お子さんたちは夏休みをいかがお過ごしですか。昔は、夏休みには多くの地域でラジオ体操が行なわれていましたので、子どもたちもそれに合わせて早起きをしていたものです。最近ではそのような光景が少なくなり残念ですね。夏休み中に学校のプールが開放されている場合には、ぜひ参加して水と仲良くなるといいでしょう。塾や地域のスポーツチームでの練習、家族との帰省など予定がぎっしりつまっている人もいると思います。人によって過ごし方はいろいろですが、夏休みは何か普段できないことにチャレンジするとてもいい機会です。ご家庭で、夏休みをどう過ごすかをしっかり話し合って、計画的に充実した夏を過ごせるといいですね。夏休み中の「遅寝・遅起き」はこんなに危険!夏休みをどう過ごすかによって、体や心に大きな影響が出ます。特に、学校がお休みだからといって「遅寝・遅起き」の生活を続けていると、体調が崩れてしまいます。具体的には、体のだるさを感じる、食欲がなくなる、精神的にも意欲が低下して「何もやる気がしない」という状態になる、などの問題が起きてしまうのです。私の養護教諭時代の経験では、夏休み明けに、もともとやせていた子どもがますますやせてしまったとか、太り気味だった子どもがさらに太ってしまったなどということがよくありました。前者は、もともとたくさん食べられないうえ、夏のだるさで体を動かさないためにますます食欲がなくなり、そうめんなどの口当たりがいいものしか食べられなくなるケース。後者は、食欲の旺盛さは維持しつつも体を動かさなくなる分、そのまま体重増につながってしまうケースです。例えば、夏の間に身長が3cmも伸びたのに、体重は逆に1kgぐらい減ってしまった子どもや、身長は確かに伸びたものの、体重の増加が身長の伸びを極端に上回る子(1ヶ月で5kg増)などもいました。先ほど述べた心身の調子だけでなく、こうした体の成長にも、夏休み中の生活の仕方は大きく関係しているのです。人間の体のリズムは、夏休みだからといって変わることはありません。7月号でも紹介しましたように、生活リズムが崩れると「夏バテ」や「熱中症」にもかかりやすくなりますので、規則正しい生活1日1回以上は外に出て汗をかくぐらい体を動かす食事は3食しっかり食べるの3つは、きちんと守りましょう。1日のスタートはやはり、家族そろって一緒に朝ごはんを食べることをお勧めします。ゲームなどのやりすぎに要注意夏休みには、ゲームなどのやりすぎにも注意が必要です。自由時間が長いのをいいことにゲームばかりしていると、知らないうちに依存症になってしまう可能性があるからです。最近は若者たちの間でゲーム依存症が増えています。これは世界的にも問題になっており、世界保健機関(WHO)は2019年5月にゲーム依存症を「精神疾患」として位置づけ、治療が必要な疾病に分類しました。特に問題なのは、ネットにつないで友だちと競い合うようなゲームです。夢中になると、1日中お部屋にこもったり、夜更かしをしてしまったりすることにもつながります。こうしたゲームは若者のみならず小学生の間にも広がってきていて、小学生のなかにもゲーム依存症に近い人(予備軍)が出てきているのです。お子さんがゲームに依存しないためには、各ご家庭で 「ゲームの時間は1日何時間」と決め、それをしっかり守らせることが大切です。また、何もすることがないとついついゲームを手にしてしまうことになりますから、1日をどのように過ごすのか、何をするのかなどを「親子できちんと決めて、行動する」ことを大切にしましょう。そういう意味では、学校のプールの活用や、地域の児童館などが開催する催し物などへの参加をお勧めします。夏休み中に見られる、休み明けの“不登校”の兆し夏休みが終わると、ほとんどの子どもたちが真っ黒に日焼けして、友だちや先生に久しぶりに会うことを楽しみに元気に登校してきます。しかし、なかには夏休み明けに学校に来られなくなるお子さんもいます。その原因はいろいろなことがあり得ますが、ひとつには「生活リズムの崩れ」による影響が挙げられます。先に述べたような「遅寝・遅起き」に代表される夏休みの不規則な生活のせいで、「夜眠れない」「朝起きられない」「体調が悪い」といった不調が起き、それが気力・体力の低下につながってしまうのです。そういった不調が、単なる生活リズムの乱れによるものにすぎない場合には、朝多少無理やり起こして活動させても大丈夫でしょう。ですが、もしかしたらその現象が「学校に行くことが辛い」というサインである可能性も。その場合には子どもの接し方に注意が必要になってきます。「学校に行くことが辛い」のはなぜなのか、誘因となっているものを探り、丁寧に対応する必要があるのです。その誘因は、夏休み中というより1学期の生活の中にあったかもしれません。学習のつまずき、友だちや先生との関係、あるいは家庭の中にある心配などです。夏休みこそ親子でしっかり向き合い、お子さんが不安に感じていることは何かを理解し、対策を考えましょう。また、子どもにストレスが見受けられる場合は、普段はできない家族旅行や解放的な自然環境のなかで、体も心もリラックスして遊び込むことがとても有効です。自然には、人間に癒しを与えてくれるたくさんのエキスがありますし、とことん遊ぶと頭がすっきりし、よく眠れます。親御さんもお子さんと一緒に体を動かせば、日頃の疲れやストレスが解消されるはず。夏休みの家族の過ごし方としてはもってこいだと思いますよ。普段は子どもとゆっくり話をする時間が取れない方も、夏休みは絶好のチャンスです。長い休みを有効活用しましょう。就寝が遅くなったら、翌朝は寝坊OK?NG?夏休みならではの親御さんの困りごとに、いくつかアドバイスをいたしましょう。【親御さんからの質問 1】夏祭りや帰省、旅行など、イベントがあるたびに生活リズムが崩れ、一度崩れるとなかなか元に戻りません。特に、就寝時間がどうしても遅くなってしまいます。何日間ぐらいまでなら生活リズムが乱れても大丈夫でしょうか?生活リズムの崩れは、意識的に直さないとなかなか元に戻りません。時差ボケの経験がある親御さんはわかると思いますが、昼間とても眠かったり夜中に眠れなかったりしても、昼間の活動を続けているうちに2~3日もすれば元のリズムに戻ります。ですから、「生活リズムの崩れが何日までなら大丈夫か」というより、リズムの乱れが直るのには2~3日かかることをまずは知っておいてください。イベントなどで疲れて帰ってきても、翌日の朝はとにかくあまり寝坊しないで、体を動かしましょう。昼寝は30分ぐらいならいいかと思いますが、長く寝すぎたり夕方近くに眠ったりしてしまうと、夜の睡眠に響きますので要注意です。また、外出が続けば体も疲れますので、新学期が始まる前1週間はなるべく遠出などは控え、普段どおりの生活に戻すことが大切だと思います。テレビは1日何時間まで見せていいの?【親御さんからの質問 2】外で長時間遊ばせると熱中症が怖いし、かといって家の中で過ごさせるとテレビを長時間見たがります。「テレビの見すぎは良くない」と思うのですが、そもそも1日何時間ぐらいまでなら子どもにテレビを見せてもいいのでしょうか?親として安心できる指針が欲しいです。今の時代は、テレビ視聴だけでなくゲームやDVD、インターネット動画など、メディアとの接触時間をトータルで見ていくことが必要だと思います。特にYouTubeは、子どもたちの多くがなりたい職業にYouTuberを挙げている(※)ことからも、その視聴時間はかなり長いことが予想できます。(※2018年9月、学研教育総合研究所学研教育総合研究所調べ)私が小学校で養護教諭をしていた頃、夏休み明けの子どもたちに、長期休み中のメディア接触時間を調査したことがあります。そのなかに、テレビやゲームの時間を合わせて1日6時間~8時間と答えた子がいたのにはびっくりしたものです。また、いま教鞭をとっている短大の学生のなかにも、1日5~6時間はメディアを見ているという学生がいます。彼らの多くは、短大生になってからというより、子ども時代からメディアに長時間接触しているのだとか。幼少期のメディアの視聴習慣は長きにわたって影響を及ぼすといえそうです。ご家庭でのテレビの視聴時間は、「1時間」とか「2時間」というような決め方だと、ドラマの途中でも見るのを止めなくてはならなくなってしまいます。1週間を通してどの番組を見るのかを決め、おおよそ1日2時間程度だと理想的ですね。午前中1時間、午後1時間などのような規則を作るといいでしょう。しかし、親が見ているのに子どもはダメというのも矛盾がありますから、テレビを消したら親子で一緒に何かをするというような方策が必要だと思います。一緒に料理を作るとか、本の読み聞かせをするなど、家族でコミュニケーションを取る時間にしたいですね。「10歳の壁」は夏休み中に越えられる?【親御さんからの質問 3】うちの子は、夏休み前あたりから学校の勉強が難しく感じると言うようになり、勉強への苦手意識が出始めました。夏休み中に少しでも苦手な箇所を克服してもらいたいのですが、あまりうるさく言うのもかわいそうな気がするし、「このまま不登校になったらどうしよう?」と心配になります。どう声をかけてあげたらいいでしょうか?今、「10歳の壁」という言葉がよく使われていますね。その1つに挙げられるのが、10歳前後の子どもが勉強面や心理面でつまずき劣等感を抱いてしまうこと。学校の勉強で抽象的な思考が始まるこの時期に、「勉強が難しい!」と感じる子どもたちが増えているのです。昔はこうした問題はなかったのか、というと、昔もあるにはありました。ですが、昔は今日ほどには社会も親も勉強のことを気にしなかったので、子どもたちも「勉強はきらい!」と平然としていられたように思います。しかし、今は3年生ぐらいの子どもでも、「自分はクラスの中で勉強ができる方だ」とか「できない方だ」ということをかなり意識しているようです。「勉強ができない」という自覚が自尊感情の低下につながらないようにしたいですよね。お子さんの授業のノートやテストの結果を見て、どこでつまずいているのかを把握し、親御さんが教えてあげられればそれが一番いいかと思います。しかし、高学年になるとなかなか学習も難しくなります。難なく教えられることばかりではなくなってきますので、親御さんもお子さんの教科書をみて「ママにできるかな~」などと言いながら、一緒に勉強するといいでしょう。また、事情が許せば夏休みに友だちを呼んで一緒にグループで宿題などに取り組むのもお勧めです。友だち同士の教え合いもいいですね。「勉強って、わかると面白い!」という経験を、夏の間にぜひたくさんさせてあげたいものです。心も体も元気で新学期を迎えるために長いお休みの間には新しい体験や楽しい思い出ができるように、家族でいろいろ話し合ってみましょう。おうちのお手伝いなども、子ども自身が家族の一員として役立っていると実感できるチャンスです。子どもが少し頑張ったらできそうなことをお願いし、達成できたら「助かったよ」というメッセージを伝えてあげましょう。意欲が増し、心の成長にもつながるはずです。夏休み明け、「友だちに会うのが楽しみ!」「こんな作品作ったから早く先生や皆に見せたい!」といった楽しい気持ちで、心も体も元気で新学期を迎えられるといいですね。(参考)yomiDr.|ゲーム依存症は「精神疾患」…WHOが分類改訂日本海新聞,「中高生ネット依存93万人」,2018年9月1日付.学研教育総合研究所|小学生白書Web版2018年9月調査 6.将来について 将来つきたい職業(全体ランキング)
2019年08月08日夏休みは子どもたちと、いつもより遠くまでおでかけをする機会が増えますね。楽しみな反面、電車やバスでの長時間移動をどうもたせるかが不安だったりも…。私は4歳と1歳の娘と電車に1時間くらい乗ってお出かけすることが多いのですが、その時重宝するのが、スマホの「知育アプリ」。娘たちが飽きずにずっと遊ぶ、わが家のおすすめを紹介します。【Mrs.remyのタッチフード】子どもが食材を覚える?!楽しく食育最初に紹介するのは、料理愛好家の平野レミさん監修の「Mrs.remyのタッチフード」です。食に関することが楽しいゲームになっていて、子どもも大人も楽しめる内容です。わが家で人気のゲームはブロッコリーのふさをタッチして落としていくもの。ブロッコリーが倒れずに全部落とせると、次はカリフラワーになります。カリフラワーも成功すると最後は桜の木になります。単純なゲームですが、これが意外と難しくて、子どもがハマって何度も挑戦して楽しんでいます。次に人気なのは、子どもの知らない食べ物の断面や名前をゲームの中で自然と学べる知育ゲームです。知らないものが出てくると「なんだろうね~」と親子で一緒に考えられるのが楽しいです。このアプリで見てからわかるようになった食材もあり、普段食卓に出ないような食材もいつの間にか覚えていてびっくりしました。【Happy Glass】難易度高め?!でも柔軟な考え方が身につく!「Happy Glass」は、上から水が落ちてくるのを下にあるコップに無事に入れるというゲーム。1本の線を書き込むことで、障害物や仕掛けをクリアして水を入れないといけないのですが…柔軟な考えかたをしないと難しいんです。1本の線は直線だけじゃなく、曲線でも大丈夫。線を書き込むと、水が落ちるのと同時に自分が書き込んだ線も落下します。そのことを考慮して線を書き込まなくてはいけないので、小さな子どもには少し難しいゲームです。ただ、難しくても自分なりに考えて「線を引く→失敗する」というのを繰り返していくうちに、子ども自身で答えを見つけることができるときも。その達成感と喜びが今後の勉強にもつながるといいなと思って使っています。ほかにもコップの水をこぼさないように、下の積み木をはずしていくゲームもできます。はずす順番を考えるのが難しいけれど、失敗しながらも楽しんでいます。子どもは親も一緒になって考えて遊べるのでうれしそうです。【学研の幼児ワークひらカタ】書き順と文字のバランスを正しく!移動中にひらがな・カタカナもアプリを楽しく学びながら過ごせると一石二鳥だなと思い、探したのが「学研の幼児ワークひらカタ」です。ひらがな・カタカナを学べるアプリは数多くありますが、娘はこのアプリが1番長く遊んでいました。内容はとてもシンプルで、50音の一文字づつ書き進めていくだけです。書き順を最初に見ることができて、それをマネして書くのですが、初めて書く文字だと書き順を見た後でも反対から書いてしまったりも。書き終わった後に「できた」ボタンを押すと、書き順とバランスが合っているかで評価してくれます。書くときも補助はなく完全にフリーハンドで書くので、小さな子どもには少し難しいと思いますが、できたときに花丸がつくのがうれしくて、何度も真剣に書き直しながら、かなり集中して遊んでいます。少しでもひらがな・カタカナの練習になればと思ってアプリをダウンロードしましたが、幼稚園に入ってからは、自分から進んで遊ぶようになって、文字にも興味をもってくれるようになりました。【アンパンマンのジグソーパズル】ピース数が増えるから飽きない!子ども向けアプリで定番のパズル。これもいろいろなパズルをダウンロードをしましたが、1番のオススメは「アンパンマンのジグソーパズル」です。このパズルのすごいところは、パズル数の多さです。無料で遊べる数は絵柄は2種類ですが、2ピース・6ピース・12ピース・20ピース・30ピース・42ピースと選べます。最初から42ピースができるわけではなくて、2ピースから始まって順番にできるピースが増えていくので、やるたびに楽しいと喜んでいます。無料版だけでも楽しめますが、追加の料金を一度支払うと、30絵柄がプラスに。絵柄がたくさん選べるのも子どもは楽しそうですが、完成までのタイムが更新されるとアンパンマンが出てきてくれるので達成感が味わえます。【ゆめあるパーティーデコレーションシリーズ】お菓子屋さん気分を満喫「ゆめあるパーティーデコレーションシリーズ」はケーキやカップケーキ、シュークリームタワーを自分でデコレーションできるアプリです。たくさんのパーツから自分好みのものを選んで作れるので、何度やっても楽しそう!お菓子屋さん気分が味わえるようですね。バースデーケーキに数字のろうそくをたてて、お誕生日お祝いの遊びもしていました。ごっこ遊びの一環で使うと、より楽しく活用できると思います。子どもって、アプリをダウンロードしてもすぐに飽きてしまうことが多いですよね。でも今回ご紹介したアプリは飽きずにずっと遊んでいます。長時間移動のときのお助けアイテムになると思いますよ。ぜひ、夏休みのお出かけ前にダウンロードをしてみてください。<文・写真:ライターyuikitiiii>
2019年07月19日編集部:学研キッズネット編集部2020年教育改革まであと1年を切り、多くの小学校でプログラミング教育がスタートしています。小学校だけでなく、今後は中学校、高校でもプログラミング教育が必修・拡充化され、大学入試にもプログラミングなどの情報科目の導入が検討されています。まずは今後の教育改革への理解を深め、早めの準備を検討してみてはいかがでしょうか?教育改革はこう進む90秒でわかる今後の教育改革ムービーパソコン学習、関心はあるけどお子さんに使わせるのはやっぱり不安…?お子さんがパソコンを使うことに不安を感じられる親御さまがいらっしゃるのも事実。有害サイト、課金、パソコンばかりで外で遊ばなくなる…確かにそんな話を聞いたら消極的になってしまうかもしれません。でも、その不安もかんたんな設定でクリアできます。パソコンから広がるお子さんの可能性に、安心して期待できる環境をつくってはいかがでしょうか?その不安、「ファミリー機能」で解決できます。「ファミリー機能」の安心ポイント【ポイント01】フィルタリング機能で有害サイトへのアクセスを制限できます「ファミリー機能」の「フィルタリング機能」を使えば、お子さまが有害なサイトにアクセスするのを防ぐことができます。また制限のレベルやコンテンツのカテゴリー別に制限をかけるなど、より細かな設定も可能です。【ポイント02】使えるアプリとゲームを制限できます「ファミリー機能」を使えば、アプリやゲームへのアクセスを制限したり、特定のアプリやゲームの利用を禁止することができます。またクレジットカード番号の入力の際に暗証番号を設定しておけば、不用意にお子さまが課金できなくなります。【ポイント03】パソコンの使用時間を制限できますお子さまがバーチャルの世界で時間を費やしすぎないように、使用時間を制限することができます。方法は2つ。パソコンを使用できる時間帯を設定する方法と、パソコンを1日何時間まで使用できるかを決める最大時間数を設定する方法です。たとえば平日は1日2時間までに制限し、週末はもっと長く使えるようにすることも可能です。今年の夏休みの自由研究で、パソコンにチャレンジしませんか?タイピング、プログラミングなど、パソコン学習にもいろいろとありますが、今年はパソコンを使った自由研究にチャレンジするのはいかがでしょうか?学研キッズネットの自由研究プロジェクトなら、豊富なテーマの中から自分の研究したいテーマが選べ、自由研究に必要な要素が予めデザインされたテンプレートを使えば、簡単にきれいな作品が作れます。夏休み限定で、「パソコンでつくる自由研究コンテスト」も実施していますので、この機会に是非ご参加ください!学研キッズネット編集部(がっけんきっずねっと)『学研キッズネット』は、1996年にオープンした小・中学生のためのWebメディアです。学研の子ども向け書籍や雑誌の編集ノウハウを活かし、子どもたちが安全に楽しめるサイトとして運営しています。子どもたちのしあわせのために、家族のしあわせのために、有益な情報やサービスをお届けできるよう、いつも精一杯がんばっています。すくすく伸びる子どもたちのために
