人生の先輩的女性をお招きし、お話を伺う「乙女談義」。今月のゲストは女優の梶芽衣子さん。第1回は「いつの間にやら女優のレールに乗せられて?!」。デビューから5年は、とにかく過酷でした…。私がこの世界に入ったのは、高校生のときに銀座でスカウトされたのがきっかけ。もともと生まれが神田なので、遊び場が銀座。明治屋さんで舶来のチョコレートやお菓子を見たり、千疋屋さんでパフェを食べたりするのが大好きでした。とはいえお小遣いは少なかったので、そんなことができるのはごくごくたまに。そんなとき、「モデルをやりませんか?」とお声がかかり、「もっとパフェが食べられるなら!」と、アルバイト気分で始めたのが最初です。とはいえ、女優になるとかそんなことは一切考えておらず、あくまでもアルバイト。でも、突然モデルクラブが解散、知らぬ間に所属が別の事務所に変わり、さらにいつの間にか映画会社の日活に私のプロフィールが渡っていて、ある日いきなり「映画に出ていただきます」と言われたんです。正直、訳が分かりませんよ(笑)。ただどこかで、「面白そうではあるわね…」と思ったのは事実。そこから私の女優人生が始まりました。最初に主演したのは青春恋愛映画のヒロイン役でした。でも私は、演技なんてやったこともない、習ったこともないただの17歳。その17歳を相手に、監督、スタッフ、先輩の俳優の誰もが厳しく、ものすごく怖かった。もちろん後々、新人への優しさだったと理解はできましたが、当時は毎日やめたいと思ってました。愚痴を言いたくても撮影所に友達もいない、かといって家族にも言えないし…。できることといえば毎日お風呂で「バカー!やめてやる!撮影所が明日消えてなくなればいい!!」と叫ぶしかない。しかも全然泣けなかったんです。泣けるってまだ余裕がある状況で、本当にしんどくてキツくなると涙も出ない。ここがすごく切ないわよね。そんなこんなで5年間映画に出て、23歳でバシッと日活を退社。でも女優をやめようとは思わなかったの。日活だけで終わりたくなかったし、ここでやめたら女が廃るって思って。やっぱり意地があったんでしょうね(笑)。かじ・めいこ1947年3月24日生まれ、東京都出身。2/11より公開の西川美和監督作品、映画『すばらしき世界』に出演。ドラマ『きのう何食べた?』の筧史朗の母親役でも知られる。※『anan』2020年2月10日号より。写真・中島慶子(by anan編集部)
2021年02月08日人間の内側から発せられ、他者と共鳴していく詩は、世の中に生まれたときから、官能とは切っても切り離せないものだったはず。古今東西の詩における官能とその味わい方を、近代詩伝道師のPippoさんに指南していただきました。古今東西の詩で味わう、官能。詩が本来持っている特有の性質には、官能と密接に結びつくものがある。「もともと詩は直情的に表現するというより、比喩などを用いて思いを述べていくもの。ですから、うちに秘めた感情を歌いやすい文芸表現のひとつだと思います」(Pippoさん)ストレートな表現ではないぶん、想像を巡らせる余白が読み手に与えられていることが、最大の特徴といえる。「想像力だけでなく、知識や感受性などを駆使して、読み手が掴み取っていくものともいえます。それだけいろんな読み解き方があるので、5人の読み手がいたら、おそらく5通りの感じ方が存在することになり、それが詩の豊かさにつながっていく。真剣に向き合うと、これほど面白いテキストはないですよ」退廃的な美に耽溺する。既成のルールや常識にとらわれず、欲望に忠実に、いつ死んでも後悔しない人生を送ること。誰もが羨みながらも恐れる生き様を体現した人が、たどり着いた境地とは。「恋に生きた貴族詩人バイロン。破壊的な衝動をうちに秘め、生きることを楽しんだ村山槐多。非常にいびつで、不思議な魅力のある詩人たちの背景を知ると、より深みが増してきます」Poem1夜は、恋するためにつくられそしてたちまち昼はかえってくるがしかし、われらは、さまようのをやめよう月光にいざなわれてさまようのを。「いまは、さまようのをやめよう」より恋多き男が放蕩の果てに漏らした哀愁。19世紀前半に活躍したイギリスのスター詩人バイロンは、当代きってのモテ男。女性関係のもつれでイギリスを去り、ベネチアに渡って読んだのがこちらの詩。「女性たちと情欲の日々にふけり、さまよい続けた人間の内側から、ふと漏れ出たような実感に満ちた詩です。『夜は、恋するためにつくられ』というロマンティックな表現のなかに、恋に身をやつし続け、孤独のなかに死んでいった男の哀しみと官能が感じられます」『バイロン詩集』阿部知二訳520円(新潮文庫)Poem2死と私は遊ぶ樣になつた靑ざめつ息はづませつ伏しまろびつつ死と日もすがら遊びくるふ美しい天の下に私のおもちやは肺臟だ私が大事にして居ると死がそれをとり上げたなかなかかへしてくれないやつとかへしてくれたがすつかりさけてぽたぽたと血が滴たる憎らしい意地惡な死の仕業それでもまだ死と私はあそぶ私のおもちやを彼はまたとらうとする憎らしいが仲よしの死が「死の遊び」より自らの死とさえ戯れた早世の詩人の遊び心。22年間の短い人生を駆け抜け、数多くの作品を遺した村山槐多。「画家でもある彼は、ほとばしるようなガランス(茜色)をふんだんに使った絵で知られています」亡くなる直前に紡いだ言葉からも、特異な生き様が見えてくる。「死を忌むべきもの、怖いものとは捉えず、まるで友人のようにえがいている。エネルギーの塊のような人間に死期が迫ってきたときの心のあり方、命を燃やし尽くそうとする様が鮮烈です」『槐多の歌へる 村山槐多詩文集』村山槐多酒井忠康編1600円(講談社文芸文庫)Pippoさんピッポ近代詩伝道師、朗読家、著述家。2009年より「ポエトリーカフェ」を月例にて開催。著書にエッセイ『心に太陽を くちびるに詩を』、インタビュー集『一篇の詩に出会った話』。※『anan』2021年2月10日号より。写真・中島慶子文・兵藤育子(by anan編集部)
2021年02月06日音楽と動く隊列で作られる“8分間の総合芸術”――それがマーチングだ。高校生の姫川美月は、母から強いられる勉強だけの毎日に倦み、思いあまって秋田の叔母の家へ。そこで偶然目にした光景に魅せられ、入部。美月がトランペットやマーチングに、部の仲間たちと共に情熱を注いでいくさまが描かれる『みかづきマーチ』は、胸を震わせる青春マンガだ。マーチングバンドに青春を懸ける高校生たちのまぶしく切ない日々。その著者が山田はまちさん。実は山田さんもマーチング経験者だ。「私とマーチングとの出合いも高校でした。美月のように、入部して1か月で大会に出たんです。楽譜以外にも覚えることがたくさんあって大変でしたが、みんなとひとつのものを作り上げるのはなんて気持ちがいいんだろうと。その分、達成感もすごいんです。マーチングバンドの強豪校に取材したり、ドキュメンタリーも参考にしていますが、基本的には自分自身や仲間が感じていたリアルな感情を軸に、熱い思いを伝えていきたいと思っています」士気の高い部員たちゆえ、和気あいあいとしているだけではない。3巻では、野球部応援や県大会などのハレの場で、誰がトランペットのソロパートを演奏するかのオーディションが行われ、それぞれが葛藤と向き合うことに。「3年生にとって最後の年なのだからという年功序列も、いちばん上手い人に任せるという実力主義も、どちらも正しいから悩ましいですよね。ただ部活も仕事も、勝ち続けられるものではないので、うまくいかないときにみなどうやって乗り越えていくのかも描きたいですね」デビュー前からマーチングのマンガが描きたかったという山田さん。「競技の面白さを描きたいけれど、どうしたら表現できるのか、キャラクターも含めなかなかうまくいかなくて。考える時間だけで2年くらいはあったので(笑)、美月たちに何が起きるか、吹奏楽のどんなイベントがあるかなどを一通り年表にして、それを参考に、展開を決めています」マーチングは一種の団体競技だという山田さん。「楽器も多いし、フラッグ(旗)を扱うカラーガードというパートもある。いろんな人のドラマがあるわけで、いわゆるモブみたいな人たちにも少しでもスポットが当たるような群像劇にしていきたい。読んだ人が元気になれる作品にしたいです」『みかづきマーチ』3生まれて初めて熱中するものを見つけた美月。1月28日発売の3巻では、トランペットのソロパートをオーディションで選ぶことになり部内がざわめく。双葉社620円©山田はまち/双葉社やまだ・はまち秋田県出身。会社員を経て、上京。独学でマンガ制作を始める。アシスタントの傍ら描き続け、2017 年に読み切り作品でデビュー。※『anan』2021年2月3日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2021年02月02日出会った女性がネタの源という横澤夏子さんが、街で見つけたいい女を実演。今回は、人の健康にまで気を配れる女性、「アルコール消毒液をくれる女」になりきり。消毒をしてもらうと励まされた気持ちに…!今回は、このご時世ならではのいい女です。コロナの感染予防対策が当たり前になりましたが、自分だけでなく、人の対策にまで気を配れる人って素敵だなと思ったんです。お店に入る前や何かを食べる時に、「いる?」と手指の消毒用アルコールを分け与えてくれたり、スプレータイプで一緒にシュッシュとしてくれたり。「消毒しなきゃだめだよ」と強く伝えるとやりすぎ感もあるけれど、そうではなく、軽い感じで言ってくれるところもちょうどいいなと思うんです。なかには、カバンに除菌アイテムを下げている人もいて、消毒をしてくれると「お大事にね」と励まされたような、魔除けをしてもらったような気持ちになれることも。そういう人は、テレビ番組のADさんにも多く、出演する身としては、“ちゃんと対策をしてくれているんだな”と、安心して収録に取り組めるのでありがたいです。あと、最近嬉しかったのは、「これ、肌が荒れにくいやつだよ」と気を使ってくれたことでした。ほかにも、香りのいいものを選んでいたりと、新しい除菌アイテムを手に入れて活用している人もいて、そこにアンテナを張っている意識の高さに感心してしまいます!そんなタイプの方は、消毒液だけじゃなく、除菌ガジェットを駆使していそうですよね。どういうアイテムを使うのがいいかということを知るために、まずは最新除菌アイテムの口コミを調べてみるのはどうでしょうか。「あそこにお参りに行ったら彼氏ができたらしいよ」という神社の口コミみたいに、いい情報を得られるはずです。あとは消毒液だけじゃなく、マスクを余分に持ち歩いていると、忘れて困っている人に渡すことができます。みんなで協力し合う気持ちで、対策をしていきたいですよね!よこさわ・なつこ芸人。“ちょっとイラッとくる女”のモノマネで大ブレイク。婚活で培ったテクニックをまとめた著書『追い込み婚のすべて』(光文社)が発売中。昨年2月に第一子を出産。※『anan』2021年2月3日号より。写真・中島慶子イラスト・別府麻衣文・重信 綾(by anan編集部)
