17歳の少年が、祖父母を殺害した。実際に起きた衝撃的な事件に着想を得た大森立嗣監督作『MOTHER マザー』で、長澤まさみさんが破滅的な母親に挑戦。本作が俳優デビューの新星・奥平大兼さんにも注目です。――長澤さんが演じる秋子は、息子の周平を歪んだ愛で翻弄します。常識では理解できないこの母親を演じたいと思われた理由は?長澤:私は結婚もしていませんし、子供もいないので、いただいた脚本も母親ではなく、周平目線で読んでいたんですね。誰にとっても母親は、自分のバイブルみたいな存在であるなかで、親子の関係性をすごく考えさせられたし、この作品が他人事に感じられなくて。でも、演じていても複雑な気持ちでしたよ。秋子はずる賢さだけが成長したような人で、自分にはない感情ばかりだったので、毎日、これでよかったのかなという疑問しかなかったですね。――奥平さんは、初めてのオーディションで周平役に大抜擢ですね。奥平:最初、「受かったよ」とお母さんから聞いたんですけど、僕、その時、ゲームにすごい集中してて。何の話だかわからなくて。長澤:はははは(笑)。奥平:「やった!」というよりも驚きのほうが大きかったですし、いろいろ考えなくちゃいけない役なので、現場に入る前は不安で。正直、あんまりやりたくないなっていう気持ちだったんですけど、入ったらもう楽しくて!こういう作品だから、現場の空気も重いのかなと思っていたら、すごく明るかった。阿部(サダヲ/秋子の内縁の夫役)さんも面白いし、妹役の子もすごく元気で、「もう、撮影終わっちゃうの?」って感じでした(笑)。長澤:奥平くんは役のことをすごく考えて、自分の意見があって現場にいた。ベテランみたいでした。それに、監督が優しかったのもあるしね。奥平:優しかったです。長澤:奥平くんとの最初の撮影は、ラブホテルに家族3人で泊まっているシーン。奥平:僕に演技の経験がなかったので、セリフのないシーンから撮りました。それもあって、結構リラックスしてできたんです。長澤:みんなが作ってくれた環境に純粋に反応して、現場に入ることができていた、いい俳優さんですよね。――撮影の合間も、「お母さん」「周平」と呼び合っていたんですか。長澤:うーん、「長澤さん」だよね?奥平:そうですね。長澤:秋子と周平は親子だけど、恋人のようだったり、友達のようだったりと関係性がすごく複雑。だから、奥平くんは、“お母さん”として私に接してなかったんじゃないかな。奥平:確かに、あんまり“お母さん”という感じでは話してなかったですね。でも、気持ち的にはすごく“お母さん”でした。長澤:だった?そうか…。私は、子供時代の周平との時間も長くて。虐待の中にも何かしらの信頼関係がある彼との距離感が難しかったんですね。でも、周平が大きくなると、もう少し、対等になる。秋子も、わがままを言いながら、どこかで周平に頼ってると感じる瞬間もあったり。不思議な関係なので、私自身も成長してからの周平に寄り掛かっていた感覚がありました。奥平:周平は母親に命じられることを仕方なくやってるように見えるかもしれないけど、お母さんのことは好きだし、一番デカい存在なんですよね。子供の頃の周平も普通じゃ考えられない経験ばかりしてますけど、成長した周平もお母さんや妹を支えなくちゃいけないという使命感が、ちっちゃい頃の周平よりはあった。やっぱり妹の存在も大きかったです。ながさわ・まさみ1987年6月3日生まれ。静岡県出身。2000年にスクリーンデビューし、コメディからシリアスまで幅広い作品で活躍。『コンフィデンスマンJP プリンセス編』が待機中。ワンピース¥82,000(ティビ/ユニット&ゲスト TEL:03・5725・1160)シューズ¥72,000(クレジュリー/ヒラオインク TEL:03・5771・8809)リング、人差し指¥14,000中指¥21,000(共にマリア ブラック/ショールーム セッション TEL:03・5464・9975)おくだいら・だいけん2003年9月20日生まれ。東京都出身。初めてのオーディションで大抜擢され、本作で俳優デビュー。空手初段で、2012年に全国武道空手道交流大会「形」で優勝。ニット¥18,000パンツ¥28,000(共にウル/スタジオ ファブワーク TEL:03・6438・9575)その他はスタイリスト私物『MOTHER マザー』シングルマザーの秋子から、自分に忠実であることを強いられ続けた周平。母と息子のいびつな絆が、やがて周平を祖父母殺害へ向かわせる。監督/大森立嗣出演/長澤まさみ、阿部サダヲ、奥平大兼ほか今夏、TOHOシネマズほか全国公開。※『anan』2020年5月27日号より。写真・岩澤高雄(The VOICE)スタイリスト・木村真紀(長澤さん)伊藤省吾(sitor/奥平さん) ヘア&メイク・小澤麻衣(mod’s hair/長澤さん)永瀬多壱(VANITES/奥平さん)取材、文・杉谷伸子(by anan編集部)
2020年05月22日大迫力のアクションも見どころの、映画『太陽は動かない』。過酷な撮影を共に支え合って乗り越えた藤原竜也さんと竹内涼真さんの、良き“相棒”ぶりとは?――お二人は同じ事務所の先輩後輩ですが、この共演を通してお互いに感じたことはありますか?藤原:この話をいただいた時、僕は舞台稽古や違う作品も重なっていたんです。そんな状況でトレーニングしろって言われてもムリじゃないですか(笑)。そうしたら涼真が僕の楽屋に来て、ずっと筋肉見せてくるんです。「めっちゃトレーニングしてるんですよ」って。不公平だと思いました。竹内:あはは(笑)、ちょうどその時期はヒマだったんで…。僕は竜也さんの作品は舞台も映画も毎回観に行かせてもらってたし、共演できるのは本当に嬉しかったです。藤原:共演して、涼真はストレートに感情表現をする、すごく素敵な俳優だと思った。竹内:嬉しいです。竜也さんは僕にとって頼もしい先輩。現場で芝居に迷った時は相談に乗ってくれるし、台本読んでいてどうしたらいいかわからなくなったり、行き詰まった時は、セリフ合わせに付き合ってもくれました。――いい先輩ですね。藤原:とか言いつつ、僕が連日のすさまじいアクションでいよいよキツくなってきたな…って時に涼真はトム・クルーズのアクション動画を見せてきて「ほら、トムだってこんなにやってるんだから、もっと頑張ってくださいよ」とか言ってくるんですよ。――それを見て、よし頑張るぞ、ってなるんですか?藤原:ならないでしょ!(笑)竹内:あはは!(笑)でもそうやって僕らよりもすごいアクションを見て、奮い立たせるしかなかったんです。藤原:スタートしたらやるしかないし、常にお互いに背中を押し合っていた感じはするね。竹内:そんな毎日の中で竜也さんは、ごはんとか率先して「行くぞー」って誘ってくれてありがたかった。酔っ払うとただのおじさんですけど(笑)、面倒見がすごくいい兄貴肌。(市原)隼人さんと撮影が重なっていた期間は、隼人さんが飲んで酔っ払うと部屋に送っていくのは竜也さん。そのあと解放された竜也さんがさらに飲んで酔っ払って、結局僕が、竜也さんを部屋まで連れて帰るという流れでした。藤原:さすが相棒!(笑)ふじわら・たつや1982年5月15日生まれ、埼玉県出身。舞台『身毒丸』でデビュー。代表作は『デスノート』や『カイジ』の実写シリーズ、映画『22年目の告白 ―私が殺人犯です―』など。ジャケット¥34,000(ヨーク/スタジオ ファブワーク TEL:03・6438・9575)シャツ¥43,000(バナナタイム/オー! ショールーム TEL:03・5774・1408)パンツ¥16,000(リーセンシィ オブ マイン アバハウス/アバハウス 原宿 TEL:03・5466・5700)シューズ¥36,000(フットストック・オリジナルズ/ギャラリー・オブ・オーセンティック TEL:03・5808・7515)たけうち・りょうま1993年4月26日生まれ、東京都出身。初主演はドラマ『仮面ライダードライブ』(テレ朝)。『過保護のカホコ』(日テレ)、『テセウスの船』(TBS)などで注目を集めた。ジャケット¥220,000パンツ¥106,000(共にエトロ/エトロ ジャパン TEL:03・3406・2655)シューズ¥65,000(パラブーツ/パラブーツ 青山店 TEL:03・5766・6688)Tシャツはスタイリスト私物『太陽は動かない』謎の組織AN通信に属する鷹野と田岡は、24時間ごとに本部へ定期連絡しなければ、心臓に埋め込まれた起爆装置が発動し5分で爆死する。二人は任務を遂げられるのか…。近日公開。5月24日よりWOWOWでドラマ版が放送。※『anan』2020年5月27日号より。写真・森山将人(TRIVAL)スタイリスト・小林 新(UM/藤原さん)徳永貴士(竹内さん)ヘア&メイク・赤塚修二(メーキャップルーム/藤原さん)佐藤友勝(竹内さん)取材、文・若山あや(by anan編集部)
2020年05月21日心臓に爆弾、リミットは24時間、ミッション失敗は爆死。映画『太陽は動かない』におけるかつてないアクションに、過去最強の肉体を作り上げて撮影に挑んだという、藤原竜也さんと竹内涼真さん。二人は、共に支え合い、過酷な現場を乗り越え、新境地を開いてきた。――映画を拝見して、日本のアクション映画の迫力やクオリティに驚き、またお二人の肉体づくりを含めた役に向き合う姿勢に圧倒されました。完成作を観た時、それぞれどう思いましたか?藤原:ありがとうございます。ひと言で言えば、大変な思いをした甲斐があったなぁと。ストーリー自体もすごく面白いんですが、改めて羽住(英一郎)組のパワーを思い知った感じです。竹内:繋がった映像を観てやっと、僕たちすごいことしたな、かっこいいことやってのけたなって思えて、またひとつ自信になりました。それから竜也さんが演じた鷹野の少年時代を演じた日向(亘)くんの芝居がすごくよかったし、初恋相手の詩織(南沙良)との青春の一ページも素敵でしたね。現場にいなかったぶん、鷹野という人間がどう形成されたのかがわかったし、一生懸命生きようとしている姿に感動しました。僕、鷹野の、少年時代のシーンが好きなんです。藤原:そうだね、鷹野と田岡との関係性、成長した二人の姿に加えて少年の鷹野とデイビッド・キム(ピョン・ヨハン)の戦いが、大人になってからの二人の戦いと交錯したりして、過去がしっかり描かれていることで人間模様がわかるというのは面白かった。――そして、やっぱり桁違いのスケールのアクションは緊張感があってパワフルで、圧巻でした。藤原:撮影前、羽住監督から「肉体づくりを含め準備をしておいてほしい」と言われたので、必死にトレーニングをして現場に入ったんです。でも実際は、想像をはるかに上回るアクションシーンが用意されていて、現場に行くたびにびっくりしていました。竹内:僕はまず羽住組に参加できることが嬉しかったし、羽住監督の作品を観ていたのでそのスケールの大きさは知っていたつもりでした。期待を超えてやるという気持ちでトレーニングをしていたので自分では万全な状態でしたが、竜也さんが言ったように、予想を超えるアクションの連続で…。藤原:毎日あざだらけだし、体は痛いしでキツかったね。でも(同シリーズのドラマ版と合わせて)半年間も撮影を続けて完成させたことは、僕らの自信になったと思う。――壮絶なアクションは1か所や2か所ではなく全編通してでしたが、とくに走行中の列車でのアクションシーンは印象的でした。藤原:ブルガリアでクランクインして約1か月滞在しながら撮影したんですが、列車のアクションもブルガリアで行ってスタントはほぼなし。安全第一は大前提だったけど、危険な状況も予測できる中、それでもギリギリのところを攻めていきたいって気持ちでした。竹内:列車を使ったアクションって、なかなか経験できないから少しワクワクしつつも、危険を伴うので入念な練習が必要で。古くて埃っぽい車両を8時間走らせっぱなしにしての撮影は、過酷だったんですが、熱量を落とさずに、できることを全て出した。今思うとすごく刺激的なシーンになったと思います。――体づくりは個々に、日本で行っていたんですか?藤原:日本でもそうだし、ブルガリアでもジム付きのホテルを用意してもらって毎日鍛えてたよね。涼真はブルガリアという未知の土地にもかかわらず、自分でジムを探して通ってたし。竹内:器具が充実しているジムがよくて。周りの外国人たちのムッキムキの体を見てモチベーションを上げてました(笑)。鍛えたおかげで、体調は最後まで絶好調。――二人いたからこそ、くじけそうな時も支え合えたのでは?藤原:そうなんです。一人だったら不安なシーンでも、涼真が率先していってくれたから僕が引っ張られた部分も多くて、二人だったから乗り越えられたと思う。竹内:そもそも羽住監督や撮影スタッフが僕らに要求することって、ちょっとおかしい(笑)。壮絶な撮影に慣れて麻痺しちゃってるんでしょうね。藤原:あははは(笑)。どんな要求にも僕らは応えているつもりなのに、誰も褒めてくれないもんな。結局いつも二人で褒め合ってた。竹内:明日も頑張ろうねって(笑)。――そういう関係性が、強いバディ感として表れていたように思います。鷹野も田岡も、もうダメだろうと思ってもどちらかが必ず助けに来るので心強かったです。藤原:僕らは特別、バディという関係性を作ろうとは思ってなかった。でも、監督が用意した環境に必死に食らいついていくうちに自然と距離は縮まり、結束は深まったんじゃないかなぁ、と。竹内:それに、異国で毎日撮影をして一緒にごはん食べて、お酒を飲んでたら距離も縮まりますよね。藤原:ヨハンが、ブルガリアで韓国料理屋に連れていってくれたんだけど、お店の人がものすごくいい肉を出してくれて、みんなで食べて、飲んで、めちゃくちゃ楽しい夜になったんです。そのあと涼真と「あの店美味しかったからもう一回行こうよ」って二人で行ったら、一向にその美味しいお肉を出してくれなかった(笑)。竹内:そうそう、明らかにランクの違うお肉が出てきて、竜也さんが一生懸命「あの時の肉を出してくれ!」って言ったんだけどダメでした(笑)。やっぱり韓国のスターは違うんですね。ふじわら・たつや1982年5月15日生まれ、埼玉県出身。舞台『身毒丸』でデビュー。代表作は『デスノート』や『カイジ』の実写シリーズ、映画『22年目の告白 ―私が殺人犯です―』など。ジャケット¥34,000(ヨーク/スタジオ ファブワーク TEL:03・6438・9575)シャツ¥43,000(バナナタイム/オー! ショールーム TEL:03・5774・1408)パンツ¥16,000(リーセンシィ オブ マイン アバハウス/アバハウス 原宿 TEL:03・5466・5700)シューズ¥36,000(フットストック・オリジナルズ/ギャラリー・オブ・オーセンティック TEL:03・5808・7515)たけうち・りょうま1993年4月26日生まれ、東京都出身。初主演はドラマ『仮面ライダードライブ』(テレ朝)。『過保護のカホコ』(日テレ)、『テセウスの船』(TBS)などで注目を集めた。ジャケット¥220,000パンツ¥106,000(共にエトロ/エトロ ジャパン TEL:03・3406・2655)シューズ¥65,000(パラブーツ/パラブーツ 青山店 TEL:03・5766・6688)Tシャツはスタイリスト私物『太陽は動かない』謎の組織AN通信に属する鷹野と田岡は、24時間ごとに本部へ定期連絡しなければ、心臓に埋め込まれた起爆装置が発動し5分で爆死する。二人は任務を遂げられるのか…。近日公開。5月24日よりWOWOWでドラマ版が放送。※『anan』2020年5月27日号より。写真・森山将人(TRIVAL)スタイリスト・小林 新(UM/藤原さん)徳永貴士(竹内さん)ヘア&メイク・赤塚修二(メーキャップルーム/藤原さん)佐藤友勝(竹内さん)取材、文・若山あや(by anan編集部)
