群馬県の北西部に位置する人口約1万5,000人の中之条町。この小さな町で行われている研究から生まれた歩き方が生活習慣病を予防し、健康寿命まで延ばすとして世界から注目を集め“中之条の奇跡”とまで呼ばれている。研究を主導している東京都健康長寿医療センター研究所・社会参加と地域保健研究チーム専門副部長の青柳幸利先生が解説する。「’00年から20年にわたって5,000人を超す人を対象に調査を行ってきました。その結果、1日8,000歩、うち20分間だけ早歩きをすると、さまざまな病気を予防できることがわかったのです」毎日の歩数が2,000歩未満の人に比べて、8,000歩・20分の早歩きをする人は死因の上位を占める、がんの有病率が4分の1、心疾患が12分の1、脳卒中が15分の1に。生活習慣病の糖尿病や高血圧、動脈硬化の予防もできたという。中之条研究では65歳以上の人に活動量計を身につけてもらい、1日の活動状況をモニタリングしているという。歩数だけをカウントする歩数計とは違い活動量計は、早歩きと同じ強度の運動時間や歩数を測定できるのが特徴で、中之条町では役場が無料で貸し出している。役場の保健環境課の唐澤伸子課長がその詳細を教えてくれた。「研究に参加した人には1日8,000歩、そのうち早歩きを約20分すると、さまざまな病気の予防につながることを伝え、活動量計を装着してもらっています。24時間365日の活動状況を毎月集計する際には、それまでの結果をもとにアドバイスをしたり、健康相談を受けることもあります。病気の予防や健康長寿のためには、その人の体力に応じて運動することが欠かせないのですが、『運動してください』と言うだけでは、なかなか実行していただけません。ところが活動量計をつけて毎日の歩数といった運動量がわかるようになると、多くの人が自ら動くようになり、さまざまな効果が生まれたのです」大きく変わったのは町の医療費だ。中之条町に住む70〜74歳の昨年5月の医療費は、活動量計を装着していない人と比べて、装着している人が約1万7,000円も安かった。単純計算で年間1人あたり約20万円も医療費が削減されていることになる。町民の健康診断結果からもその効果は一目瞭然。検査に引っかかった人の多くが、活動量計をつけて1年間生活することで、血圧やコレステロール値(HDL)が改善した。数々の成果を出す毎日8,000歩・20分の早歩き。研究に参加する町民も話を聞かせてくれた。「50代から高血圧で降圧剤は欠かせなくて……。毎朝、測った血圧の高さによって降圧剤を飲む量を決めているんです。でも最近は薬を飲まなかったり、半量にしたり。医師からも『血圧が安定していますね』と言われています」こう話すのは、65歳から活動量計をつけているという小山恵美子さん(71)。背筋を伸ばしながらこう続ける。「研究に参加するまでは、歩いて3〜4分のところにある友達の家にも車で行っていましたが、活動量計をつけてからは意識して歩くようにしています。ただ、運動らしい運動はしていません。友達の家や近所のコンビニに歩いていくようになったり、坂の下にあるゴミ捨て場の帰りに少し早歩きをしたりするくらいです」誰もがいつでも簡単にできる健康法。中之条町の人たちが実践する“奇跡の研究”をあなたも生活に取り入れてみてはどうだろうか。「女性自身」2020年3月17日号 掲載
2020年03月05日群馬県の北西部に位置する人口約1万5,000人の中之条町。この小さな町で行われている研究から生まれた歩き方が生活習慣病を予防し、健康寿命まで延ばすとして世界から注目を集め“中之条の奇跡”とまで呼ばれている。研究を主導している東京都健康長寿医療センター研究所・社会参加と地域保健研究チーム専門副部長の青柳幸利先生が解説する。「’00年から20年にわたって5,000人を超す人を対象に調査を行ってきました。その結果、1日8,000歩、うち20分間だけ早歩きをすると、さまざまな病気を予防できることがわかったのです」毎日の歩数が2,000歩未満の人に比べて、8,000歩・20分の早歩きをする人は死因の上位を占める、がんの有病率が4分の1、心疾患が12分の1、脳卒中が15分の1に。生活習慣病の糖尿病や高血圧、動脈硬化の予防もできたという。中之条研究では65歳以上の人に活動量計を身につけてもらい、1日の活動状況をモニタリングしているという。歩数だけをカウントする歩数計とは違い活動量計は、早歩きと同じ強度の運動時間や歩数を測定できるのが特徴で、中之条町では役場が無料で貸し出している。役場の保健環境課の唐澤伸子課長がその詳細を教えてくれた。「研究に参加した人には1日8,000歩、そのうち早歩きを約20分すると、さまざまな病気の予防につながることを伝え、活動量計を装着してもらっています。24時間365日の活動状況を毎月集計する際には、それまでの結果をもとにアドバイスをしたり、健康相談を受けることもあります。病気の予防や健康長寿のためには、その人の体力に応じて運動することが欠かせないのですが、『運動してください』と言うだけでは、なかなか実行していただけません。ところが活動量計をつけて毎日の歩数といった運動量がわかるようになると、多くの人が自ら動くようになり、さまざまな効果が生まれたのです」大きく変わったのは町の医療費だ。中之条町に住む70〜74歳の昨年5月の医療費は、活動量計を装着していない人と比べて、装着している人が約1万7,000円も安かった。単純計算で年間1人あたり約20万円も医療費が削減されていることになる。数々の成果を出す毎日8,000歩・20分の早歩き。研究に参加する町民も話を聞かせてくれた。遠田敏子さん(70)は、毎日30分のウオーキングを5年続けているという。「最初、1日8,000歩は大変だなと思いましたが、炊事や洗濯、掃除をしているだけで3,000歩ほど歩数は稼げます。あとは散歩で8,000歩に近づけようとしますが、友達と立ち話が始まって中断することもしばしば。ほかは、坂道があれば思い出したようにちょっと急いでみるくらいです。もう少し早歩きを取り入れたほうがいいかもしれません」青柳先生が補足する。「早歩きは、運動の強さでいえば中強度というレベルです。中之条研究では、この中強度の運動を1日20分間行ってもらいますが、一気にすることはありません。買い物や通勤中などに早歩きを取り入れてもらい、1日のトータルで20分になればOKなんです。また、中強度の活動は年齢により異なりますが、犬の散歩や家財道具の片付け、階段の上り下り、掃除機がけ、モップがけ、草むしりなども中強度の活動です。早歩きの代わりに、これらの活動を取り入れてもいいのです」冨澤みさ子さん(66)と済さん(67)の夫婦は、7年前から中之条研究とは別に活動量計をつけ、夕方の散歩を日課にしているという。「坂道にさしかかると、以前までは“キツそうだな”と思っていましたが、今では“ラッキー”と喜んで上っています。日中にしっかり歩くとくたびれるので、夜はぐっすり眠れます。睡眠の質がよくなりましたね」(みさ子さん)山に囲まれた中之条町には多くの坂がある。歩くと汗がにじむような坂の勾配も“無料のジム”として利用しているようだ。「活動量計をつけて運動の質を“見える化”することで自ら工夫して、歩く習慣を身につける人も増えています。たとえば、スーパーマーケットでわざわざ建物から遠くの駐車場に車を止めて歩数を稼いだり、回覧板をまわすときに歩幅を広げてお隣まで行ったり。なかには寝室を1階から2階にしたり、買い物は行きだけ歩いて、帰りは車で迎えに来てもらったりして、中強度の運動をちょこちょこ取り入れている人も。また、お天気が悪くて外に出られない日があっても、1カ月間のスパンでみて、平均の歩数や中強度の活動時間が目標に近づいていればいいので、無理なく自然に続けやすいんです」(唐澤さん)最後に青柳先生が健康と運動の関係について話してくれた。質の高い運動を1日20分ほど加えるだけで、がん細胞を殺すNK(ナチュラルキラー)細胞が活性化することもわかっています。運動に意識が向くと、食事や睡眠など健康に関わるほかの習慣にも目がいく。外出も多くなり近所の人たちとコミュニケーションが増えるなど好循環が生まれるのです」「女性自身」2020年3月17日号 掲載
2020年03月05日口腔ケアは健康対策の最前線!歯ぐきをマッサージすることで口の中の健康維持はもちろん、全身の不調の改善、生活習慣病や認知症の予防までできるというーー。足裏や手のひらと同様、口の中にもツボがあることをご存じだろうか。じつは、歯ぐきには40以上ものツボがあり、マッサージで刺激することによって、さまざまな効果が得られるそう。「歯ぐきのツボは全身とつながっているので、刺激してあげることで不調や疲れの軽減、リラックス効果が期待できます。リンパの流れがよくなるので、老廃物も排出できますし、もちろん、血流がよくなって唾液が分泌されることで、口内環境がよくなり、口臭や虫歯、歯周病も改善されます」そう話すのは歯科医師・野本恵子先生。なかでも、野本先生がもっとも重要だと思っているのが、現代人に多い歯周病の予防と改善。「歯周病とは、歯周病菌によって引き起こされる炎症性疾患ですが、その問題は口腔内にとどまらず、全身の疾患の原因になるのです。たとえば、心筋梗塞や脳梗塞。歯周病菌は酸素を嫌うので歯周ポケットに隠れていて、そこから血管にもぐり込みます」血液中の悪玉コレステロールと結合するとできるのが粘りのあるプラークだ。「プラークが心筋梗塞や脳梗塞の原因である血栓になります。当然、血流も悪化するので、不調や老化にも影響しますし、糖尿病やアルツハイマー型認知症との関係性もわかってきているんですよ」なんと!歯ぐきをマッサージするだけで全身の不調や疾患が予防・改善できるという。■口内マッサージのやり方【1】口内を洗浄する汚れた状態で行うとかえってマイナスになるので、口をすすいで汚れを落とす。水でもいいが、緑茶や洗口液を使うとより効果的。【2】唾液腺を刺激する唾液を出して口腔内をうるおしておく。人によって唾液がよく出る腺が違うので、3つの唾液腺(耳下腺、顎下腺、舌下腺)を押して探してみよう。【3】肩甲骨を寄せて深呼吸をするマッサージ効果を最大限に得るため、胸を開いて深呼吸をし、血液中の酸素飽和濃度を上げておくのがコツ。また、リンパをスムーズに流す準備にもなる。【4】歯ぐきをマッサージする手指を洗い、必要に応じてビニール手袋をつけ、あれば歯ぐきにジェルを塗る。まず、指の腹でツボを軽く押す。ぷよぷよしたところはリンパが滞り、痛いところは不調があるので念入りに。次に両端に向けてさすり、リンパを流す。仕上げに歯周ポケットをつまんで歯周病菌を押し出す。歯ブラシの場合は、歯ぐきを傷つけないものを選んで。【5】口をゆすぐ押し出した歯周病菌などを洗い流す。ただし、浸透させることで効果を出すジェルを使う場合は、ゆすがずそのままでもOK。「マッサージは、入浴中に行うのがおすすめです。体が温まって血流がよくなっていますし、毎日の習慣にもしやすいので、続けるためには、もっとも簡略化したこの5つのステップでいいでしょう。歯ぐきを傷つけないように注意してくださいね」「女性自身」2020年3月3日号 掲載
2020年03月04日無添加搾汁100%りんごジュースを青森県でりんご農園を運営する株式会社テラスビジョンは、クラウドファンディングプラットフォーム「CAMPFIRE(キャンプファイヤー)」で『世界のふじりんご誕生の地で【元祖ふじ】のりんごジュースを高齢農家さんと作ります!』のプロジェクトをスタートした。同プロジェクトでは、日本を代表するりんごの品種である「ふじ」の発祥地・藤崎町で栽培される【元祖ふじ】の廃棄量ゼロをめざしている。若手農家と高齢農家がタッグを組んで、傷や形が不ぞろいなどの理由で廃棄される【元祖ふじ】を使用したストレート果汁100%のりんごジュースの製作を始めるため、支援を募っている。美容健康効果に最も優れた品種「ふじ」りんごの栄養は、美容・健康効果が期待されており、ガンや動脈硬化などの生活習慣病・肥満防止・整腸作用・美肌効果もあるという研究結果が発表されている。ジュースの原材料となるりんごは、ただの【元祖ふじ】ではなく、栄養を送る役割を担う葉を摘まない栽培方法にこだわった【葉とらず元祖ふじ】である。【葉とらず元祖ふじ】は、【元祖ふじ】よりも、甘みがあり、ビタミンCやりんごポリフェノールなどの栄養を多く含んだ特別なりんごである。プロジェクトの期間は、4月10日まで。目標金額は、1,000,000円。リターンは、【元祖ふじ】のドライリンゴのセット、【元祖ふじ】を使用したジュースセットなど、5,000円~10,000円まで6種類が用意されている。プロジェクトの詳細は、「CAMPFIRE」で確認を。(画像はプレスリリースより)【参考】※プレスリリース株式会社テラスビジョン※CAMPFIRE(キャンプファイヤー)