2021年01月30日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「自由で開かれたインド太平洋」です。中国に配慮し、姿勢に変化の兆し。説明を求む!「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」とは、2016年のアフリカ開発会議で当時の安倍総理が提唱した構想です。法の支配のもと、航行の自由、自由貿易の普及・定着。質の高いインフラ整備を通じて、連結をもって経済的繁栄を追求する。海上法執行能力の向上支援、防災などを含む、平和と安定のための取り組み。これらを構想の実現に向けた三本柱にしています。そもそもこの構想が生まれた背景には中国の台頭がありました。中国は2013年に国家戦略として「一帯一路」構想を掲げました。陸路と海路の両方で、ヨーロッパやアフリカまで貿易圏を広げようとする中国にとって、太平洋はアジア・アフリカに抜けていくための大事な航路。しかし、そこには沖縄(日本)、台湾、韓国があります。そこで日本に対しては尖閣諸島問題でプレッシャーをかけ、南シナ海には人工島を作り、中国の領土であると主張。これに対して、安倍前総理はオーストラリアやアメリカなどの国々と、「自由で開かれた海にしましょう」「特定の国が強力な武力で圧力をかけるようなことは許しません」ということを暗に示したんです。2017年にはトランプ政権が発足し、アメリカもこれに賛同。米中の対立が高まるなか、FOIPは存在感を増していきました。ところが昨年11月、菅総理は公式の場で「平和で繁栄したインド太平洋」という表現を用いました。「自由で開かれた」が、「平和で繁栄した」に変わっていた。これは中国に配慮した発言ではないかと物議を醸しました。中国はカンボジア、スリランカ、パキスタン、ミャンマーでも港の開発を進めています。一見、民間企業の開発に見えますが、中国軍が利用する可能性もある。昨年9月、アメリカ政府は、カンボジア南部で開発を進めた中国企業に対して、人権侵害を犯していると経済制裁を行いました。日本は中国の強権に対して、欧米諸国のように強い抗議を示していません。日本にとって中国は大事な市場ですが、もしも中国との間で何らかの約束を交わし、スタンスを変えなければいけなくなったのなら、政府はきちんと説明をする必要があると思います。堀 潤ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。映画『わたしは分断を許さない』が、2/5までポレポレ東中野でアンコール上映中。※『anan』2021年2月3日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2021年01月30日現代人に著しく欠けていて、しかも不足していることに気づきにくい栄養素といわれているビタミンD、マグネシウム、亜鉛。ところが、ウイルスが蔓延する冬、最強の味方となるのもこの3つ。それぞれの働きを知り、自分を守るために早めの強化策を!3大栄養素の摂取が、免疫力アップのカギに。気温が低く、空気が乾燥する冬は、一年で最も免疫力が低下する季節。だからこそ、いつも以上に栄養バランスのとれた食事を心がけたいけれど、なかなか難しいもの。「ビタミンD、マグネシウム、亜鉛、この3つの栄養素は、特に意識的に摂ってほしい」とは、満尾クリニック院長の満尾正先生。「現代人に圧倒的に足りていない栄養素のトップ3で、これらの欠乏はあらゆる病気を招く要因になります。でも、現代の医学では即座に病気に繋がるものではないと考えられ、健康診断でも数値を調べないため、不足していることに気づきにくいのが現状です。しかし、今何かしらの心身の不調を感じている人は、この3つの栄養素不足が関係している可能性があります」さらに、Withコロナ時代を生き抜くのにも、この3つの栄養素が肝になるそう。「その理由は、これらが免疫力を高めるために重要だからです。新型コロナウイルスやインフルエンザなど感染症の発症・悪化の予防に効果的であると、世界的に注目を集めています」今こそ免疫力を高めて、病気に負けないカラダ作りを!POINT1:どうして、この3つが大事なの?「体内で多くの役割を担い、免疫機能の維持とも深く関係しているからです。ビタミンDは炎症を抑制し、あらゆる病気を予防。マグネシウムは細胞のエネルギー源である“ATP”(アデノシン三リン酸)を作り出す補酵素として不可欠。亜鉛は免疫力を司るリンパ球の一種を増やす働きがあり、どれも積極的に摂りたい栄養素です」POINT2:足りていないのは、なぜ?「現代の食生活からは十分な量を摂取するのが難しいのがこの3つなのです。ファストフードや加工食品、精製された穀物にはほとんど含まれませんし、あまり魚を食べないこともその要因。またビタミンDは、紫外線を浴びることで作られるため、日焼けを気にする女性や巣ごもり生活が続いている人は、圧倒的に足りていません」POINT3:どうしたら補える?食事のほかに方法は?「食事が基本なので、各栄養素を多く含む食べ物を把握して、毎日の食事に取り入れましょう。食べ物を選ぶ際は、成分表示が可食部100gあたりの含有量であることが多いので、実際は1食分でどれだけ補給できるかどうかも考慮して。ただ、食事だけでは必要量を摂れていないのが現状なので、サプリメントを利用してください」POINT4:不足しないように、冬だからより注意することは?「ビタミンDは紫外線を浴びることで作られますが、冬は日照時間が短く、血液中のビタミンD濃度は12~2月あたりが一年のうちで最も低くなります。なので欠乏状態に陥りやすく、感染症のリスクを高めてしまうので注意が必要です。マグネシウムと亜鉛は、加齢とともに吸収率が低下するので、季節問わず気をつけたいですね」満尾 正先生アンチエイジング専門病院「満尾クリニック」院長。米国先端医療学会理事。『世界最新の医療データが示す最強の食事術』(小学館)、『医者が教える「最高の栄養」』(KADOKAWA)など、著書多数。※『anan』2020年2月3日号より。写真・中島慶子イラスト・サヲリブラウン取材、文・鈴木恵美(by anan編集部)
2021年01月30日「Sexy Zone」中島健人がMCを務める映画情報番組「中島健人の今、映画について知りたいコト。」の第2回放送に先駆けて、特別映像が公式サイトにて公開された。ハリウッドを牽引する映画監督やクリエーター、世界へ羽ばたく日本の映画監督へのインタビューや、映画製作現場の取材などを通じて、中島さんが知りたい“映画の今”について学ぶ本番組。第2回では、ハリウッドを代表する映画監督クリストファー・ノーランに独占インタビューする。日本でも話題となった最新作『TENET テネット』から、過去作品の裏側に迫り、さらに実写での撮影やIMAXへのこだわりといった、映画に対する情熱が語られる。また、『TENET テネット』IMAX(R)のオープニング興行収入が、公開初日4日間で全世界のIMAX(R)シアターにおいて第1位の成績を収めた、グランドシネマサンシャインにも取材で訪れる。今回公開された映像では、中島さんが「こんな感情、ひさびさ!」と話すほど緊張感にあふれたインタビューの裏側を収録している。「中島健人の今、映画について知りたいコト。」#2「独占!巨匠クリストファー・ノーランが語る“映画の力“」は2月5日(金)22時~WOWOWプライム&WOWOWオンデマンドにて放送・配信。※毎月第1金曜日22時(全12回)(cinemacafe.net)
2021年01月29日WOWOWで1月16日にスタートした、中島健人(Sexy Zone)がMCを務める映画情報番組『中島健人の今、映画について知りたいコト。』の第2回「独占!巨匠クリストファー・ノーランが語る“映画の力”」が2月5日(金)に放送される。本番組は、ハリウッドをけん引する映画監督やクリエーター、さらに世界へ羽ばたく日本の映画監督へのインタビューや、映画制作現場の取材等を通じて、中島が知りたい“映画の今”について学ぶ月1のレギュラー情報番組。第2回となる2月5日(金)の放送では、中島がハリウッドを代表する映画監督クリストファー・ノーランに独占インタビューを行い、最新作『TENET テネット』から過去作品の裏側に迫る。さらに、実写での撮影やIMAXへのこだわりなどノーラン監督が映画に対する情熱を熱く語ってくれる。さらに、『TENET テネット』IMAX(R)のオープニング興行収入が公開初日4日間で全世界のIMAX(R)シアターにおいて世界第1位の成績を収めた、グランドシネマサンシャインにも取材で訪れる予定だ。放送に先駆けて、インタビューや取材の裏側をWOWOW番組オフィシャルサイトにて特別に公開中。映像では、中島が「こんな感情、ひさびさ!」とこぼすほど緊張感にあふれたインタビューの裏側の模様をお届けする。番組をより楽しむために、チェックしてみよう。【番組情報】中島健人の今、映画について知りたいコト。(全12回)毎月第1金曜 22:00よりWOWOWプライム / WOWOWオンデマンドにて放送・配信#2 「独占!巨匠クリストファー・ノーランが語る“映画の力”」放送日: 2月5日(金) 22:00MC: 中島健人(Sexy Zone)オフィシャルサイト:
