【音楽通信】第94回目に登場するのは、「奏(かなで)」「全力少年」ほか数々のヒット曲を世に送り出している、ソングライターのふたりからなるユニット、スキマスイッチ!バンド活動を経てあるきっかけでユニット誕生写真左から、大橋卓弥、常田真太郎。【音楽通信】vol. 94大橋卓弥さんと常田真太郎さんという、素晴らしいソングライターのおふたりからなるユニット、スキマスイッチ。1999年に結成し、2003年のメジャーデビュー後は「奏(かなで)」「全力少年」「ボクノート」、近年ではドラマ『おっさんずラブ』シーズン1(テレビ朝日系 2018年)や劇場版(2019年公開)の主題歌「Revival」など、数々のヒット曲をわたしたちのもとに届けてくれていますよね。そんなスキマスイッチが、2021年11月24日にコンセプトオリジナルアルバム『Hot Milk』と『Bitter Coffee』を2枚同時にリリースされるということで、音楽的なルーツなどを含めて、おふたりにお話をうかがいました。――あらためて、まずはおふたりが影響を受けたアーティストから教えてください。大橋それは中学生の時にファンクラブに入っていて、一番ハマったアーティストだといえる、ザ・ビートルズです。ただ、学生時代はまわりのみんなが聴いているのと同じようにJ-POPも好きで、ヒットチャートの上位になっていたMr.Childrenやスピッツ、B’zなども聴いていました。常田僕もタクヤと同い年なのですが、早生まれなので学年は違うものの、同じような音楽環境でしたね。カラオケで歌える曲を聴くというのも、当時、音楽を聴く上での指針だったと思います。上位ランキングのアーティストやDEEN、ZARDといったみんなで歌える曲をCDショップで借りてきたり、ワゴンセールで買ったり、というのがひとつの流れというか。まだ洋楽は聴いていませんでした。大橋卓弥(オオハシタクヤ/Vocal, Guitar)。1978年5月9日生まれ。――1999年にスキマスイッチを結成されて、2003年7月にシングル「view」でメジャーデビューされましたね。結成のいきさつから、デビューにいたるまでの経緯をお聞かせください。大橋僕たちは別のバンドをやっていたのですが、おたがいの出身が愛知県で一緒だったので、僕の中学校の先輩に、シンタくん(常田さんの呼称)を紹介してもらいました。もともと僕はこの先輩とバンドを組んでいて上京したんですが、バンド活動がうまくいかなくなって、解散したんです。その後、ひとりで何かできないかなと、20、21歳ぐらいのときは渋谷の公園通りのあたりで、ストリートミュージシャンとして演奏していました。最初は路上で弾き語りをしていても、誰も足をとめてくれる人がいなくて、場所を変えたり試行錯誤していて。そのうち聴いてくださる方も増えてきて、そんな方たちに何か作品を作って、持って帰ってもらいたいなと考えるようになったんです。その頃、シンタくんはアマチュアのバンドさんたちに、アレンジや録音をやりますよ、という募集をかけていました。それを知っていたので、当時お金がないなかでどうやってCDを作るか考えた末、安く制作してもらえないかなと、シンタくんに1曲レコーディングしてもらったんですよ。シンタくんはそういった録音以外にも、いろいろなバンドをかけもちしていたなかで、知り合いのアレンジャーさんに自分の録音した作品などのワークスを持って、売り込みにいくことがあったみたいで。その前日に僕のお願いした曲が完成して、ワークスの最後に僕の曲を一応入れたら、その曲だけが、アレンジャーさんにひっかかったんです。常田真太郎(トキタシンタロウ/Piano, Chorus, Organ, Other instruments and total sound treatment)。1978年2月25日生まれ。そのときに、「この子と一緒に活動してるの?」と聞かれて、シンタくんは「やってる」って言ってしまったみたいで。僕としては一緒にやってなかったんですけど(笑)。これがきっかけで、ふたりの活動もやるけれど自分の活動と並行してやろう、どうせ自然とだめになっていくだろうしなと思っていたんですよ。でも、ふたりで活動しだしたら、シンタくんも曲も歌詞も書くので、自分だけでは作らない曲の広がり方、世界観が面白いなと思って。あるとき自主制作のCDを作ろうとなって、ユニット名をつけることになったんです。バンドを組んでいたときは意気込んで横文字のかっこいい名前にしていたんですが、かっこいいとされるものは時代とともに変わっていくこともあり、ちょっととぼけた感じのものはずっと残っている気がしたんです。ふたつのワードをひっつけて名前にしようと、目についたものをおたがいに言ってみて、糸が垂れて引っ張るタイプの電気を見て「スイッチ」というワードが出て、「響きがいいね」となりました。そのときは下積みの貧乏な時代だったので、アパートもボロボロで窓や襖のたてつけも悪く隙間があいていたので、それを見て「スキマ」というワードも出て、「とぼけた感じでいいね」と。それで「スキマスイッチ」というユニット名が誕生しました。それからはふたりで活動しながら、あるオーディションに参加したときに、僕らを見つけてくれたのがいまの事務所で、その流れでデビューへとつながりました。2枚のアルバムは“入門編”と“いま出したいもの”――2021年11月24日に、約3年半ぶりとなるコンセプトオリジナルアルバム『Hot Milk』と『Bitter Coffee』が2枚同時にリリースされます。コンセプト別の楽曲を収録しているそうですが、それぞれのアルバムの特徴を教えてください。常田もともと複数枚リリースは、前作『新空間アルゴリズム』(2018年)の制作が終わってすぐアイデアとして出ていました。いまは音楽を手軽に聴ける時代になって、端末で配信曲も聴けて、僕らとしてもリリースがはやくなってきてレスポンスもすぐにわかるという利点があるものの、届いたあとのことを考えると、曲を“所有していない感”が強いのかなと。それはCDというかたちになっていないからだと、ずっと思ってきていることで、今後もこだわっていきたいところでもあるんですが、所有感を感じてもらうにはCDが多いほうが面白いかなと。そしてスキマスイッチをあまり知らない人への情報として、複数枚出すことで目に留まることもあるのではということから、今回の2枚同時リリースとなりました。以前は、一度に4枚5枚ぐらいでジャンル分けして、スキマスイッチの魅力をバラード集やアップテンポ集などに分けて、こちらから届けてみようかというアイデアもあったんです。ただ、そうなると曲をたくさん作らないといけなくて、そのなかでもよく聴く曲、聴かない曲と偏りが出てきたらよくないから、何枚出すかは決めないでとりあえず曲をたくさん作ろうとしていたなかで、コロナ禍になって時間ができて、デモがいつもより多くできました。できている曲の中で、先にタイアップがついて世に出ていく曲もあって。あとは新しい作り方で、「こんな曲書いてみない?」という、スタッフが僕たちに希望しているようなテイストで作ってみました。僕たち以外の因子とそうでないもので分けられた感じがあって、でもそこでタイアップ曲やスタッフの意見を取り入れたものは明るい、自分たちのエゴで作った曲は暗い、というのはいやだったので、ちゃんと1枚のアルバムとして確立させてリリースしようと決まったのが、昨年の秋ぐらいです。1枚に7曲ぐらいが聴きやすいですし、それをもう1枚の計2枚のリリースにして、『Hot Milk』はタイアップや引き出してもらったもの。『Bitter Coffee』は、自分たちが「いま出したいね」と話していた曲、自分たちのなかで流行っている音やジャンル。そんなかたちで、分けさせてもらいました。大橋もしかするとananwebの読者のみなさんのなかには、CDやCDプレーヤーを持っていない方もいるかもしれないですよね。便利な世の中なので音楽は手軽に聴けますし、検索すれば無料で聴けることもある。携帯に入っているものもあれば、聴きたいときに検索して聴いたら終わり、という方も多いと思うんです。でも僕らの世代では、音楽やアーティストが作ったものに対して、もう少し大事にする感覚があって。CDショップに行ってCDを買って、帰りの電車のなかで先に歌詞カードを見ようかな、でも家に帰ってからCDを聴きながら見ようかな、というような楽しさをいま少しでも、こちらから提案できたらいいなと。それにはあまりにも内容の濃い作品じゃないほうがいい。『Hot Milk』はもしかしたらどれかはテレビでちょっとぐらい聴いたことがある曲も入っていて、手に取りやすいんじゃないかなと。7曲なら聴くのに時間もそんなにかからないし、もしそこでスキマスイッチに触れてみて、ちょっと好きなところがあるなと思ったら、『Bitter Coffee』も聴いてみてもらったりと、つながっていけばいいなという思いはあったんですよね。それがひとつのきっかけになって、音楽に対するものの考え方が、少しだけ変わったなら、僕たちの世代のやり方として間違っていないのではないかなと。あともうひとつは、アルバムを聴いて僕らは育ってきたので、ザ・ビートルズもそうですが、曲順が変わるだけで違和感があるんですよ、何回もアルバムを聴いてきているので。「この曲の後にこのイントロが鳴ってくれないと気持ち悪い」とか。それぐらい聴きこんだんですよね。それぐらいなるべくCDというもので、僕らが考えたこの曲の並びで聴いてもらって、「どんなメッセージが込められているのかな?」と考えてもらえたら。CDには歌詞カードもついているので、歌詞には書かれていなくても、歌詞カードの行間にこめられた思いがあって。良くも悪くもいまの音楽がファッション的なものになっているところをもう少し、何かのメッセージや表現を感じてもらえたらいいなと思っています。――『Hot Milk』収録曲の7曲目、「されど愛しき人生」の俳優の柄本時生さんが出演しているミュージックビデオが公開されていますね。大橋いろいろなアイデアが出たなかで、登場人物が全部同じ顔をしながら自分はこんな人生でもあり、また違うこんな人生もあった可能性がある、という見せ方をする物語のアイデアがあって、面白そうだねと決まりました。そこでキャスティングとなったときに、物語にも合うどこか哀愁のある人がいいとなって、柄本さんの名前が上がったのでぴったりだと思ってオファーしたところ、快諾してくれました。――おふたりでいつも曲作りはどのようにしているのですか。大橋ふたりでゼロから作るときもありますし、どちらかがベースを持ってきて、「これいいね」となったらそこからブラッシュアップしていくときもあります。『Hot Milk』の1曲目「OverDriver」の場合は、シンタくんがデモとして持ってきたものを聴いて、「これカッコいい」となって、それをふたりでちょっとメロディを変えていったり、構成やサウンドはこんな方向でいこうとか話していったり。常田驚くほど、手作りです。――いいですね。おふたりでじっくり作られた思いは聴き手側にも伝わってきます。大橋なかには、家でパソコン1台あれば曲を完成させるというミュージシャンもいるかもしれませんが、僕らはプロのミュージシャンの方々の力を借りて、作り上げていきます。まずは自分たちだけで、プライベートスタジオでパソコンを使ってシミュレーションをしてみて、そのときから「このギターは〇〇さんに弾いてほしい」というようにイメージしていきます。そこから正式にオファーさせていただいて、スタジオでセッションしながら作っていくんですよ。――『Bitter Coffee』は大人っぽい雰囲気から始まって、4曲目「いろは」のように美しいメロディにのるセンチメンタルなナンバーもあれば、6曲目「フォークで恋して」はまるでドラマのような展開で続きが知りたくなる歌詞、おしゃれなサウンドが印象的です。いつ頃から制作されたのでしょうか。常田古いデモもありますが、昨年の秋からアルバムを見据えて作り始めて、今春から制作をスタートしました。『Bitter Coffee』に関していうと、ほぼ新曲なので、僕たちのテンションもどんどん上がっていっています。『Hot Milk』は入門編かなと。『Bitter Coffee』は、知らない曲でも絶対こっちがいいと言わせてやるという、目に見えないテンションの高さも込められています(笑)。――12月22日には日本武道館公演、2022年2月からは全国ツアーを開催されますが、どんなステージになりそうですか。大橋12月の武道館公演では特別な企画ものをやりたいと思っていて、この日のためだけに書き下ろした音楽と映像をお届けします。アルバムの『Hot Milk』と『Bitter Coffee』を引っ提げたライブは、来年2月から7月まで「SUKIMASWITCH TOUR 2022 “café au lait”」と題して全国をまわるので、楽しみにしていてほしいですね。スキマスイッチのライブに足を運んでみてほしい――新作がコンセプト違いの2作品ということで、おふたりの「オン/オフ」の2面性についても教えてください。大橋2面性というと、僕らふたりはまったく真逆の性格ですが、音楽だけは同じ方向を向いています。僕はAB型なんですが、スタジオに入った瞬間にスタッフは「今日はA型だな」とか、「今日はB型の日だな」とかがわかるらしいです(笑)。僕自身はそんなに違うキャラクターというつもりはないんですが、言わんとしていることはわかるかもしれない、意識してはいないのですが。スキマスイッチがみなさんにどこまで浸透しているかはわからないですが、ananwebの読者のみなさんが思っているよりも、イメージが逆な気がしますね。――イメージというと?大橋シンタくんのほうがなんか……。常田ガサツですね、ズボラだし。大橋それはイメージ通りのはず(笑)!常田その通り(笑)。だとすると、なんか僕は、職人ぽく言われることが多いんですが、全然そんなことはないんです。大橋たぶんですが、パブリックイメージとして、僕のほうが優等生なイメージがあって、シンタくんのほうがちょっと昔ヤンチャしていたようなイメージですが、それは逆ですね。――大橋さんはヤンチャしていたんですか?大橋僕はヤンチャではないです(笑)。常田……してたかなあ(笑)。大橋シンタくんも僕もすごい真面目です(笑)。――続いては、おうち時間が長い昨今ですが、最近ハマっていることはありますか。常田ありますね。壊れたものの修理にハマったんですよ。先日は、コピー機が壊れていたので、自分で直しました。昔から分解癖があって、よく修理していたのですが、直ったら得も言われぬ達成感があって(笑)。けっこう自分で修理できるのが、おもしろいです。大橋僕は家で映画を観ていて、最近は、Netflixを観ることが多いですね。世の中ではいま韓国作品が流行っているじゃないですか。それこそ大ヒットした韓国ドラマ『愛の不時着』とかもありますが、僕はラブロマンスがあまり得意ではないので、観やすいものを探したらけっこうありました。『イカゲーム』や『梨泰院クラス』、『ナビレラ -それでも蝶は舞う-』や『マイネーム:偽りと復讐』あたりも観ましたね。これまで韓国作品は全然通ってこなかったんですが、最近になって観てみると、独特な雰囲気がおもしろかったです。韓国のドラマって、日本にはない、韓国ならではの慣習のようなものを感じ取れますよね、先輩を敬う感じとか。最初はそこに入り込めなかったんですが、文化がわかってくると、2本目3本目とだんだん観るようになってきましたね。――いろいろなお話をありがとうございました。では最後になりますが、来年の抱負をお聞かせください。大橋来年は全国ツアーがあります。このままの状態でいけば、お客さんと一緒に会場で楽しめそうなので、もし興味があればananやananwebを読んでいるみなさんにも来ていただきたいです。10代の読者の方の場合、お父さんやお母さんがスキマスイッチを聴いていて、家にはCDがあるという方もいるかもしれないですよね。常田車でスキマスイッチがかかっていたとかもね。大橋最近どこにも外出していないな、という読者の方がいたら、僕らのライブを口実にしてもらっていいので、友達や家族で過ごす時間をスキマスイッチのライブで提供していければいいなと思います。取材後記誰もが耳にしたことがあるであろう、ポップスの名曲を次々と生み出している、スキマスイッチ。ananwebの取材でも、大橋卓弥さん、常田真太郎さんの音楽に対する深い想いをお聞かせくださいました。これから生まれてくる楽曲にもまた期待が募るスキマスイッチの2枚のコンセプトオリジナルアルバムをみなさんも、ぜひチェックしてみてくださいね。写真・安田光優取材、文・かわむらあみりスキマスイッチPROFILE大橋卓弥、常田真太郎のソングライターふたりからなるユニット。2003年7月、1stシングル「view」でメジャーデビュー。「奏(かなで)」「全力少年」「ボクノート」「Revival」など数々のヒット曲を生み出し、全国区での人気を獲得する。2021年11月24日、コンセプトオリジナルアルバム『Hot Milk』『Bitter Coffee』を2枚同時にリリース。12月22日、「スキマスイッチ”Soundtrack”」と題した日本武道館公演を実施。2022年2月10日から、「SUKIMASWITCH TOUR 2022 “café au lait”」と題した全国ツアーを開催。InformationNew Release『Hot Milk』(収録曲)01. OverDriver02.吠えろ!03.青春04.Ordinary05.東京06.スイッチ!07.されど愛しき人生2021年11月24日発売*収録曲は全形態共通。(通常盤)UMCA-10087 (CD)¥2,500(税抜)(初回限定盤)UMCA-19065 (CD+Blu-ray付)¥3,500(税抜)*スリーブケース仕様。<Blu-ray内容>・Hot Milk盤:「Documentary of“Recording”」 レコーディングドキュメント+メンバーインタビュー映像。New Release『Bitter Coffee』(収録曲)01.I-T-A-Z-U-R-A02.G.A.M.E.03.風がめくるページ04.いろは05.SINK06.フォークで恋して07.あけたら2021年11月24日発売*収録曲は全形態共通。(通常盤)UMCA-10088 (CD)¥2,500(税抜)(初回限定盤)UMCA-19066 (CD+Blu-ray付)¥3,500(税抜)*スリーブケース仕様。<Blu-ray内容>・Bitter Coffee盤:「Documentary of “Studio Live”」 *収録曲のスタジオライブを撮り下ろしで収録。写真・安田光優 取材、文・かわむらあみり
2021年11月23日【音楽通信】第93回目に登場するのは、音楽一家に生まれ育ち、心が洗われるような美しい歌声をわたしたちに届けてくれる天性のアーティスト、坂本美雨さん!母のお腹の中にいるときから音楽に触れる【音楽通信】vol.9316歳のときに「Ryuichi Sakamoto feat. Sister M」名義で歌手デビュー以降、本名で本格的に歌手活動をスタートさせた、坂本美雨さん。その後は音楽活動に加え、ラジオパーソナリティ、執筆活動、ナレーション、演劇といった、さまざまなフィールドで活躍。「東京2020パラリンピック」開会式では、「パラ楽団」の一員として登場し、その美声を世界に届けました。そんな坂本さんが、2021年10月20日にニューアルバム『birds fly』をCDリリースされるということで、音楽的なルーツなどを含めて、いろいろなお話をうかがいました。ーー2021年8月24日から13日間開催された「東京2020パラリンピック」開会式では、式典のために特別に結成された「パラ楽団」のボーカルとして、坂本さんは澄み渡る美声でパラリンピック旗入場曲「いきる」を歌唱されていました。パラ開会式は素晴らしい式典になっていましたね。パラリンピックは障害者の方々が主役であって、わたしたちパラ楽団のなかにも障害者の方もいたんですが、その方々の晴れ舞台という想いで参加していました。ですから最初から、「みなさんのお役に立てば」という気持ちでいたので、プレッシャーを感じることなく全体を楽しむことができましたし、素晴らしいメンバーに加われてとても光栄でした。今回、開会式に関わっただけでも、考え方が変わりました。今回のスローガンとして、世界中で15%の人たちが何らかの障害を持っているという「We The 15」がありました。これからの時代は、障害者の方々がよりわたしたちの生活に溶け込んでいくはずですし、サポートが必要なときに自然にお手伝いできるように、社会全体でなっていけたらと思っています。ーーここでおさらいとして、そもそも坂本さんが音楽にふれたきっかけもお聞かせ願いたいのですが、坂本龍一さんと矢野顕子さんがご両親という音楽一家に生まれていらっしゃるので、もう小さいときから音楽が身近な環境だったのでしょうか。そうですね。無意識のうちに、母のお腹の中にいるときから音楽の中にいて。母は妊娠中も父のYMOツアーのサポートメンバーをしていて、生まれて数か月でまたツアーに出てという環境でした。だから、自分の音楽的嗜好を考えると、お腹の中で聴いていた音の影響が大きいんじゃないのかなあと感じますね。テクノを聴くと、やっぱりなんか懐かしいな、気持ちいいなと思うんです。ーーご両親の音楽はもちろんですが、他にもプロになる前によく聴いていた音楽はありますか。父と母だけじゃなく、そのまわりに素晴らしいミュージシャンたちがいたので、自然とそういう方々の音楽が入ってきました。日本人ですと大貫妙子さんやオフコースが、わたしのルーツになっていますね。自分で音楽を聴き始めて選ぶようになってからは、TMネットワーク、X Japanと、いろいろな音楽を聴きました。9歳からニューヨークに住んでいたので、アメリカでは音楽をむさぼるように聴いていました。(アメリカのロックバンドの)スマッシング・パンプキンズ、マリリン・マンソンとか。それと同時に、テクノの血が騒いで、イギリスのクラブシーンを聴きあさったりと、ゴクゴクと飲むように音楽を聴きました。ーー1997年、16歳で「Ryuichi Sakamoto feat. Sister M」名義で歌手デビューされ、その後本名で活動をスタートされましたが、自然と音楽の道へと歩まれたのでしょうか。14歳ぐらいから「音楽家になる」とまわりには言っていて、学校でも将来の夢としてそう書いたりもしていたんですが、恥ずかしかったんです。まわりに本気で音楽に向き合う人たちがいるなかで、適当な気持ちではそんなこと言えないから、大きな声でやりたいとは、言えなかったですね。音楽家になるには、やりたい気持ちだけではできないことはわかっていましたし、どれだけの才能と努力が必要かは肌で感じて知っていたから。これは、自分は演奏する側ではなくて、ジャケットのデザインを手がけるといったかたちで音楽に携わろうと思って、途中まではデザインの勉強をするつもりでいました。ーーでも坂本さんの歌声を聴かせていただくと心が洗われるような癒しを感じるので、もしデザインの道に進まれていても、音楽業界の方から求められる存在だったのでは?いいえ、最初にSister Mとして歌うことが決まったのも、本当に偶然でした。教授(坂本龍一さん)のスタッフさんと一緒にカラオケに行って、華原朋美ちゃんの歌を歌ったときに「こういう声してるんだね」と聴いてくれた機会があって。たまたまそのとき、父のプロジェクトで探していた声質にフィットしているということで、やることになっただけなんです。求められたわけではなく、偶然、灯台下暗し! ということです(笑)。でもそこから、自分で意識を高めていったところはありますね。なんの発声のテクニックも、教えも受けていなかったので、自分の声を最初から好きなわけではなかったんです。本当に、徐々に開眼していった感じですね。音、歌、呼吸、響きをていねいに封じ込めた新作ーー2021年10月20日に、約5年ぶりのニューアルバム『birds fly』をリリースされます。こちらはドリーミュージックと KSR の共同レーベル「FOLKY HOUSE」第一弾アーティストとしての発表で、8月からビジュアルEP(Music Video付きアルバム)としての先行配信もありました。企画に富んだ印象の今作ですが、いつから制作していたのですか。制作は2月ぐらいから始めました。曲自体は昨年からできているものや、もっと前からの曲も入れています。今作に参加しているピアニストの平井真美子さんと、年明けぐらいに組もうと決めました。そのとき同時進行でレーベルのお話もあって、「FOLKY HOUSE」が発足しての第一弾となるのですが、全部が同時進行で形づくっていった感じなんです。レーベル主催の新羅慎二(にらしんじ)さんとお話しするなかで、「室内楽的な音楽」「人がそこにいるぬくもりのある音」また「それができていく過程をリアルに見せる」というキーワードも出てきて、今回6曲全部を1日でほぼ一発録りでレコーディングするかたちに至ったんです。ーー新羅さんといえば、湘南乃風の若旦那さんですね? レーベル主催が若旦那さんで、坂本さんのリリースに至るのは不思議なご縁ですね。新羅さんとはボイストレーナーが同じ方で、一緒にご飯を食べに行くこともあって、それからは不思議となぜだか気にかけてくださっていて、いまに至ります。ーーコ・プロデューサーも今回担当しているピアニストの平井さんは、もともとお知り合いだったのですか。一昨年から、ライブでご一緒する機会が何度かありました。今作は(平井)真美子さんの他に、チェリストの徳澤青弦(とくざわせいげん)さんとのトリオで演奏したんですが、(徳澤)青弦とは20年来の仲間です。ライブで一緒に演奏するピアニストを探していたときに、青弦が推薦してくれたことがきっかけとなって、一度合わせてみたらすごく化学反応があって、おたがいに「もっと一緒にやりたいね」と息が合ったんです。その後ライブを何度か重ねて、今回2曲目に「shining girl」を収録していますが、もともとこの曲は真美子さんのソロアルバムに収録されている楽曲なんです。ライブでも何度かこの曲を演奏しながら、「オリジナルも作りたいね」という話になって、4曲目の「gantan(birth)」も、そんな感じでできあがっていきました。ーー「gantan (birth)」は、「あぁ かわいいひとよここまでよく来たねあぁ 愛しい子よこれまでよく生きたね」との歌詞が印象的ですが、どのようなイメージで歌っていますか。これは子どもの頃の自分に捧げる歌で、いまはもう大人だから引きずってはいないけれど、小さい子ならではの心の整理の付け方、寂しさ、本当は心にあった気持ちみたいなものをいま認めてあげようという思いで歌っていますね。さらに、いま大人になった自分たちのことも、「よくこれまで生きてきたね」と言ってあげたいと歌っています。ーー収録曲1曲目「birds fly」は清々しい楽曲ですが、アルバムのタイトル曲となっているということは、もっとも今作を表す楽曲ということになりますか。結局はそうなったのかな、と思っています。アルバムタイトルで他にふさわしいものが見つからなくて、みんな馴染んでしまったから(笑)。新曲としては最初にできた曲でもあって、コロナ禍のステイホームとなってすぐに作った曲で、解放されたい、という気持ちがあふれている曲です。ーー3曲目「story」は、一般の方も坂本さんの公式YouTubeチャンネルでMVを視聴することができますが、すでに1万回の再生回数を突破されています。今作は東京の自由学園 明日館(みょうにちかん)で 3 人の生演奏を1日で全曲レコーディングするという画期的な作風ですが、その様子がわかる動画は緊張感がありながらも、美しい歌と演奏に見入ってしまいました。この曲を含めて、全6曲のミュージックビデオをApple MusicでビジュアルEPとして先に配信しているのですが、インスタグラムなどにうれしい感想などをいただきました。今回は、自分の身近な人たちに聴いてほしくて、「新作できました」と、データを友人たちに送ったりしたんです(笑)。信頼する友人たちが「素晴らしいね」と言ってくれたので、自信になりましたね。今作は普段の自分と歌っている自分の乖離がない作品というか、素の私のまま、より個人的な作品を作れた気がします。ーーいつもは完成してもあまりお知らせしないのですか。あまりないですよ、恥ずかしいので(笑)。今回は、自分に正直な作品になりました。ーー今作が収録されたその現場に、観客として行きたかったぐらい、とっておきなものと感じました。今回、いろいろなクリエーターの方々が参加してくださって、一緒に作っていきました。衣装、ヘアメイク、頭の後ろの編み込みは装飾の方が編んでくださった付け毛のアート作品だったり。写真家、映像チームも本当にすごかったです。あの緊張感の中、録音と映像とを両方やるというのが無謀なことだったのですが、あんなにたくさんの機材を動かしながら物音ひとつもたてない。誰もくしゃみも咳もできない、すごい集中力でした。演者の私たち3人は、おたがいの気配に感覚を研ぎ澄ませて、呼吸を合わせて演奏しました。ーー5曲目「hoshi no sumika」は、haruka nakamuraさんとの共作となりますね。以前、『Sing with me』『Sing with me II』(ともに2016年発表)というアルバムを2枚一緒に作って、そのあとも全国ライブしてまわった仲間なんですが、その頃のデモに歌詞をつけました。真美子さんとのライブでこの曲を一緒にやったらすごくしっくりきたので、今回はふたりの曲として収録しました。ーー6曲目「for IO(イオ)」は、悲しみを帯びているように聴こえながらも、最後は顔を上げて希望を感じるような歌詞に思えました。この曲は、友人のミュージシャンの猫沢エミさんと、その猫のイオちゃんに捧げた曲です。春に病気で闘病していたイオちゃんを看取ったんですが、それまでの壮絶な看病やその移り変わりを細かくインスタグラムに綴っていらして。私自身もイオちゃんに会いに行ったりと、すごく通じ合うものを感じていて、離れているけれど一緒に時を過ごしている感覚がありました。いよいよ今日看取るという日に、私もスタジオに入って、遠隔の「音楽葬のつもりで歌うので聴いていてね」と話して、インスタライブでそれをエミさんも聴いていてくれて。そのときに生まれたメロディから、ふくらませた曲です。歌詞も、イオちゃんとエミさんのことを綴りました。ーー坂本さんは動物愛護活動をライフワークとされていますし、猫がお好きなことでも知られていますね。飼い猫のサバ美ちゃんは、お元気ですか。元気ですよ。本当の年齢は保護猫なのでわからないですが、推定2歳からうちにいて、11年になります。まだまだ長生きする予定です!ーーでは聴き手には、今作をどのように聴いてほしいでしょうか。室内楽として建物の会場の響きも大切に、その瞬間にしかない音、歌、呼吸、響きをていねいに封じ込めた作品です。部屋のなかでも、もちろん外でヘッドフォンでも、どこで聴いてもそばに私たちがいるような気配を感じてもらいたいですし、安心や穏やかさも感じてもらえたら一番うれしいです。「自分のなかの小さな女の子を輝かせていく」ーーお話は変わりますが、坂本さんはおうち時間をどのようにお過ごしですか。しいて言うなら、よくお料理しています。でも母親なので必要に迫られてやっているところもありますね。おうちにいると、娘と一緒に料理をする時間は増えました。娘も成長してきて、包丁を上手に使えるようになって、料理を手伝ってくれるようになったんです。この間も、餃子を一緒に作りました。娘が担当する料理もあって、そのときは任せています。ステイホーム中、娘がアメリカの料理番組にハマって、番組で作られていた創作料理をどうしても自分も作りたいと言われたことがありました。どうやって作るのかさっぱりわからないけれど(笑)、見よう見まねで作ってみたりして、すごく楽しかったです。ふたりの趣味ですね。でももともとは、時間があるとすぐ外出して、「とにかく美味しいコーヒーが飲みたい!」とカフェに行ったりするのが好きなんですけどね。ーーおうちで美味しいコーヒーを集めたり、淹れたりしますか。私はコーヒーを淹れるのがヘタなので、夫に「美味しいコーヒーを淹れて」とプレッシャーをかけてみたりはします(笑)。ーーみなさんの仲の良さが伝わってきます。ところで、いつもしなやかで美しい坂本さんですが、普段、コスメや美容面で気に入っているものはありますか。たくさんありますよ。まわりに美容に詳しい人やエキスパートがいるので、日本一の美容情報をまわりから得ています(笑)。最近だと、FEMMUE(ファミュ)の「ソフトクレイ ベルベットマスク」という、ピンクのクレイマスクが最高です。まず香りも色も最高に気持ちよくて、うすいピンクのクレイなんですが、肌がワントーン明るくなりますね。あとは(メイクアップアーティストの)早坂香須子×シンシア・ガーデンによるオーガニックスキンケアブランドのNEROLILA Botanica (ネロリラ ボタニカ)のものは全部信頼していますし、THREE(スリー)もよく使います。新作を試させていただく機会も多くて、いろいろと使いますね。OSAJIも好きで、新作が出るたびに感激しています。ーーたくさんのおすすめ情報を教えていただき、ありがとうございます。では最後になりますが、今後の抱負をお聞かせください。今回のアルバムでも、真美子さんと「自分のなかの小さな女の子を見つけて大事にする」「その子を輝かせる」という話をしていたのですが、それは今作のテーマというよりも、わたしたちのこれからの人生のテーマなんです。たとえばそれはインナーチャイルドと呼ばれることもあるものですが、自分のなかの小さな女の子が感じていることをより大事に生きていくことが、一番幸せなのかなと感じていて。どんな音楽をやっていくのか以前に、どうやって、本当の自分として生きていくのかを考え続けていますし、このアルバムはその第一歩になるものでした。それは今後の音楽人生においても大事な一歩で、この続きがどうなるかはまだわからないですが、自分のなかのそんな声をこれからも大事にしていきたいと思っています。取材後記美しく胸を打つ歌声や楽曲で、わたしたちの毎日を彩ってくれる、坂本美雨さん。その歌声や話し声を聴いていると、癒されるのは、筆者だけではないと思います。音楽活動だけではなくさまざまな表現活動もされ、さらに猫ちゃんや娘さんなど、まわりを大事に愛し愛されている様子がとっても素敵。そんな坂本さんのニューアルバムをみなさんも、ぜひチェックしてみてくださいね。写真・前康輔取材、文・かわむらあみり坂本美雨PROFILE1980年5月1日、東京都生まれ。音楽一家に生まれ育ち、9歳でニューヨークへ移住。1997年、16歳で「Ryuichi Sakamoto feat. Sister M」名義で歌手デビュー。以降、本名で本格的に歌手活動をスタート。音楽活動に加え、執筆活動、ナレーション、演劇など表現の幅を広げ、ラジオではTOKYO FM他全国ネットの「ディアフレンズ」のパーソナリティを2011年より担当。村上春樹さんのラジオ番組「村上RADIO」でもDJを務める。ユニット「おお雨(おおはた雄一+坂本美雨)」としても活動。2020年、森山開次演出舞台『星の王子さま-サン=テグジュペリからの手紙』に出演。2021年、ニューアルバム『birds fly』を8月20日に配信、10月20日にCDをリリース。『Memories of Shelter坂本美雨 feat. 平井真美子』として、12月26日に金沢21世紀美術館 シアター21にて、昼夜二回公演を開催。また、ユニット「おお雨」では、年末にライブを行う予定。InformationNew Release『birds fly』(収録曲)01.birds fly02.shining girl03.story04.gantan (birth)05.hoshi no sumika06.for IO(作詞:坂本美雨 作曲:坂本美雨)2021年10月20日発売(通常盤)MUCK-1001(CD)¥3,300(税込)*特殊仕様パッケージ。(初回限定盤)MUCK-8001/2(CD+Blu-ray+特典)¥6,820(税込)*特殊仕様ボックス。[Blu-ray収録内容]※初回限定盤のみ全楽曲のレコーディング風景を収めたMusic VIdeoを収録。写真・前康輔 取材、文・かわむらあみり
2021年10月13日いま、各界から多くのラブコールを受ける、シンガーソングライターの折坂悠太さん。どこか懐かしさを纏う刺激的な楽曲や趣ある佇まいに潜む愛らしさの原点を辿ります。今のムードを取り込んだ楽曲と、どこかノスタルジーを感じさせる深みとまろみを備えた声で、聴く者を魅了する折坂悠太さん。音楽界の注目を集める彼がananのインタビューに初登場です。音楽のことや意外な一面を、柔らかなトーンでお話しいただきました。――折坂さんが音楽を始めたきっかけを教えてください。折坂:子どもの頃、学校に行っていなかった時期がちょくちょくあって。そんな時に通っていたフリースクールで、バンドを始めたのが最初でした。集団に対して果敢に向かっていくタイプではないのに、発表会とかになると、しゃしゃり出るタイプの人間で。舞台に立ち、表現することへの渇望がもともとあった中で、音楽に出合った。舞台などスパンが長い作品と違い、音楽は1曲4分くらいで表せる。そういうところがいいなと思い、どんどんのめり込んでいきました。――バンドでは、何の楽器を?折坂:ドラムです。歌わないけれど、曲も作っていました。最初は恥ずかしいからふざけた曲ばかりだったのが、次第に真面目な曲を作りたくなり、我を出すように。後に自分がボーカルのバンドも始めました。ドラマーの時は裏方みたいな気持ちでいたけど、自分で歌う曲は、自分のやりたいことをより出せる場に。今の自分につながる表現が始まっていったんだと思います。――当時、自分の曲を人が聴くというのは、どんな感覚でしたか。折坂:嬉しかったですね。人と打ち解けられず、仲良くなるのに時間がかかるのは、自分というものを上手く伝えられないからなのかなと思っていて。それが、曲を聴いてもらうと、わりと一発で、“こういうテンションで生きてます”ということをわかってもらえる。人と関わる手段として、こういう形があるんだと気づいてからは、自分の表現に応えてもらうことが嬉しかったし、この道で行こう、と。でも、今も、「こういう音楽をやっていて、CDを出して」というお話はできるけど、そういう前提がないと何もしゃべれないんですよね(笑)。世間話や雑談は、本当に難しいです。歌に関しては自分の中から出たものを歌いたい。――曲はどのようにして生まれるのでしょうか。折坂:10代、20代の時は、ときめくことがあると、その反動でできるのかスルスルと作れていました。それが、年を追うごとに、ときめくことをなかなか見つけられなくなって、自分で取りに行く必要があると思ったんです。そこで、自分にとってときめくことは何だろうと考えてみると、自分の作品や曲ができること自体なんですよね。一緒に作業をするエンジニアの人と、「何か楽しいことはありますか?」と話す時も、「どう考えても今じゃないか」という結論になる。作っている時間や、幸いにもそれを仕事にできていること自体が楽しいんです。だから今は、そうしたときめきを手にするため、机に向かって、重い腰を上げて、曲作りをしているという感じです。メロディは、歌っていて気持ちいいとか、わりと感覚的です。ただ、歌詞に関しては、つけるのが本当に難しくって。自分がどういうスタンスで生きたいか、事件や社会的な状況を見て、どういう言葉や一節で表現するのが合うかを見ていくので、そういう意味では日頃のインプットからできているものだと思います。本はあまり読まないのですが、詩集はパラパラと。使っているツールは同じ文字であっても、インターネットに流れてくるものと、言葉を洗練させた人たちのものは別物だと思っているので、そこからインスピレーションを受けたりはします。――影響を受けた音楽はあるのでしょうか。折坂:正直ね、音楽のこと、よくわかっていないんですよ(笑)。自分のメロディがどこからきているかって、本当に難しくて。音の質感や受ける印象みたいなものは、いろいろなジャンルから引っ張ってこれるんですけど、歌でやろうとすると、“何かのジャンルのあの歌に似てる”となり、自分としては面白くない。歌というものに関しては、自分の中からきたものをやろう、という思いはあります。――最近は、ドラマの主題歌やCMソングなどの楽曲も手がけられていますが、作る際、いつもと違う部分の脳を使っているなと感じるなど、違いはありますか。折坂:あるかもしれませんね。自分の物差しだけではない部分で、やらなければいけない場合もあるので。でも、自分じゃない人が歌うバンドに音楽を作ることから始めたので、お題に合わせて曲を作るというのは好きは好きです。自分が培ってきたもの、根底にあるものをいかに入れ込むかが、難しくもあり楽しくもあります。――オファーをした側は、折坂さんのエッセンスが欲しいから、声をかけているんですもんね。折坂:でも、その“折坂さんのエッセンス”を30%くらい入れたら3%でもよかったとか、割合みたいなものは難しいなと思うことも(笑)。――『みんなのうた』で流れる曲も、番組とアーティストの色のバランスのとり方が難しいという話を聞いたことがあります。折坂:でも、最初から“みんなの”を意識するより、作り手の個性や深層心理をめちゃめちゃ奥深くまで掘り進めてたどり着いたものが、意外とみんなの根底に流れているものだったということがあると思っていて。たとえば宮崎駿監督のアニメは、広く浸透していて、私も観て育っていますが、作り手の自我が、出ちゃいけないようなところまで出ているというか。それでも、ここまでみんなに響くのは、根底に流れているものを掘り当てたからなのかなと。――掘り下げていく作業もそうですし、自分の中にある軽くないものを、音楽という人が心地いいと感じるものにして届ける作業は、とても大変だと思うのですが。折坂:大変ですね、すごく。でも、コロナ禍になり、そういうフェーズにきているのかなと。それに、到底説明できなそうな感覚や、長くなる話みたいなものを、ポップスとして昇華できたら面白いものになると思って取り組んでいます。――そんな中、3枚目のアルバムとなる『心理』が発売されました。折坂:タイトルからして、明るくはないなという感じなんですけど(笑)。一見してわかりやすくないものに取り組みたいなと。その作業を経由しないと、自分の音楽を聴いてくれている人、これから伝えていく人に真摯に向き合えない気がしたんです。本当は昨年に出す予定でしたが、録音まであと数日というところで1回目の緊急事態宣言が出て、なんだかんだで今年に。当時と今では思い描いていたものも状況も違うので、その時に考えた曲もありつつ、アップデートしていった経緯があります。――ライブツアーも開催されます。折坂:みんな、どの地域に住んでいても共通した生きづらさ、今の時代を生きる難しさみたいなものを抱えていると思うんです。この作品は私の物語だけど、いろんな場所に行き、聴いてくれた人の声を聞いて、みなさんがどういうふうに過ごしているかを知りたいと思っているので。その答え合わせをライブでできればいいなと。ニューアルバム『心理』が発売中。アルバム収録にあたり再録した「トーチ」「春」、アーティストのイ・ランが客演参加した「ユンスル」など、全13曲を収録している。【初回限定盤(CD+DVD)】¥5,280【通常盤(CD)】¥3,300(ORISAKAYUTA/Less+ Project.)。10月29日からは、8都市のホールを巡る「心理ツアー」が開催予定。おりさか・ゆうた1989年9月16日、鳥取県生まれ。千葉県出身。2013年より弾き語りライブを始め、‘14年にミニアルバム『あけぼの』でデビュー。‘18年リリースの2ndアルバム『平成』はCDショップ大賞を受賞、また‘19年には、『監察医 朝顔』の主題歌として『朝顔』をリリース。映画『泣く子はいねぇが』では、主題歌と劇伴音楽を担当する。※『anan』2021年10月13日号より。写真・玉村敬太インタビュー、文・重信 綾(by anan編集部)
2021年10月08日【音楽通信】第92回目に登場するのは、ロックシーンの第一線を走り続けて結成30周年を迎えたロックバンド「L’Arc〜en〜Ciel(ラルクアンシエル)」のリーダー&ベーシストで、今年ソロデビュー20 周年を迎えたTETSUYAさん!ソロ活動はマイペースにやってきた【音楽通信】vol.92日本のロックシーンを語るうえで欠かせない、唯一無二のロックバンドL’Arc〜en〜Cielのリーダー&ベーシストであり、稀代のメロディーメーカーとしても知られるTETSUYAさん。2021年でソロデビュー20周年を迎えたTETSUYAさんが、前作から10年ぶりの新作となる3rdアルバム『STEALTH』を10月6日にリリースしたということで、音楽的なルーツや普段のご様子などを含めて、お話をうかがいました。――おさらいとしまして、まずはTETSUYAさんの音楽的なルーツや、ベースを始めたきっかけから教えてください。音楽を聴き始めたのは、小学生の高学年ぐらいからですね。YMOや一風堂などを聴いていました。楽器については、まずギターがすぐそばにある環境があったので、ギターに触れるなかで、先輩にベースでもやればと勧められ、親に買ってもらいました。14歳のときです。――そもそもギターに触れる環境だったというのは?僕の実家の向かいに、2歳年上の先輩の家があって、よく遊びに行っていたんです。その家は玄関に入ってすぐ横に先輩の部屋があったので行きやすかったんです、そこにギターがあったので、よく触らせてもらっていました。その頃は、放課後になるとすぐ先輩の家に遊びに行く感じでしたね。そうやってギターに触れていたからか、ベースを買ってもらってすぐ弾けるようになりました。――その後1991年2月にTETSUYAさんを中心に「L’Arc〜en〜Ciel」が結成され、1994年7月に1stビデオシングル「眠りによせて」でメジャーデビューされました。2021年はバンド結成30周年の節目となりますが、振り返ってみての心境をお聞かせください。「30年」と口にすると「長いな」と思いますが、長いようでいて短く、短いようでいて長い。自分のことのようでいて、どこか他人事のような感じもして、変な感じです。振り返ると、あっという間でしたね。――2001年には、「TETSU69」としてご自身のレーベル「SPROUSE」を立ち上げてソロ活動を開始され、7月に1stシングル「wonderful world/TIGHTROPE」をリリースされ今年で20周年となります。もともとソロ活動は何かきっかけがあったのですか。ソロ活動のきっかけは、(L’Arc〜en〜Cielの)ヴォーカルのhydeがソロ活動をすることになって、そうなると僕も時間ができるので「じゃあ僕もやろうかな」と始めました。――美しいメロディを作るメロディメーカーという印象のあるTETSUYAさんですから、ファンの方からも、ソロ活動は「待ってました!」という声も多かったのでは?そんなことないと思いますよ。ファンの方は、L’Arc〜en〜Cielが見たい、バンドの音が聴きたい、という方が多いはず。――ではソロ活動を振り返ると、20周年のいまのお気持ちはいかがでしょうか。はやかったですね。ただ……今回、20年目でやっと3rdアルバムをリリースする、という遅さがスゴいですよね(笑)。まあ、もともと他にやりたいことがあったから始めたわけではないので、ソロ活動はマイペースにやってきました。ニューアルバムは「すごく良いものができた」――2021年10月6日に、3rdアルバム『STEALTH』がリリースされました。まず、仕上がってみての手応えから、お聞かせください。このアルバムができあがってから、自分でも何度も聴いています。そのぐらい、すごく良いものができたと、自分でも気に入っています。――今回、新曲が4曲収録されていますね。まず1曲目「REGRET」は荘厳な幕開けを感じさせる始まりで、「REGRET」(後悔)というタイトルもあるのかどこかノスタルジックな印象のあるナンバーですが、どのように生まれた曲ですか。僕の場合必ず曲を先に作っています。歌詞はレコーディングの直前まで書かないので、曲を作った時期と歌詞を書いた時期はたぶん3年ぐらいブランクがあるんです。この曲を書いた時期は、確か作曲期間中だったので、何曲か書いたなかの1曲ですね。――3年前の曲を今回採用したのですね。はい、3年ぐらい前に原曲はありました。他にも何曲かあったなかで、今回それまでにリリースしたシングルと並べたときにバランスが取れる曲として、この4曲を選びました。――歌詞はアルバムのレコーディング直前に書かれたということですね。そうです、このアルバムの中で一番最後に歌詞を書いた曲が「REGRET」ですね。メロディを繰り返し聴きながら、自然と出てくる言葉を形にしていきました。だからこの歌詞は、曲が呼んでいた、メロディに引き出された歌詞ということですね。――4曲目「誰がために鐘は鳴る」は、それまでとテイストが違う印象の曲です。これも2年ぐらい前からある曲です。サウンド的には、アルバムの中で一番実験的な曲で、これからのTETSUYAの方向性がこの曲から見えるかなと思うんですけれども。歌詞も他の曲と同じようにメロディから自然と出てきたものを形にして、譜割りによって文字数が決まっているので、パズルのピースを合わせていく感覚で作詞しています。――ヴォーカルを加工している感じもありますね。そうです、声をエフェクト処理しています。使ったマイクも、普段はあまり使わないマイクを使っているので、これまでの曲と比べると一番サウンド面での変化がありますね。――先ほど、今後の方向を示すような曲とおっしゃっていましたが、今後もこういったタイプの曲が増えるのですか。そうですね……いや、増えないかもしれない(笑)。ふと考えてみたら、僕、もう1枚アルバムができるぐらいストック曲があるので、それらが先に世に出ると思うので、そんなに早くはこういった曲を出さないかもしれません(笑)。――バラードナンバーの5曲目「白いチューリップ」は、アルバム発売後に数量限定でシングルカットされ、10月10日にリリースされます。これも原曲は、3年以上前に作っていますね。これはピアノから始まる曲を作りたいなと思って、作った曲です。この曲は約2年前のライヴで披露したのが最初で、歌詞はその直前に書いていたものがベースになっていますね。今回録音するにあたって、ライヴで歌っていた歌詞から若干手直ししています。――以前作った曲をいまリリースしても色褪せないで聴けるというのは、純度が高い楽曲を作っていらっしゃるんだなと、お話を聴いていて実感しました。基本的に、曲作りをするときには流行りのことはあまり考えないです。いつ聴いても、色褪せないもの、何年後に聴いても「いいな」と思えるものをずっと作り続けています。――9曲目「ARIGATO」は、ライヴではおなじみの名曲「THANK YOU」が生まれ変わり、初音源化されるそうですね。これは一番古い曲ですね、もとを作ったのは、2005〜6年ぐらいです。今回「ARIGATO」とタイトルを変更したのは、「THANK YOU」という言葉が特別な意味を持ちすぎてしまいそうだったから。ソロのバースデーライヴのタイトルが「THANK YOU」だったり、2017年には「THANK YOU」というタイトルの映像作品をリリースしていたりするので、変更したいなと。そのとき、ちょうどオリンピックの閉会式で「ARIGATO」が電光掲示板に出ていたのを見て、これは世界にも通じる日本語にもなっていますし、このタイトルにしました。――リリース後、2021 年初となるソロライヴ「TETSUYA LIVE 2021 “THANK YOU” 」を10月10日にLINE CUBE SHIBUYAで開催されますね。どのようなライヴになりそうでしょうか。アルバムの曲は、全部、演奏する予定です。レパートリーも増えたので、新しい感覚のライヴになると思います。今後もコンスタントに活動していきたい――お話は変わりますが、おうち時間が長引くなかで、TETSUYAさんがいまハマっていることがあれば教えてください。家の片付けですね。整理したいと思っているんですができなくて、ずっと片付けしているようで進んでないという状態です。物が多すぎて、どうしていいかがわからない感じで、プロの整理整頓アドバイザーさんに来ていただいているんですが、それでもだめです(笑)。――それだけお家が広いので、置く場所がたくさんあるということですよね?いえ、スペースに対して、物の量が合ってないんです。全部大事で捨てられないので、結局、右から左へ移動しているだけで、物は減っていなくて。本、服、楽器、ヴィンテージの家具たちなどがたくさんあるんですよ。家具は椅子だけでも30脚ぐらいあります。廊下や階段の踊り場などに置いているんですが、もう置くところがなくて。倉庫もあるんですが、すでに一杯なので、家の整理をする前に倉庫の整理をしなくては(笑)。――ヴィンテージの家具というと、お好きな作家の方がいるのですよね。(フランスを代表する)近代建築家具デザイナーのジャン・プルーヴェが好きでコレクションしていて、世界中でコレクターが争奪戦を繰り広げているので、その家具を見つけると「買わなきゃ!」となってしまうんです。――貴重な物をたくさんお持ちなんですね。あと服もたくさんお持ちということですが、お気に入りのファッションはなんですか。好きなのは、ストリート系のブランドのものが多いですね。自分でも『STEALTH STELL’A』というアパレルブランドをやっているので、洋服は好きなんですよ。時間があればネットでもチェックしますし、お店にも入って見ますし、服を買うのも参考資料として買う側面もありますね。――いろいろなお話をありがとうございました。では最後に、今後の抱負をお聞かせください。L’Arc〜en〜Cielも30周年、ソロ活動も20周年を迎えて、感慨深いです。僕自身のアルバムリリースは10年ぶりですが、次のアルバムは10年も経たずにリリースできればと思っています(笑)。こういった記念の年ではないときでも、今後も、コンスタントに活動していきたいですね。取材後記ソロ活動でのTETSUYAさんとしてはもちろん、日本が世界に誇るロックバンドL’Arc〜en〜Cielとしても、わたしたちにずっと、最高の音楽を届けてくれていますよね。ananwebの取材では、アルバムのお話から家具のお話まで、快くインタビューに応えてくださったTETSUYAさんの3rdソロアルバムをみなさんも、ぜひチェックしてみてくださいね。取材、文・かわむらあみりTETSUYA PROFILE1969年10月3日生まれ。L’Arc〜en〜Cielのリーダー&ベーシスト。1991年、TETSUYA を中心に大阪で L’Arc〜en〜Cielを結成。2001年、ヴォーカリストとしてソロ活動スタート。ソロとしてこれまでに 11 枚のシングル、2 枚のアルバム、5 枚の映像作品をリリース。2021年10月6日、3rdアルバム『STEALTH』をリリース。10月10日、ソロライヴ「TETSUYA LIVE 2021 “THANK YOU”」@LINE CUBE SHIBUYAを開催。同日、数量限定シングル(この日を皮切りに、その他のライヴやイベント会場、通信販売限定で販売)「白いチューリップ」をリリース。InformationNew Release『STEALTH』(収録曲)01.REGRET02.Make a Wish03.I WANNA BE WITH YOU04.誰がために鐘は鳴る05.白いチューリップ06.FATE -Album ver.-07.愛されんだぁ I Surrender08.READY FOR WARP09.ARIGATO10.Time goes on ~泡のように~11.Eureka[Bonus Tracks]12. milky way~砂時計~Link -LIVE 2019 “THANK YOU” 4950-13. 瞳の住人 -LIVE 2019 “THANK YOU” 4950-2021年10月6日発売*[Bonus Tracks]の2曲は初回限定盤、UNIVERSAL MUSIC STORE限定盤のみに収録。(通常盤)UPCH-20587(CD)¥3,300 (税込)(初回限定盤)UPCH-29397(CD+Blu-ray)¥5,280(税込)*デジパック仕様。<Blu-ray収録内容>[Music Clips]01.Make a Wish02.Time goes on 〜泡のように〜03.愛されんだぁ I Surrender04.I WANNA BE WITH YOU05.READY FOR WARP06.白いチューリップThe Making of “白いチューリップ -Music Clip-”(UNIVERSAL MUSIC STORE限定盤)PDCN-1926(CD+DVD)¥11,000 (税込)*LPサイズジャケット仕様・LPサイズ二つ折りブックレット付き。<DVD内容>[Xmas LIVE STREAMING 2020]01.Time goes on〜泡のように〜02.愛されんだぁ I Surrender03.I WANNA BE WITH YOU04.TIGHTROPE05.empty tears06.15 1/2フィフティーンハーフ07.Fantastic Wonders08.Eureka09.Make a Wish10.lonely girl11.REVERSE12.Can’t stop believing13.Roulette14.Are you ready to ride?15.snow drop16.I Wish17.Don’t be Afraid18.魔法の言葉19.流れ星取材、文・かわむらあみり