2020年02月21日「いまや成人の8人に1人が『慢性腎臓病』にかかっている。これは、“国民病”といわれる糖尿病の患者より多いのです。しかも慢性腎臓病は、かなり症状が進行しないと自覚症状が現れません」そう警鐘を鳴らすのは、東北大学大学院教授を務める腎臓専門医の上月正博先生だ。血液をろ過して、老廃物を体外に排出する機能を持つ腎臓。血液や骨の組成、そして血圧の維持にも関係しており、生命維持に欠かせない臓器だ。「腎臓の機能が徐々に衰えていくことを慢性腎臓病と言います。罹患者は50代から少しずつ増加し、60代では15%、70代では30%、80代では50%があてはまるほど。しかも、慢性腎臓病で腎機能が低下してしまうと、通院治療での回復が見込めません。結果、医療費負担の高い透析治療を行うことになってしまいます」日本の透析患者数は、高齢化に伴って急増しており、現在は33万4,000人以上。症状に気づかず放置した結果、60代後半で透析になる人が多いという。慢性腎臓病になりやすいのは、どんな人なのか。「高血圧、糖尿病、肥満やメタボなど、いわゆる生活習慣病にかかっている人。加えて喫煙者は、非喫煙者に比べて腎機能が早く低下します。さらに、頭痛薬や生理痛などの鎮痛剤を常用している人や、過去に常用していた人は、腎機能が低下しやすい。一時的な使用なら問題ありませんが、長期間の服用は控えたいものです」腎臓が健康なときの3割程度しか機能しなくなると、体に老廃物がたまり、さまざまな症状が。「いちばんわかりやすい症状は“むくみ”や“疲れやすさ”。そして、尿の色やにおいなどにも変化が表れます。次のチェックリストにあるような自覚症状が出ていたら、もう慢性腎臓病が進行してしまっている可能性があります。早期発見のためには、毎年、健診を受けるしかありません」【腎臓の健康チェックリスト】2つ以上当てはまる場合は「慢性腎臓病」が進行しているかも!?□血圧やコレステロール値が高い□毎日、起きたときにまぶたや顔にむくみを感じる□指輪や靴がきつくなったと感じる□疲れが取れず、いつもだるい感じがある□少し動いただけで息切れがする□めまいや立ちくらみなどが増えた□汗をほとんどかかなくなった□尿の色が赤っぽい、茶褐色だ□尿からかすかに甘いにおいがする□寝ているときに尿意で何度も目が覚める腎臓機能は、自治体が実施している健康診断で、尿検査と血液検査を受けることでわかる。「注目すべき項目は、『尿のタンパク』と『血清クレアチニン値』。クレアチニンとは、筋肉がこわれて出てくる老廃物のことで、この値が高い人は、腎機能低下の疑いがあります。ただし、一度の検査で判断はできません。鎮痛剤を服用したり、脱水症状があったりしても、クレアチニン値は高めに出ることがあります。3カ月後に再検査してみて、尿タンパクやクレアチニン値の異常が続いているようであれば、慢性腎臓病の可能性が高いとみてよいでしょう」【血清クレアチニン値で見る腎機能】50歳の場合腎臓が正常に働いている=0.8mg/dl未満軽度の低下が見られる=〜1.0mg/dl中〜高度の低下が見られる=〜1.4mg/dl高度の低下が見られる=〜2.8mg/dl末期腎不全、透析治療へ=2.9mg/dl超女性の場合、血中のクレアチニンの正常値は、0.46〜0.82mg/dl。50歳で約1.5mg/dlを超えてしまっている人は、“赤信号”だ。「女性自身」2020年3月3日号 掲載
2020年02月20日「腎臓の機能が低下してしまうと、通院で回復させるのは難しい」。腎臓内科の医師はそう語る。健康な腎臓を保つためには、多少“キツい”運動も心がけるべしーー。「いまや成人の8人に1人が『慢性腎臓病』にかかっている。これは、“国民病”といわれる糖尿病の患者より多いのです。しかも慢性腎臓病は、かなり症状が進行しないと自覚症状が現れません」そう警鐘を鳴らすのは、東北大学大学院教授を務める腎臓専門医の上月正博先生だ。血液をろ過して、老廃物を体外に排出する機能を持つ腎臓。血液や骨の組成、そして血圧の維持にも関係しており、生命維持に欠かせない臓器だ。「腎臓の機能が徐々に衰えていくことを慢性腎臓病と言います。罹患者は50代から少しずつ増加し、60代では15%、70代では30%、80代では50%があてはまるほど。しかも、慢性腎臓病で腎機能が低下してしまうと、通院治療での回復が見込めません。結果、医療費負担の高い透析治療を行うことになってしまいます」日本の透析患者数は、高齢化に伴って急増しており、現在は33万4,000人以上。症状に気づかず放置した結果、60代後半で透析になる人が多いという。慢性腎臓病になりやすいのは、どんな人なのか。「高血圧、糖尿病、肥満やメタボなど、いわゆる生活習慣病にかかっている人。加えて喫煙者は、非喫煙者に比べて腎機能が早く低下します。さらに、頭痛薬や生理痛などの鎮痛剤を常用している人や、過去に常用していた人は、腎機能が低下しやすい。一時的な使用なら問題ありませんが、長時間の服用は控えたいものです」腎臓が健康なときの3割程度しか機能しなくなると、体に老廃物がたまり、さまざまな症状が。「いちばんわかりやすい症状は“むくみ”や“疲れやすさ”。そして、尿の色やにおいなどにも変化が表れます。早期発見のためには、毎年、健診を受けるしかありません」検査で腎機能の低下が判明した人も含め、慢性腎臓病の予防のために実践してほしいのが“腎臓リハビリ”。「腎臓リハビリの基本は、“まず運動、つぎに食事”です。これまで腎臓病患者は、運動すると尿にタンパクが出て病状が悪化するという理由で、運動制限を受けていました。しかし、適度に運動をしたほうが生活機能の向上につながり、腎臓病を予防・改善できることが多くの研究でわかってきたんです」透析に至っていない慢性腎臓病患者のグループに、週3回・1日40分のウオーキングを続けてもらったところ、運動をせずに治療だけを受けたグループよりも、腎機能の改善効果が見られたという。運動のポイントは次のとおり。「運動療法には、(1)有酸素運動、(2)筋トレ、(3)ストレッチの3本柱があります。なかでも大事なのが有酸素運動。ウオーキングを週に3〜5回、1日20〜60分行うのが目安です。たとえば、週3回ウオーキングをするなら、1日60分程度。週5回なら、1日20分程度と考えてください。息切れするような運動は逆効果ですので、軽く汗ばむ程度にしましょう」■上月先生が指導!「太ももを鍛える筋トレ&ストレッチ」【スクワット】目標・5〜10回×3セット(1)足を肩幅より少し広く開いて、つま先は少し外側に。椅子の後ろに背筋を伸ばして立ち、背もたれに両手を添える。(2)息を吸いながらひざをゆっくり曲げ、息を吐きながらひざをゆっくり伸ばす。【太もものストレッチ】目標・左右それぞれ3〜5回1セット(1)椅子の後ろに立ち、右手で椅子の背もたれを持つ。(2)左ひざを曲げて左手で足先をつかみ、左足首を背中側に引き寄せる。10〜30秒キープして、ゆっくり元に戻す。反対も同様に行う。少しキツく感じるかもしれないが、筋トレは、週に2〜3回を5分程度。ストレッチは時間があるときだけでもOK。食事の基本は、「塩分」と「タンパク質」の摂取を抑えること。「みそ汁は一日1回にする。ラーメンは汁まで飲まない。スナック菓子を控える、など注意するだけでも塩分を控えられます。腎機能の低下が進んでいる人は、タンパク質を多く含む米やパン、麺類を、タンパク質の少ない加工食品に替えるか、おかずのタンパク質を減らすこと。食事制限は病状に依存するので、医師に相談しながら進めましょう」また、腰痛・膝痛などの痛み止めの長期服用も要注意。できるだけ、湿布などの外用薬に切り替えるようにしたい。透析治療の医療費は、1カ月に1万〜2万円ほどの自己負担を強いられる。出費を防ぐためにも、健康な腎臓の維持に努めよう。「女性自身」2020年3月3日号 掲載
2020年02月20日100歳以上の割合が高く、80代、90代が自立して生き生きと暮らす町。その秘密は生活環境にあり。昔ながらの食生活が守られ、腸内環境が整っているのも大きな理由とかーー。日本は世界でトップクラスのご長寿大国だが、なかでも今、100歳以上の“百寿者”がたくさんいる京都府北部の町、京丹後市に注目が集まっている。京都駅から特急で2時間半、丹後半島にある海沿いの町で、漁業と江戸時代から続く丹後ちりめんが有名。人口あたりの“百寿者”の比率が全国平均2.8倍(’16年時点)で、男性の長寿世界一として木村次郎右衛門さん(’13年没、享年116)が過ごしたことで知名度がアップした。「同じ京都とはいえ、海に面しているので海藻類をよく食べるなど、昔から地域に伝わる食生活は独特です。また、京丹後の人がすごいのは、長寿だけでなく、自立した生活を送る健康長寿も長いということ。まわりに100歳の高齢者たちが元気で暮らしているので、90代は珍しい存在ではないし、80代の方たちはあちこち痛いと言いつつも、『100歳の人が頑張っているから自分ももっと頑張る』と、励みにして生活されています。子どもに頼らず、自分のことは自分で行っているのも、健康寿命を延ばしている要因のひとつだと思います」そう話すのは、京都府立医科大学大学院医学研究科循環器内科学の的場聖明教授。「なぜ、京丹後市には健康長寿の高齢者が多いのか?」、その秘密を探るべく、同大学では2017年から、市立弥栄病院と共同で、京丹後地域(京丹後市、宮津市、与謝野町、伊根町)に暮らす65歳以上の住民を対象に、職業、学歴、日常生活、食事や睡眠時間、血液検査、血管年齢など、2,000項目を調査し、15年間経過観察をする「京丹後長寿コホート研究」に取り組んでいる。ビッグデータを解析したうえで、平均寿命が短い“短命県”の青森県・弘前市など、ほかの地域で暮らす高齢者のデータと比較しながら、健康長寿の秘訣を分析している。その研究のなかでわかったことは、京丹後の高齢者は、(1)血管年齢が全国平均と比べて若い、(2)大腸がんの罹患率が京都市内の半分、(3)寝床に入ってから眠りにつくまでの時間が短い、などといった特徴だった。「特別な遺伝子は見つかっていないので、食事や生活習慣によるもの、と考えています。ということは、その習慣を取り入れれば、私たちも健康で長生きできる部分があるといえるのではないでしょうか。血圧が高かったり、大病したり、年相応に病気をしたとしても、その後、回復して元どおりの生活を送られる方もいらっしゃるんですよ」(的場教授)実際に、ご長寿さんはどんな暮らしをしているのか。90代のご夫婦を訪ね、食生活を中心に話をうかがった。「家内のつくる料理を食べて、最低8時間は寝て。よく眠れるということが健康の秘訣。今日はあんたらが来るというから、張り切って10時に起きた。はははは」そう高笑いするのは、東理代吉さん(94)。今も学習教材を扱う現役の営業マンだ。25歳で世津子さん(90)と結婚し、26歳で書店を開業してから約70年もの間、二人三脚で店を切り盛りしてきた。4人の子どもが巣立ってからは夫婦2人暮らしだが、のんびり縁側でくつろぐ、などということはいっさいなく、起きたら寝るまで働きどおしだ。そんな体力勝負の毎日。元気の源は食事だ。世津子さんが作る昼ごはんには毎日、健康につながる食材“まごわやさしい”がふんだんに使われている。取材で訪ねたこの日のメニューは、納豆、ごはん、大根の葉のおひたし、いり卵、じゃがいもやキャベツ、しいたけなどが入った具だくさんのみそ汁が食卓に並んだ。「『ま』は豆で、毎日納豆を食べます。『ご』はごまで、おひたしにかけて。『わ』は、京丹後でとれる特産品の板ワカメ。細かく刻んだものをごはんにかけても、いり卵に混ぜて食べてもおいしいですよ。タンパク質はこの卵で補っています。『や』は野菜、『さ』は魚、『し』はしいたけなどのきのこ、『い』はいも類。みそ汁に野菜やきのこ、いもを入れ、煮干しも加えますが、『さ』の焼き魚は別につけます」(世津子さん)こうした世津子さんのアイデアで、食材がまんべんなく取り入れられている。「100歳近くまで生きた私の父が『ようけ食いすぎたらあかん、わしは腹6分目』とよく言っていました。よう働いてしゃべっていると、食ったり飲んだりしているひまはないねぇ」(理代吉さん)生活習慣病とは無縁の食生活のおかげで、理代吉さんの健康診断の数値は基準値内。ただ、おととし、腹部大動脈瘤が見つかる事態が起きた。手術に踏み切ったのは、主治医の「理代吉さんの血管年齢は90代とは思えない若さなので、十分に可能」というひと言だった。退院してから寝たきりにならなかったのは、“ずっとバリバリ働きたい”という仕事への意欲だった。次男の正彦さんが言う。「じつは、お袋も’18年3月に突風にあおられて転び、脳内出血と左手の複雑骨折という大ケガを負っています。2カ月半、入院生活を送るも介護が必要にならなかったのは、仕事のおかげでしょう。奇跡的に回復してから、ベッドの上でお客さまからの注文を取って仕事をしていた(笑)。右手は動くので、ペンを走らせていたのが、いいリハビリになったようです」理代吉さんは’59年から9期、町議を務めたこともあり、今も地域活動に熱心。世津子さんも、地元住民の戦争体験記や丹後の女性史をまとめて出版している。「目標を持ち、世のために尽くしたいと思っているから、体も共鳴しているんだと思います」と、理代吉さんが話すように、地域とのつながりを大切にする気持ちも、長生きの秘訣のようだ。「女性自身」2020年2月25日号 掲載
