意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「生活保護」です。自分の命守るため、困ったら、臆することなく利用を。生活保護は、受給条件を満たす誰もが受け取る権利を持っています。憲法によって、国は「国民の健康で文化的な最低限度の暮らしを保障しなければならない」と定められているからです。まず条件は、収入が厚生労働省の定める最低生活費よりも低いこと。金額は地域や同居家族の人数によって変わりますが、東京都内で一人暮らしなら、世帯全体の収入が月13万円、年156万円以下の場合には受給が可能になります。一般に家や車、預貯金や土地などの資産を持っている人は受けられませんし(例外あり)、世に言う「生活保護があれば働かなくても暮らせる」というのは歪んだ意見です。潤沢なお金を手当てしているわけではありませんし、贅沢は認められません。食費、光熱費、服、家具家電の購入費などの生活扶助、家賃を払うための住宅扶助ほか、医療扶助、介護扶助など、使用目的が制限されています。受給条件には、親や親族などから支援を受けられない人というのがあります。たとえば、子供の貧困対策で、子供がNPOから何かサポートを受けた場合、最低生活費が満たされ受給条件から外れたとみなされ、学費が払えず子供が大学を辞めざるを得なくなるというケースも出てきています。ですから、生活保護と子供の教育は切り離して考えるなど、課題はあるんですね。病気や怪我をして働けなくなった場合でも受給は可能です。ワーキングプアで、働いていても収入が最低生活費に満たない人は、全額ではなく足りない差額分を支給してもらえます。不正受給のニュースが広がり、生活保護には悪いイメージがついてしまいました。でも、不正受給は全体の0.4%程度。悪意なく、条件から外れていたのに気づかなかったケースも含まれます。誰しもが、いつ何が起きるかわかりません。突然、鬱になり働けなくなり、頼る先もなく暮らせなくなることもあるでしょう。「自分の頑張りが足りないんじゃないか」「自尊心が傷付けられる」などと思わずに、一時的にでも助けてもらい、生活を立て直せばいいのです。本当に追い詰められる前に、ぜひ住んでいる自治体の福祉事務所に相談してほしいと思います。堀 潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2021年12月29日‐2022年1月5日合併号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2021年12月29日2022年から2年目を迎えることとなった『中島健人の今、映画について知りたいコト。』がリニューアル。それに伴い、MCを務める中島健人(Sexy Zone)が製作した新オープニング映像と新ビジュアルが公開された。本番組は、WOWOWで放送され、ハリウッドをけん引する映画監督やクリエーター、さらに世界へ羽ばたく日本の映画監督へのインタビューや、映画制作現場の取材等を通じて、中島が知りたい“映画の今”について学ぶ月1のレギュラー情報番組。全12回の予定でスタートしたが、最終回で中島本人から、番組の継続が発表されていた。この度、公開された新ビジュアルは以前とは打って変わって、白黒を基調としたまるで映画世界に飛び込んだかのようなシックなデザインに仕上がりになっている。2年目の第1回目となる#13の放送は、「是枝監督 独占インタビュー〜今、映画で世界と向き合うというコト〜」と題し、中島がかねてから会いたいと熱望していた是枝裕和監督との対談が実現。第71回カンヌ国際映画祭で最高賞パルムドールを受賞した『万引き家族』を手掛け、世界の第一線で活躍する是枝裕和監督に、中島が今、勢いづいているアジアのエンタテインメントについて切り込む。さらに、中島自らが編集し、制作した番組の新オープニングもついに公開。中島は「遂に僕が編集した映像が番組のオープニングに!衝撃ですが、とても嬉しいです!」とコメントを寄せている。どのような仕上がりになっているのか、その模様はぜひ放送・配信でチェックしてほしい。また、前回の放送に入りきらなかった未公開映像や今回の放送の予告を含む、プロモーション動画が、WOWOW公式YouTubeチャンネル、番組公式サイトにて公開されている。<中島健人・コメント>遂に僕が編集した映像が番組のオープニングに!衝撃ですが、とても嬉しいです!Sexy Zoneのライブ映像も手掛けていますが、まさかWOWOWで自分の作った映像が流れるとは思いもしませんでした。来年はさらにパワーアップの予感がします。是枝監督との時間はとても貴重な時間でした。アジアのエンタテインメントが勢いづいている状況を今、どのように考えているのかという思い切った質問もさせていただきました。是枝監督と出会えたことは俳優として大きな財産です。次お会いする時は映画の現場でお会いできるように頑張っていきたいと思います。『中島健人の今、映画について知りたいコト。』毎月第1金曜 22:00よりWOWOWプライム、WOWOWオンデマンドにて放送・配信(#13は1月7日(金)22:00〜)番組オフィシャルサイト: プロモーション動画:
2021年12月24日帯に書かれた「二度読み必至!」の惹句は伊達じゃない。青山美智子さんの新作『赤と青とエスキース』は、最後にぎゅぎゅっと心を掴まれる展開が待っている連作集。一枚の絵画と、愛をめぐる物語だ。絵画が生み出す「ふたり」の光景。最後に大きな感動が待つ連作集。執筆依頼がなんともユニークだ。これまで書いてきたような物語の中で場所が替わる横移動や、時間が流れる縦移動の話ではなく「モノが斜めに動く話を書きませんか」という内容だったという。「すぐに絵画が浮かびました。もともと絵は好きですし、学生の頃、美大に進学しようかと考えたこともあったんです。美術と考えるとハードルが高いけれど、絵は喫茶店にも飾ってある。そうした身近なものとして書こうと思いました。エスキースは下絵のこと。芸術も人生もどこまでが下絵でどこからが本番か分からない。それが今回の話にぴったりだと思いました」第一章の主人公はオーストラリアに1年間留学中のレイ。現地に住む日本人の青年と恋に落ちるが、帰国の日、つまり別れが迫ってきた頃、彼女は彼の知人の画家のモデルを務める。そして描かれたのが本作の裏主人公であるエスキースだ。舞台を日本に移した第二章は額縁工房の青年、第三章は元弟子と対談する漫画家、第四章では恋人と別れ50歳を迎えた輸入雑貨店で働く女性が主人公。「第一章は絵のモデル、第二章ではその絵の額縁を作る人、第三章は絵を眺める人、第四章は写真に写ったその絵を眺める人というように違うシチュエーションを考えました」どの章にも恋人同士や師匠と弟子といった2人組が登場。恋愛感情や師弟愛など、さまざまな形の“愛”が描かれる。「愛という言葉を照れくさく感じていた時期もありましたが、最近は愛って大げさなことじゃないと思うようになって。むしろ綺麗なことばかりではなくて、格好つけたり自分を偽ることもある。でも、それは対象があってはじめて生まれる人間らしい感情だということを肯定したかったんです」主人公たちの年齢はばらばらだが、自身が投影されているという。「作家って、自分を脱いでさらけ出していくタイプと、登場人物にコスプレするタイプがいると思うんですが、私は普段は後者なんです。でも今回は、今までで一番、素の私を書いた気がします。第三章の漫画家のタカシマも、第四章の茜もすごく“私”が出ていますね」ちなみにこのタカシマに、売れっ子となった元弟子が「ぼく、タカシマさんが運のいい人だなんて思ったこと、一度もないですよ」と言う場面がある。それに続く彼の台詞は、実際に青山さんが編集者に言われた言葉なのだとか。ぐっとくる内容なので、ぜひ本文でご確認を。ばらばらなエピソードが連なる先に浮かび上がるのは、とても大きな物語。読了した人ならその意味は分かるはず。このように、青山さんは視点人物を替えていく手法を得意としている。「同じものを見ていても、それぞれの頭には違う景色が浮かんでいる。地球上に78億人いるなら、78億個の物語がある。そこに興味があります。それに場所と場所、人と人って実は繋がっていたりする。それはミラクルなことではなく、多くの場合気づかないまま通り過ぎているだけ。そこを物語にするのが、自分がいちばん乗って書ける方法なんです。私はその時書けるものしか書けないので、これからも偽りのない自分を書いていきたいと思っています」青山美智子『赤と青とエスキース』留学先のメルボルンで、期間限定の条件でブーと付き合いはじめたレイ。帰国の直前、彼の知人の画家のモデルを務めるが、その時描かれた絵画がその後さまざまな場所で「ふたり」の物語を生み出す。PHP研究所1650円あおやま・みちこ大学卒業後2年間オーストラリアで生活、帰国後、雑誌編集者を経て2017年『木曜日にはココアを』で作家デビュー。今年『お探し物は図書室まで』が本屋大賞2位に入賞。※『anan』2021年12月22日号より。写真・土佐麻理子(青山さん)中島慶子(本)インタビュー、文・瀧井朝世(by anan編集部)
2021年12月21日サウナブームがまだまだ加速中!サウナホテル、コワーキングスペース、完全個室など、最新サウナスポットをご紹介します。西荻窪「ROOFTOP」コワーキングスペース&サウナで、新しい働き方を。西荻窪駅前に、ペントハウススタイルのフィンランド式サウナ「ROOFTOP」と、コワーキングスペース「LifeWork」がオープン。フィンランドのiki社のストーブを設置した女性用サウナ室は、20人収容。屋上の外気浴スペースも出入り自由。「LifeWork」は、サウナ後の休憩やカフェとしての利用も可。東京都杉並区西荻南3‐14‐7‐4FTEL:非公開8:00~23:002時間¥1,980。LifeWorkセット利用¥3,480。西麻布「3S ジブンサウナ」好みの温度が楽しめる、パーソナルサウナ。着替えからサウナ利用まで個室で完結する〈ジブンサウナ〉が来年2月オープン予定。フィンランド式サウナと15°Cの水風呂を備えた1人用、2人用のルームを用意。好みや気分に合わせて、サウナの熱さを調整できるだけでなく、照明、音楽、香りもカスタマイズできるのが画期的!東京都港区西麻布1‐4‐22PRESTIGE西麻布B1TEL:未定9:00~23:00(予定)料金未定。完全予約制。平塚「3S HOTEL HIRATSUKA」サウナ&ステイをテーマにしたホテルが10月に誕生。ヒノキの香りに包まれた広々とした本格フィンランド式サウナと大浴場を完備。オープン当初は、男性限定だったが、女性サウナーたちからのリクエストにより、毎週金・土曜の12:00~17:00がレディースデーに。セルフロウリュで、発汗を促し、“ととのう体験”を。神奈川県平塚市明石町24‐9TEL:0463・20・2233ショートステイ(日帰り3時間・客室使用付)¥3,500~、宿泊¥5,000~。※『anan』2021年12月22日号より。写真・中島慶子取材、文・鈴木恵美(by anan編集部)
