老後の生活を考えるうえで軸となる年金の受給額。妻のもらえる年金の額で損をしないためには、いくつかの“落とし穴”にご用心!「ねんきん定期便」には書かれていない注意点を早めに押さえておこうーー。「ねんきん定期便」には、保険料を納めた期間に応じて、老齢厚生年金と老齢基礎年金の額が記載されている。そして、ねんきん定期便には書かれていないけれどもらえる年金があり、これは請求しないと受け取ることができないので注意が必要だ。自分がもらえる対象なのかどうかを確認する必要がある。そんな「もらい忘れ」に注意が必要な妻の年金を、社会保険労務士でファイナンシャル・プランナーの井戸美枝さんが解説してくれた。【ケース1】いまは専業主婦の妻が、独身時代に勤めていた会社に「企業年金」があったまず注意したいのが、「厚生年金基金」のもらい忘れ。年金は1階が国民年金、2階が厚生年金、企業年金を3階と表して、厚生年金基金は企業年金の一つにあたる。’14年3月までの加入期間で、おおむね10年未満で中途退職した場合、企業年金連合会に記録が移っている。「よくあるケースは、妻が寿退社するまで勤めていた会社に厚生年金基金があったのを知らずに放っておいてしまうこと。結婚後に姓や住所が変わると本人の特定が難しくなり、通知が送られてこないというケースがあるのです。企業年金連合会のホームページからコールセンターに問い合わせるか、勤めていた会社に連絡して確認することをおすすめします」(井戸さん・以下同)結婚してから夫の扶養に入ると、手続きは夫任せ、という人も多い。特に夫が会社を退職したときに注意が必要だという。【ケース2】夫の退職時に、妻が第3号被保険者から第1号被保険者に変更になった厚生年金に加入している会社員や公務員(第2号被保険者)に扶養される20歳以上、60歳未満の主婦や主夫は、国民年金の第3号被保険者になる。保険料は自分で納める必要はなく、65歳以降、老齢基礎年金をもらうことができる。「注意が必要なのは、夫の定年退職後です。60歳未満の妻は、60歳まで年金保険料を支払わないと老齢基礎年金を満額で受け取ることができません。夫の退職と同時に妻は3号被保険者から自営業者などが加入する1号被保険者になりますが、この手続きを忘れてしまいがちなのです。市区町村の国民年金課に行き、自分で手続きをしましょう」夫が転職を繰り返している場合も、妻はその都度「3号被保険者」になるので、転職の都度、自分で確認しておきたい。「ねんきん定期便」で、加入期間をチェックして、加入期間が40年に足りていないことがわかったら、60歳以降も国民年金に加入して保険料を納める「追納制度」を利用することで加入期間を40年、480カ月の満額にすることができる(ただし、さかのぼることができるのは10年以内の分まで)。【ケース3】妻の前年の年金+そのほかの所得の合計が77万9,900円以下だった専業主婦だった妻が夫に先立たれた後など、年金収入が少ない人には年金に上乗せして支給される給付金制度が適用されることを知っておきたい。「’19年9月からスタートした『年金生活者支援給付金』は、消費税が10%に上がったタイミングで設けられました。65歳以上で、国民年金の保険料に未納期間がない場合、老齢基礎年金に年6万円が上乗せされた額を受け取ることができます」受け取るためには、前年の年金とそのほかの所得の合計が77万9,900円以下で、同居の家族が住民税非課税といった条件がある。さらに、年金を受け取る前に夫が他界したら、遺された妻が、夫が受け取るはずだった年金の一部をもらえる制度もある。【ケース4】夫が年金を繰り下げ受給しようとしたが、受給開始前に亡くなった年金を支払い続けていた夫が亡くなったときに遺族年金があり、一緒に「未支給年金」の請求を行うが、遺族年金を受け取れない自営業の人などはもらい忘れる可能性がある。未支給年金とは、65歳以降に夫が受け取るはずだった年金を、遺族が代わりに受け取ることができる年金のこと。「すでに老齢基礎年金を受け取っている人が7月20日に亡くなったとすると、その人が最後に受け取れる年金は6月15日に支給される4月分と5月分になります。このとき、6月分と7月分が『未支給年金』となります。市区町村の国民年金課で手続きをしなければもらえない年金で、5年経過すると時効になってしまうので、忘れずに請求しましょう」また、年金を繰り下げている間に亡くなったとき、受け取るはずだった年金を過去5年間さかのぼって受け取ることも可能。たとえば、老齢基礎年金(78万円)、老齢厚生年金(122万円)ともに繰り下げをして70歳で受け取るつもりが、69歳で亡くなった場合、遺族が請求できるのは繰り下げ前の年金額200万円×4年分の800万円となる。これから75歳まで繰り下げられるようになるので、もらい損にならないように制度をきちんと知っておこう。【ケース5】’66年4月1日以前に生まれた女性で、厚生年金に1年以上加入していた公的年金の受け取りは原則65歳からが基準だが、65歳前でももらえる人がいる。「特別支給の老齢厚生年金」は、厚生年金に1年以上加入した場合、60歳から厚生年金の一部を受け取ることができる。金額は生まれた年によって異なってくる。「男性は’61年4月1日までに生まれた人、女性は’66年4月1日以前に生まれた人が対象です。受け取り開始の3カ月前に年金請求書が送られてきますが、『年金は65歳から受け取るものなので、後で請求すればいいや』と勘違いをして、請求し忘れているケースが散見されます」これも、手続きを忘れると5年で時効になってしまう。十分に気をつけよう。「女性自身」2020年10月20日号 掲載
2020年10月08日年金問題と言えば、昨年には「老後資金2,000万円問題」が話題となりましたが、平成19年には約5,000万件の年金記録が誰のものかわからないという「消えた年金問題」で大騒動となりました。現在も誰のものかわからない年金記録は約2,000万件あり、特に年金手帳の表紙がオレンジの人は要注意です。今回の記事では、年金手帳の表紙の色による違いと注意点について解説します。公的年金の種類と基礎年金番号日本年金機構|年金番号・年金手帳について表紙の色は交付年月日で違う表紙の色は、年金手帳の交付年月日などによって下記の4つに大別できます。昭和49年11月に国民年金手帳と厚生年金手帳が統一され、オレンジの年金手帳になりました。1つの手帳にすべての年金記録(番号)が集約されるようになったのです。さらに、平成9年1月には基礎年金番号の導入によって1つの番号ですべての年金記録が管理され、同時に年金手帳の色も青色に変わりました。共済年金加入者には基礎年金番号通知書が送付される共済年金加入者には年金手帳が発行されないため、基礎年金番号通知書の送付によって基礎年金番号が通知されます。日本年金機構|年金番号・年金手帳についてまた、平成9年1月(基礎年金番号導入時)には、国民年金番号や厚生年金番号を持っていた人に対し基礎年金番号通知書が送られました。年金手帳を再発行した人は青色基礎年金番号が導入される前に年金加入した人も、年金手帳を紛失して再発行すれば、年金手帳は青色に変わります。再発行前に記載されていた国民年金番号や厚生年金番号は新しい年金手帳にはなく、基礎年金番号だけが載っています。年金手帳がオレンジの人は要注意いまから年金の受給が始まる人のほとんどは、年金手帳がオレンジの人です。年金手帳がオレンジの人は、青色の人と比較して年金記録に漏れ・誤りが多いので注意が必要です。[adsense_middle]年金手帳がオレンジの人の年齢オレンジの年金手帳の交付は昭和49年11月から平成8年12月の間です。20歳で年金加入する人が多いので、年金手帳がオレンジの人の現在の年齢は44歳から66歳くらいです。一部に人はすでに年金受給が始まっていますが、大半は今後20年くらいの間に受給手続きすることになります。年金記録が漏れている可能性前述のとおり、年金手帳がオレンジの人は、年金加入時は国民年金番号や厚生年金番号が付番されていました。基礎年金番号に記録を統合するとき、誰のものかわからない年金番号が多数あることが判明しましたが、年金手帳がオレンジの人もこの中に含まれます。実際に記録漏れが多いのは次のような人です。転職回数が多い人結婚後に退職して姓が変わった人名前の読み方が複数ある人再婚している人転職回数が多い人何回も転職している人は、複数の年金番号を持っていることがあります。特に転職のたびに新しい年金番号を発行している場合、10件前後の年金番号を持っていることも珍しくありません。こういった事情から、数の多い番号の一部が統合されなかったことで年金記録漏れするケースが多数発生しました。また、転職回数の多い人は短期間で辞めた会社について忘れてしまっている可能性もあり、年金記録の空白期間については慎重に確認する必要があります。結婚後に退職して姓が変わった人結婚して姓が変わった人も年金記録に要注意です。結婚前の姓と結婚後の姓がうまく名寄せされずに、結婚前に加入していた年金記録が別人のものと判断されるケースがあるのです。年金記録を調べるとき、まずは結婚前の年金記録が正しく反映されているかを確認しましょう。名前の読み方が複数ある人など名前の読み方が複数ある人や漢字名をよく間違えられる人も、年金記録が漏れている可能性が高いです。年金加入時に漢字名や読み方が間違って登録されたため、別人の年金記録だと判断されたケースなどです。氏名が間違って登録されるのは、次のような場合です。小山(オヤマ)さんの読み方を「コヤマ」と登録長田(ナガタ)さんの漢字名を「永田」と登録斎藤(サイトウ)さんの漢字名を「斉藤」や「齋藤」と登録氏名以外にも、生年月日が誤って登録されていたケースもあります。再婚している人再婚して何度も姓が変わっている人も、年金記録の漏れが散見されます。婚姻や離婚前後の姓がうまく名寄せされないことが原因です。長期間、厚生年金に加入している人はあまり問題ありませんが、結婚や離婚のたびに国民年金の第1号、第3号被保険者への加入を繰り返しているケースは要注意です。年金記録が間違っている可能性年金記録が漏れているケース以外にも、下記のように記録自体が間違っているケースもあります。加入期間や標準報酬額(保険料や年金額の計算基礎となる報酬)に誤りがある第3号被保険者期間に誤りがある加入期間や標準報酬額に誤りがある厚生年金の加入期間や標準報酬額に誤りがあるケースも散見されます。勤務先の会社が誤って報告するケースもありますが、旧社会保険庁の年金記録の管理が十分でなかったことが原因で発生した誤りも多数見つかりました。また、昔は紙ベースの台帳で年金記録を管理していたため、年金記録をデータベース化する際に加入期間や標準報酬額などが誤って登録されたケースも数多くあります。ずさんな年金記録の管理が社会問題となり、旧社会保険庁解体の一因にもなりました。第3号被保険者の加入期間に誤りがある会社員の配偶者などが加入する国民年金第3号被保険者の記録についても、多くの誤りが発生しています。第3号被保険者の手続きは、配偶者が会社に届け出て会社が日本年金機構へ書類提出しますが、会社への届け出や会社の対応が遅くなったため、年金加入が遅れたり未加入だったりするケースもあります。第3号被保険者は保険料の支払いがなく手続きも自分でしないため、年金に対して関心が薄い人もいます。しかし、将来受け取る年金額が減ってしまうリスクがあるので、記録の確認だけでも自分でしましょう。基礎年金番号が付番されていない可能性平成9年1月以降、国民年金や厚生年金などに加入していない場合、基礎年金番号が付番されていない可能性もあります。基礎年金番号を付番してもらうには、年金事務所での手続きが必要です。基礎年金番号通知書を持っている人や年金定期便が送付されている人は、すでに基礎年金番号が付番されているので上記手続きは不要です。基礎年金番号が複数ある可能性基礎年金番号の最初の2桁が「99」の人は、基礎年金番号が複数ある可能性が高いです。年金加入時に基礎年金番号が確認できなかったときには「仮基礎年金番号」が発行されていました。「99」で始まる基礎年金番号は、あくまで仮の番号なので、年金事務所で正式な基礎年金番号を付番してもらいましょう。また、「99」で始まる基礎年金番号を持つ人に対しては、日本年金機構から確認の案内が送付されていますので必ず対応しましょう。年金記録の確認方法と訂正方法公的年金は老後の生活を支える重要な資金です。年金記録に誤りがあると年金額が少なくなるので、早い時期に年金記録を確認し、誤りがある場合は記録の訂正手続きを取りましょう。[adsense_middle]年金記録の確認方法年金記録は下記により確認できます。年金定期便:毎年ハガキで送付され「年金加入期間」が記載。35歳、45歳、59歳に封書で送付される定期便には加入記録が詳細に記載されている。ねんきんネット:インターネットで「年金加入状況」を確認できる。将来受け取る年金額のシミュレーションも可能。年金事務所:「年金加入状況」の確認のほか、年金相談も可能。年金記録確認のチェックポイント年金記録確認のチェックポイントは下記のとおりです。未加入期間の確認複数の年金に加入していた場合、前の年金の資格喪失日と次の年金の資格取得日が同日か確認しましょう。同日でない場合、その間の期間が未加入期間です。未加入期間の加入状況の確認年金記録上は未加入である期間についても、会社に勤めていたり国民年金保険料を払っていたりしたことがないか確認しましょう。自分の記憶以外にも、古い年金手帳、未加入期間の給与明細、源泉徴収票、保険料の振込用紙などで記録が判明するケースもあります。年金記録の訂正は年金事務所で年金記録の訂正が必要な場合、または可能性がある場合は年金事務所で確認・訂正します。本人確認書類以外に必要書類はありませんが、前述の古い年金手帳や当時の給与明細など記録の確認に役立ちそうな資料は持参しましょう。また、勤務先の会社名や加入時期など、覚えていることはメモしていくことをおすすめします。年金記録を証明する書類がなくても、勤務先の会社名や住所、加入期間が確認できれば、自分の年金記録として認められるケースもあります。よくわからない場合も含めて、まずは年金事務所で相談することをおすすめします。オレンジの年金手帳に関するまとめ年金手帳の表紙の色は交付年月などによって異なります。昭和49年11月からオレンジの年金手帳、平成9年1月から青色の年金手帳が交付されました。オレンジの年金手帳が交付されたときは国民年金番号や厚生年金番号が使われていて、基礎年金番号導入時にうまく統合されなかった年金記録があったため、年金記録に漏れが発生しました。老後生活を支える年金を確実に受け取るために、早めに年金記録を確認し、誤りがあれば年金事務所で訂正しましょう。
2020年10月06日「だってこの人たち6年、ここ(日本学術会議)で働いたら、その後、学士院というところにいって、年間250万円年金もらえるんですよ(一同「えーっ」)。死ぬまで(一同再び「えーっ」)。みなさんの税金から。そういうルールになってるんです」10月5日に放送された「バイキングMORE」(フジテレビ系)でそう語ったのは、フジテレビ報道局解説委員室上席解説委員の平井文夫氏(61)だ。菅義偉首相(71)が日本学術会議の会員候補だった学者6人の任命を見送った問題について解説する中で出た発言。これには坂上忍(53)ら番組の出演者も驚愕し、思わず声を挙げた。すでにこの部分だけ抜き出した動画はツイッター上で拡散しているのだが、これは明確な誤りだ、という指摘が相次いでいるのだ。《日本学士院は定員150名、終身会員です。日本学術会議の人が全員日本学士院に入れるはずがないだろ》《この平井文夫氏のコメントは、あまりに出鱈目で、びっくりしました。学士院会員に年金が出るのは確かですが、学術会議とは別組織で、学術会議を辞めたら学士院に、などという「ルール」(平井氏はルールと言いました)はありません》内閣府の特別機関である日本学術会議の会員数は210名。任期は6年で、3年ごとに約半数が入れ替わる。対して、日本学士院は文部科学省の特別機関であり、定員は150名で、会員は終身になっている。したがって、日本学術会議の会員を退任した者がすべて日本学士院の会員となることは、物理的に不可能なことなのだ。そもそも、両組織の目的はまったく異なる。いま注目を集めている日本学術会議は「わが国の科学者の内外に対する代表機関として、科学の向上発達を図り、行政、産業及び国民生活に科学を反映浸透させることを目的」(日本学術会議法 第二条)とした組織。科学的な知見に基づいた政府への提言などを主な役割としていて、会員も40~60代の研究者が中心で、70歳が定年となっている。一方、日本学士院は「学術上功績顕著な科学者を優遇するための機関とし、この法律の定めるところにより、学術の発達に寄与するため必要な事業を行うことを目的」としている。会員も、複数のノーベル賞受賞者を含む、国内外のさまざま学術賞を受賞したことのあるような重鎮によって構成されている。年齢層も60代後半から90代が多く、最年少はノーベル生理学・医学賞受賞者でもある山中伸弥所長(58、京都大学iPS細胞研究所)。彼らのような“学術上功績顕著な科学者を優遇”するための組織であるため、年金も支給されることになっているのだ。もちろん、日本学術会議は日本を代表する研究者で構成されているので、会員を退任したあと、日本学士院会員となる例はある。また、今年度から日本学術会議の会長を務める、ノーベル物理学賞受賞者の梶田隆章所長(61、東京大学宇宙線研究所)のように、両組織の会員を兼ねるという例もないわけではない。だが、会員数や任期の関係もあり、平井氏のいうように「ここ(日本学術会議)で働いたら、その後、学士院というところにいって」ということはあり得ないことなのだ。ツイッター上では平井氏のこの誤った情報によって、日本学術会議に対する憎悪が高まっている。平井氏の発言の映像とともに、こんなツイートが……。《税金にたかっている》《そりゃあ250万円の年金が 今の年金にプラスされるのなら 激怒してデモを起こすわな》目的も、属性もまったく異なる組織を関連付けて、日本学術会議への批判の材料とした平井氏。ほかにも不正確な発言があった。「2017年に日本学術会議が軍事研究の禁止というとんでもない提言を出したんですね」あたかも、近年になって日本学術会議が軍事研究に反対した反対し始めたような発言だったが、日本学術会議は創立翌年の1950年とベトナム戦争の最中だった1967年に“軍事目的の研究は絶対にしない”という内容の声明を出している。2017年の声明は、防衛装備庁が将来の“装備品”に使える基礎研究に研究費を支給する「安全保障技術研究推進制度」を2015年に創設したことを受けて、過去の声明を継承することを確認したものに過ぎない。平井氏は2017年の声明がきっかけで、「(政府の)堪忍袋の緒が切れて、もうちょっと“偏っていない機関”にできないかという声が政府内であがって、今回のこと(任命拒否)になった」と説明したが、日本学術会議の軍事研究に対する態度は70年間ずっと一貫している。むしろ変わってしまったのは日本政府のほうではなかろうか。平井氏は“首相が日本学術会員の人事に介入するのは当然”“日本学術会議はいっそ民営化するべき”といった趣旨の主張をしてきた。だが、誤った情報を基とした主張が説得力を持たないことは論じるまでもない。
2020年10月05日大学を卒業し会社に就職したときや転職したとき、必ずといっていいほど「入社手続きに年金手帳を持ってきて」と言われます。普段使わないだけに、どこにしまったか忘れて大慌てで探す人も多いと思います。今回の記事では、年金手帳がないと困ることを中心に、年金手帳の役割と再発行する方法について解説します。国民年金と年金手帳日本年金機構|年金番号・年金手帳について厚生年金保険被保険者証と国民年金手帳は昭和49年10月以前発行のもので、この年金手帳を持っている人のほとんどは年金受給者です。ブルーの年金手帳は、基礎年金番号がスタートした平成9年1月以降のもので基礎年金番号のみが記載されています。また、オレンジの手帳は平成8年12月以前の発行で、厚生年金番号や国民年金番号が記載され、「基礎年金番号通知書」が添付されています。基礎年金番号通知書基礎年金番号通知書は、基礎年金番号導入時にすでに厚生年金番号や国民年金番号が記載された年金手帳を持っている人に対し、基礎年金番号を知らせるために作成されたものです。年金手帳の再発行はせずに、各自の年金手帳に通知書を添付する形となっています。また、公務員などの共済年金加入者には年金手帳を発行しないので、基礎年金番号通知書によって基礎年金番号を通知します。日本年金機構|年金番号・年金手帳について年金手帳の役割日本年金機構|年金手帳再交付申請書再発行の申請方法年金手帳の再発行申請は、窓口での提出のほかに郵送や電子申請(e-Gov)でも可能です。電子申請(e-Gov)を行うには、事前に電子証明書の取得が必要です。年金手帳がない場合に起こること&再発行手続きに関するまとめ年金手帳は、国民年金に加入している証明であり、基礎年金番号や年金記録を確認するためのものです。公的年金への加入から年金受給するまでの間のさまざまな手続きに必要となります。マイナンバーカードがあれば年金手帳がなくても可能な手続きがあり、必要なときに再発行するという方法もありますが、「入社時に会社への提出が間に合わない」など不測の事態に備えて、紛失が判明したら再発行手続きしましょう。再発行手続きについて、第2、3号被保険者は会社へ年金手帳を紛失したことを届出しましょう。第1号被保険者は市区町村役場でも手続き可能ですが、即日再発行できる年金事務所に行くことをおすすめします。