2019年07月19日『The Fit & Wellness Live 2019』開催概要2019年9月7日(土)、スポル品川大井町において、『The Fit & Wellness Live 2019』が開催される。同イベントはFYTTEが主催するフィットネスイベントで、クロスフィットトレーナーのAYAや、BREAKLETICSのJESS TATSUYA MORIZUMI、スポーツビューティーアドバイザーの橋本ワコらが出演を予定している。開催時間は13:00から20:00まで(予定)。持ち物は運動ができる服装、シューズ、水分補給用の飲み物、タオル、ヨガマット(床に敷ける大きめのタオルでもOK)となっている。チケットは3種類用意されており、一般チケットの販売価格は4,500円。イベント終了後のアフターパーティに参加可能なVIPチケットは80枚全て完売しており、7月31日(水)23:59まで、先行割引チケット3,400円を購入することができる(枚数限定、先着順)。ワークアウトだけでなく体の内側から美しくなれるドリンクやフードも充実。『The Fit & Wellness Live 2019』でビューティーやヘルスケア盛りだくさんの1日を過ごしてみてはいかがだろうか。30年間女性から支持され続けている FYTTEFYTTEは学研プラスが運営するヘルスケア情報メディアで、今年で30周年を迎える。Instagram(@fytte_jp)で配信する1分ダイエット動画が人気を集め、フォロワー数は94,000人以上。キレイになりたい女性やダイエット中の人などにオススメだ。(画像はFYTTEより)【参考】※FYTTE※PassMarket※FYTTE Instagram※学研プラス
2019年07月12日医師監修の食事法でダイエット食べる糖質の量を変える食事法によりやせようという新刊『ダイエットに失敗してきた私がやせた 3Days糖質オフダイエット』が発売された。著者はトレーナーのボディメイカーJUN氏であり、銀座よしえクリニック都立大院院長で、日本内科学会認定内科医、日本抗加齢医学会専門医の青木晃氏が監修を務めている。A5判で144ページ、1,296円(税込)で学研プラスが発行している。9か月間18kgのダイエットに成功したJUN氏中学時代からダイエットを行っていたJUN氏は、様々なダイエットの結果リバウンドを繰り返し、68kgまで太ってしまっていたという。自ら食事とトレーニングについて学ぶようになり、9か月間で体重18kg減、体脂肪率18%減を達成している。また、ベストボディジャパン横浜大会グランプリ、翌年にはベストボディジャパン金沢大会、ベストボディUSA大会でグランプリを獲得している。糖質の飢餓感なし・空腹感なし今やダイエットの常識となっている糖質オフであるが、新刊『ダイエットに失敗してきた私がやせた 3Days糖質オフダイエット』では、ただ糖質を減らすだけのダイエットはもう古いとしており、食べる糖質(ごはん)の量を日によって調整するだけでやせられるという。同書では3日に1日、糖質を摂らない日を設けることで、糖質を代謝する役割を担うインスリンを分泌しているすい臓を休ませることができ、リセットされることで脂肪が燃えやすい体に整えられるとしている。このダイエット法では3日に1度はごはん2杯を食べることができるため、糖質に対する飢餓感もなく、たんぱく質が豊富な食材もしっかり食べられるため、空腹感の心配もないという。(画像はAmazon.co.jpより)【参考】※『3日間周期が脂肪を燃やす!ダイエットに失敗してきた私がやせた 3Days糖質オフダイエット』 - 学研出版サイト
2019年07月04日学校や園から帰ってきた子どもがリビングで寝そべっていたり、ゲームに夢中になっていたりする姿を見て、「宿題やったの!?」「いつまで遊んでいるの!」と怒ってしまうことはありませんか?子どもにも一息入れて疲れをとる時間が必要だとはわかっていても、つい「余計な一言」を言って急かしてしまう人も多いことでしょう。毎日のように口酸っぱく言い続けても、肝心の子どものやる気が起こらなければ、「余計な一言」は効果がないどころか、親子の信頼関係に影響を及ぼすことも……。何も言わなくても子どもが自らすすんで取り組み、親子ともに心穏やかに過ごせるようになるには、子どもの「やる気スイッチ」を上手に押すことが必要です。小言では子どもの「やる気スイッチ」は押せない子どもに「〇〇やったの?」と言ってしまうとき、私たちは「やっていない」ことを知っているか、薄々わかったうえで聞いていることがあります。教育評論家の親野智可等さんはこのように述べています。日頃から子どもに罠をかけてわざわざ嘘をつかせるような意地悪な質問をしていると、子どもは親に対する信頼感が持てなくなり素直な気持ちもなくなります。そして、親の攻撃から自分を守るために、たくみな嘘をつくようにもなります。(引用元:学研キッズネットkidsnet for Parents|「片づけしたの?」「宿題やったの?」「明日の仕度したの?」など。「質問形」の裏に隠れているもの)子どもの口から正直に言わせようと誘導する親の一言は、子どもにとっては攻撃に感じられるもの。親子の信頼関係にとって好ましくないようです。あなたは、お子さんに対してこのような小言を言っていませんか?「いつまで寝ているつもり?」「宿題はちゃんとやったの?」「遊んだおもちゃは、片付けたんでしょうね!」「食べ終わった食器は、どうするんだった?」そんなとき、「今やろうと思っていたのに!」と怒るお子さんは多いことでしょう。その胸の内は、パパやママの小言にガッカリして、素直に向き合いたくない状態にあるのかもしれませんね。「やる気スイッチ」を押された子どもの特徴一方、「○○やったの?」と聞かなくても、こうしたことを自分からすすんでやれる子もいます。・朝は決まった時間にひとりで起きる・学校から帰ってきたらまず宿題に取りかかる・おもちゃで遊んだあとは元通りに片付ける・食事が済んだら食器を下げる彼らは、何事にも前向きで、失敗してもくじけず目標に向かって頑張れる「やる気スイッチ」が入った状態にあります。「やる気スイッチ」を自分で入れることができる子どももいますが、初めの頃は親御さんが絶妙のタイミングで押してあげているケースが少なくありません。「やる気」が習慣化してくるにつれ、子どもたちは自らスイッチを入れられるようになっていきます。「やる気」は、もって生まれた性格ではなく、親御さんが上手に引き出して身につけることのできるスキルと言ってもいいでしょう。「やる気スイッチ」が入った子は、この先どうなる?ベネッセ教育総合研究所の「小中学生の学びに関する調査報告書(2015)『研究レポート2自律的な理由で勉強することが適応的である』」によると、「内発的動機づけ」が高い子どもは学校での成績が良いという研究結果が出ています。「内発的動機づけ」とは、自分自身でやる気を引き出して、物事に取り組めるということ。すなわち、「やる気スイッチを自分で入れられる子」のことですね。やる気スイッチを自分で入れられるようになると、勉強や習い事、家でのお手伝いなどに対して、主体的に目標を見出して楽しんでこなせるようになっていきます。これは、お子さんがこれから成長していくプロセスにおいて「不本意でもやらなければならないこと」に直面したときに克服する力になるものです。中高生であれば定期テストや受験に向けての勉強、大学生ならば単位取得のために必要な課題や試験勉強など、「やりたくないなぁ」と思いながらもやらなければならないことは、たくさんあります。社会人になってからも、仕事のプレッシャーや毎日の通勤、会社での人間関係など、いつも楽しくおもしろいことばかりとは限りませんよね。これらの克服すべき壁に対し、子どものうちに「やる気スイッチ」が押せるようになっていると、これまでも上手に乗り越えてきた経験が自信となり、自ら意味を見出して意欲的に取り組むことができるのです。子どもの「やる気スイッチ」を上手に押す方法子どもの「やる気スイッチ」の上手な押し方には、次のような方法があります。【学習面】◆なかなか勉強を始められないときOK「宿題、何時からやろうか?」「今日の宿題は何をやるの?」NG「まだやってないの?」「早くやりなさい!」はっぱをかけたり急かしたりしても、子どもにはわかりにくく、かえって逆効果です。「何をやるのか」「どんなタイミングで始めるのか」を聞いて、子ども自身が考えるきっかけを与え、自分で決めた経験を重ねられるように声かけをしましょう。◆机には向かっているものの、集中できていないときOK「まずは3問やってみよう」「もうここまで進んだの?」「ひとりで頑張っているね、手伝えることがあったら言ってね」NG「ダラダラしないの!」「さっさと終わらせなさい!」まずは、どうして集中できないのか原因を探ってみます。問題の量が多いようであれば、短く区切って集中を促し、難しそうな問題や苦手な分野であれば、ここまでやってきた頑張りを認める声かけをしてあげましょう。また、ひとりで黙々と続けることが得意ではない子なら、大人の存在が近くに感じられて頑張れるようにリビング学習をすすめるなど、環境づくりを提案してもいいかもしれません。【生活面】◆身のまわりのことができていないときOK「靴がそろっていると玄関がスッキリするね」NG「ほら!また脱ぎっぱなし」「自分でやりなさい!」たとえば、子どもが靴を脱ぎっぱなしにしているときには、「脱ぎっぱなしはダメじゃない!」と叱るのではなく、「そろえてくれると玄関がスッキリする」に置き換えることが大切です。具体的で前向きなフィードバックは、ほめ言葉に匹敵し、やる気を引き出すことが研究でわかっています。◆決まった家の手伝いをやらないときOK「今日は一緒にお皿洗いしようか?」「あなたのお風呂掃除は丁寧だから、ピカピカになってうれしいよ」NG「決めたこともできないの?」「それくらいはやりなさい!」家の手伝いを何か決めて任せている家庭も多いと思いますが、一度決めたからといって必ずしもその人がやり遂げなければならないわけではありません。やる気がなさそうだなと感じる日は、「一緒にやろう」と声をかけると、案外すんなり動けるお子さんも。また、手伝ったことで人の役に立っているということを伝えるのも効果的です。どのような場面でも、「何がどこまで自分はできているか」がわかり、「何をいつ取り組むのか」を自分で決めるように促すと、「やる気スイッチ」は入りやすくなります。***大人と同様に、やる気スイッチは、すぐに押せる子もいれば時間がかかる子もいます。また、新学期や学校行事など慣れないことが続いていると、心身が疲れていることも。ときには「1回休み」を取り入れるのも「やる気スイッチ」を上手に押すコツですよ。(参考)学研キッズネットkidsnet for Parents|「片づけしたの?」「宿題やったの?」「明日の仕度したの?」など。「質問形」の裏に隠れているものschola|生活の節目を活用すれば、子どものやる気を高めることができる進研ゼミ保護者通信|やる気アップの声かけバージョンアップさぽナビ(Z会)|子どものやる気を引き出すコツ(1)こどもまなび☆ラボ|子どもが「本当に褒めてほしいこと」。やる気スイッチをONにする言葉とはドロシー=ノー=ノルト・レイチャル=ハリス著、石井千春訳(2003),『子どもが育つ魔法の言葉』,PHP文庫ベネッセ教育総合研究所|研究レポート2自律的な理由で勉強することが適応的である
2019年07月02日「Hulu」で配信する南極の科学研究基地を舞台にした“極限サバイバルミステリー”「THE HEAD」に、山下智久がメインキャストのひとりとして出演決定。「英語や製作スタイルをしっかり学びつつ、僕が持っているものも共有させていただき、さらに経験を積み上げていきたいです」と意気込みのコメントも到着した。本作は、ヨーロッパ有数の製作会社「THE MEDIAPRO STUDIO」が主導する超大型国際ドラマ。エミー賞も受賞した「HOMELAND/ホームランド」のエグゼクティブ・プロデューサーを務めたRan Tellemが製作総指揮を務め、日本国内ではHuluオリジナルの連続ドラマとして配信。ほか、ヨーロッパの主要放送局や中南米、HBO Asiaが網羅する23の国と地域での放送、そして各国の配信プラットフォームで同時公開する。南極の科学研究基地を舞台にした本作では、暗闇と氷河に覆われる“長い冬”を迎えるにあたり、研究員たちは「越冬隊」の10名を残し、基地を去ることに。しかし、半年にわたる冬のさなかに突如、基地と外界の交信が断絶。数週間後に研究員たちが基地に戻ると、そこには目も当てられない惨状が広がり、ほとんどの研究員が死亡、1名は行方不明、生存者2名になっていることが判明。6か月の間に基地では何が起こったのか?闇深き謎をめぐり、陸の孤島ともいえる南極の基地で、極限状態に置かれた人間たちが壮絶な心理合戦を繰り広げていく。そんな本作で、今回山下さんが世界規模のドラマシリーズ初出演!物語において極めて重要な役どころである研究員を演じるという。また、全編海外ロケとなる大掛かりな本作の撮影は、12週間かけてスペインとアイスランドで行われる予定。全編英語のセリフに挑み、新たな地平を切り開く。今回の出演に関して山下さんは「責任とプレッシャーも感じていますが、できる限り作品にフィットする人物を作り上げていきたいです」と意気込み、「セリフとしての英語は心情や状況を理解し、たくさん練習した上でこそ自然と出てくるものだと思うので、しっかりと準備して挑みたいです。また、共演者の皆さんも国際色豊かなので、最初は文化の壁もあるかもしれませんが、万国共通である“心”を通じ合わせて、作品を作っていきたいです」とコメントしている。ほかにも、スペインのアルバロ・モルテ、イギリスのキャサリン・オドネリー、アメリカのアメリア・ホイらの出演が決定している。脚本は、『フェーズ6』アレックス・パストールとダビ・パストール。監督は、『記憶探偵と鍵のかかった少女』のホルヘ・ドラドが手掛ける。「THE HEAD」は2020年春、Huluにて配信予定(全6話)。(cinemacafe.net)
2019年06月18日『寝るだけ! 骨盤枕ダイエット GOLD』6月3日、腰の下に置いて寝るだけでダイエット効果が得られるという枕が付属した書籍『寝るだけ! 骨盤枕ダイエット GOLD』が発売された。AB判で40ページ、1,274円(税込)の価格で学研プラスから学研ヒットムックとして発行されている。学研プラスは、2011年2月に鍼灸師で整体師、東京・品川にあるアスカ鍼灸治療院院長の福辻鋭記(ふくつじとしき)氏監修の『寝るだけ! 骨盤枕ダイエット』を発行しており、新刊も福辻氏が監修。従来版で赤だった枕が新刊のバージョンでは金色になり、使いやすく丈夫になったとしている。骨盤のゆがみ・消化器系調整監修の福辻鋭記氏は美容に鍼灸を取り入れた先駆者であり、テレビ番組「中居正広の金曜日のスマたちへ」や「日本の名医50人」、「人生が変わる 1分間の深いい話」などにも出演。「VOCE」、「美的」などの雑誌にも採り上げられている。2011年発売の『寝るだけ! 骨盤枕ダイエット』は230万部を突破するほどの大ヒットとなり、今回新色が発売。1日5分間、腰の下に置いて寝るだけで骨盤のゆがみを調整し、消化器系も調整されるとしている。使用者の中には1週間でウエスト10cm減、継続で体重12kg減を実現した人もいるという。(画像はAmazon.co.jpより)【参考】※学研ヒットムック『寝るだけ! 骨盤枕ダイエット GOLD』 - 学研出版サイト
2019年06月13日健康で輝く人生をサポート東京都新宿区に本社があるRIZAPグループ株式会社とグループ会社であるRIZAP株式会社は5月22日、監修した書籍『「疲れないカラダ」になる ライザップトレーニング』が発売されると発表した。また、これまで刊行されていたRIZAP関連書籍の発行部数が累計100万部を突破。今後も多くの人にRIZAPメソッドを体験してもらい健康で輝く人生をサポートしたいとしている。1日1トレーニング 3か月で15歳若返る「結果にコミットする」というテレビコマーシャルなどのフレーズが印象的なRIZAPはこれまで「ライザップ糖質量ハンドブック」(日本文芸社)や「自宅でできるライザップ」シリーズ(扶桑社)など、多数の出版社とともに書籍を出版。新刊の発売により累計発行部数が100万部を突破している。新刊『「疲れないカラダ」になる ライザップトレーニング』はRIZAPが監修したトレーニング本で、実年齢よりも「体力年齢」を重視し、3か月間、1日1つのトレーニングを行うだけで15歳若返らせるというトレーニングが掲載されている。筑波大学研究成果活用企業と体力年齢測定式を開発日本は世界でも有数の長寿国として知られているが、介護などを必要とせず自立した生活を送ることができる期間「健康寿命」の延伸が課題となっており、同書は13万人超の人を指導してきた実績と、多くの地方自治体との取り組みのノウハウなど、健康への取り組みが凝縮された1冊となっている。まず筑波大学研究成果活用企業であるTHFと共同開発した独自の体力年齢測定式により、自身の体力年齢を把握し目標を設定。次に1日1つ行うだけのトレーニングメニューが紹介され、モチベーション維持に効果のあるRIZAPトレーナーの激励の名言が掲載されている。同書のメニューにより筋力がアップし、カラダが柔軟に、軽快になって、「疲れないカラダ」が手に入れられるとしており、この新刊はA5並製で128ページ、マガジンハウスより1,200円(税別)の価格で発売中である。(画像はプレスリリースより)【参考】※RIZAP関連書籍 累計100万部突破! 「疲れないカラダ」になる ライザップトレーニング発売 - RIZAP GROUP[ライザップグループ]
2019年05月29日ある日曜日のこと、テニスのレッスンから帰って来た下の子供が「何をしようかー」と言いました。私はちょっと困ってしまいます。彼がこう言うときは決まって、インターネットで動画を見たいか、コンピュータゲームがしたいのです。親としては、8歳の子供に、長時間コンピュータのスクリーンを見させたくはありません。自転車を持って近所の公園に行けば、たいていご機嫌ですが、外は雨。残念ながらそういうわけにもいきません。興味をひきそうなボードゲームはありますが、家事もたまっていて、今すぐ彼のそばに座って一緒に遊んであげるわけにもいきません。「そうねえ、テレビを見るのはどうかしら」「えー、テレビー?」「デイヴィッド・アテンボロー(イギリスの有名な自然番組のプレゼンター)の番組を録画してあるわよ。それをつけてあげましょう。嫌だったら日本語のアニメのDVDもあるわよ」言っているうちになんだかおかしくなってしまって、笑い始めてしまいました。新しいメディアが登場するたび、私たちは不安を抱く私が小さい頃は、子供にテレビを見せる親が大きな問題になっていました。マンガも子供の教育上良くないと散々言われていたものです。けれども自分が親になった時には「インターネットは子供に良くないからテレビを見せよう」と考えているのです。マンガに至っては近年、日本を代表する表現芸術の一つとしての地位を世界的に確立しつつあります。今年は大英博物館で日本のマンガの展示会も開かれていますから、みんなで出かけようと話しているところです。ネットで動画を見ているよりは、日本語でマンガを読んでいてくれた方が嬉しいくらいです。メディアの理論ではしばしば指摘されることですが、新しいメディアが登場するたび、私たちは不安を抱きます。インターネットの前は、ファミコンでした。その前はテレビ。ラジオやマンガ、映画も、登場してしばらくの間は問題視されました。そういったメディアは、新たなメディアが他に登場するにつれ、受け入れられるようになっていきます。新たなメディアに対する不安が、かつてあれほど問題視されたメディアを「安全なもの」として受け入れさせるのです。よく言われることですが、自分がやっているのに気づくと苦笑せざるを得ませんでした。自分が無知なモノには不安を抱いてしまいがちけれど、それはある意味仕方のないことです。たとえば本に関しては、私はどんなジャンルが質が良く、どんなジャンルが問題含みなのか、かなりはっきり知っています。ですから「本を読む」と子供が言ったとき、「何を読むのか」の方に意識がまずいきます。子供の教育に関心がある親御さんの多くはそうなのではないかと考えます。けれどもインターネット上の動画チャンネルについては、私は本当に無知です。2言語話者の子供を育てていく上で、ネット上の読み聞かせ動画はとても便利でしたから、ひょっとしたら似たような教育観を持っている親御さんよりは動画に対してオープンかもしれませんが、それでもどのような動画チャンネルが質が良く、どのようなチャンネルが問題含みなのか、把握しているとは言えません。メディアとの付き合い方を、子供は学ばなくてはならないけれど、一つ言えることがあります。