※写真はイメージですホルモンの影響で40代後半から増えてくる、女性ならではの心身の不調。「年だから……」と諦めてない?「女性の生理や更年期は、もう隠したり我慢したりする時代ではありません!」そう口をそろえるのは、女性医療のスペシャリストたち。特に閉経の時期は、その過ごし方で残り半分の人生が決まる大切なとき。閉経の前向きな乗り越え方を聞いた。「年だから…」はもう時代遅れ!「ここ数年で、ようやくメディアが女性の生理について取り上げるようになり、更年期についてもオープンに語られる時代となりつつあります」そう言うのは、さまざまな角度から女性の不調にアプローチする産婦人科医の高尾美穂さん。更年期とは、閉経の前後5年間ずつの計10年間のことを指し、閉経のタイミングにより、人それぞれ更年期は異なる。さらに更年期によって生じる不調にも個人差が大きい。ひと昔前までは、女性特有の不調の解決について、大きな声で語られることは少なかった。女性器周辺は“陰部”や“デリケートゾーン”と呼ばれ、下半身の話題は意識的に避けられてきたが、その価値観に変化が。「近年では、女性である自分の身体をもっと知ろう・触ろうという意識が高まっています。それに伴い、デリケートゾーンのことを“フェムゾーン”と呼ぶように」そう語るのは、数多くの女性の下半身トラブルを解決してきた女性泌尿器科医の関口由紀さん。女性の身体のことを、女性自ら発信できる時代になってきたと言う。これからは40~50代の更年期に当たる世代の女性たちが、会社の管理職としても活躍する時代。女性が自分らしく生きるためにも、更年期の理解は社会の必然だろう。「年だから」とつらさを我慢するのではなく、風邪をひいたら内科に行くように、つらいときは婦人科に相談を。そう選択した女性の症状が、短期間で驚くほど改善する例も現場では少なくない。「子宮を取り巻く女性の下半身は、身体の中でも特に大事な部位なのに、きちんとケアしないほうが不自然。フェムゾーンを自分の目や手でチェックする習慣をつければ、トラブルが起きたときもすぐに気づけます」(関口さん)更年期に伴うフェムゾーンの痛みやかゆみがあれば、恥ずかしがらずに病院に足を運んでほしいと言う。タブー視されてきた下半身不調に新概念閉経前後は、尿もれや性交痛など、下半身のトラブルも急激に増えるが、かつては加齢によるしかたのないものとして諦められてきた。しかし近年、そうした下半身トラブルに『GSM』(閉経関連尿路生殖器症候群)という新しい概念が提唱され、治療対象として認められるように。隠さずに適切な治療をすれば、症状は改善が期待できるのだ。「閉経を挟んだ更年期はいわば身体の急激な曲がり角。自分を休める時間を取り、改めて自分の健康の棚卸しを」(高尾さん)「更年期の過ごし方は、閉経後の人生に大きく影響します。自分の身体ときちんと向き合って」(関口さん)人生100年時代、閉経後も人生の時間はまだ半分残っている。「更年期」とは、身体の声に耳を傾けるべきタイミングなのだ。正しく知っておきたい!3つの違い【閉経】月経が完全になくなった状態。医学的には「12か月間月経がない」ことで閉経したとみなす。閉経年齢には個人差があるが、一般的には遅くとも56歳には閉経するとされている。【更年期】閉経の前後5年間ずつの合計10年間が、更年期。例えば50歳で閉経した場合、更年期は45歳から55歳の間。閉経してみないと、更年期がいつ始まったかはわからない。【更年期障害】更年期はエストロゲンの分泌量が減少することで、さまざまな不調が現れやすくなる。これらの症状を更年期症状といい、治療が必要な特に重い症状を更年期障害と呼ぶ。part1. 閉経前後の不調、どうする?月経不順は自分を大事にする時期に入ったサイン。セルフケアを大切に更年期の訪れを知らせるのが、月経不順。40代を過ぎて規則的だった生理のサイクルが乱れてきたら、更年期のサイン。自分の身体を大事にする時期に入ったということだ。「閉経前後に心身に現れる不調は200種類以上ともいわれています。多い訴えは、疲れやすさとメンタル不調。怒りっぽくなったり落ち込みやすくなったりします」(高尾さん、以下同)身体の曲がり角にやってきたなと感じたら、やってほしいのが生活習慣の見直し。食生活、睡眠時間の改善、そして運動習慣を取り入れること。自律神経の活動を促すためには、心拍数を上げる運動が効果的。1日のうち、軽く息が上がる程度の運動を少しでも取り入れたい。「運動習慣を持っている人のほうが更年期のうつ症状が起こりにくいといわれています。私はエレベーターに乗ったらスクワットするようにしています。もちろん1人のときだけですが(笑)」セルフケアだけでは改善しないと感じたら、迷わず婦人科へ。更年期の症状の緩和に高い効果を示すのが、ホルモン補充療法(HRT)。足りなくなったエストロゲンを物理的に足す治療法だ。例えば、更年期の症状で多いホットフラッシュは、HRTで大きく改善することが多い。「女性がイキイキと生きることは、家庭や社会にとってもプラスになる。困っていたら我慢せず、周りの理解を得て」放置すると危険も!間違えやすい病気に注意更年期の不調には、ほかの病気と似た症状もあるため、見極めには注意が必要更年期とよく似た症状を持つ病気のひとつに、甲状腺疾患がある。甲状腺機能はちょうど更年期に差しかかるあたりでトラブルが増えてくる。その症状が更年期によるものなのか、それとも別の病気によるものなのか見分けがつきにくい。「例えば、甲状腺機能が低下すると、身体のだるさ、冷えなどの症状が出ます。また、甲状腺ホルモンが過剰に分泌するバセドウ病の症状には、ほてり、異常発汗、イライラなど、こちらも更年期症状と重なるものが多いんです」(高尾さん、以下同)不正出血の原因は子宮がんの場合も更年期には不正出血もよく見られるが、これは子宮体がんの症状と一致する。ほかにも、メニエール病や高血圧、うつ病など、似た症状が出る病気が多数あり、放置しておくのは危険。「更年期障害は、ほかのさまざまな病気ではないことを確認してはじめて、診断名がつきます。病気の早期発見のためにも、更年期のトラブルを放置しないことが大切」更年期障害と間違えやすい病気不正出血⇔子宮がん汗が止まらない・やせる⇔甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)だるい・冷え・薄毛・太る・無気力⇔甲状腺機能低下症(橋本病など)part2. 閉経後、カラダはどう変わる?エストロゲンの分泌が減ると骨や血液へ大きな影響が。早めの対策で閉経後の健康を守ろう気をつけるべきは骨密度と血中脂質女性ホルモンのエストロゲンには、動脈硬化や脂質代謝の異常、内臓脂肪の蓄積など、生活習慣病の原因となる要素を抑え込む作用や、自律神経を活性化させる働きがあるといわれる。つまり閉経前の女性の身体は、エストロゲンというバリアによって守られているのだ。ところが閉経後はそのバリアがなくなることによって、さまざまな病気のリスクが上がる。自覚症状はなくとも、身体の変化を意識しよう。骨鍛えられない顔の骨から減っていく!エストロゲンの欠乏と深く関わる病気のひとつが、骨粗鬆症。閉経前後にエストロゲンの分泌が急激に低下すると、骨量が減少、骨密度も低下し、骨折しやすくなってしまう。「骨密度が低下しやすいのが、閉経してから最初の2年。その中でも、もっとも減りやすいのが顔の骨です。とくに下顎の骨が減りやすい部分です」(関口さん)鏡を見たとき、昔よりも頬がたるんで老け顔になってきたなと思ったら、それは皮膚が下がっているだけではなく、その下の骨の影響も大きいというわけだ。閉経後の骨を守るためには、健康な骨を作るための栄養素をとることが重要。カルシウムをはじめ、カルシウムの吸収を助けるビタミンD、カルシウムを骨に定着させるビタミンKなどを食生活に取り入れよう。血管目には見えないところで着々と悪化する閉経して3年ほどたつと、今度は血管の問題も浮上する。「女性ホルモンの恩恵を受けているうちはその働きにより、脂質異常症や高血圧になるリスクが男性に比べて圧倒的に低い。しかし、閉経を境に女性にも高血圧・生活習慣病が増え、割合的には男性を追い抜きます」(高尾さん)閉経してエストロゲンが作られなくなると、血液中のコレステロールが余り、やがて血管の内側に張りついて硬くなる。それが動脈硬化を引き起こすのだ。脳梗塞や心筋梗塞などの重い病は、動脈硬化が原因の血栓によって引き起こされる。ただし、脳梗塞や心筋梗塞が起こるまでは動脈硬化を起こした状態で少なくとも10年はかかる。リスクは確実に上がるが、早期発見して手を打てば、回避できるのだ。毎年の健康診断で血液の状態もチェックすることを忘れずに。part3. ホルモン治療って怖くない?近年広まりつつあるHRT。ホルモンを身体に補充するってどんな治療?詳しく解説!更年期の不調の多くは、卵巣がエストロゲンを作れなくなることが原因で起こる。そこで足りなくなったエストロゲンを物理的に足す治療法が、ホルモン補充療法(以下、HRT)。更年期症状を劇的にやわらげるだけでなく、閉経後の健康維持にも大いに役立つ。しかし、HRTを受けている人の割合は、欧米では40%を超えているのに対し、日本ではわずか1・7%といわれる。「ホルモンを体内に入れるのは不自然な気がして怖い」という声も多いのだ。「自然か不自然かという観点では、治療はすべて自然ではありません。ただ、そこを怖がるよりも、必要かどうかで判断することが大切」(高尾さん、以下同)HRTで実際に補充するエストロゲンは、更年期以降の健康維持に必要とされるわずかな量。最小限のエストロゲンを補うことで、更年期以降の急激な減少のカーブをゆるやかにし、症状を緩和する。HRTを2か月継続した患者のうち、実に9割が効果を感じられる即効性のある治療法なのだ。ベストタイミングは閉経前から閉経直後HRTの治療は、医師から処方されたホルモン剤を自分で使う方法が一般的。エストロゲン剤とプロゲステロン剤を組み合わせて使うケースが多い。処方薬には経口薬や、パッチやジェルなどの経皮薬などのタイプがあり、ライフスタイルによって選択できる。更年期症状の治療を目的とする場合は、ほとんどが健康保険適用となり、診察料などを除いた1か月の薬代の目安は1000~3000円程度。「HRTの効果を最大限活かすためには、閉経前か閉経後早期に始めるのがベスト。遅くとも閉経後5年以内に始めることが推奨されています」ただし、年齢や症状、既往歴などによっては血栓症のリスクが高まる可能性もある。また、休薬期間を取り入れるケースもあるため、医師によく相談のうえ検討を。穏やかに改善する漢方治療も自然な治療法を求めるなら、漢方も選択肢のひとつ。「自分の身体を自分で守るという意識が、閉経後ますます重要になります。HRTでも漢方でも、治療法を自分で選択する意思を持つことが重要です」(関口さん、以下同)代表的なものは、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、桃核承気湯(とうかくじょうきとう)、加味逍遙散(かみしょうようさん)の4つ。薬局でも手に入るが、より自分に合った漢方を探すのであれば病院へ。検索サイト『漢方のお医者さん探し』を使えば、漢方薬に詳しい最寄りの病院を見つけることができる。「漢方のほか、アロママッサージや鍼灸なども、症状を和らげることが期待できます」part4. 下半身トラブルは恥ずかしいこと?3大悩みは尿もれ、骨盤臓器脱、性交痛。知らないうちに進行する骨盤臓器脱は要注意フェムゾーンを保湿してGSMを予防中高年以降の女性の身体症状、GSM。50代女性の2人に1人に症状が出るといわれる、下半身のトラブルだ。GSMの予防には保湿が重要。「女性ホルモンが減少すると肌は乾燥しやすくなり、GSMを悪化させる原因に。入浴後にはフェムゾーンに保湿クリームを塗ってセルフケアを」(関口さん、以下同)また、GSMの特徴的な症状のひとつが尿トラブル。「尿トラブルの原因のひとつは、骨盤底のゆるみ。出産を経験すると骨盤底は100%傷みますが、GSMが発症することでさらにゆるみ、尿もれなどが起きやすくなります」さらに70代を過ぎると「骨盤臓器脱」といって、子宮、膀胱、直腸といった骨盤内の臓器が腟口から飛び出る病気になることも。ただしこれらのトラブルは骨盤底筋トレーニングで改善が期待できる。「腟口、尿道口、肛門をそれぞれ意識して締めるだけ。入浴中や座ったままでもできます。毎日継続して行えば確実に効果は現れるので、ぜひ習慣にしてみてください」HRTで改善される更年期症状●腟炎・性交痛女性ホルモンの分泌が減ると、腟の粘膜が乾燥し薄くなり、性交時の刺激で痛みや出血が起こる●骨粗鬆症骨密度が低下し、骨の質が劣化して骨がもろくなる。進行すると骨折の原因にも●動脈硬化血液をうまく送り出せなくなり、やがて心筋梗塞や脳梗塞など深刻な病気を引き起こす●イライラ・気分の落ち込み閉経後は幸せホルモンといわれるセロトニンの分泌が減り、気分の落ち込み、抑鬱症状が出る●ホットフラッシュ上半身ののぼせ、発汗などが起こる。急に顔が熱くなったり、汗が止まらなくなったりする教えてくれたのは…関口由紀さん ●女性医療クリニックLUNAグループ 理事長。中高年女性の骨盤底・血管・骨・筋肉の総合的な維持管理を提唱。『セックスにさよならは言わないで :悩みをなくす腟ケアの手引』(径書房)ではGSMを徹底解説高尾美穂さん ●女性のための統合ヘルスクリニック イーク表参道 副院長。医療・ヨガ・スポーツの3つを通じ、専門的な知識をわかりやすく伝える。著書に『いちばん親切な更年期の教科書【閉経完全マニュアル】』(世界文化社)〈取材・文/中村未来〉
2022年06月26日機械を使用して診察する富永さん。同クリニックには最先端の機器もそろっている写真/北村史成「痛み」の治療に特化した『富永ペインクリニック』。頭痛、腰痛、関節の痛みはもとより、全国でも珍しい性交痛外来のオンライン診療も実施。県内外から多くの患者がアクセスしている。だが、その歩みは決して平坦なものではなかった。「私は常に戦っている」そう話す眼差しの先には貧困や暴力、地域格差により“なかったことにされてきた多くの人たち”の痛みがあった。心と身体の「痛み」に向き合う女医YouTuber真っ赤な口紅と赤縁メガネの女性、刺激的な文言が印象的なYouTubeチャンネルがある。発信するのは富永喜代さん、愛媛県松山市にある「富永ペインクリニック」院長だ。「私はいつも挑戦者ですね。誰もなし得なかったことをする。そして、それを恐れない」そう語る富永さんのYouTubeチャンネル『女医 富永喜代の人には言えない痛み相談室』のチャンネル登録者数は17万人超え、総再生回数は3200万回にも及ぶ。著書の発行部数は累計62万部でテレビタレント顔負けの『インフルエンサー』だ。同チャンネルで取り上げられるのは、男女の性愛や性交痛、勃起障害、更年期障害など、性にまつわるものが多い。「エッチな動画を投稿しているのも、実は狙いがあるんです」(富永さん)その真の狙いこそ、本稿で明かされる富永さんの医師として、人としての志に深く関わっている。かねて富永さんが行きつけの松山市内にある中華料理店『門福』の門田勇店長(50)は次のように語る。「まさか地元からYouTuberが生まれるとは、思ってもみませんでした(笑)。富永先生の動画は一見エッチですが、実はものすごくまじめで勉強になる。医学的な話もとてもわかりやすいんです」YouTube動画の編集業務を担う富永ペインクリニックのスタッフ、大森英子さん(48)もこう述べる。「院長からYouTubeチャンネルを開設すると告げられたのは、2020年5月のこと。もちろん2人とも動画配信なんて素人。二人三脚で手探りでやってきました。動画のタイトルに驚く人もいますが、動画での先生の姿は普段と全然違います(笑)」一体どういうことなのか。「私、普段はほとんどすっぴんなんです。そもそも50歳を超えるまで化粧もしたことなければ、数年間、美容院に行かないこともありましたね。ただひたすら医師として、また富永ペインクリニックの院長として一点突破でやってきた。これが私の半生ね」『ペインクリニック』の「ペイン」とは英語で「痛み」のこと。ペインクリニックとは、痛み治療を専門にする病院だ。具体的には、頭痛、肩こり、首痛、肘痛、腰痛、膝痛、手足の指痛などの痛みにブロック注射や内服薬などのアプローチで治療を行う。日本でのペインクリニックの歴史は、1962年に東京大学医学部麻酔科外来に端を発するといわれている。その歴史からペインクリニックの医師には、麻酔科出身者も多く、富永さんもそのひとり。「手術で麻酔をしないことなんてありませんよね。麻酔科は、外科から内科、呼吸器科、産婦人科、ときに救急外来までどんな分野にも対応して、患者さんの全身の状況を把握しないといけない。私も勤務医時代には、456gの超低出生体重児から104歳の高齢者、ときに一流プロスポーツ選手の手術まで2万人以上の手術に立ち会ってきました」(富永さん、以下同)その豊富な臨床実績で培った的確な診断によって、一命を取り留めた人も少なくない。「先日は、左肩の痛みを訴えた男性が実は心筋梗塞でした。また頭痛を訴えた患者が脳卒中だったことも。がんの痛みも打撲の痛みも『痛い』という言葉は同じですが、その人がなぜ痛いのかを的確に見極める、その“目”を養うために、その目的以外のものを捨ててきたんです」痛みの先に重大な病気が潜んでいることもある。それを見つけ、判断できるかは、医師の資質にかかっているのだ。富永さんの営むクリニックでは、患者は1階で診察やブロック注射などの治療を受け、2階では鍼灸治療などの東洋医学の治療を受けられる。さらに最新のフィットネス機器が並ぶ3階のジムでは、マシントレーニングに加えて、ヨガやピラティスのレッスンも受講できる。この痛みへの多角的なアプローチは、「痛みのワンストップ治療モデル」として経済産業省が公募した「平成26年度健康寿命延伸産業創出推進事業」にも採択された。いわば国からの“お墨付き”事業ということだ。「痛みを積極的に緩和して健康寿命を延ばして、不必要な医療費や薬の費用を抑えることは国の医療費の削減にもつながる構想です」そんな富永さんの日常の様子を前出の大森さんは次のように明かす。「この構想に限らず、院長は、常に新しいアイデアを生み出している人。普段の口癖は“負けるもんか!”。隣でパソコンを打っていると思ったら突然、“頑張れキヨちゃん!”と言い出すことも。常に自分と戦っているのが、伝わってきます」そんな富永さんを頼って通院していた患者からの手作りのお礼の品が院内には飾られている。「手指が痛くて諦めていた趣味のかぎ針編みができるようになった」という患者から贈られた美しいレース編みやちりめん細工の品もあった。痛みを抱えてきた患者の回復の喜びが直に伝わってくるようだ。凄腕の臨床医で経営者でインフルエンサー。その華やかなイメージは、まるでスーパーウーマンのよう。しかし、その道のりは、けっして平坦ではなかった。11坪の家に7人で暮らす。漁師町の片隅に「へき地の漁師町、11坪7人家族育ち」。富永さんは、自身の出自をそんな言葉で語る。富永さんの出身は徳島県の最東端に位置する阿南市椿泊(あなんしつばきどまり)町。ハモ漁が盛んな人口600人ほどの集落だ。’67年、地元の漁協に勤める父と専業主婦の母の間に、3人姉弟の長女として生まれた。「町の人はすべて顔見知り。どこそこの子は足が速い、あそこの嫁さんはナントカ町から来とるとか、お互いのことは常に丸わかり。たとえいじめっ子がいても、地域の大人がみんなでなだめる。貧しいけれどみんなが支え合っている、そんな場所でしたね」しかし小さな漁師町の生活には、負の側面もあった。「酔っ払った漁師のおじさんたちが殴り合いのケンカをするのは日常茶飯事。ときに男の人が家で嫁さんを殴って、殴られた女の人が山に逃げる、すると今度は大人たちが捜しに行くこともしばしばです」男性優位な漁師町では、性差別的な意識も強く、女性の地位は低かった。女性の貧困やDV、女性が満足に教育を受けられない環境を幼いころから目の当たりにしてきた。富永さんが12歳のころ、父親がこんなことを言った。「喜代、おまえはな、医者になれんかったら“女中”になれ」同じ年頃の少女たちは、家業の手伝いに追われ、勉強は後回し。大学に進学する女性もいない。このままなら、自分も漁を手伝い、家事と育児に追われ、ときに酒に酔った男に怒鳴られ、まるで“女中”のように一生を終えていくのだろう。「女はな、“絶対に人に取られないもの”を身につけるしかない」この町で女性が経済的に自立することは困難だ。国家資格、しかもその最高峰の医師ならば、酒に酔った男に殴られても奪われることはない─。すぐに父の言葉の意図を悟った。そしてこのひと言が人生を大きく変えた。「口数は少なかったけど、勉強はできる子でしたね。教科書を見たら、それが“絵”になって、すぐに覚えてしまうんです。ただ当時は医者になるのがどれぐらい難しいことなのか、自分にはどんなハンデがあるのか、そんなこと考える隙もなく、父の言葉は絶対。すぐに“私は医者になる!”と決意しました」それ以降、持ち前の負けず嫌いも相まって、富永さんは勉学の道に邁進することとなる。通学バスの中でひとり単語帳をめくる日々。高校生のころ、顔の皮膚炎に悩んだことからも「医師になるなら皮膚科医になろう」と決意したのだという。そして先述の「教科書を見ただけで覚えてしまう」という言葉どおり、進学塾にも一切、通うことなく’86年、徳島大学医学部に見事、合格を果たしたのだ。「同級生からは“塾にも行かず家庭教師もつけていない君が、いちばん安く大学に入ってるよ”と言われました」最近では、「子どもを医師にさせるには5000万円かかる」などという説もある。子どもを医師として大成させた生家について話は及んだ。富永さんは父母と富永さんと2人の弟、父方の祖母、そして祖母の甥の7人家族。なかでも「大正7年生まれの祖母の影響は大きいですね」と富永さんは語る。地元の漁師だった祖父は太平洋戦争に出征、ガダルカナルの戦いで命を落とした。祖母は2人の男児を抱えた『戦争未亡人』となった。さらに戦争孤児となった甥っ子を引き取り、3人の男児の子育てを一手に担ったという。「漁師町で船に乗れない女が1人で暮らしていくには、商売しかない。そう祖母は思ったのでしょう」生鮮食品は、足が早く競合も多い。そこで祖母は、菓子類やアイスクリームなど日持ちのする商品に目をつけた。さらに夏場には綿あめ、冬場には漁で冷え切った男たちの身体を温めるたこ焼きが店頭に並んだ。いずれも原材料は日持ちし、仕入れ費用も廉価。女手ひとつでも商売を成り立たせることができる、なんとも見事な経営戦略だ。「私も10歳から祖母の横でたこ焼き屋の手伝いをしていました。祖母からは“不利な条件の中で、どうやって戦うか?”という英才教育を受けたのだと思います。この大切な教えは、今も病院経営に活かされています」戦後を生き抜いた祖母の決意3人の幼子を抱え、女ひとりで戦後を生き抜いてきた祖母の教えに加え、富永さんには今も忘れられない風景があるという。「祖母のパンツです。物干しにね、祖母のツギハギだらけのパンツが干してあるんですよ。よその人に見せるものではないから、と穴が開いても布を継ぎ足してはき続けていましたね。子ども心にも“ばあちゃんは、ものを大事にしとんやな”と思っていた反面、さすがにパンツは買えるだろうと思ったのも事実。でもこれが祖母の決意だったのだと思うんです」戦後の混乱期には、家族や財産を失って困窮し、身体を売らざるを得ない女性も少なくなかった。そしておそらく彼女たちは、“女”として生きていくために、ツギハギだらけのパンツははいていなかっただろう。ひょっとしたら色とりどりの下着も身につけていたのではないか、そう富永さんは考える。「あの時代では、その選択も正義だと思います。誰も責められません。かたや祖母は、商売と子育てに振り切った。それが綿のツギハギだらけのパンツだったのだと思います」貧困から抜け出すには、誰からも奪われることのない資格を身につけて自立をするしかない。富永さんにとって、医師になることは、いわば生きるための手段でもあった。「豊かな生活は、選択肢があることだと思ってました。ピンクの口紅もいいけど、濃いローズだって紫色だって選べる、それが豊かさ。よく“自分で選んだことだから”と言う人もいますが、実は違う。選択肢がない人だっている。私も背水の陣から始まったので、それはよくわかります」貧しさとは、親の経済力、家柄、経済状況……人は自分が生まれてくる環境を選べない。最近では「親ガチャ」という言葉も聞かれる。「もし自分がすでに“親ガチャ”で負けているなら、負けた土俵にずっといてはダメ」富永さんは、力説する。「私の場合、自分の武器は、テストの点数やまじめさだった。まじめといってもいろいろあるけど、“やりきる力”かな。やると言ったらやる。そしてニッチだけど自分が勝てそうな土俵を狙う。たとえ小さくても、まだみんなが目をつけていなくて、自分にも勝算がありそうな土俵を選び抜くんです」徳島大学医学部在学中にも富永さんらしいエピソードがある。解剖学の勉強で、文字どおり寝食を忘れて解剖に打ち込んだ。「1日の食事はおにぎり2個」という生活を半年間続けていたところ、脚気になってしまったという。目的のために削ぎ落とし、勉学に没頭する富永さんにまた新たな壁が立ちふさがる。’93年1月、卒業を控えた医学部6年生の1月、当初の希望どおり皮膚科への入局願いを提出したものの、教授からこう告げられた。「君は、女だから、うちには入れないよ」寝耳に水だった。すかさず1つ上の学年には3人も女性の研修医がいることを必死で訴えた。しかし彼女たちは開業医の娘、なんの後ろ盾もない『漁師の娘』である富永さんは、「医局人事の足手まとい」だと伝えられたという。女性であることを理由に皮膚科入局を断られたのだ。’18年には、東京医科大学が入試の点数を操作し、女子受験生らの合格者数を抑えていた問題が取り沙汰されたが、これは、その四半世紀前の出来事である。「私の6年間を返してくれよ!