2021年01月29日出会った女性がネタの源という横澤夏子さんが、街で見つけたいい女を実演。今回は、市場を知りつくし買い物を楽しむ女性「築地での買い方を知っている女」になりきり。まずは、近所の魚屋さんと話すところから始めよう!私が出演している『王様のブランチ』もそうですが、テレビ番組などで観光地を紹介するコーナーがありますよね。その中で市場が紹介された時に、“旅先で生の魚を買ってどうするんだろう”ということをいつも考えていました。生ものを持ったまま移動するのは大変だろうし、自宅に送るとしても、自分でどう食材を活用すればいいのか、さっぱりわからなかったんです。以前友だちから「築地で何か適当に買うけど欲しいものある?」と聞かれたことがあります。私は何が適当なのか、そもそもなんと答えれば正解なのかもわからずにいたら、彼女はえんがわやマグロのサクを買ってきました。それをお刺し身にしたり、ネギトロにする姿を見て驚くと同時に、こんなふうに市場の活用術を知っている人って素敵だなと思いました。魚のほかにも大量の唐揚げを買ってきて、それも市場に詳しい人ならでは。きっと、築地にあるお店の位置をちゃんと把握しているのだろうし、店員さんともいろいろ話をしているはず。変化していく出世魚の名前、値段の高騰のことまでもきちんと知っていたりと、食材にまつわる知識も豊富なこと間違いなし。そういう人には憧れずにはいられないですよね。いきなり市場に行くことはハードルが高いと感じる人もいると思うので、まずは、家の近くの商店街にある魚屋さんに行ってみるのはどうでしょうか。店員さんに魚のことを聞くことができるし、加工されていない姿を見ることもできます。慣れてきたら、旅先で市場を訪れて、その土地の魚について学ぶのもいいですよね。加工されたものではなく、食材そのものを自分で調理して楽しめる人は、本物を知っている感じがするし、人生が豊かになりそう。すごくカッコいいと思います!よこさわ・なつこ芸人。“ちょっとイラッとくる女”のモノマネで大ブレイク。婚活で培ったテクニックをまとめた著書『追い込み婚のすべて』(光文社)が発売中。昨年2月に第一子を出産。※『anan』2020年1月27日号より。写真・中島慶子イラスト・別府麻衣文・重信 綾(by anan編集部)
2021年01月25日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「カマラ・ハリス米副大統領」です。初の有色人種、女性副大統領の誕生。今後の活躍に期待。1月20日より、アメリカでは新大統領、ジョー・バイデン政権がスタート。副大統領に就任したのはカマラ・ハリスさんです。昨年11月の大統領選で、バイデンさんの勝利宣言にて「私が最初の女性の副大統領になるかもしれませんが、最後ではありません」とスピーチし、多くの女性たちを勇気づけました。副大統領の最大の職務は、任期中に大統領が死亡や辞任、免職した場合に昇格し、すべての大統領権限を担うこと。つまり、次期大統領になる可能性もあり、アメリカでは副大統領候補同士の討論会がテレビ放送されるほど、大事なポストなんです。ハリスさんは黒人女性としては史上2人目の、南アジア系のアメリカ人としては初の上院議員。アフリカ系、南アジア系のアメリカ人としても、女性としても初めての副大統領になりました。父はジャマイカ人で経済学の研究者、母はインド人でガンの研究者です。二人は大学在学中に公民権運動に関する卒業研究を通じて知り合ったそうです。ハリスさんは小さいころから、妹とともに人種差別の抗議デモに参加しており、筋金入りのダイバーシティ論者なんですね。7歳のときに両親は離婚しますが、母は黒人女性であることに誇りを持つよう徹底的に伝えました。カリフォルニア大学卒業後は検事として活躍。サンフランシスコの地方検事を2期務めました。任期中、有罪判決率が52%から67%に上がるという功績を残しています。主に性犯罪を中心に取り組んだそうです。前回の大統領選で、ヒラリー・クリントンさんは“ガラスの天井”を破ることができませんでした。ヒラリーさんは白人で裕福なので、批判も受けやすかった。でも、ハリスさんは移民二世です。勝利宣言のスピーチでも19歳でインドからアメリカに渡った母のこと、また、これまであらゆる人種の公平と自由と正義のために戦い、犠牲を捧げてきた女性たちについて語りました。アメリカの分断を修復できるかどうかは、多様性の象徴のようなハリスさんが活躍できるかどうかにかかっています。自由主義を支えるのは多様性なのだということが証明できれば、アメリカの再生も見込めることでしょう。堀潤ジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。監督2作目となる映画『わたしは分断を許さない』が昨年公開された。※『anan』2020年1月27日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2021年01月21日タイトルの風太郎とは、忍者ものなどで一世を風靡した戦後の娯楽小説家・山田風太郎のこと。本作は医学生だった山田青年が兵隊として召集されず、東京で細々と暮らしていた日々を綴った『戦中派不戦日記』のコミカライズだ。手がけているのは、これまで主に女性誌で作品を発表してきた勝田文さん。その意外性がまずもって興味深い。年表には記されないあの時代を生きた人々の姿。「基本的に楽しくてバカバカしいものを描きたいっていう思いがずっとあったので、コミカライズのお話をいただいたときは自分でも意外でした。だけど今まで描いたことのないジャンルなので、面白くできる可能性はあるかなと思ったんです」日記が始まるのは、日本の敗戦が決まる“運命の年”が明ける昭和20年1月1日。B29が連日来襲し、食料も日に日に手に入りにくくなる、不安と困窮を極めた暮らしではあるものの、原作を読んだ勝田さんは「時代の雰囲気そのものは、わりと今と変わらないのかも」と感じたそう。「上の人たちがやっていることを庶民はよくわかっていない感じが似ていると思いました。本当のところはどうなの?みたいな空気とかも」山田青年は田舎から出てきたインテリ青年なのだが、本気で医者を目指しているわけでもなく、かといって戦地に行くことも叶わない宙ぶらりんな状態。国の未来を憂えてはいるけれど、どこか達観もしている。「私は彼ほど屁理屈をこねませんけど卑屈なところは似ているので、その辺は描きやすいかもしれません。しょうもないダジャレもよく言っていて、ユーモアがあるんですよね」戦時中の物語は、どうしても悲惨さや理不尽さに焦点が当てられがちだが、それだけではないのが本作の異色なところ。ドブ川並みに汚れた銭湯で湯当たりした老人を助けたり、苦手な試験の日に空襲が来て無試験合格になって大喜びしたり、授業で女体の模型を見て興奮したり。年表に刻まれた史実の隙間で、名もなき人々がどんなふうに暮らしていたのかが見えてくる。そんな日々を経て、2巻のクライマックスとして描かれるのが、8月15日だ。「物語全体の山場だと思い、ここに向かって描いてきたところもあったので、今ちょっと燃え尽きちゃってるんです。だけど戦争が終わっても世界は続いていくので、このあとを描くほうがむしろ大事だと思って気を取り直しているところです」風太郎は、そしてあの時代を生きた人々は、いかにして終戦を迎えるのか。圧巻の2巻のラストを、ぜひそれぞれの目で確かめてほしい。原作・山田風太郎『風太郎不戦日記』2昭和20年5月、東京を焼け出され、山形の知人宅、故郷の兵庫、学校の疎開先である信州飯田に身を寄せる山田青年。やがて運命の8月がやってくる、第2巻。講談社680円かつた・ぶんマンガ家。1998年『YOUNG YOU』でデビュー。主な作品に『あのこにもらった音楽』『小僧の寿し』『マリーマリーマリー』など。※『anan』2021年1月20日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・兵藤育子(by anan編集部)
2021年01月16日出会った女性がネタの源という横澤夏子さんが、街で見つけたいい女を実演。今回は、一歩引くという美学を持つ女性、「覚えているのに伝えない女」になりきり。覚えているという嬉しさを抑えることも、時には大事。とても残念なことなのですが、私が結婚式をあげた場所であるアニヴェルセル 豊洲が今度、閉館することになりました。先日、それを受けて行われたイベントに行ってきました。私と旦那が歩いたバージンロードで娘をはいはいさせたり、とても楽しかったんです。スタッフの方がかけてくださる「おかえりなさいませ」という言葉もすごく嬉しいものでした。そんな中、見覚えのあるスタッフさんがいたので、「お会いしたことありますよね?」と聞いたら、「お打ち合わせの時にマンゴージュースをお出ししていました」と言われたんです。たしかに、私たち夫婦は行くたびにマンゴージュースを何杯もおかわりしていて、それを運んでくださった方でした。それだけでなく、寒い時期にはココアを飲んでいたことも覚えていてくれたんです。私たち自身も忘れていたのに…!覚えていてくれたことが嬉しいと思ったのと同時に、こちらから話しかけるまではその話をせず、ずっと見守っていてくれたことに感動しました。今回の他にもイベントはあったけど、その時にも言わなかったようです。距離感の取り方が上手だし、恩着せがましくなくていい。「覚えていますよ」と言うと、覚えていた自分を自慢するような空気が出ちゃうこともありますよね。でも、その人は嫌な感じがまったくなく、見事だなと思いました。マンゴージュースやココアというエピソード選びもほっこりしていいですよね。まずは、一歩引くという美学について考え、意識をすることで、いい距離感を掴めるようになるのではないでしょうか。たとえ、覚えていることを言いたいと思っても、その気持ちをグッと抑えて待ってみる。それが気遣いにつながることも多いと思います!よこさわ・なつこ芸人。“ちょっとイラッとくる女”のモノマネで大ブレイク。婚活で培ったテクニックをまとめた著書『追い込み婚のすべて』(光文社)が発売中。昨年2月に第一子を出産。※『anan』2021年1月20日号より。写真・中島慶子イラスト・別府麻衣文・重信 綾(by anan編集部)