2021年12月21日ふかふかグッズで末端の冷え対策!手や足などの末端はカラダの中でも冷えやすい部分。特に今冬は“ストレス冷え”を防ぐために強化を!ストレスが原因で、末端の冷えが加速。マスク生活2年目の冬に突入。特に今冬はストレス冷えに注意が必要だと、医師の古賀良彦さん。「まだまだ不安や緊張を感じることも多く、そんな長期的なストレスにより、自律神経が乱れている人が増えています。人はストレスを感じると、交感神経が優位になり、心臓や筋肉に血液が豊富に送られ、反対に末梢の血管は収縮して血液の供給が後回しになります。そのため皮膚表面の温度は下がってしまい、特に外気にさらされる手足などの末端の冷えが深刻化します。末端を温められるアイテムをうまく活用して、ストレス冷えを防ぎましょう」ふかふかグッズで末端の冷え対策コジット「おうちタイム ボアウォーマー クビカタ」内側ボアから表生地まで、6層構造で暖かさを逃がさない。ゲルマニウム、トルマリン、もぐさ配合プリントの生地をはじめ、同厚のポリエステル綿より約1.4倍暖かい「シンサレート」、アルミコーティング生地などを採用。6層のミルフィーユ構造で、抜群の保温性!さらに背中側にはカイロ用ポケット付き。¥1,738(コジット TEL:06・6532・8140)アルファックス「極暖 手首足首ウォーマ」ふかふかの肌触りが気持ちいい。手首・足首兼用で、極上の暖かさ。輪っか状のウォーマに、手や足を通すだけでポカポカ。毛脚の長い素材が、空気の層を作り閉じ込めるため、着用してすぐ暖かさを実感できる。優しい肌触りで着け心地抜群。1個20gと軽量のため、リラックスタイムはもちろん、手首・足首に着けたままでも移動や作業の邪魔にならない。¥990(アルファックス TEL:06・4792・1193)イウミー「かかとソックス」体温をふく射する光電子(R)繊維で、カラダを効果的に保温できる。体温を吸収し、遠赤外線をカラダにふく射する素材「光電子(R)繊維」を採用。水分蒸散を助ける遠赤外線の働きを利用し、汗によるムレや冷えを防ぎ、カラダを保温する。靴下の内、外どちらにも着用可。シリコン加工が施され、かかとにフィットしてずれにくいのも魅力。¥3,278(イウミーcontact@eume.store)岡本「靴下サプリ まるでこたつソックス」足先からふくらはぎまで包み込むロング丈!ふんわりと柔らかい特殊な保温素材を独自開発。東洋医学で下半身の冷えに効果的といわれている足首のツボ「三陰交」部分に、独自の編み方を用いた発熱素材を使うことで、足首から効率よく全身を温める。ゆったりとした編み方で、締め付け感も気にならないので、リラックスできる。5色展開。各¥1,980(岡本 TEL:0120・551975)LE LION「玄米カイロ 足首用」繰り返し使えてかわいい。サステナブルなカイロ。減農薬で育てられた岡山県産のフードロス玄米と、大阪・泉州産のオーガニックコットンで作った自然派カイロ。電子レンジ(600W)で50秒温めたカイロを、専用カバーに入れて、靴下の上から足首に巻くだけで冷えを撃退。着け心地を自分で調節でき、玄米の香りにも癒される。¥6,480(五雅プランニング TEL:050・3749・4006)古賀良彦さん精神科医、杏林大学名誉教授。著書に『パンデミックブルーから心と体と暮らしを守る50の方法』(亜紀書房)、『睡眠と脳の科学』(祥伝社新書)など。※『anan』2021年12月22日号より。写真・中島慶子イラスト・seko koseko取材、文・鈴木恵美(by anan編集部)
2021年12月20日下腹部を温めてくれる優秀温活アイテムをご紹介。取材を通して、数多くのフェムケアグッズを試してきたというライターの長田杏奈さんに、今フェムケア温活が文字通り“HOT”な理由とオススメのアイテムを伺いました。温故知新コンビは、女性の不調の強い味方。女性のカラダ、とくに婦人科系の健康を大事にすることを意味する「フェムケア」。カラダを温めることによってフェムケアを叶えるグッズは、この冬ぜひ取り入れたいアイテム。「フェムケアという言葉が日本でも話題になり始めたのは、2019年頃です。この新しい言葉ができたことにより、たとえば月経時の不快感など、それまで我慢をするものだと思われてきた女性のカラダ特有の不調が可視化され、技術やアイテムで改善しようという動きが活発になってきました。一方、女性はお腹や腰まわりを温めようという考え方は、古くからあったもの。『フェムケア温活』は、そんな温故知新を掛け合わせた相性のいいコンビといえるのでは。最近は、まさにフェムケア温活にピッタリのグッズも出ていますし、長年親しまれてきたグッズのなかに、実はフェムケア温活にも向いていると改めて人気になっているものもあります」(ライター・長田杏奈さん)そこでフェムケアの取材をすることも多い長田さんに、おすすめ商品を紹介していただきました。下腹部を温める機能が備わった吸水ショーツなどフェムテック系のアイテムや、女性におなじみのブランドのカイロなどで、婦人科系の不調をガードしましょう!長田さんが選んだ6アイテムショーツに貼るあったかシート無農薬よもぎが織り込まれていて、下半身からカラダを温められるナプキン型のパッド。「老舗メーカーで安定感あり」(長田さん)。優月美人 よもぎ温座パット 6個入り¥1,037(グラフィコ カスタマーセンター TEL:0120・498・177)下腹部を温める吸水ショーツボクサー型の吸水ショーツ。「腹部にはテラヘルツ鉱石パウダーがプリント。2枚重ねのぬくもり設計」。ベア シグネチャーショーツ02¥7,590(ベアジャパン TEL:0120・679・279)カイロポケット付き 吸水ショーツお腹を優しく包み込む吸水ショーツ。「前面にカイロ用のポケットが付いているのがポイント」。ムーンパンツ ハイウエスト ブラック¥7,480(ラブピースクラブ TEL:0120・953・129)冷えが辛い女性向けカイロ女性保健薬でおなじみの命の母はカイロも展開。「よもぎや生姜などから抽出した香りと、約40°Cの温かさが心地いい」。命の母カイロ(貼るタイプ)10個入り¥770(小林製薬お客様相談室 TEL:0120・5884・35)ライフスタイルブランド発のおしゃれ温活インナー「カシミアやコットンといったナチュラル系の素材を使用。血流を妨げるような締め付けなし。ボディスーツのクロッチ部分に、スナップボタン付き。右・Organic Cotton ベリーウォーマー ナイトショーツ¥3,520左・カシミヤMIX ボディスーツ for BALANCE¥13,200(エミリーウィーク/エミリーウィーク ニュウマン横浜 TEL:045・534・5381)まだまだある!編集部厳選アイテム1.腹巻きと温感素材を搭載し、ダブルであったか。ソフィ オーガニックコットンW 温活ショーツ¥3,278*編集部調べ(ユニ・チャームお客様相談室 TEL:0120・423・001)2.蓄熱素材のα‐オーラ(R)綿を使用し、一日中ポカポカ。Onde miu ビューティーショーツ¥5,800(シルキースタイル TEL:03・5401・3031)3.温熱治療ができる一枚。スーピマコットン 超立体×メディカーボン(R) ホクホク!サニタリーショーツ(一般医療機器)[製造販売届出番号:29B1X10001000002]¥5,390(ボディヒンツ/タカギ TEL:0744・22・6551)長田杏奈さんライター。女性誌やウェブで、美容やフェムケアについての記事を執筆。著書『美容は自尊心の筋トレ』(Pヴァイン)は固定観念に縛られない美のあり方を提示し、ロングヒット。※『anan』2021年12月22日号より。写真・中島慶子取材、文・保手濱奈美(by anan編集部)
2021年12月19日人生の先輩的女性をお招きし、お話を伺う「乙女談義」。美内すずえ先生といえばやはり『ガラスの仮面』。いまだ続く物語、その裏側には何があるのか。第3回は、そんな『ガラスの仮面』のお話、そしてアイデアの源についても伺いました!45年経ってもまだ物語が終わらない理由は…。1976年に連載を始めた『ガラスの仮面』ですが、実は最初は2年程度で終わるつもりでした。もともと私は描きたいことがいろいろ浮かんでしまうタイプで、『ガラス~』に関しては演劇の話なので、いわゆる“劇中劇”がたくさん出てくる。実は私、劇中劇は脚本から書き、舞台装置や美術、そして“いつライトが暗転して…”などの演出を考えてから、マンガの中に落とし込んでいるんです。そんなことをやってたら、とても2年じゃ終わらないですよね…(苦笑)。連載が始まって10年目あたりで、「これはやばいぞ」と、ペースの遅さにやっと気が付きました。この間も、「自分はもう70歳なので、そろそろ完結してください」というお便りをいただき、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。でも、結末も決めてますし、最後のシーンのセリフや絵は浮かんでいます。少しずつですが描き進めていますし、必ず単行本は出しますので、もう少し待っていてください!壁を越えた先に、物語が待っている。物語を考えるときに大切なのは、集中力。私はよく“壁を1枚越える”と言うんですが、頭の中にある雑念を取り払い、頭が空っぽになると、目の前の壁が消えて、その向こう側にずんっと入れる瞬間がくる。そうすると映像が見えてきて、主人公たちが勝手に動いたり、喋ったりしてくれるんです。あとはもう、自動書記のようにそれを描き写せばいいだけ。また突然脈絡もなく一枚の絵が浮かぶこともあります。例えば、“大勢が出演する劇なのにみんなが出られなくなり、一人で舞台に立つと決めた主人公の目の前で幕が開きそうになっている”絵が突然出てきたり…。「なにこの絵、面白そう!」と、その絵を描きたいがために前後の物語を考えることもあります。いいアイデアが浮かんだときの私は、アスリートの方の“ゾーンに入る”状態に近いかもしれません。ただ、そこにたどり着くのがなかなか大変。昔は10時間以上喫茶店で粘るなんてこともザラでした(笑)みうち・すずえマンガ家。1951年生まれ、大阪府出身。’67年デビュー。代表作に『妖鬼妃伝』『ガラスの仮面』など。公式サイト「オリーブの葉っぱ」内のキャラクターインタビューは必読。※『anan』2021年12月22日号より。写真・中島慶子(by anan編集部)
