中に広がり、“安倍さん、ありがとう!”ということで、また選挙で大勝するかもしれません」枝野「たしかに過去2回の選挙結果は勝っているんですけど。2匹目のドジョウまではいたけれども、3匹目がいるかどうかは……」荻原「枝野さんは安倍総理が予定どおり引き上げると思いますか?」枝野「いまからひっくり返すのは簡単じゃないだろうなと思います。でも、消費増税に関しては“それでもひっくり返せ!”と、強く迫っていきます。タイミングが悪すぎですから」荻原「10月に消費増税が施行されたら景気が冷え込むのは間違いありません。国民にとって何のメリットもない。安倍総理だって、消費増税をやるデメリットは、よくわかっているはず」枝野「当面、大衆課税は無理ですよ。日本の今の消費不況からすると、そんなことをやれる状況ではない」荻原「前回の消費増税(’14年4月)のときから、まだ立ち直ってないですからね」枝野「僕は今の社会保障・税一体化改革(’12年)のときは賛成しましたけど、この6年間での社会の傷み方を考えたら、とても大衆増税をできる環境では、なくなったと言っていい」
2019年01月21日ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(以下、USJ)は今月10日から、「価格変動制(ダイナミックプライシング)」を導入した。価格変動制とは季節や曜日、気候などから混雑具合を予想し、それに応じて価格を変えるというもの。そんな価格変動制について、経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれた――。■時期をずらして安く買えるなど選択肢も広がるUSJの1日入場券(大人)は、これまで年間を通して7,900円でしたが、1月10~31日は7,400円に値下げします。反対に、中国の春節で混み合う2月1日~3月22日は8,200円に、春休みの3月23日~4月7日は8,700円に値上げというように、時期により価格が変わるのです。以前から、航空券やホテルの宿泊料などでは、閑散期は安く長期休みなどのある繁忙期は高い「季節料金」がおなじみでした。しかしスポーツなどでは、対戦チームやスター選手の出場、優勝や個人タイトルがかかっているかなど多くの条件が、混雑予想に影響します。こうした集客に関するビッグデータをAIで解析し、価格に反映させようという試みが進んでいます。いち早く取り入れたのは、野球の福岡ソフトバンクホークスです。一部エリアの料金で’16年に実証実験を始めたところ、売上げアップに結び付き、昨年、サッカーJリーグの横浜F・マリノスや名古屋グランパスにも広がりました。スポーツでの価格変動制は、試合ごとにチケット料金が変わるだけではありません。販売開始後でも売れ行き次第で、チケット料金が変動します。たとえば、昨年10月14日の横浜F・マリノス対鹿島アントラーズ戦。自由席は通常価格2,500円で販売を始めましたが、人気が高く翌日には4,100円に、その3日後には当初の3倍、7,500円まで高騰しました。同じ試合、同じ席種でも、買うタイミングによって料金が違ったのです。そもそも価格とは、買いたい需要と売りたい供給のバランスで決まります。日本には以前「定価」がありましたが、グローバル化の中で約20年前に一部を除き、市場から消えました。今は「メーカー希望小売り価格」となり、買う店によって値段が違うのが当たり前です。そこにAIが登場し、より細かい値決めが可能になって、これからは価格変動制の時代です。ますます多くの業界に広がるでしょう。そうなると、あらゆるものが値上がりするのではと心配する方もいるでしょう。でもいっぽうで、閑散期は値が下がります。時期をずらして安く買うこともできる。選択肢が広がるということです。USJなら、防寒対策をして今月行けば昨年よりお得。格安で楽しめるでしょう。スポーツで観戦したい試合が決まっていれば、早めにチケットを買うことも対策の1つです。何より、標準的な価格を知っておいて、「私はどれだけのお金をかけるのか」という自分の価値観を決めることが大切です。価格変動制への流れはもう止められません。これからは上手に選べる時代を楽しみたいものです。
2019年01月18日昨年末、国は大手携帯電話会社に、料金の値下げを迫っている。ことの初めは’18年8月、菅義偉官房長官の「携帯料金は4割程度、値下げできる」という発言だった。11月末には、携帯端末の代金と通話料を切り離す「分離プラン」の義務化について議論。今年1月には緊急提言をまとめ、法律の改正へと動き出す模様だ。経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれた――。なかでも国は、特定の携帯端末を買った方に、毎月の通信料を値引きするサービスを廃止したいようです。たとえばiPhoneXを買った方は、毎月の通信料から約3,000円を値引きするといったもので、月々サポートや毎月割、月月割などと呼ばれています。これは、携帯端末の購入から2年間限定の割引サービスです。携帯端末を2年ごとに買い換える方は、ずっと割引サービスを受けられますが、端末を長く使う方には3年目以降の割引サービスがなくなり、料金が高くなります。また、端末代金の高いものほど、通信料の値引きは大きくなります。国は「どの端末を買うか」で、通信料が変わるのは不公平だと指摘しているのです。ほかにも、2年契約にすると端末代金を値下げする「2年割」や、端末代金を4年(48回)の分割払いにして、2年経過後に新しい端末に買い換えると、古い端末代金の残りは払わなくても済む「4年縛り」なども、見直したいようです。国はこうした端末代金の割引をやめ、通信料そのものを値下げしろと言っているのです。国が推す分離プランはシンプルでわかりやすい料金体系ですが、携帯料金が安くなるかというと話は別です。今後、携帯端末の値引きがなくなると、当然、端末代金は上がります。たとえば通信料が下がっても、携帯料金全体はあまり変わらないことになりそうです。しかし、家計のなかで携帯料金は大きな支出です。しかも固定費ですから、一度プランを見直せば、節約効果はずっと続きます。今すぐ、法律の改正など待たなくても分離プランを選んで、携帯料金を節約する方法があります。格安スマホの利用です。格安スマホの多くはもともと分離プランです。携帯端末と通信料を切り離し、それぞれの料金を抑えましょう。携帯端末は10万円超の最新iPhoneなどではなく、3万円前後の機種を一括払いで買って、大切に長く使いましょう。通信料はLINEモバイルなら、LINEは使い放題で、通信は1GBまで、10分以内の通話ならかけ放題がついて月2,080円というプランがあります。月々の支払いがぐっと抑えられるでしょう。そもそも、民間の携帯会社の料金体系に、国が注文を付けるのはいかがなものでしょうか。国として、本当に携帯料金を安くしたいなら、格安スマホを扱う小さな業者を支援し、自然と競争が起きて、料金が下がるように持っていくのが筋だと思います。それをしないで、大手携帯電話会社に圧力をかけるだけなら、選挙用のパフォーマンスと言われても仕方ないでしょう。
