世界最大規模のコレクションに心奪われる太田記念美術館は、五代太田清蔵が蒐集した約12,000点を含めた約140,000点の浮世絵のコレクションを持つ世界有数の浮世絵を専門とする美術館。喜多川歌麿や葛飾北斎、歌川広重といった有名な浮世絵師たちの代表作はもちろんのこと、浮世絵の始まりから終わりまで、浮世絵の歴史を細部まで体験できる作品の数々が収蔵されています。そして、その膨大なコレクションの中から毎月異なるテーマの企画展が開催され、当時の娯楽を体験することができるのです。※上記作品は現在は展示を終了しています。浮世絵師の息遣いが現代によみがえる!2階ギャラリーでは浮世絵の制作工程が常時展示されています。実際に用いられていた道具や塗料も鑑賞することができ、浮世絵をより色濃く感じることができます。他にも、スライドを使った展示解説や浮世絵や江戸文化に関する講座、ビデオ上映なども開催されており、来場者が、より浮世絵に対する理解を深めれるように様々な工夫がなされています。原宿散歩の休憩に。喧騒を忘れて芸術鑑賞最新のファッションやアートがひしめく原宿で、江戸の文化に触れられる「太田記念美術館」。まるでそこだけ時間が止まったような、不思議な感覚を覚えます。原宿散策に疲れたら、「太田記念美術館」でエネルギーチャージはいかがでしょうか?取材・文/西尾 宇宙スポット情報スポット名:太田記念美術館住所:東京都渋谷区神宮前1-10-10電話番号:03-5777-8600
2017年02月24日歌川国芳の絵が、手触りふんわり「浮世絵手ぬぐい」奇抜で独特な世界観で国内外に数多くのファンを持つ歌川国芳。巨大な骸骨の妖怪が有名な『相馬の古内裏』や可愛い猫が描かれた『ねこ尽くし』など、そんな彼の有名な代表作があしらわれた手ぬぐいシリーズです。ふんわりとした肌触りも心地良く、歌川国芳好きにとってはたまらないグッズではないでしょうか。歌川国芳 浮世絵手ぬぐい(税込 648円)コレクションしたくなる美しさ! 「浮世絵絵はがき」お手頃な価格と豊富なバリエーションが魅力的なポストカード。家族、友人へのお土産としても、自分の思い出や記録を残すための記念品としてもピッタリ。気に入った絵や印象深かった絵のポストカードを是非見つけてみてください。浮世絵 絵はがき(税込 100円)真の浮世絵好きなら手に入れたい「複製浮世絵版画」忠実な製法で造り上げられた素晴らしい木版画。誰もが一度が目にしたことがあるであろう喜多川歌麿の『ビードロを吹く女』や葛飾北斎の『富嶽三十六景』など日本を代表する名作の数々が、江戸の技法を受け継ぐ職人技によって、最高のクオリティーで、時を超えて現代に蘇ります。複製浮世絵版画 (税込 14,040円)どれもこれもついつい欲しくなってしまうグッズばかり。素敵な思い出や記憶は、形として残しておきたいもの。お気に入りのグッズを探してみてください。取材・文/西尾 宇宙スポット情報スポット名:太田記念美術館住所:東京都渋谷区神宮前1-10-10電話番号:03-5777-8600
2017年02月24日1月5日、演出家・宮本亜門が手がけるリーディング公演『画狂人北斎』のプレス内覧会が開催された。会場となったのは昨年11月、墨田区にオープンした「すみだ北斎美術館」。世界的に知られた江戸時代後期の浮世絵師・葛飾北斎が生涯のほとんどを過ごしたこの地に建てられた美術館を皮切りに、「25年来、北斎の大ファン」だという宮本が新プロジェクトをスタートさせる。舞台上には出演者5名と語りの計6名が登場。樋柴智康の語りにより、物語は博物館の講演会場から始まる。北斎研究家・長谷川南斗(菊地創)が語る北斎への考えに、画家を目指しながら彼の研究を手伝う助手・峰岸凛(秋月三佳)は違和感を持つ。一方、舞台は江戸時代へ。天保の大飢饉や出版統制など厳しい状況の中、絵を描き続ける晩年の葛飾北斎(大森博史)と、悪態をつきながらも彼を支える娘・お栄(岡田あがさ)。しかし親友である戯作者・柳亭種彦(谷田歩)が幕府によって捉えられ、追い詰められた北斎は小布施へと居を移す。北斎の真実を追い求める現代のふたりの姿と、激動の時代に身を置く晩年の北斎の姿が交互に舞台上に立ち現れ、やがてクロスオーバーしてゆく。そして彼らが最後にたどり着いたのは……というストーリーだ。リーディング公演ではあるもののスライドで実際の北斎の絵が多数映し出されるので、劇世界の面白さはもちろん、北斎作品の魅力がより深く味わえるという仕掛けも。公演後に行われた会見で、今回の作品に関して「北斎が小布施に行った理由はいろいろな説があるが、当時は鎖国が始まってどんどん厳しくなっていった時期。現代においても書くものの自由や、何のために書くのかということだったり、時代は違えども北斎と近いものはあるんじゃないか」と語った宮本。あえて晩年の北斎に焦点を当てた理由としては「色んなスタイルに変えていき、『100歳になっても足りない』と言い続ける芸術家の生き方にまず興味を持った。現在の高齢化社会で暮らすみなさんも元気づけたいし、『芸術家とはなんぞや』というのをなんとか表現したかった」とのこと。もともと、海外でも圧倒的な知名度がある葛飾北斎。今回はリーディング公演だが、いずれは舞台化し、将来的には海外公演も視野に入れているという。オリンピックに向けて海外から日本への注目が高まる今、今後の展開を楽しみにしていたい。
2017年01月10日すみだ水族館では、2016年12月26日(月)~2017年1月9日(月・祝)までの期間、新年に縁起が良いとされるいきもの「アカイセエビ」の展示や、お正月にちなんだ体験プログラムなどが開催されています。この記事では、編集部おすすめのイベントをご紹介します!体重約3.5kg!巨大なアカイセエビが登場!体長約40cm、触覚を含めた全長は約90cm、体重が約3.5kgの超特大アカイセエビの展示がおこなわれます。イセエビは、長いひげや折れ曲がった腰から長寿のシンボルとされ、力強い甲冑のような姿や、厄を払う赤い色などの理由から縁起が良いとされる生き物です。その中でもアカイセエビは一般的なイセエビと比較しても非常に大きく成長する種類です。2016年に小笠原諸島で漁獲された中で、最も大きいとされる個体を、今回は特別に展示。おめでたい姿をぜひ拝んでみたいですね!展示生物:アカイセエビ展示期間:2016年12月26日(月)~2017年1月9日(月・祝)展示場所:5Fアクアアカデミー前あの名画でかるたづくり!「ひねってあそぼう、北斎かるた。」葛飾北斎の描いたいきものの絵をモチーフにしたハンコを押して、オリジナル北斎かるたを作ることができる「ひねってあそぼう、北斎かるた」という体験プログラムも実施されます。「さ、か、な、ほ、く、さ、い」の7文字を頭文字にしたかるたに、好きな文句を作って遊びます。お正月らしいオリジナルグッズを手作りして、新年の遊びを楽しみましょう。開催期間:2016年12月26日(月)~2017年1月9日(月・祝)開催時間:各日10時00分~16時00分開催場所:5Fアクアアカデミー参加対象:3歳以上参加方法:当日受付 ※混雑時には整理券を配布参加料金:無料 ※入場料は別途必要参加定員:各日先着200名 ※定員になり次第終了キラキラ素材にわくわく!「クラゲうつし~お正月限定ver~」透明の素材で、自分だけのクラゲのオーナメントを作れます。お正月のフレームで飾られた壁面の大きなスクリーンに投影して、記念撮影もお忘れなく。開催期間:2016年12月26日(月)~2017年1月9日(月・祝)開催時間:10時00分~16時00分(最終受付15時30分まで)開催場所:5Fすみだステージ参加対象:3歳以上参加方法:当日受付 ※混雑時には整理券を配布参加料金:無料 ※入場料は別途必要参加定員:各日先着200名※定員になり次第終了夜の水族館を貸し切り!贅沢すぎる体験型福袋新年の運試しとして、応募者の中から当選した1組だけが購入できる特別な体験型福袋の販売も。当選者は、閉館後の水族館を1時間貸切にして、大切な人と特別な時間を過ぎせます。