2020年02月19日テレビ出演でおなじみの管理栄養士の新刊現代人に増えているという新型栄養失調に警鐘を鳴らし、不足しがちな栄養を効率よく摂る食材や食べ方を紹介している新刊『慈恵医大管理栄養士が教える 美肌、太らない、老けないは食べ方が9割』が発売された。著者は東京慈恵会医科大学附属病院栄養部係長で管理栄養士の赤石定典氏と、同じく栄養部管理栄養士の島本友希子氏である。赤石氏は「世界一受けたい授業」などのテレビ出演でもおなじみである。美容に悪影響を与え万病の原因になる新型栄養失調戦中戦後の食糧難で日本では多くの人が栄養失調となったが、現在は新型栄養失調が問題となっている。自己流の食事制限やダイエットなどにより、タンパク質やビタミン、ミネラルといった特定の栄養素が不足しまっている人が少なくないという。新型栄養失調は肌のトラブルや肥満、骨粗しょう症、貧血、便秘などの原因になり、高血圧や糖尿病、心臓疾患などの生活習慣病、免疫力の低下を招くことになる。新刊では、不足しがちな栄養を効率よく摂る食材と食べ方を掲載。写真とイラストとともに、栄養素別におすすめの食品と調理法を紹介している。また、簡単にできて栄養が効率よく摂れるという「美活ごはん」レシピも掲載されている。(画像はAmazon.co.jpより)【参考】※美肌、太らない、老けないは食べ方が9割 - 赤石定典著 島本友希子著 - 書籍 - PHP研究所
2020年02月16日「腸の機能が弱まり便秘が続くと、老廃物や有害な毒素が体内にとどまってしまうため、大腸がんをはじめ重篤な病気のリスクが高まってしまいます。また、腸には病原細菌やウイルスを除去する働きがあり、この機能が衰えると、肌トラブルや免疫力の低下などを招くことにつながります」そう話すのは、松生クリニックの松生恒夫院長。これまで5万人以上の患者さんの腸を診察してきた松生院長は、全身の健康を保つために腸内環境を整えることの大切さを強調する。’12年にアメリカ・メイヨー医科大学が発表した、ミネソタ州に住む人約4,000人の15年追跡調査でも、慢性的な便秘がない人は生存率が高く、便秘などで腸の働きが悪い人は寿命が短い傾向が確認されたという。クリニックを訪れる患者さんに、便秘の対処法として松生院長がまず薦めるのは食事内容を見直すことだ。「腸の内側のひだのなかには、約500種類、合計100兆個の細菌が存在するといわれ、フローラ(お花畑)と呼ばれる腸内細菌叢を構成しています。細菌には善玉菌、悪玉菌、日和見菌があり、日和見菌は状況に応じて善玉菌や悪玉菌に加勢します。腸にやさしい食材を積極的に取ることで善玉菌を増やすようにすると、便秘の症状も改善することが多いのです」(松生院長・以下同)この善玉菌を増やすための“最強食”と松生院長が太鼓判を押すのが「納豆にオリーブオイルをかけて食べる」ことだという。納豆の納豆菌、ナットウキナーゼは、血栓を溶かし脳梗塞などのリスクを下げる。大豆には更年期症状を改善させるイソフラボンのほか、便を軟らかくする水溶性食物繊維が豊富だ。食物繊維は大腸の中を酸性にして有害な細菌をすみにくくさせるとともに、有害物質を吸着させて便と排出、血中コレステロールを下げるといった働きを持つ。いっぽう、エクストラバージンオリーブオイルに含まれる不飽和脂肪酸のオレイン酸は、悪玉コレステロールを抑える作用がある。さらに酸化しにくい性質ももっていて、動脈硬化を防止する効果もある。これらの相乗効果によって、オリーブオイル納豆を食べることで便秘を防ぎ、腸内環境を整えることができるのだという本誌記者もさっそく、納豆に大さじ1杯分のオリーブオイルをかけて、よくかき混ぜて食べてみるとーー。納豆の粘り気が抑えられ、サラッとした食感だ。ネバネバが苦手、という人にはうれしいかも。納豆とオリーブオイルの風味はけんかすることもなく、想像以上に食べやすかった。「オリーブオイル納豆をより一層おいしく、健康的に摂取するためには、主食は白米よりも麦や雑穀を混ぜたごはんにすることもおすすめしています。精製加工されていない全粒粉や雑穀は、血糖値の上昇を緩やかにする作用があるからです。さらに、体によい食材をトッピングとして“ちょいのせ”する方法もあります。こうして毎日飽きずに食べられるのも、オリーブオイル納豆のメリットです」そこで、読者世代の女性に松生院長がおすすめする“ちょいのせ”食材と、そこから期待できる効果を教えてもらった。【おろししょうが】体を温める効果のあるジンゲロールを含有し、冷え症改善にも効果アリ。【キムチ】発酵食品であり、乳酸菌が豊富。腸内環境の改善に大きく期待できる。【刻んだトマト】抗酸化作用のあるリコピンを含むため、肌の若返りの効果が期待できる。【青じそ】青じそに含まれるビタミンEの作用でアンチエイジング効果も期待できる。【砕いたナッツ】食物繊維が腸のぜん動運動を促し、抗酸化作用のあるビタミンEも含む。【みょうが】独特の香りの成分α-ピネンの作用で、ストレス緩和や集中力アップにも。【黒ごま】抗酸化作用のあるセサミン、さらにビタミンEと栄養が豊富。【カレー粉】スパイスの作用が代謝を促進し、生活習慣病の予防効果もある。ほかにも、大根おろしや練り梅、刻んだ長ねぎ、しらすをかけて食べるアレンジ方法も。また、もずく酢、すりおろした長いもなど“ネバネバ食材”と一緒に混ぜると、便秘解消の効果をアップさせることができそうだ。「いずれの食材も安価なので、毎日続けやすいところもオリーブオイル納豆の優れた点です。薬に頼って排便を促している人も、少しずつ減薬できるでしょう」「女性自身」2020年2月25日号 掲載
2020年02月15日「日本人の平熱は60年前より1度ほど下がりました。これが、アレルギー疾患や生活習慣病が増えた原因のひとつだと考えられます」そう話すのは、体温と健康の関係に詳しい石原新菜先生。なぜ平熱が下がったのか、そして、そもそも平熱とは何度なのだろう。「私たちの体がいちばんよく働く体温を平熱といい、36.55~37.23度が理想的。これはわきの下で測った場合で、口内だと0.5度ほど高く測定されます。測るタイミングは、朝10時がいいでしょう。平熱が下がった要因は、おもに食や生活習慣の変化とストレスです。平熱が低いと血流が悪化して免疫力が下がり、さまざまな不調が起こります。特に女性は低体温の人が多く、35度台の人も。まずは、36.5度をめざしましょう」ちょっとした習慣を見直せば、確実に平熱は上昇するという。【下半身の運動】「効率よく体温を上げるのが、筋肉を動かすこと。特に、筋肉の約75%を占める下半身をきたえるのが有効です。まずは1日1回、お尻をつき出す『スクワット』や『かかと上げ運動』を30回(約1分)。これで自家発電ボディに!」(石原先生・以下同)【入浴で汗をかく】「四季を問わず、シャワーだけですませず、毎日湯船につかりましょう。温度も時間も好みでOKですが、ポイントは顔に汗がぶつぶつとにじむこと。入浴前後の運動や、毛細血管を開かせる炭酸系の入浴剤も効果的です」【おなかを温める】「外から温める場合は、血流が集まるおなかを温めるのがいちばん。免疫の約70%をつかさどる腸が温まって免疫力が上がり、子宮や卵巣も温まるので女性特有の不調の予防にもなります。その次に、足首や足裏、首、手首も有効です」石原先生による平熱を上げる「温活指導」で、すっかり不調が改善された、という患者さん2人に、その体験談をうかがった。■朝晩2回の足浴で10年間、悩み続けた不眠がなくなりました!(T・Kさん、62歳)とにかく足が冷えて冷えて……。布団に入ってもなかなか眠りにつけず、夜中2時になると必ず目が覚めてまた眠れず、明け方5時ごろにやっと寝つける、という生活が10年も続いていました。寝不足のせいで、すぐ疲れてしまって家事も何もやる気がせず、家族ともギクシャクし、そんな自分を責めるうちにだんだんと気分もふさいでひきこもりがちに。悩んだ末、受診することにしました。それからは毎日、朝晩2回の足浴を習慣にし、腹巻きと湯たんぽを使い、しょうがをとるようになると、足はもちろん、体全体がポカポカして、なんと1カ月ほどで、不眠から解放されたのです。がぜんやる気が出て、心なしか体もほっそり。冷えはほかの不調にも関係すると聞いたので、生活習慣病が気になる年ごろですし、その前に改善できてよかったです。■20代から抱えてきた持病の数々……1カ月で生理痛、3カ月で頭痛が消えたのです!(S・Yさん、40歳)23歳のころに自律神経失調症とパニック障害を発症し、以来、めまいや耳鳴り、肩こり、頭痛、生理不順、頻尿、便秘や下痢をくり返すなど、もう不調のデパートかというくらい、体調には日々、悩まされてきました。それがまさか、低体温が原因だったなんて!しかもそのとき体温を測ったら、36.2度あったので、それでも平熱より低いなんて、と驚きました。ところが、先生の指導で漢方を服用し、にんじんやしょうがなどの体を温める食材を積極的に食べ、軽いストレッチ、入浴、腹巻きの習慣を身つけたら、まず、1カ月後にはあんなにつらかった生理痛が消え、3カ月後にはめまいや頭痛が激減して。ほかの不調も気にならなくなっていき、大げさでなく、人生がバラ色に!(笑)体温恐るべし、を痛感しています。さっそく今日から「温活」を実践し、気になる不調を解消しよう。「女性自身」2020年2月25日号 掲載
2020年02月14日「日本人の平熱は60年前より1度ほど下がりました。これが、アレルギー疾患や生活習慣病が増えた原因のひとつだと考えられます」そう話すのは、体温と健康の関係に詳しい石原新菜先生。なぜ平熱が下がったのか、そして、そもそも平熱とは何度なのだろう。「私たちの体がいちばんよく働く体温を平熱といい、36.55~37.23度が理想的。これはわきの下で測った場合で、口内だと0.5度ほど高く測定されます。測るタイミングは、朝10時がいいでしょう。平熱が下がった要因は、おもに食や生活習慣の変化とストレスです。平熱が低いと血流が悪化して免疫力が下がり、さまざまな不調が起こります。特に女性は低体温の人が多く、35度台の人も。まずは、36.5度をめざしましょう」【平熱36.5度以上にするメリット】■血流がよくなる血管が広がって血流が良好に。これで体が冷えにくくなるので、理想の平熱を保つよいサイクルが生まれる。■代謝が上がりやせる体温が1度上がると基礎代謝は約12%も増加。代謝が上がれば血液に老廃物もたまらず、さらに太りにくい。■免疫力が上がる体温が1度上がると免疫力は通常で約30%アップし、運動や入浴後などは、一時的に5~6倍にもなる。■便秘が改善される腸の動きがよくなり、腸内環境が改善。下痢対策にもなる。腸に限らず、あらゆる内臓の働きがよくなる。■「高」のつく生活習慣病の緩和血液中に余分な脂肪などの老廃物がたまりにくくなり、高血圧、高脂血症、高コレステロールなどの予防に。■美肌、美髪などの美的効果血流がよくなれば体の隅々まで美的栄養成分が運ばれ、美を阻害する老廃物は排出され、新陳代謝も上がる。じつは石原先生も、低体温による不調に見舞われたことがある。「研修医時代に、不規則な生活とストレスで体重が10キロも増えて生理も止まりました。医師である父に相談したら、腹巻きが送られてきて、体を温めなさいと。入浴と食事の改善で1年で戻り、以来、冷えを取る生活を続け、今は37.2度。体形も維持しています」「女性自身」2020年2月25日号 掲載
2020年02月14日「日本人の平熱は60年前より1度ほど下がりました。これが、アレルギー疾患や生活習慣病が増えた原因のひとつだと考えられます」そう話すのは、体温と健康の関係に詳しい石原新菜先生。なぜ平熱が下がったのか、そして、そもそも平熱とは何度なのだろう。「私たちの体がいちばんよく働く体温を平熱といい、36.55~37.23度が理想的。これはわきの下で測った場合で、口内だと0.5度ほど高く測定されます。測るタイミングは、朝10時がいいでしょう。平熱が下がった要因は、おもに食や生活習慣の変化とストレスです。平熱が低いと血流が悪化して免疫力が下がり、さまざまな不調が起こります。特に女性は低体温の人が多く、35度台の人も。まずは、36.5度をめざしましょう」ちょっとした習慣を見直せば、2週間で確実に0.5~1度は上昇するという。【平熱を上げるための食習慣】■朝食に「にんじん・りんごジュース」「平熱が低くなる原因のひとつが血液の汚れで、その大きな要因が食べすぎ。解消するには空腹の時間を作ることが大切です。朝は、いわば“プチ断食”状態である睡眠後の、絶好の排出時間。目覚めたての胃腸にもやさしく、朝必要な栄養成分を過不足なく補える、にんじんとりんごのジュースが最適です。ただし、氷を入れるのは避けて」(石原先生・以下同)■水をやみくもに飲まない「平熱が低くて血流が滞っていると、せっかく飲んだ水も全身にめぐらず、たまるばかり。その水分が体の冷却水となり、さらに体温が低下する悪循環が生まれ、むくみの原因にもなるなど、いいことはありません。量ありきでやみくもに飲むのではなく、飲みたいと感じたとき、汗をかいたときに、必要に応じて飲むようにしましょう」■塩分をきちんととる「悪者にされがちな塩分ですが、新陳代謝を高めて体を温めるという大切な働きも。寒い地方の人が塩分の強い保存食を食べた理由も、そのひとつです。塩分をひかえるべき持病がない限り、むやみに塩分を怖がらなくても大丈夫。ただし、適度な汗で塩分をため込まないようにし、精製塩ではなく、ミネラルたっぷりの自然塩を選んで」■毎日みそ汁を飲む「温かいスープを飲んで、内側から胃腸を温めるのも効果的。特におすすめなのはみそ汁です。最近の研究で、発酵食品であるみそに含まれる成分では、血圧が上がらないことがわかってきましたし、そもそも野菜や海藻類を入れれば余分な塩分は排出されるので、体を温める塩分の供給源として優秀です。具材をたっぷり加えましょう」さっそく今日から実践し、気になる不調を解消しよう。「女性自身」2020年2月25日号 掲載