2019年01月11日来年10月に予定される消費税増税に伴って、国は「自動車税」を減税する方針を固めた。自動車税とは、車を持つ人が毎年納める税金で、排気量によって税額が決まる。自動車税は、’50年に制度が始まって以来、初めての引き下げで、14日発表の税制改正大綱に盛り込まれた。この「自動車税」減税について、経済ジャーナリストの荻原さんが解説してくれた――。自動車税の減税は、小型クラスほど大きなものになります。たとえば、660cc超~1,000cc以下の車は、現状2万9,500円ですが、減税が実施されたら2万5,000円になり、4,500円引き下げられます。減税額は、1,000cc超~1,500cc以下だと4,000円、1,500cc超~2,000cc以下だと3,500円と、排気量が上がるほど縮小。2,000cc超では1,000~1,500円にとどまります。また、軽自動車は今回の減税の対象外で、1万800円のままです。注意が必要なのは、減税が、消費税増税後に購入した車に限られることです。残念ながら、今お持ちの車は減税になりません。とはいえ、これは恒久減税です。対象車は、引き下げられた税額がずっと続きます。1,000ccの対象車なら、10年間で自動車税が4万5,000円安くなりますから「買い換えようか」と思う方もいるでしょう。しかし今回は、減税だけではありません。車種によりますが、車検のときに払う「自動車重量税」が引き上げられるのです。現在、自動車重量税は、燃費基準による「エコカー減税」が適用されていますが、消費税増税後はエコカー対象車を絞る方針です。エコカー対象からはずれた車は、自動車重量税が上がります。つまり、消費税増税後に車を買うと、毎年払う自動車税は減税になるものの、車検時に払う自動車重量税が増税になって、トータルでは増税だという車種もあるのです。詳しくは販売店にご相談を。自動車に関わる税金のうち、今回は、ユーザーにはおなじみの自動車税減税を前面に押し出して、車検費用と一緒に払うため税額を意識しづらい自動車重量税の増税を、同時に行おうとしています。専門家でないと損得勘定ができない施策で、納税者の目をごまかそうとしているとしか思えません。さらに、車の購入時には、「自動車取得税」と消費税がかかる二重課税が、以前から問題視されていました。そのため、消費税が10%に上がる際、自動車取得税が廃止されますが、新たに環境性能によって税率が決まる「環境性能割」という新税の導入が決まっています。二重課税の問題は解決されないままですが、今回、新税の環境性能割も、消費税増税後の1年間に限り、1%軽減する方針です。自動車関連の税金は、複雑すぎます。もっとシンプルでわかりやすい税制に変えるべきです。そのうえで、地方の生活も考えてほしいと思います。地方では、車は移動の足、生活必需品です。自動車関連の税金は地方での生活を直撃し、車なしでも暮らせる都会との格差を広げるでしょう。地方の生活を守るためにも、抜本的な改革が必要ではないでしょうか。
2018年12月29日11月24日、’25年の国際博覧会(万博)の開催地が、大阪に決まりました。博覧会には大小さまざまなものがありますが、博覧会国際事務局の承認を得て「万博」と名乗れるものは、’70年の大阪万博以来、実に55年ぶりです。だから、でしょうか。開票結果を聞いて、松井一郎大阪府知事や世耕弘成経済産業大臣らが飛び上がって喜んでいましたね。そのはしゃぐ姿を見て、私は「大阪は大丈夫か」と心配になりました。’25年5月~11月に開催される大阪万博は、大阪湾に浮かぶ人口島、夢洲(ゆめしま)が舞台です。会場整備には約1千250億円かかるといわれ、国と大阪府・市と民間経済界の3者で負担するそうです。民間経済界への割り当ては約400億円ですが、実はまだ、どの企業が、どれくらい負担するかなどは、まったく決まっていません。一般企業なら、何かイベントを行う場合は必ず、協賛企業を募って予算の道筋をつけてから、計画を立てるでしょう。同じ’25年万博に立候補していたフランス・パリは、協賛企業が集まらないことを理由に、立候補を辞退しました。ですが大阪は、協賛企業が集まるのかさえわからないのに、イベントの規模や計画ありきで予算を決めただけ。会期が終われば取り壊される“消えもの”のパビリオンに、大金をかける企業が、そんなにたくさんあるとは思えません。予算も、会場整備に約1千250億円といわれますが、これで足りるなどとは信じられません。’20年の東京五輪だって「世界一コンパクトな大会」を目指すと言って、国の負担額は1千500億円という計画でした。しかし、実際の国の支出は、’17年度までに8千億円を上回り、さらに五輪全体の経費は、なんと3兆円を超える見込みです(’18年・会計検査院)。会場整備費のほかにも、大阪府・市は、夢洲の埋め立て造成などに730億円、地下鉄の延伸は一部事業者にも負担させるようですが540億円など、必要なお金はまだまだあります。東京五輪の二の舞を演じ、予算が膨れ上がっていくのが目に見えるようです。さらに、招致の段階で、発展途上国が’25年万博に出展する際に、総額240億円の支援をすることも約束しているのです。夢洲は、長らく「負の遺産」と呼ばれていました。’70年代後半に埋め立てが始まり、’90年代には企業誘致が行われました。ですが、企業にとって、夢洲は魅力的な場所ではなかったのでしょう。あえなく失敗し、鉄道も途中までしか開通しませんでした。その後、大阪は’08年開催のオリンピック招致に乗り出しました。夢洲には選手村を作る予定でしたが、北京に惨敗。オリンピック計画も失敗に終わったのです。三度目の正直ともいえる’25年の万博を、大阪は負の遺産返上のチャンスと捉えているようです。ですが問題は、万博が終わった後。夢洲が魅力的になり、賑わいのある街になれるのでしょうか。
2018年12月14日11月24日、’25年の国際博覧会(万博)の開催地が、大阪に決まりました。博覧会には大小さまざまなものがありますが、博覧会国際事務局の承認を得て「万博」と名乗れるものは、’70年の大阪万博以来、実に55年ぶりです。いっぽうで大阪は、開催地である夢洲(ゆめしま)で、’23年にカジノを含む統合型リゾート(IR)の開業を目指しています。夢洲の活性化を、IRに託しているように思えます。ですがIRは、世界的には不況産業です。アメリカ・アトランティックシティなどでは閉鎖が相次ぎ、マカオやシンガポールでは閑古鳥が鳴いていると聞きます。IRを作ればもうかるという図式はもう古いのです。大阪は万博とIRの共倒れになる、そんな恐れを抱いているのは私1人ではないはずです。確かに、’70年の大阪万博は、国民の2人に1人が足を運んだといわれるほど、大盛況でした。経済効果も約3兆円。初任給が4万円の時代ですから、今の価値に直すと、15兆円にものぼる桁違いの大成功イベントでした。’25年万博の開催を言い出したといわれる堺屋太一さんら推進派には、’70年の成功した記憶が残っているのでしょう。「夢よ、もう一度」と願うのはわかる気もしますが、時代は変わっています。高度経済成長期の真っただ中で、“先進国の仲間入り”を国民全体で喜んだ’70年ごろと違って、今は成長も鈍化し、社会は成熟しています。大阪は約2,800万人の集客を見込んでいますが、何でもインターネットで見られる時代に、実際に足を運ぶ人がどれだけいるのでしょう。誰かがアップしたYouTubeなどを見るだけの人が多いのではないかと思います。東京五輪後に大不況が来ると予測する識者はたくさんいます。私もそう思います。東京五輪が終わったら、経済は急速に冷え込み、働く人の給料が下がり、リストラの嵐が吹き荒れるかもしれません。ひょっとすると、’25年万博どころではないことも考えられます。国は、東京五輪後の経済の落ち込みを予見して、万博という“カンフル剤”で荒療治するつもりなのだと思います。しかし、万博で莫大なお金を使った大阪は借金にあえぎ、税金の引き上げや公共サービスの悪化を引き起こしかねません。立ち上がるまで長い年月が必要でしょう。もちろん、国の痛手も甚大です。そして、その尻ぬぐいを強いられるのは国民です。私は、財政悪化から“万博増税”も大いにありうると思います。松井知事は開催決定からわずか3日後、首相官邸で「世界各国に大風呂敷を広げ過ぎた。国の総力がなければ実現不可能だ」と発言。その無責任ぶりを暴露しました。協力要請に応える構えの安倍首相も、任期は最長でも’21年まで。やりっぱなし決定です。政治家が誰も責任をとらない万博よりも、ブラックアウトにならないような電気インフラの構築や、老朽化の激しい水道の整備に、血税を使うべきではないでしょうか。今、愛・地球博記念公園には、植栽で形作られた大人気キャラクター、モリゾーとキッコロが無残な姿をさらしているそうです。その変わり果てた姿が、大阪万博の行方を暗示している、私にはそう思えてなりません。
