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娘の睡眠障害歴は15年、母は万年寝不足特別支援学校に通う重度知的障害がある娘には、幼児の頃から睡眠障害がありました。障害の影響で脳波異常があるせいか睡眠はコマ切れ、いつまでたっても乳児のような睡眠で1~2時間おきに目を覚ますので、娘が1歳を過ぎたころに仕事復帰した私は万年寝不足。結局寝かしつけには添い乳しか方法がないように思えて、小学生になっても添い寝添い乳する毎日を続けていました。さすがに小学校中学年位からは添い乳は卒業しましたが、今度は寝かしつけの方法がない。コマ切れ睡眠の上に、5~6時間後にはすっかり目を覚まし遊び始めるのです。つまり、娘が22時に寝るとすると、3時か4時には完全に起きるわけです。寝かしつけから寝入るまで1時間以上かかることも多かったのですが、その間は真っ暗にしていないといけません。添い寝している大人が先に寝てしまうと娘は絶対に寝なかったので、大人はじーっと娘が寝入るまで腕枕でそばにいる必要がありました。ぐっすり寝入り、腕枕を外しても大丈夫かなという頃合いを見て寝室を出て、家事や残った仕事をする。そうすると、私が就寝する時間は午前0時をまわります。しかし、娘は明け方前に目を覚ます。つまり、私が眠れるのは3時間か4時間という毎日です。Upload By ユーザー体験談母の体は限界、病気に。メラトベルの処方へ睡眠不足の毎日が祟ったのか、数年前には腎臓を悪くし「このままでは人工透析になるかもしれない」と病院で告げられました。私が倒れたら大変……そう思って、思い切って娘の主治医に入眠しやすくなる薬を処方してもらえないか相談をしました。当時、日本では病院で処方ができなかった「メラトベル」が小児に処方できるようになった時期でした。メラトベルはメラトニンを補う薬で副作用もほとんどないと聞いて、それであればぜひ試してみようと思ったのです。娘の障害には睡眠障害を伴うことは主治医もご存じでしたので、すぐにメラトベルを処方してもらえました。すると驚くことに、いままで入眠に1時間以上かけていた寝かしつけが30分以内に。それだけでもずいぶん楽になりました。しかし、トラブルはまだ続くのです。添い寝、腕枕の影響で頸椎ヘルニアに娘は寝るときに腕枕をしないと寝つけない。しかし中学生になると40キロを超え……体はすっかり大人の娘を腕枕するのは重い……。娘が寝入ったら腕を外すのですが、夜中に目を覚ました娘はおそらく寝入ってる私の腕をとって腕枕にするため、朝起きると肩の痛みや手のしびれに気づくことも多くありました。腕枕をして15年近く。私の肩や腕は限界だったのでしょうか。数か月前から、肩に激痛が走るようになりました。五十肩?と思って整体に行ったり湿布を貼ったりしても一向に良くなりません。さすがにおかしいと思い、整形外科に行ってMRIをとると、頸椎ヘルニアになっていて、その影響で肩まで痛くなっていることが分かりました。悪化したら手がずっとしびれてしまうかもしれません。腕枕している間はもちろん、していないときも、娘がどんどん私の方によって来るため、50センチくらいの幅で寝ることになり、十年以上ろくに寝返りも打てなかったのもよくなかったようです。意を決して別々のベッドに!意外にも……!?添い寝しないと寝てくれない。でもこれ以上は私の体が限界になってしまう。今まで、シングルベッドを2つくっつけて寝ていましたが、「もうお姉さんなので、ママとは違うベッドに寝ます!」と(半ば強引に)宣言し、ベッドを離してみることにしました。最初は納得がいっていなかった娘でしたが、メラトベルの効果でうとうとしている状態だったためか、なんとか寝てくれました。明け方になるとやはり気持ちのコントロールが難しいのか、こちらのベッドにやってきますが、5時から6時までの1時間程度なら私も耐えられます。最近は、寝るときに自分の足だけ私のベッドにのせて、かすかに母を感じながら寝る技も見出したようです。ようやく!十数年ぶりに!朝まで熟睡できる毎日を送ることができるようになりました。娘自身も、一人でベッドで寝たほうが睡眠が深そうです。以前は私が隣で動くと、振動で眠りが浅くなるらしく、そのたびに目を覚ましそうになっていたのですが、夜中に目を覚ますこともなくなりました。Upload By ユーザー体験談もっと早くベッド離すことができたのかも?とも思いますが、今がきっと娘の心の成長的にもよいタイミングだったのではないかなとも思います。まだまだ一人きりでは入眠はできず、部屋を真っ暗にして隣のベッドで寝入るまで一緒にいてあげる必要はありますが、お互いのQOLはぐっと上がりました。重度の知的障害があり、成長は亀のように遅いですが、それでも少しずつ成長しているし、気持ちのコントロールもできるようになってきているのだなぁと思うと感慨深いです。イラスト/よしだエピソード参考/こっこ(監修:鈴木先生より)「寝る子は育つ」という言葉もあるように、睡眠障害のあるお子さんは成長ホルモンの出が悪く、低身長になる傾向があります。日中の活動を高め、バタンキューで眠ることができれば良いのですが、重度の知的障がいや神経発達症のあるお子さんは睡眠に問題のあるケースが多くみられます。入眠を早くするためにメラトニンのサプリメントを以前は海外から輸入して利用している方が多かったのですが、最近は神経発達症の診断がついていれば16歳未満に限ってメラトベル(メラトニン製剤)を処方することが可能となりました。睡眠をよくするための睡眠衛生環境も重要です。常夜灯のような弱い灯でもメラトニンを抑制して目覚めさせてしまうこともあるので、ホテルのように小さな窓で照明の明るさも抑えて、寝る時には真っ暗な状態が望ましいのです。従って、寝る前に電子メディアを見るようなことも控えましょう。日中の散歩をお勧めします。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
2025年05月15日2026年1月で発達ナビは10周年!ヒットコラムで振り返る発達ナビ。第1回は「丸山さとこ」さんです2026年1月、発達ナビは10周年を迎えます!サイトがスタートした2016年から10年の間に、会員数は45万人を越え、たくさんの方に訪れていただけるサイトになりました。今回は発達ナビ10周年企画として、2020年以前から連載を続けてくださっているコミックエッセイライターの皆さんのヒットコラムとともに、お子さんの成長を振り返っていただきます。第1回は2019年から連載開始した「丸山さとこ」さんです。さとこさんと息子のコウくんは2人ともASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如多動症)と診断されています。どんな出来事があったのか、未就学編・小学生編・中学生編と年代別にコラムをご紹介します。【未就学編】「発達障害の可能性が高いです」とキッパリ言われた3歳児健診乳幼児健診にて「コウくんに発達障害の可能性があること」をやんわりと伝えられたものの、当時のさとこさんは「コミュニケーションに不安があること」や「人に興味を示さないこと」が何を意味しているのか、よく分かりませんでした。しかし、3歳児健診で「発達障害の可能性が高いです」とキッパリ言われ……。さとこさんがコウくんを通してどのように発達障害のことを知っていったのか、そして障害の受容についての前後編コラムです。(執筆者:丸山さとこさんより)今の私が3歳児健診の頃のコウを見たら、神経発達症の可能性を考えたかもしれません。当時の私も凸凹があるらしいことには気づいていたものの、「得意不得意の範囲だろうな」と考えていました。これは『当時の私よりも今の私の方が客観視できているから』という理由もあると思いますが、それ以上に、知識量の差による視点の違いが大きいのではないかと思います。当時は今ほど情報もなく、地方の書店に置かれた本に目を通すくらいでは、そう多くの知識は得られませんでした。今は多くの情報を得やすくなった分、返って偏見や先入観を持つ人も増えたのではないかと感じることがあります。それでも、知識や療育の機会を得ることで楽になる親子が増えた面もあるだろうと思っています。【小学生編】ルールを守れずついゲーム。衝動性の高さ……どうする!?専門家に聞いてみた発達ナビでは専門家と連載ライターさんが子どもの困りについて直接対談をする「専門家に聞いてみた!」コラムも制作しています。コウくんは、その特性から理屈では理解していることでも「ついやっちゃった」「何となく」と衝動性で動いてしまうことが多く、振り返りをするときは「分かんない……気がついたらこうなってた……」と言って考えが止まってしまうこともしばしばあるとのことでした。このような衝動性の高さに対してどう捉え、どう対処していったらいいのかというテーマで児童精神科医の三木崇弘先生と対談を行いました。(執筆者:丸山さとこさんより)三木先生がおっしゃっていた「衝動性って本質的にはもう、前頭葉の発達待ちみたいなところがあると思うんですよね」という言葉を実感しているこの頃です。年齢が進むにつれて、息子なりに衝動性をコントロールする力がついてきているのを感じています。一方、各年齢に応じたセルフコントロール力を身につけているかというと、そこは不十分と言わざるを得ないだろうと思います。中学生の頃のコウのまま小学生として過ごせたら、トラブルもぐっと減り、コウ本人も楽に過ごせることでしょう。コウなりに成長していくことと、周囲の環境との兼ね合いは難しい面もありますが、「良くも悪くもずっと同じ状況は続かない」ということを忘れずにいたいと思っています。Upload By 発達ナビ10周年企画子どもの発達に悩んだ時、専門家の意見が直接聞けることは安心につながりますよね。発達ナビでは専門家から個別アドバイスが届く「発達ナビPLUS」を2020年にスタートしました。支援経験豊富な専門家が、保護者のお困り内容を整理し、お子さんの発達状況や環境情報などの分析と、分析に基づく個別最適な手立てをアドバイスします。【中学生編】中学生になっても学校の課題提出を忘れがち。内申点は大丈夫なの!?中学2年生になったコウくん。その特性から学校の課題提出を忘れがちな日々を送っていました。高校進学のために内申点を上げたければ提出物は避けて通れず、さとこさんも頭を悩ませていました。個人面談でも「課題の提出状況に波がある」と先生から指摘され……。『必ずやらなきゃいけないことは具体的な対策を』と親子で考えたアイデアは思春期のお子さんへの対応の参考になりそうです。(執筆者:丸山さとこさんより)提出物に関しては中学を卒業するまでずっと悩まされ、内申点でも苦労しました。とはいえ、今から振り返れば「少しずつ提出できる量は増えていったんだよな~」とも思います。3年生の2学期で再び忘れ物が増えてきたときも先生方が協力的でいてくださったのは、3年生の1学期までコウなりに頑張ってきたことが伝わっていたのかもしれません(先生方が凄く根気強く、寛容で熱心だっただけの可能性も高いです!)。丸山さとこさんにとって発達ナビとは?発達ナビ10周年、おめでとうございます!息子のコウが保育園児から高校生へと成長していったこの10年の間に、障害がある子どもとその保護者を取り巻く環境が少しずつ変わってきたのを感じています。コラムを書かせていただく中で、改めて調べて「今はそうなんだ⁉」と思うこともしばしばです。息子のコウ自身の変化に加えて彼の周りの状況もどんどん変わっていく中で、新しい情報や体験談が得られる発達ナビは私にとってありがたい場所です。これからも長く、交流や情報発信の場として在り続けることを願っています。発達ナビ様の益々のご発展をお祈り申し上げます!その他、丸山さとこさんのコラムはこちらから(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2025年05月13日小学校入学3日目から友だちトラブルで学校から電話が……現在10歳の息子は、8歳のときにASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如多動症)の診断を受けました。衝動性が高くじっとしていられない、話を聞くのが苦手、イライラしやすく攻撃的になるといった特性があります。就学前、私たちは息子の発達障害に気づいていませんでした。通常学級に入学し学校生活がスタートしましたが、入学3日目には友だちとのトラブルが起き、学校から連絡が……。その後も集団行動が難しい、お友だちとの関係がうまくいかないなどの課題が続き、先生方の提案で、通級指導教室へ通うことになり、入室のため知能検査を行い、医療へつながることで発達障害が分かりました。一方、放課後に通っていた学童では大きなトラブルもなく、穏やかに過ごせていました。クラスとの大きな違いは、自由度の高さだと感じています。学童では、帰る時間やおやつの時間、使ってよい物などの基本的なルールはあるものの、それ以外は自由に過ごすことができます。自分のペースで行動できる学童は、息子にとってストレスの少ない居場所だったようで、学童に行きたいから学校に行っているという状況でした。不登校と学区外の自閉症・情緒特別支援学級への転籍友だちとのトラブルが続くなか、2年生になった息子。新しい担任の先生と相性が合わず、不登校になりました。妻は四六時中息子と一緒にいることで追い詰められていったように思います。家族全体がどうすればいいのかと精神的に落ち込んでいた時期です。このまま学校へ行かない選択肢をとるよりも息子にあった環境をとのことで、主治医や担任の先生と相談のうえ、3年生から学区外の学校にある自閉症・情緒特別支援学級へ転籍することを決めました。Upload By ユーザー体験談息子に転籍の話をすると「転校したくない」とのこと。しかし、今のままではトラブルが予想されること、また特別支援学級から通常学級に戻ることもできることなどを説明し、実際に見学してみたら、幸いにも前向きになってくれました。転籍後、3年生のうちはひたすら先生方や校長先生と情報共有を重ね、4年生になる頃には楽しく過ごせるようになりました。遠方なので、夫婦で送り迎えをしており大変ですが、息子にとって転籍は正解だったと思います。そして転籍とともに変化があったのは放課後の過ごし方です。転籍後も3年生の間は、元の学校のお友だちと繋がっていたいという本人の希望で、特別に許可を頂いて前の学校の学童を利用していました。しかし、親に学校へ迎えに来てもらっているので、そのまま家に帰りたいとなってしまうことが増え、次第に学童は利用しなくなりました。そして息子が荒れるようになったのです。予定がないことにイライラ?大声を出したり、暴力的に……学童へ行かなくなると放課後、予定のない時間が増えました。そんな時間を息子は「暇!」「誰か遊べ!」と言い、機嫌が悪くなるようになったのです。暇な時間が続くと、息子はだんだんと機嫌が悪くなり、大声を出したり、暴力的になってしまうことも出てきました。その段階で放課後等デイサービスを探しましたが、空きがなく利用することができません。私たちが住んでいる地域では、学童に入れるのが3年生まで。やがて4年生になると学童へ通えない上に周囲の子どもたちも塾や習い事で忙しくなり、一緒に遊べる友だちも激減しました。サッカーや発達障害に理解のあるプログラミング教室へ通っていましたが、習い事が始まるまでの時間で荒れてしまうのです。よくあるのはゲームかもしれませんが、実は息子はゲームによって暴力的な言動が現れた時期がありました。「もっとやりたい」とゲームを終えたあとも不満が爆発、学校に行かなくなることもあったのです。結果として、ゲームは完全にやめることにしました。ゲームをやめたことで、以前より落ち着いて自分をコントロールできるようになった印象はありますが、とはいえ、たまにお友だちの家でゲームをした日は、感情のコントロールが難しくなります。息子にとってゲームの影響は大き過ぎると感じています。そのため、ゲームなしで放課後を過ごせる方法を……と悩みました。そして見つけたのが発達障害の子どもに対応した訪問看護でした。発達障害の子ども向けの訪問看護Upload By ユーザー体験談訪問看護は、妻が通っているメンタルクリニックの主治医の先生から発達障害の子どもも医師の指示書があれば利用できることを教えてもらいました。息子のかかりつけ医に相談すると、家族以外の大人と過ごす時間を作るのもいいとのことで、週に2回、45分間、息子がやりたいことを中心とした関わりをしていただいています。よくやるのは工作などでしょうか。息子は訪問看護の時間をとても楽しみにしています。100%息子のことだけを見てくれる人と遊びながら褒められ、そのことで心が満たされるようです。落ち着いた様子を見せるようになりました。来てくださるスタッフは固定ではなく、4人ほどのローテーションで、年齢も性別もさまざまです。皆さん発達障害に対する理解があり、安心してお任せできています。また、出不精な息子にとっては、自分の家に来ていただけるという違いが大きいようです。※訪問看護は認知症以外の精神疾患も対象になります。精神科訪問看護を受けるためには、医師の精神科訪問看護指示書が必要です。厚生労働省|訪問看護息子の今後に向けて小学校卒業までは、現在のように平日は訪問看護やサッカー、プログラミング教室など何かしら予定がある状態を保ちつつ、予定までの時間をどう過ごすかを工夫していきたいと考えています。暇な時間には児童館に行ってみたり、自分で遊びを見つけて行動できるように促していきたいです。中学校以降のことはまだ明確には考えられていませんが、何かしらの部活動に所属し、放課後の居場所が持てるとよいと考えています。最終的な目標は、「自分のことを自分でできるようになり、一人で生きていけるようになること」です。そこに至るまでは時間がかかるとは思いますが、まずは困ったときに感情的にならずに「助けて」と言える力を育てていきたいです。エピソード提供/チノパンイラスト/志士ノまる(監修:新美先生より)転籍と放課後の過ごし方の変化について聞かせてくださり有難うございます。お住まいの学区の学校に特別支援学級がない場合など、転籍して別の学区の特別支援学級に通うこともあると思います。そうすると、通学や放課後の過ごし方にも影響があることもありますね。家族にお迎えに来てもらってまで学童に行くのが面倒になるという気持ちになるというのはあるあるですね。そうはいっても、家で暇になると、かえってイライラしてしまうというのも分かります。学校で頑張ってきた反動で、暇すぎてイライラしてしまうのかもしれません。このような場合、放課後等デイサービスの利用を検討することも多いかと思いますが、今回の場合は空きがなくて利用ができなかったのですね。そこでウルトラC!!訪問看護を利用されたのですね。このような訪問看護の利用のしかたもあるのかと目からうろこでした。訪問看護は、在宅で療養されている方に対して、医師の指示で訪問看護ステーションから看護師やリハビリ療法士が、ご自宅に訪問して医療的ケアやリハビリ等を行うサービスです。近年では発達障害や精神疾患のあるお子さんを対象とした訪問看護ステーションが、少しずつ増えてきています。まだここ最近増えてきたばかりなので、お住まいの地域によっては、対応している訪問看護ステーションがないところもあるかもしれません。また、あくまでも医師の指示が必要なので、お子さんの状態によって、主治医が適切と判断するかどうかにより、利用できないこともあります。今回のケースのような訪問看護の利用は、まだまだ一般的ではないかもしれません。発達障害の特性を理解して対応できる専門スタッフが、定期的に1対1で関わってもらえることで、お子さんの心理状態も安定してきたのですね。とても良かったです。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2025年05月12日ある日突然、我が子が「学校に行きたくない」と言ってそのまま不登校になってしまった…。「なぜ行けないの?」「このまま社会に出られなくなったら?」…親の頭にはさまざまな疑問や不安、心配が渦巻くのではないでしょうか。約40年に渡り不登校の子どもたちとその親への相談支援を行ってきた西野博之さんが書き下ろした「マンガでわかる! 学校に行かない子どもが見ている世界」(KADOKAWA)。本書には、マンガで不登校をめぐる親と子、双方の心の内を解き明かし、不登校の子が再び歩き出すために親ができることは何か? のヒントが詰まっています。そこで今回は、親と子どもの想いを交互に描いたマンガと共に、親はどう受け止めたらよいかについて西野さんのアドバイスを紹介します。■西野博之(にしの ひろゆき)さんプロフィール認定NPO法人フリースペースたまりば理事長/精神保健福祉士/神奈川大学非常勤講師1986年より学校に行かない子どもや高校中退した若者の居場所作りをスタート。川崎市子ども権利条例調査研究委員会世話人、文部科学省「フリースクール等に関する検討会議」委員などの公職を歴任しながら、約40年間不登校の子どもとその親に寄り添ってきた第一人者。facebookアカウント: 西野博之 ■【親から見た世界】行かないのには理由があるはず!我が子に「学校に行きたくない」と言われてまず親が思うのは「なぜ?」ということではないでしょうか。学校で何か嫌なことがあるならば助けたい。そのためにも原因を突き止めなくては…。まずはそんな親の心の動きをマンガから見ていきましょう。原因を聞かれた時に子どもが「わからない」と答えることはごく一般的で、西野さんが出会ってきた不登校の子の多くもそうだったと言います。それでも原因を探したいのが親心。「原因がわかれば学校に行けるようになる」と信じて本を読んだり、ネット検索をしたり、答えとなるものを探そうと必死になる親も多いのだそうです。▼原因を聞けば聞くほど長引く…?しかし西野さんは、たとえ原因を探し出したとしても登校できるようになるとは限らないと言います。そもそも学校へ行けなくなった時点で子どもは心身ともに疲れきっていて「学校に行けない自分はダメなんだ」と自分を責めているそうです。そこに親から何度も原因を聞かれたり「ズル休み」と決めつけられたら…? また、学校へ行くことのストレスから身体症状が出た時に、ウソではないかと疑われたり、逃げ癖と指摘されたら…? 親の行動を受けて子どもはさらに「自分はダメなんだ」という思いを強め、結果的に問題が長引くというのです。では、どうしたらいいか。「まずは子どもを休ませてほしい」と西野さんは言います。安心できる居場所を作り、自己肯定感が下がって自分の気持ちをうまく言葉にできない子どもに寄り添うこと。それこそが我が子の心を回復させる第一歩なのです。■【子どもから見た世界】学校行かずにボクがゲームしたいワケ子どもが学校に行かず、ゲームばかりしている。そんな時、親は複雑な感情を抱くのではないでしょうか。「気分転換も必要」と思う一方で「このままでは将来が不安…」「親の心配をよそにゲームばかり楽しむ子どもにモヤモヤ」…。▼ゲームをするのは悪いこと?「このままではいけない」と親子でゲームのルールを決めたり、ルールを守らない時には罰を考える親もいるかもしれません。しかし、ゲームをするのは悪いことなのでしょうか? そして、当の本人は何を思ってゲームをしているのでしょうか。▼ゲームは唯一の「外との絆」このマンガに登場する子にとってゲームはただ楽しいだけでなく、唯一外の世界とつながるツールだったようです。西野さんによると、学校に行かない子たちは、ふとした時に学校のことが浮かび、不安に襲われるのだそうです。自分が価値のない人間のように思えて「死んだほうがまし」と思うほど追い詰められている子も少なくない中で、唯一「負の感情」と向き合わなくて済むのがゲーム(動画配信サービスやテレビなども同様)なのだといいます。また、西野さんはかつて不登校だった子どもたちから「ゲームがあったからなんとか生きてこられた」 「オンラインで出会った仲間がいて、一人じゃないと思えた」といった言葉を何度となく聞いてきたそうです。昼夜逆転してしまったり、依存症を心配したり…。確かにゲームのやりすぎは心配ですが、その時の我が子には意味があることで、「生きるためにゲームをしているんだ」と知ってほしいと西野さんは言います。不登校の子にとって、ゲームは「かろうじて命をつなぐツール」と言っても大げさではないということ。親が考えをそのようにアップデートするだけでも、我が子の安心につながるのではないでしょうか。■【子どもから見た世界】私だけ「ふつうの子」じゃないの?朝、通学路を見ると、たくさんの子どもたちが登校している。なのになぜ、我が子は学校へ行けないのだろう? ご近所や親戚から「また学校休んでるの?」と言われてしまう…。子どもの気持ちは尊重したいけれど「学校へ行くのがふつう」と思っていた親には正解がわからなくて…。一方で大人たちから「ふつう」を求められる子どもの心の内は…。▼「自分だけできない」に一番苦しんでいるのは子ども自身親に「ふつうじゃない」と言われることがどんなに苦しいことか、マンガを通して伝わってきます。この女の子は椅子がガタガタいう音で頭が割れそうになるつらさが重なり「学校に行きたくない」となってしまった様子。しかも、本人も親もそれに気づいておらず、「私だけおかしい」と自分を否定するようになってしまったようです。このように、不登校の原因のひとつに、外から見えにくい特性を持つ子どもが多くいるということがあると西野さんは言います。さきほどの子のように聴覚過敏だったり、給食の匂いで吐きそうになる嗅覚過敏の子、強い香りの柔軟剤や消臭剤を使う子がいることで学校に行けなくなった子…。そういった特性を持った子が「ふつうじゃない」とされ、「ふつう」に合わせないと学校に行けない事態になっているのです。▼不登校が「ふつうじゃない」と言えない理由不登校の生徒の数は年々増加。2023年度は前年から4万人増え、34万人を超えて過去最多となりました。少子化で子どもの数は減っている中でここまで増えれば、不登校の子どもが「ふつうじゃない」というのはおかしいと言えます。学校教育の方が「制度疲労」を起しているのだと西野さんは言います。誰から見た「ふつう」が「ふつう」なのでしょうか。親の考える「ふつう」をあてはめても、我が子は元気にはなりません。西野さんは、その子の「ありのまま」を受け止めて、一人ひとりに合う環境を整えていくことが、今私たち大人に求められていると言います。「ふつう」という物差しに頼らずに、我が子と同じ目線で物事を見てみることが解決の糸口となるのではないでしょうか。■我が子をまるごと受け止めるって?本の中では、その他に学校とのやり取りの仕方、不登校をめぐって変わりつつある社会の仕組み、進路の選択肢についてなど、西野さんのアドバイスが懇切丁寧に書かれています。さらに、かつて不登校を経験した子どもや親の座談会で当事者の生の声を知ることもできます。▼子どもが心身ともに休めるようになるには…元気に学校へ行けなくなって悩む我が子を見るのは、親としてとてもつらいことです。そんな時、まずは子どもに肯定的なまなざしを注ぐこと。その子の存在をまるごと受け止め、その子の中にともる命の灯を消さないことが大切だ、と西野さんは言います。親や信頼できる大人にそんなふうに見守られれば、子どもは心身ともに休むことができ、やがて安心して過ごすことができるようになるのだそう。そして、そうなって初めて外に向かおうというエネルギーが湧いてきて、自然に歩き出すと言います。それぞれ抱えている問題や状況は違うでしょうし、親の気持ちも日々揺れ動くもの。そんな時でも、不登校の子どもに約40年間寄り添い、その変化を目の当りにしてきた西野さんが教えてくれる「考え方のヒント」はきっと親にとっての道しるべとなることでしょう。\ ご紹介した書籍 / 『学校に行かない子どもが見ている世界』西野博之 著 來來珈琲店 マンガ(KADOKAWA)1,500円(税抜) 約40年間不登校の子どもと親に寄り添い、居場所作りをしてきた西野博之さんが、我が子の不登校に悩む親に向けて「考え方のヒント」をつづった1冊。その長い経験から不登校の子どもたちが見ている世界と、親が見ている世界の違いをマンガでわかりやすく解説し、子どもの心を回復させるための親の関わり方を提案する。
