複雑すぎる年金制度。知らなきゃ損をすることはたくさんあるけれど、誰も教えてくれる人がいない。そんなあなたのために、年金をもっともお得にもらうための疑問に答えます。解説してくれたのは、社労士でWEB情報サイト「All About」でガイドを務める拝野洋子さんと、ファイナンシャルプランナーの山中伸枝さんだ。【Q】もっともお得な繰下げ受給の方法は?年金受給開始年齢は原則65歳からだが、5年以内の範囲で、繰り上げ、繰り下げができる。「1カ月早めると、0.5%支給額が減額されます。60歳で受給開始すると65歳の場合と比べ、3割減となります。一方、繰り下げは1カ月遅らせると、0.7%の増額。最長の70歳まで待つと、本来の支給額より42%増に」(拝野さん)年金は個人のものなので、妻だけ年金の受給時期を変えることも可能。だが、早く小遣いが欲しいからと“繰り上げ”すると、長い目で見ると損となる。一方、必ずしも繰下げ受給=得ではない。「妻が年下の専業主婦で、夫が厚生年金を受給しているなどの場合、年間約39万円の加給年金が支給されます。妻が65歳になるまでもらえますが、夫の厚生年金受給が条件なので、繰り下げるともらえる期間が減ります。それを避けるため、厚生年金は65歳で、夫の基礎年金の部分だけを繰り下げるという方法も」(山中さん)【Q】夫は退職と就職を繰り返しているけど、年金はどうなるの?会社員として、厚生年金に入っていた期間が無駄になることはない。受給年齢になれば、基礎年金に、厚生年金を上乗せして受給することができる。ただし受給には手続きが必要なので、忘れずに。掛金を積み立て、社員がそれを運用して老後に受け取る「企業型確定拠出年金」に加入していた場合は、注意が必要だ。「退職後、それを忘れて手続きをしない人がいます。積み立てていたお金は国民年金基金連合会に預けられますが、そこに放置されたままのお金は1,500億円にもなるといわれています。年金事務所などで、年金支払い状況を確認しましょう」(拝野さん)
2018年12月06日複雑すぎる年金制度。知らなきゃ損をすることはたくさんあるけれど、誰も教えてくれる人がいない。そんなあなたのために、年金をもっともお得にもらうための疑問に答えます。解説してくれたのは、社労士でWEB情報サイト「All About」でガイドを務める拝野洋子さんと、ファイナンシャルプランナーの山中伸枝さんだ。【Q】専業主婦は何の年金に入っているの?「自営業や無職の人は第1号被保険者で、国民年金(基礎年金)に加入します。会社員は第2号被保険者。掛金の半分を企業が負担してくれるうえ、収入に応じて厚生年金が、国民年金に上乗せされます。会社員の夫をもつ専業主婦は、第3号被保険者です。掛金の負担がなく、国民年金をもらえます。主婦の方でも、パートなどで年収130万円以上となると、国民年金などの社会保険料を支払う義務が出てくるので、注意しましょう」(拝野さん)【Q】どうやったらもらえる年金が増えるの?「国民年金、厚生年金だけでは老後が心配という人は、公的年金に加入しながら、証券会社など金融機関で加入できるiDeCo(個人型確定拠出年金)で“上乗せ”をすることができます」(山中さん)拝野さんがiDeCoの利点を解説してくれた。「毎月、一定額の掛金(専業主婦の場合、月5000~2万3,000円の範囲内)を支払います。元本割れのない定期預金や国内株式の投資信託商品などの中から、あらかじめ決めておいた割合で、積み立てた掛金を運用することになります」積み立てた年金は60歳以降に受け取ることができるが、その際、退職所得控除や公的年金等控除を利用することができる。「さらに、通常、投資などの運用利益の20%が課税されますが、iDeCoでは非課税です。税制面でも、大きなメリットがあるといえます」(拝野さん)【Q】未納期間が長いけど、どれくらい減額される?国民年金は、加入期間は最大40年間。個人で支払うため、未納期間ができている人も多いはず。「1年間の未納があれば、将来もらえる基礎年金が、1カ月あたり1,620円、年間1万9,440円の減額。これが生涯続くことになります」(拝野さん)未納で減る年金の計算法は、1万9,440円/年(1,620円/月)×未納年数。だが、60歳から65歳も年金を払い続けることで、年金を増やせる「任意加入制度」がある。未納期間が長い人は検討しよう。【Q】掛金が払えなくなったら?「経済的に年金の支払いが困難な場合、“免除”が認められることがあります。所得や家族の有無で基準が変わりますが、全額免除が認められれば、保険料を払わなくても、全額払った場合の半分の年金を将来受給できます。半額免除の場合は75%です」(山中さん)滞納だけは避けたい。「老齢年金が減るばかりか、大病しても障害年金が下りなかったりする弊害も」(山中さん)
2018年12月06日年金の支給開始は65歳が原則だが、現在は70歳まで先延ばしする「繰り下げ」受給が可能に。この繰り下げを70歳以降も選択できるようにする案が、今の国会で検討中だという。そのメリット、デメリットとは?経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれた――。10月23日、自民党の小泉進次郎議員が、「生産年齢人口」の見直しについて発言しました。生産年齢人口とは、生産活動ができる現役世代のことで、今は15~64歳とされています。小泉氏は「18~74歳にしたほうが現状とマッチする」と述べました。ですが、生産年齢はさまざまな統計に使われる指標です。むやみに変えると、以前のデータと比較できなくなります。私は、軽々しく変えるものではないと思います。こうした年齢に関する定義の変更が持ち出される背景には、年金問題があるからでしょう。ひっ迫する年金財政をなんとか改善したい国は、今の国会で、次の2点を検討したいようです。1点目は、年金の支給開始は65歳が原則ですが、今は70歳まで先延ばしする「繰り下げ」受給が可能です。この繰り下げを70歳以降も選択できるようにすることです。年金を繰り下げるためには、高齢者も収入が必要です。そこで2点目。今は、60歳以降も働きたい会社員は、全員65歳まで働くことができます。これを70歳まで延長することです。1点目の年金繰り下げは、老後資金を増やすための選択肢として、メリットのある制度だと思います。受給を1カ月先延ばしするごとに0.7%ずつ年金額が増えますから、1年先延ばしすれば8.4%、現状では最高の70歳からの受給にすれば、42%アップです。たとえば、国民年金の満額を受給するAさんだと、65歳からの年金額は年約78万円(’18年度)ですが、70歳まで先延ばしすると、年約111万円に増えます。今後、この制度が70歳以降に広がり、仮に75歳まで10年間の繰り下げが可能になったとすると、Aさんは75歳から、84%アップで年約144万円受給できることになるかもしれません。ただし、75歳までは年金がもらえないので、87歳より長生きしないと損になります。年金の繰り下げには、デメリットもあります。まずは、健康寿命との関係です。介護を受けず自立した生活ができる健康寿命は、女性が74.79歳、男性は72.14歳です(’16年・厚生労働省)。年金を元気なうちにもらって、有意義に使いたいという方が多いのではないでしょうか。また、厚生年金などで年金額が多い方が繰り下げると、課税対象になることがあります。せっかく増額されても、税金のほか、社会保険料などの負担も増えるので、課税ラインには注意しましょう。さらに、70歳まで働けたとしても、給与は定年前の半額以下になる方がほとんどです。自分の収入と年金額、健康状態などを考えて、選択してください。私は、70歳以降の年金繰り下げを選べる方は、それほど多くないと思います。それでも国が検討するのは、その先に、年金受給そのものを、現行の65歳から68歳などへと引き上げたいもくろみがあるからでしょう。人生100年時代などの言葉にまどわされず、政府の動きを注視しておきたいものです。
2018年11月09日シングルマザーを悩ませる原因のひとつである金銭的な問題。家庭の負担を少しでもやわらげるために、さまざまな制度が設けられているのをご存じでしょうか。児童手当金や失業手当金などのほかにも、いろいろな手当金があります。生活保護を検討する前に一度、しっかり調べてみてはいかがでしょうか。母子家庭を支える手当や制度は実は沢山あります母子(父子)家庭を支えるシングルマザーのための手当は沢山あります。上手に活用することで精神的・物理的な負担を軽減することが可能です。国あるいは自治体が定めている公の制度ですから、利用するのに後ろめたい気持ちになる必要はまったくありません。積極的に利用しましょう。次項ではシングルマザーに役立つ手当をピックアップして解説します。 シングルマザーがもらえる手当の種類シングルマザーが受給対象となっている手当をピックアップしました。さらに詳しい情報が欲しい場合は、参考URLにアクセスしたり、国や自治体など当該機関に連絡したりしてみるとよいでしょう。児童扶養手当概要児童扶養手当は、母子・父子家庭を対象に地方自治体が支給する手当。理由を問わずすべての母子・父子家庭に支給されます。扶養人数や所得額によって支給される金額が異なります。対象者国内に住所がある母子・父子家庭の0歳から18歳まで(18歳になって最初の3月31日を迎えるまで)の児童が対象です。金額全額支給子供が1人の場合は月額4万2,500円。2人の場合は月額1万40円、3人目以降は月額6,020円が加算されます。一部支給扶養者の所得によっては一部支給となり、次のような計算式が用いられます(10円未満は四捨五入)。4万2,990円-(所得額-57万円)×0.0187630<第2子の場合の加算額>1万30円-(所得額-57万円)×0.0028960<第3子の場合の加算額>6,010円-(所得額-57万円)×0.0017341生活保護概要生活保護とは、生活に困窮している人を対象に国が必要な保護をする制度のこと。最低限度の生活を保障し、自立を助けることを目的とします。対象者預金や不動産などの資産を持っていないこと、働くことができないこと、年金など他の制度による給付を受けることができない、あるいはできたとしても厚生労働省が定める最低生活費を満たさないこと、親族等から援助を受けられないことが条件となります。金額次の計算式が用いられます。最低生活費-収入=保護費児童手当概要家族などの生活を安定させ、次代の社会を担う子供の健康に資することを目的として、国が全ての世帯を対象に実施する支援策です。対象者国内に住所がある0歳から15歳までの子供。なお、15歳とは中学校卒業の年度末のことを指します。金額0歳から3歳未満は一律1万5,000円。3歳から12歳(小学校卒業まで)は、第一子および二子が1万円。第三子以降は1万5,000円。中学生は一律1万円です。なお、児童手当には所得制限世帯があります。例えば夫婦と児童2人の世帯の場合、年間所得がおよそ960万円を越えると、支給金額は5,000円となります。住宅手当概要住宅手当とは、自治体が実施しているもの。対象世帯や資格要件などは自治体によって異なります。実施していない自治体もあります。目黒区を例にご紹介します。対象者ひとり親世帯を含む、18歳未満の子を扶養し同居する世帯。区内に1年以上居住し、賃料が5万円以上16万円以下の民間賃貸住宅に居住していること。世帯の年間所得が世帯人数によって定められた「年間総所得金額」に満たないこと。金額月額2万円医療費助成概要母子(父子)家庭を対象に、自治体が健康保険の自己負担分を助成する制度です。内容は自治体によって異なります。目黒区を例にご紹介します。対象者以下の児童を養育する者。離婚、死別などによって母子(父子)家庭となった児童、父もしくは母が重度の障害をもつもしくは生死不明である児童、父もしくは母によって1年以上遺棄されている児童、裁判所から父もしくは母がDV保護命令を受けている児童、父もしくは母が法の裁きにより1年以上拘禁されている児童、非嫡出子でない児童で、父もしくは母から扶養されていない児童。ただし所得制限があります。金額「ひとり親家庭等医療証」が交付され、健康保険の自己負担分の一部もしくは全額が助成されます。子ども医療費助成概要子ども医療費助成は、義務教育を終えるまでの児童が、保険診療にかかった医療費の自己負担額を自治体が助成するものです。親は医療費助成の対象とはなりません。自治体によって内容が異なります。目黒区を例にご紹介します。対象者健康保険に加入している目黒区内在住の0歳から義務教育修了までの児童。生活保護の受給者、児童福祉施設などに入所している場合、里親などに委託されている場合を除きます。金額保険診療にかかった医療費の自己負担額および入院時食事療養標準負担額特別児童扶養手当概要特別児童扶養手当とは、精神もしくは身体に障害を有する20歳未満の子供がいるすべての家庭に国が支給を行う制度。所得制限があります。対象者精神もしくは身体に障害を有する20歳未満の子供を家庭で監護、養育している父母など金額支給金額は障害の度合いによって異なります。1級5万1,700円2級3万4,430円障害児福祉手当概要重度の障害をもつ子供に対して、精神的・物質的な負担を軽減するのを助ける目的で支給される手当のこと。対象者精神もしくは身体に重度の障害を有する在宅者で、日常生活で常に介護を必要とする20歳未満の者。金額1万4,650円(月額)遺族年金概要遺族年金とは、夫ないしは妻を亡くした場合に受け取ることができる年金のこと。種類ごとに金額が異なります。対象者遺族基礎年金の場合配偶者が死亡し、18歳に到達する年度の末日(3月31日)を経過していない子供、もしくは20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の子、および当該の子がいる配偶者。遺族厚生年金の場合死亡した者によって生計を維持されていた妻や子など金額遺族基礎年金の場合77万9,300円に、第1子・第2子にはそれぞれ22万4,300円が、第3子以降には各7万4,800円が加算されます。遺族厚生年金の場合複雑な計算式が用いられますので詳しくは割愛しますが、なくなった本人が受け取る予定だった厚生年金のうちのおよそ4分の3の金額を受け取ることができます。児童育成手当概要児童育成手当とは、18歳までの子供を育てる母子(父子)家庭を対象に、生活の安定と児童福祉の充実を目的として支給される手当のこと。内容は自治体によって異なります。対象者離婚、死別などによって母子(父子)家庭となった児童、父もしくは母が重度の障害をもつもしくは生死不明である児童、父もしくは母によって1年以上遺棄されている児童、裁判所から父もしくは母がDV保護命令を受けている児童、父もしくは母が法の裁きにより1年以上拘禁されている児童、非嫡出子でない児童で、父もしくは母から扶養されていない児童を養育する者。ただし所得制限があります。金額1万3,500円(1人につき) 利用できる制度は賢く活用しよう手当以外にシングルマザーが利用できるさまざまな制度やサービスがあります。積極的に活用してください。自立支援訓練給付金概要自立支援訓練給付金とは、正式名称を「自立支援教育訓練給付金」といい、能力開発の取組みを支援する仕組みです。対象となる教育訓練を受講し、修了すると給付金が支給されます。対象者母子(父子)家庭の母もしくは父で、20歳に満たない子供を扶養し、次の要件を満たす人。児童扶養手当を受給している、もしくは同等の所得水準にある就業経験や技能、取得資格などから判断して、適職に就くには教育訓練が必要と認められる金額受講経費の60%(1万2,001円以上で20万円が上限)交通機関の割引制度概要児童扶養手当を受給している世帯の負担軽減のため、JRの通勤定期乗車券を割引で購入できる制度のことです。自治体が実施しており、自治体によって内容は異なります。江戸川区の例をご紹介します。対象者児童扶養手当を受給している人。金額JR通勤定期を3割引きで購入できる。粗大ゴミの手数料割引概要児童扶養手当を受給している世帯の負担軽減のため、自治体が実施している粗大ごみの手数料免除制度です。内容は自治体によって異なります。江戸川区の例をご紹介します。対象者児童扶養手当を受給している人。金額手数料を全額免除公共料金の割引概要児童扶養手当を受給している世帯の負担軽減のため、上・下水道料金の基本料金を減免する制度です。内容は自治体によって異なります。江戸川区の例をご紹介します。対象者児童扶養手当を受給している人。金額水道料金は基本料金、下水道料金は1ヶ月あたり8立方メートル以下の料金が免除されます。保育料の免除など概要税額が一定の額に満たない母子(父子)家庭に対して、保育料の負担軽減を実施している自治体もあります。内容は自治体によって異なります。江戸川区の例をご紹介します。対象者区市町村民税額のうち所得割額が4万8,600円未満の世帯および4万8,600円以上7万7,101円未満の世帯。金額所得割額が4万8,600円未満の世帯第1子の保育料が1,000円減額後に半額、第2子が無料所得割額が4万8,600円以上7万7,101円未満の世帯第1子の保育料が半額、第2子が無料 まとめシングルマザーが受け取ることができる手当金の種類はさまざま。それぞれに条件があって、重複してもらえる手当金もあれば減額されたり全額なしにされるものもありますので、自分のケースに当てはめてしっかりと検討しましょう。 参考:児童扶養手当:新宿区生活保護制度 |厚生労働省児童手当制度の概要 – 内閣府ファミリー世帯家賃助成目黒区ひとり親家庭等医療費助成制度目黒区子ども医療費助成制度とは目黒区特別児童扶養手当について|厚生労働省障害児福祉手当について|厚生労働省遺族基礎年金(受給要件・支給開始時期・計算方法)|日本年金機構遺族厚生年金(受給要件・支給開始時期・計算方法)|日本年金機構児童育成手当目黒区母子家庭自立支援給付金及び父子家庭自立支援給付金事業の実施について |厚生労働省都営交通無料乗車券・JR定期乗車券割引証明書の発行江戸川区公式ホームページ利用者負担額(保育料)について江戸川区ホームページ粗大ごみ等処理手数料の免除江戸川区公式ホームページ都営水道料金の免除江戸川区公式ホームページ
2018年10月10日「iDeCoは、もともと’01年にスタートした制度ですが、’17年1月から公務員や専業主婦まで加入対象者が広がり、誰でも入れる個人年金に。加入者は毎月、コンスタントに約3万人ずつ増え、’18年6月時点では94万人ですので、現在では100万人を突破しているでしょう」そう語るのは、確定拠出年金アナリストの大江加代さん。自営業ばかりでなく会社員であっても、かつてのような十分な企業年金は期待できないいま。老後資金のため、個人型確定拠出年金iDeCoを始めている人が増えてきているという。50代にさしかかり、“年金をいまから作るなんて、無理かも”……と諦めている人も多いだろう。それでも、いまからiDeCoをはじめることにメリットはあるのだろうか。ファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さんに解説してもらった。「iDeCoは、扱う金融機関が用意する投資信託などを、毎月定額で購入し、運用するかたち。最終的に積み立てたお金を、60歳以降に年金や一時金として受け取るしくみです」(風呂内さん)証券会社で投資信託を購入するケースとは違い、iDeCoの場合は「拠出金は全額所得控除の対象」「利益も非課税」という大きなメリットがある。こうしたメリットを踏まえ、iDeCoを始めるのにいちばんお得な年齢や職業を見ていこう。■開始目安の分岐点は45歳だが、50代以降でも意味はある!60歳以降に給付となるiDeCo。“開始目安の分岐点”となる年齢は45歳だと風呂内さんは語る。「45歳を超えると、いよいよ老後の資金作りが大事になってきます。残っている教育費などのめどをつけ、iDeCoを積極的に検討したいところ。減税効果を得るためにも、可能な限り積み立てることを目指しましょう」(風呂内さん)では、加入期間10年を満たせない50代以降は始めてもメリットはないのだろうか。「そんなことはありません。支払った分の年金が作れますし、減税効果も得られます。ただし、受給開始年齢が遅れますので、慎重な判断が必要です。たとえば加入期間が4年以上6年未満の場合は63歳、1カ月以上2年未満の場合は65歳からとなり、60歳以降も各金融機関によって定められている手数料が差し引かれるので、注意してください」(風呂内さん)■収入に合わせた無理のない「拠出金」設定を!「拠出金の最低額は月5,000円で、1,000円単位で上乗せできますが、会社員や専業主婦など立場によって上限額が変わります。もっともメリットを期待できるのは自営業・フリーランスの人で、上限額は6万8,000円です」(風呂内さん)実際にiDeCoを始めた50代の女性自営業者はこう語る。「将来、自分のやりたい仕事の資格を得るために、30代後半で留学したり専門学校に通っていたら、貯金がゼロになって。株の運用に関してはまったくの素人ですが、iDeCoだと、毎月定額で積み立てられるのでありがたいです。利益も出ている状態ですが、自営業者として確定申告の際、減税効果を非常に感じています」拠出額は、年に1度変更することができるが、原則、加入期間は10年以上、さらに60歳になるまで受給できないので、計画的に拠出額を算出することが大事だ。