と叫びたかった」経済的格差の次に立ちはだかる性差別の壁。悔し涙があふれた。失意の中、就職活動を続け、なかば成り行きでたどり着いたのが、麻酔科だったのだ。麻酔科医としてのスタートと挫折。そして―当初は麻酔科医としての強い情熱も持てず、ただ忙しくすることで心を埋め合わせることもあった。研修医時代には、転勤で5つの県と6つの総合病院を渡り歩き、’96年には自ら転勤届を出し、日本有数の手術症例数を誇る聖隷浜松病院に赴任する。「ここで修業したら、最短で自分が成長できる、そう確信しました。聖隷浜松病院では、全国の臨床麻酔科医が平均1日2人のところ、1日15人の麻酔を担当するんです。赴任当初は、あまりのレベルの高さにショックを受けました」これまで培った麻酔学の知識がまったく通用しない。次第に追い詰められていき、簡単な点滴すら失敗するように。「やぶれかぶれになったとき、恩師に“こんなに麻酔をかけてばかりでしんどくないんですか?”と聞いたんです。すると先生は心から“麻酔が好きだから”と言うんです。目からウロコでしたね。それまで医者になることは、私にとって食べていくための手段、仕事はツライことでしかなかった。でも仕事を愛して、生きがいとして生きている人がいることを知ったんです。それに先生もスタッフも無力な私を見捨てず寄り添ってくれた。できないなら学び、努力すればいいと気づかされました。恩師との出会いを通し、身をもって仕事への愛を教わりました」人さまの役に立ちたい、と心底思うようになった。「専門医もいない田舎には、今でも適切な医療を受けられない人がいる。うちの叔母も腰が痛いと湿布をずっと貼っていましたが、実は膵臓がんだった。がんがわかったときは末期、すでに手遅れでした。そういった医療格差の中で生きている人のためにも、医学の知識を活かしたい」そんな熱い志が富永さんの中で芽生えていた。富永さんは聖隷浜松病院に赴任する直前に同業者の医師と結婚をしている。しかし転勤も多い勤務医同士、結婚生活は別居婚から始まった。やがてふたりの子宝に恵まれたものの、日中は病院付属の保育園に子どもたちを預けながら、救命救急や麻酔科医の仕事をこなす日々。実母の手を借りることもあったが、単身赴任でのワンオペ育児には限界もあった。育児を優先するために、一時は地元の徳島県に戻り、’08年には夫が愛媛県松山市に転勤するタイミングで、麻酔科医のキャリアを捨てた。「夫婦そろって勤務医は無理、ならば私が開業する」なんの縁もゆかりもない土地で、たった1人での完全落下傘開業、それが「富永ペインクリニック」である。’08年、40歳のときだった。「右も左もわからん土地で開業するなんて、狂気の沙汰だと言われましたよ」一般的に医師が開業する際には、それまで勤めていた病院のなじみの患者らを引き連れて開業するのが定石。コネもなければ縁故もない松山市で突如、開業した富永さんの姿は、かつての同僚の目にもさぞかしチャレンジャーとして映ったことだろう。最初にクリニックを開いた場所は小さな賃貸事務所ビルの2階。スタッフも看護師と受付、富永さんの3人だけ。膝や腰の痛みの治療だけでは、地域に地盤のある整形外科に負けてしまう。そこで富永さんが着目したのが、女性のための頭痛外来だった。「この分野なら勝てると確信しました。それまでも頭痛なんて市販薬を飲んでおけばいい、もしくは寝具を変えればいいと言われていた時代。当時はまだ医師が本気で医療のメスを入れていなかった分野でしょう。ここに一点集中しようと振り切ったんです」たとえ小さくても自分が勝てる土俵を探す─祖母から受け継いだ経営哲学だ。富永さんの目論見は的中、開業からわずか3年で年間1万5千人以上の肩こり、頭痛に悩む人を診療(エーザイ社調べ)した。この数は、女性院長クリニックでは当時、日本一だったという。また’13年には初となる著書『こりトレ』(文藝春秋)も上梓し、1日1万冊を売り上げるほどのベストセラーに。これもこれまでの同一線上にある戦略だ。「肩こりといったら整体や、マッサージ。それを医者が医学的論拠を用いて、わかりやすく説明したらきっと勝算はある。“たかが肩こり”と言われますが、本当に困ってる人たちがいるんです。誰にも相談できず、痛み止めばかり飲んでいて、胃を壊す人だっている。私がいつも救いたいのは、身体の調子が悪いのに専門的な医療が届かない地方の人、特に女性たち。そんな人にも自分でできるセルフケアを届けたかった」“なかったこと”にされた痛みへの挑戦やがて地上波のゴールデンタイムの番組にもゲストとして登場するようになる。しかし、まだあの赤いメガネ姿の“エッチな”女医はいない。’14年にはクリニックを現在の場所に移転。医療格差をなくしたい。“なかったこと”にされている痛みにアプローチしたい─。その思いを実現させるため、次なるステップに挑戦したのだ。’19年、当時まだ珍しかったオンライン診療を導入した。だが対面の場合よりも診療報酬も低く、ランニングコストもかかる。それでもなお意義を感じ、診療を続けた。新型コロナウイルスが猛威をふるうおよそ1年前のことだ。また加齢による女性ホルモンの減少などが原因で引き起こされる性交痛の相談に応じる「性交痛外来」も開設。さらに併設されたジムでは、高齢者のため、専用のゴーグルをつけて仮想空間内で運動するVRフィットネスも導入。これら先進的な取り組みを続け、「痛み」への多角的なアプローチを続けた。しかしそんな精力的な取り組みもコロナ禍の影響は、もはや避けられないものだった。「がんの手術や血圧の薬なら這ってでも病院に行きますが、ペインクリニックは、真っ先に受診控えの対象になります。さらにスポーツジムなんて、クラスターの温床とまで言われて……」併設する3階のジムは自主閉鎖に追い込まれた。しかしそこで転んでも、ただでは起きないのが富永さんである。「時間ができたので、YouTubeでの配信を始めたんです。ビデオの予約録画すら満足にできないほどの機械オンチなのに(苦笑)」撮影は診察室の片隅。プロ並みの撮影機材もなければ、動画編集の技術もない。そんな中で前出のスタッフ、大森さんを突如アシスタントに任命し、動画チャンネルを始動。大森さんは回想する。「今でこそ1日で1万回以上も再生される動画がありますが、最初は50回再生されたら大喜びしていましたね」配信内容も手探りだった。頭痛や肩こりの解消法、ヘバーデン結節への対処法からPCR検査について……医師として、ありとあらゆる医学的知見を繰り出していった。しかしこのコンテンツ過多の時代、志だけではバズらない。ときに戦略も不可欠だ。どんな内容が多くの人に届くのか─模索する中でとりわけ反響が大きかったのが、『濡れる身体の作り方』『更年期からの性交痛ケア』といった性やセックスにまつわるテーマの動画だった。「セックスの話の回だけバズるんです。ならばここで勝負しようと、振り切ったんです」目標が決まれば、あとはやり抜くだけ。ただひたすら削ぎ落とし、一点突破の全集中。これぞ富永流の神髄だ。「性交痛に悩んでいても1人で悩みを抱えて、夫から求められれば、“お勤め”として痛みを我慢してセックスをしている女性もいる。それになかなか自分では、他人に悩みを打ち明けられません。そんな人たちに情報を届けるためには、まずは男性に届けるのが最短ルート。男の裏には女がいるんです」医療格差をなくすための初志貫徹した強い思い動画は再生されなくては意味がない。肌が白くて赤い口紅の女なら、男性が“エロの記号”として捉えるだろう。そうなれば、結果として多くの女性にも情報が届くはずだ。それまでメイクには無頓着だった富永さんだが、百貨店に出向きメイク道具をそろえ、扇情的な文言とともに動画を投稿した。作戦は功を奏した。YouTubeに続いて開設したFacebookコミュニティ「富永喜代の秘密の部屋」はメンバーもいまや9800人(’22年6月現在)。男性の参加者も多いが、けっしてエッチな話題が目的ではないという。いずれも「女性の気持ちを知りたい」「加齢に伴う身体の変化を知りたい」という切実な思いを抱え、富永さんの医学的論拠に基づいた動画や投稿を求めているのだ。医師としての実務に経営、作家業にYouTube配信……ともすると傍目にはなんの脈絡もないように見える活動も、「医療格差をなくしたい」「なかったことにされている痛みを治したい」という思いは、初志貫徹している。『女医が教える性のトリセツ』(KADOKAWA)の書籍制作をオファーした編集者、佐々木健太朗さんはこう語る。「富永先生のアイデアの豊富さ、判断力の速さ、仕事を進めるスピード感には度々驚かされます。少し前には、YouTube動画に中国語のテロップをつけるなど、その“攻めの姿勢”には見習うべきものが多いですね」動画以外にも遠方で来院できない人のために富永さんの豊富なアイデアは、いかんなく発揮される。過去には、手指の痛みに悩む人が自宅で簡単にマッサージができる「ゆび関節ローラー」や、加齢によるデリケートゾーンのトラブルに悩む女性のための化粧品『Dr. ESTRA』を開発した。また最近では、フィットネストレーナーがいない人口過疎地域でも体力増強ができるAI搭載のVRフィットネスマシンの開発も手がけた。さらに’20年8月、貧困やDV、妊娠・出産のトラブルなどに苦しむ女性の支援のために「日本女性財団」(対馬ルリ子代表理事)が設立され、全国各地の15人の女性医師が名を連ねている。医師は「フェムシップドクター」と呼ばれ、性の被害相談から関連機関との連携まで幅広い支援を行い、そこには富永さんの名前もある。「女性医師は医師の家系の出身や恵まれた環境で育った方も多い。でもへき地出身の私は、貧困やDVをこの目で見てきた。そういう医師が1人ぐらいいてもよいのでは、と考えて、自ら手を上げました」たとえ“エッチな女医”と見られたとしても、なかったことにされてきた人の痛みへの社会的理解が進むなら─今日も富永さんは、赤い口紅をつけ、カメラに向かって笑顔で語りかける。〈取材・文/アケミン〉あけみん ●2003年からAVメーカー2社の広報を経て、’09年にフリーランスに。週刊誌やウェブ、書籍などで執筆。著書に『うちの娘はAV女優です』(幻冬舎)ほか編集協力に『ガチ速“脂”ダイエット』シリーズなど
2022年06月26日厄年に起きた不幸な出来事は「病気」が最多占いサイトとアプリを提供しているand factoryが全国の30代女性(前厄・本厄・後厄の人)に、2022年は前厄・本厄・後厄のどれに当たるか尋ねたところ、29.3%が「前厄」、32.2%が「本厄」、38.5%「後厄」と答えました。また、幸不幸問わず、過去の厄年に何か大きな出来事はあったか聞いてみると、50.8%が「いくつかあった」と答えました。16.1%は「たくさんあった」と答えており、合わせると6割以上が厄年に大きな出来事に遭遇していることがわかりました。今年(2022年)は前厄・本厄・後厄のどれにあたりますか?/幸不幸問わず、過去の厄年に何か大きな出来事はありましたか?厄年に起きたことの中で不幸な出来事はあったか聞くと、75.9%が「あった」と回答しました。何に関連したことが起きたか尋ねると「病気」(51.4%)が最も多くなりました。以下、「仕事」(30.4%)、「恋愛」(25.2%)、「金銭」(18.0%)が続いています。厄年に起きたことの中で不幸な出来事はありましたか?/起きた不幸な出来事は、何に関連したことでしたか?(複数回答可)"きっと厄年だから起きた"と思う不幸な出来事はどんなものであったか具体的に聞くと、「厄年が夫婦で重なり二人とも骨折し、長期休養した(パート・アルバイト/北海道)」「結婚すると思っていた恋人との別れが修羅場だった(会社員/沖縄県)」「今まで病気も何もなかったのに、2度も入院する機会があった(会社員/福岡県)」「大きな仕事でミスをした(会社員/神奈川県)」などのエピソードが寄せられてました。不幸な出来事が起こらないように、厄年に何かしていることはあるか尋ねたところ、「厄払い」「お守りを買う」(各35.4%)が多くなりました。ほか、「厄除け」(16.1%)、「複数の神社やお寺にお参りに行く」(13.4%)が続いています。厄年(前厄・本厄・後厄)に何かしていることはありますか?(複数回答可)厄年に関して不安を感じるときはあるか聞くと、「とてもある」が16.5%、「ややある」が46.7%と、6割以上の人が何かしらの不安を感じたことがあるようです。不安を感じているけれど、正直厄年に何をしたらいいかわからないと思うかを尋ねたところ、「とてもそう思う」「ややそう思う」の合計が7割以上となりました。厄年に関して不安を感じるときはありますか?/不安を感じているけれど正直厄年に何をしたらいいかわからないと思いますか?厄払いや厄除けよりも不安を解消できる方法があったら良いと思うか聞いてみると、7割以上が「とてもそう思う」「ややそう思う」と答えました。不安を解消してくれる方法として興味があるものについて尋ねると、「パワースポット巡り」(67.6%)が最も多く、「占い」(35.8%)、「心理診断」(26.2%)と続いています。厄払いや厄除けよりも不安を解消できる方法があったら良いと思いますか?/不安を解消してくれる方法としてどんなものに興味がありますか?(複数回答可)「厄年」に関する調査概要調査期間:2022年6月7日(火)~2022年6月8日(水)調査方法:インターネット調査調査人数:1,017人調査対象:全国の30代女性(前厄・本厄・後厄の方)モニター提供元:ゼネラルリサーチand factory(マイナビ子育て編集部)<関連リンク>→マダムヴェルベーヌの週間星占い→365日誕生日占い/性格や向いてる職業・2022年運勢は?有名人や出来事まとめ→ド定番だけどずっと人気!【コストコ】 ディナーロールの我が家のおすすめの食べ方
2022年06月23日※写真はイメージです更年期はさまざまなトラブルが起こるが、その影響は女性器にも及び、かゆみ、におい、たるみ、尿もれなどを招く。さらに、腟は数か月セックスレスなだけで萎縮、「痛い」「濡れない」などの苦痛を伴うように。自分のアソコをケアすることで、気持ちイキイキ、人生の質までアップ!ショック! 更年期はアソコも劣化する年を重ねるほどアソコが下着と擦れて痛くなったり、なんとなくにおうと感じたり……、年々強まっていくデリケートゾーンの違和感。そんな中高年女性特有のお悩みには“更年期”が深く関わっている。「更年期は閉経を挟んだ前後5年、合計10年の期間を指します。この期間に起きる大きな変化は、卵巣の機能停止。卵巣には女性ホルモンのエストロゲンを作る働きがあるので、卵巣が機能しなくなればエストロゲンの量は急激に減ります。エストロゲンは、月経や出産に関わるだけでなく、血管や骨の健康を保ち、肌の潤い成分を作る線維芽細胞に働きかける重要なホルモン。なので、卵巣の機能が停止すると動脈硬化や骨粗鬆症、肌のシミやシワの増加などの不調を招きます」そう話すのは、富永ペインクリニック院長・富永喜代氏。富永氏は中高年の“性の困りごと”にフューチャーした『性のトリセツ』を執筆し、YouTubeでも医学的な観点から多様な情報を発信している。「デリケートゾーンも例外ではないどころか、卵巣と距離が近いぶん、エストロゲン低下の影響を最も受けやすい部位です。ぶっちゃけて言うと、更年期以降、腟のお手入れをしなければどんどん“劣化”していきます」 “腟の劣化”とはかなりのパワーワードだが、富永氏いわく、日本人のほとんどがその事実を知らないという。「私が運営している『富永喜代の秘密の部屋』というフェイスブックのコミュニティーでは、中高年の性に関するトピックスを扱っています。そこに登録している40~60代の男女351人に、更年期以降の女性が感じる性交痛や、腟の萎縮に関するアンケートを取ったところ、女性の3人に1人が『腟が劣化することを知らない』という結果が出ました。これは、日本の性教育がデリケートゾーンの話題をタブー視してきた歴史の表れでもあります。ヨーロッパではデリケートゾーンのお手入れは一般的ですが、日本の中高年女性には“デリケートゾーンをケアする”という発想すらないのが実情です」多くの女性がデリケートゾーンの話題を避けてきたため、いざ更年期を迎えて腟に違和感を覚えても相談できずにいる。「加齢による腟の劣化は、誰にでも起きるごく自然な変化。まずはその事実を受け入れて、前向きに腟のケアをスタートしてほしいですね」年をとるほど増す更年期のデリケートゾーンの悩み更年期はさまざまな“デリケートゾーントラブル”に襲われる!・におい・性交痛・頻尿・尿もれ・かゆみ・おりものの変化・下着のこすれ・潤いの減少アソコは“第2の顔”「ふっくらピンク」を目指すお手入れ法中高年以降、デリケートゾーンにはさまざまな変化が起きる。実は、更年期のエストロゲン減少に加えて、セックスレスで“ご無沙汰”な状態も腟の劣化につながるとか……。「加齢によって腟が衰えると乾燥し、分泌液が減って濡れなくなり、腟粘膜も薄くなります。さらに腟の入り口も狭くなって萎縮するので、性交痛も感じやすくなる。女性から“久々にパートナーとセックスをしようとしたら性交痛がツラかった”という相談も多いですね。中高年以降、腟は数か月使わないと萎縮することも、ぜひ覚えておいてほしいですね」性交痛のほかにも、外陰部のたるみや、色素沈着によるアソコの黒ずみなどビジュアル面の衰えも著しい。こうした腟の加齢変化を放置すると、どんどん老け込んでいく、と富永氏は話す。「鏡にうつる顔を“第1の顔”とすると、デリケートゾーンは“第2の顔”。顔に入念なお手入れをするようにデリケートゾーンのケアも真剣に取り組めば、若返りも期待できますよ」適切な洗い方でにおいのもとを断つ中高年女性に、まず見直してほしいのが「デリケートゾーンの洗い方」だという。「小さいころから“アソコは触ってはダメ”と言われて育った人は、ササッと洗っておしまいにしがち。その習慣を続けていると、大陰唇と小陰唇のあいだに垢がたまってにおいの原因になります。ボディソープで腟のヒダまで丁寧に洗うと清潔になるだけでなく、マッサージ効果で血行もよくなるので一石二鳥!」ただし「腟の中を石けんやボディソープで洗うのはNG」と、富永氏。「腟内は“デーデルライン桿菌”という善玉菌の自浄作用によって常に“酸性”に保たれています。しかし、更年期以降はエストロゲン低下の影響でデーデルライン桿菌の数が減少しているんです。そんな部位をアルカリ性のボディソープで洗うとデーデルライン桿菌が死滅してしまい、雑菌が増えて“すえたにおい”がする……なんて悪循環に陥ってしまいます」デーデルライン桿菌を減らさないためにも「デリケートゾーン専用ソープ」を使用するのがベストだとか。 「仕上げに善玉菌を含む“腟専用の保湿ジェルクリーム”を腟内に塗り込むと、腟専用善玉乳酸桿菌が補充されます。腟内の環境が整うと、においが軽減されますよ」腟の健康は日々のお手入れで決まる!地道に続けるのが吉だ。マッサージ効果も!更年期からの正しい洗い方1 Vゾーンはお腹をやさしくマッサージするように洗う2 大陰唇と小陰唇の隙間、ヒダの外側を指先で洗う3 クリトリスは指2本で包皮をむくようにして洗う※腟の奥深くまで洗うのは避けて。また、温水洗浄便座の「ビデ」は善玉菌を洗い流す可能性があるので多用は控える。「外陰部はやさしくなでるように“立体的”に洗うのがコツ」と富永先生潤う人生後半を!女の現役感をアップするマッサージデリケートゾーンのケア方法はほかにも。中高年女性になじみが薄い“マスターベーション”も腟の劣化対策に有効だ。「マスターベーションは、パートナーに頼らず自分でオルガズムを得られて、自分自身で性機能の維持につながる習慣です。50代以降こそ、レッツオナニーなんです!」日常的に使うことにより、老化防止に効果が得られる。「デリケートゾーンのケアを行う最大のメリットは、女性としての自信を取り戻せること。性交痛の緩和や、外陰部のたるみの改善など目に見える喜びもありますが、それ以上に“女の現役感”がアップします。いつまでも無理にセックスをしましょうということでもないし、したくなければする必要もありません。ただ、腟のケアを始めてから輝きを増した女性をたくさん見てきました。デリケートゾーンの健康は、若々しさを得るテクニックでもあるんです。いつでもフォーリンラブできる身体を作ることは大人の身だしなみ。人生100年時代を楽しむためにも、新たな一歩を踏み出しましょう」アソコのお手入れは、最強のアンチエイジングなのだ。98%が潤って性交痛が軽減デリケートゾーンのマッサージお風呂上がり!腹式呼吸をしながら「エストラジオール」配合オイルを使ってトライ!1 手のひらで恥骨からおへそ・脇腹に向かって下から上にやさしくなで上げる2 内側から外側に向かって、太ももの付け根をグルッと回転させるイメージでマッサージ3 太ももの内側を、ひざから太ももの付け根までギュッと押し上げるようにマッサージする腟・外陰部のマッサージ「エストラジオール」配合のオイルやジェルを使った腟・外陰部のケア方法1 外陰部・大陰唇は下から上に向かってマッサージして刺激する・小陰唇は外側(大陰唇との間)と内側(腟との間)を人さし指と中指で挟むようになでると、栄養が行き渡りやすい・会陰部はオイルを塗った指を左右に動かして刺激2 腟の内側ジェルを使って会陰部から腟の中をマッサージ。「ふう~」と息を吐いて腟を締めるイメージで、腟内に負荷をかけながら筋肉を鍛える。上、側面、下……と、会陰側に圧を加えて腟の内側をやわらげていく。最初は1本の指の第一関節まで挿入し、慣れてきたら第二関節まで挿入してみよういまも週1ペースで楽しむ生涯現役カップルのヒミツ「濡れにくさ」に悩み、富永医師のもとを訪れた70代の女性は、現在83歳の夫といまも週1回挿入を伴うセックスを楽しんでいる。セックス前には男性が20分のマッサージを行い、挿入中も「キミのアソコは温かい」とささやいてくれるそう。83歳の男性が勃起機能を維持していることに驚くかもしれないが、継続的に性器を使っていれば機能が衰えないケースも。一方彼女は、夫の愛ですでに“心”が濡れているから、デリケートゾーンのケアを頑張って濡れにくさを克服。継続的なセックスと日々のケアの大切さを実感する!・ケアにはエストラジオールがオススメ!「エストラジオール」は更年期以降急激に減ってしまう女性ホルモン・エストロゲンの最大活性物質。エストラジオール配合の化粧品は1日1回、眠る前に顔、ボディ、デリケートゾーンのマッサージに使用するといい。富永氏おすすめの「Dr.ESTRA」はエストラジオール配合の美容エッセンス。女性の魅力を引き出すチュベローズの香りが特徴。富永ペインクリニック院長富永喜代先生医学博士。日本麻酔科学会指導医。2008年に富永ペインクリニックを開業し、性交痛外来では5000人のセックスの悩みをオンライン診断する。中高年の性をテーマにした著書『女医が教える性のトリセツ』(KADOKAWA)も話題。取材・文/大貫未来(清談社)イラスト/サトウヨーコ