2020年05月20日映画『ステップ』主演・山田孝之さんに、現場での様子を伺いました。娘を育てる父親の感覚が知りたくて、この作品への出演を決めました。「撮影の約1か月間は本当に辛かった。亡き妻がすぐそこにいるかのように、何をしていても脳内の目にはつねに妻の姿が映っていて…」物語は山田孝之さんが演じる健一が妻を亡くした1年後から始まる。スーツにリュックを背負い、ベビーカーを押して出勤前に娘の美紀(中野翠咲)を保育園に連れていく健一。突然父子家庭になってしまった親子の、リアルな日常が続く。「疑似体験ではあるけど、仕事に子育てに奮闘する父親が感じるであろう単純なイラつきや弱音は、その都度、全部芝居に吐き出すようにしていました。葛藤から生まれる自然な心情や怒りみたいなものをきれいごとにはしたくなかったんです」営業部の第一線から総務部に異動した健一は、家事や子育てをしながら学校行事に参加したり、妻の実家との付き合いを深めたり。父子の10年は着々と過ぎていく。成長に合わせて美紀を3人の子役が演じたが、山田さんはどのようにコミュニケーションをとってきたのだろう。「特別なことはしていません。2~12歳の間なんて感覚も言うこともすごく変わるじゃないですか。だからその時どきの子役と向き合っていれば美紀として成立すると思ったから。ただ、娘を持つ友達から『小学校に入るころには体は小さいのに中身は女になってるよ』って聞いてショックを受けていたんですが、男の子は父親への憧れや怖さから構えたりするけど、女の子はすべて父親に出してくるんだな、って思いました」ところで、健一のような等身大の役を演じる山田さんが、どこか新鮮に映る人も多いのでは…。「いまでは僕、何でもやってる人ですからね(笑)。というのも、20代後半からだんだん自分がやりたいことを選べるようになったら、放送される規模や役者としての番手に関係なく、芝居全体のスキルアップがしたいって思うようになったんです。それでここ10年ぐらいは、たくさんあるやりたいことに次々に挑戦してはもがいてきた感じで。だから、“変なことやるおじさん”みたいなイメージを抱いている若い世代が健一を見て『あれ…山田が普通だぞ、何もしてこないぞ』って思った時に、同情でも共感でも、何かの感情を抱かせてちゃんとこの作品に入り込ませることができるんだろうか、という疑問は少なからずありました。そういう意味でこの役に挑戦してみたかったという気持ちがあります。でも出演を決めた一番大きな理由は、もし僕に娘がいたらどんな存在になるんだろう、娘を育てる父親ってどんな感覚なんだろうというのが知りたかったから。娘を男手一つで育てる健一として生きた1か月ぐらいは僕の思い出のひとつだし、辛かったけどいい経験ができました。ちなみに、みんなが理解できないようなバストの測定(300人の女性のバストを山田さんが測定するイベント)も、僕の中では考えがあってのこと(笑)。先々絶対に自分の中でつながってくるんです。いまはまだ体力があるうちに、ひたすら自分のアイデアを仕事に投げ込みまくりたいし、僕の場合、やりたいと思ったことはもうその瞬間から動きだしているんです」映画『ステップ』監督・脚本・編集/飯塚健原作/重松清出演/山田孝之、伊藤沙莉、川栄李奈、広末涼子、余貴美子、國村隼ほかある日突然、父子家庭となった健一と美紀の10年間を描いたヒューマンドラマ。4月3日より公開。やまだ・たかゆき1983年10月20日生まれ、鹿児島県出身。役者として映画やドラマなどに出演し表舞台に立つ傍ら、近年はドラマや映画の製作などにも携わり、プロデュース・企画の分野でも才能を発揮する個性派。シャツ¥50,000パンツ¥124,000(共にYOHJI YAMAMOTO/ヨウジヤマモト プレスルーム TEL:03・5463・1500)シューズ¥22,000(Dr.Martens/ドクターマーチン・エアウエア ジャパン TEL:03・6746・4908)※『anan』2020年4月8日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・澤田石和寛ヘア&メイク・灯(ROOSTER)インタビュー、文・若山あや(by anan編集部)
2020年04月06日「自分にとって宮藤さんの作品に出るのって、何かお祭り感というか特別な感じがするんです」と言う柄本佑さん。その理由を伺うと、うーんと首をひねって「単純に作品が好きだからじゃないかな」と返す。柄本さんがこのたび出演するのは、宮藤官九郎さんが、その時やりたいことをやりたい俳優たちと自由に表現するウーマンリブシリーズ。それまで映像作品には出演しているけれど、宮藤さんの舞台は今回が初。『もうがまんできない』と題した作品は、“現代人のストレス”がテーマとか。「宮藤さんの作品がいいなと思うのは、侘び寂びのようなものを感じさせるところ」「日常には“がまんできないこと”が山ほどありますよね。がまんできない人たちが観に来て、がまんできない人たちが言っちゃいけないことを言ったりして発散している姿を観ていただいて、すっきりしていただくという作品なのかなと思います」ウーマンリブシリーズというと、宮藤さん流の、いい意味でくだらなくてバカバカしい笑いが盛りだくさん、なイメージ。でも、柄本さんによれば「爽やかで、印象としては青春ドラマ」なのだとか!?「僕は宮藤さんが監督された映画のなかで『中学生円山』が一番好きなんですけれど、すごく笑えるのに、観てるとなんだかグッとくるんです。宮藤さんの作品って、ファンタジーというかロマンティックなものが、日常のなかに落とし込まれている気がします。とくにいいなと思うのは、そこに侘び寂びのようなものを感じさせるところ。“こうだぞ”って出してくるんじゃなく、扉を少し開けてチラ見せする感じ。たとえば大河ドラマ『いだてん』の関東大震災の場面で、奥さんが見つからない哀しみを、米が硬いって言ってしまったことを悔いる姿で見せていく。そういうセリフのセンスとか面白さとかに粋を感じるんですよね。一見すると日常なんだけれど、気づいたらフィクションのほうに飛んでいる。その境界線を曖昧に見せていく技術がすごいなと思います」演じるのは、要潤さん扮する相方とコンビで活動するも、まるで売れないお笑い芸人。劇中ではコントや漫才にも挑戦する。「お正月に『爆笑ヒットパレード』とかをずっと見てる」ほどのお笑いファンゆえ稽古当初は緊張していたそうだけど…。「稽古が少し進んでいま感じているのは、あまり考えずに普通にやるのが大事なんだなってこと。必要なことはすでに物語とかセリフに書かれているわけで、それをやる…そもそもそういう仕事だなぁ、と」そんな柄本さんの、いま“がまんできないこと”とは?「小田急線下北沢駅のエスカレーター。あれ、長すぎでしょ。あんなに深いところにホームを作らなくてもよかったんじゃないの、と(笑)」ウーマンリブvol.14『もうがまんできない』売れずに関係が行き詰まっているお笑いコンビ(柄本佑、要潤)、やめたいのにずるずる関係を続けている不倫カップル(阿部サダヲ、平岩紙)など、がまんできないことを抱えた人々を描いた群像劇。4月2日(木)~5月3日(日)下北沢・本多劇場作・演出/宮藤官九郎出演/阿部サダヲ、柄本佑、宮崎吐夢、荒川良々、平岩紙、少路勇介、中井千聖、宮藤官九郎、要潤、松尾スズキ前売り・当日7000円ヤング券(22歳以下)3800円*共に税込み大人計画 TEL:03・3327・4312(月~金曜11:00~19:00)大阪公演あり。えもと・たすく1986年12月16日生まれ、東京都出身。前クールのドラマ『知らなくていいコト』の尾高役が大きな話題に。そのほかの近作にドラマ『心の傷を癒すということ』などがある。※『anan』2020年4月8日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・林 道雄ヘア&メイク・根本亜沙美インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2020年04月05日俳優のみならず、近年は舞台の出演やMVの監督・プロデュースでも才能を発揮している、神木隆之介さん。アニメーション監督の新海誠監督が“俳優・神木隆之介”の色気について語ってくれました。『天気の子』では青年としての色気に腰が抜けそうに。役者は感情を表現するのに全身を使いますが、神木くんは優しさ、雄々しさ、色っぽさなんかを、声という彼固有の「音」だけで演じることができてしまう。声の持つ情報量が、普通の人よりとても多いのが魅力ですね。芝居の勘が抜群によくて、アニメーション作品に必要な「間合い」や「息芝居」というものを、理屈でも体感でも完璧に把握していると思います。考えることが大好きで、演じることも大好きで、作品も愛している神木くんと仕事をすることは、最高に楽しいですよ。素顔のときは「あなたのことが好きだから、僕は今あなたと話しているんですよ」と思わせてくれる。手のひらの上で踊らされているだけかもしれないけれど(笑)、とても素敵な資質だと思います。宮崎駿監督の『ハウルの動く城』では、マルクルの芝居のあまりの可愛らしさに一観客として悶絶しました。僕が『君の名は。』を監督したときには声の青春感、爽やかさに聞き惚れましたし、『天気の子』では青年としての色気に腰が抜けそうになりました(笑)。これからも声の演技もたくさん聞かせてほしいけれど、あまり他のアニメには出演しないでいてほしいです。嫉妬しそうだから(笑)。しんかい・まことアニメーション監督。2002年、短編作品『ほしのこえ』でデビュー。’16年、神木さんが声優を務めた『君の名は。』が国内外で高い評価を受け、続く『天気の子』も大ヒット。かみき・りゅうのすけ1993年5月19日生まれ、埼玉県出身。近年は舞台の出演やMVの監督・プロデュースでも才能を発揮。最新作『連続ドラマW 鉄の骨』は、4月18日(土)22時よりWOWOWプライムにて放送スタート。全5話・第1話無料放送。ジャケット¥24,000シャツ¥11,800トラウザーズ¥13,800(以上メゾン スペシャル/メゾン スペシャル青山店 TEL:03・6451・1660)※『anan』2020年4月1日号より。写真・ティム・ギャロスタイリスト・百瀬 豪ヘア&メイク・MIZUHO(vitamins)取材、文・兵藤育子(by anan編集部)
2020年03月31日世界的にも知られる浮世絵師・葛飾北斎というひとりの人物に映画『HOKUSAI』で役を通して向き合った柳楽優弥さんと田中泯さんのおふたり。演じる中で感じた、表現者にとっての道しるべとは。――映画『HOKUSAI』で、片や青年期、片や老年期の北斎を演じた柳楽優弥さんと田中泯さん。柳楽:今回、泯さんと同じ役柄を共に演じられたというのは、すごくハッピーなことでした。田中:僕もハッピーでしたよ。もともと不器用で、なんでもできる人間じゃありません。北斎は実在したことははっきりしているのに、実像はわかっていない。その人を演じるのだから、こんなヤバイことないですよ。柳楽:ほんとヤバいですよね。それこそ北斎の青年期って、調べても調べても情報が全然出てこないのですごく難しくて。監督たちと何度も話し合って、あんまり繊細な感じではなく、アーティストらしいアクの強さを目指しました。田中:この映画のある場面で、ふたりの北斎が共演しているシーンがあるんだけれど、あれが僕はすっごく楽しかった。柳楽:僕もです。田中:現実にはありえない場面だし、隣にいるだけなのに、なんというか…自分の中で感覚が混ざっていく感じがあったんだよね。柳楽:確かに僕にもそんな感覚がありました。不思議ですよね。――青年期の北斎は、人気絵師を次々と発掘し世に送り出していた名プロデューサーである蔦屋重三郎に目をかけられながらも、才能を開花しきれずくすぶり続ける。それでも絵に執着し、描かずにいられない北斎の姿に、表現者として共感する部分はあるのだろうか。田中:北斎にとって絵を描く行為は、好きかどうかを超えた当たり前のことで、若い時からずっと、描き続けなければというモチベーションでいたんだろうと思います。それまで浮世絵といえば人物画が当たり前だったのに、突然自然の風景を描いたのも、ため込んでいたモチベーションが絵を描かせた…というか絵になったとしか思えない。僕もそういう意味では、踊らないとダメです。言葉でしゃべることよりも、僕にとっては踊ることのほうが本当で、それができなかったら生きていけない。柳楽:僕はどうだろう…。演じることは好きだし、ずっとやっていきたいなと思っています。でも、どうやったらうまくなるんだろうと思っても、なかなかうまくならないんです。考えれば考えるほど演技の奥深さに迷ってしまって。田中:何をもってうまいというかっていう問題もあるからね。僕は迷う前に無理だって諦めてるよ。柳楽:僕も、泯さんみたいな境地にいけたら楽になるんですかね…。――そんなふたりが考える色気、そして色気を感じる表現者とは?柳楽:ブレずに生きるってすごく勇気のいることだと思うんです。僕はなかなかそうなれないから、自分らしい生き方をきちんと確立できている人に憧れますよね。田中:僕も自信を持って生きてきた人じゃないもので、つねにグラグラしていたけれど、それをよしとしてきたんだよね。もともと自信なんてものは、自分の気の持ちようで、そんなものを根拠に生きてもしょうがないと思ってる。自分がどんなにグラグラしててもいいんです。大事なのは、何にも頼らずにひとりで歩いている自分が、一番かっこよくいられているかどうか。人に見えている自分なんてどうでもいいんだよ。他人なんて、いつかいなくなっちゃうかもしれないし。柳楽:すごくいい考え方ですね。いまのような情報が多い時代って、人の評価に左右されたり、誰かの価値観に自分を合わせてしまったりしてしまいがちだと思うんです。僕も流されやすいところがあるので、とても興味深いですし、これから先、生きていくうえでのヒントがあるような気がします。田中:北斎なんて、それまでの浮世絵の価値観をひっくり返しちゃったわけだから本当にすごいよね。やぎら・ゆうや1990年3月26日生まれ、東京都出身。映画『HOKUSAI』は5月29日に全国公開。6月27日に30歳記念のアニバーサリーブック『やぎら本』が発売、7月には主演ドラマ『二月の勝者』も控える。シャツ¥24,000パンツ¥36,000(共にアトウ/シアンPR TEL:03・6662・5525)シューズはスタイリスト私物たなか・みん1945年生まれ、東京都出身。クラシックバレエ、モダンダンスを学び独自のオドリの道へ。ダンサーとして国内外で活動する一方、ドラマや映画でも活躍。9月公開の映画『峠 最後のサムライ』に出演。ジャケット¥218,000パンツ¥66,000(共にYOHJI YAMAMOTO/ヨウジヤマモトプレスルーム TEL:03・5463・1500)※『anan』2020年4月1日号より。写真・宮崎健太郎スタイリスト・長瀬哲朗(柳楽さん)九(Yolken/田中さん)ヘア&メイク・佐鳥麻子(柳楽さん)横山雷志郎(Yolken/田中さん)取材、文・望月リサ(by anan編集部)