2018年12月14日「わたしが加入しているのは定期保険の、おもに収入保障保険。保険に加入するときは、まず“どこから申し込むか”という問題がありますが、複数の保険商品を中立的な立場で扱う乗合代理店を利用することをおすすめします。大手保険会社で直接選ぶのは、あまりおすすめできません。国内・外資に限らず、ワンパック型の商品も多く、自分に必要な保障を選択しづらいデメリットがあるからです」そう話すのは、家計再生コンサルタントの横山光昭さん。無数にある保険、パンフレットから選ぼうにもよくわからず、セールスの人にすすめられるがままに入ると、余計なものまで契約してしまいそう。そこで、数々のベストセラーを出している“お金の専門家”の、横山さん、荻原博子さん、森永卓郎さん、風呂内亜矢さんに、どんな保険に入っているのか、なぜその保険を選んだのか教えてもらった。プロの体験談をもとに、保険選びの参考にしてみよう。保険の商品選びでいちばん悩むのは、「貯蓄型」か「掛け捨て」どちらを選ぶか。そして保障期間は一生続く「終身」か、限定された「定期」にするのかという問題。30年前に終身保険に加入したという荻原さんは、「いま貯蓄型に入るメリットはない」とバッサリ。「私が加入した’88年は、予定利率が5.5%という時代でした。払い込みが終わったいまでも、貯金として増え続けています」たとえば、大手保険会社A社の現在の予定利率は0.85%……。予定利率が低ければ低いほど、保険料は値上がりする。もし、荻原さんと同じ保険に契約した場合、同じ保険金であるにもかかわらず、保険料は2.5倍にもなる計算だ。「いまは、それくらい利率が低すぎるので、貯蓄型の商品を選ぶのはばかばかしい。まだ、現金で貯蓄を持っていたほうがいいくらいです」(荻原さん)いま掛け捨てに加入している人は、そのままでよさそうだ。もし利率が大幅に上がるようなことがあれば、「そこで初めて終身への乗り換えを考えればよい」と森永さんは添える。「外貨建ての貯蓄型商品もありますが、加入を検討したことはありません。外貨建ての保険商品より、外国株式や外貨預金のほうが、自分の判断でリスクリターンの判断をすることができるため、保険では不自由です。どうしても保険で貯蓄を考えるなら、年間8万円という生命保険料控除の対象になる金額までにすべきでしょう」(風呂内さん)同じく“掛け捨て推奨派”の横山さんが、ある保険商品について教えてくれた。「15歳から加入できるオリックス生命の『Relief W(リリーフ・ダブル)』に子どもを加入させました。終身保険と医療保険がセットになっている商品で、保険期間よりも短い期間で保険料を払い終える“短期払い”にすることで、とてもお得に加入できています」たとえば、15歳の女性で入院日額5,000円(終身の死亡保障250万つき)で、保険料を55歳払込み満了にすると、月々の保険料は4,012円で、総払込保険料はおよそ192万円となる。その中で、入院・手術保障、先進医療特約、終身の死亡保障250万円を保障できる。4人にならって、必要な保障を得るための“シンプルな商品選び”を心がけよう。
2018年12月13日来年から大手保険会社がそろって自動車保険の「家族割引」を廃止。「本人限定割引」が導入される。そんな来年からの自動車保険の割引制度について、経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれた――。来年から、多くの自動車保険の割引制度が変わります。大きな変更は、東京海上日動、三井住友海上、損保ジャパン日本興亜、あいおいニッセイ同和損保の大手4社がそろって、「家族割引」を廃止することです。家族割引とは、運転者を夫婦とその子どもなどに限定するもので、これまでは保険料が1%引きされていました。その代わりに、多くの保険会社が「本人限定割引」を導入します。運転者を、契約時に届け出た「記名被保険者」1人だけに限定するもので、三井住友海上は8%引き、損保ジャパン日本興亜は7%引きで来年から新設されます。また、あいおいニッセイ同和損保は’04年からすでに導入済みで、来年は8%引きになります。さらに、夫婦で運転する人には、「本人・配偶者割引」があります。大手4社は来年、割引率を7%から6%に引き下げますが、本人限定に次いで高い割引率です。地方では、車は1人に1台という家庭も多いでしょう。運転者を本人限定にすると、保険料が節約できます。自動車保険は1年更新がほとんどですから、来年以降の更新時か新規加入時から、新しい保険内容や割引制度が適用されます。現在、家族限定割引を受けている方への更新案内には、「運転者の限定なし」として保険料の見積もりが出ていると思います。そのままにせず、運転者の範囲を見直しましょう。たとえば、Aさん(53歳)は、同居する23歳の子どもが運転するため、来年からは運転者を限定せず、年齢区分も21歳以上を選ぶつもりでした。この場合の保険料は、年間で8万2,370円です(損保ジャパン日本興亜、トヨタヴィッツ、対人対物無制限、人身傷害5,000万円、ゴールド免許、車両保険なし)。ところが、子どもが転勤になり独立。自動車保険はほかの補償などを一切変えず、運転者を本人限定にし、年齢区分を35歳以上に変えただけで、保険料は年5万3,590円。約3万円も安くなりました。なかには、たまに乗る子どものために、家族限定を選んでいた方もいるかもしれません。そういう方は、本人限定か、本人・配偶者限定に変えて、子どもが運転するときは「1日保険」を利用するとよいでしょう。1日保険はスマホからも簡単に加入できて、保険料はそのつど、500円程度です。また、車を借りる人が、自分の車を持っていて自動車保険に加入している場合、「他車運転特約」を付けていると、借りた車で事故を起こしても自分の自動車保険が補償してくれます。補償の条件など詳しくは保険会社にお問い合わせください。以前は、どの保険会社でも補償内容や保険料が横並びで、ほとんど変わりませんでした。ですが最近は、インターネットで申し込む通販型自動車保険も増えて、保険料や割引制度もさまざまです。次の更新の際は、早めに各社で見積もりを取って、保険会社を変えることも含めて検討してみてはいかがでしょうか。
2018年12月07日創刊60周年の節目の年を迎えた『女性自身』。60年にわたる歴史のなかで、華やかに誌面を飾ってくれたスターや、女性の新しい生き方を提示してくれた有名人を再訪。“『女性自身』と私”の思い出を語ってもらいました!「連載が始まってから22年間、日本はずっとデフレです。デフレはますます深刻になり、脱却の見込みはないでしょう。当時も今も『借金減らして現金増やせ』は変わりません。変わったのは顔だけね」そう笑う荻原博子さん(64)。連載が始まった’96年は、働くママだった。時間に追われる毎日でも、夕方以降は子どもとの時間を確保し、原稿は朝早く起きて書いた。「おかげで“時短手抜き術”が、山のように身につきました。玉ねぎ、にんじんのみじん切りとひき肉を炒めて、板状に冷凍したものを“レインボー食材”と呼んで、和洋中のいろんな料理に使いまわしていましたね」荻原さんといえば、日本経済や家計について、テレビでわかりやすく解説する姿が印象的だが。「実は、小さいころからの夢は物書きになること。テレビも好きだけど、書く仕事がいちばん好き」そんな荻原さんは、以前、『女性自身』編集長の言葉に、大きな衝撃を受けた。「『女性自身』は、地方で汗水たらして働く女性のための雑誌だから、さらっと読めてわかりやすくおもしろく書けって。今も物書きとしての教訓にしています」とはいえ22年間、毎週休むことなく、お金の話題を書き続けるのは、大変ではないのだろうか。「いえ、まったく。まだまだ書きたいことがたくさんあって、ネタは尽きません。今年は物書きになって40周年。60周年の『女性自身』を追いかけて、私も50周年、60周年を目指して、これからも書き続けます」