2021年01月16日多くの女性たちの悩みを受け止め、的確なアドバイスを繰り出してきたジェーン・スーさん。あるとき、動物の生態や特徴などについて書かれたものを読んでいたら、「こういう女の子、いるな」「あれ?私とも重なる部分がある…」などいろいろ見えてきたのだそう。女性たちを動物になぞらえるエッセイを書き、その連載の延長で始めたお悩み相談を合わせてできあがったのが、この『女のお悩み動物園』だ。自分に似た動物を見つけて納得!モヤモヤを振り払ってくれる名回答。「オオカミやサルにはボスがいて、上意下達の命令系統がはっきりしています。一方、『イルカにはボスはいないがリーダーはいる』というのをどこかで聞いて、そっちが私たちの理想とする働き方だなと思った。そんなこともヒントになりました」行動や心理パターンから、〈悪あがきするアヒルさん〉〈攻撃的なヤマアラシさん〉など16の動物に、女性を分類。そうした女性だからこそ陥りがちな悩みを、スーさんが分析。ポジティブな解決策も探ってくれる。「自分も若いころは、アヒル的なところがあったなと反省しているんです。それは自信のなさの裏返しでしたし、いまは『人には人のペースがあるのだから、自分でやってしまった方が早い』と何でも背負ってしまうトラかな。おかげで四苦八苦しています(笑)。よかれと思って変わっていったところの先に、また違う悩みも生まれるし、新しい武器を手に入れたからこそ、足りないところにも気づく。ただ、誰もがそんなことの繰り返しだと思うので、卑下しすぎず、悲観しすぎず、自分の目指すところへ少しずつ近づいていけばいいんじゃないかなと思うんです」バサッと斬ってくださいと頼まれるのは好きじゃない、とスーさん。「スカッとするのははたで見ている人だけで、斬られる相談者ではない。万人に刺さる答えや、間違いのない安全パイの答えをひねり出すより、あくまで相談者さんと向き合って、大人の知恵で助けてあげられたらなと思っていました」シスターフッド(女性同士の連帯)の潮流を、本書からも感じる。「だからこそ、過去の常識や『これがふつう』という言葉で、相談者さんや読者に自分の価値観を押しつけないようにしました。どこからでも読めるし、心が軽くなったと言われると嬉しいですね」作詞家、コラムニスト、ラジオパーソナリティ。1973年、東京都生まれ。『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』で講談社エッセイ賞を受賞。TBSラジオ『ジェーン・スー 生活は踊る』放送中。『女のお悩み動物園』見習いたい理想の動物あり、我々の同胞的な愛すべきダメ動物ありで、どれも首肯してしまう。20代から40代の働く女性が抱く悩みを網羅。小学館1500円※『anan』2021年1月20日号より。写真・土佐麻理子(スーさん)中島慶子(本)インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2021年01月15日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「ブレインテック」です。脳波とITの融合。病気治療にも役立つ技術開発。昨年11月に野口聡一さんを乗せた民間の宇宙船を打ち上げたスペースX社。CEOはイーロン・マスク。彼の事業でいま最も注目されているのが、2016年に設立したニューラリンク社です。ここでは、人間の脳とコンピューターを繋ぐ技術「ブレイン・マシン・インターフェイス」を研究開発しています。脳とコンピューターが直接接続されて、人体の機能が拡張されていく未来がもう始まっているんですね。脳神経とITを融合させる新しいサービスや研究開発のことは、「ブレイン(脳)」と「テクノロジー」を合わせて「ブレインテック」と呼ばれています。昨年8月末にニューラリンク社は、脳に脳波を読み取るデバイスを埋め込んだ豚の様子をリアルタイムでモニタリングしました。今後、思ったことがそのまま目の前で起こるようなこと、たとえば「スイッチをつけたい」と思うと、すぐに部屋の照明がつく、みたいなことが可能になるかもしれません。元ケンブリッジ大学の研究者たちが作ったBIOS(バイオ)社では、脳から発せられる情報を操作し、難病の治療を内側からやろうという技術の研究が行われています。脳の神経情報を解析し、書き換えることで心臓病や糖尿病、関節炎などの症状の改善が期待されています。2021年中には臨床試験の開始を予定しているそうです。スウェーデンのスタートアップ企業では、うつ病治療に前頭部を刺激して症状を改善させるヘッドセットを作りました。欧州では認証され、自宅で使えるものとして、実際に治療に投入されているようです。ほかにもマイクロソフト、オラクル、シスコなどの米国企業、日本の富士通などもブレインテックの研究を始めているといわれています。これからは脳のデータが大きな資産になっていくでしょう。自分さえ無自覚なことが、情報としてどこかに集積されることになるのですから、すごい時代です。究極の個人データを誰がどう管理していくのかが課題になりますね。本来なら、一企業や一国家ではなく、人類データセンターのような公平を期したところに預けられるとよいのかもしれません。堀 潤ジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。監督2作目となる映画『わたしは分断を許さない』が昨年公開された。※『anan』2021年1月20日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2021年01月14日出会った女性がネタの源という横澤夏子さんが、街で見つけたいい女を実演。今回は、未来の自分を楽しく想像できる女性「50年先の目標を持つ女」になりきり。“こうなりたい”と思う理想の人を見つけよう!先日、「TSUTAYAえほん大賞」という、50年先まで語り継いでいきたい絵本を見つけるイベントに出演させてもらったのですが、50年先のことまで考えてイベントをしているということにすごく驚きました。さらに、そのイベントの記者会見で、「横澤さんは50年後、何をしていますか?」と聞かれ、私は未来のことを何も考えていないんだということに気がついたんです。80歳になった自分も、50歳になった子どものこともまったく想像できません。考えられたとしても、せいぜい10年くらいの期間までです。でも、あらためて考えてみたら、“80歳と50歳の親子で温泉旅行をしたい!その時に丈夫な足でいるために、今ちゃんと歩いておこう”と、前向きな気持ちになり、すごく楽しくなったんです。それに、そもそもですが、“生きてさえいたら嬉しい!”という思いも芽生えて、気がラクになりました。もちろん、“仕事はどうしているんだろう”“お金は大丈夫かな”と不安もよぎりますが、あと50年もあると思うと、そんなに張り詰めて生きなくてもいいのかなと思えました。ここ10年の目標となると、どうしても自然と力が入るけれど、これだけ先の目標であれば楽しく頑張れるからいいですよね!まずは、50年後の理想像となる人を見つけると、目標が立てやすくなると思います。私は、鎌倉に住んでいるおばあちゃんが大好きで、紫陽花の花が咲く道を着物を着て歩く姿を見ると、ああなりたいなと思うんです。あと、銭湯で友だちと楽しそうに話している、ハツラツとした女性も羨ましい!私の友だちに、おばあちゃん絵本作家になる目標を掲げている子がいるのですが、そのために今、努力をしていて…。自分の未来に投資できる人は素敵だと思います。よこさわ・なつこ芸人。“ちょっとイラッとくる女”のモノマネで大ブレイク。婚活で培ったテクニックをまとめた著書『追い込み婚のすべて』(光文社)が発売中。昨年2月に第一子を出産。※『anan』2020年1月13日号より。写真・中島慶子イラスト・別府麻衣文・重信 綾(by anan編集部)