2021年12月18日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「ギグ・エコノミー」です。進む競争社会。権利や保障、教育機会なども必要に。「ギグ・エコノミー」とは、アメリカ発祥の言葉で、インターネットやスマホのアプリを通じて、単発で請け負う働き方を指します。ミュージシャンの単発ライブの“ギグ”という言葉がもとになっています。このスタイルで働く人は「ギグ・ワーカー」と呼ばれ、いわゆる「派遣社員」や「日雇い派遣」とほぼ同義です。ネットのマッチングサービスが発達するなかで、さまざまな職種でギグ・エコノミーは増えました。最もイメージしやすいのは、オンラインで注文を受け、飲食店の出前を行うウーバーイーツの配達員でしょう。日本では、得意なことを売り買いするマーケット「ココナラ」も有名です。Webデザインやイラスト、翻訳など、自分のスキルを生かし、仕事を請け負います。コロナ禍では、在宅・遠隔でもできる、空いている時間に働けるというので、こういう働き方が増えていきました。働く側は働く機会を得やすくなり、企業にとっては人を雇い続けるリスクを減らし、柔軟に働き手を調達できるようになりました。ただ、正社員との格差があったり、労働組合もなく、何かあったときに誰も守ってくれない弱い立場にあるという問題があります。たとえばウーバーイーツでは、配達途中の事故や料理が崩れたなどのトラブルは、配達員が責任を負っていました。ウーバーはあくまでプラットフォーマーですが、そうだとしても働き手の権利を保障することは重要と、国は3月に「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」を策定しました。ギグ・ワーカーが増えれば競争は激しくなり、単価は下がっていくでしょう。付加価値を付けられる人はのし上がれますが、そうでなければあっという間に転落する恐れがあります。副業としては有効ですが、生業となるとローンが組めない、家を借りられないなどの課題も出てきます。今後、フリーランスやギグ・ワーカーが広まるのであれば、職業訓練の制度を充実させ、スキルを磨く仕組みを作ったり、大学の教育も技能に特化したプログラムに変えていくことなどが必要になるのではないかと思います。ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2021年12月22日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2021年12月17日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「2021年のノーベル賞」です。受賞を通して世界の社会問題にぜひ目を向けて。12月10日にノーベル賞の授賞式が開催されます。今年のノーベル物理学賞は、アメリカ・プリンストン大学の真鍋淑郎さんら3名が受賞しました。真鍋さんは気候変動の研究をしており、二酸化炭素による地球温暖化の現象を50年以上前に予測していました。今回、真鍋さんのお名前を初めて知った人は多かったと思います。なぜなら、日本出身ですが、アメリカ国籍の方だからです。1967年に、世界で初めて大型のコンピューターを使い、二酸化炭素の濃度が2倍になると、地球の平均気温が2.36°C上がるという計算をしました。東京大学に在籍していましたが、日本では気象の研究をしていても働く場所がなく、「あなたの研究は未来につながる」とアメリカに招かれて渡米しました。会見では国籍をアメリカに変えた理由について、日本の同調を求める風潮が苦手だったと語っておられました。周囲から特異に思われようと、淡々と独自の研究を積み重ねることが結果につながります。今回の受賞は、日本国内の研究現場の課題を浮き彫りにしたと思います。平和賞は、フィリピンのマリア・レッサさんとロシアのドミトリー・ムラトフさんが受賞。ジャーナリストにノーベル平和賞が贈られるのは、86年前のドイツのカール・フォン・オシエツキーさん以来でした。フィリピンのドゥテルテ政権、ロシアのプーチン政権下で表現の自由のために闘うジャーナリストに賞を授与したということは、現役の国家首脳に対して圧力をかけたということですから、ノーベル委員会は思い切った判断をしたと思います。この数年間にも、たくさんのジャーナリストが殺害、勾留されました。パナマ文書報道に参加していた女性記者のダフネ・カルアナガリチアさんはマルタで爆死。サウジアラビアの反体制記者ジャマル・カショギさんはトルコのサウジアラビア総領事館で殺されました。6月には香港の『蘋果日報』が休刊に追い込まれ、事業者は国家安全維持法違反で逮捕されました。いま世界で再び、言論の弾圧が広がっているということを実感させられます。今年は、これまで以上に社会課題に目が向けられたノーベル賞だったと思います。堀 潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2021年12月15日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2021年12月11日とにかくぜひ、現物を見てもらえたら。そう強く勧めたくなるのが、ペーター・ヴァン・デン・エンデの『旅する小舟』。昨年〈NYタイムズ〉と〈WSジャーナル〉のベストブックに選ばれた文字のない絵本だ。一枚の紙で折られた小舟が大海原に放たれる。小舟が遭遇するのはとても奇妙な海の生き物や鳥たち、マングローブの薄暗い森、満天の星、オーロラ、氷山――。ペンだけで描かれた絵は全ページ舐めるようにして見たい驚異の緻密さ。日本での刊行のきっかけを作ったのは、本書に解説エッセイを寄せている翻訳家の岸本佐知子さん。「〈NYタイムズ〉の書評コーナーに、この絵本がオーロラのページと一緒に紹介されていたんです。これは、と惹かれて取り寄せたら、どのページも絵が本当にすごくて。絶対日本で紹介したいと思いました」エージェントに話を持ち掛け、芸術専門の出版社、求龍堂に出版を打診。紙の質や重さにこだわり、何度も印刷テストを繰り返して作られた日本版は、著者ご本人も気に入っているという。そんな著者は1985年、ベルギーのアントワープ生まれ。なんと、これがデビュー作だ。「インタビュー動画を見ると、ボーダーシャツを着た爽やかな青年なんです。生物学を学んだ後、カリブ海域のケイマン諸島で2年間ネイチャーガイドをしていたと聞いて納得しました。イマジネーションだけでなく実地の知識も合体したクリーチャーたちの造形が素晴らしい。どのページも見た瞬間から引きつけられますが、やはり一枚描くのにものすごく時間がかかると言っていました」絵を眺めるだけでも十分没入できるが、小舟とさまざまな生き物の出合いには物語性も感じられ、そこでも楽しませてくれる。「何も説明されない分、こちらの推理力が働くんですよね。よく見ると同じ生き物が別のページに出てくるなど、あれっ?と思う箇所がたくさんある。きっと私もまだ気づいていない細かな描写があるんじゃないかな。手元に置いて、何度も何度も読みたくなります」どのページも壮大な光景が広がるからこそ、シンプルな紙の舟の心許なさと、世界の大きさと不思議さの対比も浮かび上がる。「著者は、自分たち人間もこれくらいちっぽけで非力なんだと表現したかったそうです。小舟が隅っこに描かれているページもあり、この絵本は小舟だけでなく“世界”も主人公なんだと感じます」表情もなく、言葉ももたずに旅を続ける小舟に、いつの間にかすっかり感情移入してしまう。どうぞ、この旅の顛末を見届けてください。『旅する小舟』著 ペーター・ヴァン・デン・エンデ執筆 岸本佐知子紙の小舟の大海原の旅。推薦文を寄せるのは『アライバル』のショーン・タン。ティム・バートンやエドワード・ゴーリーが好きな人にもお薦め。求龍堂3080円きしもと・さちこ翻訳家、アンソロジスト。訳書にルシア・ベルリン『掃除婦のための手引き書』、ジョン・マーズデン&ショーン・タン『ウサギ』、レベッカ・グリーンの絵本『おばけと友だちになる方法』など。※『anan』2021年12月8日号より。写真・土佐麻理子(岸本さん)中島慶子(本)インタビュー、文・瀧井朝世(by anan編集部)
2021年12月07日人生の先輩的女性をお招きし、お話を伺う「乙女談義」。12月のゲストはマンガ家の美内すずえ先生です。そう、『ガラスの仮面』の作者ですよ~!!第1回は、「マンガを禁止されたからこそ、今の私がある」です。私がマンガ家になろうと心に決めたのは、10歳のとき。当時は今と違い、“マンガを読むのは悪い子”的な風潮があったんですが、うちの親は比較的寛容だったので、貸本屋を回っては借りたり立ち読みしたり(笑)、とにかくマンガを読みまくっていました。でも読みたいものが多すぎてお小遣いではまかないきれず、“ツケ”で読むようになってしまい、月末になると親に「おたくのお嬢さんのツケが溜まってるので、払ってください」と連絡がいくわけです。怒った母はお小遣いを止め、“マンガ禁止令”を出しました。でも私は、どうしてもマンガが読みたい。どうしたら読めるかを考えに考え、「じゃあ自分で描いて、それを読めばいい!」と(笑)。ノートが1冊あれば描けるし、別にお金もかからない。それがマンガを描き始めたきっかけですね。もし母親が「いいよいいよ、いくらでも読みなさい」という人だったら、私はマンガ家になっていなかったと思いますよ、きっと。絶対マンガ家になれると信じ、突き進んだ高校時代。描くことは楽しかったんですが、いかんせん隠れて描いているので、親の気配がすると、インクやらペンやらを隠さなきゃいけない。これがなかなか辛かった。もうその頃には“絶対マンガ家になる”と決めていたので、高校1年のとき母親に、「16歳の12月31日までにデビューできなかったらマンガ家の道は諦める。だからその日まで思い切り描かせてほしい」とお願いをしたんです。母親も納得してくれ、そこからはデビューを目指して投稿作をひたすら執筆。結果、高校2年生の秋に『別冊マーガレット』で金賞をいただき、デビューが決定。そのときはデビューよりも、正々堂々とマンガを描けることのほうが嬉しかったですね。当時は、女性は25歳までに結婚するのが当たり前で、仕事を持って生きていくほうが珍しかった。ただ私は、当時からあまり“女だからこう”みたいなことを考えていなかったんです。だからこそ、迷いなくマンガの道に入れたのかもしれません。みうち・すずえマンガ家。1951年生まれ、大阪府出身。’67 年デビュー。代表作に『妖鬼妃伝』『ガラスの仮面』など。公式サイト「オリーブの葉っぱ」内のキャラクターインタビューは必読。※『anan』2021年12月8日号より。写真・中島慶子(by anan編集部)
