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背景に着目した癇癪へのサポートを実践してみよう作業療法士の野田遥です。「LITALICO発達特性検査」の研究・開発に携わっています。今回は、2024年の夏に行ったオンラインセミナーでの講義内容から、特に保護者の方の関心の高かった癇癪(かんしゃく)について、講義内容を再構成して詳しくご紹介します。これまで、癇癪を引き起こしやすい背景要因がいくつかあることや、癇癪が起きる仕組み、対応方法など、癇癪についての基本的な考え方をお伝えしてきました。特に前回は癇癪が起きている間の対応方法や、癇癪自体を減らす手がかりなどについてご紹介しました。そこで、「その場でその場で癇癪をとめる」といった直接的な対応だけではなく、その背景を見ることで癇癪自体を減らしていく手がかりになるとお伝えしました。しかし、いざお子さまの癇癪を減らしていきたいときに、保護者の方が自分で困りの原因や背景を見つけたり、それぞれの原因にアプローチできるような対応方法を考えるのは少し難しいかもしれません。そこで今回は、具体的な事例とともに、癇癪の「なぜ?」と「どうすれば癇癪が起きにくくなるか?」についてヒントを見つけるため、「困り→背景要因→サポート」のフレームワークを実際に使って解説します。※イベントの内容やフレームワークについては以下の記事でも紹介しています。※LITALICO発達特性検査について、詳しく知りたい方は以下の記事を併せてお読みください。「困り→背景要因→サポート」のフレームワーク「なぜ癇癪が起きているのか」に着目して、お子さまの困りごとの根本的な原因に働きかける分析と実践は、いざ取り組もうとすると、何からやっていいか分からないという方もいらっしゃると思います。そこで、分かりやすい方法にしたのが「困り→背景要因→サポート」のフレームワークです。Upload By LITALICO発達特性検査 編集部癇癪の困りごとを減らすためには、癇癪が起きる前の防ぐ手立てとして、興奮の波をキャッチしたり、お子さまのコミュニケーションの特性や選択肢を増やすといった方法が重要です。しかし、どんなサポートをすればいいのかはお子さまや状況によっても変わります。その点で、癇癪の困りごとの場合、特にフレームワークを使って背景要因を探り、分析していくことが重要になってきます。癇癪が起きたときに、その場でとめるといった対応をするだけでは、その場では行動がやんだとしても、そのあとまた同じ行動が起きるかもしれません。また、その行動を起こしている原因が別の困りや行動につながっていくということがあるかもしれません。それらを避けるためにも、その場の状況を収めるための表面的な方法だけではなく、困りの背景にある要因から考えることがとても大事になってきます。背景要因として、以下の2つの軸でお子さまの行動を捉えてみることが重要です。以下の図のように、お子さまの行動の背景には、複数の特性が関係している場合があります。特定の刺激に反応しやすい(感覚過敏など)、突然変更があった場合に不安を抱きやすい(「同じ」へのこだわりなど)など、行動の背景にはさまざまな特性がありますし、それらの強さも個人によってバラバラです。お子さまの特性を知っておくことで、特定の行動の原因を捉えやすくなります。図に示した以外にも、さまざまな特性が行動と関係してきます。癇癪と関係していそうなお子さまの特性はないか、振り返ってみましょう。Upload By LITALICO発達特性検査 編集部次に行動の前と後に着目して、要因がないかを検討していきます。癇癪が起きたときの状況やきっかけは何か、起きたあとにどのような状況になったか、お子さまはどのような結果を得たか、ということに注目します。行動の前後に着目する分析の方法についてはこちらの記事も参考にしてください。「困り→背景要因→サポート」を実践してみよう具体的な事例で考えてみましょう。以下のお子さまが、「園で庭遊びをやめて教室に戻る時間に、声をかけられると癇癪を起こす」という困りごとです。【お子さま】・5歳の女の子・ASD(自閉スペクトラム症)の診断・幼稚園の年中在籍【困りごと】・好きな遊びをなかなかやめられない・特に砂遊びが好きで、園では切り替えができず癇癪を起こしているお子さまは大好きな砂遊びをやめるように言われ、癇癪を起こしました。・なぜ癇癪を起こすのか?・なぜ砂遊びをやめられないのか?先ほどのフレームワークに当てはめて考えてみましょう。まず、「1.行動が起きやすい背景の分析」として、今回は不安とコミュニケーションという2つの特性との関係がありそうという見立てをして進めていきます。Upload By LITALICO発達特性検査 編集部・不安いつまで続けられるか分からない、次にいつ遊べるか分からないという状況で遊びをとめられるとすごく不安になります。これが切り替えにくいということにつながっている可能性があります。・コミュニケーション手段嫌だと伝えるためのコミュニケーション手段を癇癪以外に持っていないということが考えられます。「もっと遊びたい」と伝えたいのに、うまく言葉で伝えられない場合、癇癪によって表現しているという可能性があります。また、「2.行動自体の分析」としては、癇癪を起こした結果、砂遊びが続けられたことがあったようです。お子さまにとっては、癇癪を起こすことで、望ましい結果が得られたということなので、癇癪という行動の頻度は増えます。このように、その行動の結果、つまりお子さまはどのようなことが得られたかということを考えると、行動の理由が分かりやすくなる場合があります。Upload By LITALICO発達特性検査 編集部さまざまなサポート方法が考えられます。1.行動が起きやすい背景からサポートを考えるUpload By LITALICO発達特性検査 編集部「いつまで続けられるのか」という不安に対しては、残り時間が視覚的に分かるタイマーを活用する方法があります。事前に「あと5分で砂遊びはおしまいにするよ。タイマーがなったら教室に戻るよ」など具体的に伝えてタイマーをかけるという方法です。「ここまでは砂遊びができるんだな」と分かるので、見通しが持て、受け入れやすくなる可能性があります。「嫌だと伝えるためのコミュニケーション手段が癇癪以外にない」ということへの対応案の一つとして、絵カードで意思を伝える方法を教えていくという方法が挙げられます。その場合、「砂遊びはおしまいだよ。このあと、教室でどちらをしたい?」と聞いて「お絵描き」「鬼ごっこ」など、お子さまが選択して主張できる状況を作るのも一つの方法です。また、図のように砂遊びを続けるか終了するかの意思を聞く機会を作っていくことで、自発的に次の予定や行動を選ぶという経験につながります。まずは選択肢を提示してお子さまが選ぶところからスタートして、最終的にはお子さまが自分でカードを提示して次の遊びに移行できるようになるといいですね。コミュニケーションによって「やりたいことができる」という成功体験を積むことで、切り替えもしやすくなります。今回、背景要因についてこの2点に絞って分析しましたが、実際にはもっと複雑な場合も多いです。お子さまに合うように試行錯誤をしながら調整する必要があるという点にご注意いただければと思います。2.行動の前後に着目してサポートを考える「癇癪を起こした結果、砂遊びが続けられた」という行動の前後と結果についての分析からのサポート方法を考えます。行動自体ではなく、前後を変えることで行動が変わることを狙う方法です。こちらも先ほどの・タイマーで事前告知をする・絵カードで砂遊びをやめた後の教室での遊びを選択してもらうというサポートを例にして考えます。癇癪が起きやすい行動の前を「タイマーが鳴る」という事象に変えます。お子さまにとって「突然砂遊びをやめさせられる」という状況から「時間がきたからおしまい」と認識が切り替わります。こういった事前予告によって、行動の切り替えに対して受けとめやすくなります。必ずしも予告だけで効果が出るとは限りませんが、結果として癇癪が減る可能性があります。また、「砂遊びをやめたあと、教室に移動したら楽しい遊びができた」というように行動の結果に働きかけることで、ほかの選択肢を選んだり、促しに応じたりすることでもいいことがあると感じることができます。そういった成功体験を積み上げていくと、「砂遊びをやめてもいい」と切り替えやすくなります。結果として、癇癪を起こさなくてもいい状況につながっていきます。Upload By LITALICO発達特性検査 編集部背景要因の洗い出しが難しいと感じたら背景要因を分析していくのは、フレームワークを使ったとしても慣れないうちはとても難しいことです。また、専門的な知識を要する場面も多いと思います。複雑な要因で起きていることも多いですし、すでに癇癪を強力なコミュニケーション手段として身につけている場合などには、対応はより難しくなると思います。そのような場合、保護者の方だけで対処するのは負担も大きいことでしょう。ここで重要なのが、家庭で抱え込まず、ツールや専門家などを頼って、負担を減らしていただくことです。地域の児童発達支援や放課後等デイサービス、児童発達支援センターなどの相談機関や支援機関、受診されている病院の医師や心理士さんなどに相談していただき、連携して対応を考えることをおすすめします。ただし、周りにリソースがない、相談できる人がいない、あるいは近くに相談機関があったとしても気軽に相談できない、時間が取れないという方もいるのではないかと思います。そのような場合には、インターネットなどで利用できるツールもあるので、ぜひ利用を検討していただければと思います。例えば、家庭からオンラインで受検できる「LITALICO発達特性検査」では、オンラインで質問に回答することで、お子さまの特性や背景要因の分析ができ、お子さまにあったサポートの方法が提案されます。「LITALICO発達特性検査」では、先ほどご紹介した「困り→背景要因→サポート」のフレームワークに沿って検査結果のレポートが提示されるように作られています。検査結果をヒントにしながら、お子さまの困りの背景要因や、それらへのサポート方法を考えたいという場合にはお役立ていただけるかもしれません。また、発達が気になるお子さまの保護者さま向けサービス「発達ナビPLUS」では、子育て解説動画や個別相談、LITALICOジュニアでも使われている7,000点の教材やライブ配信などを通して、オンラインで医師・心理師など発達支援にかかわるさまざまな専門家と繋がることができます。まとめ癇癪について、お子さまや状況にあった対応方法やサポートを見つけていくのは、簡単なことではないかもしれません。実際、その都度発生するお子さまへの対応の繰り返しで疲弊してしまうこともあると思います。少しでもお子さまへの対応の糸口を見つけるためには、行動そのものだけではなく、お子さまの持つ特性の高低や、行動の前後の状況を把握し分析することが大事になってきます。対応が終わって少し落ち着いたタイミングでも構いませんので、癇癪があったときの状況やその前後にどんなことがあったかなど、メモをとってみてください。いくつかたまったときなどに、今回ご紹介したフレームワークを参考に振り返ると、背景要因となっていそうなことが見つかるかもしれません。また、専門職に相談する際にも、このようなメモは役に立つかもしれません。分析をすることで、お子さまの状況や特性に合わせた対応方法が考えやすくなります。ぜひ、別の手段に置き換えられないか考えたり、癇癪を起きにくくするような環境調整の方法を探してみてください。もし、癇癪への対応が難しいと感じたら、ご家庭だけで抱え込まないことが重要です。先ほどご紹介した「LITALICO発達特性検査」や「発達ナビPLUS」などのツールの活用や、相談機関や支援者の方などの力を借りることもご検討ください。
2024年12月06日「なぜ?」に着目して癇癪への対応を考えよう作業療法士の野田遥です。LITALICO発達特性検査の研究・開発に携わっています。今回は2024年の夏に開催したLITALICO発達特性検査のオンラインセミナーでの講義内容を再構成し、「なぜ?癇癪(かんしゃく)が起きるのか?」に着目した対応方法について、基本となる考え方をお伝えします。イベントの内容やLITALICO発達特性検査について、詳しく知りたい方は以下の記事を併せてお読みください。この記事では、怒りや不安、欲求不満などの感情によって、気持ちや行動のコントロールがうまくできなくなった状況のことを癇癪と呼ぶこととします。お子さまの癇癪は、子育ての大きな悩みの一つであり、対応が難しいと感じている保護者の方も多いかもしれません。Upload By LITALICO発達特性検査 編集部保護者の方にとって、お子さまの癇癪は止めたい、起きないように予防したいものだと思います。今回は、この「なぜ?」に着目した考え方に沿って、癇癪が起きたときの対応、また減らすための対応方法について、詳しくご紹介します。前回の記事では「癇癪がなぜ起こるか」についてお伝えしました。・興奮の波に影響される・コミュニケーションの手段が少ない・お子さまに癇癪と関係しやすい発達特性があるなど、癇癪が起きる仕組みやきっかけになりやすいことがあります。これらの中からお子さまの場合、関係していそうな要因はないかを考え、理解することが最初のステップになります。「なぜ癇癪が起きているか?」、つまりお子さまにとって癇癪がどのような機能を持つかを考えた場合、その行動は「何かを伝えたい」という誰もが持っているコミュニケーションの一つの形でもあります。そう考えると、癇癪という手段に頼らなくても自分の気持ちや要求が伝えられるようになったり、興奮の波をある程度コントロールできるようになることが、癇癪を減らしていくことにつながります。基本となる癇癪への対応方法癇癪の前後や最中には、お子さまは興奮状態にあると言えます。まずは、この興奮に対してアプローチする方法を2つご紹介します。癇癪が頻繁に起きる場合、お子さま本人が自分で気持ちを落ち着けるのは難しいことが多いです。お子さま自身に頑張ってもらうこと以上に、周囲の大人の対応の仕方や環境調整によって、落ち着きやすい状態にすることが対応の基本になります。以下で詳しく見ていきましょう。Upload By LITALICO発達特性検査 編集部癇癪の要因となる興奮を抑えるために、刺激の少ない状態にするということがポイントです。焚き火にガソリンを注ぐとどんどん燃え、周りに燃えるものがなくなってくるとだんだん火は鎮火してきます。癇癪も同じで、興奮の燃料となる刺激をなくしたり、減らすことが重要です。癇癪を起きにくくするだけでなく、癇癪が起きたときにも、再燃させる刺激がなければ、時間経過とともに癇癪や気持ちの興奮もだんだん落ち着いていきます。そのため、癇癪が起きたときに刺激のないクールダウンルームやスペースを利用するということが有効な場合があります。専用の部屋や設備をしっかり作らなくても、工夫することでご自宅や園・学校などでもクールダウンのスペースを作ることができます。例えば、教室の後ろに大きめの段ボールを置き、切り抜いて扉を作ることでクールダウンスペースにする方法があります。ちょっと気持ちがしんどくなってきたときや、気持ちのコントロールが難しそうだな、というときにお子さまが自発的に中に入れるようにしておきます。そうすると、癇癪が起きたときにクールダウンを促したり、癇癪が起きそうなときにお子さまが自ら選択して刺激を避けることができます。落ち着くことにつながる活動も有効です。落ち着きやすい活動はさまざまな選択肢があります。お子さまに合ったリラックスできる方法がないか探してみてください。・水を飲む・仕切られた空間で横になる・お気に入りのぬいぐるみを触るなどほかの活動をして気をまぎらわすというのも一つだと思います。単調なことをしたり、好きな活動をすると、落ち着いてくることがあります。・緩衝材のプチプチを潰す・好きな本や音楽を聴くなどここまで2つあげましたが、何より大事なのが安全確保です。投げて怪我をしそうなものなど、周りに危険なものがないようにしておく、自動車などが通る場所であれば移動するといった対処や、壁に頭を打ちつけるなどの行動が見られるときには、お子さまが怪我をしないよう専門家に相談しながら対応を考えていく、調整していくということが必要になるかもしれません。また、本人だけでなく、保護者の方やきょうだいなど、周りの方の安全確保も大事です。年下のきょうだいがいる場合、怪我をしたり巻き込まれたりしないよう特に気をつけたいポイントです。お子さまが成長するにつれ、力が強くなっていくこともあるので、より安全確保が重要になってきます。興奮状態のお子さまを抑えて安全を確保するのが難しい場面もあると思います。ぜひ、保護者さまだけで抱え込まず、周囲や専門家に相談していただければと思います。癇癪を減らしていくためのヒント予防的に取り組めることの一つとして、直接的に癇癪にアプローチするだけでなく、癇癪以外の行動や選択肢を増やすようなアプローチを取ることが考えられます。充実した時間を過ごすことができていると、癇癪が起きるような状況が減ってきたり、興奮や不快な刺激が少なくなったりすることがあります。反対に、手持ち無沙汰でほかにすることがない場合や、楽しめる複数の選択肢がないと、切り替えのタイミングで癇癪が起きることも多いですね。例えば排水溝にものを落とす遊びが好きで、ほかの遊びにあまり興味がないというお子さまの場合、それを止められてしまうと「ほかに自分にとっての楽しいことがないから、楽しいことを奪われた」という気持ちがすごく強くなるでしょう。しかし、ほかにいろいろな遊ぶ手段があれば、「別の遊びをすればいいか」「排水溝から離れても楽しいことがある」などと切り替えやすくなるかもしれません。そういった意味で楽しくできることの選択肢を増やすというのが重要です。癇癪を起こしていない時間が長く、充実していることが、癇癪を減らすこと自体につながるのです。また、選択肢を増やしていくという意味では、癇癪を別の行動に置き換えたり、気持ちを切り替えてみた結果、いいことがあった、という経験を増やして実感できるようにするのもポイントです。選択肢をどう作るかのポイントとしては、興奮するような楽しいことだけでなくて、落ちついて楽しめることを見つけることです。「落ち着くことにつながる活動をする」でご紹介したような、リラックスできるような状況や手段を増やすことが大事になってきます。癇癪につながるサインに応じて、癇癪が起きる前の対応も重要です。興奮の波をキャッチして、癇癪の前兆の段階で落ち着けるような関わりをしてクールダウンしていくというのが大事になってきます。癇癪の前兆のサインは「モジモジしている」「動きや声が大きくなる」などお子さまによってさまざまです。起きている時や事前にどういうことがあったかなどを分析すると、こういう時に起きやすいんだな、というパターンが見えてくることがあります。「よく起きるな」というときの状況や様子をメモなどにして書き溜めて振り返ってみるといいかもしれません。癇癪が起きている間に気をつけること癇癪を起こしている際は、いつもなら受け入れられる内容でも刺激になってしまう場合があります。興奮して怒っているときや、納得できていないときに正論を言われても、注意したことが刺激となって、かえって癇癪が収まりにくくなることもあります。もちろん安全確保は必要ですが、まずは気持ちを落ち着けることを優先した方がいいかもしれません。説明が必要な点については、落ち着いて話ができるようになってから伝えるといいでしょう。癇癪をやめさせるためにお菓子やおもちゃを与えると、その場では収まりやすいかもしれません。特に長い時間癇癪が収まらないとき、気分がなかなか切り替えられないとき、外出先でどうしても収めたいときなどには、つい、頼りたくなってしまいますよね。ですが、その後、それが欲しくて癇癪を起こすというふうに意味合いが変わってくる可能性があります。「癇癪を起こしたら欲しいものが手に入った」という経験から、お子さまが菓子やおもちゃを欲しいときに癇癪を起こすということを学習し、要求のコミュニケーションとして癇癪を用いるようになるということです。ここでポイントとなるのが、欲しいものをあげることがよくないのではなく、「癇癪を起こしたからあげる」というのは避けた方がいいということです。反対に、事前に約束したご褒美であれば有効だと考えられます。例えば癇癪が起きる前に、「歯医者さんで頑張ったら、おもちゃを用意しているからね」と事前に提案しておいて、できたらご褒美をあげるというのは、苦手なことだけど必要なことに取り組んでもらうためにはとてもいいと思います。ご褒美の仕組みや取り入れ方については、以下の記事も参考にしてください。まとめ今回のコラムでは、オンラインセミナーでお伝えした内容をもとに、癇癪についての基本となる対応方法をお伝えしました。取り入れられそうなものがあれば、試してみてください。とはいえ、癇癪は、解決するのがとても難しいお悩みの一つです。対応する保護者の方にとって、家庭で抱え込んでつらくなってしまうこともあるかもしれません。癇癪が起きる要因は複雑で分かりにくい場合もあります。具体的に分析し、どのようにサポートするか方法を考えるハードルもあるでしょう。そのような場合には、相談機関や支援者の方への相談をお勧めします。近くに相談できる場所がないという場合には、サポートの方法のヒントが得られるオンラインツールなど、負担を減らす方法を検討するといいでしょう。発達ナビにもいくつかの選択肢があります。活用できるものがないか探してみてください。
2024年12月04日教室にいられなかった小1のリュウ太の特別スペースUpload By かなしろにゃんこ。Upload By かなしろにゃんこ。ADHD(注意欠如多動症)とASD(自閉スペクトラム症)の息子リュウ太は小学1年生の時、なかなか教室で授業を受けることができませんでした。そのリュウ太のために担任の先生は、階段がある廊下の一角にリュウ太専用の特別スペースを作ってくれました。その場所は、リュウ太だけが使えるルールになっていました。周りの人の目が気にならないようにホワイトボードを衝立代わりにしてあり、個室のような空間でした。また「リュウ太くんがこの場所にいるときは、リュウ太くんに話しかけない」というルールも作ってもらっていました。Upload By かなしろにゃんこ。リュウ太は、みんなと一緒に教室で何の問題もなく勉強していると信じていた母の私は、その特別スペースの存在を最初はよくは思っていませんでした。でも、母の気持ちとは真逆でリュウ太にとってはオアシスそのもの。一畳分の広さしかない場所でしたが、リュウ太はその場所がお気に入りだったと言います。17歳になったリュウ太に当時のことを聞いてみるとUpload By かなしろにゃんこ。リュウ太が専修学校の高等課程2年生の時に「あの特別スペースをどう思っていたの?」と聞いたことがありました。すると「あの場所大好きだったんだよね。教室はいろいろな音がうるさくて落ち着かないし、勉強よりも絵や工作をやりたかったから。その場所では自由に好きなことをやってOKだったから、午前中はだいたいそこにいたよ」と話してくれました。Upload By かなしろにゃんこ。Upload By かなしろにゃんこ。私はリュウ太が小学1年生の頃は知らなかったのですが、リュウ太には感覚過敏があり、教室に居られなかった原因はどうも感覚の問題もあったようでした。教室では「いろいろな音が同時に耳に入ってくる」「みんなの話し声がうるさくて勉強なんて無理」「暑かったり、まぶしかったり、汗で体がかゆくなったり、体の不快感がたくさんあって先生の話に集中なんてできない」……などなど困った状態であったと教えてくれました。これらの不快な症状があるときにクラスメイトからからかわれたり、ちょっかいを出されると一気に我慢していた心が崩壊してしまい、周りの子に怒鳴ってしまったり大きな声を出してしまったり、イライラしてしまうと教室に居られなくなっていたと言うのです。「あの場所がある」イヤなことがあっても学校に通えたUpload By かなしろにゃんこ。そんなときに特別スペースで気持ちを落ち着けることができたそうです。教室が暑くてツライとき廊下は涼しく気持ちがよくてサイコー!そして、一人で好きなことをやってOK!というルールだったから、イヤなことがあっても「僕にはあの場所がある」と学校に通えたみたいです。落ち着く場所ということ以外にもリュウ太にとっての安全地帯だったのかな?と思います。小学2年生からはそのスペースはなくなってしまいましたが、廊下の心地よさを知ったリュウ太はその後廊下で過ごすのが大好きになっていきます。そのお話はまた次の機会に書きたいと思います。執筆/かなしろにゃんこ。(監修:井上先生より)教室の環境が合わないお子さんに対して、避難できる場所を作るということはときどき行いますが、階段の下というのはめずらしいですね。こういった場所を作ると“みんなと同じ教室に入れなくなるのでは”という懸念を抱く保護者の方もいらっしゃるかもしれませんが、その場所があるから学校に行けたり、登校を維持できる場合があり、お子さんにとって大切な場所です。リュウ太さんのように一時的にはこういうスペースにいるけれども、最終的にはみんなと一緒に勉強ができるようになっていくという事例もあります。またそのプロセスもお知らせいただけるとうれしいです。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年12月02日癇癪の対応は難しい作業療法士の野田遥です。LITALICO発達特性検査の研究・開発に携わっています。