2025年05月11日「発達障害当事者と非当事者の溝」とは?オールマイノリティプロジェクト代表 大島郁葉先生インタビュー発達障害の当事者が社会的孤立・孤独に陥らないフェアな社会の実現を目指すAll Minorities Project(オールマイノリティプロジェクト)。2025年5月17日より、ビジュアル展覧会「修復の練習」共催シンポジウムが開催されます。今回は、本プロジェクトの代表である千葉大学子どものこころの発達教育研究センター 大島郁葉先生のインタビューをお届けします。Upload By 発達ナビ編集部LITALICO発達ナビ編集部(以下――)オールマイノリティプロジェクト 2025年ビジュアル展覧会「修復の練習」共催シンポジウムの開催、おめでとうございます!今回のテーマ「修復の練習:当事者と非当事者の溝を埋める」についてお伺いします。大島先生は研究者・支援者としての立場から、発達障害当事者の方と関わる機会が多いと思いますが、「発達障害当事者と非当事者の溝」とは、具体的にはどんなことがあげられるでしょうか?また、「修復の練習」という言葉に込められた思いを教えていただけますか?大島郁葉先生(以下大島先生):ご質問ありがとうございます。「発達障害当事者と非当事者の溝」とは、当事者性の差異について述べています。発達障害を頭で理解していることと、発達障害の方がその体験に基づきアイデンティティとして理解している感覚は、大きな温度差があるように思うからです。私は、当事者と非当事者の温度差があるという事実をお互いに認識したほうが、当事者の方とより率直な話し合いができるように思っています。また、非当事者がより謙虚な気持ちになって、当事者の体験に耳を傾けるきっかけにもなると思っています。「修復の練習」というタイトルは、本展示会のキュレーターである金澤韻さん(かなざわ こだま)さんが考案したものです。金澤韻さん(かなざわ こだま)さんプロフィール何か分かり合えないことがあって誤解を招いても修復可能性があるのだということを示したのだと思います。また、修復できなくてもそれはそれで構わないと私は思っています。多様性というのはそんなに楽しいものではなく、各々が努力を強いられることでもあるので、誰とでも無理してまで仲良くする必要はないし、距離をとったり、連絡を絶ったりする方法もあるのかなと思います。みんなで仲良くなろうという小学校教育の呪いのようなものを私たちは引きずらなくていいのかなと思っております。「修復の練習」シンポジウム、聴講のおすすめポイントは?――本シンポジウムには、精神科医の本田秀夫先生(信州大学医学部 子どものこころの発達医学教室教授)、当事者研究者の仲田真理子先生(筑波大学人間系助教)、和田恵先生(福島大学人間発達文化類講師)が登壇されるとのことで、どんなお話が聞けるのか大変楽しみです。第0部「イントロダクション」、第1部「私たちの身近にある分断と修復」、第2部「社会の中の修復を取り巻く課題」、第3部「修復の練習」という構成になっていますが、聴講のポイントや、どのような方に聴講をおすすめするか教えていただけますか?大島先生:ありがとうございます。私は司会なのですが、仲田先生と和田先生は研究者でもありますが当事者の立場でもあるので、かなりリアルな話が聴けるのではないでしょうか。この中にも出てきますが、発達障害のある人が無理をしない生活や価値観とはどんなものか、どうすれば自分の自然体を受け入れられるか、何を大事にして、何を捨ててきたか、社会的な価値観とのせめぎ合い……といった、濃い体験談がありますので、ぜひどのパートも楽しみに聴いていただけますとうれしいです。京都の古民家を貸し切り、第一線で活躍するキュレーターによる現代美術展としての楽しみ方も――今回はシンポジウムの開催と共に、現地参加イベントとして京都の古民家で展覧会が行われるそうですね。展覧会の見どころや、特にこだわった点などがあれば教えてください。大島先生:今回は現代美術の第一線でご活躍されているキュレーターの方をお呼びして企画していただいたので、美術展としてのクオリティの高さは担保されていると思います。また、東京ばかりではなく、京都にしたのは、一軒家を貸し切りで展示スペースとすることができて、ゆっくりとしたスペースで展示が可能なこと、その他、魅力的な美術の展示が多方で行われていること、いつも東京である必要がないから、などの理由があります。この展覧会では、オールマイノリティプロジェクトで紹介してきた漫画の描きおろしなどもありますのでご覧いただけますと幸いです。Upload By 発達ナビ編集部――最後に、「発達ナビ」をご覧いただいている皆さまへメッセージをお願いします。大島先生:発達ナビをご覧の皆様は、当事者の方や、当事者のご家族の方も多くいらっしゃるかと思います。世の中には発達障害のままではまずいからこうしなさい、こういう学習方法があります、といった不安を煽る方法でトレーニングをさせたがる支援施設が割とあると思います。発達障害との付き合い方は、少なくともそのような欠陥モデルで捉えない支援者を見つけることが第一歩ではないかと思っています。よい支援者に巡り合い、よくよく自分の特性について理解し、どんな生活が皆さんや皆さんのご家族がたのしくて幸せになるか、ということを一緒に考えていけることを祈っております。「修復の練習」の対談は、そのような皆様の良いヒントになり得ると思いますので、ぜひご覧いただけますと幸いです。おわりに発達障害当事者やその家族(マイノリティ)として、日々の生活の中で孤独や生きづらさを感じることがあるかもしれません。非当事者(マジョリティ)中心に形成されてきたこの社会で、発達障害当事者が心地よく生きていくためには何が大切なのか、本シンポジウムを通じて思いを巡らせてみてはいかがでしょうか。【詳細】オールマイノリティプロジェクト2025年ビジュアル展覧会「修復の練習」共催シンポジウム開催日程:2025年5月17日(土)~2025年6月1日(日)・シンポジウム視聴方法:オンデマンド配信・ビジュアル展覧会「修復の練習」入場料:無料場所:The Terminal KYOTO(京都府京都市下京区新町通仏光寺下ル 岩戸山町424)(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2025年05月05日暗闇の中で1945年の広島の暮らしを体験する1989年にドイツで誕生した「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」は、光を完全に遮断した空間で、視覚に頼らず人と出会い、対話を重ねる体験型プログラム。世界約50か国で800万人以上が参加してきたこのプロジェクトが、今年2025年の夏、被爆80年を迎える広島にやってきます。舞台となるのは、爆心地からわずか380メートルの場所に今も残る「旧日本銀行広島支店」。1945年の8月6日原爆投下後もすぐ銀行業務を再開し、市民の復興を支えた希望の象徴とも言える建物です。今回の体験は、視覚障害のある案内人とともに、参加者が8人ずつチームとなって、暗闇の中で1945年の広島の暮らしを体験する、というもの。その後、光のインスタレーションを経て、「平和とは何か」について語り合う対話の時間が設けられます。Upload By 発達ナビニュースまったく目が見えない状態だからこそ、「人を信じる」「声をかけ合う」「手を差し伸べる」という、シンプルで本質的なコミュニケーションが生まれるのです。「暗闇」の可能性──それは「怖い」ではなく「希望」Upload By 発達ナビニュース4月17日、広島市役所で行われた記者会見に登壇した案内人・川端美樹氏、通称“ミキティ”さんは広島出身。子どもの頃から視覚障害があり、「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」で20年以上アテンドを務めています。「私はずっと“視力が落ちる=できないことが増える”と思っていたんです。でも暗闇の中で人を案内する立場になったとき、これは“できることがある”って気づいた。不便ではあるけれど、不自由ではないと実感しました」彼女が語るエピソードの中には、子どもたちの可能性を感じさせるものも。「暗闇の中では、子どもたちの順応がとても早く、大人をサポートする場面も多いんです。普段“守られる側”と思われがちな存在が、頼れる存在に変わる。一緒にいたお母さまが子どもにはとても可能性があって、たくましいということに気づかれたりすることもあります」また、広島市 市民局 文化スポーツ部 文化振興課 尾高 直浩氏も「真っ暗な中での対話は、地位や肩書きのない、まっさらな関係を生み出す。“対等な対話こそが平和の本質”という理念に、心から共感した」と語りました。夏休みにおすすめ!平和を感じる旅へ──イベントへの参加方法とクラウドファンディング案内【広島・東京開催】この特別な体験平和のためのダイアログ・イン・ザ・ダーク:「PEACE IN THE DARK」は、2025年8月に広島で開催されます。参加は無料で、7月1日から予約受付が開始され、10日間の会期中、計約600名が体験できる見込みです。また、2025年7月5日(土)〜2025年8月31日(日)の間は、東京・竹芝のダイアログ・ダイバーシティミュージアム「対話の森」でも同時開催します。チケットを購入する際、備考欄があるので、お子さまが参加するにあたって心配なことがあれば、相談が可能です。また、このイベントを運営するにあたり、クラウドファンディングを実施中。2025年6月30日まで支援を募集中です。支援者には著名人との対話イベントなどの限定リターンも用意されています。ダイアログ・イン・ザ・ダーク・ジャパン代表の志村真介氏は語ります。「今回のテーマは“人はどんなときも人を信じきることができるか”。80年前のあの時、旧日銀の吉川智慧丸支店長が重傷を負っている身もいとわず、営業室に出て、常に『預金者に不安を与えてはならぬ、早く処理してあげよ』と市民の申告通りに現金を払い出した──そして、平時になって残高と比べると殆ど差はなかったのです。そんな信頼の奇跡が起きた場所で、“対話”の力をもう一度、信じてほしい」子どもも大人も、障害の有無も関係なく、誰もが「自分でいていい」と感じられる90分。ぜひこの夏、暗闇だからこそ見える“光”を体験してみてください。開催概要■平和のためのダイアログ・イン・ザ・ダーク:「PEACE IN THE DARK」会期2025年8月2日(土)~11日(月・祝) 10日間会場旧日本銀行広島支店(広島県広島市中区袋町5-21)体験者数約640名体験料金無料ご予約方法専用のWebサイトより、事前お申込み※ご体験には事前予約が必要です。ご予約は、2025年7月上旬に開始予定です。■東京での開催概要多くの方にこの体験を届けるため、東京での同時開催も予定しています。会期2025年7月5日(土)〜2025年8月31日(日)会場ダイアログ・ダイバーシティミュージアム「対話の森®️」(東京・竹芝)体験者人数約3,000名体験料金(税込)大人:3,850円中高生・大学・専門学生・大学院生:2,750円小学生:1,650円※クリックすると発達ナビのWebサイトから『平和のためのダイアログ・イン・ザ・ダーク:「PEACE IN THE DARK」』のWebサイトに遷移します。※クリックすると発達ナビのWebサイトから『クラウドファンディング純度100%の暗闇で平和を語る。ダイアログ・イン・ザ・ダーク@広島』のWebサイトに遷移します。
2025年05月05日「マンガ発達障害の子どもと私たち」新章・アキラ編スタート!その他、放デイや勉強のつまずきなど4月に公開したさまざまなエピソードを紹介!大人気だった「マンガ発達障害の子どもと私たち」の新章・アキラ編がスタート!1歳半健診の「経過観察」を楽観視していた保護者の方が「自閉症」という言葉を知った出来事とは……?その他10か所に断られた放デイ探し奮闘記、勉強のつまずきに対する配慮や学校との連携、発達ナビでの「勉強のつまずき」アンケート結果などさまざまなエピソードを紹介しています。発達ナビユーザーから寄せられた体験談を元にしたマンガ「発達障害の子どもと私たち」。新たにアキラ編がスタート!5歳でASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けたアキラくん。思い返すと1歳の頃から発語の遅れ、クレーン現象、呼んでも返事がない、ベビーカーの拒否などの兆候がありましたが、初めての子育てということもあり「そんなものなのかな」と気づかなかったとのことでした。しかし1歳半健診にて、周りの子の成長に驚き!保健師さんから「様子見ですね」と言われますが……「様子見」って一体どういうこと!?1歳半健診での「様子見」=「経過観察」を「様子を見ておけばいいのか」とそのままの言葉で受け取ってしまったM子さん。その後保健センターからの電話で受診を勧められましたが、診察の予約はなんと半年後!その間に少しでも言葉を増やそうと民間の知育教室(習い事)に通うことを決めましたが、アキラくんを見た先生から気になる言葉を聞きました。家に帰って調べてみるとそこには「自閉スペクトラム症」の文字が……!?就学前から探し始めた放課後等デイサービスでしたが、なんと候補だった10か所全てほぼ満員で門前払い状態!候補がすべて「空きがない」「いつ空くか分からないけれど待つしかない」という状態だったので、入学に合わせて放課後等デイサービスに通うことは断念せざるを得ませんでした。しかし学校に慣れた1年後、再び探し始め……。放課後等デイサービスを探すポイントなど、参考になりそうです。小学校に入学後宿題、学習の壁に直面したADHD(注意欠如多動症)の息子さん。スモールステップでできることを積み上げていこうと、できること、できないことを見極める作業は驚きの連続で……!?特につまずきのあった国語と算数をどのようにサポートしていったのかの具体的な手立てや、学校との連携の様子など、現在中学2年生になった息子さんの様子と共に振り返って頂きました。小学校1年生の6月頃、ADHD(注意欠如多動症)、ASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けた娘さん。幼稚園時代は外でのびのびと遊んでいましたが、小学校へ入学するとすぐ「国語」で大きくつまずいてしまいます。文字を書こうとすると手が震えるようになった娘さんの様子を見て担任の先生に相談することにしました。宿題を減らそうと提案する先生に対して「みんなと違うことをしていいの?ズルになってしまう」と娘さんは泣き出してしまいます。そんな娘さんに先生がかけた言葉は……。発達ナビでは、会員のみなさまに『【勉強などのつまずきアンケート】どの科目でつまずいた?体育、算数、国語などへの取り組み、どう工夫した?』を実施、64名から回答をいただきました。苦手な教科やそれに対する気づき、支援・合理的配慮の実施、そしてその後の変化までをたどった具体的なお話も満載です。ご自身のエピソードを投稿してみませんか?『発達ナビ 読者体験談』は皆さんのご経験を基に制作されています。ご投稿いただいたエピソードは、連載ライターさんのイラスト、専門家の先生からのコメントをつけた上で掲載させていただきます。「あの時は悩んでいたけれど、今はこうなった……」など、発達障害のあるお子さんを育児している皆さんへ、ご自身の経験をお届けいただけないでしょうか。ご応募は以下の応募フォームから受け付けております。皆さんのご投稿を、お待ちしております。【現在の募集テーマ】・障害告知・パートナー(夫婦) 関係・両親(義両親)、親族関係・進学・受験関係・冠婚葬祭関連・反抗期、思春期・自傷・学習関係・不登校、行き渋り・ゲームとの関わり・不器用さについて・ママ友や、ほかの保護者の方とのエピソード・ご近所関係(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2025年05月04日保育園生活は順調!?保健センターからの経過観察の電話、言葉が増えない息子を知育教室に通わせ始め……私が「自閉症(ASD/自閉スペクトラム症)」という言葉を知った日発達ナビユーザーから寄せられた体験談を元にしたマンガ「発達障害の子どもと私たち」。アキラ編第2話です。現在5歳のアキラくんは最近ASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けました。1歳半健診のときに「経過観察」となったアキラくん。M子さんは「様子を見ておけばいいのか」と言葉通りに受け取ってしまいました。保育園入園後も言葉が増えないので知育教室に通わせることに決めましたが……。Upload By ユーザー体験談1歳半健診のときに経過観察となり、保健センターの人から「2歳くらいになったら電話します」と言われたアキラくん。その後、電話がかかってきましたが……Upload By ユーザー体験談Upload By ユーザー体験談Upload By ユーザー体験談発語の遅れが気になって知育教室へ。私が成長だと思っていたわが子との意思の疎通は「クレーン現象」だったの?発達ナビユーザーからの体験談を元にしたストーリーマンガ「発達障害の子どもと私たち」第3章アキラ編の第2話目はいかがだったでしょうか。アキラくんは5歳でASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けています。1歳半健診で「経過観察」となったアキラくん。保健センターからの電話で受診を勧められましたが、診察の予約はなんと半年後!その間に少しでも言葉を増やそうと民間の知育教室(習い事)に通うことを決めました。体験の時は楽しそうに過ごしていたアキラくんですが、いざ通い始めるとギャン泣きで大パニックに……。見かねた先生と面談をし、普段の生活の様子を伝えると「クレーン現象ですね」と言われます。帰宅後、クレーン現象をスマートフォンで調べてみると、発達障害、ASD(自閉スペクトラム症)の記事がたくさん出てきて……「もしかして息子はASD(自閉スペクトラム症)なの?」と気づかされます。晴天の霹靂からの次回第3話「受給者証って何?申請と療育のはじまり」。続きもぜひご覧ください。イラスト/星あかりエピソード参考/M子(井上先生コメント)保育園に入ってお子さんの発達の遅れが分かるようになり、保健センターからも受診を勧められるが予約は半年後になると知らされ、親御さんもどうして良いかわからない不安な時期を過ごされたと思います。自治体によっても気づきから診断や支援の開始までの時間は異なりますが、この不安な時期をどのように埋めるかが行政的な課題となっています。親御さんに対する子育ての悩みを相談できる場所や専門家はおられると思いますが、その情報が直接伝わりにくいということも課題です。最近では一部の地域ではありますがペアレントプログラムやペアレントトレーニングなどのプログラムが受けられるところが広がってきています。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2025年04月27日小学校に入学後宿題、学習の壁に直面したADHD(注意欠如多動症)の息子現在14歳の息子は、穏やかで人懐っこく、人に好かれるタイプです。記憶力が弱くじっとしているのが苦手で、時間の感覚を忘れてしまったり、慌て過ぎて注意散漫になったりすることがよくあります。好きなものには強い集中力を発揮しますが、基本的には忘れんぼうADHD(注意欠如多動症)の診断は小学校1年生、3年生から通級指導教室に通っています。そんな息子は国語と算数に特につまずきがあり、小学校に入学すると宿題や学習の壁に直面するようになりました。まずはスモールステップでできることを積み上げていこうと、息子のできること、できないことを見極める作業は驚きの連続でした。「まさかこうするのが難しいの?」「そんな事あるかな?」から始まって、やってみたら「やっぱりそうだったんだ」ということの繰り返し。このような作業を続け気になっていたつまずきを解消したあとは、目に見えてできる事が増え、本人も「できないばかりじゃないんだ」と自信をつけていったように見えます。そんなわが家の取り組みがどなたかの参考になればうれしいです。よかれと思って使ったイラスト入りのあいうえお表が裏目に⁉くっつき言葉も苦手で……。やった対策2点!ひらがなの学習は、年中の頃からお風呂にイラスト入りの「あいうえお表」を貼って読む練習を始めていました。読めるようになってから書く練習を始めたのですが、息子は書くことをとても嫌がるのです。ご褒美をあげてなんとかなぞることはしてくれましたが、その様子が気になっていました。小学校入学後、初めて国語の宿題がでました。一緒に宿題をやってみようとしたのですが、息子は座ったまま固まってしまい……。(どうしたんだろう?なににつまずいているんだろう?)と焦りながら、つまずきの理由を探そうと私は教科書の『あ』を指さして読んでと言いました。すると息子は『あり』と答えました。そこで初めて『あいうえお表』に書かれているイラストをインプットしてしまったことに気が付きました。そこから「文字そのもの」と「意味がある言葉」を切り離すのに苦労しました。Upload By ユーザー体験談私がやったやり方は、音が分かれていることに気づいてもらう方法です。まずは「あーーり」と伸ばして発音してもらう練習をしました。扇風機の前で「あー」と言って遊ぶことで、音を引き伸ばす感覚を身につけ、そこから「あいうえお表」を指しながら一音ずつ分解する方法を取りました。「あー」伸ばしているところで止め、「『あ』は『あ』だけなんだよ。じゃあ、次は『い』は?」と50音やりました。終わる頃に、息子自身が「同じ仕組みなの?」と気付き、ひらがなの読みがスムーズになりました。「お」「を」、「わ」「は」、「え」「へ」といった同じ音で使い方が違う「くっつき言葉」も苦手でしたが、大好きな乗り物を使って練習しました。マグネットにトラックのイラストを貼って宿題のプリントにあった主語を、トラックがひっぱるコンテナにそのあとの言葉(形容詞など)を載せます。それらをくっつけるには連結部品として「くっつき言葉」を選んでもらうという方法をとりました。やがて電車のおもちゃに主語などを載せるようにし、「先頭車両と客車の間に、くっつき言葉の乗った貨車を足して下さい~」と遊びながらやるようになりました。初めはお気に入りの電車のおもちゃにお勉強がくっついているからか不機嫌でしたが、宿題プリントが終わったらプラレールを好きなように遊んでいいという約束で向き合ってくれていました。するとやがて理解できるようになり「やらなくても分かるから大丈夫!」自分で宿題を仕上げるようになりました。「じっと見ることが苦手」だと分かった息子。漢字対策として利用したグッズ入学後、眼球運動の検査をする機会があり、そこで「じっと見ることが苦手」ということが分かりました。これが漢字を正しく覚えられない原因の一つかもしれないと思い、通っていた発達支援施設の先生と相談をし、輪ゴムを使って図形や模様を作る学習ボードを利用しました。輪ゴムの色が何色かあり、重なるところがあります。どっちの輪ゴムが下になっているかな?と注意を促しながら、よく見る練習をしました。続けていくうちに、漢字の線が何本とか、止め、ハネに注意するようになったかと思います。また、漢字カルタなどゲーム形式で学ぶことで楽しみながら覚える工夫もしました。こうした積み重ねにより、少しずつ漢字を書くことに対する抵抗が減ってきたように思います。算数対策にやったスモールステップ。1週間で効果が出始めて……!息子は算数も苦手でした。1年生の夏休み明けぐらいにWISC検査をしたところ、短期記憶が低めであることが分かったため、まずは記憶のトレーニングができればと、家で神経衰弱をするようにしました。最初は3ペア(6枚)でスタート。最初は全然覚えられませんでしたが、1週間後にはすぐに終わるようになり、徐々に枚数を増やしていきました。「4枚増えただけでちょっと難しくなるねー」といいながらやりました。カードが増えていくほど正解率は下がりますが、8ペアくらいでやるようになった頃あたりから、くり上がりの計算がスムーズになったり、生活面でも、次の日の準備だったり、自分の生活リズムを声掛け無しでできるようになっていったなと記憶してます。最終的にはトランプ全部を使って遊ぶまでになりました。この練習のおかげで、繰り上がりの計算がスムーズになり、生活面でも次の日の準備やスケジュール管理が少しずつできるようになりました。先生からの謝罪と、息子用の宿題プリントの誕生宿題の取り組みも工夫しました。書くこと自体にエネルギーを使ってしまうため、計算問題は私が代わりに書いて、息子は計算に集中できるようにしました。また、2年生になると宿題が増え、毎日20問こなすのは難しくなったため1日3問や5問に分け、遅れた分は週末に取り戻す方法を取りました。