2022年06月05日写真はイメージです「女性5人が出る。顔で選んでくれれば1番を取る」夏の参院選に立候補を予定する女性新人の事務所開きにて、応援に訪れたある参院議員がのたまったセリフである。地方議員を中心に女性議員はこのようなハラスメント行為に、日常的にさらされ続け、さまざまな被害を受けているという。内閣府の調査によれば女性議員の約6割にその経験がある。実例を交え、映画界以上に異常な議員の世界を解説する。町職員からのセクハラメール岩手県久慈市市議会議員の山内七恵さん。今年3月、議員の死去に伴う補欠選挙にて初当選した。当選直後からある男性からの執拗なメールに悩まされた。男性は町職員。本名を名乗る形でコンタクトを取ってきた。当初は「ちゃんとしている人」だと思い、「安心していた」。しかし。男性が山内議員に送っていたメールの一部を紹介する。《ななえちゃん(あえて、山内市議ではなく)》《この間、○○さんに、8千円でチューしようと言ったら、安いと言われ断られました》《奥様がおきれいなので、いまだに先生がお求めになるかもしれませんが、そこは上手にこなしてください》(編集部注・山内さんの夫は久慈市長を3期務めた人物)《旦那様がよく○○食堂で食事をしていると、情報が入っています。ご高齢なので、食事の管理はきちんとされたし。おまけでいいので できれば、私の分も。猫を飼っているそうですが、私は忠犬なので、犬を飼ってみませんか。ワンワン(笑・笑)》《議員報酬が30万円程でると思いますが、すべて市民に還元(すこしは自分の女磨きや化粧に)するつもりで》以上はすべて原文ママ。「私に限らず女性議員はこういった関係者や有権者からのハラスメント被害に遭っています。今回、私が強く感じたのは、“女性が非常に低く見られている”ことです」(山内議員、以下同)実はこの男性、アクセサリーを渡すなど付きまとったとして、5月に逮捕されている。ただし、付きまとったのは山内さんではなく別の女性だ。山内議員へのハラスメント行為を間近で見てきた後援者が振り返る。「山内さんと“(あの男性は)気をつけよう”と話していたところでした。男性は山内さんの自宅まで訪ねてきたこともあって……。しかも朝の7時です。山内さんは怖がって居留守をし、機転を利かせてご主人が対応しました。警察か町役場に相談したほうがいいと考えていたところを逮捕されて……」逮捕がなければ、さらなる被害も考えられる状況だった。投票を盾に何かを要求する“票ハラスメント”もある。「選挙のために我慢しなければならないというところはあります。泣き寝入りするしかないといいますか……」(山内議員)議員なんだからハイヒールを履け『Stand By Women』は、山内議員のようにハラスメント被害に悩む女性議員を支援する団体だ。「被害で多いのが、街頭演説中のもの。身体を触られる、握手を離してくれない。写真をたくさん撮られて、“送るからLINEを教えて”と執拗につながりを求められたり、握手や撮影を何度も求められたりなど。あとは演説時の罵倒ですね」そう話すのは同団体の代表・浜田真里さん。街頭演説は“自分”を認識してもらうために非常に重要だが……。「私が話を伺った女性議員さんの9割以上は、街頭演説の開催日時をSNSで告知していません。このような被害や待ち伏せされるなどのリスクを恐れ、事後報告にしているのです」(浜田さん、以下同)これらの被害は、地方議員がより受けやすいという。「国会議員の場合は、『公設秘書制度』によって、国のお金で3人の秘書を雇うことができます。そのため街頭演説などの際、候補者・議員を守ることができる。地方議員のほとんどは秘書がいないので、自分で対処しなければいけないのです」ハラスメントは同性である女性からも少なくない。「服装についてはよく聞く話で、ある議員さんが演説の際に長時間立っているのはつらいためスポーツシューズを履いていたら、女性有権者から“議員なのにハイヒールじゃないのはどういうことだ”と怒られたそう。服装や髪型など、ステレオタイプな女性像を求められがちです。また、子育てをしている議員さんは、子育て支援の政策を進めようとしていると、“まずは自分の子どもの面倒を見るべきだ”“子どもがかわいそうだから、応援したいけど投票しない”と説教されたそうです」前出の山内議員は、以前は“政治家の妻”という立場だったが、そのときも女性からのハラスメントを受けた。「わざわざ自宅に電話してきて、“あのときの服装はマズいんじゃないの?”と……。また“あなたに政治家の妻、市長の妻が務まるわけがない”という言葉を投げつけられたりしました」(山内議員)ハラスメントを訴えるのは勇気がいる女性議員へのハラスメントは有権者からだけではない。“敵”は議会にもいる。「昨年末の内閣府の調査結果では、議員へのハラスメントの加害者は有権者と同僚議員からが約半々でした。議会での発言に対し、“こんなこと言うべきじゃない”と説教されたり、議会後に密室で延々と怒られたり。話を聞いていると、民間企業ではありえないような経験を頻繁に聞きます。議会は世間の感覚と大きくズレがある。相談を受けていると、民間企業で考えたら数十年遅れていると感じます。“宴会で裸踊り”なんて現代ではありえないですが、そういったことを聞いたことすらあります」(浜田さん)全国市議会議長会の調べによると、市議の年齢層は60~70歳未満が最も割合が高く、“高齢”だ。また、日本は女性議員が非常に少ないといわれる。全国の地方議会で“女性ゼロ”の議会は、調査年によって前後するが全体の2割ほどだ。海外では女性に一定の議席を割り振る『クオータ制』の導入が進んでいる。「今はあまりにも女性が少ない。半数でなくとも、まずは3割を女性にするなどしていかないと、既存の権力構造は変わらず、ハラスメントが起こる状況は変わらないと思います」前出の山内議員も、「票を減らすことにつながるものなので、ハラスメントを訴えることは非常に勇気がいることです。女性議員に限らずですが、“ハラスメントなんて覚悟のうえで議員になるべきだ”とか“政治家はハラスメントが付き物だ”というような古い価値観を変えていきたい。プライベートへの干渉や性的な要求をされる理由なんてどこにもない。若い世代や女性がもっと多く選挙に出てきてもらって変えていかなくてはならないと思います」ハラスメント被害の指摘および“なくす”活動を被害者が行っている現状がある。「ハラスメントをしてくる人は、無自覚な場合も多いです。そのため、それがハラスメント行為だと指摘されない限り、気づかないこともあります。加害行為の指摘は被害をなくすために重要ですが、それを被害者がすることは負担が大きい。だからこそ、周りの人が一緒に“アウト”な行為を加害者に伝えることが必要です。また、各議会でハラスメントに関する政治倫理条例を制定するなど、ルール作りをすることは大きな抑止力になると思います」(浜田さん)
2022年06月01日お手入れもしやすくコンパクトな薄型吸水パッド今回の先行販売が日本初上陸となる「HOLDME PAD ホールドミーパッド」。14年にわたって『エコでお肌に優しい機能性布製おむつ』を展開する台湾のSIKAER社が開発に2年をかけて完成させた布製の吸水パッドです。「使いやすさの点で高い基準を満たした吸水パッドである」として、2021年にドイツのプロダクトデザイン賞「Red Dot Award」を受賞した商品でもあります。独自のホットプレス加工により6層の機能性生地をシームレスに重ねて圧着。表面のメッシュ繊維と内側の吸水シートは抗菌加工を施しているため、気になる菌の増殖を抑えます。防水性・透湿性を持ち合わせた特殊フィルムで気になるモレやムレにも対応。アウター素材は下着にフィットしてずれにくいすべり止め繊維を使用しています。パッド自体は、アウターに響きにくい薄型デザインで、厚さは1.6mm。「着け心地ゼロ」の快適さなのに、吸収力も抜群です。コットン製品と比較して汚れが落としやすく、乾きやすいためお手入れがしやすいのも特徴。下着のように洗って繰り返し使えるので、いつでも気軽に身に着けることができます。吸水ショーツとは違い、小さくたためるスリムなサイズなので持ち運びにも便利です。小さくたためばコンパクトサイズに商品詳細■サイズ展開Mサイズ - 長さ24cm / 吸水量目安:少なめ(~30ml)Lサイズ - 長さ28cm / 吸水量目安:ふつう(~35ml)XLサイズ - 長さ36cm/ 吸水量目安:多め、就寝時等(~45ml)■プロジェクトページクロンティップ(マイナビ子育て編集部)<関連リンク>→ニオイもモレも気にならない!Nagiの吸水ショーツが伊勢丹新宿店ISETAN Seedで販売開始→外出するときも使いやすい吸水サニタリーショーツとデリケートケアミスト、セルフケアブランド「pace」より発売→“離れ乳”でも美胸が叶うブラ「パフュームブラ」に新色!「貧相」「太って見える」など悩みにこたえる補正ブラ
2022年05月26日おうち時間の増加で4人に1人が脱ブラ傾向(※)に同調査は、長引くコロナ禍でリモートワークが普及し、おうち時間が増えたことでブラジャー着用の習慣に変化が生じているという仮説のもと、ブラジャー着用習慣の変化とそれによるバストへの影響を調べるために同社が実施しました。コロナ禍を経て、ワイヤー入りブラジャーの着用頻度は減ったか尋ねたところ、25.4%が「とても減った」「まあまあ減った」と回答。減った理由として「ノンワイヤーブラジャーが楽だから」(57.5%)のほか、「外出自粛でおうち時間が増えたから」(37.8%)、「人に会わないから」(34.6%)、「在宅ワークが増えたから」(18.9%)も多く、自宅で過ごす時間の増えたことにより、全体の4人に1人以上が脱ブラ傾向にあることがわかりました。※脱ブラ傾向…ワイヤー入りブラジャーの着用習慣がなくなってきている(脱ワイヤー入りブラジャー)状況のこと。コロナ禍を経て、ワイヤー入りブラジャーの着用頻度は減りましたか現在、バストに悩みがあるか聞いてみると、40代以降は悩みを感じている人は全体の4割以下でしたが、20~30代は6割がバストに悩みを抱えていると答えています。次に、コロナ禍でどんなバストの悩みが増えたかを尋ねました。すると、ワイヤー入りブラジャーの着用頻度が「とても減った」「まあまあ減った」と回答した脱ブラ傾向にある人たちは、「バストが垂れた」「バストの形が崩れた」「バストのハリが減った」という悩みが増えたと答えています。コロナ禍をきっかけに脱ブラ傾向に拍車がかかり、バストの垂れ=「コロナ垂れ」が起きているのでは、と考えられます。バスト悩みが増えたことについて、「八千代げんきクリニック」院長の松本華英先生は、次のように解説しています。バストは母乳を作る「小葉」と母乳を運ぶ管「乳管」と脂肪、クーパー靭帯からなります。この、クーパー靭帯は小葉や乳管を支えてくれる骨組みの役割をしており、バストの張りを保ってくれています。ただ、このクーパー靭帯はとてもデリケートで、負荷がかかると切れてしまい、年齢とともに再生がにぶくなってしまい、バストの垂れにつながります。バストの形を保つためには自分のバストのサイズにあった下着をつけ、クーパー靭帯が切れないように、バストを支えてあげる必要があります。(松本先生)マッサージや下着・サプリなどで日頃からバストケアをしていますかマッサージや下着・サプリなどで日頃からバストケアをしているか尋ねたところ、「1週間に1回程度」と回答した人はわずか2.8%にとどまり、72.2%が「していない」と回答。世代で比較すると、特に40代以降は「バストケアを行わない」人が多くなっています。一方、20代は「ホームケアとしてバストマッサージを行っている」、「就寝時などナイトブラを着用している」と回答した人が多く、他の世代と比較してもバストケアに気を使っていることがわかりました。女性らしい、魅力的な体つきを保つためには、日々のバストケアは大切です。40代以降ではバストケアを行う人が減るという結果が出ましたが、ケアをしないとどんどんバストは垂れて、形は崩れてしまいます。今以上バストを垂れさせないためには日々のホームケアがとても大切です。(松本先生)今後、行ってみたいバストケアについて聞くと、「就寝時のナイトブラ着用」と回答した人が一番多く、「ホームケアでバストマッサージ」「補正下着や育乳ブラの着用習慣をつける」が続いています。今後やってみたいバストケアで支持が高かったナイトブラ。しかし、ノンワイヤーのものだとバスト全体を支える力がやや弱いと松本先生はコメントしています。ナイトブラはサイズが合っていないと締め付けが強くなりすぎ、リンパの流れが悪くなったり、皮膚がかゆくなる可能性があります。今まで下着を着けずに寝る習慣があった方は圧迫感を感じるかもしれません。ただ、夜は無意識に体勢が変わる時間で、何もバストケアをせずに寝るとバストの形にとってはよくありません。ノンワイヤーの下着ではバスト全体を支えるための支持力がやや弱くなります。自分のバストの輪郭にあった曲線を維持できて、皮膚への刺激が少ないソフトワイヤーのナイトブラを用いることで、睡眠を妨げることもなく、バストケアができると思います。(松本先生)また、セルフケアとして行うバストマッサージは、背中に流れたお肉をしっかりとバストの位置へと流すようにマッサージするのは難しいもの。誤った方法でのセルフマッサージは、かえってバストの形を崩してしまう可能性があります。松本先生は、セルフで行うバストマッサージについて、次のようにアドバイスしています。バストのマッサージをご自身で行うときには、バスト自体をあまり強く押しすぎないようにしましょう。バストのふくらみ部分は皮膚の保湿ケア程度にして、バスト周りのリンパ(わきの下や鎖骨周り)をくるくると優しくマッサージしてください。(松本先生)調査概要調査名称:ブラジャーの着用とバストの調査実施時期:2022年3月30日~3月31日調査手法:インターネット調査調査対象:全国20~60代の女性500人Belletia(マイナビ子育て編集部)<関連リンク>・半数の女性が「バストに悩みあり」!お悩み2位は「垂れ」、1位は?・垂れる、しぼむ……産後のバスト問題、ママたちの切実な本音・バストのムダ毛が気になる女性は95%以上!剃ってる?脱毛?
2022年05月26日※写真はイメージです東京都内で行われている炊き出しや食品配布。そういった生活支援の場で目立って増えているのが女性の姿。コロナ禍が及ぼす影響で収入が減って生活が困窮、なかには住む家を失い公園を泊まり歩く女性もいる。「帰る場所がない」貧困にあえぐ女性たちはどこへ向かうのか―。公園が生活の場…公衆トイレで水浴昨年末、NHKの情報番組『クローズアップ現代』で衝撃的な現実が放映された。そこに映っていたのは「私には帰る場所がない」と嘆く女性。放送当時、彼女は路上生活を送っていた。1日中公園などで過ごし、お風呂に入ることなく、公衆トイレでバケツから水を浴びてすませている。そんな苦境へと転落したきっかけは新型コロナウイルス。都営住宅に両親と兄弟の5人で暮らしていたが、家計を支えていた父がコロナ禍で失業。家賃を3か月滞納せざるをえなくなったあげく、退居により家を失った。その後、家族はバラバラになり、今はひとりで生きている。「新型コロナの後、家賃が払えない、住む場所がなくなったという相談は増加傾向にあります」と主に新宿区で生活困窮者の支援を行っている認定NPO法人自立生活サポートセンター「もやい」の担当者は話す。 「もやい」が毎週土曜日に都庁下で行っている、食料品配布会場に実際に足を運んでみると─。確かに女性の姿が目立つ。なかには、冷え込む寒さの中、幼い子どもを2人連れて長時間列に並ぶ女性も。「コロナ前は配布会場に来る女性は全体の5%ほどでしたが、現在では3倍ほどに増えました」(自立生活サポートセンター「もやい」)。家を失った女性たちは路上生活に限らず、ネットカフェやファストフード店、友人宅や作業員宿舎などで寝泊する。男性よりも深刻な女性の貧困 「家なきオンナ」を生み出すもっとも大きな理由は、貧困。しかも同じ貧困とはいっても、女性にとってその状況は男性以上に深刻だ。そもそも男性と女性では収入に大きな格差がある。国税庁が公表した「令和2年分民間給与実態統計調査」によると、男性の平均年収532万円に対し、女性は293万円。わずかに半分を超える55%でしかない。このひとつの原因となっているのは、女性の雇用形態の約半分が非正規雇用であること。「令和2年における非正規雇用労働者の割合」を見ると、女性は54・4%で男性の22・2%と比べると3倍に近い。社会的に女性の役割と考えられがちな出産や子育てなどのせいで、正規雇用で働き続けるのが簡単ではないという状況がまだまだ続いている。東京都に住んでいるA子さん(30代)は、友人女性とルームシェアをしながら、飲食店のアルバイトとして働いていた。しかし新型コロナの波が押し寄せ、収入が激減。カラオケ店で働いていた友人も同じように収入が減ってしまい、家賃が払えなくなってしまった。「コロナ禍でお金がなくなって家賃を1か月滞納しています。実家を頼ることはできず、住むところを追い出されるのではという恐怖から支援団体に相談するまでに」大学卒業後、就職のために上京し、正社員として勤務していたが、大学時代から発症していた鬱病が悪化してしまって離職したという。その後は非正規で働いていたが、その綱渡りの生活を新型コロナが直撃した。しかし、このケースはまだましだ。女性の貧困に多く見られるのが、危険な関係性に絡めとられてしまい抜け出せないというケース。代表的なのはDVや虐待である。性暴力を含む被害が生活状況に色濃く出て、その結果が「家なきオンナ」に直結してしまうという例だ。なかには、性被害による望まない妊娠や出産によって、さらに生活が困窮してしまう女性も。そのような性的被害による貧困問題も、女性特有といえるだろう。20代のB代さんは実際にこのような被害に遭った女性のひとり。以前からパートナー男性からのDVに悩んでいたが、コロナ禍の影響でストレスがたまった男性のDV傾向はさらに悪化。その後、B代さんの妊娠が判明すると相手の男は逃げ出してしまったという。「子どもは産みたい。シングルマザーとして生活していくつもりでした」。しかし、妊娠中に働くのは身体に大きな負担がかかる。現在の派遣の仕事は月収10万円ほどにしかならないし、子どもが生まれてもひとりで子育てするとなると現実はさらに厳しい。実家の母親は祖父母の介護と仕事で手いっぱい、弟は新卒1年目で頼れるはずもない。いますぐにでも「家なきオンナ」になってもおかしくない状態で、将来は八方塞がりだという。路上生活を避け、ネットカフェを転々2020年に起こった「渋谷女性ホームレス殺害事件」。路上生活者の60代女性がバス停のベンチで休憩しているところを、早朝たまたま通りかかった当時46歳の男に撲殺され、世の中を震撼させた。体力的にも男性にかなわない女性には、路上生活は危険。女性の路上生活者が男性よりも圧倒的に少ないのは、これが大きな要因である。家を失った女性たちは、ネットカフェや知人の家を転々としたりなどして、どうにかその日の宿を探す。最近では、頼れる人がいなくなるとTwitterや掲示板などのSNSで家に泊めてくれる人を探すケースも増えている。応じてくれる相手の顔も名前も知らず、素性がわからない場合もある。その結果たとえ犯罪に巻き込まれる危険性があろうと、彼女たちにとっては「路上よりはマシ」なのだ。経済的にも身体的にも弱者でしかない女性は、できるだけ世間から隠れるように、貧困にあえいでいる。「誰かの家ではなく、どこかの場所ではなく、トイレとキッチンのある自分の居場所を手に入れたい」と首をうなだれた女性の目に、光はなかった。※本文中の事例は認定NPO法人自立生活サポートセンターもやいの相談記録に基づくものであり、複数の事例を混ぜ合わせたり、一部を改変し匿名化処理を施してある取材・文/オフィス三銃士
2022年04月02日SALON by PEACH JOHN(サロン バイ ピーチ・ジョン)夏イチオシの「大人のデコルテ」新作ジオメトリックなアーチ柄の細やかな刺繍レースが、カップを華やかに飾る「大人のデコルテ」新作。カップのサイド側がストラップ付け根まで立ち上がったリフトアップ効果の高いパターンを使用。厚めのパッドでボリュームを加えつつ、下からバストを持ち上げ、自然なふくらみのあるデコルテを作ります。上カップ内側に配したすべり止め生地が、持ち上げたバストのズレを防止してくれます。おそろいのショーツもラインナップしました。■大人のデコルテブラジオメトリックアーチレース価格:4,180円サイズ:B~Eカップ、UB70/75■大人のデコルテショーツジオメトリックアーチレース価格:1,980円サイズ:S、M、Lカラー:グリーン、ブラック、ピンク(全3色)「大人の谷間ローザ」新色は、ホワイトとラベンダーバラ咲くレースで優雅大人の谷間をメイクする「大人の谷間ローザ」シリーズ。脇高のサイドカップにはサポートパネルを内蔵し、はみ肉をカバーしつつ、脇の丸みを押さえて内向きバストを作ります。カップからダイレクトにつながるストラップで引き上げて脇すっきり、中央はふっくらとした上品な谷間をメイク。着け心地の気持ちよさにこだわり、ソフトなワイヤー、肌側全体にピーチスキン生地を使用しています。■大人の谷間ローザブラ価格:4,180円サイズ:B~Eカップ、UB70/75■大人の谷間ローザショーツ価格:1,980円サイズ:S、M、Lカラー:ホワイト、ラベンダー(新色2色)おうち時間にもぴったりな新作ルームウェアSALON夏の新作ルームウエアは、なんと大豆を原料にした繊維を使用。地球にもやさしい素材のワンマイルウエアです。取り外し可能のパッドつきで1枚でさらっと着用可能。ロング丈でゆったりシルエットなので、おうち時間にもぴったり。■ソイビーンズブレンドパデットワンピ価格:7,590円サイズ:S、M、L※4月13日発売予定カラー:グレー、ネイビー(全2色)着やせ実現の「スマートコンシャスブラ」「スマートコンシャスブラ」は、SALON世代の体型・肌質の変化に対応して、すっきり整える機能に特化したアイテム。肌側はソフトなピーチスキン生地で、上カップにやや厚みをもたせ、カップとバストのすき間もカバーします。もちろん着やせ効果はばっちり。■スマートコンシャスブラレースコンビネーション価格:5,060円サイズ:C~Fカップ、UB70/75■スマートコンシャスショーツレースコンビネーション価格:2,640円サイズ:S、M、L※4月20日発売予定カラー:ネイビー、ピンク、ベージュ(全3色)「グランフルールブラ」新色はイエローの花が際立つ「ベージュ」「グランフルールブラ」は、肩の上まで続くストレッチレースがバストを優しく包み込んでくれるブラ。面積の広いフルカップだからこそのたっぷり大柄レースが贅沢。ほんのり谷間ができるナチュラルな着け心です。ニップをぎりぎり隠すヌードカラーの薄手カップ付き。新色はイエローのお花が際立つ「ベージュ」です。■グランフルールブラ価格:5,060円サイズ:B~Fカップ、UB65/70/75 ※BカップのみUB65なし■グランフルールショーツ価格:2,640円サイズ:S、M、L■グランフルールソング価格:2,640円※新色は4月20日発売予定カラー:ベージュ(新色1色)クラシックエレガンスブラの新色は、ブラックとモーヴ華やかなチュールエンブロイダリーレースのスカラップが、デコルテやアンダーバストを飾る「クラシックエレガンスブラ」。センターが低いL字型ワイヤーとセンター可動式パターンでバストを左右からすくい上げ、深い谷間を作ります。後ろ姿にもアクセントをつけるため、後ろストラップの付け根にレーススカラップを配しました。待望の新色は「ブラック」と大人ピンクの「モーヴ」です。■クラシックエレガンスブラ価格:5,060円サイズ:C~Eカップ、UB65/70/75■クラシックエレガンスショーツ価格:2,640円サイズ:S、M、L※新色は4月27日発売予定カラー:ブラック、モーヴ(新色2色)ピーチ・ジョン(マイナビ子育て編集部)<関連リンク>→モードな存在感の「S by sloggi(エス バイ スロギー)」に春夏コレクションが登場→春は胸元から。ピーチジョン、キュート&フレッシュなミモザ柄のブラやパジャマ、バスト用クリームなどを発売→2ヶ月待ちの幻のブラに春の新作が登場! 花束をイメージしたノンワイヤーブラ「24hブラ スイートフローラル」が発売
2022年04月01日れいわ新選組大石晃子衆院議員「大阪のジャンヌ・ダルク」の異名を持ち、新人でありながら注目を集める大石晃子衆院議員。歯に衣着せぬ発言によりツイッターでトレンド入り、元大阪府知事の橋下徹氏から提訴されるなど、話題は尽きない。コネ・つて・カネなしで議員になり、子育てママでもある大石議員が闘う「おっさん政治」とは?橋下徹氏に噛み付いた! 「維新キラー」「大阪のジャンヌ・ダルク」の異名を持つ女性議員が、新人とは思えないほどの存在感を発揮している。れいわ新選組の大石晃子衆院議員だ。昨年10月の衆議院選挙で初当選。その直後に国会議員へ月額100万円が支給される文書通信交通滞在費(文通費)をめぐって、日本維新の会で副代表を務める吉村洋文・大阪府知事が、かつて在職1日だったにもかかわらず満額を受け取っていたことを暴露。文通費制度を批判していた吉村知事に“特大ブーメラン”を直撃させた。NHK『日曜討論』でも「維新の賃上げはうそ」と一刀両断した。そんな今、最も注目を集める1年生議員が元大阪府知事の橋下徹氏から名誉毀損で訴えられた。問題となったのは、昨年12月17日の『日刊ゲンダイDIGITAL』のインタビュー記事。渦中の大石議員に、橋下氏との裁判から女性の活躍を阻む“おっさん政治”のからくりまで、じっくり話を聞いた。「橋下さんがやり玉に挙げたのは、私がインタビューに答えた記事の“橋下元知事は気にいらないマスコミをしばき、気に入らない記者は袋叩きにする” “飴と鞭でマスコミをDVして服従させていた”などという部分でした」と、大石議員。訴状で橋下氏は、自らには“社会一般から肯定的な評価を得るイメージが備わっており、それが大石氏の発言によって傷つけられた”と主張している。「今回の裁判は、橋下さんが抑圧したのがメディアではなく、元部下の大石だったという構図。社会的影響力が大きいものが、小さいものに対して行う『スラップ訴訟』の要素が大いにあると私は思っています。自らに盾突く弱小政党の新人国会議員の発言をやり玉に挙げることによって、被告・大石だけでなく社会一般に対して、自分を批判することがどのような結果を生むことになるのか、見せつける意味合いを持った訴訟であると思う。だからこそ、私の口を封じても無駄ですよ、と言わなければなりません」橋下氏との因縁は14年前、大石議員が大阪府の職員だった時代にさかのぼる。大阪府知事に当選した橋下氏は、就任直後の朝礼で公務員批判を繰り広げた。そこへ「ちょっと待ってくださいよ!」と噛みついたのが、当時、環境分野の技術職員として働いていた大石議員だった。「橋下知事が就任最初の朝礼で“始業前に朝礼をしたかったが、超過勤務になると言われてできなかった” “民間では始業前に準備や朝礼をするのが普通。そんな(超過勤務になるという)ことを言うなら勤務中のたばこや私語も一切認めない。給料カット!”と声を荒らげました。それで私は“どんだけサービス残業をやっていると思ってるんですか!”と反論したんです」以来、「大阪のジャンヌ・ダルク」と呼ばれ、名をはせることになる。大石議員はこう振り返る。「当時は非正規雇用が増えて、ドラマ『ハケンの品格』が話題になっていたころ。今まで正社員としてバリバリ働いていた人たちも派遣に切り替えられていき、その多くが女性でした。そんな中で橋下さんが登場し、“民間はこんなによく働いているのに、公務員はぬるま湯体質”などと批判していました」しかし実際には、公務員の生活は過酷なほど忙しい。「国家公務員でいうと、深夜まで働きタクシーに乗り、コンビニでおでんを買って帰る毎日。そこを通過してこそエリートになれる。育児をしている人や子どもが欲しいと思っている女性には、とうてい無理な話です。働く人にも家庭生活はあるということが考えられていません。これは公務員だけでなく、民間にも通じる問題だと思います」女性が不利になる政治のカラクリ2018年に公務員を辞め、政治の世界に身を投じた。国会議員となった現在は地元・大阪と東京を往復する。子育てと政治活動を両立させるには、1人では難しい。「国会会期中は東京に張りついているので、平日は子どもに会えません。子育ては旦那に任せている状態。ただ、私は恵まれていて、実家の母が週1回、子どもにごはんを食べさせに来てくれたり、旦那が結婚前から家事をやっていたので立候補できました」政治活動を始めてからは、通勤ラッシュの時間帯に沿道で街頭演説に立てるよう、早朝、子どもが起きる前に家を出る生活になった。「街頭演説のときは、旦那に“(子どもを)起こしてな、学校行かせてな”と伝えてから家を出るんです。でも、実は学校に行っていなかった、ということもありましたね」国会議員などの候補者にとって、顔と名前を売ることは死活問題だ。「コロナ前には“とにかく飲み会に行け” “集会に行ってこい”と、よくアドバイスをされました。選挙の世界に詳しい人から“集会にあの先生が来たら、手をギュッと握って、挨拶をしてね”と言われたりして。そんなの気持ち悪くないですか?発言自体がセクハラというか、無理ですという感じで握手は拒否しました。そもそも顔と名前が売れないと選挙に通らないシステム自体が女性にとっては不利ですし、育児や介護中の人にとっても、障害がある人にも不利だと思います」女性特有の問題に悩まされたこともある。3年前に挑んだ府議選では選挙期間が生理と重なり、トイレへ行くのもままならない中、猛烈なかゆみに襲われた。「薬も効かず、すごいつらくて。選挙が終わってからも1週間ぐらい治りませんでした。“疲労で粘膜の免疫が下がり、もともといる菌が悪さをしたんだろう”と婦人科で言われましたね。当時は無所属で女性ネットワークに参加していたんですが、この話をするとみんな口々に、わかる!と言っていました。女性議員のなかには1期で辞めちゃう人も結構いるらしいんですが、正直、気持ちはわかります」女性ならではの困難はほかにもある。日本社会では大石議員のように、はっきりとモノを言う女性ほど叩かれやすい。今回、橋下氏が大石議員を訴えたのは、彼女が「わきまえない女」で、見せしめの意図があったのではないかという声も聞こえてくる。「橋下さんが今までに訴えた相手は、ジャーナリストの岩上安身さんや有田芳生参院議員で、おっさん、おっさんと来て、今回の裁判はおばはん(の私)やから、女性だから訴えたとまでは言えないかなと思います。男か女かというより橋下さんの場合、“弱いくせにモノを言うな”という、権利を要求する弱者への反感を強く感じますね」大石議員は維新批判の急先鋒。国会議員になる前の昨年秋、街頭宣伝で“大阪の成長率は全国平均以下”とのデータを示し、“大阪の成長を止めるな!”という維新のキャッチフレーズがうそであることを暴くなどしてきた。今回の裁判を通して、橋下氏は大石議員を狙い撃ちにして、維新への批判の封じ込めを狙ったようにも見える。「大阪はコロナにより亡くなった人は全国1位なのですが、関西のメディアが維新のコロナ対策がうまくいっていると報道するので、吉村知事の人気が非常に高く、維新が大躍進をしています。それでも今回、やり玉に挙げられたインタビュー記事の内容のように、維新政治の問題について批判を続け、橋下さんの元知事・元市長としての責任を問うていきたいと思っています。裁判にも絶対に勝ちますので、ぜひご注目ください。私の口を封じても無駄です。私は黙りません!」〈取材・文/横田一と週刊女性編集部〉横田 一 ●フリージャーナリスト。多くの雑誌やネットニュースで記事を執筆、『仮面虚飾の女帝・小池百合子』(扶桑社)ほか著書多数。インターネット動画ニュース「デモクラシータイムス」で「横田一の現場直撃」を公開中。
