自閉症である息子さんを通わせたいと思える放課後デイサービス(以下、放課後デイ)がなかったことから、自ら「アイム」を立ち上げた佐藤典雅さん。そこから、息子さんや生徒の成長に伴い、フリースクールや就労支援、グループホームまで立ち上げてしまった。それらの施設を立ち上げた理由も、やはり放課後デイ設立の時と同じように、既存の施設に大きな不満があったからだと言う。そんな佐藤さんに、現在の福祉業界の問題点や自ら立ち上げた施設への思いを語ってもらった。発達障害のある子を育てる親たちにとって、最大のテーマは、将来の自立や働き方。『療育なんかいらない!』の著者でもある佐藤さんのお話の中には、きっと、発達障害の子どもの幸せな将来のために、親としてやるべきことのヒントがたくさんつまっているはずだ。佐藤典雅(さとう・のりまさ)さん川崎市で発達障害の子どもをサポートする放課後デイサービス「アインシュタイン放課後」「エジソン放課後」を運営している、(株)アイムの代表。自身の自閉症の息子さんの療育のために、息子さんが4歳の時に渡米して、ロサンゼルスで9年間過ごす。前職は、ヤフー・ジャパンのマーケティング、東京ガールズコレクションとキットソンのプロデューサーという異色の経歴の持ち主。福祉という範囲を超えた目線で、自身の息子さんの成長を見守りながら、発達障害児が社会で幸せに生きるための道を広げる挑戦をしている。著書: 『療育なんかいらない!』 (佐藤典雅・著/小学館 ¥1,296 税込)※放課後デイサービス(= 放課後デイ):6~18歳までの障害のある子どもが放課後や学校休業日に利用できる、就学時向けの福祉サービスのこと。■子どもの将来について保護者が不安に思わないインフラの構築がテーマ――前回の取材から1年ほど経ちました。その間、がっちゃん(佐藤さんの息子さん)の高校進学にあわせてフリースクールを設立したそうですね?佐藤典雅さん(以下、佐藤さん):アイムの放課後デイには、たくさんの中学生の生徒がいるので、中学卒業後の進路は重要なテーマでした。というのは、高校って義務教育じゃないから支援学級がないんですよ。だから、支援学校に行くしか選択肢がないのですよ。でも、既存の支援学校だと高校卒業証書はもらえないから、中卒扱いになっちゃうんですよ。どうせ就労支援に行くなら、あんまり関係ないかもしれないけど、親の心情的な観点からいくとちょっと残念だよね。ウチが設立したノーベル高等学院は発達障害や自閉症の生徒に合った通信サポート校で、明蓬館高校の教育連携施設として、高校の卒業証書も取得できるんですよ。――がっちゃんの進路に、既存の支援学校を選択しなかったのはなぜですか?佐藤さん:中学校までは義務教育だから、だいたいどこも手厚くやってくれるんですよ。でも、高校になった瞬間、何が始まるかというと「職業訓練」という言葉が出てきます。見学に行ったらわかると思うんだけど、ほとんどのところが就労の準備期間として、封筒やチラシを折ったり、縫物の練習をしたり、昭和の内職みたいな作業をさせているんですよ。でも、普通の子が高校で青春を楽しんでいる時に、どうして障害者の子たちは就労準備しなくちゃならないのか? 親として、自分の子がそういう状況にいるのはしのびないよね。――それで、もっと楽しい高校をご自分で作ってしまったわけですね。ノーベルでは、日々どんなことをしているのですか?佐藤さん:最低限、取得しなければいけない単位があるので、午前中は主に課題をしていますが、午後はもう自由! 好奇心旺盛なスタッフが、毎日いろいろなおもしろいところへ遠足に連れて行ってくれています。最近では、足立区にあるアスレティック施設や渋谷ヒカリエで開催されていた「チームラボ」のイベントなどに遊びに行ってましたよ。――それは通常の支援学校とはずいぶん違いますね! 生徒はどれくらいいるのでしょうか?佐藤さん:今、生徒は2人です。もともとフリースクールは赤字前提でやっている事業なんですよ。でも、なぜ赤字でもやるかというと、今、ウチには放課後デイに通っている中学生の子たちがたくさんいて、その子たちのセイフティネットとして必要だから。アイムのテーマは、子どもの将来について、保護者が不安に思わないインフラを作ること。だから、赤字でもやらないといけない理由があるんです!■市場から「置いてきぼり」にされる福祉の世界――支援学校と同様に、就労支援にも疑問を感じて、アイムで取り組まれているそうですね? 既存の就労支援のどんなところに問題を感じているのですか?佐藤さん:いろいろありますが…例えば、就労支援に行くと、まず、みんなあいさつの訓練をさせられます。見学に行ったことありますか? 行くと、みんなが無条件に一斉に立って「いらっしゃいませ!」って言うから。トイレ行く時だって、みんな「佐藤さん、トイレに行っていいですか?」って聞いてくるの。トイレ行くのにどうして許可が必要なわけ? みんなロボットみたいになっちゃうんですよ。――確かに、そういう雰囲気がある気もしますね…。佐藤さん:でも、そもそも仕事において、あいさつってそんなに重要なの? それで売り上げが上がるんですか? 僕は、あいさつなんかより儲かる就労支援をつくることの方がずっと重要だと思ってます。だから、福祉業界の人に「あいさつはいりません!」って言ったら、「佐藤さん、それでは社会性が身につきません」って言われました。じゃあ、普通の世間一般の会社の社員が同じようなあいさつをしているのでしょうか? あいさつをしなくてもいい業種はたくさんありますよね。それでも全ての社員は型にはまったあいさつをしないと社会性がないといえるのでしょうか? 仕事においてどこに価値を求めるのかという話なんですよ。――確かに…。佐藤さん:どんな大手企業でも、行動パターンを変えられなければ、いつかはつぶれてしまうと思います。市場が変わっているのに、会社の倫理観、価値観、戦略、全部変えられないままでは、市場から置いてきぼりにされる。学校や福祉の世界でも、これと同じようなことが起こるはずなんです。しかし、助成金によって雇用も給料も守られているわけで、福祉は保険点数でも守られているからつぶれることがないわけです。こんなの民間企業だったら、とっくに淘汰されていてもおかしくないです(苦笑)。制度の枠組みで仕方ないのですが、そもそも行政からみて就労支援は「就職」でなく「介護」の延長線上にあります。なぜかというと、就労支援に配置される資格者は介護士なんですよ。これまでビジネス経験のない介護資格者がいきなり売り上げを求められるわけです。だから、発達障害の子たちのために利益分配を考えるのは、かなりハードルが高い話なんです。――そういう現状を、きちんと親が知って考えるべきなんですね…。佐藤さん:お母さんはみんな、「将来この子が困らないように」って療育で訓練することばかりに夢中になっているけど、だれも「出口」のことを考えていないし調べてもいない。僕は、「出口」のことしか考えてなくて、それは就労です。その子が自分の力で就職できるのか否かという明確なラインがあって、そこしか見ていない。今、支援学校を卒業した後の進路は、2つしかないんです。ひとつは、特例子会社に就職する。もうひとつは、就労支援に行く。一般企業に普通に就職できない子の出口は、就労支援しかないんです。将来、わが子の就職が難しいと考えた時、親として考えるのは、どういう就労支援だったらわが子が充実した毎日が送れるかということ。そこしかないんです。既存の就労支援には、がっちゃんを通わせたいと思えるような施設がなかったので自分たちでやる必要性を感じたわけです。――特例子会社の方はどうなのでしょうか?佐藤さん:特例子会社っていうのは、企業枠で障害者を2.3%雇用しなければならないという決まりがあって最低賃金が発生します。で、特例子会社は大手企業が多いから、ほとんどが都心にあって、オフィスで事務作業をすることができます。でも、僕から見ると、特例子会社も就労支援も両方同じようなもんですよ。封筒やチラシ折ったり、昭和の内職みたいな仕事をしている。もちろん、その子がその仕事を楽しんでいればいいけれど。――でも、キレイなオフィスで働けて最低賃金が発生するなら、保護者にとったら就労支援より特定子会社に入るほうが理想的ですね?佐藤さん:でも、特例子会社は民間企業だから、ある程度の基準を満たさないと入れないし、枠も限られています。加えて、都心のオフィスに通うために、通勤ラッシュにも耐えられる子が採用の前提となります。そうすると、当然、ある程度コミュニケーションがとれる軽度の子が採用されるんですよ。――そうすると先ほどのお話のように、重度な子は特例子会社には入れず、就労支援に行く進路しかない、というわけですね?佐藤さん:ウチのがっちゃんは、まさにそこなんです。特例子会社に行く子たちは、比較的障害が軽いので、社会で働いて賃金を稼いで満足を得ることができます。でも、がっちゃんは給料をもらってもよくわからないから、「このつまんない作業はなんなんだ!?」で終わっちゃう。――働くことにおいて、がっちゃんの幸せはどこにあるとお考えですか?佐藤さん:がっちゃんはあまりにも謎が多すぎてまだわからない(笑)。でも、親として、特例子会社に行くことががっちゃんの喜びにならないことはわかっています。だから、どういう就労支援だったら楽しめるのか、ということをずっと考えています。がっちゃんはかなり自閉症ど真ん中なので、ウチの子のニーズを満たせれば、ほぼすべての自閉症児のニーズを満たせると思ってる。がっちゃんの問題を解決することが、幅広い子どもたちの問題を解決することにつながる。それがどういう就労支援なのかということを、いくつか実験しているところです。 ■就労支援もきちんと利益を追求、「儲からない仕組み」を根本から改革――その手始めとして、就労支援ルピアをアイムの傘下に入れたのですね?佐藤さん:そうなんですよ、ルピアさんの協力で。おかげで、就労支援の仕組みがだいたいわかってきたので、来年のどこかで、ウチ独自のアートの就労支援を作ろうと計画しています。その後は、飲食の就労支援も考えています。カフェがいいのかビュッフェスタイルがいいのか…?どうやったら最小限の労力で最大限の利益を上げられるか、そこを必死に考えています。よく、福祉の世界は利益追求反対という風潮があるけど、資本主義の中で生きている以上避けられません。ビジネスとして利益をあげて、利用者の環境のために再投資をしていくために利益は大切なんですよ。――確かに、既存の就労支援って、あまり利益を出そうという雰囲気がないですよね…。佐藤さん:そこが就労支援の大きな問題なんです。就労支援は保険点数でまかなってるから、つぶれることがない。だから、彼らは利益なんか出なくてもいいんですよ。危機感が非常に薄い!ルピアも最初は課題が大きかったですよ。当初はお店もボロボロでいかにも「福祉!」っていう感じで…。 だから、アイムでプロデュースしてオシャレに改装したんですよ。すると後日、店の責任者は「全然効果ない」って言うから、よくよく話を聞いてみたら、なんと就労支援だからという理由で週末にお店を閉めていたんですよ! もう、ビックリしちゃって(爆笑)。お店、つまり小売りでしょう? 小売り店舗で土日閉まってるって、その時点で売り上げが出るはずもなく(笑)。福祉にいると、商品やサービスを提供するって時点で、就労支援も民間企業との競争になるっていう認識が薄くなるんです。もちろんその後、週末にお店を営業したら、案の上、売り上げは3倍になったわけで、みんなハッピー(笑)。一般的な就労支援を見ると、仕事内容が、ビラを折るとかボールペンの組み立てだったりするわけです。こんなところに入るために、支援学校で3年間も訓練させられたの!? って思いませんか?■既存の施設や他人に親は振り回されるだけ…子どもの将来はゆだねない!――確かに。親子で一生懸命職業訓練して、でも、その先がそんな職場ばかりだったら浮かばれないですよね…。佐藤さん:普通の就労支援でも、その子が働くことを楽しんでいればいいんです。でも、私から見たら、昭和の内職みたいな仕事をして時給100円の世界ですよ。実際にそれが合わずに引きこもりで終わってしまう障害者が多いと聞きます。特例子会社にしても、お母さんがわが子の就職先にそこを目指して、二人三脚で支援学校で3年間一生懸命訓練しても入れなくて。「ずっとがんばってきたのに特例子会社に入れなかった」って泣いたり落ち込んだりしている姿をいっぱい見ます。でも、全然落ち込む必要ないですよ!ってお母さんたちに言っています。だって、そんなところに入れなくたって、アイムがその子たちに合う就労支援を作ればいいだけのことでしょう?――そうしたら、お母さんも子どもの将来について余計な心配しなくてすみますね。佐藤さん:今ある既存の施設や他人に将来をゆだねると、親は振り回されるだけ。どうでもいいことで落ち込んだり泣いたりしてしまう。よく保護者が「将来、この子が困らないように、しつけてる」とか「療育で訓練してる」って言うけど、こんなところに入れてもらうために、子どもの個性をねじまげてまで訓練する必要なんてないですよ。大事なのは、その子自身をどうこうすることではなく、その子が生き生きと生活できる環境を与えること。だから、子どもがそのままでも安心して働ける楽しい就労支援を、アイムは目指します。そのために、ウチは「就労継続支援B型」をやるんです! ウチは「移行支援」には手を出さず、どんつきである「継続支援B型」をやります。(※)だって、たとえばうつ病とかなら、訓練してまた社会復帰できる可能性もあるかもしれないけど、自閉症は治らないから、訓練を受ければ復帰できるというわけじゃないじゃないですよね? それに「移行支援」では2年間しか訓練を受けられないから、最終的には「B型」に突っ込んで、「はい! おしまい!」なんですよ。その先のことは彼らにはあまり関係ないから。でも、これだとうちの息子の場合は困るわけですよ。※就労支援には、「就労移行支援」と「就労継続支援」の2タイプがあります。「就労移行支援」とは、一般企業への就職をサポートする訓練支援(2年間限定)なのに対して、「継続支援」は一般企業への就職が困難な障害者に就労の場を提供する支援です。さらに、「継続支援」には「A型」と「B型」の2タイプがあり、「B型」は「A型」の仕事が困難な障害者が対象となります。■健常者が「うらやましい!」と思うような就労支援を提供したい――アイムで就労支援を立ち上げるにあたって、さまざまな施設を見学に行かれたと思うのですが、参考になりそうなところはありましたか?佐藤さん:学ぶべき就労支援はたくさんありますよ。例えば、名古屋にある「世界の植物と昆虫のお店『APERO HYLE』」。虫好きの自閉症の子たちが昆虫や植物を育てて、それを売るの。ヘラクレスオオカブトとか高価な虫は1匹3万円ほどの値がつくんですよ。1日の売り上げが10万円あるから「B型」なのに、最低賃金も払えてるの! すごいなぁ〜って。――さまざまな施設を見学されて、アイムの方向性は決まりましたか?佐藤さん:ウチは川崎に3種類違う就労支援をもちたいと思ってます。だいたい3タイプくらいあれば、すべての生徒を対応ができるかな、と。アートの就労支援は決まったので、今年中に設立します。あとの2つは、案は出ているけれど、その時の状況や人材など、いろいろな要素が絡んでくるから、今のところリサーチにとどめています。でも、2年以内には作る予定です。――相変わらずすごいスピード感ですね。佐藤さん:福祉や教育は業界の特質として変わりにくいっていう前提で考えた方がいいですよ。だから、自分で作った方がずっと早いわけ。今の福祉制度をうまく使って、アイムでは新しい視点で就労支援を提供したいと思っています。もちろん、働く本人たちが楽しいっていうのが大前提なんだけど、一番重要なのは、健常者が「ここに通いたい」「こんな素敵な場所で楽しそうな仕事ができていいな」って思えるような施設を作ることだと思うんですよね。障害者がなんでかわいそうに見えるのか、それは、みすぼらしい場所にいるからだと思うんですよ。だから、うちのテーマは、健常者がうらやましいと思える職場を障害者に提供することなんです。――保護者も、福祉に頼るだけでなく、自ら行動を起こすべきなんですね。とはいえ、普通のお母さん(私)は佐藤さんのように、ガシガシ動ける自信もないのですが(苦笑)。佐藤さん:じゃあ、川崎に引っ越してきて、ウチに通えばいいじゃないですか(笑)。最近では、療育をしないというアイムの方針が浸透して、それに賛同する保護者がウチに通いたいと遠方から引っ越してきてるんですよ。だから、ウチの生徒になったら、ちゃんとアイムとして最後まで面倒を見たいなと思っています。今年の秋から、グループホームも始めました。放課後デイ→フリースクール→就労支援→グループホームと一つのレールを敷くことで、保護者の不安を取り除き、発達障害の子育てを明るいものにしたいと思っています。「すべての子どもがあこがれるような居場所を。健常者がうらやむような職場を」と、驚くような勢いで、発達障害の子どもたちの充実した人生のためのインフラ作りを進める、佐藤さん。その原動力は、「親として子どもに納得できる環境を与えたい」という想いだった。誰もが佐藤さんのように動けるわけではないが、障害を持つ子の親であれば、誰しも同じ想いを持っているのではないだろうか? わが子の幸せな働き方ってなんだろう? そのために、私は親として何ができるだろう? 改めて考えさせられた取材だった。取材・文/まちとこ出版社N
2018年01月25日2017年11月25日から12月5日に、LITALICO発達ナビでは「女の子の発達障害に関するアンケート」を行いました。発達障害のある子どもの保護者677名、発達障害の当事者445名の声が寄せられました。ご協力いただいたユーザーの皆様、どうもありがとうございました。この記事では、「約450名の当事者が回答!女の子の発達障害、勉強や仕事、恋愛、交友関係など悩みや解決策は?」とし、調査結果の一部を抜粋し、お伝えします。保護者の声については、「約700名の保護者が回答!女の子の発達障害、学校や友達との関係、身だしなみの悩みや解決策は?」でご紹介しています。<調査対象について>「LITALICO発達ナビ」会員へのメールから、アンケートフォームにて回答いただいた発達障害の当事者445名の回答を集計しました。(調査期間:2017年11月25日~12月5日)※設問によっては445名全員が回答していないもの、複数回答可のものがあります。※調査結果の構成割合は四捨五入をしているため、合計が100%にならない場合があります。女の子の発達障害とは?発達ナビに寄せられた、当事者約450人の声出典 : 「約450名の当事者が回答!女の子の発達障害、勉強や仕事、恋愛、交友関係など悩みや解決策は?」では、発達障害のある女性の当事者445名が回答。現状や不安に思っていること、悩み、解決策までが寄せられました。30代~40代を中心に、主に成人の発達障害当事者が回答Upload By 発達ナビ編集部70%弱が就職後に発達障害に気づくUpload By 発達ナビ編集部70%弱が就職後、続いて大学・専門学校のころに発達障害に気づいたと回答しています。保護者が回答した「約700名の保護者が回答!女の子の発達障害、学校や友達との関係、身だしなみの悩みや解決策は?」では、約60%が就学前に気づいたのと対照的です。成人当事者が幼少期のころは発達障害が認知されていなかった、比較的障害の程度が軽度などの理由で学校生活では問題が起きにくかったなど、さまざまな原因が考えられます。発達障害があることに気づいたきっかけとしては、■人間関係・仕事(28件)■子どもの診断(24件)■WEBや書籍などの情報(18件)■二次障害の発症(8件)があげられています。人間関係・仕事でのきっかけについては、「人間関係がうまくいかない」など、日常生活や職場での人間関係でつまづいたという声や、「仕事で複数の指示の聞き漏らしや、仕事を完遂できないことが頻発し、自分はおかしいと思ったため」など、仕事でのミスがきっかけだったという声が目立ちました。また、子どもの診断がきっかけの人は、「自身の子どもに発達障害の疑いを持ち調べているうちに自身の発達障害を疑いだした」というように、子どもの特性と自身の特性が似ていたり、子どもの診断をきっかけに発達障害について調べるうちに自分の特性に気づいた、という人が多いようです。WEBや書籍などの情報については、「小学校に上がってから、自分の異質感を感じてはいました。(中略)大人の発達障害の概念はまだ、一般的でなく情報は得られませんでした。不調をきたし適応障害からの抑うつ状態との診断で約5年、加療しました。その後勤め先が変わり、全然対応できないことで、色々検索したら、大人の発達障害が広がる少し前でしたが、情報があり、受診しました」というように、情報が手に入りやすくなったことで診断につながったという声もありました。また、早めに気づけなかったことから、二次障害を発症してしまった例も複数あるようです。約73%が二次障害を発症Upload By 発達ナビ編集部約73%が二次障害を発症しています。二次障害の発症率は「約700名の保護者が回答!女の子の発達障害、学校や友達との関係、身だしなみの悩みや解決策は?」では約40%でした。二次障害の内容としては■うつ(96件)■不登校(28件)■不安障害(18件)が多くあげられました。「離人感、フラッシュバック、躁鬱、過覚醒、過活動、不安、孤独感、過食、過眠、性的逸脱、など。あげていったらキリがないのでこの辺りで」などのように、摂食障害、パニック障害、不安障害など複数の二次障害があるケースもみられました。約84%が友人関係で困難やトラブルを経験Upload By 発達ナビ編集部約84%が友人関係での困難やトラブルを経験していますが、その内容としては下記2つが多くあげられました。■グループに入れない・いじめ(56件)■会話がうまくできない(54件)暗黙のルールなどが分からず、グループになるとどう振る舞っていいか分からなかったという回答が多く寄せられました。「女性社会の暗黙のルールが分からず、何をすると浮いてしまうのかが分からなかった」「個人間では話せるがグループや団体になったりすると楽しく過ごせない」「集団の時の疎外感。親しめる人への距離の近さから「友人の彼氏」にも近すぎてしまい誤解された」のように、距離感がうまく取れないことから、トラブルにつながった例もありました。また、いじめのターゲットとなったという回答も多くありました。グループに入れず仲間外れにされた人や、集団対自分でひどい行為を受けたという場合も。「みんな離れていきました。ある方たちには酷い!と言われたことがあります」「小学生~中学生にかけては、仲間外れなんかは当たり前でしたし、教師込みでの葬式ごっこにもあっています。 呼び出されて給食室に行くと、給食を運ぶエレベーターに友達に閉じ込められて、授業に出られなかった時がありましたが、何故か私が怒られていましたねぇ」会話についても困難やトラブルの原因となっているようです。学校や職場でのなにげない会話がうまくできないことから、人間関係につまづいてしまうようです。「雑談の話題作りのしかたや、興味のない話題への相づちの打ち方が分からず、孤立したこと」「雑談が苦手、孤立しがち」「余計なことを言ってしまい空気が冷え込み、距離をもたれる」のように、雑談が苦手、がんばって話そうとすると余計な発言をしてしまう」などの回答がありました。「怒らせるつもりは無いのに怒らせる。騒音や刺激物に気をとられ話を聞き逃す。話を聞いてないと言われる」「友達の話にすぐ理解、反応できず、自分1人だけ浮いてしまう。相手の表面どおりの言葉を真に受けてしまうので、その特質を利用されて仲間外れにされてしまう」のように、聴覚過敏や、額面通りに受け取ってしまうというような、特性ゆえにコミュニケーションが難しいという回答も目立ちました。約73%が親子関係で困難やトラブルを経験Upload By 発達ナビ編集部保護者との関係でも、多くの当事者が困難やトラブルを経験しています。その内容としては、次のようになっています。■喧嘩(24件)■無理解(21件)■暴力・虐待(13件)■過干渉(5件)ストレスなどから、すぐ喧嘩になってしまうという声が多くあがりました。「学校で感じているストレスの発散場所が無く、親に対して暴言、暴力でストレスを発散していました」「母親とは対立。結婚してからは兄弟のお嫁さんに対立。私以外の人間がルーズでだらしがないので、イライラしてしまう」理解してもらえず苦しんだという声も多く寄せられました。「親に子供の立場に立って考えてもらえないことが多かった」「自分のことを理解してもらえない」保護者の思う理想像との違いから、批判されて苦しんだという人もいます。「母が特性や辛さを理解せず、母の考える『普通』(実は理想の娘像)との違いで始終ダメ出しばかりだった」「友達がいないことを母親に責められた。冷たい人間と言われた」発達障害への認知がなかったために、不登校も許されなかったという例もありました。「親に発達障害の知識がなかったため、病院に行くまで学校に行くことを強要されていた。行かなかったら殴られていた」暴言・暴力などの虐待を受けていたという人も複数いました。「父親が厳し過ぎて、いつのまにか人の顔色を伺い、心も体も疲れはてた」「虐待を受けていた(身体、精神)。 意見を言う事や、何かを要求する事は禁止されていた。 できない事はずっと否定され、理解してもらえなかった」「母親には、かなり叩かれていました。本当に死ぬんじゃないかな?って思うぐらいに…。(中略) 一番辛かったのが、『夜眠れないのよぉー!』と言いながら、徹夜で朝まで説教で、寝させてくれませんでした。本当にツラかった」以上のように、本来、落ち着ける場所・逃げ場であるはずの家庭でも強いストレスを感じざるをえなかった様子がうかがえます。90%以上が学校や職場でトラブルや困難を経験Upload By 発達ナビ編集部多くの当事者が、学校や職場でのトラブルや困難に直面しており、特に仕事でのトラブルや職場での人間関係に悩んでいる様子がうかがえました。■仕事でのトラブル(35件)■人間関係(35件)■学習の遅れ(15件)仕事でのトラブルについては、スムーズにこなせなかったり、ミスをしてしまうという例が多くあげられました。「上司の指示が理解できない、仕事のミスが多い、人の気持ちが分からない、時間や締め切りを守れない、仕事中に眠くなってしまう」「やらなければならないことを優先度合いで順番をつけ実行するのが苦手なため、いつも手一杯で結果も中途半端」「電話対応の仕事をした時に、電話しながらメモができなくて、電話を切ったあとに、内容を忘れる相手の名前や会社の名前を忘れる」「マニュアルがないと戸惑う。マニュアルから逸脱するのに抵抗がある」「仕事では、不注意のため介護現場で利用者さんに怪我をさせてしまった」また職場での人間関係についても、世間話ができなかったり、飲み会への参加が苦痛で断るうちに、同僚との関係がぎくしゃくしてしまうようです。「休憩時間の世間話が上手くいかない」「飲み会が苦痛」「飲み会への不参加が続く。何度も誘われるが仕事するだけでいっぱいいっぱいでヘトヘトなので何度も断り嫌われる」ただ、中には「以前は多くあったが、現在の職場にはカミングアウトして、できないところのサポートと配慮をしてもらいやすくなった」という風に、発達障害について周囲に伝えることで、必要な配慮をしてもらえるようになったという回答もありました。第二次性徴時の体の変化についての困難やトラブルの内容に、特徴があるUpload By 発達ナビ編集部第二次性徴時の体の変化については、約半数は困難やトラブルを経験しなかったという回答でしたが、約25%からは、次のような困難やトラブルについての声があがりました。■体の変化が受け入れられない(13件)■PMSなど生理に関連する体調不良(12件)■自分の性別への違和感(9件)まず、急激な体の変化についていかず、対応ができなかったという意見が目立ちました。「自分に何が起こったのか理解できなかった。受け入れがたかった」「急激な身体の変化による不安や不眠」「ブラジャーをつけることが物凄く気持ち悪く、つけずにいたら母に酷く叱られた。月経にもなかなか対応できず下着を汚してばかりいた」生理に関する困難も多くあげられました。ホルモンバランスの変化によるイライラのほか、一定しない生理周期にパニックになる、ゆううつになるなどの例も。「10才くらいで初潮がありPMSが現在もきついです。思春期はいつもイライラしてて家の中で荒れていました」「生理が来なくなったり、早まったりと予測ができず初めはパニックになることが多かった」「生理前のゆううつ感、自殺願望、生理が来るたびになんで妊娠しないのにと思った」それまで意識していなかった性差に直面し、自分の性を受け入れられない、理解が難しかったという人もいました。「自分の性別を受け入れられない」「女の体になるのが気持ち悪かった。今も、胸を潰して腰を狭くできるならそうしたい」「性別の概念がよく分からないので、勝手に分けられる体になることに抵抗があった」困難やトラブルがあった25%については、体の急激な変化に加え、大人の女性として見られていくことに対して、うまく対応ができず混乱してしまったことがうかがえました。約62%が学習面での困難を経験しているUpload By 発達ナビ編集部学習面での困難としては、下記のような内容が多く寄せられました。■得意不得意の差が大きい(33件)■集中できない(17件)■読み書き困難(12件)■宿題忘れ(8件)得意不得意の差が大きいという人の中でも、算数・数学ができないという回答が20件ありました。「数学が全然分からなかった」「今思えば数学が極端にできない。答えが1つである性質には魅力を感じるのだが、できない」「算数の繰り上がりの足し算から分からなくなった。(中略)コンパスなどをうまく使えず、図形の問題に時間がかかった」また、国語や英語について苦手感があるという声も数件ありました。「漢字は読めるのに、書くことができない。英語のスペルが全く覚えられない」「漢字が覚えられない。忘れるのが早い」「文法が苦手なため国語や英語も苦手で覚えられなかった」逆に、「小数点や分数の計算は未だにできない。(中略)文を書く事は好きだったため、国語表現の成績だけはよかった」など、得意な科目についてはよくできたという声もありました。集中力のなさからの困難としては、下記のような例があげられました。「集中力が続かない、文章は読めても理解できない」「集中して聞き続けられない、書字が遅く、また聞いていることを要約しながら書けないため板書が困難」「過度集中の特性を持ちつつも、通常時に机に向かって一つのことに集中していられない」また、過集中の特性を生かせるときと生かせないときがあるという人もいました。「過集中の時はテストの成績も良いが、そうじゃないと全く勉強できない」「始める前に色々と考えてしまうと、思考で頭がいっぱいになってしまい、何もできなくなる。ただし、一度始めれば一般的以上の集中力や成果を発揮」読み書き困難については、次のような回答がありました。「文章題の意味が取れない」「成人してからも逆さ字をかいてしまう。読めるけどかけない」「指示代名詞の理解が難しい。『ちゃ、ちゅ』など小さな文字の読み書きができない」また、板書がなくなったことで理解が難しくなったという場合もあるようです。「先生の言葉だけでは理解できないので、高校大学で黒板などをほとんど使わなくなってくるとついていけなくなった」教科によって得意不得意の凸凹が大きかったり、不器用さや集中できないことなどから勉強に支障が出てしまう場合が多くあるようです。約半数が、ファッションや身だしなみでのトラブルや困難を経験Upload By 発達ナビ編集部ファッションや身だしなみに関しては、約半数が困難やトラブルを経験しています。以下のように、そもそもファッションに興味を持てない、適切な服装を自分で考えることが苦手、不器用さなどから身だしなみを整えるのが苦手、感覚過敏があり着られるものが限定されるといった面があるようです。■TPOに合う服装が分からない(26件)■無頓着・だらしない(23件)■不衛生(15件)■感覚過敏(10件)TPOに合う服装が分からないという回答が一番多く寄せられました。具体的には、細かな指示がないと何を着ていいのか分からない、季節に合わせた服装ができないなどの声がありました。「ドレスコードが分からない」「制服以外で、日中の外出に何を着たらいいか分からなかった。無地で2色くらいが無難と気付くまでは、ちぐはぐな上下を組み合わせていたと思う」「Tシャツ、ジーパン不可の指示で、ポロシャツとチノパンで行ったら、怒られた」「どんな服装が適切か(温度との関係など)がよく分からない」無頓着・だらしないという回答については、下記のような具体例があげられました。興味が持てなかったため無頓着になってしまったり、不器用さなどからルーズな着こなしになってしまうことが多いようです。「2児の母ですが、未だに化粧もせず(そもそも興味が持てない、面倒)、ファッションも気にすることができない。歯磨きも幼少の頃から苦手でうまくできないまま。ムダ毛を剃っても剃り残しが頻発」「今はかなり気をつけていますが、背中が出てる、パンツ見えてるはよくいわれてました」感覚過敏についての声も寄せられました。しめつけや素材感に苦手なポイントがある、髪に触れるのがイヤでまとめられないという声が目立ちました。「合わない服だとストレスで具合が悪くなる。肌に化粧品を塗るのが苦痛」「服のタグがチクチクしてたまらなかった。締め付けがキツく感じ、下着を選ぶのが困難」「髪の毛は自分で始末が付けられず、ボサボサのまま学校に行っていました。また首に何かが触れるのが嫌で、ハイネックやタートルネックは着られませんでした。(中略)ストッキングは大嫌いで、履かなければならない日は物凄く不機嫌になります」約40%が異性関係でのトラブルを経験Upload By 発達ナビ編集部約40%が異性関係でのトラブルを経験しており、具体的には次のような内容があげられました。■適切な関係が築けない(36件)■性被害(29件)■距離感(21件)■依存(12件)適切な関係が築けないという人が最も多くいました。誘われたら断れない、好きという意味が分からないので恋愛がゲームのようになってしまうという場合も。「複数人と関係をもってしまう、誘われたら断らない」「結婚が長続きしない。離婚3回」「言いなりになりがち」「恋人がころころ変わる、付き合い始める前のかけひきみたいな状態が好きで、後先考えずにそういう雰囲気にもっていってしまう」「誰かと付き合っていても別の人間を好きになってしまうことがあり、そもそも恋愛的な意味での好きとは何なのかが分からなくなっている」また、「出会い系に手を出して、ストーカー被害にあった」「交際していない中年男性によるつきまといなどのストーカー被害」というように、性被害にあいやすいという人も多くいました。中には「8ヶ月間軟禁された」という人までおり、深刻さがうかがえました。不適切な距離感によるトラブルとしては「しつこく連絡して嫌われた」「勝手に気に入ってつきまとう」というように、しつこくしてしまい嫌われてしまうという例や、「好きじゃない人にも好意的に接してしまい、言い寄られる」「両思いだと勘違いされる」など距離感が分からないことなどが原因で、行為があると誤解されてしまうという例がありました。「男性との距離感で友人から恋仲との区切りが分からず「仲良いよね」と言われると、ベタベタされても、納得していた」という風に、自分では判断できない場合もあるようです。また、依存については、「性依存。浮気」「性的逸脱、共依存」「セックスフレンドにはまった」のように、性的に依存しまったり、「元夫に精神的DVを受けていた。共依存関係だった」「依存してしまいお金を貢いだり、妊娠して逃げられたりした」のように共依存となりDVを受けたり貢いだりしてしまうことも。このように、異性関係でのトラブルは、性暴力やDVなど精神的にも身体的にも大きな影響出てしまう可能性があります。異性関係のトラブルの原因とは?出典 : では、どうして異性関係でトラブルとなってしまうのでしょうか。その原因について、どのように認識しているかについても聞きました。■人の気持ちや距離感が分からないから(26件)■自己肯定感の低さ(21件)■性的知識の未熟さ(13件)どんな人とも同じような距離感で接してしまう、自己肯定感が低いために依存してしまう、性的なハードルが低すぎてトラブルに巻き込まれるというような声が目立ちました。約65%が恋愛や結婚をしたいが向いていないと考えている出典 : By 発達ナビ編集部約65%が、恋愛や結婚をしたいと考えているものの、向いていないと考えています。異性関係でのトラブルの経験などから、希望はあっても自分は恋愛や結婚に向いていないと考えてしまう人の割合が多くなっているようです。困難やトラブルの対応策・解決策は?出典 : 学校や仕事、交友関係など、さまざまな場面で生きにくさを感じている発達障害のある女性。でも、自分なりの対応策や解決策を見出している人も多くいます。■逃げたり放置して身を守る(22件)■冷静に整理・分析する(22件)■相談する(22件)■あやまる(10件)逃げたり放置して、身を守る例としては下記のようなものがあげられました。「環境を変えられるなら変える」「信頼回復に努める。職場や交遊関係なら離れる、逃げる」「直後であれば、落ち着ける場所に逃げる。または、保護してくださる方がいたら、頼って話を聞いてもらう。落ち着いてきたら、現状を自分なりに整理し、迷惑をかけた方々に最適と思う対応をする。決して必要以上にへりくだらない」どうしても合わない場合などは、無理せず職場や交友関係から離れて、心が壊れないように身を守るという方法です。冷静に整理・分析するという意見もありました。まず、起こっているトラブルを紙に書き出すなどして、客観的にみつめ、書籍を読むなどして対応策を考えて、対応するという方法です。「紙に書き出し整理する」「書き出す、フローチャートを作る」「参考になりそうな本を読む」「疑問、要因を確認する。自分が悪かったと思われるところは、相手に謝るようにしている」「尊敬する人をイメージして、その人が今この時なんと答えてくれるか、どんなリアクションをとるか考える」また、信頼できる家族やカウンセラーなどに相談することで、客観的にみることができたり、対応策が見つけられるという人もいました。「とりあえずあやまる」「早めに謝る」というように、トラブルがおきたらすぐにあやまることで問題を大きくさせないという意見も目立ちました。当事者が実際にとっている多くの対応策・解決策から、場合によってはまずは謝ってその場をおさめたり、がんばりすぎず、時には諦めたり離れたりすることも、自衛のためには大切だということが分かりました。相談相手はいる?誰に相談しているの?Upload By 発達ナビ編集部相談相手がいると回答したのは約65%。相談先としては、下記のような結果となりました。■家族(52件)■友人(25件)■カウンセラー(22件)■医療機関(13件)■修了支援施設の職員(5件)対応策・解決策のひとつとして、相談することで客観的に見ることができたり、身の安全を守ることができたりするという声が寄せられていました。信頼できる相談先を持っていることはとても重要です。特性を生かして、活動・仕事をしている人も出典 : 「ご自身の発達障害特性を生かした活動をされている場合、どのような特性をどのような活動で生かしているか教えてください」という問いに対し、下記のような回答が寄せられました。■当事者支援活動・子育て支援・指導員など(21件)■音楽・美術など芸術関係(16件)■プログラミング・パソコン入力など(8件)■子育て(7件)子どもを指導したり、カウンセリングをする中で、当事者としての経験を生かして、寄り添うことができるという声が最も多くあげられました。「学童保育指導員。自分の過去の失敗から、似た失敗の仕方をする子どもに、前向きな言い換えで指導できた」「教諭として自分の取説を作れるように自己理解を深めるような指導をしてきた。今は、多機能型通所事業所で指導員として勤務している。ご利用者のお子さまの気持ちも分かる。親御さんの気持ちも分かる。いろいろあるけど、自分は自分を認めたい」「同じような悩みの人に、自分の経験が役立てばと、カウンセラーを目指しているところです」視覚や聴覚の優位さなどの特性を生かし、芸術系の職につき、活躍している人もいました。「昔から絵を描く事にたけているので、美大を出て今も主婦として絵画の制作活動をしている」「絶対音感とリズム感を生かして、音楽活動をしている。色彩感覚や細かな絵を描くことが得意で、絵を描くことを仕事にしている」「フリーランスですが舞台に立つことや音楽、グラフィックデザインなどでもお金を得ています「企業内グラフィックデザイナーで就労していた」同様に、特性を生かしてプログラミングやデータ入力などの職についている人もいました。「プログラミングができるので、システムエンジニアとして就職」「独身時代は、システム開発の仕事で重用されていた。 通常の言語とは異なり、プログラミング言語は私の考えを表すのに適していると感じていた」「パソコン入力、経理など」また、発達障害がある子どもを育てるうえで、自分自身の経験が役立っているという回答もありました。今回の調査結果から今回の調査結果から、女性ならではの不安や困難を感じているものの、具体的な解決策が見つけられず悩みながらも、自分自身なりの対応策・解決策を見つけて、折り合いをつけながら生活をしている人がいることも分かりました。LITALICO発達ナビでは1月~2月にかけて「女の子の発達障害」特集を組み、コラム記事を掲載していきます。自分自身だけで抱え込まず、専門機関などに相談するなど第三者を上手に活用したり、書籍やコラム記事で紹介する内容などを取り入れて、ご自身なりの生きやすい方法を見つけていっていただきたいと願っています。