好むと好まざるとにかかわらず、新しいメディアは、やがて社会における表現の主流になる可能性が高いですし、そういったメディアとの付き合い方を、ある時点で子供達は学ばなくてはならないだろうということです。今すぐであるかもしれませんし、もっと先のことかもしれません。けれど、どこかで彼らは、情報収集するにあたって、新しいメディアと向き合わなくてはならなくなるはずです。新しいメディアの登場に対して、今まで通りの識字教育では不十分なのではないか、という問題提起は、もうかなり前になされています。何冊もの本が日本語にも翻訳されている児童文学研究者、ピーター・ハント教授は、2002年の段階ですでに、新たなメディアの形は児童小説の物語のあり方そのものを変えて来ていると指摘しています。学校での識字教育がそれに対応できているかについて、彼は疑念を呈します。これからの子供達に求められている「トランスリテラシー」とは同様に2013年に児童文学研究で国際グリム賞を受賞したキンバリー・レイノルズ教授も、文章だけに限らず様々なメディアを包括的に理解することのできる能力、つまり「トランスリテラシー」こそが、これからの子供達に求められているのではないか、と提言しています。メディアの壁にとらわれず、必要な情報を収集し、様々な形で発信していく能力と言い換えることもできるかもしれません。細かい専門的な議論にはここでは立ち入りませんが、現在の子供達を囲むメディアと物語の環境は、たしかにある意味、様々なメディアの特性を子供と考えるのにとても適していると言うことはできます。大人向けの物語や小説に比べ、子供向けの物語の方が、多角的にメディアミックスが行われるという指摘もなされています。代表例は『ポケモン』! 現代の子供を取り囲むメディアミックスかつては「本→映画」ないしは「本→テレビ」といったような比較的一方向のメディア展開が多くありました。ベストセラーになった小説や児童書、絵本などが、ドラマやアニメーションとして動画化されるという形ですね。たとえば『アルプスの少女ハイジ』という本が先にあり、それがテレビアニメ化される。あるいは、『白雪姫』という有名な物語があり、それがアニメーション映画になる、といった形です。けれど今の子供達を取り囲んでいるメディア環境は、それよりもかなり複雑で包括的なものです。コンピュータゲームのソフトとして開発された世界観を元に、マンガが描かれ、アニメ化され、さらにノベライズされて小説になったりもします。『ポケットモンスター』シリーズなどを思い浮かべていただければ良いと思うのですが、単純な「物語の映画化」や「物語のゲーム化」ではありませんよね。それぞれのストーリーラインが緩やかにつながりながらも、同じ現象を異なるメディアから異なる視点で見ているのです。ごく小さい頃からテレビのアニメで親しんだ登場人物が、絵本の主人公にもなっているかもしれません。夏休みには、その主人公が活躍する映画を見に行くこともあるでしょう。同じ登場人物が出てくるゲームもねだるかもしれませんね。まさに、一つの物語を多角的に理解するためのヒントがそこには多くあります。映画や動画、テレビにゲーム、そして本。それぞれの媒体には、どんな違いがあるのか。ちょっと目を向けるだけで、様々な媒体の性質の違いについて、新たな気づきを得やすくもなっているのです。実は1990年代からの日本のポケモンシリーズを、レイノルズ教授はメディアミックスの重要な例としてあげています。日本の子供達はある意味、様々なメディアを行ったり来たりしながらの情報収集方法を、学びやすい環境にいるのかもしれませんね。多様なメディアに触れ、その特性を子供と一緒に考えようどんどん変化していく、子供達をめぐる情報環境。不安を感じるのは、ある意味当然のことでもありますが、同時にこれは大きなチャンスでもあるのかもしれません。縦横無尽に広がるメディアの全てを十把一絡げに取り扱うのではなく、様々なメディアの特性を子供達と一緒に考えていくこと。一つのメディアに偏るのではなく、一緒に多様なメディアに触れながら、子供達と一緒に語り合っていくこと。文章表現だけのリテラシーであればお手の物ですが、動画や、スクリーン上の表現については、私はまだまだ能力不足です。試行錯誤をしながらも、より良いバランスを考えていくべき場所に今、私たちはいるのではないかと考えています。(参考)Hunt, P. (2002). ‘Futures for Children’s Literature: Evolution or radical break? ‘ , Cambridge Journal of Education, 30(1), 111–119.Reynolds, K. (2011). Children’s literature : a very short introduction. (Oxford: Oxford University Press)
2019年05月28日いそがしい人におすすめの400のレシピ4月23日、いそがしい人でも簡単に作ることができて、健康的で太らないというレシピを紹介している新刊『いそがしい人の カロリー別!太らないレシピ400品』が発売された。AB判で144ページ、価格は842円(税込)で出版社は学研プラスである。糖質オフなのにボリューム満点おかずなど多忙な日々に追われ、料理に時間をかけたくないと思っている人でも、太る食事は避けたい、できれば健康的なものを食べたいと考えるものである。いそがしい人に求められるのは、手早くできて低カロリーで太らず健康的な料理である。新刊では、まず500kcalの献立を作るコツが解説され、普段のおかずを低カロリーにする太らないテクニックを紹介。掲載されている全てのレシピにはカロリー量、塩分、調理時間を記載。おかずはいずれも一品300kcal未満で、糖質オフの要望にも配慮され、糖質量別の索引も掲載されている。巻頭の特集では糖質オフなのにボリュームのあるおかずや、600kcal未満の太らない献立、200kcal台以下のご飯レシピを掲載。そのほか、300kcal未満のメインのおかず、150kcal未満のサブおかず、100kcal未満の汁物など、目的のカロリーからレシピを見つけやすいようになっている。(画像はAmazon.co.jpより)【参考】※ヒットムック料理シリーズ『いそがしい人の カロリー別!太らないレシピ400品』 - 学研出版サイト
2019年05月02日株式会社ノエビアは、コエンザイムQ10とペプチドの生み出すエネルギーに着目したエイジングケア美容液「ノエビア モイスチュアリフト」を2019年6月5日に新発売。肌のエネルギーに着目し、細胞内のミトコンドリアに存在する「コエンザイムQ10」や、数千キロをも飛び続ける渡り鳥の運動能力を支えるペプチドの一種「カルノシン」のはたらきを追求。5種類のペプチドのほか、3種類の植物エキスと酵母エキスを配合し、肌が持つ美しさのエネルギーを引き出し、ハリとうるおいに満ちた上向きの素肌を目指します。疲れた印象を与える肌は「老けて見える」たるみ・くま・くすみ・ほうれい線・血行不良・やつれ…出典:byBirth何かと忙しい私たち現代女性。精神的・肉体的に疲れているときは、当然肌も疲れた印象になってしまうもの。また、年齢とともに出てくる肌悩みである「たるみ」「くま」「くすみ」「ほうれい線」「血色の悪さ」「やつれ」などは、疲れた印象を与えるのみでなく、見た目年齢を高く見せる原因に。「若く見られたい」と感じる人は一部でも、やっぱり、やる気や元気がなく見られるのは仕事でも家庭でもマイナスですよね。だけどこれ、年齢を重ねた以上、諦めるしかないの?ノエビアは、そのような悩める女性に“ゆらぐことのない輝きと美しさ”を届けるべく、「疲れ肌」の原因とそれをスキンケアで補う方法について考えました。そして、その研究成果を活かしたエイジングケア美容液を生み出したのです。ノエビアが考える疲れ肌の原因出典:byBirth①エネルギー不足肌は、若々しく健康な状態を維持すべく「うるおいを生み出す」「ターンオーバーを促す」「ハリ・弾力をつくる」と、いろいろな活動にエネルギーを使っています。そして、そのエネルギーの約95%を作っているのが、細胞内にある「ミトコンドリア」。また、エネルギーを作る際に発生する「活性酸素」も、放っておくと老化へと繋がることがわかりました。ノエビアは、ミトコンドリアのエネルギー産生促進を促す「コエンザイムQ10」と、活性酸素の除去をしてくれる「イミダゾールジペプチド」が、加齢とともに減少することを発見。これが、年齢を重ねるごとに肌悩みを増やす原因とし、これらを改善するのに有効な成分と植物エキスを研究。②老廃物の蓄積老廃物が蓄積すると、顔や身体がむくむのみでなく、肌色がよどみ、ハリが失われます。これらはもちろん、疲れた印象を与え、見た目年齢を高くしてしまう要因に。老廃物を除去しこれを改善するためには、リンパ管をケアして流す・分解してあげる必要があります。こちらも研究の結果、効果的な植物エキスが見つかりました。ノエビアの皮膚科学研究と植物研究を融合した新エイジングケア美容液「ノエビア モイスチュアリフト」撮影:GODMake.上記の研究成果に基づき、ノエビアならではの皮膚科学研究と植物研究の成果を融合したエイジングケア美容液が、今年6月に新発売。活力みなぎる上向きの素肌を目指し、コエンザイムQ10と、イミダゾールジペプチド(カルノシン)など5種類のペプチドを配合。内側から押し上げるようなハリを与えます。また、40年以上にわたって研究してきた約2,500種もの植物エキスの中から、厳選した3種類の植物エキスと酵母エキスを配合。肌をうるおいで満たし、透き通るような肌へと導きます。お手入れ時間を楽しくする、心地よい感触とエレガントなフローラルブーケの香りも魅力。イミダゾールジペプチド(カルノシン)とは体内に存在するペプチドの一種。数千キロも不眠不休で飛び続けている渡り鳥の翼の付け根にも豊富に存在し、その運動能力を支えているといわれています。使用方法朝晩、スキンローションで肌を整えた後、適量(3~4プッシュ)を手にとり、気になる部分を中心にお顔全体になじませる。その後、ミルクローション・クリームを使用。新商品概要2019年6月5日新発売撮影:GODMake.ノエビア モイスチュアリフト45g18,000円(税抜)
2019年04月15日ヨウジヤマモト(Yohji Yamamoto)を纏った、コンゴのファッショニスタ集団・サプールの写真集『Yohjiを愛したサプール』が、2019年4月23日(火)に学研プラスより発売される。サプールとは、今なお内戦が続く世界最貧国の一つアフリカ・コンゴにて、1ヶ月の収入をはるかに上回るハイブランドの洋服を身に纏い、街を練り歩く男たちのことを指す。彼らはただおしゃれを楽しむだけではなく、ファッションを通して平和のメッセージを発信し続けている。コンゴから遠く離れた日本でも、サプールのマインドは浸透し、これまで首都圏をメインに全国各地で彼らのファッションを紹介する写真展が開催されてきた。そんな彼らのイメージといえば、カラフルで紳士的な服だが、今回『Yohjiを愛したサプール』でフォーカスしたのは、ヨウジヤマモトを纏ったモノトーンの着こなしを愛す“もうひとつのサプール”だ。これまでもサプールの写真展に携わってきたフォトグラファーのSAP CHANOが、日本で生まれたモードブランドを愛し、楽し気に身に纏う彼らの様子を撮影した。写真集の中では、サプールの素顔を切り取った日常編、2019年のパリコレクションに集結したパリのサプール編など、あらゆる角度から“もうひとつのサプール”を紹介する。また、彼らがヨウジヤマモトを着るようになった理由ともされる、“ヨウジヤマモトを愛した”コンゴの国民的スター故・パパヴェンバの葬儀編も収めている。【詳細】『Yohjiを愛したサプール』発売日:2019年4月23日(火)取り扱い:全国書店にて価格:2,800円撮影:SAP CHANO発行元:学研プラスISBN 978-4-05-406707-7
2019年04月11日子どもは褒めて伸ばす――。よく耳にする言葉ですが、とくに最近は教育業界で頻繁に聞かれるキーワードです。そして、EQWELチャイルドアカデミーの主席研究員・浦谷裕樹先生もその重要性には賛同するひとり。先生が注目する、自己肯定感、忍耐力、協調性、やり抜く力、自制心、共感力、リーダーシップ、誠実さ、創造性、コミュニケーション能力といった「心の知能指数」である「EQ」を伸ばすためにも、「褒める」という姿勢は大切な要素だといいます。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/榎本壮三(インタビューカットのみ)「安心感」が子どもの心と才能を育む子どものEQを伸ばす、心を豊かにするためには「褒める」ことが大切です。そして、まずは「褒める」以前に「認める」必要があります。親に自分の存在を認めてもらえる、丸ごと受け止めてもらえると、「自分はここにいていい存在なんだ」と子どもは「安心感」を得る。この安心感こそが、子どもの心と才能を育むために重要なものだからです。これは大人でも同じではないでしょうか。たとえば、新たに入社した会社にはじめて出勤するときは、誰もがドキドキするものでしょう?そういう心理状態では、なかなか本来の力を発揮できません。でも、新しい会社に徐々に慣れ、上司や先輩に仕事ぶりを認められ褒められれば、「自分はここにいていいんだ」「組織に必要とされているんだ」と思えるようになる。そして、より自分らしく仕事ができるようになり、持っている能力を発揮できるようになるのです。親が子どもを認めることの効果は、東大生へのあるアンケートにも顕著に表れています。そのアンケートでは、「東大生の親の96%は子どもの話をよく聞いた」という結果が示されました。しかも、興味深いことに、これは親ではなく東大生自身におこなったアンケートなのです。東大生が自分の子ども時代を振り返って、「親はよく話を聞いてくれた」と答えたわけです。着目すべきは、親が自分を良く見せようとしたわけではなく、子ども自身が親に認めてもらえたと感じていたということです。もちろん、このことが直接的に学力を高めたとはいえないかもしれません。でも、EQが高まれば、学力がさらに大きく向上することがわかっていますから(インタビュー第1回参照)、親が受け止めてくれたことで子どものEQが高まり、東大に入学できるほどに学力も高まったという推測もできるのではないでしょうか。子どものEQを高める褒め方のコツさて、子どもの存在を認めたら、今度はしっかり褒めてあげましょう。ただ、褒めて伸ばすことが大切とはいえ、やたらに褒めればいいというものではありません。たとえば、いわゆる「能力褒め」は子どもの成長にとってマイナスにも働きます。もともと持っている能力を褒めると、やる気を失ってしまうことにもなるのです。このことは、ある実験の結果ではっきりと示されています。その実験では、まず小学生を対象に知能テストをおこないました。そして、同じくらいの点数だった子どもたちをふたつのグループにわけ、ひとつのグループに対しては「能力」を褒めた。「頭がいいね、かしこいね、天才だね」といった具合です。一方、もうひとつのグループに対しては、「よく頑張ったね、最後までやり抜いたね」といったふうに「努力」を褒めました。その後、2回目のテストではわざと難しい問題を出しました。どちらのグループも能力は同じくらいの子どもたちですから、全員の点数ががくんと落ちます。続いて、3回目のテストでは1回目と同じくらいの難易度のテストを出しました。すると、能力を褒められたグループは1回目より点数が下がったのに、努力を褒められたグループは1回目より点数が上がったのです。これはどういうことなのでしょうか?ポイントは2回目のテストで「点数が下がった」ということです。その要因を、能力を褒められた子どもたちは、「これは自分に能力がないからだ」と考えてしまう。「自分には能力がない、だからこれ以上勉強をしても仕方がない」と勉強をやめてしまった。そして、3回目のテストでは1回目より点数が下がるという結果になったのです。一方の努力を褒められたグループはどう考えるかというと、2回目のテストで点数が下がった要因を「努力が足りなかったからだ」と考える。努力が足りなかっただけなのですから、子どもたちは「もっと頑張ろう!」と思い、いっそう努力をします。そうして、3回目のテストでは点数が上がったというわけです。やり抜く力やチャレンジ精神といったEQの伸びに関して、褒め方のちがいが大きく左右したことの証といえるでしょう。叱るときは子どもを「教え諭すチャンス」もちろん、「褒めて伸ばす」とはいっても、子どもが約束を破った、他人を傷つけたといった問題を起こした場合にはきちんと叱る必要もあります。意識してほしいのは、そういう場面を「子どもを教え諭すチャンス」だととらえるということ。子どもがなんらかの問題を起こしてしまったときは、子ども自身も「まずい、どうしたらいいんだろう……」と思っています。つまり、学びやすいタイミングなのです。そのとき、教え諭すのではなく、「子どもを怒るチャンス」だととらえて感情任せに怒りを爆発させては、子どもはほとんどなにも学ぶことができません。「怒る」のではなく、起こしてしまった問題への対処法を「教え諭す」のです。そのためにも、親自身が冷静になり、「1分以内」くらいの短い時間で叱ることを心がけましょう。お説教が長時間に及ぶと、子どもは途中からなぜ叱られているのかすらわからなくなるものです。結果的に、子どもの行動にはなんの変化も起こらないということになりかねません。もちろん、理性的に叱るべきだと頭ではわかっていても、子どもが起こした問題によっては、つい感情を爆発させてしまいそうにもなるものです。わたしも、こう語りながらも、自分の子どもに対してはそうなってしまいそうになることもありますけどね……(苦笑)。そういうときにおすすめしているのが、「一度、その場を離れる」ということ。物理的に距離を取るのです。「一度、見なかったことにする」といってもいいでしょう。さらには、特定の言葉を使うことも効果的です。「ま、いいか」「そういうこともあるよね」と口にする。これらの行動で、感情ではなく理性のほうに脳がスイッチするため、冷静になれるわけです。子どもをしっかり認めて褒めて、必要なときには怒るのではなく叱る。子どものEQを高めるため、つねに心がけてみてください。『子どもの未来が輝く「EQ力」』浦谷裕樹 著/プレジデント社(2018)■ EQWELチャイルドアカデミー・浦谷裕樹先生 インタビュー一覧第1回:幼児教育ブームのなかで今注目の「EQ、非認知能力」って何のこと?第2回:「頭の力」には「心の力」こそ必要。EQが高いと優秀な子に育つ納得の理由第3回:父親流の「厳しい愛情」が子どものEQを伸ばす。人間性と学力を高める親のかかわり方第4回:お説教は「○分以内」で。子どものEQを高める“叱り方の正解”とは【プロフィール】浦谷裕樹(うらたに・ひろき)1972年7月31日生まれ、東京都出身。EQWELチャイルドアカデミー・新未来教育科学研究所主席研究員。工学博士、理学博士。京都大学理学部卒業、京都大学大学院理学研究科修士課程修了。高校時代に「人間の可能性はどこまで伸ばせるのか」との問いを抱き、学生時代より古今東西の能力アップ法を研究開始。現在は「楽しく、わかりやすく、ためになる」をモットーに全国で講演活動中。とくに参加型のトレーニングやワークを盛り込んだセミナーを得意とする。著書に『メンタルウェルネストレーニングのすすめ』(エコー出版)がある。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年04月06日自己肯定感、忍耐力、協調性、やり抜く力、自制心、共感力、リーダーシップ、誠実さ、創造性、コミュニケーション能力など、さまざまな「心の力」は、「心の知能指数」として「EQ」と呼ばれます。このEQの重要性を提唱するEQWELチャイルドアカデミーの主席研究員・浦谷裕樹先生には、過去2回のインタビューでEQが子どもにもたらす多くのメリットを語ってもらいました(インタビュー第1回、第2回参照)。今回は、子どものEQの伸ばし方を教えてもらいましょう。