2021年01月11日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「子供・若者白書」です。自己肯定感の低い若者たち。長所を伸ばせる社会に。内閣府が毎年国会に提出している「子供・若者白書」。2019年に発表された「日本の若者意識の現状~国際比較からみえてくるもの~」が話題になりました。これは‘18年の冬に7か国の13~29歳の男女を対象に行われた調査で、国際競争力や結婚観、自ら切り拓く力など、日本の国力に関わる若者の実態を知ることが目的で行われました。この結果、日本の若者は他国の若者と比べて、自己肯定感が低い傾向にあることがわかりました。「自分自身に満足しているか」という問いに対して、「そう思う」「どちらかといえばそう思う」を含め、イエスと答えた若者は、日本は5割に届きません。ところがアメリカは「そう思う」が57.9%。肯定的回答を合わせると、欧米諸国はほぼ8割を超えています。「自分に長所があると感じているか」という問いには、「そう思う」と断言する日本の若者はわずか16.3%。他の6か国は日本の倍近く、さらにそれ以上の高い割合で「そう思う」と答えています。日本の若者の自己肯定感の低さは、自分は役に立たないと感じる「自己有用感」の低さが関わっているようだと内閣府は分析しています。一方で、家族に大切にされていると感じる若者は多く、海外留学や海外居住を求める割合は低い。堅実で謙虚な優しい日本の若者像が浮かび上がりました。なかでも気になったのは、「よく嘘をつくか」という問いに7割の若者が、つかないと答えている一方で、「人は信用できないと思う」という設問に肯定的回答をした割合が5割以上。これは、政府のモリカケ問題や桜を見る会の問題、ブラック企業やいじめを隠蔽しようとする学校など、社会に対する不信感の表れなのではないかと思います。「うまくいくかわからないことに意欲的に取り組むか」という設問にはイエスとノーの回答がほぼ半々でした。成功体験の有無が影響しているのかもしれません。1月11日は成人の日。若者たちがそれぞれの特性に応じて活躍できる環境を、社会として作るべきではないでしょうか。若者のみなさんには、とるに足らない人間なんていないのだから、好きなことを追求して長所を伸ばしていってほしいと思います。堀 潤ジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。監督2作目となる映画『わたしは分断を許さない』が昨年公開された。※『anan』2020年1月13日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2021年01月09日ペットとは無縁だった王島家。長男が拾ってきた迷い犬がほどなく一家に受け入れられ、近所の犬たちとも交流を深めていく『横須賀こずえ』。その著者が、小田扉さん。NHKでアニメ化もされた『団地ともお』(全33巻)の原作者でもある。場所は横須賀。愛すべき天才犬と、飼い主一家のワン(犬)ダフルライフ。「『~ともお』が終わって次を練っているときに、王島家の話を描いてみたんですが、編集さんとも相談したら『犬がいちばんキャラが立ってるよね』となったんです。2年ほど前から僕も人生で初めて犬を飼い始めたというのもあって、犬を主役にする話に落ち着きました」心温まるコメディと思いきや、こずえと名付けられた〈小4男子程度の知能を持つ〉迷い犬の視点がたびたび入ってくるのがキモ。不思議現象や小さな発見を愉しむセンス・オブ・ワンダー的な要素が加わり、唯一無二の面白さになっている。「僕自身もそういうどこか不思議なお話が昔から好きで、藤子・F・不二雄先生や諸星大二郎先生のマンガには影響を受けていると思います。日常の出来事から話をふくらませて、摩訶不思議な味が出ればと、普段から思いついたことはメモしたりしていますね。僕の場合、ネームの段階ではほとんどセリフだけ決めていく感じで、コマ割りも状況も曖昧なんです。そのせいで他の多くのマンガ家さんのように、『ネームができたから山を越えたぞ』という気持ちにはなれず、毎回四苦八苦です」3巻では、なぜ「こずえ」という犬らしからぬ命名がなされたのか、の秘密が明かされる。「これも知人から聞いたエピソードがやけに記憶に残っていて。それを少しアレンジしたお話です」横須賀という具体的な土地をベースに描かれるのも、小田さんのこれまでの作品にはなかった魅力だ。「架空の街にすることも考えたのですが、『~ともお』と差別化したい気持ちもあって、縛りを入れました。取材も兼ねて街を歩くと、『なんだこれは!』と思う名所や建物などを見つけたりして楽しいですね」こずえは1巻で、潮の匂いを懐かしみ、おぼろげな記憶の中で、〈手〉の存在を思い出す。彼女は以前どこにいたのか。手は誰のものなのか。いくつかのナゾは残ったままだ。「4巻で明かすつもりなので、いま懸命に考えている最中です」という宣言も!来年春頃発売予定の続刊を、楽しみに待ちたい。『横須賀こずえ』3繁茂するゴーヤカーテン、小学生男子の冒険、ゴメスやニッキなどご近所犬さんたちと始めた犬の学校など、奇妙なのにほのぼのしてしまう小田扉ワールドが全開。小学館591円©小田 扉/小学館週刊ビッグコミックスピリッツ連載中おだ・とびら1974年、神奈川県出身。1999年、モーニング新マグナム増刊にてデビュー。『江豆町ブリトビラロマンSF』『団地ともお』など著書多数。※『anan』2021年1月13日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2021年01月08日出会った女性がネタの源という横澤夏子さんが、街で見つけたいい女を実演。今回は、さりげなく渡せる贈り物を選ぶ女性、「手みやげをいらないと言える女」になりきり。気を遣わせないことに気を遣える人は素敵。友だちとお互いの家を行き来することが何度か続いた時に、手みやげのことで悩んだことがありました。毎回、違う種類のものを探して準備するのが難しいし、“お金がかかるじゃん!”と思ったんです。お店に行ってお金がかかるのは納得できるけど、家なのになんでなんだろうって。そんなある日、チョコレートプラネットの松尾さんの家に遊びに行ったのですが、「これでもう、手みやげはなしにしよう」と言ってくれたんです。たしかに、もう何度も家を行き来していたし、それまでに何回か「手みやげやめようか」という話は出ていたのですが、この日を境に渡さないルールができました。すると、めちゃくちゃ楽な付き合いになったんです。これまでにも「いらないよ」と言ってくれる人はいたのに、私はそれを社交辞令だと思い込んで、「とはいっても必要じゃん?」となかなか甘えられなかった。でも、今思うと、本当にいらなかったんだろうし、むしろ、気を遣わせていたんだなと思いました。もちろん、一番最初に遊びに行く時はあったほうがいいけれど、ある程度の関係性が築けたと思ったら、「今日は手みやげないのよ~」とか、「これでやめよう」と提案してみるのもアリだと思いました。それでも、手みやげを持っていかないことを実践するのは、最初はなかなか難しいと思うんです。なので、相手に気を遣わせないような、ちょうどいいアイテムを見つけるところから始めてみるのはどうでしょうか。「ここに来る途中で見つけて買ってみたよ」「おすそわけしたくて」「すごく美味しかったから」など、買う理由付けができるものを選ぶと、気兼ねなく受け取れるはず。気を遣わせないことに気を遣うことができる人こそ、いい女ですよね!よこさわ・なつこ芸人。“ちょっとイラッとくる女”のモノマネで大ブレイク。婚活で培ったテクニックをまとめた著書『追い込み婚のすべて』(光文社)が発売中。2月に第一子を出産。※『anan』2020年12月30日‐2021年1月6日合併号より。写真・中島慶子イラスト・別府麻衣文・重信 綾(by anan編集部)
2021年01月05日寝なきゃいけないのに眠れない、心配ごとがあってぐっすり眠れないと睡眠に悩んでいるという方は多いのではないでしょうか?そんな方に朗報!実は良い眠りを導くツボがあるのです。押すだけで簡単なので、眠れない夜はぜひお試しを。まとめ構成・小田原みみ眠れない夜に押したい足のツボ寝る前に押すと効果的なツボを鍼灸あんま指圧マッサージ師の神崎貴子先生に教えてもらいました。不眠に効果的な失眠と湧泉の位置失眠 足の裏側、かかとの中央にあるツボ。“失った眠りを取り戻す”という名前の通り、不眠の改善に有効。下半身の冷えにも効果が。湧泉 足の指をグーにした時にできる、くぼみの中央にあるツボ。“命の泉が湧くツボ”として疲労回復に効く。安眠をもたらす効果も。失眠と湧泉の押し方神崎先生 マッサージをする際は、手の滑りをよくするためにオイルやクリームをつけるのがおすすめ。両手の親指を重ねて「失眠(しつみん)」におき、残りの指で足の甲を支える。やや強めの圧で、ツボを5秒間押す。上と同じように親指を重ねて「湧泉(ゆうせん)」におく。手のひら全体で挟むようにして足を持ち、親指に力を入れて5秒間刺激する。神崎貴子先生 鍼灸あんま指圧マッサージ師、(特非)日本スポーツアロマトレーナー協会副理事長。「さくら治療院」の院長を務める。ツボに関する著書やメディア出演も多数。※『anan』2018年8月29日号より。写真・中島慶子 モデル・野口絵里弥(SATORU JAPAN) 取材、文・黒澤祐美※2018.8.22配信眠れない夜に押したい足のツボその2ananwebでの人気連載「もふねこ教授のツボ押し講座」。某大学で東洋医学を担当し、知名度もキャリアも抜群という教授が、もふねこ教授に扮してさまざまなツボをかわいいイラストとともに教えてくれます。もふねこ教授おすすめの、眠れないときに押したい足のツボとは…。太衝のツボで末梢の血流を改善もふねこ教授 心地よい眠りを誘うポイントのひとつは手足を温かくすること。寝る前に手足から放熱して深部体温を下げるんです。太衝(たいしょう)のツボを押さえて足の血流を改善させましょう!太衝のツボは足の甲にあります。足の親指と人差し指の間にある谷間というか溝(?)を指でたどっていくと、骨にぶつかって溝がなくなります。その、なくなる手前が太衝のツボ。たとえば右の太衝は、左手の親指を足の裏に、人差し指を太衝のツボに当てて、つまむようにしてギューッと人差し指の先がめり込むように圧迫してみましょう。ズーンと鈍い痛みを感じたらアタリ! 10秒間ギューッと押さえて離し、次は反対側の足の太衝を圧迫……これを数回くり返します。ここを押すには親指だと太すぎるので、人差し指の先をツボの奥深く、独特の鈍痛を感じるまで押し込みます。この刺激が自律神経を介して血管を拡張させます。なんだか足がポカポカしてきませんか?!もふねこ教授 プロフィール某大学で東洋医学を担当しているリアル教授。実はキャリアも知名度も抜群。犬養ヒロ プロフィール漫画家・イラストレーター。犬猫鳥魚と暮らす動物好き。Official blog 「マンガ 鍼灸臨床インシデント 覚えておきたい事故防止の知識」/医道の日本※文 もふねこ教授 原案・イラスト 犬養ヒロ※2020.9.15配信心がソワソワして眠れないときに押したい手のツボ気持ちが高ぶったり、不安なことがあって眠れない、という時はありませんか? 目白鍼灸院院長の柳本真弓さんにそんな時に押すと良い手のツボを教えてもらいました。肘の内側、小指側にある「少海(しょうかい)」を押し回す。柳本さん 心のトラブルに効くのは、心経という経路上にある少海。肘の内側、小指側の皮膚が柔らかいところにあります。ここは頭や感情と関係のある場所。3~4本の指で心地よい強さでなでることで、呼吸が整って気持ちが落ち着き、眠りにも入りやすくなります。手のひらにある「少府」を押す。
