【持続可能な恋ですか? 第9話 感想】林太郎が杏花に告げた家族の秘密
陽子の最期の手紙の一文、「あの日、プロポーズを受けてくれてありがとう」の意味がここで明かされる。
陽子は一人で産もうとしていたが、何かあった時に託せる人が欲しかった。
お腹の中にいたその子どもが、杏花なのだ。林太郎と杏花には血の繋がりはなかった。
「がっかりしたろ?」と哀しげに言う林太郎に、杏花から返す言葉は「びっくりした」とだけ。しかし、杏花はこうも語る。
「お父さん、ありがとう。結婚してくれて」
結婚の意味はまだ分からない…林太郎はずっと思い続けてきた。
初めは、結婚という言葉の意味を知りたいだけだった。そこに陽子と杏花への思いはなかっただろ。
だが振りかえると、思いがけない幸せに沢山出会えた。そして杏花という、何ものにも変えられない宝物に出会えたのだ。
34年という長い時間の中で芽生えた愛情、そして杏花が変わらず「お父さん」と呼んでくれる事実…。
共に生きてきた全てが、二人が血のつながりを超えた家族だということを証明しているように感じた。
林太郎は、結婚の意味を、生きるという意味を今やっと見つけることができた。
「父親になれて、『普通に』幸せだった」
普通とは、特に変わることなく、ごくありふれたものという意味が一般的な語釈である。