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/榎本壮三(インタビューカットのみ)親のかかわり方が子どものEQを左右するまず親御さんにお伝えしておきたいのは、子どものEQが高まるかどうかは親のかかわり方にかかっているということ。とくに幼児期までの子どもにとっては、親のかかわり方そのものが教育といえます。なぜなら、幼稚園でもある程度の学びはありますが、子どもが過ごす時間が絶対的に多い場所が親と接する家庭だからです。子どもがなにかの問題にぶつかったとき、真っ先に頼るのは親に他なりません。そこで親がどんな解決法、対処法を教え示すのか――。そういう実地の経験の一つひとつが、子どものEQを伸ばしていきます。見方を変えれば、子どもというのは親を見本にするということ。EQが親子間で遺伝するかどうかについては詳しい研究がまだなされていませんが、EQの傾向が親子間で似るということは明確です。親が「心の力」を示してくれなければ、子どもが「心の力」を学ぶ場を持てないからです。子どもがわがままをいって、感情を爆発させ泣き叫んでいたとしましょう。そのとき、親まで感情的になって怒ってしまえば、子どもが感情をコントロールできるようになるはずもありません。でも、親に共感力や自制心があれば、子どもに共感して寄り添い、「そういう気持ちもわかるよ」「でもこういうときはこうすればいいんじゃない?」と、対処法を教えられるのです。乳児期の母親の愛情がEQのベースをつくるそして、子どもへの親のかかわり方には、父親と母親それぞれに役割があるということも忘れてはなりません。母親は「第1の養育者」とも呼ばれます。子どもが小さいとき、とくに生まれてから1~2歳頃までのあいだに、いちばん子どもの近くにいる母親がどれだけ心穏やかに愛情をたっぷりと注ぐことができるか。それが、子どもの心の豊かさに大きなちがいを生みます。というのも、生まれてから1~2歳頃までの子どもは、「感受性期」という脳が情緒に関してもっとも学びやすい時期にあるからです。ここで、その後に伸びていくEQのベースがつくられるというわけです。そのベースとは、自己肯定感。母親に愛情を注がれることで、「自分はこの世に存在していていいんだ」と子どもは感じられる。自分の存在を肯定し、豊かな心を育んでいくようになるのです。逆に、この時期に親からほったらかしにされた、いわゆるネグレクトの状態に置かれた子どもは、情緒不安定だったり社会への適応性がなかったりといった好ましくない特徴を示すことがわかっています。子どものEQを伸ばすための父親の役割母親だけでなく、父親のかかわり方も子どもに大いに影響を与えます。それについては、国内外を問わず、いくつもの研究結果が示されています。たとえば、スウェーデンでの研究では、「父親との関係が良好な子どもは、学力が高く、良い友人関係を築け、問題行動や犯罪行為が少ない」という結果が出ています。また、カナダの研究では、「父親が子どもに多く関与すると、子どもの認知機能と学業成績が向上し、問題解決力、忍耐力、感情コントロール、責任感、社会的発達、人間関係力に好影響を与える」という結果が示されました。面白いのが、桜美林大学の山口創先生の研究です。先生の研究では、「『高い高い』『おんぶ』『肩ぐるま』を経験することで、子どもの空間認識能力、危機対処能力、身体能力への自信が高まる」ことがわかりました。注目は「空間認識能力」です。「肩ぐるま」などで普段とはちがう視点から周囲を見渡すことで空間認識能力が高まり、さらには物体に限らずものごとを多角的に見る力も高まったというのです。もちろん、「肩ぐるま」などは母親でもできるものです。でも、どちらかといえば父親がやることが多いものですよね。しかも、母親より力が強い父親がやれば、これらの遊びはよりダイナミックになり、もたらす効果も高まると考えられます。2種類の愛情を意識して使いわける父親と母親それぞれに役割があるということには、愛情にも2種類あるということが関係しています。簡単にいえば、「優しさ」と「厳しさ」です。母親の愛情というのは、子どものすべてを受け入れる、どんなときも子どもの味方になるといった「優しさ」、「応援する」というものです。一方、父親の愛情は、子どもが困難にぶつかったとき、失敗したときに、「もっとできるはずだぞ!」と挑戦へ導く「厳しさ」、「期待する」というもの。これらが愛情の両輪であり、どちらも子どもの成長にとって非常に大切なものです。もちろん、不幸にしてお父さんがいない、あるいはお母さんがいないという家庭もあるでしょう。でも、たとえひとり親であっても、ふたつの愛情をバランス良く使いわけることができれば、なんの問題ありません。あるいは、おじいちゃんやおばあちゃんが父親や母親の代わりになることもできるはずです。いずれにせよ、ふたつの愛情の存在、重要性を意識して子どもに接することが大切です。『子どもの未来が輝く「EQ力」』浦谷裕樹 著/プレジデント社(2018)■ EQWELチャイルドアカデミー・浦谷裕樹先生 インタビュー一覧第1回:幼児教育ブームのなかで今注目の「EQ、非認知能力」って何のこと?第2回:「頭の力」には「心の力」こそ必要。EQが高いと優秀な子に育つ納得の理由第3回:父親流の「厳しい愛情」が子どものEQを伸ばす。人間性と学力を高める親のかかわり方第4回:お説教は「○分以内」で。子どものEQを高める“叱り方の正解”とは(※近日公開)【プロフィール】浦谷裕樹(うらたに・ひろき)1972年7月31日生まれ、東京都出身。EQWELチャイルドアカデミー・新未来教育科学研究所主席研究員。工学博士、理学博士。京都大学理学部卒業、京都大学大学院理学研究科修士課程修了。高校時代に「人間の可能性はどこまで伸ばせるのか」との問いを抱き、学生時代より古今東西の能力アップ法を研究開始。現在は「楽しく、わかりやすく、ためになる」をモットーに全国で講演活動中。とくに参加型のトレーニングやワークを盛り込んだセミナーを得意とする。著書に『メンタルウェルネストレーニングのすすめ』(エコー出版)がある。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年04月05日「EQ」とは、知能指数と呼ばれる「IQ」に対して、「心の知能指数」と呼ばれる概念のこと。このEQの重要性を提唱し、『子どもの未来が輝く「EQ力」』(プレジデント社)を上梓したのが、EQWELチャイルドアカデミーの主席研究員・浦谷裕樹先生です。EQが高いと、なぜ「子どもの未来が輝く」のでしょうか。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/榎本壮三(インタビューカットのみ)「頭の力」をうまく使うにも「心の力」が必要そもそもわたしがなぜ、「EQ」に注目することになったのか――。今回はそんな話からはじめてみます。わたしは学生時代から能力開発に興味を持っていました。つまり、「人間はどこまで伸びるのか」ということを突き詰めてみたかったのです。日本の教育は、どちらかというと「どうやって底辺にいる子たちの力を伸ばして全体の底上げをするか」という発想に基づいたものです。そうではなくて、トップ層にいる人間の能力はどこまで伸びるのかということに興味があった。そんな経緯もあり、そういう研究を国内でも大きな規模でおこなっているEQWELチャイルドアカデミーに入社することになったわけです。そして、幼児や小学生、中高生の能力開発トレーニングに携わるうち、学力をはじめとしたさまざまな能力向上のベースにあるものこそEQだということに気づきました。学力を向上させる「頭の力」には思考力や記憶力などがありますが、それらをうまく使うにも「心の力」であるEQこそが必要なのです。EQの高低によって人生はまったくの別物になるEQには、自己肯定感、忍耐力、協調性、やり抜く力、自制心、共感力、リーダーシップ、誠実さ、創造性、コミュニケーション能力……など、さまざまな要素があります。これらの力に優れているかどうかで子どもの人生はまったく別のものになるということは、容易に想像できるものでしょう。EQが低ければ、まず自分の感情をうまくコントロールすることができません。そうすると、学校でも家でも問題を起こすことになる。友だちとはしょっちゅう喧嘩をするし、親のいうこともまともに聞かない。あらゆることに対するやる気も持てなくて、やるべきこともやれない。自己肯定感が低ければ、なにをやろうにも「自分はどうせ駄目だから」とマイナス思考に陥って、せっかく持っている才能を活用することもできないでしょう。一方、EQが高い子どもはどうなるか。人間関係が穏やかで、やるべきことをしっかりやれるので、まずは学校生活にすんなり順応できます。そうなると、当然、学力も向上していくことになる。興味を示して「やりたい」と思った趣味やスポーツも、すいすい身につけられる。結果的に、「優秀な子」といわれる子どもに育ちやすいということになります。そういう子どもが大人になったとき、社会に出たときのいちばんのメリットは、なにかをしようと思ったときにそれらをスムーズに実現できるということです。しかも、EQのさまざまな力を生かして、自分とまわりの人間の能力を最大限に引き出し、いいかたちで早く実現することもできる。自分の思いをかたちにできる、「自己実現」できる人間になれるのです。「自己実現」がこれからの時代のキーワードこれからの時代は、高いEQによる「自己実現」が重要なキーワードになると感じています。というのも、あらゆる状況がそう指し示しているからです。まずひとつが、「人生100年時代」に入ってきたということ。平均寿命が延び、60年も70年も仕事を続けなければならない人が増えていく。その間、技術革新はどんどん進み、つねに新しいことを学び続ける必要があります。そこで心が豊かでなければ、働き続けるモチベーションを保てないということになってしまうでしょう。もうひとつが「グローバル化社会」です。日本でも外国人労働者が急激に増えているように、これからは多種多様な人たち、異文化を持つ人たちと一緒に仕事をしていかなければなりません。さまざまな人たちとうまく協働していくには、コミュニケーション能力をはじめとしたEQの高さが求められます。加えて、とくに日本では「少子高齢化」が急激に進みます。人口が減り一人ひとりの重要性が増していくなかで並行して進むのは、「AI時代」。ちょっと考えればできるような仕事、マニュアル化できる仕事はAIが担うことになります。わたしたち人間がやるべきことは、それこそAIにはできないことしかありません。EQを生かして粘り強く考え、創意工夫し、問題解決をして、本当に自分がやりたいことを実現していくことなのです。そうできれば、新しいことを学び続け、働き続けるモチベーションも保てますし、そうするために、多種多様な人ともうまく協働しようとするでしょう。幸せとは、社会とかかわらなければ得られないそして、「自己実現」は人間としての幸せにもつながるものです。いま、「ウェルビーイング」と呼ばれる「幸福感」の研究が進んでいます。その研究によると、人が幸せを感じるためには3つの要素が大切だとされています。まずは、「体の健康」。病気がちであるより、体が元気であるほうが幸せというのは当然のことですね。ふたつ目は「心の健康」。毎日、うつうつと過ごすより、機嫌良くいきいきとしているほうがいい。これもあたりまえのことです。3つ目が大きなポイントで、これは「社会的な健康」といわれます。人間はただ心身が健康であっても、本当の意味での幸せは得られません。一人ひとり異なる自分の能力を生かして世のなかとかかわる、もしくは社会貢献をする。それができてはじめて本当に幸せだと感じることができるのです。「自己実現」とは、ただ身勝手に自分がやりたいことをやるというものではありません。幸せを得るためには、自分の能力を見定め、それを最大限に生かし、どうすればまわりの人たちによろこんでもらえるのかと考えなければならない。本当の意味での「自己実現」とは、自分が幸せになると同時に、周囲も幸せにするものなのです。『子どもの未来が輝く「EQ力」』浦谷裕樹 著/プレジデント社(2018)■ EQWELチャイルドアカデミー・浦谷裕樹先生 インタビュー一覧第1回:幼児教育ブームのなかで今注目の「EQ、非認知能力」って何のこと?第2回:「頭の力」には「心の力」こそ必要。EQが高いと優秀な子に育つ納得の理由第3回:父親流の「厳しい愛情」が子どものEQを伸ばす。人間性と学力を高める親のかかわり方(※近日公開)第4回:お説教は「○分以内」で。子どものEQを高める“叱り方の正解”とは(※近日公開)【プロフィール】浦谷裕樹(うらたに・ひろき)1972年7月31日生まれ、東京都出身。EQWELチャイルドアカデミー・新未来教育科学研究所主席研究員。工学博士、理学博士。京都大学理学部卒業、京都大学大学院理学研究科修士課程修了。高校時代に「人間の可能性はどこまで伸ばせるのか」との問いを抱き、学生時代より古今東西の能力アップ法を研究開始。現在は「楽しく、わかりやすく、ためになる」をモットーに全国で講演活動中。とくに参加型のトレーニングやワークを盛り込んだセミナーを得意とする。著書に『メンタルウェルネストレーニングのすすめ』(エコー出版)がある。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年04月04日いわゆる知能指数と呼ばれる「IQ」という言葉は誰でも知っていますが、それに対して、「EQ」というものがあります。これは「Emotional Intelligence Quotient」の略で、日本語では「心の知能指数」と訳される概念のこと。このEQの重要性を提唱し、『子どもの未来が輝く「EQ力」』(プレジデント社)を上梓したEQWELチャイルドアカデミーの主席研究員・浦谷裕樹先生に、あらためてEQとはどんなものかを教えてもらいました。構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/榎本壮三(インタビューカットのみ)幼児教育の有無でその後の人生に現れた大きなちがいかつては社会で活躍して幸せであるためには、IQが大切だとされていました。でも、どんなにIQが高くて高学歴を手にしていても社会で活躍していない人、ハッピーではない人も少なくなかった。本当に重要なものはIQではないのではないか?――。そんな疑問を持つ人たちが現れたわけです。2000年にノーベル経済学賞を受賞した、シカゴ大学のジェームズ・ヘックマンという経済学博士もその疑問を持ったひとり。博士は、米国ミシガン州の貧困地域で、2年間の幼児教育を受ける60名のグループと、そうではない60名のグループを追跡調査しました。その幼児教育とは、幼稚園に通いながら、先生が週に1回の家庭訪問をするというもの。家庭訪問では、子どもへの接し方などについて親御さんに事こまかくアドバイスをしました。すると、幼児教育を受けたグループは、そうではないグループに比べて、将来的に学力、学歴、年収、持ち家率が高くて、生活保護受給率、犯罪率が低いという結果が出た。ほんの2年間の幼児教育によってその後の人生に大きな差が現れたことで、幼児教育の重要性に注目が集まることとなったのです。幼児教育によってもたらされたちがいこそ「EQ」そこで、みなさんも関心が高まると思います。幼児教育によって、子どもたちにどんな変化が起きたのか、と。ジェームズ・ヘックマン博士の研究では、幼児教育によってたしかにIQも上がったこともわかりました。ただ、それは一時的なものに過ぎなかった。幼児教育が終わったそのあと、両グループとも同じ教育を受けはじめると、8歳の時点ではIQにはほとんど差がなくなったのです。そして、両グループに大きなちがいが出たものこそ、EQだったのです。EQとは、一般的になりつつある言葉だと「非認知能力」と呼ばれるものにあたります。知能テストで測定できるIQに対して、これといった測定法がない「心の力」です。具体的には、自己肯定感、忍耐力、協調性、やり抜く力、自制心、共感力、リーダーシップ、誠実さ、創造性、コミュニケーション能力など、さまざまな要素があります。ひっくるめていえば、「人間力」といっていいでしょう。そして、これらの力が高いほど学力が高くなることもわかりました。ある研究によって、IQが高いからといってEQが高くなるとは限らないが、EQが高ければIQはさらに高くなるということがわかったのです。ただ、そんなことは研究するまでもなく想像できますよね。自己肯定感が高くて、忍耐力ややり抜く力、自制心があれば、勉強だってできるようになる。学力をはじめ、人間としてのさまざまな力を伸ばしていく「土台」にあたるのがEQなのです。「EQ」への注目度が高まっている背景いま、このEQ、非認知能力が日本でも大きな注目を集めるようになってきました。書店の教育関連書籍のコーナーに行くと、「非認知能力」という言葉はいくらでも見つけることができます。それには、幼児教育ブームも大きな要因となっているでしょう。いまや、幼児教育は「する・しない」ではなく、「するのがあたりまえ」「どんな幼児教育をするか」というところに移ってきています。そこで、EQ、非認知能力を伸ばす教育というものが注目されているわけです。また、2020年からはじまる教育改革もEQが注目を集めることとなった要因のひとつでしょう。新たな学習指導要領では、学力の3要素として、幼児の場合は「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」、そして「学びに向かう力・人間性」を掲げています。3つ目の要素である「学びに向かう力・人間性」は、新たな大学入学共通テストの出題指針としては「主体性・多様性・協働性」という表現になっています。これら3つ目の要素は、結局のところ、EQといっていいものでしょう。さらにEQの注目度が高まっている背景としては、時代の潮流というものも大きいように感じます。かつての大学入試は「富士山型」といえました。日本なら東大、世界ならオックスフォード大やハーバード大というひとつの「頂点」に向かうことが最良とされてきたのです。でも、現在は、「頂点」がいくつもある「八ヶ岳型」に変わりつつあるといえるでしょう。大学側は「うちの大学ではこういうことを教えるから、こういう学生がほしい」とそれぞれ異なる特徴を打ち出す。受験生も「こういうことを学びたいからこの大学に行きたい」と考える。価値観が多様化し、大学側、受験生側の双方が「マッチング」を重視するようになってきたのです。そこで、「自分はなにをしたいのか」「どんな能力を伸ばしていくべきなのか」といったことがわからなければ自分に合った大学を見つけることができず、その先の人生を充実させることも難しくなるでしょう。そして、そういった自分を見つめる力、自分を客観視する力もEQに含まれるものなのです。『子どもの未来が輝く「EQ力」』浦谷裕樹 著/プレジデント社(2018)■ EQWELチャイルドアカデミー・浦谷裕樹先生 インタビュー一覧第1回:幼児教育ブームのなかで今注目の「EQ、非認知能力」って何のこと?第2回:「頭の力」には「心の力」こそ必要。EQが高いと優秀な子に育つ納得の理由(※近日公開)第3回:父親流の「厳しい愛情」が子どものEQを伸ばす。人間性と学力を高める親のかかわり方(※近日公開)第4回:お説教は「○分以内」で。子どものEQを高める“叱り方の正解”とは(※近日公開)【プロフィール】浦谷裕樹(うらたに・ひろき)1972年7月31日生まれ、東京都出身。EQWELチャイルドアカデミー・新未来教育科学研究所主席研究員。工学博士、理学博士。京都大学理学部卒業、京都大学大学院理学研究科修士課程修了。高校時代に「人間の可能性はどこまで伸ばせるのか」との問いを抱き、学生時代より古今東西の能力アップ法を研究開始。現在は「楽しく、わかりやすく、ためになる」をモットーに全国で講演活動中。とくに参加型のトレーニングやワークを盛り込んだセミナーを得意とする。著書に『メンタルウェルネストレーニングのすすめ』(エコー出版)がある。【ライタープロフィール】清家茂樹(せいけ・しげき)1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。