2020年02月14日前かがみがちで姿勢が悪く、1回の呼吸が浅い、という人が急増中!それを放置しておいたがために、体の隅々の細胞が酸素不足で苦しんでいる可能性が高いのですーー。「最近はスマホやパソコンの長時間使用が日常的になり、IT猫背とも言われる前傾姿勢の人が増えています。これでは呼吸が浅くなって、呼吸に関連する筋肉群である“呼吸筋”の柔軟性が失われ、体の隅々の細胞も元気がなくなってしまいます」そう話すのは、ハーバード大学医学部で内科学の最先端領域を研究している根来秀行先生。根来先生は正月に開催された箱根駅伝で見事優勝した青山学院大学の陸上部をはじめ、多くのトップアスリートのアドバイザーも務めている。「肺に取り込まれた空気は肺胞へ送り込まれ、毛細血管を通じて体の隅々の細胞に送り込まれます。そして、細胞が酸素と栄養素を受け取る“細胞呼吸”をした後、不要となった二酸化炭素は吐き出されます。このように、隅々の細胞がきちんと呼吸できていて、十分に酸素が行き届いていると、免疫力が高まります。さらに、呼吸筋の一部で、腹式呼吸で使われる横隔膜は、毛細血管が張り巡らされていて、自律神経も集まっているところです。横隔膜をゆっくり動かすと自律神経のうち副交感神経が優位になり、全身の毛細血管が緩み、細胞呼吸が行いやすい状態となります」(根来先生・以下同)ところが、猫背など姿勢が悪い状態がクセになると、胸で小さく呼吸する胸式呼吸になり、呼吸筋が硬くなり、呼吸の効率が悪くなる。すると、体の隅々の細胞で細胞呼吸が十分できなくなり“隠れ酸欠”の状態に陥ってしまうという。細胞の呼吸不足は自律神経の乱れにつながってしまう。根来先生が呼吸に注目するようになったのは、生活習慣病に悩む患者さんの診療にあたっているとき、その多くが睡眠不足に悩んでいたことに気づいたことがきっかけだという。「良質な睡眠を毎晩とれている人がとにかく少なかったのです。そして、その患者さんたちに共通していたのは、みなさん呼吸が浅かったという点。呼吸が浅いと、緊張状態が続くので熟睡しにくくなるのです。睡眠不足は免疫力の低下を招き、かぜをひきやすくなるだけでなく、高血圧や動脈硬化をはじめ、あらゆる体の不調にも関連します。そのためにも、しなやかな呼吸筋を維持することはとても大切です」そこで先生が推奨するのが、“呼吸筋ほぐし”。これは意識的に深い呼吸をすることで、呼吸筋を動かすものだ。まずは基本の「4・8呼吸法」から。4数えながら吸い、8数えながら吐く。呼吸筋の横隔膜を上下させるのがポイントだ。【4・8呼吸法】(1)姿勢を楽にしてイスに座り、鼻から軽く息を吐く。手を軽くおなかに添えるとおなかの動きを感じやすい。(2)おなかをふくらませながら4秒かけて鼻から息を吸う。おなかが数センチくらいふくらむようにしっかり吸い込む。(3)肛門→恥骨→へそ→横隔膜とチャックを閉めるイメージで、おなかをへこませつつ8秒かけて鼻から息を吐く。(2)、(3)を気分が落ち着くまで繰り返す。「さらに、『4・8呼吸法』の吸う-吐くの合間で4数えて呼吸を止める『4・4・8呼吸法』は、間で息をとめることで、より確実に酸素が細胞まで届くようになり、いっそう効果的です」睡眠前には「寝たまま腹式呼吸」がおすすめだ。「この呼吸法は入眠作用があるだけでなく、リンパを流す作用もあるので、翌朝起きたときに体がスッキリしていると感じられるはずです」【寝たまま腹式呼吸】(1)あおむけに寝て膝を立て、胸とおなかに手を置く。あごを軽く引き、鼻から息を吸い込む。無理におなかを膨らませようとせず、入ってくる息にまかせる。(2)おなかの力を緩め、鼻から息を吐き、おなかがへこむのを手でたしかめる。肛門→恥骨→へそ→横隔膜とチャックを閉めるイメージで、長くゆっくりと、同じペースで息を吐く。夜中、ふと目が覚めてしまったら、「10・20呼吸」を。「10数えながら下腹に息を入れるイメージで鼻から空気を吸い込み、20数えながら息を吐き出す方法です。行っているうちに自然に眠りに戻れますし、睡眠ホルモンのメラトニンの材料となるセロトニンが分泌され、質のよい睡眠にもつながります」これらの呼吸には、腹筋を鍛えられるという効果もあるそうだ。「深い呼吸は1分程度でも十分効果を得られますが、頻繁に行えば行うほど好ましいです」呼吸筋をしっかりほぐして、隠れ酸欠を防ぎ、かぜやウイルスを寄せ付けない体をつくろう。「女性自身」2020年2月25日号 掲載
2020年02月14日「よく『冷えは万病のもと』といわれますが、それは決して抽象的な言葉ではありません。具体的な数字でいえば、日本人の死因の約9割近くは『低体温』が関係しているからです」そう話すのは、「冷え」に詳しい芝大門いまづクリニックの今津嘉宏院長。少し長くなるが、厚生労働省が発表している日本人の主な死因を見てみると、悪性新生物、心疾患、脳血管疾患のおなじみ「三大死因」に続き、肺炎、老衰、不慮の事故、自殺、腎不全、肝疾患、糖尿病、慢性気管支炎、さらに肺気腫、交通事故、高血圧……と、どれをとっても読者世代には人ごとではないものばかり(『平成30年人口動態統計(概数)の概況』より)。「そのうち、老衰と不慮の事故、自殺、交通事故、結核を除いた死因は、体温が高ければ防げるもので、その割合は、じつに全体の87.3%にのぼります」つまり、日本人の死因のほとんどが冷えと関係していることになる。その関係性について、今津院長はこう解説する。「病気の源流をたどっていくと、だいたい1つの原因に集約されていくものです。そして、その多くは高血圧や高血糖、高脂血症といった生活習慣病。たとえば、脳梗塞や心疾患、腎不全も、元をたどれば動脈硬化が進行した結果。そしてその動脈硬化の原因をさらにたどると、高血圧に行き着く、といえばわかりやすいでしょう。そこで、最近では『メタボリックシンドローム』ならぬ『メタボリックドミノ』と表現されることも増えています。これは動脈硬化のような大本の病気が、ドミノ倒しのように次々とほかの病気を引き起こすということ。しかし、冷えを改善し体温を上げることで、このドミノが倒れる前の『ついたて』の役割を果たしてくれるのです」しかし、「体温」は長いあいだ西洋医学の世界ではその存在が見落とされてきた。「明確な診断基準やガイドラインも存在しないため、冷えるのはその人の性質、つまり『冷え“性”』といわれていました。しかし、がんですら85%が治るような時代になり、高血圧や糖尿病といった生活習慣病の薬も登場してきたことで、だんだんと『冷えも手当てするべき症状なのでは』と認識されるようになってきたのです。多くの病院でも漢方を取り入れるようになり、それに合わせるかのように『冷え“症”』という呼び方が広まってきました」その漢方の世界では、昔から「冷えは病気」とされてきたという。「漢方と聞くと中国の医学のようですが、実は江戸時代には日本独自の伝統医学として成立しており、中国の漢方においては古くから『冷え』は根本的な診断基準のひとつでした。それというのも、CTも血液検査もなかった時代は、いったいなんの病気なのかを、見た目や問診で判断する必要がありました。中医学ではその分野が300以上もありますが、日本の場合は『強いか弱いか』『寒いか熱いか』という、とてもシンプルな分類が主流でした。『寒』とはつまり『冷え』のことですので、『冷え』は古来、病気かどうかを診断する、基本的な指標だったといえます」つまりそれだけ、「冷え症」はあらゆる病気のもとなのだ。漢方薬の処方をはじめとした「冷え症の治療」には、医療機関の受診が必要だが、ふだんの生活が「冷やさない体づくり」に深く関わっているのは言うまでもない。そこで、日常の「冷え症対策」について、今津先生監修のもとクイズを作成!【Q1】体を温めてくれる食べ物といえば、やっぱり唐辛子だ正解は×。「唐辛子に含まれるカプサイシンの働きによって汗をかくため温まったような気がしますが、じつは発汗により奪われてしまう気化熱のほうが、影響が大きいのです。また、腸管粘膜を刺激し下痢を起こしやすくなるので食べすぎには注意しましょう」(今津先生・以下同)【Q2】ねぎやにんにくは熱々に加熱調理したほうがよい正解は×。「ねぎやにんにくに含まれるアリシンは、豚肉などビタミンB1と一緒にとることで代謝を促進し体を温めてくれます。ただし高温で調理するとその効果は失われるため、火を止めてから加えるなどの工夫を。しょうがは加熱したほうが、“温め効果”がアップします」【Q3】白ワインと赤ワイン、体を温めてくれるのはどっち?正解は赤ワイン。「赤ワインは果皮ごと発酵させているため、体を温めてくれる効果が期待できます。赤ワインが苦手という方は、白ワインの代わりにスパークリングワインはいかがでしょう。気泡のもとである二酸化炭素が血管を拡張させるので、白ワインよりおすすめです」【Q4】ディナーはサラダの前に、肉や魚から食べるとよい正解は○。「冷たいサラダから食事を始めると、胃腸が冷えるのはもちろん、カロリーの低い食べ物で胃腸がいっぱいになるため、あとから来た肉や油などエネルギーの多い食事が吸収されにくくなる可能性があります」肉や魚のお料理も冷めないうちにいただこう。「体を温める方法としては、食事による『内側』からのアプローチと、カイロなどを利用した『外側』からのアプローチ、どちらも欠かせません。体を温める食材についてはさまざまな情報が出回っていますが、食べ方ひとつで効果が増減しますので、上手に取り入れたいですね。ちなみに“Q2”で触れたしょうがは、生でもジンゲロールという『温め成分』が摂取できますが、加熱することで、より効果の高いショウガオールに変化します。また、ジンゲロールの抽出量はすりおろすことで増えるため、おろししょうがをみそ汁に加え少し加熱してから食べると、温め効果はより高まるでしょう」「冷えやすいのは体質だから」「もう年だから」と諦めるのはまだ早い。自分の「冷え」としっかり向き合い、「病気」を遠ざけよう!「女性自身」2020年2月18日号 掲載
2020年02月12日「よく『冷えは万病のもと』といわれますが、それは決して抽象的な言葉ではありません。具体的な数字でいえば、日本人の死因の約9割近くは『低体温』が関係しているからです」そう話すのは、「冷え」に詳しい芝大門いまづクリニックの今津嘉宏院長。少し長くなるが、厚生労働省が発表している日本人の主な死因を見てみると、悪性新生物、心疾患、脳血管疾患のおなじみ「三大死因」に続き、肺炎、老衰、不慮の事故、自殺、腎不全、肝疾患、糖尿病、慢性気管支炎、さらに肺気腫、交通事故、高血圧……と、どれをとっても読者世代には人ごとではないものばかり(『平成30年人口動態統計(概数)の概況』より)。「そのうち、老衰と不慮の事故、自殺、交通事故、結核を除いた死因は、体温が高ければ防げるもので、その割合は、じつに全体の87.3%にのぼります」つまり、日本人の死因のほとんどが冷えと関係していることになる。その関係性について、今津院長はこう解説する。「病気の源流をたどっていくと、だいたい1つの原因に集約されていくものです。そして、その多くは高血圧や高血糖、高脂血症といった生活習慣病。たとえば、脳梗塞や心疾患、腎不全も、元をたどれば動脈硬化が進行した結果。そしてその動脈硬化の原因をさらにたどると、高血圧に行き着く、といえばわかりやすいでしょう。そこで、最近では『メタボリックシンドローム』ならぬ『メタボリックドミノ』と表現されることも増えています。これは動脈硬化のような大本の病気が、ドミノ倒しのように次々とほかの病気を引き起こすということ。しかし、冷えを改善し体温を上げることで、このドミノが倒れる前の『ついたて』の役割を果たしてくれるのです」しかし、「体温」は長いあいだ西洋医学の世界ではその存在が見落とされてきた。「明確な診断基準やガイドラインも存在しないため、冷えるのはその人の性質、つまり『冷え“性”』といわれていました。しかし、がんですら85%が治るような時代になり、高血圧や糖尿病といった生活習慣病の薬も登場してきたことで、だんだんと『冷えも手当てするべき症状なのでは』と認識されるようになってきたのです。多くの病院でも漢方を取り入れるようになり、それに合わせるかのように『冷え“症”』という呼び方が広まってきました」その漢方の世界では、昔から「冷えは病気」とされてきたという。「漢方と聞くと中国の医学のようですが、実は江戸時代には日本独自の伝統医学として成立しており、中国の漢方においては古くから『冷え』は根本的な診断基準のひとつでした。それというのも、CTも血液検査もなかった時代は、いったいなんの病気なのかを、見た目や問診で判断する必要がありました。中医学ではその分野が300以上もありますが、日本の場合は『強いか弱いか』『寒いか熱いか』という、とてもシンプルな分類が主流でした。『寒』とはつまり『冷え』のことですので、『冷え』は古来、病気かどうかを診断する、基本的な指標だったといえます」つまりそれだけ、「冷え症」はあらゆる病気のもとなのだ。漢方薬の処方をはじめとした「冷え症の治療」には、医療機関の受診が必要だが、ふだんの生活が「冷やさない体づくり」に深く関わっているのは言うまでもない。