今回は、2024年の夏に行ったLITALICO発達特性検査のオンラインセミナーでの講義内容から、特に保護者の方の関心の高かった癇癪(かんしゃく)について、講義内容を再構成して詳しくご紹介します。イベントの内容やLITALICO発達特性検査について、詳しく知りたい方は以下の記事を併せてお読みください。今回開催したオンラインセミナーでは、保護者の方の子育てに関するお悩みや、お子さまの困りについてをテーマに取り上げました。なかでも、事前の質問や当日の質疑応答では、癇癪に関するお悩みがたくさん寄せられました。お子さまの癇癪について悩まれる方が多く、またその困っている度合いも強いのだろうなと実感しました。まず前提として、癇癪への対応は簡単ではないと感じています。ご自宅だけでなくて、園や学校、外出先で困った経験のある保護者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。日々の中で、お子さまの癇癪が繰り返し起きると、全てにうまく対応するのはとても難しいです。仮に周りから「こうしたらいいよ」などと言われても、そう簡単に実践できないこともあるでしょうし、試してもうまくいかない場面が多いかもしれません。結果として、対応する保護者の方も、気持ちをうまく処理できなかったり、怒りがちになったりすることもあるでしょう。また、お子さまの癇癪について、癇癪の程度や頻度が高く特別なサポートや対応が必要なものなのか、それとも成長の過程で必要な一過性なものなのかなど、判断に悩む方もいらっしゃると思います。そのような場合、癇癪がなぜ起きているかに着目することで、対応のヒントが得られるかもしれません。今回は、癇癪が起きるメカニズムと癇癪に影響しやすい要因などについてお伝えします。癇癪についての理解を深め、対応方法を考える一助になれば幸いです。癇癪とははじめに、癇癪とはどういう状態を指すのか整理します。ここでは、怒りや不安、欲求不満などの感情によって、気持ちや行動のコントロールがうまくできなくなった状況のことを癇癪と呼ぶこととします。◾️癇癪が起きた際の行動例・声を荒げて泣く・激しく奇声を発する・手足をバタバタする・床に寝転がる・ものを投げる・足を踏み鳴らすなどまず始めに伝えたいのは、興奮しているときには癇癪が引き起こされやすいということです。興奮のレベルは常に変動しています。興奮のレベルが高い状態から寝起きのような低い状態まで、同じ人でも常に変動していて波があります。重要なのは、この波の振れ幅や繰り返しのスパンには個人差があるということです。強い興奮が起きやすかったり、頻繁に興奮のレベルが変わったりする人がいるということです。なぜ、興奮状態に癇癪が起きやすいかというと、興奮して感情的になっているときには普段できることもできなくなるからです。いつもは優しい口調で話せているのに、疲れてイライラしている時には意図せず強い口調になってしまうことは、誰もが経験することではないでしょうか。コミュニケーションの複雑さという観点で考えると、叩く・叫ぶというのは比較的単純な方法です。発達するにつれて、以下の図のように単語で伝える、短文で伝えるなどレベルが上がっていって、最終的には交渉するといった複雑なコミュニケーションができるようになっていくわけです。お子さまによって習得状況は違うと思うのですが、例えば、普段だったら「やりたくない」と口頭で意見を言えているのに、興奮状態の場合はその複雑なコミュニケーションができず、より容易な手段である「叩いて拒否する」、「泣き叫ぶ」という行動しか取れない場面があるかもしれません。普段できる行動が取れなくなりとった行動が、結果的に「癇癪」だったのかもしれません。このように、興奮と癇癪に関連性があると捉えると、興奮しやすい状況を把握し、興奮に至る前にクールダウンするなど、興奮の波のサインを把握して対応するということが、癇癪を引き起こさないために重要になってきます。お子さまにどのような興奮の波があって、どういうタイミングに興奮状態が起こりやすいか、ということを知ることで、癇癪へのアプローチの手段が増えてくるのではないかと思います。癇癪はなぜ起きるの?影響しやすい3つの要因癇癪がコミュニケーションに用いられてしまうのはなぜか?ということについて、押さえておきたい観点が3つあります。どうして癇癪が起きるのかというと、大きな理由の一つとして、要求を伝え、叶えるためのコミュニケーションの難しさがあげられます。誰もが小さい頃は癇癪のような行動をしていたと思います。例えば赤ちゃんは、生理的な不快がある時、泣きます。赤ちゃんには不快という状況に対して反応する方法がほかにないので、泣くことで示します。癇癪も同じで、不快だという感情を伝えるための手段として泣いたり、行動の形で示すことを機能としています。ほかに訴える方法がなく、泣くことや癇癪で要求を伝えていたお子さまも、年齢が上がってくるにつれて、ほかのコミュニケーション手段が増えていくため、結果として癇癪が減る場合が多いのです。一方で、うまく伝える方法がなかったり、気持ちのコントロールが難しかったりする場合には、癇癪を継続したり頻度や激しさが高まる場合があるかもしれません。ただし、年齢が小さい時とは、コミュニケーション手段としての使い方や意味合いが変わってきている場合があります。単に不快さを伝えるシンプルな意味から、「お菓子が欲しいから」「遊びをやめたくないから」「その場所に行きたくないから」といったように、何かを獲得するため・嫌なことを回避するためといった、複数の意味を持つコミュニケーション手段として癇癪が使われている可能性があります。Upload By LITALICO発達特性検査 編集部癇癪は成長とともに落ち着いていくことが基本的には多いです。気持ちのコントロールが上手になってくるだけではなく、癇癪ではない形のコミュニケーションの手段を獲得していくからです。先ほど「赤ちゃんはみな泣いたり癇癪を起こしたりして不快を伝える」という例えをしましたが、言葉の発達に遅れがあったり、伝えたい事に対してコミュニケーション手段が十分に獲得できていなかったりする場合は、ほかに要求を伝える手段がないから癇癪になりやすいとも考えられます。また、年齢が小さいお子さまは体が未発達なこともあって、まだできないこと、思うようにいかないということが多く、失敗体験をしやすいことも、癇癪につながりやすい要因の一つかもしれません。癇癪が起きやすくなる要因として、発達特性が関与している場合があります。例えば以下のような苦手なことがあると、要因1の興奮しやすさや、要因2の癇癪以外の適応的なコミュニケーションをとるのが難しいなどにつながりやすい可能性があります。その結果として癇癪となって現れるということもあります。・気持ちのコントロールが難しい・相手の意図を汲んだり、他者と自分意見を擦り合わせたりするのが苦手である・環境の変化に弱い・感覚の過敏さがある先ほど、年齢が上がることで癇癪が落ち着くことがあるとお話ししましたが、年齢が上がっても継続することがあります。その要因としては、「癇癪を起こせば思いが伝わる」など、癇癪がコミュニケーション手段として強固に身についている、ほかにコミュニケーションの手段がない、上記のように環境と特性がうまく噛み合わず、癇癪が起きやすい状態がある、などが考えられます。このような場合には、特性に合った対応や支援がより必要になるかもしれません。今回は、オンラインセミナーでお伝えした内容をもとに、癇癪が起きる仕組みや影響しやすい要因をお伝えしました。「なぜ癇癪が起きているのか?」という観点で振り返ってみると、もしかしたらお子さまの行動に影響している要因のヒントが見つかるかもしれません。とはいえ、癇癪は、解決するのがとても難しいお悩みの一つです。対応する保護者の方にとって、家庭で抱え込んでつらくなってしまうこともあるかもしれません。また、具体的に要因を探ったり、どのようにサポートするか方法を考えたりするにはハードルもあるでしょう。そのような場合には、相談機関や支援者の方への相談をお勧めします。近くに相談できる場所がないという場合には、お子さまの特性や背景要因、サポートの方法などのヒントが得られるオンラインツールなど、負担を減らす方法を検討するといいでしょう。発達ナビにもいくつかの選択肢があります。活用できるものがないか探してみてください。
2024年12月01日双極性障害(双極症)とは?原因や症状、ADHD(注意欠如多動症)との関連は?双極性障害(双極症)は、気分が極端に昂揚する躁状態と極端に落ち込む抑うつ状態を繰り返す精神疾患です。躁状態では、以下のような症状が見られます。・気分が高揚し、いつもより活発になる・睡眠時間が短くても平気・いつも以上に自信満々で、後先のことを考えずに行動してしまう・集中力が途切れやすく、一つのことを長く続けるのが難しい・衝動的な買い物やギャンブルをすることがあるなど一方、抑うつ状態では、以下のような症状が見られます。・気分が落ち込み、何もやる気が起きない・眠れない、または逆にいつも眠たい・食欲がない、または逆にいつもお腹が空いている・疲れやすく、身体が重い・何もかも嫌になり、自己否定的な考えが頭をよぎるなどこれらの症状は、人によって現れ方や程度が異なりますが、躁状態とうつ状態が交互に繰り返されることが特徴です。参照:双極性障害|MSDマニュアル家庭版双極性障害(双極症)は、状態によって1型と2型に分けられます。「双極1型障害」と診断されるのは、非常に高いエネルギーレベル、睡眠の必要性の低下、自己への過大評価、衝動的な行動など、日常生活に著しい支障をきたすほどの激しい「躁状態」がおこる場合です。双極1型障害では「うつ状態」(強い悲しみ、無気力、食欲不振など)も起きる場合がほとんどですが、躁状態があれば、うつ状態がなくても双極1型障害と診断されます。双極1型障害ほどの激しい躁状態ではなく、やや高揚した気分、多弁、活動量の増加などが見られる「軽躁状態」と、1型と同様の「うつ状態」の両方がおこる双極性障害(双極症)は「双極2型障害」と診断されます。双極性障害(双極症)の原因はまだ明らかになっていませんが、体内でつくられるノルアドレナリンやセロトニンなどの神経伝達物質の調節がうまくいかないことが原因の一つではないかと考えられています。双極性障害(双極症)は、ストレスを感じるような出来事のあとに発症する場合がありますが、因果関係は証明されていません。また、双極性障害(双極症)の発症には遺伝が関与していると考えられています。そのほか、甲状腺ホルモンの量が過剰になる甲状腺機能亢進症などの病気によって、双極性障害(双極症)の躁症状が見られることもあります。このコラムでは、・双極性障害(双極症)とADHD(注意欠如多動症)との関連・双極性障害(双極症)の注意すべき症状や関わり方のポイントなど、医師のアドバイスを交えてご紹介します。【医師に聞く】双極性障害(双極症)は子どもでもなるの?ADHD(注意欠如多動症)の症状と似ている?気になるギモンを医師が分かりやすく解説!ここからは小児科医の藤井明子先生に、双極性障害(双極症)とADHD(注意欠如多動症)の関連についての質問にお答えいただきます。Q:ADHD(注意欠如多動症)と診断された子どもがいます。双極性障害(双極症)を併発することがあると聞きましたが、子どもでも併発することがあるのでしょうか。A:ADHD(注意欠如多動症)やASD(自閉スペクトラム症)などの発達障害と双極性障害(双極症)が併発することもあります。ADHD(注意欠如多動症)と双極性障害(双極症)のどちらがメインなのかを診断するのは難しく、症状や経過を丁寧にみる必要があります。ADHD(注意欠如多動症)の診断には、幼少期、幼稚園の年長くらいまでの間に、何か兆候がなかったかを重点的に確認します。大人になってから急に発達障害があらわれることはありません。一方、双極性障害(双極症)の初発年齢は10代後半から20代前半が多いと言われています。小児期(10歳以下)での発症は稀ですが、報告例があります。幼い子どもにおいては、症状が非典型的であることが多く、診断が難しい場合もあります。Upload By 発達障害のキホンQ:ADHD(注意欠如多動症)と双極性障害(双極症)は重複する症状があり、診断が難しい場合があると聞きました。治療法には違いがあるのでしょうか?A:子どもの双極性障害(双極症)とADHD(注意欠如多動症)では、似ている症状が見られることがあります。Upload By 発達障害のキホンまた、双極性障害(双極症)と診断される特徴的な症状としては、以下のようなことが挙げられます。Upload By 発達障害のキホンADHDに対する治療薬(メチルフェニデート、アトモキセチン、グアンファシンなど)は多くの場合有効ですが、双極性障害(双極症)を伴う場合、躁症状の悪化を招く可能性があります。双極性障害(双極症)の治療薬(気分安定薬、抗精神病薬)を併用することで、症状のバランスをとる必要があります。Upload By 発達障害のキホンQ:高校生の子どもが双極性障害(双極症)と診断されました。どんな点に気をつけてサポートすればよいでしょうか。A:双極性障害(双極症)は躁状態と抑うつ状態を繰り返す病気であり、これが日常生活や人間関係に影響を及ぼします。家族が、病気の特徴を理解し、適切に対処することが大切です。双極性障害(双極症)は生活リズムが崩れることで症状が悪化しやすいといわれています。規則正しい生活を維持できるようにしましょう。また、症状を悪化を引き起こす環境がないか、学校との連携も大切になります。双極性障害(双極症)は、治療を継続することが安定した生活を送るために不可欠になっていきます。薬物療法を継続してできるように、サポートしていきましょう。Upload By 発達障害のキホン双極性障害(双極症)、ADHD(注意欠如多動症)にまつわるコラム(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年11月30日特別支援学校で不登校になった息子特別支援学校高等部3年生の息子は、アンジェルマン症候群という指定難病です。アンジェルマン症候群は重度の発達の遅れや知的発達症(知的障害)、動きがぎこちないなどの症状がある先天性の疾患です。息子は発語はありませんが、人が好きでニコニコと笑顔を振りまき、電車やバスといった乗り物が大好きです。そんな息子は2年生の11月から、特別支援学校で不登校になりました。11月のある朝のことです。息子が「以前骨折した腕が痛い」というアピールをしました。腕は完治しているはずなのですが、ちょうど寒くなってきた時期だったため、(寒さで古傷が痛むのかな?)と思い、私は病院へ連れて行きました。診てもらったところ特に腕に問題はなく、学校へは遅刻して行ったのですが、それから毎日のように病院へ行くというサイン、アピールが始まりました。Upload By ユーザー体験談参考:201 アンジェルマン症候群|厚生労働省不登校のきっかけは?体調不良アピールは続き……そして毎朝のように「病院へ行く」というサインは続きました。「学校へ行くよ」と言っても家から出てくれないので、その頃から私は「病院へ行って、その帰りに学校行くよ」と声がけをして息子を家から連れ出すようになりました。やがてはじめは腕だった痛みのサインも、鼻やら耳やら喉を指差すように変化。でも、いくら痛いアピールがあっても、病院へ毎日は行けません。すぐ近所の耳鼻科はほぼ行きつくすぐらいになってしまい、受付で事情を説明して何とか診てもらっていました。幸い病院のほうも「何かあるのかもしれないね~。先生に診察してもらうことで納得できるなら!」と言ってもらえたのでよかったです。そして病院へ行ったあとに学校へ連れていくも、だんだんと車から降りられなくなった息子。学校へは完全に行けなくなってしまったので、放課後等デイサービスに連れて行くようになりました。ですが、12月中旬になると放デイに送って行っても車から降りられず……。とうとう外へも出られない状態になりました。Upload By ユーザー体験談なぜ急に学校へ行きたがらなくなったのか……。あとから思ったことは、体調不良アピールが始まる1週間前にあった宿泊学習のこと。そこでなにか嫌な思いをしたのかも?ということが頭によぎりました。ただ学校に聞いても特に何かあったわけでないそうです。きっかけが分からないまま、息子の不登校は続きました。配布物、提出物のために学校へ通う日々いつか学校へ行ける日がくるはずと思った私は、学校へ配布物を取りに行ったり、提出物を持っていったりしていました。基本は私一人でやっていたのですが、病院に行った日などは息子も連れていくようにしました。二人で行く時は大体下校時間ぐらいに行くようにしました。下校中のお友だちがいると息子に声かけしてくれるので、そのほうが息子も動けるような気がしていたのです。ですが、息子はお友だちには笑顔で反応するのですが、車を降りることはできませんでした。下校が落ち着いて人がいなくなったあと、「書類を取りに行く、取ってきたら帰るよ」と声をかけると降りることもありましたが、それは稀。先生たちが付き合ってくださる時間も限られているので、先生が昇降口に置いてくれた書類を私が息子を誘導する形で取りに行き、車へ戻りました。また息子の不登校は私たち夫婦の仕事にも当然影響しました。私は上司と相談して在宅勤務に切り替えました。どうしても出社しないといけない時は、夫に半休を取ってもらいなんとか乗り切る日々でした。バスが好きな息子なら行けるかも?校外学習に参加そして年が明けて2月、校外学習がありました。バスに乗って出かけ電車で帰ってくる行事です。先生が「息子さんはバスと電車が好きだから、参加しませんか?」と声をかけてくれました。当日、私は出発時間ピッタリに登校させ、教室へ行かなくても息子がそのままバスに乗れるようにしました。無事バスに乗っていってくれた時は「よかった……!」とほっとしました。校外学習では、昼食(ファミレス)も、トイレもできて楽しんでいたそうです。これがきっかけで、2月中旬から3月初旬は学校に通うことができました。ですが、中旬からまた家から出られなくなり、毎日病院のサイン……。「病院に行ってから学校に行くよ!」の声かけで家から出れましたが、学校に行くと車から降りられずという状態が続きました。そのまま4月は不登校。でも校外学習の時うまくいった経験があったので、5月の修学旅行も行ければ良いなと思った私。修学旅行の事前学習のある日は登校するようにチャレンジしましたが、結局学校には行けませんでした。そこで、先生にお願いして修学旅行の資料をもらい、家で事前学習をすることにしました。宿泊するホテル、行き先、食事場所などの動画をタブレットで見せ、「ここに行くんだよ!楽しそうだね」と声かけをしました。Upload By ユーザー体験談新幹線に乗り、2泊3日の修学旅行へ。母も影から見守り……修学旅行先は大阪、2泊3日です。幸い、ホテルも行き先も以前いったことのある場所で、新幹線も乗り慣れていたことが功を奏し、修学旅行にはなんとか参加することができました。帯同こそしませんでしたが、実は私も大阪へ行きました。何かあった時にすぐに駆け付けられるようにと思ってのことです。ほかの保護者の方が帯同していたので、息子の様子を撮った写真や動画を送ってくれていたのですが、それを見ると楽しんでいる様子でほっとしました。あとから先生に聞いたところ、睡眠時間はいつもの半分ぐらいだったようで、最終日の昼食はほぼ食べられませんでしたが、ほかは普通に食べられた様子。かなりの疲労はあったようですが、「参加することに意味がある!」と。お友だちと一緒に行動できて、少しでも楽しい気持ちになれたのではと思いました。最終日、見つからないないように尾行(?)して様子をみましたが、先生が息子にマンツーマンで付いている感じはなく、エスカレーターに一人で乗っているところを見た時はびっくりしました。息子は疾患のため姿勢を保つことが難しく、倒れてしまうことがあるのですが、体勢を崩した時にすぐに対処できる様子ではないことに驚いたのです。先生たちは、「息子は割と何でもできる」と判断しているところがあって、学校生活でもこのような状況があったのでは?と、感じました。特に大きな問題を起こさず、比較的穏やかに過ごせている息子。ただ手をかけなくても、安全のためにも目はかけてもらいたい……。もしかしたら本人は孤独を感じていたのかもしれないと想像しました。学校からの提案で、学校へ通えるようにこの修学旅行のあと、学校から「息子さんが車から降りられない時は、私たちが降ろして連れて行ってもいいでしょうか」と提案いただき、そのように対応していただくことにしました。これで、息子は登校できるようになりました。先生からの提案で始まったことですが、車から連れていく際パニックになることはあっても教室では落ち着いているようで、先生も私もびっくりしてます。車を降りられた時、周りが拍手喝采してくれるのですが、その時の息子はすごくいい笑顔!周りから関心を持ってもらえていると実感することが、いい方向に働いているのかもしれません。現在、木曜~週末は自ら降りることもあるのですが、月曜日や長期休み明けは先生に連れていってもらっているようです。Upload By ユーザー体験談息子が学校に行ってくれることで、私も以前のように仕事ができるようになり、とてもありがたいです。ただ今後、卒業後にこのようなことがあったら……と思うと不安です。生活介護の事業所では、ここまでの対応は難しいと思うからです。特別支援学校の卒業が迫ってきました。残りの学校生活を楽しく過ごせることが願いです。イラスト/keikoエピソード参考/こうちゃんママ(監修:鈴木先生より)「少しでもできたら褒めること」が大切です。アンジェルマン症候群は重度の知的発達症を伴います。何ができないかよりも何ができたかに注目することが重要です。注目されることを好むお子さんも多いので、今回のようにバスから降りた時に拍手喝采があれば喜びます。定型発達の子どもが普通にできることでもアンジェルマンの子はそれを行うために努力をしているからです。修学旅行の睡眠時間が半分だったことからも、息子さんにはアンジェルマン症候群に多い睡眠障害が併存しているものと思われます。6歳から15歳までであればメラトニンの補充療法などで入眠を早めることも可能なので、一度主治医に相談をしてみましょう。参考:アンジェルマン症候群の特徴|NIPT Japan(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