2021年10月08日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「ロングインタビュー」です。アルバムをリリースしたタイミングなどで、雑誌などからインタビュー取材をしていただくことがあります。ときには“2 万字インタビュー”などと銘打ったロングインタビューをしませんか?とお話をいただくこともあります。ロングインタビューをしていただけるなんて、本当にありがたいことです。ただ、ありがたいのですが、とにかくインタビューを収録する時間が長い!通常の雑誌などに掲載される1ページ程度のインタビューは長くても収録は1時間程度です。でも、ロングインタビューは平気で2時間、3時間かかってしまいます。それだけ長い間話を聞いていただけるのは、ありがたいことなのですが…。インタビューは、たぶん取材する側は準備をしてくださっていると思います。インタビュー対象のことを調べたり、過去の記事を読んだり、ミュージシャンだったら過去のアルバムから現在の最新アルバムまで聴き直したり。では、受ける側はどうか?というと、僕の場合はとくに準備をしていません。聞かれたことをその場で考えて思うままに答えています。インタビュアーの方にもいろんな方がいます。ときには「こう答えてほしいのかも…」と、こちらが逆に気になってしまう人もいたり。以前にテレビの某ドキュメンタリー番組に出演した際には、“SNSの寵児”という感じで僕のことを紹介したい雰囲気をなんだか感じ取ってしまい、自分の中に“SNSの寵児”を憑依させてしゃべってしまった感があります。いや、それも本音でないわけではないのですが、僕の性格的に、どんな相手だろうと常に本心でぶつかるというより、その場その場の空気を読んで場に合った答えを言って、気まずい空気を回避してしまうクセが自分にはあると思います。あとは、僕みたいにちょっと“ちょけた”ことを言うタイプは、どこまでそれをシャレとして受け取ってくれるか、というのも気になってしまいます。インタビュアーさんは初対面であることも多いです。本心を言ってどこまで真剣に受け取ってくれるのか、逆にシャレをシャレとわかってくれるのか…そこを見定めるのは正直、難しいです。だったら、インタビュアーさんのノリに合わせてお答えしたほうが場もスムーズですし、記事もうまくまとまるのでは、などと余計なお世話かもですが考えてしまうんです。おかざきたいいく10月20日(水)に約2年9か月ぶりとなる4枚目のオリジナルアルバム『FIGHT CLUB』が発売に。11月23日(火)、横浜アリーナでワンマンライブ「めっちゃめちゃおもしろライブ」を開催。※『anan』2021年10月6日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2021年10月02日【音楽通信】第91回目に登場するのは、数多くの舞台やドラマ出演などで知られ、ソロアーティストとしても活躍し、甘い歌声とカッコいいパフォーマンスで魅了している、高野洸さん!小6からグループで活躍しソロ活動へ【音楽通信】vol. 912009年11月、小学校6年生のときに、ボーカル&ダンスユニット「Dream5」のメンバーに抜擢されてCDデビューした、高野洸(たかの あきら)さん。2014年、レコード大賞や紅白歌合戦に出演後、2016年にDream5としての活動を終了。同年、俳優として、映画への出演やミュージカルの主演を務めるなど、個人での活動をスタートしました。2019年1月には、1stシングルCD「LOVE STORY」でソロデビューし、アーティストとしても音楽活動に励んでいます。そしてこの度、2021年8月18日に5thシングル「Vacances(ヴァカンス)」を発表し、10月27日にライブ映像作品「高野洸 1 st Live Tour “ENTER”」のDVD&Blu-rayも発売されるということで、お話をうかがいました。ーーそもそも高野さんが音楽にふれたきっかけから教えてください。4歳からヒップホップダンスを習っていて、ダンスをやりながらいろいろな音楽に触れていました。小6からDream5としてグループ活動をやらせていただき、徐々に俳優業にも興味を持ち始めて、グループ活動を終了したときに、俳優一本でやっていくと決めました。ただ、ミュージカルをやらせていただくと歌う機会も多く、結局は歌もダンスもできるステージはすごく楽しくて、好きなんだと実感しました。その頃からいまもずっと向上心は高く持って、歌もうまくなりたいと思っていて、ソロでアーティスト活動を始めたんです。――では普段、高野さんがよく聴いていたアーティストはいますか。小学生のときは、親が運転する車のなかでよく流れていた、Mr.Childrenさんが好きでしたね。コード進行もメロディも好きです。いまは、いろいろなジャンルの音楽を聴くようになりました。――以前、ananwebにはミュージカル『刀剣乱舞』の膝丸役の高野さんとして登場いただきましたが、役での歌唱とご自身名義での歌ですと、意識の違いはありますか。膝丸として、ミュージカル『刀剣乱舞』の世界観を背負って歌うときは、ステージでパフォーマンスすることが前提となりますね。膝丸のキャラクターというのは、武士で力強いものなので、勢いを持って歌うことを心がけています。僕自身で歌う、ソロアーティストとしての作品は、レコーディングのときから自分の良さを出せるのはどれなのかと手探りしながら、時間をかけて進めていくんです。なので、意識は自然と切り替わっていると思いますね。きっと歌のニュアンスや語尾の表現の仕方などに、その違いがけっこう出ているかもしれません。初のソロツアーを経てアーティストとして成長――2021年8月18日にニューシングル「Vacances」をリリースされました。1曲目「サマービーツ」は爽快でキャッチーなナンバーで、高野さんご自身で作詞されていますね。シングル曲に「サマービーツ」を選んだのは、野外ステージで歌っている姿を想像して、明るく元気をもらえるサウンドだったから。それから曲を聴き込んで、突き抜けて爽やかなサビをいかして夏の暑さをエネルギーに変えよう、新しい世界を見てみたいという設定で主人公を描くと決めて、歌詞を作っていきました。――歌詞を書かれるときは、どんなふうに作っていかれるのですか。面白い言葉を見つけたら、メモをとるようにしています。今作は夏をテーマにしたので、夏らしい言葉などをある程度メモしておいて、そのなかでも異彩を放つような面白い単語を選んで、曲にあてはまるか試していきました。そんなふうにして、何段階かにわけて、構成していく感じですね。作詞の作業は、本当に楽しいです。ときどき僕の歌詞は独特だと言われるのですが、それは面白い言葉を集めているからなのかなと思いながら、曲を聴いたみなさんはどう捉えてくださるのか、気になりますね。――2曲目「tiny lady」も高野さんが作詞を担当されていますが、この曲はどのようにして生まれた曲ですか。今回、「Vacances」に収録している3曲は夏をテーマにしていて、「tiny lady」はテーマを決めるのにすごく時間がかかりました。この曲を聴いていると、4つ打ちのリズムが曲調的にも少し若い感じもして、イキイキとした、心が浮かれている様子を描いたほうが良いなと。さらに、ドライブしているときにもこの曲を聴きたいと思ったので、ドライブデートというテーマで、歌詞を仕上げていきました。――歌詞に「ドライブの時くらい 君が俺見てよ」とあって、少し大人っぽい印象の曲です。そうですね。歌詞には英語のフレーズを多く入れたのですが、けっこう苦心しましたね。良いメロディとリズム感だからこそ、中途半端な言葉にするとハマりが良くないので、英語詞にはすごく時間がかかりました。――3曲目「Memory of Sunset」は共作されていますね。デモのときに、すでにある程度テーマが決まっていたので、そのデモに惹かれて選んだ曲です。1番の歌詞のみできていたものを引き継いで、その世界を僕なりにいろいろと解釈しつつ、2番からはオリジナルで作りました。この曲に関しては、歌詞の景色が見えてすごく描きやすく、スラスラといきましたね。ラストのサビ終わりにはラップを入れたら面白いなと思って、「Where we going」というメロディが続くところにラップパートも盛り込みました。そういう意味では、最後の歌詞のブロックではメロディも作っているということになります。そのラップのところにも、注目して聴いてほしいですね。――10月27日には、今年の4月と5月、振替公演が9月に行われた「高野洸 1 st Live Tour “ENTER”」のDVD&Blu-rayが発売されるそうですね。初のソロワンマンライブツアーを振り返って、手応えはいかがでしたか。本当にすごく手応えもありましたし、来ていただいたお客さんのおかげで、達成感がありますね。各公演やりきれた、という経験が自分のなかではとても大きいです。ツアーが始まる前は、ひとりで歌って踊ってステージをやりきることが、例えば足がつったり声を枯らして裏返ったりという、アクシデントの不安もありましたが、そういったこともなく。乗り越えられたことが、自信につながりました。――各公演の様子はいかがでしたか。各会場、熱気がすごかったです。トークでは、各地のご当地ネタをやりました(笑)。福岡公演の場合は地元なので、地元で人気のファミレスの話をしましたし、埼玉の大宮だったら、事前に地元の名物を調べてナポリタンの話をしました。――特典映像には、リハーサルやバックステージなどのドキュメント映像が収録されているそうですね。メイキング映像ですが、かっこよく仕上げていただいています。今回、ライブのリハーサルの日数がそれほど多くはなかったのですが、短い時間の中で急ピッチで仕上げていったところを撮ってくれていますし、悩んでいる姿も入っています。――初のツアーが映像作品として発売されるのは、率直にどんなお気持ちでしょうか。ライブの様子が映像作品となって発売されたものを購入した方が、また家でライブを観ていただけるというのは、ひとつの憧れでした。実際のライブでもめちゃくちゃ良い音質だったのですが、その音源がほぼそのまま収録されていて。きっと大画面で良いスピーカーで聴くと、よりライブの雰囲気が味わえて、臨場感があると思います。――高野さんは、歌はもちろん俳優としてもご活躍されていますが、シンガーと役者とは無意識に切り替えているんでしょうか。自然と切り替わっている気がしますね。でも、実はそれぞれ気をつけるポイントはたくさんあって、細かい部分での違いが多いと思うんです。もしステージ上で立っている場合は、エネルギーを発散しなくちゃいけないので、客席の一番後ろまで届ける、ということが重要。でも、自分のソロライブの場合、スクリーンがステージの後ろにあって、カメラで映してくれているんです。アーティストはマイクを通して音を、エンターテインメントを届けているので、舞台のお芝居とソロライブでは、そういう意味でも、感覚が少し違うのかなと。一番大きなポイントとしては、どの大きさで撮られているかが大事という気がしますね。舞台と映像作品の差はそこで、舞台の大きさで表現が変わってきますし、立ち姿から違いがあるので、ヨリで撮られているのか、どれだけの規模で伝えるかというのが、一番繊細なポイントだと感じて表現しています。こうやって自然と切り替えられるのは、いろいろなエンタメをやらせていただいていることも、大きいかもしれません。ひとつのことを極めようとしているわけではないからこそ、舞台や音楽活動などのさまざまな現場で学んだことが、ほかの現場で活きることが多いのかなと思います。音楽活動では「紅白」、俳優では朝ドラと大河が目標――お話は変わりますが、高野さんはおうち時間をどのようにお過ごしですか。家では小説を読んだり、動画サイトを観たりすることが多いですね。あとは曲をスピーカーから流したり。――ご自身の曲ですか?自分の曲もありますし、人気の曲を聴きながら、「自分の曲をここで流してみるとどんな感じなのかな」と、試してみたり(笑)。あとは最近、アロマキャンドルを灯すことを始めました。香りもあって、落ち着く気がしますね。灯していると、空間がすごく活性化されて、空気もイキイキしている気がします。――楽曲ではラブソングを歌うこともありますが、そういうときは理想の人を思い浮かべていますか。また、高野さんの理想的な女性像はどのようなタイプでしょうか。作詞をするときは、自分が行動に移すかどうかではなく、自分がしないようなことも入れています。ストーリーを作ってから歌詞を書くので、あくまで架空寄りですね。そして僕自身の理想の女性像というと、かわいらしくて、愛嬌がある方です。かわいくなろうと努力をしている女性なら、より魅力的。あとは、リアクションが豊かだと良いですね。――では、かわいいだけ、だとダメなんですね?いや、“かわいい”はすべてを補います(笑)。――高野さんは歌やダンスをされているので、普段から健康面や体力作りには気をつけていたりするのでしょうか。それほど気をつけていることはないのですが、食事はだいたい三食とるようにしています。お腹がすいていなくても、一応夜ご飯はちゃんと食べようと……でも、僕正直なところ、お腹が空いていることがないな(笑)。言いたかったことは、バランスよく栄養素をとるといいということ。僕も足りない栄養をサプリメントなどから補うこともあるんですが、実際の食材にはかなわないので、毎食ちゃんと食べて栄養をとるようにしていますね。――運動もされていますか?僕は筋肉がつきやすい体なので、むしろ逆に筋トレしないようにしているんです。首や肩にすぐ筋肉がついてゴツゴツするから。でも、健康でいるには、運動したほうがいい方ももいらっしゃるでしょうし、人それぞれの体調や環境に合わせて運動するといいと思いますね。あまり食欲がない方だと、運動して汗をかいたほうがお腹が空くので、少し体を動かしてみるのも、健康体につながると思います。――いろいろなお話をありがとうございました。では最後に、今後の抱負をお聞かせください。音楽活動では、音楽番組に出演して、世の中にもっと浸透していきたいですね。やっぱり、目標の番組は「紅白歌合戦」です。Dream5と刀剣男士と、いままで2回紅白に出演させてもらっていますが、どちらも作品の力を借りて出ているので、今度は僕自身の作品で出てみたいですね。俳優としては、朝ドラと大河ドラマの出演を目指しています。実家にいるときや両親も朝ドラと大河ドラマを観ていますし、これまで観る側として楽しませていただいた恩返しとして、今度は出演する側として、作品を届けていくことができたらと思っています。取材後記歌に芝居にご活躍中の高野洸さん。ananwebの取材はまだ夏の日差しを感じる午後に、撮影では瞳がキラリと輝く、きりりとした姿やほんのり微笑した表情も見せていただき、インタビューもテキパキと応えてくださいました。そんな高野さんのニューシングルと映像作品をみなさんも、ぜひチェックしてみてくださいね。写真・山本嵩取材、文・かわむらあみり高野洸(たかの あきら)PROFILE1997年7月22日、福岡県生まれ。177cm。特技はダンス、ゲーム。2009年、『天才てれびくんMAX』(NHK Eテレ)での全国オーディションから生まれた、5人組のボーカル&ダンスユニット「Dream5」のメンバーとなる。11月にはシングル「I don‘t obey~僕らのプライド~」でCDデビュー。2014年発売のシングル「ダン・ダン ドゥビ・ズバー!」でオリコンウィークリー1位を獲得。妖怪ウォッチ「ようかい体操第一」エンディングテーマは、全国のお子さんたちに大人気となり、話題を呼びました。同年末には、レコード大賞や紅白歌合戦にも出演し、2016年、Dream5としての活動を終了。同年に映画『仮面ライダー平成ジェネレーションズ Dr.パックマン対エグゼイド&ゴーストwithレジェンドライダー』や、ミュージカル「ROCK MUSICAL BLEACH」~もうひとつの地上~ の主演を務める他、2017年にはミュージカル『刀剣乱舞』 ~つはものどもがゆめのあと~ で膝丸役として出演するなど、俳優としても活動。2019年1月、1stシングルCD「LOVE STORY」でソロデビュー。2020年11月には、4枚目のシングルCDがオリコンウィークリーランキング5位を獲得するなど、ソロアーティストとしての活動も行っている。2021年8月18日に、5枚目のシングル「Vacances(ヴァカンス)』をリリース。10月27日に、ライブ映像作品「高野洸 1 st Live Tour “ENTER”」のDVD&Blu-rayを発売。InformationNew Release「Vacances」(収録曲)01.サマービーツ02.tiny lady03.Memory of Sunset2021年8月18日発売*収録曲はA盤とB盤は共通。<CD+DVD (スマプラ対応)A盤>AVCD-61095/B¥2,090(税込)<DVD内容>01.サマービーツ 〜高野洸 1st Live Tour “ENTER”〜 [Live Video]02.tiny lady [Music Video]03.tiny lady [Music Video Making]初回封入特典(全形態共通) :1.トレーディングカード(全6種類中1種ランダム封入)2.特典応募シリアル<CD+DVD (スマプラ対応)B盤>AVCD-61096/B¥2,090(税込)<CD (スマプラ対応)C盤>AVCD-61097¥1,320(税込)New Release「高野洸 1st Live Tour “ENTER”」(収録曲)01.Can’t Keep it Cool02.TOO GOOD03.WARNING04.MY CREATURE05.Untouchable love06.Shining warm07.In the shade08.You’ve Broken My Heart09.モノクロページ10.Way-Oh!!11.COLOR CLAPS12.Poppin’ Groovin’13.Love To You14.BURNING UP15.New DirectionENCOREEN01.Our HappinessEN02.Always on your sideEN03.サマービーツ<特典映像>1st Live Tour “ENTER” Behind The Scenes*収録曲、特典映像は全形態共通。2021年10月27日発売(通常盤)・DVD:AVBD-27430・Blu-ray:AVXD-27431¥6,050(税込)<封入特典>・ポストカード2枚封入(初回生産限定盤)・DVD:AVBD-27428・Blu-ray:AVXD-27429¥8,360(税込)<仕様>・豪華三方背BOX仕様、・ピクチャーレーベル<封入特典>・PHOTOBOOK・レプリカスタッフパス・大判カード(2枚)・バックステージパス風ステッカー写真・山本嵩 取材、文・かわむらあみり
2021年10月01日【音楽通信】第90回目に登場するのは、現在、デビュー25周年というアニバーサリイヤーを迎えている、シンガーソングライターの山崎まさよしさん!アーティストとしての原点は地元のライブハウス【音楽通信】vol. 901995年にデビューし、現在デビュー25周年というアニバーサリーイヤーを迎えている、シンガーソングライターの山崎まさよしさん。音楽活動はもちろんのこと、主演映画『月とキャベツ』(1997年公開)の主題歌「One more time, One more chance」がロングヒットし、近年も主演映画『影踏み』(2019年公開)で俳優としても活躍するなど、さまざまな顔をわたしたちに届けてくれています。そんな山崎さんが、2021年9月22日に、メモリアルとなるニューアルバム『STEREO 3』をリリースされるということで、音楽的なルーツなどを含めて、お話をうかがいました。――おさらいとして、まず山崎さんがデビューする前によく聴いていたアーティストから教えてください。たくさんいますが、基本的にはシンガーソングライターで、楽器を演奏する人の音楽をよく聴いていました。(イギリスのミュージシャン)エリック・クラプトンであったり、(アメリカのシンガーソングライター)スティーヴィー・ワンダーであったり。他にもギタリストの曲や洋楽を聴くことが多かったですね。でもやっぱりザ・ビートルズ、なかでもポール・マッカートニーにすごく憧れていました。僕が洋楽を聴き始めたのは、地元の山口県に住んでいた頃です。アメリカのヒットチャートを紹介する『ベストヒットUSA』(テレビ朝日系 1981年〜1989年/2003年より復活し現在BS朝日で毎週金曜 深夜0時から放送中)という、小林克也さんが司会をされている音楽番組のチャートをよく観ていて、興味を持ちました。――いつ頃から楽器に触れ、シンガーソングライターを目指すようになったのですか。中学3年生ぐらいのときにアコースティックギターを買って、ひとりで弾いていたのですが、高校生になると先輩とバンドを組んでドラムを担当しました。でも結局、高校3年生のときにみんなバンドを卒業していって、ドラムを叩くことがままならなくなって、ひとりでできる音楽はないかと考えるようになりました。その頃、地元に「Boogie House」というライブハウスがあって、そこに「歌わせてくれないか」と交渉しに行ったんです。ほぼブルース専門のライブハウスだったので、ブルースのアナログ盤などが置いてあって、週に1度通うようになりました。マスターと一緒に演奏したりカバーをやったりして、ライブ活動を続けていくなかで、シンガーソングライターを目指すようになりました。――その後、1995年9月にシングル「月明かりに照らされて」でメジャーデビューされてから、昨年デビュー25周年を迎え現在25周年イヤーですね。これまでを振り返ってみての心境をお聞かせください。あっという間だけれど、やっぱり、いろいろなことはありましたね。この歳になると、1年がすごくはやく感じます。デビュー10年目ぐらいのときは「まだ10年か」と思っていたら、知らない間に四半世紀になっていたという感じですね。音楽活動としては、ツアーをやって、制作をやっての繰り返しです。そのときどきでこんなことがあった、あんなことがあったという記憶はありますが、現場で僕についてくれているマネージャーが変わっていったことも、25年の歴史を感じさせますね。25周年記念の「STEREO」シリーズ最新作――2021年9月22日にニューアルバム『STEREO 3』をリリースされます。仕上がってみての手応えはいかがでしょうか。実は、本当に発売延期になるんちゃうかな、というくらい手こずりました(苦笑)。アルバムの制作時は弾き語りのツアーに入っていたので、なかなか制作のほうにベクトルがいかなくて。あと体力的なものもありますし、切り替えが難しいモードのなかでやっと完成できて、良かったです。――今回「3」となっていますが、1996年11月発売の『STEREO』、1997年11月発売の『STEREO 2』から、約24年ぶりの作品を「3」としたのは、特別な意味があるのですか。最初に『STEREO』を出した頃の他のフルアルバムには、『アレルギーの特効薬』(1996年発表)や『ドミノ』(1998年発表)などもあるんですが、これらはサウンドプロデュースも楽器演奏も含めて、他者との関わりで作っているものなんです。この『STEREO』は、全部の演奏を自分でやっているという意味において、『STEREO』『STEREO 2』とともに「プライベートアルバム」という位置づけで制作しているなかでの、今回の『STEREO 3』です。ただ、以前出した『SHEEP』(1999年発表)が、そういう意味では『STEREO 3』だったんですが(苦笑)。だから最近は、ほぼ「STEREO」シリーズなんですよ。今回、タイトルを考えたときに「『STEREO3』ってどうですか?」という提案があって、タイトルを曲からはつけづらいので、それでいいかと。けっして面倒くさかったわけではないです(笑)。25周年という記念的な部分もありますし、「STEREO」シリーズがすでにあるということをファンの方もご存知なので、「3」ならなかなか購買意欲をそそられるのではないかと思います。――収録曲についてもうかがいます。2曲目「Hello ヘヴン」は忌野清志郎さんの声も聴こえてくる楽曲ですが、どのようにこの曲が生まれたのでしょうか。「愛し合ってるかい?」という、ライブで清志郎さんが「スローバラード」(清志郎さんがいたバンドのRCサクセションの名曲)の前に、きまってお客さんをあおる言葉が、この曲の「Boys and Girls」と歌う裏で、入っています。さらに最初の「うかうかしてると見失う」という歌詞の部分では、僕が清志郎さんのものまねをして歌っています。なんでそうなったかというと、「ヘヴン」とは「天国」のこと。清志郎さんが亡くなられてからずいぶん経ちますが、そんな天国にいる清志郎さんに歌っている曲が1曲あればいいなと。それは、僕が所属しているオフィスオーガスタ創始者の森川欣信さん(現・最高顧問)が提案してくれて、清志郎さんの遺族の方に許可をとって、この曲で声を使わせてもらっているんです。――もともと山崎さんは清志郎さんがお好きですよね。はい、高校時代にドラムをやっていたときは、RCサクセションのコピーバンドだったんですよ。プロになってからは、少しだけ、清志郎さんと交流もありました。最初は、この曲全部「清志郎さんのものまねで歌わないか?」と言われたんですが、「それは無理」と(苦笑)。この一部分だけだったら、いけるかもと、「Hello ヘヴン」が完成しました。――4曲目「霧雨」は少しメランコリックな曲です。ラストに鐘が鳴り、雨の音も印象的です。それも森川さんの案ですね(笑)。最初は、雨音が入っていなかったんです。でも最後に鐘の音を入れて、不安をあおるようにしたいとか、そういうアイデアはいっぱい持っている方なんですよ。――制作されるときは、いつも話し合いながら作るんですか?いや、今回は「レコーディングやるから一緒にやらない?」って、僕から誘ったんです。昔は、制作サイドに5人ぐらい人がいて、やいのやいの言いながら制作していました。でも面倒くさくなって、いつからか「STEREO」シリーズのようにひとりで作るようになってしまったんですよ。ただ、よく考えたら、いろいろな人と関わって、切磋琢磨しながら制作していくのもいいんじゃないかなと。とくにいまはコロナ禍で、こういった状況下でひとりでレコーディングしたら、より独りよがりになってしまうのが、ちょっと嫌だったのかもしれません。それで、もともとRCサクセションのディレクターをやっていた経験もある、森川さんをお呼びしました。――では逆に、コロナ禍じゃなかったら、人を立てるとは思わなかったのでしょうか。そうかもしれないですね。いまはないじゃないですか、顔をつきあわせて、ちょっとムカッとしながらも話し合うとか(笑)。全部僕の意見を肯定するわけではなく、何かを否定されることもあるので。例えば、歌詞についての添削をされたりすると、若いときなんてそれだけですごくムカッとしていたんですよね。でも、こういうときだからこそ、他人の意見を生で聞きたくなるんです。おかげで、今回はアレンジも面白くなりました。――8曲目「泣き顔100%」は小粋で弾むような楽曲で、山崎さんの声の後ろに、子どもの声が聴こえますね。これ、娘です(笑)。子どもが楽曲に参加するのは初めてなんですが、家の地下をスタジオにしていて、今作を作っていて。ちょうどリビングで、娘がひとりで留守番していたので、「ちょっと来て」って呼んで作りました(笑)。子どもが泣くときって、悲しみ100%なんです、絶望しているんですよ、世の中に。涙を流して、全力で泣いちゃうんですよね。だから、そういう歌を作ろうかなと。でも、子どもが泣いているところを見るのも嫌いじゃないんですよ、いつも可愛いなあって見てしまうんです。だから、そんな歌にしてみました。――娘さんは、おいくつぐらいなんですか。幼稚園の年長だから、6歳になります。長男は、小学校4年生なので、もう娘ほどは全力で泣かないですね。どちらにしても、この曲には、女の子の声のほうが良いと思って、娘が参加しました。――アルバムのリード曲となる6曲目「サイドストーリー」は、9月15日に先行配信されていますね。この曲は最初、誰かに提供しようと思って作った曲でした。でもそれをやめて、自分のアルバムに入れて。「ENEOS EneKey 2周年キャンペーンソング」になりましたが、僕が25周年でもあるので、そこも意識して書いていますね。――歌詞ですと「どうだい?そろそろまた旅に出ないか」と、前を向いて歩いていく力強さを感じました。大人になったら、冒険しなくなるじゃないですか。仕事でツアーに出て冒険のようなことが実現していてありがたいんですが、家にずっといてくれと言われたら、僕はインドア派なのでずっと家にいられるんです。でも、たまに外に出るのも必要なのかもと。歌詞にある旅というのは、人生の旅なのかもしれないし、実際に外へ出る旅なのかもしれないし、いつもとは違う方面のことに踏み出すということかもしれないし、情報を探ることかもしれない。人それぞれにとっての、旅に出ないか、という意味がありますね。これからも、楽しく探究して、挑戦していきたい――お話は変わりますが、山崎さんはDIYがお好きなことで知られていますが、ご自身のYouTubeチャンネルでも毎週金曜日にDIYシリーズ「craftpapa」を配信されて本格的ですね。けっこう、大変なんですよ(笑)。月に1回、2作品ぐらい作るんです。朝9時から夜8時まで、1日がかり。ちなみに、DIY好きが高じてできた歌が、アルバムの7曲目「斉藤さん」です(笑)。もともと何かを作ることが好きなんですよね。DIYをやり始めたきっかけは、東日本大震災のとき。東京も揺れましたが、僕はそのときツアー中だったんですが、帰ってくると置いていたギターが何本も倒れていました。それで全部のギターを立てかけられるようにと、ギタースタンドを作ったあたりが、最初だったと思います。あとは結婚して、妻からも「棚がここにほしい」というオーダーがあって、なかなかジャストサイズのものがないときに、「だったら作ったらいいんじゃないか」となって。近くにホームセンターや木材を売ってくれるお店を見つけたので、10年ぐらい前からDIYをやっていますね。いまはうちに工具もありますし、丸ノコもふたつありますし、溶接機もありますし、普通の家にないものが揃っていますよ。――今年はバラエティ番組『有吉ゼミ』(日本テレビ系 毎週月曜19時)の人気企画「八王子リホーム」にご出演され、ヒロミさん、SixTONESのジェシーさんともDIYをしていましたが、すでに趣味の域を超えて、プロのような知識と仕上がりでしたね。たぶんみなさんがけっこう引くぐらい、普段からDIYをやっていますからね(笑)。ヒロミさんとジェシーさんが作ってくれたベンチも良かったですし、ヒロミさんには「(事業者向け工業用間接資材の通信販売の)モノタロウのユーザーは、俺と山ちゃんぐらい」と言われましたね(笑)。けっこう、嫌いじゃないんですよね、自分で作るのが。家にも作業場がありますし、車庫の中で狭いスペースですが、そこで何かを作っています。――ではDIY以外だと、おうちではお子さんと遊んだり?そうですね、夏だとプールをやったりと、子どもと遊んでいます。「プールやりたい!」といわれて用意して、実際に入って遊ぶのは子どもですが、家庭用プールに空気を入れて膨らませて水を入れるといった“作業”が僕は好きなんですよ。遊んだら水を抜いてたたむという作業も好きで。あと、卓球台もあるんですが、子どもが「卓球やりたい!」と言ったら、卓球台を設営するんです。そういう作業が、好きなんですよ(笑)。――作る作業というと、お料理もお好きですか?やりますね。妻からも「ごはん作って」と言われたら、晩ごはんを作ったりして、挑戦ですよね、毎回。味付けとか、いろいろ試してみようかな、と。揚げ出し豆腐を作ったことがないから、今日は作ってみようかな、とか。毎年、僕が梅干しもつけていますし、妻は家庭菜園をやっていますね。――素敵なご家庭ですね。いろいろなお話をありがとうございました。では最後に、今後の抱負をお聞かせください。僕の活動はデビューしたときから決まっていて、制作と、ライブパフォーマンスですよね。だから、そのやり方は変わらないですし、体力が続く限りは、ずっとやっていくと思います。それとともに、まだ欲求があるんですよ、何かを作りたいという欲求が。これをやろうかな、試してみようかな、というもの。それが料理にせよ、DIYにせよ、ギターを弾くことにせよ、歌にせよ、自分自身のスキルを上げていきたいんです。歳を重ねるごとにできなくなってくることもあるかもしれないですが、上手いやり方を見つけていきたい。力を抜きながらも楽しめて、また探究もできる、ということにこれからも挑戦していきたいと思っています。取材後記1995年のデビューから、25年間、わたしたちの心に響く歌声を届けてくれている、山崎まさよしさん。ananwebの取材では、時に穏やかな笑顔を見せていただきながら、和やかに取材を進めることができました。これからも音楽活動や俳優業など、ご活躍が楽しみな山崎さんのメモリアルアルバム『STEREO 3』をみなさんも、ぜひチェックしてみてくださいね。写真・山本嵩取材、文・かわむらあみりヘアメイク・島徹郎(juice)スタイリスト・宮崎まどかプリントシャツ¥20,680(RAGA MAN / HOLLYWOOD RANCH MARKET)、カーゴパンツ¥14,300(REELL / HOLLYWOOD RANCH MARKET)、バングル¥5,500(FACTOTUM / FACTOTUM LAB STORE)ほか スタイリスト私物。<SHOP問合せ先>HOLLYWOOD RANCH MARKET〒150-0033 東京都渋谷区猿楽町 28-17Tel・03-3463-5668/FACTOTUM LAB STORE〒150-0021 東京都渋谷区恵比寿西2-17-16 代官山TKビル1F Tel・03-5428-3434山崎まさよしPROFILE1971年12月23日、滋賀県生まれ山口県育ち。1995年にシングル「月明かりに照らされて」でデビュー。 1997年公開の主演映画『月とキャベツ』の主題歌「One more time, One more chance」がロングヒットし、ブレイク。精力的な全国ツアーを行ってきたほか、全国各地のフェスやイベントへの出演、ミュージシャンとしてのセッション参加なども数多く、音楽ファンのみならず多方面から支持を得ている。2020年9月25日にデビュー25周年を迎え、アニバーサリーイヤーの締めくくりとなる2021年9月22日に、メモリアルアルバム『STEREO 3』をリリースする。InformationNew Release『STEREO 3』(収録曲)01.Prelude02.Hello ヘヴン03.Flame Sign04.霧雨05.虹のつづき06.サイドストーリー07.斉藤さん08.泣き顔100%09.温かい手10.Updraft2021年9月22日発売*収録曲は全形態共通。(通常盤)UPCH-20593(CD)¥3,300(税別)(完全生産限定盤)PDCN-1928(CD+プラモデル)¥7,700(税別)※プラモデル全長約100mm、スペシャルBOX【縦244mm 横190.5mm高さ48.5mm※若干の個体差が発生する可能性があります。】に同梱。写真・山本嵩 取材、文・かわむらあみり
2021年09月21日【音楽通信】第89回目に登場するのは、2019年のオーディションで選ばれて2021年9月にメジャーデビューする、個性豊かな6人組ダンス&ボーカルグループ、WATWING(ワトウィン)のみなさん!ダンス&ボーカルグループのオーディションで結成写真左から、鈴木曉、古幡亮、髙橋颯、桑山隆太、福澤希空、八村倫太郎。【音楽通信】vol.892019年に結成された、髙橋颯(たかはしふう)さん、鈴木曉(すずきあさひ)さん、桑山隆太(くわやまりゅうた)さん、福澤希空(ふくざわのあ)さん、古幡亮(ふるはたりょう)さん、八村倫太郎(はちむらりんたろう)さんからなる、男性ダンス&ボーカルグループのWATWING。2020年1月にインディーズデビューし、これまで4作のデジタルシングルと2枚のEPをリリースしています。個性豊かな6人のメンバーが揃い、日々歌とダンスに磨きをかけるなか、2021年9月22日に、いよいよEP『Take off,』でメジャーデビューされるということで、お話をうかがいました。髙橋颯。1998年5月8日生まれ。172cm。趣味はピアノ、ギター、ドラム。――ananweb初登場ということで、まずは自己紹介から、お願いします。古幡古幡亮です。特技はダンスです。最近は、環境問題にも関心があります。桑山桑山隆太です。最近は、レゴを作ったり、ピアノを弾いたりしていますね。ピアノは3歳からやっていて10歳で1度やめて、いまもう1度やりなおしています。髙橋髙橋颯です。いまはミュージカル『ジェイミー』(2021年8月8日〜9月26日)に出演(取材時)しています。福澤福澤希空です。最近、昔購入した『ウォーリーをさがせ!』という本を久しぶりに見たら、一瞬でウォーリーを見つけることができました。鈴木鈴木曉です。最近、親指だけで腕立て伏せができることを発見しました。他のメンバーはできなかったので、自信満々で、特技だと言うことにしました(笑)。鈴木曉。1998年2月15日生まれ。180cm。趣味は曲作り、筆で文字を書くこと。八村八村倫太郎です。グループでは、メンバーのトークをまわしたり、制作に携わらせてもらったりしています。――WATWINGは「Star Boys Audition」により2019年に結成され、2020年1月にインディーズデビューされています。それまで個人で活動されていた方もいますが、あらためてグループ結成のいきさつを教えてください。福澤もともと小5からダンスをやっていたので、ダンスを活かしたいと思って、できることはないかと探したらこの「Star Boys Audition」があって、受けました。――もともとみなさん同じ事務所に所属されていたわけではないですよね?古幡そうですね。僕は特技のダンスを仕事にしたくて探していたけどなくて。この「Star Boys Audition」は、パフォーマンスチームのs**t kingz(シットキングス)のNOPPOさんがフリをつけて世界的に発信していくというコンセプトだったので、これはぜひやりたいと思って、応募したんです。桑山隆太。2004年1月27日生まれ。174cm。趣味はピアノ、ソフトテニス。八村こうやってそれぞれの決意で6人が集まりました。全員出身地もバラバラで、ちなみに僕は神奈川県出身です。鈴木僕は宮城県だし。みんな見事にかぶっていないよね。福澤愛知県出身です。髙橋僕は埼玉県です。桑山東京都です。古幡長野県です。鈴木……もう、これはWATWINGの特技と言っていいんじゃない?髙橋え?出身地が違うこと?福澤それ、特技なのかな……。八村特徴だね(笑)。古幡ただ、関西出身の人がひとりもいなくて。ツッコミがいないというのが、逆にWATWINGの面白さです。髙橋(鈴木)暁が、最近はひとりひとりとコラボして、このチームにおけるツッコミ役をやってくれています。お笑いのエッセンスが加わるといいな(笑)。鈴木がんばっていきたいですね(笑)。福澤希空。2004年2月22日生まれ。173cm。趣味はダンス、ゲーム。――ここでおひとりずつ、隣のメンバーの「ここがスゴイ!」という長所を教えてください。古幡(桑山)隆太は、気配りがすごくできます。メンバー同士はもちろん、メンバー以外の方にも、そして対バンライブのときも他の出演者のファンの方々の名前を覚えてMCに入れたりもしていて。スケールが広くて、優しいところがスゴイところですね。桑山なんか鼻の下が伸びちゃいますね(笑)。(髙橋)颯は、ギャップを感じるところがスゴイ。普段は、年下の僕や(福澤)希空にも甘えてくれるときもあるんですが、いざステージに立つと別人のように、一気に「WATWING 髙橋颯」になる。切り替えもスゴイと思います。髙橋ありがとうございます(笑)。(福澤)希空は、ずっと元気で、我が道を進んで、すごくポジティブなエネルギーで居続けているところが、スゴイと思いますね。希空の場合は、目を見ると楽しそうにしているときも、心のなかでWATWINGへの思いがしっかりしているのを感じられて、素晴らしいと思います。福澤鈴木くんは、たぶんWATWINGのなかで、一番元気。テンションが高いので、ダンスの練習をして踊って疲れていても、休憩のときもすごくエネルギーを使うんですよ、全然休まない(笑)。古幡亮。1997年11月8日生まれ。174cm。趣味はダンス、海外旅行、料理。鈴木ちょっと、めんどくさいと思われてないかな(笑)!?福澤たまにそのテンションについていけないこともありますが(笑)、ボケてもその上を超えてくるんですよ、いつも。そこがまた、いいなって思うんです。そういうメンバーがひとりぐらいいてもいいなって。鈴木(八村)倫太郎はすごくオールマイティで、僕のこともカバーしてくれて、僕より年下なのにしっかりしていて、毎日勉強になります。それで、いい奴なんです……でも、あんまりホメると調子に乗るので、このぐらいに(笑)。八村(古幡)亮のスゴイところは、悩んでから行動に起こして実際に打破しようとする人は少ないと思うんですが、亮はしっかりとアクションできます。ひとりでできることじゃないにしても、他の人に頼ったりして、なんとかそこを乗り越えようとするから、見習うことが多くて、それが素敵ですね。古幡どうもありがとう(笑)!八村倫太郎。1999年7月28日生まれ。178cm。趣味はクランプダンス、料理、曲作り。――みなさんはプロになる前によく聴いていた楽曲や憧れのアーティストの方はいますか。古幡僕がいまこの活動をやる原点は、BIGBANGの方々で、そのなかでもG-DRAGON (ジードラゴン)さん、SOL (ソル)さんが好きなんです。アーティスト性がすごくかっこいいなと、自分にもっと磨きをかけたいと刺激をもらっている存在ですね。髙橋(古幡)亮はものすごくファンなんですよ。桑山僕はこの活動を始める前は、BTSのみなさんを中心としたK-POPに憧れていました。でもWATWINGに入ってからは、みんなの影響も受けるようになって。WATWINGとしては、自分たちのオリジナルをどんどん作って、みなさんから僕らを目標にしたいと思われるグループになりたいですね。八村(髙橋)颯や僕は、洋楽がすごく大好きで。メンバーそれぞれルーツがいっぱいあるところから始まって、この世界に入って音楽を始めたから、お互いに詳しい音楽などをシェアし合っています。それをWATWINGに落とし込めないかなと探したり。そうやって、WATWINGというひとつのジャンルができたらいいなと思っています。鈴木だから、みんなで音楽の話をするのは楽しいですね。メジャーデビュー作はこれから続く旅の始まり――2021年9月22日に1stEP『Take off,』でメジャーデビューされます。現在のお気持ちをお聞かせください。八村WATWINGのファンの方々を「Windy」と呼んでいるのですが、Windyのみなさんに感謝している気持ちが大きいんです。メジャーという新しいステージを大空ととらえて、そこをWATWINGという翼で羽ばたいていくことになったのも、みなさんからの大きな愛があるからこそで、とても感謝しています。アルバムタイトルの「Take off,」という言葉の最後にカンマをつけているのは、これから続いていく旅の始まり、という決意を秘めていて、今作の楽曲もひとつずつの魅力があります。メジャー1作目としては、十分な手応えを感じていますね。古幡このEPには5曲収録されているんですが、どの曲も僕らがアーティストとして目指すべきものを常に追求しています。いまもゴールは完璧に見えていないなかで、色とりどりの作品が揃っています。――収録曲についてもうかがいます。EPのリード曲となる3曲目「HELLO WORLD」はスケール感のあるキャッチーな楽曲ですね。桑山メロディを聴いたときにもう、忘れられないような楽曲だと感じました。この曲の振り付けは、BTS「Butter」の振り付けに参加した世界的ダンスクルー「GANMI(ガンミ)」さんにやっていただいたんです。視覚的なキャッチーさを意識した振り付けで、踊っている僕たちも楽しくて、観ているWindyの方々も楽しく踊れるという、コンセプトになっています。