2021年12月05日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「親ガチャ」です。階層の固定化をどのように崩していくのか。「親ガチャ」とは、カプセル玩具やソーシャルゲームの“ガチャ”になぞらえて、親や生まれる境遇を選べない状況を表す言葉で、国会でも取り上げられました。かつては「一億総中流」といわれ、どの家庭に生まれても平準化された暮らしがありましたが、いまは大きく変わってしまいました。一般的に親の年収ごとに400万円以上ならN(ノーマル)。1000万円以上ならR(レア)。3000万円以上ならSR(スーパーレア)、400万円以下はB、C、D…と、ゲームのランキングのように、年収と職業を符号させることがネット上で流布されています。階層化をまざまざと認識させるような手法は、社会の分断を加速させてしまいます。一番の問題は、階層移動が不可能な格差が固定化されていることでしょう。これまでは、個人の努力によって、いかなる家庭に生まれようとも望む暮らしが手に入れられるチャンスがありました。ところが、いまは頑張ったところでどうにもならない状況に追い込まれています。この問題の解決には政治の力が求められます。少なくとも、「機会の均等」について対策をとるべきでしょう。日本は教育への投資がGDP比率で圧倒的に低い状況にあります。大学までは国が無償で面倒をみる、給食費は国や自治体が税金でまかなう、タブレットやパソコンなどのデジタル機器・通信環境は家庭によって差が出ないように補助していくなど、方法はいくつもあると思います。アメリカのシリコンバレーでは、難民や移民、貧困層の子供たちに民間の企業が寄付を呼びかけるなど、教育機会を与えて人材育成に力を注いでいます。日本では孫正義さんが率いる財団で、進学や留学、研究などを志す若者たちのサポートをしていますが、民間企業全体ではそういうサポートがまだ足りていません。自分たちの国を支える技能者を育てるという観点からも、必要なことなのではないかと思います。子供たちを国や社会で育成するという視点が重要なのではないでしょうか。読者のみなさんも、自分が親になったときに、子供の人生が自分の年収で決まってしまう社会でいいのか?考えていただけたらと思います。堀潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2021年12月8日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2021年12月04日WOWOWで2021年1月にスタートした中島健人(Sexy Zone)がMCを務める映画情報番組『中島健人の今、映画について知りたいコト。』。全12回の予定でスタートし、本日の放送で最終回を迎えるはずだった本番組の来年の継続が番組放送中にMCの中島健人から発表された。本番組は、ハリウッドをけん引する映画監督やクリエーター、さらに世界へ羽ばたく日本の映画監督へのインタビューや、映画制作現場の取材等を通じて、中島が知りたい“映画の今”について学ぶ月1のレギュラー情報番組。クリストファー・ノーラン監督やクロエ・ジャオ監督といったハリウッドで活躍する名監督へのインタビューをはじめ、照明やメイク、編集やVFX等、映画を制作する上で欠かせない今、中島が知りたい事を各分野のプロフェッショナルへのインタビュー、時には中島自身が実践しながら取り上げてきた。そんな各回で話題を呼んだ本番組の継続が、視聴者やSNSの声などの後押しもあり決定。さらに番組の2年目突入後、最初のゲストには第71回カンヌ国際映画祭で最高賞パルムドールを受賞した『万引き家族』を手掛け、かねてから中島が会いたいと熱望していた是枝裕和監督を迎えることになった。そして番組の継続を発表すると同時に中島が来年1月からリニューアルする番組冒頭の新オープニング映像を自ら編集し、制作することが決定。そのほか番組の2年目突入に際し様々な企画を実施予定なのでそちらもお楽しみに。来年1月7日の放送はもちろん、番組継続が発表された模様はぜひ、見逃し配信でチェックしてほしい。<中島健人・コメント>この番組の初回の収録がクリストファー・ノーラン監督というビックボスだったので、2回目以降はリラックスして臨めるかと思っていたのですが、全12回、全てビックボスと言える映画人の方々で毎回緊張していました。好きだった映画をさらに大好きになったので、来年は僕と同世代の若い方々、そしてティーンの方々にもさらに映画を好きになってもらうために、僕が皆さんとの映画の架け橋になれたらなと思います!来年1月の#13のゲストは僕が番組が始まって以降、お会いしたいと言っていた是枝裕和監督です。是枝監督との対談も、ぜひご覧いただければと思います。『中島健人の今、映画について知りたいコト。』毎月第1金曜 22:00よりWOWOWプライム、WOWOWオンデマンドにて放送・配信(#13は1月7日(金)22:00〜)
2021年12月03日人生の先輩的女性をお招きし、お話を伺う「乙女談義」。今月のゲストは女優の加賀まりこさん。加賀さんの自由に生きる姿に憧れる女子も多いはず。第4回ではそんな人生観を育むきっかけとなった、パリでのお話。20歳のときパリで学んだ、一つの価値観。10代で芸能界へ。たまたまたくさん声がかかり、20歳で思いもかけない金額が貯まっているのを見て、このままだとダメになる、自分を普通に戻すには全部使っちゃうしかないと思い、仕事を休んで半年パリへ行きました。当時の日本は、いわゆる高度経済成長期の真っ只中。みんなが“上へ上へ”という感じで、私はその空気感も好きじゃなかったから、そこから逃げたい気持ちもあったのかもね。向こうで知り合った男友達といろんな話をする中で印象的だったのは、「君は常に将来のビジョンの話をするけれど、それは下品。今日何を着て、誰と食事をし、誰と寝るか、それこそが人生で一番大事なことだ」と言われたこと。そういう考え方は知ってはいたけれど、そこまで実践して生きている人たちと会えたことは、当時の自分にとってとてもいい勉強になったと思う。見た目や地位、お金なんて私が男の人を選ぶ基準じゃない。人間は上昇志向より心意気。それ以外ないでしょ。人生は自分のもの、年齢制限はつまらない!今のパートナーを「この人だ!」と思ったのは、私が55歳のとき。でも30代からずっと知っていたんです。彼は20代でテレビ局の演出部にいて、「今日麻雀できるヤツいない?」と声がけしたらやってきて、しかもやけに強くて、「なにこいつ!」って思ったのが最初(笑)。その後も関係性はあったんだけど、実際に一緒になったとき、私は59歳。猛烈にアプローチをし続けた私に、「しょうがない、僕が君を引き受けるよ」と言ってくれて。あのときはグッときた、本当に。なかなか引き受けてくれる人、いなかったから(笑)。人間である以上、いくつになっても恋はあるわよ。年をとったら終わり?みっともない?そんなの関係ない。人生は誰のものでもない、自分のものだから。「もう年だから」って、ホントつまんないセリフよね。もちろん私も年齢を意識はするけれど、そんなの気にしてたら何もできない。年齢制限のある世の中なんて、それこそまっぴらごめんよね。かが・まりこ1943年12月11日生まれ、東京都出身。10代で女優デビューし、映画『月曜日のユカ』『泥の河』、ドラマ『花より男子』などに出演。自閉症の息子の母を演じた主演映画『梅切らぬバカ』が公開中。共演は塚地武雅など。※『anan』2021年12月1日号より。写真・中島慶子スタイリスト・飯田聡子ヘア&メイク・野村博史(by anan編集部)
2021年11月30日中島健人(Sexy Zone)がMCを務めるWOWOWの映画情報番組『中島健人の今、映画について知りたいコト。』の#12が12月3日(金)に放送される。本番組は、ハリウッドをけん引する映画監督やクリエーター、さらに世界へ羽ばたく日本の映画監督へのインタビューや、映画制作現場の取材等を通じて、中島が知りたい“映画の今”について学ぶ月1のレギュラー情報番組。第12回は「映像を映画に昇華させる~編集技師の秘めたる力~」と題し、中島が『映画 賭ケグルイ』シリーズや『東京リベンジャーズ』など話題作を次々と手がける編集技師・相良直一郎のもとを訪ね、俳優の演技やカメラワークを輝かせる編集技術について学ぶ。自身でも動画制作を行うほど編集をバリバリこなす中島が相良さんにインタビュー。更に、サプライズで自ら編集に挑戦。『ワイルド・スピード』シリーズや『ジョーカー』などヒット作の予告編を制作した映像制作のスペシャリスト・里謙二郎にも編集テクニックを学ぶことに。中島が編集した動画の内容の出来はいかに。動画は最後にある中島からの報告、そして番組の重大発表とも関わりのあるものとなっているので、ぜひ放送・配信でチェックしてほしい。また、#12の放送に先駆けて、WOWOW番組オフィシャルサイト( )にて、#11の放送に入らなかった収録の裏側を公開。撮影監督として、中島が人生で初めて挑戦した撮影の裏側、そして#12の予告、さらには番組での重大発表予告を含むプロモーション動画も公開中だ。<中島健人・コメント>僕が“編集オタク”というのがバレました。今回、対談させていただいた相良さんは僕が出演した「未成年だけどコドモじゃない」を編集してくださった方であり、当時の思い出話で盛り上がると同時に、1本の映画がどのようなこだわりを持って、最後に料理されていくのかを知りました。僕自身も、あるサプライズで編集させていただくことになりました。是非お楽しみに!『中島健人の今、映画について知りたいコト。』(毎月第1金曜、22:00より放送 / 全12回)#12「映像を映画に昇華させる~編集技師の秘めたる力~」12月3(金)、22:00よりWOWOWプライム・WOWOWオンデマンドにて放送・配信