2020年09月30日日本国民なら20歳になると国民年金に加入しなくてはなりません。すでに会社勤めなどをしている人なら労使折半で保険料を収めているはずですが、収入のない学生はどうしているのでしょうか。保険料が払えないからと未納のままにしている人、もしくはしていた人も多いのではないでしょうか。学生時代に国民年金の保険料を払っていないと、将来の年金額に影響が及びます。今回は、学生時代に年金の保険料を払わなかった場合の対処の仕方などについて解説していきます。国民年金には保険料の免除や猶予の制度がある自営業者や学生、農業の人など国民年金の第1号被保険者のうち、保険料を支払うことが経済的に困難な方のために、保険料を免除したり猶予したりする制度があります。免除や猶予の手続きをすると、何も手続きを行わずに保険料を納付しない、単なる未納とは区別されます。未納のまま放置すると、老齢年金の受給以外にも不利益を被ることがあります。そのため、免除や納付猶予の制度が利用できる場合はきちんと手続きをし、未納を避けるべきです。国民年金保険料未納のデメリットとは?国民年金保険料を免除や猶予の手続きをせずに未納のままにすると、どのようなデメリットがあるでしょうか。年金が受け取れない、または年金受給額が減る未納の場合、保険料を払わないので「年金額が減る」というデメリットがあることは、難なく想像ができると思います。けれども、「全く受け取れなくなる」可能性もあることは想定外の人が多いのではないでしょうか。老齢基礎年金(国民年金の老齢年金)を受け取るには、保険料を納付済みの期間と、免除や猶予の期間の合計が10年以上であることが条件になります(受給資格期間といいます)。未納の期間が長くて受給資格期間を満たせない場合、老齢基礎年金を1円も受け取ることができません。「障害年金」「遺族年金」が受け取れない一般に「年金」というと、上述した「老齢基礎年金」のように老後に受け取る「老齢年金」をイメージする人が多いと思います。しかし公的年金には、亡くなったときに遺族の生活保障の役割を持つ「遺族年金」、そして重度の障害になったときの所得保障である「障害年金」もあります。障害年金、遺族年金を受給するためには以下のいずれか条件が必要です。それまでの加入期間の3分の2以上について、保険料を納付済みまたは免除されていること直近1年間に未納がないこといずれの場合も、未納の期間が長いと受給資格を満たせなくなり、いざというときに障害年金や遺族年金が受給できなくなる可能性があります。例えば、交通事故のケガで後遺症が残って働けなくなった場合などに障害年金が受け取れないのは、経済的なダメージも大きいはずです。保険料免除制度とは?本人・世帯主・配偶者の前年の所得が基準額以下の場合、「保険料の全額、4分の3、半額、4分の1」のいずれかが免除されます。いくら免除されるかは前年所得額によって決定します。免除を受けると年金の受給額は減額になりますが、半分は保証されます。保険料納付猶予制度とは?50歳未満の加入者で、本人と配偶者の前年の所得が基準額以下の場合に、納付を猶予してもらうことができる制度です。納付猶予は免除とは違い、後から保険料を納めることを前提としています。そのため、年金を受け取るために必要な受給資格期間に算入されますが、猶予期間分の年金の受給額には算入されません。学生納付特例制度は保険料の後払いを前提とした制度学生の場合は、納付猶予の特例で「学生納付特例制度」という制度を利用できます。「学生納付特例制度」とは?「学生納付特例制度」とは、学生で保険料を納めるのが難しい場合、本人の所得が118万円までであれば、年金保険料の納付を猶予する制度です。この制度を利用すれば、保険料を納めなくても受給資格期間に算入されます。しかし、「猶予」とは「免除」と違い、保険料の後払いを前提としています。ゆえに、そのまま保険料を納めなければ、将来の年金額は減額されるので注意が必要です。学生納付特例制度を申請し忘れた場合学生納付特例制度は、20歳になって「国民年金加入手続きのご案内」が送られてきたタイミングで申請するのが一般的です。もし、そのタイミングで申請しそびれた場合、2年1か月まで遡って申請を出すことができます。この期間も過ぎてしまった場合は学生納付特例制度は使えず、その期間は未納ということになってしまいます。未納期間分の保険料の後払いはいつまでできる?学生時代に学生納付特例制度を利用してもしなくても、保険料を納めていないなら、将来の年金額が減ることには変わりがありません。20歳から40年間、国民年金の保険料を払い込んだ場合に受け取れる年金額の年額は、2020年(令和2年)度で781,700円です。仮に3年間の未納だとすると、将来の年金額は約60,000円(約8%)も減ります。国民年金は一生涯受け取る年金なので、長生きすればするほど、減額の影響は大きくなります。そこで、納めていない保険料を後から納めて、将来受け取る年金を増やす方法について見ていきます。[adsense_middle]学生納付特例を利用した人の追納の期限とタイミング保険料納付猶予制度や学生納付特例は、保険料の納付を先延ばしにして後で払うことが前提であると述べました。その「後払い」にあたる行為を「追納」といいます。追納は、免除や猶予された期間の保険料を10年まで遡って納めることができる制度です。ただし、3年以上前の保険料を追納する場合には、経過期間に応じた加算額(延滞利子のようなもの)が付きますので注意してください。追納の最適なタイミングとは?3年以上経ってからの年金保険料の追納は加算額が上乗せされるので、2年以内に追納したほうがいいということになります。ただ、ここでもう一つ考えるべきことがあります。それは、追納した保険料は社会保険料控除の対象になり、所得税と住民税が軽減される点です。所得税と住民税の節税効果は収入の高い人ほど大きくなります。もし、追納によって所得税の税率が変わるような場合は、そのタイミングで追納するほうが、加算額を回避するより有利な可能性があります。学生納付特例を利用した人が社会人になったら、追納の保険料をいつ払うのがいいかを考えておきましょう。奨学金の返済と追納の関係日本学生支援機構の貸与型の奨学金を受けた場合、社会人1年目の10月から返済が始まります。ここで、年金保険料の追納と奨学金の返済が重なると、負担が重すぎる場合も考えられます。その場合は、奨学金の返済を優先し、年金保険料の追納は生活が安定してからにしましょう。なぜなら、奨学金を返済しない場合のほうがリスクが高いからです。未納で減った年金額を取り戻すその他の方法学生納付特例も利用せず、保険料が未納だった場合は60歳以降で年金額を増やす方法があります。厚生年金を継続して経過的加算額を増やす会社員の場合、厚生年金は最長70歳になるまで加入できます。国民年金の保険料は60歳以降は納めないため、60歳以降に会社勤めをしている場合は国民年金の年金額は増やせません。しかし、老齢厚生年金の経過的加算額は増えていきます。経過的加算額は厚生年金に3年加入して約60,000円増やすことができますので、3年間の未納で減った年金額をほぼ埋め合わせることができます。国民年金の任意加入国民年金が満額に足りない人は、60歳以降も65歳まで国民年金の任意加入をして国民年金保険料を納めることができます。60歳以降会社勤めをせずに厚生年金に加入しない場合は、この方法を利用すれば老齢基礎年金が増やせます。学生時代の年金の未納と追納に関するまとめ学生納付特例を利用した場合は、10年以内に遡って「追納」をすることができます。追納の保険料は社会保険料控除の対象になります。一方、学生納付特例を利用しなかった場合は、60歳以降に厚生年金の継続、または国民年金の任意加入で老後の年金を増やすことができます。上記のように、学生時代の国民年金の保険料が未納のとき、学生納付特例を利用した場合としない場合で、老後に受け取る年金を増やす方法が異なるため注意しましょう。
2020年09月27日つみたてNISAは、iDeCo(個人型確定拠出年金)と同じように長期での資産形成に向いている制度ですが、途中でやめてしまう人もいるのは何故でしょうか。運用に失敗してしまう人はどのような特徴があるのか、どのように対処すればいいのかについて解説します。コロナ禍でも増えるつみたてNISA金融審議会市場ワーキング・グループ報告書左の図は、1995年から2015年までの20年間の運用益を表しています。「A:定期預金」だけでは、20年間の運用で1.32%(年率0.1%)しか資産は増えませんが、「B:国内の株式と債券に半分ずつ投資」した場合は、38%(年率1.9%)のリターンとなるのです。ただ収益のブレが大きく、マイナスになっている年もあります。しかし、「C:国内・先進国・新興国の株式や債券に6分の1ずつ投資」した場合、79.9%(年率4%)と高いリターンを得られます。株式のみではリスクが高くなりますが、このように幅広く国際分散投資を行っておけば、リスクを抑えながら高いリターンを望めるのです。また右の図は、1985年から毎月同額ずつ株式や債券に積立・分散投資した結果です。保有期間が5年の場合はマイナスリターンも発生しますが、保有期間が20年になるとプラスリターンに収斂し、そのバラツキも小さくなることがわかります。これらはあくまでも過去の実績にもとづくものであり、将来においても同じ結果が得られるとは限りません。しかし長期・積立・分散投資がリスクをコントロールし、一定のリターンをもたらしやすいという点で、多くの人にとって好ましい資産形成であるといえるでしょう。つみたてNISAで損する人の共通点まとめつみたてNISAは10年、20年にわたって運用を行っていく制度です。最初は誰でも長期で運用しようと考えて始めるのですが、途中でやめてしまう人もいます。しかし、積立投資は量を積み上げていく投資手法なので、相場の上げ下げの結果によって運用をやめてしまうのは不要です。途中で価格が下がっても大丈夫だと理解しておけば、相場の上げ下げは気にならなくなります。短期的な視点で考えず、10~20年といった長期で考えて運用を続けるようにしましょう。
2020年09月11日日本国民であれば、20歳になったら国民年金に加入しなくてはなりません。それは、まだ働いていなくて収入のない学生も同様です。2021年(令和3年)3月までの国民年金保険料は16,540円(月額)ですが、もし保険料を支払うことができない場合はどうすればいいのでしょうか。国民年金には単なる未納とは異なる、免除や猶予という制度があります。学生には、学生納付特例猶予があります。今回は、これらの制度の基礎知識についてお伝えします。大学生が利用できる国民年金の猶予制度「学生納付特例」とは?「免除」と「猶予」は、経済的な理由で国民年金保険料を納めることができないときでも未納にならないための制度です。免除や猶予の手続きを行っておけば、その期間は受給資格期間に含まれます。これらの制度を利用したのちに年金額を増やすためには、保険料の追納や、60歳以降も国民年金に任意加入するなどが必要です。国民年金の免除制度とは?免除制度は失業などの理由で国民年金保険料を納められない人が審査を受けて、その所得に応じた免除割合が決められます。そして、免除の割合によって将来受け取る国民年金が減額されます。国民年金の納付猶予制度とは?これに対し、納付猶予は学生やそれ以外の若年者(20歳以上50歳未満)といった、将来的に納付が可能な人に納付を猶予する制度です。免除制度では年金額への反映がされますが、猶予制度では猶予期間中の年金額は未納と同様に計算されません。「学生納付特例制度」とは?20歳以上で所得が一定以下の学生は、申請により国民年金保険料の納付猶予を受けることができます。所得は本人の所得のみが対象です。所得基準2020年(令和2年)度の所得基準は以下のとおりです。118万円+(扶養親族等の数×38万円)+社会保険料控除等「学生納付特例制度」のメリット「学生納付特例制度」は国民年金保険料の支払いが猶予される、税金でいうところの「延納」のようなものです。よって、保険料を払わなければ年金額は減ってしまいます。では、「学生納付特例制度」を利用した場合のメリットには、どんなものがあるのでしょうか。手続きをしていれば受給資格期間に算入される公的年金を受給するためには、年金保険料を支払った期間や保険料の免除期間の合計が一定以上必要です。その期間を「受給資格期間」といいます。現在、老齢基礎年金(国民年金の老齢年金)の受給資格期間は10年です。国民年金に限らず、厚生年金の保険料を支払った期間や免除期間も合算して10年以上であれば、老齢基礎年金を受給することができます。受給資格期間受給資格期間は以下の計算式で求めます。「国民年金の保険料の納付月数」+「若年者納付猶予制度の対象月数」+「国民年金の保険料の免除月数」+「学生納付特例の対象月数」「学生納付特例の対象月数」は受給資格期間に含まれるため、単なる未納の場合に比べて有利になります。「障害基礎年金」や「遺族基礎年金」を受け取る権利ができる公的年金は老後に受け取る老齢年金だけではありません。亡くなったときに遺族の生活保障の役割を持つ「遺族年金」、そして重度の障害になったときの所得保障である「障害年金」があります。「学生納付特例制度」の手続きをし、国民年金に加入した人は「老齢基礎年金」「障害基礎年金」「遺族基礎年金」を将来受ける権利が生じます(ただし、障害を負った、または亡くなった時点で、障害基礎年金や遺族基礎年金それぞれの受給要件を満たしている必要があります)。特に、万が一のときに障害基礎年金を受け取れないと経済的なダメージが大きいので注意が必要です。仮に、交通事故などでケガをして身体障害者になってしまった場合、本来なら障害基礎年金の障害等級の1級や2級にあてはまる場合でも、未納では受け取ることができません。公的年金は老後の年金だけではないことをきちんと理解して、学生納付特例の手続きを忘れずにしておきましょう。追納によって減った年金額を満額にできる「学生納付特例制度」を利用した場合、保険料を全額納付した場合と比べて年金額が減額になります。しかし、「学生納付特例制度」の承認を受けた期間の保険料については、後から納付(追納)することにより、老齢基礎年金の年金額を増やして最終的に満額にすることができます。また、社会保険料控除により、所得税・住民税が軽減されます。「学生納付特例制度」を利用した期間が年金額に反映されないのは、「学生納付特例制度」が保険料の猶予であり、後払いを前提としているからだと考えられます。追納するなら2年以内を目標にする追納ができるのは、追納が承認された月の前10年以内の免除等期間に限られています。「学生納付特例制度」を受けた期間の翌年度から数えて、3年目以降に保険料を追納する場合には、当時の保険料額に経過期間に応じた加算額(延滞金のようなもの)が上乗せされます。追納するなら2年以内を目標にしましょう。追納によって受給額はどれくらい増えるか追納することで受給額はどの程度増えるのでしょうか。例えば、1カ月分の保険料を追納したら、「781,700円(令和2年度の満額)/480カ月≒1,629円」の年金を増額できます。1年分の追納の場合は、約19,542円の年金を増額できます。増額した年金は終身で受け取れます。「学生納付特例制度」のデメリット追納をしなければ年金額が減額になる上記の追納の説明でも述べましたが、「学生納付特例制度」を利用した場合、追納をしなければ年金額が減額になります。例えば、学生納付特例制度を2年間利用したとします。減額される年金額は以下のとおりです。(781,700円×38年)÷40年=742,615円満額との差額は以下のとおりです。781,700円-742,615円=39,085円実に40,000円近い年金額のカットが、65歳以降一生涯続きます。学生時代にはありがたかった学生納付特例制度が、忘れたころに老後生活にネガティブな影響を及ぼすのです。「学生納付特例制度」を申請する方法[adsense_middle]20歳になったら必要な国民年金の手続き20歳の誕生日を迎えてから2週間以内に、日本年金機構から「国民年金加入のお知らせ」という書類一式が、保険料の納付書とともに送られてきます。通常は、毎月保険料を納めることになります。しかし、収入のない学生で保険料の支払いが難しい場合などは、これまで解説してきたとおり「学生納付特例」を利用することになります。学生納付特例制度の申請書は「国民年金加入のお知らせ」の書類一式の中に入っています。学生納付特例制度の申請場所学生納付特例制度の申請は次の場所で受付けています。住民票のある市区町村の役所の国民年金担当窓口最寄りの年金事務所なお、学生納付特例の申請は郵送でも受付けています。手続きに必要なもの窓口の申請の際には以下のものが必要です。国民年金保険料学生納付特例申請書年金手帳(※)学生証または在学証明書※まだ年金手帳を持っていない人は身分証明書(運転免許証・パスポート・個人番号カード)を持参します。学生の年金&猶予と免除の違いに関するまとめ収入のない学生は、申請によって保険料の納付が猶予される「学生納付特例制度」を利用できます。「学生納付特例制度」は保険料の支払いを猶予する「後払い」を前提とした制度であるため、期間中の年金額には反映されません。10年以内に追納をすることにより、年金額を満額に近づけることができるようになっています。また、「学生納付特例制度」の期間は老齢基礎年金の受給資格期間に含まれます。このように、単なる未納と手続きを踏んで猶予してもらうことには大きな違いがあるので、「国民年金加入のお知らせ」が届いたらくれぐれも放置をしないようにしましょう。
2020年09月05日少子高齢化が進み、公的年金だけでは老後の生活が成り立たないと、ほとんどの人が不安を感じています。特に、国民年金だけで厚生年金のような上乗せがない自営業者は、より一層不安が大きいことでしょう。今回は、自営業者の人の老後の支えになる公的年金の基礎知識と、老後のための自助努力について解説します。自営業の公的年金制度についての基礎知識厚生労働省ホームページ国民年金の年金額はどのくらい?公的年金でもらえる金額は?では、国民年金の年金額は厚生年金に比べてどのくらい少ないのでしょうか。厚生労働省が公開している「平成30年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、会社員などの第1号厚生年金被保険者に対する厚生年金の平均支給額は、月に143,761円です。これに対し、国民年金の平均支給額は月に55,809円です。夫婦ともに国民年金の世帯では、月当たりの年金額が10万円強ということになります。これでは、住宅ローンなどもなく質素な暮らしをしたとしても、生活していくことは難しいでしょう。もちろん、健康であれば働けるだけ働くことも可能ですし、それが自営業のメリットでもあります。ただ、将来にわたって健康である保証はなく、若いうちから年金増額対策をコツコツ積み重ねることは必須といえます。自営業者が加入できる年金の上乗せ制度とは?それでは、具体的に自営業者が年金上乗せの自助努力として利用できる制度について見ていきましょう。自営業者が利用できる年金対策の制度は主に以下のようなものがあります。iDeCo(個人型確定拠出年金)小規模企業共済国民年金基金[adsense_middle]iDeCo(個人型確定拠出年金)iDeCo(個人型確定拠出年金)とは、個人である加入者が掛け金を積み立て、自分で選んだ商品で運用を行い、60歳以降に年金または一時金として受け取ることができる私的年金制度です。運用の成果によって、将来受け取る年金額は変化します。iDeCo(個人型確定拠出年金)の加入条件iDeCoは原則として日本在住で20歳以上60歳未満、国民年金や厚生年金などの公的年金に加入している人であれば加入できます。iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛け金iDeCo(個人型確定拠出年金)は月々5,000円以上1,000円単位の掛け金から始めることができます。掛け金には上限額があり、自営業者の場合は月額68,000円が上限となっています。iDeCo(個人型確定拠出年金)のメリット掛金が全額所得控除iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛け金は全額、所得控除(小規模企業共済等掛金控除)の対象となります。この節税メリットはiDeCo(個人型確定拠出年金)の最大の魅力といっても過言でありません。個人の税引き後の資金で運用するのに比べ、断然有利になります。運用益に対して非課税個人の資金を投資信託などで運用した場合、運用益に対して所得税が課税されますが、iDeCoでの運用益には課税されません。受取時にも税制優遇60歳以降にiDeCoの積立金を受け取る場合、分割して受け取る年金方式と一括で受け取る一時金方式、または両者の併用から選ぶことができます。年金の場合は公的年金等控除、一時金の場合は退職所得控除の対象になります。インフレ対策が可能iDeCoでは株式や不動産(リート)などに分散投資が可能となっており、老後までに徐々にインフレが起ったとしても対策することができます。iDeCo(個人型確定拠出年金)のデメリット60歳まで引き出しできないiDeCo(個人型確定拠出年金)の積立金は原則として60歳になるまで引き出しはできません。iDeCo(個人型確定拠出年金)は老後資金を自助努力で準備する制度であるため、税制が優遇されています。それゆえ、目的外の資金の利用は制限されるのです。また、一度加入すると、掛金の減額はできますが脱退はできません。