歌詞に「取り合ってhand in hand」というフレーズがあるんですが、新しく僕たちを知ってくれた方にも、国境や言語は関係なく、音楽ひとつで人と人がつながろうという意味を込めて、今回この曲を完成させました。――「HELLO WORLD」のミュージックビデオ作品のみ、9月6日に先行発売されましたが、登坂淳一アナウンサーも出演する、ユーモアのある内容になっていますね。髙橋面白さや楽しさのあるものもやってみたいね、という話になって、この内容になりました。登坂さん演じるWATWINGのマネージャーが監督にプレゼンに行くところから始まるんですが、僕たちダンス&ボーカルグループなのに監督が勘違いして、不思議なミュージックビデオになっていくという。最後に向けて、徐々にかっこいいWATWINGになっていきます。古幡最後は本来のWATWINGを取り戻していくという内容で、制作の方々とも僕ら会議をしながら決めていきました。いまはきちっとパフォーマンスする完成形のミュージックビデオも多いなか、ありのままの僕らの楽しさやコミカルさも出ていて、新しいものになりました。――軽快でカッコいい2曲目「Sensation」に込めた思いも教えてください。鈴木この曲で、この音楽史上にセンセーションを巻き起こしたいという意味を込めて歌わせてもらいました。歌詞に注目してもらいたいのですが、WATWINGというグループ名にはWING=翼が入っているので、空や翼という言葉も歌詞にうまくはめられていて、僕たちらしい曲になっています。古幡曉がリスペクトしているFLATLINEというクリエーターの方に作っていただいた曲です。インディーズの頃からお世話になっている方なので、これまでの僕らのすべてを知り尽くしているからこそ、こんなWATWINGらしい歌詞とメロディができました。髙橋曲調も明るいですし、歌っていてもとっても楽しいんですよ。福澤歌詞では「翼 広げて Fly away」とあるところにミニフレーズがあるんですが、そういうところをファンの方と一緒に歌えることを楽しみにしています。――EPの最初、1曲目「Spark!!」は、どのようなイメージでみなさん歌っていますか。八村パワフルな曲ですが、僕たちあんまりサビをユニゾンで歌うことがないところ、この曲はユニゾンで歌っています。僕たちのエネルギッシュな一面を出せているんじゃないかな。この曲の振り付けは(古幡)亮が担当しています。古幡インディーズの頃から、WATWINGの曲は何曲か、僕が振り付けを担当しています。このメジャーデビュー作でも、ありがたいことに大切な作品のなかでこうして振り付けを担当させていただけるというのも、とても幸せです。鈴木今作では、2曲、振り付けをしてくれたよね。髙橋「Spark!!」と「HERO」の2曲を振り付けしてくれました。――「HERO」のミュージックビデオも、初回生産限定盤BのDVDに収録されています。八村はい。このミュージックビデオでは、素の僕らが出るようにと考えて作って、個々のキャラクターに合わせた衣装になっているんですよ。鈴木全員、大満足の出来でした。古幡「HERO」は、インディーズ時代の「Shooting Star」という曲でお世話になった監督に撮っていただきました。僕らと同世代の若い監督なのですが、以前からさらに進化して、かつ僕らの魅力を最大限に引き出してくださるプランを立ててくださって、最高の作品になっています。――クールなイメージの5曲目「Turn it up」はいかがですか。古幡まだ振り付けはされていないんですが、この曲だけダンスパートが入っていて、そこが気持ちいい曲です。福澤WATWINGの曲に、初めてこういうテイストの曲がきました。振り付けがどんなふうになるか楽しみです。八村この曲で、新しい僕たちの顔を見せることに挑戦した気持ちがあります。EPのラストにこの曲がくるので、聴いてくださった方が、これでWATWINGの魅力にトドメを刺されたと思ってほしいですね。髙橋僕ら、実はこういうテイストの曲も得意です。古幡レコーディングも楽しかったよね。桑山すごくフリーダムにレコーディングをやらせてくださいました。八村どうすれば音楽に対するグルーヴが出せるのか、イン・シンクやマイケル・ジャクソンといった素晴らしい人たちの歌い方をみんなで研究して、挑みました。髙橋僕はこの曲の歌に、パワフルなメッセージを込めました。僕たちときどき人狼ゲームをやるんですが、この曲を初めて聴いたときに、人狼ゲームのような狼と、誰もいない荒廃とした夜の雰囲気や力強さ、生命力を感じたんです。そこをすごくコミットしました。歌に苦労したので、そのぶんダンスで発散したいと思います。鈴木イントロで狼が鳴いとるもんね。古幡狼っぽく聴こえるやつね。――今後、「WATWING Major Debut EP『Take off,』リリース記念ワンマンライブ〜Departure〜」が、有観客で9月23日に東京・Veats Shibuya、26日に大阪・Live House ANIMAで開催されます。どのようなライブになりそうでしょうか。八村初めてこのEP『Take off,』の全5曲を披露できるので、ワクワクしています。最近、WATWINGとWindyのみなさんとのつながりがどんどん深くなっていることを感じています。髙橋そして、関西に初上陸します。古幡大阪のライブでは、きっと初めましての方もいると思うので、そこもまた新鮮でうれしいなって思っています。世界へ羽ばたくため東京ドームのライブを目指す――みなさんは「おうち時間」をどのようにお過ごしですか。古幡家ではけっこうゆっくりしていて、Netflixでアニメ『ワンピース』を観ていますね。昔からアニメや漫画にはあまり興味がなかったのですが、家にいる時間で名作を観るようになってから、楽しいです。桑山僕はピアノを弾いたり、レゴを作ったりしています。最近は、レゴでスター・ウォーズのヨーダを作りました。キットがあったので買ってみたら、見事にハマっちゃいましたね。それ以外は、日本の映画を観るのが好きで、最近だと『きみの瞳が問いかけている』や『糸』を観て泣きました。髙橋僕は、YouTubeを観ることが多いですね。例えば、きれいな部屋でいい感じのお兄さんが、顔は写っていないけれど、キャンバスに絵を描いている様子とか。朝に聴きたいBGMが流れているようなものとか。でも、一番はタイトル一覧を見るのが好きです。テレビ番組表の一覧とか。その作品を表す見出しをつい、目で追ってしまいます。福澤つい先日iPadが届いて、いまはまだゲームのアプリしか入っていないんです。でも、画面が大きいので、映画が観たいときにiPadで観てみたいと思います。鈴木僕は、いま曲作りが楽しいですね。ワンマンライブやリリースイベントが始まる前に流す、踊れるビートだけのメロディが入ってない音を作るのが好きで。昨年のライブでも、独学ですがパソコンの「ロジック・プロ」というフォーマットで自分で曲を作って、WATWINGで踊りました。自分で作った曲をみんなで踊れるのが楽しくて、これからも曲作りを続けていきたいと思っています。八村僕はひとり暮らしを始めたので、QOLを上げたくなって、まったく育てたことのない観葉植物を置いてみました。これまでインテリアに凝ったこともないのに、ちょっとレコードも買って置いてみて、部屋の雰囲気を上げたいなと。あとは料理をしています。ストレス解消にもなっていて、疲れていても料理したくなるときは、夜な夜な野菜炒めを作ったりしています。鈴木好みの味にできるから、自分で作ったほうがおいしいよね。八村そう、そう。メンバーと曲を作ったりもありますね。いまもアイデアがいっぱいあるので、またいつかそれを形にしたいと思っています。――楽曲ではラブソングを歌うこともあると思いますが、みなさんが魅力を感じる女性像はどのような方でしょうか。古幡やっぱり、波長が合うのに越したことがないかな。一緒にいて楽な人、居心地がいい人ですね。桑山魅力的なのは、自分の活動を理解して、応援してくれる人ですね。髙橋いいギャップを感じられるような人です。例えば、いつもはおろしている前髪をある日、ちょっと上げているとか、そういうことでもいいんです。普段とは違う一面を見せてくれる人ですね。福澤僕と一緒にいて、よく笑ってくれる子がいいです。それとよくしゃべる人も魅力ですね。鈴木僕は、何かをがんばって成し遂げようとしている人です。仕事をがんばっていたり、目標を持って努力していたりするといいですね。八村愛があれば、それがすべてです(笑)。自分にも、まわりにいる人たちにも、愛のある人が好きですね。――いろいろなお話をありがとうございました。では最後に、メンバーを代表しておひとり、WATWINGとしての今後の抱負をお聞かせください。古幡まずは、東京ドームを目指していきたいです。これからどう進んでいくのかというところで、常にWATWINGを自分たちでも追求していきたい。この6人で、WATWINGというジャンルを作っていきたいと思っています。そのためにも、Windyの方たちとは変わらずに、そしてたくさんの人たちにも僕たちのことを知ってもらうために、どんどん魅力を磨いていこうと。世界へ羽ばたくために、まずは東京ドームでライブができるよう、がんばります!取材後記映えあるメジャーデビューのタイミングで、髙橋颯さん、鈴木曉さん、桑山隆太さん、福澤希空さん、古幡亮さん、八村倫太郎さんからなるWATWINGのメンバー全員が、ananwebに登場。取材中も、和気あいあいとした仲の良さを見せてくれました。そんなWATWINGのEPをみなさんも、ぜひチェックしてみてくださいね。写真・山本嵩取材、文・かわむらあみりWATWINGPROFILE2019年「Star Boys Audition」により結成された、髙橋颯、鈴木曉、桑山隆太、福澤希空、古幡亮、八村倫太郎からなる、男性ダンス&ボーカルグループ。2020年1月、デジタルシングル「Only One Life」でインディーズデビュー。これまで4作のデジタルシングルと2枚のEPをリリース。2021年9月22日、EP『Take off,』でメジャーデビュー。「WATWING Major Debut EP『Take off,』リリース記念ワンマンライブ〜Departure〜」を9月23日に東京・Veats Shibuya、26日に大阪・Live House ANIMAで開催。2022年、初のZeppツアー<WATWING TOUR 2022>を4月23日に大阪・Zepp Osaka Bayside、24日に東京・Zepp DiverCity(TOKYO)で予定している。InformationNew Release『Take off,』(収録曲)01.Spark!!02. Sensation03. HELLO WORLD04. HERO05. Turn it up2021年9月22日発売*収録曲は全形態共通。(通常盤)TFCC-86781(CD)¥2,200(税込)*初回プレス特典:メンバー撮影ランダムトレーディングカード(通常盤ver.)※全6種のうちランダムで1種封入+WATWING Zepp TOUR 2022プレミアムエリアチケット最速先行シリアルナンバー封入(初回生産分のみ)。(初回生産限定盤A)TFCC-86777~86778(CD+DVD)¥3,500(税込)<初回プレス特典>スペシャル紙ジャケット仕様、メンバー撮影ランダムトレーディングカード(初回生産限定盤Aver.)※全6種のうちランダムで1種封入+WATWING Zepp TOUR 2022プレミアムエリアチケット最速先行シリアルナンバー封入。<DVD収録内容>「HELLO WORLD」Music Video & Music Video Making映像収録。(初回生産限定盤B)TFCC-86779~86780(CD+DVD)¥3,500(税込)<初回プレス特典>スペシャル紙ジャケット仕様、メンバー撮影ランダムトレーディングカード(初回生産限定盤Bver.)※全6種のうちランダムで1種封入+WATWING Zepp TOUR 2022プレミアムエリアチケット最速先行シリアルナンバー封入。<DVD収録内容>「HERO」Music Video& Music Video Making映像収録写真・山本嵩 取材、文・かわむらあみり
2021年09月21日メガシンノスケ、通称メガシン。2000年生まれ、現在20歳。音楽制作をはじめたのは’17年、高2当時とかなり最近だ。しかし、ジャンルレスなポップセンスと高いセルフプロデュース力で瞬く間にその存在を音楽好きに浸透させた。気づけばTV・雑誌などのメディアやサブスク系音楽サービスで期待のニューアーティストとして取り上げられるように。’19年には上京し、菅田将暉や入野自由に楽曲提供をするなど活躍の場はどんどん拡がっている。そんな中、初のアルバムをリリース。どんな意気込みのある作品かと思いきや「そもそもアルバムを出す気なんかなかった」とあっさり。タイムパフォーマンスを重視したサブスク世代のアルバム観とは?「なんか僕自身が10代のころ全然音楽を聴いてきてないんですよ。だからCDアルバムを買う感覚ってどういうものかよくわかんなくて……。誰が11曲も入っているもの通して聴くの?って思っちゃう」サブスクでザッピングしながら聴くのがデフォルト化された世代ならではの意見に返す言葉もないが、そんなカテゴライズのない音楽の渦中に常にいるからこそ、メガシン流のアルバム定義が生まれたようだ。「サブスクで縦横無尽になんでも聴けるから気づくこともあるんです。最近は、ザ・ストロークスやアークティック・モンキーズ、オアシスみたいなロックバンドがかっこいいと思っていて。ガレージロックならガレージロックって、彼らはやっていることがめちゃくちゃ一貫しているじゃないですか。でも、僕は飽き性だからたぶん彼らみたいに一つのジャンルを突き詰めてっていうのはできない。でも、だったら自分の一貫性ってなんだろうって考えたんです。創作の影響はいろんなジャンルやカテゴリーから受けるけど、そこから僕が作るものは全部オルタナティブ。そこに自分なりの広い意味での一貫性があればいいんじゃないかって思えた。そういう一貫性を持てるならアルバムってものも作れるんじゃないかなってなったんです」トラップ、ヒップホップからインディーポップ、’80sなディスコサウンド、渋谷系的サンプリングミュージック……メガシンが“面白い”“かっこいい”と感じたものをあらゆる垣根を越えてクロスオーバーさせ、次々と曲に落とし込んでいく様は、聴いていてめくるめく高揚感があり、懐かしくも新しい。「ずっと等身大でいたいって思うんです。ラップ好きだし、けっこう得意だからやりたいけどゴリゴリしたものをやるのは自分のスタイルじゃない。だったらスチャダラパーさんみたいなゆるい日常を歌う感じが自分には合うかな、とか。そういう好きなカルチャーを持ってきて、こういうのもあるよってどんどん提示していきたいんです」そして、最初に言っていた通り、通して聴く時間にもこだわりが。「サブスクでアルバム聴く時って真っ先にスクロールして何分のアルバムか確認するんです。1時間超えていると“うわあ”ってなる。だから、このアルバムもどうしても40分以内にしたくて。結局、39分になった。サンキュッパみたいでお得感ないですか?この値段、質、満足感でタイムパフォーマンスもいいっていう。それもマジで売りです(笑)」地元の盟友であるラッパー、クボタカイをフィーチャリングした「兄弟 feat. クボタカイ」をはじめ「Thinking Boyz!!!」「明日もこの世は回るから」など全11曲を収録。『CULTUREDOG』¥3,300(Mega Shinnosuke)メガシンノスケ2000年11月20日、東京都生まれ。福岡で育つ。アーティスト名は本名。’18年に1st mini EP『momo』、翌年にEP『HONNE』をリリースし注目を集める。11月には初のツアーを開催する予定。※『anan』2021年9月22日号より。写真・小林真梨子取材、文・梅原加奈(by anan編集部)
2021年09月20日これぞ国民的アーティスト!と叫びたくなる、桑田佳祐さんの(意外にも)初のEP。『ごはん味噌汁海苔お漬物卵焼き feat. 梅干し』というタイトルの通り、私たちが食べたいもの―というか、聴きたい曲だけがキッチリ揃っているのだ。桑田さんらしいユーモアもあるので、一瞬フフフッと笑って済ませそうになるが、よくよく考えると、こんなに明確なタイトル、他にない。国民的アーティストの究極を突き詰めた、珠玉のEP。すでに先行シングルやCMソングとして、お茶の間で親しまれている楽曲も含めた全6曲。まずは何より、この夏、民放共同企画“一緒にやろう”応援ソングとして、オリンピックのテレビ中継で頻繁に流れていた「SMILE~晴れ渡る空のように~」。オリエンタルなメロディやコブシのきいた歌に日本を感じさせながら、エレクトロなトラックでグローバルなスケール感も取り込む。ここからして、オリンピックにぴったりなのだが、それだけではない。《栄光に満ちた孤独なHERO》と歌う一方で、シンガロングしたくなるコーラスも飛び出す。世界も日本も、みんなもあなたも見つめた、それでいてシリアスに走り切ることはなく、《でなきゃモテないじゃん!!》なんて軽妙さも忘れない、素晴らしいポップソングになっているのだ。さらに、スバルのCMソングとしても流れている、「炎の聖歌隊[Choir(クワイア)]」を聴くと、はっきり浮かび上がってくるものがある。クルマに似合う爽やかさの中に《笑顔》《あなた》《愛しい》といった、「SMILE~晴れ渡る空のように~」と共通するキーワードがちりばめられているのだ。これらは、困難を極める時代において、桑田さんが見出した大切なものなのではないのだろうか。なお、1曲目の「Soulコブラツイスト~魂の悶絶」は、アーティスト写真そのままの、力のこもった熱唱と、生々しい演奏が味わえる。弱りかけた気力を奮い立たせ、バラバラになった心を結び付ける、音楽にしかできない、桑田佳祐さんにしかできない、魔法のようなエッセンスが隅々にまで行き届いた、今、この国に響かせたい一枚だ。『ごはん味噌汁海苔お漬物卵焼き feat. 梅干し』未発表の新曲3曲も収録。完全生産限定盤は、3月の無観客配信ライブの映像がつく。【完全生産限定盤A、B(CD+Blu-ray、DVD)】¥6,380【通常盤(CD)】¥2,090【アナログ盤(LP/重量盤)】¥2,860(タイシタレーベル)くわた・けいすけ1956年2月26日生まれ。神奈川県出身。’78年にサザンオールスターズで、’87年にソロでデビュー。9月18日の宮城・セキスイハイムスーパーアリーナから、12月31日の横浜アリーナまで、ツアーを開催。※『anan』2021年9月22日号より。文・高橋美穂(by anan編集部)
2021年09月19日岡崎体育の連載「体育ですけど、オンガクです」。今回のテーマは「SNS」です。以前に「SNSからメジャーへ」というお題でお話をさせていただいたことがあると思います。その時も“SNS生まれのアーティスト”とくくるのはナンセンスだと思う、と話をしました。今、アーティストがSNSをやって自己アピールするのは当然のこと。誰しもがSNS発信をする時代です。僕自身もYouTubeでMVがバズって注目を集めたタイプのミュージシャンですし、TwitterやInstagramなどのSNSを活用して、自分の活動のひとつの支柱としてきました。しかし、最近は、そろそろもうそれに頼りすぎなくてもいいのではないか?と思い始めてきています。そう思うのは、今、ネットカルチャーの中心にいるのは、僕より若い世代の方々だと思うからです。10代、20代が中心だということは何も悪いことではないと思います。新しいものをどんどん吸収したいと思うのは当然のことですし、TwitterやYouTubeよりTikTokが流行の発信地になっていることもそうですし、みんなが関心あるのは、まだ流行ってない、これから流行るもの。TikTokはそういう意味では、自分の興味あるものだけでなく、なんでもザッピングしながら、手軽にいま面白そうなものをキャッチアップすることができる。トレンド感のあるものが、良くも悪くも凝縮されている場だと思います。そこで楽しい、面白いと多くの人に思われたネタや人、音楽などが話題の中心となっていく。ネットの世界は、そうやって何かしら新しいアクションを起こし続けていないと生き残れない世界です。だからといって若い世代と同じことを真似してやっても仕方ない。僕がこれから考えないといけないのは30代の表現者としてSNSでどんな発信をしていくべきなのか、ということだと思います。ミュージシャンの間で、「最近はYouTubeにMVを公開しても視聴数が伸びない」という話をよく聞きますが、それを時代のせいにばかりしてはいけないですよね。僕はこれからも岡崎体育の訴求力ここにあり、というオリジナリティのある発信をしていきたいです。コロナ禍の世の中で日々、仕事の現場と家の往復だけ。日常のツイートも自炊したごはんのことばっかりになりがちですが、そんな中でもみなさんに面白い!と言ってもらえることを果敢に狙っていきたいと思います。SNSでのそういう嗅覚はまだまだ衰えていないはずです。おかざきたいいく10月20日(水)に約2年9か月ぶりとなる4枚目のオリジナルアルバム『FIGHT CLUB』が発売に。11月23日(火)、横浜アリーナでワンマンライブ「めっちゃめちゃおもしろライブ」を開催。※『anan』2021年9月22日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・村田真弓文・梅原加奈(by anan編集部)
2021年09月18日【音楽通信】第88回目に登場するのは、これまでに8度のワールドツアーを成功させ、音楽活動以外にも俳優としてハリウッドデビューを果たし、ワールドワイドに活躍している、世界的ギタリストのMIYAVIさん!バンドの花形であるギターを選んだ理由【音楽通信】vol.88エレクトリックギターをピックを使わずにすべて指で弾く、独自の“スラップ奏法”でギタリストとして世界中から注目を集め、これまでに約30か国 350公演以上のライブとともに、8度のワールドツアーを成功させている、MIYAVIさん。音楽活動の一方では、アンジェリーナ・ジョリー監督の映画『不屈の男 アンブロークン』(2016年日本公開)で俳優としてハリウッドデビューを果たし、2017年には日本人として初めてUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の大使に就任。そんなさまざまなかたちでワールドワイドに活躍するMIYAVIさんが、2021年9月15日にニューアルバム『Imaginary』をリリースされるということで、お話をうかがいました。ーーおさらいとして、まずギターを始めたきっかけから教えてください。もともと小学生の頃からサッカーをやっていて、プロを目指していました。大阪にあるプロチームのジュニアユースに入ったのですが、14歳ぐらいのときに怪我で挫折して。そこから地元の友人たちとバンドでもやるか、となって。ーーいろいろと楽器はありますが、なぜギターだったのでしょうか。やっぱギターはバンドの花形、ある種ロックの象徴。バンドといったらギターだろう! と単純な思考で選びました。ーーユースチームに入るほどの才能もあり、そこからさらにこうして音楽活動などでもご活躍されていてすごいですね。サッカーのほうはそんな才能ないですし、とはいえ音楽のほうも才能ではなく、これは僕に限らずですが、一つの物事にどれだけの熱量と時間をかけているか、ということだと思うんです。サッカーでは僕よりも才能のあるプレーヤーはいましたし、だから僕はキープアップできなかった。そういう意味では、その挫折で得たものを音楽活動に活かしている部分はあると思います。ーー当時よく聴いていたアーティストの音楽はなんでしょうか。(アメリカのブルースギタリスト)スティーヴィー・レイ・ヴォーンですね。他とは違う、一度音を聴いたら「あっ、スティーヴィーだ!」とわかる音の強さと、唯一無二の存在感が好きでした。(エリック)クラプトンや、ジミ・ヘンドリックスも好きでしたね。アルバムを聴いて「未来を感じてほしい」ーーMIYAVIさんは9月14日が40歳のお誕生日ということで、おめでとうございます。ありがとうございます。ーーお誕生日の翌日、2021年9月15日に13枚目のアルバム『Imaginary』をリリースされるということで、30代最後の作品となりますね。仕上がった手応えから教えてください。実は、このアルバムはもともと去年4月に発表した前作『Holy Nights』に続けてすぐリリースしようと思っていた作品なんですが、コロナでツアーなどが延期になり、やっぱり自分にとっては、こういった音楽作品ってライヴでオーディエンスの皆に届けてはじめて完成する部分もあるので、改めて2021年に発表することになりました。前作は『世界に目を向けると世界は燃えている、この時代で何を歌えるのか、歌うべきなのか』というテーマで制作して、今作では『その後の世界、どんどん価値観がシフトしていく中で僕たちの新しい在り方、存在意義』をテーマに作りました。今、このコロナ禍でこの時代に生きていて思うことは、『音楽家として何ができるのか』僕たち音楽家は少なからず影響力を持っていて、その力を持って作品を通じて、救える人がいるとしたら、少しでも未来への希望を持てるものを作りたい。僕たちの持つ想像力や創造性、これこそが未来へのキーなんじゃないかと。『Imaginary』というタイトルをつけたのも、未来を指し示すためです。ーー昨年リリースするつもりだったということは、制作期間は長かったのですか。はい、昨年の段階で作り上げていました。でもリリースするタイミングを延ばすとなって、そのまま一度冷凍保存したんです。やっぱり時代が変わると、言いたいことの温度感も変わってくるので。そして今年の2月ぐらいから制作を再開しました。ーー収録曲についてもいくつかうかがいます。2曲目「Imaginary (feat. Kimbra)」は9月1日に先行配信された楽曲で、アルバムのタイトル曲でもあります。もっとも今作を表す楽曲ということになるのでしょうか。そうですね。Imaginary、想像力、イマジネーション、これこそが、僕たちの未来を切り拓いていくうえでの武器だと強く感じています。1曲目「New Gravity」も、アルバムのタイトルにしようかなと思っていたくらいの曲で。新しい重力、既存のルールや在り方、自分たちが作ってきたもの自体が自分たちを縛り付ける重力そのものだったんじゃないかと。そこから解き放たれて、新しい価値観、新しい世界の中で、僕たちがどう飛べるのか、を歌っています。ーー6曲目「Hush Hush (feat. Kang Daniel)」は韓国の男性アイドルグループのWanna Oneの元メンバーである、韓国の歌手、カン・ダニエルさんとの楽曲ですね。MIYAVIさんが、コラボのお声をかけたということですか。そうです。コロナ禍での制作期間だったので、直接会わずにリモートで制作していって。会わずしても、こうしてつながって、完成できたのもご縁だと思います。自分だけでは出せない表現をしてくれたと思いますし、曲の世界観が広がったので、すごくうれしいです。ーー4曲目「Smells Like Teen Spirit」はニルヴァーナのカバー曲です。7曲目にもカバー曲はありますが、このニルヴァーナの曲を選んだ理由はなんでしょうか。カラオケで得意なんで……というのは冗談ですが(笑)、やっぱり歴史を変えた楽曲ですから。同じギターミュージックとして、新しい解釈で挑ませていただきました。7曲目「Youth Of the Nation (feat. Troi Irons) 」(P.O.D.の「Youth of the Nation」カバー)は、ちょうどアメリカで学生運動が盛んになっていた時期に作りました。やはりいつの時代も未来を作るのは、若い世代。これもオリジナルと全然ニュアンスが違うし伝え方は違うけれど、現状を打破する、熱量の大きさという意味では負けていない曲になっています。ーーすでにアルバムから先行配信された楽曲もありますし、みなさんの反響も楽しみですね。そうですね、やっぱり、自信はありますよね。歌うべきことを歌っている自信はあるし。マイナーチェンジですけど、自分のなかでの成長というか。エクスプレッションの部分、表現力やコンポーズ能力は上がってきていると感じていますーー9月30日から10月は、アメリカ合衆国とカナダで19都市をまわる北米ツアーを予定されていますね。現在の状況下ではライヴを行う際、大変なこともありませんか。正直、コロナで先が見えないところもありますが、やるしかないですし、何よりやれることに感謝したいです。日本では、アルバム『Imaginary』のリリース前日が誕生日なので、節目を祝うバースデーライブをUSEN STUDIO COASTで開催します。そのあと、もうひとつ、京都の清水寺で新たなバーチャルライヴを行う予定で、その後に北米ツアーとなります。ーー清水寺でのライヴは、配信されるのですか。配信します。とくにオリンピックの開閉会式を観て強く思ったこともあったので、僕だったら、日本のライヴをこうしますよ、ということを表現したライヴになる予定です。日本から世界に対して、メッセージを発信します。ーー日本から発信されるというのは、日本人としてもうれしいですね。清水寺でロックするのは、初めてのことみたいです。何より神聖な場所ですし、僕たちも気を引き締めて臨みたいと思います。「目の前にいる人たちに音楽を届けたい」ーー音楽活動以外では、2021年9月10日から配信されたデヴィッド・リーチ製作総指揮による、アメリカのアクションスリラーでNetflix映画の『KATE』にもご出演されていますね。日本人キャストとしては、他に浅野忠信さん、國村隼さんもご出演されています。『KATE』は監督と出会って、オーディションを受けて、役柄がハマったというのもあって、参加させていただきました。タイで撮影しましたが、他の日本人のキャストの方とはシーンが別だったので、そんなに絡んでいないですね。作品自体は、初めてのガチアクションなので、面白かったです。なかなかギタリストで、アクションもやれる人はいないと思うし、こんな挑戦をさせてもらえること自体、とても光栄でした。ーーその一方で、9月3日から配信された新しい音楽バラエティ番組、Amazon Prime Video「ザ・マスクド・シンガー」では、パネリストとしてご出演しています。全米で大ブームだった人気番組の日本版だそうですね。この日本版は大泉洋さんがMCで、パネリストは他にPerfume、水原希子ちゃんたちも一緒に出演しています。マスクをかぶったパフォーマーが歌い競い合い、僕たちは誰もその正体を知らずに観るんですが、今回日本の曲がほとんどで、70〜90年代の邦楽の強さをあらためて感じました。NetflixやAmazon Prime Videoといった新しいメディアの台頭もあって、世界中で観ることができる。作品の作り方も変わってきていますよね。こういったメディアを通じて、今この瞬間に地球の裏側の人にコンタクトできる。これは、文明のパワー。それを良い形で使うのか、そうじゃない形で使うのかは、僕たち次第だと思っています。ーーではお仕事以外で、おうちにいる間はどのようにお過ごしですか。キッズたちと遊ぶことが多いですね。生まれたばかりのベイビーもいるし。ーーお子さんにはギターを教えることも?ギターも教えますし、歌も一緒に歌います。皆でファミリーバンドもやります。夏はプールも行ったりキャンプに行ったりしました。いまは日本にいるので、できるだけ日本の文化を経験させてあげたいですね。ananwebをご覧の方のなかには、僕と同じようにお子さんがいる方もいるかもしれないですが、子を持つというのは、やっぱり大変だし、もう一度自分の人生をやり直すような不思議な感覚もあります。自分のDNAが入っている子どもたちの軌跡を見ながら、うまくガイドしていくのは大変だけど、自分たちもまた人として成熟していく、その過程だと感じます。ーーMIYAVIさんは日本だけでなく、海外でもご活躍されていますが、そのエネルギーの源はどこからきているのでしょうか。うーん、どうだろう。小さいときから、人が驚いたり喜んだりする顔を見るのが好きなので、「ワオ!」という体験を共有したい、という思いからかなと。「ワオ!」を感じたときに、未来を感じる。人を喜ばせたくて、自分もエネルギーが湧いてくるのかもしれません。ーーいろいろなお話をありがとうございました。では最後に、今後の抱負をお聞かせください。9月のバースデーライブをやったあと、日本から世界に届けるプロジェクトにチャレンジします。それはきっと(VRを使用したリアルとバーチャルをつなぐパフォーマンスイベントの)「Virtual LIVE」の延長線上になるはず。そして、いよいよアメリカツアーがはじまります。年内には、日本でもツアーをしたいですね。いまはライヴに行きたくても行けない方もいるじゃないですか。ライヴをやることだけが正解ではないと思うんです。だけど僕のやれることはやっぱり、目の前にいる人たちに音楽を届けること。なので、また早くライヴで皆に会いに行きたいですね。取材後記その志の高さで、ギタリストとしてはもちろん、俳優としても、ボーダーレスに国内外でご活躍されているMIYAVIさん。ananwebの取材では、未来を見据える力強い瞳が印象的でした。そんなMIYAVIさんのニューアルバムをみなさんも、ぜひチェックしてみてくださいね。写真・山本嵩取材、文・かわむらあみりスタイリスト・櫻井賢之[casico]<スパンコールセットアップ>ジャケット¥869,000、シャツ参考商品、パンツ¥385,000、ソックス参考商品、スニーカー参考商品/グッチ(グッチ ジャパン クライアントサービス 0120-99-2177)MIYAVIPROFILE1981年9月14日、大阪府生まれ。バンド活動を経て、2002年からソロ活動を開始。以降、コンスタントに作品を発表し、国内外でのライブも成功に収めている。2019年7月、アメリカのドジャースタジアムで行われた大リーグ始球式での国歌演奏で観客を魅了し、日本、アメリカで話題騒然となった。アンジェリーナ・ジョリー監督映画『不屈の男 アンブロークン』(2016年日本公開)では俳優としてハリウッドデビューも果たした他、国内では『BLEACH』『ギャングース』(ともに2018年公開)、国外では『キングコング:髑髏島の巨神』(2017年日本公開)、『マレフィセント2』(2019年日米同時公開)などにも出演。2020年6月、GUCCIがグローバルに展開する「Gucci Off the Grid」コレクションの広告に起用される。GUCCI創設以降、約100年の歴史のなかで広告に日本人の著名人が起用されるのは初の快挙となった。2021年9月15日、アルバム『Imaginary』をリリース。アルバム発売前夜の誕生日となる9月14日、バースデーライブを東京・STUDIO COASTにて、9月18日、京都・清水寺でライブを開催。9月30日からは、カナダ・アルバータ州カルガリーを皮切りに、ロサンゼルス、ニューヨークを含む北米19都市を巡る、北米ツアー「MIYAVI North America Tour 2021」を行う。InformationNew Release『Imaginary』(収録曲)01.New Gravity02.Imaginary (feat. Kimbra)03.Warrior04.Smells Like Teen Spirit05.Living In Fire06.Hush Hush (feat. Kang Daniel)07.Youth Of the Nation (feat. Troi Irons)08.I Swear09.Are You With Me?10.Dance With Me11.Super Hero2021年9月15日発売*収録曲は全形態共通。(通常盤)TYCT-60176(CD)¥3,080 (税込)(完全生産限定盤A)TYCT-69206(CD+DVD)¥4,400 (税込)(完全生産限定盤B)TYCT-69207(CD+DVD)¥4,400 (税込)(UNIVERSAL MUSIC STORE 限定セット)通常盤+Tシャツ¥5,500(税込)*サイズ:Lサイズ(ワンサイズのみ、身丈 73cm,身幅 55cm,肩幅 50cm,袖丈 22cm)。写真・山本嵩 取材、文・かわむらあみり スタイリスト・櫻井賢之[casico]
2021年09月14日【音楽通信】第87回目に登場するのは、音楽界とお笑い界の才能が集結した、小籔千豊さん、くっきー!(野性爆弾)さん、中嶋イッキュウさん、川谷絵音さん、新垣隆さんからなる5人組バンド、ジェニーハイ!番組をきっかけに才能豊かなメンバーが集結写真左から、新垣隆(Key)、くっきー!(野性爆弾/B)、中嶋イッキュウ(Vo)、川谷絵音(Gt)、小籔千豊(Dr)。【音楽通信】vol.87バラエティ番組『BAZOOKA!!!』(BSスカパー! 2011年〜2019年)発のプロジェクトとして、2017年に誕生した小籔千豊(Dr)さん、くっきー!(野性爆弾/B)さん、中嶋イッキュウ(Vo)さん、川谷絵音(Gt)さん、新垣隆(Key)さんからなる5人組バンド、ジェニーハイ。お笑い芸人さん、ミュージシャン、現代音楽家と、さまざまなジャンルのジェニー(フランス語で天才の意)が集結。バンドの全面プロデュースを「ゲスの極み乙女。」や「indigo la End(インディゴラエンド)」などのバンド活動も行っている川谷さんが兼任する、才能豊かで個性あふれるメンバーが揃っています。そんなジェニーハイが、2021年9月1日に、2ndアルバム『ジェニースター』をリリースされるということでメンバーから、小籔さん、川谷さん、中嶋さんの3名にお話をうかがいました。――あらためて、それぞれ初めて会ったときの印象から、お聞かせください。小籔川谷P(川谷プロデューサーの呼称)のことは、すでに「ゲスの極み乙女。」の音楽を聴いて認識していました。いざ番組でバンドを作るとなったときに、曲を作っていただく先生を決めることになり、第一希望で「川谷さんが良い」と話していたんです。ご快諾いただいて、実際にお会いすることになったのですが、ミュージシャンではなく、例えば演歌歌手における曲を作ってくれる先生にお会いするような感覚でしたね。そこから初対面の感想は……意外と、普通やったなと(笑)。ミュージシャンて「僕は空がパープルのときじゃないと曲が思いつかないから」とか、もっと前衛的なことを言うのかと思ったらそういうこともなく(笑)。川谷わはは、普通ですよ(笑)。初めて会ったときは確か番組の収録現場だったので、深くは話さず、その後ご飯に行きましたね。小籔さんは、テレビで観ている印象よりも、だいぶん優しい人だと思いました。小籔それはよう言われます。この間は、坂下千里子さんに「小籔さんて飲んでいるときは全然怒らない、ジェントルマンですよね」と言われましたし(笑)。中嶋私は(川谷)絵音さんの第一印象をあまり覚えていなくて。昔、渋谷にあるライブハウスのeggmanで、私がボーカルとギターをやっているtricot(トリコ)というバンドとindigo la End la Endが対バンしたときが初対面なんです。覚えているのは、その後に全国ツアーを一緒にまわらせてもらったときのことですね。絵音さんはライブのMCがすごく長くて面白くて、淡々と話し続けるんですが、演奏しているときとのギャップがスゴイから、ユニークな人なのかなと感じました。――今日はご不在のくっきー!さんと、新垣さんの印象は?小籔ガッキー(新垣さん)は、いろいろな騒動後にメディアに初めて出たのがこの番組だったんですが、えらい上品な方やなと思いました。よく「僕は『BAZOOKA!!!』で救われました」と常々おっしゃるし、ジェニーハイに誘っても「恩があるのでやらせていただきます」と快諾する、何に対しても男気のある方です。マネージャーをされているお兄さんいわく、「『BAZOOKA!!!』のお話じゃなかったらバンドは組んでいないはず」と。それに、才能のある川谷Pの存在も大きかったようです。くっきー!は芸歴が一個下なんですが、吉本興業の養成所のNSCの同期に情報通がおって、「一番面白いのは野性爆弾です」と聞いていて。下には次長課長、チュートリアルやブラマヨとかおるんですが、「一番面白いの誰や?」と聞くと、ダントツ1位が野性爆弾。ただ、あの見た目だしと思ったけど、会ったら気のええやつでしたね。とにかく、ジェニーハイはいいバンドです。――そもそも川谷さん、小籔さん、中嶋さんが、プロになる前に憧れていた歌手やアーティストの方などと、初めて購入したCDなども教えてください。川谷これまで音楽の変遷はいろいろとあるんですが、もとは小学生のときに、T.M.Revolutionの西川貴教さんに憧れていました。初めて買ったCDは、EXILEです。中学1年生ぐらいのとき『EXILE ENTERTAINMENT 』(2003年)というCDを買いました。当時は楽器が弾けないので、鼻歌で曲を作っていて、最高のメロディが出来た! と思った鼻歌のメロディが完全にEXILEのアルバムの曲と一緒だったこともありました(笑)。聴きすぎていたんですね。「あっ俺、音楽の才能無いかも」って当時思いました。小籔まあ、子どもやったらそうなるわなあ(笑)。僕は、親が音楽を好きすぎて、母親は「大阪球場にマドンナのライブ行ってくるわ」「ジェームス・ブラウン行ってくるわ」とか。掃除機をかけるときもよくレッド・ツェッペリンとか、洋楽を爆音でかけていました。僕が小さいときにおばあちゃんから「ファミコンのカセットを買うたるからギターを習いに行け」と言われることも。うちは自転車屋やったんですが、自転車が好きと思ったこともないですが、すでに自転車に囲まれていたという状況に近いというか、無意識のうちに音楽のシャワーを浴び続けていたような感じです。車に乗るようになってからは、FMラジオを聴くようになって、TOKYO No.1 SOUL SET、ピチカート・ファイヴ、スチャダラパーとか、車に乗っていた時期に一番音楽を聴きましたね。中嶋小学校のときに、モーニング娘。にハマったのが最初ですね。中学高校とバンドをしたので、また好きな音楽も変わっていきました。一番好きなロックバンドは、システム・オブ・ア・ダウンです。川谷ギターが弾けなくて、コピーするのをやめたやつ?中嶋そう、難しくて、まだ全然弾けないんです(笑)。絶妙な曲がいっぱいある飽きないニューアルバム――2021年9月1日に2ndアルバム『ジェニースター』をリリースされますね。川谷前作が約2年前のリリースなのですが、僕がやっている各バンドでは毎年アルバムを出しているので、2年ぶりというととても期間が空いた感覚もあります。ただ、ジェニーハイはすごくレコーディングに時間がかかるので、そのぶん準備できて良かったなと。練習の時間もできるので、だんだんと曲のレベルが上がっていっています。そういう意味では、早く作らなくて良かったなって(笑)。いろいろなジャンルの曲が入っていて、バンドの成長記録としては、やっと世に出せるものになったかなという感じ。老若男女が聴けるアルバムになりました。――6月に先行配信された収録曲1曲目「華奢なリップ feat.ちゃんみな」では、実際にラッパーのちゃんみなさんと組んでみていかがでしたか。中嶋ちゃんみなさんとは今回初めてお会いしました。レコーディングは別々だったのですが、MV撮影のときに一緒になって、そのときに表現力が圧倒的だなと。コラボさせてもらって、刺激を受けました。川谷コラボ作品でも基本的に、いつもは僕が歌詞を書くのですが、この曲は最後のラップの歌詞をちゃんみなに書いてもらってコライトをして、新しい刺激をもらいましたね。こういう書き方もあるんだな、こういう譜割りもあるんだなと。歌もちゃんみなが自分で録ったものを1トラックのみ送ってきて、たぶんコレという歌のバランスやこだわりが強く本人のなかにあるようで。ジェニーハイって、良くも悪くもふわっとしているので、彼女のようにストイックな人が入ってくると、バンドの空気も良くなると思いました。小籔川谷Pもイッキュウさんも、ちゃんみなに刺激をもらったんですね。僕は、『BAZOOKA!!!』内の企画「高校生RAP選手権」にちゃんみなが出ていて、「あの子はみんなを惹きつける子」やなとその当時から言っていました。出演の翌年(2017年)にその子がデビューして、パーティに歌いにきてもらったり、彼女のミュージックビデオに出たり、ご飯に行ったり。高校生のときから知っているから、僕のなかでは東京の娘、親戚の子という感じ。うちの娘もちゃんみなが好きですし。ある日、突然、川谷Pが「ちゃんみなとコラボしようと思うんです、知ってますか?」と言われての今回です。みんなで串カツを一緒に食べに行ったら、ちゃんみなが串カツを上品に食べていたんですよ。僕は、そんな串カツの食べ方に刺激を受けましたね(笑)。――2曲目「夏嵐」は7月配信の軽やかなサマーナンバーです。川谷ジェニーハイの曲はシンプルな曲もあるんですが、わりと複雑な曲も多いので、この曲はシンプルに作ろうと思って。アルバムのスパイスになるよう、疾走感のある曲を作ろうと考えました。夏の曲にしようとは思っていなかったんですが、あとから歌詞で夏らしさを入れ、J-POPとして広く聴いてもらいたいので、イントロから耳なじみの良い曲を作りました。中嶋今作のなかで「夏嵐」が一番意外で、これまでになかった感じの曲でした。歌うときもどういう感じなのか想像できなかったというか、できあがって聴いてみたら、すごく爽やかでずっと聴いていられる曲に仕上がったと思いましたね。小籔イッキュウさんの声が一番可愛らしいな、合ってるんやろうなと。僕はドラムのところから聴いて、だんだんマスターして余裕が出たら、歌を聴いて、楽しくなってきました。たくさんの人に聴いてもらいたいなと思いますね。――6曲目「良いんだって」や、8曲目「ジェニーハイボックス」もみなさんで歌うラップ曲ですが、バンドの演奏曲とラップ曲とのバランスが絶妙ですよね。「ジェニーハイボックス」は自己紹介があって、聴いていて楽しくなります。川谷ラップを作っていると、自己紹介する感じになっちゃうんです。「良いんだって」は全然自己紹介の曲じゃないですが、こんな曲もラップでできたりしますし。新垣さんのソロラップも「ジェニースター」には入っていて、新垣さんは最初いやがっていたんですが、最近は「ラップの王になる!」と言うまでになっているので(笑)。わりとラップの曲は増えてはいますね。ジェニーハイにしかできないことがやりたいので、普通のバンドだったらこんなことやったらただ寒いだけかもしれないんですが、新垣さんは真面目にやっているだけで面白いじゃないですか。あれはもう天性のものですし、この5人のバランスだからできることです。小籔ライブではガッキーのラップがすごい盛り上がるんですよ。女の子からの声援のあとに、めちゃくちゃ下手なラップが聴けるという(笑)。僕が見ていても、この人がメンバーでいてくれて良かったです。ーーアルバムのタイトル曲となる11曲目「ジェニースター」は、一番今作を表すということでしょうか。川谷表すと言えば表すんですが、ちょっとふざけた曲なので(笑)。ジェニーハイがもともと、「天才を超える」という意味なので、まだまだみんなスターじゃないんですよね。だから本当はスターじゃないけれど、例えばいきなり自分が超人になる夢を見るような、「スターになったらいいな」という思いを自虐的に表している曲なんです。――川谷さんはindigo la End、ゲスの極み乙女。、ichikoro(イチコロ)その他複数のプロデュースにも携わっていますが、ジェニーハイの楽曲制作にあたり心がけていることや、他のバンド制作の際と違う面があればお聞かせください。ジェニーハイはインディゴやゲスのように、いい意味で深く考えすぎないというか。ゲスとかインディゴとかは「べつにわかりづらくなってもいいや」と作り込んでしまうことも多くて。でも、ジェニーハイは、わかりやすさ、ポップさみたいなものを優先しています。――小籔さんは「よしもと新喜劇」の座長として、そしてお笑い芸人さんとして活動されている一方、2003年にラップユニット「ビックポルノ」(2014年に解散)、2016年にバンド「吉本新喜劇ィズ(よしもとしんきげきぃず)」を結成、音楽フェスティバル『コヤブソニック』を開催など、音楽活動にも積極的な印象です。小籔お笑いに関しては、努力したことがないんです。ぐうたらなんで、新喜劇に入って最初の2年間だけです、努力したのは。新喜劇も、いまはそれほど気を張ってやらんでも、目配りをすることもないですし。台本はだいぶん手間をかけて真剣にやっていますが、それ以外はそうでもないから。でも、いまはそれ以外のお仕事をさせていただくことが多くて、ドラマに出演させていただくときも、セリフだけはきちんと入れます。役者さんのほうが絶対に芝居がうまいし、僕は絶対下手やけど、セリフは覚えているから許しといたろうか、と思ってもらいたいと。音楽をやるときも、新喜劇でデビューする前ぐらいに、最初はスチャダラパーを聴いたときに面白くてカッコいいけど、逆に芸人がラップやったら面白いかもと。それでふとしたきっかけでラップをやることになって。新喜劇ィズのメンバーには、いつも言うてることがあって、例えばフェスで僕らが出るとなったら、絶対に裏で舌打ちしてるやつはおると。なんでお前と一緒に出なあかんねんと思う人が、言ってけえへんだけでおる。そこで、芸人がフェスに出てすみませんと思うんやったら、あいつめっちゃ下手やけど練習はちゃんとしてるな、下手やけど音楽に対しては真面目やなと思ってもらうのが大切や、と言っているんですよね。――イッキュウさんは、2010年からロックバンド「tricot」としても活動されていますが、ジェニーハイのシンガーのときは意識の違いはありますか。中嶋 tricotでは、長い間自分で作って自分で歌うことしかしていなかったので、ジェニーハイのデビュー曲「片目で異常に恋してる」が地獄のように難しかったんです(苦笑)。絵音さんの曲は一筋縄ではいかないとは予想していましたが、レコーディングでもすごく苦戦した記憶があって。でも、最終的にはその作業が自分の実になっていて、他の人が想像するゴールに向かって考えるというのはとても楽しくて。自分のなかでまた違う扉が開いた感じがあって、tricotのときとは違う脳みそを使っている感じですね。川谷「片目で異常に恋してる」は、コンピューターが歌うようなメロディなんですよね、ボカロのような譜割りで。人間が歌うには限界の速さに近いんです(笑)。これが1曲目だったから、そのあとはスムーズに受け入れられるというか。この曲は変拍子だし、ドラムとギターも全然違う譜割りで弾いてもらうような難しい曲をやっていたから、あれ以上に難しいものはいまやってないですね。自分で演奏するのもいやだから(笑)。小籔難しいものばっかりになったら、こちとら、ヒィヒィ言わなあかんから、難しい曲をやりたいときはその気持ちだけにしておいてください(笑)。――では今回のアルバムをどんなふうに聴き手に聴いてほしいでしょうか。川谷楽しいアルバムですが、全曲に切なさもあって、ただ明るいだけのアルバムでもない。絶妙な曲がいっぱいあるので、好きなときにいつでも聴いてほしいですね。クリスマスの曲もありますし、飽きないアルバムになっています。中嶋私は家でも聴いていて、楽しくてワクワクする感じがわいてきます。歌詞自体は両手放しで楽しいです、という話ではないのもあるんですが、音がすごいワクワクするので、音楽を聴いて楽しんでもらえたらと思います。小籔全部通して聴いていただきたいですし、1曲だけ鬼聴きする感じでもいいですし。わりと長いこと、聴いていただけるようなアルバムちゃうかなと。ぜひ買っていただきたいなと思います。――9月25日には初のアリーナ公演が控えていますが、どのようなライブになりそうでしょうか。川谷けっこう効果的な演出にもなりそうで、かなりバラエティ豊かなステージになると思います。小籔芸人がおるバンドのライブじゃないような、「めっちゃアーティストやん」っていう感じのライブになります。曲がいいのはもちろんですが、きっと12回は笑うと思います、そのうち8回は、ガッキーで笑うでしょうけど(笑)。「65歳までジェニーハイを続けたい」(小籔)――よろしかったら普段のご様子もお聞かせくだい。みなさんはおうち時間をどのようにお過ごしですか?川谷以前は映画を観ることもありましたが、最近はずっと観れなくて。曲を作るときは集中しているんですが、きっと人間は脳の容量があって、いろいろな曲を作っているとそれ以外のことは端から忘れていくんじゃないかなと。映画を観た直後しか内容を覚えていないぐらい、集中できないんです。だから、2、30分で終わるようなアニメをずっと流して、部屋の掃除をしたりしていますね。(新旧のアニメが鑑賞できる)バンダイチャンネルで視聴できる『わがままフェアリーミルモでポン!』(テレビ東京系列シリーズは2002年〜2005年放送)という、ほのぼのアニメなんかを観ています。BGM代わりにちょうどいいんです。それ以外のときは基本曲を作ったり、あんまり休みという休みはないですね。前はご飯を食べに行ったりしていましたが、いまはできないですから。小籔よう働いてはりますもんね。1回、沖縄の砂浜を携帯も持たずに裸足で歩くような日が、1年に1回ぐらいは必要かもしれないですね。川谷そうかもしれないですね、デトックスしないと。デトックスといえば、いまは以前は飲んでいたコーヒーもやめて、お酒も飲まないので、寝起きもよくてすごく調子がいいですね。なんとなくやめてみたんですが、カフェインにおかされていたんだなと(笑)。曲を作っていても、以前とは違う気もします。小籔諸説ありますけど、昼の14時以降にコーヒーを飲んだら、夜の睡眠に影響があるって、言いますもんね。川谷一番長いと、14時間ぐらいカフェインがきいちゃうという説も。小籔僕はいま、ドラムと(オンラインゲームの)「フォートナイト」の2本をやっていますね。ドラムもゲームも、基礎練習が必要なものですが、ドラムで好きな曲を叩いているときと「フォートナイト」をやっているときが、何も考えなくていい楽しい時間です。それ以外は、社会の闇に怒っていたり、子どもたちの将来が心配だったりして……僕も沖縄に行って、裸足で歩かなあかんかな(笑)。中嶋私も家では、曲を作るか、服を作るか、絵を描くかですね。仕事でもあるけど趣味でもあるので、これをやっているときは一番癒されます。自分でブランドをやっているので、カバンなど持ち物にどういう機能をつけようかな、とか考えるのが楽しいので、家ではそういうことをしていますね。――美容面では気をつけていることは?中嶋健康的な生活が一番いいと思っていて、犬を飼っているので、早寝早起きを心がけています。川谷めちゃくちゃ早朝に散歩に行ってない?バンドマンぽくないよね。中嶋そうですよね(笑)。いま暑いので早朝に犬の散歩に行っています。散歩しているときは携帯も見ないですし、1時間ぐらい散歩するので、脳がクリアになりますね。それが一番美容にも、結果的に良さそうかなという気がします。――では最後に、バンドを代表して小籔さんから、ジェニーハイの今後の抱負をお聞かせください。小籔「紅白歌合戦」に出て、日本の三大フェスにも出て、全国ツアーも毎年開催して、それが65歳まで続けばいいなと思っています。僕が65歳になるまで、ジェニーハイを続けたいと思っていますので、目標を達成するために、みなさんさまざまなご支援をお願いします。取材後記まさにスターが集結した、ジェニーハイのみなさん。ananwebのインタビューの際は、川谷絵音さんの音楽の感性や秀逸さ、中嶋イッキュウさんのシンガーとしての魅力、小籔千豊さんの音楽や人生に対する真摯さを実感。とくに小籔さんは、筆者やスタッフの方にもお菓子を自ら配るなど、気配りが素晴らしい方。大阪出身の筆者としては、ジェニーハイの音楽もお笑いもたくさんの人たちに届いて、笑顔が広がることを祈っています。そんなジェニーハイのニューアルバムをみなさんも、ぜひチェックしてみてくださいね。取材、文・かわむらあみりジェニーハイPROFILE小籔千豊(Dr)、くっきー!(野性爆弾/B)、中嶋イッキュウ(Vo)、川谷絵音(Gt)、新垣隆(Key)からなる5人組バンド。バラエティ番組『BAZOOKA!!!』(BSスカパー! 2011年〜2019年)の知名度をあげるため、2017年にプロジェクトとして誕生。音楽番組や音楽フェスなどへの出演を目標に、当初は番組MCの小籔千豊、レギュラー出演のくっきー!、中嶋イッキュウの3人で結成。その後、3人からのアプローチにより、川谷がプロデューサー&ギターに就任。さらに小籔の推薦で新垣をメンバーに迎える。2018年3月、1st配信シングル「片目で異常に恋してる」でメジャーデビュー。2021年9月1日、2ndアルバム『ジェニースター』をリリース。9月25日、ぴあアリーナMMにてアリーナ単独公演「アリーナジェニー」を開催。InformationNew Release『ジェニースター』(収録曲)01.華奢なリップ(feat.ちゃんみな)02.夏嵐03.バイトリーダー典子04.BABY LADY05.コクーンさん06.良いんだって07.ルービックラブ08.ジェニーハイボックス09.卓球モンキー10.クリスとマス11.ジェニースター12.シャンディー2021年9月1日発売*収録曲は全形態共通。*トールサイズデジパック仕様、オリジナル漫画掲載「ジェニースター」ZINEを封入。(通常盤 CD)WPCL-13323¥3,300(税込)(初回限定盤 CD+DVD)WPZL-31892/3¥4,950(税込)(初回限定盤 CD+Blu-ray)WPZL-31894/5¥5,500(税込)*初回限定盤2形態には下記公演映像を付属。・ジェニーハイ ONEMAN TOUR 2020「みんなのジェニー」(2020.2.18@Zepp Divercity Tokyo)・ジェニーハイ無観客ワンマンライブ「ベイビージェニー」(2020.10.27@Zepp Tokyo)・ジェニーハイ1stフルアルバム『ジェニーハイストーリー』リリース記念フリーライブ(2019.11.27@六本木ヒルズアリーナ)・ジェニーハイ ONEMAN TOUR 2020「みんなのジェニー」Behind the scenes取材、文・かわむらあみり