2024年11月28日「お子さまの困りごとはどうして起きる?」解決の鍵は「背景」を紐解くことUpload By LITALICO発達特性検査 編集部「一度癇癪が起きると収めるのが大変」「本人がどうして苦手なのか分からない」「どうサポートしたらいいか分からない」など、子育てについての悩みについて、解決法が見つからず悩む保護者の方は多いのではないでしょうか?そのような声に応え、2024年7月に、LITALICOでサービス開発などにも携わる作業療法士の野田遥さんのオンラインセミナーが開催されました。「癇癪やこだわり等、お子さまの困りはどうして起きる?サポート方法をまるっと解説!」と題した今回のセミナーでは、困りごとをどう捉え、サポートしていくかについての解説のほか、当日参加した保護者の方からのお悩みや具体的な事例の相談の機会もあり、時間いっぱいまで質疑応答を行ないました。今回は、イベントの内容を再構成してご紹介します。「どうして困りごとが起きるの?」困りごとを読み解くための考え方とはセミナー前半のテーマは、「お子さまの困りごとについての考え方」でした。まずは、困りごとや生きづらさ、困難さがどのように起きているのか、本人の「特性」との関係や、またそれが障害となるのはどのような時なのかについて、野田さんから分かりやすく解説がありました。(野田さん)「LITALICOでは、個と環境の相互作用の中に生きづらさや困難さがあると考えています。今回はこの基本に沿って、困りごとがなぜ起きているかを考え、何に着目すると解決する方法が見つかりやすいのか、ということをお伝えできればと思います。個人の特性の高低・強弱だけで診断が決まるのではなく、実際に過ごしている環境の中で困りが生じているかが重要なポイントになってきます。ただ、ここで誤解していただきたくないのは、「環境が悪いから障害が起きる」というわけではないということです。決して、保護者の方の接し方や育て方、周りの環境がよくないから困りごとが起きたり、解決できなかったりするという意味ではありません。今の社会の仕組み、家庭以外の環境も含めて考えていくと、環境を整えてもなお、困りを感じやすい特性や、困りごとが強く出てくるケースもあります。それを踏まえた上で、社会全体の仕組みをどのように整えるか、お子さまやご家族を取り囲む状況のなかで、どのようにして困りを減らしていけるかということを考えることが、ポイントになってくると思います」(野田さん)「ある環境の中で、特性が困りとなって現れているのかどうか、ということが、重要になってくると考えています。困りごとの解決方法について考える時も、例えば、「ASD(自閉スペクトラム症)の診断があるからこの対応をする」というような考え方ではなく、お子さまの発達特性や状況、環境を個別に把握し、それに合った対応方法やサポートを考える必要があります。また、診断がなくても困っていることがあったら当然サポートが必要になってきますよね」野田さんからは、特性が強いが診断されていないというパターンもあること、また、一つの診断がある方にさまざまな併存症・併存的な特性が存在するケースも多く見られることもあるという最新の研究や、「発達特性」とはそもそもどういうものなのかの定義などの解説がありました。Upload By LITALICO発達特性検査 編集部紹介された公認心理師である井上雅彦先生の定義からは、特性の強さも人によって異なり、診断の有無や診断名だけを見て判断するのではなく、個人についてのアセスメントが重要だということが分かります。この考え方については、発達ナビのコラムでも詳しくお読みいただけます。お子さまの困り、「なぜ」を飛ばして解決策を考えていませんか?続いて、具体的に困りごとを解決するため、まずお子さまの状態や特性を調べ、どうして困りごとが起きるのかを把握する方法が紹介されました。(野田さん)「困りごとを解決したいと考えたときに、『なぜその行動が起きるのか?なぜ適応的ではない行動をとるのか?』といった疑問を飛ばして解決方法を考えていませんか?」Upload By LITALICO発達特性検査 編集部(野田さん)「例えば『授業中に立ち歩く』という課題があったとします。立ち歩かないように注意すると、その場ではやめられるかもしれません。しかし、そのお子さまが立ち歩いている根本的な原因に対応できていないので、また別の場面や時間が立ったら同じことが起きるかもしれません。また、この行動を引き起こしている原因が、別の形で別の困りや行動につながっていく可能性もあります」野田さんは、困りごとから一直線に解決策を考えるのではなく、そもそもどうして困りごとが起きているのか、「なぜ?」を考えるということを挟んで、困りごとの背景からアプローチしていくことが根本的な解決のために大切だと言います。「困り→背景要因→サポート」で、なぜ困りが起きているかにアプローチ(野田さん)「『この困りにはコレ!』という一直線の考え方ではなく、『背景を知る』ということを間にはさむと、根本的な原因に即した適切なサポートを選びやすくなります。では、実際にどのように考えていけばよいのでしょうか?以下のフレームワークで見ていきましょう」Upload By LITALICO発達特性検査 編集部まず、どのような場面で起きるか? ということを観察し、仮説を立てていきます。(野田さん)「小学校1年生の男児で「学校で耳をふさいでパニックになることがある」というお子さまの例を取り上げてみましょう。どのような場面で困りごとが出るのか?困りごとの現れ方が異なる場面はないか?など、複数の場面を比較して背景を深掘りしていくと、より『なぜ?』が見つけやすくなるかもしれません」野田さんからは、具体的な仮説の例として・大きい音は大丈夫だけど、反響する音が苦手なのかな?・いつもと違う状況が苦手なのかな?などが挙げられました。ただ「音が苦手」と捉えるだけでなく、背景は何かという仮説を立て、さらに深掘りして考えていくことで、具体的な方法や取る手段が変わっていくのが印象的でした。野田さんの解説から、こうした小さな違いが、サポート方法が合うか合わないかということにつながっているのではないかという気づきが得られました。とはいえ、実際に試してみないと分からないということもあるといいます。(野田さん)「例えば、聴覚過敏のある方がノイズキャンセリングを使うことで、全体的に音量が下がることで逆に苦手な音が気になることもあります。こういったことは、実際に試してみないと分からない場合もあります」野田さんの方法を試す際には、仮説を立てて、実際に試して検証していくという試行錯誤のサイクルを繰り返していくことが必要で重要だということです。だからこそ、できるだけ確度の高そうな仮説を立て、合いそうな方法を選び、試していくことがうまくいく方法が見つかりやすくなるポイントになってくるのではないでしょうか?背景に合った個別的なサポート方法を考えていく上で、もう一つのポイントとなるのが、「困り→背景→サポート」は一対一でつながっているというよりは、「多 対 多」の構造になっているということだと言います。(野田さん)「一つの困りにもいろいろな背景があるし、背景はいくつかの困りに関係している、そしてそのサポートもいくつか考えられる。すごく複雑なんですよね。困りだけみて決め打ちしないのがとても大事なんだな、というのが分かっていただけるといいなと思います」複数が関係している可能性があることを前提に、困りだけを見るのではなく、また背景やサポートも一つだけに絞らず、さまざまな角度からアセスメントをし、サポート方法も複数試すことが重要であるそうです。また、以下もアセスメントのポイントとして挙げられました。・複数の困りに共通して存在する背景もある・複数の背景に共通のサポートが適切な場合もある・一つの背景に複数のサポートが考えられるなどとはいえ、実際にはこのような複雑な要因や方法を家庭でアセスメントをしてサポートしていくのは、かなりハードルが高いのではないでしょうか?(野田さん)「ご家庭で取り組むのが難しい場合は、アセスメントに役立つツールや専門家への相談なども活用していただくことをおすすめします。例えば、私が開発に携わったLITALICO発達特性検査は、『困り→背景→サポート』という今日使った考え方に沿って作られています。お子さまの困りや背景要因の分析をし、お子さまにあったサポートを考えるのはすごく大変だと思うのですが、オンラインの検査を受けるだけで結構な情報量のレポートが出るサービスです。受検することで思考の整理ができるので、専門家に相談する際の材料としても使っていただけると思います」Upload By LITALICO発達特性検査 編集部質疑応答と参加者の方の感想オンラインセミナーでは、「逆上がりが苦手」、「靴紐が結べない」、「癇癪」、「きょうだいに対して手が出てしまう」など、保護者の方から具体的な困りごとについてさまざまな質問が寄せられました。野田さんからはそれぞれのケースについて、時間いっぱいまで解決方法の提案がありました。イベント後、参加者の方からは分析や実際の対応方法についての感想が多く寄せられました。「行動の前後をみて、どうして困り感があるのかを考えることが大切だと分かりました」「1つの行動に対するアプローチは1つではなく、多くの選択肢を挙げられると、本人の思考や行動の幅も広がっていくのではないかと思いました。できることからやってみようと思います」「癇癪やパニックの行動のみに着目するのではなく、その前後の関わりや言動をよく観察し、柔軟に支援していくことが大切だと感じました。パニックになったときに注意などはせずにクールダウンする場所をつくるなど、具体的な関わりについて学ぶ方ができてよかったです」「なぜ」に注目して、困りごと解決への道を見つけよう野田さんのレクチャーを聞いて、一見同じような困りごとも、背景が違えば対応方法も変わる場合があることが分かりました。だからこそ、今回の野田さんによるレクチャーのように、背景に着目し、よりお子さまの困りごととその根本に向き合えるサポート方法を探すことがポイントになって来るのではないでしょうか。「困り→背景要因→サポート」は、LITALICO発達特性検査でも用いているフレームワークです。この方法は、「今、困っている」という保護者の方にとっては、一見遠回りに見えるかもしれませんが、困りごとを軽減していくために必要なステップだともいえます。課題ができたとき、「では、なぜ困っているのか?」と振り返る機会を持つことが、困りの解決に向かう糸口につながるかもしれません。その際、背景やサポート方法を適切に判断・選択するには、より詳しい知識や観察の手法が必要になるかもしれません。一方で、参加者の中には、実践は難しいと感じる方もいらっしゃるようです。参加者アンケートでも「実践が難しい、保護者だけでは解決しきれない」と回答された方もいらっしゃいました。そのような場合には、セミナーでも紹介があったように、ツールや周りの方の力を借りることも、保護者の方が実践される際にはポイントになってきます。・支援者や周りの人に相談する・発達ナビのコラムで同じような特性・ケースの事例を読む・発達ナビPLUSなどのオンライン相談ツールを活用する・LITALICO発達特性検査で背景要因とサポートの方向性を知るなどぜひ、さまざまなツールや機会を活用し、困りごと解決に向けて、取り組んでいただければ幸いです。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年11月27日小学校1年生の冬、発達障害と診断されましたUpload By もっつんタクが発達障害だと診断されたのは、小学校1年生の冬のことでした。授業中に静かに座っていられないなどの多動性と、道路に飛び出したりする衝動性が酷くて困っていました。病院に行って診察してもらうのは、私にとってとてもハードルの高いことでしたが、突発的な他害などが問題となったことが、病院で診察を受ける後押しになりました。スクールカウンセラーの先生に小学校で知能検査「WISC」を行っていただき、紹介状を書いていただいて診察へ向かいました。最初に行った病院では「親の躾の問題」とも言われ、タクの問題行動は私の接し方が悪いから?と、とても悩み落ち込みました。ですが、すごく親身になってくれたスクールカウンセラーの先生のおかげで別の病院で再度診察を受けることになりました。そして次に行った病院の小児神経科で、タクは正式にADHD(注意欠如多動症)だと診断されました。また、ASD(自閉スペクトラム症)の特性も強く持っているとのことでした。診断された時は「あぁ、やっぱり」と強く納得したのを覚えています。ついに服薬開始。先生の説明を聞く息子の反応は…Upload By もっつんこの頃のタクは道路で急に走り出したり、お友だちに対しての危険行為があったので早急に対策が必要でした。先生から提案されたのは薬の服用。ひとまず他害行為を落ち着かせるために、気持ちが落ち着く作用があるというお薬として、「インチュニブ」を処方されました。処方にあたって担当の先生はとても丁寧に、タクに向かって説明してくれました。「教室で急に走りたくなったり友だちを叩いてしまったりで、怒られてつらいよね。本当はやっちゃダメだって分かってるんでしょう?」「これは君の中の『ガマンしたい』という気持ちを手伝ってくれるお薬。これを飲んでも良い子になれるわけじゃないよ、ちゃんと自分でもガマンの心を応援してあげないといけないよ」と話す先生に、タクは「分かった!」と返事をしていました。子ども目線で話してくれる先生に感動しつつ、帰宅後も改めて薬を飲む意味を説明しました。少しでも他害や問題行動が減って、落ち着いた学校生活をおくれますようにと願いを込めて服薬開始したのを覚えています。服薬は本人の気持ちを応援してくれるサポーターUpload By もっつん幸いなことにタクの場合は副作用も現れずにスムーズに服用できていました。しかし効果もあまり感じられず、突発的なトラブルは発生していました。定期診察時に相談すると「神経系の薬は人によって合う合わないがある」と改めて説明を受けて、ほかの薬も試してみることにしました。そしてほかの薬を経て、タクがたどり着いたのは「コンサータ」という薬でした。1度の診察で処方できる量が限られているので、1か月に1回以上は通院する必要があり、薬局でも毎回登録カードと身分証明書が必要です。ほかの薬に比べて取り扱いが大変な印象があるコンサータでしたが、これはタクに合っていたようでした。本人も体感で分かるほどに「今やらなきゃいけない事に集中できる」と周りの雑音や誘惑に振り回されることが減りました。ちなみに母親である私自身もADHDがあり、コンサータを服薬しています。注意散漫になりがちな場面で、もう少し頑張れそうという気持ちが湧いて1つの事に集中できるようになったかなと思います。ただ、服薬はメリットばかりではないので、体調変化など気になることがあれば主治医の先生にご相談するようにしています。服薬しないと学校にも行けないの?と不安になる日々もあったけどUpload By もっつん合う薬に出合えてからは、タクは学校での問題行動が減ってきたようでした。特別支援学級の先生や補助の先生が手厚くサポートしてくださったおかげで友だち関係も改善されていきました。しかし平穏な時間はずっとは続かず、また少しずつ荒れていきました。仕事中の私に小学校から電話があり「タクくんが帰りたいと言っています、落ち着かない様子です」「今日はお薬飲み忘れでしょうか?持ってきてもらえますか?」という内容でした。何度もそんな事が続き、仕事を早退して迎えに行くこともありました。タクが学校で落ち着かないのにはいくつか理由がありましたが、原因の一つに薬の飲み忘れがありました。飲み忘れた日はやはり多動の特性が強く出ていて、友だちと衝突してしまうこともあったようです。忙しい日々で服薬について毎回確認できていなかったことに責任を感じつつ、「周りの子は落ち着いて登校できているのに、わが子は服薬しないと学校生活がままならない……」と必要以上に落ち込むことがありました。なんでこんなにトラブル起こすの?お願いだからトラブル起こさないで!とやり場のない感情で悩みは深まっていきました。タクの薬の飲み忘れについて改めて話すと、「最近調子が良いから、飲まなくても大丈夫だと思った」と言われたことがありました。しかし飲み忘れた日は結局気持ちも行動も落ち着かずに、失敗して怒られるという悪循環を断ち切らなければいけません。そこで、飲み忘れ防止のために工夫をしていきました。日付入りのピルケースに薬を準備したり、服薬チェック用のマグネットをつくったり。その甲斐もあってか飲み忘れることは減っていきました。薬は一生飲み続ける?Upload By もっつんこうして服薬を続けてきたタクですが、現在は中学3年生(特別支援学級に在籍)になりました。今の薬との付き合い方はとてもうまくいっていると思います。時々飲み忘れて登校してしまうこともありますが、明らかに授業中の集中力に差があるので補助の先生がすぐに気づいてくださり、自分で予備に持ち歩いている分で対応するなどしています。そしてタク本人の希望もあり、週末などは休薬日を設けています。特に放課後等デイサービスの友だちと遊ぶ日は「今日は飲まない」と言っています。気が合う友だちと思いっきり遊びたいという気持ちもよく分かるので、学校や放課後等デイサービスの先生と連携をとりながら対応しています。今まで服薬させながらの子育てを長くやってきて、この先も飲み続けるんだろうなぁ……と漠然と考えていた私でしたが、先日の定期診察の時に驚く事がありました。「来年は高校生になるから、受験が終わったら薬を減らしていこうね」と主治医の先生に言われたのです。びっくりして思わず「ええっ?」と聞き返してしまいました。この年頃になると内面もちゃんと成長していることが多く、最初から中学3年くらいで服薬は終わりにするつもりで処方してきたとのことでした。そして、注意欠如は残っていますが、多動性の部分がかなりなくなっていることが決め手だそうです。長い間、服薬してきたので不安な気持ちもありますが、信頼している先生とご相談しながら見守っていきたいと考えています。これから高校進学という大きなイベントを控えたわが家ですが、タクのことを信じて乗り越えていきたいと思っています。執筆/もっつん(監修:藤井先生より)ADHD(注意欠如多動症)の薬には、コンサータ、ビバンセ、アトモキセチン、インチュニブの4種類があります。お薬の形状、効果が出るまでの時間など薬によって違います。今回処方された、インチュニブは食欲不振やチックなどの副作用もないため使いやすいですが、効果が出るまで数週間要します。コンサータは飲んだら12時間効果が持続するため、集団生活での多動・衝動性には効果を認めます。服薬終了のタイミングは、お子さんの様子を見ながら検討していきます。もっつんさんが、大人になってからコンサータを飲まれているように、高校進学前に薬を服用終了しなくてはならないというわけでもありません。薬を飲むメリット、デメリット(副作用)などを主治医の先生と相談しましょう。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年11月27日いざ就学相談へ!家族の希望は通る?知的障害(知的発達症)を伴うASD(自閉スペクトラム症)と診断されている長男りー。年長になってすぐ、就学先をどうするかについて検討することになりました。夫婦で話し合い、実際に学校を見学した結果、公立の特別支援学校を希望することにしたわが家。家族の希望が決定したあと、いよいよ地域の就学相談に臨みました。就学相談とは、地域を担当する相談員さんが子どもの状態や成育歴を確認した結果をもとに、教育支援委員会が就学先の判断を行うというもの。私たちが相談員さんと話をしている間、りーは別室に通され、できることなどを確認するテストを受けたようです。私たちは、りーの状態を5段階(できる・補助があるとできる・できるときとできないときがある・ほとんどできない・できない)に分けて、相談員さんの聞き取りに答えていきました。Upload By かし りりあ後日就学相談の結果が届き、私たちが希望した通り、公立特別支援学校への就学が適当とのことで、りーの就学先が決定しました。就学準備はまだまだ終わらない!理想の「放課後等デイサービス」を探してこうしてめでたく就学先は決定したのですが……次はりーが小学生になってから通うための放課後等デイサービス探しが始まりました。役所からもらった一覧表にはたくさんの事業所の名前がずらり……。りーに合っていそうなところや私たち夫婦の希望を話し合い、こういうところがいい!という私たちなりの理想ができました。Upload By かし りりあ・遊びを通して体力づくりができるところ・季節の行事があるところ・りーが楽しく過ごせるところこの3点のポイントをもとに何か所かの事業所を探し出しました。早速連絡を入れて見学の予約をしたのですが、ここからがなかなか大変でした……。理想通りの施設にはなかなか出合えない…でも求める条件は譲れない!まずは運動療育を中心に行っている施設に見学に行きました。中に入ると、ダンススタジオのような鏡が一面に広がっていました。自分の姿を見ることが大好きなりー、楽しくすごせるかな?と思ったのですが、りーは体験を拒否。活動は時折見るのですが、参加は嫌だったようです。続いて見学したのは遊びが充実しているという施設。1か所目と比べると施設内はあまり広くありませんでしたが、りーは見学中も嫌がることなく、本を読んで過ごしていました。その日は発語のない子が通所していたので、見学の間、そちらの様子をそれとなく伺っていた私。その子と一緒に過ごしている先生がいましたが、子どもへの声掛けが少ないことが気になりました。たまたまだったのかもしれませんが、「もしかして、発語のないりーにも、あまり声をかけてもらえないのかな」と感じてしまい、こちらの施設に通っても、りーが楽しく過ごせないかもしれない……という印象を受けました。Upload By かし りりあこのように、2つの施設を見学させてもらいましたが、いずれもピンとこなかった私たち。しかも、私の中で新たな条件ができてしまいました。Upload By かし りりあそれはりーが個別にすごせるスペースがほしいというものでした。というのも、りーは見る力が強く(パズルなど数回見るとすぐに完成させることができます)、それが長所でもある反面、いろいろなものが見えるがゆえに注意力が散漫になりがちです。当時りーが通っていた療育園では、課題を行う際には一人ひとりの間に仕切りがあり、個別の環境で集中して取り組めるようにしていただいていました。それまで見学した施設には個別のスペースがない、もしくは少ない印象を受けたので、りーが集中して活動に参加できないのでは、と考えたのです。そして3か所目、行事が充実しているという施設を見学しました。こちらは勉強や課題を行う際には机に向かって行い、公園遊びなどの戸外での活動もさかんとのことでした。見学した日は室内遊びをする日だったので、みんなで賑やかにドッヂボールを行っていました。声が大きいところは苦手なりーですが、すっかりなじみ表情も楽しそう。私たち夫婦の理想にも合っているこちらの施設に通うことに決めました。Upload By かし りりあそして後々、以前りーが通っていた児童発達支援から放課後等デイサービス新設のお知らせが来ました。誘ってくれたのはりーを幼い頃見てくれた先生。そちらも見学したところ、個別スペース、行事や体力づくりなど私たちの理想もかなっていました。そして何より「りーの成長を今後も見させてほしい」という先生の言葉にうれしくなり、こちらの施設にも通うことになりました。こうして2つの施設を併用することに決めた私たちですが、放課後等デイサービスの先生からあるおすすめを受けました。相談支援員の方についてもらったほうが良い、と……。そちらの話はまた別の機会に書いていきたいと思います。執筆/かしりりあ(監修:室伏先生より)りりあさん、就学相談や放課後等デイサービス探しについて詳しく教えていただき、ありがとうございました。就学相談に関しては、見学がとても大切ですが、教育委員会が方針を示してくれるので、進む方向が見えやすいかもしれませんね。一方、放課後等デイサービスの情報収集はご家族のご負担が大きく、活動内容も多岐にわたるため、大変だと感じられているかと思います。実際の体験を通じたこうした情報は、とても参考になりますね。また、通っている発達支援施設や医療機関のスタッフ、地域の窓口(保健センターや子育て支援センター、発達障害者支援センターなど)に相談してみるのも、一つの方法かもしれません。お子さんの特性やご家庭の希望に合った支援や環境が見つかりますよう、お祈りしています。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年11月24日子育ての悩み、何から手をつけたらいいか分からないときLITALICO発達特性検査を受検される方は、おそらくなんらかの課題や悩みがあって利用されると思います。以前、検査結果にはその具体的な解決のヒントが紹介されているとお話ししました。今回は、実際にレポートを読んだ際に、何から取り組むかをテーマにお話しできればと思います。お子さまの課題や困りごとがいくつかある場合、どれから取り組んでいいのか迷いますよね。あるいは頑張ってあれこれ試してみたけれども、なかなか効果が見えにくく、疲弊するという方もいるのではないでしょうか。取り組むべき課題の優先順位のつけ方や、どのような対応方法を選び何から試すのか、家庭で考えて選択していくのはなかなか難しいことだと思います。Upload By LITALICO発達特性検査 編集部検査結果レポートを、お子さまについての「辞書」だと考えて家庭で取り組む際にLITALICO発達特性検査をヒントにしていただけるといいなと思っているのですが、その理由の一つが検査結果のレポートにあります。LITALICO発達特性検査のレポートの量は、検査対象のお子さまによって変わります。困りや特性が強い傾向のある場合や、複数の分類の特性があるお子さまの場合には、それだけ検査結果も多く出力されることになります。PDFにした場合、40ページくらいの方から、多い方で100ページを超える方もいらっしゃると思います。これは、一般の心理検査に比べると、検査結果のレポートの量としてはかなり多いでしょう。LITALICO発達特性検査のレポートは詳しい内容が広い分類にわたって出力されますし、解決法もできるだけ多くの選択肢が持てるように複数提示されるようになっています。この量を受け取るとびっくりするかもしれないですね。ちょっと多いな、読むのが大変だな、と思われる方もいるかもしれません。せっかく検査を受けたのだから、しっかり読みこんで、対応方法を試さないといけないと考える方にとっては、量が多いとプレッシャーに感じるかもしれないですね。検査結果レポートの量が多いと感じる場合は、辞書のように気になるところを調べ、いくつか載っている選択肢から必要そうなところを選ぶというイメージで使うといいと思います。「お子さまのサポート辞典」、あるいは「優先順位をつけるためのヒント集」というイメージです。私は、結果が出ても、すぐにすべてを読まなくてもいいのではないかと思います。逆に、検査を受けたときにさっと目を通して終わりではなくて、手元に置いてずっと使ってほしいとも思っています。対応方法もいっぺんに取りかからなくても大丈夫です。そう考えていただくと、ボリュームが多かったとしても、そんなにプレッシャーにならないのではないでしょうか。何から始めればいいか分からない場合の優先順位量が多くて何から始めればいいのか迷う場合の具体的なアドバイスもお伝えします。課題が多い際には、取捨選択をして優先順位をつけていくことが大事なのですが、どうしても「一番苦手なことや、一番目立っている課題から」と考えがちですね。でも私は、どちらかというと、ちょっと困っていて、ちょっとやり方を変えられそうなことが、まず試してみるにはちょうどいいと思います。一番困っていることや苦手なことって、なかなかすぐには変えられなかったり、お子さまにとっても負担が大きいことでもありますよね。苦手なものよりは比較的得意なものから取り組むと、うまくいきやすいですし、成功体験になります。また周りの人もどうしたらできるようになるか、共通理解をしていけるといいですね。そのためにも、手をつけやすい課題がおすすめです。大きな目標に取り組む場合、課題を分解して小さな目標にしていくといいと思います。うまくいかなかったとしても、それは失敗ではなくて、どうしてうまくいかなかったか、より適切な方法はないか改善点を考えるための材料になります。周りの方と話し合ったり、相談して別の方法を試すための出発点として使っていただくのもいいですね。どれが試しやすいか悩むなというときや、やはり今一番困っていることから取り組みたいという場合には、ぜひ、専門家に相談して一緒に取り組むといいと思います。年齢や発達段階によっても変わる優先順位の考え方もう一つのポイントとして、その子の発達段階や環境などによって、取り組む優先順位や手段を選んでいくといいなと思っています。