2018年09月05日きちんと払っていれば、誰もがもらえるはずの年金。老後の生活には欠かせないが、場合によっては「もっともらえるはずだった」なんてことも。受け取り漏れのないよう、賢い受給方法を知ろう。「9月の総裁選では、“安倍首相の3選”が有力視されています。今年4月には、財務省『財政制度等審議会財政制度分科会』で『厚生年金の支給開始年齢を65歳から68歳に引き上げる』という案が議論されました。すでに年金財政はカツカツですが、安倍首相が再選した場合、世論への影響を考えて、支給開始年齢の引き上げは“今年中”には実行しないでしょうね。しかし、こうした年金財政のなか、いつなにが起こるかわかりません。自分が受け取れる年金額は、自分の知識で守っていく必要があるんです」こう語るのは、年金制度に詳しい経済評論家の加谷珪一さん。年金についての制度は把握できても、実際自分を取り巻く環境は大きく変わる可能性がある。夫との離婚や、死別、さらには親の介護による“家計難”を不安に感じている人も多いだろう。そこで加谷さんに、夫との死別における、主婦の賢い年金受給法を教えてもらった。【ケース:死別】受け取れるはずだった未受給の年金は必ず請求を!夫が70歳に繰り下げて年金を受け取るつもりだったのに、待機中の69歳で死亡してしまったとする。この場合、「65歳からもらえるはずだったぶんの年金を請求できる」と加谷さんは話す。「4年間分の夫の年金は『未支給年金』となりますので、妻が年金機構に申請すれば、さかのぼって受給することが可能です。さかのぼれるのは、年金受給日の翌月初日から起算して5年間。たとえば69歳10カ月で夫が亡くなった場合、あと2カ月で時効になってしまうケースも出てきますので、急がなければなりません。また、未支給年金を妻が受け取る場合は相続財産ではなく、一時所得となりますので、50万円を超える場合は確定申告が必要です。50万円を超える部分の2分の1の金額が、課税対象となります」
2018年08月23日きちんと払っていれば、誰もがもらえるはずの年金。老後の生活には欠かせないが、場合によっては「もっともらえるはずだった」なんてことも。受け取り漏れのないよう、賢い受給方法を知ろう。「9月の総裁選では、“安倍首相の3選”が有力視されています。今年4月には、財務省『財政制度等審議会財政制度分科会』で『厚生年金の支給開始年齢を65歳から68歳に引き上げる』という案が議論されました。すでに年金財政はカツカツですが、安倍首相が再選した場合、世論への影響を考えて、支給開始年齢の引き上げは“今年中”には実行しないでしょうね。しかし、こうした年金財政のなか、いつなにが起こるかわかりません。自分が受け取れる年金額は、自分の知識で守っていく必要があるんです」こう語るのは、年金制度に詳しい経済評論家の加谷珪一さん。年金についての制度は把握できても、実際自分を取り巻く環境は大きく変わる可能性がある。夫の定年や、死別、さらには親の介護による“家計難”を不安に感じている人も多いだろう。そこで加谷さんとファイナンシャルプランナーの中村薫さんに、そのような「老後の不安ケース」ごとに、主婦の賢い年金受給法を教えてもらった。【ケース:夫の定年、再就職】“在職中の年金”、その減額のボーダーラインを把握しておこう!「年金の支給開始年齢に達していれば、再就職をしても年金は受け取ることができますが、一定以上の収入があった場合、年金受給額は減額されます」(加谷さん)夫が定年後の65歳でも、家計のために再雇用や再就職を選択する家庭も多いだろう。その場合、年金月額と給料を合わせて46万円を超えると、年金が減額されることに。「超えた分の2分の1が、年金支給額から減額されることになります。年金月額が25万円+再就職先からの給料が25万円だとすると計50万円ですので、4万円が超過分となり、2分の1の2万円が減額されることになります」(加谷さん)年金とは別に夫の収入を確保するためには、「46万円の壁」があるといってもいいだろう。【ケース:親の介護】介護費用を「前倒し受給」でまかなうのは×。数々の年金を失う場合も!「夫が定年、夫婦とも無職だが、老いた両親の介護により家計が苦しくなってくる人もいます。しかし、生活が苦しいとしても、『前倒し受給』はデメリットが大きいのであまりおススメしません。繰り上げると実際より前に65歳になったと仮定されますので、もしも65歳までのあいだに事故や病気などで障害を負っても、障害年金の請求もできなくなるんです」(中村さん)妻が前倒しで年金を受給していた場合、夫が死んだときに給付される遺族年金等も不利になることがある。ライフイベントごとで、「受け取れるはずだった年金」が受け取れなくなってしまうのはあまりにもったいない。賢く制度を利用して、“人生の危機”に備えよう。
2018年08月23日きちんと払っていれば、誰もがもらえるはずの年金。老後の生活には欠かせないが、場合によっては「もっともらえるはずだった」なんてことも。受け取り漏れのないよう、賢い受給方法を知ろう。「9月の総裁選では、“安倍首相の3選”が有力視されています。今年4月には、財務省『財政制度等審議会財政制度分科会』で『厚生年金の支給開始年齢を65歳から68歳に引き上げる』という案が議論されました。すでに年金財政はカツカツですが、安倍首相が再選した場合、世論への影響を考えて、支給開始年齢の引き上げは“今年中”には実行しないでしょうね。しかし、こうした年金財政のなか、いつなにが起こるかわかりません。自分が受け取れる年金額は、自分の知識で守っていく必要があるんです」こう話すのは、年金制度に詳しい経済評論家の加谷珪一さん。年金についての制度は把握できても、実際自分を取り巻く環境は大きく変わる可能性がある。夫との離婚や、死別、さらには親の介護による“家計難”を不安に感じている人も多いだろう。そこでファイナンシャルプランナーの中村薫さんに、夫との離婚における、主婦の賢い年金受給法を教えてもらった。【ケース:離婚】「年金分割」はマスト!できれば自分の「厚生年金」を確保しよう25歳で結婚し、婚姻期間は25年間、その間の夫の平均年収が400万円だった場合について、中村さんが解説する。「貯蓄も、離婚時に折半する共有財産も多くないかもしれませんので、『年金分割』を考えるはずです。年金分割とは、婚姻期間の夫の全報酬から割り出される年金額の『最大2分の1』を妻が65歳から受け取れる制度です。このケースで試算しますと、年額27万円ほどが受け取れる額です。これに国民年金の年額約77万円を足しても、100万円ちょっとですので、これだけで暮らしていくのは難しいでしょうね」では、60歳になるまで待って離婚した場合、分割の額はどれだけ増えるのだろう?「夫の60歳までの10年間の平均年収が600万円だったとすると、年額約43万円になりますので、10年我慢して増えるのは年額15.6万円ほどです」まだまだ老後のための額としては心もとない……。そこで中村さんが提案するのが50歳で離婚してからの就職だ。「月収20万円、手取り14万円の会社に就職して60歳で退職した場合は、年額168万円以上の収入があります。さらに自身でも厚生年金を10年間納めることになりますから、65歳からの厚生年金受給額は年額約12万円。こちらのほうが前向きとも言えますね」就職によって得た厚生年金年額は12万円。10年間働いた年収の総額は約1,700万円になる。
2018年08月22日「9月の総裁選では、“安倍首相の3選”が有力視されています。今年4月には、財務省『財政制度等審議会財政制度分科会』で『厚生年金の支給開始年齢を65歳から68歳に引き上げる』という案が議論されました。すでに年金財政はカツカツですが、安倍首相が再選した場合、世論への影響を考えて、支給開始年齢の引き上げは“今年中”には実行しないでしょうね。しかし、こうした年金財政のなか、いつなにが起こるかわかりません。自分が受け取れる年金額は、自分の知識で守っていく必要があるんです」そう話すのは、年金制度に詳しい経済評論家の加谷珪一さん。この支給年齢の引き上げに加えて、政府と財務省がもくろんでいるのは「支給年金の減額」だ。「これは、現役世代から徴収する年金収入や、国庫金からの年金財源としての支出の上限を固定してしまう『マクロ経済スライド』によるもの。収入が固定されてしまうと、当然、それぞれに給付される年金額は大幅に減ってしまうというわけです」年金減額も“待ったなし”の状態——この状況に、50代の主婦は不安を漏らす。「65歳になっても年金が減るなら、60歳になったときに前倒しでもらっちゃったほうがいいんじゃないかしら……?」厚生年金、国民年金の受給年齢を繰り上げた「前倒し」受給は果たして正しい手段なのか、加谷さんに解説してもらおう。「前倒しの場合は、支給額は減りますが、早く受給できる。反対に、後ろ倒しの場合は、額が増えますが、死亡するまでに受給できる年数は減るんです」加谷さんの試算をもとに、厚生年金、国民年金における、「60歳前倒し」と「70歳後ろ倒し」の場合の、死亡年齢(60〜100歳の範囲として)までの「生涯受給額」を折れ線グラフで表し比較してみた。真ん中を通る「現行65歳」の線を軸に比較すると、まず前倒しの場合は76歳時点で同額となり、以降は年ごとに減っていく。「後ろ倒し受給を選択したとすると、81歳まで生きれば、本来の65歳で受け取る額より多くもらえます。しかし、人はいつ自分が死ぬのかわからない、ということを念頭に置く必要があるでしょう」一方、「前倒しにもデメリットがある」と話すのは、ファイナンシャルプランナーの中村薫さんだ。「前倒し受給というのは、60歳から64歳までの段階で『65歳になった』と仮定されるものです。すると、60歳からの5年間は『国民年金の任意加入』の対象外となってしまうんです。なぜなら、65歳になってしまうと、この『任意加入』の制度は利用することができないからです」中村さんが語る「国民年金の任意加入」とは、納付期間10年間という受給資格を満たしていない場合と、納付期間が40年未満の場合に追加で加入できる制度。60歳以降も保険料の納付済期間を増やすことができ、老齢基礎年金の額が増える。この制度を利用できなくなるのだ。また前倒し受給には次のデメリットも。【1】夫が前倒し受給した場合、実際より前に65歳になったと仮定されるので、65歳までのあいだに事故や病気で障害を負っても、「障害年金」の請求ができなくなる(障害年金は障害の度合いによって支給額がかわる)。【2】夫が定年後の65歳で復職する場合、年金の支給停止期間中は厚生、国民どちらかの年金がもらえない。【3】妻が前倒し受給した場合、夫が自営業で死別した場合に支給される「寡婦年金」ももらえなくなる。前倒し、後ろ倒しそれぞれの受給方法はメリット、デメリットがはっきり存在しているので、しっかりと把握しておきたい。
2018年08月22日『子どもも親も幸せになる発達障害の子の育て方』著者の立石美津子です。障害基礎年金は自動的に受給はできない!申請のために必要なものとは…Upload By 立石美津子障害のある人は障害基礎年金を20歳から受け取ることができるのは、知っていますか?息子は現在17歳。年金受給できる年齢まであと2年ちょっとです。私は「療育手帳を持っていれば、障害基礎年金は自動的に受け取れるもの」と勘違いしていました。学校の個人面談で担任から、「立石さん、主治医はいますか?いないのであれば、20歳になったら障害基礎年金を受給できるように、申請に必要な診断書を書いてくれる医師を、今から探しておいてください」と言われました。私は、障害基礎年金の受給の申請のためには療育手帳だけ持っていてもダメで、主治医の診断書が必要なのだとこのとき初めて知りました。参考:日本年金機構小児科・児童精神科には年齢制限がある出典 : 私の家の近所に小児専門の国立病院があります。もちろん、発達障害児のための専門外来もあります。でも高校生以上の初診は受けつけていないそうです。発達障害のある子どものかかりつけは、小児科や児童精神科が多いと思います。ですが小児科や児童精神科は、原則として中学生までしか受診ができません。以前は成人期になっても小児科・児童精神科にかかる場合もあったようですが、発達障害の診療ニーズが高まる中、継続しての支援が難しくなってきたという背景もあるようです。また、幼児期は療育に通ったり病院を受診していたりしたけれど、小・中学校時代にはトラブルなく過ごせ、思春期以降も問題行動などの二次障害もなく落ち着いている場合、投薬もなく、主治医を持たないケースもあるでしょう。友人にも「子どもが小さい頃は病院に行っていたけれど、今は定期通院していない」という人が多くいます。そうすると、「障害はあるのに問題行動が落ち着いて病院を離れていた結果、主治医がおらず、年金申請に必要な書類を書いてもらえない」という状態になり、慌てることになってしまうのです。つまり、20歳を迎える前に年金受給申請することになりますが、それまでに成人を診られる病院で主治医を見つけておく必要があります。障害のある子を育てているママ友のなかには、子どもが幼い頃から「年金申請のこと」まで見越して、最初から大人の精神科が併設されているクリニックに通わせている人もいます。でも私は、担任に言われるまで、まったくその知識がありませんでした…。主治医探しの旅へ出典 : 現在、息子は強迫性障害のために大学病院に通院しています。ただ、この病院は「病気の診断を確定して治療方針を立てるところ」です。定期的に通う場合は、住まいの近くのクリニックに転院する必要があるようです。そういう意味ではずっと診てもらえる主治医がいない状態です。わが家の場合、大学病院から他の病院への紹介などはないため、自力で見つける必要があります。都内の精神科のクリニックに電話をしてみました。しかし、まず電話がつながりません。30分電話をかけ続け、やっとつながったとしても「来月の初診枠は満員となりました!」と言われてしまいました。さらに「年金申請の診断書記入目的の新患は受けつけていません」と言われてしまったのです。こうして、病院探しの放浪の旅の途中にあるわが家ですが、医師の立場に立てば、18歳になっていきなり来られても「幼い頃からずっと診てきている訳ではないので、受診してすぐ診断書を書くことは難しい」と考えるのも頷けます。参考:発達障害診療における小児科から精神科へのトランジション | 精神科治療学 第32巻12号(星和書店)精神科医へのスムーズな引継ぎがあれば…出典 : 障害基礎年金の申請支援までして引き継いでもらうことができたら…小児科で診られる年齢と、年金申請までの期間があることなどによって、このような問題が出てきてしまいます。せめて、小児科・児童精神科医が、患者の状態を要約して書面にして成人期の病院へ引き継いでくれたら、精神科医も対応しやすくなると思います。「障害のある人が月に6.5万円(※)を稼ぐことはとても大変です。障害基礎年金があることで、無理なく働くことができるのです」と、知人の社会保険労務士は言います。私もそう思います。ライフラインともいえる障害基礎年金の申請がままならない、制度のはざまでもがく、わが家のような家族はたくさんいると思います。障害基礎年金の申請にも関わる社会の仕組みが、改善されてほしいと強く願っています。そしてまた、わが家のように路頭に迷わないよう、発達障害のある子どもを育てている保護者のみなさんには、中学生になるぐらいから、成人期を見据えた主治医探しをはじめておいてほしいとも思います。(※)「障害基礎年金」年額より算出。障害基礎年金は1級で年額974,125円、2級で779,300円(2018年度)
2018年05月26日老後の生活と聞くと、まずイメージするのが「定年」、そして「年金」。現在の定年は65歳とされていますが、65歳を超えても現役で働いていらっしゃる方は珍しくありません。一方で引退後の暮らしを支える「年金制度」は、予測できない将来のリスクを社会全体で整え、生活を保障していくものであるとされています。しかし、その仕組みの複雑さから自分がいつから、いくら貰えるのか、分からない人も多いというのが現実。皆さんはこの引退年齢と年金についてどう捉えているのでしょうか?働く主婦にそれらの意識について聞いてみました。freeangle / PIXTA(ピクスタ)■ 理想の引退年齢は30%が65歳以上!まさに生涯現役社会の到来!?働く主婦層を対象にした「引退年齢と年金」のアンケートによると、自身の理想の引退年齢は、65歳以上が30.1%とトップ。cba / PIXTA(ピクスタ)次いで、70歳以上が27.7%。全回答者の平均は68.4歳という結果となりました。驚くことに80歳以上を理想の引退年齢と回答された方は10%に上り、高齢になっても働きたいとするポジティブな考え方が印象的です。■ 70歳以降の「年金受給開始年齢の選択可能案」に40%が反対!自身の理想の引退年齢について、全体的に“長く働きたい”という傾向がみられました。しかし、政府が検討している「年金受給開始年齢を70歳以降でも選択可能」という案について賛成か、反対かについての回答を見てみると……。反対派が40%にのぼり、賛成、分からないと回答した人はは3割という結果に。Rina / PIXTA(ピクスタ)反対派の理由としては定年年齢と支給受給年齢が同時でないと意味がない何歳まで生きられるか分からないなどが挙げられます。nonpii / PIXTA(ピクスタ)逆に賛成派・分からないと回答人たちは、昔の70歳より今の人は若いそうしないと年金制度が維持できない受給開始年齢が選択性であれば問題ない元気でいれば賛成、病気になれば反対生活の状況によって決めるべきという回答が挙がりました。自身の引退年齢の理想はポジティブな姿勢が感じられる反面、受給開始年齢については回答の内容から年金ついての不安が感じられる。ここに、大きなギャップが生じていることが分かります。■ 老後の蓄えを知るには、年金の見込額を確かめることが大事!ahirun / PIXTA(ピクスタ)なるべく長く働きたいが、高齢者が働く環境は整っているかが分からない。将来自分がどれくらい長生きできるのか分からないため、受給開始の年齢はいつがベストなのか今現在は不明。しかし、少子化が進む現在、年金制度を支える人口はこれからも減少していくのは事実です。ahirun / PIXTA(ピクスタ)老後の備えについての考え方は人それぞれですが、まずは生活基盤となる年金をいくら受け取ることができるか、見込額を知ることから始めてみてはいかがでしょうか。例えば、『日本年金機構』の「ねんきんネット」であれば現在の仕事状況や、今後の働き方なとの試算条件に回答すると、見込み額の把握が可能となります。ねんきんネット以外にも見込み額のシミュレーションなどはインターネットで可能です。見込額を把握することは、将来の幸せを考えるきっかけの1つになると言えるのではないでしょうか。いかがでしたか?筆者も高齢になっても、働き口があるのであれば少しでも働いていたい派です。高齢になっても働きたいと考える人が多い現代、この状況をプラスに捉え、近い将来高齢者が働くことができる場所や環境が整うことを期待したいですね。【しゅふJOB総研調べ】【参考】※<年金もらうなら65歳?68歳?70歳?>働く主婦に『引退年齢と年金』に関するアンケート/理想の引退年齢:平均値68.4歳※公的年金制度の概要-厚生労働省※年金見込額試算-日本年金機構