2018年12月07日診断されるとお金がおりる認知症保険。高齢になると子どもに迷惑をかけたくないと加入を考える人も多いようだ。そんな認知症保険に加入する際の注意点を、経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれた――。病気やけがで認知症の方が入院した際、45%もの方が体を拘束されたことがある。そんな調査結果が今月18日、発表されました(国立がん研究センター)。ショッキングですが、人ごとではありません。認知症は、’12年には65歳以上の7人に1人でしたが、’25年には5人に1人になるといわれています(’17年・内閣府)。そんななか、「認知症保険」が注目されています。業界初の認知症保険は、太陽生命が’16年に販売を開始。今年10月までに、約40万件の契約があったといいます。最近は種類も増えました。それぞれの特徴を見ていきましょう。まず、太陽生命の「ひまわり認知症予防保険」です。以前の保険は、認知症状態が180日続いた後、保険金が出るものでした。ですが「それでは遅い」という声を受けて、認知症と診断されたときに最大100万円と、180日後に最大200万円の保険金が出るようになりました。また、加入から1年たって認知症になっていない方には、3万円の「予防給付金」が出ます。予防給付金はその後、2年おきに支給され、これを使って認知症検査を受けることを推奨しています。次は、損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険の「リンククロス笑顔をまもる認知症保険」です。認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)と診断されると保険金の一部が出て、その後、認知症に進むと、残りの保険金がおります。MCIの段階で保険金が出るのは、今のところこれだけです。さらに、朝日生命の「あんしん介護」には、公的介護保険で要支援2と認定されると、一時金が出るタイプがあります。認知症でも体に不自由のない方は、要介護判定が低くなりがちです。要支援2という軽い段階で保険金が出るものは、業界初です。確かに認知症は介護も大変ですし、不安が大きいでしょう。ですが、保険はお金の問題。支払う保険料と、どんなときに保険金が出るかをきちんと納得してから、加入しましょう。注意点は3つです。【1】すべての認知症に、保険金が出るわけではない認知症のなかで、保険金を出す認知症を保険会社が指定しています。対象外の認知症になった方は、保険金が出ません。また、保険会社によって対象はさまざまです。【2】加入当初に、保険金が減額される「削減期間」がある認知症になっても、加入から1年以内だと保険金は半額、加入から180日間は出ないなど、保険会社ごとに削減期間が決まっています。【3】保険料は高め太陽生命の「ひまわり認知症予防保険」に60歳女性が加入すると、認知症の診断で100万円、180日後に200万円、入院日額5,000円や、骨折や入院時の一時金などもついて、保険料は月々1万8,660円。認知症以外なら持病があっても入りやすいのですが、保険料は高めです。子どもに迷惑をかけたくないからと加入される方が多いようです。でもその前に、家族でよく話し合ってみてください。
2018年11月30日早いもので、もうすぐ12月。大掃除が気になる時期だ。この機会に、不用品を整理してみてはいかが?モノが多いと管理が大変で、必要なときに見つからないこともある。そこで、すっきり処分できて、ちょっとしたお小遣い稼ぎができる方法を、経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれた――。あまり使っていないブランド品など“お宝”をお持ちの方は、「CASH」というスマホアプリで、簡単にすぐ売ることができます。ブランド名などを選択し、写真を撮れば、5秒ほどで瞬間査定。査定額に納得したら、商品を宅配便で送るだけです。売れた代金はアプリ内にたまっていき、引き出すときは、銀行口座に振り込んでくれます。CASHは、質店に行くより気軽に使えて、「メルカリ」などのフリマアプリより早く処分できるのがメリットです。ただ手に入るお金は、査定額から手数料を引いた金額だということに注意してください。手数料は2種類あります。1つ目は売却品の送料です。宅配便代が、査定額から差し引かれます。2つ目は、アプリからお金を引き出す際、250円必要です。査定額が低ければ、手元にいくらも残らないこともあります。ご注意を。年末までに不用品を処分して、気持ちよく新年を迎えましょう。
2018年11月23日早いもので、もうすぐ12月。大掃除が気になる時期だ。この機会に、不用品を整理してみてはいかが?モノが多いと管理が大変で、必要なときに見つからないこともある。そこで、すっきり処分できて、ちょっとしたお小遣い稼ぎができる方法を、経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれた――。ブランドにこだわらず新品に近いキレイな洋服を処分したい方は、ファッションビル「マルイ」の下取りが便利です。開催期間は店舗によりますが、この時期は下取りを行っている店舗が多く、チャンスです。洋服など下取り1枚ごとに、マルイで2,000円以上の買い物に使える200円券がもらえます。有効期限があるので忘れず、買いたいものがあるときに使いましょう。スーツは「洋服の青山」や「AOKI」といった紳士服店が、いつでも、他社製品でもOKの下取りサービスを実施しています。スーツ1着の下取りでもらえる割引券は、3万9,000円以上のスーツを買うなら2万円引きに、2,900円以上のレディース商品を買うなら30%引きなどになります。また、着古した洋服は、ファストファッションの「H&M」に持ち込みましょう。穴が開いていても、よれよれでも大丈夫です。手持ちの袋に入れてレジで渡せば、次回3,000円以上の買い物に使える500円割引券がもらえます。さらに、いつもはゴミとして捨ててしまう古新聞やペットボトルなども、スーパーでリサイクルすればポイントがたまります。たとえば「イオン」では、ペットボトル5本で、あるいは古紙1キロで、1WAONポイントがもらえます。古新聞だとチラシも含めた3日分が約1キロなので、1カ月分で10WAONポイント。1WAONポイント=1円ですから、10円分になる計算です。こういったリサイクル活動は、「イトーヨーカドー」や「マミーマート」「ベイシア」などでも行っています。お近くに実施店がないか探してみてください。