2018年01月24日こだわりが強い、ちょっと変わった子どもだった出典 : 小さいころの私は、ものに対するこだわりがとても強く、枕とタオルケットはいつも使っているものでないとダメ。外に出るときは、いつも好きな人形を抱えていました。はたから見ると変わった子どもだったに違いなかったけれど、両親はよその子と比べることなく育ててくれていました。おかげで、小学校入学前までは、特に問題になることもなく生活できていました。家庭崩壊の危機へ!?不登校になった小学4年生のころ出典 : 小学校に入ると、周りの子どもたちとの違いに自分でも気づくようになりました。他の子が楽しそうにしていることが、自分はまったく楽しくない、何が楽しいのか分からないのです。でも、家でも学校でも、本当の気持ちを見せないでいました。私には兄と弟がいて、3人兄弟を育てる両親は本当に大変そうでした。それで「いい子でなければいけない」「素直でニコニコしてなきゃいけない」と思い込んでいたのです。だからか、誰も私の違和感に気づいていないようでした。小学校4年になった頃、私は、当時まだ珍しかった不登校になりました。何か決定的な出来事や明確な原因があったわけではありません。でも、ある日突然、学校に行くのが嫌になりました。クラスメートと話が合わず学校生活が苦痛だったことと、家族の前ではいい子を演じていたことなどが重なって、限界が来たのだろうと今は思います。出典 : 不登校になると、両親の態度は一変しました。毎日のように両親と言い争いをするようになったのです。母親からは「今日は学校行かないの?」から始まり「なんで学校に行ってくれないの!」と何度も言われました。父親には「今のうちからこんな生活をして、将来どうやって生きていくつもりなんだ?」と責められました。私からも、母親に対して「親の育て方が悪かったんだ!」とか「親なのになんで分かってくれないんだ!」など、傷つけてしまうような言葉を何度もぶつけてしまいました。以前は笑顔があふれていた夕食のだんらんは、暗い顔で黙って食事をとるだけの時間に。小学校に上がった弟まで「お兄ちゃんが休んでるなら僕も学校休みたい」と言いだす始末で、両親の顔はさらに暗くなっていきました。そのころの私は、両親は自分のことも周りのことも、何でも知ってる万能な存在だと信じていました。それまでは、私が何も言わなくてもいろんなことを察してくれていたし、質問すれば何でも答えてくれていたからです。「今までは何も説明しなくても全部分かってくれていたのに、どうして今のつらい気持ちを分かってくれないんだ!」なんてことをずっと考えていました。両親の変化と、夢中になれるものとの出会いが、私を変えた出典 : 毎日言い争う生活が1年半程続いたころ、徐々に光が見えてくるようになりました。話し合いを通して、両親は何でも知っている万能な存在ではなく、ただのひとりの人間なんだということに気づいたのです。両親はさまざまな本を読んだり専門家に相談するようになりました。そして、私への対応に変化があらわれてきたのです。母は仕事を休職し、不登校で家にいる私とよく話すようになりました。以前は「なんで学校に行かないの?」から始まっていた毎朝のやり取りは、「別に休んでいいからね」「無理していかなくていいよ」という声かけに変わっていました。父親からは「休みたいなら休んでもいいけど、将来のことは自分で責任をとるんだぞ」と言われるようになりました。出典 : なかでも一番大きく変わったのは、両親がちょっとしたことでほめてくれるようになったことです。特に母親はとても大げさにほめてくれるようになりました。ちょっといいことがあっただけで、とてつもなくすごいことをしたかのように大げさにほめてくれたのです!それまではテストでいい点を取ったり家事を手伝ったりしても特に何も言ってくれませんでした。だから、初めて母親にほめてもらったとき、私は心底うれしくて、泣きじゃくりながら母親に頭をなでてもらったことを鮮明に覚えています。つらくて固まっていた私の心は、少しずつ解けていきました。出典 : 両親との関係で光が見え始めたころ、私は自分だけのRPG(ロールプレイングゲーム)をつくるゲームと出会いました。数少ない友人から借りたそのゲームが、プログラミングの楽しさを教えてくれました。生まれて初めてのプログラミングは「主人公が家に入ると、その中にいる人の前まで自動的に歩いて話をする」という簡単なものでしたが、私にとっては大きな転機となりました。なぜなら自分の考えや気持ちを言葉にして伝えるのが苦手だった私が、自分の考えをダイレクトに表現することができた初めての体験だったからです。画家が絵で自分を表現するときのように、詩人が詩で考えや感情を表現するときのように、私はプログラミングでなら自分を表現できるかもしれないと思いました。将来は絶対にプログラマーになる!と決めた私は、少しずつ学校に通うようになりました。中学校では少し不登校をぶり返しましたが、何とか地元の工業高等専門学校(通称 高専)に入れる程度の学力を身につけられました。出典 : 私が通った高専は寮生活でした。わが家はいまどき珍しいほど貧乏ではありましたが、親が(本人曰く)清水の舞台から飛び降りる気持ちで私専用のノートパソコンを買ってくれました。私はそのパソコンを使って毎日ひたすら、学校でも寮でも、プログラミングの勉強をしました。学校の敷地内で生活できて、しかも変化の少ないスケジュールの中、ひたすら自分の好きなことにのめり込める環境は、私にとって最高でした。それまでは学校に通うことは苦痛でしかありませんでしたが、高専に入ってようやく、学校を楽しいと思えるようになったのです。希望の職に就職…!打ち砕かれた夢と現実とは出典 : その後プログラマーとして、とあるメーカーの子会社に就職しました。毎日プログラムを組めて、専門知識をいっぱい持っている先輩に囲まれて働くという、バラ色の未来を夢見ていました。ですが、残念ながらそんな期待はすぐに打ち砕かれました。プログラムを組むかわりに、毎日のように私が書いていたのは大量の技術文書。私がやりたいと願っていたプログラミングをする機会はほとんどありませんでした。学生時代の半分もプログラミングできない仕事は、私にとってはやりがいを感じられずとてもつまらないものだったのです。出典 : 就職してからは同期や先輩との付き合いが増えてきたのですが、周りの行動について行けなかった私は、ずっと困惑していました。周りの人たちは私だけが知らない決まったルールに従って動いているように見えていました。誰もそのルールを教えてくれず、誰かがリードしているわけでもないのに、なぜかみんな見えないルールに従っているように見えました。誰かが事前に口裏合わせをしているのだろうと本気で勘ぐったこともありました。私は知らない文化圏に迷い込んだ迷子のようになっていました。「顔つきは日本人で日本語を話しているのに、まるで異国のような文化・慣習の人たちが住む町に迷い込み、一緒に生活することになった」という状況を想像してみてください。私がこのころに感じた孤独感や困惑は、そんなときに味わう心境に似ていると思います。出典 : そんなある朝、突然ベッドから起きられなくなりました。何とか起きて外へ出ても、「車にぶつかれば休める」とか「電車に足一本持って行ってもらえればしばらくゆっくりできるなぁ」などというかなり危険なことが頭をよぎるように。精神科を受診し、うつ状態と診断されました。それから数年間さまざまな抗うつ薬を飲みながら生活していましたが、改善する見込みがなく20代半ばで休職することになりました。半年の休職を経て復職しましたが、復職先の上司には、叱責の度にうつ病のことを言われたり、人格否定をされました。就職してからは滅多に親に電話することはありませんでしたが、上司に人格否定された日は初めて泣きながら両親に電話しました。結局その環境に耐えきれなかった私はまた休みがちになり、最終的に会社を退職して実家に帰ることになりました。ようやくADHDとASDだと診断。両親にもらった勇気と自信に支えられ、管理職に…出典 : 実家で数ヶ月過ごすうちに、もう一度プログラマーとして仕事をしたいという気持ちが出てきました。そこで、とある会社に就職しました。その会社は、私のことをとても高く評価してくださったのです。自分が普通にできることをこなしているだけで周りの人たちが喜んでくれ、高い評価もしてくれる。こんなにうれしいことは社会人になってから数年間ずっとありませんでした。私ははじめて、仕事を面白いと感じるようになりました。その後、現在の会社に転職しました。しかし、ここで私はどうしようもないミスを多発してしまいます。悩み、調べる中で、自分がADHDなのではないかと思い至り、精神科を受診。ADHDとASDという診断を受けました。診断前後で大きく生活は変わってはいません。でも、自分が生きづらいと感じていたことの理由を理解できたことは、自分を理解するうえで大きな手掛かりとなりました。両親にたくさんほめてもらえたことで「自分を認めてくれる場所がある!自分はここにいていいんだ!」と思えるようになっていなければ、いまの私はなかっただろうと思います。発達障害があってもなんとか生活していけるだけの勇気を持たせてくれた両親には感謝しています。不登校のお子さんのいる保護者や支援者の皆さんには、お子さんをたくさんほめてほしいと思います。勇気や自信は、生きていくうえでの土台となるからです。浮き沈みを繰り返しながらも、私は今、管理職として働けるまでになりました。【後編】では、さまざまな生きにくさや挫折を経て、私がようやく掴んだ、無理せず、がんばりすぎず「人生をラクに生きる」サバイバル術についてご紹介します。
2018年01月22日発達障害児とその家族を支えるため、発達障害の正しい理解のための講演活動や、発達障害児を持つ家族のための相談支援活動などを行っている団体、一般社団法人「発達障害ファミリーサポートMarble(マーブル)」。その代表理事を務める国沢真弓さんは自身も、高校生になる自閉症児の母であるため、「当事者家族」の視点からのお話にはとても説得力があり、温かみのある方です。本業がアナウンサーであるため、周囲への「伝え方」のアドバイスは、なるほど! と深く納得できるものばかり。500名以上の発達障害児の家族の相談にのってきた国沢さんに、今回うかがったのは、発達障害の子どもを取り巻く、周囲との上手なコミュニケーション方法について。同じく発達障害の息子を持つ筆者が、「カミングアウトはするべきか?」「するとしたら上手な伝え方は?」、また「身近に発達障害児がいる場合、周囲はどう働きかければいいのか?」などを聞きました。■カミングアウトにあえて障害名を言う必要はない――発達障害の程度が重い場合は、あえて説明しなくても周囲は自然とわかるかもしれませんが、グレーな場合はわかりにくいですよね。特に説明する必要を感じない場合は、黙っていてもいいような気もしてしまいますが、身近なところにはカミングアウトした方が良いのでしょうか?「私が相談を受けた中では、カミングアウトした方が良いケースが多かったです。ただし、その際に、障害名をあえて言わない方が、結果的に良かったようですよ」――障害名をあえて言わないのはなぜでしょうか?「保育園や幼稚園だと、保護者が顔を合わせる機会が多いので、保護者の人となりが大体わかるのですが、小学生になると保護者の顔が見えにくくなってきます。残念ながら、中には噂好きのお母さんがいて、障害名だけ切り取って周囲に言われてしまったという例もあります。もちろん、障害名を伝えてうまくいくケースもあるので一概には言えませんが、カミングアウトする際は、どういう保護者がいるかわからないという想定で考えた方が良いと思います」――具体的には、どう伝えれば良いのでしょう?「上手くいった、ひとつの例をご紹介しましょう。『ホップ・ステップ・ジャンプの伝え方』…と私は名付けているのですが(笑)。まず“ホップ”。ユル~リと、子どもの具体的な行動を伝えます。例えば、『授業などの予定が急に変わると、混乱して泣いてしまうこともあるかと思います』とか『息子の〇〇は気持ちが高ぶると時々、乱暴な行動に出てしまうことがあります』など。ただ、この時、できればマイナス面だけではなくプラス面も話してほしいです。例えば、『小さな子には優しかったりするんですよ』など、良い面もくっつけると、聞いた時の印象が和らぎます。次に、“ステップ”として、子どもの行動に対して親として努力している姿勢を伝えます。例えば、『本人が行動を改められるように、1カ月に1回ほど専門家に相談に行っています』などというふうに『何もしていない訳ではないんだよ』と知らせます。最後に“ジャンプ”として、『〇〇のことで、何かありましたらお知らせください』と、いつでも受け入れる姿勢でいるということも伝えておく。そうすると、『ちょっと子どもはやっかいだけど、この保護者は何かあった時に聞く耳を持っているんだ』と、周囲も安心してくれるでしょう。本当は、しんどいんですけどね(汗)そして余裕があれば、最後に『今日は、話す前は緊張しましたが、親子ともども、楽しい学校生活を送りたいと思っているので、1年間よろしくお願いします』などと前向きな言葉で締められたら、グッド! ちょっとハードルが高いかな(笑)。でも、こんな順番でお話しすると、周囲に受け入れてもらいやすいようで、1クラスに2~3人は、応援してくれる保護者が出てくるケースをたくさん見てきましたよ」――なるほど。受け入れる姿勢を示すことはとても大事ですよね。では、もし、実際に子どものことで保護者からクレームがきた場合は、どう対処するのがベストでしょうか?「『周囲から子どものことでクレームがきた』という相談も、とても多いです。例えば、通常学級では『〇〇君がいると授業が進まない。支援学級にうつった方がいいんじゃないんですか?』なんて言われてしまうことも、残念ながらあります。そういう時は、もし、わが子が授業を中断しているのが事実だとしたら、まず謝ることが大切。そのうえで、『この子の居場所ができるように、クラスメートに迷惑がかからないように、学校と話し合いをしているので、もう少し見守っていただけますか?』とか『今、事態が改善されるよう、専門家にも相談をしています』などと、こちらが努力している姿勢を示しましょう。と言っても、こういう局面で、このように伝えるのは、すごくエネルギーを使いますよね。私も、相談する方のつらさがわかるだけに、なんとか力になれたらと思うんですよ」 ■発達障害の子どもに対して、周囲はどう対応すべき?――次は、逆の立場から考えた時のことをお聞きします。例えば、身近に発達障害の子どもがいた場合、周囲はどう接したら良いのでしょうか?「周囲が『歩み寄りたい』という気持ちを持ってくれたら、とてもありがたいです。発達障害の子どもの性質と接し方のコツを、周囲のみんながわかってくれたら、その子だけでなく、きっとみんなも楽になると思うんです。事実、障害児がいることで、その子を落ち着かせるために一致団結したり工夫したり、クラスがすごくまとまるケースもあるんです。…と言うことを、私たちのような“障害児の親サイド”から言ってしまうと、ちょっと押しつけがましいかもしれませんが(笑)。でも、実際、そういう例はあるんですよ」――「あの子はいろいろ問題行動を起こして迷惑」というふうにとらえるのではなく、「どうすればみんなが快適に過ごせるか?」というふうに視点を変えるのですね?「そうです。『授業を中断されて迷惑』とばっさり切り捨てるような一面的な考え方ではなく、『同じ教室に困っている子がいて、どうすれば解決できるか』を多面的にみんなで考える。その子が落ち着けば、自分たちへの飛び火も消えて、お互いに過ごしやすくなるはずですから。ただ一方的に、その子ばかりを特別扱いするというのではなく、みんなにも良いことがあるということを知ってもらえたら良いですね」――具体的には、周囲はどう接したらいいのでしょうか?「発達障害児に接する基本は4つです。1つは、話しかける時は『おだやかに・短く・肯定的な表現で・具体的に・わかりやすく褒める』。例えば、『廊下は走っちゃダメだよ!』ではなくて、『静かに歩きましょう』。『ちゃんとやってよ!』ではなくて、『〇〇を□時までに△△にしまいましょう』というふうに。2つ目は、あらかじめ予定を伝えることです。例えば、今日1日のスケジュールなどを表にして、『どこで、何が、いつ、誰が』を明記してわかりやすく伝えます。3つ目は、その子が集中できる環境を整えることです。好きなモノを手に握らせるなど、ほかにもその子が落ち着いていられるように工夫します。4つ目は、感覚過敏に配慮することです。発達障害児は知覚・触覚・嗅覚・味覚・平衡感覚が鋭かったり、逆に鈍かったりすることが多いので、近くで大声を出さないようにしたり、急に体に触れたりしないように、その子どもに合わせて配慮します。これら4つのことを組み合わせてやっていくと、落ち着いてコミュニケーションを取れることが多いと思います。すごくたくさんあって、大変という印象を持たれる方も多いかもしれませんね! けれど、こういうことを実践して、実際、発達障害の子どもが落ち着いて、クラスにいることができたら、それは周囲の皆さんの“努力賞”だと思いますよ」――なるほど。でも、このコミュニケーション方法って発達障害児だけではなく、すべての子どもに同じように役立ちますよね?「もちろん、発達障害児だけではなく、すべての子どもに有効な方法だと思います。私もこの対応法が身に着いてから、ずいぶん変わりました。例えば、忙しい時に子どもがミルクをこぼしたりすると、以前は『もう…! 何してんの!』みたいに怒ってしまっていたけど(苦笑)、息子への対応法が身についてからは『これでキレイにふきます』とサッと布巾を渡せるようになりました。私がイライラすると息子がそれに影響されて大変になってしまうので、自分の身を守るためでもあるんですけどね(笑)」――対応法が、すっかり体に身に着いたのですね!「10年以上、発達障害児の子育てをしていると、ずいぶん変わりますよ(笑)。難しいことかもしれないけれど、周囲の皆さんにも、どんどん対応法を知ってもらえたらうれしいです。上手に対応できた子は、きっとクラスの中でも『えっ、すごいじゃん!』と羨望(せんぼう)も集まって、その子も鼻高々になるかもしれません。そうやって、お互いコミュニケーション方法を学ぶことで、お互いの理解が深まるような、そんな環境になれば素敵ですよね」集団の調和を乱す子を、単に『みんなの邪魔』と言って排除するのは簡単です。でも、排除するだけでは、そこからは何も学べませんし、成長もありません。自分も、いつ“障害を持つ側”になるかはわからない…。障害を持った時に、悲嘆したり絶望したりすることがないように、誰もが尊重される、暮らしやすい社会が実現できると良いなと、心から思います。ただし、発達障害の子どもが何に困っているかを考え、相手の立場を理解し、一緒に楽しく過ごす方法を考えるのは、手間も忍耐力もとても必要です。けれど、それを根気よく進めていくことで、子どもたち(もちろん子どもだけではなく私たち大人も)は、かけがえのないものを学んでいくのではないでしょうか?国沢真弓さん プロフィールフリーアナウンサー、自閉症スペクトラム支援士、一般社団法人 「発達障がいファミリーサポートMarble」 代表理事<役職>ペアレント・メンター、三鷹市相談支援事業「ママサロン」相談員 、三鷹市知的障害者相談員、三鷹市発達障害児親の会「モンブランの会」会長、社会福祉法人「清陽会」評議員、児童発達支援施設「すこっぷ調布」アドバイザー、三鷹市教育支援推進委員会委員。<経歴>都立新宿高校、聖心女子大学文学部歴史社会学科を卒業。富士通株式会社を3年勤務後、アナウンサーに転向。NHKテレビ「きょうの料理」「婦人百科」の進行を約10年務めたほか、多数のテレビ・ラジオ番組に出演。海外特派員、番組企画構成も担当。ナレーション・司会は各500回以上務め、厚生労働省主催「世界自閉症啓発デイシンポジウム」の総合司会を毎春担当。「3歳までの子育ての裏ワザ」「こんな時どうする?子どもの友達・親同士」(PHP出版)など共著多数。<現在の活動>一般社団法人「発達障がいファミリーサポートMarble」代表理事として、「発達障害」や「伝える力UP」といったテーマでの講演を、全国で行っている。また、「ペアレントメンター」として保護者や支援者の相談に応じるほか、障害児の家族が気軽に参加できるイベントやお喋り会の開催等を行い、家族の元気を応援している。(詳しくはホームページをご覧ください)。取材・文/まちとこ出版社N
2018年01月20日2017年11月25日から12月5日に、LITALICO発達ナビでは「女の子の発達障害に関するアンケート」を行いました。発達障害のある子どもの保護者677名、発達障害の当事者445名の声が寄せられました。ご協力いただいたユーザーの皆様、どうもありがとうございました。この記事では、「約700名の保護者が回答!女の子の発達障害、学校や友達との関係、身だしなみの悩みや解決策は?」とし、調査結果の一部を抜粋し、お伝えします。発達障害の当事者の声については、「約450名の当事者が回答!女の子の発達障害、勉強や仕事、恋愛、交友関係など悩みや解決策は?」でご紹介しています。<調査対象について>「LITALICO発達ナビ」会員へのメールから、アンケートフォームにて回答いただいた発達障害の子どもをもつ保護者:677名の回答を集計しました。(調査期間:2017年11月25日~12月5日)※設問によっては677名全員が回答していないもの、複数回答可のものがあります。※調査結果の構成割合は四捨五入をしているため、合計が100%にならない場合があります。女の子の発達障害とは?発達ナビに寄せられた、保護者約700人の声出典 : 「約700名の保護者が回答!女の子の発達障害、学校や友達との関係、身だしなみの悩みや解決策は?」では、学齢期を中心とした発達障害の女の子の保護者677名が回答。現状や不安に思っていること、悩み、解決策までが寄せられました。小学生を中心に、幼児から中高生までの女の子の保護者が回答Upload By 発達ナビ編集部発達障害があることに気づいた年齢やきっかけは?Upload By 発達ナビ編集部お子さんの発達障害があることに気づいた時期は、就学前が約60%、小学校低学年が約20%となっています。気づいたきっかけは、1歳半健診など健診時(21件)や、幼稚園・保育園の先生(10件)からなど、専門家や先生からの指摘という回答がありました。他に目立ったのは、「言葉の発達の遅れ」(47件)によるものです。「発語が遅い」「単語のみで会話にならない」など、言葉の発達について保護者が疑問・不安を持ち、医療機関を受診したり専門家へ相談したという回答が寄せられました。就学後のきっかけとしては、学校でのトラブルのほか、不登校(23件)などがあげられました。また、癇癪や多動、こだわりの強さ、友人関係のトラブル、てんかん発作などがきっかけという声もありました。約40%が二次障害を発症しているUpload By 発達ナビ編集部発達障害特性を原因とした二次障害を発症している割合は約40%でした。二次障害で多くあげられたのが「不登校」(111件)です。続いて「うつ」(35件)、「不安障害」(17件)、「自傷」(13件)という回答でした。不登校とうつ、不登校と自傷など、複数の二次障害があるお子さんも多いようです。他に「反抗挑戦性障害」「ゲーム依存」「睡眠障害」「緘黙」などを発症した例もありました。また、特性である聴覚過敏などがひどくなった、ストレスでじんましんになった、クラスで孤立したという声も寄せられました。歳でアスペルガーと診断。二次障害で苦しむ娘を想い考えること90%以上の子どもが、不安や困難を感じているUpload By 発達ナビ編集部保護者から見て、日常生活に不安や困難を感じていると感じられたお子さんは、回答したご家庭90%以上に上りました。では、どのような場面で困難を感じているのでしょうか?Upload By 発達ナビ編集部保護者からみて、園・学校生活(76%)で不安や困難があると感じられることが一番多く、友人関係(72%)、学習面(53%)と続きます。具体的にどのような不安・困難を感じているのでしょうか?次に、具体的な回答内容を紹介していきます。女の子の発達障害、保護者から見た不安や困難の具体的な内容とは?出典 : 園・学校生活では、下記のような困難やトラブルがあるようです。■一斉指示に従えない■切り替えがうまくできない■トラブルがあっても大人に伝えられない■忘れ物が多いエピソードとしては、次のような例があげられています。「一斉指示が入りにくい」「高学年になると、先生も説明が簡単になり、理解出来ず泣いて固まる」「耳からの情報を捉えにくいため、先生からの指示を聞き逃して注意を受ける」など、一斉指示や口頭指示などが理解できない・気づかず、集団生活にうまくなじめない例。「給食、遊び、散歩など決まったスケジュールに沿った切り替えができない」という例。「何があったのか 誰が何を言ったのかを 明確に教えれないので発覚が遅れる」など、トラブルがあっても大人へうまく伝えることができない例。「ハンカチ、ティッシュの予備は登園するリュックの中にある事を知っているのに、(必要になった時に)どうしていいかわからず、スモックで拭いたり友達や先生に借りたりしている」など、忘れっぽいことや、場面に応じた対応が不得手なために困惑してしまう例。上記のような困難やトラブルから叱られることが増え、自己肯定感が下がってしまうお子さんもいるようです。中には、不登校や場面緘黙など二次障害を発症する場合もありました。「学校で声が出せない。後ろから誰か来ると動けなくなるためスイミングでも急に沈む。運動会で動けなくなる」「私立中学に通学していたが、コミュニケーションの取り方がうまくいかなかったり、誤解をされたりしたことで孤立ぎみになったため学校をやめて、本人が興味を示していた海外に留学させている。しかし現在、言葉の壁にぶち当たっている真っ只中で、閉鎖気味になってきた」不登校などの二次障害を発症する前に、対人関係や集団生活のフォローが必要になると考えられます。出典 : 友人関係では、女の子特有の交友関係でのトラブルについての回答が目立ちました。微妙なニュアンスが分からないためにガールズトークについていけず、ストレスを感じてパニックを起こしたり登校渋りにつながってしまうという声も。「ガールズトークについてけない、何となく浮いてるなど気になる部分がある。学校で頑張るせいか、家庭では未だにパニック起こしたり不注意が多い」「思春期では友人関係に苦しんでいました。女の子特有の集団発想など、気持ちがわからないためにしばしばトラブルに」いじめを受けてしまう場合もあるようです。「今まで話かけてくれていた子から、まったく話かけてもらえなかったり、声をかけるとみんな黙ってしまい、自分でどうしたらいいのか分からない為に辛い」「集団登校で、死んだらええのに、と言われたり、持ち物を捨てられる」反対に、中学校までは孤立していたものの、自分に合う学校を見つけられたことで転機となったお子さんもいました。「女の子が作りがちな派閥が嫌いで、中学までは孤立していた。通信制高校に入り、生徒会的な仕事をきちんとしていたら、派閥に入らなくても認められるようになってきた」出典 : 苦手教科がある、理解に時間がかかるという悩みを持つお子さんがいるようです。「算数が苦手」「文を読むのが苦手、+−=などの意味が全くわからなかった」「みんなと同じ宿題がこなせない」書字障害や注意欠如などが原因で、学習で必要な準備ができない場合もありました。「連絡帳が書けない」「忘れ物、連絡事項が記憶できない」感覚過敏が原因で、授業に集中できないお子さんもいました。「聴覚過敏があるため、授業中に隣のクラスの声も聞こえていたらしい」一方、「行けそうな時間割のところだけ行く。 教室には入れない。授業を受けていないので勉強が分からない」というように、不登校になったことで学習面で遅れてしまうケースもありました。出典 : 感覚過敏やこだわりによって、身だしなみに関わるトラブルが起こることもあるようです。「感覚過敏から特定の服ばかり着たがる」「服の色にこだわりがあり体操服が着られない」また、身だしなみをきちんとしていなくてはいけないという意識が低いお子さんも多いようです。「髪の毛がいつもボサボサ」「変な格好も平気で外に出る。上下がちぐはぐだったり、季節感がおかしかったり、年齢的に幼かったりする」「寒暖に合わせて服が選べない・ボタンの掛け違いや前後逆でも気づかず出かけてしまう」また、中にはこだわりすぎてしまうようになった例も。「中1までは、無頓着で、髪の毛ボサボサ・服もダサい。 中2からは、気にしすぎて、美容品や服にお金が掛かる」。衛生面で問題が出てしまう場合もあるようです。「洗髪しなくても気にならない」「時間に間に合わないので、毎日風呂やシャワーを浴びれない日がある。心身が落ちているときは何日も風呂に入らず不衛生」身体面で大きな影響が出ている場合があるようです。「本人が、体が疲労してても気がつかず、逆にテンションオーバーしてしまい、睡眠障害が出たり、こだわりが強いため、成長がどうしてもそこで止まってしまう」「起立性調整障害のため朝起き上がれず、眩暈・吐き気をもよおして登校・外出できない。PMS・生理痛がひどく月の半分は体調が悪い」出典 : 親子関係では、家庭内での暴言・暴力、嘘などについて悩んでいる保護者も多くいました。「母親への異常な反発」「かんしゃくから家庭内暴力になること」「自分の感情を抑える事ができない。パニックを起こす」「嘘をつく、兄弟をいじめる、お金を盗む」家庭内のトラブルから「普段の生活そのものを家族と共有することが大変」と感じてしまう保護者も多いようです。社会的な活動ができない状態について、どのように対応してよいか分からず困惑している様子もうかがえました。「人との距離感が近い。感覚過敏や体調不良、気が乗るときと全く動けないときの差が大きい」「友達が一人もいない、自己肯定、自尊心が低く、不安が強い。社会に出られない。働く勇気がない。何事も人のせいにする。いつもイライラしてる」その他、睡眠に関する困難について、多くの声が寄せられました。「ストレスから夢遊病、夜驚症」「不眠症、イライラ」「就寝前に家中の戸締りを確認しないと眠れない。死んだらどうしよう、といういう気持ちに襲われ不安で眠れない」睡眠のトラブルについても、本人はもちろん、一緒に暮らす家族への影響が大きく、悩む保護者が多いようです。女の子だからこそ心配なこと、悩むことはある?Upload By 発達ナビ編集部約80%の保護者が、お子さんの発達障害について、女の子ならではの悩みや心配を抱えています。寄せられた悩みの多くは、下記の4つに関連するものでした。■女の子特有の人間関係(41件)■第二次性徴による体の変化(14件)■異性関係・性のこと(47件)■将来のこと(14件)子どもの「生理」について悩む保護者が多いUpload By 発達ナビ編集部さらに、「思春期の心身の変化や生理などについて、不安や困っていることがある場合、どのようなことに困ったり、不安に思っていますか?」という質問を行ったところ、「異性関係・性被害」(15件)、ホルモンバランスの変化などの影響による「精神不安定」(10件)などがあげられましたが、一番多い回答は「生理」(44件)についてでした。特に、生理時に適切な処理ができない・できるのか不安という回答が多く寄せられました。「生理になったときの対応ができるかどうか(予期せぬ対応ができない為)」「自分で汚れ物の処理をちゃんとしてない。そこら辺にナプキン投げて恥じらいがない」「生理の始末が面倒で、たびたび衣服を汚すがまったく気にしていない」また、感覚過敏などの特性により、生理時に困難がある場合も。「感覚過敏があるので、下着がどれでも着られない。 生理用ショーツが履けない。ナプキンもつけていられない」「少しの傷で血を見ると大騒ぎなのに、生理の出血をどうとらえるか心配」また、生理前や生理中の気分の変調が大きいお子さんも多いようです。「生理中、生理前の気分の変調が激しく、仕事にいけない事がよくある」「生理の前は気分が沈むことが多く、悲観的になる」生理についての対応策については、後述する体験談も参考にしていただきたいと思います。女の子の発達障害不安や困難が少ない家庭は、どのような工夫をしているの?出典 : では、特に不安や困難を感じないで生活できている人は、どのような対策をとっているのでしょうか。下記の4つが、対策のポイントのようです。■事前に説明しておく(53件)■ツールを活用する(15件)■見守る・認める(23件)■第三者に頼る(4件)皆さんが行っている具体的な対策について、次に紹介していきます。出典 : 見通しが持てるように、事前に説明しているとスムーズだという意見が寄せられました。「何かをする前や出かける前は、説明したり事前に行く場所を見学する」「具体的になぜ気を付ける必要があるのか逐一説明している」「事前に『こんな時にはこう言おう』『相手の返事を聞いてから行動しよう』など伝えている」生理についても具体的な対策方法があげられました。「サラサーティなどで練習させている」「生理は、低学年の頃から母のトイレでのナプキンの付け方など見せて説明していた」「大きなナプキンにしたり、パンツ型のものを買っている」ナプキンの使い方を見せたり実際に使わせるなどして早いうちからロールプレイングする、処理が難しい場合はパンツ型のものを使うなどの例は、ぜひ取り入れてみたいものです。また、体の変化や異性関係などについては、下記のような声が寄せられました。隠すことなく、具体的に、分かりやすく伝える姿勢が大事なようです。「性教育の、かたくない本を複数わたしてある。興味がある分野なので、真剣に読んでいる」「知らない人と話さない。携帯電話を常に持っていることをアピールしながら歩く」「機会があるたび、性行為などについて教えている」具体的に話すほか、女の子の発達についての書籍も活用できそうです。参考:デビ・ブラウン著 『アスピーガールの心と体を守る性のルール 』(東洋館出版社)参考:やまがたてるえ著『15歳までの女の子に伝えたい自分の体と心の守り方』(かんき出版)出典 : また、混乱なく生活できるよう、ツールを活用している保護者もいます。視覚的に分かりやすいツールを取り入れている例としては、下記があげられました。「スケジュールはじめ、家庭内でホワイトボードなどを利用し視覚化。模擬時計、キッチンタイマーを利用」「時間割り、時系列がわかりやすいように色分け」自分の気持ちを伝える場合にもツール活用できます。「困った時に『困っています』とカードを見せられるようにしている」忘れ物が多い場合などは、必要なものを一カ所にまとめておくという工夫をしている家庭もありました。「お手伝いや、色んな出来たことに対してポイント制にしてモチベーションをあげてます。また、忘れ物が多かったり面倒くさがりな所があるので学校に必要なものは全て玄関に置いてあるボックスにて完結できるようにしている」子どもにあったツールを活用することで、スムーズに生活ができるようになりそうです。子どもが「初めて」に挑戦するときに最適!絵カードの使い方とは出典 : また、子どもの立場に立つことや、自主性を尊重することで、家庭生活がスムーズになったという声も寄せられました。「子どもの目線になり、親の独り善がりにならないように寄り添い傾聴した」「唯一の楽しみがスマホでアニメを見ること。その時間を作り出すためにお風呂の時間が短くなった。髪や身体を洗う順番や工夫があるみたいです」また、子どもを追い詰めないような接し方を心がけることで、二次障害を防ぐことも大切です。「緊張が高まりやすいことに対しては無理せずできなくてもいいんだよと話すようにしている。 苦手なことはなるべく先に慣れるように家でやってみたりしている(なわとびの練習やお当番さんの練習など)」「出来ない事を、出来るだけ怒らないようつとめている」出典 : 第三者の力を上手に借りている保護者の声も寄せられました。「困った時は、通級の先生や臨床心理士の先生のアドバイスなどを受け、子どもに適切に伝えていくようにしている」「生理の処理方法などは、母親の私が言っても全然耳に入らないので、学校の先生(女性)やデイサービスの指導員(女性)のかたにお任せしてたいぶ改善した」家庭の中だけで駆け込むのではなく、保護者が積極的に第三者にアドバイスをもらう姿勢が大切です。また、思春期は保護者の言うことは聞かないことも多いため、先生などの力を借りて対応したほうがうまくいく場合もあるようです。スクールカウンセラーに関するコラムを総まとめ!役割や相談の様子などをご紹介します85%は相談相手がいるUpload By 発達ナビ編集部約85%の保護者には、相談相手がいるという回答でした。具体的な相談先としては、次のような結果となりました。療育機関の先生(26件)カウンセラー(26件)医療機関・医師(22件)友人(18件)園・学校の先生(8件)夫(7件)通っている療育機関や、学校や行政などのカウンセラー、医療機関というように、専門家へ相談している人が多いようです。ただ、多くの保護者はさまざまな悩みを抱えている現状が見えてきました。不安や困難がある場合は、積極的に専門機関などを活用し、解決策を見つける必要がありそうです。今回の調査結果から今回の調査結果から、女の子ならではの不安や困難を感じているものの、具体的な解決策が見つけられず悩んでいる保護者や、発達障害を原因とした二次障害に苦しむお子さんがいることが分かりました。そこで、LITALICO発達ナビでは1月~2月にかけて「女の子の発達障害」特集を組み、コラム記事を掲載していきます。家族だけで抱え込まず、専門機関などに相談するなど第三者を上手に活用したり、書籍やコラム記事で紹介する内容を取り入れて、少しずつでも生きやすくなる工夫を試していっていただきたいと思います。