特に、スキルの獲得と環境調整について、この観点が大事になってきます。詳しく説明しましょう。サポートの方法として、大きく挙げられるのがは本人がスキルを獲得できるように促していくという考え方と、周りを本人に合わせていく環境調整です。両方大事な考え方なのですが、「どちらをより重視すべきか」とよく聞かれます。時々誤解をされることもあるので、あえてお話しすると、これは特性のあるお子さまにとって、苦手とどう向き合うかという話にもつながると思うのです。苦手を克服するために訓練する・我慢する、あるいは苦手なところはすべて環境調整で補うというふうに両極端に捉えて考えると、なかなかうまくいきません。スキルトレーニングだけでは解決できず、無理や疲弊につながる可能性があったり、環境調整だけではお子さま本人にとって本来獲得すべきスキルが身につかなかったりするからです。スキルトレーニングと環境調整、どちらか一方だけではなく、そのときの発達段階や環境に応じた方法を選択したり、両方をミックスしていくことがポイントになります。もしかしたら、保護者の方だけで、まずどちらからやってみるか決めたり、ちょうどいい落としどころを見つけるのは意外と難しいかもしれませんね。やってみてうまくいかない場合や、対応方法の選択に葛藤した場合、LITALICO発達特性検査のレポートを支援者や専門家に見せることで相談もしやすくなります。年齢が低いお子さまの場合、発達段階の途中としてスキルを獲得するということがまだまだ必要な場合もあります。また、発達段階を飛ばしていきなり難しいことに取り組むのも、無理があるということもあります。そのときにちょうどいい、「ちょっと頑張ればできそう」に取り組んで、スキルを獲得していくということが重要になってきます。逆に、年齢が上がってくると、頑張って苦手なスキルを獲得することよりも、周りや本人が自分の特性を理解して、うまく付き合っていく方法を身につけるというほうが大切な場面も出てきます。例えば、うまくいかない場合に別の方法に切り替えたり、周りに助けを求めることができるスキルをつけていくという方法です。LITALICO発達特性検査で紹介されるサポートの方法や、困りごとの事例は、3歳から高校生の年代まで、それぞれの年齢に応じた内容で出し分けられます。なので、同じ特性であってもお子さまの年齢によってレポートの文章や内容が変わるのです。その理由の一つが、発達段階や環境などに応じた対応方法を選んでいくという、先ほどお伝えした観点にこだわっているからです。幼稚園で現れる困りと高校での困りは当然違うし、その解決法やサポートも変わりますよね。ですので、同じ特性や困りごとであっても、年齢に応じた適当な例示やサポートの内容を提示できる仕組みにしています。例えば、不注意の特性があるお子さまに向けての「分かりやすい手がかりを活用する」というサポートについてを例に挙げてご紹介します。分かりやすい手がかりを用いることで、指示や課題を理解しやすくなるという方法なのですが、その年齢に応じて、よく挙げられる悩みや課題を例示として提示し、その対応方法を紹介しています。未就学のお子さまの場合は、口頭でのコミュニケーションでの困りごとに対し、「話し始めるときは名前を呼び、注意を引きつけてから話す」という方法が示されます。中学生の場合は、授業での場面を想定した事例で、「『黄色の文字は重要単語だよ』『下線部は間違いやすいから要確認だよ』など強調して注意を促す」という方法が紹介されています。ほかにも未就学のお子さまの場合、具体的にボタンをとめる練習方法を挙げていたり、その年齢でのスキル獲得でよくある課題を多く取り上げています。また、サポートの方法も、手助けの量が多めだったり、発達段階に応じて無理のないようなやり方を提示しています。年齢が上がってくると、本人が自力でできることを目指した対応方法も多くなります。あるいはどうしても難しい場合は人に助けを求めたり、道具を変えてみたり、合理的配慮を求めたりといったスキルや方法を多めに紹介したりといった工夫がされています。受検されたときのお子さまの年齢で検査結果が出るので、1回の受検ではおそらく保護者の方は気づかないとは思うのですが、もし今後、成長につれて再受検されると、同じ困りごとや特性であっても、レポートで提示される内容が変わる場合があるかもしれませんね。このように、お子さまの発達段階やライフステージに合わせて、スキルやサポート方法を変えていくという視点もヒントにしていただけるといいと思います。「これならできそう」を見つけて試すUpload By LITALICO発達特性検査 編集部今回は優先順位についてお話ししましたが、LITALICO発達特性検査のいいところは、レポートの段階ですでに優先順位がつけやすくなっていると言うことが挙げられます。質問に回答することで情報がお子さまに合うように絞られること、その中から選択肢が選べるということです。複数の選択肢が記載されている意味としては、実際には、お子さまにとってどれが合うか、どれが取り組みやすいかは試してみないと分からないということがあります。また、それぞれのご家庭でその子や状況に合うように、さらにチューニングしていく必要はあると思います。それでも、家庭でまずやってみる場合、十分ヒントになるのではないでしょうか?受検された方には、検査結果を手元に置いていただいて、時間のあるときにパラパラ見ていただければと思います。きっと「これならできそうかも」「ちょっと試してみようかな」「支援者の方に共有すると役に立ちそう」というところが見つかるのではないかと思います。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年11月21日直前まで就学先に悩み……。知的障害特別支援学級に通う小学1年生の息子DQが82で境界域の小学1年生の息子は、現在知的障害特別支援学級に在籍しています。問題もなく、毎日楽しく通学しています。交流級と特別支援学級、だいたい半々くらいで過ごしているようですが、やはり息子は特別支援学級を自分の居場所と感じているようです。ですので、就学先選びはうまくいったのではないかと非常に満足しています。このように結果からみれば正解だった選択ですが、息子の就学先をどうするかについては直前までかなり悩みました。比較的早くから「息子には特別支援学級が合っているだろう」と思っていたのですが、それでも周りの意見を聞いたり、学校見学、就学相談する度に「本当にいいのかな」と揺らぐ気持ちはなかなか消えなかったのです。そんな就学にあたってのわが家の体験談です。少しでも皆さんの参考になれば幸いです。先生からの「通常学級でもいけるかも?」、知人からの「楽なほうに行くと、どんどんそっちに流れる」。さまざまな意見を聞いて私は、息子が年中の時点から、特別支援学級を視野に入れていました。ですが、周りの方の意見はさまざまで、「本当に特別支援学級がいいの?」という思いは浮かんだり消えたりと、最後までかなり悩みました。まず先生方の意見もさまざまでした。息子のこども園で発達支援センターとの窓口役をしてくれていた先生からは、「●●くんはできることが増えてきたので、通常学級でも問題なく過ごせるのでは?」と言われていました。一方、息子の発達検査をしてくれていた発達支援センターの担当者の方は「正直、迷うところです」とのこと。プロの方の意見が合わず、いったいなにを基準にしたらいいかとても悩みました。Upload By ユーザー体験談また、知人の発言も私を揺さぶりました。息子の就学先で悩んでいる頃、よく行くお店のなじみの店員さんに、ついポロッとその話をしました。すると、偶然にもその店員さんの娘さんが特別支援学級に通っているとのことで、熱心に話を聞いてくれました。「で、あなた的には、どっちがいいと思ってる?」と聞かれたので、「息子の特性を考えると、知的障害特別支援学級が合うのではないかという気がしている」と答えたのですが、それに対して、その人から「でも、最初から特別支援学級を考えてるのって、子どもに楽をさせていることになりませんか?」と言われたのです。その方は、娘さんが小学校高学年のとき、担任の先生から特別支援学級への転籍を進められ、それを機に受けた知能検査の結果も踏まえて転籍したのだそうです。ですが、そのことに今も納得していないようで、「中学校でも特別支援学級に進むと、進学の幅が狭くなる可能性もあるから、中学校では通常学級に戻したい」という思いがあるようでした。なので、息子の子ども園の先生が「通常学級でもいけるのでは?」と言ってくれているのに、私が特別支援学級という選択肢も視野に入れているのが受け入れられなかったのだと思います。私はその人の考えに影響されることはなかったのですが、特別支援学級を選択することが「子どもに楽をさせること」だという言葉は嫌な感じに引っかかりました。多分、そういった考えは、子どもをとりまく社会に少なからずあるだろうと実感したこともあり、余計に引きずってしまったのだと思います。その後、夫にその話をしたら、「仮に楽させていたとしても、別に良いのでは?今の息子がどこならより良く学べて、学校生活を楽しめるかで決めれば良いと思うよ」と言われ、その通りだなと思いました。また、公立中学校で教員をしている友人にもその話をしたら、「通常学級に入っても、その環境が子どもに合わない場合、二次障害で不登校になり苦しむこともある」とも言われました。私が信頼する二人もそう言っているんだし……と、改めて特別支援学級という選択を前向きに捉えることができました。Upload By ユーザー体験談学校見学、聞けばよかったと後悔していることと、息子の残念な反応見学は通常学級と特別支援学級の見学に行くことになったのですが、今も後悔していることがあります。小学校の見学を申請する際、見学したい学級を選択する必要があり、私は「通常学級」「知的障害特別支援学級」「自閉症・情緒障害特別支援学級」のすべてを選択していたのですが、こども園の先生から「自閉症・情緒障害特別支援学級の見学は必要ないと思います」と言われ、「あ、そうなんだ……」と思って素直に従い、その後、息子の就学先を「通常学級」か「知的障害特別支援学級」かの二択に絞りました。結果的に、うちの子には知的障害支援学級が合っていたと思うので良かったのですが、なぜ「自閉症・情緒障害特別支援学級の見学は必要ない」という判断だったのかは、確認すべきだったと思いました(こども園の先生がいい方だったので、面倒な親だと思われたくないという思いが働いてしまいました)。今でも後悔はあるので、みなさんは気になること、なぜ?と思うことはしっかりと聞き返すことをお勧めします!また見学で息子の反応を参考にしたいと考えていましたが、息子がかなり場所見知りをしてしまいました。通常学級、特別支援学級両方とも見学を嫌がって、ものの数分で帰りたいと言いだしたため、結局見学は私だけですることになってしまいました(その間、教頭先生が教室の外で息子の相手をしてくださいました)。このような場合は、2度目、3度目の見学を希望すれば良かったと思っています。「私の言ったことで息子の進路が決められてしまう?」緊張の就学相談そしてついにやってきた就学相談。私の住んでいる市の就学相談では、息子が担当の方と遊んでいる間、保護者とこども園の先生が相談担当の先生方(公立小学校の特別支援学級の先生、公立中学校の特別支援学級の先生、特別支援学校の先生の3人でした)と話をするシステムでした。細かな質問項目は特になく、割と自由に喋る感じだったので、「私の言ったこと(言わなかったこと)で息子の進路が決められてしまうのでは」と不安でした。あとで振り返って、「息子のできることよりもできないことのことばかり言い過ぎてしまったのでは……」とも感じました。そして待ちに待った自治体からの答申結果。緊張しながら見てみると、「知的障害特別支援学級が望ましい」というものでした。自分でもこれが息子にとって最善の選択肢だと分かっていたのにもかかわらず、答申結果を見て少し落ち込んでしまったのが、われながらめんどくさい奴だと思いました。でも、夫と「今の息子にとってベストと思える選択を前向きに考えよう」と話し合い、知的障害特別支援学級の在籍を決めました。Upload By ユーザー体験談「あれだけ悩んで出した結果だから!」と納得できた進路選択息子は楽しく通ってくれるだろうかとドキドキしていましたが、実際に小学生になり楽しそうに登校する姿に心から安堵しています。当時はあんなに悩んだのに、あるいは、あれだけ悩んだからか、今は息子に合った選択ができたことにとても納得できています。これからもきっと悩んだり迷ったりする場面はあるでしょうが、悩みつくし気になることは遠慮をせず聞いて、息子の幸せな毎日を守る選択をしていけたらと思います。Upload By ユーザー体験談イラスト/ネコ山エピソード参考/苗(監修:井上先生より)知能指数や発達指数が境界域にある場合、通常学級か特別支援学級かは悩ましい選択です。特別支援学級を考えられる場合、自閉症・情緒特別支援学級と知的障害特別支援学級の二つの違いを理解し、実際に両方の学級を見学させてもらうのがお勧めです。これらの在籍は変更することも可能ですが、中学校の特別支援学級選びの中で、自閉症・情緒の特別支援学級を選ぶのか、知的障害の特別支援学級を選ぶかは、そのカリキュラムの違いから高校進学にも影響してきます。発達レベルや学習の意欲、本人に合わせた柔軟な教育が可能か、将来の進路なども含めて総合的に考えていくのがよいと思います。地域によって違いがあるので、先輩の親御さんたちの情報も参考になるかもしれません。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
2024年11月21日"なぜか伝わらない"を"伝わる!!"に『発達障害の子どもに伝わることば』Upload By 発達ナビBOOKガイド「言葉は理解できているはずなのに、どうして通じないんだろう?」と不思議に思ったり、子育ての中でイライラを感じたことのある保護者も多いのではないでしょうか?本書「発達障害の子どもに伝わることば」は、発達障害のある子どもとのコミュニケーションのポイントについて書かれた本です。著者の川﨑総大先生(立命館大学教授)は、言語聴覚士・発達心理士として、発達障害のある子どもたちと深く関わってきました。その豊富なご経験から、私たちが誤解しているかもしれない発達障害についての知識、そもそもコミュニケーションとは何か?という根本的な考え方を紐解きながら、発達障害のある子どもたちとのコミュニケーションについて、分かりやすい言葉で具体的に解説しています。1~4章の最後には、4人の専門家が寄稿したコラムも掲載されており、発達障害に関する知識をより深めることができます。コミュニケーションとは一方的なものではなく、伝える側、受け取る側が相互に思いやりをもって楽しむもの。発達障害のある子どもの保護者はもちろん、障害の有無にかかわらず、コミュニケーションに悩むすべての人に読んでいただきたい一冊です。遊びながら認知能力を強化!『学習の土台をつくる 1さいからのコグトレ おなじのど~れ?』Upload By 発達ナビBOOKガイド『学習の土台をつくる1さいからのコグトレ おなじのど~れ?』は、繰り返し遊びながら、認知能力を鍛えていくアクティブ絵本です。本書のタイトルにもある「コグトレ」とは、児童精神科医の宮口幸治先生が、認知能力を鍛えることを目的に開発したトレーニング教材です。認知能力を鍛えることで、学習に必要な「数える」「覚える」「写す」「見つける」「想像する」力を育むことができると言われています。本書では、簡単な図形や身近な自然・乗り物などのイラストカードを使って、「かたち」を認識する力、「どうさ」を理解する力、「なまえ」を覚える力を高めます。字が読めなくても遊ぶことができるので、1歳頃のお子さんから楽しく取り組める内容となっています。その教育は本当に「こどものため」?『エデュケーショナル・マルトリートメントの理解と対応 教師と支援者が「教育虐待」を防ぐためにできること』Upload By 発達ナビBOOKガイド「エデュケーショナル・マルトリートメント」とは、教育場面において行われる子どもへの不適切な行為を表す概念です。本書では、「教育虐待」と共に社会的課題となっているエデュケーショナル・マルトリートメントについて、日本の教育環境の問題点や子どもへの影響、そして多様な事例を踏まえた具体的な対応方法を紹介しています。子どもへの身体的・心理的暴力といった従来の「児童虐待」のイメージとは異なる、「熱心な教育」「親心」といった考えに潜むエデュケーショナル・マルトリートメントの実態をとらえ、子どものSOSを見逃さないためにはどうすればいいのか丁寧に解説されています。子どもにとって本当に大切なものとは何か、そして子供の健やかな成長のために大人ができる行動とは何かを考え直すきっかけとなる一冊です。最新の知識が分かりやすくまとまった一冊!『ADHDがわかる本 正しく理解するための入門書』Upload By 発達ナビBOOKガイドわが子の困った行動の理由が知りたい。どこに、だれに相談すべき?治療を受ければ落ち着くの?将来は大丈夫……?子どもがADHD(注意欠如多動症)と診断された、あるいはその傾向が強いと感じている保護者の中には、不安や疑問がたくさんある……という方もいらっしゃることと思います。本書は、発達障害のある子どもの医療に長年携わってきた榊原洋一先生の監修による、ADHD(注意欠如多動症)の基礎から理解できる入門書です。幼児期から成人期までのADHD(注意欠如多動症)の特性、相談先や治療法、家庭でのかかわり方、支援についてなど、保護者が知っておきたい情報が網羅されています。豊富なイラストや図解で、専門知識も一目で理解しやすいように工夫されている本書。ADHD(注意欠如多動症)どう向き合い、対処していけば子どもの幸せにつながるのか?初めてADHD(注意欠如多動症)について学びたい方だけでなく、改めて最新の知識を得たいという方にとっても、役に立つのではないでしょうか。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年11月18日特別支援学級に通う娘、転校でどうなる?わが家の体験ASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けている娘(現在小学4年生)は、特別支援学級に通っていた小学2年生の3学期に、夫の転勤で他県へ引っ越ししました。転校が決定してすぐに、私は引っ越す予定の自治体の市役所に電話をしました。転校先の小学校でも特別支援学級に在籍できるのか、受給者証などの手続きはどうしたらいいのかなど、分からないことだらけだったからです。すると特別支援学級に転入を希望する場合、事前に教育センターで面談しなくてはならないということが分かりました。その際に、学校での通知表など成績が分かるもの、診断書が必要とのことでした(手続きや必要書類は自治体によって異なる場合があります)。私は早速、教育センターに連絡して面談の予約をしました。引っ越し先は当時住んでいた県から遠く、気軽に行き来できるような距離ではありません。そのため、面談した次の日に、転校先の小学校へ見学に行けないかと聞いてみました。教育センターの方がとても親切で、希望の日程で学校見学ができるように小学校と調整してくださいました。こうして、家族3人で1泊2日の「教育センター面談と小学校見学ツアー」が実現しました。登校渋りのある娘……転校先での配慮はどこまで可能?Upload By マミヤ教育センターの面談では、用意していた資料を渡し、転校先でも特別支援学級に通いたいことを伝えました。娘は、当時通っている小学校を4時間目で早退したり、苦手な給食ではなくお弁当を持参したりしている状況だったため、私はこの現状をしっかり伝え、転校先の小学校でも配慮をお願いしないといけないと考えていました。教育センターでの面談の結果、特に問題なければ希望通りに特別支援学級に入れそうということで、ほっとしました。面談の翌日、私は娘を連れて転校先の小学校の見学に行きました。見学したのは特別支援学級の5時間目の授業で、娘が参加しやすいようにと生活の授業にしてくれていました。あまり人見知りしない性格の娘は、クラスの子どもたちが楽しそうにしてる様子を見て、すんなりと輪に入っていきました。娘が授業に参加している間、私は隣の教室で先生と面談をすることになりました。私が娘の現状と配慮をお願いしたいことを伝えると、先生は「2年生のあいだは無理せず、交流学級へはほぼ行かなくていい」「お弁当でいい。給食がはじまったら牛乳は申し込まなくていい」とおっしゃってくださいました。これは本当にありがたかったです。これで娘の登校へのハードルが下がりました。授業も楽しく参加できたようで、クラスの子どもたちともすっかり打ち解けて、娘は転校を少し楽しみにするようになっていました。Upload By マミヤ理解ある環境の重要性を実感。転校先での順調な滑り出しも、母には不安が……娘は希望した通り、転校先の小学校でも特別支援学級に通えることになりました。転校後はじまった学校生活は驚くほど順調でした。特に担任の先生は特別支援学級を何年も受け持っていらっしゃる方で、給食なども、娘が食べられる物から少しずつ挑戦させてくれ、1か月後にはお弁当ではなく、みんなと同じように給食を食べられるまでになりました。さらに、転校前の学校に通っている時は、4時間目で早退しても疲れ果てていた娘が、帰宅後も元気なことが増えました。気づけば転校前の早退生活から一転、最後まで授業をしっかり受けられるようになっていたのです。Upload By マミヤ転校後感じたことは、指導をされる先生や過ごす環境によって、娘が学校で感じる疲労感に違いがあるのではないかということでした。娘の場合は、担任の先生との相性が特に重要なようで、転校前の学校ではそのことで疲れがたまり、結果的に行き渋りにつながっていたのではないかと思います。転校を通じて、理解のある環境にいることの重要さに気づくことができました。それと同時に、3年生に進級したら、きっとまた先生が変わってしまうのだろうな……と一抹の不安がよぎったのでした。Upload By マミヤ執筆/マミヤ(監修:室伏先生より)マミヤさん、転校の準備から、転校後のしぇーちゃんのご様子まで共有くださり、ありがとうございます。特にASD(自閉スペクトラム症)のお子さんは見通しを立てにくかったり、新しい環境に身を置くことが苦手であったり、転校に対する不安やストレスを感じやすいため、転校前からの準備、サポートが特に重要になりますよね。しぇーちゃんは事前に学校見学をされたことで、これから自分が過ごしていく環境を想像でき、不安が軽減されたのではないでしょうか。面談の際には、マミヤさんがされていたように、現状の共有や配慮をお願いしたいことを準備していかれると、転校後の生活がスムーズになりますね。ご本人が気になることをあらかじめ話し合い、質問を準備していくのもよいかもしれませんね。3年生になっても安心できる環境で楽しく過ごせること、私も応援していますね!(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年11月16日息子の推しチームを探す旅に!?映画のモデルとなった父子へのインタビューをお届け!ドイツ本国で100万人動員の大ヒットを記録し、ハリウッドでのリメイク版制作も決定するなど、大きな反響を呼んでいる映画『ぼくとパパ、約束の週末(原題:Wochenendrebellen<週末の反逆者>)』が、11月15日(金)より公開されます。ASD(自閉スペクトラム症)と診断されている10歳のジェイソンは、ある日クラスメイトと喧嘩騒ぎを起こします。原因となったのは、好きなサッカーチームはどこか?ということ。サッカーに興味を持ったジェイソンは、父親のミルコと共に、自分の「推しチーム」を探すことを決意しますが、なんとそれは「毎週末、ドイツにある56チームすべてのスタジアムで現地観戦する」という方法で……!?今回は、本作のモデルで、今でもスタジアム巡りを続けているというジェイソン&ミルコ・ユターツェンカ親子へのインタビューをご紹介します。私たちにとって些細なことでも、ジェイソンにとってはすごく大事なことなんです(ミルコ)――映画『ぼくとパパ、約束の週末』は、お父さんのミルコさん、ASD(自閉スペクトラム症)の息子さんのジェイソンさんの実話がもとになっているそうですが、推しのサッカーチームを探すためにさまざまな場所に行くことで、どんな心境の変化がありましたか?ジェイソン・フォン・ユターツェンカ(以下ジェイソン):最初は、ただサッカースタジアムに行き、サッカーを観戦するということが楽しみで仕方がなかったんです。でも、実際に行ってみて、混雑のなかで警備の人やほかのサッカーファンの人に身体に触れられたり、急に大きな音を聞いたりするリスクを冒さなくてはいけないことを学んだんです。僕にとって、これは非常に嫌なことなんですが、回を重ねることでそれらのことに対してどうすればいいかが分かりましたし、どんなことが起きても驚くことが少なくなったんです。そう考えると、以前よりも自分の中で問題だと思っていたこと、大変だと思うことが少なくなったように思います。Upload By 発達ナビ編集部ミルコ・フォン・ユターツェンカ(以下ミルコ):私たちにとって些細なことでも、ジェイソンにとってはすごく大事なことなんです。そこの対立は数えきれないくらいあるので、それを映画にしようと思ったらものすごい年月がかかるくらいなんですよね。対決するたびに2人ともひどく傷つきますし、心が痛むんです。でも、そこから学ぶことも多いですし、ひとつの対立から立ち直り、それをいい経験にしようと考えるきっかけにもなるんです。