2018年11月23日「火災保険の保険金で家を修理しませんか」と持ち掛ける詐欺が横行している。災害の多かった今年は、国民生活センターへの相談が急増し、10年前の30倍以上に!経済ジャーナリストの荻原博子さんが詳しく解説してくれた――。今年は、7月の西日本豪雨や9月に関西国際空港が浸水した台風21号など、自然災害の多い年でした。こうした風水雪害による被害は、火災保険で補償されます。ところが最近、これを悪用し、「保険金で家を修理しませんか」と持ち掛ける詐欺が増えています。業者は「保険金が出るので、自己負担なしで修理できる」と強調し、「保険金請求の手続きも手伝う」と親切に話すようです。しかし、業者の目的は、保険金請求サポートの契約をさせて、高額な手数料をとることです。同時に、修理工事も契約するケースがほとんど。被害者は十分な説明がないまま契約してしまい、契約書が渡されないこともあるといます。損害保険金の請求は、修理の見積もりを出して行います。ですが、全額認められるとは限らず、自己負担なしとは言い切れません。たとえ見積もりどおり保険金が出ても、請求サポートの手数料は保険対象外です。保険金だけで修理するには、手数料の分だけ修理を削る必要があります。そのため、見積もりと違う、ずさんな修理だったなどの苦情が後を絶ちません。そのうえ、修理をやめる、ほかの業者に依頼すると言うと違約金を請求されるケースもあります。国民生活センターによると、こうした相談は、’17年度に1,177件あり、’08年度の30倍以上にのぼります。さらに今年は、去年を上回るペースで増加中で、しかも、相談者の8割が60歳以上なのです。ただ実際は、保険金の請求は簡単でサポートなど要りません。契約している火災保険の代理店などに電話すれば、保険会社が無料で調査し、認められれば保険金が出ます。親切な口ぶりで“おいしい話”を持ってくる業者にご用心を。ほかにも、11月から1月ごろにSNS上で、有名ブランドのダウンジャケットやブーツなどが8割引きといった広告を見かけます。これは、海外の悪質業者による詐欺サイトで、代金を払っても商品が送られてこない被害が続出しています。連絡先のないサイトもあるので、注意してください。最近の詐欺は、電話かインターネットが主流ですが、封筒で届くパターンも復活しています。封筒には「重要」印が押され、差出人は「法務省管轄支局」。中身は「裁判が始まる。取り下げてほしいなら連絡を」といった内容で、もっともらしい管理番号も書かれています。新手の架空請求ですが、封書で送られてくると、身に覚えがなくても信じてしまいそうです。しかし、裁判所からの文書は「特別送達」といって、配達員が宛名本人に直接手渡すのがルールです。郵便受けに入っていた裁判がらみの封書は、すべて詐欺です。絶対に連絡してはいけません。怪しい、話がうますぎるといった不信感を持ったときは、188(消費者ホットライン)に電話し相談しましょう。特に、高齢の親には「怪しいときは188」と書いて貼っておくくらい、注意してあげてください。
2018年11月16日年金の支給開始は65歳が原則だが、現在は70歳まで先延ばしする「繰り下げ」受給が可能に。この繰り下げを70歳以降も選択できるようにする案が、今の国会で検討中だという。そのメリット、デメリットとは?経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれた――。10月23日、自民党の小泉進次郎議員が、「生産年齢人口」の見直しについて発言しました。生産年齢人口とは、生産活動ができる現役世代のことで、今は15~64歳とされています。小泉氏は「18~74歳にしたほうが現状とマッチする」と述べました。ですが、生産年齢はさまざまな統計に使われる指標です。むやみに変えると、以前のデータと比較できなくなります。私は、軽々しく変えるものではないと思います。こうした年齢に関する定義の変更が持ち出される背景には、年金問題があるからでしょう。ひっ迫する年金財政をなんとか改善したい国は、今の国会で、次の2点を検討したいようです。1点目は、年金の支給開始は65歳が原則ですが、今は70歳まで先延ばしする「繰り下げ」受給が可能です。この繰り下げを70歳以降も選択できるようにすることです。年金を繰り下げるためには、高齢者も収入が必要です。そこで2点目。今は、60歳以降も働きたい会社員は、全員65歳まで働くことができます。これを70歳まで延長することです。1点目の年金繰り下げは、老後資金を増やすための選択肢として、メリットのある制度だと思います。受給を1カ月先延ばしするごとに0.7%ずつ年金額が増えますから、1年先延ばしすれば8.4%、現状では最高の70歳からの受給にすれば、42%アップです。たとえば、国民年金の満額を受給するAさんだと、65歳からの年金額は年約78万円(’18年度)ですが、70歳まで先延ばしすると、年約111万円に増えます。今後、この制度が70歳以降に広がり、仮に75歳まで10年間の繰り下げが可能になったとすると、Aさんは75歳から、84%アップで年約144万円受給できることになるかもしれません。ただし、75歳までは年金がもらえないので、87歳より長生きしないと損になります。年金の繰り下げには、デメリットもあります。まずは、健康寿命との関係です。介護を受けず自立した生活ができる健康寿命は、女性が74.79歳、男性は72.14歳です(’16年・厚生労働省)。年金を元気なうちにもらって、有意義に使いたいという方が多いのではないでしょうか。また、厚生年金などで年金額が多い方が繰り下げると、課税対象になることがあります。せっかく増額されても、税金のほか、社会保険料などの負担も増えるので、課税ラインには注意しましょう。さらに、70歳まで働けたとしても、給与は定年前の半額以下になる方がほとんどです。自分の収入と年金額、健康状態などを考えて、選択してください。私は、70歳以降の年金繰り下げを選べる方は、それほど多くないと思います。それでも国が検討するのは、その先に、年金受給そのものを、現行の65歳から68歳などへと引き上げたいもくろみがあるからでしょう。人生100年時代などの言葉にまどわされず、政府の動きを注視しておきたいものです。
2018年11月09日10月15日に、ローソン銀行が開業した。もともとローソンにも銀行ATMはあったのだが、なぜ、自前の銀行を作ったのか。その理由を、経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれた――。【理由1】集客力’01年に開業したセブン銀行は、約2万4,000台のATMがあります。24時間利用でき、セブン銀行のキャッシュカードで出金すると、平日でも休日でも、朝7時から夜7時までは手数料がかかりません。セブン銀行に口座を持つ人は、手数料が必要なほかのコンビニATMではなく、セブン-イレブンに行くでしょう。ついでに飲み物などを買うかもしれません。こうした“ついで買い”が、コンビニには重要な商機。自前の銀行は集客の大きな武器になります。現在、ローソン銀行ATMは約1万3,000台あり、出金手数料の無料時間帯もセブン銀行と同様です。今後は、ローソン銀行の口座を増やして、ローソン自体の集客や利益の増加を目指すのでしょう。【理由2】顧客の囲い込みセブン銀行のキャッシュカードをデビットカードとして利用したときや、クレジットの「セブンカード・プラス」での買い物などに、nanacoポイントが付きます。いまや、ポイントは「第2のお金」です。さまざまなシーンでポイントがたまり、そのポイントが使える店で買い物するサイクルを作れば、顧客を囲い込めます。ローソン銀行も来年にはクレジットカードを発行し、ポイント包囲網を構築していくと思います。【理由3】手数料収益セブン銀行は、10月15日からSuicaなど全国9種の交通系ICカードのチャージができるようになりました。保険や投資信託なども取り扱い、手数料収益を増やしています。ローソン銀行も、提携先を増やしていくのでしょう。ただローソン銀行は、利用者にとってデメリットもあります。電話料金などの口座引き落としはできません。また、残高1万円未満で2年以上放置すると、年1,200円+税の「未使用口座管理料」が必要です。ご注意ください。いっぽう大手銀行は、入出金や振り込みの顧客に、あまり窓口に来てほしくないのが本音です。そこでインターネットバンキングの手数料を割安にして、顧客を誘導し、窓口を徐々に減らしています。その代わり大手銀行は、富裕層を相手に節税や資産運用、相続などの相談業務を中心にしたいと考えています。三井住友銀行が今夏、東京・汐留に開いた店舗は、夜7時まで完全予約制で相談業務を行いますが、現金を一切扱いません。銀行の選択肢が広がるなか、私たちはサービスを見比べて、使い勝手のよい銀行を選びましょう。たとえば、イオンでよく買い物する人は、電子マネー「WAON」やクレジットの「イオンカード」をよく使うでしょう。イオン銀行はそれらの利用額などに応じて、普通預金の金利が最高0.12%、大手銀行の120倍まで上がります。各種手数料なども銀行によって違います。よく情報を集めて、銀行とは賢く付き合いたいものです。