2021年08月29日【音楽通信】第86回目に登場するのは、今年“リアル中学生”メンバーを含む新メンバー3名が加入し、新9人体制となった「誰もが永遠に中学生」というコンセプトのアイドルグループ、私立恵比寿中学!アイドルやアニメの影響から“エビ中”の道へ写真後列左から、真山りか、安本彩花、星名美怜、柏木ひなた、小林歌穂、中山莉子。前列左から、桜木心菜、小久保柚乃、風見和香。【音楽通信】vol.862009年8月に結成されたアイドルグループ、私立恵比寿中学。真山りかさん、安本彩花さん、星名美怜さん、柏木ひなたさん、小林歌穂さん、中山莉子さんの6名に、2021年5月、応募総数約7,000人のオーディションを経て桜木心菜(ここな)さん、小久保柚乃(ゆの)さん、風見和香(ののか)さんの3名の新メンバーが加わりました。新9人体制となった通称「エビ中」が、2021年8月18日にニューアルバム『FAMIEN’21 L.P.』をリリースされたということで、メンバーから真山さん、桜木さん、小久保さん、風見さんにお話をうかがいました。ーー今回は真山さんと、新メンバーの方が3名いらっしゃいますので、まずはおひとりずつ自己紹介からお願いします。真山出席番号3番、真山りかです。声優さんと、アニメを観るのが大好きです。特技は声優の田村ゆかりさんの「イントロドン」のまねですが、披露したことはまだないです。桜木出席番号13番、桜木心菜です。特技はジャズダンスを踊ることと、I字バランスで、頭の横に足がつくぐらいに体が柔らかいこと。あとは辛いものを食べることも得意です。小久保出席番号14番、小久保柚乃です。特技は竹馬と長距離走と、公式プロフィールには書いてあるのですが、それほど特技ではないかもしれません(笑)。最近の特技はシャボン玉を上手に作ることができたことです。風見出席番号15番、風見和香です。一番の特技は、バースデーカード作りです。ーー自己紹介ありがとうございました。ではあらためまして、そもそもみなさんが音楽にふれたきっかけや憧れていたアイドルの方からお聞かせください。真山家庭では、父の趣味でジャズやレゲエぐらいしか聴いたことがなかったのですが、小さい頃にモーニング娘。さんをテレビで観て、「アイドルの音楽はこんなに明るくて楽しいんだ!」と惹きつけられました。そのモーニング娘。さんがきっかけで「歌を歌いたい」とアイドルを志すようになって、とくに初期メンバーの石川梨花さんが好きで、同じ「りか」という名前もうれしいですし、いまも憧れています。桜木小さい頃は、アニメのプリキュアに憧れていました。毎年プリキュアはシリーズとキャラクターが変わるのですが、私は『Yes!プリキュア5』(2007〜2008年テレビ朝日系)の世代だったんですが、なかでも「キュアレモネード」の春日野うららちゃんというキャラを推していました。うららちゃんは、学校に通いながら新人アイドルとしても活動するという設定なんです。いまの私たちと状況が重なって、学校とアイドルを両立しながら頑張っているから応援したいなって。実際のアイドルでは、AKB48さんも好きでよく曲を聴いていました。なかでも、板野友美さんが一番好きで、アイドルグループのなかでひとりだけ茶髪のギャルだったところに惹かれて、私もアイドルになりたいと思いました。小久保私もAKB48さんが大好きで、よく聴いていました。なかでも渡辺麻友さんに憧れて、アイドルになりたいと思いました。あとは、『クッキンアイドル アイ!マイ!まいん!』(2009〜2013年NHK総合)のまいんちゃん役の福原遥さんにも憧れて、芸能界に入ろうと思いました。風見私も(桜木)心菜と一緒で、プリキュアに影響を受けました。私は『ドキドキ!プリキュア』(2013〜2014年テレビ朝日系)の世代です。アニメのエンディングに流れる歌を小さい頃はずっと歌っていて、プリキュアが踊っているのに合わせて踊っていました。姉がふたりいてチアダンスをやっていたので、姉の様子を見ていて、ダンスは面白いなって。あと、姉がカラオケでAKB48さんの「ヘビーローテーション」を歌って踊っていたので、そこでアイドルにも興味を持ちました。音楽が好きですし、歌って踊ることが仕事になったら楽しいだろうなと思って、エビ中に応募したんです。ーー2021年の今年は、病気療養中だったメンバーの安本彩花さんが復帰され、YouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」で歌う姿が公開3日で120万回再生と反響を呼びましたね。そして新メンバーとしてみなさんが加入し、9人体制になって新たなスタートを切りました。真山3人が入って、早くも3か月経ちました。(安本)彩花も寛解をして、グループとしても、ようやく9人で歩き始められたという感覚があります。仕事によっては全員ではなく、何人かで動くこともありますが、9人でパンフレット撮影や生写真撮影をする機会があって、9人のグループになった実感がわきました。新しいかたちでの「FAMIEN e.p.」シリーズ最新作真山りか。1996年12月16日、東京都生まれ。身長154.2cm。A型。ーー2021年8月18日にニューアルバム『FAMIEN′21 L.P.』をリリースされます。2015年より配信限定でリリースされてきた「FAMIEN e.p.」シリーズの最新作となる、今作に込めた思いから教えてください。真山だいたい年に1度、夏の恒例野外ワンマンコンサート「エビ中 夏のファミリー遠足」略して「ファミえん」といって、ファミリー(ファンの方の呼称)が会場に遠足のようにバスツアーなどで集まってくださって「帰るまでがファミえん」ですと言って、楽しんでいただく大きなライブがあるんです。そこで毎年テーマソングを作っていまして、今回はいままでの楽曲と、9人での新曲も含めて、この『FAMIEN′21 L.P.』というアルバムでのCD発売になりました。「ファミえん」では明るい楽曲が多いので、そんな曲たちがまだCD化していなかったということにあらためて驚きましたが、こうして3人が入ってきてくれて新しいかたちでみなさんにお届けすることができて、とってもうれしいですね。初期から中期までの楽曲はわたしたち先輩メンバーも再レコーディングしまして、3人の歌声プラスいまの歌声が聴けるので、楽しめると思います。「THE FIRST TAKE」に出させていただいて知っていただいたファンのみなさんにも、エビ中といえばアイドルらしからぬ楽曲というイメージだとしたら、今作にはアイドルっぽい楽曲が詰まっているので、新しい発見もあるのではないかなと感じています。桜木心菜。2005年9月14日、茨城県生まれ。身長160cm。AB型。桜木わたしたち新メンバーは初めてレコーディングをさせていただいて、初めて自分たちの声が入っている楽曲を聴いて、新鮮でした。明るい曲もかっこいい曲もゆったりした曲も収録されていて、聴いていただける方に楽しんでいただける作品になっているんじゃないかなと思います。小久保いろいろな方に聴いてほしいですし、6人体制のエビ中で歌っていた曲にも、新たにわたしたちの声を再収録して入れているのですごくうれしいです。風見ボイストレーニングの先生にもたくさん教えていただいて頑張ったので、ぜひ私たち“新メンバーはこんな声だよ”というのも覚えてくださるといいなと思います。ーー収録曲についていくつかおたずねします。新体制初の新曲で、残念ながら中止となりましたが、2021年の「ファミえん」テーマソングでもあるキャッチーな11曲目「イヤフォン・ライオット」は、どのようなイメージで歌っていますか。真山初めて聴かせていただいたときに、エビ中ではデビュー曲「仮契約のシンデレラ」などを書いてくださっている作曲者の杉山勝彦さん、そして児玉雨子さんの歌詞がすごく心に突き刺さって。イヤフォンで音楽を聴くと、コロナ禍で溜まってしまうフラストレーションがパッと忘れられて発散できて、耳だけでモヤモヤが完結できるんだという感動を覚えました。その感動が、聴いてくださるみなさんにも伝わればいいなと思っています。桜木最初に聴いたときは、元気でパワーのある歌だと感じましたし、初めて9人で制作した「イヤフォン・ライオット」は思い入れのある曲なので、ぜひ聴いていただきたいです。いまはコロナ禍で不自由に過ごしている部分もありますが、それに打ち勝つぞー!壁を壊すぞー!という感じで、思春期だったり反抗期だったりするいまの学生時代のもやもやを発散したい意味でも、私たちにぴったりな曲だと思っています。レコーディングでも、思いをこめて歌うことができました。小久保柚乃。2007年3月20日、愛知県生まれ。身長157cm。AB型。小久保「イヤフォン・ライオット」は、明るくていい曲なのでたくさん聴いてほしいですし、私と同じ中学生の方や、高校生といった学生の方ならより共感できる歌詞だと感じました。風見「君らしさなんだった!」という歌詞があるのですが、ハッとさせられてとても心に響きました。聴いてくださるみなさんの心にも残る歌詞だと思いますし、気持ちを込めて歌いました。ーー歴代のファミえんテーマソングを完全網羅している今作ですが、みなさんの思い入れのある曲といえば、どの曲になりますか。真山私は収録曲最後を飾る「いい湯かな?(2021 ver.)」ですね。毎年「ファミえん」で歌い続けてきた曲で、8分もあって長すぎるということでワンマンライブのときしか歌えない曲なんです。「おじいちゃん いい湯かな?おばあちゃん いい湯かな?」と歌う、あったかい気持ちなれるすごくいい曲です。こんなにもたくさん曲があるなかで、今作の収録曲の最後がこの曲で、また歌えたという喜びが大きくて。最後にこの曲がくると、味わいがさらに深くなる、最高の配置になっています。ぜひいろいろな方に聴いていただいて、優しい気持ちになっていただきたいですね。桜木私は、2曲目の「ラブリースマイリーベイビー(2021 ver.)」という曲です。とてもかわいらしい曲で、自分の声が高くないから合わないんじゃないかと、レコーディングのときに少し苦戦しました。でも、苦手意識を持たずに楽しく明るく歌うよう意識して、完成したものを聴いてみたら、自分の声が明るく聴こえてきて「高い声も出せるんだ」とうれしくなって、頑張ったぶんの思い入れがあります。3曲目の「誘惑したいや(2021 ver.)」も、合宿で急遽覚えないといけなくなった曲で、聴くとその合宿を思い出しますね。ーー合宿というのは?真山新メンバーオーディションの最終の合宿審査がありまして、3泊4日の合宿をやらせていただきました。みんなが「誘惑したいや」を最終日に披露してくれまして、3人3組でチームを組んでもらって、わたしたちとレコード会社の人と事務所の人の前で、歌ってくれたんです。小久保合宿はすごく緊張しました。そして私の思い入れのある曲は7曲目の「朝顔 (2021.ver.)」です。私たちがセリフを言う部分があるのですが、新しいメンバー用に、作詞の(元チャットモンチーの)高橋久美子さんが朗読詩を加筆してくださって、今回9人全員の朗読詩が楽しめるようになりました。そのセリフ部分を録り終えたときに、レコーディングをしてくださった方が、「すごい」と言ってくださって、すごくうれしかったです。風見和香。2007年8月25日、東京都生まれ。身長158cm。風見真山さんと同じく「いい湯かな?(2021 ver.)」に一番思い入れがあります。サビの最後の部分を歌わせていただいたので、聴いてくださる方の印象に残るようにしないとと頑張りました。ボイトレの先生にもたくさん質問して、何テイクも録ったので、注目して聴いてほしいですね。3曲目の「誘惑したいや(2021 ver.)」では、合宿のときと同じ部分を歌わせてもらっていて、合宿で大変だったことを思い出しながら歌っています。レコーディングで苦戦したところもありましたが、できなくて悔しかったところはまた「ファミえん」などのライブでも、しっかり歌えるようになれたらと思っています。ーー5曲目「summer dejavu」のアップデートとミックスを、作曲、編曲、プロデュースを担当した大沢伸一さん自らが今回務めていますが、ハワイアンな印象でゆったりとした楽曲です。真山もともとオールユニゾン曲で、新メンバーは歌入れしていますが、今回はわたしたち先輩メンバーはレコーディングしていない、2016年の楽曲になります。4年前のわたしたちの歌声と、いまのみんなの歌声が合わさっていて。昔のわたしたちの歌声と新メンバーの歌声とのフュージョンという、不思議な感覚がありますね。新メンバーの3人の歌声が入ると、ユニゾンがどこか変わった気がしますし、いまの私たちが歌っても大人っぽい楽曲なので、この曲の魅力であるユニゾンと歌詞とのアンバランスさがさらに増しています。ーー以前の曲は先輩メンバーの方は新たに録り直していない曲もあるけれど、新メンバーの方は全曲録っているということですよね。真山 そうです。初期から中期までの楽曲を再レコーディングしていますが、わたしたち先輩メンバーが再録したのは、1曲目「ご存知! エビ中音頭(2021 ver.)」と2曲「ラブリースマイリーベイビー(2021 ver.)」と4曲目「ナチュメロらんでぶー(2021 ver.)」と12曲目「いい湯かな?(2021 ver.)」になります。あとはパートごとで、増えたところは録っていたりしますね。「9人のエビ中はいいね」となったら明治神宮球場へーーお話は変わりますが、おうち時間が長引く現在、みなさんがいまハマっていることを教えてください。真山けっこう前からなんですが、ピクルス作りをしています。もともと酢の物が好きで、いまの時期は夏バテもしますし体力を落とさないためにも、何かいい案がないかなと思っていたら「ピクルスがある」と気づいて(笑)。自分で漬けています。お酢の分量やスパイスなどの調味料の分量によって、味もいろいろと変わってくるので、どんなお野菜でも漬けられるんですよ。いま漬けているのは、オクラのピクルスです。一度湯通ししているので、多少ふにゃっとしていますが、ピクルスにすると粘り気と酸味がすごくおいしいです。桜木私は特技でも言ったんですが、激辛料理にハマっています。以前は全然食べられなくてカレーも甘口でしたし、歯磨き粉も辛いのはダメだったんですよ(笑)。でも、あるとき突然、辛い料理が好きになって、純豆腐を激辛にしたうえで、スパイシーな唐辛子の粉を入れて食べたりもできるようになりました。あとは小説を読むことにハマっています。とくに、お風呂上がりのゆったりした時間に小説を読むと、心も体もリラックスできますよ。最近だと『みんな蛍を殺したかった』(木爾チレン著/二見書房)という小説を読みました。ハッピーエンドではないんですが、後半にいくにつれてすごく盛り上がっていって、本当は小説を読むのに時間がかかるんですが、この小説はすぐ読んでしまいました。小久保私はアニメを観ることが多いですね。前は漫画のほうを読んでいて、いまはアニメのほうを観てハマっているのが、『魔法少女サイト』(2018年MBSほかアニメイズム枠/現在はアマゾン・プライムビデオでも配信中)です。すごく面白いです。あとは1年中ですが、入浴剤にもハマっていてバスボムがすごく好きなので、毎日湯船に入れています。石鹸の香りが一番好きです。お湯に溶けると、中から何かが出てくるバスボムも好きで、サンリオのキャラクターが中から出てくる大きな「キャラボム」というのも集めていて、昨日やっと好きなキャラクターが出てきたので楽しいです。風見私はバランスボールにハマっていると言いますか、バランスボールに乗りながら、テレビを観たりスマホを使ったりしています。そうすることで、知らないうちに体幹がついたりするので、遊んだり正座して乗ったりしていますね。あとYouTubeで、声優の花江夏樹さんがやっているゲーム実況にもハマっています。『バイオハザード ヴィレッジ』という最新作のゲーム実況を何本かにわけて実況されていて、怖いシーンもあるんですが花江さんの叫び声が聴けるので、どのシーンも楽しく観ています。ーー続いては、みなさんの美容法があればお聞かせください。真山実は、小学6年生からずっと体重が変わっていなくて、体型維持を心がけています。いま24歳で今年25歳になるんですが、大人の女性らしい体型になると思うので女性らしいラインは残しつつ、鏡を毎日見てどこが自分にとって余分かそうじゃないかちゃんと見極めて、自分に合ったストレッチや筋トレをするようにしています。あとは、お水をしっかり摂るようにしていて、普段のお水も常温にして、体を冷やさないように心がけていますね。桜木いま15歳にしては気を遣っているほうなのかなと思うのは、毎日こまめに日焼け止めを塗ったり、化粧水に混ぜて使うビタミンCの粉があるので使っていたら肌もきれいになって、思春期だとできやすいニキビもおさえられています。そして食後にも、ビタミン剤を飲むのですが、内側からも外側からもビタミンを摂っています。以前、無理な筋トレをして腰を痛めたことがあったのですが、真山さんも言っていたように、自分にあった筋トレをやって、腰痛にならない筋トレやストレッチを意識してやっていますね。小久保私はみんなほど美容に気を配ってはいないんですが、学校に行くときは長袖を着たり、通学で半袖のときは上にカーディガンを羽織ったりしています。スカートも脚が日焼けしないようにスカート丈を絶対折らずに、膝丈をちゃんと守って履いていますね。少しでも日焼けしないように、だいたい日陰にいます。風見けっこう食べ物には気をつけていますね。ついお菓子を食べちゃうので、食べる前に最初から「今日はこれとこれとこれしか食べない」と決めて、1回袋からお菓子を取ったら、取ったぶんしか食べないと決めています。ダンスのレッスンのときにいただくお弁当はお肉が多いので、そのぶん家では母がお魚のメニューを考えてくれたりと、バランスの良い食事をしています。あとは野菜も入っているし、味噌は塩分もあって良いことがたくさんあるので、お味噌汁は絶対飲むようにしています。ーーみなさん、いろいろとお話をありがとうございました。では最後に、代表して真山さんから、今後の抱負をお聞かせください。真山6人体制のときに、エビ中でどこに向かっていきたいのかという「目標会議」をみんなでしまして。そのときに、エビ中は(所属事務所の)スターダストプロモーションの中でもライブを多く行っているアイドルですし、私たちもライブを大切にしてきたアイドルグループですので「いつか明治神宮球場に行きたい」とそのときに決めました。そのためにも、今年も来年もできれば精力的にライブ活動やグループ活動を頑張って、「9人のエビ中はすごくいいね」と言ってもらえるようになった暁には、明治神宮球場でワンマンライブができたらいいなと思っています。取材後記新たに9人体制となった私立恵比寿中学から、今回は真山りかさん、桜木心菜さん、小久保柚乃さん、風見和香さんにリモートインタビューさせていただきました。先輩メンバーである真山さんはテキパキと、新メンバーのみなさんは一生懸命インタビューに応えてくださる姿が初々しく、こうしてみなさんが一丸となって、新たなエビ中を盛り上げていかれるのだなと実感。そんな私立恵比寿中学の魅力が伝わるニューアルバム、みなさんもぜひチェックしてくださいね。取材、文・かわむらあみり私立恵比寿中学PROFILE2009年8月結成。真山りか、安本彩花、星名美怜、柏木ひなた、小林歌穂、中山莉子、桜木心菜、小久保柚乃、風見和香からなる、9人組アイドルグループ。通称「エビ中」。初期活動イメージは「king of 学芸会」。「誰もが永遠に中学生」というコンセプトのもとに活動をスタート。2012年5月、1stングル「仮契約のシンデレラ」でメジャーデビュー以降、すべてのシングルがオリコントップ10入り。2013年12月、初のアリーナ単独公演をさいたまスーパーアリーナで開催。当時の日本人アーティスト史上デビュー最速記録を打ち立てる。2017年、4thアルバム『エビクラシー』を発売、自身初のオリコンウィークリーチャート1位を獲得。結成10周年の2019年は『MUSiC』『playlist』という怒涛の2枚のオリジナルアルバムをリリース。オリコン、Billboard両チャートで1位を獲得。2021年8月18日、ニューアルバム『FAMIEN’21 L.P.』をリリース。9月25日、26日に秩父ミューズパーク 野外ステージにてエビ中 秋声と螻蛄と音楽の輝き 題して「ちゅうおん」2021開催予定。InformationNew Release『FAMIEN’21 L.P.』(収録曲)01.ご存知! エビ中音頭(2021 ver.)02.ラブリースマイリーベイビー(2021 ver.)03.誘惑したいや(2021 ver.)04.ナチュメロらんでぶー(2021 ver.)05.summer dejavu(2021 ver.)06.HOT UP!!!(2021 ver.)07.朝顔(2021 ver.)08.イート・ザ・大目玉(2021 ver.)09.青い青い星の名前(2021 ver.)10.23回目のサマーナイト(2021 ver.)11.イヤフォン・ライオット(ファミえん2021 テーマソング)12.いい湯かな?(2021 ver.)2021年8月18日発売(初回仕様限定盤)SECL-2684¥3,300(税込)*トレーディングカード2種封入。スペシャル・ペーパーケース。取材、文・かわむらあみり
2021年08月26日【音楽通信】第84回目に登場するのは、とびきりの笑顔や元気とともに歌やダンス、圧倒的なライブパフォーマンスを届け絶大な人気を誇る、ももいろクローバーZの高城れにさん!アイドルを目指したのはテレビアニメの影響【音楽通信】vol.84歌はもちろん、アクロバティックなダンスも披露するライブパフォーマンスが絶大な人気を誇るガールズユニット「ももいろクローバーZ」、通称“ももクロ”のメンバー、高城れにさん。高城さんは、2015年から毎年ソロコンサートを開催し、2020年にはドラマで初主演を果たすなど、ももクロとともにアイドルシーンにおいて、トップを走り続けています。そんな高城さんが、2021年8月18日に1stソロアルバム『れにちゃんWORLD』をリリースされたということで、お話をうかがいました。ーーまずは、高城さんが幼少期に憧れていたアイドルや聴いていた音楽からお聞かせください。小さい頃から、いろいろな音楽を聴くことが大好きで、モーニング娘。さんに憧れていました。「アイドルになりたい」と思ったきっかけは、テレビアニメ『きらりんレボリューション』(テレビ東京系 2006〜2009年放送)です。アイドルを目指す主人公の月島きらりちゃんが大好きで、このアニメでアイドルという職業を知ったんです。でも、もともと歌がすごく得意だったわけでもなく、どちらかといえば苦手だったんですが、自分ひとりで歌うことは好きでした。そこから私自身もアイドルを目指すようになって、中学2年生のときにスカウトされて、その頃「月島きらりちゃんのようなアイドルになれたらいいな」と思っていたタイミングで、ももクロをやらせていただくことになりました。いまも音楽はジャンルにこだわらずに、アイドルソングやロック、洋楽も邦楽も聴いています。もともとソロコンサートを始めるにあたって新曲を作ったり、歌詞を作ったりする機会もあって、これまでに聴いてきたいろいろな音楽や歌詞から、影響を受けていると思います。ーーでは、ももクロとしての活動状況は現在、いかがでしょうか。2019年にリリースした5thアルバム『MOMOIRO CLOVER Z』以来、2年ぶりになるオリジナルアルバムを今年の冬にリリースすることが決まっていて、いまはそのアルバムの制作も始まっています。ソロ作は“心の味方”としてそばにおいてほしいーー2021年8月18日に、1stソロアルバム『れにちゃんWORLD』をリリースされましたね。実は今年、ソロアルバムが出せるとは思っていなかったんです(笑)。でも、ありがたいことに、ソロコンサートもたくさんやらせていただいていて、ソロ曲もアルバムが1枚できるぐらい作っていただいていて。昨年、うちのグループの佐々木彩夏がソロアルバムを出させていただいたんですが、ファンの方からちらほら「次はそろそろ、れにちゃんのソロアルバム出さないかな?」というお声をいだだいていました。「いつかみなさんのお声にお応えしたいな」とはずっと思っていて、自分でもアルバムを出せたらいいな、そしてソロ楽曲も増やしたいなと思っていたんです。ちょうど今年のソロコンサートが終わったタイミングで、今回のソロアルバムのお話をいただいて、本当に夢のようでしたね。普段はグループで活動しているので、ソロでアルバムを出すというのはまた違った感動があって、それこそアルバムは形として一生残るもの。ジャケットや楽曲など、いろいろなことにこだわって作りたいなと思い、制作しました。ーー今回、新曲が3曲あります。リード曲で1曲目となる「SKY HIGH」は爽快な夏曲ですね。自分自身で聴く曲はポジティブな歌詞と曲調のものが多くて、元気がないときはそういう曲に元気づけられてきたので、やっぱり自分で曲を出すときも明るい雰囲気にしたいと思って作ったものです。いまはとくにコロナ禍でみなさん元気がないときでもあるので、この曲で少しでも元気になってもらいたいということと、発売が8月で夏なので、夏らしい前向きな曲にしたくて。そしてイメージとしては、飲料系のCMソングに使われているような爽やかなものがいいなと、曲を作る段階でスタッフの方に相談しました。ーー新曲の7曲目「Voyage!」はシティポップ風な印象もあります。この曲は、「SKY HIGH」に比べたら、大人っぽい感じのかっこいい曲にしたかったんです。ポジティブな印象の曲というところは変えたくなくて、でもそれだとテイストが似てしまうので、ポジティブのなかにもみんなが少し持っているであろうネガティブな気持ちも入れてみました。歌詞でいうと、元気が出ない日もあるよねと落ち込む気持ちを肯定しつつも、どんなときも笑顔でいたいというニュアンスも入っています。みなさんにもきっと共感してもらえるような歌詞になったのではないかと思います。未来へ舵を切ろうという、人生を船旅にたとえたような感じで、この曲のミュージックビデオも航海風なものになっています。ーー新曲の11曲目「何度でもセレナーデ」は、アニメ『鬼滅の刃』主題歌「紅蓮花」を作曲した草野華余子さんが作詞作曲したミディアムバラードですね。そうなんです。他の新曲2曲がけっこうアップテンポな楽曲なので、この曲はしんみりしすぎない程度のバラードがいいなとお伝えして、いただいた曲です。恋人や友達、家族といった大切な人へ向けた、さまざまな状況の方に共感してもらえるような歌詞になっていて、それぞれの立場で受け取っていただければといいなと。そして歌詞の1番には、いまのコロナ禍で私が思ったことも入っていて。あまり会えないみなさんへ向けて、何度でも歌にのせて想いを奏でるよ、というメッセージや気持ちがこもっています。ーー過去のももクロのアルバムに収録されていた高城さんのソロ曲や、配信既発曲などもソロアルバムに収録されていますね。3曲目「恋は暴れ鬼太鼓」と4曲目「津軽半島龍飛崎」は、「-NEW RENI ver.-」となっていますが、以前との違いはどのあたりでしょうか。ニューバージョンになっている2曲は演歌なのですが、正直、そこまで変わってないんです。でも、もう10年以上前に録ったものですから、自分の中では声が変わっていたり、表現の仕方が変わっているんじゃないかなという意味で、新しく録り直したいと相談しました。自分自身でも未知なる挑戦でしたが、どんなふうに変わっているか、その成長過程の聴き比べも、みなさんに楽しんでいただきたいですね。ーージャケ写はどのようなコンセプトなのでしょうか。実は私のソロコンサートにしても“その年の等身大の私を見せる”ということが、しいて言えばコンセプトなので、ソロアルバムについても、いまの私をお見せする感じです。ポップな歌やかっこいい歌、演歌とジャンル問わずなので、そういう楽曲たちをおもちゃに例えて、おもちゃ箱をひっくり返したようなイメージ。夢の国があるとして、行けるとしたら、大人も子どもも関係なく、ワクワクした気持ちになるじゃないですか。そのおもちゃ箱とワクワク感をこのアルバムで表現したいと思っているんです。ーーボーナストラックに、お笑い芸人の永野さんと歌詞を共作され、ヒャダイン(前山田健一)さんが作曲された「ユーアノッアロン」も収録されています。以前、千鳥さんの番組で、永野さんと高城さんがコントをしている場面も観させていただきましたが、おふたりで組んだきっかけはなんですか。私がお笑い好きなことはもちろん、もともと永野さんが私たちの初期からやっているレギュラー番組『ももクロChan~Momoiro Clover Z Channel~』(テレビ朝日の動画サイトのオリジナル番組)に、ゲストとして来ていただいたことがきっかけですね。実はあまり覚えていないんですが、番組で永野さんがネタを失敗して凹んでいたときに、私が「元気出して、笑顔だよ」と話しかけたことで永野さんも私のことを気にかけてくれるようになって。永野さんからお誘いいただいて、アイドルと芸人さんのコントライブはいままでないですし、面白いんじゃないかと思ってコントをすることになりました。年に1回、永野さんとふたりでコントライブをさせていただいて、もう、4、5回になりまね。ーーお忙しいなかでコントに挑戦というのは、なかなかハードルが高そうな印象もありますが。でもすごく、普段とは違うことをやっていて新鮮ですし、もとをたどれば見せ方や表現の仕方の追求にもなって、永野さんとのライブは勉強になることばっかりなので、毎年私楽しみにしています。ーー―『れにちゃんWORLD』は、どのように聴き手に届いてほしいですか。いまはこういう時期なので、私自身もそうですが、凹むことやうまくいかないことが、例年よりあると思うんですね。そんなときに“心の味方”として、このアルバムがそばにあってほしいなって思いますね。「いろいろなお仕事に挑戦してお芝居もやりたい」ーーお話は変わりますが、普段、プロポーションをキープするためにしていることはありますか。スタイルキープは私自身、あんまりできていないところがあるんです。やっぱり食欲には勝てないじゃないですか(笑)。疲れちゃった、失敗したというような日はめちゃくちゃ食べちゃいますし、スタイルキープできているかいなかというと、ちょっとアヤシイところ。でも、一応気にしているのは、食生活です。カロリーをとりすぎないように、家では0カロリーのお砂糖を使っていたり、お米には「マンナンごはん」という、コンニャクのお米をとりいれていたり。お米を炊くときに、白米とマンナンごはんを半分ずついれて、カロリーハーフのごはんを食べていますね。ーー美容面ではいかがですか。私、美容が大好きで、情報を共有するのも好きなんです。いろいろなものを自分で試してみて、よかったもの、ちょっと合わなかったものと、確かめてみたり。私が合うものでも他の人には合わないことやその逆もあって人それぞれだと思うので、お友だちと美容情報を交換しています。でも、まわりから私に一番多い質問というと、髪の毛なんですよね。このロングヘアをどうやってキープしているのかという。本当に、髪だけは恵まれているなって感じるので、髪のケアにはこだわっています。ーーどのようにケアをされているのですか。自分に合うこだわりのシャンプーをずっと使っています。そのシャンプーをした後に、シャンプーとトリートメントの間にやるトリートメントがあるのでそれをやって、5分おいて。さらにそこからトリートメントをして、その後はさらにヘアパックをします。ーーそれを毎日?毎日やっています(笑)。お風呂から出たら、洗い流さないトリートメントを髪全部につけて、乾かしたあとに、さらにオイルをつけています。ーーすごいです、アイドルの鑑ですね。ちなみに、今回のアルバムは夏の発売ですが、高城さんが“夏に必ずすること”があったら教えてください。季節もの、王道なものは、必ずやっています。夏だと、花火や、おうちで家族でバーベキューしたり。昨年は、おうちで夏祭りごっこをするために、屋台みたいな雰囲気を出して、打ち上げ花火の音だけかけてみたり。外出自粛中でも楽しめますよ。もしコロナ禍じゃなければ、夏は海へ行ったり、それこそ小学校の頃は毎年、キャンプに行っていたり。でもキャンプに行く前は、必ず、熱を出すんですが(笑)。ーーかわいいです(笑)。高城さんはけっこうアクティブなんですね。わりとそうですね。小さい頃は、夏に登山もしていました。最近はYouTubeで、海の定点カメラを観ることにハマっています。おすすめですよ。ーーでは最近ハマっているものといえば、定点カメラの映像ですか?定点カメラと、映画やアニメ鑑賞ですね。映画は、おしゃれな『キューティ・ブロンド』とか『ココ・シャネル』、アクションスリラー映画の『イコライザー』とか『デンジャラス・ラン』とか、いろいろなジャンルを観ますね。観た作品はほぼ全部、ストーリーがどうだったか、一番印象的だったセリフは何かなど、メモをとっています。ーーそして、6月21日で28歳、おめでとうございます。この1年で今後、プライベートでやってみたいことはありますか。いっぱいありますが、美容について極めたい、勉強したいですね。あと介護福祉にも興味があるので、その勉強もしたい。これはプライベートになるのかどうかわかりませんが、モノノフ(ももクロのファンの方の呼称)さんの女の子たちと、ゆるっと美容のことについて、配信だったりチャットだったりしてみたいです。あとは御朱印帳を集めているので、緊急事態宣言があけたら、歩ける範囲のお寺や神社を全制覇して、御朱印を集めたいですね。ーーこれまでに参拝して印象深かった神社仏閣はありますか。私がずっとお世話になっている神社があって、神奈川県の江の島にある、芸能の神さまがいらっしゃる、江島(えのしま)神社です。地元が横浜で神奈川県なんですが、小さいときから江ノ島方面に行くことも多くて、いまの事務所に入る2、3年前から江島神社に行き始めたんです。そこからことあるごとに、例えば大きなライブの前などは、必ず江島神社に「成功しますように」とお参りに行っていて。ライブが終わったら、お礼参りに行くということを毎年恒例でやっています。ーーいろいろなお話をありがとうございました。では最後に、高城さん個人として、ももいろクローバーZとして、今後の抱負をお聞かせください。個人としては、いろいろなお仕事に挑戦したいですし、まずはこのソロアルバムをたくさんの方に聴いていただきたいなと思います。そして個人的には、お芝居のほうもやってみたいなという願望があります。グループとしては、私たちの売りでもあるライブが昨年はあまりできなかったぶん、今年はもっとやりたいなと。ももクロとして冬にアルバムもリリースする予定なので、いろいろな方に、私たちの想いを届けたいですね。取材後記国民的アイドルグループ、ももいろクローバーZのメンバーであり、初めてのソロアルバムをリリースされた、高城れにさん。今回はリモートインタビューをさせていただきましたが、その際につけていたマスクが高城さんのイメージカラーの紫色だったのでそのことをたずねると、「今日たまたま紫色なんですよ」と、(見えている瞳が)ニッコリ笑顔ではにかむ姿がとってもキュートで素敵でした。そんな高城さんの1stソロアルバムをみなさんも、ぜひチェックしてみてくださいね。取材、文・かわむらあみり高城れにPROFILE1993年6月21日、神奈川県生まれ。百田夏菜子、玉井詩織、佐々木彩夏、高城れにの4人によるガールズユニット「ももいろクローバーZ」、通称“ももクロ”の最年長メンバー。イメージカラーは、紫色。2015年から、毎年3月9日に高城のソロコンサートを開催。2016年より、文化放送のラジオ番組「高城れにの週末ももクロパンチ!!」(毎週土曜17:00)をレギュラー担当中。2020年、よるドラ『彼女が成仏できない理由』(NHK総合)で初主演(森崎ウィンとともにW主演)。2021年8月18日、高城の1stソロアルバム『れにちゃんWORLD』をリリース。ももいろクローバーZは、次世代の新人プロジェクトとして2008年春に結成。ストリートライブを出発点に活動を開始し、2009年8月にシングル「ももいろパンチ」でインディーズデビュー。2010年5月にシングル「行くぜっ!怪盗少女」でメジャーデビュー。以降もコンスタントに作品を発表し、メンバーの身体能力を活かしたアクロバティックなダンスやバラエティタレント顔負けのトークによってライブ会場を盛り上げ、次第に個性的なグループとして頭角を現す。2021年冬、6thアルバムのリリースを予定している。InformationNew Release『れにちゃんWORLD』(収録曲)01.SKY HIGH02.じれったいな03.恋は暴れ鬼太鼓-NEW RENI ver.-04.津軽半島龍飛崎-NEW RENI ver.-05.Dancing れにちゃん06.Tail wind07.Voyage!08.しょこららいおん09.まるごとれにちゃん10.『3文字』の宝物11.何度でもセレナーデ12.spart!13.everyday れにちゃん14.一緒に<ボーナストラック>15.ユーアノッアロン*以下、初回限定盤のみ収録。[Blu-ray]新曲MUSIC VIDEO「SKY HIGH」「Voyage!」2曲「CongratuRenichan~The 02 season 2020~」-LIVE VIDEO-01.Dancing れにちゃん02.Ride on time03.キューティーハニー04.ダンシング・ヒーロー(Eat You Up)05.VALENTI06.タマシイレボリューション07.everyday れにちゃん「まるごとれにちゃん0202スプリングツアー2021」-LIVE VIDEO (Edit ver.)-01.一緒に02.まるごとれにちゃん03.春夏秋冬04.spart!05.しょこららいおん06.笑―笑 ~シャオイーシャオ!~07.GODSPEED08.全力少女09.未来へススメ!10.everyday れにちゃん11.Tail wind[れにちゃんWORLD SPECIAL BOOKLET(44P)]Special Photo100 Questions!!-Fromモノノフ-What’s in Renichan’s bag?DiscographyInterviewRenichan Playlist2021年8月18日発売*収録曲は全形態共通。(通常盤)KICS-4016(CD)¥3,080(税込)(初回限定盤)KICS-94016(CD+Blu-ray)¥9,000(税込)取材、文・かわむらあみり