元本保証ではないiDeCo(個人型確定拠出年金)の運用は加入者が自ら行います。運用商品の中には元本保証でない投資信託も含まれます。運用がうまくいけば高い収益を得ることができる半面、場合によっては元本割れを起こす可能性もあります。ただ、iDeCoの毎月定額での運用商品の買い付けは長期で続けるほど平均購入単価が下がり、リスクを抑えることにつながります。小規模企業共済小規模企業共済とは、個人事業主や会社役員などが事業を廃止・会社を退職する際に、それまで積み立てた掛金に応じて給付金を受け取る退職金制度のことです。独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)が運営しており、全国で約132万人の加入者がいます。小規模企業共済の加入資格常時使用する従業員が20人以下(商業・サービス業では5人以下)の個人事業主および会社の役員小規模企業者たる個人事業主に属する共同経営者(個人事業主1人につき2人)一定規模以下の企業組合・協業組合及び農業組合法人の役員常時使用する従業員が5人以下の弁護士法人、税理士法人等の士業法人の社員なお、加入年齢の制限はありません。小規模企業共済の掛金毎月1,000円以上で500円単位で自由に設定可能で、上限は月額70,000円です。増額、減額も可能です。小規模企業共済のメリット積み立てた以上の金額が受け取れる事業の廃業や退職時に、それまで積み立てた金額を「共済金」として受け取ることができます。20年(240ヶ月)以上積み立てていれば、掛金の支払額以上の給付が見込めます。掛金が全額所得控除小規模企業共済の掛け金は全額、所得控除(小規模企業共済等掛金控除)の対象となります。受取時にも税制優遇小規模企業共済の共済金を受け取る場合、分割して受け取る年金方式と一括で受け取る一時金方式、または両者の併用から選ぶことができます。年金の場合は公的年金等控除、一時金の場合は退職所得控除の対象になります。契約者貸付制度あり払い込んだ掛金の範囲内で、無担保・無保証人にて事業資金の貸付けが受けられます。小規模企業共済のデメリット掛け捨てと元本割れのリスクあり納付月数が12ヶ月(1年)未満で解約となった場合は掛け捨てになります。また、加入期間が20年未満の場合は、元本割れしてしまいます。国民年金基金国民年金基金とは、国民年金の第1号被保険者が任意に掛金を拠出することによって将来の年金受給額を増やす制度です。各都道府県ごとに設立された「地域型国民年金基金」と、同じ職種ごとに全国規模で設立された「職能型国民年金基金」があります。国民年金基金の加入資格20歳から60歳になるまでの間の人で、国民年金の保険料を納めている第1号被保険者日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の国民年金任意加入被保険者国民年金基金の掛金掛金月額は加入時に選択した給付の型、口数、年齢、性別に応じて変わりますが、将来も一定です。国民年金基金のメリット掛金が全額所得控除国民年金基金の掛け金は全額、所得控除(社会保険料控除)の対象となります。将来、受け取る年金額が確定している国民年金基金では加入時の予定利率が将来にわたって変わらないため、将来受け取る年金は運用状況などによって変動することはありません。終身年金を選択できる国民年金基金に加入する場合、少なくとも最初の1口目は、終身年金を選択することが必要です。終身年金は一生涯、年金を受け取ることができます。そのため、長生きのリスクに対応することが期待できます。国民年金基金のデメリット一度加入すると解約できない国民年金基金への加入後は原則として解約できません。掛金の支払いが困難な場合は、減額や支払い猶予を利用できます。インフレ対応ができない国民年金基金の予定利率は加入時から将来にわたって変わらないと述べました。これは、将来の年金額が確定しているということであり、インフレによる物価上昇には対応できません。国民年金基金は遠い将来のための制度ですが、将来のインフレリスクに対応できないことは大きなデメリットといえます。自営業者の年金に関するまとめ自営業者の老後の公的年金は国民年金しかないため、それだけで生活していくことはほぼ不可能です。対策としては働けるうちは働き、働いている間に国民年金だけでは足りない部分を自助努力で準備することが考えられます。自助努力のために活用できる主な制度は、iDeCo(個人型確定拠出年金)、小規模企業共済、国民年金基金があり、それぞれにメリット、デメリットがあります。加入を検討する際は、自分が重視する点は何かなどをよく考えましょう。
2020年09月02日国民年金は日本国民なら20歳になったら加入しなくてはならないはずなのに、納付率が6割に満たないという調査結果が出ています。「年金財政はいずれ破綻するから年金保険料は払わない」という若者が増えているのです。さらに、2019年の金融庁報告書をきっかけとした「老後2000万円問題」のニュースが、公的年金制度への不信に拍車をかけるようになりました。本当に日本の年金制度は破綻するのでしょうか。今回は年金制度の実情と、私たちが備えるべきことについてわかりやすくお伝えします。日本の年金制度の現状最初に、簡単に日本の公的年金制度の現状についてご説明します。公的年金制度の仕組みは「2階建て」と呼ばれます。基礎年金(1階部分)として、20歳以上60歳未満のすべての人を強制加入とする「国民年金」基礎年金の上乗せ(2階部分)として、厚生年金・共済年金などの被用者年金さらなる上乗せ(3階部分)として確定拠出年金や厚生年金基金などがあります。厚生労働省ホームページ公的年金は世代間扶養の仕組み公的年金制度でよくある誤解に、「自分が受け取る年金は自分が負担していた年金保険料から支払われる」というものがあります。日本における公的年金制度はそのような「積立て方式」ではありません。現役世代の納める保険料で高齢者世代の年金給付を賄う、世代間扶養の仕組み(賦課方式)で成り立っているのです。現在、日本は少子高齢化が進行しており、1人の年金受給者を支える現役世代の人数は減る一方となっています。2050年には現役世代1.2人で1人の年金受給者を支えるようになると言われています。ほぼ1人の現役世代の年金保険料で、1人の年金受給者の年金給付を賄うことはできるのでしょうか。年金制度崩壊が不安視されるのは、このような事情からです。なぜ、日本の公的年金制度は破綻しないのか結論から言いますと、日本の公的年金制度は破綻しません。公的年金制度が破綻しない理由なぜ、日本の公的年金制度は破綻しないと言えるのでしょうか。それは、以下の理由からです。公的年金制度が維持できないと国が困るから長期的に年金原資が枯渇しないように運用しているからマクロ経済スライドで年金保険料収入と年金給付を調整しているから公的年金制度が維持できないと国が困るから公的年金制度が破綻しない一番の理由は、「公的年金制度がなくなると、国はそれ以上に巨額の生活保護費を負担しなくてはならなくなる」からです。国には日本国憲法にも謳われている最低限度の生活を国民に保障するために、生活保護を支給する義務があります。生活保護の財源は全額税金です。つまり、全額国の負担ということになります。これに対し、公的年金は加入者と企業からの年金保険料と税金で賄われているため、生活保護よりはるかに国の負担は少なくてすみます。よって、国は制度の改正はしますが、廃止することはほぼありえないと考えられます。長期的に年金原資が枯渇しないように運用しているから2016年10月に従業員数が501人以上の事業所において、それまでの「週30時間以上働く労働者」から、「週20時間以上働いており、賃金の月額が8万8000円以上で、雇用期間が1年以上見込まれる」労働者へと厚生年金加入対象者が拡大されました。そして、今後はさらに厚生年金加入対象者が拡大されます。理由としては、パートタイマーなどの非正規労働者の将来の生活のためと謳われています。しかし、実際にはこの改正によって年金保険料収入が増えることが、大きな目的です。このように、公的年金は原資が枯渇しないように、保険料収入と支出のバランスが取れるような調整を随時行っているのです。上記のような改正以外にも、加入期間を延ばして年金保険料を増やす方法などが考えられます。公的年金制度は保険なので、現役世代からの保険料収入と高齢者に支給する年金を調整することで、維持することが可能です。マクロ経済スライドで年金保険料収入と年金給付を調整しているから「100年安心プラン」と呼ばれた2004年の年金制度改正では、「マクロ経済スライド」という制度が導入されました。「マクロ経済スライド」とは年金制度の収入である保険料と、支出である年金給付を調整する仕組みです。マクロ経済スライドによって、賃金や物価の上昇にともなう年金給付の伸びは抑えられるようになります。そのため、現在年金を受給している高齢者と、保険料を負担している現役世代との公平性が高くなると言われています。将来の公的年金はどうなるのか?「日本の公的年金制度は破綻しない」という結論ですが、この結論は老後の安心を意味しているわけではありません。制度としての公的年金は維持されますが、そのために国民に有利な変更がされる可能性はゼロに等しいのです。年金制度崩壊のための改正というのは、ほぼ「給付の引き下げ」の繰り返しです。公的年金は生きている限りずっと受給できるため、老後の生活資金のなかで重要なものです。しかし、年金だけで生活することはほぼ不可能であり、老後生活への不安はつきまといます。年金はいつからもらえるのか?現行の公的年金制度では、支給開始年齢を65歳としています。受給開始年齢は前後5年繰り下げと繰り上げが可能で、60歳から70歳で選べるようになっています。繰り上げた場合は年金額は減額、繰り下げた場合には増額される仕組みです。2020年の改正では、繰り下げ可能な年数を10年に延ばし、60歳~75歳で選べるようになります。寿命の延びとともに働く期間も延長し、受け取る年金を増やせるようにする狙いからです。「75歳にならないと年金が受け取れない」と誤解する人もいますが、そういうことではありません。年金不安への対策年金を受け取り始める時点における年金額が、現役世代の手取り収入額と比較してどのくらいの割合かを表す数字として、「所得代替率」というものがあります。将来的には、所得代替率は50%くらいと考えておくといいでしょう。いくら質素な生活をしたとしても現役時代の半分の収入では生活は成り立たないはずです。公的年金の不足分はどのように補えばいいのでしょうか。[adsense_middle]年金問題を解決するにはどうすればいいか?公的年金制度を正しく理解し、改正にも注意する働く期間を延長して年金を繰り下げ受給するiDecoなどを活用して老後資金の不足分を準備しておく公的年金制度を正しく理解し、改正にも注意する残念なことに公的年金制度について、義務教育で詳しく学ぶ機会が私たちにはありません。そのせいで、制度を誤解して「年金はどうせもらえないのだから、保険料は払いたくない」などと考えてしまうと、将来の生活が成り立たなくなる可能性もあります。細かいことまで知らなくてもいいですが、年金制度の大まかな仕組みや、破綻はしないけれど老後生活には不安があることなどを理解しておきましょう。そして、改正はたいていの場合、国民に不利益なものになりますので、その都度確認してください。働く期間を延長して年金を繰り下げ受給する平均寿命の伸びにともない、健康なら65歳以降も働くことを考えましょう。働いている間は年金は受け取らず、仕事の収入で生活するようにします。そうすることで年金の繰り下げ受給になり、将来受け取る年金の額を増やすことができます。iDecoなどを活用して老後資金の不足分を準備しておく現役時代の半分しか年金で賄えないので、老後資金の不足分は自助努力で備えなければなりません。いくらくらい準備したらいいか、シミュレーションをしてみましょう。iDecoは、公的年金だけでは不足する老後資金の準備手段として、国が税制面を優遇している制度です。積極的に活用しましょう。年金制度崩壊に関するまとめ少子高齢化により、年金財政は悪化の一途をたどっています。漠然とした不安を抱えたままにせず、年金制度をしっかり理解して必要な準備を考えましょう。その上で、できるだけ早いうちに対策を講じる必要があります。ねんきん定期便などを参考に不足額を算出し、不安のない老後を迎えたいものです。
2020年07月31日かねてから指摘されてきた国民年金と厚生年金の“格差”。いま両者の統合案が政府内で出ているのだが、それが招くものはーー。「年金財政を延命させるため、6月に年金制度改正法が公布されたばかり。しかし、早くも’25年に予定されている次の年金改正に向け、厚生年金と国民年金の積立金統合案が持ち上がっています。会社員などの年金受給額が減額する可能性もあるため、大きな議論となるでしょう」(経済誌記者)将来の年金給付の財源として積み立てられてきた「年金積立金」。サラリーマンや公務員などの給与所得者を対象にした厚生年金と、自営業者やパート従業員などを対象にした国民年金で、別々に計上されている。厚生年金の被保険者は約3,980万人、積立金は国家予算の1.5倍にあたる157兆円超にのぼる。一方、国民年金のみに加入している自営業者などは1,462万人。積立金は9兆円にとどまる。経済評論家の平野和之さんはこう語る。「厚生年金は収入に応じて保険料が上がりますが、国民年金は一律約1万6,000円。さらに、“将来、もらえないんじゃないか”という年金不信も広がっていて、未納率も3割を超えています」昨年8月に発表された「財政検証」で、国民年金の厳しい状況が浮き彫りになった。「財政検証とは、厚生労働省が5年に1度行う、年金財政の健康診断のようなもの。将来、現役世代の男性の平均手取り収入額に対して、モデル世帯の夫婦の年金給付額がどのくらいの割合になるのかを示した“所得代替率”の未来予測が検証されています」(平野さん)現在の現役男子の平均手取り額は35万7,000円とされている。厚生年金に40年間加入していた夫と、専業主婦の妻というのがモデル世帯。現在の所得代替率は61.7%で、夫婦の年金額はおよそ22万円となっている。しかし、国民年金加入者が受け取れる基礎年金に限れば、現在でも所得代替率はわずか36.4%、夫婦で約13万円に過ぎない。「財政検証では、経済成長率、物価上昇率などを加味して6つのシナリオが示されています。もっとも平均的なケースでも、’40年度の基礎年金の所得代替率は29%になる見込みです。現在の平均手取り額から試算すると、国民年金のみを受給している夫婦は、わずか月額10万3,500円で生活しないといけない」しかも、これは夫婦ともに40年間保険料を欠かさずに払い続けた場合の給付額。未納期間があれば、この金額には届かない。「このまま国民年金の給付額が下がり続けた場合、とても生活は成り立ちません。余裕のある厚生年金の財源に頼らざるを得ないというわけです。当然、厚生年金加入者からは、『なんで厚生年金の積立金で、未納者もいる国民年金も支えないといけないのだ!』という反対の声が上がることが予想されます」厚生年金と国民年金の積立金は、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、株式や債券で運用している。年金博士として知られる、社会保険労務士の北村庄吾さんはこう指摘する。「新型コロナウイルスの感染拡大による世界経済の落ち込みは、積立金に大きな影響を与えます。さらに、国民年金と統合されることで、厚生年金の積立金の計画は大きく狂ってしまうことになるでしょう」厚生年金はどの程度の影響を受けるのか。平野さんが注目するのは、財政検証で示された最悪のケースだ。「このケースだと、’52年度に積立金が枯渇すると予想されていますが、統合などによって、時期はさらに10年、15年と早まる可能性がある。そうなれば、現在の50代も無関係ではいられません。積立金が使い果たされた場合、厚生年金の所得代替率は36~38%まで落ち込むと試算されています。現在の平均手取り額から計算すると、将来の厚生年金の受給額はわずか月額13万5,000円。現状の22万円よりも、8万5,000円も減額されてしまうことになります」「女性自身」2020年7月14日号 掲載
2020年07月16日「先日、新しい年金改正法が公布され、’22年4月から施行されます。今回の大きな改正は、“年金の受給開始年齢を75歳まで延長可能にする”ということです」そう話すのは、ファイナンシャルプランナーで保険のプロ・長尾義弘さん。年金の受給開始のタイミングが拡大することで、何が変わるのか?長尾さんに詳しく解説してもらおう。現行の制度では、65歳を起点に、それより早く年金をもらい始めることを“繰り上げ受給”、66歳以降に遅らせることを“繰り下げ受給”という。改正により、この繰り下げ可能な期間が5年広がることになる。「ここでは、“65歳のときの年間受給額が、厚生年金と基礎年金を合わせて150万円になる会社員”のケースを想定。60歳で受給を開始すると、受給額は年間約36万円の減額となります。すると、80歳の時点で、65歳から受給を開始したときの総受給額の2,400万円と比べて、総受給額は2,394万円と少なくなってしまうのです。日本人の65歳時点での平均余命は男性19.7歳、女性24.5歳。この数字を考えると、繰り上げ受給は損をしてしまう選択と言えるでしょう」いっぽう、繰り下げたケースをみてみるとーー。「繰り下げ受給は年に8・4%の増額となるので、70歳まで繰り下げると、最大42%の増額です。65歳で年額150万円のケースだと、年間の受給額が213万円にアップ。月額にして約18万円になります。この金額であれば、年金だけで夫婦2人の生活費をなんとかカバーすることができます。そのため私は、これまで70歳からの受給開始をすすめてきました」それが、75歳まで繰り下げが可能となることで、長尾さんがすすめる受給開始のタイミングも変わってくるという。「がんなどで余命を宣告された人は60歳から受給を開始するという選択もあります。しかし、多くの人にとっては、“72歳で受給開始”がベストな選択というのが私の試算です」長尾さんはその理由として、3つの観点を挙げる。【1】長生きしたときの“受給総額”「95歳時点での総受給額を見ると、72歳以降の総額はすべて5,700万円台。それほど大きな差は発生しないのです」【2】65歳からの“平均余命”「年金は受給を遅らせれば遅らせるほど、月々の支給額が多くなります。その損益分岐点は11~12年。つまり、受給開始から11~12年で、65歳で受給開始したよりも総額がアップする、ということです。受給開始を72歳にすると、損益分岐点が、ちょうど男性の平均余命と近くなります。しかも月々受け取れる金額は65歳から受給した場合の金額に比べて約6割の増額。これならば、ある程度ゆとりのある生活が保障される金額になります。年金の役割を、“長生きをしたときの保険”と考えれば、72歳まで繰り下げをして受給額を増やすほうがいいでしょう」【3】元気に働ける“健康寿命”「何歳まで元気に日常を過ごせるかを表したのが健康寿命です。厚労省の統計では、男性が72歳、女性は75歳。男性が無理なく働ける平均年齢は72歳と考えることができます」定年後もまだ働けるうちはイキイキと働くことで健康的に過ごし、その後は繰り下げ受給により増額した年金で老後の生活を豊かにしようというのが、長尾さんがすすめるライフプランだ。「繰り下げ受給の手続きは、日本年金機構に繰り下げ請求を提出することで可能となります。繰り下げの場合は、いつ繰り下げるのをやめるのも可能。生活具合に応じて支給を開始することができる自由度の高い制度です」生活の支えとして年金が必要になったら、無理せず申請する。その最終目標は72歳。それを安心できる老後生活の指針にしてみては。「女性自身」2020年7月14日号 掲載
2020年07月16日「年金財政を延命させるため、6月に年金制度改正法が公布されたばかり。しかし、早くも’25年に予定されている次の年金改正に向け、厚生年金と国民年金の積立金統合案が持ち上がっています。会社員などの年金受給額が減額する可能性もあるため、大きな議論となるでしょう」(経済誌記者)将来の年金給付の財源として積み立てられてきた「年金積立金」。サラリーマンや公務員などの給与所得者を対象にした厚生年金と、自営業者やパート従業員などを対象にした国民年金で、別々に計上されている。年金博士として知られる、社会保険労務士の北村庄吾さんはこう語る。「集まった保険料のうち、年金の支払いにあてられなかったぶんを、将来に備える資金としたのが積立金の始まりです。現役世代が多く、景気も右肩あがりだったバブル期、年金受給者に支払う額を大きく超えた保険料が集まりました。その結果、圧倒的に加入者が多く、給与から自動的に保険料が差し引かれる厚生年金の積立金は膨れ上がってきたのです」これまでほかの公的年金の財政が悪化するたび、財政に余裕のある厚生年金が救済役となってきた。「’97年には、持続困難となった旧三公社(NTT、JT、JR)の共済年金を厚生年金に統合。’15年には公務員共済、私立学校教職員共済を統合してきた経緯があります。今回の国民年金の統合案も、この流れに沿うものです」(北村さん)厚生年金の被保険者は約3,980万人、積立金は国家予算の1.5倍にあたる157兆円超にのぼる。一方、国民年金のみに加入している自営業者などは1,462万人。積立金は9兆円にとどまる。経済評論家の平野和之さんはこう語る。「厚生年金は収入に応じて保険料が上がりますが、国民年金は一律約1万6,000円。さらに、“将来、もらえないんじゃないか”という年金不信も広がっていて、未納率も3割を超えています」厚生労働省「平成30年度の国民年金の加入・保険料納付状況」によると、収入が少なく、不安定な若い世代ほど未納が多く、25~34歳では、約4割が未納だという。「今後、コロナ不況が深刻化すれば、この傾向はさらに高まり、未納率が上昇してしまうことも懸念されています」(平野さん)はたして、われわれの年金はどうなるのか。次の年金改革は5年後だが、議論はすでに始まっている。自分の老後のために、その行方を注視しよう。「女性自身」2020年7月14日号 掲載