ですが宿題をやるのに毎日2時間以上かかるのです。本人が頑張りたい気持ちと集中できない葛藤から日付が変わる0時すぎてから寝ることもあり、このままではパンクしてしまうと2年生の1学期の終わりの面談で先生に相談をすることにしました。Upload By ユーザー体験談先生曰く「20分程度で終わる見込みで宿題を出している」と教えてくれました。私は20分なら息子は国語、算数合わせて7問くらいしか解けませんと伝え「もし、時間があれば発達支援の先生と会っていただけないでしょうか」とお願いしてみたのですが、先生は前向きな感じではありませんでした。残念な気持ちになりながらも(先生も忙しいから……)となんとか自分を納得させ夏休みを過ごしましたが、2学期、先生から謝罪の言葉とともに、毎日7問〜10問程度の息子用の宿題のプリントを用意いただけることになりました。このおかげで息子も少しずつ達成感を得ながら取り組めるようになり、先生には感謝しかありません。ちなみに、テストはまったく気にしませんでした。テストでの結果よりも、日々のスモールステップを優先させ続けました。「もうやりたくない。逃げてもいい?」「面倒くさいからやる……」息子の頑張りと、中学生になった今息子から「もうやりたくない。逃げてもいい?」と聞かれた事もあります。そんなときは「いいよ」と答え、「逃げ道にもこんな道があるよ」と前向きな提案をするよう心掛けました。例えば、言葉の意味が分かれば、特段生活するうえで問題ないし、漢字が書けなくてもタブレットですぐ見つけられる、むしろ、漢字が書ける書けないなんて将来を見たらなんの問題もない!という調子です。ですが、「今、漢字を辞めるということに納得できているなら、お母さんは先生と話するよ」というと、「面倒くさいからやる……」と息子が頑張っていました。中学2年生になった今は、塾にも通っています。スモールステップを積み重ねた結果、学習の遅れを取り戻すことができました。ADHD(注意欠如多動症)の特性は先生にも伝え、特に切り替えが苦手でスケジュール管理が難しいことを共有し、提出物の一覧を作ってもらったり、通級指導教室で一緒にスケジュールの確認をしてもらうといったサポートを受けています。自分が子どもだった時の事も思い出しながら、『息子の中の好きなものを壊さない様に』を大切にしてきましたが、失敗もたくさんしたなぁ……と反省もあります。感情的に怒ってばかりの時、「お母さんは、僕がこれをできるようになったらニコニコになる?」と聞かれてハッとしました。その後発達支援施設でペアトレを受けて学び、そのおかげで感情的に怒ることはほとんどなくなりました。これからも、息子の好奇心を潰さないように関わることを大切にしながら、成長を見守っていきたいと思います。エピソード提供/かたっぽイラスト/keiko(監修:森先生より)お子さんの学習の壁を乗り越えた体験談をありがとうございます!「できること」「できないこと」を見極め、日々試行錯誤しながら向き合ってスモールステップで対策を積み重ねてきたのですね。お子さんが自信をつけながら学習の遅れを取り戻し前向きに頑張っていることは、きっと多くの方にとって励みになるはずです。発達障害の傾向があるお子さんには、「記憶をすることに困難がある」「じっとしていられない」「好きなものには集中できるが、それ以外では注意が散漫」といった傾向がみられることがあります。ワーキングメモリ(短期記憶)が弱かったり、視覚処理に課題があると、漢字の細部を捉えるのが苦手だったり、文字と意味を切り離して理解することが難しいことがあります。視覚情報と意味づけが混ざりやすいこともありますので、お母さんが「あいうえお表」のイラストで混乱に気づき、音を分解する練習を取り入れたのは、的確なアプローチです。アプリなどを活用し、音声付きで漢字を学ぶと、視覚と聴覚の両方で記憶が定着しやすくなりますよ。さて、お子さんが「もうやりたくない」と感じるのは脳の疲労が関係しています。お母さんが「逃げてもいい」と受け止めつつ前向きな提案をしたのは、感情を安定させ、やる気を引き出す素晴らしい対応ですね。疲れたときは「5分休憩」を挟むルールを設け、その間に好きな音楽を聴く、軽く体を動かすなど、「リセット時間」を意識的に取ると集中力が回復します。発達障害の傾向のあるお子さんには、環境調整が大変重要です。学校の先生や支援者に「視覚的なスケジュール表」を作ってもらうようお願いすると良いでしょう。色分けやアイコンを使うと、見やすさがアップします。また、スマートフォンのリマインダー機能を活用し、提出物の締め切りや塾の予定を音声通知で確認する習慣をつけると、切り替えが苦手でも対応しやすくなります。「好奇心を潰さない」ことを大切にされている姿勢は、お子さんにとって最高の支えです。興味や好きなものを活かすことは脳のドーパミン(やる気ホルモン)を増やし、学習や生活のモチベーションにつながります。これからもお子さんのペースに寄り添いながら、成功を一緒に喜ぶ時間を積み重ねられるよう、応援しています。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2025年04月23日就学・進路の大調査!発達特性のある子どもの就学先は?【未就学・小学校低学年編】2024年12月20日から2025年2月28日に、LITALICO発達ナビでは「就学・進学アンケート」を行い、発達障害のある子どもの保護者283名の声が寄せられました。アンケートへのたくさんのご回答、ありがとうございました。通常学級に通っている中で、特別な支援が必要だと考えられるお子さんの割合は2022年の文部科学省のデータで8.8%という結果も出ており特別支援の必要性も年々と高まっているのが現実です。参考:通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する 調査結果について|文部科学省発達障害のあるお子さんは一般的に就学相談で以下のような就学先を選択します。Upload By 発達ナビ編集部このコラムでは発達障害や特性のあるお子さんの選んだ進路、トラブル、悩み、進路先の合理的配慮など……アンケートの回答と併せて「就学・進学」にまつわる質問や思いなどもご紹介いたします。今回は「未就学・小学校低学年編」のアンケート結果になります。実際の経験談やデータは、就学先の検討をされているご家庭の皆さんの参考にもなるはずです。<調査対象について>「LITALICO発達ナビ」コラムや会員へのメールから、アンケートフォームにて回答いただいた発達障害の子どもをもつ保護者:283名の回答を集計しました。(調査期間:2024年12月20日から2025年2月28日)※設問によっては283名全員が回答していないもの、複数回答可のものがあります。※調査結果の構成割合は四捨五入をしているため、合計が100%にならない場合があります。就学・進学アンケート お子さんについてアンケートの結果、男の子が71%、女の子が27%と、男の子の保護者の方の回答が多い結果となりました。Upload By 発達ナビ編集部年齢については未就学児のお子さんが20%、小学生のお子さんが34%、中学生のお子さんが19%、高校生のお子さんが16%、18歳以上のお子さんが11%という結果になりました。Upload By 発達ナビ編集部診断名についてはASD(自閉スペクトラム症)が176名、それに続きADHD(注意欠如多動症)が105名となっています。ASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如多動症)、ASD(自閉スペクトラム症)と知的障害(知的発達症)など併存していることがデータから読み取れます。Upload By 発達ナビ編集部障害者手帳は「療育手帳」「身体障害者手帳」「精神障害者保健福祉手帳」の3種類があります。持っていない方151人に対して、持っている方は129人という結果になりました。一番多いのは療育手帳で73人の方が所持しています。また、昔持っていたが返還した、という方も3名いらっしゃいました。Upload By 発達ナビ編集部就学相談、いつからした?就学に向けて不安なことは?【未就学児のお子さんのいらっしゃる方へのアンケート】ここからは未就学のお子さんのいる保護者の方の回答とコメントをピックアップしてご紹介します。就学先は、多くの未就学児の保護者の方が不安を感じたり、悩むのではないでしょうか。現在考えている在籍クラスについては自閉症・情緒障害特別支援学級が43%と一番多い結果となりました。続いて通常学級+通級指導教室(17%)、特別支援学校(17%)、通常学級(11%)、知的障害特別支援学級(9%)となっています。Upload By 発達ナビ編集部・年長4月から。・年長の5月に説明会→その後夏までに個別相談、見学、体験を済ませた。・年長時の6月頃に直接小学校に電話してアポ取りして訪問しました。・自閉症・情緒障害特別支援学級希望本人が2つの教室を行き来することに納得してくれるか不安。・知的障害特別支援学級希望小学校ではどこまで支援体制を整えてもらえるのか。・通常学級+通級指導教室希望全てが不安です。恐らく通常学級+通級指導教室になるのではと思いますが、自閉症・情緒障害特別支援学級のほうが良いのか、放課後等デイサービスもどうするか迷っています。就学相談エピソードや進路決定の決め手は?【小学校に通っているお子さんのいる保護者の回答/小学校1.2.3年生保護者のコメント】ここからは小学校に通っているお子さんのいる保護者の方の回答と、その中から小学校1.2.3年生のお子さんのいる保護者より寄せられたコメントをピックアップしてご紹介します。現在小学校在籍中のお子さんのいる保護者が選んだのは、自閉症・情緒障害特別支援学級(27%)が一番多い結果となりました。その後通常学級(24%)、通常学級+通級指導教室(21%)、知的障害特別支援学級(16%)、特別支援学校(8%)と続きます。就学相談を行い、通常学級、特別支援学級、特別支援学校とそれぞれ見学などを重ね、最終的に在籍クラスを決めた方が多いようです。Upload By 発達ナビ編集部・通常学級通級指導教室の希望を年長の夏頃に教頭先生に出していましたが、教頭先生が忘れていて空きがなく、通級指導教室に通えませんでした。ですが、通級指導教室に通うとなると送迎や授業を抜けなくてはいけなかったり大変だったので、その代わりに担任の先生や、スクールカウンセラーの方や担当医の先生、子育て相談員の方に相談に乗っていただき逆に助かりました。・自閉症・情緒障害特別支援学級夫婦で揃って面談に出向き、心配されること、不安なことを全て吐露してきた。春頃と秋頃に、子どもを連れて、小学校見学に行き、本人に、通常学級と特別支援学級、どちらがいいか尋ねた。・特別支援学校へ就学特別支援学級、特別支援学校どちらがよいか悩ましいと担任の先生にも言われており、保護者としてもどうしてよいのか分かりませんでした。教育委員会の就学相談会では子どもの描いた絵や文字なども見ながら、なるべく多面的に娘の進路を考えようとしてくださってると感じました。なので、特別支援学校判定が出た際、娘にとって一番良い選択肢だと納得できました。・通常学級に就学本人にとってどこが合っているのか悩みました。診断がないので特に支援は受けられないということもあり、思い切って通常学級にしました。・自閉症・情緒障害特別支援学級に就学本人がみんなと違うクラスで落ち込まないか悩みました。・知的障害特別支援学級に就学少しでもできることを増やして自信をつけてほしい、本人の気持ちを最優先にした。実際に決めた就学先については、合っていたと感じた方が67%と一番多い結果になりました。どちらともいえない方は26%、合っていなかったと感じた方は5%でした。合理的配慮などを受けることで安心して通うことができたり、交流学級での体験が良い経験になっていることもあるようです。Upload By 発達ナビ編集部・合っていたと感じる(通常学級)少人数学級なので小回りがきき、子どもがしんどくなった時に「先生、ちょっと休んできます」と申告すると、10分ほど別室で休憩ができたりするので。・合っていたと感じる(自閉症・情緒障害特別支援学級)年を経るごとに、自分の状態に合わせて通常学級と特別支援学級を行き来できるようになった。学校も友だちも勉強も好きでいてくれた。・どちらとも言えない(通常学級)通級指導教室に通っていないので、なんとも言えませんが子どもは子どもでちゃんと成長していっているので、通常学級を選んでよかったです。療育にも通っているので、そちらのサポートはかなり大事だと思っています。就学先の支援や合理的配慮に満足をしている(25%)、おおむね満足している(52%)という結果となり、合わせて77%の方が満足していると回答しています。あまり満足していない(15%)、不満がある(4%)は合計19%と全体の約1/5は課題があるとの結果に。お子さん一人ひとりに合った支援がより一層求められています。Upload By 発達ナビ編集部・満足している(自閉症・情緒障害特別支援学級)1クラス9人に先生2人なので目が行き届いていると感じる。体育の授業で自転車に乗れるようになるまで指導してくれたり、お買い物の仕方など生活に必要な技術を身につけさせてくれるので助かっている。・満足している(特別支援学校)非常に手厚いと感じています。一人ひとりにあった学習内容を考えてくださるので、ゆっくりではありますが確実に成長できていると感じます。・おおむね満足している(自閉症・情緒障害特別支援学級)学校でのことを話さないので、状況が伝わってこない。特別支援学級でのことは連絡帳や先生との話からある程度知れるが、通常学級でのことは分からない。・おおむね満足している(通常学級)担任の先生によって配慮や手厚さが異なる。学校にWISCの結果や配慮事項は共有をお願いしているものの、個人情報すぎて金庫に収納されているらしく、校長等の管理職から担任へ共有されていないことも。結局毎回同じものをお渡しし、説明している。【未就学のお子さんの保護者】就学についての悩みや入学後の合理的配慮について専門家が解説!Q:今後子どもの就学相談を控えています。障害のある子どもの就学先はどのように決定されるのでしょうか。A:就学先決定までの簡単なプロセスを紹介します。まず、アンケートにあるように、年長児になってから園の先生、就学先の学校などと就学に関する支援会議が持たれます。この間、いくつかの学校や学級を見学したり体験入級をしてみたりして情報を集めていきます。いろいろな先生の話を聞いたり、パートナー同士で意見交換をしながら現時点での選択肢を固めて、希望を提出します。自治体での就学支援委員会によって望ましい就学先が決定され、通知されます。もし親の意見と合わない場合は、教育委員会と相談することになります。(回答:井上 雅彦先生(鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授))Q:小学校入学後に合理的配慮を受けたいです。就学前に準備したほうがいいものや受けたほうがいい検査などを知りたいです。A:小学校での合理的配慮は主として通常学級で行われることが多いです。具体的にどのような場面で配慮が必要かは入学してからでないと分からない部分もありますが、園や保育所などで個別的な配慮を必要としている場面があれば同様の場面でどのような配慮が必要かを入学前に学校と話をしておいてもよいでしょう。配慮の内容によっては主治医からの診断書や意見書などがあったほうが良い場合もあります。検査などの具体的データがあると配慮も受けやすくなるので学校に相談してみて頂ければと思います。(回答:井上 雅彦先生(鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授))(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2025年04月20日生まれつき、目の障害を持って産まれた息子。さらに発達の懸念を指摘され……はじめまして、河野りぬと申します。現在、わが家は夫、私、息子、娘の4人家族です。息子は片眼性先天白内障という目の病気で、生後2か月で左目の手術をしました。弱視訓練のため、毎日コンタクトレンズとアイパッチ訓練を続ける日々。幸いにして視力は弱いながら順調に育っていっていた中、幼稚園にあがって集団生活をするようになり、徐々に新たな問題に直面するようになりました。年中に上がる直前に幼稚園の先生から「集団行動についていけていない。指示が通らない」という指摘をされたのです。最初は「そうはいってもまだ幼いのだから様子をみていいのではないか」と考えていました。息子は言動や普段の様子だけを見ているとしっかりしていると感じられる部分があり、さらに少人数で遊んでいる時はなんのトラブルもなかったため、当時は発達の凸凹に気付くことができませんでした。しかし、いよいよ年長に上がる直前になり、とあることが気になりはじめました。Upload By 河野りぬ就学間近なのに……いくら教えても初歩的な学習が入っていかない遊び中心のゆったりとした教育方針の幼稚園に通っていたため、学習については家庭でゆっくり教えればいいや、とのんびり構えていたのですが、就学にそなえて周りの子どもたちが次々と自分の名前を書いたり、数字を数えたり、早い子は足し算なども勉強している中、息子は6歳を目前にして20までの数唱がスムーズにいかず、ひらがなについては1つ2つしか覚えていないような状態でした。全く教えてないのなら納得ですが、少なくとも数唱に関しては毎日お風呂で20数えていたのになかなか覚える事ができませんでした。また、集団行動からは相変わらず逃げ回り、みんながお部屋で集会しているような時でも、部屋の外で座って終わるのを待っていたり、同じように集団行動が苦手なお友だちと別の遊びをしていたりしました。さらに、周りの子たちの遊びがどんどん規模が大きくなり、追いかけっこ、こおりおになど、ルールのある遊びを大人数でする事が多くなっていくと、息子は遊びの場にも入っていけない事が増えていきました。言葉が達者で工作なども得意、興味のあることなら大人が覚えていないような事も覚えていたりするのに、なぜ初歩的な学習や集団行動ができないのだろう、と疑問と焦りが募っていた頃、ついに3歳年下の娘のほうが先に数唱を覚えてしまいました。そんな様子を見て「やはりなにか理由がある。一度病院に行ってみよう」と決意したのです。やっと行った病院で受けた診断はさっそく幼稚園の先生からの紹介状をもらい、運良く空きがあったので早々に児童発達専門の先生に診ていただきました。すると、事前に渡した問診票の回答や紹介状の内容、当日の様子を見て早々に、「ASD(自閉スペクトラム症)+ADHD(注意欠如多動症)ではないか」という見立てを頂きました。集団行動への参加の難しさや、学習への興味の無さは、ASD(自閉スペクトラム症)特性である「興味の極端さ」「集中力コントロールの不得手(過集中または注意散漫)」「一斉指示の聞き取りの難しさ」などの理由から来るもの。また同時にじっとしていられない多動的な面も見られ、体幹の弱さも見受けられる事から、DCD(発達性協調運動症)やADHD(注意欠如多動症)も併せ持っていると思う……という事でした。私は、息子の困りの全貌がようやっと見えてきて「これから具体的に対策できる!」という前向きな気持ちと、見る人が見ればこんなにすぐ分かる障害を親である自分が見過ごしてきた申し訳なさ、さまざまな障害を併せ持つ息子の行く末を案じる気持ち、など複雑な気持ちがせめぎあう中、診断を受け止めました。Upload By 河野りぬ療育へ通うようになり、小学校は特別支援学級を選択その後、学習や運動プログラムのある療育へ通い始め、学習への向き合い方は少しずつ改善されていったものの、あいかわらず集団活動や場面の切り替えの苦手さが目立ち、情緒不安定な様子が続きました。最初は個別指導、そこから少人数……と規模の大きい活動にチャレンジしていくのですが、たった3人4人の集団規模でも、コンディションによっては部屋に入っていけない、かんたんな活動に参加できないということがあるのです。そういった様子を歯がゆく見守っていた頃、いよいよ就学へ向けての相談が始まりました。予約していたWISC検査を受け、多少の凸凹はみられるものの、なんと息子は数字の上では「正常の範囲」とされたのです。当然、通常学級を希望する前提で話が進みそうになりましたが、「待った」をかけ、一度家庭へ話を持ち帰ることにしました。WISCの検査結果を考慮したとしても、DCD(発達性協調運動症)や弱視の問題、また実際の困りから発達障害があるという判断はありましたし、なにより療育での様子を見ていて通常学級に入るイメージは全く持てませんでした。夫や教育相談員さんとも相談し、わが家は最終的に「特別支援学級」を希望しました。(※特別支援学級への入級基準は地域差があり、学校への事前確認が必要です)特別支援学級での生活、療育を続ける事で得られたものUpload By 河野りぬ現在、息子は1年生も終わりの頃を迎えています。あれだけドタバタとした年長の時期を超えて、今の様子はというと……別人のように穏やかに、順調に学校生活に馴染んでいます。進学した当初こそ、激しい行きしぶりがあり、大号泣で「ぜったい行かない!」などの抵抗が続いて、何が正解か分からなくなった時期もありました。そういった時期、やはり私も息子も苦しみましたし、一朝一夕の解決策もなく、ただ苦しい時間が続くこともありましたが、家族や学校、療育現場の支援員さんが連携して支えてくださり、難しい時期を乗り越える事ができました。2学期になると顔つきが段々と変わってきて「もうお兄さんなんだよ!なんでも聞いて!」というような言葉も聞かれるようになりました。特別支援学級での取り組みや療育を通して、明らかに「自尊心の回復」が見られ、何にでもチャレンジする前向きな心の土台が育まれていったのだと思います。もちろん不安が全くなくなったわけではなく、まだまだ特性に振り回される日常のシーンがあったり、進路の事で悩んだりといった事はあります。ただ、チームで育児していっている感覚が得られ、困難な事があった時に頼る先が、親子ともどもできたなと感じています。いま進級をひかえ、頼もしさも感じるようになった息子の様子を見ながら、夫と「この選択は間違ってなかったね」と振り返っています。これからも困難なことや迷いはあると思いますが、助けを得ながら協力して、あかるく育児していきたいと思っています。執筆/河野りぬ(監修:新美先生より)河野さん、はじめまして。生まれ持っての片眼性先天白内障の手術に引き続いて弱視訓練と続いた中に、就学前にASD(自閉スペクトラム症)+ADHD(注意欠如多動症)があるということも分かってということで、大変だったことと思います。小学校に上がって、いろいろありつつも順調に学校生活を送り、頼もしく感じられるほどの成長の実感を持って1年生を終えられているとのこと、嬉しいですね。文末の「あかるく育児していきたいと思っています」との河野さんの言葉がとっても素敵だと思いました。河野さんのあかるい子育てについて、これからいろいろ聞かせてもらえるのを楽しみにしています。よろしくお願いいたします。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2025年04月18日専門家が一人ひとりの疑問に寄り添う「専門家回答のQ&A」発達ナビのQ&Aは、保護者の皆さん同士で経験や知恵を共有しあえる、相談・交流の場です。経験豊富な保護者の方からのリアルなアドバイスや、共感の声に励まされることも多いのではないでしょうか。そんなQ&Aに「専門家回答のQ&A」がスタートしました。通常のQ&Aとは異なり、保護者の皆さまから事前にお寄せいただいたお悩みアンケートをもとに、専門家に回答いただくものです。次では、現在公開中の専門家Q&Aをご紹介します※お悩みアンケートは不定期での募集を予定しております。※現在、専門家回答のQ&Aはスマートフォンからのみご覧いただけます。小4の軽度知的障害(知的発達症)とASD(自閉スペクトラム症)のある息子の独り言が心配です――どう伝えると本人に伝わる?どうサポートすべき?そんな保護者の声に、鳥取大学大学院教授で発達障害を専門とする井上雅彦先生がお答えくださいました。専門家の視点から、親としての声かけや今後の関わり方について、具体的なアドバイスをお届けします。※現在、専門家回答のQ&Aはスマートフォンからのみご覧いただけます。ゲームのルールを一緒に決めたのに、こっそり制限を解除して長時間遊んでいた息子。注意すると逆ギレされて……どう対応すればよかった?ADHD(注意欠如多動症)の傾向がある小3のお子さんをもつ保護者の方から寄せられた切実なご相談です。「しつけとしてのペナルティはいいのか?」「怒らずに伝えるにはどうしたら?」──子育てにおける「ルール」についての悩みは、多くのご家庭でも共通ではないでしょうか。このモヤモヤに、専門家がどう答えたのか?対応のヒントが見つかるかもしれません。※現在、専門家回答のQ&Aはスマートフォンからのみご覧いただけます。専門家Q&Aでは、今後も皆さまのお悩みにお応えしていく予定です。お悩みアンケートの募集は不定期で行ってまいりますので、募集時はぜひご応募ください。これからも発達ナビでは皆さまに寄り添えるようなコンテンツをお届けしてまいります。ぜひ、発達ナビのQ&Aをチェックしてみてください。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2025年04月17日息子の発達、遅れてる!?5歳でASD(自閉スペクトラム症)の診断。兆候をことごとくスルーしてきた楽天的な私の体験発達ナビユーザーから寄せられた体験談を元にしたマンガ「発達障害の子どもと私たち」。今回から新たにアキラ編がスタートします。M子さんのお子さん、現在5歳のアキラくんは最近ASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けました。思い返すと1歳の頃から兆候はありましたが、保護者の方は初めての子育てということもあり「そんなものなのかな」と気づかず。一体どのような兆候があったのか、その後支援に繋がり診断を受けるまでをマンガで振り返ります。Upload By ユーザー体験談Upload By ユーザー体験談Upload By ユーザー体験談Upload By ユーザー体験談発語の遅れ、クレーン現象、不安を感じやすい、指差ししない……今思うとこれって予兆だったの?