2018年01月19日「ママ、20歳になったら胸を取る手術していい?」出典 : アスペルガー症候群のある娘。彼女の第二次性徴は10歳ごろにやってきました。早くも生理が始まり、体つきがどんどん女性らしく変化していきます。生理については私自身も人と比べて早い時期に始まったこともり、娘には生理が始まる前にネットで適切な情報を載せているサイトを探し、プリントアウトして手渡すようにはしていました。それは、反抗期がはじまっている娘にとって、そういった話を直接私から聞くことを嫌がっていたからでもあります。生理が始まったときはすぐ報告してくれたので、手当ての仕方は繰り返し丁寧に教えることができました。それでもよく失敗しましたが、そのときの恥ずかしさは私も身に覚えがあったので、決して怒らず片付けて、余裕ができてきたら自分で処理する方法を教えると、本人も気が楽になったようです。あと、体毛が生えてきたときなどもびっくりして「こんなの生えてきたけど大丈夫?」と一つひとつ確認してきたのを覚えています。そんな娘にとっての一番の問題。それは、胸が大きくなることだったのです。娘は変わり始めた自分の胸を嫌悪していました。「ママ、これ以上目立たないようにしたいからさらし買って」「胸を小さくするにはどうしたらいいの?」「どうしてもいやだったら手術を受けて胸取ってもいい?」本人は真剣です。私もここは真剣に答えるべきだと判断しました。「あなたが大人になって、よく考えたうえでやっぱり手術を望むのなら反対しないよ。手術したら元には戻せないからよく考えて決めようね。息子になったとしても私は受け入れるから。」それを聞いて娘はホッとしたように笑顔を見せました。性同一性障害の子どもたちUpload By ヨーコその後、性的マイノリティなどに詳しいソーシャルワーカーにその話をしたら、「とてもいい対応だったと思いますよ」とのコメントをいただきました。その理由は、身体の性と心の性が一致しない人は、そのことに気付かされたときに最大の精神的危機を迎えるからだそうです。日本性教育協会が発行している「現代性教育研究ジャーナル」にもこのような内容を見つけました。性同一性障害(Gender Identity Disorder: GID)とは、「生物学的性」(身体の性)と「性の自己認識:性自認」(心の性)とが一致しない状態であり、心の性は男性、身体の性は女性の female to male(FTM)と、心の性は女性、身体の性は男性の male to female(MTF)とがあります(1-6)。性指向が男性に向いているか、女性に向いているかは問いません。この点では、身体の性と心の性とは一致していて、性指向が身体の性と同じ性に向かう同性愛とは異なります。性同一性障害では自分の身体の性を強く嫌い、反対の性に強く惹かれた心理状態が続きます。(現代性教育研究ジャーナル2013年No.29 )思春期の MTF 当事者にとっては、ひげが生え、声が低くなることは恐怖です。また、FTM 当事者では、月経時には「自殺したい」「内臓を掻き出したい」などと話す方もいます。自殺念慮の発生も中学生の時期に1つ目のピークがあります。(現代性教育研究ジャーナル2013年No.29)「自分は何者なのだろうか」「これからどうなってしまうのか」という不安でいっぱいな子どもに対し、「あなたは何もおかしくない」というメッセージを、周りの大人から伝えてあげることが大切だというのです。また、一時的に自分の性に違和感を持っても、それは性同一性障害とは限りません。成長とともに自身の性への違和感が解消されることもあるそうです。中には発達障害の場合、性同一性障害と誤診されるようなケースもあると聞いたこともあります。どのケースであれ、そのときに子どもが自分の性について違和感を持っているサインを出してきたら、決して頭から否定することなく「あなたはそう思っているんだね」と受け止めてあげたうえで、落ち着いて対処法を考えた方がいいのではないでしょうか。発達障害の子どもたちは性自認で混乱するケースも出典 : 発達障害を持つ子どもたちは、「なんだか自分は周りの人と違うようだ」「ここは自分の居場所じゃない」と感じることが多く、「自分がみんなの中に溶け込んでいる」と感じることはあまりないようです。それゆえに「自分は何者か」がわからず混乱してしまうことや、それが自分の性別の混乱につながることがあると聞いたことがあります。たとえは、特性によって対人関係がうまくいかないことを「同性とうまくやっていけない」という風にとらえて、それが性別違和と思い込んでしまうケースもあるそうです。私自身、小学生になってからすぐに女子の悪口、仲間はずれなどの洗礼を受け、うまく対応することができず「女は敵だ」と思い込むことによって自分の心を守っていました。そんな自分の身体が「大嫌いな女」になっていくときの気持ちは屈辱的で、「女なんか嫌。男らしくなりたい。」と切実に願っていたことを思い出しました。また発達障害の特徴の一つとして、「変化への対応に弱い」ということがあります。思春期の身体の変化はあまりにも早く、定型発達の子どもたちでさえバランスを崩す時期。発達障害の子どもたちには、なおのことつらい時期だといえるのではないでしょうか。娘は背もあまり伸びず、どちらかというと子どもっぽい外見だったので、胸だけ変化してきたことをとても気にしていました。「ママ、私の胸もいつかママみたいになってしまうの?」「こんな大きいのは嫌だ」と言われたことを覚えています。それからどうやらネットで「胸が大きくならない方法」などのキーワードを検索したみたいで、そこから手術する方法などを知ったようです。男装専用下着などの知識も仕入れていました。(ただ、自分自身で情報を得るための行動を起こしたことで、本人にとってのは、それが精神の安定につながったように見ます。)ただでさえも性同一性障害の診断は難しいと専門家も述べているのを聞きます。発達障害の子どもたちは困りごとも千差万別。だからこそ診断が難しいのでしょう。早々に性同一性障害を疑うよりも子どもの様子をよく見て、必要なようであれば専門家につながったらいいのではと私は思いました。女の子の発達障害特有の思春期の問題Upload By ヨーコそんな娘の気持ちを受け止められるのは、私自身も近しい気持ちを抱いていたからだと思います。私もアスペルガー症候群の診断を受けており、40歳を過ぎても化粧はしないし、「口紅だけは塗らなきゃ怒られる」と思ってもすぐ忘れる、つい足を開いて座ってしまうという有様で必要最低限のマナーも身についていません。言葉遣いについても、外向きには穏やかに話すことができますが、身内(弟や子ども)には「よう、元気か?」といったような男言葉が口から飛び出る始末。自分の娘にはできるだけ気を付けたつもりですが、普通のお母さんよりは男性的な接し方で育ててきたような気がします。思い返せば私が幼いときも、両親はやいのやいの言葉遣いを注意してきましたが、私はかえって反発するばかり。「大人になってからごまかせるようになったらいいじゃない」と思って右から左へと聞き流していました。いまだに「女性の常識」というものは分かりませんが、分かりたくもないという気持ちも理解することができます。そんな自分を「これが私だ」と開き直る一方、「私って大人としていまだに成熟していないってことなのかな」と自信がなかったのも事実です。そんな中、発達障害と女性をテーマにした書籍で私の心を代弁するような記述と出会うことがありました。「女性らしさ」は形のないもの。誰にとっても、わかりにくいものかもしれません。しかし多くの女性は、大人になるにつれ、必要最低限の習慣やマナーは身につけていきます。アスペルガー症候群の女性の場合、そういった習慣やマナーの習得にも悩みます。「足を開かずに座る」というような、多くの人が常識として覚えることが、なかなかできないのです。そもそも女性らしさに価値を感じていないため、家族や友達が多少、注意したくらいでは、改善しません。明確に、具体的に教えられなければ、わからないのです。(『女性のアスペルガー症候群』宮尾益知監修講談社P19より)この一文を読んで、それが女性のアスペルガー症候群の特徴の一つだと知り女性の"常識"が身につきにくいのには訳があるのだと知って正直ホッとしたのです。もうひとつ、「女性らしくなりたくない」という気持ちのもとになったのは、ジェンダー的役割に対する不快感でした。どうして望んでもいないのに女性らしくしなければならないのか。日本の文化は女性に求めるものがたくさんあります。男女平等の思想は少しずつ浸透しているとはいえ、どこかに透けて見える「女は男を立てて家を守りかわいくあれ」という教育は、私にとってとても不快なものでした。「好きなものは好き、嫌いなものは嫌い」という気持ちが人一倍強く頑固だった私は、そうした気持ちを飲み込むことは絶対にしないとと誓ったのです。たまたま生まれついた性別だけで生き方を決められるなんてやってられない。これは今も私の核になっています。そんな私の気持ちを説明するような一節にも出会いました。女性として期待される役割について、私は思春期から悩んでいます。思春期になると、小さいときから仲が良かった女の子の友だちは、いっせいに、本などよりも自分の外見に注意を払い出し、男の子には私に対するよりも優しくふるまうようになりました。あの頃から、ジェンダーの役割には不快感を覚えてきました。(中略)自閉症スペクトラムの人たちの多くは、ASの症状も男女で分けて考える必要はないと考えるのではないでしょうか。ほとんどの場合、本質的に、私たちAS者は、身振りなどの癖や行動において、両性具有的だからです。(『アスパーガール』ルディ・シモン著スペクトラム出版社P83より)気持ちがぴったり一致したのは、「ジェンダーの役割には不快感を覚えてきました」の部分です。今の自分は男性的な面もあれば女性的な面もあって、「あなたのジェンダーは何ですか?」ともし問われても答えようがなく、まさに「両性具有的」というのがぴったりくる表現だと強く感じました。違う国、違う文化に住む人が同じ思いを抱いている。そのことは「アスパーガール」の一人としてとても心強い気持ちになりました。だからこそ、娘の「性」の違和感や、ジェンダー感にはしっかりと向き合っていきたいと思うし、どんな選択をしてもそれを尊重して受け入れる強い意志を持つことができたのです。あれから5年。中3になった娘が思うこと出典 : 娘の第二次性徴期が始まって5年。この機会に娘に直接質問をしてみました。「今でも胸を締め付けるブラジャー欲しい?」「スポーツブラでも目立たないから別にいいかな」「胸を取る手術はどう?」「今くらいで止まってくれたらそのままでもいいかも。でももっと大きくなって『イーッ』となったらやっぱり手術するかもしれない。」「男性器は欲しい?」「う~ん、一人暮らしとかしてるとふっと欲しくなったりするかも」(これはちょっと突っ込めませんでした…。)普段の娘の服装は、通年スポーティなTシャツと半ズボン、わらじのようなサンダルです。冬はそこにフリースの上着とダウンジャケットを着ますが、帰るなり脱ぎ捨てています。小学校2年生から不登校で家にいるので恋愛してる様子もありませんし、アイドルにも興味はありません。子どものころと変わらず戦隊ものやヒーローもの、あとかわいい女の子が出てくるゲームも好きみたい。男性主人公のゲームも好きですし、趣味は男性寄りみたいだけど、何が好きのポイントなのかはどわからないなぁというところです。なんだか性別を超越してるようなところがありますね。今、娘は「別に今は何も悩んでいない」と言いますし、特に相談などは考えていませんが、もしこの先深く悩んだり落ち込むことがあれば迷わず専門のクリニックに相談に行こうと考えています。フィットしない性別に悩み苦しむより、専門家の助けを得て一番自分の望む形を見つけて幸せに生きていてほしいから。そして望まない性別でパートナーを得られず一人で生きていくより、どのような形であれ心預け合えるような人に出会って一緒に生きていってほしいから。娘の本当の気持ちや将来のことは分かりませんが、自分らしく幸せに生きてくれたらいいなと思います。
2018年01月19日そもそも発達障害とは?出典 : 発達障害とは、生まれつきの脳機能の発達のアンバランスさ・凸凹(でこぼこ)と、その人が過ごす環境や周囲の人との関わりのミスマッチから、社会生活に困難が発生する障害のことです。発達障害はいくつかのカテゴリーに分類されています。この記事では中でも、性別による違いが現れる、女の子ならではの悩みと関連しやすいという観点から、今回はADHD(注意欠陥・多動性障害)、自閉症スペクトラム障害(ASD)について詳しくご説明します。ADHD(注意欠陥・多動性障害)とは、不注意(集中力がない)、多動性(じっとしていられない)、衝動性(考えずに行動してしまう)の3つの症状がみられる発達障害のことです。自閉症スペクトラム障害(ASD)とは、社会的コミュニケーションの困難と限定された反復的な行動や興味、活動が表れる障害のことです。そのほか、感覚過敏・鈍麻や、協調運動の不器用さも併存していることがあります。専門書などを見てみると、発達障害の発現率は男性の方が高いという表記が多いため、発達障害は男の子に多いもの、というイメージをお持ちの方も少なくないのではないでしょうか。近年の研究では、実際のところ、発達障害の発現にはっきりとした男女の差は見られないという説があります。ですが、あらわれる症状や特性が男の子より目立たないことがあり、今まで「女の子」の発達障害についてはあまり指摘されてこなかったのではないか、とも言われています。女の子の発達障害には、特有の特徴があり、生きづらさや悩みを抱えているのではないかと考えられます。この記事では発達障害のある女の子が直面することの多い困りごとと、その対処法をご紹介します。女の子の発達障害、その特徴は?出典 : 発達障害の種類、そして一人ひとりに現れる症状や特性は異なりますが、今のところ、発達障害の女の子にはこのような傾向があることがわかっています。発達障害の特性は、人によって現れ方や程度が異なります。その中でも女の子の場合、問題行動につながるようなことは少ないため、目立ちにくく、周りも問題意識を抱きにくいことが多くあります。例えば、ADHDの場合、上記の通り不注意・多動性・衝動性という3つの症状がありますが、ADHDの女の子は特に不注意特性が強いことが多くなります(これを不注意優勢型とも言います)。この不注意特性は、多動・衝動優勢型の子どもに比べて、周りへの影響が小さいこともあり、ADHDであると気づかれにくい傾向があります。このように、女の子は発達障害だと気づかれず、特性による困りごとを抱えたまま過ごしてしまうことがあります。そのため支援につながりにくいのです。困りごとが解決されず、生きづらさを抱えたまま成長してしまうことが多いと言われています。二次障害とは、発達障害の主症状とは異なる症状・状態を引き起こしてしまうことを言います。発達障害の子どもが、適切な治療・サポートを受けられない状態が続いてしまうと、失敗体験を繰り返してしまい、自己肯定感が徐々に低下していってしまいます。そしてそれが、二次障害として現れることがあるのです。二次障害には、例えば以下のような症状・状態があります。・気分障害(うつ病など)・行為障害・不安障害・反抗挑戦性障害・不登校やひきこもり・アルコールなどの依存症など発達障害の女の子の傾向として「特性がはっきりと現れにくい」と紹介したように、二次障害の起こりやすさはこの特性発現の曖昧さによってもたらされていることがあります。女の子は周囲・そして自分でも「発達障害である」と気づかれにくい。だから「不真面目な子」「自分勝手な子」などと誤解されてしまったり、自分でも「どうして周りの子のようにできないのだろう…」と思い詰めてしまったりすることがあります。そうしたネガティブな誤解・思い込みが重なり、発達障害の女の子は、二次障害の発症に繋がってしまうこともあります。女の子は、成長に伴ってさまざまな「女の子・女性特有の問題や決まりごと」に直面します。女の子ならではの同性の友人との付き合い、異性との距離の取り方、心身発達への対応、身だしなみなど、女の子には「女の子としてのスキル」を求められることがよくあります。多くの女の子は、このような女の子ならではの問題への対処法を、同世代の子どもとの集団生活の中で、自然と身につけていきます。そして、自分の周りにいる女の子に対しても、このような対処法を習得していることを前提に、関係を築いていくことが多いです。ですが、発達障害の女の子は、こういった「女の子としてのスキル」を周りに合わせて習得することに難しさを感じることが少なくありません。集団の中で浮いた存在となってしまったり、「女の子なんだから…」というような抽象的な指摘の意味がわからず、混乱してしまったりします。例えば、自閉症スペクトラム障害の社会的コミュニケーションの困難という特性は、女の子集団特有の人間関係への苦手意識や、身だしなみへの無関心さにつながりやすいと言えます。女の子の発達障害、年齢ごとに直面する問題とは?出典 : 発達障害の女の子には成長に応じてどのような兆候や困りごとが現れるのか、発達に応じて紹介していきます。一般的に、「自分が男である、女である」という意識が芽生え始めるのは、3~4歳とされています。しかし、乳幼児期では、「女の子かつ発達障害だからこそ、このような困りごとが起こる」ということは少ないようです。自閉症の場合こだわりというよりは感覚の過敏性が見られたり、新しいところが苦手、等の傾向が見られる場合もありますが、男女共通して見られる特徴が現れることがほとんどです。これは、性意識がまだはっきりとはしていないこと、このくらいの年齢では発達障害であると明確にわかるわけではないためです。一方で、症状や困りごとがわかりにくいことから、言葉や知的な遅れがない場合、気づかれにくいことも多いので、注意が必要です。参考:日野原 重明/著『脳とこころのプライマリケア4子どもの発達と行動』シナジー/2010年小学生くらいになると、より高度な社会性が求められたり、学習時間が長くなったりすることから、発達障害による困り感を強く感じる子どもが多いようです。また、小学校高学年になると、女の子ならではの人間関係や、それに伴う暗黙のルールなどが増えたり、早い子では第二次性徴が見られたりするため、女の子としての生きづらさも徐々に感じ始める傾向にあります。例えば、以下の困りごとが現れます。・友達、先生の話を聞かない・忘れ物が多い・整理整頓が苦手・時間や活動の変更への対応ができない・授業に集中することができない・話し始めると止まらない・友達との会話についていけない、周りから敬遠されてしまう・人の言うことをすぐ信じてしまい、からかいを受けてしまうなど参考:「女性アスリート指導者のためのハンドブック2.第二次性徴」‐国立スポーツ科学センター女の子の思春期は、10~12歳ころから18歳までとされています。この時期は心身ともに子どもから大人に変化していきますが、そうした変化に戸惑いを感じたり、周りからの目を気にしてしまったりします。学童期で生じた困りごとのほかに、思春期ならではのこんな悩みを抱える可能性があります。・女性下着の着用を嫌がる(本人の衣服へのこだわり、手先が不器用でブラジャーのホックを留められない、ブラジャーのワイヤーを痛がるなど)・生理用ナプキンの着用を嫌がる、定期的な交換ができない・生理痛やPMS(月経前症候群)の影響を強く受ける、不安になってしまう・異性の前でも生理や下着の話を平気でしてしまう・女子グループから浮かないように、無理に合わせすぎて疲れてしまう・周りとの違いに気づき、落ち込んでしまう・異性との距離感がうまくとれないなどなお、学童期や思春期で多く挙げた第二次性徴にまつわる悩みや、女の子特有の人間関係についてのサポート方法に関しては、次の章で詳しく解説します。成人になると、就職や結婚、子育てなど自分自身でさまざまなライフステージを超えていくこととなります。まだ幼い子どもがいる家庭では、子どもが歩んでいく将来に期待しつつも、大きな不安を感じているところも多いかもしれませんね。人によっては、成人になってこのようなライフイベントを経て、自分の特性の偏りに気づくこともあります。・家事を段取りよくできない・片づけができない・お金や書類の管理が苦手・子育てがうまくいかず、感情的になってしまうのを止められない・恋人や結婚相手、またその家族とうまく関係を築けない・ご近所づきあい、ママ友づきあいが苦手・仕事でのミスが多く、周りの人から責められてしまう・何かハマるととことん依存してしまう(酒、ギャンブル、ショッピング、インターネットなど)・自分への自信のなさから不幸な恋愛をしてしまう(金銭を貸してしまうなど)など女の子ならではの困りごと、対処法って?出典 : 女の子は成長につれて、特有の問題にぶつかりがちです。そのうえ、親とはいえどこまで踏み込んで説明すればよいかわからないこともあると思います。以下、女の子の子育てでつまずきがちな「人間関係」「心と身体の変化」「身だしなみ」の3点について子どもに教えるポイントをお伝えします。小学校高学年を過ぎたあたりから、学校などで、女の子は少人数の仲良しグループをつくるようになります。そのグループの中だけでの秘密話や、グループだけで通じるたわいもない話で楽しみます。このようないわゆる「ガールズトーク」は、次々と話題が変わったり、自分と相手の話す量のバランスを調整しながら話したりすることが多くあります。これが、発達障害の女の子にとっては話にうまく入れない、グループの秘密を守る理由が理解できないなど、友達との関係づくりの苦手意識につながることが考えられます。その時、次のようなサポートを試してみると、本人が女の子の人間関係の構造を理解するきっかけになるかもしれません。■どうしてガールズトークや仲良しグループでうまくできないのか一緒に考える発達障害の女の子は、その子たちに距離を置かれたり、会話に関して文句を言われたりしても、どうしてそんな状況になっているのかわからないことが多くあります。周囲と仲良くすることができない理由を、親や信頼できる友達からわかりやすく説明してあげると、自分の発言・態度が相手にどのように伝わっているのか、理解しやすくなるでしょう。特に、人の表情を読んだり、冗談や皮肉など文字通りの意味ではないニュアンスを読み取ったりするなど、非言語的なコミュニケーションが苦手なことがあります。そのような微妙なニュアンスを言葉にして説明することで、女の子の人間関係のコツを理解するきっかけになるかもしれません。■人付き合いに疲れてしまったときは少し離れてみてもよい、常に一緒にいる必要はないことを伝える発達障害であるかどうかに関わらず、関わる全ての子と友達になる・うまく仲良くするのはなかなか難しいと思います。よく、学校などでは「たくさんのお友達をつくりましょう」などと広い交友関係をもつことを良しとしてしまいがちですが、そのイメージを強く持ちすぎると、「友達がなかなかできない自分はダメな子」というように思ってしまうことがあります。親は子どもをサポートする側として、子どもの交友関係に過度に干渉するよりも、友達への話しかけ方や、スムーズに会話をする方法を教えてあげましょう。そして、多くの友達と関係をつくる・維持するよりも、自分が無理をせずに付き合える友達と過ごす、時には一人になってみる選択肢もある、ということを伝えてあげることがポイントです。■自助グループへの参加高校生~成人くらいであれば、自助グループに参加し、同じ境遇の人と話してみることも良い方法です。発達障害の自助グループをはじめ、二次障害に関する自助グループなどもあります。自分と同じ特性や悩みがある人に、人間関係に関してどうしているかを聞いてみると、当事者ならではの良い改善方法が見つかるかもしれません。参考:アスペ・エルデの会/著『おとなになる女の子たちへ』アスペ・エルデの会成長するにしたがって、子どももその周りの子も心身ともに変化が見られます。その変化に応じて、以下のことを子どもがわかりやすい方法で伝えることが重要です。■ブラジャーの身につけ方、生理用ナプキンの使い方を一緒に実践してみる小学校などで女の子向けの性教育の時間を設けてくれるところは多いですが、集団の中で教えられるので、いざ自分がその時にどうすればよいのかわからないことがよくあります。・ブラジャーの着脱方法・子どもにあった下着選び・生理用ナプキンの交換頻度、交換方法・トイレまでのナプキンの持参方法などこれらのことを、子どもと一緒に実践しながら教えることが大切です。ただ一方的に教えるだけでは、なかなか想像・理解がしづらいことなので、できれば女の子の先輩である母親、姉、親戚などで協力し、実物を見せるなどして子どもに教えられると良いですね。■異性とはどのくらい距離感を保つべきなのか、具体的に教える小さい頃は男女関係なく遊んでいても、成長につれて男女分かれて遊ぶようになったり、お互い異性としての距離を取って付き合ったりすると思います。ですが、発達障害の女の子の場合、思春期頃の男女関係の変化に気づかず、同性と異性それぞれへの行動の区別ができないことが多くあります。そのため、異性に近づきすぎる、体を触る、じろじろ見る、恋愛や性の話題をためらいなくするといった、周囲に誤解を与えかねない行動をしてしまうことがあります。親のサポート方法として、異性の前でしてはいけない行動・話を具体的に教えてあげることが挙げられます。この時、子どもの特性に合わせて、異性の付き合い方のルールとしてリスト化してあげたり、ルールを守らなかった場合、相手にどんな印象を与えてしまうのかというところまで教えてあげたりするなど、工夫するとよいでしょう。一方で、幼児期に男の子にからかわれたりして苦手意識を持つなどして異性と話したり接することができない子もいます。適切な距離感を教えながら集団の中で話しやすそうな男の子と話す機会をつくるなどして少しずつ成功体験を積めるようにするとよいでしょう。■年齢に応じて性に関すること、自分の身を守る方法を教える性に関することは、親から子へはなかなか話しにくいことかもしれません。ですが、思春期を迎えるにつれて、避けられない話であると同時に、発達障害の女の子の場合は、その特性からさまざまなトラブルに巻き込まれる可能性があります。先ほど紹介した、異性との距離感の保ち方と同様に、性に関するタブー(人前でプライベートゾーンを触る、露出するなど)のほか、異性との性行為のリスクや断り方に関しても、きちんと教えることが大切です。もし、本人が性に関する話に抵抗するようであれば、子どもの年齢に合った語り口で、性に関して解説された書籍・ハンドブックなどを手渡してみるのも、性に関する正しい知識を得る良いきっかけとなるかもしれません。参考:デビ・ブラウン/著 『アスピーガールの心と体を守る性のルール 』2017年/東洋館出版社参考:やまがたてるえ/著『15歳までの女の子に伝えたい自分の体と心の守り方』2012/かんき出版参考:ロリエからだのノート~おとなになるということ~集団生活を送るうえでは、マナーとして身だしなみを清潔に保つことが求められます。それゆえに、身だしなみが整っていないことが、同年代の友達に敬遠されてしまったり、社会的な常識が身についていないと見なされ、怒られてしまったりなど、さまざまな困りごとにつながる可能性もあります。身だしなみの教え方として、子どもに合わせて以下のようなサポートをしてみてはいかがでしょうか。■最低限の身だしなみを整えられるよう、チェックリストをつくる年頃の女の子は自然と「可愛く、きれいになりたい」「周りの視線が気になる」という意識が芽生え、身だしなみにも気を遣い始めると思います。一方、特に自閉症スペクトラム障害の女の子は、他人から自分がどう見られているか想像することが苦手・関心がないゆえに、羞恥心や身だしなみを理解できないことが多くあります。とはいえ、体臭や頭髪の清潔さなど、他者と過ごすうえでの最低限のマナーに関しては、子どもが守れるよう、マニュアルやチェック表を作って洗面所に貼ってみるなどのサポートが必要です。また、大きくなると一人の女性として化粧をすることやむだ毛のケアがマナーとされることもあります。そうはいっても、感覚過敏で化粧品や脱毛が苦手だったり、これらのケアをする意味がわからず、やる気にならなかったりすることもあると思います。その場合、「顔色よく見えるように口紅・色つきリップクリームだけは塗る」「化粧水などのスキンケアでお肌をきれいに保つ」「半袖を着る時期はムダ毛の処理をする」といった無理のない約束事を、年齢・TPOに応じて追加するのもよいでしょう。■服選び、コーディネイトは本人の特性・ペースに合わせて徐々に対応していく発達障害の女の子は、「大きくなっても一人で服を選べない」「好きな色、柄、キャラクターだけでかたくなにコーディネイトしようとする」「気温や気候に合わせて服装を考えられない」など、服選びの場面でも苦労することがあります。1人で服を選べない場合、トップス・ボトムス・靴下のどれか1つだけ選ばせてみる、全身コーディネイトのパターンを数種類用意し、どのパターンにするか選ばせてみるというように、服を選ぶハードルを下げ、少しずつ自分で選べるようにはたらきかける方法がおすすめです。また、コーディネイトに本人なりの強いこだわりがある場合、ある程度は本人に任せてしまってもよいかもしれません。色や柄、肌触りにこだわりがある場合は、同じような服を何枚か買ってそろえてあげる、その服を使ったコーディネートの写真を参考程度に見せてみるなど、本人の好みをある程度尊重する姿勢でゆっくり見守っていくことも大切です。まとめ出典 : 発達障害は、周りの環境とのミスマッチによって、特性の偏りによる困りごとや悩みが膨らんでいってしまうことが多くあります。特に女の子は、それぞれの困り感に合わせて女の子ならではの問題も絡んできます。女の子特有の友達づきあい、異性との距離感、身体の変化をはじめ、「女の子らしさ」「女の子なんだから」という周りからの視線…さまざまな生きづらい環境に身を置きながら、自身の特性と付き合わなければならない場面もあるでしょう。女の子の先輩である母親、祖母、親戚、信頼のおける友達など、周りの女性をはじめ、異性の家族とも協力しながら、一人ひとりの女の子の成長をサポートしていきたいですね。参考文献星野仁彦/著『なんだかうまくいかないのは女性の発達障害かもしれません』 PHP研究所/2015宮尾 益知/監『女の子の発達障害: 思春期の心と行動の変化に気づいてサポートする本』河出書房新社 /2016「レディを育てる親と支援者たちへ」