2019年04月03日編集部:学研キッズネット編集部お手紙体験を通して、世代を超えた交流が実現2019年3月7日(木)、神奈川県藤沢市にある「ココファン藤沢SST」で、高齢者と保育園児たちがお手紙体験をしながら交流する、世代間を越えた新しい取り組み、学研ココファン×郵便局「はじめてのおてがみ」が開催されました。ココファン藤沢SSTは、保育園が併設されたサービス付き高齢者向け住宅。毎月、高齢者と園児が歌を披露しあうなど、「多世代交流」を行っています。さらに、保育園では郵便局の“お手紙ごっこ遊び”支援キットを使用して、日常的にお手紙ごっこ遊びをしているそう。今回は、高齢者と園児がお手紙交換を行うという、ほっこりするワークショップにおじゃましてきました。ココファン藤沢SSTでは、高齢者と保育園児の交流が盛んに行われているお手玉やあやとりで仲良くなってから、お手紙体験朝、1Fの交流ホールには、約10名の高齢者の方々と20名の園児たちが集合。それぞれがソファや椅子に座り、グループに分かれました。そして、高齢者の方々がお手玉やあやとりを園児たちに教え、レクリエーションが開始。手を取り合い遊んでいると世代の壁も一瞬でなくなり、ひとつにまとまったアットホームな空間が生まれました。園児たちが遊びを覚え、「お婆ちゃんすごい!」「もっと見せて」と歓声が。一方、高齢者の方々も「覚えるのが早いねぇ」「上手じょうず」と、目を細めながら見守る優しい眼差しが印象的です。分からないことは素直に聞き、優しく教えてもらい、うまくできたら褒められる。当たり前だけれど難しくなった、核家族化が進んでいる現在のコミュニケーション問題が、この空間では解消されていました。手を取り合いながら、あやとりを体験ふたつのお手玉を使って、仲良くコミュニケーションそして、15分ほどしてお互い打ち解け合うと、いよいよお手紙体験へ。この時間では、手紙の書き方を学びます。園児たちは、マーカーや色鉛筆などを使って、お手玉やあやとりを教えてくれたお婆ちゃんの似顔絵を。高齢者の方々は、平仮名で書いたメッセージに似顔絵を添えたりして、それぞれが、手紙に想いをしたためました。「上手に描けたね」と一所懸命に書いた手紙は、最後に切手を貼って、2つのポストに投函。「ありがとうございました!」と挨拶をして、ここで高齢者の方々はそれぞれの部屋に戻りました。はじめてのお手紙、上手に書けました!ひ孫さんへの手紙のように、1枚1枚、心を込めて書かれていました手紙を出すときは、切手も忘れずに「どれだけ入っているかな?」手紙をポストに投函人形劇で郵便局の仕事や郵便の仕組みをお勉強高齢者の方々とお別れした後、園児たちはソファに移動し、先生の「どうやって手紙が届くか知っている人?」という質問に元気よく手を挙げ、「ポストに入れる!」「電車!」などハキハキ大きな声で返答。その後、郵便局の仕事を紹介する人形劇を観覧しました。質問に対し、「ハーイ!」と元気よく手を挙げる園児たち人形劇の物語は、主人公の女の子まーちゃんが、お正月に祖父母の家へ行き、公園に連れて行ってもらったお礼の手紙を出すところから始まる。そして「集荷」「消印」「仕分け」「配達」を経て、一週間後に祖父母から返事が届くという手紙の旅を追うストーリー。郵便局の仕事と、手紙が届く郵便の仕組みを学びました。登場する郵便局の乗り物や、仕事、仕組みを真剣に見る園児たち。赤い郵便車やオートバイに、「あー知ってる!」と目をキラキラ輝かせ、仕事の場面では「ハンコ押したい!」など、郵便局の仕事に興味津々。みんな楽しそうに郵便について学んでいました。手作りの人形劇。郵便の仕組みをしっかりお勉強いよいよ手紙を回収して配達へ!そして、いよいよ実演。先ほど学んだことを思い出しながら、高齢者の方々に手紙を届けます。園児たちは、「しゅうか」「けしいん」「しわけ」「はいたつ」と、4つのグループ分けしたバッジを胸に付け、先ほどポストに投函した手紙を高齢者の方々へと届けます。まずは、しゅうか係が2つのポストから手紙を回収。郵便マークがデザインされた青い郵便バッグに手紙を入れて、郵便局となるセミナールームへ。しゅうか係がポストを開けると、たくさんの手紙が出てきました回収した手紙は、郵便バッグにしっかりと入れよう集荷された手紙は、「郵便でーす」と、けしいん係にバトンタッチ。日本郵便のキャラクター「ぽすくま」のイラストがあしらわれたかわいい消印スタンプを手に、1枚1枚ていねいにポンポンと消印を押しました。切手の上に消印スタンプを押すのが、けしいん係のお仕事「ぽすくま」がデザインされた、かわいい消印次に「お願いします!」と任されたのは、しわけ係。手紙に書かれた部屋番号やクラス名ごとに、それぞれ決められた場所に分けてまとめます。表や裏をひっくり返しながら、手紙に書かれた宛先をしっかり確認。お互いの手をクロスさせながら決められた場所に仕分け、間違えたらダメと、真剣な眼差しが印象的でした。「これはアッチ」と、お互いの手をクロスさせる、しわけ係手紙に書かれた部屋番号ごとに、しっかりと仕分け最後は、まだかまだかとウズウズ待っていた、はいたつ係の出番。部屋ごとに分けられた手紙を、郵便バッグに収納。インターホンで「はじめてのおてがみ」に参加したお婆ちゃんの部屋番号を押し、「お手紙でーす!」と元気よく伝えました。エレベーターで降りて出てきたお婆ちゃんに、大切な手紙を手渡し。「よくできたね。ありがとう!」と、お礼の言葉をもらってミッションが終了しました。部屋番号を押してお婆ちゃんを呼ぶ、はいたつ係無事にお婆ちゃんへ手紙を届けられました。読んでね!大役を任された園児たちは、達成感に満ち溢れ「またやりたい」と楽しみながら、郵便の仕組みも学べたようです。ワークショップを終え、参加された高齢者の方々は、「ひ孫のようなかわいい子たちと触れ合うことで、子どものころに戻ったような気分になりました。普段は、お手玉やあやとりはやらないけれど、不思議と昔を思い出して手が動きました。カラダが覚えているんですね」と、園児たちとの交流を楽しんだご様子。一方、園児たちも「お手紙をもらえて嬉しかったし、楽しかった~。またやりたい!」と目をキラキラ輝かせていました。そして、イベント終了後にスタッフの元を訪れ、「また遊びたいからはがきをください」とお願いに。はがきだけでなく、切手や郵便バッグ、消印スタンプなどをプレゼントされ喜んでいました。高齢者の方もたくさんのかわいい手紙にニコニコ新しいコミュニティーは、各世代にメリットがある温かい場所高齢者と保育園児が、一緒にお手紙体験や郵便局の仕事を学びながら、触れ合いコミュニケーションを深めていく。学研ココファン×郵便局による、新しいコミュニティーは心温まる場所でした。最後は、お婆ちゃんから届いた手紙を読んで、手紙の温かさを学んだ1日となりました2時間弱と短い時間でしたが、このワークショップを通して、園児たちは、手紙のやり取りの楽しさや郵便の仕組みを知ることができた、かけがえのない体験となったでしょう。さらに興味が深まるだけでなく、お年寄りをいたわる気持ちやマナーや挨拶が学べたはず。そして高齢者の方々は、笑顔が増え脳の活性化にもつながり、届いた手紙で元気が出たと思います。また、園児の保護者の方々も自分たちより上の世代から、普段忘れてしまいがちな“しつけ”をしてもらえるという、三者三様のメリットがある取り組みだと感じました。学研キッズネット編集部(がっけんきっずねっと)『学研キッズネット』は、1996年にオープンした小・中学生のためのWebメディアです。学研の子ども向け書籍や雑誌の編集ノウハウを活かし、子どもたちが安全に楽しめるサイトとして運営しています。子どもたちのしあわせのために、家族のしあわせのために、有益な情報やサービスをお届けできるよう、いつも精一杯がんばっています。すくすく伸びる子どもたちのために
2019年03月27日バスのなかで座りながら恐怖体験ができる、世界初の移動可能な大型バス車両お化け屋敷「オバケバス by ZAUNTED」が、2019年3月より中部地方に初上陸します。フォトスポットやアトラクションの概要などをご紹介。初めての恐怖体験にでかけませんか。「オバケバス by ZAUNTED」中部地方に初上陸!お化け屋敷のスペシャリスト「マイケルティー・ヤマグチ」氏がプロデュースしていることで話題の「オバケバス by ZAUNTED」が、ついに中部地方に登場。ハリウッド映画から飛び出してきたような、圧倒的なインパクトの“バス車両お化け屋敷”です。外観での記念撮影はもちろん、バス内部へ乗り込んで恐怖体験ができる「ホラーアトラクションモード」が備わっています。プロデュースはマイケルティー・ヤマグチ氏世界を震撼させるお化け屋敷のスペシャリスト「マイケルティー・ヤマグチ」氏。独学で習得したというリアリティーな特殊メイクやCGデザインを得意としており、これまでにトラウマレベルのお化け屋敷を数多く手がけてきました。2019年3月21日(木・祝)限定で、「マイケルティー・ヤマグチ」氏が来場してファンサービスを行うプレミアイベントが開催されますよ。脳や心理を刺激する「恐怖医学研究用特殊車両」恐怖を科学するホラー機関「ZAUNTED(ゾウンテッドコーポレーション)」が、実在する「いわくつき廃バス」を入手。恐怖心からくる生存本能・動物的本能・心理療法・脳への快感などを考えつくされた“恐怖医学研究用特殊車両”が完成しました。かつて「大量感染死事件」があったという女子高の、いわくつき廃スクールバスの座席に座り、シートベルトでしっかり拘束。座ったままでさまざまな恐怖現象を体験できます。心の準備を整えてから乗り込んでくださいね。バス内部で恐怖体験「ホラーアトラクションモード」「最恐シート」では、恐ろしいなにかが起こる「ホラーアトラクションモード」を体験できます。音や雰囲気だけを楽しみたいビビリな方は、起こっている現象が見えずに何者かに襲われることもないセーフティーゾーン「ビビリシート」がおすすめです。時間11:00~19:00(最終受付:18:45)最恐シート定員:毎回5組 10名さま限定料金:1名さま 1,500円/2名さまペアシート割引 2,000円(おひとり 1,000円)ビビリシート定員:毎回3組 6名さま限定(怖がりの人専用)料金:1名さま 500円心霊写真が撮れる!? バス自体がフォトスポットバス左手側は、実際のスクールバスの雰囲気を残した“ジャパニーズホラースタイル”ですが、反対側は対ゾンビ、バイオハザードスタイルに装飾。映画のヒーロー、ヒロイン、ゾンビになった気分で記念撮影ができるフォトスポットとして大人気なんです。渾身のホラーショットを撮影してみてはいかがですか。「オバケバス by ZAUNTED」開催概要開催場所・出没地スケジュール・富士川SA 上り線 2019年3月21日(木・祝)~3月25日(月)・浜名湖SA(集約)2019年3月27日(水)~4月1日(月)・富士川SA 上り線 2019年4月3日(水)~4月7日(日)詳細営業情報や最新情報は随時「オバケバス公式Twitter」でご確認ください。※ホラー表現が苦手な方は、体験をお控えください。イベント情報イベント名:オバケバス by ZAUNTED催行期間:2019年03月21日 〜 2019年04月07日住所:・富士川SA 上り線・浜名湖SA(集約)・富士川SA 上り線電話番号:0538-44-0903
2019年03月19日「小学校入学を期に、もっと辞書に親しんでもらいたい」「早い段階から辞書を引くことに慣れさせたい」「わからない言葉を自分で調べる癖をつけさせたい」大人が子どもに辞書を与えるとき、きっとさまざまな想いを込めているはずです。授業で使用するようになるのは小学校3年生からですが、辞書に慣れさせるのに早すぎることはありません。今回は、子どもが辞書と仲良くなるためのコツをお教えします。辞書を引くことはいいことだらけ!今の時代、わからないことはインターネットですぐに調べることができます。親御さん自身も、わざわざ辞書を引くよりも、手元のスマートフォンですばやく調べたほうが効率的だと感じてはいませんか?しかし、紙の辞書を「わざわざ」引くという行為は、私たちが思っている以上に良い影響があります。これからはじめての辞書を選ぶ人も、すでに辞書を買ったけどまったく活用できていないという人も、子どもが辞書を引く習慣をつけるメリットについて改めて考えてみましょう。■問題解決能力が身につく!辞書引き学習の生みの親・深谷圭助氏は、「疑問に思ったらすぐに調べる癖がつくと、自ら問題を解決する力の獲得につながります」と述べています。疑問に感じた言葉に出会ったとき、気になってすぐに調べる子は自分の好奇心や興味の対象に対して敏感です。その感性を最大限に引き出すためにも、疑問をすぐに解消し、さらに新しい疑問を生み出して解決する、というサイクルが効果的。1冊の辞書があれば、子どもの疑問のほとんどは解決できます。■一覧性によってプラスの知識が手に入る!学研プラス辞典編集室の今井優子編集長は、国語辞典特有の「一覧性」に着目しています。言葉を探していく過程で、ちょっと前だったりうしろだったりして、1ページずつめくることがあると思うんですけど、途中でイラストがあって興味をひかれたら、そこで止まってもいいわけです。そうやって関係ない語にも目を止めて、言葉がこんなにあるということを感じるだけでも意味があると思いますよ。(引用元:学研キッズネット|実践!国語辞典を楽しく使いこなそう 学研 子ども向け国語辞典編集室インタビュー第1回(全4回))目的の言葉を調べるだけならインターネットでも充分です。しかし国語辞典で調べると、同音異義語や反対語などもおまけとして知ることができます。つまり、言葉そのものの意味プラスアルファの知識が得られるというわけです。■辞書の正確性が子どもの判断力を育てる!インターネットは便利である反面、検索して一番上に出てきたものが一番正しいとは限りません。一方国語辞典には、インターネットとは比べものにならない“正確性”がベースにあります。なぜなら、本になって出版されているものは何度も精査された情報であり、誰もが信用できるに値するからです。大人はそれまでの経験で「この情報は正確かどうか」と判断できます。しかし、子どもはまだ判断力が未熟であり、間違った情報を信用してしまいがちです。「判断する力」をつけるためのツールとしても、国語辞典の活用は理にかなっているのです。子どもがもっと辞書を好きになる!では次に、日常の中でどのようにして辞書を取り入れればいいのか、子どもが辞書を好きになるにはどうしたらいいのか、具体的なコツをお教えします。■はじめての辞書の選び方これから辞書を購入する予定であれば、次のことを覚えておくと辞書選びに迷いません。まずは一緒に書店へ行き、実際に見本を触り、ページをめくってみましょう。最も重視するのは、子どもがひとりで使いこなせること。低学年のうちは、すべての漢字にふりがなが振ってある「総ルビ」のものがおすすめです。例文にもルビが振ってあると、よりスムーズに理解が深まります。また最近の子ども向けの辞書では、漢字の書き順も掲載されているのが一般的。言葉の意味と書き順を一度で学ぶことができて一石二鳥です。複数の辞書が気になった場合は同じ言葉を引き比べてみましょう。出版社によって表現に違いがあるので、どの説明がわかりやすいか、文字が見やすいか、じっくり見比べます。■辞書を置く“場所”が重要!子どもの「知りたい!」「気になる!」にすぐに応えられてこそ、辞書は本領を発揮できます。もし机の中にしまいこまれていたら、汚れないようにケースに入っていたら……最初のアクションが「面倒なもの」になってしまいますよね。できればリビングに、そしてケースから出して置いておきましょう。テレビを見ているとき、家族で会話をしているとき、ふと頭に浮かんだ「?」を瞬時に解消することで、子どもは辞書の利便性に気づきます。■遊びの中にも辞書を取り入れる辞書に慣れさせるためにも、ぜひ辞書を片手にしりとりを。自分では思い浮かばなかった言葉との出会いがあり、新鮮な驚きとともにより強く記憶に残るでしょう。また、目を瞑ってパラパラと辞書をめくり、ピタッと止めたページに沿って適当に指をさします。言葉の意味の部分だけを読み上げて、その言葉はなんなのか当てっこする遊びも、楽しみながら学びにつながるのでおすすめです。■「調べて終わり」にはしない!前出の学研プラス今井氏は、調べた言葉をさらに発展させるために次のような提案をしています。たとえばスナック菓子の袋に「さくさく」って書いてあったらそれをいっしょに調べてみる。国語辞典だととなりに「ざくざく」がのっていますから、次は「ざくざく」と書かれているお菓子を買ってきて、「さくさく」とどうちがうのかを実際に食べ比べてみる、なんていうふうにどんどん広げていけるといいですね。(引用元:同上)体験したことを言葉で表現できれば、子どもの世界は無限に広がっていきます。ただなんとなく通り過ぎていく出来事に足を止めて、意味を調べて言語化できる能力をつけることは、確実に子どもの将来の可能性を広げていくことにつながります。親がすべきこと・できること最後に、子どもが辞書と仲良くなるために親としてできることをまとめました。お子さんがどのようにして辞書と関わっているのか、適度な距離感で見守ってあげるのがポイントです。■最初の一歩は「すでに知っていることを調べる」「せっかく買ったのに全然興味を示してくれない」という場合、子どもが好きなものについて調べてみましょう。好きな食べ物や動物を改めて辞書で調べてみると、あっと驚く新鮮な発見があるかもしれません。■「頼りにしてるよ」がやる気につながる親がわからない言葉に出会ったときも、ぜひ子どもに調べてもらいましょう。「これってどういう意味かな?教えてくれる?」と聞けば、子どもはがぜんやる気を出します。■親も辞書を引く姿を見せる子どもが辞書を引いているとき、ぜひ親御さんも大人用の辞書で同じ言葉を調べてみましょう。普段から親が辞書を引くことが当たり前の光景になっていれば、子どもも自然と手に取るようになります。■強制しない!「絶対に辞書を引かなければ」というプレッシャーに押しつぶされて、辞書を手に取ることが億劫になってしまっては元も子もありません。すぐに「自分で辞書を引いて調べなさい」と言うのではなく、気分が乗らないようであればインターネットで調べてあげてもいいでしょう。***辞書は子どもにとって、わからないことを教えてくれる大事な友だちです。仲良く、末長く付き合っていくためにも、日常的にうまく活用するように心がけたいですね。(参考)Study Hacker こどもまなび☆ラボ|子どもの問題解決能力を高めてくれる。今こそ“辞書の力”を見直そう!3M|正しい「辞書引き」学習法とは?学研キッズネット|実践!国語辞典を楽しく使いこなそう 学研 子ども向け国語辞典編集室インタビュー第1回(全4回)maybest教育・学習参考書おすすめ情報サービス|小学生国語辞典のおすすめランキング10選【2019年最新版】