発達ナビユーザーからの体験談を元にしたストーリーマンガ「発達障害の子どもと私たち」第3章アキラ編がスタートしました。アキラくんは5歳でASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けています。1歳を過ぎた頃から発語の遅れ、クレーン現象、呼んでも返事がない、ベビーカーの拒否などがありましたが、保護者の方は「初めての育児だし。こんなものかもしれない」と思います。しかし一歳半健診にて、周りの子の成長に驚き!でも「保育園に通っていたり上にきょうだいがいるのかも……」と思い、ヒアリングへ。ヒアリングも特に問題なしと思っていたのもつかの間、保健師さんから「経過観察」と判定されました。「でも、経過観察って母親が様子を見ておいてねって意味だよね?」と特に心配をしなかったM子さんでしたが、この後保育園に入り、だんだんとアキラくんの言葉の遅れが目立つようになってきて……。次回第2話「支援に繋がり、初めて『自閉症(ASD/自閉スペクトラム症)』という言葉を知った私」。続きもぜひご覧ください。イラスト/星あかりエピソード参考/M子(監修:井上先生より)初めての子育てでは、お子さんの気になる行動はあったとしても、それがASD(自閉スペクトラム症)の症状だとは思わなかったという方は少なくはありません。発達の遅れを心配して不安になることがあってもネットなどの情報でまだ大丈夫かなと安心したり、相談に行くのをためらったり親御さんの気持ちも揺れ動く時期だと思います。近くの子育て支援センターや児童発達支援センターなど身近なところがあれば勇気を出してお話を聞きに行ってみるのも良いでしょう。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2025年04月17日就学前から始めた放デイ探し。でも入れたのは小2からで……現在9歳の息子は、3歳でASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)の診断を受けました。好奇心旺盛で色んなことに興味や疑問を持ち、暇な時間があると「楽しまないともったいない!」と言うくらい、エネルギッシュ。就学相談をし、小学校では通常学級に所属しながら、週に1回、特別支援教室に通っています。わが家は、就学前の夏休み明けから10か所程の放課後等デイサービスに問い合わせしましたが、結局は入れたのは小学2年生になってから。そんなわが家の経験をお話しします。放課後等デイサービス、候補だった10か所は、ほぼ満員で門前払い状態⁉まず、大事にしたのは立地です。最寄り駅から3駅以内の場所をマストにしました。その条件で当時通っていた児童発達支援先から教えていただいた施設と、インターネットで自分で検索し、候補を絞り、残ったのは10か所。まずは、とにかく電話をかけて問い合わせました。聞いたことは「空きがあるか」、「見学や体験はできるか」、「送迎はあるか」に加えて、「どのようなお子さんが通っていらっしゃるか」などを質問しました。まずショックだったのは、最初の電話の時点で、ほとんどが満員、ほぼ門前払い状態だったことです。「空きは出ないので、見学に来てもすぐの利用はいただけません」「満員なので、かなり空きを待つ状況になると思います。それでもいいなら、見学は可能です」みなさん電話での声は優しかったのですが、相手方の背後で子どもたちがはしゃぐ声が聞こえ、職員さんの声が聞き取りづらかったり、「ちょっと待ってください」と言われ電話が中断されたり。受け入れの余裕がなさそうな施設では、見学や体験のお話をする前に、「別の事業所さんに問い合わせてみてください」と言われたことにも驚きました。結局、候補がすべて「空きがない」「いつか分からないけれど待つしかない」という状態だったので、入学に合わせて放課後等デイサービスに通うことは断念せざるを得ませんでした。Upload By ユーザー体験談学校に慣れた1年後、再び探し始めたら……。ママ友のおすすめの放デイに見学も小学校入学後はバタバタしていて、息子も新しい環境で疲れ気味でした。そんな様子を見て、入学と同時に放課後等デイサービスに通うことは難しかっただろうなと感じたので、(見つからなかったのも結果オーライだったのかな)と思いました。そして学校にも慣れてきた1年生の終わり頃に、放課後等デイサービス探しを再開しました。ですが、状況は1年前とほぼ同じ……。いつになったら通えるのかと思いながらママ友に相談したところ、「この施設がおすすめだよ」とある放課後等デイサービスを紹介してもらいました。見学に行ったところ、息子に合っていそうな施設!ここならばと、その放課後等デイサービスで空き待ちの登録をしました。それともう1件空き待ち登録をしたのですが、実はこの2施設、小学校3年になった今でも待機状態です……。地域差もあると思いますが、本当に空いている施設を探すのは難しいことだと実感しました。そんなわが家がどうやって今通っている施設に入れたのか?それは、新規オープンの施設を探し続けたからです。狙いは新規オープン!工事中の施設に問い合わせをしたらこのように空きがない状況の中、私は並行して新しくできる放課後デイサービスを検索し続けました。定期的に「○○(最寄り駅)放課後等デイサービス新規オープン」でネット検索をしたり、放課後等デイサービスを運営している施設のホームページを巡回し、オープン情報が載っていないかをチェック。発達ナビの施設検索ページももちろん使いました。そんな中、最寄り駅近くに放課後等デイサービスが新規オープンする情報をゲット!まだ建物も建っていない工事中の状態でしたが、インターネット経由で問い合わせをしました。するとすぐにお返事を下さり、工事完了後すぐに見学と体験をスムーズに行うことができました。体験での息子は『ワクワクが止まらない』といった様子でした。そして「通いたい!」宣言。また、先生方の接し方がやはりプロ。ここなら安心して預けられると思い、この施設に通うことにしました。現在は週に1回通っています。Upload By ユーザー体験談「良いところを見つけてくれてありがとう!」と息子。通ってみて感じたことこの施設では、自主性を育てるような関わりをしていただけます。息子も楽しく通っており、その日のフィードバックもありますし、私も困りごとを相談しやすく、良いところに巡り合えたと思っています。うれしかった出来事は、自ら準備~後片づけを一連の流れで行えることが増えてきたことです(しかも楽しそうに!)。今までは、後片づけは後回しになることが多く、嫌がっていたのですが、見違えるようです。また、自分の持ち物を確認するようになるなど、成長をうれしく感じています。放課後等デイサービス探しには時間を要しましたが、良いタイミングで、わが子に合った施設に通うことができているので、よかったのではないかと思っています。また、何かあった時(急な病気や災害等)に備え、自宅近くや学校近くにあるというのも心強いです。親子共に、家庭や学校以外にも居場所はあること、放課後や休みの日に一緒に過ごせる同世代の友だちがいること、また、優しく接してくれる先生方がいらっしゃることのうれしさを感じています。わが子に、「良いところを見つけてくれてありがとう!」と言われた時には、探し続けてよかったな、と心から思いました。これからも、ワクワクを見つけ、わが子らしく成長していってほしいなと思います。イラスト/SAKURAエピソード参考/七転八起(監修:森先生より)放課後等デイサービス探しに苦戦された経験談をありがとうございます。10か所もの施設に満員で断られながらも諦めずに探し続けたのですね。お子さんが心から通いたいと思える場所に巡り合えたこと、本当に素晴らしいです。「発達障害」とひとことにまとめられることも多いのですが、ASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如多動症)は別の特徴を持っています。ASD(自閉スペクトラム症)は社会的コミュニケーションの困難さや、特定の興味への強いこだわり、感覚過敏などの特徴を持つ発達障害です。一方、ADHD(注意欠如多動症)は、注意を持続させることが難しかったり、衝動的な行動を取ったり、落ち着いて座っていられないなど多動が目立つ状態です。お子さんのようにASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如多動症)の両方の診断を受けるケースも珍しくなく、これを「共存診断」と呼びます。お子さんの「好奇心旺盛でエネルギッシュ」という素敵な特性は、ADHD(注意欠如多動症)の多動性やASD(自閉スペクトラム症)の特定の興味への集中力から来ている可能性がありますね。さて、お子さんが楽しく成長している様子を見ると、適切な環境がいかに大切かが分かりますね。放課後等デイサービスなどの支援機関や学校の先生と情報共有をすることで、お子さんの成長に合わせたサポートを受けることが可能になります。特性で集中が難しい場合でも、放課後等デイサービスでの「準備~後片づけ」を楽しそうにできたように、小さな目標を達成する機会を増やすと自信につながります。時間の管理が苦手なケースでは、予定をカレンダーや絵カードで見えるようにすると安心感が増します。お子さんが自分でチェックできるとさらに良いですね。また、「好奇心旺盛」という強みを生かし、お子さんが夢中になれる活動(工作、科学実験など)を一緒に探すと、興味の幅をさらに広げることができるでしょう。これからも親子で「ワクワク」を見つけながら、お子さんらしいペースで進んでいけることを願っております。支援機関探しに悩まれているお子さんやご家族の希望になる素敵なお話をありがとうございました。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2025年04月15日転籍問題、早期療育、勉強のつまずき、卒業式・入学式など……3月に公開したさまざまなエピソードを紹介!転籍問題、早期療育、勉強のつまずき、卒業式・入学式など……発達障害のあるお子さんを育てる保護者の方にとって気になる問題を読者体験談コラムでチェック!今月の体験談は4つ!知的障害特別支援学級の通うお子さんがWISCを受けて「IQは平均値」の結果に……転籍を迫られ悩むエピソードや、乳幼児期の発達の遅れの不安、早期療育を経て支えられた児童発達支援についてのコラム、文章読解が苦手なASD(自閉スペクトラム症)のお子さんの対応や合理的配慮、卒業・入学の乗り切るコツが満載のまとめコラムなど、さまざまなエピソードをコミックエッセイ仕立てで紹介しています。知的障害特別支援学級に在籍している苗さんの息子さん。しかし、放課後等デイサービスでWISCを受けた結果、IQは平均値の範囲内との結果が。「知的障害(知的発達症)がないということは転籍しなければならないの?」と悩む苗さん。それには「勉強」と「人間関係」が悩みの種で……。転籍に悩んでいる方のリアルな体験談です。「発達が遅れているのでは?」なかなか一人で歩くことができず、言葉もでなかったゆきこさんの息子さん。不安を感じていた中で迎えた1歳半健診で「専門の先生に診てもらってください」と指摘を受けました。小児神経科を受診すると、言葉の遅れがあるため、月1回の言語聴覚療法(ST)をすすめられ……。読めるけれど書けない漢字。問いから外れた答えを書く文章読解。ASD(自閉スペクトラム症)のなのさんの息子さんは国語に困難さがありました。たくさん練習しても翌日には全部忘れてしまい、「思い出そうとしてもはっきり思い出せない!書けない!」と大泣きしたことも……。学校での学び方、合理的配慮を模索した結果は……?発達障害のあるお子さんにとって卒園、卒業式や入園、入学式などの行事は春の試練!?新しい環境への不安や刺激の多さから、さまざまな困りがおこることが多いこの季節。保護者の皆さんも、どのような準備をすればいいか心配しているのではないでしょうか。そんな悩みを持つ保護者の方に向けて、卒業式・入学式を迎えるヒントとなる体験談やアンケートに寄せられたコメントをお届けします。ご自身のエピソードを投稿してみませんか?『発達ナビ 読者体験談』は皆さんのご経験を基に制作されています。ご投稿いただいたエピソードは、連載ライターさんのイラスト、専門家の先生からのコメントをつけた上で掲載させていただきます。「あの時は悩んでいたけれど、今はこうなった……」など、発達障害のあるお子さんを育児している皆さんへ、ご自身の経験をお届けいただけないでしょうか。ご応募は以下の応募フォームから受け付けております。皆さんのご投稿を、お待ちしております。【現在の募集テーマ】・障害告知・パートナー(夫婦) 関係・両親(義両親)、親族関係・進学・受験関係・冠婚葬祭関連・反抗期、思春期・自傷・学習関係・不登校、行き渋り・ゲームとの関わり・不器用さについて・ママ友や、ほかの保護者の方とのエピソード・ご近所関係(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2025年04月13日LITALICO発達特性検査は再受検できる?LITALICO発達特性検査は、2024年4月にリリースされたオンライン検査です。保護者の方が質問に答えることで、お子さまの困りごとや特性の傾向、サポートの方向性に関するヒントが得られるサービスです。以前受検された方のなかにはお子さまの困りごとや状況に変化を感じ、「今の状況でもう一度検査したい」という方がいるかもしれません。今回は、LITALICO発達特性検査の再受検について分かりやすく解説します。LITALICO発達特性検査は何度も受検できるサービスです。お子さまの特性自体は変わらないものもありますが、環境とのミスマッチによって困りごとが強くなる場合もあります。逆にお子さまに合った方法を見つけたり環境を調整していったりした結果として、困りごとが出にくくなることもあります。そのため、今のお子さまの状況や変化を確認したい場合や、お子さまに合ったサポートを把握したい場合などに、改めて受検していただくといいでしょう。また、以前の検査結果も記録として残ります。グラフなどで前回の結果と比較していくと、お子さまの変化をキャッチしたり分析したりする材料にも繋がります。一方で、短期間で受検しなおすことにはあまり意味がないこともあります。また結果に振り回されすぎないように注意も必要です。今回ご紹介する具体的な注意点やポイントについて理解したうえで、再受検するかどうかを検討することが大切です。再受検のタイミング検査として明確に設定している期間はありません。ただし、検査に回答する際には、想起期間として、直近3か月のお子さまのことを考えて選択肢を選んでいただきます。そのため、1〜2か月などの短いスパンで再受検しても、結果として変化を捉えにくい可能性があります。また、特性や困りごと自体に関しても一時的な状態として捉えるよりも、ある程度の期間を通して見られた状態を回答いただくことで、検査結果の精度が上がります。お子さまの特性や困りごとの様子が短期間で大きく変動していると感じる場合は、しばらく観察し持続しているかどうか様子をみるといいでしょう。短いスパンで何度も受検するよりも、少なくとも半年〜1年以上の期間をあけて受検いただくことで、より状態が正確に反映されやすく、変化なども捉えやすくなると考えられます。もちろん、強い困りごとが新たに出てきた場合や、家庭では対応が難しい状況や悩みがある場合などには、早めに医療機関や専門機関に相談することをおすすめします。複数回受検することで、グラフとして客観的な数値の変化も見とることができます。そのため、定点観測としての受検のほか、以下のような場合に、お子さまの困りごとの強さが変化したり、新しい悩みが出やすくなったりすることがあります。そのような時に再受検することで、現時点でのお子さまへの接し方や環境調整を見直すヒントとして活用できるかもしれません。・環境の変化が大きい時小学校への入学や、進級・進学などがあった場合、環境の変化により困りごとやその程度が変わ理やすいと考えられます。また、クラス替えなどによる周りの人や環境の変化に影響を受けやすいお子さまもいるため、お子さまの状況を改めて確認するタイミングとして適しています。・新たな困りごとが見られたタイミング以前には見られなかったことで、困りごとや気になることが出てきたタイミングで検査すると、今の状態としての結果が得られます。例えば、学習面では、新しく学ぶことに苦手な内容が含まれていることで困りごとが現れる場合があります。また、人間関係や生活上のルールなど、年齢に応じて要求されるスキルが変わることで、周囲とのギャップや苦手なことが目立つ場合もあります。・困りごとや課題が減ったと感じたタイミング困りごとはお子さまの成長やスキルの獲得・環境調整などによって軽減する場合があります。保護者の視点で困りごとや課題が減ったと感じた時に再受検することで、今の状態を客観的な値や傾向として調べることができます。検査結果は、新たな困りごとの傾向だけでなく、できるようになったことや困りが出にくくなったことなど、特性の現れ方や強さの変化に気づくきっかけとしても役立てられます。・対応方法の変化を知りたい時環境や状況の変化が大きい時期には、その環境や状況、年齢などに応じ、対応方法を変えることが必要になる場合があります。検査結果では、年齢や特性に応じたサポートの方向性が提示されるため、これまでうまくいっていた方法では合わなくなったと感じた時、新しい状況や困りごとへの対応方法が分からない時などに方法を見直すヒントが得られるかもしれません。再受検することの意味・メリットは?過去に受検したことがあっても、以下のような再受検によって分かることや、活用できることがあります。・状況の把握・モニタリングができる現在感じている困りごとを洗い出すことができます。・記録として残せる以前受検した時の検査結果は、再度受検してもマイページから確認できるため、記録から変化を確認できます。・相談の際の共有資料に役立てる新しい困りごとが出てきた時、環境や関係者が変わった時などには相談の機会も多くなります。そのような際の情報共有のツールとして活用することができます。・現時点でのお子さまに合った対処法や環境調整のヒントが得られる検査結果レポートで示される「サポートの方向性」は、検査で分かった特性や困りごとに対する対応方法が、その都度の回答状況と年齢に合わせた内容で出し分けられます。再受検した場合、検査結果レポートはどう変わる?再受検すると、グラフ上で前回の結果と今回の結果が表示されます。どのように変化が見られたかを視覚的に把握するのに役立ちます。ただし、特性によって変化しにくいものや、逆に環境や状況に影響を受けやすいものなどさまざまです。現状の把握や、これからどう対応や調整していくかのヒントとして捉え、細かな数値の変動だけに注目しすぎないことも大切です。Upload By LITALICO発達特性検査 編集部・回答によって変化する結果から、新たな困りや軽減された困りの変化を見つける検査では直近3か月のお子さまについて質問され、検査結果は回答時点でのお子さまの状態像が反映されます。困りごとや特性の現れ方は、お子さまの特性と環境との相互作用で現れます。そのため、お子さまの特性自体は変わらなくても、新しい困りごとが出てきたり、強くなったりすることがあります。一方で、お子さま自身が成長したり、以前の検査結果からうまく合うサポート方法が見つかったりすることで、困りごとが軽減されたり目立たなくなる場合もあります。これらの変化に注目することで、新しい課題や対応方法を見つけたり、家庭や園・学校などでの対応方法について振り返るきっかけとして活用できます。・年齢によって変わるサポートの方向性や困りごとの背景を知る検査結果では、検査受検時の年齢に合わせた内容が提示されます。特性や生じる困りごとが同じであっても、年齢によってその現れ方や場面、現れる背景や具体的な内容が変わることがあります。そのような場合には、ライフステージの変化によって、現れやすい状況や困りごと、困りごとが起きる背景要因を例示として紹介しています。また、対応方法も年齢に応じた難易度の方法を中心にご紹介しています。進学などでライフステージが変わった、年齢が上がり、身の回りのことなどで今までよりも自分でしてほしいことが増えた、思春期が始まりこれまでの接し方がうまくいかなくなったなどの場合には、困りごとの背景要因を読んでお子さまへの理解を深めたり「サポートの方向性」などでヒントになりそうなことを探したりするといいかもしれません。過去の受検結果はマイページの検査結果一覧に保存され、web上でいつでも確認し、PDFをダウンロードすることができます。再受検をしても過去の結果が削除されたり、その検査結果が上書きされたりすることはありません。Upload By LITALICO発達特性検査 編集部再受検した時、検査結果を読むポイントは?保護者として検査結果の変化や差をどのように捉えればいいか、解釈や活用の仕方が分からないという方もいらっしゃるのではないでしょうか?前提として、結果を過剰に捉えすぎないことが重要です。検査は保護者の方の視点からの回答に基づくため、周囲の見立てと異なる場合もあります。また、スコアの細かい数値の変動自体はあまり気にしすぎないことも重要です。もし、グラフでの「困り」ラベルの「今はない」「やや強い」「強い」に関して、以前の検査結果から変わった場合は、お子さまの状態や困りごとが大きく変化している可能性が高いと言えます。まずはグラフのラベルに変化がないか確認するといいでしょう。・「困り」のラベルの段階が下がった時【例】前回「強い」から今回「やや強い」や「今はない」になったなど環境が合っている、対応が合っている、お子さまのできることが増えたなどの要因で、困りごとが見られにくくなったと考えることができます。ぜひ、お子さまと取り組んでうまくいったことや、対応方法や環境調整でよかったことなどを振り返り、続けていくヒントにしてください。・「困り」のラベルの段階が上がった時【例】前回「今はない」から今回「やや強い」や「強い」になったなど何らかの新しい状況で困りごとが発生するようになった、年齢が上がることによって困りごとが目立つようになった、今までの対応方法でうまくいかないことが出てきたなどの可能性があります。何か、困りごとが現れたり強くなった状況や要因がないかを振り返るきっかけとして、新しい検査結果レポートの背景要因やサポートの方向性を読んで、試してみることをおすすめします。・数字やラベルに変化がない時グラフ上の困りのスコアや困りのラベルが以前の検査結果と同じであっても、具体的に困っている内容は前回と異なる可能性があります。検査結果レポートでは、背景やその詳細な内容、対応方法は以前のレポートと違った内容が出ている場合もあります。その点に注目すると、新しい困りごとやその背景、対応方法のヒントが得られることもあります。例えば、同じ「睡眠の困り」に関して、以前はおねしょに関する困りがあり、今回はおねしょに関する困りはなくなり、新たに「朝起きられない」という困りが現れたとします。睡眠の困りのラベルが同じ「強い」という表示でも、結果としての意味は変わってきます。背景やサポートの方向性などのレポートの内容もその困りに応じて変わります。再受検の際には、レポートをお読みいただき、そうした変化を追ったり、追加情報を得る意味で、新しい情報を見つけることに意義があるといえます。また、検査結果から情報を得るだけではなく、周囲の方の話を聞いたり、相談したりすることも重要です。まとめLITALICO発達特性検査は何度も受検できる検査です。お子さまの困りごとや特性の現れ方は変化することもあります。また、お子さまに合った対応方法や環境の調整の仕方は困りごとによって、またお子さまの年齢やライフステージによっても変わることがあります。そのため、一度受検された方でも、気になることが現れた時や変化があると感じた時に再度受検することで、現時点での特性や困りごとの現れ方について、また環境や接し方がお子さまにあっているかどうかをチェックすることができます。特に入園・入学、進級などのタイミングは、変化や新たな課題が見えやすい時期でもあります。気になることがある場合、再受検し、環境調整や相談のヒントとしてご活用ください。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2025年04月11日「世界自閉症啓発デー」とは2007年の国連総会で、毎年4月2日を「世界自閉症啓発デー」とすることが定められました。国連加盟国では、自閉症(※以下、ASD(自閉スペクトラム症))についての理解促進と意識啓発が求められています。また、日本では4月2日から4月8日が発達障害啓発週間と定められ、毎年全国各地でイベントやブルーライトアップなど多様な啓発活動が開催されています。ASD(自閉スペクトラム症)は、「対人関係や社会的コミュニケーションの困難」と「特定のものや行動における反復性やこだわり、感覚の過敏さまたは鈍麻さ」などの特性が幼少期から見られ、日常生活に困難を生じる発達障害のひとつです。日常生活にさまざまな困難を伴うこともありますが、その特性は一人ひとり異なります。原因については、まだ明確には特定されていませんが、遺伝的要因や脳の発達メカニズムが関係していると考えられており、育て方や愛情が直接の原因ではないことが研究により明らかになっています。この10年で、ASD(自閉スペクトラム症)に対する社会の理解は確実に変化してきました。学校や職場では、一人ひとりの特性に寄り添い、個性を尊重する環境づくりや支援の輪が少しずつ広がっています。まだ十分とは言えませんが、着実に前進していることは間違いありません。Upload By 発達ナビニュース「世界自閉症啓発デー」のシンボルカラーは「癒し」や「希望」を象徴するブルー。4月2日は 世界155カ国以上で、ランドマークがブルーにライトアップされます。日本では、東京タワー、都庁、東京ゲートブリッジ、各地のお城など、人気スポットや歴史的な建造物が青く輝きます。「Happy with Autism」自閉症のまま幸せになれる世の中に!Upload By 発達ナビニュース東京都自閉症協会では、“「Happy with Autism」自閉症のまま幸せになれる世の中に!”をコンセプトにさまざまな取り組みを行っています。Upload By 発達ナビニュース4月2日に東京都内の区役所や市役所、駅ビルやカフェなどでもブルーライトアップ、ブルーデコレーションが実施されます。