2018年05月16日「今回の財政制度分科会で議論された『年金支給65歳→68歳引き上げ』案は、“日本の年金財政はカツカツだ”ということを、言い表しているようなものなんです」 こう語るのは、国の財政事情に詳しい経済評論家の加谷珪一さん。 4月11日、財務省の「財政制度等審議会財政制度分科会」で議論されたのは、「厚生年金支給開始年齢を、現行の『65歳』から『68歳』へと引き上げる」という案だった。 しかし19日、この案を財務省とともに練っている厚生労働省は「68歳への引き上げを見送る」という見解を発表したと報道されたが……。 「あくまで厚生労働省の独自見解。年金財政が逼迫しているという事実は変わりありません。もとより財務省が先導する事案ですので、引き上げの方針を打ち出した財務省の方針にも注目しなければなりません」(加谷さん) このタイミングで“厚生年金の受給年齢引き上げ”が議論されているのはどうしてなのだろうか。 「度重なる問題で窮地に立たされている安倍政権は、3期目に突入した場合、約束していた『’19年10月の消費増税10%』を凍結させる可能性があります。そのうえ首相は、自身の政治課題としていた『’20年度の国の税制健全化』という目標を事実上、取り下げてしまいました。財務省としては、それによる財政の悪化を恐れて、いま出してきたんでしょう」 もし、支給開始がほんとうに引き上げられたら……。いずれ来るものならば、その対策はしておかなければならないはず。そこで、知っておきたい「年金対策術」を考えてみたい。 【1】「年金納め忘れ」していないか確認を! 「転職活動をしていたり、年金手続きをいい加減に行っていた“ブラック企業”に勤めていたりすると年金を納め忘れている可能性があります」(加谷さん) しっかりと自分が年金を納め続けているか、それを確認できるのが自宅に届く「ねんきん定期便」だ。ファイナンシャルプランナーで「元気が出るお金の相談所」所長の安田まゆみさんが解説する。 「国民年金も厚生年金も、加入記録や年金の見込み額が記載されたはがき『ねんきん定期便』が毎年の誕生月に日本年金機構から送られてきます。誤配送されていて何年も届いていなかった方で、じつは納め漏れがあったというケースもありますから、毎年キチンと受け取っているかは確認しましょう」 この「ねんきん定期便」、見方がわからなければ年金機構に電話すると教えてくれるが、「時間があれば年金機構の窓口を訪ねるのがいい」と安田さんは話す。 「もし納め漏れがあった場合、5年間さかのぼって納められる後納制度がありますが、今年の9月いっぱいで打ち切られてしまいます。でも、それまでに全部納めようとすると多額になってしまう場合もありますね。そんな場合には、60歳から70歳までも納められる『国民年金の任意加入制度』があります。これも年金機構に問い合わせてみるといいでしょう」 年金の納付状態は、年金機構のホームページ「ねんきんネット」でも確認することができる。利用するには年金手帳に記載されている「基礎年金番号」が必要なので、年金手帳も定期便といっしょにわかりやすい場所に保管しておこう。 【2】「前倒し」「後ろ倒し」受給は使うべき? 現行では、支給開始年齢は65歳。しかし、60歳から前倒して受給できることが可能だ。「早く年金が欲しい!」と手を出してしまいそうになるが……。 「たとえば60歳から受給すると、65歳から受け取れる額の30%減となってしまいます。そして、その減額率は亡くなるまで変わらないんです。逆に、1年後ろ倒しするごとに、受給できる比率は上がっていきます。でも、どんどん年を重ねていくわけですから、亡くなってしまう日が確実に近づいていく。受給前に死亡してしまえば、年金は受給額ゼロなんです。この制度は、特別な事情がない限り、手を出す必要はないでしょうね」(加谷さん) 【3】やはり「生涯労働」は考えておこう 「年金受給引き上げも含め、安倍政権が“一億総活躍社会”を掲げてもくろんでいるのは、国民の『生涯労働』だというのは明白です。高齢者の雇用としては、介護、接客、サービス業、メンテナンスなどの軽作業を伴う労働などが考えられます。元気な限り働き続けることは考えておくべきでしょう」(加谷さん) 【4】いまや資産運用は「マスト」です! 安田さんは、老後の資産難への対策として「投資はマスト」と語る。 「投資などの資産運用は、バリバリ働ける50歳ごろまでには始めたほうがいいですね。月5万円貯金できるとすれば、そのうち1万円をiDECO(個人型確定拠出年金)のような、所得控除の対象となるものや、つみたてNISA(非課税の小額投資)など、毎月コツコツと分散投資できるものから始めるのがいいと思います。65歳までの15年も続けていれば、そのときどきで投資資産の増減はあるにしても、長期による積立投資で資産全体が増える可能性は大いにあります。しかし、投資はキチンと勉強してから。いろんな金融機関で勉強会が開かれていますが、いつのまにか高い商品を買わされてしまうという例もあります。金融機関がついていないNPO『確定拠出年金教育協会』などの団体の運営サイトをのぞいてみることから始めるのもいいでしょう」 理不尽な国策でも、自分の身は自分で守らなければいけない時代。しっかりと対策を立てて損はないだろう。
2018年05月04日「『超高齢社会』といわれて久しい日本。厚生年金や国民年金の徴収分だけではすでに、65歳以上の受給者への支給額を賄えなくなってきています。今回の財政制度分科会で議論された『年金支給65歳→68歳引き上げ』案は、“日本の年金財政はカツカツだ”ということを、言い表しているようなものなんです」 国の財政事情に詳しい経済評論家の加谷珪一さんは、こう話す。 4月11日、財務省の「財政制度等審議会財政制度分科会」で議論されたのは、「厚生年金支給開始年齢を、現行の『65歳』から『68歳』へと引き上げる」という案だった。 しかし19日、この案を財務省とともに練っている厚生労働省は「68歳への引き上げを見送る」という見解を発表したと報道されたが……。 「あくまで厚生労働省の独自見解。年金財政が逼迫しているという事実は変わりありません。もとより財務省が先導する事案ですので、引き上げの方針を打ち出した財務省の方針にも注目しなければなりません」(加谷さん・以下同) このタイミングで“厚生年金の受給年齢引き上げ”が議論されているのはどうしてなのだろうか。 「度重なる問題で窮地に立たされている安倍政権は、3期目に突入した場合、約束していた『’19年10月の消費増税10%』を凍結させる可能性があります。そのうえ首相は、自身の政治課題としていた『’20年度の国の税制健全化』という目標を事実上、取り下げてしまいました。財務省としては、それによる財政の悪化を恐れて、いま出してきたんでしょう。財務省もいまそれどころではないはずですが……」 森友学園の文書改ざん問題、福田事務次官の女性記者へのセクハラ問題……問題を起こしているのは財務省のほうなのに、なぜ、こうも国民が苦しい思いをしなければならないのかーー。 加谷さんは、財務省が描く「年金削減構想」について説明する。 「国民から徴収している保険料が年間およそ33兆円、国が支出する分が12兆円、計45兆円が年間で用意できる保険料です。しかし、いま年金支給に必要な財源は50兆円なので、5兆円足りない計算なんです」 そもそも、国が’04年より導入したシステムに問題があると加谷さんは説く。 「’04年以降、年金財政のシステムは現役世代が納められる額や、国庫金からの支出の『上限を固定する』という考えです。ですから、高齢者の人口が増えれば、年金給付額を大幅に減らすことが念頭にあったんです。分科会では、3年引き上げによるメリットとして、『高齢就労の促進』を挙げています。しかし、いまの日本は『人手不足』で、高齢者も就労意欲が高いのはもともと。取ってつけた口実のようにもみえますね」 さらに、目前の’25年には団塊の世代が75歳を迎えることもあり、給付に必要な総額が増大するのは確実なのだ。 「もしも今回は先送りしたとしても、近い将来、支給年齢の引き上げと年金減額は必ずやってくるに違いないと思います。最悪のシナリオは覚悟しておいたほうが賢明でしょう」
2018年05月03日「今回の財政制度分科会で議論された『年金支給65歳→68歳引き上げ』案は、“日本の年金財政はカツカツだ”ということを、言い表しているようなものなんです」 そう話すのは、国の財政事情に詳しい経済評論家の加谷珪一さん。 4月11日、財務省の「財政制度等審議会財政制度分科会」で議論されたのは、「厚生年金支給開始年齢を、現行の『65歳』から『68歳』へと引き上げる」という案だった。 しかし19日、この案を財務省とともに練っている厚生労働省は「68歳への引き上げを見送る」という見解を発表したと報道されたが……。 「あくまで厚生労働省の独自見解。年金財政が逼迫しているという事実は変わりありません。もとより財務省が先導する事案ですので、引き上げの方針を打ち出した財務省の方針にも注目しなければなりません」(加谷さん・以下同) このタイミングで“厚生年金の受給年齢引き上げ”が議論されているのはどうしてなのだろうか。 「度重なる問題で窮地に立たされている安倍政権は、3期目に突入した場合、約束していた『’19年10月の消費増税10%』を凍結させる可能性があります。そのうえ首相は、自身の政治課題としていた『’20年度の国の税制健全化』という目標を事実上、取り下げてしまいました。財務省としては、それによる財政の悪化を恐れて、いま出してきたんでしょう」 もし、支給開始がほんとうに引き上げられたら……。加谷さんが、厚生年金だけでなく、国民年金や共済年金の受給年齢も引き上げられてしまった場合の“最悪のシナリオ”をシミュレーションしてくれた。 「夫が平均年収600万円のサラリーマンで、妻が専業主婦の場合、65歳から支給される老齢基礎年金(国民年金)は夫が月額6.4万円で、妻が5万円となります。これに会社の厚生年金の月額12万円が加わるので、現行の制度では夫婦の合計が月額23.4万円、年収280万円となります。ところが平均寿命の84歳まで、65歳から19年生きると仮定した場合、年金が減額されると、夫婦で月額7,000円ほど引き下げられる見込みです。さらに、現行より3年分受給できない“空白の3年間”がありますから、含めれば、月額4万4,000円もの減額となるんです」 もちろん、人は自分がいつ死ぬかわからないのだから、目安として「平均寿命84歳」としているが、そこまで生きたとしても、なんと月額4万円超もの減額とは、とても大きな“損失”だ。 「夫が公務員で妻が専業主婦の場合、年金が減額されると、夫婦で月額7,600円ほど引き下げられる見込みで、“空白の3年間”を含めれば、およそ月額4万7,600円もの減額となってしまいます。夫が自営業者で、妻が専業主婦の場合は夫婦で月額3,700円ほどの引き下げ。“空白の3年間”の分を含めれば、月額2万3,700円もの減額となってしまうんです」
2018年05月03日自分たち夫婦が年金をいくらもらえるか、あなたはご存知ですか?「共働きだから年金も2倍もらえる」「共働きで今は大変だけど、老後は夫婦で厚生年金がもらえるから大丈夫!」と考えているかたは、もしかしたら危険かもしれません。今回は、知らないと損する「共働き夫婦の年金のこと」についてご紹介します。 1. 共働き夫婦が得られる年金の平均金額平成28年度の厚生労働省の調査によると、老齢年金受給額の月額平均額は、男性が166,863円・女性が102,708円となっています。男女合計で月に269,571円支給されるということですね。ただし、妻が入社からずっと正社員で働いている場合や、子育て等で途中専業主婦やパートになった期間があり、契約社員や正社員として働いている場合等では、もらえる年金の金額も変わってくるので、一概には言えません。年金の仕組みをおさらい年金は日本在住で20歳以上60歳未満のすべての人が加入する「国民年金(基礎年金)」と、会社員や公務員が加入する「厚生年金」の2階建てとなっています。今回は「共働き夫婦の年金」のお話なので、主に厚生年金についてご紹介します。国民年金の保険料は全員定額。厚生年金の保険料は収入に対して定率となっており、ひとそれぞれ額が異なります。ちなみに厚生年金保険料には国民年金保険料が含まれています。年金はいつからもらえる?年金受給は基本的に65歳からですが、希望すれば60歳から65歳になるまでの間でも繰上げることが可能。ただし年金額が減額し、一生減額したままです。逆に66歳から70歳までの間で繰下げることも可能です。その場合は年金額が増額し、一生増額したままます。 2. 年金受給金額の試算のやりかた受給金額の試算方法についてご紹介します。65歳以上でもらう場合の計算式は「報酬比例年金額+経過的加算+加給年金額」。具体的には以下のとおりです。報酬比例年金額の求めかた(ア)平均標準報酬月額×生年月日に応じた率×平成15年3月までの被保険者期間の月数(イ)平均標準報酬額×生年月日に応じた率×平成15年4月以降の被保険者期間の月数(ア)+(イ)=報酬比例年金額※平均標準報酬月額=被保険者であった期間の給与の平均金額※平均標準報酬額=給与と賞与を合算した額の平均金額※生年月日に応じた率はこちら経過的加算の求めかた(平成30年4月現在)(ア)1,625円×生年月日に応じた率×厚生年金保険の被保険者月数(イ)779,300円×昭和36年4月以降で20歳以上60歳未満の厚生年金保険の被保険者月数/(加入可能年数×12)(ア)-(イ)=経過的加算加給年金額とは厚生年金保険の被保険者期間が20年以上あり、65歳到達時点(または定額部分支給開始年齢に到達した時点)で、その方に生計を維持されている下記の配偶者または子がいるときに加算されます。そのためには届出が必要。・配偶者:224,300円・1人目、2人目の子:各224,300円・3人目以降の子:各74,800円※配偶者は65歳未満であること※配偶者が老齢厚生年金(被保険者期間が20年※以上であるもの)を受けている場合は支給停止※子どもは18歳到達年度の末日までの間の子か、1級・2級の障害の状態にある20歳未満の子であること※その他にも注意があるので詳しくはこちら 3. 実際に年金はいくらもらえるのかそれでは実際にいくらもらえるのか、3つのケースでざっくり試算してみたので、参考にしてみてください(あくまでざっくりです)。ケース1:年収500万の共働き夫婦30歳時点で平均年収500万円の共働き夫婦。夫の平均年収が350万円、妻が150万円。お互い60歳まで(38年間)この年収で働く予定の場合。夫:月額約125,000円妻:月額約90,000円計:月額約215,000円ケース2:妻に空白期間がある場合40歳の共働き夫婦で、夫が平均年収500万、妻が10年間専業主婦もしくは扶養内のパートだった。現在は平均年収200万。お互い60歳までこの年収で働く予定の場合。夫:月額約150,000円妻:月額約89,000円計:月額約239,000円ケース3:年収850万の共働き夫婦40歳の共働き夫婦で、夫が平均年収500万、妻が350万。お互いに60歳までこの年収で働く予定の場合。夫:月額約150,000円妻:月額約125,000円計:月額約275,000円※実際に試算したい・試算方法を見てもよくわからない場合は、「ねんきんネット」で試算できます。共働きの年金で損になるケース妻が専業主婦や扶養内パートの場合、妻の年金が月額64,941円(平成30年4月現在)しかもらえないので、共働きのほうがお得に感じますが、「配偶者加給年金」というものがあり、場合によっては共働きで損をしてしまうこともあります。もし妻が夫より年下の場合、妻が65歳になるまで配偶者加給年金として年間224,300万円がもらえます。昭和18年4月2日以後に生まれたかたは165,500円がプラスされ、年間計389,800円も夫の年金として受給できます。10歳差なら400万近くプラスに。しかし配偶者加給年金の条件として、夫の厚生年金加入歴が20年以上で、妻の加入歴が20年未満となっています。配偶者加給年金を受給したい歳の差夫婦の妻は、共働きを20年未満に抑える必要があります。 4. 老後の資金はいくら必要?共働き夫婦の老後に必要な資金についてご紹介します。老後に必要な生活費総務省統計局の「平成29年度家計調査報告世帯属性別の家計収支(二人以上の世帯)」によると、高齢夫婦無職世帯(世帯主平均年齢75.3)の1ヶ月の実収入と消費支出は以下の通りだそうです。1ヶ月の平均実収入:209,198円1ヶ月の平均消費支出(生活費等):235,477円1ヶ月の平均非消費支出(税金):28,240円つまり毎月、54,519円の赤字になっているということです。最低でも263,717円の支出を覚悟しておかないといけないみたいですね。老後に必要な貯金額それではいくら貯蓄が必要なのか。同い年の共働き夫婦だと仮定し、60歳で退職し65歳まで年金をもらわないとなると、その期間だけの必要貯蓄は、支出263,717円×12ヶ月×5年で15,823,020円。65歳から年金受給で90歳まで生きると仮定すれば、赤字54,519円×12ヶ月×25年で16,355,700円必要に。合計約3,200万円の貯蓄が必要になるということですね。また、生命保険文化センターの「平成28年度 生活保障に関する調査(速報版)」によると、「ゆとりある老後生活費」は月額34.9万円だそうです。平均消費支出(生活費等)が235,477円なので、ゆとりある生活を送るために113,523円が毎月必要となるということは、113,523円×12ヶ月×30年で40,868,280円。先ほどの最低でも必要な貯蓄額と合わせると、約7,300円という結果に。少子高齢化社会により、年金額が減っていくといわれています。年金受給中の赤字を覚悟して、最低でも3,000万円以上の貯金が必要みたいですね。 5. もしものことがあったときもしものことを考えるなんて……と思うかもしれませんが、その時突然何かあってからでは遅いため、一応知識だけは知っておくと安心ですよ。もしも1. 夫が死亡した場合年金はどうなる?18歳未満の子どもがいる場合、「遺族基礎年金」が受け取れます。また、「遺族厚生年金」も受け取れます(ただし、30歳未満の子のない妻は、5年間の有期給付)。夫の死亡時に妻が40歳以上65歳未満で、子どもがいない・子どもが18歳以上の場合は、妻が65歳になるまで「中高齢寡婦加算」が加算されます。もしも2. 妻が死亡した場合年金はどうなる?18歳未満の子どもがいる場合、「遺族基礎年金」が受け取れます。夫が55歳以上の場合は、60歳から「遺族厚生年金」が支給されます(夫は遺族基礎年金を受給中の場合に限り、遺族厚生年金も合わせて受給可能)。もしも3. 熟年離婚した夫婦の年金はどうなる?離婚後2年以内に手続きすることで、婚姻期間中の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)を分割することができます。分割割合の上限は50%となっており、夫婦で話し合う必要があります。 共働き夫婦といっても、年金だけで老後のお金を賄うことは難しそうです。将来年金がどうなっているのかもわからない時代。60歳で退職した場合は、65歳になるまで貯金でやりくりするしかないため、最低でも60歳になるまでにはまとまった額の貯金が必要でしょう。老後資金を年金以外でも確保するためには、ファイナンシャルプランナーに相談してみて、資金計画をたててみると良いかもしれません。何歳にどのくらいのお金がかかる、どのくらい貯められる……など目安になります。また、個人型確定拠出年金(iDeCo)等、積み立てや投資信託などの運用で、自分で年金制度を作ってみるのも良いかもしれません。60歳以降に年金または一時金で受け取ることができ、節税もできます。老後のことはだれにも分かりませんが、「お金が必要」だということははっきりしているので、今から意識して老後資金を確保するようにしましょう。 参考:日本の公的年金は「2階建て」平成28年度厚生年金保険・国民年金事業の概況老齢年金(昭和16年4月2日以後に生まれた方)年金額の計算に用いる数値は行平均標準報酬月額総務省統計局ホームページ家計調査報告(家計収支編)―平成29年(2017年)平均速報結果の概要「平成28年度 生活保障に関する調査(速報版)」まとまる遺族厚生年金(受給要件・支給開始時期・計算方法)離婚時の厚生年金の分割個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」とは?