2018年01月17日先生発案!目からウロコの「合理的配慮」の実例ベスト5出典 : こんにちは。『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法』著者・楽々かあさんこと、大場美鈴です。うちには、もうすぐ小学校卒業の発達障害のある長男と、グレーゾーンの小4の次男・小1の長女がいます。今まで私は、学校の先生方と連携し、さまざまな「合理的配慮」をお願いして、ここまでやってきました。でも、担任の先生がいつの間にかやってくれていた「さり気ない配慮」もたくさんあるんです。本当にちょっとしたことでハードルが下がって、すごく気持ちがラクになったり、みんなと一緒に取り組めたりするんですよ。今回はお忙しい通常学級の先生にも手軽にできて、「◯◯くんだけズルイ」だなんて目立たずに、クラス全体で取り組んだり、さり気な〜くサポートできる、目からウロコの「合理的配慮」の実例ベスト5を、一挙にご紹介します!Upload By 楽々かあさん教室の机の奥に、くっちゃくちゃのプリントやテストが押し込められて、大事なお知らせを持ち帰り忘れてしまう長男。おかげで、「一体いつの話?」という、提出期限切れの申し込み用紙が後から発掘されることも。そんな「困った」を担任の先生が、たった1本のヒモを使って問題解決して下さいました。連絡帳を入れる学校指定のジッパー式の「連絡袋」のカドに、書類用の綴じヒモを通して輪にするだけ!これを、長男の机の横のフックにひっかけて、プリントやテストを配ったら、すぐにそこに入れるように促して下さったのです。机の外に出て見えているので、長男も持ち帰る時に気づきやすく、先生も声かけしやすい、ナイスアイデアでした!出典 : ある年の学習発表会では、グレーゾーンの次男の担任の先生も、さり気ない配慮をして下さいました。緊張しやすく、大勢の人を前にすると固まってしまって、台詞や動くタイミングが吹き飛んでしまう次男。プレッシャーから、直前に「やっぱりムリィ〜!」と敵前逃亡した実績もあります。でも、その年の先生は、なんと、体育館のステージの正面2階の連絡通路から、まるでオーケストラの指揮者のように、次男に大きなジェスチャーでサインを送って、タイミングを教えてくれたのです。先生のサインに、マウンドのピッチャーのように小さく頷く次男。そして、無事台詞が言えたら、先生はニッコリ笑顔で大きな「マル」を作って見せてくれました。他の先生からは「◯◯先生と◯次郎君、コントみたい」なんて、面白がられていましたが、次男は安心して参加でき、「できた!」体験がとても自信になったようです。おかげで、翌年からは、配慮なしでも学習発表会が大丈夫になりました。出典 : もう一つ、次男の先生から。次男は「人の顔と名前が覚えにくい」ので、3学期になっても、クラスのお子さんたちの3分の2くらいは、名前が分からなくて、自信を持って話しかけることができず、本人もそのことを結構気にして悩んでいました。次の学年の初めに面談をお願いし、そのことを先生に伝えたところ、教室の後ろにクラス写真に名前を入れたものを掲示して下さいました。このように「クラス皆が共有できる」ことは、次男だけでなく、同じようなタイプの子や転校生、近年増えている外国人の子など、どんな子も安心できる素敵な「さり気ない配慮」だと思います。出典 : 教室の席というのは、実は大抵、視力や身長、クジ運だけではなく、ある程度担任の先生が、クラス運営のしやすさなどを加味して決められていることもあるようです。一般的に、席の配置では「ちょっと気になる子は、先生の目の前の、最前列中央の席」になることも多いかと思います。確かに先生がマメに声をかけやすく、目が届きやすいですよね。不注意性の高い長男が低学年の頃は、いつもココが定位置でした。でも、その時のクラスの雰囲気や他のお子さんたちとの関係で、優先することも変わって来るようです。3・4年生の時、長男の定位置は「中央一番後ろ」になりました。その理由は、「◯太郎君が授業中に何度も声かけされるのを、他の子の目につきにくくするため」とのこと。長男は「教科書◯ページだよ」「定規出してね」など、先生にその都度個別に声かけしてもらえれば気づきやすいけど、それが最前列の席だと、いつもクラスのお子さんたちから目についてしまいます。社会性が育って、仲間意識が強まる3・4年生は「ギャングエイジ」とも呼ばれ、ちょっとしたことが、仲間はずれやからかいの要因になることもあります。そんな空気をいち早く先生が気づいて細やかに配慮して下さり、一番後ろにしてくれました(そして、ちょっと遠回りしながら、声かけも続けてくれました)。この位置は長男もお気に入りで、安心できたようです。空気を読むのが苦手な長男は、自分で気づけない・モヤモヤした気持ちを言葉でうまく表現できないこともあるので、先生がさり気なく守ってくださって、本当に有難いなと思いました。また、聴覚過敏のある次男は、廊下側の柱の横の、片側が壁になっている席が落ち着くようです。班決めなども、大人しい子が多いグループになる確率が不思議と高い学年は、「ひょっとして、配慮してくれてるのかな?」なんて感じることもあります。他にも、夏休みの自由研究の発表などは、順番を最後のほうにしてくれて、他のお子さんたちの「お手本」をたくさん見てからだと、発表の仕方がイメージしやすくなったこともありました。マニュアルではなく、実際の状況に合わせた弾力的な対応と、ほんのちょっとの先生の采配で、下がるハードルも結構あります。出典 : 長男が1年生の2学期から、漢字書き取りが宿題に出るようになりました。ところが当時の長男は、視力に問題はなくとも、漢字のカドやトメ・ハネ・ハライが正確に認識できなかったため、どんなにがんばっても字がお手本どおりに書けませんでした。担任の先生は、漢字ノートをとても丁寧に添削して下さったのですが、本人には訂正前と後の違いが分からず、「どこをどう直していいのか、分からないよ〜」と泣きながら、何時間もかかって宿題をし、勉強にすっかり自信をなくしていました。丁度その頃に長男の発達障害の診断がつき、先生にそのことを相談したところ、漢字の間違っているところを「丁寧に訂正する添削」から、合っているところや丁寧に書けたところに、花マルやほめコメントをつけるという「丁寧にほめる添削」に、変えて下さったのです。そして「◯太郎君に良い方法は、他のお子さんにもいいと思うので、クラスで『ほめほめ作戦』やってみますね!」と、明るく言って、長男だけでなく、クラス皆のお子さんの漢字ノートを、同じように花マルで埋めて下さいました。先生が柔軟にものの見方を変えて、同じ添削指導に使うエネルギーを、少しでもできているところを見つける方向に使って下さったおかげで、長男は少しずつ自信を取り戻していきました(段階的に訂正にも慣れていき、今では、×をもらっても大丈夫になりました)。誰だって、自分のやり方を変えたり、人に合わせたりすることは、そんなに簡単なことではないのを、私は知っています。そこを快く譲って下さった、まだお若いその先生に、私は心底敬服したのです。先生方が、共に育ててくれたからこそ…出典 : こうして見ると、「合理的配慮」というのは、診断書を持っていって交渉するような、難しくて特別なことばかりではなくて、「集団教育の知恵袋」とでも表現できそうな、もっと手軽で身近な、さり気ないことだって、たくさんあるのだと思います。子どもたちにとっては、先生のちょっとした気遣いや思いやりが感じられるだけで、「学校」の印象だって全然違うんです。それにはまず、先生方に気持ちと時間の余裕が必要なのだと思います。ただでさえ、大人数の子どもたちをたった1人で引き受ける通常学級の担任の先生が、授業時間の増加や過剰な雑務による負担を長時間勤務でこなしている現状があります。そんな中で、子ども一人ひとりの小さな困り感に気づいたり、丁寧に関わる時間を持つのは、至難の業でしょう。中には、私がうまく連携できなかった先生もいましたが、お一人でさまざまな問題を抱え込んでいた印象でした。また、ある先生は「本当は◯太郎君のこと、もっと丁寧に見てあげたいのに、なかなか時間がなくて、そこまでできなくてごめんなさいね」と、申し訳なさそうに謝っておられ、私も胸が苦しくなりました。本当に今の教育現場は、厳しい状況に置かれているのが痛切に伝わってきます。でも、そんな中でも、結局6年間ずっと、学校があんまり好きではなかった長男に、それぞれの先生が「できる範囲で、できること」を探りながら関わり、一緒に育てて下さったからこそ、なんとかここまで来れたのだと思います。おかげさまで、その長男も、この春中学生になります。「取り残される日本の教育 わが子のために親が知っておくべきこと」尾木直樹・著(講談社+α新書)「池上彰の『日本の教育』がよくわかる本」池上 彰・著(PHP文庫)大場美鈴/著『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法』2017年/刊/ポプラ社
2018年01月15日発達障害の子育てママの座談会で、よく話題にのぼるものの一つに、夫の無理解や無協力があります。「無」とまではいかなくても、子どもの障害をなかなか認めようとしなかったり、療育や児童精神科などに行くことに乗り気ではなかったり、というお父さんがどこにも一定数はいるようです。そんな時、知ったのが一般社団法人「発達障害ファミリーサポートMarble(マーブル)」。発達障害児とその家族を支えるため、発達障害の正しい理解のための講演活動や、発達障害児を持つ家族のための相談支援活動などを行っている団体です。代表理事の国沢真弓さんは自身も、高校生になる自閉症児の母であるため、「当事者家族」の視点からのお話にはとても説得力があり、温かみのある方です。また、本業がアナウンサーであるため、周囲への「伝え方」のアドバイスは、なるほど! と深く納得できるものです。そんな国沢さんに、発達障害の子育てに協力的ではないお父さんや、育児に口出ししてくる祖父母への対策法をうかがいました。■発達障害はグレー診断な子ほど夫の理解が得られにくい――発達障害の子育てにおいて、ママの間でよく「夫が子どもの障害を認めてくれない」とか「夫が育児に協力的じゃない」という愚痴を聞くのですが、国沢さんの周囲でもこういった相談は多いですか?「今まで、保護者の相談を約500名ほど受けてきましたが、そのうち半数以上が、知的に遅れのない発達障害児(通常の学級に在籍して通級や校内特別支援教室などを利用しているようなお子さん)のお母さんからの相談です。その中で、夫の無理解や無協力という相談はとても多いですよ」――発達障害はグレー診断なほど、夫の理解が得られにくいというわけですね。「子どもとの会話が成り立たなかったり、説明しても理解できなかったりすれば、お父さんも『うちの子、何かある?』と思わざるを得ませんよね。でも、例えば、週末に家族の中だけで接していて、会話もほぼ成り立っている程度だと、たとえ外で問題行動があったとしてもお父さんにはなかなか、わかりません。『これくらい、男の子だったら当たり前じゃん?』とか『俺も昔そうだったよ』『個性だよ』という一言ですまされたり、ひどい時には『お前は、なんでそんなに障害児にしたがるんだよ!』なんてお母さんが怒られてしまうこともあるそうです」――障害と個性の線引きは、専門家でも判断が難しいと言われていますものね。では、知的に遅れがない発達障害のケースでは、ほとんどのお父さんは、わが子は問題ないと思っているのでしょうか?「いえ。私は、お父さんも本当は薄々わかっていると思いますよ。『なんでこんなに育てにくいんだろう?』とか『なんでこんなに癇癪がひどいんだろう?』という違和感は持っていると思います」――そうすると、わかっているのに認めたくないということ?「私がいろいろ相談を受けてきて思うに、男の人はとてもナイーブなんです。その点、女の人はとてもたくましいですね。もちろんお母さんだって、わが子の障害が判明した時はショックを受けて泣いたり悲観したりはします。でも、いろいろなところに相談して発散したり、専門家に助けを求めたりして、お母さんはさまざまなことを学びます。そうやって子どものことを苦しみながらも少しずつ受容し、子どもへの接し方もどんどん上手になり、プクプク…と浮上していくことが多いのです。一方、お父さんは、お勤めの関係などで、子どもと一緒に過ごす時間が物理的にとれないケースが多いため、専門家やドクターと接する時間もなかなかとれないまま、子どもに障害があるということを認める機会を逃してしまいがちなんです」■子どもが大きくなった時こそ父親の出番――お母さんはどんどん学んでいく一方で、お父さんは置いてきぼりになりがちなのですね。「夫婦で子どもに対する意識もスキルもどんどん離れていき、お父さんは家族の中で孤立してしまう…といった悩みを、お父さん自身から聞くことも多いんですよ。さらに、追い打ちをかけるように、一緒に過ごす時間が多いきょうだい児も、お母さんと一緒にどんどん学んでいくから、気がついたらお父さんだけがポツ~ン…って。でも、お父さんには、『お父さんにも教えて』と素直に言えないプライドがあるんですよね(苦笑)」――そうなると、お母さんは「じゃあ、もういいわよ! 私が全部やるから!」となるか、「この人にはもう期待しない」とコミュニケーションをあきらめちゃいそうですね…。「ただでさえ、お母さんは子どものことでいっぱいいっぱいなのに、夫にまで配慮していられない! という気持ち、よくわかります。でも、子どもが大きくなった時のためにも、ここはなんとかお父さんを積極的に子育てに巻き込む機会を早期にどんどん作った方がいいと思います」――子どもが大きくなった時のため、というのは?「発達障害というのは、男の子の割合が非常に多いのです。男の子の場合でも、小学校低学年くらいまでなら、お母さんの力でも主導権をにぎることができます。そのため、この時期ならば、お母さんのペースで日々の暮らしを仕切っていくことも、なんとかできるのです(まぁ、子どものタイプにもよりますが…)。でも、高学年くらいになると、お母さんが主導で物事をやっていくには限界があります。だって、男の子のトイレやお風呂に、高学年になっても一緒について行くわけにはいかないでしょう? その他、進路の問題や、思春期特有の難しい問題も出てきます。そうした時に、お父さんの出番となるのです。でも、急にその年齢になって『お父さん! お願いします!』と言っても無理なので、早い段階からどんどん子育てに巻き込んだ方が後々のために良いと思うのです」――なるほど。確かに健常児だって、男の子の思春期対応法は、お母さんには難しいですものね。では、夫を積極的に育児に参加させるには、具体的にはどうしたらいいのでしょうか?「大事な局面には必ず連れて行って、夫を頼る姿勢をみせてみてはどうでしょうか? 例えば、小児科や療育の面談など、ここぞ! という時は絶対に同席してもらうようにして、『あなたがいないと場がしまらない』とか『あなたがいないとちょっと心細い』とか頼ることで、男の人のやる気を引き出したり」――お母さんがお父さんのやる気をうまく引き出すということですね。「大事な局面に夫婦2人で参加した方がいいのには、別の理由もあります。例えば、一人でドクターへ面談に行った場合、聞くこと、答えること、話を受け止めること、書き留めること、即座に判断すること、これ、全部お母さん一人がやらなければならなくなります。専門家の時間は限られているので、いろいろ言われてワーッと終わっちゃうと、家に帰ってきた時に『あれが言えなかった』『これが聞けなかった』と不完全燃焼で終わり、悶々としちゃうことも多いのですよね。その点、2人いれば、お父さんが質問している間に大事なポイントを書き留めたり整理したりできるし、状況を客観的に見ることもできます。もちろん、直接先生と会って話すことで当事者意識が育つので、お父さんのためにもなると思います。そういう状況を作るのが、難しいご家庭もあると思いますが。可能なら…ということです」 ■疲れたり迷ったりしたら…心強いペアレント・メンターの存在――非協力的なお父さんを育児に巻き込むには、お父さんをわが子が集団にいるシーン(例えば、園や学校の普段の様子やイベントなど)に積極的に連れていくのが良いと聞いたことがありますが、どう思われますか?「お父さんは、集団の中にいるわが子の姿を見る機会が少ない方も多いので、理解をうながすには良い方法だと思いますよ。ただ一つ落とし穴があって、男の人って実はナイーブなので、集団の中で、わが子とほかの子どもとの違いを目の当たりにして、ガーンとショックを受けて落ち込んじゃうケースもあるんですよ。で、その後、お母さんがいくら誘っても、園や学校に行くのを避けるようになってしまった、そんな相談を受けたことも、たくさんあります」――すでにさまざまなことを乗り越えてきたお母さんとしては、「傷ついてる場合じゃないでしょう~!」と思ってしまいそうですが…。「お気持ち、よくわかりますよ(笑)。でも、男の人はそういう生き物と割り切って、『パパもショックだったよね。私も初めて見た時はショックだったんだよ』と寄り添いつつ、『うちの子みたいな子が落ち着けるように、こんな療育があるみたいだよ。一緒に見学行ってみない?』という感じに、だんだん専門領域の世界に引き込んでみてはどうでしょう?お母さん、大変ですね!(笑) たとえば、理論で入る男の人には、専門書をさりげなく渡してみるのもいいかもしれません。そういう方法で、実際に夫が協力的になったというご夫婦もいましたよ。――なるほど。専門書から理解を促すのは良い方法かもしれませんね。「お母さんは本当に大変だと思います。でも、これは大きくなった時に返ってくる「保険」だと思ってあきらめないで、早い段階から協力的な夫になってもらえるよう働きかけてほしいです。ここでガツンと切っちゃうと、夫婦関係が険悪になってしまったり、離婚という選択にもなりかねません。そういった例も、たくさん見てきました。逆に言うと、お父さん役も担っているシングルのお母さんは、大変な負担のなか、とても頑張っているんです。本当に、身体が心配です」――発達障害の子育てにおける、お母さんの負担はとても大きなものなのですね…。「そうですね。でも、しんどい時は、どんどん専門家に頼りましょう。もちろんママ友や先輩ママに頼るのも良いけれど、私は専門的な訓練を受けたペアレント・メンターをおすすめします」――ペアレント・メンターって何ですか? 「ペアレント・メンターとは、自分自身も発達障害の子育てを経験し、さらに相談支援に関する一定のトレーニングを受けた親のことです。私も資格を持っているんですよ。2010年から、厚生労働省もメンターの養成に力を入れています。発達障害の子育てに関する悩みや相談を抱えた親に対して、気持ちに寄り添い、その親にとって必要な情報(病院、療育、学校、福祉サービス、地域の情報など)を提供したりしています」――実際に発達障害の子育てをしている方だと、専門家とはまた違った安心感がありますね。「発達障害児の子育てでは、すべての情報が親に集中します。しかも、情報は多岐に渡ります。療育機関の専門家、医療機関のドクター、心理士、作業療法士、園や学校の先生、療育ママ友、家族、親せき、近所の人…いろいろな人から『ここが良いわよ』『これをしたら良くないわよ』という情報が、すごい勢いで入ってきます。そこから、親はわが子に必要なことを取捨選択するわけですが、そのプロセスは想像以上に大変です。ペアレント・メンターは親に寄り添い、一緒に情報を整理し、今後の道を一緒に考える役割を担うので、とても心強い存在になると思いますよ。同じ仲間として、先ほどお伝えしたような、お父さんへの上手な接し方などもアドバイスしてくれます。ストレスがたまったり、子育てに疲れてしまったら、こういった専門家に頼るのも手だと思います」■祖父母世代には、「専門家の意見では…」で対応――周囲には、義理両親(もしくは自分の両親)の子育てへの口出しに悩んでいるお母さんもいましたが、祖父母関係の相談は多いですか?「10年前くらいはとても多い相談でしたが、最近は少し減ってきたように思います。逆に、孫のことを理解しようと講習会に積極的に参加したり、自分も何とか役に立ちたいという祖父母の方も増えてきました。とはいえ、まだまだ『そんな子育てだから、子どもがワガママになるのよ』とか『もっと、こうしてみたら伸びるんじゃないの』とか、ひどい例では『うちの家系には、こんなことをする子はいない』といったことを言われてしまうことも残念ながらあります。そんな時は、大変つらいと思いますが、すべてキッチリ理解してもらおうと思わず、上手に受け流して、別のところでストレス解消をしましょうね。自分たちより長く生きて、自分のスタイルを確立している人たちの認識を変えることは、とても大変です。ただ、言われっぱなしも悔しいので『専門家に相談してすすめていますので見守ってください』などと、自分たちも自己流ではなく、ちゃんと考えて子育てしている、ということはアピールしておくといいかもしれません。で、ほかのところで毒を吐く(笑)。同じ思いをしている仲間は、意外にたくさんいますよ」――ちょっと極端な話ですが、お姑さんのちょっとした子どもへの体罰に悩んでいるお母さんもいました。良くないことをすると、手をつねって教えるという。「お嫁さんが『嫌だから止めてください』という言い方をすると角がたつから、専門家の名を借りてみてはいかがでしょう。たとえば、『専門家から、そういうことを続けるとほかの子に暴力をふるうようになるって聞いたんです』などと伝えてみるとか。もちろん、ただの『嘘』になってはいけないので、専門家にも、その件を相談してみる。『義理の母が、しつけと称して子どもの手をつねるんですけど、こういうことを続けていると、この子がほかの子をつねる可能性もありますよね?』と聞いて『可能性あるね』と言われたら、それを『お墨付きのアドバイス」』にする。専門家の意見と言えば説得力が増すので、さすがのお姑さんも自制するのではないでしょうか?『伝え方の工夫』、これは、発達障害児の子育てで、とても必要な力だと思います」――確かに、「専門家の意見では…」という言葉は効果ありそうですね。「私は、これを学校の先生対策にも利用していますよ。例えば、生徒を大きな声で叱る先生がいて、それが怖くて、指示されても全然動けなくなった子がいるとします。そんな時、『児童精神科の先生に相談してみたら、大きな声がすごく苦手みたいなので、席を後ろにしていただけませんか? もしくはイヤーマフをつけさせてもいいですか? このままだと学校に行けなくなって不登校になる可能性もあると言われたんです』というふうに。親が『大きな声で叱るのはやめてください』とだけ言うと、ただのクレームみたいに思われてしまうけど、専門家の指示であれば対応せざるを得ないでしょう。周囲を上手に説得したい時は、専門家の意見を上手に借りるのも一つの手だと思いますよ。『伝え方』を工夫をすれば、双方の関係は悪化せず、子どもの状況が改善される…そんなケースを、私はたくさん見てきました。こうして見てくると、お母さんには、たくさんの力が要求され、本当に大変ですが(涙)、一緒に励まし合って、乗り越えていきましょうね!国沢真弓さん プロフィールフリーアナウンサー、自閉症スペクトラム支援士、一般社団法人 「発達障がいファミリーサポートMarble」 代表理事<役職>ペアレント・メンター、三鷹市相談支援事業「ママサロン」相談員 、三鷹市知的障害者相談員、三鷹市発達障害児親の会「モンブランの会」会長、社会福祉法人「清陽会」評議員、児童発達支援施設「すこっぷ調布」アドバイザー、三鷹市教育支援推進委員会委員。<経歴>都立新宿高校、聖心女子大学文学部歴史社会学科を卒業。富士通株式会社を3年勤務後、アナウンサーに転向。NHKテレビ「きょうの料理」「婦人百科」の進行を約10年務めたほか、多数のテレビ・ラジオ番組に出演。海外特派員、番組企画構成も担当。ナレーション・司会は各500回以上務め、厚生労働省主催「世界自閉症啓発デイシンポジウム」の総合司会を毎春担当。「3歳までの子育ての裏ワザ」「こんな時どうする?子どもの友達・親同士」(PHP出版)など共著多数。<現在の活動>一般社団法人「発達障がいファミリーサポートMarble」代表理事として、「発達障害」や「伝える力UP」といったテーマでの講演を、全国で行っている。また、「ペアレントメンター」として保護者や支援者の相談に応じるほか、障害児の家族が気軽に参加できるイベントやお喋り会の開催等を行い、家族の元気を応援している。(詳しくはホームページをご覧ください)。取材・文/まちとこ出版社N
2018年01月14日各地で講演活動を行い、障害のある子の「親なきあと」の現状や対策について発信する行政書士の渡部伸先生と、自閉症児の母であり、発達ナビで連載コラムを執筆する立石美津子さんによる「親なきあと」についての対談企画、第二弾。対談の前編、「親なきあと、障害のある子はどう暮らす?お金は足りる?」では、保護者が元気で動けるうちに、税の控除や手当なども活用しながら資産をつくる、親なきあとに障害年金がもらえるように準備したり、のこした資産を信託するなど、適切に渡していくことの準備が必要だということが分かりました。「親なきあと」の暮らしはどうなる?住まいは?支援者は?「親なきあと」相談室を主宰する行政書士・渡部先生×自閉症の子を育てる立石さんの対談からUpload By 発達ナビ編集部「親なきあと」に関する保護者の方のもうひとつの懸念は、のこされた子どもが「どこで暮らすのか、その暮らしを誰がサポートしてくれるのか」ということです。障害者支援施設といった入所施設やグループホームなどに住むのか、福祉サービスを活用しながら1人暮らしや親族と一緒に住むのか…ぼんやりと想像はできても、わが子が将来どのような暮らしをするのか、それにはどのくらい費用がかかるのかなど、分からないことが多く、不安や疑問があると思います。対談後編の今回は「暮らし編」と銘打ち、「親なきあと」の暮らしをテーマに、お二人の対談をお届けします。「親なきあと」、障害のある子はどこに住むのか?出典 : 立石さん(以下、立石)お子さんがまだ小さいと、将来親がいなくなった後、どこに住むかということまでまだ考えが及ばないかもしれませんが、実際は親なき後の人生の方が長いですから、お金の問題もですが、どこで誰と住むのか考えておくことは大切だと思います。健常の兄弟姉妹がいたとしても、独立してそれぞれの生活を歩みますから、障害のある子の面倒を託すこともできませんし…。渡部先生(以下、渡部)今、障害のある方の住む場所についても、法制度や社会環境が変わっている…過渡期なんですよ。今後の流れとしては、居宅介護などを充実させていくことで、特に軽度から中度の場合はできるだけ施設やグループホームに入らず自宅で暮らすことを目指す、という方向になってくと思います。大規模施設を作ってそこに障害のある方を集めて…というところから、福祉サービスを充実させて地域で暮らせるようにするという流れですね。発達ナビ編集部(以下、編集部)どうしてそういう流れになったんでしょう?渡部2003年に、それまで行政がサービスの利用先や内容を決めていた「措置制度」から、障害のある方の自己決定に基づいてサービスの利用を決定する支援費制度に変わったことが大きなきっかけだったと思います。もうひとつ大きいのは、2014年に「障害者権利条約(障害者の権利に関する条約)」を批准したことですね。この条約を批准するために法制度を整備する必要が出てきて、「障害者総合支援法」ができたり、「障害者差別解消法(障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律)」ができました。”住み慣れた地域で自分らしく暮らしていきたい”という願いにこたえていこうという流れになっているんです。2018年4月には、「自立生活援助」制度も始まります。施設やグループホーム、病院に入所している障害のある人が、1人暮らしを始める場合、一定期間、巡回したり支援するという制度です。また、そうした法制度が走り始めると、一定期間たって「自立生活援助」による支援が終了したあとをサポートするようなサービスなどが民間から出てくると思います。それによって、地域で暮らしていきやすい体制が整ってくるのではないかと期待しています立石本当に過渡期なんですね…。参考:障害者の権利に関する条約 | 外務省参考:障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律 | 内閣府渡部また、新しい取り組みとして、障害者とその親が一緒に住める老人ホームや、障害者のグループホームとその親が入る高齢者のグループホームがひとつの敷地内にある施設などができてきています。高齢になると、施設に入所している子どもに会いに行くことができなくなりがちですが、同じ敷地内であれば安心ですよね。立石そういう施設もあるんですね。渡部障害者の入居施設は結構定員いっぱいなことが多くて。入居できる施設は地方にあることが多いし、親も元気なうちは新幹線で1本だからすぐに会いに行けると思って入居を決めたりするのですが、いざ高齢になると、なかなか会いに行けなくなってしまう…。立石うちは母一人子一人なので、私がいなくなったら…、動けなくなったらと思うと心配なんですね。いざというとき、地元に入居できるグループホームもないかもしれない。子どもが路頭に迷わないようにしたい。それで、将来のことを考えて、グループホームを作りたいなと思っています。編集部立石さんは、実際に役所に出向かれたりして、グループホーム設立について動きはじめています。どのようなグループホームをつくられるのか、今後の発信がとても楽しみです。障害者手帳はもつべきなのか?メリットやデメリットは?Upload By 発達ナビ編集部立石いろいろお話を伺っていて、改めて思うのは、手当とか割引など活用できる制度は使って、親が元気なうちから出ていくお金を抑えられるような仕組みづくりをしておかなきゃいけないなということですね。“日本の福祉は自己申告制”ですよね。じっと待っていても役所から案内が来るわけじゃないですから、自分から積極的に行動し、情報をとりにいかないといけませんね。渡部そうですね。立石それから、いろいろな支援をうけたり、支出を抑えたりするためには、やっぱり障害者手帳を持っていたほうがいいように思います。ちなみに、障害者手帳を取得するとデメリットになるようなことってあるんでしょうか?渡部私は、特段大きなデメリットはないと思っています。あるとしたら、保護者に「持ちたくない」という気持ちがある場合、持つことがストレスになるということくらいでしょうか。立石例えば、手帳を持っているから受験や就職で不利になるということは?渡部ないと思います。必要ないときは見せなければいいだけですから。立石逆に、手帳を持っているとメリットになることと言えば?障害年金は、手帳がなくても基準を満たせばもらえるということでしたけど…。渡部手帳を持って入れば法定雇用率の中で働くことができるので企業に障害者枠で一般就労しやすいというメリットや、JRや私鉄、バスなど公共交通機関の乗車料金の割引、タクシー利用券の支給、公営住宅の優遇抽選、おむつ支給などが受けられます。デイサービスやヘルパー派遣などは、手帳がなくても申請できます。ですが、手帳があると行政側が障害状態を判断しやすい。障害の程度によって支給されるかどうか、また支給時間数などにも影響するので、手帳があったほうがスムーズにサービスを受けられるのではないかなと思います。手帳の種類・度数によっては税制面での優遇もあります。立石医療費の助成もありますよね?渡部身体障害者手帳か療育手帳の重度判定の方は、所得によって医療費が1割負担、もしくは無料になります。20歳未満は世帯主の所得が対象なので1割負担、20歳になると本人の所得が対象なので無料になる、というパターンが多いですね。市町村によっては、精神保健福祉手帳を所持している人や中度判定の方も助成対象になるところもあります。編集部いずれもお住まいの地域によって違いもあるので、行政の窓口で相談してほしいと思います。参考:心身障害者医療費助成制度(マル障)| 東京都福祉保健局立石いろいろ伺って、やっぱり手帳は、持っていてメリットはあるけれど、デメリットはないなと思いました。渡部障害状態が軽いと判断され、交付されないお子さんもいます。でも申請しなければ交付されることもないわけですから、私は「まずは申請してみたほうがいいですよ」とお話しています。立石手帳は3種類ありますが、ボーダーのお子さんは知的障害が軽いと判断されて、療育手帳が取れないこともありますよね。知的には高くても、いろんな困難を抱えているお子さんも多い…。渡部発達障害に該当しているような場合は、「精神障害者保健福祉手帳」を申請してはどうかとアドバイスをしています。手帳が取れない場合でも、ドクターや児童相談所の判断で受けられる福祉サービスもあります。お住まいの地域によってもサービスは異なるので、そういう情報を得るためにも、行政の窓口に行ったり、地域の集まりに顔を出したりしておいたほうがいいと思います。自分から申請しないと、福祉サービスは受けられないですから。立石手帳については、母親は取りたいと思っているけれど、夫や義親が反対するケースもよく聞きます。渡部手帳を持たせたくない、つまり親や祖父母が、子どもや孫の障害を認めたくないということかなと思います。それぞれが障害や手帳に対して異なるイメージや感情を抱いているときは、無理に説得してもうまくいかない例が多いです。個人的には、お母さんが動いて手帳を取っておくというのも、一つの手段ではないかと思います。いざ必要になる時まで、タンスにしまっておけばいいわけですから。立石あぁ、なるほど。成年後見制度は、利用すべき?出典 : 立石支援する人を確保するという点で、成年後見人についても検討することになると思います。ちなみに、どの段階で成年後見人をつけることを考えたほうがいいですか?渡部成年後見人をつけると、たとえ親であっても子どもの財産を動かすことが難しくなります。報酬は財産額にもよりますが、月1~2万円かかるので、保護者が元気なうちはつけなくてもいいのではと考えています。親なきあとのことを見据えて、どの人に成年後見人をお願いできそうか考えておく、相談窓口がどこなのか知っておくくらいでいいと思います。成年後見人は高齢者には有効な制度だと思いますが、若い障害者の場合は、住んでいる場所もそれぞれですし、就労する場所もさまざま。福祉サービスでヘルパーを利用していたりもします。立石高齢者の場合は老人ホームに入っていて、仕事をしていない場合がほとんどだけれど、障害者の場合はいろんなパターンがあるということですね。渡部そうです。本来はそうした事業所をとりまとめて、障害のある人の暮らしを支援するのが成年後見人であるべきなのですが、法律の専門家ではあっても福祉の専門家ではないため、難しいのが現状です。ですので、保護者がまだ元気なうちは、つけなくていいかなというのが私見です。将来、信託や成年後見制度を利用することを頭に置いておいて、その制度について相談できる窓口を見つけておくぐらいでいいと思います。成年後見であれば地域の社会福祉協議会が相談窓口を開いている場合が多いですし、近くに法人後見を行っている団体があればそういったところとつながっておくことも大事です。また、親の会などに入っていれば、さまざまな情報が入ってきますので、ぜひいろいろなところと接点を持っておいてください。つながりをつくる、外に出ていく。保護者が、まずすべきことUpload By 発達ナビ編集部編集部親なきあとに向けて、やっておくべきことって本当にいろいろありますよね。法制度も過渡期なので、子育てもがんばりながら、最新の情報をキャッチするのも大変…。渡部ですから、たくさんつながりをもつことが大切なんですよ。同じ障害の子を持つママ友でもいい、親の会に入ると会報なんかでもたくさんの情報を送ってきてくれるし、専門家を招いた勉強会も催していたりする。まずは、情報が入ってくるつながりづくりからはじめるといいですよ。立石つながりがあると、親なきあとも、福祉の網の目からこぼれ落ちる前に、セーフティーネットにもなりますよね!何かあったときも、SOSに気づいてもらえる。渡部それから、子どもにどんな支援が必要かを書き留めておくと、親なきあとのサポートもスムーズになると思います。子どもの特性に加えて、障害福祉サービス受給者証の番号や利用している医療機関や施設なども書いておくといいですよ。「親心の記録」などの冊子を活用すると何を書いておけばいいか分かりやすいと思います。参考:「親心の記録」について・お申し込み|日本相続知財センターHP※「親心の記録」は団体向けに寄贈されています。個人で希望する方は、上記ウェブサイトよりお問い合わせください。渡部「もっとこんなこと知りたい」とか、「うちの場合はどうなるの」、「どうやって資産をのこせばいいの」など迷うことがあったら、私や私の仲間たちがやっている「親なきあと」相談室みたいな場所へ、相談に来てほしいなと思っています。障害者福祉は、窓口がいろいろ分かれていて、何をどこに相談したり申請すればいいのかが分かりづらかったりしますよね。保護者の皆さんは、子育てだけでも大変なのに、さまざまな窓口に行って聞くのは本当に大変だと思います。「親なきあと」相談室はよろず相談室なので、なんでもお伺いしますし、どこの窓口に申請したらいいのかなどもアドバイスしています。立石心強い!私もまた相談させてくださいね。参考:「親なきあと」相談室「親なきあと」の住まい・支援者についてまとめると、次のようになりそうです。・住まいについての法制度は変革期(居宅介護などが充実、軽度から中度の場合は自宅で)・成年後見制度などの利用を念頭におき、相談窓口を見つける・支援者がサポートしやすいような引継資料をつくる など住まいや支援についての法制度は過渡期にあります。さまざまな情報に触れたり、相談できるように、まずは保護者が”知る”ことや”つながる”ことが大切です。保護者が動けるうちに行動しておければ、自然と情報も入ってきます。渡部伸先生渡部行政書士事務所代表。「親なきあと」相談室主宰。慶応義塾大学法学部法律学科卒業。出版社でさまざまな事業を担当後、行政書士、2級ファイナンシャルプランニング技能士などの資格を取得。著書に『障害がある子の家族が知っておきたい「親なきあと」』(主婦の友社)、『障害のある子が「親なきあと」にお金で困らない本』(主婦の友社)。立石美津子さん講演家・ライター。聖心女子大卒業。幼稚園・小学校・特別支援学校教諭免許を取得後20年間学習塾を経営。自閉症児の母。著書に『1人でできる子になるテキトー母さん流子育てのコツ』(日本実業出版社)、『はずれ先生にあたったとき読む本』(青春出版社)、『子どもも親も幸せになる発達障害の子の育て方』(すばる舎)など多数。立石美津子さんのページ対談写真撮影:田島寛久
2018年01月12日大ヒットSFアクションシリーズの「猿の惑星」。そのリブート・シリーズ最終章となる『猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)』が10日、動画配信サービス・ビデオマーケットで配信をスタートした。『猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)』『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』、『猿の惑星:新世紀(ライジング)』に続く、リブート・シリーズの最終章となる同作。『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』は2011年、『猿の惑星:新世紀(ライジング)』は2014年にそれぞれ日本で公開されているが、いずれも興行収入は10億円を超えるヒットとなっている。猿と人類が全面戦争に突入して2年。猿の群れを率いるシーザーは、軍隊を統率する冷酷非情な大佐の奇襲によって妻子を殺されてしまう。大佐への憎悪に駆られたシーザーは、わずかな仲間と共に復讐の旅に出る。その道中で口のきけない人間の少女と出会い、ノバと名付けた一行は、さらに人間の物資を盗んで生きている奇妙なチンパンジーのバッド・エイプと遭遇し、シーザーの妻子を殺した大佐の居場所を知る彼に道案内をさせる……というのが『猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)』のストーリーだ。また本作では、最大の謎ともいえる「猿の惑星」が誕生した衝撃の理由についても明かされており、「猿の惑星」ファンのみならずとも注目の内容となっている。