2022年03月30日※写真はイメージです生理用品は同じタイプのものを継続して使いがちだけれど、使い捨てタイプの布ナプキンや身体につけるタイプの生理用品など、気づけばニュータイプが続々登場。周期が不規則になったり、経血量が多くなるなど悩ましい更年期の生理も自分に合う生理用品を選んで快適に過ごそう。毎月お世話になっている生理用品。「生理用品はただの消耗品」などと思っていたら大間違い。今、私たちが想像する以上に進化を続けているのだ。その開発秘話や人気の秘密を聞いた。■ファンサイトができるほど人気の商品まず筆頭に挙げられるのが、『ソフィシンクロフィット』(ユニ・チャーム)。一見すると餃子のように見える形状に「どうやって使うの?」という声が思わず出てしまいそうになるが、特長はいつものナプキンにプラスして使う“身体につける生理用品”であるということ。デリケートゾーンに挟むようにして使うことで、経血をしっかり吸収し、気になるモレを防ぐタイプの生理用品だ。「シンクロフィットはナプキンでもタンポンでもない、身体とナプキンの隙間に入れる、新しいカテゴリーの生理用品で、今から16年前の2005年に開発されました。まったく新しいタイプの商品だったため、実は長い間、店舗では認知されずに一部のドラッグストアにしか置いていない日陰の商品だったのです。商品特長と使用方法をCMなどで理解してもらうのが難しいというのが、その理由でした」(ユニ・チャーム(株)ESG本部広報室・清水さん)ところが2018年にユーザーがイラストも交えたシンクロフィットの使い方をSNSに投稿したことで売り上げが3倍以上にまでアップ。ツイッターで『#がんばれシンクロフィット』という投稿が広がり、今ではファンサイトが立ち上がるまでに。「メーカー目線で一方的に伝えるよりも、実際に使っていただいたお客様の声が重要だということを改めて教えてもらえた商品です」(清水さん)■夜、寝返りをしたときのモレの不安なしへ紙ナプキンで悩むのが、経血のモレ。“多い日”は常にモレていないかどうか気にしなければならず、わずらわしさを感じている人も多いのではないだろうか。『ロリエ 朝までブロック 安心ショーツ』は、ナプキンとショーツがひとつになった、いわゆる「はくナプキン」。2001年、『ショーツになった!スーパーガード』として、業界初のショーツ型ナプキンを花王が発売。以来、改良を重ねて現在の形になった。現行品の特長は、(1)48cmの超ロング吸収体で腰の位置までしっかりカバー (2)おしりの谷間にぴたっとつく設計で不安なおしりの隙間をつくらない、というもの。「一貫して“モレない安心吸収”を追求してきました。ナプキンとショーツの一体型だからこそつけ心地にこだわり、ショーツ生地にあたる不織布に柔らかい素材を採用するなど、細部にまでこだわっています」(花王(株)PR戦略センター事業PR戦略部・菅原さん)愛用者からは、「夜、布団で安心して寝返りを打てるようになった」など、よくフィットして不安から解放されたという声が多く届いているという。更年期の生理は経血量が増えたり減ったりと不安定。ショーツタイプなら心配な夜も安心感が違う。■“使い捨て布ナプキン”という新しい発想布ナプキンは洗って繰り返し使うもの。この常識を打ち破って売り上げを伸ばしているのが、『使い捨て布ナプキン フリーナ』。使い捨て紙ナプキンや通常の布ナプキンの上に重ねて使うタイプの布ナプキンで、言ってみれば紙ナプキンと布ナプキンのいいところどりをした商品だ。「布ナプキンは着けごこちがよくて好きだけど洗うのが負担」「家では布ナプキン、外では使い捨て紙ナプキンを使っているけれど、紙ナプキンを使うのに罪悪感がある」といった声を受けて2016年に発売。ほぼインターネットのみの販売にもかかわらず、売り上げはシリーズ累計10万個に及ぶ人気商品に。「ふわふわした風合いを出すために、数え切れないほどの改良を重ねてきました。『普段の布ナプキンの洗濯が楽になった』『肌荒れやかぶれ、かゆみなどのトラブルがなくなった』などの声をいただいています。布ナプキンからスタートしたメーカーなので、最初は使い捨ての販売には正直、抵抗がありましたが、お客様から想像以上の反響をいただきびっくりしました。それだけみなさん生理用品に不便や面倒を感じていたのだと思います」(匠ソリューションズ(株)ジュランジェ事業部・只野さん)デリケートゾーンが乾燥しやすい更年期にも、やさしい使い捨て布ナプキンなら安心できる。■求められていたシンプルなデザイン数ある生理用品のなかでも「欲しかったデザイン!」「生理用品らしくないところがいい」という声で多くの人に選ばれているのが『エリス素肌のきもち 超スリム シンプルデザイン』。必要な情報を最低限にしたシンプルなデザインと薄さ、高級ホテルのアメニティーのようなブラウンのしっかりした不織布素材が特長だ。シンプルながらもしっかり吸収し、吸収後もサラサラ感が続く表面シートと、つけ心地にこだわった独自の形で多くの“大人女子”に選ばれている。「シンプルデザインを開発し始めたとき、SNSで『生理用品にはどうしてパステルカラーが多いのか』という投稿が上がり、多くの人が共感していました。そこで、パッケージを見て『かわいい』と言われないものを目指しました。ネットで先行販売をしたところ、3時間で完売。その後、店頭販売を開始し売り上げも好調です。それまで生理用品は“ついで買い”されるアイテムでしたが、買い物カゴに1、2番目に入れられるようになりました」(大王製紙(株)マーケティング本部フェミニンケア・ブランドマーケティング部・本さん)ポーチやバッグに入れても生理用品とわかりにくいデザインは、大人女子にも喜ばれそうだ。◆◆◆「更年期になると、生理周期が長くなったり短くなったり、量も増えたり減ったりとバラバラになるため、生理に備えるのが難しくなります」そう話すのは、産婦人科医の高橋怜奈さん。生理の間隔が開いていき、1年以上生理がなければ閉経となるが、それまで不定期に訪れる更年期の生理を快適に過ごすにはどうすればいいのか。「更年期になると女性ホルモンの減少から肌が敏感になってきます。萎縮性膣炎といって、膣が萎縮することでかゆみを生じ、生理用品でかぶれることも。更年期の生理用品選びで大切なのは、何より肌に合うものを選ぶこと。今までと同じ生理用品を使い続ける人が多いですが、更年期だからこそ、自分に合うものを見つけ、生理期間を快適に過ごせるようにしましょう。また、更年期だからと生理不順や不正出血を放置せず、気になる場合は婦人科を受診しましょう」(高橋さん)お話を伺ったのは…高橋怜奈さん ●2009年東邦大学医学部卒業。産婦人科専門医、医学博士。東邦大学医療センター大橋病院産婦人科勤務、四ツ谷レディスクリニック非常勤医師スタッフ。「産婦人科医YouTuber」としても活躍。監修に『おとなも子どもも知っておきたい新常識 生理のはなし』(主婦と生活社)がある。〈取材・文/樋口由夏〉
2022年01月23日LINEお友達登録で、デリケートゾーンソープをプレゼント気になるけれどなかなか手を出しにくいデリケートゾーンのケア。ストアでは、デリケートゾーンのセルフケアアイテムを中心に、新商品のデリケートゾーンのオイルセラム(美容液)も先行販売予定です。また一部商品がPOPUP限定セール価格でお得に購入できます。店頭では、気になるデリケートゾーンについての質問、セルフケアの相談なども可能です。併せてTikTokでも好調の動画メディア事業「女性ホルモン大学」で紹介中の月経カップなど、フェムテック関連アイテムの展示や販売も予定。コンセプトに合わせ、「あしたるんるん公式LINE」のお友達登録をした先着1,000名に、「withmoon f feminine care(ウィズムーンエフ フェミニンケア)」のデリケートゾーンソープお試し20mlサイズをプレゼント。「withmoon」は使用感や香り、使う心地よさにこだわったアイテムを展開中のブランドで、毎日を自分らしく過ごせるよう、生理サイクルに合わせたライフスタイルを提案しています。今回のデリケートゾーンケアアイテムのほかにも、生理周期に合わせて使うアロマオイルや、女性のゆらぎに嬉しいチェストベリーを使用したハーブティーとサプリメントなど展開しています。通常はECショップのみの販売ですが、今回のPOPUPでは実際に商品を手に取って買い物ができます。ハーブティーやサプリメントも展開POP UPストア概要場所:新宿マルイ 本館 1F期間:2022年1月25日~2022年2月6日詳細ページ:あしたるんるんラボ(マイナビ子育て編集部)<関連リンク>→リモートワーク女性の約7割が「デリケートゾーンの不調」を自覚! 帝人が20~40代女性300名に調査→デリケートゾーンケアブランド「I’m La Floria」のスペシャルホリデーキットが数量限定で登場!→【蒸れ対策? 老後のため?】ママに調査!デリケートゾーンの脱毛してる?
2022年01月20日※画像はイメージです12月中に国へ承認申請される見通しの「飲む中絶薬」が今、注目を集めている。年間14万5000件の妊娠中絶が行われている日本では、70年以上前から変わらない手術や制度によって、女性だけに多くの負担が強いられてきたためだ。安全な中絶を求める当事者の訴えとは―。■大きな負担がかかる中絶手術「そうは法」「あのときのことを思い出すと今も悔しくて涙が出ます」出版社で働くMさん(36)は26歳のとき、望まない妊娠をした。「その日は排卵日前後だということはわかっていたので、ちゃんと避妊してねと頼んだのに、だまし討ちのように中出しされてしまったんです」当時の交際相手は結婚を望んでいたが、Mさんにはまだその意思はなかった。彼がこっそり避妊具をはずしたのは、「妊娠したら結婚する気になるだろう」という身勝手で浅はかな行動だった。予定日に生理が来なかったため、すぐに婦人科を受診。すでに妊娠5週目だった。産む意思はないとその場で告げると、年配の女性医師はやれやれ、という顔をして「中絶は女性の身体に負担をかけますよ」と冷たく言った。すぐにでも手術をしたかったが、指定された手術日は2週間後。仕事がいちばん忙しい時期だ。結果的に手術ができたのは、妊娠11週目にもかかろうとするころだった。術後の出血は2週間近く続き、腹部の鈍痛にも苦しんだ。「俺の子は産みたくなかったんだね」と、恨みがましさを隠さない交際相手は苦しむMさんに冷ややかだった。なぜこんな思いをしなければならないの?あのころを思い出すと当時の痛みがよみがえる。そうMさんは言う。Mさんが受けた中絶手術は「そうは法」といって、子宮内部に金属製の細長い器具を入れ、受精卵が成長した胚を子宮の中からかき出す手術だ。日本では戦後間もないころから現在に至るまで広く行われてきたが、欧米などでは1970年代ごろから「吸引法」が導入されている。軟らかいチューブを子宮に差し込み、胚を吸い取る手術で、女性の身体への負担も少ない。WHO(世界保健機関)が2012年に発表したガイドラインでは、そうは法は子宮を傷つけたり出血したりするリスクが吸引法の2~3倍は高く、痛みも伴うとして、中絶薬か吸引法に置き換えるよう勧告している。■日本の中絶手術は「時代遅れ」近年、日本でも吸引法が広がってきたとはいえ、そうは法、もしくはそうは法+吸引法による中絶が全体の6割を占めているのが現実だ。日本の中絶件数は20年時点で約14万5000件。今なお多くの女性たちが手術に伴うリスクにさらされている。「日本の中絶手術はWHOが指摘するとおり、世界から見ても時代遅れです」そう話すのは、中絶問題を研究する『RHRリテラシー研究所』の塚原久美さんだ。塚原さん自身、かつてのMさんと同様に、妊娠が判明した直後に手術できず「3週間待たされた」経験がある。「妊娠初期の場合、胚をかき出すには小さすぎるため、かき出せる大きさになるまで“育てて”手術をするのです。それを知ったときはショックでした」(塚原さん、以下同)1988年にはフランスで、より身体への負担が少なく安全な「飲む中絶薬」が承認された。現在は世界82か国で承認され、先進国の中絶は吸引法と中絶薬が主流になっている。なぜ日本では安全で安価な中絶が選択できないのか─。中絶薬を日本でも認可してほしいという声は高まるばかりだ。その影響もあってか、ついに英製薬企業・ラインファーマの日本法人が厚生労働省に対し、年内にも承認申請を行うと発表。順調に進めば1年程度で承認される見通しだ。今回申請される「飲む中絶薬」は、妊娠を維持する黄体ホルモンの働きを抑える「ミフェプリストン」と、子宮を収縮させる「ミソプロストール」を組み合わせた中絶法だ。ラインファーマによると、国内の治験でも有効性と安全性が確認されたという。「中絶薬を速やかに承認し、適正な価格で提供して、必要な人すべてが使える体制を整えるべきです。日本の中絶費用は他国と比べて高く、医療保険もきかないため妊娠初期でも10数万円はかかります。一方、イギリスやフランスなど約30か国では、公的保険や補助により中絶薬は実質無料です」WHOの調べでは、飲む中絶薬の世界平均価格は日本円で約780円。しかし、中絶薬に慎重な態度を示す日本産科婦人科医会は、中絶薬の処方や診察はこれまでどおり指定医師のみが行うべきとしている。薬の単価は安くても、母体の安全管理のため医療行為が必要となれば、従来の外科手術並みの金額になってしまいかねない。「経済的な理由で中絶できず、トイレで孤立出産して罪に問われる女性たちが日本では後を絶ちません。これは社会構造の問題です。必要とする誰もが安心かつ安価に中絶できる体制を整えるべきです」一方、海外ではオンラインで事前カウンセリングを受け自宅で薬を服用する、遠隔医療の中絶も増えてきている。イギリスではコロナ禍をきっかけに1年前からスタート。希望者は中絶ケアを行う団体にアクセスし、オンラインや電話で看護師や助産師のカウンセリングで情報を得て、吸引法にするか中絶薬にするかを自分で選ぶ。現状85%の女性が中絶薬を選ぶという。その後、前述した2種類の中絶薬が自宅へ郵送されてくる。説明書に従って服薬すると、やがて出血し、流産となる。現地で助産師として働く小澤淳子さんが言う。「妊娠判明の直後から内服できるので、望まない妊娠期間は短くなり、身体的、心理的負担を減らすことが可能になりました。遠隔処方で中絶をした女性は、おおむね自分の受けたケアに満足しているとの調査結果があり、安全性においても十分な確認がとれています」■安全な中絶を選ぶことができる制度をなぜ海外でこれだけ広がっている中絶薬が、日本では認められてこなかったのか。いちばん大きな要因は、中絶する女性への偏見を助長する時代遅れな法制度にある。例えば、日本の刑法では、中絶を罪とする堕胎罪が明治期の制定後未だ廃止されていない。戦後にできた優生保護法(現・母体保護法)のもと、経済的理由などによる中絶は可能になったが「配偶者の同意」が必要。夫の許可がなければ、女性が望んでも中絶できない現状があるのだ。今年9月、任意団体『#なんでないのプロジェクト』の梶谷風音さんは、「配偶者同意」の廃止を求める署名を厚労省に提出した。さらに今月から新たなキャンペーンを立ち上げた。中絶薬の速やかな認可と誰もが安全で経済的・身体的負担の少ない中絶が受けられる制度を求め、問題を周知し署名を集めている。「日本では産まない選択をする女性の人権が認められていません。世界で認められた安全な中絶薬が日本では使えないため、やむをえず中絶薬を輸入し飲む女性もいますが、今の日本の法律では堕胎罪に問われる可能性もある。自分の身体のことを選ぶのになぜこんな思いをしなければならないのか」(梶谷さん)安心、安全な中絶法を女性が主体的に選ぶことができる法律や制度を、一刻も早く実現してほしい。●人工妊娠中絶の方法・そうは法金属製の器具で子宮内の内容物をかき出す。合併症のリスクがあるため医師の高度な技術が必要。WHOは「安全性に劣る時代遅れの中絶法」と指摘。・吸引法子宮内に管を入れ内容物を吸い取る。金属性の筒状の器具を使い電動ポンプで吸引する「電動吸引法」と、軟らかいチューブを使って手動で吸引する「手動真空吸引法」がある。WHOが推奨。・中絶薬黄体ホルモンの働きを抑える「ミフェプリストン」、子宮の収縮を抑える「ミソプロストール」の2種類を飲む。世界80か国以上で使用。WHOが推奨。取材・文/岩崎眞美子……フリーランスライター。1966年生まれ。音楽雑誌の編集を経て現職。医療、教育、女性問題などを中心に雑誌や書籍の編集に携わる
2021年12月30日ワックスからアフターケア用商品まで、サロン品質のアイテム「moumou Waxing Studio」は、韓国の"清潭洞"(チョンダムドン)にある韓国芸能人やセレブも訪れるワックス脱毛サロン。同サロンで使用している製品を、「allongs」ブランドとして、韓国から世界に展開しています。「allongs」は脱毛からアフターケア、デリケートゾーンケア製品までをトータルでラインナップ。日本では2020年10月より、デリケートゾーンケア、ボディケアの販売中です。今回は、スリムでコンパクトなワックスウォーマーをはじめ、初心者でも使いやすハードワックス、脱毛後の肌をケアするスムースボディ―スプレーとコンディショニングアロエジェルをオンライン先行販売します。「アロング セルフ ワックス ウォーマー」(7,260円)は、ハードワックスを一定の温度に保温するアイテム。カップ付きでメンテナンスも簡単です。本体を滑りにくく安定させるゴム足も付いています。「アロング セルフ ワックス ウォーマー」「アロング ハードワックス」(100g1,815円、200g2,750円)は、イタリア製のハードワックス。サロンクオリティのワックスは低温で溶け、適度な粘度でしっかりと毛に絡み、初心者でも扱いやすいテクスチャーです。顔のうぶ毛、眉毛からデリケートゾーンまで全身に使えます。「アロング ハードワックス」(100g1,815円、200g2,750円)「アロング コンディショニング アロエジェル」(100ml 1,760円)は、脱毛後の肌を素早く整えるクーリングアロエジェル。ボタニカル成分アロエベラ葉エキスを81.5%配合しています。スベリヒユエキス・アラントイン・ダイウイキョウ果実エキス・パパイヤ果実エキス・オウゴン根エキスなど高配合し、脱毛直後の肌を素早く整え保湿します。「アロング コンディショニング アロエジェル」「アロング スムースボディヘアスプレー」(60ml 2,420円)は、ワックス脱毛だけでなく、カミソリや除毛剤などさまざまな脱毛処理の後の肌荒れを防ぐスプレータイプのボディーローション。脱毛後の敏感な肌を整え、角質をケアします。「アロング スムースボディヘアスプレー」「アロング ワックススパチュラセット」(大小各10本セット165円)は、使い捨ての木製スパチュラ。塗布する面積に合わせた2サイズがあります。「アロング ワックススパチュラセット」製品の使用方法やテクニックは、YouTubeやTikTokなどの動画でアップされています。エフエヌリパブリックジャパン(マイナビ子育て編集部)
2021年12月03日デリケートゾーンケアブランド『I’m La Floria(アイム ラフロリア)』は、12月1日(水)より数量、オンライン限定でブランド初となる「スペシャルホリデーキット2021」を販売します。また、この一般販売に先駆け、ブランド公式のECサイトでは会員先行販売がスタートしています。「I’m La Floria」は、「Step to be lovin’(自分を愛するための一歩)」をコンセプトに、自分の一部である性ともっとオープンに向き合い、身近に感じる、シンプルな毎日のセルフケアを提案するデリケートゾーンケアブランドです。デリケートゾーンケアを習慣化してほしいという思いから、普段のボディケアと同じステップでケアを習慣化しやすいように開発されていて、商品はすべてのアイテムがデリケートゾーンだけでなく全身に使えるそう。今回発売されたホリデーキットは、9月にリニューアルしたデリケートボディクリームを、持ち歩きやすいサイズにしたものと、オリジナルのシークレットソックスがセットになったスペシャルキット。購入者には、デリケートボディクリームを使った「ホルモンバランスプランナー監修セルフマッサージ動画」が視聴できるQRコード付カードもプレゼントされます。デリケートボディクリームデリケートゾーンもボディも、1本で保湿。 乳酸菌発酵エキス(※1)配合で、潤いのあるふっくらとしたお肌へ導きます。 3種のセラミドが(※2)が、角質層まで浸透し、しっかり保湿。 肌馴染みが良く、乾燥や摩擦によるダメージからお肌で守ります。(※1)乳酸桿菌/セイヨウナシ果汁発酵液 (※2)セラミドNG, セラミドNP, セラミドAPシークレットソックス(シルク・5本指靴下・ブラック)指の間の刺激が血行を促進し、冷えを改善しながら、足のむくみの解消や免疫力のアップも期待されます。シルク配合で、吸湿性・通気性・保温性に優れ蒸れにくく、また天然由来の保温・抗菌効果があるため、足先の冷えや匂いのトラブルを防ぎます。外見からは5本指ソックスだと分かりづらいデザインも魅力。【商品概要】名称:スペシャルホリデーキット2021キット内容:デリケートボディクリーム30g、シークレットソックス(シルク・5本指靴下・ブラック)価格:3,960円(税込)販売元: Mellia株式会社
