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言葉に頼らないから、だれでも楽しめる!舞台「フクローじいさんとベル子ちゃん」Upload By 発達ナビ編集部2025年2月16日(日)、高槻城公園芸術文化劇場にて、舞台『フクローじいさんとベル子ちゃん』大阪公演が行われました。2022年東京公演、2023年久留米公演に続く、第3回目の公演となる今回は、申込開始から2週間足らずで車いす席を除くチケットが定員に達するなど、注目度の高さがうかがえました。言葉に頼らず、動き、表情、仕草や音楽で表現される本作は、障害の有無、国籍や年齢などに関係なく、だれでも楽しめる「ノンバーバル(言葉に頼らない)」な演劇作品です。劇場で舞台を楽しんでいたのは、0歳の赤ちゃんからお年を召した方まで、実に幅広い年齢層の方々。ベビーカーに乗ったお子さんや、車いすで鑑賞している方もいらっしゃいました。Upload By 発達ナビ編集部また、客席の定員は通常より少なめで、パーソナルスペースを確保しやすいほか、場内の明るさや音量の調整、イヤーマフの貸出、手話通訳・日本語字幕の提供、希望者への台本貸出、ひと休みルームの設置など、細やかな配慮がなされていました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、DCD(発達性協調運動症)、精神障害、視覚障害、聴覚障害、その他さまざまな障害の方からのお申込みも多かったとのことで、このような配慮が舞台鑑賞時の安心につながっていたのではないかと思います。Upload By 発達ナビ編集部Upload By 発達ナビ編集部演出から公演の運営面まで、演劇の楽しさを一人でも多くの人に伝えたいという思いが随所にあふれている本作。どのようにして、このような劇場空間をつくり上げていったのでしょうか?本作の脚本・演出を担当したゴジゲンの目次立樹さん、国際障害者交流センタービッグ・アイ事業プロデューサー兼副館長の鈴木京子さんにお答えいただきました。「劇場に来られない人にも届けたい」、そんな想いからスタートした作品――はじめに、舞台『フクロ―じいさんとベル子ちゃん』について、上演のきっかけや想いについて教えてください。目次立樹さん:この作品は「いろんな理由でなかなか劇場に来られない人にも届けたい」、そんな想いからスタートしました。自分の町の劇場に、自分が観ることができない作品ばかり並んでいる……それは寂しいですよね。私自身も、小さい子どもを連れて入れないという理由で観劇をあきらめることが多いです。どうにかならないものかと、ぐぐぐ~っと劇場の入り口を広げてみました。そして生まれたのが、全世代が楽しめる、動きだけでストーリーが分かる、子どもに優しい上演時間、(お財布にも優しい!!)、本作です。心置きなく作品と、劇場という空間を楽しんでもらえたら幸いです。――舞台『フクロ―じいさんとベル子ちゃん』上演にあたり、演出面で大切にされたこと・工夫されたことはありましたか?目次立樹さん:情報の出し方ですね。できる限り分かりやすくしますが、全てが全て理解しやすいと、途端につまらなくなってしまいます。観る側の想像を丁寧に掻き立てつつ、その想像を安全に着地をさせる。そのプロセスを繰り返しながら、創作しています。――今回はノンバーバル(=言葉にたよらない)な演劇作品を上演していただきました。今後は、どのような作品をつくっていきたいと考えていらっしゃいますか?目次立樹さん:私個人が作りたい作品よりも、今の時代こんな作品が必要なのでは?という視点を大事にしたいです。舞台を観たい、舞台に立ってみたい、でも機会がない、そんな方々に寄り添えるような創作ができればと思っております。文化芸術を通して共生社会の実現へ。国際障害者交流センタービッグ・アイの取り組みとは?――今回の公演では、車いす席の設置、手話通訳の手配、日本語字幕の表示、イヤーマフの貸し出しなど、さまざまな鑑賞サポートが用意されています。劇場のアクセシビリティに関するお取り組みについて教えてください。鈴木京子さん:国際障害者交流センタービッグ・アイの事業は、すべての人が安心して参加できるよう、「情報保障」を提供しています。車いす利用者向けのアクセスサポート、聴覚障害のある方への手話通訳や日本語字幕・外国語字幕の提供、視覚障害のある方への日本語音声ガイドや解説など、多角的なサポート体制を整えています。さらに、心理的なバリアによって文化活動への参加が制限されがちな方々にも配慮しています。特に2014年から開始した劇場体験プログラム「劇場って楽しい!!」は、知的・発達障害のある子どもや大人を対象とした取り組みです。このプログラムでは、感覚過敏に対応する工夫や、分かりやすい情報提供を行い、障害特性を考慮した公演づくりを進めています。また、この取り組みをさらに広げるため、全国の公立文化施設等と連携し、障害のある人が参加できる事業を運営するための人材育成や施設づくりを推進しています。現在、日本において障害のある人が文化芸術に参加する機会は、物理的・情報的な障壁や心理的なバリアなど、さまざまな要因によって十分とは言えない状況です。そのため、参加したいと思っても情報が届かず、会場に行けない、または内容が理解しにくいといった課題があります。また、文化芸術に参加することで得られる人との交流や楽しみ、自己表現の機会がまだまだ少ないのが現状です。ビッグ・アイは、こうした課題を解決し、地域に根差したインクルーシブな文化芸術の発展をめざすとともに、障害のある人たちが文化芸術を通じて社会に参加する機会を広げ、生活に豊かさや潤いをもたらすことをめざしています。また、文化芸術を通じて、障害のある人もない人も互いに尊重し合い、共に生きる社会の実現に向けた取り組みを進めています。――最後に、ポータルサイト「LITALICO発達ナビ」は、発達障害のあるお子さんの育児をされている保護者の方や、支援者の方に多くご覧いただいています。皆さまへメッセージをお願いします。目次立樹さん:今、世界中の劇場で、そのスピードは遅いかもしれませんが、さまざまな特性を持つお子さんにも開かれた場所を目指す動きがあると思います。文化芸術に携わる多くの人々の意識が変わりつつあります。私もその変革の一端を担えたらと思っています。おわりに「フクローじいさんとベル子ちゃん」大阪公演の舞台裏、いかがでしたか?つくり手の方々の熱い思いを知ったうえで劇場に行くと、また違った視点で楽しむことができそうですね。今まで興味があっても劇場に行くことをあきらめていた人も、このような取り組みが広まることで、ハードルがぐっと低くなるのではないでしょうか。誰もが気軽に楽しめる劇場が、全国どこにでもあるのが当たり前……そんな未来も近いかもしれません。Upload By 発達ナビ編集部目次 立樹(めつぎ・りっき)俳優・脚本・演出家。1985年生まれ、島根県松江市出身・在住。松居大悟とともに旗揚げした劇団「ゴジゲン」の活動を中心に、数々の舞台、映像作品に出演。主な出演作に、映画『くれなずめ』、映画『アルプススタンドのはしの方』、パルコ・プロデュース「Birdland」、シアターコクーン・オンレパートリー「民衆の敵」など。ほかに、とりアート2021「オト・コト古事記」(演出)、とりアート2023「ゆたかの星」(脚本)など、地元山陰での活動も精力的に行っている。現在、NHK Eテレ『おかあさんといっしょ』内で放送している人形劇「ファンターネ!」の原案・脚本を担当。Upload By 発達ナビ編集部鈴木京子(すずき・きょうこ)1999年舞台・イベント制作会社有限会社リアライズを設立。2001年同年より国際障害者交流センタービッグ・アイの事業企画に関わる。2011年株式会社リアライズ退社、国際障害者交流センター ビッグ・アイ 事業プロデューサー2018年~国際障害者交流センタービッグ・アイ副館長(現在)ビッグ・アイの仕事をきっかけに障害のある人が舞台芸術に表現者や鑑賞者として参加できる舞台の企画、制作や全国の劇場・音楽堂等の研修会講師、企画・制作等のコーディネートをおこなう。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2025年02月24日『手荷物まとめるゴムホルダー』とは?発達ナビとフェリシモC.C.Pがコラボし、暮らしの中の困りごとをサポートする商品づくり第6弾。今回は、『手荷物まとめるゴムホルダー』の特徴について、商品開発モニターにご協力いただいたよいこさんの感想やおすすめポイントと合わせてご紹介します。皆さんは、外出先で脱いだアウターや手袋、マフラーなどを、そのまま置き忘れてしまった経験はありませんか?『手荷物まとめるゴムホルダー』は、いつものバッグに取りつけて、荷物をひとまとめにできるゴムホルダーです。使い方はとっても簡単!まとめたいものをホルダーにかけてバックルを留めてから、ベルトを引っ張ってぎゅっとしばれば、完了です!Upload By 発達ナビ編集部Upload By 発達ナビ編集部※詳細ボタンをクリックすると発達ナビのWebサイトから株式会社フェリシモのWebサイトに遷移します置き忘れの常連さん!?『手荷物まとめるゴムホルダー』をつけておくと…?それでは、よいこさんのお声をご紹介します!――商品開発モニターにご協力いただきありがとうございました!もともと、よいこさんは、どんな時に置き忘れをしてしまいがちですか?よいこさん:例えば、私はママ友との楽しいランチ会ですね。お友だちとのおしゃべりに夢中になって、マフラーを置き忘れてしまうことがたびたびあります。息子と公園に遊びに行った際は、帽子をそのへんにポイっとして一目散に走り出す息子を追いかけて、そのまま置き忘れるということも。私たち親子は、外出先で手荷物に注意が向かずに、いろいろなものを失くしてしまいます……。Upload By 発達ナビ編集部――途中で気づけたとしても、取りに戻るのって大変ですよね。あとは、そもそもどこに置いたのか分からなくなってしまうことも……!今回、商品開発モニターとして『手荷物まとめるゴムホルダー』を試してみて、いかがでしたか?よいこさん:あらかじめホルダーは手持ちのカバンにつけてあるので、帽子や手袋、マフラーなどをその大きさに巻いてカチッとはめて、あとはゴムを伸ばして締めるだけなので、簡単で良いなと思いました。Upload By 発達ナビ編集部手先が不器用な息子も、難なく使えていました!Upload By 発達ナビ編集部――「簡単に使える」というのは、大事なポイントですよね!どんな方におすすめしたいですか?よいこさん:日々のタスクが多すぎて、ついついうっかり……が多くなってしまうすべての皆さんにおすすめしたいです。1年中、『手荷物まとめるゴムホルダー』をカバンにつけておけば、マフラー、手袋など身の回りの防寒具が増える秋冬はもちろん、春夏も帽子や薄手のカーディガンなども留めておけるので、簡単に失くし物を防ぐことができそうです!1個¥1,600(+10% ¥1,758)→うち20円は「C.C.Pチャレンジド応援基金」として運用されます。(基金部分は非課税)Upload By 発達ナビ編集部春休みのお出かけや、新生活にぴったりの『手荷物まとめるゴムホルダー』。ぜひ、チェックしてみてくださいね!※詳細ボタンをクリックすると発達ナビのWebサイトから株式会社フェリシモのWebサイトに遷移します
2025年02月20日息子の特性と診断までの道のり現在高校1年生の息子は小学1年生の6月、ADHD(注意欠如多動症)、ASD(自閉スペクトラム症)と診断されました。知的障害(知的発達症)はありません。「元気で活発な男の子」だと思っていましたが、年長の時に担任の先生から「落ち着きがない」と指摘を受けました。小学1年生で児童精神科を受診、初診日からコンサータの内服を勧められ、びっくりした覚えがあります。今回は息子の服薬歴、そして今の服薬状況についてお話いたします。どなたかの参考になれば幸いです。※服薬については個人差が大きいので、使用の際は必ず医師に相談し、医師の判断に従ってください初診でコンサータを勧められた息子は「勉強に集中できるなら、お薬飲みたい!」初診時、息子は診察室に興味津々でした。部屋にある箱庭やおもちゃが珍しかったようで、医師から「座るように」と言われ一度は座るものの、直ぐに立ち上がって診察室をうろうろ。そんな様子を見て「多動性がかなり強いですね。指示がなかなか入りませんね」と先生。放置すれば多動性と不注意で、登下校時に交通事故にあったり、学校の窓から落ちたりと事故が起こる可能性が高いと指摘されました。まずは内服して、多動性を抑えましょうと勧められました。Upload By ユーザー体験談息子には「授業に集中して勉強するために、お薬が必要なの。それと、あなたはときどき信号機を見ないで横断歩道を渡ろうとしてしまうよね。この薬を飲むことで落ち着いて行動できるようになるから、交通事故も防げるよ」と説明しました。息子は、自分の特性を何となく理解したようで、「勉強に集中できるなら、お薬飲みたい!」と言い、こうしてコンサータの服用を始めました。ただ、息子には副作用が強く出たのです。Upload By ユーザー体験談コンサータの副作用で1か月で体重が5kgも減。ストラテラやインチュニブを試すも効果が出ず医師から副作用が出る可能性はもちろん説明をされていましたが、息子の場合、かなり強く出てしまいました。腹痛、食欲不振で給食が半分以下しか食べられず、1か月で体重が5kgも落ちてしまいました。息子は「給食を全部食べないと最後のデザートを食べてはいけないという決まりがあるから、僕はいつも食べられない……」とベソをかいていました。給食の時間は、息子にとって、とても苦痛な時間になってしまったようです。私も養護の先生から、毎年の健康診断後に呼び出しがあり、「家でちゃんとバランスのよい食事をとっていますか?」と指導をされました。体重は5kg落ちてからその後は減っていないとはいえ、私としては、偏食の息子に合わせて食べられる魚料理をできる限り多めにつくったり、ソースがほかのものに混ざるのを嫌がるため注意深く盛り付けをするなど頑張っていたので、否定されているようで悲しくなりました。Upload By ユーザー体験談薬を変えようとストラテラ、インチュニブを試したこともあったのですが、薬を変えると多動が顕著になり、救急外来を受診するほどの大けがもしてしまったため、コンサータの服用を続けるしかありませんでした。新薬ビバンセの治験が開始。少しでも副作用がなくなれば……という思いで参加息子が高学年になった頃、新薬ビバンセの治験が始まりました。医師から勧められ、少しでも副作用が軽減されれば……と参加を決意しました。幸いなことに息子にビバンセは合っていたようで、腹痛などの副作用が軽減されました。息子は「お腹が痛くないからうれしい」と話し、私も本当にうれしくて……。しかし、長年の小食生活が影響してか食事量が増えず、なかなか体重は増えませんでした。ですが、少しずつ食べられる量を増やしていけるようになったので、本当に良かったと思っています。これ以降息子はビバンセを服用し続けています。高校生になった息子と課題。わが家の飲み忘れ対策診断を受けた時は、「成長とともに、多動が落ち着いてくる場合もあります。そうすれば、内服を中止することもできます」と説明を受けましたが、高校生になった現在も薬が息子にとっての「命綱」であると実感しています。毎朝ビバンセを内服していますが、土日などは飲み忘れがちで、「なんだか息子がイライラしてるなぁ……。」と思って確認をすると、飲んでいなかったということがほとんどです。Upload By ユーザー体験談そういう場合、すでに癇癪を起こしている状態ですが、内服忘れに気づいたときには、早急に飲むように促しています。息子自身も、薬を飲まないとイライラすることが分かっているので、素直にすぐ飲んでくれます。今は、1週間分の薬を私が薬箱にセット。息子には、夕食後に翌日1日分の薬を箱から出してセットしてもらう訓練をしています。しかし、セットも忘れるし、飲み忘れもあるため、親なきあと、息子自身が病院を受診したり薬を管理することは難しいのかもしれないと感じています。中学3年の冬には精神障害者保健福祉手帳3級を取得しました。将来を見据え、障害者雇用やグループホームの利用も視野に入れています。これからも息子の成長を見守りながら、彼の特性に寄り添い、息子が安心、安定して、少しでも自立した生活を送れるよう、家族一丸となって支えていきたいと考えています。イラスト/keiko※エピソード参考者のお名前はご希望により非公開とさせていただきます。(監修:鈴木先生より)コンサータの食欲低下の副作用が80%程度だとするとビバンセは60%程度でコンサータよりは食欲低下の度合いが低いと一般的には言われています。それでも食欲の低下が気になるようでしたら私の外来では、モサプリドなど胃食道逆流を防ぐお薬を併用しています。ストラテラは食後であれば吐気を抑えられますが食事抜きで服用すると副作用の吐気が出て食欲低下につながります。どうしても体重が気になる場合は胃腸系副作用の少ないインチュニブに変更しています。コンサータとストラテラで内服する薬の数が多い場合は怠薬につながるため1日1回1カプセルで済むビバンセに変更することが多いです。ビバンセは夕方の効果がコンサータに比べて良いと言われています。コンサータ・ストラテラ・ビバンセはカテコールアミンの補充ですが、インチュニブはシナプス間の情報伝達促進の作用があります。前三者はシナプス前(神経伝達物質)に働くのに対し、後者はシナプス後(受容体)に働き、作用する場所が異なります。そのため、ビバンセ+インチュニブの組み合わせで治療しているお子さんも多いです。コンサータやビバンセは資格のある医師と薬剤師しか処方できず、登録カードをつくる必要があります。ビバンセは18歳未満から服用していれば18歳を過ぎても服用し続けられます。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2025年02月17日子どもが小学生になったら「仕事復帰」。願いは叶わず私は妊娠中の悪阻がひどかったこともあり妊娠中に退職してからは、復職せず子育てに専念してきました。子どもたちが2人とも小学校に上がったら「仕事復帰するぞ!」と目標を掲げていましたが、2人ともに発達障害と診断されました。現在高校3年生の娘、高校1年生の息子は、二人とも小学校1年生でADHD(注意欠如多動症)、ASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けました。行き渋りや早退、学校トラブルなどがある子どもたちへの対応を優先すると、平日私が仕事をすることはどうしても難しいと感じました。夫からは「お金は何とかするから、できるだけ子どもたちを優先させて欲しい」と言われていたため、私は子どもの対応を最優先する生活を選びました。夫も会社に家族のことを相談、残業を減らして私や子どもたちへの支援に積極的に参加してくれました。そんな私が仕事復帰するまでと、それに対する子どもたちの反応についてお話します。息子の癇癪で学校呼び出し。娘は母子登校、帰宅後パニックになることも娘が小学校3年生、息子が1年生になったら仕事に復帰しよう……そう思っていましたが、その頃は働くことなど考えることができないほど、子育てで精一杯の毎日を過ごしていました。息子は癇癪があり、物を投げたり叫んだりして、授業を中断することが多々ありました。通常学級に所属していたため、担任の先生一人では対応できず、教頭先生が息子に個別で対応をしてくださいました。それでも私のところに早退の連絡が入り、学校に駆けつけることも……。Upload By ユーザー体験談娘は、小学校への行き渋りがあり、娘のペースで母子登校する時期がありました。登校してしまえば何とか学校生活を送ってくるのですが、心への負荷が強いようで、帰宅後にはパニックが起こり大変苦労しました。Upload By ユーザー体験談当時の私は必死でした。学校との面談も多く行い、学校とは連携を密にしていました。放課後等デイサービスがきっかけで私の生活に変化が!先生やスクールカウンセラーさんとも相談する中で、生活リズムをつけるために放課後等デイサービスを利用するのがいいのではないかという話がでました。基本的に家に居たがる傾向が強い子どもたちでしたので、行ってくれるか不安でしたが、放課後等デイサービスは学校よりも自由度が高いスケジュールの中で動いていくので、子どもたちにとって、過ごしやすい空間だったようです。予想に反して、スムーズに慣れていってくれました。そして見事に生活リズムがつき、その結果、私の時間に余裕ができたのです。隙間時間に、何かできないかな……と考えた時に、諦めていた「仕事」のことが浮かびました。仕事復帰したい!という気持ちが芽生えると、止まりませんでした。職場に「子どもたちに障害がある」と伝えるも、理解されていない……?私が働きたいと思った理由は、私が「○ちゃんのお母さん」と呼ばれる存在ではなく、一般社会に私個人として繋がりが欲しいと思ったからです。実際に今仕事をしていているのですが、職場で「△さん!おはよう」と言われると、不思議と元気が出ます。私自身が元気で気持ちにゆとりがあると、子どもたちにも優しく接することができます。「働くこと=お金を得る」ことだけでなく、私自身の気持ちの安定のためにも、社会で働くことは必要でした。Upload By ユーザー体験談私は看護師の資格を持っています。まずは短時間のパートを探して就職しました。「子どもたちに障害がある」ことは職場にも伝えました。ですが、職場仲間にはあまり理解されていなかったように感じています。子どもの癇癪やパニックで仕事を休む……となると、みんな不思議そうな顔をしていました。子どもが大きくなるにつれて、「中学生でもまだ親の手助けが必要なの?」と聞かれたこともあります。確かに定型発達のお子さんだと中学生になると友だちと出かけたり、一人で買い物にいったりすることは普通だと思います。でもわが家は……と落ち込むこともありました。ですが、今の職場は休みが取りやすいこともあり、5年以上勤続できています。働く私への子どもの反応また、娘は、クラスのお友だちに「私のお母さんは看護師なんだよ。頑張ってるんだよ」と自慢したようです。母の背中をみて、成長してくれると嬉しいなぁと感じました。Upload By ユーザー体験談上司からは「常勤にならないか」との話も出ていますが、子どもたちのことを考えると、緊急時に動きやすいほうが、ありがたいと思いパートを続けています。子どもたちも成長し、娘は大学進学が決まりました。息子は高校卒業後は専門学校で自分の夢を叶えるため勉強を続ける予定です。障害者手帳を持っているので、将来はグループホームへの入所も検討しています。まだフルタイムでは働くことは難しいですが、少しでも外で働くことは私にとって欠かせないものになっています。子どもたちがこのまま手を離れていったら私の働き方も変わるかもしれませんが、しばらくは家庭と仕事のバランスを取りながら、生活していきたいと思っています。イラスト/星あかり※エピソード参考者のお名前はご希望により非公開とさせていただきます。(監修:室伏先生より)復職されるまでの経緯やお気持ちを詳しく共有してくださり、ありがとうございました。今はお仕事をする余裕がないけれど、本心ではお仕事をしたいと思っているご家族にとって、この記事は大きな希望の光になったのではないでしょうか。お子さまが安心して通える放課後等デイサービスを見つけられ、お母さまも活き活きとお仕事に取り組めるようになったとのこと、とても素晴らしいことだと思います。育児のためにやむを得ず退職や休職を選ばざるを得ないご家庭も少なくないと思います。放課後等デイサービスは、ご家族の負担を軽減してくれる大切なサービスですが、通える日数が限られているお子さまや、ニーズに合った施設を見つけることが難しい場合もあると伺います。放課後等デイサービスに限らず、発達障害児支援のさらなる充実により、ご家族の負担が少しでも軽減されることを願っています。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2025年02月14日場面緘黙の娘、高校卒業後の進路はどうする?現在24歳の娘は、4歳の時にASD(自閉スペクトラム症)と診断されています。こだわりが強く、場面緘黙があります。怒りの感情を抑えることが苦手です。地域の幼稚園に通いながら、月1で区の療育センターに、小・中学校は学区の学校の通常学級に所属し、週1で情緒障害等通級指導学級(現在の通級指導教室)に通いました。高校は特別支援をしてくれ、通学もできる通信制高校に入学。その後迷ったのは、高校卒業後の進路のことでした。将来何をしたいの?希望を聞きとることからスタート場面緘黙がある娘と進路の相談をすることは、大変でした。娘はなかなか言葉で意思表示をしてくれないので、こちらから質問をして娘の反応をみて判断するという形で話し合いを進めました。