2021年11月24日人生の先輩的女性をお招きし、お話を伺う「乙女談義」。今月のゲストは、数多くの映画やドラマに出演してきた加賀まりこさん。第3回は“母親役”に関するお話を伺います。最新作の映画の役はご自身にとても近いとか。最新作で演じるのは、自閉症の息子の母です。公開中の映画『梅切らぬバカ』では、自閉症の息子を持つ母を演じています。息子が50歳の誕生日を迎え、年老いた珠子はこの先二人はどうなるのかを悩み…というのがこの映画のお話。脚本と監督を担当しているのは、まだ38歳の和島香太郎さんです。その世代の人がこんな地味な作品を撮りたいと思うことに、びっくりしました。実は私、今のパートナーに自閉症の息子がいるので、私生活でも同じ経験をしています。この役のお話をいただいたときに、息子のそばに存在するという役ならできるかもしれない、と思ったのが、引き受けた大きな理由。珠子さんは、自分にとって遠い人じゃなかった。だから役作りは楽でした。まったく等身大、お化粧もしないで出演しましたからね。障害のある人を前にしたとき、手を差し伸べるまでいかなくてもいいから、微笑んでほしいと思う。そんなことを、この映画を観て、感じてもらえたら嬉しいです。“道明寺の母”の衣装の秘密とは…?いろんな母親役をやりましたが、ananの読者的に印象深いのは、やっぱり『花より男子』で演じた道明寺司の母親・道明寺楓でしょう。あの役、実は最初は断ったんです。役柄を聞いたら「鉄の女」だと言われて、そんなハートのない女の人を演るのはまっぴらごめんだわって。でもクランクイン直前にプロデューサーとディレクターが家までいらして、「いま加賀さんが抜けたら本当に困る」って土下座せんばかりの勢いでおっしゃるの。ズルいわよねぇ(笑)。受けるにあたって私は、「道明寺のお母さんは中途半端な人ではないから、身につけるものは全部本物にして」という条件を出した。だからあのとき身につけていた衣装や宝石は、すべて本物だったの。常に全身、億を超す衣装!だから私の周りには常にガードマンがいたのよ。60代であの役に出合えたことで、生き延びたな、と思います。今でも、DVD販売のギャラがたまに入るの、ありがたいわよね(笑)。かが・まりこ1943年12月11日生まれ、東京都出身。10代で女優デビューし、映画『月曜日のユカ』『泥の河』、ドラマ『花より男子』などに出演。自閉症の息子の母を演じた主演映画『梅切らぬバカ』が公開中。共演は塚地武雅など。※『anan』2021年11月24日号より。写真・中島慶子スタイリスト・飯田聡子ヘア&メイク・野村博史(by anan編集部)
2021年11月23日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「新しい資本主義」です。広がった格差を是正するために新たに目指すこと。“新しい資本主義”は、岸田総理が総裁選のころから掲げてきたテーマ。実はこれはグローバルスタンダードなんです。昨年の世界経済フォーラム(ダボス会議)でも、経済格差が広がりすぎたいまの資本主義を是正しないといけないと、厳しく語られました。これまでは、経済が発展し、それによって得た利益を皆で分ける「成長して分配」でした。大企業が儲かれば、その儲けは従業員の賃金として分配され、賃金が上がることで消費経済が活発になり、デフレから脱却できるはずでした。ところがこの「トリクルダウン」は起こらず、実質賃金は下がってしまいました。その一方で資本家たちは投資によって大きな利益を得て、世界の富の半分を30人未満の超富裕層が持つという極端な状況に陥っています。そのため、世界的に法人税率を揃えて国際標準を作ったり、タックスヘイブンに逃れて税金を納めないのは許さない、という取り組みが始まりました。日本でも安倍政権下では、株価が上がっているため、経済発展していると言われてきました。けれども、株価の上昇は資本家たちが資本を膨らますことを示しており、市民の暮らしが良くなることとは接合していなかった。その現実に、ようやく政策の現場が目を向け始めたんですね。先日、「新しい資本主義実現会議」が開かれました。そこで岸田総理は「成長と分配の好循環」の実現が重要と述べています。デジタルやクリーンエネルギー技術の促進、地方活性化、「稼ぐ力」の強化、「人」重視の経営…。経済成長政策を推し進めながらも、格差の固定化を避けるために、教育や子育て支援を積極的に行うなど、次の成長につなげられる分配を目指すことが、官民が集い議論されました。好循環が実現するのか、今後も注視が必要です。民間企業も変わり始めています。明電舎という老舗のインフラ企業は、再生可能エネルギーの投資や開発を進めることを発表。社員の働き方を改革し、人と環境に優しい企業体になり、グローバルに戦うことを打ち出しました。SDGsにのっとり、行き詰まった資本主義を打開し、持続可能な経済成長モデルを考えようとしています。堀 潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2021年11月24日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2021年11月20日小さい頃から知っている、ノーマークだった男子(ただしイケメン)から告白されたら……。河内遙さんの『ムサシノ輪舞曲(ロンド)』は、気まずいけれど悪い気はしない、いや、むしろ嬉しいかも!?といったムズムズやソワソワがたまらない作品だ。「自分よりも若い子の話だと、ある程度の失敗は許せるというか、こういう時期もあったよねと温かい目で見られるじゃないですか。逆に自分の年齢に近いほど、キャラクターの幼稚なところが気になってしまうもの。なのでそういった要素をなるべく排除しながら、恋愛ものとして成り立つ物語にしようと思いました」武蔵原環(むさしばら・たまき)は35歳。両親と死別し、実家のバレエ教室を引き継いで、子どもたちに教えている。さばさばした性格の彼女に、小さい頃から片想いをしてきたのが、隣に暮らす25歳の阿川龍平。10代のときに二度告白してあっさり振られているのだが、いまだ完全には諦められない様子。「ふたりは10歳離れていることよりも、姉弟同然であることが難しさになっていると思うんです。環は赤ちゃんだった頃の阿川を抱っこしているし、日常的に家を行き来できるくらい距離が近すぎて、恋愛的なことが始まらない。阿川は諦めるタイミングを逸しちゃった人で、環は環でしっかり考えてこないまま、ずれ込んでしまっているんですよね」そんななか、とある事情で仲違いをしていた環の弟・文太が戻ってくる。彼の同僚であるテーラーの衣笠が実家を訪れた際、偶然居合わせた阿川は、環が衣笠に心傾く瞬間をまんまと目撃。くすぶっていた恋心に、再び燃料が投下されてしまう。「私自身が想像しやすいからなんでしょうけど、阿川のようにちょっと陰気で執着心のある男の人を、いつも描いちゃうんですよね(笑)。とはいえ阿川に限らず、衣笠も文太も環も少しずつ種類は違うけれども何かに執着しています。だからどう動いても、どこかのガラスが割れてしまう。押しても引いても、誰かが傷つくことは目に見えているんです」大人の恋愛は、経験を積んでいるから手っ取り早い半面、今さら疲弊したくないからもどかしい。そのアンバランスさが滑稽だったりするのだが、分別がついてからの三角関係は、各々の意思に反して迷走モード。「いろんな都合や思惑が絡み合うなかで、それぞれ何を選択するのか。阿川には20代の若者として野暮なことをしたり、情けない感じで切り込んでほしいですね(笑)。それによって、今ある執着がどう変化するのか、見てもらえたら嬉しいです」『ムサシノ輪舞曲』1自然体で惚れっぽい環と、不毛な恋心を抱き続ける10歳下のお隣さん・阿川、女好きのするテーラー・衣笠による、煮ても焼いても“おいしい”三角関係。祥伝社770円©河内遙/祥伝社フィールコミックスかわち・はるかマンガ家。2001年デビュー。主な著作に『関根くんの恋』『夏雪ランデブー』など多数。『涙雨とセレナーデ』連載中(既刊8巻)。※『anan』2021年11月17日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・兵藤育子(by anan編集部)
2021年11月16日読めば先人の女性たちから元気をもらえる。そんな小説が柚木麻子さんの『らんたん』だ。主人公は柚木さんの母校である、恵泉女学園の創設者、河井道だ。「文芸部のコーチとして母校に出入りしていた頃、道先生が広岡浅子や村岡花子といった、朝ドラのヒロインのモデルになった人たちと写った写真を見つけて、なんだろうこの人脈、と思って。学校には白洲次郎の義父の樺山伯爵から贈られたのではないか?と噂されるワニの剥製や、篤姫の家紋の入った葛籠(つづら)があったりして、それも前から謎でした」執筆のもうひとつのきっかけは、老婦人が起死回生のために自宅をお化け屋敷に改造する『マジカルグランマ』を構想した時のこと。「学校のそばに道先生の右腕だった一色ゆりさんのご家族のお宅があって、そこが増改築を繰り返した面白い建物で。参考にと屋敷の図面を借りた時、それがゆりさんが道先生のために建てた建物だと知ったんです」河井道に興味を持ち調べてみると、知れば知るほど面白い人物だったことが判明。小説化する際には「堅苦しくないエンタメにしよう」と決めた。「男性の偉人伝に比べて、女性の偉人伝ってエンタメが少ないことがずっと気になっていたんです」1877年生まれの道。少女時代、メンター的存在となる新渡戸稲造との出会い、米国留学、帰国後の教師職(その時の教え子がゆりである)、学校設立の夢…。生涯が語られるなか、有島武郎や津田梅子、野口英世に徳冨蘆花ら、当時の有名人が続々登場して驚く。「たとえば有島武郎とは面白い関係で、有島は道先生に認めてもらいたがっているのに道先生は邪険に扱っている。そうした部分がおかしくて、膨らませていきました」また、社会変革に尽力した女性たちの姿がとても眩しい。「恋愛ばかり注目される柳原白蓮は後に平和活動をしていたし、大杉栄とのスキャンダルで有名な神近市子は実は頑張り屋だし、山川菊栄がキレッキレだったり。当時、彼女たちは衝突し合いながらも、女性の教育や参政権に向かって行動していった。全員が完璧というわけではなかったけれど、だからこそ誰一人欠けても駄目だったと思います。そういう彼女たちのことも知ってもらえたら」道もそんな一人。教育熱心だが堅苦しくはなく、楽しいことを次々に提案する人だったようだ。「さまざまな文化を吸収してみんなに教えるYouTuberみたいな人。恵泉って修養会だの合唱コンクールだの行事がやたら多かったり、ディスカッションの授業があったり、制服がなかったり、生徒が話し合って校則を決めたりしていて。道先生について調べるうちに、そうした学校の方針が全部腑に落ちました」52歳でようやく学校を設立した道だが、やがて日本は戦争に突入。その時の揺れる思いも描かれる。「道先生も時勢に逆らえなかったことをちゃんと書きたくて。田辺聖子さんの“今の判断で歴史上の人を裁くな”という趣旨の文章が支えになりました。村岡恵理さんが義理の祖母、村岡花子について書いた『アンのゆりかご』と、田辺聖子さんの評伝小説『ゆめはるか吉屋信子』のフェアな描き方も参考になりました」スピーディで賑やかな物語に夢中になりながらも、道が繰り返し唱えるシェアの精神や、暗い道を照らす光を継承していこうとする思いがしっかりと伝わってくる。この先、読み継がれていくであろう名作だ。『らんたん』女子学校教育の黎明期に、自身の理想を追求した河井道。彼女を支えるゆりとのシスターフッドや、著名人たちとの交流、時代の変化を盛り込みながら、波乱に満ちた生涯を描くエンパワーメント大河小説。小学館1980円ゆずき・あさこ2008年にオール讀物新人賞を受賞、’10年に『終点のあの子』でデビュー。’15年『ナイルパーチの女子会』で山本周五郎賞受賞。近著に『BUTTER』など。撮影・齊藤晴香※『anan』2021年11月17日号より。写真・中島慶子(本)インタビュー、文・瀧井朝世(by anan編集部)