2021年11月24日30~50代女性の約6割が第二思春期(ミドルエイジクライシス)の可能性これら項目の中から、ご自身に当てはまるものを全てお選びください一般的に、20~30代は仕事・私生活に一生懸命に取り組む人が多く、40代からは「このままでいいのか」と将来に不安を覚える人が増える傾向があります。この不安が続くと、「ミドルエイジ・クライシス」と呼ばれるうつなどの不安定な精神状態に陥ることがあり、注意が必要です。近年は、ミドルエイジ・クライシスの若年化により、30代でこの症状に陥る人も珍しくありません。そこで、30~54歳を第二思春期(ミドルエイジ・クライシス)と仮に名づけ、今回調査を実施しました。まず、医師・作家の鎌田實先生が作成した全13問の「第二思春期の可能性があるかどうかを確認する簡易テスト」を、調査対象者に行ってもらいました。その結果、4問以上当てはまる「第二思春期」の可能性が高い人は約6割いることが明らかになりました。4問以上当てはまる「第二思春期」の可能性が高い人は約6割設問の中で最もチェック数が多かったのは「運動をあまりしない」、続いて「人付き合いがあまり得意でない」「家族以外の人と会う機会が少ない」でした。最も第二思春期の可能性が高い年代を調べてみると、最も多いのは「30歳~34歳」でした。続いて「35歳~39歳」が多く、30代は第二思春期に注意が必要な年代のようです。第二思春期(ミドルエイジクライシス)に悩んでいるかどうか尋ねたところ、およそ1割が「悩んでいる」と回答。また、約6割が「第二思春期(ミドルエイジクライシス)の存在を知らなかった」と答えています。自身が第二思春期(ミドルエイジクライシス)であることを自覚していない人が多いということがわかりました。「第二思春期(ミドルエイジクライシス)に悩んでいる」と回答した人に悩みの原因を聞くと、「プライベート」と答えた方が約7割と最も多く、「仕事」が約6割となっています。第二思春期(ミドルエイジクライシス)に悩んでいますか人生の満足度が低いのは35~39歳という結果にこれまでの人生の満足度を点数で表すと何点になるか尋ねたところ、最も多かったのは「50点以上60点未満」で、「70点以上80点未満」が続き、平均点は56.7点となっています。年代ごとに比較すると最も平均点が少ないのは「35歳~39歳」で51.8点でした。これまでの人生の満足度50点未満の点数がついている人に理由について聞くと、最も多い回答は「収入・貯金が少ないから」でした。次いで「ストレスを抱えているから」となっています。現在、夢や目標はあるか尋ねると、約5割が「ない」と回答。年代別に比較すると「夢や目標がない」と答えた人が最も多かったのは「45歳~49歳」で、続いて「35歳~39歳」となっています。「夢や目標がない」と答えた人に夢や目標を持てない理由を聞くと、最も多い回答は「自分に自信がないから」でした。続いて多かった理由は「夢よりも安定を望んでいるから」となっています。「新しい自分を見つけたい」もしくは「新しいことに挑戦したい」と思っているかどうか聞くと、約6割が「思っている」と回答しています。悩みがある場合のリフレッシュ方法について尋ねると、最も多い回答は「好きなものを食べる」で、2位は「買い物」、3位は「音楽鑑賞」でした。鎌田先生によると、リフレッシュ方法の1位「好きな物を食べる」については「中年期の生活習慣病の元を作らないよう気をつけたいところです」とコメント。音楽や体を動かすことは、とてもいい解決方法だと話しています。夢や目標はありますか体型の変化を受けてファッションも変化年齢とともに気になってくるのが体型の変化。「体型の変化」が悩みであると回答した人に、体型の変化に伴ってファッションの面でも何か変化はあったか尋ねたところ、約7割が「体型を隠すファッションをするようになった」と答えました。「露出が減った」「落ち着いたデザインを着るようになった」「ゆったりしたデザインを好むようになった」などの項目においては「35歳~39歳」が最も多くなっています。コロナ前と比べ洋服を購入する機会に変化があったか尋ねると、約9割が「減った」と回答。コロナ前とコロナ後の洋服の購入頻度を比較すると、コロナ前は「2~3か月に1回」が最も多かった一方、コロナ後は「半年に1回」が最多となっています。一か月あたりの洋服にかける費用の平均は「3,000円未満」が最も多く約5割でした。年代別で比較すると、一か月の洋服にかける費用は「30歳~34歳」が最も多く平均6,336円、最も少ないのは「50歳~54歳」で平均4,118円でした。鎌田先生は女性のターニングポイントを上手に生き抜くために、「"心"にばかりこだわらず、"体"に注目して実践する」ことが大事だと話します。体調や体型の変化を感じる時期は、運動などを取り入れることも重要になってきます。また、「いつまでも「自分探し」をしていないで、新しい自分も、この時期に作り上げていく」ことや、他人の意見よりも自分の意思を重視する「自己決定」も大切。「第二思春期を女性のターニングポイントととらえ、年とともに人間的な深みを持ち、生きがいを持ち、より自由な自分になっていく。今回の調査を、面白い人生を歩んでいくためのヒントにして頂けたらと思います」と鎌田先生はコメントしています。DoCLASSE(マイナビ子育て編集部)
2021年11月08日「自サバ女」はあなたの周りにも……(写真はイメージです)《だいたいさあぁ〜そうやってメソメソした感じだからなめられんのよ》《あっごめん!ちょっと毒舌すぎた?でも本当のことだよ》《みんな私みたいにサバサバ生きればいいのに》『自サバ女』─“自称サバサバ女”を主人公にした『ワタシってサバサバしてるから』が漫画サイト『めちゃコミック』の月間総合ランキングで1位となるなどヒットしている。雑誌編集部に勤める自サバ女の主人公は、冒頭のような発言で同僚に疎まれている。しかし、自サバ女に悩まされるのは、漫画の登場人物たちだけではない。世間にもあちらこちらに潜んでいて……。■「甘くて弱い酒とか無理〜」「中途で入ってきた女性が自分のキャリアに自信があるのか、意識高い系で……。下の立場である私たちに“気遣いとか配慮とかいらないから、思ったことがあったらなんでもガンガン言ってきて”とか、仕事なんだから忖度無用みたいな感じ。自分のことをサバサバ女だと思ってる。自分のことが圧倒的に正しいと思って、違う考え方の人を真っ向から否定。そのくせミスをすると、自分の能力への自信からそれを認めない。自分よりいい仕事した人がいれば悪口を言ったり、サバサバどころか誰よりもネチネチしていて……」(30代女性・会社員)職場だけでなく、それは友人関係でも現れる。「可愛い派手めなスカートとかをはいてると、“ワタシってそういういかにも可愛いみたいな服着れないんだよね〜。うらやましいよ”とか“そういう男ウケよさそうな服が着られていいなぁ。男ウケとかどうでもいいんだけど(笑)”みたいなことをたびたび言ってくる友達。周りは誰よりも男ウケを気にして、媚売ってることに気づいています」(30代女性・会社員)“サバサバしてるから”を、免罪符に他人をイラつかせる自サバ女。「私思ったこと何でも言っちゃうからさ~」「女子とは気が合わない」「男と一緒にいるほうが楽」「女の子ってネチネチしてて怖いじゃん」「甘くて弱い酒とか無理〜」そこのけそこのけ、今日もどこかで自サバ女が人を困らせる。「『自サバ女』は、“サバサバ”の意味を、自分の都合のいいように解釈してしまっています。それにより、自分の欠点を正当化しているところがあります。例えば、“空気を読まない”“人の気持ちを察することをしない”というこまやかな心配りができないところを、本人は“サバサバしている”のだと解釈してしまっているところがあります。でも、それは、サバサバというよりは、無神経なだけ」そう話すのは、『愛される人の境界線』など、恋愛や“大人女子”についての著作も多いコラムニスト・ひかりさん。■自サバ女は「他称ネチネチ女」「本当のサバサバしている女性ならば、人付き合いにおいては、相手に気を遣ったり、相手の思いを酌んだりすることで、自分の意見を抑えることもあるし、サバサバできないところも。でも、それこそが、思いやりです。だから、単にサバサバすればいいわけではないんですよね。サバサバが本当なら、大らかな性格だから、細かいことは気にせず、スッキリ、さっぱりした性格の人のこと。執着を持たない、固執しない人」(ひかりさん、以下同)一方、自称のほうは……。「自サバ女は、その逆で、大らかさがないので、細かいところを気にしてしまうことが多いし、根に持ってしまうので、性格がサッパリしていないところも。つまり、『自称サバサバ女』イコール『他称ネチネチ女』といえるかもしれません。例えば、漫画『ワタシってサバサバしてるから』の自称サバサバの主人公は、“人に自分を認めさせること”に固執しています。だから、自己アピールが強い。“私って、こういうタイプなの”と自分を押しつけてしまう。また、他人を貶めて、自分の価値を上げようとする。“私って、サバサバしているから”というのは、自分は素敵な人間だと、人に認めさせようとしている言葉なのです」なぜ「自サバ女」になってしまうのだろうか?「私って、サバサバしているから”という言葉の裏には、“自分をわかって。受け止めて”という思いが隠れています。つまり、劣等感が強くて、自分で自己をきちんと受け止められていないから、人に認めてもらうことで、安心したいのです。自分を肯定できている人は、むやみに人に自己アピールはしないものです。特に、自分の女性としての魅力にコンプレックスを抱いている人は多いでしょう。だから、“サバサバ=男っぽい女”という都合のいい解釈で、女らしさを捨て、自分のポジションをつくろうとする人も。また傷つかないために、女性らしさを封印しているところも。そういう人は、“女子とは気が合わない”など、『女性の敵』となるような発言をすることも少なくないでしょう。その言葉の裏には、女性として魅力あふれた人に対して、うらやましさを感じている部分もあるでしょう」■「相手のイジリにマジで返す」自サバの女への対処法、反撃することはできる?「どんな間柄かにもよりますね。基本は、“同じ土俵に上がらない。相手にしない。聞き流す。でも、会社や取引先の上司の場合は、相手を肯定してあげると、優しくなることも」自サバ女は、劣等感が強く、本当は人に認められたくて仕方がない。「お世辞までは言わなくても、相手のいいところを見つけて褒めてあげると、優しくなることも。ただ、劣等感の強いタイプは、嫉妬心も強く、相手が優しくなったとしても、距離感には気をつけたほうがいい。距離が近すぎると、嫉妬心から足を引っ張られることもあるので注意。自サバ女の標的になり、“他人(女性)を落として、自分の価値を上げようとする手段”に使われそうなときは、“相手のちゃかし・イジりにマジで返して、かわす”という手も」漫画では飲み会でオシャレと褒められた女性に対し、主人公が女を出したかいがあったとばかにした。すると女性は「お気に入りの服を着てきただけですが、下品でしたか?」と返し、黙らせた。「ただ、関わるほどイライラするので、関わらないに越したことはないでしょう……」あなたの周りにもきっといる自サバ女。離れるか、戦うか……。初出:週刊女性2021年11月9日号/Web版は「fumufumu news」に掲載
2021年10月29日歳を重ねると、周りの人や若かった頃の自分と比べて、自信がなくなってしまう時はありますよね。スーパーマーケットで働いている、あとみ(@yumekomanga)さんは、同僚で最年長の土田さんと、年齢について話していたことがありました。多くの人の共感を集めた、4ページの漫画を見ていきましょう。『かわいい最年長』スーパーマーケットのロッカールームで化粧をしている、あとみさんと土田さん。「私なんか、課で一番のおばあちゃんで…」そういう土田さんの言葉を聞いて、あとみさんは「まだまだお若いですよ」と答えます。すると思いがけない展開に…。アルバムごと、持ってきちゃった!あとみさんに「実年齢よりも10歳は若い」「今もきれいだけど昔も」「元アイドルに似てる」といわれ、照れている土田さんですが、まんざらでもない様子です。「今度、若い時の写真を持って来るわ」土田さんが持って来たのは、自信のある写真の1枚や2枚かと思いきや、アルバムそのものでした。あとみさんから褒められたのが、よほど嬉しかったのでしょう。土田さんのかわいい行動に、多くの人がコメントしました。・アルバムごと!かわいい。・「昔は私も若くてきれいだったのよ」って、見てもらいたい気持ちは分かる。・若いっていわれると嬉しくなるよね。年齢とともに顔や体型が変化しても、その人の魅力がなくなるワケではありません。土田さんのように、喜びを全力で表現する人はかわいらしく見えますし、自分は気づいていなくとも、人それぞれにチャームポイントはあることでしょう。自分らしさを大切に、暮らしていけたら素敵ですね。[文・構成/grape編集部]
2021年10月29日(写真左から)三松真由美さん、小笠原祐子さん、高林裕果さん閉経後に起こる症状にはいろいろあるけれど、実はSEXでも変化が。せっかく妊娠リスクがなくなったのに、楽しめないのは人生損しているようなもの。身体の変化と対策案を知って、素敵なSEXライフを手に入れて!■【Part1】まずは知ろう! 閉経後のアソコは?火照りや肩こり、不眠などの更年期障害のことは友達同士で話題になるけど、アソコについてはちょっと聞きにくい……。「閉経後の変化で最も代表的なのが、女性ホルモンの一種であるエストロゲンの大幅減少。肌にハリや潤いがなくなるのもこれが一因です。そして膣内部も同じく乾燥しやすくなります」そう語るのは膣衛生協会代表を務め、フェムケアの製品開発にも携わる高林裕果さん。「膣内部が乾燥すると、かゆみだけでなく異臭を放つことも。また、細菌を排除する力も低減するため、病気になるリスクも高くなります。さらに潤い不足の膣内は粘膜が硬くなってしまい、場合によっては萎縮してしまいます」(高林さん、以下同)やはり閉経後のアソコにはさまざまな変化が訪れる様子。では、SEX時のアソコも濡れにくくなってしまうというウワサは事実なの?「個人差があるので、決して濡れなくなるということではありません。ただ、多くの人が濡れにくくなって悩んでいるのは事実です。中でも閉経前からセックスレスになっている人は要注意。長い期間膣内に十分な潤いを与えていないので、性的快感にも反応しにくい状態になっています」やはりウワサは本当だった……!あまり濡れていない状態で男性器を挿入されたら、気持ちよさなんて間違いなく皆無。ただただ痛みに耐えるだけで、SEXがイヤになってしまう。このような事態を防ぐためにはどうすればよいのか。高林さんに聞くと、日ごろからのケアが重要なのだそう。「できれば専用のソープを使って清潔にするのがベストですが敏感肌用洗顔料でも大丈夫。指でていねいに洗う習慣をつけましょう。さらに清潔感を保つためには、毛の処理も効果絶大。毛に付着した不純物は膣内トラブルの原因になることもあるので、VゾーンだけでなくIゾーンも脱毛するのが理想的です」そして高林さんがいちばんにオススメするのがオイルマッサージだ。「指にオイルをつけて第1関節から第2関節くらいまで膣内に挿入して、内部をよくもみほぐします。膣内に指を入れられない人は、膣周辺にオイルをつけるだけでもOK。続けるうちに乾燥が解消され、徐々に濡れやすい状態に変化します。また、血行も促進されるので、冷え性や代謝アップにもつながって一石二鳥ですよ」そう語る高林さんのお肌は40代にしてつるっつる。アソコのケアでキレイ度もアップ!?もちろん閉経後からでも、アソコの改善は望めるそう。まずは日々のケアから始めてみよう!●アソコのケアは専用アイテムを使うのがベター!高林さん監修のケアブランドCITUCAのアイテムで日々のアソコ磨きを。・ケアソープ(120ml)3190円…ぬるま湯でよく泡立ててから、指の腹を使って洗浄。・ケアオイル(20ml)3410円…2〜3プッシュが適量。デリケートゾーンまわりにやさしくなじませて。*CITUCA(ちつ花)■【Part 2】ごぶさた脳に活! SEXY脳をつくるべし!閉経後の濡れにくいアソコ。ケアはもちろん大切だけど、やっぱりいちばんの解消法はSEXをすること!だけど「閉経後“ビックリするくらい濡れなくなった”と悩む女性が多いです」と、教えてくれたのは夫婦仲カウンセラーとして活躍中の三松真由美さん。「過去のセックス事情により、性欲自体は衰える人、そうでない人がいます。別に感度が悪くなったわけではないし、愛撫は気持ちいい。だけど、濡れない。これだと気持ちがつらいですよね」SEX自体が苦痛になってしまう可能性も。「まずはローションを使って対処をしてもいい。ただ“これまでどおりの受け身の姿勢ではダメかも”という危機感は必要です。私はそういう場合、セルフトレーニングをオススメしています」日々の努力で濡れる身体はつくれる、と教えてくれた三松さん。では、具体的にどのような行動をすれば?「濡れにくい人の大半は、マスターベーションをしない。まずはマスターベーションを習慣化させること。最近では海外セレブも公言するようになっていますから、恥ずかしがる必要なんてありません」そしてマスターベーションの際に大切なのが、自分が望むシチュエーションを頭に思い描くこと。つまりは妄想!「私はこれを“SEXY脳”と呼んでます(笑)。自分の性癖を知るうえでも、すごく重要なことだと思います」自分史上最高のSEXを思い出したり、レディコミのエッチなシーンを参考にしたり、とにかく自分の“やる気スイッチ”を入れるべし!ちなみに三松さんの友人には“男子高校生に体育館倉庫に呼び出されて、無理やり……というシチュエーションに萌える”という人もいるというので、性癖はそれぞれだ。自分でなかなかイケない人は、セルフプレジャー(自慰)グッズを使うのもオススメ。「ローション、SEXY脳、グッズなどを駆使して、自らの性欲と感度を高めたら、最終的には自らパートナーを誘う勇気を持って」いまの時代、女性のSEXは常に受け身ではない。「こちらから誘ってもいいんですよ。もちろん相手の“やる気スイッチ”を入れるために、シチュエーションづくりにもこだわってみて」一緒にAV鑑賞したり、ラブホテルに行くなど、マンネリ化を避けることは大事だそう。とはいえ、セックスレスが長かった人の場合、これらの条件は少しハードルが高い可能性も。そんな人は、まずはスキンシップを心がけることから始めよう。「外出時に手をつなぐなど、肌に触れ合う時間を増やしていくだけで、SEXしたい気持ちが少しずつ高まります。最初の一歩さえ踏み出してしまえば、意外とすんなり習慣化できますよ」閉経後もSEXライフを楽しむためには、日々の積みかさねあるのみ!●オススメAction・SEXY脳を鍛える自分がセックスしているシーンを考えただけで、アソコが熱くなるような妄想力を身につけて!・やる気スイッチを把握する自分の性癖、感じやすい部位を理解すること。レディコミ、グッズなどを駆使するのもアリ!・ パートナーは『誘う』くらいの気持ちで受け身ではなく、したくなったら自ら誘う。素直に自分の欲求を伝えれば、パートナーも大喜びするハズ。●初心者にもオススメのセルフプレジャーグッズはコレ!三松さんもお気に入りの通販サイト『ラブコスメ』で購入可能!・ラブデビューシリーズメシベ2400円…未経験者にピッタリの小ぶり(直径1.5cm)サイズで携帯にも便利。商品クチコミには「夫の指も痛くて入らなかったのに、ガクガク震えるほど快感が」など、喜びの声が!処女にもオススメ。*ラブコスメ■【Part3】いざ久しぶりの本番、アプローチは? 身体はどうなる?身体もしっかりメンテナンスして、ヤル気スイッチもオン!でも、実際コトに及ぶのって勇気がいる……。「私が夫を亡くしてから男とSEXしたのなんて、本当に24年ぶりだった。でも、ぜーんぜん問題なかったわよ」そんな心強いアドバイスを送ってくれたのが、世界最高齢の現役AV女優・小笠原祐子さん。御年なんと85歳。閉経どころか夫の死までも乗り越えて“若いイケメン”とのSEXを堪能している。「といっても81歳にして生まれて初めてのAVの撮影現場だったから緊張した。それに夫以外の男も知らなかったし。ただ、いざおっぱじまったら夫とのSEXを思い出して濡れ濡れになっちゃった!」小笠原さんは20代で結婚。処女童貞だった清い夫婦はお互いの身体で快楽をおぼえ、子どもは3人。夫が亡くなるまでSEXを楽しんだ。「私が閉経したのは40歳のとき。今の人たちは50くらいだというから、かなり早かったけれど、閉経後も毎日ヤっていたわよ。朝からもう何回も!閉経したのだって、夫にとっては“生理なくなったの?やった!”ってくらいのことだったんだから」閉経しても、愛され濡れる。そんな身体なら、相手に引け目を感じずに行為に没頭できる。男性側も快感の度合いが変わることなく、お互い全集中で楽しめたろう。そして夫の死後も、その記憶が自信になり、いまの最高齢AV女優・小笠原祐子が生まれたのだ。だが、小笠原さんの場合は、絶倫夫から長年、身体に刻まれた快感があった特別な例。いま現在“パートナーとごぶさた”という場合には、どうしたらお盛んになれる?「私の場合は、ふだんから肌を寄せるようにしていたの。なるべくさわってあげるのよ。夫の布団の中に手を滑り込ませて、マラを握ったりね。あとは朝勃ちを狙って、自分から襲いかかったことも。男性を喜ばせるなら自発的な行動をしなきゃね♪」とはいえ、夫に迫る際には決して下品にならないよう、淑女としての振る舞いを忘れずに対応したそう。もちろん、ふだんの見た目も大事!「夫はほかに女を知らなかったから、私にベタ惚れだった。それに応えたかったから、私も毎日欠かさず化粧をしてキレイにしていたわ。夫にすっぴんを見せたこともない。ず~っと“可愛がられる女”を目指してたもの」男性に尽くすスタイルは、さすが戦前生まれの女性!夫は尽くす小笠原さんに喜んで、さまざまなプレーでそれに応えた。「夫は写真が趣味。プレー中はもちろん、彼の勃起したマラを私が撮影したことも。夫のマラは立派だった。ここだけの話、いままでお相手した男優の誰より大きかった」巨根で絶倫の夫に愛されて、いまでは若い男子と現役……なんとも羨ましい話だ!「個人差はあるけれど、いくつになっても、男も女も性欲はある。そして素敵なSEXをしたいなら、自分も変わらなきゃ。パートナーがいるなら愛される努力をね。今から始めたって遅くないわよ!」人生100年時代、閉経してからもまだまだ長い。これからも“性”春真っ盛り!3賢者のアドバイスを参考に、大人のSEXライフを始めてみてはいかが?●濡れなくても大丈夫、潤いアイテムを使うべし小笠原さんのように濡れる体質でなくても楽しめるアイテムはある!事前にアソコに仕込んでも、彼に塗ってもらっても。・LCハーバルローション941円…アロエとハチミツ配合の、サラとろタイプ。・ラブコスメリュイールホット3400円…少量を塗ってマッサージ。ほんのり熱い刺激で潤う。*ラブコスメ(取材・文/三輪順子撮影/齋藤周造、近藤陽介) 教えてくれたのは……看護師・CITUCA開発 高林裕果さん看護師キャリア歴20年。フェムテック会社glad代表。自身が10年以上実践してきたスキンケアや膣ケアの経験を生かし、トータルスキンケアのブランド開発や、メディアなどで正しい知識をレクチャー。三松真由美さん恋人・夫婦仲相談所所長。夫婦仲や恋仲に悩む未婚・既婚女性会員1万3千人を集めたコミュニティーを展開。数多くのメディアでも活躍中。女優 小笠原祐子さん1935年生まれ。59歳で夫を亡くしてから60代でスナックのママになり、店の常連客の声かけで81歳でAVデビュー。現在でも年に1〜2本ペースで撮影をする、世界最高齢AV女優。
2021年09月19日高校の卒業アルバムに写る対馬容疑者(知人提供)「6年ぐらい前から幸せそうな女性を見ると殺してやりたいと思った。(殺すのは)誰でもよかったので、勝ち組っぽい女性を狙った」自称・派遣社員の対馬悠介容疑者(36=以下すべて逮捕当時のもの)は警察の取り調べでそう供述したという。事件は8月6日、小田急線の車内で起きた。対馬容疑者は乗客の男女10人を狙って牛刀で切りつけ、そのうち20代の女子大生は重傷を負った。元埼玉県警の佐々木成三さんは分析する。「犯行にサラダ油や牛刀を用意していますが、その行動は稚拙です。ですが、供述からも女性を蔑視した犯行であることを非常に強く感じました」■『フェミサイド』は過去の無差別殺傷事件にもこの事件は無差別に被害者を狙ったのではなく、あえて女性を狙っていた。これは『フェミサイド』事件だったことがうかがえる。フェミサイドとは「女性や女児を標的とした殺人」のこと。作家の北原みのりさんは訴える。「殺傷事件だけでなく、性犯罪、DVなど女性が被害者になる犯罪は数多い。ジェンダーに関する性差別や女性嫌悪、女性を見下し、存在を消したい、とされる動機の中で行われる犯罪……これらも『フェミサイド』です」対馬容疑者は冒頭の供述にあるように女性への妬みや嫌悪感を訴えていた。「典型的なフェミサイドの事件だと思いました。ここまではっきりと“女性だから殺したかった”と供述した加害者は記憶にありません」(北原さん、以下同)過去の無差別殺傷事件を振り返ると実は、フェミサイドといえるものがあるという。「無差別殺傷や通り魔事件の被害者は女性が多いです。例えば2001年の池田小事件。犠牲になった8人中7人が女の子でした。宅間(死刑囚・執行ずみ)は女の子を狙っていたのではないでしょうか。そう考えるのはあまりにつらくて……。女の子や女性の被害者が多いのは偶然だと考えるようにしていましたが、そうではなかったのかもしれません」北原さんは3年前に東海道新幹線内で起きた無差別殺傷事件のケースも挙げた。事件を起こしたのは小島一朗被告(22歳)。東海道新幹線の車内で包丁を振り回し、無差別に乗客を殺傷。1人が死亡し、2人が負傷した。「あの電車には同日、東方神起のコンサート帰りの女性たちが、新横浜駅で大量に乗り込みました」事件の動画にはファンとみられる逃げ惑う女性たちが映し出されていた。小島被告は裁判で「一生刑務所に入りたい」などと動機を述べていたが、車内に乗り合わせた楽しそうに過ごす女性たちの空気を受けて攻撃を決行したのではないだろうか。「この事件もフェミサイドだといまは思っています。亡くなったのは女性を助けた38歳の男性でした。フェミサイドは男性も巻き込まれます」■容疑者は女性を従わせる対象として見下していたなぜ女性を狙うのだろうか。2つの理由が考えられる。前出の佐々木さんによると、「無差別殺傷事件の犯人は自分よりも弱い対象を狙う傾向があります。相手が男性だと抵抗されてしまい、目的を果たせない。なので、結果的に女性や子どもが狙われる」小田急線の事件も時間が早ければ通学中の女児が狙われていたかもしれないのだ。もう1つは女性に向けられる激しい憎悪だ。「加害者は強い被害者意識を持っているんです」(前出・北原さん、以下同)きれいに着飾ってお金がある女性。楽しく暮らしている女性。認められている女性──。そう一方的に思い込み見ず知らずの女性と自分を比べ、自らが被害者になる。すると憎しみや妬みなどの感情がわき上がり、悪意が女性に向けられるという。その背景には歪んだ思い込みがあるのだ。「男性のほうが優位であり、重きを置かれなければいけない、という刷り込みです」小田急線刺傷事件の対馬容疑者は「大学のサークルや出会い系で出会った女性にバカにされて生きてきた」とも述べている。だが、ナンパを繰り返していた過去も報道された。「容疑者は本来、女好きなのでは、という意見もありますが彼は女性を同じ人間として見ておらず、従わせる対象として見下していた。そこには“俺は男だ”という強烈なプライドがあったのではないでしょうか」そんな意識を持つ男性にとって、女性はバカにし、蔑み、自分よりも劣った存在。そんな呪縛にとらわれている。「それがフェミサイドにつながります。そしてなんらかのきっかけで事件を起こした」対馬容疑者は事件を起こす前、万引きで捕まっていた。そのとき、通報した店員は女性だったのだ──。「小田急線の事件は無差別で女性を狙ったわけではないと論じる人もいますがフェミサイドです。女性に向けられる殺意や暴力があることを社会が認めないのは女性の命が軽く見られていることの表れでもあると思います。殺人や性犯罪だけでなく、すれ違いざまにわざと体当たりしてくるぶつかり男もそうです。彼らは屈強な男を狙うことはない。相手を選んでいるのです」■男性たちにもっと女性の声を聞いてほしいこんな事件がいつ起こるのか、女性の立場で考えれば外出にも恐怖を覚える。「女性を狙わせない空気をつくる必要があります。そのためにも男性たちには自分たちの中にある女性嫌悪の感情と向き合ってほしい」前出の佐々木さんは述べる。「性犯罪も同様だと思います。女性を性のはけ口としか見ていない。それは他者を理解する、共感するという気持ちが圧倒的に少ないということ。性犯罪だけでなく、無差別犯罪者にはその傾向が強い」対馬容疑者は自分の中にある女性差別の感情と向き合い、更生できるのだろうか。「殺人未遂で起訴されると思いますが、実刑になっても無期懲役にはなりません。そのまま出てくれば同じことを繰り返すと思います。自分の中で事件は正当だと思っているんです。これが歪んでいるところ」(佐々木さん)だが、女性を攻撃するのは男性だけではないと前出の北原さんは指摘する。「女性でも女性を嫌悪し攻撃する人がいます。男性社会の中で抑圧されて、叩かれるなら男性に従い、従わないほかの女性を攻撃。そんな女性同士が対立するような構造がつくり出されてきた。この傾向は依然として残っています」今の社会は女性にとって生きづらいのだ。「事件をフェミサイドとして認定し、再び起こさないためにも社会で共有しないとまた同じことは起きるでしょう。女性たちは声を上げなければならない。女性を狙った犯罪をなかったことにしないでほしい。男性たちにもっと女性の声を聞いてほしいです」(北原さん)女性に向けられる憎しみの芽。それを潰すために一歩を踏み出す努力がこの社会には求められている。