2020年03月31日心地よいベッドルームで一日の終わりにリラックス。深く眠って翌朝はしゃっきりと――。『anan』の眠りの色気論で“ぐっすり女子”を演じてくれた黒島結菜さん。「いつでもすぐに寝られる」のが特技だそうで、「移動中など、どこでも寝てしまいます(笑)」。黒島さんに睡眠について聞きました。寝入るのも起きるのもスムーズ。あまり悩まないタイプです。ドラマやCMに立て続けに出演し、昨年はヒロインを務めた映画も。注目の女優として多忙な日々を送りながらも、自然体でヘルシーオーラに満ちている黒島さん。魅力の秘密は、その眠り方に?「実は半年ほど前から、着るものにこだわっています。それまで適当なTシャツとジャージーで寝ていたら、寝汗をかくようになって。カレーの沼で泳いだりとかヘンな夢をよく見るので(笑)、そのせいかな、と思っていたのですが…」そこで、オーガニックコットンのTシャツを試してみたそう。「すごく肌触りが良くて、お気に入りに。寝汗もかかず快適です」そしてもうひとつ大切にしているのが、3年前に迎えた愛犬のコハダちゃんとの散歩の時間。「季節を感じながら一緒に歩く、大事なひととき。どんなに疲れていても必ず行きます。この散歩も、快眠の理由のひとつかな」来月スタートのドラマでは、コンサルティング会社の新入社員を演じる。撮影の調子も、日々の上質な睡眠のおかげで上々のよう。「現場の雰囲気が大好き。撮影用のラーメンがおいしくて、いつも完食しています(笑)。しっかり眠って体調を整え、臨みます!」くろしま・ゆいな女優。1997年3月15日生まれ、沖縄県出身。4月20日スタートのドラマ『行列の女神~らーめん才遊記~』(テレビ東京系、毎週月曜22:00~)で、ラーメン店のコンサルティング会社の新入社員を演じる。トップス¥11,000中に着たタンクトップ¥8,500(共にJAMES PERSE/JAMES PERSE 青山店 TEL:03・6418・0928)靴下¥1,600(SOCK DREAMS/ぽこ・あ・ぽこ TEL:03・3477・5006)『ハンス J ウェグナー』ソファ¥1,180,000テーブルの上の鉢(受け皿付き)¥2,000(共にタイトルズ)ショートパンツはスタイリスト私物※『anan』2020年4月1日号より。写真・大辻隆広(go relax E more/黒島さん)スタイリスト・赤石侑香(辻事務所/黒島さん)中根美和子(プロップ)ヘア&メイク・奥田新菜取材、文・新田草子撮影協力・AWABEESTITLES(by anan編集部)
2020年03月29日世界から注目を集めた映画『誰も知らない』。この作品が公開されたのは14歳の頃。その当時から、人を惹きつける不思議なムードを纏った少年だった。あれから16年。30歳を目前にした柳楽優弥さんは、10代の頃のシャープな色気からおおらかで穏やかな色気を漂わせる俳優になった。人間的な引き出しが、色気として表れるんじゃないかと考えています。「色気って…なんなんでしょう。以前、役柄の参考になればと思って色気について調べていた時、たまたま見つけた本に“隙が色気だ”って書いてあったんです。確かに、完璧すぎる人よりも隙がある人のほうが惹きつけられますよね。ただ、その隙っていうのをどこでどう出すのかを真面目に考えすぎてしまって、結果、よくわからないっていう…(笑)」軽やかな口調でそう言って笑う。「ただ、色気って年齢を重ねることで増すものだと思っているんです。色気を感じるのも年上の方のほうが多いです。いろんな経験を経ることで人間的な引き出しが増えて振る舞いが熟練されてくると、それが色気として表れるんじゃないかと」映画『HOKUSAI』で共演した田中泯さんは、そんな理想的な年の重ね方をしているひとり。「泯さんみたいにカッコいい年の重ね方をしたい」と語る。「お話を伺っていると、自分のことを大切にしながら、丁寧に毎日を過ごされているんだろうと感じます。僕、誰にも負けたくないっていう気持ちが強い人間だと思うんです。でも、負けたくないっていう、その勝負の基準はなんなんだって言われたらわからない。自分が勝手に決めたルールで勝ったの負けたのって、すごくばかばかしいですよね。他人を自分の基準にするのはやめて、やるべきことに集中するのが30代に向けたいまの課題です」本人は自らの色気には自覚がないのかもしれない。しかし、前述の映画で柳楽さんが演じた葛飾北斎は、内から溢れ出るような絵への情熱とともに、燃えるようなエネルギッシュな色気を放っていた。「僕がいま俳優をここまで続けられているのは、お芝居が好きな気持ちと、根拠のないエネルギーがあったから。きっと北斎も、若い時ならではの怖いもの知らずなところがあったんじゃないかと思ったんです。うまいことやれたかはわからないけれど、自分にも同じようなところがあったと思うので、その経験を引っ張り出してきた感じです」映画の中に印象的なシーンがある。絵がなかなか認められず各地を放浪していた北斎が、海を目の前にして走り出す場面だ。「台本にはとくに何の説明もなかったんですけれど、自分が演じる以上、場面に説得力を持たせたいという気持ちがありました。いろいろ考えた時に、あれは人生を諦めようとしていたのかもしれないと思ったんです。それを監督に相談したら、それでいきましょうってなって。たくさん悩んだけれど、提案できる現場でよかったです」迷いや不安もさらけ出しあがき続ける。完璧じゃないからこそ、骨太ないまの柳楽さんの魅力に繋がっているのかもしれない。「失敗することをあまり恐れすぎずチャレンジしていきたいと思っているんですよね。役を成立させるためにした努力も失敗も、全部無駄にはならない。そうやって役者としての幅を広げていければいいなと思っています」やぎら・ゆうや1990年3月26日生まれ、東京都出身。映画『HOKUSAI』は5月29日に全国公開。6月27日に30歳記念のアニバーサリーブック『やぎら本』が発売、7月には主演ドラマ『二月の勝者』も控える。シャツ¥24,000パンツ¥36,000(共にアトウ/シアンPR TEL:03・6662・5525)シューズはスタイリスト私物※『anan』2020年4月1日号より。写真・宮崎健太郎スタイリスト・長瀬哲朗ヘア&メイク・佐鳥麻子取材、文・望月リサ協力・AWABEES(by anan編集部)
2020年03月28日ときにあどけなく、ときに色っぽく…様々な表情を披露してきてくれた吉沢亮さん。2020年3月に50周年を迎えたananにおいても、巧みな演技力でどんな撮影もお手のものかと思いきや、撮影中の意外(?)な心境を語ってくれました。過去の掲載号の中から、吉沢亮さんが「これ、覚えてます」と嬉しそうに手に取ったのは’13年の1886号。「やっぱりananさんは有名なので、そんな雑誌に大きく出させてもらう日がくるとは、と思った記憶があります」まだあどけなさが残る表情が印象的だった1886号から一変、’18年の2093号「官能の瞬間」をテーマにした撮影では、大人の色気を見せつけてくれた。「これは今までananに出させていただいた中でも、一番好きな写真。カメラマンの樽木(優美子)さんが、すごくやりやすかった印象があります。僕は『笑って』と言われるのが苦手なんですが(笑)、このときはただひたすら自由に動いて、二人で探り合いながら撮っていったのを覚えています」そして’20年の2190号をはじめ、ananの人気特集、モテコスメ大賞には2度にわたって表紙に登場。実はこの企画で2度表紙を飾るのは吉沢さんが初!「そうなんですか!?嬉しいなぁ。こうやって表紙に出させていただけるなんて、本当にありがたいです。初対面の女性との撮影はかなり照れくさいんですけど、このときはドラマや映画で共演している(広瀬)すずちゃんが相手だったから、かなりやりやすかったです」その他の登場回も、「ananの撮影は全部覚えています」と、ありがたいお言葉。「ananは誰がこんな表紙をやったとか、ネットニュースでも取り上げられるじゃないですか。話題になる企画も多いですし。だから印象に残っているんだろうなと思います」今後ananでやってみたい企画を尋ねると、深く考え込んでしまった吉沢さん。そこで恒例のカラダ作り企画を提案してみると…。「今、大河ドラマ『青天を衝け』の撮影に備えて、絶賛カラダ鍛え中なんです。演じる渋沢栄一さんが若い頃、だいぶマッチョだったみたいなので、一応鍛えておこうかなと。ただ、役作り以外でカラダを鍛えることはあまり得意じゃないんです。なのでそれよりも、『モテコスメ』特集の表紙登場回数の記録更新を目指していこうと思います(笑)」No.1886(2013年12月25日号)完璧な顔面力に目が釘付け!異例のドアップカット。当初は引きの写真を予定していたものの、協議の結果、吉沢さんの顔面力が発揮されているこちらのカットに決定。「テーマは女性に作ってもらいたい料理でしたよね。僕はクリームシチューと答えた気が…あ、やっぱり」No.2093(2018年3月14日号)アンニュイな大人の色気に陥落するファンが続出!恒例企画になりつつある女性写真家×若手俳優のグラビア。樽木優美子さんが撮り下ろしたこちらの写真は、ananの中でも一番好きと吉沢さん。「空間込みで好きな写真。特に気に入っているのは右上のカットです」No.2190(2020年3月4日号)人気のモテコスメ特集で2度表紙を飾るのは史上初!毎回、男女の甘く切ないフォトストーリーが話題になるモテコスメ特集。このときのお相手は、共演歴のある広瀬すずさん。「照れますけど、割り切ってやってます(笑)。相手がすずちゃんだったので、自然体でできました」よしざわ・りょう1994年2月1日生まれ、東京都出身。俳優。出演映画『一度死んでみた』が3月20日、『さくら』が今秋公開予定。2021年のNHK大河ドラマ『青天を衝け』では主演を務める。ストライプシャツ¥32,000(ヨーク/スタジオ ファブワーク TEL:03・6438・9575)ジャンプスーツ¥66,000(ジョン メイソン スミス)スニーカー¥35,000(ヨーク) 共にHEMT PR TEL:03・6721・0882その他はスタイリスト私物※『anan』2020年3月11日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・荒木大輔ヘア&メイク・小林正憲(SHIMA)取材、文・菅野綾子(by anan編集部)
2020年03月09日ある時は注目の俳優として、ある時は憧れの対象として、そしてある時は、男女の物語の表現者として…。2020年3月に50周年を迎えたananにおいても、登場を重ねるごとに、イメージを裏切っていく高橋一生さん。誌面を作り上げていく心構えは、芝居にも通じるものが。17年の「官能の流儀。」特集での、男女のセクシーなシーンがとても話題に。「当時の心境からすると、なぜ自分に白羽の矢が立ったんだろう…でした。発売されたのは大河ドラマ『おんな城主 直虎』と『カルテット』を同時に撮っていた時でしたが、撮影はそれよりも前でしたから」そう言ってにっこり柔らかな笑顔を向ける。「あのタイミングで、コイツを表紙にしてOKだと思ってくださっていたと思うと、ありがたいという気持ちしかないです。ananというと、名だたる俳優の方々や旬の男性方を取り上げてきたイメージがあります。その雑誌に“これからくるかもしれない”と言われるなんて、悪い気はしません(笑)」撮影時の感想を伺うと、「ただ撮られるのではなく、被写体として一緒に作品をセッションしている感覚で面白い体験だった」と話す。それはこちらも同じ。優しく、色っぽく、謎めいて…撮影イメージを伝えると、丁寧に咀嚼しつつ協力態勢で臨んでくれる人だ。「女系家族の中で育ってきているからか、女性が何を望んでいるのかに敏感なのかもしれません。自分の個性やイメージなんて、周りが定義する高橋一生というものをコラージュしてできていると思うんです。ならば、周りから求められているもの全部に応えていったらどうなるか…そこに興味があって」それを仕事で実践していたのが、まさにこの時期。挑戦を重ね、「回り回って、結局芝居に誠実に向き合うしかないんだって気づいた」と話す。ならば、雑誌の取材を受けることにはどんな意味を感じているのだろう。「刹那的でいいなと思っています。撮影でもインタビューでも、意図せず反射的に自分から出てくるものがあって、それが面白いよねとなることもあるんです。写真や文字に残ることで当時の自分を思い出すこともありますし、どんなに演じているつもりでも、誌面から自分の人間性が透けて見えることもあって…。それを含め楽しませてもらっています」そんな高橋さんらしく、次にananでやってみたいことも、「高橋一生でこれが見たいと声をかけていただいたもの」との答え。「本当はあるんですけれど、言ったら叶わなくなりそうなので言わないでおきます(笑)」No.2043(2017年3月8日号)あふれた愛が官能を生み出す。大人の色気漂うヌードが話題。発売が発表されてから、編集部には読者からの問い合わせの電話がひっきりなしで、あらためて高橋さんの人気を実感。「相手のモデルの方がものすごく緊張していらして、安心させようと反対に冷静になれた気がします」No.2070(2017年9月27日号)恋人に向けた眼差しの優しさ。幸せ感に満ちたグラビアに。人気企画「モテコスメ大賞」のなかで、幸せなカップルの甘い週末をイメージしたグラビアをスペシャルフォトブックで展開。インタビューでは、女性のメイクへの考えや、女性に美しさを感じる瞬間などについて伺った。No.2087(2018年1月31日号)斎藤工さんがチョイス。ふたりが名作の世界の中に。斎藤工さんとのコンビで登場いただいた「選択の技術。」特集では、映画の名シーンをイメージしたシューティングに。「工さんは、俳優としても監督としても大好きな人。その人とモノづくりができたことがうれしかった」たかはし・いっせい1980年生まれ、東京都出身。俳優。数々の映画・ドラマ・舞台で活躍。4月スタートの連続ドラマ『竜の道 二つの顔の復讐者』(火曜21:00~カンテレ・フジテレビ系)に出演。パーカ¥63,000パンツ¥69,000スニーカー¥69,000(以上マルニ/マルニ 表参道 TEL:03・3403・8660)その他はスタイリスト私物※『anan』2020年3月11日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・秋山貴紀ヘア&メイク・田中真維(MARVEE)取材、文・望月リサ(by anan編集部)