私にその力を与えてくれたのはジェイソンでもありますし、ジェイソンの妹である娘、妻でもあるんですよね。家族から力をもらい、どんな対立があったとしても、その都度、元気をもらってきました。そう言えるのは、つらい体験だけでなく、素晴らしい体験もいっぱいしているからなんです。大変な電車での旅もしましたし、いまこうやってジェイソンが個人的に社会に貢献しようとしている姿を見ると、ものすごく心が潤いますし、あらためて、ジェイソンから力をもらっています。ーー映画化する際に、ミルコさんが一番大事にしたことを教えて下さい。ミルコ:映画化のお話を頂いたときに、重要だと思ったことは3つありました。1つ目は、内容が歪んで伝えられないこと。2つ目はジェイソンのキャラクターが正確に再現されること。そして3つ目は苦しむことを見せる映画ではなく、観てくれた方が楽しいと思える作品にするということでした。とくに2つ目のジェイソンのキャラクターでは、彼がどのような才能を持っているか、そして彼がこだわる“持続可能性”や環境に対する情熱、我慢できることとできないことなどを、しっかり正確に伝えることを大事にしてほしいと制作サイドに伝えました。――実際にスクリーンでジェイソンを見て、どう感じましたか?ジェイソン:僕が最初に見たシーンは、電車の中で食事をするシーンでした。劇中でジェイソンはパスタとソースがくっついてしまい、パニックになってしまうんです。そのシーンがあまりにも現実と同じで、僕自身、恥ずかしくなってしまうくらいで(苦笑)。でも、それくらい迫真の演技だったんです。ほかのシーンにはポジティブなシーンもありましたし、全体的に素晴らしいと思いました。なによりも、自分のキャラクターを、客観的にみることができたのも、すごく良い経験になりました。Upload By 発達ナビ編集部――映画では息子さんがパニックを起こした時に周りの人から理解を得られず、お父さんが葛藤しているシーンも描かれました。ミルコさんは、ジェイソンさんの障害をどのように受容してきたのでしょうか。ミルコ:僕がミルコの障害を受容できるようになったのは、ふたりで旅をし始めてからだと思います。僕も、妻もASD(自閉スペクトラム症)と向き合うのは初めてだったからこそ、最初は、間違った対応をたくさんしてしまいました。それこそ、パスタとソースが触れて、パニックになり、何も知らない周りの人達からいろいろ言われた時は、どうしていいか分からなかったんですよね。でも、今の私たちは、周りの言うことなどどうでもよく、ジェイソンがやりたいようにやらせてあげられるようになりました。というのも、ASD(自閉スペクトラム症)の人が、社会において、きちんとした立ち位置、居場所を得なければいけないと思っているので、その第一段階として、親である私たち夫婦が、ジェイソンそのものをまるっきり受容しなければいけないと思ったんです。その決意は確固たるものなので、その気持ちが揺らぐことはないですね。現在、大人になったジェイソンは自立し、遠い地域に離れて暮らしていますが、もし私たちの助けを求めているのなら、すぐに飛んで行って助けてあげたいと思っています。ジェイソン:こうやって助けてくれた両親がいることに、僕はすごく感謝しています。でも、ASD(自閉スペクトラム症)の人も1人の人間として、まっとうな権利をもっているからこそ、要求が満たされて生きる価値、自分が生きやすいように生きる権利があるんです。それに、お父さんは全部のサッカーを見て、推しのチームを決めることを約束してくれたので、その約束は守らなくちゃいけないから、そこは感謝というよりも、当たり前のことですよね。ミルコ:おいおいおい(笑)!長距離の会場まで付き合っているんだからそこは感謝してほしいんだけど(笑)!ジェイソン:あはは。――ジェイソンさんは、ASD(自閉スペクトラム症)の子どもたちに、どんなメッセージを伝えたいですか?ジェイソン:「君は今のままでいいんだよ」と伝えたいです。この言葉は、映画の中で祖父がジェイソンに向かって言うセリフなんです。これは私が今作のなかで一番大事なメッセージだと思うんですよね。ASD(自閉スぺクトラム症)の人は、自分を社会に適応させたり、自分を社会に適応させるために変える必要はまったくないと思うんです。だって、ASD(自閉スペクトラム症)であることは間違いではないですし、本人にとって負担、重荷であることはないんですよね。そこに適応ができないところに身を置くと、そう思ってしまうだけなんです。なので、当事者の方はもちろん、その家族の方々も、そのメッセージを受け取ってもらえたらうれしいです。(取材・文/吉田可奈)『ぼくとパパ、約束の週末』上映情報11月15日(金)より新宿ピカデリー、角川シネマ有楽町ほか全国ロードショー監督:マルク・ローテムント(『5パーセントの奇跡噓から始まる素敵な人生』)出演:フロリアン・ダーヴィト・フィッツ(『100日間のシンプルライフ』)、セシリオ・アンドレセン、アイリン・テゼルほか(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年11月14日希望が通らなかった就学の判定。結果に納得できなかったわが家は……2歳の時、中度知的障害(知的発達症)を伴うASD(自閉スペクトラム)と診断を受けた息子がいます。現在10歳です。小学校入学前の息子は、ひらがなの読み書きができず、数字も3まで数えることが難しい状態でした。一方興味があるものにはとことんのめりこむタイプで、鉄棒と跳躍器具ばかりの毎日。興味がかなり限定されていました。学校見学をし、夫とも相談した結果、息子には特別支援学校が合っていると希望を出したのですが、結果は知的障害特別支援学級判定でした。納得がいかなかった私は、教育委員会との話し合いに臨みました。そんなわが家の就学の時の体験談をご紹介します。学校見学へ。授業が難しいと感じた特別支援学級、息子が笑顔で通うイメージが浮かんだ特別支援学校年長の1学期、まず地域の特別支援学級を見学しました。あくまで私の印象ですが、その時のクラスはどちらかというと息子のような特別支援学級か特別支援学校か迷っている人が選択する場所というよりは、『通常学級だと少し心配だから特別支援学級を選ぼうかという人が対象』なのかなと思うほど、授業が難しそうだったのです。また、その時の1年生が偶然にも幼い時から知っているお子さんばかり。みんな昔とは比べようもないほど言葉が増え、成長していました。今から7か月後、息子はこの教室でみんなと同じように授業を受けられるのだろうか……と考えると、どうしてもその教室にいる姿を想像できなかったのです。授業だけでなく、交流級の様子も見学しましたが、こちらも息子が参加するのは難しそうだと感じました。それに対して特別支援学校を見学した時は、すぐ息子が笑顔で教室に居られる姿を想像できました。息子は3歳から卒園まで児童発達支援に通っていたのですが、『いつもの児童発達支援の対象年齢が上がった場所』という印象だったのです。ここなら息子も嫌がらずに通える!と思い、わが家は特別支援学校を希望することにしました。ですがなんと結果は特別支援学級の判定だったのです。「どうして⁉」ととてもショックを受けました。Upload By ユーザー体験談判定は変わる?教育委員会の方との面談へ結果に納得がいかなかった私は教育委員会へ行き指導主事の方とお話をしました。しかし、「就学支援委員会が決めたことはどうにもなりません」というお返事でした。それでも何とかなりませんか?と相談したところ「判定をされた教育委員会の方と面談をセッティングします」と提案され、後日面談をすることになりました。※編集部注:基本的には就学先は市町村教育委員会が、本人・保護者に対し十分情報提供をしつつ、本人・保護者の意見を最大限尊重し決定しています。参考:2.就学相談・就学先決定の在り方について|文部科学省私は、(教育委員会の方と話すことで、もしかすると判定が変わるかもしれない)と希望を持って面談に行きました。ただ実際は私を安心させるための面談だったと思います。「(特別支援学級に通うことで)お母さんが不安に思っていることはどんなことですか?」という質問があり、不安なことをいくつか話しました。ひらがなが読めない、書けない、数を数えられない、興味があることが限定されている、興味がないことはやる気がないし、集中力も続かないなど……。あとは、言葉も2語文3語文程度しか話せないことも言いました。教育委員会の方は一つひとつの質問にきちんと答えてくれました。その後で「息子さんは教科書で勉強することは難しいと思います。でもこういうのもあるんですよ」とひらがなや数字が書いてある絵本を見せてくれました。文字より絵が多い特別支援学校向けの教科書があり、それを使うことができるということも教えてくれました。そして、「特別支援学級のほうが息子さんの成長に繋がるからこそこの判定だと思います。安心して地域の学校(特別支援学級)に通わせて下さい」と目を見てまっすぐ言われたのです。しっかり話を聞いてくれ、具体的な対応方法を聞けた私は(ここまで言われたのなら通わせるしかないのかもしれない。もし通えなくなったら転校も視野にいれてで特別支援学級に通わせてみようかな)と前向きな気持ちになれました。そして、息子は知的障害特別支援学級へ入級することになりました。Upload By ユーザー体験談知的障害特別支援学級に通って4年。良かった面と気になる面、そしてまだ尽きぬ悩み息子は、4年生になった現在も知的障害特別支援学級に通っています。この4年で息子には大きな変化がありました。なんといっても、入学前と比べて言葉がかなり増えました。学校で学んだことはもちろんですが、おしゃべりが上手なクラスのお友だちの影響が大きいと思います。先生が言っても言うことを聞かないのに、お友だちから言われると素直に聞けることがあるようです。入学前はほぼ大人とのやりとりで、大人が介入しないと子ども同士でやりとりはできなかったので、同じ年齢のお友だちと接することができるようになったというのも成長したなと思います。入学前は、(こんなに幼いと、クラスメイトから相手にされないんだろうな)と悪い方向に考えていたので、優しく接してくれるクラスのお友だちに感謝しています。息子もクラスのお友だちが大好きです。Upload By ユーザー体験談ただ、当初から懸念していた通り、学習面では特別支援学級のクラスのお友だちとはレベルが違います。学年が上がるにつれて、差はますます広がるばかりです。勉強だけでなく体育も個別授業になっているため、もしかしたら小学校在籍中に特別支援学校の判定が出るかもしれません。わが家は地域の中学校の特別支援学級、特別支援学校の中学校両方見学済みで、中学校では特別支援学校を考えているのですが、場合によっては中学生になる前に転校したほうが良いのかもしれないとも思っています。一方で、今の特別支援学級のお友だちはみんな息子によくしてくれ本人は喜んで通っているため、できれば小学校は今のクラスで卒業させたいとも思うのです。どちらが息子にとっていいのか、答えがでません。Upload By ユーザー体験談特別支援学級ではハードルが高く、希望していた特別支援学校では一日の勉強時間が30分と聞きました。特別支援学級よりはゆったりとしたペースで、特別支援学校よりはもう少し勉強時間が多い、着替えや排泄が自立していて言葉でコミュニケーションのとれる息子のような中度知的障害の子ども向けの教室(学校)があればいいなと、強く望んでいます。幸いなことに今は「楽しい」と言って学校に通ってくれている息子。これからも同じ気持ちで通ってもらいたい、そのためにどうすればいいのか考える日々です。イラスト/よしだエピソード提供/ゆきこ(監修:井上先生より)投稿者さんのお子さんのように知的障害が中程度の場合、知的障害特別支援学級か、特別支援学校か迷われている方は多いと思います。特別支援学校は複数担任制ですので、その面で安定感はあると思いますが、特別支援学級の場合は担任の先生の専門性や力量、クラスメイトの障害特性や相性、人数といった入級前には予測できない不確定要因もあるかもしれません。特別支援学級の場合、地域や学校による違いが大きいので、実際の授業を見たり、どの程度本人に合わせたカリキュラムを作ってもらえるかを事前に中学校と相談していくことが大切だと思います。一方、特別支援学校の場合は、中・軽度の知的障害のある生徒のためのクラスを作っている学校もありますので、こちらも実際に見学に行かれるといいと思います。ベストな選択を考えると悩ましいところですが、いずれの選択肢も合わなければ途中の進路変更も可能です。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年11月14日本人が安心し楽しく過ごせる場所発達障害のある私の娘は現在25歳。私は、娘が安心して楽しく過ごせる“居場所”をずっと探してきました。娘が小学生の頃にはまだ放課後等デイサービスがなかったので、娘は放課後の居場所として隔週で2時間程、近所の造形教室に通っていました。そこはフリースクールが主宰していて、不登校のお子さんも通っており、年齢もさまざまでした。毎回、制作のテーマはありましたが自由度が高く、時間の半分ぐらいは個々が好きなことをして過ごしていました。最初の1、2回は私も同伴しましたが、慣れてくると娘はひとりで通うようになりました。講師の先生は、子どもたちの大胆な発想や伸び伸びとした感性をいつも褒めてくれました。幼稚園の頃から絵を描くことが好きだった娘は、そこでは水を得た魚のようにイキイキとしていました。そこは娘にとって居心地がよい場所で、小学校卒業までこの造形教室に通いました。中学生になると娘は、障害児専門の塾に通い始めました(この塾はのちに放課後等デイサービスになりました)。また、基幹相談支援センター(地域活動ホーム)主催の余暇支援活動にも通い、料理やフラワーアレンジメントのほか、ネイルや化粧やヘアメイクなどもプログラムにも参加しました。高校生になってからは、同センター施設内のショートステイなども利用しました。社会人になってからは医師が主宰する“インターネットを活用した余暇支援活動”に参加しました。これらはすべて私が探し、事前に下調べをして娘に合っているかなどを確認してから参加していました。子どもに必要な福祉や支援の情報を調べること、伝えることの限界娘は高等特別支援学校卒業後、特例子会社(※)に就職しました。そして、親元から離れ、グループホームに入居することを自ら選びました。※特例子会社とは、障害のある人の雇用促進と雇用の安定化を図るために設立された会社のこと娘が選んだグループホームは県外だったため別の自治体管轄になり、福祉支援の担当者も変わりました。グループホーム入居後に、娘から余暇を過ごす場所について相談されたことがありました。一緒に暮らしていた高校生までは、私が娘に合いそうな居場所やコミュニティについて調べていましたが、娘が入ったグループホームのある地域の支援情報を私はほとんど知らなかったので「支援者の人に聞いてみて」としか言えず、親の私から支援の情報を伝えることの限界を感じました。娘はその後、多くの支援者の方のお世話になり、私がサポートしなくても余暇を過ごす場所やコミュニティにも出合うことができました。6年勤務した特例子会社を退職し、就労継続支援A型事業所(※)に転職しますが、そのときも相談支援センター相談員やハローワーク、ジョブコーチなどの支援者の方々がサポートしてくださいました。※障害や難病のある人が、雇用契約を結び支援を受けながら働くことができる障害福祉サービス大学のセミナー、とな⁉娘が就労継続支援A型事業所に転職してしばらくしたころ、「高校時代の恩師から、大学のセミナーに誘われた」と連絡がきました。娘が通っていた高等特別支援学校でお世話になったG先生が定年退職後、カレッジ型福祉サービスなどに携わり、障害のある子どもたちの支援に尽力されていることは知っていましたが、大学のセミナーに娘が誘われるなんて、私はびっくり仰天です。Upload By 荒木まち子私は、まずセミナーにかかる金銭面が心配でした。以前娘が特例子会社で働いていた頃、そこの先輩に『自分が興味あることを学びなおしたい』という理由で退職し、それまで働いたお金で専門学校に入学した方がいました。でも、娘にはそのような貯蓄はありません(むしろマイナス)。私は娘に「先生に、自分は他の同級生とは違って実家暮らしじゃないからお金に余裕がないけど大丈夫かどうかを聞いてね」と伝えました。恩師G先生その後、そのセミナーは障害のある若者と大学生が共に大学で学ぶための行政と大学の連携・協働を通じたインクルーシブ・プログラムであること、セミナー受講が無料であることなどが分かりました。社会人向けの生涯学習に近いものと知り、私はほっとしました。インクルーシブ生涯学習プログラム【夢をかなえるセンター】生涯学習:「みんな集まれ!大学で学ぶ楽しみ発見セミナー」の紹介「みんな集まれ!大学で学ぶ楽しみ発見セミナー」の紹介チラシ娘は高等特別支援学校卒業後、就職をしましたが、「大学に進学したい」という思いがあったことは察していました。また、娘は中学2年生まで通常学級で過ごしていたこともあり、“定型発達の人たちのコミュニティへの参加”をどこかで求めていたことも私は知っていました。そんな娘がこのプログラムに強い関心を持つのは当然でした。娘の卒業から7年が経ちますが、その間もG先生はずっと子どもたちのことを想い、彼らが活き活きと過ごせるような居場所を創り続けてくださっていたと知り私は胸が熱くなりました。新しいインクルーシブ・プロジェクトこのような取り組みをしている自治体や大学があることを、私は全く知りませんでした。G先生は「当事者と大学生がフラットな関係性の中で学べるようになることを願っています。インクルーシブ・プログラムは大学生にとってもかけがいのないものだと思います」とおっしゃっています。私もこの取り組みが全国に広がってスタンダードなものになってくれたら良いな、と思います。そして日本の従来のインクルーシブ・プログラムとは違う『障害のある当事者自身が己の意志を発信し、大学生たちも能動的・自主的に関わっていく』そんな“青年期のインクルーシブ・プロジェクト”が今後、社会にどのような変化をもたらすのか、今から楽しみでなりません。親として思うこと親は“子どものため”と思ってさまざまな情報収集をし、居場所を探します。親なきあとのことを心配して、就労先や住むところを探します。でも、その行動は果たして子ども本人が望んでいることなのか、本人はそこに幸せを感じているのか。実は一連の行動は“親自身の安心のため”なのではないか?子どもが成長するにつれ、いろいろと考えさせられます。高校生までは私が娘にとって必要であろう福祉や支援の情報を探してきましたが、今回のように娘自身が積極的に情報を探すようになってきたことを私はとてもうれしく思っています。それらは、親のフィルターを通さず、娘自らが望み、選んだ情報だからです。そして、そんな場を創ってくださる方々、サポートしてくれる人々に、私は感謝の気持ちでいっぱいです。執筆/荒木まち子(監修:井上先生より)勉強だけでなく、余暇や居場所づくりは幼児期から成人期まで継続的に必要なことです。成人期になって、自分でそういった場が選択できるようになったベースには、幼児期からの親御さんのご努力があったのだと思います。働く場所以外の交流の場は、親にとって心配な部分もありますが、信頼できる支援者の方たちのサポートがあることによって、本人も親御さんも安心して参加できる場所になっていると思います。先輩や友人との交流によって、自分の価値観や生活スタイルに広がりがでてくるとよいですね。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年11月12日発達障害のある子どもに処方される漢方ってどのようなものがあるの?発達障害の特性があり、環境調整だけでは対応できない場合には、漢方薬を内服することもあります。漢方の特徴・基本的な考え方は以下のように記されています。古来に中国から伝わり、日本において発展してきた医学が漢方医学であり、後ほど西洋から日本に入ってきた蘭方(西洋医学)と区別するためにこの名前がつけられた。漢方薬は、漢方の考え方に沿うように、生薬が一定の規則によって組み合わせて構成されたものであり、処方全体としての適用性等、その性質からみて処方自体が一つの有効成分として独立したものという見方をすべきものである。漢方薬は、使用する人の体質や症状その他の状態に適した処方を既成の処方の中から選択して用いられる。引用:ⅩⅣ 漢方処方製剤・生薬製剤|厚生労働省今回は発達障害や特性のある子どもに処方されることの多い漢方薬と、発達障害に合併することもある起立性調節障害に使用される漢方薬をまとめて紹介します。「甘麦大棗湯(かんばくたいとうそう)」は心身の興奮を鎮める効果があり、自律神経の乱れ(いわゆる自律神経失調症)や癇癪に対しても用いられることがあります。不安からくる腹痛にも効果があり、強い不安が腹痛の要因となっている場合には甘麦大棗湯で症状が改善することがあります。・甘麦大棗湯の効果的な症状:癇癪、夜泣き、不眠、ひきつけ、不安からくる腹痛 など・甘麦大棗湯の副作用:手足のだるさ、しびれ、つっぱり感やこわばり、脱力感、筋肉痛 など柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)は、不眠や不安、ストレスによるイライラ、子どもの夜泣きなどがある際に用いられる漢方薬です。柴胡加竜骨牡蛎湯には身体の炎症を鎮める柴胡(さいこ)や気分を落ち着ける竜骨、牡蛎などが配合されています。・効果的な症状:不安、不眠、夜泣き、神経過敏、イライラ など・副作用:発疹、発赤・かゆみ、腹痛や下痢、胃の不快感 など抑肝散は神経の高ぶりを抑える効果があるといわれている漢方薬です。神経の高ぶりを抑えることで、不眠の改善にも効果があります。もともと子どもの夜泣きに使われていたことで知られていますが、現在では大人の精神的な症状に対しても使われています。・効果的な症状:不眠、夜泣き、神経過敏、イライラ、けいれん、手足の震え、ひきつけ など・副作用:発疹などの過敏症、食欲不振、胃部不快感、吐き気といった消化器の症状、倦怠感 など朝の起床困難、倦怠感、動悸、頭痛、立ちくらみ、失神などの症状が表れる疾患、「起立性調節障害」の治療にも漢方が処方される場合があります。起立時のめまいなどに漢方が効果があると言われています。・苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう): 立ちくらみやめまい、頭痛など・半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう):胃弱、頭痛、ふらつき、めまいなど・補中益気湯(ほちゅうえっきとう):疲労倦怠など・小建中湯(しょうけんちゅうとう):腹痛、疲労倦怠など・真武湯(しんぶとう):冷え性、胃腸虚弱、神経衰弱などその他、発達障害に処方される薬などの関連コラムはこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年11月10日「ノルマル17歳。」を神戸で観る会(所在地:神戸市、代表:長谷川祐子)は、映画「ノルマル17歳。ーわたしたちはADHDー」初の神戸自主上映会の購入型クラウドファンディングをクラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」にて11月30日(土)まで実施しています。「ノルマル17歳。」神戸自主上映会クラウドファンディングサイト 映画「ノルマル17歳。」パンフレット■プロジェクト立ち上げの背景“東京や大阪・京都・横浜などで上映し好評だった本作品を、ぜひ神戸の皆様にも観ていただきたく、今回の自主上映の機会をぜひ実現したいと思っております。本作を通して、今一度「普通とは何か」を考え、発達障害をはじめ多くの「特性」が「普通に」受け入れられる社会をめざす一助になれば幸いです。”(北宗羽介監督からのメッセージ)「ノルマル17歳。」を神戸で観る会は、2024年8月29日から1次募集のクラウドファンディングを行い、お陰様で9月30日に目標額40万円を超える43万2900円を集めて成功しました。さらに60万円が集まれば上映会を1回だけでなく、2回開くこともできそうになりました。2回目上映会の開催に向けて、11月1日から2次募集のクラウドファンディングを始めました。■どんな映画?進学校に通う真面目な女子高校生、絃(いと)と、高校を休みがちで派手なギャル、朱里(じゅり)。ともにADHD(注意欠陥多動性障害)のある17歳。2人が出会い、互いの違いも認識しながら、同じような悩みや生きづらさを共有し、絆を深めていきます。ADHDなど発達障害を描いたエンタメ作品が増えています。ですが、「天才的な当事者のストーリーや、問題が解決してハッピーエンドというストーリーは、キラキラしすぎて、自らがおかれている現実とのギャップを感じてしまい、見るのが辛い」という意見を聞くことがありました。「ノルマル17歳。」は、等身大のADHDの女子高校生を描いたストーリーです。ラストではハッピーエンドでもバッドエンドでもない形です。当事者と関わる人に向けても、感覚的に理解を促すストーリーです。兵庫県内の発達障害の当事者・家族・教育者・支援者、雇用する企業の人々には、ぜひともご来場を呼びかけていただきたいです。県外の人々にも、上映会に向けてのサポートをお願いします。報道関係者には、ぜひとも上映会を取り上げていただきたくお願います。