頷いたり首を横に振ってくれれば分かりやすいのですが、なにも反応しない時は(分からないという意思表示なの?)とその都度悩みました。聞き方を変えたり娘の意見をまとめていきました。Upload By ユーザー体験談このように娘の意思を確認していくと、みんなが大学に進むので興味はあるけれど、受験はしたくないし勉強は嫌いなのでやりたくない、かと言って、たとえバイトであっても、いきなり働くのは不安。とりたててやりたいこともないから、どんな専門学校に行くのがいいかも分からない……とのこと。学校の先生とも相談しながら話し合いを進め、就職後もやりたいことが見つかれば専門学校に通う道も選べること、のちのち支援に繋がりやすいことを優先しようと考え、就労移行支援事業所に通うことを選んだのでした。Upload By ユーザー体験談就労移行支援事業所は立地と雰囲気を大事に進路を決めた後は、就労移行支援事業所探しです。条件として、家から近く、公共交通機関を使って行く場所で、乗り換えが複雑ではない所を探しました。インターネットで検索しWebサイトで写真を見たりしましたが、Webサイトの写真では印象も雰囲気もよく分からず、「ここだ」と思ったところはありませんでした。そこで、高校の先輩方が通っていたという家からも高校からも近い事業所を見学、雰囲気もあたたかく娘に合っていそうだと思いました。好印象だったのでお試しで通ったのちこちらに通うことに決めました。Upload By ユーザー体験談そして娘は就労移行支援を経て、パートで清掃の仕事に就くことになりました。清掃のパートの就労条件は?娘に合っているところも多いけれど、心配なのは収入面……清掃の仕事は平日週5日勤務、祝日と年末年始は休み。10時から15時まで働き、昼休みは1時間あります。昼休みはほぼ一人で過ごしているそうですが、人との関わりが苦手だからか特に嫌ではないそうです。通勤も、ラッシュ時間にかぶらないのが助かっていると言っています。仕事内容は同じことの繰り返しとはいっても、娘はそういった作業的なことに苦を感じないそうです。職場の人とも職場外の人との関わりもない仕事なので、無理無く続けられています。もう3年目に入りました。慣れるまでに1~2年かかるタイプなので、かかりつけの精神科の先生から「転職は難しいかもしれないので、合ったところで長く続けるのがいい」と言われています。ただひとつ心配なのは収入面です。今のままでは一人になった時に生活していけるかどうかという金額なので……。収入を増やしたかったら今の職場で清掃以外の仕事もするという手があるので、追い追い挑戦していってもらえればと思っています。そしてやはり気になるのは親なきあとです。今は私がいるので、何か困ったことがあったら私に聞くことができますが、私以外にも頼れる他人がいると安心なので、公共のサービスと繋がる術を会得していって欲しいです。ともあれ毎日頑張って働いている娘、4歳で診断を受けたときから思い返すと本当に成長したと思います。これからも自立の道をサポートしていけたらと思っています。Upload By ユーザー体験談イラスト/ネコ山※エピソード参考者のお名前はご希望により非公開とさせていただきます。(監修:初川先生より)場面緘黙のある娘さんの高校卒業後の進路やその後についてのエピソードをありがとうございます。発達障害などがあるお子さんの場合、このご家庭と同じように、まずは高校卒業を目指して頑張って、その後どうしようかという局面を迎えることがあると思います。大学、専門学校への進学、あるいは就職。それぞれに必要とされること、そしてそこから数年がどんなふうになっていくかの見通しもそれぞれですね。本人の意志や思いがとても大事ですが、場面緘黙があるとそのあたりが確認しづらく話し合いが難しかったろうと思います。学校の先生にも入っていただきながら、さまざまな道を検討できたこと、よかったと感じます。さて、娘さんが選んだ道は就労移行支援事業所へ通うことでした。就労移行支援は、障害のある方が就労するための支援をする福祉の事業です。このあたりあまりご存知ない保護者の方もいらっしゃるかと思いますが、学校の進路担当の先生あるいは自治体の障害者就労に関する窓口等で聞いてみるといいでしょう。就労移行支援は2年間という有限の支援ですが、その間にビジネスマナーや各種スキルのトレーニング、あるいは本人の就労に関する得意不得意を見ていくことをし、実習などを通してその後の一般就労や福祉就労へとつなぐ支援機関です。事業所によって、利用者さんの数や習得するスキル、雰囲気などカラーがありますのでいくつか見学などするとよいと思います。娘さんは清掃の仕事に就き、じっくりと継続できているようで何よりです。収入面や親なきあとが気になることも、多くの方が悩まれるところだろうと思います。本人が就業継続できている中で、今後どうしていくかまたご本人や福祉の方などと相談するときも来るのではと感じました。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2025年02月11日ここはあなたの居場所。多様な『個性』とともに、未来をつくるスクール2025年4月に開校する、一人ひとりの個性に合わせた日常生活や学習・進路の支援を行う通信制高校サポート校「LITALICO高等学院」。今回は、LITALICO高等学院 毛利優介学院長に、設立への思いや学びの特徴について聞きました。Upload By 発達ナビ編集部LITALICO高等学院 学院長毛利優介2013年、株式会社LITALICOに新卒入社。児童発達支援サービス「LITALICOジュニア」を経て、IT×ものづくり教室「LITALICOワンダー」の事業立ち上げに従事し、教室マネジメント・人事制度設計・カリキュラム策定などを担当。現在は、LITALICO高等学院 学院長、LITALICOワンダー事業部長として、VUCA時代に自分らしい人生を歩むための教育の実現を目指す。――いよいよ、2025年4月に通信制高校サポート校「LITALICO高等学院」渋谷スクールがスタートしますね。どのような気持ちで、ここまで準備をしてきましたか?毛利学院長:私はこれまで、LITALICOジュニア(児童発達支援・放課後等デイサービス)やLITALICOワンダー(IT×ものづくり教室)のサービス提供に携わってきました。未就学~中学生を中心とした発達支援を通じてお子さんや保護者の方とお話しをする中で、日々の生きづらさや将来への不安をお聞きすることが多くありました。すでにLITALICOでは、成人の方を対象としたLITALICOワークス(就労移行支援サービス)やLITALICO仕事ナビ(障害のある方の就職サイト)も提供していますので、発達支援と就労支援の中間である「高校領域」の支援を手厚くするチャレンジをするべきだと強く感じるようになりました。昨今の不登校増加に伴い通信制高校や通信制サポート校が増えていますが、「LITALICO高等学院」を通じてLITALICOらしくお子さまの個性に合わせた教育を行い、進路を支える居場所をつくることは価値があると考えています。――福祉と教育、発達支援と就労支援、両方のナレッジを活かすことができそうですね。「LITALICO高等学院」の特徴を教えてください。毛利学院長:コンセプトは、「ここはあなたの居場所。多様な『個性』とともに、未来をつくるスクール」です。ポイントは3つあります。まず、一人ひとりの居場所をつくりたいということ。今、学校に対していろいろな不安や学びづらさを抱えるお子さまが、自分らしく居られて、心から安心して通える居場所をつくりたいと思います。そして、個性を見つけて広げていくこと。例えば、今までやったことがないけれど、プログラミングやデザインが好きかもしれない、この先生とだったら英語が好きになれるかもしれない、この仕事だったら目指してみたいかもしれない。お子さまの興味・関心を私たちが一緒に見つけ、一緒に広げていきたいと考えています。さらに、将来に向けて自立的な歩みをしていくフェーズになってくるので、自分の得意・好きだけではなく、苦手なことや気持ちよく思わない環境などについても自己理解を深めていくことを大事にしたいと思います。その上で、自分の個性に合った未来を見つけていく。「高校を卒業したら、大学に進学するよね」「大学受験をするなら、一般入試だよね」という道だけでなく、将来目指す職業と結びつける専門学校という選択肢や、就労移行支援を活用して働くという選択肢なども含めて、個性と進路をつなげるために徹底的に伴走することを目指します。Upload By 発達ナビ編集部在学中はもちろん、卒業後も自分らしい人生を歩めて幸せだと思えるように――3年間の学校生活や学びを、将来につなげていくことが重要なのですね。毛利学院長:そうですね。令和6年度 文部科学省「学校基本調査」の「高等学校(通信制)卒業後の状況調査」によると、進路未定(※)が28.2%、つまり、約3~4人に1人が卒業後の進路が決まっていません。また、進学した人の中退率も、通信制高校以外の卒業生と比べると高いというデータがあります。そこで本校では、卒業=高等学校卒業資格を取得することをゴールとするのではなく、その先どのような活動がしたいのか、何を学びたいのかを考えて準備をする過程を大切にしていきたいのです。卒業後、「LITALICO高等学院の時は楽しくて幸せだったけど、今は……」ということでは、役割を果たしているとは言えませんよね。在学中はもちろん、卒業後も自分らしい人生を歩めて幸せだと思えている、そんなお子さんを一人でも送り出せる学校でありたいと思います。(※)進学も就職もしていない者である(外国の大学等に入学した者,家事手伝いなど)文部科学省|令和6年度「学校基本調査」――LITALICO高等学院らしいプログラムが期待されますね。毛利学院長:例えば、「探求・未来スキル」「進路・未来選択」というカテゴリを設け、「好き・得意から未来に繋がるプログラム」を用意しています。探求・未来スキル科目例プログラミング基礎:プログラミング・ゲーム制作・デザインなどを学びます。未来につながるスキルを身につけながら、「カタチにする力」を楽しく身につけていきます。AI活用・PCスキル:ChatGPTなど生成AIの活用法を楽しみながら学び、自分の実現したいことのためにITを使いこなせることを目指します。進路・未来選択科目例キャリアラーニング:自分のキャリアの軸や考え方を育てていく時間です。いろいろな職業や生き方のメリット・デメリットを理解し、自分に合った選択につなげていきます。職業体験ゼミ:2年生以降、複数の職場体験に参加できる機会を用意しています。将来の進路選択に活かします。先ほどもお話ししたように発達支援と個性教育、そして就労支援における強みを活かした、まさにオールLITALICOだからこそ提供できるプログラムに磨き上げていきます。保護者の方の不安にも寄り添う――これまでも保護者の方へのサポートを大事にされてきたと思いますが、LITALICO高等学院ではどのように考えていますか?毛利学院長:そうですね。私たちはこれまで支援者として保護者の方の不安に寄り添うことを大事にしてきましたので、本学でもお子さんに寄り添うことはもちろんですが「保護者の方と共に歩む」スクールを目指します。保護者の方とお話しさせていただく中で、「もう高校生だから」家庭で解決しなければいけない、わが子に原因があるから仕方がないと思われる方や、お子さまが思春期を迎えてコミュニケーションをとることが難しい方も多いことを実感しています。私たちは、お子さまと環境の相互作用によって、何かしらの生きづらさや困りが発生すると考えています。入学後の保護者面談では、保護者の方やお子さまの思いやニーズをお聞きして、学習計画や学校生活での過ごし方、私たちの関わり方に反映させていきます。そして定期的な振り返りを行い、よりお子さまに合ったスクールライフを実現していきます。さらに、保護者の方向けにも、さまざまなバックグラウンドを持つ専門家が多様なテーマでセミナーや進路相談会を実施する予定です。――発達障害のある生徒さんへのサポートもあるのでしょうか?毛利学院長:まさにLITALICOの専門領域です。専門資格をもったスタッフによる個別サポートや、20年以上の就職支援実績を活用した進路支援をしていきます。――今後の展開について教えてください。毛利学院長:渋谷スクールだけでなく、まずは関東圏を中心に複数のエリアで生徒さんの受け入れを目指しています。お子さんを一緒に支えるチームの仲間になりたいUpload By 発達ナビ編集部――今の時代をどのように捉えていますか?また、毛利さんご自身が目指すものは何ですか?毛利学院長: 今の時代は、「VUCAの時代(※)」と言われています。変化が目まぐるしく不透明で曖昧で複雑だからこそ、自分の軸を持つことが重要になってきています。「社会に合わない」から社会から離れるのではなく、個性を起点に自分らしい人生を歩んでいける教育をLITALICO高等学院で目指します。これは、障害の有無にかかわらず、すべての人にとってすごく重要だと思います。(※)VUCA(ブーカ):Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字をとった言葉そして、教員である両親の姿から子どもたちを大切に見守る仕事の尊さを感じてきたからこそ、少しでも教育業界全体の未来や教育に携わる人たちの幸せに貢献していきたいと考えています。そんな私がうれしいなあと感じる瞬間は、私の関わりで子どもたちがクスっと笑ってくれた時なんです(笑)。「子ども扱いせずに話をしてくれるんだ」「こんな大人もいるんだ」そんなちょっとした喜びを、子どもたちに届けたいんですよね。――さいごに、保護者の方や進路について考えている中学生の皆さんにメッセージをお願いします。毛利学院長: 保護者の皆さんにお伝えしたいのは、「私たちは、お子さんを一緒に支えるチームの仲間になりたい」ということです。そのために、個別面談でもお子さまのことをたくさん教えてほしいですし、お子さんに対する願いもお聞かせください。もちろん願いどおりになるかは分かりませんが、とても大切な想いとして受け止めたいと思います。そして、中学生の皆さんへ。LITALICO高等学院は、「あなたの学校」でありたいと考えています。無理に何かを強いるようなことはありません。あなたの個性やペースを大事にしながら、あなたのチャレンジを応援します。「まだ、やりたいことが見つからない」と不安に思うかもしれませんが、心配はいりません。将来につながるきっかけを一緒につくっていきましょう。そして何より、一緒に楽しみましょう!個別相談会を開催中!LITALICO高等学院では、個別相談会を開催中です。カリキュラムや学校生活、学費など、なんでもお気軽にご相談いただけます。開校:2025年4月住所:東京都渋谷区神宮前6丁目19−21 井門神宮前六丁目ビル 3F提携校:鹿島山北高等学校・鹿島学園高等学校(申請中)Q.「LITALICO高等学院」を卒業すると、高等学校卒業の認定はもらえますか?A. 提携する通信制高校の所定の単位を取得することなどで、高等学校卒業の認定となります。LITALICO高等学院では単位取得と高等学校卒業の認定のサポートを実施します。Q. 通信制高校と通信制高校サポート校の違いは何ですか?A. 通信制高校とは、全日制高校と同じように卒業に必要な単位を修得して、高等学校卒業資格を取得する学校のことです。通信制高校サポート校とは、通信制高校を卒業するための学習サポートや日常支援を行う学びの場です。LITALICO高等学院(通信制高校サポート校)では、提携する通信制高校のご案内や、卒業までの日常サポートを実施します。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2025年02月10日一筋縄ではいかない!?発達障害児育児と仕事の両立、「もう無理だ」大学中退後の働き方や自立への道、義父母からのお年玉に困った!冬でも絶対半袖のこだわりに母はお手上げ……など【2025年1月】ただでさえ大変な育児と仕事の両立。お子さんに特性があるとその苦労もなおさらではないでしょうか。「こども園に行きたくない!」と言う息子さんに寄り添うためにフルタイムの仕事を辞め、働き方を変えて良かったことや苦労していること、大学の最寄駅で「もう無理だ」と感じ、身体が動かなくなってしまい、その後大学を中退。大学を辞めてからのさまざまな働き方のエピソード、義父母からの大金お年玉に困った!お金の使い方が分かっていない息子さんたちへの「お金は使えば減る」ということの伝え方、完璧主義のASD(自閉スぺクトラム症)息子の「冬でも夏服」のこだわり!?肌が乾燥してかきむしり出血まで……中学生になっての変化など、さまざまなエピソードが満載です。息子さんが生まれる前からフルタイムで働いていた苗さん。しかし年中になった息子さんの「こども園に行きたくない」という発言にショックを受け、フルタイム勤務を辞めます。「当面はフリーランスで働いて、環境を整えながら過ごしたい」と思い、お子さんに寄り添った結果、担任の先生やお友だちにも恵まれ、勉強も意欲的に取り組むことができ、学校生活は順調と感じたのもつかの間、その生活も一筋縄ではいかなくて……!?育児と子育てに悩む保護者の方にぜひ読んで頂きたいコラムです。24歳の時ASD(自閉スペクトラム症)、LD・SLD(限局性学習症)の診断を受けたYOSHIMIさん。境界知能であることもその時分かりました。高校3年生の時に法律に興味を持ち法学部への進学を決めたものの、入学後半年で対人関係でのつまずきをきっかけに大学を中退。大学中退後は、障害者雇用、就労移行支援、就労継続支援A型、B型、通信制短大……とさまざまな道をたどったYOSHIMIさん。進学や中退、就労ついてのリアルエピソードです。tomさんの悩みの種は「同居している義父母からのお年玉」問題!?11歳、どちらもASD(自閉スペクトラム症)の一卵性双生児の息子さんたちはお金の管理が大の苦手だそう。そんな息子さんたちに毎年お年玉と誕生日のプレゼントとして義父母から渡される「現金1万円」。孫を可愛がってくれるのはありがたいですが、「お金は使えば減る」ことを理解できていない息子さんたちに大金を持たせるのは、教育上よくないのでは……と思ったtomさんは、息子たちへのお金の教育を決心します。一体どんな方法をとったのでしょうか。幼い頃から、完璧主義。それゆえ目標が高く、無謀な目標を立ててはそれが「できて当たり前」と勝手なマイルールを作り、うまくいかないとイライラ……。ASD(自閉スペクトラム症)の息子さんのこだわりは小学生になっても続き、8~9歳の頃から、「冬でも夏服」というスタイルを徹底するようになりました。しかし、乾燥肌なこともあり、冬は掻きむしって出血することもしばしば……保湿剤も「面倒くさい」と塗ってくれません。コラム監修の医師による皮膚トラブルについての工夫や塗り薬などに関するコメントもぜひ参考にしてみてください。ご自身のエピソードを投稿してみませんか?『発達ナビ 読者体験談』は皆さんのご経験を基に制作されています。ご投稿いただいたエピソードは、連載ライターさんのイラスト、専門家の先生からのコメントをつけた上で掲載させていただきます。「あの時は悩んでいたけれど、今はこうなった……」など、発達障害のあるお子さんを育児している皆さんへ、ご自身の経験をお届けいただけないでしょうか。ご応募は以下の応募フォームから受け付けております。皆さんのご投稿を、お待ちしております。【現在の募集テーマ】・障害告知・パートナー(夫婦) 関係・両親(義両親)、親族関係・進学・受験関係・冠婚葬祭関連・反抗期、思春期・自傷・学習関係・不登校、行き渋り・ゲームとの関わり・不器用さについて・ママ友や、ほかの保護者の方とのエピソード・ご近所関係(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2025年02月09日発達ナビユーザーの声から新アイテム3つが誕生!第6弾では、過去のコラボ企画の「こんなグッズが欲しい」などのアンケートに寄せられたお声からアイテム候補を挙げ、より発達ナビユーザーの皆さんにとって使いやすい仕様になるように、さらに詳しいアンケートやモニターを重ねました。その結果、「お出かけで荷物が増えると置き忘れてしまう」「レジ前で財布からお金を取り出すのにもたもたしてしまう」という、お出かけのお困りごとを解決する2つの新アイテムが誕生しました。さらに、第2弾のコラボ企画として発売した「デスクパーテーション」にサイズや仕様の改良を加え、リニューアルバージョンを同時発売しています。※ボタンをクリックすると発達ナビのサイトから株式会社フェリシモのサイトに遷移します第6弾コラボ商品企画のプロセス1.アンケートをもとにアイテムを決定これまでの発達ナビ×フェリシモC.C.Pコラボ企画で寄せられたお困りごとのお声や、「こんなグッズが欲しい」のアンケート結果からニーズをピックアップ。放課後等デイサービスの先生にヒアリングを実施して、商品化アイテムを決定しました。2.発達ナビのライターさんによる試作モニター試作サンプルを発達ナビのライターさんにモニターしていただき、アンケートにご協力いただきました。そして、モニターの様子を発達ナビコラムで公開していただきました。3.「みんなのアンケート」発達ナビユーザーの皆さんにみんなのアンケートを実施。商品をどんなふうに使いたいか、ご意見をいただきました。さらに、モニターや追加アンケートで改良を重ね、新商品が完成しました。たくさんのご協力ありがとうございました!Upload By 発達ナビ編集部それでは、新アイテム3つについて詳しくご紹介します。コラボグッズ1.中がメッシュで取り出しやすいネックウォレット首から下げられて、カードやコインなど細々したものがサッと取り出せるお財布です。中身が見やすいメッシュ素材なので、「レジでお財布から必要なものがすぐに出てこない!」といった困りごとを解決してくれます。Upload By 発達ナビ編集部〈フレッシュブルー〉〈サクラベージュ〉の2色展開です。Upload By 発達ナビ編集部【商品の特徴】・首から下げられて、必要なものがサっと取り出しやすい・メッシュ素材で中身が見やすい・視覚的にマグネットを留める位置が分かりやすいバイカラーデザイン・ひもの長さを調節できるので、斜め掛けにもできる・やわらかなひもで首が痛くなりにくい・背面はパスケースになっているので改札でもスムーズ【アンケートやモニターアドバイスで改善したこと】過去に発達ナビで実施したアンケートなどで、「お金を支払う際、小銭の出し入れがしにくい」「小銭がたくさんあると混乱する」というお困りの声をいただいていました。このお困りごとをサポートする財布を作ろうと、放課後等デイサービスの先生たちにヒアリングを実施したり、発達ナビライターのSAKURAさんにサンプルモニターのご協力をいただいたりして、仕様を検討しました。Upload By 発達ナビ編集部・取り出しやすくて首から下げられる財布が欲しい・小銭入れが開きやすくて、お金が出しやすいといい・ICカードで支払うことが多いので、パスケース付きがいいなどの意見を参考に改良を重ね、メッシュ素材で中身が見えやすく、パスケース機能付きの仕様に仕上げました。小銭入れの開閉の向きや、カードポケットのサイズなど、細部にもこだわりの詰まったネックウォレットです。1個¥3,900(+10% ¥4,286)→うち40円は「C.C.Pチャレンジド応援基金」として運用されます。(基金部分は非課税)※ボタンをクリックすると発達ナビのサイトから株式会社フェリシモのサイトに遷移しますコラボグッズ2.手荷物まとめるゴムホルダー外出先で脱いだアウターや手袋、マフラーなどをハンズフリーで持ち運べるゴムホルダーです。いつものバッグに付けて荷物をひとまとめにできるので、うっかり置き忘れてしまうといったお悩みを解決してくれます。Upload By 発達ナビ編集部〈ブルー〉〈ブラウン〉の2色展開です。Upload By 発達ナビ編集部【商品の特徴】・荷物の置き忘れを防いでくれる・いつものバッグに取り付けられて、荷物をひとまとめにできる・手ぶらで動きやすい・2ステップで簡単に付け外しができる【アンケートやモニターアドバイスで改善したこと】暮らしのお困りごとを調査したアンケートで、「手荷物が増えると忘れものも増える」というお声をいただいたことから、荷物をひとまとめにして、忘れものを防ぐアイテムを企画しました。放課後等デイサービスの先生にヒアリングを実施したところ、・マフラーや上着を置き忘れる子が多い・子どもにも簡単に使えるようにしてほしいというお声をいただきました。発達ナビライターのよいこさんにもサンプルモニターをしていただきました。Upload By 発達ナビ編集部ヒアリングやモニター、アンケートを経て、バックルの大きさやゴムの太さなどの仕様に改良を重ね、長さ調節や付け外しが簡単で、荷物が落ちづらいゴムホルダーが完成しました。やさしい色合いでコーディネートにもなじみ、リュックやランドセルに付けて、荷物の置き忘れを防いでくれるアイテムです。1個¥1,600(+10% ¥1,758)→うち20円は「C.C.Pチャレンジド応援基金」として運用されます。(基金部分は非課税)※ボタンをクリックすると発達ナビのサイトから株式会社フェリシモのサイトに遷移しますコラボグッズ3.集中できるデスクパーテーションコラボ第2弾で発売した「おうちで集中できるデスクパーテーション」。リビングでの学習で「まわりの目に入るものに気が散って集中できない」のお悩みに応えたアイテムが、今回はリニューアルして登場です。Upload By 発達ナビ編集部Upload By 発達ナビ編集部〈ターコイズブルー〉〈クリームイエロー〉の2色展開です。【商品の特徴】・折りたたみ式で、高さは54cmまでUPすることができる・サイドに、A4サイズの冊子や文具が入る収納と、文具が入る2段引き出し付き・コンパクトに折りたためて収納も◎・持ち手付きで軽いので、どこでも自分だけのスペースを作ることができる【アンケートやモニターアドバイスで改善したこと】前回商品の購入者アンケートやSNSでの「目の前に何もないほうがいい」とのお声から、書類や文具の入る収納スペースを正面からサイドにまとめて見た目もスッキリしてより安定感のあるデザインに仕上げました。発達ナビライターの丸山さとこさんにモニターいただいたところ、・何もない空間になるので、勉強をするしかなくなる・意外と圧迫感がなく、程よい囲まれ感があるというお声をいただきました。収納スペースは、「問題集の答えなど今必要なものの一時置き場に便利」と、使い方を工夫されていました。Upload By 発達ナビ編集部集中している本人だけでなく、周囲の人も気遣いなく過ごせるのもポイントです。また、放課後等デイサービスでもサンプルを使っていただきました。色について、「グリーン系、ブルー系や淡いカラーが刺激が少なくていい」とご意見をいただき、ターコイズブルーとクリームイエローの2色を選べるようにしました。写真付きの分かりやすい組み立て説明書をセット。組み立てが苦手な方には、組み立て済みの商品もご用意しました。Upload By 発達ナビ編集部1個¥2,900(+10% ¥3,188)→うち20円は「C.C.Pチャレンジド応援基金」として運用されます。(基金部分は非課税)※ボタンをクリックすると発達ナビのサイトから株式会社フェリシモのサイトに遷移します就労支援継続B型事業所「ハッピーエリア」で組み立ててお届けします。1個¥3,200(+10% ¥3,518)→うち20円は「C.C.Pチャレンジド応援基金」として運用されます。(基金部分は非課税)※ボタンをクリックすると発達ナビのサイトから株式会社フェリシモのサイトに遷移しますフェリシモC.C.Pのサイトでは、これまで発売したコラボ商品を販売中。ぜひチェックしてくださいね!※ボタンをクリックすると発達ナビのサイトから株式会社フェリシモのサイトに遷移します