2020年03月08日若手俳優の頃から、クリエイターとしても幅広く活躍する現在に至るまで、キャリアの中のさまざまなタイミングでanan誌面にご登場いただいている俳優の斎藤工さん。2020年3月に50周年を迎えたananの数ある出演企画から、特に印象的なものを伺いました。今や“色っぽい男”の代表格でもある俳優の斎藤工さん。お一人ではもちろん、高橋一生さんや小嶋陽菜さんをはじめとするコラボレーション企画でも、誌面に男の色気と艶を添えてくれた。「(掲載誌を見ながら)顎に手を置いた写真が多いですね。これが、僕の“ananポーズ”なんだと思います(笑)。特に印象深いのは、一生さんとの撮影。僕が選んだ映画をテーマに撮るというお題があり、普段よりも企画に一歩踏み込んで参加した感覚がありました。緊張感もすごかったです。というのも、当時、一生さんは、僕にとっては初めて監督した長編映画の主演でした。映画の現場では言葉じゃないところで会話をしていたし、“撮り終わっても気安く一緒にごはんに行くのはやめよう”という、侍のような空気が漂っていたんです。だから、連絡先は知りながらもコンタクトをとっていなかった。この撮影は、そんな状況の中で久しぶりにお会いするタイミングだったので、すごく記憶に残っています。どなたかとコラボレーションする時は、予想もできない関係性を作為的に作るという作業がのっかるので、とてもクリエイティブだと思います」ananで撮影した写真には、「特別な空気感や品位が漂っています」と斎藤さん。「映画にも似たエモーショナルな感じというか、聡明な匂いと光のようなイメージです。自分で映画を作るようになり、目指す世界観をスタッフと共有するために心が動いた写真や描写をアーカイブしているのですが、その中にananの写真もたくさんありますから。すごいと思うのは、編集部の“旬”に対する嗅覚の敏感さ。この先注目されるであろう人をいち早く見つけ、パブリックイメージを膨らませてくれますよね。僕自身、『昼顔』に出演するまではananが自分の代名詞だったし、特徴のない俳優だった僕に、多くの方が『ananを見たよ』と話を振ってくれて、本当に助けられました。見た目の部分だけではなく、“自分がどういう男なのか”というような、芯をとらえた一面を照らしてもらっている気もします。アウトプットの強力な味方であり、出ることで箔が付く雑誌だと思います。今後も、ananと斎藤工だからこそできることをやれたら嬉しいですね。たとえどんなにくだけた企画だったとしても(笑)、僕がやることに意味を見出して、白羽の矢を立ててくださると思うので頑張ります」No.1652(2009年3月25日号)俳優仲間と一緒に立ち上げた演劇ユニットの集会に潜入。大竹浩一さん、波岡一喜さん、福士誠治さんと作った演劇ユニット「乱‐run‐」を紹介。「いち早く取り上げてくれたのがananさんでした。自発的に踏み出した活動をする時に、いつも背中を押してくれる。ありがたいです」No.1656(2009年4月22日号)斎藤さんのモテ手相を大久保佳代子さんが鑑定!日笠雅水さん指導のもと、大久保佳代子さんが斎藤さんの手相を観るというユニーク企画。「大久保さんとお会いするたびに、この話をしています。日笠さんは母の親友で、生まれた時から手相を観てもらっているんですよ」No.1833(2012年11月28日号)男のホンネ特集では、美しいヌードを披露。当時31歳。色気あふれるグラビアと、赤裸々な男心を披露して話題に。「ストーリー性のある撮影だったことを覚えています。僕自身、ananの一読者として、より興味深い誌面になればという思いを持って挑みました」さいとう・たくみ1981年生まれ、東京都出身。俳優。企画、原案、撮影、脚本、監督をつとめた映画『COMPLY+-ANCE』が公開中。出演する『糸』が4/24に、『騙し絵の牙』が6/19に公開される。シャツ¥84,000 タンクトップ¥68,000パンツ¥90,000シューズ 参考商品(以上ロエベ/ロエベ ジャパン カスタマーサービス TEL:03・6215・6116)※『anan』2020年3月11日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・川田力也ヘア&メイク・くどうあき取材、文・重信 綾(by anan編集部)
2020年03月08日三池崇史監督作品『初恋』で主演を務める窪田正孝さんに、撮影現場の様子を聞きました。僕が三池さんを海外へ連れていく。そんな夢もできました。「ジェイク・ギレンホールの『サウスポー』を観て、自分もボクサーを演じたいとマネージャーに話していたんです。まもなくして、このお話をいただきました。たまたまという言葉では片付けられない、運命みたいなものを感じました」三池崇史監督との約10年ぶりの本格タッグが話題の『初恋』。なにしろ、テレビドラマ『ケータイ捜査官7』(‘08年)で主演に抜擢した三池監督の「10年後に窪田正孝を起用した理由がわかる」という言葉に応えるべく歩んできたのだ。その眼力確かな監督の初のラブストーリーで演じるのは、余命が短いことを告げられたボクサー葛城レオ。何者かに追われる少女モニカを助けたことから、昔気質の武闘派ヤクザや悪徳刑事が入り乱れる抗争に巻きこまれていく。壮絶なアクションと笑いが炸裂する三池ワールドのなか、確かに恋が生まれていく世界に感動せずにいられない。「『初恋』というタイトルに戸惑う映画ですよね(笑)。クライマックスの撮影とか、よく死人が出ないなと(笑)。でも、そんなふうに初恋というものとほど遠い人たちが命を燃やすなかで、ひとつ花が咲いたところが、僕はとても好きだったので。キスとかラブシーンで恋を描いていない構成に身を置いたときに、すごくしっくりくるものがありました。普段、人前でイチャイチャしたりしないじゃないですか(笑)」試合シーンでは本物のボクサーを相手に演じた。そんなレオのハードさも、モニカに見せる優しさも寡黙さのなかに浮かびあがらせるあたりはさすがの実力。三池監督にもこの10年の成長を見せられたはず。「見せたいという意識はすごくあったんですけど、そう思ってる時点でかなわない。ただ、モニカ役の小西桜子ちゃんが当時の自分とまったく同じ立ち位置だったんですね。10年前は自分のことでいっぱいいっぱいだったけど、今回は彼女がいちばん良く見えるように誘導していく作業はしていて。成長というか、監督もそういうところは見ていてくださったみたいで」“世界のミイケ”と各国の映画祭に参加したことも刺激になった。「海外は自分にはほど遠いものだと思っていたけれど、欲も出てきました。ハリウッド映画に出たいというのではなく、面白い人たちと世界に認められる日本の映画を作っていきたい。今回はカンヌも監督のお名前で呼んでいただいたんですけど、次は僕が三池さんを海外に連れていきたいという夢もできた。いつになるか、わからないですけど(笑)」しかし、それだけ心酔している三池さんの連絡先を知らないそう。「連絡先を聞くことは、多分これからもないですね。三池さんとは現場で役者と監督という立場でしかいたことがないので、そうじゃない空間だと照れくさい(笑)。何年ぶりかで仕事でご一緒したときにいろいろ話を聞かせていただくという距離感が、ちょうどいいのかな。すごく大きな影響を受けた監督なので、余計そう感じるのかもしれないですね」『初恋』完全オリジナル脚本にして、三池監督初となるラブストーリー。監督/三池崇史脚本/中村雅出演/窪田正孝、大森南朋、染谷将太、小西桜子、ベッキー、村上淳、滝藤賢一、内野聖陽ほか2月28日全国公開。くぼた・まさたか1988年8月6日生まれ。神奈川県出身。‘06年に俳優デビュー。『ケータイ捜査官7』(‘08年)でシリーズ監督・三池崇史に主演に抜擢される。‘20年度前期の朝ドラ『エール』で主演を務める。※『anan』2020年3月4日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・菊池陽之介ヘア&メイク・及川美紀(NICOLASHKA)インタビュー、文・杉谷伸子(by anan編集部)
2020年02月28日イギリスで初演されて以降、世界各地で上演されている作品『エブリ・ブリリアント・シング~ありとあらゆるステキなこと~』に出演する佐藤隆太さんに、お話を聞きました。観客と出演者が語らう形で進行するユニークで新しい上演形態も話題!放送中の朝ドラ『スカーレット』で草間役を好演中の佐藤隆太さん。これまで“動”の役を演じることが多かったけれど、今回は戸田恵梨香さん扮するヒロイン・喜美子を見守る穏やかな“静”のキャラクターだ。「最近、芝居に対しての恐怖心みたいなものが、以前と比べると薄くなってきたんです。今までは、ちょっとクセがあったり、何か引っ掛かりがある芝居のほうが安心できるというか、力まずにそこにいるだけの芝居が苦手だったんです。でも最近、言葉に出さなくても感じさせたり、通じ合うことができたら楽しいよなって思うようになっています」そんなふうに心境が変化したのは、ちょっとしたきっかけから。「少し前にドラマの現場で、監督が求めるものに自分の気持ちが追いつかず、迷ってしまったことがありました。いつになくしんどくなってしまって、デビュー作からお世話になっている先輩の山本耕史さんに電話したんです。そうしたら、僕らの年になったら自分がやりたいことをぶつけていくんじゃなく、覚悟を決めて現場で求められている役割に徹することも必要だと言われて。そこから、仕事に対して今までとは違うアプローチというか、楽しみ方ができるようになってきました」デビューから20年。今回、その節目にふさわしい新たな舞台に挑む。『エブリ・ブリリアント・シング』のキャストは佐藤さん一人きり。主人公が自らの物語を客席に語る形で進行し、時には観客を登場人物に見立ててセリフを交わしたりも。「最初に出演のお話をいただいた時は驚きましたし、ひるみもしました。自分がやったらどうなるかをいくら考えても想像がつかない。でも、だからこそ思い切って覚悟を決められた気がします」イギリスで初演されて以降、世界各地で上演されている作品で、実際に佐藤さんもアメリカ・ユタで行われていた公演を観に行ったそう。「これが本当に素晴らしかったんですよ。最初こそ自分に得られるものがあればと思って観ていたけれど、始まったらそんな気持ちはすぐに忘れて純粋に観客の一人になっていました。生身の人間が約1時間喜怒哀楽を表現して、汗をかいて走り回るだけでも感動する。それに加えて、いつ自分に順番が回ってくるかって思いながら観るからか、物語にぐっと集中するんです。それもあり、気づけば主人公により深く感情移入している自分がいて、自然と涙が出ていたり…。作品が本当に細やかに練り込まれているんだと思います。自分が演じる前に、作品を心から好きになれたのが嬉しかったです」明るく穏やかな口調と笑顔。親しみを感じさせる佐藤さんのキャラクターが最大の武器になるはずだ。「通常の役とは違って、素の僕も出るだろうし、人間力も試されると思うんです。臨機応変な対応があまり得意じゃないので、スムーズにいかない場面もあるかもしれない。でも、スマートに進行するだけが正解じゃない気もするので、全部さらけ出して楽しんでいけたらと思います」『エブリ・ブリリアント・シング~ありとあらゆるステキなこと~』一人のキャストが観客の前で語りだすのは、自らの物語。観客は、彼の求めに応じ、開演前に渡されるカードに書かれた言葉を読み上げたり、時に物語の登場人物になったりする。1月25日(土)~2月5日(水)池袋・東京芸術劇場 シアターイースト翻訳・演出/谷賢一出演/佐藤隆太一般5000円ほか(1/25、26のプレビュー公演は一般4500円ほか)*すべて税込み東京芸術劇場ボックスオフィス TEL:0570・010・296新潟、松本、名古屋、大阪、高知公演あり。さとう・りゅうた1980 年2 月27日生まれ、東京都出身。‘99年に舞台『BOYS TIME』でデビュー。映像、舞台の双方で活躍。連続テレビ小説『スカーレット』(NHK)に出演中。ジャケット¥40,000シャツ¥17,000パンツ¥40,000(以上GARMENT REPRODUCTION OF WORKERS/CONFECTION CO.,LTD TEL:03・5794・0617)その他はスタイリスト私物※『anan』2020年1月22日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・勝見宜人ヘア&メイク・白石義人インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2020年01月16日今、注目の女の子を紹介する『anan』で連載中の「イットガール」。今回は女優、モデルの瀬戸かほさんです。演技と漫画とスコーンに夢中。目標はお茶の間で愛される女優!映画『あの群青の向こうへ』に出演。「死を意識している役でとても難しかったのですが、監督の“イメージ通り”という言葉が嬉しくて覚えています。約2年半前に撮影した作品で、観ていただくことも自分が観ることも、少し緊張しています」。今年はとにかく活動の幅を広げたいそう。「CMやドラマなどTV出演を増やして、おばあちゃんからも『見たよ』と言われるような、お茶の間で親しまれる女優になりたい」。プライベートも充実。「LINEマンガを読み漁るのが幸せ。実写版に出られたらいいな」スコーンにハマり中。毎日焼いています!塩と少し多めの砂糖で味付けしたプレーン味が好き。はちみつも合う!大好きなお花の写真を散歩中に撮っています。見かけたらパシャリ。お花が好きで、毎週金曜日にお花を買いに行きます。レトロな雰囲気の喫茶店巡りを開始。マスターの個性や、アンティーク小物の可愛さに魅了されています。せと・かほ1993年生まれ。2015年、映画『orange‐オレンジ‐』で女優デビュー。その後、主演映画やドラマ、MVに多数出演。1/11から公開の映画『あの群青の向こうへ』で彩を演じる。※『anan』2020年1月15日号より。写真・土佐麻理子文・松下侑衣花(by anan編集部)
2020年01月14日今泉力哉監督が、最新映画『his』でテーマにしたのは同性愛。田舎町に住む迅(宮沢氷魚)のもとへ子連れで現れたのは、8年前に別れた恋人・渚(藤原季節)。二人は再び愛し合う関係になるが、渚とその妻(松本若菜)は親権を争い裁判へ発展してゆく…。宮沢さんと藤原さんにお話を伺いました。宮沢:LTBTQをテーマにした作品だけに、今回は相手役が重要だと思った。それが(藤原)季節くんだと知り、これまで季節くんが演じた役柄とか写真を改めて見たときに、ちょっと怖いかも…って、それが第一印象(笑)。藤原:(笑)宮沢:でも実際に季節くんに会うとすごく正直でいい人で。僕が演じる迅が、季節くん演じる渚を愛せると思ったし、宮沢氷魚として藤原季節を好きになれると思った。藤原:ありがとう。僕は、まず、宮沢氷魚×今泉力哉監督という組み合わせが想像つかなかった。だって、今泉さんがこれまで描いてきたのは、ありふれた日常の恋愛模様であり、群像劇だったから。そこに氷魚くんみたいなスターが入ってくるんだ、って。宮沢:いやいや…。藤原:今泉さんが氷魚くんの相手役になぜ僕を選んだのかに、必ず意味があると思ったんだよね。だから、迅と渚はお互いにないものをきっと持っていて、それを与え合える関係が作れればな、って。宮沢:(岐阜県加茂郡)白川町の現場に入ってすぐに、同じ部屋に住み始めたのはよかったと思う。毎晩夜中まで、鍋をつつきながら、熱く語り合ったよね。藤原:僕がその前の作品で訪れていた、熊本の天草で手に入れた焼酎を飲みながらね。宮沢:あれ、うまかった!そういえば撮影初日に、天草の教会で買った貝殻ももらったね。藤原:いつもはいきなりそんなものあげたりしないんだけど、きっとスタートの時点から自分が氷魚くんにとって異物でありたかったのかな。ただの映画の相手役じゃないという、枠組みを超えた間柄になろうとしていたのかも。宮沢:お互いに知らない世界に飛び込んでいくことに不安しかなかったし、撮影中も苦しいことのほうがはるかに多くて…。センシティブな部分と向き合っていくうちに、どんどんしんどくなったよ。藤原:渚が子供を連れて迅の前に8年ぶりに突然現れて、しばらく3人で暮らすシーンはただただ幸せだった。でもそのあとに、陰で傷ついている人がいると気づいてからが、僕は辛くて。宮沢:親権争いの裁判シーンは、季節くんはとくに辛かったと思う。藤原:辛かったね…。ちなみに僕が印象的なシーンは、迅が自給自足の田舎生活をしている中で頼りにしている、(鈴木)慶一さん演じる緒方と、山に鹿を狩りに行くところ。鹿を撃ったあとの迅の表情が、すごいんだよね。僕はいつも映画を観るときに、一見すると“ちょっとしてる”ふうに見えるけどじつは“ちょっとしていない”、ふとした瞬間を見たいんだけど、一つの命を奪ったときのあの言葉にならない興奮や激情が込み上げる表情は感動的だった。迅という人間の価値観が崩れ落ち、そして立ち上がるのを感じて。あの芝居はすごかった。宮沢:う~ん、今考えると自然とああなってたかも。慶一さんのオーラと緊張に引き込まれたのもあって、独特な空気が流れていた。藤原:あの瞬間だけが、社会や日常と関係のない、裸の迅だなって。