2018年04月24日「公的年金の受け取り開始年齢について、70歳を超えてからも可能とする案を、政府が検討しているようです。現行の制度では、年金は原則65歳からの支給です。しかし、前倒しして60歳から受け取ることも、最長で70歳からに遅らせることもできます」 そう語るのは、経済ジャーナリストの荻原博子さん。65歳より早くもらうのが「繰り上げ」で、1カ月早めるごとに、年金は0.5%減額される。反対に、65歳より遅くもらうのが『繰り下げ』で、1カ月遅らせるごとに0.7%上乗せになる。荻原さんが解説してくれた。 「今、政府が検討しているのは、受給開始が70歳を超えても可能となるよう、選択の幅を広げることです。しかし受け取る側としては、受給を遅らせると、もらえない期間が長くなる一方、上乗せ分で得するために、より長生きしなければなりません。ある意味では、自分の寿命をめぐっての“賭け”ですから、特典である上乗せ率を今より引き上げないと、繰り下げを選ぶ人は少ないでしょう」(荻原さん・以下同) 政府も、70歳を超えた年齢での受給を選択した場合、上乗せ率を引き上げる方針だ。ただし、まだ具体的な年齢は決まっていない。 「仮に75歳とし、上乗せ率を引き上げた場合を考えてみましょう。65~70歳は現行どおりの上乗せ率0.7%で、70~75歳の上乗せ率を0.8%に引き上げたとします(パターンA)。すると、75歳からに繰り下げた場合の年金は90%アップ。65歳からの受給で、月額10万円とした場合、75歳からに繰り下げると、月19万円になる計算です」 パターンAの場合、長生きすると得になり、早く亡くなると損になる「損益分岐点」は86.1歳。これを超えて長生きすると得になる。 「ただし、特に男性で86.1歳より長生きする自信のある方は、どれくらいいるでしょうか。パターンAを選ぶ方は少ないと思われます。ではさらに、上乗せ率を上げてみましょう。65~70歳までは同じ0.7%で、70~75歳を0.9%とします(パターンB)。この場合、75歳からの年金は96%アップです。ただ私は、そもそも75歳からを選択する人は、あまり多くないのではと思います」 高齢となっても健康上の問題がなく、日常生活を制限なく過ごせる期間を「健康寿命」という。男性が71.19歳で女性が74.21歳(’13年・厚生労働省)だ。 「つまり、受給年齢75歳とは、男女とも健康寿命を超えてから。たとえ多めに年金をもらっても、楽しく使えないのでは、意味が薄れてしまうのではないでしょうか。しかし、年金財政の悪化を食い止めたい政府としては、受給開始年齢自体を、現行の65歳から67、68歳へと引き上げたい思惑があるのでしょう。今回の選択制の検討は、その布石ではないかと思います。今後の政府の動きには、ますます注意が必要です」
2018年02月02日「公的年金の受け取り開始年齢について、70歳を超えてからも可能とする案を、政府が検討しているようです。現行の制度では、年金は原則65歳からの支給です。しかし、前倒しして60歳から受け取ることも、最長で70歳からに遅らせることもできます」 そう語るのは、経済ジャーナリストの荻原博子さん。65歳より早くもらうのが「繰り上げ」で、1カ月早めるごとに、年金は0.5%減額される。反対に、65歳より遅くもらうのが『繰り下げ』で、1カ月遅らせるごとに0.7%上乗せになる。荻原さんが解説してくれた。 「たとえば、現行制度で70歳からの受給に繰り下げたとします。すると、65歳から70歳の5年間は年金がもらえませんが、70歳からの受給額は、上乗せ0.7%×60カ月(5年)=42%アップになります。このように受給開始を繰り下げた場合、上乗せ金額と、もらえない期間の金額を比べて、何歳まで生きれば特になるのか、試算してみましょう」(荻原さん・以下同) Pさんの年金は、原則どおり65歳からの受給で、月額10万円とする。これを70歳からに繰り下げると、5年分の10万円×60カ月=600万円はもらえない。だが、70歳以降は10万円×42%=4万2,000円が上乗せされ、毎月14万2,000円を受け取れる」 「もらえなかった600万円を、上乗せ分で回収するには、600万円÷4万2,000円=142.9カ月=11.9年かかります。つまり70歳からの受給に繰り下げた場合、Pさんは81.9歳より長く生きると得、早く亡くなると損になります。この損得の分かれ目を『損益分岐点』といいます」 現在、平均寿命は男性80.98歳、女性87.14歳(厚生労働省)だ。 「これを参考に、先ほどの損益分岐点と、自分の健康状態から「私なら損益分岐点より長生きできるはず!」と思える方が、繰り下げを選ぶことになります」
2018年02月02日指定流通機構(レインズ)とは指定流通機構(通称、レインズ)とは、宅地建物取引業法に基づき国土交通大臣が指定した不動産流通機構のことをいいます。不動産業者は、この指定流通機構に登録されたすべての物件を閲覧することができ、これにより買主に最適な物件を早急に見つけることが可能です。このような不動産流通の円滑化を目的に、全国に4法人(東日本、中部圏、近畿圏、西日本)の不動産流通機構が設立されています。指定流通機構の役割とは指定流通機構は不動産物件の情報を一元化しているコンピュータネットワークシステムですが、その役割は何でしょうか。不動産流通機構の役割として、以下の3つが挙げられます。不動産情報の交換不動産業者が売主の依頼により媒介契約を受けた場合、指定流通機構に物件情報などを登録する必要があります(一般媒介契約の場合は依頼者の任意)。上述したように指定流通機構は、登録された物件情報すべてを不動産業者が閲覧できるようにしています。こうすることで、迅速に買主を見つけることが可能となります。指定流通機構は、不動産流通の円滑化が促進される働きを担っているといえるでしょう。成約情報の集約登録した物件の売買契約が成立した場合、不動産業者は以下の項目を指定流通機構に通知する必要があります。『登録番号、売買契約の年月日、取引価格』不動産業者がいつまでも成約済みの物件情報を掲載していては紛らわしいので、成約したらすぐにその旨を指定流通機構に通知する義務があるのですね。ところで、物件価格はどのようにして決められているかご存知ですか。実は物件の販売価格などは、不動産業者が対象物件の近隣の成約価格(実際に販売された価格)を基にして決めています。指定流通機構は、この成約された物件情報を集約することで、不動産業者が次の取引を適切に行えるよう、その環境を提供しているのです。取引情報の提供近年インターネットが普及したことから、私たち消費者は不動産取引情報をスマートフォンなどで収集するようになりました。私たちは不動産に関しては素人なので、相場関係が分かりません。これでは不動産取引時に情報弱者となるといった懸念から、指定流通機構は不動産取引情報提供サイト「RMI(レインズ・マーケット・インフォメーション)」を公開しています。このサイトでは、指定流通機構が保有している成約物件の情報を、私たち消費者でも閲覧できるようになっています。こうすることで、私たち自身の目で取引の相場価格を把握することができ、安心して取引を行うことができます。まとめ不動産業界には、取引流通の円滑化や購入者の利益保護を図るべく、物件情報などを指定流通機構に一元化していることが分かりましたね。不動産業者は不動産取引のプロではありますが、常に正確な情報を提供しているとはいえません(しないと犯罪ですが、私たち素人ではわからない情報もあり隠そうとします)。不動産取引を行う際には、ぜひご自身の目で指定流通機構のRMIで取引相場を確認するようにしてみましょう。
2018年01月23日「親なきあと」とは?今できることはある?「親なきあと」相談室を主宰する行政書士・渡部先生×自閉症の子を育てる立石さんの対談からUpload By 発達ナビ編集部「子どもは学校を卒業したら働き、いつかは自立して巣立っていく―」。それが当然だと思っていたけれど、障害のある子を授かり、そうではないこともあるのだと気づいた保護者も多いのではないでしょうか。保護者がサポートできなくなった後も、子どもの人生は続きます。子どもが幸せに、自分らしく生きていくためには、親が元気なうちに準備しておく必要があります。この企画では、「親なきあと」相談室を主宰する行政書士・渡部伸先生と、自閉症児の母であり「LITALICO発達ナビ」でコラム連載を持つ立石美津子さんとの対談を通して、障害のある子の保護者が「親なきあと」に備えて何をしておけばよいのかについてお伝えします。Upload By 発達ナビ編集部発達ナビ編集部(以下、編集部)今日は、行政書士であり「親なきあと」相談室を主宰する渡部伸先生と、自閉症のあるお子さんを育てている立石美津子さんに、「親なきあと」について知っておくべきこと、やっておくべきことなどお話いただければと思っています。立石美津子さん(以下、立石)私の息子は自閉症です。来年度は高校3年生になります。学校でも、就労の実習を行う機会があったり、親として就労セミナーに出席したりしています。学校卒業後の就労や、将来的にどういったところで暮らすかなど、具体的に考える時期になりました。渡部伸先生(以下、渡部)私は市民後見人として成年後見などにかかわるほか、「親なきあと」相談室の活動を通していろいろな場所で講演を行い、直接相談も受けています。そういう中で、たくさんの保護者の方とお話する機会があります。また、私の次女には知的障害があります。講演などでよく質問を受けることや、みなさんが不安に思っていること、疑問に感じていることなどについて、お話できたらと思います。立石発達ナビを見ている保護者の方は、まだお子さんが小さい場合も多いですよね。でも、就学問題などの数年先のことを考えるだけでなく、人生という長いスパンで考えてもらいたいなと思っています。学校を卒業してから、そして親なきあとのほうが人生長いですから。お子さんの将来を見据えて、子どもが小さいうちからできることを、今日は渡部さんとお話していきたいです。編集部先日「親なきあと」についてのユーザーアンケートを取りました。「一人で暮らせるのか。難しい場合、どこで受け入れてもらえるのか」といった暮らしの場についての悩みや、将来に備えて貯蓄をしているが、「どのくらい準備すべきか分からない」「なかなか貯められない」という声、「自分の子どもの障害の程度の場合、どんなサービスが受けられるか分からない」「お金を残しても散財しそう」といった、福祉サービスや金銭管理についての疑問も多く寄せられました。「親なきあと」のお金はどうなるの?障害年金や、就労による収入は?Upload By 発達ナビ編集部立石では、まず親なきあとのお金の問題について伺ってもいいでしょうか?障害のある子には、親がのこした財産以外に、どういった収入がありますか。渡部まずもらえるお金として考えられるのは、障害年金ですね。これは、20歳以上の障害のある人に年金が支給される制度です。受給額は障害の等級によって変わってきます。ちなみに、障害年金には、障害基礎年金と障害厚生年金がありますが、障害厚生年金は厚生年金に加入している人が障害状態になった場合に支給されるものなので、ここでは障害基礎年金についてお話ししますね。立石障害基礎年金は、1年間でだいたいいくらぐらいもらえるんですか?渡部毎年変動はありますが、障害基礎年金は1級で年間974,125円、2級で779,300円です(2017年度)。また、受給者本人の所得に応じての制限があって、所得が一定額以上になると、年金額が半額になったり、全額支給停止になります。また、障害があると受け取れる手当や医療費の助成などは、障害者手帳を持っていることが支給要件のことが多いです。要件や受け取れる額は都道府県や市区によって異なるので、確認してほしいと思います。参考:障害基礎年金の受給要件・支給開始時期・計算方法|日本年金機構出典 : 立石障害年金は、障害者手帳を持っていないと受け取れないんですか?(注:障害者手帳には「身体障害者手帳」「精神障害者保健福祉手帳」「療育手帳」の3つの種類があります。)渡部障害年金の判定と手帳は別な手続きなので、直接手帳の有無とは関係しません。障害年金は障害者手帳があるだけで申請できるのではなく、別の申請方法になります。ただし、年金の申請時に手帳を提出すると、障害状態を確認する補足資料になります。立石障害年金を申請するには、ドクターに診断書を書いてもらう必要がありますよね?でも、障害年金を申請するときには病院との関係が切れてしまっていて、子どもの状況を理解してくれているドクターが見つからないということも耳にします。渡部知的障害の診断書は原則精神科のドクターに書いてもらいますが、慣れていないとどう書けばいいのかわからず、お願いしても断られてしまうこともあるんですよ。立石子ども病院にかかっていると、18歳になるとみてもらえなくなったり、小さい頃は定期的に通院していても中高生の頃に通院しなくなることもありますからね…。まわりには、これを見越して早めに転院しているご家庭もあります。うちももう少し早く動くべきだったなと今さら後悔しているところです。渡部小児科のドクターが主治医の場合でも診断書は書けますが、断られることも多いと聞きますね。小児科から転院する場合に、紹介状なりをきちんと書いてもらって引き継げるとよいのですが。立石発達ナビのユーザーは小さいお子さんの保護者が多いと思いますが、「障害年金の申請のことも見越して、18歳以降もみてくれる病院にかかっておいたほうがいいですよ」と伝えたいです。編集部「(現在の)主治医にいつかみてもらえなくなるかもしれない」ということは、小さい子の保護者は気づきにくいですし、障害者手帳の申請方法を知らないことも多いと思います。立石さんもお話してくださったように、「18歳以降どこでみてもらえるのか、ほかの病院へ紹介はしてもらえるのか、転院のタイミングはいつがよいのか」など、早めに主治医に確認しておけると安心ですね。編集部話を収入のことに戻したいと思います。企業に障害者枠で一般就労する場合、平均賃金はどのくらいなんでしょうか?渡部企業の障害者雇用枠内で働いている場合の賃金は、もちろん個人差はありますが、現状だとだいたい月に12~13万円ぐらいが平均です。なので、障害年金が満額受給できる範囲内の収入となる人が多いと言えます。障害年金の等級が2級だと年金は毎月約6.5万円。つまり、合計して1か月あたり20万円弱の収入となります。立石一般就労でなく、就労移行支援事業所や就労継続支援B型の場合はどうなりますか。渡部就労継続支援A型の事業所で月67,795 円、B型の事業所で月15,033円(平成27年度)が平均値です。就労移行支援の場合は訓練なので、原則として支払われません。立石就労継続支援の事業所だと賃金はぐっと低くなりますね。生活も厳しくなりそうです…。平成27 年度工賃(賃金)の実績について | 厚生労働省福祉サービスなどを活用し、出ていくお金を抑えることが大切Upload By 発達ナビ編集部渡部収入はある程度限られますから、「出ていくお金」をいかに抑えるか、ということが大事なんですよ。立石というと?渡部例えば、グループホームへの支払いについては、過度な負担にならないような仕組みがされています。国からの助成金は全国統一で1万円、それに加えて独自の助成金を出している自治体もあります。東京都の場合は、合計最大2万4千円の補助があります。障害者手帳があると受けられるサービスや助成などを活用して、出ていくお金をなるべく抑えることが大切になります。交通機関の乗車料金や携帯電話料金の割引、上下水道の基本料金の免除のほか、医療費の助成もあります。税金についても住民税の非課税や控除、所得税の控除がされますね。手帳がなくても、ヘルパー派遣など、必要だと判断されたサービスについて支援を受けることができます。立石限りある財産や収入だから、行政からの助成や支援をきちんと受けられるように整えて、生活に困ることがないようにしないといけないんですね。参考:障害者の利用者負担|厚生労働省参考:障害者と税 | 国税庁「親なきあと」、お金を適切に管理する方法とは?Upload By 発達ナビ編集部渡部それに加えて必要になるのは「出ていくお金を誰がどう管理するか」です。立石せっかく親御さんがのこした資産をだまされてとられてしまったとか、散財してしまいお金が全部なくなってしまったという話も聞きますよね。渡部親が子どものためにのこした大切なお金をきちんと管理して、毎月決まった額を子どもに渡していける制度があるんですよ。立石どんな制度ですか?渡部「信託」という制度です。信託というのは、「信頼している人や企業法人に、資産を託して、きちんと管理してもらう」ことです。最近は、「民事信託」が認められるようになって、家族・親族など特別な資格を持っていない人に託すこともできるようになっています。民事信託は非営利が基本なので、管理費用が基本的にかからないことも活用しやすいポイントです。立石親族でも信託できるんですか。渡部はい。たとえば、母一人子一人の親子がいるとします。子どもが母親の財産を相続したとき、管理できないと困りますよね。このとき、信頼できる親族に信託することができます。たとえば、母親が甥と信託契約を結ぶと、財産は甥が管理・保有することになります。甥は信託銀行などの中に専用の口座を作り、そこにお金を預け、月々相続人である子どもに渡していきます。こうすると、子どもが散財したりだまされたりというリスクがなくなり、長い間しっかり守られます。また、子どもが亡くなった後、通常は使いきらなかった資産は国庫に入りますが、信託をすることで、亡くなった後のお金の行き先も決めることができます。お世話になった社会福祉法人へ寄付するとか、親の会に寄付するとかもできます。もし仮に、甥が破産してしまうようなことがあっても、信託財産は甥の財産から独立しているので、守られます。編集部信託した財産を、甥がきちんと管理してくれるかをチェックできるように、第三者に監督を頼むことはできるんですか?渡部甥を監督する受託者信託監督人というのも設定できますが、そもそも甥を信頼して託しているのならコストをかけてまで監督人をつけるべきなのか。甥も「信頼されていない」とがっかりしてしまうかも。それなら信託銀行に頼んだほうがいいかもしれませんね。編集部頼める親戚などがいない場合は、金融機関などに頼めばいいんでしょうか。渡部信託の免許を持っている信託銀行や信託会社に頼むことができます。管理費はかかりますが、企業なので管理に対するチェックも厳しく、安心感があるという利点もあります。以前に比べて信託する金額のハードルも下がっているようです。手数料も抑えられるようになってきました。信託している銀行が破綻してしまった、というようなときも信託財産は銀行の財産とは区別して管理することが法律で義務付けられていますから、安心です。それから、障害のある人が活用できる信託制度として、「特定贈与信託」といものがあります。これは、子どもや孫などに贈与をする際、特定障害者や特別障害者だと、3,000万円もしくは6,000万円まで非課税になる制度です。ちなみに、通常は年間110万円以上の贈与は、贈与額に応じて10~55%の贈与税が課税されます。