2025年02月05日育児書や母子手帳に書かれた「子どもの成長の目安」にプレッシャーを感じることはありませんか?我が子の成長が目安に沿わず、「もしかして発達障がいかも…」と不安に駆られ検索魔になったという話をよく耳にします。かくいう筆者も、そういった経験をしたひとり。 筆者がもしあの頃、西村佑美さんの著書「発達特性に悩んだらはじめに読む本」に出会えていたら、もっと早く前を向き「目の前にいる我が子のためにできることをしよう」と切り替えられたと思います。・「もしかして…」不安のど真ん中にいるママへ今回ご紹介する書籍「発達特性に悩んだらはじめに読む本」は、「うちの子ってもしかして発達障がい?」と不安のど真ん中にいたり、「登園しぶり」「かんしゃく」そして「言葉の遅れ」などに悩むママやパパに読んでほしい1冊。著者は発達専門の小児科医で現在「ママ友ドクター」として活躍中、3人の子どものママである西村佑美さんです。本書では、これまで1万組を超える親子を診た臨床経験から、1歳から入学準備をするまでの年齢の子どもを対象にした医学・心理学そして発達特性に基づいた「子育て法」を提案しています。今回はそんな本書の魅力と、誰もがすぐトライできる「子どもが伸びるための土台作り」についてご紹介していきます。■西村佑美さんプロフィール発達専門小児科医/一般社団法人「日本小児発達子育て支援協会」代表理事宮城県出身、3児の母。最重度自閉症のきょうだい児として育ったことから医師を志す。長男に発達特性があることが分かったことをきっかけに、大学病院の発達専門外来を担当していたころから、発達に特性のある親たちを「ママ友のように支えたい」と「ママ友ドクター」の活動を開始。SNSでの情報発信や「子ども発達相談アカデミー VARY(バリィ)」主宰。Instagram: @mamatomo_doctor HP: 西村佑美公式サイト ■寄り添う医師から「ママ友ドクター」へ西村さんが医師を目指した理由には、姉が最重度自閉症だったことが大きく関係しています。大好きな姉を取り巻く環境に憤りや怒りを感じることが何度となくあり、特に思春期の西村さんの心を揺さぶったのは、姉の投薬についての母と医師や支援者の意見の対立。そういったことがきっかけで「障がいのある子どもたちと家族に寄り添う医者になりたい」という夢が生まれたのでした。・医師として、そして「当事者の母」としてその後小児科医になって2年目に長男を出産した西村さんは、その夢をより強く意識するようになります。なぜなら長男に発達特性があることが発覚し、当事者の母親となったから。我が子の特性を受け入れるまでの苦しい気持ち、ほかの子と比べて落ち込んでしまう気持ち、子どもができなかったことができるようになった時の喜び、自分の捉え方が変わり子育てが輝き出した瞬間…。さまざまな体験を経て、西村さんは医師という枠にとらわれない、「ママ友ドクター」の道を歩み出したのです。・「医師の暗黙のルール」を越えてこうして西村さんは「ママ友ドクター」プロジェクトでの情報発信をはじめ「子ども発達相談アカデミー VARY」で相談会を行ったり、'24年には特性に対する新たな価値観と支援の場を生み出すための一般社団法人「日本小児発達子育て支援協会」を設立。子育てに悩むママたちのため日々精力的に活動しています。■「アイコンタクト+笑顔」の習慣って?そんな経歴を持つ西村さんが本書で、子どもの発達特性に悩むママやパパにまず取り組んでほしいと言っているのが、ESDMなどの最新の発達支援の手引に基づく「アイコンタクト+笑顔(肯定的注目)」と呼ばれる基礎づくり。この習慣によって親子の信頼関係が強化され、日常の声かけが子どもに届くようになると言います。「アイコンタクト+笑顔(肯定的注目)」 1. 子どもの行動にポジティブな注目を向ける 2. 目が合ったらニコっと笑う 3. 肯定的な言葉かけ(ナレーションする・ほめる)を行う子どもの朝の登園準備が進まない時、あなたはどんな声かけをしていますか? 朝は時間の制約があるので焦って否定的な声かけをしてしまいがちですが、「アイコンタクト+笑顔」をするとどうなるでしょうか? 違いを見ていきましょう。子どもはママやパパが自分に笑顔を向けてくれるだけで、「愛されているんだ」と喜びを感じるそうです。「目を合わせると嬉しいこと(笑顔)がある」と学んだ子どもは、目を合わせるのが苦手でもだんだんできるようになると言います。・目を合わせるのが苦手な子はどうすれば?さらに肯定的な声かけをプラスすることによって、「がんばるとほめてくれる」と知り、自信もついて自己肯定感もアップ。ママやパパの子育てもラクになるので、親子ともにハッピーになれるメソッドなのです!また、目を合わせるのが苦手なお子さんのための「アイコンタクトのコツ」も次のように紹介されているので、我が子に合ったやり方でチャレンジしてみましょう。「アイコンタクト+笑顔」にはほかにも、「おしゃべりの力」や「人の気持ちを理解する力」、「視線を追う力」、「模倣する力」そして「安心する力」、「指示を理解する力」など、子どもが「できること」を増やす計り知れない効果も! まさに良いこと尽くしの習慣なのです。■本を開けば「ママ友の言葉」がある本書にはその他にも、コミュニケーションの発達段階に応じた「言葉とやり取りの伸ばし方」や「かんしゃく」「多動」といった困りごとの解消法、さらに入学準備の対策や、ポジティブな子育てに必要な医学&療育の知識がぎっしり。しかもいずれも「親子の信頼関係」がベースになっているので悩みの数だけ親子の結びつきを強くしてくれるはず。・困ったときに開く「辞書」のような本医師や療育の先生の言葉は、時にママの心に強く突き刺さってしまう…そんな経験が筆者にもあります。しかしここには西村さん自身の失敗談が赤裸々に書かれていたり「当事者の母」と「きょうだい児」(障がい者の兄弟姉妹のこと)という立場で懸命にもがいてきたからこその真摯な言葉が、親密でやさしく心に届きます。我が子の発達特性に気づいた時に最初に手に取る本としてはもちろん、成長に応じた困りごとが出てきたとき辞書を開くように読んでもいい。子どもの接し方に悩んでいるすべてのママとパパにとって、いつもそばに置いておきたい本なのです。\ ご紹介した書籍 / 『発達特性に悩んだらはじめに読む本』西村佑美 著(Gakken)1,600円(税抜) 小児発達と子育てが専門の小児科医にして3児のママである西村佑美さんが、子どもの発達に悩むママやパパに向けて執筆した本。発語が遅い、かんしゃくがある、登園しぶりなど、日常生活の困りごとを解決し、親子の信頼関係を築くメソッドを自身の失敗談も交えて紹介している。
2025年01月30日発達障害のある私。大学入学、そして退学。障害者雇用、就労移行支援、就労継続支援A型、B型、通信制短大……とさまざまな道をたどりました30代の当事者です。24歳の時、ASD(自閉スペクトラム症)、LD・SLD(限局性学習症)の診断を受けました。境界知能です。ADHD(注意欠如多動症)の傾向もあります。また軽度脳性麻痺があるため、身体障害者手帳を持っています。特性としては、言語が比較的得意、目からの情報処理の力が低く、抽象的な指示が苦手……などといった点があります。周りからは「真面目で頑張り屋」と言われる性格です。私は高校3年生の時法律に興味を持ち、法学部への進学を決めました。自宅から通える大学のオープンキャンパスで「ここなら頑張れそう」と感じ、志望校としました。でも、入学後わずか半年も経たないうちに、対人関係でつまずいてしまいました。大学中退後は、障害者雇用、就労移行支援、就労継続支援A型、B型、通信制短大……とさまざまな道をたどりました。今回はそのお話をさせていただきます。人間関係がストレスに。通学時、大学の最寄り駅で糸が切れてしまった私1年次からゼミがある学校だったのですが、ゼミ内での人間関係がとてもぎくしゃくしてしまいました。何とか通学しよう、勉強を続けたいと頑張ろうとしましたが、ある日、大学の最寄駅で糸が切れてしまいました。「もう無理だ」と感じ、身体が動かなくなってしまったのです。Upload By ユーザー体験談その時、思わず電話したのは、卒業式の時に『何かあったらいつでも先生に連絡してきなさい』といってくれた高校時代の担任の先生でした。朝早い時間帯でしたが、藁をもすがる気持ちで電話をかけると、電話に出てくれた先生は、私の様子でただごとではないと察したのか、『とにかく休め、今はとにかく休め』と電話越しに強く言ってくれたのを覚えています私はそのまま休学することになりました。Upload By ユーザー体験談「休学と退学のメリットとデメリットを書き出してみては?」とのアドバイスを受けてしばらく休んだ私、やがて『この先どうしようか?』と考えられるようになりました。そこで、休学してやり直すか、思い切って退学するか、とても悩みました私は高校1年生の頃から社交不安症で、メンタルクリニックに通院していました。その時からの主治医に相談すると、「休学と退学のメリットとデメリットを書き出してみて、メリットが大きい方を選んでは?」とアドバイスをいただきました。担任の先生は『休学してやり直しても良いんだぞ、そういう道もある』と言ってくれましたが、私なりに考え、納得して、退学を選びました。それでも、応援してくれた先生方に申し訳ない気持ちや、志した道を途中であきらめざるを得なかったことへの悔しさは消えませんでした。大学中退後の模索。障害者雇用、就労移行支援、就労継続支援A型などでの働き方と感じたこと大学を辞めてから、私はさまざまな働き方を経験しました。それぞれで行ったこと、感じたことをお話しします。私は身体障害者手帳を持っていたので、障害者雇用でいくつかの人事総務系の仕事に就きました。雇用形態は契約社員かパートです。高校では挨拶の大事さを学んでいたので、挨拶だけはどこに行っても褒めていただきました。あとはWord、ExcelなどのOffice系のソフトにも高校から触れていたので、その点も困らずに済みました。会社によっては任せる仕事がないのか、電話の応対以外はただぼーっとパソコンを眺めたり、書類整理の単純作業が多かったです。逆に信頼していただけたことでは、いろいろ任せていただき、その結果キャパオーバーに……。さまざまなことがありました。この時、私は抽象的な指示が通りにくいと感じるようになりました。少しでも強みが増えればと、ビジネス系の検定を取得しました。※「Word」「Excel」は、Microsoft Corporationの米国及びその他の国における商標または登録商標です。就労移行支援は複数利用しました。どこも出だしこそ順調なのですが、「通院後にも来て欲しい」とか「目標を高く持って欲しい」と少しずつ要求が高くなると、体力的にも精神的にもついていけなくなりました。また、「相談しすぎです」というスタッフと「もっと頼ってもらっていいい」というスタッフの板挟みになったり、ほかの利用者さん同士の口論で過呼吸を起こしたこともあります。実習で、「姿勢が悪い」とフィードバックを受けたこともあります(脳性麻痺の特性で座位の保持が大変なのを、支援する側も、企業側にも理解いただけていないことを痛感しました)。Upload By ユーザー体験談A型では事務補助全般をやらせていただきましたが、個人情報を扱っている入力メインの職場だったので常に緊張感がある職場でした。当時新規で新たに施設を増やしたところだったので、スタッフも利用者も皆手探り状態で、ストレスを強く感じました。学びなおしへの一歩、通信制短大を卒業このように働く中で私は発達障害の可能性を指摘され、24歳でASD(自閉スペクトラム症)、LD・SLD(限局性学習症)の診断を受けました。境界知能や視覚認知に困難さがあることも分かりました。その後、精神保健福祉手帳を取得しています。医師から「一般的にこんな簡単に仕事を辞めない」と言われ、自分の社会性の弱さに気づかされましたが、逆に「これで自分の特性を知ることができた」とほっとした部分もありました。そんな中も、私は法学を学び直したいという気持ちが消えませんでした。ただ、独学で法律を勉強するのは難しいとわかっていたので、次に興味のあった、高齢者福祉と心理学を通信制短大で学び、何とか2年間で卒業することができました。基本的にスクーリングは金土日の週末で開催され、さまざまな年齢や立場の方が参加されていました。「一緒にがんばろう!」と過ごす3日間はとても貴重な時間でした。中でも特に手話のスクーリングは印象的で、最後の単位認定試験が手話の自己紹介だったので、仲良くなった方々と何度も練習したのが良い思い出です。また学生同士の集まりも多く、年齢的にまだ一番年下くらいだった私は、いつもありがたいことにいろんな先輩に可愛がっていただけました。周りには短大を卒業後、そのまま大学3年次に編入される方も多かったのですが、私は経済面に加え、残り2年間をこのまま突き進むには体力面で不安があるため、一旦編入は見送りました。選択肢はAかBだけではなく、Cを作ることもできる今、私は創作活動を中心とする就労継続支援B型事業所で、イラスト制作やピアノ演奏に取り組んでいます。最近ではクリスマスカードが商品化され、これからもっと多くの作品を作っていきたいと思っています。これまでの経験で感じているのは、「選択肢はAかBだけではなく、Cを作ることもできる」ということです。そう考えることで、開く道があるのだと思います。大学への登校中、「もう無理だ」と糸が切れたあの日から思いもしなかった道を歩む自分がいます。今後の目標は、通信制大学で学び直し、最終的に卒業することです。Upload By ユーザー体験談今も自分の特性に悩むことは多いです。でも「頑張る」のではなく、自分が笑顔でいられることを指標にした「顔笑る(がんばる)」気持ちで、一歩ずつ進んでいこうと思っています。エピソード提供/YOSHIMIイラスト/マミヤ(監修:初川先生より)卒業、そして福祉的就労の今という流れを共有ありがとうございます。さまざま大変な思いをされたり、理解されないつらさもありながらもご自身がつらくない道を開拓され、また学びたいことを大事に持ち続けられていることが印象的です。発達ナビをご覧の保護者の方には、高校・大学や特別支援学校高等部などをお子さんが卒業したら、そのままどこかしらに就職し、そこでずっと働いていくものだというイメージを持たれていることもあるかもしれません。もちろんそうした場合もありますが、お子さんの発達的な特性や得意不得意と仕事やその職場が合っているかどうかは、予想しきれない面もありますし、つらいところで無理して働くことがよいわけでもありません。さまざまな経験の中で、自分にはこれが合っている、これができる、こうしてくれると助かるということをつかみながら、仕事や職場を変えることもあることは知っておきたいところですね。また、仕事をするうえでは、発達的な特性や得意不得意がなかなか作用してくる面もあります。指示の出し方1つにしても、言葉での指示がよいのか、文字による視覚的なものがよいのか。1つずつがよいのか、あらかじめリストのように見通しを持ちつつまとまった指示出しがあるとよいのか。そうしたあたりについて、今は民間事業者でも合理的配慮が義務になりましたが、まずは本人が自分の特性や得意不得意をわかったうえで、事業者や企業側と話し合っていくプロセスを経由するということです。YOSHIMIさんも語られているように、経験の中でこうしてくれると助かった、こういった配慮がないと難しかったなどを、できれば学齢期から積みながら仕事選びや大学での学びの継続等に活かしていけるとよさそうですね。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2025年01月29日現場に合った制度を目指して介護・障害福祉の事業やサービスは、多くの法律や規定に基づいて運営されています。しかし、法律策定や運用の見直しでは、現場の声が十分に反映されないことも少なくありません。こうした状況を変えようと立ち上がったのが、一般社団法人 全国介護事業者連盟。さまざまなニーズやサービスのある介護・福祉業界の声を取りまとめ、現場の声を政策に活かせるようにと提言活動を行っています。今回は、理事長の斉藤正行さんに、連盟の活動内容や保護者の皆さんに注目してほしいポイント、メッセージを伺いました。Upload By 発達ナビ編集部――2018年に全国介護事業者連盟を設立されました。設立当初の思いを教えてください。斉藤理事長:私たち、全国介護事業者連盟は、その名の通り、最初は高齢者介護の分野からスタートしました。介護や福祉に携わる人の中には、実態に即していないガイドラインの見直しに、「なぜこういうルールになるんだろう?」と首をかしげ、不満を感じた人も多いと思います。私自身も、介護・福祉の業界に身を置いて20年以上になりますが、現場の声が届かないことに危機感を抱いてきました。そうした現状を変えようと2018年6月に設立したのが、全国介護事業者連盟です。のちに障害福祉事業部会を立ち上げ、現在は介護と障害福祉の両輪で活動しています。――2018年以前には、介護・福祉事業者の声を取りまとめる団体はなかったのでしょうか。斉藤理事長:いえ、実はその反対で、たくさんの団体がそれぞれに活動している状況でした。例えば障害者福祉であれば、就労継続支援A型、就労継続支援B型、就労移行支援、放課後等デイサービス……と、法人の種類やサービスごとに団体がありました。その結果、意見が集約されず、発言力が小さくなってしまう傾向があったのです。しかし、社会保障全般が大きく変化していく中、今後も現場の声が法律策定や運用に反映されないままでは、働く人たちや利用者さんを守ることはできません。介護・福祉の事業者が大同団結して、現場の声をきちんと届けようという思いで、全国介護事業者連盟を設立し、障害福祉事業部会も立ち上げました。驚異的なスピードで全国的な組織に拡大――現在では、大きな組織へと成長されました。斉藤理事長:構想段階では、「必要性は分かるけれど……」と難色を示される事業者さんも多かったのです。ですが、なんとか形を作ってスタートしてからは、組織の拡大は非常に速いペースで進みました。現在、全国5,800社、約3万5,500事業所 (2024年12月末時点)の皆さんに、一般会員として参画いただいています。介護では200万人、障害福祉では100万人が働く、重要なインフラサービスです。合わせて300万人の皆さんの声を代表し、現場主導での介護・障害福祉のルールづくりを進めるために、さらなるシェア拡大を目指していきたいと考えています。――全国各地に広がっていることも、全国介護事業者連盟の大きな特徴ですね。斉藤理事長:そうですね。介護・福祉ともに、都市部と地方とでは、運営のあり方や課題も異なります。業界を代表する団体となるには、全国的な組織でなければいけないということは、設立当初からの構想でした。高齢者介護については、昨年、47都道府県すべてに支部を設立することができました。3年半遅れてスタートした障害福祉事業部会は、現在、33支部です。2025年度には、47都道府県すべての支部設立を目指しています。大きな規模の事業者だけでなく、地域密着型で中小事業者の皆さんの声も吸い上げていくことが、私たちの使命だと考えています。介護・福祉業界で働く人の生活を守る――全国介護事業者連盟の活動の成果としては、どのようなものがありますか。斉藤理事長:私たちの活動の中心は、政策提言です。たとえば障害者就労についての委員会、障害児の通所系サービスのあり方についての委員会などを設置し、全国各地の専門家も交えて意見交換したうえで、要望書にまとめて、厚生労働省やこども家庭庁に提出しています。また政府や厚生労働省、こども家庭庁が設置している委員会にも、全国介護事業者連盟から委員として参画しています。また、全国介護事業者連盟の全国大会では、最先端の介護や障害福祉の取り組みや事例を発表しています。いずれは学会のように発展させ、エビデンスに基づいた情報を発信していく場としていきたいと考えています。Upload By 発達ナビ編集部――令和6年度は、報酬改定(介護や障害福祉の事業に必要な報酬を国が見直すこと)の面でも、介事連の働きかけの成果があったと伺っています。斉藤理事長:はい、介護報酬は1.59%、障害福祉サービス等報酬は1.12%のプラス改定となりました。物価高騰の状況なども鑑みれば十分とは言えませんが、比較的大きめのプラス改定を勝ち取ることができたのは、政府や厚生労働省に何度も足を運び、現場の状況を訴え続けてきた成果だと感じています。――介護・福祉に情熱を持って働く人たちが適切な報酬を得ることは、サービスを利用する側にとっての願いでもあります。斉藤理事長:もともと介護・福祉業界は、ほかの産業に比べて低賃金であることが課題でした。さらに給与差が拡大すれば、人手不足に拍車がかかり、必要なサービスが提供できなくなります。その改善のために、従来3種に分かれていた処遇改善加算(職員の給与を改善するための加算制度)を一本化し、その金額についても上増する方針が決まりました。――煩雑な仕組みをシンプルにしていくことで、現場の皆さんの負担を減らす効果も期待できるのですね。斉藤理事長:処遇改善加算を一本化することは、計画書や実績報告書を作成する時間の削減にもつながります。結果として、利用者さんと向き合う時間が増え、より質の高いサービスの実現にも貢献する取り組みだと考えています。とはいえ、介護・福祉の制度は、まだまだ複雑だと感じます。働く人や利用する人にとっても分かりやすい制度にしていくことが求められます。障害福祉分野の課題は?――障害福祉の分野で、斉藤さんが現在、特に課題だと感じていることはなんでしょう?斉藤理事長:今回の報酬改定では、就労継続支援A型について「生産活動に取り組んでいなければマイナス評価」という、非常に大きな変更がされました。この変更で、すでにこの半年で約7%の事業所が閉鎖するか、就労継続支援B型に移行しました。これによってA型の事業所で働いていた障害者の方が、約5,000人解雇されています。