迅と慶一さん二人のシーンは、僕の知らないところで、迅の核が見えるから、気がついたらすっかり一人の人間として氷魚くんを好きになってた。これって僕にとってすごく大事なことだったかもしれない。だって、僕とか氷魚くん、監督たちが唯一忘れちゃいけないのは、「この映画はただ2人の同性愛者の恋愛を描いたもの」なんだってこと。観てくれた人たちにも、「2人の人間がただお互いに好きだってことを描いた映画」だと思ってもらいたくて。特別なことじゃないんだよ、当たり前に存在している人たちなんだよって。宮沢:そうそう。でも、それを作り上げるのは本当に難しかった。藤原:そこにたどり着くために僕ら二人も、そして監督も相当悩んでいたもんね。宮沢:監督に相談すると、監督が一番悩んじゃうからね(笑)。藤原:そうなの(笑)。撮影が終わったからといって、僕らの仕事はまだ終わらない。ここからだと思うんだよね。こんなふうにインタビューを受けることで、自分の認識をどんどん更新していかなければならないって思う。宮沢:話せば話すほど、僕らの認識も変わるから、毎回言ってることが違ってしまうのは本当に申し訳ない気持ちがある。でも、僕らも日に日に新しい発見があって認識を更新していくし、取材で問われる度に考え直してしまう。でもそれでいいんだよね。藤原:考えないこととか、捉え方を更新しないほうが危ないと思う。とはいえ、古かったものが猛烈に新しくなっていくわけじゃないけど、でも10年後には、今はまだ当たり前じゃないことがごく当たり前になっていると思うし、同性愛者のカップルが手を繋いで街を歩いているなんて普通だと思うの。だからこの作品が、その“当たり前”を作るきっかけになればいいなって。10年後にこの映画を観返したとき、本当にこんな裁判があったのかよ、ってなったら楽しいよね。きっとそうなっているよ。宮沢:アンアンが60周年のときにはね!そうそう今年、アンアンは創刊50周年らしいよ。藤原:そうなんだ、すごい!宮沢:100周年になるまで出たいね。でも、僕は75歳か…。藤原:僕らが頑張らないと…(笑)。宮沢:めっちゃ頑固な役者になってたりして!藤原:(笑)。また『his』の続きを作りたいよね。子供の空ちゃんも大きくなって、やべ、反抗期だ、ってなったり!宮沢:あははは(笑)、作りたい!“複雑な感情こそが人間らしい”ということ。物語で描かれる幸せは、迅と渚、その子供・空(外村紗玖良)との日常のシーン。主演の二人も、撮影期間中は役に入り込むのが辛かったが、この場面は幸せに感じたと語る。空を連れ戻しにきた渚の妻。ともすれば悪人になりがちだが、そうはさせないのが監督の手法。それぞれの弱さや言葉足らずな部分から生まれる衝突を、低い温度で描いている。頭を寄せることで相手を求め合う感情を表現。「一人の人間にいくつもの感情がある。派手にしないほど繊細になり、また好きを伝えるパターンは無数にある」と監督。©2020映画「his」製作委員会みやざわ・ひお1994年4月24日生まれ、アメリカ出身。MEN’S NON-NO専属モデル。‘19年はドラマ『偽装不倫』(日テレ系)に出演し、大きな話題に。‘20年は舞台『ピサロ』が上演。ニット¥30,000(ラッド ミュージシャン/ラッド ミュージシャン 原宿 TEL:03・3470・6760)カットソー¥14,000(カイコー/スタジオ ファブワーク TEL:03・6438・9575)パンツ¥39,000(ワコ マリア/パラダイストウキョウ TEL:03・5708・5277)靴¥42,000(リーガル シュー&カンパニー TEL:03・5459・3135)ふじわら・きせつ1993年1月18日生まれ、北海道出身。‘19年はU-NEXT『すじぼり』で連続ドラマ初主演を務めた他、『監察医 朝顔』(CX系)に出演。‘20年は映画『のさりの島』で主演。ジャージートップス¥29,000中に着たカットソー¥22,000靴¥58,000(以上トーガ ビリリース/TOGA原宿店 TEL:03・6419・8136)パンツ¥35,638(オフィシン ジェネラル/マッチズファッション TEL:0800・919・1268)※『anan』2020年1月15日号より。写真・岩澤高雄(The VOICE) スタイリスト・秋山貴紀(宮沢さん)八木啓紀(藤原さん)ヘア&メイク・スガ タクマ(宮沢さん)中村兼也(藤原さん)インタビュー、文・若山あや(by anan編集部)
2020年01月12日三島有紀子監督の最新作は、島本理生の同名小説を映像化した『Red』。主人公・村主塔子(夏帆)は商社勤務の夫・真と幼い娘の翠、真の両親と共に瀟洒な家で不自由なく、しかし夫や姑に気を遣いながら暮らしている。そんな折、かつての恋人・鞍田秋彦(妻夫木聡)と再会。鞍田の勤務する会社に職を得た塔子は、働く喜びに目覚めると同時に、鞍田への思いを再燃させる。だが、鞍田にはある秘密があって…。妻夫木さんと夏帆さんにお話を伺いました。夏帆:私はここまでストレートな恋愛ものを今まで演じたことがなかったので、この映画のオファーを頂いた時は驚きました。でも、三島監督とはまたご一緒したいと思っていたので嬉しかったです。妻夫木:僕は三島監督とは今回が初めてで、ずっとご一緒したいと思っていたので純粋に嬉しかったです。そろそろ、またこういう作品をやりたいと思っていた時期だったし、脚本を読んだら深いテーマ性も感じて、より一層やりたいなと思って。夏帆:私、妻夫木さんとまさかご一緒できると思っていなかったので、すごく緊張していました(笑)。妻夫木:最初に会った時にその緊張は伝わってきてた(笑)。脚本を読んで、これは夏帆ちゃんにとってたぶん、大きな挑戦になると思っていたし。鞍田が塔子を見守るがごとく、僕もずっと夏帆ちゃんを見守ってました。夏帆:ありがとうございます。妻夫木:監督に撮影前に二人で食事をしたらどうかと言われて、それだけではしっくりこない気がして。僕から一緒に料理して食事したいと言って、二人でシチューを作って食べたんだよね。夏帆:その日は朝から、役作りのためにバッティングセンターに行ってバッティングの練習をして、お昼は夫役の間宮祥太朗君と娘役の奈合緒(ななお)ちゃんと遊園地で3人で遊びながら家族としての時間を過ごして、その後で妻夫木さんとシチューを作るという。濃密な一日でした。妻夫木:別に深い話はしなかったよね。夏帆ちゃんはずっとうなずいていた(笑)。夏帆:緊張していたんです。最初のリハーサルでも、三島さんに「愛情よりも尊敬のほうが立っていて、全然恋人同士に見えない」って言われて、撃沈したんですよね(笑)。どうしようと思って妻夫木さんに相談させていただきました。かつては恋人同士で、10年ぶりに再会した二人の空気感をお芝居のなかで作り上げるのは、言葉で説明したり体に触れたりすればいいわけじゃなくて、すごく難しかった。妻夫木:言葉で説明せずに、“本人がそこにいる”ことを求める監督を僕はすごく信頼していて。相応の覚悟を持っている人じゃないとそういう演出はできないだろうから。だから僕は「ああ、この監督大好きだな」と、一瞬にして惚れてました。夏帆:監督に「今のでOKだけど、もっとできるよね」って言われたりすると、それだけ今までにない私を引き出そうとしてくださっているんだから、その思いに応えたいと思いました。それに、妻夫木さんや、同僚役の柄本佑さん、間宮君とご一緒して、みなさんそれぞれの役へのアプローチの仕方を見ることができて得たものも大きかったです。妻夫木:塔子も、それぞれとの関係性のなかで、全然違う表情を見せるしね。夏帆:そのなかで、鞍田さんは塔子にとっては忘れられない人だったんですよね。知らない世界を見せてくれた人ですし。理屈ではなく、強く惹かれるものがあったんだろうなと思います。妻夫木:鞍田はたぶん、10年前に出会った頃は、塔子の純粋さだったりが好きだったんだと思う。ルールを無視した家のデッサンを描いているのが可愛かっただろうし。僕もルール的におかしくても、いいものはいいと思うほうだけれど、鞍田も、家の設計をしながら「あの頃塔子が描いた家の窓から見える景色ってどんなだろう」ってずっと考えて生きていたんじゃないかな。でも再会した時、塔子がいろんなものに向き合うなかで本音が言えなくなっているのが分かって。それでちょっと喜びを与えると、それだけで塔子がふわっと花を咲かせるように変化していく。それがまたすごく愛おしかったんだろうなって。夏帆:鞍田さんと再会したことで塔子は、生き方も変わっていくんですよね。妻夫木:恋愛映画って、だんだん女性目線になってきていると感じていて。女性の生き方を考えるものが多くなっている。夏帆:この間、日本の少女漫画が女性の生き方や働き方をどのように描いてきたかを研究されている方と話す機会があったんです。その方が、「今の映画は王子様が出てこない」って。女性が壁にぶつかって乗り越えていく時に、女性同士の友情や年の離れた人との交流とか、恋愛以外のものを得て成長していく話が多いって言っていました。そういう意味では、『Red』は恋愛を通して人生が変わっていく話ですよね。妻夫木:そもそも恋愛映画って、恋愛を描いているようでいて、意外と人の生き方とか、深いテーマ性を持っている。昔は恋愛が成就することによって救われるという話が多かったかもしれないけれど、今は、裏に隠されたテーマが前とは根本的に違うのかもしれないね。生きているってことはなんなのかと問いかけるものが多いし、特に『Red』はそういう作品になっていると思う。夏帆:それだけに難しかった。妻夫木:僕は、夏帆ちゃんがこの役と向き合う覚悟を決めてると感じていたので、最初から何の心配もなかったです。夏帆:引き受ける前は悩むけれど、引き受けた後は、やると決めたらとことん向き合いたいと思っています。今回は妻夫木さんに、すごく勉強させていただきました。妻夫木:とんでもない(笑)。こちらこそ、この作品の相手が夏帆ちゃんでよかったです。恋愛にはその人の生き方が透けてくる。撮影は大雪の新潟の場面からスタートしたという。悪天候のために出張先から帰れなくなった塔子。そのことを電話で伝えた時、怒った真の口から飛び出した言葉とは…。原作では鞍田はIT企業勤務だが、映画では建築家に変更。10年前、彼の建築設計事務所でアルバイトしていた頃に塔子が描いた家のデザインが、物語の大切な要素に。間宮祥太朗さん演じる塔子の夫・真は裕福な家庭に育ち、一流商社に勤めるハイスペック男。性格が悪いわけではないけれど、妻に対しては無神経な言動も少なくない。©2020「Red」製作委員会つまぶき・さとし1980年生まれ、福岡県出身。2001年『ウォーターボーイズ』で映画初主演。『悪人』で日本アカデミー賞最優秀主演男優賞、『怒り』で同最優秀助演男優賞など受賞多数。かほ1991年生まれ、東京都出身。2007年に映画『天然コケッコー』で主演。『うた魂』などで日刊スポーツ映画大賞新人賞、『海街diary』で日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞。チェックのドレス¥64,000中に着たニットベスト¥39,000(共にAURALEE TEL:03・6427・7141)※『anan』2020年1月15日号より。写真・野呂知功(TRIVAL)スタイリスト・清水奈緒美(夏帆さん)TAKAFUMI KAWASAKI(MILD/妻夫木さん)ヘア&メイク・石川奈緒記(夏帆さん)勇見勝彦(THYMON Inc./妻夫木さん)インタビュー、文・瀧井朝世(by anan編集部)
2020年01月12日『ロマンスドール』に出演する蒼井優さんにお話を伺いました。本作は、タナダユキ監督が2009年に自身初のオリジナル小説として発表した同名作品を自ら映画化したもの。哲雄というフィルターを通して描かれた園子を演じるのは面白かった。『ロマンスドール』は、タナダさんが小説を出された時から、映画化されたら観たいと思っていた作品です。私、完成版を観終わった時、タナダさんに「おめでとうございます」と言ったんです。タナダ組らしい素敵な作品に仕上がっていて、出演者としてホッとしたのと同時に、多くの人に喜んでいただける作品になっていて、友人として素直に嬉しかったんです。こちらの一方的な感覚ですが、タナダさんと私、感性が似ているんじゃないかと思うんです。たぶん好きな女性像も同じ。演じる前からタナダさんに求められることがわかるから、演じていても不安がないんです。今回、久々のタナダ組でしたけれど、力むことなくいられたのは、そういうことなのかなって思っています。園子は演じていてとても楽しい役でした。この物語自体が哲雄(高橋一生)の回想で綴られたもので、園子自身も哲雄というフィルターを通して描かれているキャラクターです。そういう役だから、できるだけ生々しいところをなくしてシンプルにしていく…その作業が面白かったんです。ただ、こんなふうに言うと、頭で考えて演じているようですが、私は基本的にノリ(笑)。そのシーンになった時に自然とそこにいけるようになるまで、台本を何回も何回も読むんです。ただ今回は、考えて完璧に哲雄でいてくれる一生さんが目の前にいてくれ、書かれた通りに演じれば自然とそうなっていくしっかりとした台本がありましたから、そこに助けられた部分はかなり多かったと思います。ふたりとも現場では、ほぼお芝居の話はしていませんが、お互いがきちんと体に役をなじませてやれていた気がします。私は想像力がないのか、自分が体感していない感情を演じることができないタイプ。これまでいろんな恋愛を演じさせていただいていますが、理解しきれないまま演じた役もありました。いま年齢を重ねて、いろんなことを経験して、あの時やった作品で発したあのセリフは本当だったんだなって思う瞬間がたまにあるんですよね。それはとても面白い。かつてのセリフが、いまの自分の人生にフィットする…不思議な感覚です。どんなに素晴らしい恋もいずれは変化するもの。美大の彫刻科を卒業しフリーター生活をしていた哲雄(高橋)。ひょんなことからラブドールを製作する「久保田商会」で働き始め、徐々にその面白さにのめり込んでいく。ある日、生身の女性の乳房の型取りをする話が持ち上がり、医療用と偽ってモデルを雇うことに。そのモデルの園子(蒼井)に一目惚れした哲雄は、その日に告白するのだった。1年後にふたりは結婚するが、哲雄は園子に自分がラブドール職人であることを言い出せずにいた。そんななか、工場が忙しくなり、次第にふたりはすれ違うように。©2019「ロマンスドール」製作委員会あおい・ゆう1985年8月17日生まれ、福岡県出身。タナダ作品への参加は、‘08年の映画『百万円と苦虫女』以来。今春、主演ドラマ『スパイの妻』(NHK BS8K)が放送。ワンピース¥24,000リング¥12,000(共にハイク/ボウルズ TEL:03・3719・1239)※『anan』2020年1月15日号より。写真・野呂知功(TRIVAL)スタイリスト・山本マナヘア&メイク・赤松絵利(ESPER)インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2020年01月12日タナダユキ監督が2009年に自身初のオリジナル小説として発表した同名作品を自ら映画化した『ロマンスドール』。この作品に出演する高橋一生さんにお話を伺いました。ふたりの言葉ではない間や目線のやり取りが大事な作品だった。恋愛って人が成長する根源的なものでもあると思うんです。若い頃の衝動的な恋は、どこか野性の本能に近いけれど、大人になるとそれだけで突っ走ることはできなくて、自分自身がこの先、生きていくこととか仕事のこととか、いろんなことを考えてしまう。『ロマンスドール』の、そんな人間の重層的な部分が描かれているところに惹かれました。