2021年08月19日【音楽通信】第82回に登場するのは、TVアニメ『うたのプリンスさまっ』シリーズで注目を集め、現在『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…X』にも出演中の声優であり、ドラマや舞台、アーティスト活動まで七変化の大活躍で魅了する、蒼井翔太さん!初めて買ったCDはバラエティ番組の影響【音楽通信】vol.822011年に声優デビューし、『うたのプリンスさまっ』シリーズの美風 藍役で注目を集めるなど、多くのTVアニメやゲーム作品に出演してきた、蒼井翔太さん。アーティストとしては、2019年に開催したライブツアー全公演で22,000人を動員し、10月発表のシングル「Harmony」はデイリーチャート3 位を獲得。2021年3月に開催された2度目となる日本武道館公演では、歌とピアノのみの構成で無観客オンラインライブを生配信するなど話題を集めています。また、7月6日まで放送されていたMBS/TBSドラマイズム『REAL FAKE 2nd Stage』(MBS/TBSほか)に出演するなど、幅広いジャンルで大活躍中の蒼井さんが、2021年7月14日に13枚目のシングル「give me me」をリリースされるということで、お話をうかがいました。――そもそも蒼井さんが音楽にふれたきっかけから、教えてください。僕がまだ物心つかない頃に、当時は数少なかったカラオケ機器が家にあって、祖母が美空ひばりさんの曲「川の流れのように」を歌っていたことを覚えていて。祖母がカラオケで歌った歌を録音したカセットテープがあるんですが、大人になってからそれを聴くと、歌声とは別に、僕の小さな声も入っていたんです。音楽に出会ったのは、この頃だといえますね。――蒼井さんが幼少の頃に聴いた、おばあさまの歌が音楽との出会いということですが、ではご自身で初めて買ったCDというと?小学生の頃によく観ていたバラエティ番組『ウッチャンナンチャンのウリナリ!!』(日本テレビ系 1996〜2002年)で結成された、ウッチャンナンチャンの内村光良さん、タレントの千秋さん、キャイ〜ンのウド鈴木さんのバンド「ポケットビスケッツ」のCDですね。「YELLOW YELLOW HAPPY」(1996年)という曲のCDを初めて自分で買ったのですが、やっぱりテレビの影響は大きかったです。番組を観て、翌日いかに学校でその話ができるか、ということを小学校のときは、みんなで競い合っていました。――そうした時期を経て、2011年に声優デビューされたのはどんな経緯ですか。もともとアニメが好きで、当時はアニソンを歌うアニソンシンガーを目指していて、いまの事務所に入りました。すると、事務所の社長から「あなたの声はとても特殊で個性的だから、声優のレッスンも勉強してみないか」と言われたのが、声優になったきっかけなんです。声優という職業はもちろん知っていましたが、自分の声にコンプレックスを持っていたので、まさか本当に声優のお仕事ができるなんて思ってもいませんでした。だから、レッスンをしたところで声優という仕事に対しては自信が持てないだろうなと思っていながらも、勇気を出して一歩踏み出したんです。――そこから声優としてもご活躍されていますね。本当にありがたいことです。まだ声優として出たばかりの頃は、なかなか受け入れてもらえないこともありましたが、そのなかでも支えてくださる方もいっぱいいました。そんなみなさまや自分の演じたキャラクターたちに、なんとか心を支えられてやってこられたので、応援してくださったみなさんに感謝しています。――アーティストとしては、2016年に初の日本武道館公演を開催され、今年の3月にも同会場で「蒼井翔太 ONLINE LIVE at 日本武道館 うたいびと」を生配信されましたね。無観客でのオンラインライブはいかがでしたか。5年前も、ソロで武道館に立たせていただくことが信じられなくて、プレッシャーがすごくのしかかってきました。でも会場に来てくださったみなさまの声援に支えられて、ステージに立った瞬間から、不安は安心に変わって。緊張感や悪い思考は全部取り除かれて「来てくださったみなさんに歌を届けよう」という気持ちだけが残って、ストレートに歌えた気がします。今年の武道館公演は以前と違い無観客で状況は違いますが、本番が始まると、5年前にみなさまがいてくださった光景を鮮明に思い出しました。頭の中のみなさんと一緒にいるビジョンを思い浮かべて「いまきっと画面の向こうでは観てくれているんだな」と、いままで築いてきたみなさんとの信頼関係が、見えない糸でつながっていることを感じさせてくれた今回の公演でした。「はめふら」と『REAL FAKE』の世界観を凝縮――2021年7月14日に、13枚目のシングル「give me me」をリリースされます。表題曲は7月2日から放送されている、TVアニメ『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…X』通称「はめふらX」(TBS系 毎週金曜日 深夜1時25分)のエンディングテーマですが、第一期に続いてご担当されるそうですね。第一期は、バンドサウンドでロックに歌い上げる「BAD END」という曲だったので、今回はガラッとサウンドを変えたくて、ダンサブルな打ち込みやデジタル要素を取り入れています。僕は女の子のアイドルグループがすごく好きなんですが、今回打ち込みを曲に取り入れるにあたって、アイドルグループの曲のような要素をサウンドにもフレーズにも入れたくて、意識して作ってみました。なので、蒼井翔太流の初めてのアイドルソング的な楽曲にも仕上がっていますが、キュートでラブリーなだけではなく、「はめふらX」の世界観もグッと詰め込んだ楽曲になっています。――ちなみに、好きなアイドルグループとは誰なんでしょうか?モーニング娘。です。ハロプロ系ですね、すごく好きで。この曲を聴いたり、ミュージックビデオを観ていただいたりしても、モー娘。が好きな方には、曲のテイストからも感じるところがあるかもしれません。――「はめふらX」では前作に引き続き「ジオルド・スティアート」役で声優を務めていらっしゃいますが、ストーリーや役柄についてもお話しいただけますでしょうか。乙女ゲームの世界の悪役令嬢、カタリナ・クラエスに転生したオタク女子が、自分の破滅エンドを回避するために奮闘する物語で、そのカタリナの唯一の婚約者で王国の第三王子が、僕が演じているジオルド・スティアートです。カタリナは、男女問わずまわりのひとたちを虜にしてしまうキャラクターで、話が進むにつれてジオルドのライバルがどんどん増えていくんです。なので、他の人に奪われないように、愛する人のために裏で作戦を立てたりする、腹黒だけど純粋な思いもある、かわいい王子だと僕は感じています。そのジオルドという役の気持ちもしっかりと詰め込まれている曲なので、愛が強い楽曲ですね。――さわやかでキャッチーな3曲目「Baby Steady Go!!」は、ゲーム版の『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった… ~波乱を呼ぶ海賊~』オープニングテーマなんですよね。そうなんです。「はめふら」がゲームになりまして、「Baby Steady Go!!」を使っていただいて。まだゲームの内容は、ボイス収録をしていないので詳しくはわからないのですが、サブタイトルに「波乱を呼ぶ海賊」とついているだけで、「海賊」と聞くと大海原で大航海して、水平線の先に何が待っているのかと期待する感じがあふれてくると思うんです。そんなワクワクをつめこみたくて、イントロからみなさんにも楽しんでいただけるようにという思いをこめて制作しました。――2曲目「硝子のくつ」は蒼井さんが作詞、作曲されたアグレッシヴなナンバーですが、蒼井さんご自身がご出演されていたドラマ『REAL FAKE 2nd Stage』のエンディングテーマでしたね。ドラマは数多く経験させていただいているわけではないですから、貴重なひとつずつのシーンの撮影で、プレッシャーを自分に与えながらも、まだまだ慣れないところもありました。前作から引き続き「朱音(あかね)」という役をやらせていただいて、レコード会社の社長に就任して、新しく入ってきたユニットの「ASTRA RING」をプロデュースするところから、物語は始まります。朱音たちにどんな困難が降りかかってきても、自分が守りたいと強く思うものを守るためには、ストレートにそれを行動に移すこともできるけれど、人や立場によっては何かを演じなくてはいけないときもあって。例えば会社の上司の方は下の方たちをなんとか守ろうとか、いろいろなものを動かすためには、いやな人を演じるときもあると思うんです。まわりになんと言われても、最後までやりぬく意志を貫くというか。そんな朱音の強い決意をこの曲には詰め込みましたし、作品の枠をこえても、響く方もいるんじゃないかなと。タイトルの「硝子のくつ」の意味は、シンデレラがモチーフになっているところもあって。リアルとフェイクを色に例えると、白と黒だとして、まざると灰色になるじゃないですか。その灰色から灰を想像すると、灰をかぶるシンデレラが想起されました。シンデレラは最初灰かぶりだけど、本当のみすぼらしい姿は見せずに、魔法で姿が変わって、舞踏会では美しく演じるわけですよね。でも魔法がとけて、王子さまが探しにきてくれたときに、やっと本当の自分の姿を見せる。そんなシンデレラのお話のリアルとフェイクが、この曲の要素になっている部分もあります。大切な人たちを守りたいという朱音の強い意志を「硝子のくつ」を履き続ける、という歌詞にしてこの曲に表しています。――2.5次元舞台でも活躍されているキャストの方たちとも共演されていましたが、現場で印象的だったことはありますか。今回、前作ほど本編で絡むことはなかったんですが、現場が一緒だったのは荒牧慶彦くんや、和田雅成くんといった、ドラマのなかのユニット「Stellar CROWNS」のメンバー。ドラマのオープニングで流れているダンス映像を「Stellar CROWNS」として、みなさんが撮影されていたんですが、休憩中も大きな鏡のある楽屋で振り付けを確認しながら練習されていて、微笑ましく見ていましたね(笑)。みなさん、ドラマのセリフももちろん頭に入っているんでしょうが、休憩せずにダンスの練習も怠らないところがすごいなって。舞台やドラマの世界は、まわりのみなさんが先輩ですので、見習うところが多かったです。――シングルのジャケット写真は、蒼井さんを囲んだ黒い格好の人たちが印象的ですが、ここに写っている人たちはもしかして、すべて蒼井さんですか?全部、僕です(笑)。別々に撮影して合成しました。表題曲の歌詞にある「重なり合う世界線」という言葉が頭に残っていて、いろいろな世界線、選択肢がいつも自分の隣り合わせになっていて、それがいろいろな影として自分にまとわりつくという構図。面白い画が撮りたくて、ポップに、アートのように仕上げていただきました。活動の目標は「変わらず変わる」七変化――おうち時間が長引く昨今ですが、いまハマっているものはありますか。いまハマっているのは、観葉植物ですね。でもショックなことに、大きな樹を買ったんですが、1か月もしない間におじいちゃんになっちゃって……。以前から部屋に置いてある観葉植物たちはぴんぴんしているのに。――相性が合わなかったんでしょうか。相性が悪かったのかな、また蘇らないかなと思って、まだ置いていますけどね。観葉植物はひとりひとりがかわいいんですよ、めちゃくちゃ癒されますね。あと、僕はタロットカードが趣味なので、時間があるとタロット占いをやっています。声優としてのお仕事とか、舞台があったら舞台とか、時間があるときはずっとタロット占いをしていて、持ち歩いています。まわりの人たちにもけっこう「タロットで運勢をみてください」と言われることも多いですね。また、タロットは話し相手にもなるので、友だちという感覚もあります。――いつから興味を?もともとミステリアスなタロットに興味を持っていましたが、魔術師の人が作り出したという言い伝えもありますし、以前は怖いイメージもあってなかなか手を出そうとは思いませんでした。でもあるとき、ゲームをやっていて、使っていたキャラクターがタロットカードで戦うキャラクターで、とても刺激されたんです。そして実際にタロットカードを手に取ってみたら「かっこいいな」と、そのときからしっくりきました。タロット占いをするようになったあるとき、父が病気になりそうだと、占いの結果が出て。急いで父に知らせて病院に行ったら、本当に父の病気が見つかったんです。でも、早期発見で大事にも至らなかったのですが、この一件以来、タロットに恩を感じたのでいまも続けています。一方で、コレクターとしても目覚めて、50デッキ(50個)以上は持っています。タロットカードは絵柄もすごくきれいで、机に並びきれないほど持っているので、飾っているんですよ。最近は直感力のある母もタロット占いにハマったので、「じゃあ僕のタロットをあげる」って言ってあるんです。――蒼井さんは霊感のようなものはあるんですか?まったくないです(笑)!でも直感力はあると思いますね。そういえば、1回だけ見たことが……。――見た、というのは、オバケですか?オバケさんかな、オバケくんかな、見ました。プロモーションビデオの撮影のときに、撮影場所が廃病院だったんですが、霊安室が休憩室だったんです。――チャレンジングなところで撮影されて……。でもそのおかげで、かっこいいプロモーションビデオが撮れました(笑)。――安心しました(笑)。ところで、蒼井さんはブログで不登校だったことを告白されていたり、声優として出たばかりの頃は心ないことを言われたというお話もしてくださいましたが、さまざまな葛藤を乗り越えてのいまのこのご活躍は、多くの人を勇気づけるのではないでしょうか。いまコロナ禍でつい気分が沈みがちになってしまう方もいるようですが、そんなときどうしたらよいでしょうか。僕の場合は、へこんだときだけ、自分のワガママを許すようにしています。すぐ前向きになるなんて、本当はすごく難しいことだからこそ、落ち込んだ瞬間は、自分のやりたいことに素直になる機会を作ってあげたらいいなって。食べたいものはその日のうちに我慢せずにしっかり食べて、声が聞きたい人がいたら、いつもは仕事中かな、寝ているかなと遠慮するところでも、我慢せずに電話してみて。へこんだときは、誰かの声を聞いて、ひとりじゃないっていうシチュエーションを作らないといけないと思うんです。どうしたらいいのか自分ひとりじゃ答えが出ないのは、過去にその経験をしていないからで、経験したことのある人にどうしたらいいか相談すると「そうすればいいんだ!」って少しでも前向きになると思うんですよね。――ありがとうございます。では最後に、今後の抱負を教えてください。今回、シングル「give me me」を、1枚の作品としてリリースすることができました。蒼井翔太としての活動の目標として、「変わらず変わる」というものがあって、さまざまな姿かたちになって七変化する蒼井翔太をみなさんにお見せしたいという気持ちがあります。でも根本的なものは変わらず、いろいろな活動を届けていきたいので、これからも同じことをするのではなく、いろいろな姿になっていきたいと思います。取材後記さまざまなジャンルで大活躍中の蒼井翔太さん。ananwebの取材では、スケジュールもご多忙のなか、撮影時は美麗な姿をたくさん見せてくれたうえ、インタビューでもいろいろな質問に軽やかに応じてくださいました。そんな蒼井さんのニューシングルをみなさんも、ぜひチェックしてみてくださいね。写真・北尾渉取材、文・かわむらあみり蒼井翔太PROFILE8月11日、福井県生まれ。声優、歌手、舞台などさまざまな分野で活躍中。2011年、声優デビュー。主な出演作として『うたのプリンスさまっ』シリーズ(美風 藍)、『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』(ジオルド・スティアート)、『カードファイト!! ヴァンガード overDress』(近導ユウユ)、『劇場版 美少女戦士セーラームーンEternal』(フィッシュ・アイ)など、多くのアニメ、ゲーム作品に出演。アーティストとしては、2016 年に自身初となる日本武道館公演を開催。2017年、10,000人を動員した代々木第一体育館公演を含む東阪ライブツアーを成功に収める。10 月には2ndアルバム『Ø(ゼロ)』がオリコンウィークリー7位を獲得し、アルバムを掲げての2万人動員の全国ライブツアーも開催。2019年、全7公演のライブツアーで計22,000人を動員。10 月にはTVアニメ『この音とまれ!』第2クールのオープニングテーマとなる11thシングル「Harmony」を発売し、オリコンデイリー3 位を獲得。2021年7月14日、13thシングル「give me me」をリリース。InformationNew Release「give me me」(収録曲)01.give me me02.硝子のくつ03.Baby Steady Go!!2021年7月14日発売*収録曲は全形態共通。(通常盤)KICM-2091(CD)¥1,430*※初回製造分のみプレイパスコード封入。(初回限定盤)KICM-92091(CD+DVD)¥1,980*プレイパスコード封入。[DVD内容]「BAD END」MUSIC VIDEO、MAKING写真・北尾渉 取材、文・かわむらあみり
2021年07月11日【音楽通信】第80回目に登場するのは、話題作『ウマ娘 プリティーダービー』など数多くのTVアニメやゲームなどに出演し、第15回「声優アワード」で「新人女優賞」を受賞した、和氣あず未さん!TVアニメの影響で音楽を聴き、声優の道へ【音楽通信】vol. 802015年にゲーム『アイドルマスター シンデレラガールズ』の片桐早苗役で声優デビューした、和氣あず未さん。話題作『ウマ娘 プリティーダービー』のスペシャルウィーク役の声を務めるなど、数多くのTVアニメ、ゲーム、ラジオに出演し、第15回「声優アワード」で「新人女優賞」を受賞しました。音楽活動としては、2020年1月に1stシングル「ふわっと/シトラス」でアーティストとしてデビュー。そんな和氣さんが、2021年6月16日に4枚目のシングル「Viewtiful Days!/記憶に恋をした」をリリースされるということで、お話をうかがいました。――音楽にふれたきっかけや、影響を受けたアーティストから教えてください。小学生の頃はあまり音楽を意識しなかったのですが、中学生ぐらいから、ポルノグラフィティさんやL’Arc〜en〜Cielさんがすごく好きになりました。それは当時よく観ていたTVアニメ『鋼の錬金術師』のオープニングテーマを担当されていて、その影響でアーティストのことを知って、音楽も聴くようになりました。とくに男性アーティストの曲を聴く機会が多かったので、カラオケに行っても、男性ボーカルの曲をよく歌っていたんですが、自分の声に男性の歌が合わなくて、歌うのは難しいと思っていました。その頃、ちょうどニコニコ動画が流行っていて、ボーカロイドの曲も聴くようになって。それからはカラオケでも、男性ボーカル以外のアニメソングやボーカロイドの曲を歌うようになっていきましたね。――2015年に声優デビューされましたが、目指したきっかけはなんですか。声優を目指したのも『鋼の錬金術師』の影響です。それまでもアニメは観ていたんですが、声優という存在を知らなくて、ちゃんと認識できたのがこのアニメでした。『鋼の錬金術師』の声優さんがアフレコする映像を観て、すごく衝撃を受けて「かっこいいなあ」と思って。中学2年生ぐらいから「声優をやってみたい」と、自分でもマイクを買って声を録音したりしていました。――2021年3月には、第15回「声優アワード」で「新人女優賞」を受賞されましたね。2020年度にもっとも活躍した声優を称えるという賞ですが、受賞していかがですか。私の学生時代からずっと続いている賞で、受賞者はとても活躍されている方ばかりですごいなあと思っていたので、まさか私が受賞できるとは思いませんでした。「新人女優賞」をいただけると聞いて「私でいいんですか?」とマネージャーさんに言ったぐらい(笑)。今回を逃したらめったにもらえない賞ですし、新人でいられるのも短い期間しかないので、受賞できて光栄です。――2020年1月には、アーティストとしてもデビューしましたね。お声がけをいただいて、アーティストデビューさせていただきましたが、声優人生のなかでまさかこんな日がくると思っていませんでした。もともと小さい頃から歌は好きなんですが、人前で歌うことがすごく苦手なんです。ひとりでこっそり歌ったり、ひとりで行くカラオケは大好きなんですが、友達と一緒に行くのは苦手で、もし一緒に行っても「私は歌わないから」と逃げて(笑)。声優デビューしてからは、キャラクターとして歌うことは多かったのですが、最初は苦手意識がありました。でも「歌っているのは自分じゃなくてキャラクターだ」と思うと、お芝居と一緒だなと。そう思えば、歌うのも楽しいと思えてきて、そんなときにアーティストデビューのお話をいただきました。キャラクターではなく、自分自身として歌うのはすごく大変なことですが、最初の頃は夢のような感じでしたね。――ご自身から発する歌ですものね。そうなんです。自分で歌うってなんだろう、誰かのまねになったらだめだし、難しいなと。最初は悩んでいたんですが、いまはすでに26曲も歌わせていただくようになって。音楽活動をしているうちに、なんとなく自分の歌はこうなのかなと、やりやすい歌い方がつかめてきました。いまもレコーディングでは良い緊張感はありますが、だんだんと落ち着いてきて、自分の歌を歌えるようになりましたね。いまの日常をテーマにしたシングルをリリース――2021年6月16日に、4枚目のシングル「Viewtiful Days!/記憶に恋をした」をリリースされます。アップテンポな「Viewtiful Days!」は4月から放送中のTV アニメ『スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました』(TOKYO MX・BS11ほか 毎週土曜22:00/Abema TVほかでも配信中)のエンディングテーマですね。実は、レコーディングしたのが1年ほど前だったんですが、そのときから『スライム倒して300年』のエンディングテーマになることは決まっていたんです。何曲かほかにも候補があって、アニメに合う曲をたくさん聴き比べました。アニメは、主人公のアズサちゃんが、働き過ぎが原因で過労死した前世から、不老不死の魔女として異世界に転生して、辺境の高原でのんびりスローライフを始めるというお話です。登場するキャラクターはほぼ女性で、ほのぼのとスローライフを楽しむ内容のアニメなので「ハッピーに終わりたい」ということで、この明るい「Viewtiful Days!」を聴いたときに、ピッタリだと思ってこの曲に決めたんです。「いっせーのせ!!」というフレーズがあるんですが、聴いたあとに印象に残りやすくて、タイアップにもふさわしいと思いました。初めてアニメがオンエアされて、エンディングまで観てくださった方が、この曲は「心に残りやすい」と言ってくださって、うれしかったですね。――『スライム倒して300年』では、フラットルテ役として声優も務めていらっしゃいますが、どんなキャラクターでしょうか。フラットルテちゃんは、もともとブルードラゴンの女の子で、人間の姿になることもできるというキャラクターです。スライムを倒して強い魔女になったアズサちゃんのまわりに、フラットルテちゃんも含めて、たくさんの人が集まります。フラットルテちゃんは、頭で考えるよりも先に行動してしまう、突っ走りがちでおもしろい、かわいい子ですね。――2曲目「2030」は、「口元隠して恋をするなんて新しい世界だね」という歌詞がありますが、コロナ禍での出会いや恋のことを描いているのでしょうか。まさにいまの状況だからこそ、できた曲です。これまでマスクをしながら恋をする機会なんてなかったと思うのですが、いまはそういう時期になって。シングルの全体のテーマが「日常」なので、いまの日常というとマスクをしていることでもあるので、「2030」にその様子を入れさせていただきました。コロナ禍というとマイナスなイメージが多いですが、この曲の主人公はいまをポジティブにとらえていて、好きな人に会えない状況だけれど、会えないからこそこの時期にもっと君好みの女性になれるといいなという、恋愛をポジティブに楽しむ歌詞になっていて。いま同じような状況にいる女の子たちにも、共感してもらえるところがたくさんあるのではないかなと思っています。――続いて、3曲目「記憶に恋をした」は、センチメンタルな失恋ソングのようですね。「Viewtiful Days!」とともに両A面となる「記憶に恋をした」ですが、切なくてキュンキュンする曲になっています。もともと恋愛ソングが大好きなので、これまでも恋愛系の曲が多く、この曲もそのひとつです。主人公の女の子は、ふいに昔好きだった男の子のことを思い出して切なくなってしまうんですが、この歌詞では失恋して離れ離れになったのか、好きだった男の子と一生会えない状況になったのか、結末は聴く方の想像次第で変わっていくのかなと。彼のことが好きだった気持ちをずっと忘れていないものの、「待ち合わせした駅は 今はもうないけれど」という歌詞もあり、時間経過を感じさせる部分もあって。これは小説のようにひとつのフレーズが長くて、物語を読んでいるような歌詞になっています。――4曲目「hopeless」は、他の3曲と少しテイストが違って、後ろ向きな気持ちを歌っています。全体のテーマが日常ということで、最初の1、2曲は楽しく日常を過ごしていて、3曲目で少し切なかったり過去のことを思い出したりする様子を描いています。この4曲目は、コロナ禍で暗い気持ちになった方もいると思うのですが、そういうところをあえて外さずにネガティブに表現しています。だから、最初から聴いていくと幸せなんですが、だんだん暗くなっていくかもしれないので、そうなったらまた最初から聴いていただくと明るい気持ちになるので、無限ループに聴けるシングルに仕上がっています(笑)。――今年の7月18日には、東京・中野サンプラザで「1st LIVE -超革命的恋する音楽会-」と題したコンサートが、有観客で開催されますね。中野サンプラザは、友達のライブで行ったこともなく、自分自身のライブ会場としても初めての場所なんです。有名な会場で開催できるのはうれしいですが、緊張しますね。バンドメンバーの方がいらっしゃるので、きっとかっこいいライブになると思います。タイトルの「1st LIVE -超革命的恋する音楽会-」は、今年の2月にリリースした1stアルバムの『超革命的恋する日常』から取ったタイトルなので、ライブでも恋愛の歌が多くなってキュンキュンできることがたくさんあるかなと、ライブを楽しみにしています。「応援してもらえるアーティストになりたい」――「Viewtiful Days!」のミュージックビデオでは、部屋でお料理したり運動したりしていますが、和氣さんご自身も、おうちではあんなふうに過ごしているのですか。全然していないです(笑)。あのミュージックビデオは、監督さんが「和氣さんが普段やっていそうなことをやろう」とおっしゃって、ガーデニングやヨガなど家でできるいろいろなことを集めて撮影してくださっていますが、実際の私はガーデニングもできないしヨガも料理もできないんです(笑)。いつものミュージックビデオでは、けっこうポーズなどをきっちりと決めて撮っていたんですが、今回は、作っていない不器用な私の姿が見られるんじゃないかなと。あれは、ほぼ素の私ですね。――ということは、実際に、おうちではどう過ごしているんですか?ミニチュアダックスを2匹飼っているので、ワンちゃんと遊んでいるのと、ゲームをして過ごしています。私が幼稚園の頃から、実家ではワンちゃんを7匹飼っていたので、ワンちゃんといると幸せ。住んでいるマンションでは共有部分だけ、ペットの足を床につけてはいけないので、お散歩するときはペット用のベビーカーに玄関でワンちゃんを乗せて、そのまま外出していて。まるで自分の子どもができたような気分になります(笑)。――かわいいですね(笑)。ゲームは、どんな内容のものをやっているんですか。最近は『バイオハザード』をやったり、友達と通話しながら、オンラインゲームをしたりします。私はもともと外に出るのがあまり好きではないので、いまの外出自粛生活はまったく苦ではないんですが、友達と話す機会は減っているので、オンラインでいろいろとできるのは便利ですね。――和氣さんは占いもお好きだとうかがっていますが、最近占いはしましたか。「LINEトーク占い」をやりました。実際にその場で、LINEのトーク機能を使って、占い師の先生と会話しながら占ってもらえるんです。私が占ってもらった明占先生は、顔文字を使ったりする優しい先生で、友達とLINEをしている感覚で、仕事、恋愛、健康と、なんでも鑑定してくれました。鑑定時間が終わりになったときに、最後に「ありがとうございました」と送ったら、最後の最後まで「どの色のクマさんが一番いいと思いましたか?」と、選んだクマによって結果が違うという方法でも占ってくださって。アフターケアまでしっかりしていました。――そのときの基本的な占いの種類は、西洋占術ですか、東洋占術でしたか?西洋占星術を使って生年月日で占ってもらいましたね。すごく面白かったですよ。おうちにいて気軽にできる占いだったので、楽しくて、また「LINEトーク占い」で占ってもらいたいなと思いました。――以前、アニメ『鬼滅の刃』の竈門禰豆子役で知られる声優の鬼頭明里さんがこの「音楽通信」の取材で、「すごく仲良い友達の和氣あず未さんといつか一緒にコラボレーションして歌ってみたい」「一緒のステージにも立ってみたい」とお話しされていました。鬼頭さんとは、仲良しなんですね。悩みを聞いてもらったり、聞いたりする、昔からの友達という感じです。ふたりでおしゃべりもするし、ゲームもするし、でも、とくに何もしないこともありますし(笑)。ただ一緒にいるだけで、何もしなくても、心地いい関係。変に気を遣わなくていい、家族みたいな存在ですね。鬼頭明里にも「カラオケ行こうよ」と誘われるんですが、「絶対に行かない」と断っていて(笑)。彼女が「和氣あず未は仕事でしか歌ってくれないから、ライブとか仕事で一緒になったら歌ってよね」と言われていますので、いつか一緒にステージに立つことがあったら、お仕事だったら一緒に歌えると思います(笑)。――最後に、今後の音楽活動での抱負をお聞かせください音楽は、すでにアルバム1枚とシングル4枚を出させていただいています。いままでリリースイベントやオンラインライブは経験がありますが、7月の公演では、実際にステージに立ち人前で歌うので、いまから緊張していて。本人が緊張していると、観ている方も不安な気持ちになるかもしれないので、お客さんにはそういう緊張などは一切なく、ぜひライブを楽しんでいただきたいんです。そうなれるように頑張りますし、応援してもらえるようなアーティストになっていきたいですね。取材後記声優としてはもちろん、アーティストとしても活躍されている、和氣あず未さん。ananwebの撮影では、シングルのジャケット写真でも着用されているさわやかな白い衣装で登場され、プリンセスのようで、とてもチャーミングでした。インタビューも、にこやかにハキハキと応えてくれたのが印象に残っています。そんな和氣さんのニューシングルをみなさんも、ぜひチェックしてみてくださいね。写真・山本嵩取材、文・かわむらあみり和氣あず未PROFILE9月8日生まれ。東京都出身。2015年、ゲーム「アイドルマスター シンデレラガールズ」の片桐早苗役で声優デビュー。これまでに「おしえて!ギャル子ちゃん」主役ギャル子役、「ウマ娘 プリティーダービー Season 1」主役スペシャルウィーク役、「東京リベンジャーズ」橘日向役などTVアニメ、ゲーム、ラジオ、音楽活動とさまざまな分野で活躍中。音楽活動としては、2020年1月に1stシングル「ふわっと/シトラス」でアーティストとしてデビュー。2021年6月16日、4枚目のシングル「Viewtiful Days!/記憶に恋をした」をリリース。7月18日、東京・中野サンプラザで「1st LIVE -超革命的恋する音楽会-」公演を開催する。InformationNew Release「Viewtiful Days!/記憶に恋をした」(収録曲)01. Viewtiful Days!02. 203003. 記憶に恋をした04. hopeless05. Viewtiful Days!(Instrumental)06. 2030(Instrumental)07. 記憶に恋をした(Instrumental)08. hopeless(Instrumental)2021年6月16日発売*収録曲は全形態共通。(通常盤)COCC-17881(CD)¥1,650(初回限定盤)COZC-1751-2(CD+DVD)¥2,200写真・山本嵩 取材、文・かわむらあみり
2021年06月15日【音楽通信】第75回目に登場するのは、素晴らしい歌とダンスで、国内外の人々を魅了し続けている、エンターテイナーの三浦大知さん!【音楽通信】vol. 75歌いながら踊ることはずっと好きなスタイル抜群の歌唱力と世界水準のダンスパフォーマンスで、国内外の人々を魅了し続けている、三浦大知さん。2005年3月のソロデビュー以降、「日本レコード大賞」優秀作品賞など数々の賞を受賞し、横浜アリーナほか規模の大きなライブ公演も軒並み成功を収めている、エンターテイナーです。そんな三浦さんが、2021年4月21日に28枚目となるニューシングル「Backwards」をリリースされるということで、新作のことや音楽的なルーツ、オフの日のご様子などをうかがいました。ーーすでにトップアーティストとして知られている三浦さんですが、おさらいとしてうかがいますと、幼少時に音楽にふれたきっかけはなんでしたか。もともと両親がいろいろな音楽を聴いていた環境に育ったということもありますし、6歳のときにダンスレッスンに通うようになって、そこからさらにさまざまな音楽に触れるようになりました。ダンススタジオで聴いていたなかでも、やっぱり洋楽を聴く機会が多かったですね。ーー2005年3月にシングル「Keep It Goin’ On」でソロデビューされました。それ以前からグループのときも、歌かダンスかどちらかのみではなく、「歌とダンス」の両方を魅せる展開で、しかも歌は生歌というスタイルで活動されていますね。気づいたらそうなっていたと言いますか、このやり方が好きだからそうしています。だいたいのスクールは、ダンスはダンスだけ、ボーカルはボーカルレッスンだけというところが多いのですが、僕が行っていたダンススクールは歌とダンスを分けて教えないスクールで。歌いながら踊る、踊りながら歌うことを教えるスクールに行っていたから、そのスタイルでやってきたんです。これが自分の好きなスタイルでもあったので、これまでも続けてきたというところですね。ーーダンスに限らずですが、誰しもが「好きなこと」と実際に「できること」は違うこともありますが、三浦さんの場合はそれがマッチされていたんですね。とはいえ、並々ならぬ努力をされているはず。いえ、運がよかったんだと思います。ただ単に、好きだから、やってこられたんですよ。ーー2020年は絢香さんやKREVAさんとのコラボレーション楽曲も発表されましたが、これまでもほかのアーティストの方と組まれることもありました。コラボの際は、ソロのときとはまた違ったスタンスでいらっしゃいますか。やはり違いますね。僕の場合は、いろいろなアーティストの方に呼んでいただくことが多いんです。コラボするアーティストの作品では、自分のチームではなかなか作れない世界観みたいなものに、自分がどんなふうに感じるかを楽しむことが多い気がします。“三浦大知らしさ”みたいなものはどうやっても自分から出てくるものだと思うので、あとは相手のフィールドに乗っかってみたいという気持ちがありますね。ーーKREVAさんは何度か組まれていますが、他のアーティストよりも、よりフィットする感じは増してきているのでしょうか。KREVAさんは、アーティストでもあり、プロデューサーでもあるので、とても引き出し上手な方。“三浦大知だからできること”と“KREVAさんと組んだ三浦大知だからできること”は違うと、KREVAさんもわかっているんです。僕のことを「大ちゃん」と呼んでくださっているんですが、「KREVAの現場だからできることを大ちゃんにやってほしい」という想いがあって、KREVAさんはうまく導いてくれているところがあります。ーー絢香さんの場合は、KREVAさんとはまた違う感覚はありますか。KREVAさんと絢香ちゃんだと、もちろん関係性も違うのですが、アーティスト同士なので、そんなに気持ちが特段変わることはないですね。KREVAさんはラッパーですし、絢香ちゃんはシンガーなので、そういった面での作品性の違いはあります。ーージャンルの違うアーティストの方々にラブコールされたうえ、きちんと作品を昇華されている三浦さんがすごいと思います。いえいえ、僕はただただ、ありがたいなと思いながら、ベストを尽くそうといつも取り組んでいます。表現者に徹して取り組んだニューシングルーー2021年4月21日に、ニューシングル「Backwards」をリリースされます。この曲にこめた想いをお聞かせください。この曲は、音楽プロデューサーのNao’ymt(ナオワイエムティー)さんからいただいたメロディや歌詞です。ご一緒するときは、基本的に書いてくださったものを自分は“表現者”としてまとわせていただくことが多いですね。今回も「いま三浦大知がこんなことを歌ったら、こんなパフォーマンスをしたら面白いんじゃないか」とご提案いただいたものを、自分でどう表現するか、表現者に徹して取り組みました。ーー3曲目の「Spacewalk」もすごくかっこいい曲で、聴き手も無重力の宇宙のなかに漂ってしまうような印象でした。この曲は三浦さんが作詞作曲を手掛けていらっしゃいますが、どのようなシチュエーションから生まれましたか。これはUTAさんというトラックメーカーの方と組んで作りました。UTAさんとやるときは「最近、どんな曲を聴いていますか?」「どんな曲がやりたいですか」という世間話をしながら、「じゃあいまはこんな曲を作ろう!」と、遊びながら作るような感じです。そうして作り上げていくなかで、ちょっとゆったりとした心地いい「Spacewalk」が生まれました。歌詞の内容は、以前UTAさんがインスタグラム上で「#三浦大知が世界に行かなきゃ誰が行くんだ」というハッシュタグを作ってくれて、それを応援してくださっているみなさんとシェアしてくれたことがもとになっていて、みなさんが盛り上がってくれてうれしかったんです。だから、僕もインスタグラム上で「みんなで世界を飛び越えて、宇宙に行きましょう」と返信していたんですよ。そんな出来事があったので、UTAさんと今回の曲を作っていたときに、「この曲はあのエピソードで歌詞を作って、みんなで宇宙に行こう!」と決まりました(笑)。音楽を聴いている間は、可能性は無限大ですし、どこまでも想像することができるじゃないですか。そんな「みんなで宇宙に行く」ことができる歌詞にできたらいいなと思って、この歌詞を書きました。ーーいつもは、どのように曲作りをされていますか。最終的なアウトプットというのは、僕は降りてくる、というのは一切ないので(笑)。絞って、絞って、最後の一滴を待つという感じです。とくに作詞は苦手なので、とにかく書くというのをずっとやっていますね。曲のテーマについては、ふとしたときに浮かんでくることはありますが、とにかく頑張っていますね(笑)。ーーダンスの振りも、歌詞を書く段階で、自然とインスピレーションがわいてくることもあるのですか。それはだいたい同時に浮かんできますね。音に導かれることが多いので、音を聴いて「こういう世界観でこんな色で、ダンサーがこれぐらいいたらどうだろう」とか、「ダンサーがこういう動きだったらどうかな」とか。曲をもとに映像化して、映像をもとに歌詞を書いたり、振りをつけたり。想像力で、「こんな世界観なのかな」と、音にインスパイアされて作っていくんです。ーー2曲目の「About You」は、歌詞で言いますと「Can’t get you out of my head」のところのキーがすごく高くて驚きました。いやあ、これは自分でもちゃんと歌えているのかわからないんですけれども(笑)。この曲もNao’ymtさんからご提案いただきましたが、デモの段階で「Can’t get you out of my head」の部分は声が出るかわからないけれど「トライしたい」という気持ちはあったので、レコーディングしたというところですね(笑)。歌として成立させることができました。ーーこの曲はどのようなイメージで歌っていますか。最近は、いまのこの時代や自分の年齢もあって、価値観や概念、自分の気持ちについてなどのアティテュードとして、歌詞を作ることが多かったんです。前作「Antelope」もラブソングだったのですが、「About You」は、いわゆるR&Bマナーで作ったラブソング。いまだからこそ、こうして2021年版のR&Bラブソングが生まれたことがうれしいなと思いながら、歌っていました。ーーコロナ禍ということもあり、昨年は初の単独オンラインライブを開催されましたが、ご自身のなかで気持ちにおいての変化はありましたか。よりつながりを意識するようになりましたね。いままでのつながりが当たり前じゃなかったことを、強制的に目の当たりにしたように感じています。だからこそ、音楽やエンタテインメントでつながってきましたし、つながることができるんだということを、コロナ禍のなかでの活動で再認識することがありました。この状況自体はよくないかもしれませんが、そういう部分と向き合ったことは、大きかったのかなと思います。誰もまだやったことがないものを作り続けていくーー普段のご様子もお聞かせ願いたいのですが、お休みの日は、どのように過ごしていらっしゃいますか。休みの日は、家族と過ごしていますね。ーーおうち時間が増えているなか、気持ちの切り替えが難しい方もいるかもしれません。三浦さんのリフレッシュ法があれば教えてください。ゲームが好きなので、ゲームがリフレッシュできるアイテムになっているかもしれないです。あとは意外と家のなかで、いろいろなことができるので、英語の勉強をすることも。カフェラテが好きなので、もともと持ってはいるんですが、好きなコーヒーのマシンを探して、美味しいカフェラテをいっぱい作ったりするのは、うれしい気持ちにつながります。さらにちょっと良いマグカップを買ってみると、コーヒーを飲むたびに、テンションが上がりますよね。いま部屋に合う植物を探しているんですが「どんな種類の緑がいいかな」と考えるだけでも、楽しい。家のなかでできる小さなことをいっぱい探すと、いいんじゃないかなと。映画を観たり、全然連絡していない友達に電話してみたり、料理をしてみたり。ぼーっとしちゃうと考える時間ができてしまうので、何かをやってみるといいんじゃないでしょうか。ーー常にアーティストとしてブラッシュアップし続けていらっしゃる三浦さんですが、「自分を磨く」ためのアドバイスがあればお聞かせください。ずっと言っていることは、なんでも「楽しんだもんがち」だと思うんですよ。たとえば、スキンケアするにしても、新しい洋服を着てみるにしても、なんでも楽しんだもんがち。要は楽しむと、「じゃあ次はこんなことをやってみたらおもしろいかな」とやりたいことが出てきて、それが結果として、自分がアップデートすることにつながってくるので。もちろんやりたくないことやイヤなこともあるかもしれないのですが、それをどう楽しめるか? と考える。すると、気づいたら、アップデートしているんです。でも、楽しくないと続かないので「続ける」ということが一番の自分のブラッシュアップだと思うので、なんでも楽しむことだと思います。ーーでは最後に、今後の抱負をお聞かせください。昨年からこのような状況になって、普段のライブができなくてオンラインライブが生まれたように、表現に制限があるいまだからこそ、新しいコンテンツがこれからも生まれていくと思うんです。僕自身も、いまだからこそ生み出せるものを常に模索し続けて、誰もまだやったことがないものをチームで作り続けていけたらいいなと思っています。取材後記高い歌唱力と卓越したダンスで、素晴らしいトータルパフォーマンスをわたしたちに披露し続けてくださっている、三浦大知さん。インタビューでは、誠実ですてきな人柄を実感することができました。そんな三浦さんのニューシングルをみなさんも、ぜひチェックしてみてくださいね。写真・北尾渉取材、文・かわむらあみり三浦大知PROFILE1987年8月24日、沖縄県生まれ。1997年、ダンスボーカルグループ「Folder」のメインボーカルとしてデビュー。2005年3月、シングル「Keep It Goin’ On」で、三浦大知としてソロ・デビュー。天性の歌声とリズム感、抜群の歌唱力と世界水準のダンスで国内外の人々を魅了し、コレオグラフやソングライティング、楽器も操る日本を代表するエンターテイナー。2019年には「天皇陛下御在位三十年記念式典」にて天皇陛下が作詞、皇后陛下が作曲された琉歌「歌声の響」を歌唱。2021年4月21日、28枚目となるニューシングル「Backwards」をリリース。InformationNew Release「Backwards」(収録曲)01.Backwards02.About You03.Spacewalk04.Didn’t Know*収録曲は全形態共通。2021年4月21日発売(CD ONLY)AVCD-98071¥1,100(税込)(CD+Blu-ray)AVCD-98070/B¥2,200(税込)(CD+DVD)AVCD-98069/B¥2,200(税込)-DVD & Blu-ray- ※2形態共通01. Backwards -Music Video-02. About You -Choreo Video-写真・北尾渉 取材、文・かわむらあみり
2021年04月19日【音楽通信】第74回目に登場するのは、ミュージカル『刀剣乱舞』より髭切役の三浦宏規さんと膝丸役の高野 洸さん!【音楽通信】vol.74大人気2.5次元ミュージカル「刀ミュ」への想い髭切役の三浦宏規。1999年3月24日、三重県生まれ。ミュージカル『刀剣乱舞』は、2015年より上演を続けている、大人気2.5次元ミュージカル作品シリーズです。略して「刀ミュ(とうみゅ)」と呼ばれている同シリーズは、名だたる刀剣が戦士の姿になった“刀剣男士”を育成し、歴史改変を目論む“歴史修正主義者”と闘う刀剣育成シミュレーションゲーム「刀剣乱舞-ONLINE-」が原案です。日本国内以外にもアジア各地やヨーロッパなどでも公演を開催し成功を収め、新たなジャパンカルチャーとして海外からも注目を集めています。そんな「刀ミュ」に登場する、「源氏の重宝」として伝えられる太刀であり、兄弟の『刀剣男士 髭切膝丸(とうけんだんし ひげきりひざまる)』が、2021年2月24日に初のシングルCD「静寂の闘志」をリリース。そこで今回は、髭切役の三浦宏規さんと、膝丸役の高野 洸さんに、お話をうかがいました。ーーあらためて以前のことから少し振り返らせてください。三浦さんと高野さんは、2017年の「ミュージカル『刀剣乱舞』 ~つはものどもがゆめのあと~」から参加していますね。三浦さんはバレエダンサーとしてキャリアをスタートされ、2016年から出演されたミュージカル『テニスの王子様』シリーズが初めての2.5次元ミュージカルへの出演とのこと。ミュージカル『刀剣乱舞』の印象は参加前と後で違いはありましたか。髭切役:三浦宏規(以下、三浦)ミュージカル『刀剣乱舞』については、参加する前からこの作品の大きさは知っていたので、オーディションに受かったときはうれしい反面、自分に務まるのかなと。参加前は「とにかく大変らしい」という印象でしたが、参加後の印象も「とにかく大変」です(笑)。ですが、出演者にしかわからないやりがいをとても強く感じているので、本当に楽しく参加させてもらっています。ーー高野さんはダンスボーカルユニット「Dream5」でダンサーとして活動された後、映画やドラマなど俳優としても活躍されていますが、2.5次元ミュージカルの初参加は2016年「ROCK MUSICAL BLEACH」〜もうひとつの地上〜 でしたね。膝丸役:高野 洸(以下、高野)当時は舞台の経験も少なく、右も左もわからない状況だった僕を主役に選んでいただき、座長というポジションでしたが、先輩方に舞台のいろはを教えていただきました。今でもあのカンパニーに感謝していますし、千秋楽では涙が止まらなかったことを覚えています。膝丸役の高野 洸。1997年7月22日、福岡県生まれ。ーーミュージカル『刀剣乱舞』の印象は参加前と後で変化はありましたか。高野2.5次元作品を何本か経験したあとの「刀ミュ」出演でしたが、すでに人気作品で現場としても仕上がっていたので、またいろいろと教えていただきましたし、先輩キャストにも温かく迎えていただき、日々、刺激を与えてもらう幸せな時間でした。参加してから変わった印象としては、「刀剣男士」という存在の奥深さをより知ったことですね。ーー「刀ミュ」の刀剣男士は音楽活動もされ、2018年には『第69回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)にも登場されました。三浦舞台俳優をしていて、紅白出場はなかなか経験できるものではないので、びっくりしましたね。おじいちゃん、おばあちゃんが出場を一番喜んでくれました(笑)。個人的にはHYDEさんを間近で見られたことが、すごくうれしかったです。ーー高野さんは2014年に「Dream5」としても紅白に出場されたことがありますね。刀剣男士としての紅白出場はまた違った心境でしたか。高野どちらも「高野 洸」個人としての出場ではなかったので、喜びの中にも実は、多少の悔しさがあります。どちらも運が味方してくれている状況だったので、今度は絶対、ソロアーティストとして実力で出演したいという気持ちが芽生えました。紅白のステージ裏では有名な方が続々と通り、スタッフさんの数もとてつもなく多く、ここでしか見られない贅沢な景色だったので終始興奮していました。ーー2019年に上演された「ミュージカル『刀剣乱舞』髭切膝丸 双騎出陣 2019 〜SOGA〜」のBlu-rayはオリコンデイリーチャート1位を獲得。大きな反響を受け2020年には再演されました。みなさんに支持される理由をご自身ではどのように感じていらっしゃいますか。三浦今回、1部ミュージカルパートでは「曽我物語」を題材にしています。ミュージカルでありながら歌舞伎のエッセンスが多くちりばめられていて、さらに髭切・膝丸の2振り(刀剣男士は「1人、2人」ではなく「1振り、2振り」と数える)が曽我兄弟を演じるという、いままでにない新しく攻めた挑戦になっています。そこが、これまでのミュージカル『刀剣乱舞』シリーズとは少し違って、お客さまにも楽しんでいただけたのかなと思います。高野そして原案ゲームの魅力に加えて、先輩方が築き上げた人気が軸としてありますが、僕と宏規の若い2人で公演ができたことには本当に感謝しかないですし、2度も上演できたことは驚きでもあります。僕らの魅力としては、似ているようで似ていないところや、パフォーマンスのフレッシュさですかね(笑)。テンションが上がる、闘志が表れたデビュー曲ーー2021年2月24日に、刀剣男士 髭切膝丸として初のシングルCD「静寂の闘志」をリリースされました。表題曲「静寂の闘志」は、ラップ調の部分と歌唱する部分が融合されたアッパーなナンバーですが、どのような思いをこめて歌っていますか。三浦歌っていてかなりテンションが上がる楽曲です。髭切としても自分としても、初めてのテイストの楽曲だったので、膝丸役の洸の動きや歌い方を参考にしながら臨みました。高野タイトルの通り、闘志を表に出した曲と言いますか、牙をむいたかなり攻めた楽曲だなと思ったので、強く歌いたくて。ラップに加え英語詞の煽りもありますし、そこは勢いでやっています。サビの高音パートは、裏声にして緩急をつける意識で歌いました。ーーCDにはミュージカル『刀剣乱舞』 髭切膝丸 双騎出陣 2020 〜SOGA〜から、2部ライブパートで歌唱された表題曲の他に、2曲目「刹那の時代」と客席参加型の振り付けも人気の3曲目「えおえおあ」も収録されていますね。三浦「刹那の時代」は非常にジャジーな1曲。イメージ的には、髭切にぴったりだなという印象ですね。最後の間奏のカノンで踊る振り付けがおしゃれで、間奏を聴くと、いまでも振り付けが蘇ってきます。高野そう、イントロから管楽器が鳴り、おしゃれな雰囲気。メロディラインは覚えにくくて難しい曲なのですが、すごく癖になります。髭切・膝丸の優雅さが曲に表現されているので、声の伸びを大事に歌いました。三浦「えおえおあ」は、2人で歌うのは初めてでしたね。先輩方の歌い方を参考にさせていただいた部分もあります。ライブパートでお客さまと一緒にできる振り付けも楽しみながら歌った楽曲なので、ぜひ一緒に歌ってみてください。高野聴いていて、本当に笑顔になる曲。ポップで明るい曲ですが、Aメロはレゲエ感が面白いので、リズムを感じてもらえるよう歌っています。ーー各刀剣男士パッケージにより、異なるカップリング曲が4曲目に収録されています。三浦さんは「Endless Nightsong by 髭切」を歌っていらっしゃいますね。三浦この曲はもともとミュージカル『刀剣乱舞』〜阿津賀志異聞〜公演で、刀剣男士の三日月宗近が歌っていたソロ楽曲なんです。三日月宗近役の黒羽麻璃央くんには、プライベートでもとても良くしていただいているので、今回この曲を歌えることになって、本当にうれしいです。CDの録り下ろしバージョンの2番には、新たにセリフが追加されました。ステージで歌っていたときの壮大なイメージにプラスして、かなり繊細さを加えてレコーディングしたので、そこも注目して聴いていただきたいですね。ーー高野さんは4曲目に「情熱のSymphoniasong by 膝丸」が収録されています。高野加州清光役の佐藤流司くんが「情熱のSymphonia」を歌っていて、カッコよくて耳に残っていました。今回、この曲をカバーすると聞いたときはワクワクしましたね。音楽監督のYOSHIZUMIさんのアレンジで、以前とは曲調がガラリと変わり、どこまで歌い方を変えるか迷って。ですが、曲調が変わっても曲にこめられた気持ちは変わらないので、情熱をこめて僕なりに歌わせていただきました。ーー髭切・膝丸はともに「源氏の重宝」として伝えられる太刀で、兄弟という設定ですが、おふたりで歌唱される際や、舞台上でのダンスやパフォーマンス、殺陣など「魅せる」ことにおいて心がけていらっしゃることはありますか。三浦髭切・膝丸の面白さは、対比にあると思っています。たとえば殺陣だったら、髭切のほうが腰の位置が高く、膝丸のほうが腰を落として刀剣を振ったり。ダンス、歌においても、自分たちの持ち味が、そのまま役に生きることが多いんです。そのなかでどこか似ている部分というのは、何年も一緒にやっていると、自ずと増えてきますね。高野基本シンメトリーなので、どこまで似せるかは迷いましたが、どこか似ている点はたくさん探すことができるので、特化しているポイントを探す感じ。お互いに「ここは片方が輝けるパート」「2振りで魅せるパート」という意識が自然と一緒なんです。殺陣は美しくさばく髭切と、猛々しく攻める膝丸の対比があったほうがいいという、いろいろな方のお言葉から作っていきましたね。音楽番組に出演して新しい作品をまた作りたいーーお話は変わりますが、ご多忙のなかでのおふたりの「息抜き」や「リラックスタイム」はありますか。三浦家にいることが好きなので、仕事が終わると、真っ先に家に帰ります。とくに何をするわけでもないのですが、家にいるだけで、自分にとっては息抜きになりますね。掃除をしたり、お風呂に入ったり、なんなら練習していても、家にいると疲れない気が(笑)。僕にとっては、まっすぐ家に帰ることが、一番の息抜きです。高野僕は、美味しいご飯を食べる瞬間が大好きなんです。そして1日のご褒美として、冷やしてある缶ビールを飲むときが、最高のリラックスタイムですね。ーーオフの日は、いつもどのように過ごしていますか。三浦ご時世としてもそうですが、もともと家にいることが多いので、家でぼーっと過ごしていますね。友達と長電話したり、通販でいろいろなものを買ったり。忘れた頃に買った商品が届いて、ハッピーな気分になります(笑)。高野朝は10時くらいまで寝て、お腹がすいたら、喫茶店でご飯とコーヒーを楽しんでいます。あとは買い物や映画に行って、ゆったり過ごす休日が好きです。ーーでは最後に、「刀剣男士 髭切膝丸」として、今後の抱負を教えてください。高野音楽番組でパフォーマンスしたいです。三浦そうだね。そして新しい作品をまた作りたいです。今回「曽我物語」を通して、すごく勉強になったことが多く、何より信頼できる洸と一緒に物作りをする時間が楽しかったので、また新たなものを作ることができたらいいなと思っています。取材後記海外公演も行うほどの人気を誇るミュージカル『刀剣乱舞』。すでに多くの方々を魅了し続けている「刀ミュ」の刀剣男士キャストとしてご活躍されている、三浦宏規さんと高野 洸さん、おふたりのミュージカルや音楽へ懸ける想いを知ることができました。常に進化を遂げるおふたりの刀剣男士 髭切膝丸としてのデビューシングルをみなさんも、ぜひチェックしてみてくださいね。写真・斎藤大嗣(©︎ミュージカル『刀剣乱舞』製作委員会)取材、文・かわむらあみり三浦宏規PROFILE1999年3月24日、三重県生まれ。5歳より始めたクラシックバレエで数々のコンクールに入賞。ミュージカル『テニスの王子様』シリーズの跡部景吾役、ミュージカル『刀剣乱舞』シリーズの髭切役などを務める。その他主な出演作として、ミュージカルコンサート『恋するブロードウェイ』シリーズ、ミュージカル『レ・ミゼラブル』(マリウス役)、ミュージカル『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』(シーモア役)など。高野 洸PROFILE1997年7月22日、福岡県生まれ。2009年、「Dream5」のメンバーとしてCDデビュー。2016年「Dream5」活動終了後、映画『仮面ライダー平成ジェネレーションズ』(東映)の清宮東吾役、ミュージカル『刀剣乱舞』シリーズの膝丸役などを務める。2019年、ソロアーティストとしてCDデビュー。2021年3月24日に1stアルバム『ENTER』をリリース。InformationNew Release『静寂の闘志』<プレス限定盤A>(収録曲)01.静寂の闘志02.刹那の時代03.えおえおあ04.Endless Nightsong by 髭切05.静寂の闘志 (オリジナル・カラオケ)06.刹那の時代 (オリジナル・カラオケ)07.えおえおあ (オリジナル・カラオケ)08.Endless Night (オリジナル・カラオケ)<エムカード>01.MV「静寂の闘志」02.MV「静寂の闘志」メイキング-髭切編-03.「静寂の闘志」ジャケット撮影メイキング-髭切編-*「エムカード」には、各CDメインジャケット刀剣男士の撮り下ろし写真がプリントされています。2021年2月24日発売(プレス限定盤A)EMPC-5048(CD+エムカード)¥1,300(税別)<プレス限定盤B>(収録曲)01.静寂の闘志02.刹那の時代03.えおえおあ04.情熱のSymphoniasong by 膝丸05.静寂の闘志 (オリジナル・カラオケ)06.刹那の時代 (オリジナル・カラオケ)07.えおえおあ (オリジナル・カラオケ)08.情熱のSymphonia(オリジナル・カラオケ)<エムカード>01.MV「静寂の闘志」02.MV「静寂の闘志」メイキング-膝丸編-03.「静寂の闘志」ジャケット撮影メイキング-膝丸編-2021年2月24日発売(プレス限定盤B)EMPC-5049(CD+エムカード)¥1,300(税別)New Release「ミュージカル『刀剣乱舞』 髭切膝丸 双騎出陣 2020 〜SOGA〜」収録内容:[本編+特典映像]*Blu-ray・DVDともに同内容。特典映像全景映像/バックステージ映像/回替わり映像/1部 フィーチャリング映像(髭切/膝丸)2部 フィーチャリング映像(髭切/膝丸)/大千秋楽カーテンコール/ライブビューイング特典映像[1部 フィーチャリング映像(髭切/膝丸)]刀剣男士 髭切膝丸2振りに、1台ずつカメラを割り当てフォーカスしたフィーチャリング映像。2部 フィーチャリング映像に続き、1部ミュージカル楽曲のフィーチャリング映像をBlu-ray&DVDの特典映像として初収録。2021年3月17日発売[DVD]EMPV-5013¥7,500(税別)[Blu-ray]EMPB-5013¥8,500(税別)写真・斎藤大嗣(©︎ミュージカル『刀剣乱舞』製作委員会) 取材、文・かわむらあみり