特定贈与信託は信託銀行などに商事信託する必要がありますが、このとき、成年後見人をつけることが条件となっている場合もあります。参考:贈与税の計算と税率(暦年課税)| 国税庁立石贈与や相続できる財産が不動産しかないなんてこともありますよね。そういう場合でも信託できるんですか?渡部信託銀行での信託は、通常は金銭での受託のみです。ですが、一部の信託会社では、不動産で特別贈与信託が可能だと聞いています。駐車場や賃貸物件などの管理・運用を信託して、運用益を生活費として支給する例などがあるようです。保護者存命中に、親なきあとの不動産資産の管理・運用について信託できますし、非課税で贈与することで、万が一の際の相続対策も兼ねられますね。参考:不動産信託活用事例集|スターツ信託株式会社立石もう少し少額でも、金融機関に信託できる方法ってないんですか?渡部少額から始められて、信託ってどういうものかという仕組みも理解できるのが、生命保険信託です。生命保険会社と信託会社が組んで、死亡保険金を信託するという商品です。第一生命とみずほ信託銀行、ソニー生命と三井住友信託銀行、プルデンシャル生命とプルデンシャル信託会社、また最近では障害者向け保険を取り扱うジェイアイシーがみずほ信託銀行・FWD富士生命と組んで、生命保険信託商品を出しています。福祉は自己申告制。「親なきあと」、支援の網の目からこぼれ落ちないためには?出典 : 編集部相続でもなにか対策できることや、活用できる制度はあるんでしょうか?渡部相続では、障害者控除枠があります。金額は重度の特別障害者が(85-相続発生時年齢)×20万、一般障害者は20万のところが10万になります。たとえば40歳6か月で相続発生した一般障害者の場合、85-41(切り上げ)に10万円を掛けて440万円が控除額です。立石相続でも障害者控除があるんですね。保護者が元気で動けるうちに、使える制度やサービスについて学んでおかないと…。そして、子どもが支援からこぼれ落ちないような仕組みを作っておかないといけないですね。編集部お二人の対談を通して、「親なきあとに障害年金がもらえるように準備する。税の控除や手当なども活用しながら資産をつくる。のこした資産を信託するなど、適切に渡していくことの準備する」ということが必要だと分かりました。「親なきあと」のお金についてまとめると、次のようになりそうです。・障害年金の有無や就労状況で収入額は変わる・福祉サービスの活用や控除、割引などを活用し支出を抑える・信託など、資産を適切に渡す方法を知るなどさまざまな制度やサービスを活用できるように、まずは保護者が”知る”ことが大切です。そのうえで、自分の子どもに必要な支援を申請したり、備えたりしていきましょう。立石さんが、以前コラムでも書いていたように「福祉サービスは自己申告制」です。待っていても支援は受けられません。そのためには、保護者が動けるうちに行政や支援者などとつながっておく必要がありそうです。つながることで、自然と情報も入ってきます。保護者の懸念事項としてもうひとつ大きいのが「どこで暮らすのか」ということです。どこに住むか、お子さんが小さいうちからやっておくべきこと、セーフティーネットなどについては、1/12(金)に公開予定の、「親なきあと、障害のある子はどう暮らす?お金は足りる?行政書士・渡部伸先生×立石美津子さん対談【後編】にてご紹介します。Upload By 発達ナビ編集部渡部伸先生渡部行政書士事務所代表。「親なきあと」相談室主宰。慶応義塾大学法学部法律学科卒業。出版社でさまざまな事業を担当後、行政書士、2級ファイナンシャルプランニング技能士などの資格を取得。著書に『障害がある子の家族が知っておきたい「親なきあと」』(主婦の友社)、『障害のある子が「親なきあと」にお金で困らない本』(主婦の友社)。立石美津子さん講演家・ライター。聖心女子大卒業。幼稚園・小学校・特別支援学校教諭免許を取得後20年間学習塾を経営。自閉症児の母。著書に『1人でできる子になるテキトー母さん流子育てのコツ』(日本実業出版社)、『はずれ先生にあたったとき読む本』(青春出版社)、『子どもも親も幸せになる発達障害の子の育て方』(すばる舎)など多数。立石美津子さんのページ対談写真撮影:田島寛久
2018年01月10日障害のある子の「親なきあと」への備えって?出典 : 子どもに発達障害などの障害がある場合、その子の特性をよく理解している保護者が、子どもの生活を全面的に支援しているケースも少なくありません。では、保護者に万が一のことがあり、サポートが難しい状態になった場合、どのようなことが起こるのでしょうか?保護者がサポートできなくなったときに向けて備えておくべきこととして、大きくは次の3つがあげられます。・支援者への備えー障害特性を理解し、サポートできる人はいるのか・生活費への備えーお金の管理はどうするのか・居場所への備えーどこに住むのか、どこで働くのかこの記事では、自立に向けた準備、障害年金などの経済的支援、財産を子どもが適切に受け取るための方法、成年後見制度など、親が元気なうちに準備しておきたいことを紹介していきます。親なきあと、「支援者」への備え出典 : 親が元気なうちは、子どもの障害特性の一番の理解者として生活を全面的にサポートしたり、学校や社会との橋渡し役をすることもできます。しかし、親に万が一のことがあった場合に備えておかなくてはいけません。子どもの特性を踏まえつつ、子どもの自立を見据えた準備をしていく必要があります。少しずつ、自立に向けた力をつけていくことが大切です。ここでは、子どもの自立に向けた取り組みをしているご家庭の体験談をいくつか紹介します。発達障害のある子どもをもつシングルマザーの多原美加さんは、親なきあとに備えてのこしたいものとして、人に相談する力、頼りになる支援者、子どもたち一人ひとりにむけたメッセージ、自分を認めて生き抜く力の4つをあげています。kaoruさんは、ある講演会で聞いた「重度の自閉症児でも、教えればたいていの家事はできるようになる」という言葉をきっかけに、家庭で生活力アップのための取り組みをはじめ、少しずつ「困難を自分で解決する力」を身につけられた体験記を書いています。その子の特性に合わせて、生活力を上げるための実践を日々の生活から意識すること、親子で楽しみながら実践を積み重ねていくことの大切さが学べます。のこされた子どもがスムーズに支援を受けられるよう、次の支援者に向けて子どもの特性理解のために必要な情報を伝える準備をすることも大切です。子どもの特性や健康状態、支援に関する希望などを書きのこしておくことは、子どもだけでなく、親なきあとにサポートをする人にとっても助けになります。その際、助けになる本やツールを紹介します。■『精神障害をもつ人のための親なき後に備える』認定NPO法人地域精神保健福祉機構が制作した、親なきあとに備えたい保護者向けの本です。親なきあと対策の、入門書的な位置づけとなります。実際に、親なきあとにのこされた子どもや、準備を始めている保護者の体験談、今から備えるべきこと、家族での話し合いに役立つ項目リストなどが掲載されています。■「親心の記録」一般社団法人日本相続知財センター制作の「親心の記録」は、支援者に対して、子どもについての情報を過不足なく伝えるために作成されたものです。障害福祉サービス受給者証の番号や利用している医療機関や施設など、支援を受けるために必要な情報から、本人の特性まで記録できます。次の支援者への情報伝達にこのような冊子を活用して書き残しておくことも、ひとつの方法となります。※「親心の記録」は団体向けに寄贈されています。個人で希望する方は、下記HPよりお問い合わせください。参考:「親心の記録」について・お申し込み|日本相続知財センターHP成年後見制度とは2000年4月より開始した制度で、知的障害や発達障害を含む精神障害などにより、判断能力が十分でない人の法律行為を支援する制度のことをいいます。対象となる法律行為とは、銀行の手続きや遺産分割、不動産の売却などです。成年後見制度には、家庭裁判所が成年後見人等を選任し既に判断能力が低下している人に対して支援する法定後見制度と、あらかじめ本人が任意後見人を選び近い将来に備え支援者と支援内容を決めておく任意後見制度があります。後見人には本人の親族や、弁護士や司法書士、社会福祉士などの第三者や、福祉関係の公益法人が選ばれることがあります。成年後見制度については、以下の記事をご覧ください。参考:いざという時に 知って安心成年後見制度 成年後見登記|法務省HP親なきあと、「生活費」への備え出典 : 親なきあとの経済面での準備としてまずは、どのような支援制度があり、利用するためにはどのような準備をしておくとよいのかについて知ることが大切です。まずは、受け取れるお金について整理してみましょう。■障害年金障害年金とは、病気やケガなどの障害により生活や仕事が制限されている方が受け取れる年金のことで、国から委託を受けている日本年金機構により運営されている制度です。通常、障害年金を受ける条件は、その障害の原因となった病気やけがについて初めて医師の診療を受けた日(初診日)に、国民年金あるいは厚生年金に加入していることです。初診日に国民年金に加入していた方は障害基礎年金、厚生年金に加入していた方は障害厚生年金が受け取ることができます。初診日が年金加入前の20歳未満の場合は、障害基礎年金を成人後に受け取ることができます。その場合、障害年金の申請や受給は成人してから可能になります。申請書類に、どの病院でどのような治療を行ったかなどの病状の経過を書いた書類や、幼少期からの成育歴を踏まえた診断書が必要になります。詳しくは以下の記事をご参照ください。■自立支援医療(精神通院医療)自立支援医療(精神通院医療)とは、知的障害、発達障害を含む精神障害がある方で、かつ、通院による継続的な治療が必要な場合、その通院医療にかかわる医療費負担が原則1割になる制度です。詳しくは以下の記事をご覧ください。自立支援医療には、精神通院医療を対象にしたもののほか、身体障害がある人を対象にした自立支援医療(更生医療)、身体障害がある児童を対象にした自立支援医療(育成医療)もあります。参考:自立支援医療|厚生労働省HPなお、障害者手帳を所持していると、税金の控除のほか、公営住宅の優先入居、公共施設利用料の減免などが受けられる場合があります。自治体によっても受けられる支援は異なるので、お住まいの地域にどのような制度があるかを知っておくことは、親なきあとに向けての備えとして大切です。障害者手帳についての詳細は、以下の記事をご覧ください。もらえるお金や、出ていくお金を減らす仕組みの次に考えておきたいのはお金ののこし方です。■お金を渡す仕組み障害のある子を持つ保護者に知っておいて欲しいものの一つに、信託と呼ばれる制度があります。信託とは、自身の財産を人や機関に託し、自分または他人のために管理・運用してもらう制度です。信託の中に、特定贈与信託という制度があります。これは、特別障害者(重度の心身障害者)や特定障害者(中軽度の知的障がい者および障害等級2級、3級の精神障害者など)の親なきあとの生活を支援するための信託制度です。この制度を利用すると、最大6,000万円まで贈与税が非課税となったり、定期的にお金を給付できるため、子どもの生活が安定するというメリットがあります。信託制度についての詳細は、以下の記事をご参照ください。■お金をどう作るか預貯金のほか、生命保険の死亡保障などに加入しておくと、親なきあとへの備えとなるかもしれません。また、発達ナビで実施した保護者向けアンケートからは、預貯金や保険のほか、確定拠出年金を利用したり、投資信託などで資産を殖やしている方もいることが分かりました。親なきあと、「居場所」への備え出典 : まずは、親なきあとの子どもの居場所にはどのような場所があるのか、どのようなサービスが受けられるのかについて紹介します。一人暮らしや親族・きょうだいの家の他にも、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスの一部として、精神障害者居宅介護等制度(ホームヘルプサービス)、施設入所支援、共同生活援助(グループホーム)、短期入所(ショートステイ)などがあります。その他のサービスや詳しい情報については以下の記事をご参照ください。障害のある人の場合、一般企業で働くことも考えられますが、障害者向けの就労支援のサービスを利用することもできます。ここでは就労支援サービスの代表的なものとして、就労移行支援事業所、就労継続支援、地域障害者職業センター障害者就業・生活支援センターを紹介します。就労移行支援とは、障害がある方の就労をサポートする障害福祉サービスです。就労を希望している障害・難病がある方に対して、働くために必要な知識・能力を身につけるトレーニングや、その人に合った職場探しのサポート、就労後の職場定着までのアフターケアを行います。企業などでの就労または開業を希望する方で、就労が可能であると見込まれる65歳未満の方が対象です。利用期間は原則2年です。■就労継続支援一般企業等への就職ではなく、就労継続支援を利用して事業所で働くという選択肢もあります。就労継続支援には、A型と、B型があります。■地域障害者職業センター各都道府県に設置されています。障害者の就労を支援するために、ハローワークや病院、福祉施設などの関係機関との連携を行いながら、地域に密着した職業リハビリテーションを行う施設です。具体的には、職業能力などの評価や支援計画の作成、就職活動の相談、短期間の作業体験や事業所見学などが行われます。■障害者就業・生活支援センター就業や、それに伴う日常生活上の支援を必要とする障害者を対象に、相談や職場・家庭訪問などを行い支援する機関です。就労支援の面では就職に向けた準備支援や、求職活動支援、職場定着支援から関係機関との連絡調整などをし、生活支援の面では生活習慣の形成、健康管理、金銭管理などの日常生活の自己管理に関する助言、関係機関との連絡調整などをします。福祉施設利用者や特別支援学校卒業者などのケース別の支援の流れは以下のページをご参照ください。参考:障害者が就職・定着するまでの標準的な支援|厚生労働省HPまた、ジョブコーチ支援実施機関や、その他の就労支援サービスについては以下の記事をご参照ください。いざという時の頼みの綱出典 : 生活保護制度とは、資産や能力など全てを活用しても生活が困難な方を対象としたもので、健康で文化的な最低限度の生活ができるような保護を行い、自立を奨励する制度のことです。障害の程度にもよりますが、精神障害のある方が生活保護を受給した場合、受給費に加算される可能性があります(障害者加算)。加算額は、現在住んでいる場所と障害の程度で決められます。親なきあと、支援の網の目からこぼれ落ちないために出典 : 何から始めたらいいのか分からないという場合、まずは、さまざまな情報が入ってくるように、また何かあった時に助けてもらえるように、人や機関とのつながりをつくることからはじめてみましょう。発達ナビライターの立石美津子さんは以下のコラムで、支援は受け身ではなく自発的に求めないといけないと書いています。どのような支援制度が受けられるのか自発的に調べることや、ママ友や当事者会などの助け合いの場とつながることの大切さについて発信しています。支援制度も法律も変化していくため、一人で最新情報を追っていくのは結構大変なものです。ママ友や当事者会などさまざまな人や機関とつながることで、保護者だけでなく本人の負担を減らしていくことにもなります。まとめ出典 : 親なきあとの備えとして、まずは将来に向けて、どんな制度やサービスがあるのか知ることから始めましょう。そして、少しずつ第三者の支援を受けられる体制をつくり、お子さんが社会と触れ合う機会を増やしていきましょう。子どもが社会から孤立してしまわないように、一歩一歩、親なきあとへの準備を進めることが大切です。参考文献:山根俊恵(2014)/著「障害者の親なき後の課題と支援について」『地域リハビリテーション』第9巻第5号三輪書店/刊参考文献:平野方紹(2014)/著「親なき後の生活の実態をどうとらえるのかー障害者実態調査から見えてくるもの」『地域リハビリテーション』第9巻第5号三輪書店/刊
2017年12月27日「今後、年金の受給開始を70歳に引き上げることが予想されます。一人あたりの医療や介護費は年々増加しています。国を頼りにすることはできないのかもしれません。シニアの生活防衛を考えると、働くことは最善の手段でしょう」 こう語るのは、ファイナンシャルプランナーの八ツ井慶子さん。医療や介護費などの負担増の結果、手取り収入はここ数年、減り続けている。老後のための貯蓄もままならない状況で、いまや死ぬまで働くことが求められているようだ……。 「そんな時代には働くことを前向きに考えることが大切です。シニアには時間がたっぷりあります。女性の平均寿命は87歳。60歳から25年以上の時間を余暇だけで持て余してしまわないでしょうか。働くことで“幸福度”が上がるという研究データもあります。そもそも人間には周りに認められたい、どこかに属していたいという願望があるのです。自分の幸せのためにも、60歳を過ぎてからも、働くことを積極的に考えてみては」 老後の資金に不安を抱える人は少なくない。そんな人も働くことで心配は軽減していくと八ツ井さん。 「老後の資金がいくら必要かよく問われますが、いくら足りないかと考えて不安を感じるよりも、働けるうちはしっかり仕事をして、生活費や老後資金を稼ぐほうが前向きになれます。長く働くことで、完全にリタイアしたあとの生活がラクになります」 年金がもらえる年齢が後ろ倒しになることも予想されるし、さまざまな負担増があることを見越すと月8万円は稼いだほうが安心できると考えられているという。 肝心の求人だが、60歳以上の女性に関しては、先行きは明るいようだ。 「団塊世代が定年退職し、働く現場は人手不足。仕事が円滑に回らないなか、シニアの求人が増えています。とくにコンビニ、ファストフード、飲食店などのサービス業は、シニア女性の“仕事力”が求められているのです」 そう話すのは、シニアライフアドバイザーの松本すみこさんだ。 「お金を稼げるだけでなく社会に出て人と接することで元気になるし、さまざまな刺激があるので認知症にもなりにくくなる。第二の人生として生きがいを見つけている人も多い。シニアの男性の場合はプライドが邪魔をして“こんな仕事できるか”と選びすぎてなかなか就職できなかったり、コミュニケーションが取れずに、職場で苦労したりすることもあります。その点、女性の場合は、柔軟で協調性もあるので、60歳以降の女性が活躍できる職場は増えているのです」