2018年11月02日10年以上、入金や出金などの取引がない預金口座を「休眠口座」と言う。その休眠口座のお金が、来年から国の社会事業費に充てられることになるという。何年放置しようと、銀行預金は自分の財産のはずでは?経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれた――。学校指定の金融機関で作った口座が子どもの卒業後もそのままだったり、引っ越し前に使っていた金融機関が遠くなって放置してしまったり休眠口座をお持ちの方は案外多いのではないでしょうか。元来、何年放置しようと、銀行預金は自分の財産です。しかし来年1月からは、休眠口座の一部を国が管理し、社会事業費として活用することになりました。詳しく見ていきましょう。国が活用するのは、預金者が特定できない休眠口座です。それを見極めるために金融機関は、休眠口座になる可能性のある、9年以上入金のない口座のうち、残高が1万円以上のものに、通知を郵送します。その通知が届いた方は、預金者と連絡がついたということで、休眠口座であっても国の管理にはなりません。宛先不明などで通知が届かなかった休眠口座を、国は活用しようというのです。また、残高1万円未満の休眠口座は郵送通知なしで、国が管理する休眠口座になります。ですが休眠口座になっても、預金者が気付いた時点で銀行に申し出れば、いつでも、出金や解約が可能です。通帳やはんこなどを持って銀行に行きましょう。確認に時間がかかることがあるので、電話連絡して行くといいと思います。通帳やキャッシュカードをなくした方も、問い合わせてみてください。身分証明証などを持参すれば、手続きできることが多いです。ただ、いつでも出金できるとはいえ、来年以降は、社会事業費に活用する休眠口座は、銀行から国の機関に移されます。そうなると、今よりもっと手続きが煩雑になり、時間がかかると思います。休眠口座の手続きは、今年のうちに済ませてしまいましょう。困るのは、引っ越しなどで休眠口座のある金融機関が近くにない場合です。電話をかけて、ほかの金融機関で手続きできないか、相談してください。ただし、ほかの金融機関で手続きする場合は、1,000円程度の手数料がかかることがあるので、注意してください。休眠口座は、毎年約700億円ずつ増え、’08年以降の総額は6,000億円を超えるといいます(’18年・金融庁)。この資金の一部を、子育てや生活に困っている人などを支援するNPO法人などの活動費に充てる法律が昨年施行されたのです。いっぽう、ゆうちょ銀行は、民営化前の’07年9月30日以前の定額郵便貯金、定期郵便貯金、積立郵便貯金は、満期を過ぎて20年2カ月たっても払い戻し請求がなければ、権利が消滅し没収されます。あとから気付いても満期金は受け取れませんから、早めに最寄りのゆうちょ銀行で確認してください。この機会に、銀行口座を整理してみませんか。使っていない口座は解約して、メインバンクにまとめると、お金の流れが把握しやすくなりますよ。
2018年10月26日現在、キャッシュレス決済でのお得なサービスが身近で広がっているという。経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれた――。日本郵便が先月25日から、「ゆうパックスマホ割」を始めました。ゆうパックスマホ割とは、スマホアプリを利用し、クレジットカードで支払うことで、ゆうパックの送料が180円引きになるサービスです。ゆうパックスマホ割のように、クレジットカードなど現金以外で支払うものを「キャッシュレス決済」と呼びます。そして、現金払いよりキャッシュレス決済のほうが得になるサービスが、身近で広まっています。たとえばイオンの電子マネーWAONで買い物をすると、200円ごとに1ポイント付きますが、現金だとポイントは付きません。LINE Payなどのスマホ決済も、クレジットカードなどとひも付けられていて、代金はカードからの引き落とし。カードのポイントが付き、割引クーポンが届くこともあります。キャッシュレス決済の特典は、今後も増えていくと思います。日常的に利用する商品やサービスから使い慣れていくとよいでしょう。ただし、キャッシュレス決済は現金の重みを忘れがちです。ムダ遣いはせず、どれだけ使ったかの管理も徹底してください。国は、キャッシュレス決済を推進しています。韓国では決済の約9割が、ほかの先進国でも4~6割がキャッシュレス決済ですが、日本はまだ約2割。’25年までに4割に引き上げる目標を掲げています(’18年・経済産業省)。また、国は来年10月予定の消費税増税時にも、中小の小売店で、キャッシュレス決済で買い物した人には、2%のポイント還元の実施を検討しています。消費の落ち込み防止に、キャッシュレス決済の振興も兼ねた施策でしょう。しかし、商品代金と共に納める消費税が、キャッシュレス決済ならポイントを付ける、現金払いだと付けないなどと差をつけるのは、「税金の公平性」という原則に反すると思います。国の施策はともかく、キャッシュレス決済はますます広がるでしょう。注目しておきましょう。
2018年10月19日現在、キャッシュレス決済でのお得なサービスが身近で広がっているという。経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれた――。日本郵便が先月25日から、「ゆうパックスマホ割」を始めました。ゆうパックスマホ割とは、スマホアプリを利用し、クレジットカードで支払うことで、ゆうパックの送料が180円引きになるサービスです。使い方は簡単です。ゆうパックスマホ割という無料アプリをダウンロードし、送り先住所などを入力。料金を、あらかじめ登録したクレジットカードで支払うと、QRコードが画面に表示されます。郵便局でQRコードをスキャンすると、住所などが印字された送付ラベルが出てくるので、荷物と一緒に渡すだけ。慣れると、宛名や住所を手書きするより楽です。最大のメリットは割引です。昨年から宅配便の値上げが続き、ゆうパックも今年3月に平均12%値上げしました。ゆうパックスマホ割の180円引きで、値上げの負担が多少軽減されるでしょう。また、外出の多いひとり暮らしの方などには、送り先を郵便局に指定すると100円引きになります。さらに、ゆうパックを年間10回以上送れば、11回目からは1割引きになる特典もあります。これらの特典をすべて併用すると、大きな割引になります。