2021年01月03日次のうち、実在するミュージアムはどれでしょう?(1)ボタンの博物館(2)理科ハウス(3)容器文化ミュージアム実は、すべて本当にある。『博物館ななめ歩き』は、マンガ家の久世番子さんが、京都国立博物館副館長の栗原祐司さんと共にめぐった津々浦々の博物館を、マンガで読ませてくれる楽しいガイドブックだ。知られざる博物館がこんなに!?いざ、ディープな博学世界へ。「取材先は栗原さんの提案を踏まえ、規模は小さくても個性的なミュージアムを中心に選びました。たまに私が『古墳が見たい!』とリクエストを出すこともありました。東京中心になっているのは、取材費があまり出ないからです…」紹介のされ方もいろいろだ。たとえば、日比谷図書文化館は、各フロアの注目ポイントが細かく紹介されているのだが、世界のカバン博物館では、いろいろなデザインのバッグが描かれ、グッズ中心になっている。「建物や建っている場所が印象的なミュージアム、歴史が面白いミュージアム、コレクションが珍しいミュージアム、来館者が独特なミュージアム…。取材をしているとそれぞれの館の個性が見えてくるので、それを表現するように意識しました」連載は1ページ。そこに当該の博物館の成り立ちや魅力、ちょっとしたうんちくなど、これでもかというほど盛りだくさんな情報が詰め込まれている。読むこちらは楽しいが、「地の文で説明を、フキダシで感情をとなんとなくの描き分けはあるものの、絵とのバランスも考えるので、その時どきで自由に描いています。『文字が小さいよー(泣)』というご意見もいただくのですが、ついついみっちり書き込んでしまいます」相棒の栗原祐司さんは、これまでに全国6200館以上のミュージアムを訪問しているという猛者。「博物館愛がだだ漏れで、本当にミュージアムフリークだなと圧倒されました。取材時には『この間、あそこの博物館に行って~』『あの国のミュージアムは~』など延々自慢話を聞かされていましたね。半分くらいは聞き流していましたが(笑)」ちなみに、久世さんご自身が特に興味を惹かれた場所を、2つほど挙げてもらった。「小平市のふれあい下水道館は衝撃的で、取材後何度も下水道管の中の夢を見ました。ぜひ体験してほしいです!あと、熊本の装飾古墳館。初めて九州の色鮮やかな古墳を見たので非常に思い出深いです。2つとも私にとってちょっと怖い体験でした。怖いって面白いです」『博物館ななめ歩き』文化庁のWEB広報誌「ぶんかる」(旧・文部科学時報、文化庁月報)で、全国の博物館や記念館などをマンガで紹介。2009年から続く長期連載だ。文藝春秋1200円©久世番子/文藝春秋※『anan』2020年12月30日-2021年1月6日合併号より。写真・中島慶子インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2021年01月02日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「2020年の民主主義」です。民主主義の危機が深まった2020年。国連の変革を求む。2020年は民主主義が問われた一年でした。香港の民主主義は失われ、一国二制度は実質、消えてしまいました。ベラルーシでは独裁政権を倒そうとデモが続いていますし、タイでは’16年に即位した新国王がスキャンダルにまみれ、経済も悪化しており、若い世代を中心に憲法改正や王室改革を訴えて大規模なデモが始まりました。スーダンでは市民革命が成功し、新たな和平を生み出そうとしています。レバノンやパレスチナ、ヨルダンでも、強権的な政治に対して、市民の生活が立ちゆかなくなり、連日、反政府運動が行われています。これらは思想の運動ではなく、市民の「生きるための戦い」。やむにやまれぬ状況に追い込まれて声を上げています。新型コロナウイルスによって経済状況が悪化し、これらの動きは加速しました。この流れは、経済の仕組みが変わらない限りなくならないのだろうと思います。つまり、民主主義と資本主義の相性が悪いということがわかってきたんですね。資本主義で国の覇権を広げていこうとすると、民主的な手続きを踏まない独裁政権のほうがスピーディに進める。そうして中国は、コロナからもいち早く立ち直り、経済政策も着実に実施していきました。世界のなかで中国の存在はより大きくなり、アメリカに伍する経済大国になりました。中国との関係が深い国や企業は安定するけれども、搾取される市民にとっては自由と尊厳が奪われるような状況が鮮明に。先日もブータン領内に集落を建設して、実質的な移民政策を始めようとし、インドとの緊張が高まってきています。ただ、そうした覇権の先に本当の豊かさがあるのでしょうか?情報が公開される透明性のある政府と、市民が参加できる民主主義でないかぎりは、状況は改善されないでしょう。国連が機能不全に陥っているのも問題です。太平洋戦争が終わってから75年。国連は戦勝国によって作られた組織ですから、日本もドイツも常任理事国ではありません。インドやアフリカ、中東のリーダーも世界の秩序決定に参加したいと思っています。多様化するいまの世界に応じた、新しい時代の秩序を作ってほしいなと思います。堀 潤ジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。監督2作目となる映画『わたしは分断を許さない』が公開中。※『anan』2020年12月30日‐2021年1月6日合併号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2021年01月02日上下巻同時にリリースされた須藤佑実さんの『夢の端々』は、まるで一本の美しい映画を観たような読後感だ。登場人物たちの人生にすっかり入り込み、物語が終わってもなお、心はその世界を漂っている。なぜ彼女たちは心中を選んだのか。“未遂”後の70年にわたる恋と人生。「百合マンガは読むのも描くのも好きですが、若い人同士の“百合のその後”を描いてみたかったんです」百合のその後として冒頭で描かれる時代は、2018年。認知症で一緒に暮らす家族のこともわからなくなりつつある85歳の伊藤貴代子のもとに、同い年とは思えないほど若々しい園田ミツが訪ねてくる。お互いの近況など他愛もない会話を楽しむふたりは、70年ほど前の女学生時代に心中を図り、世間を騒がせた恋人同士だった。「最初に思いついたのは、時間が遡る設定です。だいぶ前のことなのですが、現代から過去に戻っていくお芝居を観て、いつか自分もマンガでやってみたいと思っていました」1話目で読者に明かされるのは、85歳の貴代子が鍵付きの日記帳のなかに“指”を大事に隠し持っていること。たしかに彼女の左手の小指は第一関節から先がなく、ひ孫には戦争で失くしてしまったと説明する。そしてミステリーのような雰囲気を漂わせながら、ふたりの間に何が起こり、どんな思いで心中に至ったのかが少しずつ語られていく。「認知症の方は最近のことから忘れていき、昔のことは比較的覚えているといわれるので、忘れる順に描きたいという思いもありました」時代を遡って描くにあたり、須藤さんは最初に年表を作成。彼女たちが出会った戦後間もなくから現代までに日本で起こったことと、ふたりの人生を一覧にしてプロットを組んだ。内気でどことなく影のある貴代子と、快活で男勝りなミツは、月と太陽のように呼応し合うキャラクターだ。女性は学校を卒業したらほんの少し外の世界を見て、ほどよい頃に結婚して家庭に入るのが一番の幸せと考えられていた時代。女性同士の恋愛はおろか、自立して生きることさえ大きな困難を伴う時代に、貴代子とミツはお互いを思い続けながらそれぞれの人生を選択していく。「未来を先に描いているので、過去をどう描くかかなり悩みました。心中するまでは、夢の中というか幻覚のようなイメージで、心中未遂後は社会に出て、現実が少しずつ見えてくるイメージで描いています」ふたりが見ていた長い夢と現実から、こぼれ落ちる記憶の断片。同時代を生きた女性たちの息づかいまで聞こえてきそうな作品だ。『夢の端々』上・下戦後の女学校時代、心中を図った貴代子とミツ。未遂後、見合い結婚をした貴代子と、起業して独身を貫いたミツ、それぞれの人生が離れては重なる一代記。祥伝社各880円©須藤佑実/祥伝社フィールコミックスすどう・ゆみマンガ家。『ミッドナイトブルー』『みやこ美人夜話』など短編に定評あり。初の上下巻となる本作では、新たな魅力を垣間見ることが。※『anan』2020年12月30日-2021年1月6日合併号より。写真・中島慶子インタビュー、文・兵藤育子(by anan編集部)