2019年03月07日お子さんに「月はいくつあるの?」と聞かれたことはないでしょうか。丸い月、半分の月、バナナのような月、夜空の月、朝や昼に見る月、オレンジの月、黄色い月、白い月——月が見せるさまざまな表情に気づき、子どもが「なぜ?どうして?」と思ったら、その興味を学びにつなげましょう。夜空を見上げて一緒に月や星を観察したり図鑑などの本や博物館で調べたり……子どもの「もっと知りたい」を家庭でサポートする方法について紹介します。子どもの4人に3人は月や星を見るのが好き夜空に浮かび上がる大きな満月、ピンと張りつめた冬の空に輝く星たちに興味をもつ子どもは多いようです。ベネッセ教育情報サイトが小学生の保護者を対象として2014年9月に実施したオンラインアンケートによると、「お子さまは月や星を見るのが好きですか?どのように?」と尋ねた結果、「とても好き(6.7%)」と「まあ好き(58.4%)」となりました。合わせて約75%、実に4人に3人の小学生が月や星を見るのが好きだということが判明したのです。「とても好き」「まあ好き」と答えた人に理由を聞くと、●理科の宿題で空を見てから好きになりました●保育園の時にプラネタリウムに行って好きになりました●山奥のキャンプに行った時、満天の星空を見て感動したようです●寝る前に部屋から空を眺めることが増えました●月の向きが変わったとか、満月がきれいだなどと話します(引用元:ベネッセ教育情報サイト|オンライン投票【小】【小学生】お子さまは月や星を見るのが好きですか?どのように?)などが挙がったほか、スーパームーンについてのニュースが興味をもつきっかけになったり、天体望遠鏡をほしがるようになったりするお子さんもいるようです。子どもたちにとって、夜空の月や星は位置や形が変わる不思議な存在であり、もっとよく知りたいと思う対象だといえるでしょう。月や星に興味をもったら、親は「ハマる」環境を整えるこの「もっとよく知りたいと夢中で取り組む経験」、つまり「ハマり体験」は、子どもの学習に対する姿勢を育みます。では、なぜハマり体験が学力と結びつくのでしょう。東北大学加齢医学研究所・瀧靖之教授は著書『東大脳の育て方』の中で、好奇心から物事を突き詰めることで、やる気物質ドーパミンが放出され、脳のいろいろな部分の体積が大きくなると言っています。また東大医学部卒の男性は小学生のころにハマった虫取り体験について、「わからないことを自分で調べる理科系の考えがしみついた」と話していました。もし子どもが、月の満ち欠けや動きに違いがあることに気づいて不思議に感じていたら「もっと知りたい」を引き出すために、こんなアプローチをしてみてはいかがでしょうか。〇今晩の月はこんな形で、一昨日の形と違うよね。明後日はどんな形になっていると思う?〇月は朝や昼にも見えることがあるんだよ。何でだろう?〇雨や曇りの日って、月はどこにいるんだろう?もしかすると、子どもは月の「見える形」や「見える時間」が変わっていくことを何となく気づいていて、「違う形になるんだよ」「僕も朝、月が見えるのは知っているよ」「月は空にあるけど見えないんだよ」などと答える子もいるでしょう。そこでもう一歩、「何でだと思う?」と聞くことで知的好奇心をくすぐると、「なぜ?どうして?」という学びにつながるきっかけを与えられます。この分からないことや疑問に対して自分からすすんで取り組もうとする意欲は、学校の授業での調べ学習など「主体的な学び」の力を育みます。子どもの「なぜ?」をサポート「なぜ?どうして?」から始まる子どもの知的好奇心や探求心を満たす方法はさまざまです。冒頭のアンケート回答のように、プラネタリウムへ連れていった経験が宇宙への興味につながるケースもあります。お子さんが月や星に興味関心をもったら、次のような方法で学ぶ力をサポートしてはいかがでしょうか。■図鑑や本を見ながら親子で調べる小学館、講談社、学研などが子ども向けにシリーズで出版している図鑑には、目を見張る精緻なイラストはもちろん、迫力あるCGの映像が見られるDVDや3D体験できるデジタルコンテンツが付録としてついているものも多くなりました。こうした図鑑や本を親子で見てコミュニケーションを取りながら調べることで、気づきや発見を共有して楽しみながら学ぶことができます。■プラネタリウムを楽しむ日本プラネタリウム協議会(JPA)によると、全国には153館のプラネタリウムがあるそうです。常設のプラネタリウム以外にも国内各地でイベントや天体観測も企画されているので、検索して子どもが興味を示したものに出かけてみましょう。また、市販の家庭向けのプラネタリウムを購入してホームプラタリウムを楽しみながら天体について学ぶこともできます。■科学館や博物館へ連れていく常設のプラネタリウム施設がある科学館や博物館であれば、月の満ち欠けや自転公転、天体模型などでより詳しく学ぶこともできます。自治体が運営する施設は、在住もしくは通学している子どもの料金は無料または割引になるなど優遇されていることも多いので活用したいものです。■家の庭やベランダから天体観測図鑑やプラネタリウムなどで調べたら、実際に庭やベランダに出て親子で天体観測してみましょう。近年は、スーパームーンや流星群など天体に関する報道を詳しい解説とともにテレビや新聞で目にすることも多くなりました。このようなタイミングを上手に使うと、子どもは実際に見た月や星について園や学校でお友だちや先生へ話したくなり、これが自分の意見を自分の言葉で相手に伝えるトレーニングにもなります。■大自然の中でキャンプ周囲が真っ暗な大自然の中で、宇宙のスケールを感じて数えきれないほどの星が降り注いでくるような体験をするなら家族キャンプがおすすめです。都会では見られないわずかな輝きの星も見られ、これは星に限らず「普段は見えていなくても、そこにはちゃんと存在している」という感覚を養うこともできます。月や星への興味は小学校4年生の理科につながるこうした経験は学校の授業を先取り学習することにもなります。現在、月や星の特徴や動きについては、小学校4年生の理科で取り扱っています。月や星を観察し,月の位置と星の明るさや色及び位置を調べ,月や星の特徴や動きについての考えをもつことができるようにする。ア月は日によって形が変わって見え,1日のうちでも時刻によって位置が変わること。イ空には,明るさや色の違う星があること。ウ星の集まりは,1日のうちでも時刻によって,並び方は変わらないが,位置が変わること。(引用元:文部科学省|小学校理科の観察,実験の手引き第4学年B(4)月と星)すでに先取りで身につけた月や星についての知識や経験は、学習単元の中で改めて体系立てて定着させることができます。逆に、学校で学習した内容について上記のような方法を取り入れて、子どもの理解をより深めることもできます。***また、月や星について知る上では、星座をモチーフにした戦隊シリーズのテレビ番組や少年向けの格闘マンガ、または星占いやギリシャ神話なども、「楽しみながら天体について知る」大切な教材のひとつです。「遊んでばかりいないで勉強しなさい!」と言う前に、遊びの中に学びがあるかもしれないという視点で子どもが夢中になっているものを見つめ直してみるのもいいかもしれません。(参考)Study Hackerこどもまなび☆ラボ|知的好奇心がぐんぐん伸びる!東大生の多くが経験している「ハマり体験」とはベネッセ教育情報サイト|一度見たら忘れられない小学生は月や星を見るのが好きベネッセ教育情報サイト|オンライン投票【小】【小学生】お子さまは月や星を見るのが好きですか?どのように?JPA(日本プラネタリウム協議会)|全国プラネタリウム一覧Walker+|プラネタリウム・天体観測イベント文部科学省|小学校理科の観察,実験の手引き第4学年B(4)月と星
2019年01月22日整体とチケットショップという意外な組み合わせ株式会社カラダスイッチ医学研究所は、2019年1月25日に、整体院とチケットショップを融合させた第1号店をオープンさせる。整体院で疲れをほぐしてリラックスできる上、チケットショップとしても活用できる一石二鳥の店舗。整体院に抵抗がある人でも、チケットショップの女性店員が近くにいることにより、安心して施術を受けることができる。身体と生活のサポートを同時に第1号店としてオープンするこの店舗では、1対1で施術を行うことが多い整体院に抵抗を感じる女性にもうれしい作りだ。通常の整体院のように2人きりになることはなく、併設されているチケットショップの店員の存在が心強い。整体に対して興味はあっても2人きりになることに不安を抱えている女性におすすめの店舗だ。さらに、チケットショップで金券を現金にすれば、整体の帰りに買い物をする際にも便利。ただ整体に通うだけではなく家事もこなす女性にとって便利な店舗でもある。整体院特有の閉塞感や不安を取り除き、なおかつ生活に根ざした空間を目指したこの店舗。これまで整体に興味があっても敬遠していた人は、この機会に試してみてはいかがだろうか?(画像はプレスリリースより)【参考】※株式会社カラダスイッチ医学研究所のプレスリリース
2019年01月13日今年で13年目となる大晦日恒例の「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!大晦日年越しスペシャル」が12月31日(月)今夜、“トレジャーハンター”をテーマに「絶対に笑ってはいけないトレジャーハンター24時!」と題して放送される。テーマである“トレジャーハンター”とは宝探しをメインにした探検家や冒険家のこと。今回はダウンタウンの2人に月亭方正、ココリコを加えたお馴染みの5人が新人トレジャーハンターとして「ヘイポー財団法人お豆考古学研究所」で様々な研修を行うことになる。研究所に向かうためのバスに乗車する5人だが、人気女優がスケバンに扮しメンバーの秘密を大暴露したり人気芸人がリベンジ参戦するなど毎年恒例の途中乗車ゲストにも注目。さらに研究所に到着後は超大物タレント扮する考古学研究所の所長がお出迎え、今年も数々のマル秘トラップが新人トレジャーハンターたちを苦しめることに。さらに今回これまでの“笑ってはいけない”だけでなく“驚いてはいけない”ブロックも登場。いままでにない面白さを視聴者にお届けする。平成最後となる2018年だが、ココリコの遠藤章造が「よう考えたら、平成の半分を大晦日やってたってのはすごいなと思います」とふり返るように、30年にわたる平成の歴史の約半分を駆け抜けてきた本番組。ダウンタウン・松本人志が「最初、何がトレジャーハンターやとか思ってたんですけど、こうやってみんなで一緒に、送れたことが何よりも宝物やったんかなと思ってますわ」と語った通り、「ガキ使」をともに作り上げてきた出演者たちの“友情”の総決算ともいえる毎年年末の恒例行事を、彼らとともにこの眼に焼き付けたい。ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!大晦日年越しスペシャル「絶対に笑ってはいけないトレジャーハンター24時!」は12月31日(月)18時30分~日本テレビ系で放送。(笠緒)
2018年12月31日編集部:学研キッズネット編集部学研キッズネットfor Parentsの立ち上げからもうすぐ3年。すくすく伸びる小・中学生の子どもたちのために、家族のしあわせのためにと願い、様々な専門家の方たちの考えを発信してきました。その考えをすべて見渡すと、いくつか大事なことがあるということがわかってきました。それを1本の樹を子どもに見立てて絵にしたのが冒頭のイラスト。これまでの記事を振り返る形でまとめます。社会がこの先どのように変化していくのか見えない時代ではありますが、子どもたちにはどんな環境にあっても自分のもってうまれた力を生き生きと発揮し、のびのびと生きていってほしいですよね。そのための大切な基盤となるのが「自己肯定感」であり「自尊感情」であると多くの専門家は言います。これはありのままの自分を受け入れ、大切にしたいと思う気持ちのこと。生きていくうえで、なぜ「自尊感情・自己肯定感」が必要なのでしょうか。親野智可等先生は言います。「自分はここに存在していいんだ。自分は大切にされている。自分は大切な存在なんだ。自分は自分でいいんだ。これが、生きていく上で一番大切な自己肯定感というものです。これがあって初めて、がんばる力もわいてきますし、人を思いやる気持ちもわいてきます。」■子どもの存在を無条件に肯定する「一緒にいられて幸せ」という言葉を贈ろう「子どもが伸びる親力」(親野 智可等先生)特集第1回の今回は、この「自尊感情・自己肯定感」を育むために必要な土壌について考えていきます。このページの目次日本人は「自尊感情・自己肯定感」が低い!「自尊感情・自己肯定感」を育てる土壌は家庭子どもを一人の人間としてリスペクトした声かけを感謝の気持ちは思いやりの心を育てる1. 日本人は「自尊感情・自己肯定感」が低い!「自尊感情」「自己肯定感」という言葉を最近、よく耳にするようになりました。これは先ほども説明したように、ありのままの自分を受け入れ、大切にしたいと思う気持ちのこと。人がのびのびと生きていくうえで欠かせない感情です。ところが残念なことに、日本人はこの感情が低いそう。「『自分はダメな人間だと思うことがある』などネガティブな問いに対して、『とてもそう思う』『まあそう思う』という回答は米国・中国・韓国を大きく上回っているという結果が出ています。」国立青少年教育振興機構が行なったこの調査結果やその理由について、中曽根陽子さんがくわしく教えてくれています。■第3回自尊感情を高めるための親のかかわり方「AI時代を生き抜くために 『失敗力』を育てる6つの栄養素」(中曽根陽子さん)↑目次に戻る2.「自尊感情・自己肯定感」を育てる土壌は家庭子どもの自尊感情は、我が子を無条件で大切に思う親の気持ちが子どもに伝わってこそ育まれるもの。そのため「親の言うことを聞いたとき」「よい成績を上げたとき」だけほめる「条件つきのほめ方」では不十分。子どもは「がんばらないとほめられないのかも」「よい子でないとほめられないのかも」と思ってしまい、安心することができません。大切なのは「あなたと一緒にいられて幸せ」「どんなあなたも大好きだよ」という気持ちを伝えることだと親野先生は言います。■子どもの存在を無条件に肯定する「一緒にいられて幸せ」という言葉を贈ろう「子どもが伸びる親力」(親野 智可等先生)子どもが「存在している」という、極めて当たり前と思えるようなことにも目を向け、感謝することが、子どもの「勇気づけ」になると言うのは松井美香先生。■困難を乗り越える力を育てるために、大切なこととは「くやまない、悩まない、自分を責めない――心がラクになるアドラー流子育て」(松井美香先生)「〇〇してえらいね」「〇〇ができるなんてすごいね」ではなく、「あなたがいてくれて本当にうれしいよ」という姿勢。子どもが安心して育っていくために大切な、この気持ちを子どもに伝えるにはどのように声をかけたらよいのでしょうか。↑目次に戻る3.子どもをひとりの人間としてリスペクトした声かけを子どものありのままの存在を受け入れるということは、子どもをひとりの人間として尊重し、大切にするということです。「親に大切にされているという実感がある子は自分で自分を大切に」できます。自分で自分を大切にできることこそ、「自尊感情・自己肯定感」が高い証といえるでしょう。■思春期・反抗期の子には、どう接すればいい?「子どもが伸びる親力」(親野 智可等先生)ところが親は子どもをひとりの人間としてリスペクトしているとは思えないような言動をとることがよくあります。たとえば「何やってんの!」「どこへやったの!」「いつまで起きてるの!」「なんでできないの!」「誰なの!テーブルを濡らしたのは!」などといった5w(what/where/when/why/who)を使った叱り文句。これは子どもが、親が思うように行動しないために生じるストレスを子どもにぶつけて困らせようとする親の気持ちの表れだと親野先生は言います。■親は「何、どこ、いつ、なんで、誰」の5Wで子どもを困らせる「子どもが伸びる親力」(親野 智可等先生)子どもが宿題をやっていないとうすうす感づいていながら発する「宿題やったの?」というような意地悪な質問形も、「子どもを困らせてやりたい」という親の裏の意図が隠れていることが多い、と親野先生。■「片づけしたの?」「宿題やったの?」「明日の仕度したの?」など。「質問形」の裏に隠れているもの「子どもが伸びる親力」(親野智可等先生)ついつい何度も言ってしまう「早くしなさい!」という言葉も親の都合によるもの。これが続くと子どもは、「自分は親から大切にされていない。愛されていない」という気持ちになり、親からの愛情不足感を感じて自己肯定感が低下したり、ひいては親の顔色をうかがう指示待ち人間になったりしかねません。■何気なく言っている「早くしなさい!」の口癖。弊害がたくさんあります「子どもが伸びる親力」(親野智可等先生)「がんばってね!」の声かけは、時と場合によっては子どもをひどく傷つけ、ゆがめてしまうことがあると教えてくれるのは宮本哲也先生。■「がんばってね!」は禁句です「賢い子ども」の育て方(宮本哲也先生)では、望ましくない声かけをしそうになったとき、わたしたちはどうすれば良いのでしょう。それは、難しいことではないと松井先生は言います。「どうしたいの?」「どうすればいいかな?」「どうやったらできると思う?」というように、問いかけるようにすれば子どもに考える力さえつくと言います。■自分のことは自分で解決する~考える力をやしなう声かけ~「くやまない、悩まない、自分を責めない――心がラクになるアドラー流子育て」(松井美香先生)子どもたちと良い関係を築くために、多くの保護者が日々奮闘しています。それでも子どもが自分の思う通りに行動しないと――忙しいときや、受験やテストなどの目標があるときはなおさら――声を荒げがちです。そんなときの感情コントロールにはコツがあります。「自分の心の動きに気づけば子どもにぶつけなくてすむ」と説くのは親野先生。「感情『で』伝えるのではなく、感情『を』伝えましょう」と説くのは松井先生です。■メタ認知力をつければ自分のストレスを子どもにぶつけなくなる「子どもが伸びる親力」より(親野智可等先生)■ 「叱る」「怒る」より効果的な子どもとのコミュニケーション「くやまない、悩まない、自分を責めない――心がラクになるアドラー流子育て」(松井美香先生)↑目次に戻る4.感謝の気持ちは思いやりの心を育てる親が子どもの存在をありのまま受けとめ感謝するという行為は、子どもの思いやりの心を育てます。思いやりを育む他者への関心や信頼感は、自尊感情や自己肯定感とともに大切なもの。子どもの心に他者への優しさが育つ土壌が耕されるかどうかも、わたしたち大人の意識にかかっているようです。「(他者に)感心をもつためには、まず所属する共同体(家庭、学校、地域など)の中で、自分が他者の役に立っていると感じる必要があります。なぜなら、自分が人の役に立てるという感覚が持てなければ、人は思いやりをもって行動しないものだからです。」と松井先生。そのためには、「お手伝いしようかな」と行動に移した子どもに対して、たとえそれが不慣れなものであったとしても「ありがとう!助かる」と感謝の言葉を口にすることが大切。アドラーによると、「人は、良いところも悪いところも、注目されたところが強化する」そうです。子どもの優しい気持ちをわたしたちが大事にすれば、子どもは自分の思いやりが「注目された」と感じることでしょう。■思いやりのある優しい子に育てるために「くやまない、悩まない、自分を責めない――心がラクになるアドラー流子育て」(松井美香先生)子どもへの観察力が大事、と教えてくれるのは親野先生です。今、声をかけられる状況かな、とまず考え、楽しい話をして雰囲気をつくってから親の伝えたいことをさりげなく伝えれば、不毛で不必要な言い合いを避けることができます。よい親子関係を築くことが、子どもの、他者を信頼する気持ちへとつながっていくのですね。■親がひと工夫するだけで、子どもの「わかってる。うるさい」の反抗がなくなる「子どもが伸びる親力」より(親野智可等先生)最後に親野先生の、「子どものころ大人に言われて救われた言葉」を紹介して、第1回を終わります。「子どもが救われる言葉は、大人の自分が言われてもうれしい言葉なんだな」と、みなさんも感じるのではないでしょうか。自分が言われて嫌な言葉は子どもにもかけない。言われたらホッとするような言葉で子どもとコミュニケーションをとる。明るい方向へ進む方法は意外とシンプルなのかもしれません。■子どものころ大人に言われて救われた言葉「子どもが伸びる親力」より(親野智可等先生)↑目次に戻る次回は「自尊感情・自己肯定感」を育むために実は大切な規則正しい生活リズムと、子どもの「やる気」についてひも解いていきます。次のページ規則正しい「睡眠」と「食事」、夢中になれる「遊び」が子どもを伸ばす原点へ学研キッズネット編集部(がっけんきっずねっと)『学研キッズネット』は、1996年にオープンした小・中学生のためのWebメディアです。学研の子ども向け書籍や雑誌の編集ノウハウを活かし、子どもたちが安全に楽しめるサイトとして運営しています。子どもたちのしあわせのために、家族のしあわせのために、有益な情報やサービスをお届けできるよう、いつも精一杯がんばっています。すくすく伸びる子どもたちのために