これはかなり深刻な問題です。このほかにも、放課後等デイサービスや生活介護などでも、マイナス改定の影響が出ています。成果重視、生産性向上という視点からの改定でしたが、これによって切り捨てられるサービスがないようにしなければなりません。――福祉的就労で働いている方、またこれから福祉的就労を考えている保護者の方にとっても心配なニュースです。今後、どのような対応が必要だとお考えですか?斉藤理事長:この先には、さらなる大改革が待っていると思います。高齢者が増える一方で、2040年には現役世代の人口が今より2割も減少すると予測されています。社会保障を使う人は増えるのに、サービスを支える労働者人口はどんどん減っていくわけです。ルールや制度の見直しに加え、我々事業者も経営や運営のあり方などの面で変化に対応する取り組みが必要です。共生社会実現にむけての取り組み――全国介護事業者連盟の今後の活動の展望について教えてください。斉藤理事長:組織をより拡大するとともに、現場で働いている皆さんにまで取り組みを共有し、裾野を広げていきたいと考えています。そして、最大のミッションである現場の処遇改善に向けて、きちんと声を届けていきます。また、2025年のトピックとしては、大阪・関西万博が挙げられます。万博のテーマである「いのち輝く 未来社会のデザイン」は、介護や福祉とも密接につながります。全国介護事業者連盟としてもパビリオンのプロデュースなどを行い、介護や福祉の未来について情報発信をしていきたいと思っています。――より多くの人に関心を持っていただけるチャンスでもありますね!斉藤理事長:はい。また、介護と障害福祉の連携もテーマです。共生型サービスの最新事例などを発信し、共生社会の実現を加速するための取り組みや事例を広めていきたいですね。――介護・福祉業界を活性化するためには、啓蒙活動も大切ですね。斉藤理事長:いま、介護や福祉では、人手不足が大きな問題となっています。これは保護者の皆さんにとっても、心配な状況だと思います。私たちの取り組みによって業界全体の健全化が図られ、持続的に発展できる仕組みがつくられていけば、職員にとってはもちろん、利用者さんや保護者の皆さんにもとっても大きなプラスになると思います。働いている人の所得が上がり、モチベーションが高まり、介護や障害福祉で働きたいという人がもっと増えることは、サービスの質や専門性の向上にもつながります。私たちも、現場に即した制度づくりに加え、教育や研修にも力を入れ、より安心して、お子さんがのびのびと成長できる場を提供していきます。――自身が高齢になったあとのことを不安に思われている保護者の方も多くいらっしゃいます。将来の福祉活用のヒントを教えてください。斉藤理事長:どうしてもお子さん優先になりがちですが、介護を含めてご自身が必要になると思う情報をしっかりキャッチしていただきたいですね。そして、お子さんについても、適切なサービスをきちんと利用できるように準備していただきたいと思います。また、障害のある方が加齢とともに介護が必要となったときには、介護保険へスムーズに切り替えることが大切です。介護と障害福祉の連携団体である私たちも、積極的に情報発信していきたいと思います。――最後に、発達ナビの読者の皆さんに向けてのメッセージをお願いします。斉藤理事長:超高齢社会と言われる今、お子さんの将来について考えるとどうしても不安が先立つという方も多いでしょう。しかし、私は明るい超高齢社会の構築は、絶対に実現できると考えています。高齢者や障害がある方、誰もが安心して過ごせる共生社会をつくっていく。そのためには地域共生社会づくりが、何よりも重要です。悲観せずにそれぞれの立場で考え、手を取り合って、一緒に頑張っていきましょう。――ありがとうございました。取材・編集:発達ナビ編集部執筆:浦上 藍子大学卒業後、ベンチャー企業のコンサルティングをおこなう企業に入社。2003年に介護業界に転身。異業種から介護業界を見る中で、さまざまな課題を感じる一方、社会を支える介護や福祉に魅了される。介護・福祉業界の健全な発展をめざし、2018年に全国介護事業者連盟を設立。※ボタンをクリックすると発達ナビのWebサイトから「一般社団法人 全国介護事業者連盟」のWebサイトに遷移します
2025年01月27日「子ども第三の居場所」事業を行うNPO法人子どもの居場所かがみの(所在地:岡山県鏡野町、理事長:駒牧 恵美子)は、国が実施する「児童育成支援拠点事業」の対象外となる子どもたちを救うため、新たな拠点の設置費及び運営費の募集をクラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」にて2025年1月20日(月)から開始、2月28日(金)まで実施しています。「CAMPFIRE」クラウドファンディングページ イベント写真■クラウドファンディング開始の背景当法人は、地域社会で子どもたちが安心して成長できる環境を提供するために、「子ども第三の居場所」(*1)としての施設「子どもの居場所にじいろ」を運営しています。しかし、2年後には国の事業である「児童育成支援拠点事業」(*2)への移行を余儀なくされています。この事業の支援対象となる児童は限定されており、現在施設を利用している子ども23人の内19人が対象外になります。この移行により、当法人が取り組んできた“誰一人取り残さない、みんなでみんなの子どもを育てる地域社会づくり”ができなくなることに強い危機感を抱いております。子どもたちや保護者から不安の声が上がっています。そこで、これまで利用してきた子どもたちが引き続き支援を受けられる居場所を確保し、さらに多くの子どもたちに支援を届けるため、新しい居場所となる施設を新設することを決断しました。この新しい施設は、国の事業の対象外となる子どもたちをはじめ、中学生や高校生をも受け入れられる場所であり、地域社会全体で子どもたちを支える拠点を目指します。(*1) 「子ども第三の居場所」事業学校でもない家でもない安心して過ごせる第三の居場所。不登校、発達障害、ひとり親、貧困家庭、ネグレスト、共働き孤食、多子世帯などの児童を対象として、必要な支援を行っている。(*2)「児童育成支援拠点事業」令和9年4月に完全移行予定。主に不登校児童を対象に支援を行うものの、単に不登校だけでは支援対象とはならない。不登校でも養育環境が良ければ対象外。こども家庭庁「児童育成支援拠点事業について」 最大の問題は、現在行っている子ども第三の居場所事業の対象児童のほとんどが取り残され、支援を受けれなくなることです。誕生日会■目標今回のクラウドファンディングでは、児童育成支援拠点事業の対象外となる子どもたちが、下記の特徴を持つ、安心して過ごせる環境を整備し、新しい施設を設置するための資金と運営資金を募っています。(1) 居場所としての安全な空間学校に行きづらい子どもや家庭環境に課題がある子どもたちが、安心して過ごせる空間を提供します。(2) 支援が必要な子どもたちへの個別支援発達障害のある子どもや、ひとり親家庭の子ども、共働き孤食など、個々のニーズに対応したサポートを行います。(3) 地域コミュニティとの連携地域のボランティアや支援と共に、子どもたちが成長できる環境を作り上げます。(4) 保護者への支援保護者の方々が孤立せず、必要なサポートを受けられるようなサービスも提供します。(5) 中学生や高校生のための居場所子どもたちが自由に過ごせる場所を提供するとともに、大人と気軽に相談できる環境を整えます。また、勉強に集中できるスペースや、みんなでワイワイ楽しめる場所も設け、子どもたちが自己表現できる場を広げていきます。当法人が現在行っている「子ども第三の居場所事業」を存続させるための施設の新設にかかる資金と運営に必要な資金を集め、地域社会全体で支え合いながら、子どもたちの成長を支える場を提供することを目指しています。遊び■リターンについて10,000円 :施設にお名前を運営開始から1年間掲載50,000円 :施設にお名前を運営開始から5年間掲載100,000円:施設にお名前を運営開始から10年間掲載※お礼のメッセージはすべてのリターンにあり■プロジェクト概要プロジェクト名: 児童育成支援拠点事業の対象外となる子どもたちを救いたい!期間 : 2025年1月20日(月)0:00~2月28日(金)23:59URL : 現施設■会社概要商号 : NPO法人子どもの居場所かがみの代表者 : 理事長 駒牧 恵美子所在地 : 〒708-0363 岡山県苫田郡鏡野町小座95番地の5設立 : 2024年2月事業内容: 子ども第三の居場所事業・児童育成支援拠点事業URL : 【本件に関するお問い合わせ先】NPO法人子どもの居場所かがみのTEL : 0868-54-0225(※受付時間:月、火、水、土の13時~17時)MAIL: kodomono.ibasho39@gmail.com 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2025年01月27日孫との同居で義父母は体調を崩したけれど。お年玉は高額、誕生日プレゼントも現金で⁉現在11歳の一卵性双生児の息子たちTとYは、2人ともASD(自閉スペクトラム症)です。Tは慎重派。嫌なことがあったり希望が通らない時は全部人のせい。自分の考えや言う通りにならないと貧血を起こすまで絶叫し続けて気絶するように眠っていました。最近急に成長して、分別ある行動がとれるようになりびっくりしています。Yは発言が一方的で、コミュニケーションに難があり。過集中で聴覚過敏があり、学校が騒々しすぎるとときどき行けなくなります。本人もコミュニケーションの難しさに最近気づき、イライラが募って勉強に支障が出たり、叫んだり、自傷行為が出てきたり、大変な時期になってきました。そんなわが家と同居を始めた義父母。発達障害がどういうものか知らない状態で、息子たちの言動の壮絶さを目の当たりにして、最初は体調を崩してしまいました。それでもASD(自閉スペクトラム症)について一生懸命に調べてくれ、今では子どもたちに愛情たっぷり。「優しくも厳しい祖父母」として接してくれています。でも、毎年子どもたちへのお年玉と誕生日のプレゼントとして渡される「現金1万円」に頭を抱えています。孫がかわいいのはありがたいのですが、両方合わせたら年に2万円……私としてはあげすぎだと思うんです……。「お金は使えば減る」って発達障害の子どもにどうやったら伝わる?Upload By ユーザー体験談子どもたちはお年玉をもらえば「わーい!お金!」と大はしゃぎ。さっそく「これでゲーム課金ができる!」と喜びます。ですが、私としてはそれをそのままスルーすることはできません。「お金は使えば減る」ことを理解できていない息子たち。そんな状態で大金を持たせるのは、教育上よくないのではと思うのです。毎年、私が預かって子どもたちの口座に貯金しているのですが、子どもたちから「あのお金、出して!」と何度もねだられる日々が始まります。「なんとかお金の教育をしなくては!」と覚悟を決めたのですが、ASD(自閉スペクトラム症)のある子どもたちと向き合いながらのお金教育は、決して簡単ではありませんでした。特性のある息子たちへのお金の教育!わが家の作戦5年生になってから「お金の教育」のためにいろいろな方法を試しました。「使えば減る」を見える化するために、家計簿のようなお小遣い帳を持たせました。なにかあったらその都度お小遣い帳へ書き込んでもらい、月末には手持ちの現金とすり合わせて支出を確認しています。お年玉が高額なため、毎月のお小遣いは300円にすることに。そして片付けへの意識、お金の使い道などについてじっくり考える時間を持たせたいとも考え、以下のようなルールを設けました。・ゴミ放置:大きさにかかわらず1つ10円徴収・本放置:1冊につき5円徴収・月に2回設けている「学校休める」権利を使わなかった場合:1日100円で買い取り・課金をしたい場合は、1日考えてそれでもするか考えた上で課金・お手伝いは無償:家族の一員として、家庭内の役割を担う意識を持ってもらいたいのでこれらのルールを通じて、慎重派のTは「使うと減る」ということを少しずつ理解し始めました。むしろ「減るのが嫌だから使わない」というケチ(?)の境地に到達。漫画を買うにしても自分のお金は使わず「あの漫画面白いんだよ、お父さんも読んでみてよ」と父におねだりをし親のお金で楽しむという高度なテクニックも身につけました。しかし、衝動性が強いYにはあまり響かず……。一度ハマると課金衝動が止まらない彼は、1日たっても1週間経っても「やっぱり課金したい!」と2千円もポンと課金。Tとの所持金差は1万5千円にもなってしまいました。そして先日は、ゲーム中に怒りが爆発し、タブレットを殴って破壊!手首を痛める事態に。そこで親が介入し、イライラを抑える方法を一緒に見つけられるまではタブレットを没収、課金も全て禁止としました。そしてYの所持金からタブレットを買うために1万円を徴収。それでも「ゲームやりたい!課金したい!」と言うY。まいってしまいました……。「課金したい!」が止まらない息子へのわが家の対策は?Upload By ユーザー体験談ゲーム、課金欲を抑えられないY。どうすればいいか頭を悩ませた結果、視覚優位の彼にとってグラフが有効ではと思い当たりました。それまでは「お金の減り」を視覚化するために出納帳を使っていましたが、見えるのは数字だけ。これにさらにグラフを導入することで分かりやすくなると思うのです。さっそくグラフ化を続けていますが、心なしか前よりは落ち着いてくれたような……。これからも継続していきたいと思います。発達障害のある息子たちに「お金」について伝えたい私自身、普段の買い物はほぼキャッシュレスで、現金に触れる機会も減ってきています。子どもたちは、もっと現金に触れることが少なくなっていくでしょう。「お金」という実態が昔よりも捉えづらくなっている今、特性のある息子たちが「お金」を学ぶハードルは高くなっているのかもしれません。それでもお金について学ぶことは、将来自立するためにも必要な力です。ファイナンシャルプランナーなどに相談して適切な金銭教育を模索しながら、根気強く向き合っていきたいと思います。そしてやはりお年玉や誕生祝いが現金1万円というのは我が家にとっては大きすぎると思うのです……。勇気を振り絞って「誕生祝いは図書カードにしていただけませんか?」とお願いしようと思っています。正直、気まずさもあります。でも、子どもたちの成長のためには必要なステップだと信じています。イラスト/志士ノまるエピソード提供/tom(監修:室伏先生より)お子さんへの金銭教育について共有くださり、ありがとうございます。お小遣い帳の導入とグラフによる視覚化、お小遣い制度とそれに伴うルール作りなど、具体的に共有してくださって参考にしたい保護者の方がたくさんいらっしゃるのではないかと思います。さまざまな工夫をされて根気強く向き合われるご家族のお姿、とても素晴らしいです。ゲームの課金は特に現物として物が増えるわけではないので、大人でもお金を使った実感がしにくいこともあり、制限が余計に難しいかもしれませんね。また、キャッシュレスの生活が中心となり、家族が意識的に伝えていかなければ、普段実際に手にしているもの、食べているものの値段を経験する機械が減ってしまっているかもしれませんね。現金でのお小遣いは、金銭感覚を育てるという意味でとても有意義なものだと思います。さらに、自分が欲しいものだけでなく、生活に必要なものの金銭感覚を身につけたり、やりくりすることを身につけるための方法として、お買い物をお願いするというのも有効な一つの手段かもしれません。例えば、これとこれを買ってお会計して残った分はお小遣いにする、買い物の内容をみて合計金額を当てるゲームのようにして楽しむ、などです(年齢や特性によって工夫が必要かもしれません)。私たちも、特性のあるお子さんへの金銭教育について、考えていきますね。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2025年01月23日「こども園に行きたくない」にショック!フルタイム勤務を辞めた私特別支援学級に通う7歳の息子がいます。医療機関での診断はまだ受けていませんが、3歳で受けた発達検査の結果などを見ると、ADHD(注意欠如多動症)、ASD(自閉スペクトラム症)の特性がそれぞれあるような気がしています。私は、息子が生まれる前からフルタイムで働いていましたが、息子がこども園の年中になった頃、発達特性が目立ってきて、登園をぐずるようになったことに伴い、働き方をフリーランスに変えました。目立ってきたのは「不器用さ」と「認知のゆがみによるネガティブ思考」です。息子が年中さんになったあたりから、周囲の子たちに比べて不器用さが目立ってきました。教室に飾ってあるお絵かきや塗り絵が飛び抜けて拙かったのを覚えています。縄跳びは今もできませんし、ボール遊びも苦手でした。息子は自分でもそれが分かるみたいで、「下手だからやりたくない」という発言が増えていました。また、この頃から被害妄想的な発言、「○○くんが僕のこと笑ってる。僕のことをバカにしてる!」などと主張することが増えたのです。ですが、園への送迎の時に友だちとのやり取りを見ていても、先生から園での様子を聞いても、そのような事実はなく、何やら本人が誤解しているという感じでした。Upload By ユーザー体験談そして息子は「こども園に行きたくない」と言うようになりました。これまでにはそんなことはまったくなく、楽しそうに登園していたので、少なからずショックでした。何となくの直感なのですが、「ここは適当にやり過ごしてはいけない。息子が今抱えているしんどさに気づかないふりをして無理にこれまで通りのペースを保とうとすると、あとで余計にこじれるのでは」という気がしたのです。持ち帰り仕事で私が深夜に作業していることも、息子への対応で苦慮していることも夫は心配してくれていたので、「当面はフリーランスで働いて、環境を整えながら過ごしたい」と言っても、特に反対はありませんでした。Upload By ユーザー体験談児童発達支援、宿題対応……フリーランスになって受けた恩恵時間調整がしやすい働き方に切り替えたことで、就学準備や息子のケアに充てられる時間が確保でき、平日昼間の児童発達支援利用もできるようになったので、息子の不安定さは目に見えて落ち着きました。現在息子は小学校1年生で、知的障害特別支援学級に在籍していますが、担任の先生やお友だち達にも恵まれ、心理的安全性を確保しながら過ごせているためか、勉強も意欲的に取り組めていて、いい感じに子育てできていると思います。今息子が苦戦しているのは「宿題」です。1問解くのに時間がかかっているのですが、問題が分からないというよりは宿題に取り掛かるための気持ち作りに時間がかかっている印象です。息子は私が隣にいることで宿題への負担が軽減されているようなので、私は「待つ」姿勢に徹して一緒に宿題を見ています。宿題を見る時間をじっくり取れるのも、時間に比較的融通がきくフリーランスだったからかなと思います。その結果、時間がかかりますが、息子は「宿題しんどいな~」と言いながらも必ず最後まで取り組むことができています。授業参観などでは先生の質問に積極的に発言し、担任の先生からも「授業に楽しんで参加できていますよ。朝のスピーチなども自分から進んでやってくれるし、とてもいい状態です!」とのお言葉。年中時代のネガティブ&無気力な姿を見ていただけに、その言葉がとても嬉しかったです。Upload By ユーザー体験談いいことばかりじゃない⁉経済的な不安しかし、その代償と言いますか、今、私の貯金が大大大ピンチです。仕事に充てられる時間が激減したため、今は会社員時代の貯金を取り崩している状態です。夫婦の生活費はほぼ折半ですが、私が育児にかける時間が多いため、負担割合は「夫6:私4」としています。それでも、貯金が底をつくのは時間の問題です。今後の働き方を再検討しなければなりません。Upload By ユーザー体験談子どもが生まれる前、夫に代わって私が生活を支えていた時代があったので、夫は私に「働き方を変えて、もっとしっかり稼いで」とは言いにくいんじゃないかと思います。とはいえ、「休みの日は、もっと俺が息子を見るわ。息子の送迎とかも、できる限り協力するし」と言われるので、私にもうちょっと働いてほしいと思っているのかな~とも感じています。今は、息子の登校に付き添いをしていたり、平日の午後に、送迎が必要な個別療育の放課後等デイサービスに通っています。まとまった収入を得やすい週5の時短勤務や、フルタイムなどの働き方にシフトすると、おそらくこれらを続けることは難しく、こだわりの強い息子を説得するのは大変だろうなぁ……と悩みは尽きません。あと、転職適齢期を大幅に過ぎた自分が、どこで働くかという問題もありますよね(汗)。母子分離不安がある息子。障害者手帳の取得も視野に入れてさらに、働きかたを変えていくための第一歩は、息子の「母子分離不安」を軽減することです。息子は「6年生になるまで一緒に登校して!」と言うほど、私への依存が強い状態。どうしたらいいか考えていたのですが、今後障害者手帳の取得に向けて、児童精神科を受診しようと思っています。これまでは特に必要性を感じる場面がなかったので手帳の取得を検討していなかったのですが、手帳取得によってなにか現状が変わればいいな、との思いからです。手帳取得によって手当が得られるわけではないことは知っていますが、収入を増やすことと支出を減らすことについて、いろいろな角度から考え続けたいと思っています。エピソード参考/苗イラスト/keiko(監修:室伏先生より)息子さんの特性や、お母様のお仕事についての悩みなど詳しく共有くださり、ありがとうございました。フルタイムからフリーランスでのお仕事に変更される時には、大きなご不安やさまざまな葛藤があったことと思いますが、「ここは適当にやり過ごしてはいけない」と息子さんに全力で向き合われてきたお姿、とてもかっこいいなと思いました。発達障害のあるお子さんへの経済的な支援の一つに、特別児童扶養手当があります。特性はあるものの生活への支障がそれほど強くないお子さんや、知的障害(知的発達症)の軽いお子さんでは手当を受けるのが難しい場合が多いですが、生活に一定程度以上の困難さを伴う場合には手当を受けることができます。児童精神科の受診には、手帳の取得や、手当に関する相談以外にも、医師、医療スタッフによる問診、お子さんの観察、発達・知能検査などを通して、ご本人の特性の理解を深めたり、その子に合った支援の方法を一緒に考えることができるというメリットもあります。息子さんとお母さまが共に安心して過ごせる道が見つかりますことを、私もお祈りしております。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2025年01月21日「筆算は書いたら負け!」マイルールがたくさん!完璧主義の自閉症息子現在13歳の息子がASD(自閉スペクトラム症)、反抗挑戦性障害(ODD)と診断されたのは9歳の時でした。さらに11歳でLD・SLD(限局性学習症)も分かりました。息子は幼い頃から、完璧主義。それゆえ目標が高く、無謀な目標を立ててはそれが「できて当たり前」と勝手なマイルールを作り、うまくいかないとイライラしてしまう様子がみられます。例えば、学校で算数の問題に取り組む際、筆算を書くスペースが設けられているのに「筆算を書いたら負け」というマイルールを作ります。そしてすべて暗算で解こうとしますが、うまくいかないことも多く、そのたびに怒り出すのです。「筆算を書けばいいんじゃない?」と言っても、息子には届きません。遊びの中でも、無謀な目標を立てることがあります。半日だけ練習して「プロのようにできるはず」と決めつけ、期待通りにいかないと「こんなに練習したのに!」と怒ります。当然プロのようにできるはずもないのですが、息子にとっては「当然できるべきこと」と思い込んでいるので、イライラした息子に八つ当たりされることもしばしばです。その他にも息子にはさまざまなマイルールがありますが、毎冬私を悩ませる「あるルール」があるのです。寒い!と言うのに防寒着は却下、乾燥肌で出血も薬は断固拒否……「冬でも夏服」な息子息子は8~9歳の頃から、「冬でも夏服」というスタイルを徹底するようになりました。低学年の頃は私が出した長袖やジャンパーを着ていたのですが、当時は「ちゃんとしなきゃ!」という過剰適応だった可能性はあります。その後、サッカーウエアのような上下のセットが格好いいと気に入り、そういうものを着始めてからはずっと同じような上下のセットばかりを着ていました。そして袖があるのが鬱陶しい(動きづらい)と言って、厚みのある服を嫌がるようになり、「冬でも夏服」スタイルが確立したのです。Upload By ユーザー体験談ただ、同時期に登校渋りも出ていた息子。学校へのストレスからこだわりが強く出たのかもしれません。冬でも半袖になってからは、寒さで「手がかじかむ!」と文句を言うのに、防寒着を勧めると「そんなのいらない!」と突っぱねます。