誰もいない水族館で思いっきり遊ぶもよし、恋人とあまい時間を過ごすもよし…ぜひ応募してみてくださいね!販売数量:限定1個 (抽選で選ばれた1組が購入可能)販売価格:2,017円(税込)応募方法:館内設置の応募箱に申込用紙を投函応募資格:1組4名まで応募可(小学生以下は保護者同伴)募集期間:2017年1月1日(日・祝)~1月3日(火)体験日時:2017年1月28日(土)21時00分~22時00分※1~4名まで参加人数に関わらず、一律料金※当選者にのみ、1月11日(水)までに連絡※支払い方法は当選確定後に詳細を連絡 ペンギンガムにお正月バージョンが登場!さらにショップでは、大人気のペンギンガムにお正月バージョンが登場します。頭の上にちょこんと鏡餅が載ったかわいらしいペンギンは、お土産はもちろんデスクのお正月飾りとしてもおすすめ。ひとつあると心がなごみそうですね。商品名:ペンギンガム お正月バージョン販売価格:190円(税込)販売期間:2016年12月26日(月)~2017年1月9日(月・祝)販売場所:5Fショップお正月の期間はすみだ水族館で、縁起のいい展示をみて楽しみましょう!■施設詳細名称:すみだ水族館所在地:東京都墨田区押上1-1-2 東京ソラマチ営業時間:9:00~21:00休館日:なし公式HP:
2016年12月29日小笠原諸島の深いブルーを再現!世界自然遺産の海の世界「東京大水槽」伊豆諸島・小笠原諸島をはじめとする219の島々「東京諸島」の海をテーマにした「東京大水槽」は、本物の海の色や透明度を追求したこだわりのスポット。群れをなした色とりどりの魚と一緒にサメやエイなどが泳ぐ、東京諸島の幻想的な海中世界が忠実に再現されています。約1,000km離れた世界自然遺産の海が目の前に!和テイストの装飾と多彩な種類の金魚がコラボ!粋な「江戸リウム」日本最大の金魚展示ゾーンが自慢のすみだ水族館では、和を感じる装飾とさまざまな種類の金魚とのコラボレーションが楽しめます。現在は、墨田区出身の画家・葛飾北斎の浮世絵が各所に飾られており、まさに江戸時代にタイムスリップしたかのよう。なんとも粋な雰囲気を味わえる、そんな空間です。愛らしさナンバー1!国内最大級のプールを自由に泳ぎ回る「ペンギン」国内最大級の広さを誇る屋内開放のプール型水槽では、なんとも愛らしいマゼランペンギンと出会えます。水槽との距離が近いため、手が届くぐらいの場所でペンギンの素早い泳ぎを眺めることも。また、行動を共にするカップルペンギンのいじらしい動きも見逃せません。さまざまな表情を見せてくれるキュートさに釘付けになること必至です!取材・文/恋する旅ライターかおりスポット情報スポット名:すみだ水族館住所:東京都墨田区押上1-1-2 東京スカイツリータウン・ソラマチ5F・6F電話番号:03-5619-1821(9時~21時)
2016年12月20日ジュリアン デイヴィッド(Julien David)2017年春夏コレクションから、新作バッグを紹介する。今季よりメンズ・ウィメンズ統合ショーを行ったジュリアン デイヴィッド。新たなチャレンジの幕開けとなった今シーズンは、トロピカルやウェーブをキーワードとしている。得意とするストリートの要素に、「WAVE」ロゴや波模様のジャカードなどを差し込んで、春夏らしい軽やかな雰囲気に整えた。注目は、昨シーズンよりスタートした人気バッグシリーズの新作。PVC素材の上に、葛飾北斎の作品からインスピレーションを得た波模様を添えた。バッグ全面に配された小さなモチーフは、夏らしいビーチシーンを想起させる。店頭には、シルエット違いで2型を用意。カラーバリエーションも豊富なので、好みのアイテムがきっとみつかるはず。【アイテム詳細】ジュリアン デイヴィッド 2017年春夏コレクションバッグ発売時期:2016年11月末~取り扱い店舗:ジュリアン デイヴィッド 神宮前 ショップ住所:東京都渋谷区神宮前2-7-15TEL:03-5875-3144価格:無地 26,000円、プリント30,000円
2016年12月18日ジュリアン デイヴィッド(Julien David)が120年の歴史を誇り、世界各国で5憶足以上を売り上げているチェコの老舗スニーカーブランドのバタ(Bata)とコラボレーションして制作した17年春夏シーズンのコラボスニーカーを発売する。今回発売されたスニーカーは、NBAチーム「ボルティモア・ブレッツ」へのオマージュとして制作され、1964年に発表された"ブレッツ・ハイ(9,000円)”と"ブレッツ・ロー(8,400円)”の2種類で、17年SSのアイコンともなっている「WAVE」のプリントを施した各3色展開となっている。アッパーとライニングに高品質のオーガニックコットンキャンパスを使用し、葛飾北斎の浮世絵からインスピレーションを得たカラフルな波のモチーフがプリントされた。バルカナイズ製法を用いて制作されたオールホワイトのソールや真鍮のレースホールなど、「バタ」らしいレトロなディティールが満載のスニーカーとなっている。なお、コレクションの発売に先立ってジュリアン デイヴィッド路面店の「JULIEN DAVID JUNGUMAE SHOP」にて先行発売されている。
2016年11月27日ジュリアン デイヴィッド(Julien David)と、スニーカーブランド・バタ(Bata)がコラボレーション。スニーカーがジュリアン デイヴィッド 神宮前ショップにて2016年11月23日(木)より先行発売される。スニーカーは、ブレッツ・ハイ(Bullets High)とブレッツ・ロー(Bullets Low)の2種類。バタがNBAチーム・ボルティモア・ブレッツ(Baltimore Bullets)へのオマージュとして制作し、1964年に発表したものだ。ジュリアン デイヴィッド2017春夏コレクションのアイコンにもなっている「WAVE」から、葛飾北斎の浮世絵にインスピレーションを得たカラフルな波のモチーフをプリント。レースホールには真鍮、アッパーとその内側に高品質のオーガニックコットンキャンバスを使用している。ソールはオールホワイトでバタらしいレトロディテール、そこにジュリアン デイヴィッドのアイデアを詰め込んだアイテムに仕上がった。【アイテム詳細】ジュリアン デイヴィッド×バタ発売日:2016年11月23日(木)アイテム:・ブレッツ・ハイ 9,000円+税・ブレッツ・ロー 8,400円+税取り扱い店舗:ジュリアン デイヴィッド 神宮前ショップ【問い合わせ先】ジュリアン デイヴィッド 神宮前ショップTEL:03-5875-3144
2016年11月25日オム プリッセ イッセイ ミヤケ(HOMME PLISSE ISSEY MIYAKE)が、“春画”とそこに登場する人物たちの着物の柄に着目した「HARUシリーズ」を発表した。11月29日までは、阪急メンズ東京 1F イベントスペースにポップアップショップをオープン。「HARUシリーズ」の商品がフルラインアップで登場する。世界中に愛好家がいる春画は江戸時代、おおっぴらに販売できないものの、確実に需要があるいちジャンルとして、葛飾北斎や喜多川歌麿、鈴木春信といった名だたる浮世絵師が手掛けてきた。その魅力の中には、ときにユーモラスでおおらかな性描写だけでなく、細部まで描き込まれた着物の柄やインテリアの色鮮やかな描写もある。オム プリッセ イッセイ ミヤケは、江戸時代の粋な生活スタイルを春画の中に見出した。軽くてシワにならず簡単に洗えてすぐ乾く利便性に加えて、日本の服に用いられてきた柄やスタイルを現代に伝えることに力を注いできた同ブランドの中でも、今回のHARUシリーズはひとつのメルクマールとなりそうだ。本企画のメイン商材となるのは、北斎や歌麿の作品をベースに、絵の中の人物が着ている着物の柄をレイヤーしたプリントのコート(10万円)。春画を大胆にレイアウトした羽織とパンツとコーディネート用の無地柄を展開する。また、裏地に春画を配した裏表で羽織れるコート(7万円)とブルゾン(6万円)も発表。プレスシャツは、春画にストライプをオーバーラップした柄のものと、春画の中の着物から着想を得たドット柄のものの2種類を展開(共に2万4,000円)。手ぬぐい(3,000円)は、鳥居清長の「袖の巻」を大胆にプリントしながらも、背景にポップな色を用いることで柔らかな印象となっている。