皆さんもぜひご参加ください!青いものを身をつけるブルーコーディネートもおすすめです。SNSでは「#2025blueart」「#世界自閉症啓発デー」「#自閉症」「#自閉症啓発デー」のハッシュタグをつけてご投稿ください!Upload By 発達ナビニュース発達ナビでは、「青」をテーマにした連載ライター陣のメッセージと共に描きおろしイラストをSNSで発信中です。多くの方に届くようぜひ、リポストをお願いします!世界自閉症啓発デー当日の4月2日夕方からオンラインイベントが予定されています。東京都自閉症協会のYouTube公式アカウントにて各地のブルーアクションを紹介するほか、ブルーアートコンテストの受賞作の発表や「Happy with Autism」をテーマにした生ライブも!司会は、発達障害当事者のふわふわおさんと、2025準ミス日本の長尾巴菜子さんが務めます。Upload By 発達ナビニュース日時:2025年4月2日17:30配信スタート予定司会:ふわふわお(発達障害当事者)、長尾巴菜子(2025準ミス日本)※クリックすると発達ナビのWebサイトから動画サイトYouTubeに遷移します東京都自閉症協会では「Happy with Autism プロジェクト」としてASD(自閉スペクトラム症)当事者や家族のニーズ調査の準備をすすめています。調査結果を啓発活動に活用するためASD(自閉スペクトラム症)の当事者やその家族が感じていること、困っていることなどを声を集め、ショートムービーを作成する予定です。プロジェクトの第一歩として、12人のASD(自閉スペクトラム症)当事者が自信の特性や困りごとについて語ったショートムービーを公開中。4月2日のオンラインイベントでの公開も予定されています。Happy with Autismの取り組みについては、東京都自閉症協会のSNSにて随時公開されています。ぜひチェックしてみてください!東京都自閉症協会X※クリックすると発達ナビのWebサイトから東京都自閉症協会のXアカウントに遷移します互いを理解し、支え合う社会の実現に向けて「世界自閉症啓発デー」は、誰もが過ごしやすい世界を目指し、一人ひとりが理解を深め、共に歩んでいくための大切な日です。お互いを思いやり、支え合える社会について、一緒に考えてみませんか。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2025年03月31日発達支援療育に取り組むアース・キッズ株式会社(R)(所在地:東京都渋谷区千駄ヶ谷、代表取締役:高見 裕一、以下「アース・キッズ」)と、総合学院テクノスカレッジ(所在地:東京都小金井市前原町、学院長:亀田 俊夫、以下「テクノスカレッジ」)は、2025年3月21日付で連携協定を締結し、テクノスカレッジこども科における講義支援を開始します。テクノスカレッジでの講義を開始アース・キッズが運営する児童発達支援・放課後等デイサービス「スタジオそら(R)」や、「発達障害療育研究所(R)」で蓄積した発達支援・療育(以下、「発達支援」)に関する知見や経験を活かし、実践的かつ専門的な学びを提供することでZ世代を含む学生の力を引き出し、子どもたちの未来をより明るく豊かにすることを目指します。また、今回の連携協定により、両者がもつ教育や発達支援の知見や資源を活かしながら、人材育成や社会課題の解決、さらにはSDGsの達成を見据えた持続可能な社会の構築に向けて共同で取り組みます。アース・キッズ×テクノスカレッジ連携協定■連携の背景と目的~発達支援の認知拡大と、インクルーシブ対応人材の創出~テクノスカレッジは、変化する社会の縮図で実践と協同を重ねる教育を展開し、社会とシームレスにつながる環境の中で、変化に適応できる人材を育成しています。この連携では、テクノスカレッジこども科の学生が、アース・キッズが運営する「スタジオそら」での発達支援経験から子どもたちへの学びを深め、教育や保育だけでない職業選択の幅が広がることを目的としています。また、近年ではインクルーシブ教育・保育が広がりを見せている社会的背景にも関連し、テクノスカレッジでの学びに加わる「スタジオそら」での経験が、将来の働き方に生きる学びに繋がることが期待されます。~SDGsの達成と「共生社会」の実現~今回の協定では、SDGs(持続可能な開発目標)の理念を重視し、人と社会のつながりを強化する「共生社会」の実現をテーマに、「3.すべての人に健康と福祉を」「4.質の高い教育をみんなに」に取り組みます。教育・発達支援両面の協働により、多様な背景をもつ子どもたちが自らの可能性を追求できる環境を整備し、地域・企業・教育機関が一体となった持続可能な社会づくりに寄与していきます。■主な連携内容(1)こども科における講義支援発達支援に関する分析・研究を行い、また「スタジオそら」の人材育成を行う「発達障害療育研究所」による講義を提供します。「スタジオそら」での事例に基づいたケーススタディは、テクノスカレッジの学生に対して“即戦力”としての対応力を身に着けることが可能です。子どもに対する支援の形はひとつではないということを基本とし、ディスカッションを取り入れることで、考えて行動できる、手法を変えて試すことができる人材を育成します。(2)「スタジオそら」におけるインターンシップ受け入れアース・キッズが運営する「スタジオそら」において、テクノスカレッジの学生を対象にインターンシップを実施。発達支援療育の現場での経験を通じて、専門知識や職業意識を身につけ、キャリア形成への意欲を高めます。(3)学生との協働による「チャイルドラボ(R)」の認知拡大とコンテンツ開発アース・キッズが展開する総合情報メディア「チャイルドラボ」を舞台に、テクノスカレッジの学生の創造性を活かした新たなコンテンツを共同で開発。こども科に限らず、他学科との協働も踏まえ、音や映像、イラストなど多様なコンテンツを組み合わせた企画で情報発信を行い、子どもの健やかな成長を支える取り組みを社会全体に広めていきます。(4)人材確保への協力テクノスカレッジは、アース・キッズの求人情報を学生や卒業生に周知し、福祉分野で活躍する人材の確保を支援。アース・キッズは学生のキャリア形成に協力し、双方の持続的な発展を図ります。■アース・キッズ株式会社についてアース・キッズ株式会社は、「子どもたちのために。以上。」という企業理念のもと、すべての子どもたちが公平に可能性にチャレンジできる社会を創ることを目指しています。児童発達支援・放課後等デイサービス「スタジオそら( )」:発達が気になる子どもたちに合わせた発達支援プログラムを提供し、楽しく学びながら成長をサポート。発達支援に関する研究を行う「発達障害療育研究所」:発達障害や発達支援に関する情報収集や分析、専門家や関係機関との事例・情報共有を行い、より良い支援と人材育成を目的として設立された機関です。総合情報メディア「チャイルドラボ( )」:育児・保育・発達支援分野にわたる情報を記事や動画で発信し、保護者・教育者・保育者の学び合いを促進。【会社概要】商号 : アース・キッズ株式会社代表者 : 代表取締役 高見 裕一所在地 : 東京都渋谷区千駄ヶ谷3-51-6 原宿MOA 2F設立 : 2000年1月28日理念 : 子どもたちのために。以上。ビジョン: すべての子どもたちが公平に可能性にチャレンジできる…。そんな社会を創る。事業内容: 児童福祉法に基づく児童発達支援、放課後等デイサービス「スタジオそら」子どもの健やかな成長を支える総合情報メディア「チャイルドラボ(R)」URL : TEL : 03-3403-4389FAX : 03-3403-4388■総合学院テクノスカレッジについて1959年、文部省認定唯一のテレビ専門学校「名城大学付属東京テレビ高等技術学校」を創立。現在、エンタメ、クリエイター、スポーツ・教育、工学・情報分野などを学ぶ東京工学院専門学校と、エアライン、語学、ホテル、ブライダル、観光分野などを学ぶ東京エアトラベル・ホテル専門学校の2校、計30学科82コースが一つのキャンパスに集う教育機関です。社会の縮図を体感できる施設・設備が揃っており、学生が自身の専門分野以外の他学科とも協同しながら多角的に学べるところが特長です。学生自らが描く将来像をもとに、産学連携や海外研修、インターンシップなどを積極的に取り入れ、現場に即した実践力・コミュニケーション力を養う学びを展開しています。 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2025年03月27日『ネックウォレット』商品開発モニターレポート発達ナビとフェリシモC.C.Pがコラボし、暮らしの中の困りごとをサポートする商品づくり第6弾。私は、『ネックウォレット』の商品開発モニターを担当しました。今回は、その振り返りと、完成した『ネックウォレット』の感想、おすすめの使い方をご紹介します。首から下げられて、カードやコインなど細々したものがサッと取り出せるお財布です。中身が見やすいメッシュ素材なので、「レジでお財布から必要なものがすぐに出てこない!」といった困りごとを解決してくれます。Upload By SAKURAUpload By SAKURA※詳細ボタンをクリックすると発達ナビのWebサイトから株式会社フェリシモのWebサイトに遷移します『ネックウォレット』を試してみたら…!モニター商品を使ってみた感想は、以前コラムでご紹介しました。その内容をダイジェストでお届けすると……実際にモニター商品を試したのは、中学2年生のASD(自閉スペクトラム症)の娘です。娘は、財布からお金を出す際に、なかなか財布の中の硬貨が何枚あるか、把握できなかったり、さらに指でうまく取り出せなかったりすることが多く、混んでいるレジで時間をかけすぎてしまい、見ていてハラハラすることがあります。Upload By SAKURA『ネックウォレット』のモニター商品を使ってみたところ、・中の小銭入れやカードケースはスケルトンになっていて、外からでも硬貨がいくらぐらい入っているか分かりやすく、支払い時に慌てない・出し入れもしやすく、紐の調整も簡単などのメリットを感じることができました!Upload By SAKURA完成した『ネックウォレット』をチェック!完成品を試してすぐ、娘が「小銭入れの開ける向きが変わってる!」と気が付きました。試作品をしばらく使っていたからこそ、すぐに気づいたよう。開く向きが変わり、使いやすくなったそうです。私は手にして最初に気が付いたのは、サイズ。一回りコンパクトになり、カバンの中に入れてみても、邪魔にならず、出し入れもしやすくなっていました。必要に応じて、カバンの中に入れたり、首にかけたり…使い勝手がよくなったように感じました。Upload By SAKURAUpload By SAKURAカバンの中で財布が行方不明になり、慌てることはありませんか?例えば保護者の方は、子どもが小さいと、身動き取れるように荷物はリュックに!という方が多いかもしれません。私も経験があるのですが、リュックの中の財布って、取りだすのが本当に大変。背負ったままリュックに手を入れ、手探りで、あれ?あれ?と慌ててしまい、結局、リュックを降ろして探す羽目に……なんてことありました。そんな方に、ネックウォレットはピッタリです。また、娘のようにレジでの支払い時などに気持ちが焦ったり、慌てるとパニックを起こしたりすることがある人の場合、一目で何がどこにあるか分かる、このネックウォレットはパニック回避にもいいと思います。高校生からは、おそらくバス通学になる娘。リュック必須の学生には、ネックウォレットは通学を助けてくれるアイテムになりそうです。Upload By SAKURA※詳細ボタンをクリックすると発達ナビのWebサイトから株式会社フェリシモのWebサイトに遷移します
2025年03月25日ドキュメンタリー作品『「秘境駅清掃にハマってる」JRから感謝状、発達障害男性と母親の人生を変えた掃除とは』受賞インタビューUpload By 発達ナビ編集部2025年2月26日に、Yahoo!ニュース主催「ベスト エキスパート2025」が発表されました。ドキュメンタリークリエイター部門では、発達障害のある男性を追いかけたドキュメンタリー作品『「秘境駅清掃にハマってる」JRから感謝状、発達障害男性と母親の人生を変えた掃除とは』を配信した映画監督・俳優・演出家の太田信吾さんが特別賞を受賞。今回は、太田さんにドキュメンタリー制作への思いをインタビューしました。発達障害のある男性による秘境駅の清掃を巡る物語。ドキュメンタリー制作への思いとは?―― この度は、Yahoo!ニュース主催「ベスト エキスパート2025」において、ドキュメンタリークリエイター部門 特別賞を受賞されたとのこと、おめでとうございます!太田さんの作品『「秘境駅清掃にハマってる」JRから感謝状、発達障害男性と母親の人生を変えた掃除とは』について、どのようなきっかけでドキュメンタリーの制作を始められたのでしょうか?太田信吾さん(以下、太田さん):ありがとうございます。私は長野県千曲市出身なのですが、大学生の頃には早稲田大学の学内でサークルをつくり、長野県下でNo.1の高齢化率に直面する長野県天龍村で自治体とも連携をしながら村の課題を解決するためのボランティア活動に励んでいた時期がありました。当時、村内のいくつかの空き家をお借りして滞在をしていたのですが、2021年に学生時代にお世話になった方から電話があり「最近、君たちが滞在していた場所に面白い若者が来てるから会いに来てみたら?」と言われました。私は久しぶりにお世話になった方々に会いたいということもあり、村を訪れました。そこには見慣れない清掃器具や改造された清掃用品が多数置かれており、「誰だこの人は!?」と興味を惹かれました。清掃という仕事にあまりフォーカスが当たることは少ないと思うのですが、彼と接していると清掃は娯楽でもありメディテーションでもあり、コミュニケーションのツールでもあり……美化や環境整備という従来の意義だけではない可能性に気づかされ、この驚きを映像で伝えたいと思いました。――ドキュメンタリーで取り上げられていた髙橋祐太さんは、行動力にあふれ、積極的にいろいろな方とコミュニケーションをとりながら支援の輪を広げていく様子が、素晴らしいなと感じました。実際お会いしてみて、髙橋さんはどのような方でしたか?また、ドキュメンタリー制作を進める中で、気をつけた点や大切にされた点などを教えていただけますか?太田さん:良くも悪くも一つのことに集中し始めるとほかのことが見えなくなるタイプの方だなと思いました。自分自身も落ち着きがなく多動的で周囲が見えなくなることが多々あるので、シンパシーを感じました。ドキュメンタリーは他者がいてこそ成り立つものなので、あまりこちらのペースを押し付けすぎないようには気をつけました。彼のリズムを崩さないように。ニュースへの掲載が、多くの支援者や協働者が関わるきっかけに――作品では、清掃活動やイベント企画を行っている髙橋祐太さんの生き生きとした表情、心配しながらも清掃活動を見守るお母さまの姿がとても印象的でした。太田さんが作品の中で、特に心に残ったシーンはどのようなところでしょうか?太田さん:感謝状を受け取るところです。初めて、第三者にオフィシャルな形で評価をいただくことができた場面だからです。清掃の場所が秘境駅周辺ということもあり、なかなか人に気づかれず、評価をしてもらいづらい状況がありました。もちろん彼は好きでやっているだけで評価を得るためにやっていないのですが、「トレイルイベントを実現する」という目標のためにはやはり応援者が不可欠で、そのためにもこの感謝状やYahoo!ニュースへの掲載が大きな転換点となり、多くの支援者や協働者が関わるきっかけになったと感じています。――髙橋さんのように発達障害のある人が地域で暮らしていくときに、必要だと感じたことはありましたか?太田さん:周囲の方々の理解が必要だと思います。髙橋さんの場合は、危険が伴う場所で活動されているということもあり、活動に熱が入るがあまり安全面は疎かになりがちです。 そういった時に髙橋さんのお母さんのように理解があれば、GPSで状況を確認したり、こまめに連絡を取ったりと、安全を確認しながら彼のやりたいことを実現することが両立できると感じています。 またそれをネガティブなこととして捉えすぎないことでしょうか。個性としてそれを活かせるライフスタイルや環境をつくっていくことで、障害が魅力や個性になることは大いにあると思います。――ポータルサイト「発達ナビ」は、発達障害のあるお子さまの育児をされている保護者の方や、支援者の方に多くご覧いただいています。太田さんが本作を通じて伝えたいメッセージを教えてください。太田さん:ぜひ作品をご覧いただきご感想を寄せていただいたり、周囲の方々とのコミュニケーションを振り返る機会、自分の人生の目標を改めて考えるきっかけなどにしていただけたらうれしいです。小和田駅にいらっしゃる時にはタイミングが合えば髙橋さんとご案内させていただきます。『「秘境駅清掃にハマってる」JRから感謝状、発達障害男性と母親の人生を変えた掃除とは』「ベスト エキスパート2025」の受賞者や授賞式の詳細については、以下の特設ページでご覧いただけます。太田さんの作品『「秘境駅清掃にハマってる」JRから感謝状、発達障害男性と母親の人生を変えた掃除とは』も、ぜひチェックしてみてください。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2025年03月20日知的障害特別支援学級に通う息子。放デイの先生から「自閉症・情緒障害特別支援学級では?」と言われ……現在7歳の息子は、おしゃべり好きで人なつっこいのですが、不安感が強めです。小学校入学後、7歳7か月でASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けました。聴覚過敏や触覚過敏の特性もあります。息子はこども園の年少の頃から、半年に1回程度の頻度で新版K式発達検査を受けていました。その結果、全領域DQ82という数値が出ていました。この検査結果を活用することで、夫や両親への説明がしやすくなり、また園の先生との情報共有にも役立ちました。もちろん知的障害(知的発達症)の有無についても気になっていたため、WISCを受けることも検討しました。しかし、当時の息子は多動傾向があり、指示を理解することも難しそうだったため、検査を受けても判定不能になるのではないかと考え、見送りました。就学相談の結果、知的障害特別支援学級が望ましいとの答申を受け、現在は知的障害特別支援学級に所属しています。しかし、小学1年生の1学期半ばに放課後等デイサービスの先生から、「えっ、○○くんは知的障害特別支援学級なんですか?自閉症・情緒障害特別支援学級だと思っていました」と言われました。Upload By ユーザー体験談放デイの先生の言葉が頭の中でめぐり、(息子にとって本当に合っている場所は今のクラスじゃないの?)と、不安がじわじわと広がっていきました。これまでの選択が正しかったのか、自信が揺らぎ始め、(知能検査を受けなければ)と決意しました。知能検査の実施と結果小学1年生の夏の個別面談で、知的障害特別支援学級の担任の先生に相談したところ、「学校を通じての知能検査は、小学4年生頃を目処に行う予定です。それ以前に受けても正確な結果が出にくいことが多いので、今は見守っていきましょう」と言われました。私自身も、息子の学びの様子を見ていて今の知的障害特別支援学級が合っているように思えたため、(急がなくてもいいか……)と納得しました。しかし、その数か月後、放デイでWISCを受けられる機会が訪れました。放デイの運営会社が、ある大学と共同研究を行っており、そのモニター募集の一環として、作業療法士によるWISC検査が実施されることになったのです。息子は最初「えー、やだな~」と言っていましたが、検査を行う作業療法士さんが子どもの扱いに慣れた優しい方だったため、安心した様子で検査に臨みました。作業療法士さんによると、「何度か集中が途切れたり、離席して話し始めることもありましたが、声かけをすれば着席し、課題を再開できました」とのこと。問いに対する理解は十分だったそうです。そしてWISC結果、息子のIQは平均値の範囲内に収まっていることが分かりました。「息子には知的障害(知的発達症)がない……?では転籍しなければならないの?」私は驚きとともに、どうすればよいのか不安でいっぱいになりました。Upload By ユーザー体験談転籍する?勉強では相対評価に、現在良好な人間関係もリセット?秋の個別面談の際、知能検査の結果を担任の先生に伝えました。すると、先生から「自閉症・情緒障害特別支援学級への転籍も視野に入れながら考えましょう」との提案がありました。ただし、2年生での転籍は時期的に間に合わないため、3年次の転籍を視野に動く方針となりました。しかし、私は「本当に転籍すべきなのか」と強く迷っています。主に気になっているのは、「勉強」と「人間関係」です。私が息子の学びの場を考える際、大切にしている指標は以下の3点です。・勉強を負担感なく毎日続けられる場所か・毎日行きたい(行ってもいい)と思える場所か・つまずいたときに立ち止まったり、ゆっくり進んだりできる雰囲気があるか息子は不安感が強いため、「難しい」「しんどい」と感じたときに適切にサポートを受けられる環境が望ましいと考えています。そのため、担任の先生から「知能検査の結果からすると、通常学級か自閉症・情緒障害特別支援学級かを選ぶことになると思いますが、どうお考えですか?」と尋ねられたとき、私は「自閉症・情緒障害特別支援学級で検討したいです」と即答しました。Upload By ユーザー体験談また、転籍のメリットとして、息子の学力や得意なことを伸ばし、将来の選択肢が広がることを期待しています。しかし、同時に不安も大きく、特に「成績の付き方の変化」や「授業進度の違い」が気がかりです。息子の学校の自閉症・情緒障害学級では、成績は「相対評価」で、授業進度は通常学級と同じだそうです。息子は失敗することや負けることへの恐怖心が強いので、そうした変化を柔軟に受け入れられるのか……。また息子は現在の知的障害特別支援学級のクラスメイトや先生との関係が良好で、学校生活を楽しんでいます。一方、自閉症・情緒障害特別支援学級の担任はキビキビしたタイプの先生のようで、息子は「あの先生、苦手。よく大きな声出してるし、怖い」と話します。また、自閉症・情緒障害特別支援学級には「大きな怖い声を出す子がいる」「乱暴な子がいる」とも言っています。Upload By ユーザー体験談もちろん、クラスの雰囲気は年度によって変わるものですが、今の環境が安定しているだけに、「本当に転籍して大丈夫なのか」という気持ちは消えません。自閉症・情緒障害特別支援学級か、知的障害特別支援学級か——今後の選択に向けて息子はこの1年で忍耐力がつき、見通し不安も軽減されるなど成長が見られます。そのため、今後どの環境が最適かを慎重に見極める必要があります。知的障害特別支援学級であれ、自閉症・情緒障害特別支援学級であれ、息子に合った学びの場がどこなのか――私はこれからも考え続けていくことになりそうです。イラスト/マミヤエピソード参考/苗(監修:新美先生より)知的障害特別支援学級に在籍しているのに、知的障害(知的発達症)がないことが発覚したという悩ましい状況について聞かせていただきありがとうございます。このようなこと、実は結構よくあります。例えば自閉特性のため幼少期のコミュニケーション面の発達が特にゆっくりなお子さんでは、就学前の時点では知能検査が実施できなかったり、実施できても数値が低めに出ていたりして就学時は知的障害特別支援学級に在籍することになったのに、数年後コミュニケーション面が追い付いてきて検査に取り組みやすくなり、知能検査を実施、再検したら実は知的障害域ではなかったというようなことは起こり得るのです。知的障害特別支援学級は原則は知的障害(知的発達症)がある方のための学級なので、最新の知能指数が知的障害域でない場合、転籍を迫られるということも起きうることです。知的障害特別支援学級では、個人に合わせた学習をしていて必ずしも学年相応である必要はなく、自閉症・情緒障害特別支援学級では学習は原則、学年相応の学習指導要領に沿った学習をすることになっているので、知的障害特別支援学級から自閉症・情緒障害特別支援学級に転籍すると、お子さんによっては、学習がいきなり飛んでしまったり、難しくなってしまったりということがあるかもしれません。このような時に転籍をしない選択肢があるかどうかは、地域や学校によっても異なります。お子さんにとって転籍をしたほうがいいのかしないほうがいいのかについては、直近のこと、将来のことさまざまな視点から検討していく必要があり、知能検査の数値だけで決められるものじゃないですよね。悩める状況は現在進行形のようなので、また機会があったらどのように決めていったのかについても聞かせていただければありがたいです。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2025年03月19日読めるけれど書けない漢字。問いから外れた答えを書く文章読解。ASD(自閉スペクトラム症)の息子は国語に困難さがありました6歳でASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けた現在14歳の息子は、漢字を読むのは得意でしたが、書くことや文章の読解に困りがありました。幼児期からルビ付きの図鑑を一人で読んでいましたし、小学校入学後もテストはいつも満点。「漢字が苦手」と感じることは全くありませんでした。ところが、小学校2年生頃から、宿題の漢字ノートを1ページ書くのに1時間以上かかるようになりました。様子を見ていると、何度も手が止まり、書けなくなってフリーズする場面が。理由を聞いても「疲れた」と一言だけ。たくさん練習しても翌日には全部忘れてしまい、「思い出そうとしてもはっきり思い出せない!書けない!」と大泣きしたこともありました。Upload By ユーザー体験談また、文章読解でも、問いとまったく違う答えを書くことが増えました。どうやら、長文の前半は理解できているものの、後半になると頭が情報でいっぱいになり、話の要点がつかめなくなっているようでした。このような漢字と文章読解への困難さですが、小学校高学年になった頃にはずいぶん改善されました。この記事では、息子の漢字、文章読解への取り組みの工夫と、学校に求めた合理的配慮についてお話しします。