2018年10月19日総裁選が終わり、消費税率アップは既定路線との見方もある。だが、経済ジャーナリストの荻原博子さんは「絶対避けるべき」と話す。また、政府が挙げる緩和策も庶民にとってはマイナスかムダでしかないという。荻原さんが解説してくれた――。9月20日、自由民主党の総裁選挙で、安倍首相が3選を果たしました。安倍首相は、選挙戦最中の9月10日に「予定どおり、来年10月に消費税を上げる」と明言。また、麻生財務大臣が8月27日に「今の経済状況なら、増税できる」と話すなど、消費税増税は既定路線との見方もあります。ですが私は、消費税を上げるべきではないと思っています。もし増税されたら、私たちの家計や、ひいては日本経済に、破壊的なダメージを与えると思うからです。確かに「給与が上がった」というデータもあります。しかし、もともと給与水準の低い若い人や高齢者の給与が上がり、平均値を押し上げただけ。働き盛りで教育費も重くのしかかる40代、50代前半の給与は、前年より下がっています(’18年2月・厚生労働省)。今、社会の中心を担う40代・50代が困窮しています。増税をきっかけに破たんする方が増えれば、日本全体を揺るがしかねません。さらに、10%のわかりやすさが追い打ちをかけます。1万9,800円の買い物をして、8%の消費税をすぐに計算できる人は多くないでしょう。でも10%なら簡単です。「消費税がこんなにかかるなら」と買い控える方が多いと思います。増税後は、今よりもっと消費が冷え込み、景気はますます悪化し、デフレ脱却などできないでしょう。ですが日銀は、’14年に5%から8%に増税したときより「家計への影響は小さい」と楽観的です。その理由は、増税の幅が、前回の3%から今回は2%になることに加え、政府がさまざまな緩和策を講じるからだといいます。代表的なものを見ていきましょう。【自動車取得税の廃止と環境性能割の導入】自動車を買うと、自動車取得税と消費税がかかり、以前から二重課税だと問題視されていました。そこで自動車取得税は、消費税の増税に合わせて、2段階で廃止することが決まっています。消費税が5%→8%→10%と上がるタイミングで、自動車取得税は5%→3%→0(普通車)と廃止します。購入者の税負担は、消費税も自動車取得税も5%だった時点に戻り、差し引きゼロです。ところが「環境性能割」と呼ばれる新税が追加されることになりました。燃費などの環境性能によって、0~3%が課税されます。電気自動車などを買えば税率0ですみますが、そうでない車を買うと、税負担が増えます。今後、エコカー減税の拡充なども議論されるようですが、行方を見守りましょう。【住宅ローン減税・すまい給付金の拡充】住宅ローン減税は、住宅ローン残高の1%が10年間、所得税などから控除されるものです。現在は一般住宅の場合、10年間で最大400万円の控除が受けられます。また、すまい給付金とは、一定以下の収入の方が、住宅を取得する際に支給される補助金です。今は最大30万円ですが、消費税が10%になると最大50万円に引き上げられることが決まっています。これら2つの制度は、’21年12月まで行われますが、これを延期、拡充しようという動きがあります。これまでも、政府は不況のたびに住宅関連の減税を行い、庶民に住宅を買わせて消費を促し、景気を好転させる手段としてきました。しかし、これからは空き家が増え、家が余る時代です。しかも東京五輪が終われば、日本の住宅価値も下がると予測されています。私は、たとえ住宅ローン減税が拡充されても、今は買い時ではないと思っています。政府が本当に国民の生活を思うなら、消費税増税をやめるべきです。今後、増税反対の世論が高まれば、増税が延期される可能性もまだまだあると思います。
2018年10月12日総裁選が終わり、消費税率アップは既定路線との見方もある。だが、経済ジャーナリストの荻原博子さんは「絶対避けるべき」と話す。また、政府が挙げる緩和策も庶民にとってはマイナスかムダでしかないという。荻原さんが解説してくれた――。9月20日、自由民主党の総裁選挙で、安倍首相が3選を果たしました。安倍首相は、選挙戦最中の9月10日に「予定どおり、来年10月に消費税を上げる」と明言。また、麻生財務大臣が8月27日に「今の経済状況なら、増税できる」と話すなど、消費税増税は既定路線との見方もあります。ですが私は、消費税を上げるべきではないと思っています。もし増税されたら、私たちの家計や、ひいては日本経済に、破壊的なダメージを与えると思うからです。確かに「給与が上がった」というデータもあります。しかし、もともと給与水準の低い若い人や高齢者の給与が上がり、平均値を押し上げただけ。働き盛りで教育費も重くのしかかる40代、50代前半の給与は、前年より下がっています(’18年2月・厚生労働省)。今、社会の中心を担う40代・50代が困窮しています。増税をきっかけに破たんする方が増えれば、日本全体を揺るがしかねません。さらに、10%のわかりやすさが追い打ちをかけます。1万9,800円の買い物をして、8%の消費税をすぐに計算できる人は多くないでしょう。でも10%なら簡単です。「消費税がこんなにかかるなら」と買い控える方が多いと思います。増税後は、今よりもっと消費が冷え込み、景気はますます悪化し、デフレ脱却などできないでしょう。ですが日銀は、’14年に5%から8%に増税したときより「家計への影響は小さい」と楽観的です。その理由は、増税の幅が、前回の3%から今回は2%になることに加え、政府がさまざまな緩和策を講じるからだといいます。代表的なものを見ていきましょう。【軽減税率】消費税は、自分の収入からいくら消費税を払ったかという割合で比べると、低所得者の負担が大きい税金です。高所得者は、収入の一部を消費し、残りは消費税のかからない貯蓄などに回せますが、低所得者は収入のほとんどを消費し、消費税を払うからです。低所得者の負担を軽くするために、軽減税率が導入される予定です。軽減税率とは、酒類以外の飲食料品と新聞(週2回以上発行で定期購読)は、増税後も、消費税を8%に据え置くというものです。軽減税率が実施されると、業者は大変です。飲食店で販売するものは税率8%でも、割りばしなど仕入れには税率10%のものも含まれます。食品に関係しない企業でも、来客用の茶葉など食品は税率8%で購入します。ほぼすべての業者が、8%と10%の複数税率に対応した会計処理や、レジなどの更新が必要になるでしょう。とはいえ、それだけの労力とコストをかけても、業者のもうけは増えません。客足が遠のくのを恐れて、増税後も値上げしない業者は、もうけが減ります。業者のもうけが減ると、そこで働く人の給与は上がりません。さらには、減給やボーナスカット、リストラに発展するかもしれません。社会全体の景気も悪化し、家計はますます厳しくなるでしょう。【消費税還元セール】前回’14年の増税時には、政府は特別措置法を作って、消費税還元セールを禁止しました。当時、流通業界などから「自由な価格競争を阻害する」と批判されましたが、それでも「セールを行うと中小の納入業者が値下げを強要され、増税分を取りはぐれる事態を防ぐため」と押し通したのです。しかし、今回は一転。容認の方向で議論が進んでいます。前回の増税時には、直前に駆込み需要が大きく、増税後は消費が大きく冷え込みました。そして、消費の冷え込みは、今でも解消されていません。前回の二の舞にならないようにと考えたのでしょうが、私は、セールがあれば消費が増やせるほど、消費者はバカではないと思います。また、前回注目された納入業者の増税分取りはぐれについては、どう対策するのでしょうか。今でも少ない利益から、増税分の負担が増えたら、倒産する中小企業も出てくるのではと心配です。政府が本当に国民の生活を思うなら、消費税増税をやめるべきです。今後、増税反対の世論が高まれば、増税が延期される可能性もまだまだあると思います。