2016年11月24日11月22日に、江戸時代後期の浮世絵師、葛飾北斎の作品が展示される美術館「すみだ北斎美術館」がオープンした。北斎は1760年に現在の墨田区の北斎通り付近で生まれ、およそ90年の生涯のほとんどを墨田区内で過ごし、優れた作品を数多く残した。今回、美術館の開館にあわせ、記念展として「北斎の帰還-幻の絵巻と名品コレクション-」を開催。同展では、海外に流失し、100年あまり行方知れずとなっていたが、近年競売にかけられ、昨年墨田区が取得した長さ約7メートルの幻の絵巻「隅田川両岸景色図巻」を初公開。そのほか、代表作「冨嶽三十六景」など墨田区所蔵の数々の名品・優品のなかから、北斎の肉筆画、版画、摺物、版本などを前後期合わせて約120点を展示。■開館記念展「北斎の帰還-幻の絵巻と名品コレクション-」会期:11月22日(火)~2017年1月15日(日)【前期】11月22日(火)~12月18日(日)【後期】12月20日(火)~1月15日(日)※作品保護のため前後期で一部展示替えを行います。また、各期においても途中で一部展示替えを行います。休館日:毎週月曜日(祝日・振替休日の場合は翌平日)、年末年始11月28日(月)、12月5日(月)、12月12日(月)、12月19日(月)、12月26日(月)~1月1日(日・祝)、1月10日(火)開館時間:午前9時30分~午後5時30分(入館は閉館の30分前まで)
2016年11月22日オム プリッセ イッセイ ミヤケ(HOMME PLISSE ISSEY MIYAKE)が11月1日、“春画”に着目した新シリーズ「HARUシリーズ」を発売する。江戸時代の庶民の娯楽として花開いた浮世絵の1ジャンルである春画。大っぴらには販売できず、タブーなものと扱われる一方で、北斎や歌麿、春信といった名だたる絵師が手がけた美しい春画は、19世紀ヨーロッパの芸術家たちの下で起こったジャポニズム現象で芸術性の高さが認めらた。現代においても、世界中の美術館が春画を日本美術の重要な1セクションと位置付け、13年には大英博物館が「春画展」を開催、また日本でも巡回展が開催されるなど再評価をされている。今回オム プリッセ イッセイ ミヤケはそんな“春画”を題材に、江戸時代のユーモアとエロスが放つ生のエネルギー、粋な生活スタイルを見出し「HARUシリーズ」を制作。葛飾北斎の《タコと海女》、《東にしき》、喜多川歌麿の《歌満くら》、鳥居清長の《袖の巻》がモチーフとなった。アイテムは、大胆に春画を配した羽織(10万円)や、裏地が春画を秘めた表裏で羽織れるコート(7万円)とブルゾン(6万円)、春画にストライプをオーバーラップした柄をプリントしたプレスシャツ(2万4,000円)、春画の中に描かれた着物からインスピレーションを得たドット柄のプレスシャツ(2万4,000円)、ポップなカラーの背景に《袖の巻》を大胆にプリントした手ぬぐい(3,000円)がなどが展開される。取り扱いは、ISSEY MIYAKE / DAIKANYAMA、ISSEY MIYAKE MARUNOUCHI、REALITY LAB. ISSEY MIYAKE、ELTTOB TEP ISSEY MIYAKE / GINZA、ELTTOB TEP ISSEY MIYAKE / SEMBA、ISSEY MIYAKE / KOBE、HOMME PLISSE ISSEY MIYAKE / SENDAIにて。また、11月23日から29日には、阪急MEN'S TOKYO 1階イベントスペースにてポップアップストアもオープンする。動画引用元: (ISSEY MIYAKE EUROPEオフィシャルYouTube:
2016年10月31日東京・墨田区のすみだ北斎美術館の開館記念展として「北斎の帰還-幻の絵巻と名品コレクション-」が開催される。期間は2016年11月22日(火)から2017年1月15日(日)まで。北斎を多角的に楽しめる展示内容本展は、墨田区所蔵の数々の名品・優品の中から、北斎の肉筆画、版画、摺物、版本等約120点を一堂に展示。北斎の代表作といえる作品の数々を間近に見ることができる貴重な機会となる。展示は幾つかの章にわかれている。北斎本人および同時代や後世の作家たちが描いた北斎の姿などを紹介する「序章」、北斎の眼を通して描かれた“すみだ”の作品を展示する「1章」、約100年ぶりに再発見された幻の絵巻「隅田川両岸景色図巻」を全巻一挙に公開する「2章」などで構成されている。幻の絵巻「隅田川両岸景色図巻」を全巻一挙に初公開注目は、約100年ぶりに再発見された幻の絵巻「隅田川両岸景色図巻」。かつて北斎壮年期の傑作の一つと言われ、彼の肉筆画の中で最長とされる7mの作品だ。両国橋から山谷堀あたりまでの隅田川両岸の景色が、洋風の陰影法を交えた表現で描かれており、また新吉原での様子も細緻な筆遣いで表現されているのが特徴だ。本展では全巻一挙に公開する。“富士山”を題材にした代表作「冨嶽三十六景」富士山を様々な角度から描いた「冨嶽三十六景」の作品も多数登場。中でも山下白雨は、山を堺に対象的な天候を描くことにより、富士山の大きさや高さを表現した名作だ。なお、雷の部分は当館のロゴマークのデザイン元にもなっている。各地の“滝”を色彩豊かに描いた「諸国瀧廻り」日本各地の「滝」を題材にした「諸国瀧廻り」。会場では、岐阜県の「阿弥陀ヶ瀧」がモデルとなった「木曽路 / 奥阿弥陀ヶ瀧」や奈良県の高滝を描いた「和州吉野義経馬洗瀧」が展示される。「木曽路 / 奥阿弥陀ヶ瀧」は、上部の丸い滝口から勢い良く落下する水の流れや、滝口の部分にゆらめくような波紋が描かれ、複数の視点から1つの対象を捉える手法を取った作品となっている。2016年11月22日(火)に東京・墨田区で開館する「すみだ北斎美術館」で、北斎のめざした芸術世界を体感してみてはいかがだろう。【詳細】開館記念展「北斎の帰還-幻の絵巻と名品コレクション-」会場:すみだ北斎美術館住所:東京都墨田区亀沢2-7-2会期:2016年11月22日(火)~2017年1月15日(日)前期 11月22日(火)~12月18日(日)後期 12月20日(火)~1月15日(日)※作品保護のため前後期で一部展示替えを行う。また、各期においても途中で一部展示替えを行う。休館日:毎週月曜日(祝日・振替休日の場合は翌平日)、年末年始11月28日(月)、12月5日(月)、12月12日(月)、12月19日(月)、12月26日(月)~1月1日(日・祝)、1月10日(火)開館時間:午前9時30分~午後5時30分(入館は閉館の30分前まで)観覧料:一般 1,200円(960円)高校生・大学生 900円(720円)65歳以上 900円(720円)中学生 400円(320円)障がい者 400円(320円)※()内の団体料金は20名以上。※小学生以下は無料。※中学生・高校生・大学生(高専、専門学校、専修学校生含む)は生徒手帳または学生証を提示。※65歳以上の人は年齢を証明できるものを提示。※身体障害者手帳、愛の手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳、被爆者健康手帳などを持参、及びその付添の1名まで障がい者料金で観覧可(入館の際は、身体障害者手帳などの提示を。)。