そこで、日常の「冷え症対策」について、今津先生監修のもとクイズを作成!【Q1】冷えた体を温めるには、コーヒーよりスープだ正解は○。「暖かい飲み物が体を温めてくれる効果は30分程度。しかも手足しか温まらず、おなかの中まで温めることはできません。いっぽうスープ類は体を温める効果が4時間も持続!具材がカイロの役目をしておなかの中も温めてくれるので体の芯からぽかぽかに」【Q2】カイロで体を温めるのに、もっとも効果的な場所は?正解はへそまわり。「血液には体内でつくられた熱を全身に伝える役割もあります。おへそのまわりにある腹部大動脈の中を流れる血液は体中を循環しますから、その血液が温かければ、体全体を温めることが可能です」皮下脂肪が多い下腹部は冷えやすいので、ぜひお試しを。【Q3】水分補給時は水をよくかんで飲むとよい正解は○。「冷たい水をがぶ飲みすると、あっという間に胃腸が冷えてしまいますので、温度調節という役割において、かんで飲むことが重要です。また、かむことで唾液や胃液の分泌量が増し、消化力もアップ。食事からエネルギーを効率よく吸収できるようにもなります」【Q4】とにかく交感神経の働きを高めればホカホカに正解は×。「血管が収縮と弛緩を繰り返すことで血液は全身を巡ります。交感神経の働きだけが高いと血管は収縮したままになり、末端まで血液が届かなくなってしまうほか、臓器の働きもアンバランスに。交感神経、副交感神経ともにバランスよく働いていることが肝心です」外側からのアプローチでカイロ以外に取り入れたいのは、やはり筋力アップ。無理な運動はけがの原因にもなりかねないが、自宅で簡単にできる冷え対策トレーニングを教えてもらった。「ストローを口にくわえた状態でゆっくり鼻から息を吸い、その後、そのストローから細く長く息を吐き出す呼吸法です。呼吸筋のなかでももっとも大きい横隔膜を手軽に鍛えられますので、1日3回、3セットを目安に行いましょう」そして、毎日のお風呂は「42度のお湯に5分以内」がベスト!「がん細胞は42度以上で死滅することがわかっています。とはいえ、43度より熱いお風呂に入ると交感神経が刺激され、血圧が上がってしまうなど、かえってトラブルの原因に。同様に、10分以上つかっていると交感神経が刺激されるほか、脱水症状を起こしたり、ひどい場合は心筋梗塞や脳卒中を引き起こすこともあるので、長風呂には要注意。余裕をもって5分以内にしましょう」「女性自身」2020年2月18日号 掲載
2020年02月12日「よく『冷えは万病のもと』といわれますが、それは決して抽象的な言葉ではありません。具体的な数字でいえば、日本人の死因の約9割近くは『低体温』が関係しているからです」そう話すのは、「冷え」に詳しい芝大門いまづクリニックの今津嘉宏院長。少し長くなるが、厚生労働省が発表している日本人の主な死因を見てみると、悪性新生物、心疾患、脳血管疾患のおなじみ「三大死因」に続き、肺炎、老衰、不慮の事故、自殺、腎不全、肝疾患、糖尿病、慢性気管支炎、さらに肺気腫、交通事故、高血圧……と、どれをとっても読者世代には人ごとではないものばかり(『平成30年人口動態統計(概数)の概況』より)。「そのうち、老衰と不慮の事故、自殺、交通事故、結核を除いた死因は、体温が高ければ防げるもので、その割合は、じつに全体の87.3%にのぼります」つまり、日本人の死因のほとんどが冷えと関係していることになる。その関係性について、今津院長はこう解説する。「病気の源流をたどっていくと、だいたい1つの原因に集約されていくものです。そして、その多くは高血圧や高血糖、高脂血症といった生活習慣病。たとえば、脳梗塞や心疾患、腎不全も、元をたどれば動脈硬化が進行した結果。そしてその動脈硬化の原因をさらにたどると、高血圧に行き着く、といえばわかりやすいでしょう。そこで、最近では『メタボリックシンドローム』ならぬ『メタボリックドミノ』と表現されることも増えています。これは動脈硬化のような大本の病気が、ドミノ倒しのように次々とほかの病気を引き起こすということ。しかし、冷えを改善し体温を上げることで、このドミノが倒れる前の『ついたて』の役割を果たしてくれるのです」しかし、「体温」は長いあいだ西洋医学の世界ではその存在が見落とされてきた。「明確な診断基準やガイドラインも存在しないため、冷えるのはその人の性質、つまり『冷え“性”』といわれていました。しかし、がんですら85%が治るような時代になり、高血圧や糖尿病といった生活習慣病の薬も登場してきたことで、だんだんと『冷えも手当てするべき症状なのでは』と認識されるようになってきたのです。多くの病院でも漢方を取り入れるようになり、それに合わせるかのように『冷え“症”』という呼び方が広まってきました」その漢方の世界では、昔から「冷えは病気」とされてきたという。「漢方と聞くと中国の医学のようですが、実は江戸時代には日本独自の伝統医学として成立しており、中国の漢方においては古くから『冷え』は根本的な診断基準のひとつでした。それというのも、CTも血液検査もなかった時代は、いったいなんの病気なのかを、見た目や問診で判断する必要がありました。中医学ではその分野が300以上もありますが、日本の場合は『強いか弱いか』『寒いか熱いか』という、とてもシンプルな分類が主流でした。『寒』とはつまり『冷え』のことですので、『冷え』は古来、病気かどうかを診断する、基本的な指標だったといえます」「寒」つまり「冷え症」がれっきとした病気の分野のひとつだとしても、「体のどこが冷えるか」は人それぞれ。「いわゆる虚弱体質で“全身が冷える”人もいれば、“上半身はのぼせているのに、下半身だけは冷える”人もいます。ですので、ひと言で『冷え症』といっても、その原因と対策を見つけるためには、一人ひとりの症状をきちんと分類していく必要があります。ある寝具メーカーの行ったアンケート調査によれば、20代から60代までの女性の、実に96%が“足元の冷え”を自覚していたといいます。つまり現代の女性は、ほぼ全員が『冷え症』に該当するのです」実際に、現代人の体温は、50年前と比べて0.7度低下している。「なぜこれだけ多くの女性が冷えているかという理由は定かではありません。住環境や食生活に変化、スマホやパソコンの普及によるライフスタイルの変化……。さまざまな冷えの原因が考えられますが、患者さんの声を聞くなかで感じるのは、さまざまな“複合型”の冷えが増えてきているということです」「足元が冷えている」のはもはや現代を生きる女性の宿命。それを踏まえて、今津先生に「冷え症」を3種類に大別してもらった。「『冷え症』で処方する漢方薬には大きく分けて3種類あるのですが、それらを使い分けるときの症状がまさに次の3タイプになります」【体全体が冷えるタイプ】〈特徴〉□痩せていて全体的に筋肉が少ない□体の芯から冷える□食が細く、胃がもたれやすい□すぐに呼吸が上がり、疲れやすい□寝付きが悪い□胃腸が弱く、軟便・兎糞状になりがち〈所見〉そもそもの筋肉量が少ないため熱を十分つくり出せていないのがこのタイプ。胃腸も冷えているので消化力も低下し、エネルギーが十分吸収できていないためさらに冷える悪循環に。心臓、肺などあらゆる臓器に不調をきたしているため、どこに不調が起こってもおかしくなく、本人も体調不良を自覚していることが多い。【下半身が冷えるタイプ】〈特徴〉□ふくよかな体形をしている□へそから太ももにかけて冷える□食欲は旺盛□エネルギッシュ□便秘になりやすい□頻尿の傾向がある〈所見〉50代ぐらいの女性に多いのがこのタイプ。体つきはしっかりしていて熱もたくさんつくり出しているものの、その熱が下半身にうまく分散していない。骨盤内にたまった静脈血や膀胱が冷えるため月経周りの不調や膀胱炎などを起こしやすいいっぽうで、燃えたぎる熱により水分が不足しがちなので便秘になりやすい。【末端が冷えるタイプ】〈特徴〉□体形は中肉中背□末端だけが冷える□社会でバリバリと頑張るほう□忙しく、イライラしやすい□ささいなことが気になる□眠りが浅い〈所見〉普通体形で、仕事もバリバリ。一見するとアクティブだが、忙しさや不規則な生活によって自律神経のバランスが乱れているのがこのタイプ。手や足の裏の汗は自律神経の働きによることが多く、こうした末端だけが冷えるのはまさにこのバランスが乱れている証し。そのため精神面での不調が出やすい。「体全体が冷える人は、たとえるなら竹久夢二の絵のような“か弱い人”。当帰芍薬散という漢方薬が効果を発揮します。いっぽう、50代ぐらいの一見元気な女性に多いのは、上半身はのぼせているのに下半身が冷えるという人。こちらは血流の乱れが原因で、外見の特徴は“ふくよかなお母さん”タイプ。桂枝茯苓丸という薬が効くといわれています。最後は手足などの末端だけが冷える人。こちらは精神的なストレスからくる冷えが原因で、“キャリアウーマン”に多いといえるでしょう。漢方では『闘士型』と呼ばれ、加味逍遥散を処方します」3タイプの特徴から自分の「冷え」を正しく把握していこう!「女性自身」2020年2月18日号 掲載
2020年02月12日「よく『冷えは万病のもと』といわれますが、それは決して抽象的な言葉ではありません。具体的な数字でいえば、日本人の死因の約9割近くは『低体温』が関係しているからです」そう話すのは、「冷え」に詳しい芝大門いまづクリニックの今津嘉宏院長。少し長くなるが、厚生労働省が発表している日本人の主な死因を見てみると、悪性新生物、心疾患、脳血管疾患のおなじみ「三大死因」に続き、肺炎、老衰、不慮の事故、自殺、腎不全、肝疾患、糖尿病、慢性気管支炎、さらに肺気腫、交通事故、高血圧……と、どれをとっても読者世代には人ごとではないものばかり(『平成30年人口動態統計(概数)の概況』より)。「そのうち、老衰と不慮の事故、自殺、交通事故、結核を除いた死因は、体温が高ければ防げるもので、その割合は、じつに全体の87.3%にのぼります」つまり、日本人の死因のほとんどが冷えと関係していることになる。その関係性について、今津院長はこう解説する。「病気の源流をたどっていくと、だいたい1つの原因に集約されていくものです。そして、その多くは高血圧や高血糖、高脂血症といった生活習慣病。たとえば、脳梗塞や心疾患、腎不全も、元をたどれば動脈硬化が進行した結果。そしてその動脈硬化の原因をさらにたどると、高血圧に行き着く、といえばわかりやすいでしょう。そこで、最近では『メタボリックシンドローム』ならぬ『メタボリックドミノ』と表現されることも増えています。これは動脈硬化のような大本の病気が、ドミノ倒しのように次々とほかの病気を引き起こすということ。しかし、冷えを改善し体温を上げることで、このドミノが倒れる前の『ついたて』の役割を果たしてくれるのです」しかし、「体温」は長いあいだ西洋医学の世界ではその存在が見落とされてきた。「明確な診断基準やガイドラインも存在しないため、冷えるのはその人の性質、つまり『冷え“性”』といわれていました。しかし、がんですら85%が治るような時代になり、高血圧や糖尿病といった生活習慣病の薬も登場してきたことで、だんだんと『冷えも手当てするべき症状なのでは』と認識されるようになってきたのです。多くの病院でも漢方を取り入れるようになり、それに合わせるかのように『冷え“症”』という呼び方が広まってきました」その漢方の世界では、昔から「冷えは病気」とされてきたという。「漢方と聞くと中国の医学のようですが、実は江戸時代には日本独自の伝統医学として成立しており、中国の漢方においては古くから『冷え』は根本的な診断基準のひとつでした。それというのも、CTも血液検査もなかった時代は、いったいなんの病気なのかを、見た目や問診で判断する必要がありました。中医学ではその分野が300以上もありますが、日本の場合は『強いか弱いか』『寒いか熱いか』という、とてもシンプルな分類が主流でした。『寒』とはつまり『冷え』のことですので、『冷え』は古来、病気かどうかを診断する、基本的な指標だったといえます」「寒」つまり「冷え症」がれっきとした病気の分野のひとつだとしても、「体のどこが冷えるか」は人それぞれ。「いわゆる虚弱体質で“全身が冷える”人もいれば、“上半身はのぼせているのに、下半身だけは冷える”人もいます。ですので、ひと言で『冷え症』といっても、その原因と対策を見つけるためには、一人ひとりの症状をきちんと分類していく必要があります。ある寝具メーカーの行ったアンケート調査によれば、20代から60代までの女性の、実に96%が“足元の冷え”を自覚していたといいます。つまり現代の女性は、ほぼ全員が『冷え症』に該当するのです」実際に、現代人の体温は、50年前と比べて0.7度低下している。「なぜこれだけ多くの女性が冷えているかという理由は定かではありません。住環境や食生活に変化、スマホやパソコンの普及によるライフスタイルの変化……。さまざまな冷えの原因が考えられますが、患者さんの声を聞くなかで感じるのは、さまざまな“複合型”の冷えが増えてきているということです」「足元が冷えている」のはもはや現代を生きる女性の宿命。それを踏まえて、今津先生に「冷え症」を3種類に大別してもらった。まずは、「体全体が冷える人」。全身の筋肉量が少なく、熱そのものをつくる力が弱いタイプだそう。「たとえるなら竹久夢二の絵のような“か弱い人”。当帰芍薬散という漢方薬が効果を発揮します。いっぽう、50代ぐらいの一見元気な女性に多いのは、『上半身はのぼせているのに下半身が冷えるという人』。こちらは血流の乱れが原因で、外見の特徴は“ふくよかなお母さん”タイプ。桂枝茯苓丸という薬が効くといわれています。最後は『手足などの末端だけが冷える人』。こちらは精神的なストレスからくる冷えが原因で、“キャリアウーマン”に多いといえるでしょう。漢方では『闘士型』と呼ばれ、加味逍遥散を処方します」さらに、この3タイプに加えて、ピンポイントの冷えが起こる場合もあるというからご用心!【首のうしろの冷え】「ツボのひとつに、体内に風邪が入る場所と考えられている『風穴』があります。背骨と左右肩甲骨の間にありますが、実際に風邪のひきはじめなど首のうしろから背中がゾクゾクしますよね。ここが冷えるのは、感染症にかかりやすい兆候と考えられるでしょう」【片半身の冷え】「患者さんの中には体の片側だけ冷えるという方が少なくありません。一概に特定の病気とひもづけることはできませんが、リンパの流れが関係している可能性はあります。血液とは異なり、リンパは最終的に体の右側を通っていくため流れに左右差が出やすいのです。こうした患者さんにはマッサージを提案しています」【特定の臓器の冷え】「精神科の患者さんのなかには『心臓が冷える』など、特定の臓器の冷えを訴える方がいます。私は、これは大きなストレスがかかったときの『肝が冷えた』という感覚と似ているのではないかと考えています」かように多岐にわたるのが「冷え症」という病気。診察の際には、なるべく具体的な症状を医師に話し、自分の「冷え」のタイプを見誤らないよう注意しよう。「女性自身」2020年2月18日号 掲載