2021年09月02日世界的なパンデミックでさまざまな変化を余儀なくされたこの1年。東京オリンピックも延期となり、選手はもちろん、あらゆる立場の人が影響を受けました。「#CHANGEDESTINY~運命を、変えよう。」を信念に掲げるグローバルスキンケアブランドSK-IIでは、同社のフィルムスタジオ“SK-II STUDIO”が制作した「それぞれのスタジアム」という映像作品を発信しました。子育て中の私たちも、制限のあるなかで子どものために何ができるか、工夫と決断が試される毎日。正直、弱音を吐きたくなることも多々ありましたが、この1年でどんなに立場が違ってもどんなに大変な毎日でも、“本当に大切なものは何か”にみんなが気づかされたはずです。筆者が見ても共感してぐっときてしまうこの映像作品、今、私たちにとって大切なメッセージを受け取ることができます。とにかくまずはご覧ください!この映像作品に登場しているのは、卓球の石川佳純さんなどのオリンピック選手と日本女性起業家たち。コロナ禍によって中小企業、なかでも女性起業家(女性の小規模事業主)が、ただでさえ厳しい状況にさらに追い討ちをかけられているのです。閉店を余儀なくされても、前向きな一歩を踏んだ和スイーツ店映像作品に登場する和スイーツ店「大三萬年堂HANARE」の店主である安原伶香さんは、兵庫県で江戸中期から360年以上続く老舗和菓子店の十三代目。「次世代の人や海外の方にもっと和菓子の魅力を伝えたい」と、和と洋が融合した新しいスイーツをプロデュースしています。しかし、緊急事態宣言から2か月間はお店を閉店せざるをえず、売り上げは激減。そこで奮起し、デリバリーとオンラインでの販売をスタートさせ、前向きな一歩を踏み出しています。 >>安原伶香さんらが登場する映像作品を見る フラワーロスを少しでもなくしたい。ミニチュアブーケの販売をスタート橋本藍さんが店主をつとめる東中野にあるフラワーショップ「On Flowers」は、生花店にカフェが併設された癒しの空間。「おしゃれで近寄りがたいというより誰でも楽しめるお店にしたい」と橋本さんがいうように、お花を見に地域の年配者がふらりと立ち寄ったり、こちらのお店でウエディングブーケをつくった女性が子どもを連れて遊びにきたり、老若男女を問わない温かなコミュニティが広がる場となっています。緊急事態宣言でイベントの中止やお店の閉店が相次ぐと、市場にはフラワーロスが発生。橋本さんは自らも厳しい状況のなか、花き農家を支援するために花を仕入れ、店頭でミニチュアブーケを販売しました。 >>橋本藍さんらが登場する映像作品を見る 世界の女性経営者の87%がコロナ禍で悪影響に実はG7諸国のなかでも日本はもっとも女性起業家の割合が低く、アジア太平洋地域の中でも女性起業家が育っていない国。世界の女性経営者の87%がコロナ禍で悪影響を受けているというなか、ますます女性起業家が減ってしまう可能性もあるのです。そんな女性起業家たちの支援に立ち上がったのが、SK-II。もともと2015年から「#CHANGEDESTINY~運命を、変えよう」という理念で、全世界で現代女性たちが抱える問題を提起、支援してきました。また、今年3月には女性たちが直面しているさまざまなプレッシャーに立ち向かうコンテンツを制作、発信する「SK-II STUDIO」を発足。公開した映像作品の、1再生につき1ドルを、拠出額50万ドルを上限として女性の支援活動に充てる「#CHANGEDESTINY資金」の取り組みも行っています。SK-IIの#CHANGEDESTINY資金を使って女性起業家を支援今回の「それぞれのスタジアム」はその第3弾となる作品。#CHANGEDESTINY資金で集まったお金は、渋谷区と女性起業家ネットワーク「meeTalk」が実施する、コロナ禍の影響を受けた中小ビジネスを経営する女性起業家・事業主を支援する年間プログラムに充てられることに決まりました。このプログラムでは、「学ぶ」、「つながる」、「発信する」という3つのアプローチで、女性起業家が直面している課題を支援。ワークショップや個別のビジネス・コンサルテーションがおこなわれる予定で、さまざまな支援により、ビジネススキルを身に着けることができます。 >>映像作品を見て女性起業家たちを応援する あなたが映像作品を見ることで、救われる人たちがいるますます多様化していく社会で、安原さんや橋本さんのような女性起業家が活躍することは、子どもたちの将来にも多大な影響を与えるはず。女性の雇用を増やしたり、男女ともに働きやすい環境を作ったり、女性からの共感を得られるアイデアを生み出したり、生活に根ざしたサービスを誕生させたり…。まだまだ女性が先導してできることはたくさんありそうです。そして、私たちが今すぐできることは、見るだけで支援につながる映像作品から勇気をもらうこと、その勇気をシェアして誰かにおすそわけすること。何より自分自身が夢と希望を持ち続けて日々を前向きに歩んでいくことかもしれません。また、東京の街並みに着想を得て作られたバーチャルシティ「SK-II City」では、女性起業家のバーチャルショップもオープン。女性起業家のビジネスへの想いや、商品へのこだわりなども体感できるので、ぜひ訪れてみては。 “SK-II STUDIO”の映像作品「それぞれのスタジアム」を見る [PR]SK-Ⅱ 執筆/佐々木彩子
2021年06月21日眩しい笑顔が素敵!日の丸を広げる、走る冒険家・Ponちゃん拳銃を突きつけられて、ホールドアップ。「命が惜しければ、金を出せ」日本では、なかなかない話。でも海外旅行では、国によっては、ありえない話ではありません。そんなとき、いったいどう対処すればいいのでしょうか?■「50ドルが命の値段です!」私がかつて、1986年に行われた『第10回アメリカ横断ウルトラクイズ』(日本テレビ系)に参加し、アメリカへ行ったときのこと。ハワイのチェックポイントで勝ち抜いてアメリカ本土に飛ぶことが決まった挑戦者たちに対して、番組スタッフから、およそ次のような注意がありました。「皆さんは、これからアメリカ本土に上陸しますが、本土は観光地のハワイと違って、危険なことがたくさんあります。裏道に入ったら、昼間でも、拳銃を突きつけられてホールドアップされても不思議はありません。皆さんの誰かにもしものことがあったら、この番組は終わります。ですから、財布のなかに最低50ドルくらい入れておいて、いざというときは、財布ごと相手にあげてください。そうすれば、たぶん命は助かります。50ドルが命の値段です!」この注意が本当のことなのか、本土行きが決まって浮かれている出場者たちの気を引き締めるための「おどかし」だったのかはわかりません。でも、この「命の値段が50ドル」というフレーズは、やけに印象に残りました。■生まれて初めての「ホールドアップ」!鹿児島に、「走る冒険家」こと、Pon(ぽん)ちゃんという女性がいます。本名は岩元みささんといい、生まれは1993年。もともと陸上競技をやっていて、高校を卒業後「私自身が挑戦する姿で、周囲の人を勇気づけたい!」と考え、冒険家になった方です。日本で開催されるマラソンだけでなく、世界一過酷と言われる『サハラマラソン』や『イラニアンシルクロードウルトラマラソン』などにも参加されています。2018年の『イラニアンシルクロードウルトラマラソン』では230キロを走破して、日本人初の完走者として話題になったこともあります。このPonちゃん。南アフリカのケープタウンで、現地人の男性にナイフをつきつけられて、「money!」とお金を要求されたことがあるそうです。治安の悪い国に行くこともある冒険家ですから、「いつかはホールドアップに遭遇するかもしれない」と覚悟はしていました。しかし、実際にそうなってみると、怖い……。冷静を装ったけれど、本当に怖かったそうです。おとなしくお金を渡せば、命は助かるかもしれません。しかし、Ponちゃんの頭のなかに、怖いながらも、こんな思いが浮かんできたのです。(ここで私がお金を渡してしまったら、日本からの旅行者が、また同じ目に遭うかもしれない。そして、この人はこれからも同じ手段で、日本人やアジアの人たちからお金を奪い続けて生きていくことになるかもしれない。それは、どっちも嫌だ!)生まれて初めての「ホールドアップ」に恐怖を感じながらも、Ponちゃんはそう考えたのです。■ナイフをつきつける相手に伝えた言葉そんなことを考える間も、ナイフはずっと右の脇腹に突きつけられたまま。まさに絶体絶命。そのとき。(この人は、きっと、愛が足りていない)Ponちゃんは、そう感じました。そして、携帯の翻訳機能を使って、こんな言葉を相手に伝えたのです。「私は日本人です。日本人はアフリカ人のことが大好きです。私は、あなたと友だちになりたい」意外な言葉に驚く相手。すぐには受け入れられない様子。しかし、その後、何度か言葉をやりとりするうちに、相手は突きつけていたナイフをおろして、携帯にこんな言葉を打ち込んでくれたのです。「Sorry」(よかった!心が通じた!)安心したPonちゃんは思いました。(ここでこのままお別れしたら、この人は、あとから「あのときはうまく言いくるめられてしまった」と思うかもしれない……それも嫌だな……)そこで、提案しました。「友だちになってくれてありがとう。ナイフをおろしてくれてありがとう。友だちになった記念に、一緒に買い物に行きましょう。あなたは、何が欲しいのですか?」聞けば、その男性。本当にお金がなくて困っていて、赤ちゃん用のオムツが欲しいと。Ponちゃんは「これは、友だちになった記念だからね」と念押しをしたあと、2人でオムツを買いに行き、仲よくお別れしたそうです。なんて素敵なホールドアップの話でしょうか!Ponちゃんは言っています。「相手を脅して奪うのではなく、仲よくなって助け合うという関係性を、地球で生きていくみんなが大切にしていけたら、世界は平和に向かっていくと信じています」この話を聞いて思いました。「本当にお金に困ったときは、人差し指を相手に向けて、ホールドアップのまねをする。それをされた相手は、“好意としてあげられる額”のお金を黙って渡してあげなくてはならない」そんな慣習を世界中で「約束ごと」にしたら、世界中から「物騒(ぶっそう)な本物のホールドアップ」がなくなるのではないか?……と、そんな夢のようなことを考えてしまいました。(取材・文/西沢泰生)【PROFILE】走る冒険家Ponちゃん(岩元みさ)◎1993年7月4日生まれ。鹿児島県出身。『サハラマラソン(237km)』『ナミブレース(251km)』などで完走。2018年『イランシルクロードウルトラマラソン(230km)』では、最高気温63.1℃の中、日本人初完走。モチベーショナルスピーカーとして講演活動もしている。『走る冒険家Ponちゃん公式チャンネル』→【著者PROFILE】にしざわ・やすお◎作家・ライター・出版プロデューサー。子どものころからの読書好き。『アタック25』『クイズタイムショック』などのクイズ番組に出演し優勝。『第10回アメリカ横断ウルトラクイズ』ではニューヨークまで進み準優勝を果たす。就職後は約20年間、社内報の編集を担当。その間、社長秘書も兼任。現在は作家として独立。主な著書:『壁を越えられないときに教えてくれる一流の人のすごい考え方』(アスコム)/『伝説のクイズ王も驚いた予想を超えてくる雑学の本』(三笠書房)/『コーヒーと楽しむ 心が「ホッと」温まる50の物語』(PHP文庫)ほか。
2021年05月17日日本随一の歓楽街で、路上に立つ女性たちに、マスクや使い捨てカイロを配る男性がいる。所持金1000円の家出少女、コロナで困窮するデリヘル嬢、保険証もお金もない妊婦……。困りごとを抱えた多くの女性たちから信頼を集める坂本さんは、どこにでも出向いて話に耳を傾ける。相談は無料、活動はすべて手弁当。彼女たちに「居場所と選択肢をつくりたい」から。NPO法人『レスキュー・ハブ』代表坂本新さん東京随一の繁華街の新宿区歌舞伎町。夜でもきらびやかな1丁目を抜けて2丁目に入ると、薄暗い空間のあちこちに若い女性がたたずんでいる。そのひとりが坂本新さん(49)を見るなり、「あ、久しぶり~。ね、ちょっと聞いて」と雑談を始めた。坂本さんは「今日は寒いね。これ使って」と、使い捨てカイロとクレンジングジェル、そしてマスクなどを手渡した。それぞれの品物には「お話しを聞かせてください」とのメッセージ・カードが貼られている。だが坂本さんは雑談が終わると、カードに書かれていた「お話」に触れることなく、「じゃ、またね」と、その場を離れた。■話を聞き、ベストな方法を一緒に考えるこの日、坂本さんは何人もの女性から声をかけられ、もしくは“ワケあり”と思われる、たたずんでいる女性には自分から声をかけ、同じことを繰り返した。坂本さんが求める「お話」は以下のとおりだ。・性的、肉体的、精神的な暴力や脅迫を受けている。・仕事を辞めたい、新しい仕事をしたい。・病院に行きたいが保険証がない。・妊娠に関する悩みや不安。等々そして、カードの最後にはこう書かれている。《お話をうかがい、ベストな方法を一緒に考えます。相談料は無料です。警察や役所、弁護士事務所、病院等々、必要な場所へ同行します》坂本さんがNPO法人『レスキュー・ハブ』を立ち上げ、代表として活動に取り組むようになり、4月で1年がたつ。前職の、人身取引の被害者を支援する組織でも2年間、週に1度は夜の歌舞伎町を歩き、性産業に携わる女性たちに声をかけてきた。その目的は、彼女たちの被害や孤立を防ぐことにある。特に、「直引き売春」と呼ばれる、どの店舗にも属さずにひとりで道端に立ち、男性から声がかかるのを待つ女性たちは、誰からも守られない存在だ。客とホテルに入っても、暴力を受けたうえに金も支払われない女性。性病をうつされても健康保険証がないため、通院を迷う女性。望まない妊娠をしてしまった女性等々。「状況は悪化しています。昨年からのコロナ禍で、違法ではない性風俗、例えばデリバリーヘルスでも客足が遠のき、食べていけないので歌舞伎町に流れて“直引き”する子が増えています」そういう女性たちに会ったときに、なぜ「相談に乗りますよ」と言わないのか。これを問うと、坂本さんはこう答えた。「いきなりそれを言っても、まず相談されません。むしろ避けられます。そして、カードを渡しても、それを見て電話してくる子も少ない。僕がこうして毎週ここを歩くことで、彼女たちと“いつものおじさん”として顔見知りになり、雑談を交わし信頼関係を高め、初めて相談をしてくれるんです。彼女たちのほとんどが何をどこに相談していいのかわからない。だから相談を待つのではなく、相談ができるように、こちらから足を運ぶことが大切です」NPO法人の代表といっても、坂本さん自身は昼間の別の仕事で収入を確保し、歌舞伎町での活動はまったくの手弁当だ。活動の目的は、女性たちを被害と孤立から守ることとはいえ、何が坂本さんをここまで駆り立てるのか。■海外で目の当たりにした貧困と搾取1994年。坂本さんは、東北学院大学を卒業すると「人を守る仕事がしたい」と警備会社に就職した。最初の1年間は西新宿・副都心のビルで常駐警備の業務に就き、ついで翌’95年1月17日に起こった阪神・淡路大震災でガレキだらけになった神戸市への応援警備を経験すると、’95年6月には営業課に異動した。人と話すのが好きな坂本さんにとって、飛び込み営業は苦にならなかった。だが、3~4年たったころ、そろそろ違う部署での仕事をと考えていたところに飛び込んできたのが、海外赴任の話だった。’96年12月。南米・ペルーの日本大使館がテロリストに襲撃され、4か月以上も占拠された事件が起きた。これを機に、各国の在外公館では警備の強化が求められ、坂本さんは在ホンジュラス日本大使館への駐在が決まった。ホンジュラスの首都・テグシガルパ市は治安の悪さでは世界屈指。ギャング団や麻薬組織が抗争を繰り広げ、市民も多数殺害されている。会社は経験や年齢、体力などを総合判断し、坂本さんに「行かないか」と声をかけたのだ。「不安はありました。でも見聞を広めたかったし、これを避けて通れば後悔すると思ったんです」’99年9月。坂本さんは中米・ホンジュラスに飛んだ。28歳だった。坂本さんが担当したのは大使館の警備・安全対策責任者の補佐的業務で、建物の警備強化や要人警護、公館主催イベントの警備企画立案等だ。休日には街を歩いた。ある日、土産物屋に入ると、きれいなロウソクが目に入った。手にとると、小さな紙で「このロウソクは、かつて売春をしていた女性たちが、違う生活で生計を立てるために作ったものです」との説明が添えられていた。確かに街を見渡せば、肌の露出の多い女性たちが道端に立っている。女性たちが売春にいたる理由はさまざまだ。貧困、義務教育終了前のドロップアウト、家族の麻薬依存、両親間のDVや自身へのDV……。坂本さんは、南米のエクアドル、ペルー、コロンビアにも出張したことがあるが、状況は似たり寄ったりだった。「どこにも深刻な貧困がある。そこから女性たちは搾取されている」と思ったが、また同時に、「自分の手のおよぶところではないな」とも思っていた。「売買春はないほうがいい。でも、それを止めても女性たちは生きていけない。しょうがないことなのかなと。自分にできるのは、せめて加害者にならないことだけでした」それが、2年を過ごしたホンジュラスから帰国するときの気持ちだった。帰国後、再び営業の仕事に勤しむが、2004年、ロシアの首都・モスクワに特命警備隊の隊長として駐在することが決まり、同年8月24日に赴任した。当時、ロシアでは航空機連続爆破や地下鉄駅での爆破などのテロが相次ぎ、大使館は、クレムリン宮殿などの観光地での長時間の滞在の自粛を要請し、女性によるサービスを提供する店への出入りも禁止した。坂本さんは、同僚には「そういう場所に遊びに行ったとの噂だけでも、人員を入れ替えるからそのつもりで」と強く言い渡した。このモスクワ勤務で、2年間を坂本さんと過ごした同僚の田口誠さん(40代=仮名)はこう振り返っている。「私は当時20代。実は、仕事のこれから先に展望が見えず、最後を海外勤務で飾って辞めようとの軽い気持ちで赴任したんです。そこで出会った坂本さんは実にストイックでした。私たちは勤務後に普通の飲食店くらいには行きましたが、彼はそういう場所にも行かない。理由を尋ねると“責任者だから”と。非常時への緊急対応をひとりで担ってくれたんですね。彼を嫌いになる社員はいませんでした」坂本さんは決してどならない。でも、業務報告で自身のミスを隠そうと嘘の報告をした社員には毅然と叱った。「後日知りますが、坂本さんはチェルノブイリの原発事故で被ばくしたベラルーシの子どもに、里親として生活資金などを送る寄付活動もしていた。ロシアをはじめ旧ソ連地域の貧困も見ていたんですね」(田口さん)■今後の生き方を考えた「モスクワ時代」モスクワには、収入の低い近隣諸国からの出稼ぎ女性が集まっていた。カメラが趣味の坂本さんは時間があれば、観光地に撮影に出かけたが、若い女性が路上に立ち、男性たちに次々と話しかけられては、最後に話しかけた男性とその場を去る光景を幾度も目にしている。坂本さんは滞在のなかで自分なりに情報を集め、ロシア社会を分析した。「モスクワは人身売買ルートの中継点でもあり、人身売買被害者が集まる目的地でもあります。例えばソ連崩壊後、経済的に破綻した旧ソ連諸国では大人が出稼ぎで国外に出て、国内に取り残された子どもが孤児となり社会問題となりました。多くの孤児は孤児院に入ったが、一定の年齢で施設を出なければならない。ところが、孤児院の関係者と人身売買組織がつながり、その子の退所時にリクルーターが“いい仕事があるよ”と声をかける。選択肢のない子どもはそのような誘いを頼らざるをえず、結局は売春宿に送られるケースもあります」孤児である彼女たちの姿が消えても、探しにくる人間はいない。「生きるために、自分の意に反して性産業に従事せざるをえない女性は多かったはず。僕が忘れられないのは、まだ7~8歳の子どもたちが汚れた格好で、まずそうな顔でタバコを吸っていた光景です。そういう子どもたちは、両親ともアルコール依存とか夫婦間のDVなどで家庭崩壊した被害者です。搾取の対象にされるのは間違いないと胸が痛くなりました」ホンジュラスでは、同じような問題に「自分の手のおよぶところではない」と思った。だがロシアでの見聞は坂本さんの意識を変えた。「モスクワ滞在中、今後どうやって生きるか考えたんです。僕は人身売買、性的搾取、自分の意に反して性産業に従事せざるをえない女性たちのことがどうしても気になった。それは、僕のなかではあまりにも悲惨で触れたくない問題でした。でも、触れなきゃと思った。今後は会社で働きながらも、彼女らと関わる方法を探そうと思ったんです」そして、ロシアの離任前に、そういう女性たちを支援する組織が日本にもあると知り、坂本さんは海外から寄付者としてのサポートを開始した。’07年3月に帰国。すると、坂本さんに「3か月だけ応援勤務を」との社命が下り、8月には中国の北京市の日本大使館の警備業務に赴くが、出張から駐在に変更となり、4年7か月を過ごした。ここでも同じ問題を見た。例えば、特定のカラオケバーに女性たちが集まるなどの組織的な性搾取の情報を知るにつけ、「もう、見る、聞く、寄付するだけではなく、自らこの問題と関わろう」と決めたのだ。それは、「会社にとどまるべきか」を逡巡する毎日の始まりでもあった。「会社への不満はありませんでした。給与も悪くはないし、多少は評価もされていると感じていましたし。でも、それと自分の幸せとは別問題。このままでは、この世を去るときに“いい人生だった”と言えなくなるのではと思ったんです」’12年3月に中国から帰国。翌年10月末に退職した。前出・田口さんはこのころのことを覚えている。「ちょうど坂本さんの昇進が決まった直後でした。本社に行けば課長代理、支社でも営業部長のポストが約束されていたんです。人事部でも“なぜ辞めるのか”と話題になっていました。そのとき坂本さんはこう言ったんです。“辞めたくはない。この会社は大好きだ。でも、これ以上年を重ねる前にやらなきゃいけないことがある”って」■歌舞伎町でカイロやマスクを配るワケ警備会社の退職後、坂本さんは人権問題を扱う国際NGOに契約社員として1年だけ在籍したが、’14年11月、自分が寄付をしていた、人身取引の被害者を支援するNPO法人に転職した。同法人は、児童買春や児童ポルノ、AVへの出演強要、望まない性産業での従事などに巻き込まれた当事者の相談に乗り、解決に向けての支援を行う組織だ。坂本さんはそこでファンドレイジング(資金調達)を担当。とはいえ、事務局として電話もとれば、外部機関との諸調整も行う。折しも、アダルトビデオへの出演を強要される「AV強要」が社会問題となっていた時期。坂本さんは、AV撮影を強要されそうな女性からの電話があれば、ほかのスタッフとともにその会社に乗り込み代理交渉も行った。性的搾取の当事者への直接支援にやりがいを覚えていた。一方で、もどかしい思いを抱くようにもなる。「僕たちは電話やLINEなどで相談を待つ立場でした。でも、相談できない子や、相談という手段があることすら頭の中にない子もいるはずです。僕は、自分からそういう子たちを見つける必要があるのでは?と思ったんです」実際、坂本さんと同じ思いを抱いていた20代の女性スタッフが「こちらから探しに行きましょう」と提案し、初めて坂本さんは歌舞伎町に足を向けた。だが半年間、歌舞伎町に通っても、実際の相談につながった件数はゼロ。坂本さんたちは、ワケありと思われる女性を呼び止めては「私たちはこういう者です。何か困っていることがあれば、いつでも相談に乗ります」と書かれたメッセージ・カードを手渡したが、だいたいが「いいです」と足を止めない。