2018年01月10日赤ちゃんもコミュニケーションも苦手な娘。弟が産まれ1年たって変化が!?Upload By SAKURA広汎性発達障害のある娘(6歳)には、5歳下の弟がいます。弟が産まれたばかりの頃は、弟の泣き声も大の苦手だった娘。お世話はしてくれるけど、その関係にはどこか距離があり…接し方、関わり方が、わからないような様子も見えました。最初はどうなることかと思いましたが、今、母が何も言わなくても弟のことを気にかけるようになりました。それは、なぜか…どうやら、娘との療育のテーマにして取り組んでいたことが、ココでも役立ったようなのです。娘の中で、「弟=家族」になった!『自他との区別』の取り組みがあったから?娘は、まだ言葉の話せない弟の代わりを、自分で考えてするようになったのです。それも、私が言う前に…!Upload By SAKURAUpload By SAKURA弟のことなのに、自分のことのようにお礼を言えるようになったり…弟がしてしまったことを、自分のことのように謝ったり…娘と息子の関係は、言語・コミュニケーション能力を上げるため、主治医の先生から教えてもらった「自分の思うことと、相手の思うことは違う」という『自他との区別』の実践には、ぴったりなようでした。相手の気持ちを想像し、寄り添う、私が娘に対してやったことを、今度は娘が弟に対してやってくれています。そうやって日々弟と過ごす中で、娘は、弟が家族ということの理解ができるようになってきたようなのです。弟を思い、自分から行動できるように息子は、最近すっかりわんぱくになり、いたずらも多くなってきました。段々と主人が怒ることも増え、気の強い息子は、思い通りにならないと泣き叫びます。そんな時、娘は状況に応じて、間に入って話を逸らそうとしたり…弟が怒られている間中、背中をさすったり…怒られて一人泣く弟に「大丈夫よ」「泣かないで」と声をかけ続けます。時には、逆ギレした弟から攻撃を受けることもありますが、娘が怒ることはありません。娘はまだまだコミュニケーションに課題がある…そう思っていた私。この成長には、本当に驚かされました。元からの優しい性格から、弟を思い、さらに行動ができるようになった娘。まじめにコツコツと、『自他との区別』のトレーニングを続けてくれた。その姿を見て、娘のすごさを改めて感じました。Upload By SAKURA二人育児は時々大変だけど、きょうだいで良かった!息子を妊娠した時は、もう一人増えたら、娘の療育の時間が減ってしまうのでは?寂しい思いをさせるのでは?そんな風に思ったりもしましたが、息子の存在は、娘にいい影響を与えてくれました。今では、弟との何気ないやり取りや、予測不能な動きをする弟との日々は、娘を大きく成長させてくれると思っています。二人の育児に振り回され、ぐったりな日々ですが…娘の、弟を気にかける行動や、息子が姉に寄っていく様子を見ると、娘と息子を産んで良かった!と心からそう思えるのです。Upload By SAKURAしかし娘とは真逆の激しい性格の弟…見ていてやりすぎなことろもあるので、娘がやられすぎないように、間に入りながら、注意して見守りたいと思います(笑)
2018年01月10日「親なきあと」とは?今できることはある?「親なきあと」相談室を主宰する行政書士・渡部先生×自閉症の子を育てる立石さんの対談からUpload By 発達ナビ編集部「子どもは学校を卒業したら働き、いつかは自立して巣立っていく―」。それが当然だと思っていたけれど、障害のある子を授かり、そうではないこともあるのだと気づいた保護者も多いのではないでしょうか。保護者がサポートできなくなった後も、子どもの人生は続きます。子どもが幸せに、自分らしく生きていくためには、親が元気なうちに準備しておく必要があります。この企画では、「親なきあと」相談室を主宰する行政書士・渡部伸先生と、自閉症児の母であり「LITALICO発達ナビ」でコラム連載を持つ立石美津子さんとの対談を通して、障害のある子の保護者が「親なきあと」に備えて何をしておけばよいのかについてお伝えします。Upload By 発達ナビ編集部発達ナビ編集部(以下、編集部)今日は、行政書士であり「親なきあと」相談室を主宰する渡部伸先生と、自閉症のあるお子さんを育てている立石美津子さんに、「親なきあと」について知っておくべきこと、やっておくべきことなどお話いただければと思っています。立石美津子さん(以下、立石)私の息子は自閉症です。来年度は高校3年生になります。学校でも、就労の実習を行う機会があったり、親として就労セミナーに出席したりしています。学校卒業後の就労や、将来的にどういったところで暮らすかなど、具体的に考える時期になりました。渡部伸先生(以下、渡部)私は市民後見人として成年後見などにかかわるほか、「親なきあと」相談室の活動を通していろいろな場所で講演を行い、直接相談も受けています。そういう中で、たくさんの保護者の方とお話する機会があります。また、私の次女には知的障害があります。講演などでよく質問を受けることや、みなさんが不安に思っていること、疑問に感じていることなどについて、お話できたらと思います。立石発達ナビを見ている保護者の方は、まだお子さんが小さい場合も多いですよね。でも、就学問題などの数年先のことを考えるだけでなく、人生という長いスパンで考えてもらいたいなと思っています。学校を卒業してから、そして親なきあとのほうが人生長いですから。お子さんの将来を見据えて、子どもが小さいうちからできることを、今日は渡部さんとお話していきたいです。編集部先日「親なきあと」についてのユーザーアンケートを取りました。「一人で暮らせるのか。難しい場合、どこで受け入れてもらえるのか」といった暮らしの場についての悩みや、将来に備えて貯蓄をしているが、「どのくらい準備すべきか分からない」「なかなか貯められない」という声、「自分の子どもの障害の程度の場合、どんなサービスが受けられるか分からない」「お金を残しても散財しそう」といった、福祉サービスや金銭管理についての疑問も多く寄せられました。「親なきあと」のお金はどうなるの?障害年金や、就労による収入は?Upload By 発達ナビ編集部立石では、まず親なきあとのお金の問題について伺ってもいいでしょうか?障害のある子には、親がのこした財産以外に、どういった収入がありますか。渡部まずもらえるお金として考えられるのは、障害年金ですね。これは、20歳以上の障害のある人に年金が支給される制度です。受給額は障害の等級によって変わってきます。ちなみに、障害年金には、障害基礎年金と障害厚生年金がありますが、障害厚生年金は厚生年金に加入している人が障害状態になった場合に支給されるものなので、ここでは障害基礎年金についてお話ししますね。立石障害基礎年金は、1年間でだいたいいくらぐらいもらえるんですか?渡部毎年変動はありますが、障害基礎年金は1級で年間974,125円、2級で779,300円です(2017年度)。また、受給者本人の所得に応じての制限があって、所得が一定額以上になると、年金額が半額になったり、全額支給停止になります。また、障害があると受け取れる手当や医療費の助成などは、障害者手帳を持っていることが支給要件のことが多いです。要件や受け取れる額は都道府県や市区によって異なるので、確認してほしいと思います。参考:障害基礎年金の受給要件・支給開始時期・計算方法|日本年金機構出典 : 立石障害年金は、障害者手帳を持っていないと受け取れないんですか?(注:障害者手帳には「身体障害者手帳」「精神障害者保健福祉手帳」「療育手帳」の3つの種類があります。)渡部障害年金の判定と手帳は別な手続きなので、直接手帳の有無とは関係しません。障害年金は障害者手帳があるだけで申請できるのではなく、別の申請方法になります。ただし、年金の申請時に手帳を提出すると、障害状態を確認する補足資料になります。立石障害年金を申請するには、ドクターに診断書を書いてもらう必要がありますよね?でも、障害年金を申請するときには病院との関係が切れてしまっていて、子どもの状況を理解してくれているドクターが見つからないということも耳にします。渡部知的障害の診断書は原則精神科のドクターに書いてもらいますが、慣れていないとどう書けばいいのかわからず、お願いしても断られてしまうこともあるんですよ。立石子ども病院にかかっていると、18歳になるとみてもらえなくなったり、小さい頃は定期的に通院していても中高生の頃に通院しなくなることもありますからね…。まわりには、これを見越して早めに転院しているご家庭もあります。うちももう少し早く動くべきだったなと今さら後悔しているところです。渡部小児科のドクターが主治医の場合でも診断書は書けますが、断られることも多いと聞きますね。小児科から転院する場合に、紹介状なりをきちんと書いてもらって引き継げるとよいのですが。立石発達ナビのユーザーは小さいお子さんの保護者が多いと思いますが、「障害年金の申請のことも見越して、18歳以降もみてくれる病院にかかっておいたほうがいいですよ」と伝えたいです。編集部「(現在の)主治医にいつかみてもらえなくなるかもしれない」ということは、小さい子の保護者は気づきにくいですし、障害者手帳の申請方法を知らないことも多いと思います。立石さんもお話してくださったように、「18歳以降どこでみてもらえるのか、ほかの病院へ紹介はしてもらえるのか、転院のタイミングはいつがよいのか」など、早めに主治医に確認しておけると安心ですね。編集部話を収入のことに戻したいと思います。企業に障害者枠で一般就労する場合、平均賃金はどのくらいなんでしょうか?渡部企業の障害者雇用枠内で働いている場合の賃金は、もちろん個人差はありますが、現状だとだいたい月に12~13万円ぐらいが平均です。なので、障害年金が満額受給できる範囲内の収入となる人が多いと言えます。障害年金の等級が2級だと年金は毎月約6.5万円。つまり、合計して1か月あたり20万円弱の収入となります。立石一般就労でなく、就労移行支援事業所や就労継続支援B型の場合はどうなりますか。渡部就労継続支援A型の事業所で月67,795 円、B型の事業所で月15,033円(平成27年度)が平均値です。就労移行支援の場合は訓練なので、原則として支払われません。立石就労継続支援の事業所だと賃金はぐっと低くなりますね。生活も厳しくなりそうです…。平成27 年度工賃(賃金)の実績について | 厚生労働省福祉サービスなどを活用し、出ていくお金を抑えることが大切Upload By 発達ナビ編集部渡部収入はある程度限られますから、「出ていくお金」をいかに抑えるか、ということが大事なんですよ。立石というと?渡部例えば、グループホームへの支払いについては、過度な負担にならないような仕組みがされています。国からの助成金は全国統一で1万円、それに加えて独自の助成金を出している自治体もあります。東京都の場合は、合計最大2万4千円の補助があります。障害者手帳があると受けられるサービスや助成などを活用して、出ていくお金をなるべく抑えることが大切になります。交通機関の乗車料金や携帯電話料金の割引、上下水道の基本料金の免除のほか、医療費の助成もあります。税金についても住民税の非課税や控除、所得税の控除がされますね。手帳がなくても、ヘルパー派遣など、必要だと判断されたサービスについて支援を受けることができます。立石限りある財産や収入だから、行政からの助成や支援をきちんと受けられるように整えて、生活に困ることがないようにしないといけないんですね。参考:障害者の利用者負担|厚生労働省参考:障害者と税 | 国税庁「親なきあと」、お金を適切に管理する方法とは?Upload By 発達ナビ編集部渡部それに加えて必要になるのは「出ていくお金を誰がどう管理するか」です。立石せっかく親御さんがのこした資産をだまされてとられてしまったとか、散財してしまいお金が全部なくなってしまったという話も聞きますよね。渡部親が子どものためにのこした大切なお金をきちんと管理して、毎月決まった額を子どもに渡していける制度があるんですよ。立石どんな制度ですか?渡部「信託」という制度です。信託というのは、「信頼している人や企業法人に、資産を託して、きちんと管理してもらう」ことです。最近は、「民事信託」が認められるようになって、家族・親族など特別な資格を持っていない人に託すこともできるようになっています。民事信託は非営利が基本なので、管理費用が基本的にかからないことも活用しやすいポイントです。立石親族でも信託できるんですか。渡部はい。たとえば、母一人子一人の親子がいるとします。子どもが母親の財産を相続したとき、管理できないと困りますよね。このとき、信頼できる親族に信託することができます。たとえば、母親が甥と信託契約を結ぶと、財産は甥が管理・保有することになります。甥は信託銀行などの中に専用の口座を作り、そこにお金を預け、月々相続人である子どもに渡していきます。こうすると、子どもが散財したりだまされたりというリスクがなくなり、長い間しっかり守られます。また、子どもが亡くなった後、通常は使いきらなかった資産は国庫に入りますが、信託をすることで、亡くなった後のお金の行き先も決めることができます。お世話になった社会福祉法人へ寄付するとか、親の会に寄付するとかもできます。もし仮に、甥が破産してしまうようなことがあっても、信託財産は甥の財産から独立しているので、守られます。編集部信託した財産を、甥がきちんと管理してくれるかをチェックできるように、第三者に監督を頼むことはできるんですか?渡部甥を監督する受託者信託監督人というのも設定できますが、そもそも甥を信頼して託しているのならコストをかけてまで監督人をつけるべきなのか。甥も「信頼されていない」とがっかりしてしまうかも。それなら信託銀行に頼んだほうがいいかもしれませんね。編集部頼める親戚などがいない場合は、金融機関などに頼めばいいんでしょうか。渡部信託の免許を持っている信託銀行や信託会社に頼むことができます。管理費はかかりますが、企業なので管理に対するチェックも厳しく、安心感があるという利点もあります。以前に比べて信託する金額のハードルも下がっているようです。手数料も抑えられるようになってきました。信託している銀行が破綻してしまった、というようなときも信託財産は銀行の財産とは区別して管理することが法律で義務付けられていますから、安心です。それから、障害のある人が活用できる信託制度として、「特定贈与信託」といものがあります。これは、子どもや孫などに贈与をする際、特定障害者や特別障害者だと、3,000万円もしくは6,000万円まで非課税になる制度です。ちなみに、通常は年間110万円以上の贈与は、贈与額に応じて10~55%の贈与税が課税されます。特定贈与信託は信託銀行などに商事信託する必要がありますが、このとき、成年後見人をつけることが条件となっている場合もあります。参考:贈与税の計算と税率(暦年課税)| 国税庁立石贈与や相続できる財産が不動産しかないなんてこともありますよね。そういう場合でも信託できるんですか?渡部信託銀行での信託は、通常は金銭での受託のみです。ですが、一部の信託会社では、不動産で特別贈与信託が可能だと聞いています。駐車場や賃貸物件などの管理・運用を信託して、運用益を生活費として支給する例などがあるようです。保護者存命中に、親なきあとの不動産資産の管理・運用について信託できますし、非課税で贈与することで、万が一の際の相続対策も兼ねられますね。参考:不動産信託活用事例集|スターツ信託株式会社立石もう少し少額でも、金融機関に信託できる方法ってないんですか?渡部少額から始められて、信託ってどういうものかという仕組みも理解できるのが、生命保険信託です。生命保険会社と信託会社が組んで、死亡保険金を信託するという商品です。第一生命とみずほ信託銀行、ソニー生命と三井住友信託銀行、プルデンシャル生命とプルデンシャル信託会社、また最近では障害者向け保険を取り扱うジェイアイシーがみずほ信託銀行・FWD富士生命と組んで、生命保険信託商品を出しています。福祉は自己申告制。「親なきあと」、支援の網の目からこぼれ落ちないためには?出典 : 編集部相続でもなにか対策できることや、活用できる制度はあるんでしょうか?渡部相続では、障害者控除枠があります。金額は重度の特別障害者が(85-相続発生時年齢)×20万、一般障害者は20万のところが10万になります。たとえば40歳6か月で相続発生した一般障害者の場合、85-41(切り上げ)に10万円を掛けて440万円が控除額です。立石相続でも障害者控除があるんですね。保護者が元気で動けるうちに、使える制度やサービスについて学んでおかないと…。そして、子どもが支援からこぼれ落ちないような仕組みを作っておかないといけないですね。編集部お二人の対談を通して、「親なきあとに障害年金がもらえるように準備する。税の控除や手当なども活用しながら資産をつくる。のこした資産を信託するなど、適切に渡していくことの準備する」ということが必要だと分かりました。「親なきあと」のお金についてまとめると、次のようになりそうです。・障害年金の有無や就労状況で収入額は変わる・福祉サービスの活用や控除、割引などを活用し支出を抑える・信託など、資産を適切に渡す方法を知るなどさまざまな制度やサービスを活用できるように、まずは保護者が”知る”ことが大切です。そのうえで、自分の子どもに必要な支援を申請したり、備えたりしていきましょう。立石さんが、以前コラムでも書いていたように「福祉サービスは自己申告制」です。待っていても支援は受けられません。そのためには、保護者が動けるうちに行政や支援者などとつながっておく必要がありそうです。つながることで、自然と情報も入ってきます。保護者の懸念事項としてもうひとつ大きいのが「どこで暮らすのか」ということです。どこに住むか、お子さんが小さいうちからやっておくべきこと、セーフティーネットなどについては、1/12(金)に公開予定の、「親なきあと、障害のある子はどう暮らす?お金は足りる?行政書士・渡部伸先生×立石美津子さん対談【後編】にてご紹介します。Upload By 発達ナビ編集部渡部伸先生渡部行政書士事務所代表。「親なきあと」相談室主宰。慶応義塾大学法学部法律学科卒業。出版社でさまざまな事業を担当後、行政書士、2級ファイナンシャルプランニング技能士などの資格を取得。著書に『障害がある子の家族が知っておきたい「親なきあと」』(主婦の友社)、『障害のある子が「親なきあと」にお金で困らない本』(主婦の友社)。立石美津子さん講演家・ライター。聖心女子大卒業。幼稚園・小学校・特別支援学校教諭免許を取得後20年間学習塾を経営。自閉症児の母。著書に『1人でできる子になるテキトー母さん流子育てのコツ』(日本実業出版社)、『はずれ先生にあたったとき読む本』(青春出版社)、『子どもも親も幸せになる発達障害の子の育て方』(すばる舎)など多数。立石美津子さんのページ対談写真撮影:田島寛久
2018年01月10日筆者の息子が発達障害の疑いをかけられた時、ネットにかじりついて情報収集する中で、たどり着いたのがABAという療法でした。ABAとは、アメリカの心理学者スキナーが創始した学問体系のことで、日本語では「応用行動分析学」と呼ばれます。人の行動の原因を内部(心)ではなく、人を取り巻く環境に求める考え方で、自閉症など発達障害の子どもに非常に有効なアプローチ法とされています。最近では、このABAを取り入れた療育療法が非常に多くなっています。でも、専門書を読んである程度の考え方は理解したものの、「具体的にどう子どもに接したらいいのか?」はわからずに困っていました。そんな中、とても役立ったのが、shizuさんの著書「発達障害の子どもを伸ばす 魔法の言葉かけ」(講談社)でした。発達に遅れがある子どもへの具体的なアプローチ方法が書かれており、日々の生活の中で、子どもとの関わり方にたくさんのヒントを得ることができました。しかも、その考え方は、発達障害だけでなく上の子(定型発達)の子育てにも同じように役立ったのです。著者のshizuさんの息子さんも、3歳の時に自閉症スペクトラムと診断されており、ちりばめられたご自身の体験エピソードには、とても重なるところがありました。「私だけじゃない」「やればできるかもしれない」ととても励まされたのです。そんなshizuさんに、「ABAを利用して発達障害の子どもを伸ばすにはどうしたらいいのか?」をテーマにお話をうかがいました。■3年間できなかった滑り台、ABAでたった30分で滑れるようになっちゃった!?――ABAは素人が専門書を読んで理解するにはなかなか難しい学問ですが、わかりやすく言うと、shizuさんはABAをどういうものだとお考えですか?「私は、ABAは親子の関係を笑顔に導く1つの学習方法だと思っています。子どもが生きやすく生きるために、「できないこと」を「できた」に導きやすくする有効な働きかけだと思います」――具体的には、どんな手法なのでしょうか?「ABAの醍醐味のひとつに、スモールステップというものがあります。これは、ひとつの課題をできるだけ細かいステップに分け、1回の目標達成レベルを低くして、そのステップを一つ一つ達成しながら成功体験を重ねていくというもの。それが子どもの自信となって大きな課題達成につながるというわけです。この手法で取り組んでいくと、まるで魔法みたいに、全然できなかったことがコロッとできるようになっちゃったりするんですよ」――著書の題名も「魔法の言葉かけ」ですものね。実際に、魔法のような出来事はありましたか?「私が関わった子で、滑り台がまったくできない子がいました。3歳の時に滑り台でひどい尻もちをついてしまって、以来3年間、滑り台を断固拒否していたんです。でも、身体的な原因ではないし、私はその子の様子を見ていてできる可能性は十分あると思い、スモールステップで取り組んでみました。そしたら、たった30分足らずで滑れるようになったんですよ!」――3年間できなかったことが30分で!? 具体的にはどうやったのですか?「目標値を滑り台の下の方から、70センチくらいに設定し、ちょっとずつ登って滑ることを繰り返しました。その都度「すごい! ここまでこられたね!」とほめて、だんだんと目標値を高くしました。下の方から登れば、手を離すだけでスーッと滑りますよね? だから少しずつ滑り台の感覚を楽しめると思ったのです。私も後ろからついて子どもの恐怖心を和らげました」――なるほど。逆から少しずつ滑らせて、恐怖心を取り除くというワケですね。「滑り台の上まで登れたお子さんを見て、ご両親は本当にうれしそうで、何度もほめていらっしゃいました。そしたら、その子はすごくうれしくなって、1つできたことから自信がどんどん広がったんです。大きく揺れることを拒否していたブランコも大きく揺らして乗れるようになり、ジャングルジムも2段目までが精いっぱいだったのに、一番上まで登れるようになったんです。これ、全部その日のうちにできるようになったんですよ。その後、市内の滑り台めぐりをして、児童デイサービスでの散歩の時間にも『滑り台のある公園はありますか』とリクエストしたそうです。それまで、その子はあまり自分のやりたいことを積極的に言うタイプじゃなかったそうで、ご両親は積極性が出てきたこともとても喜んでいました」――自分ができたことはもちろん、お父さんとお母さんにほめられたことが、ものすごくうれしかったんでしょうね。「子どもにとって、親のほめ言葉は何よりのご褒美です。どんなささいなことでも、できたことに対していっぱいほめてあげてほしいです」――スモールステップを成功させるコツはあるのですか?「まず、親が『できる』と信じること。子どもは親が思っていることを敏感に察知するので、信じて『できるオーラ』を送ることが大事です。だからと言って、親のエゴで『この歳で滑り台ができないなんて恥ずかしい』とか『みんなができるんだから』というのは違いますよね。それは、親が子どもを思い通りにコントロールしたいと思っているだけ。そうではなくて、滑り台って本来、子どもにとってとても楽しいモノ。その楽しさを味わえたらいいよね、というイメージをふくらませてほしいです」――親のエゴを押し付けるのは違う、ということですね。「言葉かけも大事です。親目線で『やってごらんなさい』と言うのではなく、子どもと同じ目線になって『ちょっとやってみようよ! 〇〇ちゃんならきっとできると思うな』という感じで。NHKの歌のお兄さんやお姉さんみたいに、思わず子どもの気分が乗っちゃうようなノリやテンションで盛り上げるのもコツですね」――子どもがチャレンジに不安を感じたら?「子どもが不安を感じていたら、まずは、不安に寄り添ってあげることが大切。いったんはスルーして、気分が戻ってきたら『ちょっとだけやってみる?』とうながしてみてはどうでしょうか? 時間を空けるとスルッとできちゃうこともあるので、1回であきらめずに何回かはトライしてほしいですね」――でも、もしそれでもダメだとしたら…?「たとえ滑り台の一番上まで登れなかったとしても、『ここまでできたんだね! すごいね!』と、必ず成功体験で終わりにしてあげることが大事です。『あとちょっとだったのに!』という捨てセリフは厳禁。どんなにわずかでも、自分で踏み出せてそこまでできたということを、まずは認めてあげてください。また、ちょっと難しそうだったら、子どもの苦手な動作を背後から補助するような形で、親が少しだけ手助けしてあげることも有効です」――他にうまくいかない課題に取り組むときに心がけた方がいいことはありますか?「子どもの興味あることに寄り添って、課題の設定を工夫することも大切だと思います。例えば、こんなお子さんがいました。その子は平仮名を覚えるのが苦手で、カードで『あ』『い』『う』…と教えても、上の空で全然頭に入らない。そこで、その子が大好きな戦隊モノを利用することにしました。戦隊キャラの写真と名前(平仮名)をゲーム感覚で一致させて、その子の興味を引き出す仕掛けを作り、平仮名を読む行為自体が楽しくなる方法で取り組んだのです。そうしたら、その子はどんどん平仮名を覚えて、後にお母さんから『文章も読めるようになりました!』と報告がありました」――「教える」というより、その子の「興味を引き出す」仕掛けを作る。そして、それが楽しいと思えれば、後は、自らどんどん吸収してくれるというわけですね。親もそんな子どもの成長がうれしい。子どもも笑顔&親も笑顔、親子の関係を笑顔にする、まさにウィン・ウィンの方法ですね。 ■ABAを行ううえで、親が気を付けるべきこと――スモールステップがとても有効なやり方だということはよくわかりました。では、課題を少しずつクリアしていけば、何でもできるようになるのでしょうか?「いいえ。一点注意しなければいけないのは、何でもかんでもスモールステップで繰り返しやれば身に付くわけではないということです。滑り台の例のように、ちょっとした勇気やきっかけ作りでクリアできそうな課題はスモールステップが有効です。でも、平仮名の読み書き、算数など、さまざまな工夫をしてもどうしてもうまくいかない場合、もしかしたら学習障害が絡んでいる場合もあるかもしれません。その場合は、『これは生まれ持った特性なのでは?』と考えを切り替えることも大切です。そのことも頭にとめておいてほしいです(文字の読み書きにはビジョントレーニングが有効な場合もあります)」――ほかに、ABAを行ううえで気をつけておくべきことはありますか?「よく、家で机に座って子どもにガッツリABAの課題をやらせる、という話も聞くのですが、体を動かすことや外に出て五感を生かすことも大切にしてほしいと思います。五感を働かせることは、視機能、脳機能を伸ばすのにも大切だと思いますよ。あと、ABAはちょっと間違えると、『指示して動かす』ということに終始しがちな危険性があるので、子どもに選択させることを常に意識してほしいと思います。例えば、どんなに障害が重いお子さんであっても、食べ物の好き嫌いはあるはずです。『はい、お菓子よ』とあげるだけではなくて、『どっちが食べたい?』と選ばせる。選ぶというのは楽しみでもあるので、どんなにささいなことでも自分の意思で選ぶという体験を重ねてほしいと思います」■客観的視点が大事! ABAは親子の笑顔を引き出すアプローチ――最近では、ABAの認知度が高くなって、家で実践している方も多くなってきたようです。でも逆に、それがうまくいかないと、自分と子どもの努力不足だと追い詰められてしまう方もいるようですが…。「確かに、向き不向きがあるかもしれません。そんな時は、そもそもABAは子どもの笑顔を引き出すアプローチということを思い出してください。そこを外れて『なんでできないの?』『どうしてあなたはいつもこうなの?』というふうになってしまったら本末転倒ですよね…」――私もそんな時期がありました(苦笑)。つい「あなたのためなのよ!」と力が入ってしまって…(苦笑)。「私もそうだったのでよくわかりますよ。でも、お母さんが『これができないと困る』と思って一生懸命やっていても、子どもは全然困っていなかったりするんですよね(笑)。困っているのは、子どもじゃなくて、実はお母さんの方。お母さんが、他人からどう見られるかを気にしてやっていることの方が多い気がします。そんな時は、ちょっと立ち止まって『今の私って人の目を気にしてる?』と自分のことを客観的にみることが大事です」――確かに(苦笑)。当時は、「普通に近づけたい」という私のエゴが、常に頭のどこかにあったように思います。「私も息子が自閉症と診断された当初は、とにかく『普通に近づけたい』と夢中になっていた時期がありました。でも、その結果、課題をなかなかクリアしない息子を追いつめ、見事に失敗しましたけどね(苦笑)。普通にこだわったり、周囲からどう思われるかにとらわれると、子どもの悪いところ・できないところばかりが目についてしまい、悪循環に陥っちゃうんですよ」――そういう時って、もはや自分のことが見えなくなっているはず(汗)。自分のヤバさに気づくサインはありますか?「常に子どもが教えてくれるはずです。子どもに笑顔があるかどうかです。子どもに笑顔がなかったら、きっとその時、お母さんにも笑顔がないと思いますよ。お互いに笑顔がないのなら、家庭でのABA(療育)はいったんお休みしましょう」――いろいろお話をうかがっていると、もちろんABAは子どもの力を伸ばす可能性に満ちているけれど、それ以前に、お母さんの心の健康の方が大事という気がしてきました。「そう。子どもうんぬんよりも、まずはお母さんが自分自身を大切にすることが何より大事。だって、同じことが起こっても、自分に余裕がある時は『あらま~』って笑えるけど、余裕がない時だと『何やってんのよ!』って怒っちゃったりするでしょう? 物事をどう受け取るかはすべて自分次第なんですよ。借りられる手は全部借りて、まずは、お母さん自身の心を満たすことを考えましょう。子どもが見たいのは親の笑顔ですから。あと、何もかも完璧を求めすぎず、『まぁ、いいか』というゆるい心を持つことも大事です」――確かに、発達障害の子育てで「ゆるさ」は大切ですね。発達障害児のお母さん(私?)って、常に、子どもの将来の心配をするのが癖のようになっちゃっているのですが、ここらへんはどうしたら?「みなさんが不安に感じているのは、まだ、実際には起きてない予期不安ですよね? だとしたら、起きてない不安を延々と考えて苦しむのはムダじゃないですか?まずは、不安を感じているという自分の気持ちを『~って思っちゃうんだね。わかるよ』と認めて受けとめ、『また出てきたあ! 私って本当に悲劇のヒロイン好きだわ~』って笑い飛ばしちゃうのもひとつの方法です。思考癖に気づくことが大切です」――先のことは誰にもわからないはずですものね。「もう、『なんか知らないけど、この子はきっと大丈夫!』と決めてしまいましょう(笑)。先のわからないことはプラスに考えた方が楽しいし、それに、人はみな、決めてから行動を起こすでしょう? だったら、『大きくなった子どもの笑顔を思い浮かべ、今、サポートできることは?』と応援団として行動を起こすのです。それでも不安に押しつぶされそうになった時は、どうか、この言葉を思い出してみてください。それは、『今の子どもの姿がすべてではない』ということ。これは、私がお守り代わりに心にとめている言葉です。親が信じて、コツコツ働きかけていれば、きっとうれしい成長があります。今の姿だけを見て将来を悲観せず、子どもの可能性を信じて、楽しく働きかけていきましょう!」「今の子どもの姿がすべてではない」――著書を読んで以来、私がずっと心にとめている言葉です。shizuさんのこの言葉は、いろいろな局面で私の心を楽にしてくれました。子どもの可能性を信じてコツコツ働き続けることの大切さ、そしてそれ以上に、子どもと自分が笑顔でいることの大切さを、改めて感じた取材でした。参考図書: 発達障害の子どもを伸ばす 魔法の言葉かけ 著者 shizu/監修 平岩 幹男11万部13刷のロングセラー。手を洗うときの言葉かけ、食事をしながらの言葉かけ、いっしょに料理をするときの言葉かけ、散歩のときの言葉かけ、遊びながらの言葉かけ―ABA(応用行動分析)を利用した「言葉かけ」をすれば、楽しみながら家庭で子どもの力を伸ばせることを紹介した一冊。shizu プロフィール自閉症療育アドバイザー。講演会などで、日常生活の中で子どもの力を伸ばす楽しい関わりや言葉かけを紹介。家族に笑顔を増やすため、親が心掛けたい子どもへの気持ちの持ち方も伝えている。無料メール講座『発達障害の子と楽しく生活する7つのコツ』配信中。講演会の詳細はブログ参照。ブログ: 「発達障害の子どもを伸ばす魔法の言葉」 取材・文 まちとこ出版社N
2018年01月07日難航する仕事選び。障害者雇用枠で、最も多い求人は事務職。けれども…出典 : 私は、26歳のときにアスペルガー症候群、ADHDの診断を受け、同時に退職も余儀なくされました。就職をするまでの学生生活では、表面上のコミュニケーションや、日常生活、勉強という面では、これといった支障はなく、自分が発達障害であることにも気づいていませんでした。しかし、社会人になってから対人関係の困り事などが表出し、行く先々で、「常識がない」「もう少し場をわきまえろ」と言われてきました。そして発達障害の診断を受けた後、そのことを職場にカミングアウトしたのですが、残念ながら退職せざるを得ない状況に追い込まれてしまったのです。それからは就労移行支援事業所に通うことになり、支援員の方の手を借りながら障害者雇用枠での就職活動を進め、内定を獲得することができました。就労移行支援事業所は障害がある人の就労をサポートする機関で、職業訓練や職場探し、職場への定着支援など、さまざまな支援を受けることができます。しかし、その道のりは一本道というわけではなく、壁に直面したり、どうすればいいかわからないことも少なくありませんでした。特に悩んだのは、自分の特性と仕事の性質の兼ね合いです。障害者雇用枠のおよそ半分以上は事務職と言われれており、一般事務や経理、総務、人事などの職種で就職する場合が多いそうです。しかし、私は何か目新しさがないと注意や集中力を持続することができません。例えばExcelなどで売上伝票などを作成する際に、売上金などのデータ入力が必須になってきますが、ミスしないよう慎重に作業しているとスピードが他の人に比べて明らかに遅くなってしまうのです。するとそれが焦りに繋がり悪循環に陥ります。結果として、雑な仕上がりとなってしまったり、思いもしないようなミスをしてしまうのです。「働く」という字は、人と一緒に動くと書く。でも自分はコミュニケーションが苦手…出典 : また、空気が読めない、他人の気持ちに配慮した言動が難しいなどの特徴から、仕事上での困難に直面することも少なくありませんでした。営業の仕事にかかわっていたときは、相手の意図を汲み取りつつも、相手に探りを入れる高度なコミュニケーション能力が求められましたが、どうやってもうまくこなすことができませんでした。また、営業職は電話応対が頻繁に発生するため、他の人が話している電話の声が気になってしまったり、聞こえてくる会話内容を意図せずメールに書いてしまう事もありました。1つの作業に没頭すると他のことを忘れてしまうことも少なくなかったため、報告・連絡・相談がおろそかになるのは日常茶飯事。こうした自分の特性を考えたうえで就職をしようとすると、どうしても選択肢は数少ないものになってしまい、愕然とせざるえませんでした。自分には一体、何が出来るんだ!?出典 : 次第に頭のなかには、「自分には一体何ができるのか?」という思いが込み上げてきました。考えても出てくるのは「できることなんて無い」という答えばかり。私はどうすればわからず、毎日落ち込んでばかりいました。このとき、前を向く光をくれたのが、前職を退職してから相談を続けてきたカウンセラーさんです。障害の診断を受けて薬が処方されてからというもの、見知らぬ地でひとりぼっちのような気持ちでしたが、どうしたら生きやすくなるかの相談を続けてゆくうちに、自分がたどるべき道を何となくイメージできるようになってきたのです。検査結果ではわからなかった自分の数少ない強みカウンセリングでは、WAIS-III(ウェクスラー式知能検査)の結果を紐解いて、苦手なことと、苦手ではないことを分類していくことを行いました。私のWAIS-IIIの結果は、言語理解の部分が苦手ではない。しかし、決してずば抜けている訳でもないと言えるくらいで、他の項目はすべて平均より低いと言わざるを得ない状況でした。カウンセリングに行く度に話す内容をA4、1枚の紙にまとめて、ときには参考になりそうな資料なども合わせて準備していました。相談したいことがいくつかあった場合でも、話しているうちに相談しようと思っていたことを忘れてしまい、相談室を出た後で、話し忘れたと後悔することが多かったからです。そんな中あるとき、私の作った資料を見たカウンセラーさんが、ひょっとしたら自分の考えをまとめることが得意なのかもしれないと指摘してくれたのです。言われてみれば、心当たりがありました。以前仕事をしていたときは毎日が失敗の連続だったので、なぜ怒られたのか?何がいけなかったのかを自分で分析するために、日記に書くようになりました。1日の終わりに静かな自宅の部屋で、時間をゆっくりとかけながら何が問題だったのかを洗い出し、それはそしてときには視覚的に情報をまとめます。それは私にとってはまったく苦にならない作業であったことに気づいたのです。Upload By ツーちゃんこのことから自分で企画を考え、図やイラストで分かりやすく説明するような仕事内容にチャレンジしたいと思うようになりました。不注意傾向があってもソフトのスペルチェック機能を使えば、ミスが未然に防げたり、取りこぼしが減らせたりすることはできます。なので、Webデザイナーや、ライター、企画職など、クリエイティブ寄りの職種を志望し、就職活動を進めることにしたのです。Upload By ツーちゃん出来ることと(障害特性上)難しいこと=配慮して欲しいことを整理する出典 : 私の場合、障害者雇用枠での就職を目指すということは比較的早い段階で決まっていました。というのも仕事量や、割り振りなどに関して、会社側の配慮がどうしても必要だと強く感じていたからです。そのため、検査の結果なども加味して考え、障害を隠して働くという選択肢は消えていました。次に私は、自分の特性を面接官に分かりやすく説明する、「ナビゲーションブック」の作成に取り掛かります。そこで難しかったことは、障害の程度をいい塩梅で面接官に伝えるということです。文字などでまとめることは苦にならない私ですが、ありのまますぎて、より強烈な印象を与えてしまうような文章を書いてしまいがちでした。あまり欠点のみを書き過ぎてしまうと、人事担当も評価ポイントを見出しにくくなってしまいます。なので、自分自身の障害特性をしっかりと自覚し、そうした過去の失敗を繰り返さないように気をつけていると明記し、加えて過去の自分からの成長をアピールしました。また作成した当初は、できることと、配慮して欲しいことの2つのみを書いていましたが、それだと配慮してもらって当たり前というような印象を受けると支援員の方から指摘して頂いて、障害特性はあるものの、自分自身の努力でカバーできることもあると書くようにしました。Upload By ツーちゃんナビゲーションブックは就職活動を進める上で、どう役に立ったのか?出典 : 障害者雇用枠での面接では、仕事に対する熱意や志望動機以上に、障害のことや、それに対して必要な配慮について質問されました。そういったときにナビゲーションブックが役立ちます。2部、印刷して持参しておいたナビゲーションブックを、面接官と一緒に見ながら、事細かに説明しました。ナビゲーションブックを見た感想を、面接まで進んだ企業の採用担当者に聞いたことがあります。「障害者雇用によく使われる履歴書には3行程度障害について記載する欄があるが、3行程度の説明では、障害の多様さを理解するのは難しい。こういったナビゲーションブック等で障害に関して、詳しく説明して頂けるのは、とても助かる。また人事としても、障害に関してどこまで聞いて良いのか非常に気を遣う。求職者の方からオープンにして頂けると採用担当者からしてもやりやすい」と言われました。また別の面接官は「伝言ゲームだと、聞いた内容があやふやになりやすいが、こうした資料があれば、次の面接官への引き継ぎがしやすい」といった声もありました。総じて、障害を隠すよりも、かえって包み隠さず話した方が好印象と受け止められるケースが多かったです。またナビゲーションブックを用意しておく事で、その内容に沿った質問が多くなり、予想外の質問を減らす事が出来るというメリットもありました。臨機応変力があまり高くない私にとっては嬉しい誤算でもありました。必ずしもナビゲーションブックの作成をしなければいけない訳ではありませんが、ナビゲーションブックを用意する事で、障害についての理解が深まり、企業の採用担当の方にとっても不安が少なくなるのかもしれないなと感じました。参考: LITALICOワークス合理的配慮ガイドブック障害者雇用枠での就職活動を振り返って出典 : こうして就職活動を進めているうちに、半年が過ぎ、やっと内定を手に入れることができました。内定した会社は、スマートフォン向けのゲームアプリを開発する会社です。パソコンなどの扱いに精通していたことや、ADHDで新しいもの好き、好奇心旺盛な部分が、結果的に良い方向に働いたと感じています。配慮の面では、「困っていることはないか?」と人事の担当者が相談する時間を設けてくれたり、上司には指示が曖昧で分かりにくいといった、言いづらいことを代わりに伝えてもらうといった配慮を受けています。ただ、人事部と現場レベルで障害への理解、業務指示などを含めた接し方に対して、温度差が多少あるようには感じられます。また、環境の変化や、刺激の多い環境に対して疲れやすい特性を持っているので、最初の1か月間は、時短勤務を許可してもらっており、とても大事にしてもらっていると感じています。内定を得るまでには、合同就職説明会などで大量エントリーした企業も含めると、30社から40社ほどは受けたと思います。そのうち、面接に進んだのは6社で、最終面接に進めたのは4社。内定はたった1社のみという結果です。正直なところ、綱渡りのような状態で、これに落ちたらまた振り出しのような状況だったので、内定が出て胸をなでおろしたような気持ちです。就職活動が長引いてしまった理由としては、書類選考で落ちることも多く、モチベーションを保つのが難しかったこと、企業が特に精神障害・発達障害のある人の採用に対して慎重な姿勢を貫いていることから、選考期間が長期化してしまうことが挙げられると思います。障害者雇用については、まだどこも手探りのような状態で、書類選考に1ヶ月かかることも少なくありませんでした。新しい仕事は、すべてが未経験で「初めてづくし」な部分は大きいのですが、1年ぶりに仕事が出来ること、就労移行支援を退所した後も、支援員の方が定着支援として、企業と私との連絡係としてサポートしてくださることなどが、前職の時には無かった安心感を生んでいます。今から新しい門出にワクワクしています。私の経験は1つの例でしかありません。他にもさまざまな歩き方があると思います。それでも、私の歩んだ道が、少しでも役に立てば、これほど嬉しいことはありません。