2020年02月12日季節外れの暖かさに包まれているが、まだまだ朝晩は「冷え」の残る今日このごろ。女性なら誰しもが身に覚えのある「冷え症」は、じつは単なる“体質”ではなく、ひとつの立派な“病気”だって知っていましたか?「よく『冷えは万病のもと』といわれますが、それは決して抽象的な言葉ではありません。具体的な数字でいえば、日本人の死因の約9割近くは『低体温』が関係しているからです」そう話すのは、「冷え」に詳しい芝大門いまづクリニックの今津嘉宏院長。少し長くなるが、厚生労働省が発表している日本人の主な死因を見てみると、悪性新生物、心疾患、脳血管疾患のおなじみ「三大死因」に続き、肺炎、老衰、不慮の事故、自殺、腎不全、肝疾患、糖尿病、慢性気管支炎、さらに肺気腫、交通事故、高血圧……と、どれをとっても読者世代には人ごとではないものばかり(『平成30年人口動態統計(概数)の概況より』。「そのうち、老衰と不慮の事故、自殺、交通事故、結核を除いた死因は、体温が高ければ防げるもので、その割合は、じつに全体の87.3%にのぼります」つまり、日本人の死因のほとんどが冷えと関係していることになる。その関係性について、今津院長はこう解説する。「病気の源流をたどっていくと、だいたい1つの原因に集約されていくものです。そして、その多くは高血圧や高血糖、高脂血症といった生活習慣病。たとえば、脳梗塞や心疾患、腎不全も、元をたどれば動脈硬化が進行した結果。そしてその動脈硬化の原因をさらにたどると、高血圧に行き着く、といえばわかりやすいでしょう。そこで、最近では『メタボリックシンドローム』ならぬ『メタボリックドミノ』と表現されることも増えています。これは動脈硬化のような大本の病気が、ドミノ倒しのように次々とほかの病気を引き起こすということ。しかし、冷えを改善し体温を上げることで、このドミノが倒れる前の『ついたて』の役割を果たしてくれるのです」「冷え」が私たちの健康にさまざまな影響を及ぼすことは明らか。しかし、「体温」は長いあいだ西洋医学の世界ではその存在が見落とされてきた。「明確な診断基準やガイドラインも存在しないため、冷えるのはその人の性質、つまり『冷え“性”』といわれていました。しかし、がんですら85%が治るような時代になり、高血圧や糖尿病といった生活習慣病の薬も登場してきたことで、だんだんと『冷えも手当てするべき症状なのでは』と認識されるようになってきたのです。多くの病院でも漢方を取り入れるようになり、それに合わせるかのように『冷え“症”』という呼び方が広まってきました」その漢方の世界では、昔から「冷えは病気」とされてきたという。「漢方と聞くと中国の医学のようですが、実は江戸時代には日本独自の伝統医学として成立しており、中国の漢方においては古くから『冷え』は根本的な診断基準のひとつでした。それというのも、CTも血液検査もなかった時代は、いったいなんの病気なのかを、見た目や問診で判断する必要がありました。中医学ではその分野が300以上もありますが、日本の場合は『強いか弱いか』『寒いか熱いか』という、とてもシンプルな分類が主流でした。『寒』とはつまり『冷え』のことですので、『冷え』は古来、病気かどうかを診断する、基本的な指標だったといえます」つまりそれだけ、「冷え症」はあらゆる病気のもとなのだ。「それだけではなく、究極の『冷え』は死につながります。よく映画などでは、雪山で遭難した人が眠気に襲われ、やがて凍死してしまうという場面が描かれていますが、まさにこのとおりです。人間は体温が32度以下になると錯乱状態になり、やがて多臓器不全を起こします。そして、仮眠傾向といって眠くなり、寝てしまい、死に至る。『凍死』とは、低体温症による死を指すのです」まさに冷えは命を落としかねない、れっきとした病気。その原因は次のようにさまざまだが、一般的には筋肉量がカギとなる。【冷えの原因と考えられる諸要因】□物理的な気温の低下□飲食物による胃腸の冷え□加齢や筋力低下による冷え□生まれつきの虚弱体質□精神的ストレスの増大など「運動をすると汗をかくことからもわかるとおり、体温は主に筋肉でつくられます。いっぽうで安静にしていてもある程度の体温が保たれるのは、外からは見えない筋肉の存在があるからです。血管や膀胱、子宮、消化管などは平滑筋によって動いていますし、心臓は心筋という、いわば筋肉のかたまり。また呼吸には呼吸筋の働きが不可欠ですので、生きているだけで筋肉が働き、そこから体温が生まれているのです」とはいえ全体の筋肉量は加齢とともに減っていくので、年とともに冷えは実感しやすくなる。今津院長によれば「『冷え(寒)』と言っても、どこが冷えるのかは人それぞれ。原因も治療法も異なってきます」という。「女性自身」2020年2月18日号 掲載
2020年02月11日「立春」を過ぎ、暦の上ではいよいよ春。ぽかぽか陽気に包まれて、その訪れを実感することも増えてきた。いっぽうで、朝晩を中心にまだまだ厳しい寒さが残ることもあり、「冬の名残り」に身震いしている人は多いはず。とはいえ、これだけ空調が充実し、保温性の高い下着などもあふれているご時世に、世代を超えて多くの女性たちが「冷え」に悩まされ続けているのはいったいなぜなのだろう……。そこで、「冷え」に詳しい芝大門いまづクリニックの今津嘉宏院長に、「本当は怖い冷えの真実」を教えてもらった。「よく『冷えは万病のもと』といわれますが、それは決して抽象的な言葉ではありません。具体的な数字でいえば、日本人の死因の約9割近くは『低体温』が関係しているからです」少し長くなるが、厚生労働省が発表している日本人の主な死因を見てみると、悪性新生物、心疾患、脳血管疾患のおなじみ「三大死因」に続き、肺炎、老衰、不慮の事故、自殺、腎不全、肝疾患、糖尿病、慢性気管支炎、さらに肺気腫、交通事故、高血圧……と、どれをとっても読者世代には人ごとではないものばかり(『平成30年人口動態統計(概数)の概況』より)。「そのうち、老衰と不慮の事故、自殺、交通事故、結核を除いた死因は、体温が高ければ防げるもので、その割合は、じつに全体の87.3%にのぼります」つまり、日本人の死因のほとんどが冷えと関係していることになる。その関係性について、今津院長はこう解説する。「病気の源流をたどっていくと、だいたい1つの原因に集約されていくものです。そして、その多くは高血圧や高血糖、高脂血症といった生活習慣病。たとえば、脳梗塞や心疾患、腎不全も、元をたどれば動脈硬化が進行した結果。そしてその動脈硬化の原因をさらにたどると、高血圧に行き着く、といえばわかりやすいでしょう。そこで、最近では『メタボリックシンドローム』ならぬ『メタボリックドミノ』と表現されることも増えています。これは動脈硬化のような大本の病気が、ドミノ倒しのように次々とほかの病気を引き起こすということ。しかし、冷えを改善し体温を上げることで、このドミノが倒れる前の『ついたて』の役割を果たしてくれるのです」その理由は、体温を上げることによって「細胞レベル」で体が活性化するためだという。「人間の細胞は、温度が下がると活動性が低下し、冬眠状態に陥ることもあります。逆に温度が上がると、活動性が増し、活発に働き始めるのです。また、がん細胞は熱に弱く、42度以上で死滅することがわかっています。体温の上昇により、免疫力や代謝が上がることはすでによく知られていますが、免疫力アップは風邪だけでなく、肺炎や膀胱炎の予防にも効果的です。また、代謝が上がると血管内に老廃物がたまりにくくなり、動脈硬化の発症が遅らせられるほか、肝臓や腎臓といった臓器の機能も向上。腸管の働きも、体温が高いほうがいいのです」さらに興味深いのは、脳の働きにも体温が関係していること。「脳は電気信号で動いているため、体温が下がりすぎると神経同士の接触が悪くなってしまいます。すると、ものを考える力や、やる気が低下してしまうのです」「女性自身」2020年2月18日号 掲載
2020年02月11日「腸内環境を整えることは、美と健康を手に入れるうえでの、基本中の基本。そのために、大さじ1杯の味噌を、日々のレシピに加えてみてください。毎日味噌を食べることが、あなたの体を内側から変えていくはずですよ」こう語るのは、予防内科医で、料理家でもある“ドクターシェフ”こと、関由佳さん。日々たくさんの患者と向き合うなかで、現代人は腸内環境の悪化により、消化力が低下していることに気づいたと話す。「消化力が落ちると、食べたものを正しく消化・吸収・代謝できなくなり、栄養不足になってしまう。そうなると食べ物が未消化のまま体の中にたまり、毒素となるのです。この毒素が、さまざまな病気を引き起こします。つまり、栄養素を正しく消化・吸収できる体をつくれば病気は予防・治療できる、と考えました」関さん自身も、15歳から慢性的な生理不順や立ちくらみ、そして下痢や便秘といった腸の炎症に、長い間悩み続けていた。日々の診療で得た気づきと、自身の悩みを踏まえて、病気と食の関係や栄養学について本格的に勉強するようになったという。「’13年、調理技術と栄養学を学ぶために、ニューヨークの料理専門学校に留学しました。そこで、味噌のすばらしさに気づいたのです」関さんは、「味噌は最高のスーパーフード」と断言する。その根拠は何なのだろうかーー。「生命の維持には、必須アミノ酸とビタミン、ミネラルが欠かせません。味噌はこれらすべてを含んでいるだけでなく、腸内環境を改善させる乳酸菌や食物繊維も豊富。さらに、発酵という段階を経ることで、『メラノイジン』という、老化を抑制する抗酸化物質を生み出すのです」味噌の持つさまざまな栄養に気づいた関さんは、食事に味噌を取り入れるように。それ以来、腸の炎症などの悩みは解消し、“薬いらず”の体になったという。ニューヨークの料理学校の卒業資格を取得し、現地のミシュラン星付きレストランなどでも修行した経験がある関さん。現在は、メディカルフード料理研究家としても活躍している。その関さんが今回、本誌においしくて簡単な「腸活」味噌レシピを教えてくれた。■最強の美腸&美肌レシピ「味噌ワカモレ」味噌に含まれる「メラノイジン」は美白をつくる成分。“若返りビタミン”ともいわれるアボカドのビタミンEとの相乗効果が!【材料】2人分アボカド…1個味噌…小さじ1と1/2レモン汁…小さじ2赤玉ねぎ(みじん切り)…大さじ1パクチー(みじん切り)…大さじ1コーン、チリパウダー…少々【作り方】(1)赤玉ねぎとパクチーのみじん切りをよく混ぜる。(2)アボカドを潰しながら加え、味噌、レモン汁を加えてさらに混ぜる。(3)お好みでコーンとチリパウダーをトッピング。■簡単に作れるアンチエイジング食「味噌パチョ(ガスパチョ)」「メラノイジン」とトマトの「リコピン」で抗酸化・アンチエイジングを狙った一品。【材料】2人分トマト…中1個黄パプリカ…1/4個きゅうり… 1/2本にんにく…小1/4片八丁味噌…小さじ1オリーブオイル…小さじ1水… 50ml【作り方】すべてミキサーに入れて滑らかになるまでまぜる。にんにくは辛いときがあるので量は好みで調節する。「腸内環境の改善は、がんや脳卒中、そして糖尿病といった生活習慣病を予防できることが明らかになっています。最近ではうつ病や認知症といった病気も腸が関係していることもわかっています。その点、味噌は“腸活”において、とても優れた食品なのです」(関さん)「女性自身」2020年2月18日号 掲載