2020年07月16日「新たな年金改革法が成立し、’22年の4月からは段階的に制度が変わっていきます。年金を損なく受け取るには、これまで以上に働き方や受給開始のタイミングが重要となるでしょう」こう語るのは“年金博士”こと社会保険労務士の北村庄吾さん。パート主婦が注目すべき改革の内容はおもに2つあるという。1つ目は、パートを代表とする短時間労働者の厚生年金適用拡大だ。「これまでの厚生年金の加入条件は、労働時間が週20時間以上、月収8万8,000円(年収106万円)以上、企業規模が従業員501人以上などでしたが、段階的に企業規模の条件を緩めることになりました」具体的には、’22年10月に従業員数101人以上に、’24年10月には従業員数51人以上に緩和される予定。最終的に、約65万人が新たに加入するようになると、社会保障審議会は試算している。加入で、まず大きな影響を受けるのは、パートの手取り額だ。「月収8万8,000円だと、新たに厚生年金保険料や健康保険料などの社会保険料がかかるようになり、概算ですが、手取りは月1万3,000円ほど減ります」こう聞くと減収ばかりに目がいってしまう。ただ、北村さんはメリットも考慮すべきだと語る。「将来、老齢基礎年金に厚生年金を上乗せできるのです。公的年金の特徴は亡くなるまでもらえること。“長生きリスク”を考慮すると、もらえる年金額を増やすことは重要です」上乗せされる厚生年金の目安は、北村式計算法によると《年収の百万の位の数字×5,500円×勤続年数》。たとえば、55歳のパート主婦が10年間、年収106万円で働いたとすると、《1.06×5,500円×10年》で、年間5万8,300円が、生涯にわたって上乗せされる計算になる。もうひとつ今回の改革で注目すべき点は、年金受給を開始する年齢の選択肢が増えたこと。「受給開始年齢は通常65歳ですが、現状でも最大で5年、開始時期を繰り上げ(早め)たり、繰り下げ(遅め)たりできます。繰り下げた場合、1カ月ごとに年金は0.7%増額(最低1年以上繰り下げなければならない)。最大で42%増えますが、今回の改革で繰り下げの上限が、’22年4月からは10年となり、最大で84%増額できるようになります」年金を損なく受け取るには、こうした厚生年金による上乗せや繰り下げ受給をうまく活用することが重要になってくる。そこで、10年間、年収106万円のパートを続けた主婦が、平均寿命の87歳で亡くなる場合、何歳で年金を受給し始めると、得するのかをシミュレーションしたーー(ブレイン社会保険労務士法人への取材をもとに編集部が概算。年収は106万円、厚生年金加入期間は10年とし、女性の平均寿命である87歳まで生存すると想定した。年金の内訳は基礎年金が年間78万1,700円、厚生年金の上乗せ額が年間5万8,300円。パート期間中の社会保険料は10年間の厚生年金保険料や健康保険料などの総額である)。【A】厚生年金なし、65歳から受給受給率:100%年金額(年間):78万1,700円87歳までに受け取る総年金額:1719万7,400円パート期間中の社会保険料:0円保険料を引いた総年金額:1,719万7,400円【A】と比較した場合の損益:0円87歳時点での受給年金総額は約1,700万円。このケースを基準にして以降は損得を計算する。【B】厚生年金あり、65歳から受給受給率:100%年金額(年間):84万円87歳までに受け取る総年金額:1,848万円パート期間中の社会保険料:158万1,840円保険料を引いた総年金額:1,689万8,160円【A】と比較した場合の損益:▲29万9,240円厚生年金による上乗せで、【A】に比べて、87歳までにもらう年金総額は約128万円多い。だが、前述のようにパート期間中は社会保険料の支払いが発生。その金額を差し引くと約30万円の赤字に。収支がプラスになるのは93歳以降だ。【C】厚生年金あり、70歳から受給受給率:142%年金額(年間):119万2,800円87歳までに受け取る総年金額:2,027万7,600円パート期間中の社会保険料:158万1,840円保険料を引いた総年金額:1,869万5,760円【A】と比較した場合の損益:149万8,360円繰り下げにより年金額は42%増額。パート期間の各保険料を差し引いても、87歳時点では【A】より約150万円の黒字となり、長生きするほど黒字額は増えていく。【D】厚生年金あり、75歳から受給受給率:184%年金額(年間):154万5,600円87歳までに受け取る総年金額:1854万7,200円パート期間中の社会保険料:158万1,840円保険料を引いた総年金額:1,696万5,360円【A】と比較した場合の損益:▲23万2,040円84%増額されるものの、受け取れる期間は12年と短く、結果的に【A】と比べて約23万円の赤字。翌年の88歳以降からはプラスとなる。「シミュレーションだと改革後は、会社員の夫は65歳から受給し、厚生年金に加入のパート妻は70歳まで繰り下げるのが、ベストでした。今回の制度改革では、“75歳まで繰り下げると84%も増額”が強調されますが、目先の数字に惑わされずに、平均寿命や健康寿命を考慮して年金受給計画を立てましょう」年金財政悪化により次々に改革が打ち出される。柔軟に対応して、損なく年金を受け取ろう。「女性自身」2020年6月23・30日合併号 掲載
2020年06月25日今回の年金改革の目玉である「75歳からの繰り下げ受給で84%の増額」。数字だけを見れば飛びつきたくなるが、そこには落とし穴もーー。「新たな年金改革法が成立し、’22年の4月からは段階的に制度が変わっていきます。年金を損なく受け取るには、これまで以上に働き方や受給開始のタイミングが重要となるでしょう」こう語るのは“年金博士”こと社会保険労務士の北村庄吾さん。パート主婦が注目すべき改革の内容はおもに2つあるという。1つ目は、パートを代表とする短時間労働者の厚生年金適用拡大だ。「これまでの厚生年金の加入条件は、労働時間が週20時間以上、月収8万8,000円(年収106万円)以上、企業規模が従業員501人以上などでしたが、段階的に企業規模の条件を緩めることになりました」具体的には、’22年10月に従業員数101人以上に、’24年10月には従業員数51人以上に緩和される予定。最終的に、約65万人が新たに加入するようになると、社会保障審議会は試算している。加入で、まず大きな影響を受けるのは、パートの手取り額だ。「月収8万8,000円だと、新たに厚生年金保険料や健康保険料などの社会保険料がかかるようになり、概算ですが、手取りは月1万3,000円ほど減ります」こう聞くと減収ばかりに目がいってしまう。ただ、北村さんはメリットも考慮すべきだと語る。「将来、老齢基礎年金に厚生年金を上乗せできるのです。公的年金の特徴は亡くなるまでもらえること。“長生きリスク”を考慮すると、もらえる年金額を増やすことは重要です」上乗せされる厚生年金の目安は、北村式計算法によると《年収の百万の位の数字×5,500円×勤続年数》。たとえば、55歳のパート主婦が10年間、年収106万円で働いたとすると、《1.06×5,500円×10年》で、年間5万8,300円が、生涯にわたって上乗せされる計算になる。「さらに厚生年金の適用に伴い、いざというときは健康保険から疾病手当金が支払われます。病気やケガなどで長期間仕事を休むことになったとき、未加入だと、療養している間は無収入となります。一方で加入していれば、3日連続で仕事を休んだ場合、4日目から最長1年半までの間は、給料の約3分の2がもらえるようになる。民間の保険ではありえないような手厚い保障もセットになっているのです」もうひとつ今回の改革で注目するべき点は、年金受給を開始する年齢の選択肢が増えたこと。「受給開始年齢は通常65歳ですが、現状でも最大で5年、開始時期を繰り上げ(早め)たり、繰り下げ(遅め)たりできます。繰り下げた場合、1カ月ごとに年金は0.7%増額(最低1年以上繰り下げなければならない)。最大で42%増えますが、今回の改革で繰り下げの上限が、’22年4月からは10年となり、最大で84%増額できるようになります」年金を損なく受け取るには、こうした厚生年金による上乗せや繰り下げ受給をうまく活用することが重要になってくる。「たとえば、男性の平均寿命は約81歳。増額狙いで75歳から受給を始めても、もらえる年金総額が65歳から受け取り始めた場合を超えるのは86歳10カ月以降と、平均寿命の約5年後からです」一方で女性の平均寿命は約87歳と先が長く、’70年生まれの女性が90歳まで生きる確率は67%だ。「夫が65歳で定年を迎えて収入が減ることも考慮すると、夫の年金受給開始は65歳にして、預貯金と相談しながら妻の年金のみを繰り下げるというのが、1つの基本的な考え方になるでしょう」「女性自身」2020年6月23・30日合併号 掲載
2020年06月24日こんにちは、婚活FP山本です。確定申告を聞きかじったことがあるような方なら、「医療費控除の申請には領収書が必要」と認識されているのではないでしょうか。そして確定申告の難しそうなイメージも手伝って、医療費控除を使えるのに使わない方も一定数おられるようです。少なくとも、その認識のままでは少し損かもしれません。そこで今回は、医療費控除の現在の申請や確定申告上の基礎についてお伝えします。あなたの人生に、お役立てくださいませ。現在の確定申告の出し方で領収書添付は必要ではない!まずは早速、現在の確定申告における医療費控除についてお伝えします。実は現在の確定申告の出し方では、医療費控除を受けるのに領収書添付は必要ではありません。これは平成29年分の確定申告から新しく始まったルールになります。これまでに医療費控除を受けたことがある方なら、大量の領収書を添付してパンパンに膨れ上がった確定申告書を提出していたことでしょう。実はこれ、簡単にいえば税務署サイドから見ても不評だったわけです。そのような声を受けての簡略化の措置になります。なお、平成29年分から令和元年分までの確定申告においては、経過措置として従来の領収書添付の形式でも提出可能です。とはいえ、わずか3年分の話ですから、早めに慣れる意味でも領収書添付は控えるよう努めましょう。税務署の請求に応じるため5年間は保管すること注意が必要なのですが、領収書は添付の必要はなくなったものの、5年間は自宅などで保管しておく必要があります。これは必要に応じて、税務署が確認(のための電話など)をするときのためです。税務署の請求に応じるため、5年間はしっかり保管しておきましょう。この保管義務を考えると、確かに確定申告書への添付義務はなくなったものの、しっかり領収書をもらっておく必要性は変わっていません。領収書を保管しておくことさえ面倒に感じる方もいるでしょうが、随分と確定申告がラクになったのは事実ですから、しっかり対応しましょう。現在の提出方法は領収書の代わりに明細書を添付する次は、領収書ではない現在の確定申告方法についてお伝えします。現在の確定申告における医療費控除の提出方法は、領収書の代わりに「明細書」の添付が必要です。この明細書というのは、領収書などを元にして自分で作成することになります。ちなみにこの明細書で書くべきことというのは、以下のとおりです。医療を受けた方の氏名病院・薬局などの支払先の名称医療費の区分「診察・治療」「医薬品購入」「介護保険サービス」「その他の医療費」支払った医療費の額4のうち生命保険や社会保険などで補てんされる金額なお、この明細書は領収書1枚ごとではなく、医療を受けた方や病院ごとにまとめて記入することができます。本人が同じ病院に頻繁に通院しているようなケースなら、かなりまとめて書けるでしょうから、随分と労力は少なくなるのではないでしょうか。しっかり覚えておきましょう。明細書項目・内訳を確認し、領収書がないときはメモしておく病院で領収書がもらえないケースは稀ですが、なくしてしまうと(無料で)再発行してもらえないことがあります。医療費控除に関係する「交通費」なら、領収書そのものがもらえないことも多いです。そのような領収書がないときは、メモしておけば問題ありません。明細書に記入すべき項目・内訳は先ほどのとおりですから、特に領収書がないときは即座にメモしておく必要があります。ちなみに病院の領収書をメモする前になくした場合は、代わりになるものがもらえることもありますから、まずは病院に相談してみましょう。「医療費のお知らせ」を使えば明細書も領収書の保管も不要今度は、さらに別の確定申告提出方法についてお伝えします。これは医療費控除の領収書が明細書に置き換えられたことに合わせての処置ですが、健康保険組合などが発行する「医療費のお知らせ」を明細書に代えることが可能になりました。簡単にいえば、「医療費のお知らせ」を確定申告書に添付すれば、明細書を新たに作る必要もありませんし、領収書の保管も不要になります。使いたいと思っている医療費控除の内容がすべて載っていれば、「医療費のお知らせ」をそのまま添付するだけでよいわけです。今まで膨大な量の領収書を確定申告書に添付していたような方なら、大幅に手間を省けることになります。何ともうれしい変更ですから、ぜひ一度早めに試してみましょう。年度途中で区切られ、全部は載っていないことも多い少し注意が必要なのが、「医療費のお知らせ」は中途半端な年度途中で区切られていることが多いという点です。つまり、あなたが使いたいと思っている医療費の全部は載っていないことも多々あります。特に、医療費控除に関係する「交通費」は載っていないのが普通です。このような医療費のお知らせに載っていない部分については、別に明細書を作って添付する必要があります。とはいえ、大幅な労力カットには違いないでしょうから、大きく喜びましょう。そもそも医療費控除に該当するか注意しようここからは、医療費控除を確定申告する際の注意点についてお伝えします。まずそもそも、その支払いが医療費控除に該当するのかどうかには注意が必要です。一般的な「医療費控除に該当しそうで該当しない支払い」には、以下のようなものがあります。健康診断の費用美容のための費用病気予防や健康増進のための費用医療費ではない謝礼金医療費控除に該当しない交通手段勝手に医療費控除に該当すると考えて確定申告をして、あとに税務署とトラブルになるような話は意外と多いです。まずは自分で調べて、分からないときは事前に税務署などに相談し、ちゃんと医療費控除に該当するときに限って、正しく確定申告をしましょう。要件を満たさないなら額に関係なく対象外医療費控除の要件を満たさない支払いなら、額に関係なく医療費控除の対象外です。たとえば美容整形など、高額な支払いをしたときには、つい少しでも取り戻したい心理が働くものですが、不正はダメといえます。あとで税務署から連絡が来たりすると大ごとになります。もちろんこれは、「知りませんでした」は通りません。特に後述する交通費については、不正の温床といわれることもありますから、少なくとも納税者側も十分に注意しておきましょう。医療費控除の「交通費」は対象か否かが細かめ今度は、医療費控除に関係する交通費についてお伝えします。医療費控除というのは、元になる医療費だけが対象ではなく、関係する交通費についても対象です。ただしこの交通費は、対象になるか否かが細かめに決められており、基本的に以下のようになっています。ガソリン代や駐車場代がNGというのは、車社会が一般的な地方には厳しいルールかもしれません。またタクシーや新幹線などは、どうしても必要なら対象になりますが、こじつけのような理由では通りませんから注意が必要です。当てはまるのは、深夜帯で電車やバスがなかった、どうしても遠方の病院でしか治療を受けられない、などといったケースになります。あとでしっかり説明できるよう、利用の経緯についてもちゃんとメモしておきましょう。病院に行くときは「電車かバス」を使うのが一番確実先ほどの一覧を見ると分かるとおり、病院に行くときは「電車かバス」を使うのが一番確実です。そうでなければ、医療費控除に交通費を含めるのは諦めたほうが無難かもしれません。もちろん、あくまで医療費控除の対象にならないだけで、自家用車で病院に行くのは問題ありません。とはいえ、頻繁に病院に通院しているような方なら、年間の交通費も相応の額になりがちです。なるべく交通費も医療費控除に含められるよう、通院の手段についても考えて動きましょう。[adsense_middle]どうするか分からないときは税務署に相談しよう最後に、大切な補足情報についてお伝えします。医療費控除というのは、確定申告をする際に使う控除の1つです。そして確定申告とは税金に関することですから、基本的には税法というものが定められている一方、税務署や国税庁が管轄している内容になります。そもそも医療費控除どころか、確定申告さえよく分からないという方も多いです。確定申告は相応に知っていても、「例外的な事柄」についてはネットなどでは調べきれないこともあります。そういうときには、そのまま税務署などに相談してみるのがおすすめです。税務署は確定申告を管轄しているのですから、確定申告の方法や例外的な事柄についても丁寧に教えてくれます。どうするか分からないというときには、ぜひ税務署を有効活用していきましょう。確定申告は一度でも経験すれば次からは意外と簡単?確定申告の作業については、一度でも経験すれば慣れますから、次からは意外と簡単にできるようになります。一度では無理でも、何回か経験すれば大丈夫でしょう。ただし、それこそ今回の医療費控除のように、「途中で制度が変わる」という点には注意が必要です。税法というのは、本当に毎年のように何かが変更されています。これからは、そのような「変更情報」についても敏感に収集するとともに、不安なときには税務署に相談するよう心掛けていきましょう。医療費控除に使った領収書はまとめて保管しておこう現在では制度が変更され、確定申告に医療費控除のための領収書を添付する必要はありません。ただ5年間の保管義務がありますから、医療費控除に使った領収書はまとめて保管しておくことが必要です。大幅に手続きが簡略化されたのですから、これからは積極的に医療費控除を活用していきましょう。
2020年06月23日気になる男性とデートを繰り返しても、脈があるのかイマイチ判断が付かない…そんな悩みを抱えている女性は必見です。デート中の彼の仕草から「100%脈あり」だと断定できる男性の行動を紹介します。デート中にスマホを見ないデート中に男性が楽しそうにしていたら、それは脈ありのサインかもしれません。でもその男性が明るい性格なら、誰とデートをしていても楽しそうにするかもしれませんよね。もっと確実に脈ありだと判別できる男性の行動は「スマホを見ない」ことです。本当にその時間が楽しいときや充実しているとき、人はスマホを見ることを忘れてスマホに興味が向かなくなります。例えLINEが入っていても、とりあえずは後回しに。しかし逆に少しでも退屈だと思えば、ついスマホを見てしまうんですよね。「ごめん、LINE返していい?」とそこまで即レスを求めていない友達のLINEを返した経験が、誰でもあるはずです。そのため、デート中に男性のスマホを見る時間がゼロだったとしたら、それは100%脈ありの行動なのです。デートの「次」を誘ってくる彼の脈あり度が知りたければ、デート後にも注目してみましょう。デートが終わるときは、男性が脈ありかどうかがわかる瞬間です。デートが終わりに近づいてきたときに「次」というワードが登場したら、それは脈ありのサインになるからです。例えば「次のお店、どうしようか」「次のデートいつにする」「次も会ってくれますか?」などの「次」です。この言葉には「まだ離れたくない」「また会いたい」という彼の裏メッセージがこめられています。相手のことが好きだから、まだ離れたくないし、また会いたいのです。つまりあなたに対して彼から「次」という言葉が出れば、100%脈ありだと判断できてしまうんです。デート中にお金を払いたがるデート中は、何かとお金を使いますよね。テーマパークの入園料、レストランの飲食代、記念の品を購入する場合もあるでしょう。この二人のお金を男性が払いたがったら、脈ありのサイン。なぜなら男性も女性も、たとえデート中だとしても「コスパ」は意識して行動しているからです。何かにお金を使うときは、それに見合う見返りがあると感じられるとき。もしデート中に彼がお金を払いたがったら、男性はお金を払う以上の見返りを受けたという証拠になります。逆に「デートに誘って失敗した」と男性が途中で気づいたら、できるだけお金を払うことを嫌がるでしょう。だからこそお金を支払う場面には注目ですよ。デート中に彼氏がお金を払いたがり、しかも嬉しそうにお金を払っていたら100%脈ありと思って大丈夫です。デート中は彼をよく観察して!彼とのデート中は思いきり楽しむ一方で、冷静な目を持つことも大切。男性の様子をよく観察していると、脈ありのサインを見つけられるかもしれません。彼はデート中にスマホを何分間見た?お金を払うときの表情は?別れ際に「次」というワードが出た?…もし脈ありサインが3つ揃ったら「200%脈あり」です!