そういう結果だからこそ、「相談もできずにいる子たちを助けたい」との思いがさらに強くなっていった。坂本さんはあらためて、週に1度、歌舞伎町に向かうことにする。ボランティアを集め、作戦も変えた。「われわれだって、チラシは受け取らないけどティッシュ付きなら受け取る。だから、何かモノを渡そうと。ちょうど秋口だったので使い捨てカイロを渡すことにしました」ところが、それでも「私たちはこういう団体の者です」と自己紹介したとたんに女性たちはその場を離れた。そして坂本さんたちが最終的にたどり着いたのは、カードを貼ったカイロやマスクを「どうぞ」と渡すだけにとどめたことだ。すると「え、いいんですか。うれしい」との反応があり、そこから雑談を始めてくれる女性も現れるようになった。「歌舞伎町には2年通い、やっと最後の半年間で反応が出るようになったんです。女の子たちのほうから、私の顔を見ると“マスクありますか”“友達の分もいいですか”と声がかかるようになりました」信頼関係を築くには、なんと長い時間がかかるものだろうか。だが、ひとたび信頼されると、坂本さんは、彼女たちが歌舞伎町で立つようになった理由も把握するようになる。風俗店に所属するが取り分が少ないこと。その風俗店の経営も危ないこと。ホストの彼氏に貢ぐことで大金が必要なこと。家族仲が悪く家出したこと。友人の紹介で来たこと──。同時に、坂本さんは女性たちから「恋人からDVを受けた」「家出してもう2年以上になる」「ホテルにもネットカフェにも泊まるお金もない」といった声を聞くことになる。こちらから手を伸ばして、ようやく声を発してくれる女性たちが、やはりいたのだ。このスタイルで活動を継続したい。そこで決めたのが、自身でNPOを立ち上げることだった。坂本さんは働いていた団体を退職し、’20年4月、任意団体『レスキュー・ハブ』を設立する(のちに、同年10月にNPO法人化)。人権団体はどこでもそうだが、問題を解決するためには、行政機関(警察や役所)や医療施設、法律事務所、他団体とつながる必要がある。団体名には支援(レスキュー)の拠点(ハブ)となる意思が込められている。■押しつけず、否定しない支援の中身今年4月10日。筆者は坂本さんの歌舞伎町での夜回り活動に同行した。最初の作業は、歌舞伎町の喫茶店に入り、約50人分のマスク、使い捨てカイロ、クレンジングジェル、ハンドジェルなどに両面テープでメッセージ・カードを貼りつけることだ。これだけで1時間はかかる。すべての荷物を詰め込んだ重い鞄を肩に下げると「行きましょう」と、坂本さんは歩き出した。まず交番に挨拶をしてから行動開始となるが、歩き始めてすぐ、ビルの暗がりでたたずんでいた40代とおぼしき女性が坂本さんを見ると「久しぶり」と声をかけた。「今日は寒いね。どうぞ」と差し出したカイロやマスクを女性は「ありがとう」と受け取り、雑談を始めた。家庭に問題があり、生きるため歌舞伎町に立ち客をとっている。昨年知り合ったという20代女性も、坂本さんに「こんにちは。ねえ、聞いて」と話しかけてきた。相談ではなく、恋人の動向を伝えたいだけ。それでも坂本さんは最後まで話に付き合う。「彼女は誰かに話を聞いてもらいたいんですね」2人組で歩いていた女性は、気づかずに通り過ぎようとする坂本さんを逆に呼び止め、「マスクちょうだい」と話しかけた。坂本さんによれば、今、こうして普通に話せる関係になった女性は約30人いる。初めて見る女性もいた。表情が固い。坂本さんが「こんばんは。マスク使いませんか」と声をかけても、小さく首を横に振るだけで拒絶した。コロナで風俗店での収入も激減した女性たちの一部は歌舞伎町に流れてきては、店などを介さず個人で客をとる「直引き売春」をするというが、そのひとりかもしれないと坂本さんは想像する。初めて会った女性が、こういう素っ気ない反応を見せることは珍しくない。「時間をかけて僕の存在を認めてもらうしかないです。このおっさんなら話しても大丈夫だろうと思ってくれるまで、ここを歩くしかない」坂本さんの基本姿勢は、とにかく「否定しない」ことだ。なかには「死にたい」と連絡してくる女性も複数いて、真夜中に電話対応することも珍しくないが、坂本さんはどんな電話も否定しない。「今の彼女たちと向き合うことが大切です。路上に立つ子は、問題を抱えていても声を上げられないし、行政の目も届かない場所にいる。そういう子たちは、自己責任論の強いこの日本においては誰からも共感されません。でも、そうではない大人もいるんだとわかってもらいたいんです」気づけば、立っている女性たちを、数十メートル離れた場所からじっと見ている男性がいた。「品定めですね。なかには、すぐ近くで上から下まで舐めるように見て、値段交渉する男もいます」路上に立っている女性にすれば、自分たちの前に現れるのは「性欲処理をしたい男」だけ。だが、坂本さんは、「あなたをひとりの人間として見る普通のおじさん」として現れた。この姿に感銘したのが、警備会社時代の元同僚である前出・田口さんだ。田口さんは坂本さんの退職後も連絡を取り合い、昨年、歌舞伎町で一緒に食事をした。そのとき、せっかくの機会だからと夜回りの同行を申し出た。歌舞伎町のなかでも薄暗い2丁目を歩くのは怖かった。だが、そのなかで、女性たちと確かな信頼関係でつながっている坂本さんの姿に「本物だ」と感じた。「退職された後は、はたしてどういう活動をしているのか気になっていました。私見ですが、収入が確保されないと、ボランティア活動って長続きしないと思うんです。でも坂本さんは、昼間は別の仕事をしながら、夜はずっと女の子たちに声をかけ続けている。坂本さんが出世を蹴ってまで、仕事を辞めてまでやりたかったのはこれだったのかと感銘しました」(田口さん)■押しつけではなく、本人が決めることが大切坂本さんとの出会いで、夜の生活から昼の生活に戻った女性も数人いる。昨年、坂本さんは20代前半の女性Aさんと出会う。いつものようにマスクやカイロを手渡し、その後も何度か会ううちに、自動販売機で買ったジュースを一緒に飲みながら、身の上話を聞くことができた。一般社会から遠ざかっていた時期があり、周囲の尽力で就職したものの、自分には合わずにすぐに辞めた。だが、助けてくれた人たちを「裏切ってしまった」との申し訳なさから再び頼ることもできず、空白の履歴書では再就職も難しいと思った。家族とも疎遠。Aさんが生きるためにたどり着いたのが歌舞伎町の路上だった。売春で生計を立てる中、心の底では「生活を変えなきゃ」と思いつつも、相談相手すらいない。そして坂本さんに出会った。坂本さんは、すぐに「昼の仕事をしよう」とは言わなかった。「押しつけではなく、彼女自身が決めることが大切。だから、働くなら公的支援もあるし、空白の履歴書でも採用する会社もあるし、支援する民間組織もあるよとの選択肢の提示にとどめたんです。“ネットで調べてごらん”と、ひとりでもできることはすすめました。その後も、踏ん切りがつかないのか、何か月間かは(歌舞伎町の路上に)立っていましたね」ところが、今年に入ってから何度、歌舞伎町に来てもAさんの姿が見えなくなった。ある日、同じように立っている別の女性が教えてくれた。「坂本さんが教えた公的支援する組織に行って、職業訓練を受けて就職したよ」坂本さんはこのとき、二重の喜びを覚えた。「彼女がもう自分を隠さなくてもいい昼の仕事に行けたこと。そして、それを自分の意思で決めたことです。僕の夜回りがその後押しになったのならうれしいです」■選択肢はいくつでもあると伝えたいレスキュー・ハブの活動で、坂本さんはさまざまな女性たちに出会った。真冬なのに財布に1000円しかなく、家出しているので、ホテルにもネットカフェにも泊まれない。客に性病をうつされたが、健康保険証がない。彼氏からDVに遭っている。家賃が払えず、友人宅を転々としている……。こうしたケースに、安いホテルをネット予約して宿泊の手配をしたり、病院を紹介したり、家賃を負担し部屋を明け渡すなどの対処をしたが、坂本さんが、自分だけでは解決できない事案も当然ある。そのひとつが、「望まない妊娠」の問題だ。坂本さんが出会った20代のある女性は、もう堕胎できる時期を過ぎていたのに、健康保険証も母子手帳もなかった。お腹の子どもの父親である彼氏とは、とうに別れていた。産んだとしても、育てるのか、特別養子縁組に出すのかも決まっていない。坂本さんはすぐに、NPO法人『10代・20代の妊娠SOS新宿─キッズ&ファミリー』(以下、妊娠SOS新宿)に連絡を入れた。妊娠SOS新宿は’16年に法人格を取った比較的新しい組織だが、相談員11人が24時間体制で相談を受け、’16年12月から’21年3月末まで1088人の妊娠に関する相談に応じてきた実績をもつ。そのほとんどが10代~20代前半までの女性からで、電話やLINEで相談を受け、その後、直接会っての支援につなげている。活動の基本は「本人が決める」こと。佐藤初美理事長はこう説明する。「望まない妊娠をしても、そこから先の行動を私たちはいっさい指示しません。産んでも、産まなくても、産んだ後に自分で育てるのも、特別養子縁組に出すのも、そのメリットとデメリットの両方を説明して、あとは女性たちが自分で決めます。なぜなら、どの子にも自分で決める力があるからです。もちろん、決めてもらうだけではない。私たちは“産んでも、こういうサポートがあるから安心してね”と、その子が出した結論を尊重し自立できるまで寄り添います」坂本さんも言っていたことだが、相談してくる女性の多くに共通するのは「どうせ私なんか」といった自己否定感だという。夢や希望を持ってはいけない人間なんだとあきらめている。妊娠SOS新宿では、出会った女性たちを「肯定」することから始める。「相談してくれてありがとう」と。リストカットした女性が「私、生きててよかったの?」とたずねても、「そうだよ!」とその存在を認める。実務面でも、高校に在籍している女性は退学させずに、親も学校も絡めて卒業させる。もし退学していれば、もちろん本人が「決めた」うえで高卒認定試験の受験にまでもっていく。掃除や料理の家事を教わっていない女性には、一緒に買い物したり、料理を教える。収入に恵まれない女性にはフードバンクなどを利用して、自転車で食料を届ける。本人さえその気であれば、時間をかけて若者ハローワークに同行して昼間の仕事を選ぶ。そして、坂本さんの活動とも通底するのが、「待つ」だけの活動ではないことだ。「なかには、自立の途上でまた生活が崩れる子もいます。でも、長く関わっていると、そろそろあの子が危ないってわかるんですね。そういうときは、こちらから連絡します。すると“よかった。連絡しようと思っていたの”との反応があり、また新たな支援を組みます」この点において、佐藤理事長は、こちらから手を伸ばし続ける坂本さんを評価する。「今、歌舞伎町の女性にとって、自分たちに寄り添う坂本さんは、“見返りを求めない”“安心のできる”男性です。女性にとって、妊娠はどうにもならない問題。でも、いま目の前にいる人が、本当に信用できるかを見る力はある。そういう意味では坂本さんは市民権を得たと思います」ただし、と佐藤理事長は続けた。「坂本さんは、私たちのようなソーシャルワークや、個人を行政につなぐスキルはまだ十分ではない。一緒に母子手帳を取りに行ったときも“こうやって取得するんですね”と感心していました。私たちも以前は歌舞伎町の夜回りをしていましたが、今はそれほど頻繁に回れない。だから互いに連携すればいいんです」これはまさしく坂本さんの望むところだ。坂本さんには目標がある。まず、近い将来、歌舞伎町に、性産業に従事する女性たちが気軽に立ち寄れる居場所をつくることだ。「特に、(直引き売春のため路上に)立っている子たちにはトイレの問題もあるし、のども渇くし、お腹もすく。僕は、トイレや軽食、携帯電話の充電器、休憩ソファなどを用意して、いつでも女性たちが気軽に立ち寄れる場所をつくりたいんです。そのために必要な資金も、東京都の助成金をはじめ、企業や個人からの寄付により集めていきたいと思っています」そして、最終的に目指したいことは、選択肢を女性たちに用意することだ。「歌舞伎町で性産業に従事する女性たちは、その仕事を知られたくないので、必要最低限の人以外とのつながりを絶ち、夜の世界だけで生きていきます。それを3年もやっていると“私はいいの、これで”と思ってしまって、もう昼の仕事には戻れなくなる。でも、それ以外の道がいくつもあることを示したい。そのうえで、自分が望む将来をみずから選択し、新しい人生を歩き始めてもらえたらと考えています」取材・文/樫田秀樹(かしだ・ひでき)ジャーナリスト。1989年より執筆活動を開始。国内外の社会問題について精力的に取材を続けている。『悪夢の超特急リニア中央新幹線』(旬報社)が第58回日本ジャーナリスト会議賞を受賞《撮影/吉岡竜紀》
2021年05月02日※画像はイメージです「月に変わってお仕置きよ!」というハンパじゃないスケール感で相手をばったばったとやっつけていく『美少女戦士セーラームーン』(テレビ朝日系)。「戦闘する魔法少女」という様式をつくった同作は、まさに1990年代を代表する美少女アニメだ。このフォーマットは2000年代に入って『プリキュアシリーズ』(テレビ朝日系)に受け継がれることになる。では、両者は何が変わったのか?東映アニメーションが魅せた”強くて美しい女性像”の移り変わりについて、熱く語らせてほしい。■セーラームーンに始まる“戦う魔法少女”『美少女戦士セーラームーン』は’91年にマンガ連載、’92年にアニメ放映がスタートした。魔法、恋愛、友情、ギャグと、とにかく楽しめる要素がそこかしこにあるが、なかでも特筆すべきは「悪との戦い」だろう。セーラー戦士たちが月に代わってお仕置きをする様に、ドラマを感じた視聴者も多いはずだ。なんてったって"月の下請け“だ。こりゃ、やはりとんでもないスケール感である。当時、ディレクターを務めた演出家の佐藤順一氏は「それまでの少女アニメを変える実験をした」 とインタビューで答えている。そのひとつが「脱・ぶりっ子宣言」。’80年代特有の、フワッフワでキラッキラな"松田聖子的お嬢さま像"に別れを告げたわけだ。裾が広がったスカート、そしてレースやフリルなどの装飾を取っ払い、手足をすっきりと出したキャラクターデザインを意識した。実際、戦場においてお嬢さま的な装飾はあまりにリスキーだ。ロングスカートだと、裾を踏んで転びかねない。レースが枝に引っかかることは、すなわち死を意味する。しかし、女の子としての「美」は取り入れた。戦士たちはそれぞれ、チョーカーや最小限の髪飾り、ティアラなど、戦闘の邪魔にならない程度のアクセサリーは身に着けている。これは「美少女戦士」として大事だ。いかに「動きやすい服装」を追求したからといって、皇居ランナーみたいな格好では、さすがに敵も視聴者も「え、ちょっと、ガチなんだけどこの人……」と引いてしまう。その上、Apple Watchで心拍数を測り出した日には、もう愛着もくそもない。そんな衣装を纏(まと)う変身シーンも、当時の少女向けアニメの演出としては斬新だった。アップテンポなBGMに乗せて画面がコロコロと変わり、最後は「キラーン☆」とカメラに向かってキメる。これは『マジンガーZ』などの少年向けロボットアニメを参考にしたそうだ。極めつけは「5人1組」という、スーパー戦隊シリーズのフォーマット。セーラームーンは東映制作のもと、少女向けアニメに少年向けの要素を取り入れ始めたのだ。■’04年にプリキュアシリーズが放映開始強く美しい女性ヒーロー・セーラームーンの成功のあと、「戦う魔法少女」はいくつか誕生していた。『魔法騎士レイアース』『カードキャプターさくら』などが、その代表例だ。当時はあくまで“魔法を使って、相手に触れることなくやっつける”のが主流だった。’04年、プリキュアシリーズの1作目『ふたりはプリキュア』が放送される。『おジャ魔女どれみ』というヒット作を生み、『明日のナージャ』で軽くコケた東映アニメーションによるオリジナルアニメだ。『ふたりはプリキュア』では、運動神経が抜群で勝気な美墨なぎさと、頭脳明晰なお嬢様の雪城ほのかが、伝説の戦士と呼ばれる「プリキュア」に変身して、悪の組織「ドツクゾーン」を倒していく。コンセプトは「女の子だって暴れたい!」。ディレクターを務めたのは『ドラゴンボール』を成功に導いたアニメ監督の西尾大介氏だ 。この背景を見ればわかる通り、プリキュアの戦いは主に肉弾戦。可愛い顔して、格闘技イベント『PRIDE』の出場選手並みの武闘派なのである。では、『セーラームーン』と何が変わったのか。両者の1話で比較してみよう。主人公の月野うさぎは、ある日、人の言葉を話す黒猫のルナと出会い「あなたはセーラームーンよ。敵が現れたから倒してほしい」と、ホント急なお願いをされる。ちょっとあまりに唐突すぎる。「いやいや、なんのこっちゃ」と思いつつ、うさぎは同級生が襲われているところにやってきて戦うわけだが、当然うまくはいかず苦戦する。すると、一輪のバラが投げられ、おなじみタキシード仮面が登場。簡単に自己紹介して「泣いているばかりではダメだ」と、うさぎを励ます。いや、まったく実用的でない。「おい。お前はいったい何をしにきたんだ」とツッコみたくなる。「そんなこと言ったって」とさらに泣くウサギ。あまりの絶叫に怯(ひる)む敵。黒猫のルナは「ティアラをとって“ムーン・ティアラ・アクション”と叫んで、投げて!」と、船場吉兆のささやき女将ばりに具体的な指示を出す。うさぎはマニュアル通りに動き、無事に敵を倒すことに成功する。■たくましさを増したプリキュアの2人一方のプリキュアはどうなのか。主人公のなぎさとほのかは同じクラスだが、違うグループに属している。だからお互い「顔は知っているけれど……」くらいの距離感。そんな2人は、ひょんなことからメップルとミップルという“光の園の住人”と出会う。導かれるように街を歩くうち、敵に遭遇してしまう。またも「なんのこっちゃ」と事態が飲み込めないままプリキュアに変身して戦闘に入るが、ここからがセーラームーンと大きく違う。ばっちばちの肉弾戦なのだ。なぎさが一発目にもらう打撃は、まさかの顔面へのパンチ。ほのかは足首をつかまれて、ぶん投げられる。それでも、パワーアップした2人はケロッとした顔で敵を圧倒。ほのかは華麗に二段蹴りを披露し、なぎさなんて、最強のラグビー選手・オールブラックスも顔負けのタックルを決める。1話で彼女たちが使う魔法は、トドメの「プリキュアマーブルスクリュー」だけだ。あとはすべて“肉体で語る”スタイル。もはや魔法少女というより、女子プロレスラーの長与千種とライオネル飛鳥のタッグチーム「クラッシュ・ギャルズ」に近いのである。つまり、両者を比べてみると、’92年のセーラームーンに比べて、’04年のプリキュアは“たくましさ”を増しているのである。この12年間で、だんだんと女性が強くなったことを象徴しているのではないだろうか。そして、現在は2021年。『美少女戦士セーラームーン』から29年、『ふたりはプリキュア』から17年がたった。セーラームーン世代はアラフォーに、プリキュア世代は20代半ばに差しかかったころだろう。「幼いころに見たアニメは性格を左右する」と、私は本気で思っている。そう考えると、現代において女性が強く美しく自立している姿をみるたび、その背景に「戦う魔法少女」を感じてしまうのである。(文/ジュウ・ショ)【PROFILE】ジュウ・ショ◎アート・カルチャーライター。大学を卒業後、編集プロダクションに就職。フリーランスとしてサブカル系、アート系Webメディアなどの立ち上げ・運営を経験。コンセプトは「カルチャーを知ると、昨日より作品がおもしろくなる」。美術・文学・アニメ・マンガ・音楽など、堅苦しく書かれがちな話を、深くたのしく伝えていく。note→
2021年04月25日※画像はイメージです不妊や経済的事情で産みたいのに産めない女性が多い一方で、増えてきているのが“産まない選択”をした女性。彼女たちの選択はいけないことなんでしょうか。■産まない女性に「絶対に後悔するよ~」「私は子どもを産まない選択をしました。産み育てている方たちはすごいなと思いますし、否定するつもりもありません。だから産まない私のことも詮索したり、干渉しないでほしいなって思うんです」都内在住の絵理子さん(仮名・37)に子を持たない理由について聞くと、あっけらかんと答えた。子どもを持たない夫婦が増えている。昨年9月に厚生労働省が発表した’19年の出生数は86万5239人で、1899年の調査開始以来過去最少を更新。不妊に悩み、産みたくても産めない女性や晩婚、未婚の増加など事情もある中、前向きに産まないという選択をする夫婦が増えているのも事実だ。芸能界でも、’16年に山口智子(当時51)が雑誌のインタビューで《子どもを産み育てない人生に一片の後悔もない》と公言し、話題を呼んだ。石田ゆり子もそれに続き、《結婚できないんじゃなくてしないという選択もあたりまえにあるのにね》と、出産以前に結婚制度に対して、従来の古い考え方への窮屈さを自身のエッセイで言及した。「それまで子どもを持たない側の女性は(子どもを)欲しくないというと“赤ちゃんに恵まれなかった”、“不妊治療の末にあきらめた”、などとあらぬ誤解や詮索をされてきました。山口さんや石田さんのようなカッコいい年のとり方をしている女優さんがそう公言してくれたことで、かなり生きやすくなってはきましたね」と、婚活ライターの江藤真由さん。「母親になった人に“子どもを産んだら後悔するよ~”と言う人はいませんよね。いたとしてもそんなことを言うのはおかしな人と敬遠されます。だけど産まない女性に“子どもをつくらないと絶対に後悔するよ~”と言ってくる人の多いこと!なんで自分の人生の大切な選択に他人がズケズケと土足で踏み込んでくるんでしょう。DINKsが主流になるのもわかる気がします」『DINKs(ディンクス)』とは、『Double Income (共働き)No Kids(子どもを持たない)』の略で子どもを産まずに生活をする夫婦のこと。近年増えつつあり、グーグルでDINKsを検索すると関連ワードで『ズルい』『むかつく』などの批判的なワードが並ぶ。「彼らをおもしろくないと思う人は多いようで、逆に子どもを持ったことを後悔しているのかと思ってしまいます。自分がかつて選択しなかった道を選んだ人が、自由を謳歌しているように見えるのは悔しいのでしょうか」(婚活ジャーナリスト)前向きに子どもを持たない、そう選択した女性に話を聞いた。■「結婚は彼と家族になりたかっただけ」絵理子さん(仮名/東京都・37)冒頭の絵理子さんは同い年の夫と愛犬のテチ(♂)との3人家族。夫婦ともにフルタイム勤務で働き世帯年収は1200万円ほど。結婚してちょうど10年目の今年、都内のタワーマンションを購入し、周囲から“次は子どもだね”と言われる日々だという。絵理子さんはそんな周囲の声をかき消すように結婚の理由について話す。「東日本大震災のときに茨城に出張していた彼と2日間連絡がつかなくなって不安な日々の中、家族だったら何かあったら真っ先に連絡が来るということを痛感して結婚したんです。だから家庭が欲しいとかそういうことよりも彼と家族になりたいという思いが強かったんですよね。結婚当初から子どもを欲しいと思ったことはありません。彼も同じ意見で“ずっと2人で生きていこうね”と誓い合って結婚しました」子どもを持たない選択をした理由について、「子どもがいなくても十分に満たされているんです。それに私と夫の間に子どもが入ってくるのが嫌です。好きな男の子どもを産みたいってよく聞きますけど、私は彼と一緒に過ごしたい。それだけなんです。夫も同じ考えでいてくれて、子どもよりも旅行や共通の趣味のボルダリングに生きがいを感じているのでヨボヨボになるまで2人で山を登りたいって話しているんです」しかし周囲は絵理子さんたちを放っておいてくれないという。「私は3人きょうだいの真ん中で兄も妹も子どもがいるから両親は私に干渉しないでくれます。だけど夫は長男で義母は会うたびに『跡継ぎがいないと恥ずかしい』と言います。盆と正月だけしか会わないのでそこを我慢すればいいんですが……。義母のことは好きですし、できるだけ期待に応えたいと思うのですが子どもに関しては譲れません」絵理子さんは今37歳。出産のタイムリミットを意識することはないのだろうか。「それ、女友達にもよく聞かれます。これまで1度も欲しいと思ったことはないですし、もしもこの先欲しいと思ったとしても後悔はしません。望んでいない子どもを産んで後悔することのほうが罪だと私は思う。子どもは親の所有物じゃありませんから。早く40代後半になりたいです。そうしたら周囲も子どもについてそっとしておいてくれるでしょうから」■「縁がないことに執着しない」爽子さん(仮名/神奈川県・42)某アパレルメーカーで広報として働く爽子さんは、4年前に5歳年下の夫と授かり婚をした。「妊娠がわかって結婚して、すぐに流産しちゃったんですよ。こんなことを言ったら最低かもしれませんが、少しホッとしている自分がいてそのことに落ち込みました。自分は人でなしなんじゃないかって」夫とはそのまま婚姻関係を継続。「実際に結婚してみると生活をシェアできる相手がいることに心地よさを感じたんです。家賃も生活費もシェアすることで多く貯蓄ができますし、こんなことならもっと早く結婚すればよかったと思いました。私自身、幼いころから結婚して子どもを産んでやっと一人前という古い家族観を持っていたので、子どもがいないのに結婚するという発想がありませんでした」爽子さんがその考えに至ったのに自身が育った家庭環境は影響したのだろうか?「多少はあるかもしれません。ウチは機能不全家族に育って、両親は仲が悪かったのですが子どものために離婚しない、という感じで。子どもを理由にしていたけど、母は専業主婦だったので働いたり自立することが怖いことを子どものせいにしていただけじゃない?と子ども心に感じていてすごく嫌でした。子どもがいると自分の好きなように生きられないというイメージがついてしまったんですよね」両親の不仲により、子どもを持つことをイメージできないのは夫も同じ考えだという。「仲が悪いのに自分の存在で縛りつけているというのが心苦しかったようです。私も夫も古い価値観を壊したことでやっと自由になれたような気がします」と清々しい顔で語った爽子さん。この先子どもが欲しくなることもあるのでは?と問うと、「結婚してから特に避妊もしませんでした。それでも授からなかったということは縁がなかったということ。無理にあらがって手に入れたものって、やっぱりどこかで無理が出てくると思うんです。だから今まで子どもを授からなかったことが自分の自信になっています。私は産まなくてもいい、と神様に言われたんだ、と考えるようにしています」それでも過去の価値観と完全に訣別はできないという。「生物としての役目を果たしていないんじゃないか、と思ってしまうんです。命をつなぐことが人類の義務だという思いがどこかにあるんですよね。そんなときに政治家の失言を目にしたりすると少し落ち込みますね。40歳を過ぎて産める年齢でもなくなってきたことで楽になった。選択肢が残されていると迷いが生じますから」出産のリミットを超えて自由になれた、という爽子さんの表情は生き生きとしていた。■子どもを産める社会じゃない「子どものいない40代女性は生きづらいです」そう話すのは前出の江藤さん。「勝手にストーリーを作られてしまうんですよね。子どもを持つことを当たり前だと思っている人からしたら子どもを持たないということを選んだ人は何かしらの事情があって子どもを“産めなかった”ということにしたがる。そもそも子持ちと子ナシの対立構造だって男社会が作り上げたもの。そりゃ国としてみたら少子化は食い止めなければいけないのでしょうけれど、その前に子どもを産める社会ではないでしょう。少なくとも私はこの社会に子どもを産みたいとは思えません」今や子どものいない女性の割合は3人に1人という社会。彼女たちの声はもはや少数派ではない。