2021年11月14日人生の先輩的女性をお招きし、お話を伺う「乙女談義」。今月のゲストは、加賀まりこさん。父親の友人の写真家に言われた顔に関するひとことが、未来を決めることに…?第2回は「『おもしろい顔してるね』に、ムカッ!!」。高校生のときだったかな、父親と一緒に銀ぶら(編集部注:銀座をぶらぶらと散歩すること)していたときに、父の知り合いの写真家・秋山庄太郎さんに偶然遭遇。私の顔を見た秋山さんが言ったのが、「おもしろい顔をした娘だねぇ」。私すごく傷ついたのよ。だって褒め言葉とは思えないじゃない。なのに秋山さんは「君、よかったら僕のスタジオに遊びに来ない?」なんて言うから、ムカついて「ちゃんとお金いただけるんですか?」なんて生意気を言ったんです。当時の私は、飯倉の『キャンティ』というイタリアンレストランに通っていて、足代やコーヒー代が必要。で、ふと秋山さんのことを思い出し、スタジオに行って被写体になったんです。でも私、カメラの前で全然笑えず、「君、ずっと怒った顔してるんだけど」って苦笑いされて。で、3000円もらって帰りました。そのときに撮った写真は、相当後に、私の著書の表紙に。人生何がどうなるかわからないものですよ。困っていると言われたら、助けたい。私が女優になった直接のきっかけは、劇作家の寺山修司さんと映画監督の篠田正浩さんにスカウトされたこと。うちの近所に、作家さんたちが缶詰めになるような旅館があって、彼らがそこから私の通学姿を見ていたらしく、それで声をかけてくださった。当時彼らはいろんな女優さんから出演を断られ、もう素人から選ぶしかないという状況だったらしく、「本当に困ってるんだ」と。そう言われて、「まぁ、私で役に立つなら…」という気持ちで被写体になったのが、一番最初です。その、「私で役に立つなら…」という気持ちは、女優を60年やってきた今でも変わりません。みなさんが褒めてくださる映画『泥の河』に出たときも、ドラマ『花より男子』に出たときも、もうすぐ公開される映画『梅切らぬバカ』への出演も、根っこはそれ。我が我が、という気持ちではなく、お助け精神なのよね。結果的にそれが功を奏して、60年続けてこられたんだと思います。かが・まりこ1943年12月11日生まれ、東京都出身。10代で女優デビューし、映画『月曜日のユカ』『泥の河』、ドラマ『花より男子』などに出演。自閉症の息子の母を演じた主演映画『梅切らぬバカ』が11月12日より公開。※『anan』2021年11月17日号より。写真・中島慶子スタイリスト・飯田聡子ヘア&メイク・野村博史(by anan編集部)
2021年11月13日アイドルグループ・Sexy Zoneの中島健人が10日、都内で行われた「Netflix Festival Japan 2021」に出席した。Netflix映画『桜のような僕の恋人』(2022年3月24日全世界独占配信)で主演を務める中島は、共演の松本穂香、深川栄洋監督とともに登壇。桜の花びらが舞うような演出の中でステージに登場すると、床に落ちた“花びら”を手にし、「皆さん、桜きれいです」とほほ笑んだ。2017年に発売され、泣ける恋愛小説として話題となり、さらにTikTokで人気に火が着き発行部数60万部を突破した宇山佳佑氏作の同名小説を映画化。かねてより原作ファンを公言していた中島が主人公・朝倉晴人、松本が有明美咲を演じる。中島は書店を巡っている中で原作に出会ったという。「小説の中で素敵な恋愛ができないかなと思って書店を巡っていたんですけど、最も目を引いた表紙が『桜のような僕の恋人』だった。いざ読んでみたら感動して本がびしょびしょになるくらい泣いてしまった本で、こんな素敵な本に巡り合えたのは人生で初めてだなと思いました」と振り返り、オファーを受けたときの衝撃を「びっくりしました。僕に桜咲くんだと思いました」と表現した。さらに、「もともと原作の大ファンだったのでこの作品の実写映画に出演させていただくことがとても幸せです。一瞬一瞬の時間を改めて大切だと思える映画になっています。そして、今、目の前にいる人、これから出会うかもしれない人、すべての方々をもっと愛そうと、そういう風な気持ちになると思います。ぜひこの作品で桜のような素敵な時間をお過ごしいただきたいです」と魅力を伝えた。本作は、美容師の美咲(松本)に恋をした晴人(中島)が、目標に向かって頑張る美咲にふさわしい人間になるべく、諦めかけていたカメラマンへの夢を再び追いかけるが、美咲が「人の何十倍も早く老いていく」という難病を発症するというストーリー。好きな人と同じ速度で歳月を重ねることができないという現実を前に晴人と美咲が出した“二人の歩み方”とは……。
2021年11月10日人生の先輩的女性をお招きし、お話を伺う「乙女談義」。今月のゲストは女優の草笛光子さん。20~30代女子には、ドラマ『その女、ジルバ』での草笛さんが印象的だったのでは?第4回はそんな名作の、ちょっとした裏話。歳を重ねたら、セクシーさよりかわいさ。今年のはじめに放送されたドラマ『その女、ジルバ』。お話をいただいて出演を決めたのは、若いホステスがおじさんに科(しな)を作るような話ではなく、40歳以上の女のバーの物語だったから。年齢を重ねていくと、絶対にみんな、“人生を生きてきた垢”がついてくるのよね。そういうものが感じられるバーって、なんだかおもしろいじゃない。女優としても、普通の夜のお店とは違う何かが表現できるのではと思い、お引き受けしました。あのドラマで、ホステスさんがバーで踊るシーンがあったでしょ?振り付けの方から「どうしたらいいでしょうか」と相談があったので、私は「色っぽくせず、かわいく!」とリクエストをしました。歳を重ねた女はセクシーさより、かわいらしさのほうが絶対に合う。それでできたのが、あの肩を上げ下げする振り付け。あれは見事だった。ダンスシーンを毎回見たいと言ってくださる方もいて、みんなとても気に入ってくださったみたいね。くじらママの心には、いつもナイフを忍ばせて。あのドラマは撮影も楽しく、共演者もスタッフの方々も素晴らしく、本当にいい現場でした。ただ、新型コロナのために演出も撮影も大変で、しかも打ち上げもできなかった!私は今でも、「打ち上げ、いつかしら?」って思ってますよ(笑)。私が演じたくじらママは、あのお店にいる女の子たちを守るのが一番の役割。“何かあったら、これを出すわよ…”と、心の中にナイフを持っているキャラクター。なので私も、何かあったら、私が目の色を変えて出ていく。ずっとそんな気持ちでやっていました。それがあったからかどうかはわかりませんが、どうもあのバーは居心地よく見えたみたいで、いろんな人から「飲みに行きたいんだけど」と言われましたね。くじらママのように、女の味方になれる人は、素敵だと思います。私を慕ってくれる年下の女優さんたちにとって、私もそんな存在であれたら…、と願っています。くさぶえ・みつこ女優。1933年生まれ、神奈川県出身。松竹歌劇団を経て女優デビュー。以来映画、ドラマ、舞台、ミュージカルなど幅広く活躍。10/30より映画『老後の資金がありません!』が公開。衝撃の傑作コメディです!アクセサリー協力・ABISTE(TEL:03・3401・7124)その他はスタイリスト私物※『anan』2021年11月3日号より。写真・中島慶子スタイリスト・市原みちよヘア&メイク・中田マリ子(ヘアーベル)(by anan編集部)
2021年10月29日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「菅内閣ふり返り」です。10月4日に菅内閣が総辞職しました。昨年9月に発足し、約1年という短い任期でした。菅内閣の一番の功績はデジタル庁を立ち上げたことでしょう。日本のデジタル化の遅れは、コロナやオリパラ対応でも明らかでした。各省庁によってITの仕組みもバラバラだったものが、一元化し管理できるようになったのは大きな前進でした。ほかには、少子化対策として不妊治療の保険適用範囲を拡大し、孤独・孤立対策にも力を入れました。環境問題では、2030年までに温室効果ガスを2013年に比べて46%削減することを目標に掲げました。地球全体の気温上昇を1.5°C以内に抑えるには60%台の削減が望ましいという声も上がりましたが、経済界の不安を払拭し、46%という高い望みを掲げたのは功績と言っていいのではないでしょうか。そのほか、携帯電話料金の値下げを実現させたことに喜ぶ声は多くありました。コロナ対策には不満がある一方、この難局は誰が総理でも同じような結果になったのではないかと思います。安全保障でいえば、安倍政権下では歴史認識や領土問題において、中国や韓国との軋轢が負のテーマとして根深くありました。その点、菅内閣はイデオロギー色の薄い政権だったため、対外的に大きな摩擦がなかったというのは大きな成果だったのかもしれません。トランプ政権からバイデン政権に代わっても、アメリカから不利益なことを要求されることはありませんでした。ただ、総理自身の言葉で語られることがほとんどなく、何を考えているのかわからない政権ということになってしまったことは非常に残念でした。