2020年06月22日日本では国内に住む20歳以上のすべての人が国民年金に加入し、保険料を支払うことが義務になっています。これは学生も例外ではありません。ただし、収入が少なく国民年金保険料を支払うのが難しい学生には、保険料を支払わなくてもよい「学生納付特例」が設けられています。今回は「学生納付特例」について、仕組みと注意点を解説します。学生の国民年金保険料は「免除」ではなく「猶予」される日本年金機構提出が必要な書類申請では申請書のほか、在学期間のわかる在学証明書の原本または、学生証の写しを添付して提出します(申請手続きの際に窓口で添付すべき書類を提示する場合は添付は不要)。申請できる期間学生納付特例の申請は、原則として年度(4月〜翌年3月)ごとに申請書を提出して行います。2020年度分の学生納付特例を申請する場合、申請ができるのは2020年4月〜2021年3月の間であり、2020年3月までは2020年度分の申請はできません。逆に保険料の納付期限から2年経過する前(申請時点から2年1カ月まで)の期間については、さかのぼって特例の適用を申請できます。たとえば2018年10月分の保険料(納付期限2018年11月30日)は、2020年11月30日までに申請すれば猶予を受けられる可能性があります。これ以降は時効により猶予申請ができなくなります。学生納付特例制度を利用する際の注意点日本年金機構追納の申込みが承認されると自宅に通知書と納付書が届くので、納付書を使って追納分の保険料を支払います。追納を行う際は、承認された追納期間のうち古い期間から行うと決められています。親が子どもの国民年金保険料を払うことは可能子ども自身の国民年金保険料は、被保険者である本人が払うのが原則ですが、親が払っても問題はありません。在学中に本人が保険料を支払うのが難しい場合、学生納付特例制度を利用し、就職後に本人が追納するのが筋でしょう。とはいえ、就職後も子どもに追納できる余裕があるかはわかりません。追納時期が遅くなれば割増保険料を支払わなければならず、追納しないまま10年を経過してしまうおそれもあります。そのような事態を防ぐという意味では、親がいったん子どもの保険料を払ってしまうのも有効な選択肢といえるでしょう。親に経済的な余裕があれば、特例を利用せず直接保険料を支払えば問題ありません。学費や仕送りと重なるなど、あまり余裕がない場合は特例を利用し、子どもが卒業後に余裕ができたタイミングで追納するといった方法が考えられます。国民年金保険料は支払った人の社会保険料控除の対象になる国民年金保険料は、その全額が支払った人の社会保険料控除(所得控除)の対象となります。所得税は所得の多い人ほど高い税率が適用されるため、一般的に所得の少ない子どもが支払うよりも、所得の高い親が支払ったほうが、より高い節税効果が期待できるというメリットもあります。自分の年金保険料は自分で払わせたいという考えの場合でも、いったん親が保険料を代わりに払い就職後に子ども返してもらうほうが、節税効果の分だけ有利になるケースが多いといえます。あくまで「立替え払」であるなら、その点があやふやにならないよう、あらかじめ話し合いの場を持ち、その旨を伝えておくようにしましょう。国民年金保険料の学生納付特例まとめ20歳になれば学生であっても国民年金に加入し、保険料を払う義務があります。収入が少なく本人が保険料を払うのが難しい場合には、学生納付猶予制度を活用する、あるいは親が立替払いするなど、くれぐれも未納とならないように気をつけましょう。どのような方法をとるにしても、本人が主体的に考え行動することが、社会人としての第一歩です。
2020年05月29日個人事業主と会社員では年金制度に違いがあり、個人事業主のほうがもらえる年金額が少ないということはなんとなく知っているけれど、詳細はわからないという人は多いのではないでしょうか。個人事業主でも従業員を一定以上雇用している場合は、義務として厚生年金への加入が必要になる可能性があるため注意が必要です。そこで本記事では、個人事業主と会社員の年金制度における大きな違いである厚生年金について詳しく解説します。会社員が加入する厚生年金と国民年金厚生年金とは、第2号被保険者といわれる会社員や公務員が加入する年金のことで、一般的には受け取る年金が高いといわれています。これは、厚生年金で受け取れる年金がすごく高いというよりも年金制度の構造によるのです。年金制度は2階建てで保険料を支払っているそもそも会社員の場合は、国民年金に加入した上で、さらに上乗せで厚生年金や厚生年金保険基金に加入しているので、将来的に受け取れる年金額が多くなります。対して、個人事業主の場合は第1号被保険者に分類され、国民年金のみに加入することになるので、将来的に受け取ることができる年金額が会社員に比べて少なくなってしまうのです。では、個人事業主でも厚生年金に加入できるのでしょうか。厚生年金は任意加入か強制加入厚生年金は任意で加入できる事業所と、強制的に加入しなければならない事業所に分かれます。株式会社などの法人登記されている事業所については、事業内容に関係なく厚生年金への加入が義務付けられていますが、個人事業主の場合はそうとは限りません。個人事業主は任意適用事業所に該当しない業種のうち、常に5人以上の従業員を雇用している場合、強制的に適用されることとなります。任意適用事業所とは厚生年金に加入はできるけれども強制ではない事業所のことを任意適用事業所といいます。任意適用事業所は、従業員の半数以上が同意した場合において厚生年金に加入することが可能です。常時雇用している従業員の人数が5人未満の事業所が対象ですが、次の業種については5人以上でも任意適用事業所となります。農林水産業サービス業士業宗教業よって、これらに該当しない事業所は厚生年金への加入が義務付けられている強制適用事業所に該当するので、たとえ個人事業主だったとしても加入手続きをしなければなりません。被保険者ごとの加入条件厚生年金に加入することが可能な被保険者は、次のように4つの種類に分けられます。当然被保険者適用される事務所にいつも雇われている70歳未満の人。任意単独被保険者適用される事業所以外で雇われている70歳未満の人で厚労大臣から認可を受けた人。高齢任意加入被保険者70歳以上で適用される事業所で働いている人、または適用される事務所以外で事業者と厚労大臣の認可を受けた人。アルバイト、パートアルバイトまたはパートは厚生年金の被保険者になります。このように、個人事業主の場合でも適用される事務所に該当すれば、上記の人について厚生年金に加入させる必要があります。ただし、これらはすべて個人事業主本人のことではなく、個人事業主に雇用されている人たちの厚生年金への加入についてです。では、個人事業主本人は厚生年金に加入できるのでしょうか。個人事業主本人は加入できるのかここまでは個人事業主が従業員を雇用した場合の、厚生年金の取り扱いについて解説してきました。雇用されている従業員は厚生年金に加入することができますが、個人事業主本人については残念ながら厚生年金に加入することができません。ただ、そうなると老後の年金が心配です。どうにか個人事業主で厚生年金に加入する方法はないのでしょうか。法人化するしかない個人事業主本人が厚生年金に加入したい場合は、法人化して加入するしかないようです。法人化して厚生年金に加入すれば、加入期間がたとえ1年だけだとしても、加入期間が存在すれば年金を受け取ることができます。会社法が改正されて以降、資本金1円でも法人化が可能になったので、ある程度の利益がある個人事業主であれば、老後を見据えて厚生年金に加入できる株式会社に変更する選択肢もありでしょう。法人化すれば経費にできる範囲も広くなるほか、配偶者や家族を役員にして配当を出すことによって、所得を分散して所得税を節税することも可能です。[adsense_middle]個人事業主が厚生年金に加入する際の手続き厚生年金の加入手続き個人事業主が従業員を厚生年金に加入させるためには、加入要件を満たすこととなった事実が発生した段階から5日以内に、住所地を管轄している年金事務所に新規適用届を提出する必要があります。書類を持参する方法のほか、郵送やインターネットによる届出も可能です。法人の場合は会社謄本を提出しますが、個人事業主の場合は個人事業主本人の住民票の原本の添付が必要になります。また、厚生年金への加入義務がない個人事業主が任意で加入する場合は、同じように新規適用届を提出するほか、任意適用申請書も一緒に提出が必要です。ただし、任意の場合は厚生年金への加入について従業員の過半数以上が同意していることが前提となります。厚生年金に加入することによるメリット保険料が控除できる個人事業主が支払った保険料や掛け金は、残念ながら経費として計上はできませんが、社会保険料控除によって確定申告の際に控除することが可能です。また、あわせて健康保険料も控除の対象になります。保険料の免除規定加入している従業員が出産などで休業する場合、産前42日、産後56日のうち妊娠や出産が理由で仕事ができなかった期間について、厚生年金保険料が免除されます。厚生年金保険料は被保険者と事業主で折半して支払いますが、当該事項によって保険料が免除になると、被保険者と事業主の両方が免除される点が大きなメリットです。当該免除を受けるためには、事業主から年金事務所に対して産前産後休業取得者申出書を提出する必要があります。しかも、この期間は保険料の支払いが免除されるだけでなく、年金額の計算をする際に保険料を支払ったこととして扱われるという非常にありがたい制度なのです。育児休業も免除になる出産後、従業員が育児休業を取る場合、満3歳未満の子の育児休業であれば厚生年金保険料の支払いが同じように免除されます。この場合も被保険者および事業者ともに免除されるのです。また、年金額の計算においては保険料を支払ったものとして扱われる点も同様です。よって、個人事業主で妊婦さんを雇用している方は、積極的に産休や育休を取得させることをおすすめします。個人事業主の厚生年金加入に関するまとめ個人事業主は結論として厚生年金に加入することができませんが、適用事業所に該当する場合は、自分が加入できなくても従業員を加入させる必要性が出てくる点に注意が必要です。実は、この点を理解していない個人事業主の方がたくさんいます。確かに、自分自身が加入できないわけですから、「個人事業主は厚生年金に加入することはない」と思い込んでいても無理はありません。ただ、個人事業主でも従業員を雇用すれば雇用主としての責任が発生するので、一定の要件を満たしている場合は速やかに加入手続きを取らなければなりません。将来受け取る年金額を上げる方法として、国民年金基金や個人年金、付加年金などもあわせて検討してみるとよいでしょう。どうしても自分自身が厚生年金に加入したいのであれば、法人化した上で年金事務所に届け出る必要があります。
2020年05月27日年老いてからの生活費の準備に活用できる個人年金保険ですが、税金がかかることをご存じでしょうか?課税にはいろいろなパターンがあるので、基本的な内容を知っておきましょう。本記事では、個人年金保険の税金について解説します。節税のポイントについてもまとめていますので、参考にしてください。個人年金保険の課税はどうなっている?老後の生活費は国からもらう年金だけでは足りないという人がほとんどですから、個人年金保険を受け取れると心強いものです。しかし、忘れてはならないのが税金です。保険契約でお金をもらったとしても、課税はされます。タイミング別・かかる税金個人年金保険を契約すると、何年か継続して保険料を積み立て、契約で定めた年齢(60歳など)になれば年金として払ってもらうことになります。タイミングにより意識しておくべき税金は、次の表のとおりです。どんなときに課税される?税金が発生するのは、年金や一時金、年金受給権、解約返戻金などをもらったときです。ただし、個人年金保険を解約して利益が出るケースはあまりないので、解約時はそれほど心配しなくてよいでしょう。積立期間中は節税メリットもある!保険料を払うときには支出だけなので税金はかかりません。逆に、払うときには所得控除が受けられるので、税負担を抑えられます。個人年金保険の種類を確認個人年金保険は民間の保険会社で取り扱いされています。基本的に現役世代の間に年金原資を積み立て、60歳など契約時に定めた年齢に達すると支払いが受けられるものになりますが、いろいろなタイプの商品があります。課税について理解する前提として、個人年金保険の主な種類を確認しておきましょう。年金の支払いがあったら所得税・住民税がかかる個人年金保険で契約時に定めた年齢に達し、年金をもらうと、所得税・住民税がかかります。所得の種類まず、所得の種類を確認しておきましょう。次の10種類に区分され、種類によって計算方法などが変わります。毎年受け取るなら雑所得雑所得とは基本的に他の区分に該当しない所得で、公的年金も含まれます。個人年金保険も、年に1回、2回、6回、12回など分けてもらう形であれば、雑所得となります。雑所得は収入の全額ではなく、必要経費を差し引きできます。雑所得=収入金額-必要経費必要経費とは?払い込んだ保険料のうち、今年支払いを受けた額に対応する部分です。必要経費=1年間の年金受取額×払い込んだ保険料の合計額/支払われる年金の合計額(または見込額)計算例たとえば、払い込んだ保険料の合計額を420万円、1年間の年金受取額を48万円、年金受取期間を10年と仮定してシミュレーションしてみると、次のとおりです。必要経費=48万円×420万円/(48万円×10年)=42万円雑所得=48万円-42万円=6万円一括受取する場合には?受取期間が決まっている確定年金は、一括して受け取ることができます。保証期間付終身年金でも、保証期間の年金を一括して受け取れます。確定年金確定年金を一括して受け取ると、一時所得となります。一時所得とは臨時の収入で、生命保険の満期金のほか、懸賞の当選金やギャンブルの払戻金などが該当します。一時所得=支払いを受けた金額-払い込んだ保険料の合計額-50万円上記の式で算出した金額のうち2分の1が課税の対象になります。保証期間付終身年金保証期間内の年金を一括受取しても、契約は消滅しません。保証期間経過後に被保険者が生存していれば、再び年金を受け取れるようになります。一括で受け取った年金は、雑所得となります。年金受給権に贈与税がかかることも!契約者(保険料を払った人)と受取人が異なるときには注意が必要です。[adsense_middle]贈与税とは無償で財産を譲り受けたときに、譲り受けた人にかかる税金です。1年間に贈与で取得した財産の合計額から、基礎控除額110万円を差し引きした金額に税率をかけて計算します。贈与税の税率は贈与を受けた金額に応じて変わり、10%~55%となっています。贈与税がかかるケース以下パターンでは、妻が年金受取開始時に夫から年金受給権の贈与を受けたことになるので、贈与税がかかります。なお、2年目以降受け取る年金は、通常どおり雑所得となります。当事者が亡くなったときはどうなる?契約者(保険料負担者)、被保険者、受取人が亡くなった際には、相続税が関係してくることもあります。年金をもらう前に亡くなったら?個人年金保険に加入した後、年金をもらう前に被保険者や契約者が亡くなったケースを考えてみましょう。被保険者の死亡年金をもらう前に被保険者が亡くなると契約は終了し、死亡給付金受取人が死亡給付金をもらえます。この死亡給付金には、パターン別に次の表のような税金がかかります。相続税は、亡くなった人(被相続人)が残した財産を取得した人にかかる税金で、財産全体の規模で課税の有無が分かれます。被相続人の残した財産が基礎控除額以下であれば、相続税はかかりません。相続税の基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数なお、相続税には生命保険金の非課税枠があり、個人年金保険の死亡給付金も対象になります。契約者の死亡契約者と被保険者が同一なら、上の表のとおりです。契約者と被保険者が別人なら契約は続くことになり、死亡時点で相続税がかかります。年金をもらっている期間に被保険者が亡くなったら?年金の種類によって、次のようになります。有期年金、保証期間経過後の年金、終身年金契約は終了するので、課税はありません。確定年金及び保証期間内の年金契約は継続し、継続受取人がその後に支払いを受けた年金は雑所得となります。契約者、被保険者、受取人が同一のケースでは、継続受取人に相続税がかかります。年金をもらっている期間に受取人が亡くなったら?継続受取人が引き続き年金を受け取る場合、毎年もらう年金は雑所得です。受取人の死亡時点の課税関係は、パターン別に次のようになります。契約者と受取人が同一妻の相続する年金受給権に相続税がかかります。契約者と継続受取人が同一子の死亡時点では税金は発生しません。契約者・受取人・継続受取人がすべて異なる残りの年金部分の年金受給権を夫から妻に贈与したものとみなされ、妻に贈与税が課されます。iDeCoでかかる税金との違いは?老後資金の積立には、iDeCoを活用することもできます。個人年金保険とiDeCoの税金の違いを知っておきましょう。[adsense_middle]老後資金の積立にはiDeCoの利用も可iDeCoとは個人型確定拠出年金のことです。20歳以上の人なら誰でも加入して掛金を積み立てることができ、60歳以降で年金を受け取れます。iDeCoで受取時にかかる税金iDeCoで年金・一時金を受け取った際にかかる税金の扱いは、個人年金保険とは異なります。年金で受け取る場合雑所得ですが、iDeCoでは公的年金控除が受けられます。一時金で受け取る場合iDeCoを一時金で受け取ると、退職所得となります。退職所得には勤務先から支給される退職金も含まれます。退職所得については退職所得控除という大きな控除があり、税負担が軽くなっています。贈与税や相続税は?iDeCoでは自分で積み立てた掛金を自分で受け取ることになるので、贈与税は発生しません。もしiDeCoに加入後に亡くなったら、遺族に死亡一時金が支払われます。この死亡一時金には相続税がかかります。個人年金保険の節税ポイント個人年金保険に加入するときには、節税対策もしておきましょう。以下、節税のポイントをまとめます。加入するときには税制適格特約付きのものにする生命保険料控除の中には次の3つがあり、それぞれ上限が4万円です。一般の生命保険料控除介護医療保険料控除個人年金保険料控除税制適格特約付きなら個人年金保険料控除で最大4万円の控除が受けられます。税制適格特約が付いていないものでも、一般の生命保険料控除が受けられます。ただし、他の生命保険にも入っている場合には、同一枠内なので控除額が少なくなることがあります。契約者と受取人を同じにする契約者と受取人が別人なら、贈与税と所得税の両方がかかってしまいます。贈与税は税率が高く、負担が大きくなりがちです。特に、夫婦で加入を考える際には、契約者と受取人を同じにしておきましょう。死亡給付金受取人を法定相続人にする年金をもらう前に被保険者が亡くなったときには、死亡給付金受取人が死亡給付金を受け取れます。この場合、被保険者と契約者が同一、死亡給付金受取人が法定相続人であれば、相続税の非課税枠(500万円×法定相続人の数)が使えるので節税になります。個人年金保険にかかる税金に関するまとめ個人年金保険を受け取ると、年金払いの場合には雑所得、一括払いの場合には一時所得となり、所得税・住民税がかかります。その他、契約当事者が亡くなった場合にも税金が発生することがあるので注意しておきましょう。老後資金の積立にはiDeCoという方法もあります。税制メリットが大きく個人年金保険との併用も可能なので、iDeCoについても検討してみるのがおすすめです。
2020年05月18日老後の生活費に不安を感じている人は多いのではないでしょうか?老後資金を積み立てる方法として、個人年金保険とiDeCo(イデコ)があります。本記事では、個人年金保険とiDeCoの違いについてご説明しますので、それぞれのメリット・デメリットを比較しながら、自分に合った老後資金の準備方法を考えましょう。個人年金保険とiDeCoを比較してみよう個人年金保険やiDeCoという言葉を聞いたことがあっても、詳しくは知らないという人もいると思います。まずは、両方の概要を知っておきましょう。個人年金保険の概要個人年金保険は民間の保険会社が取り扱っている貯蓄型保険で、老後資金の積み立てに利用できるものです。契約で設定した年金受取開始年齢になれば、払ってきた保険料を原資として、年金や一時金で支払いを受けられます。iDeCoの概要iDeCo(イデコ)とは「個人型確定拠出年金」のことです。iDeCoは商品名ではなく、制度の名称です。確定拠出年金は法律にもとづき2001年に開始した制度で、個人型と企業型の2種類があります。企業型確定拠出年金は、勤務先で制度が導入されているサラリーマンのみが加入できるものです。一方、iDeCoは20歳以上60歳未満の人なら基本的に誰でも加入できます。iDeCoの申し込み方法は?iDeCoを利用するには、「運営管理機関」と呼ばれる金融機関(銀行、証券会社、保険会社)で申し込みが必要です。申し込みの際には、金融機関で用意されている商品(定期預金、投資信託、保険商品など)から自分で複数の商品を選びます。iDeCoの受取時期・受取金額は?iDeCoは老後資金を積み立てるための制度なので、60歳以降でなければ受け取れないという制限があります。受け取れる金額は、自分が選んだ商品の運用結果によって変わります。共通のメリットは所得控除が受けられることお金を貯めるだけなら、通常の預貯金でもいいはずです。しかし、個人年金保険とiDeCoには、通常の預貯金にはない節税効果があります。所得税・住民税は所得控除で安くなる所得税・住民税は所得を基準に計算するので、所得が多ければ税金が高くなります。ただし、所得からは各種の所得控除を差し引きできるので、所得控除が増えるほど税金を抑えられます。個人年金保険(税制適格特約付きのもの)またはiDeCoに加入していれば、いずれも所得控除が受けられます。老後資金を積み立てるなら、通常の預貯金よりも個人年金保険やiDeCoを利用した方がお得です。個人年金保険で受けられるのは「個人年金保険料控除」税制適格特約の付いた個人年金保険に加入している場合には、所得控除の中の「生命保険料控除」が受けられます。生命保険料控除は3種類に分かれていますが、通常はそのうちの「個人年金保険料控除」の対象となります。なお、個人年金保険料控除で受けられる控除金額の上限は4万円です。iDeCoで受けられるのは「小規模企業共済掛金控除」iDeCoの掛金を払っている場合には、所得控除のうちの「小規模企業共済掛金控除」が受けられます。年間に払った掛金の全額が控除の対象となります。個人年金保険とiDeCoの違い:個人年金保険のデメリット個人年金保険は保険会社と自由に契約できる商品なので、自分の希望に合わせて内容を決めやすくなっています。一方、iDeCoは国の制度として大きな優遇がありますが、その分制限も多くなります。両者をデメリットの面から比較してみます。[adsense_middle]個人年金保険のデメリット①控除額に上限がある個人年金保険で払った保険料は、所得控除できる金額に上限があります。年間保険料払込額が2万円以下であれば全額控除の対象になりますが、2万円を超えていれば一部しか控除の対象になりません。所得控除による節税効果はiDeCoの方が大きくなります。個人年金保険のデメリット②自分で年金受取額を増やせない個人年金保険ではお金の運用は保険会社に任せることになるため、自分で年金受取額を増やせません。将来の年金受取額が確定している確定型の商品は、低金利の現在はメリットが少なくなっています。iDeCoでは元本確保型の商品(定期預金、保険)以外に、投資信託も選べます。