2017年12月20日年金の支給額が引き下げられるなかで、老後を支える役割が増している退職金。ところが、退職金の平均支給額が、大企業の場合、10年間で500万円以上も減少している。『退職金貧乏』(祥伝社新書)の著者で、久留米大学の塚崎公義教授が解説する。 「バブル崩壊後、不況に陥っていた20年ほど前に、日本の会社の体質が大きく変わりました。それまで“従業員の共同体”だった会社が、欧米のように“株主のもの”というグローバルスタンダードになっていったのです。つまり会社の利益は従業員へ分配されるより、株主への配当が重視されるようになった。結果として、従業員の長期雇用や、退職後の生計を支える目的で、当たり前のように定着していた退職金制度も、その額も、見直されるようになりました」(塚崎教授) グローバル化により、勤続年数で給料が上がっていく賃金制度が見直され、成果主義が導入された。退職金についても、その成果主義が浸透しているという。老後の暮らしを大きく左右する退職金。その受け取り方は会社によっても違うがーー。 「“まとめて一時金としてもらう”“分割して年金方式で受け取る”“一時金と年金の併用でもらう”の3通りから選べることが多いので、どのようにして受け取ると有利なのか知っておきましょう」 こう語るのは、ファイナンシャルプランナーで「生活設計塾クルー」の取締役・深田晶恵さん。退職金2,000万円を《一時金》とした場合と、2%で運用される《年金》として10年間で受け取る場合では、どんな違いがあるのだろう?退職金2,000万円を《一時金》で受け取り、64歳まで再雇用により働き、65歳から公的年金を受け取った場合と、退職金2,000万円を期間10年の《年金(運用利率2%)》で受け取り、64歳まで再雇用により働き、65歳から公的年金を受け取った場合を試算した深田さんが解説する。 「税金を引く前の額面収入では《年金》のほうが多いのですが、所得税や住民税、国民健康保険料や介護保険料も高くなります。《一時金》だと、この場合、非課税枠の範囲内で、所得税と住民税はかかりません。結果、手取り収入では130万円も、《一時金》で受け取るほうがお得ということになります」(深田さん) 試算はあくまで一例で、企業年金の運用率、年金額、住んでいる自治体の社会保険料率によって変わってくる。 「それでも、社会保険料が多くの自治体で毎年のように引き上げられている現状、《年金》の額が多くなるほど、税金と社会保険料の負担が重くなり、《一時金》のほうが有利になる傾向です」(深田さん) そして深田さんは、退職金を受け取った夫を見守る妻にアドバイスを送る。 「《一時金》にした場合、無駄遣いには注意が必要です。多額の出費をしてしまい、老後資金を大きく減らしてしまう人が少なくありません。定年後の旅行、子どもの結婚資金や住宅購入資金の援助などは、老後の生活に影響がない程度にしましょう。一方、《年金》には定期的な安定収入になるというメリットがあります。しかし、終身年金でない場合、70歳ないしは75歳で公的年金だけになり、その後、年収収支が大幅に赤字になることも。会社が運用する『確定給付年金』の場合は、その会社の業績によって《年金》が減額されることもあるので注意が必要です」(深田さん) さらに深田さんが続ける。 「退職金を使って、住宅ローンの残りを返済してしまおうと考える人も多いですよね。でも、たとえば退職金が2,000万円なのに、住宅ローンの残高1,700万円を一括返済してしまうと、老後資金は300万円しか残りません。一方で、団体信用生命保険に加入していることで“死ねばローンもゼロ。慌てて返済しなくても……”と考える人もいますが、死亡する時期は誰にもわかりません。“長生きリスク”に備えるためにも、退職金の使い方は家族でよく話し合って決めるのがいいでしょう」(深田さん)
2017年11月16日こんにちは、ファイナンシャル・プランナーでライターのyossyです。日本FP協会の調査(2016年)によれば、『老後の生活資金が不安』と考える人は、7割を超えるそうです。経済的に困窮する高齢者も増えており、生活が苦しくなったらどうすればいいのでしょうか。なかには、「年金の繰り上げ受給」を検討する人もいるでしょう。繰り上げ受給のメリットと注意点をご紹介します。●いつまでなら得?年金繰り上げで早くから年金を受給できる繰り上げ受給のメリットは、なんといっても“早くから年金を受け取れる”ことでしょう。しかし、年金は繰り上げる(早くから受給を開始する)ほど、支給額が減額されるという仕組みです。具体的には、1か月繰り上げるごとに0.5%減額されていきます。仮に60歳から年金繰り上げ受給した場合、5年間(60か月)繰り上げるわけですから、0.5(%)×60(か月)=30(%)となり、年金は3割減額されるというわけですね。しかし、月額・年額ではなく『総受給額』でみると、必ずしも繰り上げたからといって損をするわけではありません 。60歳から繰り上げ受給した場合、繰り上げせずに受給した場合と比べての総受給額は、76歳ごろに逆転 することになります。自分の寿命はわかりませんから、判断が難しいところですね。●年金額だけではない!繰り上げ受給の注意点ただし、繰り上げ受給に関してはほかにも注意点があります。主なものをご紹介しましょう。安易に結論を出すのではなく、しっかり理解したうえで決めることをおすすめします。●国民年金に任意加入できなくなる厚生年金や共済組合などに加入しておらず、まだ老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていないような場合には、60歳以降に国民年金に加入することができます。老齢基礎年金の額を増やすことができるのですね。しかし、年金の繰り上げ受給を開始すると任意加入はできなくなる ので、注意しましょう。●障害基礎年金を請求できなくなる繰り上げ受給をした後に障害を抱えることになっても、障害基礎年金をもらうことができません 。ただし、初診日の時期等によっては可能な場合もありますので、確認しておきましょう。●寡婦年金が支給できなくなる『寡婦年金』というのは、一定の条件を満たした場合に、夫が亡くなった妻が60歳~65歳の間に支給される年金のこと。額は、夫の第1号被保険者期間で計算した老齢基礎年金額の4分の3となります。年金を繰り上げ受給した場合には、夫が亡くなったとしても寡婦年金は支払われません 。●65歳まで遺族厚生年金・遺族共済年金がとまる年金の繰り上げ受給と遺族厚生年金は併給できず、どちらかを選ばなくてはいけません。繰り上げ受給を選んだ場合には、65歳になるまで遺族厚生年金の支給が止まります 。----------なかには、「いつ死ぬかわからないなら、多少減額されても早くから受給したほうがいいのでは?」と考える人もいるかもしれません。でも、単純に年金額が減額されるだけではなく、さまざまな注意点があります。繰り上げ受給を考える場合は、それらをしっかり理解しておきましょう。一度繰り上げしてしまうと後に戻れないので、迷った場合には、専門家に相談したいですね。【参考リンク】・日本年金機構|老齢基礎年金の繰上げ受給・日本FP協会|貯蓄が 900 万円以上でも 「老後の生活資金が不安」7 割を超える・日本年金機構|障害基礎年金の受給要件・支給開始時期・計算方法・日本年金機構|任意加入制度・日本年金機構|寡婦年金●ライター/yossy●モデル/REIKO
2017年11月08日再び“消えた年金”が明るみに出た。今回、問題となっているのは「振替加算」といわれるもの。支給漏れの96パーセントが元公務員の妻で、10万6千人にものぼる。まずは聞き慣れない「振替加算」について、厚生省担当記者が説明してくれた。 「現在、65歳から老齢厚生年金の支給が始まりますが、そのときに生計を維持されている年下の妻(65歳未満)がいる場合、夫の年金に『加給年金』が上乗せされます。企業でいうところの家族手当のようなイメージです」 支給額は年額にして25万~38万円(月額約2~3万円)ほど。独身者よりも妻帯者を優遇するための制度だという。 「ところがこの加給年金は、妻が年金受給資格を得る65歳になると消滅します。それに代わり、新たに支給される妻の基礎年金に、加給年金よりも減額された毎月6千~1万9千円程度がプラスされます。これが『振替加算』という制度です。一時期、メディアで“熟年離婚するなら65歳を越えてから”と報じられたのは、この制度のためです」 今回“消えた”のは、加給年金が消滅後、「振替加算」に移行されず、正しく支給されていなかったケース。年金に詳しいフィナンシャルプランナーはこのように注意を呼びかける。 「公務員の共済年金を管理する共済組合と、基礎年金を管理する年金機構の情報共有がうまく行われていなかったのが、公務員の配偶者に不払いが集中した理由です。夫が貰う共済年金から妻の加給年金が消えても、妻が貰う基礎年金に振替加算が正しく反映されていなかったのです」 厚生労働省によると、未払い額の平均は一人当たり約56万円。最高額は約590万円にも上るという。 「退職公務員の妻の8人に1人に未払いが生じています。独身時代に妻が会社員や公務員であっても、勤務期間が20年未満であれば振替加算の対象者です。まずは年金受給時に一度だけ発送される『年金決定通知書』がお手元にある人は、裏面をチェックしてください。自分は対象のはずなのに、《加算額》の欄に、振替加算の金額の記載がなければ、未払いかもしれません」(前出・フィナンシャルプランナー) さらに前出の記者によると、 「支給漏れの人のうち、約4千人がすでに亡くなっていることも判明しています。三親等内で同一生計の遺族は、未払い分を受け取る事ができるので、遺族の方も確認をしてください」 日本年金機構は専用電話を設置し、個別対応するとともに、対象者に通知し、11月中旬までに支給する予定だ。信頼こそが年金制度を支えるのだ。
2017年09月21日「’84年から年金記録はコンピューターで管理されるようになりましたが、’51年4月以前の厚生年金記録の一部は紙の台帳に記されたままで、統合されていなかった。さらにコンピューターにデータを移行する際に多くの入力ミスがあり、今も見つからない年金は約2,000万件もあります。あなたにも、もらえる年金があるかもしれないのです」 そう語るのは、年金コンサルタントで社会保険労務士の柴田友都さん。「年金探偵」と呼ばれ、これまでに5,000件もの“消えた年金”を捜しあてたという。 「もらえる可能性が高いのは、会社員の夫が亡くなった場合の遺族厚生年金です。これは夫が他界したあとでも、納付記録が見つかればさかのぼって受け取ることができます。亡くなった夫が『柴田式年金チェックリスト』に当てはまるかをチェックしてください。とくに夫が戦時中に軍需工場に勤めていた、または戦前から民間会社で働いていたという人に、見つかるケースが多いですね。納付者が父親でも、妻である母が遺族厚生年金を受け取っていない場合は、子が受け取ることもできます」(柴田さん・以下同) 遺族厚生年金の受給資格は、夫の基礎年金と厚生年金を合わせた納付期間が300カ月以上あること。戦争前後に会社勤めをして支払っていた厚生年金の記録が失われたことで、この300カ月に満たなくなっているケースが多いという。つまり、この納付記録を発見できれば、受給資格を得られるのだ。 『柴田式年金チェックリスト』は次の通り。亡くなった夫または両親が次に当てはまる場合は取り返せるチャンスあり! □戦時中に軍事工場、挺身隊、陸軍造幣廠、海軍工廠などに勤めたことがある。□戦前から戦後、民間会社に勤めたことがある。□配給品を扱う商店、組合に勤めたことがある。□米軍キャンプで働いたことがある。□昭和34年1月以前に農業会(現・農協)に勤めたことがある。□転職が多かった。□公務員になる前後に民間会社に勤めたことがある。□勤めていた会社が倒産、閉鎖、合併、社名変更したことがある。□パート、アルバイト、夏や冬だけの期間労働者として働いたことがある。□家族や親せきが経営する合資、合名、有限、株式会社で働いたことがある。□自営業を始める前に会社に勤めたことがある。□夜間学校に通いながら会社に勤めたことがある。□日本年金機構から「あなたのものと思われる年金記録があります」という通知をもらったが、そのままになっている。 リストを詳しく見てみよう。亡くなった夫や両親が転職を繰り返していた、パートやアルバイト、夏や冬だけの職場で働いたことがあるなどの場合は、年金記録が見つかる可能性がある。 「かつては年金記録が見つかっても、直近の5年分しか受け取れませんでしたが、’07年7月に年金時効特例法ができてから、それ以前の年金もさかのぼって受給できるようになっています」 “消えた年金”を捜すには、まず最寄りの年金事務所に行き「加入期間が抜けている部分」を確認する。次に請求漏れになっている年金記録を尋ねる、という手順だ。 しかし、年金事務所、市区町村役場の国民年金課に相談に行っても年金記録が見つからず、たらい回しにされるケースも多い。そんな苦い経験がある人でも、もし「柴田式年金チェックリスト」に両親や夫が当てはまるなら、諦めず自分に相談してほしいと柴田さんは言う。 「’07年に大きな問題となった“消えた年金”5,000万件のうち、まだ2,000万件が該当者不明のままです。そして、年金事務所に『記録がない』『もらえない』と言われた方の年金を、私はこれまでに約5,000件も見つけています。諦めていた人の年金も、見つけられるかもしれませんよ」
2017年09月14日低年金で暮らす高齢者やその家族に、8月1日からスタートした「10年短縮年金」は、まさに朗報だ。今までゼロだった老齢基礎年金が、少しでも受け取れる可能性が出てきたのだから!制度変更に伴い、10月からは新たに約64万人が年金を受け取れるという。これまで国民年金を受け取るためには25年以上の納付期間が必要だったが、8月以降、それが10年に短縮されるのだ。 国民年金の受給額は保険料を納めた期間によって異なる。20歳から60歳まで40年間納付した人は、満額の年間78万円受け取れる。保険料を10年間納めただけだと、受け取る年金額は満額の4分の1程度、約19万5,000円しか受け取れないことになるが、たとえ約月1万6,000円だとしても、ないよりあったほうがずっとありがたい。 対象者には「大切な書類です」と書かれたA4サイズの黄色い封筒が、日本年金機構から届く。しかし、なかには待てど暮らせど、手元に来ない人も……。 「納付期間が10年以上の人は無条件に年金を受け取れますが、黄色い封筒が届かなくても『10年短縮年金』に該当する人はいるので、あきらめてはいけません!」 こうアドバイスするのは、“年金博士”こと、社会保険労務士でブレインコンサルティングオフィス代表の北村庄吾さん。 「’86年3月以前に会社員の妻だった期間がある人、’91年3月以前に学生だった期間がある人などは、年金が受け取れる可能性があるのです」(北村さん・以下同) 日本の年金は、’61年に国民年金制度がスタートしてから、時代のニーズに応じて制度を変えてきた。’85年の制度改正で「第3号被保険者制度」がつくられ、これまで任意加入だった会社員の妻も’86年4月から強制的に加入することになった(保険料の負担は課せられず、夫の勤め先の保険に加入できる仕組み)。 さらには、’86年3月以前の国民年金は任意加入だったので、会社員の妻であれば、この期間は年金の受け取りに必要な「受給資格期間」としてカウントされることになった。同じく、’91年3月以前は、20歳以上の学生も任意加入だったので社会人になるまでの期間を「受給資格期間」に含めることができる。 「つまり、任意加入の期間は、保険料を納めていなくても、年金を受け取るために必要な『受給資格期間』として含まれるようになったのです。その期間のことを『カラ期間』(合算対象期間)といい、今回10年短縮年金に該当しなかった方でも、カラ期間をプラスすることで、受給に必要な『10年』をクリアできます。日本年金機構はカラ期間までは把握していませんので、今回黄色い封筒が届かなかった人も、会社員の妻だった期間などがあれば、年金を受け取れる可能性が出てくるのです」 また、「黄色い封筒」が届かない人で、次に当てはまる人は、すぐに年金事務所に確認しよう。 【1】日本年金機構に住所移転お届を出していない 引っ越しや施設への入所などで住民票を移した場合、日本年金機構にも届け出を出してあるかを確認しよう。 【2】カラ期間(合算対象期間)がある 特に’86年3月以前に会社員の妻だった人は、この期間を年金の受け取りに必要な期間にカウントできるので要確認だ。 【3】転職を繰り返していた かつて、年金記録が手動打ち込みだったため、職場を転々としていた人は、移った先での加入が反映されていないこともありうるという。 「年金については無頓着な人が多いので、高齢の親御さんに代わって、お子さんが年金事務所で確認されることをお勧めします」
2017年08月04日こんにちは、金融ライターの齋藤惠です。平成29年8月から年金のルールが変わります。今回は、具体的にどの点が変わるのか?また、変更によって私たちのもらえる年金はどうなるのか?について解説します。将来の年金額を増やすために今からできるポイントもご紹介していきますよ!●平成29年8月から年金の受給期間が変わります!今回変更されるのは老齢年金の受給期間です。受給期間とは、保険料納付済期間と保険料免除期間を合算した期間のことをいいます。これまでは25年以上でしたが、改定後は10年以上になり年金の受給資格の幅が大きく広がることになるようです。中には「10年間保険料を納めたら、後は納めなくていいのでは?」と感じる人もいるかもしれませんが、最低限の受給期間では将来もらえる年金の年金額はごくわずかです。具体的な額は期間により変わりますが、10年ほどでは生活するために十分な額はもらえない でしょう。そこで、少しでも年金額を増やすためにできることは、先手を打ってどんどんやってしまいましょう!●後納制度で過去の納め忘れをカバー後納制度といって、過去5年以内であれば保険料の納め忘れ分をさかのぼって納めることができるという制度があります(未加入期間があっても、さかのぼって納めることができます)。この手続きを行うことで年金の受給期間が増え、年金額の増加にもつながる ので、未加入や未納の期間がある人は漏れなく申告されることをおすすめします。ただし手続きの期限は平成30年9月までです!●年金種類の切り替え遅れも、特定期間該当届でカバー特定期間該当届というものもあります。これは会社を退職などして厚生年金から国民年金になったときや、収入が増えて扶養から外れたときなどに、速やかに切り替え手続きを行えなかった人を対象としたものです。過去2年以内であれば保険料の未納期間をカバーできます 。こちらも手続きには期限があり、平成30年3月まで(後納制度よりも半年早いです!)なので、該当する人は早めに行動を起こしましょう!●ネットで将来の年金額がチェックできる!?最後に、あなたは自分が将来どれほどの年金額をもらうことができるか知っていますか?現時点での概算であれば、日本年金機構のサイト『ねんきんネット』でチェックすることができます。基礎年金番号とメールアドレスを入力し利用者登録をすることで、年金見込額 や未納の確認 もできますから、今後の資産形成の参考にもなりますね。ねんきんネットを積極的に利用して将来の年金額を少しでも多くもらえるよう対策をしてみましょう!【参考リンク】・必要な資格期間が25年から10年に短縮されます | 日本年金機構()・新たに年金を受けとれる方が増えます | 厚生労働省()●ライター/齋藤惠(金融コンシェルジュ)●モデル/KUMI(陸人くん、花音ちゃん)