2016年09月29日自然食カフェすぴか(東京都墨田区)は10月1日、すみだ北斎美術館のオープンを記念し、葛飾北斎の代表作「赤富士」および出身地である「すみだ」をモチーフにしたマクロビオティックスイーツ2種類を発売する。「すみだ北斎美術館」(東京都墨田区)は、墨田区で生まれた江戸時代後期の浮世絵師・葛飾北斎を区民の誇りとして永く顕彰するために開館する美術館。11月22日にオープンを予定している。今回、同店が発売するスイーツは、葛飾北斎の代表作「赤富士」をモチーフにした「赤富士クッキー」(150円)と、すみだをイメージした「すみだマフィン」(200円)の2種。「赤富士クッキー」は、生地に自然栽培の小麦粉と玄米粉を使用した。赤い生地の色には、紫いも粉を使用している。紫いもは、ポリフェノールの一種であるアントシアニンを豊富に含んでいるさつまいもの一種で、ビタミンC、ビタミンE、食物繊維などの成分が豊富に含まれている。また、アントシアニンには目の健康を守る効果や免疫力向上効果もあるとのこと。精製していないホールフードの全粒粉や玄米粉を使用しているため栄養価も高く、香ばしい風味やサクサクとした食感も楽しめるという。「すみだマフィン」は、生地に自然栽培の小麦粉を使用した。「すみだ」の「すみ(炭)」から連想して、15ミクロンという微細の竹炭パウダーを生地に練り込んでいる。炭は吸着性能が高いため、体内にたまった老廃物を吸収して体外へ排出するデトックス効果が期待できるという。マフィンの表面には、北斎が「新板浮絵両国橋夕涼花火見物之図」などで描いている隅田川の花火をイメージして、クコの実(ゴジベリー)をトッピングした。クコの実は、スーパーフードのひとつで、美肌効果、老化防止の効果があると言われている。なお、両商品とも動物性食材は一切使用していないとのこと。※価格はすべて税込
2016年09月23日すみだ北斎美術館(東京・墨田区)が、2016年11月22日(火)に開館する。世界的な画家として評価の高い葛飾北斎。生まれは、現在の墨田区北斎通り付近にあたる本所割下水で、およそ90年にも及ぶ長い生涯のうち、そのほとんどを「すみだ」で過ごしたといわれる。すみだ北斎美術館では、葛飾北斎が残した多くの名作を展示する。館内は4階に常設展示室、3〜4階に企画展示室を配置。様々な企画を通して、北斎とすみだとの関わりについて伝えていく。北斎とその画業について理解を深める「常設展示室」「常設展示室」は7つのエリアで構成。各時代の代表作をエピソードと交えて紹介するコーナーや、浮世絵の製作工程を映像で紹介するエリアを展開。また作品だけではなく、リアルに再現した北斎のアトリエも見どころだ。各期の代表作を紹介北斎の90年にもおよぶ生涯に沿って、各時代の代表作(実物大高精細レプリカ)などを展示するコーナー。勝川派や江戸琳派での活躍に加え、墨色中心の読本挿絵、そして浮世絵に風景画という新しいジャンルを生み出した名作「冨嶽三十六景」などが紹介される。浮世絵の制作過程を映像で浮世絵師として有名な北斎。そんな彼が生み出してきた、浮世絵作品の制作過程を高精密モニターの動画でじっくりと見られるコーナーも登場。動画では名作「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」を刷る様子が映し出され、輪郭線の象りから完成までの、各プロセスを鑑賞することができる。だんだんと色味が深まり、1つの絵が完成していく様子を見られる貴重な機会だ。北斎アトリエの再現模型門人の露木為一が残した絵を元に再現された北斎のアトリエ。彼はこたつに半分入りながら熱心に絵を描き、一緒に暮らす娘の阿栄が傍らで見守っている。北斎を訪ねた人の話しでは、ゴミが散らかっていても意に介さず、平然と絵を書いていたと言われている。タッチパネルで作品の時代背景まで理解会場には無数のタッチパネルが配置されており、展示作品の詳細や時代背景を知ることができる。時代ごとや「冨嶽三十六景」「諸国瀧廻り」などシリーズごとに作品を見ることができるため便利だ。様々な切り口で紹介する企画展示室一方の企画展示室では、最新の調査研究に基づき、北斎を中心とした様々なテーマ、切り口の多彩で魅力ある企画展示を実施。開館と共に開催されるのは、開館記念展「北斎の帰還-幻の絵巻と名品コレクション」。会場では、海外に流失し100年余まったく行方の知られていなかった「隅田川両岸景色図巻」をはじめ、館所蔵の数々の名品や代表作が紹介される。【詳細】すみだ北斎美術館開館日:2016年11月22日(火)住所:東京都墨田区亀沢2-7-2敷地面積:3278.9平方メートル
2016年07月29日7月5日(火)~8月28日(日)の期間、東京都江戸東京博物館にて「大妖怪展土偶から妖怪ウォッチまで」が開催される。本展は、縄文時代の土偶から、平安・鎌倉時代の地獄絵、室町時代の絵巻、江戸時代の浮世絵、現代の「妖怪ウォッチ」に至るまで、約4000年に渡り日本人が描き続けてきた妖怪を美術史学の視点から紹介する、まさに妖怪展の決定版といえる展覧会だ。国宝「辟邪絵 神虫」をはじめ、重要文化財「百鬼夜行絵巻」(真珠庵蔵)や、なかなかお目にかかれない重要文化財「土蜘蛛草紙絵巻」などの一級の美術品、諸国に現れたという珍幻獣をまとめた図鑑「姫国山海録」、腹の虫をキャラクター化した「針聞書」、初公開となる金性寺(福島県南相馬市)の幽霊画、そして葛飾北斎、歌川国芳、月岡芳年などが描いた浮世絵の妖怪など、妖怪画の全貌が一堂に会す。会場では巨大妖怪の映像などが動き出すなど特別な展示演出がされる。また、本展出品作品を組み合わせて、江戸テイストに仕上げたオリジナルグッズや、可愛い妖怪を刺繍にしたオリジナルグッズなど会場限定で販売されるので、併せてチェックしたい。この夏、未だかつてない規模で展開される妖怪展で、妖怪ムードにどっぷり浸かる博物館鑑賞を楽しんでみてはいかがだろう。見たことのないジバニャンたちにも会えるかも?<「大妖怪展土偶から妖怪ウォッチまで」開催概要>会期:2016年7月5日(火)~8月28日(日)会場:東京都江戸東京博物館1階特別展示室(東京都墨田区横網1-4-1)開館時間:午前9時30分~午後5時30分(7月9日・16日・23日の土曜は午後7時30分まで、7月29日の金曜から、金曜と土曜は午後9時00分まで)※入館は閉館の30分前まで休館日:毎週月曜日※ただし、7月18日、8月8日・15日は開館、7月19日は休館(text:cinemacafe.net)
2016年07月06日思わず惹きつけられる、カバーの装画。朝井まかてさんの『眩(くらら)』に使われているのは、江戸のレンブラントとも称される葛飾応為の代表作のひとつ、「吉原格子先之図」だ。朝井さんにお話を伺った。「原宿の太田記念美術館で展覧会が開かれたときに観に行き、この絵の前で立ちすくむほどの衝撃を受けました。奥行きのある大きな空間を描いていますが、想像するよりずっと小さな作品。他の浮世絵師とはまるで違う光と影の表現。真ん中に陣取る花魁は影なんです。すぐに応為の人生に迫ってみたいと思いました」葛飾応為は、葛飾北斎の三女・お栄の雅号。父の右腕として絵筆を執り、代作も引き受けたほどの才能の持ち主だが、時代が時代だけに、彼女をめぐる記録は極端に少ない。「遺っているわずかな手紙や、北斎の弟子たちなど周辺の証言などから、お栄の人物像を読み解いていきました。弟子の証言にもあるように、“侠気に富んだ”気っ風のいい性格。江戸の女性観では“貞女”が褒め言葉ですから、規格外だった彼女は、奇女と見なされていたようです」四六時中絵のことばかり考えているさまや、結婚の失敗、兄弟子であり自分の絵の理解者でもあった善次郎との恋といった虚実ないまぜのエピソードで彩りながら、本書は「なぜ応為は『吉原格子~』のようなすばらしい絵に到達できたのか」という答えに迫る。「北斎と応為との関係は、杉浦日向子さんの『百さるすべり日紅』でも読んではいましたが、いい具合に記憶が薄れていて、イメージに引っ張られることなく消化できていました。目の前の仕事に、寝食を忘れて没頭するようなところが私にもあって、『わかるわかる』とうなずきながら執筆していました(笑)」いまで言うなら、タダで配るチラシの小さなイラスト仕事までも全力でやってしまったという応為。「依頼主が『こんなにすごいものを描いてくれなくても』と言っても、『いつのまにか精密に描いてしまうのだ』と答えたという逸話が残っています。他愛もない仕事も手を抜くことのできない、本当の意味でプロフェッショナルだったと思います」恋にも仕事にもまっすぐに情熱を注いだ応為は、働く現代女性と相通じるものがある女性。時代小説の垣根を越えて、楽しめるはず。◇光と影を艶やかに浮かび上がらせる応為の20代から60代までを、史実を織り込みながら追う。彼女の鮮烈な生き方に触れてみたい。新潮社1700円◇あさい・まかて作家。1959年、大阪府生まれ。2008年に小説現代長編新人賞奨励賞を受賞してデビュー。『恋歌』が、本屋が選ぶ時代小説大賞2013と、’14年の第150回直木賞を受賞。※『anan』2016年5月18日号より。写真・岡本あゆみ(朝井さん)森山祐子(本) インタビュー、文・三浦天紗子