投資信託にはリスクもありますが、運用の成果によってはリターンが大きくなり、年金受取額を増やせる可能性があります。個人年金保険のデメリット③途中解約すれば元本割れしてしまう個人年金保険を途中解約した場合、元本割れしてしまうケースが多くなります。柔軟性がある反面、最後まで保険料を払い続けることができなければ結局は損してしまいかねないというデメリットがあります。個人年金保険とiDeCoの違い:iDeCoのデメリット続いて、iDeCoのデメリットを見ていきましょう。iDeCoのデメリット①原則として途中解約ができないiDeCoは原則として途中解約ができません。60歳を過ぎないと引き出せないので、急にお金が必要になったときに困ることがあります。iDeCoのデメリット②掛金に上限額があるiDeCoでは掛金が全額所得控除になるメリットがある代わりに、掛金の金額に上限が設けられています。iDeCoの毎月の掛金上限額は、職業などによって変わります。(1) 第1号被保険者(自営業者・個人事業主)月額6万8,000円が上限になります。ただし、国民年金基金または国民年金の付加年金にも加入している場合には、両方を合わせての上限額になります。(2) 第2号被保険者(会社員・公務員)第2号被保険者の掛金上限額は、勤務先での企業年金の加入状況等によって異なり、次の表のようになります。なお、企業年金にはDB(確定給付年金)とDC(確定拠出年金)があり、どちらに加入しているかで区別されます。(3) 第3号被保険者(専業主婦)月額2万3,000円が上限になります。iDeCoのデメリット③受取期間が決まっているiDeCoでは60歳になるまでは年金を受け取ることができません。また、受け取るときには、5年以上20年以下の有期年金として受け取るか、70歳までに一時金として受け取るかのどちらかになります。いつでも好きなときに受け取れるわけではありません。個人年金保険の場合には、保険会社との契約により受取期間も柔軟に選べます。終身タイプの商品もあるので、一生涯年金をもらうことも可能です。iDeCoのデメリット④手数料が発生するiDeCoに加入すると、次の表のようなさまざまな手数料が発生します。元本確保型の商品だけで運用していると損してしまうことがありますので気を付けましょう。個人年金保険とiDeCoのどちらを選んだらいい?個人年金保険とiDeCoにはそれぞれメリット、デメリットがあります。どちらを選んだらよいかは、資産運用に対する考え方や年齢などによって変わってきます。[adsense_middle]年金を積極的に増やしたいなら保険会社が着実に運用してくれる個人年金保険と違い、iDeCoは自己責任で運用するものです。運用に失敗すれば元本割れしてしまうリスクもありますが、逆にお金が増える可能性もあります。通常、預貯金の利息や投資信託などの運用益には20.315%の税金がかかります。しかし、iDeCoでは利益に対する税金も非課税となっており、効率よく資産運用ができます。iDeCoでは手数料も発生するので、預貯金だけで運用すると損してしまうこともあります。投資を行って積極的に年金を増やしたい人は、iDeCoの方がおすすめです。50代以上で加入を考えるならiDeCoでは通算加入期間によって、年金受取が可能になる年齢が次のように決まっています。iDeCoで60歳から年金を受け取るには、10年以上の積立期間が必要です。50代の人でも加入のメリットがないわけではありませんが、60歳から年金をもらうことはできません。個人年金保険の場合には、保険料の一時払いも可能になっており、年金の受け取り開始年齢も契約で自由に設定できます。60代や70代で加入できる商品もあるので、高齢になってからの資金準備に活用できます。個人年金保険とiDeCoは併用できる個人年金保険とiDeCoの両方に加入することも可能です。所得控除の枠もそれぞれ別になるので、両方を併用すれば節税効果も大きくなります。たとえば、iDeCoだけで積み立てると、急にまとまった資金が必要になったときに引き出せず困ってしまうことがあります。途中解約もできる個人年金保険でも積み立てをしておくと、資産運用に柔軟性を持たせることができます。個人年金保険とiDeCoに関するまとめ個人年金保険やiDeCoには節税効果があるので、老後資金の積み立てに活用するのがおすすめです。できるだけ若いうちから積み立てを開始した方が確実に老後資金の準備はできますが、長期間保険料や掛金を払い続けなければならないこともしっかり認識しておく必要があります。加入するときにはデメリットも把握しておき、後で慌てることのないようにしましょう。
2020年05月11日個人年金保険に入っていれば、公的年金だけでは不足してしまう老後の生活費を補えます。その個人年金保険ですが、入っていると税金を抑えられる効果があるのをご存じでしょうか?本記事では、個人年金保険料控除の仕組みや条件について解説します。どういった個人年金保険に入ったらよいかを検討するときに参考にしていただければ幸いです。個人年金保険で税金が安くなる仕組み国税庁ホームページ新制度の控除額(所得税)2012年1月1日以降の契約(新契約)については、次の表を使います。国税庁ホームページ新旧双方に入っているケースではどうなる?新旧双方の個人年金保険があるときには、それぞれで控除額を計算して合計することができますが、上限は4万円とされています。この場合、新旧双方とも申告すればメリットがあるとは限りません。たとえば、以下のA、B2つの個人年金保険があると仮定して考えてみます。A(旧契約)→年間保険料:11万4,000円B(新契約)→年間保険料:5万2,000円(1) Aのみを申告Aは旧契約で年間保険料が10万円超ですから、控除額は5万円です。(2) Bのみを申告Bは新契約で年間保険料が5万2,000円ですから、控除額は3万3,000円です。(52,000×1/4)+20,000=33,000(3) AとBの両方を申告AとBの控除額を合計すると8万3,000円ですが、上限の4万円までしか控除が受けられません。(1)~(3)の結果からおわかりいただけるように、両方とも申告するより、Aのみを申告した方が控除額が大きくなります。具体的には、以下のように申告するのが得ということになります。旧保険料が6万円を超えるケース…旧のみ旧保険料が6万円以下のケース…新旧を合算控除を受けて税金を安くするには?税制適格特約付き個人年金保険に入っている場合には、個人年金保険料控除を適用して税金の申告をしましょう。忘れるとせっかくのメリットを享受できません。控除証明書はとっておく個人年金保険料控除は自動的に受けられるわけではなく、年末調整や確定申告の際に、控除証明書を添付して申告しなければなりません。控除証明書は、毎年10月頃保険会社から郵送されてくるので、捨てずにとっておきましょう。なお、うっかり証明書を捨ててしまった人や、紛失してしまった人は、保険会社に再発行を依頼できます。証明書には、発行時点までに払い込んだ保険料額と、12月末までに払い込むであろう予定金額の両方が印字されています。1月1日から12月31日までの間に払い込んだ保険料額を基準にするので、通常、払込予定額の方を申告に使います。勤務先で年末調整が受けられるなら給料をもらっている会社員などは11月から12月頃に勤務先から年末調整書類を渡されると思いますが、その中に「給与所得者の保険料控除申告書」があるはずです。控除証明書を見ながら「生命保険料控除」欄の「個人年金保険料」のところに記入し、勤務先に提出すればOKです。証明書の原本は申告書の裏に貼り付けて提出します。年末調整していない人は確定申告で自営業者、個人事業主、フリーランスなどは、確定申告で個人年金保険料控除を適用します。また、年末調整をするときに個人年金保険料控除の申告を忘れた会社員も、確定申告で控除を受けて税金を還付してもらえます。会社員が確定申告する際には、控除証明書のほかに源泉徴収票も必要です。確定申告書(A・B)の第二表の「生命保険料控除」欄に保険料額を記入し、第一表の「生命保険料控除」欄に控除額を記入します。国税局の確定申告書等作成コーナーを利用すれば、証明書を見ながら金額を入力するだけで、自動的に控除額を計算してくれます。確定申告書を窓口に持参または郵送で提出する場合には、証明書は添付書類台紙に貼り付けます。e-Taxを利用する場合には証明書は提出しなくてかまいませんが、手元に保管しておきましょう。個人年金保険料控除に関するまとめ個人年金保険には、老後の生活費を貯められるのみならず、税金の負担が軽くなるメリットがあります。税制適格特約が付いた個人年金保険に入っていれば、所得税・住民税が安くなるので少し得した気分になるはずです。老後資金を貯めるなら、できるだけお得な方法を考えましょう。
2020年04月18日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「年金制度改革」です。年金制度存続のために様々な案が出ています。令和2年の通常国会では、「年金制度改革関連法案」が閣議決定されました。少子高齢化により、このままの状態では、年金制度の存続が危ぶまれています。昨年も老後のお金の問題が大きくニュースになりましたよね。そこで、年金制度の様々な改正案がいま審議されていますが、その一つは、定年を延長して高齢者の働く期間を延ばし、老齢年金の受給開始を60~75歳まで幅をもたせるという案です。受給を先に延ばした人には、そのぶん受給額を増額するというもの。実際、いまの60代はとても若い。60歳以上の働く方々のうち8割が65歳以降も働きたいと答えています。また、働く高齢者の年金を減らすという案も出ています。もう一つ注目されているのは、厚生年金に加入できる人のハードルを下げるというもの。現状では、パート従業員やアルバイトは厚生年金ではなく、国民年金です。しかし、年金の加入と納付は国民の義務にもかかわらず、国民年金は未納者も多くいるので、厚生年金に一本化していこうという改革です。現在は、従業員501人以上の会社が加入要件でしたが、それを段階的に引き下げて、2024年には51人以上の規模の会社であれば厚生年金の対象にしようとしています。これにより新たに65万人、加入者が増えると試算されています。また、自分で掛け金や運用を決められる個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」に加入できる年齢も、20歳以上60歳未満から、65歳未満に変更します。昔は60歳定年で、定年後も年金だけで十分生活ができていました。しかし、高齢者は増えますし、寿命も延びますから、これからは自分でなんとかしなければいけない割合は増えていくと思います。100年時代の人生設計のプランを教えてもらいたいですよね。とくにお金に関する教育は、アメリカやヨーロッパのように、国が積極的にやってほしいと思います。何も知らないままでは、資産運用には怖くて手が出せませんし、失敗しても自己責任と突き放すのは問題なのではないでしょうか。これから何歳まで働くことになるのか。みなさんの将来に関わる問題なので、注目していてください。堀 潤ジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。『わたしは分断を許さない』(監督・撮影・編集・ナレーション)公開中。※『anan』2020年4月1日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2020年03月30日配偶者に先立たれ、【遺族年金】を受給しながら生活している親御様をお持ちの方で、特に遠方の故郷にお一人住まいの場合は何かと心配ですよね。働き盛り世代であれば尚更、お仕事の都合やご家庭の事情ですぐにご実家に通える方ばかりではないのではないでしょうか。このような場合、実は、お独り住まいの親御様にとっても、離れて暮らすお子さんにとっても、両方にとってメリットのある税法上の仕組みがあります。これは、遠方に離れて暮らす場合だけでなく、同居の親御様でも同じメリットがあります。また、必ずしも親だけでなく、結婚した子供が配偶者を亡くし【遺族年金】を受給している場合も考えられます。今回のテーマは「【遺族年金】をもらっている人を扶養家族にできる?」という内容です。遺族年金を受給している親族の方をお持ちの方は、是非今回のテーマをお読みいただき、今後の選択肢の一つとしていただければ幸いです。扶養家族になるとどうなる?ご親族の中で【遺族年金】を受給している方がいる場合、その方を扶養家族にするとどういう効果があるのでしょうか。別居している親族の中に、対象となる方がいる場合でも扶養家族にすることができるのでしょうか。冒頭で「メリットがある」と紹介しましたが、具体的にどのようなメリットがあるのか、以下簡単にまとめますね。①税法上のメリット【遺族年金】を受給している方と、扶養家族として迎え入れる方が、どちらもそれぞれの条件を満たせば、扶養親族の控除が発生します(これを扶養控除と言います)。つまり、該当する家族を扶養に入れたことで、その世帯主の住民税や所得税が安くなるということですね。なお、メリットを受けるのは【遺族年金】をもらっている方ではなく、その方を迎え入れる方です。【遺族年金】を受給している方は、特にメリットもデメリットもありません。②健康保険上のメリット扶養家族になることによる健康保険上のメリットは、【遺族年金】を受けている方が受けることになります。簡単に言うと、おひとりであれば国民健康保険などの健康保険に加入して、ご自身で保険料を負担しなければいけませんが、どなたか家族の扶養家族になれば、【遺族年金】を受けている方は健康保険料を払わなくてよくなります。ただし、健康保険上のメリットは、家族の加入している健康保険が社会保険である場合に限られます。国民健康保険加入の家族の扶養家族になっても、結局ご自身で保険料負担することになるので、この場合は扶養家族になる意味がありません。国民健康保険と社会保険についての詳細は、この後の「健康保険上のメリット」の項目でまとめますね。税法上のメリット→【遺族年金】受給者を扶養家族として受け入れる側のメリット健康保険上のメリット→【遺族年金】受給者本人のメリット扶養家族の条件扶養家族(扶養親族)は、家族なら誰でもなれるわけではありません。以下のいくつかの項目に該当する必要があります。配偶者以外で、16歳以上の親族(血族なら6親等内、姻族なら3親等内)世帯主(納税義務者)と生計を一にしていること年間の合計所得が38万円以下であること(令和2年分から48万円に変更されます)事業専従者ではないこと事業専従者とは、親族が営む個人事業(白色申告)などで給与をもらって働いている人のこと。生計を一にする、とは年金などの社会保険制度の話をするときに、よく耳にするのが「生計を一にする」というキーワードです。基本的には同居している親族は生計を一にしている、とみなされます。別居の場合でも、常に生活費を仕送りしている等で、納税義務者の資金によって生活をしている状態を証明できれば「生計を一にしている」と判断され、扶養家族にすることができます。別居の親族を扶養家族に入れるには、実際に別居親族に対して銀行振込をした通帳のコピー等、何か証明できるものの提出を求められる場合もあります。遠方の親族に対する援助は、なるべく証拠の残る形でしておくと良いでしょう。遺族年金は非課税【遺族年金】は、基礎、厚生いずれであっても全額非課税です。【遺族年金】以外に収入または他の年金収入がある場合は、【遺族年金】以外の部分について課税対象となりますが、【遺族年金】のみが収入源である場合は収入がないとみなされます。補足・遺族年金は確定申告不要【遺族年金】と【障害年金】が非課税であるということは、これらの年金だけが収入源である場合は確定申告は不要ということです。ただし、【遺族年金】以外に収入がある等の場合は、【遺族年金】以外の収入に対して確定申告をしなければいけません。また、同じ年金であっても【老齢年金】に関しては、課税対象となります。税法上のメリット【遺族年金】を受給している方を扶養家族にすると、迎え入れた側にとって税法上のメリットがあります。《扶養控除》という控除が適用されるので、その分所得税や住民税が安くなるということになります。どなたが【遺族年金】を受給しているかによって、控除額が違います。それぞれのパターンに分けて見ていきましょう。[adsense_middle]父母・祖父母の場合【遺族年金】を受給していて、これから扶養家族に迎えようという方が父母、祖父母の内いずれかである場合、以下の額の控除が発生します。70歳以上の同居親族(父母・祖父母)である場合…58万円70歳以上の別居親族(父母・祖父母)である場合…48万円70歳に満たない親などの場合は、一般の扶養親族として一律38万円の控除額となります。子供や孫の場合【遺族年金】を受給している方が、納税義務のある方の子どもや孫である場合、その方を扶養親族にすると以下の控除が発生します。19歳以上23歳未満の場合…63万円(特定扶養親族控除)上記以外の年齢の16歳以降の人の場合…38万円(一般扶養親族控除)健康保険上のメリット健康保険上のメリットがあるのは、【遺族年金】を受給している人です。本来は何らかの健康保険に加入し、その保険料は自分で負担しなければなりませんよね。しかし、家族の健康保険に扶養親族として加入できると、この保険料を負担しなくてよくなります。親族の扶養に入ることで、【遺族年金】を受給している人が被扶養者となり、本人名義の保険証から、被扶養者としての家族保険証に変わります。つまり、【遺族年金】受給者にとって健康保険料の負担の軽減になります。健康保険上の被扶養者に関するお尋ねは、加入している健康保険の団体(協会けんぽ等)のHPで確認するか、問い合わせ窓口に尋ねてみましょう。被扶養者の条件は以下の通りです。主に被保険者(健康保険の本人)の収入で暮らしている被保険者と同一世帯である年間収入が130万円以下で、被保険者の年収の半分以下別居の場合では、年収が被保険者の仕送り金額以下である健康保険の用語として、世帯主など、その健康保険に加入している本人を「被保険者」と呼び、その家族を「被扶養者」と呼びます。扶養に入れない場合もある先に紹介した《税法上のメリット》の場合における扶養親族の定義として、【遺族年金】と【障害年金】は非課税扱いなので収入に含まれません、とご紹介しましたよね。このことから、【遺族年金】や【障害年金】だけが収入源である場合、無収入であるとみなされてほとんどの方が税法上の扶養家族になることはできるということになります。一方、健康保険上の扶養親族の収入制限においては、【遺族年金】も【障害年金】も収入とみなされます。つまり、年金額によっては年収の上限に抵触してしまい、健康保険上の扶養親族にはなれない場合もあるということです。必ずしも、どちらのメリットも受けられるということでは無さそうです。事前に確認しておきましょう。税制上の扶養親族と、健康保険上の扶養親族は、必ずしも一致しないということ。国民健康保険の場合受け入れる側の被保険者本人が、自営業者などで「国民健康保険」に加入している場合、【遺族年金】を受給している親族を扶養親族にするメリットはほとんどありません。結局は、扶養親族になったとしても、その方の分の保険料も発生しますので、生計を一にしている親族であったとしても、割引になったり、払わないで良いということにはなりません。健康保険上のメリットがあるのは、被保険者本人が社会保険に加入している場合だけであるということ。遺族年金受給者を扶養家族にする場合・まとめ【遺族年金】をもらっているご親族ということは、身近なご家族を亡くした方ということです。メリット、デメリットではなく、同じ家族として励まし助け合って暮らしていくのは当然の事ではありますよね。しかし、冒頭にも書きましたが、社会人になると仕事や家族のことなどで、特に遠方に住んでいる親族の場合、こまめに往来することもままならない場合もあると思います。今回取り上げたテーマでは、遠方で別居している場合でも扶養親族とすることもでき、受け入れる側も、扶養親族に入れてもらう側も、どちらにとってもメリットがあるということがお分かりいただけたかと思います。一見複雑に見えるので、あまり知られていない内容ではありますが、これは法の抜け道などではなく、正当に認められているルールです。もし本記事を読んで、該当するかもしれないと思った場合は、加入している健康保険実施団体にお問い合わせしてみてはいかがでしょうか。なお、税法上の控除に関しては、サラリーマンであれば年末調整の時期に申告することになります。家族として共に支えあっていく手段として、本記事の内容について、前向きに検討しても良いのではないかと思います。
2020年03月26日「新型コロナウイルス感染症が原因で世界同時株安が起きていますが、これで大きな影響を受けるのは日本の公的年金です。年金積立管理運用独立行政法人(GPIF)は、国家予算の約1.6倍にもあたる160兆円超の年金積立金を運用していますが、コロナショックで25兆円もの損失が発生したとみられます。年金財政の危機が訪れているんです」こう警鐘を鳴らすのは、野村投信の元ファンドマネージャーで『202X 金融資産消滅』の著書もある近藤駿介さんだ。GPIFが運用している積立金は、現役世代が支払う年金保険料、国庫(税金)と並ぶ、年金資金の3本柱の一つ。“年金博士”で知られる社会保険労務士の北村庄吾さんが詳しく解説してくれた。「年金受給者へ支払う年金のほとんどは現役世代の保険料と税金でまかなわれてきました。現役世代が多く税収も右肩上がりだったバブル時代などは、支払いに必要な額を超えて資金が集まることもあり、そのときにためたお金が、いまの積立金のもとになっています」年金財源の一つである積立金はリスクの低い国内債券を中心に運用するのがセオリーだ。しかし、安倍政権は’14年10月、国内債券の割合を60%から35%に減らし、リスクの高い国内・外国株式の割合を24%から50%へと倍増させた。「積立金は年金の大切な財源です。ギャンブルのような運用方法でいいのでしょうか。諸外国を見渡しても、年金の運用はリスクの低い債券が中心で、ここまで株式で運用している国を、日本以外で私は知りません」(北村さん)ギャンブル運用のツケをGPIFはいままでに何回か支払っている。’15年度は中国の景気後退で約5兆3,000億円、’18年度には米中貿易戦争や欧州政治の混乱により、たった3カ月で約14兆8,000億円の含み損を出しているのだ。年金を支える3本柱の1本を失った将来、わたしたちの老後のお金はどうなるのか。埼玉学園大学経済経営学部教授の相沢幸悦さんは次のように指摘する。「昨年の財政検証では、積立金の枯渇で所得代替率が38%程度になるだろうと試算されています」所得代替率は現役男子の平均手取り額と比べて、夫婦2人の年金給付額がどれくらいかを割合で表したもの。いまの現役男子の平均手取り額は35万7,000円で、所得代替率は61.7%なので、モデル世帯の年金給付額は約22万円だ。「物価の推移を考慮せずに、現役男子の平均手取り額を現在と一緒の額で計算した場合、所得代替率が38%になる月の年金は約13万5,000円。現状から約4割も減少してしまうんです」(相沢さん)政府はこうした事態を避けるべく、あらゆる方策を取って積立金の延命をさせるだろうと、専門家たちは口をそろえる。「現役世代が支払う厚生年金の保険料は最大、給与の18.3%ですが、水準が引き上がる可能性はあります。消費税も10%から20%に引き上げると、試算では20兆円の税収を得られるので、段階的な消費増税も考えられるでしょう」(相沢さん)前出の北村さんは、’15年度に8兆円の含み損が出た際、安倍首相が衆議院予算委員会で『給付に耐える状況にない場合は、給付で調整するしかない』と答弁したことを引用して次のように話す。「直近で考えられるのは、今年秋に予定される年金改正で、受給開始年齢を67〜68歳くらいに引き上げる方針を打ち出すことです。いずれは受給開始を70歳とし、75歳まで繰り下げ可能にすることを見越しているのでしょう」コロナショックはギャンブル運用が招く年金財政崩壊の時期を早めたようだ。「女性自身」2020年4月7日号 掲載