手袋や上着を提案してもことごとく却下されるため、どうしようもありません。ゲームや縄跳びをしている時に、手がかじかんで思うようにコントロールできないことに苛立ち、私に八つ当たりしてくることもあります。「どうしたらいい?」と聞いてくるので、手袋をする、アームカバーをする、長袖を着る、ベストを着る、1度休んであたためてから再開する……などいろいろと提案しますが、「そんなのやっても無駄!」とバッサリ!何かしら理由をつけて全て却下されます。いつもそんな感じなので、私が何も言えないでいると、「聞いているの!?」と怒り、また「どうしたらいいの?」と聞いてくる無限ループです。この件に限らず、こちらが勧めるものを、素直に聞き入れたり、試してみたりすることはほぼありません。Upload By ユーザー体験談乾燥肌をかきむしり出血。絆創膏もはがし部屋には血痕が……また、息子はもともと乾燥肌で、冬になると特にひどくなります。皮膚が乾燥するとかゆくなってしまうので掻きむしることもしばしば。出血することもあります。でも、医師から処方された保湿剤があるのですが、これを「面倒くさい」と言って塗ってくれません。「塗らないからカサカサするんだよ」と説明すると、「分かってる!」と怒るのです。分かっているなら塗ればいいものを……。乾燥で皮膚が剥けてくると、その感触が気になりさらに剥いてしまい、出血するのでなんともかわいそうです。また、それが治りかけるとまた違和感を覚えて剥き始める……という悪循環。出血する度に私に「絆創膏貼って」と言ってくるのですが、少しすると絆創膏が鬱陶しいからと剥がしてしまいます。そのまま部屋を歩き回るので、時々床にはポツリポツリと血痕が……。どうにかして防寒と保湿をしてくれないかと悩ましい日々は長く続いています。ですが、中学生になって息子に変化がでてきたのです。Upload By ユーザー体験談少しずつ見えてきた変化息子の通う中学校には指定の制服があります。息子は現在も冬でも夏服を着ていくことが多いのですが、学校の行事などで上着の着用が義務付けられている場合は、しぶしぶ従うようになりましたUpload By ユーザー体験談また、家では相変わらずサッカーウェアのような上下を好んで着ていますが、友達と遊ぶ時などは、ゆったりした長ズボンを選ぶようになったのです。着心地とかっこよさを考慮するようになった息子、大進歩と言えると思います。乾燥肌に関しては、保湿剤を塗ることへの抵抗は続いているものの、掻きむしる頻度は減ってきました。今でも皮膚が剥けると気にすることはありますが、絆創膏を貼らなくても大丈夫な程度に改善されつつあります。このように変わってきた息子のマイルール。当時はどんなに言っても長ズボンを履いてくれなかったのに、自ら履く日がくるとは……と感慨深いです。どこかで妥協する必要があるという現実を、息子が少しずつ理解し始めたのかもしれません。今後も息子の成長を支えながら、彼自身のペースで問題に向き合う力を育んでいきたいと思っています。少しでも乾燥肌が良くなれば……という思いで、これからも保湿効果のある入浴剤を使い続けていきます(湯船に入るかどうかは息子の気分次第ですが)。イラスト/taeko※エピソード参考者のお名前はご希望により非公開とさせていただきます。(監修:森先生より)マイルールについての体験談をありがとうございます!お子さんのために、日々奮闘されている様子がよく分かります……本当にお疲れ様です。さて、発達の偏りのあるお子さんは、良くも悪くも「完璧主義」になりがちです。 「筆算を拒んで暗算を貫く」「冬も半袖で過ごす」といった行動も、しばしば見られます。完璧主義になる理由はさまざまで、「途中で折れると負けた気がする」「一定の手順でないと落ち着かない」「いつも同じ服だと安心する」「長袖が首や手首に触れる感覚がイヤ」などがありますね。 感覚過敏やこだわりがベースにあることがあります。感覚過敏というのは、特定の音や感触に過敏に反応することで、発達の偏りがある方にしばしば見られます。また、筆算のルールや手順が複雑に感じられ、苦手意識を持っているケースもあります。暗算のほうがシンプルで、自分のペースで計算できるため、安心感があるのかもしれません。 そういった場合は、「やってみたら簡単だった」「楽だった」という小さな成功体験を積んでいくといいでしょう。 ただ、余裕がない時は素直にアドバイスを受け入れられません。また、お子さんのやり方を否定してしまうと良くないので、お子さんのやり方には理解を示しながら、別のやり方も提案してましょう。お子さんの機嫌が良い時、余裕のある時に「試しにこれを筆算で解いてみない?」「この長袖の服を着てみない?」と声をかけてみるといいのではないでしょうか。なかなか一朝一夕にはいきませんが、根気よく続けていきましょう。冬も半袖で過ごすのは、体感温度や寒さに対する感覚がほかの人と少し異なっていたり、服の素材や着心地にこだわりがあり特定の服しか着られないといった場合が多いようです。直接肌に触れる肌着を快適なものにすると、比較的落ち着くこともありますが、大きくなるにつれて服の見た目の好みなども出てくるので難しいところですね……。さて、スキンケアについてもお悩みなのですね。今回の体験談ではすでにいろいろと試行錯誤してくださっているのですが、一般論としてアドバイスをさせていただきますと……まず、乾燥肌や敏感肌、アトピーのあるお子さんには、ゆったりした服や、木綿などの肌触りのいい肌着を試してみてください。タグが肌に触れないものですと、なおいいですね。保湿剤やお薬を嫌がって塗ってくれない場合は、第一に、軟膏がなぜ必要なのかを根気強く説明することが大切です。納得してくれない場合も、中学生くらいまでなら保護者の方が塗ってしまったほうが確実かもしれません。言うは易しで、保護者の方は本当に毎日大変だとは思うのですが、日によって塗ったり塗らなかったりすると、「結局良くならない」という思いを強めてしまうことがあるのです……。また、状態に合わせてお薬を皮膚科で相談することも大切です。2週間前に出してもらったお薬が、今の状態に合わない、ということもあり得ます。「かゆい」というつらさを、「すぐに取ってくれない」=「無駄」と思ってしまっている可能性もあるので、炎症やかゆみがひどくなっているようであれば、お薬についても相談してみましょう。今の状態に合わせて処方されたお薬ということであれば、「お薬を使ったほうがいい」という言葉に説得力が増します。お薬を塗ったときの感触が苦手であれば、軟膏やクリームなど、お薬のタイプについても相談してみましょう。「お薬を使ったら本当によくなった!」という体験を重ねると、素直に使ってくれるようになるケースも多いものです。保護者の方の毎日の努力と、お子さん自身の成長で、お困りだった「こだわり」から少しずつ抜け出せているのですね。とっても素晴らしいことだと思います。今回のお話が、少しでもお役に立てたら幸いです。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2025年01月09日「学びの多様化学校(不登校特例校)」のメリット、デメリットは?「IQ高ければ配慮はいらない」って…本当に?特別支援学級からの中学進学エピソードなど【2024年12月】小学校の在籍クラス、その先には中学校の進路先……就学、進学で悩まれる保護者の方も多くいらっしゃると思います。今回は読者体験談に加えて「就学先アンケート(小学校編)」「進学先アンケート(中学校編)」の結果や発達ナビ利用者から寄せられたリアルな声もご紹介!体験談も「学びの多様化学校(不登校特例校)」への進学体験談や、学区と国立大学付属の特別支援学級や特別支援学校で悩まれた方、「IQが高ければ配慮はいらない」と就学相談で伝えられて悩んだ方、「自立」に向けての進路先などさまざまな「就学・進学」のエピソードが満載です。なのははさんの息子さんは現在14歳。11歳でASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けています。小学2年生の秋頃から、不登校、登校渋りが始まったそうです。そんな息子さんが進学した中学は「不登校特例校」。進学までの道のり、オープンスクールへの参加、実際に進学してみて感じたメリットデメリットなども振り返ってくださいました。また、進学先アンケート(中学校編)の結果や発達ナビ利用者から寄せられたコメントも紹介しています。皆さんがどんな進路選択をしたのかぜひご覧ください。小学校では知的障害特別支援学級を、中学校では「学区の知的障害特別支援学級」「国立大学附属の特別支援学校」「国立大学附属小中学校の知的障害特別支援学級」で迷われたというあきっちさん。どのようにして決めたのか、また進学後のご様子についても教えていただきました。こちらでは、就学先アンケート(小学校編)の結果や発達ナビ利用者から寄せられたコメントをご紹介。寄せられたリアルな声はこれから就学先を考える保護者の方の参考にもなりそうです。多動や癇癪がありこだわりが強く、4歳の時にADHD(注意欠如多動症)、ASD(自閉スペクトラム症)と診断された息子さん。就学相談では通常学級+通級指導教室の利用を希望しましたが、「高IQだから配慮はいらないはず」と就学相談で一方的に決めつけられてしまいます……。小学校入学時から自閉症・情緒障害特別支援学級に在籍し、学年や科目によって通常学級にも通うスタイルで、学校生活を送っていたまつさんの息子さん。まつさんは引越しなどで送迎が大変な日々でしたが「ここに通わせてよかった」と感じていたそうです。そして中学への進路を考える時期になり、まつさん親子の決めた進路先は……。学びの多様化学校(不登校特例校)、特別支援学級、通常学級……さまざまな就学、進学先12月に公開された読者体験談。通常学級や特別支援学級などのほかにも学びの多様化学校(不登校特例校)への進学などさまざまな進学先のエピソードが集まりました。発達特性のあるお子さまの就学、進学先はさまざまな選択肢があります。発達ナビ利用者から寄せられたアンケート結果やリアルな声なども参考にしてお子さまの過ごしやすい環境を選択できると良いですね。ご自身のエピソードを投稿してみませんか?『発達ナビ 読者体験談』は皆さんのご経験を基に制作されています。ご投稿いただいたエピソードは、連載ライターさんのイラスト、専門家の先生からのコメントをつけた上で掲載させていただきます。「あの時は悩んでいたけれど、今はこうなった……」など、発達障害のあるお子さんを育児している皆さんへ、ご自身の経験をお届けいただけないでしょうか。ご応募は以下の応募フォームから受け付けております。皆さんのご投稿を、お待ちしております。【現在の募集テーマ】・障害告知・パートナー(夫婦) 関係・両親(義両親)、親族関係・進学・受験関係・冠婚葬祭関連・反抗期、思春期・自傷・学習関係・不登校、行き渋り・ゲームとの関わり・不器用さについて・ママ友や、ほかの保護者の方とのエピソード・ご近所関係(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2025年01月05日2024年4月リリース!「LITALICO発達特性検査」の特徴や、お子さまのサポートに活かすヒントをまとめてご紹介新しい年が始まりました。春の就学や新学期に向けて、「もっとお子さまに合ったサポートがしたい」「園や学校、医療機関との連携を深めながら、合理的配慮についても相談したい」とお考えの保護者の方も多いのではないでしょうか?LITALICO発達特性検査は、お子さまの発達特性や困りごと、よく見られる姿やその背景要因、お子さまに合ったサポートの方向性などが分かる、オンライン完結の検査サービスです。このコラムでは、LITALICO発達特性検査の企画段階から参画し、多動・不注意/情緒・行動/感覚/運動(くせ)の検査結果テキストの監修を担当した公認心理師の井上雅彦先生のインタビューを中心に、LITALICO発達特性検査で分かることや、検査結果の活用のヒントなどを解説した記事をまとめてご紹介します。Upload By 発達ナビ編集部LITALICO発達特性検査では、お子さまの特性を、7の大分類と18の小分類に分けて測定します。本検査をご利用いただくことで、お子さまがどのような困りごとがあり、なぜ困っているのかを多面的に理解することができます。この記事では、LITALICO発達特性検査について、その特徴や対象となるお子さまについて、検査で分かること、受検方法などを分かりやすく解説しています。LITALICO発達特性検査に企画段階から携わっている公認心理師の井上雅彦先生は、「診断の有無にかかわらず、子どもの特性を理解し、対応方法や関わりの具体的な方法を提案できるツールが必要だと感じていた」と話します。この記事では、LITALICO発達特性検査ができた背景や、この検査で解決したい親子の抱える課題について、ご紹介しています。お子さま本人にとって障害となる困りごとや子育ての課題を解決するためには、お子さま本人の特性を理解し、その特性や困りごとに応じた対応方法を保護者の方や、園や学校などの周りの人が理解することが、とても重要です。この記事では、特性を検査するとはどういう意味を持っているのか、また、特性を検査することで、どのようにお子さま・ご家族の困りごとや課題をサポートしていけるのかについて解説しています。環境調整とは、お子さまが困りごとや困難さを感じる環境を整えることを指します。ストレスや困難が生じやすい環境を、お子さまに合わせて調整することで、心理的・行動的な困難を減らしていきやすくなります。また、お子さまの特性に適した環境を整えることで、課題や困りごとが軽減できるケースも多くあります。この記事では、お子さまのための環境調整のコツや、LITALICO発達特性検査の検査結果の活用方法を解説しています。園や学校はお子さまにとって、長い時間を集団で過ごす場所になります。しかしながら、集団での行動や学習、自立活動など、家庭とは異なる状況や困難が現れたり、家庭と同じようなサポートが難しかったりという場面も……。そのため、本人に合った環境やサポートの方法を、先生方と保護者が連携してつくっていくことがとても重要です。この記事では、LITALICO発達特性検査の検査結果を活用し、園や学校とスムーズに連携するためのポイントをご紹介します。子育てや福祉に関する窓口、教育相談の窓口などの相談機関は、ヒアリングや相談内容をもとに、保護者の方にアドバイスをする、適切な支援制度を紹介する、医療的な支援に繋ぐといった機能を持っています。その際に、重要になってくるのが保護者の方からの情報です。どのようなことに困っているのか、お子さまにどのような様子や行動の傾向がみられるか、保護者の方がどのくらい困難を感じているかなどを分かりやすく伝えることで、相談の具体性や、その先のサポートの適切さが上がります。この記事では、相談機関との連携の際に、どのように検査結果を活用できるかについて解説しています。発達が気になるお子さまの専門科としては、発達外来や児童精神科、小児神経科などがあります。医療機関での問診は時間が限られていることもあるため、事前にお子さまについての情報や、相談したいことなどをまとめておくとスムーズです。この記事では、医療機関との連携の際の検査結果活用方法についてご紹介しています。「検査結果を受けて、まずは何をすればいいの?」「サポートを試してもうまくいかない場合はどうすれば?」など、検査結果の活用についての疑問にお答えします。お子さまの対応や特性理解に活かすためのヒントを見つけてみてください。「LITALICO発達特性検査」で春からの新生活に備えてみませんか?LITALICO発達特性検査は、お子さまの発達特性や困りごと、よく見られる姿やその背景要因、お子さまに合ったサポートの方向性等を知ることのできるオンライン検査サービスです。お子さまの特性理解とサポートのためのツールとして、ぜひご活用ください。【受検方法】:保護者の方がオンラインにて150問程度の質問に回答いただく形式です【検査時間】:約30分(検査結果は回答完了後、すぐに確認いただけます)【検査価格】:2,970円(税込)※受検1回分の価格【対象年齢】:本検査の対象年齢は3歳~18歳です※就学猶予、原級留置(留年)で高校入学、進級が遅れた場合等は、19歳も受検することが可能です※本検査はお子さまの発達特性やその背景要因、適切なサポートの方向性に関する情報を提供するためのものであり、医学的診断を目的としたものではありません
2025年01月04日2024年版!人気の発達ナビ読者体験談10選昨年も発達ナビ会員の皆さんの体験を参考に制作をした「発達ナビ読者体験談」をたくさんご覧いただきありがとうございました。このコラムでは2024年に人気のあった読者体験談をピックアップしてお届けします。施設入所で絶縁を決意、勉強のつまずきと就職、志望校選択トラブル、子どもの居場所探し、特別支援学級への転籍、「親なきあと」に向けての準備、問題行動の多かった子どもの変わるきっかけなどなど……さまざまな体験談に加えて、大反響のあったマンガ「発達障害の子どもと私たち」シリーズもご紹介いたします。※コラムのView数は2024年12月23日時点のものです小学校1年生のときADHD(注意欠如多動症)、ASD(自閉スペクトラム症)と診断を受けた息子さん。小学校までは通常学級に所属していましたが、小学校5年生の時、コロナ禍による休校をきっかけに『いつから学校に行けるのか?』とパニックとなり、昼夜逆転や家庭内暴力が始まり、中学1年生の冬から児童養護施設に入所を選びました。しかしそれを知った実母は激怒して……。小さい頃から「もしかしたら特性があるのかも?」と感じる場面はあったものの、通常学級で過ごしていたやぎ母さんの息子さん。中学校入学以降はあれよあれよと成績が下がっていき、高1でASD(自閉スペクトラム症)の診断。今は就職についてまさに立ち向かっている息子さんですが、やぎ母さんが後悔していることはーー。「これを渡したからと言って合格と思わないでほしい」中高一貫校に通う中学2年生のりぃさん親子が中学受験の際に面接官の先生から言われた言葉です。発達障害を理由になにかを断られたという経験がなく、衝撃・混乱。志望校選択を間違えた?と感じたりぃさん親子が最終的に選んだ中学進学先は……。小学校に入学後、1年生のうちは通常学級に、2年生からは特別支援学級で卒業までお世話になろうと思っていたお気楽ママさんの息子さん。明るくて元気で人懐っこい性格の息子さんがたくさんの友達と楽しく過ごしてくれたらという思いからの選択でした。しかし、入学後学校で癇癪を起こされては対応できないと言われ、限られた時間の登校、オンライン授業や放課後登校という生活をすることになり……。小学校入学後「ほかの子と違う対応をすることは特別扱いだからできない」「配慮はできない」といわれ、毎日先生から怒られるばかりの日々になってしまったAAAさんの息子さん。学校へ対する不安が大きくなり、1年生2学期に自閉症・情緒障害特別支援学級のある学校へ転校をしました。大きな決断でしたので不安もありましたが、ここで転機が訪れました。4歳で知的障害(知的発達症)と診断された現在33歳の息子さん。中学生からレスパイトを利用し、20歳でショートステイに登録、現在はグループホームで暮らしています。小さい頃はできないことも多く、悩んだこともあったとのことですが、嘆くより「どうしたらできるようになるか」「こんなことができるんだ」と思うようにし、息子さんと一緒に成長してきた経験をご紹介します。学校からの連絡がない日はない!問題行動が多かったしのっぺさんの息子さん。そんなしのっぺさんの育児の転機は小学2年生の時に先生に言われたとある一言だったそうです。学校で荒れていた息子さんが、あることをきっかけで前を向くようになりました。小学校5年生の一卵性双生児の男の子の母であるくまごろうさん。診断はありませんが、二人ともADHD(注意欠如多動症)、さらに弟の方にはASD(自閉スペクトラム症)の傾向があると感じているそうです。そんな息子さんたちは1歳の頃から集団行動を全拒否!もしかして発達障害なのでは?と心配していました。大反響!不登校、親の苦悩、勉強についていけない…マンガ「発達障害の子どもと私たち」シリーズをまとめ読み!マンガ「発達障害の子どもと私たち」は、発達ナビユーザーから寄せられた体験談を元にしたセミフィクションストーリーです。3歳でASD(自閉スペクトラム症)と診断を受けたはるきは小学校3年生の5月の下旬頃から「学校を休みたい」というようになりました。なぜはるきは学校へ行けなくなってしまったのか?はるきの気持ち、そして保護者の決断は……。5歳でASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けたみきは、小4で「学習の壁」にぶつかり登校渋りが始まりました。集団授業についていけないなか、特別支援学級への転籍を希望するのですが、結果は……?全4話をまとめ読み!2025年も発達ナビでは読者の皆さんのエピソードを募集しております。現在の募集テーマはこちらです。・障害告知でのトラブル・パートナー(夫婦) との間でのトラブル・両親(義両親)、親族などの間でのトラブル・進学・受験関係でのトラブル・冠婚葬祭関連でのトラブル・お子さまの反抗期、思春期でのトラブル・お子さまの自傷でのトラブル・お子さまの学習関係でのトラブル・不登校、行き渋りでのトラブル・お子さまとゲームの関わりでのトラブル・子さまの不器用さでのトラブル・ママ友や、ほかの保護者の方とのトラブルでのトラブル・ご近所関係でのトラブルお寄せいただいたエピソードの中から数作品、発達ナビの連載ライターさんなどにコラムとしてコミックマンガエッセイ化していただき、発達ナビで公開いたします!あるあるのエピソードからヒヤリとしたエピソード、なかなか相談できずにいたご家族の中での悩みや保護者間のトラブルまで。いろいろな「困った」エピソードをぜひ教えてください。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2025年01月02日新年あけましておめでとうございますUpload By 発達ナビ編集部新年あけましておめでとうございます。編集部一同、2025年が皆さまにとって素晴らしい一年となることを願っております!さて、2024年、LITALICO発達ナビの会員数は45万人を超え、さらに多くの方に訪れていただけるサイトに成長しました。Upload By 発達ナビ編集部2024年、発達ナビではさまざまな取り組みを行ってきました。この一年を振り返り、改めて皆さまにご紹介したいと思います。発見や共感がたくさんあるコミックエッセイをお送りしてきました。こんな場面、ご自身も経験した……というエピソードもあったのではないでしょうか。そのような際に感じた思いや対応、どのように乗り越えたのかといったエピソードは、きっと皆さんの子育てにおいてもヒントになるはずです。発達ナビの会員の皆さまの体験をもとにしたコミックエッセイも数多くリリースしました。さまざまな年齢、特性のお子さんやそのご家族の体験も、共感できること、参考になることがあるのではないでしょうか?皆さまの体験されたエピソードもぜひお寄せください!発達ナビでは、読者の皆さんへのアンケートを行っています。アンケートの結果をまとめてご紹介したり、具体的なエピソードは体験談としてご紹介させていただくこともあります。みなさんの経験がほかの保護者の皆さんへのヒントになることも多いでしょう。ぜひたくさんの声を聴かせてください。みんなのアンケートの結果に、具体的な体験エピソードもご紹介しているコラムもリリースしています。2025年は、みんなのアンケートの結果ふまえた特集なども企画しています!ぜひ皆さんの経験や声を聴かせていただけたら幸いです。現在回答受付中!9周年を記念し、発達ナビにどんなサービスがあるといい?みなさんの声を聞かせてください。Upload By 発達ナビ編集部「わが子に合ったサポートが知りたい」「園や学校、支援機関などとの連携で、具体的な手立ての方法を伝えたい」と感じることもあるのではないでしょうか。こうしたニーズにこたえるためLITALICOが提供をスタートした発達特性検査。この検査についても、さまざまなコラムで紹介してきました。臨床心理の専門家などからのメッセージもお伝えしています。LITALICO発達特性検査は、お子さまの発達特性や困りごと、よく見られる姿やその背景要因、お子さまに合ったサポートの方向性などが分かる、オンライン完結の検査サービスです。来年度に向けて、支援者との連携に発達特性検査を活用してみてはいかがでしょうか。多くの会員の皆さんに支えられ、2025年1月26日に9周年を迎えるLITALICO発達ナビ。今年も、皆さんのニーズにお応えできるよう精進していきたいと思っております。ぜひ、「こんな機能があったらいいな」「こんな記事が読みたいな」といった声を、聞かせてください。本年もどうぞよろしくお願いいたします!