2021年03月31日「昔から、絵描きは身近な対象をモチーフにすることが多いんです。伊藤若冲が庭先の鶏を描いたように、港区のオフィス街で育った僕はおじさんを描くようになりました」そう語るのは19歳の芸大生、RYO OGATAさん。初めての著書『おじさん日記』は、57歳の男性・竹田大(以下、まさる)を主人公にした創作絵日記。高校時代からアーティストとして活動を続けてきたOGATAさんの処女作は、なぜにおじさんの、しかも絵日記なのか。19歳のアーティストが描く57歳サラリーマンの空想絵日記。「両親に連れられていく銭湯や、家族で食事に行く居酒屋で日常的におじさんを観察しているうちに、もしその人たちが絵日記を描いたらどんなものになるかと気になって…。自分で描いてみることにしたんです」デジタル世代のど真ん中ながら、今作はジャポニカ学習帳の日記帳に色鉛筆で一日一枚。そのアナログ感は小学生の夏休みの絵日記さながら。「機械が苦手なんです(笑)。それにずっとサッカーをやってきたせいか、体を使って表現することが僕にとっては自然。絵を描く時も実際に手を動かすことで初めて、その質量や描く意味を感じられるんです」ページをめくれば大迫力の画風に圧倒されつつ、まさるの日常に引き込まれる。自分の前を歩く女性が小走りで去ることに傷つき、通勤中に出くわす自由すぎる人々に戸惑う。家では軽く踊るだけで腰を痛め、腐りゆくバナナの皮に自分を重ねる。見た目は中年だけど心は多感。そんなアンビバレントな姿に年齢・性別を超えて思わず共感してしまう。「確かに『おじさん』は誰の中にもいるのかもしれません。僕も最初は街で観察したことをもとに描こうと思っていたんですが、いざノートを前にすると全く違う内容が浮かんできて、まさるになりきって描くことも多かった。ある日はまさるに描いてもらったり、別の日は僕が描いたり。だからこれは二人で描いた一冊なんです」19歳の感性と、空想上の57歳のおじさんによる奇跡のコラボ。そしてOGATAさんの次なる作品は?「人間観察を軸にしつつ、インスタレーションなど絵以外の表現にも挑戦してみたい気がします。…とはいえ飽きるまで『おじさん』を追求してもいいのかな。もしかしたら僕がまさる世代になるまでライフワークとして続けているかも(笑)」『おじさん日記』田町のいまだ昭和なオフィスワーカー・まさるの平凡で不思議な日常を描いた絵日記。ジャポニカ学習帳のフォーマットそのままのページも注目。上はまさるの自画像。小学館集英社プロダクション1200円リョウ・オガタ2001年、東京都港区生まれ。日本画の技法に親しんで育ち、東京藝術大学に在学中。地元酒場や寺での個展に映画のキャンペーンアート制作など広く活躍。大学ではサッカー部所属。※『anan』2021年3月24日号より。写真・小笠原真紀インタビュー、文・大澤千穂(by anan編集部)
2021年03月23日【音楽通信】第72回目に登場するのは、アニメ「名探偵コナン」のエンディングテーマでも知られる次世代アーティスト、宮川愛李さん!【音楽通信】vol. 72賑やかな場所で音楽に触れて育つ東京の伊豆諸島にある、住民が600人ほどの式根島に生まれた、宮川愛李さん。現在アーティスト活動をしている兄の「宮川大聖(みやかわくん)」とともに、学生時代は「妹子(いもこ)」名義でSNSでも活動し、いまも注目を集め続けています。2019年1月、本名の「宮川愛李」でソローアティストとしての活動をスタートし、6月にミニアルバム『スマホ映えの向こうの世界』でメジャーデビュー。11月リリースの1stシングル「Sissy Sky」のミュージックビデオの再生回数は、現在180万回超えとなるなど、10代から20代の女性を中心に支持されています。そんな宮川さんが、2021年3月3日に1stフルアルバム『Reboot』をリリースされたということで、音楽的なルーツなども含めて、お話をうかがいました。ーー幼少時はどんな音楽を聴いていましたか。もともと音楽の道にいこうと思っていなかったこともあって、小さい頃は、なんとなく耳に入ってくる音楽を聴いていたような環境でした。いまは閉店していますが、私が中学生になる前ぐらいまで両親が式根島でビアガーデンを経営していて、お店で流れる音楽に触れる機会が多かったですね。夏だと、夏の歌がいっぱい流れていて、サザンオールスターズさんの曲がかかっていたのも覚えています。そういうかたちで、私も兄弟もみんな音楽には親しんできていて、父と母は音楽好きですし、お店はけっこう観光客の方もたくさんいらしていた賑やかな場所でした。いろいろな方にたくさんかわいがられて育ったので、音楽の思い出というと、ビアガーデンになりますね。ーー「宮川大聖」としていまシンガーソングライターとして活動されている、お兄さんの影響はやはり大きかったのでしょうか。影響はあったと思います。もうひとり兄がいて3人兄弟なのですが、私が一番下なので、なんでも兄たちのまねから入っていくようなところもあって。「妹子」としてSNSを始めたのも、兄の影響です。島には高校がなかったので、都心の高校に通うために島から離れたのですが、そのときすでに兄がふたりとも都心に住んでいたので、心強かったですね。高校時代は、祖父と兄と一緒に暮らしていましたが、兄を尊敬しながら仲良く過ごしてきました。ーー2018年に、みやかわくんのバースデーライブにゲスト出演された際、声をかけられてデビューが決まりましたが、それまでは将来なりたい職業は違ったのですか。中学生のときは、国語の先生になりたくて、式根島に帰って生徒たちに教えたいと思っていたんです。島の教職の方は任期が3年間で、3年経つと入れ替わるのですが、その3年で先生方との心に残る思い出がたくさんできたことが大きかったので、先生に憧れがありました。でも、高校ではあまり成績がよくなくて、夢を半分あきらめていたのですが、そうなると将来何を目指していいのかわからなくなって。高校を卒業すると、SNSでの活動も中途半端になるのがいやでした。卒業したらもっとSNSを活発にやるのか、仕事も始めなきゃいけないし、では何をするのかと進路で悩んでいたときにデビューのお話をいただいたので、そこで大きな決断をしました。私の力で作り上げていけるものがあるのかと考えたときに、いままで自分が主体になってSNSをやっていたわけではなく、兄の後にくっついてやっていただけで。私のフォロワーの方も、兄のついでに応援してくださっていた方も多いと思うんです。でも、デビューすると自立できますし、自分が主になって活動できるという思いも強かったので、この道を選びました。ーーTwitterでは、約18万人ものフォロワーの方がいらっしゃいますが、ご自身の影響力についてどう感じていますか。正直なところ、影響力があるとは感じていないんです。最近は、同年代の方ですごくクリエイティブな創作をしている方も多いと思うので、そういう人たちのなかの端に自分がいるような感覚。もともと私は、攻略的にツイートをしようと思っているわけではなく、活動報告をツイートするだけなので、インフルエンサーのように言ってもらうことも多いのですが、少し不思議な気持ちになります。最近は動画投稿やTikTokなど、若い人たちが活用できるSNSが増えてきていて、そういうものは必ず誰かが一番初めに動画を上げて、人気になりますよね。自分からそういったものを発信していける方の勇気を尊敬しています。20歳になり再起動する意味の1stアルバムーー2021年3月3日に1stフルアルバム『Reboot(リブート)』をリリースされましたね。収録曲の「Reboot」をアルバムタイトルにしていて、「再起動」という意味があります。2020年は思うように活動できないもどかしさであったり、ファンの方々と接することができなかったり、その寂しさやいろいろな感情が混ざった1年でした。そういうモヤモヤしたところをリセットすること、そして私が昨年の12月の誕生日で20歳を迎えまして「成人する」という良い切り替えの時期ということ、新たな自分を一から始めるという気持ちで作り上げるといった、複合的な意味をこめたタイトルであり、作品になっています。ーータイトル曲でもある2曲目「Reboot」は、すでに1月からアニメ『名探偵コナン』(読売テレビ・日本テレビ系 毎週土曜 午後6:00)のエンディングテーマとして流れていますね。同アニメのエンディングテーマ抜擢は、2019年以来2度目ですが、今回はどのように曲を作っていきましたか。今回は、ロックバンドのandrop(アンドロップ)の内澤崇仁さんに曲を作っていただきまして、私が作詞を担当させていただきました。前回、コナンくんの曲を担当させていただいたときに感じた、歌の力の大きさみたいなものや、いまの私の成長した姿を見せたいと思い制作して。内澤さんやスタッフさんと一丸となって、作り上げられた曲なんです。ーーコナンくんサイドからは、曲についてのリクエストはあったのでしょうか。コナンくんからは「がんばれ!」って応援してもらいました……ってそういうことじゃないですよね(笑)。コナンくんのスタッフさんからは「ロックな感じで」というお話はあったので、エンディングテーマとしては新鮮な楽曲テイストで、私の歌を届けられたと思います。ーー全曲の歌詞は宮川さんが書かれているとのことですが、「aireen」名義となっていますね。作詞をするときは名前を変えたいと思っていたのと、制作に関わってくださる愛李スタッフの総称という意味もあって、作詞するときのクレジットは「aireen」にしています。ーー3曲目「Stampede(スタンピード)」は、軽快で小気味の良いナンバーですが、これら含め新曲を作るときはどのように制作されましたか。私からの希望を伝えて、スタッフさんと一緒に相談して決める場合もありますし、今回は「いろんなテイストの私の顔を見せたい」という思いもあったので、さまざまなジャンルを取り入れていろいろな歌声も出せました。内澤さんとコラボするアルバムでもあったので、よりいっそう気合をいれて、1曲ごとにシーンが浮かんでくるように制作していきました。ーー新曲の7曲目「凪(な)ぐ」は、スケール感のあるバラードです。アッパーな曲と違い、バラードで何か歌唱において意識したことは。バラードは、めったに歌うことがなかったんです。今回、内澤さんが制作してくださった楽曲ということもあり、内澤さんの歌い方はもちろん、作詞だと「内澤さんだったらどう書くかな」と研究して、しっかり考えて歌いました。なかなか簡単にはいかなかったのですが、試行錯誤した分、濃い思いが声にのっていればいいなと思います。ーー歌詞はいつもどのようなシチュエーションから生まれるのですか。直接的な思い入れがそのまま歌詞になっているわけじゃないのですが、創作とはいえ、頭に出てきたことはいままで私が経験してきたことや聴いてきた音楽が、少なからず影響していると思います。でも、自分の思いを曲にこめたいというよりも、聴いてくださる方それぞれで解釈をしていただいて、曲を自分のものにしていただければと。自由に聴き手の方々が楽しんでくださるように歌詞を作っていますし、生まれ変わる私の新たな進化を遂げた、デビューから1年と少し経って得てきた経験や成長を感じ取ってほしいという思いもありますね。ーー今後、ライブのご予定もあるんですよね。オンラインでのミニライブなどを企画しています。ファンの方と同じ空間で作り上げる対面でのライブも好きなので、オンラインだと少し寂しい気持ちもあるのですが、この機会をいただけたので、ファンのみなさんとオンラインで会えることが楽しみです。未来のアーティストとしての自分自身が目標ーーおうちではどのように過ごしていますか。趣味などありますか。とくにこれといってハマっているものもなく、むしろ逆に、趣味の作り方を探しています(笑)。すごく熱しやすくて冷めやすいんですよ。読書はもともと好きなんですが、一気に読み漁りたいときと、まったく読まなくなるときと、波があって。もうすぐ結末が読めるというところでも、飽きちゃうと本を読まなくなるというのを繰り返していて、読書以外でもいろいろなことに手を出しながら同じように波があるので、それを季節によって繰り返していますね。ーー読書だと、好きな作家がいるのですか。とくに誰というのもないんですよ。ただ、「読んだ!」という感じがするので、ハードカバーが好きで(笑)。書店に行って、背表紙で気に入ったものやタイトルに惹かれたもの、運命を感じたもの、手になじむような本を探す時間が好きなんです。ーー現在20歳の宮川さんですが、10代の頃と20代の現在とでは、何か違いを感じることはありましたか。ないです(笑)! 20歳になったからといってお酒を飲むわけでもなく、もともとお酒にも興味がなく。もともと味のついた飲み物が得意じゃなくて、普段はお茶か水を飲んでいます。まだ20歳になったばかりなので、気持ちはまだ10代なんですよね。いまのところ、あまり大人らしい大人になれている自信はないですね(笑)。時が経つにつれて、今後は大人っぽさを身につけていきたいと思います。ーーメイクなどにも興味が高まる時期では?何もこだわりがないんです(笑)。日頃のケアにしても、乾燥しやすくて肌が弱いので、薬局で買った化粧水を使うような感じで肌を守る以外、あまり気を遣っていないんですよね。ーー今日は髪をまとめていますが、伸ばしているんですか。いま一応、髪を伸ばしてはいるんですが、それは長い髪をバッサリ切ったときが気持ちいいかなという意味で伸ばしていまして(笑)。あとは不器用なので、ヘアアレンジを研究したくて、三つ編みの練習用に伸ばしているかな。ーー20代はどんなふうになりそうでしょうか。20代になったら、25歳ぐらいまでで、区切りがつきそうだなと感じていて。区切りというのは、自分の感情だったり、精神的なものだったり、いつか考え方の大きな変化がくるタイミングがきそうな気がしています。そのときのために、たとえばすごくすてきなスタッフさんや素晴らしい演奏家の方々とご一緒することや、今回のように内澤さんと共作させていただくという、貴重な機会をどんどん吸収していきたい。音楽以外でも、自分の感性を高めていきたいと思っていますし、「これだ!」と思ったものを突き詰めていきたいですね。ーーでは今後の目標を教えてください。音楽の経験が浅いまま、この活動をさせていただいているので、いまはとにかくいろいろな方から刺激を受けています。素晴らしいアーティストの方たちをまっすぐ見て、勉強していきたい。自分の声もうまく使えているか見直したいですし、声の使い方や音楽性を磨いて、どんどんアーティストとしての自分を作っていきたいので、その先にある自分自身が、目標ですね。取材後記音楽が好きなご両親やご兄弟とともに育ってきた、宮川愛李さん。SNSを中心に支持を増やしてきた次世代アーティストとして、これからも着実に歩みを進めていくことでしょう。20代の飛躍も楽しみですよね。そんな宮川さんの1stフルアルバムをみなさんも、ぜひチェックしてみてくださいね。写真・大内香織取材、文・かわむらあみり宮川愛李PROFILE2000年12月28日、東京都式根島生まれ。兄の宮川大聖(みやかわくん)の影響で、学生時代より「妹子」名義にてSNSで活動し、話題に。2018年、高校2年生のとき、みやかわくんのワンマンライブへゲスト出演したことがデビューのきっかけとなる。2019年6月、ミニアルバム『スマホ映えの向こうの世界』でメジャーデビュー。11月にリリースした1stシングル「Sissy Sky」が、アニメ『名探偵コナン』のエンディングテーマに抜擢。12月、初の東名阪ワンマンツアー「あったまっていきなよ〜!!!」を成功に収めた。2020年1 月から、ラジオレギュラー番組 AuDee「宮川愛李のチャレモン!」(毎週金曜日21時より配信)を担当。6月、ファンコミュニティ「IRIS」を設立。9月、初の有料オンラインライブ「Re:rave」を開催。2021年3月3日、1stフルアルバム『Reboot』をリリース。表題曲「Reboot」が2度目となるアニメ『名探偵コナン』のエンディングテーマに抜擢された。InformationNew Release『Reboot』(収録曲)01.スフィア02.Reboot03.Stampede04.プリムラ05.lyrical06.思案ブルー07.凪ぐ08.魅惑のカレイド09.Sissy Sky10.わすれもの11.メランコリック(Authentic)※ボーナストラック2021年3月3日発売*10曲目までの収録曲は全形態共通。*「メランコリック」は【通常盤】のみ収録。*【名探偵コナン盤】には、さらに「Sissy Sky(TV_Edit)」「Reboot(TV_Edit)」の2曲が収録。(通常盤)JBCN-9004(CD)¥2,750(税込)(初回限定盤)JBCN-9003(CD)特典DVD品番:JBBN-9003(DVD)¥3,630(税込)<DVD収録内容 >宮川愛李ワンマンツアー「あったまっていきなよ〜!!!」:スマホ映えの向こうの世界/メランコリック/Sissy Sky宮川愛李 ミュージックビデオ:欠落カレンドラ/Sissy Sky/プリムラ/スフィア/Reboot(名探偵コナン盤)JBCN-9005(CD+GOODS)¥3,300(税込)<GOODS>描き下ろしアクリルスタンド(ランダム封入/全2種):江戸川コナン/毛利蘭写真・大内香織 取材、文・かわむらあみり
2021年03月04日今回のJO1 Live Streaming Concert「STARLIGHT DELUXE」は、昨年12月に配信したJO1初の単独ライブのデラックス版として、曲数も大幅に増加。これまでシングル「PROTOSTAR」「STARGAZER」、そしてアルバム『The STAR』と星を冠したタイトルを掲げてきたJO1と共に宇宙を旅するというコンセプトで、4つの惑星をめぐりながら、惑星ごとに異なるテーマのパフォーマンスとトークで楽しませてくれた。左から、佐藤景瑚、白岩瑠姫、河野純喜、豆原一成、大平祥生、川西拓実、鶴房汐恩、川尻蓮、金城碧海、木全翔也、與那城奨。宇宙への旅、そしてタイムスリップも!まず到着したのは、今日の“宇宙旅行の”1つ目の惑星、「Planet of JO1」。円形のステージに張り巡らされた一面のLEDモニターに「Starlight」の映像が映し出された後、銀色の紙吹雪が降り注ぎ、宇宙を思わせる群青色を基調にした衣装をまとったメンバーがステージに登場。「Shine A Light」で軽やか、かつ揃ったダンスの美しさを見せつけたかと思えば、「MONSTAR」ではパワフルでパフォーマンスで観るものを圧倒する。「Planet of JO1」はJAM(JO1のファンの名称)と楽しい時間を過ごすために「JO1」と名付けた、特別な惑星だそう。「僕は個人的にこの惑星、大好きです。全体的にキラキラしていて、今の僕たちみたいですよね!」(佐藤)というように、ステージにもメンバーの衣装にも星のようなキラキラが見える。「みなさんと一緒に宇宙旅行がしたくて、今日はさまざまなプランをご用意させていただいております。これからもっといっぱいいろんなところに行きたいなと思っているので、楽しみにしててください!」(河野)という案内で、JO1の宇宙旅行は本格的にスタート。しかしその後、大平祥生と豆原一成がワームホールに落ちてしまという“事件”が。ワームホールの行き先はリアルタイムで配信を観ているJAMの投票によって決まり、その結果、JO1は過去の高校時代にタイムスリップすることに。そうしてたどり着いた惑星「WORMHOLE」では、かわいさいっぱいの「やんちゃBOY、やんちゃGIRL」、JAMへの愛が詰まった「My Friends」を披露。学生服を着て、学習机と椅子に着席したメンバーたちが高校生として将来の夢を語るコーナーも。川尻蓮が「僕の将来の夢はダンスで、パフォーマンスで、世界征服することです」という夢を語る一方、木全翔也は「いずれ僕の名前で居酒屋を建てて、フランチャイズ化しようかなと思っています」と真剣に語り、周囲から「パク・セロイやないかい!」とツッコまれていた。(※パク・セロイは韓国ドラマ『梨泰院クラス』の主人公で、梨泰院の小さな居酒屋から一大チェーン化した人物)歌唱力にダンスに、確かな成長を見せつけた。今回セットリストに加わった「YOUNG」を歌い終えた河野純喜が眠りのポーズをして目を閉じ、再び目を開けると、そこは白いベッドの上。ここは「GALAXY OF DREAM」の惑星。メンバーも白い衣装に着替え、「Voice(君の声)」「Be With You(足跡)」と、「前半とは少し違ってちょっとセンチメンタルな僕らをお見せできたと思います」(川尻)というしっとりタイムに。さらにこの惑星ではメンバーの星座占いを発表。さそり座の白岩瑠姫と與那城奨はラッキーアイテムが陶磁器と言われ、「時期的に落ち着いたら一緒に買いに行こう」(白岩)「じゃあ1週間後」(與那城)と、同じ星座同士、息の合ったところを見せた。メンバーの中で一番いい運勢だったのはふたご座の豆原一成。「諦めなければびっくりするほどの成功が待っています」という占いの結果に「頑張ります!」と笑顔を見せた。「この曲がJAMのみなさんにとって2021年のラッキーソングになればいいなと思ってます」(豆原)と紹介してくれた新曲「伝えられるなら」の初披露も。JAMへの感謝の想いを歌で、最後には「JAM、愛してるよ!」という言葉でも伝えてくれた。続いて到着した惑星「RED GIANT」では「Safety Zone」「So What」「GrandMaster (JO1 ver.)」と、JO1の中でも強くて激しい楽曲を立て続けに披露。特に、生バンドの演奏をバックに、ロックバージョンにアレンジされた「GrandMaster (JO1 ver.)」はさらに激しさを増し、曲が終わった後もメンバー全員なかなか息が整わないほど。最後は「JAMと一緒に宇宙まで進んで行こうという強い気持ちがこもった曲です。みんな、テンション上げてこー!」(河野)という力強い号令とともに、「OH-EH-OH」で本編は終了した。しかし、画面には「旅をここで終わりにしますか?」の文字が浮かび上がり、JAMにアンコールを求めるよう煽るメンバーたち。そしてステージに再び登場し、「ツカメ~It’s Coming~」を初々しく熱唱。こうして最後の惑星、「JAM」にたどり着いた。今の想い、そしてこれから続く旅路。最後にひとりひとりが今日の感想を言っていくことになるも、金城碧海が汗をかきすぎてマイクが“水没”して音が出ない事態に。「オーディションの時に日々練習していた時とちょっと似てますよね」(金城)と、汗をかいてがんばったかつての自分を懐かしく思い出す一幕も。前回のライブでは、最後の挨拶で大粒の涙を流した大平祥生は「今日のコンサートが2時間で、僕が初めて観たアーティストのコンサートも2時間だったので、それと同じくらいの時間をやれていることにいろいろ考えることがあるなと思う反面、もっと頑張らないとといけないなと思います」(大平)と、感慨深げ。「僕、今日この日をすごく楽しみにしてたんですけど、一瞬でしたね。たくさんの方のおかげでステージに立てています。また実際にライブでみんなと一緒に楽しい思い出を作れたらうれしいです」(川西)と、JAMへの感謝の気持ちを伝えるメンバーがいれば、「ライブの始まりって何度やっても一番気持ちが上がる時なので、その時を何回も味わいたいと思いました。それはメンバーがいて、スタッフがいて、家族やJAMのことだと思うので…」(鶴房)と、精一杯の言葉で周囲の人への気持ちを伝えたメンバーも。この日は4月28日に3rdシングルがリリースされることも発表!「この旅は終わりですけど、僕たちのストーリーはまだまだ続きます」(與那城)というリーダーの言葉どおり、JO1の旅はまだまだ続く。information3rdシングル「CHALLENGER」が4月28日に発売!“JO1、未知の世界へ踏み出す”がコンセプトの3rdシングル「CHALLENGER」が、4月28日(水)に発売されることが決定。初回限定盤A、初回限定盤B、通常盤 の全3形態。【初回限定盤A】にはDVD、【初回限定盤B】には豪華PHOTOBOOKが同梱されている。 また、 4月17日(土)には『JO1 3RD SINGLE「CHALLENGER」リリース記念オンラインショーケースイベント』を、 4月18日(日)には『JO1 3RD SINGLE「CHALLENGER」リリース記念オンライントークイベント』を開催予定。JO1サバイバルオーディション番組『PRODUCE 101 JAPAN』で、約3か月にわたる 熾烈な競争を繰り広げ、番組視聴者である”国民プロデューサー”累計約 6,500万票の投票により選ばれた11人によるグローバルボーイズグループ。 Twitterが発表した「2020年もっとも使われたハッシュタグ:ミュージック部門」で1 位に輝くほどの人気と拡散力を誇る。©LAPONE ENTERTAINMENT取材・文・尹秀姫
2021年02月24日【音楽通信】第70回目に登場するのは、バラエティからドラマに舞台にとジャンルレスに大活躍中のなか、ソロアーティストとしてデビューを果たす、ファーストサマーウイカさん!【音楽通信】vol. 70小さいときから一貫して音楽がそばにある劇団員やアイドルグループでの活動を経て、いまやその姿を見ない日はないぐらい、ジャンルレスに大活躍中の、ファーストサマーウイカさん。バラエティ番組で見せる関西弁の豪快なキャラクターが脚光を浴びるなか、現在放送中のNHK連続テレビ小説『おちょやん』(NHK総合ほか 毎週月~土曜 午前8:00)へ出演するなど、女優活動にも期待が募ります。そんなファーストサマーウイカ(以下、ウイカ)さんが、ソロアーティストとして、2021年2月22日に1stデジタルシングル「カメレオン」を配信リリースされるということで、音楽的なルーツなども含めて、お話をうかがいました。ーーまず、ウイカさんはどのような環境で音楽にふれたのでしょうか。中学生のときに、吹奏楽部に入って、毎日が音楽漬けになったことが音楽にふれたきっかけですね。私は打楽器担当になって、パーカッションを担当していました。パーカッションは曲によって、大太鼓や木琴など、いろいろな楽器を担当するので、飽き性な自分の性格には合っていましたね。その後バンドをやって、ドラムを担当して。ドラムもタムやシンバルなどがあり、飽きる暇のない楽器です。ーーご自身でよく聴いていた音楽はありましたか。親の影響もあり、一番好きなアーティストは、ユニコーンです。ほかには、すかんち、THE YELLOW MONKEYといったバンドのロックを聴くことが多いですね。ーーすかんちのお名前を久しぶりに聞きましたが、キャッチーでいい曲多いですよね。ボーカルとギターのROLLYさんは、人としても、一表現者としても、尊敬している方のひとりです。「どこからどう見てもROLLY」というビジュアルも、アイコン的なところで、私自身がエンターテインメントの世界で生きるうえで、参考にさせていただいていますね。ーー高校卒業後、劇団に5年間在籍されていますが、当時は役者を目指していたのですか。小学生の頃からやりたいことがたくさんあって、「声優さんになりたい」「劇団に入りたい」などと言っていたんです。でも、芝居やドラマをたくさん観て影響されたわけではなく、直感的に「やってみたい!」と興味があって。高校卒業後に、声優の専門学校に行ったこともあったのですが、途中でやめたのと同時に、劇団に入りました。しかも、失礼なことにその劇団の舞台公演を1本も見ていないのにオーディションを受けて。すべて、好奇心から行動しています。ーーその好奇心で、劇団後は2013年からアイドルグループ「BiS」、解散後は2015年から「BILLIE IDLE®」として2019年まで活動されましたが、目指すアイドル像があったのですか。劇団のときもそうなんですが、「やってみたい」という好奇心がまずあって、その内容に関しては、実はそれほど深い思い入れがないんです。「BiS」もオーディションで受かりましたが、当時BiSの曲やメンバーの名前も知らない状態で、軽い気持ちで受けて。そのときが22、3歳だったので「この歳からアイドルになれるなんてそうそうないだろう」と、好奇心で受けたら受かったので、そこからアイドルというものを知っていき活動してきた、という感じなんです。ただ、小さいときから一貫しているのは、ずっと音楽はそばにありました。劇団に入っていたときも、プライベートではバンドもやっていましたし、音楽には常に携わっていて。アイドルになってからは自分たちの曲を歌ったり、作詞したりと、ずっと音楽は身近なものなんです。ソロデビュー作は感銘を受けた阿部真央に依頼ーー2021年2月22日に、シンガーソングライターの阿部真央さんが作詞作曲を手掛けた1stデジタルシングル「カメレオン」を配信リリースされます。ソロアーティストとしてデビューすることになった経緯から教えてください。これまでもさまざまな関わり方で、どの時代も、音楽を心のなかに置いてきました。だからこそ、実はBILLIE IDLE®が解散した2019年12月直後から、どうにかして音楽を続けたいと考えていたんです。いままでソロアーティストはやったことがなくて、もっと表現の場を持ちたい気持ちもあったので、やりたいなと。ソロ活動ならバンドメンバーを集めなくていいですし(笑)、事務所に「音楽がやりたいです」と伝えて、今回のソロデビューが実現しました。でも、自分ひとりで曲を作って出すのは性格的に違うと思い、阿部真央さんに曲をご依頼しました。ーー真央さんの曲はずっと聴いていらっしゃったんですか。そうですね。中学生までは80年代や90年代のロックを聴いていましたが、高校生になってからは軽音楽部に入って、BUMP OF CHICKENをコピーしたりと同世代の音楽をたくさん聴くようになりました。そのなかでも、真央さんは同世代で現役高校生でデビューされていて、すごくセンセーショナルだったんです。めちゃくちゃ歌がうまいし、バンドではなくソロでロックだし、女性であんなにかっこいい同世代は少なかったので、感銘を受けて好きでよく歌っていました。そしていま、いざソロアーティストになって、誰に曲をお願いするかと考えると、嘘のない等身大の心の内をかっこいいロックにのせて発信し続けている真央さんだったら、すてきな曲を書いていただけるんじゃないかなと思って。それも好奇心ですね。実際にお話ししてみると、「私とウイカちゃんはけっこう似てる」と言ってくださって。いろいろとヒアリングしてくれて、オーダーメイドで曲を作ってくださったんですが、真央さんの歌でもあるし、私のことでもあるし、ふたりにぴったりと寄り添った曲です。だからこそ、聴いてくれる人にも、「これは俺の歌か」とか「私のことを言っている気がする」と、自分のことのように感じてくれる部分もあるんじゃないかなと。想像していた以上に、真央さんの歌の力を感じました。ーー「カメレオン」はアッパーでアグレッシブなナンバーです。歌唱力の高いウイカさんですが、デビュー曲ということで心がけたことはありましたか。いままで歌は、グループのなかでパートに分かれて歌っていたので、全部フルコーラスで歌うことはほとんどなかったんです。5人組だと、1曲を5人で担当していたところが、ソロだとひとりで担うわけで。ひとりで5人だけじゃなく、10人、100人……もっと多くのいろいろな人たちに届くように歌っていかなきゃいけないと思うと、気負ってしまう面も。グループでは、例えば、甘い声はこの人が担当するから私は力強さ担当でいこうかなということを考えながら歌っていました。その点、いまはひとりで歌えるので、自由度がすごく高まりましたね。これまで自分でやる必要がなかった行程があるというか、ひとりだからこそ、挑戦していけることへの楽しみがあります。ーー「カメレオン」のミュージックビデオでは、ウイカさんが一人二役を演じながら、激しいバトルシーンを繰り広げていますね。テーマは、強い女性なんです。女性が、自分のフィールドで闘う姿は、どの世界で仕事をしている人にも通じるものなので、「闘う強い女性をアピールしたい」と思いました。そしてカメラマンさんや監督さんなどからも、いろいろなアイデアをいただいて、一人二役で闘わせるのはどうかと言われ、面白いなと。私からも、マダムの扮装をした私の頭に、武器になるカーラーを巻くのはどうですかという小さいアイデアを出すことから、ストーリーに関わる大きなものまで、すごく意見を汲んでくださって。いままでは自分の意見が反映されることが少なかったので、こうやって作品作りができるのも、すごく楽しかったですし、うれしかったです。ーー初めてのプロジェクトを経験するのはワクワクしますね。私はアーティスト業を初めてやらせてもらいますが、年を重ねるにつれて、挑戦することや初めてのことに対して、恐怖が勝ることや「どうせやっても仕方がない」と諦める瞬間が増えてくるかもしれないと思ったんですね。実際には、望んでもできないこともいっぱいありますが、自分にできる範囲で「一個ずつ積み重ねていくことはできる」と思っていて。チャンスを逃したくないんです。自分から掴んでいくことを体現できたらいいなと思って、私はいま30歳になりましたが、30からでも遅くないよという気持ちをミュージックビデオで闘う自分にのせて、この映像にのせています。自分と世間、自分と社会とも闘っていますが、結局闘っているのは自分自身。「カメレオン」の楽曲とビデオとは、一見テイストが違うように見えるんですが、実は“闘う”という面で通じていて。女性の方や、同じ悩みを抱えた方に、メッセージが届くといいなと思っています。ーーソロデビューの一方で、NHK連続テレビ小説『おちょやん』第31話に、ハリウッド帰りの女優「ミカ本田」役で初登場され、朝ドラデビューも果たしましたね。大阪制作の朝ドラって、関西人で役者をやっているとみんな憧れるものなので、デビューの夢が叶ってうれしいです。現場には、関西での演劇時代に知り合った先輩方や俳優仲間がたくさんいらっしゃったんですよ。夫で監督役のジョージ本田(川島潤哉)もそのひとりです。ジョージとは、東京の舞台でも一緒だったし、以前は、何度も飲みに行ったりもしていました(笑)。そのおかげで、あまり緊張せず、のびのびと自由にやらせていただきました。すごく楽しかったのでもっと出たかったですね。ーーテレビ番組ですと、バラエティではダウンタウンさんの番組にご出演されているところを拝見することもあります。僭越ですが同じ関西人として思いますのは、ダウンタウンさんの番組ではとくに緊張なさいませんか。早い段階から、ダウンタウンさんにお会いすることがありましたが、毎回、もちろん緊張します(笑)。関西人からするとよりいっそう、神さまみたいな存在ですよね。おふたりの前では「これやったら怒られるかな、やめとこうかな?」ではなく、「いけるだけいったれ!」と、私が課せられていることを物怖じせず、やりきることを心がけていて。それに、私がどんな粗相をしても、絶対に最後、どうにかかたちになるように助けてくださいますし、本当に優しい方々です。曲を聴いてくれた人の前で歌えることを願うーーお話はかわりますが、趣味やいまハマっていることはありますか。基本的にひとり遊びが好きなので、地味な趣味が多いんです(笑)。大好きなのは、いまは足を運ぶ回数も少ないですが、ゲームセンターでクレーンゲームをすること。感染対策もちゃんとされているお店ばかりで、ひとりで黙々とクレーンゲームをやって、アニメのフィギュアを集めたりしています。あとは、ひとりカラオケとか。最近は、携帯ゲームで、麻雀をひとり黙々と(笑)。芸能人は麻雀の集いがあると聞いて、だから麻雀を覚えて、いつか先輩方と一緒に麻雀をやる日が来るまで、ひとりで携帯ゲームをして鍛えています。ーーウイカさんは、多くの人にその明るさを届けてくださっているように感じますが、気持ちの切り替えなどはどのようにされていますか。私は根暗ではないんですが、ただ極端に明るくもなく、喜怒哀楽に対して振り幅が大きいというか。表現は明確なタイプです。だから、例えば暗くなるようなことがあっても、明るく元気に過ごすには、自分を喜ばせること。そのことに対して、一流だと思います。もし自分で苦痛だと感じる環境なら、何か原因があるから、つぶしていく。体が痛いならストレッチをやるみたいな感覚で、理由を探って対処しますね。あまり我慢させないです、自分に対して。苦しかったら、仕事でもプライベートでも、やる意味がないと思うから。ーー今後は、ソロアーティストとして、コンスタントに作品リリースしていくのでしょうか。今回、真央さんに楽曲を提供していただいて、想像以上に感動や興奮がありました。真央さんと私だからこその化学反応があって、こうしてコラボレーションで生まれていくものはまだあると思うので、今後も他のアーティストの方やクリエイターの方と一緒に、作品を作っていきたいですね。ーーウイカさんのライブも観てみたいと思いましたが、そのご予定は。実は2020年、ソロアーティストとしての企画が動いていたんですが、コロナの影響によりスケジュールが変わってしまいました。例えば、最初の第一歩になる、全国のCDショップをまわってリリースイベントをやるということができなくなって。グループのときは地道にリリースイベントをコツコツとやって、大きなホールでライブしたい気持ちが強かったんですが、いまもゆくゆくは大きなホールでライブしたいものの、まずは曲を聴いてくれた方の対面で、小規模で歌える環境がくるといいなと強く思っています。ーー4月から、劇作家で演出家のケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)さんの作品をさまざまな演出家の手で上演する「KERA CROSS」の第3弾で、今回河原雅彦さんが演出を手掛ける舞台『カメレオンズ・リップ』に出演されますね。偶然にも“カメレオン縛り”で(笑)、私の曲の「カメレオン」というタイトルは真央さんがつけてくださったのですが、リリース後には『カメレオンズ・リップ』が始まるという、カメレオン期間が始まります(笑)。曲を聴いて知ってくれた方には、役者としての私も見ていただきたいですね。舞台はKERAさんの本で河原さんの演出、そして共演者の松下洸平さん、生駒里奈さんほか、熟練した俳優のみなさんが揃っています。アーティスト活動ではのびのびとやらせていただいていますが、舞台に関してはちょっとブランクがあるので、心配ですね(笑)。でも地方公演で地方のみなさんにも会えるし、役者とアーティストと“カメレオンのセット”で、新しいファーストサマーウイカを知ってもらえるいいタイミングだなと思っています。ーーお話ししていますと、ウイカさんのキーワードは「好奇心」なのかなと感じました。今後も好奇心を持ちながら、いろいろなことに邁進していかれるのでしょうか。そうだと思います。いままでの30年間、好奇心のみでやってきました。たくさんの人に知っていただくこのお仕事も大好きだし、ずっとやっていきたいですが、今後はカラコンや化粧品のプロデュースなど、美容のことにも携わりたいです。自分で企画を出したものがかたちになっていく喜びは、エンタメと同じだから、たくさんの人の役に立つものを作ってみたいなと。美容系で何か良いお話のある会社さまがいたら、ぜひご連絡お待ちしております(笑)。取材後記バラエティ番組での切れ味鋭い話術やドラマでの存在感など、どのジャンルにおいても確実に結果を出すパワーの持ち主、ファーストサマーウイカさん。好奇心とともにある、底知れぬ努力と意志のもと、これからもたくさんの場面でわたしたちの心を明るくしてくれそうです。そんなウイカさんのデビューシングルをみなさんも、ぜひチェックしてみてくださいね。取材、文・かわむらあみりファーストサマーウイカPROFILE1990年6月4日、大阪府生まれ。高校卒業後すぐ、地元大阪の劇団に約5年間在籍。2013年5月、アイドルグループ「BiS」に新メンバーとして加入しメジャーデビュー。2014年7月、横浜アリーナ単独公演で「BiS」が解散。解散後、NIGO®プロデュースで「BILLIE IDLE®」を結成。ライブを中心に活動し、2019年12月解散。同年1月に放送されたバラエティ番組出演をきっかけに注目を集める。また、バラエティ番組以外にもドラマ『おカネの切れ目が恋のはじまり』(TBS系 2020年)や連続テレビ小説『おちょやん』(NHK総合ほか)への出演、ラジオ『ファーストサマーウイカのオールナイトニッポン0』(ニッポン放送 毎週月曜27時)のパーソナリティなど、ジャンルレスに活躍の幅を広げている。2021年2月22日、1stデジタルシングル「カメレオン」を配信リリースし、ソロデビュー。4月2日より、KERA CROSS 第3弾となる舞台『カメレオンズ・リップ』に出演する。InformationNew Release「カメレオン」2021年2月22日配信