2020年12月30日冷えやストレス、暴飲暴食で、便秘や下痢などの不調になりがちな私たちのお腹。食生活や運動、薬で改善することもできるけど、いつでもどこでも簡単にできるツボ押しを取り入れてみるのもあり。習慣づけて、お腹の調子を整えましょう!まとめ構成・小田原みみ慢性的な便秘、突発的な便秘、それぞれに効く手のツボ便秘といってもその症状は人それぞれ。慢性的に悩んでいる人もいれば、何らかの理由で突発的に便秘にという人も。目白鍼灸院院長の柳本真弓さんに便秘の症状別に効く手のツボを教えてもらいました。まずは慢性的に便秘という方に効くツボから。手首から指4本分のところにある「支溝(しこう)」を押す。柳本さん 手の甲側、手首を曲げた時にできるシワから指4本分ほど肘寄りにあるのが支溝。腸は第二の脳といわれるくらい、精神状態の影響を受けやすい器官。この支溝の広い範囲を4本指で押し回すことで、気持ちが和らぎ、大腸がスムーズに働くようになります。続いて、突発的な便秘に効くツボはこちら。手首内側、小指側のくぼみにある「神門」をなでる。手のひらを自分に向けて手首の小指側をさすると、小さな骨の出っ張りがあるのに気がつくはず。この内側の腱の間にあるのが神門です。精神や脳と関係が深く、旅先など、環境が変わったことで起こる便秘に効果的。心地よく感じる強さで柔らかくなでてみて。柳本真弓さん 目白鍼灸院院長。カルチャーセンター等で講師も務める。著書は『「手」をもむ、触る、押すだけで、たちまち健康になる!』(小社刊)。※『anan』2020年10月7日号より。取材、文・菅野綾子※2020.10.3配信便秘に効く腰のツボananwebでの人気連載「もふねこ教授のツボ押し講座」。某大学で東洋医学を担当し、知名度もキャリアも抜群という教授が、もふねこ教授に扮してさまざまなツボをかわいいイラストとともに教えてくれます。便秘に効く手のツボに続き、こちらは便秘に効く腰のツボです。大腸兪のツボで腸の動きを促進もふねこ教授 便秘といえば、やはり定番のツボは大腸兪(だいちょうゆ)です。左右のこしぼね(腸骨)の頂点を結んだ線の高さで、中央から4~5センチ外側。骨じゃなくて筋肉のところ。大腸兪を押さえる時は横になって腰に手を当て、親指でギューッと押し込んで2秒数えたら力をゆるめ、またギューッと2秒、それを1分くらいくり返したら、今度は反対向きに寝ころがって、もう一方の大腸兪をギューッ。それを何回か繰り返してみましょう。硬式テニスボールがある人は、あお向けになって大腸兪のところに片方ずつボールをあてて、体重をかけて圧迫してもいいかも。大腸兪を押さえた刺激は自律神経を介して腸の動きに影響を与えます。ほら、なんだかお腹がグググッって動くのを感じませんか? 行きたくなったら我慢しちゃダメ、チャンスは今ですよ~~っ!!もふねこ教授 プロフィール某大学で東洋医学を担当しているリアル教授。実はキャリアも知名度も抜群。犬養ヒロ プロフィール漫画家・イラストレーター。犬猫鳥魚と暮らす動物好き。Official blog 「マンガ 鍼灸臨床インシデント 覚えておきたい事故防止の知識」/医道の日本※文 もふねこ教授 原案・イラスト 犬養ヒロ※2020.10.15配信突発的な下痢に効くツボ最後は、何の前触れもなく、急激に襲ってくる下痢時のお腹の痛み。そんな事態をなんとかしたい時、即効性のあるツボを鍼灸師の石垣英俊さんに教えてもらいました。手の甲にある、その名も「下痢点」と呼ばれるツボ。下痢の急な痛みの緩和にも効果がある。中指と薬指の骨が交わる部分の窪みの少し上。親指の爪を立てツボに押し当てる。石垣英俊さん 鍼灸師。『神楽坂ホリスティック・クーラ』代表。東洋医学を学ぶ「ナーチャ」校長。著書に『コリと痛みの地図帳』(池田書店)など。※『anan』2018年7月25日号より。写真・中島慶子 モデル・田中シェン 取材、文・板倉ミキコ※2018.7.23配信お腹の不調は我慢しないつい我慢しがちなお腹の不調。あらゆる改善法を取り入れつつ、ツボ押しをクセづけて不調知らずのお腹に近づけましょう!
2020年12月26日耳が聞こえない両親、元ヤクザでけんかっ早い祖父、カルト宗教にハマる祖母ーー。登場人物を並べると小説のようだが、『しくじり家族』はフリーライターの五十嵐大さんが「普通じゃない家族」との関係を綴ったエッセイ。障がいのある母が大嫌いだったという思春期の葛藤を吐露したウェブの記事が編集者の目に留まり、本作につながった。大人になったからわかる、いびつで不器用な家族の愛。「無名の自分の個人的な話が本になりうるのか、最初は戸惑いがありました。でも、うちほどややこしい家族はそうそうない(笑)。僕の体験が、家族に悩む人の力になれるかもしれないと思いました」両親や祖父母が普通じゃないと気づいた小学生の頃から、家族が重荷だったと、五十嵐さん。近所の人や友だちから好奇と偏見の目で見られ、時には心ない言葉を浴びせられ傷つき、その“原因”である家族と衝突を繰り返して。そんな幼少期からのやり場のない怒りや悲しみ、そして家族への複雑な思いが、最後までわかり合えずに逝った祖父の葬儀を通して描かれる。それは家族を遠ざけ、ずっと目を背けてきた過去と正面から向き合う作業だった。「自分の幼さや汚い部分も含めて、イヤな思い出をひとつひとつ確認して描写するのが本当にしんどくて。でも、ただ恨みつらみを詰め込んでも意味がない。一番辛かった子どもの頃の自分を励ます感覚で、重苦しくならない文章と読んだ後に考える余地が残る内容を心がけました」その言葉通りの淡々とした語りが、自身の心の揺れや不器用ながらお互いを思う家族の姿を鮮明に浮かび上がらせる。そして終盤に明かされる五十嵐さんの誕生までの経緯と両親の愛情が胸に迫り、温かい気持ちに。「書き終えた時、本当にスッキリしました。書くことで心の整理ができたのと、幸せな瞬間もたくさんあったのだと再認識できたから。家族を憎んで悩んでばかりいた昔の自分も救われた気がしています」五十嵐さんは現在、手話や視覚を中心とした「ろう文化」や社会的マイノリティの取材を精力的に重ね、今後も続けていくという。「当事者に近いから聞ける話もあるし、祖父母の話題はフックになる。物書きとしての武器をくれた家族に感謝したいですね。…なんて言えるくらい、大人になりました(笑)」『しくじり家族』ややこしい家族から離れ、東京で“普通”を擬態して暮らすぼくのもとにある日、祖父が危篤という連絡が入り…。CCCメディアハウス1400円いがらし・だい1983年、宮城県生まれ。2015年からフリーライターとして活動し、アンアンでも執筆。本作がデビュー作となり、母との関係を描いた次作も近々発売予定。こちらも要注目!※『anan』2020年12月30日-2021年1月6日合併号より。写真・土佐麻理子(五十嵐さん)中島慶子(本)インタビュー、文・熊坂麻美(by anan編集部)
2020年12月25日1月から始まる「Sexy Zone」中島健人がMCを務める映画情報番組「中島健人の今、映画について知りたいコト。」。この度、その放送内容が明らかになった。同番組は、ハリウッドを牽引する映画監督やクリエーター、さらに世界へ羽ばたく日本の映画監督へのインタビューや、映画製作現場の取材などを通じて、中島さんが知りたい“映画のいま”について学ぶ、月1のレギュラー情報番組。記念すべき初回の放送では、“コロナ禍に立ち向かう映画界のいま”をテーマに、最新作『朝が来る』が「第93回アカデミー賞」国際長編映画賞部門の日本代表作品に決定した河瀬直美監督。そして、続編の公開も決定した『孤狼の血』の白石和彌監督と、中島さんがそれぞれ対談。コロナ禍での映画製作現場や、監督らの製作にかける思いに迫る。続く2月5日(日)放送予定の第2回放送では、『インセプション』『インターステラー』『ダンケルク』などを手掛け、この秋公開された最新作『TENET テネット』も大きな話題となった、クリストファー・ノーラン監督へリモートインタビューする。「中島健人の今、映画について知りたいコト。」#1は2021年1月16日(土)17時30分~WOWOWプライム/WOWOWオンデマンドにて初回無料放送&配信。※2月以降、毎月第1金曜日22時~(全12回)(cinemacafe.net)
2020年12月25日中島健人(Sexy Zone)がMCを務める映画情報番組『中島健人の今、映画について知りたいコト。』が、WOWOWで2021年1月16日(土)よりスタートする。初回放送では中島が映画監督の河瀬直美、白石和彌と対談を行い、第2回には『TENET テネット』のクリストファー・ノーラン監督とのリモートインタビューが決定したことが分かった。本番組は、ハリウッドをけん引する映画監督やクリエーター、さらに世界へ羽ばたく日本の映画監督へのインタビューや、映画制作現場の取材等を通じて、中島が知りたい“映画の今”について学ぶ月1のレギュラー情報番組。初回は、“コロナ禍に立ち向かう映画界の今”をテーマにする。そのなかで、10月に公開した最新作『朝が来る』が第93回アカデミー賞国際長編映画賞部門の日本代表作品に決定した監督の河瀬、2021年に『孤狼の血II(仮)』が公開を控える監督の白石と、中島がそれぞれ対談を行い、コロナ禍での映画制作現場や、監督らの制作にかける想いに迫る。さらに、2月5日(日)放送予定の第2回では、ノーラン監督へのリモートインタビューの模様をお届けすることも決定している。【番組情報】『中島健人の今、映画について知りたいコト。』#1コロナ禍に立ち向かう映画界の今放送日:2021年1月16日(土) 午後5:30 [WOWOWプライム] [WOWOWオンデマンド] ※初回無料放送&配信2月以降、毎月第1金曜 夜10:00(全12回)MC:中島健人(Sexy Zone)