2018年01月03日発達障害のあるお子さんの服薬の不安・悩みは?発達ナビユーザーの皆さんとワークショップを開催!Upload By 発達ナビ編集部発達障害のあるお子さんに対する支援方法の一つとして、症状に対応したお薬を処方され、服薬する場合があります。8月にLITALICO発達ナビ会員の皆さんに行ったアンケートでも、回答者のうち約半数の方のお子さまが(回答数1,220中584)、薬物療法による支援を受けているという結果が見られました。お子さんがお薬を服用しているご家庭の保護者の声としては、お薬の効果や副作用についての疑問・不安や、処方された通りの服薬管理・継続が難しいというお悩みが少なくありませんでした。そこで発達ナビでは、保護者の方々の医療機関やお薬との付き合い方に関する悩みを明らかにすべく、11月に発達ナビ会員の皆さんをお招きしたワークショップを開催いたしました。このワークショップは、ソニー株式会社の電子お薬手帳harmoを企画・運営するチームの方々との合同での企画です。発達ナビでの事前アンケートから集計された、服薬をめぐる発達ナビ会員のお悩みやお薬手帳の利用状況を紹介し、発達ナビ会員の皆さん・発達ナビ運営チーム・harmo運営チームが同じテーブルを囲みながらディスカッションを実施。服薬に対する悩みや工夫についての意見交換を行いました。ワークショップ参加者のみなさんからは、「お薬の効果や副作用についてもっとわかりやすい情報がほしい」「お薬を飲み忘れてしまう時の対処法を知りたい」「お薬の不安や疑問を抱いたときに、医師や薬剤師とのコミュニケーションが難しい」といった声が多く挙がり、お薬の効果や副作用に関する正しくわかりやすい情報や、服薬の管理を簡単にする方法、またお薬に関する心配事を相談する場所や相手の必要性を強く感じる議論となりました。Upload By 発達ナビ編集部お子さんの服薬に関する疑問・悩みを解消したい!harmo×発達ナビによる共同プロジェクトがスタートUpload By 発達ナビ編集部発達障害のあるお子さんの服薬に関する疑問や悩みのある保護者の方々をサポートすべく、このたび、電子お薬手帳harmoとLITALICO発達ナビの共同プロジェクトがスタート!電子お薬手帳harmoでの服薬管理機能(お薬履歴管理・服薬して気づいた副作用やメモの記入・服薬リマインド機能等)に加え、harmoならではの情報配信機能を活用した服薬に関する発達ナビオリジナルコンテンツの配信を通して、服薬に関する正しく分かりやすい情報の提供や、服薬管理のコツをお伝えし、保護者の方々のサポートを実施します。harmoは、利用者と医療提供者を結ぶコミュニケーションツールとなるサービスです。個人がスマートフォンなどに簡便に服薬情報を一元化できる為、いつでもどこでもお薬情報を確認でき、携帯性も優れています。これにより、急な医療機関の受診でも薬の情報を医療提供者に簡単に伝えることができ、医療提供者も一元化された服薬情報があることで、より適切な処置がしやすくなります。実際にサービスを体験してみたユーザーさんからは「これまで使用したお薬の履歴がわかりやすい」「いつ、どこの病院に行ったのか記録できて、服薬の状況を把握するのに役立つ」など、電子版ならではの管理のしやすさを実感する声が多く上がりました。さらには、服薬リマインダー機能を搭載し、お薬の飲み忘れ対策にも役立ちます。一方の発達ナビは、保護者の方々が持つ服薬にまつわる疑問・悩みに対して、医師の監修付きのオリジナルコラムを制作し、harmoを介して情報配信することでサポートします。「そもそもお薬ってなぜ効くの?」「お薬を飲む・飲まないはどう考えて決めればいいの?」「医師、薬剤師にはどんなことを相談できる?」「ADHDに関する色々なお薬、違いは?効果と副作用は?」「お薬を飲み忘れたとき、どうする?」などなど…発達ナビ内でも、特に多かった疑問やお悩みをピックアップして記事にしました。以上のように、電子お薬手帳harmoの機能と、発達ナビのオリジナルコンテンツを活用した、お子さんの服薬に悩む保護者の方々を支えるプラットフォームをこれから作っていきたいと思います!harmo×発達ナビモニター企画参加者を募集します!Upload By 発達ナビ編集部プロジェクトのスタートとして、まずはharmo×発達ナビモニター企画への参加者を募集します!電子お薬手帳harmoの発達ナビコラボ企画へのモニター利用をいただき、利用前後のアンケートにお答えいただける方を募集し、以下の2つのサポートを提供します。・電子お薬手帳harmoでの服薬管理機能(お薬履歴管理・服薬して気づいた副作用やメモの記入・服薬リマインド通知機能等)・発達ナビ編集部作成・医師監修の、お薬との付き合い方に関する連載コラムの配信モニターとしてのharmo利用企画へのご参加が可能な方は、以下の条件すべてに該当する方となります。・お子さんが発達障害の症状に対応した服薬をされている保護者の方・電子お薬手帳サービス「harmo」をまだ利用したことがない方・スマートフォンを持っていて、「harmo」アプリを利用することができる環境にある方・harmoのモニター利用前後のアンケートに回答協力いただける方電子お薬手帳harmoサービスページモニター企画にご参加いただいた方には、参加特典として、Amazonギフト券1000円分をプレゼント!ふるってお申込みください!※応募者多数の場合、抽選となる場合がございます。※お子さんが発達障害の症状に対応したお薬を処方され、服薬しているご家庭の保護者の方が参加対象となります※その他、詳しくは以下のフォーム内の説明をご確認ください。
2017年12月27日冬は疲労がどんどん蓄積するシーズン…みなさん、こんにちは。ロシアンハーフ子育てに奮闘中の室伏真由子です。この時期はいつも布団から出るのが嫌で、毎朝の通勤が本当に憂鬱です。オフィスワークをしているので、肩や目元の凝りが酷いのが悩みなのですが、冬の寒さがそれをさらに助長させているような気もします。それに加えてわんぱく息子の相手も……。仕事や育児をする上で、心身の健康を保てなければ自分の身がもちません。戦争のような毎日を楽しく過ごすために、今回は、私が実践しているリラックス&ストレス解消法をご紹介します!バスタイムには欠かせないボディスクラブ♪まず、私が一番気を遣っているのがバスタイム中でのリフレッシュ!お風呂は毎日のように入りますから、そこでのマッサージを習慣化させています。特に、毎日通勤で疲れた足を重点的に労るようにしています。洗顔、洗髪、洗体と一日の汚れを一通り洗い終えてから、友人からもらったSABON(サボン)のボディスクラブを使用します。こちらのスクラブは、植物オイルと死海塩でできています。オイルの香りは全くきつくなく、優しい香りでとっても落ち着きます。スプーン1杯分の死海塩を全身にすり込みながらマッサージしていきます。はじめは、塩がじゃりじゃりとして痛いので、力を入れずに撫でるように身体全体になじませていきます。お湯と体温で段々と塩が溶け始めたら、足の裏からかかと、ふくらはぎ、膝の裏、腿と入念にマッサージをしています。死海塩が古い角質を取り除き、植物性オイルの保湿成分で肌がスベスベになるうえ、身体全体が良い香りに包まれリフレッシュできます。ハンドマッサージャーで上半身の凝りほぐし下半身をマッサージしたあとのお風呂上りは、ハンドマッサージャーで腰から肩にかけて凝りをほぐしていきます。上半身のマッサージは、なかなか自分でやっても力加減が難しかったり、手が届かなかったりするので、これを愛用しています。ブルブル振動するというより、小刻みにと叩いてくれるタイプで速さが2段階調節できます。出産を経験して、もともと凝りやすい体質に加え疲れやすくなったような気がするので、翌日に疲れを持ち越さないためにも、当日の疲れはなるべく当日に取るように心がけています。特に腰と肩甲骨周りの凝りが酷く、仕事から帰るとカチコチに固まってしまっているので、丁寧にほぐすようにしています。ただあまり長い時間やりすぎると、赤みがでて痒くなってきてしまうので、長時間の使用は禁物です。産後の髪にコシを与える炭酸ヘッドスパ♪そして、わたしがご褒美として2カ月に1回ほど利用しているのが、行きつけの美容院でやってもらう「炭酸ヘッドスパ」です。炭酸水で頭皮の血流を良くしてもらい、マッサージによって頭皮の凝りもほぐしてもらいます。もともとは、産後の抜け毛について相談していたことから勧められたのがきっかけでした。頭皮の血流が滞った状態だと、生えてくる髪質も良くなく、縮れていたり細くなったりするそう。それが原因で、私の髪は丈夫な毛が生えてこず抜けてしまっていたのだと思います。伸びが早い子どもの散髪ついでにやってもらうようになり、抜け毛が減っただけでなく、髪のコシツヤも戻ってきたように感じます。私のようなママ以外にも、薄毛を気にされている方なども利用されているんだとか。セルフメンテナンスで、心も身体もリフレッシュ!身体が軽くなったり、肌がツヤツヤになったり、髪が綺麗になったり、変化が目に見えて肌で感じられると心もとてもスッキリしてリフレッシュになりますよね。ボディスクラブやヘッドスパはお金もかかりますが、数カ月に1回のプチ贅沢ですし、我慢してストレスを溜めるよりは断然安いと思います。今回はデトックスやマッサージが大好きな私のリフレッシュ方法をご紹介しました!
2017年12月26日「親なきあと」に関する不安とは?発達ナビに寄せられた、保護者500名の声出典 : 年10月30日から11月8日に、LITALICO発達ナビでは「親なきあとの暮らし・お金に関する実態・意識調査」を行いました。ご協力いただいたユーザーの皆様、どうもありがとうございました。この記事では、調査結果の一部を抜粋し、お伝えします。<調査対象について>「LITALICO発達ナビ」会員へのメールから、アンケートフォームにて回答いただいた発達障害の子どもをもつ保護者:529名の回答を集計しました。(調査期間:2017年10月30日~11月8日)※設問によっては529名全員が回答していないもの、複数回答可のものがあります。※調査結果の構成割合は四捨五入をしているため、合計が100にならない場合があります。「親なきあと」の子どもの暮らしについてUpload By 発達障害のキホン「親なきあとの子どもの暮らしについて、不安はありますか?」という質問に対し「はい」と答えた保護者は94.9%、「いいえ」と答えた保護者は5.1%と、親なきあとの子どもの暮らしについて不安に思っている保護者は9割を超えました。では、保護者の皆さんはどのようなことに不安を感じていられるのでしょうか?「就職できるのか、1人で暮らしていけるのか不安を感じる」「お金の管理。人にだまされないか。」「他人とうまくコミュニケーションをとって、上手に過ごせるか 」「1人で自立して生活していけるか?社会に適応できるか?」子どもが将来、経済面・生活面・精神面で自立できるのか、社会に適応して生活できるのかといった不安を持つ人が多くがみられました。また、「就職して生きていくためのお金を稼げるか、弟に負担もかけたくはないが、なるべく兄弟助け合って生きてほしい」「自立生活の維持、兄妹が背負うかもしれない養介護」などの意見にみられるように、誰が子どもの生活や精神面のサポートするのかなど、子どもを日常的にサポートする人やきょうだいについての声も目立ちました。「親なきあと」の住まいについてUpload By 発達障害のキホン「親なきあと、お子さんはどこで暮らすと考えられますか?」という質問に対し、回答が多い順に「一人暮らし(66%)」「グループホーム(29.3%)」「施設(27.6%)」「親族・きょうだい(20.6%)」となり、「一人暮らし」という回答が最も多く なりました。また、「その他」と回答の中には「結婚出来たら良いなあ。出来なくても、支え合えるパートナーと暮らしてほしい。」「私達の家が相続出来れば今の家ですが、固定資産税等払えず管理出来ないと思うので…気の合う方に巡り会えて、新しい家庭を持ち、その方と新居を持てれば…」と、幸せな結婚をし、パートナーとともに新たな家庭を築いてほしいという声もありました。「親なきあと」のお金への備え出典 : 次に、親なきあとのお金について、どのように考えているのか、どんな対策をしているかなどについて、皆さんの回答を紹介していきます。Upload By 発達障害のキホン「子どもの将来に向けて貯蓄・資金準備はしていますか?」という質問に対して「はい」と答えた保護者は64.8%、「いいえ」と答えた保護者は35.2%となり、子どものために貯蓄・資金準備をしている保護者は約6割でした。準備をしている場合、どのようなことをしていますか?という質問に対して多かった回答として、「学資保険(36)」「貯金(31)」「貯蓄(18)」といった意見があげられました。ほとんどの保護者は預貯金か保険で備えているようです。また、行政からの手当金は、今すぐ使わず子どもの将来のために貯蓄に回しているという風に、子どものためにもらえる手当は生活費とは切り分けて、子どもの将来のための備えに回しているという回答も複数ありました。手当=貯蓄に回す、と決めることで貯蓄しやすくなりそうです。Upload By 発達障害のキホン「子どもの将来に向けた貯蓄額は現時点どの程度ですか?」という質問に対して、回答が多い順に、「~49万円(19.7%)」「200~399万円(16.3%)」「100~149万円(15.3%)」という結果になりました。Upload By 発達障害のキホンでは、みなさんはどのような方法で貯蓄・資金準備しているのでしょうか?「資金準備の方法を教えてください」という質問に対して、回答の大半を占めたのが「銀行・郵便局の預貯金(82.9%)」と「保険商品(学資保険含む」(51%)」、その他には「投資信託(NISA含む)(5.8%)」、「外貨建て商品(3.6%)」、「不動産の運用(2%)」などがみられました。多くの方は、金融機関での預貯金や、学資保険・生命保険などの保険商品を用いて貯蓄しているようです。また、生命保険信託を活用している方も、少数ですが見受けられました。また全体の6%弱は、投資信託などでも資産を殖やしていました。Upload By 発達障害のキホン利用している金融機関は、多いものから「銀行・郵便局(63.1%)」、次に「保険会社(37.4%)」、以下順に「利用していない(21%)」、「証券会社(5.5%)」「信託銀行(2.5%)」「その他(0.9%)」という結果になりました。「障害年金」について障害年金は、障害の程度に応じて一定の金額が支給される、障害のある方の生活をサポートするための制度です。この制度について、どのくらい認知されているか伺いました。Upload By 発達障害のキホン障害年金について知っている保護者は41.6%と、4割強の認知がありました。「いいえ」と答えた保護者は10.6%、「聞いたことはあるがよく分からない」と答えた保護者は47.8%となり、障害年金について聞いたことはあることはあるものの、どのような制度なのかまでは分からないという保護者も半数近くいました。障害年金がいくらもらえるかについては、81.1%が知らないという回答でした。障害年金が具体的にいくらもらえるかなど、詳細までは知らない人が多いようです。Upload By 発達障害のキホン障害年金について知りたいこととして、「もらえる条件」「金額の他、受取方法などの仕組み全般が知りたい」「一生涯不十分なく年金受給されるのか」「発達障害では、障害年金もらえないと認識している」などの意見がありました。発達障害・知的障害の度合いが軽く、「障害年金が受給できないのでは?」と危惧している保護者の声も多くあげられました。なお、発達障害でも障害の度合いによっては障害年金を受給が可能です。また、同じように「等級」という言葉を使うため混同しがちですが、障害者手帳の等級と障害年金の等級や判定は別です。どちらの等級も、重いものから1級、2級という風に等級がありますが、制度が異なるので認定基準は異なります。概ねどちらの等級も重なる内容が多いとはいえ、それぞれ状況が異なるので、相談・申請してみないことにはどの等級にあたるのかなどは分かりません。まずは実際に年金事務所や、無料相談を行っている社会保険労務士(社労士)などの事務所に相談してみることをおすすめします。詳しくは以下の記事やリンクを参照ください。「親なきあと」相談室「親なきあと」、どのように子どもへお金を渡すのか出典 : 障害のある子どものために資産をつくったり、障害年金を受給できるように制度を理解したり申請をしたりすることに加えて、どのようにしたら適切に渡していけるのか考え、備えておくことも大切です。ここでは、皆さんの意識や、対策方法などについてみていきます。Upload By 発達障害のキホン「相続について、対策していますか?」という質問に対して、「いいえ」と答えた保護者は94.5%、「はい」と答えた保護者は5.5%でした。相続対策をしていない保護者が9割以上という結果でした。では、相続対策をしている保護者はどのような対策を取っているのでしょうか?「住むところに困らないよう、自宅の土地建物を相続するようにしている」「生命保険信託と、生前贈与の形での個人年金保険」「親の死亡保険」などの意見がみられました。また、「子どもの名義で通帳に預金しているくらいで、対策すべきかどうかわからない」「具体的な行動はしていないものの、行政書士に相談することができることなどを本、ネットで調べている。」など、具体的にどうしたらいいのか知りたいという意見や、相続対策の方法について詳しく知りたいという意見も寄せられました。障害のある子への適切に資産を引き継ぐ方法として活用できる制度に特定贈与信託があります。障害の程度に応じて贈与税が一定額まで非課税となる制度ですが、認知度は3%に留まりました。Upload By 発達障害のキホン特定贈与信託とは、特定障害者(重度の心身障害者、中軽度の知的障がい者および障害等級2級または3級の精神障害者等)の親なきあとの生活を支援するための信託制度です。この制度を利用すると、障害の程度に応じて6,000万円もしくは3,000万円まで贈与税が非課税ととなるとともに、障害のある子どもへ生活費などとして定期的にお金を渡していくことができ、生活を安定させることができます。信託制度については、下記の記事をご参照ください。特定贈与信託も含め、信託制度の紹介をしています。「親なきあと」の生活やお金について寄せられた、保護者からのさまざまな声出典 : その他、「親なきあとの子どもの生活・お金に関して、困っていること、知りたいこと、社会に向けて発信したい・知ってほしいことなど、思うところ」についても、多くの声が寄せられました。「障害者の親向けの税の優遇制度があると聞いてるが、それについてもっと発信してほしい、 施設に入所するにはどの程度の費用が必要なのかを知りたい、グループホームで生活する場合、障害年金だけでやっていけるのか、実際他の人たちはどのようにしているのか知りたい」「お金を管理する方法がわからない。誰に相談したら良いか。親なきあとは、どうやって、誰に相談したら良いか。」「今回の質問項目で知らないことも沢山ありました。それがどのように有効かわかりやすく教えていただければと思います。」障害年金や障害者控除、信託などの財産管理をする方法、グループホーム(共同生活援助)を利用する場合の実情、親なきあとについての相談先などについての疑問が寄せられました。そこで、既存の記事で役立ちそうなものを、いくつかご紹介します。また、寄せられたご意見をもとに、必要とされる記事を今後さらに充実させていきたいと考えています。「手帳の交付や明らかに支援が必要な場合は、何らかの手だてがあり支援や補助の安心があるが、グレーのまま成長し、グレーな大人になった場合はどのように過ごすことができるか、自立していられるのか、親としては不安です。」「40代で知的、発達障害の子を育て始め、残りの時間を考えると、どこまで責任を持って見守りができるか。また、将来、該当児を託したいがため、兄弟にも過度な期待、プレッシャーをかけがちで、反省しつつも、やはり、強い対応をしてしまう。また、兄弟にも希望する人生があるのに、将来の職業、結婚の選択が狭まったと感じ、常に申し訳なく感じている。」「日々の生活でいっぱいで先のことなんて考えられない。」グレーゾーンにあるお子さんが適切な支援を受けられるのかといった不安や、きょうだい児への負担についての葛藤などから、日々の生活での問題の対処で精一杯で先のことを考える余裕までないといった声もありました。「もっと発達障害者を理解し働きやすい企業が増えてほしい。」「障害があるからといって、特別な目で見ないでほしい。」「ちょっとした手助けや、理解してもらうことは必要かもしれないけど、周りの人の関わり方一つで、社会人として、ちゃんとやっていけることを知ってほしい。」障害に対する偏見や障壁がない未来を願う、切実な声が多く見受けられました。障害のある子やその家族が、生き生きと暮らしていける世の中になるよう、これからも発達ナビでは、さまざまな発信をしていきたいと思っています。今回の調査結果から出典 : 今回の調査結果から、「親なきあと」に不安を感じているものの、具体的にどのような対策を取ったらよいか分からないという保護者が多いことが分かりました。発達ナビでは12~1月に「親なきあと」特集を組み、親なきあとの暮らしやお金の問題についてコラム記事を掲載していくので、ぜひ読んでいただきたいと思います。また、ママ友や障害のある子の家族会などの自助グループでの情報共有も非常に役に立ちます。保護者の皆さんが元気なうちに、さまざまつながりをつくっていくことが、親なきあとのお子さんの生活を支えることにつながるかもしれません。もちろん、日常生活だけで手一杯ということもあるかもしれません。あせらず、まずはできそうなことから、少しずつ進めていきましょう。
2017年12月25日こんにちは。ママライターのマエジマシホです。ママタレントさんたちの子育て法から参考にできるところを探して、さまざまなママタレントさんの子育てを見てきました。一家の大黒柱としてお仕事をされている声優の金田朋子さん、SNSをメインに活動されている元モーニング娘。の後藤真希さん、シングルマザーの小倉優子さん、ご夫婦ともに芸能人の木下優樹菜さんとそれぞれ異なるスタンスで活動するママタレントさんたちです。そして今回は、ご本人が芸人として活動されている森三中の大島美幸さんです。大島美幸さんの子育てにはどんな子育てのヒントがあるのでしょうか。●『妊活』で活動休止した森三中の大島美幸さん森三中の大島美幸さんは、『妊活』のため、一時的に芸能活動を休止 したことで話題になりました。これをきっかけに『妊活』という言葉が世間に広く知られるようになり、不妊に悩む多くの女性が救われたことと思います。筆者自身も不妊に悩み、断続的に病院で不妊治療を受けていたので、不妊治療を『妊活』とポジティブに表現してくれた ことに感謝しました。妊活が実って息子さんを出産された後も、大島美幸さんは出産前とほぼ変わらない仕事をされています。時々、お子さんと一緒にテレビに出演されますね。子育てで苦労したことも、大島美幸さんから聞くとなんだか面白く聞こえてくるから不思議です。やはりそこは芸人としての力量ということでしょう。●母と芸人としてのスタンスを切り替えるスマートさを学びたい大島美幸さんはママタレントとしての顔と芸人としての顔を二つ持って、それを上手くコントロールしながら芸能活動をしていますね。大島美幸さんの芸人としての芸風はとかく身体を張ったものが多いのが特徴です。そしてお世辞にも子どもに積極的に見せたい、と感じるものではありません。大島美幸さんは出産後、ご自身の芸風について、子どもが産まれても変えるつもりはない、という趣旨のお話をされています。むしろ、『お母さんはここまで一生懸命やっているんだよというのを息子に見せられれば、考え方も変わってくるのかなと思って』いるとのことです。大島美幸さんのお子さんが成長してお母様のお仕事を理解出来るように なった時、どのように感じるかは分かりません。ただ言えるのは、一生懸命仕事しているところを見せること以上のお手本は見つからない、ということです。芸人としての思考と母としての思考を上手に切り替えられる 、こんなに頭のいい人だったんだな、と大島美幸さんに対する見方が変わりました。----------大島美幸さんは芸人としても母としても、どちらも全力投球されているように見えます。そして、とても気持ちの切り替えが上手な人だな、と感じました。子育てにおいては、この気持ちの切り替えがとても重要になると日々感じています。子どもを叱るにしても、だらだらと叱っていては子どものためになりません。大島美幸さんのように、気持ちを上手に切り替えて自分の信じるままに子育てしたいものですね。【参考リンク】・大島美幸、ママになってもお尻出す「このままの芸風で息子にも笑ってもらいたい」|ウーマンエキサイト●ライター/前嶋志保●モデル/杉村智子
2017年12月19日療育とは出典 : 療育とは障害のある子どもの発達を促し、自立して生活できるように援助することをいいます。療育という言葉はもともと、東京大学名誉教授の高木憲次氏(1888-1963)が提唱した概念です。肢体不自由児の社会的な自立を目標に、医療と教育を並行してすすめることを指しました。高木氏の後には高松鶴吉氏(1930-)が療育の対象をすべての障害のある子どもに広げて、育児支援の重要性を強調しました。後に療育の概念をさらに発展させて「発達支援」という概念が生まれました。厚生労働省では「児童発達支援」という言葉として以下のように定義しています。児童発達支援は、障害のある子どもに対し、身体的・精神的機能の適正な発達を促し、日常生活及び社会生活を円滑に営めるようにするために行 う、それぞれの障害の特性に応じた福祉的、心理的、教育的及び医療的な援助である。(児童発達支援ガイドライン|厚生労働省より引用)療育という言葉や概念は時代の変遷とともに意味合いを変えており、現在定まった明確な定義は示されていません。また必ずしも医療行為を含むものではない場合もあります。定義や実践内容の移り変わりはあるものの、概ねの理解としては、療育とは障害のある子どもの発達を促し、自立して生活できるように援助する取り組みを指すと考えるとわかりやすいでしょう。参考:発達支援の指針(CDS-Japan 2016 年改訂版)|全国児童発達支援協議会参考:『脳と発達 第43巻 第6号』「療育とは…」再考「療育とは…」再考(一般社団法人 日本小児神経学会)参考:『佛教大学大学院紀要社会福祉学研究科篇第37号(2009年3月)』子どもの権利条約における「療育の権利」の位置づけ(佛教大学)療育の対象となる児童は?出典 : 療育は基本的に18歳以下の児童を対象としています。身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む)の3障害のいずれかに該当する障害のある児童が療育の対象となります。参考:児童福祉法第19条発達障害のある子どもの場合、療育を受けるために療育手帳や精神障害者福祉手帳は必須の条件ではありません。障害者手帳を取得していない、もしくは取得のための認定基準を満たしていない場合でも、療育を受けることができる場合があります。児童発達支援を利用して療育的な支援を受けたい場合、行政から発行される「受給者証」の申請が必要になります。受給者証の交付を受けると、国と自治体から施設利用料の9割の給付を受け、自己負担1割で児童発達支援を受けることができます。また、児童が属する世帯の市町村民税額により、負担上限月額が定められています。利用月の1割負担額と負担上限月額を比較し、安い方の金額が利用者負担となるため、場合によっては1割以下の金額になります。負担上限月額は、通所受給者証に記載されています。参考:障害児支援の強化について|厚生労働省療育ってどこで受けられるの?出典 : 療育という言葉の定義は明確ではなく、家庭でのトレーニングや私費で受けられる療育的支援を指して「療育」ということもあります。ここでは、公的に受けられる療育的支援についてご紹介します。障害児への支援として療育が受けられる施設について、以前は障害ごとに細かな分類がありましたが、現在は複数の障害がある場合にも対応できるように一元化されています。療育を受けられる施設を児童福祉法にしたがって分類すると、通って療育を受ける「通所支援」型と、自宅で生活するのが難しい子どものための「入所支援」型の2つに分けられます。そこからさらに、福祉サービスとして行われる「福祉」型と医師による治療を併せて行う「医療」型に分かれます。Upload By 発達障害のキホン参考:児童福祉法の一部改正の概要について|厚生労働省施設によって対象としているお子さんの年齢が違ったり、提供しているサービスが違います。保育園のように通い、療育を受けられるような施設もあります。詳しくはこちらの記事に説明がありますのでご覧ください。こちらからお近くの施設も検索できます。施設検索|LITALICO発達ナビ療育ってどんなことをするの?出典 : 障害のあるお子さんが社会的に自立できるように、身辺自立や苦手なことを伸ばすことを意識した働きかけをしたり、コミュニケーションなどの社会的スキルを得られるように助けます。お子さんごとに必要な支援が違うので、一概に内容を説明することはできませんが、発達障害のあるお子さんによく用いられるアプローチをいくつか紹介します。人間の行動は周囲の状況との相互作用によって生まれると考え、状況を変えることで困った行動を減らし、より望ましい行動を身につけてもらうことを目的とした、理論と実践の体系を、応用行動分析学(ABA)といいます。TEACCHとは、アメリカ・ノースカロライナ州発祥の、自閉症スペクトラム障害(ASD)の当事者とその家族を対象とした生涯支援プログラムです。自閉症スペクトラム障害がある人の特徴を「世界の捉え方が一般の人とは異なる」ととらえて、彼らの特性が社会に適応できるように助けるという考え方がTEACCHの特徴です。具体的なアプローチとしては、生活・学習環境を分かりやすく整理したり、今後の見通しがつきやすいようにスケジュールなどはカードを使って視覚化したりといった方法があります。また、コミュニケーションについては、耳から聞くよりも目で見るほうが理解しやすい場合が多いので、絵カードなどを使って伝えるようにします。感覚統合とは、複数の感覚を整理したりまとめたりする脳の機能のことです。感覚統合ができるようになると、状況に応じた感覚の調整や注意の向け方ができるようになります。つまり、自分の身体を把握する、道具を使いこなす、人とコミュニケーションをとるというような周囲の状況の把握とそれをふまえた行動ができるようになるのです。発達障害がある子どもには、感覚統合が難しい子どももいます。感覚統合療法では、そうした子どもたちへのアプローチとして、主に作業療法士(OT)が中心となり、遊びや運動を通して感覚統合を伸ばしていくプログラムを行われます。PECSは、言葉によるコミュニケーションが難しい場合などに行われるアプローチです。絵カードを使って、自発的なコミュニケーションをとれることを目標にしたプログラムです。療育にはどんな効果があるの?出典 : 療育の効果は、その子どもに生じている困難・障害や、療育の目的・プログラム内容に応じて異なります。たとえば、食事、排せつ、身支度などが一人でできるようになったり、認知、言語、運動などの発達が促されて、受け答えや挨拶、表情や感情の理解をして他者とコミュニケーションが取れるようなったりと、さまざまな効果が期待されます。実際の療育現場では、子ども一人ひとりの特性や発達段階に合わせて、個別に目標とプログラムが設定されます。ですが、療育を始めてすぐに目に見えて効果が出ることは極めてまれです。特に、発達障害のある子どもの発達は、ゆっくりと進んでいくことが多いです。目立っている苦手な部分がすぐには改善されない場合もあります。それでも、働きかけを続けることで子どもは着実に成長していきます。苦手な部分はそのままでも、得意なことでそれをカバーできるようになっていくこともあります。また、療育を通して子どもとのかかわり方を学ぶことで保護者の対応が変わっていき、より豊かなコミュニケーションが可能となる場合もあります。療育の体験談もありますので、こちらも参考にしてみてください。みなさんの療育体験談を教えてください|LITALICO発達ナビ早期療育はどうして大切なの?出典 : 発達障害のある子が周囲や本人に特性の理解のないまま成長していくと、叱られたり非難を受ける機会が増え、傷つき自信をなくしていくことが多くなりがちです。そこから、自尊心が育たない、抑うつ、激しい反抗などの問題が生じることもあります。障害そのものによってではなく、ストレスなどから起こる問題を、二次障害と呼びます。このような二次障害を防ぐためには、早期から周囲が特性を理解し、対応することが必要となってきます。また、3歳までの幼いうちに療育に取り組み始めることができると、体も小さいので身体的な支援がしやすく、療育の中で子どもがパニックなどを起こした際も抱き上げたりなだめたりなどの対応がしやすいというメリットがあります。参考:『発達障害の子どもとつき合う本―どう関わればいいかわからずに困っているおかあさんや先生方へ』(浅羽珠子/主婦の友社)子どもが小さいうちから特性を把握し、心を安定させながら育てる環境を作ることによって、その子が持っている能力をさらに伸ばしていける可能性が広がります。発達障害への早期支援については発達障害者支援法の中にも述べられています。市町村は、発達障害児が早期の発達支援を受けることができるよう、発達障害児の保護者に対し、その相談に応じ、センター等を紹介し、又は助言を行い、その他適切な措置を講じるものとする。(発達障害支援法 第六条より引用)発達相談から、療育を受けるまでの流れ出典 : 保護者から見て言葉や発達の遅れが気になったり、健診で「発達の遅れがみられる」と指摘された場合は、行政などの相談機関に行ってみましょう。子育て・発達支援室や療育センター、児童相談所などで相談をすることができます。ここで、その地域の検査機関を紹介してもらえます。年齢に応じてさまざまな検査方法があり、複数を組み合わせることでより的確な結果がでます。地域によっては順番待ちが長く、すぐに検査がしてもらえない場合もあります。急ぎたい場合は、病院の外来などで自費診療という形で検査してもらうこともできます。行政が運営しているものから研究機関が運営しているもの、NPOや民間のものなど、多様な施設があります。対象にしている年齢や受けられるサービスなどもさまざまなので、子どもの検査結果に合わせて選びましょう。役所の福祉窓口で療育施設の紹介をうけることもできます。施設によっては見学や体験もできます。利用する施設によって交付される受給者証の種類が違います。通所型施設の場合は「通所受給者証」を市区町村の窓口から申請します。入所型施設の場合は「入所受給者証」を児童相談所などから申請します。必要な書類は行政によって異なる場合があるので、事前に確認をしておきましょう。支給の有無やサービス内容の決定のための調査や審査が済むと、受給者証の交付を受けることができます。受給者証の交付を受けたら、受給者証の内容に合わせて障害児支援利用計画を作成します。受給者証、障害時支援利用計画など必要な書類がそろったら、施設との契約、利用のスタートができます。まとめ出典 : 「療育」というと、少し敷居が高く感じるかもしれませんが、実際は療育手帳などがなくても受けられる場合もあり、発達が遅れていたり生活に困りを感じている子どもをサポートするためのものです。子どもの成長を手助けし、自分でできることを増やせるよう、療育を活用していきましょう。参考書籍:『発達障害のある子と家族のためのサポートBOOK 小学生編』(岡田俊/ナツメ社)