2018年12月19日今年7月、自民党の杉田水脈衆院議員が月刊誌に「LGBTは『生産性』がない」と寄稿し、直後に谷川とむ衆院議員が「(同性愛は)趣味みたいなもの」と発言したことを受け、朝の情報番組『スッキリ』(日本テレビ系)のコメンテーターとしても知られているロバート・キャンベルさん(61)は自身のブログで反論を展開。そのなかで、20年来の同性パートナーの存在を明かしている。「昨夏のことです。13歳まで育ったブロンクスに行き、半日、ブラブラ歩いたんです」約40年ぶりの故郷。キャンベルさんが知る人は1人も残っていなかったが、幼少期を過ごしたアパートは健在だった。「5フロア(5階建て)、ノーエレベーター。貧しい人の代名詞のようなアパートメントでした」ニューヨーク(以下、NY)市ブロンクス区。’57年9月、キャンベルさんが生まれた町だ。ブロンクスには移民が多い。彼の祖父母もアイルランドからの移民だった。「海を渡ってNYまでやって来て、最初にたどり着く、つまり“食らいつく”拠点がブロンクスです」“食らいつく”という表現に、移民の切実さがこめられている。アイルランド系だけでなく、ユダヤ系、アフリカ系など、さまざまな人種が“食らいついた”ブロンクスでは、各国の移民がそれぞれの文化や習慣を維持したまま、交じり合うことなく暮らしていた。「教会が、アイルランド系の人たちの生活の中心でした。私もカソリックの洗礼を受けていて、朝7時からミサの手伝いをしていました。それが終わると、隣にある学校で学びます。学校内は、ほぼ100%アイルランド人です。日曜は、私の周りのすべての人が教会に行き、大人の男たちは午後から、近くのバーへ行く。教会を中心に町があったのです。母はアイルランドの『ジグ』と呼ばれる踊りの名手でしたね」母は、アメリカ生まれ、法律書専門の出版社で社長秘書として働いていた。父は物心ついたときから、家にいなかった。「父の不在は、私にとって自然なことでした。ただ、カソリックでは離婚を認めないため、母は離婚ができず、新たな人生を切り開くことができずにいました。それでも母は絶対に涙を見せなかったし、小さいとき僕はいつも母の味方でした。母と僕は性格が似ていて、愉快と感じる部分が同じ。だから、いつも母が楽しくなることを望んでいました」7歳から、夏休みは2カ月間、ニューハンプシャー州のサマーキャンプで過ごしたが、そのたびにホームシックにかかっていた。「私が寂しいというより、自分がいないと、母が寂しいんじゃないかと思って、早く帰りたかった。母はとても社交的な人だったけれど、『もともとお母さんは寂しいんじゃないか』と思うこともありました」13歳のときだった。サマーキャンプから帰ってきた彼に、母は突然、こう言った。「ロビー、話があるの。会社の同僚のロニーと結婚しようと思うの」20分ほど、ソファでキャンベルさんの反応を確かめるように話すと、母はこう切り出した。「実は今、下のレストランで待たせているけど、会う?」初対面の継父は、ワイルドな人だった。「アイルランド系は、貧しくても身だしなみにはうるさいものですが、ユダヤ系ということもあって、彼は自由人。カーキ色のつなぎとカットソーというスタイル。ひげを生やしていて、ゲバラみたいで、すごく明るくて」彼は弁護士資格を持っていて、母が勤める出版社で、法律関係の書籍の編集者をしていた。「母は今までの生活では見せてこなかった顔をしていました。すでに、母と継父、2人しかわからないジョークとかがあって、2人の関係が深まっていることは、僕にもすぐにわかりました」母の再婚には驚いたものの、不安はなかった。子どもが感じがちな複雑な思いも、母を取られるという嫉妬も湧いてこなかった。「親離れの時期だったのかもしれません。でも、何よりも、母を支える人ができて、僕はとても安心できたんです」継父は、親父風を吹かすこともなく、キャンベルさんを尊重しつつ、いろいろ教えてくれるリベラルな人。すぐに「ロニー」「ロビー」と、呼び合う仲になっていた。「13歳で、僕は世の中を探索するほうに目が向いた。母の再婚をきっかけに、アイルランド系の閉塞した居住空間から、自由に、はじけていくことになったんです」母の再婚から1年半後に妹が生まれ、家族4人になった一家は、新しい職を求めてイギリスに渡り、その後、パリに移住。しかし、1年半ほどでアメリカに戻っている。15歳で、サンフランシスコに引っ越したころには、キャンベルさん自身にゲイである自覚はあった。「中学以降、好きになるのは同世代の男の子でしたから。サンフランシスコには、性的マイノリティが集うコミュニティがあったので、僕は孤立することもなく、葛藤や悩みもありませんでした。母は、そのころから僕の性的指向を把握し、理解してくれていたと思います。高校で仲よくしていた同級生が僕のボーイフレンドだと、敏感に察知していましたから」彼から電話がかかってくると、母は、キャンベルさんに代ろうともせずに、2人で楽しそうに長電話をしていたそうだ。「母は、僕が大切にしている人と僕の間に入りたがる人(笑)。継父は放任主義でしたが、理解のある温かい人でした」彼の性的指向をスルリと受け止め、尊重してくれた両親がいて、キャンベルさんは、その後も自分らしく人生を歩んでいく。進学した高校に、アジア系の生徒が多かったことから中国語を学び、カリフォルニア大学バークレー校時代には、建築や映画などの日本文化にも傾倒していった。日本美術史入門講座で、桃山時代の『洛中洛外図屏風』を見たときには、強い衝撃が走った。「車のライトに照らされて動けなくなった小動物のように、僕は固まってしまったんです」講師のアドバイスもあり、その感動をより深めるために、集中講座で、日本語を学んだ。大学3年のときには、1年間、東京に留学。谷崎潤一郎や三島由紀夫を日本語で読み、日本文学の面白さを知った。「日本に関わる仕事をずっとやっていきたいと思ったんです」帰国後は、ハーバード大学大学院で、江戸時代の日本文学史の構築に精力を傾けた。27歳で留学した九州大学では、江戸時代の小藩の学者や俳人、画家の板本など、未紹介の原資料を調査し、整理する仕事に携わった。「これが運の尽きというか(笑)。僕の人生を決めてしまった」原資料と格闘しながら、新たな発見ができることが面白く、没頭するうちに、2年の予定だった日本滞在が10年になっていた。九州大学の専任講師から、教師としての仕事も得て、日本文学研究者の道を着々と上っていった――。現在、東大名誉教授で、国文学研究資料館館長を務めるキャンベルさんの、カミングアウトに対する世間の反響は大きかった。だか、親しい人にとっては、ずっと昔から周知の事実。キャンベルさん自身も、あえて公表する必要はないと考えていた。「私は、カミングアウトをしても、しなくてもよかったと今も思っています。ただ、反響が大きく、勇気をもらったという人も多かったので結果としてよかった。杉田議員は、自分の性的指向や性自認をどう表現していいか迷っている若い人や弱い立場の人、その親や親しい人をすごく苦しめることを書いていた。だから、私の経験やバックボーンからしても、それは間違った見解だと、反論しなければならなかったのです」
2018年12月14日スプーンで食べるチョップドサラダ株式会社紬科学研究所は、京都市・東木屋町にオーダーメイド形式で作るチョップドサラダ専門店『低温調理&chopped power salad「Tummy Days」』を12月7日にオープンした。『Tummy Days』では、「メッザルーナ」という専用のチョップナイフで具材をカットして作るサラダを提供する。彩りが美しく、スプーン1本で食べられることから、米・ニューヨークを中心に人気を集めている。好みの具材を組み合わせて『Tummy Days』では、京野菜を含む30種類以上の具材と4種類の自家製ドレッシングを用意しており、オーダーメイド形式で組み合わせてサラダを作ることができる。同店では、全商品に糖質量とカロリーの両方を表記しているので、低カロリーや低糖質の具材を組み合わせたサラダを作れるため、ダイエット中でも利用できる。セット商品として、他の野菜に比べてカロリーや糖質の低い食材を使用した「Healthy(ヘルシー)5種」、旨味が凝縮したローストポーク入りの「Basic(ベーシック)7種」、ボリューム満点の「Tummy(お腹いっぱい)9種」がある。初めて利用する場合や選ぶのが難しいという人におすすめである。(画像はプレスリリースより)【参考】※プレスリリース株式会社紬科学研究所
2018年12月09日編集部:学研キッズネット編集部ある土曜日、神奈川県相模原市の住宅街に子どもたちが集まる一角がありました。この日は、楽しいプログラムが盛りだくさんで、参加費が無料という、子どもたちに人気の「ノヴィーニェ こども食堂&こども寺子屋」が開かれる日なのです(付き添いの大人も無料)。食事だけでなく、遊びや学びが体験できる寺子屋もあるこの食堂は、近所の子どもたちを中心に回を重ねるごとに参加者が増えているそう。アフリカの方が主催する子ども食堂にはどんな特徴があるのか、どんな思いで開催しているのかを聞くため、参加してみました。アフリカの料理も味わえるバイキング形式のランチこの子ども食堂はアフリカ・ガーナ出身のトニーさんが理事長を務める「NPO法人アフリカンヘリテイジコミティー」が主催しています。土曜日昼と平日夜、月に1回ずつ、神奈川県内の2カ所で開かれていますが、昼は食堂だけでなく寺子屋が同時開催されるのが特徴。アフリカの文化に触れられるイベントも子どもたちの楽しみのひとつです。天気にも恵まれた夏らしい日の今回は「ミニなつまつり」がテーマ※。友だち同士や親子で季節を感じながら楽しめるプログラムがたくさん用意されています。※「ミニなつまつり」は8月25日(土)に開かれた昼プログラムです。たくさんのメニューに迷いながらも、子どもたちがそれぞれ好きなものを取っていきますスタート時間の11時45分にあいさつと今日のプログラムの説明がありますが、まずは食事タイム。会場入り口にある料理が並んだカウンターから、各自好きなものを取っていくバイキング形式です。「食べられる分だけよそってね(お代わりは自由)」などの注意書きがあったり、自分が使ったお皿を種類ごとに分けて片付けるコーナーもあります。バイキングを楽しみながら自然とマナーも学べる仕組みになっているのです。ごはんのあとのデザートは、綿あめが人気でした料理はデザートも含めて8~12品。毎回必ずアフリカの料理も並びます。子どもたちに人気のカレーは本格的ながら辛くない工夫がされていました。隣り合った参加者同士や、いっしょに来た家族などと楽しく話しながらの食事タイムが終わると「こども寺子屋」の始まりです。楽しく学び、味わい、異文化を体験する「子ども寺子屋」今日のプログラムは、トニーさんによる「えいごレッスン」、アフリカの楽器を身近なもので工作する「カリンバ作り」、希望者が実際に演奏を体験できる「アフリカの太鼓体験」、「おやつタイム」と盛りだくさんです。工作の時間はいつもとても盛り上がります。今日は、親指で音を鳴らすアフリカの楽器「カリンバ」を割りばしやヘアピンで作りました。最後に思い思いにシールなどで飾り付けをしたらできあがりです。これが、アフリカの楽器「カリンバ」ですヘアピン、ビーズ、割りばし、マスキングテープを使って、カリンバを制作中♪10歳の女の子はマスキングテープでカラフルにして、「かわいくできた」と満足そう。お母さんと参加した2歳8カ月の女の子は毎回工作が楽しみで、今回で6回目の参加だそうです。慣れた手つきで力作を仕上げていました。できあがりを見せ合ったり、演奏してみたりするうちに、知らない子ども同士も打ち解けていき、会場のにぎわいは最高潮に。トニーさんと子どもたちで、アフリカの太鼓セッション!その後は希望者が舞台に上がり、トニーさんによる本場仕込みの太鼓たたきを真似しながら即興で演奏したり、アフリカのバナナに良く似た野菜「プランテーン」と本物のヤシの実を絞ったジュースを試食するおやつタイムを楽しんだりと、五感を使って学べるプログラムが続きました。5歳と1歳のお子さん連れで参加しているお母さんは、「去年のハロウィーンパーティのときにはじめて参加しました。以降は2カ月に1回程度通っています。上の子は英会話のレッスン、下の子は楽器を演奏できるのを楽しみにしていますね。食事だけではないので、いろいろな子が集い、参加しやすい雰囲気がうれしいです。勉強がてら親子で楽しみにしています」と話してくれました。最後にトニーさんから「ここはみんなの居場所です。もっと仲間を増やしていきましょう!」とあいさつ。過ごした時間が楽しかったとわかる最高の笑顔で、みんなで手をふりながら解散になりました。困っている子どもの居場所をつくりたいなぜ、子ども食堂と寺子屋を始めようと思ったのか、そのきっかけと子ども食堂に対する思いを主催者のトニー・ジャスティスさんに聞きました。トニー・ジャスティス アフリカ・ガーナ出身。20年ほど前に、日本の文化に興味を持ち来日。2015年にNPO法人アフリカヘリテイジコミティを立ち上げ、理事となる。現在、相模原市中央区でレンタルスペース&レストランの「ノヴィーニェ・ホール」を、横浜市青葉台で飲食店「JAYʼs レストラン」を営みながら、青葉台と相模原の2カ所で、子ども食堂と寺子屋を開催している。また、アフリカ文化を紹介する講演会の講師などを積極的につとめている。――なぜ日本で子ども食堂と寺子屋を始めたのですかトニー:アフリカに帰ったときに、学校に通えない子やごはんが食べられない子どもをたくさん見かけました。そんな子を保護して助けたい。でも物をあげるのではなく、自立して生活できるように教育を授けたいと思ったんです。それで「学校を作ろうプロジェクト」を立ち上げました。しかし、そのプロジェクトを進めるなかで、日本でも十分に食事ができない、何を食べているのか親も知らない孤食の子どもが増えていると聞きました。そこでアフリカの子どもたちも大事だけど、今、目の前にいる日本の子どもたちも助けたい、子どもの居場所をつくりたいと思ったのがスタートです。一方で、日本の子どもたちにアフリカ文化をもっと広めたいという気持ちが、ずっとありました。まだまだ日本ではアフリカがどんな国なのか知られていません。たとえば「どんなものを食べているのか」「どんな暮らしをしているか」そんなことから知ってもらいたいと思ったので、寺子屋も始めました。「ノヴィーニェ」とは、わたしの出身である西アフリカのエヴェという部族の言葉で「兄弟・仲間」という意味です。地域のこどもたちが、家族のように集まって食べたり学んだりできる場所にしたいという思いをこめて食堂の名前にしました。――子ども食堂は毎回どんな内容で開催していますかトニー:昼、夕方各月1回ずつ、神奈川県内の2カ所で計4回行なっています。ランチは今回のようにバイキング形式で8~12品ほど。アフリカの料理も2~3種類あります。そのあと寺子屋で、英会話や工作、楽器演奏などを体験してもらいます。子どもだけで来る子、親子で参加といろいろですが毎回45~60人ほど来ています。夕方の部は子ども食堂のみです。予約なしで自由に参加できます。――どんな子どもが参加していますかトニー:いろいろな子どもたちが来ています。近所に住んでいる子もいれば、遠くから来てくれる親子、体が不自由な子、シングルマザーでがんばっているお母さんと子どもなど、本当にさまざまです。こちらでは参加者を選んでいないので、どんな子でも、誰でも来ていい、楽しい時間を過ごせる子どもの居場所なんです。毎日、忙しくしているお母さんたちが、子どもとゆっくりごはんが食べられる場所としても利用してもらえればと思っています。――いろいろな子が楽しく過ごせるように、どんな工夫をしていますかトニー:寺子屋の英会話レッスンでいうと、最初にたとえば車のイラストを見せたら日本語で言ってもらう。そこで「日本語上手だね!」とほめます。次に英語で言ってもらい、できたらまたほめる。という流れで行なっています。ここは日本語の方が得意な子ばかりじゃない。小さいときから国際感覚が身について、国境を超えたコミュニケーションができる子に育つといいなと思っています。それにまだ言葉(日本語)がうまく話せない年齢の子もスムーズに参加できますよね。英語のレッスンは、小さい子でも参加できるようにイラストを見せながらトニーさんがイラストを見せて「これわかる人!」と聞くと、子どもたちの手があがります――子ども食堂を始めるにあたり、苦労はありましたかトニー:最初は、わたしが外国人ということもあったのか、なかなか参加者が集まらなかったですね。チラシを置いてもらうお願いをしに行っても「アフリカの人には日本のことは関係ないのでは?」と、なかなか理解が得られないこともありました。そこでまずは新聞に広告をのせたりして、認知度を上げていきました。その後、相模原市の後援名義を取ったりして、今はだいぶ周囲の理解が深まってきたと感じています。大変でしたが、わたしをここまで育ててくれた日本に恩返しをしたいとがんばりましたね。――子ども食堂について、今後の展望を教えてくださいトニー:3年目になり、以前より参加者もだいぶ増えました。毎回ボランティアも3~4人に参加してもらっています。まだまだボランティアも資金も足りませんが、さまざまな境遇の子どもの居場所、がんばっているお母さんのストレスを解消して、楽しく過ごせる場所になれば良いなと、みんなでがんばっています。今後は、ボランティアや食材提供や寄付など、うまく地域のみなさまと協力して、将来的にもこの活動を続けていけるような仕組みづくりに取り組んでいくつもりです。ここはみんなの居場所です。来ないのはもったいない。県内だけでなく日本中から、いろいろな子どもに参加してもらいたいですね(笑)。 ――アフリカでの活動がきっかけで日本の子どもたちの現状にも心を痛めて活動を始めたトニーさん。「どんな子でも、誰でも来ていい」「日本中のいろいろな子どもに参加してもらいたい」という言葉に、トニーさんの大きな愛情を感じました。なかなか知ることのできないアフリカの文化を体験できる場としても貴重な「ノヴィーニェ食堂」に、またぜひ訪れてみたいと思います!(まとめ内藤真左子)DATAノヴィーニェこども食堂&こども寺子屋相模原:神奈川県相模原市中央区5-11-3きめたハウジング第5ビル(ノヴィーニェ・ホール1/2F)横浜:神奈川県横浜市青葉区青葉台1丁目15番地3号高橋青葉ビル B1F(ジェイズレストラン)<昼の部>時間:こども食堂は11:45~13:15こども寺子屋は13:30~15:00対象:幼児~高校生 (シルバーの方もOK!)※未就学児は保護者の方が同伴してください。参加費:無料 (付き添いの大人の方も無料)<夕方の部>時間:こども食堂16:00~18:00対象:幼児~高校生※未就学児は保護者の方が同伴してください。参加費:無料(付き添いの大人の方も無料)「ノヴィーニェ こども食堂&こども寺子屋」活動報告ブログ学研キッズネット編集部(がっけんきっずねっと)『学研キッズネット』は、1996年にオープンした小・中学生のためのWebメディアです。学研の子ども向け書籍や雑誌の編集ノウハウを活かし、子どもたちが安全に楽しめるサイトとして運営しています。子どもたちのしあわせのために、家族のしあわせのために、有益な情報やサービスをお届けできるよう、いつも精一杯がんばっています。すくすく伸びる子どもたちのために