国語に苦手さを感じている方にとって少しでも参考になるとうれしいです。覚えられない理由は「認知の偏り」?学び方の変更と板書対策、学校へ求めた「折り紙とお絵描き」という合理的配慮最初はLD・SLD(限局性学習症)を疑いましたが、かかりつけ医からは「認知の偏りの影響が大きい」との指摘がありました。「苦手な分野は繰り返し学習することで定着させていくのがいい」とアドバイスを受け、息子に合う学び方を模索しました。いろいろ調べていると、漢字の覚え方には「音と組み合わせる」「全体の形でとらえる」「部分的な形の組み合わせで覚える」などがあると知りました。息子の場合、音よりも視覚的に部分ごと形を覚え、それを組み合わせる方法が向いていたので、書き順ではなく、ブロックごとに分けて漢字を覚えることを意識しました。無料ダウンロードできる認知傾向に応じた漢字プリントを見つけ、それに取り組むようになりました。すると、50問テストで5問正解できたら大喜びするほどの状況から、45問以上取れるようになりました。また、漢字が苦手なこととつながっていると思うのですが、息子は板書がまったくできませんでした。また、当時は授業中の多動も多くあることも課題でした。息子に板書ができない理由、多動になる時の気持ちを確認したところ、はっきり教えてくれました。「何を書いて良いのか分かんなくなって、途中で書けなくなるんだよ」「じっと座っているとだんだん不安になるんだよ。息苦しくなるから、動き回ることで気持ちを落ち着かせようとしているんだ」私はさっそく医師に相談をし、板書については「絶対に覚えるべき単語のみをノートへ書き込み、ほかに写す必要のあった内容は、学校から帰宅後、家で記憶を手繰り寄せてノートに書きこむ」と方針を決め、学校の許可を頂きました。また、多動は不安からくる行動であることから、授業中、本人が望んだら折り紙やお絵描きといった座ってできる行動をすることで、不安を解消をさせてほしいと配慮を求めました。学校は始めこそ渋ったものの、医師の診断書を用意したことで何とか受け入れてくださりました。結果的に、折り紙やお絵描きをしながら学ぶことで、先生方が思う以上に勉強に集中し、積極的に挙手をして発言もするようになったという息子。先生方は苦笑いしていました。Upload By ユーザー体験談宿題は、漢字ドリルと漢字ノートへの書き込み2回が毎日の宿題でしたが、苦手が分かってからは漢字ドリルの書き込みと無料ダウンロードできる認知傾向に応じた漢字プリントに取り組み、それを宿題として提出しました。それからは、日々の勉強にも余裕が生まれ、息子も楽になったようでした。やがて3年生から理科や社会が始まると、特に社会で「漢字で答える問題」が書けず苦労していました。ですが、解答が漢字指定がない場合はひらがなで書いていいんだよ伝えると、いくぶん心の負担は軽減したようです。文章読解は、サクッと終わる負担の少ないドリルでコツコツ積み上げ文章読解については、小学3年生から市販の一般的なドリルを使って学習しました。特別支援の教材も試しましたが、問題量が多く、息子が「見るだけでつらい」と言うため、見た目の負担が少なくサクッと終わるドリルを選びました。2年生の頃からすでに長文読解が苦手だったので、2年生向けのドリルからスタート。毎日1枚ずつ解くことで、少しずつ正しく答えられるようになり、長文の最後までしっかり読めるようになりました。そして、中学生になってからは通信教材を活用して予習をするようにしました。そのおかげで学校の授業もしっかり聞けるようになり、小学校の頃のようなつまずきはなくなりました。また、今は読解のコツが書かれた高校受験向けドリルも活用中です。数学の公式のように「答えがどこにあるか見つけるコツ」が書かれているので、息子には分かりやすかったようです。ただ、例題だけは私も一緒にやっています。一緒に取り組みながら気を付ける点をさらにアドバイスすることで、息子は「一人でやるより、内容が印象に残る」と言っています。中学校では予習主義に。塾での取り組み方には成長が見えて感動!中学生から始めた「予習型」ですが、家で一度確認していることから心の余裕が生まれるようで、学校ではしっかり先生の話を聞き取り学べるようになりました。「予習型」は息子にあっているようです。Upload By ユーザー体験談また、通っている中学校では5教科すべてに先生方が作成した専用プリントがあり、生徒はそのプリントに黒板の内容や先生の話を書くようになっています。どこに何を書けば良いのかが一目瞭然でもあることから集中して学習できるようです。また、塾選びでは、高校受験を見据えて応用力をつけられるところを選択。先生の話が楽しいという理由で最終的に決めました。塾では自主的に問題に取り組むようになり、授業時間外に先生へ採点をお願いすることもありました。その姿に感動していたのですが、実はテキストを終わらせると先生から「検印」がもらえるそうで、その検印付きのテキストに憧れていたという単純な理由。それでも勉強する姿勢がついたことは大きな成長でした。Upload By ユーザー体験談息子は「勉強には終わりがないね」と嘆きつつも、目標の大学を目指しあきらめることなく毎日勉強を頑張っています。また、自分の特性も受け止められるようになり、今のうちに得意をさらに伸ばそうと英語に力をいれ、昨年無事英検3級も合格し、大喜びしておりました。目に見えにくい特性や学習の困難さにおいては、今も苦労が多くあり、その度に悔しいと落ち込むこともありますが、どうかこれまでの自身の積み重ねを否定することなく、これからも日々精進してほしいなと願っています。イラスト/志士ノまるエピソード提供/なの(監修:森先生より)勉強のつまずきについての体験談をありがとうございます。 お子さんに寄り添いながら、試行錯誤をして工夫を重ねられてきたのですね。 今ではしっかりとお子さんに合った勉強習慣が身について、英検合格まで達成されたとのこと、本当に頑張られましたね。さて、ASD(自閉スペクトラム症)の特性のひとつとして「認知の偏り」があります。 視覚的・聴覚的情報や記憶の定着に独自のパターンを持つことがあるのです。 そのため、漢字の「書き取り」が苦手でも「読む」ことは得意、といったケースがあり、勉強の方法に悩まれることも多いでしょう。 視覚的に全体を認識する能力が高い一方で、細部の記憶や短期記憶が難しいといったことが考えられます。「ブロックごとに分けて漢字を覚える」という方法は、この認知特性に合わせた素晴らしいアプローチですね。 全体像を分解して理解するのが得意なお子さんにはとっても効果的なのではないでしょうか。また、お子さんが「じっと座っていられない」という場合、感覚調整の難しさや不安が身体的なストレスとしてあらわれていると考えられます。そんな時には、今回のケースのように、折り紙やお絵描きなど、座ったままできる方法で気持ちを落ち着かせることが効果的です。 えんぴつ回しやハンドスピナーのような手遊び、感覚遊びで落ち着くこともありますね。 どのような方法が合っているか、試しながら探していくのがいいでしょう。発達障害は目に見えにくい特性ですので、時に周囲から誤解されてしまうこともあります。 医療機関などの専門家のサポートを受けながら、学校とよく相談して環境を整えることが大切です。 これからもお子さんが自分のペースで進んでいけるよう、応援しています。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2025年03月12日当時1歳、おとの障害に気づくUpload By ほかかほ1歳頃のおとは、目が合わず、模倣せず、一緒に遊びたがらず、こだわりが強く、指差しせず、クレーン現象で要求を伝え、親への愛着が見られないなど、ASD(自閉スペクトラム症)によく見られる特徴を網羅していました。1歳3か月で歩き出すようになると、多動と衝動性も目立つようになってきました。道で手を繋いでいても、私の手を振りほどいて気になる物のほうへ突っ走って行くので、当時外を歩くのは命がけ。家の中でも家具や家電に登ったり倒したり、破壊行動や危険行動が止まりませんでした。私は当時、転勤帯同で周りに頼れる人もいなかったことから、おとを連れて近所の児童館や子育て支援センターによく行っていました。そこでもおとはドアを開閉し続けたり、フラフラになりながら階段昇降をし続けたりと、不思議なこだわり行動を繰り返していました。また読み聞かせ・体操・リトミック・キャラクターショーなど、参加したあらゆるイベントでその場から脱走。まともに参加できたことが一度もありませんでした。当時のおとは、とにかくその場に短時間でも留まっていることができなかった思い出です。このようなおとの特性が強く表れた行動に、転勤帯同の孤独も重なり、私は心身ともに追い詰められていきました。転機となった1歳半健診Upload By ほかかほ私の父はアスペルガー症候群(※)の診断を受けており、また私は大学生の時に心理学を専攻していたことから、元々発達障害について何も知らないという状態ではありませんでした。そのためおとが1歳前半の頃は、日ごろの様子から「おとは発達障害だろう」と認識しており、1歳半健診で発達の相談をしようと心に決めていました。当日1歳半健診の会場で暴れ、泣きわめき、嘔吐したおとを保健師さんが心配し、自宅での健診を提案して下さいましたが、私は「発達相談を受けたい」と強く希望しました。すると保健師さんがすぐに発達相談会場に通してくださり、その相談会場にいた医師から「息子さんは早く医療につながったほうがいいと思います」と言われました。この1歳半健診を契機に、発達外来のある病院への受診に繋がります。※以前は、言葉や知的の発達に遅れがない場合「アスペルガー症候群」という名称が用いられていましたが、アメリカ精神医学会発刊の『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)において自閉的特徴を持つ疾患が統合され、2022年(日本版は2023年)発刊の『DSM-5-TR』では「自閉スペクトラム症」という診断名になりました。適切な支援につながるUpload By ほかかほ1歳半健診で紹介された病院での診察と発達検査を経て、療育やOT(作業療法)、発達障害者支援センターなど各機関にスムーズに繋げていただき、適切な支援を受けられるようになりました。後にさらに転勤帯同して気づくのですが、当時これほどスムーズに適切な支援につながったことはとてもラッキーな出来事だったと思っています。その後も夫の転勤帯同の度に、各地で福祉・医療現場の皆さまに支援をしていただきました。小学校に入学してからは学校の先生方にも支えていただき、今に至ります。適切な支援を受けたおかげでおとはとても成長し、私も相談先や休息の時間を確保でき、追い詰められていた気持ちは消失していきました。おとの現在の様子Upload By ほかかほ現在のおとは小学3年生。昨年の秋に転勤に伴う転校をし、転校前と同様、公立小学校の特別支援学級に通っています。おとは未就学児時代と比べて格段に成長しました。長年私を悩ませた多動はほぼなくなり、破壊行動は一切せず、親への愛着が生まれ、愛情表現を毎日してくれるようになりました。おとは学校の先生を信頼しており、授業を楽しみにし、苦手なことも素直に頑張っています。そして、いつもニコニコ楽しそうにしています。しかしおとは知的障害(知的発達症)を伴うASD(自閉スペクトラム症)。脳の機能障害であり、治ることはありません。現在おとが抱える問題は「言語」と「他者との関わり」の2点が主だと思っています。「言語」は知的障害(知的発達症)もあるため、複雑な会話、自分の心情・出来事・状況を詳細に語ること、また複雑なストーリーを理解・表現することが難しいです。本人もうまく伝えることができず、もどかしく、しくしく泣く時があります。「他者との関わり」は、おとは大人にはよく話しかけるのですが、同年代の子どもに対する関心がほとんどなく、自分からはほぼ話しかけません。お友だちから話しかけられても無視してしまうことが多く、転校前はそれが原因でお友だちとのトラブルに発展したことも何度かありました。この主な2つの問題以外にもおとは、完璧主義・こだわりの強さ・偏食などさまざまな問題を抱えています。しかしおとは毎日ニコニコして課題に素直に挑戦し、頑張っています。今私にできることは、毎日おとと向き合い、おとが適切な支援を受けられるようにし、自立に向けてスモールステップで一緒にコツコツ課題に取り組んでいくことだと思っています。そしておとを見習い、毎日笑顔で素直な気持ちでいること。そんな私たちのこれまでの、これからの経験がもしも誰かのお役に立てたならとてもうれしいです。今後もコラムをお読みいただけましたら幸いです。執筆/かほ(監修:室伏先生より)かほさん、おとさんのお困りに気づかれてから、医療に繋がり、支援を受けられるようになるまでの経緯を、かほさんのお気持ちを交えながら詳しくお伝えいただき、ありがとうございました。医療や福祉に繋がって、さまざまな情報や支援を得ることはとても大切なことですよね。地域にもよりますが、医療機関の受診がなくても療育を受けられる場合もあり、療育を受けていらっしゃるお子さんの中でも、医療に繋がっている方、発達の相談については医療機関を受診をしたことがない方がいらっしゃると思います。療育手帳の取得にも必ずしも医療機関の受診は必要はなく(療育手帳の発行でも児童相談所での検査や面談等は必要。精神障害者保健福祉手帳の発行には受診が必要です)、発達検査については発達支援施設でも受けられる場合があります。医療機関を受診された場合のメリットの一つとして、診断を受けることがあります。発達支援施設では、そのお子さんの得意なことや苦手なこと、特性についてお伝えすることはできても、診断することができるのは医師のみです。診断を受けることで、お子さんの困りごとや気になる行動について、親御さんの理解が進み関わりやすくなることもありますし、園・学校の先生、発達支援施設の支援者などとお子さんの特性や支援の仕方を共有しやすくなります。ほかには、睡眠や癇癪、多動などのお困りについて、薬物治療を受けることで、お子さんが過ごしやすくなり、発達、生活能力が伸びることもあります。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2025年03月10日新年度はいつも調子を崩す…私立の中高一貫の女子校に通っていた私。公立の小学校に通っていた頃に比べ、おっとりとしたクラスメートに囲まれて、学校での人間関係ではずっと楽に過ごせていました。しかしいま思えば、決まってなんだか心身がザワザワして調子が悪くなるな、という時期がありました。それが新年度の時期です。登校時間が早くなる私の通っていた学校では夏時間と冬時間がありました。夏時間は冬時間に比べ、タイムテーブルが前倒しになります。新年度になったら夏時間が適用され、冬時間の時期よりも少し早く起きて早く登校しなければならなくなる仕組みでした。2時間かけて登校していた私は、冬至前後の時期は起きるとまだ真っ暗。それが年度末に向かって徐々に夜明けが早くなり、起きるのが楽になっていく。でも4月になって夏時間が適用されると、せっかく楽になったぶんが登校時間の前倒しで相殺されてしまうのです。そうして、また真っ暗な時間に起きなければならなくなるのでした。まだ自分に発達障害があり、人よりも疲れやすい傾向があることを自覚していなかった私。睡眠不足で疲れ切り、過緊張で睡眠の質も悪い状態で、まだ真っ暗なうちに起きて支度しなければならないのは、身体にも心にもとてもしんどいことでした。4月の電車は混んでいる登校時間帯は通勤ラッシュの時間帯でもありました。新年度の時期は新入生だけでなく、新社会人や転職した人などが新しく入ってくるので、「いつもの時間のいつもの車両」でも、違う環境になってしまうわけです。新しく入ってきた人たちはなんとなく電車の中での身のこなしに慣れていなかったりして、ただでさえぎゅうぎゅうの電車がさらに混んでいるように感じられます。「ここの車両のここの椅子の前の、端から何番目のつり革」とだいたい立ち位置を決めていたり、毎日顔を合わせるうちになんとなく互いに気を遣い合って無言の中で立ち位置を融通しあっていたような人との関係性も変わってしまったりします。私は小柄でつり革に手が届きづらいですし、DCD(発達性協調運動症)の影響かバランスをとるのが苦手で、電車が揺れるとすぐにフラついてしまうので、この時期はとりわけ、電車を降りた時点でぐったりしてしまったのでした。学年が上がると「暗黙のルール」が変わるのが気持ち悪い新年度になると1つ学年が上がり、私は生徒たちの中で1年先輩になります。そして、「学年が1つ上がるごとにスカートの丈を3センチずつ短くしてもいい」「3年になったら第1ボタンを外してリボンを少し緩めていい、高校になったらリボンなしでいい」みたいなルールが適用されていきます。しかも、それらのことははっきりと「今日からこれをしていいよ」と明言されるのではなく、そのルールに違反したときに上級生からシメられる、同級生から白い目で見られる、ということから徐々に明らかになるのです。こういう、「歳が1つ上というだけで扱いが1つ緩くなる」「私は私なのに3月31日を境に社会的な扱われ方が変わる」みたいなことが、暗黙のルールとか社会的な相対的関係性の感覚が発達していなかった私には気持ち悪くてしかたありませんでした。こうした気持ち悪さはストレスの量としてはそれほど大きなものではありませんでしたが、すでにいろいろなストレスの累積している私にとっては「コップの水を溢れさせる最後の1滴」のようなものでした。当時言語化はできなかったのですが、胸がモヤモヤザワザワしてつらかったのを覚えています。中高当時恵まれていたこと私の通っていた学校は保守的なお嬢様校だったため、校則はとても厳しかったです。また、大学以降の生活と違い、学校側がギチギチにタイムテーブルを組んでいました。これは息苦しくもありましたが、学校側の用意するルールやルーティンに従順に従っていれば日々が回っていくということでもありました。その点は、変化の苦手な私にとっては楽だったかもしれないと思います。今はぼちぼち新年度を乗りこなせている今はフリーランスとして働いている私。取引させていただいている企業や行政手続きの関係で、やはり年末年始や年度の変わり目といった節目には私も間接的な影響を受けます。それでも、そもそも無理のない範囲の仕事しかしないようにしていますし、変化が苦手な自分の特性もよく理解しています。調子を崩しそうな兆候に早めに気づいて対処でき、ぼちぼちの状態で乗り切れるようになりました。自分の特性の理解と、特性に合わせた環境の調整は本当に大事だなと、つくづく実感しています。宇樹義子/文(監修:鈴木先生より)誰でも環境が変わる時には不安がつきものです。ASDの特性の一つとして環境の変化に弱いことがあります。同じ環境が続けば楽なのです。私立の学校の場合は公立と違い、教師の異動がないのでその分、多少環境の変化は少ない状況にあったと思われます。ただ、4月はクラス替えもあり、周りの環境は多少なりとも変化する時期です。卒業後も大学や会社の異動などで今後も環境の変化は避けられないことがあります。できるだけ早く仲間をつくって緊張を和らげる工夫をしてみてください。暗黙のルールも行間の汲み取りが苦手なASDの方にとっては苦痛です。ただ、郷に入っては郷に従えで、社会人になってからも仲間づくりが解決の一歩になりえます。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2025年03月09日育児と仕事、服薬メリデメ、進路と働き方、合理的配慮など……発達障害のお子さんを育てる保護者の方にとって気になる問題は?発達障害のお子さんを育てる保護者の方にとって気になる問題を読者体験談コラムでチェック!2月は、子ども2人が発達障害・仕事復帰への道は?「育児と仕事の両立」についてのコラムや、小1でのADHD(注意欠如多動症)診断時から高1までの服薬生活を振り返った「服薬のメリットデメリット」について、通信制高校に通う場面緘黙の娘さんの卒業後の進路問題「高校卒業後の進路・働き方」、もしかしたら娘はLD・SLD(限局性学習症)なのでは?と感じてから診断・合理的配慮を受けるまでを綴った「学校で受けている5つの合理的配慮」についてなど、さまざまなエピソードをコミックエッセイ仕立てで紹介しています。子どもが小学生になったら「仕事復帰」、願いは叶わずーー。現在高校3年生の娘さん、高校1年生の息子さんは、二人とも小学校1年生でADHD(注意欠如多動症)、ASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けました。行き渋りや早退、学校トラブルなどがある子どもたちへの対応を優先すると、平日仕事をすることはどうしても難しいと感じ、仕事復帰を断念しました。しかし、放課後等デイサービスがきっかけで生活に変化が……!?仕事と育児の両立で悩んでいる保護者の方にぜひ読んで頂きたいコラムです。コンサータ、ストラテラ、インチュニブ、ビバンセ……これらのお薬の名前を聞いたことのある方も多いのではないでしょうか?小学1年生でADHD(注意欠如多動症)、ASD(自閉スペクトラム症)と診断を受けた息子さん。服薬も同様に小学1年生から始めました。さまざまな薬を試す中で副作用に悩んだ日々や得られた効果、その後高校生になった息子さんの服薬についての課題や飲み忘れ対策など、服薬について知りたい方にとって参考になりそうな情報が満載です。※服薬については個人差が大きいので、使用の際は必ず医師に相談し、医師の判断に従ってください場面緘黙の娘、高校卒業後の進路はどうする!?現在24歳の娘さん、4歳の時にASD(自閉スペクトラム症)と診断されています。こだわりが強く、場面緘黙があり、怒りの感情を抑えることが苦手です。小・中学校は学区の学校の通常学級に所属し、週1で情緒障害等通級指導学級(現在の通級指導教室)に通いました。高校は特別支援をしてくれ、通学もできる通信制高校に入学。その後迷ったのは、高校卒業後の進路のことでした。のちのち支援に繋がりやすいことを優先しようと考え、就労移行支援事業所に通うことを選びましたが……気になっている方も多い、将来の就労についてのコラムです。おしゃべりは上手なのに「あ」が読めない……!娘さんが小学校に入学して間もない5月末、国語の音読の宿題に取り組んでいたとき、「あいうえお」の「あ」を読めないことに気づいたハツネさん。「もしかしたらLD・SLD(限局性学習症)なのでは?」と感じ診断・支援のために奮闘をします。LD・SLD(限局性学習症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、DCD(発達性協調運動症)と4種の確定診断が出たことで合理的配慮を受けることに。一体どんな配慮を受けているのでしょうか?ご自身のエピソードを投稿してみませんか?『発達ナビ 読者体験談』は皆さんのご経験を基に制作されています。ご投稿いただいたエピソードは、連載ライターさんのイラスト、専門家の先生からのコメントをつけた上で掲載させていただきます。「あの時は悩んでいたけれど、今はこうなった……」など、発達障害のあるお子さんを育児している皆さんへ、ご自身の経験をお届けいただけないでしょうか。ご応募は以下の応募フォームから受け付けております。皆さんのご投稿を、お待ちしております。【現在の募集テーマ】・障害告知・パートナー(夫婦) 関係・両親(義両親)、親族関係・進学・受験関係・冠婚葬祭関連・反抗期、思春期・自傷・学習関係・不登校、行き渋り・ゲームとの関わり・不器用さについて・ママ友や、ほかの保護者の方とのエピソード・ご近所関係(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2025年03月08日多くの保護者、専門家の協力で開発できたLITALICO発達特性検査Upload By LITALICO発達特性検査 編集部LITALICO発達特性検査は、発達が気になるお子さまと保護者のための、オンライン完結の検査サービスです。尺度開発における品質担保に関するコンサルティングを担当した佐藤秀樹先生と、実際に尺度開発を担当した野田遥さん。前編では、今回はLITALICO発達特性検査がどのように作られたのかのプロセスや、品質を担保する方法について伺いました。※尺度:心理測定尺度。質問紙への回答を数値として定量的に扱い、測定したい概念を適切に測るための物差しの役割を果たす。LITALICO発達特性検査を使いやすく信頼できる検査ツールとするため、多くの保護者の声や専門家の協力があったとのこと。後編では、保護者、専門家、開発チーム、それぞれの役割や大事にした考え方について、より詳しく伺います。認知的インタビューでの保護者の役割野田さん:LITALICO発達特性検査では、専門家による検査の質問項目の素案ができた段階から、保護者の方に質問項目についてどう思ったか、違和感がないか、どう理解したかなどを「認知的インタビュー」という方法でヒアリングし、質問項目の改善を繰り返し行ないました。複数の保護者の方に個別とグループそれぞれでインタビューをして、その内容を反映したものを繰り返し見ていただく形で質問項目の内容をブラッシュアップしていきました。認知的インタビューというのは、検査を受ける保護者の立場の方に、どのように理解したか、どのように感じたかということを主観で答えてもらうインタビューです。答えにくい質問がないか、質問の文章の意味が分かりにくいところや誤解しそうなところがないかということを洗い出し、改善するためのものです。前回もお話ししましたが、この検査では多くの保護者の方にご協力いただきこのプロセスを踏んだことが、質問紙※の妥当性の担保につながっています。ーー質問の文章や内容で、検査の妥当性は変わるのでしょうか?佐藤先生:変わります。質問の内容で回答にばらつきが出たり、回答しやすさに違いが出るということがあると思います。例えば、質問が受検者の経験や困りごとにきちんと対応していて、回答もしやすい質問と比べて、「よく分からないな」と思うような質問では回答がばらつきやすくなるので、結果の精度も下がってしまいます。ーーたしかに、何を聞かれているか分からない質問やイメージしにくい抽象的な質問は、どう答えていいか迷うかもしれません。ただ、あまり詳しくピンポイントで聞かれても、当てはまらないと感じることもありそうです。佐藤先生:そうですね。質問が具体的すぎると、受検者によっては自身の経験とは関係がない場合や、判断できずに回答できないということもあり得るので難しいところです。