2016年05月17日各ブックストアがFASHION HEADLINE読者に向けて「今読むべき1冊」をコンシェルジュ。毎週木曜日は、アート・ブックショップ「ナディッフ(NADiff)」各店がオススメする1冊をご紹介。今回は東京・渋谷の支店 NADiff modern(東京都渋谷区道玄坂2-24-1 Bunkamura地下1階)です。■『歌川国貞 これぞ江戸の粋』日野原健司江戸時代後期に活躍した浮世絵師、歌川国貞。初代歌川豊国に入門し、22歳で浮世絵界にデビューするとすぐに頭角を現す。特に美人画、役者絵という浮世絵版画における最も主要なジャンルにおいて確固たる地位を築き、79歳で亡くなるまで常に第一線で活躍し続けた。江戸時代における国貞の人気は葛飾北斎や歌川広重、そして兄弟弟子である歌川国芳をも凌ぐほど絶大で、まさしく当時の浮世絵界を象徴するような存在であった。多作でも知られる国貞はその制作点数の多さから濫作と見なされ、明治時代以降、長らく不当に低い評価を受けていたが、近年では、国内のみならず海外でも研究が活発化するようになり、その功績を正しく評価しようという気運が高まっている。本書は美人画を中心とした傑作を厳選して収録しており、国貞の画業を知ることができる貴重な1冊である。江戸っ子たちが愛した浮世絵師、国貞の華やかな世界を是非ご堪能頂きたい。また現在、Bunkamura ザ・ミュージアムでは、兄弟弟子でありながら対照的な作風で共に一世を風靡した歌川国芳、歌川国貞の作品を併せて展示することにより、江戸のポップカルチャーであった浮世絵の世界を体感することができる「ボストン美術館所蔵 俺たちの国芳 わたしの国貞」が開催中。【書籍情報】『歌川国貞 これぞ江戸の粋』著者:日野原健司監修:太田記念美術出版社:東京美術ソフトカバー/136ページ/B5判発刊:2016年3月価格:税込2,700円【展覧会情報】「ボストン美術館所蔵 俺たちの国芳 わたしの国貞」会場:Bunkamura ザ・ミュージアム住所:東京都渋谷区道玄坂2-24-1地下1階会期:3月19日~6月5日開館時間:10:00~19:00(金・土曜日は21:00まで、入場は閉館の30分前まで)料金:一般1,500円(団体1,300円)、大学・高校生 1,000円(団体800円)、中学・小学生 700円(団体500円)※障害者手帳の提示で割引料金あり。詳細は窓口にて。
2016年04月28日東日本電信電話(NTT東日本)とエヌ・ティ・ティ・ブロードバンドプラットフォーム(NTT BP)は、東京都・葛飾区との協働で無料の公衆無線LANサービス「Katsushika FREE Wi-Fi」を18日から提供開始する。利用可能場所は、柴又帝釈天参道付近(京成線柴又駅~柴又帝釈天参道)、葛飾区観光文化センター(寅さん記念館)。利用時間は1回60分、1日4回まで。SSIDは「Katsushika_Free_Wi-Fi」。専用の認証アプリ「Japan Connected-free Wi-Fi」に対応し、利用登録すれば「Katsushika FREE Wi-Fi」を含む全国14.4万カ所のアクセスポイントで手軽に接続が可能だ。今後は葛飾区とNTT東日本およびNTT BPが協働し、葛飾区内のサービス提供エリア拡大を行っていくという。
2016年03月16日現代アーティストとして国内外の注目を集める小松美羽が3月5日(土)、「三鷹の森アニメフェスタ2016」における映画で浮世絵師の葛飾北斎とその娘の姿を描いた『百日紅~Miss HOKUSAI』の上映後のイベントに出席。ライブアートを披露した。同イベントにおいて、三鷹の森ジブリ美術館が厳選したアニメ作品を上映する「アニメーション古今東西」にて、杉浦日向子の漫画を原作に原恵一監督がアニメーション映画化した『百日紅』が上映された。小松さんは1984年生まれの31歳。自身の祖父の死をきっかけに描いた銅版画「四十九日」が注目を浴び、その後、ペン画、ペイント画などジャンルを広げて活躍している。海外でも高い注目を集めており、庭園デザイナーの石原和幸とのコラボレーションによる有田焼の「狛犬」は大英博物館に所蔵されている。小松さんはこの日、すでに長野県の軽井沢で創作活動を行い、そのまま東京の会場に駆け付けたそうで、ところどころ絵の具のついた白いはかま姿で登場!手や足にも絵の具がついたままでトークを行なった。映画は、浮世絵師のお栄が、父・北斎や妹たちと共に生きるさまを江戸の町の四季の描写を通して描き出す。劇中、お栄の描く絵に魂がこもるかのような描写もあり、“見えざるもの”たちが人々の暮らしの中に溶け込んでいるかのようにも描かれているが、小松さんは「すごくよくわかります。私自身、妖怪やもののけを描くのが好きですし、クリエイターはそういうものに惹かれやすいものだと思います」とうなずく。そして、映画で展開する霊的ともいえる不思議な世界は「私にとっては日常であり、当たり前のこと。何も特別なことではないということを教えてくれる」と明かした。実際、小松さんは子供のころからそうした“見えざるモノ”と距離が近いことを自覚していたそう。そういうものが“見える”ことに「親は苦い顔してましたが…」と苦笑しつつ、家の外で遊んでいて、吹雪に見舞われて帰れなくなった時に「黒い犬が現れて、付いて行ったら家が見えて、そうしたら吹雪がやんで、犬が消えて…そういえば足跡がなかった!」という不思議な経験を告白。“狛犬研究”をライフワーク(?)とする小松さんだが、この経験から「狛犬好きが始まった」という。この日は、白いカンバスと絵の具が用意され、観客が見守る中で小松さんはライブペイントを実演!筆だけでなく、手や指を筆代わりに使い、時に絵の具のチューブを直接、カンバスにこすりつけながらダイナミックに描いていく。真っ白だったカンバス上に十数分後には、生き生きとした飛び出してきそうな、鈴を着けた2匹の猫と思しき動物が!小松さんによるとこれは、お栄の二面性を表した絵で「荒々しさと好奇心、全てをひっくるめてアーティスト」と語った。自身、子供のころから「画家になる」と考えていたが「成績は芳しくなかった」とのことで、教師たちから自分の絵が評価されないのが不思議だったという小松さん。この日は、会場には子供たちもたくさんいたが、絵の描き方について「ダメと言うのは他人なので、気にしないで我が道を行くことが大事!」と説いた。なお、小松さんの個展は3月16日(水)から22日(火)まで、銀座三越展覧会7階ギャラリーにて開催される。(text:cinemacafe.net)■関連作品:百日紅~Miss HOKUSAI~ 2015年5月9日より全国にて公開(C) 2014-2015 杉浦日向子・MS.HS/「百日紅」製作委員会
2016年03月06日京都府・東山の細見美術館では、江戸時代を通じて制作され、大名から庶民まで貴賤を問わず広く親しまれた"春画"の名作を集めた展示会「春画展」を開催する。会期は2月6日~4月10日(月曜休館、3月21日は開館)。開館時間は10:00~18:00(3月18日以降の金・土曜日は20:00まで開館。入館は閉館30分前まで)。入館料は当日券 1,500円/前売り券 1,300円。18歳未満は入館禁止。同展は、昨年9月19日~12月23日にかけて東京・永青文庫で開催され、約20万人を動員した日本初の「春画展」を、京都展用に一部内容を変更して開催するもの。「春画」とは、江戸時代には笑い絵とも呼ばれ、性的な事柄と笑いが同居したユーモラスで芸術性の高い肉筆画や浮世絵版画の総称。大名から庶民にまで広く愛された春画が一同にそろう機会となっている。今回は、海外からはデンマーク、また、日本の美術館や研究所、個人が秘蔵する鈴木春信、鳥居清長、喜多川歌麿、葛飾北斎など江戸時代の浮世絵の大家たちによる「春画の名品」が勢ぞろいするのに加え、京都会場限定となる、京都の西川祐信や大坂の月岡雪鼎の作品も展示されるということだ。なお、会期中は「前期」(2月6日~3月6日)と「後期」(3月8日~4月10日)とで、展示替えが予定されている。