2021年02月13日【音楽通信】第68回目に登場するのは、デビュー17年目を超えて、シンガーソングライターとしての活動のほか、小説の執筆や絵本作家、楽曲提供などクリエイターとしてマルチな才能を発揮し続けている、大塚 愛さん!【音楽通信】vol.68ドラマ主題歌をよく聴いていたことが出発点2003年にシングル「桃ノ花ビラ」でメジャーデビューし、同年リリースの2nd シングル「さくらんぼ」が大ヒットを記録した、大塚 愛さん。2019 年には、デビュー15 周年記念のオールタイムベストアルバム『愛 am BEST, too』をリリースしました。2020 年には初めて短編小説を発表するなど、シンガーソングライターとしての活動のほか、イラストレーター、絵本作家、楽曲提供など、クリエイターとしてマルチな才能を発揮しています。そんな大塚さんが、2021年2月3日にリメイクアルバム『犬塚 愛 One on One Collaboration』、アニバーサリーライブ「LOVE IS BORN ~17th Anniversary 2020~」のライブDVD/Blu-rayとライブCDを同日発売されるということで、お話をうかがいました。ーーまず、大塚さんの音楽的なルーツやデビュー前によく聴いていた曲からお聞かせください。私は基本的にドラマっ子なんです。そこが出発点なので、ドラマの主題歌になった音楽が常に身近にありましたね。初めて観たドラマは、確か『東京ラブストーリー』(フジテレビ系 1991年放送)なので、小田和正さんが歌う主題歌「ラブ・ストーリーは突然に」が特に印象的です。同じように、山下達郎さん、ユーミンさんなど、ドラマ主題歌になった曲をよく聴いていましたね。ーー幼少時からピアノを習い、15歳からはご自身で作詞作曲を始めていますが、その後、アーティストになろうと決めたきっかけはなんですか。就職活動がきっかけです。ずっと音楽制作は続けていたので、高校を卒業するときに音楽の学校に通うことも考えましたが、音楽だけを学んで将来の可能性を狭めてしまうのもイヤだなと。それよりも子どもと接したり、子どもの興味のあるものを学んだりしたほうがよっぽど世界が広がるのではと思ったことと、さらに音楽や表現についても学べる学校に行くことにして、進学した短大で幼稚園教諭などの資格も取りました。そして就職活動をするときに、やっぱり音楽の道へ進みたいと思ったんです。実際にデビューできたのは、運がよかったとしか思えないですね(笑)。ーー2020年を振り返ると世界的にコロナ禍となり、2021年の現在も日常生活に大きな変化が起こりました。音楽業界では、リリースやライブの延期といった状況もありましたが、大塚さんにとっても、音楽家としての想いの変化はありましたか。コロナ禍になる少し前から、なぜかあまり暗い曲を聴きたい気分じゃなくなっていて、明るく楽しい曲を体が勝手に求めていたんです。その後、コロナ禍になってずっと家にいるという状態になったときに、家の中で楽しく過ごすには、アッパーな楽しい曲たちが気分を変えてくれることに気づきました。たとえば、ちょっとした毎日の同じ動作をひとつするにしても、明るい曲を聴きながらだと、つい踊りながら作業をしてしまう。コロナ禍だからこそ、音楽に触れることによって得られる楽しさの重要性があるということをすごく感じましたね。ーーコロナ禍になる少し前から明るい曲を求めるようになっていたのは、自然と何か察知するものがあったのでしょうか。なんでしょうね? 自分のなかで自然に感じたモードだと思うんです。なぜか「アッパーでいきたい」という、そのときの自分をバックアップしてくれるものが欲しかったんでしょうね。リメイクアルバムとライブ映像作品を同日リリースーー2021年2月3日に、多彩なジャンルの音楽プロデューサーやトラックメーカーの方がアレンジを手がけたリメイクアルバム『犬塚 愛One on One Collaboration』をリリースされます。「金魚花火」や「さくらんぼ」ほか、新たな息吹が吹き込まれたリミックスサウンドとなっていますが、ご自身で聴かれてみていかがでしたか。雰囲気がまったく変わったものから、もともと持っていた曲のテイストを残しつつ、また新たな可能性としてバージョンアップしたものまでありました。聴いていて、とても面白かったですね。ーーバージョンアップして、とくに気になった曲は。「黒毛和牛上塩タン焼680円」ですね。もともとセクシーな曲ですが、オリジナルは音が強い感じだったところ、今回はもうちょっと柔らかいエロスを表現して、実現させてくれたなと。(Rin音、空音などを手がける音楽プロデューサー)maeshima soshiさんが手がけていますが、オリジナルが持つ曲の方向性は変えず、バージョンアップした感じがありました。ーージャケット写真のワンちゃんは大塚さんの愛犬だそうですが、タイトルの意味も教えてください。今回のアルバムは、大塚 愛の楽曲がリメイクされた作品です。すでにある曲に“ひとつ何かが加わったことでの大塚 愛”を表現するために、新しい一手を加えてくださったプロデューサーの方をひとつとして考えて、「大塚 愛」の「大」にひとつ点をうつと「犬」なので「犬塚 愛」に。そして一対一という意味の「One on One」で、『犬塚 愛One on One Collaboration』というタイトルになりました。ーー先にいくつか配信されていた曲もありますが、ファンの方の反応はいかがでしたか。こんなふうに曲が変わるという「ビックリした」という言葉もありましたし、「黒毛(黒毛和牛上塩タン焼680円)」みたいに、曲の雰囲気は変えずにバージョンアップしたものは「なじみやすかった」という反応も。それぞれの曲のリメイク加減に、幅の広さがあったんだと思います。ーーリメイクアルバムのリリースと同じ2月3日に、2020年9月に開催された初オンラインライブ「LOVE IS BORN 〜17th Anniversary 2020〜」をパッケージ化したライブDVDとBlu-ray、ライブCDも発売されますね。初の無観客オンラインライブを行った心境からお聞かせください。無観客ライブは、レコーディングの延長線上のような印象が強かったですね。レコーディングスタジオからの配信でしたし、エンジニアさん含めカメラマンさんも、いつものチームの人間しかいないという環境だったので、緊張せずにリラックスしてライブができました。ーーオンラインライブだと、室内にたくさん置かれたどのカメラを見れば伝わるかといった、戸惑いはありませんでしたか。それがありがたいことに、17年やらせていただいているなかで、多くのテレビ出演の経験をさせていただいています。カメラ慣れではないですが、複数のカメラがあるなかでどのカメラとアイコンタクトをするのか、どう見せていくとよいのか、カメラマンの人たちとのやりとりも経験上にあったので、やりにくさというのはまったく感じませんでした。ーー有観客ライブと違って、無観客ライブで感じたことや、いつも目の前にいらっしゃったファンの方の存在について、あらためて感じたことはありますか。初めてのオンラインライブでは、目の前にお客さんがいないので、いつもいただいていた歓声や掛け声はいかに大事だったかということに、気づかされましたね。昨年末には、最終的には中止となってしまったのですが、出演するはずだった有観客のライブイベントも予定していました。もし実施していたとしても、客席では大きい声は出しちゃいけないというルールもありましたから、「アッパーな曲はどうやってやるんだ?」と、初めて悩むところもありましたし、いつもライブができていた状況がいかにありがたかったか再認識しましたね。ーー状況によっては、またオンラインライブを行う機会も増えるかもしれませんが、今後、配信ライブでやってみたいと思う企画はありますか。CGとの融合でしょうか。もともと映像が見える曲作りや映像も重視しているので、映像と一緒に曲を伝えることが、自分のなかではベストなんです。これまで開催してきたようなステージで見せるライブでは実際にはなかなか作り込めないところもありますが、オンラインではガッツリと映像も作り込めるんじゃないかなと思うので、やってみたいですね。ーー今回のリメイクアルバムや映像作品はどんなふうに観て、聴いてほしいですか。基本的に音楽は、料理するのは聴く人だと思っているので、こちらが言葉で渡すものじゃないのかなと。それぞれの方が聴いて、感じて、心でどう捉えるかだと思うんですよ。こちらがたとえば「楽しい曲です」と言っても、聴く側が「すごく悲しい曲だな」と思ったら、それは悲しい曲になる。だから、みなさんの人生のなかで、ある一部分にすごくフィットして、その人の人生をより立体的にしてくれるのが、音楽の役目だと思っています。みなさんの生活に合わせて、楽しんでいただければいいなと思いますね。ーー2021年2月14日からは、ピアノ弾き語りライブ「AIO PIANO vol.8」を全国3箇所のビルボードで開催されます。有観客ですし、いつもとは違った心境で臨むのではないでしょうか。そうですね。状況を見つつ、一番ベストな判断をするという現状はつらいところではありますが、もし開催できたら、みんな苦しい中での久しぶりの息抜きとして来てくれるんじゃないかなと思っています。王道な曲から、ファンの人たちがマニアックに聴いてくれている曲まで、今回はコンセプチュアルにセットリストを組んでいます。みなさんの現実にある葛藤や窮屈なところから、一気にロマンチックな世界へと精神を解放してあげたいという気持ちで、テーマを考えました。ロマンチックな世界へと、みなさんがつながればいいなと思っています。幸せなものだけ取り入れて楽しく過ごしたいーー音楽活動以外のこともおたずねします。普段、日課としていることや趣味などはありますか。以前から、英会話を習っています。ただ、先生が高齢なもので、コロナ禍になってからは危険だということで、レッスンがなくなってしまったんですよね。とはいえ、週に1度のレッスンだったので、やっぱり毎日英語を話さないと、実はあまり身にならないと感じていて。するとコロナ禍になったので、英会話もオンラインで前進できないかなと思っていたら、DMMさんで毎日レッスンができると聞いたんです。実際に毎日通うとなると大変じゃないですか、子育てもありますし。それがオンライン授業だと、毎日自宅でレッスンを受けることができるというのはすごく大きいということで、DMMさんのところで毎日英会話を習っています。ーーそれはまた海外で活動される準備や曲作りのためでしょうか。けっこう前から、台湾や中国にも行かせていただくことが増えてきてはいたので、そうなったときにもちろんその国の言葉で話せるのがベストではあるのですが、パリにも行ってライブをやったりもしていて、さすがに何か国語も並行して覚えるのは難しいと(笑)。でもせめてMCのときに、もうちょっと会話ができたり、スタッフの方と会話ができたりすることの重要性を感じていました。これからも、もしかしてもっと海外のいろいろな国に行かせていただくことがあるかもしれませんし、そのときのためにも英語ができたほうがいいと思って、レッスンしていますね。ーー大塚さんは女の子を子育て中のママでもありますが、ファンの方やananwebの読者の方のなかには、同じように育児に奮闘する女性もいます。そこで、大塚さんの育児のコツや、家事育児とお仕事の両立で心がけていらっしゃることがあれば、お聞かせください。正直なところ、どんなことでも両立するというのは、難しいことなんだと思っています。できているつもりでもどこかに負担がかかることもありますし、何かしらの助けがないと、ひとりで背負うのは難しいときもあるのかなと。そうなったときに、甘えられずに自分で自分の首を締めると、結果それがまた誰かに迷惑をかけることになるかもしれないので、私は基本、まわりに甘えていますね(笑)。なんだったら、子どもにも甘えています(笑)。もちろん、育児は何が正解かわからないところもあるので、いちいち「これは合っているのか」「正しいのか」と考えているとやっていけないじゃないですか。何を選んだとしても、どちらにしても答えはわからないので、私の場合は「いま彼女を見てどんなふうに思ったか」で毎回、判断しています。彼女と話をしながら、お互いに、思っていることを言っていますね。謝ることは謝って、お願いしたいところはお願いして、認めるところは認め合って、学べるところはお互いに学んでというふうに、けっして「私だけが子育てをしているんです!」という感覚ではないんです。娘と一緒に生きて、手を組んでやっている「チームプレイ」という感じ。だから、ひとりで背負いこむ子育てをするという感じは、まったくないですね。ーーお子さんとも同じ目線に立って、対等に接している感じがしました。そうですね、私が親だからといって偉いことはなくて、彼女のほうが物事をしっかり捉えていて、それでこちらが改めて気づかされることもたくさんあります。お互いに別の人間だからこそ、身体的にできるできないはあっても、「子ども」だとか「大人」だとかで、分けて考えることはないですね。基本的な人生のなかでの考えのものさしは、彼女は彼女で、自由に作っていってほしいなと思います。ーー自立している賢いお子さんのようですね。いえいえ、でもまだ甘えん坊なんですよ(笑)。普段、私はあまり話すほうではないのですが、彼女はずっとしゃべっているので、いつもそれを聞いているような親子です。ーーママになってもずっとチャーミングな大塚さんですが、普段、美容などで気をつけていることはありますか。いや、年々、老けていますよ(笑)。ただ、若いときは外面ばかり気にしていましたが、年齢を重ねるごとに、内面にも意識が向いています。内面から発するもので外側が作られていると思うので、幸せホルモンともいわれることのある「オキシトシン」をとにかく増やしたいなと(笑)。肌がきれいだった日に何があったかをいろいろと分析していった結果、オキシトシンが出ていたんじゃないかなと発見したんです(笑)。だから、内面からの輝きを大事にしたいですね。ーー確かに心身の充実は大事ですね。では最後になりますが、今後の抱負を教えてください。新曲を出していきたいと思っています。時期については……(スタッフさんに向かって)誰かタイアップを取ってきてくれ(笑)! もしくは『anan』の表紙がとれたらリリースするかもしれません(笑)!ーーなるほど(笑)!さらに『anan』でオキシトシンの特集があったらバッチリです(笑)。あとは健康でいることですね。とにかくストレスほど必要ないものはないので、心のなかに暗いものを溜めないこと。それが一番の健康だと思うんです。なので、とにかくストレスを溜めない、排出すること。肌もそうですし、すべてのことにおいて排出していくことの必要性があるので、「なんか溜まってるな」と感じたら、出す。たとえば、いかに泣けるかということに特化して涙で出してしまうとか、カラオケでとにかく声を出して発散する、汚いものや必要のないものは出しちゃう。そして幸せなもの、オキシトシンだけ取り入れて(笑)、楽しく過ごしたいと思っています。取材後記デビューの頃から、ママになった今もなお可憐な印象のままの大塚 愛さん。さまざまな分野で才能を発揮されていますが、シンガーソングライターとしても変わらず、わたしたちにすてきな歌を届けてくれています。そんな大塚さんのリメイクアルバムと初オンラインライブの映像作品、ライブCDをみなさんも、ぜひチェックしてみてくださいね。取材、文・かわむらあみり大塚 愛PROFILE1982年9月9日、大阪府出身。15 歳から作詞作曲を始め、2003年9月10日にシングル「桃ノ花ビラ」でメジャーデビュー。同年12 月17 日にリリースした2nd シングル「さくらんぼ」が大ヒット。2019 年1 月にデビュー15 周年記念オールタイムベストアルバム『愛 am BEST, too』をリリース。2020 年3月、ライブでのピアノ弾き語り音源を集めたアルバム『Aio Piano Arioso』をリリース。シンガーソングライターとしての活動のほか、初めての短編小説『開けちゃいけないんだよ』を『小説現代』2020年9月号(講談社)に寄稿するなど、イラストレーター、絵本作家、楽曲提供など、クリエイターとしてマルチな才能を発揮し活動中。9 月、デビュー17 周年記念となる自身初のオンラインスタジオライブを行う。2021年2月3日、リメイクアルバム『犬塚 愛 One on One Collaboration』、アニバーサリーライブ「LOVE IS BORN ~17th Anniversary 2020~」のライブDVD/Blu-ray及びライブCDを同日発売。「AIO PIANO vol.8」と題したピアノ弾き語りツアーを2月14日 Billboard Live YOKOHAMA、2月20日 Billboard Live OSAKA、2月27日Billboard Live TOKYOにて開催する(詳細は公式HPまで)。InformationNew Release『犬塚 愛 One on One Collaboration』(収録曲)01.黒毛和牛上塩タン焼680円 (maeshima soshi Remix)02.妄想チョップ (ケンモチヒデフミ Remix)03.さくらんぼ (Kan Sano Remix)04.金魚花火 (ANIMAL HACK Remix)05.桃ノ花ビラ (mabanua Remix)06.PEACH (Tomggg Remix)07.SMILY (Lucky Kilimanjaro Remix)08.君フェチ (春野 Remix)09.Chime (AmPm Remix)10.ユメクイ (SASUKE Remix)2021年2月3日発売AVCD-96640(CD)¥2,000(税別)*スマプラ対応。*初回盤(紙ジャケ仕様)もあり。New Release「LOVE IS BORN ~17th Anniversary 2020~」(収録曲)01. LOVE FANTASTIC02.shooting star03.One × Time04.HEART05.チケット06.扇子07.向日葵08.ふたつ星記念日09.雨色パラソル10.あっかん べ11.TOKYO散歩12.XOX13.ロケットスニーカー14.フレンジャー15.さくらんぼ16.Birthday Song*DVD、Blu-ray、CDすべてスマプラ対応。*DVD,Blu-ray のみ【特典】大塚 愛によるオーディオコメンタリー(副音声)あり。2021年2月3日発売[DVD]AVBD-92981¥5,000(税別)[Blu-ray]AVXD-92982¥5,000(税別)[CD]AVCD-96645¥2,500(税別)
2021年02月03日【音楽通信】第67回目に登場するのは、結成25周年を迎えてもなお異彩を放ち続けている、破壊(阿部サダヲ/Vo)、暴動(宮藤官九郎/G)、バイト君(村杉蝉之介/大道具)ら、俳優が所属する無敵のパンクコントバンド、グループ魂!【音楽通信】vol.6725年前もいまも気持ちは変わっていない写真左から、バイト君(村杉蝉之介/Cho)、港カヲル(皆川猿時/MC)、破壊(阿部サダヲ/Vo)。1995年に破壊(阿部サダヲ/Vo)さん、暴動(宮藤官九郎/G)さん、バイト君(村杉蝉之介/Cho)の3人で結成された後、小園(小園竜一/B)さん、港カヲル(皆川猿時/MC)さん、石鹸(三宅弘城/Dr)さん、遅刻(富澤タク/G)さんの4人が加入して7人編成となりました。2002年にメジャーデビューし、「NHK紅白歌合戦」に出場。2011年には初の日本武道館ワンマンライブを実施するなど、大人計画に所属するひっぱりだこの俳優陣を擁しながらも、オリジナリティあふれる楽曲とパフォーマンスで、音楽活動でも人気を博しています。そんなグループ魂が、2020年に結成25周年を迎え、12月23日に『神々のアルバム』をリリース。そして12月30日に、電撃解散と2022年の再結成ライブを暴動(宮藤官九郎/G)さんがグループ魂のYouTube Live生配信中に発表し、世間を驚かせました(なかには知らされていなかったメンバーも)。グループ魂としての、解散直前の貴重な取材となった今回。バンドを代表して、破壊(阿部サダヲ/Vo以降、破壊)さん、バイト君(村杉蝉之介/Cho以降、バイト君)、港カヲル(皆川猿時/MC以降、港)さんの3人に、お話をうかがいました。破壊(阿部サダヲ/Vo)。1970年4月23日、千葉県生まれ。ーーananwebの読者の方には、どちらかというと「グループ魂」としてよりも、みなさんを役者さんとして認識している方が多いかもしれませんので、あらためてバンドの成り立ちから教えてください。破壊僕たちが役者以外に、バンドをやっていることを知らない人も増えているかもしれないね。港確かに、若い人とかね。破壊グループ魂はもともとコントをやっていたんです。僕と暴動さんとバイト君の3人で結成して、バンドの付き人をしている「ローディーコント」のようなところから始まって。そこからだんだん「バンドっぽくしていこうか」と話し合って、ライブをする機会が増えていったんです。そして後になって、港カヲルさんがMCとして入ってきて、年月を経ていまの7人になりました。港もともとメンバーそれぞれに細かい設定があったんですよ。僕は「浅草の芸人」という設定で、必ず愛している人が死んでいくという(笑)。「その人に捧げる一発ギャグをやる」という設定があったんですが、だんだんとグループ魂専属のMCというポジションになっていきました。ーーコントグループの「グループ魂」から、いまのバンドとしての音楽活動にシフトしていったのですね。破壊そうです。バイト君名前も「パンクっぽい名前」を意識しているので、「破壊」もそうですし、僕の「バイト君」も(笑)。破壊実は結成当初にはもっとパンクっぽい名前のメンバーもいて。「狂犬」とか(笑)。港「戦争」とか、「必殺」とかね。破壊だんだんと「遅刻」か、「石鹸」あたりからおかしくなってきたね(笑)。バイト君最初の頃は、コントで渾身のギャグをやって倒れて、いまはいなくなっちゃったメンバーがマントを持ってきてかぶせるという。(アメリカのソウルシンガー)ジェームス・ブラウンが、ショーをしていてステージで力尽きて倒れてマントをかけられるという有名なパフォーマンスがあるんですが、そんな感じのことを僕らもやっていて。港カヲル(皆川猿時/MC)。1971年2月1日、福島県生まれ。バンドでは永遠の「46歳」という設定も。ーーコントから音楽活動のほうに力を入れ始めたのは何かきっかけがあったのですか。バイト君バンドにドラムなどを加入させるようになって、(イギリスのロックバンド)ザ・フーのロックオペラ『トミー』をやるようになったことかな。破壊『トミー』は昔から、みんなでやりたいと言っていて。そして実際に、自分たちのCDをリリースするようになってきて、本格的にグループ魂が音楽活動に軸を置くようになったんだと思います。さらにいろいろなフェスにも出演するようになっていって、すっかりアーティスト気分です(笑)。バイト君でも昔、僕らにローディーさんもついていない頃は、よく楽器のトラブルもありました。破壊楽器も自分たちで運んでいたよね。バイト君その頃は雑誌の取材にしても、まだ演劇専門誌だけだったんですよ(笑)。でも何年もやっていると気づいたら、音楽雑誌の取材も受けるようになっていました。港そうだったよねえ〜、懐かしい。破壊初めの頃は、僕らがコントをするということから、芸人さんがよく出る雑誌でも取材されてたよね。だから、やっぱりCDをリリースするようになってから、音楽をしていることが周知されるようになりましたね。ーーそうして活動してこられた「グループ魂」は2020年で結成25周年となりました。私もライブは拝見しておりますしスリッパも持っておりますが、25年前と現在で変化を感じるところはありますか。破壊みんな歳をとったぐらいじゃないでしょうか(笑)。25年前から、あまり気持ちは変わっていないんです。ただ、昔に比べて、いまは7人みんなで集まる機会が難しくなってきているところは変わりましたね。港ライブもしてないもんねえ。2020年も本当はライブをやる予定でしたができなくなりましたし。続けていくと、15周年とか、20周年とか、25周年とか、節目になる時を感じることはあります。バンドはそういう思い出作りができるのもいいですよね(笑)。みんなでやっていて、「5年前はああだったな」とか思い返せたり。バイト君(村杉蝉之介/Cho)。1965年9月7日、群馬県生まれ。バンドでは「大道具」という設定も。ーーおひとりずつ、好きなアーティストや最近よく聴く音楽などがあれば、教えてください。港やっぱり音楽ってさ、そんときは「これ聴く」ってありますよね。僕は舞台の前は気分を上げるために、(80年代のトップアイドル)浅香唯さんの「Believe Again」(1988年発表)を聴きますね。破壊、バイト君ああ、必ず聴いてるね。港これ聴くとね、もう興奮してきますよ。ーー以前、ananwebのこの「音楽通信」に浅香唯さんがご登場くださいましたが、いまも美しい方でした。港いまもきれいだよねえ。バイト君僕がこの人のCDが出たら必ず買うというのは、(ミュージシャンで小説家の)町田康さんです。旧名の町田町蔵さんから、町田康さん、いまはバンド「汝、我が民に非ズ(なんじわがたみにあらず)」のボーカリストとしても活動されていて、ライブにも行っていますし、カッコいいんですよ。破壊誰だろうなあ。いまは(イスラエル出身のソウルシンガー)J・ラモッタ・すずめさんがいいですね。港それは、バンド?破壊うーん、調べて? ラジオで聞いただけだから(笑)。港「すずめ」という名前は、おしゃれで、ananぽいね(笑)!バイト君……そうか、ananっぽいのを出していったほうがいいか(笑)。破壊まあ、この3人の音楽の趣味がバラバラなのも、いいところです(笑)。グループ魂は25年間青春している部活のような存在ーー2020年12月23日にオリジナルアルバム『神々のアルバム』をリリースされましたが、5年ぶりになるのですね。破壊そうですね、なかなかみんなで集まれなかったのもあって。前にリリースしたのは、2015年のアルバム『20名』か。シングルは2018年に「もうすっかり NO FUTURE!」というのもありましたが、やっぱり暴動さんが忙しかったのかな(笑)。ーージャケ写ではアルバムタイトルのように、メンバーのみなさんが神さまになっています。破壊グループ魂はメンバーが7人なので、ちょうど七福神と同じ人数だから、多分こうなったのかなと(笑)。タイトルもジャケ写も全部、暴動さんが考えているので。バイト君でも僕ら、この写真がアルバムのジャケ写になるなんて、聞いてなかったんですよ。破壊うん、なってもアーティスト写真なのかなと思っていたら(笑)。港けっこう神さまの衣装も重くて。破壊15キロぐらいあったかな。ーーアルバムの題字は破壊さん直筆だそうですが、題字を担当されたのはボーカルだからなのですか、達筆だからなのでしょうか。破壊急に「書いてくれ」と言われたんですよね(笑)。もしかして、昔、グループ魂で出した「はいどおもこんばんわあ!!」という本でも題字を書いたから、今回も頼まれたのかもしれませんね。ーー収録曲にある、銀杏BOYZの峯田和伸さんが作曲を担当し参加された「モテる努力をしないとモテないゾーン」では、破壊さんと峯田さんがツインボーカルを担当されていますが、実際にご一緒に歌われていかがでしたか。破壊すごく良かったですね。グループ魂にちょっと違う感じの人が入ってきたという新しい感じもしましたし、年齢も違いますし、普段の感じも僕らときっと違うから。峯田くんも役者をやるときもあるけれど、やっぱりバンドの人ですし、かわいい人ですよ。すごく素直な声というか、新鮮でした。なんかかわいくて笑っちゃったくらい、やさしい人なんだと感じました。ーーカヲルさんとバイト君は、ゲストボーカルが入った楽曲を聴いて、何か印象は違いましたか。港ゲストボーカルといえば、これまでもクレイジーケンバンドの横山剣さんとかありましたね。バイト君BARBEE BOYSの杏子さんとかも。でも、この「モテる努力をしないとモテないゾーン」のように、しっかりとツインボーカルでアルバムの推し曲になったというのは、今回が初めてですね。港……なんか、バンドマンて、ちゃんと音楽をやっている人じゃないですか。だから、一緒になると恥ずかしくなってしまって。僕ら、バンドマンみたいなフリしてさ(笑)。調子に乗っちゃダメだよって思いますね。ーー音楽家の方がお芝居をするときもありますが、みなさまは役者の方が音楽活動をするというところで、何か取り組み方に違いはありますか。破壊あまり変わらないですね。結局、「破壊」という人を演じている部分もけっこうあるんです。自分で歌は歌っていても、曲を作っていないこともあって、役者のときと演じるという意味で違いはないですね。バイト君よく言っているのは、グループ魂は「部活」みたいな存在。グループ魂として活動した後の疲れ方も、部活の後のような感じなんです。港うん、そうねえ。部活っぽいねえ。一生懸命やってる(笑)。ーーグループ魂さんの楽曲は、ビートパンクからエモーショナルなロックまでいろいろなサウンドがあって、コミカルさやシュールさがあったり、実年齢は大人だったりしますが、こちら聴き手としてはずっと「青春」を感じることがあります。破壊青春、いいですねえ。25年間、青春しているのは長いかもしれないけど(笑)。港そう言われれば、青春かもしれない。バイト君うん、青春だね!港僕ら、一生懸命やってますからね、ずっと(笑)。ーーメンバー全員男性ですし、ほぼ暴動さんが作詞作曲をご担当されていることから、男性からの視点の曲が多く同性からの共感度が高いと思いますが、明るくてクスリと笑える曲なので女性にも支持されていますよね。破壊そうですか。ありがとうございます。いまはけっこう、巷では、未練とか相手の女性を想う気持ちを歌った曲が多いじゃないですか。でも、グループ魂はそういう曲がないですからねぇ……。港まあ、そうだねえ。だいたい下ネタの歌が多いもんねえ(笑)。バイト君今回のアルバムに唯一ある女性目線の曲は「平成の記憶がない!」という曲。破壊ああ、これは朝起きたらおばさんになっていたという歌です(笑)。たまに女性が主人公の曲はありますね。港それぐらいですね、男性目線の歌が多いです。またバンドで集まってライブをしたいーーお話は変わりますが、みなさん、音楽活動や俳優業などご多忙かと存じますが、オフの日はどんなふうに過ごしていますか。破壊そういえば普段どうしているか、みんなに聞いたことないね(笑)。バイト君僕も気になるなあ、何してるんですか(笑)?破壊本当、なんにもしてないなあ。港僕は自粛期間に、低温調理器にハマりましたね。「ボニーク」という低温調理器があって、自分でよく料理をするので、胸肉とかお肉を柔らかくしていましたね。最近はあまりできていないから、久しぶりにやりたいな。破壊僕はそうだな……食べ歩き。いま自分のなかで流行っているのは、ベトナムのサンドイッチの「バインミー」ですね。もともとはハード系のパンが好きだから……なんてウソなんですけど(笑)。ーーあれ、ウソなんですか(笑)!?破壊さんのオフの日は謎ですね(笑)。破壊ははは(笑)。バイト君僕は、部屋にちょっとしたレンタルビデオ屋さんの映画コーナーぐらいの数のDVDやBlu-rayがあって、古い映画ばっかり観ていますね。港あなたはDJもやってるよね、あれは仕事なの?バイト君いやいや、DJは趣味です。レコードを集めるのも趣味で、たまにDJをやっています。破壊そう、たまにカッコいいなと思うときがあって、それはDJをやっているときと、スキーをやっているとき(笑)!バイト君でもスキーにも全然行ってないですねえ。スキーをしているときの僕は、カッコいいんですよ(笑)。港破壊さんしか、スキーしているところを見たことないよね。破壊バイト君のお父さんが、映画『私をスキーに連れてって』の原田知世さんみたいな格好だったことを覚えています(笑)。ーーでは最後に、今後の抱負をお聞かせください。破壊グループ魂としては、どんなふうに活動できるか、まだわからないんですよね。メンバー個人ではそれぞれの仕事でも忙しいから、バンドとして全員で会う機会がめったにないので、どうなっていくか……。港そのときどきの状況にもよりますが、またライブができるようになるといいですねえ。バイト君いつかまた、いろいろできるようになるといいなあ。破壊けっこう先になるかもしれませんが……また歌いますよ!取材後記電撃的な解散と再結成の発表直前に取材を決行。グループ魂から破壊さん、港カヲルさん、バイト君が『ananweb』に登場してくださいました。俳優など、もともと多忙を極める方を中心に結成されていることもあって、 新作も5年ぶりというタームです。今回、解散発表をされましたが、約1年後には再結成とライブも決定しているので、驚きながらも安心したファンの方も多いのでは。そんなグループ魂のニューアルバムをみなさんも、ぜひチェックしてみてくださいね。写真・広川智基取材、文・かわむらあみりグループ魂PROFILE1995年に破壊(阿部サダヲ/Vo)さん、暴動(宮藤官九郎/G)さん、バイト君(村杉蝉之介/大道具)の3人で結成。その後、小園(小園竜一/B)、港カヲル(皆川猿時/MC)、石鹸(三宅弘城/Dr)、遅刻(富澤タク/G)の4人が加入して、現在のメンバー編成に。2002年、アルバム『Run魂Run』でメジャーデビュー。2005年、シングル「君にジュースを買ってあげる」がヒットし、12月にはこの曲で「NHK紅白歌合戦」に出場。2011年、結成15周年を記念した全国ツアーを行い、ツアーファイナルとして初の日本武道館ワンマンライブを実施。2015年に結成20周年を記念したオリジナルアルバム『20名』、2017年に港カヲルが実年齢で46歳を迎えることを記念したソロデビューアルバム『俺でいいのかい 〜港カヲル、歌いすぎる〜』をリリース。2020年、結成25周年を迎える。12月23日には、5年ぶりのオリジナルフルアルバム『神々のアルバム』をリリース。12月30日、解散と、2022年新春の再結成ライブを発表し、世間を驚かせた。InformationNew Release『神々のアルバム』(収録曲)01.【VRグループ魂】02.もうすっかりNO FUTURE!03.モテる努力をしないとモテないゾーン04.Over 50めんどくさい05.ケーシー高峰06.【助演男優賞】07.サ!セ!テ!イタダイテマス08.うそれもこんう09.昼も蕎麦だった10.【神々のアルバム】11.それでも生きなきゃ死んじゃう音頭12.平成の記憶がない!13.【出演者ですけど】14.きたえすぎ15.マジックミラー Go! Go!16.Mr.ハラスメント17.【特報!皆川スポーツゲスト:病院坂49】18.痛風だけど恋愛したい19.男は泣く2020年12月23日発売(通常盤)KSCL-3229(CD)¥3,000(税別)(完全生産限定盤)KSCL-3227〜8(CD+DVD)¥3,700(税別)*DVD内容「特典映像 グループ魂独占男の60分」
2021年01月19日【音楽通信】第63回目に登場するのは、ドラマ『M 愛すべき人がいて』でアユ役を演じて全国的にその名を広めたシンガーの、安斉かれんさん!【音楽通信】vol. 63この1年は全部が初めてのことばかりで楽しかった2019年、令和元日となる5月1日にデビューし、10月に「音楽通信」に登場してくれた、安斉かれんさん。その後、2020年7月に発表した5thシングル「僕らは強くなれる。」は音楽関連ランキングにチャートインし、Googleトレンド急上昇ワードで1位を2度獲得。音楽活動以外にも、90年代の音楽業界を描き、Twitter世界トレンドTop3入りしたドラマ『M 愛すべき人がいて』(4月〜7月、テレビ朝日系・ABEMA)にW主演のひとりとして大抜擢され、大きな話題を呼びました。そんな安斉さんが、2020年12月2日に、7thシングル「Secret Love」を配信リリースされたということで、お話をうかがいました。ーー以前ananwebに初登場いただいたときは、まだ20歳になられてすぐで、メディア展開される前だったこともあり、謎のベールに包まれていた安斉さんでした。あれから1年の間に、いろいろと変化があったと思いますが、1年を振り返っての心境をお聞かせください。昨年の5月にデビューはしていたのですが、全部が初めてのことばかりで、目の前のことに取り組んでいたらもう1年経っていました。最初は、「笑わない」というキャラクター設定などもあったのですが(笑)、それもだんだんと解除されて、この1年は少しずつ「安斉かれん」というものを世に出せてきたんじゃないかなと思っていて……すごく楽しかったですね(笑)!ドラマ『M 愛すべき人がいて』に出演したこともすごく反響をいただいて。放送が始まって、バラエティにも出させていただいたりする機会もあって、どこか不思議な感覚でいましたね。ドラマが盛り上がるにつれて、Twitterでもトレンドに入ってきたりと、反響の大きさを感じながらもどこか自分のことではないように思えて、ひたすら不思議な感じがしていました(笑)。ーー安斉さんがご出演されたドラマもバラエティも拝見しましたが、バラエティもお芝居も全部初めてというなかで、実際どう感じていましたか。どれも難しかったですね。「アーティストの安斉かれん」にはかたちがあって、でもお芝居となると、自分以外のほかのキャラクターになる場面がある。そしてバラエティとなると、歌でもなくセリフでもない、自分の言葉で自分自身の判断でやらないといけないところが、話すことが得意じゃないから一番難しかったです。ーー浜崎あゆみさんをモチーフにした原作がもととなる『M 愛すべき人がいて』は大きな話題となりましたが、アユ役へのアプローチはどうされていたのか、あらためて教えてください。ドラマのアユというのは、リアルと原作も違いますし、原作とドラマも違いますから、なんと言うんでしょうか。監督さんたちと「ドラマオリジナルのアユを作ろう」と考えていました。ご本人にあまり寄せないようにと。いまもまだお会いしたことはないですが、もちろん歌は聴かせていただいているものの、あえてライブ映像は観ないようにするなど、「ドラマのアユ」をどうやって作るのかをすごく考えて、演じさせていただいていました。ーーW主演の三浦翔平さんからは、当時演技アドバイスなどはあったのでしょうか。ありましたね。三浦さんは最初から「俺はマサになる!」と、すでに役に入り込んでいらっしゃったんです。でも、やっぱり私は初めてのドラマなので、収録が始まって1週間も経っていない、まだ自分のなかで役がつかめていない時期に、泣きのシーンがあって。でも、それが泣けなくて、監督さんに「泣くというよりも感情を入れてくれればいいよ」と言われていたんです。その様子を見ていた三浦さんから、いつもはすごく優しい方なんですが、現場で「そんなんじゃ伝わんねえぞ!」と怒鳴られました(笑)。それで悔しくて、泣いたんです。……この話をすると、三浦さんは「俺めっちゃイヤなやつみたいじゃん」と言ってくるんですが(笑)、もちろんもともと全然イヤな方ではないですよ。それ以外のときは、私が「コーラが好き」と言っていたら、いつも三浦さんはコーラを買ってきてくれましたし、優しい方です。ーートリッキーな役どころだった、田中みな実さんはどんな方でしたか。田中みな実さんも、普段はすごく優しい方です。でも、いざ「用意スタート!」と本番になったら、役に入り込んでいらっしゃいましたね。新曲は初めて書いたキュンキュンする恋愛の歌ーー2020年12月2日に、7枚目のデジタルシングル「Secret Love」をリリースされましたね。この曲は、現在放送中の特区枠『社内マリッジハニー』(TBS系 毎週木曜深夜00:59ほか)のオープニング主題歌のお話をいただいてから、原作を読ませていただいて作りました。私自身、恋愛の歌詞を書くことが初めてだったので、書きながらも照れくさくなっちゃうような歌詞を書かせていただいたんです。でも原作もひっぱりすぎず、いろいろなところからヒントをもらって、実体験というよりもこの物語で描かれている恋の始まりを表現したいなと。ドキドキ、キュンキュンする気持ちを込めたかわいい歌詞にしたくて、メロディもいままでと全然違います。たぶんいままでで一番アップテンポの曲ですね。ーー「Secret Love」の歌詞は、甘酸っぱさもあるラブソングですが、安斉さんは以前「書きためたメモからひとつの歌詞にしていく」とお話されていましたが、今回はどのように?ずっと日記やメモから探っていくことが多かったので、今回のシングルは、これまでの曲と比べて作詞が一番難しかったですね。キュンキュンしたような言葉なんて、普段使わないから、「え〜大丈夫かな、こんなこと言って」と言いながら、書いていました(笑)。ーー新たな一面が見えたような気がしました。では今後もラブストーリーの主題歌などのオーダーがこなければ、ご自身からラブソングを書くことはないのでしょうか。書いたとしても、ちょっと恋愛しているニュアンスを出すくらいのものを書きたいなと思っています。歌詞全部が恋する気持ちだけで終わってしまう曲よりも、「誰のこと歌ってるんだろうな?」と思わせるような、いろいろな意味にもとれるようにした意味での恋愛の歌詞は書くかもしれないですね。ーーでは今回の曲はファンの方にとって、貴重なラブソングになったのかもしれないですね。いやいや、でも、わかんないです(笑)。いまこんなことを言っていて、そのうちラブソングを書き出すかもしれないので、いまのところはという感じですね。ーードラマにW主演されている板垣瑞生さん、松井愛莉さんからは主題歌の感想などはあったのでしょうか。感想はとくにないですが、「Secret Love」に合わせた振り付けを作って“マリハニダンス”を踊ってくれています(笑)。とってもかわいいんですよね。ーーこのドラマは、婚活アプリで即日婚から始まるラブコメですが、安斉さんは婚活や婚活アプリについては、どのように思いますか。いいと思います、新しい出会いの形ですよね。でも、婚活アプリを使うなら、だまされないようにっていう感じはありますが(笑)。ーーでは、安斉さんが思う、結婚するならこんな人という理想はありますか。結婚は、人生で1回はしたいかな。まだ21歳なので、まだまだ全然考えていないですね。それに結婚となるとひとりだけの問題ではなくなってきちゃうので、だから若いうちに、いましかできないことをたくさんやって、やりきってからいつか結婚したいと思います。……でも、わかんない(笑)。4年後とかにポロっと「結婚します」という報告をすることもあるかもしれないですけど(笑)。ーー楽しみにしています(笑)。ところで、10月からはラジオ番組『てくてくかれんだー』(FMヨコハマ 毎週火曜日 18:20)が始まりましたが、初めてのラジオMCはいかがでしょうか。私は神奈川県出身なので、ずっとFMヨコハマさんのラジオをお父さんの車でもよく聴いて育ってきました。だから、「FMヨコハマでラジオをやりたい」とずっと言っていたので、夢が叶ってすごくうれしいです。これまではラジオにちょくちょくゲストで呼んでいただいたりはしていたんですが、自分がMCになって進行していくというのは、すごく楽しいです。ラジオでは、好きな音楽を語ったり日常の出来事を話したり、ゆる〜くやっています。ファンの方とはSNSでつながっているとしても、文字だけじゃないところでつながりたいから、ラジオでもコミュニケーションをとっていきたいなと。やっぱり、自分の声を届けることは大事じゃないですか。たとえば、いままで洋楽が好きだと言ってきましたが、ラジオでは直接自分の口から「この曲がおすすめ」と言って、聴いてもらうことができますよね。そうやって自分の好きなものを共有できる時間というのがすごくうれしい。これからもアットホームな時間にしたいと思っています。「アーティストの幅を広げていきたい」ーー以前、愛犬のゼロくんのお話をうかがいましたが、オフのときはいまどのように過ごしていますか。いまも家の近くだけですが、ゼロとよく散歩します。ゼロと過ごすこと以外だと、友達とごはんに行くこともありますが、基本的には家にいるかな(笑)。あとはゲームをすることもあります。PS4をしているとすぐ時間が過ぎちゃいますね。ーー昨年安斉さんの初ライブとなった、渋谷のイベントに行かせていただきましたが、ステージで安斉さんが見えないまま観客はミラー越しに見るという演出が斬新でした。コロナ禍で難しいかもしれませんが、今後ライブのご予定は。渋谷のイベント、ありましたね! 夏フェス「a-nation online 2020」にも出演させていただきましたが、今年はオンラインライブでしたし。デビューしてからいままで一度も、自分のソロライブをしたことがないんです。いつか、お客さんの前で自分のライブを披露できたらいいなと思います。ーーでは最後に、今後の抱負を教えてください。来年は、アーティスト活動を大切にしていきたいですね。楽器もいろいろとやりたいですし、いろいろなジャンルの歌にも挑戦したいと思っているので、楽器の練習や作曲の勉強もやっています。アーティストとしての幅を広げていければいいですね。取材後記歌にドラマにバラエティにと、初めてづくしの1年を駆け抜けた、安斉かれんさん。20歳でお会いしたときよりも、21歳のいまは、顔つきも凛々しく充実した時を重ねられたことを実感しました。勉強熱心な安斉さんのこれからのご活躍も楽しみですよね。そんな安斉さんのニューシングルをみなさんも、ぜひチェックしてみてくださいね。写真・大内香織取材、文・かわむらあみり安斉かれんPROFILE1999年8月15日、神奈川県藤沢市生まれ。令和元日の5月1日に1stシングル「世界の全て敵に感じて孤独さえ愛していた」でデビュー。2020年7月に発表した5thシングル「僕らは強くなれる。」は音楽関連ランキングにチャートインし、Googleトレンド急上昇ワードで1位を2度獲得。世界的にも大きな潮流を生みつつあるリバイバル・サウンドをいち早く取り入れ、Jポップのニュージェネレーションを歌っており、もともと「ポスギャル」と呼ばれる次世代のひとりで、90代を意識した8cmシングルで作品をリリースしていた。それらの楽曲は全て「TRKKEI TRAX」や「Maltine Records」などの気鋭のトラックメーカーによるReproduceという新たな手法でも再発表され、世界中のニュージェネJポップファンや超大物の海外DJらからも大きな反響を得ている。90年代の音楽業界を描き、Twitter世界トレンドTop3入りしたドラマ『M 愛すべき人がいて』(4月〜7月、テレビ朝日系・ABEMAで放送)にW主演として大抜擢され、大きな話題を呼んだ。ファッション・アイコンとして、コスメティックブランドの「M·A·C」の店頭ビジュアルの連続採用やティーンから絶大な支持を受けるカラコンイメージキャラクターを飾るなど、そのルックスにも注目が集まっている。12月2日、7thシングル「Secret Love」を配信リリース。InformationNew Release「Secret Love」2020年12月2日配信(サブスクリプション音楽ストリーミングサービスのみ)
2020年12月10日【音楽通信】第61回目に登場するのは、ミュージカルはもちろん、ドラマやラジオなど多岐にわたり大活躍中のアーティスト、山崎育三郎さん!【音楽通信】vol.61『エール』の佐藤久志役は自分自身にも重なる役2007年に『レ・ミゼラブル』のマリウス役に抜擢され、その後も数々の名作に出演している山崎育三郎さん。2015年にはドラマ『下町ロケット』(TBS系)で一躍脚光を浴び、2020年のNHK連続テレビ小説『エール』(NHK総合 3〜11月放送)では、窪田正孝さん演じる主人公・古山裕一の幼なじみ、佐藤久志役として出演。ほかにもミュージカルはもちろん、ドラマや映画、吹き替え、ラジオなど、さまざまなフィールドで活躍しています。アーティストとしては、2018年7月にオリジナルアルバム『I LAND』をリリース。そんな山崎さんが、2020年12月2日に、ニューシングル「君に伝えたいこと」をリリースされるということで、お話をうかがいました。ーー12歳のときにミュージカルでデビューされましたが、小さい頃からミュージカルや音楽にふれる環境だったのですか。子どもの頃から、家族でよくミュージカルを観に行く機会がありました。その頃の僕は、ものすごくシャイで人前が苦手だったのですが、そのことを母が心配していたんです。お気に入りのミュージカルの主題歌を僕が歌っていると、その歌声を聴いた母が「音程もしっかりしているしきれいな声だな」と、「このまま音楽をやらせるといいんじゃないか」となって、小学校3年生のときに、近所の音楽教室に通うようになりました。小学校3年生から歌を歌い始めて、当時はミュージカルや童謡などを歌っていたんですが、歌っているときはとても開放的になれました。学校でも、先生から「育三郎くんは歌が上手らしいね。みんなの前でこれ歌ってみて」と言われて、本当はシャイなんですが、歌うときだけは自信を持ってできたんですよね。そうやって少しずつ、歌うことが特別なことになっていきました。あるとき、音楽教室の方から「オーディションがあるからチャレンジしてみない?」と言われて、オーディションを受けたら合格したのがきっかけで、ミュージカル俳優としてデビューすることにつながっていきましたね。ーー子どもの頃に、舞台のどこに魅力を感じたのでしょうか。もともと人見知りだったけれど、舞台では役を通して歌を歌ったり踊ったりして自分を表現することでより開放的になれる瞬間があって“自分らしくいられる場所”だと感じられたことが、魅力だったんだと思います。歌と同時に、小学校から野球もやっていて、舞台は野球と同じような“チーム戦”というか。ひとつの作品をチーム全体で挑んでいく感覚が、子どもながらにすごく好きだったことを覚えていますね。楽しかった思い出があります。ーー“ミュージカル界のプリンス”と名高い山崎さんですが、『エール』では、窪田正孝さん演じる主人公の幼なじみで、歌手になって歌声を披露する佐藤久志役を演じていますね。今回の役は、ご自身とも重なる部分はあるのでしょうか。佐藤久志という役は、子どもの頃にお母さんとの別れがあってすごく傷ついているときに、森山直太朗さん演じる恩師・藤堂清晴先生と出会い、「君には歌がある」という励ましの言葉をもらったことによって、また一歩踏み出せる自信が持てるようになったんです。そんな歌によって自分に自信を持てたというところは、とても自分自身にも重なりますね。久志は音大でクラシックを歌ったりピアノを弾いたりするのですが、そういった青春時代を僕自身も過ごしていたので、その面でも重なる部分があって、楽しんでやらせていただきました。ト書きに「ウインクをする」など、台本にいろいろと書いてあって、なのでキザなお芝居は僕のアドリブでやっているわけではないんです。台本を見たときに「何を求められているだろう?」と考えて、前半はとくにコミカルに楽しんで振り切ったほうがいいと思ってやってみました。久志は後半、挫折してボロボロになって家族まで巻き込んでしまって、戦争時代には戦時歌謡を歌った自分のことを思うところがあり、いろいろなことが重なった状態になっていきます。きっと、もともと彼は繊細なものを持っていて、それを隠すように明るく振る舞うところがあると思うんですよ。華やかに見える人ほど、ひとりのときはすごく悩んだり、考え込んでしまうところがあると思うんです。ひとつの役で「プリンスだ」と言われてキラキラしたり、面白いコミカルなお芝居をしてみたり、あそこまでボロボロになって髭を生やして泥臭くなって、そして最終的に復活するんですが、ここまで振り幅のある役をやらせてもらうことはなかなかありません。これまでは、たとえばプリンスだったら、キラキラしたまま、終わることが多かったから。シングルの2曲は全然違うものとして聴いてほしいーー2020年12月2日に、ニューシングル「君に伝えたいこと」をリリースされましたが、森山直太朗さんが作詞作曲されていますね。きっかけはなんだったのでしょうか。以前、直太朗さんに、僕のラジオ番組のゲストに来ていただいたことがあって。その際、ギターを持ってきてくださっていたので、直太朗さんの「さくら」を一緒に歌ったんです。初めて一緒に合わせたのに、すごくいいハーモニーが作れて、直太朗さんもそのときのことをよく覚えてくださっていました。今回『エール』で共演したときに、いろいろなお話をする機会が撮影の合間にあって、メイク室で直太朗さんに「育三郎くんはオリジナル曲は歌わないの? 機会があったら曲を書いてみたいな」と言ってくださって。僕も「直太朗さんに書いていただけるならぜひ書いていただきたいです」という話から、とんとん拍子に話が本格的になっていった感じですね。ーー山崎さんから曲についてのリクエストはなさいましたか。いえ、まずは直太朗さんが僕をイメージした曲を待ちました。それこそ今回のこの曲だけではなくて、実は一気に10曲ほど書いてきてくれたんですよ。直太朗さんは「育三郎くんのことを思っていたら、どんどん楽曲が浮かぶんだ」なんて言ってくださって。次から次へと曲を仕上げてくださって聴かせていただくなかで、この楽曲が一番自分に響いたので、リリースすることにしました。ーーしっとりと聴かせるバラードで、ピアノの音色も印象的です。以前、直太朗さんの劇場公演『森の人』(2005年)の書籍の編集を担当させていただいたのですが、その劇場公演ではピアノを紺野紗衣さんが担当されていて、今回「君に伝えたいこと」でも紺野さんがピアノで参加されています。今回組まれてみて、いかがでしたか。実は紺野さんは、僕が12歳のときに初めて主演をやらせてもらったときのミュージカルの音楽監督助手だったんですよ。20数年前から彼女と出会っていて、僕にとっては、お姉ちゃんのような存在。ピアノの技術もお人柄もすてきな方で、当時からかわいがっていただいていて。最後に稽古場でお別れするときも、子役のみんなで、寄せ書きもして、彼女に歌をプレゼントしたんですよ。印象的な出会いでした。でも今回はそことは関係なく、直太朗さんと楽曲の話をしたときに、ピアノをどの方に弾いていただくかとなった際、お互いに「紺野さんがいいね」と名前が出たんです。僕が彼女と20数年前に出会った直後くらいに、直太朗さんも出会っていて。偶然が重なって弾いていただくことになって、もちろんピアノは間違いないですし、子どもの頃からの付き合いもあるので、あうんの呼吸じゃないですけども、ふたりきりで一発録りしたレコーディングもうまくいきました。そして今回、僕がこの曲を選んだ理由はもうひとつあります。僕はミュージカルで育ってミュージカルの世界で生きてきたので、自分自身ではなく、役として、作品のなかでの表現をずっとやってきたんですね。でも、もっと「等身大な自分の楽曲を歌ってみたい」という思いもあったんです。今回はミュージカルで歌っているときとはまったく違う歌い方で、山崎育三郎としての歌声で「自分の思いを届けたい」と、チャレンジさせていただきました。ーーいまのリアルな山崎さんが詰まっている曲ともいえるのですね。そうですね。レコーディングの頃、『エール』でちょうど直太朗さん演じる藤堂先生が戦争で亡くなるエピソードがあり、歌詞の内容については藤堂先生から久志へのエピソードだととらえてグッときながら歌ったことを覚えています。僕もここまで生きるなかでいろいろな別れがあったり、学生時代に祖父母と3人で暮らしていた時期もあったりして、おじいちゃんおばあちゃんへの思いが重なったり。聴く人にとっても、自分の大切な人を思い浮かべて聴いてほしいという思いをこめて、より自分の心で歌えるような楽曲としてとらえました。あえて歌詞も、どの方の思い出にも寄り添えるように、言葉選びは意識しています。ーーカップリング曲は、佐藤久志として『エール』でも歌われていた古関裕而さん作曲の(劇中では古山裕一作曲の)「栄冠は君に輝く」です。劇中では、一升瓶をラッパ飲みしていた久志が立ち直って、伝統ある甲子園球場で同曲を歌唱するシーンはジンときました。あのシーンはどのような思いで歌っていらっしゃいましたか。あの瞬間は、『エール』の久志としてみんなへの感謝の気持ちをこめて、さらに全国の学生のみなさんやいろいろな人たちにエールを届けたいと思って、この歌を歌っていました。僕は小学校から高校まで野球をやっていて、甲子園というものが子どもの頃からの夢の舞台なんです。この曲は高校野球の歌ですから、子どもの頃から当たり前に聴いていた楽曲だったんですが、今年はコロナの影響で甲子園で開催する予定だった全国高等学校野球選手権大会が100年の歴史のなかで初めて中止になってしまいました。学生にとっては甲子園がすべてだったわけじゃないですか、全国の高校球児たちの悔しい思いもすごくわかるんです。それとは別に、古関さんの母校の福島県立福島商業高等学校の吹奏楽部のみなさんとコラボをする企画がNHKさんであって、コンサートをする予定もあったんですが、それもコロナの影響でなくなってしまいました。でも、企画がなくなっても、子どもたちが自発的に「山崎さんに送ろう」と、この曲をリモートで演奏して僕に送ってくださったんです。そのことにすごく感動して、「みんなとの演奏を形にしたい」と思ったとき、ちょうど「君に伝えたいこと」のシングルリリースを考えていたので、ここに収録しようと。そしてコーラスは、福島大学付属小学校の合唱部のみなさんなんですよ。直太朗さんもコーラスに参加しています。この曲は古関さんの母校の高校と、小学校のみんなに参加してもらってできた楽曲なんです。だからこれは、カップリングというよりも、特別な思いのある曲なんです。「君に伝えたいこと」も朝ドラをやっていたからできた楽曲ですが、「栄冠は君に輝く」は今年だからこそ生まれた楽曲で、この2曲は全然違うものとして聴いていただきたいですね。ーー『エール』のオフィシャルサイトで、主演の窪田さんとのオフショットも公開されていました。撮影の合間は、基本的には窪田くんもそうですが、みんなリラックスしていますね。本番までは、甲子園のシーンを撮る合間もふたりでキャッチボールしていました。本番になって「栄冠は君に輝く」を歌っていたシーンは、視聴者のみなさんには、久志がボロボロになってからやがて最終的に、あの歌のシーンになっていく流れだったじゃないですか。でも、実際は、あの「栄冠は君に輝く」を歌うシーンから撮影したんですよ。ドラマでは物語の順番通りに撮影しないことはよくあるんです。そこが一番のプレッシャーでしたね。台本を読み込んで「こういうことがあって、こういう感情で歌うだろうな」と自分で自分を追い込んでいったんです。そんななか、先ほどお話させていただいたような思いで歌わせていただいて、こみあげてくる思いがありました。誰もいない、無観客の球場のピッチャーマウンドにひとりで立ったときに、なんとも言えない気持ちになったんですよね。本当だったらここに、たくさんのお客さまがいて、野球も行われていたんだろうなと思ったり。僕もコロナの影響で、ミュージカル『エリザベート』が全公演中止になって、通常では考えられないことが起こった年。芝居を超える瞬間が自分のなかにあったので、いろいろな思いであのシーンに挑んでいけた。最終的には、ちゃんとお芝居がつながっていたので、良かったなと思いました。この瞬間を必死に生きると未来につながっていくーーオフの日はどのように過ごしていらっしゃいますか。実は、オフがまず、ほぼないんです。時間があったら分厚い台本や歌を覚えたり、どういうパフォーマンスをするかを考える時間になっていて、やることがいっぱい(笑)。あとは家族と過ごすだけですね。ずっとこんな感じで過ごしていて、基本的に仕事の現場に行くときは、もう全部できあがった状態にしています。ーー息抜きはされないのでしょうか。これが不思議なんですがしないんです。どこか仕事を仕事とも思っていないというか、どれも好きでやっているので、好きなことが息抜きでもあり、仕事でもあり。だから、毎日24時間ずっと仕事なんです。きっと、これを仕事と思ったらできないですね、好きでやっているから。どうやったらお客さまに喜んでいただけるかだけをずっと考えているんですが、それって、すごくワクワクするじゃないですか、学生の文化祭の前のような気持ち(笑)。それに近いんですよ。ずっとそんな感じで、なるべく楽しみながら、自由な心でいられるように意識して生活していますね。ーー11月には「山崎育三郎 THIS IS IKU 日本武道館」 が開催されましたね。これは僕のラジオ番組から生まれたコラボ企画のショーで、今年で3年目になります。僕自身がドラマ、映画、声優、バラエティ、コンサート、歌手とさまざまな仕事をしているなかでのいろいろな出会いが僕を成長させてくれています。「ジャンルを超えたい」といつも思っていて、僕はヒュー・ジャックマンさんが大好きなんですが、彼はブロードウェイの舞台に立ち、映画ではハリウッドスターでもあり、司会もやって、コンサートもやってCDも出しているんです。彼は自分がパフォーマンスできる場所ならどこへ行こうが表現できる人だからこそ、そこで求められている。それと一緒で、もうジャンルで区切る時代ではない気がしていて、ジャンルを超えたエンターテインメントを作りたいという思いがあって、毎年自分が出会った人たちとの、ここでしか見られないショーというのを作らせていただいています。これだけジャンルがバラバラな人たちと出会う機会があるのは、ミュージカル俳優をやりながら、いろいろな活動をさせてもらっている自分だからこそ、できていることだと思っています。ーー最後に、今後の抱負をお聞かせください。基本的に、明日が来ると思っていないんです。いまこの瞬間、何ができるか以外、何もできないと思っていて。たとえば今年、誰もコロナ禍になるとは思っていなかったわけじゃないですか。ですから、先を見るよりは、どれだけ与えられたこの瞬間を必死に生きるか、それが結果未来につながっていくだけだと思っています。目の前にあることに必死に挑むだけで、それが知らない間に、自分でも想像していなかった未来につながっていくから。数年前の自分にとっても、いまのように朝ドラに出て、武道館のステージに立つなんてことをやっているかといったら、そんなことは全然想像していませんでした。でもそれは、これまでの積み重ねでしかなくて、抱負と言ったら、「どれだけ目の前のことに集中して、本気でできるか」ということですね。あとはコロナの影響で、ミュージカルも公演中止になるなど、お客さまが客席にいない空間をたくさん経験しました。目の前にお客さまがいて、舞台に立てることが当たり前じゃないとすごく実感しています。僕たちの仕事は、お客さまがチケットを手にして、時間を作って、観に来てくださるということで成立しているので、あらためて応援してくださる方や劇場などに足を運んでくださる方々への感謝の気持ちはより強くなっています。また、お客さまがいる前で、パフォーマンスができる状態が戻ってくることを祈っていますね。取材後記先日放送を終えた『エール』では、全国のお茶の間へ楽しい時間を届けてくれた山崎育三郎さん。ミュージカルにドラマにラジオ、そして音楽活動と忙しいなかでも、自由な心でジャンルレスにご活躍される山崎さんからは、元気をもらえる人たちも多いのではないでしょうか。そんな山崎さんのニューシングルをみなさんも、ぜひチェックしてみてくださいね。写真・宮﨑健太郎取材、文・かわむらあみり山崎育三郎PROFILE1986年1月18日、東京都出身。2007年、ミュージカル『レ・ミゼラブル』マリウス役に抜擢され、その後も数々の名作に出演。2015年、ドラマ『下町ロケット』(TBS系)で一躍脚光を浴び、以降もドラマや映画、吹き替え、ラジオではニッポン放送『山崎育三郎のI AM 1936』(毎週土曜 午後9時30分)のパーソナリティも担当するなど、さまざまなフィールドで活躍中。アーティストとしては、2018年7月にオリジナルアルバム『I LAND』をリリース。2020年3月より放送中のNHK連続テレビ小説『エール』(NHK総合 3月〜11月放送)に、佐藤久志役として出演。12月2日、ニューシングル「君に伝えたいこと」をリリース。InformationNew Release「君に伝えたいこと」(収録曲)01.君に伝えたいこと02.栄冠は君に輝く03.君に伝えたいこと [Instrumental]04.栄冠は君に輝く[Instrumental]2020年12月2日発売(通常盤)UPCH-5975(CD)¥1,200(税別)(初回盤)UPCH-7570(CD+DVD)¥1,700(税別)