■リターンについて1200円 :上映会入場チケット大人1枚(子供1枚は600円)1200円 :「上映会恩送りチケット」障害のある方や介助者に無料で鑑賞していただくチケット10000円:「ノルマル17歳。」自主上映会を開く人へのサポートプラン※ほか、映画の公式グッズ(パンフレット、シナリオ)のリターンがあります。■プロジェクト概要プロジェクト名: 【ネクストゴール】ADHDの女子高校生の映画「ノルマル17歳」神戸で初上映します期間 : 2024年11月1日(金)00:00~11月30日(土)23:59URL : <上映会開催概要>日時:第1回上映会 2024年12月15日(日)昼(時間帯は確定次第発表)第2回上映会 2025年1月13日(月・祝)昼予定場所:シネ・リーブル神戸odessaシネマ1 定員85席(車椅子2席含む)(所在地: 兵庫県神戸市中央区浪花町59 神戸朝日ビルディング 地下1階)JR[三ノ宮駅]・阪急・阪神[神戸三宮駅]・地下鉄・ポートライナー[三宮駅]徒歩約10分※上映後、北宗羽介監督を招いてのトークショーがあります。<作品情報>2023年製作/80分/G/日本配給 : アルケミーブラザース、八艶劇場公開日 : 2024年4月5日公式サイト : 監督 : 北宗羽介脚本 : 神田凜、北宗羽介エグゼクティブプロデューサー: 下原寛史出演 : 鈴木心緒、西川茉莉、眞鍋かをり、福澤朗、村野武範■映画制作会社概要商号 : 八艶合同会社所在地 : 〒180-0001 東京都武蔵野市吉祥寺北町1-1-1 桜井ビル2階設立 : 2021年11月事業内容: 俳優の育成・マネジメント・プロモート、映像作品の制作・販売・配給・配信URL : 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2024年11月08日発語がない娘。私は1歳3か月の頃から「何か障害があるのではないか?」と思い……現在20歳の娘は、3歳8か月で軽度知的障害を伴うASD(自閉スペクトラム症/当時は広汎性発達障害)と診断されました。娘は注意力散漫な面があるとともに、なにかにつまずくとひどく落ち込んでしまうところがあります。でも素直で真面目な性格で、愛嬌があるかわいい子です。今は穏やかな日々を過ごすことができていますが、それは3歳後半から通い出した児童発達支援のおかげだと思っています。なかなか発語らしいものが出なかった娘。私は娘が1歳3か月の頃から「何か障害があるのではないか」と思っていました。ですが、健診で指摘を受けることなく、そのまま幼稚園へ入園。その後さまざまなトラブルが起こるようになったのです。Upload By ユーザー体験談入園後間もなく加配が。年少クラスと未就園児クラスへ半々に通うように娘は発語がないだけでなく、じっとしていることができませんでした。椅子に数分と座っていられませんでしたから、ほかのお子さんたちと同じように行動することはとても難しい状況だったようです。まだ診断はありませんでしたが、3歳から入園して間もなく娘に加配の先生がついてくださるようになりました。そして、園と保護者で相談をし、娘に園に早く慣れてもらうために、登園は午前中のみ、1週間のうち3日は在籍している年少クラスへ、残りの2日は未就園児クラスへ通うことになりました。障害や特性のある子どもに対して理解のある園だったので、柔軟に対応してくださったのだと思います。その後、娘はなんとか幼稚園に通っていたのですが、相変わらず話すことはありませんでした。ある日、加配の先生、担任の先生、副園長先生たちから「娘ちゃんはお話しをしません。保健センターへ相談してみませんか」と提案いただきました。ショックはありませんでした。ずっと一人で娘の障害を疑っていましたが、他人からの指摘に「やっぱり……!」と確信を持った瞬間でした。私は、市の保健センターへ相談へ向かいました。Upload By ユーザー体験談居住地に療育センターがない!往復2時間半かけて隣の市まで通う日々市の保健センターでは、臨床心理士さんと娘、私で何度か面談をし、検査が行われました。やはり娘はASD(自閉スペクトラム症)だと思われる面が多いと指摘され、児童発達支援へつながることになりました。ただ当時、私が住んでいる地域には療育センターがなかったのです。臨床心理士さんに探していただいたところ、ありがたいことに隣の市の療育センターが受け入れてくれることになりました。さっそく紹介状を書いていただき、娘は隣の市の施設へ月2回通うことになりました。保健センターへの相談からここまでは約1か月半という、かなりスピーディな展開でした。ただ、隣市の療育センターまでは往復で2時間半!月2回といえども、最初は私も娘も、精神的、体力的にきつく大変でした。※当時は療育センターという名称でしたが現在は「児童発達支援事業所」「児童発達支援センター」などに変更されています。参考:児童福祉法等の一部を改正する法律(令和4年法律第6 6号)の概要|こども家庭庁児童発達支援での刺激は、娘の成長の種に距離は遠かったですが、3歳後半から満6歳になる就学前ギリギリまで、2年6か月ほど療育センターに通って本当に良かったと感じています。児童発達支援を始めるようになってからも、教室から飛び出す場面はありましたが、娘をみて下さった心理士さんは丁寧に対応してくれ、落ち着いてみんなと同じ行動が取れる場面が少しずつ増えていきました。ずっと同じ心理士さんに見ていただけたのも、安心材料でした。それまで娘の世界は家庭と幼稚園のみでしたが、療育センターという居場所ができ、そこで適切な関わり方をしていただけると、ある瞬間ぐっと成長することに気づきました。適切な他者からの刺激はこんなにも子どもを伸ばしてくれるのかと驚きました。さまざまなことを教えてもらい、それを娘は自分のペースで吸収していったようです。Upload By ユーザー体験談幼稚園、療育センターの方と相談し、年中時は年少クラス、年長時はからは年中クラスのみに通いましたが、卒園については「大丈夫!」とお墨付きをもらい、娘と同級生の年長さんたちと一緒に卒園できました。そこには入園当時トラブル続きだったのが嘘のように成長した娘がいました。児童発達支援での時間があったからこそ、現在の穏やかな日々がある大人になった今、じっとしていられないということはありません。たまに噛み合わないこともありますが、会話も問題なく続けることができ、職場の人たちとの関係も良好です。児童発達支援での時間があったからこそ、現在の穏やかな日々があるんだなあと実感しています。ただ、働くようになりお金の管理もだいぶできるようになりましたが、料理や洗濯などはまだまだ……。でも、今のように明るく過ごしてくれれば、それでいいかなとも思います。親なきあとのことは心配ではありますが、これからもさまざまな刺激の中、娘のペースで成長して人生を楽しんでもらえればと思います。Upload By ユーザー体験談イラスト/星あかりエピソード参考/S.K(コメント:井上先生より)お子さんが成人期の今、幼児期を振り返るとその当時悩んでいたことや受けて良かった支援、反省点など、いろいろな思いがあるでしょう。発語の遅れなどに悩まれていた幼児期、療育センターに早期につながり、お子さんに合ったプログラムを受けることによって少しずつ成長を感じられるようになられたのですね。幼稚園と専門機関を並行して活用する並行通園は当時からありましたが、通われていた療育センターと在籍園との連携はとてもうまくいっていたのではないでしょうか。幼児期に親子を支えるさまざまな地域機関が互いに連携できることも大切だと思います。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年11月08日完璧主義、こだわり、多動での登下校トラブルや不登校息子の支えになった存在についてのエピソードなど【2024年10月】「お母さんが悪い!」「もう一生学校行かない!」「多動で交通事故を起こしかねません」……。印象的なシーンも多い、特性のある子どもとの登下校中のトラブルエピソード。今月も読者の皆さんからさまざまな体験談が寄せられています。読者体験談は、読者の皆さんから寄せられた困った経験、こうしたら良かったといった経験をもとに書き下ろしている人気コラム。今回は2024年10月にお届けした読者体験談をご紹介いたします。「挨拶だけでいいから学校へ顔を出す」という約束を担任の先生していたASD(自閉スペクトラム症)の息子さん。不登校の息子さんに付き添って毎日母子登校をしていましたが、完璧主義な性格の息子さんは毎日登校中にイライラが止まらず……。その様子にとうとう我慢ができず、言ってしまった母の一言で大変な事態に。バス通学をしているASD(自閉スペクトラム症)、LD・SLD(限局性学習症)のある息子さん。マイルールやこだわりの強さがある息子さんはある日のバス通学で「こだわり」が発動し、「もう一生学校行かない!」と癇癪を起こしてしまいます。一体癇癪の原因はなんだったのでしょうか。幼少期は多動がひどく、医師からも服薬を勧められ「多動で交通事故を起こしかねない」と言われていたADHD(注意欠如多動症)、ASD(自閉スペクトラム症)の息子さん。問題なく登下校ができているのか不安になった母親が、周りに聞いてみるとなんと思ってもいない状況になっていたのです!しのっぺさんの息子さんは中学校のときにクラスメイトからのからかいが原因で一時期不登校気味になったことがありました。親友ともクラスが分かれて「俺、なんで生きているんだろう……」と思い詰める息子さん。しのっぺさんは息子さんの居場所を見つけるために奔走、そして親友との絆が息子さんを救うきっかけとなったのです。ご自身のエピソードを投稿してみませんか?『発達ナビ 読者体験談』は皆さんのご経験を基に制作されています。ご投稿いただいたエピソードは、連載ライターさんのイラスト、専門家の先生からのコメントをつけた上で掲載させていただきます。「あの時は悩んでいたけれど、今はこうなった……」など、発達障害のあるお子さんを育児している皆さんへ、ご自身の経験をお届けいただけないでしょうか。ご応募は以下の応募フォームから受け付けております。皆さんのご投稿を、お待ちしております。【現在の募集テーマ】・障害告知・パートナー(夫婦) 関係・両親(義両親)、親族関係・進学・受験関係・冠婚葬祭関連・反抗期、思春期・自傷・学習関係・不登校、行き渋り・ゲームとの関わり・不器用さについて・ママ友や、ほかの保護者の方とのエピソード・ご近所関係(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2024年11月03日不登校、学習の壁、転籍……リアルな体験をもとにしたセミフィクションストーリーが完結発達ナビの読者の声から生まれたセミフィクションストーリー「発達障害の子どもと私たち」全10話が完結しました。2人の主人公・小学3年生のはるきさん、小学4年生のみきさんはそれぞれの「壁」に直面、学校へ行くことができなくなってしまいました。それに対し、本人とその家族がどう立ち向かっていったのかがリアルに描かれています。各話の終わりに鳥取大学大学院教授で発達障害を専門とする井上雅彦先生からのアドバイスも掲載しています。プロローグ、そして二人のその後が描かれたエピローグとともに、「発達障害のある子どもと私たち」全10話を読み返してみませんか?「なんで僕は学校に行けないんだろう…」プロローグ~第1章はるき編完結までUpload By ユーザー体験談3歳でASD(自閉スペクトラム症)と診断を受けているはるきさんは、現在小学3年生。通常学級に所属しています。2年生までは元気に学校へ通っていましたが、3年生の5月、運動会が終わった頃から「学校を休みたい」というように。発達障害について自分で学んでいる母親は、(ここは休ませるべき)と理解はあるのですが、その後はるきさんは身体症状もでるようになってしまって……。はるきさんの気持ち、そして保護者の決断をご覧ください。私だけ勉強についていけていない――壊れそうな娘の側で保護者は……第2章みき編Upload By ユーザー体験談みきさんは5歳でASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けています。小学校3年生から勉強に難しさを感じるようになり、小学校4年生になると「クラスで私だけ勉強についていけていない」「学校へ行きたくない」と言うように。みきさんの担任の先生は頼りにならず……。みきさんの困りごとにどう対応していくべきなのか、保護者は悩んだ末、ある結論を出しました。ですが……。また、エピローグでははるきさん、みきさんのその後に触れられています。はるき、みきのその後を描いたエピローグ、そして注目の専門家コメントもご覧くださいUpload By ユーザー体験談それぞれ新しい道を進みだしたはるきとみき。そんな二人のその後に触れています。こちらのエピローグには、井上雅彦先生から中学、高校の進路の選び方について解説をいただいています。進路についてお悩みの方はぜひご覧ください。マンガ「発達障害の子どもと私たち」いかがでしたか?引き続き読者体験談をお楽しみに。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年11月01日「ただの元気な男の子」ではなかった……!多動が強く「交通事故を起こしかねない」と言われた息子わが家の息子は現在高校1年生です。小学校1年生の6月、ADHD(注意欠如多動症)、ASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けています。息子は明るく前向きな性格ですが、幼少期は多動、衝動性が強く常に走ったり動きまわりがちでした。幼稚園の頃の息子は、自宅から幼稚園まで全力疾走で登園していました。息子の走りに追いつけず、私は自転車で並走して一緒に登園。赤信号で飛び出そうとする時は「信号をみてね!」と声掛けしていました。幸いにも声を掛ければきちんと信号を見てくれたので、道路への飛び出しはありませんでした。ただ、家ではチョウチョやトンボ、セミなどを追いかけて、窓からの飛び出し行為がありました。また、近所の公園の池にも3回程落ちたことがあります。その頃の私は、息子のことを「ただの元気な男の子だろう」と考えていました。それでも、ここまで落ち着きがないものなの?という心配も消えません……。そこで、小学校に入学した6月に専門医を受診。その場で多動の症状が強いとADHD(注意欠如多動症)と診断され、コンサータ内服の指示が出ました。心の準備ができていなかった私が「薬は飲まないといけないんですか?」と医師に聞いたところ、「多動を抑制しないと、注意散漫、多動で交通事故を起こしかねません。内服をお勧めします」と言われました。私は、医師の言葉にショックを受けながらも、薬物治療を開始しました。Upload By ユーザー体験談このような事を言われたので診断を受けたあと、私は息子が問題なく登下校できているのか不安になりました。そこで息子の2歳上になる娘に聞いてみたところ、思ってもいない状況になっていたのです。大丈夫ではなかった⁉登校する息子を全力でフォローしてくれていた6年生班長さんの存在わが家が通う小学校は、朝は班による集団登校、下校時は学童擁護員の方々が通学路で見守り、誘導をしてくれます。娘から教えてもらった集団登校での息子の様子は、やはり大丈夫ではありませんでした。「○○くん(息子のこと)がしょっちゅう道路を飛び出そうとするから、6年生の男の子の班長さんがガッチリ捕まえてガードしてくれてるよ。いつも、班長さんと手を繋いで登校してる」「6年生の班長さんが『○○くん(息子のこと)は、ちょっと注意が必要だね。ぼくが面倒をみるから、副班長と5、6年生で、下級生の見守りをしてくれないかな?』って言ってたよ」そんなことになっていたとは……。私はともかくお礼と事情を説明しなければと、ご近所にある班長さんのお宅へ行くことにしました。呼び鈴を鳴らすとお母さまが出てきてくださり、いままで息子のフォローをしてくださったお礼と、発達障害の診断が出たこと、多動の傾向が強いということをお話しました。すると途中、6年生の班長さんが出てきてくれました。彼は「僕が班長なので、任せてください!○○くん(息子のこと)は僕が面倒をみます」と笑顔で、力強く言ってくれました。お母さまも「そんなに気にしないでください。みんなで登校しましょう」と言ってくださいました。涙が出る程、嬉しかったことを覚えています。Upload By ユーザー体験談こちらのおうちは3人兄弟で当時の学年は6年生、4年生、3年生。みんな息子よりお兄さんでした。この3人のお兄さんたちはずっと息子を見守ってくれました。お兄さんたちが卒業したあとの息子は同級生の男の子と手を繋いで登校し、6年間事故なく登校することができました。下校時は優しい学童擁護員さんと手を繋いでまた私は、息子に診断が出たことを学校へ伝えました。下校についても心配があると相談すると先生は「下校見守りの学童擁護員の皆さんに伝えますね。お母さんも心配だったら一緒に下校してみますか?」と提案してくれ、私は息子の下校を見守ることにしました。学童擁護員は小学校の保護者や町内会から募っていて、主に仕事をリタイアしたおじさま、おばさまがボランティア活動として参加されています。場所ごとに担当が決まっているので、学童擁護員さんと息子は顔見知りのようでした。学童擁護員さんと息子が下校する姿をうしろから見守る私。息子は擁護員さんの言うことはキチンと聞くようで、おじさんと手を繋いで危ない場面もなく帰っていきました。息子を見てくださった学童擁護員さんはとても優しかったようで、息子はおじさんに懐き、楽しそうに下校しており、私の見守りなしでも問題ないようでした。Upload By ユーザー体験談地域の力のありがたさを痛感。そして高校では電車で登校できるように特訓して……このように、ご近所の皆さんのおかげで6年間、息子は私の付き添いなしで登下校ができました。地域の力のありがたさを痛感しました。娘も息子のことをよく気にかけてくれて、息子は恵まれていたと感じています。また、薬を内服し始めてから多動がかなり落ち着いたのも幸いしていたと思います。息子は中学校でも一人で登校することができていました。ですが、高校への登校は電車の乗り継ぎが必要だったため、合計7回、母子で高校への登校練習をしました。電車の乗り場、マナー、案内板、スマートフォンのアプリを使っての時刻表の確認など、いろいろなことを教えました。その甲斐あって、高校では自分で電車を乗り継ぎ、登校しています。Upload By ユーザー体験談そんな息子の頑張っている姿を見ていると「小学校の頃からいろいろあったけれど、日々息子も成長しているんだな~」としみじみと感じ入るこの頃です。イラスト/SAKURA※エピソード参考者のお名前はご希望により非公開とさせていただきます。(監修:森先生より)お子さんの登下校についての体験談をありがとうございます。実際、多動の傾向があるお子さんは、「興味のあるものが目に入ると安全確認をする前に駆け出してしまう」「信号をじっと待つのが苦手」といったことがあり、事故のリスクも高まってしまうことが考えられます。お母さんだけでなく、周囲の方々のあたたかい見守りもあってお子さんは安全に登下校ができたのですね。普段から周囲の方と良い関係を築いて、お礼を伝えたり、事情を説明して理解してもらうといった保護者の努力があって得られる手助けも多いことと思います。事故に遭うことなく無事に大きくなって、成長を実感されているとのこと、とっても素晴らしいですね。お子さん自身も、お母さんもよく頑張られましたね。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年10月24日就学先は通常学級?特別支援学級?特別支援学校?決め手や就学相談のエピソードをまとめてご紹介!年長のお子さんがいらっしゃるご家庭ではそろそろ次年度の就学先が決定する時期ではないでしょうか。通常学級、通級指導教室の利用、特別支援学級に特別支援学校……わが子の就学先をどこにしたらいいのか悩んだ、また今も悩んでいる保護者の方も多いと思います。今回は「就学先」についてのエピソードをピックアップしてご紹介します。就学先を選んだ決め手や就学相談の様子、就学時健診でのトラブルなど、ぜひ参考になさってくださいね。就学先を「通常学級(通級指導教室)」に決めたご家庭のエピソード3歳の時にASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)と診断を受けている七転八起さんの息子さん。幼稚園では特性に対しての理解を得られなかったため、就学に向けては親子でさまざまな準備をしたとのことです。ASD(自閉スペクトラム症)と診断をされたメイさんの娘のリンさん。幼稚園では特に配慮を受けなくても、ほとんど支障なく過ごせていましたが、母のメイさんとしては「特性なのかな?」と思う出来事も多く、就学先は特別支援学級と通常学級で悩み……。4歳でADHD(注意欠如多動症)、ASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けた息子さんは現在6歳。幼稚園の頃から困りごとが多く、就学にはとても悩みました。そんな中、就学相談で「通級指導教室は必要ない」と言われて……。keikoさんのお子さん、しのくんは発達障害グレーゾーンの男の子です。発達検査を受けたものの支援者の先生たちも発達グレーの子どもの就学先には悩んでしまい……頼みの綱の保育園の先生の思いがけない言葉にkeikoさんは固まってしまいました。ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)の診断を受けているかけうどんさんの息子さんは、通常学級に在籍しながら通級指導教室(特別支援教室)に通う道を選びました。入学後、うれしい配慮を感じながらも問題も出てきて……。就学先を「特別支援学級」に決めたご家庭のエピソード4歳の時、軽度の知的障害(知的発達症)と診断されているプクティさんの息子さん。年長になった4月から児童発達支援がスタートし、新しい環境でバタバタとしていたら……就学相談に乗り遅れた!?2歳でASD(自閉スペクトラム症)と診断されたマミヤさんの娘さん、しぇーちゃん。幼稚園での行き渋りも心配なマミヤさんは就学相談で親子共に「特別支援学級」を希望しました。年中になり幼稚園での困り事が目立つようになってきた星あかりさんの息子さんのスバルくん。年中の冬に療育の先生から「就学相談」の資料をもらい、少人数で学べる「特別支援学級」を進路の候補として考えるようになりました。見通しがたたないととても不安になってしまう、ゆきみさんの長男・けんとくん。特別支援学級就学に向けた年長向けの児童発達支援施設での相談やアドバイスは、ゆきみさんの安心感につながったそうです。ASD(自閉スペクトラム症)と知的障害(知的発達症)があるカタバミさんの息子さん・まちゃくん。療育手帳の更新で等級が軽度から中等度になり特別支援学級は無理だと思ったカタバミさんでしたが、最終的に特別支援学級を選んだその理由は……!?就学先を「特別支援学校」に決めたご家庭のエピソード知的障害(知的発達症)を伴うASD(自閉スペクトラム症)のあるみんさんの息子さん・Pくん。ほとんど進路に悩むこともなく、特別支援学校へ通わせたいと考えていましたが、それでも就学前はバタバタとさまざまな手続きがあり、とても忙しかったとのことでした。ASD(自閉スペクトラム症)と知的障害(知的発達症)のあるほぺろうくん。母親のぼさ子さんは未就学時代の早い段階で進路は特別支援学校一択と決めていました。特別支援学校入学時の持ち物や学習内容、就学準備にあたり心強かった存在などを紹介いただきました。べっこうあめアマミさんの息子さんは知的障害(知的発達症)を伴うASD(自閉スペクトラム症)があり、特別支援学校に通っています。入学にあたり「リュック」と「ランドセル」で悩んだべっこうあめアマミさん。説明会で聞いた第三のアイデアで一気に気持ちが楽になったそうです。就学時健診でのエピソード3歳でASD(自閉スペクトラム症)と診断を受けたゆきみさんの長男・けんとくん。年長になって就学時健診へ行ってみたら想像以上に健診する項目が多くビックリ!けんとくんもパニック&癇癪で大暴れしてしまい……。ASD(自閉スペクトラム症)と知的障害(知的発達症)のある息子・ほぺろうくんの就学時健診が想像以上に大変だったぼさ子さん。深く考えずに臨んだことを深く後悔し、「こうすれば良かった!」と振り返るぼさ子さんのまとめは必見です。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年10月21日LITALICO発達特性検査の検査結果レポートを見て、これはもう「本」だと思った以前、LITALICO発達特性検査が「お子さまの特性と支援のノウハウをまとめたボリュームたっぷりの一冊の“本”になります」という話をしました。今日はその、“本”のような検査結果のレポートについて、詳しくお話ししようと思います。私は、LITALICO発達特性検査では、企画段階から参画し、多動・不注意/情緒・行動/感覚/運動(くせ)の検査結果テキストの監修を担当しましたが、実際に検査結果のレポートを見たのは、開発が最終段階となった頃、サービスが発表される少し前でした。サンプルとして、レポートをプリントしたものを手に取った時、「検査結果だけど、これはもう、その子オリジナルレシピの“発達支援の本”だ」というふうに感じました。インターネット上でも見られますが、PDFをダウンロードして、プリントして綴じると、ボリュームも人によっては書籍と同じくらいのものが出力されるし、具体的な対応方法まで載っていて読み応えたっぷりで、「検査結果」というよりむしろ、その子について書かれた「本」に近いのではないかという印象でした。