2020年02月11日食卓に並ぶ1杯の味噌汁。なんとなく、飲んでいる人も多いかもしれないけれど、実はこの『味噌』は、美と健康のために必要な成分を、た〜っぷり含んだ食品なんです!「腸内環境を整えることは、美と健康を手に入れるうえでの、基本中の基本。そのために、大さじ1杯の味噌を、日々のレシピに加えてみてください。毎日味噌を食べることが、あなたの体を内側から変えていくはずですよ」こう語るのは、予防内科医で、料理家でもある“ドクターシェフ”こと、関由佳さん。日々たくさんの患者と向き合うなかで、現代人は腸内環境の悪化により、消化力が低下していることに気づいたと話す。「消化力が落ちると、食べたものを正しく消化・吸収・代謝できなくなり、栄養不足になってしまう。そうなると食べ物が未消化のまま体の中にたまり、毒素となるのです。この毒素が、さまざまな病気を引き起こします。つまり、栄養素を正しく消化・吸収できる体をつくれば病気は予防・治療できる、と考えました」関さん自身も、15歳から慢性的な生理不順や立ちくらみ、そして下痢や便秘といった腸の炎症に、長い間悩み続けていた。日々の診療で得た気づきと、自身の悩みを踏まえて、病気と食の関係や栄養学について本格的に勉強するようになったという。「’13年、調理技術と栄養学を学ぶために、ニューヨークの料理専門学校に留学しました。そこで、味噌のすばらしさに気づいたのです」関さんは、「味噌は最高のスーパーフード」と断言する。その根拠は何なのだろうかーー。「生命の維持には、必須アミノ酸とビタミン、ミネラルが欠かせません。味噌はこれらすべてを含んでいるだけでなく、腸内環境を改善させる乳酸菌や食物繊維も豊富。さらに、発酵という段階を経ることで、『メラノイジン』という、老化を抑制する抗酸化物質を生み出すのです」味噌の持つさまざまな栄養に気づいた関さんは、食事に味噌を取り入れるように。それ以来、腸の炎症などの悩みは解消し、“薬いらず”の体になったという。「腸内環境の改善は、がんや脳卒中、そして糖尿病といった生活習慣病を予防できることが明らかになっています。最近ではうつ病や認知症といった病気も腸が関係していることもわかっています。その点、味噌は“腸活”において、とても優れた食品なのです」だが、味噌は塩分量が多いのでは?という疑問が。とくに高血圧の人は気になるところ。「実を言うと、味噌は、同じ量の醤油と比べると、塩分量は少ないのです。だから私は、料理をする際に塩は使わず、風味もたっぷりある味噌を調味料として利用しています。むしろ、味噌には血圧を下げる作用を持つ物質があることも、研究で明らかになってます」ちなみに、厚生労働省が指針としている1日当たりの塩分量は8グラム。カップラーメン1杯の塩分量は約6グラムに対し、味噌汁1杯の塩分量は1.2〜1.5グラム。日常に取り入れるうえで、問題はない。「味噌を選ぶうえでオススメなのは、味噌専門店で、大豆、塩、麹だけで造られた長期熟成の味噌。スーパーなどで購入する場合は、パッケージに『天然醸造』『長期熟成』と書いてあるものを選ぶのがよいと思います」「女性自身」2020年2月18日号 掲載
2020年02月11日熊本県菊池産のごぼうを100%使用乾燥野菜やオカラパウダーの製造・販売事業を展開する株式会社メイクファクトリーは、新商品として「ごぼう茶」「しょうがごぼう茶」「ゴボウとニンジン」「ごぼうパウダー」の取り扱いを開始した。ごぼうには、ポリフェノール成分であるサポニンが豊富に含まれている。強力な抗酸化作用があり、抗がん作用・老化を抑制する力があるとされている。また、食物繊維が豊富で、イヌリン(水溶性食物繊維)は難消化性で糖尿病や生活習慣病の予防に効果があるとされ、リグニン(不溶性食物繊維)は、腸内環境を整えて血中コレステロールを抑制し、善玉菌の増加を促すとされている。毎日の美容と健康習慣に「ごぼう茶」は、ノンカフェインであり、便秘・腸内環境の改善、むくみとり、冷え性の改善、ダイエット・デトックス効果、美肌効果、滋養強壮など、健康と美容をサポートする体にやさしい飲み物である。全ラインナップ商品は、熊本県菊池産で鮮度の高いごぼうを使用している。同社で使用しているごぼうは、栄養が豊富な先端部分を優先的に使用しているため、豊かな香りと甘みが特徴である。生産者と直結しているため、朝採れの新鮮なごぼうを、その日の内に乾燥~焙煎工程から発送まで、自社工場一貫体制で行っており、高品質で短納期を実現した。(画像はプレスリリースより)【参考】※プレスリリース株式会社メイクファクトリー※乾味屋 ごぼう職人集団
2020年02月10日「医療費は、手術や入院を伴う病気にばかり目が行きがちですが、1回の医療費が安価であっても、20年、30年と長期間治療を受け続けることの多い生活習慣病のほうが、最終的には高額になるケースがあるのです」こう語るのは、新宿・立川・川崎に展開する駅ナカ診療所「ナビタスクリニック」理事長で、医師の久住英二さんだ。そこで女性の更年期特有の病気の医療費が、どのくらいになるのかを算出してみた。■更年期障害(50~59歳)閉経で女性ホルモンのバランスが乱れ、自律神経の失調に苦しむ50代の女性は多い。更年期障害の治療はホルモン補充療法がメイン。薬代(メノエイドコンビパッチ・1週間775.2円〈2枚〉)・1年=3万7,209円調剤費(薬剤1種類800円〈1カ月〉)・1年=9,600円診療費(1,400円〈1カ月〉)・1年=1万6,800円1年のトータル医療費=6万3,609円50歳から59歳までの負担額=19万820円■更年期によるうつ(50~59歳)更年期障害に起因するうつは「不安感を軽減する精神安定剤ではなく、気持ちを明るくする抗うつ剤を処方した場合で計算」。薬代(パキシル・1日78.8円)・1年=2万8,762円調剤費(薬剤1種類800円〈1カ月〉)・1年=9,600円診療費(4,700円〈1カ月〉)・1年=5万6,400円1年のトータル医療費=9万4,762円50歳から59歳までの負担額=28万4,280円「身近な病気にいくらかかるのかを知っておき、健康に留意すれば、将来的に病気や家計の不安を軽減できるはずです」(久住さん)「女性自身」2020年1月28日号 掲載
2020年01月16日「医療費は、手術や入院を伴う病気にばかり目が行きがちですが、1回の医療費が安価であっても、20年、30年と長期間治療を受け続けることの多い生活習慣病のほうが、最終的には高額になるケースがあるのです」こう語るのは、新宿・立川・川崎に展開する駅ナカ診療所「ナビタスクリニック」理事長で、医師の久住英二さんだ。「とくに年金生活では、医療費は大きな負担となります。ましてや、これまで医療費が1割負担だった75歳以上の高齢者でも、’22年度からは一定所得があれば2割負担に引き上げられる見通しです。身近な病気にいくらかかるのかを知っておき、健康に留意すれば、将来的に病気や家計の不安を軽減できるはずです」そこで50代女性が罹患しやすい糖尿病の医療費が、92歳(将来的に現在の平均寿命87歳よりも5年ほど長くなることを想定)までに、どのくらい膨れ上がるのかを算出してみた。糖尿病は40歳以上の4人に1人が患者か予備軍といわれる国民病。「インスリンは血糖値を下げる働きがありますが、その能力を超える糖質を摂取して高血糖状態が続くと、血管内皮細胞が傷つき、血管が狭く、細く、血栓ができやすくなります。その結果、腎症、網膜症、神経障害を合併するリスクを高めることに」(久住さん・以下同)月に1回の診療費は、概算で再診料720円+処方箋料680円+糖尿病が適用される特定疾患療養管理加算2,250=3,650円。3カ月おきに行う血液検査は4,020円だ。「薬は、インスリンの働きを促すメトホルミン(10.1円)を1日4錠、血中の糖分を尿として排出させるSGLT2阻害薬(195円)と、血糖値の高さに応じてインスリンを分泌させるDDP-4阻害薬(127円)を、それぞれ1日1錠とします。薬局で支払う調剤費は1種類につき800円ほどなので、3種類で2,400円になります」診療費、薬代、調剤費を合わせると、年間で22万956円となる。現在は69歳までは医療費の自己負担が3割、一般的な所得であれば70~74歳は2割、75歳以上は1割だ。よって、50歳で糖尿病に罹患した場合、生涯の医療費は194万4,385円となる。だが、現在検討されている“75歳以上2割負担に引き上げ”が実施された場合、医療費は234万2,113円と、約40万円もアップしてしまうのだ。「女性自身」2020年1月28日号 掲載
2020年01月16日「医療費は、手術や入院を伴う病気にばかり目が行きがちですが、1回の医療費が安価であっても、20年、30年と長期間治療を受け続けることの多い生活習慣病のほうが、最終的には高額になるケースがあるのです」こう語るのは、新宿・立川・川崎に展開する駅ナカ診療所「ナビタスクリニック」理事長で、医師の久住英二さんだ。「とくに年金生活では、医療費は大きな負担となります。ましてや、これまで医療費が1割負担だった75歳以上の高齢者でも、’22年度からは一定所得があれば2割負担に引き上げられる見通しです。身近な病気にいくらかかるのかを知っておき、健康に留意すれば、将来的に病気や家計の不安を軽減できるはずです」そこで50代女性が罹患しやすい生活習慣病の医療費が、92歳(将来的に現在の平均寿命87歳よりも5年ほど長くなることを想定)までに、どのくらい膨れ上がるのかを算出してみた。■高血圧心筋梗塞や脳梗塞のリスクを高める高血圧。薬は降圧剤のカルシウム拮抗薬(40.6円)と、高血圧の原因物質であるアンジオテンシン2の働きを弱めるARB(111円)の2種類だ。「閉経期前後から高血圧を指摘される人が多いので50歳を発症年齢としましたが、治療終了は、想定した将来の平均寿命よりも10年ほど前倒ししました。降圧剤により立ちくらみを起こすと骨折の原因にもなるので、終末期が近くなり、血圧がすごく高くなければ、治療をやめることも選択肢です」薬代・1年=5万5,334円調剤費・1年=1万9,200円診療費・1年=4万3,800円1年のトータル医療費=11万8,334円【50歳から82歳までの負担額】現行制度だと(50~69歳〈3割負担〉71万円、70~74歳〈2割負担〉11万円8,330円、75~82歳〈1割負担〉9万4,664円)92万2,994円改正されると(50~69歳〈3割負担〉71万円、70~82歳〈2割負担〉30万7,658円)101万7,658円改正後は9万4,664円増!■骨粗しょう症閉経後、女性ホルモンが不足した女性が罹患することが多い病気。一般的に65歳以上に発症することが多いので、65歳から92歳までの治療費を試算した。「骨を壊す破骨細胞を阻害するビスホスホネート(2,500円)は、月に1回。骨を強くするカルシウム(5.7円)を1日2錠、カルシウムの吸収を促進するビタミンD(22円)は1日1錠と仮定」年1回、4,500円ほどの骨密度検査が必要となる。薬代・1年=4万2,191円調剤費・1年=2万8,800円診療費・1年=2万1,300円1年のトータル医療費=9万2,291円【65歳から92歳までの負担額】現行制度だと(65~69歳〈3割負担〉13万8,435円、70~74歳〈2割負担〉9万円2,290円、75~92歳〈1割負担〉16万6,122円)39万6,847円改正されると(65~69歳〈3割負担〉13万8,435円、70~92歳〈2割負担〉42万4,534円)56万2,969円改正後は16万6,122円増!■腰痛高齢となり体幹が弱まると、腰の筋肉に異常な負担がかかる。緊張した筋肉に痛みが走る状態が腰痛だ。「治療のメインは湿布薬(1日32円)と、週3回ほど通院する電気治療(1回350円)です」薬代・1年=1万1,680円調剤費・1年=9,600円診療費・1年=6万7,200円1年のトータル医療費=8万8,480円【50歳から82歳までの負担額】現行制度だと(50~69歳〈3割負担〉53万880円、70~74歳〈2割負担〉8万円8,480円、75~92歳〈1割負担〉15万9,264円)77万8,624円改正されると(50~69歳〈3割負担〉53万880円、70~92歳〈2割負担〉40万7,008円)93万7,888円改正後は15万9,264円増!これらの病いは、日々の食事、運動など生活習慣の見直しで発症リスクを抑えられる。経済的な側面からも、健康づくりは大事なのだ。「女性自身」2020年1月28日号 掲載