2016年01月07日オーストラリア・ブリスベーン市で開催された「第9回アジア太平洋映画賞」にて、原恵一監督のアニメーション映画『百日紅~Miss HOKUSAI~』が最優秀アニメーション賞を受賞した。本作は、『カラフル』(2010年)や『河童のクゥと夏休み』(2007年)、そして『クレヨンしんちゃん』シリーズで知られる原恵一氏が監督を務めたアニメーション映画。江戸風俗研究家で文筆家、漫画家である故・杉浦日向子氏の漫画『百日紅』を原作とした初の長編アニメ作品であることも注目を集めた。江戸時代を舞台に、葛飾北斎の娘である浮世絵師・お栄の自由闊達で破天荒な生き様を描く。お栄役を、杉浦作品の大ファンだという女優の杏が演じ、葛飾北斎役を松重豊と、日本を代表する演技派・個性派がキャストを務めた。2015年5月に全国劇場公開された本作は、今回の「第9回アジア太平洋映画賞」をはじめ、「第39回アヌシー国際アニメーション映画祭(長編アニメーション部門審査員賞)」「第19回ファンタジア国際映画祭(今敏賞・長編アニメーション優秀賞、セカンス賞、アジア映画優秀賞、長編アニメーション観客賞)」「第48回シッチェス国際ファンタスティック映画祭(最優秀長編アニメーション賞)」「第39回山路ふみ子映画賞(第32回山路ふみ子文化賞)」「第6回Scotland Loves Animation(審査員賞)」「第17回プチョン国際アニメーション映画祭(長編コンペ部門大賞)」など数々の賞を獲得し、国際的にも高い評価を得ている。なお、『百日紅~Miss HOKUSAI~』のBlu-ray&DVDは、現在バンダイビジュアルから発売中。「Blu-ray特装限定版」は7,800円(税別)、「Blu-ray通常版」は4,800円(税別)、「DVD版」は3,800円(税別)となる。(C)2014-2015杉浦日向子・MS.HS/「百日紅」製作委員会
2015年12月15日『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』、『河童のクゥと夏休み』などのアニメーション監督として知られ、13年には初の実写映画『はじまりのみち』も放った原恵一監督。それ以来の作品となったのが、監督自身、嫉妬さえすると公言するほどの大ファンである、杉浦日向子の原作漫画をアニメ映画化した『百日紅~Miss HOKUSAI~』だ。DVD、BDリリースを前にした監督に話を聞いた。その他の画像「初めて実写の監督を経験して、それまで積み上げてきた監督としてのキャリアが1回、崩れたような感覚がありました。あまりにも違う世界で。今、これからは実写で行きたいといった考えはありませんが、なかなかアニメーションの監督に戻れなかったのも事実です」と正直な思いを口にする原監督。その監督が、アニメーション映画復帰作として選んだのは、かねてより自身が大ファンだった杉浦日向子の『百日紅』だった。「杉浦さんの作品の映像化は僕の夢でした。ただ同時にすごく手ごわい作家でもあると思っていたので、その作品を預からせてもらうことに対しては怖さもありましたね」。葛飾北斎の娘・お栄(杏)と北斎(松重豊)、お栄の妹・お猶らの物語が四季を通じて語られる本作。本編には、北斎の『神奈川沖浪裏』を思わせるシーンや、『北斎漫画』執筆のくだり、『大達磨絵』などが登場するが、監督がよりポイントを置いたのは生活描写だった。「どの作品を作っても、観ている人の身近にどれだけ登場人物が感じられるかということに、注意を置いています。それをおろそかにしてはいけないといつも思っているんです。北斎をただただ偉大な絵師として描くこともできたと思いますが、そうではない北斎を描きたかった。原作の北斎もどこか人間としての弱さがあったりする。それがお栄にはわかっているんです」。冒頭からロックがかかるのも印象的だ。「かなり早い段階から、最初の曲はロックにしたいと思っていました。杉浦さんがよくロックを聴きながら江戸漫画を描いていたというのを読んでいたことも理由のひとつかもしれません。江戸の街並み、特に杉浦さんの描く江戸にはロックがよく似合う。江戸の生活感もですが、同時にタイトルが持つような江戸の華やかさも意識した作品です」。『百日紅~Miss HOKUSAI~』Blu-ray特装限定版:7800円+税Blu-ray通常版:4800円+税DVD通常版:3800円+税発売中『百日紅~Miss HOKUSAI~』原恵一絵コンテ集セットBlu-ray特装限定版:9600円+税Blu-ray通常版:6600円+税DVD:5600円+税発売中※Amazonとバンダイビジュアル公式通販サイト「BVC」限定発売発売・販売元:バンダイビジュアル取材・文・写真:望月ふみ
2015年11月26日春画展広報事務局は、東京都・文京区の博物館「永青文庫」で開催されている春画を主体とした展覧会「SHUNGA 春画展」に着物姿で来場すると、入場料が特別価格の800円(通常価格1,500円)となる「着物DAY」を開催する。開催日は12月5日。当日の開館時間は9:30~20:00(入館は19:30まで)。ただし、18歳未満は入場禁止。「SHUNGA 春画展」は、江戸時代を通じて制作され、大名から庶民まで貴賤を問わず広く親しまれた"春画"の名作を集めた展示会。9月19日の公開初日から約13万人(11月20日現在)が入場するなど、好評を博している。また、11月3日からは後期展示が開始し、前期展示で人気を集めた喜多川歌麿の「ねがひの糸口」や葛飾北斎の「喜能会之 故真通」が引き続き展示されるほか、円山応挙筆の「春画巻」、鈴木春信の「風流艶色真似ゑもん」、「稚児之草紙」(絵師不詳)など前期展示にはなかった作品も展示されている。なお、12月5日に開催される「着物DAY」は11月7日に続いての実施となり、前回は300人以上が着物で来場したということだ。春画展は12月23日まで開催されている(休館日は11月30日 / 12月7日 / 12月14日)。開館時間は9:30~20:00(日曜日は18:00まで、入館は閉館30分前まで)。
2015年11月24日たばこと塩の博物館では11月3日~12月13日、リニューアルオープン記念展「浮世絵と喫煙具 世界に誇るジャパンアート」を開催する。同館は、1978年11月3日に渋谷区神南に開館した博物館。4月25日に場所を墨田区横川に移し、リニューアルオープンした。このほど、墨田区に移転して初の特別展を開催する。同館が所蔵している浮世絵は約1,800点。コレクションの対象が喫煙具や喫煙風景の描かれた浮世絵であったため、時代、絵師にとらわれず、幅広い作品群となっているのが特徴だという。今回は、鈴木春信、喜多川歌麿、東洲斎写楽、葛飾北斎など、約28名の絵師による浮世絵を展示する。注目作品は、「当時全盛似顔揃(とうじぜんせいにがおぞろい)扇屋内花扇 よしの たつた」(喜多川歌麿画 / 寛政6年<1794年>頃)としている。「花扇」の二字が入っている浮世絵は、同館以外には確認されていないため、大変貴重な作品とのこと。また、写楽が活動した期間でも比較的早い時期に描かれた「敵討乗合噺(かたきうちのりあいばなし)四代目松本幸四郎の肴屋五郎兵衛」(東洲斎写楽画 / 寛政6年<1794年>)も見どころのひとつだという。浮世絵のほか、「きせる」「たばこ盆」「たばこ入れ」など、江戸から明治時代に制作され、美術工芸品としても評価の高い喫煙具も展示する。素材、形状もさまざまなたばこ盆の逸品や、八代目桂文楽旧蔵のたばこ入れコレクションなどを公開する。あわせて、展示関連講演会も開催。11月15日には、「北斎と墨田」(講師・根岸美佳氏)、11月29日には「写楽と歌麿の謎をめぐって」(講師・新藤茂氏)を行う。いずれも14時から、同館3階視聴覚ホールで実施する。参加費は無料(入館料は必要)で、定員は先着120名。11月22日には、髪結師の林照乃氏が実演を行う展示関連イベント「結髪実演 遊女のヘアスタイル」を実施する。解説は、ポーラ文化研究所の村田孝子氏。同館3階視聴覚ホールにて、11時30分と15時の2回開催する。参加費無料(入館料は必要)。定員は、各回とも先着60名。