それにより、国民の政府不信も募っていきました。安倍政権は新自由主義で、アメリカ寄りの外交を進めて、歴史認識は戦前回帰な傾向にありました。もしも今後、中国やロシア、北朝鮮、アメリカなどとの外交において、国際協調の橋渡し的な役割を日本がうまく担えるようになったなら、安倍政権からゆるやかにシフトチェンジした政権として、菅内閣はのちに大きく評価されるようになるのかもしれません。新内閣の今後の展開を注視しましょう。堀 潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。※『anan』2021年11月3日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2021年10月29日WOWOWで2021年1月にスタートした中島健人(Sexy Zone)がMCを務める映画情報番組『中島健人の今、映画について知りたいコト。』。11月5日(金)放送の#11では画作りで映画に魔法をかける、撮影監督の技に迫る。その放送に先駆けて、WOWOW番組オフィシャルサイトにて、#10の放送に入らなかった黒澤明を支えたレジェンドが語る“黒澤伝説”を一挙公開することが決定した。本番組は、ハリウッドをけん引する映画監督やクリエーター、さらに世界へ羽ばたく日本の映画監督へのインタビューや、映画制作現場の取材等を通じて、中島が知りたい“映画の今”について学ぶ月1のレギュラー情報番組。第11回は「画作りで観客の心を動かす~撮影監督が生み出す映像世界~」と題し、撮影監督について学ぶべく、『マスカレード・ナイト』にて撮影監督を務める江原祥二にインタビュー。そして『Dinner ダイナー』や『いのちの停車場』の撮影監督を務める相馬大輔のもとで、中島が人生初の撮影監督に挑戦する。カメラを手に初のチャレンジに身が入る中島の姿は必見。果たして中島が撮る作品はいかに。この模様をぜひ放送・配信でチェックしてほしい。なお、#11の予告を含むプロモーション動画も公開中。中島よりコメントも到着した。<中島健人・コメント>中島健人、撮影監督デビューしました!!という風に大げさなことを言いましたが、純粋に楽しい回でした。元々、動画編集をかなりやっていたので、本格的な画作りにチャレンジができてとても嬉しかったです。江原さんは『マスカレード・ナイト』の撮影監督なのですが、僕が気になっていた画作りにおけるある“特徴”を今回教えていただけました。大先輩である木村さんの次は是非、僕を撮っていただきたいです!相馬さんは役者の表情を切り取るのが本当に凄く、一瞬で観客を映画の世界に誘うスペシャリストです。そんな相馬さんのもとで撮影監督を体験させていただき、唯一お褒めの言葉をいただいた事があるのでそこにも是非ご注目下さい!「中島健人の今、映画について知りたいコト。』放送日: #11 画作りで観客の心を動かす~撮影監督が生み出す映像世界~11月5日(金)22:00よりWOWOWプライムにて放送
2021年10月26日新興宗教が根を下ろしたニュータウン。そこで起きた愚行と悲劇とは。澤村伊智さんによる、小説『邪教の子』をご紹介します。「この作品では最初から細かめのプロットを用意したんですね。前半は構想通りでしたが、後半に入って『もう一声』みたいな編集者さんからの要望がたくさん来て(笑)。それで後半はがらりと変えたんです」澤村伊智さんの『邪教の子』は、パキッとした二部構成になっている。前半は知恵と勇気で囚われの姫を救い出す子どもたちの冒険譚。ニュータウンに越してきたばかりの茜が新興宗教〈コスモフィールド〉にすがる親から虐待されていると思った慧斗は、同級生の祐仁らと共に、茜を救い出そうと試みる。だが後半、物語はがらりと様相を変えるのだ。テレビディレクター矢口が、〈邪教「大地の民」〉の元信者と出会って取材する糸口をつかみ、団体に接近。思いがけない事実が次々と明るみになっていく。「新興宗教を脱会した人の本など読むたび、子どもが犠牲になっていると感じ、そういう部分は避けられないと思ったんですね。また、カルトのような特異な組織は外からどう見えるのか。これは話題になったドキュメンタリー『ハイパーハードボイルドグルメリポート』のディレクターさんの著書にかなり触発されました。カルトなコミューンや疑似家族は現代における普遍的なテーマでもある。大好きな『マグノリア』や『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』のポール・トーマス・アンダーソン監督もこういうテーマばかり取り上げています」実は、連載時とはエンディングも変えたそう。「葛藤はあったんです。でも変えた以上、この結末が面白いと言ってくれる読者さんがいるとうれしい」〈邪教の子〉。その言葉が示す本当の意味が最後にガツンとくる。「僕も子ども時代にニュータウンで育ったので、当時の感覚を思い出しながら書きました。自分のリアルタイムの情報というか、子ども時代や学生時代の体験や記憶を物語に放り込むことに、それなりの意味が出てきたなという気がするんです。さまざまな出来事がまったく社会と無関係に起こったことではないのだなとわかってきたので。エンタメとしてのベタを狙いつつ、それを安易に流用したくはないという自分の中のめんどうくさいせめぎ合いと闘いながら、今後も書いていきたいですね」『邪教の子』前半は慧斗が過去を振り返る形で、後半は、彼自身が新興宗教に家族を壊された子だというテレビディレクター・矢口の視点で描かれる。文藝春秋1870円さわむら・いち作家。1979年生まれ、大阪府出身。2015年、『ぼぎわんが、来る』で日本ホラー小説大賞〈大賞〉を受賞し、デビュー。同作はのちに映画化され話題に。比嘉姉妹シリーズなど著書多数。写真提供・文藝春秋※『anan』2021年10月27日号より。写真・中島慶子(本)インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2021年10月25日人生の先輩的女性をお招きし、お話を伺う「乙女談義」。今月のゲストは女優の草笛光子さん。生きる上で大切にしていることはどんなこと?第3回は、今は亡きお母様との合言葉を教えていただきました。洋服には、その人間の人生が出ます。18年に、『草笛光子のクローゼット』という、スタイルブックを出版させていただきました。そのおかげか、おしゃれなイメージを持たれることが増えましたが、私は全然おしゃれじゃないし、洋服好きでもない。ただ、役柄のために衣装を考えるのは楽しいわね。もうすぐ公開される映画で演じたのは、“かつてあった老舗和菓子屋の奥さん”。たぶんずっと着物を着ていて、その経験があって今は洋服を着ている人ね、とピンときた。その感覚をもとに、衣装を探しました。それからヘアスタイル。イメージは“洋服にも合う日本髪風スタイル”。そうやって細かいところを詰めていくと、より役柄にリアリティが出る。今年放送された『その女、ジルバ』でも、“バーで働く80歳の女”が持つにぎわいを意識して、自分のドレスも含めて衣装選びをしました。洋服には、人生が出るんです。今回も、私の私服や帽子がいくつか活躍しています。そんなところも見ていただけたら!「こんちくしょう!」できれいに生きる。長いこと私のマネージャーをしてくれた母は、いろんなアドバイスをくれました。芸能に関してはまったくの素人の母の言葉だからこそ、とても私に響いたものが多々。その中でも今も私が大事にしているのが、「きれいに生きましょう」という言葉。「光子ちゃん、きれいに生きましょうね」とよく私に言っていました。それは、ズカズカと出ていき誰かの役を奪うとか、裏で何かをして便宜を図ってもらうとか、そういう汚いことをせず、きちんと生きましょう、という意味です。心の奥底を覗けば、人を押しのけたい気持ちや、陥れたりしそうになる闇がある。でもそんなことをして生きるなら、今いる場所から降りたほうがいいと、私は思っています。もちろんきれいに生きようとして、バカを見たこともたくさんあります。そんなときは思い切り泣いて、「こんちくしょう!」って立ち上がる。それで再び、きれいに生きる。今でもその言葉は、私と母の合言葉です。くさぶえ・みつこ女優。1933年生まれ、神奈川県出身。松竹歌劇団を経て女優デビュー。以来映画、ドラマ、舞台、ミュージカルなど幅広く活躍。10/30より映画『老後の資金がありません!』が公開。衝撃の傑作コメディです!アクセサリー協力・ABISTE(TEL:03・3401・7124)その他はスタイリスト私物※『anan』2021年10月27日号より。写真・中島慶子スタイリスト・市原みちよヘア&メイク・中田マリ子(ヘアーベル)(by anan編集部)
2021年10月23日看護師になって10年が経つ堤素野子が勤務しているのは〈二子玉川グレース病院〉の東療養病棟。後期高齢者が多く、終末期を活き活きと過ごせるよう尽くしている。南杏子さん著書の『ヴァイタル・サイン』は、素野子を軸に、看護師たちの過酷な日常業務の様子を描いた医療小説だ。看護師が背負う、日常業務の過酷さ。実は、誰もに通じる苦悩と希望の物語。著者の南さんは作家業のかたわら、終末期医療に携わる現役の医師でもある。これまでは女性医師の目線で、医療現場の問題や人間関係の難しさ、患者やその家族との軋轢、女性としての生きづらさなどを描いてきたが、本書は初の看護師視点になっている。「医師と看護師で立場は違えど、悩んでいることはオーバーラップする部分が多々あるんです。作中で起きる出来事は、自分の体験や見聞きしたことから作ったフィクションですが、感情という点ではウソのない物語にしたかったんですね」作中にも出てくる〈ヒエラルキーのミルフィーユ〉や〈感情労働〉という言葉は、素野子が日々晒されているストレスの元凶。「看護師たちは、患者さんにとっていちばん身近で頼れる存在である分、自分の心身をすり減らしてまでも細かな要求にも誠心誠意応えています。それでも、いつもニコニコと“白衣の天使”でいるのが当然のように扱われるというか、そうしたイメージを押しつけられすぎていると感じています」クレーマーのような患者家族、ちょっと自己中心的な後輩看護師、難題を押しつけてくる医師などに振り回され、疲弊していく素野子。あるとき、看護師の本音を綴ったらしいSNSを見つけて、そのどす黒い気持ちにも動揺する。「素野子もそうですが、仕事熱心で責任感が強い人ほど追い詰められてしまうところがありますよね。私はすべての働く人たちに、自分を追い詰めすぎないで、と言いたいです。