悩みや気になることが出てきた保護者の方へ、お子さまサポートの入門書としてこの検査結果レポートを「本」として捉えると、お子さまの発達が気になり始めた保護者の方に、とてもいいなと思っているんです。「うちの子の発達について、気がかりなことがある」「困りごとが目立ってきたり、園や学校の先生から指摘をされた」など、気になることや悩みが出てきたとき、まずはインターネットで検索したり、書店や図書館に行って書籍を探すという保護者の方も多いのではないでしょうか?その中で、「発達障害」や「ASD(自閉スペクトラム症)」・「ADHD(注意欠如多動症)」・「学習症」といった言葉に出合うかもしれません。今、書店に行くと、たくさんの発達障害関連の書籍が置かれていますよね。そうした書籍を何冊も買って、熱心に読まれたという方もいらっしゃると思います。でも、「何冊か読んで、なるほどというところもあったけれど、結局うちの子には、なんだかフィットしないな」と感じたりする保護者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。特に、最近気になることが出てきて悩み始めた、というような保護者の方だと、書籍を自分で探してぴったりの情報を得るのはハードルが高いかもしれないですね。Upload By LITALICO発達特性検査 編集部LITALICO発達特性検査は書籍と検査、それぞれの「いいとこどり」私自身、発達障害やお子さまの発達支援に関する著作が10冊以上あります。また、公認心理師として、実際に心理検査を含む臨床の現場にも立っています。その立場からすると、今回のこのLITALICO発達特性検査の検査結果レポートというのは、書籍と検査、それぞれでできたらいいなと思ったことと、それぞれでこれまでできなかったことを「いいとこどり」したようにも見えます。それぞれについて、少し説明しましょう。いろいろな発達障害の書籍を読まれている方、すごく多いと思うのですが、自分のお子さまに合うところと、自分のお子さまとは書籍に書いてあることがちょっと違うよな、ということもあると思うんですよね。先ほどフィットしないといったのは、例えば、「自閉症かもしれないな」と思って書籍を読んだけれど、うちの子はこだわりは強くて当てはまるけれども、感覚過敏性はなさそうだから、その点ではちょっと当てはまらないな、と感じるといったケースは多いと思います。発達特性は人によって違うし、困りごとの現れ方もそれぞれで違うからです。また、「そこまで強い困りではないが、傾向があるな」と感じている場合に、書籍などで使われる「障害」という言葉に違和感を覚えることもあるかもしれません。書籍は、よくあるケースや困りの強いタイプ、医学的に典型的なタイプについて書かれていることが多いと思います。もちろん、そうすることで多くの方に合う内容になりますし、よりイメージしやすくなっていると思います。でも、全ての症状や特性が強く満遍なく現れるケースはあまりありません。実際には、書籍に書かれている各障害の典型的なタイプで全ての症状が当てはまって、困っていることや程度も同じ、書籍に書かれているそのままの方法でサポートがフィットしたというお子さまは、そんなにいないと思うんですよね。一人ひとり、特性の現れ方も違いますし、困りごとになって現れることも違います。だから、本当は対応方法も人によってカスタマイズしないとうまくいかないこともあるんです。その意味では、書籍というのはどうしても、みんなが着られるようなフリーサイズの服のような情報になってしまって、その人に合わなかったり、着心地が悪いな、ということもあると思うんです。書かれている内容が、当てはまるところも一部あるけれども、ほとんど当てはまらないという人もいる。自分でも、書籍を書くときには、その点が悩ましいことでもありました。もっと一人ひとり本人に合うように書いてあげたいけれども、書籍だと、どうしても限界がありますよね。フリーサイズで書くしかない。たくさんの書籍の中から選んでもらって、さらにそれを何冊も読んだ中から、読者の方に情報を取捨選択してもらわないと、自分の子どもの特性を理解することは難しい、ということになります。自分でカスタマイズしてもらう必要があったと思うのです。それが、LITALICO発達特性検査では、質問項目に答えることで、アルゴリズムで必要な情報にカスタマイズしてオーダーメイドの「本」に仕立ててくれる。そういうイメージで捉えると、親子の困りごとに向けた「本」ができる、今までにないようなサービスだと思っています。もちろん、書籍は一般的な知識や専門的な内容を網羅的に得るために、とてもいいと思います。支援法や考え方もたくさんあるので、それぞれ読むことでヒントが得られることも当然あると思います。実際に検査を受けたあと、理解を深めるために書籍も併用していただくといいと思います。一般的な心理検査は、結果が大体A4くらいのレポート1枚にまとめられて渡されるというのが多いかもしれません。検査を実施している機関によっては、直接内容の説明を口頭でしたり、補足の内容をもらえることもあると思いますが、レポートとして詳しく伝えるというイメージではないですね。特に、結果を受けて、次の日から家庭でどう対応したらいいかという情報は、レポートだけでは、ほとんど触れられていないですし、専門家ではない保護者の方が自分で読み解いて情報を得るのは少し難しいかもしれないですね。保護者の方が読んで理解しやすくてすぐに役に立つためというよりは、専門家が評価して支援に役立てることを目的にしているということが前提にあるからです。こういった点から、保護者の方が具体的にどうするか、今できることは何かを見つけるという観点では、なかなか心理検査の結果だけでは足りないこともあるのではないか、と感じることもあります。LITALICO発達特性検査は、インターネットで気軽に受けて、その結果がフィードバックされるサービスです。名称に「検査」とついていますが、これまでの心理検査とはちょっと違って、フィードバックに重点が置かれていることが特徴です。困りごとや特性が現れる背景要因だったり、支援方法や環境調整のあり方の解説が中心になっています。つまり、保護者の方向けに、具体的なサポートに直接つながるような情報がまとめられている。そういう意味で、今までの、みなさんがイメージする「心理検査」とはちょっと違うものかもしれないですね。もちろん、その子の支援についてどうすればいいか、その子のことについてを調べるという意味での「検査」ではありますが、ある意味、一人ひとりにカスタマイズされたその子にあったオリジナルの発達支援の「本」になって現れるサービスだと思ってもらえるとイメージしやすいかもしれません。お子さまサポートの入門書としてUpload By LITALICO発達特性検査 編集部LITALICO特性検査は、サポートの出発点になるような情報がまとめられています。最近気になることが出てきて、自分のお子さまの発達に疑問があるけれども、まだ相談機関に行くまでではない、という段階の保護者の方に特によいのではないかと思っています。インターネットで受けられて、結果がすぐに分かるという意味で、とりかかりやすい仕組みです。しかもLITALICO発達特性検査は障害の有無や診断を目的としたものではないので、受検に対しての心理的ハードルも比較的低いのではないかと思っています。保護者の方には、「明日からどうすればいいか」という示唆が得られる検査であると考えていただくと、受検しやすいかもしれません。検査結果は、全体で177万文字以上のテキストから、お子さまに当てはまる内容や、お子さまに合いやすい対応方法がアルゴリズムで出し分けられて出力されます。受検される保護者の方はお子さまの日頃の様子を振り返って質問項目に答えるだけで、何冊分もの情報から、自動的にそのお子さまの特性や困っていること、対応方法について必要なところだけまとめてもらえる、というイメージです。また、お子さまの困りがどのような背景要因から現れるかが説明されているので、お子さまについて理解するのにも役立ちます。保護者の方が理解しやすいような内容や、家庭で取り組みやすい内容が具体的に解説されているので、まさに「その子の発達支援の入門書」のようなイメージで読んでいただけるのではないでしょうか?もちろん、基本的な知識をお持ちの保護者の方や、すでにサポートを長くされている保護者の方にとっても、お子さまの特性や支援を再整理していくために活用していただけます。支援者や園・学校の先生といった周りの人にも検査結果レポートを共有して、読者になってもらうといいかもしれないですね。レポートの量が多いので、全て読んでもらうのは難しいかもしれないですし、内容がそのまま個別の支援計画や個別の教育支援計画になるわけではないのですが、共有しながら何を重点的に取り組むか、教育目標をつくるための参考になると思います。話し合ったり、家庭での見立てと園・学校での見立ての同じところ、違うところ、試してよかったことや合わなかったことを共有してすり合わせるための材料としても役立つと思います。お子さまの特性理解の入門ツールとして、もっと気軽に「検査」というと、保護者の方にとっては、何かを判定されたり、周りと比べられたりするのではないかというイメージがどうしてもあるかもしれませんが、LITALICO発達特性検査は、親子にカスタマイズされた1冊の「本」を手に入れるくらいの気持ちで、もっと気軽に受検していただけるといいなと思います。ちょうど、書籍1・2冊くらいの価格です(笑)。本屋さんに行ったり図書館で自分で書籍を探してたくさん読むのがちょっと大変だな、という方にとって、よりお子さまの特性に合うよう、おすすめの内容に編集された「本」がもらえる、そんなイメージです。もちろん、LITALICO発達特性検査を「入門書」のようなものとして、さらに知りたいときやサポートが必要なときには専門家や相談機関に繋がっていただいたり、書籍を手に取っていただいたりするのがいいと思います。これまでの心理検査と書籍、実際にお子さまの支援の場面で使うには難しかったところが解決できる、それぞれのいいところが組み合わさったツール。そんな使い方をしていただくことで、この検査は親子にとっての出発点になるのではないでしょうか。少しずつ読んで具体的な方法を試したり、実際に試してからまた読み返したり、結果レポートをずっと手元に置いていただいて、受検された保護者の方にとって、愛読書となるといいなと思っています。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年10月18日不器用さをからかわれるようになったASD(自閉スペクトラム症)、LD・SLD(限局性学習症)息子。それはやがてイジメに発展して……現在高校2年生の息子は、小学1年生でASD(自閉スペクトラム症)、LD・SLD(限局性学習症)と診断されています。中学1年生の時に不登校気味になりました。不登校気味になったきっかけは、入学後間もなくあった係、委員会決めでした。息子のクラスは、学級委員長がなかなか決まらず、話し合いが長引いたそうです。早く帰宅したかった息子は、仕方なく手をあげたそうで……。そして学級委員長になったのですが、息子はLD・SLD(限局性学習症)の特性から議題などを黒板に書くことが難しく、クラス目標を模造紙に書いて黒板の上に貼っても、「文字のバランスが悪くない?」「早く書いてよ!」という言葉が飛んでくることもたびたびあったそうです。それに加えて、不器用なため掃除の際にホウキを使ったりゴミを集めるのにも苦労し、給食の盛り方も上手くいかず……。これらについてクラスメイトからからかわれるようになり、そこから少しずつイジメに発展、息子は不登校気味になったのでした。Upload By ユーザー体験談息子にとって大きな存在だった発達障害のある親友A君。A君は中学校では完全不登校にここで、中学校入学前について少しお話をさせていただきたいと思います。息子には保育園年少から小学校6年間同じクラスだった親友のA君がいます。A君にはADHD(注意欠如多動症)があります。二人とも小学校は通常学級に就学をしたのですが、息子は小学校1年生の秋から通常学級に在籍をしたまま特定の教科だけ特別支援学級へ通うようになり、A君も息子と同様に小学校3年生から通常学級在籍のまま特別支援学級に通うようになりました。いつも一緒に授業を受け、お互いに得意な教科が違ったので教え合う仲でした。A君は朝起きることが苦手なため不登校気味な面がありましたが、二人はいいコンビだったと思います。※通常学級在籍の場合、個別の支援は「特別支援教室」もしくは「通級指導教室」で行われます。もしくは特別支援学級に在籍し、特定の科目を交流級にて受ける形をとります。この体験談のお子さまについては、学校の判断により、通常学級に在籍しながら一部の科目について特別支援学級で受けています。Upload By ユーザー体験談中学校に進学する際、息子もA君も小学校時代同様に通常学級在籍で特別支援学級に通うような配慮が決まっていたので、学校へ「二人一緒のクラスとにしてほしい」とわが家もA君の家もお願いしていました。しかし、実際に入学してみると通常学級のクラスも、特別支援学級のクラスどちらも息子とA君は離れてしまいました。これが原因でA君は「学校を信用できない」と完全に不登校となりました。A君が登校していたら、息子も不登校気味にならなかったかもしれません……。「俺、なんで生きているんだろう……」このままではダメ、息子の居場所を見つけるために奔走し見つけたある場所不登校気味になった息子は、しばしば「俺、なんで生きているんだろう……」といった発言をするようになりました。なんとか二次障害を避けたいと思った私は、学校以外に通える場所を探しました。そしてある「発達障害や不登校の子を受け入れてくれる支援教室」を見つけそこへ通いだしました。そこは、もともと学校の先生をしていた方が運営されていて、家庭だけでなく学校側へもサポートをしてくださいました。息子はその教室を気に入ったようで、通う日を楽しみにするようになりました。余談ですが、現在はこの教室を卒業し、そちらでアルバイトをしています。不登校気味でつらい時期でしたが、そこであったご縁はかけがえのないものになりました。中学2年生のクラス替えで、ついにA君と一緒のクラスにこの学習支援教室に通ったり、行けるときは学校へ登校したりしながら1年が過ぎ、中学2年生になった息子。クラス替えが行われ、ついにA君と通常学級も特別支援学級も一緒のクラスになりました。すると、それがきっかけで不登校気味だった息子と完全不登校だったA君、二人とも学校に通えるようになったのです。前日に約束をして一緒に登校するようになり、お互いに携帯電話をもち始めたため、連絡をよくとりあって、お互いが心の支えになっているようでした。息子に学校はどうと聞くと、「二人で居るから大丈夫」という頼もしい言葉が返ってきました。Upload By ユーザー体験談嫌なことも好きなことも熟知している間柄が功を奏し、少しずつ友達関係もひろがっていきました。A君は、コミュニケーションに困難さがないので、息子はA君に引っ張ってもらい友達との関わり方を学んだようでした。A君は、息子から衝動的な行動は良くないことを学んだと聞きました。それぞれ違う通信制高校へ進学した今の二人は現在、息子は高校2年生です。息子とA君はそれぞれ違う通信制の高校へ通っています。息子は週3回スクーリングがある学校、A君はIT技術が身につけられる学校です。学校は違えど、A君の家には月1ペースで泊まりに行ったり、週末は遊びに行ったり仲良くやっています。アルバイトで貯めたお金で、A君を含めた数人で東京へ遊びに行くまでになりました。Upload By ユーザー体験談息子は得意不得意の差が大きく、これから乗り越えなければいけないハードルも高いものが多いかもしれません。ですが、A君のおかげで周りの人の助けを借りることを学んだ息子は、どんなつらいことも乗り越えることができると信じています。困っていることを困っていると言えることは、決して恥ずかしいことではありません。息子が今後進学を希望して一人暮らしを始めるのなら、大事な力になります。息子よ、学力だけでなく、生きる力を身につけていってください。母は応援してますよ。イラスト/マミヤエピソード参考/しのっぺ(監修:森先生より)不登校から脱することができた体験談を聞かせてくださってありがとうございます。発達障害の傾向があると、不器用な部分があることが多く、どうしても同世代の集団の中で目立ってしまうことがありますよね。そこで、理解しようと歩み寄ってくれるのか、からかいの対象とするのか、その集団の子ども達一人ひとりの性格によって、学校生活の送りやすさが変わってきます。一人でも理解してくれる友達がいるとだいぶ楽なのですが、クラスが離れてしまうと、傷付いてしまうことも多くつらいですよね……。そんなときには、学校以外の居場所を見つけることもひとつの手です。趣味や習い事の教室でもいいですし、ボランティア活動でもいいかもしれません。とにかく、どこかひとつでも「居場所がある」と感じることができると、傷付いた心の回復度合いがだいぶ違うのではないでしょうか。今回のように、学校とは別の「支援教室」に通うというのは、とても良い選択だったと思います。お子さんの特性に理解があり、学校生活に馴染むためのトレーニングも行うことができるところであれば、居場所にもなりサポートにもなりますね。お子さんが学校に行きたがらないときには、無理に学校に行こうとするのではなく、ほかに安心できる場所、勉強や集団行動を身につけることができる場所を探してみるといいでしょう。学校に通うことは、あくまでも手段であって目的ではありません。お子さんが健やかに育つことが目的なわけですから、お子さんの気持ちに寄り添いながら、一番良い方法を探していけると良いですね。これからも応援しております。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2024年10月17日「インクルーシブ教育」を推進するための指針を、教育リーダーズから学ぶUpload By 発達ナビ編集部2022年に国連から日本へと推進が通達され、大きな注目を集めているインクルーシブ教育。インクルーシブ教育とは、文部科学省で下記のように定義されています。「インクルーシブ教育システム」(inclusive education system、署名時仮訳:包容する教育制度)とは、人間の多様性の尊重等の強化、障害者が精神的及び身体的な能力等を可能な最大限度まで発達させ、自由な社会に効果的に参加することを可能とするとの目的の下、障害のある者と障害のない者が共に学ぶ仕組みであり、障害のある者が「general education system」(署名時仮訳:教育制度一般)から排除されないこと、自己の生活する地域において初等中等教育の機会が与えられること、個人に必要な「合理的配慮」が提供される等が必要とされている。障害のある子もそうでない子も、共に学ぶための仕組みづくり。しかし実際の市区町村、学校教育の現場では、対応のノウハウが欠如していたり、人員が足りなかったり、チームの目線が合わなかったりと、推進が難しい現状もあるという声も散見されています。そんな中でも、すでに全国でインクルーシブ教育を先駆けて推進している人たちがいます。彼らはインクルーシブ教育をどのように捉え、何を考え、推進を実現してきたのでしょうか?この連載では、そんな彼らを「教育リーダーズ」と位置付け、その言葉に耳を傾けることで、推進のヒントとなる“指針のカケラ”を集めていきたいと思っています。第5回は、江東区家庭教育支援チーム、通称「江東もっく」の本田和恵さんにお話を伺いました。地域の特性を活かした「木育」プログラム――本日はよろしくお願いします。まずは、本田さんが代表を務める江東区家庭教育支援チーム、「江東もっく」のことから伺えればと思います。江東もっくがスタートしたのは、令和2年。江東区でも、家庭と地域や学校をつなぐ「家庭教育支援チーム」を設置しようという声が上がったのが、最初のきっかけです。家庭教育支援チームとは、子育て経験者や元教員やPTAなど、地域のさまざまな人や専門家によって構成されるボランティア団体。文部科学省の認可を受け、子育ての相談にのったり、親子で参加できる講座やワークショップ、地域の情報の提供などを行うものです。ただ、当時は家庭教育支援チームといっても、まだあまり知られていなくて、設立当初は本当に手探りの運営でしたね。――江東もっくは、「木育」を取り入れているのが、大きな特徴ですね。このアイデアは設立当初から?江東区は、江戸時代から材木業で栄えたという歴史を持ちます。木のある街の家庭教育支援なんだから、「木育」も入れよう、ということで、ここはすんなり決まったんです。江東もっくには3つのルームがあって、そのうちの1つが木育の部屋。「もっくプレイルーム」という名で、子どもが木を使って遊び、学べるルームです。――木の香りがいいですね。気持ちが落ち着きますよね。大人もリラックスできます。やすりをかけただけのなんでもない木でも、いろんな形のものを並べたり、積み上げたりするだけで、子どもたちは楽しそう。子どもたちの感覚を育てるのにも、いい影響があると感じています。保護者にも子どもと離れてリラックスする時間を――設立当初は手探りの運営だったということですが、苦労されたことがあれば教えてください。まず、立ち上げの時期はコロナ禍でしたから、「誰も来ない」なんてことも多かったですね。ただ、私たちのメンバーには、保育士、保健師、手話の先生、元校長や保護士、それから不登校の子どもを育ててきたお母さん、本当にさまざまなバックグラウンドを持った人が集まっています。いろんな人がいるからこそ、誰がきても大丈夫。みんなでアイデアを出し合い、手話のワークショップ、就学相談など、少しずつプログラムを決めていきました。――プログラムなどを決めていくなかで、本田さんがいちばん大切にされていたことはなんですか?私自身も子どもに発達障害があり、不登校になった時期も経験しています。子育て中のお父さん、お母さんが、休める場所を作りたいという思いはずっと強くありましたね。とくに障害のあるお子さんを持つと、子どもから片時も目を離せない、という保護者が多い。でも、親にとっても、自分の時間を持つことって大事なんですね。いい意味で、子どものことを忘れられる時間が必要だと思うんです。Upload By 発達ナビ編集部――確かに、親になると子ども中心で、自分の時間はなかなかとりにくいですね。たとえば、今日は「おしゃべりハンドメイドの会」といって、おしゃべりしながらハンドメイド作品を作るワークショップを開催しました。参加したお母さんたちは、みんな途中から真剣に黙々と作業されていましたね。「久しぶりにこんなに1人で集中しました」という感想もいただきました。それこそが、私たちが大切にしたいこと。だから、「悩み相談」みたいなことはあまり掲げていないんです。――お悩みへのアドバイスなどもしない?ええ。アドバイスというより、ただお話を聞く。でも、ひとときでも子どもと離れる時間が、何よりのリフレッシュになるんだと思います。手を動かしながら夢中になって、可愛い作品を制作して。そういうことって、なかなか家庭ではできないですから。――お母さん、お父さんと離れられない子も、ここではすぐに慣れて遊び始めるそうですね。今日来ていた男の子も、最初は恥ずかしがっていましたけれど、もうあっという間に走り始めましたね。私たちはあまり声をかけず、子どもが自然に興味を持ったもので遊ぶ、というのがいいなと感じています。続けることで「場」が認知される――「保護者の支援の場を作る」ということも、江東もっくの活動の大きな目的ですね。保護者同士のつながりを作ったり、支援を推進するために必要なことはなんでしょう?まずひとつは、「続ける」ということでしょうか。私たちにも「誰も人が来ない」という時期がありましたが、「何のために活動しているのか」というところから、何度も話し合いをしました。対象年齢を区切ったほうがいいのではないか、という案も出ましたね。でも、やはり年齢や、障害の有無などでボーダーを作りたくない、というのが結論。いつ来てもいいし、いつ帰ってもいい。喋っても喋らなくてもいい。そういう自由な場所にしたいな、と思うんです。Upload By 発達ナビ編集部――続けていくためのポイントはなんですか?やはり助成金の話なども知っておく必要がありますね。「お金がない」で終わってしまってはもったいないです。私たちも補助金を受けられるようになったので、利用者の方から参加費をいただかなくても運営できるようになりました。メンバーには教育関係の専門家も多く、運営についての情報収集もみんなでできるのは心強いです。それから、この場所があるということもポイント。「今週もあるよね」って来てくれる利用者さんも多いんですよ。――メンバーのみなさんは、どのようなつながりでチームに参加されることになったのですか?元校長のつながり、PTA役員をしていた人の紹介など、志を持つ人同士の地域のつながりがベースです。心理カウンセラーの方もいるし、本当に多彩なメンバーです。ひとつ課題をあげるとすれば、メンバーの高齢化かな(笑)。IT関係はみなさんちょっと苦手なので、SNSの発信などは私が一人で担当しています。PTA活動から始まった脱・孤育ての取り組み――江東もっくが掲げる「脱・孤育て」というフレーズにも大変共感します!私が子育て中、PTA活動をしていたときから、「脱・孤育て」という言葉を使っていたんです。PTA活動って、忙しい保護者には敬遠されがちな面もあるかと思いますが、学年をまたいだ交流ができるから、本当にいろいろな情報交換ができるんです。