2017年12月15日「聴覚過敏」のもうひとつのカタチ出典 : 発達障害のある子どもの特性の一つに、感覚の過敏性があります。その中でも、触覚や聴覚に過敏性がある子がいるということは、かなり知られるようになってきました。我が家の7歳児(自閉症スペクトラム障害・ADHDの診断済)も聴覚に過敏性があり、予告なく出される大きな音や人の怒鳴り声などでパニックになってしまいます。この点については、学校側も随分配慮してくださっています。今は、運動会のピストルの音を小さくしたり、大きな声で怒鳴らず耳元で穏やかに話をするなどの工夫をして頂いています。けれども息子と小学校の話をしているうちに私は知ったのです。聴覚過敏のもたらす困難の、もう一つのカタチ。聴覚過敏を和らげるアイテムであるイヤーマフなどが役にたたない、もう一つの困難があることを。そしてその困難は息子にとって、予期せぬ大音量よりも辛いものだったのです。聴覚過敏とコミュニケーション出典 : 学校の休み時間。給食の時間。登下校の時間。子どもたちの楽しいお喋りの声があちこちから聞こえてきます。女の子たちは秘密のひそひそ話。男の子たちはアニメやゲームの話。そしてそれは、息子にとって苦難の時間の訪れです。教室のみんなが一斉にお喋りに興じ始めると、息子はありとあらゆる会話に首を突っ込みます。時には女の子たちの秘密のひそひそ話にも遠慮なく乗り込んで行ってしまうのです。「え!?君は〇〇ちゃんが嫌いなの!!?なんで!?」息子はこんなデリカシーのないことを、大声で言ってしまいます。当然、言われた女の子たちは激怒です。「あなたに話しかけてない!!」「こっちで話してたのに、入ってこないで!!」別のグループの男の子たちも息子に怒鳴りつけます。「おまえに話しかけてない!!」「向こう行け!!!」息子はそのたびに落ち込んで、家に帰ると堰を切ったように泣きます。それでも翌日からは同じことを繰り返してしまうようです。聞こえる会話全てに首を突っ込み、クラスメイトに怒鳴られて帰ってくるのです。私はこの息子の行動は、ADHDの「衝動性」が関係しているのだと思っていたので、どうしたら衝動性を少しでも抑えることができるのか、必死に考えていました。けれども、息子の話をよくよく聞いているうちに、これは衝動性の他にも別の要因が引き起こしていることだということが分かったのです。「聴覚過敏」の引き起こしていたもの出典 : 「また友達にうるさい!って言われた…」と言いながら帰ってくる息子に、私は「自分に話しかけてくる会話以外には入っちゃいけないよ」と言いました。すると、息子からは意外な一言が飛び出しました。「お友達の会話が、全部僕に話しかけてくるように聞こえる…」「声の大きさも全部、同じに聞こえるよ」そして息子はこう続けます。「みんなは、自分にだけ話しかけてくる声がどうして聞き分けられるの?」私は「なるほど…」と頷きました。息子は衝動的に人の話に首を突っ込んでいたわけではなく、自分にだけ語りかけてくる声、とりわけその音量を判別する力が弱かったのです。人には「カクテルパーティ効果」と呼ばれるような必要な情報だけを無意識に選択する能力が備わっていると言います。けれども、聴覚過敏がある子どもは、その過敏性がゆえに、音からの情報を取捨選択する力が弱いのかもしれないと思い至ったのです。息子がみんなの会話に首を突っ込んでしまうのは、まさにこの聴覚過敏が引き起こしていたものかもしれません。自分の当たり前は、この子には当たり前ではない出典 : 私は息子の「聴覚過敏」がクラスの人間関係にまで影響を及ぼしているとは知らず、当初はとてもショックでした。クラスの休み時間にまでイヤーマフを持ち込むわけにはいきません。何よりも、息子はクラスメイトたちと休み時間に話をするのが大好きです。けれども、周囲の話し声が一様に自分に話しかけているように聞こえてしまうため、どの声に応答したらよいのか分からず、オロオロしているようでした。そこで私は息子に、一つの指標を教えました。「息子くん、療育で、人の目を見ると褒めてもらえたよね?なんでだと思う?人の目を見ると、自分に話しかけているかどうかが分かることが多いんだよ。息子くんに話しかける人は、息子くんの目を見ていることが多いから、まずは相手が自分の目を見ているかどうか確認してみると良いかもしれないよ。」息子はこのアドバイスに納得し、最近は人の会話に入るときにワンクッション置くことができるようになったようです。とはいえ、全ての会話が同じ音量で聞こえてくる状態は今も続いており、帰宅するとぐったりとしている様子が見てとれます。ですので、クールダウンの時間を持たせることを心がけています。発達障害の子どもは、私たちが思っている以上に騒がしく、自分向けられた声を拾ってゆくだけでも疲れるような世界に生きているのかもしれません。
2017年12月12日クリスマスまで、あと1ヶ月を切りました。実は2年前のクリスマス時期には、まだ私には彼氏がおらず婚活中の身でした。今回は、クリスマス婚活パーティーに実際に参加した時の話を紹介したいと思います。スタッフがサンタコスプレでお迎え!クリスマス婚活パーティーでは、クリスマスツリーやオーナメントが綺麗に装飾されていました。スタッフも、サンタコスプレで司会進行してくれます。この時点で、クリスマス感出てる・・・うん、出てる筈・・・。クリスマス婚活パーティーでは、班を決めて宝探しゲームをしました。宝探しは、オーナメントやクリスマスツリーの中に紛れ込んでいたりするので見つけるのも至難の業です。「あっ、あったー!」と男性が叫んでダッシュして宝に向かってジャンプしてゲットしたりと、だんだんサバイバル感すら出てきます。やがて、みんな宝探しに必死になりすぎて男女の出会いを忘れつつあったような気がしました。参加メンバーはどんな感じ?1人、参加者の中に超イケメン俳優にソックリの男性がいました。しかし、会話すると何故かオネエ語。「絶対、あっち系の人だよね?来るパーティー間違ってません?」と聞くと、「ううーん、そんな事ないよぉーアハハハハ」と、笑う時に手を口に持っていく仕草が、もうオネエ!他にも、大手企業サラリーマンもいましたが「実は僕、彼女いるんですよ。今日はコイツの付き添いです。」って、オネエ系男子の付き添いかよ!とツッコミを入れそうになりました。しかし、その男性がオネエ系男子を見る眼差しが優しいんですよね…。(もしかして?)実際にカップルになれるイベントなの?参加者は20代中心メンバーで構成され、私は当時36歳だったので蚊帳の外状態でした。イベント系のパーティーは、基本的に若者向けに作られている事が多いので20代男女の方が良いのかも?ちなみに、オネエ系男子はちゃっかりカップルになってて、カップルになった途端男前風に振る舞っていたので、もしかしてオネエ系は演技?私が参加したクリスマス婚活パーティーは、20代男女を中心とした若者向けのイベントでした。もし、30代~40代でクリスマス向けイベントに参加してみたいと思ったのであれば、年齢制限の入った婚活イベントを探すと良いかもしれません。(実は、30代向けの婚活クリスマスパーティーに参加した事もあります)クリスマスは、イベントに特化したパーティーや街コンが増えるのでシングルの方は是非参加してみてくださいね!Written by みくまゆたん
2017年12月11日こんにちは。ママライターのマエジマシホです。ママタレントさんたちの子育てから一般人の子育てにも参考にできるところを探しているところです。これまで、声優の金田朋子さん、元モーニング娘。の後藤真希さん、シングルマザーとなられた小倉優子さんの子育てを見てきました。ママタレントというカテゴリの中でも様々な子育ての形があることが分かります。今回は、芸人の藤本敏史さんとご結婚され、現在は二人の女の子のママである木下優樹菜さんです。木下優樹菜さんの子育てからは、どんな子育てのヒントが得られるのでしょうか。●『年の差』『美女と野獣』と話題に事欠かなかった木下優樹菜さん木下優樹菜さんは、FUJIWARAの藤本敏史さんの奥さんでもあり、ご自身はモデルやママタレントとして活動されていますね。そして、現在、ふたりのお嬢さんをお持ちです。17歳も年の離れたお二人の結婚は当時、かなり話題になりました。まっすぐな性格の木下優樹菜さんと包容力のある藤本さんご夫婦は理想の夫婦としても常にランキング上位 にいます。お二人が結婚される前、木下優樹菜さんはすでにモデル、タレントとして華々しく活躍されていました。藤原さんとはバラエティ番組の共演がきっかけでご結婚されましたね。お世辞にもかっこいいとは言えない、いわゆる『おじさん』の藤原さんがモデルの木下優樹菜さんを射止めたわけです。結婚されてからも、藤原さんの大人の余裕ある対応が木下優樹菜さんのストレートな生き方を上手く制御 しているように見えます。まさにお似合いの夫婦ですね。●周りの目を気にせず自分の信念を貫く木下優樹菜さんの子育て木下優樹菜さんの子育ては、時に厳しすぎるのではないかと物議を醸すこともあります。芸能人としての好感度が下がることを恐れずに、自分のあるがままの子育てをひとりのママとして発信する姿勢は非常に素晴らしい と思います。子育てはそんなに甘くはありませんからね。木下優樹菜さんの子育て法を非難する意見は確かにあります。しかし、一貫した子育ての姿勢を評価する声が少なくないもまた、事実です。その理由は、同じように子育てをしたいと感 じている親御さんが多数 いる ことの表れ だと思います。親だって時に感情的になることもあります。怒りたくて怒る親はいません。過去の指示と全く逆の指示を子どもにしてしまうこともありますね。落とした食べ物を食べちゃいけません!と普段は言っているのに他に食べてもらうものがなかった時、筆者は、「これは大丈夫だから!」と食べさせてしまったことがありました。自分の子育てに自信を無くして後ろ向きになることもあります。そんな時、いつも正面から子どもに向き合う木下優樹菜さんの子育て を垣間見ると勇気がもらえる気がします。●パートナーへの信頼がベース下優樹菜さんはモデルというお仕事柄、長時間拘束されてしまうことがあるようです。しかし、そこは芸能人同士のご夫婦ということで、一般人よりも仕事の融通が利くというメリットを生かしていますね。お二人にとってはそれが当たり前のことになっているようです。その証拠に、ご主人の藤本さんが『イクメン』と、もてはやされたりしていません。きっと藤原さんは木下優樹菜さんの子育てのやり方を全面的に信頼 しているのでしょう。だからこそ、自分が『イクメン』として表に出ることよりも、木下優樹菜さんを縁の下の力持ちとして支えること を選んだのではないかと思うのです。パートナーから全幅の信頼を得られる子育て法、目指していきたいですね。【参考リンク】・木下優樹菜 公式ブログ Powered by LINE●ライター/前嶋志保●モデル/倉本麻貴
2017年12月06日入学当初はパニックになっていた娘。学校での様子が気になる…1年生になった娘。入学当初は、ちょっとしたことでもパニックを起こしていました。しかし、家庭で娘の気持ちに寄り添い、共感して気持ちを言葉にしてあげる「気持ちの同調・代弁」を続け、「こんなときはどうしたらいいか」などと、解決方法を親子で一緒に考えていったり、娘自身も一つずつ経験を重ねたりすることで、学校でパニックを起こすことも少なくなり、少しずつですが成長している様子でした。でも…やっぱり不安はぬぐえません。Upload By SAKURAとはいえ、小学校の様子を見に行くこともできない…。なんとか、娘の学校の様子を見ることができないだろうか…そんな風に考えていた時にやってきた、授業参観の案内!これで、娘の学校の様子が見られる!そう思って、意気揚々と授業参観へ行きました。初めての授業参観。ああ~、やっぱり心配的中かも!?初めて行った授業参観は、入学して1ヶ月後ぐらいでした。娘は私を見つけ、嬉しそうにニコニコ。授業が始まっても、どこか落ち着かない様子で、ソワソワ。私の方ばかり見て、先生の説明を聞いているのか、いないのか・・・。口元を見ると、なにやらブツブツとつぶやいている。やっぱり、心配していたマイワールドが発動してしまっている!!やきもきしながら私は、ひたすら前を向くようにジェスチャー(笑)で、伝えていましたが、娘はそれでもヘラヘラ。Upload By SAKURA難しいと思っていたけど、娘なりに作文の発表できてる(涙)しかし、作文の発表になると娘は、さっきまでのヘラヘラした感じはどこへやら!Upload By SAKURA最初に先生が説明した「発表する人のやりかた」通りの手順を守り、前に出て大きな声で堂々と作文を読みました。自分の発表が終わると、他の人の発表を聞き、終わった人にきちんと拍手をしています。質問時間には自分から手を挙げ、質問する姿をみることが出来ました。視覚優位の娘は、耳で指示を聞きとることが苦手。この時も、先生が口頭でした発表の注意点が、うまく聞き取れていないようでした。しかし娘は、先生が字で書いていた「発表する人のやりかた、聞き方」を読み、手順を理解していたのです。さすがに質問までは、難しくてできないだろう…と思っていたのですが、他の人がしている質問を聞いて、同じような質問をしていました。それは、自分で考えだした質問ではなく、ほかの子の真似だったかもしれません、でも、娘は自分なりに質問をしようと頑張っていたのです。娘がわからない時の解決策を、自分で考え出し、行動したその姿に、私は驚き、とても感動しました。そして、授業参観の回数を重ねるたびに、娘はすごい成長を見せてくれました。体育の授業参観で見えたのは娘の長所次に行った授業参観は、体育。かけっこの授業でした。Upload By SAKURA他の子が走っている間、ほとんどの子が、黙って見ていたり、騒いだりしている中…娘は、一人、走るお友達を大声で応援し、走り終わったお友達に、誰もやっていない拍手までしていました。娘は、他の子が誰もやっていないことでも、恥ずかしがらずに自然とできる子でした。でも、学校でもお友達のことを一生懸命応援できる、堂々としたその姿を、とても誇りに思いました。周りの子に支えてもらえている姿も嬉しい!そして片づけの時、先生が、「男の子は○○片づけ~女の子は○○ね~」と全体へ指示をしていたのですが…娘はこれを聞き取ることができず、おろおろしていました。Upload By SAKURAその姿を見たクラスの女の子たちは、すかさず声をかけ、指示をしてくれていました。さらに、その指示を聞いても、違う方向へ行ってしまう娘を、他の子がすかさず捕まえ、「こっち!」と促してくれていました。娘は、私の知らないところで、周りの子に支えてもらえるという人間関係を、しっかり築けているようでした。みんなと笑ってやり返せるまでに成長したんだね授業後、近くにいた女の子たちが娘に近づき、なんだかふざけ合った遊びが始まりました。Upload By SAKURAそれは私から見ていて、そこそこ激しい遊び。以前の娘なら嫌がって泣くレベルでした。しかし、みんなと同じようにやり返したり、笑いあう姿。小学校生活という社会で、娘はなんとか順応して頑張っているんだ…と感じました。小学校に入る前は、うまくやっていけるか不安だったけど…小学校に入る前は不安に思っていました。この子の特性で、お友達ができないんじゃないか、うまくやれないんじゃないか、そう心配していましたが…入ってみれば、なんとかやっている娘。もちろん、喧嘩もあります。物を取られたり、口喧嘩で負けたりして、泣くことがあると、先生から報告を受けたりします。喧嘩は娘に限ったことではなく、みんなが経験することですが、先生から聞いて、泣く日が続いているとわかると、心配で、様子を見に学校に迎えに行ったりもしました。先生に直接、様子を聞きに行ったりもしました。でも当の本人に、「泣いたの?大丈夫?嫌なことあった?」と聞くと、喧嘩したことなど全く気にならないようで、「え?なにが?大丈夫よ?」「学校たのしいよ!」と言います。喧嘩した相手でも、次の日には「おはよう!」と元気に声をかけますし、お友達のことを悪く言ったこともありません。学校という社会に踏み出した娘を見守りたいきっと学年が上がるにつれて、娘も含め、周りのお友達も精神的に成長していくでしょう。そうなると、良くも悪くも、おそらく今のような日々がずっと続くわけはないと思います。お友達が助けてくれなくなることも、あるかも…お友達とけんかをしても、泣かずに済むようになるかも…けんかやトラブルの種類もまた変わってくるでしょうし、人間関係、学校生活、勉強…様々な壁がやってくると思います。そして、そのたびに私の方が、頭を抱えてしまうのでしょう(笑)先のことを言えば正直不安は尽きませんが、その時その時で、私にできることをしていけたらいいなと思います。Upload By SAKURA小学生になった娘。小さいですが、社会に踏み出したその姿を、見守っていこうと思いました。
2017年12月06日今回の「やさしいママのひみつ」は、「暮らしかた冒険家」として幅広く活躍する、クリエイティブディレクターの伊藤菜衣子さん。北海道札幌市で暮らしながら、各地を飛び回り、広告、編集、映画制作を手がける、3歳の男の子のママです。伊藤菜衣子さん息子さん:墾(こん)くん(3歳)クリエイティブディレクター。暮らしにまつわる常識を作りなおし、伝えるため、広告、編集、映画制作などを手がける「暮らしかた冒険家」として活動。ゲストディレクターの、音楽家・坂本龍一さんによる指名により、札幌国際芸術祭2014にて札幌に引っ越して暮らすプロジェクト「#heysapporo」を発表。以来、札幌にて築30年の自邸を断熱リノベーションしながら、自給自足の暮らしを模索する。冊子『よむ暮らしかた冒険家』の発刊や、映画『別れかた暮らしかた』を監督。HP: 暮らしかた冒険家 | 21世紀の冒険家 Instagram: saikocamera 家族が笑顔で暮らすため、試行錯誤の上、ちょっと変わったスタイルを模索中だという伊藤さん。その暮らしかたとは? お話をたっぷりと伺いました。■大黒柱として働き、家事と育児はパートナーに早速、伊藤さんの月曜から土曜までの、1日のスケジュールを見てみましょう。8:30 :墾くん保育園。9:00 :伊藤さん起床 朝食10:00 :スタッフが自宅兼事務所にやってくる12:30 :昼食17:30 :パートナーが保育園にお迎え18:30 :墾くんが帰宅19:00 :スタッフもみんなで夕食。墾くんと遊ぶ20:30 :お風呂21:30 :墾くん就寝。仕事25:00 :伊藤さん就寝睡眠時間はたっぷり取るという伊藤さん。朝は起きて、息子の墾くんをお見送りするのが理想だといいますが、できないことも多いのだそう。「紆余曲折あって、わが家は今は、私がメインで働いています。私は夜型人間で、睡眠時間は8時間必要だから、仕事を続けるためにこのサイクルに。自分の睡眠時間を削ると悪循環だし、よく寝た後の仕事の集中力は高いから。その代わり、夕食は一緒に食べるので、仕事は18:30までに切り上げるようにしています」家事を分担するのではなく、家事と育児はパートナーが担当というスタイルをはじめたのは、今年に入ってからだといいます。「これまでは二人で、ウェブ制作などの仕事をしてきましたが、同じ時期に忙しいので家が荒れるし、喧嘩になってしまいがちでした。そこで、あまり二人でしなくてもいい仕事を増やそうということになって。私の方が一人でできる仕事が多いから、メインで働いて、彼が家でできる仕事と家事をするようになりました」「家事をする、または一人でできる仕事をするという2択で、彼は仕事より育児をしたいというのが最優先でした。彼は子どもの頃、お父さんが忙しくて、ほとんど家にも帰ってこなかったらしく、“そんなお父さんにはならない、子育てをしたい”という気持ちがびっくりするくらい強いんです。妊娠したときから、子どもは絶対、僕が育てたいと言っていましたね。欧米ではこういう役割分担はよくあることみたいですが、日本だと珍しいですよね。でも、子どもに大学に行かせるまで、私はいくら稼がなきゃいけないんだろうと思うと、世のお父さんって本当にすごいなと思います」最初は保育園にも行かせたくないと、子育ての理想も高かったのだそう。「それは彼のこだわりでした。でも実際は、子育てってとても大変。産後はびっくりするくらい自分の体調も悪かったし、産休も育休もほぼないまま、とにかく目の前のことをやるので精一杯。それで喧嘩になるという悪循環でした。そんな状況を見た友人から、『保育園に入れて、とりあえずこの家の仕事と二人の状況を立て直しなよ』とアドバイスされたのを機に、保活を始めたんです」家事はパートナーにまかせてすべて譲り、仕事に専念することにしたのだとか。あえて何もしないのがうまくいく秘訣なのだそう。「彼は何をするのも初めてなので、洗濯も色移りや縮んでしまったり、びっくりするような失敗をするんです。最初は分担していたのですが、やり方が違うから見てしまうと気になって、『なんでこんなにぐちゃぐちゃになるの?』って、ついお小言が出てしまう。できるだけ目を瞑れる状況にするには、100%家事をお願いしないとだめだと思って、私は立ち入らないことにしました」■気合いで乗り越えていたことが通用しない「子育て」ウェブや広告の仕事から幅を広げ、現在は本の編集から映画の監督、トークショーなど大活躍の伊藤さんですが、仕事との関わり方に関して悩みも大きかったと言います。「私の仕事って、環境にいいとか、もっと広がればきっと社会がよくなるという仕事が多いから、仕事のクオリティが少しでも上がれば、もっと広がっていくと思っていました。クオリティの高さを求めて採算度外視するくらい、仕事が本当に好きだったんです。でも子どもができると、今まで気合いで乗り越えていたことも全く通用しないんだなと思い知らされました。働き方を変えないと、自分が頑張ってもどうにもならないことがある、と思うようになりました」「妊娠、出産の時期って、2年半くらい100%で働ける自分がないんですよね。それが本当に想定外でした。妊娠中はずっと眠いし、つわりもあるし、出産前に仕事を片付けようと思っていたけど追いつかなかった。出産したらきっと仕事ができるだろうと思ったら、眠いし、ちょっと無理をすると体調を崩したり。それでスタッフを雇うことにしたんです。最初はどうにも慣れないので、自分でするよりも納得感は少ないのですが、世の中的にはなんの問題もなくて、自分が100%でやったものに社会的にどのくらいの価値があったのか、自分の自己満足だったのか、と考えさせられる機会にもなりました」■地方で暮らしながら、子育てすること現在、9歳まで住んでいた元実家をリノベーションして暮らしている伊藤さん。坂本龍一さんがディレクションする札幌芸術祭に、アーティストとして招集されたことを機に札幌へ移住することになり、会期中は家を改装しながら土日にオープンハウスとして開放していたそう。「もともとは東京で、カメラマンの仕事をメインにしていました。結婚してすぐに震災があって、熊本に移住しました。熊本では築100年の町屋をセルフリノベーションしながら、3年弱暮らしていましたが、賃貸だったので斜めになった床や、隙間風がすごく入ることまで直せませんでした。芸術祭が終わってからも札幌に住むことを決めたのは、子どもが生まれて、祖母もまだこちらにいることや、母が手伝いに来てくれやすいというのが大きかったですね」近くにある畑を借りて5家族でシェアし、2、3日分の必要な野菜だけ収穫するなど、食生活も豊かです。「フルーツも安いですね。野菜はほぼ買わず、お肉やきのこだけお店で買っています。幼なじみの農家さんが届けてくれる野菜も、たくさんあります。庭に生ゴミを撒くと、自然と肥料になっていて、じゃがいもなどはすぐにできますね。北海道は寒くなるので、害虫が少なく、無農薬で育てやすいんです。生産者が近いから、子どもはどこにおいしいものがあるか、誰が作った何を食べているかを知っているというのが、面白いなと思います」また、仕事の対価を貨幣ではなく、物(ぶつ)や技(わざ)で交換する「物技交換」(ぶつわざこうかん)を実践する伊藤さん。さまざまな人の協力を得て、このエコハウスを完成させたのだとか。「この家は断熱性能がとても高いのですが、新築戸建と比べると、だいぶお金をかけずに作ることができました。そういうことができたらエコハウスを選ぶ人も増えるんじゃないかな、と思っていて。『どうしたらできるだけ安くできるかを一緒に考えたい』と工務店に相談すると、『今は儲かるかわからないけど、確かにリノベーションのニーズも増える』と思った人たちが一肌脱いでくれたりするんです。私たちがアイデアと実験場所を提示して、コンペに出すのもOKだし取材対応もする。“手伝ってくれてラッキー” ではなく、関わってくれた人にいいことがあるように、ちゃんと交換して “お互いにメリット” になるように、というのは必ず考えています」 豊かな食材に囲まれ、エコハウスに暮らす、とてもうらやましい環境に思える、伊藤さんの暮らし。地方移住というブームに対しては、どうお考えですか?「都心には都心で、地方都市は地方都市でできることがあるから、どちらでもいいと思っています。どちらにいても大変だし、人生の目的と自分の状況がどうかによると思うんですよね。私の場合は札幌に元実家があったし、勢いで移住したわけではないんです。周りの人たちが2005年くらいからどんどん地方に移住しているのをずっと見てきて、これならできるんじゃないかと、確かめてからのジャッジでした」「ブームには流されなくていいと思うんです。仕事が変わったり、夫婦の関係性が変わる人もいるし、自分ができると思ったタイミングでしないと、本当に辛いと思います。私は冒険家と名乗ることで、これが普通ではなくて、結構危険なことをやっているというリマインドにもなっています。普通の人ができると思ってやったらできないようなことを、冒険家としてやっているだけですから」■これからの環境をまもる「みんなができる方法」「暮らしかた冒険家」として、 “暮らしの常識と思われていることに対して、ほかにやり方はないか? いつも疑っていきたい” と話す伊藤さん。「これまでは、自分が楽しければいいと思っていたけど、子どもが生まれてからは環境に対する考えについても、 “社会全体に広まらないと、子どもが大人になるまでもたない” と思っているんです。だから、みんなができる方法を考えるようになりました」環境や未来の社会について “みんなができること” を常に考え、「100万人のキャンドルナイト」をはじめ、環境を考えるムーブメントを数々手がけてきた伊藤さん。日々使うものも、環境への影響を考えているといいます。「そもそも洗剤の香料が苦手なんです。自然の香り、もしくは匂いがしないものを選んでいくと、自然派の洗剤にたどり着きますよね。逆に、環境にやさしい、自然由来のものを選んでいると手荒れもしない。そこがいいなと思います」天然素材を使っている上に、売上の1%が原料の産地であるボルネオ島の環境保全に役立てられている、ヤシノミ洗剤の「サラヤ」の取り組みには、とても共感するという伊藤さん。もともと「ヤシノミシリーズ」を使っていたそうですが、改めてご体験いただきました。使い心地はいかがでしょうか?「近所のお店では『ヤシノミシリーズ』を扱っていないので、なかなか買えず、よっぽどのことがない限り、アクリルたわしで乗り切っていましたが、やっぱり便利ですね。『ヤシノミ洗剤』は、ほかの自然派洗剤と比べて、汚れがすっと落ちるので洗い残しもなくて安心です」何よりも香料が苦手な伊藤さんは、これまで柔軟剤は使っていなかったのだとか。「肌触りよりも、においがないことを優先していました。無香料の柔軟剤って、ほとんどないですよね。でも『ヤシノミ柔軟剤』を使ってみたら、香りもなく、乾燥機にかけてもふわふわで、すごくいいなと思いました。やっぱり肌触りがいいと、気持ちがいいですね。今度から柔軟剤をも使ってみたいと思います」■母から教わった「甘やかさず、考える力を身につける」子育て環境や社会にやさしいことを心がけている伊藤さん。子育てで気をつけていることは、甘やかさないこと、「やさしいママじゃない」と笑います。「 “暮らしかた冒険家”って変わっていますよね。仕事を兼ねて、海外に1ヶ月行くこともあるし、親がいつも家で働いている。これが普通だと思って育ったら、世の中でまったく使いものにならないと思うんです。人がよく来るのでちゃんと挨拶ができるように、人見知りをしないようにとは思っています」時間は限られますが、集中して仕事をすることで、お子さんとの時間をたっぷり作るのが伊藤さんのやさしさ。そして厳しく接することで、自分で考える力をつける子育てを心がけているそう。「仕事をやりきった感がないと、子どもと遊びたいのに、もやもやしてどっちつかずになってしまうんですよね。私ができるのは、食後に一緒に遊ぶこと。できるだけ全力で遊びます。私自身、『自分が始めたくてやったことは、自分で辞めろ』と言われて、甘やかされないで育ってきました」「母から勧められて始めたクラシックバレエでさえ、途中で『ステージママやりたくないから、続けたいなら自分でなんとかして』と言われ、発表会の情報収集をしたり、衣装にスパンコール縫い付けたりしていました。お金は必要最低限は出してくれるのですが、レオタードは1着あれば十分とファッション的に何着も持つのはNG。辞めたいときも先生にどう切り出すかというのを、小学生で考えなきゃいけなかった。でも苦労していると、先生がお下がりをくれたり、頑張ってちゃんとやっていれば、誰かが見てくれて、助けてくれるんです。誰のお母さんと仲良くなれば情報をもらえるかなど、処世術を学んだんですね(笑)」「泣いてもわめいても変えてくれない。親の方針というのは、本当に強いなと思います。この人に言っても仕方がないから、『じゃあどうする?』と自分で考えるようになるんです。うちの母と同じように、厳しいかもしれないですが、徹底的に説明して納得させようと思っています。お母さんだから当たり前じゃなくて、お母さんでもやりたくないことはやりたくない、やらなくていい。そんな母の子育てが今の私を作っているから、感謝しているし、自分の子どもにも引き継いでいきたいですね」取材/文:赤木真弓 撮影:林ひろし[PR]サラヤ株式会社 【やさしいママのひみつ 一覧】 記事をもっと見る >>