質問の分かりやすさや具体性の程度は、保護者の方への認知的インタビューを通じて担保された部分だと思います。野田さん:家庭やそのお子さまによって状況はさまざまです。例えば、未就学でも、通園されているお子さまもいれば、自宅で養育されているお子さまもいます。お子さまを観察できる時間や場面も保護者の方によって違うと思います。それでも、保護者の方への認知的インタビューを行なうことで、ご意見を伺い、修正することができ、それによって回答しやすくなった質問項目がたくさんあります。「この聞き方だと具体的に限定されて当てはまらない」「抽象的すぎて答えにくい」というような質問内容の改善について、意思決定に非常に役立ちました。使う方の声を直接聞くことが大事なんだなということが、当たり前ではあるのですが、プロセスの中での学びになりました。※質問紙…質問項目の文章と、回答の選択肢で構成された調査票。質問紙形式の検査では、対象となる受検者は、自ら質問文を読んで回答する。野田さん:認知的インタビューについてはすべて文字起こしをして目を通して、実際にいただいた意見を踏まえて質問項目を改善しています。保護者の方にはサービスに関するユーザーインタビューもしています。その中で「保護者の方が本当に困っている」というのをすごく実感しました。発達や子育てに関する本はたくさんある、インターネットでも検索すれば情報はたくさん出てくる。でも、何が正しく、どれが自分の子どもに合う情報か分からないという声がたくさんありました。こうした情報の中にはあまり信憑性のないものが混じっている可能性もあるので、なるべく適切で、専門家の合意が取れているような情報に最初に触れていただけるということが非常に重要だと感じました。できるだけ早い段階でこの検査が届けられるようにしたいと強く思うようになりました。佐藤先生:保護者の方の中でも悩みや感じ方は多様ですので、かなり幅広い意見があったと思います。そういった意見を集約して議論をしながらどう改訂するのかを、専門家や開発チームで合意を取るというのは、かなり難しかったのではないでしょうか。野田さん:いただいた意見は、保護者も専門家もそれぞれの立場によってかなりばらつきがありました。今回の検査対象が3歳から18歳とかなり広くて、未就学用と学齢用、例えば算数に関する質問項目は学年に応じてバラエティをつけるということもしているので、より難しかったです。意見もさまざまで、どうしてもすべての意見や懸念を100%反映して解消するのは難しいこともあるな、と。ある方はこうしてほしい、別の方はその反対の意見を出されていて、その場合にどう合意をとって意思決定するか、項目選定や表現の修正がたくさん出てきました。最終的なプロセスで合意をとれたのでよかったです。専門家の協力と開発チームの思い野田さん:専門家も多くの方にご協力いただきました。質問項目については、保護者の方にお見せする前のプロセスで、お子さまの発達に関する専門家のチームがデルファイ法という方法で改善を行なっています。デルファイ法は、複数の専門家にそれぞれチェックと意見をいただき、その内容を専門家チームで合議し、すり合わせて修正、再度チェックと修正を繰り返すことで、質問項目を磨いていく方法です。今回はデルファイ法だけでも医師、公認心理師・臨床心理士、作業療法士などさまざまな専門家の方にご協力いただきました。佐藤先生:専門家の方も、保護者の方も、同じ方に繰り返しインタビューができたのは、検査の品質を担保するうえでとても大きな強みだと思います。バージョン1、2、3とアップデートしていくのですが、そのアップデートした内容をもとに再度意見をもらうという手続きを取ったことがすごいですね。一般的な予備的調査だと、どうしても1回だけ意見を聞いて、それを質問紙に反映するのが多い印象があります。今回は繰り返し質問紙の改定案を見ていただき、意見をふまえて修正して、というのを繰り返すことができたということですね。野田さん:アップデート版を見ていただいて合意をとったり、さらに気になったことを意見していただく、というプロセスを数回繰り返します。それを複数のプロセスで行なう、ということをしました。このような方法はあまり多くの開発で取られておらず、方法論もまだ確立されていない部分でもあり、COSMINチェックリストを参考にし、佐藤先生にアドバイスをいただきながら実施しています。佐藤先生:専門家同士でも意見が違うこともよくあります。専門家の専門分野やこれまでの経験が異なれば、それだけ多様な意見が出てきますので、合意を取る難易度は高くなります。専門家だからこその意見があって、ここは譲れないという部分もあったりするので、合意を得るのはとても大変だったんだろうなと想像しますね。野田さん:今回の検査では、いわゆるDSM-5の神経発達症群に含まれる部分のほとんどをカバーしています。そのために質問項目数も多くなっています。それぞれの浅さ・深さもなるべくおさえて取れるようにバランスをとっていくと、専門性のある方にとってはもっと細かく聞きたい部分や、逆に質問数が多すぎるという意見が出てくることがありました。デルファイ法のプロセスでも、専門家への認知的インタビューでも、意見が割れることもあり、本当に難しかったですね。佐藤先生:全員が同じ意見で合意できないからと言って、それだけで検査の質が低いということにはならない場合もあると思います。意見が割れた部分を議論して、それが例えば出力レポートのアドバイスなど、このプロダクトに反映されているなと感じます。専門家にとっても、こうした議論をすることはスキルアップにつながります。どういったところに問題意識をもつべきかが明確になったり、どう優先順位をつけるか、支援をする時の視点としても役に立ちますよね。プロダクトの開発が支援にも還元されればとてもうれしいです。レポートで目指したのは「前に進めるための情報」Upload By LITALICO発達特性検査 編集部佐藤先生:今回のプロダクトは質問項目やアンケート形式という点も強みですが、結果の出力、レポートが出てくるというのがいいですよね。そこは具体的にどういった内容・情報をお伝えしようと心がけられたのですか?野田さん:まず大事にしたのは、「検査をしたら終わり」ではなくて、「次に何をしたらいいかが分かる」ことです。「サポートの方向性」という機能で担保しているのですが、お子さまの状況や特性に合わせて、具体的な対応方法の候補がリストの形で示されます。それも、家庭と、園・学校といった外部でのやり方がそれぞれ出力される仕組みになっています。もう一つ、「なぜそれがいいのか」「どういう理由でお子さまが困っているのか」をしっかりお伝えするということです。支援方法などの意思決定をする際にも、お子さまに合うようにカスタマイズするためにも、それを把握していることがとても重要になるからです。「困りや特性の背景の要因」というパートがあるのですが、その部分を丁寧に説明しているというのが、この検査のレポートならではの強みになっていると思います。ーーLITALICO発達特性検査の編集部でも、保護者の方が一人でどうしていいか分からずに抱え込まれて袋小路に入って立ちどまらないように、ということを大事にしています。編集部内や監修者の方々と話し合いながら、レポートの内容にもこだわって制作しました。例えば、保護者の方が読んで理解しやすく、取り組んでみたいと思えるような具体的な方法を紹介するなどです。できるだけ負担なく受け止められるような内容や伝え方を心がけています。お子さまにとってもうまくいきやすい方法で、親子の成功体験が積めるようにしたいという思いもありました。野田さん:不安やネガティブな気持ちを感じる方もいらっしゃると思うのですが、検査はレッテルを貼るものではなくて、「そうだったんだ」と気づいたり、「ちょっと試してみようか」「相談してみようかな」と思っていただけることが一番大事だと思っています。目指しているのは「前に進んでいただくためのプロダクト」です。佐藤先生:それは素晴らしいですね。回答される保護者の方は、お子さまの状態を知りたいという気持ちがある一方で、知ってしまうことへの不安もあると思います。そうした気持ちに寄り添って、不安な部分をできるだけ小さくしたり、サポートできるような工夫がされています。その先の支援や見通しにつなげられるようにするのはとても大事ですね。野田さん:テキスト監修も、それぞれの分野で7人の専門家の方に入っていただいて、企画構想の段階から丁寧に見ていただきました。受検されたユーザーさんがお子さまの検査結果として目にされるのはPDFにして40ページから100ページほどの分量なのですが、実は未就学から高校生、それぞれの年齢群ごと、それから知的障害(知的発達症)のあるお子さまの場合には適切なサポート方法が提示されるなど、テキストはお子さまに合うように出し分けられる仕組みになっています。ですので、システム側で準備したテキストは170万字を超える量になりました。お子さまの成長や状況に合うよう、できる限りの個別最適な情報にしたいという思いでこの形式を取りました。佐藤先生:検査結果を出力できるのは、利便性の面でも大事ですよね。年齢群ごとにアドバイスや提示する視点が変わるというのも素晴らしいです。こうしたシステムを構築するのもかなりの苦労があったように思います。ーー特性は同じでも、年齢によってライフステージや求められるスキルが変わり、新たな困りごとが出てくることもあるという考え方からの配慮で、重要な観点だったと思っています。佐藤先生:それも踏まえて、発達に関する検査では質問紙の内容的妥当性が非常に重要ですよね。発達過程、年齢によって悩みが出てくるということもありますし、それに加えてお子さまごとの特性に関することも入ってくるので、内容的妥当性の合意を取るのは本当に大変です。一方で、受検される保護者の方にとっては、そこが一番大事な点ですので、今回の開発プロセスで合意を取ったことには本当に頭が下がります。野田さん:いただいた意見はなるべく反映しました。どうしても質問紙という形の限界もあって、個人個人の状況によっては回答が難しいという場合もあるかもしれないですが、なるべくスムーズに答えていただけるといいなと思っています。データの蓄積が今後の可能性を広げるUpload By LITALICO発達特性検査 編集部野田さん:少し話は変わりますが、今回デジタルのオンラインでの検査という形式だと、データが積みあがることもメリットの一つだと考えています。研究などでのデータの活用や、この検査自体を改善する、あるいは同じプロダクト形態の別の領域に展開するということも今後の展開として考えられるのではないかということです。例えば、蓄積されたデータを研究することで、検査自体の品質をさらに改善したり、経時的な変化のパターンを見出したりできます。それにより、適切な情報提供やフォローアップがしやすくなる可能性があります。佐藤先生:さまざまな可能性があると思います。たくさんの方に回答いただいて知見が蓄積されれば、質問紙自体の精度を上げることができます。検査結果としてフィードバックする時の内容、得点をもとにどれくらい困りを感じているか、支援を必要としているかといった判断がより正確になってくると思います。それと合わせて、今回の検査項目の中で、精度がいいものとそこまでではないものが分かってくることもあると思います。より精度がいいものだけに絞って短縮版の検査をつくることもできますね。質問項目の数が少ないと、受検者の負担が減りますし、より多くの方に受検していただきやすくなるというメリットがあります。また、検査結果をもとにどのような支援が必要かという部分が明確になってくると思います。「こういう検査結果のパターンが出た方には、こういう支援だとうまくいきやすい」だとか、お子さまの状態像が具体的に理解できるようになることで、より適切な支援をピンポイントで提供し、その後の見通しがクリアになってくると思います。短縮版の話とも関連しますが、そういった適切な支援につながりやすくなるよう、より詳しく調べたい部分の質問項目を細分化したり、対象や領域を絞っていくということを考える材料にもなるはずです。野田さん:たしかにそうですね。ぎゅっとフィルタリングできるような項目を先に回答していただいて、そのうえで、困りの強いものをより厚めに回答していただくなど、簡便にしつつ必要な場所で情報を厚めにとるような仕組みにできるかもしれません。どうしても質問項目が多いと、ご家庭で保護者の方が回答するのは大変だと思うので、そういった形で改善していけるとすごくいいなと思いました。佐藤先生:基本的には項目数が多いと、検査としての妥当性や信頼性の質は上がります。その一方で、項目を減らすと精度が下がってしまうリスクが出てきます。回答データを蓄積させることで、本当に精度のいい項目だけを使うなどして、検査の質自体は下げずに、回答者の負担を減らせるといいですよね。野田さん:今回のプロダクトはWebアプリで提供されていることが強みだと思っています。従来の質問紙と違って、アプリの変更という形で柔軟に改善していきやすいという点です。もちろん研究が伴っての話にはなりますが、先ほどおっしゃっていただいた短縮版や切り出して詳しく調べるといった改善が可能になります。そういった柔軟性はユーザーにとってもメリットが大きいと感じました。佐藤先生:まずはLITALICO発達特性検査を広くたくさんの方に使っていただいて、その中でいろいろな声を汲み取れると次につながっていくのかな、と思いますね。開発でも検査受検でも、保護者が一番の立役者ーー今日お話しを伺っていて、保護者・専門家・開発チームそれぞれの立場から意見を出し合ってLITALICO発達特性検査ができていったことが分かりました。違う意見であったり、同意できないという部分でも、出しあって話し合うこと自体でブラッシュアップできるんだなと感じました。佐藤先生:そうですね。何より、インタビューに協力してくださった保護者の方々が何よりこの検査の開発の功労者だと思います。ご協力いただいた方には、私からも感謝の気持ちでいっぱいです。野田さん:延べ人数ですが、質問紙の開発で2,000人を超える方、プロダクトを磨くためのユーザーインタビューでも50人以上は参加していただいていると思います。たくさんの方のお話しを聞けたことで、開発チームとしても認識が深まりましたし、いいものを作らなきゃというやりがいも感じましたね。ーー保護者の方も開発者ですね。佐藤先生:今回、品質担保のために用いたCOSMINでは、そういった方の意見がないと質の担保ができないプロセスになっているんです。プロダクトの開発にご協力いただけたこと、また研究としてLITALICOの開発チームが開発まで着実に進めてこられたことが素晴らしいと思いますね。みんなが同じ方向を向くために、保護者の検査への回答が第一歩になるUpload By LITALICO発達特性検査 編集部ーー今回の検査は保護者の方がお子さまの状態や困りごとについて、主観的に回答していく検査です。そもそも今回COSMINを用いた質の担保や保護者の方への認知的インタビューもそういった側面から行なっていると思います。主観として保護者の方がどう捉えているかということを可視化する検査にもなっていると思いますが、その点はいかがでしょうか?佐藤先生:検査のフォーマットだけに着目すると、どうしても主観と客観という対立軸になりがちなのですが、主観だからといって精度が低いかというと、私はまったく違うと思います。むしろ、質問紙というのは、回答者、つまり今回の検査で言うと保護者の方のフィルターを通した困りごとを反映するツールだと思うんです。客観的な検査では把握するのが難しい、「その方が見た世界」をもとに結果が反映されるからこそ、回答者やお子さまの状態像がより明確になってくる部分があるはずです。この検査はたくさんの保護者の方や専門家の方の声を反映させて作られたものですので、安心してご利用いただけると思いますね。野田さん:おっしゃる通りです。検査をしても絶対的なただ一つの正解が出てくるわけではないので、保護者の方自身も、実際の回答結果と自分の認識を振り返って確認したり、周りの支援者や関係者の方の見立てと検査結果を合わせてみたりすると、お子さまの多面的な理解につながると思っています。その意味でも、保護者の方の主観的な回答がしっかり反映されるというのは一つの強みだと、佐藤先生のお話で理解できました。ーーおそらく保護者の方は一番近くでお子さまのことを見ていらっしゃると思います。その見立ては周りの方も大事にしていただけるといいのかなと、と思いました。佐藤先生:本当にそうですよね。この結果がいろいろと考えるきっかけになったり、話し合うステップにしていただけたりするといいですよね。お子さまの支援を考えるうえで、私は「子どもに関わる多くの人が同じ方向を向いている」ことがすごく大事だと思っています。当事者の方、保護者の方、支援する側、周囲の方々が同じ問題意識を持って、同じ方向に向かい支えあって工夫の仕方を考える。その同じ方向を向くためのツールとして、LITALICO発達特性検査はとても優れたツールだと思います。開発過程の中でいろいろな方が関わって、できる限り皆さまの声を採り入れながらできたものですので、今後に活かしていけるといいですね。受検された皆さまも、検査を受けてみての感想を教えて頂けるとうれしいです。ぜひ、開発者の一人に加わっていただく感覚で、一緒に育てていただけるといいなと思います。取材・編集:発達特性検査編集部撮影:タムラケンジ
2025年03月07日LITALICO発達特性検査はどうやって作った?LITALICO発達特性検査は、発達が気になるお子さまと保護者のための、オンライン完結の検査サービスです。保護者の方がスマートフォンやパソコンから、お子さまに関する150問程度の質問に回答することで、発達特性や困りごと、よく見られる姿やその背景要因、お子さまに合ったサポートの方向性などを知ることができます。受検される保護者の方にとって、「LITALICO発達特性検査は信頼できる検査なのか」は大きな関心事の一つだと思います。そもそも検査がどのように作られているのか、信頼性をどう判断したらいいか、よく分からないという方も多いと思います。そこで今回は、LITALICO発達特性検査の開発プロセスや、品質をどうやって高めていったのかなどについてお話を伺います。※LITALICO発達特性検査は 医学的診断を行なうものではなく、お子さまの発達特性やその背景、適切なサポートの方向性などの情報を提供するためのものです佐藤先生:公認心理師、臨床心理士の立場から関わらせていただいた佐藤秀樹です。今回のプロジェクトでは、検査での質問項目や、質問の仕方、選択肢が適切かどうかなど、検査の妥当性や信頼性の質を担保する観点からアドバイスをしています。Upload By LITALICO発達特性検査 編集部野田さん:作業療法士としてのお子さまの支援経験を活かし、LITALICOで研究開発をしています。LITALICO発達特性検査では、プロダクトマネジメントや尺度の研究開発、コンテンツのディレクションなどに関わりました。今回は、実際にどのような手順を踏んで開発していったか、開発するうえで大事にしたことなども、佐藤先生と一緒に分かりやすくお話しできればと思います。Upload By LITALICO発達特性検査 編集部野田さん:LITALICO発達特性検査は「質問紙法の尺度を用いた検査サービス」です。そもそも、尺度や質問紙といった用語も馴染みがないかもしれませんが、質問紙法は、分かりやすく言うと質問項目の文章と、回答の選択肢で構成されたアンケート形式のことで、対象となる方、つまり受検者は、自ら質問文を読んでそれに回答します。その回答を判断するための基準も含めて「尺度」と呼んでいます。今回、質問紙の開発を進める中で、2つの点で品質の担保がより重要であると感じるようになりました。検査を製品として販売する以上、誤解を与えるような品質なものであってはならないということ。そして、このLITALICO発達特性検査がオンラインのソフトウェアという形であり、人の解釈を介さない検査であるため、尺度自体の品質がより重要になってくるという点です。そこで、実際にどのように尺度を開発し、品質を担保するかというところで、佐藤先生にご相談し、コンサルテーションをお願いしたという経緯です。尺度や質問項目をつくるのは一見簡単そうに見えますが、高い専門性がある方のアドバイスがないと、どうしても内容が偏ってしまったり、間違った方向に進んでしまうという危険性があると感じています。LITALICO発達特性検査は、COSMINという国際的な基準に基づいて開発しています。それは、COSMINに関して日本語版の翻訳に携わるなど、心理尺度の品質保証についての知見がある佐藤先生のお力を借りることができたからです。佐藤先生:LITALICOについては以前から、「発達障害のある方の支援や就労支援を、幅広い年代に画一的なサービスを提供するのではなく、ニーズに応じて関わっている企業」として知っていました。しかも「質問紙の妥当性を評価し、検査の質をどう高めて担保するか」という、私としても関心が高い分野だったので、関われてとても光栄でした。サービス自体は簡便に。内容や結果は妥当で信頼できるものを野田さん:検査をどうやって作っていったのか、一般の方には開発フローがイメージしにくいかなと思います。佐藤先生:一般的な尺度開発として広く行われている方法は、研究者のチームが中心となって、質問項目をたくさん準備するところから始まります。まず、検査でどんなことを知りたいのか(つまり測りたいのか)を検討したうえで質問項目を多めに集めて、質問紙の案を作ります。次にチーム内での話し合いや予備調査を行ないます。その結果をふまえて問題のある項目を見つけて修正するといった工程を経て、項目数を絞った素案を作ります。その後に、検査対象の方に実際に回答していただき、その数量的な結果をもとに、妥当性と信頼性を検討し、優れた項目だけをピックアップして質問紙を完成させるというプロセスです。野田さん:今回の開発で特徴的なのが、こうした一般的なプロセスよりも踏み込んで丁寧に行なった「内容的妥当性」の担保だったと思います。佐藤先生:内容的妥当性は、「質問紙の内容が妥当かどうか」ということです。「質問の仕方が適切であるか」「検査で測定したい状態がきちんと測定できているか」といった観点が必要になるため、専門家でも判断するのはとても難しい部分です。また、内容的妥当性は専門家だけでなくユーザーの方の立場からも判断しなければいけないので、これまでの質問紙開発では内容的妥当性が十分に担保できていないものもあったと思います。LITALICO発達特性検査の開発では、たくさんの保護者の方や専門家の方にご協力いただき、質問項目、質問の仕方、回答の選択肢が的を射ているのかなどについて繰り返し評価をして、尺度を開発できたというのが大きな強みだと思います。野田さん:LITALICO発達特性検査は、保護者の方がオンラインで回答する検査サービスということもあって、サービス自体は簡便に受けられるけれども、その内容や結果については妥当で信頼できるものであるべき、という点から、品質の担保に関してはできる限りのプロセスを踏んでいます。COSMINを基準に尺度開発を行ったこと、特に専門家だけではなく検査対象となる保護者の方への認知的インタビュー(※)を繰り返し行なうことで内容的妥当性を担保することができたことは、今回の開発の大きな特徴だと思います。LITALICOの尺度開発チームによる質問項目の素案を作成後、妥当な質問項目になっているか、その質問項目で検査で調べたい内容がきちんと測れるか、質問の文章が適切かなどについて、専門家と保護者の視点でそれぞれ改善を繰り返しています。専門家はデルファイ法(※)、保護者の方には認知的インタビュー※という手法で実施しています。時間も手間もかかる方法で、なかなか採り入れるのが難しいのですが、検査の品質を保つための重要なステップだと考えました。そのため、内容的妥当性を担保するために、保護者と専門家それぞれの認知的インタビューを1年以上かけて行なっています。※認知的インタビュー:「質問がきちんと理解できて意図された通りに解釈されているかどうか」を評価するために、参加者に尺度の内容について自身の考えや解釈を聞くインタビュー方法※デルファイ法:複数の専門家が質問項目をチェックし、意見に基づいて修正するプロセスを繰り返すことで、質問項目を精査していく方法Upload By LITALICO発達特性検査 編集部佐藤先生:内容的妥当性や信頼性が重要であるということ、このようなプロセスを踏むことが望ましいということは専門家も理解していて、これらを完全に無視した尺度開発というのはないと思います。ただ、認知的インタビューやデルファイ法は繰り返し実施する必要があるため、コストも時間もかかります。そのため、開発者としてはやりたいけれども、実際にはなかなか難しいというのが本音だと思います。調査にご協力いただける専門家や対象者を募集し、場所を確保するだけでも大変なことです。LITALICO発達特性検査の開発では、何より、ユーザーの方から直接話を聞き、一緒にプロダクトを作っています。同意が得られるまできちんと説明し、調査を繰り返し行なったということに頭が下がります。ーー佐藤先生がご存じの中でも、しっかりプロセスを踏んだ開発だったということでしょうか?佐藤先生:私の知っている中ではベストですね!野田さん:たくさんの保護者、専門家のみなさまにご協力いただいてなんとか実現できたところです。佐藤先生:一般的な予備的調査だと、1回だけ意見を聞いて、それを質問紙に反映するということも多いと思いますが、今回の開発では、同じ方にも質問紙の改定案をその都度見ていただいて、意見をもとに修正する、というのを繰り返し行ったというのが大きな(品質担保上の)強みだと思います。野田さん:インタビューして「ここは〇〇だった」という前回の意見をもとに改善して、そのアップデートしたものを見ていただいて合意を取って、そのうえで気になった点について意見をいただき、さらに直すというプロセスを数回繰り返しています。このような形で品質を重視する開発は、前例として多くなかったということもあって、方法論もあまり確立されていない部分もありました。その点は、佐藤先生に具体的なアドバイスをいただきながら進めていったところです。その中で、COSMINの基準についても、佐藤先生に教えていただいて採り入れることができました。