2020年12月25日意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「脱ハンコ」です。無駄な手続きを省くのが目的。押印否定ではない。菅政権になり、書類に押印をする手続きを簡略化しようと「脱ハンコ」の動きが官民で急速に進んでいます。コロナ禍のなか、テレワークが推奨されながらも、経理部門などでは、押印のためにわざわざ出社しなければいけないというような事態になっていたことも、改革の後押しとなりました。ただ、河野太郎行政改革大臣も話していましたが、政府はすべての押印をなくそうとしているわけではありません。印鑑証明や銀行印、契約書の押印などは残ります。そもそもハンコの問題ではなく、書類申請や申し込みなど、責任を分散させるために何人もの承認印を押させるなど、煩雑だった手続きを見直すことから始まりました。契約書の押印も、実は民法上では必須ではありません。口約束でも証明さえできれば契約は成立します。ただ、たとえば裁判になったとき、「自分で判を押した」ということが本人の承認意志の有無の証明になるため、押印を求められることが常になっているのです。インターネットの登場とともに電子取引が増え、2001年には電子署名法が施行されました。しかし、電子認証の申請手続きのハードルが高く、なかなか利用されませんでした。その後、テクノロジーが発達し、民間企業の方で電子署名の仕組みが進み、2017年以降、電子契約サービス市場は急速に伸びています。2018年に約37億円程度だったのが2023年には198億円になる見込みです。コロナ禍で契約者数が増え、電子契約サービスを導入している日本の法人数は300万社前後にのぼりました。Eメールの登場で、逆に、手書きの文書が特別なものになったように、今後、印を押す行為は文化として継承されていくのではないかと思います。脱ハンコは菅政権の行政改革の「1丁目1番地」。デジタル化の一つとして進められました。安倍政権のころから提案されていた事案。代替サービスもありますし、押印の必要性は法的根拠もなく、なんとなく皆が続けていた古い産業形態だったので、おそらく誰も反対はしない。ここにメスを入れるのは、菅総理にとって、手柄を立てるのにもってこいのテーマだったんです。堀潤ジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。監督2作目となる映画『わたしは分断を許さない』が公開中。※『anan』2020年12月23日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2020年12月24日2018年に第9回ananマンガ大賞を受賞した『セクシー田中さん』の最新刊が、ますます盛り上がっている。会社では超地味だけど、実は超セクシーなベリーダンサーの顔を持つ田中さんと、そんな生き方に憧れてファンと化す、朱里(あかり)。それぞれのキャラクターについて作者の芦原妃名子さんはこう語る。不器用、または器用貧乏なこじらせ男女の恋愛&人生模様。「田中さんは想定よりずっと素直でかわいい女性になりました。こじらせているはずなのに素直。偏見を持たない。クリアな目で人を見ようとする。他人を裁かない。それって人としての強さですよね。そんな40歳の田中さんに対して、朱里ちゃんは23歳なのに老成してます。女の子としてのスペックは高いのに、器用貧乏でなかなか生きづらい。鎧を脱いでもっと解放されたら生きやすくなるんじゃないかな。ある種、若さを取り戻してほしいです(笑)」ふたりに共通するのは、周りから見たら魅力がたくさんあるのに「自分なんか」と思っているところ。「日本人“あるある”かもしれませんが、自分に厳しすぎる人って多いですよね。誰かと出会って自分の魅力に気づいて、自己肯定力が上がっていく。そんな化学反応が起これば素敵だなと思っています」田中さんと朱里、異なるタイプや世代のふたりを通して、男性が求めるステレオタイプな女性像と、そこから逃れたくても大なり小なり囚われてしまう女性の姿がシニカルに描かれるのも見どころ。3巻では田中さんに「イタイおばさん」など数々の暴言を吐いてきた、見た目はイケメン、頭は昭和で止まっている偏見まみれの男・笙野に変化が起こる。「女性より男性のほうが変わるのが難しい気がします。他人に指摘されて内省するのって、なかなかプライドが傷つくと思うし。だから余計、変われる人はタフで魅力的。といっても笙野の今までの行動がチャラになるわけではないけれど(笑)」田中さんと朱里の一見不毛な恋の行方や新たな恋の予感、田中さんの敵と見なしている笙野に対する朱里の復讐、そして彼女たちは自分を好きになれるのかなど、絡みまくるさまざまな展開が気になるところ。「人と出会っていろんな価値観に遭遇して、相手を知ると同時に自分自身を知る。ひとりでは知り得ない、白黒グレー、いろんな自分が溢れ出てくるのが人間関係の醍醐味だと思っています。もつれて混乱して、影響されて変わっていく彼女たちを楽しんで観察していただけたら一番嬉しいです!それと恋愛部分も、もう一歩踏み込んでいきたいですね」『セクシー田中さん』3四十肩でダンサー生命の危機に陥る田中さん、朱里の思いに気づかぬふりをする進吾との過去、田中さんは自分を好きだと思い込む笙野の暴走…絶好調の第3巻。小学館454円©芦原妃名子/小学館姉系プチコミックあしはら・ひなこマンガ家。1994年『別冊少女コミック』に掲載された「その話おことわりします」でデビュー。『砂時計』と『Piece』で小学館漫画賞少女向け部門を受賞。※『anan』2020年12月23日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・兵藤育子(by anan編集部)
2020年12月23日小説『彼女が好きなものはホモであって僕ではない』が『腐女子、うっかりゲイに告る。』の題名でドラマ化され話題となった浅原ナオトさん。新作『#塚森裕太がログアウトしたら』は、高校のバスケ部のエースの塚森裕太がインスタでゲイだと告白、そこから広がる波紋を、さまざまな立場の視点から、同じ時間軸のなかで繰り返し描く青春小説。学校の人気者が突然カミングアウト。周囲、そして本人の心の揺れの行方。「最初の構想として、何か大きな出来事があり、そこから巻き起こる小さな世界の話、というのがありました。カミングアウトって、告白したら終わりではない。そこから後に引く部分を書いてみたかった」視点人物を担うのは彼の告白を迷惑に思う同じ学校の隠れゲイの生徒、学校の教師、塚森のファンの後輩女子、ゲイに嫌悪感を抱くバスケ部の後輩、そして塚森本人だ。「隠れゲイの子は、違う立場の当事者として出しました。大人の視点も入れたくて教師を書きましたが、この人は相手の属性にとらわれているタイプ。ファンの後輩は、自分に自信がなくて塚森の存在に依存してきた子。バスケ部の後輩は、今はカミングアウトを受け入れる人が多いけれど、それができず逆にマイノリティとなって疎外感を抱く人物です」互いと接点を持ち、相互作用しながら自分と向き合っていく彼ら。最後に登場する塚森本人に関しては、「人気キャラだけど、実は無理している。その無理を書きたかった。SNS時代の今はみんながいろんな顔を持っているし、人は場面場面によって違う顔を持っていて当たり前。ただ、ゲイは人より仮面の数が多いというか、仮面に厚みがあって、自分を偽っている感覚がある。それと、塚森は人を好きになることに罪悪感がある。人に弱みを見せたくない部分もありますが、彼にとって人を好きになることは弱みなんです」登場人物みんなにとって大切なのは、人に認められることより、自分で自分を認めること。「自分を認める」と「自分が好き」は少し違って、「自分の手札に納得できなくてもそれで戦おうとするのが“認める”で、最初から強い手札を持っていると思えるのが“好き”という気がします。塚森の場合、強い手札を持っていると見せかけてきたんです」そんな塚森はじめ、脇役も含め、全員の変化に胸が熱くなるはず。『#塚森裕太がログアウトしたら』成績優秀、容姿端麗、性格の良さも評判のバスケ部のエースがSNSで同性愛者だと告白。周囲のさまざまな反応、そして塚森の本心は…。幻冬舎1400円あさはら・なおと小説投稿サイト「カクヨム」に『彼女が好きなものはホモであって僕ではない』を投稿、’18年に書籍化。『腐女子、うっかりゲイに告る。』としてドラマ化された。他の著作に『御徒町カグヤナイツ』。※『anan』2020年12月23日号より。写真・中島慶子インタビュー、文・瀧井朝世(by anan編集部)
2020年12月22日1991年生まれのアーティスト宮川慶子さんの個展「宮川慶子展―生命は自分自身だけでは完結できないようになっているらしい―」が開催される。移ろう陽光の中で味わう、作家の優しい作品世界。宮川さんは東京造形大学を卒業後、奈良美智氏による若手作家選抜プロジェクト「PHASE 2014」に選出。2014年に青森県立美術館で個展を開催した。‘16年には同大学院を修了、現在までジャンルに縛られることなく精力的に活動を続けている。本展では、展示の中心である立体作品との繋がりが感じられるような詩作も展示される予定だ。舞台となるテーマホールは、湘南の光が燦々と降り注ぎ、時間とともに様相が変化する大空間。「メインとなる鹿の剥製を用いた作品も、すでに命はないながら身体から耳のような芽が新たに生まれていて、人工の光よりも自然光の中で映える作品だと考えています」(展覧会担当・勝山滋さん)。まさに「場」と作品が纏う空気の調和が感じられるだろう。生とは、死とは。剥製や石塑粘土を素材とした宮川さんの作品は、私たちにそんなことを考えるきっかけを与えてくれるのかもしれない。宮川慶子展―生命は自分自身だけでは完結できないようになっているらしい―宮川慶子《ちっちゃいひと(謎のいきもの)》2018年 個人蔵宮川慶子《わたしがわたしとあなたのためにお祈りしているとき》2014年 photo by Masako Kakizaki 作家蔵宮川慶子《わたしが歩いているあいだに》2014年 photo by Masako Kakizaki 作家蔵平塚市美術館神奈川県平塚市西八幡1-3-3開催中~2021年4月4日(日)9時半~17時月曜(1/11は開館)、年末年始(12/28~1/4)、1/12休観覧無料TEL:0463・35・2111※『anan』2020年12月23日号より。(by anan編集部)
2020年12月19日