タナダさんは、俳優のことを信頼して任せてくださる方。監督によっては、最初にカメラワークを決めて、そのフレームの中での芝居を求めるかたもいらっしゃいますが、タナダさんは逆。俳優を信頼してくれているんだと思います。それぞれのやり方があり、どちらが正しいというわけではないのですが、フレームのことを考えず自由に動けるほうが僕自身は芝居がしやすくはあります。ただ、俳優に任せれば、監督自身の世界観から外れてしまう心配もある。タナダさんの素晴らしいところは、俳優に委ねながらも、その芝居をきちんとご自身の世界観のなかに収めてくれるところ。それは柔軟でありながら、ブレない芯をお持ちだからなんだと思います。哲雄と園子は、テーブルの上で会話しながら、同時にテーブルの下の見えないところで口に出さない言葉をやり取りしているようなところがあります。語らないけれど、間や目線で伝わる何か…今回、タナダさんが大事にされていたのは、そんな口に出さない部分だったと思っています。蒼井優ちゃんは一緒にお芝居をやっていて非常に楽しい相手でした。僕は、俳優というのは台本に書かれたことを自分なりのニュアンスに解釈して提示する職業だと思っているんですが、優ちゃんもたぶんそういう人。言葉よりも先にまずはやってみるタイプのかたなので、躊躇なく自分の思う哲雄と園子を提示できたんです。そうやって、お互いに思う居心地の良さや夫婦っぽさを感覚的に探り合って作っていった気がします。優ちゃんは、本番ギリギリまで違う話をしていても、すぐに役にスイッチングできる。僕としては、哲雄と園子になれるスイッチを握られていたような気がします(笑)。どんなに素晴らしい恋もいずれは変化するもの。美大の彫刻科を卒業しフリーター生活をしていた哲雄(高橋)。ひょんなことからラブドールを製作する「久保田商会」で働き始め、徐々にその面白さにのめり込んでいく。ある日、生身の女性の乳房の型取りをする話が持ち上がり、医療用と偽ってモデルを雇うことに。そのモデルの園子(蒼井)に一目惚れした哲雄は、その日に告白するのだった。1年後にふたりは結婚するが、哲雄は園子に自分がラブドール職人であることを言い出せずにいた。そんななか、工場が忙しくなり、次第にふたりはすれ違うように。©2019「ロマンスドール」製作委員会たかはし・いっせい1980年12月9日生まれ、東京都出身。タナダさんとは、‘17年の資生堂のショートドラマ『Laundry Snow』以来。2月より舞台『天保十二年のシェイクスピア』に出演。ニット¥32,000(ウィーウィル/ウィーウィル ギンザ TEL:03・6264・4447)パンツ¥42,000(08サーカス/08ブック TEL:03・5329・0801)※『anan』2020年1月15日号より。写真・野呂知功(TRIVAL)スタイリスト・秋山貴紀ヘア&メイク・田中真維(マービイ)インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2020年01月12日岩井俊二監督の最新作『ラストレター』は、現在と過去の回想シーンを行き来しながら、手紙の行き違いをきっかけに生まれた2つの世代の恋愛が描かれる。姉・未咲の葬儀の場で、彼女の娘・鮎美(広瀬すず)から、未咲宛ての同窓会の案内を受け取った裕里(松たか子)。姉の死を知らせるために同窓会へ出かけるが、本人だと勘違いされたうえ、初恋の相手である作家の鏡史郎(福山雅治、回想・神木隆之介)と再会。彼が姉を今でも想っていることを知った裕里は、本当のことを言い出せないまま、文通をし始める。作家の鏡史郎を演じる神木さんにお話を伺った。追いかける恋をする役には共感できる。演じていて楽しいです。岩井監督は、“優しい映画を撮る監督さん”という印象でした。実際、『ラストレター』の撮影現場には、優しく、ほんわかした雰囲気が流れていましたね。でも、演技をしていて、不思議な感覚に陥ったんです。それは、森七菜ちゃんのリアクションがすごく自然で、演技じゃなく、リアルタイムのものに感じられたから。か細い声で言う「ごめんなさい…」「ありがとう」みたいなセリフなんて、“人は言うよね、こういうふうに”って思ったし、岩井監督は七菜ちゃんに、何をどうやって伝えたんだろう、と気になりました。そんな現場だったから、僕も生身の相手の感情や動きを捉えて、感じて、返していかなきゃダメだと思い、彼女に身をまかせて、演じるのではなく乙坂鏡史郎その人としてやりました。本番中かどうかよくわからない、夢うつつの状態でお芝居をしている感覚があり、すごく貴重な経験になりました。鏡史郎は、ちょっと小心者だけど、内面は爆発したい人。だけど不器用だから発散の仕方がわからなくて、恋をしても一人で悶えている。そんな彼が、好きな人に想いを伝えるために見つけた方法がラブレターを書くことだったけど、きっと、自分が文章が上手いかどうかなんて関係なく、「これだ」と思い込んでしまったんでしょうね。僕からすると、“あんた、告白するよりラブレターを出すほうが恥ずかしいの、わかってる?”って言いたいけど(笑)。でも、メッセージを送るツールがたくさんある今の時代に、あえて手紙を選ぶのは、すごく素敵ですよね。文字には書く人の考え方や人間性が出るし、相手を思う時間も長いもの。無機質じゃなく、密なものだと思います。恋愛映画では、今作や『フォルトゥナの瞳』のように、恋に落ち、一途に想い続ける役が多いです。その理由ですか?僕自身が追いかけたい側だからかもしれません。好きになってほしい、尽くしたい、笑ってほしいという気持ちに共感できるからやりやすいし、演じていて楽しいです。何度か演じたことで、板についてきたというのもあるかもしれないけど。恋する気持ちは、相手を目で追って表現するようにしています。やっぱり、複数の人がいるのに見ちゃうというのが、相手を好きだとか、興味を持っている証だと思うから。今作には、昔の恋愛や想いを引きずっている人がたくさん登場します。僕、過去の何かに縛られている人の感情って、今にも崩れそうな、繊細なものだと思っているし、そういう部分が垣間見えた瞬間には憂いがあって、すごく魅力的に映るんです。そんな人に憧れます。大人になった鏡史郎(福山雅治)と、彼と同じ女性を愛した阿藤陽市(豊川悦司)の二人もそうですよね。過去を吹っ切れているように見えて、全然そうじゃなくて。その事実に気づいた時の表情は言語化できないほどに美しかったし、そういう表情ができる大人になりたいと思いました。完成した作品を試写会で観て、二人が対峙するシーンは大人の世界だと思いました。いずれは僕も、誰かのことを引きずって、不完全燃焼のまま生きてしまい、“その想いをどうやって思い出に変えるんですか?”と問われるような役をやってみたいです。もちろん、今じゃなくて将来!いつかね!だって、僕はまだ、過去を引きずって、掘り返して、傷んでという経験をしていないし、わからないから。いろいろな経験をして、さまざまな感情を味わって、ヒゲとかが似合うような大人になってから、挑戦できたら嬉しいです。どんなに素晴らしい恋もいずれは変化するもの。学校のヒロイン的な存在である未咲と、彼女に想いを寄せる鏡史郎(回想・神木隆之介)。彼の文才を知った未咲は、この階段のシーンで、とある大事なお願いごとをする。同じ部活に入った鏡史郎に、密かに片想いをしている裕里(回想・森七菜)。彼が姉の未咲に一目惚れしたことを知り、ラブレターを書いて想いを伝えることを提案する。夫の勘違いと嫉妬によってスマホを壊されたことをきっかけに、手紙のやりとりを始めた裕里と鏡史郎。しばらく文通を続けていたが、ある時、鏡史郎が会いにやってくる。©2020「ラストレター」製作委員会かみき・りゅうのすけ1993年5月19日生まれ、埼玉県出身。映画『屍人荘の殺人』が現在、全国公開中。3都市で上演される舞台『キレイ-神様と待ち合わせした女-』に出演している。※『anan』2020年1月15日号より。写真・野呂知功(TRIVAL)スタイリスト・百瀬 豪ヘア&メイク・MIZUHO(vitamins)インタビュー、文・重信 綾(by anan編集部)
2020年01月10日人も車も賑やかに行き交うお昼時の虎ノ門。信号が変わるたびに押しよせるサラリーマンの人の波。そこに紛れるように磯村勇斗さんが佇む。この街とはどこか異質の彼の存在に気づき足を止め見つめる人もいるが、とくに気にする様子もなく、時にクールに時にお茶目な表情を見せてくれた。磯村勇斗さんと、撮影した野田若菜さんに東京についてお話をうかがいました。虎ノ門×磯村勇斗写真・野田若葉(TRON)――まずは撮影を終えてのおふたりの感想を伺えますか?磯村:こういうオフィス街での撮影ってあまりないんです。お昼時でサラリーマンの方が多かったですが、非常に自然にいられました。野田:それは磯村さんの持っている雰囲気もあると思うんです。自然にいてくださったから…。磯村:…(思い出しながら)そういえば、まったく気にしてなかったですね。普段、人混みが苦手なんですけれど、撮影になると気にならなくなるんです。映像の現場では、カメラマンさんや照明さんがいる前でお芝居してますし。野田:そこは俳優さんならではかもしれません。実は今日、磯村さんがいらっしゃった時、SFっぽいイメージが浮かんだんです。あちこちで工事していて非日常感のある虎ノ門の街と、金髪・ロングコート姿の磯村さんが、映画『ブレードランナー』を思わせて…。磯村:工事中の建物や看板の前で撮ってる時、不思議な感覚がありました。あまりないシチュエーションですよね。斬新というか…。――虎ノ門という街は、馴染みがあったりします?磯村:僕は…あまりないですね。野田:私、撮影が始まるまでは忘れていたんですけれど、実は以前にこの近くで働いていたことがありました。――その頃とは街の風景は、かなり変わっているんでしょうね。野田:いまはまだ当時の面影も感じますが、進行中の再開発のプロジェクトが完成した時には、大きく景色が変わるんでしょうね。完成後どうなるか興味があります。磯村:いずれはSF映画のような建物しかなくなっちゃうんですかね。古い居酒屋とか商店街とか、味のある雰囲気も残っていてほしいなと思いますけど。――磯村さんは静岡、野田さんは福岡の出身ですが、おふたりにとって東京とはどんな場所ですか。野田:小さい時から憧れの場所ではありましたよね。磯村:僕も、キラキラしたイメージを持っていました。ただ実際に住んでみて思うのは、いいことだけじゃなく悪いことも全部が凝縮されているような気がします。ちょっと狭くて生きづらい(笑)。野田:住んでみると酸いも甘いもありますからね(笑)。磯村:皇居周辺は独特の空気…ただならぬパワーというか、そういうものを感じられて好きですね。あと、日本のエンジンで司令塔的な場所ならではのエネルギーはありますよね。話題の演劇なら東京公演は必ずあるし、東京でしか経験できないことも多いです。野田:東京に来なければ出会えなかったような人もいて、私もそれはすごく幸運だなと思っています。磯村:今年はオリンピックで外国の方も多く来日されますし、その影響を受けて、またいろんなことが変わるのかもしれませんね。地下鉄新駅の開業も間近。ビジネス街から未来都市へ。2014年の超高層ビル・虎ノ門ヒルズ(森タワー)の開業を皮切りに、再開発が進行中の虎ノ門エリア。6月には東京メトロの新駅が誕生するほか、’23年までにオフィスや商業施設、住居、文化施設が融合した新たな街が完成予定。働き方や暮らし方の進化を敏感に察知し変容していく東京という街の、まさに“いま”を感じられる場所だ。いそむら・はやと1992年9月11日生まれ、静岡県出身。ドラマ『仮面ライダーゴースト』や『ひよっこ』で注目される。1月期ドラマ『ケイジとケンジ』に出演。出演映画『今日から俺は!! 劇場版』は7月17日公開。コート¥115,000(ディスカバード TEL:03・3463・3082)ジャケット¥157,000シャツ¥145,000パンツ¥73,000(以上マルニ/マルニ 表参道 TEL:03・3403・8660)その他はスタイリスト私物のだ・わかば1984 年生まれ、福岡県出身。スウェーデンのヨーテボリ大学芸術学部写真学科で写真を学んだ後、帰国。土屋文護氏のアシスタントを経て‘18年に独立。モード誌や女性誌を中心に活躍の幅を広げている。※『anan』2020年1月15日号より。スタイリスト・丸山 晃ヘア&メイク・佐藤友勝インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2020年01月10日常に新しい役に挑み続けている若手俳優、新田真剣佑と北村匠海の二人。プライベートでも仲がいいことで知られていますが、ついに映画『サヨナラまでの30分』で1つの体を共有する役に挑戦。その裏話を教えてくれました。さらに、先を見て生きている二人が“NEXT”に注目していることとは?新田真剣佑さんと北村匠海さんがこの度W主演を務めるのは、1つの体を2人で共有しながら音楽や恋愛で奇跡を起こす、青春映画『サヨナラまでの30分』。物語は、1年前に死んだバンドボーカルのアキ(新田真剣佑)が遺したカセットテープを、颯太(北村匠海)が偶然拾うところから始まる。そのテープを再生する30分間だけ2人の体が入れ替わってしまうことがわかると、アキは颯太の体を使って、かつてのバンドの再結成を図ろうとするが…。――お二人は、これまでドラマや映画で何度も共演してきましたが、この作品が決まり、相手役を知った時はどんなお気持ちでしたか?北村:またか!(笑)って。新田:“またか感”あるよね(笑)。北村:でも、2人で1人の役を背負うにあたり、まっけん(新田)とやれるのはうれしかったな。新田:俺も。同じ役で誰となら心通じるだろうって考えた時、匠海ぐらいしか思い浮かばなかったからうれしかったよ。北村:僕も、相手がまっけんじゃなければちょっと難しかったかもしれない。本当にまっけんだったからこそ成立したと思う。――2人で1つの体を共有するにあたり、北村さんは颯太とアキの両方を演じることになったわけですが、役作りが難しそうですね。それぞれ共通点や共感できる部分はありましたか。北村:颯太は人付き合いが苦手な“陰キャラ”で、僕も昔はそうだったから気持ちはまだわかるんですが、アキを演じるのは難しかったですね。それでも颯太とアキは音楽好きという点で共通していたから、アキが体に入ってくることによって、だんだん颯太自身が道を見つけていく姿に、日々勇気づけられていました。新田:俺とアキの共通点?いつも思うけど、どんな役に入る時も自分との共通点を考えることはないですね。ねえ、匠海は共通点とか共感とか、そういう考え方でいつも役に入ってる?北村:あんまりやってないかも。学生の頃は、役を掴むために自分との共通点をあぶり出してみたりもしてたけど、だんだんそういうベクトルでは見なくなってきたかな。丸々、別人になるイメージ。新田:そうそう。だからアキとは別人だからこそ、俺は全てが理解できました。――2人ともバンドで歌うシーンがありましたね。新田:そこは結構難しかったです。俺は普段から歌ってないから、ノリ方がわからないまま少ない練習で本番を迎えたのは、チャレンジングでした。撮影終盤でようやく、あ、わかってきたかな、って。北村:僕はここに来るついさっきまでバンド(DISH//)のリハしてたぐらい、音楽は365日日常にあるんで、ある種ホームな感じ。ただ、撮影に入る前に音楽の部分のレコーディングがあって、その時点で颯太として、そして入れ替わったアキとして歌わなければいけなかったから、そこはなかなか大変でした。