2018年11月27日編集部:学研キッズネット編集部日に日に寒くなり、いよいよみそづくりのシーズン到来!子どもといっしょに、みそを手づくりしてみませんか?11月末くらいからみそづくりシーズンが始まり、1~2月には寒仕込みと呼ばれ、この時期にもっとも多く仕込みが行なわれます。冬に仕込んだみそは、次の秋にはおいしく食べられますよ。「多少手間はかかっても、親子でおいしい香りに包まれながら大豆をつぶし、こうじに塩をまぶすという作業は、なつかしい思い出になりますよ」と話すのは、フードスタイリストのダンノマリコさん。今回は、手づくりみそのつくり方をダンノさんが紹介してくれます。「わたしが、はじめてつくったのは9年前。それ以来、息子に何かしらの作業を手伝ってもらいながら毎年つくり続けています。おみそのつくり方や材料の配合は、その家庭によりそれぞれ違います。ここで紹介するレシピを参考にして、自分のつくりやすい方法や味で、お子さんとオリジナルのおみそをつくってみてください」(ダンノさん)つくるのは難しそう……と思われがちなみそですが、つくり方はいたってシンプル。今年の2月にダンノさんと息子さん(当時小4)のお友だちといっしょにしたみそづくりのようすと、そのみそを使った簡単レシピを紹介します。手づくりの楽しさと発酵の不思議をあわせて体感できるチャンスです!ダンノマリコ(だんのまりこ) フードスタイリスト。本や雑誌などでのスタイリングに限らず、料理も担当する。著書に『保存びんに、季節とおいしさ詰め込んで。―旬の味覚202レシピ』(主婦の友社)、『子どもといっしょにおもてなしと持ちよりレシピ&アイデア150』(共著・朝日新聞出版)など。準備するもの《材料》(できあがり1kg強)大豆(乾燥)200g生こうじ400g(甘さをひかえたい場合は300g)塩70g水大豆の3倍程度アルコール※保存びんを消毒するため(食品用のアルコール、またはアルコール度数が35度以上の焼酎やホワイトリカー)左から、塩、大豆(乾燥)、生こうじ《道具》鍋ボウル保存びん大豆の上に重石となる塩も入れるため、少し大きめで1300mL~1500mLのたて長のものがオススメ。すり鉢すりこぎ厚手のビニル袋ラップまたはオーブンペーパー左から、すり鉢、すりこぎ、みそを入れる保存びん、厚手のビニル袋前日の準備1)ボウルに大豆を入れ、水でさっと洗い、水を切ります。表面の汚れが落ちればいいので、さっと洗って2)豆と合わせて1Lほどの水を入れ、ひと晩おきます。豆が水から出なければOK。左:水につけたばかりの状態。右:ひと晩置いた状態当日の下準備1)大豆が水分を含み、皮のしわがなくなっていることを確認します。左:水につける前の大豆。右:ひと晩水につけた大豆2)1)の豆を鍋に入れ、豆の表面から2cmほど水がかぶるように水の量を調節します。※豆をつけていた水は捨てずに、そのまま使います。豆の表面から2cmほどの水を3)鍋を強火にかけ、沸騰したら吹きこぼれないように気をつけながらアクを取ります。アクは最初に出て来たものだけ取り、すべて取る必要はありません。最初のアクだけ取りましょう4)アクを取ったら弱火にして、ふたをして蒸し煮にします。2時間半から3時間を目安に。指でつぶした豆が、なめらかにのびる程度のやわらかさになればOKです。ひと粒取って、指でつぶして硬さを確認《ポイント》吹きこぼれないように注意する。吹きこぼれそうになったらふたを少しずらす。水が減ってしまった場合は足す。※沸騰したらふたをして110度のオーブンに2~3時間入れておくと吹きこぼれがなく便利です。また、圧力鍋を使えば短い時間でゆで上がります。5)保存びんを洗い、よく水気をふいてから中側とふたの内側をアルコールで消毒します。アルコールをスプレーで吹きかけるか、キッチンペーパーなどに含ませてふきます。使う前に、アルコールで消毒しましょうつくり方1)大きめのボウルにこうじと塩を合わせ、両手のひらでこするように混ぜ合わせて置いておきます。「いい香りがする♪」と、楽しそうにこうじと塩をこすり合わせる子どもたち2)ゆで上がった大豆はザルで水分を切り、温かいうちにつぶします。ゆで汁はあとで使うのでとっておきます。※大豆のつぶし方にはいろいろな方法があります。豆のつぶれ方も粗かったり、なめらかだったりと違いがあるので、自分に合った方法を選びましょう。厚手のビニル袋に入れて、めん棒などを使ってつぶす(ちょっと粗め)ミンサー(肉ひき機)などでミンチ状にする(とてもなめらか)※写真はひき肉用のミンサーすりこぎでつぶす(ちょっと粗め)素手で手のひらを使って、押しつけるようにしてつぶす(ちょっと粗め)3)豆がつぶれたら、大きなボウルやバットの中でこうじと合わせ、まんべんなく混ぜます。全体が合わさるとパサパサと水分がなくなってくるので、2)のゆで汁を少しずつ加え、ひとつにまとめられるくらいの硬さにします。硬すぎると、びんに詰めたときに空気が入りやすくなり、カビの原因になります。パサパサしてきたら、ゆで汁を少しずつ加えて硬さを調整4)直径8cmくらいの丸い玉を5~6個つくり、保存びんに1個ずつ、空気が入らないように注意しながら詰めていく。《ポイント》みそを詰める工程で、「みそ玉を投げる」という方法もありますが、たくさんつくるときでないとあまり効果がないので、今回はこぶしで押すように詰めていきます。団子に丸めて、びんに詰めていきます空気を入れないように、確認しながら慎重に詰めていく子どもたち。真剣です!5)表面を平らにならし、アルコールを含ませたキッチンペーパーなどでびんの内側、ふちをきれいにふき取ります(カビ予防のため)。アルコールで、ていねいにふいていきます。6)ラップやオーブンペーパーなどで、みその表面を覆います。「おみそがおいしくできますように♡」ラップを敷くときもていねいに7)6)の上にビニル袋を広げて入れ、そのビニル袋に塩を入れていきます。びんの口いっぱいまで詰めます。これで、みそに重石をすることと、びんの中の空気を減らしてカビを増やさないという効果があります。塩をビニル袋にどんどん入れて、重石の代わりに。みそができたら、塩は料理で使いましょう8)ビニル袋の口をしっかりと閉じて、ふたをして冷暗所に置きます。みそが熟成されるまで、以下の作業を忘れないようにしましょう。梅雨~夏までは、カビが生えていないか1~2週間おきにチェックする。もしも、カビを見つけたらアルコール消毒したスプーンなどですくい、表面を平らにならし、びんについたみそがあればアルコールを含ませたキッチンペーパーなどでふき、つくり方7)の作業をする。赤い丸で囲っているところがカビ。見つけたらすぐに取り除けば大丈夫梅雨に入る頃から梅雨明けがもっともカビが生えやすい時期なので、気をつけましょう。7月後半になると、気温も上がってくるため発酵が進んできます。なめてみて、自分好みの味になっていたら、冷蔵庫で保管しましょう。もし「味がまだできあがっていないのに、カビがたくさん出てしまう」という場合は、一旦冷蔵庫に入れて、涼しくなってきたら、また冷暗所に戻せば発酵が進みます。みそができあがりました!さて、秋になり楽しみにしていたみそがようやく食べられるようになりました。あの日、子どもたちがそれぞれ持ち帰ったみそも、みそ汁などにしておいしく食べているそうです。みその上の茶色い液体は「たまり」。みその味が凝縮されていて、しょうゆのような味がしますみそを使ったおすすめレシピみそそぼろそぼろは好きな子どもが多いので、つくっておくと何かと便利です。低学年の子にも簡単につくれます。《材料》鶏ひき肉300gみそ大さじ3はちみつ大さじ1《つくり方》鍋にひき肉、みそ、はちみつを合わせてよく混ぜ、ヘラでほぐしながら中火にかける。チリチリと音がしてきたら火を弱め、火が通るまでヘラでほぐしながら炒める。味をみて、塩分が薄い場合は塩で味を整える。水分は最後まで飛ばさず、しっとりと仕上げる。※生の鶏ひき肉に調味料を混ぜておけば、火をとおさなくても2~3日冷蔵庫で保存できます。食べるときに火を通すだけでそぼろになるので、時短ができて便利。※そぼろにして保存しておけば野菜炒めに加えてボリュームアップさせたり、麻婆豆腐にアレンジしたりと使い勝手が良い。鶏そぼろを使ったメニューキャベツともやしのそぼろがけ 《材料4人分》キャベツ2~3枚もやし1/2袋みそそぼろ1/2カップごま油適量《つくり方》キャベツともやしはさっとゆでてザルにあげる。粗熱がとれたら軽く絞って器に盛り、温めたそぼろとごま油少々をかける。みそ汁の素時間がないときでも、これをつくって保存しておけばインスタントではなく、いつものみそ汁が楽しめます。《材料》みそ1/2カップかつおぶし5g乾燥ワカメ大さじ1と1/2ねぎのみじん切り1/3本《つくり方》材料をすべて合わせ混ぜ、保存容器に入れる。※桜エビ、すりごまなど、水分が少ない具材であればお好みの具を足してOK。1週間を目安に使い切る。みそ汁の素をつかったメニュー豆腐のみそ汁 《材料》みそ汁の素大さじ1熱湯150mL豆腐適量《つくり方》みそ汁の素を熱湯少々で溶き、小さめに切った豆腐をお椀に入れ、残りの熱湯150mLほどを注ぎ、みそが溶けるまで豆腐が崩れないように混ぜる。白身魚の唐揚げみそがらめ《材料 4人分》白身魚3切れ塩適量小麦粉適量みそ大さじ3万能ねぎ2本すりごま大さじ1おろしにんにく少々みりん(未就学児なら煮切りみりん)大さじ1~2レタス、せん切り人参など適量揚げ油適量《つくり方》万能ねぎは小口切りにする。ボウルにみそ、すりごま、にんにくを合わせ混ぜ、みりんでなめらかになるまでのばす。これがみそ衣になります。魚は軽く全体に塩をふり、水分が出てきたらペーパータオルでふき取り、3~4等分に切り、小麦粉をまぶす。フライパンに油を底から1cm程度注ぎ、中火にかける。油が熱くなったら魚についた余分な粉をはらい落とし、両面が薄く色づくまで揚げ焼きにする。魚が熱いうちにみそ衣をからめ、野菜とともに皿に盛る。※お好みでレタスに巻いて食べるのもオススメ。大人は豆板醤やコチュジャンつけて巻いて食べても。学研キッズネット編集部(がっけんきっずねっと)『学研キッズネット』は、1996年にオープンした小・中学生のためのWebメディアです。学研の子ども向け書籍や雑誌の編集ノウハウを活かし、子どもたちが安全に楽しめるサイトとして運営しています。子どもたちのしあわせのために、家族のしあわせのために、有益な情報やサービスをお届けできるよう、いつも精一杯がんばっています。すくすく伸びる子どもたちのために
2018年11月22日トップライター:須藤美紀深海とそこにすむ生きものたちをテーマにした絵本を作った佐藤孝子先生。後編では先生が科学の道にすすんだきっかけや子ども時代の体験、そして読み聞かせ活動でたくさんの子どもたちに出会ってきた先生に、科学が好きな子に育てるために必要なことを聞きました。絵本読み聞かせの前に、クイズをするさとちゃん先生。実際に絵本に出てくる生きものの模型を見せて「これなんだと思う?」と聞いているところ。衣類用洗剤の開発や料理にもつながっている深海の世界―― 微生物の専門家の佐藤先生が、深海に興味を持ったきっかけは何だったのですか。わたしは大学院修了後、学研の植物工学研究所に研究員として入ったのですが、その後大学院時代にお世話になった掘越弘毅先生がJAMSTECにいらしたご縁で、JAMSTECに転職しました。ざっくり言うと、わたしの研究分野はバイオ(生物学)。なかでも深海のような変わった環境に生きている「極限環境微生物」の研究です。「それって何の役に立つの?!」って言われちゃいそうですが、実は、そういう微生物は普通の環境にはいないけれどわたしたちの生活に役立つ酵素を生み出したりするんです。たとえば、極限環境のひとつ、アルカリ環境で生きている菌から、たんぱく質や繊維を洗濯中のアルカリ性の環境でも分解する酵素を見つけ出したことでできたのが花王の「アタック」。「バイオ酵素」を配合した衣類用洗剤で、恩師である掘越先生の研究成果から生まれました。わたしは地球上で一番深いマリアナ海溝などの、圧力がものすごく高い場所にすむ「好圧菌(こうあつきん)」が専門なのですが、その研究は料理と関係があるんです!たとえばジャムを作るとき、基本的には熱を加えて菌を殺しますが、そうすると香りや色が変わってしまう。ところが圧力滅菌なら、風味をキープしたままジャムを作ることができるんです。発泡スチロール製のカップを深海へ持っていくと、圧力でぎゅっと縮んで固くなる。読み聞かせで子どもたちに見せると歓声があがる。一番大きいのが元のサイズ、右側が紀伊半島沖の南海トラフにて、3300mの深さまで沈めたカップ。手前の一番小さいものは、もとはコーヒーカップの大きさで、北海道沖の千島海溝にて、5400mの深さまで沈めて縮んだもの。―― まさか深海の研究が料理に役立つとは思っていませんでした!科学、すごいです!!そもそもわたしがサイエンスに興味を持ったのは、幼いころリトマス試験紙の色が目の前で変わった、あの瞬間のすごく単純な喜びがあったから。色が変わる裏には、おおげさなようだけど“真実の法則”があるじゃないですか。「何で色が変わったんだろう?」「この奥にはどんなストーリーがあるんだろう?」というふうに思わなければ、今のこの道には来ていないと思います。だから、虫が嫌いなお母さんは子どもが虫を捕ってきたときに「気持ち悪い!」「捨ててきなさい!!」って言ってしまいがちだと思うけど、「足が何本あるか数えてごらん」とか、何でもいいから声をかけて彼らの「驚き」を肯定してあげてほしい。その喜びと驚きはきっと“何か”につながるはずだから。別にサイエンスが好きな人が全員研究者になる必要はないし、すべてのお母さんが「専門家」を育てる必要はないんです。ただ、物事が起きているときの背後の法則を知ると、それだけで生活は楽になるし面白くなる。できれば「サイエンスは苦手」って拒否反応を示さずにお子さんといっしょに興味をもっていただきたいと思うんですけど…わたし自身、母として偉そうなことは全然言えないな(笑)。うちの子どもたちは「絶対バイオには行かない」って言っていますし、子どもって親が「こうなってほしい」と思う方向には行ってくれないものなのかもしれないですね。ちょっとした驚きの「芽」を受け止めてあげれば子どもの視野が広がる―― うちの息子も親がそんなに得意じゃないことのほうが、興味が長続きしている気がします。親は自分が好きなジャンルだと無意識に押し付けてしまうんでしょうね。本当は子どもが興味を持ったとき、はじめて図鑑や本を差し出せばいいんだろうけど、親が興味のあるものは最初から家にあったりするから。でも本当は、テレビ番組でも何でも、子どもが何か発見したときにいっしょに面白がって声をかけてあげるだけでいいんだと思う。子どもの「何で?」に正確に答える必要もなくて、「何でだろうね~?」ってその気持ちを受けとめてあげるだけでいい。その驚きがすべてなんです。それをきっかけにサイエンスに限らずいろんなことを学んで幅広い視野を身につければ、極端なことを言うようだけど妙な偏見もなくなるはず。特にサイエンスは「エビデンス(証拠)」がすべてだから、人種や文化の違い、あるいは育ってきた環境の違いで「何となくイヤ」みたいな差別意識は持ちようがないんですよね。勉強を通していろんな見方や考え方があることを知ると、きっと生きていく「面白さ」も広がると思う。その源になる「驚き」は大切にしたいな、と思っています。―― 自分も子どもの驚きの「芽」をたくさん摘んできちゃったな、と反省しきりです。サイエンスがつまらないって先入観で思ってしまうのは、本当にもったいないんですよ。いろんな現象の法則を知ることはとても面白いし、生活の役に立つこともたくさんあるから。この本は深海に特化していますけど、わたしが一番伝えたいのはそういう「サイエンスの面白さ」。わたしは子どもたちの驚きに満ちたキラキラした目を見たくて読み聞かせをしていますが、子どもはあっという間に大人になっちゃうから、その「キラキラ」を体感できるのはその子にとっては実は一瞬。この本をきっかけに、深海じゃなくてもいいから「サイエンス」に興味を持って、キラキラした目で夢を追いかけてもらえる子が一人でも増えたら、本望です!(企画・編集:学研キッズネット編集部)<< 文系ママに知ってほしい!科学絵本の楽しみ方(前編)~さとちゃん先生が語る深海の世界の面白さ関連リンク取材協力:国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)科学者による深海の話や絵本読み聞かせを楽しめる「チームくじら号」全国児童「ハガキにかこう海洋の夢コンテスト」(JAMSTEC主催・小学生対象)須藤美紀(すどうみき)東京都在住・40代夫と兄太(小3)とチビ太(4歳)の4人家族。好物は映画とビール、昭和のアイドル。最近はベランダで育てたミントで淹れるお茶がお気に入り。
2018年11月20日専門家・プロ:松井美香言わない方がいいとわかっていてもお母さんが常勤で働くことが当たり前の時代になってきました。仕事も家事も頑張るお母さんはいつも何かに追われていて、我が子にも「早く、早く」と言ってしまいがち。かつてのわたしも同じです。「早く起きなさい!」から1日が始まり、「早く食べなさい」「早く支度しなさい」「早く行きなさい」「早く宿題しちゃいなさい」「早く手伝って」「早く片付けて」「早くお風呂に入りなさい」「早く寝なさい」などなど・・・「早く」という言葉を使わない日はなかったと思います。言わないように気をつけていても、いつもこんな調子でした。子どもはグズグズ・ダラダラ、親はイライラ親であるわたしたちは、子どもが期待通りに行動するとほめ、期待通りにできないと叱るのが当たり前になっています。早く行動すれば「えらいわね」「すごい!やればできるじゃない」「あなただけね、いつも早いのは」などとほめ、早く行動しないと「なんで早くしないの!」「何やってるの!早く!って言ってるでしょ!」「早くしないと、おやつあげないわよ」などの言葉で叱るのです。わたしたち自身、子どものときこのように育てられてきたので、もしかしたらそれ以外の方法があることを知らないからかもしれません。ですが、本当にこのような方法で、子どものグズグズやダラダラは改善されるのでしょうか?そもそも、これは親の都合を優先した対応であって、子どもには理解されないのです。「なんで早くしないの!」と叱っても効果はありません子どもが期待通りに行動しないと、「なんで?」と聞きたくなってしまいますが、原因を探ったところで、ほとんどの場合は解決につながりません。アドラー流子育ては、「原因」を探るよりも「目的」を考えます。つまり、子どもがグズグズ・ダラダラする目的を考えてみるのです。このコラムで何度もお伝えしているように、人は注目されるところが強化する、とアドラー流では考えます。良いことも悪いことも、注目されればされるほど、その行動をしてしまうものなのです。子どもの行動の目的。そのほとんどは、親に愛されたい、認めてもらいたい、注目してほしい、無視されたくない、です。無視されるよりは、叱られたい(注目されたい)のです。グズグズ・ダラダラしている方が親にかまってもらえるグズグズ・ダラダラしている方が、親の気を引くことができることを、子どもたちは経験を通して学んでいます。だから、それを繰り返すのです。だとしたら、親であるわたしたちはどのように対応すれば良いのでしょうか。そうです。「早くしなさい」と命令したり、叱るのではなく、子ども自身が自分の行動を決め、やる気になるような環境づくりをすることが大事です。子どものこういった行動が繰り返されるのは、親の対応が効果的ではないということを意味しています。いつもとは違う対応をしてみることで、子どもの反応も変わってきます。まずは、イライラする気持ちを深呼吸などでコントロールし、冷静になりましょう。もしかしたら、子どもがグズグズ・ダラダラしていることに過剰に反応しているだけかもしれません。子どもに勇気を与え続けましょうまずは、子どもの行動に振り回されないように気をつけたいものです。「同じ土俵で戦わない」ようにするのです。つまり、子どもの態度に感情的に反応せず、一貫した態度を示すことが大切なのです。例えば、子どもがダラダラと食事をしていたら、「お母さんは、そろそろ片付けたいんだけど、もうそろそろ食事は終わりにできるかな?」と提案してみます。それでも、まだダラダラとしているようなら「じゃ、お母さんはほかの用事があるから、あとの片付けはよろしくね」と言って、その場を離れてしまうのです。叱る必要など全くありません。また、親というものは、どこか「親が思うようにできて当然」と思っている節があります。親の目から見れば、決して早く行動しているようには見えないけれど、本人はそれなりに頑張っていることがあるものです。ほんの少しでも努力していたら、それを見逃さずに、「今日は頑張ってるね」という言葉をかけてあげましょう。「良いところ探し」をするのです。わたしたち親ができることは限られていますが、どんなときも子どもへの「勇気づけ」を心がければ、子どもはやがて自分の行動を自分で管理できるようになっていくものです。松井美香(まついみか)東京音楽大学ピアノ専攻卒業。「勇気づけの音楽家」。大学卒業後約10年間公立中学校に勤務。その頃偶然、教員研修でアドラー心理学に出会い、岩井俊憲氏の元で学び約25年が経過。自身のピアノ教室や子育てにおいてアドラー心理学を実践する中、子どもたちが音楽や部活動を続けながらも有名大学に続々と合格し夢を叶えている。長男(21歳)と双子(18歳)三人の男子の母。現在、保護者や音楽指導者に向け、執筆やセミナーを通して「勇気づけの指導法」を広める活動をしている。*学研「おんがく通信」にて、コラム「勇気づけのピアノレッスン」連載中。*学研プラス出版「あなたの想いが届く愛のピアノレッスン」にて、手記「ある教室のささやかなサクセスストーリー」を執筆。松井美香公式ホームページ:
2018年11月19日