2017年07月10日知的障害のある人を支える年金制度、障害年金とは出典 : 障害年金とは、障害によって生活の安定が損なわれないように、働いたり、日常生活を送ったりする上で困難がある人に支払われる公的年金の総称です。この記事では、知的障害のある人が受給できる障害年金について説明します。(広義の障害年金について知りたい方は下の関連記事をご覧下さい)障害年金は、就労していても受給資格があります。国のデータによれば65歳未満の障害年金受給者のうち、3割以上の方が障害年金を受給しながら働いています。出典:年金制度基礎調査(障害年金受給者実態調査)平成26年|政府統計の総合窓口出典:中井宏ほか『誰も知らない最強の社会保障 障害年金というヒント』p.33参考:『国民年金・厚生年金保険精神の障害に係る等級判定ガイドライン』の策定及び実施について |報道発表資料|厚生労働省知的障害における障害年金の種類と等級出典 : 障害年金を理解するためには、公的年金の種類を知る必要があります。公的年金には国民年金と厚生年金の2種類があります。国民年金とは、日本に住んでいる20歳以上、60歳未満のすべての人が加入するものです。国民年金には、第1号(自営業者、学生、無職の人など)、第2号(会社員など、厚生年金保険の適用を受けている事業所に勤務する人)、第3号被保険者(専業主婦など、第2号被保険者の配偶者で20歳以上60歳未満の人)の3種類があります。厚生年金とは、会社(法人)に勤める70歳未満の会社員や公務員などが加入するものです。国民年金に加入中の人は障害基礎年金を受給することができ、厚生年金に加入中の人は障害厚生年金を障害基礎年金に加算するかたちで受給することができます。知的障害がある人が障害年金を受給する際には、一定の障害の状態であることを示す「障害等級」に該当している必要があります。障害等級とは、障害の状態を分けたもので、重いものから1級、2級、3級とされています。障害の等級については以下のようにまとめられ、障害基礎年金の人は1級、2級まで、障害厚生年金の人は1級、2級、3級まで障害年金が給付されます。等級に応じて受給金額も変わってきます。・1級知的障害があり、食事や身のまわりのことを行うのに全面的な援助が必要であって、かつ会話による意思の疎通が不可能か著しく困難であるため、日常生活が困難で常時援助を必要とするもの・2級知的障害があり、食事や身のまわりのことを行うのに一部援助が必要であって、かつ、会話による意思の疎通が簡単なものに限られるため、日常生活にあたって援助が必要なもの・3級知的障害があり、労働が著しい制限をうけるものここで注意しなければならないのは、障害基礎年金の場合は、3級と判定されると年金を受給することができないということです。一方、障害厚生年金の場合、3級でも受給できます。知的障害のある人が取得できる障害者手帳である療育手帳にも等級が定められていますが、療育手帳と障害年金とは全く別の制度で、療育手帳と障害年金の等級は必ずしも一致するわけではないことにも、注意が必要です。また、年金とは一般的には65歳以上の方が受給対象ですが、障害年金に関しては20歳の誕生日になった時点で受給対象者に含まれます。参考:宇佐見和哉「精神・知的障害にかかる障害年金認定の最近の動向について」知的障害の等級判定のガイドライン出典 : 先に述べた障害等級の審査主体は、障害基礎年金、障害厚生年金それぞれの場合で異なります。まず、障害厚生年金の場合は、日本年金機構の本部が一括して申請書類の審査を行います。そのため、等級判定の基準に関する地域差は生じていませんでした。一方、国民年金に加入している受給者は、障害年金のなかでも障害基礎年金に申請するのですが、都道府県別に各地の日本年金機構が申請書類を審査します。その審査には全国共通のガイドラインがなく、地域によって支給・不支給の差が出ており、格差が大きいという問題が指摘されていました。こういった障害基礎年金審査の地域格差問題を受けて、平成27年2月に「精神・知的障害に関わる障害年金の認定の地域差に関する専門委員会」が厚生労働省内に設置され、都道府県別の地域差を改善しようと動き出しました。合計8回の専門家委員会における議論を踏まえて、平成28年6月に地域差を是正する目的で「等級判定のガイドライン」を制定し、運用を開始しました。平成28年9月から運用が始まり現在、日本年金機構は、障害基礎年金の認定において、ガイドラインを活用しながら支給・不支給の是非、等級を決定しています。これにより、国民年金における地域差は改善の方向に向かっています。参考:国民年金・厚生年金保険 精神の障害に係る等級判定ガイドライン参考:宇佐見和哉「精神・知的障害にかかる障害年金認定の最近の動向について」参考:青木聖久「精神・知的障害に係る障害年金の認定の地域差に関する専門家検討会」に至る背景と今後」障害年金の支給金額出典 : 日本年金機構によると、障害年金は以下のように計算され毎月支給されますが、支給額はその年度の経済状況で変動があります。また、子どもの数による加算額は児童手当との兼ね合いで支給額が調整されます。下記は2017年度の金額です。現段階でいくら支給されるのか、目安として参考にしてください。■障害基礎年金1級の場合の年額:779,300円(老齢年金の満額)×1.25(=974,125)+子の加算2級の場合の年額:779,300円(老齢年金の満額)+子の加算※子の加算…第1子・2子は一人につき224,300円。第3子以降は一人につき74,800円。この時の子どもは下記の要件を満たしている必要があります。・18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子・20歳未満で障害者1級または2級の障害がある子Upload By 発達障害のキホン出典:障害基礎年金の受給要件・支給開始時期・計算方法|日本年金機構■障害厚生年金1級の場合:(自分の老齢年金) × 1.25 + 〔配偶者の加給年金額(224,300円)〕2級の場合:(自分の老齢年金) + 〔配偶者の加給年金額(224,300円)〕3級の場合:自分の老齢年金額または最低保障額 584,500円※1級・2級の場合障害基礎年金も加わるUpload By 発達障害のキホン出典:障害厚生年金の受給要件・支給開始時期・計算方法|日本年金機構知的障害における障害年金受給のための要件出典 : 知的障害のある人が障害年金を受給するためには、以下の条件を満たす必要があります。■初診日要件は無し年金に加入している間に初診日があること(20歳未満、60~65歳未満で国民年金に加入していない場合を含む)。ただし、知的障害に関しては先天的な障害とされているので、初診日の証明は必要はありません。■保険料納付要件◇初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の3分の2以上の期間において、保険料が納付または免除されていること。◇初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと。■障害状態要件一定の障害の状態にあること(初診日から1年6か月経過した後に障害の程度が定められた基準以上である)。参考:国民年金・厚生年金保険 障害認定基準|日本年金機構参考:宇佐見和哉「精神・知的障害にかかる障害年金認定の最近の動向について」厚生労働省の報告によると、平成26年度の国民年金保険料の納付率が63.1%とのことから、4割近い人が年金を納付していないことになります。年金を払っていないと、障害年金が必要な時に受給要件を満たせなくなるため注意が必要です。出典:平成26年度の国民年金保険料の納付状況と今後の取組等について|厚生労働省・日本年金機構障害年金の手続き出典 : 国民年金の場合は、市町村区の年金課の窓口で、厚生年金の場合は、日本年金機構の窓口で申請書類を入手します。申請書類には、年金請求書、診断書、受診状況等証明書、受診状況等証明書が添付できない申立書、病歴・就労状況等申立書といったものがあります。申請書類や手続きの詳細は以下の関連記事をご参照ください。知的障害における障害年金の受給認定更新出典 : 知的障害における障害年金の新規申請では、永続的な障害年金の受給認定がでるとは限らず、数年単位の認定となることが多いようです。これを有期認定と言います。また、最初と2回目以降の審査で有期認定の年数が変わることがあります。傾向としては、短期の有期認定から長期の有期認定になることが多いようです。しかしながら、手足の切断、完全盲目など、症状が固定しているといえる障害に関しては、永久認定となる可能性が高く、知的障害においても、重度なものに関しては永久認定になる可能性があります。原則としては、障害年金は有期認定であり、更新年度に合わせて、「障害状態確認届」が日本年金機構から郵送で送付されてきます。医師の診断を受け、これを郵送にて返送し、更新する必要があります。知的障害における障害年金の遡及請求出典 : 障害年金を請求するときの診断書から、障害認定日の障害状態が判断できる場合は、20歳のときに遡って障害年金を請求することができます。これを遡及請求といいます。しかしながら、20歳から相当な期間が経ったのちに、障害年金の制度を知って申請、請求をする場合、障害認定日の診断書を取得できないことがあります。とくに知的障害の場合、継続的に医療機関に通院する必要がないため、通院していないときの診断書を医師に作成してもらうことができないケースがあるようです。そこで厚生労働省は、平成27年に「障害年金制度の運用に関する対応状況」を再確認し、仮に障害認定日以後3ヵ月以内の診断書が得られなくても、障害認定日の障害の状態が確認できると判断した過去の事例を整理し、申請者に対応することにしました。現状においては、現症状から障害認定日の障害の状態等が明らかに判断できる場合にあたっては、遡及請求して差支えない、とされています。参考:障害年金制度の運用に関する対応状況 | 厚生労働省障害年金の申請で困ったら出典 : 障害年金を利用したくても、申請などの手続きが大変なことから申請を諦めてしまう人もいます。その複雑さを軽減してくれる人が、社会保険労務士(通称、社労士)です。社労士とは、労働・社会保険に関する法律や人事・労務管理の専門家として、私たちの採用から退職までの労働・社会保険に関する諸問題、さらに年金の相談に応じる人のことです。障害年金についての無料相談や申請書作成の代行も行っています。まずは各地域の社労士会に無料相談をしてみましょう。参考:社労士会リスト|全国社会保険労務士会連合会まとめ出典 : 障害年金の申請には、障害年金に理解のある医師を探すことが、はじめの作業となります。申請書類の作成は専門知識のない人にとっては大変な作業です。何かわからないことがあったり、挫折しそうになったら、社労士の無料相談などを活用し、相談するといいでしょう。今までは都道府県別の地域差や遡及請求に関する問題などがありましたが、ガイドラインの制定や、専門家会議の設置などにより、それも改善の方向に向かっていっています。複雑な制度ではありますが、この制度を積極的に活用しましょう。
2017年06月30日精神障害とは出典 : 日本語の「精神障害」という言葉には統一された定義がなく、診断基準や法律などの文脈によりそれぞれ意味が異なりますが、大きく分けて医療的意味(disorder)と福祉的意味(disability)の2つに分類できます。disorderもdisabilityも日本語では「障害」と訳されていますが、医療的意味の精神「障害(disorder)」と診断されたからといって、必ずしも福祉的な意味の精神「障害(disability)」があるとは限りません。例えば、軽い症状があり医療の介入が必要でも、服薬などにより障害がない人と同じように働くことができている場合、医療的意味の精神障害(disorder)であっても福祉的なサービスを必要とする精神障害(disability)があるわけではないといえます。また、福祉の対象としての障害disabilityは、環境を変えることにより軽減することもできます。以下それぞれの意味を説明します。医療的な側面からみた「精神障害(disorder)」の意味は、 狭義には、ある特定の生体機能の乱れや個人的苦痛があるが、その病態がはっきりと特定されていないものをいいます。ここで言う精神障害とは精神の不調一般を指すものと考えると分かりやすいかもしれません。参考文献:大野裕/著『精神医療・診断の手引き―DSM-IIIはなぜ作られ、DSM-5はなぜ批判されたか』2014年 金剛出版/刊福祉的な側面から見た精神障害は、精神の不調により継続的に 日常生活または社会生活に相当な制限を受ける方のことを指します。精神の不調そのものへのアプローチは医学的なものになりますが、精神の不調と密接に関係する日常生活や社会生活での困難は行政などによる福祉的なアプローチが必要になります。福祉的な意味で「障害」を捉えると、その障害(disability)から生じる困りごとは、周囲の環境が整っていないために起っている、ともいえるのです。参考文献: 野中猛/著 『心の病 回復への道 (岩波新書) 』 2012年 岩波書店/刊参考文献: 精神保健福祉研究会/監 『精神保健福祉法詳解3訂』 2007年 中央法規出版/刊行政における精神障害者と支援出典 : 行政における精神障害者の意味は、大きく分けて2つに分けられます。1.医療の介入を必要とする、いわゆる精神疾患がある者(医療的意味)2.精神疾患の影響で日常生活面で問題を抱える状態である者(福祉的意味)これらの精神障害者に医療面と福祉面それぞれからの支援を行うため、下記のような法律や制度が定められています。参考文献: 精神保健福祉研究会/監 『精神保健福祉法詳解3訂』 2007年 中央法規出版/刊◇精神保健福祉法(正式名称: 「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」)精神保健福祉法は、精神障害がある人の医療と保護や、社会復帰、自立の促進のための援助などにより、精神障害者のための福祉の整備や精神保健の向上を目的とした法律です。精神障害者保健福祉手帳制度や、措置入院、医療保護入院などの入院形態の規定、精神保健福祉センターの設置などが定められています。リンク:精神保健福祉法について|厚生労働省HP◇障害者基本法障害者基本法は、障害がある人の法律や制度についての基本的な考え方を示した法律です。障害があろうとなかろうと、全ての人が互いに尊重し合い共生する社会の実現のために、障害のある人の自立と社会参加を支援する法律や制度に関する基本的な計画(障害者基本計画)を立てることや差別の禁止、療育や職業、雇用、住宅における支援制度を整えることなどが定められています。また、障害者基本法第4条の「差別の禁止」をより具体的に規定した法律に、障害者差別解消法というものがあります。この法律では、障害があるという理由で障害者への商品やサービスの提供を拒否することを「不当な差別的扱い」とし、障害者から配慮を求める意思表明があった場合は過度な負担になりすぎない程度な個別の調整ー「合理的配慮」を行うことが義務付けられています。詳しくは以下の記事をご参照ください。◇障害者総合支援法(正式名称: 「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」)障害者総合支援法は、障害がある人が基本的人権を享受する個人としての尊厳にふさわしい日常生活・社会生活を送ることを目的とし、障害福祉サービスの充実や地域生活支援事業、その他の必要な支援を行うことが規定されている法律です。全国の障害福祉サービス事業所の一覧です。是非ご活用ください。リンク:障害福祉サービス事業所情報|WAM NET HP参考:「障害者総合支援法」制定までの経緯と概要について|WAM NET HP精神障害にはどんな種類があるの?出典 : 精神障害にどんな障害が含まれるのかは診断基準や使用される文脈や制度によっても異なります。ここでは、国で採用している国際的な疾病分類『ICD-10』のなかで、いわゆる心の不調について記されている第五章「精神及び行動の障害」の分類を紹介します。障害者手帳や自立支援医療(精神通院医療)の申請の際に必要な診断書にICDの診断コードの記載が必要となるなど、現在の日本の行政における精神障害の概念として用いられることが多い分類です。ICDでは、身体疾患から精神障害にわたって網羅的な分類を設定し、「ICDコード」と呼ばれるコードを付与しています。以下の表は2003年改訂版ICD-10における「ICDコード」と中間分類項目の名称の対応リストです。F00-F09症状性を含む器質性精神障害F10-F19精神作用物質使用による精神及び行動の障害F20-F29統合失調症,統合失調症型障害及び妄想性障害F30-F39気分[感情]障害F40-F48神経症性障害,ストレス関連障害及び身体表現性障害F50-F59生理的障害及び身体的要因に関連した行動症候群F60-F69成人の人格及び行動の障害F70-F79知的障害〈精神遅滞〉F80-F89心理的発達の障害F90-F98小児期及び青年期に通常発症する行動及び情緒の障害(引用:第Ⅴ章 精神及び行動の障害(F00-F99) |厚生労働省HP)以上の中間分類の概略などや、下位分類については以下のリンクで確認できます。参考:ICD-10(2013年版)準拠内容例示表|厚生労働省HP参考ページ:第5章 精神及び行動の障害 (F00-F99)|医療情報システム開発センターHP精神障害と知的障害・発達障害との関係は?出典 : 知的障害とは、発達期までに生じた知的機能障害により、認知能力の発達が全般的に遅れた水準にとどまっている状態を意味します。発達障害とは、先天的な脳機能の障害で、想定される時期に年齢相応の発達が見られない、または年齢相応のスキルが獲得できないことで日常生活に様々な困難が生じ、それらが持続する状態を意味します。ICDやDSMなどの国際的な診断基準においては、知的障害も発達障害も、精神障害(mental disorder)の枠組みに入っています。精神障害は精神の不調一般を指す広い概念であるのに対し、知的障害と発達障害は範囲が限定されているのです。一方、行政や福祉などの場面においては、法律や支援サービスごとに対象となる範囲が異なります。例えば、上述の精神保健福祉法での「精神障害」には知的障害が入っていますが、この法律の手帳制度である精神障害者保健福祉手帳の対象者には知的障害は入りません。行政、福祉面ではそれぞれの法律やサービスごとに、自分が対象であるかどうか見極める必要があります。精神障害者保健福祉手帳出典 : 精神障害者保健福祉手帳とは、所持している人が一定程度の精神障害がある状態であることを認定するものです。精神障害のある方が自立し、社会参加を積極的に行えるよう、様々な制度やサービスの利用をしやすくすることを目的にしています。取得することで様々なサービスや割引・給付が受けられるようになるほか、教育を受けたり就労するにあたり配慮や支援を受けやすくもなる、とても便利な制度です。詳しくは以下の記事をご参照ください。精神障害の等級出典 : 精神障害の程度を定める等級には、精神障害者手帳の等級と障害年金の等級があります。精神障害者保健福祉手帳は1級、2級、3級の3つの区分があります。