子育ての悩みや経験談なども話せて、私自身もPTAで孤独な子育てを抜け出せた一人です。これをもっと広げていきたいな、というのが江東もっくの思いです。――そもそも本田さんがPTA活動に取り組もうと思われたのは、何かきっかけがあったのでしょうか?子どもが1年生のときに「もしかして発達障害かな?」と、気になる様子が見えるようになったんですね。私はせっかちなのですぐに病院に行ったところ、診断が出ました。理由がわかれば、あとは対策をするだけ。学校生活が送りやすいようにと先生に相談をしたのですが、当時はまだ合理的配慮という言葉も知られていないし、先生の理解も得られなかったんです。子どもも学校に行けなくなってしまって。――まだインクルーシブ教育という概念もない頃ですね。そうなんです。でも、子どもがまた学校に通うには、学校全体で理解を深めてもらう必要がある、と痛感して。学校にいろいろお願いするなら、自分もできることをしなきゃいけない。それに親である私が、学校のことを何も知らないのではダメだな、とも考えました。それまでPTAへの興味はまったくなかったのですが、180度転換!PTA会長まで務めることになりました。――学校と話を進めるなかで、最も大変だったのはどんなことですか?人それぞれに考え方が違うことですね。わが子の障害を認めたくない、という保護者の方もいる。「障害=できない子」ではなくて、親や学校がちょっと動いてあげれば楽になる、生きやすくなることがたくさんあります。でも、なかなかそれが理解されないハードルは感じていました。だから、脱・孤育てにもつながりますが、保護者教育が大切なのではないか、と思うんです。Upload By 発達ナビ編集部――保護者の方が情報を得られる場所が必要だ、ということですね。その通りです。孤独に子育てをしていると、なかなか情報も入ってこないし、一人で抱え込んで親子共に苦しくなってしまう。――PTA活動をするなかで、手応えを感じたエピソードがありましたら教えてください。子どもが不登校になる前に、担任の先生とうまく話し合いができないことがありました。それで、学校の全クラスの授業を見学したんです。そうすると、「もっとこうしたらいいのではないか」という点がたくさん見えたんですね。それをまとめて、校長先生に渡しました。すると、ガラッと学校全体の授業が変わったんです。校長先生がちゃんと向き合ってくれて、先生も研鑽をしてくださったんだな、と。――全クラスの授業を見学するのは、それだけでも大変ですよね。そのモチベーションはどこから?元々はわが子のためですが、学校に入ってみると困っている子がたくさんいることを目の当たりにして。そしたら、自分の子だけでなく、すべての子にとっていい環境になればいいな、と思うようになりました。どうせやるなら、みんなのために、という感じですね(笑)。アートで人々をつなぐ「アートパラ深川」――アートパラ深川の取り組みについても、教えてください。江東区には、東京オリンピック・パラリンピックの会場がたくさんありました。それで、アートのパラリンピックを江東区でやろう、東京工芸大学の教授が中心となって立ち上げたのが、「アートパラ深川」です。私は、最初の年はボランティアで、翌年から実行委員会のメンバーに加入しました。――多忙ななか、実行委員として参画することにした決め手はなんですか?やはり作品のすばらしさです。美術館でシーンと黙って鑑賞するのではなく、コミュニケーションを大切に、おしゃべりをしながらアートに触れられるのがアートパラ深川。観に来られたアーティストの皆さんと話をすると、本当にその内容がおもしろくて。全国公募をするのですが、全国から集まる作品を最初に拝見できる感動も実行委員の醍醐味です。――すてきですね。街を歩くように、おしゃべりしながらアートを観られるんですね。はい、深川の街中を美術館にしようという試みですから。今年で5回目を迎え、認知度も上がってきました。『共に生きる』社会をめざすという趣旨に賛同して協力してくださる企業も増えています。多様な人々が当たり前に共に暮らす社会へ――江東もっく、PTA活動、アートパラ深川、どの活動にも共通する本田さんの教育観についても教えてください。アートパラ深川のコンセプトは、共生社会。ただ、残念ながら、現在の社会のあり方はまったく共生社会にはなっていない。口で言うのは簡単ですが、どう実現していくかですよね。学校も、特別支援学級と通常学級って分断されていて、もっと一緒にやる機会を増やすべきだということは、ずっと言い続けてきました。障害のある子もない子も一緒にいるのが当たり前の環境だったら、特別扱いもしないし、どういう助けをしてあげたらいいかが自然に身につくはずです。大阪でも実践している学校がありますね。――『みんなの学校』という映画にもなった、大阪市立大空小学校ですね。ええ。実現できている学校もある。でも、多くの場合、学校でも社会でも分断されてしまっているから、たとえば親切のつもりで車椅子に勝手に押してしまったりするようなことが起こるんです。車椅子って、その人にとっては体の一部のようなもの。急に体に触られたら誰だっていやですよね、そういうことが想像できなくなってしまう。――どういう手助けが必要なのかわからない、ということは多いと思います。なんでも手助けすればいいわけではなくて、必要なのは心配りなんだと思うんですよね。多様な人々が当たり前に共生する社会の実現のために、共に生きる場をもっともっと増やしていかなければ、と思います。Upload By 発達ナビ編集部――本日はありがとうございました!(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年10月11日『マンガ発達障害の子どもと私たち』みき編が完結。はるき編、みき編のエピローグも公開。そのほかパートナーと子どもの関係や友だちトラブルエピソードなど【2024年9月】読者体験談は、読者の皆さんから寄せられた困った経験、こうしたら良かったといった経験をもとに書き下ろしている人気コラムです。今回は2024年9月にお届けした読者体験談をご紹介いたします。大反響!『マンガ発達障害の子どもと私たち』みき編がついに完結。はるき編、みき編のその後を描いたエピローグも必見です。そのほかパートナーと子どもの関係や友だちトラブルエピソードなど、ぜひご覧ください。苗さんの息子さんは特別支援学級に通っている小学校1年生。全領域DQ(発達指数)が境界域です。「夫は息子に関心がないわけではないのですが、息子との絡み方が不得手で……」とパートナーと息子さんとの関係性が悩みの種の苗さん。パートナーへの伝え方など、専門家のアドバイスも参考になりそうです。現在14歳、中学3年生のまんまゆうままさんの娘さん。11歳直前でADHD(注意欠如多動症)、ASD(自閉スペクトラム症)、LD・SLD(限局性学習症)の診断を受けました。中学校の一時期学校へ行けなくなる事がありましたが今は楽しく通えるようになりました。学校に行く「きっかけ」となった出来事とは一体何なのでしょうか?発達ナビユーザーの体験談をもとにしたセミフィクションストーリー「発達障害の子どもと私たち」。みき編の第3話です。ASD(自閉スペクトラム症)のある小学4年生のみき。学校の勉強についていけず自己肯定感は下がり「学校へ行きたくない」というようになりました。その様子を見た母は――。「発達障害の子どもと私たち」みき編の第4話(最終話)です。学校の勉強につまづき、つらい思いをしているみき。保護者とみきは自閉症・情緒障害特別支援学級へ転学を希望したのですが、判定委員会の結果は「不可」。転学できないと知ったみきは、「今のクラスだったらもう学校に行けない!」と泣きじゃくり……。1話から4話まで、マンガ発達障害の子どもと私たち「みき編」の一気読みはこちらから!発達ナビユーザーの投稿を元にしたマンガ「発達障害の子どもと私たち」。3歳でASD(自閉スペクトラム症)、4歳で知的障害(知的発達症)と診断を受けている小学2年生のはるきさんは、今は「元気をためる期間」だと学校へ無理に行くことを辞めました。ASD(自閉スペクトラム症)の小学4年生のみきさんは、通常学級の学習についていけず、知的障害特別支援学級へ転籍しました。 二人はその後、どのように過ごしているのでしょうか?今回はエピローグ、そして中学校、高校進学について専門家からのコメントをお届けします。ご自身のエピソードを投稿してみませんか?『発達ナビ 読者体験談』は皆さんのご経験を基に制作されています。ご投稿いただいたエピソードは、連載ライターさんのイラスト、専門家の先生からのコメントをつけた上で掲載させていただきます。「あの時は悩んでいたけれど、今はこうなった……」など、発達障害のあるお子さんを育児している皆さんへ、ご自身の経験をお届けいただけないでしょうか。ご応募は以下の応募フォームから受け付けております。皆さんのご投稿を、お待ちしております。【現在の募集テーマ】・障害告知・パートナー(夫婦) 関係・両親(義両親)、親族関係・進学・受験関係・冠婚葬祭関連・反抗期、思春期・自傷・学習関係・不登校、行き渋り・ゲームとの関わり・不器用さについて・ママ友や、ほかの保護者の方とのエピソード・ご近所関係(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2024年10月06日自閉症息子、悪循環の無限ループで不登校に現在12歳、中学1年生の息子は、9歳でASD(自閉スペクトラム症)、反抗性挑戦障害(反抗挑発症)と診断を受けています。完璧主義で衝動性が強い息子は、興味の限局性があり、他責的、怖がり、人見知り、分離不安、自己肯定感の低さなど、母親としては心配な面が多々あります。そんな息子は、小学校3年生の後半からまだら登校が始まり、4年生からは完全に不登校となりました。勉強についていけなくなったことが不登校に繋がったと感じています。勉強についていけなくなった→完璧な自分じゃない→劣等感→不登校→学校へ行けない自分が許せない→劣等感→みんなに白い目で見られたくない→怖い→さらに行けない……という悪循環の無限ループに陥った息子。ただ、「挨拶だけでいいから学校へ顔を出す」と担任の先生と約束したため、一人で登校できなくなってしまった息子に私は毎日付き添いをしました。イライラしながらも学校へ顔を出しに行ける日もあれば、途中で引き返すこともある日々でしたが、この母子登校でさまざまなことがありました。Upload By ユーザー体験談信号を渡れないと「最悪!」。歩行者を「あの人避けてくれなかった!」常にイライラしながら歩く日々一人で登校できない理由について、本人は「虫がいるから怖い」と言っていました。ですが、虫除けや、帽子や上着を勧めても全て拒否。「この世から虫を全部消して!」と騒ぐので困りました。ただ、本当の理由は虫ではなかったのだと思います。以前は1人で登校できていたので、不登校になってしまったことが原因なのでしょう。また、幼少期はそれほどでもなかったこだわりが、この不登校期間に強くでるようになりました。一番困ったこだわりは「信号が青だったら絶対に渡る」こと。これは、信号までの距離が離れていたとしても、青の信号が見えたら適用されます。数十メートル先の信号に向かって急に走りだし「お母さん!早く!」と私に怒り出します。到底間に合わない距離なのにです。結局渡れず次の青信号を待つことになると「お母さんが遅いから!」と怒りながら、「さっきの青で渡れなかった!最悪!」と責め立てるので困りました。「別に急ぎの用事もないから、次の青で大丈夫だよー」と話しても、納得してくれませんでした。Upload By ユーザー体験談また、自分のペースで目的地まで行きたい息子は、歩くペースを乱されることを極度に嫌がりました。出会い頭で自転車の人やほかの歩行者がいて、お互い右に避けるか左に避けるか……という場面になると「あの人避けてくれなかった!」と不機嫌になりました。私は「仕方ないよ。相手の人も上手く避けられない場合があるからね……。息子君は運動神経がいいから避けるのが上手いでしょ?避けてあげたら良いんじゃない?」と、持ち上げてみましたが、あまり変わりませんでした。我慢できず「そんなことで今後どうするの?」と言ってしまった私。息子はパニックに毎日毎日、家でも外でもこのようなことが繰り返され、私は息子と一緒にいること自体憂鬱になっていました。それでも厳しい言葉を浴びせてはいけないと気持ちに蓋をしていましたが、ある日の登校中、その蓋が壊れてしまいました。通学路に虫がいることに対して怒り始めた息子に対して「世の中の虫を全部消すなんてできないのは分かるよね?ある程度は克服しなきゃいけないことなんだよ。外に出ない生活なんて無理だし、自分ができることをするしかないんだよ」いけないと分かっていましたが、耐えられなくなってしまったのです。そしてこれを聞いた息子はパニックになってしまいました。私に「生まれてきたくなかった!」と叫び走って家に帰ってしまいました。私は息子を追いかけながら、やはり言ってはならなかったと心底後悔しました。Upload By ユーザー体験談息子は機嫌のいい日は私と手を繋ぎたがったり、おちゃらけたりすることがありました。通学路でのトラブルの後、私は息子が繋ぎたければ繋ぐし、離したければ離す、息子が安心して学校までたどり着けるように心を砕き続けました。中学校でリセット!学区外の特別支援学級へ進学すると、登校できるように!小学生中はこのような日々でしたが、中学に進学するにあたっては学区外の特別支援学級のある中学へ進学しました。その中学にはなかなか学校に行くことができなかった小学校時代の知り合いがいなかったため、気が楽だったようです。また、自分に合ったクラスに入り、自分に合わせた勉強の進め方をしてくれることが安心につながったようで、中学からは登校できるようになり、私は本当に安心しました。今も朝は私が送っていますが、帰りは1人で帰宅するようになりました。そして次第に「虫が~」や「すれ違う人が~」などの不満も言わなくなりました。Upload By ユーザー体験談登校できるようになってよかったと思いますが、今後も息子の様子を慎重に気にかけていきたいと思います。今までは「家族」しか世界になく、家族に依存をしがちでしたが、これから中学、高校と成長するにつれて息子の交友関係も広がるはずです。自分のことは自分で考えて、自分で決めて自分で行動し、相手の気持ちを考え、望んでいた結果ではなくても受け入れることができるようになって欲しいです。イラスト/志士ノまる※エピソード参考者のお名前はご希望により非公開とさせていただきます。(監修:森先生より)母子登校についての貴重な体験談をありがとうございます。登校渋りがでるお子さんは、完璧主義だったりこだわりがあったりして、失敗することへの不安が強い傾向にあります。学校へ向かう道ですれ違う人や虫にイライラするのは、学校に行くことへの不安や、自分が学校になかなか行けないことによるプレッシャーが根底にあるのかもしれませんね。発達に偏りがあると、「他人との境界線をうまくひけない」、「気持ちの切り替えが苦手」といった特性が出ることがあります。他人や環境など、自分以外のものが自分の予想と違う動きをしたときに不安になってしまうのです。そして気持ちの切り替えがうまくできずに、パニックになってしまいがちです。お子さんがそのようにパニックになってしまった場合は、「そんなこともあるよね」というように、気持ちを切り替えて問題解決していけるような考え方を教えていけるといいですね。とはいえ、お子さんも成長するにしたがって保護者に対して反発心も感じますし、保護者としてはつらい日が続きますよね。しかし、家族としてお子さんのフォローをできる期間は限られています。お子さんもいつかは外の世界の厳しさに直面することになりますので、その日までに保護者が少しずつ教えていく必要があります。外の世界と関わっていけるようになるためのサポートは、お子さんとの信頼関係のある保護者だからこそできることなのではないでしょうか。お子さんに寄り添い続けた結果、中学校に進んで登校できるようになったとのこと、とっても素晴らしいですね。これからもお子さんが自分らしく成長できるよう、応援しております。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年10月03日無理に登校はせず、家で過ごすことにしたはるき、希望が叶って知的障害特別支援学級に転籍したみき。二人のその後は?発達ナビ読者の体験を元にした「マンガ発達障害の子どもと私たち」。1章はるき編、2章みき編と無事完結しました。3歳でASD(自閉スペクトラム症)と診断を受けたはるきは、小学校3年生の運動会が終わった5月の下旬頃から「学校を休みたい」というようになって、不登校に。最初は受け入れていた保護者も、長引く休みに焦るようになりました。一方、5歳でASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けているみき。就学相談では通常学級判定となり、通級指導教室に通いながら楽しく学校へ通っていましたが、小学校3年生から勉強につまづきが見られるようになり、小4の「学習の壁」によって登校渋りがでるように。集団授業は難しいのではと思った保護者は、みきが希望する特別支援学級への転籍を希望したのですが、結果は……。1章、2章については、以下記事からまとめ読みができます。今回は、そんなはるきとみきのその後をお届けします。専門家による進学についての解説も併せてご覧ください。マンガ「発達障害の子どもと私たち」エピローグUpload By ユーザー体験談Upload By ユーザー体験談子どもの笑顔を指針に、これからも歩んで行く発達ナビユーザーからの体験談を元にしたストーリーマンガ「発達障害の子どもと私たち」エピローグいかがでしたか?はるきは、学校へ行くことはできていませんが、家でも笑顔が増えるとともに放課後等デイサービスという居場所を増やして元気に過ごしているようです。みきは、知的障害特別支援学級でお友だちもでき、楽しく登校できるようになりました。みきにあった環境を見つけられたようです。笑顔が増えてきたはるきとみき。ですが、これから中学校、高校と将来のことを考えると心配はつきません。発達障害があるお子さんの進路の選び方について、鳥取大学大学院教授で発達障害を専門とする井上雅彦先生に解説いただきます。中学、高校の進路の選び方について【専門家解説】中学でどの学級に在籍するかについては、高校の進学が関係してくるため、注意が必要になります。例えばみきさんの場合、中学でも知的障害特別支援学級を希望される場合、入学前から高校を受験することを前提に教育課程を組んでいただくようお願いする必要があります。知的障害特別支援学級では、一般的に各教科の指導というよりは、自立活動を中心にカリキュラムが組まれることが多いため、そのため、通常の高校への進学は難しくなるケースもあると思います。自閉症・情緒障害特別支援学級や病弱・身体虚弱特別支援学級の場合は、こうした心配はありません。地域によっても多少の違いがあるので、中学校に就学する時点で、高校の進路についてもある程度相談しておくことが必要ではないかと思います。参考:3.特別支援教育に関する学習指導要領等|文部科学省教育課程の編成について2特別支援学級Upload By ユーザー体験談「発達障害の子どもと私たち」最後までお読みいただきありがとうございました。【マンガ発達障害の子どもと私たち】(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年09月26日漢方薬「甘麦大棗湯(かんばくたいとうそう)」は子どもの夜泣きやひきつけに効果がある?作用、特徴、効能、副作用などについて解説甘麦大棗湯(かんばくたいとうそう)とは、夜泣きや不眠、ひきつけなどに効果があると言われていて、子どもに用いられることも多い漢方薬です。心身の興奮を鎮める効果があり、自律神経の乱れ(いわゆる自律神経失調症)や癇癪に対しても用いられることがあります。甘麦大棗湯は小麦、甘草、大棗(ナツメ)などの食品で構成されていて甘みがあり、子どもにも服用しやすいという特徴があります。甘麦大棗湯は不安からくる腹痛にも効果があると言われています。腹痛に対しては基本的にはほかの漢方を用いますが、強い不安が腹痛の要因となっている場合には甘麦大棗湯により症状が改善することがあります。また、甘麦大棗湯はほかの漢方薬と併用することもあります。ここでは抑肝散(よくかんさん)と桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)との併用について紹介します。抑肝散はセロトニンを増やす効果があり、神経症や夜泣きなどに用いられる漢方薬です。入眠、起床の困難や疲れやすさを感じていた方に甘麦大棗湯と抑肝散を併用したところ、相互作用により症状の改善が見られたという報告があります。次に桂枝加竜骨牡蛎湯は神経の高ぶりを抑える効果があり、神経症や不眠、夜尿などに用いられる漢方薬です。不安症やパニック症などの精神疾患のある方に対して甘麦大棗湯と桂枝加竜骨牡蛎湯を併用したところ、症状の緩和が認められた例があります。参考:津曲 淳一, 田原 英一, 矢野 博美, 土倉 潤一郎, 益田 龍彦, 犬塚 央, 田沼 龍太郎, 三潴 忠道 著「甘麦大棗湯により改善した腹痛の二例」日本東洋医学雑誌/66 巻 (2015) 1 号 p. 8-12参考:永田 豊, 小山 俊平, 青山 和史, 貝塚 真知子, 中川 のぶ子, 長坂 和彦 著「桂枝加竜骨牡蛎湯と甘麦大棗湯の兼用が有効であった不安症の4症例」 日本東洋医学雑誌/68 巻 (2017) 4 号p.317-323甘麦大棗湯は子どもから大人まで幅広い年齢の方に処方されます。具体的には生後3ヶ月以上の子どもが対象です。ただし、1歳未満の子どもの場合には、症状や状況を考慮してやむを得ない場合にのみ処方するような形となっています。漢方薬は効果が表れるまで時間がかかることが多いですが、甘麦大棗湯は比較的即効性があり、1週間程度で効果が表れるとされています。また、効果があった場合にもいつまで飲み続けるかについてですが、基本的には不眠や夜泣きなどの症状がなくなったタイミングで服用を中止します。反対に効果が表れない場合にも服用を中止することがあります。服用の注視や継続については処方してもらった医師に相談するようにしましょう。「甘麦大棗湯」の用法、用量を解説。病院で処方してもらえるの?甘麦大棗湯は成人の場合1日7.5gを2~3回に分けて服用します。子どもの場合は年齢ごとに用量の目安が厚生労働省により以下のように定められています。・7歳以上15歳未満:成人用量の2/3・4歳以上7歳未満:成人用量の1/2・2歳以上4歳未満:成人用量の1/3・2歳未満:成人用量の1/4以下つまり、5歳の子どもの場合は1日3.75gとなります。実際に処方される量は年齢以外にも体重や症状の表れ方によって変化します。甘麦大棗湯は小さな粒状となっており、食前または食間に水かぬるま湯とともに服用します。食前とは食事の20~30分前、食間とは食後約2時間で、この時間に服用することで胃腸からの吸収がよいため、作用の穏やかな漢方薬に向いていると言われています。甘麦大棗湯は小児科やメンタルクリニックなどの病院で処方してもらうことが可能です。ただ、漢方を扱っているかは病院によって異なりますので、詳しいことは直接病院へお問い合わせください。参考:都道府県知事が承認する漢方製剤の製造販売承認事務の取扱いについて|厚生労働省「甘麦大棗湯」は発達障害に効果があるの?甘麦大棗湯は発達障害のある方へ処方されることがあります。ただ、発達障害の特性に対して効果があるわけではなく、発達障害に関連した癇癪や睡眠障害などの症状を緩和するために処方されます。実際にASD(自閉スペクトラム症)に伴う入眠・起床困難や疲れやすさのある方に対して、甘麦大棗湯と抑肝散を処方したところ、睡眠状況が改善し活動量も増えたという報告もあります。薬の飲み合わせなどにより副作用が出ることもあるので、甘麦大棗湯をはじめ漢方薬を試してみたい場合は、主治医に相談してみてください。参考:武原 弘典, 松川 義純, 田中 裕, 山本 修平, 堀谷 亮介, 西森(佐藤) 婦美子 著「発達障害に合併する睡眠障害に対して漢方治療が有効であった2症例」日本東洋医学雑誌/69 巻 (2018) 3号 p.246-251「甘麦大棗湯」の副作用は?漢方は比較的副作用が少ないと言われていますが、全くないわけではありません。実際甘麦大棗湯にも副作用が確認されています。主な副作用としては手足のだるさ、しびれ、つっぱり感やこわばり、脱力感、筋肉痛などがあります。こういった症状が表れた際は服用を止め、医師や薬剤師などに相談しましょう。また、何か治療を受けている場合やむくみ、高血圧、心臓病、腎臓病のある方は影響が出る可能性があるため、服用前に医師などに相談しましょう。まとめ漢方薬「甘麦大棗湯」は子どもの不眠やひきつけなどの症状に用いられるほか、自律神経の乱れや発達障害に関連した癇癪、睡眠障害に対して用いられることもあります。漢方薬としては効果が早く表れることや、甘みがあり子どもにも服用しやすいという特徴があり、子どもから大人まで幅広い年齢の方に用いられています。ただ、甘麦大棗湯には少ないながらも副作用も報告されているため、服用してみて気になる症状が表れた場合には、すぐに医師などに相談するようにしましょう。参考文献:甘麦大棗湯エキス〔細粒〕6|KEGG(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年09月21日STEAM教育って何?
子育て楽じゃありません
細川珠生のここなら分かる政治のコト