2015年10月19日東京都・墨田区の「たばこと塩の博物館」は、墨田区に移転して初めての特別展「浮世絵と喫煙具世界に誇るジャパンアート」を開催する。会期は11月3日~12月13日(月曜休館)。入館料は、大人・大学生:100円/小・中・高校生:50円。同展は、2015年の4月25日に渋谷区から墨田区へ移転した「たばこと塩の博物館」のリニューアルオープン記念展。同館が所蔵する1,800点もの喫煙具や喫煙風景の描かれた浮世絵の中から、鈴木春信、喜多川歌麿、東洲斎写楽、葛飾北斎など約28名の絵師による浮世絵が展示される。また、さまざまな素材や形状のたばこ盆の逸品や八代目桂文楽旧蔵のたばこ入れコレクションなど、江戸から明治時代に作られた、美術工芸品としても価値のある喫煙具も紹介されるということだ。なお、関連講演会として、11月15日には墨田区文化振興財団北斎事業課学芸員・根岸美佳氏による「北斎と墨田」が、11月29日には国際浮世絵学会常任理事・新藤茂氏による「写楽と歌麿の謎をめぐって」が開催される。両講演ともに時間は14:00から。会場は同館3階の視聴覚ホール。参加費無料(入館料は必要)。定員は先着120名(当日開館時より、整理券を1名につき2枚まで配布)。このほか、11月22日には関連イベントとして、髪結師・林照乃氏による「結髪実演 遊女のヘアスタイル」が開催される。解説はポーラ文化研究所の村田孝子氏が務める。同イベントの開始時間は11:30~と15:00~の2回(同内容)。会場は同館3階の視聴覚ホール。参加費無料(入館料は必要)。定員は各回とも先着60名(当日開館時より、整理券を1名につき2枚まで配布)。
2015年10月12日東京都・上野の上野の森美術館は、江戸初期から明治にいたるまでの肉筆浮世絵の流れを追う、「シカゴ ウェストンコレクション 肉筆浮世絵-美の競艶~浮世絵師が描いた江戸美人100選~」を開催する。会期は11月20日~2016年1月17日(月曜・1月1日休館、ただし11月23日・2016年1月11日は開館)。開館時間は10:00~17:00(金曜は20:00まで)。観覧料は一般1,500円、高校・大学生1,200円、小・中学生500円。同展は、アメリカ・シカゴの日本美術収集家、ロジャー・ウェストン所蔵の1,000点を超える肉筆浮世絵コレクションの中から、厳選された約130点の作品を紹介するもの。肉筆浮世絵とは、絵師が絹や紙に筆で直接描いたものを指す。浮世絵といえば、写楽の役者絵、歌麿の美人画、北斎や広重の風景画など、鮮やかな色彩で摺られた「版画」を思い浮かべる人が多いため、そのような浮世絵版画と区別して、「肉筆浮世絵」と呼んでいる。量産される浮世絵版画に対して、一点物の肉筆浮世絵は大変貴重であり、大名や豪商たちからの注文を受けて描かれることもあったという。肉筆浮世絵には、女性の髪の生え際や、華麗な衣裳の文様まで、精緻に描かれている作品が多く見られる。同展では、菱川師宣、勝川春章、喜多川歌麿、歌川豊国、葛飾北斎、河鍋暁斎など、50人を超える絵師たちによる多彩な作品を通して、江戸初期から明治にいたるまでの肉筆浮世絵の流れを知ることができる。ウェストンコレクションの大きな特長は美人画を中心としていることだ。中でも立姿美人図は100図以上あり、さながら美人コンテストのように贅を凝らした衣装や、さまざまな髪型の女性が勢ぞろいしている。同展では、時代ごとに並べられた美人画の変遷をたどりながら、その時代の流行などから、女性の着物や髪型、化粧で身分、階級、未婚、既婚などもわかるということだ。また、浮世絵版画では、摺る時に絵の具を使わず紙の白さで美人の顔を表現するが、肉筆画では貝殻を砕いた胡粉を使って、白粉を叩くように何度も薄く重ねることで、白く滑らかな肌を描く。筆で細かく描かれた髪の生え際や、うなじの毛筋、まつ毛、唇の紅のぼかし、薄い着物越しに透けて見える肢体など、美人の色香を引き立てる精緻な表現には、超絶技巧とも言えるテクニックを見ることができる。こうした超絶技巧を楽しむために、同展では、高透過アクリル、LED照明、有機EL照明を用いた超薄型展示ケースで、至近距離から自然光で鑑賞しているかのような展示を実現している。
2015年09月25日日本初の春画を主体とした展覧会「SHUNGA 春画展」が、東京都・文京区の博物館「永青文庫」にて開催されている。イギリス・大英博物館での展示を国内で巡回するいわば里帰りのような企画展だが、本展の会場がなかなか決まらなかったというエピソードは、開催前に話題となったところ。最終的に、都内の大規模な企画展を行うエリアとは異なる場にある細川家の文化財を収蔵する博物館「永青文庫」での展示が決定した。本レポートでは、前後期に別れている同展の前期(11月1日まで)の会場の様子をお届けしながら、その構成と見どころを紹介していく。○春画への「導入」と貴重な肉筆画同展の冒頭は、複数枚で構成されることもある「春画」の導入部として描かれる、愛を交わす前に登場人物が睦まじく触れあう様子をピックアップした「プロローグ」から始まる。そして、「プロローグ」(および、同展の開催に際しての言葉)の展示される細い廊下を抜けると、大広間すべてに肉筆の春画が展示されている。絵巻物から屏風絵までと作品のサイズはさまざまながら、すべて人の手で描かれたもので構成されている。男女の睦まじい姿のみならず、「衆道」(男性の同性愛)を描いた絵巻物や、「仏涅槃図」を擬人化した"陽物"でパロディにした掛け軸「陽物涅槃図」など、現代に生きる者の視点から見るとおおらかな印象を受ける多様な表現を一覧することができる。○北斎・歌麿ら巨匠が手がけた版画作品肉筆画に続くのは、浮世絵の巨匠たちの作品が並ぶ「版画の傑作」の章。春画も浮世絵と同様、江戸時代に発展した版画技術によって広がりを見せる。葛飾北斎、喜多川歌麿といった浮世絵師たちの名の入った作品も並ぶ。いわゆる愛の交わりを直接的に描いたもののほか、解剖図や世界図、若い子女へ向けた教本など多様なジャンルが"春画化"されることにより、庶民から大名にまで広く愛好されていたという。また、この章の部屋の中央には、春画を代表する名作「歌まくら」も。時代を感じさせるショウケースの中にひとつだけ置かれ、その展示手法からも、同作の特別な位置づけを表しているように感じられた。その次は、数多く消費されていたがゆえに展示・研究の機会にいまだあまり恵まれていない「豆判春画」を特集。庶民から大名まで広く愛されたごく小さな版画で、豆判春画を携帯・贈答する文化は近代においても続いていたというが、研究はほぼ手つかずで、出展作品はいずれも同展で初公開となる。「豆判春画」と同一展示室に締めくくりの「エピローグ」の章も配置され、展示会場となった永青文庫が所蔵する春画を展示している。締めくくりの言葉として、「日本で最初の春画展である本展をきっかけに、春画が、長い日本の歴史の中で、人々とともにあったことを知っていただければ幸いである」というコメントが掲示されていたのが印象的だった。○迫力の豪華図版や"春画グッズ"もなお、同展の第二会場(物販)では、春画をたくみにトリミングしてあしらった雑貨や、非常に内容の充実した図録が販売されている。特に図録は迫力ある厚みが強く印象に残るが、どのページも平置きにして鑑賞できる製本方法や背の処理、表紙のデザインなど、装丁に凝った本を愛好する人であれば、ついうなってしまうような豪華な出来ばえとなっている。筆者が「永青文庫」を訪れたのは、実は今回が初めてだった。コンパクトな会場ながら展示作品の数は多く、内覧時ですべて見終わったのがおおむね1時間。加えて、永青文庫はいずれの最寄り駅からも15分~20分程度歩くことになる(目白駅からバスを利用するのが最も徒歩時間は少なく済む)。また、隣接した新江戸川公園の散策、近隣の有名ホテル「椿山荘」へ足を向けるなど、このエリアならではの楽しみもある。そのため、特に混雑が見込まれる休日には、時間に余裕を持って訪れることをお勧めしたい。会期は長く取られているが前後期で作品は入れ替わり、また近辺も都内としては非常に閑静で散策に適したエリアなので、興味を持った人は陽気に恵まれた休日にでも、ぜひ足を向けてみてほしい。