2025年01月01日2024年、発達ナビライター陣に新たに加わった7名をご紹介します!2024年、発達ナビでは新たに7名のライターを連載メンバーに迎えました。改めて新ライター陣のプロフィールと、それぞれのおすすめコラムをご紹介します。3人のお子さんを育てているねこじまいもみさん。繊細な長女さん、ASD(自閉スペクトラム症)の長男さん、言葉がゆっくりな次男さんと、3人それぞれに違った特性があります。小学3年生でASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けた長男さん。最初に違和感を覚えたのは1歳半頃で、同じ場所を行ったり来たりする「常同行動」をしていたことでした。そのほか、幼い頃の気になる行動についても振り返っていただきました。サチコさんは長女・次女・夫の4人家族です。現在4歳の長女・マユユちゃんは、2歳で軽度知的障害(知的発達症)とASD(自閉スペクトラム症)と診断されました。社会性・ことばの遅れ、切り替えの苦手さから癇癪を起こすことがあり、3歳頃から療育に通い始めました。マユユちゃんが赤ちゃんの頃から育てにくさを感じていたサチコさん。当時は理由が分からないままヘトヘトになっていたとのことですが、今思い返すと合点のいくことばかりだったそうです。ASD(自閉スペクトラム症)、強度行動障害と診断されている息子さんと、ASD(自閉スぺクトラム症)の娘さんを育てている花森はなさん。お子さんの不登校や行き渋りで感じたことなどを書いていただいています。現在中学3年生の息子さんは、ASD(自閉スペクトラム症)と強度行動障害がありますが、この診断が出るまでには、初診から約3年かかったそうです。息子さんが小学3年生で突然不登校となり、「発達障害があるかもしれない」と考え始めた頃を振り返っていただきました。もっつんさんの息子さんのタク君はASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如・多動症)、ご自身も大人になってから発達障害の診断を受けています。タク君は現在中学3年生。穏やかな今に至るまでの、苦労を乗り越えてきた育児について書いていただいています。未就学期のタク君は他害や多動が激しく、どこに行っても振り回されていたもっつんさん。周囲からポジティブな言葉をかけられても、悩みは消えずに大きくなるばかりだったと言います。シングルマザー歴13年のあきさん。もうすぐ高校2年生になる息子・コチ丸君は、小学校の頃は問題行動が目立ち、ほとんど学校に行かない日々でした。そんな状況ががらりと変わるきっかけとなったのは、コチ丸君が中学受験を経て、学びの多様化学校(いわゆる不登校特例校)へ進学したことでした。保育園の先生から、コチ丸君の落ち着きのなさや気になる行動について報告を受けるたび、「自分の育て方のせいなのでは…」と自信をなくしていたあきさん。試行錯誤してきた育児について、そして今やすっかり落ち着いたコチ丸君の様子を書いていただきました。トール君、リンちゃんの兄妹を育てているメイさん。トール君は1歳半健診で言葉の遅れを指摘され、小学校1年生でASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如多動症)と診断されました。娘のリンちゃんは3歳児健診で発達検査を受け、その後ASD(自閉スペクトラム症)と診断されました。転勤などでなかなか支援に繋がることができず、育児に悩みながらもお子さんたちと向き合って過ごしてきた日々を書いていただいています。トール君が1歳頃のある日、スーパーでの買い物中に癇癪を起こし、2時間も泣き続けて家に帰れなくなったことがありました。頼れる人のいないワンオペ育児の中、メイさんは心身ともに疲れ切ってしまい……。発達障害と診断される前のエピソードです。ASD(自閉スペクトラム症)の長男りーくん(6歳)、発達のゆっくりな次男かーくん(3歳)、そして三男おーくん(1歳)の3人の息子さんを育てるかしりりあさん。長男りーくんは、2歳頃から発達の遅れを感じ、療育園に通い始めました。次男かーくんも言葉の遅れがあり、長男りーくんと同じ児童発達支援に通っています。三男おーくんは、1歳半健診で発達の遅れを指摘されています。発達支援施設や特別支援学校などの支援者と共に、子どもたちの成長を温かく見守る日々を書いていただいています。1歳半健診で長男りーくんの発達の遅れを指摘され、大きなショックを受けたかしりりあさん。しかし、周囲のサポートを受け、りーくんのペースに合わせた育児を始めることに。療育の相談も受け、まずは家庭でできることを試してみることにしました。インターネットで情報を集めながら、りーくんの成長を信じていましたが、心のどこかでは不安も抱えていました。発達ナビ、新しい仲間とともに進化中! 発達特性を知り、子育てをもっと楽しくいかがでしたでしょうか?新連載ライター陣には、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、言語発達の遅れなど、さまざまな発達特性を持つお子さんと向き合う中で、ご自身が学んだこと、工夫したことなどをコラムでご紹介いただきました。来年も発達ナビでは、役立つ情報を読者の皆さまにお届けできるよう、ますますパワーアップしてまいります。どうぞご期待ください!(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年12月31日テストにミスはつきもの?Upload By 丸山さとこ現在中学生の息子のコウは、ADHD(注意欠如多動症)によるものなのか、日常生活でミスが目立ちます。ADHD治療薬を服用するようになり以前よりは軽減していますが、毎日何かしら「そうだっけ?」「あっ、そうだった!」を繰り返している状態です。登校しては家に忘れ物、下校しては学校に忘れ物、塾に手ぶらで向かい、宿題をすれば丸つけを忘れ……といった調子のコウです。内申点に関わる定期テストもミスが多く、中学入学以降頭を悩ませてきました。持ち物も宿題もテストも、コウに聞けば「見直したよ」と言います。ですが、ミスを防ぎきれてはいない状態です。見直しによりミスを発見できることもありますが、実際に見直している姿を見ると「見直しかたが雑だな」と感じることもしばしばです。私自身もADHD(注意欠如多動症)があり、見直したつもりでもミスをしていることは多いです。「1時から30分」の予定を「1時30分から30分の予定」と間違えて覚えてしまったり、歯医者の予約日と仕事の予定が入れ替わってしまっていたりします。リマインダーを設定するなど自分なりに対策を心がけてはいますが、そのリマインダーの設定日時が既に間違っていたりします。そのため、家族の助けを借りて何とか生活を回しています。Upload By 丸山さとこ最近は息子の受験関係のスケジュールや宿題のチェックに追われて、私のミスが雪だるま式に増えている状態のため、「私から息子に言えることなどあるのだろうか?」という気持ちが正直なところです。とはいえ、そんな私から見て「見直しが雑だな」と感じるのですから、コウの見直しの穴は相当大きいのでしょう。二学期の学期末テストに向けて、ここ数日は「見直しして~!宿題付箋つけてあるとこ確認して~!!」といった具合にコウに毎日何度も見直しを迫っていました。Upload By 丸山さとこテストの見直しをしたと言うコウのビックリ発言と、母のあたたかい一言そんな中、ついにやってきた期末テスト最終日、コウは「今日のテスト、時間が15分余ったから見直ししたら、ミスを2つ見つけたんだよ~」と教えてくれました。「お~!見直しでミスを見つけられるの珍しいやん。よかったね!見直した甲斐があったね」と私が感心していると、コウはニコニコしながら「前半見直してたらミス見つけて『あっぶね!』ってなってさ」とさらに詳細を話してくれました。それを「うんうん」と聞いていると、話は予想外の展開を迎えました。「そのあと見直しを続けてたら、後半は面倒になってきちゃって~」と言うのです。Upload By 丸山さとこ予想外の話の展開に「面倒になってきちゃって……!?」と驚いていると、コウは「けど、見直さなきゃなって続けてたら、ミスがもう1つ見つかったんだよ」と頷きました。『進学に関わる内申点に影響するテストの見直しで「面倒になってきちゃって~」ってある!?』と驚きましたが、それを乗り越えて見直したんだなと思うと、コウの頑張りを感じて少しうれしくなりました。それを伝えると、コウも満足そうに「頑張ったんですよ~!」と笑いました。そんな期末テストのエピソードを母に電話で伝えたところ、母は「いやー、『面倒になってきちゃって』を親に言えるのってすごいよ」と、私にとって予想外の感想を言いました。「怒られるかな?って思ったら言えないでしょう。『面倒になったけど、そこを乗り越えて見直しをしたんだな』ってお母さんに思ってもらえるだろうと考えたから、コウは言えたんだよ」と母に言われて、私は「そう言われれば、そうだね」と納得しました。受験生の親としては、「突っ込みたくなるエピソードはないのが一番だよー!」と思ってしまいますが、子どもから『突っ込みたくなるほど素直なエピソード』を聞けることはありがたいことなのかもしれませんね。Upload By 丸山さとこ執筆/丸山さとこ(監修:新美先生より)ミスと見直しについてのエピソードを聞かせてくれてありがとうございます。ADHD(注意欠如多動症)の方にとって、うっかりミスはデフォルト設定、避けては通れないものです。「見直しを」とはさんざん言われるけど、それができるなら苦労しないよと言う話です。「めんどくさがり」という特性もほぼ漏れなくついてくるので、見直しなんてめんどくさいことは、そうそうできるものではありません。ボロボロボロと、ミスをそこら中に落とまくりながら生きていくのがADHD者と言っても過言ではないのです(自分のことを話しています)。周りがいくら、「見直しをしなさい」「リマインダーを」「メモを取って」などと言ってもなかなかできないものですが、それでも本人がある程度自覚して、目的感を持つと、少しだけわずかに意識するようになります。そこに至るまでが本当に大変。コウ君が、テストで意識して見直しをしたということは、ご本人なりに自覚と目的感をしっかり持てているということですね。2つもミスを発見したなんて相当すごいです!!そして、丸山さんも書いておられることですが、中学生が「見直してをしてミスを見つけたよ!」「めんどくさくて途中でやめようと思ったけど最後まで見直したよ」なんていう、特性にまつわる話を屈託なくお母さんに報告できるとは、とても良好な親子関係があるんだなぁと、ほっこりしました。さらに丸山さんが丸山さんご自身のお母さんにまでエピソードをシェアしているなんて、三代にわたって良好な親子関係なんだなーって、とっても素敵だと読んでいて幸せな気分になりました。ADHD(注意欠如多動症)のお子さんは突っ込みどころエピソードの宝庫ですが、それをいちいち細かく指摘して、ネガティブな気持ちを募らせていると、中学生年代頃には自分のミスを隠したりするようになるものです。丸山さんが、ネガティブな指摘でなく、具体的な戦略・方略とサポートを続けてこられたから、親子間の信頼関係がしっかりできているんだなと思いました。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年12月23日過敏性腸症候群とは?症状、原因は?過敏性腸症候群とはお腹の痛みや不快感があり、それに伴って下痢や便秘などの症状が見られる消化器官の疾患で、日本人の中では14%程度の割合でいるとも言われています。英語ではIrritable bowel syndromeと書き、略してIBSと記載されることもあります。過敏性腸症候群には症状によっていくつかのタイプがあり、「便秘型」「下痢型」「混合型」「分類不能型」とそれぞれ分けられています。また、お腹の張りやおならの多さが見られる場合には、「ガス型」と分類されることもあります。厚生労働省のWEBサイトでは以下のように定義されています。過敏性腸症候群(Irritable bowel syndrome:IBS)は、大腸の正常な機能を妨げる慢性疾患です。症状としては、腹痛、腹部疝痛(痙攣)、腹部膨満感、便秘、下痢などがあります。IBS患者の多くは、症状を軽減するために補完療法に頼ることがあり、そして、これらのアプローチの中には、いくらか有用である可能性を示す新たなエビデンス(科学的根拠)も出てきています。出典:過敏性腸症候群(Irritable bowel syndrome:IBS)と補完療法について知っておくべき7つのこと|厚生労働省eJIM過敏性腸症候群の原因は一つだけでなく複数のことが関係しています。その中でもストレスが大きく関わっており、ストレスによって脳と消化管の「腸脳相関」のバランスが崩れることで、腹痛や便通の異常につながると言われています。また、細菌やウイルスが原因の感染性胃腸炎にかかったあとには、過敏性腸症候群にかかりやすくなるとも言われています。過敏性腸症候群は比較的若年層に見られる疾患で、下痢などの症状やそのことに伴う不安感などにより学校生活や人間関係などにも影響が出てくる可能性もあります。そのため、ストレスケアや食べ物を含む生活の改善を行って、症状を抑えていくことが大切です。過敏性腸症候群(IBS)|MSDマニュアルプロフェッショナル版参考:福土 審著「過敏性腸症候群Irritable Bowel Syndrome」消化器心身医学 20巻 (2013) 1 号 P.23~26過敏性腸症候群の3つの治療方法過敏性腸症候群の治療は主に食習慣や生活習慣の改善、服薬治療、心理療法の3つがあります。この章ではそれぞれの治療方法について紹介していきます。過敏性腸症候群の治療では食習慣と生活習慣の改善指導も行われます。食習慣ではバランスの取れた食事をする習慣をつけるとともに、症状や患者の体質などによっておすすめ、または避けたほうがいい食べ物が伝えられ、生活習慣では睡眠の改善やストレスの解消についての指導が行われます。基本的には食物繊維を多く含む食材が良いとされ、主なものとしてこんにゃく、ごぼう、キノコ類、納豆、海藻類、バナナなどがあります。このような食物繊維を多く含む食材を意識して摂取することで、腸内の善玉菌を増やして腸内環境を整えることができ、症状緩和につながります。反対に避けたほうがいい食材として、カロリーの高いものや脂肪分の多いもの(例えば揚げ物など)、香辛料の多量摂取などが挙げられます。加えて、カフェインやアルコールの多量摂取も過敏性腸症候群の症状を悪化させる要因になるため避けたほうがいいと言われています。食べ方にも注意が必要で、食事の際は腹八分目にする、早食いはしないようにする、水分も十分に摂取する、冷たいものは摂りすぎないことなどが指導されることが多いようです。また、低フォドマップ(FODMAP)食なども注目されています。FODMAPとは吸収されづらい発酵性の短鎖炭水化物群のことで、FODMAPの多い食品(高FODMAP食)を摂りすぎると、お腹の痛みや下痢、ガスなどが生じると言われています。高FODMAP食には、ラーメンやうどんなどの小麦を用いたもの、牛乳やヨーグルトなどの乳糖を含むもの、果物などが該当します。小麦などの高FODMAP食を避けることで過敏性腸症候群の症状緩和に効果があると言われていますが、症状や合う食材などは一人ひとり違うので、医師と相談しながら食事内容を決めていきましょう。生活習慣については、十分な睡眠をとり規則正しい生活を送ることや、軽い運動などストレス解消方法を身につけることなどの指導が行われます。睡眠改善方法としては、・起きたら朝日を浴びる・休日も同じ時間に起きる・昼寝は20~30分くらいに抑える・寝る前にぬるめのお風呂に入る・寝る前はスマートフォンなどの画面を見ないようにするなどが効果的と言われています。ストレス解消法としては、・趣味を楽しむ・ストレッチやウォーキングなどの軽い運動をする・自然に触れる・アロマテラピーなどのリラックス方法を試す・腹式呼吸などのリラクセーション法を行うなどがあります。これまでに紹介した認知行動療法や、睡眠や食生活の改善もストレス解消に効果的と言われています。過敏性腸症候群の治療方法として、さまざまなことを紹介してきましたが、まずは医師の指示に従って治療を行っていき、無理なく取り入れられるものから試してみるといいでしょう。過敏性腸症候群の人へのおすすめ食べ物、避けたほうがいい食べ物チェックリストUpload By 発達障害のキホン過敏性腸症候群の服薬治療で用いられる薬は、過敏性腸症候群のタイプや症状の表れ方によって違ってきます。例えば便秘型の人には下剤など便通をよくするための薬が用いられることが多いといった具合です。また、整腸剤や漢方薬が用いられることもあります。主に便秘型(IBS-C)の治療に用いられる薬・ポリエチレングリコール・ルビプロストン・リナクロチドこれらの薬は便秘の症状を緩和し、便通の回数を増やす効果があると言われています。主に下痢型(IBS-D)の治療に用いられる薬・ジフェノキシラート+硫酸アトロピン・ロペラミド・リファキシミンこれらの薬は基本的に下痢の症状を緩和するものです。リファキシミンはもともとは抗菌薬ですが、お腹の張り、腹痛とともに下痢の症状も緩和するため下痢型IBSの治療に用いられることがあります。このような薬は過敏性腸症候群の症状や患者の体質などを踏まえて処方され、様子を見ながら量の増減を行っていきます。さらに、過敏性腸症候群の治療では漢方薬が用いられることもあります。漢方薬も過敏性腸症候群のタイプや症状によって使い分けをしていきます。便秘型の治療では便通改善効果がある桂枝加芍薬大黄湯(けいしかしゃくやくだいおうとう)が処方されることが多く、冷えやお腹の張りがある場合はガスを減らす効果のある大建中湯(だいけんちゅうとう)も使われる場合もあります。下痢型の治療では、腹痛が強い場合は桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)が使われ、ストレスが強い場合は半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう) が使われることが多いといわれています。過敏性腸症候群(IBS)|MSDマニュアルプロフェッショナル版と漢方治療薬|厚生労働省過敏性腸症候群の治療として心理療法が用いられることもあります。心理療法とは、ストレス緩和などの効果があります。心理療法にはさまざまな種類がありますが、過敏性腸症候群の治療としては主に標準的な精神療法、認知行動療法が用いられます。・標準的な精神療法:カウンセリングなどを通して心身の不調を改善していく治療法。・認知行動療法:その人の物事のとらえ方(認知)に働きかけてバランスを整えていくとともに、より適応的な行動につなげていく治療法。精神療法|厚生労働省 こころの耳過敏性腸症候群は医師の診察を受けて指導に従いつつ、普段使う食材の変更など、できるものから取り組んでいくことが大切です過敏性腸症候群はお腹の痛みが続き、下痢、便秘、ガス溜まりなどの症状を特徴とする消化管の疾患です。日本人の約10%の割合でいると言われています。主な過敏性腸症候群の治療には食習慣や生活習慣の改善、服薬治療、心理療法という3つがあり、過敏性腸症候群のタイプや症状の表れ方、体質、ストレスの強さなどによって変わってきます。食習慣などの改善は家族の協力も大事になってきます。子どもが過敏性腸症候群かもしれないと思った時は医師の診察を受けて指導に従いつつ、普段使う食材の変更などできるものから取り組んでいくといいでしょう。