2021年04月14日会社員として働きながら息子さんを育てる、みゅこ(@myuco8)さんは、Twitter上に自身の体験談を投稿。その内容に共感の声などが寄せられました。息子さんが0歳8か月の時、仕事に復職したみゅこさん。復帰当時の状況や、子育てをしながら働き続けることへの想いを漫画に描いています。『これから復職や就職をするママさんへ』これから復職や就職をするママさんへ(描きたいことがありすぎて難しかった…)(働くママ応援に焦点を当てた投稿ですが、家庭で育児されている方も、働くパパも、お子さんがいらっしゃらない方も、社会を支える皆様のことを応援しています…) #漫画が読めるハッシュタグ #育児漫画 #子育て漫画 pic.twitter.com/apLTbErJOG — みゅこ@育児絵日記 (@myuco8) March 29, 2021 仕事から1年離れていただけで、社会人としての話し方を忘れてしまったり、社内のシステムが変わっていたりなど、復帰当初は戸惑いもあったとのこと。また、0歳児は体調を崩すことも多く、仕事と家事育児の両立は大変なことも多かったそうです。それでも復職の決断が、自分や家族、同じように頑張る女性たちの未来につながると信じているといいます。投稿を見た人たちからは、さまざまなコメントが寄せられました。・心にしみました。未来のために多くのママが頑張ってきたし、今も頑張っていますよね。・もうすぐ復職。不安ばかりですが、この漫画を読んで頑張ろうと思いました。・すごく共感です。仕事が好きだし、息子の将来の可能性を広げると思っての決断でしたが、葛藤もありました。子供を出産した人に限らず、人生には困難や選択を迫られることがたくさんあります。葛藤を乗り越えて、今を一生懸命生きる人たちにとって、みゅこさんの言葉は勇気付けられるものがあるのではないでしょうか。[文・構成/grape編集部]
2021年04月05日以前、日本の性教育についてバラエティ番組内で言及した、タレントのSHELLYさん。性行為や性について真面目に話す必要性を語り、共感を呼びました。昼間の番組で『性教育』を熱弁SHELLYの姿勢に「素晴らしい!」の声そんなSHELLYさんが、性教育をテーマとしたYouTubeチャンネル『SHELLYのお風呂場』を開設。「裸でリラックスした状態で語り合えるお風呂場は、性教育の場所に適している」と聞いて、リアルトークができるチャンネルにすべく『お風呂場』と名付けたそうです。増えている選択肢!最近の生理用品をSHELLYが紹介11回目の投稿では、布ナプキンと吸水型生理パンツをピックアップ。ナプキンやタンポンといった生理用品以外の選択肢がありながらも、「どういうものかが分からないから使ったことがない」「失敗しないか不安」という声は多いものです。そんな人たちに向けて、SHELLYさんが実際に使ってみた感想を交えながら紹介しています。使い心地はどうだったのか…早速、動画をご覧ください!SHELLYさんは、みんなが疑問に思うことを試して情報発信してくれました。動画は産婦人科監修。生理に関する情報をしっかりと届けたい、SHELLYさんの姿勢が表れています。動画には、視聴者から感謝の声が続々と寄せられました。・子供の頃、ナプキン以外の生理用品の使い方を教えてくれる人っていなかったなー。・履くだけでいい吸水型の生理用パンツ、興味はあったけど使うのが怖かったから、教えてくださって本当にありがたい!・今までナプキンしか使ってなかったけど、選択肢がいろいろあることを知ることができてよかった。また、動画のラストでSHELLYさんが述べた次の言葉にも注目が集まっています。どうしても「女性!女性!女性!」と癖で言っちゃうんですけど、生理というのは女性に限らず子宮のある人には絶対にやってくるものなので、男性でも生まれた時は女性だったら、結局生理は来ちゃうものなので。例えばこういうね、ピンクのおパンティをはくっていうのは抵抗があるということをしっかり考えて、ジェンダーレスな黒でボクサータイプ。どういうジェンダーでも安心してはけることはすばらしいなと思って。SHELLYのお風呂場ーより引用セクシュアリティのあり方は多様で、身体的な性が女性でも性自認が男性という『FtM』の人たちもいます。生理用品の情報は、生理になる人たち全員に必要。誰も取りこぼすことがないよう、SHELLYさんは紹介の仕方を間違えていないか熟考して発信していたのでした。より生きやすい社会に向けて、優しく背中を押してくれる動画ですね。[文・構成/grape編集部]
2021年04月02日「生理用品を買えない人たちがいる」そんな悲しい話題がネット上で注目を集めています。生理用品を買えない人たちの背景は、貧困だったり、DVや親との関係で買ってもらえなかったりとさまざま。ただでさえ心身がつらいのに、『生理用品を買えない苦しさ』まで背負わなければならない状況は悲惨です。胸を痛めた人たちが支援の必要性を訴える中、豊島区がTwitterを更新。いち早く支援の手を差し伸べました生理用品の配布で女性たちを救う豊島区は、生理用品を用意することが難しい人を対象にしたお知らせを投稿。2021年3月15日から、豊島区内の『子育て支援課女性相談グループ』『男女平等推進センター』『豊島区民社会福祉協議会』で生理用品を配布することを告知しました。様々なご事情で生理用品の用意にお困りではないですか?3/15(月)から区施設3か所で防災備蓄品の生理用品をお渡しします(無くなり次第終了)。本人証明等は提示なしでOKです。以下の画像を窓口にご提示ください。詳細はリンクをご確認ください。 pic.twitter.com/8jKSSeZm3L — 豊島区 (@city_toshima) March 12, 2021 本人証明などの提示は必要なく、『TOSHIMA Sanitary Drive』と書かれたこちらの画像を見せるだけでOK!スマホを持っていない人は、窓口に置いてある、同じデザインのカードを掲示すると受け取れるそうです。配布は1家庭につき原則1パックで、在庫がなくなり次第終了。生理用品だけでなく、アルファ化米や災害救助用クラッカーなどの食料も袋詰めにして渡すとのことです。・生理用ナプキン:30個入り1パック・アルファ化米:1パック・災害救助用クラッカー:26枚入り1パック・保存用ビスケット:15枚入り1パック豊島区ホームページーより引用豊島区の決断に対し、ネット上では称賛の声が続出しました。・新型コロナウイルス感染症の影響で貧困に陥り、ナプキンも買えない人に届け!・親に生理用品を買ってもらえない子も受け取れるといいな。・いい取り組み。全国に広がってほしい!生理用品を買えない問題は、全国各地で起こっています。支援の輪が広がり、生理用品を買えない人たちの苦しい日々が終わることを願わずにはいられません。[文・構成/grape編集部]
2021年03月15日東日本大震災での避難所撮影/週刊女性写真班「避難所で、夜になると男の人が毛布の中に入ってくる。仮設住宅にいる男の人もだんだんおかしくなって、女の人をつかまえて暗い所に連れて行って裸にする。周りの女性も『若いから仕方ないね』と見て見ぬふりをして助けてくれない」(20 代女性)東日本大震災から10年――。上記は、「東日本大震災女性支援ネットワーク」(2014年より「減災と男女共同参画 研修推進センター」)による『東日本大震災「災害・復興時における女性と子どもへの暴力」に関する調査報告書』で報告された被災者女性の悲痛な叫びである。■「避難所での性暴力」支援者たちが口を閉ざした過去これだけの災害大国・日本でありながら、あまり大きく報道されてこなかった問題。それが「避難所での性暴力」。実は、そういった問題は26年前の阪神・淡路大震災時にすでに報告されていた。何も対策を講じてこなかったわけではない。阪神・淡路大震災後に、支援者たちを含めた女性たちが声をあげていたが、当時はまだ、そのような女性の声が届くような時代ではなかった。一部メディアから「被害の証拠がない」「すべて捏造」と“デマ”扱いされ、被害者を支援してきた人たちがバッシングを受け、しばらく口を閉ざしてしまったという背景がある。そして多くの人にその事実が知られぬまま、東日本大震災でも同じことが繰り返されてしまった。10年前もセンセーショナルな問題として、それほど大きく報道されることはなかった被災地での性暴力。中でも安全だと思われていた避難所で当時、何が起きていたのか。「性暴力は災害と関係なしに普段からある問題です。災害時に性暴力がいたるところで起こっていたわけでは決してありませんが、それでも、こういったことが実際にあったことを、多くの方に知っていただきたいと思っています」と話すのは、「減災と男女共同参画 研修推進センター」の共同代表を務める池田恵子さん。「これらの話をすると、若い子の中には “じゃあ私は災害が起きても避難所に行かない”という子がいます。それは危ない話で、逃げるときは逃げないといけないし、そういう反応につながってしまっては本末転倒。当時何が起きていたか話すときには、必ず“対策”とセットでお話しするようにしています」そのように前置きしたうえで、避難所で起きていたこと、そして今後の課題・対策について話してくれた。■被害届を出せない「理由」「避難所での強姦、強姦未遂も報告されていますが、それ以外では例えば授乳するところをジッと見られた、ストーカー行為をされたという話もありました。また、避難所に来ていた看護師の女性が、血圧測定の際に胸を触られたり、ボランティアの女性が後ろから繰り返し抱きつかれたケースも。注意したところ、ボランティアのリーダーから“ボランティアが被災者を叱って指導するとはもってのほかだ!”という声を向けられてしまったというのです。私たちの調査でわかったのは、被害者の年齢層が、未就学の子どもから60代までと、非常に幅広いということ。子どもの被害の中には男児がわいせつな行為をされた事例もありました。被害者と加害者の関係が被災者同士、支援者同士などパターン化されてなかったのも特徴です」震災後、東日本大震災女性支援ネットワークの一員として現場に足を運び、調査を進めてきた池田さん。池田さんらがまとめた冒頭の報告書には、こんな事例も記されている。「避難所で深夜、強姦未遂。“やめて”と叫んだので、周囲が気づき未遂に防いだ。加害者も被害者も被災者だった。110 番通報したので、警察官が事情聴取したが、被害女性が被害届を出さなかった」(50 代女性)この女性のように、当時は被害届を出さない人も多かった。その理由について池田さんは、「まずは、加害者も同じ地域の人という場合も多い。今後も同じコミュニティーで生きていかなければならず、性被害を受けたことが地域の人に知れ渡ったり、加害者と正面から敵対したりするようなことは、できれば避けたかったんだと思います」こういった被害があると、避難所では当然、環境改善を求める声があがると思うのだが、被災者にとってはそう簡単なことではないという。「避難所の運営ってすごく大変なんです。自主運営の避難所は、地域の方が寝ないで目を回しながらやってる。しかも、東日本大震災は大災害でしたから、運営する側の人たちも、家族を亡くしながら頑張っているかもしれない。そんな中で、みんなのために物資のことや避難所のことで走り回ってる姿を見てしまったら、安全の問題まで対応してくださいとは、言い出しにくかった。ましてや、責任者が男性ばかりだと、ますます言い出しにくい」そういった状況から被害を訴えられずに、泣き寝入りする人も少なくない。そんな被災地での暴力について、池田さんらは大きく2つの種類に分けている。ひとつは、雑魚寝が多く、トイレが男女別になっていないなど、環境が整っていないがために暴力が助長されてしまう「環境不備型」。そしてもうひとつが、被災して支援がなければ生き延びていけない人に、支援するかわりに、その見返りとして性行為や側にいて世話をするよう要求したりする「対価型」だ。「対価型の中でも特に忘れられないのが、若いお母さんで、子どもを連れてもう食べるものもなくて困っているところに“特別に食べものをあげるから夜、取りに来て”と男の人に言われて行くと、あからさまに性行為を強要されたという話。現代の日本でこんなことがあるのかと、驚きました。もともと立場の弱い人たちが、被災地ではいつも以上に支援に頼らざるをえなくなる。しかも、避難所で共同生活をすることで、嫌でも周りに知られてしまう。そうすると標的化もされやすい。周りも“ちょっとくらい我慢しなさい”とか、“みんな大変だったんだから、命あっただけでもありがたく思いなさい”とか、被害者に忍耐を強いる論調が強くなってしまいます」■どちらに頼るでもない、“男女がともに担う”防犯体制を普段の「立場の弱さ」という格差が、暴力につながる余地を生んでいると池田さん。では、具体的に、避難所ではどのような対策が求められるのか。「多くの避難所では男性たちがリーダーシップをとっており、意見を出し合ったりいろいろ決める場に女性たちが少ないのが現状です。しかし、女性も男性とともに責任者として避難所の運営に関わることが必要。どこに女性用の仮設トイレを置いたらいいか、女性用品などは、やはり女性にしかわからない。安全対策も男性だけが担当者の場合、女性は訴えにくいものです」男性に任せっきり、女性に任せっきりではなく、「男女がともに担う、防犯体制が有効」とのこと。さらにこんな具体策も。「トイレを男女別にし、女性用トイレの場所は女性の意見を聞いて決める、避難所の開設直後から授乳室や男女別の更衣室を設けるなど、避難所のスペース活用にも安全確保の視点が重要です。また、巡回警備をしたり、啓発のポスターを貼るなど暴力を許さない環境づくりの整備や相談窓口を設けること、災害時の支援活動を行う人向けに、災害時の性暴力について知り、その防止に努めるよう研修を行っておくことも大切なことです」では、個人でできることは?「ひとりで出歩かない、周りに声をかけあって移動するなど、個人でできることもなくはないのですが、それだけが対策になってしまうと、“自己責任論”になってしまう。ひとりで出歩くなって言ったのに……と、守らなかった人の落ち度となっても困る。避難所に行くと、よく“女性と子どもは一人で出歩かないようにしましょう”というメッセージを目にします。でもそうではなく、“みんな見守ってます“など加害者側へのメッセージにする。例えば、駅では“痴漢に注意!”という看板が、最近では“痴漢は犯罪です”という加害者側へのメッセージに変わってきています。潜在的な被害者と加害者と、その他大勢を巻き込むメッセージが必要です。また、先ほど“若いから仕方がない”と言って周りの女性が助けてくれなかったという事例を出しましたが、そのような間違った考えに加担しないのも、私たちにできることだと思います」2016年の熊本地震では、避難所内に間切りが設けられたり、性暴力の注意を促すチラシが配られるなど「一歩前進した感覚があった」と話す。それでも性被害は起きたというが、確実に安全面は改善されつつある。「多くの女性たちが声をあげ、それに男性たちが一緒に頑張ろう、この問題を考えようと思ってもらえたら」いつ、誰がそうなってもおかしくない、避難所生活。今後、さらなる対策が求められる。参考:静岡県警防災防犯マニュアル「防災女子赤のまもり」「防災女子青のまもり」
2021年03月10日写真はイメージです涙なくして視ることはできなかった。単身で働く女友達の何人かは、つらくて見続けることができず、途中でテレビを消したという。■女性の自殺者が昨年同月比で82.6%増12月5日に放映されたNHKスペシャル『コロナ危機女性にいま何が』だ。番組が終了したあとも、登場した女性たちの言葉が胸に刺さって、うずくまりたいほどの痛みと、そして国に対する激しい怒りで眠れなかった。私は『つくろい東京ファンド』という生活困窮者の支援団体でボランティアスタッフをしている。ホームレス状態の人たちを福祉に繋げ、一緒にアパート探しをしたり、生活上のよろずお手伝いをするのが仕事だ。4月、新型コロナウィルスの感染拡大防止のため、東京都で休業要請が発令され、それまでネットカフェで寝泊まりしていた若い人たちが一斉に行き場を失った。そんな人達の「助けて!!」に応え、私たちはもう8か月も都内や近隣県を駆け回っている。その様子の一端を、フリーライターの和田靜香さんが『新型コロナ福祉のダークサイド、ネットカフェ難民が追いやられた「本当の行き先」』、『東京都「ネットカフェ難民」のホテル提供を出し惜しみ、消えた3349人の行方』という記事にしてくれ、大きな反響を呼んだ。2008年のリーマンショック時に仕事と家(寮)を失った人たちは、製造業に勤める「景気の調整弁」とも表される非正規の人たちで、男性が圧倒的に多かった。しかし、コロナはまったく別の業種に壊滅的なダメージを与える。それは女性の働き手が圧倒的に多い、ホテルや飲食、サービス業だ。リーマンショックの一時的な不景気と異なり、まったく終息の兆しが見えない長い長いスパンで、彼女たちに打撃を与え続けている現実。公的な貸付や給付金を受けながら、なんとか持ちこたえていた人たちも力尽きはじめている。事態はよくなるどころか、コロナが長引けば長引くほど悪化していき、特に女性の置かれている状況は深刻だ。その深刻さを裏打ちするのが、今年10月の自殺者数2153人。うち女性の自殺者数は851人なのだが、去年同月比でみると、なんと82.6%増だ。ただただ、呆然とする。■コロナ禍で見た若い女性のリアルネットカフェで寝泊まりしながら働く人たちは、おもに10代~40代の年齢層で、男女に関わらず、もともとギリギリの生活を強いられている人たちだった。就労形態はほとんどが派遣や非正規、そしてアルバイト。一生懸命働いても、月々の平均月収は11万4000円。どんなに頑張っても、アパートの初期費用を貯めることは難しい。もちろん、援助してくれる親などいない。コロナ禍の東京で出会った二十歳そこそこの若い女性たちが「もう死ぬしかないと思った」「久しぶりにシャワーを浴びたい。髪を洗いたい」「甘いジュースなんて久し振り」「駅前のベンチで荷物を抱きしめながらふた晩過ごした」などと話す。10年以上の歳月をネットカフェや24時間営業のファストフード店で眠るうちに、身分証から所持品のほとんどを盗まれ、自分が自分であることを証明する手段の一切を失くした女性もいる。ネットカフェのパソコンで、腎臓を売るルートを検索していた若い女性もいる。毛羽立ち茶色く汚れたマスクをつけて、「生活保護は受けたくない」と歌舞伎町に消えて行った若い女性もいる。汚れたマスクを外してアイスコーヒーを飲むとき、虫歯で溶けて形を成していない前歯が斜めに並んでいるのが見えた。これが、私がコロナ禍の8か月間に見てきた若い女性たちのリアルだ。こんなに若い人たちをそこまで追い詰め、放置している社会や国に怒りを覚えるとともに、頑張ればある程度は報われる時代を生き、現状を作ってきてしまった一人として後ろめたさを感じ続けている。女性は男性よりも給与が少ないだけでなく、年金も少ない。単身だったり、夫に先立たれたりしていたら、その後の生活維持は困難になる。だから定年はとうに超えた年齢層の女性たちが働き続けているのをあちこちで目にする。底冷えする真冬の道路工事現場で80過ぎと思しき女性警備員が小さい身体にダブついたユニフォームを着て、白い息を吐きながら交通整理をしているのを見かけたりすると、私は何だか無性に悲しくなってしまい、うつむいて足早に通り過ぎる。働くのが好きなのかもしれない。でも、本当にそうなのだろうか?若ければ稼げるかといえば、そうでもない。コロナで失職した女性が生きていく術として風俗を選んだ。その女性がNHKのテレビカメラの前で申告した日給は5,000円。私たちは、いつまで、どこまで身を削って自助でやっていかなくてはいけないのだろう。■今さらだが「日本死ね」だ私自身、3年前にフルタイムのボランティアとなって労働収入がなくなったときに、少ない貯金を切り崩す日々に不安を覚え、求人情報を検索したことがある。その昔、工業系専門の通訳として働いていた経験を活かすべく、大手人材派遣会社の求人サイトを覗いてみると、通訳の時給も大暴落している。かつては時給5,000円以上だった仕事が2,000円ほどに。そして、専門的技能であるはずの通訳に時給1,300円という値がついているものまで発見したときには、その値崩れぶりに絶句した。それでも、この不景気だ、贅沢はいうまいと思うことにした。「英語」「通訳」と条件を打ち込むと、三桁もの求人にヒットした。さすがは東京である。ホッと安堵しながら年齢を入れたら、いきなり求人数がゼロになった。一瞬、パソコンが不具合を起こしたのかと思った。何度目かのゼロを確かめたあと、笑いがこみあげた。気分的にはジョーカーみたいな笑い方をしたかったが、鼻息みたいな笑いしか出なかった。この国では、50過ぎたら働くことも許されないのか?今さらだが、「日本死ね」である。前首相が「今の日本で最も生かしきれていない人材は女性だ。閉そく感の漂う日本を再び成長軌道に乗せる原動力だ」とのたまい、2013年に成長戦略の一つとして女性活躍推進を掲げ、二年後の2015年には女性活躍推進法が成立している。その結果、女性の雇用は進んだが、その約7割が不安定な非正規雇用だという現実。前首相の原稿を読む言葉がうわすべりして白々しく聞こえる原因は、彼の滑舌の悪さ以前に実態が伴っていないからではないか。形ばかりの「女性の活躍」をあざ笑うかのように、新型コロナは女性たちを直撃した。活躍どころかあっさりと切り捨てられた女性たちは、国や企業側に都合の良い「調整弁」でしかないことが証明されたわけだが、女性にとってはまさに生き死にに関わる一大事だ。冗談じゃない。私たちは限界だ。だから、どうか政治に変わってほしい。なりふりかまわず働いて、文句も言わずにポジティブ思考で頑張っても、生活はラクにはならず、コロナがとどめを刺してくる。だけど、それはあなたや私のせいではない。もちろん、ほかの誰より苦しい生活を強いられている外国人労働者のせいでもない。自分を家族を犠牲にしてもいけない。死んでもいけない。更に脆弱な状況下にある人たちを叩いてもいけない。政治は一夜にして変わらないが、生き延びるためには、どうしたらいいのか?それはズバリ、公助だ。苦しんでいる人たちは、是非、生活保護を利用してほしい。生活保護は恩恵でも恥でもないんです。これまで私たちが身を粉にして働いて払ってきた税金や、買い物などで納められた消費税などであるのだから、困ったときには貯金を下ろすように利用したっていい。令和2年10月26日、新しい首相に就任した菅総理は、その所信表明演説の最後にこう述べた。「私が目指す社会像は、“自助・共助・公助”そして“絆”です。自分でできることは、まず、自分でやってみる。そして、家族、地域で互いに助け合う。その上で、政府がセーフティネットでお守りする。そうした国民から信頼される政府を目指します」私たちは十分に自分の力で頑張った。家族や地域で助け合うことも精一杯やってきて、まさに刀折れ矢尽きた状態にある。菅総理に言いたい。成熟した社会とは、まず充実した公助があって、その次に共助、自助なのではないのだろうか?12月10日、11月の自殺者数が発表された。その数、1798人。去昨年同月比で11.3%増(全体)だ。去年より増えるのはこれで5か月連続となる。そのすべてがコロナの影響かどうかはまだ分からないが、無関係とも到底思えない。政治、政策の力で、女性の貧困を食い止め、そして自殺者を出さない国にしてほしいと切に願う。言うまでもないが、男性もだ。*生活に困ったときの相談窓口一覧:小林美穂子(こばやしみほこ)1968年生まれ、『一般社団法人つくろい東京ファンド』のボランティア・スタッフ。路上での生活から支援を受けてアパート暮らしになった人たちの居場所兼就労の場として設立された「カフェ潮の路」のコーディネイター(女将)。幼少期をアフリカ、インドネシアで過ごし、長じてニュージーランド、マレーシアで働き、通訳職、上海での学生生活を経てから生活困窮者支援の活動を始めた。『コロナ禍の東京を駆ける』(岩波書店/共著)を11月に出版。
2020年12月13日