2015年09月23日昨日9月20日、東京・江戸川橋の永青文庫で『春画展』がスタートしました。当然といえば当然ですが、展覧会としては異例の「18歳未満入場禁止」。そう聞くだけでも、大人のみなさんは好奇心をくすぐられるのではないでしょうか?≪国外でも評価の高い「Shunga」≫春画とは、江戸時代のエロポスターのようなもの。露骨な性描写に笑いのエッセンスも含まれ、娯楽の少なかった当時の庶民に熱烈に愛されました。現代よりも性には奔放だった江戸時代。春画はどこの家にも一枚はあり、女の子の嫁入り道具に忍ばせることもあったりと、生活に密着したアイテムだったそうです。この春画、海外では『単なる昔のエロポスター』ではなく、芸術としての評価が非常に高いのだとか。2013年に大英博物館で開催された『Shunga: Sex and Pleasure in Japanese Art』(春画日本美術の性と楽しみ)は大きな話題を呼び、多くの人々に絶賛されました。喜多川歌麿や葛飾北斎など稀代の絵師も手がけていますし、その芸術的・技術的なクオリティの高さゆえ、春画作品は世界では高く評価されているんですって。だからといって、決してハードルの高いものではありません。なんといっても、殿様から庶民まで、みんなが楽しむためのものだったわけですから。あからさまな写真や、いわゆる『二次元』などの生々しい描写だと、そういったものに耐性のない女性はなかなか正視できないかもしれません。が、春画なら『これ、アートだし!カルチャーだし!』と「セックス描写」を気軽に見られる、てなもんじゃないでしょうか?もちろん、芸術的な価値を感じながら…ね!≪葛飾北斎のペンネームは?≫ところで、有名な絵師は必ずといっていいほど、春画を描いています。その際は隠号(ペンネーム)を使っているのですが、かの有名な葛飾北斎の隠号は「鉄棒ぬらぬら」と「紫色雁高」。これだけでも脱力して、ふっと笑いがこぼれてしまいます。さて、そんなふざけたペンネームの北斎、いや鉄棒先生が描いた春画で有名なのが、『蛸と海女』。女性が巨大な蛸2匹に襲われて感じちゃう、という奇怪な絵で、現代の『触手系』といったところですが、エログロ…というよりもなんだか笑えてしまうのが不思議です。余白にはびっしりと蛸と女性のセリフが書かれているのですが、このあたりは現代のエロ漫画風ですね!≪ピカソも愛した春画の世界≫そんな春画ですが、実はペリー提督にも贈られていたとか。いったいどんな顔して受け取ったのか、ちょっと気になりますね。また、浮世絵と同様に海外に渡り、ピカソやロダン、ロートレックなど海外の芸術家たちにも影響を与えたとも言われています。こうして春画が海外に渡り、芸術や文化としての評価が高まる一方で、国内ではそれを公序良俗に反するものとして覆い隠そうとする流れが強くなりました。最近でも、大英博物館で行われた規模の展覧会を国内で開催する計画がありましたが、自主規制がかかるのか会場が見つからずに頓挫した経緯があるのだそうです。芸術としての完成度の高さと、コミックとしての楽しさ、そして歴史的な価値を併せ持つ稀有なジャンルなのですから、もう少し評価されてもいいと思うんですけどね。芸術の秋、みなさんもさまざまな角度から春画の楽しみを味わってみてはいかがでしょうか。もちろん、本来の目的であろう『エロ画像』として楽しむのも一興です!(文=石村佐和子)誕生日で占うふたりの体の相性【無料占い】
2015年09月20日プラダ(PRADA)やロックバンド「リンキン・パーク(Linkin Park)」などのアートワークを手掛けるアーティスト、ジェームス・ジーン(James Jean)の日本初のオリジナル画集『ジェームス・ジーン画集 パレイドリア』(4,200円)が発売された。ロサンゼルス在住のジェームス・ジーンは、現代美術家の村上隆や『パシフィック・リム』などで知られる映画監督ギレルモ・デル・トロ(Guillermo del Toro)などが注目するアーティスト。日本の伝統的な木版画や葛飾北斎、月岡芳年などの浮世絵師から影響を受けた作風が特徴で、初期の頃よりアメリカのコミック出版社・DCコミックスより出版されている人気作品『FABLES』や、ダークホースコミックスの『The Umbrella Academy』などのアメリカンコミックのカバーアートで数々の賞を受賞している。今回発売される日本初のオリジナル画集では、過去作品のベストセレクションを始め、リンキン・パークのアート集などを収録。折りたたまれている表紙カバーを開くと、836mm×555mmの大判ポスターが現れるという工夫も施されている。なお、今回のタイトルにある“パレイドリア”は、精神医学の用語で、壁のシミが人の顔に見えるような、物の形が実在しない別のもののように知覚される不安定な状態を意味しており、繊細さと幽玄さを感じさせるジェームス・ジーンのアート作品を表現している。【書籍情報】『パレイドリア』著者:ジェームス・ジーン出版社:パイ インターナショナル288ページ/305mm×225mm発売:2015年9月11日価格:4,200円
2015年09月13日米国アカデミー賞から公認を受けた、アジア最大級の国際短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア(SSFF&ASIA)」と第28回「東京国際映画祭(TIFF)」との提携企画「シネマミュージアム -秋の特別上映会-」が、10月13日から16日までアンダーズ 東京51階のアンダーズ スタジオで、10月14日から18日まで東京都美術館で開催される。ショートフィルムの魅力を広めることと、若手映像作家の育成を目的に毎年開催されている同イベント。今回は、「SSFF&ASIA 2015」でグランプリを受賞したイランの作品『キミのモノ』を含む全6作品が無料上映される。また“芸術の秋”にちなんで、アートをテーマにしたセレクトプログラムも実施。フランスで活躍した巨人症のレスター、アンドレ・ザ・ジャイアント(Andre the Giant)をモチーフにした作品や、アメリカ史上初の黒人大統領を生んだ08年の大統領選でのグラフィックアートで知られる、アーティストのシェパード・フェアリー(shepard Fairey)の実話を基にした『オベイ・ザ・ジャイアント』を始め、コンセプチュアルアーティストのジョン・バルデッサリ(John Baldessari)が人生やアートについて語る作品『ジョン・バルデッサリのすべて』、20世紀初頭に名だたる“前衛美術家の女神”として君臨したアリス・プラン(Alice Prin)の生涯を描いた『モンパルナスのキキ』、世界中のアーティストに今なお、大きな影響を与えている葛飾北斎のスケッチブックにインスパイアされたイギリス人監督によるアニメーション作品『Hokusai -スケッチブック-』などがラインアップされている。【イベント情報】「シネマミュージアム -秋の特別上映会-」会場:アンダーズ 東京51階のアンダーズ スタジオ住所:東京都港区虎ノ門1-23-4会期:10月13日~16日料金:無料会場:東京都美術館住所:東京都台東区上野公園8-36会期:10月14日~18日料金:無料
2015年09月03日