2018年10月12日今月15日、国立がん研究センターが新しいデータを発表した。’14年に、新たにがんと診断された人は約86万7000人で、過去最高を更新。また、’18年には100万人を超える人が、がんになると予測されている。そこで、がんに対する必要な備えを経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれた――。沖縄県の翁長雄志知事や漫画家のさくらものこさんなど、がんで亡くなる方が相次いでいます。もしがんになったらと不安になる方、体はもちろん、お金も心配だという方も多いでしょう。なかでも住宅ローンの返済は切実です。住宅ローンを組む多くの方は、契約者が死亡、あるいは高度障害に陥った場合、「団体信用生命保険(以下、団信)」でローンが完済される契約をします。ですが、がんなどで働けないときの保障は、通常、付いていません。ところが最近、病気に対する保障の付いた団信が増えてきました。新しく登場したのは「がん50%保障団信」です。がんと診断されたら、住宅ローンの残高が50%免除されるもので、’15年末からじぶん銀行が、今年8月からソニー銀行が扱い始めました。以前から、がんや脳疾患などの特定の病気になると、残りの住宅ローンが完済される「特定疾病保障付き団信」はありました。これと比べると、がん50%保障団信は、がん限定でローン残高も完済ではないなど、保障が少ないように感じます。ですが、大きな違いは保険料なのです。特定疾病保障付き団信は、住宅ローンの金利が0.3%程度上乗せされるものが多いです。たとえば3000万円を30年ローンで借りた場合、金利が0.3%上乗せされると、約150万円余計に払うことになります。これが30年分の保険料、つまり、年間約5万円かかるのです。私は金利を上乗せしてまで、保障を広げる必要はないと思います。これに対し、がん50%保障団信は、上乗せ金利がありません。保険料負担ゼロで、がんへの備えができるとうたっています。ただ50歳以上の方は、契約できないことが多いです。また、ネット銀行での契約には、書類を自分で不備なく用意する手間と時間がかかることにも注意しましょう。がん50%保障団信を含め、病気保障まで付いた団信はどんなものでも、住宅ローンの総支払い額を比較することが大切です。上乗せ金利にかかわらず、通常は不要な手数料や、住宅ローン金利そのものの高さによって、総支払い額が増えるケースもあるからです。今年4月から、前立腺がんの粒子線治療や、食道がんのロボット手術などが保険適用となりました。公的健康保険は少しずつ、がん治療をはじめとする先進医療の保険適用を拡充しています。先進医療だと10割自己負担で300万円かかった治療でも、保険適用になると現役世代の多くは3割負担で済みます。さらに高額療養費制度が利用でき、一般的な収入の現役世代なら、月9万円ほどの負担に抑えられます。過度な心配をせずに、必要な備えを見極めたいものです。
2018年09月28日今月4日、関西地方を台風21号が襲い、さらに6日には、北海道胆振東部地震が起こった。立て続けに甚大な被害をもたらした2つ災害。一日も早く、被災した人たちが穏やかな生活に戻れることを願いながら、今、私たちができることにはどんなものがあるのだろう。経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説――。「ふるさと納税」を利用して、被災地に寄付ができます。これは、被災した自治体が、復興に活用する「支援金」となります。ただ被災した自治体は、寄付にかかる事務作業が負担になることがあります。そこで、寄付の受付けを代理で行う自治体があります。台風21号の被災地へは埼玉県深谷市が、北海道胆振東部地震は北海道白糠町と埼玉県深谷市が、被災地域全体への寄付を受け付けています。寄付金は被害状況などにより分配されるので、「○○町に」など寄付先の指定はできません。また、北海道厚真町への寄付を茨城県境町が代理で受け付けるなど、被災自治体ごとに、代理受付けを行っているところもあります。ほかにも、被災地で活動するボランティアやNPO法人などを支援したい方もいるでしょう。とはいえ、どの団体に送ればいいのか迷う場合は、赤い羽根共同募金を行う中央共同募金会の「災害ボランティア・NPO活動サポート募金」(通称ボラサポ)を利用するとよいでしょう。寄付金は中央共同募金会が、現地と調整してNPOなどに振り分けてくれます。寄付した方は、寄付金の受領書などを保管しておきましょう。確定申告などで、税金を減額できるものがあります。ふるさと納税は、収入などによって控除上限が決まっていますが、その範囲内であれば、通常どおり自己負担は2,000円。残りは全額控除されます。ただし、寄付を選べば返礼品は付きません。中央共同募金会などへの寄付は、寄付金控除により、税金を減らせます。ふるさと納税サイト「ふるさとチョイス」では、地震発生の翌日には2,000万円が、6日目には1億円を超える寄付が集まったといいます。災害直後にすばらしいと思います。
2018年09月21日今月4日、関西地方を台風21号が襲い、さらに6日には、北海道胆振東部地震が起こった。立て続けに甚大な被害をもたらした2つ災害。一日も早く、被災した人たちが穏やかな生活に戻れることを願いながら、今、私たちができることにはどんなものがあるのだろう。経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説――。被災した方に直接、寄付を届ける「義援金」があります。日本赤十字社や地元新聞社などが受け付けています。義援金は、被災状況に応じて公平に分配するため、支給が遅くなりがちですが、寄付したお金はすべて、被災した方に配られます。最近では、たまったポイントを寄付することもできます。Tポイントや楽天スーパーポイントなどは、1ポイント1円として、1ポイント単位で寄付できます。また、多くのクレジットカードポイントも、ポイント交換と同様の手順で、寄付を選択できます。寄付した方は、寄付金の受領書などを保管しておきましょう。確定申告などで、税金を減額できるものがあります。日本赤十字社などへの寄付は、寄付金控除により、税金を減らせます。ポイントの寄付は税金を減らせませんが、折にふれ、小さな善意を送るのも大切だと思います。寄付とともに、被災地の産品を買う、少し落ち着いたら被災地に出向くなどして、息の長い支援を続けていきたいものです。
2018年09月21日タレントの森口博子が18日、『Anison Days+』(文化放送/毎週土曜 18:00~)が10月6日からスタートすることをうけて、都内で行われた文化放送と日本BS放送(BS11)の共同記者会見に出席した。『Anison Days+』は、現在BS11で放送中のアニメソング番組『Anison Days』のラジオ版であり、テレビで放送された音源とオリジナルコンテンツで構成される。森口はテレビ×ラジオの連動について、「なんて画期的なんだろう、これは革命だなと。本当に光栄です」と感想を漏らす。また森口は、「アナログ人間」と評しつつも、番組の評判を"エゴサーチ"することを明かし、新番組のスタートに先立って15日に放送されたプレ特番について「1時間があっという間に感じられたんですけど、エゴサしても皆さん同じようにつぶやいていました。声を大にして言います。拡散希望です!」と自信をのぞかせた。自身も85年にアニメ『機動戦士Ζガンダム』オープニングテーマ「水の星へ愛をこめて」でデビューした森口。「『ガンダム』に出会ってなかったら歌手・森口博子もいなかったです。たくさんオーディションに落ちてる中で、手を差し伸べてくれたのがアニメの世界なので、アニソン、アニメは私の人生をガラリと変えてくれました」と思いを明かした。さらに「アニソンは子供の頃に誰もが聴いている楽曲なので、どんな時代でも裏切らない」と語り、「この番組もなくしちゃいけないと感じました。永遠に続くことを、まずは目指せ還暦です」と決意表明していた。
2018年09月19日義父母がシンドイんです!
うちのママは過保護なの?
家事分担離婚