2020年03月26日終息の気配が見えない新型コロナ騒動は、私たちの健康どころか経済も蝕み、世界は同時株安に。これにより、株式投資で運用されている年金資金は大損失を被ったというーー。「新型コロナウイルス感染症が原因で世界同時株安が起きていますが、これで大きな影響を受けるのは日本の公的年金です。年金積立管理運用独立行政法人(GPIF)は、国家予算の約1.6倍にもあたる160兆円超の年金積立金を運用していますが、コロナショックで25兆円もの損失が発生したとみられます。年金財政の危機が訪れているんです」こう警鐘を鳴らすのは、野村投信の元ファンドマネージャーで『202X 金融資産消滅』の著書もある近藤駿介さんだ。GPIFが運用している積立金は、現役世代が支払う年金保険料、国庫(税金)と並ぶ、年金資金の3本柱の一つ。“年金博士”で知られる社会保険労務士の北村庄吾さんが詳しく解説してくれた。「年金受給者へ支払う年金のほとんどは現役世代の保険料と税金でまかなわれてきました。現役世代が多く税収も右肩上がりだったバブル時代などは、支払いに必要な額を超えて資金が集まることもあり、そのときにためたお金が、いまの積立金のもとになっています」年金財源の一つである積立金はリスクの低い国内債券を中心に運用するのがセオリーだ。しかし、安倍政権は’14年10月、国内債券の割合を60%から35%に減らし、リスクの高い国内・外国株式の割合を24%から50%へと倍増させた。「積立金は年金の大切な財源です。ギャンブルのような運用方法でいいのでしょうか。諸外国を見渡しても、年金の運用はリスクの低い債券が中心で、ここまで株式で運用している国を、日本以外で私は知りません」(北村さん)ギャンブル運用のツケをGPIFはいままでに何回か支払っている。’15年度は中国の景気後退で約5兆3,000億円、’18年度には米中貿易戦争や欧州政治の混乱により、たった3カ月で約14兆8,000億円の含み損を出しているのだ。前出の近藤さんも積立金が株式中心で運用される現状を憂慮する。「GPIFが公表している昨年末時点の保有資産や投資先の情報などをもとに、株価の下落率から“コロナショック”による損失を試算したところ、その額は過去最大の、25兆円を超えていました。『株価はいずれ上がるから一喜一憂せず、長い目で見るべきだ』という楽観的な意見もあるかもしれません。しかし、積立金を長期的に運用できるほど、いまの年金財政にゆとりはないんです」近藤さんの言うとおり、少子高齢化が原因で現状は、高齢者1人をたった2.2人の現役世代で支えている。今後、保険料や税収で年金資金をまかなえなくなれば、積立金を取り崩すしかない。「景気が悪くなると、企業の業績や給与が下がるので、連動して税収や保険料も減ります。昨年10〜12月のGDPは前の7〜9月と比べてマイナス7.1%。すでに積立金の取り崩しが始まりそうな兆しはあったんです。そこに今回のコロナショックが追い打ちをかけた。早ければ’20年度中にも、積立金の本格的な取り崩しが行われるとみられています。株価が回復して損失を取り戻す前に、取り崩しが始まってもおかしくないんです」(近藤さん)一度、取り崩しが始まれば積立金は増えにくくなる。「毎年支払われる年金の総額は50〜55兆円で、積立金からは3〜6兆円が捻出されるだろうと考えられていますが、先行き不透明の状態で、大量の現金を調達するために株を売れば、株安を誘発します。そうすれば積立金で運用している株の評価額は下がり、ますます含み損が膨れあがる。株安で企業の業績が悪化して給与も下がり保険料収入や税収が減少すれば、より多くの積立金を取り崩す事態にもなります。負の連鎖が始まってしまうんです。本格的な取り崩しが始まれば、20〜30年後には積立金は枯渇してしまうでしょう」(近藤さん)「女性自身」2020年4月7日号 掲載
2020年03月26日【遺族年金】とは、共に家族として過ごしていた方が亡くなったことによって、その後もなるべく生活が困らないように、最低限の生活費としてもらえるお金です。家族の逝去で生活に困る状況があったとしても、所定の要件に当てはまらなければ【遺族年金】は支給されません。また、当初はもらえていても途中で打ち切りになる場合もあります。今回のテーマは、【遺族年金】がいつからいつまでもらえるのか、という内容と【遺族年金】をもらえるための資格などについてです。少し難しいテーマに感じるかもしれませんが、なるべくわかりやすくまとめていきますので、どうぞ最後までお付き合いくださいね。受給資格【遺族年金】をもらうことができる資格は、故人が生前加入していた年金が【国民年金】か【厚生年金】のどちらだったかによって、その条件が違います。さらに、もらう人の条件もあります。各年金ごとに以下、まとめていきますね。【遺族年金】をご遺族がしっかりもらえる大前提として、故人の生前の年金加入状況が非常に大事なポイント。しっかり加入して保険料を払っていることは重要です。厚生年金に関しては、給与天引きなので未納や滞納はほとんどないと考えられますが、自営業やパート、アルバイトの方は、ご自身のためにもご家族のためにも、今一度加入状況を把握して、未納や滞納がある場合は可能な限りさかのぼって支払いましょうね。なお、やむを得ない事情から納付猶予や免除の申請をして認められている方は、その期間は加入期間とみなされますのでご安心ください。遺族基礎年金【遺族基礎年金】は、故人が自営業者でも、会社員・公務員などの給与所得者であっても、条件に当てはまりさえすれば支給されます。【基礎年金】とは、【国民年金】加入者がもらう年金のことです。【国民年金】は誰もが加入しなければならない年金ですから、どなたも対象となる、ということですね。さて、【遺族基礎年金】の受給の対象ですが、「子」または「子のある配偶者」です。年金の範囲では、子どもの定義として18歳に到達した年度末までのお子さんを指します。(または20歳までの子供で、障害等級1または2を受けている場合)つまり、配偶者が【遺族基礎年金】をもらうにあたって、例えば、同居している19歳や20歳の大学生のお子さんでは対象とならないことになります。お子さんが対象とならないということは、「子のある配偶者」には当たらないとみなされます。ご夫婦の間にお子さんがいない場合や、お子さんがいても18歳以上のお子さんで、制度上の子供の定義から外れている場合には、【遺族基礎年金】はもらえません。この後で詳しくまとめますが、故人の逝去当時にはお子さんがまだ幼く【遺族基礎年金】をもらえていた場合でも、前述したようにお子さんが18歳になった年度末を迎えた等の理由から、途中で年金が打ち切りになることもあります。寡婦年金について【遺族年金】以外にも、ご遺族の生活を守る制度として【寡婦年金】という制度があります。主に自営業者など、国民年金だけに加入していた方の妻が対象です。なお、この制度は妻のみが対象で、妻が60歳から65歳の間にもらえる有期の補償です。以下の要件に該当すれば【寡婦年金】を受け取ることができる場合があります。婚姻期間は重要なポイントです。第1号被保険者として10年以上加入していた夫と、10年以上婚姻関係にあった妻夫が【老齢基礎年金】を受けておらず、【障害基礎年金】の対象でもない場合5年以内に請求した場合遺族厚生年金【遺族厚生年金】とは、生前故人が【老齢厚生年金】として受け取るはずだった報酬比例部分の年金額に対して、約3/4の額程度を、対象のご遺族に年金として支給するものです。【厚生年金】とは、会社員などの給与所得者や、以前は【共済年金】の対象であった公務員(警察官、自衛隊なども含む)が加入している年金です。いわゆる「二階建ての年金」の二階部分が、この【厚生年金】にあたります。(一階部分は【基礎年金】)【遺族厚生年金】の対象となるのは、子、妻、55歳以上の夫、親、祖父母など、【遺族基礎年金】と違って対象が広く設定されています。もちろん、この全員がもらえるわけではなく、もらえる順位が高い方が優先される決まりです。優先順位の高い方から、子、妻、55歳以上の夫です。子どもは、絶対的に最優先で【遺族年金】をもらう権利があります。夫が【遺族厚生年金】をもらうには夫が【遺族厚生年金】をもらうには、少々ハードルが高い印象です。以前は【遺族年金】の対象は妻に限られていましたので、夫まで範囲が広がったことは良いことですが、妻が死亡時に夫が55歳以上の場合に限り、60歳以降から【遺族厚生年金】をもらえる仕組みになっています。近年、家族スタイルの多様化から、専業主婦だけでなく専業主夫の方も増えてきました。例えば妻が一家を担う収入を得ていて、夫が専業主夫である場合、夫が55歳以上でなければ【遺族年金】としての補償がないということです。ただし、子どもがいれば、子どもに対する【遺族補償】はありますので、ご安心くださいね。社会保険からもらえるお金【厚生年金】の対象であるということは、社会保険の加入者であるということですよね。【遺族補償】として、社会保険から何かもらえるお金がないか…とお思いの方もいらっしゃると思います。社会保険からもらえるお金としては「埋葬費」などの名目で約5万円前後が支給されます。加入している社会保険の団体によりますが、主に協会けんぽなどの場合は、もう少し上乗せされる場合もあります。詳しくは、加入している社会保険のHPや冊子などでご確認ください。その際に、万が一の際の手続きの流れや連絡先についても、併せて確認しておくと良いでしょう。受給期間【遺族年金】がいつからもらえて、いつまでもらうことができるのかは、非常に気になるポイントではないでしょうか。簡単に言えば「対象となった時から、対象ではなくなった時まで」もらうことができるのですが、この要件がそれぞれの場合で色々ありますので、ここから分けて見ていきましょう。[adsense_middle]①いつからもらえる?いつからもらえる?というと、前述した受給資格に該当した時からもらえます。ちなみに、故人がお亡くなりになった後、【遺族年金】の受給申請の手続きがすべて終わって、実際に第一回目の振り込みがあるまでに、一般的に3~4カ月かかります。実際にもらえる時期としては「申請手続きをしてから3~4か月後」を目安にしておきましょう。当然、申請時期が遅れれば、その分もらえる時期も遅くなりますので、可能な限りなるべく早く手続きをしておくと良いでしょう。②いつまでもらえる?基本的に【遺族年金】は、配偶者の場合は一生もらうことができます。ただし、新たなパートナーと再婚した場合など、もらえない場合の一定の条件を満たすと打ち切りとなります。支給期間に上限がある場合も基本的に、配偶者の場合は一生もらえますよ、と書きましたが、一部の配偶者の場合は受け取る期間に上限があります。夫が亡くなった時に、子どものいない30歳未満の妻の場合、上限5年までで【遺族厚生年金】は打ち切りです。お子さんがいない場合は一律【遺族基礎年金】はもらえませんので、会社員や公務員の30歳未満の妻で、お子さんがいない場合は、【遺族厚生年金】がもらえる期間である5年経過後は何の補償もない状態になります。この場合、民間の生命保険に加入するなどして、妻に対して予め遺族補償を補完しておくと安心ですね。【補足】異なる2つの年金が発生したら先に何らかの【遺族年金】を受給していて、ご本人が高齢者になってから【老齢年金】をもらうようになったら、この2つの年金はどうなるのでしょうか。一般的に、一人一年金制度を導入していますので、国民一人に対してもらえる年金は1種類のみです。同じ種類の年金で【基礎】と【厚生】をもらうことはできます。ここで問題となるのは、【障害】と【老齢】と【遺族】の3種類のうち同時に発生した場合は、基本的にはどちらを受け取るかを選ばなければなりません。つまり、場合によっては今もらっている【遺族年金】がもらえなくなる場合があるということです。どちらかを選択する場合は、あらかじめ年金事務所などにご相談ください。ただし、以下の3つの組み合わせだけは、例外的に一緒にもらうことができます。【老齢基礎年金】+【遺族厚生年金】【障害基礎年金】+【遺族厚生年金】【障害基礎年金】+【老齢厚生年金】遺族年金の受給期間はいつまでかに関するまとめ【遺族年金】は【老齢年金】と違って、ある一定の年齢に達したら全員がもらうというものではありません。一緒に暮らしていたご家族が亡くなり、その他の条件に該当した人だけが受け取ることのできるお金なので、【老齢年金】ほどは遺族年金制度について浸透していない部分も多い印象です。特に、子どもがいない自営業者等の夫婦の場合、受給期間以前に「何も遺族補償がない」ので、前もって対策をしておくことが必要でしょう。また、会社員等の配偶者で、子どもがいない30歳未満の妻の場合も5年の有期補償となりますから、その後に備えた対策も必要となってきます。当初はもらえていた【遺族年金】も、お子さんが18歳を超えた場合などは途中で打ち切りになる場合もありますから、受給期間や受給資格は予めしっかり確認・把握しておき、足りないと感じる部分に関しては、民間の生命保険や金融資産で備えておくと安心ですね。
2020年03月24日年金というワードを聞くと、どうしても退職後のシニア層がもらう【老齢年金】のイメージがありますよね。実際は「年金」と一口に言っても3種類あります。【老齢年金】の他に【障害年金】【遺族年金】です。あとの2つは、特にシニアにならなくても条件に当てはまればもらい始めることになります。この3種類について、それぞれ【基礎年金】【厚生年金】がありますから、細かく言うと全6種類の年金があります。今回のテーマは、親御様が逝去され、お子様が遺族になった場合どうなるか?という内容です。お子様をお持ちの全ての方、必見です。子供の受給資格(年齢・所得)もらう年金が【国民年金(基礎年金)】または【厚生年金】のいずれであっても、子供が年金をもらうための受給資格(前提条件)は共通です。主に年齢制限、所得の制限があります。それぞれ分けて見ていきましょう。年齢要件親からすると、子供はいくつになっても子供ですよね。それは間違いないのですが【遺族年金】の制度上での子供とは、18歳に到達した年度末まで、とされています。簡単な覚え方として、高校卒業相当の年齢だと覚えればよいでしょう。もうひとつの条件は、障害等級1級または2級を受けている20歳未満の子、です。こちらもあわせて覚えておきましょう。所得要件子供の収入を証明する、とは少し不思議に思われるかもしれません。【遺族年金】をもらうためには、対象となる遺族に高額の収入がある人が居ないか、受給の手続きの時に所得を証明するものを提出する決まりになっています。小学生、中学生の義務教育より下のお子さんに関しては所得証明は不要です。高校生は、学生証の控えなどが提出義務のある書類です。義務教育後、お勤めをしている子供さんに関しては、他に提出する住民票などにマイナンバーの記載があれば所得の証明は不要ですが、マイナンバーの記載や控えがない場合は別途所得証明書などが必要です。【遺族年金】の対象者(主に、配偶者や子)の年収は850万円以下でないと【遺族年金】はもらえません。対象者には一定の所得制限があるという事です。たとえ子供が【遺族年金】の対象となる場合でも、必ず年収の証明は提出する仕組みになっています。補足・支給額の目安子供が【遺族年金】をもらう場合、その支給額は【遺族基礎年金】では一律の額が決まっています。基本額として年額780,100円(2019年度の満額・ほぼ毎年変わります)子ども一人あたりの加算額は年額224,500円(子供2人までは、一人当たりこの加算額)子供が3人の場合、基本額+年額299,300万円子供が4人以上の場合は、3人の場合の合計額に、一人当たり74,800円を加える一方【遺族厚生年金】は、生前の報酬に比例して年金額が変動するため、目安となる一律の年金額を自力で割り出すのは困難です。平均標準報酬額などを用いた複雑な計算式になる為、ご自身で計算するのではなく、年金の加入期間や直近の月収などを用いて、簡易的に計算してくれる無料のシミュレーションを活用することをおすすめします。また、シミュレーションではなくても、だいたいの年収や年齢から簡単な早見表として公表しているサイトもあります。概算として知っておく分にはこれらの活用で十分かと思います。親の条件子供が受け取る為の条件についてここまで解説しましたが、いくら子供だけが条件を満たしていても、遺す側の親が条件を満たしていなければ【遺族年金】が子供に届きません。万が一のことがあった場合、子供に然るべき【遺族年金】を残すためには、親はどんな条件を満たせば良いのでしょうか。夫、妻、それぞれが亡くなった場合に分けて解説します。保険料の未納などが無く、所定の期間を納付済みであることは【遺族年金】がきちんと遺族に支払われる大前提です。払っていないのに遺すことは出来ません。夫が死亡した場合(受取人・妻と子供)親のうち、夫が死亡した場合、遺族は子供と妻です。夫によって生計を維持されていた妻と子であれば良いので、亡き夫が自営業者であれば【遺族基礎年金】、会社員・公務員等であれば【遺族厚生年金】がその対象となります。この場合はもう少し詳細の要件があるので、追記します。会社員等の場合【遺族厚生年金】の場合は、単に夫が死亡するだけでなく「被保険者期間中の傷病がもとで、初心から5年以内に死亡した時」「1級または2級の障害厚生年金を受けられる者が亡くなった時」という条件もあります。妻が死亡した場合(受取人・夫と子供)妻が死亡して、夫と子供が【遺族年金】の対象となった場合も、子供がもらえる年金に関しては「夫が死亡して妻と子が対象となった場合」と変わりありません。親にも【遺族年金】の受給権がある場合は、子供の分と一緒に振り込まれます。補足・夫の【遺族厚生年金】についてどんな状況であっても、子供は【遺族年金】の第一の権利者です。年齢制限と所得制限に引っ掛からなければ、必ず受け取ることが出来ます。さらに、妻が遺族になった場合も比較的もらえる確率が高いです。会社員等の妻であれば、お子さんがいなくても少なくとも【遺族厚生年金】は受け取ることが出来ます。一方、夫が遺族となった場合は、かなりハードルが高く感じます。特に【遺族厚生年金】は「妻が死亡したときに夫が55歳以上である場合に、夫が60歳以降になると【遺族厚生年金】が支給される」という条件があります。例えば会社員の妻が亡くなった場合、第一の権利者である子供は【遺族基礎年金】【遺族厚生年金】のどちらももらえますが、この時に夫が55歳以下であれば【遺族厚生年金】をもらうことは出来ません。ただし、【遺族基礎年金】における「子のある配偶者」に該当することから、子供が18歳以上になるまでは、夫も【遺族基礎年金】のみもらうことが出来ます。近年「配偶者」の定義に夫も含まれるようにはなりましたが、現行制度ではまだ妻(母親)の方が優遇されている感じがします。配偶者のない親の場合(遺族が子供のみ)なんらかの理由で配偶者のない親は、全国の内で、母子家庭で123.8万世帯、父子家庭で22.3万世帯とのこと。統計によると、どちらも年々増えています。子供にとって、たった一人の親が亡くなったら…と考えると胸が痛みますが、これも大切な話なのでしっかり解説していきます。とにかく子供は守られる存在母子家庭でも父子家庭でも、唯一の親が亡くなってしまい、遺族が子供のみになった場合、生前に親がかけていた年金から【遺族年金】がもらえます。一般的に、父子家庭の父親の場合は正規雇用で働いている場合が多いので、【遺族基礎年金】【遺族厚生年金】のどちらからも子供に対して支給されます。一方で母子家庭の場合、母親が非正規パートなどの場合が多く、そうなると国民年金にのみ加入していることになり、子供には【遺族基礎年金】のみが支給されます。また、これは母子・父子ともに危惧される点ですが、お子さんを抱えておひとりでの家事も育児もなさっているとなると、多忙故に国民年金保険料の納付を忘れていることもあるかもしれません。(会社員で厚生年金を給与天引きされている方は、この限りではありません)繰り返しになりますが、子供に【遺族年金】が支払われる大前提として「親がきちんと年金保険料を納付していること」があります。未納の分は遡って納付できる期限も決まっていますので、もし未納がある場合はお早めに納付しましょう。病気があって働けなかったり、低収入で家計が苦しいなどのやむを得ない理由で年金保険料が払えない場合は、納付猶予や免除の申請をしましょう。きちんと申請をして猶予や免除の許可があれば、何も言わずに納付していない未納とは違いますので、しっかりと年金の加入期間には含まれます。理由があって納付できない場合には放置せず、年金事務所などに相談しましょう。[adsense_middle]もらえる期間子供が【遺族年金】をもらえる対象の間は、もらい続けることが出来ます。一般的には以下のような理由から対象ではなくなれば、そこで打ち切りです。18歳に到達した年度末を迎えて、制度上の「子」ではなくなった場合(年齢制限)勤労した収入が850万円を超え、さらに5年以上継続すると見込まれる場合(年収制限)親が再婚し、子供が新しい親と養子縁組をしたら「遺族基礎年金」は打ち切り子供がもらえる遺族年金・まとめ【遺族年金制度】では、子供は絶対的に優先して【遺族年金】をもらうことが出来る権利を持っています。特に義務教育のお子さんは働くことが出来ません。生計維持関係にある親が居なくなってしまうと、生きていくこともできませんから、生活費としての【遺族年金】はとても大切なお金です。そのことから、子供自身の受給要件(年齢要件と所得制限)は厳しくありません。親がきちんと年金保険料を納付していれば、子供は必ずもらえるシステムになっています。唯一の注意点といえば、年齢要件です。子供が18歳になると、基礎・厚生いずれの年金も一律打ち切りとなりますので、その後大学や専門学校への進学を希望する際の学費等の準備は予め必要であると言えます。対策として、例えば子供と生計維持関係にある親を保険契約者とした学資保険に加入する方法があります。契約者である親が亡くなったらその後の保険料の払い込みは免除となりますが、学資保険加入時に設定した保険期間満了まで保険は継続し、さらに満期金や節目の成長祝い金のような給付金もきちんと支払われます。【遺族年金】は子供に必ず届くようになっていますが、それでも足りない場合を予め防ぐために、少額でもよいので学資保険を始めとして生命保険などで備えておくことをお勧めします。