2020年01月16日今や、日本人の6人に1人が糖尿病あるいはその予備群とされている。「そのうちの9割が、生活習慣病が原因とされる2型糖尿病であり、気付かないまま健診で見つかって慌ててしまうことがありますが、それは長い年月に及ぶ無意識な食生活習慣や日常生活の積み重ねを原因として発症・悪化することが明らかになっています。日々の生活習慣を見直し、その蓄積によって、予防や改善につなげることができます」医学博士で(一社)日本ダイエットスペシャリスト協会理事長の永田孝行先生はそう解説する。永田先生によれば、糖尿病予防においては、特に「食生活」が重要だという。「糖質が血糖値を上げることはよく知られていますが、食べ方の順序や温度、脂質やタンパク質との食べ合わせでも食後血糖値を左右します」そこで白澤先生が、糖尿病にまつわる2択クイズを出題。健康寿命を目指すための知識を取り入れて、2020年をもっとイキイキ過ごそう!【Q1】糖尿病予防に、食後の軽い運動をするなら?筋トレ or ジョギング正解は、筋トレ。「15分以上、あるいは2〜3回に分けて運動するならジョギングでもよいのですが、限られた時間で運動をするなら筋トレのほうが有効です。筋肉のある方が血糖値が上がりにくいからです。食後30分くらいして胃が落ち着いたころの筋トレは筋肉が効果的につきます」(永田先生・以下同)【Q2】血糖値が上がりにくいクリスマスケーキは?フルーツケーキ or チーズケーキ正解は、チーズケーキ。「チーズやバターは高カロリーですが、食後の血糖値を上げにくいのでインスリン分泌を誘発しにくいという面もあります。なかでも小麦粉をほとんど使用しないニューヨーカーチーズケーキは血糖値を上げにくいです。とはいえ、もちろん食べ過ぎには注意」【Q3】お正月のお酒の飲み方、正しいのは?食事をしながら時間をかけて飲む or 食後2時間空けてから短時間で飲む正解は、食後2時間空けてから短時間で飲む。「食事をしながらお酒を飲むと、食事で上昇した血糖がさらに上がってしまいますし、同じ酒を飲み続けることで飲みすぎになりがち。血糖値が元に戻る食後2時間程後に、酒種を変えて飲むと、満足感もあり飲みすぎ防止に。夕食は早めにとるのが理想です」【Q4】血糖値を上げにくいのは?温かいきつねうどん or 冷たい温玉うどん正解は、冷たい温玉うどん。「炭水化物は血糖値を上げる食品として知られていますが、デンプンが冷めるとレジスタントスターチ(難消化性デンプン)が増えるので血糖値の上昇が抑えられます。さらに、卵が加わることで血糖値の上昇を遅らせることにつながります」【Q5】休み明けのリセット法としていいのは?休み明けの3日前に短期のプチ断食 or 運動やサウナで汗をかいて水を飲む正解は、休み明けの3日前に短期のプチ断食。「休日の食生活の乱れは、胃腸を疲弊させますが、半日〜1日のプチ断食で胃腸を休ませることができます。プチ断食は、腸内環境を整えるほか、血糖値を抑えてインスリンの分泌を低下させることもできます。また、余分な体内エネルギーの発散にもなります」このほかにも、「食後のデザートより、食後2時間後の間食のほうが血糖値を上げにくい」「マーガリンより動物性のチーズやバターのほうが健康的なうえに体脂肪も増えにくい」なども知っておきたいところ。「女性自身」2020年1月1日・7日・14日号 掲載
2020年01月07日「高齢化の影響で健康への関心はますます高まりを見せています。健康情報はあふれているものの、意外と知らないことや、思い込みのままでいること、昔は黒だと考えられていたことが今では白になっていたり、その逆といった情報も少なくありません」大人気ドラマ『ドクターX』シリーズ(テレビ朝日系)の医療監修も務める、医師で医療ジャーナリストの森田豊先生はこう話す。森田先生は、エビデンス(科学的根拠)に基づいた最新の健康情報を知ってもらうためにも、いろんな場面で、クイズ形式で正しい知識を紹介するようにしているという。そんな森田先生が、がんにまつわる2択クイズを出題。健康寿命を目指すための知識を取り入れて、2020年をもっとイキイキ過ごそう!【Q1】就寝時の特徴で、がんになりやすいのは?寝相が悪い or いびきをかく正解は、いびきをかく。「ハーバード大学が10万人を対象に行った調査で、いびきをかく人は、そうでない人に比べて大腸がんのリスクが1.4〜2倍増加するという結果が出ています。いびきをかく人は睡眠時に脳が酸欠状態になりやすく、悪性腫瘍が増殖しやすいと推測されています」(森田先生・以下同)【Q2】遺伝が原因でがんになる人は、がん患者全体の何%?25% or 5%正解は、5%。「『がんは遺伝する』と思っている人もいますが、遺伝性のがんは全体の5%程度。比較的遺伝性が高いと考えられている乳がん、卵巣がん、大腸がんでも10%程度。生活習慣に留意することでがんを予防することも多いのです」【Q3】禁煙の徹底により、がん患者はどれくらい減る?20% or 50%正解は、20%。「喫煙者と同じ空間にいて空気を吸う受動喫煙も含め、たばこは肺がん、咽頭がんなどの大きな要因です。禁煙が徹底されることで、がん患者の2割は減る計算になります。また、本人が吸い込むより、周囲の人が吸い込む副流煙のほうが、リスクが上がります」【Q4】1日にどれくらい座っているとがんになりやすい?4時間以上 or 8時間以上正解は、4時間以上。「米国・カンザス州立大学が26万人を対象に行った調査では、1日4時間以上座っている人は、それ以下の人に比べてがん全般の発症率が大幅に高まることがわかりました。座っている時間が長いと運動量も減少し、体内の血流も悪くなり、がん以外の病気も誘発します」【Q5】お酒に弱い人が、飲酒によってリスクが高まるのは?食道がん or 胃がん正解は、食道がん。「東京大学の研究チームが4,000人を対象に行った研究で、お酒に弱い人が1日に缶ビールを1本以上飲むと、食道がんのリスクが56倍になるという結果が。顔が赤くなる人ほど、体内に発がん物質をため込む傾向があるので、特に飲み会シーズンはご注意を」【Q6】毎日飲むと肝臓がんリスクが減少するのは?コーヒー or オレンジジュース正解は、コーヒー。「毎日コーヒーを飲むと、肝臓がんの発生リスクが半減するという研究結果があります。コーヒーの成分が肝細胞の炎症を抑えると考えられているためです。さらに、女性の場合、1日3杯以上のコーヒーを飲むと、大腸がんの発症リスクが30%低下することもわかっています」コーヒーや緑茶の、がんや生活習慣病の予防効果は次々と報告されている。食事、運動などの生活習慣でも、新たに解明され、以前とは異なる方法がよいとされていることは多くある。「野菜から食べる“ベジファースト”を実践している人もいるでしょう。ところが、血糖値の上昇抑制や肥満対策で考えているのであれば、むしろ肉から食べる“ミートファースト”のほうが、血糖値の上昇を抑制し、肥満になりにくいといったことも、最近わかりつつあります」多くの人が勘違いしている常識や誤っていた情報は、1つずつアップデートを。「女性自身」2020年1月1日・7日・14日号 掲載
2020年01月07日「高齢化の影響で健康への関心はますます高まりを見せています。健康情報はあふれているものの、意外と知らないことや、思い込みのままでいること、昔は黒だと考えられていたことが今では白になっていたり、その逆といった情報も少なくありません」大人気ドラマ『ドクターX』シリーズ(テレビ朝日系)の医療監修も務める、医師で医療ジャーナリストの森田豊先生はこう話す。森田先生は、エビデンス(科学的根拠)に基づいた最新の健康情報を知ってもらうためにも、いろんな場面で、クイズ形式で正しい知識を紹介するようにしているという。そんな森田先生が、がんにまつわる2択クイズを出題。健康寿命を目指すための知識を取り入れて、2020年をもっとイキイキ過ごそう!【Q1】食道がんになりやすいのは?熱いものを好んで飲む人 or 冷たいものを好んで飲む人正解は、熱いものを好んで飲む人。「イランのテヘラン大学で行われた調査で、70度以上の熱いお茶をよく飲む人は、そうでない人に比べて食道がんになるリスクが8倍に増加するという研究結果が報告されています。熱いまま飲むと食道の粘膜が傷つき、炎症を起こしてがん化する可能性が高まります」(森田先生・以下同)【Q2】がん予防によい食材の組み合わせは?ブロッコリーとわさび or 大豆とレモン正解は、ブロッコリーとわさび。「ブロッコリーにはがんの発生を抑制するスルフォラファンというフィトケミカルが含まれていますが、熱処理をするとその特性が壊されてしまうと考えられています。ところが、わさびを加えるとスルフォラファンの効果が復活するという特性があるのです」【Q3】歯磨きをしないと発症リスクが高くなるのは?食道がん or 舌がん正解は、食道がん。「『1日に1度しか歯を磨かない人は、2回以上磨く人より食道がんになるリスクが約30%増加する』という報告が愛知県がんセンターから出ています。口の中には発がん性物質アセトアルデヒドをつくる細菌がいて、歯を磨かなければ増殖してしまうのです」【Q4】睡眠時間が短くなると発症リスクが高くなるのは?大腸がん or 乳がん正解は、乳がん。「東北大学が約2万4,000人の女性を対象に行った研究で、平均睡眠時間が6時間以下の人は、7時間以上寝ている人より乳がんのリスクが1.6倍高かったという報告があります。年末年始は多忙で不規則になりがちですが、睡眠はしっかりとるようにしましょう」一つひとつはわずかな選択だが、こうした小さな積み重ねが、生活習慣病、ひいてはがんの予防にもつながっていくのだという。「私たちには本来、自然治癒力が備わっていて、日々体内でつくられるがん細胞を消してくれる働きをしてくれています。その自然治癒力を最大限に引き出すためにも、正しい知識を持って体にやさしい生活を心がけることが大切です」「女性自身」2020年1月1日・7日・14日号 掲載
2020年01月07日人生において訪れるさまざまな転機。なかでも“大きな病気”と向き合うには相当な覚悟が必要です。ここでは、「がん」を経験したことが、その後の生きる糧となった方のお話を紹介。葛藤の日々の先には“新しい私”との出会いがありました。■岸本葉子さん(58)・作家、エッセイスト「仕事のキャリアは“がん後”のほうが長くなりましたが、がんを克服したとはまだまだ言えない、臆病な自分と共生しています」エッセイストとして160冊を超える著作を持つ岸本葉子さん。’01年、40歳のときに虫垂がんを発病して以来、当時学んだ食事療法や漢方を継続している。「比較的若年で罹患したため、『なりやすい体質なのかな?』と考えるといまだに恐怖があり、再発リスクを下げてくれる可能性のある習慣は続けています」漢方医の指導による食事メニューを丁寧に自炊し、厳選した調味料もずっと変えていない。最近は、自立して生きるには「筋肉が大切」と運動を心がけ、加圧トレーニングやダンスも取り入れている。「結果としてがん以外の生活習慣病予防にもなっているようです」近年は「老いじたく」「おひとりさま」「介護」といったテーマの作品も多く、がんについてつづることもなくなりつつあるともいう。「実生活で父の介護をしていたときは、がんのあとでよかったとつくづく思いました」岸本さんは’14年までの数年間、父親を介護したが、その際、自身のがん闘病の経験値がメンタル面で大いに生かされたという。「父は診断を受けていないのですが、おそらく認知症で、直前の記憶が薄れ、できないことが日々増えていく状況でした。そう遅くない未来に死が見えているーー、そんな不安と孤独を抱えた父の心理を、私はがんを経験したから理解できたのです。私も、周囲が恋愛や結婚について話していても、病気という課題を抱えているため、それらを共有できない時期があって。でも、年を取って認知症となり、未来が見えないというつらさには共感できたのです。がんを経験したことで、寄り添う心を持てたことはよかったと思えます」20年近くを慎重に過ごしたことで、がんになった後も100冊を超える著作を出すことができた。元来はスケジュールを詰め込みがちの自分をセーブし、地方講演なども日帰りせず、1泊する。執筆時間が長くなりすぎないように、ジムの予約をあえて入れることも。ずっと通っている漢方の先生によると「睡眠は何よりの薬」ということで、忙しい時でも徹夜せず、原稿の続きは翌朝に回す。これもがんと闘った経験からの「臆病さ」ゆえ。「血液検査などでヒヤリとする局面は何度かありましたが、大事にはいたらず。無理をしすぎることがなかったから、いままで生きられたのかもしれないですね」「女性自身」2019年12月24日号 掲載
2020年01月05日12月25日から先行販売をスタート鍼灸・マッサージの施術所の運営事業を展開する株式会社ITiは、東京・渋谷区にある鍼灸院のグラン治療院が抹茶とあずきの和洋菓子 松右衛門(まつえもん)と共同開発した『食べるお灸 ~よもぎとあずきのムース~』を販売することを発表した。同製品は、グラン治療院、抹茶とあずきの和洋菓子 松右衛門で12月25日から先行販売を開始した。そして、全国の鍼灸院やエステサロンでは、順次販売を開始する予定である。和風スイーツで冷えを予防『食べるお灸 ~よもぎとあずきのムース~』は、体の“冷え”に対処するために開発された。不眠・だるさ・食欲不振・手足の冷え・生理不順など、女性を悩ませる問題の原因の1つが“冷え”である。“冷え”をそのままにしておくと、自律神経の乱れや生活習慣病につながるとされている。同製品は、上から、よもぎのジュレ、あずきのムース、よもぎのムース、あずきのゼリーの4層構造。甘さや苦み、食感の異なる4つの素材が絶妙なふんわり感となめらかな口溶けを演出する。お灸に使用するもぐさは、よもぎの葉から作られている。よもぎに含まれるクロロフィルは、抗酸化作用があり、発がんを抑える効果がある。末梢血管の拡張作用、コレステロール値を下げて血栓を予防する働き、貧血の改善・予防にも効果を発揮する。あずきが豊富に含んでいるサポニンには、血流をよくする働きがある。また、鉄分も含まれているため、貧血予防にも効果的。販売価格は、1個 530円(税込み)、3個セット 1,590円(税込み)。(画像はプレスリリースより)【参考】※プレスリリース株式会社ITi※グラン治療院
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