2024年12月22日過敏性腸症候群とは?原因は?過敏性腸症候群とは、腹痛や腹部の不快感を繰り返し、便秘や下痢も見られる消化管の疾患です。20代までの若年層に多く、子どもの腹痛に関する疾患としてもよく知られています。トイレに何度も行くことへの抵抗感で学校に行きづらくなるなど、社会生活に影響を及ぼすことがあります。厚生労働省のサイトによると、過敏性腸症候群は以下のように定義されています。過敏性腸症候群(Irritable bowel syndrome:IBS)は、大腸の正常な機能を妨げる慢性疾患です。症状としては、腹痛、腹部疝痛(痙攣)、腹部膨満感、便秘、下痢などがあります。IBS患者の多くは、症状を軽減するために補完療法に頼ることがあり、そして、これらのアプローチの中には、いくらか有用である可能性を示す新たなエビデンス(科学的根拠)も出てきています。過敏性腸症候群(Irritable bowel syndrome:IBS)と補完療法について知っておくべき7つのこと|厚生労働省ejim過敏性腸症候群の原因はまだ明確には解明されていませんが、ストレスが大きな要因の一つと考えられています。大きなストレスを受けることによって、自律神経のバランスが乱れることが、過敏性腸症候群を引き起こすと考えられています。具体的には、ストレスによって腸の運動機能に異常が生じることや感覚が過敏になることが挙げられます。また、ストレスによって免疫機能が低下することが、腸の炎症を悪化させる要因になっている可能性もあります。このようにストレスが身体に影響を及ぼすことを心因性と言い、子どもの場合は入学や転校などの環境の変化、学習や人間関係の悩み、別の疾患や不調などが考えられます。ストレス以外にも過敏性腸症候群の原因として考えられるものとしては、遺伝や食習慣、腸内細菌のバランスの乱れ、消化管ホルモンの乱れ、感染性胃腸炎後など別の疾患の影響といったことが挙げられています。過敏性腸症候群を発症する原因は一つだけではなく、ストレスなどの心理社会的因子やホルモンの乱れなどの生理学的因子などさまざまな要因があります。参考:過敏性腸症候群(IBS)|MSDマニュアルプロフェッショナル版参考:第2章 心のケア 各論Ⅰ心のケアの基本|文部科学省Upload By 発達障害のキホン過敏性腸症候群の症状や治し方は?過敏性腸症候群は消化管の病気で、腹痛や腹部の違和感、繰り返される下痢や便秘、腸内にガスが溜まることによるお腹の張りやガスなどがよく見られますが、人によって大きく異なります。腹痛は排便によって和らぐこともありますが、良くなったり悪くなったりを繰り返すことも特徴として挙げられます。過敏性腸症候群は、排便の状態によって大きく「便秘型」、「下痢型」、「混合型」、「分類不能型」の4つのタイプに分けられています。便秘型は便が硬くなかなか出てこない、下痢型は液体状の便がよく出てくる、混合型は両方の特徴を持っていて便秘と下痢を繰り返すという特徴があります。分類不能型はいずれにも該当せず、人によって症状が異なるタイプで、「ガス型」などの分類があります。ガス型は腸内にガスが溜まることで以下のような症状を引き起こします。・頻繁なおなら:おならの回数が多くなったり無意識に出たりする・お腹の張り:ガスによってお腹が膨らみ不快感が生じる・腹痛:腸壁をガスが刺激することによって痛みが生じる・腹鳴(ふくめい):ガスの移動によって、お腹からごろごろという音が鳴るこういった症状があることで、「授業中おならが出るのでは」「周りは匂いを気にするのでは」という不安が生じて、学校に行きづらくなるなど社会生活に影響が出ることもあります。過敏性腸症候群のガス型になる原因としては、ストレスや食生活、腸内細菌のバランスの乱れなどが考えられています。・ストレス:ストレスを感じることで腸の働きが悪くなってガスがたまりやすくなる・食生活:豆類、乳製品、発酵食品、炭酸飲料など特定の食品により、腸内のガスが増えやすくなる・腸内細菌のバランスの乱れ:腸内には善玉菌、悪玉菌、日和見菌といった腸内細菌があり、そのバランスが崩れるとガスが生じやすくなるガス型の原因によっても治療方法が異なるため、医師の診察を受けて原因を特定し、それに合わせた治療を行っていくことが必要です。参考:金子 宏, 後藤 秀実著「4.過敏性腸症候群(IBS)の病態・診断・治療 」日本内科学会雑誌 102 巻 (2013) 1 号 p.70-76参考:金沢 文高, 小宮山 博朗, 前田 基成, 松田 弘, 美根 和典, 中川 哲也著「不登校を呈した過敏性腸症候群ガス症状優位型に対する行動療法」心身医学 33 巻 (1993) 8 号 p.705-709参考:立垣 愛郎 著「乳酸菌の健康機能」全人的医療/17 巻 (2018) 1 号 p.8-19過敏性腸症候群の治療方法は食習慣を含む生活習慣の改善を基本に、服薬や心理療法も行っていきます。過敏性腸症候群を完治させることは難しく、自身に合った治療法を見つけ症状をコントロールできるようにし、生活に支障が出ないようにしていくことが大切と言われています。生活習慣の改善では医師により睡眠の安定や規則正しい食事、特定の食品の調節、ストレスコントロールなどの指導が行われます。食事では多くの場合水分を多くとることが推奨され、症状を悪化させる要因となる食品を減らしていくことが多いです。服薬では便秘型や下痢型など症状のタイプによって薬を処方するほか、抗うつ薬が用いられることもあります。不安やストレスが原因となっている場合には、心理療法として認知行動療法を行っていきます。過敏性腸症候群の適切な治療を行うためにも、医師の診察を受けることが大事です。過敏性腸症候群の診察は「ローマ基準」という診断基準に基づき、問診を中心に行われます。問診で確認される内容としては、症状の期間、便の状態、痛みの種類、既往歴、食事習慣などがあります。また、ほかの疾患との鑑別のため、出血、体重減少、夜間の下痢の有無などの確認も行われ、必要であれば別途血液検査などが実施されます。参考:過敏性腸症候群(IBS)|MSDマニュアルプロフェッショナル版過敏性腸症候群は生活習慣の改善や服薬によって症状をコントロールすることも可能です過敏性腸症候群は長期間腹痛や腹部の不快感を繰り返し、下痢や便秘、ガスがたまるなどの症状が表れる、子どものお腹の疾患においてよく見られる疾患です。過敏性腸症候群の原因はストレスなどの心理社会的因子とホルモンの乱れなどの生理学的因子が関わりあっていると考えられています。過敏性腸症候群を完全に治す方法はまだありませんが、生活習慣の改善や服薬によって症状をコントロールすることは可能です。適切な治療を受けるためにも、お子さんに過敏性腸症候群の症状が見られるときには病院を受診するようにしましょう。
2024年12月21日小学校、中学校、高校の進路先を大調査!通常学級?特別支援学級?特別支援学校?受験はしたの?こんなことがあった……「就学アンケート」回答募集中!日々子育てをする中で悩むことはたくさんあると思いますが、その中でも発達特性のあるお子さんを育てるご家庭の大きな悩みの一つは「就学、進学」についてではないでしょうか。これまでも発達ナビでは就学・進路について、みんなのアンケートで皆さんの声を聞いてきました。たくさんのご回答や悩み、解決方法などのコメントをありがとうございました。今回はそんな就学、進路についてのデータを大集結させた「就学」についてのアンケートを実施いたします。発達障害や特性のあるお子さんの選んだ進路、トラブル、悩み、進路先の合理的配慮、児童発達支援や放課後等デイサービスの利用などなど……「就学・進学」にまつわる質問へのアンケートです(以前みんなのアンケートで書いていただいた内容と重複している内容でも問題ございません)。回答結果やエピソードをまとめたコラムは年明けに公開を予定しております。これからの就学が不安な未就学児の保護者の方、成人しているお子さんの保護者の方はこれまでの進路を振り返って……さまざまな年代の方のご回答をお待ちしております!
2024年12月20日すでに診断やほかの検査を受けている場合、検査をする意味はあるの?公認心理師の井上雅彦です。LITALICO発達特性検査では、検査結果テキストの監修を担当しています。また、臨床の現場では発達検査などを実施する立場でもあります。LITALICO発達特性検査を受検されるかどうか、迷っている保護者の方の中には、すでにお子さまが医療機関や相談機関とつながっていて、これまでに診断を受けている場合や、発達検査や知能検査など、なんらかの検査を受けたことがある方もいらっしゃると思います。私はそのような場合も、LITALICO発達特性検査の受検は意味があると考えています。診断や、ほかの心理検査とは別のものとして、検査結果で得られるものが異なり、そして、医療機関や相談機関と連携し、併せて活用していただくことで、より意味が増してくるツールがLITALICO発達特性検査だからです。今回はそのことをテーマにお話しします。診断を受けている場合のLITALICO発達特性検査LITALICO発達特性検査は診断の有無にかかわらず、お子さまがサポートを受けやすくすることを目的としています。その前提のうえではありますが、すでに医療機関とつながっている場合には、LITALICO発達特性検査を併せて使っていただくことで、より具体的な支援に役に立つと思っています。一般的に医療機関での診察時間というのは、限られた短い時間であることが多いです。そうすると、その時間内に日々の具体的な困りに対する対応方法を一つひとつ医師と相談して解決法を探っていくというのは難しいかもしれません。また、医療の観点からのアドバイスを得たい場合もあると思いますので、ある程度相談したいことや、保護者の方が課題だと思っていることを整理しておくというのが、とても役に立つと思うのです。そのような場合に、あらかじめ整理したり、お子さまに合いそうなサポートの方法を試してみたりしておくツールとしてLITALICO発達特性検査を使うといいと思います。また、診断や特性自体は変わらなくても、お子さまの環境や年齢などによるライフステージの変化によって困りごとや特性の現れ方は変化することもあります。そのような場合に、この検査はお子さまの具体的な状態を把握するためにも大きな意味があると思います。ほかの検査を受けている場合のLITALICO発達特性検査検査と言っても、WISCや田中ビネーなどの知能検査や、Vineland(ヴァインランド)などの適応能力を調べるための検査、本人の不安やうつ傾向を調べる検査など、種類はたくさんあり、目的もそれぞれ異なっています。これらの検査はそれぞれ測定したいものがあって、それを数値で表すものです。例えば、知能検査では、認知機能の偏りについて測定し、IQ(知能指数)という数値で表します。この数値は、全体と比較してどの水準にあるかを示すことで公的な支援に繋げやすくするという役割があります。また認知機能の中でもどの領域に凸凹があるかというのを数値にすることで本人の困難さをより具体的に示すことを目的としています。検査結果として数値やグラフで示される検査が多く、保護者の方がもらえる検査結果レポートも、検査を実施する機関によって異なりますが、簡易なものが多いです。検査を実施した心理士などによるアドバイスが示される場合もあると思います。しかし、文量的にレポートだけで保護者の方がさまざまな場面で生じている困難の背景を理解し、日々のお子さまへの具体的な対応に役立てるということは難しいかもしれないですね。一方、LITALICO発達特性検査は、オンラインで保護者の方が受検して、日々のサポートに活かすことを目的にした検査です。その点で、レポートはお子さまへの特性理解を踏まえた対応をすることを目的とした作りになっていて、検査で分かったお子さまの特性に合うようなサポート方法のヒントが提示されます。また、検査で分かる領域も、まずはお子さまの特性や苦手を広く測れるように、7つの大分類、18の小分類を扱っています。生活と関連が深い睡眠の課題や、発達に特性のあるお子さまに現れることが多い行動や情緒の課題なども検査項目に含まれています。LITALICO発達特性検査はこうした広い領域を広くカバーするものであり、そのお子さまの特性や苦手なことの背景要因から具体的な対処法まで保護者の方にとって理解しやすい内容で説明されています。このことでお子さまの全体的な発達特性と一緒に対処法を理解することができます。ほかの検査と併用する場合、例えば、それぞれの検査結果をみて、「ああ、この検査の数値で表れている部分は、こういう背景要因があったからなんだ。ではサポートの方法を変えてみよう」などと理解を深めるきっかけにしていただきやすいと思います。また「以前受けた検査では苦手だった部分が、サポートの方法でカバーできている」という点も見つかるかもしれません。Upload By LITALICO発達特性検査 編集部医療機関や相談機関の指示を仰がずに受検しても大丈夫?LITALICO発達特性検査は、検査という名前ではありますが、保護者の方がお子さまの困りごとや支援方法を把握するためのツールです。したがって、ほかの検査を受けている場合やかかっている医療機関がある場合にも、気軽に受検していただいて問題はないと考えています。もちろん気になる場合は、受検前に相談していただいてもいいと思います。中には、「すでに受けている診断や検査と矛盾する結果が出たらどうしよう」と悩まれる方がいるかもしれません。LITALICO発達特性検査は保護者の方の主観で回答する検査ですので、ほかの検査や医師の見立てとは異なる可能性もあると思います。もし、これまでの結果や見立てと違うという場合には、その点が医療機関や相談機関で相談されるいい視点になると思います。例えば、それぞれが課題に感じている点、それほど課題ではないと思っている点が違う場合は、詳しく相談したりすり合わせていくとスムーズです。課題の出る状況や場面が限定的な場合は、それを見つけること自体が環境調整のヒントになることもあります。検査結果は情報の一つとして捉えていただき、決めつけずにフラットな見方をしていただくと、前向きな話し合いやアセスメントがしやすくなります。また、そうした相談の際には、保護者の方が事前に相談の優先順位と要点を整理しておくと、短い相談の時間を有効に使えると思います。お子さまの困りごとは環境や状況、お子さま自身の発達やスキル獲得などによっても変化するので、お子さまの特性や困りごとをどのように把握してどのようにサポートしていくかという視点で、協力体制をつくれるといいですよね。受診・受検から時間がたった場合の「点検」にもUpload By LITALICO発達特性検査 編集部診断のある方でも、服薬治療がない場合には、頻繁な通院をしないというケースもありますし、頻繁に検査をしたり、診断を受け直すという方はそれほど多くないと思います。心理検査も、現状では費用やリソースの観点から、なかなか頻繁には受けられないかもしれません。そうなると、例えば、5歳児健診の時に診断や心理検査を受けて、それからしばらく間が空いているという場合もあると思います。また、発語の課題があって未就学の一時期に専門機関と繋がっていたけれども、その後言葉が出るようになったなどで、一度支援から離れているという方もいるかもしれません。特性のあるお子さまにとって、成長に伴って環境や状況が変わることで新たな課題や困りごとが現れるということは、珍しいことではないのです。例えば、限局性学習症に含まれる学習面での苦手は、その現れ方が一人ひとり違うので、例えば算数の筆算だけが苦手だとか、その学習をする年齢になってはじめて現れる困りごともあります。また、成長に応じて求められる態度やスキルが変化してくることもあるかもしれません。小学校までは許容されていた行動が、中学や高校では認められないという場合もあるかもしれません。人間関係やコミュニケーションや学習など、年齢によって複雑になっていき、そこで課題が出てくるというケースは多いと考えられます。そうすると、特性は変わらないのだけれども、困りごとが変わってきた、対応方法も変えた方がよさそう、という場面は結構あると思うのです。そのような時に、ぜひLITALICO発達特性検査を受検していただいて、変化がないかをみたり、対応方法を変えるきっかけにしていただくといいのではないかと思います。受検してみて、以前受けた診断や心理検査の結果と違うなと感じたり、家庭では対応が難しいと感じたら、その点を相談するために、ぜひ医療機関や相談機関と連携してみてください。医療・専門機関との間を繋ぐ共有ツールとしてすでに診断を受けられている場合、医療機関や専門機関で相談する機会もあるでしょうし、保護者の方もご自身でいろいろと知識を得て、日々のお子さまへのサポートを工夫されていると思います。検査結果のレポートを見て、「私のやり方で合っていた」「私の見立てと同じ」と感じる方もいるでしょう。そういった場合、自信を持って支援を進めていただく根拠になるかもしれないですね。また、背景要因としてまとめられているテキストを使ってよりお子さまの理解を深めたり、今まで試していない方法を見つけて、ヒントにしていただくのもいいと思います。もう一つ、LITALICO特性検査は保護者の方が感じていることの言語化ツールでもあります。ぜひ、医療機関や専門機関、あるいは園・学校・支援者・家族など、周りの方にも、課題に感じていることやお子さまの特性、その背景要因を周りの方と共有するためにも使っていただけることを願っています。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2024年12月18日ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)のある高校3年生の息子の小学校時代現在高校3年生の息子は、6歳でASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)の診断を受けています。息子は、小学校入学時から自閉症・情緒障害特別支援学級に在籍し、学年や科目によって通常学級にも通うスタイルで、学校生活を送っています。通った地域の小学校は、通級指導教室の受け入れを行うなど支援が手厚い学校でした。この環境があったからこそ、息子は自分のペースで学び、成長することができたと思っています。小学校4年生の時に引越ししましたが、転校はせずにそのまま学区外通学を選択しました。私は毎日車で送迎、大変でしたが、「ここに通わせて良かった」と思えるほど学校の支援体制や先生方の理解が深かったのです。そして小学校6年生になり、中学への進路を考える時期になりました。私の住んでいる地域では小・中連携の取り組みが積極的に行われていたため、中学進学を見据えた事前見学や面談が多く、学校側からのフォローが非常に手厚かったです。こちらでは、中学校進学への準備や学校生活など、わが家の体験をお話したいと思います。苦手な板書や書き取りはほぼ免除、デジタル教材の活用。「困ったらすぐ相談しましょう」といってくれた中学校中学進学を控え、地域の中学校で行われた事前の見学や面談では、校長先生自らが対応してくださいました。これを聞けて助かったと感じたのは、授業や部活動、試験に関する具体的な話でした。例えば、教科ごとに先生が変わること、定期試験があること、体育などで着替えがあった場合の男女の分け方など、細かな点もすべて丁寧に説明していただき、息子も私たち家族も安心して新しい環境に入ることができたと思います。また息子は療育手帳が取得できなかったため、将来は高等特別支援学校に進むことが難しく、高校では一般入試を受ける必要がありました。そこに向けた相談もできたのは大きかったです。校長先生から「やってみて、もし困ったらすぐ相談してください。息子さんの過ごしやすいように変えていきましょう」と言っていただけたため、入学後も相談しやすい環境を作ってくださったと思っています。Upload By ユーザー体験談中学校生活では連絡帳を活用し、授業の受け方や席の配置、クラスの中でのトラブル対策など、状況に応じて調整が行われました。学習面でもIT化が進んでおり、苦手な板書や書き取りはほぼ免除され、デジタル教材を活用したことで理解度は高まったと思います。Upload By ユーザー体験談ただし、試験中、集中力が持続しないという面は解決できず、成績には課題が残りましたが、担任の先生が席の向きやタイマーの位置など工夫を凝らしてくださり、助けられました。また、勉強に自信がついてきた息子は数学検定に挑戦、無事合格をもらい喜んでいる姿を見て、私も嬉しかったです。このように順調だった中学校生活ですが、一つ大変だったなと思うことは電車通学のことでした。中学校で電車通学を開始。トラブルと自信の芽生え中学進学に伴い、息子は電車通学を始めました。事前に駅でのリハーサルを何度も行い、駅員さんに挨拶をして困ったときの対処をお願いするなど、私も念入りに準備を重ねました。Upload By ユーザー体験談電車通学は、単に学校への移動手段にとどまらず、息子にとって大きな成長の機会となりました。乗り遅れや忘れ物などのトラブルが起こった時、パニックにならず駅員さんに聞くなどして冷静に対処することができるようになり、息子は少しずつ自信をつけることができました。また、電車という他人と同じ空間を共有する場に一人でいるという経験を積むことで、少しずつ「他人を意識する」という感覚が育まれたようです。この変化は、家庭ではなかなか得られないものでした。Upload By ユーザー体験談やはり親としては一人で電車移動する子どものことは心配でしたが、チャレンジしてよかったと思っています。高校生活の終わりも間近。「自立」に向けた1歩を前にして現在、息子は定時制高校の3年生です。精神障害者保健福祉手帳を取得したので、卒業後は就労移行支援を経て社会に出ていく準備を進める予定です。生活面ではグループホームの利用を考えていて、少しずつ自立に向けたステップを踏み始めています。息子がここまで成長できたのは、周囲の支援のおかげだと思っています。感謝しかありません。小さい頃から比べるとできることも増え、大きく成長した息子ですが、それでも息子が周囲の人に興味を持ち始めたのはつい最近のことです。これからの課題は多いと思いますが、本人のペースで少しずつ「自立」に向けた歩みを進めていければと思います。イラスト/ネコ山エピソード参考/まつ(監修:鈴木先生より)小学校でも中学校でも社会性を身につけることは大事であり、誰に相談したらいいかが決まっていれば安心です。最近は小中連携した一貫校スタイルが公立でも見受けられるようになってきました。小学校での問題点などがそのまま同じ中学校へ引き継がれるため環境の変化に弱いASDの患者さんにはいいことなのです。また、6歳からADHDの治療はできるので、集中できないこと、忘れ物があること、時間処理の問題などは投薬である程度コントロールが可能です。ただ、高校生になると小児科では診てくれなくなり、精神科でもADHD治療のできるクリニックは限られてしまいます。今後は高校卒業後の就労支援がどの程度できるかで将来像が変わってきます。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年12月15日就学先の選択、入学後のトラブル、転学……わが家の体験私には現在8歳になる息子がいます。4歳の時ADHD(注意欠如多動症)とASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けました。多動や癇癪があり、勝敗や順位へのこだわりが強い性格です。一方で「学校へは行かなければいけない」「授業は受けなければいけない」と守る真面目な面もあります。そんな息子の就学に際しては選択の難しさや迷い、そして入学後にさまざまなトラブルを経験することになりました。今回は、就学相談でのやりとりや小学校生活での先生とのトラブル、そして転学についてお話しさせていただきます。同じように発達障害のあるお子さんをお持ちの方々の参考になれば幸いです。「IQが高ければ、配慮はいらないですよ」就学相談で一方的に決めつけられ……わが家が住む自治体には自閉症・情緒障害特別支援学級自体がなく、また知的障害特別支援学級は学区外の学校にしかありませんでした。また、知的障害特別支援学級には、基準のIQ内では入れないと聞いたため、悩んだ結果、わが家では学区内の学校の通常学級に在籍しつつ、通級指導教室の利用を希望することにしました。就学相談前に知能検査をすることになりました。普段なら座っていられず、一方的な会話をしたり話を聞けないことが多いのですが、「大人と1対1で質問をされ答える」という形式が息子は楽しかったようで、離席もあまりせず実施できたようでした。そして迎えた就学相談、知能検査の結果が「きちんと座って検査を受けることができた」「IQが高い」というものだったため、「通常学級で問題ない」と勧められたのです。私は息子の落ち着きのなさ、座っていられないこと、話を聞けないこと、一方的な話をすること、勝敗や順番へのこだわりが強いこと、切り替えが苦手こと、癇癪あることなどを説明しましたが、「通級指導教室も必要ないと思いますよ。現在の教育現場では、ある程度個別対応可能ですし、1年生になるまでに成長する部分もありますから」「IQが高いですし、配慮はいらないですよ。むしろ通級指導教室に1人だけ教室移動することを本人が嫌がると思いますよ」と、こちらが話す隙がないほど担当の方が喋り続けられて……。このままいくら話しても聞き入れてもらえなさそうと感じた私は、その日は通常学級ということで話をまとめ、終了するしかありませんでした。