まっけんがアキとして歌った曲を聴かせてもらったりしながら役を作っていたんだけど、歌も芝居も、アキを演じるにあたり、まっけんに納得してもらえないと、それはアキじゃないと思った。だから僕は、まっけんを見ながらアキを作りました。ちなみに、歌、とてもうまいよね。一音一音にこだわってさ。僕なんてバーッて歌っただけなのに。新田:こだわりがね…どうしても。北村:こっち、一応音楽活動もやってんだけどなってなったよ(笑)。新田:完成作を観たら、颯太からアキへのスイッチは見事でした!北村:まっけんがそう言ってくれて、よかった!新田:俺はアキだけど颯太もアキで、匠海は颯太とアキで…だからアキは俺だけの役だとは思ってなかったけどね。北村:不思議な感覚だよね。新田:アキが颯太に託して颯太が現実世界を回していくというのを客観的に観ていたら、観終わったあとに、これは颯太の映画だなって思ったの。北村:え、ホント?僕は観終わった後、アキの映画だと思った。アキのことを思うと、最後はめちゃくちゃ泣いちゃった。新田:いいヤツだな!――ところで、今回のアンアンのテーマが“NEXT”なんですが、W主演を叶えたお二人が、NEXTと聞いて思うことは?新田:「ネクスト コナンズ ヒーント!」(笑)北村:あ、コナンのそれ、マジで僕も思い浮かんだ。新田:あとは、“NEXTブレイク俳優ランキング”。北村:勝手に決めるな、ってね(笑)。新田:俺さ、6月に友達とイタリアに旅行したんだけど、また次もイタリアに行きたいな。北村:仲のいい人と行くと楽しいだろうね、いいな~。僕、プライベートで海外旅行したことがほとんどないから、僕も旅行したいな。あ、あとね、半年前から始めた本格的なカレー作りをもうちょっと極めていきたい!Arata Mackenyu1996年11月16日生まれ、アメリカ出身。2020年は舞台、地球ゴージャス二十五周年祝祭公演『星の大地に降る涙THE MUSICAL』に出演予定。また、主演映画『ブレイブ 群青戦記』も公開予定。シャツ¥39,000(ワンダーランド/ヘムトPR TEL:03・6721・0882)Tシャツ¥21,000パンツ¥30,000(共にキャバン/トゥモローランド TEL:0120・983・522)その他はスタイリスト私物Takumi Kitamura1997年11月3日生まれ、東京都出身。俳優としてだけではなく、ダンスロックバンドDISH//のリーダーも務める。2020年は主演映画『さくら』『思い、思われ、ふり、ふられ』が公開予定。ブルゾン¥64,000シャツ¥39,000パンツ¥32,000(以上マーカウェア/パーキング TEL:03・6412・8217 )シューズ¥52,000(アデュー/エドストローム オフィスTEL:03・6427・5901)その他はスタイリスト私物『サヨナラまでの30分』アキが遺した1本のカセットテープを颯太が再生する間だけ、2人は入れ替わり、1つの体を共有する。アキは颯太の体を使って、かつての恋人やバンド仲間に会いに行く。『サヨナラまでの30分』出演/新田真剣佑、北村匠海、久保田紗友、葉山奨之、上杉柊平、清原翔ほか2020年1月24日、全国ロードショー。※『anan』2020年1月1日-8日合併号より。写真・来家祐介(aosora)スタイリスト・櫻井賢之(新田さん)Shinya Tokita(北村さん)ヘア&メイク・カスヤ ユウスケ(ADDICT_CASE/新田さん)佐鳥麻子(北村さん)取材、文・若山あや(by anan編集部)
2019年12月28日第一次世界大戦中にオスマン帝国(現在のトルコ周辺)で起きたアルメニア人への迫害。それを題材に書かれた『月の獣』は、家族を失いアメリカへと亡命したアルメニア人の青年・アラムが、同じ境遇の孤児の少女・セタを写真1枚で選び、妻に迎える物語。アラムを眞島秀和さん、セタを岸井ゆきのさんが演じる。心に同じ傷を抱えた他人同士は、本当の夫婦になれるのか。眞島:ゆきのちゃんって、一見華奢に見えて実は芯が強い印象なんだよね。だから、少女から大人になっていくセタ役がぴったりだと思って。岸井:アラムとセタのふたりで担うものが多い作品だから、以前ドラマで共演した眞島さんがアラムで安心しました。そのときたくさん力を貸していただきました。今回もいっぱい頼ろうと思っています(笑)。眞島:最初に台本を読んだときは、壮大で重たい話という印象を持っていたんですよ。でも実際に稽古が進んでいくと、過去の虐殺事件が背景にありながらも、日常の夫婦の話を描いているんだなって感じてる。岸井:壮絶な過去を背負っているふたりだけど、軸にあるのは、育った環境の違う人同士がいかに家族になっていくかなんですよね。眞島:アルメニア人同士で、他に生きていく場所がない境遇は似ているけれど、育った環境が全然違う。岸井:同じ宗教を信仰しているけれど、セタは、お母さんはキッチンで歌を歌うし、お父さんはベッドで聖書を読みながら寝るような家で育っているんです。でも、アラムは厳粛な家で育っていて。眞島:彼は“こうあるべき”を強く持っている人で、それをセタに押し付けようとする。そのうち、手に負えなくなってきた彼女に反論されるようになるんですけど、そうなって動揺するアラムが面白くて。岸井:セタが諦めずにぶつかっていくんですよね。でも時どき力尽きちゃうことがあって、そうなって初めてアラムがハッとするんです。こっちからすると遅い!って(笑)。眞島:アラムとしては、僕の考えをきっと彼女もわかってくれるはず…だからね。でもそういう部分、男性としてわかるなっていう部分も多いんだよね。外国が舞台だけど、日本人にも共感してもらえると思う。僕がこの戯曲の好きなところは、久保(酎吉)さんのセリフの…。岸井:あー!それ以上はダメです。私がお客さんだったら、劇場でハッとなりたい!(笑)眞島:(笑)。では僕は、ハードルが高い芝居じゃないからということだけ申し上げておこうかな。岸井:私自身、舞台を観るのが好きなんですけど、編集がなく、話が進んでいくその過程ごとお客さんと共有できるところが面白い。映像とは違う空間が広がっているので、ぜひ体験しに来ていただきたいです。『月の獣』少女・セタ(岸井)と結婚したアラム(眞島)は理想の家族像を彼女に押し付けようとするが、幼い妻には理解できない。やがて月日が経ち、彼らの前に孤児の少年が現れ…。上演中~12月23日(月)新宿・紀伊國屋ホール作/リチャード・カリノスキー演出/栗山民也出演/眞島秀和、岸井ゆきの、久保酎吉、升水柚希全席指定8800円(税込み)サンライズプロモーション東京 TEL:0570・00・3337(月~金曜12:00~18:00)新潟、兵庫公演あり。ましま・ひでかず1976年11月13日生まれ、山形県出身。映画『青chong』でデビュー。近作に映画『愚行録』など。来年の大河ドラマ『麒麟がくる』に出演。きしい・ゆきの1992年2月11日生まれ、神奈川県出身。主演映画『愛がなんだ』で注目を集める。来年は映画『前田建設ファンタジー営業部』が公開。※『anan』2019年12月18日号より。写真・小笠原真紀取材、文・望月リサ(by anan編集部)
2019年12月17日今、注目の女の子を紹介する『anan』で連載中の「イットガール」。今回は女優の吉柳咲良さんです。「オフの日はとにかく睡眠。おふとんが好き」と話す吉柳さんの素顔に迫りました。作品によって豹変できる女優になるのが目標です。2017年よりミュージカル『ピーターパン』で主演を務め、来年上演の『デスノート THEMUSICAL』では“ミサミサ”こと弥海砂(あまねみさ)役に抜擢。「ピーターパンには親近感を覚えるけど、女の子らしいミサミサは自分と真逆。でも違うからこそできる表現もあると思うので、私なりに演じきりたい。共感できる部分を探りながら役と向き合うのは楽しいです」。今の課題は恋心だとか。「自分の全てを捧げても月(らいと)を愛する気持ちがまだわからなくて。たくさん台本を読んで、海砂の気持ちに寄り添っていけたら」渋谷に行った時はほぼ必ず食べます。渋谷109の『カフェ マ・メゾン』の濃厚トマトら~めんにどハマり中。キックでストレス発散&トレーニング。祖母の家が空手道場で、ダンスの練習後にサンドバッグを蹴っています!カラオケが趣味。選曲は渋いです(笑)。十八番は「木綿のハンカチーフ」。「セーラー服と機関銃」もよく歌います。きりゅう・さくら2004年生まれ。映画『天気の子』ではヒロインの弟・天野凪役で声の出演。弥海砂役として出演する『デスノート THE MUSICAL』は、来年1月20日開幕。※『anan』2019年12月11日号より。写真・土佐麻理子文・間宮寧子(by anan編集部)
2019年12月10日この2年は大きな転機の年だったに違いない。昨年、連続テレビ小説『半分、青い。』にヒロイン・鈴愛の幼なじみ、菜生として出演し話題を集めると、約半年後の今年4月から2クールにわたり放送されたドラマ『あなたの番です』では、言動が不気味なマンションの住人・尾野ちゃんとして登場。その演技力と振り切った役作りが注目され、SNSでは尾野ちゃんのモノマネをする人が続出。そんな、ときめいている人、奈緒さんの初主演映画『ハルカの陶(すえ)』が公開中!――備前焼がテーマの作品ということで、陶芸や焼き物の知識がないと十分に楽しめないかもと心配でしたが、イマドキの女性、はるかの成長に共感できる部分も多くて、面白かったです。ありがとうございます。はるかの年代ってちょうど就職難で、いろんな部分で悟らなければいけない時代に生きているし、夢を持つことを難しく感じている、本当にイマドキの女性だと思います。ドラマティックなことに人並みに憧れはあるけれど、夢はなかったはるかが、ある日、備前焼の大皿に出合い、自分の中に眠っていた強さと明るさが解き放たれたんです。その感覚って、きっとどの女性の中にも眠っていて、やりたいことにまだ出合えていない女性も、多いと思います。――大皿にすっかり魅了されてしまったはるかは、仕事を辞めて大皿を作った職人を訪ねて岡山県備前市の伊部へ行くわけですが、その行動力は素晴らしいですね。そこまでした理由はなんでしょう。“知らない自分と出会った”というのが大きいんじゃないかなと思っています。今まで興味のなかったものに、見た瞬間に心が奪われるということがなかったから、自分への探究心から行ってみよう、作った人に会ってみようという行動力に繋がったんだと思います。――奈緒さんは、そういう感覚を味わったことはありますか?まさにお芝居がそうで、初めてワークショップで演技をさせてもらった時は大きな衝撃でした。私、基本的に感情の起伏が激しいわけでもないし、おりこうさんだね、って言われながら学生時代を過ごしてきたんです。でもお芝居をしてみたら、怒りの感情を表現できたり、すごく大きな声が出たりすることに驚いて、それがなんなのかわからなくて。そこから、お芝居がしたい!と思うようになったんです。当時、地元の福岡で所属していた事務所の方に「お芝居がやりたいんです」って初めて話した時は涙が止まらなくて。反対されてるわけでもないし、ただ思いを伝えているだけなのに、これなんの涙?って。言葉や理屈で説明できないからこそ、不思議な力が湧いてきたりするものなのかな、と思うとはるかが備前焼に出合った時の感情ってそういうことなんじゃないかな、って。その後、はるかの猪突猛進な性格からいろんな人たちを巻き込んでいくところも、面白いと思いました。――“巻き込まれた”のは、主に平山浩行さん演じる師匠の修先生と、笹野高史さん演じる人間国宝の陶人先生でしたね。このおふたりとのシーンは多かったと思いますが、撮影中はどのようにチームワークを深めていきましたか?笹野さんは、一緒にいるだけで学びがある方でした。オール岡山ロケだったんですが、笹野さんとのシーンの撮影は最初の5日間で集中的に行われたんです。2人でいる時に「君が主演の映画で僕がいろいろ言うのは違うかもしれないんだけど、ごめんね」と言いながら、監督やスタッフと、時には1人ですごく悩まれていて、それを私にも相談してくださって。キャリアの長い方が、いい作品にしたいとそこまで悩む姿にすごく勇気をもらったんです。私も笹野さんぐらいの年になった時に、同じように悩める人でありたいな、って思いました。現場では、いろんな笹野さんをフィルムカメラで隠し撮りしていたんですが(笑)、悩みながら窓を開けて、岡山の風景を眺めている後ろ姿は本当にかっこよくて、その写真は私のお守り代わりになりました。平山さんは、映画の中では厳しい師匠で笑顔のない役でしたが、実際はチャーミングな方。平山さんの写真はほとんど笑っています。私の体を気遣って肩の力を抜かせてくれたり、撮影が終わると温泉に連れていってくれるような、優しくて大きな方。だから完成作を観た時に「あれ、修先生って私が知ってる平山さんと全然違う!」ってびっくりしちゃいました(笑)。――ギャップを知ってから観るのもいいかもしれませんね(笑)。映画の見どころを教えてください。まず、岡山の風景がすごくきれいなこと。映像がかっこよくて、自然の音も岡山の風景の中から録っているので、音楽や音も含めこの映画が好きです。伊部に生きる人やその情熱、備前焼の素晴らしさが詰まった映画になっているので、映画館で観ていただければ、肌や鼓膜に触れるようなあったかさが体験できると思います。難しく考えずに、ふらっと映画館に足を運んでほしいです。なお1995年2月10日生まれ、福岡県出身。高1の時に地元の芸能事務所に所属し、モデルの仕事を始める。芝居を勉強するために20歳で上京し、テレビドラマやCMに出演。転機になったのは連続テレビ小説『半分、青い。』(NHK)と『あなたの番です』(NTV)。来年1月にスタートする『やめるときも、すこやかなるときも』(NTV)でヒロインを務める。映画『ハルカの陶』は、第13回岡山芸術文化賞功労賞を受賞したコミックが原作。OLのはるかは、ある日デパートで偶然目にした備前焼の大皿の虜になり、仕事を辞めて、岡山県備前市に窯を持つ作家・修の弟子を志願する。陶芸家を目指すはるかの成長を描いた夢と情熱が詰まった物語。共演に平山浩行、笹野高史ほか。ユーロスペースほかにて全国公開中。※『anan』2019年12月11日号より。写真・小笠原真紀ヘア&メイク・つばきちインタビュー、文・若山あや(by anan編集部)