つらそうな人を見て『なんとかしてあげたい』と思う気持ちを自分に対しても向けてほしいのです」素野子も次第に気づく。自分を慰撫し、ハッピーでいることの大切さを。そういう意味で、描かれているのはとても普遍的な物語だ。「私は問題提起しただけ。作品を読んだ人が『こう考えることもできる』と新しい視点を見つけて、苦しい思いをしている誰かを救うきっかけになれたら…と思うんです」『ヴァイタル・サイン』南さんは、出版社勤務を経て33歳の時に医学部に学士入学し、医療の道に入った異色の経歴を持つ。現場を知るゆえのリアリティは圧巻。小学館1760円みなみ・きょうこ1961年、徳島県生まれ。作家、医師。2016年『サイレント・ブレス』でデビュー。『ディア・ペイシェント』はNHKでドラマ化、『いのちの停車場』は映画化もされた。撮影:永井守※『anan』2021年10月20日号より。写真・中島慶子(本)インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2021年10月17日アイドルグループ・Hey! Say! JUMPの中島裕翔が、15日より全国で放送されるニップン「オーマイプレミアム」の新CM「中島シェフ ナポリタン」編、「中島シェフ ラインアップ」編に出演する。街で人気の洋食屋のシェフを演じる中島が、厨房でフライパンを振り、腕によりをかけた渾身のひと皿を、いち早くお客さまのもとへ届けようとカウンターから差し出す。するとカウンターと直結した家庭の電子レンジの扉が開き、突然の中島シェフ登場に女性は驚く。しかしパスタを差し出されると、美味しそうに堪能。やさしい笑顔を浮かべた中島シェフは、また厨房へと戻っていくというストーリーだ。撮影で厨房にやってきた中島は、充満するナポリタンの香りに「わー! いいにおい!」と早速テンションが上がる。手慣れた様子でフライパンを振り、出来上がったナポリタンを盛り付けるシーンを何度か撮影しているうち「今(フライパンの)煽りうまくいったー!」とうれしそうに声を上げる場面も。「普段人前で料理することがないので、うまくできるか不安でしたが、フライパンの“煽り”がすごくうまくいったのでホッとしています」と安堵し、「僕が今まで人生の中で見てきた料理シーンを全部頭の中で集めて再現してみました」と解説した。CMの見どころは「コックスーツでナポリタンを炒めているところ。男らしく、本格的に炒めている姿に注目してほしいのと、人生で初めて“電子レンジの中から飛び出す”というシーンがあるので、そのギャップを楽しんでいただけたらなと思います」とアピール。また「オーマイプレミアム」にちなみ、プレミアムな体験を聞くと「芸能界にいることで、数え切れないくらいプレミアムな体験をさせていただいていますが、その中でも僕の大好きなスター・ウォーズの『スカイウォーカーの夜明け』という映画を、ロサンゼルスのドルビー・シアターでのワールドプレミアに招待していただいて、そこで初めて映画を見たというのがすごくプレミアムな体験だったなって思います」と振り返った。
2021年10月15日中島美嘉の新曲「SYMPHONIA」のMusic Videoが公開された。本日10月12日より先行配信がスタートした同曲は、スマホアプリゲーム『takt op. 運命は真紅き旋律の街を』の主題歌、そして毎週火曜24時から放送中のTVアニメ『takt op.Destiny』のエンディングテーマに起用されており、戦う事を運命づけられた少女たちの儚くも美しい『takt op.』の物語とシンクロした楽曲となっている。公開されたMVは、楽曲「SYMPHONIA」について“言葉を大切にする事”を意識しながら歌ったと本人が話すように、マイクの前で表情豊かに歌う姿から歌詞に込められた想いを伝える強さを感じると共に、妖艶なビジュアルが印象的な映像になっている。なお、本MVは10月27日にリリースされる中島美嘉の両A面シングル『SYMPHONIA/知りたいこと、知りたくないこと』初回盤付属のDVDに収録されることが決定している。「SYMPHONIA」は、本日放送の『takt op.Destiny』第2話よりEDテーマとしてオンエアされる。中島美嘉「SYMPHONIA」MV■先行配信「SYMPHONIA」配信リンク「知りたいこと、知りたくないこと」配信リンク<リリース情報>両A面シングル『SYMPHONIA / 知りたいこと、知りたくないこと』10月27日(水) リリース●初回盤【DVD+CD】1,800円『SYMPHONIA/知りたいこと、知りたくないこと』初回盤ジャケット●通常盤【CD Only】1,300円『SYMPHONIA/知りたいこと、知りたくないこと』通常盤ジャケット【CD】1. SYMPHONIA2. 知りたくないこと、知りたくないこと3. SYMPHONIA -instrumental-4. 知りたいこと、知りたくないこと -instrumental-【DVD】※初回盤のみ1. SYMPHONIA MUSIC VIDEO2. 知りたいこと、知りたくないこと MUSIC VIDEO3. アニメEDノンクレジット映像CD予約リンク:【応募抽選特典】シングル購入者対象の中から抽選でプレミアムイベントご招待ほか【店舗特典】・応援店特典:シングルオリジナルステッカー※対象店舗は追ってのご案内となります。・全国アニメイト(通販含む):takt op.Destinyオリジナルブロマイド・Amazon.co.jp(ECサイト):メガジャケ※商品名に、【Amazon.co.jp限定特典】の記載があるページからの購入のみが対象となりますので、お気をつけ下さい。<アプリ情報>『takt op. 運命は真紅き旋律の街を』『takt op. 運命は真紅き旋律の街を』メインビジュアル2021年配信(予定)配信形式:スマートフォン向けアプリ利用料金:アイテム課金制対応OS:iOS/Android(※一部非対応の端末があります。)公式サイト:アプリゲーム『takt op. 運命は真紅き旋律の街を』PV<アニメ情報>TVアニメ『takt op.Destiny』『takt op.Destiny』メインビジュアル放送日時:毎週火曜深夜0時よりAmazon Prime Videoにて10月5日より毎週火曜深夜1時から最速配信中原作:DeNA / 広井王子監督:伊藤祐毅オープニング主題歌:ryo (supercell) feat. まふまふ, gaku「タクト」エンディング主題歌:中島美嘉「SYMPHONIA」『takt op.Destiny』公式サイト公式Twitter<ライブ情報>『MIKA NAKASHIMA LIVE at BLUE NOTE TOKYO』【日程】2021年11月7日(日) BLUE NOTE TOKYO開場14:30 / 17:30 開演15:30 /18:302021年11月8日(月) BLUE NOTE TOKYO開場14:30 / 17:30 開演15:30 /18:30【チケット料金】全席指定:25,000円(税込 / ワンプレート・ワンドリンク付)※未就学児童入場不可※18歳未満の方(未就学児童を除く)のご来店については、“1stショウ/保護者同伴 / ボックスシートセンター、 ボックスシートペア、サイドボックス”でのみ、ご入場頂けます。※店舗での新型コロナウイルス感染症に対する取り組みもご確認下さい。詳細はこちら:中島美嘉オフィシャルwebファンクラブ「Lotus」『Off Course Classics Concert 2021』10月24日(日) 愛知県芸術劇場コンサートホール17:00 開場 / 18:00 開演関連リンク中島美嘉 オフィシャルサイト中島美嘉 Instagram中島美嘉 スタッフtwitter
2021年10月12日くすくす笑っているうちに、きゅーんと切なくなる。綿矢りささんの『オーラの発表会』は愛おしい成長小説だ。主人公は、大学進学を機に、両親から一人暮らしをするよう言い渡された海松子(みるこ)。マイペースで社交下手な海松子に、はじめて訪れた友情と恋の行方。「両親は彼女の世間知らずさに前々から気づいていて、このまま社会人になったら苦労しそうだと心配しているんですよね」というのも海松子はとことんマイペースで、人の気持ちを推し量るのが苦手な子。一人でいても充足しているが、人間嫌いなわけじゃない。でも友達を作るために“訓練”していることが、なんとも的外れで…。ここが爆笑モノ。「他の人と違う視点で物事を考えているところを強調しました。自分も、子どもみたいな興味を持ち続けていたいけれど、人に変に思われそうだとか、恥ずかしいという理由で意識して失くしていったものがあります。それを主人公に詰め込みました」大学の友達は、他人の外見を完コピする「まね師」の萌音(もね)だけ。「距離の詰め方がオリジナルな二人にしたかった。萌音は海松子と正反対で、人の目しか意識しないタイプ。彼女みたいな人は友達を装った敵・フレネミーと思われがちですが、海松子には警戒心がない。萌音も、あまりにもできないことが多い海松子が見捨てられなくなる。二人みたいに、言いたいことを言い合っても続く関係っていいなって思いました」彼女たちの関係がなんともいい味わい。さらに、海松子にアプローチしてくる男性が2人登場。幼馴染みの奏樹(そうじゅ)と、社会人の諏訪(すわ)だ。「人は恋愛を通じて分かることも多いし、彼女がどんなふうに男の人に接するか興味がありました。でも海松子は恋愛の初動のときめきが薄いので、自分の気持ちに気づくまでに時間がかかるんですよね。書きながら、私も恋の行方がどうなるか分かっていませんでした」やがて海松子は、なぜかオーラが鳴らせるようになって…というところから、物語は新たな展開へ。「一人でいることも、誰か他の人といることも楽しいけれど、どちらかに偏ると苦しくなる。どちらがいいとも一概に言えないなと、今回の小説を書いて思いました」海松子が得る気づきに、大きくうなずきたくなる一冊です。綿矢りさ『オーラの発表会』自宅から通える大学に進学したのに、両親から一人暮らしするよう宣告された海松子。新生活の中でマイペースだった彼女に訪れる変化とは。集英社1540円わたや・りさ2001年、『インストール』で文藝賞を受賞しデビュー。‘04年『蹴りたい背中』で芥川賞、‘12年『かわいそうだね?』で大江健三郎賞、‘20年『生のみ生のままで』で島清恋愛文学賞を受賞。撮影・フルフォード海※『anan』2021年10月13日号より。写真・中島慶子(本)インタビュー、文・瀧井朝世(by anan編集部)
2021年10月11日