佐藤先生:これまで、こういった尺度開発の手続きは、研究者独自のやり方で進めていることが多かったと思うんですよね。妥当性や信頼性の質に関しても、専門家がそれぞれ自分の判断で質を高めようとしていた部分が多いのですが、COSMINはそれらの手続きや質の評価を可視化するためにチェックリストを作成しています。COSMINチェックリストは検査の項目、尺度の質を評価する際の国際的な基準です。基準はさまざまな専門家や当事者の声も採り入れて設定され、妥当性や信頼性などの特性ごとにたくさんの項目があります。今回の検査は、COSMINの基準を満たすように開発されているので、国際的な基準に沿った開発になっていると言えます。その点で、内容的妥当性の質の担保がよくできているのがこの検査の強みだと思いますね。ーーこうした質の担保ができないと、どうなってしまうのでしょうか?佐藤先生:回答はしたけれども理解しにくい質問だったり、自身の経験や考えとは的外れな質問などが含まれている可能性があるので、回答者にとって負担になってしまうリスクがあります。また、受検するたびにばらついた結果が出てしまい、検査結果が安定しない恐れもあります。こうした問題は、検査の妥当性や信頼性を損ねる要因となります。野田さん:そういったことがないように、COSMINの基準をクリアできているか、というのをチェックしていくということです。どのようなプロセスを経たらいいか、どの程度のユーザー数でテストすればいいか、といったさまざまな論点について、基準をもとに開発で満たすように進めていったということですね。もし、クリアできていない場合、佐藤先生にアドバイスいただいてプロセス自体を改善し、なるべく高い基準を満たすように開発できたというのは大きかったです。佐藤先生:お子さまの状態像は一人ひとり異なりますし、支援者の専門分野が多様になると、その分さまざまな意見が出てきます。そのため、実際には認知的インタビューでの意見を完全に集約させて尺度に反映するのは難しいこともあります。こうした研究上の限界点はどうしても出てきますので、COSMINの基準を完全には満たせない項目が含まれてしまうことも少なくありません。その中でも、今回のプロダクトは厳しい基準をできるだけいい評価でクリアできるように開発されていると思います。野田さん:内容的妥当性の担保方法に関する知見があまり広まっていなかったこともあり、COSMINを基準に作成しようと決めるまでは、今回のようなインタビュー研究をこの規模で行なうことは計画されていませんでした。佐藤先生のCOSMINに基づいたコンサルテーションがなければ、このレベルで内容的妥当性を担保することは難しかったと思います。心理尺度や質問紙という形式の検査自体の強みと限界Upload By LITALICO発達特性検査 編集部佐藤先生:広くたくさんの方に簡便に回答していただきやすいのが質問紙法という検査形式の強みだと思います。例えば、発達検査の中には対面式の検査もありますが、お子さまや保護者の方と支援者が対面で検査をして所見をまとめるとなると時間もかかりますし、検査を実施できる専門機関や専門家の数も必要になってきます。特に地方にお住まいの方にとってはシビアな問題です。質問紙の場合、受検者に配布した質問紙の説明文を読んで回答していただくので、より気軽に受検できますよね。ただし、回答者の主観的な判断に基づいての回答になることについては、少し注意が必要です。回答だけをもとに、原因を確定したり診断したりすることはできません。それが限界点になりますね。野田さん:おっしゃる通りで、ユーザーとしては「検査」というと「診断」が出るということを期待される方も多いと思うのですが、LITALICO発達特性検査は医学的診断を行なうものではありません。しかし、診断がなくとも特性や困りとそれらの背景という観点で測定して、すぐにデジタルである程度個別化された情報を届けられるということが、このプロダクトの特徴だと佐藤先生のお話を伺って改めて感じました。検査結果レポートでは、診断の有無にかかわらず理解や支援の助けになる情報を、監修者の先生方と厳選しています。実際に自分のお子さまについて、なぜお子さまが困っているのか分からない、どうサポートしたらいいか分からないという場合に、お子さまの状況を把握するため受検していただくといいのかな、と思っています。そして状況に変化があるかを追っていくための確認としても使っていただけるようになるといいな、と。佐藤先生:そうですね。アンケート形式はとても回答しやすいと思いますし、いつでもどこでも回答できるというのはメリットです。この検査を糸口にして、より専門的な支援サービスを受けることを検討するなど、最初の一歩になりやすいツールだというのが強みだと思いますね。野田さん:逆に言うと、お子さまを支援したり、環境を作ったりするときに、検査だけで完結することはもちろん無理で、専門家を始め、周囲の関わる人たちが一緒に協業していかないと難しい部分は確実にありますね。また、ほかの検査の代わりに受検するというよりは、この検査のメリットを活かすことで、早期かつ簡便に、ある程度適切な情報や個別化された情報を得ていただいて、適切な支援や相談できる場所とつながる、より詳しい情報を調べるという形で使っていただけるといいなと思います。今回、認知的インタビューで保護者の方の意見を聞く中で、困りが一元的ではなくて、本当に多面的なんだなということが印象的でした。それは「質問紙で必要十分なのだろうか」「この形で本当にいいのだろうか」と制作の過程で問いなおすきっかけになりました。その意味でもインタビュー研究という形で尺度の質を確認していく、実際にユーザーの方にお話を聞くことが重要なんだなということを痛感しました。これが質問紙開発以外のプロダクト作りにおいても、ユーザーインタビューを積極的に行なうことにもつながったと思います。やはり、多様な困りに対して一つの形で答えていくしかないというのが質問紙という形式の限界でもあります。強みと限界があるうえで、既存の検査や人を介した直接的な支援と相反するものではなく、両立して使っていただけるものになったかな、というのが個人的に感じているところです。配慮や工夫を重ね、品質を高めた検査。多くの方に使ってほしいーー佐藤先生は、具体的にどのような方に使っていただきたいとお考えでしょうか?佐藤先生:お子さまの状態を知りたいという保護者の方はもちろんですが、私としては、この検査の結果をコミュニケーションのツールに使ってほしいという想いがあります。今回のプロダクトは、家庭の中でお話しする材料になりますし、あるいは学校だったり、支援機関の方と話し合う際の材料になるものだと思います。検査結果レポートの内容も大変充実しているので、そこがこの検査のすごくいいところですね。自分だけで抱え込まないで、いろいろな方とシェアをしてよりよい方向を検討するための第一段階のステップとして、すごく優れたツールだと思います。不安な気持ちと知りたい気持ち、いろいろな悩みを持たれて受検される方が多いと思うのですが、得るものもたくさんある検査だと思います。多くの方に安心してご利用いただけると、私としてもすごくうれしいですね。取材・編集:発達特性検査編集部撮影:タムラケンジ(記事の後編では、開発の過程で保護者や研究者の方の意見がどのように反映され、LITALICO発達特性検査がブラッシュアップされたのか、より詳しく伺いました。合わせてお読みください)
2025年03月06日1歳半健診で発達の遅れを指摘され……。息子の発達障害が分かるまで現在10歳の息子は、2歳でASD(自閉スペクトラム症)、3歳で知的障害(知的発達症)、10歳でADHD(注意欠如多動症)の診断を受けています。こだわりが強い性格です。息子は生後10か月で伝い歩きを始め、1歳4か月で立てるようになりました。ですが、なかなか一人で歩くことができず、言葉もでなかったのです。「発達が遅れているのでは?」と不安を感じていた中で迎えた1歳半健診。そこで「専門の先生に診てもらってください」と指摘を受けました。ショックというよりも、「そうか、一度診てもらおう」と素直に思った記憶があります。Upload By ユーザー体験談小児神経科を受診すると、言葉の遅れがあるため、月1回の言語聴覚療法(ST)をすすめられました。さらに、発達が気になる子どもたちが集まる「地域の遊びの広場」にも月1回参加することになりました。STは、発語につながるなら……と思いながら通いましたが、病院は車で1時間近くかかる場所。運転が苦手な私にとってはなかなか大変でした。それでも、小学1年生の秋頃まで通い続けました。言語聴覚療法(ST)と遊びの広場での学び。初めて見た自傷・パニック息子はSTに喜んで通いました。家にはないおもちゃがたくさんあり、楽しかったようです。「早くやりたい!」という気持ちが強すぎて待つのが苦手で、途中で席を立つことも多かったですが、毎回笑顔でした。「地域の遊びの広場」も息子にとってお気に入りの場所でした。私自身も専門家と話せる機会が増え、その時々の悩みを相談できたのはとても助かりました。ただ、今でも鮮明に覚えていることが2つあります。ひとつは、STの先生に「このまま一生話せないこともあるんですか?」と聞いたときのこと。「……あるかもしれません」と言われて、現実を突きつけられました。私は「いつか話せるもの」と思っていたので、とてもショックでした。Upload By ユーザー体験談もうひとつは、1歳10か月の時のこと。大好きなクレヨン遊びをしていた息子に「お片付けしようね」と声をかけると、大泣きしながら自分の額を床に何度もぶつけ、足をバタバタさせパニックになったのです。初めて見る姿に私は青ざめました。先生は「お帰りしましょう」と一言。クールダウンのためとは分かっていても、「みんなと一緒にいることができない」という現実を突きつけられ、切なかったのを覚えています。Upload By ユーザー体験談不安そうな表情が明るい笑顔に!児童発達支援事業所が成長のきっかけにそんな日々の中、「地域の遊びの広場」の保健師さんから「児童発達支援に通ってみてはどうですか」と紹介され、児童発達支援事業所とつながることになりました。最初に紹介されたのは、車で1時間かかる施設。見学に行き「いいところだね」と夫と話しましたが、遠さがネックに……。施設長さんに相談すると、住んでいる地域にも児童発達支援事業所があると教えてもらい、そちらも見学へ。しかし、残念ながら満員……。悩んだ末、4〜5か月空きを待って、近くの事業所のほうに通うことを決めました。そこでは給食が提供されており、このおかげで息子は偏食が改善されました。さらに「できた!」という成功体験をたくさん積むことができ、自信につながったようです。通い始めた頃の写真を見ると、不安そうな表情。でも、時間が経つにつれ、明るい笑顔にな変わっていきました。Upload By ユーザー体験談「言葉が出なくても焦らない」そんな気持ちを支えてくれた支援息子はなかなか言葉が出なくて、日々とても心配していました。そんな時、支援の方から「今、息子くんはたくさんのことを吸収しています。それが積み重なった時に言葉としてあらわれますよ」と言われ、おかげで「今は吸収の時期なんだ」と自分に言い聞かせ、焦る気持ちを抑えることができました。もし支援に繋がることができなかったら、親子ともにつらい日々を過ごしていたと思います。本当に感謝しています。結局、発語があったのは3歳0か月のとき。現在4年生の息子はおしゃべりもできるようになり、元気に成長しています。今感じている課題はコミュニケーションです。友だちが遊びに来ているのに学校の宿題を始めたり、会話が一方的だったり……。少しずつでも人の気持ちを察することを学んでいってほしいなと思っています。子どもたちはみなそれぞれのペースで成長していくのだなと実感しています。これからも息子のそばでその成長を見守っていきたいです。エピソード提供/ゆきこイラスト/よしだ(監修:藤井先生より)1歳半健診で発達の遅れを指摘され、言語聴覚士さんや児童発達支援施設に通い、息子さんに必要な支援につながってきた貴重なご経験を読ませていただきありがとうございました。お子さんの言葉が出なくて心配されている方の励みになりますね。療育先に悩まれる場合があるかと思いますが、言葉だけでなく、認知面、運動面も含め包括的にみてもらえる児童発達支援施設で療育を受けることは良い選択ですね。地域によっては施設が遠方だったり、空きがなかったりすることがあります。かかりつけの小児科の先生に受給者証用の意見書ないし診断書を書いてもらい、保健センターなどで情報収集を行なって地域での療育先を探されるのが良いです。焦ってもお子さんの成長のペースは一人ひとり違うものです。成長をこれからも見守っていきたいですね。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2025年03月04日『集中できる デスクパーテーション』商品開発モニターレポートUpload By 丸山さとこ発達ナビとフェリシモC.C.Pがコラボし、暮らしの中の困りごとをサポートする商品づくり第6弾。私は、コラボ第2弾で発売した「おうちで集中できる デスクパーテーション」のリニューアル商品「集中できる デスクパーテーション」の商品開発モニターを担当しました。リビングなど気が散りやすい場所でも、集中できるデスクパーテーション。テレビや周囲の様子が視界に入りにくく、折りたたんで持ち運びもできるので、自分だけの空間が好きな場所に簡単につくれます。使わない時はコンパクトに収納できます。Upload By 丸山さとこ※詳細ボタンをクリックすると発達ナビのWebサイトから株式会社フェリシモのWebサイトに遷移します子どもの集中と家族のくつろぎのせめぎ合い!?ダイニング学習が基本のコウです現在中学生の息子のコウは、自宅学習のほとんどをダイニングで行っています。自分の部屋にも学習机はあるものの、「部屋ではあんまりやる気出ないんだよね~」と言いほとんど使うことはありません。小学校入学以来、宿題をするのしないのと揉め続けて早9年。昨年受験生となってからも宿題と受験勉強で揉めていることを思えば、気が散りながらもダイニングで勉強をしているのはいいことだと思います。ですが……ダイニングで勉強されると、こちらは全然くつろげません!対策としてリビングの一角に小さな学習スペースを用意したものの、手元を見ると落書きをしていたり電子辞書で遊んでいたりします。通りすがりを装ってのぞき込むなどのさり気ないチェックが必要で、やはりこちらはこちらで気が抜けずくつろげません。そんなわが家にピッタリな『集中できる デスクパーテーション』を、さっそく使ってみました。『集中できる デスクパーテーション』を試してみたら…!ダイニングテーブルにパーテーションを広げてコウに座ってもらったところ「あぁ、この空間いいね!」とかなりの好感触。中学生男子にありがちな「ふーん、いいんじゃない?」くらいのクールな反応を想像していたので意外でした。「ほどよい囲まれ感があっていいね。勉強以外のものが何もない空間になるから、勉強をするしかなくなる」そう言うコウに席を変わってもらうと、確かにいい感じのこもり感です。外から見ると高い壁の存在感が凄かったのに、内側に座ると不思議と圧迫感がありません。コウにそう伝えると「でしょう?」と得意げにしていました。すっかりパーテーションを気に入ったようです。Upload By 丸山さとこサイドの収納は『パーテーション内で行う作業に必要な物』の一時置き場にすると便利でした。右のA4サイズ収納に問題集の解答書、左の引き出し収納に赤ペンや付箋を入れておくと、作業中に少しずつ机の端に押しやられて落ちることもなくてよい感じでした。また、勉強をする息子の手元がパーテーションで適度に遮られることにより、『同じ部屋にいる受験生に気を使わなければいけない雰囲気』が和らぐのを感じました。パーテーションがあることで視線が適度に遮られるため、外側にいる私も落ち着けると感じました。Upload By 丸山さとこパーテーションの外からの視線をほどよく遮りながらも『コウが今何をしているか』は何となくうかがえるため、コウの気が散ったり脱線したりするとさり気なく声をかけることもできます。この手元はゆるく隠されているけれど外から様子はうかがえる具合が絶妙で、親子のバトル緩和にもパーテーションは役に立っていると感じました!『集中できる デスクパーテーション』は、サッと広げるだけでゆるやかに視線や空間を区切ってくれる便利なアイテムでした。パーテーションが広がっていることで視覚的に「今作業中なんだよ」と伝わるところも、衝動的に話しかけがちな私やコウにとってはとても助かるポイントでした。・作業に関係がない物や空間が広がっていると気が散りやすい方・同じ部屋で過ごす人の様子が気になってしまう方・作業中の人にも衝動的に話しかけてしまいがちな方このような方々には特に、一度お試しいただきたいアイテムだと思いました。Upload By 丸山さとこ就労支援継続B型事業所「ハッピーエリア」で組み立ててお届けします。※詳細ボタンをクリックすると発達ナビのWebサイトから株式会社フェリシモのWebサイトに遷移します
2025年02月27日おしゃべりは上手なのに「あ」が読めない⁉小学校入学直後発覚した娘の困りごと私には小学1年生、7歳の娘がいます。娘が小学校に入学して間もない5月末、国語の音読の宿題に取り組んでいたとき、娘が「あいうえお」の「あ」を読めないことに気づきました。「どうしたの?これは『あ』だよ」と教えても、娘は「分からないよ!」と困ってパニックに。教科書に並ぶ「あ」「い」「う」の文字を前に、親子でただ戸惑うばかりでした。普段はおしゃべりがとても上手で、コミュニケーション能力も高いのに、なぜ読めないの?私は背筋が凍りました。娘の目には、文字がどんなふうに映っているのだろう、と。Upload By ユーザー体験談娘は1歳半健診の際に発達遅延を指摘されたので、週5日、療育センターに通わせていた時期があります。そのおかげで発達障害についての知識は多少ありましたが、未就学時には診断はつかず、小学校入学前の就学時健診でも、もともとある弱視以外に特に指摘されることはありませんでした。私はすぐにインターネットで検索、「もしかしたらLD・SLD(限局性学習症)なのでは?」と思いました。もしそうなら、診断を受けられる病院や地域の発達支援に早くつながらなければ、と考えたからです。しかし、ちょうど娘が小学校に入学するタイミングで引っ越したばかりだったため、新しい地域の発達支援についての知識がまったくなかった私。県が公開しているLD・SLD(限局性学習症)を診察してもらえる病院リストに掲載されていた病院をかたっぱしから調べました。ですが——。一日も早く診断をもらい、配慮が欲しい……のに地域の病院は全滅⁉まず、Webサイトがある病院は全てWebサイトを確認。その時点でクリニックは軒並み初診受付をしていないことを知りました。それなら総合病院だと電話をすると、クリニックからの紹介状がないと受診できないと断られました。引っ越ししてきた経緯とクリニックが初診受付をしてない旨を話しましたが、ダメでした。(どうすればいいの!)Upload By ユーザー体験談実は引っ越しする際、この地域の発達支援は遅れている……という嘘か誠か分かりませんが、そんな噂を聞いたことがあった私。こういうところが積み重なって噂になっているのかも……と困惑しました。もう越境するしかない!と、隣接県の病院の調査を開始しました。いちいち医療費還付請求などをするのは面倒ですが、娘の大事な時間には変えられません。そしてついに隣接県のクリニックで予約を取ることができました。幸いにも電車で一時間程度で行ける場所でした。初診で娘の様子や生育歴、簡単な親からの聞き取り調査、娘が書いた学校のプリントなど持っていった結果、すぐにLD・SLD(限局性学習症)の強い疑いあり、とお医者様が判断してくださいました。「発達検査がまだなので診断書は出せませんが、病院と医師の名前を出していいので、学校や住む地域の教育センターに支援・配慮を求めるようにしてください」とアドバイスをいただき、少しでも早く娘に合理的配慮を思った私は、教育センターに連絡し、面談をしました。やっとできた発達検査。LD・SLD(限局性学習症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、DCD(発達性協調運動症)と4種の確定診断が出た娘教育センターで発達検査は実施してないと言われたので、検査は隣接県のクリニックで行うことになりました。毎日毎時間、キャンセルで空く時間はないかと病院の予約アプリに張り付き、なんとか早めの日程で予約をを確保。実施した検査はWISC-VとSTRAW-Rです。検査の結果、ワーキングメモリが低めの総IQ107。知的障害(知的発達症)のないLD・SLD(限局性学習症)と診断がでました。また同時に、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、DCD(発達性協調運動症)も確定診断がつきました。言われてみれば確かにそれぞれの症状はあるのですが、そこまでと重複してると思ってなかったので、驚きました。診断も出たため、教育センターから学校に娘の支援について連絡が行き、夏休み前、特別支援コーディネーター、教頭先生、担任の先生、私の4人で面談が行われ、学校での合理的配慮の始まりとなりました。Upload By ユーザー体験談私がLD・SLD(限局性学習症)を疑い始めてから、わずか3ヶ月でここまで来ました。すごいスピード感です。もし受け身で待っていたら、もしかしたら3学期になっても具体的な支援方法にたどり着けず、勉強につまずきを感じてしまっていたかもしれません。頑張ってよかったと心から思いました。娘が受けている具体的な配慮は5つ!来年度も通常学級でと言われ学校で娘が受けている合理的配慮をご紹介します。・音読は一人でさせない・電子読み上げではない読書を強要しない・タブレットによる黒板の撮影許可・必要な場で担任の読み上げ補助・タブレット端末によるマルチメディアデイジー教科書の使用、それに付随してヘッドフォンの使用許可Upload By ユーザー体験談参考:マルチメディアデイジー教科書|(公財)日本障害者リハビリテーション協会文字で見ると多く感じるかもしれませんが、LD・SLD(限局性学習症)の特性が分かっていれば、思い至るような内容だと思います。実はこれらの配慮は私が調べ、考えました。当時、地域にはLD・SLD(限局性学習症)に対応してくれるところがなく、学びの支援を外部に求められませんでした。本当なら、専門の人に娘の学習支援方法を一緒に考えて欲しかったのですが……頼れる人もいなかったので、自分なりに調べて娘に必要な支援というものを探し続けました。家では毎日数時間、娘の宿題を手伝っています。夏休み中、LD・SLD(限局性学習症)用の触読トレーニング教材に取り組んだら、字そのものを判読する力は劇的に伸びました。文章の理解ではなく「あ」を「あ」と読む力です。文章の理解は読み上げがないと難しいため、私が代わりに読みました。娘はほかにASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、DCD(発達性協調運動症)もありますが、本来の運動能力自体が高く、勉強にも読めない関係以外で困りごともないため、特に配慮はありません。ただ、机の中が片付かない、多動性などがあるため医師に相談し、コンサータを服用して対応中です。「待つ」のではなく、積極的に動いてよかった!やっとLD・SLD(限局性学習症)を支援してくれる放課後等デイサービスも見つかりました地域の病院とつながることができず、相談できる先もなく、ここまでたどり着くのは本当に大変でした。運が良かった部分もあるかもしれませんが、何よりも「待つ」のではなく、自分から積極的に動いて正解だったと感じています。また、小児神経専門医の先生がいる病院に絞って探していたのもあってか、素晴らしい先生に診ていただき、私たち親子が困らないようアドバイスをいただけて本当に感謝しています。先日、学習支援個別計画を立てて支援してくれる放課後等デイサービスをついに見つけました。この放デイは訪問支援も行っているので、学校と保護者の間に入り支援方法を一緒に考えてくれるそうです。ようやく、私が娘に欲しかった学習の支援に繋がれる気がします。2年生への進級も迫ってきましたが、学校からは娘は通常学級でと言われています。娘には、特性を理由に学習したいことを諦めなくていいように、代替法をしっかり学びながら健やかに育ってほしいです。イラスト/SAKURAエピソード参考/ハツネ(監修:室伏先生より)娘さんが、診断に至るまでの経緯や、支援につながるまでのご家族の努力などについて、詳しく共有くださり、ありがとうございました。学習の困難さの原因は、LD・SLD(限局性学習症)以外にも、知的発達症、ADHD(注意欠如多動症)などさまざまであり、その判断には、問診、行動観察、発達・知能検査などを含めた適切な評価が必要となります。LD・SLD(限局性学習症)は、知的発達に比して、学習に必要な特定の機能(読む・書く・聞く・話す・計算する・推論する)に困難さがあることを言います。知的障害(知的発達症)では、全般的な知的発達の遅れがある(全体的にゆっくり)であり、発達・知能検査や読み書きの検査などで学習障害と区別しますが、平仮名を憶えられない、すらすら音読ができない、読み書きを嫌がるなどの症状は、知的障害(知的発達症)、LD・SLD(限局性学習症)のいずれでもみられることがあり、検査を行わないと判断が難しいこともあります。ADHD(注意欠如多動症)では、授業の話に集中できない、自分の興味のあることに興味が惹きつけられてしまうなどの症状が学習の困難さにつながることもあります。それぞれ、適切な支援の方法が異なるため、まずはそのお子さんの困難さの原因を正確に理解することがとても重要になります。LD・SLD(限局性学習症)への支援としては、語彙を増やし、文字と音の関連を理解する力(音韻認識)を高めるトレーニングに加え、合理的配慮を取り入れることも重要です。書いてくださっている通り、読みのサポート(ルビの付与、拡大表示、読み上げソフトやデジタル教科書の活用)や、視聴教材やプリントの活用、タブレットでの黒板の撮影、テスト時間の延長などが望まれます。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2025年02月25日STEAM教育って何?
子育て楽じゃありません
細川珠生のここなら分かる政治のコト