2019年12月10日松尾スズキさん作・演出の舞台『キレイ―神様と待ち合わせした女―』に出演する皆川猿時さんに、作品のみどころを伺いました!松尾スズキさん初のミュージカルにして、傑作との呼び声も高い舞台『キレイ』が4度目の上演を迎える。「ミュージカルですから、歌と踊りが盛りだくさん。しかも、松尾さん独特の笑いもあって贅沢です。戦争に翻弄される人々を描いたシリアスな話ではありますが、主人公のケガレが挫けずに自分の力で再生していこうとする姿は、とっても切ないけど勇気づけられます。普遍的な作品だと思います」そう話すのは、初演から全作に出演している皆川猿時さん。前回から引き続き演じるのはカネコキネコ役。息子たちとともに、大豆で作られた兵士・ダイズ兵の死体を回収し生計を立てるカネコ組を率いる女性だ。「子供や仲間たちへの愛情や生きていくことへの気持ちは強いけれど、あまり悩まずに進んでいけちゃう人だろうと思うんです。深く考えないところは共通していますが、キネコさんが持っている心に深く熱いものは僕にはないんですよね(笑)」しかし、前回は幕が開く直前までこのキネコ役に苦しんだようで…。「宮藤(官九郎)さんの作品やコントでも女性役はやってますし、グループ魂のライブで女子高生の格好で出たり、わりと馴染みはあったんですけど、一本通して女の人っていうのは初めてだったんです。ずっとふざけていられたらいいんですけど、そうもいかないし(笑)。ちゃんとやるのがものすごく恥ずかしくて…。吹っ切れたのは、ある舞台で水川あさみさんのハジけた演技を観た時に、“これじゃん!面白くやればいいんだ”って気づきまして。助けられましたぁ。その後、宮藤さんの映画で女子高生役をやりましたが、たぶんこの作品をやってなかったらできなかったんじゃないかな」皆川さんといえば、一風変わったユニークな役を演じることが多いけれど、一昨年の舞台『流山ブルーバード』では、地方都市に暮らす冴えない中年男を、笑いを封印した芝居で好演した。「赤堀雅秋さんの演出も刺激的でしたし、とにかく評判がよかったんです(笑)。でも僕、大声出してふざけるのも大好きなんですよ。今回の稽古が始まる前に松尾さんからメールで“前回のあなた、全部のセリフ叫んでるな。そこ気をつけてな”といきなり注意されたんですが、すり抜けながら騒ぎたいです(笑)」『キレイ―神様と待ち合わせした女―』民族紛争が続く“日本”。民族解放軍を名乗る連中に10年間監禁されていた少女・ケガレ(生田)が外の世界に脱出し、さまざまな人と出会い…。12月4日(水)~29日(日)渋谷・Bunkamura シアターコクーン作・演出/松尾スズキ出演/生田絵梨花、神木隆之介、小池徹平、鈴木杏、皆川猿時、橋本じゅん、阿部サダヲ、麻生久美子ほかS席1万2000円A席9000円コクーンシート5500円(すべて税込み)Bunkamura TEL:03・3477・3244(10:00~19:00)福岡、大阪公演あり。みながわ・さるとき1971年2月1日生まれ。福島県出身。大人計画のメンバーで、グループ魂では港カヲル名義で活躍。現在放送中のNHK大河ドラマ『いだてん』などに出演。※『anan』2019年12月11日号より。写真・土佐麻理子インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2019年12月08日今、注目の女の子を紹介する『anan』で連載中の「イットガール」。今回は女優の咲坂実杏さんです。「語学の勉強が好き。中国語にも挑戦したい!」と話す咲坂さんの素顔に迫りました。“印象薄め”のルックスを女優としての強みにしたい。子供の頃に児童劇団に入団。高校時代には仲間と演劇集団を立ち上げた経験も。「芝居がずっと好き。一昨年デビューしてCMやドラマに出るようになりましたが、映像と舞台って全然違う。新しい発見があり楽しいです」現在22歳。大人びたルックスを活かして、子持ちの母を演じたことも。「中身は全然大人じゃないんですが(笑)。でも私、見た目に特徴がないので、いろんな役に染まれるんじゃないかって思うんです。夢は国外の作品に出ること。韓国語はある程度読み書きOK。今は英語を勉強中!」ここ数年食べたなかで一番のユッケ。ユッケが好き。これは活きダコがのったもの。韓国で食べて感動しました。韓国で買った詩集のお気に入りのページ。「私たちが失うものたち」という題名だけ書かれたページなんです。洋酒かと思いきや、こだわりのコーヒー!コールドブリューコーヒーで、色が薄いのに味はしっかり美味でしたさきさか・みあ1997年生まれ。連続テレビ小説『半分、青い。』(NHK)、来春公開の映画『モルエラニの霧の中』などに出演。全国信用金庫協会イメージキャラクター。※『anan』2019年12月4日号より。写真・土佐麻理子文・間宮寧子(by anan編集部)
2019年11月28日二兎社公演43『私たちは何も知らない』に出演する藤野涼子さんに話を聞きました。初舞台の重圧と格闘中!?「自分を追い詰めるのも楽しい」まだ女性が封建的な家制度に縛られていた時代に、世間の批判をものともせず自らの考えで行動していた人たちがいた。雑誌『青鞜(せいとう)』は、当時、そんな女性たちが自らの言葉を発信していた場所。舞台『私たちは何も知らない』は、平塚らいてうを主人公に、『青鞜』編集部を軸に描いた女性たちの青春群像劇だ。「個性が大事にされる現代とは違い、彼女たちが活躍した明治から大正は女性が控えめであることが美徳でした。そんな時代にあって、自分たちの自由や個性を前面に出し、世の中と戦った女性たちが描かれています。私は普段、大勢の人の前であまり発言せずに内側にこもってしまうタイプなのですが、今回は自分を前面に出していこうと思っています」これが初舞台となる藤野涼子さん。「稽古初日の前日は不安で眠れなくて…」と言った後、「じつはいまもまだ緊張しています」と苦笑い。その藤野さんが演じるのは、平塚の後に『青鞜』を引き継いだ伊藤野枝。「作・演出の永井愛さんから資料としていただいた、野枝が『青鞜』に発表した作品を読み、その文章力に圧倒されました。いまの私と同じ19歳で物事をここまで深く考えて、書いていたのだと驚きました」自由恋愛を貫いたことで、世間から批判もあった人物だけれど…。「勉強にも青鞜社にも恋愛に対しても、嘘がつけないというか…。自分がやりたいことや思ったことに対してまっすぐな、ある意味でピュアな人だったのだと」15歳で映画『ソロモンの偽証』の主演でデビューを果たして4年。「普段の自分とは違う役の人物になる楽しさはもちろんですが、プレッシャーを感じる状況で、自分を追い詰めながらお芝居をしていくことにも楽しさを感じています」おとなしい印象だけれど、「マイペースで、やりたいことがあったら後先考えずに動いてしまって驚かれることもある」という。じつは結構“野枝っぽい”のかもしれない。二兎社公演43『私たちは何も知らない』20世紀初頭に、その先進的な思想が多くの女性たちに影響を与えた雑誌『青鞜』。その中心人物の平塚らいてう(朝倉)ほか、当時の女性たちの生き様を描き出す。11月29日(金)~12月22日(日)池袋・東京芸術劇場シアターウエスト作・演出/永井愛出演/朝倉あき、藤野涼子、大西礼芳、夏子、富山えり子、須藤蓮、枝元萌一般6000円25歳以下3000円(枚数制限あり。要証明書)ほか*すべて税込み二兎社 TEL:03・3991・8872(月~金曜10:00~18:00)地方公演あり。ふじの・りょうこ2000年2月2日生まれ。神奈川県出身。映画『ソロモンの偽証』でデビュー。近作にドラマ『ひよっこ』『腐女子、うっかりゲイに告(コク)る。』、公開中の映画『影踏み』など。ワンピース¥155,000(ANTEPRIMA/ANTEPRIMA JAPAN TEL:0120・03・6962)その他はスタイリスト私物※『anan』2019年11月27日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・嶋岡 隆(Office Shimarl)ヘア&メイク・望月香織インタビュー、文・望月リサ(by anan編集部)
2019年11月20日すらりとした高身長に、長く伸びる手脚、引き締まったボディライン。トレーニングやファスティングで定期的にメンテナンスする、工藤阿須加さん流の“カラダ論”を伺いました。「アクションシーンを演じることは、僕の目標でもありました。やるからには、しっかりカラダを作って、見た目に説得力を持たせたいと思ったんです。自分を追い込むことも大好きなので(笑)」現在放送中のドラマ『ニッポンノワール-刑事Yの反乱-』に出演している工藤阿須加さん。念願だったというアクション満載の刑事役に挑むにあたり、撮影の前からカラダを絞り込んだそう。「いつでもアクションシーンが演じられるように、3年前からキックボクシングを始めたんです。効率よく全身運動ができますし、ストレス発散にもなるのがいいところ。パンチを打つ時に肩甲骨を動かすので、とくに背中が鍛えられた気がします。ドラマが決まってからは有酸素運動の時間を増やして、集中的にカラダを絞りました」大事なシーンの撮影前は“塩抜き”をしてカラダに磨きをかけた。「2日間、食事を断ち、水だけで過ごしました。これは“見せる”カラダを作るため。塩分を抜くことで、余分な水分が排出され、より引き締まって見えるんです」役作りのためだけでなく、日頃からカラダにはかなり気を使っているという工藤さん。お母様が栄養士の資格を持っているだけあり、食事に対する意識の高さは人一倍。「普段の食事は和食がメイン。ご飯も白米ではなく、玄米や十六穀米など、栄養価が高いものを選んでいます。でも本当は、ジャンクなものや甘いものが大好き。食べたくなった時は我慢せずに食べて、そのあと胃を休めるようにしているんです」そんな時に工藤さんが取り入れているのが、酵素ファスティング。「だいたい3日間、長い時で1週間断食をします。その間は酵素ペーストしか摂りません。胃をしっかり休める期間を作ることで、体内がデトックスされるし、代謝も上がります。撮影に入る直前は回数を増やしたこともあって、体重が落ちました」酵素以外にも、不足しがちな栄養素はサプリで補っているという。「普段の食事から摂れる栄養素は限られているので、DHAやEPAなど、足りない栄養素はサプリで補給しています。すぐに効果を実感できるわけではないけれど、人より疲れにくかったり、風邪をひきにくいのは、日々のこういう積み重ねが生きているのかな、と」さらに、毎朝のランも工藤さんが大事に続けている日課だ。「走って汗をかくことでカラダがリセットされたような状態になるし、朝日を浴びると気持ちもスッキリする。精神的なものもカラダに影響してくると思うので、忙しい時でも走るようにしています」最後に、カラダ作りやダイエットに悩む女性たちに向け、工藤さんからこんなアドバイスが。「自分のカラダとしっかり向き合っている女性はとても魅力的ですよね。最初はしんどく感じるかもしれませんが、一回効果を感じられたら自信がつくし、それがモチベーションにもなるので、続けていくうちに楽しくなると思います。あ、でも本当に痩せたかったら、週に1回は自分の好きなものを食べてくださいね。ストレスを溜めるのが一番よくない。そのあと調整すれば大丈夫ですから。僕も今夜は、1週間ぶりに大好きな焼き肉を食べに行く予定です(笑)」くどう・あすか1991年8月1日生まれ、埼玉県出身。現在放送中のドラマ『ニッポンノワール-刑事Yの反乱-』に出演しているほか、主演配信ドラマ『連続殺人鬼カエル男』が来年1月配信開始。ジャケット¥55,000ロングスリーブカットソー¥19,000パンツ¥31,000(以上カズユキクマガイ/アタッチメント代官山 TEL:03・3770・5090)靴はスタイリスト私物※『anan』2019年11月20日号より。写真・内田紘倫(The VOICE)スタイリスト・壽村太一ヘア&メイク・新井克英(e.a.t…)取材、文・菅野綾子(by anan編集部)
2019年11月19日音楽界を牽引するシンガーソングライターの山崎まさよしさんと、ダンスロックバンドで活躍しながら、俳優としても映画やドラマにひっぱりだこの北村匠海さんが、映画『影踏み』で兄弟役に挑戦。啓二(北村さん)が「修兄ィ」と慕うのは、プロの窃盗犯として生きる真壁修一(山崎さん)。刑期を終えて出所した修一は、啓二とともに気がかりな疑問について調べ始めますが…。ネタバレ厳禁の“異色の犯罪ミステリー”、その見どころを伺いました。――初共演だそうですが、お互いの印象について教えてください。山崎:初対面からしっかりした…いや、しっかりしすぎた若者で、兄弟役で逆に申し訳ないと思いました。北村:まさよしさんは、僕の両親が大ファンで。だからこの話がきた時は、まず両親が大喜びでした。山崎:今度ご両親と飲みたいわ(笑)。北村:あはは(笑)。音楽をやっている身としては大先輩なので、緊張しましたけど、初対面からとてもフランクに接してくださいました。とてもありがたかったです。――人間関係が複雑で、難しい題材ですが、どんなところを意識して演じられましたか?山崎:どこにフォーカスしていいかわからないぐらい話が入り組んでいるんですが、最後までずっと絶えずあるのが兄弟の関係性。だからそこを大事にしました。まったく似てませんが、兄弟ということにしてもらって観ていただければ(笑)。北村:あまり多くは語れないのですが、僕は啓二がより異質な感じに映ればいいかなって思って演じました。このミステリーは修兄ィと啓二の人間性が織りなすもの。最後に流れるまさよしさんが作った主題歌には、物語で描かれない二人の人間性まで表現されていて、余韻に浸れました。山崎:ありがとう。複雑だからこそエンドロールに流れる音楽をもって、話を集結させたいという思いはありましたね。――山崎さんはもともと原作の横山秀夫さんのファンだそうですが、犯罪者側を演じることで、横山作品の新たな魅力が見えたりしましたか?山崎:横山さんの作品はいつも、“民”と“官”の明快なせめぎ合いが面白くて、“官”の中でも人間の葛藤が色濃く描かれているところが好きなんです。「泥棒にしちゃってすみません」って横山さんから言われましたけど、でも僕は“官”の人間を演じるのはムリなんで(笑)。新たな…というよりも、横山作品の魅力を再確認した感じです。――お芝居をするうえで、ミュージシャン同士のあ・うんの呼吸みたいなものがあったりするのでしょうか。山崎:そういえば竹原(ピストル)も出演してるんだけど、北村くんは高校時代におっかけしてたらしいね。北村:そうなんです。東高円寺のライブハウスで、周りはお酒を飲んでる中、僕だけジュースで(笑)。山崎:撮影期間中は宿舎でみんなで酒飲んだりしたよね。あ・うんじゃないけど共通点は、みんな酒好き。北村:音楽の話もしましたね!山崎:でも北村くんは、芝居経験の少ない僕にちゃんと空気を作ってくれるし、歩み寄ってくれたりして。それは音楽やるもの同士なのかな。安心して悪党になりきれました。北村:僕なんて一番下っ端なんで、必死でしたよ。その必死こいてた感じが、空気を作ったとしたなら、食らいついてよかったなって。それにしても、まさよしさんのかっこよさは、ライブでも映画でも“山崎まさよし”を貫いているところ。近くでたくさん学ばせてもらいました。山崎:あとでなにかあげるね(笑)。映画『影踏み』真壁修一は、深夜、人のいる住宅に忍び込んで現金を持ち去る凄腕の“ノビ師”。ある日逮捕されて収監されるが、出所すると若者の啓二とともに、自分の逮捕にまつわる疑問について調べ始めるのだった。11月15日より全国ロードショー。©2019「影踏み」製作委員会やまざき・まさよし1971年12月23日生まれ。‘95年にシングル『月明かりに照らされて』でメジャーデビューし、翌年には主演映画『月とキャベツ』で俳優デビューを果たす。今作では音楽も担当した。シャツ¥16,000(Johnbull/ジョンブルカスタマーセンター TEL:050・3000。1038)Tシャツ¥18,000パンツ¥36,000(共にFACTOTUM/FACTOTUM LAB STORE TEL:03・5428・3434)ネックレス¥14,000(HARIM/STUDIO FABWORK TEL:03・6438・9575)バングル¥12,000(NORTH WORKS TEL:042・513・0927)靴はスタイリスト私物きたむら・たくみ1997年11月3日生まれ。ダンスロックバンドDISH//のリーダーでギター&ボーカルを担当。主演映画『サヨナラまでの30分』『さくら』『思い、思われ、ふり、ふられ』が来年公開予定。シャツ¥150,000カットソー¥45,000パンツ 参考商品シューズ¥74,000(以上ヨウジヤマモト/ヨウジヤマモト プレスルーム TEL:03・5463・1500)※『anan』2019年11月20日号より。写真・小笠原真紀スタイリスト・宮崎まどか(山崎さん)鴇田晋哉(北村さん)ヘア&メイク・三原結花(山崎さん)深見真也(Y’s C/北村さん)インタビュー、文・若山あや(by anan編集部)
2019年11月17日