「何を考えてるか分からない」「強く叱っても効果がない」担任の先生の無理解に苦しんで結局、その後再度事情を話して別の方と就学相談をし、最終的に「通常学級+通級指導教室利用」で決定となりました。しかし、入学した学校では大変なことが連発しました。入学後息子について担任の先生に面談の時間をとってもらいました。そこで息子の特性について説明したのですが、担任の先生は「みんな同じように接します。特別扱いはしません」と宣言。息子を叱るときは強い口調だったそうです。「学校=怒られるところ」となってしまうも、真面目な息子は『学校には行かなくてはいけない』ということを守ろうとしました。ですが、校門の中に入ると不安感が押し寄せ癇癪を起こすようになってしまったのです。通級指導教室の先生は寄り添ってくれましたが、担任の先生と連携をとっていたのかは分かりません。Upload By ユーザー体験談その後息子は授業中も癇癪がでるようになり、担任の先生から「何を考えてるか分からない」「強く叱っても効果がない」と言われるようになりました。ここにいては息子がつらい思いをするだけだと感じるようになり、私は毎日悩んで泣く日々でした。Upload By ユーザー体験談『追い出されてしまった』癇癪を起こさず静かに涙を流す息子の姿そんな時、担任の先生から面談をしないかと提案され承諾すると、校長も同席すると言われました。当日は最近の様子や問題行動などの報告を受けたあと、ほかの保護者の方からのご意見もあるなどと言われながら、最終的に特別支援学級を見学に行ったらどうかと提案されました。息子は「転校する」ということにとてもショックを受けていました。学校でみんなと一緒に授業を受けることが楽しみだったので、『適応できなかった』『追い出されてしまった』『先生に嫌われてしまった』というような気持ちがあったと思います。本当に嫌なことは態度や口に出さない息子。転校を告げた時は癇癪を起こすこともなく、騒ぐこともなく、ただ静かに話を聞いて涙を流していました。私が「ごめんね」と言うと、「大丈夫だよ。泣いてないよ」と言われました。その姿が忘れられません。Upload By ユーザー体験談就学時の選択に後悔。わが家の場合は「先」よりもまず「現在」に目を向けたい転校し所属するようになった知的障害特別支援学級では、受け入れてもらえているという感覚が息子にも感じられるようで、先生にたっぷり甘えさせてもらいながら通学しています。宿題を嫌がったり、できなかったことや勝敗などで騒いでしまうことは多々ありますが、ひどい癇癪はなくなりました。行き渋りも全くなくなり、楽しく通学しています。先生方も不適切な言動はしっかり指導してくれますが、その行動は愛情たっぷりです。息子にはとても合っている環境だと思うので転校してよかったと思っています。Upload By ユーザー体験談ただ、今の私は後悔しかありません。最初から特別支援学級を選んでいれば、息子をたくさん傷つけることはありませんでした。通常学級に在籍することが息子にとってどのくらい負担になるか考えが及ばず、特別支援学級に行ったら選べる進路が少なくなるのではないかと先々への心配を優先した結果、息子につらい思いをさせてしまいました。もっとよく考えて入学先を考えてあげていれば、今抱えている問題ももう少し良い方向に進んでいたかもと思うことばかりです。今は先のことよりも息子の「現在」のことを考えていきたいと思っています。イラスト/志士ノまるエピソード参考/わかめ(監修:森先生より)わかめさん、お子さんの支援につながるまでの体験談を聞かせてくださってありがとうございます。 発達の偏りでお悩みの方の中には、高IQのために障害に気づきにくかったり、困っていても支援につながりにくかったという方が少なくありません。「IQが高いのだから配慮はいらない」と思われて必要な支援を受けられないと、問題が起きた際に周囲から頭ごなしに怒られてしまい、学校そのものに苦手意識を持ってしまう、ということにもなりかねません。 また、学校内での支援を受けられても、担任の先生との連携がうまくいかなかったり周囲の理解が得られないと、つらい思いをすることもありますよね……。理解のない環境で生きづらさを感じ続けて、二次障害につながってしまうケースもあります。 ただ、学校に入学して生活を送るまでは、担任の先生やクラスメイトの雰囲気などの環境によるところが大きく、実際のところどうなるかわからない部分は大きいのではないでしょうか。わかめさんがお子さんの様子をしっかりと見て、学校や支援機関に相談を続けていたからこそ、今の支援につながることができたのです。素晴らしいことではないでしょうか。 保護者の方が、自分のつらい気持ちを受け入れてくれる、ベストな道を手探りでも探してくれるということはお子さんに伝わります。それはお子さんの自己肯定感につながるでしょう。 これからもお子さんの「現在」に目を向けて、その都度その都度最善の選択肢を探していけるように願っております。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年12月10日今年の悩みは今年のうちに!インフルエンザなどの冬の病気、放デイ・児発の満足度や併用利用、発達検査や知能検査、思春期など皆さんのお悩みやエピソードをお聞かせください2024年も残りあと1か月を切り、今年あったことを振り返る機会も多いのではないでしょうか。子育てに奮闘中の全国の保護者の皆さま、今年1年も本当にお疲れ様でした。発達ナビでは現在5種類のアンケートを行っております。ぜひ今年を振り返りながらご回答いただけますと幸いです。アンケート結果は、まとめコラム・体験コラム内などで読者の方からの声と共に年末年始にかけて紹介予定です。楽しみにお待ちください。12月となり、周りでもインフルエンザを始めとした冬の病気が流行りだし、インフルエンザの予防接種を考えているご家庭も多いのではないでしょうか。ただでさえ大変な予防接種……特性のあるお子さんですとその苦労もより多く感じることだと思います。・予防接種は大変だけれどなんとか毎年連れていっている・病院で予防接種が怖くて子どもが号泣!結局打たずに帰ってきた・わが家の注射ライフハック・絶対に予防接種拒否!なのでこんな工夫をしてインフルエンザや冬の病気を防いでいる・インフルエンザにはかからなかったが、こんな冬の病気が大変だったなど、インフルエンザの予防接種だけでなく注射や冬の病気にまつわるエピソードを是非お寄せください。【アンケート期間】2024年12月4日(水)から12月14日(土)まで「どの施設が子どもに合っているのかわからない……」「比較が難しい……」「満員ばかりで通える施設がなかなか見つからない…」など、放課後等デイサービス(放デイ)や児童発達支援(児発)の施設探しについて、お悩みの方も多いと思います。・施設探しは年長の夏から始めて、●件見学にいって一番近い場所にあるところに通っています。・小学校入学後特性が分かり、急ぎ放デイを探しました。発達ナビの施設ページ検索を利用しました・年長の秋、見学に行って気に入った施設が満席で結局通えたのは2年生の冬から。やっと入れて嬉しかったのですが、先生とのコミュニケーションがうまくいかず悩んでいます。など、みなさまの施設探し、利用についてのエピソードを是非教えてください。【アンケート期間】2024年12月5日(木)から12月15日(日)まで発達検査とは、子どもの心身の発達の度合いを調べる検査のことです。質問や観察、実際に道具を使って実施するなどさまざまな方法があります。発達検査を受けることで、子どもの特徴を客観的に知ることができ、今後の関わり方のヒントにすることができます。子どもの発達の段階や状態を調べるために、WISCや新版K式発達検査などの発達検査や知能検査を受けたことのある方も多いのではないでしょうか。・健診の時に発達の遅れを指摘されて〇歳のころに新版K式発達検査を受けた・就学前に行ったWISCの結果が学校での合理的配慮を考えるのに役立った・〇歳の頃に知能検査を受けたが、子どもが集中できずにうまくいかなかった。でもその〇年後には落ち着いて検査ができるようになって成長を感じた・発達検査を受けることで子どもの苦手な部分が分かり、家などでの対応のヒントになった・まだ発達検査や知能検査を受けたことがないが、このような理由で受けたいと思っているなど、発達検査、知能検査にまつわるエピソードを是非お寄せください。【アンケート期間】2024年12月6日(金)から12月16日(月)まで子育てに悩みはつきものですが、小学校高学年頃から思春期が始まると、幼少期とはまた違う難しさを感じた……という方も多いのではないでしょうか?今年、発達ナビでも多くの反響を集めた「思春期」にまつわるエピソードについて、アンケートを募集いたします。・親の目の届かないところで、インターネット・金銭のトラブル発生!・複雑になる人間関係の悩み、どうやって解決した?・勉強、部活動、受験……発達の特性で困りごと多発・反抗的な態度、暴言、イライラ……こんな方法で乗り越えた!など、皆さまのエピソードをぜひ教えてください。【アンケート期間】2024年12月8日(日)から12月18日(水)まで障害があったり、発達特性があるお子さんの保護者の皆さんの中には、放課後等デイサービスや児童発達支援など発達支援施設を利用されている方も多くいらっしゃると思います。地域によっては放課後等デイサービスに空きがなかったり、入れたとしても週に利用できる回数が少なく、「掛け持ちしたいけど、周りはどのくらい発達支援施設を利用しているんだろう……」と悩まれてる方もいるのではないでしょうか。・入れる回数が少なく、掛け持ち利用をしたいがどのように探せば良いのか悩んでいる・勉強に力を入れてる児発、運動が中心の児発など特色の違う児発を併用しているが、こんな成長があった・小学校の頃は学童と放デイ1か所を併用していたが、中学校以降は学童がないので放デイ2か所を併用することにした・2か所の放デイに通っていたが、片方の放デイが突然閉鎖!困ってしまったが、もう一方の放デイの利用日数を増やしてもらうことができたのでなんとかなった。併用していて良かった。など、皆さまの施設併用についてのエピソードを是非教えてください。【アンケート期間】2024年12月9日(月)から12月19日(木)まで(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年12月09日“中学校特別支援学級卒業後の進路選択について”大学の研究のお手伝い発達障害のある私の娘は、中学2年の3学期から特別支援学級に入級し、高等特別支援学校卒業後、特例子会社(※1)に5年間勤務しました。そして現在はグループホームで暮らしながら就労継続支援A型事業所(※2)に通っています。今年の夏、私のもとに大学院生のSさんから“中学校特別支援学級卒業後の進路選択についての研究”に関するインタビューの依頼がありました。親や本人へのインタビューというかたちでの研究への参加の打診があったことを話すと、娘は「自分の経験が役に立つなら」と快諾しました。※1 特例子会社…障害のある人の雇用促進と雇用の安定化を図るために設立された会社のこと※2 就労継続支援A型事業所…障害や難病のある人が、雇用契約を結び支援を受けながら働くことができる障害福祉サービス発達障害のある娘と母が受ける初インタビュー大学院生のSさんからは「オンライン形式でのインタビューも可能です」と言われましたが、娘は親子同伴の対面形式インタビューを希望しました。所要時間は1時間ほどです。娘は話すことがあまり得意ではありませんが、聞き上手なSさんと話していくうちに徐々に緊張はほぐれていきました。親がいると本音で話しづらいこともあるかと思い、私はトイレ休憩と称して途中で10分ほど席を外しました。Upload By 荒木まち子席に戻ると、娘から「思い出せないこととか、自分では説明がうまくできないことがあるから、お母さんからも説明してほしい」と言われました。卒業してから時間が経ち、記憶が曖昧な部分もあったので私たちは持参したサポートブックなども参考にしながら質問に答えました。娘の本音私が席を外している間、娘は「自分の好きな絵の道に進みたい気持ちがあった」「絵の専門の大学に進学したかった」と話していたそうです。その後、Sさんから「なぜその道を選択せずに就労を目指す学校を選んだのか」と聞かれ、彼女は「ぎりぎりまで悩んだけど、中学校の特別支援学級の先輩が通っている学校を選んだ」と答えていました。そして「本心では高校卒業後、就労は望んでいなかったけど、親や先生が私のことを思ってすすめてくれていることは分かっていたから……」と話していました。娘の気持ちには薄々気付いていましたが、私が本人の口から直接そのような話を聞いたのはこの時が初めてでした。Sさんは娘と同世代なので娘の気持ちがよく分かるようでした。きっとSさんがいなければ娘からこの言葉を聞くことはなかったでしょう。進路選択の最終決定は娘がしたとはいえ、彼女の本心を聞き私は胸の奥が少し痛みました。親に対する質問Sさんからは私にもいろいろな質問がありました。Sさん「クリエイティブスクールなどは選択肢にはなかったですか?」私「当時、通える範囲にあったクリエイティブスクールからは“発達障害に対する配慮は特にしてない”と言われていたし、自由度が高い校風が娘には合っていなかったので選びませんでした。また、親としてはWISC(※)などの検査資料を見て本人の特性を理解できる先生がその学校にいるかどうかも学校選択の大きな判断材料でした」※WISC…WISC検査。知能検査のひとつまた、私は今まで娘の前では言ったことがないような話もしました。私「娘には芸術的なセンスがあるのは確かだと思う。でも今までそれが認められたり評価されたりしてきたのは周りの『サポート』があったからだと思っている。“親は子どもに成功体験を積ませて自己肯定感を上げるように”ってよく言われるけど、大人になってサポートがなくなってうまくいかなくなり、ジレンマに陥ったり落ち込んだりすることって絶対あると思う」これには娘もうなずいていました。私「学生のときは特定の分野に抜きん出ていた人も、大人になったら意外とうずもれてしまう、なんてこともよくあるし。まあこれは障害の有無に関係なく言えることだけど」インタビューを受けて私が感じたこと私自身がこんな辛辣(しんらつ)ともいえる親としての本音を口にできたのも、やはりSさんという中立的な立場のインタビュアー(第三者)の存在があったからでしょう。わが家の場合は卒業してある程度時間が経過していたこともあり、心理的な負担がそれほどない状態で親子ともども本音を語ることができました。インタビューを受けることで、それまでお互いが面と向かって言えなかったこと、心の奥底に秘めていた気持ちを言い合うことができたのは、私にとって予想外の出来事でした。そして、それまで押しに弱く流されやすいと思っていたわが子が、自分の言葉でしっかりと己の意思を伝える様子を目の当たりにし、私は「娘はいろいろな経験を経て、親と対等な存在になった」と彼女の成長を実感したのでした。若き未来の支援者Sさんとはそれほど長いお付き合いがあるわけではありませんが、事前にお会いし話をしていたので、私は彼の勉強熱心で実直な人柄を知っていました。研究データの収集にはインターネットや書面でのアンケートも有効でしょう。でも彼は『今まで表明の機会がなかった方の声が必要』と考え、『対面で親や当事者の話を聞く』ことを選択しました。若い彼が、警戒心が強い可能性のある保護者にアポイントメントを取り、障害のある当事者から話を聞くのは決して簡単なことではないと思います。時間も労力も要するこの方法は効率的とは言えないかもしれません。それでも地道に調査を重ね、結果を分析する彼の姿はまさに“研究者”そのものだと私は感じています。自治体間の比較の分析も含めると、研究は数年続くと聞いています。将来、Sさんがどのような職種・業種に携わるかは、未知数です。でも、試行錯誤を繰り返しながらも各地を訪れ、日々邁進している彼を私は応援せずにはいられません。Sさんの研究によって障害のある子どもの進学についての課題や地域格差の問題が明確化されることで、近い未来、当事者や親の悩みが軽減されたら良いなと思っています。微力ながらそのお手伝いができたなら、それは私たち親子にとってこの上ない喜びです。Upload By 荒木まち子執筆/荒木まち子(監修:初川先生より)大学院生のインタビュー調査を母子で受けたエピソードをありがとうございます。テーマは「中学校特別支援学級卒業後の進路選択について」。保護者の声のみならず、ご本人の声も対象となることがとても貴重かつ今日的な研究だなと感じます。さて、まち子さんからすると当時はうすうす気づきながらもはっきりとは聞いていなかった「娘のホンネ」が聞けたインタビュー。当時はおそらくそこまで言葉にできなかった(親の思いもキャッチしている娘さんだからこそ言葉にしづらかったかもしれないですし、そもそも人生の大事な局面で自分の意志を口にすること自体なかなか勇気のいることでもあります)、その思いを大人になり、働き始めてしばらく経った今だからこそ言葉にできたようにも感じます。そして、その進路選択に関する親としての思い。サポートがある場でないと傷ついてしまう。そこを親として大切な観点とされたのだと思います。当時その話をもしお互いでぶつけるように話されていたとしたら、親という立場、自分より長く生きている上の立場の人が(まだ何も傷つく前だとしても)サポートがないと大変と良かれと思って言ってくれていることに直面し、それはそれで娘さんは葛藤を深めたかもしれません。娘さんは娘さんなりに熟考し「最終決断」されたのだと思いますが、岐路にある際の決断ではどんなときも「得るもの」「失うもの」があり、全方位的に100点満点の決断というのはないのかもしれないと感じます。その後の質問の流れで、どうしてクリエイティブスクール(特別支援教育そのものとは違う学校選択)を選ばなかったのかについての親としての語り、娘さんの芸術的なセンスに関してのまち子さんの思いを娘さんが初めてしっかり聞くことになったのはとてもよかったと思います。進路選択のようなお子さん本人にとっても家族にとっても大きな局面。それがどうであったかを語ることはそこからの時間経過の長さによっても変わるでしょうし、現在のありようを本人・家族がどう捉えているかによっても変わると思います。そういう意味で、大人になってある程度落ち着いた良きタイミングにこのような機会があって、お互いの立場からの捉え方を意見交換するような場となってとても意義深い機会になられたようで何よりです。今は、「当事者の意見を聞く」潮流がだいぶ強くなってきました。これまで周囲の人だけで良かれと思ってさまざま決めてきてしまった反省など、国際的な潮流、あらゆる分野での潮流をふまえてのこの展開ですが、今後もっと発達障害や知的障害分野でも当事者の声が表に出やすくなると思います。家族や支援者はそうした声を参考に、そして目の前のお子さんの声を聞こうとしながらやっていく。当たり前といえば当たり前のことなのですが、思いが強いとついそこが抜けがちな面もあります。時代のアップデートに私たちの意識もアップデートしながら、日々の支援を考えていきたいですね。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年12月09日希望が通らず……就学相談についての悩み、成人した娘の児童発達支援での成長を振り返って、特別支援学校に通う息子の原因不明の不登校エピソードなど【2024年11月】通常学級、特別支援学級、特別支援学校……今の時期就学先が決まるご家庭も多いのではないのでしょうか。「どうして⁉」特別支援学校を希望していたのに、判定は特別支援学級でショック!、特別支援学級に通わせようと思っていたのに「通常学級でもいける」という周囲の声に戸惑い……など就学先が決まるまで、沢山悩んだエピソードや、3歳で無発語・多動だったお子さんの児童発達支援での成長、特別支援学校高等部に通うお子さんの原因不明の不登校問題など今月も読者の皆さんからさまざまな体験談が寄せられました。今回は2024年11月にお届けした読者体験談をご紹介いたします。ASD(自閉スペクトラム症)のあるお子さんの小学校就学。特別支援学校を希望しましたが、結果は知的障害特別支援学級でした。ひらがなの読み書きができず、数字も3まで数えることが難しいことも伝えたはずなのに……!納得がいかなかったゆきこさんは、教育委員会との話し合いへ挑みましたが、結果は……!?現在知的障害特別支援学級に在籍中の苗さんの息子さん。「わが子には特別支援学級が合っているだろう」と思っていたのですが周りからの「通常学級でもいける」「通常学級と特別支援学級、どちらがいいか正直、迷うところです」などさまざまな意見に混乱してしまいます。さらに知人から言われた言葉も心に引っかかり……。S.Kさんの娘さんは3歳8か月で軽度知的障害(知的発達症)を伴うASD(自閉スペクトラム症)と診断されました。幼少期は無発語や多動など悩むことも多かったですが、20歳になった現在は、職場の人たちとの関係も良好で穏やかな日々を過ごしています。今があるのは3歳後半から通った療育センターでの支援のおかげだというS.Kさん。大変だった当時を振り返っていただきました。特別支援学校に通う高2の息子さんが突然不登校に!?発語がない息子さんの「学校へ行きたくない」というアピールに頭を悩ませながら、病院通いを続ける日々に疲弊……。そんな中、バスや電車が好きなら行けるかも?と宿泊学習・修学旅行へ参加するまでのご家庭での工夫や学校との連携などの苦労を綴っていただきました。ご自身のエピソードを投稿してみませんか?『発達ナビ 読者体験談』は皆さんのご経験を基に制作されています。ご投稿いただいたエピソードは、連載ライターさんのイラスト、専門家の先生からのコメントをつけた上で掲載させていただきます。「あの時は悩んでいたけれど、今はこうなった……」など、発達障害のあるお子さんを育児している皆さんへ、ご自身の経験をお届けいただけないでしょうか。ご応募は以下の応募フォームから受け付けております。皆さんのご投稿を、お待ちしております。【現在の募集テーマ】・障害告知・パートナー(夫婦) 関係・両親(義両親)、親族関係・進学・受験関係・冠婚葬祭関連・反抗期、思春期・自傷・学習関係・不登校、行き渋り・ゲームとの関わり・不器用さについて・ママ友や、ほかの保護者の方とのエピソード・ご近所関係(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年12月08日STEAM教育って何?
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細川珠生のここなら分かる政治のコト