2017年12月06日発達障害当事者による、発達障害当事者のための居場所「Necco」Upload By 発達ナビ編集部東京の高田馬場にある「Necco」は、大人の発達障害当事者による、大人の発達障害当事者のための居場所です。高田馬場にある雑居ビルの1室にあり、18時までは一般のカフェとして発達障害の当事者によって営業され、18時以降はフリースペースとして発達障害の当事者のために場が解放されます。スペースでは茶話会やゲーム大会といったイベントも頻繁に開催されており、発達障害の当事者が気軽に集まれる居場所づくりがなされています。大人(成人)の発達障害当事者のためのピアサポート Necco(ネッコ)取材に訪れた日もたくさんのお客さんで賑わっており、別フロアではフラワーアレンジメント講座が開かれていました。Upload By 発達ナビ編集部本棚には発達障害関連の本が多数並んでいます。Upload By 発達ナビ編集部Neccoは自由に集まれる居場所としては2010年、カフェとしては2011年に活動をスタートしており、大人の発達障害当事者のための常設の居場所としては、日本で最初に出来た場です。今回の記事では、このNeccoを立ち上げた方であり、ご自身も発達障害の当事者である金子磨矢子さんに、活動を始めたきっかけや、長年続けていく中での苦労、活動を続けるモチベーションや今後の展望についてお話をお聞きしました。金子さんは平成28年度厚生労働省より「発達障害者の当事者同士の活動支援のあり方に関する調査」を受託し、その報告会である「発達障害当事者会フォーラム2017」を開催された主催者のおひとりでもあります。この報告会は、1月にも「発達障害当事者会フォーラム2018」として大阪で開催する予定とのことです。金子さんのインタビューから見えてきたのは、当事者活動を続けることの大切さと、当事者活動としてどう外の社会と関わっていくかという問題意識でした。ずっと自分はちょっと変な子だと思っていたUpload By 発達ナビ編集部―金子さんがご自身の発達障害について知ったのは、どういったきっかけだったのでしょうか。金子さん: 子供のころからずっと、自分はちょっと変な子だとは思っていました。しかし本格的に自分のADHDを知るきっかけとなったのは、子育てに悩み、本屋で調べ物をしていたときですね。子どもが2才の時にプレイグループに参加させたんですけど、どうにもよその子と何かが違ったんです。なかなかうまく他の子どもと交わることが出来ず、自分のやり方で自分なりの遊びをつくるのを好む傾向があって。プレイグループには、参加している子供の他にその子たちの弟や妹にあたる赤ちゃんも何人かが場にいたのですが、赤ちゃんの泣き声を極端に嫌がるそぶりも見せました。うちの子はよその子となにか違うのかしら?という答えが知りたかったんですが、当時はインターネットも普及していなかったので、しょっちゅう本屋に入り浸っては答えを探し求めていました。その時に出会ったのが『のび太・ジャイアン症候群』という本です。落ち着きがない・忘れ物が多い・後先を考えずに行動する・いじめられる…この本を読んで、子どものことはひとまずそっちのけで「これは私だ!」って叫びそうになりましたね。その場で立ちつくし、購入して帰り、何度も何度も読みました。それまでも自分自身に対する違和感はずっと持っていたんですが、こんな変わった人は自分だけじゃない、特性というものなんだと知り、この本にとても励まされたんです。よその子とは何かが違うと感じていた子どもに関しては、その後、2004年ごろですかね…テレビ番組がきっかけで、アスペルガー症候群だということに気付きました。自分が発達障害だと気づいてから起こした私の行動Upload By 発達ナビ編集部―ご自身の発達障害特性に気付いた金子さんですが、当事者としてNeccoの活動をはじめるきっかけは何だったのでしょうか。金子さん: 最初は活動というまでのものではなかったんです。SNSが普及した頃に、そのSNSの発達障害コミュニティのメンバーでリアルでも会ってみようということになり、定期的にオフ会をするようになったのがはじまりです。そうやって集まるようになっていた中で結束が強くなったのは、リタリンの処方が制限されるようになったのがきっかけです。(編集部注:現在リタリンはナルコレプシーにのみ適応)メンバーの中にはリタリンなしではADHDの症状がしんどい人もいて、これはなんとか訴えないと!ということで、厚労省の会議に傍聴に行ったり、ネット上で活動を行ったりしました。結局私たちの訴えは聞き届けてはもらえなかったのですが、この活動がきっかけで2つの願いが強まりました。ひとつは、いつでも私たち発達障害の当事者が集まれる場所がほしいということ。当時は私の家のリビングに集まってミーティングをしていましたので。そしてもうひとつは、自分たちが集まる居場所を得るだけではなく、社会に対して働きかけを行い、当事者発信で発達障害を広く知ってもらうことです。リタリンの処方うんぬん以前に、当時の発達障害の認知度の低さを思い知らされましたね。私自身、自分の発達障害を知ることが出来てよかったと思っているんです。だから今度は私が、まだ自身の発達障害に気付かずひとりで悩んでいる人の気付くきっかけになったり、居場所になれたらいいなと思って、啓発や居場所づくりの活動を続けています。また、最近でこそ「発達障害」という名前だけは知られてきましたが、「それでは発達障害とはいったい何なのか」という本質的なことは、まだほとんどの人に理解されていないのではないでしょうか。発達障害の啓発活動の動機として、生きづらさを抱えながらも自分が発達障害だと気付かずに生きている方本人に、自分自身のことを気付いてもらいたいというのもありますが、本人だけじゃなくてもっと多くの人にも発達障害についてちゃんと知ってもらいたいと思っています。というのも、発達障害に対する無理解によって苦しんでいる当事者の人がたくさんいることを知っているからです。この人たちはこういう人たちなんだよっていうことを、目に見えないのでむつかしいとは思うのですが、発達障害じゃない人たちにも分かってもらいたい。学校の先生、役所の方、会社の上司…出来ないことは出来ないんだと分かってもらえないと、当事者の方はつらいばっかりです。わざとやらない、怠けたくて障害のせいにしている、そういう風にとられてしまいがちなんですが、本当にそんなことないんですよ。むしろ精一杯努力している真面目な方が多いと思います。必要としてくれている人がいる限り、続けていきたいと思ってるUpload By 発達ナビ編集部―Neccoを続けてきた中で、印象に残っていること、大変だったことはありますか。金子さん: もう、大変なことだらけです(笑)まずNeccoをはじめるにあたり、場所探しから大変でしたね。「借りた場所を発達障害の人の居場所にしますので物件を貸してください」と言って、理解してくれた上で快く貸して頂ける場所を探すのに1年ぐらいかかりました。現在Neccoの運営母体は一般社団法人としており、非営利で運営しています。カフェの店員はボランティアで、費用の持ち出しも発生しています。とはいえNeccoを必要としてくれている人がいる限り、なんとかして運営を続けていきたいと思っています。「Neccoという居場所があるから今、学校や会社に頑張って行けている」、そういう方がたくさんNeccoにいらしているんです。なかには毎週末、長野から夜行バスでNeccoに来ている方もいます。月から金までなんとかお仕事を頑張り、金曜の夜の夜行バスで東京に来て、日曜の夜の夜行バスで長野に帰っていくんですね。また以前は40才前後のいわゆる団塊ジュニアといわれる世代の方が多かったのですが、最近は高校生や大学生といった若い方も増えてきました。当事者としてどう社会と関わりを持つかUpload By 発達ナビ編集部―今後、Neccoの将来の展望はありますか。金子さん: Neccoに関していえば、"来たかったらいつでもここに来ていいんだよ"という居場所がある状態をこれからも維持していくだけだと思っています。発達障害の人は、かつての私がそうであったように、いろんな場所で苦労している方が多いと思います。そういった人たちの誰もが気軽に来れるような居場所を準備しておきたい。欲を言えばここだけじゃなくて、もっと日本中のいろいろなところにたくさんNeccoのような居場所ができたらいいなとは思いますね。また最近力を入れていたのは、大人の発達障害当事者会に関する調査報告書の作成ですね。これは厚生労働省から依頼を受けた調査事業で、私は事業責任者をしていました。長年Neccoに関わってきて、自分たちで自分たちの居場所をつくることももちろん大切だと思っていますが、当事者たちだけでやっていくのはなにかと限界があります。というのも、当事者の生きづらさは、自分の努力や行動で解消出来る部分もありますが、当事者の周りにいる発達障害ではない人や社会の理解、配慮や助けがとても重要です。また先ほどお話したように、私は私自身が発達障害だと分かったことですごく人生が楽になった経験から、まだ自分の特性に気付かず生きづらさを感じている人に発達障害というものを知ってもらいたい。ですから発達障害の啓蒙のため、まず私が出来ることとして、当事者や当事者会の情報を取りまとめ、私たちの生きる困難さや活動を社会に向けて発信し、知ってもらう必要があると考え行動しています。長年発達障害の当事者活動に関わってきましたが、課題はまだまだ山積みです。当事者同士の活動に関して言えば、とにかくいろんな特性を持った方が集まるので、運営のむつかしさがあります。こだわりの強い特性の人同士の意見が対立して分裂してしまったり、正直当事者同士での連携のむつかしさは感じています。なんとか意見をまとめてルールをつくってみると、今度は逆にそのルールを文字通りにとらえてしまって、ルールからちょっとずれる人がいるとこだわりから許せない人がいたり。たとえばNeccoでいうと、かつてはフリースペースのクローズ時間は22時だったのですが、スタッフが大変だということで21時に変更したんですね。たまに場が盛り上がってクローズが21時を過ぎてしまうことがあったのですが、そのことに対して「ずるい」と腹を立てる方がいたこともありました。同じ発達障害の当事者同士とはいえ、特性は本当に人によってさまざまなので、いろんな国の外国人同士が集まっていっしょに何かやろうとしているような困難さを感じています。当事者活動をどうしたらいいか、ずっとそればかり考えています。しんどいと思うことも多々あります。だけど続けている、それは、私は子供の頃からずっと自分のことをダメな人間で、人の役に立つことが出来る人間ではないと思っていたんですね。そんな私が今、活動を通して、目の前の人の支えになったり、社会に働きかけを行ったり出来ている。そのことが生きがいであり、生きるよろこびだからかもしれません。見えない障害とどう向き合うか「私は私が発達障害だと気付けて心から良かったと思っています」これは取材中に金子さんが繰り返しおっしゃっていた言葉です。この記事を掲載している発達ナビのユーザーさんからは、病院へ行き診断を受けることへの心理的抵抗感や、障害受容のむつかしさなど、日々さまざまなお悩みが寄せられています。自分や自分の子どもの生きづらさ・育てにくさをどうとらえるかについて、それぞれに多様な悩みを抱えられているのだと思います。「見えない障害」であり、また「ここからこっち側は障害です」と線を引くように切り分けることは難しいからこそ、その悩みは尽きないのかもしれません。いろんな考え方があって当然で、答えはないのかもしれません。金子さんの場合、彼女は子どもの頃からずっと「自分はちょっと変な子だ」「自分は努力不足でダメだ」と思い悩んでいたそうですが、一冊の本との出会いをきっかけとして発達障害を知ったことで、自分は努力不足でもなく、親の育て方のせいでもなかったということが分かり人生が前向きに進んだと語っています。今、人知れずしんどい思いをしている人、一人でつらい思いを抱えている方が、もしこの記事を読んでくださっていたら、こういった考えや経験をもとに活動をしている人がいることや、その人がつくった居場所があることを、選択肢のひとつとして心の片隅にとどめておいていただけるとうれしいです。大人(成人)の発達障害当事者のためのピアサポート Necco(ネッコ)
2017年12月01日こんにちは。ママライターのマエジマシホです。これまで2回にわたって、声優の金田朋子さん、元モーニング娘。の後藤真希さんの子育てについて見てきました。金田朋子さんはご自身が一家の大黒柱としての役割を果たしながらの子育てをされておられました。後藤真希さんは、SNSを芸能活動のメインにしながら年子の子育てをされておられました。続いて今回は、タレントの小倉優子さんです。小倉優子さんは2017年3月に離婚されてシングルマザーになりましたね。小倉優子さんも年子ではないものの、後藤真希さんと同様、二人のお子さんのママさんです。小倉優子さんの子育てには、私たちが参考にできるところはあるのでしょうか。●夫の不倫が発覚小倉優子さんといえば、第二子妊娠中にご主人の不倫が発覚し離婚されたことで話題になりました。結婚当時から小倉優子さんのご主人に関しては、女性関係で良い噂は聞かれていませんでした。それでも結婚に踏み切ったのは、小倉優子さんなりの考えがあったのでしょう。もしかしたら、今後の芸能人としてのスタンスとして既にママタレントを見据えていたのかもしれません。パンが好きというご主人のために民間資格を取るなど、かいがいしく『妻』としてテレビに登場されていました。妻が妊娠している間、夫は夫婦生活を我慢する必要があるなどストレスを感じることが多いものです。しかし、それが不倫をしていい理由にはなりません。その夫の不貞行為を、小倉優子さんが公の場で糾弾することはほとんどありませんでした。少し穿った見方をすれば、『不倫されたシングルマザー』として今後芸能活動していくことを見越していたのかもしれませんね。子どもを守るためなら、母はしたたかに なるのです。●逆境をセルフプロデュース離婚後もお子さん二人の子育てをするシングルマザーとして立派にお仕事をされています。以前テレビでご自身の状況を『離婚バブル』と自虐されていましたが、プライベートもお仕事になり得る芸能人の方ならでは の乗り切り方だな、と感心したものです。以前は『こりん星から来た』などと不思議キャラでしたが、すっかりママタレントとしての地位を確立しています。仕事の中で当然ながら子育てに触れることもたくさんあり、日々の丁寧な食事づくりやお弁当作りは参考にしたいと思わずにはいられませんでした。離婚したことを嘆いたこともあったでしょうが、それをバネに仕事の幅を広げ強く生きる女性として、支持されています ね。自分の置かれた状況や立場を理解し、どのように打開していくかというお手本を小倉優子さんに見せてもらった気がします。----------小倉優子さんがお仕事の間、お子さんは幼稚園や保育園に行っているようです。ブログをみているとお子さんの幼稚園や保育園の送迎をしている様子が垣間見えます。お一人で仕事をし、送迎をし、あれだけ美しい食事を用意しているとしたら、まさにシングルマザーの鑑ですね。柔和なイメージとは全く逆 です。ある程度経済的にも余裕があると思われることから、家事のすべてを自分でやっているわけではないかもしれません。小倉優子さんのブログを真に受けた第三者に『子どもが二人いるシングルマザーでもここまでやれるのだから、あなたも…!』などと言われるのはちょっと筋が違いますよね。小倉優子さんについては子育てよりも、女性、あるいは母としての強さのお手本を見せてもらっていると言えるのではないでしょうか。【参考リンク】・小倉優子オフィシャルブログ「Yuko’s Happy Life」(プラチナムプロダクション)Powered by Ameba●ライター/マエジマシホ●モデル/REIKO
2017年11月28日一日の子育てスケジュールの中で、一番ドタバタなお風呂&寝かしつけ。すべてを終える頃にはぐったりしているママも多いのではないでしょうか?特に生後一ヶ月からおすわりができるようになるまでの小さな赤ちゃんを、ママ一人でお風呂に入れるのは一苦労ですよね。我が家はパパの帰りが遅いため、平日はわたしがひとりでお風呂に入れています。はじめて娘とふたりきりでお風呂に入るときは、お風呂からあがった後までの流れを頭の中でシュミレーションしました。自分が洗っている間、どうやって待っていてもらう?・ベッドで寝かしつけておく。・脱衣所にスウィングを置いて、その上で待っていてもらう。いろいろと試行錯誤の結果、今は上記の方法が定着しています。スウィングで待たせる際は、落下防止のため必ずベルトをつけるようにしています。娘は、このスウィングが大のお気に入り。シャワーの音が心地よいのか眠ってしまうことも…。お風呂あがりから寝かしつけまでの流れお風呂からあがっても、大忙し。これからの季節は、いかに赤ちゃんをあたたかいまま服を着せるか、が勝負。もちろん、ママも冷えないようにしないとですね。・娘をタオルでくるみ軽く拭き、おむつをあてておく。スウィングに乗せる。↓・自分は脱衣所に用意しておいたバスローブを羽織る。↓・抱っこして寝室へ移動。↓・娘の体を拭く。髪の毛が多いので冷えないようタオルドライする。↓・ベビーマッサージ。↓・用意しておいたパジャマを着せる。↓・授乳・寝かしつけワンオペお風呂、工夫していることは?わたしがお風呂あがりに工夫しているのは主に4つ。①ママはひとまずバスローブで湯冷め対策お風呂あがり、自分の体をゆっくり拭く時間がないのでバスローブを羽織っています。自分も湯冷めすることなくゆっくりと子供の体を拭いてあげることができるのでとっても便利。今治産のバスローブを着用しているので吸水力があり、表面はガーゼ生地なので皮膚の薄い赤ちゃんの素肌に触れても安心です!②子供の着替えは、ベッドに用意!子供の着替えのパジャマは、あらかじめ用意しておくこと。肌着とパジャマは重ねて、着せやすいように開いた状態で置いています。ベビーマッサージをした後冷えないようにサッと着せることができます。③親子スキンシップ! 毎日ベビーマッサージママが赤ちゃんに直接触れてスキンシップをとることで、赤ちゃんのリラックス効果が高まり深い安眠へと繋がるようです。実際、ベビーマッサージを始めてから娘もたくさん寝てくれるようになりました。マッサージ中の気持ちよさそうなうっとりとした表情がとてもかわいくて癒されます♡お風呂あがりのバタバタ中でもベビーマッサージの時間を設けることで、わたし自身、心にゆとりがもてるようになったと思います。④寝かしつけは、入眠しやすい灯で授乳・寝かしつけ時は寝室の電気を消して扉を開けた状態にし、廊下の明かりのみで過ごすようにしています。部屋が明るい状態だと刺激を与えてしまう可能性があるので、入眠しやすいようにお風呂からあがった後はなるべく部屋を薄暗くしています。しっかりと準備してから、リラックスしてバスタイム♪入浴後はあまり興奮させず、毎日同じ行動になるよう習慣づけることが大事なので、お風呂あがりから眠るまでの間の順番は、習慣化するようにしています。そうすることで娘もスムーズに就寝できるようになりました。月齢によって入浴後の過ごし方は変わってくると思うので、これからも親子でリラックスしながらたのしく過ごせるよう試行錯誤していきたいと思います♡
2017年11月27日「パテックス機能性サポーターハイグレードモデル 腰用 女性用」(愛称「パテサポ」)を販売する第一三共ヘルスケア株式会社は、子育てママを応援するオリジナルソングムービー「キミの重さは愛の重さ」を公開。動画には一般のママと子どもたちが登場し、応援ソング「愛は重い」に合わせて、多彩な表情を見せてくれる。Webムービー「キミの重さは愛の重さ」「子どもと目線を合わせて中腰になる」、「抱っこ紐を長時間使う」、「大きな荷物と子どもを抱えて走る」など...、毎日の子育てはまさに体力勝負。けれども、忙しくてマッサージに行く時間なんて取れない...。今回の動画は、そんなママ自身のカラダのケアを考えるきっかけになればとの思いで制作されたもの。動画のために作成された楽曲「愛は重い」は、シンガーソングライター・まつきあゆむさんの作品。リラックスした歌声に乗せて、「愛は時に面倒で 愛は極度のワガママだ 愛は日ごとに大きくなり 愛は日に日に腰にくる」など、「子どもの重さ」が「親子の愛の軌跡」であることを、実際にママからの声を集めて、ユーモラスながらやさしい目線で表現。抱っこをせがむ可愛らしい子どもたちの姿と、送り迎えしたり、家事をしたりしながら抱きかかえるママたちのシーンを挟みながら、腰への負担に負けず、愛情いっぱいに子どもたちを包み込むママの様子を描いている。「腰痛」はママたちが最もつらい体の不調No.1第一三共ヘルスケア株式会社では、2016年に日本全国のママを対象に「産後ケア」をテーマとした調査を実施。その結果、多くのママが出産前には感じていなかった「産後の体の不調」(複数回答)は、1位が「腰痛」(30%)、2位が「骨盤周りのトラブル」(29%)、3位が「肩こり・首の痛み」(28%)となり、「腰痛」を感じているママが最も多いことが分かった。第一三共ヘルスケアとワコールの共同開発により生まれた「パテックス機能性サポーターハイグレードモデル 腰用 女性用」は、立体3D構造や、4本のしなやかな樹脂ボーンなどにより、ママの腰をしっかり支えてくれる。つらいけどうれしい、そんな子どもの「愛の重さ」に困った時は、「パテサポ」の力を借りてみてはいかがだろうか。【参考】※Webムービー「キミの重さは愛の重さ」※パテサポブランドサイトURL
2017年11月27日発達が気になる子どもの偏食、困っていませんか?出典 : 発達が気になる子どもの中には、食べられるものが極端に少ない「偏食」がある子が少なくありません。発達障害の特性の中には、感覚の過敏や鈍麻、こだわりの強さというものがあり、そういった特性によって偏食になりやすい傾向があるといわれているのです。発達ナビの記事の中にも、子どもの偏食に関するものがたくさんあります。また、子どもの偏食についてのアンケートには、さまざまな体験談や克服法などが寄せられました。子どもの偏食、どう工夫してる?どう考える?みんなのアイデアや体験談を教えて!|LITALICO発達ナビどんなことに悩んでいる?偏食の子をもつ保護者の気持ちとは…出典 : 発達ナビのコラムとアンケートに寄せられた保護者のさまざまなお悩み。その中でも、特に多くあげられたものを紹介します。同じようなことに向き合い、悩んでいるユーザーがきっといるはずです。3歳の息子は炭水化物を好み多い時なら一食に1.5合食べます…笑他はたまに卵焼き、しらす、ソーセージ、練り物、唐揚げ、フライドポテトくらいで野菜なんて一切手をつけません(꒦ິ⌑꒦ີ)発達ナビライターのkaoruさんの息子さんは、かなり食べられるものが少なく苦労されたそうです。”食べられるものは、米、蕎麦、根菜、かぼちゃ、青魚、卵、納豆や豆腐などの大豆の加工品……以上です。どんなに工夫して調理してもそれ以外のものは食べません。さらに、環境が変わると普段食べているものも食べられなくなるし、調理法が変わっても食べられません。学校給食では牛乳しか飲まない。実家を含め、よそのお宅でご飯が食べられない。外食は蕎麦屋しか行けない。しかも生蕎麦で茹でたてでないと食べません。空腹に耐えられなくなると、食事を採る努力はせずに角砂糖をなめてカロリーを補給する。”無理をすると吐いてしまうというアンケートの声もありました。味覚過敏や嗅覚過敏もあり、小さい頃から炭水化物は好きですが、野菜と魚は食べてくれません。診断前は、子供の偏食を直すのは母親の役目!と思い、必死に躾たり、工夫したりしましたが、少しでも無理に食べさせると、家でも外でも本格的に食べた物をすべて嘔吐してしまうので‥いつしか諦めました。出典 : 全く受けつけない食べ物も多いですが、食べれる物にも細かなマイルールがあります。ミニトマトは食べるのにトマトはダメ。サニーレタスは食べるのにレタスはダメ。揚げたポテトは食べるのに茹でたポテトはダメ。発達ナビライターのニャンタさんのコラムでも、こんな困りごとが…”息子は1才頃には食べる物が決まってました。からあげ、うどん、フライドポテト、ブロッコリー。フライドポテトは画像のようにケチャップなんてつけられたら食べません。キレます。…ブロッコリーも同様。”小1息子も炭水化物ばかり食べ、タンパク質は嫌がります。でも、タンパク質、ビタミンミネラルが特に必要なんですってね。お腹を空いた時にお菓子やおにぎり、パンを食べると余計に食事を食べないので、食事(特にタンパク質)をすぐ出せるように、早めに支度をするように努力しています。我が家の小2次男も偏食です。小さいころはフライドポテトとフランスパン、飲むヨーグルトしか食べず義母に躾が出来てないと責められてとてもつらかったですかわいくデコレーションしたり、すりつぶすなどいろいろしましたが全くダメでした。中二の男の子を持つ母親です。息子は小さい頃から主食は麺でした。野菜、魚などのおかず類も、お米も食べられません。保育園の先生に理解してもらえず、責められた気がしたことも。発達障害がある子どもに、偏食が多い原因とは?出典 : 発達障害がある人の中には、感覚(五感と呼ばれる視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚)のはたらきに過度に偏りがみられる人がいます。このような感覚の偏りは、特定の感覚・刺激を過剰に受け取ってしまう「感覚過敏」と、逆に、感覚・刺激に対する反応がにぶくなる「感覚鈍麻」に分けられます。感覚過敏の症状の中には、味覚に偏りがあり、特定の味に過剰に刺激を感じてしまう「味覚過敏」や、特定のにおいを過剰に受け取ってしまう「嗅覚過敏」というものがあります。この感覚過敏と発達障害には密接な関係があり、特に自閉症スペクトラム障害(ASD)の人に多い特性であるといわれています。感覚過敏がある人は、味やにおいの刺激が過剰に感じられるため、特定の食べ物に拒否反応を示してしまう場合があります。食べたくてもどうしても食べられず、偏食につながるのです。発達障害の特性のひとつである、強いこだわりも、偏食の要因になっています。こだわりの例としては、毎食同じ食べ物ばかり食べ続けたり、同じ食品の中でもある特定のメーカーのものしか食べなかったりするというものがあげられます。また、初めてある食品を食べたときに味覚や食感が合わないといった違和感を感じると、強い嫌悪感を抱いてしまい、その後一切、その食品を口にしなくなることがあります。このようなこだわりが、偏食を固定化し、特定の食べ物だけしか食べないという行動をとらせてしまうのです。こうした発達障害の人特有の感じ方は生まれつきのもので、本人の努力だけでどうにかなる問題ではありません。それにもかかわらず、周囲の人からはなかなか理解されず、わがままや、親のしつけの問題にされ、本人やその家族が追い詰められてしまうことがあります。参考:偏食・味やにおいに敏感|NHK発達障害プロジェクト一人ひとりの偏食の原因や傾向を知り、適切な対処を出典 : 偏食の原因は、人それぞれです。子どもの偏食の原因には、根底に感覚過敏や強いこだわりがあることが考えられます。ですが、同じように感覚過敏があるように見えてもどの味や食感が苦手で、どのような味つけや調理法なら大丈夫なのかなどは、一人ひとりちがいます。そのため、子ども一人ひとりに合わせた偏食の原因や傾向を知ることが、適切な対処をするための第一歩となります。子どもの偏食の原因や傾向を探り、どうしたら食べられるようになるのか考えることが大切です。ここでは、その体験談を、原因別に紹介していきます。うちの子はご飯とお肉が苦手です。お米やお肉が口の中でポロポロするのが嫌みたいです。ケーキやクッキーなど口でとろける甘いものも苦手です。好きなのはパリパリとした味海苔やおせんべいや煮干し。。味というより食感の問題らしいので、お肉も薄くして衣をつけてパリパリにしてみたり、ご飯も海苔巻きにしたり焼きおにぎりにしたりしています。発達ナビライターのSONOさんのお子さんは、2人そろって偏食の兄妹でしたが、苦手な感覚は違っていたようです。肉と牛乳嫌いの息子さんには、「見た目」や「食感」の苦手感がありました。一方、娘さんはそれに加えて、どうも柔らかいものと「におい」に敏感な様子でした。魚は売り場も歩けず、調理後も近くには置けないほどだったそうです。そこで、息子さんには、例えば肉団子をネギトロ用マグロで作る、鶏の唐揚げをカジキマグロで代用する等、食べられる物をアレンジした料理を試してみたところ、食べられるものが広がったのです。さらに、「食べられるものを食べましょう」という方針で、夕食の形式を変えたところ、ふたりに良い変化が・・・!詳しくは関連記事をご覧ください。出典 : 発達ナビライターSAKURAさんのお子さんは、3歳ごろから偏食が激しくなり、せっかく作ったものも「いやー!」と突っぱねられることもしばしばでした。ですが、よくよく食事を観察してみると、いろいろな食材が混ざったおかずは食べませんでしたが、野菜や肉、果物…単体では嫌がらずに食べているというこだわりが見えてきたのです。そこで、ある方法をとったところ、娘さんは生野菜をペロリと完食!その方法とは・・・?発達障害が気になるモンズースーさんの息子さんは、1歳ごろからだんだんと偏食に。食べられるものが炭水化物と乳製品のみとなってしまったため、食卓はいつも真っ白でした。その上、言葉が喋れるようになってからは、「赤や黄色はすっぱいから嫌。赤は辛いから嫌。緑は苦いから嫌。」と食べずに言う時もよくあったため、モンズースーさんは”色が重要なのでは”と考えたそうです。そこで、「色が重要なら食べない色でおいしい物を食べれば食べられる色が増えるかもしれない!」と考え、”実験”をしてみたのです。その結果とは・・・?モンズースーさんの次男は、乳児期ミルクをまったく飲まない子でした。「長男はこんなに嫌がらなかったのに…なんでだろう?」と疑問に思い、調べてみたら乳製品のアレルギーがあることがわかったのです。食べたくないものには「好き嫌い」だけではなく、口の中の症状や、微妙な体調の変化を引き起こす、アレルギー等の他の原因が関係する場合もあります。自分の気持ちを上手に伝えられない子どもは特に、目に見えない体調の変化には親でも気づきにくいため、偏食の行動の中にはアレルギーの可能性も隠れていると思って、注意する必要がありますね。子どもの偏食に思い悩みすぎないで!それより、失ってはいけないものがあるはず…出典 : モンズースーさんのコラムでも紹介されているように、親に食への好き嫌いがない場合などでは、子どもの気持ちが分からず、「わがまま」と考えてしまいがちです。しかし、まずは、発達障害の特性による「偏食」について知ることで、食べられず困っている子どもの気持ちに寄り添うことができます。”発達障害のある子の行動には、一見すると「わがまま」「困った子」などと捉えられてしまう場合があります。でもその「周囲と違う行動」には理由がある場合が多いのです。例えば、「好き嫌いなく食べるのが良いこと」と考えられている現代ですが、発達障害の方はその特性ゆえに食べられるものが極端に少ない場合もあります。それは定型発達の人より感覚が過敏で「臭覚」「味覚」「触覚」などの刺激が強く感じられるため…というのも原因の一つのようです。””私は好き嫌いのない子どもだったので長男の気持ちが分からず、はじめは周囲と同じく「わがまま」と考えていましたが、発達障害の特性による「偏食」を知って長男が食べられず困っていたことに気づきました。もしその行動の裏側にある理由に気付けないままだったら、「光とともに…」で描かれている先生のように理解できず悪循環になってしまうのかもしれません。本人から「これが苦手」と話してくれると分かりやすいですが、それを他の人に伝えるのが苦手な子が多いのです。”かつては、「健康に影響が出るのではないか?」「このままだと一生食べられないのではないか?」というふたつの不安から、子どもの偏食が大きな悩みだったという発達ナビライターのkaoruさん。”だから私は一生懸命工夫して、なんとか食べさせようと躍起になりますが、結果が全く伴わなかったためイライラを増幅させて、息子にとっても食事をさらに辛いものにしてしまったのだと思います。息子には食べられないと分かっていても、食べられない食材を使い、食べられないものを作り、食べてくれないとイライラする。「食べなさい」「イヤだ」の押し問答の挙句、私はひとつも手をつけない息子の食事を取り上げて、シンクにバーンと捨てて、自己嫌悪するなんてこともありました。”「子どもの健康に影響が出ていないのなら、偏食は気にしなくていい。無理強いしないで食べられるものを作ってあげなさい。無理強いしなければそのうち食べられるようになる。」というスタンスの本に出会ってからは、息子さんの偏食を治そうと躍起になって無理強いするようなことはやめ、食べられる食材で食べられるメニューをつくるようになったそうです。そのおかげか、今では息子さんの偏食は、食事に苦労しない程度には徐々に改善していきました。そして、「発達障害児は味覚の発達もゆっくりなのかもしれない」ということに気づいたそうです。出典 : 食べられるものが少ないと、きちんと栄養が取れているのか、健康には影響がないのかと心配になってしまうのが親心。今の日本では、バランス良い食生活を送らなければならないという考え方が、保護者の方の心の重荷になりすぎているのかもしれません。モンズースーさんの気持ちを楽にした、モンゴル人留学生とのエピソードとも、参考にしてみてください。ぽんぽんさんのお子さんは、野菜が嫌いです。ぽんぽんさんは、健康への影響を考え、また近い将来食べることになる学校給食で苦労しないようにと、とにかく「野菜を野菜だと分からせて食べさせること」に非常にこだわっていました。好き嫌いは親の責任!と思っていたこともあり、とにかく一口だけでもいいから食べさせようと、色々なやり方を試して必死に頑張っていたのですが、全くダメ。イライラして怒ってしまうこともありました。しかし、お子さんの様子を見るなかで、野菜を嫌がるのは、自分とは違った感覚特性を持っているからではないかと考えます。”あまりにも食べてくれず、私が作る野菜が入った食事を頑なに拒否。食べさせようとすると酷い癇癪を起こし大泣きする様子や、気付かないように口に入れても吐き出す様子に、「もしかして、特性による感覚の違いで、食べれないものがあるのかな」と思うようになりました。その頃はちょうど、食事以外のことでも発達が気になっていた時期でもありました。発達障害について調べ物をする日々の中、子どもの食事の好き嫌いに特性が関係している可能性も知りました。私たちが美味しいと思っているものも、長男にとっては「口の中に砂を入れられている」ような感覚なのかもしれない…。無理矢理食べさせようとするのは長男にとってものすごいストレスになっているはず…食べなかったら諦めて少し様子を見よう。食べる気になるまで待ってみよう。”こうしてぽんぽんさんは、食事の好き嫌いに発達障害の特性が関係している可能性があることを知り、少しずつ柔軟に考えられるように気持ちが変化していったのです。無自覚だったそれまでの自分の思いに気づくことができ、育児を楽しめたらと思うように変わりました。このような気持ちの変化については、関連記事に詳しく書かれています。出典 : 林さんのお子さんは、食へのこだわりや恐怖心だけでなく、味覚過敏もあったため、「混ぜ込んで食べさせる」ということも通用しませんでした。苦手な食材の、ほんの少しのかけらが舌に当たった瞬間に、嘔気を催してしまうのです。お子さんが幼稚園の頃のお弁当は、食べられる食品の種類は両手で数えられる程度に限られるため、当然、毎日同じ食品のオンパレードのお弁当を作るしかありませんでした。林さんは、毎朝毎朝、同じような食材を詰めるだけのお弁当作りが苦痛で、「食育」という言葉を聞くたびに責められているような気持ちになっていました。お子さんが小学校に入ると、お子さんは、給食のことでがっくりとして帰ってきました。何が出るのか分からない、どんな味か分からないものが毎日提供される給食に、一口でも手をつけようと頑張ってみはするものの、どうしても固まってしまうのです。あるとき、1日だけお弁当の日がありました。息子さんの好きなものだけてんこ盛りのスペシャル弁当を、久しぶりに作って持たせると、お子さんは目をキラキラ輝かせて帰ってきたのです。”「お母さんのお弁当には、僕の嫌いなものは絶対入ってないんだ。幼稚園の頃はいつも、安心しきってお弁当箱を開くのが当たり前だと思ってたんだ。給食みたいに、出てくるときに怖い気持ちにならなかったんだ。お母さんのお弁当は、安心できたんだ。」この言葉を聞いて、かつて幼稚園の先生が「息子くんの好きなものだけを入れてください。それは信頼関係なんです」とおっしゃってくださった意味が分かり、私は幼稚園時代が懐かしくて、涙が出てきてしまいました。初めてのものが怖い息子にとって、いつも安心して弁当箱の蓋を開くことのできた3年間は、宝物のような時間だったのです。そして、その安心感を親が与えずに、誰が与えられるでしょうか。「食育」とは、栄養をバランスよく与えることではなく、「食べる」ということを楽しいことだと感じられるようになる教育だと私は思っています。そう考えれば、偏食の多い発達障害児が、安心感を持って食事をできるようにすることも、立派な「食育」ではないかと私は思います。”偏食克服の第一歩!食べられるようになるために試してみたい、”3つの工夫”とは?出典 : 無理やり食べさせるのは、食事に対する恐怖感や苦手意識を増幅させてしまい、逆効果となる可能性があります。そうはいっても、保護者の方としては食べられるものを増やして、バランスよく栄養をとり、食事の楽しさを教えてあげたいと思うこともあると思います。そこで、調理・配膳の工夫や、子どもが自主的に食べてくれるような動機づけなど、まず試してみたい3つの工夫を紹介します。調理時に、食感・味つけ・大きさなどを子どもに合わせてカスタマイズ。苦手な食材を無理に食べさせようとせず、似たような他の食材で代用する、おろしたりこまかく刻んだりして好きな食品や料理に混ぜる、調味料を変える、においを変える、目新しい形に切る、などの調理の工夫をしてみましょう。・なめらかな食感にする・細かく刻むニャンタさんがした工夫をご紹介します。”「栄養を取らせられないストレス」、ありますよね。そんなストレスがたまると作った物をご紹介します。○「みじん切りにした野菜をクタクタになるまで煮込んだスープを、さらにミキサーにかけて牛乳とまぜたスープ」スープはとにかく裏ごし必須でした。食感にもうるさく敏感な息子は、裏ごししてなめらかにすると飲みました。○「手作りふりかけ」ふりかけは、かつおぶし、ごま、小エビ、天かす、青のり、塩、などの細かい乾物たちを入れて炒る。ミネラルを取れたっぽくして自分の心を満足させていました。市販のものよりも塩分も控えられた気がしました。”・その子に合わせた大きさや味つけにするモンズースーさんは、失敗の経験から、長男が食べられるも工夫を見つけていきました。”「ハンバーグは焼くより煮込んだ方が食べるよ、大きさも子どもが一口で食べられるサイズにしたら食べてた」「カレーは幼児用から普通用に切り替える時期、迷うママが多いけど、うちはどの子も幼児用カレーを食べなかったから、最初から普通のカレーの甘口使ってる。これなら食べてくれたよ」偏食のある長男にはよく噛んで食べて欲しかったので、やわらかすぎる物や細かく刻んだものばかりでなく、色々な食べ物を出していました。でも、それでは食べられなかったようです。また、塩分や、大人向けの調味料も子どもにはどこまで使っていいのか悩みます。早い時期には悪影響なのでは…と思い、良かれと思って薄味にしていたのですが、それでは長男はもう満足できなかったようでした。”同じお皿に盛っておくことで、少しだけでも食べてみようかな?という気持ちになる子どももいれば、ホテルのビュッフェのようにたくさんのおかずの中から選ぶことで食べる気持ちになる子どももいます。出典 : ・ワンプレートに1人分を取り分けておく野菜をあまり食べない息子。我が家は、息子にはワンプレートで出しています。ワンプレートのメインは大好きなおかず、その横に少しでも野菜のおかずを置くと、食べてくれる時があります。別のお皿にするとあまり食べません。年々食べられる物が増えてきて嬉しいです・バイキング形式で、食べられるものだけ選んで食べてもらう”人数が増えたこと、偏食の違いが大きいことから、夕食はバイキング形式にすることにしました。肉料理があり、魚料理があり、野菜があり…。義母もおかずを一品作ってくれることもあり、和洋中華、そしてわたしの好きな沖縄料理やエスニック料理と、豪華ではないけれども華やかな食卓となりました。「食べられるものを食べましょう」すべての料理に箸をつけることを強要せず目の前に気になる料理があれば試せる状態が、子どもたちには良かったようです。バイキング形式の食事を通して、息子は食べられる肉料理の種類が増えてきました。娘も、蒲焼きにすればサンマを食べられるようになり、茹でた野菜なら白あえや胡麻和えも好きになりました。”SONOさんのアイデアは好きなものを食べるだけ取るバイキング方式にすること。これなら子どももあれこれ選ぶことができて、イベントとしても楽しめそうですね!偏食があると、どうしても食事の時間が長くなりがち。Green Daysさんのお子さんも、偏食が激しく、初めて見る料理には箸をつけないため、トースト1枚の朝食に40分、わずかな夕食を食べきるのに1時間半ほどかかってしまい、家族のイライラは募る一方だったそうです。そんなお子さんが食事を早く済ませられるようになり、食卓を楽しい雰囲気へと変えたのが「パワーカード」でした。まとめ出典 : 子どもの偏食に悩んでいる保護者のみなさんは、子どもの成長のためには、必要な栄養もあり、親としてはバランスよくたくさん食べてほしいと思うのは自然なことですよね。また、偏食は、従来は周囲から「好き嫌い」の問題で、わがままだと思われてきました。そのため、お子さんの偏食を必死に治そうとされてきた方も多いかもしれません。しかし、偏食は発達障害の特性によるものであることも多く、無理やり直そうとすると、食事すること自体が嫌いになってしまう場合もあります。子どもの特性にあった工夫をすること、無理強いせず気長に見守ることで、食への安心感や子どもと保護者の信頼関係を育むことにつながります。まずは家族みなさんで食事を楽しむことが大切です。その上で、今までご紹介したさまざまな方法などを参考にしながら子どもの気持ちに寄りそう工夫を、ぜひ試してみてください。
2017年11月24日