2020年03月19日一般的な年金の種類として、現在では自営業者などが加入する【国民年金】と、会社員や公務員が加入する【厚生年金】がありますよね。国民年金を建物の一階部分、厚生年金を二階部分に見立てる【二階建ての年金】などのたとえによって、年金を分かりやすく説明するFPの先生も多いです。(私もよく二階建てのたとえを使います)しかし、実は数年前まで公務員の方が加入する【共済年金】というものがありました。昔は、建物で言うと三階部分があったということです。現在その三階部分である【共済年金】は消滅したのではなく、【厚生年金】と合併してデータなども全て統合されているのでご安心ください。建物の二階と三階をくっつけたとイメージしていただくのが良いでしょう。今回のテーマはこの共済年金も含めて《公務員の【遺族年金】について》です。年金をもらい始めた時期によっては【共済年金制度】の適用がされていることもあるので、一緒に内容を確認していきましょう。共済年金とは?2015年10月に、公務員等が加入していた【共済年金】は、会社員などの給与所得者が加入している【厚生年金】と一元化されました。それまでの【共済年金】にかかるデータ全般は、時間はかかりましたが厚生年金にデータ移行が済んでいます。共済年金には【退職共済年金】【障害共済年金】【遺族共済年金】の制度がありました。2015年10月以降に年金受給対象となった場合は、全て【遺族厚生年金】をもらうことになります。【共済年金】を実際にもらうための要件などは、ほぼ現行の【厚生年金】と同じ内容です。また、現在公務員の方が今後遺族補償として年金をもらう場合は全て【遺族厚生年金】の対象です。国家公務員共済年金国家公務員(主な省庁に勤務、自衛隊など)は【国家公務員共済年金】に加入していました。現在でもKKR【国家公務員共済組合連合会】が各省庁ごとに年金相談の窓口を設けています。KKRは全国でホテルや病院などを運営しており、共済加入者や年金受給者への施設優待があります。もちろん共済加入者以外の方でも利用できます。地方公務員共済年金【地方公務員共済年金】は、地方職員共済組合が窓口です。2015年以前に受給対象となった方の窓口として現在も運営されています。その他の共済地方公務員共済組合に関しては、警察共済組合、全国市町村職員共済組合、指定都市職員共済組合など、所属先団体によって細分化されていました。詳しい概要については、日本年金機構ホームページ内に「地方公務員共済組合一覧」のページがありますので、これらの詳細を知りたい方はご確認ください。(旧)遺族共済年金の受給資格まず、亡くなった方の要件として《共済年金に加入していた方が2015年9月以前に亡くなった場合》または《亡くなった方が既に老齢共済年金や障害共済年金を受け取っていた場合》です。これ以降は全て【遺族厚生年金】の対象になります。もちろん未納や滞納が多く、所定の期間加入していない場合は対象にはなりません。本来加入しておくべき期間の2/3以上は納付済であるか、免除等の申請をしていることは必須条件です。さらに受給資格についていくつかのポイントがあるので、ここからそれぞれに分けてまとめますね。亡くなった方先にまとめた条件と併せて、以下の内いずれかに当てはまらないと【遺族共済年金】はもらえません。組合員である間に初診日がある病気やケガが原因で初診日から5年以内に死亡した場合障害年金を受けている方が死亡した場合(障害等級1〜2級の共済年金か、1~3級の障害年金)配偶者公務員の遺族年金では、配偶者の要件として妻も夫もその対象となっています。ただし妻と夫で満たすべき要件が違いますので、それぞれポイントをまとめます。妻妻が【遺族共済年金】をもらうための条件は以下3つです。このうちどれかに当てはまればもらえます。18歳未満の子供がいる妻子供のいない妻簡単に言うと、子供の有無に関わらず、妻であれば【遺族共済年金】はもらえるということですね。夫夫が遺族共済年金を受け取る場合は、妻の場合よりかなり条件が絞られます。18歳未満の子供がいる場合で、妻が亡くなった時に夫が55歳以上である場合に、60歳以降になればもらえる。公務員の遺族年金・支給額の計算実際に支給される金額の計算ですが、計算の基となるのが故人の生前の給与です。その給与に対して所定の係数をかけて割り出しますが、一律にいくらというものでは全くないので、ご自身で計算するのは一苦労ですからオススメしません。目安として知りたい場合は、Web上の無料シミュレーションを活用するか(あくまで目安程度として活用くださいね)、公務員共済の相談窓口、社会保険労務士などにお尋ねいただくのがベストです。お子さんがいる場合などで【遺族基礎年金】の要件にも該当すれば、もちろん【遺族基礎年金】からももらえます。[adsense_middle]現行制度の場合現行制度の【遺族厚生年金】の支給額の計算には《平均標準報酬額》や《平均標準報酬月額》の金額が必要です。さらに加入期間ごとに2つの計算式に分けて計算をし、それらを合計した額が【遺族厚生年金】の受給額(の目安)となります。これもなかなか分かりづらく、念のため参考までに計算式を以下に紹介しますが、やはりご自身で計算するよりはWeb上の簡易シミュレーションを活用するか、年金事務所等に出向くことをお勧めします。【遺族厚生年金】=〈平均標準報酬月額×7.125/1000×平成15年3月までの被保険者期間(月数)〉+〈平均標準報酬額×5.481/1000×平成15年4月以降の被保険者期間(月数)〉×3/4旧共済年金の場合参考までに、遺族共済年金の計算式をご紹介しますが、聞きなれない言葉ばかりでなかなか分からないと思いますので、やはり支給額に関しては年金の担当窓口にお尋ね頂くのがよいでしょう。【遺族共済年金】=厚生年金相当額+賦課加算(職域年金など)+配偶者に関する加算(中高齢寡婦加算など)公務員の遺族年金・まとめ公務員の【遺族年金】は、【厚生年金】と統合された2015年10月以降の申請から【遺族厚生年金】の対象となっています。統合の背景として、年金をもらうための手続きの煩雑化や、年金制度の分かりづらさ等を軽減する目的もあったそうです。2015年から既に役5年ほど経過し、現在では随分浸透してきているようです。まとめると、現行制度では、自営業者やフリーランスは【遺族基礎年金】、公務員と会社員などの給与所得者は【遺族厚生年金】の対象です。日本は高齢化も進み、人口のバランスとしても、子供より高齢者の割合が高くなってきていますよね。いよいよ平均寿命も、あと数年後には90歳に到達するのではないかと言われています。【遺族年金制度】は、共済年金でも、厚生年金でも、ご遺族が安心して暮らしていけるための大切な生活費として、末永くもらえることのできるお金です。今回の記事を参考に試算をしてみて、もし不足分が判明したり、何か金銭的な不安があるようでしたら、お早めに遺族補償としての生命保険の活用や、老後資金対策をスタートしてみてはいかがでしょうか。最後に、年金制度全般に関するご不明点は、最寄りの年金事務所、または年金の専門家である社会保険労務士事務所までお尋ねすることをお勧めします。
2020年03月13日申請窓口に書類提出へ。初めてお会いした担当の方は…娘の記録を引っ張り出し、主治医や過去にかかっていた療育センターなどにも連絡をとり、申請に必要な書類を揃えた私はいよいよ申請窓口に向かいました。過去に何度か相談をしに行ったことはあったのですが、年度が替わり人事異動があったのか、当日担当してくれたのは初めて見る方でした。Upload By 荒木まち子その方は若くて柔らかな物腰の方でしたが、お話をすると経験と知識が豊富で、頼りになる方だということがすぐに分かりました。(実際、申請手続き中に他の職員さんが質問をしに来たりしていました。)Upload By 荒木まち子申請窓口では...医師が作成した『診断書』や『受診状況等証明書』を確認した後に『病歴・就労状況等申立書』の記載内容を確認しました。Upload By 荒木まち子Upload By 荒木まち子Upload By 荒木まち子アドバイスをもとに初診日などを変更私が作成した『病歴・就労状況等申立書』の[発病したときの状況と発病から初診までの間の状況]記入欄の“呼びかけても振り返らない、指示が通りにくいなどのことから総合病院にて聴覚検査を受けたが、異常はなかった。”という箇所を見て、窓口の担当者さんは「娘さんの場合、初診日を誕生日ではなく、総合病院の受診日に変更した方が良いでしょう」とアドバイスをしてくれました。また、状況欄に書いた『厚着をし過ぎて電車内で体調を崩し、駅の救護室に運ばれたことがある』という記述から、[日常生活状況欄]の《着替え》の4段階の評価を3→4に見直しをすることも提案されました。(『病歴・就労状況申立書』裏面・赤枠の部分)Upload By 荒木まち子災害時にも有効な「ヘルプマーク」を知っていますか?丁寧に確認してもらえて安心!『年金請求書』など、記入方法がわからない部分がある申請書類は、申請時に窓口で担当者と一緒に記入することは事前に打ち合わせ済みでしたが、『病歴・就労状況等申立書』もここまで丁寧に確認してもらえると思っていなかったので私は驚きました。Upload By 荒木まち子障害年金請求を審査、認定するのは日本年金機構です。役所の窓口では書類が全て正しく整っているかを確かめる作業をしています。ですが窓口の方が「『病歴・就労状況等申立書』を読んだ審査担当者が、状況を正確に把握できるように」と内容を一緒に確認してくれたことを私はとても嬉しく思いました。また、申請窓口の方は後の消費税アップを見越して、今後に必要になると思われる『年金生活者支援給付金』の申請手続きも同時にしてくれました。最後に戸籍課で発行した戸籍謄本を提出し手続きは終了しました。全ての手続きを終えるのには一時間ほどかかりました。申請してみて実感。障害年金請求の資料はそんな早くから準備する必要はないかも一連の手続きを終えて私が感じたのは、障害年金申請資料準備は「早ければ早いほど良い」というものではないということでした。※娘の初診日は18歳より以前でしたので、「障害認定日」は20歳の誕生日の前日です。初診日、障害認定日等によっては早めに動き出す必要がある場合もあります。「障害認定日」とは、障害の程度の認定を行うべき日をいい、請求する傷病の初診日から起算して1年6月を経過した日又は1年6月以内にその傷病が治った場合においては、その治った日(その症状が固定し、治療の効果が期待できない状態に至った日を含む。)をいう。たとえば年金申請コラム第3話で書いた、“初診の医療機関が廃業していたり、カルテが破棄されていたりして『受診状況等証明書』を作成してもらえなかった場合は2番目に受診した医療機関で『受診状況等証明書』を作成してもらう。もし2番目の医療機関でも『受診状況等証明書』が作成できなかったら3番目の医療機関…と辿っていく”という規定は、障害認定日が20歳に達した日以前である場合は、障害の程度を認定する時期は一律に20歳となる。2番目以降の医療機関の受診日から障害認定日が20歳以前であることを確認でき、かつその受診日前に厚生年金等の加入期間がない場合には、初診日の医証を追加で請求者に求めずとも、20歳前の期間で請求者が申し立てた初診日を認めると新たに規定されました。5年、10年経てば制度は変わります。(逆に時代やニーズに沿って改新されなければ困ってしまいますよね)ですので、お子さんが未就園児や小学生のころから窓口に障害年金についての相談に行ったり、焦って申請書を取り寄せたりする必要はないと思います。20歳になるまでに子ども自身や子どもを取り巻く状況、困りごとなどは刻々と変化していきます。いくら別紙添付が可能とはいえ、子どもが小さいうちからのできごとすべてを『病歴・就労状況等申立書』に書くことはあまりおすすめできません。『病歴・就労状況等申立書』では1.病院や療育センターの初診日2.通院、入院歴3.投薬履歴4.障害に起因した大きなアクシデント(怪我や事故など)と、どのように対処しても改善できない現状や“申請時の”困りごとをしっかりと伝えることが大切だからです。ブログや日記などで子どもの記録を残していく場合、『日記や日々の子育て記録』と『書類に書いた方がよい内容』をカテゴライズしておくと良いかと思います。障害年金申請よりも先に意識しておきたい『子どもの情報の引き継ぎ』娘が通っていた療育センターは利用が小学生までだったので、中学進学を機に成人まで見てくれる病院に転院しました。当時はまだサポートブックなども普及しておらず、私は転院時に受けるソーシャルワーカーとの「受理面接」の為の資料として独自に娘の療育、発達検査、通院、投薬、病歴などを年表形式でまとめた『成育歴表』を作りました。子どもは成長と共に小児科や小児精神科から思春期外来や青年期精神科に移ることが多いですが、幼年期から成人までの発達障害を一貫して診てくれる医師はなかなかいないのが現状です。転院や主治医変更を意識して成育歴のような資料を予め作っておくと、『病歴・就労状況等申立書』作成時だけでなく、放課後等デイサービスやショートステイの利用等の申し込み、役所の相談窓口の担当者が代わったときなどに子どもの説明をするのに役に立つので良いと思います。次回は年金コラム最終話これまでのコラムでは主に提出する書類について書いてきましたが、次回最終話では書類についてではなく、申請作業を進めていく中で知った新事実や、改めて気がついたことについてお話しします。
2020年03月05日「年金」と聞くと、60代以降の方が受給している「老齢年金」をイメージする方がほとんどですよね。「年金=シニア世代」の印象が強くあるかと思います。しかし「年金」をもらっている方で20代の方も存在します。実は年金にはこの【老齢年金】以外にあと2つあります。【障害年金】と【遺族年金】です。この2つはシニア世代になっていなくても、条件に該当すれば若い世代で受給している方もいらっしゃいます。今回のテーマは若年層でももらう可能性のあるうちの一つ【遺族年金】について。中でもさらに【遺族厚生年金】についてわかりやすく解説していきますね。難しい言葉はなるべく使わないようにしますので、ご安心ください。年金には2種類あるここからは【遺族年金】だけではなく、少しだけ日本の年金制度自体の概要についてお伝えしましょう。なるべくわかりやすくポイントを絞って解説します。今ここで理解しておくと、【遺族年金】だけでなく【老齢年金】【障害年金】についても理解が深まります。国民年金に加入していた人の年金【基礎年金】日本に住んでいる20歳以上60歳未満の人は、必ず【国民年金】に加入して、しっかり国民年金保険料を払わなければいけません。様々な事情から払えない場合は、納付猶予や納付免除を申請することで、払えるようになったときに遡って追納することもできます(追納期間には別途定めがあります)。20歳から60歳までの40年間(480月)全額払い込むことで満額の年金額を受け取ることができますが、未納などがあるとその分だけもらえる額が減ります。まとめると、国民年金は【誰でも必ず加入していなければならないもの】です。このことから、年金制度の基礎となるという意味で【基礎年金】と呼ばれます。国民年金の保険料(掛け金)は、ほぼ毎年料率改定がありますが、仕事や属性によって金額の差はありません。掛け金は一律同額です。ちなみに令和元年度は月額16,410円です。厚生年金に加入していた人の年金【厚生年金】【厚生年金】とは、会社員や公務員などの給与所得者(勤務先から給料をもらっている人のこと)が、毎月の給与や季節の賞与などから自動的に保険料を天引きされているものです。平成27年以前は公務員の方が加入する【共済年金】がありましたが、現在では厚生年金と統合されています。つまり、厚生年金の加入対象者は会社員や公務員となります。私が行っているマネーコンサルティングでもよく質問を受けるのが「【厚生年金】に入っていれば【国民年金】には入れないの?まさか2つも加入できないでしょ?」という内容のご質問です。二階建ての年金という言葉を聞いたことはありませんか?【厚生年金】は、いわゆる二階建ての年金の「二階部分」にあたります。では一階部分は何かというと、上の項目で解説した【基礎年金】です。【基礎年金】は、とにかくどなたでも加入しなければいけないものなので、会社員などの厚生年金加入者は【一階も二階も加入し、両方もらえる】ということですね。【厚生年金】の保険料は、給料に応じて変動しますので、例えば同期入社の方でも全く同じ厚生年金保険料であることはまず考えられません。更に、厚生年金加入の一番のメリットとして【保険料が労使折半であること】が挙げられます。年金保険料の約半分は勤務先企業や団体が負担してくれているので、給与明細で確認する天引き額の倍の金額を実際には年金保険料として納めていることになります。遺族厚生年金・支給の条件それでは早速、今回のテーマである【遺族厚生年金】について確認していきましょう。基礎・厚生ともに【遺族年金】とは【故人が生前もらうはずだった年金を遺族補償として遺族に支給する】という性質があります。つまり、故人が何の年金に加入していたかによって、ご遺族がもらえる【遺族年金】は違うという事です。【遺族年金】を考える場合は「故人の要件」と「遺族の要件」をどちらも満たす必要があり、この後の項目で更にそれぞれについて見ていきましょう。遺族の考え方として、一昔前までは「遺族年金の対象配偶者は妻のみ」とされていました。しかし、家族スタイルの多様化が進む中、それではあまりにも時代に沿っていないということで、現在では配偶者である「夫」も対象となっています。ただし、まだまだ夫が受給するためには細かい要件が設けられていますので、この後の項目で解説しますね。必要な支給要件とは【遺族厚生年金】を受け取る為に必要な支給条件は以下の通りです。厚生年金被保険者が死亡した時被保険者期間中のケガや病気が原因で、初診日から5年以内に死亡した時【老齢厚生年金】の受給資格期間が25年以上あるものが死亡した時【障害厚生年金】1級または2級の受給資格のある方が死亡した時故人・遺族がそれぞれ満たす要件についてここからは、お亡くなりになった方(故人)と、遺されたご遺族がそれぞれ満たさなければいけない要件についてまとめます。いくつか項目がありますが、そのいずれかに該当すれば足ります。[adsense_middle]故人の要件故人の要件として真っ先に挙げられるのは、死亡した方が生前きちんと年金保険料を納めていたかどうかということです。上の項目でもご紹介していますが、【厚生年金】は基本的に給与から自動天引きされていますので未納ということはほぼ考えられないのですが、お亡くなりになった日にちの前に未納がなかったか等の細かい要件がありますので、以下リストアップします。以下のどちらかに該当すれば【遺族厚生年金】の故人の要件は満たしたことになります。故人の加入していた年金について不明な場合は、お住まいの地域の年金事務所などへご相談ください。死亡した日が令和8年4月1日より前であり、死亡した日に65歳未満で、なおかつ死亡した月の前々月までの1年間で保険料の滞納が無いこと被保険者が亡くなった場合、保険料納付期間が厚生年金加入期間の2/3以上あること(ただし免除期間を含む)対象者別・遺族の要件【遺族厚生年金】の対象者とは、お亡くなりになった方から生計を維持されていた(簡単に言うと、生活を共にしていた)妻、子、孫、55歳以上の夫、父母、祖父母です。対象者別に要件をまとめますので、確認していきましょう。また、遺族には年収の制限があり、遺族の年収が850万円を超える場合は残念ながら【遺族厚生年金】をもらえない決まりです。子に関しては【基礎年金】【厚生年金】いずれの場合でも次のように定義付けられています。【18歳に到達した年度末まで。または障害等級の1級または2級で20歳未満の者】いくら生計を同一としていて、同居している大学生の子供だとしても、18歳を超えていれば「子」としての【遺族年金】を受け取ることは残念ながらできません。妻妻は、再婚しない限り受給期間は一生涯です。また、年齢条件や子供の有無に関わらず、無条件で遺族年金がもらえます。ただし注意点として、お子さんのいない妻で、夫が亡くなった時に30歳未満である場合、5年間で【遺族年金】は打ち切りとなります。子・孫子の要件は一つ前の項目でもご紹介しましたが、基礎・厚生いずれも同一の基準です。子や孫の場合、18歳に到達した年度末までは【遺族厚生年金】の対象です。また、《障害等級1又は2級》の20歳未満の子も該当します。受給期間としては、それぞれ「子」の要件から外れる時までです。18歳到達の年度末までか、障害等級のあるお子さんの場合は20歳到達の年度末までです。夫・父母・祖父母夫・父母・祖父母の要件は、被保険者が亡くなった時に遺族の年齢が55歳以上である場合に、その後遺族が60歳到達後にもらえるようになります。妻や子、孫と違って、被保険者の死後すぐに受け取れるものではありません。もらえる人がたくさんいたらどうなる?例えばの話ですが、祖父母から妻、子、孫全てを支える大家族の世帯主が亡くなったとしましょう。この場合【遺族厚生年金】を受け取ることができるのは誰になるでしょうか?もちろん全員がもらえるわけではありません。実は【遺族厚生年金】をもらうことができる順番は決まっていて、すでに上位の順番の方が受け取ることになれば、後順位者は貰うことが出来ません。一番にもらう権利があるのは【子のある妻】です。次に【子】【子の無い妻】と続きます。では独身で配偶者が居ない場合はどうなるかというと【父母】【孫】【祖父母】の順で、同じく上位の方が受け取る権利があるという事になります。受給額の計算方法これまでにも解説しましたが【遺族厚生年金】は給与によってその受給額が変動します。なおかつ、加入期間を2つに分け、それぞれ所定の計算式に当てはめて計算し、それらを合算したものが【遺族厚生年金】の受給額の概算となります。計算式は以下の通りです。①2003年3月以前の加入期間:平均標準報酬月額×(7.125/1,000)×2003年3月までの加入期間(月数)②2003年4月以降の加入期間:平均標準報酬額×(5.481×1,000)×2003年4月以降の加入期間(月数)①+②の合計が、遺族厚生年金の概算となります。小数点が多かったり、計算式が複雑だったりで、なかなかこのような計算式を使って手動で算出するのも難しいかと思います。インターネット上には、無料で【遺族厚生年金】の目安額を知ることができるシミュレーションもあります。この場合は平均標準報酬額などが不明であっても、現在の月給などから簡易的に計算することができ、非常に便利です。目安として知っておく分には、このようなシミュレーションを使ってみることをお勧めします。[adsense_middle]年金は請求してもすぐはもらえない!【遺族厚生年金】をもらうためには、様々な書類を取り寄せて記入してから年金事務所に提出しますが、そこから実際に一回目の遺族厚生年金が振り込まれるまでに3~4か月程かかります。その間、提出された書類に関して、然るべき審査をきっちりしているという事です。(もちろん間が開いた分でも受給権が発生した期間については、第一回の年金振込の際に合算されて支給されますのでご安心くださいね。)被保険者の死後、葬祭費や医療費など様々な支払いが発生しているにも関わらず、収入の途絶する期間が続くのは心細いと思います。お子様の居るご遺族の場合は、今後の教育費についてもご心配なことでしょう。代表的な対策としては、一つ前の項目で紹介した年金受給額の目安を把握しておき、年金額でも足りない部分(例えば教育資金など)について予め民間の生命保険などで備えておくことが挙げられます。さらに、実際に年金が振り込まれるまでの生活費の3~4カ月分の預貯金を準備しておくことも有効ですね。【補足】遺族年金以外の支給額について被保険者が死亡した場合【遺族厚生年金】以外にも、ご遺族に支払われるお金があります。在職中であれば勤務先から死亡退職金が支給されます。また、加入していた社会保険から「埋葬費」「埋葬料」などの呼び名での一時金の支給があります。一律5万円程度を支給している場合が多いようです。遺族年金・遺族厚生年金に関するまとめ今回は、遺族厚生年金を受給する際のポイントについてまとめました。厚生年金のみ受給対象となる場合と、基礎年金も合わせて受給できる場合があります。それぞれ受給の条件が違いますので注意が必要ですが、詳細に関してはお住まいの地域の年金事務所や年金相談センター、または年金のプロである社会保険労務士の方へ個別ご相談することもお勧めです。また、今回ご紹介した計算方法についても、あくまで概算としてお考え下さい。だいたいの目安として捉えていただき、足りないと思った場合は民間の生命保険や預貯金などで早めに対策することが出来ます。万が一のことが起こってからでは対応できない場合がほとんどですので、前もって大体の額を把握しておくと良いですね。ご家族に万が一のことがあるということを仮定すること自体、不謹慎なような気がして気が進まない方がほとんどかと思います。しかし「万が一」は必ずいつかはやってきます。そうなったときに少しでも精神的、肉体的な負担を減らすことが出来るよう、遺族年金の制度や仕組みについて前もって知っておくことは非常に大切であると言えます。
2020年03月04日