・1級....精神障害であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの・2級....精神障害であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの・3級....精神障害であって、日常生活若しくは社会生活が制限を受けるか、又は日常生活若しくは社会生活に制限を加えることを必要とする程度のもの出典:精神障害者保健福祉手帳障害等級判定基準|厚生労働省HP精神の障害による障害の程度は、国民年金の場合は1級と2級、厚生年金の場合は1級から3級に加え障害手当金という等級もあります。・1級…日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの・2級…日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの・3級…労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの・障害手当金…労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの詳しくは以下のリンクをご参照ください。参考:第8節/精神の障害|日本年金機構HP同じ「等級」という言葉から混同しがちですが、精神障害者手帳の等級と障害年金の等級は別物です。障害年金の等級も、重いものから1級、2級、3級とありますが、制度が異なるので認定基準も異なります。とはいえ、概ね手帳の等級と障害年金の等級は重なるようです。参考:治療や生活に役立つ情報|みんなのメンタルヘルスHP詳しくは以下の記事を御覧ください。以上の等級の他にも、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスの種類や量を市町村が決定するための障害支援区分という基準もあります。精神障害のある人が受けられる福祉サービス出典 : ここでは、総合支援法に基づく障害福祉サービスの一部をご紹介いたします。◇行動援護その方が何らかの行動をする際に生じうる危険を回避するために必要な援護を行うサービスです。外出時における移動中の介護や排泄、食事などの介護、その他日常生活での行動の援助が行われます。精神障害による行動上の著しい困難があり、常時介護を必要とする場合に利用できます。詳しくは以下のサイトをご参照ください。参考:行動援護|独立行政法人福祉医療機構HP◇生活介護生活介護では、介護を常に必要としている方に対し、入浴や排泄、食事などの日常生活の援助や、創作的活動や生産活動の機会の提供、各種相談などを、主に日中において行います。参考:生活介護|独立行政法人福祉医療機構HP◇精神障害者居宅介護等事業(ホームヘルプサービス)家庭など、居住している場所にホームヘルパーを呼び、食事や入浴、その他日常生活の援助を受けることが出来ます。利用対象者は、原則として、精神障害者保健福祉手帳の保持者あるいは、障害者年金を受けている方で、かつ、日常生活に支障がある人です。◇施設入所支援施設入所支援では、主として夜間において、食事や排泄などの日常生活の援助や相談が行われます。日中の訓練などサービスも同じ施設で行われます。障害福祉サービスの内容|厚生労働省HP◇共同生活援助(グループホーム)共同生活援助とは主に夜間において少人数での共同生活を援助するサービスです。個別の支援計画を立てた上で、相談や入浴、排泄などの日常生活の援助を行います。共同生活援助|独立行政法人福祉医療機構HP◇短期入所(ショートステイ)在宅の精神障害者を対象に、介護者の事情で一時的に介護困難の場合利用することができます。夜間を含め施設で、入浴や食事などの日常生活の援助が行われます。利用が可能な期間は基本的に7日以内で、事情がある場合は必要最小限の範囲で延長可能です。グループホームなどの夜間のサービスは、自立訓練や就労移行支援、地域活動支援センターなどの昼間のサービスと組み合わせて利用するのが一般的です。◇相談支援相談支援にはサービス利用支援、継続サービス利用支援、地域移行支援、地域定着支援の4種類あります。障害福祉サービスを利用するには、「サービス等利用計画」を立てる必要があります。この計画を作成するのを支援するのがサービス利用支援で、利用したサービスが効果的かどうかの見直しを行う継続サービス利用支援です。地域移行支援では施設や病院から地域への移行の支援を行い、地域定着支援では地域生活の継続のための支援が行われます。その他の福祉サービスは以下のサイトをご参照ください。参考:サービス一覧/サービス紹介|WAM NET HP障害年金出典 : 障害年金とは、病気やケガにより生活や仕事が制限されている方が受け取れる年金のことで、国から委託を受けている日本年金機構により運営されている制度です。障害年金を受ける条件は、その障害の原因となった病気やけがについて初めて医師の診療を受けた日(初診日)に、国民年金あるいは厚生年金に加入していることです。初診日に国民年金に加入していた方は障害基礎年金、厚生年金に加入していた方は障害厚生年金が受け取ることが出来ます。詳しくは以下の記事をご参照ください。生活保護の障害者加算出典 : 生活保護制度とは、資産や能力など全てを活用しても生活が困難な方を対象としたもので、健康で文化的な最低限度の生活ができるような保護を行い、自立を奨励する制度のことです。障害の程度にもよりますが、精神障害者の方が生活保護を受給した場合、受給費に加算される可能性があります(障害者加算)。加算額は、現在住んでいる場所と障害の程度で決められます。Upload By 発達障害のキホン◇現在住んでいる場所現在住んでいる場所は、在宅の場合と入院や社会福祉施設・介護施設に入所している場合に分けられ、在宅の場合はご自身がお住まいの場所がどの級地に当たるのか調べる必要があります。以下のリンクにて全国の級地区分が調べられます。リンク:級地区分(H.29.4.1)|厚生労働省HP◇障害の程度障害の程度は原則、国民年金法(昭和34年政令第184号)別表に定められる等級により決まるとされていますが、この等級は精神障害者手帳における等級と重なるとされています。参考:精神障害者保健福祉手帳による障害者加算の障害の程度の判定について|厚生労働省法令等データベースサービスHP参考:国民年金・厚生年金保険障害認定基準平成28年6月1日改正|日本年金機構HP参考:第8節/精神の障害|日本年金機構HP参考:国民年金・厚生年金保健精神の障害に係る等級判定がガイドライン|日本年金機構HP精神障害者の雇用・就労支援出典 : 日本において、全ての事業主は一定の割合(法定雇用率)以上の障害者を雇う義務があります。この「障害者」は今まで身体障害者と知的障害者に限られていましたが、平成28年改正障害者雇用促進法により、2018年4月からは精神障害者(発達障害を含む)も加わることになりました。障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律の概要 |厚生労働省HP現在の法定雇用率は以下の通りです。民間企業:2%国、地方公共団体等:2.3%都道府県等の教育委員会:2.2%障害者の法定雇用率が引き上げになります|厚生労働省HP◇就労移行支援事業者就労移行支援は障害がある方の就労をサポートする障害福祉サービスです。就労を希望している障害・難病がある方に対して、働くために必要な知識・能力を身につけるトレーニングや、その人に合った職場探しのサポート、就労後の職場定着までのアフターケアを行います。企業などでの就労または開業を希望する方で、就労が可能であると見込まれる65歳未満の方が対象です。利用期間は原則2年となっています。◇公共職業安定所(ハローワーク)公共職業安定所とは、職業紹介や就労支援のサービスを行う無料で利用できる行政機関です。障害者を対象とした求人情報の提供が受けられます。仕事の探し方など、就職に関する様々な相談に乗ってもらえるだけでなく、職業訓練の仲介なども行っているので、お気軽に御相談ください。全国ハローワークの所在案内|厚生労働省HP◇障害者就業・生活支援センター就業や、それに伴う日常生活上の支援を必要とする障害者を対象に、相談や職場・家庭訪問などを行い支援する機関です。就労支援の面では就職に向けた準備支援や、求職活動支援、職場定着支援から関係機関との連絡調整などをし、生活支援の面では生活習慣の形成、健康管理、金銭管理などの日常生活の自己管理に関する助言、関係機関との連絡調整などをします。参考:障害者就業・生活支援センター事業について|厚生労働省HP◇地域障害者職業センター各都道府県に設置されています。障害者の就労を支援するために、ハローワークや病院、福祉施設などの関係機関との連携を行いながら、地域に密着した職業リハビリテーションを行う施設です。具体的には、職業能力などの評価や支援計画の作成、就職活動の相談、短期間の作業体験や事業所見学などが行われます。参考:地域障害者職業センターの精神障害者総合雇用支援のご案内|独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構HP◇障害者職業能力開発校障害者職業能力開発校は、一般の職業能力開発施設において職業訓練を受けることが困難な重度障害者などにを対象し、その障害に対応した訓練を実施しています。参考:障害者を対象とした職業訓練|厚生労働省HP◇ジョブコーチ支援実施機関職場適応援助者(ジョブコーチ)が、利用者の職場に訪問し、職場への適応・定着を支援します。障害者本人への支援だけでなく、障害者を雇用する事業主や障害者の家族に対する助言などの支援も行います。地域障害者職業センターや、障害者の就労支援をする社会福祉法人や、障害者を雇用する企業に在籍していることがあります。参考:職場適応援助者(ジョブコーチ)支援事業について|厚生労働省HP◇就労継続支援A型事業者就労移行支援を利用したが企業への一般就労に結びつかなった等の理由があり、ある程度の支援があれば就労することができる方を対象としたサービスです。施設と利用者で雇用契約を結び、働くことができます。利用期間に制限はありません。◇就労継続支援B型事業者就労移行支援や就労継続支援A型の利用経験がありますが、年齢や体力の面で雇用が困難な方を対象としたサービスです。施設との雇用契約は結びませんが、生産性にこだわらず自分のペースで働くことができます。利用期間に制限はありません。ケースごとの以上の施設を利用する際の流れなどについては以下のサイトをご参照ください。参考:障害者が就職・定着するまでの標準的な支援|厚生労働省HP精神科訪問看護/精神科デイ・ケア(通院以外の治療)出典 : ここでは、通院・入院以外の治療である精神科訪問看護と精神科デイ・ケアを紹介いたします。いずれも在宅での生活を支えるサービスで、自立支援医療(精神科通院医療)制度を利用すると医療費が原則1割負担になります。◇精神科訪問看護自宅などの居住している場所で保健師、看護師、作業療法士、精神保健福祉士などにより行われる療養上の世話または必要な診療の補助を行うことを指します。具体的には病状の観察と情報収集や日常生活の維持、対人、家族関係の調整や精神症状の悪化の予防、社会資源活用の補助等が行われます。詳細は以下のリンクでご確認ください。訪問看護について|厚生労働省HP◇精神科デイ・ケア精神科デイ・ケアは、社会で生活するために必要な能力の回復を目的として、グループでの治療をおこなうものです。利用時間や利用開始時間に応じてデイ・ケア、ショート・ケア、ナイト・ケア、デイ・ナイトケアなどの種類があります。統合失調症やうつ病などの疾患別プログラムや、高齢者や思春期、青年期などの年代別プログラム、家事能力や復職支援などの目的別プログラムなど、様々な内容があります。施設により内容が異なります。保健所で行っている場合は費用がかかりませんが、その他の場合はかかります。とはいえ、自立支援医療(精神通院医療)を利用すれば、自己負担額は減ります。参考:精神科デイ・ケア等について|厚生労働省HP精神障害について悩んだときは出典 : ◇精神保健福祉センター…各都道府県及び政令指定都市に設置されている精神保健や精神障害者の福祉に関する機関です。こころの悩み全般に専門家がこたえてくれますので、気兼ねなく連絡してみましょう。以下のリンクで全国の精神保健福祉センターを検索できます。全国の精神保健福祉センター一覧|厚生労働省HP◇いのちの電話 …一般社団法人いのちの電話連盟では、無料でインターネット相談や電話相談を実施しております。詳しくは以下のリンクをご参照ください。リンク:いのちの電話の相談方法|一般社団法人いのちの電話連盟HP◇地域生活支援センター …身体障害者、知的障害者、精神障害者及びその他の障害者の自立と社会参加や家族の精神的サポートを行うための支援施設で、医療とは異なる視点で解決策を考えてくれます。◇勤労者の相談窓口 …勤務先の保健師や産業医や、産業保健推進センターの相談事業が利用できます。産業保健推進センターでは精神科医や心理士が専門的な相談に乗ってくれます。◇保健室、保健管理センター、教育センター …教育の場でのいじめなどの問題に個別対応してもらえます。◇家族会 …家族会とは、精神疾患に苦しむ身内がいる家族が集まり、悩みを共有したり情報交換をする会です。大きく分けて、病院を基盤とするものや、地域を基盤とするもの、ほかにもたくさんの種類の家族会が存在します。孤立感をなくすという意味でも、参加には価値があります。◇患者会 …同じ病気や障害に苦しむ人たちが集まり、情報交換や交流などの活動を行います。悩みの共有や症状への対処法などを伝えあえる場は、精神的な支えにもなります。参考:Q. 精神科の医療機関以外に、こころの問題の相談に乗ってくれる場所はあるのですか?|日本精神神経学会HP◇こころもメンテしよう厚生労働省で行われた「今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会」報告(平成21年9月)を受けて開設された10代、20代向けのメンタルサポートサイトです。こころもメンテしよう|厚生労働省HP◇みんなのメンタルヘルス総合サイト厚生労働省で行われた「今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会」報告(平成21年9月)や「自殺・うつ病対策プロジェクトチーム」のとりまとめ(平成22年5月)を受け開設された一般市民向けのサイトです。病気や症状の説明や、医療機関、相談窓口、各種支援サービスなどの紹介がされています。みんなのメンタルヘルス|厚生労働省HP◇こころの耳厚生労働省の委託事業として一般社団法人日本産業カウンセラー協会が開設した働く方向けのメンタルヘルスサイトです。ストレスチェックやこころの病克服体験記、ストレス対処法まで詳しく、分かりやすく紹介されています。ページ下部にある「コンテンツ一覧」から探すとわかりやすいです。こころの耳◇日本精神神経学会公式HP一般の方向けのページでは、一部の精神疾患についての解説や、市民公開講座などの募集がされています。一般の方へ|日本精神神経学会HP◇悩み別相談窓口などの支援情報検索サイト以下のリンクでは、悩み別に相談窓口などの支援情報を検索出来ますのでご活用ください。支援情報検索サイト|厚生労働省HP悩みや状況を選ぶ|いのちと暮らしの相談ナビHPまとめ出典 : 精神障害にかかってしまうと、自ら支援を求めたり、探したりすることはとても難しく思ってしまうこともあるのではないでしょうか?しかし、福祉サービスなどの支援制度を知り、活用すれば、より生きやすくなるかもしれません。ご自身で探すことが難しい場合は、精神保健福祉センターなどの相談窓口に連絡してみることをおすすめします。自分だけでは分からなかった解決策が見えてくるかもしれません。
2017年06月30日「今年8月から『10年短縮年金』が始まります。これまで、公的年金を受給するには25年以上の納付期間が必要でしたが、8月以降は10年に短縮されます。昨年11月に改正法が制定されました。実際に、年金が受給できるのは9月分からで、入金は10月です。対象者の約74万人には、順次、手続き書類が郵送されています。受給には、年金事務所などでの手続きが必要ですから、早めに済ませましょう」 こう話すのは、経済ジャーナリストの荻原博子さん。これまで年金をもらえなかった人でも、要件を満たせば年金を受け取れるようになる、10年短縮年金。ただし、「国の思惑は、年金問題の解消とはまた別のところにある」と荻原さんは言う。そこで荻原さんが、10年短縮年金を解説してくれた。 「国民年金の受給額は、年金保険料を納めた期間によります。40年間保険料を納めた人は、現在、満額の月約6万5,000円を受け取っています。これに対し、納付期間が10年の方は、満額の4分の1、月約1万6,000円の受給となります。存命中はずっと受給できますから、まったくないよりはいいでしょうか。もちろん、納付期間が15年、20年などと長い方は、納付した期間に応じて年金額が増えます。さらに、厚生年金に加入していれば、その分、上乗せされます」 反対に、納付期間内に免除や猶予があった人は、もっと少額になることも。加えて、納付期間が10年に満たない人でも、未納分の後納や免除分の追納など、今からでも納付期間を増やして受給できる方法が見つかる場合もあるので、年金事務所に相談を。 「今回の年金改正は一部で『無年金対策法』と呼ばれてきました。まさに今、“無年金”が問題になっています。昨年末時点で、国民年金の納付率は61.5%(厚生労働省)。約4割の未納者には、“無年金予備軍”も含まれるでしょう。また将来、『118万人が無年金になる』との推測もあります(’08年・厚生労働省)。無年金で老後資金が尽きると、生活保護を受給するしかないケースも多いと思います」 現在、生活保護を受けているのは約164世帯だが、その半数以上は高齢世帯だ(’17年2月・厚生労働省)。 「政府は、多少なりとも年金を支給することで、生活保護の増加に歯止めをかけたいのでしょう。というのも、生活保護にかかる国の予算は’16年度で約3兆8,000億円と大きいものだからです。財政が厳しいなか、支出を抑えたい気持ちはわかりますが、切り詰めるべき予算は、ほかにあるのではないでしょうか。生活保護費は、命や生活に直結するお金ですから、むちゃな締め付けを見逃してはいけないと思います」 年金財政の逼迫を受け、これまで(1)年金保険料の引き上げ、(2)受け取る年金額の引き下げ、(3)社会保険加入者の増員、(4)支給年齢の引き上げなどの対策が取られてきた。 「先週、自民党は、年金支給を遅らせて受給額を増やす『繰り下げ』を、現行の70歳までから、71歳以降も可能にするよう提言しました。また、今年初めには、日本老年学会が、現在『65歳以降』とする高齢者の定義を、75歳以上とするよう求めたことも話題になりました。外堀から埋めて、年金の支給年齢を現行の65歳から67歳、あるいは68歳へと引き上げたい、という政府の思惑が見え隠れしています」
2017年05月26日