2020年12月05日【音楽通信】第58回目に登場するのは、エレファントカシマシでの30年を超えるキャリアにして初挑戦、ひとりの歌い手としてカバーアルバムを発表する、宮本浩次さん!【音楽通信】vol.58幼少時代は家族の影響で歌が大好きになるロックシーンを代表する存在として異彩を放ち続けるエレファントカシマシのボーカル、宮本浩次さん。2018年、シンガーとして椎名林檎さん、東京スカパラダイスオーケストラさんの作品に参加。2019年にソロ活動をスタートしました。2020年3月には、1stソロアルバム『宮本、独歩。』を発表。その後、世界中がコロナ禍となるなかで、宮本さんは歌が大好きだった少年時代に親しんでいた楽曲を弾き語り、カバーする作業を行なっていたといいます。そこで録りためた弾き語り音源から精選された12曲が、2020年11月18日に、初のカバーアルバム『ROMANCE』としてリリースされるということで、宮本さんにお話をうかがいました。ーー今回、少年時代に親しんでいた歌をカバーされたアルバムをリリースされるということで、あらためて幼い頃に聴いたり歌ったりしていた音楽から教えてください。母親がすごく歌が好きだったものですから、 私が幼稚園の頃、母がよく歌っていたのを覚えています。私は1966年生まれなので、たとえば梓みちよさんの「こんにちは赤ちゃん」(1963年発表)や、ピンキー&キラーズの「恋の季節」(1968年発表)など昭和の名曲が多かったですね。家族が歌が好きだったから、自然と耳にする機会があって、まだ幼稚園の頃ですから、どういう人が歌っているのか知らないままに、自分でも「恋の季節」はよく歌っていましたね。とにかく歌うことが大好きだったんです。ーー宮本さんは合唱団にも入っていらっしゃったんですよね。小学生のときに、NHK東京児童合唱団に入っていました。NHKの音楽番組『みんなのうた』など、テレビ番組もたくさん出演しました。ーーその後時を重ねて、1988年に結成されたエレファントカシマシはデビュー30周年を超え、今年の3月にはソロアーティストの宮本浩次さんとして、初のソロアルバム『宮本、独歩。』をリリースされました。はい、自分の名前を冠した『宮本、独歩。』というソロアルバムを出しました。ーー「バンドのボーカル」としての宮本さんと「ソロアーティスト」としての宮本さんとは、やはりスタンスが違うものでしょうか。エレファントカシマシというバンドは、12歳で彼らと出会って、中学校の友人同士で組んだバンドです。そこで始めてRCサクセションというロックにも出会って。小学校から中学校にあがって、10代20代といろいろな変化が自分の歴史の中にあるなかで、新しい仲間に出会うというのは、ある種、大人への第一歩といえますよね。そういったときにRCサクセションやザ・ローリング・ストーンズ、レッド・ツェッペリンといった洋楽を聴いたり、坂本龍一さん、細野晴臣さん、高橋幸宏さんのイエローマジックオーケストラ(YMO)3人組の世界的なテクノユニットがあって、そいういう音楽にも出会いました。でも、歌謡曲が好きだという思いも変わらずあって。童謡を歌う少年からスタートして、エレファントカシマシというものになっていった自分と、一方で宮本浩次としての自分がいて。バンドの宮本浩次は、「エレファントカシマシの宮本浩次」なんですよ。そこでも30年、40年の歴史があるんです。一方で、歌の好きな宮本浩次という54歳のひとりの人間がいて、それはエレファントカシマシとは別の顔。人って、いろんな顔があると思う。友達と一緒のときの顔、恋人と一緒にいるときの顔、電車で他人と一緒にいるときの顔。自分の場合は、大きく分けて、ふたつの柱があるというのかな。エレファントカシマシよりも、歌の好きな自分のほうが古い歴史がある。だから、宮本浩次が好きな歌手、好きな歌を歌うソロ活動と、エレファントカシマシでのバンドとしての立場というのは、外から見るぶんには同じ歌手というふうに見えるかもしれないけれども、自分の中ではまったく違うものなんです。「宮本浩次を表現する」カバーアルバムーー2020年11月18日に、初のカバーアルバム『ROMANCE』をリリースされます。コロナ禍の影響を受けている緊急事態宣言の期間中に、毎日弾き語りでカバーしていたそうですね。実は収録曲の「あなた」(1973年年発表)、「恋人がサンタクロース」(1980年発表)は、すでに昨年レコーディングが終わっていました。以前からカバーを出そうとは決めていたんですが、今年に入って緊急事態宣言があり、自粛生活の中で「人に会わなくてもできることってなんだろう」と考えて「曲を録ろう」と、1日1曲カバーしていったんです。コロナ禍で自粛があるなかでも、古い自分の懐かしい曲と向き合えたことは幸いなことでしたね。エレファントカシマシになってから、音楽の勉強として聴いたレッド・ツェッペリンといったロックではなく、沢田研二さんやもんた&ブラザーズ、クリスタルキング、松田聖子さんは本当にかわいくて素敵だなという、子どものときに素直に感じたこと、幼少時からのルーツ音楽があって。それを「いつかやりたい!」というのが夢だったんです。ソロをやるというのは、「宮本浩次を表現したい」という意味と同じなんですね。ーー聴かせていただいて、宮本さんの歌の力がストレートに心に届き、歌声に感動しました。今回、女心を歌うというのは、自分のなかで封印していた部分というか、いろいろな面があって。もちろん男性にも聴いてほしいんですが、女性の歌なのでとくに女性に聴いてほしいと思っていて。女性の方にそう言っていただけてうれしいです、ありがとうございます。ーー録りためていた弾き語りの音源から、今回の12曲に絞るのは難しかったのではありませんか。レコード会社のみんなと会議をしたときに、まずエレファントカシマシのデビューが1988年だから、それより前のものにしようとなって。そして宮本浩次が生まれたのが1966年。バンド活動を始める以前、そして自分が生まれたあと、という期間の歌ということを原則として考えました。66年から88年までの間の22年間のもの。そうしないといい曲がいっぱいあるので、みんなに募って、友人やレコード会社やいろんな人とたくさん曲を聴いて。最終的には、88年より前の70年代の幼少期の曲も入れて、エレファントカシマシになる前の曲、小学校ぐらいまでの曲が中心に。選曲はどの歌も素晴らしい歌で、自分が慣れ親しんだものが中心になりましたね。だからそんなに選曲は難しくなかった。カバーした曲のなかには、「北の宿から」(1975年発表)という都はるみさんの演歌の名曲もありましたし、細川たかしさんの歌など、子どもの頃は演歌も好きだったから入っていたんですよね。ほかにも、泉谷しげるさんの歌やガロの「学生街の喫茶店」(1972年発表)も歌いましたし。本当にいい歌ばかりだったんですが、だんだん好きな歌っていうものになってきちゃったんです。ある種の女性の好みというか、独特の視点があると思うんですが、歌声がよく響く歌を選んだ気がしますね。ーー「赤いスイートピー」「白いパラソル」と、松田聖子さんの曲だけ2曲ありますね。そうですね(笑)。実は、中島みゆきさんの曲も、ご自身が歌われているものと作詞作曲されているものと3曲ぐらいあったんですが、最終的に1曲に絞って。聖子さんは、松本隆さんの歌詞と、聖子さんのマッチングの素晴らしさがあって、大好きなんです。ーーとくに「赤いスイートピー」はお好きな歌なんですよね。思い出の曲なんですよ。「赤いスイートピー」は、デートをしている大人の曲で、初デートという印象がすごくあって。昔、何していいからわからないから、ひたすら歩くだけというデートをしたことがあった。そういう思い出が、聖子さんの歌声でシーンが浮かぶんです。青春のきらめきを感じる曲で、すごく好きですね。ーー宮本さんのカバーされた曲を通して、たとえば中島みゆきさんの「化粧」という曲など初めて知った曲もあって、こんないい曲があったということを教えられた気がしました。私も「化粧」はまともに聴いたのは今回が初めて。曲、歌詞、歌と、原曲も本当に素晴らしい歌ですよね。中島みゆきさんの歌い方のすごさに虜になっちゃうくらい。中島さんの名曲を自分なりにどうやって歌おうかと何度も聴いて、号泣しつつ、歌詞の主人公に自分がなってしまいながら情景が電撃的に目の前に浮かんだし、女性の主人公にものすごく共感しました。ーー小林武史さんがアルバムのプロデュースをされています。小林さんとは、20年前ぐらいにバンドのアルバムや『宮本、独歩。』を作ったときに収録曲の「冬の花」「ハレルヤ」というふたつのドラマの主題歌も一緒に作っていて。2018年後半から小林さんと作業する時間が多く、2019年10月の時点で、自分のソロアルバムのあとに、カバーアルバムを出すからという話は小林さんにしていて。そういう流れの中で、20曲ぐらいまでを選んで、歌を聴いてもらいました。「アレンジ上がったよ」と小林さんから連絡があって、行ったらもう曲が選ばれて、曲順まで決まっていたんです。「赤いスイートピー」の1曲は、音楽プロデューサーの蔦谷好位置さんにアレンジをお願いしたんですが、もともと3、4月に予定していた『宮本、独歩。』のツアーのメンバーに蔦谷さんがいたんです。すでに「赤いスイートピー」はツアーのリハーサルとしてやっていたり、『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)でも一緒にこの曲を演奏していたりしたから、この曲はお願いしました。アルバムのなかでも、モダンな面白いアレンジで彩りを添えていると思います。「コンサートを絶対成功させたい」ーー自粛期間に音楽活動以外で、おうちではどのように過ごしていたのでしょうか。まさに「何をやろうか」と考えて、カバーしながら並行して、日課として、インスタグラムをやっていましたね。自分のなかで生活リズムを作りたいという気持ちがあって、発表できるかわからないけれどカバーをやるというのと、インスタグラムで写真日記という名前をつけて日記にしてアップしていると、見る人もいるかなと。カバーをやってからインスタグラムをやるという生活サイクルにしていて、夜遅くまで、7、8時間かかっちゃったりもしてね。写真も、どうやって自撮りをうまく撮るのか、いろいろな角度を試して、けっこうプレッシャーでした(笑)。でも面白がりながら、緊張しながらも、写真をいっぱい撮って。どの角度でどの光で撮るといいかを考えるのが日課。本当に人に会わなかったから、一方的なコミュニケーションじゃないけれども、自分のインスタグラムを見てほしいなと。手書きで書いたものを出したりと、すごく力を込めてやりましたね。みんなに楽しんでもらえたかな。あとは、ビールを飲むのが楽しかったですね。そんなにお酒は強くないんですが、夜はビールを飲みながら、映画を観るのが楽しみでした。だから日課として、カバーをして、インスタグラムあげて、ビールを飲む(笑)。そして映画。衛星放送などで流れている、70年代前後の映画とかね。オードリー・ヘプバーンの『シャレード』という映画はすごく面白かったです。相当リラックスできました。ーーでは最後になりますが、今後の抱負をお聞かせください。コンサートを絶対成功させたいです。エレファントカシマシは毎年、日比谷の野音でコンサートを開催しているんですけれども、今年は31年目を10月4日にやって、それはとても充実していたんです。自分で言っちゃうのもなんですが、魅力的なバンドなんですよ、エレファントカシマシ。だから、このソロ活動も行いながらソロのコンサートをまずやって、バンドのコンサートとも両立させたいですね。取材後記エレファントカシマシのフロントマンとして、日本のロックシーンを牽引してきた宮本浩次さん。ソロとしてのカバーアルバム『ROMANCE』では、昭和の名曲の数々を宮本さんの魂のこもった歌声でカバーされていて、その熱量のすごさは圧巻です。どこか少年のようなピュアさを感じさせる宮本さん、取材時も真摯にご対応くださいました。そんな宮本さんのカバーアルバムをみなさんも、ぜひチェックしてみてくださいね。写真・北尾渉取材、文・かわむらあみり宮本浩次PROFILE1966年生まれ。日本を代表するロックバンド、エレファント カシマシのボーカル&ギター。1981年、エレファント カシマシ結成。1986年、現在のエレファント カシマシとなる。1988年、THE ELEPHANT KASHIMASHIのボーカル&ギターとしてデビュー。以後、バンドで22枚のアルバム、1枚のミニアルバム、50枚のシングルを発表。2017年、30周年イヤーを迎え、NHK『紅白歌合戦』に初出場。2018年、シンガーとして椎名林檎、東京スカパラダイスオーケストラの作品に参加。2019年、ソロ活動開始。2020年3月、1stソロアルバム『宮本、独歩。』発売。6月、配信ライブ「2020 612 宮本浩次バースデイコンサート at 作業場「宮本、独歩。」ひきがたり」敢行。11月18日、初のカバーアルバム『ROMANCE』を発表する。InformationNew Release『ROMANCE』(収録曲)01. あなた02. 異邦人03. 二人でお酒を04. 化粧05. ロマンス06. 赤いスイートピー07. 木綿のハンカチーフ-ROMANCE mix-08. 喝采09. ジョニィへの伝言10. 白いパラソル11. 恋人がサンタクロース12. First Love2020年11月18日発売(通常盤)UMCK-1676(CD)¥3,000(税別)(初回限定盤)UMCK-7089/90(CD+CD)¥3,500(税別)*28Pブックレット(歌詞・クレジットを含む)、スリーブケース仕様。[初回限定盤 ボーナスCD収録曲]「宮本浩次弾き語りデモ at 作業場」01. September02. 思秋期03. 私は泣いています04. あばよ05. 二人でお酒を06. 翼をください
2020年11月16日【音楽通信】第57回目に登場するのは、“JAPANESE R&E(リズム&演歌)”をテーマにロックを鳴らし、昨年バンド結成35周年を超えた怒髪天のフロントマン・増子直純さん!写真・北尾渉 取材、文・かわむらあみり【音楽通信】vol. 57ザ・ビートルズを弟と一緒にずっと聴いていた1984年に、ボーカル&ギターの増子直純さんを中心に札幌で結成されたロックバンド、怒髪天。その後メンバーチェンジなどの期間を経て、1988年より増子さんとギターの上原子友康さん、ベースの清水泰次さん、ドラムの坂詰克彦さんという、現在のメンバーで本格的な活動を始めました。1991年には、アルバム『怒髪天』でメジャーデビュー。“JAPANESE R&E(リズム&演歌)”をテーマに、オリジナルのロックンロールを鳴らし、2019年には結成35周年を迎え、アニバーサリーイヤーを駆け抜けました。そんな怒髪天が、11月11日にニューアルバム『ヘヴィ・メンタル・アティテュード』をリリースされるということで、バンドを代表して、増子直純さんにお話をうかがいました。ーーそもそも増子さんは少年時代、どんな音楽を聴いていらっしゃいましたか。母親がザ・ビートルズが好きで、家では毎日曲がかかっていたから、弟(ロックバンド・DMBQのボーカル&ギターの増子真二)と一緒にずっと聴いていて。本来はものすごく深いけれど、一聴したときにはポップだしわかりやすい。あとは歌謡曲かな。われわれは『ザ・ベストテン』(1978〜1989年放送のTBS系列の音楽番組)世代。小学校から観ていたけど、あの頃の歌謡曲って、作詞も作曲も職業作家が本気で作ってるから、日本の音楽の最先端の曲を当時のアイドルで実験してたんだよね。ーー10年以上前にインタビューさせていただいた際、増子さんが高校を卒業後に自衛隊に入隊されたお話も印象的でした。地元の北海道にいた高校生の頃、素行が悪くてね。高校もほぼ行ってなかったし、勉強したくないから大学も行きたくないし。パンクバンドやってたから眉毛もないし、髪はモヒカンだし、就職もできるわけない。高校卒業後は、バイトしながらバンドをやろうと思ってたら、おやじに「半年だけ自衛隊で研修すれば、千歳の空港で働きながらバンドもやれるぞ」って。「まじか! さすが親父は俺のこと考えてるな」と思ったけど、だまされたね(笑)。ーー自衛隊では音楽も聴けないのでしょうか。そんなことはないよ。ただ、外出できないのと、体力的にきついから音楽を聴く余裕がなくなるというのはあるね。ーー高校時代に怒髪天を組まれた後、自衛隊に入られて、戻ってきてまたバンドを再開されたんですよね。そう、自衛隊はすぐにでも辞めたかったけど、未成年だと親のハンコがないと辞められないからね。逃げたら連れ戻されて外出できないし、1か月に1日しかない外出日を取り上げられたらたまらんから、2年弱ぐらいかな。18歳で入隊して、20歳になるまで我慢して、すぐ辞めた。ーーそれから怒髪天を続け、2019年は結成35周年でしたよね。おめでとうございます。いえいえ、こんなにバンドをやっているとはね。ニューアルバムは「かなりカオスな感じ」ーー2020年11月11日に、ニューアルバム『ヘヴィ・メンタル・アティテュード』をリリースされます。今回は、かなりカオスな感じのアルバムだね。2011年の東日本大震災のときから、音楽に対する向き合い方って、俺に限らずみんな変わったと思うのよ。それでいまはコロナ禍。結局、自分がいままでやってきたことが封印されてしまったというか、必殺技といえるライブもできない状態になって。人を集めるためにこれまでやってきたわけで、それができない。震災のときは被災地を「なんともない俺たちが支える」という気持ちで音楽ができたけど、いまは世界中が閉塞してて、気持ちも重い。じゃあどうするか、こういうときに自分が聴きたいのはなにかなと思って、作ったアルバムだね。ーー現在のコロナ禍に対してのお気持ちが、歌詞には綴られていますね。そうね。なんでもそうだけど、あらゆる問題に直面したときに1回俯瞰で見てみる、でっかいスケールで自分を見てみると、解決策が見えてくる。「まあ、なんとかなるか」と思えるようなものを作りたいなと。言いたいことを伝えるときに、伝えたいことがシリアスであるほど、ユーモアって大事。ユーモアがないと伝わりづらいというか、そのシニカルな笑いがあるのがパンクロックだから。そういう部分も歌詞に入れつつ、聴いて「楽しいな」と思えるものがいまの自分にはほしいかなと思ったんだよね。ーー収録曲の3曲目「孤独のエール」はとても励まされる楽曲ですし、6曲目「や・め・と・き・な」や8曲目「ヘイ!Mr.ジョーク」といったユーモアのある楽曲もあって、バラエティに富んだ内容になっていますね。どれもライブを前提とした曲なんだよね。作ったときはライブが出来ないときだったから、ステージでやったら楽しいだろうなという曲を作った。ーーコロナ禍の最中に生まれたアルバムですが、もともとアルバムは出そうと思われていたんですか。そうだね。日記と同じで、そのときに思うことを歌詞にしていくんで。「孤独のエール」に関してはずっと思い続けていることをストレートに言えたね。俺は世に蔓延する、がんばれソングを聴いて、よしがんばるぞと思ったことが1回もないからね(笑)。「お前に何がわかるんだよ」と思うから。だから、自分発信で「がんばれ、俺」なんだよ。人に言われてがんばれるやつは、最初からがんばれるから。自分で自分を鼓舞していくしかない。これはひとつの答えであり、あきらめでもあるよね、自分でやるしかないんだっていう。ーー「H.M.A.」は、アルバムタイトルの『ヘヴィ・メンタル・アティテュード』の略なのですか。そう、この時代ね、鋼の心が必要だから。今後のことも見えない今、世界中に必要なのは、ヘヴィ・メンタル・アティテュードだと思うんだよね。何がきても大丈夫という、鋼の心の精神。それは強い心ということじゃないんだよね。言いたいのは「でかい心」なのよ。強くなくても、俯瞰で見る、人類規模や宇宙規模で自分を見るというか。「まあ、たいしたことねっか」と思える精神力。いま音楽に何ができるかって考えたら、ほぼ何もできないようなもんだけど、音楽なんてラーメンで言ったらコショウみたいなもんでさ、なくても困らないけどあるといい。人生のなかで、そういうスパイスみたいなもんだから、音楽は。全部ひっくるめて楽しく、楽に考えたほうがいいのになって俺は思うんだよね。ーージャケット写真は、顔が入っているんですね。これは4人の顔のコラージュ。むかって右上が俺かな、左がベースのシミ(清水泰次)、鼻がドラムの坂さん(坂詰克彦)かな。口がギターの友康(上原子友康)なんじゃないかな。最初にこのジャケを見たときは、「これは誰?」って笑ったよね。ーー11月からは全国トークツアーを実施されますし、2021年には東名阪の「新春ツアー」が控えていますね。12月には京都と長野で恒例ライブ、1月には大阪、名古屋、東京だね。キャパはだいぶ少ないけど、とにかく今はやれる範囲で無理せず楽しみたいね。「健康で、1日でも長くバンドが続けられるように」ーー音楽以外の増子さんのご活動ですと、2016年に宮藤官九郎さんが作・演出された、ロックオペラ『サンバイザー兄弟』で、永山瑛太さんとダブル主演で初舞台に立ちましたね。前からクドカン(宮藤官九郎さん)とは仲良いから、「舞台やるとき出してね、チョイ役で」って言ってたんだけど、ある日「決まりましたー!」と連絡が来て。そしたら「ダブル主演で、もうひとりは瑛太くん」だって聞いて、「ダメだって、ほんとチョイ役でいいんだから」ってすぐ電話したもんね(笑)! 「すげえセリフあるじゃん」って言ったら「大丈夫です」って(笑)。1か月半ぐらい稽古期間があるから、だいたいどんな俳優さんでもできるようになるっていうことで、「絶対だな?」「絶対大丈夫です」というやりとりがあって、じゃあやるかと(笑)。ーー永山瑛太さんからはお芝居のアドバイスはあったのですか。いや、何を聞いても「兄貴、全然できてますよ」って言うから「ウソだろ!?」って(笑)。でも、細かいところを聞くと「それはこうやったほうがいいと思います」と返してくれる。たとえば相手としゃべるときに完全に横を向かずに斜めぐらいに体を向ける、目線もどうするかは聞くと教えてくれる。あとやっぱり、一緒に芝居した俳優たちは、びっくりするぐらいセリフを覚えるのが早いね!最初、本読みで台本を読むんだけど、結局一番最後まで本を持ってるのは俺だった。いまバンドをやっていて、音楽に関してダメ出しされることはほぼない。OKラインは自分のなかにあって、俺という人間を最大増幅させるのがバンドだから。でも舞台は、俺ではなく役になるわけだから「これこうですか?」とやってみて「違う」となると、その加減も難しい。俳優の友達や芝居をやっている人に聞いても、自分のOKラインと作品なり監督のOKラインが違う時が結構あるんだって。役者“あるある”なんだろうね。舞台は稽古の期間が長いし会話だから、意外と時間が長い作品でも、やりとりがあって覚えやすい。でもドラマは稽古がないから、現場に行って、演出家さんに「こんな感じでお願いします」と言われて、すぐやるからね。たとえば「悠然と階段を降りてください」と言われても、悠然と階段を降りたことないから難しいよね(笑)。ーー近年では、2019年のNHK大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺〜』、2020年はNEWSの増田貴久さん主演の連続ドラマ『レンタルなんもしない人』(テレビ東京系4〜9月)第1話にゲスト出演されましたね。すごいんだよ、増田さん。ドラマでは普段ぼんやりした人の役だから、芝居に入るとNEWSじゃなくなくなる。すげえなって。芝居が上手なんだね。ーーそういえば関ジャニ∞さんや、ももいろクローバーZさんといったアイドルの方に楽曲提供されたこともありました。楽曲提供っておもしろくて、自分たちが絶対に手が届かないところに、球が届くからね。関ジャニ∞のシングル曲「あおっぱな」(2012年発表)を提供したときに、東京ドームのライブを観に行ったけど、俺たちが作った曲を5万人が歌ってたもんね。本当にうれしかったね。それを観たときに「曲は間違ってないんだな」って。じゃあ演者の問題かって(笑)。役者仕事に関しては、いまも11月18日から始まる、山口紗弥加さん主演の連続ドラマ『38歳バツイチ独身女がマッチングアプリをやってみた結果日記』(テレビ東京系 深夜0時58分)の収録をしていて。主人公がよく行くバーのマスター役なんだけどね。音楽で怒られることがないから、芝居ではすごく学びが多いよね。ほぼ初心者で入って勉強させてもらうということが多々あるから。ーーそんなお芝居の経験がまた、音楽に還元されたり?あるね。やってみて思ったのは、やっぱり、バンドは演じちゃいけない。リアルじゃないとね。そこがすごく大事で、芝居とはまったく真逆。けっこうみんな演じがちで、このバンドのこのキャラクターを演じてるなってわかるとスッと興醒めしちゃうよね。それはエンターテインメントとは別の話だから。ーー最後に、今後の抱負をお聞かせください。今年はいろいろあったからね。でも、都なり国のガイドラインのさらに内側を守るくらいの慎重さをもって「やっていいよ」と言われていることはやっていくよ。ツアーも決まってるしね。あとは、何しろ「健康で、1日でも長くバンドが続けられるように」ということのみ!取材後記さまざまなアーティストやミュージシャンからも慕われている、増子さんをはじめとする、ロックバンドの怒髪天のみなさん。増子さんの生きざまはそのままロックンロールを体現されていて多くの人たちから支持されるのも納得です! バンド活動はもとより、俳優業などでもご活躍中の増子さんが放つ、怒髪天のニューアルバムをみなさんも、ぜひチェックしてみてくださいね。怒髪天 PROFILE1984年に札幌で結成。増子直純(Vo)、上原子友康(G)、清水泰次(B)、坂詰克彦(Dr)からなる4人組ロックバンド。 “JAPANESE R&E(リズム&演歌)”を旗印に、オリジナルのロックンロールを鳴らす。2014年1月、日本武道館ワンマン公演を敢行し、満員御礼におさめる。2019年、バンド結成35周年を迎え、ミュージシャン、演歌歌手、俳優など怒髪天と親交のある総勢220名が参加した怒髪天トリビュート『オトナノススメ〜35th 愛されSP〜』をリリース。アニバーサリーイヤーを駆け抜けた。2020年、11月11日にニューアルバム『ヘヴィ・メンタル・アティテュード』をリリース。11月7日から29日まで「怒髪天 爆音上映会&トークTOUR 2020 “4人いてライブせんのか~い!”」を実施。12月11日、「ライブ&ドキュメント 怒髪天 必要至急特別公演キャプテン野音2020 〜1/2の神話(キャパ)〜」DVD発売。2021年、1月9日に大阪BIG CAT、 1月10日に名古屋ボトムライン、 1月17日に東京神田明神ホールと、新春ツアーを開催する。InformationNew Release『ヘヴィ・メンタル・アティテュード』(収録曲)01. SADAMETIC 20/2002. 駄反抗王03. 孤独のエール04. ポポポ!05. スキモノマニア06. や・め・と・き・な07. 憎まれっ子のブーガルー08. ヘイ!Mr.ジョーク09. タイムリッチマン10. H.M.A.2020年11月11日発売(通常盤)TECI-1709(CD)¥3,000(税別)(初回限定盤)TECI-1708(CD+DVD)¥4,000(税別)[DVD内容]2020年7月26日に京都磔磔で行われた配信ライブ「怒髪天 delivery 響都ノ宴“カラダ立ち入り禁止。第一回、タマシイ限定ライブ。カモン!俺達界隈(魂のみ)。”」のライブ映像全曲分を再編集して収録。(DVD収録曲)01. 酒燃料爆進曲 02. 欠けたパーツの唄 03. HONKAI 04. セイノワ 05. ポポポ! 06. ロクでナシ 07. 北風に吠えろ! 08. せかいをてきに… 09. GREAT NUMBER 10. NINKYO-BEAT 11. スキモノマニア 12. シン・ジダイ 13. クソったれのテーマ 14. ド真ん中節 15. 孤独のエール 16. 喰うために働いて生きるために唄え! 17. 歩きつづけるかぎり 18. オトナノススメ 19. 雪割り桜
2020年11月07日【音楽通信】第55回目に登場するのは、社会現象となっている『鬼滅の刃』のヒロイン・竈門禰豆子(かまどねずこ)役などの人気声優としても知られ、アーティストとしても活躍している、鬼頭明里(きとうあかり)さん!写真・黒川ひろみ 取材、文・かわむらあみり【音楽通信】vol.55声優になって以来いまは「未知の領域にいる」2014年に声優デビューした鬼頭明里さんは、一世を風靡している『鬼滅の刃』の竈門禰豆子役、『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』近江彼方役、『Re:ステージ! ドリームデイズ』月坂紗由役など、数多くの話題作に出演している、人気声優です。とくに『鬼滅の刃』の禰豆子役は、子どもから大人まで、アニメファン以外の層からも圧倒的な人気を博し、国内外でそのキャラクターに魅了される人が続々。アーティストとしては、2019年10月にシングル「Swinging Heart」でデビューを果たし、2020年6月リリースの1stアルバム『STYLE』はヒットチャート7位を獲得。9月から10月まで開催された東名阪での1st ライブツアー「Colorful Closet」は大成功で幕を閉じました。そんな鬼頭さんが、10月28日に、3rdシングル「キミのとなりで」をリリースされるということで、お話をうかがいました。ーーまずは、鬼頭さんの音楽的なルーツから振り返らせていただきます。小さい頃はどんな曲を聴いていましたか。小さい頃から、アニメがずっと好きだったので、曲といえばアニメソングばかり聴いていましたね。お父さんはオタクだったんですが、お母さんはそうでもなく、TUBEさんなどそのときどきに流行っていた曲を聴いていて、私も一緒に聴くことがありました。小学生になると、近所のカラオケ店にものすごく通いつめて、アニメソングをよく歌っていましたね(笑)。親の車でおばあちゃんの家に行くときも、車の中で曲を流して、カラオケ大会のようにずっと歌っていました。ーーそんななかで、声優を目指すようになられたきっかけは。家ではケーブルテレビがつながっていて、アニメを視聴できるチャンネルがあって、80年代、90年代のアニメをずっと観ていて「やっぱりアニメが好きだな」と実感していました。中学生の頃になると、声優さんのいろいろなアニメのラジオ番組を聴き始めて、「アニメについて話している声優さんって、すごく楽しそうな人たちだな、これがお仕事だと楽しそう」と思ったことが、声優さんになりたいと思ったきっかけですね。でも、声優さんになるためにはどうすればいいか調べてみたら、とりあえずは上京しないと無理だということがわかって、その夢をしばらく諦めていました。ーーでは実際に2014年に声優デビューされましたが、どうやって夢をつかんだのですか。高校を卒業する前の進路を決めるタイミングで、一度は諦めていた声優さんになろうと決断したんですが、そう思う前までは、イラストレーターになろうと思ってずっと絵を描いていたり。地元の愛知のことも好きだったので、愛知の大学に通うことを考えていました。でも、それは親のお金で大学に通わせてもらえるなら行こうというぐらいの気持ちで、いざ親に大学の話をすると「お金ないよ」と言われて(笑)。「自分で奨学金を借りて、行きたいなら行きなさい」と親に言われ、「自分で借りてまで大学に行かなくていいな」と思って、じゃあ何をしようかなと。そこで、一度は諦めた声優さんになりたいと思って、行動したんです。今度は地元にこだわらないで、自分でお金を貯めて、声優養成所に通うために上京して、本格的に声優さんを目指すようになってからテレビアニメでデビューすることができました。ーー社会現象となっているアニメ『鬼滅の刃』のヒロイン・竈門禰豆子役として声を担当されていますが、鬼と人間との感情で揺れ動く禰豆子の葛藤が画面からも伝わり、物語にも大いに感動しました。役作りはいかがでしたか。作品にもよるのですが、声をあてるときに、棒人間みたいなものしかない状態のときもありますし、カラーのときも線画のときもあるんです。でも、“鬼滅”の場合は、線画でしたがしっかりと表情が描いてありました。その映像を見て、台本からも禰豆子の心情を読み取って、そして原作も読んで、「こんな表情をしているからこうかな」と、想像しながらやっていましたね。ーーまわりの方からの反響も大きかったのではないですか。これまで声優になってからも、常に「売れるぞ!」「ビッグになるぞ!」という気持ちではいたんですが、いまはそこを飛び越えて、「未知の領域にいる」と思うところにいて(笑)。まさか自分がここまでいろいろなお仕事をさせてもらえるようになって、アーティスト活動もさせていただけるようになると思っていなかったので、毎日未知の世界が広がっています(笑)。いろいろと楽しくお仕事させていただいて、すごくありがたいですね。私の目標のひとつに、親戚や家族など「まわりの人たちに恩返しがしたい」「自慢できる友達、娘、親戚になりたいな」という思いがあって。いまはまわりの親戚や家族もすごく喜んでくれているので、とてもうれしいですね。ーーさまざまなキャラクターで声を務めていらっしゃいますが、鬼頭さんのなかでも、禰豆子役は少し違う存在なんでしょうか。そうですね。私の地元の友人はあまりアニメを観ないんですが、そんな人たちでも「“鬼滅”すごいね」と言ってくれるようになりましたし、おじいちゃんもそうです。いままでアニメに出ていると言っても「ほうほう、よくわからんけどがんばっとるね」という感じだったのですが(笑)、『鬼滅の刃』のことはおじいちゃんのまわりのお友達からも「明里ちゃん、すごいね」と言ってくれるらしくて、「明里ちゃん、がんばっとるんですね」とようやく認識してくれました。だから、禰豆子はだいぶ、特別な存在なんじゃないかと思います。『安達としまむら』のOPテーマ&EDテーマを歌唱ーー2020年10月28日に、さわやかでドラマチックな3rdシングル「キミのとなりで」をリリースされます。表題曲は10月8日からスタートしたテレビアニメ『安達としまむら』(TBS系 深夜1時58分)のエンディングテーマで、同アニメの主人公・安達の声も鬼頭さんがご担当されていますが、オープニングテーマは“安達としまむら”が歌う「君に会えた日」なのですね。エンディングテーマとなっている今回の新曲は私名義のもので、鬼頭明里として、アーティストとして歌わせていただいています。オープニングテーマについては、アニメの“安達としまむら”として、キャラクターソングとして歌わせていただいていて、安達というキャラクターになりきって歌っていますね。キャラクターソングは、キャラクター目線で歌っている感じなんですけども、アーティストとして歌わせていただいている曲に関しては、作品や物語自体を俯瞰して見ているというか。なので、今回はふたつの視点から、オープニングとエンディングを歌わせていただいていて、作品への理解が深まった気がします。ーー「キミのとなりで」には、ロックテイストの2曲目「Dive to World」、ファンクな感じもある3曲目「トウメイナユメ」も収録されています。今回、3曲ともさわやかな感じの曲なので、どの曲もあんまり考えすぎずに歌うようにしてみました。ーー2019年10月から、アーティスト活動をこれまで1年間されてきましたが、いまはどのようなお気持ちでしょうか。役者として歌ったり踊ったりしているときは、キャラクターの気持ちだったり、キャラクターを表現したりという感じがあるんです。でも、アーティストとしては、自分を表現する、自分自身であるというところで、そこがすごく難しかったですね。自分を出すことが苦手ということもあって役者になったので、アーティスト活動は自分を出さなきゃいけない、自分を表現しなければいけないとなったときに「自分とはなんなんだろう?」とすごく考えました。ーー今年6月には1stアルバム『STYLE』も発表されて、ご自身の曲数が増えていくなかでも、自分とはなにかという葛藤もありながら、歌われていたのでしょうか。はい、曲が増えていくなかでもありましたね。いまだに、自分とはなにかが見つかっていないんですが、私は飽き性だし、いろいろなことをしたいタイプなので、これからも“新しい自分を見つけていく”気持ちでやっていけたらなと思っています。ーー9月から10月には初ライブツアーも行われましたが、実際にステージに立たれて、手応えのほどはいかがですか。初めてのライブでしたし、このコロナ禍というのもあって、ものすごく緊張しました。お客さまも声援を送れないので声を出せなかったり、マスクとフェイスシールドをしてもらったり、席もソーシャルディスタンスとなっていたり。いろいろな制限があるなかで、楽しんでもらえるんだろうかと不安もあったんですが、そんななかでも拍手してくださって、「すごく楽しかったです」と言って帰ってもらえたりしたので、すごく安心しましたし、ライブができて良かったと思いました。ーー大阪公演では、LiSAさんが歌うテレビアニメ『鬼滅の刃』のオープニングテーマ「紅蓮華(ぐれんげ)」のカバーを披露されたそうですね。各公演で毎回違うキャラクターソングや私が出演したアニメの主題歌のカバーを歌わせていただきました。アーティストとしての自分の曲よりも、カバー曲のほうが、前々からカラオケで歌い慣れている曲なので、今回のライブでバンド編成になったときもすんなり歌えたかもしれません(笑)。ーー声優の方は、「声」がとても重要なものですし、アーティスト活動でも歌われることが多くなりますが、普段ノドのケアはされていますか。昔からノドが強くて、たとえば加湿器をたくようなこともしていないですね。朝もとくになにもしていないんです。ノドを甘やかさないで、強くするというか(笑)。ーーやはり声のお仕事は“天職”かもしれないですね。そうですね、昔から声を出すのは好きだったので、お仕事はすごく楽しいです。今後はおとなっぽい曲やコラボもやってみたいーーオフの日はどのように過ごしていますか。人が好きなので、誰かと話すことも好きで、おやすみの日などは友達とどこかへ遊びに行くことが多いですね。カラオケへ行ったり、おしゃれなカフェで写真を撮ったり。スマホでインスタ映えしそうな写真を撮るのが好きで、以前はよくカフェに行っていました。コロナ禍ですし、最近はなかなか外出できませんが、友達とは「ご飯に行きたいね」と連絡はしていますね。ーースキンケアやコスメなどでは、お気に入りのものはありますか。最近お気に入りなのは、ランコムの「ジェニフィック アドバンスト N」という美容液です。すごくいいらしいと耳にしていて、実際に自分でも使い始めたら、本当に肌の調子が良くなりました。いま5本目ぐらいですが、ずっとリピートしていますね。友達や知り合いにも、この美容液をプレゼントするぐらい、気に入っています。もともと気に入ったものをずっと使い続けるタイプなのですが、コスメだとディオールのクッションファンデーションもいま6個目になりましたし、気に入ると同じものをずっと使っていますね。ーーちなみに、細身なのでダイエットなどはされないですよね。めちゃめちゃしています(笑)! 昨年末ぐらいはすごく太っていて、そこからダイエットを頑張っているんですよ。でもやっぱり時間がないと痩せられないから、追い詰められて、いまはお金の力で痩せようかなと思っています(笑)。エステとか、トレーニングギアのシックスパッドを買ったり。あとは食事ですね。現場などでお弁当が出ても、おかずは全部食べますが、ごはんの量を減らして、炭水化物を減らすとか。ニンテンドースイッチのエクササイズゲーム『Fit Boxing』をやることも。リズムに乗ってパンチするんですが、10分ぐらいやるだけでも、けっこう汗だくになるんです。ーーでは最後に、アーティストとしての今後の抱負をお聞かせください。いままでロックな曲やさわやかな曲を歌わせていただくことが多かったので、今後機会があれば、大人っぽい、カフェでゆったり聴けるような曲やブラスバンドのパレードのような曲も歌ってみたいなと思いますね。あとは、同時期にすごく仲良い役者の友達もアーティストデビューしていて、和氣あず未さんという声優なんですが、その子といつか一緒にコラボレーションして歌ってみたいですね。一緒のステージにも立ってみたいなと思います。取材後記声優として、ソロアーティストとして、大活躍されている鬼頭明里さん。クールビューティな鬼頭さんは、撮影中もインタビュー中も、凛とした瞳が輝いて、取材陣を魅了。筆者が心から感銘を受けた『鬼滅の刃』の竈門禰豆子役では、おじいちゃんからも認識されたというお話に、母のような気持ちでほっこりさせていただきました。声優だけでなく、アーティストとしても、きっと多くの人たちの心を灯してくれるはずです。そんな鬼頭さんのニューシングルをみなさんも、ぜひチェックしてみてくださいね。鬼頭明里 PROFILE10月16日、愛知県生まれ。趣味は、絵を描くこと、歌うこと。2014年より声優として活動。テレビアニメ『タイムボカン 逆襲の三悪人』にてヒロイン、カレン役を務める。他にも『鬼滅の刃』竈門禰豆子役、『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』近江彼方役、『Re:ステージ! ドリームデイズ』月坂紗由役、など多くの話題作に出演している。2019年10月16日にシングル「Swinging Heart」でアーティストデビュー。収録曲の「dear my distance」はテレビアニメ『超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです!』、2020年2月リリースの2ndシングル「Desire Again」収録曲「Tiny Light」はテレビアニメ『地縛少年花子くん』のエンディングテーマを担当。6月リリースの1stアルバム『STYLE』はオリコン週間ランキング7位を獲得。9月から10月まで東名阪での1st ライブツアー「Colorful Closet」を開催。10月28日、3rdシングル「キミのとなりで」をリリース。「ニュータイプアニメアワード2018-2019」声優賞(女性)では、1位を獲得。レギュラーラジオ番組、文化放送『超!A&G+』では『鬼頭明里のSmiley pop』(毎週水曜日19:30~20:00)を放送中。InformationNew Release「キミのとなりで」(収録曲)01. キミのとなりで02. Dive to World03. トウメイナユメ04. キミのとなりで (Instrumental)05. Dive to World (Instrumental)06. トウメイナユメ(Instrumental)2020年10月7日発売*全形態同収録曲。(通常盤)PCCG-01941(CD)¥1,300(税別)(初回限定盤)PCCG-01939(CD+BD+ブックレット)¥2,000(税別)(アニメ盤)PCCG-01940(CD)¥1,300(税別)New Release「君に会えた日」安達としまむら(CV:鬼頭明里と伊藤美来)(収録曲)01. 君に会えた日02. メリーゴーランド03. 君に会えた日 -TV size ver.-04. メリーゴーランド -Glocken Ver.-05. 君に会えた日 -instrumental-06. メリーゴーランド -instrumental-2020年10月28日発売(通常盤)PCCG.01929¥1,300(税別)ヘアメイク・Yuu.
2020年10月27日